GIRL AND COMBAT ZERO ~THE TEENAGER WAR~ (アルファデッド)
しおりを挟む

プロローグ

ほかに書くべき作品があるにもかかわらず、新しい作品を書き始めた大馬鹿者のアルファデッドです。

よろしくお願いいたします。

今回はお酒に酔った時にガルパンとエースコンバットをクロスオーバーさせれば面白くね?という思いつきから色々と考えて書き始めたものです。

ガルパンいるのか?ってくらいエースコンバットの要素が強いです。

完結を目指しておりますが、リアルの忙殺されて書けなかったり、ストーリーの着想がこんなな状況が続くため、かなり更新は遅い。

それでも読まれる方は、このガルパンおじさんの戯言で書いていく作品をお楽しみください。


私はある大会のパイロットを追って全国を回って取材していた。

 

名門校『聖グロリアーナ学園』の支援航空隊(グリム隊)の隊長に就任して嫉妬ですぐに追い出されて大洗学園で傭兵になり、大洗第0師団第1航空隊(ヴィクトリア隊)の隊長、長門美優、コールサイン『クイーン』の二番機として第10回全国高校生戦技大会とエキシビジョンで名を轟かせて恐れられては、対大学選抜戦線にテロ組織の『学園艦独立機構』の一員として表れて、かつての一番機である『クイーン』に敗れた悪名高きテロリストとして最期を飾った。

 

 

これだけ良くも悪くも有名な人物の経歴がすべてが謎に包まれており、彼の過去を探るのにかなりの時間と体力を要した。

 

まるで最初から存在しなかったかのように取り扱われている彼・・・小原雄二

 

事件からは5年以上経過しているにもかからわず、何一つ語られない彼について私はジャーナリスト魂が燃えて、調べ始めてたのはよかったが、彼に関する資料は全て何かしらの措置がされており、調べることが困難だった。

 

だが、生憎と私は簡単に屈服するような人物ではないからそのまま続けた。

 

誰もしなかった第10回全国高校生戦技大会の特集取材という名目で私は継続し、結局4年、いや5年という時間がかかってやっと大まかな全貌がはっきりとしてきて、手がかりを得られることが出来た。

 

しかし、肝心の詳細は埋めることができずに燻っていた中で執念で多方面に電話し、やっと当時の関係者が重たい口を開き、取材を許可してくれた。

 

諦めることを知らない私の執念が届いた。

 

・・・だが、私は初めてジャーナリストとして恐ろしいものを見るとは思いもしなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

20xx年 11月某日 県立大洗女子子学園 学園艦艦内 某所

 

学園艦に似つかわしくないジェット音が響き渡り、防音処理を施された応接室の中まで聞こえ、離陸時間と重なれば会話することすら困難な状況の中、一人のフライトスーツにフライトジャケットを羽織った女性が私の前に座って私の取材相手である。

 

大洗第0航空団第1飛行隊 団司令

 

見た目は模範的な大和撫子と評しても過言ではないほどの美貌と相反するエースパイロットとしてのオーラと表するには言葉足りない何かを纏っており、性別を間違えていると断言できる行動と思想理念を持ち、「天界の女帝」と呼ぶに相応しい、否、足りない。

 

「取材を許可して頂けると伺い、参りました。」

 

「堅苦しい言葉は要らない。私の役職は名ばかりだからな。所詮、傭兵でしかない。で、今日は第10回全国高校生戦技大会のことで取材という旨を聞いているが?」

 

「そうです。では、早速本題に入ります。

 当時の僚機『スレイブ1』についt」

 

「どこでそれを知った?」

 

食い気味に私の質問を遮り、先ほどまで光が灯していた目から万人を恐怖に陥れるだけの目の暗さで、『好奇心は猫をも殺す』という諺の意味を痛感させられた。

 

「どこでそれを知った」

 

冷淡かつ起伏のない声が怖さを増長させ、私が戦場カメラマンや全国高校生戦技大会のカメラマンの経験がなければ、失禁しているの違いない。

 

「わ、私の会社が第10回全高戦(全国高校生戦技大会の略称)の特集していないことを疑問に思い、資料室で偶然に目にしたことがきっかけです。」

 

本当に些細な始まりだった。

 

私の会社は全高戦関連を主に取り上げている雑誌「TEENAIR」を作っているけれど、いつも特集される全高戦だったが、なぜか第10回だけが未発刊になっており、それを上司に聞き行くと答えを散々はぐらかされたが、諦めずに質問したら、調べることを許可された。

 

それで早速、会社の資料室に籠って第10回の取材資料を見つけて所々黒塗りされていた映像、文書やメモが大量にあった中で黒塗りが甘かったところが目に入り、目を凝らすと「スレイブ1」が出てきた。

 

さらに「スレイブ1」が「小原雄二」ということ本名が聖グロリアーナ女学院の速報の記事と大洗女子学園の取材メモと時期から推測を裏付けして判明。

 

 

これが私を深い闇へと私は引きずり込み、久しく忘れていた単純な好奇心を搔き立てた。

 

恐らくたったの5秒の出来事だったのだろうが、体感がえらく長いと感じた。

 

「そうか・・・」

 

そう言うと、重たい空気が散って生きていることを実感した。

 

気まずい空気になり前に間を置かずに私は再び質問した。

 

彼女の重たい口が開いた。

 

「彼のことか。ああ、知っている。話せば長くなる。古い話だからな。」

 

つい10年前の話をとても遠い出来事のように話す彼女の顔・・・

 

「知っているか?パイロット(エース)は3つに分けられる。強さを求める奴、プライドに生きる奴、戦況を読める奴、この3つだ。あいつは___________ 」

 

 

 

 

 

 

 

 

彼は『女王の死神』と呼ばれた傭兵

 

 

彼女の『相棒』だった男

 

 

私は『彼』を追っている

 

 

 

 

 

「あれは雪の降る寒い日だった。」

 

 

 

 

 

第10回全高戦、エキシビション、対大学選抜戦線には謎が多い

 

 

 

 

誰もが正義となり、誰もが悪となる

 

 

 

 

そして誰が敗者で誰が勝者か

 

 

 

 

一体『正しさ』とは何か

 

 

 

 

 

 

 

 

全国高校生戦技大会---略称『全高戦』

 

 

高校生パイロットに与えられた舞台

 

 

 

 

 

 

A PILOT THAT LIVES BY PRIDE

 

 

 

 

 

THE STRATEGIST

 

 

 

 

 

A MAN WHO UPHOLDS HONOR

 

 

 

 

 

THE FALLEN

 

 

 

 

 

THE BRINGER OF DEATH

 

 

 

 

 

 

A MAN WHO LIVED FOR BATTLE

 

 

 

 

 

 

THE REBORN VETERAN

 

 

 

 

 

 

A WOMAN FOR UNDYING FAITH

 

 

 

 

 

 

A REVOLUTIONARY

 

 

 

 

 

 

人は彼らを『天界の鬼神(THE DEMON LORD OF THE SKIES)』と呼んだ

 

 

 

 

 

 

CHANGING ENCOUNTERS

 

 

 

 

 

 

TWISTING FATE

 

 

 

 

 

 

AN CHANGEABLE WORLD

 

 

 

 

 

 

 

GIRL AND COMBAT ZERO

 

THE TEENAGER WAR

 

 

 

 

 

 

THERE IS ONLY ONE ULTIMATE RULE IN WAR-(交戦規定は唯一つ-)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

SURVIVE(生き残れ)




今のところはマーセナリールート、ソルジャールート、ナイトルートを書くことを考えております。

では、次回をお待ちください。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

凍空の黒騎士 [KNIGHT ROUTE]

今回は酔っていた割にしっかりと考えていて、酔いが覚めてからビックリしている作者のアルファデッドです。

比較的調子が良いので、さっそく次話を書きました。

このストーリーはエースコンバットZEROを準拠していますが、他のエースコンバットシリーズの話やネタが混ざっていることがあります。

後々にも多くなってくるので、よろしくお願いいたします。

では、どうぞ。


20△△年

 

オペレーション:FIRST IMPACT

 

12月02日

 

座標:UNKNOWN

 

県立大洗女子学園 学園艦 学生用飛行場

 

 

 

 

??SIDE

 

 

いきなり話は始まるわけだが、私がどこの誰かは重要ではないので説明は省かせていただきます。

 

悠長に本を読みながら今日私の僚機として配属されたばかりの男を観察していた。

 

初対面の時は黒騎士と錯覚させられるほどのなにかがあり、私は興味を持った次第だ。

 

紅茶を片手に新しい機体と兵装の仕様書をじっくりと呼んでいて、姿に優雅さがあると同時に集中していることが人目で分かるほど食い気味に目を通していた。

 

そんな中でサイレンが鳴り始め、していた作業を即座に中断して航空機バンカーに向かって全力で走りながら帽子掛けにあったヘルメットを手に取って被りながらエンジンを起動した。

 

彼も同じようにしていたが、どうやらかなり慣れているらしくて動きに無駄と迷いがない。

 

そう思っている間に機体の暖気運転中に無線を通じたブリーフィングが始まった。

 

 

【挿絵表示】

 

 

「諸君!早速だが緊急出撃(スクランブル)だ。学園防空ラインを越えた所属不明機の大規模爆撃機編隊がここに接近している。敵は我々の飛行場を強襲し、さらに学園艦防衛力の弱体化して乗り込むつもりだ。大洗学生飛行場は我が学園艦唯一の砦であり、本作戦の失敗は大洗学園艦の乗っ取りに直結する。敵爆撃機編隊を撃破し、飛行場を守り抜け!断固として学園艦の乗っ取りを食い止めるのだ!」

 

ブリーフィングが終わった頃にはもうバンカーの対爆扉が開き、滑走路へに向かってでると管制塔から必要な情報をもらいながらテイクオフポイントにつき、僚機もそうしたことを確認してハンドサインを送るとスロットルを目いっぱい倒して同時に発進した。

 

アフターバーナーを炊きながら、ハイレートクライムで10000ftを目指し、警戒レーダー員の誘導に従って、敵の方向へと向かった。

 

学園艦の現在位置が比較的緯度が高く、季節が冬ということも相まって雪が降ってきた。

 

スレイブ1《降ってきたな》

 

彼のつぶやきが短距離通信チャンネルから聞こえ、久しぶりに飛んだような声だった。

 

団司令部《こちら団司令部、あがったようだな。クイーン、スレイブ1、現在の方位を維持せよ》

 

いつもクイーン呼びはやめろと言っているけど、変えてもらったことはない。

 

スレイブ1《こちらクイーン、スレイブ1、了解した》

 

彼が私の代わりに応答している。

 

にしても、彼は風が少し強いにもかからわず綺麗な飛び方をしていてかなりのベテランパイロットのようだ。

 

団司令部《方位315 所属不明機接近》 

 

スレイブ1《冬の海でベイルアウトは悲惨だ。頼んだよ、1番機》

 

団司令部《各機迎撃態勢をとれ》

 

スレイブ1《報酬はきっちり用意していろ》

 

団司令部《互いが無事ならな》

 

スレイブ1《財布は握りしめて待ってな》

 

声に緊張はなく冗談をする余裕はあるようだが、彼の技量を見極める。

 

私には僚機など要らないし、私についていけるとは思ってなければ期待もしていない。

 

ただ、興味はもっているだけ・・・

 

そう思いながら最大巡行速度でボギーへと向かい、一応僚機がついてきていることを確認しつつ先頭に出ている護衛機にヘッドオンでミサイルを撃ち込んで敵機と交差したあとに編隊の後端でハイGターンして機体の尻を捉えて爆撃機を優先的に落としていった。

 

敵爆撃機護衛《コットン2、IFF故障 任務の継続は不可能 作戦空域を離脱する》

 

チュートリアルのような敵でも彼は忠実に墜としていき、先ほど冗談を吐いていた人と思えないほどの軌道を描いていた。

 

スレイブ1《ここで離脱とはな。まあ、護衛機はいい仕事をしている。誘導にのってこない》

 

そう言いながら組んでいたエレメントを解き、ハイGターンを繰り出しながら一目散に逃げる敵機に飛びつかず、ドッグファイトを仕掛けてきた敵機を追い、教本通りのオーバーシュートを誘発させて躊躇なく撃ち込んでいき、ロックオンしてきたミサイルを急降下の勢いで地面に叩き付けさせた。

 

彼の回避は思いつきで出来るような代物ではない。

 

習得するのに年数だけではない、各種の機体や対空ミサイルの特性を頭に叩き込んだ上でどこまで自分を信用するという博打だ。

 

無駄口を叩きつつ、冷静に飛んで相手を見極める腕前は認めy、・・・先から彼が墜としている敵機の様子が不可解で仕方がない。

 

そして、2機の仕事量にしては多いすぎて司令部にニアミス通過でもお見舞いしてやろうと心に中で決めながら、スレイブ1の敵機の落とし方を観察した。

 

相手の後ろについてミサイルを放ち、的確にエンジンだけを狙って撃破ではなく無力化を図っている?

 

無力化・・・・

 

私は彼のことをかなり甘く見ていたようで上方修正をする必要が出てきた。

 

私とスレイブ1が次々と墜としていったせいか、敗走するものと全力で自機防衛を放棄して目標に向かうやけを起こした爆撃機。

 

後ろから撃っているおかげでミサイルが外れることなく、真っすぐ敵機に向かって行く。

 

苦戦することなく、荒れる洋上に落ちていく敵機を見送っていたらいつの間にか逃げ出した敵機以外の反応が消失していた。

 

団司令部《団司令部からヴィクトリア隊へ、敵爆撃機編隊の迎撃成功。RTB(帰投せよ)

 

スレイブ1《了解》

 

《クイーンからスレイブ1 貴官となら上手くできそうだ。よろしく》

 

スレイブ1《・・・こちらこそよろしく、クイーン》

 

こっちから話すとは思っていなかったのか、間があったが返答を聞きながら基地の方向へと帰っていった。

 

 

 

 

後日、団司令の服にコーヒーがこぼたれたとか、そうでなかったとかという噂が出回った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう、あの雪の日が始まりだった。

 

 

最初の印象はそうだな・・・筋があって、騎士と呼んでも申し分なかったな。

 

 

彼女の顔は長年忘れられない想い人を語るようだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦闘機から降りて、すぐにデブリーフィングを済ませたあと私は外に出ようとしたが、スレイブ1に呼び止められた。

 

スレイブ1「ここにおられましたか、クイーン。団司令がお呼びです」

 

「地上でクイーンと呼ぶな。名は教えたはずだ」

 

スレイブ1「失礼、前にいた部隊で飛行場内はコールサイン呼びしていたのでその癖がなかな抜けない」

 

「次はないぞ」

 

スレイブ1「心得ておきます」

 

「で、団司令が私に用があると?」

 

彼に頷かれるとやる気を失うような長い溜息をついて早歩きで団司令室に向かい、私を呼びにきた彼もどうやら同じく呼ばれたようで私から離れる様子はなかった。

 

三回ノック

 

「入ります!」

 

団司令室に入って横隊で整頓し、私が階級が彼より上の関係で私が申告するので団司令に正対し敬礼する。

 

「長門大尉、以下1名は団司令の呼び出しに応じ、参りました!」

 

団司令「楽にしてくれ長門、私と君の仲だ。あと新入りもだ」

 

「では、お言葉に甘えて」

 

私と彼は体勢を楽にした。

 

傭兵とはいえ、形式上は文部科学省と防衛省からの委託で県立大洗女子学園艦の防衛を自衛隊と共同で行っている関係上、自衛隊の礼式に則した行動をしなければならない。

 

傭兵という肩書はついているが、フランス外人部隊と同じように正規軍にカウントされているためにこういうややこしいことになった。

 

本来、学園艦の防衛は自衛隊単独で行うものであるがそれでは抜けがあるということを理由に学園艦独自の兵を持つことが許された。

 

しかし、所謂お金持ち学校は自衛隊の駐留部隊の規模も大きいため、傭兵は必要があまりなく、練度はお遊び程度

(これは個人差による)とはいえど、装備品は下手な小国家より充実している。

 

大洗学艦はここ最近実績がないことともうすぐ廃艦処分という理由で予算の再分配の際に最低限の防衛力しか持ち合わせておらず、海賊やテロリストに対応するには貧弱なため、本格的な民間軍事会社が設立せざるを得なかった。

 

その空軍部門が私が所属している第0空団だ。

 

団司令「ソーティーから帰ってきて早々で悪いが、今回の要件は早めに伝えた方がいいということで呼び出した。さて・・・君たちには全国高校生戦技大会に出てもらうことにした」

 

かなりの無茶ぶりが来たようだけど、我が隊に出場する余裕はあるのかと疑問に思っていると、」どうやらスレイブ1が同じこと思ったのか、小さく手を上げていた。

 

スレイブ1「発言よろしいでしょうか?」

 

「すれいb・・・いや、小原少尉、自由に言ってくれて構わない」

 

小原「スクランブル待機要員はどうされるのですか?」

 

団司令「これについては私と副団司令が入り、勤務の大幅な調整でどうにかする。あと、本隊(自衛隊)にも協力要請はしている。だが、それでは無理が生じるから試合でないときは通常勤務してもらう」

 

かなりの大事が平然と行われようとしているけど、断るというせんたk

 

団司令「長門大尉、もちろん私は断ろうとしたよ。だが、今回の件は生徒会からの命令で追加個別代金も支払われており、返金不可となってしまった。断れば君たちを退学にすることは厭わないと通達して来やがった。申し訳ない」

 

「しかし、いくらなんでも無茶です。廃艦処分の話は戦車道の勝利で終わったはずです」

 

それを言うと団司令の顔が精いっぱい歪み、苦汁を飲まされたような呻きが聞こえて、とても嫌な予感がしてきた。

 

 

団司令「その話を白紙に戻してきやがったのが、ほかならぬ文部科学省、正しくは学園艦教育局だ」

 

私の中の何かが切れてしまったようで、無意識に行動に移そうとしていたが、小原が私の肩を掴んで止めた。

 

団司令「落ち着け。今回の話は辻局長の主導ではない。本人が一番困惑していた。私はあいつとは旧知の仲だが、流石に戦車道の件で懲りたみたいでな。だから断言できる」

 

どういうことだ?さんざん局長の独断で物事が進められて苦しめてきて、職権乱用の権現のやつが困っているが解せないと思っていた時にふと隣に座っている小原の顔が視界に入った。

 

彼の顔は感じだとなんとなく事の真相を分かっていたような感じだった。

 

あくまでもそんな感じの顔としかいえなかったが、傭兵の万国共通の決まりで過去について探るなという暗黙の了解があって、私は聞くことしなかった。

 

もとより、彼は私の僚機であって「お友達」ではない。

 

だが、どうも更に大きな出来事・・・それこそ歴史いや国家を揺るがすようなことが起きる気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今思えば彼と一緒に全国高校生戦技大会に出場したことが私の人生の大きな転換点だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[KNIGHT]

 




やはり、私には文才のぶの字もなかったようだ。

戦闘シーンをもっといい感じに書きたいのに書けないのが悔しいので、頑張っていきます、

すでに投稿している分に加筆修正を適時行っていることがあります。

では、次回お会いしましょう。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

始まり

今回はかなり短いです。


『第10回全国高校生戦技大会』、『エキシビション』、『対大学選抜戦線』には謎が多い。

 

事件から10年経った現在、やっと時が動き出して情報が集まるようになり、一部の情報も開示されるようになった。

 

私はすぐに資料を入手し、集められた情報を整理したがそれでも足りなかったから出所不明のものまで手を出した。

 

ここまで調べようと掻き立てられたにが訳がある。

 

事の発端は第10回全国高校生戦技大会の2年前、一年生ながら聖グロリアーナ女学院の支援航空隊『グリム隊』の隊長に任命された人物がいたことで端を発する。

 

これがすべての始まりである。

 

成績の低迷は収まることはなく、その流れに乗じ拡大していくて革新派の勢力は伝統派の混乱の中で主導権を取得した。

 

強い聖グロリアーナ女学院の民間軍事会社空軍部となるために。

 

小原雄二が支援航空隊の隊長に就任した翌年の第9回全国高校生戦技大会で支援航空隊が優勝したことをきっかけに、ついに伝統派は革新派への粛清を始めた。

 

『メイフラワー事件』の発生である。

 

伝統派の攻撃が想定を上回っていた革新派は成す術もなく解体され、小原雄二が率いる支援航空隊を除いたほとんどの革新派は容赦なく退学に追い込まれて自殺したものがいた中で、残されたわずかな革新派の勢力はレジスタンスを組織した。

 

小原雄二の支援航空隊との合同作戦を望みにかけたが、失敗した。

 

ここまでは公式資料に載っている。

 

小原雄二の名が徹底的に黒塗りされていることを除いて・・・

 

それが公式資料の妙な共通点があり情報として不十分なもの多いのだが、私はそこに惹かれていった。

 

私はこの傭兵を通して『第10回全国高校生戦技大会』、『エキシビション』、『対大学選抜戦線』を追いかけることにし、その先には何があり、すべての事件の隠れた姿か、ただの御伽噺か。

 

その傭兵に会うことは叶わず、存在自体があやふやだ。

 

ただ、『彼』と関わりのあった人物数人を突き止めることができ、『クイーン』はその中の一人だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回予告

 

 

 

 

 

 

 

 

「これより第10回全国高校生戦技大会を開催する」

 

「おやおや、これは元支援航空隊の隊長ではありせんか」

 

「無様だねぇ」

 

「ここにいる暇はあるのか」

 

「あんたは何者だ?」

 

「ただの戦闘機パイロットさ」

 

「運営より予選の状況及び日時を指定する」

 

「そんな兵装で大丈夫か?」

 

「大丈夫だ、問題ない」

 

《ヴィクトリア隊へ 撤退は許可できない 迎撃せよ》

 

《だろうな 報酬上乗せだ》

 

『どんな夜にも必ず朝は来る』

 




次回話はなるべくすぐに出します。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

因縁と再会 前編 [KNIGHT ROUTE]

大変遅れてしまって申し訳ありません。

パソコンを新しく買ってたりとかの関係でデータ移行に手間取っていたら、執筆する時間がなかった。

今回は少し長めで途中が台本形式みたいなことになっています。


全高戦の出場を言い渡されてから翌日に運営から大会開会式のお知らせが発表され、私は小原と一緒に会場に向かうため、会社の輸送ヘリで冬独特の悪天に揺られながら窓の外をぼんやりと見ていた。

 

小原はこのヘリに乗る数時間前までバンカー待機していたからか、ぐっすりと姿勢の良いまま目を瞑って眠っていて、こういう機会でないとよく顔を観察することができないからじっくり見させてもらっている。

 

初めて会ったときになぜか見覚えのあった顔だったということがふと頭に浮かび、私は気になっていた。

 

どこで見たのだろうと顔を見ながら必死に思い出していたが、記憶の片隅には引っかかるものの思い出せずにいて気持ち悪い感じが残る。

 

ロードマスター「間もなく会場に到着します」

 

「分かった」

 

降りる準備をする前に彼を起こそうと思って立ち上がろうとするも、する必要がなかったようだ。

 

ロードマスターがもうすぐ到着するという旨を伝えている時の声で起きたようで降りる準備を始めていたので、私もさっさと準備していつでも降りられるように座りなおしていると、軽い衝撃がへり全体に伝わり、プロペラの回転数が落ちていってすぐに止まった。

 

ロードマスターの誘導に従ってヘリから降りて、迎えの時間を聞いて会場へと歩き出した。

 

小原「全高戦は久しぶりだなぁ」

 

「出場したことあったんだ」

 

小原「ああ、といってもお恥ずかしながら初戦敗退したがね、ハハハ」

 

なんだろう、この嘘をついているようなついてないような微妙な言い方は・・・

 

顔は嘘をついてないという風に上手くみせているけれど、私には分かる事実を織り交ぜた嘘をついている詐欺師の声がする。

 

そして、一緒に勤務して分かったことがあるけれど彼の技量はとても初戦敗退できるような低いものではない。

 

経歴に何かあるだろうな。

 

さて、気持ちは切り替えていくとして民間人、同業者や学校の関係者などで混んでいる会場の中に入って運営に指定された椅子のところまで行こうとしたその刹那、悪い意味で忘れられない憎悪を催す声が聞こえた。

 

???「これはこれは、長門お嬢ではありませんか?」

 

二度と関わりたくないし、一緒の空気にいるだけでも嫌なのに奴は私を引き留めやがった。

 

???「無視とは関心しませんねぇ。グルーム2」

 

「二度とそのコードネームでも呼ぶな」

 

クソッ!なんで突っかかってくるんだよ。

 

???「これは冷たいなぁ。親しきチームメンバーなのにぁ」

 

白々しいことを言いやがって!

 

我慢の限界に来ていた私はやられっぱなしは性に合わなかったからぶん殴ってやろうと思ったときに思わぬ奴が口を開いた。

 

小原「ここにいる暇はあるのか?ブルーム1」

 

私も震えるほど冷え切っていて殺意に満ちた声で口を開いたのが一歩後ろにいた小原だったが、面識があったことに驚いていた。

 

ブルーム1?「おやおや、これは元支援航空隊の隊長ではありませんか」

 

あれほど殺意を浴びたのに余裕だったのか、嘲笑とともになぜか怒気やらなんやらドロドロした感情がなぜか混じった声で返した相手の顔は傑作レベルの醜さだった。

 

そのせいで私は少しばかり笑い堪えなければならなかった。

 

小原「時間がないので通してもらうぞ。嫌な警備兵を呼ぶぞ。高尚なる御曹司(笑)とやら」

 

流石の私もここまで嘲笑の色を隠さない態度は出さんぞと引いているとどうやらお相手はそれでも余裕という体裁を成しているけれど、内心は途轍もなく怒り狂っているに違いことが分かりやすいくらい目が微動している。

 

ブルーム1「言葉に気をつけろと言いたいところだがな、まあ許してやる。

にしても、無様だねえ。追い出された挙句の果てが地方の名前も学園とはねえ。

『宮原』家も堕ちたものだな!」

 

最近の異世界物でも見なくなったバカ息子のテンプレを平然と言えるその神経の太さだけは認めてやっていいが、それより小原のやつの方がもっと怖いが、「宮原」?

 

こいつは何を言っているんだ、彼は小原だぞ。

 

宮原?(小原)「残念だが、私はとっくの昔に宮原家とは縁もクソもないな。

あんな一族とはな・・・で、もうすぐ時間になるんだが、戻らなくていいのか。

飛行隊の隊長ともあろうお方が遅刻なぞしてはいけないからなぁ。

あんたのどこの誰か忘れたが、どうでもいい。長門さん、行きましょう」

 

なんか、色々と無視してはならん重大な事実があったが本当に時間が迫っているし、奴からさっさと離れたかったから小原が作った脱出チャンスを乗るとしよう。

 

あとで根掘り葉掘り聞かせてもらうがな。

 

自分の口から過去の一部を言ってしまった以上はさすがに暗黙の了解は通用しないしなと思っていると、小原に運営指定席まで誘導してくれた。

 

ものの10分もすればすぐに開会式が始まった。

 

運営「これより第10回全国高校生戦技大会の開会式を開催する」

 

競技規則についてや試合期間中に使用されるそれぞれの空域の長期気象予報の説明が行われ、最後にトーナメント表が発表された。

 

 

どうやら初戦の相手は聖グロリアーナ女学院のようだ。

 

「やつを撃ち落とせるな」ボソッ

 

宮原?(小原)「そう簡単に奴は負けないぞ。悪知恵だけは一流(笑)だからな」

 

「独り言が聞こえたのか?」

 

宮原?(小原)「ああ」

 

この時の彼の顔に感情というものはなく、生き物かどうかも分からないほど死んだ目をしていたが、闘志だけは燃え上っていることは辛うじて分かるが、なぜかあまり彼の心を読めなかった。

 

 

 

 

 

 

開会式が終わり、さっさと帰ろうと立ち上がると小原に手を強く引かれて会場をすぐに出ると走らされて人気の少ない路地に入ってすぐの寂れたバーに入店すると小原がここまで急いだ訳を話してくれた。

 

宮原?(小原)「強引にここまで連れてきたことは申し訳ないが、奴が真っすぐこっちに向かおうとしていたから、 

       緊急回避ということで勘弁してくれ」

 

「なるほど、だが一言あってくれてもよかったんだな」

 

宮原?(小原)「それに関しても謝る。だから、好きなものを頼んでくれ」

 

「よい、ならば許す」

 

宮原?(小原)「ありがたき幸せ!」

 

「「ぷっ、ハハハ」」

 

こいつと色々楽しめそうだなと思いながら久しぶりに普通に笑った。

 

「で、ここは?」

 

寂れたバーとは思ったが、よく見ると雰囲気がかなり大人しい未成年用のバーでノンアルコールを取り扱っているにもかからわず、まるで大人の隠れ家だった。

 

宮原?(小原)「ここは前の職場のときに偶然見つけたバーでな。ここでよく一人で飲んでたが、

マスターの腕前は保証する」

 

「ほう、ならばディンブル(ウィスキー)をロックで頼む」

 

宮原?(小原)「なかなか渋いな。マスター、いつものを頼む(A martini. Shaken, not stirred.)

 

マスター?「久しいな、小原。奥の席が開いているぞ」

 

小原と一緒に奥の席に行くとほとんど路地から見えないところにあり、隠れて飲んで密談するにも最適で他の客が入って来てもすぐに分かる。

 

さらに入る客からはあまり見えない場所でもあるようだ。

 

マスターが冷凍庫から少し拳ほどの氷を取り出してアイスピックで手際よく大まかな形に削り、小さな包丁でさらに綺麗な円形にしてロックが完成し、ロックグラスに音を立てることなく入れてウィスキーを注いで、私の前に置いた。

 

彼が頼んだ変わったマティーニが作られている間に制服の胸ポケットから未成年用タバコを取り出して、世界的に有名なオイルライターで火を点けようとしたが、肝心のライターを持ってくることを忘れたようだ。

 

宮原?(小原)「火をどうぞ」

 

「すまない、ありがとう」

 

そういって、火を点けやすいように近づけてくれたライターで点けて少し深めに吸って今日のあった嫌なことを忘れるように紫煙を吐き出した。

 

彼のライターもメーカーは一緒だったが、かなり使い込まれた感じがあり、どうやら彼も喫煙者だ。

 

「銘柄は?」

 

宮原?(小原)「MG社のオセロットだ。長門はソリッドか」

 

なかなか癖の強いものを好むのか、酒といい、タバコまでも癖の強いというか人を選ぶ奴ばかりだな。

 

私は基本に忠実か王道を征くが、決して癖の強い物を吸わないわけではないとはいえ、あまり好まないのも事実だ。

 

宮原?(小原)「王道も好きだが、今日は強いもので忘れたいからな」

 

「ああ、そうだな。少し吸っていいか。私の吸っていいから」

 

宮原?(小原)「いいぞ」

 

そう言ってお互いのタバコを交換して少し吸うと濃いタールの味が喉を突き抜けていき、そのあとにほんのりとタールを中和するようなフルーツのような甘さだった。

 

いつもならここで咽たりしているが、今日はなぜかすんなりと受け入れた。

 

「で、あんたの過去とやらについて聞いてもいいか」

 

逃がさないようにそう聞くと小原は特段いやな顔をせずサーブされた変わったマティーニで口を湿らせて「長い話になる」と前置きして話し始めた。

 

宮原?(小原)「奴の言った通り、俺は宮原家だった。

        まあ、

過去の話で今は何の関係もないが切りたくても

切り離せない事情はある。

        俺は長男で姉がいたけれど神が二物を

与えてしまった本物の天才であり、

        一族は天才以外は生きる価値がないと考え方で、

        そこに親の溺愛と私が秀才以上になれなかったことが重なって、

        醜い家族像の出来上がりだ。

        生まれた時にはすでに姉の搾りかす扱いで

成績も秀才の領域を出れなかったことで、

        姉の移植用の予備部品として最低限の学歴を与えられたが、

        宮原家お抱えの研究者が臓器培養技術を確立させたことで

        私の存在意義が消滅してしまい、

        中学上がった頃には絶縁されて捨てられた。

        当然、一円たりともなくて服一着で路頭に迷った。

        しかし、神にまだ見捨てられなかったのか、

        運よく近くに港と学園艦があって

それに乗ってこの業界に入ったわけだよ。

        放り出される前に最期の抵抗として

        一族と関係ないようにと作られてた戸籍に偽造用のものを  

        数何枚も入れた。

そのおかげで一時的に奴らの監視の手から逃れることができた。

        一族は私の存在をなんかの汚点として捉えていたから、

        さっさと殺したかったみたいで

何人も刺客をよこしやがったから何度も名前を変え、

        その都度転校と偽装工作をしていき、

二桁になったときには数えるのをやめた。

        そうしていったおかげか、

        奴らは刺客に使うことが無駄と

気が付いたようで高校に安寧が訪れた。

        だが、それも長くは続かなかったが、

        2年間くらいは何もなかったこと自体が奇跡だった。

        まあ、原因はやつだがな。

        聖グロリアーナ女学院の民間軍事会社に入社して

        すぐに偽名戸籍と偽履歴書を提出した。

        まあ、

「ただの戦闘機乗りさ」と

答えたはずなのに操縦の腕前が謎に評価されて

        入社してすぐに支援航空隊の隊長に任命してしまったが、

        中学の転々としたときの経験が

かなり活かされたことでどうにかなったさ。

        このときはまだ奴に睨まれなかったというか

眼中になかったようだったが、

        私には好都合だ。

        けれど、

奴に目をつけられるようになったのは

去年の第9全高戦の少し前の出来事が

        引き金となったが、これに関しては説明は不要だろう」

 

「いや、説明はいるだろ」

 

誤魔化す気でいたようだが、私の目はまだ黒いぞ。

 

宮原?(小原)「勘弁してくれ、と言ったところで逃がしてもらえそうにないから言おう。

        当時はまだそこまで有名ではなかったが、戦車道科の生徒に交際を申し込まれたんだ」

 

「誰だ?それだけでは分からないではないか?」

 

宮原?(小原)「おいおい、そこまでの情報がいるか」

 

「当たり前だろう、上官たる私が掌握してなくてどうする。だから吐け。吐けば楽にしてやろう」

 

宮原?(小原)「パワハラする気満々じゃねぇか。まあ、同業者もこんなもんだがな。

       はぁー、現聖グロリアーナ女学院の戦車道科の隊長「ダージリン」だ」

 

「素直で結構。そして、馴れ初めも教え給えよ。ほれほれ、言えよ~」

 

宮原?(小原)「あんたは酔っぱらったおやじかよ!

        まあ、いいけど、というか言わないと返してもらえないしな。

        あと、事後報告になるがヘリの時間を遅らせた」

 

「うむ、では続けたまえ」

 

宮原?(小原)「戦車道科の生徒が見学を申し込んで支援航空隊を

        視察してきた際に運悪くスクランブルがかかり、 

        聖グロリアーナ女学院の民間軍事会社空軍部の

本隊である第444飛行隊が、

        敵機を撃ち漏らしてしまったことで

支援航空隊が急遽出撃することになった。

        支援航空隊は戦車道科の生徒を避難誘導させて,

私は単独で上がって基地防空することになり、

        基地まで3マイルに迫っていた爆撃機を落とし、

        あとから追いついてきた敵の戦闘機を撃破しただけだった。

        その時に興味をもったらしくて、

        だんだんと惹かれるようになったらしくて

        向こうの申し出で交際が始まった。

        つまらない馴れ初めだろう」

 

「ふっ、馴れ初めに面白いもつまらんもないからな。

 で、それが原因で奴がお前を追い出したというわけか?」

 

宮原?(小原)「その通りだよ。まったく酷いもんだったよ。

       奴のやったことは小学生くらいの嫌がらせだったんだが、

       第9回全高戦の我が隊による単独優勝が

奴らの行動をエスカレートさせて、

       なんかの罪で追い出されてここに流れ着いた。

       小原の名は大洗に来た時に変えた偽名だ。

       と、俺に過去は語ったんだ。あんたもグルーム2の時ね。

       俺の考えがあっていれば僚機を嫌がるのはあいつのせいだろう?」

 

「チッ、勘のいいガキは嫌いだよ」

 

小原「ハハハハハ、悪いがやられっぱなしのキャラではないからな」

 

仕方がないなぁ、私も一応一言とはいえ過去を言ってしまっているから言わないといけないな。

 

「まあ、あんたのと比べれば大したものでもないんだがな。

 私もあんたと同じように中学に上がると同時に聖グロリアーナ女学院の空軍部に入社したんだ。

 って、あんたはちょうどその時に聖グロリアーナ女学院の空軍部にいなかったか?」

 

小原「転校し過ぎて記憶に残ってないなぁ・・・

   いや、2,3回くらい名前を変えて聖グロリアーナ女学院の空軍部に所属していた気がする。

   いつかは定かではないが・・・」

 

「思い出してくれるか?」

 

小原「そこにこだわる必要はあ「いいから」、ええと確か中1の後半、中2の前半の終わりかけと中3の

   中3の前半の一か月だけだな」

 

ま、まさか、こいつ・・・

 

「その時のことは覚えているか?」

 

小原「数か月しかいなかったでし、あの頃は追われていたのであまり覚えていないですね。

   申し訳ないです」

 

「いや、気になっただけだ」

 

覚えていないか・・・

 

そして、ダージリンの恋人がこいつとはな

 

なんか面白くなってきたぜ(某気まぐれウマ娘風)

 

こんな話をしていると軽く1時間が過ぎて数杯ほど飲み干していた頃合いだった。

 

人が嫌いなはずだけど、やはりこいつだけは違う。

 

ただただ楽しいと感じるのは久しかった。

 

しかし、時間が時間でそろそろ帰らなければならないし、当然社寮は男女別々になっているうえに勤務ではあまりしゃべるということが許されるという雰囲気はない。

 

なぜだ?なぜ今になって我儘になったんだ。

 

私には分からない。

 

小原「長門さん」

 

「美優でいいぞ、僚機だから気にするな」

 

小原「なら遠慮なく、過去の話の続きを、美優さん」

 

「せっかく、人が忘れようとしていることをなぜ掘り返すかな」

 

小原「やられっぱなしというわけにはいかないもんでな」

 

「覚えてろよ・・・

 まあ、奴がグルーム隊ののちの隊長で私が入ったときは隊の三番機だが、

 グルーム2が欠員になった関係で

私が戦闘成績が良かった関係で入社してすぐにもかかわらず、

 いきなり副隊長として二番機に就任するという異常な事態になった。

 それに自分で言うのあ甚だ可笑しい話だが、

 どうやら私の顔は一般的に美人の部類で体型も恵まれているらしいな。

 私はそんなことはどうでもよいのだがな」

 

小原「全国の女子が泣きそう」

 

「お前は茶化すな。

 で、話に戻るぞ。

 それが原因で私は奴に目をつけられて元から

下心満載の視線にクソみたい計算的な下心の視線を

 受けるようになり、

突っかかってくるから奴の待ち伏せを避けるために

同性後輩の育成に勤しんだよ。

 なぜか、変な慕われて方をされてしまったというか、

 『お姉さま』呼ばわりされて困ることになった。」

 

空になっていたはずのロックグラスにいつの間にか補充されたウィスキーで口を湿らせて、また話を続けた。

 

「しかし、2年前半の本当の初期に奴が私を襲おうとした。

 当然私は奴をボコボコにしてて警備兵に突き出して、その日のうちに辞めた。

 そして、大洗に流れ着いた。つまらん話だろ」

 

小原「奴は中学の時には犯罪に手を出していたのか・・・

   堕ちるとこまでではなく、すでに堕ちていたか。

   これは愉悦だな。ハハハハハ」

 

そうだな、ある意味は愉悦だな。

 

今となっては。

 

次回に続く




前回の言っているが、なるべく早く次話を書きます。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第1回用語説明

唐突に物語が始まったため、どう理解したらいいのか分からない読者もいると思うので作りました。




第0航空団 ZERO AIR WING

 

(ゼロ)航空団とは、県立大洗女子学園学園艦に創設された大洗防衛機構(民間軍事会社)の空軍部門の部隊であり、学園艦の防衛を主任務とし、不明機に対するスクランブル発進や防空を行っている。また、その他の任務として救難、警戒、完成、輸送、飛行場防空や修理とありとあらゆることを行っている。

 

 

大洗防衛機構 OARAI DEFENSE ORGANIZATION (ODO オッド)

 

大洗防衛機構とは、県立大洗女子学園学園艦に創設された民間軍事会社の一つである。学園艦の特異的な立場上、自衛隊を大々的に駐留させることが困難であったことにより海賊及びテロリストに対する防御ができないとして、文部科学省と防衛省の委託を受けて創設、営業している。陸軍部門、海軍部門、空軍部門、海兵隊部門、宇宙軍部門と総合戦略部門の6つの部署を持ち、小国家の軍隊と同等、否、それ以上の力を持つ。近年の大洗学園艦を取り巻く特殊な背景の影響もあり、学園艦の民間軍事会社で唯一自衛隊から切り離されても自己完結で行動できる組織として知られている。そのため、在籍している隊員は圧倒的な練度と実戦経験を誇っており、他の学園艦への指導を度々依頼されている。

 

 

民間軍事会社 PMC

 

この作品における民間軍事会社はあくまでも学園艦の自衛隊の役割を補助することが目的で作られており、先述した大洗防衛機構のような例外を除き、大会参加すること以外は基本的に自衛隊とともに行動をしていることが多く、造兵廠は外部の防衛産業企業が請け負っている。行動理念はあくまでも学園艦の内外の侵略を阻止または自衛隊が展開するまでの時間稼ぎである。学園艦の自治は生徒を主体となっているように民間軍事会社のほとんどが学生で構成され、福利厚生など充実されていることや学費の免除という特典などがあり、非常に人気だったりする。ただし、傭兵や民間軍事会社を忌み嫌う風潮はまだ続いている。予算は文部科学省と防衛省から賄われており、それ以外の個人的な依頼などで収入を得ている。中等部からの入社が可能であり、訓練は自衛隊が請け負っており、時々少年兵育成と批判されている。

 

 

全国高校生戦技大会 NATIONAL HIGH SCHOOL MANEUVER COMPETITION (NHSMC 全高戦)

 

民間軍事会社が設立された際に技術向上と広報などを図る目的で開催された大会で開催時期は12月から2月と長期間の試合であり、予選から決勝戦まで運営が状況と実施期間を指示し、トーナメント戦を採用している。この大会の期間を通してネットでライブ配信され、テレビ向けには編集されたダイジェスト版もある。試合に使用されるものは有名な青色模擬弾ではなく、戦車道のカーボンと同じようなベルカの謎技術が使われた実弾同様の安全弾が使われており、よりリアルな戦場を見ることができ、戦車道とは違いパイロット個人の技量を試されることで人気があり、観客も参加する選手が増えているが、この大会は陸海空への総合的な対処能力を必要としているというハードルの高さがある。航空道や流派という概念は戦車道のように存在しないが、各校の民間軍事会社が所属するエースパイロットが個人的に教えている教室が流派に該当するが、一概にそうとは言えない。戦車道は女子の嗜みというような暗黙の了解は存在せず、男子の選手が圧倒的に多いが女子の選手も存在している。レギュレーションはジェット機であれば参加可能ということもあり、防衛産業企業が設計した計画機や架空機を有償提供することが多い。例としてX-02ワイバーンやYF-23のような機体も参戦しており、運営が指定する状況によっては大型兵器などの存在も確認されているが、真相は不明である。

 

防衛産業企業 JAPAN GRUNDER I.G. (グランダーI.G.社 日本支社)

 

学園艦の民間軍事会社御用達の会社でありとあらゆる軍需品を作っている最大手であるが、設立からあまり年数が経っていないにもかからわず、一瞬で上場企業になっていることから前身の会社があると推測されているなのだが、詳細は不明である。キャッチコピーは『1機の予算で2機』となっている。自前の造兵廠を所有する大洗防衛機構とごく一部の民間軍事会社を除き、ほとんどの民間軍事会社が契約をしている。

 

防衛産業企業 OARAI GENERAL RESOURCE CORPORATION (OGRC 株式会社大洗ジェネラルリソース)

 

大洗防衛機構と同時に創設された防衛産業企業であり、主に造兵廠の役割を担っているが保険、日用品や通信などを手広く展開している。大洗学園艦艦内において、本社のログのないものはないというほどであり、他の学園艦にも展開し、グランダー社に次ぐ大手である。

 

 

長門美優 MIYU NAGATO

 

本作に登場する人物であり、一人の主人公でもある。彼女に関する詳細はストーリーが進むにつれて、順次解放していく予定である。大洗防衛機構 空軍部門 第0空団 第1飛行隊 ヴィクトリア隊 隊長 コールサイン『クイーン』

見た目は艦これの長門と大和を掛け合わせたような大和撫子と力強さが両立している女性(この設定は名付けてから強引に考えました)、性格は生まれる性別を間違えていると言っていいほど男らしい。

僚機を好まない理由は過去のトラブルが原因とされている。

 

 

小原雄二 YUJI OHARA

 

詳細不明

 

大洗防衛機構 空軍部門 第0空団 第1飛行隊 ヴィクトリア隊 2番機 コールサイン『スレイブ1』

見た目は生徒会役員共の津田とグリザイアの果実の風見雄二を掛け合わせた感じである。

性格はストーリーのルートによって多少変化するが基本的に穏やかな性格であり、無線では時折冗談などを言っている。

 

 

世界観

 

ガールズ&パンツァーとの差異は、学園艦の取り巻く周辺状況が物騒なことぐらいである。現実的に実現不可能なことはすべてベルカの技術によるものである。

 

 




ストーリーが進行すると用語説明を書いていきます。
また、詳細のなかった情報も同じく順次開示していきます。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

因縁と再会 後編 [KNIGHT ROUTE]

ガルパンと接点はかなり強引ですが、私の文才ではこれくらいが限界です。

やっと、次で空戦シーンを出せる。

そして、今回も長いです。

お楽しみください。


あれからすぐに飲み終えて支払いで若干揉めるというほどではないけれど、小原が私の飲み代まで払ってもらうのは流石にまずいと思って財布を出したが、かなり強く止められてしまった。

 

そして、チラッとレシートを見たが中々の額だったようで小原が逃げるためとはいえ、ここに入れてしまって払わせるわけにはいかないという気遣いだったから、なおさら払うとは言えない。

 

帰りのヘリまでいつの間にか手配していたらしく、すぐに迎えが来ており、何から何まで世話になってしまったが、同時に()()()()()優秀な奴だったと思った。

 

帰りの道中は思っていたよりも疲れたのか、安心したのか久しぶりに移動中に寝るということをしまったが、これは奴だからとしか説明できないし、説明のつかない感情があったのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

小原SIDE

 

過去を語ることになるということは若干想定外であったとはいえ、もう偽装戸籍のストックがない以上は今後の円滑な生活を送る上で信用を勝ち取るために必要であり、どのみち語ることになるのは間違いないことだ。

 

長門美優、俺の僚機というか一番機であり、上官と同時にここにおける先輩である。

 

だが、私は2回目の転校で聖グロリアーナ女学院の空軍部に転職した際に彼女を初めて見た時のことはしっかり覚えていた。

 

彼女の飛ぶ姿を見て、やはり俺は秀才止まり(負け組)にしかなれなかったことと天才はやはり努力では超えられない圧倒的な存在と再認識させられた化けもの(憧れ)であった。

 

彼女が私の教官兼直近の上司となり、戦闘飛行の手取り足取りを徹底的に教えられて今の私の飛行技術の基礎となり、戦闘機パイロットとしての道を開いてくれたきっかけでもある。

 

俺は数が月後に実家の追っ手に追われることで辞めざるを得なくなって、一旦空軍部から離れて陸軍部、海兵隊部、海軍部などの様々な業界を渡ったが、一番肌に合っていたのが空で『しがらみ』から解放されて自由になれたというか、俺の小さな王国はここにある。

 

そう思えた。

 

だから、戦闘機パイロット一本で生きていくことを決めた。

 

そして、これからもだ。

 

一番機(クイーン)だけは墜とさせない、最後まで守るのが俺の務め。

 

そう決意を固めているとヘリが学園艦に戻って着陸し、彼女を起こして降りるとツインテールの女とあと二人が俺たちを待っていたかのように立っていた。

 

ツインテール?「やあやあ、あなたが小原くんか?」

 

「ああそうだが、生徒会のみなさんか?」

 

俺の問いに頷いて、ツインテールの視線がすぐに隣にいた長門に向いた。

 

ツインテール?「長門ちゃん、彼を少し借りてもいい?」

 

長門「ああ、問題ないがあまり長い時間は拘束するな。こっちも暇ではないからな。

   小原、団司令には伝えておくぞ。」

 

「申し訳ない、助かる」

 

長門の声が心なしか少し冷えたように聞こえるのは気のせいか。

 

あと目のハイライトさん、ハイライトが薄いぞ!何をやっているんだ!

 

ツインテール「ということで付いてきて、っとその前に私の名前はわかるよね」

 

「いや、生徒会の方々ということくらいしか分からない。申し訳ない」

 

ツインテール「そっかぁ、私の名前は角谷杏、杏と呼んでいいよ。片眼鏡の子は河嶋桃」

 

「河嶋桃さん、知っているとは思うが小原雄二だ。よろしくお願いします」

 

大変失礼であるのは承知しているが、なんかこの子ポンコツ臭溢れる残念な子と思うのは俺だけ?

