Lostbelt No.? 永続乱世神話 武神□□ (未熟なライダー好き)
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プロローグ

初投稿の自己満足作品です。まだまだ未熟な点が多いので生暖かい目で応援してください。


 

 ノウム・カルデアの一角、シャドウ・ボーダーの船内に藤丸立香をはじめとする異聞帯攻略班のメンバーがミーティングの為に集まっていた。

 ミーティングはダ・ヴィンチの言葉から始まった。

 

「さて諸君、これから我々は急遽、日本にある異聞帯に突入、攻略していくわけなんだが、やれやれ、元々日本の異聞帯は後回しにする予定だったんだけどねぇ。」

 

「はい、今まで日本の異聞帯の領土拡大はペースがとても遅く、大きさや異聞深度もそこまで深刻ではなかったため、イギリス、南米の異聞帯同様自然消滅すらあり得ました。しかし先日から急速な領土拡大が確認され、それに伴い異聞深度の上昇も確認されました。そのため予定を繰り上げ、まだ異聞帯が小さいうちに攻略しようというわけです。」

 

と、ダ・ヴィンチの言葉をマシュが補足する。

 

「それにしても、異聞帯が急に大きくなるなんて、一体何があったのでしょうか?」

 

という不安げなマシュの言葉に対して藤丸立香が

 

「大丈夫、どんなことがあっても俺たちはいつも通りやるべきことをやるだけだよ。」

 

と、励ますような言葉をかける。

 

「はい!そうですね、先輩!」

 

 落ち着いたのか、元気な返事をするマシュ。

 

「それでは日本異聞帯攻略作戦開始!」

 

 という、ダ・ヴィンチの言葉とともにシャドウ・ボーダーは発進した。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜日本〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「はーいみんな〜そろそろ日本に着くからしっかり席についてね〜」

 

と、明るいダ・ヴィンチの声が響く。

 そしてそのまま何事もなく異聞帯に入ることに成功した。

 

「どうやら無事に異聞帯に突入することに成功したようだね。」

「うむ、できればその無事突入できないような言い方は避けてくれるとありがたいのだが?」

「あはは、申し訳ないがこれは性分なので勘弁して欲しいね。」

 

と、ホームズとゴルドルフの掛け合いの後

 

「うわ!なんだいこれは?」

 

と、ダ・ヴィンチの驚いた声に、藤丸立香が

 

「どうしたんですか?」

 

と、反応する。

 

「外を見てご覧、でっかいビルに未知の植物が絡み合っているよ。」

 

 言われた通り外を見るとダ・ヴィンチに説明された通りの光景が広がっていた。

 その光景はまるで人類が滅びた後に植物だけが残り繁殖したかのような異質さを感じるだろう。しかし人類最後のマスターとしてこれまで様々な特異点、異聞帯を攻略してきた経験からか異質な光景に臆することなく

 

「とりあえず、外に出てみよう。車内にこもっていてもあの植物の謎は解けないだろうし。」

 

と、外出を提案する藤丸立香に対して、

 

「そうですね。あの植物が、この異聞帯を攻略する鍵になるかもしれないですし。」

 

 と、マシュも賛同し、他のメンバーからも異論は出なかったため、藤丸立香と二人で外に出る事になる。

 

そして実際に外出してみるとより一層の現実離れした異質さを感じるだろう。

 

「それにしても、植物しかない変な場所だね。」

 

「はい、私もみたことがない植物です。あっ、先輩見てください。あそこに果実がありますよ。」

 

 マシュが指差す方向には、極彩色かつ不気味な外観の果実があった。

 

「・・・先輩?」

 

 その果実を見た瞬間藤丸立香がその果実だけを見つめている。そのことを不審に思ったマシュが声をかけるも、返事がない。そしてそのまま果実に向かって歩いていく。その姿に何か違和感を覚えるかもしれない。自分の意志で歩いているのではなく、まるで幽鬼のように不安定な足取りで果実に近づいていく。

 

「美味しそう・・・」

 

 そして、その果実を手に取り口にしようとした瞬間

 

 

 

「馬鹿者〜〜〜!!!」

 

 

 

「ーーーーーッ!」

 

 突如響き渡った怒声に驚き思わず果実を落としてしまう。

そしてその怒声の主は

 

「正体のわからない果実をいきなり食べようとするとは何事か!もっと人類最後のマスターとしての自覚を持ちたまえ!私はもう毒はこりごりなのだよ!」

 

 と、ゴルドルフに(内容は若干情けないが)説教される藤丸立香だった。

 至極当然の事に藤丸立香も反省しつつも、なぜ自身が急に果実を食べたくなってしまったのかを考えようとしたその時

 

「そうだよ、いきなり食べようとするなんて、見てて心臓に悪いよ。」

 

 何の気兼ねもない、平然とした、通りのいい声が耳に届いた。

 

「!」

 

 突然の声に反応する二人。そんな二人を気にせず、

 

「あの果実はねヘルヘイムの果実と言ってなんの準備もしていてない生物が口にすると化け物になってしまう恐ろしい果実なんだよ。もっとも魔術史における北欧神話のヘルヘイムとの関係は不明だけどね。」

 

と果実の説明を続ける男。

 

「あなたは!」

 

 マシュが驚きとともに男の名を口にする

 

「元Aチーム、現クリプターの一人、上代奏樹!」

 

その声に反応するかのように、男は

 

「やぁ、久しぶりだね、マシュ。そしてはじめまして、人類史最後のマスター、藤丸立香君。僕がこの日本の異聞帯を任されたクリプター、上代奏樹だよ。よろしくね。」

 

と、敵同士であることを感じさせないかのように平然とした口調で自己紹介をした。




次回から一旦時間が戻りオリ主視点になります。


次回「転生と変身」


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転生と変身


想像以上の人に見てもらっている事に驚きました。
ご期待に添えるよう頑張ります。




 僕の名前は上代奏樹。俗に言う転生者と言うものだ。最近ではありふれたものだが自分が体験することになるとは・・・なんて言ったところで誰も興味はないだろうし現状を話すことにしよう。

 

 まず初めに、転生先はfateの世界、というかFGOの世界だ。

 なぜfateの世界だと確信したのかだが、単純に転生先の家系が魔術師だった。といっても歴史のある家系ではなく、元々魔道具を使い根元に至ろうとしていた一族だったのだが、現代の技術を見て考えを改めて科学と魔術の融合をしようとした一族だ。

 

 まぁ、そんな家系の覚えもいいはずがなく、細々とした研究を繰り返すだけだった。

 しかし、そんなある日転機が訪れた。カルデアへのスカウトである。(ちなみにFGOの世界だと理解したのもこの時だ。)

 

 その後のことは言うまでもないだろう。魔術師としての歴史が薄く、僕で3代目になるような家が、時計塔のロードの頼み(立場が上の相手からの頼み、つまりはそういうことである)を断れるはずもなく、あれよあれよという間に僕のカルデア行きは決定した。

 

 そうしてカルデアで働く事になった僕だが、意外にも扱いは悪くなかった。

 理由はいくつかあるが、一番大きな理由は僕のレイシフト適正だろう。主人公、藤丸立香の100%程の適性はなかったが、それでも98%と言う高記録を叩き出した。原作におけるカドックが、高いレイシフト適正でAチームに選ばれたように僕もAチームに選ばれた。

 

 もっとも僕がスカウトされたのは、原作に近い時期のようで所長がオルガマリー・アニムスフィアになってからだった。そのため僕は大令呪がどのような物であるのか知らないし、他のAチームとの交流もそこまで深くはない。(だから僕が入ったからとしてもカドックがAチームから除外されると言うこともなく、8人から9人になっただけである。)

 

 一応のコミュニケーションは取っていたがどうしても外様のような感覚が最後まで離れることはなかった。同様にマシュとも会話を試みたが、やはりこの時期の彼女では友好的な関係は築けたとは言い難いだろう。

 

 ここまで来たら自分の今後もなんとなくだが理解できている。Aチームの一員として、(元々の意味とは異なるが)クリプターとして異聞帯を管理する事になるのだろう。というよりなってもらわないと困る。一度死んだといってもそう何度も死にたいわけではないのだ。そんなことを思いつつポッドに入っていく。なんとか抵抗しようかとも思ったが、自分の力ではどうやってもレフに太刀打ちできないと考えて大人しくする事にした。

 

 (さて、これから先僕の運命はどうなることかなぁ。死にたくないし統治が楽なのは異聞帯を引けますように。)

 

 なんてことを考えていたら爆発が始まったらしく、すぐに意識が闇に落ちた。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 その後の顛末は語るまでもないだろう。原作通りにAチームのメンバーは復活を果たしそれぞれが空想樹を育てる異聞帯の管理をし、生存競争をする事になった。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「さて、とりあえず自分の異聞帯がどういったところか確認したかったのだけど・・・これって・・・」

 

 日本異聞帯、つまり僕が管理する異聞帯を初めて見た時の感想は「どこが異聞帯なの?」といったものだった。

 街並みは至って普通で現代のようにビルが立ち並び、信号があり、交通網やインターネットもある普通の日本のようだった。

 そのせいでこの異聞帯の王を探し、状況を説明するどころか自分の身分を証明すらできない不審者に成り下がった。

 なんだよこの理不尽。

 

 そんなことを考えながら街を歩いているとステージで踊っている集団がいた。遠目に見ても盛り上がっているようでこの街の名物なのだろうかと若干の興味と現実逃避も込めてダンスを見に行こうと近づいて見た時、僕はこの世界に転生した時と同じくらいの驚愕を味わった。なぜならその服装に見覚えがあったからだ。そして同時にこの世界がどのようなものか理解した。

 

 「なんでFGOの世界の異聞帯、IFの世界に仮面ライダー鎧武の世界があるんだよ。」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 その後のことは色々ありすぎて簡単に説明できる気はしない。とりあえずこの世界での情報やインベス、オーバーロードに備えるためにビートライダーズ、チーム鎧武と仲良くなったりしつつ若干原作に関わったくらいだろう。

 まぁ、結論だけを言うとこの世界がIFとされた1番の理由は、仮面ライダー鎧武の実質的な最終決戦

 「仮面ライダー鎧武 極アームズVSロード・バロン」

 この戦いに変化があったということだろう。

 

 流石に僕という異物だけで原作が、あの2人の戦いとその結末に変化が起きるなどと自惚れてはいないし、そこに至るまでの過程に僕が存在する事による変化はあったとしても彼らの決意にはなんら影響はないだろう。

 

 結果としてこの街、いや世界はヘルヘイムの侵食に飲み込まれた。そうして勢力を急拡大させている。恐らく、そろそろカルデアが来る頃だろう。原作の流れ的に自然消滅しそうだったこの異聞帯が急に成長したら優先的に攻略しようとするだろう。

 キリシュタリアの異聞帯と、どちらを優先させるかは分からないがその辺りは関係ないか。というより後回しにしてもらった方が僕としても都合がいい。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「なんて考えていたのになぁ〜」

 

 僕の見下ろす先にはこの異聞帯に突入してきたシャドウ・ボーダーがあった。

 暫く観察していると、彼、主人公、人類最後のマスター、藤丸立香が出てきた。

 

 「って、アレ食べる気?あ〜、そういやアレ誘惑効果的なものあったな。」

 

 まぁ、そんな都合よく行くはずがなくなんとか危機を乗り切ったようだ。

 

 「いいのか、奴らの元にいかなくて?」

 

 と、僕のサーヴァント、キャスターが話しかけてくる。

 

 「そういうなよキャスター、僕としても緊張しているんだよ?かの魔術王、いいやビーストⅠ・ゲーティアを討伐し、複数のビーストを討伐した彼らだからね。敬意をを表する相手だろう?」

 

 「ふん、貴様がそういうやつだとは思えんがな。で?どうするつもりだ?」

 

 「行くよ。こういうのは、初めが肝心だからね。」

 

 と言い残し、彼らの前に降り立つ。

 こういうのはいくつになっても楽しいね。いたずらみたいな感じかなぁ。

 

 説教されている彼に対して・・・

 

 「そうだよ、いきなり食べようとするなんて、見てて心臓に悪いよ」

 

 なんて、日常の会話のように楽しく話しかけよう。

 

「!」

 

 突然の声に反応する2人を気にせず。

 

「あの果実はねヘルヘイムの果実と言ってなんの準備もしていてない生物が口にすると化け物になってしまう恐ろしい果実なんだよ。もっとも魔術史における北欧神話のヘルヘイムとの関係は不明だけどね」

 

 なんて、果実の説明をしつつ余裕をアピールして。

 

「あなたは!」

 

 マシュの驚きとマスターに対して僕の説明を含めた、

 

「元Aチーム、現クリプターの一人、上代奏樹!」

 

 なんていう声に対して。

 

 

「やぁ、久しぶりだね、マシュ。そしてはじめまして、人類史最後のマスター、藤丸立香君。僕がこの日本の異聞帯を任されたクリプター、上代奏樹だよ。よろしくね」

 

 と、気安く挨拶をする。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 「そこまで交友はなかったけど、懐かしい知り合いとの語らいに興味がないわけではないけれど、今は敵同士。仕方がないよね。」

 

 いきなり現れた僕に対して警戒している彼らに話しかける。

 その声に対して反応したのはこれまた僕の知り合いだった。

 

 「仕方がないとは、これまた随分と大きく出たねぇ。君の過去のデータはこちらにある。君ではマシュに勝てないんじゃないのかい?」

 

 「確かに君のいうことは間違っていないよ、ダ・ヴィンチちゃん。普通に考えたらデミ・サーヴァントのマシュに僕は勝てない。

 けれど何事にも例外というものは存在するんだよ。」

 

 懐からドライバーを取り出す。そのまま装備して、バックルに錠前をセットする。そのままブレードを振り下ろす。そしてここ最近で言い慣れた言葉を、なりたい自分に変わるための魔法の言葉を

 

 「変身

 

 





若干予告詐欺になっているような気がするし、いいところで終わらせた感じが強いのですが、次回から戦闘シーンの予定です。僕自身初めてなのでどのような文になるのか分かりませんが、破綻しないように努力します。

 次回「アーマードライダーVSデミ・サーヴァント」



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アーマードライダーVSデミ・サーヴァント


 前回に引き続き、多くの方に見ていただけて嬉しいです。また、お気に入りに登録してくれた人もおり、ものすごく喜んでいました。
 それでは第3話お楽しみください。


 

 

sideマシュ

 

 「変身」

 

 という彼の声と共に洋風のファンファーレ音が鳴り響き

 

 『カモン!レモンアームズ!インクレディブル・リョーマ〜』

 

 というおおよそ戦場には似合わない音声と共に上空に生成されたレモンのような物体が落ちてきて頭に突き刺さる!?

 

 「先輩!正体不明の物体が生成されて頭に突き刺さりましたよ!?」

 

 クリプターが単独で戦闘を仕掛けてきただけでも意外だというのに、謎物体が突き刺さったので流石に意外過ぎて一瞬呆けてしまう。その間にレモンが割れて鎧のようなものになる。

 

 「うん、この姿になるのは久しぶりなのだけれど、まぁそこまで違和感もないかな。流石にあの人のようにどんな姿にでもすぐに適応できるのならよかったのだけれど・・・」

 

 あの人?いったい誰のことだろうか?まさかこの異聞帯の王?

 という確証のない考えをしている暇もなく

 

 「なんて無い物ねだりしていても仕方がないね。さぁ、さっさと始めようか。」

 

 彼はそういってこちらに歩いてくる。その手にはレイピアのような片手剣が握られている。

 

 「先輩!下がっていてください!」

 

 そう言い私は先輩の前に出る。これまでの経験から私も多少はわかるようになってきた、相手の強さというようなものが。その感覚が私に告げている、今の彼は私と戦える、いいえもしかしたら私より強いかもしれないと。

 

 「行きます!」

 

 そう自分を鼓舞して鎧姿となった彼に突撃する。戦力の割合は不明だが、お互いの武器の違いから彼がパワーで押してくるというより、スピードとテクニックで攻撃してくるタイプだと判断したので自分の大楯の重量を生かして攻める事にした。

 

 「やあ!」

 

 大きな声と共に彼に向けて盾を上から振りかぶる。自身のスペックと盾の質量、その両方が重なった一撃は決して軽いものではない。その筈だった。

 しかし・・・

 

 「おっとと、流石デミ・サーヴァント。物凄いパワーだね。でもまだ、対応できないほどじゃない!」

 

 振り下ろした先には剣で盾を受け止めている彼の姿があった。そのまま押し戻されると今度は彼から突撃してきた!

 

side out

 

 

 右上からの振り下ろし、そのまま腕を回してもう一度右上、そして左の薙ぎ払い、体勢が崩れたところに全力の突き、をなんとか戻した盾で受ける。しかし威力が強く後ろに飛ばされる。

 

 距離が開いたことにより一旦仕切り直しとなる戦況、互いに攻防を繰り広げ戦力の見極めや今後の戦闘方法などを思案する。

 

 しかしその均衡を破ったのはある意味意外な人物であった。

 

 

 side 奏樹

 

 (さて、どうしたものかなぁ。僕のサーヴァントが手伝ってくれるなら一掃できるんだろうけど、まぁこんな序盤に切れる手札じゃないよなぁ。というより好きに切ることができないからなぁ〜。)

 

 なんて、僕が割と切実な悩みを覚えていると

 

 「ふむ、Mr.奏樹ひとつ質問してもいいかな?」

 

 ホームズが話しかけてきた。

 

 「何かな?シャーロック・ホームズ。僕は割と君のファンだからね、ある程度のことなら答えるよ。」

 

 これでいい筈だ、この異聞帯のことを理解してもらうためにも、余計な邪魔が入らないようにするためにも。

 

 「では、2つほど。1つ目にこの異聞帯、周辺を探知したのだが、人間が1人も見当たらない。そして先程の君の発言を踏まえるとそのベルトがあれば果実の影響をどうにかできるのではないのかね?」

 

 驚いた。原作で知ってはいた筈だった。彼が解き明かす者の最上位に位置すると。けれどまさか僕の発言だけでベルトの本当の使い道を推測できるなんて。

 

 「えぇ、その通りですよ。このベルト、戦極ドライバーにはヘルヘイムの果実をロックシード、これと同じものにすることができる。そして、ロックシードから栄養を受け取ることでこの環境に適応できる。」

 

 そう言って僕は近くにあった果実を一つ取って見せる。すると果実はロックシードに変化する。

 ってこれメロンか。レモンで変身してる時に取ったロックシードがメロンって妙な因果を感じるな。

 

 「それでは2つ目。」

 

 っと、余計なこと考えている場合じゃないな。さてさて、次は何を聞いてくるのか・・・

 

 「この植物群を君はヘルヘイムの森と言った。そしてその後に『北欧神話のヘルヘイムとの関係は不明だけどね。』と言ったね。つまりは、北欧のヘルヘイムとの共通点以外に何か他の物との共通点があるのではないかね?」

 

ーーーー例えば、禁断の果実とか

 

 「・・・・・えぇ、その通りですよ。この森のどこかには黄金の果実が眠っている。この森を支配し、思うがままに操ることのできる力がね。」

 

 「そんな力を得て、一体何をする気なんだ!」

 

 藤丸立香の問いは尤もだろう。だからこそ

 

 「欲しがらない理由がどこにあるんだい?その力さえあれば君達だけじゃ無くて他の異聞帯相手にも立ち向かえる。それに、あの力は強大なものだよ、それをわざわざに逃すと思うかい?特に、一度手に入れかけた果実を逃した人がね。」

 

 正直に答える。というよりここで嘘を述べてもどうにもならないだろう。英霊相手に嘘を突き通せるなんて思っていない。

 

 「さて、質問も終わったようだし、もう一度始めようか!」

 

 そう宣言して僕はマシュに突撃した。

 

 side out

 

 side ダ・ヴィンチ

 

 金属がぶつかり合う音が周囲に鳴り響く。どちらも譲らぬ攻防が続いている。しかしこうなったら場合不利になるのはマシュの方だ。彼女の持つ宝具は防衛手段としては優秀だ。しかし、今回のような1対1の戦いの場合敵を倒す事は困難である。

 普段なら火力を持った仲間と共に戦う事が多いが今回は異聞帯に侵入したばかりで、それがない。恐らくわかっていて彼もこのタイミングを狙ったのだろう。

 若しくは都合よく彼が高火力を出せないとかなら楽だったんだけれども、今彼が使った攻撃の威力はマシュに宝具の使用を躊躇わせない程のものだった。

 

 「まずいな・・・このままだとジリ貧だよ。」

 

 思わず漏れる声、その声に対して

 

 「な、な、な、何をいうのかね!君は!こんな所で我々が敗北するとでも!?」

 

 なんてゴルドルフ君が、慌てるんだよなぁ〜、ッこの反応は!

 

 「2人とも何か来る!かなり早い!気をつけて!」

 

 side out

 

 side 奏樹

 

 戦闘が再開してしばらく経った頃僕は悩んでいた。

 

(このままだとマシュを倒せちゃうなぁ〜、それは困る・・・いや、本当に不味くなったらホームズが出てくるのか?)

 

 なんて考えて出した結論は

 

 「じゃあ1回君の宝具を見ておこうかな!」

 

 そう言い放ち、ドライバーのブレードを2回振り下ろして

 

 『レモン オーレ!』

 

 必殺技を発動する。

 剣の周りに可視化できるほどの黄色いエネルギーを纏わせて放つ一撃!

 

 「先輩!私の後ろから出ないでください!

 宝具、展開します!

 いまは脆き夢想の城 モールド・キャメロット!!!」

 

 朧げな城壁に向かって飛ぶ斬撃

 

 かなり高い威力だと思ったのだが、流石に破れず、城壁が消えた後には少し荒い息をしているマシュと、その後ろでマシュを心配そうに見つめる藤丸立香がいた。

 

 (このくらいじゃあ倒せないならもう少しギアを上げようか?それとも・・・)

 

 その瞬間、レモンアームズのセンサーに反応があった。そして僕のサーヴァントはこの近くにいるやつはそこまで高速で移動できず、できそうな奴はここら辺にいない。となると・・・

 

「援軍か・・・」

 

 一体どんなサーヴァントなのか、この移動速度なら恐らくライダークラスだろうけど・・・

 

 side out

 

 両者が警戒し、クリプターは誰が来るのかを、カルデア側は敵なのか味方なのかをそれぞれの思惑を他所に乱入者は、2匹の牛に引かれたチャリオットに乗り雷と共に現れ、到着1番に言い放った。

 

 「我が名はイスカンダル!征服王イスカンダルである!!」

 

 

 






 戦闘描写に自信がなく色々と表現不足の場所や不自然な所もあると思います。
 それでも精一杯描きますので次回もぜひご覧ください。
 後、感想や高評価、お気に入り登録などしていただけるとモチベーションにつながりますので何卒よろしくお願いします。

 次回第4話「ライダーVSライダー」



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ライダーVSライダー


 昨日の投稿の後、初めて感想が来たので嬉しくて頑張りました!
 今後とも感想、高評価、お気に入りなどしていただけるとありがたいです。
 モチベーションがあがります。


 

 あまりに堂々としたその宣言に彼を知っているはずの両サイドの人間とも一瞬唖然とする。そして征服王はそんなことを気にも掛けず

 

 「自己紹介も終わった事だし早速聞くとしよう。両者とも余の軍門に降らないか?」

 

 恐らくそれはこの場に合わない発言なのだろうが、自身の言動に一切の違和感を抱かない様子に、先ほどと同様その場の空気を支配する。

 

 side 奏樹

 

 「折角のお誘いだが僕は遠慮しておこうかな。あなたの様なタイプは少々苦手だからね。」

 

 そう言って彼の提案を断る。

 勿論、先程の宣言の時に感じたカリスマ性は、僕の心を揺さぶるには十分なものだ。

 苦手なタイプなんて言ったものだけれど、聖杯問答を知っている身としては彼に1番心惹かれているからほとんど嘘なんだけれどね。

 

 「それに、今の僕はクリプター。あなたの敵なのだから!」

 

 そんな感情を振り払う様に、イスカンダルに向けて剣を振るう。が、あっさり避けられて戦車ごと宙に浮かぶ。

 

 「ふむ、残念だなぁ。そっちの2人はどうだ?」

 

 話題の矛先を向けられた藤丸立香は、困惑しながらも返答する。

 

 「えっと・・・俺たちには今やるべきことがあります。なので、あなたの軍門には降れません。」

 

 そう宣言した。軍門に降るなんて言って協力を促すこともできるだろうに。

 こう言ったところが主人公なんだなぁって考えていると

 

 「ふむ、両方から断られてしまったかぁ。なんとも残念だなぁ。まぁ良い。それでは、余の敵と言い剣を振るった者に対しての処罰を始めようか!」

 

 そう言い終わると、僕に向かって戦車で突進してきた!

