ブリテンのヤベーヤツ (テムテムLvMAX)
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番外編 冬木に現れた変人
シチュエーションは定番のあそこ!
聖杯戦争、それは万能の願望器『聖杯』を懸け七人の英雄、七人のマスター達が繰り広げる戦い。
ある者は魔術師として正々堂々と勝負をし、あるものはガチガチにメタ張って魔術を真正面から否定する戦い方をした。正真正銘の戦争では無いもののそこには容赦は一ミリも介在しないのだ。
そして今夜、数奇な運命を辿った英雄達が某県冬木市で合間見えた。それは港のコンテナが積み重なった人気が少ない場所、それはそれは『何か』起きても不思議ではない夜の事だった。
「アイリスフィール、止まってください」
「セイバー……ここね」
コンテナの間をゆっくりと歩く二人組がいた、片方は絶世の美女で片方は中性的な顔立ちで金髪が目立つ。
「ほう、我が誘いを受けるか」
「あれだけ挑発されてはな、ランサー」
二人の目の前で揺らめく光がくっきりと人型になった、二本の槍を持ったほくろが特徴的な男。
「では、早速だが……む、その剣は」
「私が誰か分かったか、ランサー」
「かの騎士王と合間見えたこと、我が人生に深く刻み付けよう」
二人は構えた、そこから何分打ち合ったか……勝敗は決まらず痺れを切らしたランサーのマスターが三度まで使える絶対命令権『令呪』によって英雄の持つ必殺の切り札『宝具』を使わせセイバーに呪いを与えた。
「ウラララララッ!」
「ぎょわぁぁぁっ! やめろライダぁぁぁっ?!」
あと一息でランサーが勝つと言ったところでライダーが割り込みをかけてきた。もれなくライダーのマスターが悲鳴を上げていたが気にする者は居なかった。
「チッ! 邪魔が入ったか」
「セイバー! ランサー! 余の家臣にならんか!」
「しつこい、私は今の主以外に仕える気はない」
「右に同じく」
「たはは……やはりダメか~「何がダメか~だ! このアホライダー!」あー分かった分かったあまりうるさく騒ぐな、耳が痛くなる」
このライダー、体が大きく心も大きい……のかは分からないがマスターの反応からして普段からこうなのだろう。この能天気振りにはセイバーとランサーは少し呆れていた。
「おいおい、我を忘れては困るな……王が集うならこの我を招待せぬ通りはないだろう」
「アーチャー、いえ英雄王っ……!?」
「アイリスフィール! 私の後ろへ!」
微かに光る街灯の上に立つ金色の鎧を纏う男がいた。すこぶる高圧的で尊大、不遜な態度で人と接するがそれは彼が最古の英雄であり英雄達の王であるからだ。
「AAAAAAA!!!!」
「ふっ、この場の魔力に引き寄せられて狂犬も来たか」
「バーサーカーまで!? ますます混沌としてきたぞっ……!? ライダー! 逃げるぞ! 早く!」
「何を言うか、こんな面白い事から逃げるだなどと!」
「もうダメだ完全にスイッチ入った……って元からか、はぁ……」
この場のボルテージが加速度的に高まっていく……誰かが動けばその隙を狙おうとするだろう、牽制が牽制を呼ぶまさしく膠着状態だ。
この状態にセイバーが動いた、そう『宝具』を解放することにしたのだ。
「アイリスフィール、宝具を使います」
「だけどっ!? ……それはキリツグが」
「許さない? 大丈夫です、ここで一網打尽にしてしまえばお釣りが来ますよ。
─見よ我を! この輝きを! これぞ勝利をもたらし希望を未来に紡ぐ剣『約束された勝利の剣』! ─」
「まさか!」
「あれは!」
「あれがかの騎士王の宝具なのか」
「星の聖剣エクスカリバー……お前がアーサー王か、なかなかどうして我好みの女だ」
セイバーもといエクスカリバーを携える騎士、アーサーペンドラゴン。ヨーロッパに語り継がれる伝説の王。
世界に轟く大英雄、その威風堂々たる力の前に尊敬を覚える者や畏怖する者、自らの欲求に素直な者。反応はそれぞれである。
力を解放したエクスカリバーはその逸話通りなら凄まじい強さを持つだろう、ボルテージはついに最高潮に達しアーサー王対この場全員と言う構図に自然となっていた。
そんな雰囲気をぶち壊す人間が一人この場に現れてしまった。
「私が来たぁぁぁ!!! 」
「ほぁぁぁぁっ……」
大声を張り上げ上空から落ちてきたローブを纏った男、その背中には血管が浮き出ている白髪のおじさんがおんぶひもで括られていた。変な声が聞こえても尊厳の為に無視してあげよう。
「何者かっ!?」
「俺? それともかりやんおじさんのこと?」
「アーサー、アーサーァァァァ!」
「えっ!? ちょかりやん背負ってアバーッ! 「アバーッ!」かりやーん!?」
「「『『「はっ?」』』」」
その降ってきた男を見るなりセイバーが雰囲気かなぐり捨てて駆け寄る、その表情は何年も会えずに待ち焦がれた恋人と会えた乙女だった。
この場に居た、またはこの場を見ている全ての人物がすっとんきょうな声をあげてしまうがそれも仕方無い、今の今までキリッとしていたアーサー王がふにぁんと溶けた顔していたら、君どう? 耐えられる? 俺は無理。
「アーサー! お前もこれに参加していたのか! 英霊の座に居ないからもう会えないかと思っていたぞー!」
「ちょ! やめ、アルトリア! ステイ!」
「はっ!?」ビシ
アーサー王もといアルトリアは謎の男になだめられ落ち着かされた、雰囲気も徐々に元のシリアスを取り戻し始めた。
「貴様は何だ? そこの騎士王と同じ匂いがするな」
「お初にお目にかかる、どこぞの英霊よ。俺はキャスターのクラスで召喚された、名前はアーサーペンドラゴン。背中のが俺のマスター、かりやんだ」
「か、かりや、ぐふっ!」
「この通り体調が悪くてな」
「いやお前のせいだろぉぉぉっ!」
ライダーのマスター渾身のツッコミが炸裂した、当人は素知らぬ顔だが。
「改めて名乗ろう! 私はアーサーペンドラゴン! 円卓の纏め役だ」
「そして私はアルトリアペンドラゴン!」
「ちょっ!? セイバー! なんで真名バラしたの!?」
「アーサーに釣られてつい……大丈夫ですよアイリスフィール。アーサーが来たからには聖杯戦争は終わったようなものです」
「そうそう、こんな下らんことしてねぇで働け働け」
アルトリアが不意に爆弾を投げた、マスターたちは煽り散らすアーサーにキレたが奥歯を食い縛り事態を静観していた。
「またずいぶん大きく出たな、雑種」
「雑種とはなんだ! ミックスだよ! 血統書あるぞコラ」
「 まぁいい、貴様が聖杯戦争を終わらせられる理由はなんだ?」
「ほれ」
「聖杯ではないか……(困惑)」
「かつてギャラハットとジャンケンで勝負し譲り受けた逸品だぞ、アーサーは私の指示で管理していたのだ。よしアーサー! 今こそ使ってしまうか!」
「パーッといきましょ!」
「「「「「「マテマテマテマテ待てぇぇぇ!」」」」」」
喉から手が出る程欲しい品物がポンと目の前に出されては全英霊、全マスターが激しく動揺して声を上げても仕方無い。あのバーサーカーでさえ人語を話した。
しかしそんなこと知るかと言わんばかりにアルトリアとアーサーは止まらない。
「願いは何? アルトリアってそもそもそう言うこと考えるのか?」
「あぁある、アーサー聖杯を掲げよ! 「よしきた!」うむ、聖杯よ我が願い「ゲートオブバビロン!」ファッ!?」
「一度ならず二度までも……っ!? 我も堪忍袋の緒が切れたぞ! トキオミ! 令呪を使え! 二画だ! エヌマを使う!」
「マジギレなんてみっともないぞ!」
「うるさい!」
「ライダーマジでヤバイよこれ!」
「逃げるか」
「あ、アルトリア姫。私はこれで失礼します」
「おいランスロットさん!? 逃げるのか?」
「死にたくありません! さらば!」
その日港が地図から消えた、英雄王の宝具で地形が変わったのだ。幸い誰一人死人は出なかったが正直事後処理がとんでもない事になったので聖杯戦争を管理する魔術教会の職員はストレスで胃がマッハ。
そんなこんなで聖杯戦争は続くがそれはまたのお話。
恐らくアーサーが聖杯戦争に参加したらこうなる
番外編なのでどこにも繋がらないよ!
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ボコボコ生活
「ン我が王よ! 聖剣を引き抜くのです!」
「ブリテンの王に俺はなる!」
「聖杯ジャンケンだっ!」
この物語は一般人が王になるまでの道のりを書いたドキュメンタリーである。
★☆★
「アーサー! しょうぶだ!」
「めんどうだからやだ!」
俺はアーサー、五歳だ。俺には前世の人格と記憶が残っている。しかし自分の事についてはまるまるスッぽぬけている、なんとも都合の良い記憶喪失じゃないか。
自分語りもここまでに俺の置かれた状況を説明しよう、俺は生まれ五歳から記憶が甦ったので五歳までの記憶は無い、故にすべてが一から覚え直しだ。なお言語については必要なかった。
「おねがいアーサー! しょうぶ! しょうぶ!」
「いたいのはやだ!」
俺はどこぞの片田舎の一家に生まれたそうだ、畑がありそこでジャガイモを育てている。周辺は森や川のある平地が続きポツポツと民家も見える、生前に見た外国の田園風景にそっくりだ。と言うか実際外国らしい、国の名をブリテンなんとか、あれ? なんとかブリテンだったか? そう言うらしい……ブリテンと言えば英国、英国と言えばメシマズ、産業革命、紅茶等々。
「アーサーおーねーがーいー!」
「しょうぶしても! さんどばっぐとかわらないだろ!」
さっきからうるさいのがいるがコイツはアルトリアと言う同年代の少女だ、どこぞの貴族の子供らしい。今はこの田舎の別荘で修行中らしい。全部らしいと言うのはアルトリアの言動や雰囲気からそう思った憶測であるからだ。
「しょうぶしないなら……こっちからやるもん!」
「いたーっ!?」ベチンッ!
アルトリアって奴は乱暴なやつでことあるごとに勝負勝負と俺に挑んでくる、アルトリアは3歳から剣を持ち四歳で素振りを始め五歳から師匠と打ち合いをしている才女なので俺が勝てる要因は無い。
もはや一方的な暴力なのだが、飽きずに俺をボコボコにしていくので俺も防御だけは出来るようになってしまった。
何故こんなに勝負を挑まれてしまうのか……かれこれ一年はボコボコ生活だ
「えいっ! えいっ! えいっ!」
「ちょ! まて! あぶねっ!」
アルトリアは木剣を大上段から三度振り下ろし俺はそれを力一杯耐える、咄嗟に取ったその辺の丈夫な木の枝が三等分になってしまった。
もはや子供の膂力では無い……しかしこれはこのブリテンでは良くある事、だってこの世界は魔術が広く浸透し実際に存在するのだ。アルトリアも魔力で自分を強化している、無意識にそうなっているそうだ、保護者のナイトさんがそう言ってた、俺は無強化一般人だぞ! 耐えてるだけで凄いと褒められたが保護者ならアルトリアを止めて欲しいと言いたい。
「ちょやーっ!」
「ごふっ!」
「きょうもわたしのまけだーっ! またくるからね!」
俺は一通りボコボコにされて仰向けに寝転がっている、アルトリアはまだ元気で無傷だ。しかし何故か負けたと言う、これまでずっとこのパターンでボコボコにされているのでいい加減あいつには俺に勝って貰いたいね(強者の余裕)
冗談は置いといて真面目にアイツの対策を考えないと一生付きまとわれてボコボコにされる人生になりそうなのですよ。
故に俺は近所の魔術師のおばさまからジャガイモと交換で魔術を教わる生活をしている、今は何も使えないがいつかは自分の体ぐらい治せるようになりたいな……
★★☆☆
「ごふっ!」
「きょうもわたしのまけだー! またくるからね!」
むー……きょうもまもりをくずせなかった……ししょーはくずせていちにんまえっていってたから、まだはんにんまえだ……
わたしはつよくならなくちゃいけないのにだれよりもつよくなりたいのに、おなじこどもにもかてないのならいみがない!
もっとするどくつよくけんをふるためにもっとすぶりをしよう!
☆☆★★
やべーよやべーよ! アルトリアがまた来やがった……と思ったが保護者のナイトさんが来ていた、今日はアルトリアは来ないそうだ。よし、安息日ってやつだな()。
「今日は姫は来れないんだ、だから代わりに私が来た。いつも姫が迷惑をかけているようだね、すまない」
「いえいえ、へいみんのおれにはもったいないたいけんです、いまのくにのあり方がみえましたね」
「ぐふっ、なかなかいい皮肉だね……君本当に五歳か?」
五歳だよ(肉体年齢)んで、ナイトさんがここに来た理由はなんじゃろか?
