不老不死系転生者による歴史観光in地球 (ヘンダー・ベンダー)
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プロローグ
白い部屋よりお送りいたします。
この物語は当然フィクションです。
歴史上の出来事で何か不備がありましたらコメントにてお申し付けください。
気づいたら白い部屋でした。
はい。
転生ですね。
─えぇ……もうちょっと反応ちょうだいよ……淡白だなぁ─
そんなこと言われてもなぁ……
大体考えに整理がつくまで待っててくれたんだからそれくらいわかるでしょ?
─まあ、うん。そうだね。─
僕はもう死んだんだから。良いんだよこれまでの事は。歴史以外。
─君の人生だって一つの歴史だと思うけどねぇ?─
自分の歴史なんざわかりきってるから良いの。
僕が好きなのは僕以外の歴史。幾つもの人たちの思惑が重なり捻れ、絡み合ったものが好きなんだ。
─そんなもんかね……まあとにかく、来世でやりたいこととかある?─
そりゃあもうリアルタイムで世界の歴史を見たいね!教科書とか遺物からしか分からなかった過去の出来事を実際にこの目で観たい!
─まあそうなるだろうとは思ってた。なら、記憶はあった方がいい?─
そりゃもちろん。僕が学んできたものと比較したいし。
………え、もしかして駄目?
─いんや、こういう神様転生?って言うんだっけ?これに選ばれた人は大概記憶持ちだよ。─
ならよかった。あ、不老不死……って……いけます?
─…………不老不死も……まあ前例はなくはないし良いか。君の内面も悪用するような感じじゃないし。─
─はいはい、落ち着いて。─
あ、もう一つ要望だして良いですか?
─何?─
見た目を操作できるようにしてほしい。あと動物を含めた言語翻訳能力も。
─結局二つじゃないか。……まあ大丈夫だけど。─
大丈夫なんだ。自分で言ってていけるかわかんなかったけど。
─見た目の操作はまだしも言語翻訳機能くらいならね。結構いるよ。─
あ、さすがに創作だと思いますけどバベルの塔作ったから言語増やしたってマジですか?マジなら殴ろうかと思ってるんですが。
─あー、英語苦手だったのね。それについては地方の訛りがもはや他言語と化しただけだから。殴る必要はないからね?ほら構え解いて。─
やっぱり嘘だったか。
─こういう事やってるとたまにいるんだよね。神話の内容鵜呑みにした奴。─
実際なにやってるの?
─特になにも。基本的に観察してるよ?─
あ、そんだけ?
─たまに世界コピーして別の設定積んだ世界作ってるけど。─
ファッ!?
ナンデ!?改造世界ナンデ!?
─サブカルって………良い文化だね。─
アッハイ
……改めてヤバイ奴だっていう事がわかったよ。
あ、念のため。僕が送られるのって地球だよな?
─もちろん。君の存在してた地球の歴史とほぼ同じ運命をたどる予定のね。─
ならよかった。
…………ほぼ?
─そりゃあまったく同じ世界なんて存在しないさ。どれだけ世界を近づけようとしてもすべてが同じ世界はできない。まあ君を送る世界は君のいた世界と一部の人の名前しか違わない世界だけど。─
それは違う世界って言うのか………?
─違う要素が一つでもあればそれは異世界だよ。それに、君が行動を起こせば歴史上の悲劇も防ぐことが出来る。それだけの力は与えるつもりだ。─
え、何、神さんは悲劇止めさせたい感じ?
─女将さんみたいに言うんじゃないよ。…………まあ、止めるも止めないも好きにして。僕は基本的に干渉するつもりないから。─
あ、干渉はしない系の神様なんですね。
─干渉して自分の思い通りに事が進むのを見て楽しむのはもう飽きたんでね。むしろ最近は自分の予想通りにいかない事が楽しく思えるんだ。─
へぇ。そうなんだ。
─さて。そろそろ君の能力をまとめようか。─
あ、はい。
─まず不老不死。それから外見操作、言語翻訳。これ以外にほしい力ある?─
えっと、じゃあ、完全記憶を。
─あぁ、思い出せないと意味ないか。─
あと、僕の前世の人生に直接関わる記憶を消してください。
─……!………………良いの?─
はい。歴史とか、知識は残しておいてほしいですけど。
─だいぶ歪な記憶状況になるな……まあ何とかしとくよ。─
ありがとうございます。
─それくらい?─
まあ、後はできれば身を守る力がほしいです。不老不死とはいえ。
─え~どうする?魔法でも使えるようにする?─
急に適当……まあ使いたいけども。
ちなみにその魔法ってどんなの?
─魔術理論とかがしっかり組まれてる学問に近い魔法だね。まあ君以外に使わせる気ないけど。─
ロジック系の魔法か。…………僕数学苦手なんですが。
─んー、なら事前知識みたいな奴を君の頭に入れておくね。でも、学習はすること。要するに、入門書から上級までの教科書を渡したようなもんだと思って。─
ありがとうございます!
……そういえば魔法って僕しか使えないんですよね?
