勇者RTA (悲しいなぁ@silvie)
しおりを挟む

それ行けRTA!箱庭のサンドリオォン
1/9


能力者達のあれやこれやと見せかけて汚い大人がラスボスのRTAはーじまーるよー!!

 

はい、では始めて行きたいと思いますが暫くは上空からの自由落下中で何もやることがないのでまずは皆様にこのRTAのルールと目的あと世界観でもお伝えしましょうか。

とりあえずこの世界は前提として人類の約12.6%が能力を持って産まれて来る為にその能力者用の教育施設通称[学園(はこにわ)]が世界各地に存在します。

まぁ、教育施設とか言いましたけどぶっちゃけ隔離施設ですね。

能力者とは言ってもピンキリで弱いものはライター替わりの発火能力程度ですし、上は視界に入るもの全てを粉々にするサイクロ○プス先輩までと非常に振れ幅が大きい事もあってこの世界では能力者は非常に恐れられています。

まぁ、肩をポンと叩かれるだけで死んでしまうような怪物もいるので残当ですが。

唯一の救いとしてはこの世界では科学技術が発展してるのでまぁなんとか現時点では隔離できてるってことですかね 。

あっ、おい待てぃ隔離するにもそんな大人数絶対ムリゾと思ったホモの兄貴達もいるでしょうがそこはご安心下さい。

能力者は生後226ヵ月と16日以上生存出来ません。

やっぱ、大いなる力には代償もあるんやなって…本人達はそんなこと一切知りませんが

さてそんな退廃的な世界観はまた随時語るとして、本RTAの目的ですがまず第一に[ルーナ・レオーネ][リーゼ・チェレステ][キルト・イェシャラディン][キャム・カンパネル]以上の四人通称四天王全員の生存ですね。

まぁ、これはそんなに難しくありません。

次、二つ目は四天王全員で[学園]の秘密…まぁ能力者の寿命とか成り立ちとか色々を共有した上で全員で学園祭をする。

これは、正直言って本RTAの山場であり最難関ポイントです。

まず、何が難しいってこの秘密の共有が滅茶苦茶足引っ張ってますね。

まぁ、彼らからすれば突然「あっ、君達19歳前には死ぬからもう騒ごうぜ!学園祭とかで!!」と言われてもえぇ…(困惑)となること請けあいです。

なのでなんとか全員の好感度を稼ぎつつメンタルケアも挟んでどうにかするしかありません!

なお、メンタルケアに失敗すると大抵は世界が滅びます(58敗)し、成功しても学園祭なんて出来る訳ゃねぇだろとなる事も…ありますあります(16敗)

なので、こ↑こ↓が一番の肝になる訳ですね。

後はまぁ一応ラスボスにあたる[ヴォイオニス・エガルデ]通称ヴォエ(迫真)兄貴の討伐ですね…これは正直言ってぶっちぎりで楽勝ですので実質ウイニングランみたいなものですね。

一応はラスボスなのにこの有り様…涙がで、出ますよ。

ということで、本RTAは以上3つの目的を如何に速く達成出来るかですね。

ルール?…んにゃぴ、よくわかんないですね…そんなものうちには、無いよ!(any%並感)

さてさて、ここまで説明に付き合ってくれたニキ達に感謝しつつそろそろ地面が見えて来ましたね。

このままいくと開幕落下死とかいうクソゲー化しますが、当然そんなことは無く四天王の[ルーナ・レオーネ]が能力で助けてくれます。

なので特に何もしなくても大丈夫ですがルーナ姉貴の方をじっと見ながら最初に話し掛けることによって能力を見極める程度の実力はあると少しだけ好感度が上がります。

上昇量はかなり少ないですが、ルーナ姉貴自体滅茶苦茶好感度を稼ぎ難いのでこういうちょっとしたポイントも逃さないようにしていきましょう。

あっ、そろそろ着地ですね…ここはルーナ姉貴を探します。

まぁ今現在[学園]の庭にほぼ全生徒が集まっているのもあってちょっとしたウォー○ーを探せ状態ですが問題ありません。

大抵はルーナ姉貴は食堂脇の木陰で待機してるので…ああ居ました居ました、稀に初期位地が違う場合もあるのですが今回は定位置ですね。

では着地と共にタイマーをスタートします。

3.2.1…はい、よーいスタート!

では、ここからはRTAらしく駆け抜けて行きますよ!

着地してすぐさまルーナ姉貴に駆け寄り話し掛けます。

お前、さっきから俺のことチラチラ見てたろ…するとルーナ姉貴が少し驚いた顔をした後話だしてくれますね。

…まぁ地球の言語じゃないのでホモの兄貴達にはワケわかんないとおもうので要約すると

この世界は今、四天王と呼ばれる能力者の中でも特に強い四人の戦いでとんでもない事になってるよー

でも四天王達の力は拮抗してて一向に決着がつかないよー

だから異世界からお前(走者)を呼んでこの均衡を崩すよー

ってかんじですね。

まぁ、拮抗とか言いつつルーナ姉貴一人で他の四天王を皆殺しに出来たりするんでこれは全てもう一人の我が儘ってところですがね。

もちろん、四天王全員の生存はこちらも望むところなので協力していきますよ。

さぁ、ルーナ姉貴と喋っているとこっちに近づいてくる人物がいますね。

はい、今こっちに喋りかけてるこの子が四天王最強の[リーゼ・チェレステ]ちゃんですね。

金髪碧眼と、正に王道の美少女フェイスに156cm44kgのスレンダーな体格、あぁ~ノンケになっちゃー↑う!

などと顔に出すとルーナ姉貴の好感度が地の底まで墜ちるので決してしないように(4敗)お前レズかよぉ!

という冗談はさておき、先程言ったもう一人がこの子ですね。

四天王同士の戦いになりつつも今まで双方共に死者がでていないのは彼女の四天王全員でもう一度笑いあいたいと言う願いからです。

というのも、四天王は元々対立しておらずそれどころか仲良し四人組で通っていたんですねぇ。

その証拠にこの後連れて行ってくれる生徒会室では四天王達でボウリングやらダーツやらで遊ぶ写真が見れたりします。

そんな事情もあってリーゼちゃんはこの四天王同士の争いに誰よりも心を痛めているわけですね。

まぁ、実はこの戦いは本気を出しさえすればリーゼちゃん一人でも平定できるんですけどね初見さん……がそうはなり得ません。

何故かというと彼女は自身の能力を自身ですら把握しきれておらず能力によって誰かが死んでしまうかもしれないと思い込んでるんですね。

実際彼女の能力はこの世界でぶっっっっちぎりで最強なのでその判断は正しいですが本RTAではどうしても彼女の能力を使わなければならない場面があるので彼女には頑張って能力を制御出来るようになってもらいましょう。

一応、彼女の好感度を最大まで上げれば制御出来なくても能力を使ってくれるんですがその場合世界が滅びます(5敗)

まぁ、彼女の好感度を最大まで上げる前に大体ルーナ姉貴に殺されるんですけどね(15敗)

さて、リーゼちゃんの異世界召喚してごめんね見たいな話ももう終わったのでそろそろ行動していきましょうか。

まずはリーゼちゃんに話かけますがこの時あえて日本語で話かけます。

こうする事によってリーゼちゃんがお互いの言語が違うことに気づきさっきまでの会話が全て一人言に近かったことを理解して少し赤面しつつ能力で互いに喋れるようにしてくれます。

……地味だけどこれ凄いよなぁ言語が違う異世界って結構多いんで何とかリーゼちゃんだけでも連れていけません?

あぁ、無理…そう(哀しみ)

 

「改めまして、私はリーゼ・チェレステと申します。

隣のかわいい人は私の親友のルーナちゃんで、ここは」

 

ああ、リーゼちゃんがもう一度話だしましたね…おんなじ内容なのでもういいんですがさっき言ってたことが理解出来てると説明するのも面倒なので聞き流しておきましょう。

しかし、ホモの兄貴達はそれでは暇でしょうからみーなーさーまーのたーめーにーぃ(ねっとり)

ルーナ姉貴とリーゼちゃんの能力でも説明しましょうか。

まず、ルーナ姉貴ですが簡単に言うと[強化(バフ)]と[弱体化(デバフ)]です。

自身の視界にあるもの、若しくは自身に触れているもののなにかを強くしたり弱くしたりできます。

ざっくりすぎてもうわかんねぇな…な兄貴の為に例を挙げると例えば、相手の筋力を弱体化させれば相手は崩れ落ちますし、相手の周りの重力を強化すればやっぱり相手は崩れ落ちます。

しかも、無機物有機物問わず使える上に強化と弱体化は同時使用が可能です。

さっきの着地もこの能力で俺の自然落下での加速を弱体化させつつ肉体を強化してくれてたんですね。

能力の強弱もかなりの精度でつけられる上に応用性やルーナ姉貴自身の強さもあり、タイマン性能は四天王でも随一です。

まぁ、対象は一度に一つずつしか選べないため乱戦に少し弱いですかね。

 

次に紹介するのはリーゼちゃんの能力ですね。

彼女の能力は[前進(フォロー)]と[停滞(アゲンスト)]です。

なんかどっかのオサレ漫画で読んだことあんなと思ったニキ達は大体その通りです。

一応の違いとして、彼女はこの能力を炎と氷として使用します。

炎は言ってしまえば分子の振動(前進)で氷は分子の停止(停滞)ですからわからなくもないんですがこのせいで彼女が自身の能力の本質を知る妨げになってるんですよねぇ。

なので現時点では彼女はライターの替わりと製氷器の替わり程度の能力しか使いません。

はーつっかえ、やめたら?四天王

しかし、勿論彼女が自身の能力の本質を自覚すれば話は別で例えば停滞で時を止めたり、前進で対象を朽ちさせたりと間違いなく四天王最強になります。

こうなってしまうと頭が吹き飛ぼうが全身が消滅しようが前進で蘇生するので実質不死身になります。

さっきの翻訳もこの前進の応用なのですが、リーゼちゃんも何故か出来る程度の認識なので詳しくは理解していません。

というか、自分でもよくわかってない能力を人に使うのもどうかと思いますがね?

実際彼女が能力を自覚するまでは非常に危険で例えるなら勘で爆発物を処理するようなもんですからね。

さっきの翻訳だってたまに頭パーンてなりますし(8敗)

 

まぁ、以上が彼女達の能力ですがこれらが戦闘において十全に発揮されるかと言うと全然そんなことないのでまぁ話し半分ぐらいで大丈夫です。

おや、ようやくリーゼちゃんが話終わりましたね。

リーゼちゃんは話終わるとそのまま土下座でこちらに協力を申し込んできますが、そもそもこっちとしても協力する以外に選択肢がないうえにリーゼちゃんに土下座させるとルーナ姉貴の好感度が地獄なので絶対に止めましょう(2敗)

さぁ、ここはリーゼちゃんの好感度の為にも大見得切っておきましょう。

四天王全員俺が助けてやっからなぁー見とけよ見とけよー!

 

はい、きりがいいので今回はここまで!!

また次回お会いしましょう。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

2/9

女の子の好感度を死ぬ気で稼ぐRTAはーじまーるよー!

はい、前回は四天王の内二人と接触したところまででしたね。今回は二人に生徒会室まで連れてこられたのでここで詳しい情報を聞きながら[学園]を案内してもらいましょう。

ここでホモの兄貴達はチャートを組むぐらいに試走してるのに何故説明を?と困惑するかも知れませんがここでしっかり[学園]や四天王の情報を聞いておかないと後々そんな事言ったっけ?と彼女達に不審に思われ好感度が下がってしまうからですね(7敗)

なのでここは急ぎたい気持ちをぐっとこらえて説明を聞きましょう。

といっても本当に何も得るものがない訳でもありませんのでそれまでは後の仕込みの為にリーゼちゃんの目を盗んでキャムちゃんの残していったデスクの上から二段目を開けて中から爆竹もどきを入手しておきます。

ロックはありますが番号は知ってるので問題ありません。

0817と…(キルト君の誕生日)はい、開きました。

ここでポイントですが、爆竹を取るときは絶対にルーナ姉貴に見えるように取りましょう。

ルーナ姉貴に見てもらうことで後の仕込みがスムーズに行く上にルーナ姉貴の好感度も上がります。

まだしゃべってますね…もしもし?まーだ掛かりそうですかね?…ああ、まだ?そう…

では、時間がまだあるので皆様にこの長話を要約してお伝えしましょうか…

ざっくり言うと、四天王の内二人が[学園]から脱走したから連れ戻したいけど抵抗が激しくて出来ませんでしたーから今では四天王の二人以外にも数人向こう側に付いて行ってしまっている状況ですねぇ。

…ん?前回能力者は隔離できてると言ってた?

………ホモは嘘つき、はっきりわかんだね!

というか、今から連れ戻しに行くんだし…誤差だよ誤差!

ちなみに、四天王二人の脱走の原因はルーナ姉貴のナイショのお仕事(暗殺業務)をキルト君が見てしまったことに起因します…

長年の片想いの相手が人殺しを強要されていてそれを止めようと話し掛けるもその片想いの相手にボコボコにされた挙げ句他の二人には黙っているように約束させられるキルト君(美青年)…

その後衝動的に理事長室へ殴り込みに行きヴォエ(迫真)兄貴にルーナ姉貴のナイショのお仕事を辞めさせるよう脅しにいくも逆にボコボコにされ四天王最優のプライドや自負その他諸々をバキバキにされたキルト君(美青年)…

こう…クるものが……ありませんか?(性癖的な意味で)

まぁ、そういった事情でキルト君が家出?をしたんですねぇ…もう一人?あぁ、キャムちゃんはキルト君を心配して付いてってるだけですね。

キルト君はちゃんと約束通りルーナ姉貴の事を誰にも言ってない訳ですね…学園の暗部は少し話してるようですが。

なので四天王二人を連れ戻すには武力に訴えたりでは少し難しい訳ですね。

キャムちゃんや四天王について行っている他の生徒はキルト君さえどうにか出来れば一緒に戻ってくれるので実質キルト君をどう説得するかに尽きる訳ですね。

おや、ようやく話が終わったので二人に学園を案内してくれないか頼みましょう。

ここでは、図書室と理事長室に必ず案内してくれるよう頼みましょう。

図書室はこの世界の事を知りたい、理事長室は理事長に挨拶したいと言うと良いでしょう。

すると、リーゼちゃんが快く案内してくれます。

こっちが協力的だとわかり喜んでいるようですねぇ…

なお、このRTAではチャートの関係で四天王全員の好感度を稼ぐ必要があるのですが実際に稼ぎが必要なのはキルト君とルーナ姉貴の二人だけです。

キャムちゃんはキルト君さえ抑えておけば好感度が低かろうがキルト君経由でどうとでもなりますし、リーゼちゃんは四天王を連れ戻したりする過程で自動的に好感度がバカスカ貯まるのでほっといて大丈夫です。

なんならリーゼちゃんに異世界転移の事や命の危険があること諸々を盾に脅迫すると肉体関係を迫れたりしますし、それでもキルト君達を連れ帰れば好感度が上がります…まぁその場合はルーナ姉貴に確殺されるのでやめましょう(2敗)

つまり、何が言いたいかと言うとリーゼちゃんは別に何しようが最終的に好感度が足りなくなる事にはならないので適当でいいです。

ただし、あまりにも雑に扱うとルーナ姉貴の好感度が絶対零度になるので適度でいきましょう。(丁寧に扱うとそれはそれで好感度が下がります…やっぱりレズじゃないか…)

はい、何だかんだ言ってる間に着きました!

図書室ですね…みんなの好感度によってはここで勉強会を開いたりオススメの本を教えて貰えたり、あとは純粋にこの世界の色んな情報が集められたりと非常に有用な場所ですが、今回はそれら一切を無視します。

悲しいけどこれRTAなのよね…

では何をするのかと言うと…ここですね、この[学園の歴史]コーナーの右側にさっきの爆竹を置きます。

あとはルーナ姉貴に目配せをして…終わりです!

さぁ、次行ってみよー!

 

はい、着きました!

こ↑こ↓が本RTAのキーアイテムがある場所…ズバリ理事長室ですね…

リーゼちゃんが扉をノックすると中から若い男性の声…(まぁヴォエ兄貴なんですが)で入室を促されます。

おっ、開いてんじゃーん!

はい、今こっちに微笑みかけてきてる如何にも腹黒そうなのが全ての黒幕ことヴォエ兄貴ですね。

では、黒幕の居る理事長室に何を取りに来たのかと言うとこのヴォエ兄貴曰く数十年の研究成果の一つである[賢者の石(アカシックジャマー)]です。

この[賢者の石]が何なのかというと、ざっくり言えば能力者の能力を一定範囲無効化するアイテムです。

これがあるからキルト君は返り討ちにあった訳ですね。

ちなみに、原料は能力者の死体です。

正確に言うと226ヵ月15日生きた…つまり寿命で死んだ能力者の大脳に形成されている未知の物質で出来た結晶体です。

前回言っていた能力者の寿命はこれのせいなんですね。

能力者は産まれた瞬間から大脳にこの未知の物質が存在し、この物質の影響で能力が発現します。

そして成長と共にこの物質が結晶状に肥大していくにつれ能力も相対的に強力になっていきます。

そうして肥大した結晶は次第に能力者の大脳の一部をこの未知の物質に置換していきます。

この置換率が42%を越えると能力者の肉体が拒絶反応を起こし死んでしまうようです。

やっぱ、大いなる力には代償が付き物なんですねぇ…

まぁ、この未知の物質は実はヴォエ兄貴のご先祖さまが生体兵器の開発中に作り出したものを民間に散布したものなんですがね…

どっかのゾンビゲーの黒幕みてぇなことしてんなお前な

と、ここまでの情報はヴォエ兄貴に尋問して聞き出したので恐らく正確かと思われますね…救いはないんですか?

えー、色々しゃべってたらヴォエ兄貴のご高説(笑)が終わったようですね。

お目当ての[賢者の石]はヴォエ兄貴のデスクのしたの床に埋めてあるので何とかしてヴォエ兄貴を遠ざけたいのですが…

ここでさっきの仕込みが活きる訳ですね。

えー、さっき爆竹を仕掛けた所は実はヴォエ兄貴の研究資料を保管してある部屋の真上にあたります。

なのでここで爆竹を起爆することにより、自身の研究資料の無事をノコノコと確認しに行くわけですね。

では、この理事長室の窓から庭を挟んで図書室が見えるのでルーナ姉貴に能力で起爆してもらいましょう。

チラッ、チラッ……パパパパパパパパパンッ

ファッ!!ウーン……どうやら無事に起爆出来たようですね。

流石最多の四天王のお手製ですね…この距離でも鼓膜が麻痺りますよ。

「おや、随分とヤンチャな生徒が居るようだね。

こんな所にまで来て貰って悪いのだが少し席を外させて貰うよ。」

はい、ヴォエ兄貴が焦って様子を見に行こうとしてますね。

ここはルーナ姉貴に目配せしながら長くならないようなら待つと言いましょう。

「ヴォイオニス理事長、彼もそう言っていますので紅茶でも淹れてお待ちしております。

生徒への心遣いは素晴らしいですが、理事長も少し休まれては?」

と、ルーナ姉貴が援護射撃してくれましたね!

ヴォエ兄貴も焦っているからか、仕方ないね、とかなんとか言って出ていきましたね…理事長室を出てしばらくすると必死こいて走り出すのがウケますよ(笑)

さて、では[賢者の石]を掘り出しましょうか。

まずは、デスクの下の床のある一点…ここですね。

ここを押すと沈み込むので押せるところまで押します。

はい、すると床の一部がスライドしてメカニカルなロックが現れましたね。

こちらはヴォエ兄貴の生体パターンでないと開かないロックですね…まぁルーナ姉貴にかかれば問題ありません。

ホントはそこで騒いでるリーゼちゃんが本気出してくれるともっと話が早いんですけどね…

チラッ、チラッ……ガチャン

はい、開きました。

やっぱりルーナ姉貴の能力は万能ですねぇ…

そして、ありましたね…これが[賢者の石]ですね。

大きさは大体野球ボールぐらいですのでポッケにないないしていきましょう。

せっかくですし、ここにさっき爆竹取るついでに取ってきたキルト君のルービックキューブを入れておきましょう。

これで中身が空ではないのでヴォエ兄貴が気付くまで少しだけ時間を稼げます。

あとは荒らした部分を復元して…

「随分と待たせてしまったね。」

はい、ヴォエ兄貴が帰ってきましたね。

こっちも何とか間に合ったのでOKです。

では紅茶を戴きながらラスボスと談笑して…

今回はここまで!

また次回!!



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

3/9

前回はヴォエ兄貴から[賢者の石]を借りてきたところまでですね。

ちゃんと最期には返すので安心してください。

今回はまた、生徒会室まで戻って来たのでここでキルト君へラブレターを書いていきます。

キルト君かわいいね♥️好きな女の子にも殺したいくらい憎い相手にもボコボコにされて恥ずかしくないの♥️はぁほんっとザァコ♥️ザコ♥️だがその恋心誉れ高い♥️

はい、できました。

あとはこれを紙飛行機にして窓から投げます。

このときルーナ姉貴の能力を使ってもらうのを忘れないようにしましょう。

角度は…はい、今です!!

……ふぅ、多分成功ですね。

この紙飛行機作戦は紙飛行機の折り目や投げる角度が数ミクロンずれるだけで失敗するので何気に難しいんですね…(8敗)

では何故そんな高難度の作戦を選択するのかというと今のキルト君の精神状態が限界に近いことが原因です。

今のキルト君は信じていた理事長や[学園]に裏切られ、好きな女の子の事を何も知らなかったことが発覚し、あまつさえその守ろうと思っていた人が自分より遥かに強く自分では決して守れも救いも出来ないことを理解させられ、ついでに余命宣告まで受けた状態です。

どうしてキルト君をこんなにいじめるんですか?

まぁ、余命宣告うんぬんはキルト君ではなくキャムちゃんが能力で[学園]の機密を知ったことによりわかったんですが…それにしてもよくここまでボロボロになれますねぇ…

そういう事情で今のキルト君は人間不振にストレス性の睡眠障害、鬱症状、一時的な起死念慮の気までありますので普通に連絡をとろうにもこっちの話をまともに聞ける状態ではありません。

なので一度キャムちゃんに連絡をとってそこからキルト君に繋ぐ必要がありますがキルト君と違ってネットリテラシーの高いキャムちゃんの連絡先は残念ながら[学園]を出る際に全て破棄されていた為あんな紙飛行機に頼らざるを得なかったんですね。

あの手紙には、ヴォエ兄貴の研究の終着点に関することとこっちが[賢者の石]を奪いとった借りてきたことやらが書いてます。

ちなみに、ヴォエ兄貴の研究の終着点とは能力者を使った永久的なエネルギー源の確保と人類の進化です。

前者は発火能力や電気系能力を持つ能力者を集めて全員の脳を摘出した後、特殊な培養液で保管することにより脳の結晶化を一定で留めながら外部から電気刺激により能力を使用させ続けるわけですね。

環境に負担もなく、枯渇もせず、壊れてしまってもすぐに用意出来る…この世で最もクリーンでローコストなエネルギーとはヴォエ兄貴の言ですが…まぁそういうことです。

後者の人類の進化とは、能力者から取り出した結晶体を非能力者に移植することにより後天的な能力者を生み出すことですね。

なお、今回は四天王全員の生存を狙う為関係ないですがもし一人でも四天王が死ぬとその四天王の能力をヴォエ兄貴が使ってきます。

しかも、二人以上死ぬとその両方の能力をヴォエ兄貴が獲得するためクソゲー化します。

もちろん、今回は全員生存するのでヴォエ兄貴は何の能力も持たない一般人なので何ら問題ないです。

 

なお、以上の内容をルーナ姉貴の筆跡で書くことを忘れないようにしましょう。

こっちの事を一から説明するより、ルーナ姉貴の言葉とした方が受け入れられますからね。

まぁ、一から説明した方がキャムちゃんの好感度は上がるのですが…前回説明したようにキャムちゃんの好感度は稼ぐ必要がないので本チャートでは不採用としています。

では、手紙の返信が来るまでにもう一仕事しておきましょう。

この[学園]では秘密裏にヴォエ兄貴による研究、実験が繰り返されていますが、その中にはヴォエ兄貴のお眼鏡にかなわず廃棄された実験体が多数存在します。

廃棄場には焼却炉が備え付けられており、ここで火葬する訳ですね。

実はこれを放っておくと、結晶体により変異した動植物の死体とその結晶体を取り除かれた能力者の死体の燃え残りが互いを喰い合いながら成長し一個の生命とした誕生してしまいます。

というか、多分もうしてますので今回はスキマ時間を有効活用して討伐しに行こうかと思います。

ちなみに、これを放っておくとヴォエ兄貴討伐後に焼却炉から這い出して[賢者の石]とヴォエ兄貴を取り込み[結晶皇帝(ジ・オラクル)]として立ちはだかってきます…というか来ました。

そうなるとほぼリセなので今倒しておく必要があるんですね。

では、早速リーゼちゃんとルーナ姉貴を誘って…食堂に行きます!

腹が減ってはなんとやら…ではなく食堂の地下が廃棄場になっている為ですね。

まぁ、燃やす物が何であれ火は出てるのでお料理出来ますね。

これを誰かに伝えると漏れなく嘔吐するのでやめておいた方が無難です…(もしヴォエ兄貴にこの話題をふるとウッキウキで「実に無駄がなく、合理的だと思わないかい?」と言って好感度がほどほどに上がるのでヴォエ兄貴狙いなら忘れないようにしましょう)

そんな事とは露知らずリーゼちゃんもルーナ姉貴も思い思いのメニューを頼んでますね。

では、廃棄場への入り方ですが食堂のおばちゃんに下水の点検に来たと伝えましょう。

するとおばちゃんが裏口から入って右手側だと教えてくれるので、裏口に向かいます。

実際には裏口に入る為の方便なので下水道の点検なんてしませんが、実は下水道を浚うとキャムちゃんの無くしていた指輪が見つかるのでキャムちゃんの好感度を稼ぐならありです。

まぁ、今回のチャートではキャムちゃんの好感度は関係ないので(ry

はい、二人にはトイレに行くとか言って早速廃棄場へ向かいます。

なぜ二人と行かないのかと言うとまず第一に好感度が足りない為焼却炉の化け物を倒すと言っても頭の心配をされるだけです。そして第二にこれから戦う[腐乱結晶(クリスタルラーヴァ)]には能力による攻撃を無効化しさらに吸収、成長する特性があるので二人は純粋に戦力になりません。

じゃあ、なんで連れてきたかと言うと二人が上で居てくれると[腐乱結晶]が二人の持つ結晶に惹かれて隙を晒しやすくなるためです。

では早速裏口から入り天井の点検口へよじ登ります。

すると理事長室の床と同じ仕掛けがあるので押し込みます…はい、またメカニカルな扉が出てきましたね。

このロックに関してはヴォエ兄貴の生体パターンではなくヴォエ兄貴の指紋と16桁のパスが必要ですが、もちろんパスは知ってます。

指紋も覚えてるので人差し指を少し削って…はいあとはこの指でパスワードを打ちましょう。

パスワードはぁぁぁぁ!ごくろうさぁぁぁぁん!!

はい、開きましたので入っていきましょう。

おっ、開いてんじゃーん!

…はい、あそこが焼却炉ですね。早速中身を確認しましょう。

デトロ!開けろイト市警だ!!

あぁ、いますねぇ…あの赤黒いグズグズが[腐乱結晶]ちゃんですね。

この汚いフ○ンちゃんですが見た目通り打撃は一切効かず、焼却炉出身の為熱にも非常に強固な耐性があるので正攻法ではかなりの強敵です。

弱点としては高圧電流となによりも[賢者の石]ですね。

高圧電流は生物?として当然の弱点ですので詳しく説明はしませんが、[賢者の石]については吸収するのに弱点とは?と混乱するホモの兄貴も多いと思われるので説明します。

この汚い○ランちゃんですが、あくまでも死体の燃えかすが能力により無理矢理動いている状態なので能力を無効化する[賢者の石]は普通に天敵です。

ヴォエ兄貴のパターンでは最初にヴォエ兄貴という核を得ていたので吸収出来たんですね。

つまり、今現在の燃えかすだけのフ○ンちゃんには[賢者の石]の効果がぶっ刺さる訳です。

だからヴォエ兄貴からパクってくる必要があったんですね。

では、この可哀想なフラ○ちゃんを成仏させるべくこのスコップ(恐らく火掻き棒)で一思いにやってやりましょう。

はい、今の状態だと本能のままに結晶体がある方へ向かおうとするため上の二人へ注意が向いていたのもあり楽に倒せましたね。

彼ら彼女らの冥福を祈りつつ、残骸の一部を回収しておきましょう。

これも後々必要となりますので、そのときが来れば説明します。

ではそろそろトイレで言い訳が苦しくなる時間ですので急いで戻りましょう。

 

はい、ではリーゼちゃんが勝手に頼んでいてくれた本日のオススメであるクウェル=ボドゥリの姿揚げとか言う悪ふざけ食への冒涜ご厚意を食べつつ今回はここまで!

また次回お会いしましょう!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

痛い、痛い、痛い

熱い、熱い、熱い

ゆるさない

ゆるさない

ゆるさない

ゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさない

どうしてわたしたちはたすけてくれなかったの

たすけて

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

リーゼちゃんはあなたが好き

これで合ってるんでしょうか…
良くわかんないですけど頑張ります!


はい、私が四天王の一人リーゼ=チェレステです!

ちゃんと繋がってるんですかね?

俊稀君の言う第4の壁?って言うのはちゃんと抜けれたと思うんですけど…

ああ、ちゃんと出来てるみたいですね。

その箱みたいなのでこっちを見てるんですか?

ふふ、本当に俊稀君の言っていた通りぜーん然文明が進んでないんですね。

安心してくださいね、別に皆さんの場所がわかってもどうこうしようとは思ってないので。

私、今すごく嬉しくて、ドキドキしてて…とっても幸せなんです!

だって、もうすぐ俊稀君が来てくれるんですから。

あっ!影が見えました!もうすぐ降りて来てくれるんだ…私の為に。

あれ?なんでルーナちゃんの所に行くんですか?

最初は私をギュッとしてくれるんじゃないんですか?

何で、ねぇなんでですか?

ああ、お礼を言ってるんですね。

ホントに俊稀君は律儀で礼儀もしっかりしてて…えへへ、すっごく素敵です!

でも、それでもやっぱり最初は私が良かったな…1点減点ですからね!

ああ、やっぱり生の俊稀君は違いますね…ぱっちり二重に形の整った眉、スッと鼻筋の通った高い鼻に少し大きめの口。

私を見るための眼

私を撫でるための手

私を抱き締めるための腕

私に会いに来るための脚

私の声を聞くための耳

私と繋ぐための指

私と喋るための口

私を感じるための頭

私といるための体

私を抱くためのモノ

ふふ、ぜーん部とってもカッコいいです!

危うく嫉妬しちゃうところでした…

ルーナちゃんは何も知らないし、俊稀君とは今が初対面なのに…私ったらダメですね、やっぱり俊稀君のことになるとつい感情的になっちゃいます!

でも、そんな心配いらないんです!

私と俊稀君はずーっと前から知ってる恋人同士ですからね。

一体いつ俊稀君のことがこんなに好きになってたのか私もはっきりとは言えません。

俊稀君が二人を連れ戻して来てくれた時?

俊稀君が能力を使えなかった私を受け入れて守ってくれた時?

俊稀君が私に手料理を作ってくれた時?

俊稀君が能力が暴走した私を助けてくれた時?

俊稀君が何回死んででも私を助けてくれた事を知った時?

俊稀君が寿命で死んじゃう私を助けてくれた時?

俊稀君が理事長を倒して私をこの箱庭から救ってくれた時?

俊稀君が私を抱いた時?

俊稀君が私の中で果てた時?

俊稀君が化け物から私を助けてくれた時?

俊稀君が私と学園祭で踊ってくれた時?

俊稀君が私に絶対助けるって約束してくれた時?

多分、全部なんでしょうね。

私は俊稀君が好き。

俊稀君ももちろん、私のことだーい好きです。

だって、こんなにも私の為に頑張ってくれてる人が私のこと好きじゃない訳ないですよね?

皆さんもそう思いますよね?

あっ!私とした事がまだ俊稀君に能力を使ってませんでしたね。

でも、こっちの言葉も一緒に勉強したし覚えてますもんね!

でも、能力はちゃんと使ってあげますね。

ふふ、私の[前進]で翻訳と…私の事しか考えられないようにします。

……やっぱりダメですね。

何でダメなんでしょう?

私の能力が効かないなんて…やっぱりもう私の事しか考えてないからですよね!!

もう、ホントに俊稀君はえっちなんですから♥️

ハジメテの時もずーっとしちゃいましたし…♥️

とりあえず、この後は図書室で爆竹を仕掛けて理事長から[賢者の石]を取るんでしたよね!

私も頑張りますよ!!

 

 

ああ、本当に反吐が出そう。

俊稀君を見て実験動物が増えたって顔しかしない汚い男

いっそ、ここで塵にしてしまった方が良いでしょうか?

…俊稀君の考えを邪魔しちゃダメですね!

我慢します!…だからちゃんと後で褒めてくださいね?

 

 

何で私を頼ってくれないの?

その女を見ないで

私を見て

見ろ

私を…あぁ、ダメですねまた嫉妬しちゃいます。

あんな能力しかあてにされてないのと違って私は俊稀君に大事にされてるんですよね?

だって、能力者は能力を使う度に寿命が少し縮むって言ってましたもんね。

その使い捨ての能力で開くならその方が良いですよね?

その方が私が俊稀君とずーっと一緒に居れますもんね!

 

 

食堂?ああ、あの化け物を殺すんですね。

あれには私もどうしようもないですからお役に立てません…

先に食べといてって言われても、あのぐずぐずを燃やしてる火で出来たごはんですしね…

私は、パンにしときますね。

俊稀君には…やっぱりこれですよね。

ふふ、最初にこれを見たときの俊稀君はホントに可愛くってその場で押し倒さなかった私を褒めて欲しいです。

あっ、もう帰って来ましたね。

ふふ、やっぱりすごい顔……そんな顔でこっちを見ちゃダメですよ?俊稀君…

ホントに我慢できなくなっちゃいます。

 

 

 

 

 

 

やっぱり、俊稀君はとーってもステキでカッコよくて…

ねぇ、皆さんもそう思うでしょう?

でも、俊稀君は私のなんですからね?

私だけを見る眼

私だけを触る手

私だけを抱く体

私だけを愛して

だから、私のものに触らないでくださいね?

皆さんと私との約束ですよ?



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

4/9

曇った美青年を救うRTA…始めていきましょう。

前回は焼却炉出身のフラン○ゃんを倒したところまででしたね。

えー、ではいまからこの気色の悪いグロテスク飯を胃に流し込んでいきましょう。

見た目が完全にでかいムカデですね… 味もそんなに良い訳じゃねぇし、栄養もない…なんだこの良いとこ無しの罰ゲームは。

食を苦行にするなよ。

…すいません、取り乱しました。

なぜかリーゼちゃんと食堂にくると114514%このゲテモノを勝手に注文して有無を言わさず食べさせてきます。

彼女はこれを本当に美味しいと思って注文してるんでしょうか…好感度は高いので多分彼女の味覚はストライキ中なんでしょうね。

はい、食べ終わりました。

デカイ、まずい、(揚げ物なので)遅いの三拍子そろった拷問が終わったので…やることは一旦終わりです!

あとは、キルト君からの連絡を待つぐらいしかやることはありませんし、そもそもあの紙飛行機自体がちょうど今さっき届いたかな?ぐらいなのでしばらくは暇になります。

なので…ルーナ姉貴の好感度でも稼ぎましょうかね!

ルーナ姉貴はこのチャートでの重要度がかなり高いので好感度が高いにこした事はありません。

ですが、ルーナ姉貴は好感度が稼ぎ難くせっかく稼いでもちょっとしたことで暴落したりとかなり攻略難度が高いです。

ですが、さっきからちょくちょく使って貰っているのを見てわかる通り滅茶苦茶汎用性高い能力なので攻略難度に見合ったリターンはあります。

そんなルーナ姉貴の好感度ですが、大きく稼ぐにはおおよそ3つの方法があります。

一つはヴォエ兄貴に埋め込まれた寄生虫を取ってあげること。

二つ目はルーナ姉貴のご母堂を殺すこと。

三つ目はヴォエ兄貴を殺すことです。

なぜこの三つかと言うと、ルーナ姉貴の生まれが関係しています。

ルーナ姉貴は現在母親である[マルリス・レオーネ]の姓を名乗っていますが以前までは[ルーナ・エガルデ]を名乗っていました。

はい、要はヴォエ兄貴の娘と言う訳ですね。

まぁ、実際には娘と言うよりは他より性能の良い実験台程度の認識でしたが。

なので当然親子仲は地獄ですし、ヴォエ兄貴はルーナ姉貴に日常的に実験という名の拷問を加えてきました。

そして、ルーナ姉貴の14歳の誕生日に誕生日プレゼントとして結晶体で変異させた寄生虫をルーナ姉貴に埋め込みました。

以降は実験台にされることはほとんどなくなった替わりにヴォエ兄貴の実験に必要な生徒の拉致及び敵対する団体や[学園]の機密を知ろうとする人間の抹殺を命じられます。

今まで絶対者として自身に拷問を与えてきた男にルーナ姉貴が逆らえる筈もなく今までにルーナ姉貴は数え切れない人間を始末し、自身の心をも殺してきました。

ルーナ姉貴に埋め込まれた寄生虫はヴォエ兄貴の持つ指輪とヴォエ兄貴の声紋に反応し、宿主の神経系を侵食しながら成長します。

当然ながら死んだ方が良いと思う程の激痛に襲われる為にルーナ姉貴はなけなしの敵対心も持てない訳ですね。

なのでこの寄生虫を取ると好感度が上がります。

まぁ、子宮に寄生してるんで今の好感度ではちょーっと難しいですかね…

あとはルーナ姉貴の母親もヴォエ兄貴のオモチャにされていて、今は[学園]の地下で結晶体で変異した動植物との交配実験を絶賛進行中です。複数回に渡る薬物投与でもはや人格や理性を完全に破壊されているので只の苗床状態です。

この事もルーナ姉貴はヴォエ兄貴に聞かされており、ヴォエ兄貴から自分の命令に従えばルーナ姉貴の19歳の誕生日に親子共々解放すると約束しそれを支えに今を生きてるんですねぇ…

真正のクズがこの野郎…

このことからルーナ姉貴自身、ご母堂がもはや母親と呼べるか曖昧なのは百も承知ですがそれでも自身の生きる理由としてすがり付いているわけです。

そんな母親を殺してしまうとルーナ姉貴は人と呼べる段階で見送れた感謝やこのままでは自分ではけりをつけれなかった事に対する嫌悪感やらで精神がガタガタになり自分の生きる理由を何かに依存しないと生きていけない状態になります。

そこで上手くそのポジションに入ると好感度が天井まで行くわけですね。

正直この好感度の上昇量は魅力ですが、調整が鬼難易度なことや走者の心が持たないので本チャートでは不採用です。

という事で必然的にヴォエ兄貴には死んでもらうのですが、ヴォエ兄貴の討伐は学園祭後なのでタイミングが遅いんです…

本当に何の役にも立たない害悪なんだよなぁ…

つまり、何が言いたいかというとルーナ姉貴の好感度は地道に稼ぐしかありません…

ので、今回はルーナ姉貴の好物である甘いもの…具体的にはパンケーキを作っていきましょう。

まずは食堂のおばちゃんに厨房を借りて良いか聞きましょう。

すると、なにすんだい?と聞かれるのであそこの可愛い娘達に何か作ると答えましょう。

するとおばちゃんは豪快に笑いながらこちらの背中をぶっ叩きいいねぇ色男!頑張んな!!と快く貸してくれます。

では本題のパンケーキですが、作り方は…各自で調べて下さい。

 

はい、出来ました。

ちゃんと食堂のおばちゃんに厨房を借りたお礼も言っていきましょう。

おばちゃん、ありがとうねぇ!

はい、超特急で作ったのでなんとかルーナ姉貴食後に間に合いましたね!

ところでウチ、パンケーキあんだけど…食べてかない?

すると、ルーナ姉貴の目が鋭くなったので成功です。

ルーナ姉貴にパンケーキを作る際にはとにかく高さと柔らかさに拘ると喜んでくれ易いので頑張りましょう。

おやおや、こうして甘いものを前にするとルーナちゃんも年頃の女の子なんですねぇ…

一口口に入れると目を見開いてハイペースで食べだしましたね…

あぁーほっぺにクリームまでつけて、若干のあざとさまであって良い顔ですねぇ…カワイイ!!

?何故か背筋が寒く…あぁ、リーゼちゃんも食べたいんですかね?

何度も言っていますが別にリーゼちゃんの好感度はまったく稼ぐ意味はないのでどうでもいいですがここで断るとルーナ姉貴の好感度が下がるのでもちろん用意してますよ。

へいお待ち!

…?なんか思ったより喜んでませんね?

リーゼちゃんも甘いものは好物なのでもっと喜んで良い筈なんですが…?

まま、別に好感度は必要ないので(ry

さて、あとはキルト君から連絡が来るまでルーナ姉貴のご機嫌を伺いながら…「あの手紙は君が書いたものか?」ファっ!

えぇ…なんで居るんですかキルト君…

と言うか筆跡やら何やらをルーナ姉貴に似せたのに何で初見で俺が書いたとバレて…ああ、キャムちゃんに調べて貰って…でも、そんなに頭が回る状態の筈は…

いや、そもそもなんで居るんですかね?

「君が呼んだんだろう?

共にこの箱庭を打ち崩す嚆矢となろうとね」

(呼びはしましたがそんな事言って)ないです。

えー、何故かキルト君が平常心を取り戻してますね…

今回は偶々心の強いキルト君を引いたんですかね?

