《ガールズ&パンツァー 》─銀の行く道は奇々怪々─ (如月 霊)
しおりを挟む

第壱話 転移セリは我が母艦

皆さまどうも、如月霊でございます。ガルパンの二次でーすよ~。ガルパンの映画を見に行ったらネタがぶァ~って来たんで書いてきます。まぁ、言っときますは、駄文です。それでも良いよって人だけ見てってください


「逸見理事長?どうかしましたか?」

 

…目を覚ましたら目の前にスマホ越しの自分の執務室、それに見覚えのある顔がある。

 

「…加藤…皐月?」

 

「はい。そうですよ?逸見エリ理事長」

 

丁度ゲーム内部で自分の執務補佐に付けていた加藤皐月が笑みを浮かべて答える。

 

「ここは…鈴総の執務室なのか?」

 

今、見覚えのある部屋は自身の鈴鹿総合学園艦の執務室かと問う。

 

「え?はい、そうですよ?」

 

違いないらしい…

 

「…この執務室はゲームの中の筈だけど…」

 

首を傾げつつそう言うと皐月が回答してくれた。

 

「そうですよ?私もびっくりしちゃいましたよ!逸見理事長の執務室に来たら前までパソコンから指示してた筈の理事長が実際に居るんですから!」

 

あ、ゲームの中だったの?…

 

「…って、はっ!?ゲームの中なの⁉ここは!!」

 

皐月の肩を掴み質問を迫った。

 

「は、はいぃ…そうですぅぅ…!」

 

「…ああ、ごめん。皐月」

 

我に帰ったエリは皐月の肩を掴んでいた手を放す。それからこの学園艦の事を聞いた。

 

「皐月。この学園艦は今どんな状態なんだ?俺が来たって事は何か可笑しな事が起こってたりしないか?」

 

それを聞くと手元のバインダーを開き、確認する。

 

「ええーっと、今現在は陸との通信が途絶しています。他の見滝原学園艦も小田原学園艦も通信がとれていません。後羅針盤も使用不能です」

 

…思ってたより重症なんだが?

 

「大丈夫なの?それ」

 

「艦の燃料、鋼材は後数年は持ちますし各工場、農場等も通常稼働できています。ただ寄港できないとなると艦の整備面で不安が残りますが、現状、向こう数年は生活上問題は無いかと」

 

当面の問題は無いと分かってよかったものの陸に上がれないというのは少々辛いものがある。

 

「そっか…なら現状回復と陸への寄港を目指す用にしてくれ」

 

「分かりました。では、私は艦橋に行ってきます」

 

そう言い皐月は執務室を出ていった。それを確認してエミは執務室の椅子に深く腰掛ける。

 

「ゲーム内への召喚…いや、転生か?それに陸との通信途絶と来たか…」

 

「どうにかなってくれれば良いんだけど…」

 

エミの呟きは執務室に響くこと無く静かに消え去っていった。

 

────────────────

 

艦橋、通信室side

 

艦橋では情報科の生徒達が慌ただしく陸や他の学園艦に通信を試みる作業が行われていた。

 

「ジオン学園の学園艦、応答ありません!」

 

「連邦学園の学園艦からも応答、ありません!」

 

多数いる情報科の生徒から上がる報告は全学園艦からの“通信応答なし”だった。

 

「…本艦以外は居ない?…理事長が現れて本艦も何処かに引き寄せられてるのかしら…」

 

通信室で指揮を執っていた佐賀由季奈はそう呟いた。だが、昨晩からの作業で生徒達にも疲労が見えた為由季奈は生徒達を休ませる事にした。

 

「よし、皆。1時間程休憩にしましょう」

 

「さんせー」

 

「り、了解しました…」

 

さっきまで仕事詰めだった生徒達は「「「休憩だー!」」」と通信室から出て行くのだった。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第弐話 銀、空を飛ぶ

駄文なり


「おぉ~ティーガーにチハ、マウスに零戦、紫電改まであるんだ!」

 

どうも、逸見エリでございます。本日は皐月に連れられ鈴総学園の格納庫に来ています。いやぁ~前世(?)ではお目にかかれなかった戦車や航空機ばかりで感激したよ!!

 

「自分も零戦とかに乗れたりしないかな?」

 

まぁ、無理だろうk「う~ん。乗れるんじゃないですか?なんかこう…感覚的なので」嘘ォ…

 

「え…マジでいいの?」

 

「ゲームの中に来たりしてるんですから大丈夫ですよ」

 

ホンマかなぁ…一応零戦の操縦方法が書かれたサイトとか覗いてみたりしてたけどさぁ…

 

「それじゃ理事長。飛行服渡すので着てきてください」

 

──────────────────

 

あれから皐月にさぁ、早くと飛行服(日本式の飛行服と飛行帽に飛行眼鏡、マフラーにパラシュートに救命胴衣)を渡され更衣室に突っ込まれました。はい。今?今は零式練戦、二人乗りの零戦の前に来てます。

 

「理事長がこいつ乗りたいとは…いやはや、驚きましたよ。では、逸見理事長。もしもの時は私が後ろに居ますからね!」

 

そう言うのはこの零式練戦の臨時パイロット、岡島蜜柑さんだ。

 

「う、うん。よろしく岡島さん」

 

「ああ!よろしく!じゃ、行こうか!」

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

そうしてあれよあれよと零戦に乗り込んで飛びたっています。

 

「あーハッハッハッ!逸見理事長!思ったより乗れてますね!一人で飛行してもいいんじゃないか?」

 

後ろから蜜柑がそう言い笑っている。いや、マジで零戦飛ばせるとは思わなかったんだけど。上昇下降旋回をこなしてエリは艦の滑走路に向けて着陸体勢に入る。

 

「えぇ…んな無茶苦茶な…」

 

「と、取り敢えず岡島さん!着陸しますよ!」

 

「了解!」

 

「フラップ下げ!」

 

そう言ってフラップを下げて速力と高度を落とす。速度計で速力が110ノットになったのを確認すると主脚と尾輪を展開する。

 

「主脚、及び尾輪展開!」

 

エレベータートリムを調整して飛行眼鏡をかけてイスを上げ、風防を開く。それから機体の速度を70ノットに合わせて降下角度を付け、地面との距離が1、2mに迫ったのを確認すると操縦桿を引く。

 

「グッ…凄い揺れるッ」

 

速度が落ちて機体が不安定になるがラダーを操作して抑制する。そして一回機体がバウンドし車輪が滑走路に着き転がる。

 

「ブレーキ!」

 

両サイドのブレーキの使い機体のスピードを落とす。そして機体が完全静止するとエンジンのスイッチと燃料のスイッチを切り各計器をチェックする。

 

「で、できた〜」

 

「理事長!流石だな!」

 

蜜柑がそう言って軽く肩を叩いてくれた。

 

「あ、ありがとう」

 

「理事長、別の機体に乗ってみるか?」

 

蜜柑が提案してきた。

 

「えッ!?い、良いの…かな?」

 

一応体が覚えてるみたいだけどさぁ…

 

「こいつを一人で飛ばせるんだ。問題ないと思うけど?」

 

太鼓判を押され、エリはじゃあ…と言い別の機体に乗ることを決めた。…まぁ、怖いから後数ヶ月は練習するけど。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第参話 銀、落とされる

駄文です


エリの初飛行より早半年。エリ達の学園艦は陸地はおろか他の学園艦とすら交信、視認すら出来ていないでいた。今は朝からの執務が早めに終わった所だ。

 

「なぁ、皐月ー」

 

「どうしました?」

 

執務室に補佐として来ていた皐月に声をかける。

 

「俺がこっちに来て早いもんで半年経ったな」

 

「そうですね」

 

「その間に陸とか他の学園艦と通信すら出来ていないから零でちょっと見てこようかと思ってさ。いいかな?」

 

要約すると他と通信できないから俺が零戦で見て来ていい?飛んできたいし─である。

 

「そうですか……理事が行きたいのならまぁ…」

 

皐月は上を向きつつ思案し、答える。

 

「ん、なら、行ってこよっかな」

 

そう言い机の上にある受話器を取り格納庫に繋げる。

 

『はいはーい。こちら飛行格納庫、岡島だよー』

 

「エリだ。蜜柑~俺の零、直ぐに出せる?」

 

格納庫にいる岡島に自身の零戦の状態を聞く。

 

『丁度、今整備が終わった所よ。で、いつでも飛べるわ。で、エリの今回の飛行目的は?』

 

「あー、ちょっと俺も他の学園艦探しで飛んで来よっかなってさ」

 

素直に理由を答える。

 

『そ、わかったわ。いつ頃こっちに来る感じなの?』

 

「う~ん…30分位で行くと思うからよろしく」

 

『りょ~かい!』

 

30分で行くと言い受話器を置く。

 

「んじゃ、皐月。俺、行ってくるわ」

 

横にいる皐月にそう言い残し一つの鞄を掴み執務室を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

─────────────────────

 

 

 

 

 

─────────────

 

 

 

 

 

 

────────

 

 

 

◆格納庫◇

 

「おっ!エリ!用意して待ってたよ!」

 

飛行服に着替え、鞄を持ち格納庫に行くと入ってきた事に蜜柑が気づき声をかけてきた。

 

「蜜柑、ありがと」

 

格納庫の中には自身の零戦が鎮座している。それからエリは鞄をコックピット内に固定しいつも通りの手順で機体に乗り込み、整備科の人達に滑走路へ移動させてもらいエンジンをかけ、飛び立っていった。

 

 

 

 

 

~約30分後~

 

 

学園艦から飛び立って30分、学園艦が見えなくなるも何事もなく飛び続けている。

 

「なにも無いなぁ…」

 

まっすぐ飛んでいるが他の学園艦も陸地も見えない中エリはそう呟いた。一面が青い海だらけだ。そして、左前方向にくもり雲を視認し、機体を学園艦へ向けようとすると急に後ろから機銃弾が機体の側を横切った。

 

ダダダダダッ!!

 

「何だッ!?」

 

機体を倒し、その後の攻撃にも備えつつ後ろを振り返った。

 

「グラマンF4F!?」

 

そこには二次大戦時のアメリカの主力機、グラマンF4Fが四機の編隊で迫り来ていた。グラマンは回避行動を取ったエリの零戦を追撃してくる。

 

「こちら逸見!我、現在Unknownに攻撃を受けつつあり!!」

 

「こちらは鈴鹿総合学園艦所属、逸見エリです!攻撃を辞められたし、繰り返す…クソッ!!反応無しかよ!?」

 

学園艦側に連絡を入れ、グラマンに向けて岡島から教わっていた国際無線で呼び掛けるがその答えとして帰ってきたのは大量の弾丸だった。そして、それに気を取られるうちに右側から一機のグラマンが接近していることに気がつき、操縦桿を直ぐ様下げ、頭も下に屈めた。

 

「アッ!?」

 

右からのグラマンの攻撃を避けようとしたが少し遅くグラマンが放った弾丸がさっきまでエリの頭があった付近のキャノピーのガラスを貫通した。

 

「危なっ!!」

 

操縦桿を上げるが四機からの振り切りが困難だと判断するとエリはさっき見つけたくもり雲に逃げ込もうとスロットルを上げ、加速し、雲の中に突入する。だが、その瞬間機体に衝撃が走った。

 

「な、何だァ!?」

 

キャノピーから機体を見回すと主翼や尾翼等の機体のあちこちに弾丸が命中していたのだ。

 

「ど、どこから?」

 

辺りを見回すと雲の中から出てきた五機目のグラマンが目に入った。敵グラマンは四機では無く五機おり、そのうち一機が先回りし雲の中に潜んでいたのだ。

 

「こんのォ…」

 

ブロ、ブロロ、ブロとエンジンが止まりそうになるも燃料供給のノブを押す。しかしそれでエンジンが生き返ることは無く、逆にプロペラは動いているもののエンジンから火が吹き出した。

 

「ぐガッ…」

 

そして次の瞬間、機体後方から敵弾が命中したのだろう。大きな衝撃がコックピットに伝わり、エリは計器版に頭を叩き付け意識を落とした。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第四話 銀、黒森峰に墜落する

駄文です


「総員、傾注!」

 

朝練終りの黒森峰機甲科の生徒達が整列している。その前に一人の少女、西住まほの凛とした声が黒森峰の広いグラウンドに響く。整列していた生徒達が一斉に視線をまほに向ける。

 

「皆ごくろう。これにて、朝r「た、隊長!ひ、飛行機がッ!!」」

 

そしてまほが口を開き、朝練を締めくくろうとすると生徒達に慌てた表情が浮び上げ、一人の生徒がまほの後ろの空を指差し叫んだ。

 

「飛行機?…ッ!?」

 

まほはその指差した先がある後ろの空を見上げて目に入ってきた物を見て唖然とした。飛行機が、それも殆どの人が見たことがある零戦がエンジンや機体から火を吹き出して此方に向けて墜落していっている所だった。

 

「総員待避ーッ!!」

 

まほはそう叫び墜落してくる飛行機を避ける為整列していた生徒全員が左右に避ける。そしてその数十秒後、その零戦はユラユラと下降を続け、まほ達が整列していた辺りの地面に激突しながら地面を滑り、数メートル先の砂山に激突して停止した。

 

「何故零戦が…」

 

まほは不思議に思えた。何故零戦なんて言う骨董品クラスの飛行機が飛んでいたのかと。

 

「た、隊長!一瞬ですがあの零戦、まだ人が乗ってました!!」

 

「な、何!?みほ、先生方と救急車を呼んできてくれ!エリカ!パイロットを助けに行くぞ!ついてきてくれ!」

 

ある隊員からの爆弾発言にまほは近くにいた別の隊員数名を引き連れ零戦に走り近くに寄るとその零戦の状態が段々と分かった。

 

「ガラスにヒビ…それに機体のあちこちにも銃痕がある…?鉄十字…?」

 

そうだ、相当珍しい零戦な上に機体のあちこちに銃痕がありキャノピーも割れている。それに加えて黒森峰の校章に似た鉄十字の識別マークが付いている。はっきり言って異常だ。そう溢しつつもまほ達は零戦のキャノピーをこじ開ける。そしてコックピットの中には、意識が無い飛行服姿の人間が頭から血を流しつつ座っていた。

 

「大丈夫か!?」

 

「…」

 

声をかけ、揺すってみるが反応は無い。

 

「エリカ!コックピットから出す!手伝ってくれ!」

 

「は、はい!」

 

まほは一緒に助けに来た逸見エリカに声をかけ、パイロットを機体から助けだし、飛行メガネと飛行帽を外した。

 

「似てる…」

 

そう漏らしたのはエリカの方だ。零戦のパイロットは明るい銀色の髪を持ち、エリカにとても良く似ていたからだ。

 

「エリカ!パイロットを見ててくれ。零戦の中を見てくる」

 

「は、はい!」

 

そのパイロットを地面に寝かせ、まほは零戦の中を確認しに戻る。

 

「計器はあちこち割れてるな…」

 

コックピット内はとても酷い様子だった。キャノピーは割れ、多数の計器類にはヒビが入り計器盤にはパイロットのと思われる血液が付着していた。

 

「…ん?鞄か?」

 

イスの裏の壁に固定された鞄が目に入った。固定は二本のガッチャで止められているだけで楽に取り外し出来た。それをコックピットから下ろし、地面に置くと鞄を開いた。

 

「制服か?それに財布…」

 

鞄の中には見たことがない制服と財布が入っていた。その制服を広げ、名前が無いか確認する。そして服についていた名前を見てまほは固まってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「逸見…エリ?」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第伍話 銀、知らない天井

駄文です


「知らない天井…」

 

エリは目覚めるとそう呟いた。ベットに横になっていたエリは病院なのだと分かったがここがどこかが分からなかった。

 

「零戦に乗って…飛んでたらグラマンに…痛ッつ…包帯…」

 

状況を理解しようと頭を回すが頭痛が走り頭に手をやる。包帯だ、最後の記憶では目の前に迫る計器盤があったのだ。あの後回収されて、病院で巻かれていても不思議ではない。「目が覚めたのか」─!?

 

「─だれ…だ?………西住…まほ?」

 

ドアの横には黒森峰戦車道隊長、西住まほが立っていた。まほは此方に近づき、ベット横のイスに腰かけた。

 

「ほぉ?私の事を知っているんだな」

 

「…はい」

 

まほの言葉にそう答える。そうだ。知らない訳がない。原作での軍神西住みほの姉で黒森峰の隊長だ。

 

「自分は…一体…」

 

「逸見エリ、君はどこから来たんだ?」

 

まほが質問てきた。

 

「…どこ、とは?」

 

少し間が開きつつそれに聞き返す。

 

「君が眠っている間にあの零戦内にあった鞄の中を改めさせてもらった。君の制服の生徒手帳には存在しない学校名が書かれていた。尚且つ君自身の戸籍すら存在が確認出来なかったそうだ」

 

「…そうですか」

 

「では、改めて聞くが――君はどこから来たんだ?」

 

まほはそう言い放つ。まぁ、戸籍が無いのも学園艦が無いのも不思議ではない。元々エリは別軸のゲーム内にいたキャラクターだ。この世界の人間では無いのだ。

 

「─突飛な話ですが…多分、自分はパラレルワールド的な所から迷い混んできたのかと思います」

 

「パラレルワールド?」

 

パラレルワールドならゲーム世界とも言えよう。

 

「…そうでも無いと自分がここにいる説明がつきませんからね」

 

「…そうか」

 

─ならと続ける。

 

「…なら、君のいた世界とやらを教えてくれないか?」

 

まほは元の世界での事を聞きたいらしい。

 

「自分がいた世界…ですか?」

 

「そうだ」

 

「普通嘘かと疑う筈なんですけど…そうですね…自分は学園艦で戦車隊と航空隊を兼任してました」

 

「戦車隊?戦車道の事か?」

 

まほは戦車隊に引っ掛かったらしい。

 

「その認識でいいと思います」

 

「君は戦車道で何に乗っていたんだ?」

 

「戦車道では…Ⅳ号で車長を」

 

鈴総でのエリの乗車はⅣ号(大洗仕様の魔改造で規定ギリギリのやーつ)だった。ん?理由か?原作がな?(みぽりん最強じゃん?)まぁ、他にも乗れるがな!(ティーガーⅡとか)

 

「そうか…」

 

そこまで掘り下げるとまほは思案顔になったがしばらくして顔を上げ、此方を向き言い放つ。

 

「…逸見エリ、君はこの学園艦で戦車道をしてみる気はないか?」

 

ドキリとした。そんな事を言われるとは思っていなかったのだ。

 

「…この学園艦で戦車道、を?西住にそんな権力があるの?それに自分は男ですよ」

 

エリはそう言ってまほに問う。

 

「なに、君が戦車道で成績を見せてくれれば黒森峰や西住流も断れんし男子でも少ないが戦車道をしている人達もいるから問題ない」

 

「…だけど自分は鈴総に…「わかってる、君の学園艦が来たら戻れるように取り計らおう」…わかった」

 

そう言われたら断れんよ。…

 

「だけど…自分は無一文です」

 

「大丈夫だ。あの零戦のデータで数百万程度直ぐに作れるし補助金なんかも出る。それに、君には興味が湧いたんだ」

 

まほはそう言うと立ち上がり、病室の扉まで歩いていくと不意に立ち止まり振り返った。

 

「逸見エリ、君の怪我は頭の切り傷だけのようだ。試験の日付等は追って伝える。それまでは機甲科の旧部室棟の一室を使えるように言っておこう…ではな」

 

そう言い病室を出ていった。

 

「…やさしいな」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第六話 銀、編入試験を受ける

駄文なり


墜落してから5日が経ち試験まで後2日に迫ってきた。その間に零戦の有償による提供、西住流家元とのオンラインでの顔合わせ、黒森峰への編入手続き、試験の前の自身の戦車乗組員との顔合わせなんかがあった。

 

「Ⅳ号での射撃試験ねぇ~」

 

試合の形式はⅣ号での長距離砲撃、それに中等部戦車隊で臨時の指揮をとり、高等部戦車隊とフラッグ戦で対決するといった内容だ。

 

「こっちの部隊はⅣ号D型1輌Ⅲ号3輌で相手も同数で戦場はだだっ広いグラウンドかー…まぁ、いけるかな。相手に原作組の戦車はいないし」

 

そうだ、相手に原作組がいない。こんなぽっと出の奴には二軍程度でいいらしい。(相手は高等部の二軍である)

 

「ま、やるしかないかー」

 

そう言って作戦を組み上げる作業に戻っていった。

 

 

 

 

───────────────

 

 

────────

 

 

────

 

 

◇射撃試験◆

 

さぁーて、始まりました。今回は射撃試験。始まります!…じゃ、試験概要を説明しよう!(試験官の受け売りだがな!)Ⅳ号で2キロ、3.5キロ、4キロの的に練習一回、本番3回で当てると言ったものだ。

 

 

エンジンの振動が足元から伝わってくる。その中で潜望鏡を覗き込み、1キロ先の的にまずは合わせる。

 

「…発射」

 

ズン、発射の振動が伝わってくる。そして、射撃の結果はというと…

 

「命中確認!」

 

ど真ん中に命中していた。それから3.5キロ、4キロの的に練習し、本番に挑む。

 

「装填…発射」

 

命中

 

「仰角上げ…装填、発射」

 

命中

 

「仰角上げ…装填、発射」

 

命中

 

計3発の砲弾が試験の全ての的に命中が確認された。

 

「砲撃終了」

 

そうして第一の試験、長距離砲撃が終了した。

 

◇戦闘試験◆

 

試験といえど戦車道。試合の前には相手方の隊員と開始の挨拶を行う。

 

「一同、礼!」

 

「「「「「「よろしくお願いします!」」」」」」

 

それから各戦車に乗り込みエンジンを起動する。あぁ~いい、エンジンの振動が伝わってくる…!

 

『逸見小隊長代理~こちら二号車。今回はどんな戦術を使うんです?』

 

臨時小隊の二号車車長の三河利香が通信をいれて確認してきた。

 

「こちら逸見、敵に対しては以前渡した作戦概要A-1を使用します」

 

『A-1っていうと…Ⅳ号ってフラッグですよね?』

 

利香はそう質問してきた。A-1は味方の2輌を一ヶ所に集めて徐々に敵を引っ張り出しつつ森に後退、2輌の三号を森の中に待機させて敵フラッグを包囲し叩く。Ⅳ号というフラッグは囮になる作戦だ。

 

「問題ないよ。大将が動かないとね、陽動にはならない」

 

そう言って今度は自身の戦車の指揮を取る。

 

「そー言う事だから。長岡さん、手筈通りに」

 

「了解です!」

 

Ⅳ号操縦手の長岡茜が合点!と戦車を動かし、予定ポイントへ向かう。エリはそれを満足そうに見るとキューポラを開け、身を乗り出し周りを行進する戦車を見回して一言呟いた。

 

「さぁ~て、行きますかね」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第七話 銀、編入試験を受ける その弐

駄文なり


試合開始から早30分──現在の戦況は敵車Ⅲ号戦車1輌撃破、こちらは損害はⅢ号戦車2輌の撃破されている。まぁ、今絶賛Ⅲ号戦車に追われてるんだよね☆

 

『こちら三号車水上!敵フラッグ確認!ポイント──から───まで移動中!』

 

三号車の水上和美から通信が入る。敵フラッグを確認したようだった。すかさず小さな、それでいてはっきりと分かる地図を出し、自身の位置と敵の位置を確認する。

 

「こちら逸見。敵Ⅲ号車は一輌は確認してるが…敵フラッグの護衛はいるか?」

 

敵フラッグの護衛の有無を確認する。

 

『敵フラッグ後方、5m辺りに一輌、ついて走ってます。そちらに向かっていると思います』

 

…居たか!

 

「こちらはポイント────にて敵の前に出て引き付ける。水上さんはポイント───にて待機、そこまで引き付けるから合図で前身して敵フラッグに近距離で砲撃を」

 

『了解!』

 

和美からの返答を確認するとエリはキューポラの中に顔を入れ、操縦手の茜に確認を取る。

 

「んじゃ、長岡さん。ポイント───に向かってくれますか?多分そこで敵フラッグと接敵するだろうからそのまま敵フラッグを引き連れてポイント───まで突っ走って!」

 

「了解!」

 

それからキューポラから身を乗り出し今度は砲手に指示を出す。

 

「後方のⅢ号をやります。主砲旋回180度!」

 

主砲が後ろを向き、追ってきているⅢ号を捉える。

 

「…撃て!!」

 

Ⅲ号戦車がこちらの射線から外れようと蛇行を始めるが、丁度真後ろに来たところで撃てと短く命令する。主砲から砲弾が発射され、Ⅲ号戦車の正面装甲に被弾し、爆煙を上げ、Ⅲ号戦車が白旗を上げ、沈黙した。

 

「次弾装填!主砲旋回、左20度。接敵と同時に発射して!」

 

車内ではガションと空薬莢が砲身から外れ、次の砲弾が叩き込まれる。

 

「接敵まであと…5、4、3…2…1!主砲、ッテェ!!」

 

草むらからエリの乗るⅣ号戦車が飛び出して直ぐにⅣ号から砲弾が吐き出され、敵Ⅳ号戦車護衛のⅢ号戦車に当たり、白旗を上げ沈黙する。

 

「長岡さん!」

 

「合点でいッ!!」

 

エリの合図に操縦桿を奥まで押し込む。敵Ⅳ号戦車は少しの混乱を見せつつも直ぐに立ち直しこちらに砲撃を仕掛けてくる。茜がⅣ号戦車に迫ってくる砲弾を見事に避け、こちらも砲弾を撃ちつつ目標ポイントに向かう。

 

 

「水上さん!」

 

ポイントにつくとエリは草むらに潜んだ和美のⅢ号戦車を素早く見つけ、叫ぶ。すると草むらから轟々としたエンジン音が鳴り響き、Ⅲ号戦車が飛び出す。そしてエリを追っていたため戸惑い砲旋回が間に合わない間にⅢ号は僅か数mまで接近し、敵Ⅳ号戦車を砲撃する。避けられる事なく砲弾が砲塔に直撃し、爆煙が上がった。

 

「急停車!!…やったか…?」

 

戦車を停止させ、硝煙で見えづらくなった敵Ⅳ号戦車とⅢ号戦車を目を細めて睨む。そして、しばらくして硝煙が晴れると敵Ⅳ号戦車の砲塔上面からシュポッと白旗が上がった。

 

「やったー!!」

 

敵は二軍と言えど黒森峰の高等部、その練度は高い。

 

『高等部吉井隊フラッグ、行動不能!よって、中等部逸見隊の勝利!』

 

それからしばらくして無線にて試験官から通信が入った。

 

 

──────────────────

 

 

 

──────────

 

 

 

──────

 

 

◆試合後◆

 

試合が終わり、戦車を倉庫に戻し終わると西住まほから呼び出しがかかった。

 

「ふぅ…」トントン

 

中等部の隊長室をノックする。

 

『誰だ?』

 

「逸見エリです」

 

名前を名乗り入室を確認して、まほの返答を聞き隊長室に入る。

 

『入ってくれ』

 

「失礼します」

 

そして隊長室に入るとまほはソファーに腰掛け、待っていたようだった。

 

「座ってくれ」

 

「は、はい」

 

言われるがまま反対側のソファーに腰をかけるとさて、と話を切り出してきた。

 

「学園長から逸見の転入には問題なしと言われたよ。これが転入の書類だ」

 

そう言い少々膨らんだ大きな封筒を手渡される。

 

「…良く認めてくれましたね、自分の転入の件」

 

「…ああ。あの高等部チームを倒したんだ。実力は確かだとわかったからな」

 

「二軍だと、聞きましたが?」

 

そうだ、二軍ならば高等部の一軍には及ばないのだろうからな。

 

「実は西住流家元から試合前に二軍ではと言われ急遽一軍のⅣ号乗りの隊を出したんだ」

 

「高等部の一軍なんて転入試験の試合で使わんで下さいよ!」

 

二軍と知らされていて知らぬ間に一軍と戦わせないでほしいわ…

 

「ハハハッ良いじゃないか。それで実力が出せたんだから」

 

まほは笑いながらそう言って立ち上がる。

 

「まぁ…なんだ、逸見エリ、これからしばらくの間。よろしく頼んだ」

 

「は、はい。西住隊長」

 

そして差し出された手を戸惑いながらもとるのだった。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第八話 銀、訓練に参加する

駄文です


試験の翌週、まほの姿は放課後の機甲科戦車道倉庫にあった。

 

「さて、本日をもって新隊員が一名加わる事となった!」

 

「逸見エリ!入ってきてくれ!」

 

隊員の整列した前でまほがエリを呼んだ。それに反応し、倉庫の外に居たエリが倉庫内に入りまほの横まで歩いていく。

 

「今日から機甲科中等部にこの逸見エリが加わる事になる。あいさつを」

 

まほにそう促され、隊員達の方を見て口を開いた。

 

「く、黒森峰に転入して来ました逸見エリです!よろしくお願いします‼」

 

そう言って短く敬礼をした。では、とまほに話を振る。

 

「ん、逸見は先日退任した岩見小隊にⅣ号戦車車長として着任させる。…では、解散!」

 

 

 

───────────────────◆

 

エリカside

 

黒森峰に来て二年目、訓練にもついていけるようになったある日、ミーティングが始まり訓練が始まろうとした所で西住まほ隊長から連絡があると告げられた。

 

「さて、本日をもって新隊員が一名加わる事となった!」

 

「“逸見エリ”!入ってきてくれ!」

 

逸見?同じ名字の子なのね。そう思っているとその転入生が倉庫に入ってくるなり自分で分かるぐらいドクンと心臓が鳴った。その転入生私そっくりだったのだ。いや、髪の色等が若干違うように見えたがパッと見では姉妹と言われても納得する程だ。

 

「わた…し?…」

 

不意にそう声が出ていた。そしてその転入生はスタスタと歩きまほ隊長の横に立った。

 

「今日から機甲科にこの逸見エリが加わる事になる。エリ、あいさつを」

 

そうして、私達の方を見て話し出した。

 

「く、黒森峰に転入して来ました逸見エリです!よろしくお願いします‼」

 

転入生はそう言って短く敬礼をする。それからでは、とまほに話を振った。

 

「何処に配属なのかしら?…」

 

「ん、逸見は先日退任した岩見小隊にⅣ号戦車車長として着任させる。…では、解散!」

 

解散の号令がかかり各々が自身の戦車に向かう中でエリカはエリを見つめつつ自身の考えに浸るのだった。

 

エリカsideout

 

◆岩見隊改め逸見隊◇

 

「岩見小隊長の後任でⅣ号の車長になった逸見エリです。試験以来ですが、どうぞよろしく」

 

試験で世話になった隊員達が並ぶ前で挨拶をする。その後ろには試験と同じⅣ号戦車が鎮座していた。

 

「じゃ、改めて、Ⅳ号戦車操縦手!長岡茜だよ~よろしくね。逸見小隊長~」

 

「Ⅳ号戦車砲手、山波真耶です」

 

「Ⅳ号戦車装填手、美保野七海で~す」

 

「Ⅳ号戦車通信手、白川榛花です。逸見さん」

 

 

「Ⅲ号戦車122号車車長の三河利香です」

 

……

 

「Ⅲ号戦車123号車の速水美咲です」

 

 

「Ⅲ号戦車124号車車長の水上和美です」

 

………

 

 

「ん、それじゃあ、よろしく。総員、戦車搭乗!」

 

小隊隊員達の自己紹介が終わるとエリは前に整列している隊員達に戦車に乗り込むように指示を出し、他の隊員が乗り込んでから最後に小隊長車のⅣ号戦車に乗り込む。

 

「んじゃ、訓練に行きますか~パンツァー・フォー!」

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第九話 銀、後をつけられる

駄文です


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

あれから3時間程で黒森峰の訓練が終了した。厳しいものだったが案外ついていけるものだった。

 

「これにて今日の訓練を終了とする」

 

綺麗に整列した隊員達の前に出てまほがそう締めくくる。

 

「「「「「「ありがとうございましたー!!」」」」」」

 

 

 

 

──────────────────

 

 

 

────────────

 

 

 