─!ふふ……。君ならしないと思うけど他人の迷惑になるような事に使っちゃダメだからね?─
ずいぶんと僕の事を買ってくれてるみたいで。そんなに善人ですかね?
─うーん。本当に悪いことは例え力があったとしてもやらないヘタレだと思ってるよ。─
ヘタレ……まあ自分でも自覚あるけど。
─やっぱり根が善に寄ってるんだよ君は。─
否定できないなあ………。
─て言うかそろそろ送っても良い?─
あ、送る場所は四大文明が出来るちょっと前くらいの中国で。
─了解。じゃあ、せいぜい僕の掌の上から飛び出そうとして見せてよ?─
期待に添えると良いなぁ。まあ頑張るよ。
読んでいただきありがとうございます。
良ければ評価のほどよろしくお願いします。
サラニヨカッタラコメントモ……(ヨクバリス)
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落下と経過と実験台
まさか投稿初日からお気に入り登録してくださる方がいらっしゃるとは……なんで?
まあ、読者の皆さんに楽しんでもらえるよう歴史の教科書片手に頑張ります。
今回は彼の強化回です。
「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!」
はい。
「なんでえぇぇぇぁぁああ!!!」
現在、落下中です。
「あんのクソ神があぁぁぁあ!!!」
なんで上空に放り出すんですかねぇ!?
おかげさまで死にそうなんですが!?
ここで一つ自己紹介をば。
僕は…………名前考えてなかった。落ち着いたら考えよう。
歴史をこの目で見届けるために転生しました。
転生直後から中国上空から落下中であります。
もっと穏便にやってくれよ神様!
その日、中国に流星が墜ちた。
「…………ん?」
あれ、なんだったっけ?確か中国上空からパラシュート無しのスカイダイビング強制敢行させられた所までは覚えてるけど……
「ここどこだ?」
まあ中国のどっかなのはわかるけど。
一旦近くの散策をしよう。
~~散策中~~
「あ、ここ山だったんだ」
中国の山……結構あるから分からんな……
「そうだ、魔法あるじゃん」
これで現在地調べれば良いんだ。
使い方使い方……っと。
なになに?
…………………なるほど。
基礎から勉強だな。全く分からん。
まずは……
『これでバッチリ!魔法入門』
うわぁ……もろ子供向けっぽい表紙だな……
いくら誰もいないからってこれ読むのは……
いや、この際四の五の言ってられないか。
現在地を理解しないとこの先に向けて行動できない。
あ、今が紀元前何世紀なのかも知っておきたいな。
~勉強中~
「この部分に公式を代入して……今度はたぶんこっちに解を入れて……」
もはや数学では???
もっとスマートにすませられなかったんですかねあの神は!?
記憶操作できるんだからそれぐらい出来るだろう!?
「はぁ~~~やっとまともに使えるようになった……」
魔法は世界の情報が書かれた巨大仮想データベースの一部を書き換える力だ。
この力は本来神様レベルじゃないと使えないらしい。
本来神様が使うときは大陸一つをデリートすることさえキーボードを小気味良く叩くように簡単だ。
でも一介の人間である僕にとっては、僕よりはるかに大きい岩を動かす程の運動でやっと石ころを消す程度。
当然生み出す、つまりデータベースに書き込みをするにはもっと労力が必要。
それを少し楽にするためと、枷を作るために導入されたのが魔力、つまりはMPだ。
魔力は僕の労力を減らしてくれるけど、使えば使うほど減っていく。
魔力が尽きれば当然魔法は使えない。
ちょっとずつ回復はするみたいだけど。
とまあ、今はこれくらいか。
「さっさと確認しよう」
「世界情報開示、世界地図・世界時計」
『現在地、現在の時間を表示します。』
あっ、できた……以外に簡単だな……
まあ、入門にも最初の方にあったからな。
これが基本なんだろう。
なになに……
現在の時代:BC12万年
太陽暦11月21日15:34
「………は?」
いやいやいや昔過ぎない?
あの神の時間感覚おかしいだろ……
確かに原人とかも生で見たいって思ってたよ?
でも口に出してなかったじゃん!?
なんでそこで僕の心読んじゃったの神様ぁ……
このまま嘆いてるわけにもいかないし、修行だな。テレポートくらいはできるようにならないと。
……その前に山から降りよう。
──────────────────
修行を決心してから一年がたった。
この一年の間は人目につかない深い森の奥でとにかく勉強・勉強・勉強。
辛かったけどこれも後々の歴史鑑賞のためだと思えば多少楽になった。
あくまで多少だよ?
これで疲れがなくなるほど僕は歴史狂じゃないからね。
一年の間にそれなりの出来の掘っ立て小屋とかも作ったりして。
にしてもデータベース様様だな。技術まで見れるとは。
まるで
ともかく、僕はそれなりに魔法を使いこなせるようになった。てなわけで、早速試運転に行こう!
「丁度良い獲物は………あっ!」
いたいた、この辺を縄張りにしてる熊だ。
敵として不足なし。
いざ!