 

河嶋「ああ、よろしく」

 

角谷「おっとりしているのが、小山柚子」

 

「小山柚子さん、よろしくお願いします」

 

小山「はい、よろしくお願いします」

 

本当に紹介の通りおっとりしていて、振り回されている感があるな。

 

そして、視線を向けられる場所に困る。

 

「で、どのような用事ですかね」

 

角谷「ここにすぐと聞いているからODOの防衛対象であるうちの学園を案内したいだけ」

 

「なるほど、確かにここに来て間もないのは確かではある」

 

呼び出された理由はそれだけではないという思うが、素直にそうと信じて案内されよう。

 

飛行場地区を抜けて学園が所有する車両に乗り込んで基地から出るとすぐに住宅街に入って間もなく学園に着いた。

 

校舎の見た目は陸の学校と大差ないのに建物番号が「普-1」とかで自衛隊より自衛隊をしている感はすごい。

 

車が止まると降りて、校長室といい勝負をする生徒会室に案内された。

 

そして、角谷さんはどうやらちょっと前まで生徒会長でありで今は戦車道科の生徒に任せたようだ。

 

今の前にいるのが現生徒会長だが、顔と名前だけ知っている。

 

なぜか、ダージリンが嬉しそうに大洗の語っていたことを覚えていた。

 

なんせ、寝不足気味になるまで楽しく語っていたと

 

あんこうチームの砲手の五十鈴華さんで、一応華道のお嬢さまであることは小耳にはさんでいる。

 

そして、呼び出された本当の理由は薄々分かってきた気がする。

 

五十鈴「大洗女子学園の生徒会会長の五十鈴華です。よろしくお願いします」

 

「事前に聞いているとは思うが、大洗防衛機構空軍部第0航空団ヴィクトリア隊二番機の小原雄二だ。

 よろしく。君たちでいう3年生であるが、傭兵で大した奴でもないから敬語は不要だ。

 で、俺を呼び出したご用件とはなんですかね。隊長は私ではないぞ」

 

五十鈴「そういうわけには参りませんと言いたいところですけれど、時間がないので先に用件を言います」

 

早く用事を済ませて帰りたいなと思いながら、彼女に次の言葉を待っている。

 

五十鈴「生徒会としてでだけではなく、戦車道の一員、

    いえ、ここ(大洗女子学園)に所属する生徒としてお願いがあります。

    無茶も無礼も承知していますけれど、

    この学園を守ってほしい。全高戦の優勝でしか廃校の取り消しの道はないのです。

    お願いします」

 

ああ、やっぱりというかこの学園を愛しているんだなぁ。みなさんがな。

 

学園を愛するということあ生半可ではない、恋人が隊長になったときもそうだった。

 

OG会に立ち向かったときもな。

 

「残念ながらお願いする相手を間違えていますよ。それは隊長に言ってあげてください」

 

五十鈴「いえ、あなたの隊長には前会長がお願いしています」

 

「なるほど、であれば言うまでもありませんよ。俺のような傭兵風情はたしかにお金で動きます。

 それは生きていく以上は仕方がない。

 しかし、契約はすでに結ばれている以上は反故することは傭兵としての俺の信用を失ってしまう。

 だから、俺は契約に基づいて仕事をするだけだ。

 不安になる気持ちは分かるが、ここに転職したときに契約に一筆は書いているんでな。

 会社が契約を破らない限り、俺は裏切ることはないとだけは言える」

 

五十鈴「それでもあなたは全高戦の選手として出場することになっている以上は私個人がお願いしないと気が済みせん。

    私だけではありませんけれど、ここのみなさんを代表してお願いいたします」

 

「なかなかにプレッシャーをかけるなぁ。

 まあ、こう言われている以上は責務を果たすつもりです。

 と、重い話はここまでだ。もう戻っていいか?」

 

五十鈴「そうですね。お願いは受けてもらえたようなので。

    あと少しはお付き合いください」

 

「まだ、用件があるのか?」

 

五十鈴「ええ、なかなかこうしてパイロットの方とお話する機会が少ないものですし」

 

「なるほど、本当に長居はできないが少しくらいは話をしよう」

 

コンコン

 

??「失礼します」

 

ここで癖毛がすごい子がやってきたが、重度のオタクと見た。

 

??「小原雄二選手でありますか?!」

 

間違いねぇ、こいつはミリタリージャンキー(重症患者)だ!

 

「ああ、そうだ。そちらは?」

 

??「失礼しました。秋山優花里です!」

 

「五十鈴さん、話を聞きたいというのはこの子のことかな?」

 

五十鈴「そうです。すみません」

 

「別に怒っているとかそういうわけではない。ただの確認だ。その秋山さんか、そこで立っているのもあれだろうし座らないか?」

 

秋山「お気遣いありがとうございます」

 

そう言って斜め向かいの椅子の座って、なんかメモ帳を取り出した。

 

「話を聞きたいとは聞いているが、どんなことを聞きたい?」

 

秋山「好きな機体はなんでありますか?」

 

「F-15E ストライクイーグルだな。対地攻撃も熟せる機体でありながらF-15系統の機動性の良さを失っていないバランスの良い機体だから好き」

 

秋山「ほうほう」

 

色々なことについて聞かれたが、私がここにいることについては深く聞いてこなかった。

 

こうして語るというのも悪くないなと思いながら、この子の知識の深さには驚いたりしているともう一人が生徒会に用事があったようだ。

 

??「失礼します・・・小原さん?」

 

マジか・・・今ここで遭遇するか。

 

「では、私はこれで失礼するよ」

 

出ようとしたらいつの間にか後ろに立っていた五十鈴さんがガシッと肩を掴まれて座らされてしまったが、俺は結構これでも鍛えているはずなのにと思ったら戦車道の選手は見た目以上に力があることを思い出した。

 

そりゃ勝てないわけだ。

 

「離してもらえないかね」

 

五十鈴「ダメです」(無慈悲)

 

「は☆な☆せ」

 

五十鈴「離しません」

 

どうやら諦めるしかほかはないようだ。

 

なんでここまで嫌がるか。

 

俺の黒歴史が一つや二つほど暴露されるからだよ。

 

??「その忙しいかな?」

 

若干うるうるとした目で見ないでくれよ、断れないじゃないか。

 

「いや、もう少しだけ時間はある」

 

そう言うと彼女も秋山さんと同じように向かいの椅子に座った。

 

??「私を覚えているかな?」

 

「もちろんだ」

 

そりゃ覚えている。

 

だって、ダージリンが嬉しそうに語っていた好敵手(ライバル)であり、あの試合を見ていたファンの一人でもあるからな。

 

西住みほ

 

どういう経緯で彼女と会ったかについて鼻塩塩・・・あっ失礼したな。

 

話をしよう。

 

あれは今から1年前、いや、半年前だったか。

 

まあ、いいか。

 

私にとってはつい昨日の出来事だが、君たち(読者)にとってはたぶん9年前(初放送)(2021年現在)の出来事だ。

 

彼女には色んな二つ名あるからなんて呼べばいいのか。

 

確か、最初に聞いた時は『黒森峰の異端者』だ。

 

そう、彼女に最初あったときは消える寸前に灯のようだった。

 

私の黒歴史が役に立ったかもしれない()()

 

まあ、しなやかで折れない人だったよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

神は言っている・・・ここで消し炭になる定めではないと

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちゃんと彼女に初めて会った時の回想に入るから不穏なフラグやめて!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちょっ、ちょっと待ってください!

 

待って!

 

助けて!

 

助けてください!

 

お願いします!

 

ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!!!

 

 

 

 

 

 

すみません、今からちゃんと回想に入ります。

by作者

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれは今からおよそ1年前のことで俺がまだ聖グロリアーナ女学院の空軍部の支援航空隊の隊長をしており、第9回全高戦の開会式に参加した後に何故か変な奴らに呼び出されてどっこに公園で簡単に言えばリンチを受けていたが、最初に2,3発にパンチをちゃんと受けたに顎に一撃を入れて倒し、木に縛り付けて現場をあとにした。

 

そして、帰ろうとしたが帰りのヘリまで妨害されたことに気が付いてどうしようかと考えたときに偶然この近くに寄港していた黒森峰女学院の学園艦があり、自分で築き上げたコネを使って航空機を拝借しようと乗り込んだ。

 

そして、私はなんとか帰る手段を借りることに成功して準備の待ち時間で学園艦内を散歩していた。

 

学園甲板の端まで行くと高射砲の丸い部分を公園にしたところのベンチに座り、未成年用タバコに火を点けようとしたら黒色の制服の女の子が柵の外をじっと見つめていることに気が付いた。

 

だが、黄昏れているようには見えず、まるで東尋坊を飛び降りる覚悟を決めているような自殺願望者の顔のようだった。

 

もし、本当に自殺願望者だとすればこのまま目の前で「I am a bird」と言って消えられるのは目覚めが悪いなと思って、通報されるつもりで近づいた。

 

「どうしたかね?まるで今から鳥のようになろうとしているのか?」

 

??「ふぇ!!!」

 

まあ、驚くだろうな。こんな近くに顔に厳ついニキが隣に立っていたら怖い。

 

??「見ていたんですか?」

 

「ああ、タバコを吸おうと思ったら黄昏ているように見えんかった人がいたもんで声をかけただけだ。

 決して怪しいもんではいぞ」

 

言っていることは怪しさ満点であることは分かっているが、そんなことよりもだ。

 

「で、お嬢さんはここでなにを?っと、俺としたことか名乗ることを忘れていたな。

 俺は小原雄二だ。ただの通りすがりの傭兵さ」

 

そう言ってフライトジャケットから名刺入れを取り出して、名刺を渡すと目を少しパチパチしながら読んでいたようだ。

 

??「あ、あの、西住み、みほです」

 

まさか、西住のお嬢さんとはな。

 

これは驚いた。

 

ということはやはり止めて()()なようだった。

 

「そうか、聞くがここで何を?」

 

西住みほ「ッ!・・・」

 

まあ、語れないだろうし、簡単な話でもないな。

 

「言いたくないならそれで良い。ただ、この哀れなおっさんの独り言でも聞いてもらえると助かる」

 

色々と暈しながら自分の過去のほんの一握りを自分の友人のことように話してやらなかったことを今でも後悔しているという真実に嘘を混ぜた戯言を言った。

 

まあ、詐欺師さ。

 

「人は完璧ではないというように完璧な回答はない。

 あるのは少しマシな回答だけだ。

 つまり、回答した人間が後悔しない選択肢だよ。 

 たとえ、目の前が真っ暗であっても、『どんな夜にも朝は必ず来る』

 この一言に尽きるんだ。それがいつかは分からんのが辛いところだがね」

 

少しはクソみたいな人生経験が役に立つといいなと思いながら、もうすぐ終わるタバコを携帯灰皿に入れて、一本を箱から取り出して、彼女が取りやすいように一本を少しはみ出させた。

 

「まあ、とりあえず一本でも吸って気を楽にしたまえ」

 

みほ「でも・・・」

 

「大丈夫だ。これは未成年用タバコだから誰も咎めはせんよ。

 真面目過ぎると壊れる。少しくらいは法律範囲内での羽目を外すのは罰当たりではない」

 

彼女は恐る恐るタバコを手に取って俺のライターで火を点けて見習うようにタバコを吸うと咳き込んで、紫煙が不規則な形をしながら排出された。

 

「まあ、慣れないだろし、慣れないほうがいい。吸っている俺が言うのもなんだが。

 だが、頭がいっぱいの状態ではなにも始まらん」

 

彼女にはタールの強いものを吸わしてしまったことを反省しつつ、彼女が思ったより早いペースで紫煙に慣れたことに驚いている。

 

みほ「どんな夜にも朝は必ず来る・・・」

 

勘違いではないようでなによりだ。

 

携帯の振動がポケットから伝わり、機体の準備が整った知らせだった。

 

「お嬢さん、元気でな」

 

みほ「もう行くんですか」

 

「ああ、だが、どこかでまた会えるだろう」

 

そう言って俺は彼女と別れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これが彼女と初めて会った時のことだが、今思えばかなり恥ずかしいことをしたな。

 

くっ、殺せ!

 

だから、あまり会いたくはなかったんだよ。

 

だって、こんな黒歴史を掘り起こされたら豆腐メンタルが死ぬんだぞ。

 

1日ほどベッドで悶絶する自信がある。

 

そして、その未来は確定になってしまった。

 

なんでか、もうすでに彼女のチームメイトに話していたらく、現になんとか生き生きしているし、なんか私についてさらに説明しているぞ。

 

俺はとりあえず頭を抱えた。

 

「////////」

 

すごい赤面になったのは自覚しているが、それは仕方がない。

 

秋山さんが感心したような顔をしていたのがせめてもの救いと強引に納得してなんとか正面を向いた。

 

「五十鈴さん、もしかして俺を留めた理由はこれか?」

 

五十鈴「はい」

 

とてもいい笑顔で頷いてくれたよ、畜生。

 

恥ずかしいではないか。

 

「あの、その、元気で何よりお嬢「みほです」・・・」

 

そんな食い気味に言わなくてもいいじゃないかと思うのは私だけかね。

 

「まあ、なんというか久しぶりだな。いい試合だったぞ」

 

みほ「うん、久しぶり。見てたの?」

 

そりゃ、みんな騒いでいたからな。

 

『大洗の奇跡』という男のロマンだぞ、見ない訳がないし、ダージリンが一番楽しそうにしていたから覚えている。

 

腕時計をふと見るとどうやら喋りすぎたようですでに2時間は経っていたし、携帯が振動している。

 

本当に帰らなければ殺されるな。

 

「悪いが本当に時間が来てしまったようなので、帰っていいか?」

 

五十鈴「そうですね。小原さん、長い時間留めさせてしまってすみません」

 

「大丈夫だ。というわけで失礼する」

 

みほ「全高戦、頑張って」

 

「おう」

 

秋山「小原殿、基地の見学はできるでありますか?」

 

ちゃっかりしてるなぁ。

 

「それはODOの空軍部広報室に聞いてくれ。

 俺の判断できる範疇ではないが、団司令には一言は添えておこう」

 

角谷「頼んだよ~」

 

「ええ、みなさん冬季無限軌道杯頑張ってください。応援している」

 

それだけ言って退室して正門に急いでいくと仁王立ちしている隊長がいた。

 

長門「少し長すぎではないか?」

 

「すみません、思ったより話し込んでしまいました」

 

長門「まあいい、早速運営から初戦の指令書が来た」

 

いつものことだが、大会運営の仕事は早いな。

 

「了解」

 

長門「急ぎで戻るぞ、ジープになれ」

 

乗ると彼女の宣言通りかなりスピードを飛ばして基地へと戻り、ブリーフィング室に急ぐと団司令と今回の大会に出場できる隊員もすでに集まっていた。

 

また、部屋の端には大会運営委員会の監視員もいるが気にする必要はあまりない。

 

「遅れて申し訳ありません」

 

団司令「事情は聞いている・・・

    さて、これで全員集まったな。

    これよりブリーフィングを始める。

 

    先ほど大会運営委員会から指令書が届き、今から読み上げる。 

    

    運営より予選の状況及び日時を指定する

 

    県立茨城県大洗女子学園『第0空団』対聖グロリアーナ女学院『第444空団』

    

    期間:12月18日0000~12月25日2400

    

    勝利条件:聖グロリアーナ女学院海軍部門のチャーチル艦隊の殲滅

         エリート部隊の排除及び無力化

 

    敗北条件:学園艦学生用飛行場の無力化

         稼動機の全滅

 

    試合会場:横浜港及び大洗女子学園艦

 

    編成制限:無制限

 

    以上が通達された」

 

 

モブ「明日ではないか」

 

モブ2「対艦ミッションか」

 

モブ3「おいおい、支援航空隊が出来てきたら流石にキツイぞ」

 

団司令「静粛に!

    まだ、情報を伝えてないぞ。

    では、総合戦略部門の情報分析班の相模桜少佐、説明を頼む」

 

 

相模「相模桜少佐です。

   チャーチル艦隊の詳細について説明する。

   

   チャーチル艦隊の編成は空母打撃群、駆逐隊と直属艦隊であることは確認されている。

   

   編成している艦は、

   

   クイーン・エリザベス級空母1隻に空軍部2個飛行隊と海軍部2個航空隊

 

   近代改修型プリンス・オブ・ウェールズ級戦艦1隻

 

   45型ミサイル駆逐艦6隻

 

   26型フリゲート6隻

 

   23型フリゲート6隻

 

   アスチュート級攻撃型原子力潜水艦4隻

 

   トラファルガー級原子力潜水艦3隻

 

   ヴァンガード級原子力潜水艦1隻(SLBM16基)   

 

   アルビオン級揚陸艦2隻

 

   タイド級補給艦3隻

 

   フォート・ヴィクトリア級補給艦3隻

 

   以上で編成されているが、艦載機はF-35Bである。

 

   また、横浜港にイージスアショアが配備されたという情報も入っている。

 

   イージスアショアの探知範囲の関係により、奇襲する場合は湾口からの超低空侵入しかない。

   

   艦載機と空母が編入されたのは比較的新しいが、

   すべてのパイロットはサンダース高校での訓練を受けており、練度は高いものと見積もる。

   

   そして、艦隊の練度についても高いことで知られており、任務完遂は容易ではないと推測する」

 

 

情報分析官による詳細な情報によって、分かるのは大規模改革が強硬されていることだ。

 

俺がいたときでは考えられない変革ぶりであり、奴が本性を出しつつあることも示していた。

 

OG会からの顰蹙を買うのは間違いないし、たぶん勝てないから最新鋭で挑もうとしているな。

 

相模「最大の懸念事項である支援航空隊についてだが、

   隊長が変わったことによって部隊の改編が行われており、脅威度は大幅に下がった。

   さて、私の斜め前の少し後ろっで黙って聞いている小原少尉・・・

   貴官からも情報の提供を要請したところではあるが、

   前職場の情報は漏洩禁止の故にできないことが残念」

 

傭兵の暗黙の了解でもあるし、大会ルールでもある。

 

その後、団司令が作戦決行日時を示して当日の気象予報、編成や目標について説明して解散となった。

 

作戦としてはヴィクトリア隊を先行で侵入し、俺がイージスアショアを破壊して長門が一足先に艦隊主力を破壊する。

 

その際エリート部隊が接敵したらヴィクトリア隊が対応する形となった。

 

 

【挿絵表示】

 

 

まだ、夜の9時だが明日の作戦が朝の4時には攻撃開始するため、今から寝るつもりだったが喫煙所で一服してからだ。

 

喫煙所には先客がいた。

 

長門「寝ないのか?」

 

「いや、一服してから寝ようとは思っている」

 

長門「そうか」

 

俺はタバコに火を点けて深く吸って紫煙を大量に吐き出した。

 

気象予報どおりに今から朝にかけては雲が一つもないおかけで星空が綺麗に見えていた。

 

長門「小原、いや、雄二、明日は勝つぞ」

 

「ああ、勝って鼻を明かしてやろう美優」

 

彼女はタバコの火を消して女子社寮へと戻り、俺もちょっとしてから寮へと戻って明日に備えて泥のように寝た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日・・・

 

 

学生用飛行場エプロン

 

0200

 

エプロン地区(航空機が外で待機して準備するところ)ではジェットエンジンの音が鳴り響き、それに負けないくらいの勢いで整備員が機体チェックをしてくれている。

 

整備員「左右のラダー・・・OK 垂直尾翼・・・OK エンジン・・・OK オールグリーンだ」

 

「了解、計器異常なし」

 

整備員「了解」

 

整備員が機体についている『TAKE OFF BEFORE FLIGHT』の赤色の札を外していき、有線通信ケーブルも収納され、ゴーサインが出た。

 

管制塔「こちらタワー、スレイブ1へ、準備完了次第滑走路へと進入、気圧は・・・」

 

スロットルを少し押しながら垂直尾翼のペダルで曲がりながら滑走路へと進んだ。

 

先頭にはクイーンがいた。

 

滑走路の着いて、発進位置に止まると管制塔からの無線が流れ、離陸許可が出ると右にいたクイーンからハンドサインが送られた。

 

クイーンと合わせるようにスロットルを最大限に倒してアフターバーナーを焚きながらゆっくりと操縦桿を引いて機体が浮き、ギアを収納し終えると今度は操縦桿を最大限に引いた。

 

所謂、ハイレートクライムで一機に高度20000ftまで登った。

 

管制塔からAWACSの無線周波数を聞いて、合わせた。

 

<<こちらはAWACSヤタガラスだ。よろしく>>

 

<<こちらクイーン>>

 

<<こちらスレイブ1>>

 

<<ヤタガラスからスレイブ1・・・そんな兵装で大丈夫か?>>

 

スレイブ1<<大丈夫だ、問題ない>>

 

クイーン<<略して、大☆問☆題>>

 

ヤタガラス<<・・・まあ、元気そうでなによりだ。

      クイーン、スレイブ1はコースを指示があるまで維持せよ>>

 

<<<<了解>>>>

 

兵装の心配されるのは当たり前だがな。

 

だって、UGB(無誘導爆弾)だからな・・・

 

 

続く

 

 

 




感想は歓迎しております。

批判等も受け止めます。

では、次回お会いしましよう。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第2回用語説明集

第444航空団及び第444飛行隊 444 AIR WING (444 AIR SQUADRON)

 

聖グロリアーナ女学院のSG6社(民間軍事会社)の空軍部門の航空団及び飛行隊である。学園艦の防衛を主任務とし、不明機に対するスクランブル発進や防空を行っている。内部進学者で構成されており、エリート思想に毒されている。実力は支援航空隊に劣るが、一番予算を持っている。

 

 

 

支援航空隊 SUPPORT AIR SQUADRON

 

聖グロリアーナ女学院のSG6社(民間軍事会社)の空軍部門の航空隊である。学園艦の防衛を主任務とし、不明機に対するスクランブル発進や防空を行っている。また、第444飛行隊が行わないその他の任務として救難、警戒、完成、輸送、飛行場防空や修理とありとあらゆることを行っている。外部進学者及び第444飛行隊から弾かれた内部進学者で構成されている。先述の通り、あらゆることを行っている故に技術と実力は高いが、万年の予算不足に悩ませている。小原雄二が隊長を務めた部隊であり、部隊単独で第9全高戦優勝を果たしている。しかし、小原雄二の追放で部隊は縮小、のちに解体されている。

 

 

 

チャーチル艦隊 CHURCHILL FLEET

 

SG6社海軍部門が所有する艦隊であり、空母打撃群に戦艦とその護衛艦が付随している編成である。装備品は比較的新しいものに更新されているが、OG会からはかなりの物議を醸している。全民間軍事会社海軍部門の中でもかなり伝統ありきであるが、実力はそこそこである。

 

 

 

SG6社 SG6 COMAPANY

 

聖グロリアーナ女学院の民間軍事会社であり、空軍部門、海軍部門、陸軍部門と海兵隊部門を持っているが、本校がお金持ち学校のため自衛隊駐留部隊の規模が大きいせいで補助的な役割に留まっている。実力はODOと比較すつと劣るが、陸軍部門の特殊部隊は非常に練度が高く、自衛隊や他校と合同訓練を頻繁にしている。OG会からの口出しに翻弄されている可哀想な組織であり、それがなければかなりの実力のある組織になれるはずであった。

 

 

 

安全弾 SAFETY BULLET

 

安全弾とは、実弾同様の性能を持ちながら学生が安全に使える弾薬である。ベルカの謎技術が大量に使われているおかけで人体に対しての影響は皆無に等しく、例え弾丸や爆弾が直撃しても怪我はしない。ただ、痛みだけは忠実に再現されるので気軽に被弾したくない。また、装備品に対してもダメージを与えずに判定装置と併用するとリアルな戦果判定を出すことができることから全高戦のような大会に使われている。全高戦においては戦闘機が被弾して撃墜判定を受けた場合は敵機としてのレーダー反応がなくなり、あくまでもオブジェクトとして判断されて判定装置による強制RTBで早期の戦線離脱という形になる。

 

 

 

未成年用たばこ

 

黒森峰女学院のノンアルコールビールと同じように未成年用に売られているものであり、副流煙や肺がんになるリスクはない。特殊な製造法と材料により、たばことほぼ同じ味になっているものの値段は一箱1000円からという非常に高価なものである。葉巻バージョンも存在するが一箱が最安で5万円というもので手を出せる学生はほぼいない。

 

 

 

MG社 MG COMPANY

 

未成年用たばこ造っている会社である。

 

 

 

ブルーム1 Bloom1

 

本名不詳(のちに判明する)

 

小原雄二を追い出した張本人であり、長門美優を襲おうとした犯罪未遂者である。小原雄二に対しては何かしらのコンプレックスを抱えており、小原雄二がダージリンと交際したことをきっかけに実力行使したとみられる。

 

 

 

宮原家 MIYAHARA FAMILY

 

宮原家とは小原雄二の元家族で極端な教育方針で天才を輩出してい名家である。民間軍事会社が出現する前は主要な防衛産業企業であり、防衛の一角を担っていると言っても過言ではないため、政界においてもそこそこの権力を持っている。裏は真っ黒であるものの表面は絶対にしないし、体制も変わることはない。

 

 

 

 

小原雄二 YUJI OHARA

 

[NEW] ・元聖グロリアーナ女学院のSG6社の支援航空隊の隊長であり、ダージリンの恋人である。

    ・元宮原家の長男であり、現在は絶縁状態で曰くつきの人物

    ・ブルーム1の被害者

    ・姉がいるらしいが、一度も会ったことはなくて追放前までは姉の予備部品の扱いであった。

 

 

 

 

長門美優 MIYU NAGATO

 

[NEW] ・元聖グロリアーナ女学院のSG6社でグルーム2を務め、

     同棲の後輩指導で『お姉さま』と慕われている。

・ブルーム1の被害者

    ・小原雄二に対しては当初警戒心はあったが、今はどういう感情かは分からない。

    ・小原雄二の元教官であるらしく、戦闘機パイロットへの道を開いた人でもある?

 




次回の更新は少し遅れるかもしれません。

よろしくお願いいたします。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

横浜急襲 前編  [KNIGHT ROUTE]

お待たせしました...

リアルに忙殺されていて、今話についてのいい案が思い浮かべずに時間が過ぎてしまった。

申し訳ありません。

投稿頻度を高められるように頑張ります。

では、どうぞお楽しみください。


0230

 

横浜港付近

 

オペレーション:ゴリアテ

 

長門SIDE

 

許可したとは言えれど、流石に無誘導爆弾でやろうという気は起きないし、誘導爆弾を選んだ方が無難というか安牌というべきなのか。

 

しかも、F-15Eって複座機なのに兵装システム士官が座るはずの後部座席にAIだか超小型スーパーコンピューターを載せて単座機仕様にしたものに変わっているぞ。

 

F-15Eの搭載量の多さと機動性のバランスは優秀であることは認めるけど、F-15Cは対地攻撃できなくはないし、何より最初から単座機もあるんだぞ。

 

理解できなくはないが、どうやって後部座席にあんなオーパーツを載せたのかは謎である。

 

まあ、本人は大丈夫だと言っているうえにそれを言えるだけの技量を持ち合わせているから、強く言い出せなかった。

 

しかし、ミサイルを好むとばかり思っていたが、私も人のことは言えないだろうな。

 

普通なら対艦ミサイルを使うのがセオリーなのだが、私はミサイルを迎撃されてしまうことのが嫌だから比較的迎撃率の低い誘導爆弾を好んでいる。

 

でも、小原のは命中率を犠牲にしてでもとにかく迎撃を一切されずに破壊するという容赦の無さなのか、全力さというべきなのか迷うところではある。

 

今回は補給ラインは設定されているから兵装は変えれないことはないが、如何せん時間がかかるからタイミングをみてやるしかない。

 

ヤタガラス<<ヴィクトリア隊、間もなく作戦区域に突入する。高度を100ft以下に降下せよ。作戦開始まで、無線封止を行う。応答不要、以上>>

 

夜は星が見えるほど晴れ切っていたのに、今は厚めの中層から上層の雲が入っているせいでまだ太陽も拝めそうにない。

 

今はレーダーの探知を避けるために100ftのさらに低い50ft前後で飛行しているが、少しでも操縦を間違えれば海面とキスすることになる。

 

小原も私と同じように飛行していたが、やはり()の教えた通りのことをしているな。

 

唯一と言ってもいい直配の部下(愛弟子)だ。

 

奴は惚けているが、私がSG6社にいた時と同じ期間があるの間違いない。

 

あれからどれほど成長したか、見せてもらおうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

横浜某所

 

??「流石に運営に状況を発表された翌日には攻めて来ないな」

 

??2「まあ、最新鋭のレーダーを配備しているということは耳に入っているはずだから、無謀なことはしない」

 

??3「しかし、高台にあることとBB連中のせいで下方向への探知能力が想定よりも低下していることは不安ですが」

 

??「なに、そんなめったなことは起きんて、全高戦ではな」

 

??2「追い出された英雄が出場してなければ問題ない」

 

??3「あれ、全高戦の開会式の会場にいたという記憶があるのだが・・・」

 

??「・・・おい、冗談は止してくれ」

 

??2「俺もそれは勘弁だ」

 

??3「言っておいてなんだが、あの変態飛行は見たくないな」

 

??「右に同じく」

 

??2「左に同じく」

 

??「にしても眠いな」

 

?2「大丈夫だ、あと2時間で交代だからな」

 

??3「そうだな・・・うん?」

 

??2「どうした?」

 

??3「アンノウン反応2機!って1機こちらに真っすぐ向かってきた!!」

 

??「スクランブルを要s」

 

これ以上言葉続くことはなかった。

 

 

 

 

長門SIDE

 

小原がイージスアショアを無力化したことで作戦の肝である第一関門を突破し、待機している味方を増援として使える。

 

ヤタガラス<<一時間ぶりだな。こちらでイージスアショアの破壊を確認した。敵はまだ寝ているらしく、絶好のチャンスだ。一隻も湾外に出すな>>

 

<<了解>>

 

真っ先に空母に誘導爆弾を艦橋とスキージャンプ台の部分に当たるように2発投下した。

 

CIWSが迎撃を始めていたが、すでに時遅しだった。

 

誘導爆弾が綺麗に艦橋に命中してレーダー反応が消失した。

 

ヤタガラス<<空母クイーン・エリザベス3号艦、撃沈>>

 

湾防衛部<<ボギー2、接近中>>

 

艦隊勤務員<<もう上空にいるって!!>>

 

すぐにハイGターンで旋回し、まっすぐ戦艦に向かい疎らな対空砲火を潜り抜けて爆弾とミサイルを放って上昇し、近くに停泊にしていた45型ミサイル駆逐艦の艦橋と前部のVLSを破壊してCIWSの弾幕を振り切るようにして旋回した。

 

駆逐艦艦長<<クソッ!旗艦がやられたぞ。とりあえず、対空戦闘用意!>>

 

給油隊<<我々は夢でも見ているのか?>>

 

湾防衛部<<悪夢です!>>

 

どうやら、奇襲は本当に想定外だったようでかなり混乱しているのが敵のオープン回線でも、現状でも分かる。

 

バラバラな弾幕と対空ミサイル、まだ来ていない敵の増援や退避行動に入っていない敵艦がそれを物語っており、しばらくはバイキング形式で良さそうだ。

 

ヤタガラス<<注意、敵機高速で接近中!方位120、4機だ>>

 

今か・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

??<<インディゴ1から各機へ、目標を確認、攻撃を開始する>>

 

 

綺麗な白地に青い十字架を垂直尾翼にあしらった機体が綺麗な編隊飛行を解きながら散開した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小原SIDE

 

インディゴ隊がまだ残っていたか・・・

 

いつも通り展開する動きが早いのに綺麗な編隊飛行を見せる余裕をできているな。

 

()()育てておいてだが、見事なもんだ。

 

()()()()()()()()

 

ヤタガラス<<エリート部隊がお出ましになったようだな。ヴィクトリア隊、手筈通り頼むぞ>>

 

<<スレイブ1、了解。俺が相手する>>

 

抑えきれない高揚感と心地良いピリついた空気が操縦桿を伝わるかのように緩やかな旋回にも関わらず、両翼に細長い雲が出来ていた。

 

クイーン<<味方が来る前には片しておけ>>

 

<<スレイブ1、ウィルコ>>

 

兵装を切り替えてミサイルに変更し、ほどヘッドオンで放って回避した先に機首を向けて機銃で一機を無力化して次に行こうとしたときに警報が鳴った。

 

早い、早い、早い!成長したな。

 

いいぞ、もっと来い、相手してやる。

 

インディゴ3<<インディゴ4が墜ちた>>

 

インディゴ2<<畜生!!また、穢されていくところを黙って見ているしかないのか!>>

 

いい混乱ぶりだな・・・

 

インディゴ1<<この飛び方・・・隊長か・・・>>

 

早くもバレてきたか、少しばかり見積もりを誤ったようだ。

 

爆弾を投棄して次回のリロードまでには墜とすと、考えていたつもりだったのが爆弾が慣性の法則と自由落下運動を合わせながら落ちた先が敵機だったという奇跡を起こしてしまった。

 

ヤタガラス<<...えぇ(困惑)、スレイブ1を敵機撃墜>>

 

やらかした感はすごいのだが、このまま継続する。

インディゴ1<<...隊長だな、インディゴ1!推して参る>>

 

まだ、バレていないようだが少し本気を出すとするか。

 

一機が後方に張り付いたままで警報もまだ鳴っていたが、スロットルを一気に前に倒してすぐにエアブレーキで強制減速と機首の引きを上げて後ろに張り付いていた敵機の後方に下がってミサイルを1発撃ち込んだ。

 

警報は鳴り止まずに別の機体が後方について、俺はオーバーシュートを誘発させるために大きく旋回して蛇行運転をしたが乗ってもらえなかったようだ。

 

ハイGターンに入ろうとした時に警報はロックからミサイル警報に変わり、ミサイルが放たれると同時にクルピットとコブラを混ぜ合わせた技で回避してミサイルが外れた。

 

その刹那、外れたミサイルの外観を見ると機体をミサイルの推定爆発範囲に対して破片を流せるようするとミサイルが爆発して、ダメージを負ったものの咄嗟の操作で最小限に留めることができた。

 

(一機はSASM使いだな)

 

空中炸裂方式AAM、普通のミサイルよりも炸裂範囲や与えるダメージが大きく、回避してもダメージを負う。

 

そう思っているとまたミサイル警報が鳴り、ハイGターンで回避しようと操縦桿を引きながら右に倒してロールも加えたがミサイルが外れない。

 

(今度はQAAMか)

 

誘導性が高いことで有名であり、これを使う奴は多い。

 

地表面に急降下してギリギリまで粘って機体限界寸前の急上昇をした。

 

ミサイルは頑張って私について来ようとしたが、間に合わずに地表面にたたきつけられて閃光を上げる。

 

機体がミシミシという音をし始め、後ろに搭載されているスパコンがオーバーG事前警告を鳴らし、ドッグファイト用の機体ではないが故の限界が見え始めているのだろう。

 

だが、それがなお面白いのが戦闘爆撃機だ。

 

ヤタガラス<<作戦空域に増援到着まで3分>>

 

爆弾を近くの燃料補給所に投下し、スロットルを倒して増速して張り付いていた一機が再び放つ前にコブラで後方について機銃とミサイルで落として、すぐにハイGターンで次の機体が背中に張り付く前に張り付く。

 

ハイGにバレルロール、スプリントSやスリップを組み合わせたマニューバで振り払おうとしてもずっと張り付いてくる敵は怖いだろうなぁ。

 

しかも、まだミサイルを撃ってこないのはなおさらだろうが、通常ミサイルと今機体に組み合わせているパーツが機動と爆装強化で通常ミサイルの誘導性があまり芳しくないせいで下手に撃てないんだよなぁ。

 

確実に無力したいというだけで撃墜したいわけではない。

 

ただ、あまりやると失礼だろうから機銃でエンジンを壊して最後に残った1機へと向かった。

 

インディゴ1<<グリム隊は聖グロの誇りだ。守り抜く!>>

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

長門SIDE

 

小原が敵機を払っている間に敵艦隊の主力である戦艦と潜水艦バンカーに隠れていた連中をトスボミングで撃沈し、ミサイル駆逐艦の弾幕を潜り抜けて一隻を黙らせたところでレーダーを見ると小原が味方の増援が映り始めていた頃に、小原がエリート部隊を撃破してこっちに戻て来た。

 

小原<<申し訳ない、まだビュッフェは続いているか?>>

 

<<高級品はほとんど頂いた>>

 

小原<<はは、了解>>

 

??<<こちら鮟鱇隊、作戦空域に到着した>>

 

さっさと片付いけますか。

 

増援が到着してからはほぼワンサイドゲームになり、30分で湾内のレーダー反応がすべて消失した。

 

奇襲したとはいえ、よほど想定外だったのか対応がすべて遅れていたと感じながら、運営から状況終了を知らせる無線が入ってこないことに気が付いた。

 

<<クイーンからヤタガラスへ、運営の終了無線はないのか?>>

 

ヤタガラス<<申し訳ない、まだ来ていない>>

 

<<了解した>>

 

まだ勝利条件に達していないことになる。

 

なにか見落としてしまったのかと思っていると、、、

 

ヤタガラス<<って!鮟鱇1、後方にミサイル、回避しろ!!>>

 

鮟鱇1<<なにぃ!>>

 

ぷつりと鮟鱇隊の隊長である鮟鱇1の声が途絶え、鮟鱇隊は混乱が広がろうとしていた時だった。

 

小原<<ステルスミサイルの実用化にこぎ着けたのか...>>

 

まだOGRCが試作品を作るという噂話の代物だったのが、なぜ相手校が持っているんだと疑問に思ったが、答えはすぐに分かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

??1<<本当に奴なのか?>>

 

??2<<ああ、間違いない。俺がこの目で見たんだからな>>

 

??3<<分かった。空戦で確かめてみよう>>

 

ブルーム1だからこそ出来た荒業だ...

 

間違いない

 

 

 

 

 

 

ヤタガラス<<こちらで確認した 敵 方位360 5機 ステルス機と思われる ヴィクトリア隊へ 撤退は許可できない 迎撃せよ>>

 

小原<<だろうな 報酬は上乗せだ>>

 

 

 

 

 

 

 

続く

 




次回...


ブルーム1とは誰なのか

想定外の事態

ヴィクトリア隊の初戦は勝利で終わるのか...





本当に早めの更新ができるよう頑張ります。

よろしくお願いいたします。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

横浜急襲 後編 [KNIGHT ROUTE]

お待たせしました。

早く更新できるようにしたいと言っておきながら時間がかかってしまった。

すみません。





長門SIDE

 

自機の後方を確かめるとステルス機らしき敵機が有視界内におり、私に向かってミサイルを放ったようだが、ミサイル警報が何一つ鳴っていない。

 

(鮟鱇1の感じからして炸裂直前で警報が鳴って墜落したようだが、速度が少し遅いように見える)

 

スロットルを少し倒し、敵機がいると思われる方向へと向かうと4機が鮟鱇隊を食い散らかしていた。

 

<<スレイブ1、これ以上の狼藉を許すな>>

 

小原<<了解、迎撃する>>

 

ヤタガラス<<レーダーの周波数を変えて敵の機影を捉えた。反映させる>>

 

レーダー画面に赤点4つが追加されて具体的な位置が示されていたが、やはりステルス機だからか酷いちらつき方をしているが少なくとも敵機を見失うことはない。

 

機銃で鮟鱇隊の列機に張り付いていた敵機の注意を引いて引き離したのはいいが、敵機の機体は見慣れないものだがどこの機体だと考えながらかなり良好な機動性を持ち合わせており、なかなか苦戦する。

 

だが、それは私にとってはそうではない。

 

なぜなら、敵機は機体のコンピュータに頼りすぎている。

 

インメルターンとスプリットSを上下左右に繰り返して木の葉落としで敵機の後方を捉えてミサイルと機銃を撃ち込んで一機を墜とした。

 

この時に敵機を観察したが、少し驚いてしまった。

 

BAEシステムズが開発中であり、ユーロファイター・タイフーンの後継機のテンペスト

 

最新鋭と言いたいところだが、先述の通りでまだ開発段階であり情報も決して多くない代物であり、わが国の防衛産業企業では作れないはずだ。

 

オリジナルシステムを搭載しているまったくの別物と考えて戦うしかないと思っていると、残りの3機は私に目もくれずに小原に突っかかっているのにミサイルすら放っていない。

 

酷いざまだな。

 

??2<<傭兵とでは戦う意義が違う>>

 

??1<<生き残るのは真意を遂げようとする者だ>>

 

連中は騎士でも気取っているのかと思うと反吐が出る。

 

小原<<ここは『全高戦』だ。敗者に口なし。その腐敗をここで断たせてもらう>>

 

急上昇して失速する寸前で、、、なぜ無誘導弾を空中に投げ飛ばした?

 

そして、ハンマーヘッドというマニューバで機体をそのまま落下して機首を上空に向けると追っていた敵機が減速しきれずに上昇を続けている。

 

機銃で敵機を通り越して先刻放った無誘導弾に命中させて爆発させた...

 

こいつは変態なのかと頭を抱えたくなった。

 

あんなことは教えた覚えは...ごめんなさい、ありました。

 

マニューバと変態飛行に傾倒していた頃で、私にとってはある意味黒歴史だった期間に彼の教官をしていたことを思い出してしまった。

 

なんでそのまま極めようとしたかなと後で問い詰めることにして彼の援護をしようと思ったが、鮟鱇隊の帰投を支援することを要請されて彼を信じて鮟鱇隊のエスコートに向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小原SIDE

 

ブルーム1<<我々の戦いを貫けばいい、それが勝利へと導く!>>

 

まだ、そんなこと酔って気取っている(嘯いている)から()()負けるんだよ。

 

(テンペストを繰り出してきたか。あいつは自分で首を切り落としてしまったな)

 

[WARNING] OVER G

 

警報がなりやまず、かなり無茶をしているせいで機体のあちこちからミシミシという音が響いていて空中分解が起こってもおかしくはない。

 

しかし、ここで終わるような俺ではないぞ。

 

操縦桿を押し倒して急降下を始め、計器類は電子化されているが速度計の針が異常な程にクルクル回っていてマッハに突入してもおかしくない。

 

[WARNING] PULL UP

 

無機質な女性の声と共に警告がなされているが、無視してそのまま降下を続けた。

 

ブルーム隊の列機が地面とのキスを恐れて離れていく中でブルーム1だけが俺に張り付いたままだが、好都合だ。

 

機首を引き合上げて機体が海面のスレスレで上がり、降下で得たエネルギーをなるべく殺さずに上昇に利用して横浜ベイブリッジの桁を支えるケーブルに目掛けて飛びつつブルーム1が後ろが()()()()()後ろについてきているかを確認した。

 

そして、ケーブルに当たる前にコブラをしてロールを加えると機体が真上を向いた状態で綺麗に横滑りしてケーブルとケーブルの間の隙間を通っていった。

 

垂直尾翼もなんとか当たらずに済み、ブルーム1はそんな芸当もできずに機体を急上昇させて横浜ベイブリッジを超えた。

 

だが、それが仇となって俺が放ったミサイルが命中して墜落判定になった。

 

ブルーム2<<ば、馬鹿な!!>>

 

ブルーム3<<隊長が墜とされただと・・・>>

 

隊長機を墜とせば取り巻きは大したことはない。

 

なんでか、ブルーム1、いや、浅間英二は自分より優秀な存在を()()できないからだ。

 

さあ、残党狩りの時間だ。

 

連中のプライド、いや、すべてを墜とす...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

秋山優花里SIDE

 

この日はなぜか0400に目が覚めてしまい、二度をしようと考えたが瞼がまったく閉じようとしてくれなかった。

 

いつも起きている時間までは何かをしようにも音を出すのは流石に気が引けるので、携帯を取って1941年製a型戦車用のヘッドホンを繋いで装填手のための筋トレ動画を見ようと検索しようとした。

 

だけど、西住殿が先日紹介した小原殿が大会に出ているということを思い出して『全国高校生戦技大会』を打ち込んで調べると検索結果の一番上に公式のネットライブのサイトを開き、読み込み中のクルクルと回る円を待つと映像が始まった。

 

そこに移っていたのは高速で飛翔する機体と爆発している地物があり、予選が始まったようです。

 

大会の解説者の口が忙しく動いていた。

 

解説者『状況発表の翌日に奇襲攻撃は大会史上最速です!そして、超低空の侵入で接近してハイレートクライムをかましながら無誘導弾・・・無誘導弾?!・・・失礼しました。無誘導弾を聖グロのイージスアショアに投下して

速攻で無力化した。おっと、ここで戦艦『プリンス・オブ・ウェールズ級改』と空母『クイーン・エリザベス3号艦』が撃沈!!早い!早いぞ!ここで一気に叩く算段のようです』

 

 

無駄のない自由で機敏な動きとジェットの轟音という戦車にないものが私に大きな衝撃を与えた。

 

そして、小原殿ともう一人の方である長門殿の綺麗な連携は見事と言うほかなくて画面から目を離すことが出来ない。

 

解説者『おっ!!聖グロのエリート部隊である支援航空隊(グリム隊)のインディゴ隊がやってきた。いつもの綺麗な編隊飛行を見せながらブレイクし、ヴィクトリア隊へと歯向かう。ヴィクトリア隊のスレイブ1がどうやらエリート部隊を迎え撃ち・・・ここで機銃による綺麗なヘッドオンが決まったぁぁ!!それに負けず劣らずですぐにスレイブ1の後方を抑えているッッ!!!』

 

騎士と騎士の戦いであるジョストを思わせるような交差あり、落馬した味方の仇を取るかのように張り付き、墜とすという絶対的な意思が画面越しから伝わる。

 

現場にいないはずなのにまるで同じく空を飛んでその場にいるかのような臨場感と緊張感がある。

 

解説者『・・・今なにが起きた?!ここで映像をもう一度見てみましょう』

 

解説者が困惑した顔で振り返りの映像を見ているとすぐに驚愕した顔になった。

 

解説者『なんてことだ。あのパイロットは。これは計算済みなのか、いや、きっと奇跡だ。そうでなければ説明がつかないぞ』

 

ゲストの方と思われる人が驚きと感心の顔で『これが全高戦か』と呟き、特設ステージには高揚感が漂っていた。

 

その高揚感が私を引き込んで戦闘機という新しい世界への扉が開かれようとしている。

 

解説者『昨年の優勝校が初戦でここまで無様に蹂躙されるのか・・・、聖グロの初戦敗退はあるかもしれませんね』

 

ゲスト『えっ?そんなことあるんですか?』

 

解説者『はい、戦車道のような強豪摺合せなどなく、全高戦において絶対は存在しないのです。番狂わせがいつ起きてもおかしくない純粋な実力主義の大会ですから。だからこそ、面白いのです』

 

この解説者の戦車道に対する意見に対して思うところはあるけれど、強く反論はできない。

 

実際、黒森峰が敗れるまでは絶対的王者であり、強豪校か名門校だけが全国大会に出るといいう暗黙の了解があった。

 

布団から起きてパソコンを起動してすぐに全高戦の過去大会の優勝校を調べると連覇した学校がいない。

 

毎年変わっており、名のしれない学園から()()()()()()()()が優勝をしていた。

 

こんなものを見てしまったらのめり込むしかないであります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

長門SIDE

 

 

小原がブルーム隊を墜とすと同時に試合終了の電文が受信されたことで予選が終わり、学園艦へと帰投するだけなのだが、小原の機体は()()な無茶をしたのかエンジンから黒煙がうっすらと出ていた。

 

私は鮟鱇隊のエスコートで一足先に帰っていたもののまだ飛んでいるが距離は対して離れていないから彼はすぐに追いつき、機体は一目で見て状態が最悪なのが分かる。

 

<<エマージェンシー要請はしておけ>>

 

小原<<ネガティブ、飛行と着陸に一切の支障なし>>

 

<<あとで面貸せ>>

 

小原<<スレイブ1、了解>>

 

はぁ~、こいつはいつか死ぬなと思いながらどう説教してやろうと考えていた。

 

その時に誰かが無線に割り込んできた。

 

オープン回線とはいえ、割り込んでくるな。

 

??<<こちらはSG6社の春山大尉だ。割り込んで申し訳ないがそちらに小原雄二がいますか?インディゴ隊の隊長です>>

 

小原が相手した最初のエリート部隊か、小原の前の職場の連中には興味があるから割り込んできたことは許そう。

 

<<小原、少しは話してはどうかね。今なら面を貸してもらうのは許すぞ>>

 

小原<<・・・はあー、了解した。久しぶりだな。インディゴ1、いや、春山、今日はいい飛び方だったぞ>>

 

インディゴ1<<隊長は相変わらずですね。やはり歯が立たなかったのが悔しいです>>

 

小原<<そりゃ一応お前らの隊長だから負けるわけにはいかんからな。そして、俺はもう隊長ではないぞ>>

 

インディゴ1<<隊長は我々の隊長です。それ以外は認めません。ブルーム1が総隊長になってからSG6社は最悪でOG会の反感どころか逆鱗に触れてしまっている>>

 

小原<<至極当然だ。誰がどんなに甘い目で見ても厄災以外の何物でもないしな>>

 

インディゴ1<<今すぐにそちらに転属したいです。みんな隊長の下でしか飛びたくないと言っています>>

 

小原<<唯一の良心であるお前らがやめると悲惨なことになるからそれは許可できない>>

 

インディゴ1<<あっ、でも辞めたやつがいるんですが・・・>>

 

ブルーム1はクソ野郎、はっきり分かるんだねということはさておき、小原はかなり慕われていようだな。

 

<<さて、もう感動の再会はそろそろ切り上げてもらえないかね>>

 

インディゴ1<<これは失礼しました。隊長、会えたら会いましょう。そして、彼女には無事を伝えておきますよ>>

 

小原<<ああ>>

 

ズキッ 

 

なぜここで胸の痛みがあるんだ?

