転生先がエロザルってまじっすか!?(改訂版) (二斗島甚兵衛)
しおりを挟む

サル、サルになる
1.サル、転生する


拙い文章故ご容赦を。改訂版投稿始まります。


視界は暗闇、耳に届く音など何も聞こえない静寂の中で流れ込んでくるよう記憶の波が押し寄せる。

 

泣き崩れていた。 

 

俺には幼馴染がいた。顔も可愛く、愛想も良い。本格的に付き合ったのは高校生からだったと思う。勇気を振り絞って告白して、それが受け入れられて号泣した。この人のために頑張ろうと大学まで行き、中堅の会社に入り、積み上がる資料を必死でまとめ、家に帰って彼女と談話し、それだけで幸せであったはずだった。 

けど、彼女は僕を裏切った。 

浮気していたのだ。目撃してしまった。休みの日、用事でいないはずの幼馴染が隣町にいて。少し年上の男と肩を組んでいた。笑顔を振りまいていた。

 

瞬間、彼女と目が合う。

彼女から何かを伝えるような訴えるような目線を受けたところで記憶は途切れている。

途切れた記憶がまた映し出されたのは茫然自失のまま家に帰る俺だ。

携帯が鳴る、聞きなれたメロディ。

俺は慌てて携帯の画面を確認する。

メールを開き、一番上を確認する。

そこには、タイトルのない文章だけのメールが届いていた。

ただ一文、『別れよう』と。

 

頭の中には様々な感情が渦巻いていく。

 

何故。

何故何故。

何故何故何故。

何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故。

 

何故、彼女は僕を選び続けてはくれなかったのだろうか。

何故、こんなことになったのだろうか…。

 

そこからの記憶は…ない。  

流れ込んだ記憶が落ち着いて、日の光を浴びるような温かさと草原を駆け抜けてきた風の匂いを感じながら僕は目を覚ました。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 目が覚めると赤ん坊でしたってね。

 自分の体から伝わる異常な熱気と頬を伝う涙。

それを確認しながら俺は天井を見ながら熟慮する、天井ぼやけて見える程度なのだが。

 

 それはともかく確か何かで読んだ覚えがある、異世界転生ものだったっけか、記憶を保持したまま転生すると赤ちゃんの体に負荷がかかるとかなんとか…。

おそらく自分の状態はそれに該当している…だって赤ん坊になってるし。

 

 まさかこれは!異世界転生ってやつではなかろうか!!

カット目を見開きテンションが急激に上がるのを感じる。

まじかよこんなことあっていいのかぁ~!とテンションが上がるのと同時に泣き出してしまった。

 

 すると母親らしき人物が近づいてきて腕をゆりかごのように揺らしてくる。

その揺らぎに抗えるものなし……そう思いながら襲い来る睡魔に身を委ね、どんぶらこ~どんぶらこ~眠りに落ちた。

 

 眠りから目を覚まし即座に周りを確認する。

 遠くからはトントンと小刻みに何かを切る音がする。母親(推定)が料理でもしているのだろうか。

今一度赤ん坊の体を確認し、ドキドキワクワクの剣と魔法のファンタジー世界に来たのだ!と実感する。

胸に燻ぶる興奮を抑えつつ俺は自分の記憶を探る。

転生もの、ファンタジーものの知識は微々たるものではあるが、前世…で読んでいた。

その記憶も知識もある。

 

ということは俺の第一声は決まっている「ステータス!!」ということは赤ちゃんの口からは出ないだろうからここは心の中でステータスと意識する。

 

「んゆ?」

 

何も出てこない……。

どうなっているのだろうか、

俺は何度もステータスオープン!やマイページ!と念じる。最後にはもう、開け!夢の扉!と念じていた。

 

なんでなん。

もしかして転生特典とかチートとかないやつなんか?

と少し涙目になってきた。

さっきまで上がってたテンションもしぼみ気味である。

 

 いやでも待ってほしい、この体1年経ったくらいの赤ん坊の体に大人の頭脳っていうだけでもはやこれがチートなのでは?

と気持ちを持ち直す。

そうとなれば魔法!とかは物語によって諸説あるからわからない。

致し方なく俺は肉体から鍛えることにした。

こういうのは初めが肝心なのだとだれか言っていた。

ただ何ができるかといわれると腹筋背筋ができるほどまだ筋肉が発達していないしハイハイや歩きを駆使しながらあうあうしゃべって口の筋肉を必要十分まで鍛えるだけなんだけどね……ゾンビやん。

 

 訓練しながら何から始めようかな~とのんきに考えて動き回ってたところでふと目についた陽光がカーテンをまくるようにして俺の目に突き刺さり、あぁぁ、目がぁ、目がぁ〜〜〜あああああああ〜〜〜〜とのたうち回った後、外の光に順応した目が窓の外を映し出していた。

 

 その時。

 

 さっきまでのワクワクファンタジーの雰囲気と気持ちは何処へやら。

よく見たらばっちり見覚えのある街並みが映っていた。

日本なんかい!!!

 

 夥しく暴れ狂う驚きを添えて俺の気持ちは天高くに舞い上がっていったことであろう。

神がいるならこの声にあたって落ちればいいのに…。

 

 




感想評価あれば喜びます。
誰に介入して欲しいとかあれば参考にするかもしれません。
良ければ皆さんもまじこい2次創作の供給よろしくお願いします。ほんと。まじで。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

2.サル、気付く

拙い文章故ご容赦を。


 唐突な話ではあるが、先んずれば人を制すという故事をご存じだろうか。

これはそのまま、人よりも先に物事を実行することによって相手を抑え、有利な立場に立つことができるという意味の故事である。

 

 まさしく今、俺が実行すべきことであると言えよう。

既に成人男性並の知識を蓄えている俺は誰よりも早く成長し、普通の人間より二倍の知識と経験を生むことができる。

行動方針としてはとりあえず自分を伸ばすこと、そのために運動に勉強何でも吸収しなくてはならない。

 

 そう思い運動を試みてはいたのだが、いかんせん幼児の体は疲れやすい。

家を走り回ったり、重いものを持ってみたりしているがすぐに限界を迎えてしまう。

幼児の身で壊れるまで筋肉を酷使するとか論外であるし、着実に筋肉はついてきていると確信できる。

昨日よりも走れる距離は長くなっているし、重いものを持てる時間も長くなっている。

これだけ早く効果が現れるとは幼児の体様様である。

 

 勉強に関しては父の部屋に侵入し、本を奪取して読ませてもらっている。

写真の技術関連の本が多いのは父が写真家だからだろうか。

 

 そう、父の仕事はどうやら写真家らしいことが判明している。

それは両親について色々知っておくべきだと思い聞いた。

それに両親は驚いてはいたが、父と母の出会いやらなんやらから始まり今何をしているのかまで、ざっくりと説明してもらった。

その後、まぁわかるわけ無いかと話を締めくくられた。

 

 そりゃまあ舌っ足らずな息子がパパとママについて知りたいといっても理解できるかどうかは別物だもんなと思ったが、お宅の息子さん普通の成人男性の生まれ変わりですよとは言えなかった。

理解がある親なのかも分からないし、できれば普通の家の息子として育ててもらいたいと思っていたからか……それ以外か……。

 あとはここが前世とおんなじ人間に転生したわけではないということもわかっている。

まず父親と母親の見た目から違うし…名前も違ったし。

 

閑話休題

 

 勉強の話に戻らせてもらうが、如何せん本が写真集や、写真の技術本ばかりで偏った知識だけが身についていてどうにも進歩がない。

勉強面でのこれ以上の発展は諦めるべきなのか……。

いや、高校大学程度の問題は復習程度に収めておいて大手企業に就職とか研究職になったりとかプログラマーなんかもいいんじゃないだろうか。

長い時間費やして株の勉強をして、不労所得でのんびり生活ってのもありかもしれない。

小学生高学年くらいになったら本のおねだりでもしてみようか。

 

 勉強と運動に関してはこんなところだろうか。

他には最近変わったことについても話そうか。

 

 最近変わったこといえば食に関してだろうか。

自意識が芽生えたのがこの歳で本当に良かったと思っている、母親のおっぱいから乳を吸う羞恥プレイは俺の精神が持たなかっただろう。

離乳食も終わり晴れて普通のご飯が食べれるようになった、離乳食は味が薄くほんのり香りのあるべちゃべちゃなお粥を食っている気分だった。

満腹感はあるのだが前世のときはこれの何が美味しかったのか理解に苦しむ。

普通のご飯バンザイ!日本国幼児に栄光あれ!

