ゼロの使い魔~優しく気高き破面の戦士~ (暇人!)
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プロローグ 使い魔召喚!?
初投稿、処女作、駄文です。至らないところが多々あると思いますがよろしくお願いします。
トリステイン魔法学院。中世ヨーロッパの城を思い描かせる様な大きな建物を囲う様にそびえ立つ壁のちかくで、この学院の一年生が進級試験をかねたサモン・サーヴァントと呼ばれる使い魔召喚の儀式が執り行はれていた。
生徒たちは自分たちが召喚した使い魔と交流を試みたり、互いの使い魔を自慢しあったりと喜びの為にお祭り騒ぎになっていた。
次々と新しい使い魔が召喚されて、ついに最後の一人の番となった。
「では最後にミス・ヴァリエール」
「・・・は、はいっ!」
教員のコルベールに呼ばれた少女は、一目見ただけで緊張しているのが分かるほど強張った表情を浮かべながら歩き始める。
彼女の名前はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。
周囲で談笑していた生徒達が呼ばれた名前を聞き侮蔑を含んだ視線を向ける。
その中の一人が大きな声を上げた。
「おい、ゼロのルイズ! 魔法を使えないのににどうやって召喚するんだ!」
それを聞いて周囲から笑い声が上がる。コルベールが注意したものの小さな笑い声は人ごみに紛れながらも決して途切れることなく続いていた。
ルイズはその声の主を鋭く睨み付けたものの、その視線を正面へと向け直し杖を取り出してゆっくりと振り上げ此処にる誰もが驚くような、そして誰もバカに出来ない様な使い魔が召喚される事を望み、思いながら呪文を唱える。
「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン!
我の運命に従いし、"使い魔"を召喚せよ!」
唱え終えると同時に杖を振り下ろした瞬間、爆発が起き思わず目をつぶったルイズが恐る恐る目を開くが、そこには何もいなかった。
召喚に失敗した。基本的にどんなメイジでも、失敗しないサモン・サーヴァントに失敗した。悪い言い方をすれば、どんなに才能のないメイジでも、失敗しない魔法なのに失敗した。他の魔法は失敗しても、この魔法だけは絶対に失敗しないだろうと思っていた分、私はショックが大きくなり、思わず泣きそうになった。
周囲の生徒達もそれを理解し始めると先ほどより大きな声でルイズを馬鹿にし始める。
「ルイズ! 召喚もまともにできないのかよ!」
「しかたないさ。だってゼロのルイズだもの」
「どうせ成功なんてしないんだから。早く終わらせてよ」
口々に少女を馬鹿にする生徒達に囲まれる中で、その場に立ち尽くしていたルイズは杖を握る手に力をこめて、再び杖を振り上げ呪文を唱えて杖を振り、再び爆発が起こるが何も現れない。ルイズはひたすら呪文を唱え続けた。
周囲の嘲笑は既にコルベールでは止められないほど強くなり、それ以外の静観している生徒達の中からは哀れみと同情、その裏に隠れた優越感の視線が投げられる。
ルイズは貴族であり、しかも名門公爵家の息女なのだ。そしてこの世界では魔法が使えるメイジこそが貴族なので貴族の証は魔法であり、魔法は支配者の力であるのと同時に証なのだ。
だがルイズは一度たりとも呪文を成功させたことは無かった。
何度やっても成果は爆発という結果で返ってくる。
「はあ~はあ~何で出て来てくれないのよっ!!」
召喚の失敗が続き、肩で息をしながら呟いた。
「はははっ! ゼロのルイズは使い魔も呼べないみたいだな!」
「無駄なんだからもう止めろよな~!」
同級生達は、ルイズに向かって罵声を浴びせる。
「ま、まだよ! 次こそは!」
それでもルイズは諦めない。
そこへ、教師であるコルベールが声をかけた。
「ミス・ヴァリエール、今日はもう止めておきたまえ」
「な、何でですか!? 私はまだ出来ます!!」
コルベールの言葉に必死で反論するルイズ。
「君は気付いていないようだが、君は召喚呪文の連続で思った以上に疲労している。これ以上続けると、身体を壊してしまう。今日はここまでにして、後日、召喚を行ないましょう」
コルベールの言葉に、ルイズは俯く。
だが、ルイズは顔を上げると、
「な、ならせめて、もう一度召喚させてください!それで召喚できなければ今日は止めます!」
ルイズはラストチャンスを願った。
コルベールはルイズの真剣な眼差しを見た。
「・・・・わかりました。もう一度召喚を許します。ただし、それで召喚できなければ・・・・」
「はい! ありがとうございます!」
ルイズは礼を言うと、再び杖を構えた。
(どうせこれが最後のチャンス! だったら!!)