「今日来た件だが君にお礼とお願いがあるからなんだ、ご両親には同意を既に得ているからあとは君次第だ」
やけに親と話し込んでいると思ったら……そう言うことか
「君は聡明で他の子供より賢い、今から鍛えれば姫の「やだ」話し始めたばかりじゃないか。最後まで聞いてくれ」
「えー」
「話の続きだが……長々話すより簡潔にまとめよう、君に姫の家臣になってもらいたい。私は主より姫の興味を引く人物を姫の家臣に誘うように言い遣っているのでね、どうかな?」
「いまよりよいせいかつになって、おれのおやがそんをせず、はらいっぱいうまいものがくえるのならおうけしますよ」
吹っ掛けれるだけ吹っ掛けてやる、ナイトさんには悪いがボコボコ生活は嫌なんでね
「それぐらいならお安いご用さ、これからよろしく頼むよ、アーサー君」
ありゃありゃ……奴さん懐が広すぎやしませんか……
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ヘトヘト生活
アーサーです、軽くこの世界に馴染んだと思っていたらそんなこと無かったです。アルトリアの家臣になることになったので親に別れを告げてナイトさんと筆龍別荘(ペンドラゴンサブホーム)にお引っ越しするんだけど、その時に
「全部『収納』しておいたよ。ささ、馬車に乗って」
「は?」
さらっと四次元ポケット的アイテムを取り出していたのでこの世界が21世紀なのかと思ったよ、実際は15世紀くらいだろ(適当)
そんなこんなで馬車で半日、片田舎の都市のど真ん中のクソデカ屋敷に到着した。流石の貴族だ、金持ってるよね……と言うかアルトリアって馬車で半日かかる距離を往復してたのか、やっぱブリテン人はヤバイわ。
クソデカ屋敷の門の前にアルトリアが剣を突き立て柄に手を乗せて待っていた。お出迎えごくろーさん。
「よくきたなアーサー! かしんになってくれたのか!? やったー! さっそくしょうぶ「やらねーよ!?」えー」
「姫、ご自重なさってください」
「ぶーぶーベディのケチ、おとうさまにベディのはずかしいこといいふらすよっ!」
「じゃあ姫の執事を止めないとですね」
「うぁぁ~っ! やめちゃやだ! もうしない!」
なんだこれ……ナイトさんベディって名前なんだ、何気に初めて知ったな。
ベディ、ベディヴィエール……? 円卓の騎士? ……円卓の騎士と言ったらナイトガンダム物語……あ、思考がずれた。
「アーサー! さっそくだけどおうめいです! わたしとしょうぶするのです!」
「えーと、にもつのせいりが「私がやっておきましょう」ナイトさん……(イラッ」
あ、あのナイト俺をアルトリアに差し出しやがったな!? やだー! ボコボコやだー!
☆★☆
「まえがみえねぇ……」
「お疲れ様です、アーサー君」
昨日スカウトしてきたアーサー君、なかなか良い人材ですね……大人の思考に子供の無邪気さ、姫の家臣に選んで正解でした。ただ、時折私に言葉のトゲを刺すので少し胃が痛いですね。
姫の立場を知らないアーサー君には申し訳無いですが、しばらくボコボコにされてもらいましょう。
いずれ必ず報われますから、なんと言ってもアルトリア姫は次期国王候補と花の魔術師が太鼓判を押していますから。
★★☆☆
引っ越して三日目の朝を迎えたアーサー君です、正直帰りたい。初日に一ボコり、二日目に一ボコり、三日目は二ボコりを宣言されていますので、俺には逃げ場はないのか!
「アーサーしょうぶ!」
「よしやってやる! しかえしされてないてもしらねーぞ!」
この理不尽に俺は立ち向かう事にした、今のところアルトリアに勝っている部分があるとするなら、知識、判断力その辺りだろう。これを使いアルトリアに仕返しをする、理由は明白ボコボコにされた恨み辛みを晴らす為だ。
このヤロウ殴られ続けた恨み!
ドゴ、バキバキ、ボン!
「きょふはこへくはいでかんべんひてやらぁ」
「攻めると弱いですね……アーサー君(冷や汗)」
「きょうはかった! あしたもしょうぶやるよ!」
攻めたら終わりだ、守らねば(悟り)
と言うかまともに剣を振ったことの無い人間が攻めたら勝てるとか無い無い、マンガの見すぎだな。
「アーサー君、今日は攻めていましたがどういう心境の変化です?」
「やられたらやりかえす、ばいがえしだ」
「なるほど、最もな動機ですね。なら少々手解きをして差し上げましょう、この先何処かで役立つでしょうから」
「いますぐひつようになるのでぜひたのみます」
朝の勝負でボコられて昼からまたあるのですぐにでも頼みます! となって一時間後ぐらいにベディさんにも訓練の中でボコられてしまった。なんなのこれ人災じゃん
「ベディさん、おれはくたばったとアルトリアにつたえてください」
「いや、ウソはすぐバレる。姫は勘が鋭いからね、だけど今日はアルトリアとの勝負は無しにしておこう。若い内に体を壊してはいけないからね」
どの口が言うか! あんたも同罪やぞ! ……しかしアルトリアとの勝負が無くなるなら半日暇だな。あ、魔術師のおばさまの家がここからだと近いのか、二日もすっぽかしてたら怒られるよな……行くか。
「ベディさんちよっとでかけてくるよ」
「ボロボロだけど大丈夫かい?」
「ばしゃでおくってくれてもいいよ」
「ふっ……君は人を使うのが上手いね」
ベディさんがいい人で助かった。
片田舎の都市の郊外の森に魔術師のおばさま宅がひっそりと建っている、噂を頼りに見つけた秘密とまでは言わないが隠れている魔術師のおばさまに俺は弟子入りしている。
ベディさんに送って貰いその魔術師のおばさまに二日ぶりに会いに行った。
「こんにちは! モリガンおばさまいるー?」
「あら? 二日もすっぽかしてたアーサー君じゃないか、もう来ないかと思ったわ」
「かくかくしかじか」
「なるほど、アルトリア・ペンドラゴンの家臣になってボコボコに拍車がかかったとな、大変だろうに……こっちへおいで、治してやろう」
えぇ人やなぁ……流石モリガンおばさまやで……風貌は真っ黒ローブのいかにもヤバイ魔女だけど、人は見た目じゃないんだよねってことを身をもって教えてくれている人格者だ。
「さて、今日は何を習っていく?」
「んー、アルトリアのかしんになったからにははじをかかせられない、なのでスッゴいのがいいです」
「こら、具体的に話せと前から言っておろうに……まぁアーサーが望むか別としてそのスッゴいのはいくつか知っておる、そもそも基礎の基礎魔力回路が足りないがまぁなんとかしてやろう」
よくわからないがおばさまが出来ると言うならそうなのだろう。
「どれ、さっそく魔術を使えるようにしてやろう『
あぶぐふぁ!? 何かよく分からんモノが俺の中にっ!? ……と言うのはなく何事も起きない、しかしおばさまが言うには俺に力をくれたようだ。これで俺も魔術が使えるように……っておい! もっと早くしてくれてたらアルトリアにボコボコにされずに済んだろ!
畜生やってられないぜっ!
「ほれ、教えたルーンを使ってみな」
「おばさまがイジワルするのでこのいえに『あんさす』!」
「ちょいさ、ま最初はこんなもんさ。精進しなよ、アーサー」
俺の指先からでた火の玉がおばさまに握りつぶされた、おい魔術使えよ、魔術師だろーに。握り潰すとか肉体派魔法少女じゃあるまいに。
なんだが知らない内におばさまの家を出た、ベディさんが外で待ってくれていたけど。俺を見るなりいきなり
「妖精?! ってアーサー君? 本物か?」
「みちがえるほどのしんかなぞしとりゃせん、ベディさんフシアナか?」
「ズキンと来ました……っ!」
ベディさんも天然なのかね、俺はそんなにからかわれるタイプじゃなかったのになぁ……
逆にからかう事は好きです、ベディさんにはお世話になってます
ベディさんはメンタルがチクチク痛めながら馬車を運転してくれたので屋敷につく頃には酔いでふらふらなアーサー君であった、まる
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くらくら生活
アーサーです、いつものようにボロクソ雑巾状態でお送りする脳内ラジオ、チャンネルはそのままでお聞きください。
「アーサー! きょうはなんかうごきがよかったよーっ! またあしたもよろしくね! おうさまのめいれいだからね!」
「ふぁい……」
アルトリアの家臣になって七日目だがいままでよりハイペースでボコボコされてる以外は普段と変わらない生活だ、魔術師のおばさまから力を戴いたが使いこなせてないので無いのと一緒ってのもツラいさん……剣の腕はベディさんに教えを乞うてはいるものの実用化はまだまだまだまだ先の話。
「わがあるじ、すこしよろしいか?」
「ん? なになに! わたしはいいおうさまだからなんでもいってみて!」
年相応の可愛さとあどけなさは確かにある、しかし俺には暴力装置に見える。かわいい暴力ってなんだよ()
「アルトリアはなんでおうなの?」
「おとうさまとまじゅちゅしの、まじゅつしのマーリンがなれるよ! なった方がいいよっていってたから! おとうさまはだれよりもつよくかしこいひとがおうさまになれるからかくちをまわってしゅぎょーしなさいっていってたの!」
親が子供に言っちゃう誇大妄想か、はたまたガチの王族か……身分高そうな奴から身分高い奴にランクアップしておこう、となるとアルトリアは女王様か……SMクラブなら既に女王様だけどな()
「姫は王位継承権で言えば第一位だよ、他の列強国の王子たちも中々手強いからギリギリだけどね」
「だからつよくならないといけないのだ!」エッヘン
ベディさんの説明でやっと理解できた、俺は王位継承争いに巻き込まれたようだ。
あーやだやだ、争いは好かん……けど、やるならやるで全力で相手をする覚悟はあるっ! (黄金の精神)
「そうだアーサー君、姫も改めて聞いてほしいのですが三日後には城に戻る事になります。現ブリテン王ユーサー・ペンドラゴン直々の命令ですので覆す事はあってはなりません。しばらくここには帰ってこれないでしょう」
「ほへーユーサーおうじきじきの……アルトリアってほんもののおうになるのか」
「そうなのだ! でもすぐにわたしがおうになりおとうさまをらくをさせてあげたいぞ!」
ええ子や、でも許さん! ボコボコにされた恨み生涯なくならんからな!
しかしここに帰ってこれないとなるとモリガンおばさまのレッスンが受けられないな……
「ティンタジェル城へ向かうのか? 私も同行しよう」
「モリガン院! じゃなくておばさま!? なんでここに!」
「弟子の場所ぐらい魔術で分かる、その子、アルトリアと言ったか? 才能があるゆえ私の弟子にしたいなぁ」
「貴女はアーサー君の魔術の師匠、モリガン殿……貴女、我らになにようか! 姫の騎士として脅威は排除せねばならない、お答え願おうか」
い、いつになくベディさんが鬼気迫る表情で俺の後ろに立つモリガンおばさまを見ている……なんだろ俺も睨まれてる気がする
「何、アーサーの修行が済んでおらんのでついて行くだけじゃい、ついでに才能ある若者は伸ばしてやりたいと老婆心を出してしまったがな」
「貴女の気配、アーサー君にも同じ気配がしますが、それの説明をしていただけますか?」
「解りきったこと、私が『
「……そこまで堂々とされては私としては毒気を抜かれる気分です、良いでしょう。私の権限で同行を許します」
ベディさんとモリガンおばさまの間で極めて高度なやり取りがあった気がするが俺とアルトリアは終始置いてけぼりだったので
「じゃーんけーん」
「「ぽん!」」
誰にでも平等な勝負、ジャンケンをしていた。人類よこれからは暴力ではなくジャンケンで勝敗を決せよ!
「平和じゃな」
「こっちの方が毒気抜かれますね……」
取り敢えずモリガンおばさまがついてくること、アルトリアにも修行をつけることが決定したわけだが……正直に言うならアルトリアが魔力を制御したら俺はもっとボコボコになる、アルトリアの才能は天元突破で相手をする俺は凡人! 嫌になるねぇ!
☆★☆
さてさて、アーサーはどこまで伸びるかねぇ。一応私の『格』だとか『力』は写したが中身が伴ってないと意味がないと言うのはアーサーも分かっているだろう。
神秘薄れるこの時代、私の痕を残したいと思っていた矢先にこの子が現れてくれた……出来るなら全てを与えたいが人の身では耐えられないだろう、徐々に慣らして行けばいずれ第二の『
千里眼で未来を見たときからその時代に行ってみたいと思っていた! 待っていろよ遥かな未来! あと千年位長生きしてくれよアーサー! そんでもって我を呼び戻すのだ!
ワハハハハハハハハハハハ……っ!
★☆★☆
「ぶえっくしょいっ!」
「どうしたアーサー君」
「おかんがせすじをなでていきました」
「君もそんなことあるんだね」
ベディさんと剣の修行に凄まじい悪寒が……背中に氷河を背負ったレベルでヤヴァイ!
「アーサー! かくごー!」ブスッ
「きんきゅうかいひー! というかブスッってなんだ!?」
「きょうはやりだぞー! えいえい! ……おこった?」
「おこったぁぁぁ! 「えいっ」はうわぁぁぁぁ?!?」
畜生やってられないぜぇぇぇ…………っ!
アルトリアがネロっぽくなった、まぁいいや(切嗣)
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すれすれ生活
話をしよう、俺はアルトリア、ベディさん、モリガンおばさまとコーンウォールのティンタジェル城へ向かっていたんだ。馬車に揺られて風がそよそよと流れる平原をのんびりと進んでいた。
「おおっと、そこの道行く馬車よ! 止まってもらおうか!」
突然草むらから人影が飛び出してきた、ベディさんは慌てて馬を止める。急に飛び出したら危ないだろうが!
「ん? 盗賊か? 私の魔術で災い避けをしているはずだが」
「へぇ、ってそんなことしてたのかおばさま」
「すまない! 私はこの近くの村を守る騎士だ。悪いことは言わない、この先に魔猪が出た! 引き返す方がいい」
魔猪? 所詮畜生でしょ? ここのメンバーなら余裕余裕! (なお俺は戦力に換算しないものとする)
「魔猪か……仕方ないが迂回するか」
「それが無難じゃな」
「いのししってこわいもんね……」
え? そんなに?