 

 ここ最近はずっと起きて飯食って運動をして飯食って寝るのを繰り返している。

今の俺はこの自分の生活に飽きていた。

時々散歩に出かけるのが生きがいになりつつある。

ヴァーと天井を見つめながらゴロゴロする。

転生だーうれしーといってもうまくいかないものである。

 

「いくろーもう出るぞ~」

「はーい」

 

 急は散歩の日である。

どうやら俺が家の中をゾンビのように歩いたり走ったりを繰り返しているのを見て動くことが好きだと考えたらしく、最近はよく散歩に出かける。

小さい服を着て、屈辱であるがおむつを履きその上からズボンを履いて玄関へ出る。

今日は父親が散歩の面倒を見てくれるようだ。

 

 顎髭を生やし、茶色のロングヘアーの父はヘアバンドにパンクな服を着ている朗らかな性格の人だ。

顔は正直イケメンだ、俺の将来への期待も高まる。

顔が良いに越したことはない。

 ちなみに母親はツリ目で強面な印象を受けるが、メリハリがあって家族の前やご近所さんの前では優しい性格である。

良因子最高。

 

 玄関で靴を履き、父親に玄関を開けてもらいながら外へ出る。

聡明な子だと思われているからか、手は繋がないで家の周りや公園を散策する。

ここ最近で体力も上がってきたし、地形もだんだん覚えることができてきた。

気持ちのいい春の風の歓待を受けながら歩道を並んで歩いていく。

 

「どうだ?いくろー、そろそろこの辺も歩き慣れてきたことだし、今日は少し遠くに行ってみようか。」

「うん!そうしよ!もっと色んな所が見たい!」

「今日はとっておきのでかいところ見せてやるからな!驚くなよ?」

 

 そう父親が言いながらどんな顔をするのか楽しみにしているような顔をする。

 

 しばらく歩きで川を渡ったりして移動していると向かっている先に大きな寺が見えてくる。

なんか見たことあるような既視感を覚え何か思い出そうとしていたその時である。

 

一気に鳥肌が立つ。

 

嫌な予感がする。

 

なんだかわからんがやばい空気だけを感じ取り、焦って父親の袖を握りしめた次の瞬間。

 

きれいな青空に天空おも突き刺すかのような光が飛び立っていった。

 

?????

わけが分からずあんぐりと開けた口から声が出る。

ただ一言。

「は?」

 

 その瞬間俺は放心状態になった。

父親は平然とした顔で「おー今日もやってるなぁ」と感心したように言っている。

 

いやいやいやいや、何がどうしたらそうなんねん!

 

もしやこれが日本の正常な風景であるとでも言うのか!?

 

こんなんあり得るとかそれはもう創作の…。

そう考えて一つの答えにたどり着いてしまった。

 

そういえば前世にこれが日常茶飯事であるというゲームをプレイしたことがある。

むしろファンであった。

 

 俺は恐る恐る父親に尋ねる。

 

「パパ…ここって…どこ?」

「ここか?ここはなぁ川神院っていうお寺だ!」

 

 父親は息子の鼻を明かしてやったってくらいのニコニコ顔でそう告げた。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 俺は茫然自失になったまま父親に連れられて家に帰ってきた

 

失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した。

 

 いやそんなこと考えている場合ではない。

あれは間違いなくかわかみ波だった。進〇ゼミでやったところだ!どころではない。

 

 これあれか!?憑依転生ってやつか!?

どうする?名前的に俺は完全にヨンパチだ!エロで馬鹿でひ弱な猿だった!

なんで名前を見た時点で気付かなかったんだ…あだ名のせいで完全に本名を忘れていた。

 

 いや落ち着け俺。まだ間に合う。

なんと言っても俺は前世上がりの転生者…いや、憑依者だ。

先に言った故事の通り。いち早く行動を起こしたものが勝つ世界。

体を鍛え、精神も鍛えて前世での知識を活かしながら戦えば生き抜くことは可能なはず。(別に死んでない)

 

 まず再確認のためにも知識をまとめよう。

要注意人物その他諸々についてできる限りのことは書き記しておくことに意味がある。

突発的な出来事にも対処するためにも先んずは体を鍛える必要がある。

 

 そのために一番最初にしなくてはならないこと…。

 

それは―――――――――

 

「パパ!俺、川神院に弟子入りする!」

 

川神院で己の力を磨くことにした。




これしか道は残されていなかった…。
感想評価コメント指摘等々よろしくおねがいします。
亀更新になると思いますし先のこと全く考えてないのでエタる可能性はありますががんばりますんで!何卒何卒ぉ。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

3.サル、幼馴染(仮)と出会う

拙い文章故ご容赦を。

幼稚園とかあんまり面白みないと思うので飛ばし気味に進めることになりそうですかね…。

小学生で一大イベントぶったてて満足しないように頑張ります。

後、しばらく風間ファミリーとかでで来ないかなって感じですね。
やっぱいります?



 その後、俺は両親との話し合うことになった。

 俺は日本人の伝統技能DO☆GE☆ZAによって頼み込む形になって、やるからには真面目に取り組むことを約束する形で両親から許可を頂いた。

 

 善は急げということでその翌日、神院をもう一度訪れ、両親と鉄心師範で話をつけてもらい、院生に混ざって修行してもらえることとなった。

 

 そして両親からの要望で川神院生(仮)というところに落ち着いた。

どういうことかというと、基本はおうち預かりとなり、時間になると川神院に行き、修行を院生たちとこなし、また時間になればお出迎えが来るというシステムになっている。

 

 川神院では院生に混じり修行を受けさせてもらっている。

院生さん{いやこの場合は先輩?兄弟子?俺が川神院生(仮)だから院生さんでいいか}に優しく教わりながら型を覚え、忠実に再現できるように動いていた。

院生さんにはこの年にしては筋がいいし呑み込みが早いと高評価を頂いてはいるが、あまり実感がわかない。

 

 確かに質のいい筋肉は発育とともについていっているのは感じるところではあるがこんな子供相手に勝負を吹っ掛ける相手がいるわけもなく、実力を測る機会なんてものはなかった。

 

もちろん実践の機会がないわけではない、手加減をした院生さんと勝負することはある。

勝ち星はついているのだが、手加減されている時点で勝ち負けの話ではないので本当に実感はゼロである。

 

 ほかに成長していることといえば空間把握能力が上がった気がする。段々と予備動作で何がどう来るのか、落ちる木の葉から出る空気の揺れ、そうゆうものに敏感に反応できるようになった。見えない位置からの攻撃でもなぜかそれが察知できたりしてしまっている。

さては俺ニュータイプになったなとかあほなことを考えながら神様がくれた能力とでも思っておこうと思う。定番だしね。

 

 あ、因みに院生たちと一緒に修行している俺と同い年くらいの女の子はもちろんいる。

あれが川神百代であることは疑いようのない事実だろう。

実際、修行中に他の院生さんに勝負を吹っ掛けてはぶっ飛ばし吹っ掛けては飛ばしを繰り返しているのを見れば一目瞭然だろう。

 

 確か武士道のテーマから誠をテーマにしている武士娘だと把握している。

あれが誠実かといわれると疑問には思うが。

 

 そんな彼女を見て俺もあの域までたどり着きたい!!なんてことは微塵も思わない。これは俺に向上心が歩かないかの問題ではなくもはや種族が違うというかなんというか。

 実際問題、彼女は将来宇宙でゴ〇ラVSキングギ〇ラみたいなことを地でしていたはずだ。

そんな化け物に追いつけるとか安易な考えに走ってしまえば傷つくだけである。

 