「ドウィン・テルク、デナス・テルク…ノイザフ、エタトー、トサージ!」
「グルオォォオ!?」
風と砂を混ぜて飛ばす!よし、片腕もらいっ!
「次っ…エッシ・テルク、エズィーレフ!」
「ガアァ!」
「暴れんな!」
氷で足を凍らせて機動力を奪ってからの……
「エノーツ・テルク、エレギュラス、エリプ・トサージっ!」
岩で出来た杭を相手の頭にシュゥゥゥーッ!!
超!エキサイティン!!
こうやって頭の中でふざけながら戦える程度には強くなれた。といっても相手は野性動物、人間相手に出来るかは……正直わからない。
これから先戦いに巻き込まれるかもしれないことを考えれば早めに済ませておきたいけど……
初めて動物を殺したときでさえ何週間かうなされたり、殺したときの手触りを思い出して吐きそうになったりで大変だったのに、人間を手に掛けた日には……
どうなるかわかったもんじゃない。
「出来るかなぁ……僕に」
そういえば、魔法以外にも僕には特典があった。
まず言語翻訳。
動物の鳴き声まで翻訳するから今みたいに狩りをするときはオフにしている。
次に外見操作。
こいつもやろうと強く意識すると簡単に出来た。
性別はもちろん動物にもなれたときはビックリしたなぁ……
微生物とかの小さすぎる生物にはなれなかった。
限界はネズミぐらいらしい。
最後に不老不死。
こいつは……普通に生きてて実感することはあんまりないけど、前に狩りでヘマしてボス熊に潰されたあと、気づいたら全身の傷が直ってるのを見て自分が死ねないんだって実感したね。
あ、ちなみに不老不死の僕がなんで狩りをする必要があるのかと言うと、どうやら僕の体は三大欲求……食欲、睡眠欲、性欲が満たされると急激に魔力が回復、場合によっては総魔力量が増加するようになってるみたいだった。
食欲で魔力を増やすには物を食べればいい。僕が美味しいと感じて満足するほど回復するみたい。
睡眠欲は基本的に少しずつ回復していく。だからほか二つと比べると一度にもらえる魔力量はそんなにない。
性欲は……まだ試してないからわかんないや。自分でやるのはだめみたいだし…………
あ、例の技、あの式をあれに仕込んだら出来るのでは?
そうとなれば早速実験だ!
魔法の掛け声の捻りがなくってすみません。
センスがないもので……( ;∀;)
10/7ちと変えました。
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日本史編
弥生の予知者
いろいろ付け足して再投稿します。
章構成を一旦改め、再度投稿することにしました。
今回からは日本史編です。
邪馬台国についての捏造が激しいです。
小鳥のピチピチ鳴く大自然にてこんにちは。
今私は、どこにいるでしょーーう!!
某世界の果てまで行くテレビ番組風に言ってみたが、答える人なんざいるはずがない。そもそも口に出してすらいない。
空しいだけだしやめよう。
今いるのは日本。
まあ潜伏する必要もないんだけど、ボロが出て追われるよりかは隠れて見守った方がいいかなって。
ちなみに
モノホンの金印は現存してはいたけど金色じゃなくなってたから、ピカピカのも見たかったんだけど。
まあそれくらいならいいんだよ。別に。
邪馬台国は日本史で最初に習うことの多い集落だ。国と言っても中・近世の国ではなく、もっと原始的なものだし、人数もそんなにいない。
そ・し・て!日本人で知らない人はほとんどいない、"
当然そんなビッグネームの顔を拝みに行かないはずがない!
という訳で、行ってきまーっす!
━━╋邪馬台国・卑弥呼の宮殿╋━━
着いた着いた。さて、何処かに覗ける場所は……っと。
あ、あった。さて誰が──
「姉さん、今年の天候はどうだ?」
「今年は嵐が来ることもない。それに、今までより多くの作物が収穫できそう。…えっ!」
「どうしたんだ?」
「う、ううん…何でもない」
おやあ?
……ラッキー!どうやら卑弥呼とその弟のようだ!
もっと近くで覗いてみよう!
「そうか。ありがとう、姉さん」
「いつも言ってるでしょ。私はただ神のお告げを届けているだけ。感謝なら私よりも──」
「それでも、だ。俺達にそのお告げを届けてくれるのは姉さんなんだから」
「………………そう」
いや結構綺麗だな卑弥呼さん!
もっとヨボヨボのお婆ちゃんみたいなの想像してたわ。
なんか……こう、神秘的な感じがする。
それに、なんだか僕に近い雰囲気がある気が……気のせいかな?
それに弟。体格もいいし喧嘩も強そうな好青年みたいな感じだ。
現代の価値観だと二人ともまあまあ美人の部類だが……若くない?
いや、今って何年だ?…………230年?
卑弥呼が死んだのは242~248年あたりらしいし、若いのは当然……なのか?
当時は平均寿命も30~40歳くらいで短いみたいだし。
まあこのまま観察していきますかね。
おや?弟くんが何処かに行くみたいだ。
あれは……武器を作ってる所か?