 

 とりあえず横に逃げることで難を逃れる。そのままロックシード・ダンデライナーを投げて展開し、乗り込み空へ飛ぶ。

 

 「ほう!ライダーの余に対して、よりにもよって乗り物で対抗するか!」

 

 「生憎、こちらもライダーを名乗らせてもらっているからね!」

 

 そう軽口を叩きながら、空中戦を繰り広げる。

 空中を縦横無尽に駆け巡り剣を打ち合わせる。牛にひかれる戦車という特性上、直線上のスピードはイスカンダルの方が有利だが、小回りはまだこちらの方が有利である。

 しかし元々ダンデライナーも小回りが効く方ではない。

 

 (先程啖呵を切ったはいい者の流石にライダークラスのサーヴァント相手に乗り物で対抗するには厳しいかなぁ。)

 

 「まぁ、こっちはこっちで出来ることで戦おうかな!」

 

 そう言い放ち、ダンデライナーの武装から光弾を連射する。イスカンダルの戦車、『神威の車輪・ゴルディアス・ホイール』の特性は高速飛行と突進による破壊力、そして多少の防御機能。つまり遠距離の攻撃に対して反応する術を持たない!

 

 「ぬお!むぅ、これは厄介だな!」

 

 想定外の一撃だったが、そこは歴戦の英霊冷静に攻撃を避ける。とはいえそんな事此方も想定内だ。

 このまま遠距離戦を続けるなら有利になるのは此方なのだから。

 イスカンダルの戦車の維持には魔力というリソースを使用する。光弾も直撃してもこの程度の威力なら防御機能に阻まれてそこまでのダメージにはならないだろう。しかしそうなるとさらに魔力リソースを消耗する。

 しかし此方のダンデライナーの維持はロックビークル自体に負担が掛かる。そして僕は予備を複数所持している。

 つまり、イスカンダルの取れる手段というものは限られてくる。もっとも相手は此方の持久力は知らないだろうが、相手の魔力消費を考えると、そろそろ勝負に打って出るはずだ!

 

 「このままでは埒があかんなぁ。ならば仕方がない。我が踏破、止めれるものなら止めてみせよ!」

 

ーーーー遥かなる蹂躙制覇 ヴィア・エクスプグナティオ

 

 それはまさしく必殺と呼ぶにふさわしい破壊力を秘めた一撃だろう。通常使用の『神威の車輪』ですら、最高時速は400Kmにも到達する。

 それの全力なのだから、これに乗ったままでは直撃は避けられないのだろう。ならばどうするのか。答えは簡単である。

 

 「乗り物を捨てて反撃の一撃を叩き込む!」

 

 迫り来る雷撃を纏う突進をダンデライナーを乗り捨てることで、回避して落下したままブレードを一度振り下ろし反撃の用意をする。

 

『レモン スカッシュ!』

 

 ブレードを2回振り下ろした先ほどとは変わり剣の先端にのみエネルギーを纏った貫通力を高めた突きの一撃を放つ。

 

 「せぇ……の!」

 

 高速で飛行する戦車に当たるかどうかは半ば賭けであったが

 

 (当たった!)

 

 そう確信できた。

 

 そう確信できる一撃だった。

 

 しかし、想定外のことが起こった。

 当たった、そう確信したはずだったのに、これ以上ないと思われた戦車のスピードが急激に加速したのである。

 

 いや、加速したのではなくこの一撃を回避したのだと思い当たった。

 

 「緊急回避か!」

 

 そう、カルデアのマスター「藤丸立香」による魔術的の援護であった。

 

 (油断した!先ほどから一切行動する様子を見せなかったからか?

 タイミングを伺っていたのか?流石幾つものの特異点を駆け巡った歴戦のマスターだ。)

 

 完璧なタイミングの支援に思わず賞賛しながらも、状況は最悪だ。現状僕は上空から落下している。それもかなり高い位置からである。そうなったのはイスカンダルが戦車の雷にカルデアを巻き込むことを嫌ったのを僕が追いかけたからだ。

 

 ここで少し話が変わるが、仮面ライダー鎧武という作品に登場するライダーには、飛行能力を備えたものが非常に少ない。ダンデライナーやスイカアームズ、極アームズくらいじゃないだろうか。

 

 そして今からロックビークルの展開に間に合うほどの余裕はない。

 まぁ、つまり、このまま地面に激突するなぁ〜

 

 side out

 

 side 藤丸立香

 

 上手くいった。今の俺に出来ることの中で一番の成果をあげた。

 カウンターを決めようとする彼に対しての妨害行為が失敗していたらイスカンダルは無事でも戦車が無事かどうかはわからなかった。

 マスターとしてイスカンダルの戦闘力は理解している。戦車の有用性もだ。そして彼もそれを理解していたからこそイスカンダルではなく、戦車を狙ったのだろう。

 

 そうして反撃が成功しなかった彼はそのまま上空から落ち、地面に激突した。

 

 「どうなった!?」

 

 これで倒せたのだろうか?倒せていないのならどれほどのダメージなのか?サーヴァントならそこまでのダメージにはならない、変身した後からサーヴァントと戦えているのならまだ余裕があるのか?

 

 そんな思考が続いた後に、土煙が晴れて姿が見える。そこにいたのは・・・

 

 「ッく・・・やるね、藤丸立香。正直ここまでのダメージを受けるつもりはなかったのだけれどね。」

 

 ダメージに耐えきれなかったのか変身が解けて、肉体にもかなりの負傷を負った彼の姿があった。

 

 「大人しく投降しろ!その傷じゃあもう戦闘は出来ないだろ!」

 

 そう促す。これに乗ってくれるなら、この異聞帯の王の情報や空想樹の場所がわかる。

 

 そんな事を思い発言をしたのだが

 

 「ふっははは!あーっははは!」

 

 いきなり笑い出した。

 

 「何がおかしい!それともまだ戦うつもりなのか!?」

 

 「いやいや、もう僕は戦えないよ。僕は、ね。」

 

 瞬間思い出す。

 

 (そうだ!彼はクリプター、つまりはマスター!ならこれから起こる事は!)

 

 「マシュ!警戒して!サーヴァントが来る!」

 

 そもそも人間がサーヴァント、それも征服王ほどの英霊と渡り合ったという事で忘れていたが、本来マスターとは(例外があるといえど)前線に出る者ではない。

 

 そして今、この様な状況下においてそんなに堂々とした宣言をできるだなんてどれ程の実力なのか・・・

 

 「来い!キャスター!」

 

 彼の宣言に合わせて側に実体化する。

 

 「全く、イキって突撃してその上この俺に泣きつくとは!我がマスターながら全く不甲斐ない!」

 

 身長は低い、見た目は子供なのに成熟した大人の様な渋い声。そして仮にもマスターに対する毒舌。

 

 その場に顕現したサーヴァント、キャスターは『ハンス・クリスチャン・アンデルセン』だった。

 

 





 ライダー同士の戦闘如何でしたでしょうか?
 それでは次回第5話 「クリプターのサーヴァント」 お楽しみに!


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クリプターのサーヴァント


 毎日()投稿頑張ってみました。
 毎日決まった時間に投稿できる人の凄さがよくわかる今日この頃。
 今回は所謂伏線回です。
 後あのキャラが出ます。(ようやくクロスオーバーらしくなってきた・・・)




 

 side 藤丸立香

 

 「アンデルセン?」

 

その時、俺の頭の中は混乱していたのだろう。これまでのクリプターのサーヴァントは強力だった。しかし、アンデルセンは支援ならともかく戦闘面ではとても頼りになるとは言い難い程度の筈だ。

 それに、姿の変化が見られないところも気になる。異聞帯のサーヴァントの中には、汎人類史と同じ名前や生まれを持つ者もいた。

 しかし、歴史が変わっているのだから、ここまで変化しないということがあり得るのだろうか。

 そもそも、初めからアンデルセンの支援を受けていたなら、イスカンダルが来る前に倒されていたのかもしれない。それなのにどうして?

 そんなことを考えていると

 

 「それで?ここからどうするつもりなのだ?マスター?」

 

 なんて、アンデルセンは言った。

 つまり、アンデルセンにはこの状況をどうにかする術を持たないということだ。それなら余計わからないなんでこのタイミングで彼、上代奏樹はアンデルセンを呼んだのか?

 さらに混乱が深まる。これまでの相手と比べて若干のやりにくさを感じる。上手く言語化できないけれど。

 多分上手く行っているからというのか、今までこんなに早くに相手を追い詰めたりはじめの戦力がほぼ互角なことがなかったからなんだろう。そんな事、普通に考えていいことのはずなのにどうしてだろう少し不安感を覚える。

 

 「そんなこと決まっている!逃げるのさ!」

 

 そういうと彼は複数のロックシードを取り出していた。

 余計な事を考えていたからなのか反応が遅れる。その一瞬でじゅうぶんだったのだろうか、こちらにロックシードを投げつけてきた。正確にはこちらの手前の地面に対して、というべきだろうか。

 ロックシードが地面に触れた瞬間、爆発を起こし一瞬視界が曇る。曇った視界の中バイクが発する音と、何かが開くような音が聞こえた。

 そして、視界が晴れる頃には彼らは消えていなくなっていた。

 

 「な!アイツらはどこに逃げた!?ダ・ヴィンチちゃん何かわからn 「おう!坊主!なかなか良い助力であったぞ!気に入った!やはり余の臣下にならぬか?待遇は保証するぞ?」

 

 そこそこ厄介な置き土産を残して・・・

 

 side out

 

 side 上代奏樹

 

 (危なかった!本気で危なかった!ハッタリで気を逸らしてなんとか逃げるので精一杯だったなぁ。)

 

 そんな事を考えつつ逃げる時に煙幕がわりに使ったロックシード、ザクロを弄ぶ。

 原作では外伝で登場し、自爆や地雷の様な使い方がされたのを少し改良して使いやすくしたものだ。とはいえ破壊力はかなり減少したので一概にこちらがいいとはいえないが。

 

 「いや〜、格好つけて出て行ったはいいけど普通にボロ負けして逃げ帰るって考えるとかなりダサいなぁ〜。」

 

 「はっ!そんな様でまだ軽口が叩けるとはな!とはいえ些か肝を冷やしたのも事実だぞ、マスターよ。」

 

 キャスター アンデルセンから、毒舌による追い討ちと少しの心配の声がかかる。

 

 「なにせ、この俺に作品を完成させる為だけに()()()()()()使()()()()()()()()()()()()そこまでの熱意で依頼したのだ、俺とて少しは応える気にもなろう。」

 

 そう、僕のマスターとしての能力は実質的にもう終わっている。本人の口からもあった様に僕は持っていた令呪を全て使い切っているのだから。

 一応この後のこととか考えてはいるけど、予想外のことも多いしどうなるかわからないなぁ。

 

 「というか貴様、俺を召喚するなり一言目に令呪を使うなど前代未聞だぞ。いったい何を考えている?」

 

 アンデルセンの質問だ。というか、そこそこ長い付き合いになるのに今聞くのか・・・

 

 「そんなの決まっているだろ、僕は僕の望みを叶える。そのためなら取ることのできる手段はできるだけ取るに決まっているだろ?」

 

 「だからあのアーチャーにあんな取引を持ちかけたのか?貴様の目的が果たされた時にどうなるかわからなくなるようなものを」

 

 「アーチャーだけじゃないさ、一応この異聞帯にいる中で、こっちが明らかに不利になるサーヴァント全員に取引は持ちかけたよ。もっともイスカンダルを見つけられなかったのはこっちのミスだね。彼の戦車は割とこっちに刺さる。」

 

 ーーーーそれに、一方的になるとどこかの誰かが情報を与えちゃうかもしれないからね。

 

 「おいおい、心外だなぁ。俺は一方的なゲームがつまらないだけだ。その点お前さんも理解しているんだろ?」

 

 僕の声に反応するかのように、それまで誰もいなかった場所に、まるでDJのような服装をした男が立っていた。

 

 「わかっているさDJサガラ。だからこそこの森の情報に戦極ドライバー、黄金の果実まで教えてあげたんだ。ここまで来たらあっちの方が頭脳は上だ、情報の独占はほとんどしていないぞ。」

 

 「いやいや、嘘は言ったらダメだろ。お前さんはまだ果実の情報を与える気はなかったんじゃないのか?何しろまだまだ戦力が足りてないからなぁ。」

 

 やっぱり見透かされている。面白くない。

 

 「まだまだ、なんて言われるほどじゃないよ。少なくとも今は少しこっちが多いくらいだ。」

 

 「確かにお前さんが自由に使えるのはそのくらいだろうな。だが、カルデアはどうだ?これから先いくらでも戦力を補充できるんじゃあないのか?」

 

 そう、そこが僕と彼らとの差だ。今現在僕の自由に使える戦力は、僕個人だけ。他の異聞帯とは違い、システムが崩壊した状況だからこそ取れる手段もなくはないが、やはり単純な人手不足だ。

 

 もっともそれは普通の特異点ならの話だけどね。

 この異聞帯は、第3異聞帯とは違った意味でサーヴァントを召喚する事ができない。そしてそれは彼らにはどうすることも今はできない。

 まぁ、それなのに僕がサーヴァントを召喚していたり、はぐれサーヴァントがいたりするのにも理由はあって、それを僕がどうにかできないのも理屈は同じなんだよねぇ

 

 「はぁ、わかってて言っているんだろサガラ。それに、カルデアがサーヴァントを召喚できる様になったのならそれはそれでいいよ。アーチャーに契約を果たしてもらうだけだ。」

 

 「なるほどな、確かにそりゃ安心だろうな。ところでアサシンはどうしたんだ?アイツは割とお前寄りだったと思うんだが?」

 

 「確かにアサシンは僕寄りさ。だからといって全面協力が得られる訳じゃないんだよねぇ〜。まぁ、彼には彼の信念があってその信念と僕の目指す結末が割と近いっていうだけだよ。味方とは、呼べないね。」

 

 (・・・6、7異聞帯は、わからんけどそれまでの奴らが割と羨ましく思えてきたぞ。なんなんだよこの四面楚歌モドキ。普通逆じゃないのかこういうのって。僕の味方が少なくてカルデアの味方が多いって彼らにとって初めての経験じゃないのか?)

 

 切実な悩みを抱えつつ、今後に備えて今は回復に努めることにした。

 

 

 サガラはいつの間にか消えていた。

 

 





 サーヴァントもサガラもキャラが難しいなぁ。
 今回はやりたいことのための伏線をいくつか仕込みました。まぁ、本格的に仕込める人から見たら怒られそうなものですけど。

 それでもモチベーションに繋がるので高評価、お気に入り、感想などお願いします。

 それでは次回「カルデアのヘルヘイム散歩」お楽しみに!



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カルデアのヘルヘイム散歩


 なんとか毎日更新を維持できています。
 もしかしたら明日は更新できないかもです。
 後、特殊タグというか、文字を大きくするのってどうやるんでしょうね?教えて詳しい人〜(他力本願のクズ)

 それでは、今回もお楽しみいただけたらありがたいです。



 

 side 藤丸立香

 

 あの後、なんとかイスカンダルの勧誘を乗り切り、現状を伝えて協力を要請したら

 

 「なるほど、ここの状況はそういうことか。よかろう!ならばこのイスカンダルの力存分に使いこなしてみせよ!」

 

 と、思いの外あっさり応えてくれた。

 

 これでこちらには強力なサーヴァントが増えた。

 相手の戦力は未だ不明だし、異聞帯の王も不明。とはいえ、俺たちもこの異聞帯に来たばかりだ。そんな状況でイスカンダルの協力が得られるのはありがたい。

 

 そんな訳で俺たちは今、サーヴァントの召喚の為の霊脈の中心地に向かっていた。

 

 「そういえば、イスカンダルはこの異聞帯について何か知っていることはないの?情報が何かあれば俺たちとしては助かるんだけど。」

 

 「ふむ、そうさなぁ〜。とりあえず余が見てきた範囲では、奇怪な生物以外の生命体はあのライダー擬きしかおらんかったのぉ〜。」

 

 「奇怪な生物?」

 

「うむ、ほれ。あそこにいるであろう?」

 

 そう言われて、イスカンダルの指さした方向を見ると、灰色の少し丸っこい体型の生物が複数いた。それぞれの特徴に体から見える色が、赤蒼緑と三色に分かれていることだろうか。

 

 「あれしかいないって、人間以外も?犬や猫とかもいなかったの?」

 

 「おうとも、小僧何か知らぬか?」

 

 少し考えて、

 

 「ねぇ、ダ・ヴィンチちゃん、さっき彼が言っていた果実を食べて化け物になった人達ってもしかして・・・」

 

 嫌な予感がある。こういう時は最悪の考えが現実になるときが多かった。それなら今回も・・・

 

 「その可能性は高いだろうね。もっとも、人間だけじゃなくて他の動物も見られないのなら恐らく全ての生命体に対して作用しているんだろうね。

 一応解析はしてみているんだけど、現状で言えることは、この植物は汎人類史にはないものだということくらいだね。」

 

 やっぱり・・・アレは人間だったものなんだね。

 

 「戦うことになるのかな・・・」

 

 「可能性は否定できないね。アレがどういった存在であるのか不明な以上、断言することは不可能だよ。」

 

 「うむ、しかしアレがどういったものであれ人間から変化したものならサーヴァントよりは弱いはずだ!・・・弱いよね?」

 

 力強い断言の後に、情けないセリフが続くのを聞いているとなんだか安心する。

 そんな細かい事を考えていると、俺たちの横を謎生物が通り過ぎて行った。

 

 「警戒はしていたけど、急に敵対してきたりはしないんだね。」

 

 「奴らはこちらから仕掛けぬ限りそうそう敵対してくることはなかったぞ。」

 

 イスカンダルの話を聞いて少し安心した。まだ俺たちに余計な戦闘をする余裕はないし、元とはいっても人間を相手にするのはできればしたくない。

 

 「っと、ここが召喚地点だね。魔力も十分だし、邪魔が入らないうちに始めちゃおうか。」

 

 ダ・ヴィンチちゃんに促されてサーヴァントの召喚の準備を始める。これまでの経験からか、だいぶ手慣れてきた。

 

 『素に銀と鉄。礎に石と契約の大公。

降り立つ風には壁を。四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ

 

閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。

繰り返すつどに五度

ただ、満たされる刻を破却する

 

――――――告げる

 

汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に

聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ

 

誓いを此処に

我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者

 

汝三大の言霊を纏う七天

抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ!』

 

 ・・・・・何も起こらない。

 

 「何も起きませんね?どういう事でしょうか、中国異聞帯の様に・・・と考えましたがどうなのでしょうか?」

 

 そう、この現象は一度見たことがある。確かに条件、祈るものがいないというのは、人がいない時点で理解できる。けれども・・・

 

 「いや、この現象は中国異聞帯の時に似ているけれど、厳密には違う様だね。

 中国の時には霊脈に霊基グラフが反応していなかった。けれども、この日本異聞帯においては霊基グラフの反応は確認されたんだ。もっとも、そんなことが分かったとしてもなぜサーヴァントが召喚されないのかわからないんだけれどね。」

 

 やっぱり、召喚自体は正常に行われていたんだ。けれどなんらかの理由があって召喚されなかった。その理由は・・・?

 

 「・・・なっ!この反応は!」

 

 サーヴァントが召喚されなかった理由を考えていた時、急にダ・ヴィンチちゃんから警告が聞こえてきた!

 

 「ダ・ヴィンチちゃん!一体何が?」

 

 「さっきの怪物だよ!どういう訳かこっちに向かってたくさん来ている!まずいな、この数10や20どころの話じゃないぞ!」

 

 そんな!どうして!?

 イスカンダルの話じゃ、こっちを積極的に襲ってくることはないんじゃ!?

 

 「坊主、一応言っとくが余は嘘は言っとらんぞ。少なくとも余自身が襲われたことはない。」

 

 「大丈夫、そこは心配していないよ。ただ、今の問題はこの状況をどう切り抜けるかということだけだ!」

 

 「私としては、ここで迎え撃つことはおすすめできないよ!後、ボーダーの潜水も間に合わない!」

 

 「な、な、な、なんだって〜〜〜!!!

 いやいやいや、今は慌てててる場合じゃなない。そうだ落ち着いてこういう時はまずゆっくりと紅茶を・・・ってそんなことしとる場合か〜〜〜!!!」

 

 ・・・ゴルドルフ新所長はここまで来るとある意味安定しているな。

 なんて事を一瞬考えて、思いつく。

 

 「イスカンダル、お願いがあるんだけど・・・」

 

 「ふむふむ、確かに現状をなんとかするにはそれしかないなぁ。まぁ良い、小僧には先程助けてもらったしな。」

 

 そう言うと、イスカンダルは前に出る。

 

 怪物はもう目の前に迫っている。

 

 しかし、イスカンダルの目には一切の不安がない。

 

 気がつくと足元には砂が舞っている。

 

 いつの間にか、周囲の景色も変化している。

 ビルなどにまとわりついていた植物はそこには無く、見渡す限りの砂漠へと。

 

 固有結界

 

 自らの心象風景を具現化する魔法にも近い大魔術は、彼の生きた生き様を映し出す。

 

 そしてそれこそがイスカンダルが誇る最強宝具

 

 そしてその名を高らかに宣言する

 

 「さぁ、このイスカンダルの名の下に集え!我が臣下達よ!」

 

 

  王の軍勢 アイオニオン・ヘタイロイ

 

 

 

 

 

 

 

 




 はい、雑なピンチとイスカンダルの宝具回でした。
 一応このピンチにも理由があってそれが割と後半まで明らかにならない予定です。そのため予想などしてお待ち頂けると幸いです。

 毎度のことですがモチベーションに繋がりますので、お気に入り登録、高評価、感想などいただけるとありがたいです。


 では、次回「それぞれの思惑」お楽しみに!


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それぞれの思惑


 今回も雑な伏線がある回です。
 一応、現状のまとめとオリ主のサーヴァントに関する情報が少しだけ出ます。(流石にこれは答えることはできないので感想に正解があってもその部分だけスルーします。)

 それでは、どうぞお楽しみください。




 

 side 藤丸立香

 

 イスカンダルの宝具で危機を脱した俺たちは今、先程の召喚しようとした場所を離れて当てもなく移動していた。何が原因かわからない以上とりあえずできる事が移動することだけだったからだ。

 

 「それにしても、さっきはなんで急に怪物が来たんだろう。それまでは横を通ってもなんの反応もなかったのに。」

 

 そう、そこが謎なのだ。生物である以上、感情や考え方などがあるのだろう。しかし、だからと言って、サーヴァントを召喚しようとした時に、正確には召喚に失敗した時にいきなり襲ってきたのか。

 

 「ふむ、その事なのだけどね。なんとなく理解できたよ。」

 

 いきなりダ・ヴィンチちゃんが話し出した。

 

 「この土地の霊脈なんだけどね、どうやらこの植物、言うならヘルヘイムの植物と融合しているようなんだよね。まあ融合といっても一部分だけで言うなら少しだけ混ざっているという事なんだけど、あの果実によって変異した存在なら霊脈、つまりはヘルヘイムの植物に影響が出た事で一時的な興奮状態になったんじゃないかな?」

 

 ダ・ヴィンチちゃんの解説は納得できる事だった。しかし・・・

 

 「そう、それならサーヴァントの召喚不可能の謎が説明つかない。確かに融合した植物は最もらしい説明になるだろう。けれども、召喚自体は成功しているんだ。サーヴァントが召喚されない事と関係はあるんだろうけど、おそらくそれ以外に何が最大の理由があると思う。」

 

 そう言って話をまとめるとボーダーの運転に集中したのか声が聞こえなくなった。

 そういえば・・・

 

「ねぇ、ホームズ。さっき言っていた禁断の果実ってなんなの?」

 

 疑問だったが、質問する暇がなかったので忘れていた質問を今のうちにしておく。

 

 「あぁ、そういえば話していなかったね。ふむ、これはおそらくこの異聞帯の前提条件のようなものだろうから言ってもいいかな。」

 

 前提条件?どういう事なんだろうか?