 俺はただ、焦らずに覚えた型・技を磨き、研ぎ澄まし努力を怠るのではないと身に教え続けるのが精一杯だった。

 

 あ、また一人飛んでった。

 

 院生たちに紹介されたときに一つ上の姉弟子として自己紹介はしあった「よろしく、姉弟子の川神百代だ。」みたいな感じだった気がする。それっきり話はしていない。

もちろん弟弟子として敬って自己紹介はしたが、修行中は自分のことに集中しているし、帰りはお出迎えがあるので早々に退散してしまう。

そんな俺を彼女は引き留めることも話しかけることもしない。

彼女がさっぱりした性格なのか、はたまた俺に弟属性がないからか、真相は姉弟子のみぞ知る。

 

 あ、今度は二人飛んでった。

 

 家では新しくノートとペンを買ってもらい、覚えている情報を手当たり次第に書いてみた。もちろんカモフラージュにガソダムとか赤いザフとか適当に名前をごまかしながら書いている。

プレイしたのも数年前のレベルである。あやふやな部分も多く、何が起きるのかもあんまり覚えてはいないが、書かないよりはましだろう。

 

 そのノートは自分の部屋の勉強机の引き出しにしまっておいた。

別段重要なことは書いてないと思うしごまかして書いてあるから普通の人には落書きにしか見えないだろう。

木を隠すならうんとかのなか理論である。ちがうか。

 

 後は、家が写真家ということもあって父親に写真のいろはを教わった。

結果何故かはわからないが、カメラを持たないと居心地の悪さを覚えるようになってしまった…。

ただ、カメラの技術は十分に吸収できたようで、玄関には記念すべき一枚目が飾られている。

何の変哲もない鳥の羽ばたく瞬間の写真である。

気配を遮断しながら匍匐前進により近づき空間把握能力と第六感にしたがって撮ったベストショットであった。

 

 プロじゃなくて俺の息子がこれだけの写真を撮れたことがすごいと父親には喜んでもらえた。

カメラデビュー記念に父親がお財布にやさしい値段で購入したデジカメが腰にけん銃のようなホルスターに収納されている。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

5歳を迎える年の四月

 

 俺は無事、幼稚園デビューを果たしていた。

 

 幼稚園では子供に混じった大人状態であった。

みんなの意見を集め、提案し、採用して遊び続けた。

 

鬼ごっこ、ドッチボール、おままごと。

 

 色々な場所で色々な遊びをしている子供達の中には混ぜてもらいたくても行動できない内気な子もいたからその子を俺が呼びに行き混ぜてもらっては抜け混ぜてもらっては抜けを繰り返しているといつのまにか人気者になっていた。

 

 子供ってちょろい。

 

 鬼ごっこやドッチボールは手と足の運動になるし、疲れればおままごとに混じり園児を見て気を休める。

 

 もちろん勉強もあるのだが、字の書き取り読み取りが主であったので前世の知識により早々に終わらせて席の近い子から順番に手助けをして回ってみたりした。

 

 その幼稚園生活の中で喧嘩も起こったりしていたが、見た目は園児でも中身は大人である俺は先生達の手を煩わさず、内々で話をして双方の謝罪で場を納めた。

 

 そんな時に男の子が女の子を叩くという事件が起きる。

この喧嘩の発端は、些細な言い争いが煽り合いに発展し口で負かされた男の子の方が女の子の頬を叩いたのだ。

 

 その現場に着いて女の子の赤く腫れている頬を見て何をしたのかを理解し、カッと頭に血が上り怒りが爆発した。

俺は怒りを抑えきれないままに男の子の頬を思いっきり腰を決めて殴ってしまった。

その時に咄嗟に出たのは打ちなれていた基礎の一撃である正拳突きであった。

男の子はその場から吹き飛び床に倒れた、幸いなことにすぐに起きて来て大きな怪我にはならなかった事を確認できた、その後びっくりしながら先生が来て事情を聞き出し男の子と女の子は双方謝罪し、俺は男の子に謝罪した。

 

 この事件はこれで幕を下ろした…が、俺の中では終わっていなかった。

確実に腰を決めて正拳を放った、相手は園児だ、運が悪ければ死ぬ……なんてこともあったかもしれない。

 

 俺はその後そのままの事情を両親に話し、両親を連れて謝罪をしに行った。

向こう方の母親はやんちゃに困っていたのか日常茶飯事なのか、笑って許しては貰えたが俺の中の罪悪感は拭えないままだった。

 

 俺はそのままの足で川神院に向かい、事情を正直に全て鉄心師範に話した後、土下座で謝罪をし、謹慎と精神修行をさせて欲しいとお願いした。

 

 鉄心師範はびっくりしてはいたものの俺と話し合い、結果一ヶ月の謹慎と週に2回の精神修行を言い渡した。

精神修行の際は川神院に来ることとも言われた。

 

 この事件があって以降口喧嘩はあれども手が出る程の大喧嘩が無くなった。

 

 女の子の味方であると思われたのか男の子たちは遠のいたが、今までの行動も功を奏し、時間が解決してくれて、また平穏な幼稚園生活へと舞い戻ることはできた。

 

 本当に何事もなくてよかった。と安堵のため息をつく。

 

 因みにだが、その時助けた女の子は近くに住む和菓子屋の小笠原 千花というらしい。

 

ん?なんか育郎の幼馴染にそんなんいたよな…。

 

は!?小笠原千花!?まじ!?お、幼馴染!?幼馴染は勘弁してクレェ…。




ゲームではバキバキにフラグ折られてましたがどうなるんでしょう…。

亀更新申し訳ない…。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

4.サル、清廉潔白(笑)を訴える

もしかしてこれ月2投稿なのでは?


 俺が助けた女の子が小笠原チカと知ったのはそれから数日後であった。

 

 助けた女の子を気にするより自分の未熟な精神に対して苛立ちと焦りがあり、あまり気にすることはなかった。

 

 だが数日後に訪れた彼女らを見て彼女の持ってきた御礼の品の飴をみて、名前を確認して思い出したのだ。

 

 幼馴染いたなと…。

 正直に言って幼馴染という存在に対してあまりどころかすっごくいい思い出のない俺にとって、幼馴染という存在は触れないでほしい禁忌にも近い行いであった。堪忍してくれを心の底から切に思う。

 

 そんな願いが届くはずもなく、原作の地にいて、原作のキャラクターに、しかも幼馴染設定のキャラと出会わないわけがなかったのだ。

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 最近、小笠原に付きまとわれている。

 理由は単純にして明確、庇護下にいることで安心と安全を獲得しているのだろう。

そして彼女はきっとその安心と好きという感情を履き違えているのだろう遠思う。

 

「ねぇ、いくろーくんはちかのことすきぃ?」

 

 間延びした、甘えるような声音に身体がビクッと反応する。

――――「ううん!全然!むしろ苦手!」と言えればどれだけ幸福なことだろうか。

「んん」と営業スマイルばりの笑顔で本心を隠すしかない。なお、引きつっている模様。

 

 この幼い女の子の気持ちを無下にすることなど俺にはできなかったが答える事もまた。俺にはできない。

 俺は前世で、NOと言える日本人ではなかったのだ今世でいきなり鞍替えなど土台無理な話である。

そんな良心につけ込むなんでさすが幼馴染汚い。

 

 ただ、この子は確実に将来俺のことを好きになることはないと思っている。

ゲームではそんな描写一ミリもなかったし、面食いキャラで通っていた、この世界でもそうであると信じたい。信じさせてぇ…ねぇおねがぁい。

 

 もしかしたら俺に窮地にかけるけてきた王子様を妄想しているのかもしれない。もしかしたら正義の見方に見えているのかもしれない。たしかそんなシーンもあった。

そんな妄想の産物を俺に移し見ているこの子はいずれ一般的な価値観を形成する過程で自然となくなっていくものである。

 だから曖昧な返事でもしょうがないのだ!俺は自己肯定に走る。

 