俺がみんなの反応から魔猪の恐ろしさを考えていると先程の騎士は叫んだ
「魔猪だっ! 奴がこっちに向かってきたっ! 街道を走っているぞ! 逃げろぉぉっ!」
馬車の進行方向から街道を爆走するバスがっ!? じゃなくて市営バス並みの猪のBAKE-MONO(謎ネイティブ)
「なっ! なんだよあれっ!?」
「あれが魔猪じゃい、アーサーは初めてだったな」
「モリガンおばさまなんとかしてぇっ!?」
「丁度いい行ってこい!」ゲシッ!
アバッーッ?! モリガン=サンのヤクザキックが俺の背中を捉えてウマ=カーから蹴りだされた。
「アーサー!? おばさま! なんてことを!」
「やはり貴女は! チッ! 『
このやろー! 絶対許さねぇ! 絶対にだ! モリガンもベディも許さねぇ!
「ほれほれさっさとせんと魔猪がお前を殺しに来るぞ、このモリガン、お前に教えた一年は無駄でないと思うておるぞ! ……それにかくし球を持っておろう?」
くっそそんなこと言われたら頑張りたくなるじゃねぇか! 俺の覚えたルーンを総動員して最高の一撃を、余計な事は考えるな……成功することだけを思え! 俺ならやれる! ルーンを俺の知る漢字に落とし込み、一文字に意味を込める……元ジャパニーズの記憶を持つ俺だから出来るルーンの極致!
「『
俺の言葉に力が宿り魔猪に降りかかると、言葉通りの行動をとり180度回転して来た道を戻ってくれた……
「へっ、どんなものだっ!」
「いや、まだだアーサー! 魔猪の対魔力は高い! ほれほれ既に術が解けとるぞ! 今度はどうする? 怒り心頭じゃぞ?」
戻ったと思ったら引き返してきやがった!? モリガンおばさまが助言をくれたがすまねぇサッパリ理解できない! 専門用語まで覚えてない!
どうする? これ無理ぞ……攻勢に移ろうにもバスをぶっ壊せる魔術はまだ使えない、さっきのあれがダメなら打つ手無しなんだよなぁ……わりぃ俺死んだわ
「諦めるなバカ弟子! 死と生の境目こそ命は輝くっ!」
「カッコいいせりふをどうも!」
うちの師匠が男前過ぎる、このアーサー! モリガンおばさまに恥を掻かせられない!
「うぉぉぉぉ! 『
瞬間的に魔猪の速度が上がり俺へ突っ込む、大人より大きな牙が二本が俺へ向かってくる。やべ、ミスった
ザザザザザッ! っと眼前に土埃をあげて急ブレーキで停止し猪野郎は止まってくれた、俺は走馬灯と共に下半身が湿っていた。
「ブモモモ!」ペロペロ
「い、生きてるぅぅぅ~」ベトォ
「魔猪が!? アーサー君に懐いたっ?!」
「き、汚い……なんとも締まらないやつだ、せめて綺麗にしてやるか」
「すごーい! アーサー! いのししなかまにしたのー!?」
「なんとなんと……あの魔猪を飼い慣らしたのか!」
いやー皆の熱い視線が分かる分かる、俺は一つ強くなったと言い張れると思います(確信)
☆★☆★
「すごいっ! すごいぞ! アーサー!」
わたしのかしんアーサーがいのししをペットにしちゃった! ベディでもたおしちゃうのに! でもあのまじゅつはみたことないなぁ……マーリンならわかるかな?
「見たかいアルトリア、あれが今のアーサーの実力さ。勝てないが負けない、でもやるときはやる男さ。せいぜいコキ使ってやってくれ」
「うん! わたしはおうさまになったらアーサーにせいじをまかせるつもりだよ! だってアーサーはわたしよりあたまいいもんね!」
「うんうん適材適所だ、アルトリアはいい王様になれるよ」
ほーめらーれちゃったー! モリガンおばさまっていいひとだ! んふふ~おとうさまにもほめられるかな~
「ベディさんよぉ……「ブモモ」そうかいそうかい、こいつもベディさんがにくいらいしぜっ! かくごベディ! つっこめイノッシー!」
「ブモモモッ!」ドッ!
「『
「「アバッーッ! /ブモーッ!?」」
ベディといのししとアーサーがしょうぶしてあそんでた、もー! わたしをほっといてたのしそうなことしてるー! わたしもまぜろー!
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キタキタ生活
イノッシーが仲間入りしたことで馬車より早く街道を爆走する俺達、あっどうも! アーサーです!
「おらぁぁぁぁっ! イケイケ! イノッシー!」
「ブーモモー!」
ドドドドバギッ! ドドドドドン! バキバキドドドド!
「ワハハハハハ!」
「たーのーしーい!」
「ちょっ!? こら! アーサー君! 加減をしろっ! 魔猪用に馬車を作ってある訳じゃベキッほらぁぁぁぁ!?」
あーあー聞こえない聞こえない! 俺を助けなかった奴の声なんて聞こえない~!
街道を真っ直ぐに爆走する馬車改め猪車(いのしゃ)はコーンウォールのティンタジェル城行~ティンタジェル城行となっておりまーす!
イノッシーで爆走すること数分、目的地が見えてきた。
「とまれッ! 魔物使い! ここはティンタジェル城の門前であるぞ!」
「ばかやろう! バスがきゅうにとまれるか! 『
俺の改変ルーン魔術でイノッシーと馬車を上に飛ばす! ティンタジェル城の門を飛び越して中庭的場所に軟着陸、決まったな……
「何事か!? ……アルトリア? ベディヴィエール?」
「ケイにいさーん! ただいま!」
「ケイ君、久しぶり元気だったかい?」
「おおっ?! 二人ともどうしてここに……じゃなくてあちらさんは誰だよ!」
「ドーモ! アーサーデス!」ヨロシクゥ
「魔術師モリガン、と名乗っておこうか」
「ブモッ!」
屈強な騎士達が城の中からぞろぞろと出てきた、どうやら騒ぎを聞きつけ飛び出してきたようだ。
わらわらと出てくる彼らの中に一際覇気を放つ老人が見えた、いや老人と言うにはいささか生気に溢れているように思う。こういう判断が出来るのもモリガンおばさまの修行あってこそか……
「おとうさまー!」
「アルトリア、おかえり……ベディヴィエール、良き逸材は見つかったか?」
「はっ……そこのアーサー君が相応しいと思い既に契約を」
「良くやった……しかしこの状況は大変興味深いな……一先ずは玉座にて出迎え直そうか、ベディヴィエール。後は任せる、ケイ! アルトリアを頼む」
アルトリアがお父様と言った人物、あれがユーサー王か。絶対に勝てないと思わされるカリスマ性がある、アルトリアも将来あれになると思うとゾッとしたり……しないわ。
俺達は客人として招かれ、先程の超絶無礼ダイナミック入城を水に流してくれるそうだ。
アルトリアはケイと言う義兄に連れられ着替えに向かい、ベディさんも旅装束からきっちりとした甲冑へ着替えていた。
玉座の間にはレッドカーペットがしかれそのさきに堂々たる玉座、ユーサー王は威厳たっぷりに腰掛けアルトリアは膝の上にちょこんと座っている。
「改めて……私がユーサー・ペンドラゴン、遠路はるばる良く来たな。アーサー君、魔術師モリガン」
「おはつにおめにかかります」
片ヒザついて胸に当てて頭を下げる、ちょっと格好いいじゃない! こう騎士って感じが素晴らしいね
「初めましてユーサー王、モルガンが世話になった」
「……ははっ! あやつには手を焼かされた、今はどこぞで気ままに暮らしておるだろう、悪いがモルガンとの関係性を聞いてもよいか?」
モリガンおばさまは相変わらず堂々としてるなぁ……モルガンってのは誰のこと? 俺そんな話全然知らなかった……
「私の双子の妹と言っていい存「姉様!?」噂をすればか……」
「モルガンねぇさま!」
「アルトリアちゃんおひさー! じゃなくて今は姉様! 何故こちらに!?」
若くて綺麗なお姉さんが何処からともなく現れた! つかテンション高いなおい! ……どことなくアルトリアに似た顔つき、ねぇさまとも言っていたな、そこは姉妹か。でもモリガンおばさまを姉様と呼ぶモルガンさん……えらい複雑な家庭の事情があるんかな。なんか年齢も結構離れてそうだけど……
「モルガン、お前『見ていた』じゃろ」
「そりゃそうですけどやっぱり姉様から聞きたいじゃないですか」
「はぁ、よいか、かくかくしかじか」
「それじゃ分かりません、ふざけないでくださいよ」
「え?」
「え?」
俺とモリガンおばさまだけにしか分からない謎言語だったのか……割りと使ってたから違和感なかったわ
モリガンおばさまは一から説明しなおした、ちょっと恥ずかしかったのかキョドる事もチラホラを見受けられた。
「……という訳じゃ」
「ふんふん、そこのクソガキの師匠としてついてきたと」
「物凄く簡単にはそうじゃ、あと弟子をクソガキと言うてやらんでくれ。アーサーと名前がある」
「いやですー! 姉様とうらやまけしからんことしてるクソガキはクソガキとしか読んであげません!」
おぉうこれは……シス(コン)の者か! ジェダイ助けてー!
「お前姉様に何かしたら八つ裂きだからな?」
「ぜんしょしますぅぅぅぅっ!!!」
「これモルガン、あまり私たちを置いて話をされると困る」
「でも! 父様!」
「今は下がれ、よいな?」
「はい……」シュン
すげーユーサー王! モルガンさんが一瞬で大人しくなった……でも去り際に「あとでツラかせや(意訳)」と囁かれた。ゾワゾワしたぞー(二重の意味で)
このあとはユーサー王から心意気やアルトリアは主としてどうかとか、別荘に居たときにアルトリアがユーサー王の事を話していたのかとか王としての質問と父としての質問がこっちに飛んできた。ベディさんがほとんど捌いてくれたけどいくつか俺に被弾した、答え方間違えたらアルトリアとユーサー王にボコボコにされるんじゃー!
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クルクル生活
アーサー君人生最大のピンチです……
俺はユーサー王との謁見を終えたあと用意された部屋に向かった筈だった、廊下を歩いているとモルガンさんが現れて俺を影で包み込んだ。するとなんということでしょう……全く知らない森のただ中、しかも波の音が微かに聞こえる……おかしいですよ! モルガンさん!
「私はお前が嫌いだ、故に消す」
「まてっ! はなせばわかる! こうしょうを!?」
「今はどちらが上か? わかってますぅ? ぼくちゃん?」
くっ……仕方無いか……
少し後ろに下がりゆっくりと膝を付く、もう片方も同じように付ける。両手を前へつきだして遅くなく早くない速度で腰を折り頭を下げた。
「いのちだけはおたすけを……」ドゲザー
「……えっ? ま、まぁ頭をあげろ仮にも姉様の弟子なのだろう」
「ゆるされた?」
「許してない」
ダメかー……万策尽きたか、ドゲザーがダメならHARAKIRI……でもダメそう、モルガンさんは冗談通じねぇよなぁ……
「私はなお前のようなアホが姉様の弟子、しかも『
「それはモリガンおばさまにちょくせついったらいいのでは?」
「愛する姉様に口答えなどそれこそアホのやること! 完璧な妹は静かに素早く姉様の邪魔をする者を取り除くのみ!」
あ、これ完全に自分の世界に入ってますね……しかーしモリガンおばさまにこんなヤベー妹さんが居たとはなぁ。
おばさま助けてー! こんなヤベー奴といたら殺されるー!
「随分と心がうるさいな」
「こころがうるさいってなに……? (困惑)」
「お前のドクサレノーミソは思考が駄々漏れだぞ」
「こころをよんでいるのかよ……まいったな(あほしね)」
「分かっててやってるな?」
「そんなこと(ないです)ばー(か)」
「コロス」
やば、考えが漏れる(意図的)
煽り過ぎたかな、することないし、出来ることもないし、ナイナイ尽くしで打つ手無しー! 生きることを諦めて人生終了、あぁ無情な世界かな。死にたくねぇ! 死にたくねぇ! (精神狂乱)
「殺す前に一つ聞いておく、どうして抵抗しない?」
「だってかてないし……」
「ひよっこでも魔術師なら抵抗して見せろ」
「できるけど、やらせないだろ?」
「当たり前だ、私は悪い魔女。嘘をつき人を騙す、こうしてお前に関わっているのも完全な私怨だ」
「ユーサーおう! モリガンおばさま! たすけてー! しぬ! モルガンにころされるー!」
「いくらでも喚け、それが貴様の最後の言葉になるだけだ」
あぁ、その白くて細くて長い美しい指で私を絞め殺すのね! 真面目に死ぬ! もうこの際誰でもいい! 助けてくれー!
『力が欲しいか』
誰だ!
『力が欲しいか?』
モリガンおばさまの声じゃねーか!
『あ? バレた? 今からそっちいくから待っていろ、アホ妹は私がちゃんと制裁をしておく』
俺はここで意識が途絶えた……恐らく首を閉められて気絶したのだろう。
★★☆☆
「姉様!?」
「全くこのモルガンのアホ、どうして私の弟子を殺せると思った? ここ『
「くっ……流石姉様」
まさかここに侵入してくるなんて、『妹達』の結界が無視されるなんて……流石と言う他ない。
姉と言えど他所の神、ここに来れないとタカを括ったのが間違い! だけど!