…今までの試走と全く違う行動でチャートが崩れたんですが…

そもそも、キルト君が誘いに乗ったとしても[学園]に戻るのは避けると思い[学園]の外を待ち合わせ場所にしたんですが…

なんなら、こっちの実力を見るとか何とか言って初手で襲ってくるキルト君の為に[賢者の石]を用意したんですが…

まぁ、襲ってくる可能性はまだある訳ですし…どうせ学園祭に参加してもらう以上[学園]には戻ってきてもらう予定だったので短縮したと言えなくも…

「そう身構えてくれるな、野の獣でもなし襲いかかったりする気はない」

はい、襲ってこないと…じゃあ、[賢者の石]取りに行った行程が完全にロスですね…[腐乱結晶]なんてキャムちゃんが来てから工作すればどうにでも出来た訳ですし…

まぁ、どっちみちキルト君達が加入するまではあまり短縮できない関係でロスとも言いにくいしいいんですが。

というか、初対面なのにやけに気さくに話して来ますね?

もしかして俺が知らないだけで実はキルト君裏切られてなかったりします?

「手紙の内容はよくわかった。

どこでどのようにあれだけの情報を集めたのか、敢えて訊くまい。

ただ…俺には、力が足りない!自分の大事なものを守る力が!!自分自身を守る力さえも…君がもし、あの手紙を…共にこの天蓋を鎖す鎖錠を打ち破らんと思い俺に宛ててくれたのであれば!

この最優の四天王キルト・イェシャラディンの全霊で持って応えたい!」

…誰ですかこの主人公は?

あれぇ?キルト君は確かに熱血系ですが、この頃はメンタルクラッシュしてて口を開けば悲観的な言葉しか出ない筈…なんですがね?

だと言うのになんでしょうかこの前向き主人公は、自分一人の限界を受け入れ協力してくれる誰かを探す精神的な強さまでありますし………

まぁ、決してマイナスではない…どころかRTAにおいてはメンタルケアパートも無くなる上にここまで前向きなら学園祭についても二つ返事かも知れませんしかなりの短縮が望めそうですのでかなりの旨味ですね。

この変化については後程訊けばいいだけですし…とりあえず、ヨシ!!

ところでキャムちゃんや残りの生徒は何処なんですかね?

「ああ、例え志を共にするであろう仲間へ会いに行くとしても罠である可能性が0ではない。

あいつらを危険に曝す可能性が僅かでもあるなら看過出来なくてな、不快にさせたならすまない」

何ですかこの完璧超人は…お前ホントにキルト君か?

じゃあ…志同じくする者なので呼んできて貰って良いですか?

「ああ、任せてくれ!

……そして、すまない…この戦い、君には何の関係も因果も無いと言うのに巻き込んでしまっている。

俺に…もっと力があれば!君を危険に曝す事も、こんな内輪揉めに巻き込んでしまうこともなかったといのに…

最優の四天王の名が泣いてしまうな…」

あぁ、一応ちゃんとメンタルは弱ってるんですね…

そういう時は、すまないじゃなくてありがとうの方が好みですので謝らんでも…ええんやで。

でも、心配してくれてありがとナス!

「…ありがとう、優しいんだな君は」

…何故かホントにフレンドリーですねキルト君。

では、笑顔のイケメンが他のメンバーを連れ戻しに行ってくれたので今回はここまで。

またお会いしましょう。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

5/9

ガバ?…知らない子ですねなRTA始まらいでかっ!!

前回はルーナ姉貴の好感度稼ぎと綺麗なイケメンとの出会いまででしたね。

とりあえず、キルト君が他の生徒を連れて来るまで大人しく待っておきましょう。

ですが、せっかちなホモ兄貴達の為にこんなものを用意しました。

はい、四天王の能力解説のコーナーですね。

まずはさっきのイケメンことキルト君の能力から。

彼の能力は[破壊(クラッシュ)]と[分解(クラッシュ)]です。

まぁ、読んで字の如くですね。

キルト君の視界に入ったものを有機物、無機物問わず塵にする[破壊]とキルト君が触ったものを有機物、無機物問わず原子レベルにまで散り散りにする[分解]の二つ…

単純に戦闘面では強いんですが…そっちに振り切れ過ぎててあんまり汎用性が無いのが弱点ですね。

まぁ、能力バトル物の漫画とか見てても思うんですが大体の場合において戦闘で強い能力=欲しい能力では無いんですよねぇ。

個人的には、使う場面を選ばない能力こそが欲しい能力ですねぇ、例えばルーナ姉貴の能力なら何をすることが無くとも取り敢えず自分を[強化]してれば間違いないですからね…やろうと思えば毒性を[弱体化]して病気の治療とかも出来るらしいっすよ?

まぁ、総じて日常生活では然程役に立つ能力ではありませんね…ゴミ処理とかぐらいは出来ますかね?

それに比べてキャムちゃんの能力の汎用性高いこと高いこと!

キャムちゃんの能力は[創造(クリエイト)]と[解析(アナライズ)]です。

こちらも読んで字の如くですが、[創造]は自身が構造を知っているもの(非生物に限る)を造り出す能力です。

構造さえ知っていれば質量、体積を問わないのでクソチートです。

[解析]は見たものの構造はおろか、あらゆる情報を得られるこれまたクソチートです。

例えばスマホとかを見ると構造を理解出来るうえにそのスマホのパスワードや中身の情報や検索履歴やらも知ることが出来ます。

なんならそれどころかそのスマホの使()()()()()()()()知れたりとやりたい放題です。

そんな現代の情報社会に居れば社会を転覆させかねないアルティメットチーターなキャムちゃんが居るからキルト君は初対面なのにこちらが手紙を書いたと判っていたわけですね。

しかも、[創造]で造ったものは能力と判定されないので四天王で唯一[腐乱結晶]や[結晶皇帝]、[賢者の石]に対抗しうる可能性があるわけですね。

まぁ、本体であるキャムちゃんは身長144cmの豆粒小柄な体格なので重火器が使える訳ないので厳しいんですがね…

まぁ、そんなこんなでキルト君は[最優の四天王]、キャムちゃんは[最多の四天王]と呼ばれてるんですねぇ…

…どう考えてもキルト君の能力で最優は厳しいと思うんですけど(名推理)

ちなみに、リーゼちゃんは[未知の四天王](後に[最強の四天王])ルーナ姉貴は[最弱の四天王]と呼ばれてます。

ルーナ姉貴が最弱とかウッソだろお前(笑)と思ったホモの兄貴の疑問に答えるとルーナ姉貴は同じ四天王にも能力を明かしておらず[弱体化]しかないと偽っていたために[弱体化]とかけて[最弱の四天王]を名乗っていた訳ですね。

なので、「ククク、奴は四天王の中でも最弱」は成立しません。

正直なところリーゼちゃんが本気を出しさえしなければ

四天王最強ですしね。

 

 

「待たせたな、我が盟友よ!

キルト・イェシャラディン麾下7名及び最多の四天王キャム・カンパネル、最優の四天王キルト・イェシャラディン!ここに推参した!」

はい、相変わらずテンションと距離感がおかしいですね…キルト君、何か変なものでも食べた?大丈夫?クウェル=ボドゥリ食べる?

冗談はさておき、この一緒に戻ってきた生徒もなかなかに有能揃いですよ!

[四天王番外(プラスワン)]と呼ばれる生徒まで居るので単純な戦力で言えばかなりのものです。

本チャートでは本来この[四天王番外]を含む4人の生徒と戦う予定だったのですが、キルト君が襲いかかってこない以上、おそらく彼らとも戦うことは無さそうです。

…やっぱどっかでガバって…でもどこで…まぁ、ヨシ(思考放棄)

わかんない事ばかり考えるより、先の事を考えましょう!

キルト君の事が滅茶苦茶早く片付いたので予定を大幅に前倒しにして、いよいよ学園祭の準備に取り掛かりましょう!

この学園祭での狙いはリーゼちゃんの能力の覚醒による能力者全体の延命です。

四天王全員で能力者が19歳まで生きられないこととその理由を共有した上でそれを乗り越え、全員で学園祭に笑って参加することによりリーゼちゃんが前に進む強さを知り自身の能力の一つである[前進]を自覚して扱えるようになります。

あとは、[前進]で上手いこと延命しつつ[停滞]獲得までの繋ぎをします。

[停滞]さえ獲得すれば、結晶化を止めれるのでその人本来の寿命を取り戻せるわけですね!

なら学園祭を飛ばして[停滞]獲得まで走れば良いのでは?と訝しむホモの兄貴も居るでしょうが、その場合はルーナ姉貴が死にます。

結晶化のペースは基本的に一定ですが、能力を酷使し続けた場合に限り通常より早く進行します。

なので、ルーナ姉貴は後48日程しか寿命が残っていません。

だから[前進]で延命する必要があったんですね。

…でも今回はキルト君の件で滅茶苦茶短縮してるし、ワンチャン間に合うか…?

いや、やっぱり安定を取りに行きましょう!

安定してこそのRTA!て言うかキルト君のお陰でめちゃくちゃ短縮してるんだから安定取っても記録出ますよ!

ではでは、四天王以外には席を外してもらうようにお願いします。

はい、早速四天王に色々説明しましょう。

この時、でもリーゼちゃんの能力でどうにでもなるよ!

とかは絶対に言わないようにしましょう。

リーゼちゃんが最初に能力を発現した時が炎と氷だった為に本質の理解が困難になったように能力者の能力は本人の認識に依るものが非常に大きいです。

そんなデリケートな部分ですので外部から能力の説明を事細かにされても自覚と認識が噛み合わず能力の覚醒に支障をきたします(4敗)。

ですので四天王達にはどうにか受け入れてもらうしかありません。

こちらがかけれる言葉なんかないんですね…

 

「委細わかった!

こちらの収集した情報とも噛み合う以上事実だと認める他あるまい。

考えれば、成人した能力者など聞いたこともないのだ。

これ程の矛盾からも我らは目を背けて来たのだな…」

あー、それはヴォエ兄貴による認識ロックですね…

そもそも能力者に関しての機密はどんなに情報操作をしようが隠しきれるものではありません。

何せ全人口の12.6%は能力者な訳なんで…[学園]の外は外で人口の減少に歯止めが効かず総人口は20億を割っていたりします。

つまり、単純計算で2億4千万人もの群衆から何かを隠すなど普通は不可能です。

しかし、それを解決したのがヴォエ兄貴のご先祖様で、その手段こそが認識ロックな訳です。

この認識ロックとは、一種の洗脳に近く生徒達が学園の機密に関係することに対してそれがどんなに矛盾していようと違和感や興味を感じないようにしています。

この認識ロックを出生時に掛ける為に[学園]に入学することを拒否したり今回のような特例を除いて脱走者等が出ないんですね。

つまり、彼ら彼女らはこの認識ロック解かない限りは今回のように外部から気付かされないとこの世界の異常性に気付く事すら出来ない訳です。

ですので、気に病むことはないですよ。

「全くだ…そんな事…もう……もうどうでもいい!!

私達があと一年と少ししか生きられなくて?

理事長が…お父様が……全て知った上でそれを隠して…

それじゃあ、…私は…何の…為に、何の為に今まで!!」

 

「落ち着いて、ルールー」

 

「ッハ!落ち着けだと!?

そうして何になる!私が今まで何をしてきたと思う!?

それら全て…全てが無駄だった!私はなぁ!!…私は…私は…」

 

「ルールー、私とキルキルはこの人から聞く前からこの事を知ってた。

だから、この箱庭を出てキルキルやスウスウ達と方法を考えてた。」

 

「…方法?余生の過ごし方でも考えていたと?

ふざけるな!!」

 

「否!!無論、皆で笑い合う為の方法だ!!

皆を…ルーナ!君を救う方法だ!!!」

 

「……そう、私達は理事長に関する全てを調べた。

そして見つけたの、理事長の計画と私達の未来を」

 

「私達の…未来…?」

 

「ああ、理事長…ヴォイオニス・エガルデは全人類を能力者にする計画を企てていた。

ならば、この能力者の短命について何らかの対策を講じているに違いない!」

 

「その対策を私達は探してた。」

 

「全人類を…能力者に……

…で、その対策は見つかったのか?」

 

「…ううん、見つかってないよ」

 

「……ハッ、やっぱりそうか、そんな事だろうと思ったよ…

キャム…なんで見つからないか教えてやるよ…

無いんだよ!!!そんなものは!最初から存在しないんだ!!お前の[解析]で見つからないのがその証拠じゃないか!!

全人類を能力者に?その対策で寿命を克服して?

なら何故そこまでしていてこの[学園]がある!!

答えは簡単だ、机上の空論だからだよ…そんな方法なぞ存在しない……私達はな!死ぬしかないんだよ!!」

 

……一応、ヴォエ兄貴の全人類能力者計画はきちんと対策を講じていますがその方法が能力者から摘出した結晶を四肢等の末端に埋め込むことにより置換による死を回避するという方向の為、ヴォエ兄貴のプランを流用することは出来ませんね…

 

「…大丈夫だ、俺が必ず救ってみせる」

 

「…救う?……今、救うと言ったか?

お前が…?…お前に何が出来る…私にすら勝てなかったお前に………何が「だからこそ!!」っ!」

 

「だからこそ、志を共にする仲間を募った!

一人で出来ないならば、二人でやる!

二人で出来ないならば、四人でやる!

四人でなら、この四人でなら何だって出来るさ…なにせ俺達は四天王…この箱庭の頂点なんだ!!

そして今は、頼れる仲間がまだ八人も居る…」

 

…八、8…ああ、俺も入ってますねぇ…

 

「ルーナちゃんちょっとこっちに来て?」

 

これは!!来ました来ました!!来ましたよー!

このイベントはリーゼちゃんがルーナ姉貴に元気になるおまじないを掛けるイベントです!

これによりルーナ姉貴は未覚醒ながら[前進]による延命を受けれます。

これはかなり旨味ですねぇ、ルーナ姉貴が延命に成功したので学園祭をスキップするのもかなり現実的になって来ましたよ!!

これは素晴らしい記録が…

 

「はい、これでもう大丈夫だよ

もうルーナちゃんの結晶は停めたから」

 

……は?

 

「皆してさ、方法がーとかどうせ死ぬーとかごちゃごちゃうるさいよ?

せっかく私の俊稀君が喋ってるのに、そんなにうるさいと私の俊稀君の声が聞こえないじゃん」

 

は?、ちょっと……え?リーゼちゃん??

 

「……リー…ゼ?一体、何を言って…」

 

「もう、鈍いなぁ。

だから停めたの!ルーナちゃんの頭の中の結晶を!

これでもう誰も死なないの!

わかったら早く皆で学園祭の準備しよ?

私、学園祭の最後にはおっきな焚き火を囲んで俊稀君と踊りたいんだぁ…恋人同士が夜空の下で焚き火をバックに手を取り合う……キャー♥️とってもステキだと思わない?」

 

???????????

は????

え???

 

 

 

………ガバ?



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

6/9

ガバがガバを呼ぶRTA…始まります(白目)

えー、前回は……何でしたっけ?

一体何が起こって……

「リーリー、それは…どういう意味で言ってるの」

 

「どういう意味とは?…ああ!そうでしたそうでした、皆さんは覚えてないんですもんね!

こちらのカッコいい人は谷崎俊稀君と言って、私の運命の人で…」

 

……なぁーんでこっちの本名がバレてるんですか(困惑)

しかも、皆さんは覚えてない!?え!!?まさか…いや、でも……嫌じゃ!!嫌じゃ嫌じゃ!!それだけは…それだけは嫌だ、それだけは嫌だ!!小生やだ!!

「何度やり直しても必ず私を助けてくれる、ヒーローさんなんですよ♥️」

グリフ○ン○ォォォォォォルゥ!!!!

あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ!!

フザケルナァフザケルナァ!!あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ!!ばがやろぉぉぉ

ヴぁぁぁぁぁ!!チャートがぁぁぁぁ、ボクのチャートがぁぁぁ!!

何でぇぇぇぇぇ!!どぼじでぇぇぇぇ!!

 

「落ち着け!!

リーゼ、無力な俺達に代わりルーナを救ってくれたことにまずは感謝する!

しかし、君の言う事は少し抽象的に過ぎるな…もう少し俺達にもわかり易く言ってくれないか?」

………わかり易くもクソも、こっちのニューゲームがバレてるだけだろ…

よくよく考えれば[前進]やらを使えば可能と言えば…可能なの…か?

えー、リーゼちゃんがどれだけ今までの試走の記憶を覚えているかがまるで不明の為一切の対策が取れません。

しかし、焦ってはいけません!

俺は常にクールな男…そう、けっして焦ったりなんか…

 

「別に、お礼なんかいいんですよ。

ただ、皆さんに静かになって欲しかっただけですし…

あと、皆さんにもわかり易く…でしたよね。」

 

「うーん、事情が事情ですので難しいんですけど…

俊稀君は死んじゃうとまた最初からやり直す事が出来る能力者…とでも言えばわかり易いですかね?

俊稀君の言葉を借りるなら、ハッピーエンド以外でクリア出来ないってことらしいですよ?」

 

あぁ、こっちの目的まで解ってるんですねぇ…

どどどどどどどどど、どぅ、どう、どうどうしましょうかね……

いや、別にぜぜぜぜ、全全全然然焦っても動揺もしてないですよ????

 

「別に、俊稀君の邪魔なんかしませんよぉ?

私はただ、前みたいに俊稀君と学園祭で踊りたいだけなんです…ダメですか?」

………かなり覚えてるみたいですねぇ。

彼女と最初に学園祭で踊ったのは7回目なので…最悪そこまでは覚えていると…

ちょうど彼女が[前進]を自覚したタイミングと同じだと考えると正解のように思いますね……

あれ?積んでない?

俺…そのあとにヴォエ兄貴と世界を滅ぼしたりとか、四天王全員を討伐したりとかしたんですけど……

「いいんです。俊稀君にも色んな事情があるんでしょうから、今までの事はぜーんぶ水に流して…また一から私にいろんなコト、教えて下さい…ね♥️」

 

…まぁ、リーゼちゃんが能力を完全に使いこなせるようになっているのは間違いなくプラスですし、本人がこう言っているのでこっちを糾弾したりはなさそうです。

それに、こっちに好意を寄せてくれてるようなので……

はい!!ここでオリチャー発動です!

このまま、リーゼちゃんのご機嫌をとりながら[学園]の生徒を全員能力で延命してもらいましょう!

本来なら、ヴォエ兄貴との戦いでこの世界の能力者の出生率や医学の発展による高齢化とそれに伴う高齢者の間引き等々…[学園]の外も外で立派なディストピアである事を理解して初めて[停滞]を自覚できる訳ですが、今回はもう使えるので先に生徒全員救いましょう!!(人命を優先する走者の鑑)

巧く飴をちらつかせつつ馬車馬の如く使っていきましょう。

こうなれば学園祭もしましょう!少しでもリーゼちゃんの好感度を稼いでご機嫌を伺う事が最重要です。

ではまず、四天王達があまりの出来事にえぇ…(困惑)となってるので発破をかけていきましょう。

ホラホラ、急いで急いで!RTAなんだよ!!?

特にキャムちゃん!君はこの学園祭成功の鍵…どころか土地の権利書まで握ってるんだから頑張って!!

ほら、ルーナ姉貴も!マンパワーはいくらあっても良いんだよ!!!

キルト君も……いや、キルト君は……

君は、隅っこで水分補給の準備でもしててくれ。

脱水は怖いからね、チカタナイネ。

はい、じゃあ皆!解散!!頑張って!!

じゃあ、俺はリーゼちゃんとイチャついてますね…

あっ、でもその前にトイレだけ良いかな?

チャート崩壊のストレスでポンポンがペインなんだ。

キルト君!君、随分暇そうにしてるねぇ…オッスお願いします!(案内)

 

 

 

いやー、早いですねぇ…もう出店やらキャンプファイアーの組み木やらが出来てるじゃないですか!

やっぱ最多の四天王と最弱(笑)の四天王は伊達やないんやなって…

ところでキルト君…君は何かしたの?

…ああ、お茶汲み?…そう

それって、最優の四天王の仕事なんですかね?

……じゃあ、キルト君にはヴォエ兄貴に許可を取りに行ってもらいましょうかね?

ここまでの作業を無許可でやってたというのも脱帽ものですが、流石に学園祭を無断決行するのは不味いので…

ちなみに、この段階ではヴォエ兄貴は絶対にこちらを攻撃してきません。

彼はあくまでも生徒達を研究対象として見ている為、無意味な殺戮をする意味がないんですね。

これがもう少し後だとヴォエ兄貴の全人類能力者計画の為に能力者は資源扱いされ誰彼構わず脳内の結晶を収穫されます。

ですが、色んなことがありましたがまだ今日は初日のままなんですね…

しかも、今日の昼前にヴォエ兄貴から[賢者の石]をパクったばかりなのでおそらくヴォエ兄貴は[賢者の石]の盗難にもまだ気付いていないため、万が一キルト君を襲っても返り討ちにできるんですね!

という訳で、ヨロシクゥ!

 

「俊稀くーん、こっちに来て少し手伝ってくれませんかー?」

リーゼちゃんが呼んでますねぇ。

へへへ、もちろんすぐ行かせてもらいますよ姉御。

…オラッいつまでボサっとしてんだ速く行きやがれこのイケメンが!!

 

 

 

 

 

 

 

夕暮れ特有の茜色が眼を刺すように刺激する中、一人の青年が扉をノックしている。

 

「不肖、キルト・イェシャラディン!恥を承知で帰って参りました!!」

 

礼儀正しく3回のノックをした後に透き通るような声で話しかける。

扉越しであることを考慮してもあまりあるその声量に眉根を寄せながら部屋の中の人物が入室を促すとこれまた選手宣誓のような声量で失礼します!と一礼しながら青年は部屋へと入る。

 

「今回は、私の軽率な行動で理事長殿に迷惑をお掛けして誠に申し訳ありませんでした!」

 

そう言うや否や、青年は折れ曲がるように深々と頭を下げる。

一体、どれ程そうしていただろうか

青年には数分とも数時間ともとれる沈黙を破り理事長と呼ばれた男が笑った。

 

「フフフ、いや失礼したね…

君を嗤ったのではないよ?

ただ、どうやら元気そうだったのでね。君の無事を確認できてつい安心して笑ってしまったよ」

 

そう言いながら人の佳い笑顔を見せる男はともすれば善き教師と見えるかもしれない

しかし、目の前の人間の裏側を知っている青年は心の裡を見せぬよう慎重に喋る。

 

「理事長におかれましても壮健なようで何よりです。」

 

「ふむ、そのようなおべんちゃらはおいて先ずは互いの再開を祝そうじゃないか…

君が出ていったあの日から、私は胸が裂かれたような思いだったよ…私があの時こうしていれば、あの時こんな言葉をかけてやれれば…

後悔が押し寄せては自分の不明を恥じるばかりだった

しかし、それでも君は帰って来てくれた。

その事実が私は嬉しいのだよ。」

 

この男を初めて見る人間に、今の会話はどう思われているのだろう

生徒を心配する模範的な教師か…

その教師の心に触れ、胸を打たれた生徒か…

 

「今回の件で理事長殿にお掛けした心労やご迷惑、考えることも憚られるようです。

しかし、不躾であることは百も承知で今日は伺いました!」

 

「まさか、生徒が訪ねる事を不快に思う教職者など居ないよ。」

大袈裟に肩を竦めながらそう言うと男はさて、と一息つき続ける

 

「しかし、キルト君…君もまさか挨拶をしに来た訳でもあるまい?

私に何の用かな?」

 

「恐れいりました、まさかこちらの考えまで全てお見通しとは…

戻ってきたその日に何を言うかと笑ってください!

私は今日、学園祭を開きたく理事長殿に会いに参りました。」

 

「ふむ、学園祭か…

もちろん、構わないよ。君たちの自主性を軽視する程狭量ではないつもりだ。」

 

男は微笑みながらそう返すと青年に背を向け窓の外を眺め始めた。

 

「キルト君、私は今とても良い気分なんだ

それこそ、君の脱走とそれに連なる他の生徒の脱走も不問にしていいとすら思っている」

 

その言葉に肩を震わせながら青年が尋ねる

 

「それは、本当ですか!

あいつらの事を不問にしていただけるのですか!!」

 

「フフフ、自分ではなくまず仲間の心配かね?

本当に、優しいのだな君は。」

 

そう言いながら男は青年へと振り返る。

その顔は裂けたように嗤っていた。

 

「私とて、長年の理想が目の前まで来ているんだ

その材料諸君にだって、少しの慈悲くらい与えてやらんとね?」

 

「材…料?まさか、貴様っ!!」

 

「ああ、そのまさかで違いないだろう。

私の理想の為に、君達の頭の中身…O細胞(オラクル・ギア)が必要だ」

 

言うや否や男は鈍く輝く立方体を青年に向け投擲する。

 

「っ!そんなもの…がふっ!?」

 

その立方体は弧を描きながら青年の腹部に直撃した。

 

「不思議そうだね?差し詰め、何故能力が使えないんだ?というところかな」

 

片側の頬を引き上げ嗤うその顔は先までの人の佳さの欠片も見れずただただ恐ろしく見えた。

 

「馬鹿な…[賢者の石]はたしかに…」

 

「ふむ、捜し物はこれかな?」

 

男はそう言うと上着から赤黒い野球ボール程の塊を取り出した。

 

「何故それが此処に…まさか!」

 

「フフフ、まさかとは思うが彼の事を知っているのがリーゼ・チェレステ女史一人だけだとでも?」

 

手のひらで[賢者の石]を転がしながら男は誇るように語りだした。

 

「全てを知ったのは他でもない、君のお友達のお陰だよキルト君

キャム・カンパネル女史の[解析]を元にした情報収集端末が、面白いものを拾ってね」

 

「面白い…もの、だと?」

 

「ああ、[勇者RTA]というんだ」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

8話

「勇者…アルティーエ?」

 

青年は聞き覚えのない言葉に眉を顰める。

 

「R.T.Aだよ

情報は細部まで正確でなければね?キルト君」

男はそう言いながらゆっくりと見せ付けるように青年に近づく

「Real,Time,Attackを省略した言葉で主にゲームのクリアや特定のキャラクター、イベントの攻略を如何に迅速に行えるかを競う行為さ

その為にチャートと呼ばれる最適化された思考、行動ルーチンを形成し時には常人には理解出来ないような行為も厭わない」

 

互いが互いの顔に手が届く距離まで近付くと男は漸く立ち止まり、青年の頬を愛しそうに撫で付け耳元で囁く

 

「実に、素晴らしいとは思わないかい?

彼は、時間遡行能力を用いてそれを現実にしようとしているのさ」

 

青年は歯を噛み締めながら男の手を乱雑に弾いた

 

「愚問!

一体それが何だと言うのだ!

彼が現実とゲームを混同した気狂いだとでも貶す気か!?

ふざけるな!!

彼が何を考えて成したかは俺には確かに解らん、しかし、彼の成した事は…成さんとする事は解る!!

時間遡行能力?なら、彼は何度でも諦めず俺達を救う為に己が身を賭しているのだろう!!!」

 

先までのものより更に数段大きなその声は最早絶叫と呼んで差し支えなかった。

青年の言葉に男は呆気にとられたかのように目を見開いたかと思うとうつむきながら肩を震わせ始めた。

 

「クッ、フフフ…アッハッハッハッ!

キルト君、君はまさか彼がそんな聖人君子だとでも思っていたのかい!」

 

男は一頻り嘲笑うと目元を指で拭いながら続ける

 

「フゥ、久しぶりに笑わせて貰ったよ…悪いね?

私が情報収集端末から手にしたのは彼のRTAの様子を記録したものだったよ

正直に言って彼の発言や知識…そのどれもが驚愕に値したよ

私しか知らないコト、私も知らないコト…

しかし、これ程の情報を調べるにはマトモじゃ駄目だ

彼は立派な狂人だよ、君の想定の数倍は壊れている

君は彼が一体何度この世界を滅ぼしたか知っているかい?

例えそれがどれ程有用だろうと常人なら、理性や良識が邪魔をして選択できない択を彼は躊躇なく選びとる…

彼の行動の結末が善性に寄っているというだけで、彼自身は間違いなく私と同じ側だよ…自身の目的の為ならばその他全てを犠牲に出来る人間だ!」

 

青年は動かない、動こうとしない、動けない

それを見て男は嗤う

 

「君が信じたのは善人の皮を被り善行を尊べと嘯く狂人だった

ただ、それだけの話さ

では…さようなら」

 

そう言うと男は腰に提げていた刃物を抜き、青年目掛けて振り下ろした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少女は大きな焚き火用の組み木の前で青年へと振り向き話し出す。

 

「……やっと二人きりになれましたね。

実はとーっても難しい問題がありまして、俊稀君にも一緒に考えて欲しいなーって…」

 

青年は、ゆっくりと頷いた

 

「ありがとうございます♥️

とある所にそれはそれは相思相愛なとーってもステキな恋人たちが居ました。

彼は彼女の為になんでもしてくれました、彼女が絶対に無理だと思うことでも彼は笑ってこう言うんです。

「安心しなって!お兄さんの辞書には不可能って文字が蛍光ペンで二重線引かれてっけどさ、女の子を泣かせるって文字は載ってねぇのよ!」なーんて…

彼はホントにスーパーマンでした。

そんな彼に彼女もなんだってシテあげました♥️

だけど、彼女はある時気付いてしまいました。

彼の願いを全て叶えると、彼は彼女の元から居なくなってしまう…と」

 

身振り手振りを交えながら話す彼女はどこか懐かしむように続ける

 

「彼女は考えました…彼の願う事はなんだってしてあげたい、ですがその為に彼と別れるなんて、とてもじゃないですけど耐えられませんでした。

だから、彼女は何も選ばないことにしたんです。

そうすれば、俊稀君とずっと会える…

私が皆を助ければ俊稀君は元の世界に帰ってしまうんでしょう?

だから…私は何も出来ない振りをして、皆を助けなかった!

助けられたのに…あんなに助けたかった皆を、私は見殺しにしたんですよ、何度も…何度でも。

可笑しいですよね、皆を助ける為に俊稀君を呼んだのに今では私は俊稀君と居るために皆を見捨ててる…」

 

少女は涙を流しながら続ける

 

「あれ…変ですね…こんな私に、涙を流す資格なんてないのに…

駄目なんです…どんなに嫌おうとしても、忘れようとしても…

一緒にスイーツ巡りしてる時のルーナちゃんの笑顔が好き…生徒会室で一緒にお昼寝してるのがバレて怒られた時のキャムちゃんのふて腐れた顔が好き…そんな私達を怒るけど最後には仕方ないなって笑うキルト君が好き…

皆のことが、大好きなんです…

そんな皆を…私はもう、傷付けられない。

都合の良い事を言ってるのは解ってます、あんなに見殺しにしておいて今さらってことも……

でも、私は…私はもう皆が苦しむ姿を見たくない!…」

 

流れる涙も気にせず彼女は叫ぶように、けれど弱々しく

そう言う

しかし、彼女は涙を拭うと努めて明るい笑顔を浮かべて青年に向き合う

 

「だから…今回で終わりにしようって思ったんです!

私のワガママはもうおしまい!二人で皆を助けてハッピーエンド!

俊稀君が帰ってしまう時は、私は泣いちゃうと思いますけど…それでも最後は笑ってありがとうって送りたいなって!!」

赤くなった目で彼女は笑顔を崩さない

青年はそんな彼女見かねたのか彼女の側に近付く

 

「ホントに…最後にしようって思ってたんですよ?

でも、理事長が私に連絡してきたんです…」

 

青年が近付くと彼女は青年の腕を掴みとり青年の顔に自身の顔を合わせるように詰め寄る

その顔は、艶やかさと確かな狂気が宿っていた

 

「俊稀君はハッピーエンドじゃないとダメなんですよね?だったら、理事長の計画が成功したら…?

だから、私はあの男と取引しました。

私達に手を出さない代わりに私が出来ることは全て協力する…そうすれば、皆とも俊稀君とも一緒に居れる…

その為なら、私は何だってやれますよ…?

だから、後は俊稀君だけなんです。

俊稀君が死んでしまうとまた最初から…なら私が死なせない。

ずーっと一緒ですから…ね♥️

俊稀君♥️」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

7/9

最初から全てが走者の掌の上だったRTAの時間だオラァ!

はい、前回まではリーゼちゃんがこちらの逆行を覚えていた事に()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

はい!!キレイに釣れてくれて本当にありがたいですねぇ(恍惚)

最初から、ヴォエ兄貴をここで嵌める為に敢えてこのRTAの情報は傍受しやすいように動いていました…

ヴォエ兄貴がちゃんとリーゼちゃんを利用してこちらを足止めしてくれるようにリーゼちゃんにここへ書き込む方法を教え、今の状況が完全に予想外だと思ってくれるようにしっかりとガバが発生した演技を見せ…

そんな積み重ねが今を作ってるんですねぇ…勲章モノですよこれは…

さて、ここまでの事が全てこの走者こと釈迦の掌の上だったと聞いてじゃあなんでこんな大掛かりな事をしてまでヴォエ兄貴を嵌める必要があるんですか?と、夏休み子供相談室に駆け込むホモの兄貴達の為に説明すると、ひとえに、ヴォエ兄貴の行動を固定化する為です。

ヴォエ兄貴に油断して貰う為に散々ボロクソに言ってきましたが、ヴォエ兄貴は決して弱くも楽な相手でもありません。

長年の結晶の研究により開発された各種兵器はもちろんのこと、ヴォエ兄貴自身も結晶体を日常的に食べる事によりその肉体を超人化しています。

なので無策で突っ込むと普通に負けます(38敗)し、能力を無効化する手段を複数所持している為四天王全員と挑んでも普通に負けます(17敗)。

なので出来る限りヴォエ兄貴に準備をさせずに挑む必要があるのですが、用心深いヴォエ兄貴はこちらがこの世界に召喚された瞬間からこちらを迎撃する準備を初めてしまいます。

なので今回はその習性を逆手にとってヴォエ兄貴にリーゼちゃんを使ったプランを選択させることによりこちら(非能力者)に対する準備を極力させないようにした訳です。

まぁ、流石にヴォエ兄貴と言えどあれだけリーゼちゃんの能力とその強さを語ったあとですからそんなリーゼちゃんに勝てるとは思わないでしょうね。

と言うか、俺ではリーゼちゃんには実際勝てません。

[賢者の石]さえあれば話は別ですが、こちらがヴォエ兄貴から借りパクしたアレはヴォエ兄貴が用意した粗悪品で、効果自体は本物と同一ですが持続力が非常に弱く大体4時間程で効果を失います。

なので今手元にあるコレは只のインテリア程度の価値しかありません。

では、どうこの局面を切り抜けヴォエ兄貴のもとへ向かうかと言うと……はい、実は切り抜けません!

実はさっきキルト君と連れションに行ったのはこちらが美青年とトイレに行くことに快感を覚える異常性癖者だという訳ではなく、キャムちゃんの能力で創って貰った互いの姿を入れ替える装置を使い替え玉作戦を決行する為だったんですよ!!

これにより、こちらはキルト君対策に対能力者用の準備を整えたヴォエ兄貴と一騎討ちとなる訳ですね!!

……キルト君は…強く生きて…

と言うのは冗談で、実はキルト君は四天王で唯一本気のリーゼちゃんに有利がとれる逸材です。

まぁ、その為にはキルト君が自身の真の能力に気付く必要がありますが……そこは大丈夫です、彼は最優の四天王…四天王で最も優れた男です!

というかキルト君が負けた場合は確定でリセなのでホントに頑張って?

一応、キルト君との好感度やら能力のヒントはとある人物を通じてこれまでの周回で準備してきましたので後はお祈りするだけですね…

さて、前置きはこれぐらいにしてヴォエ兄貴とのラストバトルです!!

まず飛んできたのは…キルト君のルービックキューブですね…

根に持ってたんですか?

ですが、ここはぐっと堪えてヴォエ兄貴が寄って来るまでキルト君の演技を続けましょう。

はい、ヴォエ兄貴がこっちをボロカスに言って来てますね…

しかも言ってる内容がわりと言い逃れ出来ないので反論の余地も無いですね…

でも、そんなに言わなくても良くないですか…?

…はい、ヴォエ兄貴が刃物を持って近づいて来ましたね…

今です!!!

はい、膝が確定しましたね!

これでヴォエ兄貴が吹き飛んで壁に激突した訳ですが、ここは决して追撃してはいけません。

まるで大ダメージを受けたような感がありますが鼻骨が砕けた程度のダメージではヴォエ兄貴は数秒で回復してきます。

なのでここで追撃すると反撃を受ける可能性が非常に高いですので大人しくヴォエ兄貴が立ち上がるのを待ちましょう。

後はヴォエ兄貴の攻撃を焦らずにしっかりと避けながら少しずつ削っていきましょう。

いくらヴォエ兄貴が高い回復力を持っていようとも決して不死身でもなんでもないので殴り続ければいつかは倒れます、倒れました。

はい、ヴォエ兄貴がなんだかんだ言ってますね…

ここから彼は密かに回収していた[腐乱結晶]の欠片と本物の[賢者の石]を自らの意思で飲み込みます。

フラン○ゃんはあくまでも能力により動いている為に意思というものがほとんど無いため強い自我を持つ人間が取り込む事によりその力を得ながら自身の意識を保つ事が可能です。

つまり、ヴォエ皇帝の爆誕ですね。

このヴォエ皇帝は能力自体は[結晶皇帝]と同じ能力の無効化と吸収ですが、スペックがヴォエ兄貴を元にしてるだけあってクソ高いです。

なので一撃でも直撃すると骨も残さず蒸発するので気をつけましょう(無敗)

 

はい、なんだかんだ言い終わったみたいですね!

ではちゃっちゃとヴォエ皇帝に…

ファッ!?能力!?

えぇ(困惑)…ヴォエ兄貴が能力を使ってきてますねぇ…

これは恐らく[愚者の玉座(アカシック・レコード)]の効果ですね…

[愚者の玉座]は使用者に能力を発現させる代わりに一定確率で即死するアイテムです。

どうやらヴォエ兄貴を追い詰めるとヴォエ皇帝になる可能性とこのように能力者の仲間入りする可能性があるみたいですねぇ…

と言うか[愚者の玉座]の成功率って34%でしたよね?よくそれで自分の豪運を信じれますね…もしや、ヴォエ兄貴はチルドレンの可能性が微粒子レベルで存在している…!!

この[愚者の玉座]によって発現する能力は完全にランダムな為本来は対策も出来ず苦労しますが…

ここでヴォエ皇帝対策が活きてくるんですねぇ!

では、とっておいたフランち○んの欠片とキャムちゃんに創って貰った[賢者の石]を飲みましょうね!

はい!走者改め皇帝です!

ヴォエ皇帝に対抗する手段とは、こちらも皇帝になることだったんですねぇ…

化物には化物ぶつけんだよ!!

ですが、今回はヴォエ兄貴が能力者になってるのでこちらがガン有利ですよ!

じゃけんすぐ片付けましょうねー!

ふむ、このヴォエ兄貴の能力は変形とその変形した形を持つ生物の特徴を得る能力らしいですねぇ…

これ、普通にやってたら間違いなくリセ案件ですよ…

なんでランダムだって言ってんのにSSRを引いていくんですか?

まぁ、能力は効かないんで勝ちですね。

オラッ!早く敗けを認めろ!ヨツンヴァイになんだよあくしろよ!!

 

えっ、ナニそれは…

い、今起こった事をありのまま説明しますよ!

俺はヴォエ兄貴をボコったと思ったらヴォエ兄貴が[腐乱結晶]に喰われた!

何を言ってるかワカラネーと思うが俺も何が起こってるのかわからん。

ガバとかチャートの進行ミスなんてチャチなもんじゃあねぇ…もっと恐ろしいものの片鱗を味わった気分ですよ……

………[腐乱結晶]も記憶を持ち越すんですね。

………次回は[結晶皇帝]君とのラストバトルでお会いしましょう!



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

VSヴォイオニス・エガルデ

お待たせしました
難産でした


男の振り下ろす凶刃が青年の首を寸断せんと迫りくるその一瞬に青年は羽のように軽く跳び上がるとそのまま男の顔に目掛けて膝を叩き込んだ

 

「がぶふっ!?」

 

顔面に膝蹴りがマトモに入ったことにより男は木の葉のように吹き飛び自身のデスクを巻き込んで破壊しながら壁へと激突した

 

「おんや~理事長殿、どうなされました~?

まるで黒幕がシャイニングウィザードを喰らったみてぇな顔してますけどー(笑)」

 

青年はそう言いながら覗きこむように男を見下す

その顔は先までとは別人のような、意地の悪い笑みを浮かべていた。

 

「ばっ、馬鹿な…君の能力に身体能力を向上させるものはなかった!

この威力は一体…!? 」

 

「キッヒヒ、いーい反応をするねぇ!!

頑張って仕込んだ甲斐があるよ全くぅ!!」

 

青年の顔は最早元の面影もなく、左右に裂けるように歪んだその笑みは底の見えないクレバスを思わせた

「なんだ…その顔は…私を見下す気か?

君如きがあ゛ぁ!!」

 

止めどなく流れる鼻血に構うことなく男は叫ぶ

 

「本当に、面白いねぇアンタって!!

そんなにこの顔がお気に召したんならよぉ…

もーっと良いモンを、魅せてやろうかぁー!!?」

 

青年の叫びと共に青年の姿が歪みながら崩れていく

全体を靄が覆ったかのように、青年の姿が不鮮明になるにつれそのシルエットが明らかに先までと変わっていく

 

「これが!俺の本体のハンサム顔だぁ!!」

 

霧が晴れるように青年の姿が鮮明になる

そこには鴉の濡れ羽を思わせる美しい黒髪を膝まで伸ばした青年が立っている

 

「き…さまは!谷崎っ…俊稀!」

 

俊稀はその言葉を聞き更に笑みを深めながら右手の指をスッと立てる

そして、指を左右に振りながらチッチッチッと舌を鳴らしたかと思うと勢い良く振り下ろし叫ぶ

 

「イエェェェェッス!!アイアムッ!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少女の言葉を聞き、ずっと俯いていた青年は弾かれたように顔を上げると少女の手を振り払った

 

「リーゼ、君の言いたいことは良くわかった。

だがっ!その上で俺は君を止める!!」

 

そう言うと青年の周りがガラスのように砕け散った

 

「…!!…キルト……君…?どうしてここに…」

 

「無論、決まっている!!

リーゼ!君が苦しんでいたからだ!!