 前世の俺も幼馴染という狼の罠にハマった哀れな子羊だったのだろう。

 

 

いつものように流れていく幼稚園生活、平和だ…。

 

 

 そういえば川神院では謹慎は続き精神修行のみの鍛錬を行っている。

 あの事件のように感情に任せててをだしてしまうようなことがないように、子供の未熟な心を成長させるために。

 

 鉄心師範の説明では、「お主の盃には今大量の水が注がれておる。幼さにより盃が揺れ、水が沸騰し盃から水が溢れておるから制御が効かぬのだろう。」と当たりをつけて教えてもらった。

おそらく転生の際に、幼少期から成人までの間に起こる精神年齢が身体に引っ張られるという現象を説明してくれているのだと思う。

 

 聞いた話だけで的確に薬を処方していただける鉄心師範は心強い味方であると感じる。

精神修行は鉄心師範が付き添って山へ行き、滝に打たれ流れを感じ、畑を耕すことにより土の力強さを感じ、森の中で自然と一体化するという精神統一を繰り返し行っていた、なにげに子供の体にはきついことを強いられていた。

俺を抱えて山をゆうゆうと飛び越えている鉄心師範を見るとやっぱりこの世界ってやばいと感じる。もっと強く有りたい精神的にも肉体的にも。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 その後、一ヶ月の謹慎状態を終え、晴れて普通の子供修行僧に戻った。普通とはいかに…。

あいも変わらず小笠原は幼稚園で俺について回って来ているが、前よりは距離が遠くなった気がする。おかげでビビらなくて済むのはありがたいことだ。

 

 川神院では鈍ってはいないかと院生さん達にからかわれたが。

 おそらく手加減してくれてるであろう試合をすることによってその不安は解消されたようである。

むしろ鋭くなっていると褒められたくらいだ。精神修行により精神的な幼さが解消に向かったとともに気という感覚を掴んだのもあると思う。

 

 鉄心師範の気に当てられ続けて覚醒したのか、精神修行で川神の自然を感じたからなのかは不明ではあるが、成長していると感じられるようになってきた。かわかみのちからってすげー。

 

 気を練る、扱うという感覚はいまいちつかめていないが、今のところは気が感じられるようになっただけでも儲けものだ。

 

 そして気を感じられるようになってから川神百代の戦闘中の気の動きも感じられるようになった。

気を手にまとめて放ったり、自分の身にまとって身体能力や防御力を上げたり、厚くすることによって攻撃を受け止めたり。

野菜人みたいな戦いをしている。げに恐ろしやぁ…。

 

 気を感じ取れるようになり、食い入るように姉弟子の試合を見つめていたからか、最近になってよく絡まれるようになってきた。

 俺はこれ幸いにと話しかけ、気の扱い方のコツを教えてもらおうと思ったのだが、どうやら姉弟子は感覚派だったようでギューとかバーン等の擬音で説明してくれた…アリガトウゴザイマス。

 

 姉弟子からいくら聞いても少しもわからないので師範代達に聞いてもらうことにした所、どうやら釈迦堂師範代が教えてくれるということになった…らしい。理由は一言「お前には卑しい気が流れているからルーの手には余る。」とのこと。

何を言われているかわからない。なんでや!わいは清廉潔白な子供やぞ!と訴えてルー師範代のもとに走ろうとしたが襟をつかまれ、ドナドナされてしまった。なんや?いっしょにわるいことすんのか?。

 

 はじめは釈迦堂師範代かぁ~と陰鬱な気持ちではあったものの、説明や教え方は悪くない…むしろ性に合っているとまで思える。

 

 乱暴ではあるが粗雑ではなく、俺は順応するかのように慣れていった。

身体の動かし方、気の練り方、気の動かし方、それをどんどん吸収していく俺を見て釈迦堂師範代も調子に乗ってきたのか、新たな型を超えた技まで教えてもらいはじめた。感謝せざる負えない。

 

 気を感じ取れるようになり、年々強くなっていくことを実感しながら伸び悩むことなくまるで射った矢のように月日は流れていった。

 




育て…ヨンパチ。
君はヒーローになれる!!

感想評価お待ちしております。
私を動かすガソリンになりますんで!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

外伝1 それぞれの独り言

説明回。
要るかどうか分かりませんが、どぞ。

拙い文章ですがご容赦を。


釈迦堂の場合

 

「こいつぁすげぇな」

 

 素直に感心した。

 いや、感心させられたというべきか。

最近この川神院に入ってきたガキ。

名を福本 育郎というらしいガキを見て、独り言を呟く。

 

 恐らくまだ、本人は気付いてはいないであろう。

この気を感じ取れる俺達にしかわからないはずだ。

そのガキは一見普通の子供のように見えて理知的であり理性的で、大人のような顔をする。

ガキのくせに大人みてぇな喋り方をするへんなガキだが、まだ川神院に入って間もないが努力を惜しまないルーと同じタイプだと言えるであろう。

少なくとも表面上は、であるが。

 

 表面上しか見れねぇ、壁を超えている者にしか分からねぇこともある。

それが、気の判別。

大なり小なり気には量、質というものが伴う。

それを種類として捉え、認識することが可能だ。

気は一人につき1種類。

 

 そして研ぎ澄まされればされるほどそれぞれの個性、色のように変化する。

こればっかりは共感覚って言うやつなのかもしれねぇが俺には分かる。

だが、このガキには2つの気が未だ混じり合わずに混在しているように感じる。

 

1つは俺にはない研ぎ澄まされた正の気。

もう1つは正の気よりも大きな完全なる邪気。

 

 決して交わることない2つの気が渦を巻いて中国の陰と陽のように別れあって存在している。

 

 これはおかしな話だ。

 

取り込まれもせず、されど交じり合おうとしない完全なる同居。

1つの身体に2つの気。

 

 これでは身体と精神が乖離して内側から壊れる方が身体が成長し切るより早いだろうと感じるほどに、異様であり異質。

 

 それを見ておもしろいと感じた。

 

 ある日謹慎処分で坊主が一月くらいの間が空いた後、急に坊主が気の使い方を知りたいと教えを請ってきた。

 

 俺はこれ幸いと坊主の訓練を引き受けて。

坊主に気の使い方を教えてやった。

 

するとどうだろうか。見事に生の気のみにストローで吸うように使いやがる。

邪気には一切手を出さない。

 

 それを見てことさら面白く感じる。生の気を使い切り、それを持って疲れているような顔をしている坊主。

 

 未知との対面であった。

 

 その使われない邪気が何のトリガーを持って開くかは定かではないが、もう暫くこの未知との対面を楽しもう。

これでも、最初に見てやった一人目の弟子だ。

 

「一人前になるまでは面倒見てやるとするかぁ…。」

 

 釈迦堂は黒い笑みを浮かべながらまた独り言を発した。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 私は川神百代。

 

 最近新しく年下の弟弟子ができた。

 

見た目は私より子供であると判別出来るような容貌ではあったが、いかんせん話し方も、態度も、大人び過ぎでいる。

 

 この歳でこのように完成された精神を持っている子が存在しているのだろうか。自分よりも小さな子供が?