「どうだ?武器作りの様子は?」
「そこまで、って感じだ。できるだけ数は作っておきたいんだがな……」
「技術者が足りないか?弟子の教育を優先してもいいんだぞ?」
「
「まあ、そうだが……一応他のクニにも武具製作は頼んでいる。無理はするなよ?」
「はんっ!自分のことは自分がよく分かってる!疲れたら休むさ!」
ふむふむ、武器が足りないのか。
商人のふりで入っても問題なさそうだし、行商人として邪馬台国に入るかね。
思い立ったが吉日、早速行こうかな!
あ、でも、ボロがでないようしっかりと準備しないと。
「ん?」
「や~すみません。私はここらで交易をやってる者なんですが、ここに入っても?」
「…………ここの前に訪れたのは?」
「えぇ~っと、確かここから南の方のクニだったかな?」
「ふむ……少し待っていろ」
「わかりました」
……数分後……
「許可が降りた。入っていいぞ」
「ありがとうございます。あ、これどうぞ」
「これは?袋の中に何かあるようだが……?」
「干し肉ですよ。これでも一人旅を何年もやってますから、勝手に身に付くんです。それ、薬草とかも入ってるんで滋養にもいいですよ」
「そうか、すまないな」
「いえいえ~、通してもらうお礼のようなものです。それでは」
「ああ、ゆっくりしてってくれ」
「…………あれが噂の流れ者か。このあたりに来ていると聞いてはいたが…噂通りの御仁のようだな」
いや~栄えてるねぇ……
現代……いや未来かな?まあ前世で生きてた頃に比べればスカスカなんだけどさ。
なんかにぎやかでいいね。
「おや?あんちゃん旅人かい?」
「ああ、そうだよ。明日くらいから露店をやろうと思ってる。何か決まりのようなものってあるかい?」
そうして歩いていると、先程から女性客が集まっていた店の主から声を掛けられた。丁度良い、市場の決まりとかを聞こう。
「特に決まりはねえよ。割に合わない交換だったり、、脅すような真似しなけりゃ大丈夫だ。あと、昼くらいに警備がくる。そこでやらかしたらあいつらに叩き出されるから気をつけろよ?」
「そうかい、気を付けるよ。ありがとう。そうだ、この髪飾りはあなたが?」
店で売られている飾りはみな精巧で美しいものだ。
さっきから女性客の目を釘付けにしている。
「ああ、それはお袋に作ってもらったやつさ。見た目を決めたのは俺だがな!」
「へぇ、夫婦でやってるんだ。仲がいいんだね」
「ああ!自慢のお袋だ!」
うんうん、仲良き事は美しきかな。
「じゃあ、これを真珠と交換してもらえるかい?」
「おいおい良いのか?」
「少し小さいからね。大丈夫、釣り合うさ。ああそうそう、末永くお幸せに。」
「おう!毎度!」
いい人だったな。
よし、ここら辺は開けてるし、簡易テントも立てられそうだ。
明日からは頑張らないと。
そんなわけで僕の商人生活がスタートした。
外から来たっていう珍しさでつかみは十分、商品の質も厳選したから盛況だ。
僕が売る商品はみな、ここに来るまでに交換して得てきた物だ。
魔法を使って一瞬で手に入れた物よりも、こうやって人との関わりの中で手にしたものの方が何倍も価値があると僕は思う。
前世で田舎に行ったときも、現地の人の厚意でもらった食事が普段の何倍も美味しく感じられた。
価値っていうものは過程とかを含めて形作られるものなんじゃないかな。
………そろそろ今日は終わりにしよう。
明日も商売を頑張らなければ。
「今日は、これで終わり?」
……はあ~、やっとゆっくりできる。
お告げを貰った時は疲れやすい。なんで?
あっ、お告げ通りならもうすぐ…!
「あれ?」
でも、どうやって来る?
私はお告げを完璧に把握することはできない。
出来事の詳細まで見通すことはできないし、自分から未来を知ることもできない。
まさしく、神のみぞ知る。
私が把握できたのは私の部屋で私が見知らぬ誰かと話す、ということだけ。
いったいどうやってこの警備の中この部屋に…
「カァ」
「…?」
カラス?どうしてここに――
「お邪魔するよ」
え?
え?カラスがしゃべ、えっ?カラス…え?
えーっ!!?
「えーっ!!?」
「叫ぶなっ!"
あっぶな!結界の魔法作っといてよかった……
「いきなり叫ばないでよ、焦ったじゃないか」
「カラスが喋ってる……!」
あ、そこ?
「別にこれが僕って訳じゃないよ。化けてるだけ」
戻った方が話しやすいかな?
「わぁ…凄い。それで、何を話に来たの?」
え?
「ふ、普通もうちょっと警戒しない?暗殺とかさ」
不用心すぎやしないか?