道を違えた君を叱ってやりに来た!友としてな。」

 

そこには、輝くような金の髪をした碧眼の青年が…キルト・イェシャラディンが威風堂々と立ち塞がっている

 

「……道を違えた、か…

確かにそうだね、私がやろうとしてる事は絶対に正しくないよ?

でも、それってダメなのかな?

そうでもしないと!私の願いは叶わないんだよ!!

邪魔するなら、キルト君でも…容赦しないよ!」

 

少女は胸の前でぎこちなく両手を構える

しかし、その瞳には確かな意志が籠っていた

 

「ならば、かかって来い…

この最優の四天王、キルト・イェシャラディンの全力を持ってその考えごと捩じ伏せてやろう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「成る程…キャム・カンパネル女史の能力を使ったという訳ですね…

姿を偽装する仕掛けを用意していたとは…

しかし、一体何処で?私は君の思考とも呼べるものを監視していたというのに…」

 

「ん~?ヴォイオニスちゃんったらまーだあんなもん信じてたの~?」

 

青年は心底馬鹿にしたような笑みと声で続ける

 

「知らない人の言うことをなぁーんでも信じちゃ駄目よぉ?ヴォエちゃぁーん!

悪ーい大人に飴ちゃんでハイエースされちゃうぜ?

あらやだ、ごめんなさぁーい!ヴォエちゃんが悪い大人だっけ?」

 

「………つまり、あれは全て私に対するブラフだった訳だ…」

 

「あ~らヴォエちゃんったら、よくわかりまちたね~!

えらいえらいしてあげよぉかぁ?」

 

「しかし、情報は正確だった…いや、私の知らぬものは鵜呑みにすべきではないね」

 

ヴォイオニスはそう言うと首を鳴らしながら立ち上がる

 

「だが問題ない、こうも策を労しても私に一撃を入れるのが精一杯

しかしてその一撃も、この通りだ」

 

ヴォイオニスが鼻血を拭うと先程まで止めどなく流れていたそれが嘘のように止まる

 

「これもO細胞の力さ

O細胞は脳内で結晶化することで能力者を造り出すが、日常的に極少量ずつ経口摂取することにより約7年で肉体を完全に造り替える

今の私は…

 

「人体を薄紙のように引き裂き、厚さ数百ミリの合金をも蹴破れる肉体強度に睡眠も日に十数分、食事だって週に一度摂れば事足りる…だろ?」

 

「…その通りだ、君も知っているだろうとは思っていたが…わからないな、そこまで知っているならば最初の不意打ちの後に畳み掛けるべきだろう?

君と悠長にお喋りをしている間に君が苦労して入れたダメージは無くなった…これも、血が凝固したのではなく損傷した血管が修復したんだ」

 

そう言うとヴォイオニスは取り落とした刃物を踏み砕く

 

「私の肉体は、正に進化しているのだよ

生命の理由とは、なんだと思う?

進化と発展だよ!

現状維持を進歩と見誤った愚衆とは違う!

私は、私だけが…この世界で私だけが生命体として活動しているのだよ」

 

俊稀はそれを聞きながら鼻で笑う

 

「あー、はいはいわかるわかるそーゆー自分が特別だーって言うアレね…

ダメじゃなぁいヴォエちゃん!そういうのは中学で卒業しとかないと…ッ!」

 

俊稀が言い終わる直前にヴォイオニスは瞬時に距離を詰め俊稀の頭を目掛けて蹴りを放つ

それを寸でのところでかわしながら俊稀は蹴り足側に回り込み相手の勢いも併せて先程の膝蹴りよりも強かにヴォイオニスの顔を殴り抜いた

 

「ングゥッ!大した反射神経だね…」

 

折れた鼻がミキミキと音を立てながら元の形へと戻っていく

 

「褒めてくれてあんがとさんっと。

あと、さっきの追い討ちがどうのって奴…あれはさちゃーんと理由があんのよ理由がさ!」

 

ヴォイオニスは治った鼻を抑え中に溜まった血を吹き出す

 

「ほう、是非とも訊きたいところだ

どんな事情があるのかな?」

 

「ちゃぁーんと治ってからじゃねぇと、そのご自慢の面が殴れねぇだろ?」

 

そう言うと俊稀はヴォイオニスの脇腹へ目掛け蹴りを放つ、そこへヴォイオニスはその脚を叩き潰さんと拳を振り下ろす

しかし、俊稀の脚はその拳を避けるように軌道を変えるとヴォイオニスの頬を捉えた

 

「がぐっ!?」

 

「あぁ、あとご自慢の面を足蹴にもしたかったんだ。

夢が叶ったよ、サンキュな!」

 

半回転した頭部が骨の軋む音と共に正常なカタチへと戻って行く

完全に回復するとヴォイオニスは一度距離を取らんと軽く後ろへ飛び下がったが、それをよんでいたかのように俊稀はヴォイオニスの脚を掬い上げるように掴みそのまま踏み抜いた

 

「ギッ、グギィィッ!離せっ!!」

 

太い生木を折ったような音と共にヴォイオニスの右膝が稼働域を逸脱した曲がり方を見せる

痛みに耐えながらこれ以上の追撃を回避する為に腕を振り抜き俊稀を引き剥がす

ヴォイオニスは砕けた右膝を両手で掴み無理矢理に成形すると、そのまま叩き付けるように右足を振り下ろす

 

「見ろ!貴様のような劣等種の攻撃など、新人類たる私には何ら通用しない!

今は存分に楽しむがいい!こちらは貴様が何をしようとも回復するが、私の拳足が一度でも貴様に触れればそれで終わりだ!!

この極限状態でその集中力がいつまで続くか見物だな!」

 

そう叫ぶと再び俊稀へと殴りかかる

 

「フフ…へただなぁヴォイオニス君…へたっぴさ……!

プレッシャーの掛け方がへた……

ヴォイオニス君が本当にしたいのはこちらの動揺を誘い通常よりも早く疲弊させミスを誘発させること…

それなのに君は脚を無理矢理治してノーダメと言い張る…これが実にダメ…!

如何に素早く治ろうと、ダメージはダメージ…君の中に蓄積されている…だから、君が本当にすべきだったのはもう再生出来ない振りをしての不意打ち…!!

違うかい?」

 

ヴォイオニスの目にも止まらぬ…否()()()()()()連撃を俊稀は喋りながら悠々と避け続ける

そして、それに焦れたヴォイオニスの大振りを最小限の動きで避け側面に回り込むとそのまま髪を掴み頭を強引に引き寄せる

完全に拳を振り抜いた状態のヴォイオニスは踏ん張りも利かずそのまま体勢を崩し、しなだれかかるように俊稀へと倒れる

そこへ、再び俊稀の飛び膝蹴りが下顎に直撃した

聞くに堪えない音と共にヴォイオニスの毛髪と頭皮の一部が引きちぎれ、飛び膝蹴りの衝撃で顎は砕け脱臼をおこす

 

「ーーーー!!!?」

 

顎が機能しない為に声にならぬ叫びをあげながらヴォイオニスはのたうちまわる

 

「だよなぁ…そりゃあそうだ。

そもそもが研究畑のもやしっこ…いくら鍛えようが化け物になろうが、殴られる痛みに慣れてる筈がねぇ…」

 

言いながら俊稀はヴォイオニスの股間を踏み潰し、そのまま崩れるように腰へ膝打ちを入れる

 

「ーーーーーガウウゥォオオ゛オ゛オ゛オ゛!!」

 

顎を修復し、顎関節を筋肉の収縮により強引に嵌めながらヴォイオニスは叫ぶが下腹部の激痛と骨盤の損傷により攻撃へと移れない

その間に俊稀は立ち上がり再び距離をとる

 

「いいな、その髪型!

そっちのが似合ってんぜ!理事長殿?」

 

ヴォイオニスも、骨盤と睾丸を修復し立ち上がる

その頭は頭皮こそ修復されていたが頭皮と共にちぎれた毛髪は無く脱毛症のように見えた

ヴォイオニスは自身を嘲笑う俊稀を血走った目で睨み付ける

 

「どうしたどうした?ご自慢の演説はもう終わりかい?

そ・れ・と・もぉ・?御大層な新人類サマはもうお疲れでしょうか?

なら、お還りはこちらだぜッ!」

 

俊稀はそう言いながら懐から球形の何かを投擲する

その球形の物体はヴォイオニスの左足へ直撃すると輝きながらヴォイオニスの左足と共に破裂した

 

「!?………確かに、私と戦う事を想定していたのだから武装も当然か

むしろ、先程の擬態はこちらに非武装を錯覚させる役割もあった訳だ」

 

言いながらヴォイオニスは後ろへ倒れこんだ

左足は再生こそしているがそのペースは先までと比べ明らかに鈍化していた

 

「完敗だよ、私の負けだ」

 

「…いやに諦めが良いねぇ?

お兄さん、諦めが良い悪者とどこからでも切れますって書いてる奴だけは絶対に信じない事にしてんのよ。」

 

「なに、このまま続けても私では君に掠りもしないだろう…

この新人類を語った私の肉体が君の策と技術には通用しなかった…ただそれだけの話さ」

 

片足が再生するのを待たず、ヴォイオニスは胡座をかくように座り込み話続ける

 

「私はね、自身以外をすべからく見下しあまねく全てを自身の駒だと思い生きてきた…

幼少の頃から私は天才だったよ

凡人が生涯をかけて証明したと言い張った理論は私が4つの時に暇つぶしで紙に書き殴ったものを喜び勇んで奪い盗ったものだった

世間では証明されれば数十年は技術レベルが上がると言われ、数百年間に渡り愚衆を悩ませてきた問題も当時6つだった私でも数時間あれば証明できた

…最初は持て囃されたものだよ…最初はね

君なら解るだろう?明らかに突出した人間が周囲の凡人からどのように見えるか…

彼らには、私は人ではないナニカに見えたのだろうね

ある日、私が父と呼び慕っていた男に殴られて私は血反吐を吐いて死にかけた…私が8つの頃さ

もちろん、幼かった私は母に助けを求めたよ

……まぁ、母が包丁を持って現れた時におおよそ私の辿る運命を理解したがね

そこから、二人の凡人は色々言っていたよ…

お前なんか産むべきじゃなかっただの、本当の息子を殺して悪魔が産まれただの…

私は絶望したよ、両親に裏切られたからじゃない

私ならば想定できた筈の状況だったと言うのにただ私を産んだだけの愚民を信じ、私を排斥しようとする可能性を全く考慮していなかった私の弱さに絶望したのだよ

私は自分はもっと強い人間だと思っていた

いざとなれば全てを切り捨てられる合理的な人間だとね

だが、現実は違ったよ…凡人共に殺されかけた私はただ泣きじゃくりながら許しを乞うた、そんな事に意味などないのにね?

そんな私の命を救ったのはエガルデ家だったよ

私の目の前で二人を撃ち殺し、私を引き取ると言ったのさ

エガルデ家は血ではなく能力のみで繋がる家系だ…私を拾った男も元を辿れば孤児だったしね

ここまで聞けば馬鹿でも解るだろう?

全て仕組まれていたのさ…尤も、あの二人は自分達が死ぬなんて露程も思っていなかったろうがね…精々が厄介払いが出来て金も手に入ると喜んでいたぐらいだろう

そんな事は私とて、もちろん解っていたさ…ただ、私は期待してしまったんだよ

能力のみを至上とするこの家ならば…凡人共では理解出来なかった私を受け入れてくれるかとね

フフフ、現実は非情だったよ…私からすれば只の数字遊びをしているようにしか見えない事を偉そうに講釈垂れる愚か者に、本の内容通りの事しかほざけない凡人…

エガルデ家の人間が私に充てた教師共は全員が笑える程に無能だったよ

それでも、私は至極真面目に付き合ってやった…

見てしまったんだ…さして高くもない点数を誇らしげに親に見せて褒めて貰っている子供を

私は健気だったよ…目を瞑っていても満点を取れるような問題に目を皿のようにして見直して、ミスがないか何度も検算した

後日返却された当然満点の答案を持って私は褒めて貰いに走ったよ

どうやら、そのテストには決して解けない問題が入れられていたようでね…私からすればどれがソレだったのか、未だに検討もつかないが

私の答案を見てエガルデ家の男は顔を青くしていたよ…

そこからさ、私はエガルデ家でも恐れられ始めた」

 

ヴォイオニスは修復し終わった足を伸ばし、調子を確認するとゆっくりと立ち上がった

そして一息着くと壁際のまだ壊れていない椅子を引き摺って俊稀の前に座る

 

「悪いね、長話に付き合わせてしまって」

 

「構わねぇよ…教師ってのは偉さに比例して話が長くなるモンだしな。」

 

クスリと笑うとヴォイオニスは再び話始める

「理解のある聞き手で助かるよ

さて、ここまでの事で傷付いてしまった私だがここで漸くある命題にたどり着くのさ

愚衆共が私を理解出来ず排斥するのならば、皆が私と同じになればいい…とね

しかし、如何に天才である私と言えどこの問題は一筋縄ではいかなかった

だって、私には凡人の思考がわからないからね

皆を私と同じ天才にするには、まずどれ程互いに格差があるか理解しなければならないと言うのに私はそれがわからなかった…まぁ、今も同じだけどね

当然、計画は行き詰まった

この[学園]も最初は私が教鞭を執り私と同じ天才を造るべくして建てたものだった…まぁ、失敗に終わったがね

凡人共は私がいくら解り易く教えてやっても十分の一も理解出来なかったよ…その癖そいつらは自分は天才だのとほざいて卒業したがね

そんな時だ、私が能力者の短命について研究して欲しいと言われたのは

依頼を持って来たのは能力者に人権をとかそういう事を主張する団体だったよ…余程自分達が良い人間だと思いたいんだろうね?

そこで、私はO細胞に可能性を見つけたんだ…

能力者を殺すだけだと思われていたO細胞は生物を飛躍的に進歩させる可能性を秘めていたんだ

私は研究に没頭したよ…それが今から18年前、私が15の時だ」

 

「そんで辿り着いたのが皆引っくるめて能力者にしようって訳か」

 

「…そうだね、これで人類は一つ上のステージへと上がるんだ

もちろん、私にはまだ遠いが確実に近づいている」

 

「それで?

排斥された側のお前が同じ排斥された能力者を殺すのかよ。」

 

「そうさ、私は私のエゴで彼彼女らを殺す」

 

「ならなんで、わさわざ能力者を殺して他に移す?

能力者を更に押し上げた方が早いだろうが。」

 

「………この私の頭脳を持ってしても、能力者の延命は不可能だったからさ…君なら解るだろう

君が言っていたリーゼ・チェレステ女史の能力を使った方法も本当は不完全だと言うことが」

 

「ああ、あくまでもリーゼちゃんの能力で停めてるだけだ…リーゼちゃんが不老不死でない以上何時かは能力が解けて全員が死ぬ」

 

「それに、能力者の総人口もかなりのものさ

彼女の生涯をかけても全員は救えないだろうね

だから使ってやろうと言うのだよ、どうせ無為に散る命ならば私が意味を持たせてやろうじゃないか!」

 

ヴォイオニスは椅子から立ち上がり興奮したように言い放つ

 

「排斥された命が無為に散る様など見ていられない

フフフ、私は両親に殺される子供を助けるのさ…

無意味な死を偉大なる人類の発展の礎とする

これも、私のエゴさ…この悪意の掃き溜めで自分達が疎まれ、恐れられて排斥された事も知らず死んでいく彼彼女らに私は言うのさ!

君達の命を私の悲願の為に譲り受けるとね!

愚衆共への怒りすら覚えられぬあの子達でも!私を恨めばいい…私に怒ればいい!

自身の生を無為に終える前に…自らの運命を呪う前に、私が終わらせる!そんな私を呪うがいい!!」

 

ヴォイオニスは言い終えると、憑き物の落ちたような顔で俊稀へと向かい合う

 

「さて、第2ラウンドと行こうかな…

もう、油断も慢心も捨てよう

私も命をかけて君へと立ち向かうとしよう」

 

ヴォイオニスはそう言うと自身の首筋に注射器を打ち込んだ

「ふむ、これでスタートラインには立てたと言ったところだね

では俊稀君、君はこの能力者となった私に対してどう闘うかね!?」

 

ヴォイオニスは言い終えるより早く自身の右腕を蛸の足のように変形させ俊稀へと巻き付かせる

俊稀は拘束が完了するその刹那に自身の肩を外すことにより逃れる

そして直ぐさま距離をとると懐から何かの燃えかすのようなものと赤黒い塊を取り出した

 

「能力…[愚者の玉座]か。

あんたが命懸けで来るんなら、こっちもそうでなきゃフェアじゃねぇな。」

 

そう言うと俊稀は両方を一息に飲み込んだ

すると俊稀の体から色素が抜けるように髪が、肌が、瞳が色を失い白く濁っていく

それと同時に四肢の末端から罅が入り全身に広がる

 

「…それが君の言っていた[結晶皇帝]か

皮肉なものだね、能力者を産み出すO細胞の化身が能力を無効化するとは…」

 

俊稀が腕を振るうと全身が砕け、下から水晶のような体表が現れる

 

「そんなもんさ、こっちの世界でも人類の発展を祝す賞を作ったのは多くの人間の命を奪う発明をした男だった。」

 

「言っておくが、私が諦めると思ったら大間違いだよ?

確かに能力の無効化は脅威だが、形が変わり続ける私を君は捉えきれるかな」

 

ヴォイオニスはそう言うと全身を膨れあがらせその肉体を熊のような大型の動物へと変化させる

 

「この能力…変化したカタチを持つ生物の特徴を使えるというのは興味深いね

カタチが変わっているだけで私の中身は変わっていないというのに筋力と嗅覚、聴覚が明らかに向上している

卵が先か鶏が先かの話と似たものだ…カタチに能力が宿るのか、その能力を持つ故にカタチが決まるのか…

[雛から孵る鶏(パラドクス)]とでも名付けようか」

 

ヴォイオニスは巨大化した腕を乱雑に振り俊稀を狙うも高くなった打点を利用され滑り込むように懐に入られる

俊稀はヴォイオニスの胸に両手を合わせるとそのまま捩じ込むように押し込んだ

 

「ゴポッ!?ガボグゥッ!グッ…クックッ、フフフ!」

肋骨と内臓が掻き回されズタズタになる感覚

命が脅かされる感覚を味わいながらヴォイオニスは笑った

 

「これは、無効化できないようだね

キャム・カンパネル女史の能力によって発生した物品が賢者の石を近付けても消滅しないように、能力によるものとは言え私の肉体が変質しただけのこの状態も無効化の範囲外という訳だ」

 

「良く回る頭だこと…確かに大正解!

あんたの変化は止められねぇよ。

だが、もう一個の方は無効だぜ?」

 

言いながら再び攻防が始まる

ヴォイオニスは腕を糸のように細く変化させると、それを網を振るように俊稀へと振るう

俊稀は回避せずに軽く跳ぶとそのまま網の中心へ目掛けてドロップキックを放ちヴォイオニスの腕を引きちぎりながら着地する

そこへヴォイオニスは鮫のような大きく、深く裂けた口で噛み付きにいく

俊稀は着地の衝撃を後ろに逃す事でバク宙の要領で跳びながらヴォイオニスの下顎を蹴り上げた

 

「良いねぇビックリ超人…お次はウサギさんにでもなってくれるか?」

 

「フゥ、これでもまだ届かないとはね…

正直おどろ」

ヴォイオニスが言いきる前に彼の足下の床を()()()()現れたそれはそのままヴォイオニスの身体を喰い千切るとボコボコと音を立て貌を変えていく

 

「ッ!!?コイツは…[腐乱結晶]か!?

なんで…確かに俺が止めを…」

 

「クックック…少々欲張り過ぎたね

アレを私の計画のサブプランにしようかと回収していたんだが…飼い犬に手を噛まれた気分だよ」

 

そう言って()()()()()()()()姿()()()()()ヴォイオニスは苦笑している

 

「ヴォイオニスちゃんったら今さっき喰われてなかった!?

あとどーしたのそのカッコは!オネショタに目覚めちゃった?それとも名探偵目指す?」

 

「身体の大部分を喰われてしまってね…

君との戦闘でかなりの体力も消耗してしまっていて再生も間に合わなくて仕方なくだよ

中身を作るのにリソースを割きすぎて外身がこんなになってしまった」

 

怪物から聴こえる音が徐々に静かになるにつれその輪郭が明確になっていく

俊稀と同じ水晶の体表に、爬虫類を思わせる太く短い尾と蝙蝠のような薄い翼

山羊のような角を頭に持ったソレは口も見当たらないというのに地の底より這い出すような声で叫ぶ

 

AAAAAARRRRRKKKKK

 

「ッ!…O細胞の化身と言うよりは悪魔と言った方が適切なように思えるね…」

 

身体中を叩く衝撃波の如き咆哮にヴォイオニスは呟く

 

「やっぱ頭いいねぇヴォイオニスちゃんってば!

あれがO細胞を人類に与えた正真正銘の悪魔…[代償の悪魔]だよ。」

 

二人は立ち上がる

肥溜めを抜け出さんと

英雄は立ち向かう

明日もまた笑い合う為



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

8/9

ようやく終わりが見えてきたRTA…はーじまーるよー!

はい、前回はヴォエ兄貴をボコボコにしたと思ったらチャートもボコボコになっていたところまででしたね。

まぁ、実はあんまり困ってませんが。

と言うのも本来のチャートではヴォエ皇帝を倒す為[腐乱結晶]ちゃんには退場してもらいましたが、ヴォエ兄貴が能力者になったせいでこのままだと[結晶皇帝]を倒した事になりませんでした…

なのでこのガバは救いのガバ…救済ガバなんですね。

ここまで言うと未知への憧れが止められないホモの兄貴達の事ですのでなんでそこまでして皇帝を倒す必要があるんですか?とフリーダイヤルへ片っ端から尋ねる事でしょうね。

公共の迷惑にならないようにお教えしましょう。

簡単に言うと全ては能力者の寿命を取り戻す為です。

今まで言っていたリーゼちゃんの能力を使うプランでは問題の先延ばしにすぎません。

と言うのも、O細胞がある限りこれからも能力者は産まれ続けますがリーゼちゃんの時間は有限です。

だから、根本的な解決を目指すなら1、脳の結晶化を防ぐ2、O細胞をこの世からなくすのどちらかになります。

ですが1はヴォエ兄貴が散々やったあとなのでもう不可能であることが解っています。

ではどうやってO細胞をこの世から消すかと言うとこの目の前の[結晶皇帝]を倒せば良いんです。

はい、実はこの世界で重要な要素であるO細胞は科学的なモノではなくヴォエ兄貴から数えて7世代前の当主ガルベリニ・エガルデが悪魔との契約により手に入れた[代償の悪魔]の身体の一部です。

O細胞が能力を発現させたり、食べた者を超人にしたりするのは全てこの[代償の悪魔]との契約によるものだったんですね。

[代償の悪魔]は契約者に力を与える代わりにその命を徴収するのでヴォエ兄貴の科学的なアプローチは全て無意味だった訳です。

では、その[代償の悪魔]と[結晶皇帝]になんの関係があるのかと言うと…ざっくり言えば皇帝は悪魔たんの依り代ですね。

悪魔たんからすれば自分が命を徴収する筈の能力者を皆殺しにするヴォエ兄貴の計画ははちゃめちゃに目障りですが、こちらの世界に顕現するには誰かに召喚して貰わないとこちらに降りるための器がないんですね。

そんな時に、O細胞により変異した生物の成れの果てであるフランちゃ○がかつて自身を召喚した人間の子孫を喰って変化したのを発見し、無事に依り代にした…という訳です。

自身の肉体であるO細胞とかつての契約者の血肉…これ以上ないくらいにはお誂えむきですよ…

一応、ヴォエ兄貴は養子なので先祖と血は繋がってませんが悪魔は何よりも契約を重んじる為に契約によりエガルデ家となったヴォエ兄貴もきっちり対象になるんですねぇ。

つまり、何が言いたいかというとこの皇帝をシバくとそれにダイレクトで繋がっている悪魔もシバけるのでそれでO細胞ごと消し飛ばしてやろうって訳です。

 

「クックック…少々欲張り過ぎたね

アレを私の計画のサブプランにしようかと回収していたんだが…飼い犬に手を噛まれた気分だよ」

 

アイエエエエエエ!?

ヴォエ兄貴!?ヴォエ兄貴ナンデ!?

何故ヴォエ兄貴がここに!…まさか、自力で脱出を!?

前回の最後に思っきり喰われたませんでした?でしたよね?

……ああ、能力で無理矢理治したんですね。

喰われた臓器やらパーツやらを残りの肉体を変化させて代用している…と。

えぇ…(困惑)それってつまり能力が解けた瞬間にあのグロい食べかけ死体に戻るって事ですよね?

まぁ、今が良いならそれでいいか!(適当)

しかし、これは嬉しい誤算(ガバ)ですよ!

ヴォエ兄貴は、基本的に能力者と過去の自分を重ねて見ているので事情を説明して皇帝を倒せば能力者を救える事を教えると

 

「実に馬鹿馬鹿しいね…

つまり、アレを倒せばO細胞自体が機能不全を起こすんだろう?

そうなれば、私の計画はどうなると思うんだい?

私がアレを倒すメリットがまるで無いな

まさか、お涙頂戴で私を懐柔して共闘…とでも考えていたのかな?

だとすれば残念だったね

……しかし、アレが私を喰ったのも事実だ

この私を、だ……完全なる生命として産まれ、数多の愚衆を導き、いずれはこの人類を自らの叡智によってのみ生存する完全なる霊長へと押し上げんとするこの私をアレは喰ったんだ

歴とした敵対行動さ

私を攻撃するということは人類という種の未来を攻撃するに等しき蛮行だよ

なれば、これは生存競争の体を成した…立派な戦争行為だ

だとするならば、人類を侵略せんとする怪物に対抗する人類の代表として選ばれるのは最も叡智に溢れる強者が好ましい

…おや?ここに丁度、人類で最も叡智に溢れる私とその私を越えた男が居るね

これは幸いだ!

O細胞の機能不全は悲しいが、なに私ならすぐに次を見つけられるさ!

ほら、さっさと構えたまえ

アレをさっさと片付けるとしよう!」

 

はい、ヴォエ兄貴が一緒に戦ってくれます。

すっごい早口で言ってそう…(小並感)

男のツンデレは醜いので…やめようね!

では、この皇帝をシバきましょうかね!

えー、ここで残念なお知らせですが…正直言ってこの皇帝はあんまり強くないです。

あくまでも、ヴォエ兄貴の頭を持って武器なり策なりを使われるのが脅威だっただけなのでこっちにヴォエ兄貴が居る以上、皇帝さんはただの力持ちで能力が効かないピカピカしてるだけのオッサンです。

ヴォエ兄貴が弱って弱体化してるのを差し引いてもお釣りがくるぐらいにはこっちの戦力が整ってるので…

はい、調理完了です!

二人に勝てる訳ないだろ!!

と言うか、こっちも皇帝なんで負ける訳無かったんですけどね初見さん。

はい、悪魔たんの心臓にあたる部分もきっちり踏み潰して…これで能力者問題も解決ですよ!

…こっちの皇帝化も解けたので、しっかり滅びましたね…

くぅ~疲れました!

これにて終了です!さて、完走した感想ですが(激ウマギャグ)!

 

 

 

 

 

 

 

辺りに水晶の飛散するその場所は元が屋内…ましてや学園において最も堅牢な理事長室だったとは到底考えられない程に崩壊していた

天井は崩落し、壁は抜け…屋内と称する事も憚られる状態のそこで青年と少年は肩で息をしながら座り込んでいた

 

「フフフ、年甲斐もなくはしゃぎ過ぎたかな

ここまでの倦怠感は味わった事がないよ…」

 

「そっか…じゃあ、ヴォエちゃんのハジメテ…貰っちゃったんだ…。」

 

俊稀が頬を赤らめながら身をよじるとヴォイオニスはため息をつく

 

「…君はふざけないと死ぬ持病かなにかでもあるのかい?

だとすれば後学の為にサンプリングしたいところだね」

 

「ああん!ヴォエちゃんったら…俺のカラダが欲しいなんて!

俺をどうするつもりなんだ!どうせその若い獣欲をぶつける気だろ!エロ同人みたいに!!

な~にが俺のO細胞(意味深)がカチカチだ!!どうせ俺の身体で賢者の石(意味深)になりたいだけだろ!このケダモノ!!」

 

俊稀は両腕で自身の身体を隠すように抱きしめる

ヴォイオニスの眉間に皺が寄ったのは言うまでもない

 

「…なぜ私はこんなのに負けたのだろうね

いっそ、今から第3ラウンドといこうかな…」

 

ヴォイオニスは額を抑えながら真剣に悩む

 

「第3ラウンド!?

何処までワタシを貪れば気が済むのよ…このヘンタイ!!」

 

「随分と楽しそうじゃないか…あ゛ぁ?」

 

ヴォイオニスの発言に胸を隠す素振りをしながら身体をくねらせる俊稀の前に突如として青い髪の青年が現れる

青い髪の青年は心底不機嫌そうな顔をしたまま俊稀の右手を掴むと、そのまま()()()()()

 

「…ふん、この程度では反応もしないか。

それとも俺がこうやって来ることまで全部お前の計画の内ってか?」

 

青年は更に不愉快そうに眉間に皺を寄せる

 

「いやいや、しっっっかりイテェでごぜぇますよ?

ただ、あんまりにも急で反応出来なくてね?

何なら今から痛がろうか?

あぁぁぁぁぁ!痛ぇぇぇぇ!!床がキンッキンに冷えてやがるよぉぉぉぉ!!」

 

俊稀は床を転がりながら叫ぶ

そして、気づかれぬように水晶の欠片を数個袖口に取りながら潰れた右手の上部を圧迫し止血を試みる

 

「くだらん芝居はよせ、お前のやり口なぞとうに知ってる。

だからこそ、訊きに来たんだ…お前、その男と何をする気だ?」

 

青年は這いつくばる俊稀と青年を睨むヴォイオニスとを交互に見ながら問う

 

「もちろん、満足いく理由と説明があるんだろうな?」

 

そう言って青年は…[四天王番外(プラスワン)]スウォルド・()()()()()は牙を剥いた獣のように笑った



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

キルト・イェシャラディンはあなたを救いたい

星空が好きだった

君が好きだったから

甘いものをよく作った

君が笑ってくれるから

あの場所が好きだった

君の側に居れたから

君が好きだ

この想いだけはだったにしたくない

 

 

 


 

 

 

 

(しかし、困ったな。)

俺はそう思いながらリーゼと対峙する。

大見得を切ったところで誠に情けない限りだが、俺の能力はこの戦いにおいて何の意味もないお飾りに過ぎなかった。

彼女に能力を向けるなど、もっての他なのだ。

スウォルドさんから能力により実質的に不死身となっている為、手加減の必要は無いと言われたが仲間に向ける為の力では無い!

俺の力は…俺が求めた強さは、こいつらを守る力だ!

こいつらを傷付けては本末転倒もいいところだ。

 

「どうしたんですか!

私を止めるんじゃなかったんですかキルト君!避けてばかりじゃ私は止まりませんよ!」

 

リーゼはそう言うと俺の背丈程の氷柱と巨大な火の玉を飛ばしてくる。

俺はそれを一瞥し、霧散させながらリーゼの視界から外れるように走り続ける。

あいつが炎や氷(この程度)の攻撃しかしてこない今しか俺に勝ち目はない。

俺の破壊(クラッシュ)では炎や氷は散らせてもあいつの本気には太刀打ち出来ない…

スウォルドさんからの又聞きだが、リーゼは時を停めることも可能らしい。

その能力を使われてしまえば…しかし、それは俺の勝ち筋でもある!

今現在、リーゼはそれを使っていないと言うことはあいつ自身が俺に力を向けることを躊躇っている…筈だ。

……あいつを苦しめ、悩ませて…それを勝ち筋と言うとはな、ここ最近は最優の名が泣きっぱなしだ。

これも全ては俺の弱さ…逃げ続けてきた俺の責任だ!

あいつらを取り巻く環境、俺達に関する問題、その全てから目を逸らし、怠惰な安寧に身を任せた俺の弱さが招いた結果だ!

本当は、リーゼを止めるなんて言う資格は俺には無い。

糾弾されるべきは全てを放り投げた俺であるべきなんだ!!

あいつはそんな俺すらも助けようと諦めず俊稀とルーナを連れて立ち向かい続けた!

それが、どれ程困難だったか…どれ程苦しく、どれ程投げ出したくなったろうか、俺は何も知らない…

全てを知った顔でスウォルドさんから聞いた事を、さも経験してきたように語りあいつを止めるとのたまう…

どの口が言うのだ!

…しかしな、それでも俺はお前を止める…俺が止めなくてはならない!

お前に助けられた俺が…皆から引き継いだ俺が!お前を止めるんだ!!

 

「止めてみせるさ!

この俺の命にかえてもな!」

 

はったりじゃない、リーゼが居なければ遅かれ早かれ散った命…お前を助ける為ならば、安い物だ。

 

「っ!…なら、これでもまだ、同じ事が言えますかっ!?」

 

俺の視界から切れた瞬間を狙ったようにリーゼは俺の目の前に瞬時に移動すると、俺の右手を掴んだ。

その瞬間、俺の腕はまるで別の生き物のように脈動し、右腕の肘から下に熱を感じたかと思うとその熱は徐々に二の腕へと上がっていく。

俺は覚悟を決め、自分の右腕を肩口から切り落とした。

 

「んんぅ、ぐぅぅ…ふぅ…くぅ……あ゛ァッ!」

 

そして、肩口に手を当て更に乱雑に破壊することで断面を潰し出血を止める。

 

「っ!……わかるでしょう?

キルト君では私には勝てません…

その腕だって私なら治せます、だから…」

 

「もう、俺に諦めろとでも言う気か?

甘くみるなよ…腕の一本や二本で諦める程度の覚悟なら、最初から此処に立ってはいない!!」

 

切り落とした右腕は前腕から足のように指を生やし手の甲に眼球が備わり一つの生命のように蠢いている。

これが、[前進]の能力…生命の暴走か。

スウォルドさんが触れられるなとあれだけ念を押したのはコレが原因という訳だ。

のたうつように近付いて来る俺の元右腕を塵に変えながら、考える。

確かに、今の俺では勝ち目がないのは事実ではある。

リーゼに攻撃を決断させてしまった段階で勝ちの目は潰れてしまう…ならば、何故俊稀は俺にこの場を任せた?

…俺を捨て石に?…いや、もし時間稼ぎのみを考えるのであればキャムの方が適任だろう。

俺を説き伏せてキャムを連れてきた方がまだ能力の相性的にリーゼの足止めに向いている。

ならば、ここを俺に任せる意味は?

無論、誰に止められようが来てはいたがそれを読めぬ男では無い筈…

 

「キルト君…もうやめましょうよ!?

私がその気になれば、キルト君の首さえあれば治せるんですよ…

この意味が、わかります…か?

腕よりも、ずーっと痛いんですよ!?」

 

リーゼが叫んでいる。

そんなに泣きながら言うな…どちらが痛いのかわからんだろう…

…ごめんな、そんな辛い想いをさせて。

考えろ、あいつを助ける為に…皆でもう一度笑う為に!!

ある筈なんだ、俊稀が俺に任せた以上は俺にしか出来ない事が…俺だけにある勝ち筋が!

俺の能力は破壊と分解…しかし、俺がリーゼを攻撃する事は絶対にない(仮に攻撃しても無意味だが)。

ならば、それ以外の要素?

例えば、同じ四天王同士でリーゼの同様を誘う…いや、それこそキャムを利用する筈…

なんだ、俺にしか出来ない事…クソッ!考えろ!

 

「…なんで…なんで!何も言わないんですかっ!?

痛いでしょう!?苦しいでしょう!?私が…私が怖いでしょう!!

…だから、だから早く」

 

「馬鹿な事を言うなっ!!」

 

「っ!」

 

「お前を…仲間を恐れる阿呆が何処にいるかっ!!

例え、能力が強くなろうとその程度で…!」

 

能力が強くなる…?

リーゼは元々、炎と氷の能力だと自分の能力を誤解していた。

だが、実際の能力は[前進]と[停滞]…

能力者の能力は、能力者の認識に左右される…

ならば…俺の能力は本当に[破壊]と[分解]なのか?

確か!スウォルドさんは能力者の能力は3つのタイプがあると言っていた筈!

1つ、互いに正反対の能力…ルーナの[強化]と[弱体化]やリーゼの能力も正にコレ

2つ、片方がもう片方の補助の能力…キャムの[創造]と[解析]やスウォルドさんがコレ

3つ、互いが同系統の能力…俺の[破壊]と[分解]がコレ、の筈だったが…本当にそうか?

例えば、リーゼが[停滞]の結果凍結していたものを氷の能力と考えたように、俺の[破壊]や[分解]も何か別の能力の副次的な作用とは考えられないか…?

 

「…なんだか、目が変わりましたねキルト君。」

 

「そう…か?自分ではあまりわからんが。」

 

「はい、いつもの自信たっぷりなキルト君の目です…

なにか、策があるんでしょうね。」

 

「ああ、俺の能力がリーゼのように変化する可能性に賭ける事にした。」

 

「……えーっと、それは…私に言っていいんですかね?

言わない方が良い気がするんですけど?」

 

小首を傾げて訊いてくるリーゼ。

しかし、俺は胸を張って言い切る。

 

「構わん!その程度で揺らぐのならば、そこまでだったというだけだ!!」

 

リーゼは俺の言葉を聞いて目を閉じて大きく息を吐いた後にスッと目を見開く。

 

「そう…ですか、なら…これが最後です。

キルト君…ここは、私の為にひいてくれませんか?」

 

「…リーゼ()()()()()()()退()()()()!」

 

「…なら、泣いても知りませんよ!」

 

そうリーゼが言うと共にリーゼから耐え難い程の冷気が叩きつけられる。

これは…例の[停滞]か。

俺が、あるかも不明な本当の能力に覚醒出来なければ負け…

しかしな、あいつが…谷崎俊稀が俺に託したんだ!

あいつの事を無条件に信じている訳じゃない。

リーゼ、お前の事もあいつが絡んでるんだろう…

自分の描いた絵図にリーゼを…俺達を使ったあいつを人間として信じろというのは無理筋だろう。

しかし、あいつが何を考えて何を道具としようとも…あいつが俺達を助ける為に動いている事に違いはない!

どこの世界に突然命の懸かった戦いに巻き込まれた上で全員を救おうと立ち向かう人間が居る?

他の誰が、何度死のうとも諦めずに立ち向かえる?

谷崎俊稀という男は、確かに俺達を道具にした!

しかし、それを俺達の誰が非難できる?

最初にあいつをこちらの事情に巻き込んだのは?

無関係だと知りながら俺達の命運を懸けた決戦を任せたのは誰だ?

そもそも、あいつからすれば俺達能力者の問題も学園の暗部も知ったことではない筈だ…

あいつは、俺達の前に何よりも()()()()()()()()()()

そんなあいつが俺に託したんだ!

一体、何度死んだのかも俺にはわからん。

俺の本当の能力とやらを知り、それをこうやって計画に組み込むのも一体どんな体験をすれば可能なのか…

想像すら難しい。

そんな…()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()から託されたんだぞ?

ここで出来ずに!!

何が最優だ!!

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

世界の全てが凍え、動きを停める。

この世界で動けるのは、[前進]を持つ私だけ…

 

「やっぱりダメだったんですよ…

キルト君じゃ私に勝てないってあれだけ言ったのに。」

 

私はこちらを真っ直ぐに見詰めたままに凍り付いたキルト君に近付く。

正面に立ち、ズレないようにしっかりと狙いを定めてその首に手刀を振りかぶる。

 

「これで私の…私達の愛の勝利ですよ、キルト君。」

 

 

 

 

 

 

 

「違うな!俺達の友情の勝利だ!!」

 

キルト君の首に当たった手刀はその首を切り落とす事もなく彼に掴まれる。

 

「!?っな、なんで!

能力は解除してないのに、なんでキルト君が!?」

 

「簡単な事だ。

これが俺の本当の能力、何かを別の何かと継ぎ接ぐ…[継ぎ接ぎ(パッチワーク)]の能力!」

 

「パッ、[継ぎ接ぎ]…!?」

 

呆けた顔のリーゼに俺はしっかりと説明する。

 

「能力者のタイプ…互いに正反対な特性を持つお前の能力を継ぎ接いだ!

[停滞]は[前進]に、[前進]は[停滞]に打ち消される!

何かと何かを継ぎ接ぐ前に一度形を崩すこの能力を、俺は[分解]の能力だとずっと勘違いしていた。

しかし、一人の力ではなく!皆の力を併せる強さを知った俺だからこそ!この能力を真に理解出来た!!」

 

リーゼは動かない。

能力は封じても自由を奪っている訳ではないが、リーゼは俺の手を振りほどく事もせずにうつ向いている。

 

「だから!だからこれは…俺達の、俺とお前の友情の勝利だ!

仲間を見捨てない、必ず助ける何よりも強い意思を俺に教えてくれたお前と俺との勝利なんだ!!」

 

「もう…うるさいなぁ、耳が痺れちゃいますよ?」

 

そう言って顔をあげたリーゼは何処か迷いの晴れたような…懐かしい笑顔で泣いていた。

やっと、俺は…お前を助けられる。

 

「歯を喰いしばれよ?

俺の仕置きは少しばかり響くぞ!」

 

そう言って俺はリーゼの頭に思い切り頭突きをかました。

頭部の鈍い痛みと共にリーゼは崩れ落ちる。

地面に倒れないようしっかりと抱き上げると俺の横に青い髪の男…スウォルドさんが立っていた。

 

「悪いなキルト、妹が迷惑掛けちまった…」

 

そう言って頭を下げようとするスウォルドさんを俺は慌てて止める。

 

「やめて下さい!

迷惑など、俺が最初にこいつらに掛けて来たんです!

俺はそれをほんの少し返しただけで…」

 

スウォルドさんは顔をあげると俺の右肩に触れる。

すると、早送りのように俺の腕が再生していきものの数秒で完全に元通りに回復した。

 

「なら、ありがとよキルト。

本当なら俺がやるべきだったのを任せちまってよ。」

 

「…いえ、こちらこそ怪我の手当てまでして頂き感謝します!