 

 「さて、そもそもこの森の植物を彼は『ヘルヘイムの果実』と呼んでいた。そしてその後北欧との関連を不明と称した。」

 

 「しかし、神話などにおいて森や果実に関連したものはある。それなのに、彼は北欧神話について話した。そこが疑問だったのだよ。」

 

 「それに元々ヘルヘイムというものは、ロキの娘が治めるユグドラシルの地下にある死者の国だ。森との関連は正直薄いと言わざるを得ない。」

 

 「ならば何故ヘルヘイムという名称を付けているのか、なぜ果実についてのみ言及したのか。それを考えれば何に気づかれたら不都合なのかは想像がつく。」

 

 「果実で隠したいとなれば思い当たるのは、知恵の実など神話に語られる果実の類」

 

 「そしてそれに当たるのがこの異聞帯のどこかにあり、そして私にそれを言い当てられた時の反応から察するに、現在それを保有しておらず、彼はそれがほしいのだろうね。」

 

 「そして、我々はまだその果実がどう言ったものなのかの情報がない。」

 

 ー---その果実が持つ力についてのね

 

 そう意味深に言い放ったホームズ、これ以上ないのかしばらく待っても話しかけてくる事はなかった。

 

 「なら!その果実の確保と異聞帯の調査を当面の目標としてはどうでしょうか?」

 

 「うむ!そのような物を手に入れたクリプターがどのような事を仕出かすのか不明な以上確保するべきだろうな!」

 

 マシュの提案にゴルドルフ新所長が乗り、俺たちの今後の方針が決まった。

 

 「一応言っておくが、彼も私達が果実を狙っている事を予想しているだろう。妨害などには十分に注意してくれたまえ。」

 

 最後にホームズの忠告を聞きながら、俺たちは更に先へ進み出した。

 

 side out

 

 

 side 上代奏樹

 

 「この反応は・・・成る程カルデアはサーヴァントを召喚しようとしたのか。まぁ、できないんだけどね。」

 

 そのままインベスに倒されては・・・くれないか。イスカンダルがいる以上、王の軍勢さえあれば初級インベスなんて文字通り蹴散らせるだろう。

 

 霊脈に混じる不純物にも気づかれるか・・・

 

 「あぁ〜、情報アドがどんどんなくなっていく・・・」

 

 「まぁ、シャーロック・ホームズ、最高峰の探偵、彼にやってもらいたいことはもう終わった。予定より早かったのはキツいけど、その分やるべき事が早くできるって考えればいいか。」

 

 「恐らく彼らも知恵の実を求める事だろうし、抗争の構造には持っていけたのも予定通り。」

 

 「僕の有利は森や果実の知識、アーチャーとアサシンの存在、そして僕自身の戦力偽装、最後に原作知識から来る予想。」

 

 「対してカルデアの有利はホームズ、レオナルドなどと言った知能、イスカンダルの存在、令呪や魔術礼装などの僕の知らない武装、知識ではなく実際に接したりして得られた正確なサーヴァントのデータ。」

 

 「最後に僕の不利は、アーチャーやアサシン、そしてこれみたいな強力な手札を自由に使えないという事、他の異聞帯の様に組織や数による人海戦術が取れない事・・・」

 

 そう言いながら僕は手の中で異質なロックシードを弄んでいた。

 

 すると、背後に彼はいた。

 

 一応これでも戦闘経験はそこそこあると思っていたが、まぁ彼の前にはあってないようなものだろう。

 

 「どうしたんだい、アサシン。貴方との約束に僕は嘘をついてもいないし、目的を変えるつもりもないよ。まぁ、僕の目的が貴方にとってどういう風に映るのかはわからないけれど。」

 

 「・・・・」

 

 僕の言葉に満足したのか、何も言わずにアサシンは消えていった。

 

 「やれやれ、アーチャーとは違った意味で接し方に困るなぁ。」

 

 相変わらず、僕の味方は味方かどうかわからない奴らばっかりだよ。

 キャスターは口が悪いし、アサシンは何を考えているのかわからない、アーチャーはアーチャー。

 

 「全面協力してくれるならこれ以上頼もしい存在はいないんだけれどなぁ〜。

 まぁ、今は無理かぁ〜。」

 

 嘆きつつ、これからのやるべきことを考えながら少し痛む体を動かして歩き始めた。

 

 

 地下に向かって歩いていく。

 

 そこには・・・

 

 空間に浮かぶかのようにして開かれたジッパーのようなものがあった。

 

 その先には森が広がっていた。

 

 

 「やれやれ、いくら魔力リソースが足りないとは言っても流石にこの光景は見るに堪えないなぁ。似たようなものがあるからって試すべきじゃなかったか?」

 

 とはいえ、これがないと僕の魔力なんてすぐに尽きてしまうしなぁ。

 

 

 

 僕の目の前に映る光景には

 

・・・・・・・横たわった無数のインベスに複数のコードが繋がれている様だった。

 

 





 如何でしたでしょうか?
 楽しんでいただけたら幸いです。
 いつも言ってますが、高評価とお気に入り登録、感想など頂けるとモチベーションにつながりますのでよろしければお願いします。


 それでは次回、「新たなる出会い」 お楽しみに!


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新たなる出会い


 お気に入り登録50人ありがとうございます!
 これからも頑張ります!

 それでは、今回もお楽しみください!




 

 side 藤丸立香

 

 俺たちは目標通りに生きてる人間を探していた。

 のだが・・・

 

 「やっぱり誰もいないなぁ」

 

 そうなのだ。どこまで行っても見渡す限りの植物と怪物ばかり。

 

 情報を集めようにも、話すことのできる人がいない以上どうしようもない。

 

 ならば見えている大きなタワーに向かおうとお考えたが・・・

 

 「それはお勧めできないかなぁ〜。どうやらあの怪物たちあのタワーの周辺に集まっているみたいなんだ。」

 

 と言う事は、多分そこに彼がいるのだろう。

 

 「ふむ、そのような重要そうな建物を守っている以上そこに奴がいると考えるのが妥当であろう。それにしても、一体どのような方法を使ってあのような怪物を操っているのだろうか?」

 

 確かに、彼らも生物である以上他種族であるクリプター、上代奏樹に従う理由は無いはずだ。ならばそこに何らかの理由があるのだろう。

 

 「そういえばイスカンダル。あの怪物以外の生物を見なかったって言ってたけどここの周辺で何か特別な建物があった?」

 

 正直あまり期待をしていないがそれでも一応質問をしてみる。

 

 「うーん、特別なといってものぉ。見ての通りの景色が続いておった故に見落としがないとは言い切れん、うんそういえば1カ所だけやけに植物が少ない場所があったなぁ。」

 

 イスカンダルはあっさりとそう答えた。

さすがに植物が少ないと言う理由だけで何らかの手がかりになると思えないが、他に行くあてもなかったのでそこに行くことにした。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 「結局道中は何もなかったね。正直怪物に何回か襲われると思ってたんだけど、と言うよりここら辺一帯なんだか妙に怪物の数が少なくない?」

 

 そうなのだ、この異聞帯にきて上代奏樹と敵対してからイスカンダルの助力により危機を脱した後、怪物を確認してからというもの人間は1人もいなかったのに、怪物は数えるのを諦めるほどには目撃してきた。

 

 それなのにここら辺に来てからというもの全くみていないわけでは無いのだが、明らかに数が減ってきている。

 まだその周辺には植物は残っているのにもかかわらずだ。

 

 「確か、この先に植物の少ないところがあったはずだぞ。」

 

 イスカンダルはそういう。たしかに少しずつではあるが植物が減ってきているように見える。

 

 そうしてさらに植物の少ない方に向かって進んでいると

 

 「なっ!この音は!」

 

 突如として、戦闘している音が聞こえてきた!

 

 微かに聞こえる音を頼りに音の方に向かうと、そこには先ほどまでとは違う怪物と戦闘する、上代奏樹が変身した姿に似た鎧を纏った誰かが戦闘を繰り広げていた。

 

 あれは・・・

 

 

 ・・・あれは、ブドウ?

 

 そう、目の前にいたのはブドウのような鎧をつけて、銃を怪物に向けて発射する人物?出会った。

 

 加勢しようかと考えたが、それを躊躇う理由があった。

 

 ブドウ鎧の人物の戦い方だ。

 

 上代奏樹と似た鎧を纏っている事から、戦闘力はそれなりにあると思われる。

 

 しかし、その性能に身を任せた乱雑な戦闘をしている。

 それだけならただ単に戦い方を知らないだけなのかもしれない。

 しかし、危険な攻撃の回避等、不自然な点がいくつかある。

 

 「だからといって、見捨てるわけにもいかないよね!マシュ!」

 

 「はい!先輩!マシュ・キリエライト、戦闘に移行します!」

 

 戦闘経験の積み重ねか、言葉少な目に怪物に向かって突撃するマシュ。

 

 その様子に、ブドウ鎧の人物は驚いたのか怪物への攻撃を一時的に中断してこちらへの警戒を強くしてきた。

 警戒される事は予想していたが、ここまで過剰に反応されるとは・・・

 

 とはいえ、此方が害する意思を持たないのが分かったのかすぐに怪物に攻撃を開始した。

 

 

 戦闘が終わった後、

 

 「あんたら、何者?インベス相手に生身の人間がここまで戦えるはずがないよね。」

 

 そう言いマシュに対して銃を突きつけてきた!?

 

 「待ってくれ!俺たちは君と敵対するつもりはないんだ!」

 

 「あんた達に敵意がないのは何となくわかる。けど、目的と強さの理由がわからない以上信用する事はできないね。」

 

 

 

 

 ・・・それから俺たちは自分達がここにきた理由と目的、それとマシュの強さについて話した。

 

 

 

 

 「つまり、この世界は本来なら滅亡している筈だった、けれども奏樹さんが未だにこの世界が維持されている原因で、そしてあんた達の目的がその原因を取り除くことっていうこと?」

 

 「あぁ、その通りだ。そして、できたら俺たちに協力して欲しい、今俺たちはこの植物や果実、怪物とかに関する情報がないんだ。」

 

 「一つ確認させて欲しいんだけど、いい?」

 

 「いいけど・・・」

 

 「あんた達の言う空想樹っていう物を切除したらこの世界は消えるんだよね?」

 

 「・・・あぁ、その通りだ。」

 

 やっぱり、自分が消えるって分かってて協力してくれる人なんて・・・

 

 「あはは、良いよ、協力するよ。」

 

 「いいのか?空想樹が消えれば君だって一緒に・・・」

 

 「構わないよ、こんな世界無くなったって、どうせ僕しかいないんだ。それにもう舞さんだって・・・」

 

 「あぁ、確かインベス・・・怪物とかの情報が欲しいんだっけ?いいよ、教える。じゃあ場所を変えよっか、ついて来て。」

 

 どこかに拠点があるのか?

 

 「あっ、その前に聞きたいことがあるんだけど。君の名前は?」

 

 「あぁ、そういえばいっていなかったね。僕の名前は呉島、呉島光実だよ。」

 

 side out

 

 

 side 上代奏樹

 

 傷を癒やし終えた僕は、もう一度出かけるためにユグドラシルタワーの外で、ロックビークルを展開していた。

 

 (そろそろ、本格的に果実を探し出すべきだろうね。気長に・・・探すには、時間的な余裕はないな。)

 

「まぁいいか、出現場所の予想はついている。」

 

 そうして勢いよく、バイクを発進させた。

 

 黄金の果実を手に入れる為に。

 

 自らの目的の為に。

 

 

 

 ・・・アンデルセンの事を忘れていたことに気がついて回収しに行った事は少し恥ずかしかった。

 

 side out

 

 




 いかがでしたでしょうか?
 もしよければ、高評価、お気に入り登録、感想などありましたら嬉しいです。モチベーションが上がります。

 それでは次回「ヘルヘイムの真実」お楽しみに!


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ヘルヘイムの真実

 すみません、今回結構少ないです。
 どうしても、原作の解説すら話はどうしても文章を膨らませにくいです・・・

 それでは、どうぞ!


 side 藤丸立香

 

 「それじゃあ、あの怪物たちの名前はインベスって言ってあの果実を食べた存在が変化したもので、俺たちが見た姿以外にも強力なインベスも存在している。」

 

 「そのインベスの中でも知性を得て、理性を持ったオーバーロードと呼ばれる強力な支配者が存在していた。」

 

「けれども、彼らは人類との争いやオーバーロード同士の争いによって全滅した。」

 

 「そして、黄金の果実っていうのはこの植物、ヘルヘイムの森を自由にできるもので、ものすごい力を秘めている。」

 

 「それを求めて色んな人が争ったけど、結局誰が果実を手に入れたのか分からなくて、果実の力がないから森の侵食を止める事が出来なかった。」

 

 「そして、そのドライバーによって、変身できる存在、アーマードライダー。」

 

 「そしてそのドライバーを所有していたから今の現状でも生存できた。」

 

 「そんな認識で間違い無いかな?」

 

 呉島光実、光実君から聞いた話を彼の拠点内で聞き、それを総合した結果大体理解はできた。

 ただ問題は、

 

 「つまり、黄金の果実の所有者は不明だから探す必要がある訳だね。」

 

光実君の話からベルトを所有している人の話や上代奏樹の話も確認できた。

 その中で怪しいのは・・・

 

 「はい、その通りです。・・・ただ、紘汰さんだけは違うと思います。あの人だけは・・・」

 

 葛葉紘汰、アーマードライダー鎧武、禁断の果実の一部を手に入れ、恐らく誰よりも強力な力を手に入れた存在。

 いくら、光実君から話を聞いて人物像も正義感にあられる優しい人だと想像できているとはいえ、戦闘力とここが異聞帯であらことを考えると正直怪しく感じるが・・・

 

 「光実君がそんな風に断言するには何か理由があるんだよね?

 もしよかったら教えてもらえるかな?」

 

 「・・・さっきの話の中で僕と紘汰さんが戦ったって言いました。」

 

 「その結果、紘汰さんは・・・」

 

-----僕が、殺しました。

 

 光実君は、涙を堪えようとして堪えきれずに泣きながら、懺悔するかのようにその言葉を絞り出すかのように言葉を言い放った。

 

 その告白に衝撃を受けなかったといえば嘘になる。

 

 光実君にはそれが正しかったのかはともかくとして、光実君の考えがあって行動して葛葉紘汰と敵対したと聞いている。

 

 そしてその結末も・・・

 

 彼は自分の大切な人を守れなかったと。

 

 それでも葛葉紘汰の結末だけは答えてくれなかったが、まさかそんな事に・・・

 

 しばらくして泣き止んだ頃に質問をする。

 

 「どうして、そんなことを俺達に話してくれたの?」

 

 その言葉に対して、少し間が開いて

 

 「さぁ、正直自分でも、よくわかりません。」

 

 「でもきっと僕の事だから話して少しでも楽になりたいのかもしれませんね。」

 

 そう、自嘲するように吐き捨てた。

 

 正直、なんて言ったらいいのか俺にはわからなかった。

 

 かける言葉を思いつかないままその他の情報の共有などを行いつつ、しばらく時間が過ぎていき、日が沈み夜になり、そのまま眠りについた。

 

 side out

 

 

 side 上代奏樹

 

 「・・・・・」

 

 「ふーん、カルデアがミッチーと合流したか。まぁ、戦極ドライバーやゲネシスドライバー、後果実やオーバーロードの事はバレたと考えるべきかな。」

 

 深夜、アサシンからの報告を聞き、状況がさらに悪化したことを理解する。

 ただでさえ有利な部分が少ないのにその有利の一つが覆されたのだ。

 とはいえ、

 

 「ミッチーが知っている情報が全て正しいわけではないからね。その辺をうまく利用できないかなぁ。」

 

 そう、ミッチーの原作との違いは救出されたどうかこと一点に尽きる。

 その為、知っている情報は古いものである。

 

 

 

 彼は、葛葉紘汰がオーバーロードに近付いていた為生存していたことを知らない。

 

 

 彼は、オーバーロードとかなった駆馼戒斗の事を知らない。

 

 

 彼は、黄金の果実の行方を知らない。

 

 

 

 「カルデアがミッチーの情報を全て信じるわけではないだろうけど、最後の決戦を知らないミッチーの情報の中にはこの異聞帯における特異性を示す有用な情報はなに一つない。」

 

 なら、それで十分だろう。

 

 「・・・・・」

 

 「あぁ、大丈夫そのままカルデアの監視をお願いするよ。」

 

 アサシンの使い道についてはこのままだ。

 彼の役割は不都合なサーヴァントの排除を完了した段階で8割終わっている。

 あとは監視をお願いする程度でいいだろう。

 最後の大仕事が残っているからね。

 

 まぁ、それまでの戦闘はほとんど全部僕がやる必要があるのだけれどね。

 

 だからあと何回かカルデアと戦う事になるのだろうね。

 

 「そうなると、今日中にもう一度戦う可能性が一番高いかな。」

 

 まぁ、今度は一段階ギアをあげていくつもりなんだけどね。

 

 




 はい、どうでしたでしょうか?
 もしよろしければ、高評価、お気に入り登録、感想などお願いします。モチベーションに繋がります。

 それでは次回 「カルデアの行動方針」 お楽しみに!


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カルデアの行動方針

皆様にお願いがあります。
 評価に関する事なのですが、私は自分でできるだけ面白いものを書くよう努力しているつもりです。ですので、低評価をなされる方はできるだけその理由を感想などにて教えていただけると改善できるのでありがたいです。
 無言で低評価だけされても私がどこを改善すれば良いのか分からないから、文章の変化しないので。



 side 藤丸立香

 

 

 目が覚める頃には日はもう完全に登っていた。少し周りを見るとマシュはもう目を覚ましているようだ。

 

 

 「おはようございます、先輩。」

 

 

 「あぁ、おはようマシュ。ところで、光実君は?」

 

 

 先ほども確認したが光実君の姿が見当たらない。

 

 

 「はい、それでしたら・・・」

 

 

 マシュが話そうとした時、

 

 

 「起きたんですね。立香さん。おはようございます。」

 

 

 外出していたのか、外に出ていた光実君が戻ってきた。

 

 「おはよう。それで、光実君はどうして外に?インベスに襲われることを考えたらあんまり出る理由はないと思うけど。」

 

 その質問に光実君は答える。

 

 「あぁ、成る程。まぁ、理由としては簡単なんですけど、朝食分の果実を取りに行っていました。」

 

 「果実を?どうして・・・あっ、そういえば確か・・・」

 

 「はい、このドライバーの本来の目的はヘルヘイムの果実から安全に栄養を補給することですから。」

 

 そう言って、ロックシード(多分ひまわりの種をモチーフにしたものかな?)をドライバーにセットしてしばらく待つ。

 それだけでよかったのか、ロックシードを取り外しゴミ箱に捨てる。

 

 「そういえば、お二人の分の食事はどうしましょうか?戦極ドライバーは、量産されていたとはいえ今あるのは僕の持っている1つだけですし・・・」

 

 「それなら心配はいらないかな、俺たちの分の食料とかは、ここの異聞帯に来た時に一緒に持ってきているから。」

 

 そんなことを話しているとダ・ヴィンチちゃんからつうしんが入ってくる。

 

 「そういえば昨日量産されたって言っていたけど、もしかしてそのドライバー、戦極ドライバーってまだどこかで手に入るのかい?」

 

 「はい。とはいえ、ヘルヘイムの森に侵食されてだいぶ経ちますし、新しく探すより黒影トルーパーが持っているものを探すほうが早いと思います」

 

 「黒影トルーパーって?」

 

 「あぁ、そういえば話の中には出ていませんでしたね。黒影トルーパーというのは量産型のドライバーを使用している部隊の事です。」

 「戦極ドライバーは最大で10億台用意できました。もっとも、実際に作られたのはもっと少ないでしょうけれど。」

 「そして、黒影トルーパーのドライバーの特徴は誰にでも扱うことができる点にあります。と言うより、僕の使っているものが初期に作られたもので最初に使用した人しか使えないようになっているんですけど。」

 「ヘルヘイムの事を知っているとはいえ、やはり果実やインベスは危険です。なので、自衛の意味や1人で逸れた時のことを考えると、立香さんも持っている方がいいんじゃないでしょうか?」

 

 「もちろん、どこにでもあるわけではないですし、探すのにも時間はかかると思いますが、はぐれサーヴァント、でしたっけ?その人達や、黄金の果実を探しながらのついでとして探すのはどうでしょうか?」

 

 確かに、戦極ドライバーがあれば、カルデアからの物資補給がなくてもなんとか生存はできるだろう。はぐれサーヴァントや黄金の果実のついでにでも見つかったら、大きなメリットになるだろう。

 

それに・・・

 

 「戦極ドライバーがあれば俺でも・・・」

 

 そう呟いた声は誰にも聞かれていなかった。

 

 

 side out

 

 

 

 side ???

 

 

 こうして、戦極ドライバーを手に入れ藤丸立香の安全を保障しつつサーヴァントや果実と言った目的のものを探す事を決めたカルデア一行。

 

 イスカンダルにマシュ、そして「アーマードライダー龍玄」呉島光実、これだけの戦力をカルデアは保有している。

 しかし、クリプターの戦力がほとんど、不明な上強力な異聞帯の王や空想樹に対抗するには、これだけで足りるとは思えない。

 

 ならば、戦極ドライバーを探すと言う考えは間違っていなかったのだろう。

 

 その時はきっと、誰もがそう考えていた。

 

 しかし、1つだけ忘れていたことがある。

 

 

 藤丸立香は善性の塊だ。

 

 

 例えば、困っている人を見捨てることができずに手を伸ばす。

 例えば、誰かに頼まれたら出来る限り要望に応える。

 

 しかし、その善性には狂気がある。

 

 例えば、初めて会った少女の為に命を投げ捨てる。

 例えば、70億の命を背負いながら日常を謳歌できる。

 例えば、自らの命を狙った相手とすぐに友好的な関係を築き上げることができる。

 

 そんな、善性に隠れた狂気が発露しなかった1番の理由はなんだろうか?

 

 

 答えは「   」の無さだろう。

 

 

 とはいえ、それは仕方のないことでもある。

 

 それこそ藤丸立香が、英雄たる理由なのだから。

 それこそ藤丸立香が、英雄をまとめ上げてきた理由なのだから。

 

 

 しかし、ここの異聞帯は違う。

 「   」が手に入ってしまう。

 

 

 とはいえ、カルデアやマスターとして行動している限りそんなことは起こらないだろう。

 

 特異点や他の異聞帯の攻略の際にもそんな事は起こり得ないだろう。

 

 なぜなら、彼らにメリットがないから。

 

 しかし、この異聞帯のクリプターだけは違う。

 

 

 彼、上代奏樹は知っている。

 

 

 藤丸立香のこれまでを。

 藤丸立香の性格を。

 藤丸立香の・・・葛藤を。

 

 

 故にこそ、その結末は避けようのないことだったのだろう。

 

 

 最悪への道をカルデアは歩み出したのだった。

 

 

 カルデアの希望があるとするなら、最悪の道とはいえ、その道の果てが最悪だとは限らない事だろう。

 

 道の果てに最善があるとも限らないのだが。

 

 

      〝TO BE CONTINUED〟

 




 そういえば、皆様FGO第2部6章前編プレイなされたでしょうか?
 自分は昨日と、今日の早朝を使ってプレイしておりました。
 6章配信のお陰でお気に入りの方がたくさん増えて奇声を上げるほど喜びました。
 来月に後編、その前にイベントや周年もあるって運営本気出しすぎでは? 

 次回から過去編「沢芽のクリプター」をお送りします。
 お楽しみに!