そんなこと有り得るのか?と疑問に思う。

 

未知との遭遇だった。

 

自分の周りを見てもそんな子供は存在してはいない、だが大人ぶっているようにも感じない。

 

劣等感を感じながら目を見て寒気がする。

黒く濁った気が渦巻いて見える。

 

 これだけ精神が完成されているのに、理性があるように見えるのに、その中に渦巻いている気は、余りにもその存在のあり方を否定していた。

 

これまた更なる未知との遭遇。

 

 それを感じてしまうと一気に気味が悪く感じてしまう。

その気味の悪さは恐怖と同等のものであった。

見てはいけないものを見たと思い、早々に見ないふりをした。

 

 特段姉弟子と弟弟子であっても合同で訓練をする事などない。

何故なら私はここでは上から数えた方が早いくらいには強いのだ。

到底ついてくることなど不可能だと決め付け、気味の悪い存在から目を逸らすように修行に励んだ。

 

 それからまた二、三年ほど経ったある日、どうやらあいつが問題を起こし、謹慎処分というものを下されたらしい。

 じじいにそこまでされるとは何をしたのだろうか、と思い師範代に質問してみると、同級生を怒りに任せて殴ったらしい。

 

 それを聞いてびっくりした、何だかんだ腫れ物の様に扱っていたが、根はやはり子供なのだと。

安心したのだ。

今はじじいと精神修行に励んでいるらしい。

 

 精神修行なんて、なんの役に立つか…何て考えながら安堵する。いっぱしに大人の顔をしていると思ったらぶってただけなのかと、未知は既知であったのだと。

 

「今度からはもう少し構ってやるか…。私は姉弟子だからな!」

 

と一人自分に言い聞かせる様に独り言を発した。

 




こういう説明会って定期的に設けたほうが良いかなって思ったんですけど皆さん的にどうですかね?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

外伝2 サルと師範代の楽しい修行日記♡

拙い文章ご容赦を。


師範代から日記をつけろと日記帳を渡された。

捨てるのも忍びないから取り合えずはつけていようと思う。

これも何か精神修行の一環だろうか。

 

今日は気の放出方法を教わった。

師範代に背中に手を添えられるのと一緒に体の中から何かが押し出されるように抜けていく。

身体に異常はなかったが、ひどく疲れたかのように感じた。

 

そこにへたり込むと師範代から走れとお達しが来た。

鬼かこいつ…。

 

俺はとりあえず走った。

 

2日目

 

師範代からスタミナが足りないと言われた。

子供なんだから当たり前じゃんとため息をわざとらしく吐くと拳骨が落ちてきた。

 

また、走った。

 

 

3日目

 

どうやらまだ走るらしい、子供の柔らかい身体じゃ攻撃力なんて出ないと裸足走りと丸太殴りが始まった。

これは児童虐待じゃ無かろうか…。

そう訴えると、とっとと走れと拳骨が落ちた。

絶対訴えてやる。日本の法を見くびるなよおっさん。

 

4日目

 

どうやら見くびっていたのは俺の方だったようだ。

訓練の量が倍に増えた。おかしい…何も変なことはなかったはずだ…。

殺される…。

 

5日目

 

走り回った結果足の皮は削れ、剥け、グロ画像みたいになってる…。

手の甲も同じく、皮が剥がれてヒリヒリして痛い。泣きそう…。

おっさんの悪辣な笑みが頭から離れない。それでも止まるわけにはいかない…。

 

30日目

 

はしった。

 

54日目

 

年を越した。

気が付けば年末を迎え母方の実家に帰省していた。

記憶が無い。何があったんだ…。

 

57日目

 

思い…出した。

師範代の悪辣な笑みですべてを思い出した。

河川敷から歩道へ歩道から山へコースが変わり。

走る距離も変わり。

しまいには気を抜かれた状態で走り続けたのだった。

 

あんのくそじじい許さねぇ!

子供にしていいことじゃねぇぞ!

一発食らわせてやろうか…。

 

58日目

 

ごめんなさい、もうこんなこと書きません。

 

あいつ人間じゃないってもぉ!

 

あいつ半端ないって!

 

後ろからの攻撃めっちゃ的確に防いでくるもん…。

 

そんなんできんやん普通、そんなんできる?言っといてや、できるんやったら…。

 

59日目

 

皮膚のかたさ確認が終わったのか走り込みも殴り込みも終わりらしい。

長かった…。

これで気の練習に打ち込めると思った矢先に今度は泳いで川下りを求められた…。

 

川下り編始まります。

 

60日目

 

寒い…死ぬ…。

 

100日目

 

記念すべき100日目。

 

泳ぐ。

 

101日目

 

およいだ。

 

120日目

 

オヨイダ

 

 

150日目

 

年長になった

川下りはほぼ毎日行われている。

この無限の連鎖を止めるにはやつを仕留める他にない。

気を教えてくれない師範代など必要ないのだ…ぐっふっふ。

 

必ず仕留める。

 

151日目

 

罠も何もかも解除されていた。

昨日仕掛けていたものすべてがなかった。

 

なぜだ…。

 

152日目

 

お咎めが発生した、死ぬかもしれん。

なぜ特定まで至ったのか定かではないが、川に罠がちりばめられていた。

危なかった、普通に死ねるって師範代…。

 

170日目

 

もはや流されるように泳いでいる。

でももう耐えられない、起きている間、陸にいるより水に入っている時間の方が速い。

俺は魚類に進化したいわけではないのだ。

直談判しかあるまい。

 

171日目

 

暇があれば師範代の耳元で訓練変えろ訓練変えろとささやいてみた。

どうやらアクションを起こすまでは気配は完全に消せているみたいだ。

時に睡眠時さえ囁きかけてやった。

早く変えてほしい。

 

172日目

 

過酷な訓練の日々が続いている。

どうやら泳ぐ以外をさせる気になったようだ。

連日訴えてよかった…。

 

200日目

 

訓練の量と種類が日に日に増えていく…。

死ぬ。

 

〇〇〇日目

 

修行とは悟りにも似た諦めと見たり。

 

×〇〇日目

 

訓練の種類がおかしな方向へも向かっている。

とうとう中国拳法の修行方法みたいなものまで追加し始めている。

絶対楽しんでるだろこいつ。

 

〇×〇日目

 

姉弟子の川神 百代が時々一緒に修行をするようになってきた。

師範代が話ながら連れてきているみたいだ。

隣で余裕顔でこなされると気がめいってくる。

絶対心折りに来てるよぉ…。

 

××〇日目

 

姉弟子の風呂現場に遭遇してしまった。

何が言っているのかわからないと思うが安心してほしい、俺にもわからない。

山での訓練で疲れた体を休めるためにドラム缶風呂の場所に行ったら先に入っていた。

 

終わった。

 

その日、口と鼻から血を吐きながら天空に血の花火が舞い…散った。

ローリングスプラッシュマウンテン花火(血)…。

 

〇〇×日目

 

小学生になってようやく気の練習をさせてくれるようになった。

体が覚えているうちに復習しなくては…。

 

思えばどの訓練もそうだったかもしれない。

短距離も長距離も泳ぎも最適解を掴むまでは反復の繰り返しだった。

死ぬといっても結局死ぬことはなかったし。

師匠は俺のことを考えて訓練メニューを作っていたのだろうか。

 

そんな微笑ましい光景なぞ存在しないだろう。

何を考えてんだ俺。

おっさんの顔を思い浮かべると悪辣な笑みが思い浮かぶが、そんな笑みですら慣れを感じる。

また、明日から頑張ろう。

 

×××日目

 

修行が本格化しているように感じる。

川神流の技も練習し始めた、動作を研ぎ澄ましゆっくりゆっくり行う。

折角の技だ、覚えて極める他ない。ありがとう師範代。

 




普通の子供は死にます。やめましょう。

因みに前々話の最後の方は調教済みです。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

サル、救う編
5.サル、いじめ現場に遭遇する


拙い文章故ご容赦を。
サクサクイベントまで進めます。


幼稚園生活も平穏無事(当社比)に幕を閉じ、小学生になった。

 

☆入学式

 

 父親からは入学祝いにヘアバンドを貰った、ヘアバンドなんて前世から数えてもつけたことない代物ではあったが父親から貰ったものだ、大事に使わせてもらおう。

母親には豪勢な料理を振る舞ってもらい、最高の入学式前夜だった。

 

 小学校ではあいも変わらず小笠原が付かず離れずの位置にいることが続いたが、小学校に慣れていくうちに周りから見られるのが恥かしいと感じたのか、夏休みを過ぎたあたりから少し距離を置いて生活し始めていた。

 言い寄ってくる日々もこれで終わりかと、二年生になりクラスが離れる事になって少し寂寥感を覚えながら俺達は離れていった。

 