「姉様! あのクソガキは看過出来ません! 才能も容姿もごく平凡! 生まれも血も何一つ取り柄がない! 何故だ! 私の尊敬する姉は何故アレを選んだっ!」
「何故って……お前が今言ったじゃろ。全部平凡、だからいい。前にクーフーリンのアホと付き合って分かった、普通が一番だとな」
そりゃあんな大恋愛と比べたら……全部普通になるわよ……
「それだけ?」
「それだけ、私がショタコンだった……それだけのこと」
なにこの……姉様は……年下好きだったのね。確か姉様は愛する者に勝利をもたらす戦女神、あのクソガキは幸運ね……この先の人生勝ったも同然じゃない。
なら私もそれに乗っかることにしましょうか……どうせこの先ブリテンから神秘が消え去り私達幻想生物や妖精は去らなければならない。残り少ない時間ならば少しでも愛する姉様と同じ時を過ごすことに使おう、いや使うべき。
「姉様、私が間違ってました。降参です」
「そうか」
「それと、このモルガン・ル・フェ……クソ、もといアーサーに力を貸すことを約束します」
「モルガン、ありがとう。我が弟子ながら情けない所もあろう、しかし我慢してやってくれ」
「分かっています、それが姉様と過ごすための多少の犠牲……もといアーサーの成長に繋がると理解しております」
よし、感触は良好。自然に姉様と一緒に居られる口実が作れたっ! あぁ『妹達』には悪いけどアヴァロンはしばらく任せる事にしよう、どうせ計画はアルトリアが大人になるまで実行するつもりはない。それまでは……
「そうだモルガン」
「はいなんで「そいっ!」べぶっ!?」ドゴッ
「よし、今回の事はこれで無かったことにしてやろう」
いたた……頬に手の跡が……これでも美容に気を使っているのに! でも姉様の手の跡なら許せるわ!
クーフーリンとモリガンの関係が気になる人は調べてみよう!
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ピロピロ生活
グーテンモルガン、もといグーテンモルゲン! (ドイツ語のおはよう)
「昨日は……その、済まなかったな」
「さすがにこどもあいてにほんきになるとはおもわなんだ、モルボルさん」
「モルガンだ」
ぴーひょろろと鳥の声が聞こえる朝早くに俺は目覚めた、天蓋付きの高級ホテルのようなベッドルームに寝かされていた。周りを見ると名も知らぬ宮仕えの魔術師が側にいて俺の様態を見るなりホッと一息ついていた。アレだ、モリガンおばさまがプレッシャーを掛けてたんだな(確信)
その魔術師がそそくさと俺から離れて部屋を出ていくと見知った顔のシスコン野郎がいつの間にか居たんだ、昨日の今日で良く来たなと……モルガンさんは俺のそんな心の声を聞いているのだろうか?
「あやまってすむもんだいじゃない、オルガンさんはしにかけたことがあるのか! こわかった! わかる? このつみのおもさ?」
「済まなかったと言った、私はお前が姉様の邪魔をしていると思っていたが実は逆だったと分かった。だから謝るだけだ、殺すことに関しては罪悪感など感じていない。あと私はモルガンだ」
徹頭徹尾自分の意思を貫くタイプは嫌いだぁ! もぉやだー! ……にしてーも? 結構おふざけに乗ってはくれるのね。その辺は丸くなったかな?
「おーい起きてるか? ……モルガン義姉さん、来てたのか。おっ、起きてるな……どうだ体の調子は?」
「えーと、ケイさんでしたっけ?」
「おう、おれはケイ。アルトリアの義兄に当たる、年は十歳。そんなに離れてないだろうから気軽に接してくれ。
あと義兄としてアルトリアをよろしく頼む、アーサー……ん? 姓はなんだ?」
「ただのアーサーだ」
「よしアーサー、お前に頼みがある。アルトリアを慰めてくれ」
アルトリアを? 俺が知らない間に何が起きた?
「分かってない顔だな、アルトリアはアーサーがモルガン義姉さんに殺されかけた話を聞いてすっかり落ち込んで誰の話も聞こうとしないんだ。身内同士が殺しあいなんてしたらそりゃショックだろうよ、つーことでアーサー! 行って家臣らしく王を支えてやれ!」
「アルトリアとはなんやかんやながいあいだがらだからな、なんとかしてみる……そのアルトリアはどこに?」
「城のてっぺん、見張り用に作られた所がある。案内しよう」
ケイさんの後ろを着いていきアルトリアがいる城の屋上へ来た、このティンタジェル城は崖の上に建っているのですこぶる見晴らしが効く、その城のてっぺんとなると怖いぐらいに高い。
ケイさんは俺を置いて先に戻った、ここから先は俺の仕事だと言っているのか。難しい事は分からんが俺の熱いハートで励ましてやるぜぇっ!
「アルトリア、だいじょーぶか?」
「アーサーっ!? あるいてもういいのか!? もうだいじょうぶなんだな!?」
「うおっ?!」
景色を見て黄昏れていたアルトリアに声をかけると怒濤の言葉攻めと肩を掴まれて揺さぶられ病み上がりには中々ハードなスキンシップを受けた。
でもそれだけ俺を心配していたと、そう解釈して良いのかな?
「おちこんでいるときいたがそうでもなさそうだな」
「うっ……ううん、おちこんでいた。わたしはよいおうになるためにがんばってきた、よいおうとはたみをまもりかしんとともにくにをみちびく……わたしはそうおとうさまからおそわった、なのにかしんひとりまもれないなんて……それだけじゃない、モルガンねぇさまがアーサーをころしかけたこともかなしくて……なんでよ……ううっ、ずくっ」
年相応だな、俺と同じレベルで会話して物事も良く考えられているアルトリアは正直五歳とは思えなかった。
でもそうじゃない、アルトリアも子供だった。俺のように精神が大人じゃない、耐えられないことも多々出てくるだろう。
俺も大人だ! なんて胸はって言える訳じゃないが……こんなに頑張っている子供を応援しないのは大人じゃない。
「アルトリア! おれはいきてるし、モルガンさんにもあやまってもらってもうなかなおりしたぞ! (してない)
だからおまえがかなしむことはもうない! はいおわり!」
決まった! 俺の仕事は終わった……あぁぁぁぁ…………言ったそばから恥ずかしぃ……カッコつけすぎたかもぉ……
「アーサー……ふふっ」
「よよし! ももどろうぜ! みんなしんぱいしてたぞ」
恥ずかしいけどアルトリアが元気になったのでよし! でもスッキリ締まらないのが俺クオリティ。
「む……その……なんといってもどろうかな」
「めいわくかけたらごめんなさいだ、かんたんかんたん」
「なるほど、ごめんなさいだな」
アルトリアってもしかして謝る経験が少ないのか? 王族の子供って謝ることが無いんだろうなぁ……(偏見)
冗談は置いといて、王族がひょいひょい頭を下げるわけにはいかんわな、威厳が無くなる。
俺はアルトリアの後ろに着いていきアルトリアを心配していた人々に謝罪してまわった。ユーサー王、ベディさん、モリガンおばさま、ケイさん達はアルトリアが立ち直ったことを喜んでいた。
ひとしきり終わったところでケイさんに声を掛けられた、何だろう?
「よぉアーサー、首尾良く行ったようだな」
「ケイさん、まぁそこそこいいこといったつもりではありますけど」
「ただのガキって訳でも無いらしいな。アルトリアより大人っぽい奴は初めてだよ」
お褒め頂き光栄です。脳内で兄貴と呼ばせて頂きます! (王族への不敬罪)
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ヌルヌル生活
おはアーサー、昨日の今日でアレだが旅に出ることになった。以前の片田舎ではなくこの島を巡る長旅になるようで、俺としてはぜーんぜん気が進まない。
「アーサー君、ほら、行くよ?」
「いやっ! やめてっ! またイノッシーみたいなバケモノがうろつくようなところなんていきたくない!」
俺は嫌なので部屋に籠城を決め込んだ、ベディさんとてこの扉は開けられまい! 何せルーンでガチガチのガチに施錠してある、並みの攻撃じゃ無理(ルーンの無駄遣い)
ドゴンドゴンバゴッ!
「アーサー! いくぞー! ついてこーい!」
「やめっ! HA☆NA☆SE! かべぶちぬくのはひきょーだぞ! アルトリアぁ!」
「みちがないならつくればよい! これぞおうのみち!」
そんなものは邪道です!
あぁ悲しいかな、女の子に襟首掴まれて引きずられてしまった。くそっ! 昨日まで繊細な乙女してたくせに!
★★☆☆
自分の話をしよう、千里眼で遥か遠き未来まで見渡す花の魔術師たる僕は『
ちなみにこの世界はアヴァロンが二つあるんだ、ここは花のアヴァロン、モルガンが根城にしているのは潮風のアヴァロン。潮風のアヴァロンは正確にはアヴァロンのようなモノであってアヴァロンその物ではないけどね、九人の『妹達』と造り上げた空間だったかな?
「暇だからアルトリアの『人生』でも見ようかな」
“アーサー! 布団が吹っ飛んだ、と言うのはどうだろうか”
“そのつまらない冗談はやめろぉ! ”
「おっふ」
全く知らない物語が見えてしまった、あれ? 可笑しいなぁ僕の見たい物が見える筈だったのに、どこかと混線したかな。いや千里眼に混線なんてあるかい!
「フォーウ!」
「あ、絶対ボクコロスマンくんちゃんさん。いきなり来たね」
「フォウフォーウ!」
「なになに……今見えたのは君の冗談? やれやれ戯れはそこまでにしておけよアホウクン、あフォウくんだっけ?」
「マーリンシスベシフォーウ!」
「だが断る、このマリ辺露伴の最も好きなことは自分が「フォーウ!」人の話を遮るな! せっかく決めて「フォーウ!」
この珍獣と魔術師の下らない争いはしばらく続いたとかなんとか
☆★☆★
何かイケない電波を受信した気がする、これもアルトリアのせいだ! (責任転嫁)
まぁそんなこと言ってもこの状況は覆らないよねぇ……
「アーサー、お前を殺す」
「えっ? なんで?」
「それを答えてくれるような人物には見えないよ、アーサー君」
さぁ旅の始まりだ! って意気揚々と街道を馬で行く我らいつものメンバー(ベディ、アルトリア、アーサー)とモリモル姉妹。
北を目指して進んでいたがその道中にこのめんどくさい奴に捕まった。
「平民のお前がアルトリア姫の家臣では不都合なお方がいる、でしゃばり過ぎたな平民風情が」
「このベディヴィエールの前で堂々と宣言してくれましたね、アーサー君はやらせませんよ。それにアーサー君を選んだのは私です」
ベディさん……以前の貴方はもういないのですね! 信用していいのですね!
「槍のベディか、一突きで九人を殺せるらしいな」
「えぇ、貴方の体に九つの穴を空けても良いのですよ」
「ふはは、その程度の脅し……他愛なし」
あかん、一触即発の雰囲気……ジリジリと距離を計り互いの間合いを読み合うこと数分、先に動けば負ける試合……いや、街道のど真ん中で殺し合いが始まる。そんな俺の予感が三秒で覆った。
「モルガンよ、面倒じゃやってしまえ」
「Yes!! マイシスター!」キェェェェ!
モリガンおばさまがゴミクズを見るような目でモルガンさんに命令を下し、即時実行、モルガンさんがか細い木の枝を振るうとウネウネヌルヌルした冒涜的な触手がアイツをヌルヌルテカテカに犯した(ガチ)
「あへっ! やめっ♥️ぁぁぁぁぁぁ……」
「モルガン! この馬鹿野郎!!!!!!」
「アーサー! みえなーい!?」
「よいこもワルいこもみちゃだめなやつぅ?!」
ベディさんがブチギレて俺はアルトリアを目隠しててんやわんや、いかんいかん危うくアルトリアか直視してしまう所だった。教育に悪いわあれ。
当のヌルテカオジサンは地面に引き込まれてズブズブと飲まれつつあった、が、助ける気にはならない。俺はまだ死にたくないからな。
「らいせはいいやつになれよ!」
「うぼばぼぼぼ…………」
命令したモリガンおばさまと実行したモルガンさんは共々飄々して我関せずと言った態度だったが、大いにやらかしましたよ今さっき。
こんな師匠で良いのだろうか……
★☆☆★
「モルガンよ、面倒じゃやってしまえ」
「Yes!! マイシスター!」キェェェェ!
ふーむ全く、困ったものだな……あのティンタジェル城の中にはアーサーが目障りな奴が、いや奴等が居るようだな。アルトリアの修行がてら記憶を読ませてもらうとするか、隙あらば成敗してくれよう。アーサーには無事に育ってもらい私を未来につれていってもらわねばな!
あぁ千里眼で見るよりも実物を生で見たい! あの金の魚が乗った城! 摩天楼立ち並ぶ街並み! ネズミの化身が踊る娯楽の世界!
アーサー、やっぱり二千年くらい生きてくれないか? 寿命全部くれてやるぞ!
アーサー王伝説って西暦五百年くらいなんですね、良く現代まで残ったな!(上から目線)
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ケタケタ生活
本場のルーン魔術師の方々許して・・・あ、だめ?
アーサー! 君に決めた! お前を殺す! と仰ったオジサンは消えた。彼は良い肥料になったことでしょう、それか触手のおやつ。
これではどちらが悪かわかんねぇな! とベディさんが説教説教ゥ! してモルガンさんがはあ? とキレた、説教とケンカのセットで体感二時間! 長い! 旅はまだまだ先があるんだぞ!
「アーサー! おうさまのいうことをきくよいかしんよ!」
「はっ! なんでしょうか!」
「ここどこ?」
「しらね、ベディさんがきたにいけばいいことあるってマーリンさんからきいたらしいから、めいかくなもくてきちはないとおもうぞ」
「こーんなもりのどまんなかにいいことあるの? ……あれ? さっきまでかいどうだったよね?」
あっホントだ、見晴らしの効く草原の街道からいつの間にか木々の生い茂る森の中にいる。
……保護者がいないぞどこ行ったっ! まさかの迷子……アルトリアと俺だけ迷子? はっ! 冗談! どうせ
「おーい! だれかいませんか! おたすけー!」
「アーサー、もりでさけんでもだれもこないよ?」
ちくせう、なんとかここに人がいると知らせないと……そうだ!