 

─────────

 

 

 

 

 

「ふぅ…帰るか…」

 

戦車を倉庫に格納し着替えを済ましたエリはⅣ号戦車の乗組員達に軽く挨拶をした後、黒森峰から貸し出された機甲科戦車道旧部室棟に向かい歩き出した。

 

「あれね…」

 

「ちょ、エリカさん。本当に後をつけるんですか?」

 

その後ろに怪しい影が2つ。逸見エリカと西住みほがいた。

 

「当たり前よ。似てる人物がいたら気になるでしょ?─あっ!早くしないといっちゃうわ。みほ、いくわよ」

 

「ちょっと待って下さいよ~」

 

エリを見失わない為にエリカが走り、それの後ろをみほが追いかけていく。

 

 

────────────────

 

◇エリカside◆

 

「旧部室棟?なんでこんな所に…」

 

あれからエリの後をつけていくと倉庫から少し離れた森の中にある戦車道旧部室棟が現れた。

 

「あっ、エリカさん。逸見さん入っていっちゃったよ?」

 

みほの指摘により旧部室棟に目をやるとエリが懐から旧部室棟の鍵を出して建物の中に入っていった所だった。

 

「よし!いくわよ!みほ」

 

「えっ?もう帰ろうよ~」

 

帰ろうと言うみほを引き連れ建物の近くに寄る。すると二階の一室に光が灯った。

 

「あそこね。鍵は…開いてるわね」

 

「勝手に入るんですか!?」

 

みほは声が自然と大きくなった。

 

「大丈夫よ。旧部室棟なら機甲科のよ。行くわよ」

 

鍵が開いている事を確認したエリカ達は建物の中に入っていった。

 

◆エリカsideout◇

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

「はぁ…疲れた」

 

黒森峰から与えられた部屋(旧部室棟旧隊長室)に入り手洗いを済ますとエリはそう言って黒森峰の制服のまま端に置かれたベットに腰をかける。

 

「…此方に来て一週間かぁー…」

 

天井を見上げつつそう呟く。自分が黒森峰に来たなら皐月達も来るだろうか…

 

「そんな事言ってても、ダメだよな…」

 

そう呟いた所でエリはそろそろか…と言いつつ立ち上がり扉まで歩いて行くと扉を開ける。すると扉に顔を近づけていたのか二人の人物が床に尻餅をついている。そして尻餅をついている人物に声をかけた。

 

「何のご用で?“逸見エリカさん”と“西住みほさん”?」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第拾話 銀、後をつけられる その弐

駄文です


「はい、ココアだよ」

 

そう言いエリはココアが入ったマグカップを三つ持ってきてエリカとみほに手渡す。あのあとエリカとみほを部屋に通し、ソファーに座ってもらったのだ。

 

「あ、ありがと」

 

「あ、ありがとう」

 

「うん。で、お二人さんは何のご用でこんな森の奥に?」

 

エリもソファーに座り質問する。

 

「い、いやね。あなた、一週間くらい前に墜落してきた零戦に乗ってたでしょ?それが気になってね」

 

そりゃあ、気になるわな。納得納得

 

「そうだよ」

 

肯定すると今度はみほが質問してきた。

 

「い、逸見さん!なんで黒森峰に墜落なんて…」

 

「理由なぁ…うちの学園艦からあの零戦で偵察に出たら急に襲撃されて気がついたら病院のベットで寝ていたよ」

 

そう言った所でエリカとみほの声がはりあがった。

 

「「襲撃!?」」

 

「しゅ、襲撃って何にされたのよ!?」

 

エリカが掴みかかって来そうになるもみほが押さえる。

 

「帰還しようとしたら急に後ろにアメリカのF4Fが一個小隊で出てきてね。一対五なんて笑えないよ」

 

ハハハ…なんて乾いた笑いをしていると若干引かれぎみになる。

 

「一対五って…よく生きてたわね」

 

「ほんとだよ…学園艦が無事だと良いんだけどね」

 

そう言いココアを啜る。あ~甘ぁ~

 

「あなた前は何処の学園艦にいたの?いきなり小隊長なんてそうそうなれないわよ?ここに入って来てすぐ副隊長になった人がいるけど」

 

「あはは…」

 

やっぱり急になんてなれないよね!?あ、みほは原作通りになったんだね~

 

「そうなんだ…う~ん。自分がいた学園艦の名前は鈴鹿総合学園って名前の学園艦だよ」

 

「「鈴鹿総合学園?何処なの?そこ」」

 

二人して首を傾げられた。そりゃ原作に無いし。

 

「一応母港は三重の白子港になってた学園艦なんだ」

 

「三重県にそんな学校あったかしら?」

 

エリカはそんな学校あったかと首を傾げる。

 

「あったんだよ。ただ、何故か外界と切り離されて何度陸に行こうとしても海だらけ、それに他の学園艦とも通信できない。そんな所だね」

 

「何よそれ…まるで…「幽霊艦みたい…ってかな?」…っ」

 

エリはそう言って手に持っていたマグカップを机の上に置く。

 

「幽霊艦ではないんだよ。あそこには、あの艦の人にはちゃんと暖かみがあったんだよ」

 

シーンとした静寂が訪れる。そしてそれを破るのもエリだった。

 

「ま、その内に鈴総の学園艦もこっち側に来るはずだし。大丈夫でしょ」

 

「…大丈夫よ。鈴鹿総合の人達も、ちゃんと生きて会えるわよ」

 

「そうだよ!逸見さんが来たのも何か理由があるはずだし!」

 

エリカとみほがそう言って励ましてくれた。

 

「…ありがとね」

 

エリは二人に聞こえるか聞こえないかという小さな声で感謝の言葉を送るのだった。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第拾壱話 銀、後をつけられる その参

駄文です


「で、あなたはその鈴鹿総合で何かしてたの?」

 

ある程度たった頃、エリカが不意にそう聞いてきた。ちょっと前の急に小隊長に云々の話だろう。

 

「鈴鹿総合では…戦車隊と航空隊で一応隊長をしてたよ。」

 

エリは少し照れつつも鈴鹿総合での話をする。

 

「戦車隊⁉」

 

「な、何に乗っていたのよ!」

 

みほがエリの前職に驚き、エリカが鈴鹿総合での搭乗車を聞いてきた。

 

「自分の乗ってた車輌はⅣ号だったよ。ティーガーⅠとかティーガーⅡもあったんだけどね」

 

「ティーガーⅡじゃないのね…」

 

エリカが少々残念がっている。

 

「まぁ、Ⅳ号に乗ったりポルシェティーガーに乗ったりよく変わってたけどね~」

 

「はぁ!?固定じゃないの!?」

 

急に復活したエリカがそう叫んだ。

 

「う、うん。紅白戦とかで交代とかしてたから」

 

エリはエリカの気迫に若干ビビりつつ回答する。

 

「へぇ~なら、いきなり小隊長クラスなのも納得ね」

 

「他校の隊長さんだったからなんだね!」

 

そうだ、そう言って立ち上がり机の引き出しの中をゴソゴソとあさり、あった!と言って2枚の写真を取り出した。

 

「何の写真…ってこれ…」

 

「Ⅳ号だ!しかもH型!」

 

そうだ、鈴鹿総合でのエリの乗車、Ⅳ号H型の写真だった。Ⅳ号をバックに数十名の生徒が笑い合っている写真だった。

 

「す、ずか…総合。これが逸見さんの校章?」

 

みほが戦車に書かれた校章を指差し聞いてくる。

 

「そ、黒森峰に似てるでしょ?」

 

「似てるって…文字と裏地以外黒森峰と同じでしょうが!!」

 

エリカがウガーとなりつつあるがみほがそれを宥める。

 

「はぁはぁ…それよりも何の写真なのよ」

 

なんとか落ち着いたエリカがⅣ号を指差す。そのⅣ号は砲塔左側や車体の装甲板が吹き飛んでいてあちこちに砲弾がカスッた後のある満身創痍の様子だったからだ。

 

「ああ、それはうちの副隊長と戦ったすぐ後のだからね。いや~強くってね~勝ったんだけどさ」

 

「へぇ~あ!これが学園艦?」

 

そう言って再びみほがもう一枚の、エリが上空の零戦から撮った学園艦の写真示す。

 

「そ~だよ。全長は大体…18,000mくらいあったかな?」

 

「い、18000mァ!?」

 

「そ、黒森峰とそんなかわらいよ~」

 

そう、黒森峰とサイズ感はあまり感じない。言うて数kmぐらいだ。(サイズ感覚麻痺)

 

「黒森峰と変わらないって…それでも十分大きいわよ…」

 

エリカがげっそりしてる。今日は表情がころころ変わるなぁ~そう思いつつ他の話題を振り出し、話に華を咲かせて行くのであった。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第拾弐話 銀、副隊長に昇格セリ

駄文です


やぁ、うちの学園艦が来なさすぎて早いもので早半年、俺を何故かこき使う西住まほ隊長が高等部に行く事が決まって引退して行きましたよ~!やった~!

 

──ん?こき使われたってどんなって?まず一つ目!いやぁ~自分が鈴鹿総合で隊長職と理事職やってたのがバレてまほさんの執務室にGo!されましてん…ここ強豪なだけに練習量が多いから自然に弾薬やら燃料やら試合申請…書類の量がやばかったね。書類一束20cmくらいあるのがダースであったからね、うん。

 

 

─次二つ目!練習試合でさ?なんか異様に敵陣切り込みさせられるの。うちⅣ号だよ?それまほさんに愚痴ったら次の練習日に

 

「Ⅳ号を改造しておいたぞ」

 

とか言われて倉庫に行ったらなんかD型がF2型に変わってるんよ。しかも長砲身の75mmと変速機、エンジンを入れ換えたから切り込み出きるな?らしい。それで長岡さんに聞かないと~って軽~く嫌で~すみたいな意味込めて言ってもそれが運のつき、

 

「行けます!行ってやりますよ!」

 

とかパンツァーハイになってんのよ。長岡さんが。…うん、断れん。で、練習試合で何故か毎回切り込まされるの。始めの内はすぐ撃破されたりだったけど長岡さん達が慣れちゃってすぐ避けれるし射撃は当たるしで…

 

まぁ、なんとかなった訳なんですが今日の放課後の練習で大事な連絡があるとか言われて今倉庫前で整列してる訳なんですわ。

 

 

──────来た!

 

中等部の隊長職を引退したまほさんが整列している自身らの前に立ち、いつも通りのミーティングが始まった。

 

「─私が高等部への進学に伴い、今後の中等部機甲科隊長は現副隊長、西住みほが勤める。そして、空きになった副隊長には今からその生徒名を呼ぶ!」

 

うんうん、副隊長から隊長への昇格。普通だねぇ~で、副隊長はエリカと。

 

「逸見エリカ!」

 

そ、やっぱり…「逸見エリ!」…は?

 

「ちょ、西住隊長!?なんで自分が!?」

 

エリカが副隊長に収まって終わりだと思っていたら自分が呼ばれエリがまほに向けそう抗議した。だが──

 

 

 

「なんでと言われてもだな…他校の戦車道隊長で指揮、書類処理能力があるからな。使わない手は無いだろう?」

 

「そりゃそうですけど…」

 

鈴鹿総合で確かに隊長してましたよ!リアルで6年とゲームで6ヶ月!!てか、書類処理はあんたが手伝わせてたんでしょがい!!

 

「それにだ、エリは男だから黒森峰で公式戦に出れないんだ。公式戦ではエリカが、練習では二人で副隊長をしてほしい。いつも私の隣に居たんだ、書類処理でみほのサポートができるだろう?」

 

─ぐぅの音もでないです。そーですよーだ!女学園だから男子の俺は練習試合はともかく公式の試合には出れてないんですよ!!あ?Ⅳ号?Ⅳ号は公式戦だけ車長を装填手が兼任してやってくれてますよ。

 

「よし!これにて連絡を終了する!」

 

「ちょ…!「「「「「「「ありがとうございましたー!」」」」」」」」

 

再び反論するでもなくミーティングが終了し、エリは事務がメインになるであろう副隊長を拝命する事となったのであった。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第拾参話 銀、軍神+忠犬と練習試合を組まされる

駄文です


ども、まほさんから副隊長(書類処理係)を押し付け(拝命させ)られた逸見エリです。もう早いもので黒森峰にきてから一年が経とうとしています。ん?それだと中三の真ん中ぐらいじゃないのかって?

 

「そうですがなにか?」

 

「エリ、何言ってるの?」

 

え、エリカ!?居たのか!?てか、声漏れてたの!?

 

「な、なんでもないよ。エリカ」

 

「そ、私今日は用事あるから先に帰るわね」

 

「は、はぁーい。お疲れ様~」

 

え?今何してるか?夏の全国中等部戦車道大会が終わってからの休日明けの訓練終わりだよ?早くないか?んなこといわれても…公式戦男子参加出来なかったし…

 

─あ!でもな?高等部からは特例で公式戦にも出れる事になるらしいんだ。なんか前例があるたらどうたらで。

 

「…けど、案外高等部行ったら鈴鹿総合来そうだなぁ~(フラグ)ま、そのうち来るか」

 

「エリ副隊長~倉庫の鍵閉めますよ~?」

 

今日の倉庫の鍵当番の子がそう言って扉から顔を覗かせて来た。

 

「えッ!あ、本当だ!」

 

時計を確認すると午後5時半を回ろうとしていた。

 

「ご、ごめんー!!」

 

身近にあったコートと帽子を掴み倉庫から飛び出す。

 

「もう、ちゃんと時間は気にしてくださいよ?エリ副隊長」

 

「いやぁ、ちょっと考え事をさ」

 

そう言って誤魔化した。

 

「もう…よし!それじゃ、私は鍵返して来ますね!それでは!」

 

倉庫の電気を消し、扉を閉めて鍵をかけると当番の子がポケットに鍵を入れて職員室に走っていった。その姿を見送りエリはコートを羽織り、帽子を被ると自身の部屋へと向かった。

 

 

─────────────────

 

 

 

───────────

 

 

 

─────

 

 

 

~旧部室棟

 

「はぁ~今日も疲れたー…」

 

エリはそう言って部屋に入るなりベットにダイブする。

 

「…明後日練習試合か…」

 

天井を見上げつつそう呟いた。明後日の週末、エリ達黒森峰中等部は紅白戦の練習試合が待っていたのだ。相手がみほとエリカの連合な為少々気分が下がっていた。

 

「未来の軍神に狂犬て…はぁ…」

 

以前にも紅白戦はしたことがある。みほとも、エリカとも組んだがほとんどはまほと組む事が多かった。だからこの二人相手にする事が憂鬱に感じていたのだ。

 

「…やっぱ。やるしかないよな…」

 

そう言ってベットから体を起こしたエリは机の上に飾ってあるⅣ号が写った写真を手に取った。

 

「まだ来てくれないな…そのうち、こっちから行っちゃうかもな」

 

写真の中の戦車隊隊員達の顔を眺めつつそう呟く。この黒森峰があの海域に行く可能性は低いが無いわけでは無いだろうし、再び会えるだろうと思い込ませ、エリはココアを飲もうとキッチンへ歩いて行くのだった。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第拾四話 銀、軍神+忠犬と戦闘セリ

駄文です


『こちら二号車!敵車視認!ポイント───に二りょuドガーン!回避行動!!威嚇しながら後退!森に逃げ込め!!』

 

紅白戦が始まって早1時間、木々に囲まれた森の中を戦車が駆ける。その中で味方からの連絡の最中無線の先で大きな爆発音がした。

 

『エリ副隊長!引っ掛かりました!エリカ副隊長の車輌含め二輌ポイント──を通って後退してきます!!目標─車!!撃てッ!!』

 

そう言い利香からの通信が切れた。エリは直ぐ様地図を開き自身の位置と偵察に出していた二号車の位置を確認し頭を回転させる。今現在の戦力は此方が3輌、みほ達が4輌残っている。こちらは速水三咲さんの四号車がやられてしまっている。

 

「エリ副隊長!敵はあの高台にいますかね!」

 

後ろから急に声が聞こえた。仲間の戦車のキューポラから同じく体を乗り出させた車長の和美が呼んできたのだ。そして斜め前方にある高台を指差している。

 

「かもしれないな。よし、和美は利香と合流!ポイント━━━にて敵車を待ち伏せして撃破してきてくれ!」

 

「合点です!」

 

追走してきていた和美にそう言うと合点と言い残し右の草むらに消えていった。

 

「さぁ~て?こっちはあの高台目指しますかね…っと」

 

「茜さん、高台付近まで接近してください。敵を炙り出しますよ!」

 

「りょ~かいで~す!」

 

茜は返事をして操縦悍を握り閉め戦車を段々と加速させる。そして、高台の下まであと少しという所で高台が一瞬光った。

 

「敵発砲!回避!」

 

「ほいさ!」

 

車体が右に避ける。するとすぐ真横の地面に着弾する。エリは直ぐ様首の双眼鏡を掴み、発射されただろう場所を見る。

 

「…いた!真耶さん!主砲上げ35°!右3°先の木陰に1輌!」

 

「主砲上げ35°!右3°敵車確認!」

 

真耶も敵を確認したようだ。真耶はすぐに照準を確定させ、トリガーを引く。すると放たれた砲弾は一直線に敵車に向かい飛翔し、敵の駆動輪に命中した。

 

「命中確認!履帯に命中したな。次弾!」

 

「はいっ!」

 

七海が勢い付けて次弾を装填し、が再びトリガーを引く。次はちゃんと高台にいた戦車に命中した。

 

「─白旗上がってるな。よし、警戒しつつ前進!」

 

その命令を出した途端に無線から急に報告が入った。

 

『こちら二号車!1輌やったけど敵フラッグがこっち来てます!』

 

「何!?和美さんは!」

 

高台にいると思っていたフラッグが誘導部隊に現れた事について援護に行かせた車は何処かと聞いた。

 

『こちら水上!援護行きましたけどやった途端に高台から滑り降りて来ました!なんて事してんですか!あの人!』

 

和美はそうみほが乗るフラッグに苦言を言った。それは仕方がないだろう。あの高台の傾斜は軽く65°を越している筈だ。傾斜が緩い場所でも50°はする!そこを滑り降りるなんてスピードが出すぎて履帯が切れても可笑しくない!

 

「無茶を…敵車位置は!」

 

『ポイント──から東に500m地点をポイント──に向けて走行中!』

 

「茜さん!ポイント───に急いで!」

 

茜にそう命令する。エリカとみほが合流するなんてほんとナンセンスだよ!あの二人だけなら──絶対やられる!



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第拾伍話 銀、軍神+忠犬を奇襲セリ

駄文です


『こちら水上!すみません!やられてしまいました!』

 

想定したポイントに迫った時、和美から撃破報告が上がってきた。

 

「何⁉無事だな⁉」

 

『は、はい!』

 

「敵は何処にいる?」

 

エリは敵の位置を聞き返す。

 

『敵は利香が引き連れつつポイント──に向かってます!』

 

二号車は生き残っているようだ。ただ、敵のエリカはティーガーⅡ、みほもティーガーⅠでこちらの利香はⅢ号戦車だ。分が悪すぎる。こちらのⅣ号をぶつけでもしないとティーガーⅡなんて勝てない。

 

「榛花さん!ポイントまであとどれくらいですか!?」

 

通信手の白川榛花に質問する。

 

「現在地からだと…接敵まで約5分!」

 

そう報告を上げてくる。

 

「茜さん!進路そのまま!全速力で突っ走って利香さんの前に出ます!」

 

「はいよっ!」

 

茜はそう元気良く返事を返す。それと同時にエンジンが更に轟々と叫び煙を吹き出す。

 

─────────────

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇┌◆┘└◇┐└◆┐

 

エリカside

 

「後二輌ね。エリは何処にいるのかしら…」

 

エリカは和美のⅢ号戦車を撃破し、前を走る利香のⅢ号を追っている。

 

『エリカさん。これはもしかするとエリさんの作戦かもしれません。注意してください』

 

みほからそう忠告される。分かっている。エリは何処かの学園艦で隊長をしてたらしいし腕は侮れない。この子に似て無茶しそうだし…そう思い横を走るみほのティーガーⅠを見た。

 

「あの崖を降るって時点で無茶するわ…」

 

傾斜60~65°もある傾斜をティーガーⅠで滑り降りるのだ。普通はしない筈なのだがみほはやった。かの織田信長のような突飛な行動だ。ただそれのお陰で1輌撃破できたのも事実であった。

 

「やっぱり流石エリの部隊ね…」

 

エリカはそう溢した。エリの部隊はなんだかんだで二軍から一軍に引き揚げさせる程に鍛えられた戦車乗り達だ。射撃も、操縦もピカ一だ。ただ、それも他校相手になら働くだろう。しかし、相手が私達相手ならエリのⅣ号をぶつけて来ないと勝てはしない。

 

「…にしても良く避けるわね」

 

「ちゃんと狙ってるんだけど…っね!当たらない~!」

 

砲手の高美がそう漏らす。さっきからこちらの二輌で撃っているが当たったのはさっきの1輌だけでそれから命中弾は少ない。というかギリギリでカスッてしまうだけだ。

 

「…ん?なんか音が…」

 

何処からか轟々としたエンジン音が聞こえてきた。こちらの戦車もエンジン音が鳴っているがそれよりも深い、大きな音だ。

 

「Ⅳ号!?回避!」

 

「無理ですよ!!」

 

急に左の草むらからⅣ号戦車が轟々とエンジン音を響かせつつ飛び出してきた。Ⅳ号は現れるなり私の戦車に急接近して左側面に3メートルという超至近距離で砲撃してきた。当然避けきれるでもなく左側側面のエンジン部に命中し、私のティーガーⅡはエンジンから煙を吹き出しながら白旗を出して停車した。

 

「どんな所から飛び出して来てんのよ!」

 

エリカはそう言ってティーガーⅡの砲塔上面の装甲板を軽く殴った。

 

『エリカさん!大丈夫ですか!?』

 

みほから通信が入る。

 

「大丈夫よ。そっちはエリを追いなさい!」

 

『う、うん。わかった』

 

みほからの通信はそうして切れた。

 

「これで一対二か…みほ…」

 

それからエリカは通信手に整備班に回収の連絡をするよう指示するのであった。

 

エリカsideout



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第拾六話 銀、軍神+忠犬を奇襲セリ その弐

駄文です


「茜さん!突っ込んじゃって!!」

 

「了解!!」

 

木々の中に利香のⅢ号を追いかけるみほ達の車輌を見つけたエリは草むら側から直線でみほ達の前に突っ込ませようとする。

 

「…撃て!!」

 

「はいッ!」

 

車輌が一瞬飛び、草むらから飛び出した。それからもⅣ号は直進し、エリカのティーガーⅡの側面に3メートルの超近距離で砲撃の指示をだし真耶が引き金を引く。発射された砲弾はエリカのティーガーⅡの左側面、転輪部に直撃し急にエリカのティーガーⅡからは煙と共に白旗を上げスピードを落とし始めた。

 

「茜さん!」

 

「当てさせないよ!」

 

みほのティーガーⅠから報復の砲弾がプレゼントされかけるが茜が上手いこと車体を動かし、回避する。そしてそのままⅣ号は反対側の草むらに突入してティーガーⅠから距離を取り、再び進路を変え、ティーガーⅠの方面にⅣ号を走らせる。

 

「あとはみほさんだけですね」

 

七海は次弾を装填させるとそう話しかけてきた。

 

「そうだね。だけど、油断大敵で行こうか」

 

「「「「はい!」」」」

 

みんながすぐ返事をしてくれた。それからエリは新たな指示をする。

 

「茜さんⅣ号を敵の背後につけて下さいエンジン部を撃ち抜きます」

 

「りょ~かい!もうすぐ道に出るよ~」

 

そう言われ、エリはキューポラから頭を出して先を睨む。するとその先に砲身を前にしたみほの車輌と砲撃しながら逃げている利香のⅢ号が見つけられた。

 

「ん!?利香さん!?茜さん!今が好機です!行きますよ!」

 

「はいよ~」

 

茜はそう返事をし、Ⅳ号を加速させるその数秒後、再び草むらから飛び出した。みほの顔に驚きが見える。みほはすぐに主砲を回転させこちらを狙おうとするがもう遅い。

 

「撃て!!」

 

ティーガーⅠの後ろにつけたⅣ号はティーガーⅠのエンジン部を狙い砲撃した。吐き出された砲弾はティーガーⅠがこちらを狙いつける前にマフラー部分に着弾した。そしてシュポッとティーガーⅠから白旗が上がったのが確認できた。

 

 

 

────────────────

 

 

 

──────────

 

 

 

─────

 

あの後は撃破された車輌を回収して倉庫に仕舞っていつも通り反省会があってから解散となった。

 

「さて、今日はt「エリ?」…なんでっしゃろか。エリカはん…」

 

さっさと帰ろうとしたらエリカに捕まりました。

 

「今日はこれから暇よね?」

 

「いや、今日は「暇、よね?」…は、はい!!」

 

イタイイタイ!エリカの肩掴む力強いわ!!

 

「そう。なら、今日はこれからあなたの家(旧部室棟)で個人の反省会でもしましょうか」

 

「えと…「いいわよね?」はい!」

 

エリカの眼光に負けました。\(^o^)/

 

「さ、行くわよ」

 

それからエリはエリカに首根っこ捕まれて家に連行され、みっちり三時間個人の反省会が行われるのであった。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第拾七話 銀、未来の軍神の直弟子に会う

駄文です


やぁやぁ、逸見エリだよ。あの軍神(予定)と忠犬(予定)なんとか勝ったのも早いもんで数ヶ月前だ。今はというと中等部生活最後の学園祭の日でありんす。

 

「エリ~!!」

 

「エリさーん!!何処ですかー!」

 

やべッ!エリは急に名前を呼ばれたのを聞きすぐに側にあった草むらに飛び込む。

 

「エリさんいないね…」

 

「…ったく。本当に何処に居るのかしら?」

 

草むらに突っ伏して軽く頭を出して様子をうかがうとそこには腕を組んだエリカと困った顔のみほがいた。

 

「いくら女の子の格好が嫌だって逃げることないじゃない」

 

「それは仕方ないんじゃないかなぁ…」

 

そうである、学園祭の出店で女装させられかけたんですよ。別に女装が嫌とかじゃないんですよ?ただ…あんな目をギラつかせて迫られたら流石に怖かったんですよ。

 

「しょうがないわね。私はこっちを、みほはそっちを探してくれる?」

 

「わかりました。こっち、ですね」

 

「そうよ。じゃ、探しに行くわよ!」スタスタスタスタ!!

 

みほ達が居なくなったのを確認してからエリは草むらから抜け出す。

 

「ふぅ…やっと行ったか。エリカ、みほ。自分の出番になったら行くから今は堪忍してよ」ガサゴソ!

 

「さぁ~てとっ!俺も楽しもうかなぁ~」

 

そう言ってエリは服装を直し、出店街に歩いていくのだった。

 

 

───────────────────

 

 

 

───────────

 

 

 

──────

 

 

「いやぁ~食べた食べた」

 

あの後シュピースブラーテンとラクレット、たこ焼きやらを食べたエリは屋台街から少し離れた旧部室棟近くのベンチに腰かけていると急に声をかけられた。

 

「すみませーん」

 

「ん?どうし…た…の?」

 

エリは声をかけてきた人物を見て声が詰まった。原作でよく見た大洗ウサギさんチームの澤梓が立っていたのだ。

 

「髪飾りを取られて兎を追いかけてたら道に迷っちゃいまして…ここ何処なんですかね?」アハハ…

 

「そ、そう。ここは黒森峰機甲科、戦車道の旧部室棟だよ?今は自分の家だけどね」

 

なんか理由が…とか思いつつも現在地を教えた。

 

「自分の…家?」

 

梓はエリの言い回しに引っ掛かったらしい。

 

「そ、家を無くしちゃった自分に貸してもらってるんだ~」

 

「家を…ですか?」

 

梓がそう聞き返してきた。

 

「うん。よくある奴だよ。目が覚めたら別の世界に来てました~ってね?」

 

「またまた~」

 

梓は冗談だと感じたらしい。

 

「いんや、これがまた現実でさ~色々あってここに住んでるんだ。正に事実は小説より奇なり…ってかな」

 

「ま、信じられんでも良いさ。─さて、黒森峰の学校まで送るよ。──そういえば君、名前は?ここで会ったのも何かの縁だ」

 

エリは立ち上がり梓に案内するといい名前を聞いた。

 

「さ、澤梓です。あなたは…」

 

「ん?自分か?自分は逸見、逸見エリ。今は黒森峰中等部機甲科の三年生だよ」

 

名乗り返してからエリは梓をつれて校舎の方へと歩いて案内していくのだった。

 

 

 

追記、エリはエリカ達にこの後きっちり捕まってしまいましたとさ☆



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第拾八話 銀、大会にて悪夢を見るか

駄文です


前回の試合から何事も無く一年が過ぎました。どうも、逸見エリでございます。只今は第62回戦車道大会決勝にて豪雨の中爆走中でございます。え?はしょるな?…しょうがないんよ。俺にそんな文才なんてないんや。

 

…まぁ、せめてお知らせすると──鈴鹿総合の学園艦も来ないしなぁ…あ!乗車がⅣ号からティーガーⅡに変わりましたよ~え?なんでか?実は高等部に上がる時に「これからは、これに乗るんだァ!!」的な感じでティーガーⅡに乗せられてます。あ、後、乗組員はⅣ号からそのままだよ~

 

「エリー!敵前いるよー!」

 

茜の声に現実に引き戻されました。

 

「えっ?あ、ああ!各車!目標!前方の敵車!撃ちィー方、始め!!」

 

無線機で連なり走っていた味方の戦車に指示を出す。すると連続的な発砲音が響く。

 

「─よし!敵車撃破確認!砲撃止め!」

 

双眼鏡を除き込み、敵の車体からの白旗を確認して味方に砲撃を止めさせた。

 

『第2部隊!敵を挟み込みます!ポイント──へ!』

 

みほから通信が入る。

 

「こちらエリ、了解した。今から向かう」

 

「茜さん、ポイント──に向かってくれ」

 

エリはみほの命令に返事をし、自分の茜に指示を出した。

 

「はいは~い!」

 

「各車、ポイント──に向かいます。追従してきてください!」

 

『『『『了解!』』』』

 

各車からの返答を確認してからエリは前を向き直し、みほに指示されたポイントへと向かっていった。

 

 

────────────────

 

 

 

──────────

 

 

 

─────

 

「雨が強くなってきたな…」

 

砲塔の中から外を見るとさっきよりも雨が強くなっていた。

 

「天気予報だと晴れるって言ってたんですけどね~っと!エリー、副隊長車から通信はいってるよー『このまま森を抜けて川にそって前進、ポイント──にて敵を向かい撃つ』らしいよ」

 

榛花がそう報告をあげる。

 

「ん、わかった。茜さん。ポイント──まで行っちゃおうか」

 

「りょーかい~」

 

茜に指示を出してキューポラから頭を出して辺りを見回す。後ろにはみほのフラッグ車をいつでも囲える位置で味方の車輌が付いてきている。

 

「敵いないn─敵!!」

 

森を抜けた所で急に予想されていたのか敵が現れた。その数四輌。その全部が砲身をこちらを向けているのだ。

 

「フラッグの前へ!!」

 

「やばッ!!」

 

そして相手戦車の砲身の先が光った。エリはフラッグの前へと指示しつつもヤバイと感じ取り頭を引っ込め、キューポラの蓋を閉じた。次の瞬間、車体に衝撃が二回走った。不思議に思ったのもつかの間、すぐ後に浮遊感がエリ達を襲った。

 

「な、何だ!?」

 

車内の下を見たエリはその光景に原作の赤星達が乗っていた三号の事を思いだし顔が青ざめ、背筋が凍った。それからエリはフラッグを守っていた他の車輌に向けて無線で叫んだ。

 

「水上!速水!三河!みほのフラッグを守れェェエーー!!!!」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第拾九話 銀、水面の底へ

それからちょっとすると車内に浸水し始めた。エリが茜達を見ると全員がこちらをジッと見ていた。

 

「全員砲塔へ入って。こっちならまだ浸水しきるまで時間があるから!」

 

「「「は、はい!」」」

 

茜達が全員砲塔内に入ったのを確認してからエリは再び下を見た。するとそこは膝下程だったのがもう自身がそこに立つなら太ももの高さ程はあろうかと言う程水位が上がっていた。

 

「後ろのハッチを押し開けるよ!いくよ!3・2・1!!」

 

「「「「「あ、開かない!?」」」」」

 

砲塔後ろのハッチを押し開けようとするがあまりの固さにびくともしない。

 

「水圧で押されてるのか!?」

 

 

 

 

「た、助かるんですか?」

 

七海がそう弱音を吐き、それをエリが一喝する。

 

「情けない事を言わない!助かるんだよ!!絶対!!」

 

「は、はい」

 

とは言うものの、七海が吐いた弱音は皆一様に感じていたものだ。だが、諦めてしまわないように声に出さなかったのだ。それからエリは一息つこうと言って砲塔内の壁に寄りかかる。

 

「この試合、どうなるかなぁ…」

 

「勝ちますよ!私達は黒森峰ですよ!」

 

真耶がエリの呟きに答えた。

 

「ああ、勝つでしょ。だけど、そこに皆がいないと意味が無いんだよ?」

 

「それは…」

 

真耶が言いどよんだ。

 

「私は車長として皆を陸に上げないとな…」

 

「それはエリもだよ?エリも含めた皆で生き残るんだよ」

 

茜がエリにそう言った。

 

「ん?…そうだね。…所で、みんな泳げるよね?」

 

「泳げるよー」

 

「泳げます」

 

「泳げますよ」

 

「泳げるよ」

 

よかった、皆泳げるんだな。

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

そうこうしている間に水位がどんどん上がってきて遂には胸上辺りまで入ってきた。そしてよし、ハッチを押し開けるぞ!となった所で掛け声をする。

 

「3・2・1!!そらッ!!」

 

するとやっとの事でハッチが開いた。ハッチが開いた途端に大量の水が押し寄せてきた。

 

「グッ…!行け行け行けッ!!」

 

そう叫び茜達を外へ外へと脱出させる。

 

「全員行ったな。よし、スゥ…!」

 

皆が脱出してから最後にエリがハッチから外へと逃げる。

 

(…!あ、足が!?)グ,グム…

 

しかし、脱出してから水面に向かおうとして急に、右足を引かれるような感覚に陥った。

 

(な、なにもいない…い、息が…)ブクブクブク

 

右足をなんとか目を開き見てみるがそこにはなにもいなかった。息がもたないと手足をバタつかせるが右足は動かず、尚且つ上には行かず下に下に向かい続ける。

 

(い、息が…ボファ!!…」

 

(皐月…みほ……エリ…カ……────

 

 

そうしているうちにエリの息が続かなくなり、息を吹き出した。エリは薄くなる意識の中でそう思いつつも意識を手放した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ザーザーザー

 

ザーザーザー

 

「エ、エリは!?」

 

試合中止が宣言された後、エリカは事故現場に着くとそう叫んだ。そこへみほが歩み寄ってきた。

 

「エリは…エリは助かったの!?」

 

「エリさんは……」フルフル

 

みほは若干涙目になりながら首を振る。エリカは自分の顔から血の気が引いたのを感じた。

 

「嘘…嘘よ…エリ……」

 

エリカは川辺に膝を落とし、ただただ居なくなった友の名前を呟くのであった。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第弐拾話 銀、テルマエる

駄文です


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

「────う、うわぁぁぁ!!!!…はぁ…はぁ…」

 

ある病院の一室。その部屋のベッドでエリは目を覚ました。目覚める時に叫んだのは大会での事故で水に引き込まれたんだ、叫んでしまっても仕方がないだろう。

 

「ここは…ん?」

 

不意に枕元にあった机を見ると書き置きされた紙が一枚あった。

 

「『逸見理事長、目が覚めましたら執務室におりますのでご連絡下さい。皐月』鈴鹿総合に来たのか?いつの間に…」

 

エリは書き置きの近くにあった固定電話の受話器を取り、自身の執務室の内線に電話をかける。

 

『もしもし、こちら執務室、皐月です』

 

受話器の先から懐かしい声が聞こえてきた。

 

「逸見エリだ。皐月、迎えを頼む」

 

エリはそう話しかける。

 

『目が覚めたんですね!今から迎えに行きます!』ガチャン!