 そんな離れた生活も一年で終わったんですけどね。

 

☆小学三年生

 

 小笠原といっしょのクラスになり、なおかつ席替えで隣の席になった。

「育郎じゃない!よろしくね。」と無邪気に話しかけられている俺は口から血を吹き出しつつハートにヒビが入り悲鳴を上げ続けていた。

ソウカーオンナジクラスカーソウカー。

 

「あーまぁ、またよろしく。」と無難な返事をしておいた。

そっけない態度も慣れたものなのかいい笑顔を返してくる小笠原を見ていると純粋な嬉しいという気持ちが伝わってきて毎回申し訳ない気持ちになる。ヤメテ…ヤメテ…。

 

 あぁ…今日も平和だなぁ(現実逃避)。

 

 あと友達との接し方も変わった。

今までは面倒見てあげるよーわーい頼りがいあるーで良かったがこれからはサッカーしようぜ!くらいが丁度いい塩梅らしい。

 

 一年生の頃は、小学生の友達の作り方など忘れてしまっていたから幼稚園とおんなじスタイルで接していたが、その頃は小笠原が一緒についてきて皆と接していたので順調であったのだろう。

困ったのは離れた二年生の頃である。そういう立場を維持すると頼れる、のみで必要以上に友達になろうとしてくる子供がいなくなった。

頭を捻ってどうしてこうなった?と疑問に思い答えを導き出した。 

 

 世が求めているのは先導できる人間なのだ、そうなのだ。今まではコミュニケーション強者の小笠原がいたからなんとかなっていたのだ。

それを理解してから舵を切り、皆と面白い話をしたり、休み時間に自分から率先して遊びを提案して参加した。

そうすると、同学年の子供が寄って来て逆に遊びに混ぜてくれるようにもなった。

無事、はぶられることないやさしい世界に帰ってきたわけである。ビバ、世界平和。

 

 ただ、休み時間は遊べるが下校時間になると帰って修行をしなくてはならないので、放課後はドロンさせてもらう。

放課後人の家に集まってのゲームも楽しいものではあるがこちらにも二度目の人生で命がかかっているかもしれないため、修行をおろそかにするわけにもいかないのだ。

 

 さて、そんな風に学校生活を謳歌している時、有名人の名を小耳にはさんだ。

名を九鬼英雄というらしい。大層有名人なようで、何もしなくても情報が入ってくる。

 

 えぇ知っています知っていますとも。あの有名な九鬼財閥の御曹司であり文武両道成績優秀で顔も良いらしいという天才児である。

最近は野球に打ち込んでいらっしゃるようで。

 俺だって負けていない(当社比)だろうが原作のキャラクターかつ有名人の幼少時代というと少し見てみたい気持ちに駆られる。

 

 あわよくばその威光にあやからせていただきたいとも…ついでに揚羽お姉様もこの目で見てみたいとも思ったがそこで思い直した。

そういえばあいつガチガチに守られてんじゃん。窓越しに遠距離狙撃とか周囲警報ビンビンの状況で九鬼英雄に平静を装って話しかけるとか無理だったわ。諦めよう。

 

 武術を習っている俺が不用意に近づいても良い存在でもないだろう。その気になれば子供の首なんてへし折れてしまうのだ、そんなことを思っていなくてもその力を持っているということが問題なのである。

いうなれば拳銃をチラチラみせながら近づくようなものだ。脅し、ダメ、ゼッタイ。

しかも、俺の気は邪気の方が多いらしいし。いらぬ誤解を生んで射殺とか絶対に嫌だ。

 

 同じクラスであれば話しかけてもいいとも思うが、わざわざ他クラスから足を運んで照準を受けながら話しかける程でもない、必要に駆られてからでも遅くはないだろう。

おれはそう納得しながら窓の外を眺める。一時間目の国語の授業を右から左へ聞き流しつつ平穏に流れる雲を眺めることにした。綺麗だなー。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 ある日の休み時間、何時ものように皆が喧噪とともに外に遊びに行く姿をトイレに行ってから後を追うと告げて見送り。

用を足してから外への道を歩きだそうとするときに泣き声が聞こえた。

 

 不思議に思い気配を消しながら歩いていくとそこは同学年の別の教室であった。

泣き声を扉越しに聞き、喧嘩かぁ?と訝し気に扉を開けるとそこには…。

 

 泣いているくすんだ白髪の女の子…とその子に意地の悪いことをしているガキが3、4、5。

遠巻きに見守っていたであろう奴らも1、2、3。

 

 その全員が時が止まっているかのようにこちらを向いて固まっている。

 

 はぁーんこれは…いじめ現場ってやつですかねぇ…。

 

 俺は憤慨しそうではいたが自分を茶化し、何とか下を向いて怒気を押し留めてからニコッと笑い常に携帯していた相棒を手にしてシャッターを押した。

 

 フラッシュとともにそいつらの呆けた顔を相棒の記録に収め、そのままニコリと笑顔をみせて廊下を全力疾走した。

 後ろの教室からドタドタと音が聞こえる。

 

ガキが…生きて帰れると思うなよ。

 




感想・評価がまだでしたら是非にお願いします。m(_ _;m)

Q.学校でいじめを発見しました。あなたならどうしますか?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

6.サル、悩む

拙い文章故ご容赦を。


 俺は廊下を駆けて駆けて駆け続ける。

 

「逃がすなよ!」

「ま、までぇ〜。」

 

後ろから追ってくるガキどもは声を上げながら必死に追いつこうと校内を追いかけっこしている。

最初は元気に追いかけてきていたのに数分もすると「もう無理」とへたる奴もいた。

だんだん走る速さがゆっくりになっていく追ってくる速さが段々遅くなってきているからだ。

 

 俺は潮時と判断し、窓を開けて窓の淵に手をかける。

 

「ヒュ〜たけーな。」

 

今俺たちがいるのは校舎の4階。

普通の子供が飛び降りたのなら確実に四肢爆散案件である。

 

そう、普通の子供なら。

 

俺は、窓のふちに手をかけてガキどもにむけて中指立てて言ってやる。

 

「鬼ごっこはしめーだ。」

 

と言い残して窓の淵から思いっきり飛び降りた。

 

 少しの浮遊感の後に重力に引っ張られて身体が下に降下するのを感じる。

俺は至って冷静に地面に落ちる瞬間、気を足に集めて足を落下の衝撃から守るように浸透させる。

地面に到着すると同時に足に残る衝撃を身体にいなしていくように前転し、地面に不時着した。

 

「おいおい、ここ4階だぞ…。」

 

ガキ共から驚くような声が聞こえる。

 

いい感じに力の差が伝わったようだ。

 

 もちろんこういう風に逃げたのには理由がある。

 

わざわざ言うことでもないと思うが、今回の場合逃げる方法と言うのには2種類存在した。

前者は、絶対に追いつけないと判断させるまで逃げ続ける方法。

後者は、隔絶した技量の差の壁を見せつけることで諦めさせること。

前者は走力で後者は気と技術が必要だ。

 

 現状での最適解は後者だ。

前者で逃げ続ける場合、追い込みなどの搦め手を使って捕まえる可能性が存在する。

また、教室まで問答無用で追ってくる可能性もある。

教室に乱入してまで見て欲しくない現場なら元々そんなことして欲しくはないものだが、小学生にもなると、一学年一人くらいは発生する事だろう。

 

 別の幼稚園から入ってきた顔見知りでもないし、仲良くも出来ない者を謎の危険因子として排除しようとしているのではないかと俺は勝手に思っている。

あとは、これは中学校からが多いのだが無駄に高い自意識が芽生え、他者の上に存在していることを確認することで優越感に浸るための行為であるというケースだ。 

 

今回は流石に前者であろう。

 

流石にまだ小学生半ばであるのに無駄に高い自意識とか抱いていて欲しくない。

 