「のろしをあげよう、だれかきてくれるかも」
「あったまいいー! はい、ひうちいしかしてあげる」
「あっどうも」
適当に枝を折り山のように重ねる、俺の身長はおおよそ80センチ、それと同じ高さまで積み重ねてみた。これなら足りるだろ。
カツーンカツーンカツーンカツーンチッ! カツーンカツーンチッ! カツーンチッ!
「ぜんぜんつかねぇ!?」
「なまのきじゃつかないよ? のじゅくしたことないの?」
俺の家(今世)ではこれで火起こし出来たのに……あ、薪だからか。と言うか俺魔術師じゃん火のルーンでモエモエファイア! いったるぞ!
「『
「おぉよくもえるね! ルーンおぼえようかな?」
やめろ(本音)いいとおもうぞ(建前)、アルトリアがルーンまで使い始めたら俺死ぬよ? アイデンティティーが消え去って俺の存在意義が! 俺はお荷物に成りたくないとは思ってるんだ……でも俺を守ってくれるなら大歓迎です。俺を甘やかせ(人間の屑)
おっといい感じに煙が立ってきたな……モクモクパチパチとのろしが上がる、きっとだれかが気付いてくれるでしょう。
「ほほほ、迷い子じゃ迷い子じゃ」
森の中に反響しているのか四方八方から声が聞こえる、声の感じからして一人……そもそも人か? なんかヤベーもんを引き寄せたかも。
「ようこそ我が異界へ、小さき者よ」
「どわっ!? ……ちいさい?」
「ようせいさんだ、もりのようせいだよ!」
「あっちょっ待」ぎゅっ
「かわいいー!」
なんだろこの……緊張感の無さは。いやまぁ凄い奴かと内心ヒヤヒヤしてたけどサイズ感ティンカーベルやんけ。
幼女アルトリアの手のひらにすっぽり収まっている、子供が人形で遊ぶように妖精さんが遊ばれていた。
アルトリアが飽きるまで妖精さんが好奇心の犠牲になった、南無三……
「ぜぇ……ぜぇ……小さき者よ、弁えよ……はぁ……もうちょっとで逝きかけたぞ……」
「ごめんなさい、かわいくてつい……」
「まぁよい水に流そう。それよりもじゃ……小さき者よ、中々良い力を持っておるなぁ……欲しいのぉ……」
不気味に笑うティンカーベル(仮)が俺たちの隙を突いて襲ってきた、が、アルトリアに鷲掴みされた。
サイズが違うからなぁ……力じゃどうにもならんでしょ。
「ごめんなさい、もうしません」
「なんでおそったの? さっきのことやっぱりおこってた?」
「アルトリア、さっきこいつがちからがなんとかっていってたがそれとかんけいがあるんじゃないか?」
「その通りです! 私はこの異界に住む名無しの弱小妖精なのです! 神秘が日に日に薄まるこのご時世では私は長く生きられません! まだ消えたくないのです! その想いで二人を拐ったのです!」
ほーん偽ティンカーベルも大変だな……そういやモリガンおばさまが名前は大事だって言ってたな、幻想に生きる者は総じて名前に縛られるだったかな? あると面倒だけど無いと困る……困ると言うか存在が消えるとか何とか。
「もうなんでもします! 死にたくないです!」
ん? ……今なんでもするって? ふぁっふぁっふぁっ……言ったな? 言質取ったぞ。
「よし! おれがなまえとちからをあたえよう! そのかわりおれのめいれいにしたがってもらうぞ!」
「あ! ならいいなまえがあるの! チャム! チャムってどう?」
チャムかぁ、アルトリアにチャーム掛けたようなもんだし案外良いかもな。
「それさいよう、よし! きょうからチャムとなのるがよい! んでちからなんだけど……どうしたらわたせる? おれしらんのだけど」
「私が生きるには神秘が必要です……魔力で結構ですので定期的に補給させてください」
「おれのでいいか?」
「名を下さった恩人の魔力が良いです!」
これにて一件落着、森の異界を消してもらい俺たちはもといた街道に戻ってこれた。……が、まだベディさんとモルガンさんがケンカしていた。決着が着かないが無理矢理にでも止めないと先に進めねぇぞ
「む、帰ってきたか。異界は楽しかったか?」
「モリガンおばさまやっぱりわかってたのかよ、たすけてよ。まじにしぬかとおもた……」
「まぁ、収穫があったのだ。良しとしようではないか、そこの使い魔、要らぬことをしたら即座に消してやるからな」
「はぃ!?」
おやおや俺と同じ臭いがするぞ? モリガンおばさまに振り回される仲間が出来た。
良いことあったな!
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ポトポト生活
新たな仲間を加え、旅に賑やかさがプラスされた。と言えば聞こえが良いがこのチャムってやつは小心者で臆病で俺に似ているような気がする。新人の歓迎会の一つでも開きたいが……
「ベディイィィィィ!」
「モルガァァァァァアン!」
あの二人まだやってる……モリガンおばさまが言うにはベディさんは横暴なモルガンに堪忍袋の緒がきれた。モルガンはモリガンおばさま以外にとやかく言われたくない。つまりはそう言うことらしい、水と油じゃん。火の付いた油に水を入れると余計に燃えると何かで聞いたような、今はその状態にあるんだろう。
「あれは折り合いが付くまでやらせる方がよい」
「へたにとめていこんがのこるよりあばれてもらったほうがいいです、どっちもがんばれー!」
「ベディがんばれー! ねぇさまファイトー!」
ベディさんの槍がモルガンの急所を的確に狙い穿つ! おーっとモルガン首の皮一枚分避けたーっ! ここでモルガンの目が光る! ビームだ! 目からビーム! ベディの左腕を掠めていく!
これにキレたベディが得物を投げた! モルガンの杖をピンポイントで打ち砕いたぞ! なんてコントロール! 魔術師にとって杖は大事なアイテムだ、弱体化は免れない!
しかし両者無手になっ……おーっとと! 殴り合いだ! ベディがモルガンにボディブロー! 負けじとモルガン仕返しのボディブロー! 更に仕返しの仕返しの仕返しの……どこまで続くんだこの連鎖!?
流石に疲弊してきたのかここで両手で組み合った! 力と力のぶつかり合い! 純粋にマッスルな奴が勝負を制する姿勢だーっ!
……なんだこの無駄に高度な無駄な試合。ついつい脳内実況をしてしまった。
「引き分けじゃな」
「騎士が魔術師との殴り合いで引き分けるとは、無念……ぐふっ」
「……っ存在として最高位に位置する私にここまでの傷を……かはっ」
わーブリテンヤベーやつばっかりー!
★☆☆★
北に行けばいいことあるよ! ってマーリンさんが言ってたとベディさんから聞いていた俺達はその良いことが何かは置いておくとして旅に出ている、何故旅に出たのか? それはアルトリアの武者修行、以前のモルガン事件でアルトリアは純粋に力不足を痛感したようだ。
アルトリアの剣術の師匠、ヨーダって言うじいちゃんらしいけどあれスターウォーズ……ううん違うそうじゃない、その人が迷ったら旅に行けとアルトリアに助言したせいで俺は旅にででいる訳さ。暗黒面に落ちるぞ。
「で、ここどこ? アーサーわかる?」
「またこのパターンか……」
「海岸線が美しいではないか……我が潮風のアヴァロン程では無いがな」
「水平線にアイルランドが見えるな、我が故郷が少し懐かしくなる」
「うぉーすげーですね、チャムは海は初めてです!」
身体中に広がるパノラマ~っな景色がドン! と目の前にある、青々とした空! サラサラな砂浜! ギラギラな太陽! ビーチisサイコー!
「いたぞ!」
「見つけたぞ!」
「地獄の果てに送ってやる!」
「死ね!」
な ん で さ
以前見たオッサン……触手の犠牲者のあの人のお仲間とおぼしき人々がぞろぞろと追い掛けてくる、いかにもアサシンな黒い外套を纏う彼らにいやこんな日差しあるのにアホだろと俺は思った。
またモルガン無双かぁ……と俺は事の顛末を静観することにしたが、予想外の方向からある人物が飛び出してきた。
「まてぇい! このガウェインの目の黒い内は淑女方に手は出させんぞ!」
「お前はっ!」
「『太陽』のガウェイン!? 若干十五歳にしてブリテン中の悪党を退治して回る騎士かっ!」
説明乙、スゲーキラキラした雰囲気と実際キラキラした頭髪が印象的なイケメンの登場でアルトリアのバイブスがぶち上がった。そうだこの子強いの大好きだったわ。
「この太陽輝く正午において私の能力は三倍になる! そして正義の心も三倍だ! 受け取られよ! 『
ガウェインは太陽を背にするほど高く飛び上がり、まるで太陽の光をそのまま槍にしたかのような輝く槍を地上にいるアサシン目掛け投げ放った。
風を切る、いや空気の壁を突き破ったそれは容赦や慈悲、迷いを感じさせない程に清々しく大爆発した。
「「「サヨナラー!」」」
クローンヤクザめいた断末魔を上げアサシンたちは爆発四散! ゴウランガ! ……とはならなかったがどこぞにぶっ飛んだので生きていると思います。
「大丈夫ですか? お怪我はございませんか?」
「すごい! すごーい! ベディよりすごーい!」
「ぐふっ……アーサー君、後は頼んだ……っ!」
「ベディさぁぁぁぁん!?」
華々しくも強烈なガウェインのキャラクターにアルトリアはすっかりハマってしまったようで、長年付き添ってきたベディさんを引き合いに出してしまいベディさんの心に飛び火した。おぉ可哀想なベディさん、でもアルトリアが興味津々大噴火な様子なので勧誘せざるおえない……これが、愉悦っ!
今さらですが時系列なんて無視して上等でやっております
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ムフムフ生活
颯爽と現れ、人を助け、華麗に去って行く。これぞヒーローと言われる人物のイメージだろうか、この時代にもガウェインのようなヒーローがいたとは……驚きだな。
まだ去っては無いけど、イイ人だってことは分かる。女性限定だがな!
「美しき乙女の方々、このガウェインめの活躍を見ていただけましたでしょうか?」
「マセたガキと言えばそれまでだが……その太陽の祝福は……モルガンか?」
「ビクッ!?」
「ビクッ!? って母上っ! なんでここに!? じゃなくてお父様が心配していましたよ! 良かった~五年もブリテン中を探した甲斐がありました」
おやおやおや? モルガンさんよぉ……ネグレクト疑惑が浮上してきましたねぇ。と言うより父子持ちやないかい! 姉姉言ってないでしっかりせんか!
「母上! オークニーに帰りましょう! 父上も安心しますから!」
「いやだ、私は姉様に着いていくと決めた、もし従って欲しいなら倒して行け」
「『
ガウェインの右ストレートがモルガンを捉えた、腰の入ったいいパンチだが迷いが無さすぎるぞガウェイン!
太く力強い腕から繰り出された一撃が衝撃波を放ち背後の海を割った。
「強くなったな……まだ狙いが甘いがな」
「母上を殴れるわけないでしょう……っ!」
その割には死ぬほど痛そうなパンチだったけどな、モルガンの顔の横に拳があるがちょっと掠めてない?
取り敢えず一段落付いたので各々の自己紹介やらガウェインへの勧誘やらをすることにしたが……ベディさん辛そうだな、アルトリアはワクワクしてるけど。
「ガウェイン君、私達と来ないか? 実は私達は「良いですとも!」……判断が早いね」
「母上を連れ戻す為に旅に出た私としてはここは着いていくしかないです! あと父上にそろそろ手に職つけろと脅しをかけられていますから丁度よいですね!」
ガウェインニッコニコのベディゲッソゲソでアルトリアがにぱー、……喜んでる奴の方が多いから良しとしよう!
後々ちゃんと聞いたらガウェインって王子様らしい……一国の王子が簡単に家臣になっちゃっていいのかよ。それを旅に出しちゃう王さまも大概だな! ……あれデジャヴ?
★★☆☆
「母上! お話ししたいことが沢山あります!」
「あとにしろ、親ではあるが話相手ではないぞ」
「冷たいなぁ母上、それでウェールズで……」
いやー久しぶりにあっても母上はお変わりないとは! ブリテンでも五本の指に入る魔術師である母上にとっては年齢とは無縁なのでしょう。
この太陽の力を如何なる思惑で私に授けたかは私には推理すら出来ませんが、この力は私の一部となり人々を救う為の原動力となっています!
受け取らなくても良いですが言わせてください、ありがとうございます、母上!
「その……すまなかったな、ガウェイン」
「母上?」
「私もたまにはオークニーに帰ろう、暇があればな」
「母上!」
「だからもうあっちへ行け、しつこいっ!」
昼も夜も母上の警護をしているだけではありませんか? しつこいと言われても止めてしまっては母上の危機を救うことが出来ないではありませんか!