 

「あ、ああ…」

 

素早く切られてしまった…いや、テンションよ。

 

 

 

 

 

 

───────────────────────

 

トビラヲ,バァーン!!

 

「理事長!目が覚めたんですね!!」

 

電話が切れてから15分としないうちに皐月が部屋に[扉をバァーン!!]して入ってきた。

 

「う、うん。俺さ、別の所にいた筈なんだけど…」

 

エリは不思議に思っていた事を聞いた。

 

「ああ、その事ですか。それは神様が『黒森峰から鈴鹿総合に戻すのどうしよう…んー!!そうだ!大会の事故で事故らせて引きずり込んでこっちに連れてこればいいじゃない!』って事らしいです。」

 

皐月からの説明に軽く頭痛を覚えた。ゼッッタイ!神(作者)の事情じゃない!! (いやぁ…ネタは上がっても書く力が及ばなくてねぇ~。ま、許してよ~by作者)

 

「あ、そうそう。それで理事長がうちの銭湯に浮かび上がってきたんですよ」

 

「はっ!?銭湯!?」

 

「そうです、銭湯です」

 

あまりの衝撃に突っ込んでしまった。

 

「俺はルシ○スかよ…」

 

エリは軽く頭を抱えてしまう。いや、抱えるしかないだろ。

 

ちょっと前にテル○エ・ロ○エ見てたからさ。by作者

 

「ル○ウスを意識したのは間違いないらしいです」

 

いや、うーん…も、いいや……

 

「ま、まぁ、それはいいとして俺がいなくなってどれだけ経ってる?」

 

エリはそう質問した。大体こんな転移系は元の時間が思いっきり経ってるか進んで無いかだし。

 

「理事長は行方不明になった日の夜には此方に来ていました」

 

「はやっ!?」

 

いや、1日?いや、数時間かよ!

 

「夜の銭湯に来てましたね。で、今日はその翌日です」

 

「俺向こうで二年くらい居たんだけど…」

 

いや、マジで。なんか歳とった人が急に若返った感じだわ。まぁ、身体的に言ったら転移した先の方が若返ってるから今は転生した時と変わってないんだけどさ。

 

「精神的にだろうから問題ないだろう。らしいです」

 

「雑だな…まぁ、いいや、皐月。俺がいない間には何も…起きてないよな~」

 

「はい、概ね問題は無いです」

 

皐月のその答えに満足する。まぁ、1日で変わってたらそれもなんか変なんだけどさ。

 

「そ、なら。良いかな。皐月、俺の退院って…」

 

「ああ!もうできますよ。今から帰りますか?」

 

皐月にそんな質問をされたがエリは一言、もう帰るかと返すのだった。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第弐拾壱話 銀、書類処理に慣れる

駄文です


エリがテルマエってから10日、鈴鹿総合は未だ何処にも連絡がつかないという事以外は平和であった。

 

「今日は執務の後に戦車隊の訓練に行かなきゃな…」

 

執務机で書類処理をしつつそう呟いた。エリの執務机には一つ20cm程に積まれたA-4サイズの書類の山が13個積まれており、開始2時間で残りは後10cm程に迫っていた。

 

「理事長、やっぱり書類処理の能力上がってません?」

 

皐月はエリの書類処理能力に対してそう言った。

 

「黒森峰でも膨大な書類仕事させられてたからな…2年も。流石に慣れたし、これくらいならまだな」

 

「どんだけの量だったんですか…」

 

(うちも大概多い筈なんですけど…)

 

書類量は鈴鹿総合の方が多い。だが、黒森峰はうち以上に練習が長かったし学業もあった、それにまほの第2副官やみほの第2副官なんかをやっていたのだ。各場所から回ってくる書類を隊長が処理しなければいけない書類とそうでない書類の選別、そうでない書類の処理等を短時間にする技術が上がったのだ。

 

「うちみたいに選別班がいないとキツイな、あれ」

 

「確かにうちの書類選別班がいると楽ですよね」

 

うちの書類処理は先ず各科長に書類が回り、そこから生徒会、理事長と回ってくるのだ。まぁ、生徒会と理事長と戦車隊隊長と航空科隊長やってりゃ結局は数が減らないんだよねぇ。まぁ、戦車隊と航空科隊長の書類を生徒会(自分)に出して理事長(自分)に出すってしてればなぁ…

 

「まぁ、そのうち2代目生徒会が組織されたからいくらかはマシになるんだけどね」

 

「3日前にやっと生徒会役員が決まりましたからね」

 

「ああ、本当だ。けど、それで減ったのが一山程度だからな。いや、一山はけっこうか…」

 

なんか感覚が麻痺して来てる気がする…

 

「理事長は元々こっちに来たときから書類処理早かったですけどね」

 

皐月は自身の書類の束を見ながらそう言った。そーいや、最初は書類処理は皐月ぐらいだったなぁー

 

皐月の机には束が2つと6センチ程の書類があった。

 

「皐月も早いもんだったしな──よし!今日の執務おしま~い!」バシーン!

 

ラスト一枚を書き終わり、エリは三山目の上に最後の書類を軽く叩きつけた。

 

「は、早くないですか!?」

 

「じゃ、俺戦車隊の所行ってくるわ~」

 

エリは書類が残っている皐月にそう言うと壁に掛けてあったコートを手に取り、扉を開ける。そこでそういえば…と言い皐月の方を振り向いた。

 

「戦車隊の奴らもう部室棟にいるかな?」

 

「集まってますよ!あ、私も今日は訓練行きますからね!!私抜きで訓練はしないで下さいよ?」

 

皐月はそう言ってエリに抗議する。

 

「ん、わかってるよ。なるべく早く来てよ~」

 

「す、すぐ行きますよ!」

 

それからエリは足早に部屋を立ち去るのだった。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第弐拾弐話 銀、訓練に参加する

駄文です


「それじゃあ今日の訓練内容説明するぞー」

 

あれからしばらくしてエリ達は訓練場の戦車倉庫前で点呼を取り、バインダーに挟まれた紙に書かれた訓練内容を説明する。

 

「本日はまず行軍訓練と砲撃訓練をする」

 

「行軍試験は陣形展開の練習と隊列走行、それから5キロ先の射撃目標に砲撃訓練、また行進間射撃の訓練も行う以上だ」

 

「質問はあるか?」

 

エリは隊員たちを見回すが質問は無いようだった。

 

「よし、なら、総員乗車─解散!」

 

その言葉が合図となり隊員達が一斉に戦車に駆け寄り乗り込み出した。エリも同じようにして自身のⅣ号に駆け寄り、車体に飛び乗る。

 

「隊長~出していいの?」

 

車内に入るとⅣ号戦車の操縦手、伊勢美乃が操縦レバーを握ったり離したりを繰り返しながら聞いてきた。

 

「勿論!」

 

「りょーかい。じゃ、出しますかね~」

 

エンジンが唸りⅣ号が走り出していった。

 

────────────────

 

<行軍訓練>

 

「試合では速やかな陣形展開が重要になる!」

 

「全車!Aパターン斜行陣!」

 

マイクに向かいまず始めの陣形展開を指示する。後方を見ると他の戦車がすばやく展開し、斜行陣が完成する。それから直ぐに次の陣形展開の指示をする。

 

「次!Cパターン二列構隊!10秒で展開させるんだ!」

 

「次はFパターン二列縦隊!」

 

それから陣形展開訓練がしばらく続き、一列縦隊になり行進間射撃の訓練に入った。

 

「目標!距離5000!…撃て!!」

 

一列で進む戦車が一斉に前の目標から新しい目標に向けて砲弾を放つとエリは時計を持ち出す。

 

「弾着~…今!」

 

着弾したのか轟音が聞こえ、双眼鏡を覗き込む。

 

「次弾装填!目標修正!右+0.5°上げ+0.3°!」

 

「はいっ!」

 

「はいよっ~!」

 

装填手の中村紗智と砲手の鷹宮唯が返事をし、次弾を装填し、射線修正を行う。それを確認し、エリは無線機を使い各車に指示を出す。

 

「各車!次弾撃ちィー方用意!撃て!!」

 

再び各車から砲弾が放たれる。それから4回の砲撃と着弾観測の後、次弾の装填をに指示した。

 

「美乃、10秒後に左旋回の後急停止、行けるか?」

 

操縦席の美乃にそう問いかける。

 

「行けるに決まってるニャ!」

 

「ナイスだ!!当てられるな?」

 

今度は砲手の唯にも質問した。

 

「当ててみせますよ!」

 

「ん、よし」

 

それからエリは無線機を使い各車に指示を出す。

 

「各車!10秒後左に急旋回の後急停車、目標を砲撃する!いいな!!」

 

『『『『『『『『『『はいっ!!』』』』』』』』』』

 

各車の車長から返答が入る。それを聞いたエリはカウントを始めた。

 

 

 

 

 

 

「──10!」

 

「9!」

 

「8!」

 

「7!」

 

「6!」

 

「5!」

 

「4!」

 

「3!」

 

「2!」

 

「1!」

 

 

 

 

 

 

 

「左旋回!!」

 

美乃に指示を飛ばす。

 

「はいよっ!」

 

体に横のGを感じながらも次の指示を出す。

 

「急停車!!」

 

「はいさっ!!」

 

「グッ…!」

 

戦車が急停車しさっきの横Gよりも強いGが体にかかるも耐え、砲撃の指示を出す。

 

「各車!一斉射!撃てェ!!」

 

「はい!」

 

全車から砲弾が飛び出し、今度も目標の山に着弾した。双眼鏡を使って確認すると命中率は大体6割程といった所だろう。

 

「6割くらいか…良い練度だ」

 

エリは双眼鏡を下ろし目下の戦車達を見てそう呟くのだった。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第弐拾参話 銀、再び転移する

駄文です


鈴鹿総合に帰ってきてから二週間がたった日の夜、エリの姿は学園艦の艦橋にあり黄色のカバーがかけられた司令席に座っていた。

 

「観測班より艦橋!艦前方に低気圧あり、気圧965hPa、風速40!なお勢いを増して接近中!」

 

観測班からの報告が上がってきた。艦橋の外は雨風が吹き荒れ、波が荒れている。しかし、艦の大きさのせいで艦は全くと言って良いほど揺れていないがもしもがある。

 

「うん~…総員艦内配備、台風に備えろ。また、学園艦全体に外出禁止の緊急宣言を通達しろ」

 

「はい!」

 

通信班の生徒が内線を使い艦全体に外出禁止の緊急宣言を発令する。そして、その三十分後、学園艦のマストに雷が直撃し轟音が響いた。

 

「…な…なんだ今の…落雷か!」

 

「ダメージコントロール!艦内各部の被害知らせ!!」

 

でかいとは言え精密機器の塊である学園艦に雷が落ちたのだ。並大抵の雷なら問題無い、たださっきの雷は一味も二味も違う強さだ。エリは司令席の横に設置された受話器を掴みそう叫んだ。

 

『電気・油圧・レーダー、オール・グリーン!!各部問題なく稼働してます!!』

 

艦橋のスピーカーからそう報告が入った。

 

「由季奈!レーダーから目を放すなよ!──!?」

 

通信室の由季奈にそう指示をして受話器を置き、視線を前方の窓に戻すとエリは驚愕した。ついさっきまで降っていた雨が止み、霧が出ていた。

 

「なんだ?これは…!」

 

エリは司令席を放り出し、艦橋から飛び出し空を見上げる。

 

「やっぱり雨が…止んでる…?それにこの霧…」

 

…さっきまでの台風は一体…

 

『通信室より艦橋!!レーダーに不明艦!前方、距離5000!レーダーより…学園艦クラスと思われます!!』

 

そう考えている所にエリが飛び出した艦橋の中から通信室からの報告が聞こえ、再び艦橋に飛び込む。

 

「友好艦の周波数帯で問い掛けろ!!」

 

受話器を乱暴に掴み、そう伝える。友好艦に出会えたのか…エリや他の艦橋要員達が双眼鏡を使い前方を睨む。濃い霧に阻まれ良く見えはしないが大きい…学園だとは直ぐ分かった。そして、エリはそれを一目見ただけで何処の学園艦か分かった。

 

「取舵一杯!!最大船速!!」

 

そう回避指示を出す。

 

「理事長。あの学園艦は…」

 

航海科の生徒がエリに対して問いかけてきた。

 

「俺の目が正しいなら…『不明艦まで3000!』

 

 

 

 

 

 

 

 

あの学園艦は─────黒森峰だ…!」

 

学園艦の姿が3000まで接近し、漸く分かった。この学園艦は黒森峰女学園の学園艦だ。間違いない。2年間居たのだから間違えはしない。そこで、通信室から通信が入った。

 

『通信室より艦橋!理事長!不明艦より通信!『此方、黒森峰女学園ナリ。其方ハ何者ナルヤ』以上です!』

 

エリは受話器を掴み、通信室にそれに対する返信をさせる。

 

「此方艦橋。由季奈、黒森峰女学園への返信は『此方鈴鹿総合学園ナリ』と返してやれ」

 

そう言って受話器を置き司令席に座り直し、視線を艦の横を通過しようとしている黒森峰の学園艦に目をやる。

 

「…また会えたね、黒森峰…」

 

エリは誰にも聞かれない声でそう呟くのだった。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第弐拾四話 銀、黒森峰に降り立つ

駄文です


黒森峰の学園艦が現れてから約一時間後、黒森峰での会議が決定し、エリと皐月、そして生徒会長の佐賀由季奈は黒森峰の学園艦へ1式陸攻で降り立っていた。

 

「着きましたね、理事長」

 

グラウンドに着陸した一式陸攻から降り、グラウンドを見回しながら皐月がエリに向けてそう話しかけてきた。

 

「そうだな…丁度、黒森峰側の迎えも来たみたいだしな」

 

此方に向かってくる軍用車を指差し、言った。そして、エリ達の前で車が止まり中から見慣れた顔が降りてきた。

 

「黒森峰女学園生徒会長、黒蜜秋で…エリ!?生きてたの!?」

 

黒森峰女学園生徒会長、黒蜜秋。黒森峰に居たときは戦車道の予算関係でよく激突シタナー…

 

「あ、ああ。何故かな」

 

「良かったわ~エリが死んだって言われて…お葬式、無駄になっちゃったわね」

 

おいー!葬式!?葬式もうしたの!?

 

「そ、そう。──ああ、俺が鈴鹿総合学園理事長の逸見エリだ。こっちが秘書官の加藤皐月「どうも、加藤です」…で、こっちがうちの生徒会長の佐賀「佐賀由季奈です。よろしく」だ」

 

皐月と由季奈が一人一人軽く会釈した。

 

「加藤秘書官に佐賀会長ね。よろしくお願いしますね。じゃ、エリ、学園長室に案内するわ。乗ってよー」

 

車の扉を開けられ、その中に乗り込む。

 

「ん、出して」

 

「わかりましたー」

 

秋がドライバーをしている生徒に車を出すよう言うと車はゆっくりと走り出して行った。

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

<学園長室>

 

「お久しぶりです。佐藤学園長」

 

学園長室に入るなりエリは黒森峰の学園長に対してそう言った。

 

「い、生きてたんですか?逸見君」

 

「ええ、はい、なんとか…」

 

「それは良かった。さ、どうぞ掛けて」

 

学園長からソファーに座るよう促される。

 

「では、失礼して…」

 

「「「失礼します」」」

 

皐月に由季奈、秋もソファーに腰掛ける。

 

「─にしても、あの学園艦。あれが君の言っていた学園艦か?」

 

佐藤学園長は開口一番にそう聞いてきた。

 

「ええ、自分はあの学園で理事長をしています。この二人はこっちが自分の秘書官とこっちがうちの生徒会長です」

 

「秘書官の加藤皐月です」

 

「生徒会長の佐賀由季奈です」

 

皐月達が自己紹介し、それに佐藤学園長も自己紹介を返す。

 

「どうも、私が黒森峰女学園学園長の佐藤幹です」

 

「所で佐藤学園長、黒森峰のこれからの航路はどうなってますか?」

 

黒森峰のこれからの航路を聞いた。このまま熊本県に行くなら追従して向かいたい所だ。

 

「航路?それなら確か…ああ、3日後、熊本港に入港する予定になっているな」

 

しめた!

 

「佐藤学園長、うちの学園艦も黒森峰と熊本港に入港出来ませんか?うちの学園艦は漂流してたこともあって現在海域が分からないんです」

 

そう言うと学園長は軽く上を向き、思案すると何か思い付いたのか此方を向き口を開いた。

 

「─良いでしょう。港には今空きがあった筈だから連絡しておきましょう」

 

「あ、ありがとうございます!」

 

「「ありがとうございます!佐藤学園長!」」

 

有難い…!やっと陸に行けるのか!

 

「…ああそうだ!逸見君。帰る前に教員室に顔を見せて来るといい。きっと喜ぶさ」

 

「は、はい。教員室には行きますが…佐藤学園長、自分の葬式って一体…」

 

エリは佐藤学園長に黒森峰に着いてから気になっていた自分の葬式について質問した。

 

「…ああ、それか。君の葬式があったんだよ。あの大会から一週間後位に西住流が執り行って。墓は西住流の本家に立っているらしい」

 

わーお…マジかよ…

 

「それは…陸に着いたら西住流に顔を出しに行かないとですね…」

 

「そうだな。一度行ってみるといい」

 

「…それじゃあ、機甲科に顔を見せて帰りますか…」

 

「私は生徒会室に戻りますかね…」

 

エリ達はそう言ってソファーから立ち上がる。

 

「あ、ああ。わかった。だが、本日は機甲科は陸に休暇中だからいないぞ?」

 

「分かりました。なら、教員室に寄ってから帰りますね」

 

「失礼しました。佐藤学園長」

 

「「「失礼しました」」」

 

扉を開け、退出する前に一言だけ言い、学園長室を後にした。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第弐拾伍話 銀、陸地に上陸する

駄文です


ガルパン世界線に来訪して早3日、エリ達の学園艦は黒森峰と共に熊本港に入港していた。

 

「ふぃ~…やっと陸に足を着けるな」

 

鈴鹿総合学園の学園艦艦橋で司令席に腰かけつつエリは横に座っている皐月に向けて帽子を脱ぎつつ話しかける。

 

「そうですね。軽く半年は陸に上がって無いですからね」

 

「休暇は4日、乗員は半舷上陸にな」

 

バインバーを掴み、紙をペラペラとめくる。

 

「はい、既に伝えてあります。ただ、アンケートでは陸に上がるのは少々のようです」

 

皐月がそう報告してくる。

 

「少々?」

 

「はい、アンケート理由には『三重じゃないし』や『地元じゃ無いですし』等でしたね」

 

いや、そうなるのね

 

「あ、皐月、艦内乗組員にここがパラレルワールドだって伝えたか?」

 

「既に。理事長が支援をすると伝えてあります」

 

「うん、ちゃんと伝わってるんだな」

 

はい、ここで問題!何で支援が出来るでショーか!

 

 

 

 

 

 

正解は!神様から手紙で学園艦運営に際し資金は上限無しに召喚、使用可。尚、全て本物の貨幣である。って言われてるんだ~良いね!☆

 

…ん?不審がられないかって?問題ナッシングッ!神様がこの事に関して不審に思わないように、自然にしておいてくれるらしい。

 

「んじゃ、西住流本家に行きますかね」

 

そう言って立ち上がってコートを羽織る

 

「では、私も着いていきますね。ドライバー。要るでしょう?」

 

同じく椅子から降りた皐月がそう言ってきた。

 

「あ、ああ。それじゃあ頼むわ」

 

「艦の事お願いしますねー」

 

「「「「「分かりました~!」」」」」

 

「じゃ、行ってくるわ~」

 

「行ってきますね」

 

エリ達は艦橋にいた生徒の了承を得てから艦橋を後にするのだった。

 

 

──────────────────────

 

 

 

 

 

────────────────

 

 

 

 

 

──────────

 

 

 

<船着き場>

 

「ふぅ…やっぱり陸に足を着けるのは良いことだな」

 

着岸している船着き場に降り立ちそう呟く。

 

「理事長!車の準備、出来ましたよー」

 

降り立った直ぐ後に遅れて学園艦から皐月がトラックを運転して現れた。

 

「ん、ありがと」

 

エリの直ぐ横に止まったトラックの助手席に乗り込み、ドアを閉める。

 

「理事長、西住流本家の場所って何処ですか?ナビ入れてくれます?」

 

皐月から西住流本家の場所を聞かれ、カーナビを操作して目的地を入力する。

 

ピピッ! コノサキ,200mチテンヲ,サセツシテクダサイ

 

「ありがとうございますね。…それじゃあ、行きますよ~?」

 

「ああ、頼むわ~」

 

そう返事をすると皐月は目的地の西住流本家へと出発していった。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第弐拾六話 銀、西住流本家に行く

駄文です


<西住家、門前>

 

「やっぱりデカイな…」

 

西住家の門を前にそう呟いた。

 

「確かに大きいですね…理事長は前に来られた事があるんですか?」

 

皐月も車を停め、西住家の門まで来る。

 

「ん?ああ、前に一度な。じゃ、行くぞ」

 

軽く返事をし、エリは門の扉を叩いた。

 

『はい、どちら様で?』

 

「鈴鹿総合学園の者です。こちらに逸見の墓があると聞いて来ました」

 

『はい、今、お開けしますね』

 

門番だろう人の声が聞こえてから要件を伝える。すると、門の勝手口が開かれた。

 

「鈴鹿総合学園の方ですか?」

 

「はい。理事の逸見と秘書官の加藤です」

 

エリの紹介を聞いて顔を見た門番の人の目が開かれた。

 

「い、逸見エリさん!?生きてらっしゃったんですか!?」

 

「は、はい。なんとか…あ、菊代さん。家元、おられますか?」

 

門番はエリが前に来た時と同じくお手伝いの菊代さんだった。

 

「はい。家元なら部屋におられますよ。案内しましょうか?」

 

お、居るんだな。アポ取りしてくれてるかなぁ…秋に頼んであるけど…

 

「はい、お願いします」

 

「分かりました。では、着いてきてください」

 

「「お邪魔します」」

 

 

 

─────────────────────

 

 

 

 

 

 

──────────────

 

 

 

 

 

 

─────────

 

<西住家>

 

しほside

 

『家元、鈴鹿総合学園の理事長方がお見えになりました』

 

襖の外から西住家に家政婦として来ている菊代がそう言ってきた。鈴鹿総合、黒蜜さんが言っていた人達ね。

 

「入ってきて下さい」

 

『分かりました』

 

「逸見エリさん、どうぞ」

 

ん?逸見エリ?菊代の言葉に引っ掛かりを覚えながらも襖が開かれ、見たことのある顔が現れた。

 

しほsideout

 

 

 

 

 

「…逸見、エリくん…!?」

 

しほはエリの顔を見るなり驚きの表情を見せた。

 

「どうも、家元。恥ずかしながら、生きて帰って参りました」

 

「鈴鹿総合学園、理事秘書官の加藤です」

 

部屋に入り、正座にて座り家元にそう挨拶をした。

 

「い、生きていたのね」

 

「はい、始めに現れました時の神のイタズラで生き延びて帰って参りました」

 

なんか…幽霊でも見たみたいな感じですね。家元…

 

「そう…今日、ここに来たのは──自分のお墓でも見に来たんですか?」

 

なんとか立て直したしほはエリに本家に来た理由を聞いた。

 

「はい。自分のお墓を見る機会なんて無いでしょうから」

 

「…分かりました。では、私が案内しましょう」

 

い、家元が!?

 

「は、はい。お願いします」

 

「では、着いてきて下さい」

 

「「分かりました」」

 

─────────────

 

────────



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第弐拾七話 銀、自分の墓を見る

駄文です


西住家の縁側から外に出て少しすると一つの墓石が見えてきた。

 

「これが自分n…ゑ?」

 

「これが理事c…ゑ?」

 

墓石に刻まれた名前を見てエリと皐月が同じくして固まった。

 

「どうかしましたか?」

 

「いや、何か…西住って書いてあるんですけんども…」

 

エリがそう言うもしほは「何かおかしいの?」とでも言わんかの様だ。

 

「それが、どうしましたか?」

 

「…いや、自分逸見エリなんですが…それに墓石の名前が西住エリってのは…」

 

エリの墓石には大きく【西住エリ之墓】と彫られているのだ。

 

「?ああ、それはですね。あなたに養子縁組届け書いてもらったでしょう。あれを使いました」

 

…書いてる!!確かに書いちゃってるッ!!後見人が居るでしょうって言われて書いたんだった!!

 

「理事長、西住家に養子縁組してたんですね」

 

「は、はぁ…」

 

「まぁ、この墓はもう必要無くなりましたがね」

 

しほはそう言ってこちらに話しかけてきた。

 

「私を母と呼んでくれてもいいのですからね?」

 

「は、はい。お、お母様…」

 

な、何か…しほさん、あーたそんな性分でしたっけ!?

 

「ええ、エリくん。いえ、エリ。これからよろしくお願いしますね」

 

「よろしくお願いします!」

 

あー…西住家末端に入ってしまいました。そういえば養子縁組届け渡してから西住エリって名乗れって言われてたけど逸見って名乗ってたな…

 

「ああ、そうでした。エリ、これからは西住家に入ったのですから西住エリと名乗りなさい」

 

しほに西住エリと名乗るようにと指摘を頂いた。

 

「分かりました。ですが公式文書などの公式なものでは西住エリと名乗ります。ただ、まだまだ逸見エリで知っている人がいるのも事実でそれ以外はまだ逸見と名乗りたいのですが…」

 

「それはエリの好きにしなさい」

 

しほはそう言ってくれた。ふぅ…なんとかなった…

 

「では、帰ってからは公式文書などの改変を行いますからね」

 

…oh、公式文書の改変って…めんどくさいなぁ~

 

「わ、わかった」ガックシ

 

「それじゃあ。戻りましょうk「エリ…?」…まほ?」

 

しほが戻ろうかと言いかけた所で声がかかり振り返る。するとそこにはひしゃくが入った手桶を落としたまほが立っていた。

 

「に、西住隊長!?」

 

「理事長、あなたも西住になったのでは?」

 

「まほは姉になるのね」

 

驚いたエリに皐月としほが冷静なツッコミを見せた。その後すぐにまほがエリに向かっている走り寄ってきた。

 

「い、生きていたのか!!」

 

オゥ!?まほ隊長が情緒不安定にィ!?

 

「は、はい!なんとか生きて帰って参りました!」

 

いや、何か流れで敬礼したくなる勢いなんだが!?

 

「まほ、落ち着きなさい」

 

しほもまほに落ち着くように言った。

 

「─あ、ああ。エリ、すまない」

 

「込み入った話は中でしますよ」

 

「はい、お母様」

 

「「はい、(お母様)(家元)」」

 

それからエリ達は出てきた縁側から家の中に入って行った。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第弐拾八話 銀、弟になる

駄文です


所変わって家の中、エリとしほ、その対面にまほといった形式で座っていた。

 

「まほ、あなたの弟になるエリです」

 

「よろしくお願いします。まほ姉さん」

 

家元に紹介され、エリが挨拶をするとまほが固まった。

 

「…いやいやいや、お母様!!エリが弟って何なんですか!!聞いてませんよ!?」

 

再始動したまほがしほに疑問をぶつける。

 

「エリの葬儀の後に西住家に名を連ねました。エリの墓石にも彫ってあるでしょう」

 

「いや、確かに彫ってありましたけど…」

 

うん、驚いたよ。うん←自身の墓を自分で見るなんて事になって尚且つ知らぬ間に西住家に養子縁組してた人

 

「なら、エリが弟でも不思議ではありません。まほ、あなたがエリの墓石の掃除をよくしていたではないですか」

 

えっ?まほ隊長が?俺の墓掃除を?