 

彼に興味はあるし、認めてはいるが特別な感情などという感情はないはずだぞ。

 

まあ、いずれは分かるだろうと思い、今は考えないことにした。

 

1時間ちょっとで学園艦が目視の範囲になり、鮟鱇隊を先に下ろしてから小原の機体のチェイサー(追跡機)をすることにした。

 

<<スレイブ1、ランディングギアの展開に異常なし ランウェイへのアプローチは実施できるか?>>

 

小原<<問題ありません、このままアプローチ続行します。だが、万一の場合に消防の要請する>>

 

<<こっちでしておく、着陸に集中しろ>>

 

管制塔に消防の要請をして小原の左数10メートル後方にぴったり追跡して限界まで追跡を続けて、一定高度になると地上の連中に任せてランウェイをゴーアラウンドし、続報を待った。

 

管制塔<<こちら管制塔、クイーンは2番滑走路24に着陸せよ。スレイブ1は無事に降りている>>

 

<<クイーン了解、2番滑走路24に着陸する>>

 

少しだけホッとするエアブレーキとランディングギアを展開しながら旋回して、高度も同時に下げて旋回し終えた頃にはあと500ftでそのまま優雅にランディングし、ある程度減速したところでエプロン地区までタキシングする。

 

機体のエンジンを切った頃に整備員と関連車両がわらわらと集まったが、()()兵装を搭載しようとしているようだが、おそらくまた面倒事だな。

 

機体から降りて、整備員の群れから離れると小原がジープを運転して待っており、乗ることを催促してきたのでそのまま乗るとすぐに走り出し、ブリーフィング室がある航空隊指揮所を目指していた。

 

<<今度はなんだ?>>

 

小原<<緊急依頼(対テロ案件)だ>>

 

<<どうりでみんなピリピリしてるわけだ>>

 

5分もしないうちに航空隊指揮所について小走りでブリーフィング室に向かうと途中で今日の大会で墜とされてしまった鮟鱇隊の隊長と合流し、すぐに目当ての部屋に入った。

 

団司令<<大会初戦おめでとう、そして大会のあとすぐの追加ソーティーですまない。今回は公安からの直通電話で来た依頼だ。今案件は『我が学園艦への脅威度が高く、直ちに対処されたい』とのことだ。相模桜少佐、詳細を>>

 

相模<<分かりました。説明に移る。今回の()は過激派テロ組織『バラムツ』である。公安と我が対テロ班の調査で我々の学園艦への攻撃の準備をしていることが判明した。場所は名古屋港だ。

 

おいおい、かなり栄えているところだぞ。

 

まさか警察はこうなるまで放置したんじゃないだろうなと一瞬思ったが、案外ああいうところに出てこないだろうという心理を利用した隠れ蓑かもしれんな。

 

相模少佐<<警察の特殊部隊と自衛隊だけでは手に負えない装備と規模であると判断され、全国学園艦連合憲章第2条1項の積極的防衛及び将来的脅威の排除に該当し、敵の殲滅作戦を実施する。

 

 

少佐の説明によれば、敵の装備は以下のようなものである。

 

大型タンカーに偽装した揚陸艦 2隻

 

艦載機:Yak-38M 10機

    Mi-24P 8機

    Ka-52 4機

    

 

対空戦車:2K22 ツングースカ 4両

     ZSU-23-4 シルカ 6両

 

装甲兵員輸送車:BTR-60 6両

 

歩兵戦闘車:BMP-3 8両

 

その他のソフトスキン車両多数

 

小国家の陸軍に相当する規模で確かに迂闊には手を出せないわな。

 

というか、よくバレずに集めたな。

 

これを支援したパトロンはよほど我らの学園艦に恨みがあるらしいが、もう犯人は私と小原はおおよその見当はついている。

 

やることが幼稚なんだよ。

 

やる正々堂々と来いと言いたいが、そうできないからこんなことをしでかしているんだよな。

 

まあ、大会では少し味気ないから丁度よかった。

 

これが傭兵の本分というか本領だからな。

 

会場は久々の狩りに沸き立っているのか、顔からにじみ出る歓喜という名に狂気で満ちている。

 

私の含め、ここには狂った学生しかいないし、この稼業からさらさらやめるつもりもない。

 

だって、こんな楽しいことをしてお金がもらえる。

 

陸では少年兵教育だの、可哀想だのと言っているが実情はまったく違う。

 

みんな、自づからの意思で参加して学園艦を守っている(敵を蹂躙している)

 

とある傭兵の隊長の言葉を借りるが、「小銭目当てに好き好んで戦争屋になった親不孝ども」なのだよ。

 

たぶん、ここにいるみんなは否定などしない。

 

むしろ、悪びれずに肯定する。

 

さて、こんなことを頭の中で考えていると隣で座っていた小原はなぜか尋常じゃないほど冷や汗をかいている。

 

<<お前はなんかしたのか?>>

 

相模少佐<<ああ、美優、聞いてくれよ~。そいつ色んな資格を隠してやがるんよ。今回の作戦で必要なものなのに。調べるのに苦労したよ>>

 

相模はここに入社の同期である意味親友だが、彼女が苦労したということは相当なことだよ。

 

彼女は苦労とは程遠い天才様だからな。

 

<<小原、何で困るんかは知らないが、ここのみんなは軽々しく漏洩させたり、軽蔑などせん。さっさと吐け>>

 

小原<<えぇ(困惑)、ここは隊長が庇うところじゃないんですか?>>

 

<<ふっ、悪いな>>

 

小原<<はぁー、相模少佐の言うとおりC-130の操縦資格はありますよ>>

 

ほう、こいつは私と同様にマルチなようだな。

 

桜のやつの悪い顔をしとるなぁ。

 

相模少佐<<それだけではないだろう。緊急依頼とはいえ、まだ時間はあるんだ。社員証を見せてもらおうか、正規版のな>>

 

社員証には2種類あり、略称版と正規版がある。

 

これは自分身分証明書であり、全国の学園艦の民間軍事会社共通で使えるもので各会社によって社章が変わるくらいの変化しかない。

 

略称版は知られたくない履歴を載せなくてもよいものであり、こっちを使う人いるにはいるが多くはない。

 

正規版は例え、偽名だとか改名で変わることがあってもすべての履歴と資格が記載されているが、詳細を知る人は人事の社員と本人の業務先のごく一部の人間しか知らないことになっている。

 

相模はたぶんありとあらゆる手段をもって調べ尽くしたんだろうな。

 

事細かにその人物の歴史を記録するブラックボックスのようなもので故意に破壊や紛失することも許されていない。

 

正規版と略称版の二つは大体セットで持っている。

 

なので、小原は観念した顔で相模に差し出した。

 

相模はすぐにノートパソコンに繋いだカードリーダーに差し込んで読み込みが終わるのを今かと待っている。

 

そして、少し驚いた顔だった。

 

相模少佐<<君のことは調べたつもりだったが、私の知りうるデータよりすごいな。ハハハ、君に対して余計に興味をもってしまったよ。どうしたらこうなるさ>>

 

<<見ていいか?>>

 

小原はどうとでもなれという顔で頷き、私は相模のパソコンのところまで歩いて画面を覗き込んだ。

 

<<はい?>>

 

小原の資格歴にはほぼすべての航空機の操縦資格だけでなく、陸海の乗り物の資格が網羅されており、それだけに飽き足らず特殊部隊等の課程卒業をしてやがる。

 

ワンマンアーミーとはこのことなのかと唸りたくなった。

 

小原<<詳細は聞かないでください。説明が面倒くさいので>>

 

団司令<<ウッン!作戦について説明しても?>>

 

いかんいかん、そそくさと席に戻ると団司令は何事もなかったかのように説明を始めた。

 

二手に分かれて作戦であり、私と鮟鱇隊を率いた陽動で敵の航空機を上げさせて注意を引いている間に小原が操縦するAC-130で地上物を一掃し、ODOの陸軍部門の特殊部隊が制圧を行う形になった。

 

ブリーフィングが終わると放送から航空機の準備が整ったという知らせが入り、解散と同時にみんなが愛機に乗りたくて仕方がなかったのか一気に駆け出した。

 

私も小原ももちろん走ったよ。

 

続く・・・

 




次回はリアルの都合で遅れるかもしれません。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

傭兵の本領 [KNIGHT ROUTE]

更新が遅れて申し訳ありません。

中々執筆する時間が取れなかったこととこの話を一回見直した結果書き直すという大変なことになってました。

更新は遅いですが、待っていただけると幸いです。


小原SIDE

 

あまり知られて欲しくない経歴を知られたのは困ったが、まあ致命傷にならないと考えて、AC-130U スプーキーIIの操縦系統を触りながら感覚を取り戻して地上整備員からの連絡を待っていた。

 

戦闘機からの大型機はかなり戸惑うが今回は悪天候ではないからまだマシであると言える。

 

AC-130J ゴーストライダーという米軍が使用する最新鋭機を使うという話があったが、流石にミサイルと小口径爆弾に大きく兵装変換したことにまだ慣熟していない搭乗員で任務に投入するのは酷だと判断された。

 

地上整備員の最終機材チェックが終わり、エンジン始動を始めようとした頃に陽動を担当する戦闘機の連中が兵装の搭載を終えてエンジン始動を始めようと忙しなく動いているのが見える。

 

<<第一エンジン、始動>>

 

機長と副機長の間にある4本のスロットルの最左端とエンジンスタートのボタンを押してターボプロップの独特の低く、響き渡る音が聞こえる。

 

そして、暖機運動を少ししてからスロットルを倒すと同時に低い音の中に少しだけ甲高い音も混じってエンジンの回転数が上がり、最大出力にしてからすぐに最小出力に戻して同じような手順で第ニ、三、四エンジンを始動した。

 

その後はラダーの動作確認をして地上整備員が退避したところを確認すると全エンジンの出力を少し上げて滑走路へのタキシングを開始し、管制塔からの指示及び気圧などの情報を得る。

 

大型機故に戦闘機と比べるのも可笑しな話であるとはいえ、鈍重であることに違いはない。

 

スロットルを全て倒すとエンジンが大きくなり、機体も徐々に動き出してスピードも少しずつ乗り始め、やがて滑走路の半分あたりに差し掛かったところで操縦桿を引いてゆっくりと上がる機体と油圧系統なのに伝わる重さが加わり、改めて大型機であることを実感させられる。

 

レーダーと航法システムに従って目的地である名古屋港へと向かうが、その一方手前の地点の静岡県付近の洋上で空中待機をして陽動が敵の戦闘機を誘き出して注意を引いている間に作戦空域に進入後、地上部隊への近接航空支援として敵地上戦力の完全破壊及び無力化を行う。

 

ブリーフィング後に新たに判明したことは対空車両パーンツィリ-S1の存在が最新の衛生写真と現地の諜報員からの情報によって判明し、かなり強固な対空システムを構築していると予想されている。

 

よって、推定されている探知限界を利用して陽動と共にドローンを大量に投入することでレーダーの無効化と現地に派遣されている工作員による妨害が重要になってくる。

 

その効果があることを確認できるまでガンシップを使えないため、陽動と現地工作員が作戦の肝となる。

 

さて、深夜に起きてから一睡できいないので少し眠いが今のところ任務に支障はないが、早く寝たいと思いながらオートパイロットで操縦桿を軽く握りながら最適攻撃進路の再確認をすることにした。

 

コースとしては攻撃目標中心に付近の上空を旋回する予定ではあるが、先述の対空システム又は敵戦闘機の抵抗を受けて余儀なく変更になる可能性があるとはいえ、変わる予定は今のところはない。

 

今回の副機長はあまり無口なのがありがたいが、一つや二つくらいは反応があってもおかしくないのに無表情を貫いている。

 

俺はこいつに何かしたかなと思いながら、計器類に異常がないかを定期的に確認しつつオートパイロットとGPSとの誤差を修正し、空中待機の地点へと向かっていた。

 

 

 

1時間後・・・

 

 

静岡県付近の洋上

 

 

 

AWACSによるとまだ作戦空域への突入は許可できないとのことだが、我々の燃料を考えてもあまり待機する時間はない。

 

<<15後でも制空権を確保できていない場合でも当機は作戦空域への進入を強行する。陸軍の連中を見捨てるわけにはいかない>>

 

ヤタガラス<<はぁー、了解した。だが、墜落して責任はとれないぞ>>

 

<<問題ない、責任は死でもって果たすので>>

 

ヤタガラス<<笑えない冗談だぞ>>

 

<<我々傭兵はそんなもんだろうよ。スプーキー空中待機に入る>>

 

ヤタガラス<<了解した、15分後に連絡する>>

 

緩やかな旋回を繰り返しながら火器管制官と機体角度の調整を行い、攻撃最適速度も確認する。

 

副機長<<機長、フレアは私がやりますので操縦をお願いできますか>>

 

エンジン始動の業務的な会話から久しいが、副機長が喋った。

 

<<了解した、では任せる>>

 

緊急回避するに集中できるのは非常に助かる。

 

にしても2年生にしては落ち着いた雰囲気をしているな。

 

そう頭の中で思っているとAWACSから連絡が来て、完璧とはいえないが進入は可能となったのですぐさま名古屋港に向かって操縦桿とスロットルを倒した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

名古屋港付近

 

陸軍部門特殊部隊「特殊空挺騎兵隊(Special Airborne Cavalry)」通称:SAC

 

桐生院瑠衣少尉 第1中隊 A小隊 小隊長

 

高校1年生

 

 

中隊長<<野郎ども、CAS(近接航空支援)は予定通りに到着する。総員、突入用意>>

 

MH-60Lブラックホークに乗り込んで偽装タンカーの制圧するために洋上から接近しているが、ガンシップが対空砲を破壊してくれるかが心配でしかない。

 

今回のふ頭に石油関連施設が散在しており、迂闊に撃ってしまうとすべてが火の海に包まれる事態になるから、撃ち漏らしが必ず出てくると考えた方がいいだろう。

 

さて、機長から間もなくドロップポイントに到達するため、スライドドアを開いていつでも出られるように待機して小銃の最終チェックをしていると不穏な警報音が急にコクピットから発していた。

 

MH-60L機長<<総員掴まれ!フレア!!フレア!!>>

 

その刹那、機体は大きく旋回して振り落とされるような力に煽られそうになったが、なんとか腕力で椅子の脚部を掴むことで無事だった。

 

機体は少しすると安定した飛行を始め、おそらく飛んできた短SAMを躱したと思った瞬間、飛んでいた別の同型ヘリがテールローターが火を噴きながら壊れて異常な回転をしながら海に墜ち、大きな水飛沫と共にヘリに乗っていた全員は逝ってしまった。

 

小隊員3<<クソ!空軍部はなにをやっている!!>>

 

気持ちは分かるが今回の作戦は参加要員の10%が犠牲(KIA(戦死))が前提条件で進めざるを得ないほど対空砲の強固さと位置取りの悪さだった。

 

石油関連施設を盾に使うというテロリストらしい思考が今回のネックだが、放置できない脅威であるために無理をしてでも全滅させる必要がある。

 

それも石油関連施設等を含むふ頭へのダメージを最小限に留めろという無理難題付きだ。

 

ドアガンナーのミニガンが偽装タンカーの歩兵に7.62mm弾の雨を降らせ、帯同していたAH-64DとAH-1Znの武装が容赦なく地上戦力を無力化していった。

 

誘爆を防ぐためにどうやら要人暗殺に使うような特殊用途のミサイルが惜しみなく使われているという噂だったが、偽装タンカーの周辺を飛び続けているとそのミサイルにやられたであろうものが転がっていた。

 

石油関連施設から離れている兵員輸送車にはさすがに通常ミサイルまたは天板に機関砲を撃ち込んでいるが、ジープのようなソフトスキンターゲットはミサイルに内蔵されている6枚の刃で屋根を切られて押しつぶされている。

 

通常の爆薬があるミサイルの1.5倍の価格らしい。

 

こんなもので死ぬのは苦しいだろうなと訳の分からないことを思うと、私が座っていた左翼側のドアガンナーが流れ弾を肩のあたりを抉ったようでかなり痛みに耐えながら止血しおうと必死になっていた。

 

<<メディック!彼に手当しろ、私が代わりに撃つ>>

 

負傷したドアガンナーを退かしてミニガンの取ってを握ってついている照準器で偽装タンカーのブリッジ付近にいたRPG兵を撃ち、そのまま引き金を押し続けたまま流れ作業のようにこっちに銃口を向くてくる敵を薙ぎ倒した。

 

実家の生ぬるい空気が嫌でここの隊に入ってから散々死に直面して怖いと思いながら、この空気を楽しんでいる私がいる。

 

生きる渇望が満たされ、命のやりが恐怖と同時に快感に近しいものが私を奮い立たせ、普通では経験できないことをするのが最高だ。

 

ヒューンという独特の音が私のすぐ近くを通り抜け、それがまさしくこの場のスパイスである。

 

イカれているがな。

 

さて、こんなくだらないことを読者?に説明しているとあちこちが穴だらけの偽装タンカーの見えている部分には敵影が見当たらない。

 

そして、その間にどうやらガンシップの方も対空砲を破壊してくれていた。

 

しかも無線ではかなり石油関連施設の近くにいた敵車両を石油に誘爆させずに破壊したというらしい。

 

かなりの腕前の火器管制士官とパイロットが担当しているようだな。

 

ヘリが偽装タンカーの甲板に近づき、反対側のドアガンナーが降下用ロープを取り付けた。

 

こっちも見様見真似でどうにか取り付けて周辺に敵がいないかをチェックし、乗っている小隊員が準備を終えていた。

 

<<Go!Go!!Go!!!>>

 

ラペリング降下で降りて、私もロープを掴んで降下を始めると手袋越しに伝わる摩擦熱が火傷しそうな勢いだった。

 

M4カービンにすぐ持ち替えてヘリにロープの切り離しを指示してすぐに掃討を開始した。

 

出てくる敵は容赦なくヘッドとハートショットで黙らせ、内部への進入してほかのヘリに乗っていた小隊員と合流できたが、中にあったものは情報になかったものであり、恐ろしいものでもあった。

 

<<こちらバスターA、偽装タンカー1にトリニティ4発を発見>>

 

すぐに報告した直後に銃声が聞こえ、小隊員一人が被弾して倒れた。

 

胴体部は防弾チョッキがギリギリ凶弾を防いでいるものの、左腕に1発もらってしまったらしい。

 

敵の銃火がかなり激しく、この荷物は見られてマズイものだったということが分かる。

 

無線ではヘリも排除できていない対空砲からの抵抗を受け始めているせいで退避中ということもあって現在は孤立してしまった。

 

最悪の状況に陥って、このあとの展開が絶望的であり、ヘリからの増援がないとこのままでは私の小隊が全滅する。

 

どうやって最悪を覆すかを考えていると誰かが泣いており、その声の主のところに目を向けると銃弾を避けながら死んだ小隊員2を引きずっている小隊員8がいた。

 

冷酷なことはやりたくないはやらないと他が死ぬ・・・

 

<<そいつは死んでいる、おいていけ!>>

 

小隊員8<<そんな!>>

 

いくら我々が特殊部隊の一員であっても、結局は青春真っ只中の高校生でしかない。

 

小隊員2のドッグタグを取って、応戦し続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小原SIDE

 

 

対空砲火が激しくて回避のための離脱コースを取ってしまったがために特殊部隊の連中がタンカー内で孤立してしまったらしい。

 

危険を承知でやるしかないなと考えて、火器管制官に問うた。

 

<<火器管制官、一回の通過で全対空砲を黙らせられるか?>>

 

火器管制官<<無茶言うなと、言いたいところではあるがやってみせましょう>>

 

言質を取ったところでフレーとチャフを使い切る覚悟で全対空砲を破壊できるルートを瞬時に算出して攻撃速度の最大限にして操縦桿を動かした。

 

旋回してすぐに最適化コース軌道上に乗ると機関砲の閃光やらミサイルの警報やらが見えてきたが、すぐにチャフと同時に指向性赤外線妨害装置を起動して大方のミサイルと赤外線誘導兵器の猛攻は退けることができた。

 

しかし、半自動指令照準線一致誘導方式(SACLOS)のツングースカの対空ミサイルはECCM性能が有能である。

 

一応こっちには最終手段である手動迎撃をするという方法があるが、その前に電子妨害システムという近代的なシステムで対処する。

 

こっちにミサイルが殆ど来ることはなく、外れるのだが流石に敵も馬鹿はない。

 

だが、このまま再退避すれば特殊部隊の連中が全滅するのは間違いないから、このまま突っ切る。

 

[WARNING] MISSLE

 

フレアでどうにかで回避して最適攻撃進路を通り終えるとと同時に火器管制官から全滅対空砲の全滅の一報を受けて、同じ進路を取るために旋回してその他の車両を破壊していった。

 

<<こちらバスターA、偽装タンカー1にトリニティ4発を発見>>

 

この無線で状況が変わり、速やかに事態を終結させる必要が出てきた。

 

だが、最悪のタイミングで陽動に引っかかっているはずの戦闘機4機がこっちにまっすぐ向かっている。

 

ヤタガラス<<ヤタガラスからスプーキー、要撃機がアフターバーナーを使って真っすぐそちらに向かっている>>

 

<<了解、退避行動に入る>>

 

副機長<<ミサイルが使えれば安心できたのにね>>

 

<<はは>>

 

落ち着いているなぁとは思っているけど考えていることは同じだし、俺は陽動の方に駆り出されているクイーンや鮟鱇隊を信じている。

 

スロットルを倒してフルスピードに引き上げて作戦空域から離脱するが、いかんせん大型4発プロペラ機では失敗作であっても曲がりなりにもジェット機であるYak-38Mには勝てない。

 

ヤタガラス<<敵機のミサイル射程内に入った>>

 

ロックオン警報が鳴り響き、残量が少ないフレアとチャフを使い切り、すでに衝撃に備えている乗員に急旋回と急降下上昇を知らせて操縦桿を動かした。

 

鈍いのは仕方が、このサイズでプロペラ機にしては結構機敏な方であると感じる。

 

電子妨害システムも指向性赤外線妨害装置も誤魔化せなくなり、向こうが直接照準で機銃を撃ってきやがった。

 

??<<FOX2!>>

 

??<<聞こえるか?>>

 

クイーンと鮟鱇隊だ。

 

<<早いじゃないか>>

 

クイーン<<なに、ちょっと飛ばしてきただけさ>>

 

鮟鱇1<<大会の恩を返しに来た>>

 

<<了解した。こちらスプーキー、これより帰投する(RTB)>>

 

<<司令部からスプーキーへ、RTBを中止せよ。繰り返す、RTBを中止せよ。作戦空域に戻れ、敵が積載しているトリニティ1発を持ち出してしまった>>

 

<<スプーキー、了解した。直ちに作戦空域へ戻る>>

 

燃料の残量を気にせずにスロットルを倒して、最大速度でレーダー画面表示されたビーコンに点滅の方へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

少し前・・・

 

 

名古屋港付近の道路

 

陸軍部門特殊部隊「特殊空挺騎兵隊(Special Airborne Cavalry)」通称:SAC

 

桐生院瑠衣少尉 対テロ大隊 第1中隊 A小隊 小隊長

 

高校1年生

 

 

10分という長い時間の銃撃戦を潜り抜けて空軍部の支援のおかげで増援が到達して小隊員2と5の犠牲を払った。

 

偽装タンカーの残党狩りは別の小隊が担当し、小隊員5の亡骸を抱えながら降りて待っていた救護班に引き渡して、小隊員に休憩を取らせた。

 

私はとんでもない世界に足を踏み入れて、こんな結末を望んでいたのだろうか。

 

小隊員2人も無くし、教官に顔向けできるのだろうか。

 

私のせいで死んでいったのか。

 

ふざけた理由で入った私への天罰なのだろうか。

 

答えがあるようなないような疑問が私の頭を占め、この晴れた青空を初めて恨めしいと思った。

 

()()()()最小限の被害だったが、部下と私に弔う暇はなかった。

 

<<こちらホーク2、連中がトラックに筒状のものを積んで方位330へ逃走、クソ、携帯SAMだ!!追跡不能>>

 

<<小隊員1、行くぞ!!仇討ちだ!!>>

 

近くにあったジープを拝借(借りパク)して、ストロボを車両にくっつけながらハンドルを握ってアクセルを最大限に踏み倒した。

 

無線と戦術タブレットを見ながら現在を把握して最短ルートで目的のトラックに接敵し、片手で拳銃を使ってタイヤを狙った。

 

だが、強化タイヤだからか弾がことごと吸収されて効果はないようだ。

 

そして、荷台の扉が開かれて敵がこっちに機関銃の銃口を向けているのを確認するとハンドルをすぐに右に回して寸前で回避した。

 

小隊員1<<小隊長!、このジープに粘着物はないですか?>>

 

 

粘着物?あれならあるかもしれない。

 

<<小隊員1、ガムならあるが構わないか>>

 

小隊員1<<問題ありません>>

 

小隊員1は大急ぎで私の持っていたガムを口に入れて噛み砕いて、粘着物になったものをビーコンに付けてトラックの屋根に投げた。

 

なるほどな、これで見失うことはないはずだ。

 

運転席のミラーを撃ち壊して威嚇し、トラックとガードレールの間で潰されないように慎重にハンドルを操作していた。

 

トラックの運転席に近づいて窓を壊して小隊員1が閃光手りゅう弾を投げ入れるとブレーキを踏んで急減速し、ほぼ真後ろに来た時には制御を失ったトラックの荷台にいた連中が投げ出されてジープのボンネットに当たり、私と小隊員1の銃弾で絶命しているがさらにとどめを刺すように地面へと落ちていく。

 

トラックは高速道路に遮音壁に激突したが、運転席が全壊しただけで荷台は無事で確保したが、また状況が最悪なものになった。

 

トリニティを奪われまいと取りに来た連中が押し寄せてきていることが少し遠目で見え、高速の上りも下りにもいる。

 

小隊員1<<これは笑えないな>>

 

<<そうだな、まったく笑えないな。ま、迎え撃って自決でもするか>>

 

小隊員1は私の提案に同意を示すようにライフルの弾倉を装填し、チャージングハンドルを引いて手りゅう弾をいつでも使えるように位置を変えていた。

 

準備というほどのことでもないけれど準備を終えると私は上り側を、小隊員1は下り側を担当して背中合わせになるような形だった。

 

銃声と同時に私たちの近くにアスファルトを抉る音が聞こえるが、まだ命中できる距離でも状況でもない。

 

あくまでも向こうの牽制射だが、これが緊張感を高めていき呼吸がまた荒くなっている。

 

しかし、妙に落ち着いているのはなんでだろうな。

 

敵は近づくにつれて徐々に命中がさらに私たちの近くに命中していき、ライフルのグリップを握っている手が汗で濡れている。

 

推定距離300~400mに迫まり、向こうも車両を停止させて敵歩兵がわらわら出てきたそのタイミングで初弾が頭を弾き飛ばして次弾で足を二枚抜きした。

 

その刹那、無意識に小隊員1を抱き込んで地面に伏せると地面に大きな衝撃が伝わり、先まで聞こえていた上り側の銃声が止んで南側の連中は何が起きたのか理解できないうちにまた地面に大きな衝撃が来た。

 

??<<こちらスプーキー、待たせたな>>

 

<<遅かったじゃないか>>

 

スプーキー<<トリニティは無事か?>>

 

立ち上がって周囲を確認しつつ空を見上げると青空に小さな黒点が大きな円を描きながら動いている。

 

小隊員1も立ち上がり、識別用ストロボを外して飛んでいる航空機に向かって振った。

 

通じたかは分からんがな。

 

すぐにヘリと共にわが社の車両が駆けつけてトリニティの再確保と無力化に取り掛かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

簡易作戦報告書

 

作成者:相模少佐

 

区分:

特別秘密A

情報開示不可

 

備考:詳細不明

 

作戦可否:実施

 

作戦判定:B-

 

作戦参加:

陸軍部門[SAC 対テロ大隊 3個中隊 310名]

海軍部門[なし]

空軍部門[第0航空団 クイーン隊 鮟鱇隊 10名]

海兵隊部門[機動衛生班 50名 即応第1大隊 100名]

宇宙軍部門[戦術偵察衛星班 30名]

総合戦略部門[諜報部 5名 工作員 8名]

 

 

損失:

作戦機[可変翼機×4機]

作戦参加要員:20名

      

簡易所見:

テロリストとは考えられない装備品と人員練度を有しており、小国家の陸軍に匹敵する能力である。自社への要請の1週間前まで国家公安委員会が発見できなかったことは不可解であり、大きなパトロンが支持していると推測することが妥当である。よって、諜報部による背景調査を実施することを具申する。また、特殊戦術兵器「トリニティ」に関する調査は引き続き実施する。

 

 

 

 

 

 

県立大洗女子学園学園艦

 

某所

 

日時不明

 

弔砲がODOが所有する功労者墓地を響き渡り、殉職(KIA)した社員(隊員)の葬儀が執り行われていた。

 

集団墓石には新たに20名の名前、階級と職種が刻まれている。

 

集団墓石の中央には『学園の自由と平和の代償をここに跡す

 

その墓石の前に20の棺が並べられており、遺族または隊員が列席していた。

 

学園艦生活は犠牲の上で成り立っている。

 

そして、我々傭兵の本領であり本文でもある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、我々には休む時間はない

 

続く・・・




次回予告

「緊急要請です」

「空挺部隊の安全な効果を支援しろ」

「警告!警告!敵増援部隊の接近を確認」

「機影は2機、高速で接近中」

「ここは私達が相手しよう」

「不快な鐘の音を止めるぞ!」

「心配するな■■■■■■に敵はない」

「我らの意思は絶えることなく、受け継がれるだろう」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

蒼天の希望と解放の鐘鳴 前編

今回は思ったより早く書けました。

ただ、展開があっさりしすぎているかもしれませんけれども、お楽しみください。


前回の作戦から間もないひと時の平穏はすぐに打ち壊された。

 

一本の電話で・・・

 

「聖グロリアーナ学園です。鎮圧要請w!!」プツンッ

 

「緊急要請です」

 

「ただちに全学園へ連絡しろ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「本日、12時SG6社は聖グロリアーナ学園艦の独立を宣言した」

 

「続報です。全国学園艦連合が緊急安全保障理事会を開き、多学連合軍の結成を審議」

 

「文部科学省の学園艦教育局が自衛隊に治安出動を要請したが、野党の反発により国会承認されず」

 

「やはり民間軍事会社の設立は過ちだ」

 

「与党は責任を取れ」

 

「責任を取れ」

 

「解散しろ」

 

「辞めろ!辞めろ!」

 

「多学連合反対!」

 

「暴力反対」

 

「平和的解決を」

 

「多学連合は緊急安全保障理事会の採決で聖グロリアーナ学園艦代表の拒否権発動により、否決された」

 

「学園艦独立運動の気運が高まっている」

 

「学生運動以来の混乱だ」

 

「全国学園艦連合は本日9時頃に県立大洗女子学園学園艦とサンダース大学附属高校学園艦に対して鎮圧要請し、受理された」

 

「現在、聖グロリアーナ学園艦の犠牲者はありませんが、何が起きるか分からない緊張感です」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小原SIDE

 

県立大洗女子学園学園艦学生用飛行場ブリーフィング室

 

某日

 

団司令「諸君、我々ODOは全学連(全国学園艦連合の略称)の要請に基づいて今作戦が立案され、ODO(大洗防衛機構)及びパトリオット社(サンダース大学附属高校の民間軍事会社)合同による、大規模な共同作戦計画の実行が決定した。両社を総称した民間軍事機構『連合軍』と正式命名。本共同作戦計画を『学園艦解放作戦計画第2号』と呼ぶ。本計画はの主目的は聖グロリアーナ学園艦の速やかな解放である。我々連合軍は学園艦を解放するため不法占拠しているテロリストの戦力を一掃せねばならない。相模少佐、あとの説明を頼んだ」

 

相模少佐「分かりました・・・今回の大規模共同作戦計画上、3つの作戦を同時展開する。1つは『アックス作戦』と呼称し、SG6社の航空部隊及び地上兵器を殲滅し無事に合同編成された空挺部隊の支援をするマルチ任務。1つは『クラーケン作戦』と呼称し、SG6社のチャーチル艦隊の殲滅する対艦攻撃任務である。1つを『ハンマー作戦』と呼称し、パトリオット社海軍部門『パトリオット第1艦隊』を中心とする艦船の護衛任務である。なお、艦隊には試験航行を目的とした最新鋭空母も含まれている。各作戦の割り振りとしてアックス作戦はヴィクトリア隊、クラーケン作戦は鮟鱇隊とパトリオット社の航空隊、ハンマー作戦はパトリオット社及びわが社の空母の艦載機である。どの作戦でもSG6社の激しい反撃が予想される。各員は慎重に遂行せよ」

 

まさか、前の職場を攻撃しに行くのは今までなかったな。

 

だが、それよりまさか行動がここまで早いことは想定外ではあるものの、よく考えると初戦敗退の責任を媚いていたOG会に問われてどうしようもなくなったからこの行動に至るのは必然だ。

 

やつの目的の表の目的は学園艦の女子を手中に収めることだが、真実を混ぜた嘘である。

 

もっと大きなことを達成するための橋頭堡にすぎないし、仮に気が付いたとしても天下の国家公安委員会でも手を出せない。

 

なぜなら証拠といえるものがないし、誰かの力で隠蔽されるから。

 

これは速やかに俺が手を出す必要があるとはいえど、まだその時ではない。

 

しかし、少しは彼女の顔を見れるといいがな。

 

最後はキチンと別れていないから、少しの不安はよぎるけれど問題はないとも考えている自分がいる。

 

ブリーフィングが終わって自機へ向かうため廊下に出ると長門と合流した。

 

長門<<運命とは時に残酷だな>>

 

<<そうだな、だが傭兵である以上はこういうことは日常だから割り切っている。ちょっとしたお礼参りと思えばいいと思っている>>

 

長門<<ならば良し、彼女の学校だからと少し躊躇すると思ったぞ>>

 

彼女なり心配しているのかは分からないが、中学生で転々としていた時代だと日常茶飯事だから慣れたというかお金を稼ぐためということで郷土愛だの学校愛というものは俺の中にはない。

 

今回もF-15Eで爆弾ではなく前回の作戦で使われた暗殺用ミサイルを対地兵装とした。

 

住宅街および学園などの攻撃禁止区域に展開されているSAM等の対空砲破壊により誘爆または殺傷範囲の局限化を図るためだ。

 

今回は一応爆発しても大丈夫な安全弾を使用するが、敵が安全弾関連の装置を無力化している場合は実弾ですることになる。

 

これが今回の作戦の一番最悪の想定となっていた。

 

長門は俺と同じ機体ではあったが、敵の飛行場を無力化するのに誘導爆弾を使う予定のようだ。

 

誰が後席の兵装システム士官を担当するのだろうと思っていたら知っている方がするようだった。

 

後席兵装システム士官<<あっ、前回ぶりですね>>

 

<<ああ、そうだな。そして、彼女に鍛えられているならあの落ち着きようと冷静さは納得できる>>

 

そう、AC-130を操縦したときの副機長である。

 

あのときの働きぶりはすごく、俺が久しぶりの大型機の操縦でも的確にサポートをしてくれた。

 

だが、少し難がある性格であることは俺の目の前で知ることになる。

 

後席兵装システム士官(副機長)<<お姉さま、よろしくお願いいたします。しっかりじっとりサポートさせて頂きますね>>ハアハア

 

これこれは、タイヘンナコトニナッタ(棒読み)

 

これでもかというぐらい長門に抱き着いて百合百合しており、完全に別人でなんなら変態気質でもある。

 

長門<<少し落ち着こうか、アッちょ分かったから一旦離れたまえ>>

 

隊長がこんなタジタジなのは初めて見たし、なんか面白いことになったということで頑張って笑いを堪えようとしたが、堪えられなかった。

 

<<俺は機体のチェックに入るので失礼します。ハハハハハ>>

 

長門<<お前!あとで覚えてろよ>>

 

どうやら、女たらしは伊達ではないようだな。

 

さて、奴の性格だと大まかに対空砲の位置は想定できるし、どういう航空部隊を繰り出してくるかもだ。

 

ただ、俺が来ることは知っているはずだから実弾を持たせた機体を忍ばしている可能性は否定できないな。

 

しかし、いくら考えてもあまり意味はなさそうだ。

 

どのみち、俺はまだ死ぬわけにもいかないんでね。

 

エプロン地区に待機している自機に乗り込んでエンジンを始動した。

 

 

 

 

 

 

聖グロリアーナ学園艦付近の海域

 

連合軍艦隊 ODO

 

グースフィッシュ艦隊 まや型護衛艦 まや 1号艦 艦長 湯浅次郎大佐 高校3年生

 

まったく、ある意味歴史的な出来事に巻き込まれるとは思わなかったな。

 

観艦式のように密集せず、各艦の距離は約5マイル間隔で離れており、空母と艦隊旗艦である戦艦を囲むような輪陣形で行動している。

 

戦う前なのに海は穏やかな波が見えて風もさほど強くはないが、空気はピリピリと張りつめていた。

 

総員戦闘配置を発令してから3時間経ち、レーダー画面の0時方向、つまり艦首の先には敵艦隊がいる。

 

それも戦艦が編成されている。

 

まあ、我々もアイオワ級戦艦2隻がいる時点でおかしいけれども、やはり戦艦にまわると怖いな。

 

いくらミサイルでアウトレンジ攻撃ができたとしてね。

 

連合艦隊司令官<<チャーチル艦隊の諸君、我々は全国学園艦連合に要請に基づいて行動している。貴官らはただちに武装解除をし、停船せよ。従わない者は撃沈する>>

 

これで聞くような連中ではないが、まあ一応メディアにはちゃんと宣告をしたという事実を示すために行っている茶番にすぎない。

 

敵艦隊艦隊司令<<艦隊各艦に告ぐ、正体不明の進路変更は認められない。これを敵と認め、敵艦もろとも海中へ没セシメヨ>>

 

??<<司令官、しかしこの戦いに意味はあるのだろうか。我々は不必要な戦闘はごめんなのです。どうか再考を>>

 

艦隊の進路を塞ぐような形で増速して曲がっているフリゲート艦らしきものが見えた。

 

やはり、この行動について疑問視している傭兵が多いとは聞いていたが、それはそうだよな。

 

我に従う艦は艦隊の邪魔をするフリゲート艦『リッチモンド2号艦を撃沈せよ』>>

 

艦橋見張り員1<<敵旗艦とその隣の1隻が砲をフリゲート艦に向けています!>>

 

艦橋内はざわついていた。

 

(おいおい、まさか仲間撃ちなんてことは)

 

現実は最悪な方へと向かっていき、この世に救いなんてなかった。

 

艦橋見張り員1<<は、発砲炎視認!>>

 

発砲炎は肉眼では見えないが、安全弾でやっていると願いたかった。

 

だが、違った。

 

艦橋見張り員1<<フリゲート艦がし、沈みます!>>

 

実弾で仲間を殺め、その黒煙は高く立ち上った。

 

この光景は一生忘れることはないだろう。

 

??<<こちらは栄えあるSG6社海軍駆逐艦『デアリング1号艦』、同僚の撃沈を命ずる艦隊司令官とは共に行動できない。我々は聖グロリアーナ学園艦の解放する。同意する艦は我に従え!>>

 

3隻のフリゲート艦や駆逐艦が増速して大急ぎで離れていた。

 

敵艦隊艦隊司令<<旗艦に従わぬ艦は攻撃する!>>

 

連合艦隊司令官<<各艦、合戦用意!離脱艦を守れ!離脱艦のIFFは変更済みだ、以上!>>

 

戦闘開始の合図が下され、戦闘機もすぐに発進した。

 

我々に迷いはない。

 

<<水上戦闘用意 安全弾で無力化せよ 安全弾で無力化せよ>>

 

敵空母及び旗艦をセットし、指揮系統を破壊することを最優先としている今回の作戦の第1目標である。

 

発射筒から最新鋭である17式艦対艦誘導弾が発射され、まっすぐ敵艦へと向かったとはいっても俺はCICにいるため、画面上でしか状況が分からない。

 

敵艦隊から大量のハープーンが表示され、速攻でECMを起動させてSAMもすぐに撃った。

 

赤い点が少しずつ消えていき、あと2、3点が残っていたが、艦隊防空が可能な僚艦あきづき型が片付けてくれた。

 

ソナー観測員<<ピンカー音、方位230 敵潜水艦と思われる・・・ 魚雷発射を確認2、3、4発です>>

 

砲雷長<<アスロック2弾発射、MOD(自走式魚雷デコイ)スタンバイ>>

 

だが、相手はかなり前から待ち伏せしていたのか、すぐに魚雷を撃ってきた。

 

<<最大船速 MOD敵魚雷に推定進路上に発射 不規則回避運動始め 短魚雷サルヴォ―(複数発射)マスカー スタンバイ>>

 

どこぞの空母なんとかという映画のような叫びに近い大声ではなく、冷静かつ淡々と物事の報告または命令が下される。

 

ガスタービンの甲高い音が伝わり、身体が船の方向変換の力でよろめきそうになった。

 

画面上には新しく点が追加され、我々の魚雷が新目標に向かっていたと同時に先刻撃った対艦ミサイルがかなり落とされたものの数本が生き残り、敵の空母に食らいつこうとしたが落とされた。

 

<<追加の対艦ミサイルを撃ってやれ デコイミサイルもだ>>

 

円形を描くように旋回して敵魚雷がMODに追走したが、1本がこちらに向かっているようだ。

 

MODを追加してどうにか誤魔化せたように見えたが、1つ目のMODが力尽きて追走していた3本がこちらを再探知していた。

 

ソナー観測員<<敵魚雷到達まで100m>>

 

<<マスカー始動しろ 回避行動継続>>

 

ソナー観測員<<敵魚雷到達まで50m>>

 

<<総員対ショック姿勢>>

 

ドーーーーーーーーーーーーーーン

 

左舷に大きな爆発が伝わった

 

ドーーーーーーーーーーーーーーン

 

右舷にも大きな爆発が伝わったが、残りの2本は迷走を始めた。

 

<<ダメコン 被害は>>

 

ダメコン<<左舷右舷機関室付近浸水あり ダメコン班を向かわせている バウドームに軽微な損壊あるも支障なし 被害は安全弾による判定>

 

思ったより被害は少ないし、まだ向こうには良心が残っているのかは知らんが安全弾でやってくれたことは助かった。

 

()()()()()はまだ最悪の想定ではないが、まだ油断はできない。

 

そう思っていると画面上では敵の航空部隊が接近中で対艦ミサイルも放たれており、ECMも効いている様子はなかった。

 

どうやら、かなり敵さんは本気らしいな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

聖グロリアーナ学園艦の付近の空域

 

長門SIDE

 

なんとか後席兵装システム士官の子を落ち着かせて聖グロリアーナ学園艦に向かって超低空で侵入している最中だった。

 

この子は私がODOに来て2年生になった時にある任務で複座機を使わざるを得なくなった時に団司令が推薦してきた。

 

私がまだ軽度男性不信であったことを配慮した人選ではあるとはいえ、1年生を寄越してくるとは予想外である。

 

だが、いざ一緒に任務をした時に冷静に物事を遂行して分からないことを教えるとすぐに覚えて的確な動きをしてくれる優秀な子だった。

 

任務を熟していくうちになんでか『お姉さま』と呼びはじめて、おかしくなったんだ。

 

なぜかは分からない。

 

優秀な子なのになぁ・・・

 

ヤタガラス<<間もなく、作戦空域に入る。空挺部隊が安全に降下できるように航空部隊の撃破および対空兵器の破壊を最優先に行え>>

 

<<了解>>

 

急上昇して学園艦の上空に上がって高度を稼ぐと誘導爆弾を飛行場の滑走路と格納庫に落として破壊した。。

 

敵地上要員<<敵機襲来!レーダーはなにをやっていた!>>

 

遠回りで接近して奇襲に近い形は取ったが、向こうには予想外の攻撃だったようだ。

 

小原は対空兵器を破壊したが、近くにパトロール中の敵航空部隊と交戦して墜としていった。

 

我々は安全弾でしか攻撃できないが、敵はどうかは分からない。

 

アラートのバンカーから戦闘機が出てきたところを確認すると容赦なく爆弾を投下し、旋回して管制塔を機銃で黙らせた。

 

これで基地機能はだいぶ奪うことに成功し、敵の更なる増援はないはずだ。

 

<<スレイブ1、対空兵器を頼んだ。私は空挺部隊の脅威となる地上戦力の無力化する>>

 

小原<<スレイブ1、了解>>

 

対空兵器は病院などの攻撃禁止目標を盾にしているが、残念ながら暗殺用ミサイルで周囲に被害を及ぼすことはない。

 

レジスタンス<<見ろ、SG6の連中が逃げ回っているぞ。鐘を鳴らせ!反撃の時が来た!>>

 

商業施設と思われるエリアに展開されいる戦車隊と歩兵の連中を吹き飛ばしていると、わずかながら鐘の音が聞こえる。

 

ビッグベンを真似たセイントベンの鐘か・・・

 

輸送機<<こちらマザーバード1、降下は可能か?>>

 

<<ネガティヴ>>

 

大急ぎでかなり良いペースでやっているとはいえ、回避しつつやっているから時間はまだかかる。

 

マザーバード1<<了解、だが急いでほしい。空挺の連中が早く降下させろとうるさくてね>>

 

血の気が多いというか殺る気がみなぎり過ぎだ。

 

空挺要員<<お前たちはなんだ!飛ばなければ価値のない連中だ!!>>

 

陸戦屋はどうあっても私は好かんな、この熱血系は。

 

パトロールから引き返してきた戦闘機が次々と接敵してきたが、ろくな装備もしていないおかげですぐに墜とした。

 

小原<<こちらスレイブ1、対空兵器を排除した。降下可能だ>>

 

これでアックス作戦の要である空挺部隊が降りられる。

 

 

 

 

 

 

 

聖グロリアーナ学園艦上空

 

パトリオット社空軍部門 第1空輸航空団 C-17 グローブマスターⅢ機内

 

陸軍部門特殊部隊「特殊空挺騎兵隊Special Airborne Cavalry」通称:SAC

 

桐生院瑠衣少尉 第1中隊 A小隊 小隊長

 

 

 

あれから小隊員が二人補充されて、私は訓練に明け暮れてると今回の任務の招集がかかった。

 

先まで機内の4列のシートで缶詰め状態で座っていたが、ライトが点灯してラインにパラシュートフックをかけてゴーサインが出るのを待っている。

 

我々のほかにパトロール社の第1海兵即応遠征隊も同乗しており、過去に合同演習をしたことのある部隊だった。

 

即応と呼ばれるだけあって、24時間以内に展開可能な精鋭部隊である。

 

実際のアメリカ海兵隊から指導を受けているという噂があり、実力は折り紙付きだ。

 

<<コース良し! コース良し! 用意! 用意! 用意! 降下! 降下! 降下!>>

 

私は今回の降下長を任されて立っている。

 

降下のタイミングがズレないように管理して止まりそうになったら背中を蹴ってでも動かせる。

 

一定間隔で人を降下させつつ、ワイヤー等に引っかからないようにして全員が出たあとに最後の務めを果たした。

 

<<反対扉!機内良し!お世話になりました!!>>

 

ロードマスターに敬礼して飛び出すとすぐにパラシュートが開いて、その衝撃が身体に伝わって痛みが少し走る。

 

綺麗なパラシュートの隊列があちこちで見え、次に学園艦と深い青色の海が広がっていた。

 

(任務でなければどれだけ綺麗だっただろう)

 

今は所々に黒い煙があがっており、とても平穏な波とは合っていなかった。

 

微風であり、目標降下地点から大きく外れることはないようでそのまま着地姿勢になると足から地面に伏して衝撃を逃がしきるとすぐに立ち上がってパラシュートを回収して軽く畳んでその他の機体がLAPES方式で降下させたM1128 ストライカーMGS、16式機動戦闘車や装甲車などの周囲に集合してすぐに点呼で人員掌握後に各装輪式自走砲を盾にして後ろについていった。

 

我が隊は学園地区の解放であり、すぐに向かった。

 

住宅街を通り抜けて学園へ通じる広場と商業施設エリアに到達すると、ストライカーMGSの105mm戦車砲が火を噴いてバリケードを破壊して進んですぐに敵と交戦した。

 

降下してからそうだが、ずっと鐘の音が鳴っていた。

 

道中は敵の抵抗にあっていたが、迅速な近接航空支援のおかげで大きな損害なく学園地区まで進むことができた。

 

学園地区の前には敵と張り合っていた別勢力がおり、SG6社のマークを塗りつぶして聖グロ学園の校章をしていた。

 

??<<連合軍か?!>>

 

<<そうだ、貴官らは?>>

 

彼らはどうやらSG6社の行動に反発した反乱軍であり、生徒の保護を最優先にしている。

 

戦力は多くないため、我々の到着まで粘っていた。

 

学園内にはまだ多くの生徒が残されており、内部の状況も分からない状態である。

 

そのときに学園の校舎の角からチャレンジャー2のシルエットらしきものが見え、ストライカーMGSを狙っていた。

 

<<伏せろーー!!>>

 

その刹那、大きな轟音と共にチャレンジャー2らしきものが吹き飛ばされた。

 

借りは貸したぞと言わんばかりのタイミングで、華麗に飛び去っていった。

 

<<脅威は去ったぞ、突入!!>>

 

戦車が失って混乱している隙に突入するとあっさりと校舎内に進入でき、一部の教室にいた生徒の保護に成功した。

 

私は学園のさらに奥に進むと戦車道科のエリアに入り、クラブハウスの前で銃撃線している連中を見つけて超小型偵察ドローンを飛ばして様子を探った。

 

かなり粘っていたのか、コンクリートは抉られて血だまりもあった。

 

このままでは不味い。

 

敵は7名だけでまわりに彼らが隠れ障害物はあるにはあるが、牽制射している間に別方向から突けば問題ない。

 

突入班と火力支援班に分けると火力支援が軽機関銃で敵を伏せさせて、私を含めた突入班で敵の後ろを突いて殲滅した。

 

中の抵抗している連中に誤射される可能性があるため、ゆっくり近づいていくとクラブハウスの玄関先のバリケード内で倒れて大量出血している反乱軍と思われる隊員3名が痙攣しており、非常に危険な状態である。

 

<<メディック!!止血剤と輸血パックだ!急げ、死ぬぞ>>

 

大急ぎでパラメディックを要請していると中にいる連中が銃口を向けながら恐る恐る出てきた。

 

<<敵ではない、連合軍だ。ほかに負傷者はいないか?>>

 

そういうと安心したのか腰を抜かしてしまったようだ。

 

よほど長い間戦っていたせいで力なさげにしており、弾薬は少しで底を尽きるところだった。

 

反乱軍<<我々より中にいるお嬢様方の保護を・・・>>

 

そう言いながら倒れた隊員を受け止めて小隊員10に渡して中に入ると外の惨状とは変わって綺麗な部屋で丸テーブルの下で蹲っている生徒を見つけた。

 

<<外の敵は排除済みだ。出てきてください>>

 

そのとき無線が騒がしかった。

 

作戦本部<<全軍はただちに回避行動に入れ!!空から来るぞ!>>

 

艦隊旗艦<<まや型1号艦にレーザー直撃、轟沈!>>

 

おいおい、レーザー兵器?