「誰かが私と話そうとしてくるのは知ってた。私が未来を見れる事は知ってるでしょ?」
「え"ぇ!?……あ」
た、確かに、よく見たら魔力結構持ってる…今は空っぽに近いけど……
「そっかぁ、君もかあ……」
久々で油断してたなあ……
「なにか知ってるの?この力について」
うーん…
「知ってるというか…使える」
「えっ!本当ですか!?」
うわぁ急に喜びだした……テンション不安定だなこの子。
「じゃっ、じゃあ貴方も未来を見れるんですか!?」
「いや、それ以外も色々出来るよ?」
「み、見せてください!」
「見せてくれも何もさっき変身したよね…?」
「あっ……」
な、なんだよその捨て犬みたいな目は!
や、やめろ!良心が、罪悪感が!
「………………ソジルファル」
「おおっ!」
指に火を灯してみせる。
結局やってしまった。別に減るもんじゃないけど、何か負けた気がする。
アカシックレコードを閲覧できる人は本当に少ないです。ましてや改変なんて全人類のなかで雀の涙ほど。
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それではまた次回!
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予知者の悩……み?
話の流れが変わる訳ではないので心配しないでください。
「そ、そろそろ終わりにしない?ちょっとだるくなってきたんだけど……」
僕が卑弥呼の部屋に入ってから一時間くらい経ったが、未だに彼女は魔法をせがんでくる。流石にやり続けてると辛いんだけど……
「ご、ごめんなさい!」
「いやまあ寝れば回復するから良いんだけどさ……」
”僕”は分身だからオリジナルに比べると魔力ちょっと少ないんだよなぁ。
たしかオリジナルの方から魔力上限を削って分身に渡してるんだっけ。
魔力を共有してるからオリジナルの魔力量が増えると分身の方にも影響があるとかないとか。
その辺は”僕”はよくわかんないや。得意な方の”僕”に任せておこう。
魔法の開発とかも任せっきりだし。
そのうち山賊とかももっと出るようになるから自衛手段は持っておきたいし、防御と足止めの魔法の開発をもっと頼もうかな。
動物くらいなら素手でもいけるんだけど、人間はまだ抵抗がね……
オリジナルもこんな気持ちだったのかな?
それはそうと、改めて卑弥呼が魔力持ちだとは思わなかったな。
いやまあ忘れてただけなんだけどさ。
結構前になるけど、磔にされた人とか海割った人とか居たしなぁ。
これからもいるんだろうなあ、そういう人。
「その、あなたって人間ですか?」
「え、どういう意味で?」
急になんだ?
「その、私はあんまり普通の人間っていうのが分からなくて、この力もあるし、自分は人間なのかなって思ってて……」
なるほど、卑弥呼は王になってから死ぬまで民の日常を見ることはないはずだ。予知能力の事もあって幼少期から普通とは縁がなかったんじゃなかろうか。
だから、似た力を持つ僕に質問したのかな。
「確かに、肉体は人間の物ではないだろうね」
「肉体…?」
「何処かで聞いたんだけど、人っていうのはその体に依存するものじゃないんだってさ」
「どういうこと?」
人が人であるという事に、確かに肉体は大事だろう。
人は人と関わりを持たないと満足に生きることはできないし、人間は自分たちと違うものを恐れ、ときに崇める。
君の場合は後者だね。
でも、外身が人だからと言って、その内が恐ろしいものだったら?
そうだとしても排他される。
逆の場合?まあ、初めは同じことになるだろうね。
そう、例え外見が違えどその内が分かり合えるものなら、いつか仲良くなれる日がくるはずさ。
人間はそうやって関わりを拡げていく生き物だ。
長く見ていたから分かる。
……とはいえ、その内が分かり合えるものじゃなかったら仲良くはなりづらいだろうね。
「…………」
「とまあ、僕はそんな意見だよ……どうかした?」
「長く見てたって、どのくらいです?見た目は大分若い気がします」
「あー。んーっと、ざっと十二万年ちょいだね」
「???それはどれくらいの数で?」
ああ、弥生時代だもんな。
「今何歳?」
「19です」
「なら、君の六千倍だな」
「六せっ…!?」
目ん玉ひんむいてる……
そうか、もう十二万年も経ってたのか。
”完全記憶”のおかげで見聞きしたことは全部覚えていられるからあんまり実感が湧かないな。
昔住んでた家とかが荒廃してたら感じるんだろうけど。
昔の記憶が薄れてたら、ああ僕も耄碌したんだなって思うかも。
「まあそんなわけで、君よりも長い時を見てきた僕が言おう。君が人間で在りたいと思う限り、君は人間でいられる」
「私が、思う限り……」
「うん、まあ欲に駆られて人を超越したいだなんて考えた日には君は人間失格だけどね」
「…………精進します」
「まあ、困ったら言いなよ。何時までかは分からないけど、定住するからね」
大和朝廷は何時ぐらいになったら成立するんだっけなあ~
「ありがとうございます……!」
まあ、今は邪馬台国を楽しもうかな。
「そんな堅苦しくしなくても良いよ、友達みたいなもんだからさ」
「友達………」
「そ。あ、僕の力は秘密ね?」
「はい!もちろんです!」
よし、じゃあ今日はこのくらいにしようかな。
カラスになって隠れ家まで戻ろう。
「あ、”
「はい!」
明日はどうなるかな……。
発動位置周辺を範囲外からは把握できなくする
出入りは自由だが発動者に位置を把握され続ける
開発者の遊び心で範囲内の飲料は全てコーヒーと化す
発動ワード:”
終了ワード:”
元ネタはフランス革命前後の社交場兼議論場だったコーヒーハウスから。
コーヒーを飲みながら難しい話をしてたとか。
魔法の発動ワードに関しては、テンプレとして保存したプログラムを一気に発動させるためのものとでも思っててください。
二話を読んでればわかると思いますが、いちいち発動させるのが面倒なんですよ。彼にとっても僕にとっても。
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弟
今のところはそんなに変える気はないんですが……
一応アンケート開設しときますので投票お願いします。
卑弥呼と話し合ってから数日。
特にきな臭いこともなく、魔法の見せ合いとかで盛り上がったり、卑弥呼の魔力の使い方に指導を行ったりして過ごしていた。
まだ卑弥呼以外とは話せてないな~、とか思ってたが、卑弥呼の方から話が来た。
「前々から思ってたんだけど、あなたはなんて呼べばいいの?」
そういえば日本での名前を決めてなかったな。
まあ、フィーリングで良いでしょ。どうせ他の所みたいに名前変えるだろうし。
「サルタ。サルタでいいよ」
「そう。じゃあサルタ、そろそろ私以外とも会ってみない?」
卑弥呼以外、とな?