 

「してましたよ。ただのジョークかと思ってましたよ」

 

じ、ジョークて…

 

「黒森峰に来たときに後見人になってもらうために書いてまして…」

 

「あの時からか…」

 

なんかまほ隊長が頭抱えてるんだが…

 

「で、でも西住家に養子入りしのは事故後らしいですよ?」

 

「だから葬儀の時から西住なのか…」

 

まほは「それだからか…」とまた頭を抱えている。

 

「まぁ、これからもよろしくお願いしますね。まほ姉さん♪」

 

「あ、ああ。これからもよろしく、エリ」

 

そこは黒森峰の隊長。素早く持ち直して復活するのだった。

 

 

 

 

 

~~~

 

 

 

 

 

「じゃあ、俺は鈴鹿総合に戻ろうか…ナンデショウカ、マホネエサン?」

 

しばらくした後、エリが学園艦に戻ろうかと立ち上がるとまほに袖口を掴まれた。

 

「せ、折角生きて帰って来て弟になったんだ。その…あれだ。泊まって…いかないか?」

 

なんか、姉さんがスッゲー可愛いんですが?

 

「で、でも急には…」

 

流石に急には無理だろうと言っていると思わぬ所から追い討ちが飛んできた。

 

「別に構いません。泊まって行きなさい、エリ」

 

お母様ァ~!?

 

「お母様も良いと言っているんだ。それにエリももう西住なんだしここが家だぞ?」

 

なんかまほ義姉さんが良いこと言ってきてる!?

 

「で、でもお父さんとか…」

 

ここで西住家父、西住常夫を引き合いに出す。俺の養子縁組に好感があったのか知らんけど…

 

「ああ、それなら問題ありません。なにせエリを養子縁組させたいと言ったのは常夫さんが最初です。何より私よりも乗り気でしたからね」

 

常夫さんッッ~!!?あーたが発端かい!!

 

「は、はぁ…で、でも学園が…「あ、今日~明後日くらいは理事長が戻らなくても大丈夫ですよ?」アッ、ハイ…」

 

嘘ォ…も、もう逃げ道が無い…

 

「じ、じゃあ、一晩だけ…」

 

結局、最終的に逃げ道を失ったエリが折れるしかないのであった。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

番外編 銀、葬式が行われる

駄文です


エリカside

 

大会は私達が勝った。だけど事故から結局エリは戻ってこなかった。何十人、何百人規模の探索に乗り出そうとも結局見つかったのはエリが履いていた靴と帽子、双眼鏡だけだったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、それも事故から一週間程で捜索が打ち切られ無慈悲にもエリは事故死と判断された。

 

「何でエリの捜索が打ち切りになるんですか!」

 

西住隊長からその知らせが告げられた時、私達は隊長に詰めよった。大会の直前まで普通に談笑していた相手が急に行方不明になって死んだと言われて納得が出来るかと。

 

「私だってエリが死んだとは思いたくない…エリを黒森峰で戦車道に誘ったのは私だ。だが…あの氾濫しかけた川に流されて生きていられるものか…」

 

隊長は涙を浮かべていた。自身が信頼していた人間が死んだのだと言われて納得していないのは隊長も同じようだった。

 

「エリの葬儀は明後日、西住流本家にて執り行う。皆、エリを…見送ってやれ…」

 

隊長はそれから明後日まで訓練は休みだと言って隊長室に戻って行った。それから私は寮に帰ると枕を濡らして泣いた。自身の双子のように思っていたし同じ中等部で副隊長として信頼し合ってもいた。そんな存在だったのだ。だけど、私よりもみほの方が参ってしまっていた。

 

「私のせいで…私のせいでエリさんは…」

 

そうボソボソと呟き続けている。

 

「みほのせいじゃ無いわ。あれは…天候が悪かったのよ」

 

みほをそう宥めるが、みほは更に自分を責めてしまう。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

<2日後>

 

2日後、西住流本家でエリの葬儀が西住流家元が喪主をしつつ執り行われた。西住流家元や西住隊長、黒森峰からは私を含めた機甲科全員が参列した。葬儀は形式的な物だった。エリの亡骸がない棺にエリの遺品と花を入れて焼く。ただそれだけだ。エリがいない、こんな葬儀になんの意味があるのか…皆泣いていた。私だって泣いた。だけどそれでエリは帰っては来ない。

 

「西住隊長、何故エリの葬儀を西住流が…?」

 

私は葬儀が終わった後隊長にそう問いかけた。

 

「エリカ、それはな。せめてもの罪滅ぼしだ。エリを黒森峰に入れ、戦車道をさせたのは私だ。なら、エリを送り出すのも私の役目だからな…」

 

「私は、先に行く。早く帰るんだぞ」

 

隊長はそう言って立ち去ろうとするが私はそれを呼び止めた。

 

「エリの!エリの、お墓は…」

 

「…エリの墓は西住流の屋敷に置く事になる」

 

「それではな…」

 

そう言って隊長は立ち去ってしまった。それから、みほが引きこもりだしてしまった。エリの死はみほを戦車道から遠ざかせる。

 

「みほまで…なんで、私の前から…」

 

結局、みほは転校した。戦車道が無い学校に。私は、一人になってしまった。仲の良い友達はいる。だけど、親友が一瞬でいなくなってしまった私はそれでも戦車道を続けた。いつか、エリが生きていたとしても誇れるように戦車道を続けていくつもりだ。

 

 

エリカsideout



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第弐拾九話 銀、みほの転校に驚愕す

駄文です


「…みほが転校した?(原作は阻止した筈だぞ…?)」

 

皐月が学園艦に帰り、まほやしほと雑談をしている時にみほの話題を振った答えがみほが転校したということだった。

 

「ええ、エリ。あなたが事故死したと判断された後に余程ショックだったのか休みがちになったらしいわ」

 

「じゃあ、戦車道から一旦遠ざける為にみほが転校を?」

 

エリがみほを転校させた理由を言うとしほは静かに頷いた。

 

「まぁ、同級生が死んだって言われたらなぁ…けど、まほ姉さんは復帰したんだね」

 

「ん?ああ、なんとかな。流石に隊長が何日も休むのは良くなかったからな」

 

お、おお。流石は黒森峰戦車道隊長だな~

 

「じゃあ、エリカは…」

 

「ああ、エリカもショックは大きかったようだがなんとか復帰したようだ。エリの小隊隊員や乗組員達は新しく編成された部隊で戦車道をしている。──ショックは流石に少なくはなかったようだがな」

 

エリカも復帰、茜達も復帰したんだな。よかったよかった。←元凶

 

「そ、そうだけど…」

 

「そう言えばみほの転校先って何処なんで?」

 

エリは先程から気になっていたみほの転校先を聞いた。

 

「ん?ああ、みほは“大洗女子学園”という学園艦に転校していった。」

 

──大洗!?

 

「大洗女子学園、か」

 

まほが大洗女子学園に転校していったというので驚いた。まさかここから原作…?いや、でもうちの学園艦があるし…

 

「戦車道が無い学園艦だったわね」

 

しほが昔に無くなったのよねと言っている。

 

「そうなんだ…」

 

「まぁ、みほからもたまに連絡が来るから大丈夫だ」

 

まほはそう言って自身の携帯の通話履歴を見せてきた。

 

3日置きくらいに電話してますやん…

 

「私にはあまりかかってこないのに…」

 

お、お母様…

 

なんかまほ姉さんとお母様の頭の上にドンヨリした空気と晴れてる空気が入り交じってたよ…

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

ホーホー

 

「…みほは大洗になぁ…」

 

深夜0時を回った頃、エリはしほから与えられた部屋の布団で横になって戦車の絵が書かれた襖を眺めつつそう呟いた。

 

「原作通りなら戦車道を始める筈だけど…死傷者が出たって思ってるんだろうし…どうなる…?」

 

そうした時、スゥーと反対側の襖が開く音がした。

 

「…?なんッ!?ま、まほ姉さn グム!」

 

音がした方を向くとまほがおり、思わず叫んでしまいそうになるも口を押さえられる。

 

「しぃー…」

 

いや、しぃーじゃないですよ!

そして程なくして口を塞いでいた手を退けられた。

 

「ぷはァ…まほ姉さん、どうかしたの…?」

 

「ふふ、折角生きて帰って来たのだ、今夜くらい私も一緒に眠っても良いか?」

 

…何言ってんだろ~?

 

「いや、それは…」

 

「急に私達の前から居なくなったのだ。良いだろう?」

 

なんも言えんけど…あれ神様のせいなんだけど~。てか、やっぱりまほ姉さんがなんか可愛いんですが?断れる?俺なら断れない。

 

「むぅ…わ、分かりましたよ…後ろ向いてますからね」

 

「…それじゃあ、失礼するぞ」

 

そう言ってまほが布団の中に入ってきた。そして背中にたわわな感触g…って!

 

「ま、まほ姉さん!?」

 

「エリ、お前はもう私の前から居なくならないでくれ…」

 

まほはエリの背中に抱きつきつつ言ってきた。

 

「…もう、死ぬつもりはありませんよ」

 

まほの方を向き、そう言った。

 

「…そう、なら、いい」

 

「むッ!?」

 

まほはそう言いこちらの唇を奪ってきた。エリは顔を赤くする。

 

「ま、まほ姉さん!?」

 

「これが私の気持ちだ。エリが居なくなってから分かってな」

 

まほ姉さんが赤面してなはっとるがな…

 

「す、すぐには答えられないからね!」

 

「ああ、わかった。だから今日はこのまま頼む」

 

まほはそう言って再び抱きしめて来た。それにエリも抱きしめ返し、眠るのであった。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第参拾話 銀、学園艦に帰る

駄文です


「─理事長、西住家はどうでしたか?」

 

迎えに来た皐月がトラックを運転しつつ助手席に座るエリに質問する。

 

「まほ姉さんが可愛かっ…ンンッ!!…よかったよ」

 

「そうですか、それはよかったですね」

 

「理事長、学園艦に戻る前に何処か寄るとこあります?」

 

皐月はナビの画面を軽くつつき聞いてきた。

 

「寄るとこなぁ…エリカ、は家知らないしどうせ明後日会うだろうからいいや」

 

「明後日ですか?」

 

皐月がそう問い返してきた。

 

「連絡しただろう?西住流家元─お母様からの提案でな。十中八九、文部科学省学園艦教育局の戦車道絡みだろうな」

 

窓の外を眺めながら仮説を立てる。

 

「文部科学省学園艦教育局ですか…ポッと出の本校の実力を見たい、とかですかね?」

 

「ま、普通に考えてそうだろな。ポッと出の学園が戦車道をやってるんだから王者黒森峰をぶつけて様子見だろ。日本のプロリーグ設立の話も有るそうだからな」

 

俺が文部科学省学園艦教育局の役人ならまず間違いなくやる手だ。もしポッと出の学園が強かったら日本のプロリーグ設立が近いから勢力がぶれる事は少々目障りだからな。

 

「まぁ、俺達は俺達なりにやるだけだがな」

 

「まぁ、そうですね」

 

二人とも同意見だ。うちはうちだからなぁ~?て感じだからさ。

 

「試合形式は10対10の殲滅戦らしいな」

 

トラックに持ち込んだ荷物の中から試合関連の書類を取り出す。

 

「全国大会並みですか」

 

「そうだな、ただ全国大会はフラッグ戦で今回は殲滅戦だがな」

 

「そう言えば昨日のうちに戦車道連盟から検査入ったろ?どうだった?」

 

めくっていた書類を閉じ、思い出した思い出したと皐月に質問した。

 

「検査ですか?私が理事長の代理にしたあれですか?」

 

「そうそれ」

 

「判定装置、安全基準、規定共に問題なしです。規定書渡してきましたが…見ます?」

 

そう聞かれるも以前黒森峰の時に散々見たからなぁ…

 

「一応見ておくわ。学園艦に戻ったら執務机に置いておいてくれるか?」

 

「分かりました。なら、置いておきますね」

 

「頼むわ。あ、そうそうまた後で参加車輌決めるからさ、あぎりを執務室に呼ばないとな」

 

「三嶋副隊長を?」

 

三嶋あぎり、鈴鹿総合戦車隊副隊長。頭が切れるから味方にいると心強いが敵に回すと厄介だ。

 

「そ、まぁ今日中に来てくれりゃあいいや」

 

「…ああ、今日は訓練休みでしたね」

 

少し考えた後皐月はそう言った。

 

「一昨日聞いたら寄港中は学園艦の研究室にいるって言ってたしな」

 

「ほんとあの人何してるんですか…」

 

「いやぁ…キ○ミーベ○ベーにハマっててあ○りさんに似せてたからさ~なぞいんだよね」

 

○ルミーベイ○ーにもハマってたんよ。あぎ○さんいいよ。あ、ソ○ニャちゃんとかもかわいいよね!

 

「まぁ、帰ったら連絡しておきます」

 

「ん、お願いね~」

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第参拾壱話 エリカ、まほに突撃する

駄文です


「あの学園艦…何処のかしら?」

 

休暇が終わり、黒森峰の学園艦に帰ってきたエリカは黒森峰の横に停泊している学園艦が目に入り丁度港の入り口で会ったチームメイトの小梅に話しかけた。

 

「さぁ…あれ?あの学園艦、艦首に校章が書いてありますね」

 

小梅に指摘され、艦首に目をやるとそこには今は亡きチームメイトだった逸見エリの母校である黒森峰にも似た鈴鹿総合学園の校章だった。

 

「あれは、エリの…学園艦?」

 

「エリさんの学園艦…ですか?あの学園艦が」

 

エリが亡くなってから来るなんて…エリ…

 

「鈴鹿総合学園…エリの学園ね」

 

「西住隊長なら…」

 

小梅が西住隊長ならと提案する。

 

「…そうね、エリを編入させたのもお葬式したのも西住隊長だしね。よし!小梅!早く乗艦して西住隊長の所に行くわよ!」

 

「ち、ちょっと待ってくださいよ~!」

 

提案者の小梅を置き去りにしつつエリカは自身の学園艦に乗艦して行った。

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

<機甲科隊長室>

 

寮に荷物を置き制服に着替えるとエリカは小梅を引き連れて隊長室の前に来ていた。

 

──トントン

 

「西住隊長。逸見エリカと赤星小梅、入ります!」

 

『ああ、入ってくれ』

 

中からまほの返事を聞き隊長室に入るとエリカはまほに詰め寄った。

 

「西住隊長!横に停泊している学園艦は!」

 

「鈴鹿総合学園か?そうだ、エリカが思っている通りエリの学園艦だ」

 

西住隊長は書類処理を一時中断し返事をする。

 

「…あの学園艦側はエリが亡くなっていること、知らせたんですか?」

 

エリの死を知らせているのかとまほに質問した。

 

「…知っている。と、いうよりもあちらの学園艦を発見したのは黒森峰だ。勿論あちらの幹部が来校して来てきたそうだからな」

 

「…そうですか」

 

エリカは少し間が空きつつ返事をした。

 

「エリカ。急になるが明後日鈴鹿総合学園との練習試合が行われる事になった」

 

「あ、明後日ですか?」

 

「明後日はサンダースとの練習試合では…」

 

明後日試合だと言われ二人は困惑の表情を浮かべる。本当ならば明後日はサンダースとの練習試合の筈だったのだ。

 

「戦車道連盟と西住流家元、文部科学省からのお達しでな。サンダースには悪いが鈴鹿総合学園との練習試合になった」

 

「連盟に家元、文部科学省から…?」

 

小梅が更に困惑している。

 

「そうだ。今日のミーティングでも知らせるが試合形式は10対10の殲滅戦、試合場所は変わらずうちのグラウンドだ」

 

「「殲滅戦…」」

 

「殲滅戦だ。詳しい事はミーティングで話すからな」

 

「「…分かりました」」

 

詳しい事はミーティングでと言われエリカと小梅は分かりましたと返し隊長室を後にするのだった。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第参拾弍話 銀、作戦会議に参加する

駄文です


<戦車隊部室>

 

対黒森峰対策会議~と書かれたホワイトボードを背にエリ達戦車隊の面々が部室に集まっている。

 

「さて、黒森峰との練習試合が明後日に迫った訳なんだけど…投入車輌どーしよっか」

 

まず初めの議題がこれである。参加車輌どーしよー。

 

「逸見…西住隊長のⅣ号と三嶋副隊長のティーガーⅡに加藤第一秘書官のティーガーⅠとか?」

 

机にグデーと溶けているパンターG型車長の今川仁が提案する。

 

「ま、そこは無難だな。後は…彩加のティーガーⅡ、時雨のティーガーⅠにパンターは仁と凛を投入する」

 

まず最初に7輌が決まった。

 

「お、俺もですか!?西住隊長!」

 

仁が自身の戦車も投入すると言われ椅子から飛び上がった。

 

「ああ、そうだぞ?重戦車に片足突っ込みかけてるパンターならティーガーくらい使えるからな」

 

「はーいよ。分かりましたよ~」

 

そう言って仁は再びグデーと机に溶ける。

 

「んでもって後は…何持ってくかな~」

 

「ポルシェティーガーとかいりますかね?」

 

皐月が地図を見つつ提案する。

 

「ポルシェティーガーか~偵察とかに使えるな。じゃあ…響と渚の2輌出すか」

 

「Ⅳ号突撃砲も後1輌出しません?」

 

隊員の一人からそう提案される。

 

「そーだな…Ⅳ突も出すかな」

 

「じゃー纏めると、

 

俺のⅣ号

皐月のティーガーⅠ

時雨のティーガーⅠ

亜桐のティーガーⅡ

彩加のティーガーⅡ

仁のパンターG型

凛のパンターG型

響のティーガー(P)

渚のティーガー(P)

雪のⅣ号突撃砲

 

─の、十輌になるが…異論ないか?」

 

最後に投入車輌を読み上げ、隊員達に異論ないか聞く。

 

「「「「「「「「「「異論無し!」」」」」」」」」」

 

「問題ないですよー…フワァア~」

 

周りの全員が異論無し!と言い満場一致で練習試合に送り込む車輌が決定された。…仁!ここで寝るなよ!?

 

「えぇ~だって会議長すぎですよ~」

 

「いや、まぁ2時間くらい話しとるが…」

 

ええ、投入車輌決める前にもまぁ、いろいろな議題で会議してたから眠くなるのは分かるがなぁ

 

「早く終わって寝ましょ~よ~」

 

「あ、ああ。よし!ならこれにて解散!」

 

「「「「「「「「お疲れ様でした~!」」」」」」」」

 

解散を指示し隊員達は続々と部室を後にしていくのだった。

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

「おっ!エリ!ちょうど良いところにいたね!」

 

会議が終わり、艦の側面にある公園のイスに腰掛けていると買い物袋を下げた作業服姿の蜜柑が現れた。

 

「蜜柑?どうかしたのか?」

 

「エリの零戦の事でさ~」

 

そう言ってエリの横に座る。

 

「ああ、そういえば見繕いを頼んでたな」

 

テルマエった後にエリは喪失した自身の零戦の替わりを蜜柑に空きを見繕ってもらうように頼んでいたのだ。

 

「研三の用意が出来たんだよ~」

 

…研三ってうちに無かったよなぁ!?

 

「はぁ!?研三!?」

 

「そうそう」

 

蜜柑は肯定し、買い物袋からアイスを取り出し食べ始める。

 

「研三なんてうちあったか?」

 

「んにゃ?うちの軍需工廠を嘗めちゃダメだよ~アム!」ツメタァ~

 

うちの…軍需工廠?

 

「って!新造機かよ!」

 

「もう飛燕とかも小隊規模で出来てるよ♪」

 

えぇ…

 

「いつもの倉庫にあるから明日の訓練終わり…えーっと、六時半くらいかな?それくらいににでも来てよ、っと!」

 

そう言って蜜柑は食べ終わったアイス棒を袋に入れ、じゃーねぇ~と公園を後にしていった。

 

えぇ…



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第参拾参話 銀、整備科の変態性に引く

駄文です


翌日、エリは戦車隊の練習が終わってからいつもの倉庫に来ていた。

 

「蜜柑いるかな」

 

蜜柑がいるのかと倉庫に顔を出す。すると倉庫に入ってきたエリに気がついた整備科の一人が声をかけてきた。

 

「あれ?理事?どうかしましたか?」

 

「ああ、信か。蜜柑いるか?」

 

整備科の霞川信に蜜柑はどこかと聞いた。

 

「岡島整備科主任ですか?主任ならあそこの管理室兼仮眠室でグースカ寝てますよ。」

 

「あいつゥ…ああ、ありがと。蜜柑叩き起こしてくるわ」

 

蜜柑は倉庫の端に建てられた管理室兼仮眠室で寝ているらしく、エリは頭に手を軽く当てて蜜柑を起こしに行こうと倉庫の奥に入る。

 

「あ、理事!」

 

しかし、そこで信に呼び止められた。

 

「んぁ?どうした?」

 

「管理室の扉の前にハリセンがあるんでそれ使ってください」

 

いや、何で管理室前にハリセンなんてあるんだよ…

 

「あ、ああ…って何でハリセンなんてあるんだ…?」

 

「そりゃあ…グースカカースカ寝てるんですもん。帰る前に叩き起こしてるんですよ」

 

「えぇ…んなことあるのかよ…ま、まぁいいや。起こしてくるわ」

 

そう言っているうちに管理室の前に着くと扉の横の壁に普通にかかってた。ハリセンが。

 

「えぇ…マジであるのかよ…」

 

軽く引きつつ管理室の中を覗くと蜜柑がソファーの上で作業着のまま今にも落ちそうな毛布をかぶりつつ眠っていた。

 

「スースースー」

 

「…サッサと起きんかい!!」スパコーン!

 

「イッタァー!!」ガザc!

 

横になって寝ていた蜜柑の腰にハリセンがヒットし、蜜柑は飛び起き床に転げ落ちた。蜜柑の頭からギャグ漫画のように煙が上がっている。

 

「な、なにするのさ!エリ!」

 

「目が覚めたか~?み・か・ん?」ゴゴゴゴ

 

叩き起こされ、涙目ながらエリに抗議するもエリの気迫に押されてしまう。

 

「アッ、ハイ!」

 

「寝すぎるなよ…ったく、で?研三ってのは?」

 

軽い小言で済まし、用意が出来た研三とやらのことを聞いた。

 

「ンン!ああ、研三ね。着いてきて、見せるわ」

 

そう言って蜜柑は床から立ち上がり、管理室の奥の扉を開け、部屋の電気をつける。すると部屋の中に1機の航空機が現れた。───研三だ。

 

「おお~!」

 

そう言って研三の近くに行き、周りを見て回る。

 

「液冷X型エンジン3350馬力、それに2段のスーパーチャージャーとターボチャージャー付きで4370馬力は出るよ」

 

「4370も出るのか!?」

 

4370馬力っていうとアメリカ軍機のP-51マスタングやF-8Fベアキャットのレース仕様並みなんだが…

 

「速力にすると試算だけど830km/hくらいは出ると思うよ」

 

「えぇ…戦車道連盟のでも689km/hくらいなんだけど…」

 

戦車道連盟にも研三はある。だけどこんな化け物性能なんかじゃない!!

 

「そりゃあ…二号機の設計予定をベースに作ったからねー。それにうちには8軸マシニングとか変態技師とかいるからさ~それくらい出るよね~」

 

「えぇ…うちの整備科って何者の集まりなんやねん…」

 

うちの工廠ってのもあるだろうけど…

 

「あ、エリ!これ乗ってみる?試験しなきゃなんだけどさー」

 

蜜柑に二号機に乗ってみるかと問われる。

 

「う~ん…乗ってみるかなぁ…」

 

「よし!なら善は急げだ!ささっ!早く着替えて来てよ!」

 

そう言って俺にそこらへんにあった飛行服をひっ掴み、押し付けてきた。

 

「あ、ああ、わかったよ」

 

返事をし、エリは倉庫内にある更衣室に向かっていった。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第参拾四話 銀、研三を飛ばす

駄文です


「おーい!蜜柑、着替えたけど─「早く早く!」─!」

 

更衣室から出て蜜柑を呼ぶが扉の外には既に蜜柑が立っており、すぐに手を引かれ研三の前まで連れてこられる。

 

「み、蜜柑!」

 

「後々!さ、エリ乗って乗って!」

 

蜜柑に言われるがまま研三のコックピットに乗り込む。

 

「…前が見えないな」

 

「それはしょうがないよ、コックピットが後ろなんだしね。じゃ、各計器の説明するよ───────ってことだから」

 

脚立に乗った蜜柑がコックピットに乗りだし、計器類を指して説明する。

 

「ん、分かったんだが着陸には160km/hまで落としてゆっくりだな?」

 

「そうよ。後は機体は真っ直ぐに入ってよ」

 

最後にとエリは研三の着陸時の確認をした。

 

「ん、わかった。─じゃ、頼むわ」

 

「分かったわ──研三!出すわよ!!」

 

蜜柑が脚立から降り、整備科の生徒達に研三を滑走路へ運搬の手伝いを指示し、研三がゆっくりと進み出す。そしてしばらくして機体が滑走路の真ん中にたどり着き、整備科の面々が離陸する準備を行う。

 

「エンジンかけるぞ!!離れろよ!!コンタクト!!」

 

周りの生徒達が離れきったのを確認してからエンジンを始動させる。

 

ブロロンッ!!

 

「よしっ!出るぞ!」

 

コックピットから手を空に突き上げ、もう飛び立つぞという合図を蜜柑に送る。蜜柑の返答を確認し、前を向く。

 

「スロットル上げ」

 

スロットルを上げ、操縦桿をぐっと前に倒す。研三はエンジンの轟音を轟かせつつ速度を上げる。そして、すぐに機首が下がり、機体が水平になり操縦桿を戻す。

 

「70…75…80…85…92!!」

 

速力が92ノットに達し、操縦桿を引く。すると機体が空に飛び上がった。直ぐ様椅子を下げ、風防を閉めて脚を上げる。

 

「ふぅ…飛んだな」

 

『エリー!ちょっと試してみてほしい事があるんだけどさー』

 

ある程度の高度を確保すると地上の蜜柑から無線機が入った。

 

「なんだ?」

 

『水平スロットル全開で飛んでみてよー!』

 

「なんだ、そうか。分かった。全力飛行に入る!」

 

そう言ってスロットルを段々と開き、遂には全開にする。

 

『速度は?』

 

「421…427…429…432!437…443…448…455ノット!!」

 

『455!?ヤッター!!ヽ(*´∀`*)ノヤリマシタヨシュニン!!』

 

無線機の奥から歓声が聞こえてくる。

 

『それ以上出そう?』

 

これ以上出るかと聞いてくる。ただ、回転数をこれ以上上げるのは少々危険だと感じ、伝える。

 

「いや、これ以上はエンジンが回りすぎるぞ」

 

『そっか…まぁ、455も出たなら大丈夫そうね』

 

「そうだな。ただ、格闘戦をするなら450くらいで止めておいた方が良いかもな。なぁ!蜜柑!!これから大洗まで行ってきていい?」

 

エリは蜜柑に質問する、が、すぐに却下される。

 

『却下!!エリはそう言って前も落ちた前科があるでしょ!!第一、今のそれで航続距離無いから!!普通の奴より燃料食うんだから増曹なしに大洗まで行けるわけないでしょ!!しばらく空中回るくらいにしといて!』

 

「わ、分かった。なら、しばらく…飛んでくるわ」

 

はぁ…まぁ、試合終わってから学園艦で行けばいいし最悪ゼロでも借りて飛んでくかな。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第参拾伍話 銀、エリカと再会する

駄文です


<黒森峰>

 

エリカside

 

試合当日、試合開始10分前程に鈴鹿総合の戦車達が黒森峰に搬入されて今、グラウンドに整列して並んでいる。

 

「ティーガーⅡにティーガーI、ポルシェティーガーにパンターって黒森峰とほぼ同等じゃない」

 

ティーガーⅠ2輌、ティーガーⅡ2輌、パンターG型2輌、ポルシェティーガー2輌、Ⅳ号突撃砲1輌が今目の前に整列している車輌達だ。

 

「後1輌いないわね…」

 

そう呟くと小梅が聞いた事を話してくれた。

 

「後1輌は少し遅れているそうで…あ!来ましたよ。エリカさん」

 

小梅が来たと言った方向を見る。Ⅳ号だ。…エリ…

そしてそのⅣ号もまた鈴鹿総合の整列している戦車の中に混ざり、停車した。そして少ししてからⅣ号の中から塔乗員が降りてきた。最後に砲塔のキューポラから降り立った人の顔を見てエリカは目を見開いた。横の小梅や他の隊員達も同じように目を見開いている。

 

 

 

───あの、私に似た髪は────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「エリッ!!」

 

 

エリカsideout

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

「エリッ!!」

 

黒森峰に到着してグラウンドに降り立つとエリカが俺の名前を叫び、飛び込んできた。

 

「エ、エリカ!?」

 

「…急に、私の前からいなくなるんじゃ無いわよ!このバカ!!」

 

可愛いなぁ…ゲフンゲフン!

 

「あ、ああ。…エリカ?ここさー」

 

「え?あっ!…アハハ…」

 

冷静になり、顔を赤くしたエリカは苦笑いをしつつ自分のチームメイトの方に戻っていった。

 

「逸見エリカ、ねぇ~えらい似てたね。エリ」

 

横に立つ美乃が言ってくる。

 

「そーだな。うし、行くぞ」

 

「はーい」

 

美乃に軽く返し、黒森峰側との試合前の挨拶に向かう。

 

「皆、お久しぶりで。不肖エリ、生きて帰って参りました」

 

そう言って軽く会釈する。

 

「じゃあ“姉さん”、今日は頼みます」

 

「ああ、私もエリのチームと戦えて嬉しいぞ」

 

「姉さん…?」

 

まほの横に立つエリカが頭に疑問符を浮かべる。

 

「?何かおかしいか?」

 

まほはキョトンとした表情で聞き返す。

 

「い、いや、今エリが西住隊長の事を姉さんって…前まで言ってましたっけ?」

 

「?私がこの前エリの姉になったからだが…それに呼び方は最近になってからだ」

 

まほが可笑しいことがあったか?とかしげつつ爆弾を投下した。そして、その瞬間エリカの威圧感がフッと出て来た。

 

「エ、エリカ!?」

 

「エリが…西住隊長の弟に…?やっと帰ってきたと思ったら私より先に…?」ゴゴゴゴ!!

 

最後が聞き取れはしなかったが、後ろですごいゴゴゴゴ!!ってなってるんだが!?

 

「ね、ね、姉さん!!試合始めましょう!!早く!」

 

「ん?ああ、わかった。では、審判員さん。お願いします」

 

そう言ってまほは審判員に進行を任せる。

 

「分かりました。では、双方、礼!」

 

「「「「「「「よろしくお願いします!!」」」」」」」

 

「では、双方戦車に搭乗してください」

 

そう指示が出され、エリは未だにゴゴゴゴ!!となっているエリカから逃げるように素早く自分の戦車に向けて走って行った。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第参拾六話 銀、かくして戦車は進む

駄文です


「あっちの副隊長、異様にエリの事見てたけど…何かしたの?」

 

Ⅳ号に乗り込み、試合開始ポイントに向かっていると砲手の唯が試合開始前のエリカの事を聞いてきた。

 

「いや、何かしたって事はないはずなんだがなぁ…」

 

「はぁ…(ほんとなにしたんだろ、エリ)」

 

なんか凄いため息つかれたんだが?

 

「ま、まぁ…ほら、試合始まるぞ」

 

時計を見て試合開始の時間だと話をずらす。

 

「はーい」

 

『それでは、黒森峰女学園対鈴鹿総合学園の試合を開始します』

 

スピーカーから審判員が試合開始を宣言した声が聞こえてきた。

 

「うしッ!行くぞ」

 

「はいよー」

 

そう言って戦車は前進する。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

エリカside

 

エリ…エリ…エリ!!生きてたならなんで…ナンデワタシにアイにコナかッたのよ!!それに弟…?エリは───

 

「…な、なんかエリカいつもより荒れてる…」ボソッ

 

「そりゃあ…エリ副隊長が生きてたってのに西住隊長の弟扱いになってりゃあ…」ボソッ

 