それでスウォルドさん、この後はどうなさるのですか?」

 

俺はスウォルドさんに尋ねる。

と言うのも、俺が任せれたのはリーゼの事のみ…この後どう動くべきかがまるでわからないのだ。

 

「ああ、そうだったな…

大声で言うモンでもねぇ、キルトちょっとこっち来い。」

 

そういって手招きするスウォルドさんに近付くと

 

「悪いな、本当にすまねぇ。

だが、後の事は全部俺がやる。

あの野郎は、俺がカタ付ける!」

 

スウォルドさんに顎を叩かれ視界が暗転する…

最後に俺が見たのは拳を握り締めるスウォルドさんだった。

 

「俺は認めねぇ、こんなチャートはな。」

 

そう呟いた声を聞くものはそこには誰も居なかった。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

9/9

遂に最終回を迎えたのに特大ガバでどうしようもなくなってるRTAです!…始めよう。

前回はラスボスと一緒に裏ボスを倒してボーイズトークをしていたらDLCの追加ボスに襲撃されたところまででしたね。

さぁ…どうしましょうか。

とりあえず、ヴォエ兄貴と何してるのかって訊かれたんで答えましょうか…

 

「なにって、只のピロートーク…」

 

「君達の命を救っていたのさ

なに、感謝は必要ないよ?

あまねく弱者を救うのも強者の務め…ノブレスオブリージュと言うヤツさ」

 

ヴォエ兄貴に割り込まれちゃっ…たぁっ!

やめてよね…人がふざけて有耶無耶にしようとしてる時に人を煽るのは。

 

「そんな事が聞きたい訳ねぇだろ。

俺は、お前がなんでそいつを殺してねぇのかって訊いてんだよ。

話が違うだろぉがよ!」

 

はえー、すっごい怒ってる…はっきりわかんだね。

やべぇよ…やべぇよ…せや!

 

「いやぁーそれがさぁ?[結晶皇帝]を倒す時の計画が狂っ(ガバッ)ちゃってもぉ~辞めたくなりますよ~。

ああ゛ー、疲れたぁんもぉ!皆で祝勝会シよ?」

 

そう言うと、スウォルド兄貴がパツキンに変わり俺の右足が消し飛ぶ。

…はい、これがスウォルド兄貴の能力[転写(コピー)]と[超越(プラスワン)]ですね。

相手の能力と()()()()()等の全てを完全に模倣する[転写]と自身の能力を強化する[超越]を持つスウォルド兄貴は間違いなく全能力者中最強であり、ヴォエ兄貴を[転写]しその頭脳を得て、[超越]により上回る事で簡単に世界最高の頭脳と世界最大の軍事力を獲得できます。

この、記憶と経験を含むコピー能力は使用された時点でイーブンまで持っていかれる上に[超越]の存在から対人では最強でありながら身近にいる世界最高峰の頭脳を持つラスボスの影響でさらに攻略がムリゲー化してますね…

…ん?俺をコピー?もちろんされてますし、そのせいでスウォルド兄貴は唯一今までの全てを知っています。

それでもなんだかんだと言いながら今まで協力してくれてたんですが…

 

「協力?あぁ、してたぜ。

てめぇの妹が壊れていくのを見捨てて、大事な後輩連中がボロクズにされんのを指咥えて見続けて…

それでも!あいつらを救う為にって、歯ぁ喰い縛ってテメェに付いてた!

それがどうよ?テメェは土壇場でやりやがった…計画じゃあヴォイオニスごと始末する手筈だった!!

なんでそいつが生きてて二人で仲良しこよしで終わろうとしてやがんだ!?」

 

黒髪になったスウォルド兄貴が叫ぶ。

これが厄介なんですね…

スウォルド兄貴は記憶の完全コピーによりこちらの()()()()()()()()()()()()()()

だから敵対している場合、面と向かった時点で詰みです。

なんだこのクソゲー!?

 

「これはこれは…随分と酷い事を言うね、スウォルド君

まさか君が、私が死んでいないと駄々を捏ねるとはね?

皆に愛される程に公明正大な人間とは言えないが、他でもない君に死を願われるとは…悲しくて涙が出てしまうよ?」

 

ヴォエ兄貴が泣き真似してますね…男の泣き真似は醜いんだよなぁ。

 

「…そうか、ヴォイオニス…アンタはもう死ぬ気はないのか?」

 

「そう…だね、別に長々と生き永らえるつもりもないけれど…もうしばらくは、君達を…あの子を見届けるくらいはしても良いかと思ってね?」

 

「………そうか、ならその事はもう良い。

じゃあ、後はお前とだな走者殿?」

 

アッハイ、何ですかね?タイムが遅いとかですか?

それともチャートが壊れちゃった事ですか?

でも再走は…再走だけは勘弁願えませんかね?

もう9/9って言っちゃってるんで…

 

「それだよ、お前なんでRTAなんかしてる?」

 

…えーっと、それは何故山を登るのか的なアレですか?

じゃあ…そこにチャートがあるからですか…?

 

「そういうのじゃあねぇ、お前ならR()T()A()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()って言ってんだよ。

なんで早さに固執する?お前なら…アンタなら時間さえあれば全部を丸く納められた筈だろ…

俺にも納得いくように説明してくれよ。」

 

……そりゃまぁ…一刻も早く皆を救いたかったから

 

「嘘だな、そんな言い訳が俺に通じない事ぐらいとっくにご存知なんだろ?」

 

……つまんねぇだろ?真面目に人助けなんてさぁ!

下らねぇ!ツマンネェ!!面白くねぇんだよ!?

こっちはいきなり呼び出されて!命懸けて救ってくださいって無茶振られて?

ホンッッッッッット!馬鹿ばっっかなのな!?

それでハイソウデスカってか!?

俺はお前らの奴隷か!?都合の良い下僕とでも思ってんのか!?

ああそうだよ!!お前の妹を使う必要なんざ一切無かったぜ?

だけどなぁ!あの馬鹿女に俺が何回殺されたと思う?

あの正義気取りの金髪馬鹿とその馬鹿に惚れてるノータリンの糞女に俺が何回殺されたかわかるかぁ!?

あの脳ミソスカスカのサイコレズに何回殺されたぁ?

そこの悪役気取りの構ってちゃんにだって!この世にへばり付いてる生ゴミ共とそれの親玉やってる馬鹿に殺された回数は?

ぜーんぶ併せて何回だぁ!?

 

「…314回、時間にして2年と4ヵ月25日8時間だな。」

 

あぁぁぁぁらお利口さぁん!!

お兄さんの記憶を読んで答えてくれたのぉ?

エライねぇぇ?

じゃあ、判んないかなぁ?

嫌がらせだよ、イ・ヤ・ガ・ラ・セ!

あの勘違い女をヤり捨てときゃあよぉ?

あの馬鹿女本人とそれに惚れてるサイコレズに熱血馬鹿!

ついでにお前にもキクだろ?

問題を解決しなきゃ抜け出せねぇ糞世界…ならよぉ!

()()()()()()()()()()をすりゃあいい…

俺ってばアタマイイだろ?

ホントは四天王のクズ共とそこの寂しんぼちゃんもぶっ殺したかったんだが…どーもダメみてぇでガックシだったぜぇ?

 

「…それが遺言か?」

 

なぁにぃ?もしかしてオコなのぉ?

笑わせんじゃねぇぞ!!クズが!

テメェらに俺を裁く権利があるとでも思ってんのか!!?

それにぃ?遺言だぁ?

お前、もしかしてまだ…自分が死なないとでも思ってるんじゃないかね?

甘ぇんだよ!

はい!ここでさっき袖口に取ってた皇帝の欠片を投げつけます!

皇帝の欠片には能力を阻害する働きがあるので!この自分が強いと思ってる馬鹿の能力を阻害して!嬲り殺す事が出来ます!!

だから取っておく必要があったんですね!!

勝った!第3部完!!!

 

「…だ、そうだ。

しっかりと聞こえたか?

後輩諸君。」

 

ああ゛?

能力頼りの馬鹿(スウォルド)に殴りかかろうとした瞬間に身体が地面へとめり込む。

 

「…貴様は、最初からそれが狙いだったのか?

私に…私達にそんなことをする為だけに…?」

 

あー、なんか言ってますねぇ。

もっとハキハキ喋ってくれません?

て言うかぁ、俺はお前らを助けてやってる側ですよ?

なら、コレってオカシイよなぁぁ!?

 

「ウソ…ですよね?

俊稀君がそんな事…何か、別の事情があって、それで…」

 

「…リーゼ、落ち着け。

君も俺もあまり興奮すると身体に障る。

…俊稀、お前の想いは決して許されるものではないだろう…しかし、確かに俺達に糾弾する権利等は無いだろうな。

残念だ、俺はお前を信じていたかった…この想いも負担だったのだろうか?」

 

あ゛ー、馬鹿共がなんか言ってら!

そーいうボクチンは理解がありますよーってのがいっちばん腹立つんだよなぁ!

信じていたかったぁ!?そんな事言う奴が初対面から殺しに来んじゃねぇボケ!!

初っぱなからヘラってる豆腐メンタルがちょーっと優しくしただけで付け上がりやがってよぉ?

クソウゼェんだよダボハゼが!

 

「それ以上キルキルを悪く言うなら…容赦しない。」

 

あぁー?誰かと思えば能力で延命し続けてる若作りクソババアじゃないですか!

正直、加齢臭ヤバいんで今度新しい身体造る時は気を付けた方が良いですよ?

ああ、俺が皇帝ぶち殺したからもう造れないんでしたっけ(笑)

 

「…それ以上私の生徒を愚弄するのは辞めて貰おうかな

…残念だよ、君は私以上に愚かしい道を選ぶ事しか出来なかったようだね

願うなら、もう少しボーイズトークといきたかったのだがね?」

 

あ゛ー、悪役だと思ってたけど実は良いヤツでしたーっていうの苦手なんですよねぇ…

じゃあ最初から良いヤツとして出てきた方が良くないですか?

劇場版のジャイ○ン現象ですよ、実は良いヤツより最初からずっと明確に良いヤツのが偉大でしょ?

 

「…リーゼ、目ぇ瞑っとけ。」

 

「なんでそんな事言うんですか?

お兄ちゃん!俊稀さんに何するんですか!!」

 

「キルトっ!!抑えとけっ!」

 

「…リーゼ、もう…」

 

「離してっ!お願い、離してよ…離して…

なんで、こんな…私は、皆で笑いたくって…」

 

あぁ↑~いい気分ですねぇ!

やっぱこのクソ女の泣き顔を…最高やな!!

 

「失せろ、外道が…」

 

スウォルドがその頭を踏み潰さんと振り下ろした足が虚しく地を踏み締めたと同時に地に伏していた男が消え去る。

 

「…殺したんですか?スウォルドさん…」

 

「いや、間に合わなかった…

逃げられたようだな。」

 

そう言うとスウォルドはリーゼに近付くとその頭に手をあてる。

 

「…何するの?」

 

「判るだろ…アイツの事を忘れて貰う。

俺の能力もいつ消えるかわからん以上、迷ってる場合じゃねぇ…」

 

リーゼは震えながら目に涙を浮かべて話す

 

「お兄ちゃんは…人の記憶を、いらないからって…辛いだろって…なくしちゃうんだね…?」

 

「……俺は、悪いアニキだな。

あん時にお前をもう泣かせないって言ったのに…また泣かせちまった。」

 

スウォルドは崩れ落ちたリーゼを抱き抱え呟いた

 

「スウスウ…追わなくていいの?」

 

「…追うさ、地獄の果てまで追っかけてやる。」

 

スウォルドは冷たい目でそう言った

その声音は、先の暖かみを排した底冷えするモノだった

 

 

 

 

 

 

 


 

 

「いやー、巧くいきましたなぁ!谷崎氏!

それもこれも谷崎氏と拙者の名演のなせるワザというもの!」

 

「…スウォルドちゃんさぁ、やっぱさっきのが絶対良いよ?

そのオタッキー丸出しの喋りよりさ?」

 

「むぅ、何を仰る!

拙者のこの喋りは由緒正しきものであって、同士諸君に通ずるものにゴザルよ?」

 

「いや…まぁ、良いけどさぁ…」

 

「それよりも、本当に良かったのでゴサルか?

谷崎氏との打ち合わせ通りとは言え…これでは谷崎氏一人が悪者になってしまうではゴサらんか!」

 

「だからぁ、前も言ったっしよ?

[前進]を持ってるリーゼちゃんの記憶を消すには一芝居うたなきゃ駄目だってさ。」

 

「確かに聴いたでゴザルが…いっそ谷崎氏が家に婿入りして正真正銘義兄弟の契りを交わすというのもありだったのでは?」

 

「ナシだよ!

なんでシテもない事で婿入りまで強要されなきゃならんの!?

前も言ったけど!アレはリーゼちゃんが勘違いしてるだけなんだって!!」

 

「えぇー、ホントにゴザルかぁ?」

 

「なんで疑うの!?記憶読んでるんだよね!?」

 

「まぁ、我が妹ながらハグとオデコにキッスで抱かれたと言い出した時は性教育の重要性に気付かされたでゴザルなぁ…」

 

「ホントだよ…態々この為だけに滅茶苦茶遠回りする嵌めになったし…」

 

「うむぅ、面目ない…」

 

「まぁ良いよ、こっからはスウォルドちゃんに頑張って貰うんだからさ。」

 

「それなんでゴザルが…やはり、もう一度考え直したりはなされぬか?」

 

「なされねぇよ。

これで、全員の記憶がリセットされて…次の周回でスウォルドちゃんがしっかりとハッピーエンドまで持ってきゃあ何の遺恨も残らねぇ…

俺は本来この世界に居ない人間で、事が終わればサヨウナラなんだぜ?

そもそもが深く関わるべきじゃねぇのよ。」

 

「しかし、それでは谷崎氏のやってきた事が…」

 

「カカカ、俺のやってきた事なんざ思春期の少年少女の背中押したぐらいだっての!

んでもってそれも引き継ぎ済ましたし、もうなーんもねぇよ!」

 

「ぬぅ…ひねくれておられるなぁ。

ここまでやってるのだから、少しぐらい見返りを求めてもバチは当たらんでゴザルよ?」

 

「だからぁ!はなっからそんなモン求めてねぇの!

いいから早く首チョンパなりなんなりしてよ!」

 

「…しかし、それじゃあ俺の気が済まねぇ。」

 

そう言うとスウォルドちゃんの姿が変わっていく

 

「…よくぞ、我等を救ってくれたな…礼を言おう」

 

その姿は、俺のよく知る彼女のもので…

とりあえず、ぶん殴っとこう

 

「エゲェ!?

なにするでゴザルか!!」

 

「うっせぇわ!!人の大事な想い出に原付バイクで突っ込んで来やがって!

二度とすんじゃねぇ!!」

 

「えぇ(困惑)谷崎氏の推しの姿を再現した筈でゴザったが…

あぁ、解釈違いでゴザったか?それは申し訳ない事を…」

 

「ちげぇよ…あー、でも解釈違いではあるけど…もう!とにかくダメ!!

それは俺の一番深いとこなの!!」

 

「…そりゃぁ、悪い事したな…」

 

「急に真面目になんないでよ!?

俺が悪ぃみてぇじゃん…ああー、もう!

じゃあ!今度の周回で全部キレーに片付いたら…飯でも奢ってよ?

もちろん、タケー店でとびきりウマいのな?」

 

「ウム!!拙者に任せて下され!

谷崎氏が限界オタクに成る程ウマい物を用意するでゴザルよ!!」

 

「…おう、楽しみにしてるわ。

だから、早く止めさしてくんない?

正直四肢欠損した状態で長話は堪えるわ…」

 

「ぬぉぉ!拙者とした事が申し訳ない!

では失礼するでゴサルよ…」

 

そう言うとスウォルドちゃんはもう一度、彼女の姿になって言う

 

「では、貴方の行く末にとびきりいかした惨劇と染みったれた幸福のあらん事を…勇者(魔王)殿。」

 

だから…解釈違いなんだって

 

 

 

 

はい、次の周回が始まったのでここでタイマーストップ!!

記録は8時間32分57秒08でした!

後は下の皆に見つからない内にスウォルド兄貴と入れ替われば終了ですね。

では、初回と同じく自由落下中で特にやることもないので…

完走した感想でも!!(激ウマギャグ…これは誰がなんと言おうと激ウマギャグなんだ…!)

正直、もうちょっとやりようがあったとは思いますが自分はこれ以上はいやーちょっとキツイっす…

チャートは残したので後は後続のホモの兄貴達に任せますよ!

皆も走ってくれよな、俺も走ったんだしさぁ(圧力)

 

それでは皆様、またどこかでお会いできれば!

ご機嫌よう!!

 




一応、本編終了です…
この後は各キャラの設定集を投稿するかと思います。
また、もしご質問等あれば感想欄にぶちまけといて下さい。
量が多ければ回答回として投稿するかと思います…多分
少なければ普通に返信しときますね。




目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

設定裏話

キャム・カンパネル

【挿絵表示】

ルーナ・レオーネ

【挿絵表示】

リーゼ・チェレステ

【挿絵表示】

スウォルド・チェレステ

【挿絵表示】

ヴォイオニス・エガルデ

【挿絵表示】

キルト・イェシャラディン

【挿絵表示】

谷崎俊稀

【挿絵表示】

ジェネレーターで作った挿絵です
ご査収下さい


キルト・イェシャラディン

本作唯一の一般家庭出身の四天王であり、最も背景が普通の人

実は四天王の中で一番のモテ男で、走者君が来るまではリーゼちゃんとキャムちゃんから好意を向けられていた

しかし、肝心のルーナ姉貴からはリーゼちゃんからの好感度が高いせいで割と嫌われていた可哀想な人

四天王で唯一スウォルド兄貴のオタク口調に理解があり度々アニメや漫画を勧められていた為実はそこそこ走者君のパロネタに乗ってこれたりした

作中では出なかったが能力名は[創造と共に破壊あり(ハンドメイド)]

名前の由来は布同士を重ねて縫う技法のキルトから。

 

 

キャム・カンパネル

本作の最年長(走者君を除く)

実は最古の能力者の一人であり、自身の肉体の死期が近づく度に新しい肉体を能力で造りそれに意識を移し替えて延命を続けていた

この事を知っているのはスウォルド兄貴とヴォエ兄貴のみで二人はバレないようにヒヤヒヤしながら学園生活をサポートしていた

実年齢は数百歳の為に物忘れが酷く、他人をあだ名で呼ぶのもただ単にフルネームが覚えられないから

ちなみに、キルト君は初恋の人に似ているからという理由で年甲斐もなく誘惑を続けていたが途中からそれも忘れてた為に今では純粋に恋をしている

作中では出なかった能力名は[膿だす女王(レディメイド)]

 

 

スウォルド・チェレステ

一番裏設定の多い人

能力者の限界の調査、軍事利用を目指す計画忌むべき子供達(オラクルチルドレン)計画にて産み出された

研究者からはその材料や完成度、スペックから終焉個体(カーテンコール)の識別名を与えられる

ヴォエ兄貴とは計画を潰し仲間を匿っていた所を拾われて以来ズッ友

ヴォエ兄貴曰く史上最高傑作であり空前絶後の失敗作

その正体は代償の悪魔の魂

人為的に降ろされた魂はその記憶や精神性の一切を漂白された

その特異性から能力者の寿命とは無関係で現在21歳である

作中の代償の悪魔が弱かった理由はこの為

能力名は無し(彼の能力は厳密には能力ではなく悪魔としての権能の為)

 

 

リーゼ・チェレステ

実は人間じゃない人パート2

その正体は忌むべき子供達計画で終焉個体を産み出した研究者達が人体に依らない能力者をと造り上げた個体で秒間3165回の能力行使により生きているかのように振る舞う現象

本質的に生物ではなく能力が身体をつくりあげているだけの為その思考も全てプラグラムの範疇を出ない

今回も未知のデータを持つ異世界人(走者君)に対して自身の進化の可能性を感じて近付いていただけ

この事実を知っているのはスウォルド兄貴とヴォエ兄貴だけで本人は知らなかったりする

識別名は深淵個体(グランドフィナーレ)

能力名は[検体No.3017(リーゼ・チェレステ)]

 

ルーナ・レオーネ

この子も計画で産み出されたんですね

という事で実はヴォエ兄貴とは一切の関係がない

能力者の寿命を克服する為に造られた個体で通常脳内に存在する結晶体が子宮内に存在する

その際の拷問とも言える手術の連続で精神崩壊を起こしていたがヴォエ兄貴が甲斐甲斐しく介抱する

そして、子宮内の結晶体を摘出する方法を模索するが外科手術での摘出にルーナの身体が持たない事を悟ると結晶体により変質させた寄生虫に内部から結晶体を除去するプランへと変更した

なお、寄生虫が激痛を与えていたのではなく結晶体が肥大する際の痛みをそれと勘違いしていただけ

もちろん、計画により産み出されたルーナに母親は存在しないがヴォエ兄貴は彼女の生きる希望となるならばと一般人女性と結婚し彼女の母として振る舞ってもらっていた

しかし、計画によるPTSDや激しい抑鬱症状に加え能力による無造作破壊から母親に恐れられさらに症状が悪化した

能力名は[踊る道化師(クラウンピース)]

 

 

ヴォイオニス・エガルデ

実は良い人で作中一不器用な人

実は俊稀とスウォルド君の一芝居を全て理解した上で乗ってた人

生い立ち等は作中で語った通りだが、少しだけ嘘が混じっている

本人は世間から疎外されようと親に殺されかけようとも人間を愛し、彼らに怨みを抱くことはなく自らを異常者であると断じ周りの歩調を変えることは望まなかった。

学園を創ったのは世間から疎まれる能力者にせめて安らげる場所をとの思いから

何時からか死に方を考える日々を送っていた彼はある日数人の子供を連れた少年に出逢い、夢にまで見た家族を得た

そして彼は決心する。彼女の為に生き、彼女の為に死のうと

能力名が作中で唯一判明しているキャラ

能力名は[雛から孵る鶏(パラドクス)]

 

 

腐乱結晶

実は周回の記憶を覚えているのではなく周回中に殺した能力者を吸収し続けていただけ

故に周回数があと数十回増えていたらかなり危険だった

ちなみに、周回中に一度も死んでいない為にセーフだったがスウォルド兄貴が一度でも死んでいた場合は完全体の代償の悪魔が降臨しRTAが壊れていた




これで詳しい情報も揃ったな…
よし、誰か走ってくれ


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第一回!ドキッ♥️男だらけの地獄のボーイズトーク!!

俊稀「第一回!ドキッ♥️男だらけの地獄のボーイズトーク!!ポロりもあるよッ!!」

 

スウォルド「イェーイ!でゴサル!」

 

ヴォイオニス「地獄って言ってしまうのか…」

 

俊稀(以下ト)「そりゃ地獄だよ男しかいねぇもん」

 

スウォルド(以外ス)「ゴザルよねぇ…」

 

ヴォイオニス(以下ヴ)「と言うか…いつもと形式まで違うじゃないか…

なぜ急に台本形式なんだい?」

 

ト「ドストレートにクソメタい事言うねぇ…

そりゃ(男しか居ねぇんだから)そうよ」

 

ス「それよりも!!拙者はボーイズトークとやらに心が踊るでゴサルよ!!

ヴォイ兄も谷崎氏も!今日は無礼講でゴザルよー!」

 

ヴ「いや…正直に言うと谷崎君?とは初対面なんだが…」

 

ト「なぁに?ヴォイオニスちゃんったらあんなに激しく絡みあったのを忘れちゃったの!?

俺とは所詮遊びだったったワケ!?」

 

ヴ「……あぁ、こんなにも情報同期機能を作った事を後悔する日が来るとはね

よーくわかった…わかったから帰ってくれ」

 

ス「ヴォイ兄は拙者達とお喋り…イヤでゴサルか?」ウルウル

 

ト「あーっ!なーかしたーなーかした!ヴォーイちゃんがーなーかしたー!

先生!ヴォイオニス君がスウォルド君泣かしてまーす!」

 

ヴ「先生は私だよ…ああもう!わかった!私も喋ればいいんだろ!」

 

ス「わかりゃあいいんでゴザルよ」

 

ト「喋るだけで良いのかお前?オラッ!あくしゃぶんだよ!!」ボロン

 

ヴ「君達のボーイズトークって醜くないか?」

 

ス「うぬぅ、しかしボーイズトークがどんな事を喋るものかもわからんでゴザルよ?」

 

ト「全く、仕方ないなぁ二人共!」

 

ス「トシえもん!!」

 

ヴ「なんだこの茶番…」

 

ト「でれてれってれー!コイバナ!!」

 

ヴ「せめて存在するモノを出してくれないかい?」

 

ス「うわぁ!コイバナ!?コイバナって何でゴサルか!?フシ○バナの進化系でゴザルか?美味しいでゴザルか!?」

 

ヴ「ジャングルの奥地に住む原住民かな?

スウォルドは一体何故そんなにテンションが高いんだい?

と言うか流石にコイバナの意味ぐらいわかるだろう?」

 

ト「コイバナってのはな、好きな女子の話をして皆で盛り上がる事を言うんだぜ!」

 

ヴ「流石に要らないよその説明は…」

 

ス「好きな女子の話を…!すっ、スゴいでゴザルぅぅぅぅそんなの絶対楽しいでゴザルよ!?

そんな事を思いつくなんて…やはり天才でゴザったか…」

 

ヴ「もしかして文明から隔離されてきて今日初めて解放された?

あと、別に彼がコイバナの概念を産み出した訳じゃないよ?」

 

ト「じゃあ、皆の好きな人いっせーのーせで言おう」

 

ヴ「君は君で流れるように進めるね?

あとまさかとは思うけどその皆には私も入っているのかい?」

 

ス「いっせーのーせ!?これを使えば皆でタイミングを併せることが出来るでゴザル!!」

 

ヴ「間違ってたら申し訳ないけど何らかの罪で記憶を抜かれた?」

 

ト「いっせーのせっ………皆何も言わないじゃん!」

 

ヴ「そりゃあそうだよ…」

 

ス「沈黙…!皆が何も言わないとこんなに静かになるんでゴザルか!?」

 

ヴ「君は一体何処へ向かっているんだい?」

 

ト「もおー!皆恥ずかしがっちゃって…カマトトぶってんじゃねぇぞ!!」

 

ヴ「別にそういう理由で黙ってた訳ではないけどね

あと、君も君で情緒が不安定過ぎないかい?」

 

ス「ふむぅ…察するに好きな人というのがネックでゴザルな!

この言い方では自分の好きな人を言うリスクとお前ごときが高望みし過ぎだろと言われるリスクが付き纏い萎縮する可能性が大でゴザル…ここは思い切って四天王の女子で一番タイプの娘を言うに変更するのはどうでゴザル?」

 

ヴ「急にIQが戻ったね…

それと別にそんなリスクとか関係なく黙ってたんだけどね?」

 

ト「…ソレ、採用!」

 

ヴ「なぜたった6文字にそんなにもウザさを詰め込めるだけ詰め込んだんだい?

過重積載で法に引っ掛かるよ?」

 

ス「じゃあせーので言うでゴサルよ!!」

 

ヴ「もしかして私は君達と言語が違ってたりするのかい?

さっきから何のレスポンスもないが」

 

ト「せーのっ!」

 

ヴ「ルーナ・レオーネ」

ス「リーゼタン!!」

ト「キャムちゃん!」

 

スヴ「……」

 

ト「おぉ、割れたねぇ…まぁその方が面白…」

 

スヴ「なんだァ?てめェ…」

 

ト「独歩ちゃん湧いてて草」

 

ス「全く!二人には失望したでゴザルよ!!

元々世界一可愛いリーゼタンしか選択肢が無いところを三択にまで減らしてより答えやすくしたと言うのに!」プンスコ

 

ヴ「仕方ないね、世界一可愛い娘とやらよりも銀河一可愛くて美しい私の娘ルーナが選択肢にあるんだからミジンコでもわかる問いだったのだが…

まさか君達の脳がミジンコ以下とはね、恐れいったよ」

 

ト「はえー、本編のボスキャラ共が早口オタクと化してる…」

 

ス「そもそも!選択肢がおばあちゃんとメンヘラとマイエンジェルしか居ない以上!実質一択ではゴザらんか!!」

 

ヴ「悲しいね、自分の推しに自信がないから周りを落とす事でしか持ち上げられないとは…

マイスイートゴッデスはそこに居るだけで既に天上に至っているからね、持ち上げたくても出来なくて悲しいよ」

 

ト「なんだこのシスコンと親バカ…」

 

ス「ほぉーう!そこまで言うんでゴザルかぁ!

吐いた唾ぁ飲むなよぉ!ヴォイオニス!!」

 

ヴ「全く、近頃の若者は堪え性が無いね…」

 

ス「お前に性癖をさらけ出してもらう…決闘だ!」

 

ヴ「ほぉ、ならば互いの能力でも使うのかい?」

 

ス「当然!妄想だッ!!」

 

ト「駄目だ…二人ともIQが5になってる…」

 

ス「古くから受け継ぐ妄想ッ!

それが流儀ィィッ!」

 

ヴ「ならば先攻は戴こう」

 

ト「後で皆でちゃんと色んなとこに謝りに行こうな?

お兄さんも一緒に付いてってあげるからさ。」

 

ヴ「ふむ、最初だしね…軽めにジャブから行こうか

想像するんだ…ルーナはいつもは気丈に振る舞う格好美しい系の女神だが、その内面は絹のようにデリケートで繊細…私達のような下等な民草がその内面を覗き見る行為は本来死に値する重罪だが、無礼講の今日のみは大目に見ようじゃないか」

 

ト「なんか始まっちゃった…」

 

ヴ「設定は…そうだな、映画…ホラー映画がいい

君は偶々生徒会室に届け物があり立ち寄った名も無き一般生徒だ

ノックをして中に入ろうとすると中から天女の悲鳴が聞こえる…未知への恐怖から一瞬の葛藤はあれど天女の安否を優先し君は生徒会室のドアを開ける

すると中ではソファの上でクッションを抱き締めながら身を縮め震える女神がこちらを涙目で見ている

室内を見渡せば備え付けのテレビで映画が流れている、内容から察するに少し前に話題になったホラーテイストのものだろう

そこで君は気付く…丁度物語の山場となっている画面と女神の目に溜まった天上の一滴から察するに自分のノックで女神は心を乱したのだと

よく見れば女神はこちらを見ていると言うよりは睨み付けているようだ

そこで女神はこう言うのさ…「どうした、何か用でもあるのか!」

少し怒気を孕ませつつも決して怖がっていたという事実を認めないかのように女神は君に用件を尋ねる

君も見なかった事にしようと届け物がある旨を手短に伝え立ち去ろうとする…君がドアへ振り返らんとする正にその時画面から甲高い女優の叫びと血飛沫の音が響く

「ウキュゥ!?」

君は耳にした、天界の福音かと思われたそれは目の前の女神の悲鳴だった

クッションで顔を隠すがその切れ長な目だけを覗かせる女神は顔の大半が隠れているというのに一目でわかる程に顔を紅くしていた

「きっ、貴様!何を見ているっ!!」

大粒の涙を堪えながら叫んだ声も裏返り気味で…君は天国の存在を確信しながら急いでドアへと向かう

しかし、君がドアノブに手をかけると「あっ…わっ、私を一人にするのか…?」振り返ると今にも涙が零れそうな女神は震えながら君を見つめている

もちろん、君に選択肢などない

君が女神の側に近寄ると「そっ、そこに居ろ!私がこの書類の確認をしてやる…ふっ、不備があるといけないからな…!」女神は君の届け物を手に取りながら君にそう言う

女神は書類を確認しながらもチラチラと君を伺い、時折「ちゃ、ちゃんと居るな…?居るよな?」と呟く

君は自身が前世で積み上げた善行に感謝しながらこの至上の一時を過ごす

すると、その時は突然訪れた

映画のエンドロールが終わりこの一時も幕かと肩を落としていると画面が切り替わり物語で出て来た殺人鬼がアップで映り、叫びながら斧を振り落とす映像が流れたんだ

「きゃうん!?」

君は自身の理解が及ばぬ音色を聴く

音の方へ顔を向けると涙を流しながら女神が君の袖を掴み震えている

その映像が正真正銘のラストだったらしく画面には映画のタイトルが映されているだけだがもちろんそんなものに目がいく状況ではない

君は畏れ多いとは理解しつつも女神の頭を撫でながら泣き止むのを待つ

数分程経つと女神は顔を上げ涙を拭いながら言う

「ヒック、グス…ありがと…」

君はそれを聞き名残惜しくも頭から手を離す

「あっ…」

まるでそれを惜しむかのような女神の声、君は硬直する

女神は涙を拭き終えると君に向き直り「此処での事は他言無用だ…言えばどうなるか解るな?」と平時のように君へ語る

しかし、その手は未だに君の袖を掴んだままだ…

そして君は理解する、ルーナ・レオーネこそがこの世界最後にして唯一の偶像なのだとね」

 

ト「語ったねぇ…

仮にも自分の娘を妄想に使う時点でドン引きだけど、内容は良いんじゃない?

王道のギャップ萌えって感じでさ」

 

ス「ゴブフッ!さ、流石はヴォイ兄…なんつー妄気(モーラ)だ…!」

 

ト「モーラってなに?初めましてなんだけど?

あと今の話にそんな吐血するようなダメージくらうトコあった?」

 

ス「推しの新たな一面を魅せる妄気…ヴォイ兄は変化系の妄気の使い手って訳だ…」

 

ト「変化系ってなんだよ、モーラってそんな念能力みたいな区別あんの?」

 

ス「やられっぱなしは趣味じゃねぇ、今度はこっちから行くぜ!!」

 

ヴ「ほぅ、来ると言うのかい…向かってくるのかい

このヴォイオニス・エガルデに対して!」

 

ト「なに?皆突発性難聴持ってる?」

 

ス「ゴホンっ!想像して下され…」

 

ト「そっちに戻っちゃうんだ…

でもその方が書き分けが簡単だから有難いけどね?

俺と被っちゃうもんね」

 

ス「リーゼタンは明るく元気で溌剌なタイプでゴザル

男子との距離も近く、性別で付き合い方を変えるような性格でもない為にクラスの男子の7割はアレ?コイツ俺の事好きじゃね?と愚かにも勘違いしているでゴサル」

 

ト「また始まっちゃう…」

 

ス「今回の舞台は…放課後が適任でゴザろうな

幸運にもマイエンジェルと同じクラスである御主は来月に控えた学園祭の為に放課後も居残りせっせと準備をしているでゴザル

一緒に準備をしている者も一人また一人と帰っていく中で遂には最後の一人となった御主はもうそろそろ帰ろうかと思っていると後ろからキンッキンに冷えたジュースを頬に当てられ「いやぁー!精が出ますね!遅くなっちゃってすみません、リーゼ・チェレステただいま戻りました!」と元気一杯に言うマイエンジェル」

 

ト「さっきから思ってたんだけど、女神とかマイエンジェルとかどうしてもいる?

普通に名前で良くない?」

 

スヴ「いる(鋼の意思)」

 

ト「そう…(諦め)」

 

ス「続けるでゴザルよ!

マイエンジェルのスキンシップにドギマギしながらも作業を続ける御主、ふと顔を上げるとこちらを覗き込むマイエンジェルとガチ恋距離…「おっ!やーっとこっち見ましたね!あんまり根を詰めるとシワ出来ちゃいますよ!」そう言いながら自分の眉間を両手の人差し指で押し摘まみシワを作るマイエンジェル…

ん゛っ゛がわ゛い゛い゛!!!

失敬、それを見た御主は当然俺に気があるのでは…と勘違いするでゴザル

その後もマイエンジェルをチラチラ見ながら、何時もより髪型が気になったりする御主、すると偶々マイエンジェルと目が合ってしまうでゴザル

「んー?どうしたんですか…あっ!!もしかしてぇー、何か付いてますか…?」

ほんのり頬を赤らめて髪を弄るマイスイートエンジェル、御主は顔を背けながらも否定するのでゴザルよ

御主の裏返った声を聞いたマイエンジェルはいじらいし笑みを浮かべ「あれぇー?もしかして…照れちゃってます?

放課後の二人っきりの教室で…私はどうされちゃうのでしょうか…?」と赤らめた顔でスカートの裾を弄るマイパーフェクトエンジェル…

御主程度の自制心では耐えることなど不可能でゴザろう

マイエンジェルの手を掴み告白してしまう御主、それを聞くとマイエンジェルは真っ赤になって「あうう、私…恋されちゃってるんです…?」と手で顔を覆うマイシスター

御主はそこで思うのでゴザル、アオハル…と!」

 

ト「駄目だ、内容自体は別としてオタクが妹を妄想のネタにしてるって時点で相当にキモい

お前、頭おかしいよ…」

 

ヴ「15000,20000,25000…馬鹿な!まだ上がるのか!?」

 

ト「ヴォイオニスちゃんはスカウターみたいなの着けて何遊んでんの…

あと、何処から出していつの間に着けたの?」

 

ヴ「30000,35000,まだ、ヌゥ!!」ドカン

 

ト「何で爆発したの?

計測不可でも普通爆発なんてしないよね?エラー吐いて止まるだけじゃない?」

 

ヴ「妄想力40000以上だと…?スカウターの故障だぜ!そうに決まってる…!」

 

ト「妄想力ってなに?あと何で急に口調変わったの?

しかもスカウターって認めたよね今!」

 

ス「とっくにご存知なんでコザろう?これが優しき心を持ち激しい推しへの愛によって目覚めた…スーパーオタク人にゴザル!!」

 

ト「もう止めよう!!怒られるから!!」

 

ヴ「なら、俊稀君の分は第二回に回そうか?」

 

ト「回すもクソも終わりだよ終わり!!

閉廷!!」

 

ス「お後が宜しいようでゴザルなぁ」

 

ト「宜しくねぇからだよ!!!」

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第二回ボーイズ座談会

スウォルド「座談会の時間でゴザルよ!!」

 

俊稀「続いちゃったんだ…(諦め)」

 

ヴォイオニス「さて、今回は俊稀君からだったね?」

 

俊稀(以下ト)「えぇ…俺は別に二人みたいにキャムちゃんに気持ち悪い感情がある訳じゃないんだけど…」

 

スウォルド(以下ス)「ベロンッ…ふむ、これは嘘をついている味でゴザルな!」

 

ト「躊躇なく人のほっぺた舐めるじゃん…」

 

ヴォイオニス(以下ヴ)「そっちの手を開いてごらん」

 

ト「?…ナニこれ?」

 

ヴ「ルカの右スカウターだぜ…どうせ出番がねぇんだから持って来たんだ」

 

ト「いや、本当にナニ?右スカウターってことはルカ両目にスカウター着けてない?

あと本当にどっから出してきていつ俺に持たせたの?」

 

ス「汗をかかないでゴザルね…」

 

ト「順番が無茶苦茶じゃん…

ぜーんぶ逆!汗かかす為に右目でベロンッなんだよ!」

 

ヴ「今度はこっちの手を開いてごらん」

 

ト「?…ナニこれ?」

 

ヴ「ルカのセンタースカウターだぜ…」

 

ト「ごめん、ホンットに何なの!?

後ルカってなんなの!!センターにスカウターがあるなら目が3つない?天さんじゃない!?

あとヴォイオニスちゃんはなんでこんなにスカウター持ってんの!?業者なの!?」

 

ス「で、谷崎氏の妄想はいつ始まるんでゴザルか?」

 

ト「無茶苦茶なハンドルの切り方するじゃん…タイヤが焼き切れちゃうよ?」

 

ヴ「スカウターで片目をやられてね、君でも勝てるだろう

来いよ俊稀君。羞恥心なんか捨てて、かかってこい」

 

ト「言っとくけどその流れで俺が語りだす事はないからね?」

 

ス「誰がテメェなんか!テメェなんか怖かねぇ!!」

 

ト「もう毎っ回順番が違う!

しかもスウォルドちゃんが乗っちゃうんだね!!」

 

ヴ「乗るなエース!!戻れ!!」

 

ト「もう止めてくれよぉぉぉ!!これ以上パロネタで食い繋ごうとしないでくれよぉぉぉ!!!

せっかく本編終わったのにこんな茶番でパロディタグなんか増やしたくねぇよぉぉぉぉ!!」

 

ス「茶番でゴザルか…谷崎氏の栄光時代は何時でゴザルか…

本編の時でゴザルか?

拙者は今なんでゴザルよ!!

 

ト「そんな訳ねぇだろ!!

もっと自分に自信持ってくれよ!!」

 

ヴ「俊稀君、君はスカウターだ

泥にまみれろよ」

 

ト「何なんだよ!!

もうみぃーんな壊れちゃった!!何もしてないのに壊れた!!!」

 

ス「何もしてないなら壊れないんでゴザルよなぁ」

 

ヴ「そうやって何もしていないと言う輩は往々にして現状を改善しようともしていないものだよ」

 

ト「なんか急にディスられてる…出るとこ出たら勝てるよ俺?」

 

ス「出るんじゃなくて出すんでゴザルよ!」

 

ヴ「自身の身体を流れる妄気を解放するんだ」

 

ト「もう何でもいいよ…これやったら終わるからね!」

 

ヴ「仕方ないね」

 

ス「承知にゴザル」

 

ト「あ゛ー、まぁキャムちゃんのアピールポイントとしてはやっぱりロリババアなとこだよね」

 

ス「ふむ、確かにこの学園の最年長にゴザルからなぁ」

 

ヴ「ロリと言うほどかと言われると少し迷うが実年齢からの解離という意味ではそう言えなくもないね」

 

ト「んで、まぁ物忘れとかがあって本人がそれをスゲー気にしてるってのもポイントだよ

貧乳萌えとかだって極論ソレ自体に萌えてるんしゃなくて本人がソレに羞恥心を持ってるってトコに萌える訳だしさ」

 

ス「ふむふむ、一理あるでゴザルね」

 

ヴ「しかし、それでは君がキャム・カンパネル女史を推す理由としては薄くないかい?」

 

ト「だから別に推してる訳じゃねぇんだって…

まぁ、確かにここまでなら他二人にも似たようなトコもあるしアピールとしては弱いってのは正論だぜ?