「まずは私の弟から。……どう?」
「僕としては全然構わないけど、どう紹介するの?」
さすがに友達って訳にもいかないだろうし。
「う~ん、神様の遣い、っていうのは?」
「えぇ……それはちょっと……」
「良いじゃない!あなたは会ったことあるんでしょ?」
「いや……まあ…確かに会ったおかげでこうして今過ごせてるわけだけど……」
「なら何がダメなの?」
いやぁ…
「君が前まで信仰してた神様ではないんだよ?」
「だから何よ。そもそも神のお告げだって言ってるのも本人、本神?が直接言ったわけでもないただの想像よ?もともとは神が本当に居るかすら知らなかったんだから」
なるほど。
「つまり、卑弥呼にとっては信仰対象が変わったんじゃなく、信仰対象の実態を知った程度だと?」
「まあ、そういうこと」
そういうものなの?
「で!サルタのことを神の遣いとして紹介することに異論は!?」
「ないです!」
なんか打ち解けてから遠慮がなくなってきたなぁ……
「じゃあ、弟君ここに呼ぶの?」
「そう、ね。あ、その魔法解除しときなさいよ?」
おっ、
「気づいてた?」
「サルタの指導のお陰だけどね。とりあえず魔力の感知は出来るようになったわ」
「おお~!」
才能はあるんだよなあ、卑弥呼。
多分引き出せる人は僕以外で居ないだろうし、元の世界じゃ予知能力だけで終わってたんじゃないかな。
その予知だって不安定だろうし。
「今弟君は何処に?」
「ちょっと待って……うん、もうすぐ来る。今日のお告げを聞きに来るかも」
「じゃあ、僕はどうしてれば良い?」
このまま人の姿で座ってても威厳がない気がするけど。
「そうね……初めて会ったときのカラスの姿を少し変えて威厳のあるようにできない?」
「ずいぶんフワッとした注文だなあ…やってみるけどさ」
威厳……威厳ねえ。
まあ、カラスって言ってもそのまんまじゃダメだし、ヤタガラスにでもするか。
あと、なんか神様っぽいオーラを纏えばいいでしょ。
「はい、こんなもんでどう?」
「おおっ!すごいじゃない!じゃあ後は紹介するときに──」
ふむふむ。
…………なんかドッキリ染みてきたな……
今日もまた姉さんのお告げを聞きに来た。
今日の
特に汁物は俺特製。前に隣国に向かう途中に出会った旅人の食事から発想を得た新作だ。
試しに部下に食べさせて見たが好評だったので姉さんも喜ぶだろう。
姉さんが邪馬台国を治めるようになってからもう何年経ったかな……五、六年か?
まだまだ他のクニには及ばないな。だが、姉さんが治めるようになってからは内紛も起きないし、神の怒りをやり過ごす時の被害も軽微で済んでいる。
姉さんは子供の頃から普通…ではなかった。
俺は弟だから姉さんが赤ん坊だった頃は見ていないが、親父曰く、俺ほど手がかからなくて楽だったが、不思議な子だったと言っていた。
俺は周りと比べても暴れん坊だったみたいだし、それに比べれば手はかからないだろうと思ったが、それにしても奇妙だったらしい。
夜泣きをすることもなければ何かをねだるようなこともせず、されるがままだったそうだ。
少し成長してからも、なんだか近寄りがたい雰囲気を纏っているから友達も浮いた話も一つとして無かった。
今考えると、あの時期が一番孤独だったんじゃないだろうか。
両親は暴れる俺に手一杯。友達も恋人も居ない。
何か困り事があっても─あの姉さんにあるとは思えないが─相談できない。
そんな様子を見てきたからだろうか、俺は事有るごとに姉さんに絡んだ。
姉さんはそれを嫌がることもなく、ただ微笑んでいた。
一度、バカな野郎が姉さんを殴ろうとしたことがあった。
何を考えてるか分からなくて気持ち悪いんだと。
当然俺はそいつを止めたし、むしろこっちが殴ってやった。
でも何故か姉さんは俺を止めた。
相手は姉さんを傷付けようとした奴なのに。
俺は分からなかった。
今でも……まだ、納得はしていない。
姉さんを傷付けるような奴を傷付けて何が悪いんだ?