☆★☆★
ガウェインを仲間にして翌日の事、ガウェインがウェールズでアルトリアのお眼鏡に叶いそうな人物を見かけたと言う。このようにして円卓の騎士団は集まったとかなんとか……円卓たって十二とか十三人だっけ? なんだからこの調子で行けばもっと増えそうだけどな
「ウェールズと言えば暴王ヴォーディガンだよね?」
「どっからあらわれた!?」
「やっほー皆のマーリンだよ~」
海岸線に花が咲き誇り良い香りが辺りに漂う、この魔術師マーリンと言う優男を中心に起きているようだが……思ってたマーリンと少し、いや全然違う。
もっとおじいさんで髭が長くとんがりコーンじみた帽子を被っている人物、具体的にはロード・オブ・ザ・リングのガンダルフ。
「期待を裏切ってしまったようだね、アーサー君」
「あんたもこころをよむタイプなのか?」
「そうかもしれないしそうじゃないかもしれない」
「モリガンおばさまこいつめんどくさいです」
「面倒な奴だか私より魔術に秀でているのでな、気になることがあるなら訊ねてみよ」
なるほど、モリガンおばさまでさえ素直に認める実力なのか。下手したらオレ消えるじゃんよ。まぁ聞くだけなら大丈夫かな
「まじゅしマーリンさま、まじゅつのごくいとはなんぞや」
「んー魔術で強化して物理で殴る、これに尽きるかな」
おい魔術師だろもっと頭いいこと言えよ(ブーメラン)
「真理や極みと言うのはえてしてシンプルさ、そうそうここに来たのはウェールズで起きている面白い事について語って上げようと思って来たんだよ」
マーリンが言うにはヴォーディガンの亡霊が土地を荒らして回っているようで、たまたまガウェインが去った後に発生したようだ。
「アーサー! いくよ! わるものはやっつけてやるぞー!」
「おーい! さきばしりすぎだぞー!」
気合い満点のアルトリアが魔力放出なる技術を使い、人間ジェット機としか言い様の無いスピード&轟音を響かせ飛んでいった……ウェールズはそっちであってるの!?
ヴォーディガンおめぇしつけぇなぁ
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ペチペチ生活
ウェールズとは、赤き竜と白き竜の二頭が争い一度滅んだがその後ヴォーディガンによって復興されたが今度はそのヴォーディガンが圧政を敷きサクソン人なる蛮族をブリテン島の外から引き込んでそこで戦争が起きて不毛の土地だとか。なんだこのいわく付きまくりの事故物件っ!
全部マーリンから聞いた話だけどほんとぉ? って聞き返したらホンマや……と返された。嘘だろドラゴンを生で見たかった!
「アルトリア、ここはなんだ?」
「ヴォーディガンというわるいおうさまのでっかいはかばだ! っておとうさまはいっていたような」
ウェールズとコーンウォールの境を音速でぶっ飛んで行ったアルトリアを追い掛けてマーリンが魔術師らしく転移の魔術で目的地に送ってくれた。
アルトリアが音速で飛んでいったのもモリガンおばさまが魔術の手解きをしてしまったせいなのだ、止めてよ人間が何か分からなくなる(常識の崩壊)
そのたどり着いた目的地とはかつてヴォーディガンが根城にしていた塔のような要塞、マーリンが幼い頃捕らえられ連れてこられた場所だとか……マーリン何があった。
「ベディ君、あれあれ」
──ヒュンッ!
ベディさんがマーリンの指差した方を見ると矢をつがえた骸骨がアルトリアに狙いをつけていた、咄嗟に手持ちの槍を投げ頭蓋骨を砕くと物言わぬ骨になった。いや戻った。
「……動く骸骨、マーリン殿……厄介な場所ですねここは」
「何せ亡霊と化したヴォーディガンが呪いや瘴気をかき集めているからね、最悪あの蛮族たちが復活しかねないとすら思っているよ」
「なんだと!? おぉっ……恐ろしい」
ガウェインが蛮族と聞いただけで恐怖から身震いしていた、スーパーブリテン人がビビる蛮族とはいったいなんなのだ?
俺の中に謎が増えたがそんなことはどうでもいい、重要なのはここからだ。要塞の奥へ奥へと進み今は廃棄された塔の中へ入ると、ホコリっぽさや気分の悪くなる空気の淀みで繊細な俺は参っていた……そんな時だった、脳に響くうめき声が聞こえてきた。
『ヴォォォォ……ユーサーの血を引くものよォォォ……』
「おっと、ここの主のお出ましだね……僕はこのへんで失礼するよ、頑張りたまえよアーサー君!」シュボッ
「あっ逃げた」
「無視しろ、アイツはああいう奴だ」
『ユーサー……ヴォォォォァッ!! 今こそ復讐ヲォォォ!』
そう広くない塔の中で竜巻が起きてすぐに収まった、中心には半透明な人間が一人立っている。金に赤に繊細な刺繍と豪華なマントのオッサン……あれがヴォーディガンだと言うのか。厳ついお顔ですこと!
「ヴォーディガン、ユーサー王が征伐せし暴虐の王よ。何故現世に執着する」
『シれたこと……ユーサーに復讐するゥ!』
どこからでもかかってこいやぁ! モリガンとモルガンとベディとアルトリアが相手するぞこのやろー!
全方位に対応出来るように背中合わせで円陣を組む、バッチコーイ!
──ビュルッ!
「なっ! 姫っ!?」
「……え?」パタッ
ベディさんがヴォーディガンに質問したらアルトリアが死んだ、アルトリアの背後から真空波が突然発生して背中をバッサリと切り裂いていた。
死んだと言うより仮死状態、まだ助かる見込みがある。だが一切の動作が見えなかった、あのモリガンおばさまも驚きの表情だ。
血を見たからか、それともベディさんが取り乱したからなのか……俺は冷静になって切れた。
「ヴォーディガン! アルトリアのかたき! 『
後先考えないで思い付くルーンを込めて殴った
──ペチッ
ふっ……五歳児のパンチなんてこんなものさ、全然効いてねぇ
『……ヴォー』
「はっはっはわたしはあなたさまのちゅうじつなしもべでござんす」
「うらぎったなアーサーァァァ!!!」
「しにたくねぇ! しにたくねぇ!」
死にたくねぇぞこのやろー!!! アルトリアめっちゃ元気だー!? 死にかけだったろ! ……なんだチャムか、納得。
「ガウェイン、ヤツを殺れ」
「母上?! アーサー君の事ですか!?」
「殺れ、全力だぞ」
「くっ……光よ、太陽の力よ! 槍となれ!」
『……仲間なるか?』
ヴォーディガンにも同情されちゃった、アイツ(モルガン)迷いが無さすぎでは? その判断力はガウェインの親って感じするけどやめてよ死にたくねぇから。
「『
「ツタよ根よ我が意に従いアーサーを縛り上げろ」
「にげっ、あっやりやがった!」
「アーサー、こういうときなんていうの?」
アルトリアさんっ?! ……まさかまさかの振りですかぁぁぁ?!
「すいませんでしたぁぁぁぁ!」
ツタや根が俺をギチギチに締め上げてどうにも逃げられない状況だが、まさかのアルトリアさんが謝れば許してくれるニュアンスで質問してくれた。俺の横スレスレをギラッギラに輝く槍が通りすぎて後ろのヴォーディガンに刺さった。痛そうである。
『ヴォォォォァ!?』
「ガウェイン! 狙いが甘い! もう一回だ」
「へ? えぇ……この流れでそれは」
「やれ」
「yesマム!」
このあとメチャクチャしばかれた、皆は誰かを裏切る事は……やめようね!
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オレオレ生活
アーサーはしばかれた
アルトリアがキレた
モルガンもキレた
ガウェインはかわいそう
ベディ?いましたか?
もう嫌だ! 命の危険が危ない! (語彙崩壊)
「ヴォーディガン、あんたいいやつだったよ……」
『まだだ、まだ終わらんゾォォォ!』
「なんと、私の全力を喰らったと言うのに」
ガウェインの本心からの感想なのだろうか、なんとも余裕の感じられる言い方だ。まだ私は二回変身を残していますとか言い出さないよな? スーパーブリテン人にツーもスリーもあったとかやめてくれ。
『太陽の光! あぁ鬱陶しい! 憎たらしい!』
「今のヴォーディガンは亡霊、ならば地獄か天国かどちらかに送ってやらねばな。とりあえずモルガン、お前はステイだ「ガーン」」
「アーメンアーメン! かみさまマリアさまイエスさま! おたすけください!」
「主はそんな敬虔な信者じゃないでしょ!」
うるさいぞチャム! 祈りはゼロ円! タダなんだよ! 助けて立川の聖人!
『まずはガウェイン、貴様だァァァァァァ!』
「私は一度見た手は食わない、そこっ!」
──ビュルッ! カンッ!
ガウェインは真空の刃を逆に切り裂いた、どこでどのタイミングで発生するか分からないそれを切り裂く力量はまさにゴリラ……誉めてますよ?
『ヴォハハ! 白き竜が喜んでいるぞ! 久々に面白い戦いになるかもしれんとな!』
「白き竜? そんなものどこに居る?」
「ヴォーディガンと白き竜……『あれ』が居るのか」
「モリガンおばさまこころあたりがあるのですか?」
「アルトリア、ウェールズの赤き竜と白き竜の戦いは知っておろう。あれ二匹の戦いは余波が我が古巣アイルランドに至るほど凄まじく、激しいモノだった。その戦いは実質的に幻想種最強を決める戦いだった、誰も手が出せなかったからな。その内の一匹がここに居るとするなら……逃げるべきだろうな」
モリガンおばさまが逃げるだと? マーリン君さぁ……危険度測った? 俺たちにどうこうできる相手連れてこいよアホマジシャン。
『我を知るか、アイルランドの者よ』
「む、急に饒舌に……何かと入れ替わった?」
『その通り、我は白き竜の思念……肉体は赤いのに封印され、そのヤツはどこぞ身を隠してしまった、我としたことが不甲斐のない。それと先程の発言、あれはヴォーディガンの独り言だ。気にするな』
あのヴォーディガンよりドラゴンの方がよくしゃべる、おしゃべりドラゴンとあだ名をつけよう。
「白き竜よ、何故ヴォーディガンと共にある?」
『ベディヴィエールと言ったなお前、答えるなら我にヴォーディガンがくっついている、メインは我、サブがヴォーディガンだ。だが世俗や生に興味がなく我は眠りに就いたところヴォーディガンが我の力を悪用し騒ぎを起こし、それがマーリンの耳に入りお前達がここに来たと。そう言うことだ』
ヴォーディガンってヤベーヤツじゃん、メイン人格そっちのけで好き勝手する上に偉ぶるのか。救えないジジイだな。おしゃべりドラゴンの方がよっぽど話が通じるぞ
「ではあなたが目覚めた今、ヴォーディガンの被害は今後無いものと思っていいですね」
『それは無理だ、今目覚めた理由はここにヤツの気配がするからだ。そこの娘……アルトリア・ペンドラゴンだな? 微かに感じるぞ『
「ふむふむそれで? いんしぬきとったらどうなるの?」
『普通に考えるなら魔力バランスの崩壊により自壊するだろう』
「つまりしぬのか、しんだころしたとぶっそうなことばかり……いやになる」
ブリテンに平和などない、サツバツで世紀末な世界。アルトリアには早急に王になっていただきたいもんですね、日本しか知らない俺からしたら一刻も早く民主主義になってほしい、今の貴族社会や王政は肌に合わない。
それ以前に早く平和にしてもらうためにもアルトリアは死んで欲しくない
「いやだ! いちにちににかいもしんでたまるもんですか! やるならアーサーにしてください!」
「アルトリアぁ!」
『ふはは、どちらも喰ってやろうか……人よ、竜にひれ伏すのだ』
──ガッ!
「なんと言う重圧……!? 体を起こせないっ」
「ガウェイン、今何時だと思っているっ!」
「正午です……そう言う母上も地面にめり込んでますよ、縦に」
「ガウェイン、モルガン、モリガン、そしてこのベディも……誰も手が出せないとは……っ!?」
動けるのは俺とアルトリアのみ、ピンチをチャンスに変える逆転の一手は今のところない。
とれる選択肢は三つだろう、逃げる、戦う、喰われる。あ、死ぬかも。
「アーサー! ヤツをわたしたちでたおすぞ」
「は? できるわけないだろ」
「だいじょうぶ、あいつがいうにはわたしにはあかきりゅうのいんしがある、つまりアイツとはりあえるちからがわたしにはある……とおもう」
「……やるか、やんなきゃここでおわりだもんな」
ヴォーディガンからパワーアップして白き竜の思念とバトルすることになった俺たち、勝てるのか? 負け負け勝てへんやろこんなん
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ころころ生活
─最強の幻想種、ドラゴン。その中でも取り分け力を持つ白き竜、赤き竜─
今こそ人はその最強に挑まん……無理帰りたい、カッコつけても無理なものはむりー!
『白く染まれよ大地、猛り爆ぜよ氷塊!』
「『
「エンチャントォォォファイアッ! ひとつふたつみっつ! ちぇすとー!」
白き竜は開戦の合図代わりに地面を凍らせ氷の柱を無数に作ると一斉に爆列させ、氷はクラスター爆弾となり固く凍った塊が弾丸の如く飛び散った。
当たればミンチ確実なので俺は自分にルーンでバフを掛けて全力回避、アルトリアは習い始めた簡単な魔術で自身の剣に炎を纏わせ潤沢な魔力で威力を底上げした。
焔を纏い舞う幼い姫騎士は氷塊を真正面から砕いて砕いて砕いて己の勇猛さを見せつけた。
「どうだドラゴン! こっちはなにもこわくないぞ」
『流石流石、眠る因子を目覚めさせぬままでここまでやるとはな』
「……アルトリアがスーパーブリテンウーマンすぎる」
因子とは何だ! 白き竜に対抗できる赤き竜の力だろ! 無しでも対抗出来るアルトリアやべーと言うかルール無用すぎるわ!
しかし眠る因子を起こしてやれば……勝率はグッと上がる。何をしたら起きるのか、ゆっくり考えている暇はなさそうだ
『灼熱が全てを焦がし溶かし灰へ還さん、火は竜の象徴なり!』
「『
今度はヤツから直接放たれる火炎放射、というかビームに似た何かが避ける暇もなく俺に迫る。そこで精一杯の魔術的障壁を正面に展開して間一髪、紙一重のタイミングで逃れた。障壁はあのビームに一秒と持たなかった……
無敵貫通でも付いてるのそれ?
「ちぇすと! うぉぉぉっ!」ブン!