 

??<<アークバードが降りてしまったのね>>

 

蹲っていた生徒の一人がポツリと言った。

 

<<アークバード?なんだそれは>>

 

??<<大気機動宇宙機、弾道ミサイル防衛のための装置ですわ>>

 

その旨を作戦本部に伝えると航空部隊が対処に当たるようだ。

 

スレイブ1<<こちらスレイブ1、アークバードを無力化する>>

 

この声はあの時のパイロットだ。

 

??<<ッ!!>>

 

一人が大きく反応していたが、私は作戦本部の指示を仰いでていたから気がつかなかった。

 

??<<あなたはそこにいるのね・・・>>

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

??<<ゲルプとオヴ二ルが奴らに倒されたそうだな>>

 

 

??<<心配するな アークバードに敵はない>>

 

 

 




次回は時間かかりそうです。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

蒼天の希望と解放の鐘鳴 中編

申し訳ございません。

リアルが忙しくて執筆をする余裕がなかった。


アークバード出現の少し前・・・

 

 

 

 

小原SIDE

 

空挺部隊が降下を始めてから10分後くらいに住宅街、商業施設が次々に解放されたが学園地区の解放は時間がかかっている頃に学園地区の上空を通ろうとした時に戦車が見え、明らかに特殊部隊の連中に歯向かおうとしている敵だったからすぐに緩やかな降下でミサイルを放って、留めを刺すために機銃で吹き飛ばした。

 

その直後だった。

 

ヤタガラス<<警告!警告!敵増援部隊の接近を確認>>

 

<<お出ましか>>

 

長門<<今更か>>

 

敵の司令部への猛攻はすでに始まっており、学園艦のあらゆる地区が次々に解放されている。

 

そして、内部からも裏切り者が続出していた。

 

そんな今更なことは奴の性格上・・・

 

いや、今後の展開に向けパフォーマンスか。

 

だが、それはさせない。

 

ヤタガラス<<機影は2機、高速で接近中>>

 

長門<<ここは私たちが相手しよう>>

 

心なしか、セイント・ベンの鐘鳴が聞こえたような気がした。

 

 

 

 

 

??<<ゲルプ2、不愉快な鐘の音を止めるぞ>>

 

??<<こちらも2機 好都合だ>>

 

綺麗な交差をしながら高速でヴィクトリア隊に向かった。

 

 

 

 

これは厄介なことになってしまった。

 

ゲルプ隊は元第444飛行隊で支援航空隊の中でも強い二人組で俺でもかなり苦戦した記憶があり、一時期解体の危機という噂があったが、彼らが戦闘狂であってその他のことに関して興味をもっていなかったことが幸いだったのか、あまり目をつけられることはなかった。

 

異例なことに志願して、支援航空隊に入ってきたやつで入ってきた当時からかなりの腕前だったはずだ。

 

ユーロファイターに馴染めなかったのは分からないけれど、そこまで名の知れるほどの腕前ではなかった。

 

だが、私が彼らの癖を見て機種を変えてみたらどうだと言って、Su-37に乗り換えた瞬間化けた。

 

いや、化けると表現するには足りないほどの豹変だった。

 

Su-37独特の機動性とカスタマイズされた特殊な誘導弾によって死角がなく、練習試合で15機を相手に彼ら2機で全機撃墜した猛者だ。

 

そして、コンビネーションも加わると無敵と言っても過言ではない。

 

第9回全高戦で起用したときにそのコンビネーションを轟かせた二人組であり、同性愛者の疑惑が絶えないほどの連携力である。

 

長門<<すまないが、1機を引き付けてくれるか>>

 

俺を囮として飛ぶ間に墜とす算段か、悪くない。

 

<<スレイブ1、了解>>

 

隊長機(以降はゲルプ1と表記)の方にぴったりと近すぎず遠すぎずの距離を保って張り付いた。

 

至近距離で追尾すると彼の特殊誘導弾が速攻で飛んできて墜とされるキルゾーンで、かなりそれが難しくて困る。

 

そして、二番機(以降はゲルプ2と表記)からロックオンはすぐに来て警報が鳴って緊張感を増し、呼吸が少しずつ荒くなって手に汗を握り、一瞬もミスも許されない。

 

その刹那、ゲルプ1がダブルクルビットのあとにハンマーヘッドをやられてオーバーシュートをしてしまった。

 

ごく一部の機体にしかできないことを平然とやってのけて、敢えて大きく失速してからのリカバリーの能力と腕前は流石だなと舌を巻くしかなかった。

 

推力偏向ノズルを持たないF-15Eは持ち前のドッグファイト能力で乗り切るしかないはずだが、どうにかなる。

 

インメルターンからのハイ・ヨー・ヨーをしてもやはり振り払えるはずがないが、後ろに張り付いていることを確認して、ミサイルをフレアで一度回避してスプリットSとシャンデルで上昇して木の葉落としをするともうゲルプ2がこことぞばかりに撃ってくるが、クイーンがゲルプ1を狙うふりしてゲルプ2にミサイルを放った。

 

だが、さすがに当たらなかった。

 

その次に機銃で牽制して一発無誘導のミサイルで行先を狭めたところでゲルプ2はコブラとクルビットをコンバインした技で来て、ロックオンから外れた。

 

クイーンは速攻でゲルプ1の背中を追った。

 

けたたましい警報音がなり、1秒もしないうちに急降下を開始した。

 

[WARNING] MISSLE

[WARNING] PULL UP

 

無機質な女性の声が淡々と事実を告げて計器類も異常な回転の仕方をし、身体を押しつぶすようにかかるGに負けぬように踏ん張って操縦桿を離さまいと握りこんで迫りくる地面、正確には学園艦の甲板だがな。

 

主翼も兵装とミシミシという悲鳴をあげて限界が近づいており、次にオーバーGの警報がなりそうだ。

 

そんな中で何者かが無線に割り込んできたが、誰かは分かっている。

 

ゲルプ1<<やはり、一撃では墜とせないか>>

 

<<伊達に隊長はやってないさ>>

 

ゲルプ1<<その余裕もか・・・だが、次で墜とす>>

 

これは本腰を入れないとな。

 

急旋回の連続にナイフエッジからスプリントSからのインメルマンターンを決めても一定の距離を保って追尾し、次のマニューバに入ろうとしたタイミングでダブルクルビットを仕掛けてきたが、こっちのロックオンの方が早く終わって、ミサイルを撃ち込んでエアブレーキで敢えて急な失速を起こして木の葉落としにちょっとアレンジを加えて機銃を撃った。

 

ゲルプ1は後ろミサイルにダブルクルビットの際にミサイルを撃って機銃だったが、すべてが外れた。

 

ゲルプ1のSu-37は判定上機体が大破に炎上のため、完全破壊ということになった。

 

ゲルプ2<<隊長!・・・墜とされた?>>

 

長門<<よし、もらったぞ>>

 

長門はゲルプ2がわずかな動揺をしているその隙にミサイルと機銃を撃ち込んで撃墜した。

 

だが、まだ終わらないらしい。

 

ヤタガラス<<当空域の脅威 ゼロ・・・と言いたいところだが、追加の敵機だ。方位110 Su-35 4機>>

 

 

 

 

 

 

 

 

東から綺麗な4機編成の編隊が乱れが一つもなく、高校生とは思えない飛び方をしていた。

 

??<<こちらオヴニル2、本当に隊長なのか?>>

 

??<<オヴニル1、そうと言っているらしい。『死神』が戻ってきた>>

 

??<<まさか、ここで再会するとはな。違う形で会いたかったな>>

 

??<<空戦で確かめるぞ。『死神』がこの世に戻ってきたのか>>

 

バレルロールをしながらブレイクしてこちらに真っ直ぐ飛んできた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゲルプ隊の次にはオヴニル隊とは、いやな詰め合わせだな。

 

支援航空隊の教導隊的な存在であり、他校への指導を行うほどの実績がある。

 

プラウダの民間軍事会社『アイザック社』空軍部がメインでその他のソ連またはロシア軍機を保有する民間軍事会社を担当していた。

 

無人機と間違えられるほどの模範的な戦闘機動であり、ツーマンセルでジワジワと敵を追い詰めていくスタイルをとっている。

 

敵としてもゲルプ隊とは違う意味で相手にしたくない人も多く、本当に基本的な飛び方で詰めてくるからトラウマになった奴も少なくない。

 

だが、変態的なマニューバも使うから質が悪いのだ。

 

大会では狭い山や谷の間を綺麗に飛ぶ命知らずで、ゲルプ隊とは違う意味で機体性能を最大限に引き出している。

 

さて、どうするか。

 

敢えてツーマンセルの形になった瞬間に乱したその隙に1機を墜とす算段で行くか、お互いに尾行してくる敵機を攻撃位置に誘導して墜とすか。

 

やり方はほかにもあるだろうがな。

 

長門(隊長)がどう決断するかで変わってくる。

 

長門<<すれ違い撃ちできるな。やるぞ>>

 

<<スレイブ1、了解>>

 

ソーティーは多くはないけれども、彼女の背中を任された以上はその期待に応えよう。

 

自分たち側から見て右翼にいる2機に向かって飛びこんで1機を追いかけて、後ろにもう1機がいることを確認した。

 

急旋回や昇降の蛇行を繰り返すシザーズの状態にさせて、後ろにいる1機にやられないように適度に急旋回しながら前にいる1機にロックオンをする。

 

そして、レーダーで長門の位置を確認してシャンデルで一気に進行方向を変えてオーバーシュートを起こさないように適度に速度を調整し、誘導していることを悟られないようにした。

 

長門?<<私と君の専用チャンネルだ。セイントベンで墜とす。タイミングは分かっているな>>

 

誰かが急に割り込んできたと思ったら、見慣れない周波数で長門が通信してヒットポイント(攻撃位置)について指定してきた。

 

ハイ・ヨー・ヨーで敵機を追い詰めてながらセイントベンへと誘い込み、あとはそれとなく蛇行しながら長門が順調に近づいてきていることを確認するとロックオンを前の敵機から外す用意をした。

 

翼を振り、最後が右で終わったことを確認してすぐに向かいからやってくる敵機にロックオンしてもうすぐ交差するというところでミサイルを放って左に逸れて大きく旋回すると策が成功し、2機が撃墜判定を示すスモークを放って墜落(最寄の飛行場へ着陸)していた。

 

後方からはミサイルが来ていたが急上昇で太陽に向かい、ミサイルが迷走して墜ちた。

 

反乱軍1<<オヴニルを墜とせる奴と言ったら・・・>>

 

反乱軍2<<俺も考えていた・・・『死神』・・・>>

 

オヴニル1<<あの程度のことじゃ、隊長には失礼だったな。俺となら満足してもらえると思うがね>>

 

あとは前にいる敵機を追い回すだけのように見えるが、ここからが問題だ。

 

基本に忠実とは言ったが、こいつらは変態機動を決して嫌っているわけではない。

 

だからこそどうするかが読みにくいし、対応の後手になりやすいがそんなことで遅れをとるわけにはいかない。

 

なぜなら、私は彼らの()()()()()をしていたからな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

某所

 

SG6社航空宇宙軍部門 技術開発部研究検証班 大気機動宇宙機アークバード

 

元SG6社所属 航空宇宙軍部門 技術開発部研究検証班  アークバード隊 

 

鉢村武夫大尉 機上整備班 班長

 

 

 

 

 

種子島宇宙センターから打ち上げられたマスドライバーで物資補給定期便だったはずのものに封印されていたレーザー増幅装置とともにSG6社の顔をした敵が乗り込んできた。

 

まともな反撃手段を持たない我々はあっという間に制圧されてしまい、レーザー増幅装置の取り付けと攻撃に必要な操作を強制的にさせられていた。

 

反抗するものは容赦なく殴られて実弾で足や手を撃ち抜かれて脱出ポッドに閉じ込められ、恐怖が機内を支配している。

 

だが、私と一緒にいた数名は隙を見て敵の見張り兵をモンキーレンチで叩きのめしてサブマシンガンを奪い、すぐに行動に移った。

 

狭い機内で慎重に歩きながら見張り兵を倒して姿勢制御管理室に向かい、その道中に非常用武器庫から武器と弾薬をふんだんにとって目的の部屋に何事もなく着いた。

 

<<最低でも機体のピッチを下げるぞ、地上の連中に破壊してもらおう>>

 

制御盤の蓋を外して操縦系統に点検用の装置を取り付けて時限爆弾方式で主導権を一時的に剥奪するウィルスを仕込むために、今回のような緊急事態に用意された非常時チップを読み込んだ。

 

しかし、敵の無線の様子では我々が監視下から逃れたことがバレてしまったようだがまだあと最低3分は欲しいが、厳しいかもしれない。

 

班員1<<班長、時間を稼いできます>>

 

万一の事態に備えて気休め程度の酸素ボンベと軽作業用宇宙服を装着してできる限りありとあらゆる罠を仕掛けた。

 

銃声が聞こえ、連中が近づいていることがはっきりと分かる。

 

()()には悪いけど、こいつは本気で壊しに行く勢いで降下させないとすべてが最悪のシナリオになる)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

回想・・・

 

半年前

 

 

 

 

 

支援航空隊の隊長がこのプロジェクト『アークバード』を提案し、技術開発部研究検証班が5年前から構想および設計をしていたものに改良を加えたことでわずか数か月で建造された大気機動宇宙機の機上整備班の班長として、任された時、隊長がわざわざ挨拶をしに私の前に来た。

 

「このアークバードはただの先進技術実証機ではない。核兵器と同じように使用者の意思に委ねられる。だからこそ、君たちには大きな負担を強いることになる。しかし、あなた方整備員がいなければ()()()()運用もできないし、最悪の使われ方を阻止する最後の砦である。そうならないために私はできることをする。アークバードを任させた。そして、アークバードが敵に陥ることがあれば容赦なく破壊してください」

 

アークバードができた当初から周辺国から大きな反発を生み、国際問題に発展した。

 

それは当然のことだ。

 

BMDの新たな形でかつてのスターウォーズ計画を彷彿させるような代物であり、そのレーザーは弾道ミサイルや人工衛星を跡形もなく安全に破壊することができる。

 

レーザーは増幅装置によって地上に達するだけに留まらず、ほぼ迎撃されることなく長時間で高威力のレーザーを照射でき、水中にいるものまでも破壊でき、逃れることはできない。

 

周辺地域のパワーバランスを覆すものとして、国内外でも即時破壊のムードだった。

 

だが、あくまでも学術目的であることをアピールするために増幅装置の封印式は在日米軍立会いの下で行われ、NASAの監督下で定期的な立入検査をするほどの徹底ぶりでレーザーはあくまでも宇宙デブリおよび小隕石の破壊という平和的利用となっている。

 

アークバードを守ったのは提案者である支援航空隊の隊長だった。

 

本来は建造をした技術開発部研究検証班がするべきことであったが、本人は提案者であるというだけで各所に奔走した。

 

それは社内では有名な話で、アークバードの恩人と言える人が我々アークバードに乗る関係者全員に頭を下げていた。

 

私、いや、班員たちも驚いていた。

 

偏見でもっと横柄なイメージを持っていたというのも第444飛行隊の連中がそうだったから。

 

しかし、支援航空隊は違ったらしい。

 

決して粗相はなく、謙虚でありながら間違ったことをはっきりと指摘できる健全な人達の集まりとは一応耳にはしていたものの、簡単には信じられなかった。

 

だからこそ、支援航空隊の隊長は衝撃的な出会いだった。

 

聖グロリアーナ女学院はOG会と伝統という名の鎖で縛られていて、まともな人材が追い出されるか自ら出ていくかの二択しか存在しないような場所であったからなおさら記憶に残っている。

 

本当に最悪なことになれば我々だけでアークバードを葬る覚悟はできていると、この時決意した。

 

 

回想終わり・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時間にして約4分が経ったが、まだ俺は生きていて、負傷者はいるものの死者はまだ出ていない。

 

そして、ピストルとサブマシンという貧相な装備の割にどうにか敵を撃退できたことが驚きだった。

 

班員1<<班長、敵を撃破出来ました>>

 

<<そうか、こっちも仕込みが終わった。大急ぎで脱出ポッドに向かうぞ。途中で拾って帰れる隊員がいれば担いでいけ>>

 

班員1<<はい!>>

 

それからすぐに廊下を出て、真っすぐ脱出ポッドがある機体の真ん中の後方よりに向かって途中にある物資はすべて持てる範囲で持ち運んだ。

 

脱出ポッドには敵に反抗した負傷者が多いと予想されるが、たぶん脱出する人員分のスペースは残っているはずと思いたい。

 

俺や機上員ではないと分からない緩やかな降下が始まっており、通常よりも更に低い高度になるはずだがこれではまだ戦闘機部隊やミサイルでは届きにくい。

 

隊長は追い出されたけど、こんな事態には必ずくるはずだ。

 

彼しか墜とせない。

 

この鳥をな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

長門SIDE

 

オヴニル隊との格闘は久しぶりに楽しかったというのはおかしいかもしれないけど、本当に心が躍った。

 

SG6社の司令本部が陥落し、事態は収拾で来たように見えたがまだ妙な胸騒ぎを感じるのはなぜだろう。

 

小原<<クイーン、まだ奴がこんな終わり方をするはずがないと思うのは気のせいか>>

 

やはり、小原も違和感があるようだ。

 

<<やはりか、こんなあっさりと事態が終わらん>>

 

小原<<って?!、クイーン、最悪のシナリオになったかもしない。急いで着陸する>>

 

<<スレイブ1、どういうことだ?>>

 

小原<<降りてから説明する>>

 

小原の言う通り急ぎでSG6社が管理していた飛行場の管制塔の周波数に合わせ、指示を受けて反乱軍が復旧した滑走路に着陸してエプロン地区に駐機した。

 

すぐに整備員がこちらに駆け出して梯子をかけくれて降りると小原が整備員に囲まれていた。

 

整備員1<<隊長!!おかえりなさい!!!待ってました!!!!!>>

 

小原<<待て待て、もう隊長じゃないぞ>>

 

整備機付き長?<<お前ら、落ち着けてさっさと隊長の機体を整備しろ。早くしねぇと殺すぞ!!>>

 

飛行場幹部?<<隊長、お帰りなさい。盛大に迎えたいところですが最悪の事態になりました>>

 

最悪の事態とはなんだという疑問が尽きないが、小原の顔を見ている限りかなり深刻な問題であることは間違いない。

 

<<やはりか、機体の整備は間に合うか?>>

 

整備員3<<隊長の愛機なら3格(第3格納庫)で整備済みです>>

 

整備機付き長?<<整備員3!でかした!!よし、急いで引っ張り出せぇい!!対空兵装とSTOL補助ブースターもだ>>

 

小原<<だから隊長じゃないぞ・・・>>

 

なんか小原が可哀想になってきたが、ここのみんな彼に対して狂信だけど、全幅の信頼をおいているのが分かる。

 

でも、これ隊というより団編成のようなきがするのだけど、気のせいかなと思ったが疑問を解決してもらうのが先だ。

 

<<最悪の事態って、なんだ?>>

 

それを言った刹那、空から眩い閃光が海のどこかに刺さって大きな爆発を起こした。

 

小原<<クソッ!もうアークバードが来てしまったのか>>

 

頭が現実を理解してくれなかったが、視覚と聴覚がむざむざと現実を焼き付けてくきて少しの間思考が止まってしまった。

 

<<おい、まさかなのか>>

 

小原<<ああ、どうやら奴は()()を整えに来たな>>

 

滑走路から離れた一角から大量のミサイルが飛んでいき、雲の隙間から大空へと飛んでいた。

 

だが、それはとても届きそうになかった。

 

なぜならアークバードは先進技術実証機とはいえれど、世界最強のBMD候補に挙がっている大気機動宇宙機だからだ。

 

マスドライバーによる定期補給または軌道変更時での一時降下でしか攻撃できないけど、それでもなお高度があまりにも高い上にすべてのミサイルがレーザーで迎撃される。

 

これをどう墜とせというのだと0空団内では話題になっていた。

 

そうこうしているうちに小原の機体が来たが、目がなぜか可笑しくなったような感じだった。

 

黒単色塗装なんだろうけど、表面反射防止塗料にもしても光を吸収しすぎだが、それより特筆すべきのなのが機体だ。

 

マクドネル・ダグラス社の傑作機であるF-4ファントムⅡまたの名F-110スペクターだったりするが、こいつはもう自衛隊でも退役になったばかりで、ほぼ飛んでいない老兵であるのだが、私に知っているのとはずいぶん異なっている。

 

グラスキャノピーにコンフォーマル・フューエル・タンクでF-4シリーズにはない装備品だった。

 

<<なあ、あんたの機体は私が知っているファントムとは違うんだが・・・>>

 

小原<<ああ、それはそうだ。こいつは俺が無茶を言って作ってもらった機体だ。フライ・バイ・ワイヤにアクティブ・フェーズド・アレイ。レーダー、アナログ計器と液晶ディスプレイの混合し計器関連とHUDにF-15やF-16と同等の出力のエンジンを搭載したものだ。さらに現在使用されている兵器に対応したアビオニクスの搭載とそれに合わせた特注のパイロンとハードポイント・・・ざっとこんな感じの改造を施して、F-4Z(架空機)と俺は呼んでいる。あと、塗装は表面反射防止塗料で光吸収率90%以上の黒色を使っている>>

 

はあー・・・

 

こいつは馬鹿じゃねぇのと言いたくなるが、これはロマンの塊だな。

 

ワクワクするぞ。

 

そして、今の今まで存在を忘れられていた後方士官の子は開いた口が塞がらないと言わんばかりの驚きを見せていた。

 

私の弟子はどうやら()()鹿()()()らしい。

 

 

 

 

 

 

 

続く・・・

 




次回もかなり投稿が遅れるかもしれません。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

番外編1「風邪」 前編

本編が殺伐としているので、番外編では少し日常的なエビソードにする予定です。

※本編と連動しています

今回は短いです。


長門と一緒に勤務してすぐのことで、()()でもそうだが自己管理が完璧だったはずなのだが、その彼女が風邪を引いてしまったらしい。

 

団司令は「天変地異」というほどであるものの彼女の人間なのだからと言いたいけど、俺も人のことは言えない。

 

ということでアラート勤務に上番する予定するつもりで準備していたら団司令から彼女の面倒を見れる人がいないから俺が看病しろと言ってきた。

 

アラート勤務は団司令に入っていただくのは良いけど、女子寮に立ち入ることが出来ない・・・当たり前だがな

 

その旨を伝えると『そのについては大丈夫だ。寮長には一言言ってあるから逝ってこい』と、いや待て漢字を間違えてないか。

 

急に不安になってきたが、命令である以上は拒否するわけにもいかず頭を抱えながら最寄りのドラッグストアで必要なものを買って女子寮へと歩いた。

 

基地を出るときは後席兵装システム士官(副機長)に親の仇のように睨まれて血涙を流しており、俺は帰ったあとがとても不安である。

 

平日の朝だからか人手が少なくて航空機のエンジンが鳴りびいており、娑婆にいる感じがしない。

 

スーパーに入ると流行の音楽とイラっとなる販売促進のアナウンスの中でゼリー、スポーツ飲料、風邪薬、冷却シートと軽い食べ物の材料などを買い物かごに入れて、途中で自分用のマスクを忘れずにレジに立った。

 

有料になってしまったレジ袋を一つと現金払いを言うと商品とレジ袋が入っている精算済みのかごを渡され、セルフレジ6番を指し示される。

 

人はいるものの独身のシフトワーカーと思われる方ばかりで一応学生である俺は場違い感を感じつつレジ袋にものをつめた。

 

本当にどうしてこうなった・・・と心の中で嘆きながら基地についで厳しく警備されて学生寮とは思えない殺伐として一角に入り、男子寮のより奥にある目的地に着いた。

 

中に入ると淑やかな中年の女性が出迎えてくれてスリッパと入寮許可書を渡され、長門の部屋まで案内された。

 

女子寮は思ったよりも可愛らしさがあるもののこの中も軍事施設であることに変わりないことを強調するかのように鎮座する空軍部門の旗や武器保管庫が見え、物の配置が殺風景である。

 

2階の中央辺りにくると215号室と長門の名前が書かれた札のドアの前に止まった。

 

寮長「ここが長門大尉の部屋、用件が終わり次第内線で呼んでください。私はまだ仕事が残っていますので失礼します」

 

迷彩服にエプロンは本当に合わないなと思いながら呼び鈴を押すとドサッという落下音が聞こえて少し心配になったところでガチャリとロックが外れる音と共にドアが開かれ、死にかけている長門の顔が見えた。

 

長門<<雄二か・・・なんでこんなところにいる>>

 

<<団司令に看病しろとな、ってとりあえずベッドに戻ってくれ。立つのは辛いだろう>>

 

マスクを買ったのにつけ忘れたが会ってしまったら今更だからこのままで行くとして、歩かせるのは可哀想だから一言言って抱き抱えてベッドに寝かせる。

 

何かを呟いていた気がするがとりあえず、レジ袋からゼリーとスポーツ飲料を取り出して、ベッドの近くにあったテーブルに置いた。

 

長門<<わざわざ買わなくてもなかったのに>>

 

<<看病するんですからこれくらいは持ってきますよ。そして風邪薬は飲んだか?>>

 

反応がなく、ベッドの方を見るとよほど疲れているか、風邪引き慣れていなかったのか、死んだように寝ているが顔はかなり穏やかだった。

 

弟子時代に彼女の無敵の伝説を聞くほど、彼女はどんなことしても

引かなかったのに、今回は初めて引いている。

 

いや、もっと前に引いているだろうけど、少なくとも俺が聞いた噂では一度も風邪で休んでいない。

 

彼女の額に手を置いて熱を確認すると少し熱かったから冷却シートを貼って、眠っているとはいえれど一言言ってキッチンに立った。

 

料理したのは何ヶ月ぶりだろうか。

 

いや、あれを料理と言って良いのだろうかと疑問に思った。

 

配られるというか破棄されるレトルト、カップ麺や冷凍食品に少し手を加えただけの代物だから料理とは言い難いな。

 

やばい、ここに来てどうやって料理をするのか分からん!

 

ええぃ、ここあれを使うしかない。

 

見せてもらおうか、クックパッ◯の性能とやらを、、、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして体調不良(風邪)の原因であろう異様な程に黒く塗りつぶされた家族写真が目に入ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

長門SIDE

 

昨夜の記憶があまりないのはなんでだ。

 

そして私はなんで()()()()実家の庭に10歳頃の時に戻っている・・・

 

??「美優!!!」バシンッ!!!!

 

聞きたくもなかった母の声(不快音)と共に忘れもできない()()()()が私の小さな身体を襲い、少し吹き飛ばされて受け身もままならぬ状態で少し柔らかな地面に伏した。

 

この頃は操り人形(人の形をした道具)に矯正され、自由もなくただただ理不尽に叩かれて罵られて都合のいいサンドバッグとして()()()()()()()

 

実母が早死して実父が狂い、私を叩いてきた養母(阿婆擦れ)が唆してすべてを掌握してしまった簒奪者だ。

 

養母(阿婆擦れ)は子供もいなければ()()気もない。

 

だって、子供に金をやるくらいなら使いつぶしてしまった方が簒奪した甲斐があるらしい。

 

これはひっそりと聞いてしまった養母(阿婆擦れ)(本性)だった。

 

こう回想しているうちに(10歳)は髪を掴まれて無理やり立たされたと思えば躾という名の八つ当たりが激化する。

 

庭にあった噴水に引きずられて顔を水につけて息もできずにジタバタと抵抗するも離してもらえるはずのなく、苦しくなって意識が遠のいて動かなくなってあと少しで死ねる時に水から引っ張られて求めていた空気を吸えると思えばまた苦しい時間が来る。

 

ただ、ひたすら繰り返されて養母(阿婆擦れ)が飽きるまで手は緩められなかった。

 

なんでも死のうと()()したけど、死なせて貰えずに生きながら苦しんで目の前の希望を与えられては潰される。

 

誰も止めはしない。

 

だから

 

ピンポーン!

 

 

(10歳)から目が覚めてると夢であったことに安堵しつつ、辛いはずなのに出なければという謎めいた使命感に駆られて僅かに残っている気力を振り絞って玄関まで床に這ってどうにか立ち上がり、ドアアイを覗くと雄二が立っていた。

 

なんでという疑問を考える前に本能的にロックを解錠してドアを開けてから意識がまだあるうちに聞かないとな。

 

それからは朦朧として雄二がなんて答えたかは分からずに目の前が暗くなり始め、立っているのがやってというのに崩れ始める身体が地面に伏すかと思った時になにかを囁かれて浮遊感を感じた。

 

だが、私はそれどころではなかったからそのまま眠りについて、悪夢へと飛び立つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

中学の夏休み、私は初めて手を血に染めた。

 

いや、()()()()()()()というべきだろうか。

 

あれは私が行動する前に養母(阿婆擦れ)事故死(不審死)、本来喜ぶべきことだったのに喜べなかった。

 

むしろ、恐怖の始まりである。

 

介抱されたはずなのにまるで死んでいないかのように呪われ、やっと今掴んでいる幸せが壊される。

 

だめ、やめて、いやだ、奪わないで、壊さないで、、、、

 

ああ、aaaa・・・

 

やめろ、やめr、やmer、ああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

□□!!!!助けて!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小原SIDE

 

鶏のもも肉で出汁をとり、炊飯器ではなく鍋でご飯を炊いてながらネギとちょっとした野菜を切って出汁に投入した。

 

ご飯がそろそろ炊ける頃合いになろうとした時、ふと長門の方を見ると出汁が入っている鍋の火を止めて大急ぎで彼女の元に駆けた。

 

今にも自分を殺すかのように身体のあちこちを毟ろうと暴れ、もがき苦しむような声で()()()()()

 

このままだと彼女が壊れる(消える)

 

クソッ!!俺を訴えないでくれよ!!

 

そう思いながら彼女の手を拘束するのように抱きつきながら自分の背中に回し、怪我しないように指が比較的フラットな状態になりそうなときに背中からベッドに倒れて着地した瞬間に彼女の手を抑えていた腕を前に回した。

 

背中が激痛に襲われ、血が流れるような感覚が伝わるも俺は左手を頭に置いて撫でた。

 

完全に絵面が犯罪臭しかないかも知れんが、これは正当なる救助活動だ。

 

下心は一片もない。

 

さて、これで疲れて泣き止んでくれとありがたいが同業者なもんで風邪を引いて体力を消耗しているとはいえれど伊達に戦闘機パイロットをやっていない。

 

本格的に一生残りそうな傷ができそうだが、彼女の苦しみはそれ以上だ。

 

指が身体にめり込み始めているぞ、痛い痛い痛い痛い!!!!

 

クソ、下手な貫通創より痛む。

 

あーーーーーーー、肩も嚙みやがったッ!!

 

だが、耐えろ!俺

 

あと、ちょっとで彼女が力尽きる。

 

時間にして数分の奮闘だが、体感は数日にも及んだ激闘だった。

 

結局、数ミリほど肉が抉られて肩の噛み跡から血がそこそ流れてしまっている。

 

怪我としては大したはずないのに結構な痛みに襲われたなぁ。

 

()()が足らんということか。

 

まあ、彼女が力尽きのは良かったけど俺お粥というかおじやを作れねぇぞ。

 

離れようとしたら強い力で抱きついているからほどけないし、痛みで踏ん張ることが難しい。

 

ピー―――ッ!

 

あっ、ご飯が炊けてしもうたやないか。

 

あかんと思ったが、ご飯は冷めても問題ないことを思い出してそのまま俺は少し仮眠をとることにした。

 

流石に痛み耐えることになるとは思わんだろうよ。

 

だが、彼女の安らかな寝顔を見れたから良しとしますか。

 

Zzzzzzzzzzzzzzzz・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夕方に差し掛かる頃

 

「えっ?雄二?!って、血?・・・どうしてこうなった?!?!」

 

 

 

 

続く




日常回のはずだったんだけどなぁ(すっとぼけ)

まっ、いっか

次回は頑張って日常回になれるように努力します。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

番外編1「風邪」 後編

ちゃんとした日常回です。

リアルが忙しいせいで中々執筆できていないけど、頑張って書いていきますので、よろしくお願いいたします。


長門SIDE

 

なんだろうか、この安心感は。

 

暗闇の中で藻搔いた先に脆いはずの希望がすぐにそこにあって簡単には崩れないと思える絶対的なものを感じられる。

 

そして、それが手の先から流れるかのように・・・

 

 

 

 

私は目を覚ますと眼前には寝ている雄二がいて、抱き着かれているという事実が分かった。

 

どうしてこうなった?!

 

手を解こうと頑張って力を入れると抜けたが指先から血が付いており、私は少し混乱したが、身体がさらに覚めてきたのか頭や胸から引っ搔いた後の痛みに近しいものが伝わり、状況を理解することが出来た。

 

どうやら、寝ている間に私が錯乱を起こしてそれを止めようとした結果がこれということなのだろう。

 

そして、疲れて寝てしまった。

 

たぶん、彼に怪我を負わせてしまったな。

 

申し訳ないとも思いつつ、この状態から脱しようという考えが出てこないことに気が付いた。

 

このままでも良いとさえ思い始めている始末である。

 

胸というのあたりがポカポカしたような感覚になるのはなんでだ。

 

これが分からないけど、私の心を浄化しているのかもしれない。

 

にしても雄二の汗の匂いが私の気持ちを高ぶらせてくるけど、これはなんか危ない感じになってないか。

 

脳が危険信号を出しているけれど、本能が未知の欲望に従おうとしていて悪魔の囁きが聞こえた気がするが、とりあえず自分の顔を殴って冷静になろう。

 

顔が痛みに見舞われている間に臭覚がお米を炊けた匂いと鶏肉の煮込んだような匂いがキッチンの方から来ていた。

 

私はなにかを直近で作った覚えはないぞと自分の行動を思い返しながら鍋の蓋を開けるといくらか前に炊けたご飯と鶏のもも肉からとったであろう出汁、それにまな板の上に刻まれたネギがあった。

 

雑炊というかおじやを私のために作ろうとしていたのか。

 

そして、私が途中で錯乱を起こしたから急ぎで傷が増えないように拘束をしていたのか、、、

 

今日は彼に甘えるとしよう。

 

ベッドに戻る、、、前に指先についている血を洗い落としてベッドの下に置いている救急箱を引っ張り出して消毒液、ガーゼと医療用紙テープを手に取った。

 

ぐっすりと眠っている雄二の顔はなにか安心しているかのように見える。

 

なぜか、気持ちが再び高ぶってしまうが()()して彼をうつ伏せにして飛行服の上半身部分を脱がしてシャツを捲ると血痕と私の指の食い込んだあとがあり、傷口に直接入らないように消毒液を塗布しつつ血痕をなるべく取り除いた。

 

そして、軽く消毒液を染み込ませたガーゼを傷口の上に置いて紙テープで落ちないように貼る。

 

そして捲ったシャツを戻した際に方にも内出血している左肩にあったことに気が付いて、処置を施して使ったものを元に戻した。

 

雄二は疲れて寝たというより、痛みによる気絶じゃなかろうかと思ったが、考えるのはやめた。

 

だって、傷つけたという事実は変わらないのだから。

 

っと、さてもう少し寝るとするか。

 

こんな機会はなかなかないだろうしな。

 

なんか安心するなぁ、この匂いを嗅いでいると・・・zzzzzz

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小原SIDE

 

zzzz・・・はっ!!

 

今何時だと思って腕時計を見ると夕方の5時だったようで窓の外は真っ暗になりつつあった。

 

とっいつつ、長門の食い込んだ指のあとが痛いなと思って手をやるとなにらガーゼが貼られているようで、治療したあとだったようだ。

 

これは彼女が一回起きて指先についてしまった血を見て原因を探求し、治療したのだろうな。

 

どうりで消毒液の匂いがほのかにあったわけだ。

 

ご飯の用意でもするかと思って起き上がろうとしたが、起き上がれずにいる。

 

彼女に抱き着かれていているからかと思いながら、なんか彼女の鼻息が寝ているし安心しているはずないのに荒いと感じるのは気のせいだろうか。

 

ふーー、とりあえず脱出する。

 

ふん、はっ!せいやッ!くっ!!あーちょー!えっさっほっさ!!!

 

なんでなんで、こいつはバーサーカーかよ!

 

まったく抜けないぞ!

 

やべぇーよ!

 

これ、俺の心が折れそうだよ・・・

 

パイロットとしても男として鍛えているつもりだけど、ここまでうんともすんともしない彼女の腕という体力には驚いている。

 

はぁーーーーーーーーーーーー、まあ()()にもこういう女性と出会ったことがあるけどこれはなおさらヤバいとしか言えん。

 

とりあえず、持ってきたレジ袋の近くに置いたカバンの中から()()()()携帯を取り出してみると、団司令から電話とメールが来ていたようだ。

 

 

 

 

 

 

zerocommand@pear.com

宛先:slave01@pear.com

 

1時間前

 

 

長門の調子はどうだね。

 

明日に復帰できそうになかったら遠慮なく申し出てくれ。

 

そして、今回の看病を君にしたのは彼女が言い出したことだ。

 

理由は分からないが、彼女のことを頼んだぞ。

 

 

 

 

追伸

 

分かっているとは思うが手を出すなよ。

 

婚約しているなら話は別だがな。

 

 

 

 

 

 

 

団司令、俺はそんなことしませんよ。

 

仮に手を出すにしてもちゃんと同意と本人に意思を尊重しますよっと、俺は誰に言ってるんだろうな。

 

にしても()()が俺を指名してくるとは・・・いや、あり得るな。

 

だって、あの後席兵装システム士官(副機長)だと看病しつつ手を出すしそうだよなぁ。

 

 

 

 

 

 

後席兵装システム士官(副機長)<<ヘッシュ!!>>

 

鮟鱇1<<おいおい、風邪か?>>

 

後席兵装システム士官(副機長)<<噂?>>

 

鮟鱇1<<それはない>>(断言)

 

後席兵装システム士官(副機長)<<ふん!>>ゲシゲシ

 

鮟鱇1<<ちょっ!蹴るな馬鹿!危ねぇよ!!>>

 

 

 

 

 

 

なんでか鮟鱇1の悲鳴が聞こえたのは気のせいだろう。

 

さて、なんだかんだで起きてから30分が経過しているというか、こんな長時間いるのになにも様子見に来ない寮長すごいな。

 

一応、彼女の泣き声があったとは思うんだけど。

 

もし、ここの防音性がすごいならいいんだけどなぁ。

 

だとしてここまでなんの音沙汰もないのは怖すぎるが、騒がれていない以上はセーフ判定ということででいいのかは分からない。

 

それにしても彼女があの長門一族とは思わなかったな。

 

酷く()()()された一枚の写真には彼女とその母の顔が見え、背景には長門本家の屋敷が写っていた。

 

昔、まだ移植用予備部品として扱ってもらえた頃に内蔵としての価値を拍付けするためだけに連れていかれたことがある。

 

もちろん、ボディーガード以下の扱いでな。

 

外に出ることが許されなかったから内心はかなり浮ついていたし、この機会にあの憎い実家とも呼びたくないところの警備状況を把握して逃げようと画策していた。

 

まさか、奴らが自らの手で放してくれるとは思わなかった。

 

あの時は彼女の実母が()()()()()の時であったせいか、俺よりはマシとはいえど歪な家族像がそこにあった。

 

俺のクソ実家は負けてないけどなって、張り合ってなんになるかという話だがな。

 

少し脱線してしまったが、まあ一応彼女とは接点はあるにはあるけど、直接話したことはない。

 

当然のことで彼女が俺を覚えているわけもなければ、俺もこの写真を見るまで思い出せないくらいだ。

 

世の中は広いようで本当に狭いなと実感させられたと思いながら、なにか動きを感じてその方向を見ると長門が目を覚ましたらしい。

 

長門<<うーーーん、よく寝れた。っと、雄二すまんな、ずっと拘束してしまったようだな>>

 

<<大丈夫だ。長門、お腹が空いているならご飯をすぐに作れる。どうする?>>

 

長門<<まあ、丸一日は胃にものを入れていないし、大分回復したような気がするから頼めるか?>>

 

<<了解>>

 

さと、お嬢様におじやを作ると致すか。

 

起き上がってキッチンに向かうとすぐに出汁が入っている鍋の火を点けて、十二分に蒸れたご飯をしゃもじで軽くかき混ぜる。

 

出汁が温まってる間に冷蔵庫から卵を一個取って、頑張って探した小さめのボウルに割って殻をシンクの三角コーナーに入れてから菜箸で卵をかき混ぜたらとりあえずそのままにしておく。

 

そして、出汁が温まってことを確認してご飯を投入すると塊にならないように軽く混ぜる。

 

すぐにかなり細かく切った、小松菜、ニンジンと出汁に使った鶏肉も忘れずに入れて、ある程度煮立ってからニンジンが柔らかくなったことを確認すれば、火を消してすぐにかき混ぜた卵をまんべんなくかけてすぐに蓋をして、待つ。

 

まあ、数分だけのことだ。

 

換気扇を回しているのにいい匂いが広がっており、食欲を掻き立ててくる。

 

見なくても分かる美味しい奴やん!!

 

おっと、なぜか某祭り男になってしまったが、これが仕方がない。

 

待っている間に取り出してお椀、お箸とお盆を用意していつでも出せるようにしておいた。

 

いい感じの頃合いになったらお椀に入れて、その上に刻んだネギを忘れずに添えて完成である。

 

料理って手間は少しかかるけど、いいね。

 

空挺課程の時はヘビだったり、その辺を走り回っている鶏を捕まえて内臓と非可食部を適当に取り除いて焼くか煮るかの二択しかないからなぁ。

 

調味料はよくて塩胡椒くらいしか持ち合わせてないし、火を見られると困るから加熱時間不足による生焼け事件やそもそも食べられるという時に出発する事が多い。

 

あれは人間のやる事じゃないなぁ(白目)

 

実際、人間の香りをした獣になったと言われるし、目ギラギラしているというおまけ付き。

 

水道、ガス、電気は偉大だなと思いながらお盆におじやを入れたお椀を乗せてベッドのところまで向かった。

 

もちろん、スプーンも忘れずになッ!

 

長門<<申し訳ない、ありがとう>>

 

味見はしているから不味いことはないはずだが、味覚に関しては空挺課程とかで狂ったから自信はないし、保証もできない。

 

あと、食事は寮と基地の食堂でたべているから料理をする機会がほぼないに近いのでなおさら不安である。

 

使う材料の量を見誤って1~2人前のつもりだったのに3~4人前を作っている時点で料理の腕前はお察ししてください。

 

男の料理なら気にすることはなかった。

 

だが、今回は患者食で女の子に召し上がっていただくわけでこっちは冷や冷やしている。

 

食べた瞬間に気絶してしまうかもしれないというこの恐怖に怯えているのさ。

 

でも、大丈夫なようで安心した。

 

長門<<雄二、あんたも長らく食べてないだろうから食べていい。いや、食べろ。あの量は流石に消費しきれないからな>>

 

<<では、お言葉に甘えて食べることにする。食器とか借りるぞ>>

 

と言って同意を得ると立ち上がってお椀を棚から取り出しておじやを入れた。

 

あはは、作りすぎているのがバレてる。

 

バレなかったら流石に心配するけどなと言いながら、スプーンを拝借してベッドの近くにあるテーブルの椅子に座った。

 

軽く手を合わせてから一口食べるとほんのり塩辛いけど、気にならない程度で汗をかいていれば問題にないはず。

 

とりあえず食べられる味であることは安心したけど、量が多すぎたことは反省しないとな。

 

さて、これを食べたら帰ることにするか。

 

<<ご飯を食べられる元気があってなによりだ。食べ終えて食器を洗ったら帰る>>

 

そういうとなぜか彼女の顔が一瞬曇っていたことを見逃せなかった。

 

たぶん、あの時の奇行に至ったなにかに怯えているんだろう。

 

俺も空挺課程卒業してから数回目の任務でテロリストの掃討(虐殺)作戦でルーキーが見てしまった集団リンチ現場のトラウマで相談しようにも迷惑かけると思って打ち明けられないままあの世に旅立ってしまった。

 

まさしくその顔だった。

 

このままでは自殺に至らなくても自傷行為をするのは目に見えている。

 

あんた(美優)がそっち側に行くな。

 

行くのは()()()で十分だ・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<<はー、帰ろうと思ったけどどうやら俺は団司令に嵌められたようだ>>

 

大げさに言いながら携帯の画面を見るふりをして留まる理由をでっちあげることにした。

 

携帯にはそんな文面はないけど、団司令、男子寮と女子寮の寮長には一言をメールで連絡して一晩ここで過ごすことにした。

 

下心は決してないし、なにかするわけがないのでとりあえず寝るに良さそうな床を探す。

 

フローリングでもいいけど、やっぱりカーペットがあるところが有り難いなぁとは言えれど、勝手に居座ろうとしている身だから贅沢は言わん。

 

まあ、彼女の安堵した顔を見ることができたと思えば安い犠牲さ。

 

災害派遣、演習や大規模作戦ではコンクリートかアスファルトの上で寝ることはよくあったしな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

長門SIDE

 

<<はー、帰ろうと思ったけどどうやら俺は団司令に嵌められたようだ>>

 

えっ?

 

そんな馬鹿なことあるわけないでしょ。

 

(そんなこと言って嬉しいくせに)

 

()()()は黙ってろ

 

(でも、あのまま怖い夜でも過ごすつまりかい)

 

っ、そ、それは

 

(当の本人は居座る気満々だし、そのまま甘えてしまえ)

 

ちょっと、待って!

 

こちとらには心の準備というものがあってだな。

 

(そこだけは無駄に乙女かいな。まったく、そのまま襲われてしまえばいいのに。いや、襲ってしまえ)

 

ば、馬鹿いうんじゃねぇぞ。

 

こいつは()()()同僚で部下だ。

 

それ以上でも以下でもない。

 

(ただの、ねぇ。まっ、今夜は大丈夫そうね)

 

もう二度来なくてもいいぞ

 

(あいにくとそれはできないね)

 

はー、これはたぶん私が壊れることを防ぐ防衛本能でできた産物だが、いかんせん邪魔だ。

 

まあ、そんなことはどうでもいい。

 

それより目の前の問題の方がヤバイのだよ。

 

男女が同じ屋根の下にいる。

 

これだけでアウトな要素しかないし、誤解されても何も言い返せない。

 

どうしてくれるんだよ、この馬鹿は・・・

 

まあ、怖いことは心の中で認めるよ。

 

だけど、一晩過ごす必要はなかっただろと声を大にして言いたいけど、それは叶わないな。

 

この状態を望んでいる自分がいるから。

 

<<床で寝かせるのは忍びないからベッドで寝てくれればいい>>

 

そういうとピシリと固まった彼がこっちを見てきた。

 

なにか可笑しなことを言ったか?