「うるさいわよ!高美!」

 

ティーガーⅡの中でコソコソ話していた高美とレミに渇を入れる。

 

「「は、はいぃー!!」」

 

高美達はエリカの怒声に声が裏返る。

 

『全車、パンツァー・フォー』

 

スピーカーから西住隊長の声が聞こえる。

 

「続くわよ!前へ!」

 

そうして戦車は進む。

 

エリカsideout

 

 

─────────────────

 

 

 

 

 

 

────────────

 

 

 

 

 

───────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『エリ隊長~Ⅳ突、予定ポイントに着きました』

 

『こちら響、ポルシェティーガー配置着きました』

 

『隊長~あぎりですけど、もうすぐポイントです~』

 

『理事長、皐月です。こちらも三嶋副隊長と同じくです』

 

試合が開始されて早20分、エリは林の中に隠されたⅣ号の中で他の隊員達からの連絡を聞いてきた。

 

この時間までにこちらは時雨のティーガーIと彩加のティーガーⅡ、渚のポルシェティーガーの三輌が撃破され、こちらは逆に相手のティーガーIを1輌撃破しただけであり相手は高台を占領、並びに砲配置と簡易な要塞形成が完了されかけている。

 

「相手は9輌、こちらは7輌なぁ…」

 

軽く愚痴が溢れる。流石は黒森峰、王者は違うと認識させられる。

 

さて、ここで勢力比較をしておこう。

 

こちらはエリのⅣ号を筆頭に

皐月のティーガーI、

あぎりのティーガーⅡ、

響のポルシェティーガー、

仁と凛のパンター、

そして雪のⅣ号突撃砲だ。

 

対して黒森峰は

まほらのティーガーIが二輌に

エリカ達のティーガーⅡが三輌、

フェルディナントが1輌、

三号が二輌、

パンターが1輌だ。

 

「ティーガーⅡが二輌も高台にいるってんだからなぁ…」

 

そうである、今エリが隠れている林の前にそびえ立つ高台には無傷のティーガーⅡにフェルディナント、パンター、Ⅲ号戦車が陣を張っている。

 

「ふぅ…よし!行くか!」

 

そう言って自身を鼓舞し唯に砲撃の用意をさせる。

 

「唯、高台の敵車を砲撃するぞ」

 

「はいはい、分かりましたよ」

 

唯はハンドルをキュルキュルと回し射角を取り始める。それを横目にエリは同じく林に潜伏している仁と凛に無線を入れる。

 

「こちらエリ。仁、凛、聞こえてる?」

 

『『聞こえてますよ』』

 

「高台の敵車に砲撃後、高台奪取を目的に突撃する。いいな?」

 

『分かりました』

 

『はいはい、やりゃ~いいんですね?』

 

『(゚Д゚#)仁!!』

 

いつも通りの仁に凛がキレた。

 

「り、凛。ステイ、ステイ」

 

『わ、分かりました』

 

凛を落ち着かせてからエリは無線に向けて再び話し始める。

 

「それでは諸君、ミーティングに合ったように我々は敵高台の戦車を砲撃後高台奪取を目的に突撃する。

 

それでは作戦A-3───────────

 

 

─────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───作戦名、203高!始動!!」

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第参拾七話 銀、作戦名203高を発動する

駄文です


「撃てェ!!」

 

エリがそう叫ぶと凛、仁の車輌も一斉に高台の敵車を砲撃する。高台にあったティーガーⅡ1輌の撃破を確認した。

 

「前へ!」

 

キューポラから体を乗り出させ、後ろの2台にも自身のⅣ号に続くように指示する。そして尚且つ無線機にも叫ぶ。

 

「響!!」

 

『合点ッ!!』

 

敵が状況を理解し、こちらの対応を取ろうと主砲を回転させてくるがそうはさせまいと高台の付近に潜ませていた響のポルシェティーガーを呼び出す。響のポルシェティーガーが飛び出したのが予想外だったのか敵に混乱する。

 

「各車!周囲の敵に警戒しつつ高台に突っ込む!!行くぞ!!」

 

そしてエリ側が高台の攻略に乗り出す。飛び出させたポルシェティーガーは持ち前の高速を武器に高台からの攻撃を避け、敵を誘いだし、1輌のⅢ号戦車を撃破していた。

 

「撃ちィー方ヨーイ!!撃て!!」

 

誘い出された敵に向け、エリ達も高台へ向けて砲撃する。三輌から放たれた砲弾が高台にまばらに着弾し、そのうち一発がフェルディナントの履帯部に着弾し、フェルディナントの動きを止める。

 

「響!」

 

『分かってるつ~ちゅーのッ!!撃て!!』

 

動きの止まったフェルディナントを響のポルシェティーガーが接近して撃破する。

 

「よし!後は…!!急停車!!」

 

敵はいないかと探しかけ、左側になにやら発砲炎の光が見えた。エリはすぐに急停車をかけ、Ⅳ号を停車させる。しかし、スピードが出ていたことと急な事で停車が遅れた凛のパンターに砲弾が命中し、撃破されてしまった。

 

「散開!!」

 

散開を指示し動き始めると自身がいた場所に砲弾の雨が降り注ぐ。大方遅れて砲撃してきた砲弾だろう。

 

「ふぃー、危なぁ…」

 

そう言って絶賛逃走中の中でエリはキューポラから体を乗り出し、双眼鏡を使い相手を見る。

 

「敵は…ね、姉さんにエリカ!?それにティーガーⅡにティーガーIに…四輌!?捻り潰しに来てんの!?」

 

「の、残り全部来てるの!?」

 

紗智がエリの叫びに反応し、聞き返す。

 

「と、取り敢えず響と皐月は高台で陣地構成!仁!あぎり!!カモン!!」

 

『はーい』

 

『わかりました~』

 

響と皐月に高台での陣地構成を指示し、仁とあぎりを呼び寄せる。

 

「全速で突っ込むぞ!!」

 

「た、隊長!?気でも狂ったんですか!?」

 

唯がすぐさま抗議する。

 

「当たらんだらいいんだよ!美乃!行けるな!!」

 

そうだ、ジ○ンの赤くてシスコンロリコンマザコンの彗星総帥も言ってたんだからさ!

 

「行けるニャ!!」

 

「み、美乃ォ…」

 

唯がこうだれる。仕方がない、この車輌の車長に操縦手までやる気なのだ。

 

「もぅ!分かりましたよ!美乃!ゼェッーたいに当たらないでよ!!」

 

唯が堪忍したのか下の美乃にそう釘をさす。

 

「ウラァ!!行くニャ!!」

 

そう言ってⅣ号とパンター、ティーガーⅡはスピードを上げてまほ達の隊列に向かって突撃を開始する。

 

「─右!次、左!!」

 

エリ達は降りしきる砲弾の雨を避け、まほ達に肉薄していく。そして、その中でもあぎりのがティーガーⅡを1輌撃破し、エリもⅢ号戦車を1輌撃破するがこちらも仁のパンターを撃破される。こちらはギリギリ避けられるがあぎりの方はちょくちょく当たりつつも距離から装甲を抜かれずギリギリ弾いているに過ぎない。そして、そのすぐ後にエリの元に驚くべきいや、想定から抜けていた事態が起こる。

 

『た、隊長!!こちら響!!敵Ⅲ号戦車とティーガーIに襲撃されて撃破されました!!』

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第参拾八話 銀、吶喊する

駄文です


『た、隊長!!こちら響!!敵Ⅲ号戦車とティーガーIに襲撃されて撃破されました!!』

 

急に入った通信に戸惑った。いや、ここにいない車輌なら襲撃に行っても不思議ではないのだ。

 

「さ、皐月は!!」

 

『秘書官ならなんとかⅢ号を撃破しつつ離脱していきました!』

 

そうか…これでⅢ号はいなくなったけどティーガーⅠ2輌にティーガーⅡ1輌、パンターが1輌も敵にはいる。こちらはというとエリのⅣ号にティーガーI、ティーガーⅡにⅣ突が各1輌ずつだ。

 

「───指示する敵車は4輌、すべて重戦車だ。俺が囮になってポイント───まで行くから雪、砲撃を…」

 

『す、すみません、こちらⅣ突ですけど撃破されちゃいました!』

 

雪を作戦に組み込もうとした矢先にこれである。

 

「何!?」

 

『た、ただ敵パンターは仕留めました!』

 

ヨシッ!!パンターはやった!でも三輌で作戦遂行は無理…か。

 

「…くそっ!こちらエリだ!現時点を持って203高を破棄、緊急作戦概要Z-28発動!」

 

203高がもはや無理だと察するとエリは作戦破棄を通達し、緊急作戦概要、Z-28を発動させる。緊急作戦概要、それは各車長に渡される作戦書類である。そのZシリーズの28番目の作戦で【各車、車長指揮を最重要とし、敵を撃滅せんとス】これが内容だ。それを聞いた仁が驚き、叫んだ。

 

『Z-28!?』

 

意味は至って簡単、<独断専行許可権>これだけである。

 

『…わかりました~』

 

『分かりましたよ!』

 

残っている皐月とあぎりが返事をしてくる。それを聞いてすぐにエリは針路そのままを指示して敵に突撃を続行する。その間、エリの車輌もまほの車輌も砲撃が止まなずエリのⅣ号は段々と被弾が増え、右側面と砲塔左側のシュルツェンが吹き飛んでいる。

 

「んなッ!?」

 

そして、まほ達と距離がわずか300mに迫ったとき、突如としてまほのティーガーIがエンジンから煙を吹き上げた。何処からか着弾したようだ。隣のエリカからは驚きの表情が見てとれた。

 

『やりましたよ~…ウッ!?…やられちゃいましたぁ~』

 

『この!!す、すみません理事!私もやられちゃいました!ただティーガーIは仕留めましたから!』

 

無線機からはあぎりの誇らしげの声がするも、無線機から突如轟音が響き、あぎりがもうしなさげにやられちゃいましたぁ~と報告を上げ、皐月もあぎりのすぐ後にティーガーIをやったが撃破されたと報告してきた。

 

「ナイスだ!!美乃!!」

 

「合点でぇ!!」

 

そう言って美乃はアクセルを踏み込み、Ⅳ号をスピードに乗せ突撃する。そして、後10mと迫った所でエリカのティーガーⅡから砲撃があった。

 

「回避!!グッ…」

 

「はいニャ!!」

 

車輌を急に橫にずらして回避を図る、しかし、距離が近かった事から残っていた左側のシュルツェンを弾き飛ばされる。

 

「左側から回り込んで側面に!」

 

「美乃!!」

 

「任せんしゃい!!」

 

「各員!対ショック!!」

 

Ⅳ号が回避行動を活かしつティーガーⅡの側面に向かい、Ⅳ号は勢いそのままにティーガーⅡに追突した。

 

「グッ…唯!!」

 

「はい!!」

 

敵の主砲がすぐにこっちに狙いを着けてくる。それに対してエリも砲塔内の唯に砲撃を指示して引き金を引かせる。

 

「「撃てッ!!」」

 

次の瞬間、二輌の砲身がほぼ同時に光り砲弾を撃ち出した。二輌は爆煙に巻かれ、見えなくなる。が、煙が晴れると…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シュポッ!

 

 

 

 

 

シュポッ!

 

 

 

 

 

 

二輌に遅れて白旗の上がる音がしてからすぐに審判員から無線が入ってくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『鈴鹿総合学園!全車行動不能!よって、黒森峰女学園の勝利!!』



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第参拾九話 銀、試合の後は喫茶店で

駄文です


エリカside

 

「なっ!?た、隊長!?」

 

エリのⅣ号との距離が300mに迫った時、急に隣の西住隊長車が撃破された。

 

『エリカ!後を任せる!』

 

無線から西住隊長の声が聞こえ、エリカは前にいる敵、エリのⅣ号に思考を向ける。エリのⅣ号が撃って来てはいるがこちらはティーガーⅡだ。回避行動もするしこの重装甲だ。こちらが白旗をあげる事はない

 

「当たらないわね…」

 

Ⅳ号はさらにスピードをまして接近してくる。エリカは後80mと迫った所でエリのⅣ号に向けて主砲を発射する。

 

「撃て!!」

 

当たるかと思われたがⅣ号が右に避ける。が、距離が近かったこともあり左側のシュルツェンを弾き飛ばされる。Ⅳ号はそのまま楕円を描くように離れ、再び接近してきた。

 

「突っ込む気!?」

 

Ⅳ号が勢いそのままにティーガーⅡの側面に追突した。

 

「グッ…高美!」

 

「はい!!」

 

Ⅳ号の主砲がすぐにこっちに狙いを着けてくる。が、それはこちらも同じこと。数十cm先にエリの顔が見える。

 

「「撃てッ!!」」

 

 

エリカsideout

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

練習試合が終わり、撤収作業が終わった後エリとまほ、エリカの姿は黒森峰にある喫茶店にあった。

 

「珈琲です。では、ごゆっくり」コトッ

 

 

店員がエリ達の前に注文した珈琲を置き、離れて行った。

 

「…で、エリは何で生きてて私に会いに来なかったの?」

 

エリカが開口一番に聞いた。

 

「エリカの家知らなくてさ…」

 

「そういえば教えてなかった…」

 

盲点だったとエリカが額を押さえる。

 

「……なら、西住隊長の弟って、ドウユウコト?」

 

再びエリカが質問をしてきた。

 

「あー…なんか、こっち来た時に後見人が~ってので書いてたんだよ。養子縁組届け」

 

「…は!?」

 

「そうだな、後見人にお母様を押したのは私だ。ただ、養子縁組の話は最近まで知らなかったがな」

 

まほはそう言って珈琲を啜る。

 

「帰ってきて自分のお墓見てから知るって笑えるよね」

 

「いや、普通笑えないわよ!?」

 

エリの発言にエリカがつっこんだ。

 

「エリカも見ているだろう?エリの墓石は」

 

まほはそうエリカに聞く。

 

「え、ええ。見てはいますが…なんというか…後見人とかの名字を入れたのかと思ってましたよ」

 

そらそうだろ、俺もそう思ったし。

 

「…で、エリはこれからは…」

 

「ああ、鈴鹿総合に戻るよ。くさっても鈴鹿総合の人間だからね、俺は」

 

そう言ってエリも珈琲を啜った。

 

「そう…だけどね!エリ!今度私達の前から消えたら容赦しないわよ!」

 

「そうだな。エリ、居なくなるなよ」

 

「えぇ…ま、まぁ、居なくはならないよ、ただ少し離れるくらいだから大丈夫だよ」

 

まほとエリカに同じことを言われ、居なくはならないと肯定する。

 

「それで、エリの学園艦はこれからどうするんだ?」

 

まほがエリの学園艦の今後について聞いてきた。

 

「結局うちの学園艦は私立学園艦ってことで落ち着いたんだけど。これからの航路は取り敢えずみほの学園でも見に行こうかなってさ」

 

「みほの学園に?」

 

エリカが聞き返す。

 

「そ、なんか面白い事が起きる気がしてさ」

 

「面白い事ねぇ…」ズズズ

 

そんな起こるかしらね…とエリカが言う。

 

「まぁ、何かあるんじゃないかな…っと、時間だから行くね」

 

「ん、ああ、またな」

 

「またすぐに会いに来なさいよ!」

 

「ん、もちろん。また来るから~」

 

壁に掛けられた時計を見て出航時間が迫っているのを確認したエリは残っていた珈琲をグッと飲み干し、財布から三人分のお金を机に出し、店を後にする。

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第四拾話 銀、出航せり

駄文です


<エリが帰った後の喫茶店~>

 

「…エリはあげませんからね」

 

店から出ていくエリを見送りながらエリカはまほにそう言った。

 

「エリはもう私の弟だから譲れないぞ」

 

まほもエリを見送りつつ言った。

 

「それにエリとは一緒に寝たりしたからな(*´∀`*)ポッ」

 

「な、なんですって!?隊長!隊長でもエリはあげません!!」

 

エリが泊まっていった日の事をフフーン♪と言う。

 

「…エリは私のです」

 

「エリは私のだ」

 

「「(負けない!)」」

 

二人の乙女が燃えに燃え上がるのであった。

 

店員「(熱いなぁ~)」

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

「理事、出航準備出来ました」

 

艦長席に座った主直の生徒が準備ができたと報告をしてきた。

 

「ん、出航用意」

 

「出航用ォ~意!」

 

パパパパ-!パパパパー!パパパパッパ!パッパラ~!!

 

主直生徒が出航用意と復唱する。そのすぐ後に別の生徒がラッパを吹く。艦橋内にラッパの音が響き渡る。

 

「舵そのまま、後進微速」

 

「舵そのまま!後進微速!」

 

主直が舵中央、微速後進を指示し操舵手が復唱し操舵を始める。

 

「ハーバーフル(港内最大速度)」

 

「ハーバーフル!」

 

全長15kmもある学園艦がゆっくりと後ろに進みだし、波止場から脱する。そして、波止場から完全に船体が出て回頭したとしても充分余裕がある所まで来ると次の指示をする。

 

「ストップエンジン」

 

「ストップエンジン!」

 

学園艦のスピードが段々と落ち着く。

 

「両舷前進最微速、面舵一杯、サイドスラスター使用して」

 

「両舷前進最微速!面舵一杯!サイドスラスター起動!」

 

両舷微速前進と面舵一杯、サイドスラスターの使用が指示され、学園艦が今度はゆっくりと右に曲がりながら前に進みだした。そして、学園艦が回頭しだしてからしばらくして、新たな指示が出される。

 

「サイドスラスターストップ」

 

「サイドスラスターストップ!」

 

「戻ォーせー」

 

「戻ォーせー!!」

 

「両舷前進原速」

 

「両舷前進原速!」

 

舵が戻され、艦のスピードが微速から原速へと変えられる。そうして学園艦は出港していった。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

大洗女子学園生徒会室

 

「鈴鹿総合学園ねぇ~」

 

生徒会室で椅子に腰掛けつつ書類をペラペラとなびかせるのは20年前に廃止された戦車道を復活させ、廃校阻止を目指す大洗女子学園生徒会長、角谷杏である。

 

「鈴鹿総合学園?その学園がどうかしたんですか?」

 

生徒会広報の河嶋桃が杏に聞き返す。

 

「三重県の学園艦らしいよ」

 

「三重県の?三重に学園艦なんてあったっけ?」つお茶

 

お茶を机に置きつつ副会長、小山柚子が答える。

 

「ああ、柚子ありがと」

 

「ん~サンキュ~」

 

「ん、なんかこの学園艦は平行世界の学園艦らしいよ?」つ書類

 

そう言って書類を二人に渡す。

 

「鈴鹿総合学園…私立?」

 

「黒森峰サイズじゃないですか!!」

 

書類に書かれた詳細を見て桃が叫ぶ。

 

「みたいだよ。これから面白くなるねぇ~」

 

そう言って杏は干し芋を噛るのだった。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第四拾壱話 蜜柑、戦車改修計画を打診する

駄文です


「お~い、エリ~蜜柑ちゃんが来たぞ~」

 

蜜柑が作業服で執務室に入ってくる。

 

「…ん?どうしたんだ?蜜柑」

 

「どうしたって自分で呼んでたじゃん?」

 

…ポク、ポク、ポク─チーン!

 

ああ!Ⅳ号達の整備頼んでたんだった。…すっかり忘れてた…

 

「…すまん、忘れてた」

 

「ったく…まぁ、いいか。で、整備は終わったんだけどさ?改めて規定見てたらまだまだ改修出来る所が分かったんだ」

 

…あの改修具合でまだ改修の余地有りと?どんだけ甘いの?

 

「そんなにか?うちのⅣ号とかポルシェティーガーとかゲーム時点で改修値天井までいってたんだけど?」

 

そうである。元々のゲームではエンジンや装甲、変速機を搭載、改修ができたのだ。鈴鹿総合学園の戦車は大部分が改修値を天井まで強化してあるものばかりだった。

 

「ああ、規定見てたらたまげたよ。エンジンや変速機の複製搭載可能だったんだよ」

 

「複製搭載?」

 

「つ・ま・り!改修改修して有る意味ボロボロのエンジンを改修してないけどうちの軍需工場で複製したカタログスペック以上を軽く叩き出すエンジンに変えられるのだ!!」

 

「な、なんだってー」

 

いや、それやったら強いわ。てかそんなんできんのか…って出来るんだったな。

 

「んな訳で全部の戦車変えてもいい?」

 

蜜柑が軽く上目遣いで聞いてくる。うぅむ…

 

「…順次な」

 

「((‘д’o≡o’д’))イヤッフー!!改修♪改修♪」

 

蜜柑が小躍りしている。

 

「…皐月」

 

「予算の都合、つけときますね」

 

はぁ…いくらかかるのやら…

 

「鋼材とかの資材は工廠にあるわよ?大量に」

 

「あ、あるの?」

 

「あるわよ?『転移させるから資材大量搬入しとくねぇ~☆神様より』って手紙と一緒に」

 

神様ェ…

 

「…まぁ、一応予算は出しとこう。5000あれば足りるか?」

 

「う~ん。5000かぁ…6000は?」

 

予算を最初5000と言ったが、蜜柑が6000はいるという。

 

「何に使うんよ…」

 

「ポルシェティーガーのモーター買いたくてさ」

 

「…わかった、 6000な」

 

ポルシェティーガーのモーターなら仕方ないか。

 

「で、順次してくのはいいとしてⅣ号は弄りすぎてて改修に時間かかるから試合とかするなら別の車輌使ってね?」

 

「えぇ…仕方ないか。代車なぁ…どうすっか」

 

「ポルシェティーガーにする?ティーガーⅡにする?」

 

代車の案を出してくる。

 

「ポルシェティーガーかなぁ…」

 

「ポルシェティーガーにするの?黒森峰じゃティーガーⅡだったんでしょ?」

 

蜜柑がそう質問してきた。

 

「いや、まぁそうなんだけどさ。Ⅳ号乗ってるのって速いしみぽりんの戦車だしってので…つまりはティーガーⅡは遅いからやだ」

 

「簡潔ゥ~」

 

「ま、まぁ、じゃあポルシェティーガーで調整しとくわね」

 

持ってきていたバインダーに挟まれた紙にメモを取る。

 

「ん、じゃ確かに。私は工廠に行って来るわ~」

 

「ああ、頼むわ」

 

「お願いしますね、岡嶋主任」

 

蜜柑はそう言って執務室を後にしていった。そしてそのすぐ後に執務室に電話が入った。

 

「はい…はい、はい…わかりました。理事にはそのように伝えます。はい」

 

執務机に備え付けられた電話の受話器をガタンと置く。

 

「なんかあったのか?」

 

「いえ、食料泥棒?を捕まえたと報告がありました」

 

「食料泥棒ねぇ…どんなやつなの?」

 

どこから忍び込んだのやら…そう言いつつ皐月に犯人がどのような奴なのかを聞いた。

 

「カンテレ持ってて水色と白の縞々帽子をかぶった女子らしいです」

 

「……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「継続のミカじゃん!!?」

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第四拾弍話 銀、営倉にミカを呼びに行く

駄文です


営倉

 

「─で、食料泥棒はどんな感じにしてる?」

 

営倉の前に着くと部屋番に着いていた生徒に質問した。

 

「はい。食料泥棒はミカと名乗っておりカンテレを弾いてますよ」

 

「ミカかぁ…よし、鍵開けてくれ」

 

「あ、危ないですよ?」

 

「大丈夫大丈夫、コイツ、一応知り合いなんだよ…」

 

そう言うと「わかりました」と言って営倉の鍵を開けてもらった。それからエリは営倉の中に入る。

 

「黒森峰じゃなくてうちにも食料泥棒に来んなっての」

 

「─!?エリ!?生きてたのかい!?」

 

ミカはエリの顔を見るなりそう言ってきた。

 

「なんとかな。で、なぁ~んでミカはうちで食料ドロして捕まってんの?てかなんでいるの?」

 

「…風に教えられたのさ」ポロロン~

 

カンテレを弾いていつも通りだなぁ…

 

「どーせ黒森峰に忍び込んでバレてうちに乗り込んで来たって所だろ」

 

「…か、風のままに来ただけだよ」ギクッ…

 

おい、いまギクッ!ってなったぞ!

 

「…ったく、実家から仕送り有るだろ?千代さんならしてそうなんだけど」

 

「戦車道に消えマシタ…」

 

コイツは…

 

「次したら千代さんとありすに報告n 」

 

「そ、それだけは!それだけはやめて!またお小遣い減らされてしまう!」

 

報告しようかと言いかけるがミカの必死な懇願により消え去った。

 

「…今回だけだからな」

 

「た、助かるよ」

 

「はぁ…アキには知らせるからな?」

 

「それもかんべ「知らせるからな?」…アッハイ」

 

アキに知らせんだらどうやって送り返せばいいんだか…

 

「後で継続までは俺が乗せてくわ」

 

「本当かい?助かるよ」

 

航空機出した方が良いだろ。速いし

 

「ミカは理事長室に連れていくから営倉の警備はもういいぞ」

 

「はい!わかりました!」

 

部屋番にそう伝えて営倉を出る。

 

「世話になったね」

 

「本当にだな。さ、行くぞ」

 

「分かったよ」

 

そうして理事長室に向けて歩いていった。

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

理事長室

 

「ここがエリの理事長室かい。広いね」

 

ミカは執務室に入るなりそう言った。

 

「そうか?普通ぐらいじゃないかな?」

 

「理事、お帰りなさい。で?そっちが食料泥棒さんですか」

 

「ミカだよ。よろしくね」

 

皐月に自己紹介をし、ソファーに腰かける。

 

「継続の隊長だよ。こんなだけどさ」

 

「こんなとはひどいね「千代さん…」…すみません」

 

千代さんの名前出すのが効くな。

 

「皐月、継続からなにか返答あったか?」

 

「あーっと、ありましたね。アキ?とかいう人が「しばらく営倉に突っ込んどいて下さい」って言ってましたよ?」

 

アキェ…

 

「継続の学園艦の所在地は?言ってなかったか?」

 

「和歌山沖を航行してるらしいですよ?」

 

継続は和歌山と…

 

「ミカ?お前どうやって熊本にいたんだ?」

 

「ん?この前黒森峰と練習試合をした時にね、忍び込んだんだよ。たしか…5日前かな?」

 

「えぇ…」

 




私はミカ=島田ミカ説を押したい。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第四拾参話 ミカ、スカイダイビングが決定する

駄文です


どうやって黒森峰に忍び込んだのかと問うと、どうやらミカは5日前に行われた黒森峰との試合終わりに忍び込んでいたようだった。

 

「5日も良く乗ってましたね…」

 

「ま、まぁいいや。鹿児島沖なら一式陸攻で送って行けるな」

 

「一人で行くとか言わないで下さいよ?この間落とされたばっかりなんですから」

 

 

そう言って釘を刺される。いや、まぁ、そうなんだけどあれって神様の都合で…「ダメですからね。護衛機くらい着けてってくださいよ」

 

「…俺まだ何も言ってないよ?」

 

「大体分かりましたよ」

 

「で、ミカさんを継続まで一式陸攻で送っていくのですか?」

 

「ああ、山岡中尉の一式陸攻あったろ?あれで行こうかなって」

 

エリの考えを聞き、皐月は思案した顔になる。

 

「…わかりました。航空隊から護衛機を着けてもらうように頼んでおきます」

 

「頼むわ。…っと、忘れる所だった。後さ、缶詰めの食料ってたしか余ってたよな?」

 

いつぞやの書類で見た気がするのだ。

 

「いやーそうです、ね。はい、ありましたよ!備蓄缶詰め総数量4割過剰みたいですね」

 

4割過剰なぁ…

 

「過剰分から一割くらい出せるか?」

 

「過剰分から一割ですか?出せますが…」

 

過剰分一割くらいなら出せるという。

 

「継続に一応支援だって渡そうかと思ってさ」

 

「継続にですか?」

 

「そ、コイツにまた忍び込まれたらたまったもんじゃないからな」

 

そう言ってミカに話をふるがどこ吹く風だ。

 

ポロローン~♪

 

「てな訳で過剰分一割出してくれ。一式陸攻で空中投下してもらうから」

 

「わかりました。では、第二航空隊第一分隊、第五航空隊の一式陸攻をだしてもらうように打診してきますね」

 

「豪華だね」

 

ミカはそうほざいている。お前が来たからだがな!!

 

「では」

 

「ああ、頼んだ」

 

「お願いするよ」

 

皐月は執務机に置かれた書類の束を持ち、執務室を後にしていった。

 

「そう言えばミカ?」

 

「どうしたんだい?」

 

「ミカってスカイダイビングはしたことあるか?というか出来るか?」

 

ミカにスカイダイビングを出来る出来ないの有無を確認する。

 

「スカイダイビングかい?したことはないけど…出来ないことは無いと思うよ?」

 

「そう。なら、ミカ。継続まで行ったら食料と一緒にダイブな」

 

降りれないだろうしな。ダイブしてもらうしかないだろう。

 

「ダイブか…楽しんでみようかな」

 

「ほぅ、そう言ってくれるか。あの学園艦に陸攻で着陸、離陸出来る距離のある直線の道とかなかった筈だから助かるな」

 

あの学園艦はなぁ…真ん中に艦橋があるってのがなぁ…

まぁ、てな訳で継続高校ではスカイダイビングが決定したミカであった。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第四拾四話 ミカ、空中の音楽祭

駄文です


あれから数時間後、エリとミカの姿は航空科の滑走路に駐機し、今から飛び立たんとする一式陸攻の中にあった。

 

「今日は急に呼び出しちゃってすまんな!」

 

「理事、気にせんで下さい!丁度整備終わりだったんで!」

 

この一式陸攻、その機長を勤める山岡大輔に礼を言う。

 

「ありがとうな!」

 

「山岡さん!第二航空隊第一小隊の奴らが飛び立ち始めました!!」

 

一式陸攻通信手、長目住次郎が無線機のある後ろの隔壁から頭を突きだし叫ぶ。

 

「よっしゃ!ほな行くで!理事とミカはん!ちゃんとベルトしといてくださいや!」

 

そう言われミカとエリはイスのベルトを再度確認する。その間に山岡は副機長の沖海美津子に指示を出し離陸準備を整え、エンジンの出力を上げる。エンジンの振動が段々と大きくなるが、隔壁のおかげでいうほどのものではない

 

「長目!離陸許可来たか!」

 

「来てます!離陸可能!!」

 

離陸許可の有無を確認する。

 

「よし!沖海!離陸するで!」

 

「分かりました!」

 

山岡は沖海にも確認を取り機体のブレーキを段々と放し、スロットルを上げ、操縦桿をぐっと前に倒す。機体はゆっくりと進み出し、そのすぐ後にエンジンが轟音を轟かせつつ機体が速度を上げる。そして、すぐに機首が下がり、機体が水平になり操縦桿を戻す。

 

「70…75…80…85…100!!」

 

速力が100ノットに達し、操縦桿を引く。すると機体が空に飛び上がった。そのまま機体を高度2000m程に上昇させる。

 

「第二航空隊第一小隊!本機の回りに着きます!」

 

住次郎がそう報告する。小窓から外を見ると零戦が一式陸攻の前後左右に陣取り飛行している。

 

「おぉ…」

 

「すごいね…」

 

「後一時間ちょっとぐらいですから理事はミカはんにパラシュートの使い方教えといて下さいよ!」

 

小窓から外を見ていると山岡にそう頼まれる。

 

「ん、わかった!」

 

そう言ってベルトを外し、立ち上がるとパラシュートを持ってきてミカに持たせる。

 

「これがパラシュートだよ」

 

「へぇ…これが」

 

「そ、まぁ、後でも言うけど飛び降りたら五つ数えてこの、肩の輪っかを引っ張る。で、引っ張ったら開くから、パラシュートから垂れてきた奴で操作出来るよ」

 

パラシュートに着いている輪っかを指差して説明した。

 

「こうなってるんだね。分かったよ」

 

「ん、じゃあ後は継続に着くまで待機だな」

 

「そうだね、その間はカンテレでも弾いてるよ」

 

