スクランブル! (トムキャット)
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挙動不審なトレーナー

マヤちゃんの作品が少ないので書いてみました


 今日は週に1度のトレーナー達のミーティングの日、生徒会長のシンボリルドルフが口を開く

 

 

「では最後に生徒会の方からですが……田原トレーナー」

 

「はっ!はい!?」

 

 

 田原と呼ばれた若い女性、完全に声が裏返ってしまった

 

 

「くっ……痛っ!?」

 

 

 思わず吹き出した男性トレーナーを、眼鏡をかけた女性トレーナーがはたく

 

 

「田原トレーナー、マヤノトップガンを最近授業で見かけないという話がありますが、何かご存知ですか?」

 

 

「えっ?いっ、いやぁ……?」

 

 

 目を泳がせながら答えるものの、顔からは大量の汗が吹き出していた

 

 

「そうですか、まぁ良いでしょう 生徒会の方からは以上です」

 

 

 その言葉で会議が終了した

 

 そして、すれ違い際にシンボリルドルフが耳元でささやく

 

 

「デートも程々になさって下さいね?」

 

 

「!?」

 

 

 固まってしまう

 

 

「あんま遊ばせ過ぎるなよ?」

 

 

 と言いつつ、肩を叩く男性トレーナー

 

 

「甘やかせ過ぎ」

 

 

 と、眼鏡をかけた女性トレーナー

 

 

「お互い大変ですね?」

 

 

 と、男性トレーナー

 

 

「……バレてる、どうして……」

 

 

「星ちゃん……」

 

 

 最後に話しかけて来たのは、同期の桐生院葵

 

 

「さっきマヤノトップガンが配ってたよ?」

 

 

 手渡されたのは1枚の写真、写真には弾けるような笑顔をしながら抱きつくマヤノトップガンと、完全に頬が緩みきっている自分の姿があった

 

 

「マヤちゃん……内緒でって言ったのに〜……」

 

 

 ガックリと膝を着きうなだれる星

 

 

「トレーナー……?」

 

 

 扉から“ひょこ”っと顔を覗かせたのは、星のチーム【アルデバラン】のメンバーであるナリタタイシンであった

 

 

「タイシンちゃん?どうしたの?」

 

 

「……ちゃん付け止めてって言ってるじゃん」

 

 

「あはは……ごめんつい……」

 

 

 そう言いつつタイシンの背中を見ると、良く見知っている顔が見える

 

 

「ベンチですやすや寝息たてて寝てたから連れてきたんだけど……」

 

 

 ナリタタイシンの背中には、幸せそうに寝息をたてているマヤノトップガンの姿があった

 

 

「マヤちゃん……もう……」

 

 

 星はそう言いながらマヤノトップガンの頭をなでなでしている、するとそこに奇声をあげながら声をかけるウマ娘が1人

 

 

「ぐあぁ!!?トレーナーさんにタイシンさん!そのままで!あぁ!?カメラが無い!?」

 

 

 軽くパニックに陥っているのは、同じくチーム【アルデバラン】のメンバーであるアグネスデジタルであった

 

 

「いっ、今すぐスケッチするのでそのままでいて下さい!!」

 

 

「デジタル……この体制地味にキツイんだけど……」

 

 

「トレーニングだと思ってそのままで!!」

 

 

 にやけ顔で黙々とスケッチするアグネスデジタル

 

 

「トレーナーさん!もっとこう、指で唇をなぞるように」

 

 

 デジタルの難解なリクエストに困惑しながらも、星は言われた通りに人差し指の背の部分でマヤノトップガンの唇をなぞるように触れる

 

 

「ん〜……」

 

 

「ちょっと……そんなことしたら起きちゃうじゃん……!?」

 

 

 急にナリタタイシンの動作が止まる

 

 

「……田原星トレーナー、こんばんは」

 

 

「えっ!?あっ……駿川さん……」

 

 

 星の顔は青ざめている、そんな様子にナリタタイシンは察した

 

 

「トレーナー……また誰にも言わないで出掛けたの?」

 

 

「だって〜……」

 

 

「……はい、もうお分かりとは思いますが、マヤノトップガンさんの1週間の失踪について、理事長室で詳細をお聞きしたいと思いまして……」

 

 

 終始笑顔の事務員駿川たづなであったが、その目と声はは全く笑っていない

 

 

「はい……ごめんなさい……」

 

 