『霊である我に剣ではなぁ』スカッ
メイン火力のアルトリアが当たらない、幽霊に物理か効くかよって話何だけど……あかん詰みですよ。
『我より低位の存在が我に刃が届くと思わないことだ、この戦いに飽きたなら喰らってしまうぞ? ふんばれよ人の子よ』
腹立つけど慢心ありがとうございます、さて幽霊か……
「しおかな、じゅうじかもあるか、せいすいなら……」
『残念だがどれも我には効果はない』
「デスヨネー」
ももももうだダメだー! おしまいだー! こんなときモリガンおばさまならどうするんだ、詰みまくりオワタ。
──聞こえるかアーサー……聞こえているならそのまま聴け、以前にお前に力を与えたな……それは我自身の『力』そして『格』、神としての力のほぼ全てを渡したと言っていいだろう。それを全て使え、全て出し尽くせ……突破口はそこにある──
「モリガンおばさま……そりゃ無理だ」
今はアルトリアが猛攻を仕掛けているからあっちも手は出してこない、当たらないと分かって余裕の仁王立ちだ。全力出したからといって絶対勝てるかと言ったら答えはノー、逆に目をつけられて死ぬ、くそ、自分の情けなく思えてきた……口だけ達者で結局怖くてなにもできない一般人だよ俺は、スーパーブリテン人にはなれないよ。
「はあっ! アーサー! なにかおもいついたならてつだうぞ! あきらめるな! そこにかつろはある! ……と、おとうさまならいうだろうな! でやっ!」
『そろそろ……喰らうとするか、赤いのと戦う前の余興にはなったか』
「がっ!? ……くる、し……あ、アーサーっ……」
そんな目で見るな、すがるなよ俺は自分のことで精一杯なんだ! 俺より強いアルトリアがなにもできないなら俺には出来ないんだよ!
『そこのアーサーとやら、心がすっかり折れてしまっているな……』
「アーサー……にげ、ろ……おとうさま……を、よん……でっ!」
──どうしたアーサー、ぐずぐずしていたら何も成せないぞ……あぁ深く考えすぎているな、アーサーの悪いクセだぞ。ピンチの時こそなんとかなると思え、やってダメならそれでいいがやらずにダメならそれは悔しいだろう? ──
「よし、覚悟は決まったぞ! アルトリア一人死なせねぇ! 俺も死んでやらぁ! 『
俺は自分にルーンを掛けた、効果もどうなるか分からない思い付きのルーン。効果はあったようだ。
いつも以上に力が入る、髪が延びて肩に掛かるし身長も伸びた……あれ、胸もある……うそだろ息子がいねぇ!?
もしかして女になっちゃった!? でもっ!
『……よっしゃァァァァァァ! なんとかなったァァァァァァ!』
『その神性はっ! モリガン貴様! 弱っていたのではなく始めからヤツに力を移し変えていたのか!』
「ふふふ……でなければこんな無様にひれ伏すものか、いいかアーサー今のお前は私だ。戦女神モリガンの力を得た、念じろ勝利する自分を、さすれば二本の朱槍がくる」
念じる……来いっ! 槍よ!
言われたまま念じてみれば二本の槍が俺の手のなかに現れた、銘は無い。無銘の朱槍、ケルト関係でゲイボルグと言ってもいいのでは?
「いくぞ(著作者権限により削除されました)グっ!? なんだ今の!?」
「あー、クーとの約束でそうなるようにゲッシュ……つまり契約的なものをしたのを忘れていた」
二次創作NG兄貴だったか……でも格好いい名前が無いとなぁ、よしこれでいこう。
「いくぜロンギヌス! カシウス!」
聖書の神は二次創作OKみたいだな、こうして俺の第二ラウンドが始まったのだ! ()
ギャグ調と言うかただの狂人キャラになってしまった
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ひらひら生活
俺は、いや私はモリガンの力を解放したぶんめちゃくちゃ強くなっている。確信を持って言えないがたぶん勝てるかも。
「アルトリアを離せ、私の槍が貴様を貫く前にな」
『面白い、この娘は後だ』ブンッ!
「あぐっ! ……あれ、いたくない……たすけてくれたのかアーサー……アーサー?」
無造作に投げられたアルトリアをご機嫌なステップ(縮地)ですぐさまお姫様抱っこする、今の俺なら容易に子供一人を抱えてアクロバットすら出来る!
アルトリアを少し離れた所に避難させ戦う準備は完了した。さぁ反撃と行こうか!
『ふふっふはは、アハハハハッ!』
「何がおかしい!」
『アーサー! お前は面白いな! 気に入ったぞ! 死ぬまで玩具として飼ってやろう!』
「その余裕、一瞬で消し飛ばしてやるよ」
槍に名前をつけたことによって私のやる気がアップし、戦闘力が少し上昇している気がする。中2病万歳! 全能感すら感じるぞ! ヒヤッハー!
『薙ぎ払え風の爪!』
「ロンギヌススペシャル! アンドカシウスリバース!」
ヤツの攻撃を掻い潜り懐へ一直線にロンギヌスと名付けた方を投げて更にヤツの後ろに縮地で回り込んでカシウスと名付けた方でぶっ叩く! 一人挟み撃ちって寸法よ!
『前か! 違う後ろっ!? ……グハッ!』
「あ、当たった」
『ぬぅなかなかやるではないか、ズアッ! ……無銘の槍と侮ったが……僅かながら神性を帯びるか』
そんな槍を引き抜きながら言われたらブルッちまうぜ、でもアルトリアの攻撃は効果無くて私の攻撃は効果ありって理屈はそれが答えか。幽霊より神様って事か。
「ブリテンで一番強いのは私だ、白き竜よ! 恐れおののいてどっか行け! (もう戦いたくないから)はやく行け!」
『我に逃げろと言うかっ!!! たかだか妖精一匹の力を得て調子にのりよって!』
「違うね、二匹だ! チャァァァム! カモーン!」
「なんですかご主人! 死ぬほど怖いので逃げて良いですか!」
「お前も妖精だろ? 力を寄越せ、イイネ?」
「アッハイ、持ってけえーい!」
チャムとモリガンの力が合わさり最強となる(個人的見解)
チャムから得た力は風! ちなみにモリガンおばさまはいっぱいあるのでノーカン。
今の私はスーパーブリテン人を越えたスーパーブリテン人。スーパーブリテン人ゴッド。幽霊でもドラゴンでも何でもこい! だけどアルトリアだけは勘弁な!
『まさか!? 何故耐えられる! 何故それだけの力を外から得て自壊しない! 小さな水差しに海を押し込めるようなものだぞ!』
「知るか、理屈じゃないんだ……こう、やってやれん事は無いって謎の自信があるわけよ。頭で考えたら負けだ。では逃げないと言うならトドメを刺す」
二本の槍を握りしめヤツに向かって全速力で駆け出す、魔術で抵抗しようとしてくるが……意味は無い。チャムの風の力で私は誰よりも速い。
ヤツのド真ん前で一層力を込めて全身全霊のっ!
「オォォォッラッ! 喰らえキィィィク!」
『ブルゥァァァァァッ!?!?』
丁度みぞおちの辺りをめり込むくらいに蹴りこんで45度の角度であの世にお届けしてやった。
「見たか! これが……マジキック! ……これじゃワンパンマンか。まぁいいや」
一件落着! 終わり! 閉廷! ハイ解散! おつかれっしたー
★☆★★☆
えーとマーリンだよ。僕ね、こんなこと言うとあれだけど実はヴォーディガン復活させたのは僕なのね……ついでに白き竜も魂だけは復活させたよ、うん。
「いやーちょっとこの結果は予想外かなー……ははは」
アルトリアちゃんをさ、今回の事件で英雄にしてさ、選定の剣をね僕が作ってね、王様はアルトリアが良いでしょ? ってやりたかったの、なんでアーサー君あんなにヤベーヤツなの? なんで君そんな振り切れてるの?
アルトリアちゃん影も形もなかったじゃん! ふざけんなよバカ! アホ! とんちんかん!
「この人類悪! アンリマユ! 人の心が分からん奴め!」
あーもう計画倒れだ、何しよ……次こそはアルトリアちゃんが活躍する事件を起こさないとねー
「よし、次は弟子に手伝ってもらうか! 確か子供が居たような……ランスロット君だったかな、剣の才能があるから……よし、アーサー君覚悟しろよ粉微塵に切られてしまえ、アルトリアちゃんが活躍したら復活させてやるからね」
黒幕って楽しいー!
☆★☆☆
「えー今回の事件はこの私、アーサーが解決いたしました! イェイ!」
「取り敢えず力返せ、よっと」
「あふん……ちょっとモリガンおばさま! なして! なしてとりあげたん?!」
「調子に乗りすぎだアホ弟子、しばらく反省をしろ」
「しかしあのアーサーは実に麗しく可憐であった。求婚して良いだろうか」
「ガウェイン、アーサーはわたしのかしんだぞ。まずはわたしにはなしをとおしてもらう」
「おいそこせすじがこおるからやめろ」
「良いじゃないかアーサー、私のガウェインと結ばれてくれ……っふふ、おっとすまない……ふはは!」
ちくしょー全員でよってたかっていじめてんのか! バカヤロー!
引導(キック)
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パラパラ生活
ヴォーディガンもとい白き竜との対決からはや1ヶ月、ウェールズを救った救世主一行として丁重にもてなされ、長らくウェールズには指導者が居なかったこともあり俺が新ウェールズ王となる……かもしれないと言うところまで話が進んだ。結局俺が子供なので流れたがいつでもおもてなしをしてくれると約束してくれた。
ありがとうウェールズ! さようならウェールズ!
ウェールズから更に北へ旅をまた始める我らアルトリア姫と愉快な仲間達はまたまた厄介なことに巻き込まれてしまったようだ。
森の中を突っ切る道とも言えないような街道を行く我らの前に仁王立ちしていかにも待ってました! と騎士が居た。
「救世主一行とお見受けしたが、間違いないだろうか?」
「ほう、これはこれは……何者かな。返答によっては太陽の光がその体を貫くことになる」
「私はランスロット。あなた方の噂を聞き付けてきた、どうか話を聞いてもらえないだろうか?」
ランスロット!? めちゃめちゃ有名人じゃねーかよ! なんでそんな人が俺に!?
「ランスロット……いわく“騎士百人を素手で倒した”いわく“剣の腕のみで異形の妖精を打ち倒した”等々……実に輝かしい経歴だ。流石湖の乙女の息子よ」
「よくご存じで……貴女は?」
「モルガン、聞き覚えはあるか?」
「母の師匠と仲が悪いあの……いや、失礼した」
ほほうランスロットさんも中々ブリテンですな、もはやヤバイにとってかわる言葉、ブリテン。
モルガンにランスロットさんはなぜ自分が会いに来たのかをささっと語っていた、要はまだ騎士ではないランスロットさんは最高の騎士になるべく自分を扱える主を探していたそうな。
「……と言うことで私はアルトリア姫の元に集う騎士の一人に成りたくここまで来ました」
「ふーむ、よし! あなたのちからがみてみたい。アーサー! ランスロットとしあいをしなさい!」
「はぇ?! ベディさんやガウェインでいいじゃん!」
「アーサー、おうさまはだーれだ?」
「はいアルトリアさまでございます、くっ……しかたないのか」
ランスロットさんと俺はアルトリアの提案で試合をすることになった、モルガンの話を全部信じるならランスロットさんクソほど強いから最初から全力でいくか。
丁度よい原っぱを見つけてそこで致命傷を受けたら負けと言うルールの元に試合開始。普通致命傷までやらんだろうよ、ブリテンはバカしかいないのか。
「アーサーと言ったな、君」
「なんです?」
「本格的に試合を始める前に聞きたい、ウェールズの救世主はアーサー、間違いなくそうか?」
「そうですが……?」
「なるほど、本気で行かせていただく、シッ!」
「あぶねっ!?」
──ガギィッ!
話が終わった途端、ランスロットさんが目の前にワープしたように見えるほど早く踏み込み拳を俺の顔面につきだした。紙一重で防ぐ事が出来たが腕がビリビリする。
「むん、止められたか。加減したつもりはないが止められるつもりも無かった」
「おもてぇ、するどい、ほぼみえねぇ、いいパンチすぎだよ。だから……おれも『全力』で! ハアッ!」
起死回生の変身、アーサー君はビビリなので温存しません。よし、反撃ぶちこんでやるぜ!
「それが本気、救世主アーサーの力か……確かに妖精の力をひしひしと感じるぞ……」
「この姿の俺はいわゆる最強だ、すまないが勝つからな?」
「なれば私も本気を見せよう、このランスロットにはアルトリア姫に仕える以外にもうひとつ目的がある。アーサー、君の力を測る事だ」
俺の力を? それでどうなる? 意味がないだろう?
「なぜだ? 何のために?」
「とある人物から依頼されている、それだけだ。では一つこの『
「あからさまにヤバイぜ、カシウース! カモーン!」
互いに槍を、剣を構え一瞬にらみ会う。その時だけは世界がクリアにくっきり見えた。人間極限状態だとこうなるのか……
──ガサッ
「ゼァァァッ!!!」
「なんとぉーっ!!!」
──バァァァン!
草が揺れたタイミングでお互いに飛び込んで一閃、俺のカシウスが綺麗に切断されてしまった。ランスロットは次のモーションに移っていた、俺は剣を振り下ろす前に槍を呼び寄せた。
「はぁぁぁっ!」
「チッ! ロンギヌスカモン!」
──バリン!