ミカはそう言ってカンテレを持ち出す。

 

「おっ!ミカはんは楽器を弾けるんでっか?」

 

山岡が反応してくる。

 

「弾けますよ。何かリクエストが?」

 

「うーん…せやな。ミカはんの得意なのを頼めますか?」

 

「なら…Säkkijärven Polkkaかな?」

 

ミカがそう提案してくる。そう言えば劇場版でも弾いてましたね。

 

「ほな、それを頼みますわ!」

 

そうして一式陸攻の中で演奏が始まり、それは無線機から第一小隊にも中継されて継続高校に着くまでの間に小さな音楽祭となったのだった。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第四拾伍話 ミカ、降下する

駄文です


数時間後~

 

「理事!継続高校の学園艦が見えてきましたよ!」

 

数時間がたった頃、機体前方2、3キロ先を航行する学園艦を視認した。場所から継続高校だろう。

 

『こちら継続高校学園艦。そちらの編隊が本艦に接近中なのを確認した。そちらの所属と飛行目的を示してください』

 

継続高校側から無線が入ったようだ。

 

「こちら鈴鹿総合学園所属一式陸攻。貴校の戦車道隊長を送迎中なり」

 

がそう返答する。

 

『そうか…ミカが…感謝する』

 

するとスピーカー越しに管制官が頭を抱えているのが分かった。

 

「着陸不可と判断し、甲板上にパラシュートにて降下させる。問題ないか?」

 

『パ、パラシュートか?…分かった。航路そのままで降下させてくれ』

 

「了解」

 

管制官から戸惑いの声が聞こえるがミカの降下が決まった。

 

「ミカはん!降下用意してください!」

 

山岡が前を向きつつ降下用意を指示する。それを聞き、エリはヘッドセットを掴みミカと共に住次郎がいる区画の後ろにあるハッチを開きその中に入る。そこは防音対策がされていないためエンジンの騒音が轟いている。

 

「じゃ、着けさせるからな!」

 

エリはミカにパラシュートを背負わせ、支援物資(過剰分缶詰)を着ける。

 

「─よし!準備完了!」

 

ものの数分で装着を完了させ、無線機で山岡に知らせる。

 

「理事!後数十秒で降下できるで!もう扉開けて待っとり!」

 

そう言われ、エリはミカを機体横のハッチに誘導する。

 

「さっきも言ったけど飛び降りたら五つ数えて肩のこれ!この輪っかを引っ張る!」

 

「これだね!」

 

肩の輪っかを確認する。

 

「そう、それ!そうしたらパラシュートが開くから!横から垂れてきた輪っかで操縦できるから!OK?」

 

「分かったよ!」

 

改めて降下の説明をし、ミカから了承を得てからハッチを開く。風がビュービューと機内に入り込んで来たり荒れている。

 

「山岡さん!まだか!」

 

風の轟音の中、無線機に向けて叫ぶ。

 

『もういけますで!』

 

「よし!ミカ!行けるぞ!」

 

「ああ!お世話になったよ!」

 

ミカはそう言って支援物資を抱えつつハッチから飛び降りる。それからハッチから顔を除かせるとパラシュートが開き、順調に降下しているのが確認出来るとハッチを閉め、中間のハッチを開けてコックピット内に戻る。

 

「ミカはんちゃんと降りてかはりましたか!理事!」

 

風の轟音が止んだことで山岡が聞いてくる。

 

「ああ!ちゃんとパラシュート開いて降りてった!」

 

「そらよかったですわ!住次郎!」

 

「分かりましたよ!」

 

そう言って住次郎は管制官に連絡を入れる。

 

「こちら一式陸攻。貴校の戦車道隊長は降下された。回収は任せた」

 

『こちら管制塔。こちらも降下を確認した。送迎感謝する』

 

管制塔からの返答を聞き、護衛機にも知らせる。

 

「第二航空隊各機に知らす。目標の降下は成功した。これより学園艦に帰投する」

 

『『『『了解!』』』』

 

スピーカーから護衛機からも了解と来たのが分かった。

 

「よし!理事!ちゃんとベルトしといてくださいや!帰りますで!」

 

「それじゃあ、頼むわ」

 

そうしてエリたちは継続高校の上空を旋回し、鈴鹿総合学園艦まで来た航路を再び飛んで帰っていくのだった。




おまけ

山岡「理事、ミカはんにライフジャケット着けなくてよかったんで?」

エリ「大丈夫だろ。ミカってあの…ンンッ!みたいに生きてそうだし」

沖海「(大丈夫なんだろうか…)」

ミカ「どうやって降りよう…」プラーン

マストに引っ掛かってる。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第四拾六話 銀、練習試合が決定する

駄文です


エリは学園艦に戻り、執務室に入ると執務をしていた皐月に自身の留守中の事を聞いた。

 

「皐月~俺の留守中になんか変わったことあった?」

 

「変わったことはありませんでしたが…ああ、そう言えば大洗女子学園の角谷さんと聖グロリアーナ女学院のアッサムさんから練習試合の申し込みがありましたよ」

 

大洗と聖グロからなぁー

 

「うち、戦車改修中だからなぁ…」

 

改修中で代車状態で能力が100%出せるかと言われれば無理である。対大洗戦では大洗の戦力がⅣ号D、八九式、38t、三突、M3の5輌であり敗北はしないだろう。ただ聖グロリアーナ女学院は違う。改修中で戦力の推移が行われている最中に戦って勝てる相手だとは言えないのだ。

 

「大洗女子学園を先にして聖グロリアーナ女学院の試合は後日でも構わないかな?それならうちのⅣ号の改修も終わるだろうし」

 

「それなら問題ありません。岡嶋主任に既に確認をしていますが隊長車以外の改修は2週間で終わりますが隊長車は1ヶ月程かかるそうです」

 

…いけるか?

 

皐月から報告と共に練習試合の提案されている二枚の書類が渡される。

 

「大洗女子学園とは2週間後、大洗女子学園学園艦にて5対5のフラッグ戦か…んで?こっちは聖グロか。聖グロは1ヶ月後にこれまた10対10のフラッグ戦だけど今度は陸でか…良いんじゃないか?受けても」

 

エリは書類に一通り目を通すと再び皐月に書類を手渡した。

 

「よろしいんですか?」

 

「ああ、大洗は戦力が乏しいが隊長はみほだし聖グロは強豪中の強豪だ。良い経験に成るだろうさ」

 

みほが隊長を勤める事だし対みほの戦術の経験になるし聖グロの方は強豪だから試合は良いものになるだろうからな。

 

「わかりました。では、両校には練習試合の受託をお返事しておきますね」

 

「ああ、任せるわ。…大洗とやるならちょーっち大洗を支援してあげようかなぁ~勢力が荒れないかな~」

 

エリがそう言い出すと皐月は「はぁ…」と軽くまたですか?と言いたげな顔になる。

 

「…理事、一体大洗に何を支援なさるんで?」

 

「余ってる戦車の中から1輌をさ」

 

そう言うと皐月は「ああ、またですか…けど譲渡なら書類は楽で良いか…」と一人呟く。

 

「で、何の戦車を譲渡するんです?」

 

「工廠の端で埃被ってた《ノイバウファールツォイク》か…何かあるか?」

 

そう言うと皐月は三号で良いのでは?と提案してくる。

 

「後、候補にするなら三突か…三突は3輌余ってるからなぁ…三突譲渡するか…どうしようかな」

 

「まぁ、蜜柑と相談して決めるか…」

 

蜜柑を間に挟めばいいだろう。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第四拾七話 大洗、鈴総と練習試合が決まる

駄文です


聖グロリアーナ女学院からとの練習試合から一週間がたったある日、みほ達あんこうチームの面々は生徒会長、角谷杏に呼び出されたみほと共に生徒会室を訪れていた。

 

「西住ちゃん。話っていうのは新しい練習試合の相手が決まったんだよ」

 

「新しい練習相手ですか?」

 

「一体どこが練習相手になってくれたんでありますか?」

 

 

みほとあんこうチーム装填手、秋山優花里がどこの学校が練習試合を受けてくれたのかと気になり杏に聞いた。

 

「“鈴鹿総合学園”だよ」

 

「…ッ!」

 

「「「「鈴鹿総合学園?」」」」

 

みほは一人顔を強張らせるが、何も知らない他の四人は首を傾げた。

 

「三重県の学園艦らしいよ?」

 

「三重県に学園艦を持った学園なんてありましたっけ…?」

 

華が杏に質問する。

 

「いや、なんかこの学園艦。突飛な話で平行世界、詰まるところ異世界の学園艦らしいんだよねぇ~」

 

「「「「異世界の学園艦!?」」」」

 

四人が一斉に驚く。まぁ、いきなり異世界の学園艦が相手だと言われても必然的に驚くだろう。

 

「そんなふぁんたじーな事が実際に起こるんですね…」

 

あんこうチーム砲手、五十鈴華は何故か感心している。いや、普通はないぞ?

 

「その鈴鹿総合学園って強いのかな?」

 

それからあんこうチーム通信手の武部沙織が相手は強いのかと聞いた。

 

「強いも強いよ。あの黒森峰と僅差で負けたくらいらしいよ?」

 

「でもそれってフラッグ戦…ですよね?」

 

みほは黒森峰が僅差とはいえ負け掛けたのだ。気にならないわけがない。

 

「いんや!これがさ~10対10の殲滅戦、黒森峰は隊長車を潰されて副隊長車が鈴鹿総合の隊長車を僅差で撃破したらしいよ?」

 

「「殲滅戦!?」」

 

みほと優花里はその試合形式と敵の隊長車を潰したものの僅差で負けた鈴鹿総合の強さに驚いた。

 

「殲滅戦って?」

 

沙織が自身の横に立っていたあんこうチーム操縦手、冷泉麻子に小さく聞く。

 

「…そのままだ。全部倒したら勝利」

 

「聖グロとの試合形式だぞ…」

 

「今度の試合形式はどうするんですか?」

 

みほは大洗女子学園隊長としてその練習試合の形式を聞いた。黒森峰にあわや勝ちそうになる学園とつい最近20年ぶりに戦車道を復活させて戦力が5輌しかいない大洗では戦力も大幅に違うだろう。そんな所と真っ向挑んでも勝機が薄いからだ。

 

「二週間後に5対5のフラッグ戦にしてもらったよ」

 

「5対5ですか!?よく受けてくれましたね…」

 

「なるべくフェアにしたいみたいだね」

 

あと味悪いんじゃないかなーと杏は考えているらしい。

 

「あと!実は向こうから戦車の譲渡の話が来てるんだよね~」

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第四拾八話 大洗、戦車譲渡が決まる

駄文です


「後!実は向こうから戦車の譲渡の話が来てるんだよね~」

 

 

「「「「「「戦車の譲渡!?」」」」」」

 

これにはみほも驚いた。普通の学園はそんな簡単に戦車なんて譲渡する事は出来ない筈だからだ。(鈴鹿総合は神からの支援があるし整備科、機械科の面々がヒャッハー!しているのとゲーム時代の積みがあるから出来ることである。)

 

「何の戦車が譲渡されるでありますか!」

 

戦車好き、戦車オタクの優花里が杏に迫る。

 

「河嶋~」

 

「はい。鈴鹿総合学園から譲渡される戦車の詳細はまだ分かっていない」

 

杏に説明を振られた桃が手に持っていたバインダーに挟まれた書類をめくり説明してくれた。

 

「決まってないんですか?」

 

「気になりますね」

 

「試合後のお楽しみに~だってさ」

 

杏はやれやれと仕草をする。

 

「じゃあ会長!この不肖秋山優花里!鈴鹿総合学園に潜入して来ても宜しいでしょうか!」

 

優花里がそう杏に潜入の是非を問う。

 

「うん、そうだね~一応潜入して来てもらった方が良いかな~」

 

干し芋を噛りつつそう返す。

 

「…でしたら、制服がないのでは?平行世界の学園艦なら制服が入手できるのですか?」

 

華がそう考察する。

 

「そんな事も無いみたいなんですよ。黒森峰副隊長だった“逸見エリ”殿の写真で着ていた服とそっくりだったんですよね」

 

「で、その服をコスプレ屋が売ってて私一着持ってるんですよ」

 

「「「「「逸見エリ?」」」」」

 

「あのワニのこと?」

 

みほ達は逸見エリという言葉に引っ掛かった。

 

「黒森峰の副隊長だった逸見エリ殿です。ああ、今は違いますよ?」

 

「副隊長?この前調べたらこの間の逸見エリカって人が副隊長になってたけど?」

 

沙織が確か~と言う。

 

「エリ殿は2年程前の黒森峰中等部時代の副隊長でありました。ただ、男性だったため公式戦には出れずに練習試合で暴れまわっていたんですが初めての公式戦だった昨年の大会で…事故に巻き込まれて行方不明になってしまっているんです」

 

「事故!?戦車道って安全じゃないの?」

 

沙織がそう叫ぶ。安全には配慮されてはいる。エリの事故を戦車道の安全にいれるのはあれであろう。…神の仕業だったわけだし。

 

「エリ殿の戦車が濁流に流されて他の生徒は助かっているんですがエリ殿だけ戻らなかったそうです」

 

「ただ、それが理由で戦車道の安全管理意識が上がったみたいです」

 

優花里の説明で沙織が納得したところで今度は麻子が質問する。

 

「…喫茶店でのあの女と関係あるのか?その逸見エリは」

 

「…エリさんはエリカさんとは血縁はない筈です」

 

みほがその質問に答えた。

 

「エリさんはその鈴鹿総合学園の生徒さんだったんです」

 

「そうだったんだねぇ~」

 

「練習中に黒森峰に航空機で墜落してきたんです」

 

「えぇ…」

 

桃がなんとも言えない顔になる。

 

「よく生きてたね、その子」

 

「本当にですよ」

 

そうして、エリの話が一通り収まったところで優花里が再び話を振った。

 

「…では、会長!自分家に潜入用意をしに戻ります!」

 

「ん、たのむねぇ~」

 

「では、私達も失礼します」

 

「「「失礼しましたー!」」」

 

そう言って優花里達は生徒会室を後にしていった。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第四拾九話 銀、酒蒸しで二日酔いに

駄文です


「オラぁ、全員いるかぁー」

 

練習試合が後3日に迫ったある日、エリは体育館で行われる戦車道の会合に顔半分に赤い後を着けつつ死にかけの目をしながらも参加していた。この理由というのが……

 

 

 

 

 

 

あーったま痛てぇ…やっぱり酒蒸しなんてするもんじゃないわ…

 

そうである。前日の夕飯に酒蒸しでよだれ鶏を作って酔っぱらい、変な体勢で寝たからである。詰まるところ、二日酔いだ。(作者はよだれ鶏作って頭痛くなりましたよ)

 

「隊長…何かしたんです?」

 

「ァア?私は何もしてないぞ。ただ、頭が痛いだけだ」

 

「「「「「「「「(…この人また酒蒸しして酔っぱらったのかよ…)」」」」」」」」

 

各車長以上の幹部達は以前もあったエリの二日酔いに軽く頭を抱えた。端からみたらBLACK LAGOONのバラライカのようである。コート羽織ってるし

 

「…大洗戦で出す車輌を決めるぞ」

 

「私の(P)ティーガーは確定として…後だ」

 

取りあえずはエリのP虎は確定であるが他の四輌が問題だ。

 

「あぎりさんのティーガーⅡとⅣ突、パンター2輌で良いんじゃないですか?」

 

仁がそう提案する。

 

「さすがにティーガーⅡは過剰じゃないか?相手はⅣ号Dと三突、八九式にM3と38tだぞ?」

 

「Ⅳ号戦車はいれないのでありますか!」

 

上級幹部クラス以外の席から質問が入った。

 

「いや、Ⅳ号は改修中…って!お前!うちの生徒じゃないなッ!!」

 

その質問に答えかけその質問の主を見るとよーく見覚えのある人物が座っていた。大洗女子学園Ⅳ号戦車装填手!戦車オタクの秋山優花里が座っていたのである。

 

「やばッ…!」

 

「元香!!」

 

「わっかりました!」

 

優花里はバレた!とばかりにパイプイスから立ち上がり逃走を図ろうとするがそれをみすみす逃がすエリではない。鈴鹿総合学園の諜報を司る特務機関《明石機関》の機関長である明石元香に指示を出す。

 

「アグッ…」

 

「確保!」

 

それでも忍者の末裔(ゲーム設定)である元香にかなう筈もなく優花里は体育館を出るまでに床に組み伏せられる。

 

「スパイでもしに来たのかなぁ?大洗女子学園の秋山優花里さんや?」

 

「あ、え、その…」

 

いきなり自分の名前までバレた優花里はキョドってしまっている。そこに元香がどうするかと聞いてきた。

 

「理事、こいつどうしましょうか」

 

「執務室に丁重にお連れしろ───連れて行け!」

 

「わかりました」つ手錠

 

「えっ!?ちょ、まっ!!」ガチャ

 

執務室に連れていくよう指示をする。するとどこからか出した手錠をはめ、元香は優花里を肩に担いで体育館を出ていった。

 

「…練習試合参加車輌は私の(P)ティーガー!仁と美樹のパンター!それから麗のⅣ突!三咲の(P)ティーガーとする!あぎり、これにて会議を終了とする。各員を解散させといてくれ」

 

「わかりました~」

 

「じゃあ、俺は執務室に行ってくるから」

 

あぎりに会議の締めくくりを任せ、エリは自身の執務室へと向かうのだった。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第伍拾話 優花里、捕まる

駄文です


執務室へ行くと優花里がソファーに座らされており、その横に元香が座っていた。

 

「さて…何のご用でうちに来たのかな?秋山さんよ」

 

エリは優花里の向かい側に座り、優花里に話しかけた。

 

「…す、すみません!その、スパイに…」

 

「スパイだって!?あんなものがスパイのうちに入るかっ!!」

 

元香が優花里に向けて怒鳴り付ける。

 

「ヒッ!す、すみません!」

 

「元香、ステイステイ」

 

優花里はあまりの気迫に戸惑う。

 

「大事なお客様だぞ?」

 

「ですが…」

 

元香は何か言いたげに言いどよむ。

 

「元香が機関長なのは分かっているがこの子は他校生だぞ?」

 

「─はい、わかりました」

 

エリに言われ、なんとか気持ちを落ち着かせる。そして、今度は優花里に話しかける。

 

「うちに来るなら1本連絡して欲しかったねぇ。作戦以外なら案内したものを」

 

「…え?よ、良かったのでありますか!?」

 

優花里はエリの態度の変化に呆気にとられ固まった。

 

「何か質問でもあるか?」

 

「…で、では!理事長殿は…その…黒森峰の逸見エリ殿なでありますか?」

 

質問はあるか?と問うとやはりといった所を聞いてきた。

 

「そうだぞ?まぁ、“こっち”に来てから黒森峰は辞したがな」

 

「“こっち”?い、逸見エリ殿は異世界人だったのですか!?」

 

“こっち”と言ったのに引っ掛かりを覚えた優花里は声を張り上げて驚く。

 

「そ、この学園艦の理事だからねぇ~あ、俺のことはエリで良いぞ?エリカと混ざるだろうからな」

 

「ではエリ殿!私も優花里で構いません!それで…そ、その顔の痣は…」

 

顔の痣?痣なんて…ああ!

 

「コレか?これは…あれだ。今日変な体勢で寝たからついた後だぞ?」

 

「えぇ…そうはならんでしょう」

 

「なっとる。やろがい」

 

優花里が聞いてきた痣、それは昨日エリがよだれ鶏を作った時に酔っぱらって変な体勢で寝たからついた後だ。

 

「そうだ…みほは元気にしてるか?」

 

「西住殿ですか?」

 

「最近は明るくなられてますね」

 

みほの様子を聞くが明るくなってるならな。

 

「そうか…ああ、元気なら構わないんだがな」

 

「そうでありますか…で、では最後にお願いが…」

 

お願い?何だろか?

 

「なんだ?」

 

「ツーショット写真をお願いしたいであります!!」

 

優花里は声を張り上げて言ってきた。

 

「写真か?別に構わないぞ?」

 

「本当でありますか!」

 

「元香。写真、頼めるか?」

 

なんだ、写真かと思い元香に写真を頼み、優花里から携帯を預かり渡す。

 

「分かりました」

 

「じゃ、撮るか。こっち側に座りなよ」

 

「は、はい!」

 

写真を撮るかと優花里を自身が座っているソファー側に呼ぶ。

 

「あ、で、できれば親しそうに撮っても宜しいでしょうか?」

 

「ん?ああ。──これで良いか?」

 

優花里にそう頼まれ、傍に寄り、肩に手を置く。するとそれに驚いた優花里が変な声を出す。

 

「ひ、ひゃい!」

 

「元香~頼むわ~」

 

「では、撮りますよ~3、2、1!」

 

ピシャッ!!

 

「これで良いですか?」

 

そう言って元香は顔を若干紅くした優花里に携帯の画面を見せる。

 

「ひゃ、ひゃい!ありがとうございます!」

 

「優花里さん。これからどうするの~?まだ見てく?」

 

「自分は帰りの船の時間がありますのでそろそろ失礼します!」

 

…コンビニ船で忍び込んでるのか

 

「そうか…ああ、元香!カメラを」

 

「ビデオカメラになります」

 

どこからか優花里のビデオカメラを取り出す。

 

「あ、ありがとうございます」

 

「また来なよ。歓迎するからさ」

 

「はい!またお邪魔させていただきます!」

 

それからエリは優花里の送りに元香を着けさせる。

 

「元香、優花里さんの見送り頼むわ」

 

「い、良いのでありますか?」

 

優花里が聞き返してくる。

 

「この学園艦で迷子になられたら構わないからな」

 

「助かります。エリ殿!…エリ殿の連絡先を頂いても構わないでしょうか?」

 

帰り際になり扉の傍まで行ったところで連絡先を聞いてきた。

 

「連絡先か?ちょっと携帯貸してくれるか?」

 

「あ、はい」

 

優花里の携帯を借り1、2分で自身の連絡先を登録し、返す。

 

「俺の連絡先登録しといたからまたなんかあったら連絡頂戴よ」

 

「あ、ありがとうございます!」

 

「理事、では送って来ます」

 

携帯を受け取ったのを確認した元香は優花里を連れて執務室を後にするのだった。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第伍拾壱話 優花里、潜入報告をする。その壱

駄文です


「皆さん!秋山優花里!潜入より帰って参りました!」

 

優花里が生徒会室へと入るとあんこうチームの面々とカメさんチームの面々が揃っており、一斉に優花里の方を向いた。

 

「お、お疲れ様~」

 

沙織が声をひきつらせつつ優花里を労う。

 

「ありがとうございます。あ、西住殿~これが…動画であります」

 

失敬、忘れかけていましたと言いたげに鞄からUSBメモリーをみほに手渡した。

 

「会長、パソコン借りても良いですか?」

 

「いいよ~はい!」

 

それからみほは杏にパソコンの使用許可を頼むと自身の前にあったパソコンをみほに渡す。

 

「ありがとうございます」

 

「いいのいいの。あ、河嶋ァ~スクリーン用意してー」

 

パソコンをみほに渡してから杏が傍に立っていた桃にスクリーンの用意を頼む。

 

「スクリーンですか?」

 

「そだよ~小さい画面より大きい方が良いからねぇ~」

 

華の問いに杏がそう答える。

 

「じゃ、西住ちゃんと河嶋~後よろしくね?」

 

「分かりました!」

 

「は、はい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれからものの5分でスクリーンの準備が整い、優花里が潜入してきた動画が流され始める。

 

─潜入!鈴鹿総合学園!─

 

『私は今鈴鹿総合学園に来ています。それでは潜入していきます!』

 

そう言って画面の向こうで鈴鹿総合学園の制服を着た優花里が学園の門をくぐって中に入っていく。

 

「…やっぱり良く動画の編集とかできますよね」

 

「帰りに編集してるので少々荒いですが…」

 

優花里がえへへ…と笑う。そう話しているうちに大洗と似ているがサイズ感が圧倒的に違う格納庫が現れた。

 

『ここは…あ!《戦車格納庫》の看板がありました!えぇーっと、扉は…あった!』

 

格納庫の端に備えられた扉を見つけ、中に入る。するとそこには大量の戦車が格納されていた。

 

『すごいです!ティーガーIとティーガーⅡにヤークトティーガー!それにこっちはわずかしか生産されていなかったポルシェティーガーがこんなに!?』

 

「すごい量じゃない!」

 

沙織がその量に驚く。横では声にまでは出していないがみほや杏達も驚いている。

 

「黒森峰以上にあるかも…」

 

『!?あ、あれは超重戦車マウス!?マウスが2輌もありますよ!』

 

「マウスが2輌もあったの!?」

 

みほが優花里に聞く。

 

「は、はい。車輌数はこんな感じです」つメモ

 

そう言って優花里はみほにメモを渡した。

 

「H型のⅣ号にパンターG型、フェルディナントにⅣ突も!?」

 

「はい。フェルディナントは1輌、パンターは6輌確認してきました」

 

「良くそんなに持てるね…」

 

「私立だからじゃないですかね」

 

すべて財務省が悪いんや…桃と柚子がズーンといった感じになるのだった。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第伍拾弍話 優花里、潜入報告をする。その弍

駄文です。


あれからしばらく見ていると画面の向こうの鈴鹿総合学園生徒がなにやら慌ただしく動き出した。優花里は生徒の中の一人に何を慌て出しているのかと聞いた。

 

『皆さん何でそんなに慌てられているのでありますか?』

 

『何でって…戦車隊の会議よ!今日は理事の機嫌が悪いらしいから少しでも遅れたら雷が落ちるわよ!』

 

その生徒は一瞬呆れ顔になり説明口調で教えてくれた。

 

『その襟章なら機甲科の一般隊員でしょ!』

 

『エッ!?あ、はい!!』

 

鈴鹿総合に示された襟章は緋色の襟章であり鈴鹿総合学園機甲科のカラーなのである。鈴鹿総合学園は各学科ごとにカラーが決まっているのだ。

 

「優花里さん…」

 

「秋山ちゃん…」

 

「アハハ…何分にもコスプレ品ですから…」

 

そうしているうちにその生徒に手を引かれ、優花里は体育館のような建物の中に入りその生徒の横のパイプ椅子に座った。

 

『…隊長が来たわよ』

 

その生徒にそう言われ、壇上が写し出される。

 

『オラぁ、全員いるかぁー』

 

「嘘…」

 

画面に写し出された人物を見た瞬間、みほはそう呟いた。その人物は優花里も着ている制服に軍用かと思われるコートを羽織り、死んだ目をしつつ顔半分に大きく赤い痣をつけた銀色の髪をもつ────

 

 

「─エリ…さん?」

 

『隊長…何かしたんです?』

 

前の方の幹部席から質問が飛ぶ。

 

『─ァア?私は何もしてないぞ。ただ、頭が痛いだけだ』

 

「嘘…嘘、嘘だ!エリさんは…エリさんは…」

 

「みぽりん落ち着いて!」

 

沙織や華、麻子や優花里がみほの体調を案ずる。

 

『…大洗戦で出す車輌を決めるぞ』

 

「あれが…みほさんの戦車道を辞めた原因の方ですか?」

 

『さすがにティーガーⅡは過剰じゃないか?相手はⅣ号Dと三突、八九式にM3と38tだぞ?』

 

しばらくした間に話が進み、優花里が挙手をして質問をした。

 

『Ⅳ号戦車はいれないのでありますか!』

 

『いや、Ⅳ号は改修中…って!お前!うちの生徒じゃないなッ!!』

 

その質問に答えかけ、優花里の方を向いた瞬間エリが驚き、そう言って来た。

 

(バレた!?)

 

『やばッ…!』

 

『元香!!』

 

『わっかりました!』

 

優花里はバレた!とばかりに画面を揺らしつつ体育館の端に備えられた扉から逃走を図ろうとするがエリがある生徒の名前を呼んだ瞬間、押さえられたのかすぐに画面が暗くなった。

 

『アグッ…』

 

『確保!』

 

それから─コツコツコツ─と音が響き、やっと画面が明るくなったと思うと目の前にはエリが現れた。

 

『スパイでもしに来たのかなぁ?大洗女子学園の秋山優花里さんや?』

 

『あ、え、その…』

 

いきなり自分の名前までバレた優花里はキョドってしまっている。そして、優花里を押さえている生徒が写ったが、その生徒はさっき優花里を案内してくれた生徒だった。

 

「優花里さんが来るのが分かったのでしょうか…?」

 

『理事、こいつどうしましょうか』

 

『執務室に丁重にお連れしろ───連れて行け!』

 

 

エリがそう言うと元香と呼ばれた生徒が手錠を出して優花里の手に手錠をかける。

 

『わかりました』つ手錠

 

『えっ!?ちょ、まっ!!』ガチャ

 

それから優花里が肩に担がれて体育館を出ていったところで映像が終わった。

 

「─と、まぁ、捕まりましたがなんとか帰って参りました」

 

「よ、良く帰って来れたね。優花里さん…」

 

「拷問とか…されたの?」

 

「大丈夫でしたか?」

 

「…大丈夫だったのか?」

 

映像が終わるとあんこうチームの面々に総じて心配された。

 

「大丈夫でした!普通に連絡入れてから来てくれとは言われましたが…」

 

「連絡入れれば行って良いの…?」

 

なんか困惑している?

 

「後、顔のあれは寝る体勢が悪くって変な後がついただけらしいですよ?」

 

「何したの。エリさん…」

 

みほは額に手を当て、呆れ声になるのだった。

 




普通科:藍鼠色
商業科:蜜柑色
機械科:暗緑色
電気・電子科:黄色
建築工学科:鳶色
船舶科:紺色
整備科:薄紫色
農業科:萌黄色
水産科:藍色
福祉科:海老茶色
情報科:白色
機甲科:緋色
航空科:淡紺青色


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第伍拾参話 銀、工廠に訪れる

駄文です


「…うちの工廠でかくないか?」

 

やぁ、皆!エリだぞ?今日はうちの学園艦内にある工廠に来ている!ん?大洗との試合はどうしたのかって?

 

「…ストック切れたからの繋ぎですが?」

 

「エリ…メタいよ?」

 

すぐに横にいた蜜柑につっこまれる。

 

「(;゚∇゚)…でだ!やっぱりうちの工廠でかすぎるわ!!」

 

「(ずらしたね…)まぁ、うちの学科が使う総合工廠だからね」

 

いや、総合工廠ってもさ…

 

「…でもSCN8軸マシニングセンタを15機ってのは多すぎるわ!!」

 

SCN8軸マシニングセンタ、プレス機、8尺旋盤、万能フライス盤…etcが大量に備え付けられた工廠ってなんなんだよ!!

 

「どんだけ金あったんだよ!!いくらするんだよ!こんな量の工作機械導入するのに!」

 

「そりゃあ…ゲームからだし…神様の力が入ってるからね」

 

「…おい!」

 

蜜柑も急にメタい発言すな!

 

「良いじゃん~この機械達があるから研三とか1個小隊分作れたんだからさ~」

 

「ぐぬぬ…」

 

研三は確かに自分の後継機だから何も言えないエリである。

 

「…ここ、能力的にはどんな感じなんだ?」

 

エリは蜜柑にこの工廠の能力について質問する。

 

「ここの生産能力?」

 

「そう、それ」

 

「う~ん…本気出せば航空機2個編隊分くらい1ヶ月で出来るんじゃない?」

 

…うちの編成だと12機で1個編隊なんだけど?

 

「えぇ…」

 

「マシニングセンタ回しつつフライスだったり鋳造とか出来るからね~それに整備科と機械科だけじゃなくて電子工学の子達も一部だけど来れるからね」

 

なんじゃそりゃ!?

 

「ここ、部活の子も使う…よな?」

 

「使うよ?自動車部とか機械研究部とかさ?他にもいろいろ来てるよ?」

 

「…やっぱでかいなぁ…」

 

エリはもう一度工廠内を見回してそう呟いた。

 

「そう言えばさ。エリ、この間戦車譲渡するのに整備がどうの言ってたよね?」

 

蜜柑は急にふと思い出した事を聞いてきた。この間の大洗への戦車譲渡の話だった。

 

「<ノイバウファールツォイク>でよかったよね?倉庫にあった」

 

「そうだな。後は砲弾も用意しておいてやってくれ」

 

戦車譲渡の話が纏まった後、ノイバウファールツォイクの予備砲弾もセットで送ろうと考えているのだ。

 

「整備は終わったけど砲弾の製造がまだ終わってないんだよねーただ、試合前には終わるから安心してよ」

 