ルイズは自分が思ったとおりに言葉を紡ぐ。
「宇宙の果てのどこかにいる私の僕よ! 神聖で美しく、そして強力な使い魔よ! 私は心より求め、訴えるわ! 我が導きに、応えなさい!!」
そして、杖を振り下ろす。
――ドゴォォォォン
今までより派手な爆発が起き、周りの生徒は、「また失敗か?」などと呟いていたが、爆煙が晴れてくると、煙の中に何かがいるのが分かった。
(やったわ!成功よ!一体何が・・・・って、え?)
煙が完全に晴れると、そこにいたのは横たわった一人の子供の姿があった。
年は5~6歳ぐらいで、髪の色は黄緑色で長さは短めで髪の長さだけでは性別が判断できない。
身に着けてる衣類はまるでボロ布の様な物でとても服には見えない。
何より、一番目につく特徴は頭に被っている大きな亀裂の走るドクロの様な割れた仮面。
仮面以外は唯の貧し平民の子供にしか見えない。
「ルイズ、魔法が使えないからって、其処らへんの平民を連れて来るなよ!」
そう誰かが言った。
すると、周りで笑いが巻き起こる。
「ちょ、ちょっと間違っただけよ! それに召喚は成功したわよ!!」
ルイズが怒鳴る。
「間違いって、ルイズはいっつもそうじゃん」
「流石はゼロのルイズだ!」
誰かがそう言うと、周りの笑いが爆笑と化す。
ルイズはコルベールに駆け寄った。
「ミスタ・コルベール! もう一度召喚させてください!」
そう希望する。だが、
「それはダメだ。ミス・ヴァリエール」
即、却下された。
「どうしてですか!?」
「春の使い魔召喚は、神聖な儀式だからだ。好むと好まざるに関わらず、あの子を使い魔にするしかない」
「でも! 平民を使い魔にするなんて、聞いたことがありません!」
ルイズがそう言うと、再び周りが笑いだす。
「これは伝統なんだ。ミス・ヴァリエール。例外は認められない。」
コルベールは子供を指差す。
「ただの平民かもしれないが、呼び出された以上、君の使い魔にならなければならない。過去、人を使い魔にした話は聞いた事はないが、春の使い魔召喚の儀式のルールはあらゆるルールより優先する。あの子には、君の使い魔になってもらわなくてはならない」
「そんな・・・」
ルイズはガックリと肩を落した。
「さて、では儀式を続けなさい」
「えー、あの子と?」
「そうだ。早くしないと次の授業が始まってしまうじゃないか。君は召喚に、一体どれだけの時間をかけたの思っているんだね? 何十回も失敗して、やっと呼び出せたんだ。いいから早く契約したまえ」
子供を見つめると、一度、溜息をつき、歩きながら更に溜息をついた。
「感謝しなさいよね。貴族にこんなことされるなんて、普通は一生ないんだから!」
そう呟きながら、顔を覗いて思わず悲鳴を上げてしまった。
「どうしたんだね! ミス・ヴァリエール!?」
「ミ、ミスタ・コルベール・・・この子、怪我を額から、血が」
震えた声で叫んだ。
その叫びを聞き、生徒達に動揺が走り、パニックになりかけたがすぐに沈静化された。
「落ち着きたまえ皆! 私はこの子を医務室へ連れて行く。ミス・ヴァリエールは私と一緒に医務室へ
ほかの皆は教室に戻り、次の授業を受けなさい」
コルベールが指示を出し終えると、自らの服の袖を破りルイズに渡す。
「これを傷口に当てて押さえてください」
「は、はい!」
返事を返し、指示どうりに傷を押さえる。
コルベールが杖を振り、3人の体が宙に浮き猛スピードで医務室を目指す。
(召喚してから気が付くのに時間がかかってしまった・・・・・・頼む、間に合ってくれ!!)
そう、祈りながら杖を握る手に力が入った・・・・・・
ここまで読んで頂き、ありがとうございます。
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