悪いのはあいつなのに。
ああ、姉さんが王になった後、隣のクニとの戦争の時もそうだ。
俺が帰った時、返り血塗れで帰った俺をなりふり構わず抱き締めて泣いてたな。
なんで泣いてたんだ?
俺がこのクニを、姉さんを守るのは当たり前の事なのに。
ああ、今日はどんな予言が来るのだろうか。
穀物の出来か、同盟国の状況か、はたまた神の怒りか。
まあ、なんにせよ、俺は姉さんを守るだけだ。
姉さんの部屋の前に着いた。
入り口の両脇を固める護衛二人に労りの言葉を掛け、姉さんの世話係に朝餉の乗った盆を渡し、部屋に入る。
白い布が部屋を割るように垂れ下がり、姉さんの姿を隠している。
世話係は布の隅をたくしあげ、中に入る。
姉さんに朝餉を渡し、俺が来たことを伝えると、また戻って部屋の隅に控える。
俺は自分用に持ってきた食事を手前に置いて姉さんの言葉を待つ。
「弟、おはよう」
姉さんが話し掛けてくる。
「おはよう、姉さん」
相変わらず、優しい声をしている。
鈴を転がすような音色で、俺に声を掛けてくれる。
「最近、疲れてはいない?このところ
たまに、姉さんはこうやって俺を心配してくれる。
俺が頑丈なのは良く分かってるだろうに。
「心配要らないよ。俺は頑丈だからな」
「またそんなこと言って……はあ、冷める前にいただきましょう」
それに頷きながら、食器を持ち上げるが、姉さんがいつもと違うことをしていた。
「いただきます」
と言いながら食事に手を合わせている。
「姉さん?なんだそれ」
良く分からなかったので聞いてみる。
俺は頭が良くないから、分からないことがあればすぐ姉さんに聞いている。
「ああ、これね。食事になった生き物へのお礼、らしいわ」
「らしい?」
「私も聞いただけなの」
姉さんと話せる者でそのようなことをしていた奴はいただろうか?
まあ、何人もいる世話係の誰かが教えたのだろう。
「あら、この汁物、食べたことのない味ね。あなたが?」
「ああ、前に隣国に交渉に行く途中で旅人に会ってな。その時教えてもらった」
「……旅人、ねえ」
ん?
「どうかしたか?」
「いえ、何でもないわ」
「そうか」
他愛もない話を続けた後、話は今日のお告げに変わった。
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会合
─どうだい?楽園の様子は。─
まあまあ、かな。たまに部下共が暴走するから大変だが。
─そっか。……変わり無いようで安心したよ。─
はっ。覗こうと思えば覗けるくせに何を言うか。
─その件に関しては謝ったじゃないか。酷いなあ─
擦れそうな話は何度も蒸し返す性格なもんでね。
─あのとき笑ったのは悪かったよ。……それで、あの子達に関して?─
ああ。いつもそうだろう。
─そうだね……ああ、陽烏くんが卑弥呼に会ってたね。─
そうなのか!?時が立つのは速いな……
─君が生まれたのいつだったっけねえ……─
あのときはマジで死ぬかと思ったな。あと、お前の時間感覚がイカれてるのが分かった。
─またその話を……はあ。─
ソチテルはどうしてる?
─ケツァルソチテルかい?彼女も元気そうだよ。あの都の一番高い場所が最近の昼寝スポットになってるね。─
そうか。まさかあそこが真っ先に本来の道から逸れるとは思わなかったが……
─いずれ来る人も追い返すか受け入れるかしそうだよね。文明も同じくらいの早さで育ってるし。─
マジか、頑張ってんだな。
─エレクも北の方を纏めてきてるし、いずれ統合されるんじゃない?─
あー、エレクかぁ……今思えば、なんであんな性格にしたんだ私は……
─まあ確かに、トラブルを引き起こしやすそうな子だよね。─
ああ。場所考えればらしいっちゃらしいんだが……
─そうそう、
しゃおふぁん……?誰だっけか?
─
あー、いたなあそんなの。
─そんなの扱いなんだね……一応最初期からいた子なのに。─
いやだってあいつ事あるごとに地元の飯が不味いだの凶作で飯が少ないだのわがままばっかだったし……
─言われてみれば、そうかもね。フレースと会ったら揉めそうだなあ。─
ん?あの二人まだ会ってないのか?