「りょーかい」

 

「そう言えばエリ、何でまた大洗なんて支援するの?」

 

蜜柑がそう質問してきた。いや、それはもっともな意見だよなぁ…

 

「…黒森峰にいた頃にみほに色々迷惑かけたからな」

 

そうなんよ。Ⅳ号で斬り込みやら奇襲やらの独自に動きすぎて色々迷惑かけたのよ…で、でも!あれはまほ姉さんの指令だったから仕方ないんだよ!

 

つまるところ、みほはエリの突飛な行動に頭を抱える事が多くなってしまいにゃ自分が原因(根本的には神様)で戦車道を辞めることになってるし…迷惑かけすぎたからねぇ?ってことである。

 

「何してるんですか…」

 

「し、仕方なかったんだよ!まほ姉さんからの指令だったし…」

 

「は、はぁ…今頃また西住みほさん頭抱えてるんじゃないですか?」

 

「んなバカな」

 

「「ハッハッハッ!」」

 

人はそれをフラグという。この時、大洗ではエリの優花里に発した言動が原因でみほが頭を抱えていた事実を知るよしもないのであった。

 

 




蜜柑「三突はいいの?」

エリ「…学園艦教育局からストップかかった」

蜜柑「1輌ならいいの?」

エリ「いいの」

校章案①→
【挿絵表示】


校章案②→
【挿絵表示】



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

番外編!鈴鹿総合学園の設定!

駄文です


鈴鹿総合学園

 

形状:大日本帝国海軍の信濃に近似。

全長:約18,000m(うち甲板部分約17,200m)

幅約:6,600m(空中線支柱込み、甲板下構造物込みでは約46,00m、甲板部分最大幅は約4,000m)

母港:三重県鈴鹿市白子港。

人口:約10万人

学科

普通科、商業科、機械科、電気・電子科、建築工学科、造船科、船舶科、整備科、農業科、水産科、福祉科、情報科、機甲科、航空科の14学科

校章は鉄十字に鈴鹿総合の文字。

 

【挿絵表示】

 

 

学園艦→

【挿絵表示】

 

 

主人公、逸見エリが理事を勤める学園。モータースポーツ都市の呼び声高く大洗自動車部バリの整備員等がいる。

 

制服

 

香取の教官服の前部、両側面の装甲板を退けたものにズボンとスカートの選択。シャツのカラーと襟章の形状でで幹部クラスの見分けが行われる。

 

また、襟章の色で学科が別れて襟の校章ピンバッチの色で学年が別れる。学年色は三年間で入れ替わる。

 

上級幹部:鼠色

下級幹部:白色

一般生徒:水色

 

普通科:藍鼠色

商業科:蜜柑色

機械科:暗緑色

電気・電子科:黄色

建築工学科:鳶色

造船科:海老茶色

船舶科:紺色

整備科:薄紫色

農業科:萌黄色

水産科:藍色

福祉科:深緑色

情報科:白色

機甲科:緋色

航空科:淡紺青色

 

 

中等部

一年:若葉色

二年:明灰白色

三年:赤色

 

高等部

一年:黄緑色

二年:紺色

三年:紫色

 

襟章

 

普通科、農業科、水産科、福祉科、商業科は一色の単調なものである。他の学科は戦車隊や航空隊に関係し、金帯の数や太さ、桜の数で幹部間の細部の見分けを行っている。一般生徒は桜の数のみで見分けるが幹部は帯の太さや数で見分ける。帯や桜の数は学年で増えたりする。理事や各科の隊長、副隊長クラスは学年に関係なく帯は太い1本ものになる。上・下級幹部は各委員会の委員長や隊長などが多数であるが、功績や各科の推薦により上がる。航空科の機長、戦車隊の車長は下級幹部に分類される。

 

パンツァージャケット(PJ)

 

PJは大学選抜チームのPJをベスト型から長袖までの灰色型に変更し、下も灰色のズボンにしたもの。制服と同じく襟章とバッチを着ける。

 

鈴鹿総合学園特務機関《明石機関》

 

機関長:明石元香

 

鈴鹿総合学園の特務機関。諜報組織。ゲーム時代にも存在してはいたが、その際は他校へのランダムな偵察のみであり原作軸転移後に再編成され鈴鹿総合学園の諜報活動を司る。機関長として明石元香が着任している。

 

鈴鹿総合学園軍需工廠

 

軍需、民需何でもござれの艦内工場。CNC8軸制御のマシニングセンタや大型製鉄設備を管理している。戦車用の装甲板のプレス機械は第二工廠に置かれている。第1、第2工廠が本気を出せば月間で航空機2個編隊分は作れる。

 

鈴鹿総合学園造船工廠

 

艦内にある造船工廠。400mクラスの艦までなら建造可能のドックが3つ。修理ドックに他4つ。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第伍拾四話 銀、大洗に行く

駄文です


大洗side

 

「西住殿!鈴鹿総合の戦車が来ましたよ!」

 

試合当日──戦車格納庫の前で戦車を並べ、整列していると優花里が校舎の横の道を通って一列で走ってきた鈴鹿総合の戦車を見て叫んだ。

 

「ポルシェティーガーにパンターG型…」

 

「Ⅳ突までいます!」

 

鈴鹿総合の戦車達は綺麗な列で校内に入ると、みほ達の前で信地旋回して止まった。

 

「すごい戦車達ですね…」

 

鈴鹿総合の戦車のエンジンが止まり、車中から鈴鹿総合の隊員達が順に降りてきて各戦車の前に整列する。そして、フラッグのついたポルシェティーガーから最後に銀髪の生徒が降り立った。

 

 

 

 

 

「─エリさん!!」

 

 

大洗sideout

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「エリさん!!」

 

 

「ぉお!?み、みほ。久しぶり」

 

戦車から降りるなりみほに抱きつかれました。なんかエリカに続いて…?

 

「…何で連絡くれなかったんですか?」

 

少々頬を膨らせ、みほがエリに話しかける。

 

「携帯水没してな…けど、黒森峰と西住流本家には行ったぞ?」

 

「お母さん…言ってほしかったのに…」

 

みほがコノアイダデンワデオシエテクレナカッタノニ…なんて呟いております。黒い、黒いぞみほ?!

 

「み、みほ?試合な?今から試合」

 

「…へ?し、試合?あわわッ!?す、すみません!」

 

エリに指摘され、みほが自身の戦車に戻っていく。スゲーデジャブ?すると、後から大洗の桃が前に出てきた。

 

「えー、ゴホン…本日は、急な申し込みにも関わらず、試合を受けていただき、感謝する」

 

「構いませんよ」

 

エリは形式的な返事をする。

 

「それにしても…こ、個性の出てる戦車達ですね」

 

相手の戦車を順々に見てそう言った。

 

所々塗装の剥がれている金色の38tと赤青黄色に塗られた三突、掠れた文字でバレー部復活と書かれた八九式にまともなⅣ号にチヌ…ゑ?

 

「(え、M3リーがいない!?)」

 

「何か…?」

 

いきなり顔をしかめたエリに桃が質問してきた。

 

「い、いえ、以前にうちから諜報を飛ばした時にはM3が居たので…」

 

「M3ですか…実はM3は見つかったには見つかったのですが劣化が酷く、先の聖グロリアーナとの試合で大破して修理が間に合わず修理中です」

 

えぇ…自動車部修理出来てたじゃん。それでもって、どんだけ酷く壊れたんだよ…

 

※両砲塔変形、両砲身交換、変速機・エンジンブロー、変速機・エンジン載せ換え───後、大洗の資金不足☆ミ──あ、ちゃんと乗員は無事だよ?なんでか?敵前逃亡って知ってる?

 

「は、はぁ…」

 

その後すぐ向かい合って整列している両校生徒の前に審判員を勤める連盟の審判員が出てくる。

 

「それではこれより、鈴鹿総合学園VS大洗女子学園の試合を始める。一同、礼!」

 

「「「「「「よろしくお願いしまーす!!」」」」」」

 

両校生徒が一斉に頭を下げる。それから両校生徒達は自身の戦車に乗り込んで行く。




鈴鹿総合制服イメージ→
【挿絵表示】

鈴鹿総合戦車隊バッチイメージ→
【挿絵表示】

鈴鹿総合航空隊バッチイメージ→
【挿絵表示】


書いてみたは書いてみたけど……え、絵心なんて無いんや…(震え)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第伍拾伍話 銀、練習試合に突入せり

駄文です


『両校、所定の開始位置に!』

 

エリは無線機から流れる審判の声に耳を傾ける。

 

『試合形式はフラグ戦です。両校、よろしいわね?』

 

『「はい、問題ありません」』

 

審判からの問いに答えると、みほの声も聞こえてきた。

 

『よろしい。それでは────────』

 

雲一つ無いという青空に白煙が上がり、“ぱっ”と光が輝いた。

 

『──試合開始!!』

 

無線機から審判の試合開始が宣言された。

 

「各車。今回は作戦概要A-1改を使用する」

 

『わっかりました!!理事!私のポルシェはポイント──なんですぐ行けますよ!!』

 

作戦概要A-1改の使用を伝えると三咲がいの一番に無線で返事をしてきた。

 

「麗!」

 

『は~い!』

 

「麗のⅣ突はポイント──にて潜伏!」

 

まず麗のⅣ突に潜伏を指示する。ポイント──は森の木が生い茂る通路付近だ。

 

「次に仁!美樹!」

 

『『はい!(はーいよ)』』

 

「二人はポイント───に急行してくれ!」

 

ポイント───。そこに仁と美樹の派遣を決める。が、仁がそれに質問をしてきた。

 

『隊長よ~なんでそのポイントなんだ?』

 

「…勘?」

 

『か、勘!?』ゴチーン!!イッテー!

 

無線から気の抜けるエリの返事にどこかにぶつけたのか痛がる声が聞こえてきた。

 

「大丈夫だ!誘い込むからな!」

 

そう言った所で横の小道から三咲のポルシェティーガーが現れる。

 

「理事~!!」

 

「よし!美乃!ポイント──まで突っ走るぞ!!」

 

それを見たエリはキューポラの中に頭を下げ、操縦手の美乃に指示を出す。

 

「聞こえたな!!三咲!」

 

「はい!行けます!!」

 

その返事を聞き、エリは視線を前方に向けるのだった。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

あんこうチームside

 

「あっちの隊長さんってどんな戦術使って来るのかな?」

 

試合が開始してしばらくして沙織がみほに質問する。

 

「うーん…エリさんは多分囮作戦をとってくると思う」

 

「囮作戦?」

 

「そう、前にお姉ちゃんに聞いた話でエリさんは中等部の編入試験で囮作戦で高等部の一軍に勝ったらしいの。しかも指揮したのは中等部の二軍らしいの」

 

そう言うと優花里が驚きの声をあげる。

 

「中等部の二軍で黒森峰高等部の一軍に!?」

 

「そんなにすごいんですか?」

 

あまりわからない華が優花里に質問する。

 

「例えるなら…子供が大食い選手をKoした感じ…ですかね?」

 

「なるほど…」

 

「いや!なんで分かるの!?」

 

いや、ホント…流石大食い…

そんな話をしていると無線が急に鳴った。

 

『すみません!アヒルさんチームやられちゃいました~!』

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第伍拾六話 銀、味方と寸断される。

駄文です


「八九式、撃破確認」

 

砲手の唯がポルシェティーガーの照準器を覗きつつ報告を上げてきた。

 

「八九式か…」

 

「場所、バレましたかね?」

 

通信手の岡澤結香が心配そうに顔を上げ、聞いてくる。

 

「まぁ、十中八九バレてるだろうな」

 

「囮作戦だからねぇ~」

 

美乃が横転し、白旗を上げた八九式を避けつつ言う。

 

「これで出てきてくれればなぁ…」

 

そう愚痴りつつキューポラから身を乗り出し辺りを見回すエリ。それからしばらくして2輌のポルシェティーガーはスピードを落とさずに橋の付近に差し掛かっていた。

 

「三咲!美乃!橋だ!スピード落とせ!」

 

「はいよ~」

 

『わっかりました!!』

 

徐々にスピードが落ちていき、橋の前で停車した。

 

「美乃~俺が先導するから降りるぞ」

 

「ん?ん、任せるわ~」

 

美乃にそう伝えてからキューポラから出て地上に降り立つ。それから橋に向けて走り、橋の中腹まで行くと振り返り美乃に合図を出す。

 

「美乃ー!」щ(゜▽゜щ)

 

「はいよ~」

 

美乃も返事を返し、戦車がゆっくりと前進してくる。それからエリのポルシェティーガーが中腹に差し掛かった時、麗から無線が入った。

 

『理事ー…やられちゃいました……』

 

「麗か!何にやられた!!」

 

エリはすぐに麗に確認をとる。

 

『トリコロールの三突にやられちゃいました…』

 

歴女チームかい…

 

「わかった。そっちに仁達を…『理事!!は、橋が落とされてます!!』…なにっ!?」

 

仁達を向かわせようとしたその時、美樹から無線が入った。仁達を向かわせたポイントの橋以外は渡れるポイントが長距離に渡って無い…───まさか!?

 

「美乃!!アクセル全開!!三咲はすぐに下がれッ!!」

 

「え、え?」

 

『はい!!』

 

美乃は急に言われた指示に混乱する。

 

「いいから!アクセル踏めッ!!」

 

「死なないでよ!──ニャ!!」

 

美乃がアクセルを開き、ポルシェティーガーが進み始めると、少し前までいた位置に一発の砲弾が命中した。

 

「──」

 

エリは砲弾の飛んできた先を睨んだ。橋が崩れ始めるもポルシェティーガーは進み、エリは自身に迫ってきたポルシェティーガーに飛び乗り素早くキューポラに入る。

 

「り、理事!!」

 

結香が慌ててエリに詰め寄る。

 

「みほめ、流石に囮作戦ばっかしすぎたかな?」

 

「理事!!」

 

「わーってるよ。美乃!上手いこと避けて一旦退避!」

 

「りょーかい!」

 

美乃にそう言い無線に手を当てる。

 

「敵の作戦により、車列が寸断された」

 

『大丈夫なんですかい?』

 

仁がそう聞いてくる。

 

「大丈夫だ。……多分」

 

「いや、多分何ですか!?」

 

唯が後ろを勢いよく振り返ってきた。

 

「まぁ、大丈夫だ」

 

「各車、ポイント──を通ってポイント───に集結せよ」

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第伍拾七話 銀、ピンチをチャンスに

駄文です


「いや~ピンチだなぁ~」

 

「そんなこと言ってる!ンラッ!場合ですか!!」

 

キューポラから身を乗り出しつつ笑うエリに主砲に砲弾を装填しつつ紗智がそう抗議する。今、エリ達はというと38tとチヌ、IV号から砲戦を仕掛けられているのだ!

 

「美乃ー?」

 

「なに~?」

 

車内に入り、美乃に話しかける。

 

「30秒後に180°ターンさせてポイント───に行ってほしいんだけど…行ける?」

 

「もちろん!」

 

美乃がそう返事をし、エリが時計を覗く。すると唯が抗議してきた。

 

「また敵に突っ込むんですかぁ!?」

 

「突っ込む!美乃!ブースト!……9!8!7!…3!2!1!反転!!」

 

突っ込むと断言し、美乃に反転までの秒読みを初める。

 

「はいッ!…よッ!!」

 

戦車のブーストが使われ、戦車が加速する。秒読みが終わると掛け声と共に車輌の向きが反転する。体に強い横Gがかかる。

 

「唯!!目標!Ⅳ号!!」

 

「あー!もー!!分かりましたよ!!」

 

「───撃てッ!!」

 

車体が向きを変え、再び走り始めると唯に砲撃の指示をする。

 

「───はぁ!?」

 

Ⅳ号に向かった砲弾を敵の僚車である38tがⅣ号の前に無理矢理出ることで防いだのだ。

 

「唯!Ⅳ号は狙えるか?」

 

唯にⅣ号が照準可能かと問うが、撃破した38tの影に入って狙えないという。

 

「すれ違いざまにチヌを砲撃、抜けるぞ」

 

「わ、分かりましたよ~」

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

あんこうチームside

 

「は、走りながら反転した!?」

 

ポルシェティーガーが急に加速し、反転してきた。それを見ていたみほは戸惑いを見せる。180°ターンってどんな操縦してるの…

 

「み、みほさん!!」

 

「…!回避!!」

 

華によって現実に引き戻されたみほはすぐに回避を指示する。が、無慈悲にもポルシェティーガーから砲弾が放たれ、みほのⅣ号に向かってくる。

 

「──会長!?」

 

急に衝撃が走る。Ⅳ号の横を走っていたカメさんチームの38tがⅣ号の前に出て撃破、撃破された38tに衝突したのだ。

 

『こっちは大丈夫だ!』

 

『だ、大丈夫だよ~』

 

『だ、大丈夫です』

 

カメさんチームの面々から通信が入る。それからみほは再び自身に迫ってきているポルシェティーガーに視線を移し、指示を出した。

 

「アリクイさんチームの皆さん!!ポルシェティーガーから距離を取ってください!!あの戦車に…『す、すみません…撃破されました…』…っ!」

 

チヌに乗るアリクイさんチームに回避を指示するが、その指示を伝え終わる前に撃破された。アリクイさんチームも回避行動を取り、ポルシェティーガーの射線上から抜けようと奮闘していた。ただ、相手が悪かった。

 

「パ、パンター?」

 

アリクイさんチームは対岸から側面にパンターの砲撃を食らっていた。

 

「逃げるぞ!!」

 

麻子がそう告げ、Ⅳ号を38tの影を利用して森へと逃げさせるのだった。対岸にはパンター、対面にはポルシェティーガーがいる。ポルシェティーガーだけならば後ろにいるカバさんチームの三突と挟み撃ちをすればよかった。ただ、パンターがいるならば別だ。三突とは少しながら距離がある。すぐには来れないだろう。

 

あんこうチームsideout



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第伍拾八話 唯、二段撃ちをする

駄文です


『逃げられましたか…』

 

対岸のパンターから無線が入る。美樹のパンターだ。

 

「美樹、ナイス」

 

『Ⅳ号、どうするんで?』

 

その直ぐ後、美樹の後ろから仁のパンターが現れた。

 

「…やっぱ、こっちでなんとかするしかないよなぁ~寸断されてるし…」

 

手に持った地図に視線を落とし、しばらく思案するも良策が浮かばない。

 

『デスヨネー…』

 

「まぁ、仕方ないからこっちでⅣ号追うから仁と美樹はポイント──で待機、三咲は…三突でも潰しておいて」

 

美樹と仁にはポイント待機、三咲には三突の撃破を指示する。

 

『『『りょーかい!!(わかったよー!)(分かりました!!)』』』

 

「美乃、Ⅳ号追跡行くよ~」

 

その指示を伝えてから自身の戦車に指示を出す。

 

「りょーかい~」

 

そう言い戦車はⅣ号が消えた森へと入っていった。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

しばらくして~

 

「なっかなか当たらないなぁ~」

 

みほのⅣ号との鬼ごっことなっていた。だが、着実にポルシェティーガーはⅣ号との距離をつめている。

 

「ちゃんとっ!…狙ってるんですけどねっ!」

 

照準器を覗き込みつつ唯が言うが、今度の玉もⅣ号には当たらず側にあった木に命中する。

 

「今のを避けるのかよ…唯!Ⅳ号の進路にある木を狙って!」

 

「木倒してとーせんぼって?んじゃあ…てェー!!」

 

ポルシェティーガーの砲身がひかり、砲弾がⅣ号の進路先にあった木を撃ち抜いた。

 

「うしっ!!」

 

「よー当てるよなぁ…」

 

こいつ…ほんと精度スゴすぎん?

 

「訓練、訓練、訓練で出来た!!」

 

「えぇ…」

 

それができたら苦労せんて…拳を突き上げる唯に困惑するエリ達ポルシェティーガー乗員であった。

 

「おっ?唯~次弾二発!敵車は停止すると考え、偏差をとって発砲よーい」

 

倒れた木を避けようとⅣ号が右に旋回しだしたのを見逃さず、エリは唯に指示を出す。

 

「分かってますよ!──紗智!!」ハッシャァ!!

 

「はい、よっ!!」

 

ガシャコン!

 

唯が初弾を撃ち、紗智が直ぐに排莢して次弾を込め、唯が再び撃つ。

 

「…Ⅳ号やっぱ止まった!!次弾直撃コースだ!」

 

キューポラから身を乗り出し、目を凝らしてⅣ号を睨みそう叫ぶ。

 

「戦車が急に動くかっての!!」

 

そう言うと先のエリの発言の通り、Ⅳ号が初弾に対して急停車し、次弾がⅣ号の後部側面に命中し光った。

 

「──Ⅳ号撃破確認!!」

 

エリは目視から双眼鏡に変え、Ⅳ号を見る。砲弾が命中してから少し間が開き、“シュポッ”という音を上げ、Ⅳ号戦車から撃破を表す白旗が上がった。

 

『大洗女子学園、Ⅳ号戦車行動不能!よって、鈴鹿総合学園の勝利!!』

 

無線から審判の声が聞こえてきたのは、それから少し後の事であった。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第伍拾九話 戦車、空中投下する

駄文です


「C-5M !?」

 

試合が終わり、大洗側と交流が始まろうとしたとき、優花里が急に空を向いてそう叫んだ。

 

…ん?あのスーパーギャラクシーって…

 

「C-5M?」

 

華が聞き返す。

 

「ああ!あの機体はC-5M通称スーパーギャラクシー。アメリカが戦後開発した長距離輸送機でサンダース付属高校やアメリカ空軍が所有している機体です!─あ、す、すみません…」

 

華の問いにマシンガンの如く解説をした優花里だが、その解説が終わると周りの空気を読み、シュンとしてしまう。

 

「さ、さすがゆかりん…」

 

沙織はその様子を見て驚きと凄さからかなんとも言えないようである。

 

「…あれ、うちのかも」

 

「えっ!?え、エリ殿の学園も所有しているのでありますか!?」

 

急に復活した優花里が聞いてきた。

 

「ん?あるぞ。他にも数機」

 

「さ、さすが私立学園艦…」

 

実際に鈴鹿総合の学園艦を見てきた優花里が凄さと呆れが混ざったような感想を述べる。

 

「下がって来たな…」

 

スーパーギャラクシーが段々と下がってくると、急に機体後部からパラシュートが開き、中から戦車が滑り落ちてきた。その戦車は砂の地面を少々抉りながら滑り、ついに停止した。

 

「ノイバウファールツォイク!?」

 

その戦車の全貌を見た優花里が叫んだ。

 

「あれがうちからの譲渡品ですよ。角谷会長」

 

「へぇ~?ヴァイキング水産のとこと同じ戦車かぁ~助かるよ~ありがとね。逸見君」

 

空中投下された(ノイバウファールツォイク)以下NbFzを見た杏はエリに対して素直に礼を言う。

 

「…ハァー!あちこちぶつけたし…」

 

NbFzに視線を向けると、NbFzの主砲塔のキューポラが開き中から蜜柑が出てきた。

 

「おーい!蜜柑ー!蜜柑が持ってきたのかー!てか蜜柑一人かー!」

 

その場からNbFzから降りてきた蜜柑に声をかける。

 

「え?ああ!そだよー!」

 

…そうらしい…まぁ、戦闘しないし良いの…良いのか。

 

「なんか強そう!」

 

「がっちりしてるなぁー」

 

「砲塔がたくさんある…」

 

「M3みたーい!」

 

NbFzに近寄り沙織達が口々にNbFzを見た感想を言う。

 

「蜜柑、みんなにこいつの説明してくれ」

 

「わかったわ~」

 

エリもNbFzの近くに寄り、蜜柑に戦車の説明を頼む。

 

「ノイバウファールツォイク、(NbFz)ドイツの試作多砲塔中戦車よ。主砲はⅣ号と同型の75mm砲を、副砲には37mm砲を搭載しているわ。改修してるから速力は平地で36は出るかしら?」

 

「不整地なら30km/hそこら…M3リーより速いですね…要塞的な使い方ですかね?」

 

優花里は冷静にNbFzを分析する。

 

「後でヴァイキング水産高校の試合データ、見てみますか?」

 

「そうだねぇ~西住ちゃん。どー思う?この戦車」

 

桃に質問された杏は話をみほにふる。

 

「良い戦車だとは思います。十分に速力も出ますし」

 

「そっかー」

 

杏はそう言って今度はエリの方を向いた。

 

「逸見君この後、予定あるー?」

 

「この後?俺は…特にはありません」

 

「そっか。そりゃよかった。ちょっと生徒会室でお茶でも?」

 

こりゃ、なーんかあるか?

 

「…ええ?構いませんよ」

 

簡潔にそう返す。なんかありゃあその時だ。それからエリは蜜柑に隊を率いて先に学園艦へ帰るように指示し、大洗の生徒会室に向かっていった。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第六拾話 銀、杏、生徒会室で会談する

駄文です


~大洗生徒会室~

 

「粗茶ですが…」

 

「あ、どうも」

 

ソファーに座ると柚子がエリと杏にお茶を出してくれた。

 

「ん、ありがとね。小山と河嶋さ、少し席外してくれる?」

 

杏はお茶を入れてきた柚子に礼を言い、柚子と側にいた桃に席を外すように言う。

 

「「わかりました」」

 

二人はそう述べ、生徒会室から外へ出ていった。それから杏はエリを向き直し、口を開いた。

 

「今日は練習試合ありがとね」

 

「いえいえ、こちらこそありがとうございます」

 

「───で、質問なんだけど…何でうちに戦車なんて譲渡してくれたのかな?“西住エリ”君?」

 

杏がそう言った瞬間、エリは軽く杏を睨んだ。

 

「そうかっかしないでよ。お茶でも飲んでさ?リラックスしてよ~」

 

今度は軽く茶化してきた。

 

「…戦車の譲渡はあくまでもうちの戦車の削減ですよ。使わないんですよNbFzって」

 

「さすが私立」

 

うちの主力はティーガーシリーズやパンター、Ⅳ号だ。いくら強化してあろうが多砲塔戦車は使用しないのだ。

 

「それ以外にもあるんじゃな~い?───西住ちゃんがいるからとか、さ?」

 

杏は鋭くポイントを突いてくる。

 

「…なんでそうだと?」

 

「仲の良かったチームメイトで義理の妹で自分が原因で戦車道を一度辞めてしまった…色々あるよねぇ~西住ちゃん関連ならさ?あと、多分うちの現状…知ってるんでしょ?」

 

例えを複数提示してきた。

 

「全国大会で優勝出来なかったら廃校…ってのか?」

 

「…なーんだ、やっぱり知ってたんだね」

 

「…色々と伝があるからな」

 

エリはそう言ってお茶をすする。

 

「まぁ、何はともあれ助かるよ。うちは車輌数が少ないからね」

 

「みほをまた悲しませたくないしな……だけど、20年前の大洗の主力の半数は残っているだろ?」

 

そう杏に言ってやる。エリはこの世界線に来たときに大洗について調べていたのだ。

 

「20年前、王者黒森峰を撃ち破った大洗女子学園戦車道副隊長、角谷久美子の娘さんなら…何か知ってんじゃないのか?」

 

20年前、大洗女子学園は全国大会で強豪校を薙ぎ倒し大会優勝常連となっていた黒森峰を撃ち破ったがその年、急に大洗女子学園は戦車道を廃止した。それを主導したのは当時の副隊長にして副会長だった角谷久美子、この角谷杏の母だったのだ。

 

「…お母さんは戦車の種類は教えてくれてもある場所までは教えてくれないんだよね」

 

「…まぁ、見つかるだろうな」

 

「でも、今年勝てなけかったら…大洗はねっ!!」

 

杏がそう激昂するもエリはそれをなだめる。

 

「それを、大洗で達成させるんだろ?みほ達と、角谷会長がさ」

 

「…そうだね、焦りすぎてたよ」

 

杏はいけないいけないと自分を落ち着かせる。

 

「…俺はもう自分の艦に戻ります」

 

「あれ?もう戻るの?西住ちゃんには?」

 

みほに会わないのかと聞いてくる。

 

「また来たときにします。仕事があるんで」

 

そう言うとエリは立ち上がり、扉の近くまで歩いていき、何かを思い出したのか杏の方を振り返った。

 

「また何かあったら連絡してください。連絡先は…これに書いてありますから」

 

そう言い懐から名刺を出して杏に手渡した。

 

「へぇ…ありがとね。また何かあったら連絡するよ~」

 

杏からの返事を聞き、エリは今度こそ生徒会室を出て自身の学園艦へ帰るのだった。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第六拾壱話 銀、Ⅳ号をラングに変えられる

駄文です


大洗女子学園との試合が終わってから早いもので26日がたったある日、エリと蜜柑は鈴鹿総合の演習場にあった。二人とも苦笑いしながら、である。

 

「…なぁ、蜜柑?」

 

「な、なんだい?エリ…」

 

蜜柑が視線をそらすがエリが苦笑いしている原因を指差して叫んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「─────何をどうしたらⅣ号が70ラングになるんだよッ!!」

 

演習場で走り回っているのはエリのⅣ号H型…ではなくⅣ号70ラングである。

 

「あはは……いや~改修しながらバラしてたらなんかパーツが混ざっちゃったみたいで…70ラングになっちゃった☆」

 

「なってたまるか!!組み立てで分かるだろ!?」

 

なんかはっちゃけた蜜柑の襟元を掴み揺らしながら叫ぶ。

 

「ご、ゴメンて…ぎ、…ギブ!ギブ!」

 

「あ、ああ、すまん…」

 

我に帰ったエリが服を放すと蜜柑は呼吸を整え、服を着直す。

 

「ゼー…ゼー…」

 

「ったく…で、こいつの性能は?」

 

エリは不本意だが仕方なく、仕方なーく!目の前の70ラングの性能を聞いた。

 

「7.5cm PaK 42を搭載していて貫徹力は抜群でエンジンも再生産版だから整地で36~8くらいは出るかしら?」

 

「ふ~ん…でも、それで回転砲塔取っ払ってどーすんだよ!!」

 

ほんとに、回転砲塔取っ払ってどーするってよ。隊長車が固定砲塔っても…なんかなぁ…

 

「それはさぁ…なんとか頑張って!p(^-^)q」

 

「やれるかァ!!戦略がごろっと変わるわッ!!」

 

「…蜜柑、明日までにⅣ号H型に直しておいてよ?」

 

70ラングを見つつそう蜜柑に告げる。ただすぐに蜜柑が反論してくる。

 

「そ、そんなぁ~明後t「…やれ」ゴゴゴ!!…イエッサー!!」

 

有無を言わさぬエリの返しに思わず蜜柑は無意識のうちに敬礼をしてしまっていた。

 

「後、麗のⅣ突はこのラングに改造ね。明日までに」

 

「そ、それはその…「─何か?」いえッ!何もありませんッ!!」

 

Ⅳ突とⅣ号の改修まで任されてしまう蜜柑である。…哀れ……

 

「って言ってもⅣ突まで1日はあれだから…Ⅳ突は明後日までね?」

 

「アッハイ…ヤリマスヨ…」

 

なんか…白くなってるな…蜜柑

 

「聖グロとの試合は4日後なんだからな」

 

「わかってるよ~…」

 

まだグー垂れてる蜜柑がそう言うと丁度70ラングがエリ達の前に止まり、中から人が出てきた。美乃だ。

 

「おお、美乃。美乃的にこいつの性能ってどうなんだ?」

 

「うーん…私、固定砲塔類は苦手なんだよね……けど、速くていいよ?」

 

速くていいんだ。けどやっぱり固定砲塔は苦手かー

 

「そっかーありがと、その70ラング工廠に運び込んどいてくれるか?」

 

「工廠に?」

 

「そ、蜜柑に明日までにH型に直してもらうからさ」

 

そう言うと美乃は蜜柑を見てから苦笑いをした。

 

「そ、そう…できるの?」

 

「多分…まぁ、出来なかったらポルシェティーガーで出るだけだけどさ。まぁ、先に工廠に運んどいてよ」

 

「りょーかい。じゃあ…蜜柑も連れてくよ~」ヨッコイセ

 

「あわわわ!…み、美乃!?」ジタバタ

 

エリの横で地面にのの字を書いていた蜜柑を美乃が抱えあげ、70ラングの車内に放り込み美乃とエリも乗り込む。

 

「じゃ、行くよ~」

 

「ん、頼むわ~」

 

美乃はそう言って70ラングを発進させ、工廠に向かっていくのだった。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第六拾弐話 蜜柑、1日でⅣ号を元に戻す

駄文です