でも、キャムちゃんには他の二人にはないキャムちゃんにしかないアドバンテージ…無口系クーデレがあんのさ」

 

スヴ「なん…だと…?」

 

ト「止めよ?ホントにタグ増えるよ?」

 

ヴ「クーデレか、確かに女神はクールではあれど私達のような下等な生命にデレなどを見せることはないね」

 

ス「むぅ、確かにマイエンジェルはデレ要素はあれどクールとは言えぬでゴザルなぁ」

 

ト「そう言うこった

無口系クーデレは最近持て囃されるようになったが歴史自体は古く非常に多くの先人のいるジャンルでもある

王道を外すってのが流行る事も勿論あるが、王道ってのは大衆に好まれるものを長い年月をかけて洗練していった結果…言わば受け継がれ、受け継いでいくバトンなのさ」

 

ス「そう言うのいいから早く妄想するでゴザルよ」

 

ト「もしかしてストレートしか投げ方知らない?」

 

ヴ「谷崎俊稀、推しのために闘う事は罪ではない…

話し合いなど通用しない相手もいるものだよ

精神を欲望のまま、自由に開放してやるんだ…

気持ちは分かるが、もう我慢する事はないんだよ…」

 

ト「ヴォイオニスちゃんって実はすごいドラゴ○ボール好きでしょ?

さっきから口開けば出るじゃん」

 

ス「3時間だそれ以上は待ってやらんでゴザル」

 

ト「あれだよ?皆の好きなセリフ選手権じゃないよ?

何言っても許される訳じゃないからね?」

 

ヴ「時間だ、どうやら待ってもムダだったようだね」

 

ト「話聞いてた?」

 

ス「いいから早くしろやグズ」

 

ト「えぇ…(困惑)急に怒るじゃん…

スゥー、じゃあ…クーデレを活かせる最高の設定…

そうさなぁ、設定は付き合い始めて数日ってトコかな?」

 

スヴ「推しに手を出したな!法廷で会おう!!」

 

ト「むっちゃ仲良いじゃん…

あと、自分の妹やら娘やらを妄想のネタにしてる人間のクズ共に言われたくないんだけど…」

 

スヴ「…?」

 

ト「なんでわかんねぇんだよ!

まぁいいや、えーっと…学園に入学した時からキャムちゃんが好きだった君らは遂にその想いを彼女に伝えて晴れて恋人同士と相成りました。

その過程でロリババアカミングアウトとか色々あったけど全部受け入れた無敵の君らにキャムちゃんも好感度爆上がりです」

 

ス「なーんか雑でゴザらんか?」

 

ト「うっせぇ黙れ

今日も放課後に彼女に会いに生徒会室へ行くと中には誰も居ません

君は授業が長引いてるのかな?と思い中で待つことにしました

手頃な椅子に腰掛け、背負っていた鞄を脇に置くとぐっと背筋を伸ばして背もたれに身体を預けて仰け反らす

「スキあり…♥️」

すると逆さの世界を覗き込むように現れた彼女は君の頬に唇をあてがうと囁くようにそう言った

君は椅子から立ち上がると顔を赤らめた彼女の腰と膝に手を回しそのまま掬い上げるように抱き上げます

「…大胆♥️」

君はそのままソファまで歩くと彼女を抱き上げたままソファに座り彼女を膝に乗せて右手をフリーにしました

「あう…ぅん…ンッ♥️に…にゃあ♥️」

君は空いた右手で彼女の頭や喉を優しく撫で上げます

彼女はそれに身をよじりながらも決して抵抗せずに受け入れて…」

 

ヴ「それ以上いけない」

 

ス「えっ、えっちぃのはダメでゴザルよ!?」

 

ト「えー、ロリババアと言ったら「い、いやじゃ!人の子なぞ孕みとうない!」まで言わしたいじゃん?」

 

ス「そっちの方がタグが増えるのでは?(ボブは訝しんだ)」

 

ヴ「そもそもキャム・カンパネル女史も一応は人間だよ」

 

ト「風情だよ風情

わかってないなぁ、これだから童貞は…」

 

スヴト「どどど、どっ、童貞ちゃうわ!!」

 

スヴト「……」ピシガシグッグッ

 

 

 

 

 

 

 

「と言う事がありました…

ここまで言ったので俺だけでも許して下さい…」

 

そこには顔が陥没せんばかりに殴打された長髪の男と磔にされ死んだようにピクリとも動かない男が二人居た

男達の前には表情が欠落し、能面のような顔の女子三人と簀巻きにされ困り顔を浮かべた男が立っている

 

「谷崎さん?私は谷崎さんが能力者全員を助けると言っていたので、巻き込んでしまったことを悔いながら断腸の想いで託しました。

決してお兄ちゃんや理事長先生と下らない話をしてこいとは言っていません。」

 

「下らない!?マイスイートエンジェルの布教が下らない訳がないでゴザあわびゅ!!?」

 

磔にされながらも必死にそう語った男は哀れにも頭部を氷付けにされる

 

「…お父様、先程の妄言がお父様の本心なのですか?

それとも、私を謀り嗤う為の…」

 

「ルーナ…いや、マイビューティーゴッデス

このヴォイオニス・エガルデの名に誓って言おう

我が心と言動に一点の曇りなし…ルーナしか勝たん!」

 

少女はその言葉を聞き、一瞬呆けた後に噴き出すように笑った

 

「そう、ですか…

なんだか肩の荷が降りたようです。」

 

少女がそういうと男の身体が地面に叩き付けられた

男の身体はまるで折り紙のように折り曲げられていき不恰好なサイコロのような形に成形された

 

「そうやってしばらく反省して下さいね。

お父さん?」

 

横目にそれらの惨劇を見た俊稀は滝のように汗を流しながらも土下座の姿勢を崩さない

 

「全てはそこの愚か者共の罪でごさいます!!

私めは必死に止めたというのにこ奴らは…」

 

「でも、トシトシも私で変な事考えたでしょ。」

 

「そのような事は…決して、決して…

どうか御慈悲を…御慈悲~」

 

俊稀は言いながらチラリと簀巻きの男…キルトに目配せをする

しかし、キルトはゆっくりと首を振り暗に諦めろと伝えてくる

 

「あんなに頑張ったのに最後がこれですか…たまげたなぁ(哀しみ)」

 

男の悲鳴が青い空に溶け込むように響いた



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

The Happy Hero
RTAお休み回!異世界から帰ってきたら現実世界がチートだらけのハーレムだった件


やぁようこそ、マイハウスへ。

このテキーラはサービスだから、まず飲んで落ち着いて欲しい。

うん、「箸休め回」なんだ。済まない。

仏の顔もって言うしね、謝って許してもらおうとも思っていない。

でも、このタイトルを見たとき、君は、きっと言葉では言い表せない「どうせ釣りやろけどまぁええやろ感(ときめき)」みたいなものを感じてくれたと思う。

殺伐とした世の中で、そういう気持ちを忘れないで欲しい。

そう思って、この箸休め回を挟んだんだ。

じゃあ、注文を聞こうか。

 

「…誰に喋っているのですか兄さん。」

 

おや、起きたは良いけど肌寒いからベッドから出ずに小芝居してたら美の化身が部屋に入って来ましたね。

明るくピンクに近い赤髪は肩口で切り揃えられ、右前髪の一房だけ三つ編みに纏められたソレが全体の印象をシャープに纏めている。

シルエットだけでも美を感じさせる彼女、恐らくはシルエットどころかその雰囲気や存在感のみしか解らぬ盲目の人間だろうとも対峙するだけでそのあまりの美を理解したと涙を流すだろう。

しかし、それは正しく群盲が象を評すに等しい行為…目の見えぬ者達がこの美の化身の美を理解したと言うなど片腹痛い。

俺の8.0の視力を持ってしてもこの美の化身の美しさは視認しきれない程だ。

切れ長で少し吊り気味の双眸は一見すれば完成された芸術品のように見えつつも何処か近寄りがたい印象を与えるかもしれない、しかしその美しい黒曜石を思わせる緑がかった黒い瞳を見れば理解出来よう。

著名な芸術家がその半生を費やし産み出したのだろうと万人が直感するその双眸すらこの人智を越えた美を飾る額縁に過ぎなかったという事実。

近寄りがたい等、当然の事。

何処の世界に星を掴もうと本気で思う人間が居ると言うのだ。

そして、スッと通った鼻筋はそれだけでこの星が幾億の年月をかけ産み出した自然という芸術品を鼻で嗤う程の雄大さとえもいわれぬ感動を与えてくれる。

ここまで語れば無論、あの艶かしくも初々しさを感じるという矛盾をなんら違和感なく達成するという偉業を成した口にも言及しなければなるまい。

平均からみれば大きめのソレは決してマイナスになることはなくむしろ…

 

「なんですか、朝から人の顔をジロジロと…

不躾ですよ兄さん。

というか何に拝んでいるんですか?」

 

おっと、これはいけない。

朝っぱらからあまりにも美しいものを見たせいで自然と身体が片膝を立て手を組んでしまっていましたね。

人は自身の理解を越えた時、何と無しに拝むと聞きますが…こうして一緒に暮らしているというのにまだ理解の外とは、末恐ろしいですね。

…あっと、これは申し訳ない。

あまりの美しさに我を忘れて紹介が遅れてしまいましたね。

この美の化身こそが俺の妹、谷崎淡月(たにざきあわつき)ちゃんですね。

いやーホント…可愛いなぁ」

 

「………馬鹿な事を言ってないで早く降りて来て下さい。

そろそろお父さんが限界ですよ。」

 

…?あっ、最後の方声に出てましたか…

いやー、あのゴミを見るような目でそんなに見つめられたら…興奮しちゃうじゃないか…♥️

…馬鹿やってないでそろそろ起きて朝ごはんの準備でもしましょうかね。

淡月ちゃんも言ってた通りそろそろ家の大飯喰らいがうるさそうですしね。

さてと、着替えも終わったし髪をといてリビングまで降りますかね…おや、櫛が綺麗になってる。

誰か掃除してくれたんすねぇ…やっぱ淡月ちゃんやろなぁ!可愛いうえに気が利いて…最高かぁ!?

親父の可能性もゼロじゃないですが思春期の息子の部屋に無断で侵入して櫛を綺麗にしていく妖怪みたいなのは想像したくないので淡月ちゃんがやってくれた事とします。イイネ?

 

「あっ!俊稀ちゃん!!おはよー!お父さんもうお腹ペコペコのペコちゃんだよー!」

 

はい、このリビングのソファーに座ってる頭悪そうな赤髪のデカイのが俺の親父です。

名前?忘れちゃった。

 

「俊稀ちゃぁーん!ん!ん!!」

 

…?こっちに駆け寄って来たかと思えば目を閉じて頬を差し出してきた?

とうとう脳がやられたんだろうなこの馬鹿は…

それかサンドバッグ宣言でしょうね。

最近は異世界転移続きで録にトレーニング出来てないのでそれを補ってやろうと言う事ですか…

よし、じゃあ死ね!!

 

「んもー!そうじゃなくて!お父さんにお早うのキッスは!!」

 

あ~!駄目だぁ!!渾身の右ハイキックでも微動だにしないや!

しかもなんかキモいこと言ってますよこの馬鹿…やっぱ脳がやられてんすねぇ。

淡月ちゃんやココロン先輩ならともかくなんでこんな2M近い化け物のほっぺにチューしなきゃなんねぇんだよ…

しかもキッスって言う辺りに限りなく純度の高い殺意を覚えますよ…ご丁寧に身を屈めて俺が背伸びしなくてもほっぺに届くようにしてる辺りも尚ムカつくし。

 

「ふむ…切人(きりひと)さん、俊稀君も思春期の男の子なんですからそういうのが恥ずかしいんでしょう。

ここは潔く引くのも親の役目では?」

 

唐突に肩に重みを感じたと思ったら天女が俺の首に手を回してしなだれかかっていた。

…はっ!天女かと思ったらココロン先輩か!!

いやー、遂に俺の日頃の行いが良すぎて日常にご褒美が与えられたのかと思ったら…いや、ココロン先輩に出会えるこの日常こそがご褒美…!

そうだろうな、そうに違いねぇや!

俺と同じく腰まで伸ばした黒のロングストレートはまるで宇宙を思わせる程に深く底知れない輝きを…

 

「…いつまで人の息子にへばり付いてる気だ?」

 

「おやおや、親の…それも男親の嫉妬は醜いですよ?早く子離れしないと、俊稀君の為にならないのでは?」

 

…ココロン先輩?あのぉ~別にこの馬鹿をどんだけ虚仮にしてもいいですし、子離れしろって諭して頂けるのは誠にありがたいんですけど…一応、この馬鹿はちゃめちゃに化け物なんで気をつけないと…

 

「子離れ?俺から俊稀ちゃんを奪おうってのか…お前如きが…?

笑わせんなよ…二度は言わねぇ、早く離れろ蚊が。」

 

「おやおや、みっともないな。

俊稀君が盗られると騒いだかと思えばすぐに実力行使をちらつかせる…自分に余程自信がないんだろうね?

奪おうとする輩を排除する事でしか自分の側に置くことが出来ないと暗に認めてしまっている…まぁその通りだけどね?」

 

ココロン先輩が言い終わった瞬間にけたたましい炸裂音が響いた。

それは世間一般では殆ど聴くことのない音…物体が音速を超えた事を表す音、ソニックブームだった。

恐らくはこちらに衝撃波がいかぬように計算されと思われるがあまりの爆音に一瞬心臓が止まる。

恐ろしく早い手刀…俺じゃなきゃ死んじゃうね…

しかし、俺の後ろにいたココロン先輩は微動だにせず…どころか自身の腕を俺の胸辺りにまで垂らしながら半ば俺に覆い被さるような体勢で俺の肩に顎を乗せていた。

 

「おお、怖い怖い。

私のようなか弱い一般人が喰らえば塵も残らず消滅してしまいそうだね?

ふふ、俊稀君…とても怖くて腰が抜けてしまったよ、さぁ私をおぶっておくれ?」

 

ん゛がわ゛い゛い゛!!

よーし、お兄さんいくらでもオンブしちゃうゾ~!

 

天ヶ峰(てんがみね)先輩、冗談はその辺にしておいて下さい。兄さんに変な事言うと本気にしますよ?

それにお父さんも、朝から騒がないで下さい。」

 

声の方に目を向けると学生服に着替えたマイシスターが辟易した顔で言っていた。

 

「ふむ、可愛い後輩に言われては仕方ないね?」

 

「………はーい。」

 

淡月ちゃんの鶴の…美の一声で親父は再びソファーに座り、ココロン先輩は俺からスッと離れてしまった。

…別に、離れられて残念だなぁとかもうちょっとココロン先輩の服が薄着だったらなぁとかは思ってませんよ?

…嘘です思ってました。

 

「兄さんも、さっさと朝食の準備をして下さい。

早くしないと全員遅刻しますよ。」

 

おっと、そうだったそうだった。

えーと、今が6時半で8時半に出ればギリギリ間に合うから…急がなきゃね!

おべんとの用意もあるしテキパキ行こう!

テキパキ…テキパキ…

はい、出来た!

後はおべんとの盛り付けして…

 

「おやおや、相変わらず素晴らしい手並みだね?

俊稀君のパートナーになるにはこれ以上の腕がいるのかな?」

 

!!ココロン先輩が俺の肩に顎を乗せてる…!

さっきもあったけど、この肩に顎を乗せるのって…こう、良いよね!!

アーイイ、遥かにイイです。

 

「…出来たんなら早くしましょう。

今日の朝礼は土飼(つちかい)先生ですから遅刻すると入れませんよ。」

 

あそっかぁ、今日は向上(こうじょう)ちゃんが門の前に立ってんのかぁ…じゃあ遅刻したら怖いなぁ。

よし、皆いただきますしてさっさと学校に…いこうね!

よし、おべんとも詰めたし…はいイタダキマース。

 

「いやー!やっぱ俊稀ちゃんのご飯は美味しいなぁ!!

お父さんこれならいっくらでも食べれちゃうよー!!」

 

頼むから黙って喰ってくれ。お行儀の悪い…

て言うかあんま喰わんでくれ…親父が本気で喰いだすとエンゲル係数がとんでもないことになる。

 

「……」モグモグ

 

ほら!見てごらん淡月ちゃんを!!

リスみたいにほっぺ膨らませて無言で食べてるよ!

しかも擬音がモグモグだもん…カワイイ!

親父みてーに何喰ってもモニュモニュいわんもんな。

て言うか焼き魚やらだし巻き玉子やらからどうやったらモニュモニュ鳴るんだよ…

 

「……」メリ…ナポ…サクッ

 

あーら↑可愛い!ココロン先輩もお上品に食べて…食べて…

皆俺と同じもの食べてんだよね?

鳴るかな?そんな擬音?

……まぁ、いいか!カワイイし!

 

「ごちそうさまでした。」

 

うん、こうやってちゃんといただきますとごちそうさまが言える…中々出来る事じゃないよ!

その辺りキチンとしてんのが俺の淡月ちゃんなんすねぇ~↑!!

あっ!食器流しに浸けといてくれるの!?

いやー、毎朝毎食のことですが…ホントによう出来た妹やでぇ…

 

「ごちそうさま、いつものことながらご相伴に預かってしまって…悪いね?」

 

いいんですよぉ、ココロン先輩のそのスレンダーながら適度にむっちりとした下半身が俺の作った飯で出来てると思えばそれだけで…フフフ、下品なんですがその、■■(ピー)…しちゃいますよね。

 

「おかわりぃ!!」

 

「有るわけねぇだろ、さっさと食器洗えや穀潰しが。」

 

「なんかお父さんにだけ厳しくない!?

…ハッ!これが反抗期!!?」

 

ちげーよ、只の区別だよ。

カワイイ女子二人と同じ扱いしてもらえるとおもってんのか?このクリーチャーは…

 

「行ってきます。」

 

ああん!待ってよ、淡月ちゃぁーん!!

一緒にイこ?

ああ↑~この無の表情で睨まれるのがたまらなく気持ちええんや!

て言うか全員同じ学校なんだし一緒に登下校したいじゃん?…したくない?

という訳で、イテキマース!

さて、学校まで徒歩15分ぐらいの道のりですし今日はちょっと早めに出れてるのでのんびり行きますかね。

 

「ふむ、なら私はこちらを貰おうかな?」

 

そう言うとココロン先輩が俺の左腕に抱きついてくる…

…?…?………?

だめだ、りかいが、おいつかない、ひだりうでに、やわっこいのが、あたってる

 

「……」ギュッ

 

ミギウデ、ニモ、ヤワッコイ、ノガ、アタッテ

オレ、シアワセ、コノタメニ、イキテル

 

「おやおや、随分といじらしいね?

お兄ちゃんが盗られるのが嫌なのかな?」

 

「…別に、そう言うのではありません。

ただ…兄さんが空いた手で天ヶ峰先輩に変なことをしないように抑えてるだけです。」

 

「抑えてる…ね?いやはや、私は本当に可愛い後輩をもったものだね?」

 

…ハッ!此処はドコ?俺は…確かチートハーレムの主だった筈…!

 

「…………」

 

…ああ、もう学校に着いたのか…

速いなぁ…普段は一秒でも速くと思うのに、この一瞬だけは永遠に続いて欲しかったなぁ。

おはよう、向上ちゃん。

 

「………」

 

うん、元気だよ!向上ちゃんも元気そうで良かったよ。

 

「…………」

 

んー、まぁぼちぼちかなぁ。

向上ちゃんこそ立ちっぱだししっかり食べないとだよ!

ちゃんとおべんと作ってきてるから昼に取りにきてね。

 

「……」

 

いいよいいよ、3つ作るのも4つ作るのも変わんないかんね。

 

「…いつも思いますけど、良く解りますね。」

 

ん?ああ、そう言えば向上ちゃん滅多に喋んないもんね。

でも表情見てれば解るよ?ねー!

 

「表情…ふむ、私達にはずっと無表情にしか見えないけどね?」

 

「…」

 

だよねー!向上ちゃんは結構顔に出るタイプだもんね。

 

「……」

 

おお、ほんとだ!もうこんな時間かぁ。

確かにそろそろ教室に行こうか。

じゃあ向上ちゃんまたね、バイバイ!

 

「…」

 

校門をくぐる頃には二人共腕から離れてしまっていた。

…哀しいなぁ。

 

「では、私はこちらなので。」

 

「ふむ、ではまた放課後にね?」

 

…二人共学年が上下にズレてるからここでお別れかぁ。

寂しいなぁ…

トボ…トボ…もう、なんかね…メンタルが如実にあらわれてるもんね。

トボトボ言ってるもん、たらちゃんじゃないんだから…

 

「はよーッス」ガララ

 

はい、着きました2-1の教室です。

さぁ、ちょっと早めに着いたしホームルームまで席でだらけますかね…

 

「あー、センパーイ。オハヨーございまーす。」

 

「…おはよう明暗(めいあん)ちゃん。

ところでそこって俺の席なんだけど…知ってた?」

 

「んー、もちろん知ってまーす。」

 

「じゃあ退いてよ…」

 

はい、この朝っぱらから人の席を占領してるのは同じクラスの薬師寺明暗(やくしじめいあん)ちゃんですね。

左右で別れた白と黒のツートンカラーの髪が特徴的で、それなりに整った目鼻立ちと身長155cm(目算)の体躯はパッと見美少女です。

だが、男だ。

 

「先輩って、同級生じゃん…あとなんでセーラー服着てんの?そもそもウチの制服って女子もセーラーじゃないけど…?」

 

「んー、そりゃかわいーからですよー。

どーせなら似合うほー着たほーがいーでしょー?」

 

「せやろか?」

 

「そうだよ!」

 

!!隣の席の佐々木君!?

 

「可愛いは正義なんだ、つまり、明暗ちゃんはジャスティス…正義(ジャスティス)は勝つ!違うか?」

 

…なんかそう言われるとそうなのかなぁ?

うーん、佐々木君が明暗ちゃんのファンクラブ会員じゃなければ素直に受け入れられたのかも知れない…

て言うか男だよ?皆知ってるでしょ?

 

「こんなに可愛いのにおちん○んまで付いてる…つまり無敵なんだ!わかるだろう!!」

 

佐々木君とファンクラブ会員の業の深さしかわかんないけど?

 

「んー、本人が居るのにそーゆーの言うのってー。

ちょっとハズカシーでーす。」

 

「ッッ!!」ザッ

 

…?佐々木君はなんで急に膝まずいたの?

 

「わからんか、我らの神が頬を染めながら唇を尖らせているッッ!!

これ以上言わなくてもわかるよなッ!」

 

…わかんにゃい。

とりあえず、朝からの俺を客観的に見るとキモかったんだなって事しかわかんない。

 

「てか、いい加減退いてよ。座れねぇじゃん。」

 

「んー、仕方ないですねー。

ほらー、温めておきましたよー。」

 

「木下藤吉郎かよ…てか別にエアコンはいってんだからそんな寒くねぇよ?」

 

「んー、そーですねー。でもー、寒いのヤなんでー早く暖かくなんないですかー?」

 

言われてもなぁ…まぁ、冬には冬にしかない良さがあると思って我慢して下さい。

 

「明暗ちゃん!寒いのならば俺の上着をッッ!」

 

「んー、汗臭そーなんでいーでーす。」

 

「ガハッッッ!!」

 

佐々木君ー!!

これは…ミンチよりひでぇや…

 

「……」

 

あっ、もうホームルームかぁ…

んー?ああ、佐々木君は心に深いキズを負っただけで身体は無傷だから大丈夫だよ向上ちゃん。

 

「………」

 

「センパーイ、センセーはなんて言ってるんですかー?」

 

「早く席に着けって。」

 

「はーい。」

 

「……」

 

「…今のはー?」

 

「皆揃ってるな、じゃあ朝のホームルーム始めるぞーだって。」

 

「…ほんとーにそー言ってるんですかー?いや、言ってはないですけどー…」

 

「……」コクコク

 

「…センパーイ、いつも通りでお願いしまーす。」

 

そうだね、効率悪いもんね。

俺は席を立ち教壇の向上ちゃんの隣に立つ。

 

「……」

 

「えー、数学の課題が今日の放課後までだから忘れないように。あと、もうすぐ冬休みだけどその前に期末試験があることを忘れるなよって。」

 

まぁ、要は通訳だね。

 

「…ほんとーによくその文量を読み取れますねー。」

 

んー、まぁ向上ちゃんとももう付き合い長いからねぇ。

慣れだよ慣れ。

 

「…」

 

「じゃあ、今日も1日頑張ってって。」

 

 

 


 

はい、昼です。

まぁ授業風景なんてつまらんからキンクリですよ。

 

「…」

 

あっ、向上ちゃん。はい、これおべんとね。

 

「…」

 

ん?あー、茄子の田楽入ってるけどちゃんと食べてよ?

ちゃんと甘めに作ってるから向上ちゃんでも食べれるって。

 

「…」

 

んもー、好き嫌いしないの!

そもそも、向上ちゃんがほっといたらお菓子しか食べないからおべんと作ってきてるんだよ!

 

「……」

 

誰がオカンだよ!!

 

「…」

 

ん?保健室?あー、かがみんが呼んでるって?

なんの用だろ?

 

「…」

 

あー、それかぁ。

なら仕方ないか…今から行っても大丈夫って?

 

「………」

 

オッケーじゃあ行ってくるわ。

 

「ノックしてもしもーし。」ガララ

 

保健室のドアを開けると中にはベッドに寝転がる黒髪のお姉さまが居た。

この泣き黒子がエロスを主張するお姉さまこそが下上々下(かがみじょうげ)…この学校の保険医である。

…ていうか人を呼んどいて寝てやがる。

良かったな、俺が紳士でよ…健全な男子校生の前で出るとこ出てる保健室の先生と二人きり…何も起きない筈がなく…ってなるとこだよ。

ほら、起きて起きて!

 

「むぅぅ、あと5分…」

 

もう!そんなテンプレ吐いてないで起きんだよ!!

 

「にぃぃ、あと気分…」

 

良いよね!傷○語!!

じゃなくて起きてってば!!

 

「みぃぃ…あれ?俊君?…なんで?」

 

やっと起きたか…

て言うか呼んだのそっちでしょうが…

 

「…ああ!そうそう!俊君ってば定期検診しなきゃだよ!!」

 

そう、かがみんの用とは俺の健康診断だ。

自慢だけど、普通の人間の身体してないかんね。

まぁ、だから普通の病院行くとややこしくなるんだけどね。

だから、健康診断は全部かがみんに頼んでる。

かがみんも普通じゃないからね。

 

「いつ見ても惚れ惚れしますなぁ。

この僧帽筋なんかもう…!いやでもこっちの腹斜筋君もだいぶえちえちだよ!」

 

…頼むから真面目にしてくんねぇかな?

 

「真面目だよ!!ウチは今誰よりも真面目に俊君を見てるよ!!」

 

見るんじゃなくて診て欲しいんですけど…

 

「うーん、大腿四頭筋様は相変わらずムチムチのエロボディだし!この尺側手根伸筋ちゃんなんかもう…実質S○Xだよ!!」

 

うるせぇ!!いいから早くしてくれって!

 

「最近無茶ばかりしてるでしょ?

筋断裂を繰り返してるね…それに、骨折も一度や二度じゃない…」

 

「…まぁ、それなりには…」

 

「いやはや、驚きだなぁ…こんなレベルで完成した肉体を持つ俊君でもそうなるとは、異世界とやらはとんだ魔境だねぇ。」

 

んー、全部が全部そうじゃないんすけどねぇ。

最近はハードなのが続きましたね。

 

「俊君、悪いことは言わないからもう止めなさい。

君の肉体は人類の至宝と言っても差し支えないが、これ以上酷使すれば壊れてしまうだろう。」

 

「ドクターストップってやつですかい?」

 

「そうだね。君の肉体に蓄積された損傷は俊君が思うより深刻だよ。

それに、只でさえ俊君…君は何かを()()()()()()()()()()

このままでは近い将来、必ず君は壊れるだろう。」

 

「…例え俺が死ぬとして、壊れるとして…それは今じゃない。」

 

「詭弁だね、確かにそうかもしれないけど時間の問題だよ。

君はこのままだと、こちらの世界に身を置く者としては特例的に…寿命で死ぬ事になる。」

 

「良いじゃんか、元々しわくちゃの爺になるまで生きようなんて考えてもねぇんだ。」

 

「…命は蝋燭のようなものさ。

人は皆、上側に火をつけそれを絶やさぬように注意を払って歩いていく。

でも俊君、君は走る為に両側から火をつけている。

そうすれば確かに火は消えにくいだろう。でも、走る度に火は燃え移り蝋燭はやがて虫食いのように全体が燃えてしまうよ。」

 

「それでも、俺はやらなきゃならねぇ。」

 

「…それは、件のお姫様の為に…かい?」

 

「さぁな。そこんとこ、俺にもよーわからん。」

 

「…悲しいね、君は確かに勇者と呼ばれるに相応しいだろう。

知恵を備え、勇猛とそれに見合う力も持っている…

俊君、君は世界を救うことが出来る力を持っている…だけどね、それは必ずしも世界を救わなければならないという訳じゃないんだ。

君は逃げたっていいんだよ。例え逃げたって今まで数々の世界を救った君を、誰も卑下したりしないさ。」

 

「…それでも、それでも俺は世界を救う。

…他でもない、俺自身の為に。」

 

そう言うと俺の身体が霞み始めた。

 

「また、行ってしまうんだね。

どうか、君の旅路に幸多からん事を…」

 

かがみんは膝を折って白衣の裾を摘まんでいた。

…それって白衣でやるもんじゃないよね?

ドレスとかでやる奴だと思うんですけど(名推理)

…さぁ、今日もまたちゃっちゃっと急いでクリアしよう。

俺の命が持つ限り。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

イカれたメンバーを紹介するぜ!!

谷崎俊稀(たにざきとしき)

本作の主人公。

身長178cm

体重147kg

まぁ、中性的なイケメンやらせてもろとりますわ。

腰まで届く長い黒髪と人並み外れた長大なウイングスパンを持つ。

また、後天的な骨格異常症であり常人の数倍の骨量、骨密度を持つも周りが異常すぎて一般人に毛が生えた程度にしか見られない。

これまでに数億の世界を救ってきた為に実年齢は飛び抜けている。

はえー、おじいちゃんなんすねぇ…

その数兆年にも及ぶ膨大な時間を自己の研鑽に費やした彼はあらゆる技術に精通しておりそれら全てを包括した独自の行動様式維流型(いりゅうがた)を操る。

対人格闘技術において右に出る者は異世界を含めても存在しない。

また、常人では発狂しかねない状況でも平然としているのは彼が最初に召喚された異世界で魔王から受けた不狂の呪いの効果である。

また、同じく不忘の呪いも受けており彼は何かを忘れる事が出来ない。

故に自身がこれまでに受けたダメージや死の苦痛、恐怖をも忘れられず、またその記憶で発狂することも不可能である。

下上曰く、いつ死んでもおかしくない状態。

実は拾い子である為血の繋がりを持つ人間に会った事がない。

 

 

谷崎淡月(たにざきあわつき)

主人公の妹。

身長170cm

体重588kgリンゴ3個分でーす!!

あー↑いっっっちばん可愛い!!

淡い赤髪と異様な怪力を持つ。

その正体は谷崎俊稀と谷崎切人の体細胞から造られたクローン。

人類の更なる進化を求めた研究により誕生した唯一の成功例であり、谷崎切人の圧倒的身体スペックと谷崎俊稀の戦闘技術を持つ。

研究は他ならぬ二人の手により完膚なきまでに崩壊したが彼女は己の存在意義を懸けて二人に立ち向かい、谷崎俊稀との一騎討ちに敗北した。

以降は妹として谷崎家に住んでいる。

実年齢は3歳。

犯罪じゃん…まぁ可愛さも元々犯罪級だけども!!

そのスペックは二人の劣化コピーであり、言うならば中途半端。

一撃で大地が割れるのを中途半端とは言わないと思うんですけど(名推理)

谷崎俊稀への好感度はカンストしているが同時に憎しみやらもカンストしている。

可愛さあまって憎さ百倍を地でいっている。

ちなみに、告白すれば最初は死ぬほど嫌そうにしながらも3日後ぐらいにはどろぐちゃの爛れた関係になる。

 

 

谷崎切人(たにざききりひと)

主人公の父。

身長198cm

体重8,5t

もうゴ○ラなんよ…一人だけ世界観が違うんよ…

血のような赤黒い髪と瞳を持つ。

その正体は史上最強の生命と呼ばれる怪物。

かつて世界の全てを敵にまわしながらも圧勝し、人類史を一人で制圧した究極の唯。

その能力は単純な肉体の強化。

しかし、そのスペックは並外れており息を吸い込むだけで辺りを真空にしたり、肺で圧縮した空気をプラズマ化させ吐き出したりと常軌を逸している。

やっぱり○ジラなんよ…ビーム吐いたらダメよ…

しかし、それらも実力のほんの数%であり本気で戦闘を行うと地球がもたない為自重している。

谷崎俊稀曰く、本気の親父が暴れると太陽系が崩壊するので勘弁してほしいと思った(子並感)とのこと。

かつて、世界の全てに落胆した彼は一人の赤子を拾う。

後に勇者と呼ばれるその赤子は何時しか彼の在り方を変えた。

元は孤児の為、正確な年齢は不明。

実は性別は存在しない。

その為俊稀が告白すれば即座に女性体となり3日3晩うまぴょい(意味深)する事になる。

好感度は当然カンストしている。

 

 

天ヶ峰心(てんがみねこころ)

谷崎家のお隣さん。

身長不明

体重不明

不明ってなに?怠慢じゃない?

腰まで届く長い黒髪と白杖を持つ。

白杖を持ってはいるが盲目ではなく能力の使用に必要なだけ。

その正体は元四心(ししん)の1柱にして能力愚かな先導(ミスリード)を操る暗殺者。

かつて俊稀の命を狙うも撃退され、負傷していた所を他の四心のメンバーから襲撃を受ける。

そこを俊稀に救われた事から俊稀に付き纏うようになる。

愚かな先導は自身に関わる全てに対して作用する能力であり、全てを誤った情報と置き換える。

故に、彼女の身長や体重、年齢は知りようがない。

ええ?ホントにゴザルかぁ?怠慢の言い訳じゃない?

自身の位置や容姿も常に置き換えられている為、単純な攻撃は掠ることすらない。

弱点は範囲攻撃だが、その弱点に気付いた瞬間にその情報が置き換えられる為に問題ない。

彼女の本心は知る事が出来ないものの、俊稀に対しては一定の好感度は持ち合わせている模様。

告白した場合は…

場合は…!どうなるんだ!教えてくれ!!気になって昼も眠れねぇ!!

君達の目で確めてくれ。

んああぁぁぁ!!?フザケルナァバカヤロォォォ!!

 

 

土飼向上(つちかいこうじょう)

主人公の担任の先生

身長182cm

体重85kg

なんか一番マトモな感じですね。

金色の短髪と黒い手袋が特徴的な男性教師。

その正体は全世界に支部を持ち総体数10万人を越える能力者集団ギフターズの頂点である6人しか存在しない神溺者(ゴッドギフター)の1人であり序列1位の能力者である。

能力者としては最強の1人なんすねぇ。

能力は電撃(スパーク)。電気を操る能力で、圧倒的な火力と攻撃範囲を持つ。

俊稀とは古い付き合いで自身が16歳の頃から俊稀と能力を使用しない純粋な格闘技術のみの組み手を続けている。

ちなみに勝率は4883戦0勝4880敗3分と0%である。

俊稀が7歳の頃から1度も勝てていない為に己の近接格闘を未完成と思っているが相手が悪いだけで弱い訳では決してない。

うんうん、強いよ向上ちゃんは!最近は組み手でもヤバい場面が多くてヒヤヒヤするもんね。

なぜ教師をしているかと言うと俊稀の安全を守る為であり他にも複数の神溺者が彼の命令により学校に潜伏している。

好感度はかなり高いが同性愛者では無い。

告白すれば一瞬驚いたあとに無言で尻を貸してくれる程度には好感度が高い。

やっぱりホモじゃないか…たまげたなぁ。

 

 

薬師寺明暗(やくしじめいあん)

主人公のクラスメート。

身長155cm

体重48kg

もう実質女の子じゃん。

黒と白のツートンカラーの髪と瞳を持つ。

その正体は神溺者の序列4位であり能力致死毒(ポイズン)を持つ。

俊稀、下上に次ぐ高齢であり少なくとも800年前から神溺者に名を連ねている。

能力は自身の体内で自身の思った通りの毒を生成する能力。

この毒の範囲は彼の認識で決定する為、あらゆる毒物に耐性を持つ俊稀相手にも強酸に似た性質の毒を撃つ事で対抗していた。

能力の使用時は右手の人差し指が注射器状に変形しそこから相手に毒を撃ち込んだり、ライフルのように毒液を飛ばす事も可能。

また、揮発性の高い毒を散布することにより対多数では無類の強さを誇る。

毒をドーピングのように自身に使うことで近接戦もこなせるが俊稀や向上程の実力はない。

また、自身が死亡した場合、第三者に自身の脳を溶かし飲み込ませる事で相手の精神を自身の精神で上書きする事が出来る。

死後に強化される能力であり死亡時のみ相手の行動を操る毒を生成出来る。

この能力により幾つもの身体を使い捨て生き続けている。

怖いなー、とづまりしとこ…

俊稀への好感度は普通。

告白すればその日の気分により殺しに来るか多額の金銭と引き換えに遊ばれるかになる。

 

 

下上々下(かがみじょうげ)

主人公の学校の保険医。

身長166cm

体重52kg

レディの体重を公開するのはジッサイスゴイシツレイなのでは?(ボブは訝しんだ)

肩まで伸ばした黒髪と右目に泣き黒子を持つ。

その正体は神溺者の序列2位であり不老不死の能力救い難き使徒(デッドリーシン)を持つ。

その能力により俊稀に次ぐ高齢であり、自身ですら古い記憶は覚えていない為に正確な年齢は不明。(少なくとも数千歳)

回復速度がバグだからかがみんを倒しきるのは不可能なんすねぇ…まぁ、そもそも敵対もしてないけどさ。

かつての自分を忘却する恐怖や一人で永劫を生きる絶望を分かち合える先駆者として俊稀に並々ならぬ執着を持つが、彼の意思を尊重し死にむかう彼を止めずにいる。

能力は常時発動型の為に死なないのではなく死ねない。

故に死に近づく俊稀へ嫉妬に近い感情を抱いては自己嫌悪に陥るというループを繰り返している。

好感度は当然カンストしている。

告白する場合は永劫を共に生きると言えば能力の共有をされ、未来永劫俺の嫁状態となる。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

異世界から帰って来たら男の娘の同僚がやけに絡んでくる件

薬師寺明暗は考える。

 

「あー、オハヨーございまーす。

センパーイ、古文の課題忘れたんで見せてくださーい。」

 

「えー?また忘れたの?前もそう言ってなかった?

あと、そこ俺の席だかんね?知らなかった?」

 

「明暗ちゃんッ!課題なら俺のを!!」

 

「汗臭そーなんでいーでーす。」

 

「げぐぼッ!!」

 

「佐々木君ーー!!」

 

この目の前の男…名を谷崎俊稀と言う。

弱冠14歳にして能力者10万人の頂点である神溺者の1人として名を連ねて以来今までに何度も顔を付き合わせる程度には交流がある。

というか交流を作られた。

能力者の頂点である神溺者の更に頂点…所謂最強が2年前に自身を含む全神溺者に言い放ったあの宣言のせいで…言い放ったというかアレは喋らないから黙ってた訳だが。

翻訳の能力を持つ部下が訳したのは、一つの伝令。

曰く、序列6位を全力で守護せよ。

実に馬鹿らしい話だ。

我ら神溺者は能力者の頂点。無論、頂点がそれよりも下の者のに守護されるのは古くから変わらぬ真理であろう。

しかし、その理論ならば何故6位を守護せねばならない?

よしんば、アレが自身を守護しろと言うのであれば理解出来なくもない。(まず言わないだろうしそもそも喋らないが)

しかし、なぜ6位なのか?6人しか居ない神溺者の6位…早い話が底辺だ。

王を守護する騎士は居れど、騎士を守護する王なぞ…笑い話にもならん。

そう言おうとした時にあの老害…2位の若作りが賛成の声を上げた。

1位の伝令に2位の賛成の声…事実上の決定事項となったソレに文句を言う奴はもう居なかった。

…もう、と言うか元々独特な感性を持つ者が多い神溺者達の事だ…本当に異を唱えていたのはもしかすると自分一人だった可能性すらあるが。

その日から日頃の殺しや護衛の仕事以外に学校に潜入する為の知識をつける仕事が増えた。

1位が律儀にも報酬を用意していたが、数百年振りの学業には流石に嫌気が差した。

…というか、学生としての身分なぞいくらでも用意出来るというのに何故態々こんな事をせねばならん。

という抗議の声を楽しそうに制服を着る他の神溺者や教員免許を自力で取った1位の姿を前にして言う気力は無かった。

しかし、まだ納得はいかない。…ならばどうする?

簡単だ、仕事として成立したソレが覆せないのならば護衛対象が居なくなればいい…

失敗した。

そもそも、アレの側には危険信号(シグナルレッド)が居る事を忘れていた。

本気の危険信号相手に勝てると思う程に思い上がってはいない…がどうしたものか…と思っていた折に、まさか本人から誘われるとは思っていなかった。

こいつは驚いた事に、一対一の勝負をしようと提案してきたのだ…序列6位が序列4位に対してだ。

多少の怒りを覚えつつもその提案を快諾し、全力で殺しにかかった。

惨敗した。

そも、相性が悪過ぎたのだ。

こいつは毒物に対して異常な程の耐性を持っていた。

無論、そこらの既存の毒物しか生成出来ないような能力ではない。直ぐ様能力で自然界に存在しない未知の毒物を生成し散布した…それら未知の毒物にすら耐性を持っていた時は流石に驚いたが。

唯一、溶解毒は流石に耐性もなにもなかったが…毒を作るには体内の水分を消費する都合上少量では致命とならない溶解毒が通じたところで…

本当に不本意ながら先の理論で行くとこいつを守護するのに異議を唱える事が出来なくなった瞬間だった。

 

「ホントーに、ヤーな感じですねー。」

 

「?そんなに古文やなの?