 

小原<<長門さん、あんたそれ言っている意味を分かってて言っているのか?>>

 

<<はーー、隊長命令にするぞ>>

 

一番ダメな命令の使い方をしてしまったが、このまま放置すれば普通に床で寝るから許可できない。

 

小原<<勘弁してくれ>>

 

そう言いながら素直に私のベッドに入ってきたが、背中を向けて寝てくれた。

 

本当に下心がないなと感心しながら抱き着いてそのまま寝てしまった。

 

 

 

 

 

 

この日はかなりいい夢を見た。

 

内容はなんだったのかは分からない。

 

そして翌朝起きて出勤した時に寮内だけでなく、基地内も騒がしかった。

 

内容が小原と私が一晩過ごしたことのようで、小原は気まずそうな顔をしている。

 

私はすました顔をしたけど、内面はきっと赤面していることだろう。

 

熱でやられていたようで、なにかとんでもないことを言った気がするけど気にしない。

 

やはり、風邪を引くんは良くないな。




この番外編はさまざまな過去編をやるつもりです。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

蒼天の希望と解放の鐘鳴 後編

やっと内容を進めることができる、、、


聖グロリアーナ女学院 飛行場 滑走路

 

天候 曇り

 

長門SIDE

 

とんでもF-4が出てきて少し驚いてしまったが、すぐに小原からアークバードの詳細な説明を受けることにした。

 

曰く、確かに最強のBMD候補であるが今回のような万一の事態に備えて無力化できるように人員も設計も始めから弱点があるように作られており、無力化が不可能ということはあり得ない。

 

そして、乗っている機上整備員もプログラムもいかなる手段を用いて弱体化は必ず出来ている筈だど、

 

どう聞いても不安要素しかないように思えるがな。

 

無人機を射出することができるが、彼の言う例のプログラムが作動するとかなり弱体化するようだ。

 

ただ、問題はレーザーユニットだけはどうにもならないというらしい。

 

というのも増幅装置の取り付けによって管理者権限が地上管制から独立してアークバードの搭乗員のみで操作可能になるらしく、プログラムもある程度の妨害は見込めるが、あまり期待できない。

 

想定はされていても実際に試すわけにもいかなかったことと、国家の強制権により予算が打ち止めになってしまったというのが原因のようだ。

 

まあ、国家は常に要らないことをしてくるのが常とはいえれど、そんなことに強制権を使うなと言いたい。

 

だが、それよりほぼ全方向へ喧嘩を売るこいつの頭がすごいと思った。

 

誰がどう考えても反発されることが予想されるのに、強引に実証機という名の言い訳で納得させたことがワケワカンナイヨ。

 

とまあ、それはどうでもいいことだ。

 

私の機体には要望した通りの6AAMが取り付けられるほかに短距離離陸補助ブースターのようなものも取り付けられていた。

 

小原の機体の胴体部に4AAM、両翼には燃料タンクと補助ブースターが取り付けられている。

 

整備員1<<機体の準備が整いました>>

 

小原<<ありがとう。すぐに発進準備に取り掛かってくれ>>

 

私と後方士官も小原に続いて愛機に乗り込んでエンジンの始動を緊急発進の要領で急いでいると、無線に誰かが話し始めた。

 

情報分析官<<情報分析官の久我中尉だ。手短なブリーフィングを行う。アークバードの詳細についてはある程度知っている前提とする。現在、機上整備員の奮闘により我が学園の南方10マイル付近、高度5万フィートまで降下しており、絶好の攻撃チャンスです。こちらの防空システムでアークバードの気を逸らしている間にアークバードの現在位置に到達し、無力化ををしてください。その後、特殊部隊を載せたマスドライバーが接近して、内部を制圧して奪還する。時間はあまりないから急ぎで頼みます。>>

 

なかなかに無茶を言ってくれるな。

 

小原<<無人機の射出は確認されているか>>

 

久我中尉<<今のところは確認されていませんが、システム妨害がどこまで通用しているかについては不明としか言いようがない>>

 

飛んでいる間に来ないだけマシだが、贅沢を言えば確証は欲しかった。

 

<<こちらクイーン、了解した。陽動はしっかり頼んだぞ>>

 

それだけ言うとすぐに管制塔から指示と必要な情報が入り、滑走路へと向かった。

 

滅多にというか普通は戦闘機には使わない補助ブースターを取り付けているが、空母のカタパルトと似ていることだけは頭の片隅に残っていた。

 

ただ、息苦しくなるから私は苦手だ。

 

いや、嫌い。

 

()()()を思い出すから。

 

だけど、そんなことを言っている場合ではない。

 

アフターバーナーを焚いて大空へと飛んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

聖グロリアーナ学園艦付近の海域から遠いどこか

 

 

 

連合軍艦隊 ODO

 

 

 

グースフィッシュ艦隊 情報収集艦 オリオン 1号艦 無線調査員 馬場一郎軍曹

 

 

 

チャーチル艦隊との決戦がこちらの優勢に落ち着こうとしている中で通信傍受アンテナがアークバードへ送信されている妙なものを拾っていた。

 

[DUGPYLRURSKRVBQJ,MAQKRKBSBYDEHKNOKNIY NTRGMMYENTAIBKSWQ]

 

現在使われている軍用でも民間用の暗号分ではない。

 

だが、どこかでみたことのあるもので・・・まさか、これは|パープル暗号《外務省用の暗号機B型 通称 : 九七式欧文印字機》*1

 

すぐに班長に報告を上げて解読を開始した。

 

6字と20字に分けて換字して・・・(解読は作者の頭では理解できる領域ではない)

 

原文:[DUGPYLRURSKRVBQJ,MAQKRKBSBYDEHKNOKNIY NTRGMMYENTAIBKSWQ]

解読1:[SUBETEWOHAKAISHI,ARATANASEKAIWOTUKURU KOREHATENNMEINARI]

解読2:[すべてをこわし、あらたなせかいをつくる これはてんめいなり]

『すべてを壊して、新たな世界をつくる。これは天命なり』

 

使われていないから解読できないとでも思っていたのかね。

 

残念ながら過去の暗号文の解読もできるようにコンピュータシステムが記憶しているんだ。

 

だが、それより発信地点が特定できないのがかなり気になる。

 

この艦に搭載されているアンテナ類はかなり高性能なものであり、だいたいの通信等を傍受して発信地点まで特定することはできる。

 

これはローテクならでは・・・というわけではない。

 

わりと絶妙な電波妨害を発しているせいで発信元がかなりぼやけているけど、これはそれだけ敵にとって重要で隠したいということだ。

 

特定には時間を要するが、このまま逃がすわけにはいかないから班長の許可を得て集中することにした。

 

同時に軍事用暗号化無線回線を傍受したが、発信元は不明なようだ。

 

 

 

 

・・・血の気が引くような思いするとはこの時は知る由もなかった。

 

 

 

 

 

 

小原SIDE

 

滑走路に入り、エルロンと計器の最終簡易チェックを終えて補助ブースターの点火スイッチに指を置いていつでも離陸できるようにしていると隊長が先にアフターバーナーを焚き始めてF-15E離陸必要距離の中間地点に差し掛かるところで補助ブースターを点火して勢いよくハイレート・クライムで雲の中に入った。

 

久しぶりに愛機を触って感覚を失っていると思ったが、ピーキーな仕様を使い熟せているから問題はなさそうだ。

 

F-15とはまた違った操縦性だが、やはり俺はこっちの方が馴染んでいると改めて思った。

 

スロットルを目いっぱい倒して隊長と同じように大空へと飛び立って補助ブースターの燃料がなくなると切り離して加速を続けていると隊長機を視認にして編隊を組んだところで長門がアークバードについての追加説明を受け終わるところだった。

 

長門<<なあ、これがただの始まりのようにしか思えない>>

 

<<やはり、長門もそう思うか。これがなにかを逸らしていると考えられるな>>

 

奴の悪足搔きは人一倍の厄介さを持ち合わせているが、今はそんなことを考える時間はない。

 

頭の中でアークバードの大まかな設計を思い出しながらある程度の高度帯になったと同時にスロットルを巡航速度に落とした。

 

レーダーには無数の点が現れており、真っすぐアークバードがいると思われる位置に向かっていき、すぐに消えていってはまた新たに点が増えていた。

 

考えてみればアークバードは私の唯一の()()であり、途轍もなく重要なものでパトリオット社が保有するBMDシステムを超えて、宇宙技術と防衛能力の発展を願ったものだったけど、こうして自分の手で無力化するとはいう結末を迎える。

 

時の流れは残酷であり、俺がとことん恵まれていないことを突き付けてきた。

 

やはり、俺は呪われているんだろう。

 

天は二物を与えずとはいうけど、俺は一物も与えられなかった。

 

最高巡行速度でアークバードの推定地点へ到達目前で巨体が見え、増量槽の燃料もなくなったから切り離して機体が身軽になったところでいきなり無人機の射出口が開いた。

 

<<クイーン、射出口を急ぎで破壊を頼む。無人機は俺が相手する>>

 

長門<<了解>>

 

射出された無人機にミサイルと機銃を当てている間にクイーンが射出口を破壊すると同時にレーザーが飛んできて咄嗟に回避してレーザー砲にありったけのミサイルを放って、急降下してアークバードの下に入ってからほぼ垂直状態で上昇して機銃でレーザー砲を黙らせた。

 

長門<<ブースターを破壊していいな?>>

 

<<頼んだ。自己防衛装置を黙らせておく>>

 

今度は上面にあるミサイル発射口と小型パルスレーザー砲塔を素早く破壊してすぐにメインエンジンとエルロンの無力化を手伝う。

 

ヤタガラス<<こちらヤタガラス、制圧用のマスドライバーが離陸してそちらに向かっている。無力化は終わっているか>>

 

長門<<自己防衛装置は無力化完了している、動力系統はまだです>>

 

ヤタガラス<<了解した。あと6分以内に終わらせてくれ>>

 

<<それまでには終わらせる>>

 

弱点はあるとは言っても決してそれが弱いわけではないし、攻撃に晒されてもしぶとく生き残れるように作った俺であったけどこの時は少し自分を恨みたくなってきた。

 

機銃弾は帰りの自己防衛用を残した分を除いて撃ちきり、あとはミサイルが頼りだ。

 

破壊とは言ってしまっているけど、安全弾による無力化しているだけど判定上は破壊ということになるからそういう言葉で済んでいるけど、自分の作品を壊していることに変わりはないし、色々と思うところはある。

 

だが、奴に使われるくらいなら壊してしまった方がいいと割り切って最後の補助エンジンを壊した。

 

<<アークバードはもう飛ばない、安らかに眠れ>>

 

普通の航空機とは違って地上に着陸できないため、機上整備員を載せたマスドライバーを派遣しない限り破壊判定の関係でこのまま大気圏を飛び続けることになる。

 

長門<<小原、大丈夫か?>>

 

<<大丈夫だ>>

 

奴を止めなければならない。

 

思ったより奴の行動は早く、これは早急に動かなければすべてが手遅れになってしまうな。

 

()()()()()が現実になることは避けられそうにない。

 

レーダー画面にはマスドライバーと思われる点が現れ、すぐに視界内に入ってアークバードの後部扉へと格納されていった。

 

ヤタガラス<<作戦完了、ヴィクトリア隊RTBせよ>>

 

燃料が少なく、聖グロリアーナ女学院の飛行場で給油と機体の交換して帰ることにする。

 

彼女に会うことは叶うはずもなかったが、少しは姿を見せれたと思えばいい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

聖グロリアーナ女学院 学園内某所

 

???

 

 

SACのワッペンをした隊員に守られながら安全な場所へと歩いていると聞きなれたジェット音が聞こえ、空を見上げると2機が見えていた。

 

もう2度と見ることはないと思っていたものがいた。

 

アッサム「あれは」

 

ブラックナイト()が帰ってきたわ」

 

オレンジペコ「ブラックナイト・・・」

 

漆黒の亡霊がゆっくりと降りてきたところで視界が霞んできた。

 

ここでこの顔をアッサムとペコには見せまいと少しだけ歩みを速めているとSACのワッペンをした女子が私にハンカチを差し出した。

 

桐生院少尉<<なにかが目に入ったようだからこれを使ってください>>

 

「ええ、ありがとうございます」

 

ハンカチを手に取って目を拭った。

 

彼に会いたいけど、今は状況が許してくれない。

 

彼のことだからちゃんと別れてないと思っているが、私は別れたなどとは言わせない。

 

私はあなたに恋をしているんじゃない、愛しているのだから・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

特殊部隊を載せたマスドライバーは無事にアークバードに到達してテロリストを一人残らずに拘束または射殺をし、アークバードは制御下に戻ってSG6社の主要幹部および残党の掃討が終わったことで聖グロリアーナ女学院の騒動は閉幕した。

 

学園内には占拠からの解放されたという歓喜に満ち、全国学園艦連合の平和維持軍の結成が可決されて各学園から部隊が派遣されることになり、これに伴ってSG6社は解体されることが決まった。

 

 

そして全学連の監視の下で新たに『グリム社』が設立されてこれまでOGからの強い影響が断ち切り、より健全な組織として生まれ変わることになった。

 

グリム社は元支援航空隊の生き残りで構成され、信頼を取り戻すべく奮闘することになる。

 

 

 

 

 

大会はようやく半分が終わり、戦いが激しくなる。

 

 

 

 

 

 

 

 

聖グロリアーナ女学院は解放された。

 

歴史の流れが大きく変わろうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

*1
アメリカ陸軍が日本の機械式暗号に対して名付けていたコードネーム




かなり薄い内容になってしまった・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

SUPER SHORT編『西住みほ』生誕祭

思いついたので書きました。


全国大会決勝戦で川に落ちた仲間を助けた代償が黒森峰の悲願だった10連勝だけにと止まらず、結局助けた仲間も失った。

 

世論はプラウダ高校を叩き、黒森峰では私と仲間(乗員)を叩いている。

 

私は助けない方が良かったの?なにが正しかったの?

 

お母さんの言いたいこと、みんなの大会けの気持ちも分かる。

 

だけど・・・

 

どうすればよかったの?ねぇ・・・ねぇ!・・・ねぇ!!誰か答えてよ!!!

 

あのまま見捨てて勝てばよかったの?そのまま助けて死ねば良かったの?何しても無駄だったの?私は・・・

 

答えと感情の行き場がない自問を無意識に繰り返してただただ悪い方へと突き進み、限界に近づいていることを()()()()()気がつかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

すべては結果論に過ぎないことだが、一人の少女にはあまりにも重すぎる十字架だった。

 

そして(心の悲鳴)に満ちた聖杯()は溢れかえり、一人の少女(西住みほ)を侵食していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気が付けば学園艦の端まで歩いていて、遠い地平線まで広がっていた蒼い海と空を見つめている。

 

そこに白い点、鳥が自由になんの重責も期待も背負わずに飛んでおり、ただ生きるということを考えていると少なくとも私はそう見えた。

 

水のように冷たい手すりに手をかけて、さらに足もかけて向こう側へと行ける。

 

そう思った瞬間、後ろから声が急に聞こえてきた。

 

??<<どうしたかね?まるで今から鳥のようになろうとしているのか?>>

 

「ふぇ!!!」

 

情けない声を出してながら見ると殴られた痕がある少し強面のお兄さん?が見え、鼻を突き抜けるような煙の匂いもしていた。

 

私は今なにをしようと・・・

 

思い出せば背筋がゾッとするような感覚が私を襲い、目の前の蒼い海はどす黒く見え始めて怖くなった。

 

お兄さん?はいつからいたんだろう。

 

「見ていたんですか?」

 

??<<ああ、タバコを吸おうと思ったら黄昏ているように見えんかった人がいたもんで声をかけただけだ。決して怪しいもんではないぞ>>

 

そう言う人に限って怪しいのにと笑い、自分に笑える余裕があったことに驚きつつ自分の行動(本能)を見られていたことと思うと・・・

 

??<<で、お嬢さんはここでなにを?っと、俺としたことか名乗ることを忘れていたな。俺は小原雄二だ。ただの通りすがりの傭兵さ>>

 

お兄さん?が名乗りながらジャケットのポケットから名刺入れを取り出して一枚を丁寧に渡してきて、受け取ってみるとそこにお兄さん?の細かいことが書かれていた。

 

 

 

 

SG6社

空軍部門 支援航空隊 隊長

大佐 小原雄二(おはら ゆうじ)

聖グロリアーナ女学院 高等部1年生

 

 

 

 

()()()()彼が悪意のある人だったら大変なことになっていたと同時に会えてよかった。

 

 

 

相手が名乗ったから自分の名前を言うと、「そうか」と一言言ったあとにタバコを深く吸い込んでからゆっくりと吐きながら一番聞いてほしくなかったことを聞いてきた。

 

言いたくないということが顔に出ていたのか彼は追及しなかったかわりに彼は喋り始めた。

 

同い年とはとても思えない人生を歩んだようで私よりもひどいものだった。

 

小原?<<人は完璧ではないというように完璧な回答はない。あるのは少しマシな回答だけだ。つまり、回答した人間が後悔しない選択肢だよ。たとえ、目の前が真っ暗であっても、『どんな夜にも朝は必ず来る』この一言に尽きるんだ。それがいつかは分からんのが辛いところだがね>>

 

だけど、私ながら単純かもしれないけどこの一言が自問への答えだったように思えた。

 

そう思っているとタバコを差し出された。

 

よく考えたら彼は未成年者なのにタバコを吸ってて大丈夫なのと今更気が付くと同時に箱には『未成年者用』と書かれてて疑問がすぐに解決した。

 

ほぼ無理矢理吸って喉がやられて煙を吐き出したがこれが不思議と不快とは思わず、頭の中が少しずつすっきりしていくような感じがしてきて、余裕が出来てきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『どんな夜にも朝は必ず来る』・・・」

 

悪いことは必ず終わり、希望がやってくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私にとって大切なプレゼント

 

この一言があったから大洗に転校してみんなと再び戦車道と向き合い、自分の戦車道を見つけることができた。

 




こんなつもりはなかったが、後悔はしていない。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

SUPER SHORT編『島田愛里寿』生誕祭

深夜テンションで書いてます。


島田流・・・

 

「日本戦車道ここにあり」と世界に名を馳せた日本戦車道流派であると言われている。

 

臨機応変に対応した変幻自在の戦術を駆使する戦法を得意とし、その変幻自在さから「ニンジャ戦法」と呼ばれていた。

 

その一人娘?*1である島田愛里寿は13歳でありながら飛び級して大学生であるけど、本来は多感な中学1年生であることに変わりはない。

 

さて、家元の娘(箱入り娘)バミューダ三姉妹(番犬)に守られている彼女だが、一人の青年に恋しているなんて言えば信じられるかな?

 

いや、信じないだろう。

 

相手が4つか5つ年上であるから仕方がないが、残念ながら事実でもある。

 

バミューダ三姉妹(番犬)にはオハナシアイ(嚙みつかれる)することになるのに、バレている様子はない。

 

バレたとしても親戚のお兄さんと遊んでいるようにしか見えないというのが正直な感想である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

某所

 

愛里寿SIDE

 

 

 

冬の寒さが着込んでも肌を刺すような頃になって世間では、いえ、私も冬休みに入っているけど、()はそうではないみたい。

 

彼はとても忙しくて休みが取れたのは今日くらいで会う時間はほとんどないけど、それは休みが終われば私も同じだから気にしない。

 

だから眠たくても一緒にいる時間を増やしたくて集合時間を朝の7時にしてしまった。

 

そんな時間を指定したことに罪悪感を感じつつ、喜んでいる私がいる。

 

お母様には心配されたけど、彼と一緒ならと快く送ってもらって集合時間の30分前に着いてしまっていた。

 

日が出て間もないせいで寒さがひどくて風も少し強く吹いてて震えていると何故か少し温かくて安心感があるものが肩に乗る。

 

???<<待たせてしまったね。寒かったでしょ>>

 

声がする方に振り替えると会いたかった彼がいた。

 

「寒かったけど、()()()()()大丈夫?」

 

肩にいつも彼が着ている白衣じゃなくて暖かいジャケットがあるから、防寒着が一枚減っていてとても寒そうに見えた。

 

???<<これでも雪国の生まれだから大丈夫だよ。さ、行こう>>

 

「うん!」

 

後ろにある視線を感じていたけど、気にしないで行くことにした。

 

だって、時間がもったいないから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

隠れているつもりなのだろうが、隠れる気もないほど尾行が下手な二組が背後から迫っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後ろには血涙を流しながら悔しそうな顔をしてハンカチを嚙んでいる者たち一人の男がいつ通報もしくは逮捕されるか戦々恐々としている者達

 

アズミ「そんなぁ、隊長は騙されているに違いない」

 

ルミ「奴の本性を暴いてやる・・・」

 

メグミ「絶対に助けるからね、隊長。待っていてくださいって、キャッ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

一人の男がいつ通報もしくは逮捕されるか戦々恐々としている者達

 

???2<<なんで俺がこんなことに巻き込まれた・・・>>

 

???3<<頼むから普通にしてくれよ>>

 

???4<<早く帰りたい・・・っと、ウォ!!>>

 

 

 

 

 

 

 

出会うはずがなかった・・・

 

ルミ「あなたたち誰よ?!」

 

???3<<それはこちらのセリフだ!>>

 

メグミ「やんのかゴラァ!」

 

???2<<ちょっと待てぇ!どうしてこうなった!?>>

 

アズミ「あっ、こんなことをやっている場合ではないわ。隊長を見失っちゃうわ」

 

???4<<ヤバイよヤバイよ!あのロリコン野郎を逃がすな!>>

 

アズミ「うん?」

 

???4<<えっ?>>

 

そんな二組が出会ってしまった・・・

 

 

 

 

かくかくしかじか

 

 

 

 

アズミ「どうやら利害は一致しているみたいね」

 

???4<<ええ、ここは共同戦線を組みませんか?>>

 

アズミ「そうしましょう」

 

メグミ「よろしくね」

 

???2<<おっ、おう>>

 

ルミ「隊長を守るために!」

 

???3<<犯罪者を出さないために!>>

 

アズミ、ルミ、メグミ「「「おうーーー!」」」

 

???2、3、4<<おうーーー!>>

 

 

 

 

ここにある意味最悪なものの出来上がりであった。

 

アズミ「あれ?隊長は?」

 

???4<<ま、不味い!見失ったぞ!!>>

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・大丈夫だろうか*2

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二組が意気投合?している間に二人はとある場所へと向かっていた

 

 

 

再び愛里寿SIDE

 

いつも助手席に座って彼の横顔を眺めては運転している姿を見ながら()()()について話していた。

 

いつもならそうだったけど、今日は違った。

 

???<<遅れてごめん、誕生日おめでとう>>

 

彼がそういうと胸ポケットから小さな紙袋を出して私に渡して、すぐに開けると中には大好きなものが入っている。

 

しかも、手縫いで作ったものだった。

 

「い、いいの?」

 

???<<そのために渡したのさ。本当はあの日(10月24日)に渡したかったけど、間に合わくて今日になってしまった。本当にごめん>>

 

「ううん、嬉しい」

 

???<<それは良かった>>

 

彼の目の下には薄っすらと黒い隈が出来ていて、たぶん何度も徹夜して作ったことが物語っていた。

 

私は恋というものははっきり分からないけど、少なくとも私は彼といて幸せでこの先も彼といたいと思う。

 

だから、いつかは・・・()()()()()じゃなくて名前で呼ばせてね。

 

 

 

 

 

 

 

この2人は1日ゆっくりとボコミュージアムで過ごしたあと、愛里寿は家に戻って冬休みが終わると同時にバミューダ三姉妹(番犬)心配された(質問攻めにあった)

 

???は帰った直後に捕まって簀巻き状態にされた上に所属する学園艦と会社の公安委員会にじっくりと尋問されていた。

 

*1
作者はミカ島田流説を強く推している

*2
ちなみにアズミが???4、ルミと???3、メグミと???2が後に結婚したりするのだが、それはまた別の機会に語るとしよう




??????2、3、4は後に判明しますので、お待ちください。

そして、謎のノリですが後悔はしていません。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

舞台裏

今回はヴィクトリア隊は出てきません。


東京都某所

 

??????

 

?????????????

 

灯が消えない国の心臓部に相応しくない物影が人目を避けるかのようにひっそりと動き、今かと待ちわびるように息を潜めいた。

 

「ジップラインランチャースタンバイ」

 

ジップラインランチャーを文部科学省東館の屋上に付近に着弾できるようにセットし、ジップラインの最終推定進路を確認して工作員(モグラ)から得た情報を元に発射時間の調整に入る。

 

分隊員1「定期警備周回終了まであと1分」

 

『こちらアーチャー1、55秒後に突入する』

 

???『了解した』

 

ジップラインランチャーの発射タイマーをセットした後に火器の動作点検を行って分隊員顔色、いや、分隊員の様子を見ているうちにタイマーが作動してジップラインが発射され、綺麗な放物線を描きながら目標地点に着弾してジップラインをしっかりと固定した。

 

ジップラインランチャーの安全装置が緑になり、少しジップラインを引っ張って張り具合で判断し、プーリー(滑車)を取り付けてすぐに滑り降りていき、風とわずかな恐怖を感じながらブレーキをかけるタイミングを間違えないように集中した。

 

通常よりも速いペースで一歩間違えればすぐに三途の川を渡ることになるが、今回は時間が命である。

 

ジップラインの残り3分の4に差し掛かったところでプーリー(滑車)についているハンドルを強く引いて減速してビルの屋上の部分に到達するとすぐにプーリー(滑車)を外して五点接地で衝撃を逃がしながら怪我を負わないように転がる。

 

そして転がった力を使って立ち上がり、銃を構えながら周囲を警戒しつつ銃が先の衝撃で壊れていないことを確認して後続を待つ。

 

???『こちらキャスター、()()()は成功した』

 

『了解、すぐに幻覚の準備に取り掛かれ』

 

キャスター?『御意』

 

分隊員全員が無事にジップラインを渡り切ったことを確認してから、ジップラインの先端フックを破壊して遠隔操作でジップラインランチャーがロープを回収した後に自壊措置を施した。

 

屋上出入り口のロックを偽造カードで解錠してすぐに階段を降りて近くにある更衣室に踏み入るとモグラ(内通者)が用意したロッカーの中にボストンバックがあり、着ていた戦闘用のスーツを脱いでメンテナンススタッフ風の作業服に変えて偽造身分証を身につけてショルダーホルスターにサプレッサー付きファイブ•セブンを入れる。

 

工具箱にはMP7とCBJ-MSが入っており、些か過剰火力と思われるけど万一の場合には必要になる。

 

そして更衣室近くにある監視カメラにちょっと細工をしてからエレベーターに乗り込み、地下へと下った。

 

途中の階で分隊員2名を降ろしてから目的地へと向かい、バラクバラを被った。

 

そして、エレベーターが止まって扉が開くとすぐにセキュリティドアがあり、偽造身分証を機械にかざすとドアが開いてサーバ室へと続く通路が見える。

 

何個もあるサーバー中に目標の物が見え、USB端子のコードと小型のパソコンに接続するとすぐに管理者権限のパスワードを求められると入力を終えれば文科省が管理する省内データバンクの画面が映される。

 

素早くカーソルを動かしてモグラ(内通者)が報告したフォルダの名前を検索システムに引っかかりやすいように文字をするとすぐに出てきた。

 

『【個人データ】学園艦統合計画(第2次県立大洗女学園廃校案)』

 

これを小型パソコンに取り込むが、すぐにデータ持ち出し防止アプリが作動するも管理者パスワードでなんなく持ち出しに成功する。

 

だが、少し時間がかかるようだ。

 

その間に気まぐれで他のデータを調べると割と()()情報が転がっており、単なる汚職では済まないものがあった。

 

想定外のもので分隊員の間に僅かな動揺が広がった。

 

『こちらアーチャー1、アクシデント発生だ』

 

キャスター『どうした?』

 

『想定外の機密文書(金塊)を発見、プランBに移行する可能性あり』

 

キャスター『速やかにその機密文書(金塊)を回収せよ。プランBを命ずる』

 

『了解、直ちに実施する』

 

無線のチャンネルを変えて、途中で別れた分隊にプランBの準備とその他の事項を伝達すると向こうもこちらと同じ状況のようだった。

 

我々が想像しているよりも()()は腐り切っているらしい。

 

見つけた機密文書(金塊)を取り込むと大きな警報音が鳴り響いた。

 

データの取り込み時間はたったのおよそ10分だが、なぜかそれ以上に長く感じる。

 

その間に工具箱からCBJ-MSを取り出してタングステン入り徹甲弾を装填して安全装置を外したり、脱出準備を終えるとデータの取り込みが完了していた。

 

そして脱いでいたバラクバラを被ってエレベーターに乗って1階に戻ると別分隊と合流するとどこからか警備員が出てきてすぐに撃って無力化すると玄関口には先遣隊であろうパトカー数台が見えていた。

 

サプレッサー付きMP7を持っている分隊員で先制攻撃して数名を黙らせてすぐに外を出ると迎えの車両が来ていた。

 

キャラバンに乗り込んですぐに現場を離脱すると別分隊が仕掛けたものを作動させると『学園教育局局長室』にボヤ騒ぎを起こして混乱を大きくした。

 

だが、流石にこれでは警察の目は誤魔化せなかったようで追走中のパトカーが後ろにいる。

 

サイレンを鳴り響かせながら停止命令を言い始めた。

 

「まさかこの職についてから警察の追われることになるとはな」

 

分隊員3「ははは、その通りですね」

 

分隊員2「普通は公安か同業者だが、まあいいだろう」

 

警察の無線を傍受するとなかなかにカオスなことになっており、ボヤ騒ぎは無意味ではなかった。

 

当初は大人しく去る予定だったが、全力で振り切ることになる。

 

このキャラバンンはかなり改造されていて、低重心化から装甲板の追加だけでなく、エンジンもイジられている。

 

装甲板は警察が使う最大口径の7.62mm弾を弾けばいいから大した改造にはならないが、防弾ガラスはかなり苦労したようだ。

 

しかし、それはどうでもいいことである。

 

発砲許可がでるのかが重要だ。

 

今回は1発でも放てば地獄の果てまでついてきて、最後は国家を相手にすることになりかねない。

 

キャスター『こちらキャスター、HQ(本社)からキルオーダーが出た。情けは無用だ』

 

収集したデータは小型パソコンに取り込みが終わると同時に指定場所へと転送されているため、HQ(本社)は内容を既に閲覧している。つまり国家を相手にする気だ、、、

 

「各員、発砲先に留意しつつ追尾者を足止めするぞ」

 

分隊員1、2、3、4、5「「「「「了解」」」」」

 

窓を開けると私を車内に叩けつけるような強い風を身体で感じながら、銃と顔を出すと照準を追走してくるパトカーに合わせると引き金を引いて火蓋を切り落とした。

 

CBJ-MSは約50mなら7mmの圧延防弾板を貫通することができるのでただの薄い鉄板でできているパトカーは簡単に破壊できる。

 

安全弾でもな、、、

 

タングステン製の弾丸がパトカーのエンジンに直撃してあらゆる部品を無力化した。

 

安全弾用の判定装置を持たない車両は実弾同様の被害を受けるが人体は傷付かないが痛みを忠実に再現という謎仕様のおかげで容赦ない銃撃を浴びせることができる。

 

さあ、退くことの出来ない地獄の幕開けだ。

 

 

 

警察SIDE

 

文科省のサーバ室の警報装置が鳴り、すぐに近くにいたPC(パトカー)に現調で向かわせたがすぐに事態は急変した。

 

警官1『相手は銃を』プツリッ

 

十人近くいたはずだったが通信途絶となり、マル被(容疑者)の詳細を知ることが出来ないまま混乱が生じて、別のPC(パトカー)が続報を入れるまでどうすればいいか分からなかった。

 

頭が真っ白になるが、すぐさま思考を切り替えて冷静になる努力をした。

 

PC2『こちら1032、マル被は黒色のキャラバン 東へ進みながら逃走中』

 

俺は迷うことなく、緊急配備を発令した。

 

まだマル被に関する情報が足りていないし、武装していることも定かではないが、嫌な予感はしていた。

 

その予感は当たることになる。

 

そう思っていた矢先、事態はさらに悪化していく。

 

PC3『こちら1056、マル被から発砲を確認 繰り返す マル被から発砲を確認 1032は銃撃を受けて車両大破って、伏せろ!』

 

銃声と着弾音がはっきりと聞こえて明らかに特別緊急配備を要する事態になり、死傷者が出る。

 

マル被を追尾していたPC(パトカー)もいなくなり、付近から増援が来ているが足りないし、このまま犬死させることになる。

 

手順もクソも言ってられない。

 

「特別緊急配備を発令し、火器の無制限使用を許可する」

 

マル被の詳細及び現在位置をオペレーターを通して伝達し、ありとあらゆるところを叩き起こした。

 

航空支援はどう頑張っても現着に10分かかり、配備にも限界がある。

 

夜にやりやがったせいで人員は昼間より少し穴が出来てしまうところを突いてきた。

 

すでに通常の状態では対応できない案件になり、特殊急襲部隊(SAT)が助走なしで飛び込んでくる、否、自衛隊に治安出動要請を今すぐにできるレベルに発展するのは時間の問題だ。

 

おおたか2『こちらおおたか2、現場上空に到着 マル被の車両を発見 現在、南進中』

 

マル被の推定進路上のJCTをいつでも封じられるように手早く配備した。

 

その間、マル被の近くまで追走できたPC(パトカー)が何台も大破して負傷したPM(警官)もいる。

 

そしてヘリにもマル被の抵抗が及んだ。

 

おおたか2『こちらおおたか2、メインローター及びテイルローターが損傷を受け、これ以上の航空支援は不可能と判断し、撤退します』

 

交通機動隊、自動車警ら隊、高速道路交通警察隊から特殊急襲部隊(SAT)特殊捜査係(SIT)が出動する一大事になってしまった。

 

だが、PM(警官)が負傷した以上はマル被を絶対に逃すわけにはいかない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

警視庁を無礼るなよ(なめるなよ)

 

 

 

 

 

 

 

 

??????

 

?????????????

 

 

 

パトカーを何数台も無力化し、警察ヘリも払い除けて高速道路に入った。

 

警察もかなり本気であり、プランBの撤退要領の詳細は聞かされていないが信用するしかない。

 

さて、弾薬はまだあるにはあるがこれ以上の銃撃戦をやると厳しく、万一に備えて温存はしたい方向でいく。

 

惜しむつもりはないがな。

 

分かることはトンネルがあるところに向かおうとしていることが分かる。

 

JCTは当たり前のように封鎖もしくは待ち伏せされているからこのままでは出ることができない。

 

でも、どうやって我々は回収されるのだろうと頭の片隅に留めておきながら弾薬を装填していた時に散発的な小さな発砲音が聞こえる。

 

警視庁の特別緊急配備になることは想定内だが、些か早すぎると思ったが支障はない。

 

ここで()()になった方が連中へのメッセージとなるからな。

 

さて、このままではジリ貧になるし、回収地点をパトカーに見られるわけにはいかないからバンに積まれていた汎用機関銃をケースから取り出した。

 

 

 

ラインメタルMG14z

 

 

 

MG3を双銃身(2連装)にしたという素晴らしい(イカレテいる)ものだが、発射速度は最大毎分3000発を誇るもので銃座がないと運用できない代物だ。

 

まあ、バンに銃座さえ設置すれば問題ない。

 

銃座を組み立ててMG14zを載せて弾薬を装填し、分隊員に予備銃身の交換をできるようにスタンバイさせてキャラバンのバックドアの防弾ガラスを外すとすぐに少し離れたところにいるパトカーに照準を合わせた。

 

引き金を一瞬しか引いていないのに10発近くがパトカーに叩きこまれてエンジンルームを大破させていたが、なにより曳光弾が綺麗な緑色だった。

 

やはり、ここに入って良かった。

 

現在は羽田空港方向に向かう高速道路に乗り、そこのトンネルがランデブーポイントとなったことが無線から入った。

 

150発を撃ち切った頃には視界内にパトカーは目視できず、銃身も予備銃身に交換している。

 

あと、数十分の旅路だがまだまだ長い戦いになりそうだ。

 

覆面のパトカーが音もなく接近してきて、SIG SAUER P230JPを運転席に撃ち込んできたが防弾ガラスに阻まれてバックドアのガラスがないことに気が付いたのか速度を落として分隊員3の顔にめがけて迷いなく撃った。

 

だが、機関銃の装填と銃身の交換が終わっていた。

 

150発をすべて撃ち切ってほぼエンジンルームと客室が原型を留めず、煙を吹きながら高速道路の壁に激突していく。

 

「すまない、だが死なせるわけにはいかんのでな」

 

分隊員1「追尾車は目視できず 無線傍受でも付近にも確認できず 問題ありません」

 

「そうか、バックドアガラスを戻せ」

 

分隊員1「了解」

 

銃を銃座から外してケースに入れて、銃座の解体を手伝うがつい先まで約10台の車を破壊しきって追加のヘリも追い払った。

 

流石にこれ以上は来ないだろうとは普通は思う。

 

しかし、敵はこいつらだけじゃない。

 

今回の件で間違いなく内調と公安が来る。

 

やつらは容赦なく非合法な手段を使ってくるいかれポンチだ。

 

学園艦内での()()()始まり、かなり忙しくなることを思いながら外を見ると妙な動き大型バスが横に並んできた。

 

即座にCBJ-MS手に取り、窓を開けて運転席の方を撃つと弾丸が当たるものの貫通した手応えがなく、キャラバンが大きな衝撃に襲われる。

 

姿勢を崩して頭を強く打ち付けると視界が朦朧とし、耳はキーンと鳴って感覚を失う。

 

(クソッ!警視庁も大概ヤバい連中だったか・・・)

 

そもそも、司法機関ほど法律を無視しているものはないと昔から言われていることである。

 

日本では頭がお花畑な奴がしかいないと思ったが、どうやら例外に遭遇してしまったらしい。

 

なんとも運の悪いことだが、そちらも運が悪いのだ。

 

分隊員5が粘着爆弾を当たってきた大型バスの側面に貼り付けてると速度を上げさせて抜けるとすぐに距離を大きく上げてポチっと起爆させた。

 

大きな閃光と共に大型バスが揺れて蛇行して横転し、高速道路を塞ぐような形で止まる。

 

わずか数分の出来事だったが、えらく私の肝を冷やしやがったと思いつつ頭を手で抑えながら壁に沿うように座り直して未だ朦朧とする視界を治せるように安静にした。

 

羽田空港の下を潜るトンネルに入り、空からの監視が途絶えると一般人を自然に装ったセミトレーラーが前に現れて、左右と後ろにもいつの間に囲われていて前のセミトレーラーのコンテナの扉がゆっくりと開いた。

 

どうやらこれが迎えだったらしく、コンテナの扉が地面から僅か数センチの隙間を残してキャラバンが速度を上げた。

 

そして、坂になっていたコンテナの扉に乗り上げる形でコンテナに入ると扉がすぐに閉まり、少し左に引っ張られるような動きを感じながらやっと一息を入れることができる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

羽田空港を潜るトンネルが終わると忽然と消えた一台のキャラバンが消え、警視庁の追跡は失敗に終わった。

 

翌日のニュースではさまざまな形で誤魔化されて世間を少しザワつかせたものの、すぐに記憶から忘れ去られたが、赤坂は戦々恐々だった。

 

なんせ、盗られたものがものであったために警視庁はすぐに動き出した。

 

それもお上から直々の命令によるものであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回の作戦で入手された文書には前回の県立大洗女子学園学園艦の廃校計画の詳細と解体業界との癒着を裏付けるものであり、口約束が破ってまで前文部科学省学園艦教育局長(辻廉太)が必死になった真相が伺えるだけでなく、各方面の政治家の思惑と計画が浮き彫りになった。

 

それは県立大洗女子学園だけでなく、全学園艦を巻き込む事変になるだけの情報が満載だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

????<<歪んだパズルを一度リセットするべき時が来た>>

 

 

 

続く・・・




少しCoD風にしてみましたが、どうあってもガルパン要素はない(笑)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

夜の日常

毎度のことながら日常に忙殺されている作者です。

今回は本当にタイトル通りの内容です。


長門SIDE

 

大会の予選が終わってこれから準決勝へと進むわけだが時間が空いているため、通常業務に戻ってアラート勤務をしているところだ。

 

普段はそこまで忙しくないが海域によって航空自衛隊の代理として国籍不明への対領空侵犯処置を担う都合上、1日3〜4回またはそれ以上スクランブル発進を行うことがあり、その時は忙しい上に責任重大な任務である。

 

それ以外に全国学園艦連合が定める学園防空識別圏(SADIZ)(50海里)であり、同様に対領空侵犯処置を実施する。

 

何交代制については場所とその基地の規模によってさまざまであり、当然秘密である。

 

今回は夜間を担当し、バディーとして小原がいるわけだがアラート待機所にはパイロットだけでなく、整備員も一緒にいる。

 

バンカーとアラート待機所は少なくとも通常爆弾の直撃に耐えられるように設計されているためか、コンクリート壁がかなり厚いだけでなくてA B C(核兵器 生物兵器 化学兵器)兵器に対応した設備と装備が完備されている。

 

そして、パイロットが快適に過ごせるように施設が整っており、エアコンはもちろんのこと夜間作業作業灯などがある。

 

さて、読者への説明を終えたところで世間がクリスマス商戦で浮ついている時にむさくるしい野郎共と小原で夜間勤務の最中だ。

 

私が騒がしいことを好まないと知っているからか、かなり静かな空間で快適なものである。

 

基地の消灯時間を過ぎ、これから深夜帯に入るというときに無音になっているテレビではニュースが流れていた。

 

私はロイヤルミルクティーが入ったマグカップを片手に『我が闘争』を読みふけっている。

 

ただ、一方的にヒトラーは批判されているが彼の思想を読み解かないことには批判をすることはできないが、言えることがあるとすればヒトラーはなるべくしてなった人生であると分かった。

 

賛同するつもりもないが、当時の荒れたドイツではメシアにでも見えた。

 

でなけりゃ、終戦までいくらゲシュタポが怖くても国民は戦争を続けなかっただろうな。

 

これまでも所謂()()とされてきた者達の著書を読みながら当時の状況を照らし合わせると()()を振りかざした側の方が胸糞悪い。

 

スターリングなんて、人の血が流れてすらいない。

 

まあ、こんな退屈な話をしても読者の皆様は退屈であろう。

 

さて、切りのいいところで本を膝の上に置いて身体を伸ばしていると視界の端で雄二が映画化されている推理小説を読んでいる。

 

その本の作者のシリーズで初の長編小説で内容が少し重く、感動的である。

 

私も読んだことがあるけれど、まだ子供だった私には理解できない部分があって大人になって経験を積んだ頃に読み直そうと考えていた。

 

なにせ、恋とそういうものを未だ理解できない。

 

まあ、こうして平気な顔をしているけど男性にはトラウマに近いものを抱えている時点で生涯独身は確定したも同然なのだが、小原に対してはなぜかそういうことは起こらない。

 

初の弟子だからなのか、なんであるかは分からないけれど安心感に近しいものを感じる。

 

本当になぜだろう。

 

その思った刹那、上級軍曹が座っている席にあるホットライン用電話機が鳴り、私と小原は持っていたものをサイドテーブルに置いてヘルメットを手に取った。

 

「スクランブル!」

 

上級軍曹がそう言うと同時にサイレンとベルが鳴り響き、整備員と共に隣のバンカーへと走る。

 

小原はもう一つ向こうのバンカーへと走る姿を見届けながら梯子を駆け登って愛機に乗るとエンジンを始動させ、計器類チェックとヘルメットにつけている酸素マスクのパイプ接続をした、第一と第二エンジンが暖機に入ったことを確認するとエルロン及びエアブレーキを動かした。

 

動作に異常がなく、バンカーの耐爆扉が開いており無線ではタワーから必要な情報が通報されていて高度計とIFFを弄って、警戒管制隊の周波数をメモしていつでも変えられるようにしている。

 

暖機が終わり、回転数が安定して滑走路へタキシングすると隣のバンカーから小原が乗っている機体も出てきた。

 

滑走路に入って停止して最後のエルロン動作確認をして小原にハンドサインを送ってすぐにスロットルを押し倒してさらに大きな轟音が夜の空を切り裂いた。

 

無線を警戒管制隊に切り替えて今後の指示を仰ぐ形になる。

 

今回は学園艦が太平洋側を航行しており、大抵はテロリストであることが多くて撃墜許可が出る。

 

方位に245に向けて最大巡行速度で向かい、目標に対して少し遠回りに接近して背後に着くような形にしようとしていた。

 

テロリストがどこで戦闘機を手に入れているかは分からんが、学園艦を狙う理由はさまざまだ。

 

ただ、学園艦のような鉄の塊が制御ができずにどこかに突っ込むと甚大な被害が出るのは間違いないし、独身国家を作れなくもないから狙われるらしい。

 

そんな阿保なとは思うだろうけど、現に私たちの会社や他社も必死になって対処している。

 

そんなことよりE-2Dから共有されている情報によると目標はあと4マイル先にいるようで5機編成のようだ。

 

一応ANVIS(暗視装置)を使っているけど、解像度はあまり良くはないからなるべく計器頼りでやっている。

 

目標は航空灯を消しており、ほぼ間違いなくテロリストである。

 

<<こちらは大洗防衛機構空軍部門 貴機は大洗学園艦領空に接近しつつある 速やかに針路を変更せよ>>

 

領空侵犯対処要領と同じように無線警告と目標に対して自機の翼を振って「我に続け」の警告を見せたところで3機が編隊から外れてこちらに真っ直ぐ向かって火器レーダー警報が鳴った。

 

[WARNING] RADAR LOCK

 

<<目標からの敵対行動及び攻撃の意思を確認 実弾に切り替えて撃墜する SLAVE1 WEAPONS FREE>>

 

小原<<ROGER, COMMENCE AN ATTACK>>

 

敵の編成は護衛の戦闘機3機と戦闘爆撃機2機だ。

 

ANVIS(暗視装置)敵機(目標)を見た感じだとF-5EでAIM-9X(サイドワインダー)を6発搭載している。

 

所属は当然不明であるが、差し向けてきた相手は情報部の連中が解析してすぐに判明するだろうと思っている今度はミサイル警報が鳴り始めた。

 

[WARNING] MISSLE

 

回避運動はすでに始めていたが、わざと単調な動きをしていた。

 

連中に引き金を引かせて決定的な状況を作り出すためにね。

 

向こうがこっちにレーダーロックした時点で十分に撃墜できる口実はあるのだが、言い逃れができないレベルにすると(テロリスト)()()しても問題ない。

 

相手をオーバーシュートさせてハイGターンで背後にいる敵機をなるべく引き離した上で急上昇してオーバーシュートさせた敵機に目掛けて降下してコクピットに銃弾を叩きこんだ。

 

キャノピーが20mm弾に耐えられずに砕け散り、敵パイロットが原型を留めていないことは容易に想像できる。

 

敵がこれを見ていたのか怒り狂うのように私に集中攻撃をし始めたが、小原も私と同じようにコクピットに銃弾を浴びせて撃墜したことで残った最後の敵の護衛機が敗走しようとしたがミサイルで容赦なく撃ち落とされた。

 

小さい機体だったのか、バラバラに破壊されてベイルアウトする余裕がないまま海面へと墜ちていった。

 

すぐに学園艦へと向かっている残りの2機を追いかけて機体の種類だけを確認してから最初の撃墜した敵機と同じように無慈悲に暗闇へと叩き墜としてミッションコンプリート。

 

<<MISSION COMPLETE VICTORIA SQ RTB>>

 

そう宣言して学園艦へと戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

着陸して戻れば報告して少し休憩してからスラングル発進していた間にバックアップで入っていたパイロットと交代して待機に入る。

 

先ほどのフライトの操縦を思い出して反省点を見つけ出しては次はどうすべきかを考えるを繰り返して頭が疲れたら甘いものと紅茶を飲んでは本を読んで夜を明ける。

 

これが私の、いや、0空団の夜間待機の日常だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小原SIDE

 

俺の日常は夜間待機もしているが、俺が多種多様な機体の操縦資格を持っているというせいでなおさら忙しい。

 

人員欠如時のバックアップ要員として救難、輸送や教導などと業務が多岐に渡り、ほぼ休みはなくて割と呼ばれる。

 

特に救難は熟練の操縦資格者でないと務まらないため、パイロット不足が深刻だったりするが簡単には増やせないというジレンマをどこの会社も抱えている。

 

自衛隊よりいくら人員が多いとはいえ、熟練者と呼ばべるものは決して多くないし、条件もかなり厳しい。

 

当たり前ではあるが、救難はかなり厳しい状況下で安全かつ繊細な操縦を求められる。

 

救助者が遭難者になるということがあってはならない。

 