「な、なんとか終わったよ…」

 

翌日、工廠に足を運ぶと蜜柑はそう言って70ラングに魔改造されたⅣ号を元のH型に改修し直した車輌をエリに見せてくれた。

 

「おー!1日でよくやったな!できると思ってなかったのに…」

 

「えっ!?私ちゃんとやったのに!!」

 

うん、1日で終わらすとは思ってもみなかったんやよ。いくら蜜柑達でも大洗の自動車部みたいにはならんだろって…なぁ?

 

「…普通に考えて1日で70ラングからH型に改修とか出来ないでしょ」

 

「あるでしょーが!!その成果がいまっ!目の前にっ!あるでしょうがっ!!」ゼーゼーゼー…

 

蜜柑はエリの返事に反応して叫び、徹夜明けと叫び過ぎにより息切れを起こしていた。

 

「まぁ、ありがとな。蜜柑」

 

「─ふふーん。も~っと褒めていいんだよ!」

 

「で、性能はどうなったんだ」

 

蜜柑の煽りを無視してⅣ号の性能を聞いた。

 

「んもぉ~いけずなんだから~っで、性能ね」

 

「その調子の変え方は尊敬するわ…で、そ、性能」

 

「今回の改修はエンジンと変速機だけね。内容としてはエンジンと変速機は新造の上で改修を行ったわ」

 

今回の改修内容はエンジンと変速機の新造と改修だけだ。

 

「で、結果は?」

 

「速度が上がって整地でだったら40~42km/hは出るようになったわね」

 

元が整地で38km/hだから…2~4km/hも性能向上したことになる。

 

「良くできたな」

 

「そっりゃあ!うちの軍需工廠だからね!戦車の製造整備くらいできるわよ!」

 

デスヨネー。流石うちの工廠!

 

「ん、麗のⅣ突はどうだ?まだならまだでいいんだが…」

 

それからエリは改修が追加された麗のⅣ突の話をする。

 

「あー、麗ちゃんの?それなら…今は工廠主任総括がやってるわね」ペラペラ

 

手元のバインダーを捲り、資料を読み伝えてきた。

 

「工廠主任総括?っていうと…明石か?」

 

「そーですよ?明石さんなら大丈夫なんじゃないですか?」

 

蜜柑は何か問題が?と聞いてくる。いや、明石はなぁ…

 

「あいつは工廠で開発するのが厄介なものばっかって言われてるからなぁ…」

 

工廠主任総括。そんな大層な名前の役職を関しているのは、エリが現実で艦これをしていた頃の鎮守府の工作艦明石だ。ん?なんでいるのか?知らないよ…ちょっと前になんか遠征に出たら霧に拐われてこっちに来たらしい。で、今はうちの工廠主任総括をしている。

 

「大丈夫だったわよ?軽く見てきたけど」

 

「そうか…まぁ、なら大丈夫か」

 

なら、大丈夫だろう。

 

「じゃあ、明石にいらんことはすんなって言っといてくれ」

 

「りょーかい。エリはこの後なんかあるの?」

 

「書類処理…」

 

「が、がんばってね~」

 

蜜柑に同情めいた声をかけられつつエリは自身の執務室に向かっていった。




工廠主任総括┳整備科主任
┣機械科主任
┣電気科主任
┗建築工学科主任


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第六拾参話 銀、ローズヒップは犬だと思う

駄文です


蜜柑の魔改造事件から3日、作戦会議やら練習やらで時間が過ぎていき聖グロとの試合当日となっていた。

 

「チャーチル1輌にクルセイダー4輌、マチルダⅡ5輌かぁ~」

 

手元のバインダーには事前に聖グロに放った密偵の明石が得てきた敵の車輌内容が書かれている。チャーチル1輌、クルセイダー5輌、マチルダⅡ4輌が敵の車輌のようだ。

 

「クルセイダーねぇ~ねぇ!エリ!クルセイダー乗ってみたいんだけどさ、うちってあったっけ?」

 

操縦席から美乃がそう質問してくる。

 

「クルセイダー?うーん…確か前に他のとこに譲渡してた気がする…」

 

「えー!無いのー!!」

 

ガックシとあからさまな落胆の仕草を見せてきた。

 

「うちのポルシェティーガーの方が速いんだぞ?」

 

「そりゃー知ってるけどさ~」

 

「取りあえずうちのポルシェティーガーで我慢してよ」

 

「ちぇ~わかったよー」

 

クルセイダーを新造出来ないことはないが新造するのもなぁ…使わんし…

そしてそうこうするうちにエリ達は試合会場に到着した。既に相手方は整列している。ダージリンにオレンジペコ、それにアッサムにローズヒップがいた。

 

「よしっ!停車かーんりょ!降りれるよ」

 

少々振動があったがⅣ号が停車し、エリ達はキューポラやハッチを開け車外に出る。

 

「久々に来たな…グフッ」

 

「エリ様!!お久しぶりですわーッ!!!!」

 

「エリ!?」

 

「理事!?」

 

車外に出た途端、エリは腹に急な衝撃を受けた。

 

「ろ、ローズ…は、離れて」

 

「はいですわっ!!」

 

聖グロのスピード狂、ローズヒップだ。ローズはエリに言われ、素直にエリを放す。…犬?

 

「ひ、久しぶりだな。ローズ、元気にしてたか?」

 

「もちろんですわよ!!」

 

やっぱり犬だよね!?

 

「ローズ…はしたないですわよ」

 

そうした所で相手側から声がかかる。

 

「あ、ダージリン様…申し訳ありません」

 

「分かればよろしいですわ…エリさん、生きておられたのね。よかったわ」

 

ダージリンである。

 

「なんとかな。死にかけたけど…」

 

「こんな格言を知っていて?『幸運の神様は、常に用意された人にのみ訪れる』」

 

「ルイ・パスツールか…確かに、俺は運が良いのかもなぁ」

 

いつも通りダージリンが格言を言ってきた。

 

「試合後にお話を聞かせてくれるかしら?積もる話もありますし」

 

「お茶のお誘いか?ぜひとも参加させてもらおうかな」

 

「そう、楽しみね────ローズ、戻りなさい」

 

「はいですわっ!!」

 

ダージリンに呼ばれ、ローズが自分の戦車の前に戻って行った。

 

「もう始めてもよろしいですか?」

 

ダージリン達が戻って行った所で、審判がそう質問してきた。

 

「「もちろん(問題ありませんわ)」」

 

「─では、聖グロリアーナ女学院と鈴鹿総合学園の試合を始めます。一同、礼!」

 

「「「「「「「よろしくお願いします!!」」」」」」」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第六拾四話 聖グロ第二のホームグラウンド

駄文です


「聖グロ生徒のホームグラウンド、か……」

 

Ⅳ号のキューポラから身を乗りだして辺りを見回しながらそう言った。試合会場は聖グロの帰港地、横須賀。土地勘がある聖グロ生徒の第二のホームグラウンドだ。試合が開始して既に40分近くが過ぎ、こちらは麗の70ラング、三咲のポルシェティーガーが撃破されこちらの戦果エリのⅣ号が撃破したマチルダⅡ1輌だけだった。

 

「隊長車から第一小隊各車!次の交差点を右折してよこすか海岸通りに出るぞ!」

 

今回の鈴鹿総合の投入車輌は隊長車のⅣ号、三咲と渚、響のポルシェティーガー、仁と凛、小太郎と美樹のパンター、フラッグ車になってるあぎりのティーガーⅡ、麗の70ラングである。

 

第一小隊はエリのⅣ号を小隊長に三咲、渚、響のポルシェティーガーと麗の70ラングで構成され、第二小隊はあぎりのティーガーⅡを小隊長車にパンター全輌が配備されている。

 

「右折して!」

 

「はいよ~」

 

エリの号令にⅣ号が交差点を右折、三咲達のポルシェティーガーも続く。

 

「こっちの仕事は露払いだから、ちゃちゃと始末しましょーか~っと、左前方200に敵車!マチルダだ!!」

 

「発射!!」

 

雁行で直進していた各車から砲弾が放たれ、敵マチルダⅡを狙う。が、数発のみ当たりはしたが跳弾して撃破は出来なかった。マチルダⅡが傍にあったビルの影に隠れた。

 

「隊列そのまま、各車警戒厳!指示で直ぐに砲撃出来るようにして前進!マチルダⅡを追う!─────!」キュピーン!

 

………エ………様…ァ~!!

 

「───撃てェ!!」

 

奥から聞こえてきた叫び声が大きくなった所で無線に向けて叫ぶ。

 

「私が…えッ!?ちょッ!?キャァー!!」

 

飛び出してきたローズ率いるクルセイダー隊が次々と撃破される。車は急に止まれない─もとい戦車は急に止まれないとは正にこの事……先に撃破されたローズにぶつかる形で後続のクルセイダーも飛び出して追突、飛び出して追突と…そこで塊になったクルセイダー隊に追加で砲撃を加える。

 

「うしっ!敵クルセイダー隊壊滅っと!」

 

「で、次は~?」

 

美乃がそう聞いてくる。

 

「もちろん、あのマチルダを追うぞ」

 

『理事。フラッグの応援っていらないんですかね?』

 

そこに後ろの響から無線で質問された。

 

「大丈夫な筈だぞ。あっちはティーガーⅡとパンターに応援に美樹もまわしてるんだぞ?」

 

『そうですが…』

 

「何かあるのか?」

 

言いどよむ響に追加で質問する。すると、そこに嫌な知らせが入る。

 

『こちら仁!!敵の急襲を受けて俺と凛に小太郎、あと応援で来てた美樹も撃破されちまった!!』



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第六拾六話 ポルシェティーガーが速すぎる

駄文です


『こちら仁!!敵の急襲を受けて俺と凛に小太郎、あと応援で来てた美樹も撃破されちまった!!』

 

「何!?」

 

急に入った報告を仁に問いただす。

 

『大学手前で敵の本隊に襲撃されて今は迎撃しつつ警察署方面に向かってる!!』

 

「分かった!!第1小隊各車!次の角曲がって戻るぞ!!」

 

『『『『了解!』』』』

 

そう言ったあと直ぐに角を曲がり、東京環状道路に出る。

 

「三咲、渚、響は先にブースト使ってフラッグに向かえ!!」

 

『良いの!?』

 

『『『りょーかい!!』』』

 

三人が返事をした数秒後、一瞬三人のポルシェティーガーの車体が後ろに沈み、一気に加速してⅣ号を追い抜いていく。

 

「頼むぞ…」

 

 

 

 

─────────────────────────

 

 

 

 

 

──────────────

 

 

 

 

 

─────────

 

 

 

聖グロside

 

「エリさんのフラッグ車、案外簡単に護衛を撃破できましたわね」

 

そう言うのはあぎりのティーガーⅡを追う聖グロ隊長、ダージリンだ。

 

「何かありそうで怖いんですが…」

 

「そうね、注意はしっかりしないといけないわね」

 

オレンジペコ、アッサムが続く。

 

「あちらにはポルシェティーガーが3輌もいるから…早く決着をつけたいですね」

 

「そう直ぐには来ないでしょう。ローズが撃破された地点からは来るのに時間がかかりますから」

 

ペコの指摘にダージリンはそう返した。

 

「当たらないわね…!」

 

アッサムが照準機を覗き込みつつそう言う。

 

「相当な練度ね、あのティーガーⅡ」

 

「あのティーガーⅡの車長、エリさんの所の副隊長らしいですよ?ダージリン様」

 

ペコにフラッグ車の車長がエリの副隊長だと言われ納得する。

 

「副隊長なのね…なら、あのティーガーⅡの練度が高いのも納得ね」

 

「4号車と3号車は先行してティーガーⅡの進路をふさいでくださいな」

 

『『分かりました』』

 

少し先の曲がり角からマチルダⅡが2輌現れ、ティーガーⅡの前から挟み撃ちの体勢に入る。

 

「アッサム、よーく狙いになってくださいな」

 

「分かりましたよ─!?」

 

ダージリンに指示され、照準機にティーガーⅡにを捉えた瞬間、前からティーガーⅡに迫っていたマチルダⅡが曲がり角の横を通った瞬間、撃破された。

 

「な、何事なの?」

 

チャーチルの横にいたマチルダⅡがその曲がり角から現れたものに驚きの声をあげる。

 

『ぽ、ポルシェティーガー!?速すぎますわ!!』

 

「ローズヒップさんみたいな方ですね…」

 

「退避しますわ」

 

ペコがそのポルシェティーガーにそう評価をする。が、その間にもまた2輌のポルシェティーガーが現れ、もう1輌のマチルダⅡが撃破されダージリンは撤退を指示し後進して逃げる。

 

『わかりまし…キャア!!げ、撃破されてしまいましたわ…』

 

チャーチルの護衛だった2輌のマチルダⅡのうち1輌がポルシェティーガーの砲撃を受けて白旗をあげる。が、その隙をついてチャーチルとマチルダⅡは通路の曲がり角を使い撤退していった。

 

「おやりになるわね…」

 

聖グロsideout



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

番外編 ローズヒップとエリの出会い

駄文です


「はぁ…何で俺がこんなめに…」

 

やぁ、黒森峰女学院高等部1年の逸見エリだ。今、俺はというと次の練習試合相手の聖グロリアーナ女学院に偵察に来ている!ん?何を落ち込んでいるか?…そんなん、決まってますやん…例の“アレ”ですよ……

 

わからない!?つまりは…ほら、

 

まほ「エリ、聖グロに偵察に行ってきてくれ」

 

エリ「じ、自分は私用がありまして…はい」

 

まほ「そうか…まぁ、決定事項だから」

 

エリ「えぇ…」

 

的な流れで聖グロの制服渡されてあれよあれよで聖グロの学園艦ですよ。…今度は隊長補佐やらされるし……はぁ……

 

「がんばるしかないか…」

 

「何を落ち込んでるんですの?」

 

「!?」

 

急に後ろから声をかけられ、声の方を振り返る。

 

「あ、あなたは?」

 

「私ですか?私は───」

 

ま、間違いない。この赤髪…この娘は──

 

「で、あなたのお名前は?」

 

──ローズヒップ!

 

「えっ?ああ、私?私は…光井リエです」

 

光井リエ…いつみエリを逆に呼んだだけ!いやぁ、急に名前聞かれるとは思わなかったんよ

 

「リエさんですね!リエさんは何年生なんですの?」

 

「わ、私は外部編入組の高等部1年生です」

 

「なら私の先輩になりますね!」

 

あんさん中等部!?

 

「中等部なの?」

 

「いえ!来年試験を受けるつもりなんです!」

 

てことはローズヒップとペコは同級生と…

 

「何で聖グロに…?見学?」

 

「そうなんですよ!で、今はどこに行けば良いのかわからないんです!!」つ書類コレナンデスノー!

 

…ローズヒップェ……

 

「そ、そうか。どれどれ…ああ、事務所か。なら、その方面に私も用事があるから送っていくわ」

 

「本当ですか!ありがとうございます!」

 

「じ、じゃ行くよ」

 

そう言ってエリとローズヒップ(仮)は事務所に向かって行った。

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

事務所前

 

「ありがとうございました!光井さん!」

 

事務所の前まで連れていくとローズヒップがそう言って頭を下げてきた。

 

「気にしないで。私がしたくてしたことだから」

 

「所で君は戦車道をしに聖グロに来るの?」

 

「はい!クルセイダーでかっ飛ばしたくて…!?す、すみません……」

 

今からスピード狂なんか…

 

「クルセイダーかー、君にぴったりな戦車だね。それじゃあ、私は用があるから────な、ナンデショウカ?」

 

ローズヒップ(仮)に別れを告げ、撤退しようとすると急に後ろから肩を掴まれた。

 

「あら、スパイをしに来た貴方を捕まえるのよ?」

 

ダージリン…!!

 

「な、何をおっしゃっているんですの?だ、ダージリン様」

 

「光井リエさんじゃないんですか…?」

 

それを見ていたローズヒップ(仮)がエリが名乗った偽名を口にした。

 

「違うわよ。この方は黒森峰女学園機甲科高等部一年の逸見エリさんよ。つまりはスパイね」

 

「いやぁ…それじゃ!またね~ダージリン」

 

情報をばらされたエリはそう言って肩を掴んでいたダージリンから全力で逃げ出して行った。

 

 

尚、エリはというとこの後なんとか脱出できまほに諸々愚痴りに行きましたとさ



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第六十七話 銀、撃破される

駄文です


『マチルダ、チャーチル!三笠公園内に向けて行ってます!』

 

先行した三咲車から通信が入った。

 

「こちら隊長車。了解」

 

そう短く返しエリは自分の戦車の指揮をとりだす。

 

「美乃、三笠公園に向かってくれ」

 

「りょーかい!」

 

指示を受けた美乃がⅣ号を三笠公園に向けて走り出していった。

 

 

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□

 

 

「…!チャーチルだ!」

 

三笠公園へ向け走っていると前方をチャーチルが横切った。

 

「美乃!」

 

「わっかってるわ!」

 

Ⅳ号もスピードを上げチャーチルを追う―――が、しかし――

 

「グッ!…な、なんだ⁉」

 

チャーチルに続いて角を曲がろうとした瞬間、エリが乗るⅣ号が揺れた。衝撃がきた後方を見るとⅣ号は後部装甲に被弾し白旗を上げていた。その先には砲身から硝煙を上げるボロボロのクルセイダー。

 

「…まさか!」

 

エリはクルセイダー隊が来た時の事を思い出した。全部が全部フラッグ確認してない!

 

「クソォ…こちら隊長車!クルセイダー隊残存に撃破された!以後指揮はあぎりに譲渡!任せる!」

 

『大丈夫ですか〜?』

 

あぎりから無線が入る。

 

「なんとかな。チャーチルはポイント――で見たから後はよろしく」

 

「分かりました〜」

 

あぎりはそう言って無線を切った。

 

「やられちゃったねぇ〜」

 

「そうだなぁ…」

 

美乃が首の後ろで手を組みつつ言ってきた。

 

「やられちゃったじゃないですよぉ…」 

 

「撃破しそこねた奴に…ギリッ」

 

「勝てますかね…」 

 

上から佐智、唯、結香だ。

 

「勝てると思うがなぁ…あぎりとポルシェティーガー隊は残ってるんだしさ」

 

「そうですかねぇ…」

 

結香がそう言いたいのもわかるが…あぎりが部隊率いたら聖グロの数輌くらい大丈夫だろう。ポルシェティーガーが速さで潰す筈だ。

 

「まぁ、そのうち知らせが来るよ。気長に待とう」

 

 

 

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□

 

 

 

「…そろそろかな?」

 

『――聖グロリアーナ女学院、フラッグ車戦闘不能!!よって、鈴鹿総合学園の勝利!!』

 

エリが撃破されてから十分後、リラックス仕切った車内に無線機から勝利の知らせが入って来た。

 

「流石あぎりだ。ちゃんとやってくれたな」

 

エリはそう言ってキューポラを開け、外に出る、

 

「なんとか勝てた、か…」

 

装甲板に腰掛けて撃ち抜かれ、黒く焦げた後部装甲板を見てそう言った。

 

「ま、油断大敵ってやつだね、エリ〜w」

 

「うっさいよ!美乃!」

 

操縦手の上のハッチから顔を覗かせた美乃が茶化してくるが、それに言い返す。

 

「わっかったわ〜」

 

「ったく…」

 

そう言う美乃にエリは深くため息をつくのだった。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第六拾八話 茶会は踊る その壱

駄文です


「…それじゃあ、エリさんは川に流された後は自身の学園艦にいたのね」

 

試合後、聖グロ茶会に呼ばれたエリはダージリンから川に流された後の事などを色々聞かれていた。

 

「そーだよ。目が覚めたら病室だった」

 

「そんな事あるのね」

 

アッサムがそう言いつつ紅茶を飲む。

 

「あったんだよなぁ…ワケワカメだけどさ」

 

「エリさんの学園艦、大きいですよね。うちより大きいんじゃないですか?ダージリン様」

 

ペコがダージリンに問いかける。

 

「確かに…どうなの?エリさん」

 

「ん?うちか?う〜ん、確か…全長は18,000mで全幅が6600mだった筈だな」

 

「1.8kmですか⁉うちより大きいですね!ダージリン様!」

 

ペコではなくローズヒップが驚いて立ち上がった。それをダージリンがいつものように咎める。

 

「ローズ…はしたないですわよ?」

 

「申し訳ありませんわ…ダージリン様」

 

…なんだろなぁ…ローズの頭にシュンってなった犬耳が見えた気がするわ…

 

「エリさんが理事長をしていたなんて驚きでしたわ」

 

ダージリンがそう言い紅茶を飲む。

 

「聞かれなかったからな。黒森峰に来る前から理事長はしてたんだがな」

 

「あら?そうだったの?」

 

そういえば言ってなかったな…

 

「そそ、うちの学園艦から航空機で偵察出てたら未確認機に襲撃されて黒森峰に墜落よー」

 

エリはそう言い自身のカップに口をつける。するとそれにペコが反応した。

 

「つっ、墜落⁉」

 

「そうなんやよ。F4Fに1対5だぞ?勝てっこないわ」

 

ほんとあのF4F何だったんだろ…まぁ、十中八九で神がやらかしたんだろうけどさ

 

「それでよく生きてらしたわね…」

 

ダージリンが呆気にとられた顔で言う。

 

「ほんとほんと、目が覚めたら病室なんだもん。よく生きてたわ」

 

「悪運は強そうですよね…エリさんは」

 

アッサムも呆れた顔で言う。

 

「違いないですね。理事の悪運の強さは半端じゃありませんから」

 

「皐月ぃ…」

 

「なら、その悪運をどうにかしてくださいよ、理事」

 

軽く毒を吐きつつ紅茶を飲む。

 

「えぇ…」

 

「面白いお方なのね、加藤さん」フフッ

 

ダージリンが皐月とのやり取りを見ていたダージリンが微笑む。

 

「明石工廠主任総括と夕張工廠主任総括補佐の開発物でも良く生きてますしね、理事」

 

「…あれは普通に死にかけてるんだぞ!!この間は青葉のせいで書類仕事倍増したんだからな!」

 

「あら、その方達もエリさんの学園生の方なのかしら?」

 

エリの愚痴に反応してダージリンが質問してきた。

 

「いや、うちの教i「理事の彼女さんですよ」さ、皐月⁉」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第六拾九話 茶会は踊る その弐

駄文です


「いや、うちの教i「理事の彼女さんですよ」さ、皐月⁉」

 

「「「「…」」」」ピシッ!

 

エリの答えをぶった斬って皐月が答えた途端空気が凍った。 

 

「え、ええええ、エリさんの…彼女…?」

 

「ほ、本当なんですか⁉」

 

「エリ…サマニ、カノ、ジョ…?」

 

「エリさんに…彼女さんが…?」

 

「…」()

 

上からダージリン、アッサム、ローズ、ペコ、ルクリリである。ダージリンとアッサムはカップを持った手をガタガタと揺らしているしローズ、ペコはハイライトが仕事をしていない。極めつけにルクリリが気絶している。

 

「さ、皐月ィィ!!」

 

「エリ様…冗談ですわよね?」

 

ローズがハイライトが消え失せた瞳をしながらユラユラと聞いてきた。

 

「い、いやぁ…なんと言いますか…」

 

い、言えん…彼女と言うよりケッコン(仮)してるとは…フルエッ

 

「エリ様?/エリさん!/エリさん?」ゴゴゴゴォッ!!

 

「ヒュエッ!…あ、ああ、今日は会談があるんだった!じ、じゃあ!!皐月!行くよ!」

 

「え?ちょ、理事!」

 

ローズとペコ、ダージリンからの圧に耐えかねたエリは理事会と理由をつけて席を立ち、皐月を引き連れお茶会を後にした。

 

 

 

 

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ 

 

 

聖グロside

 

「エリ様…」

 

「エリさん…」

 

ローズやペコが先程退出したエリの名を呟いている。 

 

「…アッサム、エリさんの周辺をもう一度洗い直してもらえるかしら?」

 

「ダージリン…?」

 

ダージリンのその問いにアッサムが疑問符を浮かべる。

 

「頼めるわね、アッサム」

 

「…わかったわ。もう一度洗い直してみますわ」

 

アッサムはダージリンからの要請を受けることにした。ダージリンが何を望んでいるかは分かるがそれ以外も分かるだろう。なら、洗い直しても悪くはない。

 

「…エリさんは我々がいただきますわよ…」

 

ダージリンは小さく、誰にも聞かれないように呟いた。

 

 

聖グロsideout

 

 

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□

 

 

「はぁ…厄介な事言わんでくれよなぁ…」

 

あれから自分の学園艦の執務室に戻り、椅子に腰掛けたエリはソファーに座っている皐月に向けて言った。

 

「いいじゃないですか、どうせ聖グロの諜報能力ならいつか掴んでましたよ」

 

「そうは言うがなぁ…」

 

聖グロの諜報能力は侮れない。うちの諜報部は元香と青葉、川内が担当しているが聖グロとはどっこいどっこいかもしれないのだ。

 

「より諜報は強化して他所の諜報員には注意がいるな」

 

「そうですね、明石機関には通達しておきます。では、理事、会談がもうすぐです」

 

そう言われ時計を見ると会談開始まであと15分を切っていた。

 

「わかった。それじゃあ、行くかな」

 

エリと皐月はそう言い執務室を後にしていった。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第七拾話 銀と国家公務員と会談と

駄文です


鈴鹿総合学園、応接室――――

 

エリが応接室に着くと、既に相手が来校してソファーに腰掛けていた。

 

「おまたせしました―――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

“辻局長”」

 

“文部科学省学園艦教育局長 辻廉太”あの七三分けの役人様だ。

 

「いえいえ、構いませんよ。“西住理事長”」

 

儀礼的な言葉を受けつつ自分も対面のソファーに腰掛ける。

 

「辻局長、本日のご要件をお聞きしても?」

 

「なに、西住理事長なら既にご存知だと思いますが大洗の学園艦統廃合政策の件ですよ」

 

こいつ…うちにもなんか吹っ掛けようってか?

 

「はぁ、大洗を「戦車道の全国大会で優勝すれば廃校を撤回する」…」

 

うちが大洗へ戦車援助したのをチラつかせようってか?

 

「私は1ミリたりとも大洗が優勝する。なんて事は思ってもいませんがもし、大洗に優勝でもされると困るのですよ。西住理事長」

 

……原作通りなら大洗は全国大会、大学選抜を下して存続で万々歳ってな感じだったな。うちに全国大会で妨害させようってか…?

 

「癒着ですか…」

 

辻局長の言い草からそうもらした俺は悪くないはずだ。絶対思うからな。

 

「とんでもない!企業の方との“お付き合い”ですよ」

 

「辻局長。私達にこの全国大会に参加しろとでも言いたいんですか?」

 

エリは辻局長に切り込む。

 

「いえ、全国大会への申込み期限は既に過ぎてますし今更入れると外野がうるさいんですよね。西住理事長には“もし”優勝された時にすこーし協力してもらいたいだけですよ」(^^)

 

「私達がそれに協力するとでも?第一、大洗と文部科学省の“約束”でしょうに」

 

なんで好き好んで胡散臭い奴に協力しなきゃ駄目なんだか…

 

「そうですか…“乗組員の戸籍取得と学園艦のドック使用許可”でしたっけ?」

 

「⁉」

 

「私の権限で学園艦の所属先なんて除名できるんですよ」

 

こいつッ…!!

 

「ふざけてるのか!!」ドンッ!

 

エリは思わず机に拳を叩きつけながら叫んだ。

 

「ふざける?冗談を。これでも国家公務員なんですよ、私」

 

辻局長はそうあっけらかんという。

 

「こんな子供の口約束、守りでもしたら企業の関係で文部科学省、ひいては日本の立場が悪くなりますからね。どんな手でも使いますよ」

 

「自分の保身の為だろう!!」

 

「学園艦の維持に年間幾らかかるとお思いですか?実績のない学園艦を残して置くくらいなら解体してその費用を別の費用に当てる方が日本の為なんですよ!!」

 

辻局長もそうエリに反論する。

 

「日本の為、か…」

 

「私は役人でも中間ですからね。何年も前からある癒着なんて私もどうにかしようとしましたけどどうにもならないんですよ。それだけ、癒着が広がってるんですよ…」

 

「……学園艦の人の下船後の配慮。するって事ならちょっとなら協力してあげますよ」

 

「…助かります西住理事長。では、そろそろ失礼します」

 

エリの承諾を聞くと辻局長は礼を言い、応接室を出ていった。

 

「…厄介なこったな…」

 

誰もいなくなった応接室で一人、エリはそうつぶやくのだった。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第七拾壱話 蜜柑は社畜の運命か

駄文です


「はぁ…厄介なことになりよったわ…」(´Д`)ハァ…

 

辻との会談が終わり、理事長室へと戻ったエリは席に座り込み深くため息をついた。

 

「どうしたんですか?辻局長になにかふっかけられたんです?」

 

皐月がお茶を出しつつ聞いてきた。

 

「…他所に漏らすなよ?まぁ…大洗廃艦の片棒活がされる事になったんだよ。あぁ〜憂鬱〜!!」

 

「なーんでまた…理事なら突っぱねそうなんですけど?」

 

「いやなぁ…うちの乗組員全員の戸籍登録やらドック使用許可やらの見返りにやれとさ」┐(´д`)┌ヤレヤレ

 

鈴鹿総合の学園艦は私立といえど学園艦のドック使用許可自体は文科省が出す規定になっているため無茶を通してもらった手前断れなかったのだ。大量の乗組員を戸籍登録してもらったのもデカイ。

 

「まさかこの全国大会に参加して阻止しろとって言われたんですか?」

 

「いや、流石に申請期間過ぎてからねじ込めはしなかったらしいが…みほのことだから勝ち上がるよなぁ…」

 

自身がみほの有能さを分かっているだけに頭を抱える。くさっても軍神みぽりんだからなぁ…大洗連合対鈴総・大学選抜連合対決決定不可避なんだが…

 

「そうですか…ですけどこちらが断れない条件出すとは…流石役人、汚い…」

 

がネットスラングみたいなこと言ってる…

 

「まぁ、こうなったらやるしかないんだが…」

 

「責任者の辛いところですね」

 

うぅ…ちくせう……

 

「…あっ、そういえば理事が会談してる間にサンダースのケイ?って人から練習試合の依頼きてましたけど、どーします?」

 

「け、ケイさんからも来たんかよ…」

 

皐月はそう言って依頼書類を見せてくる。

 

「何時だって?サンダースは」

 

「えーっと、来週末にはしたいんだとか」

 

「来週末て…全国大会一ヶ月後だろ…」

 

なんか…追い込みみたいに感じるな。

 

「うちの戦力見るってか…?でもうち出ないし…」

 

「うーん、受けちゃって。最悪、蜜柑に整備投げるし」

 

 

 

☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

第一工廠

 

蜜柑「…?」( ゚д゚)ハッ!

 

蜜柑「私に仕事丸投げしすぎないでよ!!」

 

信「主任…?」(-_-;)

 

蜜柑「なんか言わなきゃだめな気がして…」

 

信「バカなこと言ってないで早く残りやりますよー」

 

蜜柑「ワァアワァァ!!ヤリタクナイィィィ!!オフトンカムバァァァーークッッ!!」

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

 

 

な、なんか蜜柑が叫んでる気がする…

 

「へ、返信頼むわ」

 

「…岡島主任叫んでますね」

 

「…気にせず行こうか」 

 

「…ですね」

 




なんか久々の投稿ですわ…


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。