あ!佐々木君の事?」

 

「それもですけどー、それだけじゃーないでーす。」

 

「ゲルググッッ!!」

 

「佐々木君ーー!! …しっ、死んでる…!」

 

薬師寺明暗は考える…

 

(ホントーに、こーやって見てる分にはそんなつよそーには見えないんですけどねー。)

 

負けた後に色々と話を聞いた。

異様な程に洗練された格闘技術の事や毒物への過剰とも言える耐性の事…正直に言って異世界などと言い出した時にはそこまでして隠したいかと思ったが。

異世界転移を繰り返し続けているこいつはなんとあの若作りよりも生きているらしい。

まぁ、ここまで特殊な場合だと年上と言って良いのかはわからんが。

しかし、気に入らない事はもう一つある。

それは…

 

「センパーイ、もし課題見せてくれるならー。

きょーはデートしてあげてもいーですよー?」

 

「は?やだよ。だって男じゃん。」

 

これだ。

勿論、男色のケなど無いが…この身体は昔はぐれで活動していた魅了の能力を持っていた奴から奪いとったものだ。

当然ながら常時発動させているその魅力がこいつには効いていない。

…本当に気に食わない。毒が効かず、魅了まで効かない?なんだそれは。

まるでこちらが弱いとでも言いたげではないか。

本当に、気に食わない。

 

「デッッッ!デデ、デデデートォッッ!!?

明暗ちゃんッ!是非俺の課題をッ!!」

 

「臭いんでいーでーす。」

 

「ゲバルッッッ!!」

 

「佐々木くーーん!!!」

 

 


 

夜の埠頭にて数人の男女が脇目も振らず走っていた。

 

「ハァッ、ハァッ!」

 

「クソッ!何でこんな事に…」

 

「アイツッ!アイツは!?何処に行ったの!!ねぇっ!!」

 

「うっせぇぞっ!!見つかったら今度こそ…っ!!」

 

その男女の前に何気なく現れたその人物は、白と黒のツートンカラーの髪をした女性とも男性ともとれる容姿をしていた。

 

「もー、逃げないで下さいよー。

只でさえイライラしてるのにー、よけーにイラつくじゃないですかー。」

 

どこか間の抜けた声と話し方…しかし、男女は決して気が抜けなかった。

知っていたから…裏の世界で決して遭遇してはならないソレを。

ソレとは即ち、神溺者と呼ばれる個人で大国の軍事力を凌駕すると噂される怪物達。

目の前の怪物であった。

その怪物を前にリーダー格の男は只ひたすらに後悔していた。

 

(こんな…こんな小遣い稼ぎでっ、死んで…死んでたまるかっ!!)

 

最初は良かったのだ。少なくとも最初は。

この集団は全員がフリーの能力者だった。生まれつき異能を把握し、それを使って賢く生きてきたつもりだった。

しかし、ある時ふと思ったのだ。

こんな能力を持つ自分が、なぜこんな凡人の下でヘーコラしなければならないのだ…と。

そこからは速かった。同じような想いを抱く仲間を見つけては計画を練り、様々な悪事を働いた。

しかし、銀行強盗や殺人のような大きな犯罪を犯さなかったのは良心が残っていたからか…単に度胸の問題だったか。

そして、最後の仲間を見つけた彼等は遂にその一線を踏み越えた。

少年少女の誘拐及び人身売買。

普通ならば直ぐ様警察が動きこんなノウハウもない素人集団は捕まる筈であった。

しかし、彼等にとって不幸な事に彼等の能力は思いの外この仕事に向いていたのだ。そして見事に嵌まった…嵌まってしまった。

彼等も最初は舞い上がったものだ。それまでの詐欺等で稼いできた額と文字通り桁の違う金を得て…男は車、それも昔からの夢だった外車を購入したし、女はブランドの服やバッグと皆が思い思いの物品を買い漁った。

この時は皆が疑いもぜず思った、これからはこんな日がずっと続くのだ…と。

それから数週間後にソレがやって来た。

ギフターズという集団に所属していると名乗ったその男は彼等に言った。

お前達のしている事は様々な団体への敵対行為だ。

今ならばまだどうにか庇える範囲だからギフターズに入れ…と。

気が大きくなっていたのだと思う。

集団に最後に入った男はそのギフターズだと名乗った男を能力で攻撃した。

元から荒っぽい奴だとは思っていたが、その時は皆が止めなかった。

皆も思っていたのだ。社会で自分よりも劣った者に顎で使われていたあの頃に戻ってたまるかと。

まさか攻撃をされると思っていなかったのだろう。

その男は呆気なく死んでしまった。

死体はコンクリートブロックをくくりつけて海に投げ捨てた。

皆が思った。もう引き返せないと。

 

「ハァッ!ハァッ!ハヒッ!ヒッ!」

 

あんなに気性も荒くすぐに手が出ていた男は今や顔中から体液を流しながら一心不乱に走っていた。

もう、手を出す事は出来ないだろう事は一目で見てとれた。精神的にも…肉体的にも。

男の両腕は肘より上からちぎれており、先からはポタポタと血を流し続けていた。

最初、報復に更なる能力者が来るのではと恐れたリーダー格の男は情報をかき集めた。

そして、知った。ギフターズには神溺者と呼ばれる6人の怪物が居るということを。

それからというもの、彼は一睡も出来ずに絶えず周囲を警戒していた。

しかし、それも男が言った一言で解消されてしまった。

 

「ふん、そのゴッドギフターってのがどんなのかは知らねぇけどよ。あんな程度の奴らの親玉だろ?例えあのヒョロガリの百倍強くたって苦戦はするかも知れねぇけど、負けるとは思わねぇな。」

 

実際にギフターズを殺した男のその言葉は男に与えるべきではない度胸と勇気を与えてしまった。

 

(クソっ、クソっ!何が百倍強くてもだ!!あれは…あれは百倍どころじゃなかった!!)

 

男が見たのは…否、見えなかったのはあの怪物が自分達の前に現れた時の事だった。

 

「はぐれの癖に無許可で人身売買かました馬鹿はー、あなた方でいーんですかー?」

 

最初は何の冗談だと笑ってしまった。

報復でより強大な能力者がくると思えば…こんな小娘が来るとは。

…いや、むしろちょうどいいかもしれない。

金はあるが…最近、ソッチはご無沙汰だった。

仲間にも女は居るが、アイツは俺達を虫か何かと勘違いしているのかと思う程に当たりがキツく手を出すのは早々に諦めていた。

それに、アイツの能力はこの仕事に必要不可欠だ。それを一時の欲求で失うのは馬鹿のやる事だ。

だから、そこらで女でも買うかと思っていた所にコレだ…ツイてる。

強いて言うなら胸が無いところが残念だが…顔はそこらの金で買える女の万倍良い。

スッと隣の仲間が動く。

皆、考える事は同じ…か。

ならば楽しませて

 

「勝手に動かないでくださーい。」

 

女が右手の人差し指をこちらに向けたかと思うと、次の瞬間には一番前に出ていた仲間…件のギフターズを殺した男の両腕が宙を舞っていた。

すぐ側にいた仲間や俺にも吹き出した大量の血が降りかかる中、誰も状況を理解出来て居なかった。

時が止まったように硬直する俺達と、激痛に耐えきれず地を転げる仲間の声だけが響いていた。

 

「腕がとれただけでおーげさですねー。

ホントーにしろーと丸出しじゃないですかー。」

 

女の声でやっと頭が回りだした。

しかし、出てくるのは無数の疑問のみ。

現状に対する逃避と未来からの逃亡思考。

 

「なっ、何なんだよ!お前はぁぁぁ!!」

 

「まさか、知らずに近付こーとしたんですかー?

私は神溺者序列4位、薬師寺明暗でーす。

覚えなくていーですよー?どーせ皆殺すよてーなので。」

 

その言葉を聞いた瞬間に全員が駆け出していた。

チームワークなんかじゃ断じてない。

これは生存本能とか、恐怖に突き動かされたとか…恐らくはそういう部類だった。

そして、現在に至る。

此方は全力で逃げてるのに、あっちは息も切らしてないのか…!?

 

「鬼ごっこはきらいなのでー、あなた方にーチャンスをあげましょー。」

 

その言葉に足が止まった。

体力が限界だったのだ、そこに助かるかも知れないという淡い希望を抱かせる言葉…しかし、直後に後悔する。

この足を止めさせるのが目的だったら…!

 

「ぎっ!?」

 

横から甲高い笛の音が聞こえた。そっちには、仲間しかいない筈なのに…恐る恐る首を向けると、おそらくはそのまま走り抜けようとした仲間が喉にコイン程の穴を開けていた。

笛の音は喉から空気が抜ける音だったのか、と場違いにも納得していた。

 

「折角チャンスをあげるといったのにー、れーぎを知りませんねー。」

 

「どっ、どうすれば良いの!?

どうすれば私達を見逃してくれるの!」

 

恐怖に歯を鳴らしながらも気丈に振る舞うその態度に涙が出てくる。

そうだ、チャンスをくれると言った!俺達は生きて帰るんだ!

 

「いー質問ですねー。別に見逃しはしませんがー、あなた方ののーりょくを見てー…有用そうなら私の部下にしてあげましょー。

ちょーど1人、最近死んだのでー。」

 

1人…俺達が殺した奴はコイツの部下だったのか!

クソッ、あの時止めていれば…いや、今は生き延びる事だけを考えろ!

すると、両腕を失った男が弾かれたように顔をあげると捲し立てるように叫んだ。

 

「おっ!俺の能力見てくださいっ!!こんな奴らよかよっぽど役に立ってみせます!!」

 

こいつっ…!自分1人だけ助かろうってのかよ!

 

「…んー、りょーてのない人が役に立つんですかー?」

 

「あぐっ…あっ、いや、その…のっ、能力は腕が無くても使えますっ!!」

 

「どんなのーりょくなんですかー?」

 

「俺のっ、あっ、いや、私の能力は分解です!

自分の半径5M以内の物をなんでもバラバラに出来ます!」

 

そうだ、あいつの性格や気性もこの分解っていう強力な能力のもとに成り立っている…正直言って戦闘では無敵な能力だ、近付きさえすればこの怪物だって…

 

「なーんかパッとしませんねー。」

 

「は、はい…?」

 

「はんけー5Mって狭くないですかー?遠距離こーげきはどーするんですかー?そもそも私のこーげきを防げて無かったし…のーりょくのはつどースピードもあんまり早くなさそーですねー。」

 

「そっ、それは…」

 

「でもー、これを防げたらごーかくにしましょー。」

 

「は…?防ぐって何…を゛!?」

 

どこか間の抜けた声と共に男の身体が内側から弾けた。

血や内臓、骨やらが雨のように降り注ぐ。

 

「駄目じゃないですかー、敵の前でのーりょく解いたら死にますよー?じょーじはつどー型じゃない時点で見込みもなかったですけどー。」

 

後は俺を入れて二人…ダメだ、皆…みんな死ぬんだ。

 

「そっちの人はどんなのーりょくですかー?」

 

目線の先は俺に向いていた。

鼓動が更に速くなる。心臓が割れてしまいそうだ。

 

「俺は、身体能力の強化で…」

 

「じゃー間に合ってまーす。」

 

そんな無慈悲な声と一緒にアイツはいつの間にか目の前に来ていた化け物に首をへし折られた。

いつ移動したのかもわからなかった。目を離したりなんかする訳ないのに。

 

「最後ですねー、さーちゃちゃっと行きましょー。」

 

「ハァッ、ハァッ、イヤ、助けて…死にたく、死にたくないよぉぉ!」

 

「…うるさいですねー、早くのーりょく見せてくださーい。」

 

「のーりょく…わ゛だぢののーりょぐは…へ、変身です…」

 

恐怖で舌が回らない。頭が正常に動いてくれない。怖い、怖い怖い怖い怖いこわいこわいこわい

死にたくないよぉ…

 

「変身…少し見せてくれますかー?」

 

見せる…?助かるの?私…?

 

「はひぃ、こ、こんな感じですっ!」

 

「…なんで私なんですかー?」

 

「あっ、え、えと…相手を、見ながらじゃないと、発動出来ない…です。」

 

「………驚く程に使えませんねー。」

 

いやっ!なんで近付いてくるの!!?

来ないで、来ないでよぉぉ!!

 

「ふーん、のーりょくが弱すぎて見えないところは本人のそーぞーで補われるんですかねー?」

 

化け物は私の服を引き裂いてじろじろと身体を見てくる。

私は、嫌悪感とかオキニのブランドの服が破られたとかも考えずにただひたすら祈ってた。

神様仏様、どうか助けて下さい。

 

「…ごーかくです!」

 

「はへ?」

 

ごーかく?助かったの…?

 

「安心してくださいねー。きょーから私が全力で死なないように守ります。」

 

助かった…!助かった!助かったんだ!!

 

「貴女の身体は私がちゃーんと使いますね。

良かったですねー?死ななくて。」

 

は?

私が使う?どういう意味…

 

「ガブッ…やっぱ痛いですねー、死にそー…です…」

 

突然、化け物が自分の胸に右手を突っ込んだ。

そういう能力ではないだろう事は噴き出す血と鉄の匂いが物語っている。

 

「ぐっ、ご、ごれで最後です…」

 

化け物は胸から手を引き抜くと頭に手を差し込んだ。

 

「何…、何なの、こんな…私…」

 

そうだ、逃げないと…

ここから、早く…!?

身体が、動かない!?何で!!?動いて、動いて!動いてよぉ!!

…?なんで、何でそっちに…化け物の方に行くの!!

やめてよ!逆、逆に…

嘘?嘘でしょ…?なんでそんな…化け物の頭なんか持つの?

頭を持つと差し込まれていた手がズルリと抜け、中から血と脳みそが混じっているのであろうどろりとした塊が溢れる。

 

「う゛、お゛え゛ぇぇぇ」

 

びちゃびちゃと胃液やお昼に食べたものが出てくる。

気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い!!

なんで、こんなのを…!

私の腕は私の意思に反してどんどんとその頭を顔に近づける。

やめて、やめてよ!!もう、いやぁぁぁぁぁ!!!

遂に頭は私の顔の直ぐ前にまで来た。

目の前にはさっきの手が入っていた穴が…

私はその穴から中身を啜るように飲みだした。

 

 

「んー、ちゃんと替われましたねー。」

 


 

薬師寺明暗は考える。

 

「あー、オハヨーございまーす。

センパーイ、数学の課題忘れたんで見せてくださーい。」

 

「忘れたってかやってないだけじゃない?

あとそこって俺の席なんだけど…ここまでくると間違ってるのは俺の可能性出てきたね?」

 

「明暗ちゃん!!課題なら」

 

「臭い」

 

「グフッ!!」

 

「佐々木君ーー!!」

 

「センパーイ、もし課題見せてくれるならー。

きょーはデートしてあげてもいーですよー?」

 

「は?だから男はヤダって」

 

俊稀が言い切る前に明暗は俊稀の手を掴みスカートの中に差し込んだ。

 

「っ!??!?!?はっ!?いやっ、あのっ!!?」

 

そう、これだ。

こうやってこちらの一挙手一投足に揺さぶられる…お前のその顔が見たかったんだ…。

 

「で?課題は見せてくれますかー?」

 

「あっ、はい…見せます…」

 

呆けた顔だ、そう、コイツは底辺で私は4位。

私の方が上なんだ。

ああ、本当に気分が良い。

この後のデートでは、どんな事をしてやろうか?

 

薬師寺明暗は悪戯好きな少女のように、笑った。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

初見RTA龍装機の裏技!!The Doragonic of OZ
1/?(初見RTA)


右も左もわからない…けどRTAは止められない、そんな好奇心の奴隷であるホモの兄貴達!お久しぶりですね。

今回も、もちろんするでしょ…RTA!

今回は初見RTAと言う事でこちらもホモ兄貴達と同じくゼロからのスタートなので一緒に色んな想い出…作ってこ?

とりあえず、よく分からない森がスタート地点なのでまずは植生から調べましょう。

…?なんか変ですね、デカイ木が多い割には全然根っこが見当たりません。

それに枝が大振りで数が妙に多いのに葉っぱが緑じゃないですね。

つまりは光合成に代わる何かをしている…しかもそれは大木クラスに成長できる程にはエネルギーを得られる…

あっ、でも実はつけるんですね。

実をつけるという事は種子で増えるんですかね?

という事は鳥か猿のような身軽な獣がこの森にも居ますね…後者の場合は知能の高さによっては敵対の可能性があるので出来れば遠目に確認したい所です。

ついでに一つ実を拝借しましょうかね。

こんだけ枝があれば目を瞑っても余裕ですし…はい、取れました。

んー、良く見ると果物って見た目ではないですねぇ。

無理矢理近いモノを挙げるとリンゴでしょうか?

遠近法で判らなかったんですが、サイズがまずスゴいですよコレ。

大体バスケットボール大の真っ赤で透き通った宝石類のような見た目と、重さはざっくり30Kgぐらいといった所ですね。

…コレ鳥類が喰うサイズかなぁ?て言うか木に登って見渡した時に確認しましたけど食べ掛けの実が確認出来ませんでした…

もちろん見落としやらここいら一帯が食べられてないだけ説もありますが…これを鳥類が食べてる場合は一口でいってる可能性が出てきましたね。

一応、実の中身も確認しましょうか…堅っ!

えぇ…鉄板入りのブーツで踵落とししてもへこむだけ何ですか…

じゃあ、ナイフで…堅っ!!

えぇ…コンバットナイフの刃が立たないんですけど…

…仕方ありませんね、飛び散るだろうと思って選択肢から省いていましたが…セイ!!

はい、無事に砕け散りました。

うーん、恐ろしい事に中身まで堅いですねぇ。

しかもきっちり種子も確認できるのでセオリー通りに行くとコレを食べる生物が居る…と。

どっちみちこれを捕食してる時点で恐ろしい生物ですよこれは…

鳥類ならば嘴がヤバくてこの重量の木の実を食べても問題なく飛行出来て、獣の場合は木登りが出来る上に30Kgはあるこの実を運べて硬さも関係なしに食べれる顎持ち…やだなぁ、人間が居るかも解りませんが居たとしても相当に発展してないと人が食物連鎖の中層ぐらいに位置しそう…しそうじゃない?

んー、後はそこらを飛んでる羽虫が異様にデカイですねぇ…酸素濃度は特に高い訳では無いのでこれまた何でデカイのか謎です。

猫ぐらいのサイズの虫が飛んでるのは人によっては無理そうですね。

ん?なんか物音が…

 

「おい、そこの劣等人間…ボクを助けろ」

 

声の方に目をやると、茂み(生垣のような低い木で出来てるタイプ)から現れた目が見えた。

まるで縦に裂けたような瞳孔と宝石を思わせる黄色い眼を持ったそれの全体像が徐々に露になる。

…ドラゴンかぁ、あぁ、そういうのが居るんですかぁ…

しかも喋るんですかぁ…でも劣等人間とか言うって事は人間はしっかり居るみたいですね。

しかし、思いの外小さいですね…サイズは軽トラぐらいでウイングスパンも6M程度…まだ良かったと言って良いのか、これが子供なだけか、個体差がエグいのか…

 

「おい!聞こえないのか!!このボクが…」

 

「うっせぇ!!!人が考えてる時にガチャガチャ言うんじゃねぇダボが!!」

 

「ふみぃ!?」

 

んー、助けろって言うから何かと思えば左翼に穴が空いてますね。

しかも身体にも傷口が幾らかある…と。

んー、どうにか出来そうではありますがそもそも助ける意味があるのか謎ですねぇ。

ドラゴンが人間の守り神的なポジションならば助けるに越したことはないですが、問題はこの損傷が人間により負わされた場合です。

その場合はドラゴンと敵対してるのでここで助けると後々に響いてきそうですねぇ…コイツがそれを補って余りある程の何かをくれるなら別ですが…

 

「あ、あのー…出来れば、助けて戴けるととても助かるなぁって…」

 

「お前、何が出来る?」

 

「えっ、えーっと、何とは…?」

 

「俺がお前を助けてどう徳になる?メリットを提示しろって言ってんだよ。」

 

「メリット…だと?貴様!!下手に出れば調子にの痛ぁい!?

あっ、やめて!!傷口グリグリしないで!!

えっ!何ソレ!?傷口から良く解らない長いの引きずり出さないでぇ!!」

 

…クソよえぇなこのトカゲ。

しかもこの傷口…やっぱり人間にやられてそうですねぇ、傷口からワイヤーらしきモノとアンカーらしきものが出てきたのでコイツは何かしらの兵器で撃たれてる訳で…

 

「お前、人を襲ったな?」

 

「……フン!龍種であるボクが下等な貴様らを襲うだと?

馬鹿にするな!!貴様らは羽虫を払う事を襲うと言うのか!」

 

「羽虫にボコられたトカゲがなに言ってんだか…」

 

「トッ、トカゲだとぉ!!貴様ぁ!取り消せ!!さもなくば魂ごと焼きつくして痛ァァいっ!!」

 

「オマエ、ヒトノテキ、オレ、オマエ、タベル、ワカルカ?」

 

「違う違うチガウ!!ボクは君達の味方だよぅ!!

この怪我だって他の竜を追い払おうとして間違って撃たれただけなんだって!!」

 

…多分それが本当でも間違えたんじゃなくて諸とも撃ち殺す気だったんじゃねぇかなぁ。

だって間違えてるって思うならその人間の方に行けばいいじゃん…コイツ自身がそっちに行くとトドメを刺されると思ったから逃げてきたんだろうし…

 

「…助けてよぅ、ボク…こんな所で死にたくないよぅ!!」

 

…まぁ、初見で何も解らない以上何しようが一緒ですので…ね?

 

「おい、その身体もうちっと縮まねぇのか…

手当てしようにもこうデカくちゃ手間だろぉが。」

 

「たっ…助けて、くれる…の?」

 

「ああ゛?テメェが助けろって言ったんだろ?」

 

「…!うん!!あっ、身体!小さくすればいいんだよね!」

 

「おう、てか縮めるっていうか丸まってくれりゃあそれで…」

 

あー、そういう…人に変化したりとかも出来ちゃうんですか。

 

「コレでどうかなぁ?変じゃない?かな?」

 

んー、どっからどう見ても全裸の赤髪爆乳お姉さまですね…しいて言うなら瞳が縦長のまんまで爪やら角やらがあるぐらいですかね?

 

「テメェ!!タグが増えるって言ってんだろ!!服ぐらい着ろバカ!!」

 

「ふやぁ!?タグって何?何で怒るのぅ!?」

 

 

 

「…こんな所まで逃げていたのか、そこの君逃げなさい。

ソイツは龍だ人に化けていても人間くらいラクに殺せる化け物なんだ。」

 

…情報が集まってきてますねぇ、て言うか何ですかこのメカメカしいミニガン○ムは?

サイズは3M程度…パワードスーツってトコですかね?

しかも、やっぱりコイツ殺されかけてんじゃねぇですか…

 

「なぁにぃ?お兄さんったら人の女捕まえてナンパかよ?

男連れの女に声かけようたぁ良い度胸じゃねぇの?」

 

「…ふぅ、洗脳までされていたか。

私が遅れたばかりに…すまない。

龍伐規定第21条に基づき、龍種に洗脳された者…君も始末させてもら…ッ!!」

 

コイツ、新兵なのか馬鹿なのかわかんないですが敵認定した奴から視線切るとか舐めてますなぁ。

10Mぐらいの距離で安全とでも思ってたんですかね?

 

「人の恋路を邪魔するバカは…俺に殺られて死んどきなぁ!!」

 

ロボの両腕を結んだ線の中心部に両手を当て、そのまま捻るように押し込む。

中国拳法に於ける発勁は力を外部を叩くのではなく内部に流す事に重きをおいたものである。

また、日本の古武術には刀を失った武士が甲冑相手に有効打を得る為に編み出された技術、鎧通しがある。

つまり、外身がいくら堅牢だろうと…さっきの実を潰した時と一緒だ。

 

「ガボッ!?ゴボボッ、ゴガッ」

 

内臓がシェイクされて倒れましたね。

…どうにかしてこのパワードスーツを奪い取れ借りれないですかねぇ…

登録した人間だけしか動かせないとかのパターンかなぁ…てかそもそもどうやって乗り込むんですかね?

開け方がわからないんですが…

あぐっ!?

…ヘッショされましたねぇ、殺気を感じて咄嗟に手で弾きましたが威力が高過ぎて両手と頭部の一部が吹っ飛びました。

 

「うわぁ!?大丈夫!?ねぇ!!」

 

ドラゴンちゃんはこれが大丈夫に見えるんですかね?

キッチリ致命傷なんだよなぁ…

 

「よくも…ワシの孫を…グゥ、やはりお前にはまだ早かったんじゃ…ワシがもっと止めておれば…」

 

あぁ、さっきのロボのおじいさんですか。

んー、次は殺さずに無力化しましょうかね。

おじいさんからも話が聞きたいですし。

では、そろそろ死ぬので今回はここまで!!

では皆さんまた次回お会いしましょう!



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

2/?

早速死んでタイムが嵩んでるRTAはーじまーるよー!!

前回はじじいから顔に熱いのをぶっかけられた所まででしたね…

死ぬ程痛かったゾ…(直喩)

とりあえず、あのガンダ○の登場までは来たので今度は生け捕りにしましょう。

 

「龍伐規定第21条に基づき、龍種に洗脳された者…君も始末させてもら…ッ!!」

 

言ったそばからまた油断…馬鹿は死んでも治らないんだよなぁ…

ガト○ュエロスタイ!!

はい、前回の当たった感触から考えるにこれで心臓を強打できましたね。

心臓を強打すると心臓震盪といって…まぁざっくり気絶します。

放置すると普通に死ぬので気を付けましょう。

では、ロボニキがぶっ倒れたので…こ↑こ↓です!!

はい、今度はしっかり避けれましたね!

 

「出てきな!この兄さんも殺しちゃいねぇよ!」

 

「ぐぅ、誰が龍の傀儡の言葉など信じるか!」

 

よしよし、茂みからじっちゃまが出てきましたね。

ていうか、このドラゴンちゃんに洗脳されてると思われてるからこんなに敵対されてるんですか…

じゃあ、とりあえず蹴っ飛ばしときましょうかね。

 

「痛ぁぁぁいっ!!いっ、いきなり何すんだよぅ!?」

 

「ほれ、このトカゲにゃあなぁーんもされちゃおらんよ。」

 

「む、むぅ…信じられん、生身で龍を蹴り上げるとは…お主、もしや魔法師か?」

 

えぇ…ロボとドラゴンの世界かと思いきや魔法まであるんですか…

て言うか、魔法使い…魔法師って言いましたね、だとドラゴンに対抗できる…と。

うーん、このドラゴン程度なら正直言って○ンダムも魔法も要らないですけど…多分コイツって底辺なんだろうなぁ…

 

「なっ、何だよぅ!!何でボクを蹴っといてそんな目で見るんだよぅ!!」

 

「あ゛ー、爺さん…俺は別に魔法師ってのじゃねぇよ。

そこいらの通りすがりのイケメンだ。

まぁ、俺の事は置いといて…あのロボの兄さん助けねぇとそろそろ死んじまうぜ?」

 

「なっ、何!?ならはよう助けてくれ!!」

 

「いや、あのロボひっぺがさねぇと無理だぜ?

まさかあの兄さんも産まれた時からアレじゃねぇだろ?」

 

「よ、よし…解除しよう…

お主の助けると言う言葉、信じるしか無いとはいえ…嘘ではあるまいな!」

 

「当たり前だろ、ナイスガイは嘘をつけねぇんだよ。

これ以上鼻も高くならねぇしな。」

 

「…ナルシスト…痛ぁい!!」

 

「……龍装、解除!」

 

じっちゃまの声でアーマーが剥がれていき、兄さんの上で小さなキューブ状に変化していく。

最後にはコロンと兄さんの背中に落下するが反応が無いあたり重量とかは…まぁ、ファンタジーですよ!

とりあえず、蘇生しときましょうね。

 

「ガフッ!ゲホッ、ゴッゴホッ!」

 

はい、これで大丈夫!

 

「おお、ヴァーミスト!…良かった…!」

 

じっちゃまが涙ぐんでますなぁ…

…ん?もしかしてドラゴンちゃんが居るのマズイのでは?

 

「じいちゃん…?此所は…!!さっきの龍は!?それに洗脳されてた…!!」

 

「あー、ちぃと待ちな兄さん。

俺は別にアンタらをどうにかしようなんざ…」

 

「ぐっ!じいちゃんを脅して此方の龍装機(ドラグーン)を解除させるとは…何が狙いだ!龍の手先め!!」

 

えぇ、俺って龍の手先だったんだ…

そして、あのガ○ダムはドラグーンって言うんですか。

対ドラゴン用の匂いがプンプンするぜぇ…

そもそも、龍伐規定とか言ってたし…やっぱ人類の敵なんすねぇ。

 

「あー、確かに龍の側に居て紛らわし…」

 

「おっ、お前達に頼みがあるんだよぅ!!」

 

えぇ…人がせっかく誤解を解こうとしてたのに…

と言うか、頼みってなんですか?

一応怪我の手当はしっかりしましたよ?

 

「フン!龍が頼みだと?

ふざけるな!私とて未熟とは言え龍装騎手(ドラグナー)の端くれ!

この魂を喰われようとも、貴様らの言いなりになぞなる気はないわ!!」

 

おぉ、覚悟がガンギマリですねぇ…

とにかく、ドラゴンちゃんの頼み事を聞いてみないことには話が進まないのににべもなく突っぱねるとは…

とりあえず話の邪魔なんで落とすか。

 

「がぐっ!?…ぐふぅ…」

 

「ヴァーミスト!!お主いきなり何をするんじゃ!?」

 

だってぇ、その兄さんがいると話進まないしぃ…ね?

ホラホラ、話続けて続けて!!

 

「えっ、えーっと…そ、そう!お前達に頼み事があるんだよ!!」

 

「…だからぁ、それが何だって訊ぃてんだけどなぁ?

ああ゛?」

 

「ひぅ!?怒らないでよぅ…」

 

コイツ…だからそう言うのいいから早く言えって言って…ふぅ、落ち着こう…こういうのは苛ついたら負けだ…落ち着いて、よしBecool…

 

「怒ってないからさぁ…早く…ね?お願い?」

 

「あぅ、絶対嘘だよぅ…マナが震えてるもん!

龍に嘘は通じないんだよぅ!!」

 

「うっせぇ!!早く喋れってんだよ駄トカゲが!!」

 

「ひぅぅ!!やっぱし怒ってるんだよぅ!!」

 

「…龍の嬢さんや、良ければその頼みとやらこの老いぼれにも聞かせてくれんか?」

 

…?じっちゃま急に入って来ましたね…

コイツにあまりにも威圧感とかそういうのが欠如してるから問題なし判定されたんですかね?

 

「別に、お主らを信じた訳じゃないわ…

ただ、お主らがその気ならばワシらは今頃生きてはおらんじゃろう…

じゃから、その分ぐらいは信用してやる…それだけじゃ。」

 

男のツンデレは醜いんだよなぁ…

じゃあ、ちゃっちゃと話してどうぞ。

 

「う、うん…おっ、お前らには…ボクの父上を…龍帝始源龍(バハムート)を倒してもらいたいんだ!」

 

「えっ?嫌ですけど?」

 

だって危ないじゃんね、そんなルビ振ってるような奴と戦うなんて。

そもそもがバハムートって名前で弱いことないじゃん。

逆にコイツはおじいちゃんとそこらの通りすがり捕まえて勝てると思ってんですか?

 

「…そう、だよね…うん、今のは忘れて欲しいんだよぅ…」

 

…かと言ってそうやって泣きそうになりながらそういうこと言うのは反則…反則じゃない?

………まぁまぁまぁ、まぁ?この世界のクリア条件がわからない以上?そうやって目ぼしいネームドを倒すのも?⁉️ある意味当然の行いなんで?…仕方ないっすね?

 

「…倒すのはヤだけど、ルビまで振ってカッコつけてる痛いトカゲの駆除になら…参加してもいいぜ?」

 

「!!!ほっ、本当!?いっ、今確かに聞いたんだよぅ!!後からやっぱ無しはダメなんだかんね!!」

 

あ゛ー、ドラゴンちゃんがはしゃぐ度に何処がとは言わんけど揺れてらぁ!

この体でドラゴンは無理でしょ…スケベな事しか考えずに生きてきたな、このお下品モンスター!

されどその無垢なる精神誉れ高い。

 

「バッ…始源龍…!?

お主は…お主はかの大悪が何処に居るのかわかると言うのか!?

いや、そもそも始源龍の娘じゃとぉ!?

そんなものが存在するというのか…ならば、お主は…」

 

じっちゃまが言い終わる前に殺気を感じた。

それも…さっきのじっちゃまが俺に向けたような隠しも出来てねぇお粗末なモノじゃなく、相手を殺す為に必要な最小限のみを裡から出して相手が死ぬと同時に無くなるような。

つまりは、殺しに慣れきってライフワークになってる奴特有の殺気だった。

その殺気を感じると身体はすでに動き出していた。

爺さんとドラゴンを両手に抱え飛び込むように前方の茂みに突っ込む。

そのコンマ数秒後に元いた場所に光の柱が降り注いだ。

ほんの、一秒にも満たぬ時間でその光の柱は地面を抉り砕き深さにして4M程を掘削していた。

半径にして3M程度を一気に破壊する物理的な破壊力を持った光の柱…ようはビームだな。

男の子の夢が詰まってますなぁ…ドラゴンに魔法にロボットとと来てお次はビームとはねぇ!

次はハーレムとチート能力を希望するよ。

 

「そこの虫ケラ、居るのはわかってるので出てきなさい。

私に手間をかけさせないで下さいよ。」

 

そう殺気の主は…俺達の上空を飛ぶ銀色のドラゴンはそう言った。

…やっぱコイツ底辺じゃねぇかよ!!

なんだアレ!?俺谷崎だけど!

じゃあさっきのはビームってよりブレスか?

いや、ドラゴンが喋る以上は知能が人間より高い可能性もある…

魔法か科学か生態か…決め付けるなよ、予想はしてもそれを軸に策を練れば外しがある。

外したら隙になる、俺ではアレに隙を晒して勝つことは出来ない。

 

「うぅ…もぅダメだぁ…おしまいだよぅ…ボクはここで…」

 

「諦めんなよ…俺がお前らを守ってやっからな。」

 

「むっ、ムリだよぅ…キファは異形龍(ジャバウォック)なんだよ…私達じゃ、かすり傷一つ付けれないよぅ…」

 

「異形龍…最低でも脅威度(クラス)B-か、逃げることも出来んじゃろう。」

 

…情報が処理しきれんよ、取り敢えずあのドラゴンはジャバウォックで…クラス?幽白のアレと一緒か?

Bってじゃあ戸○呂じゃん。

えっ?俺今から○愚呂と戦うの!?

 

「虫ケラ、今から十数えた後にそこに先程よりも少し強めにブレスを放ちます。

ので、これが最後通牒です。出てきなさい。」

 

「爺さん、そのクラスB-とやらは大体どんぐらいの戦力で倒しに行くモンなんだ?」

 

「…そうじゃな、脅威度B-ともなれば2世代型の龍装機が4機はなければ話にならんじゃろう…

3世代型でも龍装騎手によっては1機では厳しいじゃろうな。」

 

…クソ参考にならねぇ!なんだよ世代って!!じゃあさっきのは何世代型だよ!

 

「10,9,8」

 

あーら!もうカウントしだしてら!!

…突っ込むかぁ?でもなぁ…

まっ!当たって砕けるかぁ。

じゃあ、そうと決まれば…

 

「待ってくれ!!」

 

俺は茂みから出ながら声を上げる。

茂みを後ろにすべきか?

…いや。ブレスで全滅を避けるなら移動するべきか。

 

「7…何ですか、虫ケラごときが私に声をかけるとは。」

 

「…アンタの捜し物についてさ、知りたいだろ?」

 

「…何を言い出すかと思えば、下らない。

私が何を探すと言うのです。」

 

よし、乗ってきた!

これで第一段階はクリア…次は…

 

「残念だったよな?本当に」

 

考えろ…相手は俺を気まぐれで殺せる、相手の興味を惹くような言葉を選べ、倒置法で続きを知りたくなる言葉を先に…

 

「アンタに狙われた時点で俺は死ぬんだろう…なら殺される前に全てを話そうとおもってね。」

 

さっきからあのドラゴンは俺達に出てこいと言って来ている。

あの攻撃力と範囲があるならまず間違いなく茂みごと俺達を焼けた筈…なら何故それをしない?

仮説1、あの攻撃はインターバルが必要でそれを待っている。

ならさっき言っていた少し強めにというのは?

ああいうこっちをあからさまに見下してくるタイプは自分の実力を偽る嘘を吐かない。

自分が相手より確実に強いという自負から相手を騙して策に嵌めようという発想がない。

つまり、ブラフは無い!

ならば、加減して打った攻撃で次へのインターバルを要するか?

不確定情報が多いが、爺さんの話だとあのロボを4機相手に出来ると言っていた。

ブレス以外の遠距離武器はドラゴンにあるのか?

ないのならブレスにインターバルがある訳ない。

遠距離攻撃がいくら高火力でも単発なら囲んで撃ち殺せる。

そしてなにより、今この現状が仮説1の間違いを示している。

もし威力を抑えようがインターバルが必要で、次は確実に当てる為に出てこいと言っていた場合…俺の会話に乗る意味がない。

アイツ自身が言った10秒は俺との会話中に過ぎた!

ならば、俺ごとブレスで焼かなかったことが…俺が今思考していることが何よりの証拠になる。

ならば、仮説2俺達を最初から殺す気がない。

これは…正直わからん。

可能性としては否定できない。

ああいうタイプは見下した相手にはトコトン無関心だ。

しかし、それならば最初のブレスがある。

アレは俺だから気付けた…ポンコツトカゲと爺さんだけなら今頃仲良く三途の川だろう。

最初に感じた殺意もある…逃げ切れば追ってくる事はないだろうが、現状は殺しに来ていると見るべきか。

ならば仮説3俺達の中に殺してはいけないモノがいる。

…長々と考えたが恐らくはこれしかないだろう。

ポンコツトカゲが最初にアレを見た時にボクは終わりだと言っていた…あの場面、普通ボク達じゃないか?

もちろん、あのポンコツが我が身可愛さが勝って俺らのことが頭から抜けていた可能性もあるが…

俺はあのポンコツの性格的に無いと判断する。

危険が伴うお願いを断られたからって諦めるような奴だ…自分が撃たれると解っていながら他のドラゴンを追い払ったと俺に胸を張ったバカだ…あのロボの兄さんが来ても、最初から戦う素振りも見せなかったアイツだ。

つまり、このドラゴンの目的はあのポンコツだろう。

アイツもそれに気付いていたから…ならあの場面でボクって言ったのはいざとなりゃ投降して俺らを助けようとでも思ってたのかね…

舐めやがって…

 

「龍帝様の娘が人間の味方になるって飛び出したんだ…そりゃあ血相変えて探しにくるわな。」

 

「……あの娘は本当に口が軽い。

たかが虫ケラにそこまで話すとは…」

 

よし!読みは間違いない…あとは、どれだけ時間を稼げるか…

 

「アンタと交渉したい…いや命乞いと言っても良い。

アンタの捜し物を差し出す替わりに俺達を見逃して欲しい。

アンタにとっちゃあ殺す理由も価値もないだろう?」

 

「虫ケラごときが私に指図するとは…驕りが過ぎますね。」

 

瞬間、先程の倍はあろう範囲のブレスが放たれた。

嘘だろ?こんなに呆気なく撃つのかよ…!

しかし、さっきと違うのは攻撃範囲だけじゃない。

俺の方も話しながらギリギリ準備が間に合った。

俺は一足でその場から弾けるように飛び退く。

俺の目にはブレスも飛び退く自分も、スローモーションのように映っていた。

脳内麻薬と言うものがある。

それは脳内から分泌される物質でありながら癌患者などに使われる医療用麻薬であるモルヒネや麻薬の王様ヘロインをも凌駕する鎮痛作用を持つ。

事故で撥ね飛ばされた男が折れた脚で立ち上がり病院まで歩いたという事例や格闘家が試合中に骨折をしても気付かずに試合後の精密検査で発覚する等…例を挙げればきりがない。

火事場の馬鹿力と呼ばれるそれも脳内麻薬の過剰分泌に過ぎず、肉体のリミッターを外す行為に他ならない。

人は事故の際や死の間際に時間が酷く遅延して感じると言う。

俗に言う走馬灯…これすらも、ドーパミンやアドレナリンと言った脳内麻薬が過剰に分泌されているに過ぎない。

ならば、その脳内麻薬を自在に分泌出来たら?

 

「どうしたよ、銀ピカトカゲ…虫ケラはまだ元気に二本のあんよで立ってんぜ?」

 

「…余程、死にたいようですね。」

 

ぶっ殺してやる!

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

3/?

一向に話が進まないRTAが!始まりますなぁ。

前回は突然現れた銀ピカドラゴンからお誘い(意味深)を受けてレッツパーリィし始めた所まででしたね。

…いやぁ、しかし…クッソツエェや!!

勝てねぇ!!…俺は、無力なんやなって。

 

「虫ケラにしてはよくやりましたよ、さしづめドブネズミの親玉と言ったところですか。」

 

へぇー、この世界にもドブネズミ君は居るんすねぇ。

しかし、やっぱ空飛んでるのは卑怯っすわ…すわわぁ。

当たんないもんね。もんもん。

だってさ?こうやって木を蹴りながら跳ぶじゃん?

袖口に隠してたワイヤーを枝に絡ませて思いっきり引っ張るじゃん?じゃあ空中で移動してあの銀ピカの死角に入るじゃん?背中乗るじゃん?

んで、翼掴んで極めるじゃん?

そもそも、空を飛ぶって行為は結構デリケートなもんでして…

 

「私に触れるとは、死で購いなさい。」

 

極めていた左腕が切断される…そうなんすよ!