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カルデアの新たな出会い


 今回からまたカルデア視点の物語に戻ります。

 それではどうぞ!




 side 藤丸立香

 

 はぐれサーヴァントと戦極ドライバーを探す為にこの異聞帯(沢芽市という実験都市だったそうだ。)を探索して、2時間ほど経過した。

 成果はよろしくなく、他のサーヴァントがいた形跡はあるのだがそのサーヴァントが見つからず、もしかしたら既に上代奏樹の手によって倒されているのかもしれない。

 

 

 光実君が何度も戦闘していた影響なのか前まで積極的に襲ってくることがなかったインベスがかなりの頻度で襲ってくるようになっており、2時間で7回ほど戦闘になってその都度対処している事も探索が思ったように進まないことの理由になるだろう。

 

 

 そして今も、

 

 

   『ブドウ スカッシュ!』

 

 

 龍玄の持つブドウを模した銃のトリガーを引きチャージしたエネルギー弾が無数に放たれ、最も数の多いインベス(初級インベスというらしい)を一掃した。

 それだけでは止まらず、まるで鹿と和風をモチーフにしたみたいなインベス(これはそのままシカインベスというそうだ)に向けて龍型のエネルギーを放ち倒した。

 

 

 「ほう、余と戦った者の時も思ったがその鎧凄いなぁ。元はただの人間のはずの小僧が、サーヴァントのそれも中級クラスになっとるぞ。

 流石に余のようなトップサーヴァントに劣るとは思うが、これより強いというゲネシスドライバーなるベルトで変身したとなると、勝てるかどうかわからなくなるのぉ。」

 

 

 「イスカンダルでも負ける可能性があるの?」

 

 

 正直言って、この発言にはとても驚いた。

 昨日の上代奏樹との戦いではマスターがいない状況だったから全力を出せなかった。

 それに加えて上代奏樹が何故かイスカンダルの戦闘方法を把握していた故に拮抗したと思っていたからだ。

 

 

 「いやぁ、あの強さは変身しただけで身につくものじゃないなぁ。あやつは相当な修羅場をくぐり抜けてきたと見える。」

 

 

 もっともそれはそこの小僧にも言える事だがな。

 

 

 そう言って視線を光実君に向ける。

 

 

 「じゃあ、上代奏樹と光実君が戦ったらどっちが勝つと思う?」

 

 

 単純な疑問から聞いてみる。

 どちらも使用するドライバーは同じで、そのドライバーが作られた経緯を考えるとドライバーを所有している時間も同じくらいの筈だ。

 

 

 「ふむ、そうさなぁ〜。」

 

 少し悩んだ様子を見せるがすぐに結論が出たようで

 

 「恐らく、今すぐに戦うのなら上代奏樹の方が勝つだろうなぁ。」

 

 「それはどうして?やっぱりクリプターとしての経験とか?」

 

 

 それとも何か別の要因があるのだろうか?

 

 

 「いや、そんなものではない。

 

 もっと単純にやる気の問題だ。

 

 そりゃあ、気持ちの問題でどうにかできる範囲というものはある。

 

 しかしそれには元々の戦力が圧倒的ではない場合にのみ適応される。

 

 その点で言えば2人の個人的や戦力は相性などを置いておくと同程度だろう。

 

 しかし、そこの小僧の今の気概はなんというのか・・・自暴自棄と言うのかなぁ。

 

 とにかく、明確な目的意識が感じられん。

 

  その点クリプターのやつは大したものだった。

 

 あやつは何か、それこそ世界を滅ぼしてでも成し遂げたい目標がある、そんなふうに感じたんだよなぁ。」

 

 ・・・もっともあてになるかは分からんけどな。

 

 そう言ってイスカンダルは話を打ち切った。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 イスカンダルとの会話から何度かの戦闘を行い、夕方に差し掛かろうとした時にそれは起こった。

 遠くからかすかに聞こえるこの音は・・・

 

 「少し前にもこんなことがあったな」なんて心のどこかで思いながら

 

 

 「この音!また、戦闘音!?」

 

 その音の聞こえる方に向かって急ぐ。

 

 

 そこにいたのは、美しい風貌を持つ2つの槍を両手にそれぞれ持ち巧みに操り周囲にいるインベスを倒していく。

 その中には、初級インベス以外にも先程のシカインベスのような強力な種類もいた。

 

 その目元に黒子があるそのサーヴァントは間違いなく、

  『輝く貌のディルムッド』  だった。

 

 ディルムッドは手早くインベスたちを倒していくが、その無尽蔵とも言える数に流石に苦戦しているようだった。

 

 「とりあえず加勢しよう。話はそのあとだ!マシュ、行ける?」

 

 

 「大丈夫です。マシュ・キリエライト、全力でディルムッドさんの支援にあたります!」

 

 「ふむ、まさかランサーのやつががおるとはなぁ・・・数奇なものよのぉ。」

 イスカンダルは、そう言いながらも少し離れたところにいるインベスを倒してくれている。

 

 

 光実君は・・・

 

 

 「ふっ・・・はぁ!!」

 

 いつの間にか変身しており手に持つ銃を連射し牽制しつつ近づいてきたインベス相手には格闘戦を挑んでいる。

 銃を主体にしているのに大丈夫なのかと思ったが、格闘戦もそこまで不得意ではないようでしっかりとインベスの数を減らしている。

 

 

 元々ディルムッド1人でもある程度は戦えていたのだが、そこへさらに戦力が大きく増えたのだ、結果的にそこまで時間はかからずにインベスはその圧倒的な数を減らしていき、戦闘開始時より8割ほど減ったタイミングでインベスたちは逃走を開始した。

 

 それに追撃することもできただろうが、俺たちはそれを選択しなかった。

 

 余計な殺傷をしたくないという理由はあるのだが、1番の理由は俺自身の魔力や礼装によって変換する生命力などが底をつきそうなことになるのだろう。

 

 

 「はぁ・・・はぁ・・・、ッごめんね、みんな・・・少し、休めば、大丈夫だから・・・」

 

 

 そう言うがそれが強がりなことは俺が1番理解している。

 

 (やっぱり俺がもう少しマスターとして優秀なら何か変わったのかなぁ・・・)

 

 そんなどうしょうもない事が頭の中で繰り返される。

 

 

 俺が休憩している間に、ダ・ヴィンチちゃんやマシュからディルムッドへの現状報告と協力要請は終わったようだ。

 

 

 「大体の状況は理解いたしました。これより貴方をマスターと認め、このディルムッド、御身の双槍として立ち塞がる敵の悉くを穿ちましょう。」

 

 そういうふうにディルムッドは言ってくれた。

 

 「うん!よろしくね、ディルムッド。まぁ、今はこんなに情けない姿を見せているマスターだけど、支えてくれるとありがたいよ。」

 

 少しだけ困ったような顔をしたディルムッドだったけど、それがこの異聞帯のディルムッドとのファーストコンタクトだった。

 

 

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 そして、日が暮れてきたことで光実君がいた拠点に帰ることになった。

 

 

 そこは元々光実君が所属していたダンスチームの拠点だったそうだ。

 

 

 そして帰ってきた俺たちは驚愕に思わず頭が真っ白になる程驚いた。

 

 

 拠点の中には女性がいた。

 

 

 色素の薄い髪に白い服、オッドアイなのか赤い目は右目だけだ。

 

 

 しかし、俺たちが思わず息を呑んだのはその容姿ではない。

 

 

 その神々しさに俺たちは声を失ったのだった。

 

 

 そうして、瞬きするほどの一瞬の時間が過ぎて

 

 

 「・・・んな」

 

 

 光実君が何か言ったようだった。

 

 

 「そんな・・・どうして・・・」

 

 

 光実君の言葉がハッキリと聞こえてくる

 

 

 「どうしてここにいるんですか・・・」

 

 

     舞さん!

 

 





 はい、いかがでしたでしょうか?
 今回のサブタイトルの「出会い」の本命はディルムッドではなく始まりの女である彼女でした。

 はい、今回の話で違和感を感じる方もいるのかもしれませんが恐らくその違和感には説明がつく筈ですのでお楽しみにしていてください!

 次回の投稿は未定になるので、少しだけお待ちいただけるとありがたいです。

 よろしければ、高評価、お気に入り登録、感想などよろしくお願いします!



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黄金の果実


 お久しぶりです。なんとか間に合いました。

 それではどうぞ!


 

 side ???

 

 

 その名は、黄金の果実

 

 

 その名は、禁断の果実

 

 

 その名は、知恵の実

 

 

 それを表す言葉は無数にある。

 

 それを語る神話は無数にある。

 

 けれども、その全てにおいて共通していることが1つある。

 その果実の名を示す物は全て力の強大さに対する畏怖を込めている事だ。

 

 

 その果実はヘルヘイムの森に選ばれは女性を『始まりの女』とする。

 

 

 『始まりの女』は黄金の果実を託す男性を選定する。

 

 

 そして、選定された男性を『始まりの男』とする。

 

 

 『始まりの男』それは、古き世界を滅ぼし新たなる世界の創造主となる。

 

 

 そして、それが地球に来た以上この世界に存在する生命体にも進化による淘汰が訪れる筈であった。

 

 

 しかし、それは今の人間の可能性を諦める事だとそれを拒み、遠く離れた宇宙に新たなる惑星を築き上げた男がいた。

 

 

 その名は『葛葉紘汰』

 

 

 新たな『始まりの男』となる人物であった。

 

 

 そう、本来の歴史ならばそうなったのだろう。

 

 

 しかし、ここは異聞帯。

 

 

 人類史の敗北した歴史である。

 

 

 ならば、そこに至るまでの過程にどの様な間違いがあったのだろうか。

 

 どうして歴史が間違ってしまったのだろうか。

 

 それを知る者は1人、悲しそうな顔をしてたそうだ。

 

 

 side out

 

 

 

 

 side 藤丸立香

 

 

 その言葉を聞いてみんなが驚いたんだろう。

 

 

 高司舞

 

 

 黄金の果実を持つ女性で、肉体は死んでしまったが、黄金の果実と一つになった影響でどこかに消えてしまった筈の人。

 

 そんな風に聞いていた。

 

 恐らく光実君も嘘を言ったつもりはないのだろう。

 彼の驚愕した声と表情、そして今の彼の姿を見ればそれが演技とは思えない。

 

 

 「舞さん!無事だったんですか!?いえ、それより今までどこにいたんですか!?探したんですよ!?あぁ、本当に無事でよかった!!」

 

 

 もはや、錯乱しているとも言えるほどの言動の一貫性のなさは、それが彼の望みなのだと理解するのに時間はいらないだろう。

 

 

 しかし、何かがおかしい。

 

 いや、光実君の狂乱もおかしいのだが、それ以上に高司舞の反応だ。

 光実君の言葉に反応していない、と言うよりこれは・・・

 

 

 その時、炎が一瞬だけ燃える音が聞こえた。

 聞こえた音の方を振り向く・・・まえに、異変は起こった。

 

 

 ひゅん、と空気を切り裂く音が聞こえた。

 

 

 瞬間、高司舞の体は半分となった。

 

 

 side out

 

 

 

 

 side ???

 

 

 そう、彼らに理解出来たことはわずかだろう。

 

 初めて会った人とはいえ、その存在は呉島光実から聞いているのだ。その存在の重要度は理解している。

 

 ならばこそ、理解出来ないのだろう。

 

 

 どうやって、高司舞を攻撃したのか。

 

 なぜ、高司舞を攻撃する理由があるのか。

 

 そして、なぜ体が半分になったはずの高司舞の体が消えていくのか。

 

 

 その様な疑問はいくつもあるだろう。

 

 しかし、カルデアの人間において1番の謎はそこではなかった。

 

 

 なぜなら、高司舞を切り裂いたのはかつてカルデアを何度も助けてくれた偉大なサーヴァント。

 

 

 その名を、グランドアサシン

        『キングハサン・山の翁』

 

 

 もっとも、今回の霊基においてはグランドクラスでは召喚されていないのだが。

 

 

 side out

 

 

 

 side 藤丸立香

 

 

 「なっ・・・どうして貴方が!」

 

 信じられなかった。

 

 否、信じたくなかった。

 

 第六特異点、キャメロットの時にはガヴェインの足止めや他のアサシンたちとの協力をしてくれた。

 

 第七特異点、バビロニアの時には3代女神との戦闘においての心構えを、そして、ビーストⅡ・ティアマトとの戦いにおいて、そのグランドクラスの霊基を消費して『死』の概念を付与してくれた。

 

 

 彼の協力がなくては、(その他大勢のサーヴァントの協力も必要だが)第六、第七特異点の攻略は不可能だっただろう。

 

 

 (そんな!?山の翁がどうして!?)

 

 

 「これにて、契約者との約定は果たされた。後は・・・見守るだけか・・・」

 

 

 「待て!?お前!舞さんに何をした!?」

 

 何かを呟いた翁を無視して、光実君が掴みかかった!

 

 

 「光実君!ダメだ!」

 

 

 「呉島光実・・・愛する者を守ろうとし虚偽を積み重ね、自身の身を案じ、愛する者達を傷つけたその罪、余りに度し難い。

 しかし、今の瞳には微かだが光がある。よって、我が晩鐘を聴くに値せず。」

 

 

 そう言うと、山の翁は光実君を振り払うとこの場を去ろうとする。

 

 「待て!・・・ッ!変身!」

 

 変身し、翁に攻撃を開始する。

 

 しかし、力の差は歴然で全く相手にされていない。

 

 

 「申し訳ないですが、今の貴方をこの場から逃すわけにはいかない!」

 

 

 そう言って、マシュとディルムッドと一緒に出口を封鎖する。

 

 

 「勝てるかどうかは分かりませんが、全力で挑みます!」

 

 

 「これも我がマスターの意向。私の持てる全てを持って相手させていただく。」

 

 俺たちが退く気がないことを悟ったのか翁も少しだけ戦闘体制に入る。

 

 

 「藤丸君!気をつけて!後ろから何か来ている!・・・この反応は・・・上代奏樹の反応だ!」

 

 

 (そんな!なんでこのタイミングで!?

 まさか、誘われた!?)

 

 

 「・・・このまま挟み撃ちになるのはまずい!一旦外に出よう!」

 

 

 2人と一緒に外に出る。

 

 光実君も翁にいなされたのか、弾き飛ばされる形で外に出る。

 

 

 そのタイミングで、

 

 「よし!どうやら僕も間に合ったみたいだね。」

 

 上代奏樹も到着した。

 

 

 

 「奏樹さん!なんで貴方が舞さんを!」

 

 「ヤッホー、久しぶりだねミッチー。

 何か勘違いをしている様だけど、僕は別に舞に害を加える気はないよ。

 むしろ逆さ、僕は舞を助けたいんだよ。」

 

 

 「なにを!」

 

 

 「まぁ、今はそこじゃないよ。君たちと戦いに来たんだ。昨日から続いているから2日連続だけどね。」

 

 

 そう言うと、この前のドライバーと少しだけ形が違うモノを装着した。

 そして、2つのロックシードを持ち出し展開して

 

 「行くよ。変身」

 

 『カモン!レモンアームズ!インクレディブル・リョーマ〜

   ジンバー・レモン!ハハーッ!!』

 

 

 頭上に出現した2つのロックシードが、融合し1つになりそのまま落ちる。

 

 展開された鎧は、陣羽織の様なモノを纏っており威圧感も増大している。

 

 前回はレイピアを装備していたが今回装備しているのは、両端に鋭い刃がついた弓を持っている。

 

 

 (確かアレは、光実君の話にあった次世代型のドライバー技術を使った形態!)

 

 

 これから起こる激しい戦闘に少しだけ嫌な感じを覚えた。

 

 side out

 

 

 side 上代奏樹

 

 

 「あー、翁様?まだ手伝ってくれるならイスカンダルを足止めしてくれるとありがたいんだけど・・・」

 

 その後、少しだけ思案する様な感じを見せた後

 

 

 「よかろう。」

 

 

 そう言って、外で戦車に乗り待機していたイスカンダルに翁が向かう。

 

 

 (これで、イスカンダルは足止めできるだろう。そして戦力差は3対1・・・いや、4対1かな。)

 

 

 「さて、ミッチーは理解しているよね、ジンバー形態の強さを。

 舞を守りたいのなら力で奪いたまえ。」

 

 

 ソニックアローの矢を連続して打ち出す。

 

 

 マシュに受け止められる。とはいえ、威力を完全に抑え切れたわけではない様で少しずつ後ろに押される。

 

 

 「うっ・・・あぁ!」

 

 

 しかし、そうして稼いだ時間は無駄ではなく、ディルムッドが突撃してくる。

 

 2つの槍のリーチの違いを活かした巧みな攻撃をそのまま受け切るのは難しいので、雑に対応することにする。

 

 

 『レモン・オーレ!

     ジンバーレモン・オーレ!』

 

 

 両方に付いた刃にレモン色よエネルギーを纏わせ、一撃目の斬撃を飛ばして牽制し二撃目の斬撃を本命として攻撃する。

 

 

 ディルムッドはそのエネルギーを両手の槍を使い受け切る。

 しかし、その威力は絶大なもの、その場で受け切れずかなり押し戻される。

 

 

 そうして、僕とカルデアとの2回目の戦闘が始まった。

 

 side out

 





 はい、というわけで今回初登場のジンバー形態です。
 そして、今回からオリジナルフォームのタグをつけました。

 それでは次回もお楽しみに!



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激戦! ジンバーVSサーヴァント!

 はい、今回は丸々戦闘回です。

 頑張ってみたので楽しんでいただけるとありがたいです。
 それではどうぞ!


 

 

 互いに前回に比べて戦力を増強した上での戦闘。

 

 マシュと新しくカルデアの仲間に加わったディルムッドのコンビは攻守を分けて前回より強力な形態に変身した上代奏樹に対応していた。

 

 ジンバー形態の必殺技をなんとか受け切ったディルムッドだったが、この威力を後何度も受けると自身の宝具である槍を折られると思い、自然と分担ができていた。

 

 そして、上代奏樹も似た様なことを考えていた。

 『ディルムッドに近寄られると対応は困難である。』と。

 

 ジンバー形態の武装であるソニックアローには近接戦闘にも対応できるようになっている。しかし、何事にも限界というものはある。

 

 元々が弓という形状である以上、ソニックアローを近接用武器として扱うのは難しい。

 

 原作において呉島光実がゲネシスドライバーを用いて変身した『真・斬月 偽』が、呉島貴虎の戦極ドライバーを用いて変身した『斬月』に負けたのには、近接戦闘の対応力も要因の一つである。

 

 

 こうして、近づきたいカルデアと近づかれたくないクリプターとの戦闘になったのである。

 

 

 

 side 上代奏樹

 

 

 (さて、どうしたものかなぁ。

 

 多分、僕とディルムッドの近接戦闘はそこまで僕が不利な訳では無い。

 

 勿論、前にマシュと戦った時より厳しい戦いにはなるだろう。

 

 しかし、問題はそこでは無い。今回は2対1という事だ。

 

 いくらジンバー形態とはいえども、マシュに対応しながら圧倒できるほどの戦力差を作れるほどの強化はされていない。

 

 だからこそ彼らに攻撃手段がない様に遠距離から戦いたい。

 

 それを彼らもわかっているから距離を詰めたい。

 

 そして、確実に距離は近づいてきている。)

 

 

 

 「流石に疲れるなあ!」

 

 

 ブレードを振り下ろして

 

 

 『レモン・オーレ!

     ジンバーレモン・オーレ!』

 

 

 この戦闘が始まってから4回目のソニックアローからのエネルギー斬を放つ。

 

 

 しかし、相手は歴戦のサーヴァント達。

 

 

 「はぁー!」

 

 ディルムッドは紙一重でかわしてそこまで突撃のスピードを落とさない。

 

 そして、マシュも

 

 「宝具、展開します!」

 

  『いまは脆き夢想の城

    モールド・キャメロット!!!』

 

 宝具を使って防ぎ切る。

 

 

 しかし、この状況が僕に不利なのかと考えるとそうでもない。

 

 

 

 

 「悪いが時間がない。すぐに倒させてもらうぞ!」

 

 とうとう、射程圏内に捕らえられた僕とディルムッドの近接戦闘が始まる。

 

 長く赫い槍を牽制として放たれる。その攻撃をソニックアローで攻撃を逸らすが、本命の黄色き短槍が僕の急所を狙う。

 

 

 

 黄色い短槍「ゲイ・ボウ」

 その宝具に秘められた能力は単純にして凶悪だ。

 

 治癒しない。

 ただそれだけの能力だ。

 

 しかし、この能力の本領はそこではない。

 宝具そのものか、使用者本人が死ぬまで能力が消える事は無い。

 つまり、今回この場でで戦闘が終わらず逃走する前に僕がダメージを受けた場合、僕を延々と苦しめることになる。

 その影響は大きなものになるだろう。今後の戦闘においても、僕の目的を達成する為にも。

 

 

 

 彼の攻撃は予想できていたので、ゲイ・ボウの一撃が放たれるよりも先に弓としての攻撃をしなくなった影響で自由になった左腕を使い掌底を放つ。

 

 この距離で弓を持った相手の殴打は流石に意外だったのかその一撃を受けるディルムッド。

 

 

 (いや、いくらなんでもうまく行き過ぎている。なら一体・・・ッそういうことか!)

 

 

 掌底を受け数歩下がるディルムッドに追撃を仕掛けず右方向に向けて全力で跳ぶ。

 

 

 そして、僕がさっきまでいた空間にマシュとマシュの大楯が降ってくる。

 

 

 (ディルムッドという優秀なアタッカーをメインにした攻撃、そこからそのアタッカーを囮に利用したフェイントか!)

 

 

 しかし、その攻撃を回避した事でまた距離を開くことができる。

 

 (その空いた距離を利用してまたソニックアローでの射撃を続けるか?

 今回に限っては、時間は僕の味方だ。)

 

 

 そう。ディルムッドがダメージを覚悟してまで囮となり強引な攻撃をしたのには理由がある。

 

 

 

 「ぐっ・・・はぁ・・・ッ」

 

 

 カルデアの究極の弱点。

 人類最後のマスター、藤丸立香の魔力切れだ。

 

 

 藤丸立香の持つ魔力は量が多いとは言い難い。

 しかし、カルデアの魔術礼装により生命力を魔力に変換することで本来持つ魔力より長期間の戦闘を可能とする。

 

 だが、生命力を消費する関係上長期戦には不向きなのだ。

 特に今回は僕と戦う前に無数のインベスと戦闘を何度も繰り返している。

 

 それに、複数のサーヴァントと契約している状況での戦闘だ、苦しくない訳がない。

 

 新しく加わったディルムッドは兎も角、イスカンダルは燃費が良いサーヴァントとは言い難いからね。

 

 

 (ならば、マスターの魔力切れを狙えばいい・・・

  という訳にはいかないんだよねぇ!!)

 

 

 空いた距離を詰める様に僕の方からマシュに向かって突撃する。

 

 その様子に驚いたのか一瞬だけ反応が遅れたマシュだが、盾を構える動作はもはや無意識の領域で行なっているのかまるで曇りがない。

 

 

 ソニックアローの刃の部分を振り下ろす、しかしマシュの盾に防がれる。そのままソニックアローを振り払い、体を軸に盾を回転させて大振りの一撃を狙ってくる。

 

 「やぁー!」

 

 その一撃を上空に跳ぶことでかわして、上を取りマシュに狙撃を行う・・・ことはできず、左方向から跳んで来たディルムッドの方に射撃をする。

 

 「ぐぅ!」

 

 放たれた複数の矢を槍で払うがソニックアローの威力を完全に殺せなかった様で体制が崩れている。

 

 

 

 

 (ゲイ・ボウでの一撃を一度でも受けると一気に巻き返される可能性がある。

 そのことを互いに理解しているから、カルデアは攻撃を当てたいし、僕は一撃も受けたくない。)

 

 

 やはり、この戦闘の鍵となるのはディルムッドの持つゲイ・ボウだろう。

 

 ディルムッドの持つもう一つの槍、ゲイ・ジャルグの効果は普通のサーヴァント相手ならば脅威になるのだろう。

 

 紅き魔搶『ゲイ・ジャルグ』

 有する能力は、魔力の解除だ。

 

 例えば、魔力で編まれた鎧などに対してはそれを無視した一撃を加えることができる。

 

 しかし僕の纒うライダーシステムは、ヘルヘイムの果実のエネルギーを応用したものであって、魔力により編まれたものではない。

 

 

 ならばこそ、ゲイ・ボウの攻撃だけを対応すれば良いのだ。

 

 

 

 (とはいえ、槍としては普通に良品だしなるべくダメージは受けなくないよね!)