 ともあれ、今回は隔絶した壁を分からせるためにわざと校舎の4階の窓から飛び降りてみた。

窓からこちらを見ているアホヅラを拝む限り大成功のようだ。

こういうのはきっぱりと諦めさせることの方が大事なのだ。

 

 因みに逃げている最中に3階と2階を走り続けていたがそれに大した理由はない。

単純に追い掛け回させて少しお仕置きをしたい気持ちだっただけだ。

 

 ともあれ、少し遊びすぎてしまい休み時間的に今から遊びに参加しても撤収する時間だろう。

 

 俺はこれからどうしようかと取り敢えず大人しく自分の教室に帰った。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 休み時間に遊びに参加しなかった俺を友達である子供たちに心配されたが、心配無いとニッコリ笑って何をしていたのかは誤魔化しておいた。

 

 今は授業中だが俺はうんうん唸ることになっている。

別段授業内容が理解不可能な範囲に及んでいるのではない。本当に、絶対、真剣で。

 

今朝のいじめ現場を一応カメラに収めておいたのだが、虐められていたというのに少し引っ掛かりを覚えて捻り出した答えが俺を悩ませる原因になっていた。

 

 前世の知識から引っ張り出してきたところによると、いじめと家族との不和が原因で小学生に暗黒期を経験していたキャラがいた。

 

 

 

榊原小雪。

 

 

 

白髪でマシュマロ食べる?というセリフが有名な不思議ちゃんな女の子である。

 

 当時、俺がまじこいをプレイしていた時は可愛い女の子だなぁーとのっぺり考えていたが、その後の暗い過去を知って結構心が折れた経験がある。

 

まじこいを貸した従兄弟も完全に心が折れて廃人になっていた記憶がある。

 

 続編でルートが開設されたものの、個人的には納得の行くところでは無い省略のされ方をして、従兄弟と一緒に憤慨していた。

 

だから何が言いたいかというと滅茶苦茶に暗い過去&物語で出て来るたびに俺たちは心を痛めてスマネェ…スマネェ…と謝り続けていたのにあんな省略(ry

 

閑話休題

 

 少々熱くなってしまったが話を戻すことにする。

 

 それで、俺が突き当たっている命題が彼女に干渉するのか、それとも見ないふりをするのか、である。

 

 確かに助けてあげたい気持ちはあるのだ。

それはもう熱く語ってしまうほどには。

だが、それで彼女が幸せになれるかと言うと自信はない。

 

 本来の未来であれば、彼女は後に確実に冬馬と準と幸せに過ごす予定なのだ。

いじめや家庭不和は有れども、それを乗り越えて成長して彼らと過ごすはずなのだ。

 

 いわばこの現状で、俺が話の大筋に干渉してしまうことで本来あった筈の後に幸せになれる未来を潰してしまう可能性を危惧してしまっているのだ。

 

 どうする事が正解なのか、もちろん普通のいじめで有ればどうにかしようと行動に移していただろうが、その子が榊原小雪であるとなれば話が少し違ってくるのだ。

 

一体俺はどうする事が正解なのだろうか。

 

分からない…ワカラナイ…。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

???

 

 

 なんか休み時間からずっと育郎がうんうん唸っている。

 

幼馴染として、ずっと彼の姿を見ていた私にとってはそれは珍しい姿だと思った。

 

 彼は勉強も運動もできて大人びていて、なんでもできるヒーローみたいな存在に感じていたのに。

 

おとうさんにもお母さんにも自慢できるくらいすっごいカッコよく見えていたのに。

 

今の彼はすっごく頼りないように見える。

 

 

 たしかお父さんが言っていた気がする。

 

ヒーローは一人で何もかもを守っているわけではないって。

 

ヒーローはみんなに囲まれていて、それでみんなに助けてもらって。

 

それでヒーローはみんなを守りたいって思ってみんなの為に戦うからヒーローなんだってだって。

 

だからヒーローが何か困っている事があれば助けてやれって。

 

そんでみんなでまた笑うんだと言って優しく頭を撫でてくれた。

 

 

 それを思い出して、私は私のヒーローに声をかける。

 

例え手伝いがいらなくても、何も出来なくても。

 

 

いつだって彼は私のヒーローだったから。

 

だから彼がそうしてくれたように、私もそうするのだ。

 




さぁ!楽しいですな~。

因みに小笠原のお父さんの趣味は特撮鑑賞です!
勝手に作りました。ヒャッハァ!すんません。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

7.サル、一大決心をする

拙い文書ですがご容赦を。

後この物語はネタバレ要素が強めですので未プレイの方はぜひ製品を購入してプレイしてからにしましょう。本当おすすめです。


五限目と六限目の休み時間にもおれは悩み続けていた。

 

何が正解なのか、どうすることが良い方向に進むのか。

 

「何か悩んでるけどどうしたの?」

「あぁ…いじめ現場目撃しちゃってそれがこゆ…いぁ!?」

 

 考えることに集中して誰かが近づいてきているのに気付くのが遅れた、あまつさえ考えてたことをしゃべってしまった。

 

「えぇ!大変じゃない!誰?今すぐ辞めさせないと。」

「大丈夫!このクラスじゃないから。」

 

慌てたようにクラスを見渡す彼女を見て俺は慌ててそう言った。

 

いや本当に困ったどうしよう…。

 

「通りで考え込んでるわけだ!で、どうするの?」

「どうするって?」

 

俺は彼女の質問の意図が理解できなくて疑問を口にする。

 

「勿論止めさせるんでしょ?」

彼女はさも当たり前のように聞いてくる。

 

俺は小笠原を見ながらどうしようかともう一度考える。

彼女の眼はそれが当たり前だと言うように吸い込まれそうな純粋無垢な眼をしている。

その彼女の眼を見ていじめられていた小雪の…泣き続けて涙の枯れた瞳を幻視する。

あの眼は確かに此方に助けを求めていたはずだ。

 

思い出せ…原作がなんだ大筋がなんだ、俺が元々鍛えたはずのこの力は何のために鍛えたのだ。

ゲームじゃない、現実になったこの世界で少しでも死ぬ危険を回避するためではなかったのか。

普通じゃない世界が現実になって、それでこの世界で彼女が死ぬ可能性はゼロではないではないか、居なくなってしまう可能性も…。

 

最初から答えは出ていたのだ。

 

助けたらどうなるとかではない。

今、この現状で救える人に気が付いているのに救わないなんて理由は存在しない。

 

それは哀れみからの同情かもしれないし、ただの偽善心からくる行為かもしれない

それがどうした?そんな理由で助けることを止めるというのならそんなもは犬にでも食わせてしまえばいいのだ。

 

答えは得た、後はどうやって実行に移すか。

家庭内不和による心身ともに歪んでしまう理由を完全に取り除く。

 

そのための第一歩は―――――――。

 

「小笠原、一緒に戦ってほしい。」

 

彼女にも協力してもらうことにした。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

先んずは小笠原の協力を取り付け、次は情報収集である。

彼女の家がどこなのか調べ、目撃と証拠写真が必要になる。

確か彼女の母親は育児ストレスにより精神が不安定になり過度な虐待傾向であったはずだ。

最終的に殺される一歩手前で反撃を行い、家から飛び出して行き倒れになっているところを冬馬と準に拾われて看護師の養子になったというのが一部始終であったはず。

 

そういえば彼らは同じ学校にいるのであろうか、いるのなら協力をお願いしたいところではある。

後日探すことにしよう。

 

話がそれたが何が言いたいかというと彼女のいじめにつながる根本的な原因すら排除する必要があるということだ。

俺がやりたいことは彼女のいじめを止めさせることだけではない。

心身共に歪んでしまう原因を取り除いてしまうことが最終目的といってもいい。

 

 そのためには心苦しいが彼女の両親は取り除く、それが俺の最適解であった。

 と言うことで俺は今彼女をつけて家まで案内してもらっている。

犯罪?この世にこんな幼気な少年のストーカー行為を咎めるやつがいるだろうか…いやいない!