こいつ、翼やら体表の鱗やらが滅茶苦茶鋭くて切れるんすねぇー。

日本刀でも受けきれる自慢の骨格が形無しですよ…

と言うか、他に狙うモンが無かったから狙ってたけど多分この翼ってもぎもぎしても多分無意味なんすよねぇ…

だって動いてないもの。

動いてないのにホバリングしてるもの。

そもそも体の大きさに対して翼が貧弱すぎるだろ…

体が14M程ある癖に翼が広げても6Mいかねぇじゃんすか。

あーあ、片腕無くなっちゃった…宇宙海賊でもしようかなぁ。

こんな感じで、上空に居るから攻撃出来ないわ体表は鱗で滑るわ掴まろうにもズタズタになるわいっそ飛び道具使おうにもブレス連発されるわ…

とっても困ってます。

それに、隙を見て攻撃しても鱗が硬いのなんの…どうしようもないんすよねぇ。

あー、そうそう…こうやって跨がってると体を回して振り落としたりもしますね。

コレされると鱗とかが引っ掛かってズタズタにされんすよ。

あー、右のおてても薬指と小指が無くなっ…ちゃったぁ!

 

「煩わしい…お前は何がしたいのです。

勝てる筈のない戦いをなぜ続ける…あの娘が逃げる気配も無い以上、時間稼ぎの意味は薄いでしょうに。」

 

「あ゛あ゛!?あのバカ逃げてねぇのかよ!?

ウッソだろお前!アイツ俺がボロ雑巾になるのを見守ってんの!?

逃げろよバカ!!」

 

「…はぁ、そんな事にも気付かないとは。

やはり虫でしたか。」

 

そう言ってドラゴンは俺に向けて口を開きブレスを撃とうと構える。

 

「私相手にたかが人間の分際で健闘したお前への褒美です。

せめて私のブレスにて苦もなく消し飛ばしてあげましょう。」

 

…そうだよなぁ、お前の性格上そう来るよなぁ。

相手を見下すお前は、その見下した俺をここまで仕留められなかった事にイラついている…しかし、それを晒すこともプライドが許さない。

ならばどうするか?簡単だ。

お前が何をしようが無駄なんだって俺を罵倒して自分の優位を実感する。

あのバカが逃げてねぇ事なんざちょっと気配を探ればすぐわかる…しかし、お前は俺にそれを指摘出来た気になって嬉しいだろう?

なら、後はどうするか…なんで俺がわざわざお前と目線が合うような木に居ると思う?

まさか、お前が振り落として偶々ここに落ちたと思うか?

指二本は痛かったが、これで整った。

そう、お前の目の前にはお前を翻弄した虫ケラが一匹死にかけで木に引っ掛かっている…

ここまでの状況で…お前は我慢出来んだろう…今まで何回も避けられた御自慢のブレスで決着をつけるという欲求を!

 

「プッ!!」

 

俺はドラゴンの口目掛けて口の中身を吹き飛ばした。

そこまで大口開いてんだ、目瞑って入るぜ。

 

「ぐっ!?きっ、貴様!よくもこんな汚ならしいモノをわだじぃ゛ぃ゛…!?

な゛ぶぐう゛え゛ぎ?」

 

そのままドラゴンは地面に落下した。

…正直効かないかもしんないなぁって思ってたから良かったぁ…まま、勝てば官軍よ!

じゃあ取り急ぎこっちも地面に降りんしょうねぇー。

 

「ぎっ゛ぎじゃ゛ま゛ぁ゛!!ばだぢぎぎゃぎぼぢだあ゛!?」

 

「ああ゛~?まーだわかんないのぉ?

ギャハハハ!!ここまでヤられてまぁーだわかんないんでちゅねぇ!?ザァーコ!ノーミソスカスカ…恥ずかしくないのぉ?

クキキ、自分が虫ケラ扱いしてた奴にヤられて?それが何かもわかんないってよ!!カックイー!カッコ良すぎて俺なら自殺してるね。」

 

おー、無茶苦茶にキレてますなぁ…

でも全然動けて無いとこを見るにしっかり致死量入ったと。

 

「学とノーミソの無いお前にもわかりやすーく説明してやるよ。俺ってばヤサシーだろ?

古くから製造の容易さとコストの低さから貧者の武器とまで呼ばれ、その性質や重篤な後遺症を引き起こす事から俺の世界では戦争でも使用が禁止された兵器。

VXガスだ。

たった10mgで人1人を瞬時に昏倒、殺傷する…人間の造り出した物質の中でも一二を争う毒性を持つこのVXガスは、恐ろしい事に皮膚に付着するだけで人を殺す。

そんなモノをお前の馬鹿みてぇに開いてた口に入れさせて貰った。

俺の喉奥に隠し持ってた…まぁへそくりだわな。

量にしてたったの6g程度…だが、単純計算で600人の命を奪える量だ。

お前にも十分致死量だったみてぇで良かったよ。」

 

ドラゴンはなおもこちらを睨みながらのたうちまわる。

その身体で周囲の木々がへし折られ、切り刻まれていく…これを続けられる事はねぇだろうが、ちと五月蝿いな。

 

「やめとけ、痙攣やら呼吸困難、意識障害…全部VXガスの症状だ。

人間ならその状態から20分もあればあの世行きだぜ。」

 

言いながらドラゴンに近づく。

もう暴れる体力も尽きたか…まぁ、無呼吸の上に意識だって不明瞭、当たり前か。

 

「だがなぁ、このVXガスは俺の切り札の一つ…虎の子だった訳だ。

それをお前みてーなクソザコトカゲに使っちまった…どう責任とんだテメェ?

と、言いたいトコだが…俺はヤサシーからよぉ?

しっかり用意してんだ、お前の責任の取り方ってヤツをさ。

お前、今から俺に解剖されろ。」

 

その言葉を聞いた瞬間、ドラゴンが再び暴れ出した。

そうやって暴れれば暴れる程に全身に毒が回るってなんでわかんないかねぇ?

声にならぬ声を上げるドラゴンの頭を踏みつける。

 

「安心しろよ、お前の鱗や翼、爪牙に至るまで…ぜーんぶキッチリ使ってやるからさぁ。

もちろん、その後は楽しい楽しい解剖ターイム!

お前らがどれだけ切れば死ぬかとか?何処なら攻撃が通りやすいとか?一緒に頑張って調べような!!

もちろん、麻酔なんか用意してねぇから…ガンバってな!」

 

そして、俺は作業に取り掛かった。

爪牙は削ればナイフやら投げ物にはなりそうねぇ…鱗は純粋に衣服系かなぁ…俺の服の下に鎖帷子の要領で貼り付けるのもありかもな。

翼は…ゴミだな、加工性が低すぎる。

あー、でも今から始まる解剖のメス代わりぐらいにはなるかね?

お前もウレシーだろ?自分の御自慢の翼で腹切られるのはさ。

…なんだこりゃ?腹ん中がスカスカじゃねぇか。

腹の中身が無い?おかしいな腸はおろか胃とかまでないとは…腹部には無いのか?

んー?て言うか生殖器も見当たらねぇ…あのバカが娘とか言う以上は生殖で増えるモンだと思ってたが…まさか単位生殖とか言わんよな?

喉は…気管も食道もなし、と。

しかし、この空間はなんだ?食道にしちゃあ筋肉質じゃねぇし…あぁ、ブレス吐くようの空間か…

ならブレスは何処から出てる?

んー?おっ、なんだコレ?光る…玉?

 

「それに触るな下衆が!」

 

俺が玉に気を取られていると一瞬で人間の姿になったドラゴンが俺に吹き付けるように血と唾液を浴びせてきた。

 

「…まだ動けたか、だが悲しいかなその姿になってまで狙った一発逆転は俺に自分のVXガス入りのつばをぶっかけること…

こういう策を練る時に、一番最初に考えて対策する事って何だと思う?

答えは、相手に使われた時の対処法さ。

俺はお前に言ったろ…喉の奥に入れてたんだぜ?

俺に効くわきゃねぇだろボケがァ!!」

 

人間体になった事で掴み易くなった髪を掴み顔に膝蹴りをいれる。

…銀髪のロリ少女に本気の膝蹴りかます男が居るらしいっすよ? 怖いなーとづまりしとこ。

俺は自分の腹部の位置にある顔を掴みそのまま目線まで持ち上げる。

 

「あっ…!う、うぐぅ…」

 

「お前がこうまでして守るこの玉は何だ?」

 

「ぐっ、こ…殺せ…」

 

「答える気は無い…と。」

 

「あたり…まえだ!」

 

…まぁ、大体わかりますけどね?

多分心臓でしょ?この玉があった位地とコイツが戦闘中に無意識に守っていた箇所が一致するんだもん。

だから…後は他の疑問も解決しとこうかな?

 

「クカカ!ガキみてぇなナリでも身体は一丁前に女ってか?

さっきのデカブツだった時にゃぁなーんも無いんでどーゆーコトかとおもやぁそーゆーコトかよ…

一つ、ジャバウォックサマに質問なんだけどさぁ…

虫ケラに犯されても、テメェは孕むのかね?」

 

「…!!離せぇ!!ぐっ!!このっ!何で…イヤ、嫌だ、私が…イヤァァァァ!!」

 

「てっ、テイヤーー!!」

 

俺は振り向きもせずにポンコツドラゴンのタックルを避けてついでに足を引っ掻けて転ばしておく。

 

「あぐぅ!?」

 

「…何やってんだお前?」

 

「そっ、それはこっちのセリフ何だよぅ!!

確かにキファはこっちの命を狙って来たけど、なにもそこまで…」

 

「ああ゛?何ネムテー事言ってんだテメェ。

生物にとって!!一番の重要、要は命だぞ!?それを狙ったコイツを俺が殺そうが!痛ぶろうが!!辱しめようが!!!俺の勝手だ…違うかよ?」

 

…別にこれは俺のロリコン発動とか童貞拗らせてドラゴンじゃないと興奮出来ないとかそういうのじゃないっすよ?

…どっ、どどどっ童貞ちゃうわ!!!

失敬…これはこの銀髪ロリの口からこちらに手を出さないという言質を引き出す為の小芝居ですよ。

本来は解剖で死ぬ予定でしたが、生きてるなら生きてるなりの使い方をしましょう。

…それに何故かVXガスで死なないですしね。

確かに症状は出てたんですがね?

うーん、ドラゴンから人形になる時に肉体の再構成を行っているとか?…ならもう一回毒物反応が起こる筈ですがそれも起こってないし…わかんない!

 

「…確かに、そうかも知れないよ。

でも、ボク達龍には誇りがあるんだ!

誇りを汚される事は、魂への冒涜…命を奪われる事よりも重要なんだ!

わかってくれとは言わないけど…ここは引いて欲しいんだよぅ…」

 

はい、ここですね…ここで銀髪ロリに交渉を持ち掛けて巧いこと言質を取りに…アブネっ!?

…これは、遠距離狙撃ですか…?

さっきのブレスみたいな範囲は無いですが…玉と持ってた右手と目の前にいたドラゴンちゃんの頭が消し飛びましたね。

ついでに当たってない筈の銀髪ロリが灰になったのでやっぱり玉は心臓的なモノで正解見たいですねぇ…

 

「…ったく、人をイライラさせるのが上手い奴らだぜ全くよぉ…

出てこいよ…それとも俺が恐いかい?なら…そこで小便チビりながら震えてろや…すぐに見つけ出して殺す。」

 

気配が無いな…少なくとも数km先からの狙撃ってことかよ。

この遮蔽物だらけの森でよーやるわ。

来るな…2発目だが…これは敢えて受ける。

肩で受けて相手の角度をみる……そっちか!!

 

「スゲーもんだ、今のワザと受けたんだろォ?

普通じゃないなァお前…」

 

またガンダ○…じゃないドラグーンかよ。

しかし、このドラグーンデケェぞ?

さっきのドラゴンと良い勝負だ…

 

「誰だテメェ。」

 

「んー?お前に名乗る理由あるかァ?」

 

「いや、ねぇな…仏さんの名前なんざ興味ねぇ…な!」

 

さっき剥ぎ取った爪牙を投げナイフの原理で投擲する。

…ああ、そう。バリアーまで張れんのね。

 

「俺は名乗らんけど…お前は名乗れよ。」

 

「…名乗る理由がねぇだろ。」

 

「いやいや!あるだろォ?名前聞いとかねェと…首級になんねェじゃねェか!!」

 

相手の構えてる銃器的なの…あれで狙撃してたのか…

まぁ、この距離じゃ避け続けるのは無理だな…

だから…一矢だけ報いとくか…

俺は思いっきり息を吸い込み肺に貯める。

あのドラグナーとの距離は凡そ17M…まぁ、届くだろうぜ。

 

「俺は谷崎俊稀だ…覚えなくていいぜ?あの世に首級は持ってけねぇだろ?プッ!!」

 

「あー?含み針ィ?こんなんでコアシールドが抜けるとでもおも゛っで…あ゛?」

 

確かに、只の含み針だぜ?さっきの銀髪ロリの吐いた血と唾液がついただけの針だよ。

VXガスは屋外で使用しても一週間は毒性を保持し続ける…そして、1/100gで死ぬんだぜ?

死んどけバーカ。

あぎっ!!

あーあ、無茶苦茶に撃ってるのにあたっちまった…

まぁ、両手が無くなった時点で詰みだったかね?

…死んでばっかだな今回は。

では皆さんまた次回お会いしましょう。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

4/?

丸々一話使っといて進展がほぼないってマ?なRTAが始まりまーす!!

前回は銀髪ロリにセクハラしてたらガン○ムにPTAされたところまででしたね。

今回は、銀髪ロリに会う数秒前まで来たのでここから始めましょう。

 

「そんなものが存在するというのか…ならば、お主は…」

 

はい、ここです!!

先ずは爺さんとトカゲを茂みに投げて…いや、トカゲは居た方が話が早いか?

…爺さんだけ茂みに投げて。

ここで上に向かって全力投球(ナイフ)です!

狙いはジャバウォックの下顎です。

こうすると…

 

「がぎぃぃぃ!?げぶぉげぎぎぎ!!」

 

はい、無事に下顎がかち上げられて口内でブレスが炸裂して無事?に墜落してくれましたね。

タイミングがシビアなので成功するかは賭けでしたがこれで奥の手は温存できそうっすね。

これも解剖で顎関節やら骨格を調べられたからですよ!

つまりこれは、あの娘と俺との友情パワーなんやなって…じゃけん存分に分かち合いんしょうね~。

うーん、しかし顔が爆裂しただけあってグロいっすね…

 

「!!??どっ!!どうなってるんだよぅ!??

なんでキファが降って来て…うやぁ!?顔がぁぁぁ!!?」

 

「…相変わらず騒がしいですね、貴女は。」

 

…やっぱり人形になる時にはドラゴン状態で喰らったダメージは無くなるみたいっすね。

うーん、人形の時の戦力があんまわかんないんでどうとも言えないんですが…この状態でも戦力が変わらない場合はクソ厄介ですねぇ。

コイツはアイアンクロー出来てたんでとりあえずは大丈夫そうですが、他の個体もそうとは限んないでしょうし…やだなぁ、多分バハムートは第二形態的な感じで来るんだろうなぁ…

 

「アデル、貴女に言いたい事は山のように有りますが…先ずは、貴方のお名前を伺っても宜しいでしょうか?」

 

ほえー、あのバカトカゲはアデルちゃんって言うんすねぇ…そういや一切の自己紹介もないままでしたね。

俺、じっちゃまの名前もむこうで転がってる兄さんの名前も知らないや…

 

「…ああ、私とした事が…先ずは此方から名乗らせて下さい。

私はキファート、キファート・フェラルデフィア・コンチネルラと申します。

貴方は…伺っても?」

 

…ドラゴンって全員そんなクソ長い名前なんすか?

て言うかジャバウォックちゃんじゃないのか…

あくまで種族名であって個体名ではないんすね、そう言えばアデルもキファって呼んでましたし。

…で、なんで俺の名前が知りたいんですか?

まさか地獄の果てまで追っかけるからとか…

 

「………そう、ですか…やはりこのような見た目の龍などにはお教え戴けませんよね。

己を弁えぬ愚かな言でした、不快にさせてしまったのならば…」

 

「谷崎です!!谷崎俊稀(たにざきとしき)って言います!!」

 

だからアデルにしろこの娘にしろ何でそんな泣きそうな顔をするんですか!?(電話猫)

……地味に本編初の名乗りがこれで良いんですか?良いんです。

女の子を泣かせるぐらいなら何でもします。

女の子とタイムの味方ですからね俺は。(女性に優しいRTA走者の鑑)

 

「タニザキ…トシキ様ですか。

私の無学ならば申し訳ありませんが、この辺りでは聞かない響きですね。」

 

「そりゃそうだよ、異世界人だもの。」

 

み○を。

 

「異世界…!!貴方は星の遺児(オズ)なのですか!?」

 

「うえぇぇ!?君って星の遺児だったの!?」

 

オズ?…あの童話の??んー?転移者をオズって呼んでるのか?でも、だとしたらその顔はなに?滅茶苦茶複雑そうな顔してるけど?

 

「…オズってのはなんだい?俺は確かに異世界から来てるが、この顔以外は極々普通の一般ピーポーだぜ?」

 

「…やっぱりナルシスト…いだぁぁ!!なんでキファも蹴るんだよぅ!!」

 

「私を軽くあしらいながらもそれをひけらかさない謙虚さは素敵な程の美徳ですが…本当に何も与えられていないというのですか?」

 

…んー、いわゆるチート転生系をオズって言うんすかね?

チート、チート…チート……俺ってチートあるんすか?

このループ能力は確かに借り物ですが今に始まったモンでもないし…

 

「んー、このイケメンフェイスも自前だしなぁ…むしろ説明無しに放り出されてるから与えられた感はないなぁ…お兄さんこの世界の名前すら知らないし…」

 

(やっぱりナルシストじゃん)「いだぁぁぁ!!?なんで!?心が読めるの!!?」

 

「なる…ほど、先程の技術や体捌きを見るに信じ難いですが…他ならぬ貴方の言うことです、信じましょう。」

 

なんかキファちゃんの信頼度が高くないですか?

まぁ、信じてくれるなら良しとしますが…

 

「貴方の事をもう少し詳しくお訊きしたいのは山々ですが、私の本来の目的から果たさせて戴きます。

アデル、こっちへいらっしゃい。」

 

「あうぅ、イタイ事…しない?」

 

「はぁ、この姿で出来る訳無いでしょう。」

 

「そう?さっきのローはかなり痛かっ…痛ぁぁ!!

嘘つきっ!!十分世界が狙える威力だよぅ!!」

 

「馬鹿な事を言ってないで来なさい。」

 

「あうぅぅぅ!引きずらないでぇ!削れるぅ!あっ、歩く!歩くから離してよぅぅ!」

 

ドナドナされてった…

んー、一応殺気もなかったし…キファちゃん自身もあの姿じゃ非力だって言ってたし大丈夫ですかね?

とりあえず、全裸の銀髪赤目ロリが上から俺の上着羽織っただけの赤髪長身グラマラスお姉さんを引きずって行くのは性癖に刺さるので良しとしよう。

…せや!じっちゃま助けに行かんと!!

 

「お主、ワシの事を忘れとったじゃろ…」

 

「んなワケないじゃん!!俺は女の子の誕生日と爺さんの事だけは忘れないようにしてんだよ!」

 

「それはそれでどうなんじゃ…?

ともかく、あの異形龍はどうしたんじゃ?此処にはおらんようじゃが…」

 

「あっちの方でバカと喋ってるよ?」

 

「……ふむ、この距離ならば聴こえんか。

実はさっきの話が聞こえてな…お主は本当に星の遺児ではないのか?

今なら龍達には聴こえん…本当の所はどうなんじゃ?」

 

んー?龍にオズであるとバレるのを回避したと思われてるんですか?

…バレるとなんかマズイんすか?

 

「いや、マズイじゃろ…ああ、その辺りもわからんのか?

本当に転移したてといったところじゃな。」

 

おう、こちとらピカピカの一年生ぞ(3周目)

 

「星の遺児とはな、マナを喰らう星の天敵である龍共を倒す為に異世界から星が招いた戦士の事じゃ。」

 

…専門用語が多すぎるッピ!!

えーと?オズがドラゴンを倒す為にチー転した奴らで?

マナが…マナ?

 

「じぃじ、マナってなぁに?」

 

「誰がじぃじじゃ!…ごほん、マナとは星の命の総和じゃ。

この世界…いや、この星では命の総和が初めから決まっておる。

故に、死した者の魂はマナとなり大地と共に歩み…」

 

ダメだコイツ…

俺は宗教になんか興味ねぇんで良いです。

あと、おじいちゃん…詐欺とか気を付けな?

 

「アホゥ!!そういうんじゃないわ!

ええか!死んだ生物はみな魂となりこの世を揺蕩う!その揺蕩っている魂をマナと呼ぶんじゃ!!」

 

ふーん、じゃあマナを喰われるのって魂喰われてるって事なんすか。

で、星の命の合計は決まってるから喰われれば喰われるだけ生物の絶対数が減ると…

思ったより害悪ですねドラゴンって。

ほっといたらこの星が滅ぶじゃないですか。

 

「しかり、じゃから星の遺児にはドラゴン退治をして貰いたいんじゃ。」

 

…ちなみに、ドラグーンもドラゴン退治用なんすか?

 

「もちろんじゃ、龍装機は人間がドラゴンに対抗する為の切り札と言っても良いじゃろう。」

 

ふーん…ちなみにどんな種類があったりするんすか?

遠距離用とか近距離用とか…そういう感じで。

 

「ふぅむ…もちろんそういう区分もあるにはあるが、龍装機にはもっと明確で大きな区分がある。

龍装機はその素材と製法から大きく4つに分類される。

通常のパワードスーツである第1世代型…お主がさっき出会ったワシの孫が乗っていたのがコレじゃな。

次に龍の一部が装甲や兵装に使用されている第2世代型…実質これからが龍装機と呼べる代物じゃな、正直言って第1世代型で龍と戦うなぞ自殺行為じゃ。」

 

要はあれって一番弱いやつだったんすねぇ。

…じゃあなんで孫をそんなんに乗せたんすか?

 

「ふむ、龍装機は龍を素材に使う為に自身の魂に負荷がかかる…寿命が削れるんじゃよ。

ワシはそんなものにあの子を乗せたくなかった…それに、龍装機は適合者でなければ乗ることは出来ん。

そんな言い訳を重ねて、あの子に気を遣わせてきたんじゃ…」

 

はえー、複雑なんすねぇ…

まぁ、そう言うのは後々しっかり聞くんで今はドラグーンの説明続けてクレメンス。

 

「おっと、そうじゃったな…

次は龍の全身を使って造られる第3世代型じゃ。

これは第2世代型とは一線を画す性能を持つが、その性能や性質の殆どが素材に使う龍で決定する為に量産が不可能という欠点もある。

そして、最後が脅威度A-以上の生きた龍を素材に造られる今現在人類が使用する兵器の中でも最高峰の性能を持つ第4世代型じゃ。

その素材や適合する龍装騎手の少なさから現在までに3機しか造られておらんがな。」

 

「ふーん……ところで爺さん、ありゃ一体何世代型だい?」

 

「あれ?……!?ドッ、ドリー!!なぜお主がこんなところに!?」

 

「あーん?コッペパンのじいさんじゃねェの。

あと、こんなところにはこっちのセリフだぜ。」

 

ドリー…が前回の最後に出てきたドラグーンのドラグナーで、じっちゃまがコッペパンって言うんですか?

…???(専門用語が多くて混乱中)

??……!!…?(わかったようでやっぱりワカンナイ人)

 

「いつも言っておるが、ワシはコッペリウスじゃ!コッペパンじゃないわ!」

 

「るせーなァ…コッペパンのが響きが良くていいじゃねェかよ。

んで?マジになんでこんなトコに居んだァ?」

 

「いやぁー、それがそれが…僕がオズだってんでおじいちゃんが色々と説明してくれてたんですよ~。

いやぁ~しかし、これが話に聞いたドリーさんのドラグーンですかぁ…カッコいいなぁ~!」

 

俺は二人の会話に割り込む。

理由はもちろんあのバカ二人を誤魔化す為ですが…ついでにこいつの情報も集められるならそれにこしたことはありませんしね。

だからじっちゃまは黙っててな?

しっかり目配せしたし通じてくれよ~?

 

「お前が星の遺児ゥ?マジかよ?ウソくせェー!」

 

「いやいや、僕も急にこんな世界に来て正直戸惑ってて…そんなところに話に聞いたドリーさんとそのドラグーンが来てくれるなんて!僕、感動してます!!」

 

「…うむ、ワシもこ奴が余りにも不安げでな…ついお前の名前を出してしもうた、軽卒じゃったわ。」

 

じっちゃまもいい援護くれますねぇ!

とにかくここは誉め殺してお引き取り願いましょう。

前回も首級がどうのと言ってたし、功名心が強いタイプだと思うんですが…

 

「………まぁ、いいけどよォ…

で?お前が星の遺児だってんならなんか証拠でもあんのかよ?」

 

「しょっ、証拠…ですか、うーん…あっ!僕透視出来ます!透視!」

 

「透視ィ?…‥お前さァ、仮にも星が選んだ戦士なんだろォ…もっと戦闘向けのはねェのかよ?」

 

「えーっとですね…見えました!!今ドリーさんが着てるのは赤い服です!」

 

「いや、だからァ…まァ、魔法師対策した龍装機越しに見えるってのは凄いんだろォけどよ…」

 

…まぁ、実際には前回死ぬ前に顔でも拝んでやろうと見てただけなんですがね。

ん?と言うかなんでドラグーンが魔法使い対策を?

……えっ?もしかして敵対してんすか?ドラゴンとか居んのに?

…人間は愚か、はっきりワカンだね。

 

「うーん、でも…ドラゴンの弱点も透かして見れるって言うのは……ダメですか?」

 

「あー…そりゃ良いけどよォ、お前が見れてもそれを叩けねェだろうがよ?」

 

「じゃあ!僕もドラグーンに乗って戦うとか?」

 

「んー…それこそコッペパンのじいさんと話せよ。」

 

「へ?なんでおじいさんと?」

 

「あー?じいさんよォ、説明してたってもしかしてすげー半端なとこまでだったかァ?」

 

「うむ…少なくとも星の遺児の事すら満足に説明出来なんだ程度にはの。」

 

「チッ、んだよ…俺が割り込んだから進んでねェってかァ?」

 

「そういう訳ではないんですが…そうだ!!

もし宜しければドリーさんも一緒に話してくれませんか?一人から聞くよりも二人からの方がこっちも解り易いですし…ダメですか?」

 

「…あー、別にダメじゃねェがよォ…

その前に…そこの龍2体を片付けんのが先だァ!」

 

は?そこの龍?…大丈夫ですよね?あのバカがいるとはいえ流石にドラグーンが飛んできたのぐらい見えてましたよね?

人(龍)違いですよね!?

 

「あうぅ!?せっかく隠れてたのになんで見つかったんだよぅ!」

 

「…まだ回復しきっていないのですが、仕方ありませんか。」

 

えぇ…なんでそんなところに居るんですか?

えぇ……どないしよ…

 

「待てドリー!その龍達には手出し無用じゃ!」

 

「あ゛?なに言ってんだァ…ついにボケてきたのかよォ、何処に龍を見逃す龍装騎手が居んだァ?」

 

「そやつらは…この星の遺児の龍装機の素材候補として星の遺児本人が捕らえて来たんじゃ!」

 

「…ほォ、そこら辺はしっかりやってんのなァ。

なら、俺からも先輩として説明ぐらいはしてやるよォ。」

 

…んー、これは……上手く切り抜けられそうではありますが…まぁ、どうにかなる…か?

長くなりそうなので今回はここまで!!

では皆様また次回お会いしましょう。さようなら。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

5/?

専門用語だらけで初見バイバイなRTAの時間だオラァ!

はい、前回は漸く話が進み始めたところまででしたね。

 

「龍装機の素材…?私達が?

笑えぬ寝言ですね虫ケラ風情が。」

 

「キファ!怒っちゃダメだよぅ!…でも、ボクもそれはイヤかなぁーって…」

 

…んー、まぁそりゃ急にロボの材料になれって言われてはいそうですかってなる方が異常ですよね。

そもそも、この素材にするってどうなるんすかね?

ドリー君のドラグーンは思いっきりメカメカしいので第3世代型と思われますが、第4世代型のような生きたドラゴンを使う場合はどういう風に使うんですかね?生きたドラゴンを素材として要求するならそのドラゴンは死ぬんですか?

 

「おじいさん、その素材にってどうゆう…」

 

「安心しろォ、別にお前らが死ぬ訳じゃねェんだ。

人間に危害さえ与えなきゃなァ…まァ、そォゆゥ小難しいこたァコッペパンのじいさんから聞けェ。」

 

「はぁ、肝心な事は全てワシ任せか?ドリー。」

 

「あー?餅は餅屋だろォ?俺は戦争屋だァ、研究者でも開発者でもねェよ。」

 

「…まぁいいわ、龍のお嬢さん方…今から話す事は龍装機の製法に関わる事じゃ、聞いたならば協力して貰うか…死んで貰う事になる。

それを覚悟の上で聞いて欲しい。」

 

「論外ですね、そのような戯れ言を聞く義理も道理もありませんよ。」

 

「なら、ここで始末してやろうかァ?」

 

「…虫ケラの冗句は理解に苦しみますね。こちらの失笑を狙ってのことならば幾らか評価できますが。」

 

結構険悪ですねぇ…そりゃキファちゃんからするといきなりボコられたかと思えばロボの素材になることを強要されたんですからさもありなんと言ったところですね。

ですが、正直言ってこの場で戦闘が始まるのだけは勘弁願いたいので…色仕掛けでもしましょうかね。

ドリーニキがホモかどうかは現時点では不明の為、前回は咄嗟に女声で対応してからずっと続けていますが…

さっきのやり取りから考えるに好感度はそこまで低くはないものの、決して高くないと言ったところでしょう。

ならば我が中性的なイケメンフェイスが火を吹く…という訳ですよ!!

 

(やっぱりナルシストなんだよぅ…)

 

コイツ、直接脳内に…!

まぁ、言わんとすることは理解できますがね?

でも…使えるものは全部使った方が良いし、自分のことは誰よりも把握しているのでね。

 

「ドリーさん!さっきの死ぬ訳じゃないってどーゆーことですか?僕、もっと詳しく聞きたいです。」

 

はい、ここでちょっと小首を傾げながら上目遣いをして…はい勝ち。

僕っ娘であざといなんて無敵ですからね。

鬼に金棒…いや、ガンダ○にアム○ですよ!

 

「…お前さァ、そォいう癖持ってんのは別にいいけどよォ…俺はそういうんじゃねェから、あんま乗ってやれねェぜ?」

 

は?

……は?

…………なんで?

あれ?バレてる?俺がホモだと思われてる…?

ちょ、おまっ!!フザケンじゃ

ガギン、と鼓膜が潰れる程の硬質な爆音が聞こえた。

俺の…すぐ後ろから、後ろには

 

「貴方は…谷崎様は男色家なのですか…?」

 

後ろには口から血を流しながら目を見開き能面のような無表情を見せるキファちゃんが居た。

さっきの音って歯を喰い縛った音かぁ…

えぇ、なんでそんな顔で見るんですか?

 

「キファ?えーっと、この人にもきっと事情が「貴女は黙っていなさい」…はい。」

 

「それで、どうなのですか?」

 

……ここで考えられる可能性としては…何がある?

一つ、自分を不意打ちとは言え倒した人間がホモの語録使いと知り激昂している。

二つ、先の可能性から派生して自分を倒したことである程度好感を持ち淑女的な対応をしたというのにそれらが全て無駄だったことに対する怒り。

三つ、真剣な雰囲気をぶち壊したバカに怒ってる。

…どれだ?わからん…どれもが正解そうだし、なんなら全部正解の可能性すらある。

……それよりも、俺がホモだと思われてるこの空気感が一番つらたん…もぉまぢむり…

 

「…俺はホモじゃないです…

高身長でバストとヒップがしっかり出てるムッチリボディの包容力が溢れ出てるお姉さまが好きな只の童貞です…すいませんでした。」

 

…なんか、悲しくなってきちゃったなぁ。

もう帰ろうかなぁー…まぁこの世界での条件すら把握してないのでおそらく数ヶ月コースなんですけどね初見さん。

 

「…じゃあなんであんな気色わりィことしてたんだ?」

 

「ほんの出来心でした…同性よりも可愛い女の子の方がドリーさんも優しいかなって、そう思って…」

 

「はァ…くっだらねェ理由…まァいいやとりあえずそいつの説得任せるわ。

どォやら俺はお邪魔らしいしなァ。」

 

えぇ…手伝ってくださいよぉ。

俺だってあんなガチギレ銀髪ロリドラゴンの説得なんてやですよ?

 

「…身長…はまぁ仕方ないとして、胸とお尻…は…どうやって大きく……いざとなればアデルのを…」

 

なんかブツブツ言ってますよ…

でも機嫌は持ち直した…んですかね?

なんでかは聞かないでくれ…俺にもさっぱりなんだ。

んー、でも説得って言ってもなぁ…僕と契約してガン○ムになってよ!は難易度が地獄だと思うんですけど(名推理)

うーん、どうしたもんですかなぁ。

 

「谷崎様は…自分の好みから外れたものでも愛でられる方でしょうか…?

いえ、愛でるまでは行かずとも劣情を…」

 

「キファ!!それ以上は絶対ダメ!!ボクの全てを懸けてでも止めるからね!乙女の尊厳は安売り厳禁なんだよぅ!!」

 

「…わりィけどよォ、漫才なら他でやってくんねェかなぁ…」

 

「…あー、そう言えば俺ぇ…自分の背中を預けられる系の幼女も好きなんすよねぇ…

しかも俺をガッチリ包み込んで守ってくれたりなんかした日には…己の獣欲を抑え切れない…かもですねぇ。」

 

「さぁ、早くその話とやらを始めなさい虫ケラ!急ぎなさい…どうなっても知りませんよ!」

 

「うぇぇ!?ホントにそんな決め方でいいの!?キファもやっぱりポンコツ側にいだぁい!?」

 

「……重要な話じゃから一時の感情に流されては後悔すると思うが、本当に良いのかの?」

 

「そうだよぅキファ!さっきあんなに怒ってたのに…」

 

「…そ、そうですね…私とした事が…「一度言った事は変えない女の子って、一途な感じで良いよね」聞きましょう!」

 

「バカ!もう凄いバカ!!なんで脊髄反射で喋っちゃうのぅ!!?」

 

「…むぅ、こんな状況で話しても良いものか…」

 

「あー、とりあえずそこの星の遺児サマにだけでも話ゃァ良いだろォ…

そうでもしなきゃ話が進まねェ…だから、そこのうるせェのはその間に話纏めとけェ。」

 

「あうぅ、気を遣われてる…

キファ、ちょっとこっちに来て欲しいんだよ。

一回落ち着いて考えてよぅ…?」

 

「私は…そうですね、一度頭を冷ますべきですね。」

 

んー、出来れば押し切りたかったんですが…まぁ仕方ありませんなぁ。

しかし、情報をくれるというなら戴きましょう。

情報収集は最優先事項ですのでね。

 

「ふむ…まぁそうしようかの。すまんが着いてきてくれるか?」

 

「どこ行くのじぃじ?」

 

「だから誰がじぃじか!!…ワシの孫の所じゃ。

お主……まさか忘れて…」

 

「まっさかー!!俺は女の子のメアドとおじいちゃんの孫の事だけは忘れないんだって!!」

 

「…それはそれでやべェ奴じゃねェか?

ってか孫ってコッペリアの事だよなァ?お前あいつに会ってたのかよ?」

 

コッペリア…あのお兄さんはそんな名前なんすねぇ。

今のところ出オチ要員と化してますが…ドリーニキが名前で覚えてる辺り、実は凄い人なんでしょうか?

 

「…会ったもなにも、初対面でのしてくれおったわ。」

 

「あァ?コッペリアをのしたァ!?お前がかァ?」

 

…演技しているようには見えない、純粋に驚いてますねと言うことはドリーニキは少なくともドラゴン2体を捕獲してきた謎の男程度ではコッペリアにはとうてい勝てないと認識している…?

ふむ、どういう事でしょうか?あのお兄さんの乗ってたのは第一世代型で、それ以外には乗ってないとじっちゃまも言ってたので…

つまり、龍装機以外での強さがある?

例えば…今判明している中で一番可能性が高そうな魔法師とか?

…単純にあのバカ共が死ぬ程過小評価されてる可能性もあるのが怖い所ですがね。

 

「運が良かったんですよー、二回とも不意討ちでしたしね。」

 

「なんで二回ものしてんだよ…」

 

なんでですかね…ちょっとよくワカンナイです。

あっ、ほら着きましたよ!

まだ寝てんのか、たまげたなぁ…

ホラホラ、じっちゃまもドリーニキもはやく喋って喋って!

 

「う、うむ…第四世代型は生きた龍の頭部にこの制御器を差し込む事で製造できるのじゃ。」

 

ふーん、制御器…そのちっちぇえのがそうですか…

…どうみてもダイヤをあしらった髪飾りにしか見えませんけど?

 

「うむ、このダイヤモンドこそが龍装機のエネルギーを生み出す要であるダイヤモンドコアじゃ。

龍装機のエネルギーは鉱石の中で龍が取り込んだマナを反射、増幅することで賄われておる。

そして鉱石の中でも特に硬度の高いダイヤモンドは最も大量のマナを溜め込みエネルギーへと変換出来るというわけじゃ。」

 

ふーん…でもこれってどう差し込むんですか?

…まさかマジに髪飾りとして頭に刺しとくだけとか言います?

 

「おォ、そのまさかだなァ。

だから龍も意識がハッキリあるし、なんなら龍装展開中に話し掛けてきたって報告もあるぐらいだァ。」

 

はえー…ならドラゴン側から嫌じゃ!人の子なぞ乗しとうない!ってならないんですか?

てか、普段はどうするんですか?髪飾り刺しただけのドラゴンなんでしょ?暴れられたら事だと思うんですけど(名推理)

 

「後者に関しては制御器を着けた龍を人間態から自身の意思で龍解(オープン)…変身出来ぬようにしてあるが…」

 

「要は前者の理由で龍装機が増えないと。」

 

「恥ずかしながらのぅ。」

 

「だからお前がしっかりと説得しろってこったァ。」

 

…思ったより責任重大ですねぇ。

まぁ、見といて下さいよ!

勇者は口だけじゃないってトコを見せてやりますよ!

…ところでドリーニキのは第三世代型で良いんすか?

 

「あァ?お前…んなことも知らずに今まで喋ってたのかよォ。

ったく、しゃァねェなァ…龍装(ドラグ)ゥ、解除(ブレイク)ゥ!」

 

そう言うとドリーニキが乗っていたドラグーンが胸部の拳大の球体を中心としてバラける。

ドリーニキが颯爽と飛び降りると、着地する頃にはあのメカメカしかったドラグーンはドリーニキの胸辺りまでぐらいしかない裸の少女へと変化していた。

 

「俺が乗ってんのは、第四世代型攻撃特化機体グランドンだァ…覚えとけェ。」

 

そう言いながらドリーニキは自身の上着を少女に羽織らせる。

…第四世代型、あれがそうですかぁ…

攻撃特化って自分で言うだけあって確かに高威力の狙撃でしたが…あれって武器の性能ありきなのでは?

いや、エネルギー兵器であのドラグーンだからこそ出せる火力ってことですかね?

どちらにせよ準備さえ怠らなければ潰せそうな程度でしたが…そこら辺は仮想敵の違いでしょうね。

ドラグーンはドラゴンを相手にする都合上機動力と飛行性能、あとはあの鱗をぶち抜く火力の確保が優先される以上小さい的への攻撃手段や低い位置を立体的に機動する敵への対処が後回しになるのは仕方ないでしょう。

…最悪あれレベルを三機敵に回すとして……んー、今の手持ちじゃちと厳しめですかね?

どこか街にでも出れれば補充出来ると思うんですが…

まぁ、出来るだけ敵対しない方向でしばらく行きましょうか。

 

「あー、向こうも話はついたみてェだなァ。」

 

ドリーニキが見ている方へ視線を向けるとバカ二人(アデルちゃんとキファちゃん)が歩いて来ている。

成る程?ここでこの俺の言いくるめ洗脳心からの説得の出番ですね!

 

「ごめんなさい、ちょっと遅くなっちゃったんだよぅ。」

 

「かまわんよ、こっちの話も今終わったところじゃ。」

 

スタスタとキファちゃんが俺の前へと歩いて来る。

彼女は俺のまえで止まると俺を睨むように話す。

 

「冷静になって考えれば…なんですか貴方は!最初に私を倒した時も不意討ちで!アデルが止めてくれなければ、今ごろは貴方に騙されてその口車に乗せられて龍装機の素材なんぞに…」

 

「ガチャガチャうるせぇ!黙って俺の言うことを聞け!」

 

バチン、とその場に響く程の音で彼女の頬を平手で叩く。

彼女は一瞬呆けた後に青筋を浮かべながらゆっくりとこちらに向きなおる。

 

「…とうとう本性を見せましたね、所詮は浅ましき人間風情…自分の思い通りに行かねば癇癪を起こし暴力を奮うとは。

貴様ごときにこの私の魂までもが汚せるもの「うるせぇ!」がぶぅ!?」バチン

 

「キッ、貴様!よくも私の顔を二度も「うるせぇ!!」えぶぅ!!」バチン

 

「もっ、もう容赦しません!ここで殺して「っせぇ!!」あふん!」バチン

 

「は、はぁ…はぁ…くっ、人の顔をバチンバチンと…随分気前良く叩いてくれるじゃありませんか「せぇ!!」ああん♥️」バチン

 

「ふぅ…フゥ…もっ、もうやめ「そぉい!」ぅんん♥️」バチン

 

「ほ、本当にも、もう…「シャア!!」んぁ♥️」バチン

 

「や、止めないで…もっと、もっと…」

 

「…」

 

「…?な、なぜ止めるのです!?あと少しでイ…はっ!」

 

(こっ、これは…私を見下すこの氷のような目は!

確信している…!私の隠したかった本当の自分を、この方は理解している!

そして、その上で選ばせる気だ!

圧倒的高みから…釈迦がカンダタに気紛れに糸を垂らすように、自分の意思で選ばせる気なんだ!