 

 

 空中で体制を崩したディルムッドに向けて落下しながらさらに矢を放ち追撃する。

 

 が、それは移動してきたマシュがガードする。

 

 それを確認しつつ着地し、そのままソニックアローでの射撃を継続する。

 

 それらを避けるか防ぐかして両者ともまともなダメージは入らない。

 

 

 「このまま続けても良くて千日手、悪ければ僕が押し負けるか。それでも魔力切れは狙えるけど・・・

 まぁ仕方がない、そろそろギアを入れ替えるとしようかな!」

 

 ベルトにつけられたロックシードをひとつ取り展開する。

 

   『チェリーエナジー!』




 いかがでしたでしょうか?
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更なる変身!?アーマードライダーの本質!



 本編に入る前に1つだけ。

 皆様のおかげで、私の目標の一つであったお気に入り登録者数100人を突破することができました!

 皆様の応援がなければここまで続けれるかわからなかったので本当に感謝しております!

 これからも皆様に楽しんでいただけるよう努力していく所存です!

 それでは、どうぞ!



 

 

 side 上代奏樹

 

 

   『チェリーエナジー!』

 

 

 レモンエナジーロックシードを取り外し、チェリーエナジーロックシードを装着する。

 

 

   『ロック、オン!』

 

 

 途端に流れてくる音楽に耳を貸さずにそのままブレードを振り下ろす。

 

 

 『カモン!レモンアームズ!インクレディブル・リョーマ〜

   ジンバー・チェリー!ハハーッ!!』

 

 

 先程は、2つのレモンの融合した鎧だったのだが、今度はレモンとチェリーの2つが融合した鎧に変化する。

 

 そしてその融合した鎧が落ちてくる。

 先程までとの姿で大きく変わったところはあまり見られないが、強いていうのならレモンの模様が入った陣羽織はチェリーの模様に変わっていた。

 しかし、その能力は大きく変化している。

 

 

 「よし、第2ラウンドと行こうか!」

 

 僕は高らかに宣言する。

 

 

 ジンバーチェリーアームズ、その能力は

 

 

 「なっ!消えた!?」

 

 驚愕するディルムッド、そんな彼に対して

 

 「ディルムッド!後ろだ!!」

 

 カルデアのマスター、藤丸立香からの警告が発せられる。

 

 

 「大!正!解!」

 

 ディルムッドの後ろを取った僕がソニックアローでの斬撃攻撃をしようとするが、警告が間に合ったのかディルムッドの回避がなんとか成功する。

 

 

 ジンバーチェリーアームズの能力は単純なら高速移動だ。とはいえ、火力が上がる訳ではないからマシュの守りは突破できるかどうか怪しいだろう。

 しかし、俊敏性と守備力が特徴のランサーに対してその分野で圧倒できるというのは対ランサーにおいては優位に立てるだろう。

 

 

 例えば、ディルムッドに対してとか。

 

 

 「ぐぅ!これは、中々!」

 

 先程までの2人のコンビネーションにはマシュが守ってディルムッドが攻めるという役割分担を行なっていた。

 

 そして、ディルムッドの高い敏捷性を最大限に利用して、僕がマシュの守りを攻略しようとしている時にディルムッドがダメージを与えようとする。

 

 

 そんなコンビネーションだったのだが、それはディルムッドの敏捷性が僕より高い場合に成立する。

 

 ならば、僕の敏捷性が上がったらどうなるか?

 

 

 答えは簡単だ。

 

 

 2対1の状況から疑似的な1対1に変化する。

 

 そして、2対1で均衡を保っていた状況から1対1になったのならその優位性は語るまでもないだろう。

 

 

 勿論、僕が急にディルムッドより速くなったからといって、すぐに決着がつく訳ではない。

 いくらジンバーチェリーアームズのスピードでも、ディルムッドの防御を突破する事は容易ではない。

 しかしそれは、致命傷を受けないという事であって細かい傷は増えていく。

 

 そして、傷が増えれば増えるほど戦闘における自身のパフォーマンスは下がり、その下がった分だけよりダメージを受ける。

 完璧な悪循環だ。

 

 勿論、普段であれば藤丸立香は回復などでの支援を行うのだろうが、今回はそんな事に使用するほどの魔力の余裕はない。

 恐らく、サーヴァントたちの現界との戦闘に魔力を回すことが精一杯でそれ以外のことに使用するほどの魔力リソースは残っていないはず。

 

 (だからこそ、前回みたいなことは起こらない!)

 

 

 藤丸立香の現状を分析し終えた僕はジンバーチェリーアームズによる高速移動能力を存分に利用してディルムッドに与えるダメージをさらに増やしていく。

 

 

 

 そんな状況に対して、マシュはディルムッドに近づく事により状況の打破を狙おうとする。

 今の状況は、マシュとディルムッドとの間に距離があるからこそ成り立つ状況なのであって、2人が合流したら細かいダメージを入れるのも難しくなるだろう。

 

 

 それは僕も避けたい状況なので、少しだけディルムッドから離れてマシュに射撃を行う。

 盾を構えて防御するが、ソニックアローの威力で少し後方に押し戻される。

 

 

 その隙にディルムッドの方がマシュの方に移動する・・・予定だったのだろうが、囮作戦の時のダメージと先程の高速戦闘による細かいダメージが重なった結果なのか、一瞬だけ、本当に一瞬だけ出遅れてしまう。

 

 

 その一瞬を逃さないのが今の僕の纒うジンバーチェリーアームズだ。

 また距離の空いた2人の間に陣取り、ディルムッドに対しての高速近接戦闘と近づこうとするマシュへの牽制を込めた射撃を行う。

 それは数瞬前の戦闘とほとんど何も変わらないものであった。

 

 

 

 このままいけば或いは・・・なんていうものは考えない。

 

 

 (そう、彼らはこの程度の逆境今まで何度も乗り越えてきた。

 

 今から新しいサーヴァントが彼らを助けるのかも知れない。

 

 もしくは、僕の知らない勢力が彼らを援護するかも知れない。

 

 そもそも、彼らだけでのどうにかする手段として未だ使用した形跡のない令呪の存在や、今は状況についていけず呆然としているミッチーの存在がある。

 

 そんな運命が味方しているような存在が彼らだ。

 いや、実際に味方しているんだろう。

 

 だからこそ、僕如きが油断していい存在じゃない。)

 

 

 そう、僕はこの時彼らが持つ、起こす可能性のあるありとあらゆる逆転の手段を警戒していた。

 

 

 

だからこそ、油断していた・・・とまでは行かなくとも、そこに思い至ることができなかったのだろう。

 

 

 僕にとっての勝利条件がこの異聞帯の完成ではないように、彼らにとっての勝利条件も今ここで僕を討ち取ることではない事に。

 

 

 恐らくそれは彼らを主人公として意識し過ぎた故に起きた偶然のような必然だったのだろう。

 

 

 ジンバーチェリーアームズは強力な形態だ。

 特に、対人戦闘においては無類の強さを発揮できる高速移動という能力を保有している。

 

 しかし、その能力は扱いやすいものとはいえない。

 

 戦極凌馬が、ジンバーチェリーアームズに変身した葛葉紘汰に対して「素晴らしい対応能力だ。」と褒めていたように、高速移動能力にはいくつかの弱点が含まれる。

 

 

 例えば、想定外のことが起こった場合に制御が困難になるというものだ。

 

 

 

 では、僕は何にそんなに驚いたのか。

 

 

 答えは簡単だ。

 

 

 サーヴァント・ランサー

 

 真名 ディルムッド・オディナ

 

 その保有する2槍の宝具のうちの片方、ゲイ・ボウを自ら叩き折ったのだ。

 

 

 side out

 

 

 

 side ???

 

 その時響き渡った音は、表現するとしたのなら、ドッゴン!というものやバゴォーン!というものが相応しいのだろう。

 

 

 まぁ、何が起こったのかというと、

 

 『ディルムッドの行動に驚いた上代奏樹が高速移動の制御を誤り、ビルに高速で激突した。』

 

 という事だ。

 

 

 全く、バカの極みだな!!






 はい、いかがでしたでしょうか?
 今回、僕の好きな高速移動能力を活かした戦闘シーンを用意したくて頑張ったのですがどうだったでしょうか?
 本編を見ているとなんでジンバーチェリーが少なかったのかがわからなかったので今回、僕個人の解釈をつけてみました。

 皆様にお願いです!
 もしよろしければお気に入り登録、高評価、感想などよろしくお願いします!


 それでは次回もお楽しみに!


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敗走のカルデア

思いのほか学業が忙しく一か月ほど空いてしまいました。
今度は失踪しないといいなぁ。


side 藤丸立香

 

 

 

 クリプター、上代奏樹との対決に負けた俺たちはディルムッドのおかげで逃げ出すことができた。

 

 

 しかし、その代償は大きいものだった。

 

 

 サーヴァント・ランサー ディルムッド

 

 

 彼の持つ二つの宝具のうちの一つ、傷つけた相手の傷が癒えなくなる槍「ゲイ・ボウ」の損失だ。

 

 

 「ねぇディルムッド、その……宝具壊しちゃって大丈夫だったの?」

 

 

 ランサーとしてのディルムッドの特徴は二つの槍を巧みに利用した攻防だったはずだ。もちろん槍が一本でも全く戦えないということはないだろう。しかし、「上代奏樹の見せたあの戦闘形態に対して勝利することができるのか?」という問題については首を横に振るだろう。

 

 

 そもそも、先ほどの戦闘で上代奏樹が最も警戒していたのは「ゲイ・ボウ」だった。

 彼がどうしてディルムッドの宝具の効果を知っていたのかは不明だが、それがなければ多少の傷を厭わずに攻めきてあの場面での全滅もありえただろう。

 

 

 だからこそ、切り札を犠牲にするという奇策が成立したのだろう。

 彼がディルムッドを、宝具「ゲイ・ボウ」の事を最も警戒していたのだから。

 

 

 最も、その切り札を失った事や、警戒され尚且つ二対一という絶対的に有利な状況であったのに劣勢だったということがある以上カルデア側の不利な状況が更に悪化したということも考えないといけない。

 

 

 「正直に申し上げます、マスター。彼の見せた最初の形態『ジンバーレモン』ならば対応することだけなら不可能ではありません。

 しかし、その次の形態『ジンバーチェリー』に対しては難しいと言わざるを得ません。」

 

 

 ディルムッドから告げられた言葉は予想していたものではあったが、外れていてほしいのもだった。

 

 

 「うーん、そうなるとやっぱり戦力が足りないよなー。

 もちろん、マシュにディルムッド、それからイスカンダル。みんなの力も必要だけどね。」

 

 

 「はい!マスター!マシュ・キリエライト全力を尽くします!」

 

 

 「私も、微力ながらマスターの力になりましょう。」

 

 

 二人の力強い返事を聞き、異聞帯攻略に向けた希望を抱いていた時、

 

 

 「余の力なら奴一人をしとめることは不可能ではないと思うのだがなぁ。しかし、そのような弱点をあの手の輩がそのままにしているとは思えんのも事実よのぉ。」

 

 

 と、イスカンダルが気になることを言った。

 

 

「え?勝てるの?彼に?」

 

 

 正直なところあのスピードに対して戦車の機動力以外の、特に小回りの部分が致命的に劣っていると思っていたからだ。

 いや、恐らくイスカンダルの言いたいことは……

 

 

 「王の軍勢を使うの?」

 

 

 「うむ、余の誇るかの最強宝具ならばいかに奴の敏捷が驚異的だといっても数の差によって封殺することが可能であろう。例え素早さ以外に能力が上昇できたとしても結界を一撃で破壊するほどの火力はないと考えられるからな。」

 

 

 そうか!固有結界を破壊するほどの火力を持っているなら俺たちと敵対した時点で使っていたら耐えきることができるか不明だった。

 それなのにやらなかったのはそれだけの火力を持っていないから!

 

 

 「それならこちらの勝ち目も見えてきました!」

 勝利への希望が見えてきて明るいマシュの声。

 

 

 「いや、それよりも我々には考えなければならないことがある。

 

何故黄金の果実、高司舞が現れたのとほとんど同時期に上代奏樹が我々の前に姿を見せたのか。

 

 現れた高司舞、黄金の果実に対してキング・ハサンが行った行動……というよりその行動の結果、何故黄金の果実が分離したのか。

 

 黄金の果実を使い何をするつもりなのか。

 

 これらを考えなければいけない。Mr.呉島、君の話によると黄金の果実とはこの植物の事を支配するものであることに違いないんだね?」

 

 

 「…………えぇ、その筈です。以前果実を持っていたオーバーロードが見せた力は圧倒的なものでしたから。」

 

 

 少し反応が遅れて光実くんが返答する。

 

 

 「ふむ、となると上代奏樹の目的は黄金の果実の力を自身のものにするということで違いないのではないかね?」

 

 

 ゴルドルフ所長の推測にホームズは、答えることはなく沈黙を保ったまま思考しているようだった。

 

 

 少し間が開いたので光実くんの様子を伺う。

 

 

 「…………舞さん。」

 

 

 先ほどから光実くんの反応が遅れたように逃げてから……いや、戦闘中などを含めても高司舞の事をずっと見ている。

 

 

 高司舞と光実くんとの関係は聞いている。

 

 あの時の涙に偽りはないだろう。

 

 しかし、どうだろうか。

 

 今の彼の状態だこれからの協力を得ることができるのだろうか?

 

 いや、協力してほしいのだが彼が冷静であるかどうかわからない以上、協力が危険なのかもしれない…………

 

 

 意を決し、これからの事について話し合おうと光実くんに近づく。

 

 「ねぇ、光実くん…………」

 

 

 「大丈夫です、藤丸さん。

 僕は大丈夫です。彼に聞かなければいけないことも出来ましたし。」

 

 

 こちらが本題を伝えるより早く、内容を察知した光実くんが主導する形で会話を始めた。

 

 

 「聞かないといけないこと?それって高司舞さんのこと?」

 

 

 「はい、舞さんの事を切ったあいつは『約定は果たされた』と言っていました。

 

 なら、その約定を知りたいんです。あの人は『舞さんを助けたい』とも言っていましたけど、舞さんの事を攻撃していました。言っていることとやっていることがズレ過ぎているんです。

 

 だったら、今のあの人の言うことは当てにできません。

 

 僕は今度こそ舞さんの事を守りたいんです!」

 

 

 …………光実くんの言葉は無視するには自分に思い当たることが多すぎた。

 

 オルガマリー所長、これまでの特異点、異聞帯で出会った多くの人々。

 

 

 そして…………

 

 

 「わかったよ。これからもよろしくね、光実くん。」

 

 

 「こちらこそよろしくお願いします、立香さん!」

 

 

 状況は、決して良いとは言えないが光実くんやマシュ達の協力があればこの異聞帯も攻略できるはずだと、そう思った。

 

 

 

 

 ……………………□□できない自分に対する感情から目を逸らしながら。

 

 




 お待たせして申し訳ありませんでした!!!


 前書きにも書いたように学業が忙しかったのと、FGOの6章エピローグやメリュジーヌに聖杯とコインを貢いでいたら遅くなってしまいました。


 それ以外にも過去の章を読んでいたら思いついた設定などを入れられないかと思い全体の見直しなどしていました。

 その結果奏樹くんが割と外道にりましたが面白いと思うのでご容赦ください。

 もしよろしければ高評価、感想、お気に入り登録などしていただけると嬉しいです!


 今度こそ、更新を早くしますのでお楽しみに!


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カルデアの考察

大変遅くなりましたが宜しければご覧ください。


 side 藤丸立香

 

 

 光実くんの決意を聞いた俺たちは上代奏樹の目的について考えていた。

 

 

 「その黄金の果実の能力に植物を操る能力があってそれを手に入れた後、上代奏樹は何がしたいんだろう?」

 

 

 「わかりません。けど、奏樹さんは無駄な行動はあまりしないし、果実そのものが目的だとも思えないんですよね。」

 

 

 光実くんの発言に意外な言葉が含まれていた。

 

 

 「果実が目的じゃないって、どうしてそう思うの?今までの彼の行動を見る限り果実の入手を目的にしているようにしか思えないけれど…………」

 

 

 

 「はい。そこに関しては僕も同意します。

 けれどそうだとすると少し妙なんですよ。

 果実が欲しいならこうなる前、まだ人類が生存していた時にもチャンスはたくさんあったはずです。

 そうでなくても、少なくとも僕が知っている範囲になりますけど、奏樹さんが果実に対して執着を見せたことなんて一度もないんですよ。

 果実について聞かれても『僕には荷が重いし人類の命運を背負うだなんてめんどくさいじゃないか。』なんて言っていましたし。

 それに、立香さんの話を聞く限り奏樹さんは現状の状態になる事がわかっていたはずです。

 それなら僕たちやユグドラシル、カルデアの皆さんに先んじて果実を手に入れたほうがずっと楽ですし確実です。

 実際、彼が果実を手に入れるために僕たちに襲い掛かるリスクがあったし、そうでなくても妨害される可能性もあったはずです。

 それなのに彼は、果実が僕たちの目の前に現れるまで果実を手にしていません。

 この行動の一貫性のなさがどう考えてもおかしいんですよ。」

 

 

 光実くんから聞いた話を考えると確かにおかしなことだ。

 

 

 上代奏樹がこの異聞帯にいつから存在していたのかは不明だが黄金の果実というもの存在について知られるようになる前の段階存在していたことは明らかになっている。

 この異聞帯の時間がズレていることを考えても果実を手に入れるだけならいくらでも時間があったはずなのだ。

 それなのに一定どうして…………

 

 

 「それに関してはいくつかの推測がある。」

 

 

 いきなり、ホームズが言い出した。

 

 

「可能性としては三つだ。

 一つ目は、単純に果実に手出しできなかった可能性だ。

 ユグドラシルコーポレーションという巨大な企業が存在し、異聞帯の王というべき存在が発見されずクリプター、上代奏樹にはこの異聞帯での立場がない。

 そのような状況で無暗に敵を作らないために敢えて果実に興味がないふりをし、状況が確定するまで手を出さなかった可能性だ。」

 

 

 「確かに、奏樹さんと紘汰さんが初めて会ったときあの人は記憶喪失を装って紘汰さんに近づいたそうです。いや、その後の彼の行動を見るともしかしたら本当に行き倒れていたのかな?」

 

 いやそんなまさか……、でもそう考えると……、え?もしかして本当に?

 

 

 新たに出てきた、思いもよらない可能性に光実くんが混乱していると……(もちろん俺も困惑している。というより、あれだけカッコつけておいて一時期ホームレス擬きになっていたのかと考えると少し同情してしまうかもしれない。)

 

 

 「ふむ、どうやらMr.光実には心当たりがあるようだね。

 さて、二つ目の可能性としてはこの異聞帯が異聞帯として成立する前の段階では本当に黄金の果実を欲していなかった、という可能性だ。

 これの根拠としては、この異聞帯を確認する限り本来異聞帯の王というのは黄金の果実を手に入れた者がその地位に座る予定だったのだろう。

 そして、クリプターとして彼は、この異聞帯の王が誰になるのかを見極めようとし、結果としてこの異聞帯に『異聞帯の王が生まれなかった』ため、今になって慌てて果実を手に入れようとしている可能性だね。」

 

 

 「ッ!ホームズ、それって!?」

 

 

 「わかっているとも。この可能性が正しいとした場合この異聞帯には王が存在しないことになる。」

 

 

 「そんなことがありえるのかね!?」

 

 

「あり得ないことではないと考えていますよ。

 実際にロシア異聞帯ではイヴァン雷帝が活動らしいことをほとんどしていなかった。それならばある程度の融通は効くと仮定できる。

 その証拠と言ってはなんだが、この異聞帯が範囲を広げたのも最近になってからであるという事。

 そして、この異聞帯でここまでオーバーロードと呼ばれる存在に我々はまだ遭遇していないからだ。

 

 Mr.光実の話を聞く限り、オーバーロードという存在の戦略的な価値は高い筈だ。

 それなのにこれまでで我々が戦闘してきたのはクリプターでありマスターであるはずの上代奏樹、アサシン山の翁。そして下級のインベスだけだ。

 下級のインベスはこちらの行動に反応した結果襲ってきたものばかりだ。

 聞くところによるとオーバーロードにはインベスに命令することができる筈だ。それなのにそれがないというのはいくらなんでもおかしい。

 つまり、【そう言った命令を下す存在がいない】可能性は十分にあり得る。」

 

 確かに、これまでの経験からしてもこの異聞帯での戦闘した敵の種類は明らかに少なすぎる。特異点Fや第一特異点でもシャドウサーヴァントやその他の敵対エネミーは存在していた。

 しかし、ここではそれがない。

 手数は確かに大切だがそれにしては数も中途半端だ。

 

 「そして、これが3つめなんだが、これはものすごく単純だ。

 1つ目と2つ目の説が両方であるという事だ。

 先程までの仮説は両方の時間軸が異なる。

 

 1つ目の仮説は、この異聞帯が成立する前の話であり、2つ目の仮説は成立した後、もしくはその直前の出来事だ。

 

 それならばこの2つは矛盾しない。」

 

 

 以上のことから私は3つ目の仮説が正しいと考えているよ。

 

 そう、ホームズは締め括った。

 

 

 重苦しい・・・とは少し違う。これまでの経験では考えられない可能性、【カルデア側の戦力が最初から相手よりも大きい】という可能性に思い至った事による困惑感が強くなる。

 

 

 (これはいいことのはずだ。戦力的に不利な経験はこれまで何度もあったし、これからもたくさんあるだろう。だけれど今回はそれがない。こちらが基本的に有利な筈だ。

 それなのに何故?何故、こうも不安になる?不安になる要素なんて一つもないはずなのに。損害が少なく切り抜けられることはいいことのはずなのに?)

 

 

 形容し難い不安感に悩まされながらも夜は終わる。

 

 朝が来る。

 

 俺たちにとっても。

 

 

 

 上代奏樹にとっても。

 

 

 時間は平等に流れていく。




 次の投稿は未定です。もしかしたらIFにするかもしれません。


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真相!日本異聞帯の謎

 今回は一応、伏線の回収回になっております。
 今回全てとは言いませんが、幾つかの謎は解けるはずです。

 それでは、お楽しみください。


 side 上代奏樹

 

 

 (・・・あー、やっばいなぁ〜。すんごい恥ずかしい。

 ジンバーチェリーの高速移動の弱点・・・と言うのは流石に違うか、僕が弱かっただけだしね。

 とりあえず、今後アレを使う時の注意点は理解できた。)

 

 

 自身の上に積もった瓦礫の山を退かしながら考える。

 

 

 (多分これで、カルデアは逃げるだろう。彼らは逃げる時は逃げれるからね。

 骨は折れては無いだろうけど、また結構なダメージになったね。

 ただ、ゲイ・ボウを折る事ができたのは結構なメリットだね。

 この異聞帯においてゲイ・ジャルグに出来る事は殆どないはずだ。)

 

 

 

 割と苦労しながら瓦礫の下敷き状態から脱出すると、目の前に翁様がいた。

 

 

 (怖!)

 

 

 「ありがとうございます、翁様。

 正直イスカンダルも相手に加わっていたら今の僕じゃ多分勝てなかったので、足止めは 本当にありがたかったです。」

 

 とりあえず、お礼はしっかりと言っておく。

 実際に僕1人であの3人を抑えれるかと聞かれたら、ジンバー系統のアームズでは不可能なんじゃ無いかな。

 

 

 「構わぬ。確かに、貴様との契約は果たされた。

 しかし、貴様の行先には様々な試練が立ちはだかる。

 ならばこの程度の助力、貴様の望む未来においては誤差に過ぎないだろう。」

 

 

 「そうですね。

 貴方の言う通りです。でも、それでも、今の僕には個人としての力が圧倒的に足りないです。

 だからこそ貴方と契約をしたんです。

 それで、例の物はどうなりましたか?」

 

 そう、それさえあれば現状の僕の悩みのほとんどを解決できる。

 

 

 「これだ、受け取れ。」

 

 そう言って差し出された山の翁の手には、黄金の果実があった。

 

 

 side out

 

 

 

 

 side ???

 

 

 さて、ここらでこの異聞帯における謎についてのある程度の説明する必要があるだろう。

 

 この異聞帯にある謎は奴がどうにか秘匿しようとしているものばかりだからな!