 うなだれるようにして、その場から離れる星

 

 

 

 

 

 

「はぁ……何してるんだかうちのトレーナーは……デジタル!もう帰るよ!」

 

 

「……はっ!?ってあれ……?トレーナーさんがいない!?」

 

 

 改めて周囲を見渡し、驚きの声をあげるアグネスデジタル

 

 

「タイシンさん、トレーナーさんは?」

 

 

「いつもの」

 

 

 ナリタタイシンがそう言うと、おぶっていたマヤノトップガンがもぞもぞと目を覚ます

 

 

「ん〜……あれ〜……タイシンちゃんにデジタルちゃんどうしたのぉ〜……ふわぁ……」

 

 

 大きくあくびをし、再びナリタタイシンに体を預けるマヤノトップガン

 

 

「全く……誰のせいでこんなことになったと思ってるんだか」

 

 

「私は良いものが見れたので満足です」

 

 

 そう言うながら、その場を後にする3人であった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 氏名 田原 星(たはら あかり)

 

 年齢 22歳

 

 性別 女

 

 所属 日本ウマ娘トレーニングセンター学園

 

 役職 トレーナー

 

 担当 一般教科(音楽 社会科)非常勤講師

 

 チーム【アルデバラン】

 

 所属ウマ娘 ナリタタイシン マヤノトップガン

 

 アグネスデジタル

 

 特技 話をはぐらかすこと

 

 苦手 表情に出やすい 断れない




Twitterのマヤちゃんの検索欄どうにかして・・・


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寮にて

投稿は書き上がり次第投稿します


「う〜ん……ふわぁ〜」

 

 

 朝、目を覚ましたトウカイテイオー

 

 ふと時計を見ると、そろそろ起きなければならない時間であった

 

 同室のマヤノトップガンは、まだスヤスヤと寝ている

 

 

 昨日、マヤノトップガンはナリタタイシンにおんぶされて久しぶりに部屋に戻ってきた

 

 マヤノトップガンがいなくなるのはいつもの事なのだが、今回は1週間も部屋を離れていたので少しだけ心配したのだが、嬉々として写真が送られてきたので取り越し苦労だったようだ

 

 

「マヤちゃ〜ん、朝だよ〜?そろそろ起きないと〜」

 

 

 トウカイテイオーが呼び掛けるが、マヤノトップガンはまど夢の中に居るようだ

 

 軽くため息をつきつつも、再びマヤノトップガンを起こそうとした時だった

 

 ふと、トウカイテイオーが目線を下に下ろすとベッドの下から何かが覗き込んでいる

 

 

「えっ……」

 

 

 固まってしまうトウカイテイオー、そしてさらにベッドのしたから“にゅ”っと、腕が伸びてきてトウカイテイオーの両足を“ガシッ”っと鷲掴みにする

 

 

「きゃっ……きゃ〜──!!」

 

 

 トウカイテイオーの悲鳴が朝の静寂に包まれた寮にこだまする

 

 

「ん〜……ふわぁ……テイオーちゃんおはよ〜……ふわぁ……」

 

 

 流石のマヤノトップガンもこのトウカイテイオーの悲鳴に目を覚ますが、寝ぼけているようだった

 

 

「マヤちゃん!起きて!助けて〜!!」

 

 

 トウカイテイオーはあまりの驚きに腰を抜かし、ベッドからから伸びてきた腕に足を引きずり込まれそうになっていた

 

 

「いや〜!!だれか〜!!」

 

 

「テイオーさん!?どうしたんですの!?」

 

 

 ドンドンと戸を叩く音が聞こえてきた

 

 

「この声はマックイーン!?助けて〜!!」

 

 

 メジロマックイーンを筆頭に、トウカイテイオーの悲鳴を聞いた寮の面々がぞろぞろと集まってきた

 

 

「朝からなんや!うっさいねん!」

 

 

「タマモクロスさん!オグリキャップさんを呼んできて下さい!!」

 

 

 早々に怒鳴りこんできたタマモクロスに、力がありそうなオグリキャップを呼んでくるように以来するメジロマックイーン

 

 そして、同室のイクノディクタスには寮長であるフジキセキを呼んでくるように依頼する

 

 

「いきますわよ!せーの!」

 

 

 タマモクロスに呼ばれたオグリキャップや、騒ぎに駆けつけたスペシャルウィーク、ビワハヤヒデ、そしてメジロマックイーンとでトウカイテイオーを引っ張りだす

 