─うん。まあ定期報告はしてるみたいだけど、事務連絡だけで雑談はしてないね。─
なるほどなるほど。
─まあ、今のところそんなもんかな。─
そうか。…………そういえば、なんであの地球にモンスターだの悪魔だの天使だののモデルデータがあったんだ?それも権能つきで。
─ん?あれかい?あれはね、僕が思い付いた生き物を試しに立体化してみたものだよ。権能についてはそのついでだね。─
そうか。まあ実際私が助かっているわけだから感謝しよう。
─そっちも頑張ってほしいね。─
まあ、形は見え始めてきたな。あいつらの権能のおかげで私も楽ができる。
─そっかそっか。じゃあ、引き続き頼むよ?─
無論だ。
世界史編まで行くと良いなぁ……
日本史もまだまだ最初期だけど。
話あんま進まないのもあれだし(だったら書け)
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紹介
日本史編主人公が邪馬台国到着
卑弥呼に魔法の才能があったことが判明
弟君に主人公を紹介しよう!←イマココ!
次話は早めに出せるといいなあ……
開いたら分かるとおり今回内容がゼロに近いです。
あと、コメントを非ログイン勢も使用できるようにしました。
美味しそうだな~、というかあの汁物僕が昔作ったやつに似てる……
あっ!弟君、少し前に隣の国に行く途中一緒だった人じゃん!
なんで気づかなかったんだよ僕……完全記憶はどこ行った?
「そうだ姉さん、今日のお告げはどうだった?何か悪いことはあったか?」
おっ、もうすぐかな?
「悪いものがあったら真っ先に言うわよ。今日は少し、いつもと違うわ」
「違う?」
「今から呼ぶわ。来て!」
おっけ、じゃあまず先にそれなりの風を部屋の中で回転!
「うわっ!?」
「きゃっ!?」
風を虹色に見せて……その中心から登場!
「よっと」
うん、いい感じに驚いてるね。
違うとはどういう事だろうか?姉さんは呼ぶと言っていたが……
そう思ったのもつかの間、部屋の中を風が吹き荒らす。
「うわっ!?」
思わず声を上げてしまったが、それより警戒が先だ。
腰から剣を引き抜き姉さんの前に立つ。
もはや小さな嵐と化した風は虹色になっていく。
その色が俺の頬を撫でるまでになった途端、風は止み、その代わりに黒い物体が現れた。
それは巨大なカラスのような姿をしているが、明らかに大きいだけではないとわかる。
通常のものとの違いは大きさだけでなく、本来なら二本であるはずの足が三本生えている。
姉さんは何を呼んだのだろうか……?
「姉さん、この烏は?」
「そうね………神の遣い、といったところかしら」
「神の……っ!失礼しました!」
「いやいや、こっちも驚かせてごめんね。あと、そんなに畏まらなくても良いから……」
姉さんが神の声を聴いていることが真実なのは知っている。
ただやはり、実際に神に近しい存在を呼んだということで一層、姉さんが普通の女子ではないということに気づかされる。
「その、御遣い様。あなたは何故姉さんのもとに?」
「御遣い様て……ああいや、何でもない。卑弥呼ちゃんが予言についてもっと詳しくなりたいみたいでね。神様から彼女を鍛えるよう言われたんだよ。あと、卑弥呼ちゃんの後継者探しも兼ねてね」
「なるほど………」
現状、このクニは姉さんの予言をもとに政治を行っている。姉さんありきでこのクニは成り立っていると言っても良い。
姉さんも若いとはいえ突然死んだり、予言が出来なくなる事があるかもしれない。
そんなときのために、姉さんと同じ水準とはいかずとも、予言を行える者が居れば少しは姉さんの助けになるだろう。
それに、御遣い様が姉さんをさらに鍛えてくだされば、もっと具体的で読み解きやすい予言がされる可能性が高まる。
姉さんの予言は、このクニにとって重要なものほどわかりづらくなる傾向にある。それが楽になれば、このクニはもっと繁栄出来るだろう。
「御遣い様、ありがとうございます。姉さんを、よろしくお願いします」
「いや、嫁に行くわけじゃないんだからさ……ただの鍛練だよ?」
「あら、私は別に結婚しても構わないけど?」
「ちょっ!?…………からかったなお前ーっ!」
「ふ、二人とも、落ち着いてください!」
姉さん!?何してんだアンタ!?
相手はアンタの師匠みたいなもんじゃないか!というか御遣い様だぞ!?
御遣い様、怒ってないだろうか…いや怒ってるなあれ。
滅茶苦茶キレてるわ。
もう一周回って冷静になってきた。
自分より感情的なやつを目の前にすると冷静になるって本当だったんだな。すまない教えてくれた友よ。
短くてすみません。
最近執筆から離れたせいで上手く書けなくなってしまいました。
それもこれも試験ってやつが悪いんだ……
弥生時代早く終わらせたい……もうクナコクとの戦争飛ばそうかな…………
一時代どんぐらいが良いですかね?
時代の長さとか内容にもよるんですが。
二次創作進めようかな……
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