 

 もっとも、そうでもしないと奴がすぐに負けるだけで終わるのだがな。

 

 

 そうだな、まず初めに何故黄金の果実が今ここにある理由からだろうか。

 

 そう、禁断の果実は高司舞と一体化し、その高司舞が過去の時間軸に干渉しようとしてそれが失敗した結果、時空の狭間に囚われているはずなのだ。

 

 

 なぜならこの異聞帯においては彼ら2人の決戦の結末が両者相打ちとなったのだから。

 

 

 だからこそ果実を手にしたものがいなかった、だからこそヘルヘイムの森に抗うこともできずに侵食された。

 

 

 それがこの歴史が異聞帯になった理由だろう。

 

 

 そして、時空に囚われたお姫様を救出したのは誰なのか、という疑問はもっと単純だ。

 

 

 シャーロック・ホームズの宝具「初歩的なことだ、友よ」によるものだ。

 「初歩的なことだ、友よ」の能力とは、ホームズの探偵としての能力の具現化のようなもので、ホームズが推理するのに必要な手がかりや道筋が発生するという物だ。

 

 

 とはいえ、それは本来のホームズの宝具であって、カルデアに所属しているホームズの宝具は謎の球体が出現するものだ。

 

 

 そう、だからこそ、それが黄金の果実がこの異聞帯に舞い戻るきっかけとなり得た。

 

 

 まず初めに、黄金の果実がこの世界に戻りたがっているという事。

 

 次に、ホームズの宝具の本来の能力を上代奏樹が知っている事。

 

 そして最後にホームズが黄金の果実についての推理をした事。

 

 

 これらの要素が備わった結果、黄金の果実がこの異聞帯に舞い戻ってきたのだ。

 なぜならば黄金の果実そのものがこの異聞帯に舞い戻ることを望んでいたのだから。

 

 もちろん、きっかけとしての縁は小さいのもだろう。

 しかし、その小さいきっかけを掴み取ることができるのが黄金の果実の力だ。

 

 上代奏樹が初めて、カルデアと接触した時の会話においてホームズは黄金の果実の事を推理した。

 

 しかし、黄金の果実の現物は今この異聞帯に存在しない。

 

 ならばどうすればよいのか。

 

 そう、黄金の果実が異聞帯に存在すれば良い。

 

 そしてホームズの宝具によって出現した物の場所は不明となるのだが、何事にも例外というのもがある。

 

 

 それこそが一つ目の理由で、果実が、つまりは高司舞自身がここに戻りたがっていたことに繋がる。

 帰還のきっかけが小さいということはその分ホームズの宝具の制約に縛られなくなるという事だ。

 

 だからこそ、上代奏樹はトルーパーズに出現すると予想していた。

 

 

 これが、この異聞帯に本来のあってはならない黄金の果実があった理由だ。

 

 

 そして次の謎は、山の翁が黄金の果実を、高司舞を切った事についてだ。

 

 これも結果だけを見るとわかりやすいな、黄金の果実と高司舞を分離するためだ。

 

 高司舞が始まりの女として存在している以上、果実を手にすることができる存在は限られる。

 そして、その中に上代奏樹は入っていない。だからこそ果実を分ける必要があった。

 

 そのために、山の翁と契約を結んだのだ。

 

 契約内容としては

「山の翁は異聞帯に存在するサーヴァントの内9割を倒し、黄金の果実と始まりの女を分離する。

 その代わりに、上代奏樹は自身の行動の目的と自身の勝利条件を全て教える。」

 というものだ。

 

 これだけ見ると、山の翁にメリットの無い契約に見えるが実際にはそうでもない。

 

 この人類史は異聞帯になる際に他の異聞帯とは違う要素でなっているのだ。

 

 そう、この異聞帯は単純な生存競争に敗れた世界なのだ。

 

 永続的な冷気により肉体を変質せざるをえなかった訳でもない。

 

 神に支配されている訳でもない。

 

 唯一にして不老の支配者が完璧な統治をしていた訳でもない。

 

 外来種によって生存圏が消失し人類という生態系が滅ぼされたのだ。

 

 そして、そんな世界に対して生存競争に勝ち残った汎人類史が負ける要因がない。つまり、この異聞帯は他の異聞帯との戦争ならばともかく汎人類史との戦いに生き残ることはできないのだ。

 それ自体は良い事だ。

 だからこそ奴の交渉が上手くいった。

 

 「僕もこの異聞帯での生存競争に負けた存在です。だからこそ、そんな世界に負けるほど脆弱な人類史価値はあると思いますか?」

 

 などと言ってのけた。

 結果としては、契約が成立したからよかったんだろう。

 もっとも、俺の知らない部分もあるんだろうがな。

 

 

 始まりの女と果実を分離した方法は俺も知らん。幾つかの予想はあるものの確信はない。

 そんなものが必要とも思えんからな。

 

 

 そして、察しの良い奴は気がついているだろう。

 

 

 『この異聞帯においては彼ら2人の決戦の結末が両者相打ちとなったのだから。』

 

 

 これがどういう事を意味するのかについて。

 

 

 そう、この異聞帯に王はいない。

 

 

 だからこそ、黄金の果実を手にした存在がこの異聞帯の新たな王に、始まりの男になれる。

 

 

 とはいえ、奴の目的は始まりの男になったその先にあるようだがな。

 

 

 side out

 

 




 はい、いかがでしたでしょうか?納得していただけるなら嬉しいです。

 それでは、また次回から少し過去編になると思うのでよろしくお願いします!


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過去編
過去編 沢芽のクリプター



 今回からしばらく過去編になります。
 とりあえずは、上代奏樹が異聞帯にきて何をしていたのかがメインとなります。

 それでは、お楽しみください。




 side 上代奏樹

 

 僕の担当する日本の異聞帯が「仮面ライダー鎧武」の世界だという事を理解した次の日、これからするべき事を考えた。

 

 ①・戦極ドライバー、もしくはゲネシスドライバーを入手する。

 

 ②・鎧武の世界を乗り越える為、ビートライダー、ユグドラシル、オーバーロードのどちらかと接触、協力を要請する。

 

 ③・異聞帯の王を見極める。

 

 この3つだろう。

 

 ①僕個人の戦闘力を考えたり、(原作ではやることが少なかったが)マスターを直接狙ってくる可能性もある。だから、第一の優先目標にしておきたい。

 僕はまだサーヴァントの召喚をしていないから、今インベスに襲われたら最悪死んでしまう可能性もある。

 僕の魔術師としての腕は、才能自体はそこそこあるのか悪いとまではいかないが、オフェリアやキリシュタリアのように歴史のある家系には流石に太刀打ちできない。

 それに、起源の問題もあるから攻撃的な魔術が不得意だという事もあり、個人戦力の拡大は必要な事だろう。

 

 ②に関しては、①の目的を達成する為ならユグドラシルの方がいいかと思うのだが、その後の展開を考えると量産された黒影トルーパーから回収した方もいい気がするな。

 ゲネシスドライバーは流石に厳しいかもしれないが、チャンスがあれば狙うことにしよう。

 ロックシードに関してはあまり考えなくていいのは鎧武の特長の1つかもしれないね。

 

 ③に関してはもっと単純に、この世界の王候補が多過ぎるのだ。

 

 

 「アーマードライダー鎧武 葛葉紘汰」

 

 「ロード・バロン 駆馼戒斗」

 

 「オーバーロードの王 ロシュオ」

 

 

 有力な候補としてはこの辺りだろうか?

 いや、ここが異聞帯であったとしても、今の時系列が周囲の様子を見る限り、オーバーロードの侵略は進んでいないのだろう。

 そして、ビートライダーズの人気が路上でインベスゲームをやっても批判が来ないことから、原作前、じゃないとしても最序盤だろう。

 

 (という事なら、この異聞帯は他とは違って・・・)

 

 ・・・と、思考をまとめようとした時、視界がグラつく。

 

 (そういや、ここにきてから休憩とか食事とかしてなかったなぁ・・・)

 

 そんな事を思いながら、倒れ込みそうになった時、

 

 「おい!大丈夫か!?あんた、いきなり倒れそうになるなんてビックリしたぞ。」

 

 倒れかけた僕を支えたのは

 仮面ライダー鎧武、その主人公にして、未来の、本来の歴史における、宇宙の神様

 

 「あ、あなたは・・・」

 

 「俺か?俺は

 

       『葛葉紘汰』

 

 まぁ、今はただのフリーターなんだけどな。」

 

 

 

 〜〜〜〜クリプター物乞中〜〜〜〜

 

 

 

 「えっと・・・よかったんですか?見ず知らずの僕にご飯を奢ってもらって。

 自分で言うのもなんですけど、今の僕って身分ない、お金ない、家もない、おまけに記憶もないって言う不審者通り越した何かですよ?」

 

 とりあえず、記憶喪失という安易な設定を作ることにした。

 

 流石に

 

 「この世界はこれ以上の進化が望めないので滅びる運命なのを、本来の歴史を犠牲にしてこの世界を存続させようと思います。」

 

 なんて、言える筈もないし、余りにもいきなりの事だったので、まぁ、そこまで悪くはないかなぁ。

 

 「あぁ、流石に目の前で倒れた人を見捨てるなんて事俺にはできなからな。

 それより、あんたはこの先どうすんだ?さっき自分でも言っていたけど、そんな無い無いばっかりじゃあ困るだろ?」

 

 そう、今現在僕が困っているのはまさにそこなのだ。

 

 おそらく、()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 王として決まる条件は、禁断の果実を手に入れる事。

 

 そして、仮面ライダー鎧武の世界の異聞帯だという事は勝者は・・・

 

 (いや、今考える事じゃないな。)

 

 「そうなんですよね、僕覚えているのが自分の名前だけですからね。

 働こうにも戸籍とかあるのかわからないし、家族関係とかも不明な以上どうしようもないっていうのが本当の所ですね。」

 

 組織だったところがユグドラシルなのだろうが、今の僕には接触することが難しい。

 

 「とりあえず、今食べたのでしばらくはなんとかなるのでそれまでになんとかしますよ。大丈夫ですって、日雇いのバイトでも見つけて食い繋いでいきますから。」

 

 これ以上の頼る事になると、流石に罪悪感がひどい事になるので強がっておく。

 

 (というか、こうして考えてみると、プリヤの美遊ってすごい子だったんだなぁ。

 僕の年齢前世を含めると結構になる筈なんだけど、小学生に負けるのか・・・)

 

 そんなふうにどうでもいい事を考え、地味な精神的なダメージを負いながら葛葉紘汰と別れた。(食事代については払えるようになってからでいいとの事だ。)

 

 (さて、強がった手前次会った時稼ぐ手段がないと格好がつかないよな。

 魔術を使っていいのなら得意分野なのだけれど・・・)

 

 先程、今後やるべき事を考えていたばかりなのに、今をなんとかしないと衣食に困るって結構複雑な気持ちを抱えてしばらく歩いていた。

 

 目の前には、1人の中年ほどの男性が人通りの少ない路地裏に入っていった。

 

 (まぁ、仕方がないけどやるしかないよね。)

 

 そうして背後から男性に声をかけようとした時、

 

 「よう、坊主。こんな人通りの少ない場所で何をしようとしているんだい?

 なぁ、異世界からのお客様?」

 

 僕の方が背後から声をかけられた。

 

 そして、その声の主は

 

 「DJサガラ!?」

 

 「おや、俺を知っているとはなぁ。いくら異世界からの客人とはいえ、これは驚いたぜ。

 それで、あんたは何をしようとしてたんだい?」

 

 これは、僕が今取ろうとしていた行動への質問というよりも・・・

 

 「失礼、あなたの名前を僕が一方的に知っているのは不平等ですね。

 

 僕の名前は、上代奏樹。

 

 この終わりを迎える世界を救いにきた、クリプターです。」

 

 それから僕の知っている事をほとんど全て話した。

 

 カルデアのこと 空想樹のこと 異聞帯のこと クリプターのこと

 

 僕の前世や記憶に関すること以外は全て話て、こう終えた。

 

 「以上が僕の来た理由だよ。

 とりあえずお願いがあるんだけど。

 

   お金貸してくれない?」

 

 そうして僕とDJサガラの一時的な協力関係が幕を開けた。

 

 





 おしらせがあります。
 明日からしばらく忙しくなるので更新が不安定になると思います。
 エタるつもりはないので安心してください。

 もしよろしければ、高評価やお気に入り登録、感想などいただけるとモチベーションにつながります。

 それでは次回 過去編 初変身  お楽しみに!


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過去編 蛇の思惑



 すみません、色々忙しくてかなり遅れました。
 もう一つ謝罪です。
 変身まで間に合いませんでした・・・
 ユルシテ ユルシテ

 それではお楽しみください。



 

 

 side上代奏樹

 

 DJサガラとの交渉は一応成功した。

 

 交渉というか、僕の知ってる事のほとんどを話して害意はあっても邪魔をする気はない事を伝えてこちらの要望を伝えただけなのだが何故かこちらの要望を了承してくれた。

 当面の資金や住居を用意する代わりに、黄金の果実の争奪戦、そのバランサーのような役割を担うというものだ。

 

 バランサーと言ってもやる事は単純で、果実を求めて争う人達のパワーバランスが誰か1人に偏らないようにする事だけだ。

 原作においてDJサガラがユグドラシル、主に戦極凌馬にの様に情報と戦力の両方を兼ね備えたような人物に対してだ。

 

 僕が外の世界、汎人類史のから来た事により何かしらの変化がある可能性があり、そうなった際に出来るだけ僕の知っている歴史に近づける事が僕の役割だ。

 

 ただ、少しだけ妙な事に、DJサガラは僕が知っている未来の事を話そうとした時にそこだけは一切聞かなかった、というより話させなかった。

 

 本人曰く

 「俺がパワーバランスを維持しなくて良くなる。つまり、俺は今回に限っては本当の傍観者になることができる。そんな面白いショーのネタバレなんて面白くないだろ。」

 だそうだ。

 

 ・・・・・うっっっっわ、全っっっくもって信用できねぇ〜〜〜。

 

 一応、どうしようもない時に関して僕の力じゃあどうにもならない事を伝えると

 

 「わかってる。あんたの戦闘力じゃあどうにもならない事は担当してやる。」

 「それに、俺は気に入った奴がいるなら勝手に応援してやる。」

 との事だ。

 

 まぁ、この分だとカチドキやジンバー、極ロックシードといった葛葉紘汰の戦闘力や、原作にあった肩入れ関しては問題ないだろう。

 

 すると、突然DJサガラが言い出した。

 「そうだ、忘れてたな、お前に今度プレゼントをやろう。

 もちろん、今回の契約とは別にだよ。」

 

 「プレゼント?」

 一体何を言っているんだ・・・?

 

 「あぁ、俺のスタンスはチャンスは平等に、だからな。」

 

 「だから、プレゼント自体が何だっていうんだよ。

 そもそもチャンスって、あんたの言うチャンスってなると知恵の実のことか?

 それこそ無理な話だろ。あれは、僕じゃない、もっと相応しい誰かの手に入れる運命にあるんだよ。」

 

 そう、原作の流れとしてもここの異聞帯の王、つまり知恵の実を手に入れる可能性が一番高いのは・・・

 

 『ロード・バロン 駆馼戒斗』

 

 そういう事なのだろう。

 

 

〜〜〜〜〜クリプター住居確認中〜〜〜〜〜

 

 

 って・・・本当にこんな所でいいのか?

 普通に豪華なホテルなんだけど・・・いや、僕こんなとこ泊まったことないってのに、一体いくら金かかってるんだよ。

 

 そう言えば、DJサガラはユグドラシルから金を貰っていたけどそれに一切手をつけていないんだっけか?

 その辺りで僕足取り掴まれない?

 

 ・・・まぁ、その辺りは必要経費と考えよう。

 

 にしても、プレゼント?いったい何なんだ?考えられるとしたら特殊なロックシードか?いや、ロックシードはそれ単体で効果を発揮するものじゃない。だとすると・・・まさか・・・

 

 「まぁ、期待しないで待っておくとするか。」

 

 それよりも今僕が考えるべき事は、仮面ライダー鎧武の事じゃない、クリプターとしての僕の事だ。

 

 Fate/Grand Order その本来の歴史にはない異聞帯、空想樹、それをどのようにするべきなのか

 

 そう、僕はクリプター。人類史の敵にしてカルデアと敵対するもの。

 サーヴァントを召喚して、異聞帯の王と手を結び、空想樹を育てる事が使命であり、僕の役割である。

 

 とは言え、サーヴァントの召喚に関しては、正直まだ召喚すべきか迷っている。

 ここがどのようにして異聞帯になるのかがわからない状況である。

 

 さらには、これから原作が始まる状況でサーヴァントという、ユグドラシルやオーバーロードにとっての未知の戦力を保有する事はリスクが大きい。

 オーバーロード、特にロシュオの力は圧倒的である。そんな人物に有効な戦力を持たないまま不安定な戦力で敵対したくはない。

 

 そもそもサーヴァントの戦闘力というものは召喚された人物により大きく変化する。

 

 例えば、アーサー王物語の主人公、アルトリア・ペンドラゴンの戦闘力と作家系統のサーヴァント、シェイクスピア等との戦闘力の差はものすごく大きい。

 そんな中で、インド系のサーヴァントを召喚できれば安全ではあるだろう。

 

 しかし、僕は知っている。

 ライダーシリーズにおける理不尽な戦力の巻き返しが起こり得る事を。

 

 ならばこれから僕はどのように動くべきか。

 

 クリプターとして

 

 この世界に住む人間の敵として

 

 世界を滅ぼすべきなのだろうか。

 

 それとも・・・

 

 

 

 今考えても仕方がないかなぁ。

 

 とりあえず僕はごはんをいっぱい食べて、ふかふかのベッドでゆっくり眠ることにした。

 

 久しぶりの布団は魔法にでも掛けられたかのように僕を睡眠へと誘った。

 

 

 side out

 

 

 

 

 side サガラ

 

 

 今は深夜、いくら沢芽市とは言えども人の数が減った時間帯。

 

 そしてそんな時間の裏路地に男はいた。

 

 「人類史の空白化、異聞帯、空想樹、そしてクリプターにカルデア。」

 

 「俺の役割は誰が果実を手にするかを見極める事。そして、そのための力を持つもの達のパワーバランスをある程度平均化すること。」

 

 「まぁ、面白そうな奴に肩入れする事はあるがな。」

 

 そう言っていた男の姿が揺れる。

 まるで実際の姿がそこにはないというかのように。

 

 揺れが激しくなる。

 

 ジジッ・・・ジッ・・・

 

 

 そうして男の姿は完全に消える。

 

 

 〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 男の姿が現れる。

 

 そこは先程までとは違い様々な街灯に照らされたビル群ではなく、自然に囲まれた森の中だった。

 

 いや、それを自然と言って良いのだろうか。

 

 少なくとも地球にとっては自然とは言えないのだろう。

 なぜなら、男のいる周辺の植物は地球には存在しない植物だからだ。

 

 少なくとも、今はまだ。

 

 「成る程、確かにお前の知っている状況ならお前にチャンスはないんだろうな。」

 

 「だがな、ここはお前が知っている世界じゃないんだぜ。」

 

 「ならば、何が起こったって不思議じゃあない。」

 

 「だったら、チャンスは平等に与えないとなぁ。」

 

 そう言った男の姿はまるでどこかの民族衣装のようになっていた。

 

 そして、手に持つのはその姿に似合わない機械

 

 『戦極ドライバー』

 だった。

 

 「さぁ、ここから面白くなるぜ。

 気を抜くなよ、異世界の少年。」

 

 






 閲覧ありがとうございます。
 もしよろしければ高評価、お気に入り登録、感想などお願いします。

 それでは次回、「過去編 初変身」お楽しみに!

 次回こそ行けるはずです。


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過去編 初変身


 UAが一万を超えました!
 嬉しかったので本日2本目です。

 今回はオリ主の化けの皮が剥がれる回になっています。

 それでは、お楽しみください!



 

 

 side 上代奏樹

 

 目が覚める。久しぶりにベットで眠る事ができたからか、とても気持ちがいい目覚めだ。

 

 ベットから起き上がり顔を洗って服を着替える。

 普段から紅茶は、好んで飲んでいるのだが、こんな高級そうなホテルの紅茶、今飲まなかったら今後飲めないのだろうほど値段が張るのだろう。

 

 美味しい紅茶を入れるには手順がいる。

 

 まず初めにポットとカップにお湯を入れて、湯通しして全体を温める。

 ポットが温まった頃にポットに茶葉を入れる。1人分の分量は2.5~3gだ。

 その後すぐにポットにお湯を入れ蓋をして蒸らす。

 その後、時計(懐中時計、僕の魔術礼装である。)を使い時間を測る。大体3分位だろうか。

 3分経ったらポットの中を軽く混ぜ、濃さが均一になるように混ぜながら最後の一滴まで入れる。

 

 これらの一連の流れを「ゴールデン・ルール」というそうだ。

 

 出来上がった紅茶は今まで飲んだどの紅茶より良い香りで、寝ぼけた頭が覚醒していく。

 一口飲む。

 

 (何これうま!)

 

 語彙力が消失した。

 

 いや、値段が全てじゃないことも理解はしているんだけど、流石にこれは美味しすぎないか?

 まぁ、ここユグドラシルの上層部の人達が日本に来た時使うようなとこらしいし、それくらいでも不自然じゃないのかな?

 

 

 

 ・・・・・とりあえず、カドック煽ろ。

 

 いぇ〜〜い!カドックくん見てる〜〜?

 君がロシアのシベリア送りされたような生活している間に僕はこんな美味しい紅茶を飲んでるよ〜〜www

 

 これでヨシ!

 

 

 

 ・・・なんだこれは、いくらなんでも僕の情緒、不安定過ぎないか?

 

 

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 とりあえず、朝の優雅なひとときを過ごし終えた僕は情報収集をする事を考えたが、よくよく考えてみると今「仮面ライダー鎧武」の原作がスタートしていない現時点でどのような情報を集めても無駄なんじゃないかと思い始めた。

 

 というわけで、サガラとの契約を果たす意味を含めて、葛葉紘汰達との交流を深めていこうかと思う。

 

 幸か不幸か葛葉紘汰とは、面識が出来ている。葛葉紘汰がフリーターのうちに交流を深めておく事は今後の展開に有利に働く事だろう。

 もっとも、そこまでどのようにして持っていくのかが問題なのではあるが。

 

 「まぁ、兎にも角にももう一度合わないと話にならないし、街を適当に歩くことにするか。」

 

 ホテルを出て街中を歩く

 

 (目的地は・・・ビートライダーズのダンスステージでいいかな。)

 

 殆どのチームのメンバーは今後の流れに巻き込まれる事になる。それを回避することはもはや不可能だろう。

 

 インベスゲームが始まる前なら問題はなかった。しかし彼らはもう始めてしまっている。

 インベスゲームは、彼らを利用した実験の一部にして、しばらく後に出現するであろうヘルヘイムの森の影響を肩代わりしてもらうためのカモフラージュの役割を持つ。

 

 そんな彼らを助ける事は僕にはできないし、やるメリットもない。良心が痛まないと言えば嘘になるがそれがないと原作が進まないのも事実である。

 

 ならば、僕にできる精一杯のことは彼らのそばで励ましてあげることだろう。

 

 

 (よし、これで大義名分はできたね。)

 

 

 僕とサガラの繋がりが発覚した場合の言い訳を考えながら歩く。

 街並みを覚える必要性が増えてきた、魔術を使用する可能性も増えてきたので、路地裏をメインに歩く。

 

 

 異聞帯にきた初日に見たステージまでもう少しというところで、嫌な音が聞こえた。

 

 まるで、ジッパーが開くかのような音だ。

 

 ジッパー音、つまりクラックの出現である。

 

 それだけならまだいい。

 気がつかないふりをして歩き過ぎればいいだけだ。

 

 しかし、その音が聞こえた場所が問題なのだ。

 

 そう、場所。

 

 原作において、サクラハリケーンで移動しながらクラックを開くシーンがある。

 当然ながらバイクに乗っているため進行方向に縦に開く。

 

 けれども、原作においても何度か表現されていたようにクラックは空中に開き、横に開くこともある。

 

 まぁ、何が言いたいのかと言うと。

 

 

 (歩いている真下にクラックが開くってどんな確率だよ!!!

 サガラのやつなんかやりやがったか!?!?)

 

 

 そうして僕は、初めてヘルヘイムの森に足を踏み入れたのだった。

 

 ・・・この場合は踏み入れたじゃなく、足をとられたの方が正しいのかな?