 

「これは……」

 

 

 ずるずると引っ張り出されるトウカイテイオー、その先には、よく見知った顔

 

 

『田原先生!?』

 

 

 一同の驚きをよそに、トウカイテイオーと共にベッドから出てきたのは、チーム【アルデバラン】のトレーナー、田原星であった

 

 

 

 

 

 

 

「それで……どうなさったんですか?田原先生……」

 

 

 寮長であるフジキセキに問いかけられる星

 

 チーム【アルデバラン】のメンバー以外は、非常勤講師を学園で勤める星のことを“先生”と呼称している

 

 

「はい……」

 

 

 昨夜、あの後たっぷりとしぼられた星は、失意の中トレーナーの寮へと帰宅していた

 

 

「はぁ……あれ……あれ!?」

 

 

 そして、自分がカバンごと学園に置いて来てしまったことに気がつく

 

 

「あぁ……やっちゃった……」

 

 

 カバンには携帯電話や財布、寮の鍵など諸々入っており途方にくれてしまった

 

 

「おや……田原先生じゃないか」

 

 

 そこに通りかかったのは、何やら奇怪な笑みを浮かべるアグネスタキオンであった

 

 

「ふぅむ……そういうことなら、良い案がありますよ……?」

 

 

 事情を説明すると、アグネスタキオンはまたも奇怪な笑みを浮かべ、星をある場所へと案内する

 

 

「ここは……寮じゃないですか」

 

 

 アグネスタキオンが連れてきたのは、ウマ娘たちが生活する寮

 

 

「フジキセキには私から言っておくから、今日はトップガンくんにでも泊めてもらえば良い……」

 

 

「はぁ……」

 

 

 断るべきだと思ったが、心身共に疲れきっていた星はアグネスタキオンの言葉に従うことにした

 

 そして、マヤノトップガンとトウカイテイオーの部屋の前に到着する

 

 

「少しだけ下がってもらえるかな?」

 

 

「あっ、はい……」

 

 

 そう言うと、アグネスタキオンは白衣から何やら液体を取り出しドアの隙間へと流し込む

 

 ジュワァ……

 

 そんな音が聞こえると、アグネスタキオンは振り向き

 

 

「開きました」

 

 

「えっ!?大丈夫なんですか勝手に?」

 

 

 どうやら、あの液体で鍵を溶かして開けたようだ

 

 

「疲れている先生にぴったりの物があるんだ……」

 

 

 そう言うと、アグネスタキオンはポケットから栄養ドリンクのようなものをとりだし、星に手渡す

 

 

「さぁ、どうぞ……」

 

 

「あぁ、ありがとうございます……」

 

 

 

 

 

 

 

「そこから記憶が無いんです……」

 

 

 昨夜のできごとを説明する星

 

 

「あっ、でもゴールドシップさんと綱引きしている夢を見ました……」

 

 

「それ綱じゃなくてぼくの脚だよ!!」

 

 

 星に抗議するトウカイテイオー その脚にはくっきりと手の跡が残っている

 

 

「どうしたんだい?騒がしい……」

 

 

 扉の前に立っていたのは、星に怪しげなドリンクを提供したアグネスタキオンであった

 

 

「あぁ……あれかい?あれはひとの潜在能力を引き出す薬でね、ほら、人は脳の1割ほどしか使ってないって言うだろ?」

 

 

「何でそんなものを疲れた先生に渡したりしたのさ!」

 

 

 アグネスタキオンに手の跡がくっきり残った脚をみせながら抗議するトウカイテイオー

 

 

「疲労回復速度も向上するかとおもったんだが、どうやら失敗してしまったようだ」

 

 

 さらに続けるアグネスタキオン

 

 

「なぁに、実験に失敗は付き物さ田原先生、また実験をお願いするよ……」

 

 

 にたにた笑いながら星に言うアグネスタキオン

 

 

「あぁ……はい……」

 

 

「同意しないでよ田原先生!」

 

 

 トウカイテイオーの抗議をよそに、星に近づく小さな影

 

 

「トレーナーさん……おはようございます……」

 

 

 やって来たのはアグネスデジタル、どうやらアグネスタキオンに連れてこられたらしいが、その目の下にはくっきりとくまが出来ている

 

 

「デジタルちゃん、また夜更かししてたの?ダメって言ってるのに……」

 

 