そのプレッシャーは尋常ではないし、自衛隊の救難隊ほどの経験を持ち合わせていないから尚更大きい。

 

いくら研修して練度を高めたところで実地の経験だけはどうしようもないし、自衛隊と海上保安庁の救難部隊を超えることは無理に近い。

 

高校生に瞬時かつ的確な判断をする方が酷だ。

 

今日は救難の夜間待機をしている時に学園艦が航行している海域の近くにいたタンカーから緊急要請があり、近くには自衛隊も海保もおらず、最速で1時間で到達できたらいい方で天候も悪化傾向にある。

 

しかし、患者の容体は芳しくないようだ。

 

どうやら作業中に発作を起こして倒れ、その際に頭部を強く打ってしまった。

 

それも打ちどころが悪くて血も大量に流しているとのことだ。

 

緊急発進のサイレンが鳴って、ヘルメットを手に取ってヘリがいる格納庫の外へと走り、牽引を終えたばかりのUH-60J改Ⅱ型(架空機)に乗り込んでエンジン始動の準備を始めた。

 

その間にパラメディック(救難員)が必要な道具一式を持って搭乗し、用意している。

 

プロペラ稼働範囲内に人がいないことをしっかりと確認し、エンジン始動と同時に機材動作チェックを行う。

 

無線では接続確認と現場の気象情報が伝達されていた。

 

風はタンカーの気象観測装置によれば最大で20KT以上吹いており、波は最大で2Mを超えている。

 

見通し距離はあまりよくはなく、今後の予報ではかなり悪化が見込まれていた。

 

飛行場の直上でもあまり良くない雲が流れてきており、今夜の天候の悪さを物語っている。

 

エンジンも暖まり、回転数も安定してきたところでフルスロットルでエンジンの異常な振動や音などがないことを確認して出力を最小にしてから整備員からゴーサインをもらう。

 

輪留めが外されて、エンジンの出力を60パーセントまで上げて6フィート上がったところで滑走路までホバータキシングで移動した後にヘリの発着に着くと管制塔からの情報を得て出力を上げて真っすぐ要救助のところへと向かった。

 

予報通り空域の天候が悪く、目的のタンカーに近づくにつれて風が強くなっているのか機体が流れ気味で操縦桿が重くなっている。

 

機載の気象レーダーでは積乱雲やその一歩手前の塔状積雲が周辺のエコーとして映っており、いつ放電(落雷)してもおかしくはないほど大気が不安定だ。

 

冬の特徴的な気圧配置である西高東低のせいであり、雪も降り始めている。

 

海の状態も上空から見た感じだと落水すれば間違いなく生き延びることが絶望的だと一目で分かるほど波が高く、この気温で水温だ低いことが容易に想像できる。

 

20分の気象状態と戦いながら飛んでいるとGPS上では目標のタンカーに近づいていることを示していた。

 

風はタンカーの情報によると最大で30KT吹いているようで、ホバリングを維持するのが困難だがやるしかない。

 

救難員がドアを開放してホイストクレーンの準備をしている間にタンカーで救難員が降りられるように少し広めの場所の真上になるように機体を安定させ、1メートル以上動かないようにホバリングを開始して救難員にゴーサインを送った。

 

救難員が降下を開始し、機体位置を逐一確認して推定着地地点を微調整しながら高度を一定に保つことを努める。

 

一人目が降下を終えてすぐにホイストを引き上げて二人目の降下を開始している間に一人目の救難員が要救助者の元に駆け付けた。

 

無線で現場の実況が入り、担架が必要となり二人目が担架を抱える状態で降下することになる。

 

担架が変に風やヘリのダウンバーストで流されないように重りをつけたロープを着地地点に落としてから二人目の降下を開始した。

 

要救助者の応急処置が終わってタンカーの乗組員の協力で外まで運搬し、二人目が降ろした担架に乗せ換える。

 

そして降下した二人目の救難員が先ほど落としたロープを担架に繋げて、担架と一人目の救難員のロープが捻じれていないかを機上員が確認し終える。

 

俺もエンジンの出力をわずかに下げて安定させて救難員からのゴーサインを待つ。

 

天候も見る見るうちに悪くなり、見通し距離も落ちていて飛ぶってレベルではなくなり始めていた。

 

担架の上昇が開始され、二人目の救難員が担架に繋げたロープで担架が変に回転にしないように細心の注意を払い、要救助者を刺激しないように一丸となって動いている。

 

その時、突風が吹くも操縦桿越しでその予兆が伝わって風が吹くと思われる方向に少し傾けて機体の安定な状態を維持した。

 

担架が上昇し終えて機内に収容されて、タンカーに残っていた救難員を回収して帰投する。

 

滑走路の発着位置に着いてからホバリングタキシングで駐機位置に着地してすぐにエンジンを切るとスタンバイしていた救急車が近づき、機上員ろ救難員が慎重かつ素早く担架を運んだ。

 

プロペラが完全に止まったことを確認してフライト報告書と進出帰投路の気象状態を書いてまた待機して夜明ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

これが俺のスラングル待機とは別の夜の日常だ。

 

 

続く




リアルに忙殺されて中々更新できなくて申し訳ないです。

次話も出来れば早めに投稿できたらと思っています。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

SUPER SHORT編  クリスマス 表

リアルに忙殺されて若干スランプ気味ですが、頑張ります。

たぶん、今回か次回が今年最後の投稿になります。

少し早いですが、皆さん良いお年を

来年もよろしくお願いいたします。



クリスマス

 

それはイエス・キリストの誕生を記念する年中行事であり、欧米では基本的に家族と過ごすが、日本では恋人たちのイベントになっている。

 

独身貴族にとっては血涙になる時期であり、その血でサンタは赤くなったという・・・噓です

 

 

 

 

 

 

 

今時はサンタさんを追跡をできるサービスも存在するが、これはアメリカ空軍から始めたものだったりする。

 

1955年に百貨店が出したチラシに書かれていたサンタホットラインの電話番号が誤植でCONAD(大陸防空司令部)*1の司令長官席に繋がってしまうという珍事態で、子供の間違い電話を受け取ったハリー・シャウプ大佐が気を利かせて「レーダーで調べると、サンタが北極から南に向かった形跡がある」というユーモアのある回答をしたことが始まりである。

 

1998年からはカナダからメキシコシティの間で戦闘機を発進させてアメリカ領内でのサンタ追跡という大掛かりなイベントに発展し、カナダ空軍が毎年サンタをエスコートするパイロットと整備員を発表している。

 

※Wikipedia参照

 

 

 

小原SIDE

 

雪が降り始める寒い中で愛機に乗り込んでエンジンの暖機をしている最中だが、スクランブル発進でも任務でも大会でもない。

 

大会の初戦は速攻で終わらせて、2回戦の状況待ちである。

 

今日はクリスマスのようで世間一般では24日になんとかの6時間がクリスマス扱いになっているらしいけど、どうでもいいことだ。

 

我々第0空団では基地内では食堂にクリスマスメニューになるが、物量投下訓練と広報も兼ねて国内でクリスマス・ドロップ作戦のようなものを実施している。

 

サンダース高校のパトリオット社が創設時から始めた「オペレーション:クリスマス」に参加することになり、エスコートとして発進準備をしているところだ。

 

C-2とC-17の1機ずつが赤い覆いをした投下物資を積み込んでいた。

 

今回は大洗に向かうC-2の護衛を担当することになり、どうやら大洗公園というところに投下する予定となっている。

 

天候も太平洋側ということもあって比較的良好であり、輸送機の新米パイロットにとっても訓練日和だ。

 

暖機を終えて、滑走路へと向かうとすぐに離陸して輸送機が上がるまで空中待機した後に目的地へと飛ぶが今回はかなり平和な部類の任務だったりする。

 

長門<<こちら護衛機のヴィクトリア隊 1番機 コールサイン:クイーン>>

 

<<ヴィクトリア隊の2番機 コールサイン:スレイブ1だ>>

 

新米パイロット<<よ、よろしくお願いいたします>>

 

この緊張具合は初々しさを感じるなぁ。

 

長門<<お前も初めて会った時もこんな感じだったぞ>>

 

さり気なく心を読んでくるか・・・

 

<<色々ありすぎて覚えてないけど、なんかそんな時代があったようななかったような気がするな>>

 

長門<<全く・・・可愛げのないな>>

 

<<歳を取ればそんなものですよ>>

 

長門<<歳って、同い年で数年しか経ってないわ!馬鹿野郎!>>

 

<<ハハハ>>

 

何気ない雑談をしつつ順調に目的地へと飛行しているうちに現地に駐留している部隊で気象観測と投下支援をしている小隊からの無線が入り、輸送機が少し投下地点への進入するために少しだけ大きめに遠回りして高度と速度を下げて始めていた。

 

こっちも輸送機に合わせる形で追随し、輸送機が進入経路への最終調整に入ると投下地点に偵察という形で先行して緩やかに旋回しながら投下地点に新たな障害物等がないことを確認しつつ輸送機が投下コースに入って物資の投下を見届ける。

 

大量のおもちゃ等が入った物資が投下され、地元のこども達に配られる予定である。

 

もう1機のC-17は小笠原諸島などの離島への投下を担当し、おもちゃ以外に民間会社から委託されて医療物資なども入っているらしい。

 

C-2が投下を終えるとすぐにカーゴドアを閉鎖して上昇を開始、現地の小隊から受領完了報告を受けて投下地点の上空を1周してから大洗を背に学園へと帰投した。

 

帰りもなにもなく、無事に着陸して機体から降りると長門がこっちに来ていた。

 

長門<<このあと、暇か?>>

 

<<特に予定はないですが、どうしたんですか?>>

 

かなり珍しいことだ。

 

俺もそうだが、長門も自分の時間というものを大切にするから仕事が終わればすぐに帰ってしまうのがいつものことである。

 

長門<<久しぶりに飲まないか?>>

 

どうやら今日のクリスマスは少し長くなりそうだな・・・

 

*1
現在のNORAD(北アメリカ航空宇宙防衛司令部)の前身組織




SUPER SHORTなのだが、終わり方が少し無理があるなぁ・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

SUPER SHORT編  クリスマス 裏

ちょっと頑張ってみた

たぶん、これで今年最後の投稿になりそうです

そして、執筆中に寝落ちて間に合わなかった・・・


クリスマス商戦とかなんとかで盛り上がって色んな所でイベントが開催されて人も動きも多くなるが、それは裏の世界も同じことだ。

 

人が集まっていることをいい事に悪巧みを企てる悪党がいる。

 

トラックで突っ込んだり、警察署に爆弾を仕掛けて爆発させたりと被害と共にインパクトを残せるだけではなく、人口密度が高いエリアに人を割かれるせいか悪事の下準備も密かもできる下らない算段なのだろうけど、そうはさせない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

陸軍部門特殊部隊「特殊空挺騎兵隊Special Airborne Cavalry」通称:SAC

 

 

 

桐生院瑠衣中尉 特殊作戦隊 第2小隊 小隊員

 

 

某所

 

 

 

第1中隊から特殊作戦隊に配置換えになり、対テロ戦について本格的に訓練をひたすら繰り返しているうちにこの部隊でも初実戦の機会がやってきた。

 

なぜ、ここに配置換えになったかはあまり分からないがここに配属できたのは名誉なことでいい経験になりそうだ。

 

さて、公安からの緊急依頼ということで人気のない海岸で()()の取引の予定で相手が重武装とのことらしい。

 

わが社の情報部によれば周辺には地元住民を装った工作員も確認されており、隠密作戦となる。

 

HK417Dの16.5インチに暗視8倍率スコープ、サプレッサーとハンドグリップを付けたライフルでゆっくりと足音を立てないように工作員がいる住宅を避けて林の中を歩きながら集合地点を向かった。

 

刺さるよう寒さの中で緑色の世界が視界に広がっていて、今はクリスマスとは程遠い色合いだが砂浜はこれから鮮血でデコレーションされるだろう。

 

「こちらジュゴン3、ランデブーまで5分」

 

『ジュゴン3、了解した』

 

指定された地点に向かいながら仕掛けを設置していき、銃に刺さっている弾倉を特殊弾入りの物に換えて光学迷彩クロークのバッテリー電源を入れた。

 

(まさか、光学迷彩を纏える日が来るとは思わなかったな)

 

対テロ戦とは言っているが、実際は対特殊部隊戦だ。

 

どことは言わないけど、東側の兵器を大量に搬入してくる犯罪組織はそういない。

 

しかも、海保の監視の目を完璧に逃れられる奴も限られてくる。

 

正規軍か準軍事組織相当の組織の二択になり、民生品の顔をした軍用品を持ち込んで直接的に手を下さない国で()()と決別したり蜜月したりの繰り返しをしている真っ赤なところだな。

 

さて、ランデブーポイントに着くと別ルートで来ていた観測手と合流をしてハンドグリップを少し回転させるとバイポットになり、狙撃体制に入って待機した。

 

「ジュゴン3、4 スタンバイ」

 

『ジュゴン1、了解 ()()()()の来店だ』

 

クルーザー船程の大きさの輸送船が2隻ゆったりと砂浜の浅瀬まで近づいており、どこからとなくわらわらと一人が出てきていた。

 

『大物が二人も出てくるのか・・・』

 

スコープ内には危険人物で知られている活動家という名の大物工作員が現場に現れるという想定外の事態になってきて、作戦に変更がなされ・・・ることはなかった。

 

『こちら作戦本部、キルオーダー発令 逃がすな』

 

『ジュゴン1、了解 総員聞こえたな』

 

キルオーダーの即時発令は割と異例だが、それだけ事態は悪い方へ急変したということだ。

 

観測手が集音マイクで敵の会話を聞いて、リアルタイムで作戦本部と隊に共有され始めていた。

 

?「間抜けがあんな簡単なものに引っかかるとは・・・ハハハ」

 

??「法に縛られるような赤子だ。当然のことだ」

 

公安とわが社の情報に筒抜けになっているのは、どうなんだろうとしょうもないことを思いながら観測手から風、気温湿度と距離のデータを基にスコープを調整して確実に()()()()()ようにしていると無線が入った。

 

『ジュゴン7、配置に着きました』

 

『了解、各員 オペレーション開始』

 

「了解」

 

距離は700mにして風は南東の8ノット、気温8℃、湿度60%で補正をして最後に私の勘と目を信じて引き金に指を置いた。

 

「排除する」

 

息を精一杯吸って、ゆっくりと吐きながらちょうどいい感じのところで止めて揺れを無くして軽く引く。

 

バスンッ!

 

血が白い砂を赤く染めていた・・・

 

 

 

平和な裏に誰かが敵を汚して体裁を保っている。

 

長い夜になりそうだ。




本編を書いて今年を終えたいなぁ・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

無名の強豪 前編 [KNIGHT ROUTE]

今回が今年最後の投稿になります。

早いですが、来年もよろしくお願いいたします。

今年はお世話になりました。

皆さん、良いお年をお迎えできることを願っております。


事変があったものの、2回戦まで勝ち上がることができた第0空団は防空任務などに追われていたが、運営から指令書が届き、緊急呼集がかけられた。

 

長門SIDE

 

団司令<<緊急呼集で集めて申し訳ないが、指令書の状況が状況だ。読み上げる。県立茨城県大洗女子学園『第0空団』対コアラの森学園『マチルダ航空団』 期間は12月26日~12月31日 勝利条件:コアラの森学園空軍部門のミサイル基地の破壊又は無力化、エリート部隊の排除及び無力化 敗北条件:学園艦学生用飛行場の無力化又は稼動機の全滅 試合会場:鳥取県の陸地及び海域全域及び大洗女子学園艦 編成制限:無制限 以上

 

小原<<運営あるあるだなぁ>>

モブパイロット<<あーもー、無茶苦茶だよ・・・>>

(遠い目)

 

<<運営あるある?ってなんだ?>>

 

小原<<運営あるあるは文字通り運営がよくしでかすことを指す。今回の場合だと大会2回戦なのに状況の難易度が割と高いのに期間が短い。普通は前回みたいに7日ほど与えてくれるのだがな>>

 

<<あー、確かに期間の割に難易度が高すぎて棄権するところがあるのは聞いたことがあったな>>

 

装備や人員が潤沢な会社ならまだいいが、今回の()()()()()は広域な作戦で大会以前から長期に渡って調査をしていなければできないものだ。

 

ミサイル基地とは暈しているがサイロのことで所在地が秘密扱いだったり、過剰なほどの防護力が施されているから諜報部による調査が必須であるが、セキュリティが厳しく長期戦になるため先述の通り規模の大きい会社でしかできない無理難題と言われている。

 

破壊もそうだ。

 

安全に破壊する場合は制空権を握って諜報部が情報を基にサイロのミサイル発射管制施設を的確にバンカーバスター(地中貫通爆弾)で破壊することになるが、バンカーバスターを使う時点で予算不足になるところが出てくるだろうな。

 

あれは安い代物ではないし、厳しい使用制限がかかっている。

 

なんせサイロのミサイルに()()()()当てないように()()()()()()()()()ことになっている。

 

ミサイル発射管制施設の場所は露見しても問題はない。

 

なぜならその近くにあるとは限らず、緊急時には中央発射司令指揮所から操作できるシステムで稼働できるという二段構えを採用しているところが多い。

 

しかし、ミサイルサイロとなると話は違ってくる。

 

弾頭には実弾に切り替えられる核弾頭が搭載されており、それがテロリストの手に渡ればどうなるかは想像するまでもないだろう。

 

わが国では残念ながらアメリカのように敵対国から遠くて制空権が取られにくい場所ではないため、基本的に車両や潜水艦等といった発射母体を利用する所が多い。

 

ミサイルサイロがあるところは片手で数えられるくらいしか存在しないという曖昧な噂話がある。

 

今回の諜報部の働きで真相はどうやら?

 

団司令から同期の相模少佐が演台に立った。

 

相模少佐<<私からミサイル基地について説明する。今回情報部から得た情報を基にスライドに示す。マチルダ航空団はミサイルサイロを6つ保有していることが判明した。すべてミニットマンⅢであり、Mk.12A、つまりMIRV(複数個別誘導再突入体)弾頭としている。そして、そのほかには偽装ミサイル基地を10箇所設けている。鉄道型も所有しているが今回の大会では使用されないことは運営及び現地の諜報員から裏付け済みだ。次のスライドではミサイルサイロの位置を示す>>

 

ミサイルサイロを本当に持っていることに驚いているが、破壊目標であることに変わりはないのでそこまで気に留めなかった。

 

ミサイルサイロの位置と攻撃方法についての説明が終わるとエリート部隊に関しての説明が始まった。

 

相模少佐<<マチルダ航空団の装備品としては古すぎず新しすぎずという評価でそこそこの練度を誇っていたが、それはちょっと前までの話だ。今はジルバー隊という航空隊が新たなに転属したという情報があり、撃破は容易ではないと考えられる。詳細に関してはあまり掴みことが出来なかったようだが、使用機材は判明している。機体はF-4EとF-16Cと比較的古いが油断できない実力を持ち合わせている。どうやら『慶良間()()』と自称する流派も存在する模様でかなり手強い相手となる。>>

 

教室か、懐かしいな。

 

小原が第一号生で、あとは何人か育てたけど傑作になるような子は他にはいなかった。

 

素養もそうだが、空への思いが誰よりもあって吸収も早くて私を超える勢いもあったのに急に消えた。

 

だが、また私の前に現れた。

 

再び直属の部下としてだ。

 

本人は覚えていないと言いやがったが、私はしっかりと記憶に残っている。

 

()()と手放しはしないぞ。

 

覚悟はしろ・・・雄二

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、話が脱線してしまったがここ二日間は天候が悪くて任務を実施するには適していないため28日に決行することになり、今日はは作戦会議と通常業務に追われるだろう。

 

今回としては私が遊撃隊の役割を担い、鮟鱇隊がバンカーバスターを搭載した爆撃機の護衛で小原がポインターとして飛ぶが決まった。

 

私は爆撃機に向かう敵機以外に小原がポインターに集中できるように敵を排除する。

 

小原の機体には自己防衛用のミサイルくらいしか搭載出来ず、照準を合わせている間は回避運動も困難だ。

 

そして、0空団は爆撃機をあまり持っていおらず、今回の作戦ではギリギリの運用となるため、バンカーバスターを1発も無駄には出来ない。

 

戦闘機の質と量のための予算、社員(隊員)の福利厚生重視制度への予算の投入、爆撃機の必要性の低さや0空団におけるコストパフォーマンスの悪さであまり導入されていない。

 

F-117の3機とB-1Bの3機で計6機と保有しているが、これでも他に比べれば多い方らしい。

 

ちなみに一番多いのは資金の化け物パトリオット社でB-52HやB-2を含めて20機を現役で保有しており、そのほかにいつでも現役復帰できるようにマスボールされているものも何機かあるらしい。

 

マルチロール機で爆撃機任務をカバーしていたことが多いというか、それで問題はなく任務を回せていただけでなく、爆撃機が必要になる任務自体がかなり少ないことも原因だったりする。

 

しかし、バンカーバスターはそこそこ大きくてF-15Eに搭載出来ても弾数が少なくて護衛に着ける機体が減るし、せっかく爆撃機があるのに使わないのはもったいない。

 

パトリオット社みたいに()()()()をするほど大盤振る舞いはできなくてもこういう精密爆撃はできるほどの予算と物量はある。

 

今作戦ではB-1Bを2機も投入する贅沢っぷりで、2回戦の難易度を表しているかのようだった。

 

作戦に移れない2日の間は爆撃訓練に費やすことになり、その間に陸軍部門と海兵隊部門の特殊部隊戦が潜入を開始してミサイルサイロのより詳細な位置の特定と我々のへの支援態勢の構築するようだ。

 

爆撃機の護衛任務はいつぶりか・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日・・・

 

 

 

 

 

 

小原SIDE

 

爆撃のポインターか・・・

 

対テロ作戦っでしたことはあるが、俺は割と苦手というか動き回って暴れる方が性に合わっているとはいえ命令された以上はやるしかない。

 

それなりの練度がないとできない任務ではあることと無駄な消費ができないことを考えると下手な人選はできないのは理解できるから仕方がないな。

 

自機には大型照準ポッドが取り付けられていて本当に自己防衛用の兵装しか載せられないことが分かる。

 

幸いなことに大型ポッドは機体の機動性を損なわせるようなことはないらしいが、基本的は敵機と交戦しないことと照準中はブレるような動きをしてはいけないから的と同じようなものだったりする。

 

ヘルメットHUDには大きめの丸の中に十字があってその中心に垂直の線が入っており、バンカーバスターが地表に近づくにつれて小さくなるようだ。

 

バンカーバスターの投下は爆撃機だが、ポインターの俺が発射というか投下権限を持っている。

 

照準ポッドが爆撃機との連携通信機能を入れている都合で真正面からしか使えないため、緩やかに降下して無防備な状態で着弾まで見届けることになる。

 

やることは緩降下爆撃と同じ要領だがこっちから直接撃つわけではないし、命中するまでは目標から逸れるわけにもいかない。

 

今回はミサイル発射管制施設の破壊で位置の露見をなるべくさけるため、防衛用の対空兵器はかなり少ない予想だが、その代わりに戦闘機の数が多くなるだろう。

 

特定困難な鉄道型が使われないのはありがたいけど、なんか嫌な予感はしている。

 

近くにあるダムをミサイルサイロ代わりにしないはずがない気がする。

 

俺が敵将ならそうしているし、みんなもそうする。

 

なんせ隠すには最適な場所だからな。

 

おっと、話が脱線してしまった。

 

照準ポッドの癖に慣れることに時間はかかったもののどうにかものにしたことで翌日は本格的な訓練が始まっては作戦決行日を迎える。

 

作戦前のブリーフィングが終わり、これから機体エンジンの始動という時にスクランブル発進を知らせる放送が聞こえてすぐに地響きのようなジェット音が伝わった。

 

俺を含めて全員が大急ぎで機体に走って緊急エンジン始動を開始して滑走路へと殺到した。

 

管制塔<<滑走路に入り次第すぐに離陸しろ 情報は順次伝達する>>

 

ポインターの俺は邪魔になるから後方に待機していると、長門の機体が上がっていくのが見えた。

 

AAMを満載にして両翼に濃い青色をしているF-15C、あとに続くように最新鋭のF/A-18EブロックⅢの垂直尾翼に()()()()()()()()()()厳つい鮟鱇の部隊マークをした鮟鱇1とその列機たち、長門ラブの子のラファールCが飛び立った。

 

そういえば長門ラブの子は一応ヴィクトリア隊の列機だったか。

 

そう考えながら順番を待った。

 

俺の後ろには電子戦機EA-18Gや本命の爆撃機B-1Bの2機が控えている。

 

無線では若干の混乱っはあったもののカオスというわけではなく、冷静に敵機の情報や気象状態などが飛び交っている状態だった。

 

どうやら敵機はエリート部隊ではないものの、こちらの飛行場を無力化しに来た模様だ。

 

編成として護衛のF/A-18EブロックⅡが8機、F-111が4機で滑走路破壊特殊爆弾であるBLU-107『デュランダル』をぶら下げて飛んでいるらしい。

 

さらにはF/A-18Cの12機がさらに迫っているらしい。

 

割と敵が本気で無力化を狙いに来ていることが分かる。

 

面白くなってきたな。

 

一番先に接敵したCAP(戦闘空中哨戒)をしていた連中が必死に侵入を阻もうとしたが、数の多さには勝てずに撃ち落された。

 

被害はまだ小さくては早目に探知できたおかげで局限化できそうだ。

 

さて、護衛機が上がったところでやっと俺が離陸することができるな。

 

滑走路に入るフルスロットルでアフターバーナーを焚きながら加速してゆっくり上昇をしながら現在の状況を聞いていた。

 

レーダー上には先に上がっていた鮟鱇隊が爆撃機を待つために空中待機兼飛行場と学園艦の防空をしていた。

 

ヤタガラス<<スレイブ1来たか・・・、クイーンとナイトの二人のおかげで敵機はある程度片付いている。貴機は低高度で作戦空域に到達せよ>>

 

<<スレイブ1、了解>>

 

ゆっくりと操縦桿を動かして作戦空域へと向かった。

 

続く・・・




来年はすぐにKNIGHT ROUTEの完結できるように頑張ります。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

無名の強豪 後編 [KNIGHT ROUTE]

かなり遅いですが、新年あけましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いいたします。

今年の初投稿になります。

本当に完結できるように頑張ります。


長門SIDE

 

思ったより対戦相手の動きは早かったが、これの方がやりがいがあるというものだ。

 

中距離AAMで牽制して、ヘッドオンコースを避けさせた上でサイドワインダーに兵装を切り替えて護衛機を狙うかのように機首を向けて距離をさらにつめると爆撃機の方にロックオンして発射して、護衛機に機銃でヘッドオンしてすれ違いながらチャフを散布していった。

 

ミサイルをまともに避けきれずに爆撃機編隊の1番機が撃墜判定を受けてさらにミサイルの爆発範囲内で破片飛来によって2と3番機は一部の操縦系統に損傷を負い、中破判定となっていて追撃をしなくてもすぐに墜ちるほどのダメージだ。

 

機銃で撃たれた護衛機も撃墜判定だ。

 

長嶺(長門ラブの子)も4AAMで先制攻撃をかけて、3機を撃墜して逃れた1機を機銃で撃ち落としてさらに追加の4AAMで4機を葬る。

 

旋回すると敵機もこちらに向かってきて、ミサイルを放つもフレアで躱してヘッドオンで機銃で撃って1機を墜とす。

 

こちらが2機だけで対応しているから仕方がないが、すぐ後ろを付かれてしまうが久しぶりにこういう状況になったから少し心が躍る。

 

それは長嶺も同じらしくて動きに表れている。

 

決して相手を貶しているわけではないが、楽しいのは事実だ。

 

後ろに張り付いていた敵機をオーバーシュートさせて、ミサイルで墜とすことを繰り返していると敵機をすべて墜としていた。

 

ヤタガラス<<敵機はすべて片付いたようだな。スレイブ1と電子戦機は作戦空域へ 鮟鱇隊は爆撃機と合流したところだ。クイーンは作戦空域へ ナイトは鮟鱇隊と爆撃機の護衛機だ>>

 

<<クイーン、了解>>

 

長嶺<<ナイト、了解>>

 

ブリーフィングでの手筈通りに高度を下げて最大巡航速度で作戦空域へと向かった。

 

レーダーから探知されることを避けるためとはいえ、ここ最近は高高度飛行をしていない。

 

悪天候の多い日本海の冬だと暗い雲を抜ければ綺麗な青色の空が広がっており、何者にも穢されていない景色が私の心を昂らせてくる。

 

地上の柵から解放され、私だけの王国が存在する。

 

きっと、小原も同じことを思っているはずだ。

 

孤独と孤高の自分だけの王国があり、同じ者同士が共感できることだ。

 

私がただの長門美優であり、空のクイーンであることだけが私という存在を証明できる唯一の居場所である。

 

今日も明日も飛んで守る。

 

それだけだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小原SIDE

 

 

生まれてから愛された記憶もなければ人として扱われたこともないまま、宮原家という呪縛のせいで予備部品として生きてきた自分にとって大空は自由で何者にも縛られず、ただ一人の人間、否、死神として唯一存在出来るのが、ダークブルーの青空という名の戦場と王国だ。

 

いつしか愛おしい者と一緒に見たかった光景で私の墓場となる。

 

誰からも愛されない地上に用はないが、逃げるように捨ててしまった彼女にキチンと別れを告げれなかったことだけが心残りだが、些細なものだ。

 

ここ来れば自分の存在意義が初めて証明され、小原雄二でもなんでもない一人の男としていることができる。

 

数多の偽名を使い、忌々しい名を捨てて地上では名前もないけど、己の力で自分を示せる場所を誰にも奪わせはしない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

中国地方の山を越えて広大な作戦空域に到達すると現地の諜報員及び特殊部隊とのデータリンクによってミサイルサイロのミサイル発射管制施設の位置がレーダーとHUDに表示され、頭の中で瞬時に最短ルートを割り出して自分の位置から一番近い目標へと向かった。

 

電子戦機は山越えする少し前に高高度へと上昇して敵の通信と支援装置の無力化を開始しており、自由に飛べる時間はまだある。

 

対空兵器による抵抗はほとんど受けずに照準ポッドを起動して動作チェックをすぐに終わらせると、爆撃機がまもなく配置に着くという一報が来た。

 

対空機銃がポツポツと火を吹き始めたものの、電子戦機の妨害で直接照準しか使えない状況では当たる方が難しい。

 

爆撃機<<こちらジュリエット1、作戦空域に到達した。指示をどうぞ>>

 

<<スレイブ1、了解>>

 

返答するとすぐに大きく旋回して一つ目の目標を捉えると操縦桿の引き金を引いて、横風に流されないように照準を合わせ続けてHUDでの円が小さくなって一定リズムを刻んでいた音の間隔も短くなり、消えると同時に目標にバンカーバスターが命中して爆発が視線の先に見えた。

 

中央ミサイル発射管制施設も存在するが、存在が極秘のため今回の大会では各サイロに配置されているミサイル発射管制施設を破壊判定するとそのサイロは使用不能という特別規定が適用になるため、点在する発射管制施設のみ破壊することになったからまだやりやすい。

 

中央ミサイル発射管制施設となると猛烈な抵抗に遭うからな。

 

目標は撃破されたことを確認するとすぐに次の目標へと機首を向けると敵の護衛機がレーダー上に映り始めているものの、まだ電子妨害で俺の位置を把握出来ていない。

 

しかし、電子戦機の方へと向かっているものの長門が真っ先に対処しに行くようだ。

 

次の目標も同じように破壊を続けたが、流石に向こうも黙っているはずもなくて電子妨害があっても対空ミサイルが飛び始めて対空機銃も組織的な抵抗を形成していた。

 

流石に簡単にやらせてはくれないが、まだ戦闘機がこっちに来ていないだけマシで照準を合わせることに集中しつつも回避運動もできる範囲だ。

 

機体に銃弾が掠め始めていくが、飛行に支障はないのでそのままロールなどで照準が大きくズレないように上手く回避をして命中させてさらに次の目標を破壊に向かおうとした。

 

だが、物事がそう都合よく簡単にはいかないし、嫌な予感予感というのはこういう時に限ってよく当たる。

 

その後は順調に破壊を終えた瞬間にレーダー上にICBMの表示が現れた。

 

ヤタガラス<<クソッ!してやられた。ダムの中からICBMの発射が確認された。高度が低い間に破壊せよ>>

 

増量槽を切り捨てて機体を軽くするとすぐにアフターバーナーを使わない最大速度で発射された飛翔体のほぼ真下について自己防衛用のミサイルと機銃でミサイルを無力化した。

 

爆発があったものの燃料系に引火してからの誘爆ということもあって、放射性物質が漏れだすこともなく無力化されるが、更なる発射も確認されていた。

 

ヤタガラス<<方位010 新たなICBMの発射を確認っと!? さらに方位180でもICBMの発射を確認 クイーンは方位180 スレイブ1は010の破壊をせよ>>

 

<<了解>>

 

ダムから発射されるICBMの噴射炎と白煙が2つ見え、この世の終わりをはっきりと知らしめる恐ろしいさがある。

 

距離が少し遠いものの破壊に成功すると残りのサイロの無力化に向かった。

 

(ジルバー隊、慶良間は最後の方に出てくるつもりだな)

 

サイロの防衛する戦闘機に追われながらサイロを破壊しに周り、長門が纏わりつく護衛機を墜としていくと最後の一個になった。

 

山肌にあって風の影響を受けやすいが、無理ではない。

 

照準を合わせると機体が右下に引っ張られて高度が想定よりも早く下がっている。

 

(バンカーバスターの投下は取り消せないぞ)

 

相変わらず山風は読めないな。

 

軽く操縦桿を動かして修正してポインターがズレないようにして細心の注意を払う。

 

バンカーバスターが命中したことを見届けてから高度を上げて長門と合流すると、AWACSからエリート部隊が来たという無線が入る。

 

ヤタガラス<<スレイブ1、最後のサイロを破壊・・・ ヴィクトリア隊 複数の機体が接近中 様子が妙だ 警戒せよ>>

 

<<来たか>>

 

レーダー上には綺麗な編隊を組んでいる機影が映っていた。

 

??2<<戦線の主導権が敵にあります>>

 

??1<<奴らは速い ついていけ>>

 

??2、3、4<<了解、ボス>>

 

白虎が猛威を振るい、鮟鱇隊へ矛先が向くことはなくて真っ直ぐ私に向かってきた。

 

??1<<私についてこい>>

 

なぜ、4機しかないんだ・・・とは言えないな。

 

長門<<おかしくないか?事前情報では5機と聞いているんだが>>

 

<<隠れている可能性は・・・ない。ジルバー隊は正々堂々と勝負をしてくる。慶良間教室の教官、いや、隊長が引退した可能性があるな。ぼやいていたしな>>

 

俺が退任した時に慶良間はもう弟子に託したと言っていたな。

 

<<なら、こいつらの実力を試させてもらうか>>

 

長門<<悪役みたいなこと言いやがる。自己防衛用のミサイルしか持っていないのにな。まあ、私も望むところだ>>

 

<<クイーンも人のこと言えないですよ>>

 

長門<<フッ 行くぞスレイブ1 出来るだろ>>

 

<<仰せにままに>>

 

照準ポッドは機動性に大きな影響はないからいつも無茶はできる。

 

バレルロールをしながら出会い頭で1機を撃ち墜として、ハイGターンでもう1機の背中を追う。

 

??1<<ジルバー3、ベールアウトしろ>>

 

ジルバー3<<やはり、届かないのか・・・>>

 

決して実力は悪くないが、俺と長門が相手になった時点で運の尽きだろうな。

 

サッチウィーブで長門が引き付けていた敵機を墜として、今度は俺には背中に着かせるつおもりだったが、慶良間教室を受けているだけあった乗ってはくれない。

 

だが、まだまだ改良の余地はある。

 

シザーズに持ち込んでからハイ・ヨー・ヨーで綺麗に上を取って機銃で無力化した。

 

ヤタガラス<<大会運営から状況終了の電文を受信した RTBせよ お疲れ様でした>>

 

終わったか・・・短いながら楽しかったな。

 

作戦時間は全体でも3時間くらいでほとんどが移動時間だが、内容は濃かった。

 

前回の初戦にあった()()()()とかなく、積極的な相手でよかったよ。

 

ジルバー1<<こちらはジルバー1、割り込み失礼する。スレイブ1はいますか>>

 

<<自分がスレイブ1だ>>

 

ジルバー1<<小原さんで合ってますか>>

 

<<合っているが、どこで聞いたかね>>

 

ジルバー1<<教官が最後まで墜とせなかった相手であり、憧れだと言っていました>>

 

<<そうか、今日はいなかったが、引退したのか>>

 

ジルバー1<<・・・引退は引退なんですけども>>

 

<<幼馴染を追いかけに行ったか?>>

 

ジルバー1<<はい・・・その通りです>>

 

<<ハハハハハ、それは仕方がないさ。俺が隊長をしていた頃からずっと言っていたよ。「自分はあいつの傍にいたい」とな>>

 

引退するには勿体ないほど腕は良いのに幼馴染のこととなるとポンコツなんだよなぁ・・・(遠い目)

 

みんなで弄るのが楽しかったし、一途で真剣さが誰にも負けない奴だった。

 

<<そろそろ、時間だから切り上げるぞ>>

 

ジルバー1<<時間を取ってすみません。ただ確認したですし、次遭った時は負けません>>

 

<<構わんよ。そして、待っているよ>>

 

こういう後輩は好きだぞ。

 

長門<<おっと、いきなり挑戦状を叩きつけられたねぇ>>

 

<<自分はこういう奴が好きですから>>

 

長門<<久しぶりに模擬戦やるか>>

 

<<毎回やって勝負がつかないじゃないですか>>

 

だいたいタイムアップか、兵装切れで終わって勝負が決まらない。

 

機体にそれなりのダメージは与えているはずなのに当たった気がしないが、やはり自分が勝つのはまだ先になりそうだ。

 

昼過ぎたばかりだが雲がなくなって快晴となり、眩しい太陽の下で砂丘を少し見てから所々に上がっている黒煙を背に帰るが、次が準決勝戦でたぶんまた俺が知っている連中と当たるんだろうなぁ。

 

殺気マシマシで強い・・・

 

俺に初の黒星がつくかもしれない。

 

だが、楽しみにしている俺がいる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

長門<<私ほぼ空気なんだが>>

 

 

 

 

 

続く・・・




BGMはACE COMBAT 7の「Magic SpearⅠ」をイメージしてください。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

暗雲

今回は割とダークなお話でヴィクトリア隊は出ません。


横田基地 在日米軍司令部

 

米国国防情報局 対学園艦民間軍事会社諜報班 ヒューストン大佐 

 

 

 

 

 

 

 

 

「スチュアート少尉、この間の日本の文科省襲撃事件の進捗はどうだ?」

 

「犯人については特定済みですが、目的については調査中です」

 

「やはり、掴めないか。そして、犯人はODOの連中で間違いないか」

 

「はい」

 

「ふむ・・・犯人は報告書にある総合戦略部門の特殊武装偵察隊第1小隊か」

 

「我々のフォース・リーコンに相当しますが、詳細に関しては入手は不可能でした。向こうはわが軍と同等のセキュリティシステムを構築しているものと考えます」

 

「自衛隊より手強いということか」

 

「私はそのように認識しております」

 

「彼らに関する情報をすべて集めろ。手段は問わない。そして、些細な情報でも構わん。」

 

「分かりました」

 

「文科省の盗まれた文書の特定にまだ時間がかかっているのか?」

 

「はい、思いのか強固なシステムで何者かに妨害されているようです」

 

一介の文科省なのに情報セキュリティが硬いのはあまりにも不自然であり、よほど見られたくない情報があるようだ。

 

我が軍を妨害してくるか・・・面白いやつだ。

 

「引き続き調査をするように。ODOについては何か動きがあるか?」

 

「昨日にODOの6軍司令官による会議が行われたと潜入諜報員から連絡がありました。内容については詳細不明ではあるものの、文科省襲撃事件と関連はあるとのことです」

 

「根拠は?」

 

「総合戦略部門司令官の副官が文科省周辺の衛星写真のデータを使用していたことを確認したようです」

 

「ふぅー、どうやら俺が思っていたより状況が深刻かもしれん。各潜入諜報員に更なる情報収集に努めろと伝達しろ。戦争になるかもしれない」

 

「分かりました。しかし、お言葉ですが、こんな()()で育った連中にそんなことができるとは思えません」

 

彼女の言葉はもっともだが、数年前に起きた()()を知らないから言えることなのだろう。

 

「そうか、君は()()()()()の真相を知らないのか・・・」

 

「学園艦戦争ですか・・・ 資料でしか目を通した程度ですが、学生たちの()()()()()と聞いております」

 

「それは表向きにそうなっているだけだ。当時の日本政府と在日米軍司令が事態の揉み消しを行って、あくまでも全国高校生戦技大会の一環として処理されている。しかし、実態は異なるものでとても紛争ということでは片付けられない」

 

あの時は合衆国政府までもが紛争の終結に乗り出そうとしたほど、状況が混迷していた。

 

「人間の生まれ持った残虐性なのか本能なのかは今となっては分からないけど、戦うということにおいては容赦のない連中だぞ。下手すれば目的のためなら()()()()()()()()()()()()()()()

 

「・・・」

 

私のある鍵付きの書棚を開けて、『学園艦戦争に関する概要及び評価分析報告書』というタイトル極厚のフォルダにを取り出してデスクの上に置いた。

 

「伝達を済ませたらこれを読んでおけ。ここから持ち出すことはできないがな」

 

「わ、分かました」

 

私にとって忘れたくても忘れられない()()()であり、戦争というものを脳裏に刻み込んだ出来事だった・・・

 

あんな惨劇は二度と起きてさせてはならないし、未来ある青年たちにさせていいことではない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ODO本社 特別大会議室

 

ODO代表取締役社長 宇治冬美

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

総合戦略部門が得た情報を見て、大急ぎで各部門の元帥たちを招集して緊急6軍会議を開くことにした。

 

前から不穏な雰囲気が政府から伝わっていたから、調査を依頼するとやっぱり真っ黒だったようね。

 

「お忙しい中、集まっていただきありがとうございます。早速本題に入るけど敬語については気にしないで。では総合戦略軍元帥、説明を」

 

「分かりました。先日、特殊武装偵察隊に回収してもらったデータを表示する。プロジェクタースクリーンをご覧ください。」

 

スクリーンには文書が映されており、『【個人データ】学園艦統合計画(第2次県立大洗女学園廃校案)』というタイトルが見えた。

 

「このタイトルには案とはなっているが、フォルダの中身を見ますと決裁済みの計画書が見つかり、学園艦教育局の本気度が伺えるものとなっている。詳細は事前資料の通りだ」

 

総合戦略軍元帥が更なる詳細について1時間ほど説明を行い、不明点を解決したところで本題に入りたい。

 

「みんなの意見を聞きたい、開戦をすべきか否かをね」

 

「総合戦略軍は開戦を回避することは短期的及び長期的な視点で極めて困難と推定する。だが、現段階ではすべきではない。全学連を敵に回しかねない」

 

「空軍内でも同意見です。向こうが綻びを出すまでは行動できないと言った方が正しい。今回の資料は不正入手に近いから証拠としては出せない」」

 

「宇宙軍も同じく今は静観すべきである。JAXAなどの機構との民間協力をしている分野が多く、これを正しく処理しなければこのままでは作戦支援能力が大幅に低下する」

 

「我々もその意見に賛同するが、艦隊の戦時編成への移行はすぐにできるものではない。できればすぐにDEFCONを4から1または2に宣言して頂きたい」

 

「陸軍としても海軍の意見に賛同する」

 

「海外派遣の隊員の身の安全が確保されない以上は直ちに開戦に踏み切るのは反対だ。ただし、売られた喧嘩を放置するつもりもないし、国内の動員なら24時間以内で展開できる」

 

「全軍の考えとしては開戦は回避不可能だが、時間が欲しいと言ったところでよいかしら」

 

「その通りです」

 

「付け加えるとすれば、正当な大義名分が揃うまでは開戦は見送って秘密裏に準備は行う」

 

「海外派遣は業務の見直し一環を理由にすれば不自然ではない。あとは他社に移譲すれば問題はないと考えます」

 

「現段階ではもう少しこの状況を静観する。空軍元帥が言った事態が急変するまでの間は各軍は海外派遣部隊を順次他社へと移譲して規模の縮小、民間との提携部分の削減を図って柵を減らす。また、いつでも戦闘配置に移行できるように万全の態勢を期する。総合戦略軍は情報収集に努め、防諜を強化するように。DEFCONは3を宣言する。が、内密に行え。6軍会議は以上とする」

 

()()悲劇の再来にならなければいいけど、なったらなったで容赦なく国を覆すつもりで徹底的にやる。

 

それは我ら傭兵のやり方だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

某所

 

?????????????????

 

 

 

 

 

 

 

 

???1「我々はこれまでにない国難に立ち向かおうとしている。()()のように簡単に物事は上手くいかない可能性が極めて高い」

 

???2「()()一家の企みと周辺国の部隊の動きがきな臭いことになっています」

 

???3「やはりか・・・、そうなると大々的に動けなくなる」」

 

???1「・・・提案ではあるが、あえて奴らの筋書き通りにやらせようではないか」

 

???2「漁夫の利を狙うということか」

 

???1「いや、少し違う。行動する正当な理由付けだ」

 

???3「なるほど、そうすれば何の問題もなく鎮静化を図れるというか・・・」

 

???1「リスクは承知の上だが、この国を救える(変える)ことができると考えれば些細なものだ」

 

???2「エージェント42には行動の用意をさせます」

 

???1「頼んだ。我が国の栄えある未来のために」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

??「・・・やはり動く時が来てしまったか。()()も短かったなぁ。だが、最期に会えてよかった。教官」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

赤坂 某料亭内の個室

 

秘密潜入工作員 新田文子少佐

 

大洗女子学園OB(陸の学校の卒業生)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

浮世離れしたこの料亭では数多くの議員が利用しては小さい話から国の未来を決定するものまでもが語られている。

 

目標が到着して誰かを待ち合わせているようでその人物の特定が任務だけど、こういう料亭は顧客の情報を漏らさないことを心情としているから下手なことはできない。

 

私と同じように紛れている土竜(潜入捜査官)もいて、私のような者を処理または摘発するために目を光らせている。

 

数日前には抜き打ち操作が入ったりとここ最近は厳重な警戒が続いているけど、それだけの大物が来るんだろう。

 

そして、何故か日本語が巧みな()()()()()が混じっている。

 

僅かに違うイントネーションや顔のパーツが物語っているけど、これは長年の経験からで確証があるわけじゃない。

 

だが、外れたこともない。

 

今回は料理を運んで配膳するだけで特に何か仕掛けたりぜずに顔を覚えて・・・なんて原始的なことではなくて帯留めに仕込まれている超小型のカメラで撮影したのちに仕事を終えてすぐにどこかに落として帰るだけの簡単とは言えないね。

 

目標、土竜と()()()()()にバレてはいけないという無理ゲーだわ。

 

仕事だからやりますけども、これで捕まったりしたら命はないか・・・

 

とりあえずは料理を運んで配膳して帯留めのカメラレンズが遮られないように自然に持って、自然な体裁を保つことだけを軽く意識していつものように仕事をする。

 

??1「お待ちしておりましたよ。平田先生」

 

声が微かに聞こえ始めていたが、平田という名前に何故か聞き覚えがある。

 

そして、話声は目標で間違いなさそうだ。

 

部屋に入って前菜の配膳を始めながら顔を見ると平田はにはやはり聞き覚えがあった。

 

平田「これこれは、()()()()

 

浅間英俊衆議院議員・・・今は現文科省大臣だが、なんでこんなところで?