 

 

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 「うっわぁ!」

 

 なんとか着地に成功する。

 成功と同時にクラックが閉まる音も聞こえる。

出来すぎだろ!なんだよ、僕の足元に出現して落ちたらすぐに閉まるって!

絶対サガラが何か仕込んでいるだろ!

 

 『ヘルヘイムの森』

 それは、強力な繁殖を持ち、侵食してくる世界の外来種。

 それが、過去や未来の地球からなのか、はたまた異世界から来たのか、それとも未だ人類が確認できていない別の惑星から来たのか。それら全てが不明である。

 その真実は、銀河や世界を巡り全ての生物に進化を促し『始まりの男』を生み出す役目を持つ。

 

 その侵食は、植物だけに止まらない。

 その森の果実を口にした動物は森の怪物、インベスに変貌してしまう。

 その事実を知っている人物なら、問題にはない・・・ということはない。

 

 なぜならその果実は、不気味な極彩色の果実には食べたくなる衝動を誘発する効果があるからである。

 しかしながら、その効力は絶対ではなく、軍事訓練を乗り越えたものならその誘惑を振り切ることもできる。

 

 とりあえず

 

 (果実は絶対に食べない。果実は絶対に食べない。果実は絶対に食べない。オイシソウ果実は絶対に食べない。果実は絶対に食べない。)

 

 頭の中で果実を食べないように全力で思考する。

 そのまま別のクラックを探す事にする。

 クラックはランダムに出現するからいずれ出口となる場所を探し当てることは不可能じゃない。

 その出口の場所次第で怪しまれることがあっても、問題はない。魔術を使用すればその辺りの事はなんとでもなる。

 

 

 おそらく、その時の僕はかなりテンパっていたのだろう。

 ヘルヘイムの森にいる以上、それが僕に牙キバを剥く事がある事を

 

 「ギギャ!ギギャ!」

 

 そう、インベスだ。

 

 少し前に考えたが僕は直接的な戦闘能力は低い。

 知性の低いインベスになら勝利する事は不可能じゃないだろう。しかし、それは1対1の場合に限る。

 今回の場合見たく、10体以上の相手に囲まれたら勝利する事は不可能だ。

 

 (マズイマズイマズイマズイ、どうするどうする?

 戦闘による勝利、不可能。

  魔術を使用した洗脳、対象が多すぎる。

   逃亡、おそらく一番現実的。)

 

 そう考え、実行に移そうとした時

 

 「困ってるみたいだな!これを使え!」

 

 そんな声と共に何かが投げ込まれてくる。

 

 なんとかそれを受け取る。

 僕はそれを知っている。

 

 戦極ドライバー

 

 ヘルヘイムの森に適応する為とある天才が発明したもの。

 そして、果実を用いて変身することを可能にする!

 

 バックルを腰に当て、近くの果実を手に取る。

 

 その果実はロックシードに変わり・・・

 

 ロックシードをベルトに当てて・・・

 

 

 「変身!」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 初めての変身から、数分後なんとかインベスを倒した僕は、変身を解除する。

 

 そのときの僕の心情は、もちろんこんな状況に陥れたサガラへの怒りや、死にかけた事に対する恐怖、このことを録画しているであろうユグドラシルへの対処など様々な事が渦巻いていた、しかし1番の大きな感情は

 

 

 (変身できた!?・・・僕が!?・・・変身できた!?葛葉紘汰や呉島貴虎みたいに・・・!?!?)

 

 ミーハー全開であった。

 

 






 はい、実はオリ主はライダー作品が好きなので実は変身するたびにテンションが爆上がりしています。
 そして、これで一旦過去編は終了するので次回からカルデアとの戦いに戻ります。

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 それでは次回「カルデアの新しい出会い」お楽しみに!


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過去編 クリプターの会議


 お久しぶりです。大学の課題に追われて中々時間が取れずここまで遅くなりました・・・

 それでは、今回から過去編第2回です!



 

 

 side 上代奏樹

 

 

 はじめてのクリプター同士の会議の時間がが迫る中、僕は1人で悩んでいた。

 

 異聞帯の王が不在ということについてどうするべきか考えていた。

 

 そもそも話すべきだろうか?一応、後々敵同士になるのだから正直に話すことは怪しくないだろうか?

 

 ただでさえ少し前にようやく原作が始まったっていうのに。

 

 まぁ、幸い異聞帯の時間軸が外のそれと少し違うみたいだから計算からの結果と異聞帯攻略の必要性から考えるとギリギリ間に合うかなぁ。

 

 

 とりあえず、僕の異聞帯は行き先がわからない。

 

 原作が終わるまでにどのような世界線になるのかが不透明なのだ。

 

 

 

 原作と違い、ロシュオが願いを叶える可能性。

 

 

 原作と違い、葛葉紘汰が敗北する可能性。

 

 

 原作と違い、メガネクスに初めから侵略される可能性。

 

 

 

 それら全てを考えることは不可能に近い。

 

 

 (まぁ、ある程度素直に話しても大丈夫かな?いざという時にはキリシュタリアに泣きつくフリでもしておくべきか。)

 

 

 一応、ヘルヘイムのことを話せばなんとでもなるだろう。

 

 空想樹はまだ根付いていないし、そもそも出現した場所も不明な現状、僕のクリプターという肩書きが殆ど形骸化しているのが今の状況だ。

 

 まずはライダーの方の世界を生き抜くことからかな。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

「さて、よく集まってくれた・・・といっても数名ほど欠員がいるようだけどね。

 まぁいい、会議を始めようか。」

 

 

 キリシュタリアの合図とともに会議が始まった。

 

 といっても、会議とは名ばかりで実際には現状報告等で時間が過ぎていく。

 

 

 カドック、オフェリア、ペペロンチーノの報告が終わり次は、僕の番になった。

 (ちなみに今回の参加者はこれで全員だ。)

 

 

 「さて、それでは次は奏樹の異聞帯について聞かせてもらおうかな。」

 

 

 (どういったものかなぁ。ま、いっか。適当で。)

 

 

 

 「はいよ〜。

 まぁ、僕の所の異聞帯、日本異聞帯は今の所ソレらしい要素が殆どないんだよねぇ。」

 

 

 

 「ソレらしい要素?おい奏樹、お前一体何をいっているんだ?」

 

 

 

 「そのままの意味だよカドック君、僕の所の異聞帯は現状、汎人類史と殆ど変わらない現代社会なのさ。

 

 環境が荒れている訳でもなく、神に支配されている訳でもない。

 

 ビルが立ち並び、夜には街灯の明かりが神秘を否定し、物資で溢れている。

 

 そんな普通の歴史に近いのさ。」

 

 

 そう宣言すると他の面々も流石に驚いたのか暫く誰も声を発さなかった。

 

 

 その後に声を発したのは、キリシュタリアだった。

 

 

 「ふむ、流石に少し驚いたのだが君は先程『殆ど』と言ったね?

 だとしたらそのありふれた社会に何か異常なことがあるんじゃないかい?」

 

 

 「その通りだよ、キリシュタリア。

 あぁ、先に言っておくけどオフェリア、君の異聞帯との関わりは一切ないよ。」

 

 

 「私の?一体あなたは何をいっているの?」

 

 

 ごもっともなオフェリアの疑問に応える。

 

 

 「まぁ、僕の異聞帯にあった現状唯一の異常性として、ヘルヘイムの森と呼称されるモノ、そしてその森の驚異的な侵食が確認されているのさ。

 

 さっきも言ったけど、北欧神話やその他の神話との関係性は恐らくないと思われるよ。

 

 何せその森に知性帯と思われる個体は発見されなかったのだからね。

 死者の存在やそこを統治する神々等々それら全て存在せず、個体差はアレど発見できた知的生命体のレベルは獣と同程度。

 

 僕も全てが理解できているわけではないのだけれど、その森の侵食によってこれから異聞帯として歴史を紡いでいくんじゃないかな?

 

 

 要するに僕の異聞帯は不完全!

 

 

 空想樹が根付くどころか異聞帯の王すら存在しない!

 

 まぁ、以上のことから僕のところの異聞帯は脅威たりえないと思うよ。」

 

 

 そう言い、僕の宣言を終える。

 

 

 「以上!何か質問のある人は?」

 

 

 先程までとは少し違った空気として沈黙が訪れる。

 

 

 今度の静寂は少し長く続いた。クリプターに信頼を置くキリシュタリアでさえ僕の発言を少し疑っているように思われた。

 

 

 それは当然だろう。

 

 

 異聞帯とは、人類史が敗北した世界線だ。

 

 

 それならば、異聞帯は異聞帯として成立した時点でもう既に狂っていなければおかしいのだ。

 

 

 それなのに今の報告では、人類史が敗北する未来は決まっていても、その未来が訪れるのはもう少し先のことなのだから。

 

 

 

 次にその沈黙を破ったのはある意味意外な人物だった。

 

 

 「オイオイ、それは一体どういう事だキリシュタリア?

 

 確か僕たちが聞いた話だと、それぞれに割り当てられた担当する異聞帯を育てての生存競争じゃないのか?

 

 別にフェアプレイの精神じゃないが、いくらなんでもコレは不平等が過ぎるんじゃないのか?」

 

 

 カドックが一度沈黙を破るとその後の会話は流れるようだった。

 

 

 「ふむ、いやまぁ正直な所私に聞かれても困るのだがね。

 流石にここまで汎人類史と類似した異聞帯が生成されるとは思ってなかったよ。」

 

 

 

 「まさかキリシュタリア様でも想定できないほど脆弱な異聞帯があるだなんて・・・

 あなた何か隠している訳じゃないでしょうね?」

 

 

 

 「いやいや、隠している事なんてないし、話していない情報はとても不確定なものばかりだよ。

 それとも、植物の侵食される可能性があるというに、そんな状況下で謎の機械生命体に侵略される可能性を疑うのかい?」

 

 

 

 「それより奏樹、お前は担当について何か不満とかはないのか?

 僕のところも大概アレだがそこまで酷くはないぞ。」

 

 

 

 「あぁ〜、それなら大丈夫さ。

 君のとこみたいに終わった世界じゃない分、文明的な生活ができているからね。

 今はなんとか協力者を作って、高級ホテルで優雅に紅茶でも飲んでいるよ。」

 

 

 「なっ!オイ奏樹!どういう事だお前、まさか僕を煽るために口からでまかせを言っているんじゃないだろうな!?」

 

 

 「いや、嘘はつかないよ。

 今後は不明とは言え現状僕らは仲間だ。

 それなら仲間内での情報の共有は大切な事だからね。そんなところで嘘はつかないよ。」

 

 

 

 「2人とも、醜い争いはその辺りにしなさい。

 今はクリプターとしての大切な会議の時間よ。あまりキリシュタリア様の時間を無駄にしないでよね。」

 

 

 

 ・・・そんな風にグダついたけど会議は終わった。

 

 

 ただ一つ、僕が話し始めたあたりからペペロンチーノが一言も話さなかったことが気がかりだった。

 

 

 

 side out






 いかがでしたでしょうか?

 今回から過去編だと言いましたが、次回はペペロンチーノとキリシュタリアとの会話がメインになると思います。

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過去編 クリプター

 すみません、BOXイベ回っていたら遅くなりました。それに加えて今回ものすごく短いです。

 もしかしたら今後加筆するかもしれませんが今回はこれでお納めください。


 集まっていたクリプターの内2人を残して解散した部屋に声が響く。

 

 

 「それで・・・一体彼に何を見たんだい?ペペロンチーノ。」

 

 

 「あら?一体何のことかしらね。私が彼の報告に驚いただけなのかもしれないじゃないの。」

 

 

 「君がそう言うことを言うのならそれはそう思っていない時なんじゃないかな?

 少なくとも私はそう思うのだけれど。」

 

 

 お互いに相手のことをよく理解しているような会話がしばらく続く。

 

 

 「まぁ、あなたの言う通りよキリシュタリア。彼に何を見た、って聞かれると返答がしにくいのだけれども、あえて言うのなら、『何も見えなかった』ってところかしらね。」

 

 

 

 「何も見えなかった?それはいったいどう言う意味なんだい?」

 

 

 抽象的な言葉に疑問を覚えたのかキリシュタリアが素直に質問する。

 

 

 「意味も何も無いわ、そのままよ。なんと言うのかしらね・・・カルデアにいた頃や異聞帯に配属されるまでの彼は何かに怯えている感じがしたのよ。」

 

 

 その言葉に応え、ぺロロンチーノが答える。

 

 

 そして、ぺロロンチーノの答えには、キリシュタリアにも心当たりが幾つかある。

 

 

 彼がカルデアに初めて来て、Aチームに配属されることが決定した後の表情は中々お目にかかることができないほどにおもしr・・・悲壮感漂うものだった。

 

 

 それ以外にもAチームとしての使命がないのは後から来た外部の人間であると考えれば理解できるが、他人に対する態度もどこか一歩引いたものだった。あれも見方を変えれば他人や使命などに怯えていたようにも見えてくる。

 

 

 「しかし、それならば今は一体どうなんだい?」

 

 

 そう問うキリシュタリアの疑問は当然のものだろう。

 

 何かに怯えるのなら、いや、むしろ今の状況に短い時間とはいえ仲間となった人達と敵同士となり生存競争をしなければならなく、自身の敗北がほとんど確定している現状の方が恐ろしいと言えるのではないか?

 

 

 「そうねぇ、何も見えないって言ったけれど正確に言うのなら恐れていた感情が無くなっていると言うべきかしらね。

 だからこそ、恐れという一番の大きな感情がなくなった今の彼の事がよくわからなくなったのよ。」

 

 

 

 キリシュタリアは思案する。

 

 

 何かに恐れていた上代奏樹。

 

 何故その恐れがなくなったのか。

 

 何に怯えていたのか。

 

 

 

 キリシュタリアしか知り得ない、誰にも言う気のないシュミレートの中の情報などを総合して、クリプターのリーダーとして、Aチームのリーダーとして思考する。

 

 

 それらを総合して優秀なキリシュタリアの頭脳がはじき出した結論は…………

 

 

 「ふむ、彼のことは信頼している…………というには彼をよく知らないのだけど、それでもその変化が良い方向に向かっていると信じようかな。」

 

 

 わからなかったので未来の自分に丸投げした。

 

 

 

 

 

 

 【ロシア異聞帯にての一幕】

 

 

 「ったく!奏樹の奴め!人が娯楽のない異聞帯にいるのわかっているくせに!なんであいつが現代である事を殊更煽ってくる!?」

 

 

 自身の異聞帯に比べて平和なことをアピールされ少し冷静さを欠いているカドックの背後から彼のサーヴァント、アナスタシアが声をかける。

 

 

 「あらあら、いつもは冷静なカドックらしくないわね。そんなにムキになるなんてらしくないわよ。

 よっぽど仲のいいお友達とお話ししていたのね。」

 

 

 「仲のいいお友達???…………アナスタシア、君は一体何を言っているんだ?」

 

 

 割と本気で困惑しているカドックとそれを面白そうに見ているアナスタシアという構図だが、それを見ているのは誰もいなかった。

 

 

 因みに・・・上代奏樹の行ったカドックへの文明レベル煽りは本人が思っているより効果を発揮していた。

 

 

 いや・・・彼の名誉の為に記しておくが、流石に煽られた効果がここまで出ているのにはいくつかの理由がある。

 

 

 一つ目に、上代奏樹の魔術師としての力量は得意分野以外は全てカドックが上回っている。その為、他のクリプターに対してよりカドックの感じている劣等感が薄いのだ。

 

 

 二つ目に、カドック自身の先見の明がある事だろう。本人の努力に関係なくカドックの異聞帯は詰んでいる。カルデアがどうなろうと自身の異聞帯に存在する限り娯楽にありつくことは困難だということを理解しているからだ。

 

 

 そして最後に、単純に上代奏樹の煽り性能が高かった。

 

 

 結果としてカドックがコヤンスカヤから購入する量やぺロロンチーノから貰った紅茶の量が原作におけるソレらより少しだけ多くなったそうだ。

 

 




 はい、普段2500字くらいだったのですが、今回は1400字でした。
 BOXイベ回っていると本当に時間が溶けるんです。

 それもこれも、30箱以上開けてようやく1つだけ落ちた礼装が悪いです。(責任転嫁をする筆者の屑)

 それでは次回、また遅くなると思います。それまでお楽しみにしていただけると嬉しいです!


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仮面ライダー鎧武



 お久しぶりです。

 BOXイベ周回したり6章後編やったりで全く執筆していませんでした。


 これから再開していく予定ですので、読んでくれると嬉しいです



 

 side 上代奏樹

 

 

 とある町はずれの建物の屋上に僕はいた。

 

 

 屋上から下を見下ろしながらいろいろなことを思い出していた。

 

 

 今世で魔術師の家系に生まれたことを知った時の事。

 

 

 転生時の特典らしきものがなくて絶望した時の事。

 

 

 自分の家系がいいとこ中の下で、僕は得意分野以外ではAチームのメンバーに歯が立たないこと。

 

 

 レフ・ライノールがいるせいでカルデアにいたとき常に恐怖心と戦っていた時の事。

 

 

 

 それに、この異聞帯に来てからも色々なことがあった。

 

 

 この異聞帯が「仮面ライダー鎧武」の世界であった時の驚き。

 

 

 行き倒れた所を葛葉紘汰に助けてもらったこと。

 

 

 現代社会においてある意味恐るべき、金無し、宿無し、身分証無しに加えて人付き合いも無しという状況に陥ったこと。

 

 

 DJサガラとの協力関係(擬き)を結び、大量のインベスに襲われて死にかけた後、戦極ドライバーを貰って初変身した後、結局死にかけたこと。

 

 

 カドックの事をを煽りすぎた結果、腹黒狐の取り引きと利益が若干増えたり。

 

 

 ……今思い返すと嫌な思い出ばっかりだな。

 

 

 (まぁいいや。それもこれもこれから始まる主人公、葛葉 紘汰の物語を見ることができるのなら悪くないかな。)

 

 

 そう、今日は物語の始まりの日。

 

 

 角居裕也が戦極ドライバーを受け取り、葛葉紘汰に見せようとする日。

 

 

 仮面ライダー鎧武、第一話「変身!空からオレンジ!?」の日。

 

 

 仮面ライダー鎧武の原作スタートの日なのだから。

 

 

 

 

 side out

 

 

 

 

 

 親友の角居裕也に呼び出された葛葉紘汰は、高司舞と共に待ち合わせ場所と向かう。

 

 

 しかしながら、待ち合わせ場所にいないことを不審に思った二人の目の前に空間に張り付いたかのようなジッパーがあった。

 

 

 親友を思う心からか、若干の好奇心からか、二人はその奥に広がる謎の空間に踏み入ってしまう。

 

 

 その奥の空間、広がる謎の森に落ちていたものは、角居裕也が見せたいと言っていたバックルであった。

 

 

 その後、見つけた森の果実に思わず手が伸びる葛葉紘汰であったが、その果実を狙ったのか、あるいは森への侵入者を撃退しようとしたのか、そもどれでもない別の目的があったのか定かではないが、葛葉紘汰に襲い掛かった化け物が一匹いた。

 

 

 その化け物に追われる葛葉紘汰。

 

 

 追い詰められた彼はバックルを装備し、ドライバーへと変化する。

 

 

 さらに、そのドライバーを使用して変身をすることに成功し化け物を撃破することに成功したのだった。

 

 

 そしてその最中に起こった高司舞によく似た人物との問答により、葛葉紘汰は争いに巻き込まれる運命が決まってしまったのだろう。

 

 

 

 

 ……そう、そこまでならばその様子を見物していた人物が知っていた部分を凌駕していないだろう。

 

 

 その後に起こった本来あり得ない出来事を除いて。

 

 

 

 side 上代奏樹

 

 

 (よし!第一話をリアルで見ることができるなんて!あぁ、あのころに比べたらなんて充実した生活なんだ!

  しかし、葛葉紘汰には申し訳ないことをしたな。流石に角居裕也を見殺しにしたのはあまりいい気分ではないし……)

 

 

 そんな風にのんきなことを考えていた僕だったが、次の瞬間に聞こえてきた声でそんなのんきな気分は消失した。

 

 

 

 「あなたは、これから先のあらゆることに手が届く。

 

  その手を伸ばさないだけの理由は、あなたにあるの?」

 

 

 聞こえてきた声は間違いなく…… 

 

 

 (始まりの女!?時間逆行してきた高司舞!?

 

 なぜ僕の前に現れた?未来で何かあったのか!?

 

 いや、聞き間違いでなければ「あらゆることに手を伸ばせる」と言ったぞ!?

 

 僕が原作の事を言うとは思えない。なぜなら言うことによるメリットが僕には一切無いからだ。

 

 ならばどうして?それこそ決まっているDJサガラの奴原作知識の事漏らしただろ!!!)

 

 

 

 違う、今考えるべきはそこじゃない。

 

 

 「あるよ。僕は死にたくないし、手を伸ばさないことにはそれなりの理由がある。」

 

 

 一応本心である。

 

 

 死にたくない。一度転生したからといって命を投げ出せるわけないし、むしろ前世より命に対する執着はもっと強くなっている。

 

 

 実際に死んだという記憶は無いがむしろそのことによって恐怖心は強くなっている。

 

 

 それに手を伸ばさないのには、原作との乖離を必要最小限に抑えていたいというのがある。

 

 

 だからこそ、原作での死を覆す気にはなれない。原作キャラの死には理由や意味がある。

 

 

 角居裕也の死には、葛葉紘汰の覚悟に必要だ。

 

 そもそも、彼が死なないと原作が始まらない。

 

 

 初瀬亮二の死には、ヘルヘイムの森の現実とユグドラシルとの敵対関係を決めることに。

 

 

 そして、彼には………………

 

 

 

 「だからこそ、僕の為に、僕の生存の可能性に悪影響を及ぼす時ならどんな時でも手を伸ばさない。それはきっと僕の手の届かないところだから。」

 

 

 自分を犠牲に誰かを助けることのできる人は素晴らしい人なのだろう。

 

 

 でも僕にはそんなことできない。

 

 

 輝く主人公にはあこがれるけど、彼らの苦悩や試練を受けたいとは思えない。

 

 

 「それに僕は、これから多くの人を傷つけることになる……というより傷つけている。

 

 自分のエゴで。

 

 だったら、ここまで来たら自分のわがままを突き通すよ。」

 

 

 -------ほかのすべてを切り捨ててでも。

 

 

 

 「そう……それがあなたなのね……」

 

 

 そういうと、始まりの女、高司舞は姿を消した。恐らく元の居場所に戻ったのだろう。

 

 

 「よし!宣言した以上もう戻れない。この異聞帯を成長させることは今は無理だけど、必ずチャンスはある。その時を逃さないようにしないとね。」

 

 side out

 

 

 結局、この時の僕は何の信念も持たない、どうしようもなく弱い人だったのだろう。

 

 

 言うべき言葉とその言葉の使い道だけを理解していただけで、実際に使ってみた場面を経験したこともない僕の言葉なんて、誰にも響かないということを理解していなかったのだろう。

 

 

 だからこそ、僕は変わることができたんだと思う。

 

 

 その進化の方向性が良いのか悪いのかなんて、僕には一生理解できないのだろうけど。

 

 






 閲覧ありがとうございました。

 もしよろしければ、高評価、お気に入り登録、感想などしていただけるとモチベーションにつながりますのでお願いします。


 次回は、カルデア視点になると思います。


 次回も見てくれると嬉しいです!!!