「すいません……昨日は筆が乗って乗って……気付いたら朝になってて……ふわぁ……」

 

 

「ったく夜中まで絵なんか描いてんじゃねぇよ、ほら」

 

 

 やって来たのはエアシャカール、携帯している糖分補給用のラムネを手渡す

 

 

「すいません……シャカールさん……」

 

 

「ほぉ……随分面倒見が良いじゃないか」

 

 

 エアシャカールを見てまたもにたにたしているアグネスタキオン、蹴りを見舞うエアシャカールを華麗にかわす

 

 

「んわぁ?どうしたのぉみんなで……ふわぁ……」

 

 

 やっと目覚めてベッドから体を起こすマヤノトップガン

 

 

「今の今までの騒ぎで寝ていられるとは……まぁ私の妹も大概だが……」

 

 

 発言したのはビワハヤヒデ、どうやら妹のナリタブライアンは朝が弱いらしい

 

 

「あぁ!トレーナーちゃんだ!」

 

 

 そう言うと、星に飛び付くマヤノトップガン

 

 星はそれを綺麗に受け止める

 

 

「おはようマヤちゃん、よく眠れた?」

 

 

「うん!バッチリだよぉ?それよりどうしたの?こんなに朝早く?」

 

 

 マヤノトップガンは問いかけながら星の頬に自分の頬をスリスリしている、星も表情が完全に崩れている

 

 

「おぉ……!寝不足には刺激がつよい光景ですが、是非とも焼き付けねば……!」

 

 

 アグネスデジタルは半ば閉じかけていたまぶたを指で見開き凝視している

 

 

「あのー……お取り込み中の所すみません……」

 

 

「……何してんのトレーナー」

 

 

 呼び掛けたのは、スーパークリークとナリタタイシン

 

 

「おはよう、タイシンちゃん」

 

 

「タイシン、随分と早い登校だな?」

 

 

 星は挨拶を返し、ビワハヤヒデが問いかける

 

 

「……いや、なに言ってんの?」

 

 

「その事なんですが……もう始業20分前ですけど皆さん大丈夫なのかなぁと思って……」

 

 

 動きが止まる一同

 

 

『えぇ〜!!』

 

 

「全く気づきませんでしたわ!」

 

 

「ごはんたべてないよ〜!」

 

 

 一同バタバタと慌てて部屋を後にする

 

 

「これはアカン〜!オグリ!はよ支度するで!」

 

 

「タマ大変だ!」

 

 

「なんやねん!この忙しい時に!」

 

 

「お腹が減って力が出ない……」

 

 

 そのままストンと床に座り込むオグリキャップ、タマモクロスは瞬時にオグリキャップの襟首をつかみそのまま引きずる

 

 

「なに言うとんねん!そんな場合ちゃうやろ!!」

 

 

 寮は軽くパニックに陥っている

 

 

「あぁ……大変……マヤちゃん!私達も早く準備を……ってあれ!?」

 

 

 いつの間にか、制服に着替えているマヤノトップガン

 

 

「マヤは準備オッケー!ってあれぇ……トレーナーちゃんお目々が真っ赤〜」

 

 

「へっ?あっあれぇ〜……どうしたんだろ、でも全然大丈夫だから早く学園に……」

 

 

 チュッ

 

 

「へっ……?」

 

 

「トレーナーちゃんが早く元気になるように、キッスしてあげる〜」

 

 

 マヤノトップガンは星の頬に軽くキスをする

 

 

「ちょ、ちょっとマヤちゃん!こんなに人が居るところで……」

 

 

 そう言いかけた星の目に、赤い飛沫のような物がうつる

 

 目線を正面に戻すと、鼻血を吹き出しながら倒れているアグネスデジタルの姿があった

 

 

「さっ、さすがに供給過多……」

 

 

 そう言いのこし、気を失うアグネスデジタル

 

 

「デッ、デジタルちゃんしっかりして〜!」

 

 

「あれーどうしちゃったのデジタルちゃん」

 

 

「…………」

 

 

 一連のやり取りを見守っていたナリタタイシンは静かに身をひるがえし、部屋を後にする

 

 

「って!タイシンちゃんどこにいくの!見捨てないで〜!」

 

 

 ナリタタイシンにすがり付く星、そしてアグネスデジタルを介抱するマヤノトップガン

 

 

「……はぁ、分かったから離して……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 チーム【アルデバラン】無事全員遅刻




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