 

そして、平田・・・本名は張英寺とされている詳細不明の人物であり、現段階で判明していることは中華人民解放軍の関係者と推定されていて極めて危険人物としてあらゆるところからマークされている曰くつきの人物である。

 

この状況はかなり不味いね。

 

工作員や諜報員を何人も見破っていて、かなりの実力を持っているらしく何人もやられている。

 

うちのところも例外ではない。

 

この間、大阪湾で不審死を遂げた工作員も数か月前に張英寺の動向を追跡中に行方不明になっていて最近発見された。

 

かなり損傷も酷い状態で帰ってきた・・・

 

 

 

 

いつも通りに配膳をしてすぐに去って、いつも通りに仕事を熟す。

 

そして、仕事を終えると()()()()日々が入った帯留めを雑用紙に包んで明日に捨てるようのごみ袋の底に入れてほかの燃えるゴミと一緒にゴミ捨て場に持っていけるようにして翌日の朝にはごみ捨て場において出勤した。

 

だが、途中で眩暈がして横をいつものコンビ二と昨日見た男の顔が最後の景色となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『東京都某区で12月24日25歳の女性の遺体が路地裏で・・・』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

??「潜入工作員がまた一人やられました」

 

??2「クソ・・・データは無事に回収できたんだろうな」

 

??3「ええ」

 

??「司令部に緊急で送れ、直ちに全軍の隊員の身元の洗い出しを行え。怪しきは始末しろ」

 

??2「連中には明確なメッセージを添えておきます」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く・・・




次話はダークではないはず・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

準決勝戦・・・ 前編

今回は割とあっさりした展開になります。

そして、前半はかなり茶番を入れています。



小原SIDE

 

年末、大晦日、年始と仕事漬けで休みはあってないようなものだったが、空がすべてという自分と長門にとっては関係ないことだった。

 

まあ、基地の食堂で割と本格的なおせち料理を用意されていたことは結構嬉しかった。

 

夜勤を下番してすぐに呼び出されて何事かと思ったら、餅つき大会がいきなり始まっていて、長門も俺と同じ巻き込まれて参加せざるを得なかった。

 

今日は仕事始めの日で基地がいつもの賑やかさに戻っており、人も物も基地内を往来していた。

 

長門に関しては夜勤明けの貴重な休日中に呼び出されていて、しかめっ面で割と不機嫌である。

 

当たり前のことだ。

 

俺も若干眠気でイライラしていたしな。

 

だが、これは団司令と副団司令が基地に残っている者を気遣っている開催している恒例行事だが、偶々大会と業務で追われていて()()なのに休まない人を休ませるという名目が含まれていた。

 

なんで休日に飛んでいることがバレているんだろうとは一瞬思ったが、長門の格好を見て仕方がないと割り切るしかない。

 

だって、休日なのにパイロットスーツを来て誤魔化す気が一切感じられないからね。

 

俺はちゃんと私服で来てからさも忘れ物を取りに来ているフリをして更衣室でサッと着替えて訓練に混じって入っているからバレていない。

 

※入社してやり始めた頃からバレています

 

団司令「()()()()()()()()()()P()()()()()()()()()お二方には悪いが、年末年始に特別勤務している隊員を労う餅つき大会を始めたいと思います。今日参加できなかった隊員たちには後日実施予定である」

 

いいんだけど、これまさか餅つきをやる側じゃないよね・・・

 

副団司令「というわけで、最初はラブラブバカップルの二人組・・・鮟鱇1こと兵藤大尉とナイトこと長嶺少尉に一発目の餅つきをやってもらいます」

 

もうこれ、団司令と副団司令が完全に愉しんでいるだろこれェ・・・

 

兵藤「こんなやつと付き合っているわけがない!!!!」

 

長嶺「そうよ!!私は長門大尉に一途だ!!!」

 

ほうほう、これはこれは・・・

 

長門「ほーーーーーん」ニヤニヤ

 

「美優、お疲れ」

 

長門「お疲れ、あんたも災難だったな」

 

「ははは、美優の方だろう。そして、面白いことになったな」

 

長門「ああ、なんせちょっといじr・・・可愛がってやる要素ができたからな」

 

言い直せていなくて悪人顔になっている美優だが、まあ普段あの子(長嶺)に振り回されているから仕方がないな。(-人-)南無・・・

 

相模少佐「白を切るつもりかい・・・こっちにネタが上がっているんだよ」鬼畜スマイル

 

「うわーー・・・・・」

 

えげつないというか顔生き生きとしているなぁ・・・

 

長門「あいつの悪い癖が出ちゃったよ・・・」呆れ

 

兵藤、長嶺「「なっ!!」」

 

あーあー、これは餌を与えているようなものだぞ。

 

相模少佐「モブ兵長1、プロジェクターとスクリーンの用意を」

 

モブ兵長1「承知しました」

 

いつのまにか設置されていたスクリーンが展開されてプロジェクターの起動が終わるとそこには初々しく手を繋いでイチャコラしている兵藤と長嶺がいた。

 

「初々しさを感じるなぁ」

 

長門「あらあら」

 

兵藤「え、なんで?////////」

 

長嶺「///////////」声にならない叫び

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

えー、ただいまカオスな現場を中継しております・・・

 

相模少佐による唐突な公開処刑により、現場は混沌としており、ここが餅つき大会とは思えない空気になっています。

 

今後はさらなる被害の拡大が予想されます。

 

流れ弾に注意してください。以上、現場の小原中尉記者からでした・・・

 

あっ、ちなみに最近昇任しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

って、ボケてみたけどダメっぽいね。

 

下を向いてワナワナと震え始まる長嶺が兵藤を引っ張って何かを言うと兵藤が頷いて、長嶺に耳打ちをしてカウンターパンチを企んでいるようだ。

 

相模はこれに気がつかずに写真の状況説明を始めていた。

 

この後のカウンターパンチも予定にあるだろうけど、これは相模が知らされていないパターンだろう。

 

そして、それは突然始まった。

 

二人の写真から両手には何かがパンパンに詰められている紙袋を持って質素な格好をしている相模がいた。

 

メガネをしているが間違いなく相模そのものだったが明らかに普段というほど会ってはいないけど、今前で立っている彼女とは大きく異なっているようだが。それは様相だけだろう。

 

目の前にいるのが出来る性悪な仕事人で、写真には理想郷を探し求めるオタクである。

 

共通することは飽くなき探求心を持っていることだ。

 

仕事でもプライベートでも変わらないんだが、問題はそこではない。

 

隣には顔にモザイクがかかっているが、男が立っていた。

 

知られたくなかったのか、下を向いてワナワナと震えている相模がいる。

 

裏で悦に浸っている団司令と副団司令がいるのだがかなりカオスな空間が広がっているけど、これ餅つき大会のはずだよな。

 

そう思っていると杵と臼が出てきてある程度つかれていたいた餅が入っていてそれは唐突に始まった。

 

兵藤「ちょっとしたトラブルもあったけど」

 

長嶺「餅つき始めます」

 

兵藤「よぉ~し、世の中にはどんな女がいるんだ?」

 

長嶺「新年早々に自分のことを棚上げにしてカップルを弄る女がいたんですよ~」

 

兵藤「なぁ~にぃ~!!やっちまったなぁ~!」

 

長嶺「女は黙って」

 

兵藤「正月デート!!」

 

長嶺「女は黙って」

 

兵藤「正月デート!!」

 

長嶺「お家デートもしようよ~」

 

おい、マジか・・・ここでこのネタをするか(困惑)

 

というか、欲望漏れてんぞ!!

 

それに関して同意するけどって、なんで周りの連中が頷いているんだよ。

 

そして、めっちゃ餅つくテンポいいな、おい!

 

兵藤「次!!」

 

長嶺「交際1年目なのに初めて手を継ぐ女がいたんですよ~」

 

兵藤「なぁ~にぃ~!!やっちまったなぁ~!」

 

長嶺「女は黙って」

 

兵藤「既成事実!!」

 

長嶺「女は黙って」

 

兵藤「既成事実!!」

 

長嶺「ヤる時は慎重になッ!!!!!」(某学園長風)

 

「こらーーー!コンプライアンスを気にしろ!!」

 

長門「作者が殺されんぞ!!」

 

団司令「いいぞ!もっとやれぇ!!」

 

副団司令「団司令!?」

 

あーもー、無茶苦茶だよー・・・どうとでもなれ

 

相模「ヤってやろうじゃねぇか!!」(掛かり気味)

 

周りも引き笑いになり始めている。

 

兵藤「ラスト!!」

 

長嶺「私の愛に気がつかない女がいるんですよ~」

 

「うん?ちょっと待て・・・」

 

長門「ちょ!」

 

兵藤「なぁ~にぃ~!!やっちまったなぁ~!」

 

長嶺「女は黙って」

 

兵藤「抱けえぃ!!」

 

長嶺「女は黙って」

 

兵藤「抱けえぃ!!」

 

長嶺「ぐへへっへへへ!!!」

 

あかん、世紀末の奴がいる(違うそうじゃない)

 

長門「あとで覚えてろぉーーーーーーーーーーー!!!!」

 

その叫びが食堂内で虚しく響き渡った・・・

 

 

 

 

 

 

 

長嶺と兵藤の二人組が終えるとなんやかんやあって餅がちゃんとできているが、量は足りないので俺と長門がつく番になった。

 

餅つきと言えば、奈良県の名物しかない・・・

 

そう、中○堂の例のあれッ!!

 

長門「分かっているな」

 

「もちろん」

 

あっつあっつのものが運ばれて、給食隊員が臼に叩きつけるように入れるとすぐに俺は杵で強くついて上げると長門すぐに餅を返しすが、ここはまだ比較的ゆっくり目にやる。

 

何度かそれをやると長門がじっくりと餅をひっくり返して始めて、これが例のことの合図だ。

 

「あい!あい!あい!あい!」

 

杵で突いて上げる度に長門が餅を返してを繰り返して、それを2分ほどやる。

 

そひて、いい感じに出来上がった。

 

意外にできるもんだと思いながら、長門も大概すごいことをやり遂げているな。

 

かなり疲れているわりには力を出せたが、早く寝たい・・・

 

食堂内に集められた隊員も順番に餅つきをしていたが、兵藤と長嶺は追いかけまわされていた。

 

流石に擁護はできないからね。

 

あと、下手に首を突っ込で飛び火を浴びたくないからね。

 

仕方がないのさ。

 

ちなみに団司令は副司令にアイアンクロウの刑を受けて退散している。

 

まあ、この場の秩序の乱れを推奨した張本人だからさ。

 

さて、出来上がった餅を一つ取って一口目は何もつけずに食べるといいお米を使っているのか、もっちりして美味しかった。

 

その次は砂糖醤油をかけるとなおさら美味しくなり、夜勤明けの疲れが少しだけ取れた気がする。

 

きな粉に砂糖を混ぜてお餅に絡ませるとほど良い甘さになり、美味だ。

 

そして、もっとマシな食レポができなくて悪いな。

 

正月もこんな平穏なものでいい。

 

あんな()()なものは勘弁願う・・・避けられそうにないけど

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日・・・

 

仕事始めの翌日に呼集がかけられて、いつものブリーフィング室に集まると準決勝戦に関する状況が来ていたようだ。

 

簡単に纏めると・・・

 

青師団高校の民間軍事会社『サグラダ』が保有するXB-0(フレスベルク)とエース部隊の『エスパーダ隊』の無力化が条件となっている。

 

そういえば、あそこは規模小さい割に大型兵器を持っている所だったなと思い出した。

 

XB-0(フレスベルク)は多種多様な目的を一つのもので運用できるように当初は重巡航管制機として開発されていたものに超大型輸送機や爆撃機の運用能力が付与され、機体各所には機関砲や対空ミサイル等の自己防衛火器が搭載している。

 

作られてから膨大な運用コストの問題が発覚するというなんとも本末転倒な話があったりするんだが、今もなお運用されているということはそれだけのメリットがあるということだ。

 

学園艦の周辺を常時飛行しているが、当然飛行中に交換や整備できない部品があるからどこかに着陸しているとのことのようで今回はその定期整備に合わせて攻撃を行う。

 

場所は和歌山県の付近の海上で()()するらしい。

 

全長およそ400Mの全幅が503Mという化け物をどうやって着陸させるか?

 

簡単なことだよ、読者たち・・・学園艦建造用水上作業場を流用すればいいのさ。

 

全長10KM以上もある学園艦の船底部を日本の山の多い国土でできるはずもないから海上に超大型の(はしけ)のようなものを使って学園艦は建造されていた。

 

当然、相応の全長と全幅を有しており、平坦でもあるため滑走路としても使える。

 

強度と浮くための浮力は学園艦船底部を建造できる時点で十分あるので、そこで定期整備が行われるのは間違いない。

 

ただ、学園艦防衛の要でその会社の伝家宝刀でもあるため、防御は強固なもので規模は小さいからこそ装備品と練度は相当なもので損耗率は40%と見積もられているほどである。

 

深夜に超低空侵入で的確にXB-0のエンジン部を破壊する組と護衛艦隊の無力化する組の二手に分かれての作戦となるが、どちらも等しく高難易度任務となる。

 

隙間のないパトロールと低高度対応のレーダーの組み合わせで向こうの確固たる意思を感じられる。

 

西側と東側のサイドから殴り込みをかける予定になっており、決行日は明日の深夜となった。

 

XB-0の定期整備は明後日にが終了し、そのまま我が学園艦を爆撃するということが分かっており、空中にいる間に墜とすのはかなり厳しい。

 

空中要塞だからな。

 

さて、ブリーフィングが終わっていつものように寝る前に一服を済ませるべく喫煙所へと向かうと珍しい先客がいる。

 

「あんたも喫煙者だったんかいな」

 

ブリーフィングの時よりも死んだ目をしており、大方昨日のストレスでこっちに来てるんだろう。

 

相模少佐「昨日の騒ぎのストレスでね」

 

やはり、予想通りだったな。

 

「あれは自業自得だろ」

 

相模少佐「君は容赦ないな。普通はこんな美少女を慰めるだろう」

 

「ハハッハハハ、自分で言うのか。そこは遺憾ながら認めるがな」

 

相模少佐「女たらしか?悪いけど、彼氏はいるんでね」

 

「安心しろ。俺はNTRが大っ嫌いな人間だ」

 

相模少佐「おっ?奇遇だねぇ。私もNTRは嫌いさ。純愛派?」

 

「純愛もいけるが、ハッピーエンド系になるな」

 

相模少佐「なるほどねぇ・・・」

 

こいつはただ俺と雑談をしたいという・・・わけではないようで少し警戒することにした。

 

先までの会話はただの茶番に過ぎない。

 

実際はそこまで時間かかっていないだろうけど、体感時間ではやけに長く感じる

 

相模少佐「・・・君は何者か?ネタは掴んでいるぞ」

 

懐に入っていたチャカを取り出そうとした瞬間に俺の胸元に赤い点が見え、それが案に他にも誰かがいることを意味していた。

 

相模少佐「抵抗を考えるな。私に着いてこい。逃げたら分かっているな」

 

どうやら、ついていく他はないようなので大人しくつ行くことにした。

 

周りの人たちには聞こえてなければ、何が起きているかを正確には分からないから、変わらない基地の風景がある中で私はスパイ容疑者のような扱いを受けている。

 

ここで手錠か憲兵隊が来ていたら大きな騒ぎになるのは間違いないからこの対応を取ったのだろう。

 

普通であれば行くことはない情報部が入っている隊舎に入って、簡素な作りの取調室に入れられた。

 

金属製の椅子と机が置かれており、がっちりと固定されて壁には見張りようのマジックミラーがある。

 

ここで手錠をかけられるとばかり思っていたが、しないらしい。

 

相模少佐「さて・・・答えてもらうぞ」

 

「どうぞ」

 

相模少佐「君の社員証に記載されている資格に違和感を抱いて調査したが、何者かまでは分からなかった。そして、うちの情報収集艦が君宛ての妙な電波を拾った。それも深夜0時の話だ」

 

言いたいことは分かるが、言えるものと言えないものが存在する。

 

真実を混ぜた嘘で誤魔化す・・・なんてことがこの分析官には通じない。

 

見た感じは尋問にも拷問にも精通しているようだ。

 

目の奥の濁りから感じられる純粋な殺意に近いものが確実にある。

 

「何が言いたい?」

 

相模少佐「宮原家の長男であることは分かる。だが、君がここに追われて偽名や偽装死を多様する必要に迫られる理由が見当たらない」

 

「簡単なことだ。相続権を持つ一族の恥さらしだから殺したいだけだ。だからそれに対して俺は偽名と偽装で対策したまでだ。本名なんてとっくの昔に忘れてしまった。自分が何者かもな」

 

これに関して嘘は何一つない。

 

相模少佐「それは知っている。だが、何者かというのは忘れているはずもない」

 

まあ、分かっていたがな。

 

「なんのバックグラウンドすら持たない私にどう説明しろと?」

 

相模少佐「あくまでも白を切るか・・・なら、八紘会に聞き覚えはあるか?」

 

「八紘会?・・・ないね」

 

即答で言うと余計に怪しさが増すので敢えて相手が言ったことをさも分からんという感じでオウム返しして考えるふりしてからノーと答える。

 

ここに逃れるまでの間に覚えた嘘をつく術の一つさ。

 

そして、こうなっても心の中で絶対に大丈夫という自信を持つことも大事だ。

 

相模少佐「・・・学園艦戦争、旧グレゴール学園事変(サンダーズ大学附属高校・プラウダ高校戦争)、そしてヨーグルト学園・ヴァイキング水産高校戦争を生き延びているベテランなら名を馳せるはずだが、君については何一つ出てこない。()()()()()()()()()かのような資料の消し方をされている。本当に何者だ?」

 

「ただの傭兵さ」

 

相模少佐「そんなことを聞いていない。君が八紘会の者なのかと質問している」

 

その時、尋問室の鉄製扉からノック音が聞こえるとすぐに開かれた。

 

相模少佐「た、大佐?!今は取り調べ中ですが・・・」

 

???「彼を速やかに解放したまえ。本社からの指示だ」

 

階級章を見ると大佐で、名札には湯川武人と書かれている。

 

体格は細すぎず太すぎずで悪く言えばパッとしない顔だが、これが情報部の世界だ。

 

目立つ人物はほぼ配置されないといよりできないと言った方が正しい。

 

相模少佐「しかし、」

 

湯川大佐「命令に背く気か?」

 

少し威圧しただけだろうけど、こいつは()()()奴だ。

 

相模少佐が何も言えなくなっていて少し可哀想だった。

 

そして、これが俺あ自信を持てる根拠でもある。

 

湯川大佐「小原中尉、こちらの早とちりで拘束したことは申し訳ない」

 

「いえ、自分の潔白が証明されているなら良かったです。自分は大会出撃があるので、失礼します」

 

俺はそそくさと尋問室から離れて仮眠するために自分の部屋へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(危なかったな。もうすぐ別れを告げる。これが俺だ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く・・・




忙殺されて書く時間がなかった・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第三回用語解説

かなり解説を入れるのを忘れてしまった・・・


インディゴ隊 INDIGO SQUADRON

 

SG6社の航空部隊のエース部隊の一つであり、春山大尉が率いている。白色の機体で垂直尾翼には青色の十字架が特徴的である。機体性能を最大限に引き出すことを得意としており、騎士道精神を重んじる厳格な部隊であり、元々は第444航空団の所属ではあったが意見の相違から支援航空隊へ転属した異例の部隊で当時の隊長に鍛えられて精鋭としての名を馳せている。エリート思考はあるものの、決して悪い方向ではなく、ストイックな集団でもあり、校内及び部隊内では全員が紳士的であることから人気が高い。聖グロを体現しているかのようにどんな相手でも全力で戦う。数少ない常識人枠であり、かなりの苦労人でもある。

 

 

 

 

 

ブルーム隊 BLOOM SQUADRON

 

SG6社の第444航空団の部隊であり、ブルーム1こと浅間英二が率いている。練度は弱小校には勝てるが強豪校となると勝負にならないという悲惨な状態で浅間英二が原因である。最新鋭の機体でヴィクトリア隊に挑むも惨敗し、行く末は暗いものとなった。

 

 

 

 

 

 

浅間英二 EIJI ASAMA

 

小原雄二とは因縁があり、自分よりも上でありことへのコンプレックスに耐えられずにSG6社から追放した張本人である。ブルーム隊の隊長で第444航空団の司令であり、長門美優がかつて所属していたグルーム隊の隊長でもある。実力は慢心と傲慢さがなければかなりのものだが、残念ながら発揮されることはないだろう。

 

 

 

 

 

 

鮟鱇隊 ANKO SQUADRON

 

大洗防衛機構民間軍事会社の空軍部門0空団の部隊の一つであり、兵頭大尉が率いている。ヴィクトリア隊のせいで若干霞んでしまっているが0空団内では一番実戦経験者が在隊しており、強豪校並ぶほどの強さを誇っている。航空自衛隊との合同訓練でアグレッサー部隊を撃退するほどの実力があり、他国の空軍や他社の空軍部門を教導することもある。機体は常に最新鋭のものに更新しており、あらゆる戦闘機や攻撃機を操縦桿して多種多様な作戦に対応できるようにしている変態集団。部隊マークであるピンク色の可愛くない厳つい鮟鱇は戦車道科のあんこうチームのものをオマージュしており、軍神西住殿の伝説をあやかったものとなっている。敗けそうになっても最後は必ず勝つというゲン担ぎだったりするが、その前の部隊マークはシンプルに盾の中に県立大洗女子学園の校章を入れていたというものだった。ちなみに彼氏彼女持ち率は脅威の80%越えである。風紀乱れすぎだろ、、、

 

 

 

 

 

全国学園艦連合 NATIONAL ACADEMY SHIP UNION

 

日本全国の学園艦を取りまとめる組織である。国連のような働きを担っているが、政府とは常に相容れないことが多い。しかし、権限はかなり強いため政府はなるべく刺激をしないようにしている現状ではあるが、以前はそうではなかった。学園艦併合計画の犠牲によって発生した『学園艦戦争』という悲劇を境に権限を強化して二度と繰り返さないために奔走しているが、それでも止めるだけの権限を獲得には至っていない。すべての職員は学園艦出身者で構成されている。すべての学園艦が加盟しており、加盟している学園艦に不利益がないように動いている。全国学園艦連合憲章という規則に基づいて行動しており、時代の流れや情勢に合わせて改定されているのだが、数か月単位で改定されることもある。

 

 

 

 

 

社員証(正規版及び略称版) IDENTIFICATION CARD (OFFICIAL VERSION AND ABBREVIATED)

 

全国学園艦連合憲章によって民間軍事会社に所属している全職員が持っているものであり所属する会社の社章くらいしか差異がなく、定型は決まっているためどこの会社でも有効となっている。正規版には民間軍事会社に所属してからのすべての履歴が記載され、所属した会社での犯罪歴も例外ではない。別の民間軍事会社へ転属等をした際には必ず正規版を提出する必要があり、マイナンバーカードに次ぐ身分証明書となっている。略称版は運転免許証のようなもので犯罪歴は記載されず、資格などを記載されている。本人の希望で不都合な事実を記載しなくてもよいため、信頼性が少し欠けるものとなる。正規版と略称版は常にセットで持っていなければならないもので、紛失や破損も許されていないため、犯罪歴として記載される不名誉なものである。当然、悪用すると極刑になるという噂もあるが真偽は定かではない。

 

 

 

 

 

 

陸軍部門特殊部隊「特殊空挺騎兵隊」通称:SAC SPECIAL AIRBORNE CAVALRY SAC

 

陸軍部門における特殊部隊の一つであり、主に学園艦の防衛を行うが対テロから多種多様な任務ができる。性質的に海兵隊に近いもののやはり陸軍であり、元々は学園艦防衛隊の一部だったものから偵察から発展した。装備品は任務に合わせてたり、任務地の特性に合わせるため西側から東側の武器等を所有している。イギリスの特殊部隊SBC(特殊舟艇部隊)SAS(特殊空挺部隊)を手本にしているとは言われているが、陸軍にしては()()()があるため、不明となっている。部隊の規模などは非公開であり、予算も不明ではあるもののそれなりにあることだけは判明している。海外派遣もあるが、海兵隊が増援要請をしたときのみに派遣されるため、演習以外で国外に出ることは少ない。

 

 

 

 

 

 

桐生院瑠衣 MOE KIRYUIN

 

機密維持のため、経歴の詳細については不明であるが、陸軍部門特殊部隊「特殊空挺騎兵隊」対テロ大隊第1中隊A小隊小隊長で後に陸軍部門特殊部隊「特殊空挺騎兵隊」特殊作戦隊第2小隊小隊員となっていることだけは判明している。噂によれば名家のお嬢様のようだが、真偽は不明のままである。自分に対してはストイックで入隊した理由もかなりぶっ飛んでいるが、小隊長の時に小隊員を無くしたことで自分のせいで死なせてしまったことでよりストイックになったおかげで化け物へと変貌した。射撃の成績が優秀で狙撃手を任されることもあり、現在は狙撃成功の最長距離である3,540mを塗り替えることを目標としているほどで、とある作戦でアキュラシーインターナショナルAW50FTで2950mの狙撃を成功させていた。はっきり言えば化け物である。小学生時代の夢はヘルシングのアーカード、中学生時代はベルナドット隊長だったようである意味叶えている・・・のだが、今の夢は454カスールと13m拳銃ジャッカルを撃つことである。

 

 

 

 

 

 

特殊戦術兵器「トリニティ」 TRINITY

 

ACE COMBAT ASSAULT HORIZONに出ていた架空兵器。通常爆弾とは比べものにならない威力を持っており、投下型や巡航ミサイルにも載せられる高い汎用性がある。この世界においてはかなり取り扱いが厳しくため、持っている軍隊や民間軍事会社は少ない。しかし、ある作戦でテロリストが持っていたことで担当していた民間軍事会社に大きな衝撃が走った。

 

 

 

 

 

 

パトリオット社 PATRIOT

 

サンダース大学附属高校の民間軍事会社であり、日本最大級の民間軍事会社である。学園艦がマンモス校であるように規模もマンモス級で国家と戦争できるほどの規模と実力を持ち合わせている。部隊によっては米軍の部隊が合同訓練などを行うことがあり、米軍の軍事作戦に参加するほどの能力持つ。海外派遣をする部隊が多くて学園艦にいる時間の方が少ないと噂されており、中には海外に行きたいからという単純な理由で入隊する隊員も少なくない。待遇面はかなり良く、部隊の規模が大きすぎるからと言って装備品が不足するということはない。他の小規模民間軍事会社の戦力補充するための派遣もあり、教導も行っている。通常部隊で先遣隊を72時間以内に、特殊部隊等は48時間以内の展開を常にできる状態にあり、民間軍事会社では唯一可能な組織と言っても過言ではない。戦車道科の戦車輸送も担っており、快くC-5ギャラクシーを貸し出すほどの連携力がある。

 

 

 

 

 

 

湯浅次郎 JIROU YUASA

 

大洗防衛機構民間軍事会社の海軍部門グースフィッシュ艦隊まや型護衛艦まや1号艦の艦長である。海軍部門士官候補生課程で入隊し、卒業後は様々な配置を経て艦長になった。聖グロリアーナ女学院の騒動の際に乗っ取られたアークバードの増幅されたレーザーの直撃でまや型護衛艦まや1号艦のミサイルと弾薬庫が誘爆して轟沈し、本人を含む全乗員が戦死した。実戦経験豊富であり、ソマリア沖の海賊対処を数回派遣されただけでなく、演習ではMVP艦として表彰されたこともあるほどの実力だった。小原とは面識があったりなかったりする。

 

 

 

 

 

 

アークバード ARKBIRD

 

ACE COMBAT 5で出てくる大気機動宇宙機。SG6社航空宇宙軍部門技術開発部研究検証班が保有する弾道ミサイル防衛のための先進技術実証機である。SG6社空軍部門旧支援航空隊の当時の隊長であった小原雄二が技術開発部研究検証班の構想および設計をしていたものに改良を加えて建造されたものだった。しかし、水中まで届く協力なレーザー砲が周辺のパワーバランスを容易に破壊し、核兵器をも無力化するという懸念されたほどで世論は即時破壊を求めて連日デモや抗議が殺到した。しかし、小原はあらゆる手段とコネを使って破壊を阻止してレーザーの増幅装置を在日米軍の立会いの下で封印し、NASAの監督の下で立ち入り検査、先進技術実証機などの条件で解決した。聖グロリアーナ女学院の騒動で乗っ取られたものの、ヴィクトリア隊が無力化して特殊部隊を載せたマスドライバーで奪還できた。騒動後は無事に修復されて元の任務に戻っているが、増幅装置に関してはまだ再封印出来ていない。

 

 

 

 

 

 




投稿頻度は落ちてしまっていますが、頑張って執筆します。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

準決勝戦・・・ 中編

やる気と時間の余裕があるうちに頑張って書くぞ・・・とは言ったものの相変わらず日常に忙殺されている作者です。

とりあえず、年内にこのKNIGHT ROUTEの完結が目標です。


長門SIDE

 

仮眠を終えてPスーツで直前ブリーフィングで新たな情報と気象状態を受け取ると愛機の暖機運転を開始するが今は学園艦上の天気が少しばかり予想より悪くなるような低さだった。

 

当初は私が西側、雄二が東側を担当する予定が急遽変更されて私と雄二だけで西側を担当することになった。

 

挟撃から陽動作戦へと方針を変えて頑丈な防空網を崩したいようだ。

 

この方法だと損耗率20%に抑えることが出来ると言っていた。

 

但し、失敗すると作戦が総崩れするためミスが許されないが命令された以上はやるしかない。

 

今回は対地目標への攻撃を考える必要が少ないから特殊兵装として8AAMを載せることにした。

 

そして、機体がF-15CからF-15EXへと更新されて後部座席は(クレイジー変態長嶺)が担当することになってしまったが大丈夫だろうと信じたい。

 

雄二の機体もF-15EXに更新され、後部座席には不気味なAIではなく新兵の子が担当することになったようだ。

 

本当がAIを載せたかっただろうけど、AIとF-15EXのシステムの最適化が終わっていないこととちょうど課程卒業と部隊実習を終えたばかりの後部座席士官の新兵の受け入れ先に困っていた空団司令部が雄二の後部座席が空いていることを耳にしてお願いをしたらしい。

 

嫌がる様子はないが、新人が私と小原の大会での活躍を聞いてかなりプレッシャーを感じているのようでガチガチに固まっていた。

 

小原<<実習での成績は聞いている。期待しているが、緊張しすぎるな。些細なことでも報告に上げるようにな>>

 

新兵(ルーキー)<<は、はい!!>>

 

小原<<ハハハハハ、自分の新兵時代を思い出すなぁ。まあ、大丈夫だ。この機体に更新されて俺も慣れないこともあるからな。ミスをしてしまったらすぐに言ってくれればこっちでどうにか対応する。頼りにしているぞ新兵>>

 

少し顔が赤いように見えるのはきっと緊張のせいだろうと思いたい・・・

 

あれ?なんでこんなことを思っているんだろうな。

 

雄二が新兵を後ろに乗せられることは誇らしいことだがね。

 

新兵がまさかの女の子とはなというか、我が空団の女子率が高いな。

 

我が社全体の人員の3から4割が女子隊員を占めて全国の民間軍事会社では日本三番目の割合になっている。

 

ちなみに5割強で日本一はプラウダ高校学園艦を防衛する『株式会社タルコフスキー』である。

 

さすが共産圏の連中だな。

 

その次にパトリオット社で4~5割弱となっている。

 

民間軍事会社で初の女子特殊部隊隊員を輩出したところであり、意外に初女子隊員を数多く輩出している。

 

おっと、話が脱線したな。

 

機体に乗り込んでエンジン始動させて操縦系統の動作確認している間に兵装とレーダーのチェックしてもらっている。

 

|長嶺<<マスターアームロック、良し!火器管制レーダー、良し!・・・>>

 

整備員<<すべてのエルロン良し!・・・>>

 

エンジン音には異常なしで計器類にも問題なさそうだ。

 

周囲には東側の本隊を構成する戦闘機や攻撃機もエンジン始動を開始したが、時間差で到達するためか余裕を持って準備していた。

 

いつもなら雄二がもっと変態的な装備をしてくるかと思ったが、新兵のことを考えてQAAMという比較的まともな選択をしていることにホッとした。

 

ここでHPAAとかIEWS(統合電子戦システム)とかを使うと頑なに言い出したら新兵が過労死するのは間違いない。

 

HPAAは誘導性が悪い代わりに破壊力が高められている高機動での一撃必殺を狙う玄人向けの代物である。

 

IEWS(統合電子戦システム)はそもそも別分野の知識を問われるし、本来は電子戦機が担う役割で新人にECMとESMを同時にやらせるのは酷な話だ。

 

QAAMはほぼ初心者から玄人までの幅広い層が使うもので敵を有効範囲内に補足していればほぼ自動的に誘導されるからな。

 

ちょっとの回避機動では躱されないから便利な代物だ。

 

さて、こんな誰得な話をしたところで発進時間が迫っており、滑走路へと向かって管制塔から高度計の設定に必要な情報を得て反映させて停止位置に着いた。

 

そして、離陸許可が出て右隣にいる雄二へとハンドサインを送ってすぐにアフターバーナーで加速してゆっくりと操縦桿を引き、車輪が地面を離れた瞬間に収納してアフターバーナーを消してながら3万フィートまで上昇した。

 

ここまで過程はまるで曲芸飛行隊のような綺麗な飛ばした方をしたのは久しぶりだった。

 

機体を水平に戻した頃にが雄二は右隣から少し後方に下がった位置になっていた。

 

<<後ろの子は大丈夫か?>>

 

小原<<今の所は()()()()()()していないな>>

 

<<()()()()()()していないなら大丈夫だな>>

 

長嶺<<0空団は安泰ですね>>(/color)

 

《color:#0000ff》新兵(ルーキー)<<えっ、えっと>>

 

<<すまないな、みんな悪乗りが好きでな。緊張しすぎずにいつも通りでいい。失敗は我々が取り返すから心配するな>>(無自覚超イケボ)

 

新兵(ルーキー)<<は、はい・・・()()()()>>

 

ブルータス!お前もか!!!

 

|長嶺<<ルーキーちゃん、分かるわ。私もそうやって陥落したのよ>>

 

や、やめろ!

 

これ以上事態をややこしくするな。

 

小原<<さすがクイーンです>>

 

<<お前、覚えておけよ>>

 

この会話が新兵の緊張を和らげてくれるといいんだがなと思いながら、小原をちょっと許さないリストに入れてあげることにしてどうやって〆てやろうかと考えていたらAWACSから無線が入る。

 

ヤタガラス<<ヴィクトリア隊、間もなく作戦空域に入る。高度1000ft以下に規制する。無線封鎖を実施せよ>>

 

<<ヴィクトリア隊、了解>>

 

緩やかに800ftまで降下し、小原も私に追随している。

 

下には海、左側には陸地が暗闇の中で微かに見えているが離れているせいで少し小さく見えており、この風景は2時間程続く。

 

遠回りで作戦空域に接近していることもあって途中で給油し、連続4時間も飛行している。

 

まもなく朝日が見えるだろう。

 

|長嶺<<方位290 10nm 敵機3機 パトロール編隊と思われる。方位100へ飛行中>>

 

手筈通り、ド派手に暴れて連中の防空隊を引き付けてなるべく本隊も引きずり出せる勢いでやる。

 

その時、太陽が登り始めて周囲が徐々に見えるようになった。

 

太平洋側はやはり天気がよく、視界も良さそうでドッグファイト日和だ。

 

<<行くぞ>>

 

小原<<スレイブ1、了解 クイーンに続く>>

 

クローズ回線で小原に攻撃を仕掛けることを伝えて、急上昇ですぐにパトロールしている敵機へと喰いかかった。

 

パトロール機1<<こちらサングリア12、異常なし>>

 

敵AWACS<<サングリア12!!方位190 5nm 敵機2機だ>>

 

サングリア12<<そんなバカな!>>

 

パトロール機2<<み、ミサイルロックされた!回避すr>>通信途絶

 

パトロール機3<<サングリア14がやられた・・・クソ!!!>>

 

先制で私が1機、小原が2機を墜として周辺がクリアになった。

 

ヤタガラス<<2時間ちょっとぶりだな、ヴィクトリア隊 今ので増援6機がそちらに向かっている。別のパトロール編隊2個が合流してランデブータイム(推定接敵時間)15分だ>>

 

6機だけか?

 

予定ではもっと来るはずだが、まさか本隊がしくじってしまったのか。

 

嫌な予感がするな。

 

今回は鮟鱇隊全13機に加えて学園艦防空を務めることが多い常陸隊から7機の護衛機を差し出ししてもらっている。

 

しかし、鮟鱇隊が対地対艦兵装をメインにしているせいで対空戦闘能力が著しく低下しているため、敵防空隊に出くわすと太刀打ちできない。

 

しかも鮟鱇隊は帰投用の自己防衛対空ミサイル2発のみで増量槽と対地対艦ミサイル満載だ。

 

護衛機の連中も腕っ節とは言えれど、数の力には抗えない。

 

常陸隊はSu-35S、F-16V BLOCK72、MiG-35SやF-15J改Ⅳ型(架空機)、鮟鱇隊はF/A-18E BLOCKⅢとF-2改Ⅰ型(架空機)でなんとか質で補っている現状である。

 

おっと、こんなことを語っているうちにそろそろ増援と接敵するはずだ。

 

|長嶺<<方位010 敵機6機 情報通りです>>

 

<<小原、撃ち漏らしを任せた>>

 

小原<<スレイブ1、了解>>

 

兵装を8AAMに切り替えて、ロックオンして引き金を引いた。

 

長嶺<<ミサイル切り離し問題なし クイーン、ミサイル発射>>

 

6本のミサイルが綺麗な煙を残しながら敵機へと吸い込まれて爆炎が見えた。

 

ヤタガラス<<周辺に敵機なし ヴィクトリア隊!大至急、本隊の増援へ行ってくれ!>>

 

どうりでこっちへの増援が少ないわけだ。

 

パトロール隊を撃墜した時点でレーダーに探知されているから高度を下げる必要もなくなり、25000ftまで上昇した後にいち早く到達するためにわずかな余裕を残していた増量槽分を使い切るつもりでアフターバーナーを焚いた。

 

速度計と燃料計がクルクルと周り、機体がほんの少し揺れてエンジンの咆哮が身体に伝わる。

 

最悪は通常ミサイルのみでXB-0を倒すことになるだけだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

兵藤大尉SIDE

 

対艦対地ミサイルを満載にした隊を率いて100ft以外で統制して極力探知されないように努力したものの、無駄になってしまった。

 

向こうの情報部かレーダーの探知能力が上だったようだ。

 

AWACSからの情報だと25機がこっちへ真っ直ぐ来ているらしいが、実質戦闘機が13機しか以内我々には対処できず、ヴィクトリア隊が間に合ってくれることを願うしかない。

 

対艦ミサイルはそろそろ射程圏内になるが、対地ミサイル組を目標まで届けないと今作戦は失敗となる。

 

対艦ミサイル組はあくまでも敵の護衛艦隊を排除するためにいる。

 

機銃でも破壊出来なくはないが、時間とリスクが伴うだけだ。

 

なんとか目標に少しでも近づくために最大巡行速度で接近しているが、先に墜とされそうだ。

 

[WARNING] MISSLE LOCK

 

敵のAWACSレーダー補助を受けた中距離AAMの射程圏内に入ってしまった。

 

<<鮟鱇1から鮟鱇隊全機へ、アフターバーナーを許可する 常陸隊、護衛を引き続きお願いします>>

 

常陸1<<常陸1、了解 常陸5、6,7 対ミサイル弾用意 全機6000ftまでの高度制限を実施、それ以上は命の保証をしない>>

 

相変わらず冷たい奴だけどやることはやるなと思いながら自隊の全機を3000ftまで上げて迫りくる敵に備える。

 

ヤタガラス<<鮟鱇隊 ASM-3改、AGM-84D(ハープーン)ASM-2B(93式空対艦誘導弾(B))射程圏内(100km)だ>>

 

<<各員、聞こえたな 発射後は直ちに離脱コースで帰投せよ 副隊長、頼んだぞ 以上>>

 

今の察したと思うが、俺は対地ミサイル組だ。

 

副隊長と隊の約半分を対艦ミサイル組に入れて俺を含めた半分を対地ミサイルを兵装として積ませている。

 

20本のミサイルが緩やかに下降しながら加速して視界から消えて行き、6機が帰っていった。

 

アフターバーナーは僅か時間しか使えないものの、これで少しでも目標に近づけばいい。

 

[WARNING] MISSLE

 

警告が出たものの、常陸隊の対ミサイル弾のおかけで来ていた二十数発が墜とされていった。

 

ヤタガラス<< 敵の追加増援12機 高速で接近中 25機編隊は6分後 12機は10分後に接敵予定だ>>

 

おいおい、マジかよ・・・

 

常陸1<<常陸1から鮟鱇1へ、そのまま突っ切れ 我々が連中を引き受ける>>

 

<<幸運を祈る>>

 

常陸1<<ふっ、そのセリフはそのままお返しする>>

 

ロックウィングからの緩やかな上昇をかましていく常陸隊を見届けて目標への進路を維持した。

 

さて、そろそろ対艦ミサイルが敵の護衛艦隊に到達する頃だ。

 

ヤタガラス<<鮟鱇1、対艦ミサイル14発命中 残存艦は5隻だ 防空能力は大幅に削れているが油断するなよ>>

 

戦果まずまずだが、安全に飛ぶには十分だ。

 

周りを見渡しても海と追随する僚機しか見えていないが、レーダー上では青い点と赤い点が点在している。

 

見えているこの穏やかな空に合わない大規模な空戦が起きようとしていることを考えると参加したかったな。

 

だが、ジャイアントスレイヤーというのも悪くない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数刻先の話

 

小原SIDE

 

護衛のはずの常陸隊が敵の増援と交戦し、奮戦しているものの数の力に押されている状態だ。

 

ヤタガラス<<常陸隊が3機を喪失>>

 

37機対7機で怯まずに挑んだ奴と気が合いそうだ。

 

<<花火の中に突っ込むぞ>>

 

バレルロールをしながら急降下で戦場へと突入した。

 

これは楽しい混戦になりそうだと思いながら1機にミサイルを浴びせて急上昇にもう1機を墜とす。

 

ミサイル煙で悪化する視界、進路上に出てくるミサイルや機体をすり抜けながら敵機を次々と墜としていくが、新人の目が回ってないか若干心配ではある。

 

<<ルーキー、生きてるか?>>

 

ルーキー<<はい、大丈夫です>>

 

大丈夫そうなら、いい。

 

背についた敵機を引き付けてさらに上昇してしっかりとへばりついてることを確認した上でエアブレーキを展開して急失速させた。

 

[WARNING] STALL

[WARNING] MISSLE LOCK

 

さらに操縦桿を左に倒して機首が下向きに少し落ちたらスロットルを全開にして敵が放ってきたミサイルをフレアで躱して擦れ違う寸前にミサイルを撃ち込んだ。

 

長門<<スレイブ1、援護を頼む>>

 

次の敵機を墜としに行こうとしたタイミングで長門から援護要請が入り、レーダーと目視で位置を掌握して操縦桿を動かしてその道中も数機を葬る。

 

高い誘導性を誇るQAAMだから出来ることだか、それではつまらない。

 

爽快感とか撃墜感が薄いのだ。

 

そんなことはともかく、長門の背中に引っ付いていた2機のうち1機を機銃で蜂の巣にして残った方を追い詰めて長門の機体の前に押し出す形のオーバーシュートを誘発させて援護を切り上げた。

 

レーダーにはまだまだ赤い点が散在しており、客観的な数の不利を覆せていない。

 

こんな状況の混戦は昂ってしまうな。

 

入り乱れる機体とミサイル、視界を狭めるミサイル煙や進路を強制変更をさせてくるもので全神経を尖らせてここにただ唯一のルール『勝ち残れ』に従って知的でかつ獣のように暴れる。

 

運すら喰うか喰われるかの運命を分ける世界だ。

 

<<ルーキー、生きているか?これからが激しくなるぞ>>

 

ルーキー<<行けます。火器管制は任せてください>>

 

<<頼んだぞ>>

 

ここまでの()()()()()()揺れに耐えれているなら、御の字だ。

 

加速、失速や緩急旋回などとありとあらゆる動きで機体を操っては自由気ままに飛ぶ。

 

これがパイロット()の王国であり、俺を示す唯一のアイデンティティである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

残り25機

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回予告

 

??<<『鬼神』を阻止する>>

 

<<『鬼神』だかなんだか 目障りな蠅だ>>

 

<<対空戦闘用意!>>

 

ヤタガラス<<不味い、想定よりもダメージを与えられていない。ヴィクトリア隊、すまないが飛び立とうとしている巨鳥を狩れ>>

 

<<油圧系を切り替えろ>>

 

<<ダメコン、急げ!>>

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

??<<いよいよ、片道切符が切られたか・・・>>

 

 

続く・・・

 




次話はかなり遅くなります。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

SUPER SHORT編&過去編『ダージリン』生誕祭

久しぶりに書いた・・・

メンタルダウンとかいろんな心労が重なって、執筆どころではなかった。

間に合わなかった・・・


この話はまだ小原が支援航空隊の隊長を務めていた頃に遡る。

 

 

 

 

小原SIDE

 

二年生の9月17日 朝9時頃

 

学園艦商業地区 某所

 

 

 

 

指定時間よい少しだけ早めに待ち合わせの場所で待っているつもりだったが、すでに彼女が待っていたようだ。

 

「申し訳ない、待たせてしまった」

 

綺麗な青色のワンピースに淡い白のカーディガンを着ており、ただそこにいるだけで絵になっている。

 

ダージリン「1分遅すぎるよりも3時間早すぎる方が良いですわ」

 

「シェイクスピアの言葉だな、相変わらずだね」

 

オレンジペコから聞いている隙あらば格言攻撃は強いなぁ。

 

彼女の可愛いところでもあるし、面白いところでもある。

 

「さて、いつもの場所に行こうか」

 

彼女が首を縦に振ってすぐに隣に立って恋人繋ぎをするいつもの歩き方で商業地区の奥の方にある寂れた風のカフェに入るとマスターに迎えられて人気がない個室に案内される。

 

彼女は必ず日替わりの紅茶とイチゴジャム付きのトーストを頼み、俺はいつものロイヤルミルクティーだけにした。

 

ここのマスターは気の知れた友人でダージリンも交際を始めてからも何気に紅茶で話し合う知り合いになっていたりする。

 

マスターが頼んだものを置き終えて個室の扉を閉めると固い仮面を外したかのように自然な微笑みをしながらトーストにかぶりついていた。

 

俺はそんな年相応という言い方はおかしいけど美味しそうに食べる彼女が好きだ。

 

なにか青臭いセリフを吐いてしまっているけど、それは許してくれ。

 

可愛くて仕方がないのだから。

 

性格崩壊しているって?元々俺はこんなものだとメタいこと言ってしまっても仕方がないだろう。

 

ダージリン「どうしたの?」

 

「いや、可愛いなと思っているさ」

 

顔を赤らめているのはきっと紅茶が温まってきただけだと思う。

 

この時間が長く続けばいいと思いながらここにいるのは()()()()()()()ということは感じているが、ヘンリー・ヴァン・ダイクというアメリカの作家によれば「愛する人にとって、時間は永遠である」とは本当だろう。

 

なぜなら、この場まるで止まって長く感じるからだ。

 

これが幸せであるということなんだろうか、人生でこんなことを感じて良いのだろうかと思っていると赤いなにかが視界に見えてきた。

 

どうやらアーンなるものをしたいようなのか?

 

ダージリン「デート中に辛気臭い顔をされると困るわ」

 

顔に出てしまったか、ポーカーフェイスは得意なはずなんだけどなぁ。

 

小さく一口食べて口の中に残るジャムをロイヤルミルクティーで流しているが、なぜか最後まで甘かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ダージリンSIDE

 

3年生9月17日

 

紅茶の園

 

 

 

 

懐かしい記憶とともに今年は彼が一緒にいないという寂しさが紅茶の香りを鈍らせてしまっていた。

 

彼は覚えていないかもしれないけど、私が今とは違ってガキ大将みたいなことをして遊びまわっていた年頃にいつもの公園で遊んでいると少し汚れたピークドダブルボタンスーツを着ている貴方がブランコで座って悲しそうな顔でいたのが今も覚えている。

 

気高くて品を失わない貴方が眩しく見えて一人前の淑女になろうと思ってから必死に覚えてここに来て、やっと隣に立てると思ったら消えてしまった、あなた。

 

追いかけたいのに、淑女の枷が私を縛っているのか。

 

彼に追いつきたいはずだったのにそれで追えないなんて皮肉なものね。

 

鳥かご中の小鳥とはこのことなのだろう。

 

コンコンとノックの音が響き、訪問者の存在を知らせた。

 

「どうぞ」

 

アッサム「失礼します。差出人不明であなた宛てのものが届いておりますが・・・」

 

「見せて」

 

差出人不明とは少し怖いけど、見ないわけにもいかないわね。

 

アッサム「GI6にお願いをしたけど、特定することはできなかった。中身はX線で確認したけど花が3本入っていいるようです」

 

花?

 

アッサムから小包みを受け取って丁寧に開けると白色のマーガレットが3本*1あり、小さな手紙に一文が添えられていた。

 

Another year comes to a close, and another begins. May the coming year be one that will be filled with laughter of friends, love of family, and the life that you dream of.