別にこの糸を取らなくてもいいぞとその糸を取る以外の選択肢を潰した上で尋ねる気だ…

私の…私の自由意思で私から貴方の龍装機の素材にしてくださいと懇願させる気なんだ…

ぐ、ぐっ…なんて恐ろしいんでしょう…もし断ったら…く、私に靴を舐めさせながら頭を踏みつけて顔に唾を吐きかけるのでしょうか…それともこの森の野獣共の前にこのか弱き肉体のまま放り出して凌辱されるさまを撮影し、それを後に私に見せつけるのでしょうか…!)

 

「ひ、ひぃぃ♥️お、犯される♥️私が、龍である私が虫ケラに♥️めちゃくちゃにされてしまう♥️」

 

(なんという、なんという変態でしょうか!まさか人の身でありながら龍に欲情し、あまつさえ私にその獣欲を向けてくるとは!

このままでは!私がぐちゃぐちゃにされてしまう!今まで築き上げてきた全てが…あっ♥️アデル、そんな目で見ないで下さい♥️あっ、他の虫ケラ共が私を蔑んだ目で見てる♥️ダメ♥️あんな虫ケラなんて数秒で肉塊に出来るのに♥️そんなのに蔑んだ目で見られてる!!

小さい頃から姉のように慕われたきたアデルにゴミ見たいに見られて!私よりずっと下等な虫ケラに蔑まれてるのに!!私、私…気持ち良くなってる!

こんな、こんな場で…ここまでなることも全て計算ずくで…王だ…私は、この御方の駒として使い捨てられる為に産まれてきたんだ…)

 

「今より、私キファート・フェラルデフィア・コンチネルラは、貴方様が汚れし時には我が血を持って洗い流し、飢えしときには我が肉を捧げ、貴方様の考えを我が考えとし、貴方様の快不快のみを我が指針とし、この四肢を貴方様の許可なく動かすこともせず、この五体をもって貴方様の情欲を満たし、この卑しき身にて貴方様に奉仕し、貴方様のために誇りを捨て、貴方様のために龍であることを捨て、貴方様を愛し、貴方様だけを愛し、貴方様の命令がなくば呼吸すらせず、貴方様が死ねと言えば笑って死に、貴方様が言うことを自身の全てに於いて優先する…

そんな惨めで卑しい、貴方様にとってまるで取るに足らぬ塵芥のような下らぬ奴隷になることを――ここに誓います。」

 

…なんとかドラグーンが手に入ったので今回はここまでとします。

では皆様また次回お会いしましょう。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

6/?

突然の告白は女の子の特権なRTAでーす!イェーイ(ヤケクソ)

前回は軽い気持ちでビンタしたら全てが崩壊したところまででしたね…

…なに、この…なに?

今、何があってどうなってそうなったの?

一応あれですよ?マジで無策でビンタした訳じゃなくて、前回前々回とダメージを喰らう場面での反応に違和感があったので確認がてらぶっ叩いとくかみたいな感じでいっただけだったのに…

…まぁ、いいでしょう。どうせこの周回は捨てる気なので(爆)。

むしろ、このルートを進むとどうなるかを見極める的な意味でも全然アリだと思いましょう(自己暗示)。

 

「なるほど…これを頭に付ければいいのですね?」

 

「うーん、一応危なくはないんだね?でも、自分があのロボットになるのはちょっと怖いんだよぅ…」

 

結局あのあとごり押しでアデルちゃんを巻き込んで説明を聞いて貰いましたが…やっぱアデルちゃんは乗り気じゃ無さげですね。

…ん?キファちゃんはなぜ制御器をもってこっちに来たんですか?なにか訊きたい事でも?

ならあっちのお兄さんとおじいさんに訊いた方がイイっすよ?

 

「あの…もしよろしければ、貴方様に着けて頂きたく思うのですが…ダメ、でしょうか?」

 

あ~↑いい上目遣いですねぇ!!

お兄さん上目遣いに弱いの…弱い、弱くない?(確認)

ホントにがわ゛い゛い゛な゛ぁ゛キファちゃん!

でも貴方様呼びは辞めない?幼女にその呼び方されてるとへんな癖に目覚めそう…目覚めそうじゃない?

 

「ならば、ご主人様とお呼びさせて頂きます。」

 

悪化したかも…

あれぇ?犯罪臭が爆上がりですね…なんでやろか?

…ちなみに他って…なんかあります?

 

「他…では、■■■■(ピー)と…」

 

はいダメ。

編集でピー音が入ったのでダメです。

タグが増えちゃうからね。仕方ないね。

まったく…ドラゴン幼女はスケベな事しか考えないのか…(偏見)

あんな真面目そうな登場しといて、ホントはドスケベなんじゃないの?正体見たり!って感じだな。

 

「…呼び方なんざどォでもいいがよォ、早くしてくんねェかァ?

一応調整やらもあんだァ、俺もコッペパンのじいさんも暇じゃねェんだ。」

 

アッハイ、スミマセン。

ほら、怒られたから早く着けてキファちゃん。

 

「…ヤ!です!ご主人様が着けて下さるまで絶対着けませんので…ね♥️」

 

「…そっか、じゃあこれが相棒記念だね!キファちゃんこれから大切にするよ。

ろくでもねぇ相棒だな、この世界の未来を憂うわ。」バチン!

 

「ありがとうございます♥️ありがとうございます♥️」

 

「…ごめんなさい、話が進まないので真面目にして貰っていいですか?」

 

「ああ♥️アデルが私を虫ケラを見るように♥️もっと!もっと私を蔑んで下さい!!」

 

「うぅ…ここは…!?

なっ、何が起こっているんだ!?」

 

ああ、コッペリアの兄さんのお目覚めですか…いつもタイミング悪いなこいつ。

 

「よォ、久しぶりだなァコッペリア。

元気してたかァ?」

 

「オーヴァー?なぜここに…いや、そもそも私は何でこんなところで…っ!!貴様ぁ!!思い出したぞ!龍の手先が!」

 

「あー、今そォいうのはいいわァ…

ただでさえなげェ漫才が更に長くなるからなァ。

こいつは味方だァ…ひとまずはが付くがなァ。」

 

「味方だと?違う!こいつは龍の洗脳を受けて…」

 

「洗脳ゥ?バカ言うなァ、異形龍に洗脳なんざ出来るわきゃねェだろォがァ。」

 

「異形龍…?違う、私が見たのは赤い髪の龍が…そう!そこの龍だ!!」

 

「…?あっ、ボクのこと?なら洗脳なんてしてないし出来ないんだよぅ。

……出来たら良かったのにね…もし出来たら、キファをまともに…」

 

「…だとよォ。

あと、嬢ちゃんもあんま思い詰めんなよォ?世の中にゃァてめェの力じゃどォしよォもねェ事なんざ腐る程あんだからなァ…」

 

「うぅ…慰めの言葉が胸に沁みるんだよぅ…」

 

「オーヴァー!!お前は龍の言うことを信じる気か!?

こいつが嘘を吐いている可能性だって決して低くはないんだぞ!

お前はいつも龍に対して甘過ぎるんだ!」

 

「あー、コッペリアよォ…いつも言ってっけど、俺は龍じゃなくて目の前に居るこの嬢ちゃんの話を聞いてその上で信じるって言ってんだァ。

何でもかんでも龍だからって突っぱねてちゃァ拾えるもんも拾えねェかんなァ。」

 

…案外理知的なんすねぇドリーニキは。

ある意味現実的な実利主義と言ったところでしょうか…

勿論コッペリアの兄さんの言うことも一理あるんでしょうがそんな事言い出したら人間だって騙すし嘘吐く訳で…

 

「俺は洗脳なんかされてませんよ、コッペリアさん。」

 

「…っく!例えオーヴァー、お前の言うとおりあの龍が真実を語っていたとして…それでもこいつがしたことは変わらん!あの龍が洗脳していないのであれば、こいつは只の狂人だ!」

 

フフフ、話を聞いてくれません!

ていうかボロクソ言ってくれますね兄さん…

 

「…あー、まァそこは否定しねェよ。」

 

否定してよドリーニキ!

 

「先程から黙って聞いていればご主人様を狂人扱いとは、到底赦せぬ愚考ですね。

そのちっぽけな頭ごと消し飛ばしてやりましょう。」

 

「あー、お前もややこしいから出てくんじゃねェよ。

頼むからそこらでおとなしくしといてくれェ…」

 

「ふん!私に命令出来るのはご主人様ただ一人…虫ケラの言葉など聴く価値も「待て!」わうん♥️」

 

「!???みっ、見ろオーヴァー!!今こいつは龍を一言で従わせたぞ!?

も、もしや龍の手先どころか龍を操る巨悪で…」

 

「あー?いやこれはそォいうんじゃ…あーもう面倒くせェなァ!!

なんで俺がンなことしなきゃなんねェんだよォ!!

おいお前ェ!てめェの事なんだからてめェで説明しろォ!!」

 

あーあ、怒っちゃった。

皆がふざけるからドリーニキが説得を諦めてしまいました。お前らのせいです。あーあ。

 

「俺はオズらしいので味方です!信じて下さい!!」

 

こういうのは直球で良いんすよ、変に気取ったり変化球放ったりすると拗れる可能性ありますからね。

 

「ふん!何を言うかと思えば、言うに事欠いて星の遺児だと!?信じられるか!!星の遺児ならば()()()()()!お前のような小物が星の遺児な訳がないだろうが!!」

 

…?知っている?…なーんか引っ掛かる物言いですね…

そりゃオズの話を知ってるぐらいならじっちゃまが知ってた以上、お兄さんが知っててもなんら不思議じゃないですが…もし、お兄さんの知ってると言うのが話ではなく実体験としてオズに会ったことがあるからという意味ならば…

うーん…勝手にオズは一人しか居ないとばかり考えていましたが、そりゃあ複数人居てその一人だと思われてるって可能性もありますね。

疑問も増えたのでここはしっかりとお話を聞きたいところですね。

 

「お兄さん、知ってるって言うのは一体どういう…」

 

「貴様、我が主をホラ吹きと愚弄するとは…虫ケラ風情が過ぎた事を…」

 

「我が主…?そうか…やはりな!お前達はここで私が滅してくれる!!

龍伐規定第1条に従い、このヴァーミスト・ロウェル・コッペリアが遭遇した龍の討伐に全力を持って応対する!」

 

「ふん、虫ケラに名乗りなぞする価値もありませんが…相対したからには名乗らぬのもまた不躾でしょう。

キファート・フェラルデフィア・コンチネルラ…虫ケラへの冥土の土産には過ぎた名乗りですがね。」

 

「冥土?闘う前から勝ちを夢想するなど、愚の骨頂!その慢心と共に葬ってくれる!」

 

「慢心?違いますね、これは正当な自己評価というものですよ…虫ケラの尺度では計りかねるのでしょうがね…」

 

「抜かせ!中級魔法、ブレイズ「ちぇりお!」ブァブロ!?」

 

はい、お兄さんは相変わらず隙がデカスギィ!じゃないっスかね?

何で2対1をするって宣言しといて俺から視線を切るんですか?そりゃあ視線切られたらバクスタされても文句言えないよ…

て言うか中級魔法って言ってましたね?

つまりはお兄さんは魔法師で間違いなさそうですね。

しかし、中級…とくれば初級と上級がありそうですが…

真ん中の威力と取っていいのか…難易度が中級なのか…

はたまた上級よりも上にバンバン強いのがあるインフレ環境なのか…情報が少ないですね。

まぁ、とりあえず縛ってから考えましょうか。

 

「…あー、なんでお前はそんな縛り方してんだァ…?」

 

?もちろんこのお兄さんが暴れるから縛ってから起こすんですよ!

 

「……いやァ、別に縛る理由じゃなくてその縛り方の理由を訊いてんだがなァ…」

 

縛り方…?すまねぇロシア語はさっぱりなんだ。

 

「…………もォいい…疲れた。」

 

そう…大丈夫?オフトゥンひこうか?

 

「…………………はァ、やっぱ俺ェ…お前のこと嫌いだァ…」

 

なんで?せっかく善意でお布団の準備をしようかと訊いたというのに…

よし、お兄さんの亀甲縛りも終わったので起こしましょうかね!

 

「ガフッ…う、うぅ……!きさ…!!?なっ、なんだこれは!?」

 

亀甲縛りです。

 

「キッコー!?いや、名前を訊いた訳があるか!よくも私を縛りつけ…!?なんだこの拘束は!?くっ、口以外どこも動かない!??」

 

そりゃあそうですよ、M字開脚縛りに後ろ手縛りまでしてるんですから。

 

「…じゃあ最初のキッコー縛りはいらないんだよぅ…」

 

……はて?なんの事やら…

 

「何を遊んでおるんじゃお主らは…この老体をいつまで待たす気…!???ヴァっ!ヴァーミストォッ!!?」

 

あーあ、おじいちゃんもタイミングの悪い…

…ん?キファちゃんは何で物欲しそうな目で俺の袖を引いてるんですか?

 

「あ、あの…ご主人様ぁ…♥️この下僕めも、あの辱しめを…どうか、どうか…♥️」

 

………

 

「ああぁぁぁぁ♥️♥️♥️!!すごい♥️私の生殺与奪がじぇんぶご主人様に握られてるぅ♥️♥️!」

 

「なんだこのドスケベドラゴン…これ絶対俺に縛られる為に産まれてきたでしょ…」

 

「はいぃぃぃ♥️キファはご主人様にイジメられる為に産まれてきまひたぁぁぁ♥️」

 

「イジメるぅ?そりゃダメだ!!お兄さんは頑張る受験生と女の子の味方ですからね!今すぐ止めよう!!」

 

「あひっ♥️やめちゃだめです!嘘です!嘘ですぅぅ!キファはホントは嬉しいのにマトモなフリをしようと嘘を言ってしまいましたぁぁ!だから止めないでぇぇ♥️」

 

 

 

縛られながらもがく青年と青年の縄をほどこうとするも異様な精度と強度によりびくともしない事に絶望する老人。

恍惚とした表情を浮かべながら芋虫のように蠢いて長髪の青年の足元にすがりつく幼女とその幼女にビンタをかます児ポ法に真っ向から立ち向かうある意味でも勇者な青年達から10メートル程距離をあけて血のように赤い髪をした女と膝の上に大きめの無地の黒いコートを羽織った少女を乗せた男が座って居た。

 

「…ボク、本当に人間の味方でいいのかな…不安になってきたんだよぅ…」

 

「そォかァ…まァ、人間の味方する訳じゃねェが…ありゃ極一部のバグみてェなモンだァ…

人間、全部が全部あんなのって訳じゃねェよ…」

 

「……最初に出逢う人間を間違えたんだよぅ…」

 

「いやァ?間違っちゃねェんじゃねェかァ?

俺だってお前が話しが通じるってわからなきゃァ初対面で狩りにいってるだろォしなァ…

まァ、なんだ…アレの肩持つ訳じゃァ決してねェんだが…アイツがお前らを守ろうとアレコレ馬鹿やってんのだきゃァ確かだァ…マナ見りゃわかる。」

 

「そう…だよね!うん!ボクを助けるって手を取ってくれたのは、トシキが初めてなんだよ!

ボクを…龍を見た時も、守るって言った時も…マナは揺らいでなかった!

確かにそうだよね!!」

 

「…きひひ、そォやって笑ってた方がいいぜ嬢ちゃん。

そのほォがよっぽど良い。」

 

「にっしし~!ボクに惚れちゃダメなんだよぅ?」

 

「おーおー、言ってろ言ってろ。

女ってのは自信過剰ぐらいがちょォどいいもんだ。」

 

「よし!!決めた!あっち行ってキファとトシキを止めに行くんだよぅ!!

折角ボクらの安全がわかったんだから早くドラグーンって言うのの調整?をしなきゃなんだよぅ!!」

 

「…あー、嬢ちゃんがあそこに飛び込むのは止めたほォがいいんじゃ…行っちまった…はァ…」

 

青年はため息を吐くと膝に座らせていた少女の髪を優しく撫でながら呟く

 

「仕方ねェなァ…そろそろ行くかァ。

悪ィな兄貴、ちィとあの馬鹿共止めんのに力貸してくれねェか?」

 

少女は目を細めながら青年の手を受け入れていたが青年の言葉を聞き顔を上げ青年の目を見つめる

青年はその反応を見て嬉しそうに微笑んだ

 

「よし、じゃァいっちょコーハイ龍装騎手共に魅せてやるかァ…

第4世代機最強のグランドン…俺と兄貴の力ってヤツをよォ!」

 

そう言った青年の顔は獰猛な肉食獣のような笑みを浮かべていた



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

7/?

展開が遅々として進まないのでそろそろRTAと言い張るのが厳しくなってきましたー!!

はい、前回は話を進める事を放棄してふざけてたらドリーニキに制圧されました。

なので今回は真面目に話を進めて行きましょうね!

 

「じいちゃん!!こいつはまだ味方と決まった訳じゃない!そんな奴に龍装機を、それも第4世代型を渡すなんて…危険過ぎる!」

 

「むぅ…確かに少し躊躇われてきたのぅ…」

 

「だからァ、一応は味方だって言ってんだろォ?

じいさんもいっぺんは納得したんだろォ?」

 

「この制御器とやらはこの形状しかないのですか?

もっとこう…首輪や■■■■■(ピー)などは…」

 

「トシキぃ!!もうこうなったらトシキにはキファの更正に付き合って貰うからね!」

 

あ゛~!地獄絵図だぁ↑↑

安易にボケると後々が大変なのになんでふざけるのが止められないんだろうこの人…(他人事感)

もう面倒臭くなってきた感はありますがなんとか頑張っていきましょう…

とりあえずドラグーン問題はクリアしてるのでさっさと制御器をキファちゃんに着けましょうか。

…あれ?なんか前回もこんなことを序盤に言ってた気が…これがデジャヴちゃんですか…?

 

「ところでドリーニキ」

 

「次その呼び方したら張っ倒すぞォ…何だ?」

 

「ドリーアニキのドラグーンってゴツイじゃないですか、あれって明らかに装甲板とかスラスターとか付いてましたけど…ああいうのってこの制御器を着ければ自動的に付属するものなんですか?」

 

「…俺は弟なんだがなァ…あー、あとそォいう専門的なのはコッペパンのじいさんに聞けって言いてェとこだが、結論から言うと付かねェよ。」

 

…んー、やっぱそうですかぁ。

コッペリアの兄さんの使ってた第1世代型でも解除したら拳大ぐらいの球形になってましたもんね…

じゃああの髪飾りだけだと何処までの装備が付属するんですか?

 

「あー…どこまでだっけかァ…たしか、コアと反重力ユニットと…」

 

「フィールド形成装置じゃよ。」

 

じっちゃま!

…てかめちゃくちゃにSFしてますねぇ!

ロボットとバリアが嫌いな男子は居ないのでもちろん嬉しいですよ!!

ていうかそのフィールド形成装置が前の周回でドリーニキが言ってたコアシールドでいいんですよね?

んで、反重力装置が…多分浮けるようになる奴ですよね?

正直そこまで付いてるならスラスターの一つでも欲しいところですが…贅沢言ってられません。

 

「あー、そうそうそれだァ。

やっぱじいさんに全部言ってもらったほォが早ェかァ?」

 

「ふむ、まぁ龍装機の初期装備なぞ覚えんでも問題はないからのぅ…」

 

…んー?つまりはすぐにカスタマイズするということですか?

でもこんな森の中でカスタマイズなんか出来ないのでは?

…いや、そもそもなんでじっちゃまは制御器なんて持ち歩いてんですか?

 

「そんなにいっぺんに聞くでないわ!

と、言いたいところじゃが…その疑問達の回答は一つで足りるの。」

 

…ふむ、四次元ポケット的な事でしょうね。

第1世代型のドラグーンですら質量やらを無視した事が出来てた以上はそういう物理法則を無視した何かしらのSF要素が有るんでしょう。

よくよく考えればドリーニキのドラグーンも女の子になった時に着けてたのは髪飾りと指輪二つに手枷と足枷ぐらいでしたし…ドリーニキが少女を拘束して興奮する変態でさえなければあの如何にもロボットって感じの装甲やら弁慶もかくやと言った大量の兵装がその程度の装飾品に収まってるってことですもんね。

…でも態々手枷と足枷にする意味もないのでは?(ボブは訝しんだ)

 

「…ちなみにィ、龍装機の追加兵装の形状は俺らが選ぶんじゃねェからなァ。」

 

……もしかしてドリーニキって心が読めたりするんですか?

そんな恐い顔で睨まないでほしいんですけど?

 

「…ふむ、どうやら説明せんでも察したようじゃの。

大体は想像通りで間違いないが、正確には龍の形態変化能力の応用だと思って貰えばええ。

龍は一度の食事で大量のマナを摂食すると戦闘時を除いて人型の姿へと変化しマナから得たエネルギーを極力消費せぬように活動する…

その生態である形態変化は己の魂を周囲のマナが持つ魂の象によって変質させることによって成しえておる。

勿論、己の魂の象を変質させるなぞ通常の生物では不可能ではあるがのぅ…人間なぞは同じ人間同士であろうと移植や輸血ですら受け入れぬ場合があるが、この魂の変質は例えるならば意識のみを全く別種の生物へと移植する行為じゃ…例え奇跡的にその状態に適応出来たとしても魂の象に牽かれ二度と元の象へと戻る事は出来んじゃろう。

つまり、自由に二つの形態を使い分ける行為は長らく強大で強固な魂を持つ龍にしか出来ん芸当であったが、周囲のマナから特定の魂の象を抽出し魂の象を書き換える行為を人為的に再現した事によって…」

 

「あー、そォいう専門的な話は省いてくんねェかァ?

どォせこの場で理解出来るのなんざあんただけだろォ…」

 

えー…こういう大事そうな事はしっかり聞いとかないと損しますよ?

と言うか自分達が使う武器やらの原理とかも知らずに使うのって怖くないんすか?

ちゃんと仕様とかは理解してないと悪用RTA出来ませんからね。

 

「む?そうか…ではまた今度にするかのぅ…」

 

偏見かもしれませんがこういう時のまた今度って永遠に訪れないですよね…

て言うかうるさいのが二匹程いた筈なのに…なんか静かですね~。

 

「中級魔法!ブレイズブレイドォッ!」

 

コッペリアの怒号と共に俺の身の丈程の長大な刀身の剣が顔の直ぐ横を通過する。

…かすりすらしていない筈だったが通りすぎていった側の頬に感覚が無いな。

魔法の名前と一切の痛みもない以上、恐らくⅢ度熱傷…当たってないのになぁ…

そっかぁ、コッペリアさんはこんなに強いんだぁ…

そりゃ慢心も油断もしますわ…

 

「ご主人様ッ!貴様ァァァァ!!!」

 

コッペリアさんの頭上から散々見た白銀の鱗を持つドラゴン…キファちゃんが光の柱を乱射する。

乱射されるその一本一本が明らかに俺に射ってたモノよりも速く、そして細かった。

しかし、それは威力を棄てた訳ではなく水道のホースのように射出口を引き絞る事で貫通力と速さを両立している事が直ぐに理解出来た。

だって地面の抉れ方がエグいもん…

つまりさっきのコッペリアさんのは流れ玉がこっちに来ただけかぁ。

て言うかご主人様って言ってこっちの火傷を心配してくれるんなら頼むからその乱射をやめて下さい…

君のご主人様は弱くて儚い人間なのでさっきから飛礫でズバズバ身体中に生傷が出来ていってますよ?

あと、じっちゃまはまだわかりますけどドリーニキはなんで人を盾にしてんすか?

 

「あー?こんなんで龍装なんざしてられっかよォ。

十割お前の責任なんだから肉壁ぐれェやってろォ。」

 

そういや寿命が削れるとか言ってましたっけ…

…ならば前回のおふざけに対してドラグーンで来たのは何故ですか?

これがわがんにゃい!!

あと知らぬ間にアデルちゃんも人を肉壁にしてますね…

 

「しっ、仕方ないんだよぅ!!ボクはこの中で一番弱いんだから!こんなの逃げないと死んじゃうよ!?」

 

そんな、なに言ってんだみたいな感じで言われても…

て言うかみんな器用ね…俺の後ろに4人もよく隠れられますね。

 

「…やめだ。」

 

「あー、納得したかァ?コッペリア。」

 

「別に、こいつらを認めた訳では決してない!

…決してないが、この場から逃げずにじいちゃんやその赤い髪の龍を守ったのもまた事実。

それに、お前達程度ならばいざとなればどうとでもなるという事がわかったしな。」

 

…いや、別にコッペリアさんの強さは十分に見せて貰ったので疑いもしませんけど…仮にも三回も昏倒しといてよくその台詞が吐けましたね?

 

「ご主人様の御身に傷をつけておいて、やめだと…?

まさか、それで逃げられるとでも思うのですか!」

 

「キファちゃん!お座り!」

 

「きゃうん♥️」

 

せっかく話が纏まりそうなんだから引っ掻き回さないでね。

あと、なんなら顔の火傷より身体中に出来た打撲やら切り傷のが重症なんですけどね。

 

「こっちおいでキファちゃん。」

 

俺の呼び掛けにキファちゃんはすぐさまドラゴンから人型に変化すると犬のように四つん這いになりながら四足で駆け寄って来た。

…銀髪の全裸ロリに犬のマネさせる鬼畜外道が居るらしい…怖いなぁ、皆も気をつけてね。

 

「これからするのは大事な話だ。

だから、嫌なら嫌でいいし奴隷とかってのも関係ない。

これから俺は死線を潜るだろうし、何度も死にかけるだろうし、なんなら死ぬ事だってあると思う。

そんな事に巻き込む以上、なあなあで済ます訳にゃあいかんし情に訴える積もりもない。」

 

キファちゃんは俺の言葉を聞くと目を閉じて考えこんでいるように見えた。

しかし、直ぐに開くとはにかむように笑った。

 

「俊稀殿はお優しいのですね…

私は、貴方様から一言…命を寄越せと仰られればそれだけで良いというのに。」

 

「そうかい…なら命令だ、君に死んで欲しくないからここでの事を誰にも言わずに立ち去ってくれ。」

 

キファちゃんは目を見開きこちらを見つめる。

…別に、戦力がいらない訳じゃない。

けど、戦力になるとしても女の子を死地に放り込む気は毛頭ない。

この世界の事を俺はまだ何も知らない…つまり、いつどこで何が起きるかまるでわからない。

俺一人ならどうにでも出来る自信はある。

でも、咄嗟に誰かを守ることは俺には出来ない。

何重にも策を巡らせて、散々に安全マージン取って…それでも不足の事態があれば誰かが死ぬ。

俺はその程度の実力しかないし、いざとなれば見捨てる事に躊躇しない。

例え助けられても自分に致命傷が入るのなら見捨てるだろう。

だから、そんな奴についてくる必要なんて絶対にないんだ。

ドラグーンなんて無くたってどうにでもなる。

いざとなれば奥の手だってまだ幾つかあるし、俺は何回失敗しようとやり直せばいいだけだ。

だから…

 

「…似合っていますでしょうか?

このようなモノを身につけるのは初めてなので…ご主人様のお気に召せば良いのですが。」

 

キファちゃんはそう言いながら制御器を自らの頭に着けていた。

 

「…そうだね、良く似合ってるよキファちゃん。」

 

「あー、んな辛気臭ェ面すんじゃねェよ。

心配ならお前が守ってやりゃァ良いだけだろォが。

龍装機も龍装騎手も一人で戦うわけじゃねェんだからなァ。」

 

「勿論、こちらで出来る限りの支援はさせてもらうしの。」

 

「…ふん、その心根が変わらん限りは私も力ぐらいなら貸してやる。」

 

…前途は多難だし、こっからどうなるかもわかんないけど…やれるだけやってやりますかね。

なにせ、俺はこの子達を守るって大口叩いたんだしな!

 

「トシキ!ボクも頑張るからね!キファもドリーも居るんだから、大船に乗った気で居てくれても良いんだよ!!」

 

「ご主人様、この身は今よりご主人様の剣であり盾となります。

ご安心を、今より塵一つ…貴方様に届く事はありません。」

 

よっしゃ!俺達の冒険はこれからだ!!!




俺達の冒険はこれからだ…本当にスタートラインに立っただけとは、たまげたなぁ。
次回は情報整理回になる気がする…知らんけど(大阪人並感)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

8/?

真面目と不真面目の高低差で高山病になるRTAが始まるよ!

はい、前回はめでたく?ドラグーンゲットだぜ!したところまででしたね。

今回は皆との情報共有ができればなと思います。

 

「…ところで全然ドラグーンに変化しないけど?

不良品かミ?」

 

「制御器付けただけで龍装出来る訳ねェだろ。」

 

あー、アレをやるんですか?

えーと…手をしっかり伸ばして…

 

「変身!!」シュババ

 

「…何やってんだァ?頭イカれたかァ?」

 

…由緒正しき変身の手順が、効かない!?

何だ?ベルトをしてないからか?それともガラケーがいるのか?いやメダルが…ハッ!!

 

「バイクに乗るのか!!」

 

「ちげェよ!その制御器のコアに触れて龍のマナを自分の身体に流すんだよ!」

 

…何だ、違うのか。

 

「ちなみにステッキとか魔法のコンパクトとかは…」

 

「んなもんねェよ!」

 

えー、ヤダー!やだやだ小生やだ!変身するならベルト巻いて変身って格好いいポーズで言ってベルトから格好いい音声が鳴って欲しい!!

そんで追加のメダルとかガジェットとかでファイナルモードになりたい!!

あっ、でもファン○ルも欲しい!せっかくロボに乗るんだからファ○ネルと月光○欲しい!あとおっきい白い馬のロボの相棒に乗りたい!風雲再○に乗りたい!!

でも馬鹿デカイ剣も使いたい!!マントを後ろに着けてー、デカイ剣使ってー。

 

「う、うむ。要望があるのはわかったが…まずは龍装展開してからじゃな。

龍装せねばどういう兵装が適合するかわからんからのぅ。」

 

ふむ、つまりどんな装備でも載せれる訳じゃないんすねぇ…そう言えばドリーニキも攻撃特化機体って言ってましたし、もしかしたら装甲板を載せれる数もドラゴンによっては違ったりとかあるんすかね?

 

「うむ、その通りじゃ。

基本的には素材となる龍の元々の脅威度が高ければ高い程に適合する兵装の種類や装甲量は増加する傾向にあるがあくまで傾向じゃ。

その龍にとって何が適応するかは龍装するまでは何もわからんのじゃよ。」

 

はえー、ならとっとと龍装とやらをしましょうかね。

…8話目にしてやっと話が進みだしましたね……俺はRTAをしてるんだよな?

そうだ、俺はRTAをしてるんだ…誰が何と言おうと俺はRTAをしてるんだ…!

まぁ、タイマーつけて走ればRTAってそれ一番言われてるから。

 

「ふん!じいちゃん、残念だがこいつには龍装なんて無理だろう。そもそも、自身の身体に他の生物のマナを流すのはとんでもなく難度が高い高等技術だ!

たとえこいつに才能があろうと、どんなに速くとも数ヶ月は掛かる!

ましてやこいつは星の遺児だと言ったな?ならマナなど視たことも無いだろう!ならばまずマナを捉える所から…どんなに上手く行っても半年コースだな。」

 

「えい」ガシャーン

 

出来ちゃった。

 

「っ!!??!!!???

なっ!??!おっ!おま!??!!?」

 

「出来ちゃった。」

 

『ご主人様が私の中に…!!

こっ、これは…最早身籠っているっ!!

ご主人様の御子どころか、ご主人様を身籠って…♥️

ご主人ぁ♥️キファはしぇき任もって産ませて貰いましゅぅぅ♥️』

 

うるせぇ!!脳内に直接響いてきやがる!!?

えっ?もしかして戦闘中もコレ?無理だよ?

 

「おー、まァ星の遺児って名乗るだきゃァあったなァ。一発で龍装した奴なんざァ俺以外で初めてだァ。」

 

…なんか褒めるフリして自慢されたぁ。

ドリーニキって高性能なんやなぁって言わせたいだけじゃない?

 

「ほぅ、まさか本当に龍装するとはの。」

 

いや、じっちゃまは驚かないでよ…じっちゃまが龍装しろって言ったんじゃん!

 

「確かにそうじゃが、ヴァーミストの言う通り龍装とは本来そう簡単に出来るものではない。

通常で数年、才のある者ですら数ヶ月から半年は悠にかかる。

先にも言ったが龍装機とは誰にでも扱えるモノではないんじゃよ。」

 

ふーん…まぁ、踏んできた場数が違いますからね。

これと似たようなモノも幾つか乗ってきてるので、応用力ぅ…ですかね。

 

『当たり前です。そも、私のご主人様を凡百の虫ケラと同じ尺度で計ろうという考えが愚かなのです。

そして、これでそこの魔法師の虫ケラよりもご主人様の方が上だという事実が明白になったと言う訳ですね。』

 

ホントうるさい…このまま戦うんすか?いやー、キツイっす。

 

「あー、まァ勝ちっちゃァ勝ちなんだろォが…コッペリアってか魔法師ってのは元々龍装機にゃァ乗れねェからなァ…そもそも比べるもんでもねェだろォよ。」

 

へー、ちなみになんで魔法師は乗れないんすか?

 

「…魔法師は自身の体内にマナを所持している。その体内のマナが龍のマナと反発する為に龍のマナを流す事が出来んのだ。」

 

ふーん…つまりマナにも性質?みたいなのがあるんすかね?それともマナが生物の体内に取り込まれる過程で何らかの変質が起きてる?

反発ってのがそれこそ異物への拒否反応と考えれば…例えば体内に取り込んだマナが臓器や血液の様にその生物の身体の一部になってるとか?…元が魂ってのを考えると無くはなさそうですね…

 

「しかし…これはまた極端な適正じゃな…」

 

じっちゃま!人知れず性能調査してくれてたんすねぇ。

謝謝茄子!

 

「ふむ、お主の龍装機はどうやら装甲や近接兵装への適正が全く無いようじゃな。」

 

…は?全く?…それってつまりオワタ式の上に遠中距離攻撃縛り…ってコト!?

なんでただてさえRTAしてんのに縛りプレイまでしなきゃならないんですか?

 

「うむ、まぁ全く無いと言っても多少ならば…」

 

少量の装甲とかそれこそ焼け石に水では?

なら割り切って機動力取りにいきますよ…ダークソ○ルで習ったかんね。

…まさかドMだから守りを捨てて少しでもダメージを負おうとしてるとかじゃねぇだろうな…

 

『そっ、そそそそんな事ある訳ないじゃないですか!?

ご主人様と痛みを分かち合えるなんて興奮するとか!?

ある意味では産みの苦しみを感じられて一石二鳥だとかそのような下劣な思考…一切ありません!』

 

「…こんな濁った眼ェした龍なんざ初めてだァ。」

 

「産みの…???おい、オーヴァー…アイツは一体何を言ってるんだ?」

 

「あー、わかんねェならそのままで良いんじゃねェかァ…?世の中、知らなくても良い事ってのもあんだしなァ。」

 

…すごいなぁ、これって外にも聴こえてるんだぁ。

こいつ、直接脳内に…!ってなってんのかと思ったら普通に外にもバンバンに聴こえてたでゴザル。

つーか私利私欲にまみれ過ぎてるだろ…こんなんじゃ世界なんて救えないよ…

 

「ま、まぁ…その代わりと言ってはなんじゃが、遠距離武器には無類の適正がありそうじゃ!

恐らくは既存の兵装で装備出来ん物は無いじゃろうな!」

 

「わ、わー!すっ、凄いなぁ…!流石はキファなんだよぅ!」

 

ほらご覧、キファちゃんがふざけるからアデルちゃんが死にそうな魚みたいな目で唇噛み締めて言ってるよ?

て言うかこういう風にふざけてるから話が進まないのでは?

 

「やっと気づいたのかァ…ならちゃっちゃと進めんぞォ。」

 

わーい!!進めよう!ポ○ョサクサク進行好きー!

RTAやってんだからサクサク進行は当然なんだよなぁ…

 

『えー、ヤダー!ご主人様ともっとイチャイチャしたいです!』

 

キャラ崩壊が酷くない?なに?序盤だからまだキャラ固まってないの?

横で膝から崩れ落ちてるアデルちゃん見な?カワイソだろ?

 

「さっさと進めましょう…キファートさんもそれで構いませんね?」

 

ほら見な?もうレ○プ目になっちゃったよ?ハイライトさんが家出しちゃったよ?

 

「…あー、俺から言った訳だし先ずはしっかり自己紹介といくかァ?

俺はオーヴァー・ドリー、第4世代型の龍装機グランドンの正龍装騎手だァ。」

 

はえー、正ドラグナーって事は一人一機のワンオフにしか乗れない訳でもないんすかね?

じっちゃまが乗れる奴が居ないから3機しか無いって言ってたし副ドラグナーが居るかはわからんですけど。

良かったぁー、最初に起動させたドラグーンしか乗れないとかの縛りがあったらマジでこのクソ機体で固定になるとこでしたよ…

 

「ふむ、ならば次は私だな?

私はヴァーミスト・ロウェル・コッペリア、所属は一応魔法師だ。」

 

やっぱ魔法師なんすねぇ。

ちなみに、魔法師の中ではどんぐらいの強さなんでしょうか…

あんな魔法をポンと撃てるのがデフォで居るとかだと泣いちゃうのでコッペリアさんが最強とかだと有難いんですが…

 

「ワシはロイゼビュート・コッペリウスじゃ。

一応龍装機開発に関わっておるが…まぁ、只の老い耄れと思ってくれて構わんよ。」

 

じっちゃま…は開発に関わってるんすか。

まぁ、結構詳しいしさもありなん…

てか運が良いっすね…結構重要人物に出逢えてるくないっすか?

 

『ふむ、では私も名乗らせてもらいましょうか。

私はキファート・フェラルデフィア・コンチネルラ…ご主人様の愛玩奴隷で』

 

「違いまーす!!」

 

「…ボクはアーデルハイド・バハムート。

アデルでいいんだよぅ…」

 

ほら見な?キファちゃんがキマってる挨拶かますからアデルちゃんが無になっちゃったよ?

こんな何も写してない眼中々見れないかんね?

 

「バッ!!バハムートだと!?貴様ァ!あの巨凶となんの関係がある!!」

 

「あー、落ち着けェコッペリアァ。

嬢ちゃん、悪ィがもうちょい詳しく話してくんねェかァ?

俺ら龍装騎手にとっちゃァバハムートって名前は聴くだけで殺気だっちまう…そォいう類いのもんなんだァ。」

 

バハムートの娘って言ってたし、やっぱアデルちゃんもバハムート姓?なんすねぇ…でもこれでやっと詳しく訊けますね。

出来ればこのバハムート関連が今回の終了条件だといいんですが…まぁ、やってみない事にはわからんので取り敢えず頑張るしかないんですがね?

 

「あっ…あうぅ、そんなに睨まないでほしいんだよぅ…

えと、ボクはバハムート…人間達の言うところの龍帝の娘なんだよぅ。」

 

「娘ェ!?バハムートに番がいるなんざ聞ィた事ねェんだがなァ…

いや、待てェ…まさか嬢ちゃんの他にも娘やら息子がってのはねェだろォなァ?」

 

『おかしな事を言いますね人間。

かの始源龍の子と言うのならば…我ら龍種は皆かの龍の子ですよ。

…まぁ、貴方の横のは違うようですが…』

 

…皆バハムートの子供?つまりはアダムとイブ的な?

いや、それよりは神と人みたいな関係…か?

バハムートが単位生殖してドラゴンを増やしまくったと考えるよりも、最初の数匹だけ造って後はそいつらに任せてるって考える方が自然か…?

てか、ドリーニキの相方のドラゴンはバハムートから産まれてないってのはどういう…

 

「…始源龍、全ての始まり…巨凶の龍、か。

確かに、龍の発生はかの龍が目撃された後からじゃったと聞く…もはやその頃を知る人間なぞおらん故、憶測の域を越えんものであったがの。」

 

「つまり、バハムートを仕留めりァお前らは増えねェって事で良いのかよ?」

 

「え、えと…多分、そう…かな?」

 

『その通りですよ。

我ら龍種には自己複製機能が存在しませんので、もしかの龍を討てたとするならば…滅びの一途を辿るでしょうね。』

 

…?ならなんでアデルちゃんは自分をバハムートの娘って言ったんだ?

全員そうなら態々そんなややこしくなりそうな事言わなきゃ良くないか?

てか、龍を捕まえて兵器の素材にまでしてる連中がなんでこんなことを知らない?

キファちゃんが偶々特別バハムートに近い位置に居たドラゴンでその事実を知ってたから?

いや、自分達に繁殖能力が無いって事はどうやって増えるんだって普通なるだろ…そもそも全員がバハムートの子供なら産まれた時には確定で会ってるんだしどんな奴でもこれくらい知ってる情報だろ?

…良くわかんないなぁ…

 

「…それで、それでお前達は一体何の為に闘おうと言うのだ?

バハムートを仕留めれば私達人類は一つの悲願を達成するだろう、しかしお前達はバハムートの死が種としての死に直結する。

しかし、お前達はその男と共に龍を狩ると言った…最早その決意を疑う事はすまい、が…一体何の為に闘うのだ?その理由を聞いておきたい。」

 

…まぁ、最もな意見すかね?

要はバハムートが死んだら遅かれ早かれ全滅確定の種族なんだもんね…

 

「それはっ!…そ、それは…言えない、んだよ…」

 

「何故だ!」

 

「だけどっ!!ボクは人間の為にバハムートを倒す!これだけは絶対に嘘じゃないよ…」

 

「…そうか、決意に水を差す下らん質問だったな。」

 

えぇ、そこもっと掘り下げねぇのか…

そんななんか格好いい感じで流す所かなそこ…?

多分重要な所だと思うんですけど?

 

『いずれ、全てを知るとして…貴方はきっと正しい選択をなさってください。』

 

「え?」

 

『…いえ、ただの独り言です。

そう、ただの…誰に言うでもない…ね。』

 

その声を聴いたのは、多分俺一人だったと思う。

今までのやり取りが嘘のように、寂しそうな…今にも泣き出しそうな、そんな声だった。



目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
一言
0文字 ~500文字
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。