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設定
現時点での設定集(8/23)


 タイトルそのままです。

 備忘録的な役割も含みます。

 今後書きたい内容なども適当に入っています。

 最新話までのネタバレを含みます。

 気にならない方のみご覧ください。


 主人公

・上代奏樹(かみしろ そうき)

・年齢(19才)

 男性 

 出身 日本

 好き・仮面ライダー、FGO、紅茶

 嫌い・スイカ、情報不足

 起源、魔術特性・□□(同一のものであり、IFルートの記憶の閲覧とは異なる。)

 天敵・主人公、□□□(現段階では違うが将来的には一番の天敵になる)(設定だけで出すことはほとんど不可能である。)

 特典・□□□、□□□の□□□

 

 

・FGOをゲームとしていた世界からの転生者。

 転生の際に、上位存在的なものに遭遇していないため本人が理解している範囲での特典的なものは存在しない。(一応本人が自覚していないだけで存在はしているのだがその特典は、現状ほかの事に利用できないので実質的に存在しない。)

 

 

 魔術師としての家系に生まれたが、かなり新しい家系であり(本人で三代目)、起源に適合していない魔術の行使はカドックより劣る。

 逆説的に適合している魔術ならばAチームの中どころか時計塔の魔術師の中でも最上位に位置する。

 起源については現段階では明らかになってはいない(していない)が、仮に上代奏樹という存在が転生者でなければ起源は別のものになっている、もしくは同じだとしても現段階より数段弱体化される。

 尚、本人は自身の起源についてなんとなくでしか理解しておらず確信を持っているわけではない。

 

 

 家系としての取り組みは、現代の機械技術を魔術と融合させ科学のみでは再現できないレベルの技術を生み出しそれを用いて根源への道を作ろうというものである。

 当然ながらそんな思想が一般的な魔術師に受け入れられるはずもなく、魔術協会などの機関からの評判はすこぶる低い。(そもそも、そんなことできるわけないと馬鹿にされている)

 とはいえ、試みている内容自体は魔術の神秘を著しく下落させる行為なので、現状の弱小よりも規模が多少なりとも大きくなったら一族全員が不幸な事故やガス会社の不始末に遭遇する予定である。

 本人もそのリスクについて十分理解しており、そうならないため(+万が一にも人理が焼却されないようにするため)カルデアのスカウトをアニムスフィア家が後ろ盾になるという条件で受け入れた。(正確にはアニムスフィア家の行く末や、オルガマリーの最後ついても理解していたが、この話を断ると今すぐにでも事故が起きる可能性もあり仕方なく受け入れた。)

 ↑1話でのカルデアにきた経緯についての具体的な内容

 

 

・具体的な見た目について考えてはいない。

 一応現段階では一般的な日本人的風貌である。

 

 

・異聞帯に到着し暫くは仮面ライダーの世界に来たことを理解し、テンションがおかしなことになっていた。

 原作中いろいろ動いていたがその準備は、ライダー世界が異聞帯になった後に必要になるもので原作(仮面ライダー鎧武本編)にはほとんど影響がなかった。(一つだけ大きな改変を行ったがそのことを理解しているのはサガラただ1人である。)

 カルデアが日本異聞帯でのサーヴァントが召喚出来なかったのはその暗躍の影響である。(そして、その暗躍がなければ異聞帯はカルデアが来る前に消失していたものと考えられる。)

 

 

・本人には異聞帯の育成やほかのクリプターとの競争以外にも何かしらの目的があるようだが、現状把握しているのは上代奏樹側のサーヴァントとサガラのみである。

(カルデアも事前情報があればホームズ抜きでもかなり近いところまで推測できるが、目的を完璧に言い当てるにはホームズが必要。)

 

↑IFルートとしてカルデアが上代奏樹の目的に初めから気が付いた場合も考えてみたい。

 

 

 

・日本異聞帯

 

・もしも「葛葉紘汰と駆紋戒斗の最終決戦が相打ちに終わっていたら」というIFの世界

 そのため、現代日本としての風景にヘルヘイムの植物が侵食している。その光景のあまりの異様さ、不気味さに現代社会に生きる人が見ると多少の嫌悪感を覚える。

 

 この地ではなぜかカルデアのサーヴァント召喚が行えない。藤丸立香が霊器グラフを用いた召喚を行えないのも同様の理由となる。

 

 上記でも記載したがこの原因は上代奏樹にある。

 しかし、これはもうどうしようもないことでありこの異聞帯で通常の召還が可能になる事は二度と不可能である。

 また、存在しているはぐれサーヴァントはこの影響が完全に出る前に召喚されたものである。

↑これは、鎧武の世界以外では恐れく発生しない現象である。(一応、他のライダー世界でもできるかどうか考えておくこと。)

 

 

 現段階で存在が判明しているサーヴァントは「キャスター・アンデルセン」「アサシン・山の翁」「アーチャー」「ライダー・イスカンダル」「ランサー・ディルムッド」も五基である。(どちらの陣営からも未確認のサーヴァントが一基のみ存在する。)

 

 それら以外のサーヴァントはカルデアが異聞帯に来る前に山の翁が討伐している。

 

 

・アサシン

 異聞帯に召喚された汎人類史側のサーヴァント。なのだが、今は上代奏樹に協力している。

 山の翁との契約内容や交渉は作中で説明した通りで山の翁は勝てる見込みのある生存競争に敗北した歴史ととらえており、事実その通りなので上代奏樹の口車に乗った模様。

 しかし、本命は別でありアンデルセンにすら話していない上代奏樹の目的の行く末を見届けるためというのが大きい。

 

 

・キャスター

 アンデルセン、上代奏樹が召喚したサーヴァント。

 令呪はすべて使用しており、戦闘能力には一切の期待をしていない。

 使用した本人の感想は、「召喚されたときに思いついたアイディアだけど令呪三角すべて使うのは早まったかも。」と若干後悔しているが、それ以外に使い道がないことも理解しており割り切っている。

 現段階で上代奏樹の目的に気が付いている人物。(というより、令呪の使い道から理解できないほうがおかしいとのこと。)

 

 

・アーチャー

 上代奏樹との契約により基本的に相互不干渉である。

 しかし、とある条件を満たした存在と一度だけ戦闘を行う。

 この契約は上代奏樹が条件を満たした場合でも例外ではなく、その場合でも互いに本気で戦うことになる。

 

 

・ライダー

 イメージはそのままZEROの時。

 何故かランサーの事を理解している。

 

 

・ランサー

 イメージはライダーと同じくZERO。

 ライダーの事を記憶している。

 

 

・ラスト一体のサーヴァント

 弱くはない、むしろ強いのだが今後相性の問題で上代奏樹に勝てなくなる。

 単純に相性が悪すぎた。

 

 

・上代奏樹側の利点

 

 黄金の果実に対する理解度。

 異聞帯の仕組み。(本人の手が加わっている。)

 アーチャーの存在。(条件は保険にもなっているので一応利点判定)

 事前準備による今後の展開。

 この世界が仮面ライダーを基盤にしていること。

 

以上

 

 

・上代奏樹の不利

 

 組織の不在。(実質的に動けるのが本人しかいない。)

 戦力差。(現時点で一番強くなってもイスカンダルに負ける。)

 時間とともにカルデアが異聞帯の事などを理解する。(自身の利点が消失するという意味で)

 異聞帯の王の不在。(オーバーロードが存在しないため実は上代奏樹にもインベスは襲い掛かってくる。)

 

以上

 

 

 

 この小説を書く上で意識していること

 

・基本的に概念マウントの取り合いである。

例、村正が、神特攻や徳川特攻(王特攻)を持ち合わせていた場合自身より強大な敵でも倒すことができる。

 

・ライダーシステムのスペックはそこまで考えないことにする。(ただし、パワーが強い形態ならその特徴を使う。)

 

・できるだけご都合主義を使わない。

 




 一応現状の部分までは書いたと思うのですが、気になる事などがある場合は感想で教えてください!

 ネタバレにならないと判断した場合ここに記入します。

 試験的にアンケート機能も試してみました。ご協力いただけると嬉しいです!


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IF STORYシリーズ
IF STORY 1


この小説初投稿から一年が経とうとしていることに気が付き急いで書きました。
エタるつもりはないので何卒温かい目で見守ってください。


 IF STORY1「もしも、上代奏樹がカルデアと特異点の修復をしていたら」

 

 side 上代奏樹

 

 さて、カルデアのファーストオーダーを過ぎて本来Aチームのメンバーである僕はキリシュタリアたちと共にコフィンに入る予定だった。そこまで行けば、クリプターとして異聞帯を収める事ができる。

 そこがどのような場所であれ、ダメそうならキリシュタリアに泣きつけばギリシャ異聞帯に逃げ込むくらいはできるだろう。

 そこからはカルデアに対して対策を打つでも、ビーストⅦの降臨を阻害する事に挑むもの一興だろう。

 

 

 そう、そのはずだったのだが

 

 

 (なんでファーストオーダーの日に限って思いっきり体調を崩すんだよ!?)

 

 現在体温39.4度

 症状 熱、咳、その他の体調不全

 原因 不明

 ファーストオーダー 参加不可

 

 

 うーん、何故?何故ファーストオーダー当日にここまで体調を崩すの????

 ロマニからは、「ここまで体調が崩れているとオーダー参加は許可できないし、魔術で誤魔化そうにも何処でボロが出るかわからないから暫くは絶対安静ね。」

 と言われて、ダ・ヴィンチちゃんには「この万能の天才の私でも原因がわからないだなんて、君一体何があったんだい?」

 と言われる始末。(僕も知りたい)

 

 

 閑話休題

 

 ともかく、体調の崩れを全力で実感しながら自室のベットで横になっている。本来なら医務室で休むべきなのだろうが、そこまでの余裕はないと自室に放り込まれてしまったからである。

 熱にうなされつつも頭は回るようで

 

 (本当にどうしたものかなぁ〜。もうクリプターになる事は不可能に近いけれどワンちゃんにかけるか?いやいや、今僕が原因不明の体調不良に陥った事はもうカルデア内に知れ渡っている。それならいっそ藤丸立夏と共に特異点の修復を目指す?ただ、僕がいると藤丸立夏の扱いはどうしても予備というかサブプラン的な扱いになっちゃうだろうし、そもそも最初のサーヴァントはどうしても霊媒無しになるだろうから相性召喚になるんだろうけど僕、というより転生者との相性がいいサーヴァントなんて絶対ロクでもない厄ネタになるだろうさなぁ。というか僕って最初の爆発生き残れるの?レフって確か藤丸立夏が一般人のマスター候補生で舐め腐っていたから生かしておいただけで、曲がりなりにも一応Aチームのメンバーである僕って処理優先度かなり高くないか?)

 

 気がついた、気がついてしまった。

 今の僕じゃどうしようもないのに迫る命の危機。

 

 レフライノールの仕掛けた爆弾はAチーム全員を一度は殺している。

 →その対象に僕が入っていない理由はないだろう。

  →じゃあどうする?

   →結論 どうしようもない。

 

 (詰んだああぁぁあ〜!!!???)

 

 the end(冒険の書は消えてしまった)

 

 

 

 とは、流石にならなかった。

 

 現在、僕こと上代奏樹は爆破され甚大な被害を受けたカルデアにてなんとか生存している。

 

 あの後、僕は重い体を引きずって藤丸立夏の部屋を目指した。

 というのも、気づいたタイミングがファーストオーダー開始直前と言っていいくらいの時間だったので、急いで彼(もしくは彼女)の部屋を目指した。

 

 理由は体調不良の悪化を伝えるために、いつもの部屋でサボっているであろうロマニを呼びに来たとかでもいいだろう。どうせ、熱にうなされた患者が突拍子もないことをしたと勘違いされ、可哀想な目で見られる程度で済むだろう。

 

 と考えて実行に移したは良いものの体は思いのほかいうことを聞かず動きは遅々とし、現在の移動スピードと爆発までの時間がどちらが早いかと考えていると、

 

 「あの、君大丈夫!?」

 

 後ろから声が聞こえてきた。

 これから成す偉業を知っているからだろうか。

 その声を聞いた瞬間に意識が薄れていくのを感じる。

 

 (この世界線はぐだ子の方かぁ〜。)

 

 なんて、どうでも良いことを考えながら。

 

 

 side out

 

 

 side 藤丸立花

 

 正直何が起こっているのか未だ理解しきれていないし、これからの生活に対する不安が無いわけでもない。

 いきなりこんな所に連れてこられたと思ったら意識を失うし、寝惚けていると美少女(なんとここの所長だという!)にビンタされてしまうし、不安にならない訳がない。

 でも、そうだとしても目の前で苦しんでいる人がいるなら助けてあげたい。

 意を決して声をかける。

 

 「あの、君大丈夫!?」

 

 緊張したためか少し声が大きかったかもしれない。

 

 ともあれ声をかけた相手は、ってそのまま倒れた!?

 

 「ちょっと!?本当に大丈夫??ってすごい熱!」

 

 どうしよう、医務室なんて知らないし連れて行けるかわからない(一般的な乙女に成人?男性を長距離持ち運ぶ力はない・・・はず。)

 まぁ、方法は一つしかないかぁ〜〜〜。

 

 

 そうして、目の前の病人をすぐそこにあった私の部屋に運ぼうとする。

 

 そこから先は大変だった。私の部屋(今日から)にいた不審者(どうやら医者でロマニ・アーキマンというらしい。)から事情を聞いたと思ったらいきなりの爆発があって(本当になんで?)入口で出会ったマシュのことが気になって走ったら燃え盛る街に転移(レイシフトというらしい)して、アニメもビックリな頂上バトルあったし、変な帽子を被った胡散臭いレフ教授が裏切り者?だったことが判明してオルガマリー所長(私をビンタした美少女)が幽霊だったことがわかって消滅しちゃったし。

 

 これから同じ様な特異点(というらしい)を7つ攻略しなければ、人類に未来はないという。

 

 はっきり言って怖い、無理だって言いたい。

 

 でも、私1人じゃない。マシュもドクターも、スタッフのみんなもいる。

 それに私が助けた人、上代奏樹さんはなんと!元々特異点攻略の先鋭チームのメンバーだったという。

 

 本人の意向(一度経験した私の方が咄嗟の状況に対応できる)で私のサポートに回るそうだけれど、1人で全てをやらないという不安は無い。

 

 今私が抱いているこの感情は、吊り橋効果みたいなものなのだろう。

 

 それでも良い。この不安を乗り越えるために、この恐怖を乗り越えて人類の未来を掴むために、少しの間だけ依存してしまおう。

 

 side out

 

 

 IF STORY1「もしも、上代奏樹がガルデアと特異点の修復をしていたら」

 

 結論 上代奏樹と藤丸立花とは相性が意外とよく特異点は攻略できるし、振り切れた上代奏樹と藤丸立花ならビーストⅠの打倒も可能だろう。

 

 ただし、藤丸立花のメンタルが原作に比べて少し脆くなってしまう可能性がある。

 





 はい、いかがでしたでしょうか?
 今後、この様なIF STORYを数本投稿すると思います。



 解説のコーナー
 個人的に2部6章で一番メンタルにきたのが、失意の庭だったのですがあそこで楽になる選択肢があってもいいと思ってしまうんですよね。
 という訳で精神的な支柱を追加して、その柱にヒビを入れられる状況にしました。

 まぁ、本人(上代奏樹)は2部5章までの知識しか無いので多少のメンタルケアさえしてればええやろの精神でサポートに周ります。
 結果として失意の庭が原作より悲惨なことになります。

 え?上代奏樹に依存させた理由?

 ???「私の趣味だ、いいだろう。」


 モチベーションとなりますので高評価、お気に入り登録、感想などよろしくお願いいたします。
 それでは、続きはまた後日。


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IF STORYⅡ

お久しぶりです。
投稿が遅れた理由は単純に私生活が忙しかったせいです。
久々の投稿でIFの理由?単純に設定を思いついたので無駄にするくらいなら使おうという安直な理由です。



 IF STORYⅡ

 

 side上代奏樹

 

 

 早速で悪いのだが、僕の体調不良の原因の推察ができた。体調不良の原因などと言ったが実際には単純に脳の容量が足りずにキャパオーバーしたらしい。

 らしいというのはあくまで結論から逆算した僕の推察だからである。

 

 まぁ、結論を述べると、起源に覚醒した。いわゆる起源覚醒者になった。

 

 何を言っているのか、そもそも何故いきなり覚醒したのか。その辺りの疑問も尤もなので少し説明すると、

 

 原作開始前に不安から原作の内容を思い出そうとする。

 →原作の内容、つまりは前世の記憶である。

 →その記憶の持つ力は今世のものとは比べ物にならない。

 →よって多大な負荷がかかり起源に覚醒した。

 

 というわけである。

 

 型月世界において肉体、精神、魂はそれぞれ別のものであり3つ揃って人間としての機能を有するものとされている。(厳密には違うかもしれないが要するにこの3つが別物であると思ってくれて構わない)

 

 そんな中で僕の精神と魂は前世の影響がある異常なものではあるのだが、肉体だけは今世の両親からもらったものであり、この世界のものである。これまでは初めて触れる魔術やそもそも原作と関わらないように最低限しか原作知識を活用してこなかったのである。

 そんな中でいきなり原作知識という異常なものを思い出そうとすれば肉体に負荷がかかり、それがトリガーとなって起源に覚醒したのだ。

 

 

 さて、ここまでの説明から僕の起源について察することができるかもしれない。

 そう、僕の起源。

 それは「記憶」である。

 

 異世界の記憶を元に構成された僕の精神や魂を考えるとこれよりふさわしい起源なんてそうそう無いだろう。

 

 この起源を自覚して初めに考えたことは「忘れることができないって型月的にそこそこデメリットにならないか? SAN値チェック的な意味合いで」である。

 

 まぁ、その心配は無用だったようで。

 僕の起源は記憶と言ったが、厳密には「記憶の閲覧」と言ってしまった方が良いかもしれない。

 過去の記憶を全て覚えることができる・覚えたい、というような特性や欲求などではなく、あくまで前世の自身の記憶を覚えていることによる起源なのだろう。

 

 

 …………さて、そろそろ無視することも難しくなってきたのでそろそろ現実と向き合うことにしよう。

 何、今目の前に広がる景色をありのままに受け入れれば良いだけなのだから簡単なことだろう。

 少なくとも、前世の記憶のせいでいつ事件に巻き込まれるか不安だったことよりは………………いや、やっぱりこの現実は受け入れたく無いなぁ。

 

 

 などと考えをまとめつつ閉じていた目を開く。

 

 

 

 

 目の前に広がる景色

 

 真っ白な空間に存在する無数の本棚

 

 本棚の中にびっしり詰まった本

 

 僕はこの景色に心当たりがある。

 

 起源になる程僕の心に根を張る前世の記憶。

 

 その記憶の中から呼び出すまでもなく覚えているあの光景。

 

 そして、どうしようもないほどの類似性を噛み締めながら、それでも諦め悪く、足掻くように最後のピースをはめるワードを述べる。

 

 

「さぁ、検索を始めよう」

 

 

 瞬間、世界が動いた。

 

 

 

 

 

 ……いやいやいやいや、星の本棚はヤバいって!!!!!!! 

 

 型月だよ!?!? ここ型月世界だよ!?!? 

 

 ダメでしょこんなの! というかアリなのこれ? バッドエンドルート確定演出みたいなものじゃないかこれ! 他の魔術師に知られてみろ! 良くてホルマリン最悪…………最悪? 何が起きるんだ? 怖くなってきたよ? いや怖いのは元々か。なら安心…………できるわけねぇんだよなぁ!!!! やーい世の中の魔術師の皆さん見てますかぁ〜。皆さんが何十、何百、何千年もかけて到達できなかったところに3代目の底辺三流魔術師が到達しちゃいましたよ〜〜〜NDK? NDK? あっはっはっは、もう笑うしか無いなぁ〜。

 

 ふざけるな、ふざけるな、バカやろ──!!!! 

 

 

 

 

 

 はい、解説タイム入りまーす(ヤケクソ)

 

 Q.星の本棚ってなんですか? 

 A.星の記憶が保管されており、世界のすべてを閲覧できる能力です。

 

 Q.何がまずいんですか? 

 A.簡単に説明すると、根源接続者もどきになっちゃった。

 

 Q.だから何がまずいんですか? (半ギレ)

 A.根源に到達したからです……。

 

 Q.なんで到達できたんですか?

 A.記憶の閲覧という特性の矛先が自分以外に向かった結果、世界の記憶を閲覧できるようになりました。(笑)

 

 

 バッカじゃねぇ〜〜〜の?

 

 

 根源

 それは全ての魔術師が追い求める極点である。

 魔術師と魔術使いの差は根源を追い求めるかどうかの違いである。

 

 とある魔術師は自らの肉体を虫に変え長い時を生きることで根源に到達しようとした。 その贄として多くの命を貪りながら。

 

 とある魔術師は限られた領域の時間を無限に加速させ宇宙の終極の先にある根源に到達しようとした。 その贄として一つの島のほぼ全ての人間を屍食鬼に変貌させながら。

 

 このように魔術師は根源へと至るためにはあらゆる対象を厭わない生き物である。

 

 遠坂凛などの一部の魔術師が極端に優しいだけで、基本魔術師なんて碌なものじゃ無いのだ。

 僕を含めて。

 

 まぁ、僕根源に至ったし碌でも無い魔術師を抜け出せるよね。(そういうところやぞ)

 

 それに、根源接続者と言ってもどこぞのヤンデレのやべーやつな少女の皮を被った全知全能とは違って、僕の場合は全知万能といったところかな。

 

 

 全てを知っているからこそ、行動のために必要な要素を補うことができるが、あくまで元は僕自身である為取れる手段は結構少ないのだ。

 僕の知る「彼」が全てを知り得ながらも敵対する存在に苦戦したように。

 

 

 

 

 

 

 そういえば、これどうやって戻るの?

 

 





 このあとめちゃくちゃ頑張って元の空間に戻りましたとさ。


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Lostbelt No.? 永続乱世神話 武神□□ TVCM予告


6.5章でテンション爆上げして書き上げるので後々修正するかもしれません。
一応、ライダーがない世界でオリ異聞体が発表されたらという設定とでもお考えください。


 

第一CM

 

 人類の死滅した異聞帯

 

 そこは地獄か楽園か

 

 人理の敗北した可能性にカルデアはどう立ち向かうのか

 

 すでに鍵は開けられた

 

 Fate/Grand Order Cosmos in the Lostbelt 永続乱世神話 武神□□

 

 ふん、この様な異聞体立ち向かうまでもないがな!

 

 

第二CM

 

 ここはあり得ぬ異聞帯

 

 生存するは異形の怪物

 

 人理が負けた歴史の残滓

 

 禁断の果実を手にするものは

 

 Fate/Grand Order Cosmos in the Lostbelt 永続乱世神話 武神□□

 

 キリシュタリア、僕は君の理想を否定する

 

 

 第三CM

 

 そこは自然蔓延る異聞帯

 

 退廃的な光景にカルデアは何を思うのか

 

 永遠に続く生存競争

 

 何を目指し、何を失うのか

 

 Fate/Grand Order Cosmos in the Lostbelt 永続乱世神話 武神□□

 

 もう戻れない、最後に勝ち残るのは僕だ! 

 

 

 

 

 

 思ったより字数が稼げなかったので裏話でも。

 

 元々fateとライダーのクロスオーバーものを描きたかったのですが、じゃあ両方の設定を上手に混ぜ合わせることができるものを考えてみました。

 

クウガ→主人公にするのは本編的にやりたくない(いきなり私情ですみません)

アギト→神関連はfateの方の設定がややこしくてNG

龍騎→ミラーワールドは影の国みたいにできるか考えたのですが、そこから設定が続かなかった。

ファイズ→変身するまでを考えれなかった。

ブレイド→アンデット=死徒=fate世界では力が弱いので難しい。

響鬼→鍛えればいいけどその描写が果てしなく曖昧になりそうだった。

カブト→クロックアップが強すぎる。

電王→やっていることカルデアと同じでは?となって無理でした。

キバ→ファンガイアをどうすればいいのか迷って却下。

ディケイド→なんでもできるのでやめました。

ダブル→地球の本棚ってあれ、fate的に考えると根源では?

オーズ→800年前という歴史があるのはよかったが、設定的にコアメダルが擬似的な死者蘇生できたので第三魔法に近くやめました。

フォーゼ→宇宙って空想樹と関わりありそうなので収集がつかないと判断。

ウィザード→魔術なのか魔法なのか区別が難しいし実際に魔法に近いことやっているので却下。

ドライブ→ロイミュードにしても重加速にしてもどうしていいのかわからず却下。

ゴースト→無理

エグゼイド→患者ドコ?ココ?

ビルド→エボルトには勝てなかったよ・・・

ジオウ→時系列がね・・・

ゼロワン→ゼアはともかくアークなんてフォウ君案件じゃない?

セイバー→作家サーヴァントがいるのにできる訳ないじゃん。

リバイス→視聴中

昭和ライダー→設定の辻褄が全体的に合わなかった。

 

 

以上の理由から鎧武が選ばれました。

 

 





じゃあ、6.5章やってきます。

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