訳:一年が終わると、また別の一年が始まる。次の一年が、友の笑い、家族の愛、そしてあなたの夢見る人生で満たされますように。(キャサリン・プルシファー カナダの作家)

 

達筆で書かれていたが、誰かはすぐに分かった。

 

視界が幾ばくかの色づき始めてまるで()()()に戻ったかようであってけど、ほんの少しだけ憤ってしまう。

 

訳があるしても会いに来て欲しかった。

 

でも、今はこれだけでいい。

 

 

 

 

後にある意味では叶うこととなる。

 

*1
白マーガレット『心に秘めた愛』3本『愛しています』という意味の花言葉




やっとメンタルダウンから少し立ち直ってきたので、できる範囲で執筆を再開していきたいと思います。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

準決勝戦・・・ 後編

思ったより長引いてしまった準決勝戦の話・・・

本当は1か2話くらいで終わらせるつもりが狂ってしまった。


兵頭大尉SIDE

 

 

ヴィクトリア隊と常陸隊の奮闘が無駄にならないよう敵機を引き付けている間に作戦目標であるXB-0の破壊を完遂する。

 

<<対地組全機、やることは分かっているな>>

 

それだけ言って操縦桿を引いて急上昇を始めた。

 

敵駆逐艦<<クソ!来やがった!!総員、対空戦闘用意>>

 

[WARNING] MISSLE

 

警報が鳴り響き、自機のジェット音すら掻き消してしまう勢いだった。

 

多数のミサイル煙がこちらに向かって絶対に殺すマンと化し、メロカ(120口径20mm機関砲を12門束ねる変態CIWS)の曳光弾が進路を阻む壁となっている。

 

さらに接近しないとこのままではミサイルが無駄になるから大破覚悟で突入するしかない。

 

スロットルを少し倒すと機体がミシミシ鳴り、掠ってくる閃光、間近で炸裂する汚い花火や空の曇と変わりないミサイル煙の量が例え大会用の安全弾だと分かっていても怖いと思いながら気持ちが昂ってしまう。

 

悲しいことに傭兵の性であると共にまるで麻薬のようで何物にも代えられないこの雰囲気、快感と高揚感にずっと浸っていたい。

 

バレルロールで飛んでくる飛来物を避けて攻撃目標へ接近するために操縦桿とラダーペダルを絶え間なく動かし続ける。

 

目視で狙えるほどの巨体、いや、巨鳥が見えてきた。

 

今のところレーダー上では誰も脱落せずについてきているところだが、予定よりは少しだけ多く残ってしまった敵の防空能力は些細なことだ。

 

攻撃目標の防空能力が未知数であり、我々の情報部ですら掴めなかったことの方が問題で最大の懸念事項であり、最悪はヴィクトリア隊で片付けるとは言ったものの、それでは我が隊の面子が丸つぶれで常陸隊に揶揄されてしまうことだけは避けたい。

 

4AGMが攻撃目標のエンジン部分を捉えてロックオンし、もう少し引き付けてから放つ。

 

XB-0要員1<<対空戦闘用意! 防空システム迎撃始め!>>

 

しかし、どうやら我々は運がなかったようだ。

 

ヤタガラス<<・・・半分が迎撃された 想定よりもダメージを与えられていない>>

 

窮地にいる中で絶望へと叩き落とされていた。

 

XB-0艦長<<総員、緊急離陸に備えろ! 我々は敵の母艦を叩く 護衛機は直ちにスクランブル発進>>

 

XB-0要員2<<エンジン点火用意 地上整備員を大至急退かせろ>>

 

XB-0要員3<<攻撃の被害を掌握し、即座にダメコンを向かわせろ>>

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

長門SIDE

 

1機、2機、3機、4機と撃ち墜とし、思うが儘に敵機に喰らいついているうちに相手が恐怖を味わっていることが分かる。

 

動きが少しずつ鈍くなっており、物足らなさを増長させてしまっている。

 

<<まだ喰い足りない・・・>>

 

思わず不満を口に出してしまっているが、ワンサイドゲームで味気ない空戦だから仕方がないだろう。

 

長嶺<<普通ならもうこの辺で満足するんですが、それは・・・>>

 

後ろで何か言っている気がするこど、気のせいで私はただ全力で愉しみにいっているだけだがな。

 

サングリア1<<畜生!墜とせない・・・>>

 

サングリア19<<・・・だ、誰か!誰か!!!助けてくれ!!>>

 

サングリア12<<待ってろ、助けに・・・>>通信途絶

 

やはり、一方的な蹂躙は面白くない。

 

パタパタと墜ちてゆく敵機を一瞬見て次の敵機の食いつこうとしたらレーダー上ではオールグリーンになっていた。

 

常陸1<<申し訳ない、助かった>>

 

<<気にするな>>

 

ヤタガラス<<全機聞け!A作戦は失敗した 繰り返す A作戦は失敗した 直ちにB作戦へ移行せよ>>

 

ある意味最悪の想定が来てしまったか。

 

<<ヴィクトリア隊、了解 XB-0を葬る>>

 

常陸1<<常陸隊、恩の貸付を実施する 全機、鮟鱇隊の救援するぞ>>

 

最大巡行速度でスロットルを倒して増量槽を切り離してXB-0へと機首を向ける。

 

ヤタガラス<<現在の状況を伝える XB-0は緊急離陸のシーケンスを開始 対空兵器は約半分ほどが健在 護衛する艦艇もまだわずかに残っている 鮟鱇隊は敵機に囲われて離脱が困難だ>>

 

雄二<<()()()黙られせれば追加報酬出るか?>>

 

ヤタガラス<<安心しろ、存分に殺りたまえ 一機撃墜につき2万だ>>

 

<<ナイト、分かってるな>>

 

長嶺<<もろちんです>>

 

雄二<<ルーキー、出来るな?>>

 

新兵《ルーキー》<<ま、任せてください>> 掛かり気味のやけくそ

 

綺麗な編隊を組みながらヤタガラスからの追加情報を聞きつつ、まだ終わらない戦いに心が躍っている。

 

誰も指示を出したわけではないのに、なぜか私が|7機編隊《自機を含めたヴィクトリア隊3機と常陸隊4機》の編隊機長にされていたが、些細なことは気にせずに大急ぎで鮟鱇隊の元へと向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

兵頭大尉SIDE

 

[WARNING] MISSLE

 

警告が鳴り止む気配もなく、決して多くはないフレアを節約しつつ細心かつ最大限のマニューバを駆使して機銃、ミサイルと敵機の猛攻を逃れつつ列機、いや、部下たちを優先的に離脱できるように私に引き付けていた。

 

<<クソ、見逃してくれないよな>>

 

少し油断すれば翼やコクピットに弾が直撃する1ミリ単位の操作ミスが許されない世界でスリルと恐怖心が同時に存在して俺を奮い立たせている。

 

(ヴィクトリア隊ならもっと楽々とこの状況を乗り切るだろうな・・・いや、俺はここを切り抜けて生き残って俺もできることを見せてやる)

 

<<俺だってヴィクトリア隊を超えられるように戦ってきたんだ!>>

 

自分を鼓舞するように叫んだものの状況は好天せず、悪化の方向へと転がっていく。

 

ヤタガラス<<注意、XB-0から敵機が発艦した 敵の増援だ>>

 

レーダーにはさらに7機の赤点が増え、脱出が難しくなってしまった。

 

追い打ちをかけるように少数配置されているSu-33が遠目から見ても分かるほどの重武装だった。

 

バルセロナ1<<フレスベルクの怒りを示してやれ>>

 

大量のミサイルを表す点が湧いて出てきたかのように表示され、俺と部下に容赦なく襲いかかっているという現実を脳に叩きつけられる。

 

常陸1<<2000ft以下の高度制限を即時実施せよ!!>>

 

《全機、聞こえたな!!高度を急いで下げろ!!!》

 

躊躇いも容赦もない声だが、今は嫌でも縋りたい一心で列機に指示を出しながらミサイルを躱している数十秒後に2000ft上空が歪んだ。

 

激しい爆発音と衝撃が機体に伝わるだけで終わらず、操縦の主導権すら奪おうとして危うくFOX4(墜落)しかけるが、なんとか醜態を晒すことなく上を見ると撃墜判定を受けた敵機が黒煙を噴いていた。

 

空を歪ませた対ミサイル弾は気化爆弾を小型化した上で威力を調整してミサイルに転用した代物のため、直径50~100mの爆発範囲で2発以上の同時運用を前提とする広範囲兵器である。

 

当然、フレンドリーファイアの可能性が極めて高いが我が隊の練度を信じているとは思いたいが、奴は自分の腕を信じているからできるのだろうな。

 

レーダー上に表示されていた赤点が消えて入れ替わるかのように青点(味方)が現れていた。

 

クイーン《生きてるな? さっさと作戦空域から離脱しろ 兵装に余裕がある機体は我々の露払いを 巨鳥の翼をへし折る》

 

女性でありながら頼もしさを感じると同時に自隊で作戦目標を達成できなかった悔しさが込み上がるが、恩はそのままにしてはおけないと兵装の余裕がない部下を帰して作戦空域に留まることにして少しでも()()に奔走するとしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小原中尉SIDE

 

常陸隊の対ミサイル弾による一掃で一時的な制空権を確保して鮟鱇隊の撤退支援と同時に巨鳥へと食らいついて対空砲火とエンジンの一部を破壊し、もう一度攻撃しようとした時にXB-0から2機が発艦してこちらにまっすぐ向かって来た。

 

見覚えがある赤地に大きな黄色のクロスペイント、J35J(サーブ35 ドラケン)とラファールMの2機・・・

 

エスパーダ1《エスパーダ1よりエスパーダ2へ これ以上やらせるな》

 

エスパーダ2《エスパーダ2、了解 1に続く》

 

エスパーダ隊・・・ちゃんと付き合いが続いててなによりだ。

 

そして、《リア充爆発しろ!》

 

長門《・・・本音が漏れているぞ》

 

おっと、これ失礼してしまったようだ。

 

エスパーダ1《小原隊長!お久振りです。そして、お陰様で4年目です》

 

いらん自慢は今しなくていいから・・・えらいことになるぞ

 

長門《・・・スレイブ1、()()()()()() こいつらにイラッとした》

 

ほら、言わんこっちゃない・・・

 

《お熱いようで結構だが、墜ちてもらうぞエスパーダ、悪いな》

 

エスパーダ2《えぇ・・・》(困惑)

 

オープン回線で会話していることは置いておくとして、腹立つことに変わりはないので美優にXB-0の討伐を任せることにして命令通り向かっていったが、一筋縄ではいかないだろうな。

 

回避能力が支援航空隊内で回避機動の教官を務られるほどであり、自分が知っている中で唯一のカップルでもある。

 

一時期は破局の危機になったりしたが、パフォーマンスを落とされては困ると少しだけ入れ知恵をしたらコーヒーが隊内で大きなブームになるほどのバカップルになってしまった。

 

そんなことはさておいて、ドッグファイトに持ち込もうと考えて間合いを詰めて短距離ミサイルでロックオンして撃たずに心理的な圧迫をかけて墜とす隙を狙う。

 

だが、向こうも自分の目論見は看破しているが、機銃とマニューバで相手のペースに持ち込ませないようにしているが、もう一機が後方に張りついてサッチウィーブに持ち込もうとしていることが分かる。

 

さて、エアブレーキで速度を徐々に落としてオーバーシュートをさせることを狙って追っている敵機には機銃で進路変更かダメージを入れることが出来れば御の字だ。

 

本命は後ろにしつこく追ってくる奴を墜とす。

 

<<ルーキー!ロックオン切り替えはいつでも出来るようにしろ 激しく動くぞ>>

 

新兵<<いつでも出来ます!!>>

 

頼もしい新兵だと思いながらスロットルに手を置きつつ、あと二回の旋回を終えた瞬間に機銃で前方にいるJ35J(サーブ35 ドラケン)のエンジン部分に数発命中させ、一気にスロットルを引いてエアブレーキで減速する。

 

オーバーシュートされた敵機が前に引っ張り出された瞬間にミサイルを放ち、失速寸前まで速度を落として急降下姿勢で150度の左旋回をし終え、エンジンに火を再び灯した。

 

<<今日()墜ちなかったことに感謝だな>>

 

新兵<<・・・命がいくつあっても足りませんよ>>

 

正論だが、俺みたいに空に魅了されて己の王国という居場所とし、己のアイデンティティがそこにしかないと定めてしまった者たちの性だ。

 

<<俺と彼女くらいだよ・・・こんな無茶な飛び方をするのは>>

 

聞こえるかどうか分からない声で残った方のJ35J(サーブ35 ドラケン)に襲い掛かり、逃げ待っていたが手負いの機体では限界があり、あっという間に撃墜して何機かも次いでにやってからXB-0の破壊へと戻ったが、とても美優が一人で与えたとも思えないくらい煙を吹き上げていた。

 

しかし、凶鳥はまだ飛び立とうと必死に藻掻いて残り少ない対空砲で弾幕を張ってエンジンを離陸準備に専念している。

 

長門<<敵機を引き付けておく、止めを刺してやれ 実質対地に飽きた・・・>>

 

<<了解>>

 

美優は対地はあまり好きではないが、仕事だからと仕方なくやっていることは知っているから特に文句なくXB-0のコクピットがある先端に対して向かい合わせになるように大きく旋回し、スロットルを倒して対空砲火をくぐり抜ける。

 

すれ違いざまに放たれたミサイルがコクピットに直撃した同時に残っていた僅かな敵機がすべて墜とされたと同時に試合終了の電文が伝達され、損害をそれなりに出したものの決勝戦に進むことが確定した。

 

あと決勝戦かと思うと同時に一抹の寂しさと嫌な別れが着々と近づいていることを感じつつ、帰りの燃料を補給するのに近くで待機している空中給油機へと向かう。

 

<<よう()()、まだ生きてるか?>>

 

長門<<ああ>>

 

それ以降はなぜか一言も交わさなかった。

 

ここからある意味心の中で俺のやるべきことと別れたくないという気持ちが交差し、鬩ぎあっていた。

 

そして、たぶんそのすべてがバレているのだろうと思っている。

 

(俺も脆くなったもんだなぁ・・・()()()

 

 

操縦桿を持っている手が微かに震えていた。

 

 

 

 

 

 

長門SIDE

 

なぜだ、準決勝に勝ったというのになぜか喪失感のようなものがあるんだろう。

 

ここ最近は嫌な夢を見ているせいだと思うけど、やけに現実感があってそう遠くない未来のように感じさせられている。

 

(雄二、お前はなにを考えている・・・ 頼むから離れないでくれ 君が去りそうな雰囲気をなんで醸し出している)

 

病気的な意味ではない胸の痛みというのかは分かりが、雄二が隣にいない日常が日に日に考えられなくなっているのがヒシヒシと分からされる。

 

これが恋、いや、違う、そんな軽いものではなく、愛と言った方がしっくりくると同時に彼の彼女だった()に嫉妬してしまった。

 

少し今日の飛びが覚束ないような感覚になってしまっている。

 

(頼むから()()()()()()()()()()()()、神よ)

 

自分らしくない考えを浮かんだことに驚きつつ、給油をして帰った。

 

続く




昨年の交通事故やメンタルダウンで筆が乗りませんでした。

本当にすみませんでした。

なるべくすぐに再開できるようにします。

よろしくお願いいたします。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

タウブルグの剣 前編

やっと筆を進めることができる。

長かった。

おそらく今年最後の投稿になるかもしれません。

調子が良ければもう一話くらいできそうです。


準決勝から数日、久しぶりに0空団が平和な朝が訪れるはずだった。

 

しかし、それはすぐに崩れ去る。

 

長門SIDE

 

久しぶりの休日でPスーツに着替えていつも通り飛ぼうと思ってブーツを履いて持つ物も持ち、あとは出て鍵を閉めるだけという時に携帯が鳴り、画面にある通知を見ると靴箱の上に置かれているフルフェイスヘルメット急ぎ足で出勤する羽目になってしまった。

 

緊急呼集・・・碌でもないことが起こったな。

 

普段なら徒歩で軽い運動のかわりにしているが緊急のため、愛車ホンダCB400 SUPER FOURに跨いでエンジンを起こしながら足でバックさせて駐輪場から直接出ていき、基地へと駆け抜ける。

 

基地の前には緊急呼集で正門前からちょっとした渋滞が起きてて通常の通勤ラッシュ以上の混み具合で警衛して連中の敵を絶対に通過させないという圧も比べ物にならなかった。

 

身分証明書と外部社員寮居住許可証を胸ポケットから出して提示をし、バイザーを上げて顔を見せ警衛をしている卒業を控えているベテランが確認をすぐに終えると侵入防止の拒馬が動かされ、徐行でさらに設置されているスピードバンプを超える基地内の制限速度マックスまで上げた。

 

指定場所にバイクを止め、シートバッグに入れていたPバッグを取り出して急ぎで0空団の航空機要員全員が入れる大きさを誇る司令部の大会議室へと走り、途中で雄二と合流する間もなく部屋へと入っていくと疎らなもののそれなりに人数が集まっており、何が起きたかを予想する話で盛り上がっている。

 

雄二「どこかでテロでも起きたのか」

 

「おいおい、テロ関連が頻発しすぎてないか。この間も出撃したぞ*1

 

数分もすれば航空機パイロットたち全員が集まったことを確認されると団司令が登壇し、挨拶や前置きも省略しているということはよほど緊急で大事であることが察せられる。

 

団司令「本日の朝方、佐世保、いや、九州全体のBMD(弾道ミサイル防衛)を担う『エクスキャリバー』、通称『タウブルグの剣』が謎のテロリストによってシステムと本体そのものが乗っ取られた状態にあり、一機も飛ばせない状況にある。さらに現在判明しているだけで当該空域の周辺で演習中のパトリオット社空軍所属の輸送機4機、戦闘機6機が撃墜され、406名が殉職しているとの情報だ。レーザーの流れ弾で民間にも大きな被害が出ているが、把握できていない」

 

エクスキャリバー・・・黒森峰女学園の民間軍事会社であるリッター社が総力をあげて開発をゼロから始めた次世代BMD計画の一環で作られた物で最大射程が1500kmにも及ぶとも言われており、これも周辺国から反発があったものの軍部の肝が座っていたのか、『解体費を米ドルで全額請求するぞ』と脅して黙らせたという本当か分からない伝説が残っている。

 

高さ1キロ、目標の照準と追尾を行う6基のレーダー塔でも500mという規格外の大きさを誇り、反射鏡を持つ人工衛星もしくは航空機によって広大な射程を実現しているが、レーザーの性質上直進しかできないとはいえれど脅威であることに変わりはない。

 

本体の防衛にはジャミング装置、レーザー砲を搭載した武装列や多数の対空砲を配置しているという強固な防衛網で守られている。

 

攻略不可能とも言われているほどのものが、一介のテロリストによって占拠されるという前代未聞の事件にザワついたが・・・

 

団司令「そこでヴィクトリア隊のクイーンとスレイブ1のみ出撃を命令する 学園艦が当該エリアを通過する予定のため、デフコン5から3への移行により、他部隊は第二種戦闘配備 予備役およびホームガード(学園艦防衛隊)の待機状態へ移行 詳細は各部隊の長が説明する 以上」

 

その他が急ぎでそれぞれの持ち場へと走って満員だった大会議室から人気が消えてブリーフィングを受けるため、団司令室へと移動になったがなぜ二人だけということが気になってしまっている。

 

相変わらず質素な団司令に着いてプロジェクタースクリーンの前に置かれた椅子に座り、いつものように冒頭に内容を他社への口外をするなという警告で釘を刺されたあとにどうやらまだパワーワードが連発するだろうという嫌な予感がしていた。

 

団司令「この任務はパトリオット社ではなく、内閣情報調査室からの依頼であり、君たち二人を指名してきたのだ」

 

すでに頭がパンクする寸前というか、パワーワードだけでお腹がいっぱいだが、とりあえず詳細を聞くしかないのだろうな。

 

団司令「とりあえず、任務のブリーフィングを始める・・・」

 

作戦名『ジャッジメント』

 

エクスキャリバーへは低空で接近するもののすぐにレーダー補足されてしまうので隠密での攻撃は不可能であるが、被弾リスクを低減するためには3000ft以下を維持する。そして、作戦の第一段階としてエクスキャリバー南方に配置されているジャミング装置を機銃で破壊し、その後に第二段階として本体の破壊を行うという二段階ではあるがジャミング装置への接近は大きな危険を伴っており、航空機部隊は下手すれば全滅の可能性がある。

 

一応、パトリオット社からは強力な援軍が約束されていると言っているが、期待しない方が良いだろうとのことだった。

 

団司令「大まかなブリーフィングを終えるが、誤魔化すことが出来ないことがあるので君たちには伝えなければならないことがある。口止め料は追加で払う・・・君たちのミサイルは識別装置では実弾となっているが、いつもの安全弾となっている。つまり、偽装を施している。理由は内調がわざわざ実弾での破壊での指定をしており、その不審な意図に裏があることを情報部が突き止めたとだけ言っておこう。強力な援軍を期待するなということにも繋がっているが、それ以上は分かっているな」

 

 

察しても詮索は絶対にするなという極めて強い意志が団司令の目から伝わり、人生の中でも中々とんでもないことに巻き込まれたなぁと嫌な冷や汗を搔きながら書類に書かれているエクスキャリバーの詳細スペックや防衛装置についての具体的な内容を見てどう頑張っても良いビジョンが見えない・・・

 

(だが、なぜか雄二が一緒に飛んでいるなら怖くないと思えるのはなんでだろうな)

 

小原SIDE

 

ブリーフィングを終えて愛機がいる格納庫に向かっていると整備兵が焦燥した顔で俺に謝っており、どういうわけかと思って愛機の後部座席にあるコンピュータに備え付けているキーボードを操作して自己診断をかけると

 

システムエラー:電子計算機基盤:異常 システムデータ:破損 自己診断プログラム結果:システム異常 自己修復不能という結果になっており、どうやら少し無茶したのが祟ったのか、コンピュータが壊れてしまったようで飛ぶことは無理なようだが代わりにF-15Cを代替機として乗ることになり、エンジンを起こしながら近代化はされているものの懐かしいレイアウトのHUDをいじりながら感覚を大急ぎで取り戻していた。

 

整備員たちも急な機体変更で兵装の積み替えや最終チェックでに奔走している中で回りは警戒態勢になっているもののいつもの訓練時間のような雰囲気が少し漂っているが、決して気を抜いているわけではない。

 

兵装の積み替えとそれに伴う接続作業が終わってエルロンなどの動作チェックも万全なものと確認して第一エンジンを始動させ、回転数が規定値になると第二エンジンも始動させつつ兵装システムの接続テスト及び照準の作動確認に入って異常がないことが分かるとハンドサインで「システムオールグリーン 滑走開始」を示すと周りにいた整備員が離れ、スロットルを少し上げると機体がランウェイに向けて地上での滑走を開始した。

 

風向風速、視程、気圧などの情報が伝えられ、高度計の規正が正しいかどうかを滑走路に入る直前にあるラストチェックラインで確認し、滑走路へと進入して発進位置に着く。

 

自然に示し合わせたかのように同時にスロットルを押し倒してアフターバーナーで一気にV1に達すると操縦桿を引き、高度計が回ると始める辺りでランディングギアを格納した後にさらに操縦桿を引くとものの数分で20000ftに到達した。

 

なんか、心なしか美優の声と動きがいつもより軽快な気がするが聞くのもあれだしなぁ・・・と思っているとこの間設定された彼女と自分専用の無線周波数から呼び出しが来ており、すぐに切り替えると彼女の声から明らかに喜びが所々現れていた。

 

クイーン<<なあ、次のソーティーから機体を揃えないか?>>

 

答えはとっくの昔に決まっているし、逆らうつもりもない・・・なんせ、()()()()()()()()()()()

 

<<女王陛下の仰せのままに>>

 

美優<<ふっ、少しくらいは嬉しそうに言えよ>>

 

<<自分なりに最大限の表現をしたつもりですがね>>

 

()()()()()()()が今の立ち位置的に許してはくれず、下手すれば彼女をこちら側に引きずり込みかねない。

 

それだけはあらゆる犠牲を払ってでも阻止しなければならない。

 

()()も同じだ。

 

 

 

・・・数時間後

 

 

低空飛行でエクスキャリバーが九州の防人として座している佐世保付近の平地が比較的ある山岳地帯エリアに接近し、その途中でパトリオット社が用意した()()()()()と合流したのは良かったのだが・・・

 

 

<<こちらクロウ隊 三番機PJ ヴィクトリア隊 可能な限り援護をする>>

 

ここまでは良かった。そのあとが、お察しという奴さ。

 

クロウ1<<クロウ1から3へ ところでお前はいつ花束を買いに行くんだ?>>

 

クロウ2<<のんびりしていると別の奴に彼女を撃墜(NTR)されちまうぜ>>

 

<<なっ 無駄話をしている場合じゃないでしょ!>>

 

笑い声が聞こえる前にそっと彼女との専用に切り替えてボソッと微毒を吐いた。

 

<<たった数機の戦闘機が心強い援軍ねぇ・・・>>

 

クイーン<<まあ、()()()()()()がな・・・向こうの空中給油機がさっさと離脱しているけど、たぶん間に合わないだろうなっって?!>>

 

美優もなにか言おうとした直後にレーダー照射されたことを警告する警報音が鳴り、急いでレーダー画面に表示されていた何かの広い範囲から本能的に離脱した。

 

[RADAR LOCK WARNING]

 

あと、数秒後に薄ら青色の光線が先ほどいた場所を通り抜けて鬱陶しいコバエを薙ぎ払うかのように横一文字に動いてフッと消えた、、、その刹那、光線の直撃を受けた空中給油機がお手本の如く爆発四散していた。

 

ヤタガラス(AWACS)<<タンカー(空中給油機)がやられた 分かっているとは思うが・・・敵地に接近 危険空域内だ! 全機ブレイク! ブレイク!>>

 

あまりにも遅すぎる警告だが、仕方がないだろうな。

 

突然表示された何かに反応できたとしても次の行動に移すに移せないままレーザーがすっ飛んできたんだから混乱もするが、遅れても流石ヤタガラスは即座に数機の()()()()の援軍に警告を発し、なんとか新米共が()()()からFOX4(墜落)しないように奮闘をしている。

 

数多の戦場を潜り抜けた俺でもさっきのレーザーでかなり酷い冷汗を搔いており、わずかに手が震えそうになっていた。

 

エクスキャリバー操作要員(テロリスト)<<敵機の接近を確認 ECMの出力をレベル3に上げろ>>

 

レーダーには既に次の予測されているレーザーの光線も範囲が反映されており、このままではものの数分で壊滅という可能性が見えてしまっている状況で俺ができることは一つだけある。

 

<<俺がレーザーの囮になる。その間に低高度に降下してジャマーを破壊しろ>>

 

クイーン<<無茶をするな!!>>

 

<<このままではジリ貧だ! 急げ!!>>

 

彼女の悲痛混じりの声はかなり心痛いが、俺の死で彼女が救われる(作戦の成功)ためなら修羅にだってなろうと()()誓いを胸に操縦桿を引き倒して高度を一気に上げて敵の注意をできるだけ惹きつけて鳴り響く警報を無視して最大限の集中で迫り来る光線を避けた...が、流石に光を人間の神経では避けきれなかった。

 

*1
傭兵の本領 [KNIGHT ROUTE]参照



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

タウブルグの剣 後編

長らくお待たせをしてすみませんでした。

やっと書ける状況まで持っていけました。

不定期な更新にはなるものの、読んで頂けると幸いです。


前回のあらすじ

 

スレイブ1がレーザーに焼かれた?

 

以上

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スレイブ1SIDE

 

 

青い色光がコクピットの右側を覆い、爆発もなく右翼の警告がHUD上でされていた。

 

一瞬とはいえれど猛熱が襲い掛かり、肉体が焼けるような感覚の痛みで操縦桿を少し手放してしまった間に機体の制御できなくなったことで激しい回転と同時に凄まじい勢いで落下していたが、なんとか操縦桿を握り直してロール状態を解消しながら機体を水平に戻しつつ左右のエンジンの出力割合を調整して安定した状態に近づけて辛うじて飛んでいるといえるところまで持ってこれた。

 

燃料が引火しなかったことが最大の幸運だなと神に感謝すように心の中で最大限の祈りを捧げ、HUD

に示された被弾箇所を確認すると右翼のほとんどが持っていかれたようだ。

 

ヤタガラス(AWACS)<<スレイブ1!スレイブ1! 応答せよ! 繰り返す 応答せよ!>>

 

無線がレーザーの熱でやられているのか、自分の応答が向こうには届いていない・・・

 

無線機の不調なのか、一時的なものかが分からないが、なぜかこの時は()()との専用チャンネルが通じると思ってノッチを回しすとその直感に近いものが当たった。

 

<<クイーン、聞こえるか?こちらは()()()()()()()()()>>

 

美優<<(font:102)この大馬鹿野郎!!!《/font》>>

 

怒りと喜びという矛盾した感情がぐちゃぐちゃに混ざった罵声が耳に叩き付けられて思わず音量を絞ったが既に手遅れなので元の位置に戻したが彼女から言葉続かない・・・

 

<<ジャマーを破壊できたか? ヤタガラスに無線機が一時的な不調になっているが、こちらからも通信を試みることと()()()()()()()だと伝えてくれ 俺は引き続き囮となる>>

 

これ以上、彼女の邪魔をさせるわけにはいかないと無線チャンネルを共通周波数に切り替えてヤタガラスに呼びかけた。

 

<<こちらスレイブ1、機体に損傷があるも任務遂行に支障なし 引き続き囮となる>>

 

一方的に宣告して無線は聞き流し状態にして不安定な飛行状態を敢えて利用して高度を上下するだけでなく、自由に左右へと風の()()のように最大限注意をこっちに引き付けて全てのレーザー攻撃をこっちが来るように舞った。

 

ヤタガラス(AWACS)<<クソ!! 総員聞け、スレイブ1がイカれやがった スレイブ1が囮となる その間に()()()()()()()()しろ これは厳命だ>>

 

レーダー画面にはエクスキャリバーの予想射出軌跡が表示され、()調()に俺に注目が集まって命がかかっているのにもかかわらず、動じることもなく片羽という致命的なハンデを見せない機動でさらに注目を搔っ攫う間にも無線が回復し、雑音が混ざらなくなった。

 

増援という名の新兵たちに喝でも入れようと無線のチャンネルをいじった。

 

<<()()()()へ 墜ちるなら俺の見えないところで頼む>>

 

クロウ3<<了解です 任せといてください>>

 

どうやら評価を改める必要があるなと思いながら案外この()()は口が少し生意気だが腕は悪くないし、こういう状況だからこそ多少の口で落ち着いてられるなら御の字だ。

 

ヤタガラス<<敵ジャミング 1基目を破壊! 全機へ! レーザーの予想射出軌跡はレーダーで確認できる レーダーだ!>>

 

レーザーの規模の都合で照射には数分の間があるが、これ以上短いと姿勢の立て直しと引き付ける時間もないのだが当然相手もそんな馬鹿ではなく、電力供給量を増やしたようで先からの照射間隔が徐々に短くなっている。

 

エクスキャリバー操作要員(テロリスト)<<電力チャージ 閾値オーバー ターゲットを捕捉 レーダー射出距離 計算完了>>

 

ヤタガラス<<砲撃くるぞ 全機 ブレイク! ブレイク!>>

 

ヤタガラスの仕事量が増え、声に余裕が少しなくなっている気もするが、ジャミング装置破壊の一報は欠かさず若干嬉しそうかつキチンとしているのは流石だ。

 

ヤタガラス<<敵ジャミング 2基目を破壊! っ!? 3基目を破壊 もう一息だ>>

 

(こっちのジャミング装置の破壊速度も早まってないか?いいことであるのは間違いがな。にしても早い・・・)

 

そして、やはり気のせいと思えないほどにクイーンの機動がレーダー上ではおかしな事になっている。

 

どうあってもそれが人間の繰り返し飛び方ではなく、執念すら感じるのだが、うっすらと良くない予感がする。

 

・・・主に俺が碌なことにならないという確信に近いものがあり、心当たりしかないのがなお質悪いのだがな。

 

 

 

 

 

 

美優SIDE

 

 

青い光が雄二がいたところを通過すると同時に一瞬とはいえ、レーダーロストしていた。

 

この事実は私の心を動揺させるには十分だったようで泣いているのか、怒っているのかすら判別できないほどに感情を抑えれなかった。

 

そして、彼に対してどんな想いを捧げているのかを重く突き付けられて気が付いた時には雄二との専用チャンネルに無線のノッチを回し、壊れたように呼びかけていた。

 

<<スレイブ1! 応答しろ! スレイブ1! 応答しろ!! 私はまだお前の死は許可してない!!!>>

 

私を知っている者たちはきっとこの慌てぶりに驚くだろうけど、それどころではない。

 

()()()()()()()()()()をまた無くしてたまるか!あいつは()()()()()

 

スロットルで機体を増速させ、第一目標であるジャマーの破壊を急いだ。

 

とにかく最速でジャマーを今回の兵装である無誘導爆弾を勘で当てて次のターゲットへと移り、機銃で壊して最後のものを破壊しに向かった。

 

相手の抵抗が激しくなり、レーザーの発射間隔が見る見るうちに短くなって妨害が増えたが関係なく弾幕を避けながら爆弾を投げつけて操縦桿を本丸へと倒し、この一件を早く終わらせ、あいつを分からせてやらなければならない。

 

ヤタガラス<<敵ジャミング装置 全基の破壊確認 あとは本体のみだ 全機 エクスキャリバーを攻撃せよ!>>

 

手を加えられていない木々に囲まれ、不気味な雰囲気を漂わせる聖剣(エクスキャリバー)の伝説は今日で終わりだ。

 

エクスキャリバー本体の周囲には絶滅危惧種である列車砲がご丁寧にレーザー砲を積んでいるだけでなく、東西南北の守りを固めるかのように配置されてジェネレーターもその近くにあるという厄介なことになっている。

 

しかし、余程単純な機動と速度をしていなければ避けられる。

 

列車砲とジェネレーターに爆弾を浴びせているうちに片羽の相棒が加わって、雄二に周囲を任せて本体への攻撃を集中させた。

 

攻略不可能と言われたエクスキャリバーの防壁を引き剝がし、ついには前人未踏の本体への攻撃という奇跡を起こそうとしているが、私はそれどころではないのに・・・

 

クロウ1<<いける、いけるぞ>>

 

PJ<<いける、いけるかもしれない 攻撃を続ける>>

 

スレイブ<<よう 奇跡を信じて 味方が盛り上がっているな>>

 

吞気なこと宣いやがって操縦桿を握り手に力が入り、任務終わりにどう調()()してやるかを頭の片隅で考えながら目の前にターゲットの破壊に専念した。

 

ヤタガラス<<全ての列車砲およびジェネレーターの破壊を確認 そのまま『王者の剣』もぶっこ抜くぞ!>>

 

心置きなく雄二を傷つけた剣を壊せると思った矢先に敵が破壊されてたまるかとテロリストの装備として有り得ない電子戦機で妨害をしてきやがり、速攻で墜としてエクスキャリバーに攻撃を浴びせ続けた。

 

しかし、思っているよりも堅くてミサイルも機銃もフル活用してジェネレーターからの供給がなくなってレーザーの発射間隔が長くなり、役目を果たせなくなっている。

 

エクスキャリバー操作要員1(テロリスト)<<電圧が上がらない 発電施設はどうなっている? クソ! 残りは地下に行っている電力を回せ 回線のつなぎはB1-76だ>>

 

エクスキャリバー操作要員2(テロリスト)<<予備電源でも幾分かは持つはずだ フィードバックで焦げ付いても構わん>>

 

ミサイルを当てては時々発射されるレーザーを避けてはまたミサイルを命中させているが、壊せている手ごたえを感じていない。

 

ヤタガラス<<いける サイファー 君ならできる>>

 

エクスキャリバー操作要員3(テロリスト)<<Aラインがダメなら閉鎖! Cラインに接続し、再起動しろ! 起動を優先しろ このままでは死ぬぞ!!>>

 

レーザー発射口がやっと破壊され、あとは本体を叩きのめすだけとなってAWACSからの煽りを受けてありったけのミサイルと機銃をぶち当てるとエクスキャリバーの根本部分で爆発が連鎖していた。

 

ヤタガラス<<・・・攻撃目標の沈黙を確認 ここからも見えるぞ よくやった!>>

 

無線のオープン回線ではエクスキャリバー討伐の成功で歓喜に沸いていて少し喧しかったが、今は少し心地良い。

 

PJ<<やったぞ 最高のチームワーク!>>

 

スレイブ<<クイーン、皆の声が聞こえているか? 寄せ集め集団の勝利だ!>>

 

何さも無事に終わったみたいな言い方をしやがって お前は覚えてろよ

 

操縦桿に力を入れ過ぎて握り潰し勢いで手が痛くなっていたが、今はそれよりも失いかけたことの方で痛みを感じている。

 

ヤタガラス<<全機よくやった! PJ浮かれすぎて墜落するなよ>>

 

私も人のことは言えんが、必ず帰投すると心の中で固く決意していると爆発を起こしていたエクスキャリバーが根元をチェンソーで切れたようにゆっくりと倒れることはなく・・・激しく燃え上がるだけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スレイブ1SIDE

 

 

任務を終えて片羽での着陸で消防車が並走しながら水をかけ、停止するとすぐに救急車が来ては乗せられて衛生隊に運ばれ、身体検査を行われたが異常が見つからなかったが、その後に司令、整備員と補給の担当官に小一時間ほど怒られてやっと解放されたが、携帯には美優からの呼び出しがあり、現実逃避したくなった。

 

しかし、それをしても現実は残酷なままで大人しく出頭するため指定された場所へと向かったのだがどう考えても女子寮にに向かっている・・・

 

(この先はどうなるか読めてきたが、これは自業自得か)

 

嫌な予感を抱えながら観念するように入って寮長に入る手続きをして案内され、よく分からない同情の目を向けられて彼女の部屋前に立った。

 

ドアホンを押すとすぐにロックの解除音と同時にドアが開いて胸倉を掴まれて部屋の中へと勢い良く引き込まれ、気が付いた時に唇を塞がれて舌も入れられるということは分かったものの頭が事実についていけなくなっていた。

 

数分という長い時間が経ってやっと唇が解放され、彼女の顔を見ると怒り、心配と悲しみが入り混じった涙まみれで自分の覚悟が彼女を傷つけて悲しませるということを突き付けられ、()()である彼女にキスを返して数分以上かけて落ち着かせたつもりだったが、怒り余計に増させただけだったようだ。

 

いきなり消えやがって!!心配させやがって!!余裕綽々としやがって!!!!私のことがそんなに頼りにならんか!!相棒じゃなかったのかよ!!!!!!・・・クソ!お前を分からせてやる お前は私に黙って抱かれてろ!!!

 

今彼女はかなりヤバいことを口走り始めてないか、止めなくては取り返しのつかないことになる・・・

 

聞こえなかったようだな。お前を犯してやると言った

 

状況が悪化している!!!!!!!!

 

覚悟しろ 私を脳の髄まで刻みつけてやる お前に彼女のことなんて忘れさせてやる」目のハイライトは休暇中

 

あ、あかん、目が据わってらっしゃる。

 

「よ、これ以上は・・・」

 

唇を塞がれて発言権は失い、彼女を受けれるほかはなかった・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何があったかは諸君らの想像に任せるが、翌朝に寮長からはボソッと「昨夜はお楽しみでしたね」と恨みが籠った目で見られたことはだけは言っておこう。

 

 

続く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とある遠隔記録ログ・・・

 

 

株式会社パトリオット社

 

作戦: [非公開] 

 

機材:KC-10 第 [非公開] 号機

 

コールサイン: [非公開] 

 

記録方法:遠隔通信記録方式ブラックボックス

 

日時: [非公開] 

 

公開非公開区分:一部非公開事項(有)

 

非公開理由:個人情報保護および機密保全のため

 

公開許可事項:機内機外通信歴(一部のみ)、役職名、通信内容(一部のみ)

 

 

 

 

 

 

 

 

{公開許可}

 

 

公開許可理由:当該作戦参加要員の隊員遺族による公開請求のため

 

 

 

遠隔通信記録

 

[機内]機長:作戦機の給油完了、全速力で離脱する

 

[機内]副機長:機長!レーダー反応 直撃コースです

 

[機内]機長:総員しっかり掴まれ 揺れるぞ

 

[機内]副機長:バンク角が限界です これ以上は失速する

 

[機内]航空機関士:エンジン出力100% これ以上は・・・ 

 

[機内]:空中給油オペレーター:ああ、すまない。親より先に死ぬことを許せ・・・<不鮮明のため記録不能>

 

[機外]管制オペレーター: [非公開] 離脱を急げ

 

[機外]機長: [非公開] 、すまないがあとは頼んだ<通信遮断>

 

[機外]管制オペレーター: [非公開]  応答しろ<通信遮断>

 

[機内]機長:みんなすまない・・・ヴァルハラ(地獄)で俺を殴れ

 

[機内]副機長:ああ、綺麗な青だ

 

[機内]航空機関士:これがあの世への道か・・・

 

[機内]空中給油オペレーター:<不鮮明のため記録不能> シニタクナイッ

 

 信号途絶 記録不能 時刻:[非公開] 

 

 

以上4名は戦死(K.I.A)と推定されるがドッグタグ及び本人と認められる物が見つからなかった。

 

しかし、重大な任務において各員に課せられた責務を最大限遂行したことを認め、殉職者であると認定する。

 

機長以下4名は二階級特進および名誉戦死傷章授与の命令を以て名誉退()となる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

補足事項

 

機長:田中淳司 少佐→大佐 享年17歳 高校3年生 入隊3年目 一般募集幹部飛行要員 男性課程主席卒業 卒業まで残り2か月 一般大学へ進学予定だった

 

副機長:厚田浅子 大尉→中佐 享年16歳 高校2年生 入隊2年目 一般募集幹部飛行要員 女性課程主席卒業 1ヶ月後に中央司令部へ栄転予定だった

 

航空機関士:出川隆二 少尉→大尉 享年16歳 高校2年生 入隊5年目 一般募集新隊員→社内任用幹部要員 幹部任官1年目 極めて真面目な隊員であった

 

空中給油オペレーター:武藤章 2等軍曹→曹長 享年14歳 中学3年生 入隊3年目 一般募集空軍曹要員 年間最優秀隊員 家族思いの隊員として知られ、弟の進学及び家族生活の援助のため自身の生活を切り詰める程の仕送りをしていた

 




これからもよろしくお願いします。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

番外編2「高校生らしい日常」その1

殺伐とした世界の中で密かな高校生らしい青春を少しだけ・・・

ほぼ掲示板方式で本編には特段、大きな影響はありません。


基地司令:

諸君、日夜の訓練、業務、お疲れ様。

ここではすべてのものが等しく発言できる場であるが、不愉快な発言等はするな。

秘匿回線を使用しているので、秘密レベル5以上に該当しなければディープな内容も可とする。

 

副司令:

一応、多くの隊員が休みとは言えれど・・・

集まるかな?

 

女王陛下のスレイブ*1

こういうものがあったんですね・・・

コテハンのようなものがないので僭越ながら私の方でなんとかしました。

 

【速報】副司令の同人誌が発売されてしまうwwwwww 感涙必至!?

 

 

副司令:スレイブ1!?

 

 

基地司令:ほう、詳しく聞こうじゃないか

 

 

基地軍警隊1:

面白s•••犯罪臭の気配がしたので馳せ参じた

 

 

ZEROの女王*2:

スレイブ1、お前がこういうことを率先して参加するとは思わなかったが、まあ良いか

という訳で詳細を吐け!

 

 

バカップルの片割れS*3:

だいぶ前から知っていたけど、本当だったのね、、、

あと、女王ちゃんは部下にパワハラするんじゃありません

 

 

女王の忠犬*4:

私と女王様の同人誌は何処?

 

 

アンコウ会会長*5:

アハハ、、、

で、詳細は?

 

 

常陸会総長*6:

俺も詳細を聞かせて貰いたい

 

 

基地勤務員代理:

右に同じく

 

 

基地警備隊:

左に同じく

 

 

整備補給隊:

下に同じく

 

 

基地司令部:

上に同じく

 

 

基地防空隊:

斜め右に同じく

 

 

女王陛下のスレイブ:

良いところで申し訳ないが、話を進めてよいか?

 

 

基地司令:

許可する

 

 

副司令:

不許可!

 

 

基地司令:

許可!!

ブリーフィングを実施せよ!!!

 

 

副司令:

後で覚えてなさいよ、、、

 

 

女王陛下のスレイブ:

実施します

当該同人誌は某隊の複数隊員によって作成、出版されたもので部数はわずか200部のため、0空団内では幻の同人誌呼ばれている。

経緯については伏せますが、何とか運良く現物を入手することに成功し、熟読した。

内容としてはギャグ系にして何故か感動ものである。

ストーリーとしては基地司令が何者かに襲われて意識不明となる中で次々と襲ってくる正体不明の敵の攻勢に耐えながら基地司令の蘇生と敵の正体を暴く物語である。

基本的にギャグ日和なのだが、副司令と基地司令のラストは涙なしには見れない。

リアルに読んだ私も意外に泣ける名作で映像化を希望する

 

 

バカップルの片割れS:

後で貸して欲しい

お金を出す

 

 

副司令:ちょっと!?

 

 

基地司令:

・・・言い値で買おう

 

 

副司令:

悪いことは言わない、50万をポケットマネーで出すから素直に所持している現物を渡した上でそれを書いた連中を吐きなさい

 

 

基地司令:

100万出そう

 

足りるか?

 

 

副司令官:

200万で満足できるかしら?

 

 

女王陛下のスレイブ:

どういう理由であれ、自分はそのような大金を受け取ることは出来ません。

なぜなら、これは基地紳士の会の特殊規約に則って入手したためです。

 

 

基地司令:俺がいうのもなんだが、そんな会があったのか?(困惑)

というか、女王陛下のスレイブよ、あんたが入っているとは思わなかったぞ・・・

 

 

女王陛下のスレイブ:諸事情あって、不本意ながら加入しております。

 

 

基地司令:ものすごく気になるが、今はその同人誌の入手に専念するとしよう。

と言うわけで、どうしたら譲って貰えるかね?女王陛下のスレイブ

 

 

副司令の付き人:

先ほどから副司令が不穏なオーラ惑わせながらどこかへ電話をしておられるのてますが、、、たすけ、、、かゆい、、、うまい、、、

 

 

基地警備隊:

マズイぞ、特別警備行動が発令されようしている・・・発令された!!

 

 

基地軍警隊1:

こっちにも特別命令が来ているぞ・・・

 

 

基地司令:

お、お助けくださi

 

 

基地勤務員代理:

!?

 

 

整備補給隊:

!?

 

 

基地司令部:

く、来るなぁぁぁぁあ!!!

 

 

基地防空隊:

!!??

 

 

女王陛下のスレイブ:

現在、逃走中なんだが基地の雰囲気が最悪だ・・・まるバトロワのようだ

 

 

副司令:

ヤツハドコダ

 

 

バカップルの片割れS:

ヒッ!!!

 

 

ZEROの女王:

怒りの圧って画面を貫通できるのか・・・

 

とりあえず、()()スレイブを助けるとしよう

 

 

アンコウ会会長:

全体放送で「女王陛下のスレイブ」を捕らえた者に1000万の報奨金もしくはそれに相当する謝礼を出すとか言ってくるぞ

しかも生死は問わないって・・・

 

 

バカップルの片割れS:

これは流石に不味くないかな

 

 

基地司令部:

ワタシハダレ?

ヤツヲトラエネバ

 

ヤツヲ

 

 

ZEROの女王:バイオハザードか?

 

 

基地勤務員代理:

ヤツヲ・・・

 

 

女王陛下のスレイブ:

一体どうなっているんだ?!

行く先々を待ち伏せされるし、副司令官は基地司令の頭を掴んだままこっちに向かって来てる・・・

情報の渋滞で頭がやられる

 

 

整備補給隊:

こちら応援を要請する!

ぞ、ゾンビでバリケードが持たない・・・

 

 

バカップルの片割れS:

とりあえず、そっちに情報に送った

これは貸しだ

自分の男を助けなきゃね

 

 

ZEROの女王:

私も向かおう

自分の男をやられるのは気分の良いものではないからな

 

 

女王陛下のスレイブ:

いつの間にか自分自身が女王の所有物になっていることに関しては、まあいいでしょう

それよりも生きて帰ることの重要だからな

 

 

ZEROの女王:

現時点で無事なものは?

 

 

基地防空隊:

こちらは今のところ生きているものの、いつどうなるかが分かりません・・・

 

 

常陸会総長*7:

基地防空隊に向かうが、周囲は既にやられているのか?

 

 

基地防空隊:

すまない、助かる

まだ、対応できる範疇ではあるが、これ以上は来られると分かりません。

 

 

アンコウ会会長*8:

なんか女王陛下のスレイブと合流したのは良いけど、足音が怖い・・・

 

 

常陸会総長*9:

基地防空隊地区に到達、二人はこっちに来い!

 

 

基地防空隊:

生存者の受け入れ支援を実施する

直ちに基地防空隊地区へ集合せよ

合流次第、迎撃要員として奮闘せよ

 

 

ZEROの女王:

バカップルの片割れSと女王の忠犬*10の二人と合流、基地防空隊地区から少し遠く、ゾンビはそっちに向かっている

衛生隊やその他の部隊の状況を確認に参る

 

 

女王陛下のスレイブ:

基地防空隊地区に到達もゾンビも目前、迎撃に入る

 

 

基地紳士の会会長:

遅れてすまない。

待たせたな!!!

同人誌を守れ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の基地内は生存者の辛勝で終わり、同人誌は守られたが副司令官あしばらく休暇を頂いた・・・

*1
スレイブ1(小原雄二)

*2
クイーン(長門美優)

*3
相模少佐

*4
ナイト(長嶺少尉)

*5
鮟鱇1(兵頭大尉)

*6
常陸1

*7
常陸1

*8
鮟鱇1(兵頭大尉)

*9
常陸1

*10
ナイト(長嶺少尉)




次回はいつになるか分かりませんが、、ボチボチ書いていきたいと思います。


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。