ということで彼女の家に到着した。

 

古臭いアパートのような場所がどうやら彼女の家らしい。

彼女が入って言く部屋の番号を確認してその部屋にのそっと顔を覗かせる。

物音がしない暗い部屋を覗くと、彼女は四隅に小さく三角座りをしているようだ。

母親らしき人物も人影だけなら見えるが顔は見えない。

俺は相棒を構えて写真をいつでもとれるような状態にしておく。

 

「なんであんたなんて生んでしまったの…。」

 

と母親らしき人物が泣いている声が聞こえる。

 

「あんたなんて!!」

 

と彼女が空き缶を投げつける姿をフラッシュを切ったカメラのシャッターを押しながら見続ける。

部屋の四隅でびくびくし続ける彼女を見ているとみるに堪えない。

すぐに乗り込んでやりたい気持ちに襲われるがその気持ちを必死に押さえつけて耐える。

体の中の黒い何かが俺の身体をむしばんでいくように錯覚する。

 

それから数分待っていたが母親らしき人物がすすり泣く声が聞こえるだけで変化はなかった。

俺はそろそろ帰らないと心配されてしまうので帰らなくてはならない。

とりあえずの成果はこれだけかとカメラの電源を切って家から離れようとしたその時。

 

彼女の鳴き声と母親らしき人物の叫び声が聞こえた。

俺はカメラを起動しなおしてからまた窓に近づいていくと彼女の髪が母親らしき人物に引っ張り上げられ、怒鳴られてるようだ。

 

「私の声が聞こえてないの!!それとも聞きたくないっていうの!!」

 

と怒鳴り声が畳みかけるように聞こえてきた。

俺はチャンスだ!と思い、カメラのシャッターを押すと。

暗い部屋の中を明るいカメラのフラッシュが一瞬照らしていった。

 

やっべ。

 

俺はすぐさま窓から離れて二階から飛び降りを決行し、逃走を開始した。




内容がおかしければ申し訳ありません。
誤字報告・高評価・感想じゃんじゃんくだされ! 


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

8.サル、行動する

拙い文章故ご容赦を。

サル…主人公。幼馴染にトラウマをもつ社会人が憑依した姿。今世のヤバさから川上院に入り死なないように生きるために修行中。ちなみに最近は釈迦堂がつきっきりで山籠りさせられている。子供のやるタチの悪いいじめは大っ嫌い。

葵冬馬…学校の秀才。頭のキレも普通じゃない。葵紋病院の院長の息子。

井上準…葵紋病院の院長の秘書の息子。冬馬とは幼馴染であり仕える主人という認識。

九鬼英雄…名前から分かる通りヤベェやつ。九鬼財閥の御曹司。上に姉と下に妹をもつ。現段階では成績もスポーツも優秀で顔も良いし生まれも良い最強のやつ。

小笠原千佳…スイーツ女子と男子からやっかみを受けていた女の子。今世では育朗と幼馴染であり、育朗が好き…かも?って感じ。コミュニケーション能力が高く。彼女を作る輪は大きく影響がある存在になっている。

小雪ちゃん…家庭不和虐待いじめが祟ってろくな青春がない子。今世はどうなるのか。




フラッシュをたいて逃走した後日の放課後。

俺は写真は十分だという判断をしてとりあえず身の回りを固めるようにした。

あれ以上の証拠を手に入れようとした場合虐待が過激化しかねない。

この学校で小雪を救うならなんとなくで遊ぶ仲間では良くないのだ。

 

「本当にどうしようもねぇな。」

 

先日の光景を思い出して思わず毒をを吐く。

この段階で完全に母親の矯正という判断はないに等しい。

 

先んずは仲間を集めることにした。

この際に一番必要であるのはカリスマ性・力・智謀にたけた人間が必要だ、果たして小学三年生でそこまでの力を持っている人間がいるだろうか。

 

いるんだなこれが。

 

それが九鬼英雄 葵冬馬 井上準この三人は必ず集めておきたい。

この三人は俺を含めて黄金の世代と言われるこの学校の人間だというのは勿論確認済みである。

先生からの評価も極めて高く、頭脳明晰成績優秀といわれている、情報はすんなり手に入った。

 

俺は休み時間に彼らのもとに向かう。

まず最初に話しかけておくのは葵冬馬であろう、井上準と九鬼英雄につながりがあり、人気もある。

彼に介入してもらいながら引き入れることにしよう。

小笠原を伴いながら一緒に彼のいる組まで行った。

ちなみに小笠原を連れて行くのは顔が広くて不信感を抱かれにくいと判断したからである。

 

どうやら小笠原と葵冬馬は二年生で同学年の顔見知りでよく話をしていたらしい。曰く、不思議な人というのは小笠原評である。

 

俺は夏の始まりを感じる温かい風を体に受けながら彼の教室のドアを開けた。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「だからお前の力を借りたい。」

「ふむ。」

 

案内を受けた教室で俺は葵冬馬に事情を説明していた。

こういう頭いい系は嘘を言うと見破られやすい、そのうえで話に乗ってくれるならそれも考えるがリスクが高い。

正直に事情を説明するのが一番だ。

 

「頼む!お前の力が必要なんだ。」

「いいですよ。」

「本当か!」

「ただし、条件が二つあります。」

「条件か…なんだ。」

「一つ目は私、もしくは私たちが不利益を被る又は被りそうになった際には自由脱退ということでしょうか。」

「はなからそのつもりだ、俺の都合でお前らを巻き込んでしまうのは嫌だから抜けてもらっても構わない。で、もう一つは?」

「もう一つは貸といことにしておきましょう。私はあなたに協力してもらいたいことがあるんですよ、その際はまたお話ししますよ。」

 

此方を向いてにっこり笑う葵を見ているとなぜかその提案を聞いてお尻が引き締まったが俺も後には引く気はない。

 

「わかった貸一ってやつだな。」

「話が早いですね。そういう人は嫌いじゃないですよ?で、何から始めましょうか?」

「先んずは人数を集めてファミリー的なものを作ろうと思っている。まぁ俺たちがいるの場所でいじめなんて起こす輩はいねぇだろうからな。」

「その小雪さんを囲い込むということですね。準は呼ぶとしても英雄は難しいと思いますよ。彼は忙しい立場ですし、あまり誘うことをお勧めはしません。」

「そうか、葵が難しいというなら九鬼は無理そうだな。仕方ない、ほかを当たってみるか。」

「いえ別に大丈夫だと思いますよ、僕もいますし、あなたもいますしね。」

 

なるほど、俺か葵どちらかが統率する役割を担うのか。

         

「俺はガラじゃないんだが…お前は?」

「私ですか?私もそうでもないですね。なら準に任せましょうか。彼は運動神経もありますし、人気者ですからね。」

「そうだな…そうしようか。」

「それで、育児ストレスからくる……の解決策とか……。あと小雪の……情報とかも……。」

 

キーンコーンカーンコーン

 

「今日はここで終わりだですね。」

「そうみたいだな。」

「また放課後にでもどうですか?準も呼びますが。」

「それはまたの機会だな、俺も用事があってなすまん。」

「大丈夫ですよ、では。」

 

俺は葵にお礼を言って外に出た。

小笠原は他の生徒が寄ってこないように別で話をしていてくれたようだ。

 

「ありがとうな、小笠原。」

「うん、大丈夫。」

「恩に着る。」

 

俺たちはそういって足早に自分たちの教室に戻った。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

ファミリーを作るにあたりメンバーは絞った。

小笠原

小雪までは決まっている。

どの場合でも死角のないメンバーだろう。

英雄に関しては保留だ、来てもいいし来なくてもいいからリーダー的存在として祭り上げておきたい。

それぞれの付き合いもあるだろうし集まるのは緊急時等何かあればしようかと考えている。

 

後は、小雪を俺が引っ張って来るだけだろう。

行動はすぐに起こすべきだ。

明日にでも彼女を誘うことにしよう。

それからいじめがあったという事実の公開だ。

 

囲い込んでからでないといじめの事実を公開した結果の逆恨みを御しきることができない。

 

腹をくくろう。行動だ!



目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。