「とったぁぁ!」
「マジィ!? ちぇりお!」
ロンギヌスも折れた!? 当てになんねーな! 槍をへし折り続けて俺も斬ろうと降りかざした所にあえて懐に入り脇腹を狙った。しかし振り下ろす方が早く真剣白刃取りで精一杯。つまるところこちらは不利だと思い知らされた。
「っ!? 素手で受け止めたか」
「生憎とスペックは高いんですよね、俺」
「一つ言っておくがこのアロンダイトは母の渾身の一振り。刀身に触れたら全て切れると言う魔術が掛けられている、それでも切れぬとはな」
「……それもっと早くいってくれないかなー……危うく死ぬとこだったぞ」
アロンダイトってやっぱり伝説の剣なだけあってスゲー! でもそれを躊躇なく人に振るうランスロット別方向にヤベー!
なんだかこの戦い……長くなりそうだ
ランスロットの経歴は捏造です
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トコトコ生活
─ガンガンガンガンガンガン…………─
「何度も何度もしぶといな! 槍は無限にあるのかっ!」
「槍は何本でも作れるみたいだ! 俺も知らなかったぜ!」
俺とランスロットは辺りの森が全部禿げるまで争ってなお止まらず、地形が変わってしまうほど戦場は荒れ果ててしまった。まぁそれは仕方無いと言うしかない、がランスロットは一切疲れを見せないので、これはどうもヤバイですね……
「あんたもしつこいねぇ! へやっ!」
「ガアッ! 流石ウェールズの救世主! しかしこの戦いはこのランスロットが勝たせて頂く! アルトリア姫の元になんとしても、入るっ!」
──ザンッ!
「おっと! ……俺のロングヘアーがっ!? やってくれたな! モリガン流闘槍術奥義『
魔力を込めた槍は俺の手元から離れ、ランスロットの心臓に目掛けて飛んでいく。その軌道は上下左右に動き太刀筋は読めないだろう。俺も読めない。
以前モリガンおばさまからクー・フーリンと言う人物の物語を聞かされそこからヒントを得た俺の奥義の一つ。この技は対象の魔力をビーコンにして飛ぶ誘導ミサイルのような槍と考えてくれていい。魔力もたっぷり込めるからカチカチだしアロンダイトでも斬れないだろ!
どうだ避けられるか? 逃げても追うぞ? ふぁふぁふぁ勝ったな!
──ガンガギッ! ビビュッ!
「チッ! 弾いても避けても無駄か、ならば!」
一段と速度を上げて向かってくる槍にあえて相対するランスロット、なにするのかな?
「ぬうっ……っ! 取った!」
「うそ、ミサイルを素手で取るようなもんだぞ!」
俺がアロンダイトを白刃取りした仕返しか上半身を反らしながら槍を片手でキャッチ、そのまま自分のモノにしちゃった。いや何本でも作れるから良いけどえぇ……
「人間の可能性を見た気がする、妖精のハーフだからと言って結構無茶苦茶だぜ」
「私から言わせてもらえばこんな技を編み出したアーサーが恐ろしい、アロンダイトですら斬れぬ槍がどこまでも追い掛けてくる恐怖は中々だ」
「平然とキャッチしたあんたが言うか」
「今回は一本だけだったがその気になれば十本、二十本の槍でも出来ただろう?」
「すごいぞアーサー! ヴォーディガンとのたたかいでみたかったぞ!」
「アルトリアには悪いけどこの技はウェールズで暇してたときに作ったんだよね、実戦で使うのもこれが初めてだし」
……我ながら恐ろしい賭けをしていたみたいだ、実践でろくに試していない新技を使ったわけだからな。
「本当はもう少しやっても良いけどさ、この辺が潮時じゃねぇかな」
「私もそう思っていた所だ、今回は私の負「引き分けだ」なに?」
「だって俺はランスロットに勝ってないし新技も初見で破られた、ランスロットも俺に有効打を与えていないし攻めあぐねている。つまり引き分けだ」
「その理屈は……まぁそうアーサーが言うならそう言うことにさせていただく。しかしこれではアルトリア姫の配下には入れなかったと報告するしかないか……」
ランスロットは少し暗い顔でアロンダイトを鞘に仕舞い、踵を返して去ろうとしていた。
「まつのです! ランスロットはさいよう!」
「なん、だと?」
「まけてもかってもひきわけでもそのちからはわたしのもとにほしいとおもった! それだけだ! それにそもそもかちまけはきにしていない!」
「あ、アルトリア姫……感謝しますっ! このランスロット、必ずやアルトリア姫にこのご恩お返しします!」
おぉふ、ランスロットのような大柄な男がアルトリアのような幼女に膝ついてるよ。中々見れない光景だねぇ……正直絵面が凄い。
「変身解除、よっと……ベディさんや」
「なんです? アーサー君」
「これでアルトリアのきしはおれとベディさんとガウェインさんとランスロットさんの4にんだろ? もくひょうはなんにんとかユーサーおうはなにかいってた?」
「いえ、特に人数制限はありませんよ」
「お金あるの?」
「んー、微妙ですね……このペースならあと十人は覚悟していますが……予算はまぁなんとかしますよ」
そうだよな……今の俺達って現代風にいうなら社長令嬢が自分の専属の部下をスカウトして回っている訳だからな、スカウトしたなら給料は当然要る。あぁ社会人は大変だ。
☆☆☆★★★
「オイオイヨ! 違うよ! ランスロットくぅーん!?」
全くもー! ランスロットけしかけてアーサー君粉微塵作戦は止めたけどその代わりにアーサー君監視作戦にしたのにランスロットが騎士に強い憧れがあって目的がアルトリアちゃんのお供になることになってんよー!
オーイエイエイエ! ふざけんなよアーサー君を監視しろよ僕も24時間365日アーサー君監視やりたくないからランスロットに任せたのに! ……もしかしてヴィヴィアン、ちゃんと伝えてないのか?
「……ヴィヴィアン! ちょっと来て!」
「お呼びですか師匠」
「君の息子にアーサー君の見張り頼んだでしょ? ちゃんと伝えた?」
「えぇ、アルトリア姫の元に行きアーサーと言う男をしっかり見ろ、と伝えました」
「伝え方が悪いよー! やっぱり自分でやらなきゃダメだな」
「師匠から伝えられたことそのままをあの子に伝えましたよ。原文ママですよ?」
「……え? ちょっと過去を見て……本当だ。あぁ考え事しながらしゃべってたからそうかもしれない。凡ミスじゃないか……あーもう過去の僕! 未来の僕をちゃんと見てー! 凡ミスしてるよ!」
黒幕ってもの楽じゃないね……はぁ
黒幕のマーリンはこの世界だとポンコツになったりならなかったりする
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ルンルン生活
おはようからさよならまで、皆のヒーローアーサーです。ランスロットが仲間に加わりなんやかんやあって三年が経ちました、時間の流れが早すぎるような気がするのは俺だけですかね?
現在はティンタジェル城にて騎士の基礎基本を猛烈に叩き込まれている最中です。先生はベディさんで担任はアルトリア。生徒は元々騎士じゃないランスロットと俺の二名。
立ち振舞い、言葉使い、剣の振り方、盾の構え、上流階級の礼儀作法、文学等々……すこぶるかったるいことこの上ないがランスロットさんは物凄い勢いで覚えている。才能だね、俺にはないや。
「……で、あることを意味します。ここまでで質問はあるかな?」
「はーい」
「はいアーサー君」
「なぜこのような授業を受けなければいけないのですか?」
「強く賢く全てにおいて最高である。それが主の品格を上げ自身の評価を上げることに繋がります」
「なるほど、強くて賢い……当てはまらんなぁ俺にはさ」
「今のところ仕事してるのはアーサー君です、既に騎士としての力は証明されています。君は才能あるんだ、いずれは私を超えてアルトリア姫を支えられる騎士になれる」ニコッ
「ベディさん///」トゥンク
ベディさんからの高評価頂きましたぁっ!
それとスマイルもね、そうやって何人もの女性を虜にしてきたのだろう! このイケメン! タラシ! 隠れゴリラ!
「よいしょおおぉぉぉ!」
「どわーっ!?」
いきなり不意に突然に背後からのし掛かる輩が居た! その勢いで机に額がヒットして首が逝きかけた……む、この背中から伝わる感触はっ!
「やってるか? アーサー」
「アルトリアか、姫なんだから大人しくしろよ。せめてタックルはやめてくれ首が持たない」
「そんな柔な騎士ではないだろう? アーサーの事はちゃんと分かっているさ、なんたって私の一番の家臣だからな」
「それ家臣と書いてペットと読むだろ」
アルトリアもあれから三年たって八歳程になった、少しは自重を覚えるかと思えば奔放さは増して力も増してついでに可愛らしさも増した。美少女と言って良いだろうな。
「姫、いくら我らだけとはいえ人目を気にしてください。只でさえアーサーとの仲が噂となっています、そこで要らぬ考え事をする不届きな輩が居ない訳ではないでしょう」
「ランスロット、私はいつでも真っ直ぐに生きていたい。他人の目など正直どうでもよい」
「俺が気にするんだよ!!!」
「なんだアーサー、良いではないかどうせ私達は結ばれるのだからな」
「……お前は一体何を言っている!?」
俺とアルトリアが結ばれる、つまり結婚する? どこからそんな話が沸いてきたよ?
「意外か? 実はなお父様がアーサーを私の伴侶にしようとしている、表向きはウェールズの英雄でかつての宿敵ヴォーディガンを再び仕留めた功績が認められたから。と言っていたが実際はウェールズの土地を治めるためだろうな」
「待て一気に話すなややこしい……あーつまりウェールズを手にいれるために俺とアルトリアは結婚するのか?」
「そうなるな、国民に良いアピールが出来るだろうな。英雄と姫、定番の組み合わせだろう?」
「それで良いのかアルトリア」
「良い! アーサーは良い男とは言えないが悪くない、今の私があるのもアーサーが家臣になってくれたお陰だからな」
ベディさんとランスロットさんは最初から知っていたのかツッコミをいれずに俺達のやり取りを見ているだけだった、まだ八歳だろ? 先を決めるには時期尚早だ
「よぉやってるか?」
「ケイさん良いとこに! 俺とアルトリアが結婚って本当ですか!」
「おぉっ!? ……凄むな凄むな、落ち着けよ。取り敢えず説明するぞ、ウェールズの救世主で同時にそのウェールズの民から信頼厚い家臣がいるなら、ソイツを家臣から外してウェールズの代表に仕立て上げアルトリアと結婚させればほら、一方的な侵略には見えないしむしろウェールズとここが対等な関係に見える。これなら他の国が文句言いにくいだろ?」
「はぇ~面倒なこと考えてるのね、あくまでも奪ったと見せるよりお互いに歩み寄ったと見せておけば外からつつかれる事は無い、と。そう言うことかいケイさん?」
「そうだ、つまりお前はウェールズの王になる。名前だけ貸してくれたら後はこっちで運営するわ、結婚式も国民と言うより国外へのアピールメインだから本当に結婚する訳じゃない。見世物さ見世物……すまないな」
これも葦名のため……もといブリテンのためか。
「そうだ、アーサーよ。今日からお前は公にはペンドラゴンと名乗って貰うぞ」
「マジ?」
「マジマジのマジ、結婚するんだから当たり前だよな」
「なるほど今度からケイ兄さんと呼ばせていただきます」
「バカ野郎俺は認めてないからな! この結婚はあくまで政治上の仕方無いことだからな! そこの所間違えるなよ!」
「分かった分かった兄さん」
「首を出せぇぇぇぇい! ズェア!」リンゴーンリンゴーン
「う わ ら ば !?」
あかん、鐘の音が聞こえる……ケイさんて怒ると怖ぁぁ……
はい結婚してアーサーペンドラゴンになります
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ぴちゃぴちゃ生活
今回から好き勝手する度合いマシマシ!
ハロハロー! マーリンさんダヨー!
憎きアーサー君がアルトリアちゃんと結婚するんだってねー……冗談も大概にしろよ? お? ワレのブリテンか?
まぁいい、この三年暖めてきた取って置きの秘策をぶちかましてアルトリアちゃんがアーサー君より素晴らしく! 勇ましく! 可憐で、優美で文武両道で……つまりブリテン最強になれる事件を起こします。
次はピクトいくどー!
★☆☆★
「アーサー大変だ! ウェールズが襲われている!」
「なにぃ!?」
「奴等はピクト人と名乗る人型の化け物だと逃げ延びた兵士から報告があった、これは英雄の出番だぞ!」
「イクゾー! 敵地にのり込め~!」
「おー!」
ようアーサーです、今は急ぎの用事があるから手短に言うとウェールズがまたピンチになった! ピクトはやべぇよ!
俺はこの三年でこの世界のブリテンの歴史を詳しく知ることが出来た、その中でも取り分け被害が出たもはや災害だろ……と言いたくなるくらいにやべい事があった、それはヴォーディガンが従え招き入れたピクト人がヴォーディガンに反乱を起こした通称ピクトの乱。
都市壊滅! 国家解体! ウェールズ爆散! 全部魔法に頼らず物理的に起こしたらしい。やべぇ!
「何だってウェールズに! これからよろしくしようって時なのに!」
「何者かが意図的に我々の邪魔をしている……のかも知れませんね。三年前にアサシンを差し向けてきた連中はまだ尻尾を見せていませんからね。それも考慮しておきましょう」
「ベディさんよく覚えてるね、俺はすっかり忘れてた……と言うかガウェインのインパクトが強すぎてそれだけ覚えてる」
「いや~照れますな」
「お前緊張感は無いのか……」
ガウェインの緊張感の無さにランスロットの胃が痛んだ、しかしそれは俺には関係ないね。
☆☆★★
その日ウェールズは灰と化した、民家は崩れ、土地は荒らされ、無造作に切り殺された市民や兵士が転がっていた。
事態の鎮圧に向かわせていた兵士たちが軒並みやられマトモに戦える人員は五割を切っていた。それもその筈相手はあのピクト人だ、並みの兵士では太刀打ち……いや、障害にすらならない。奴等から見たら道端の小石と同じだろうな。
この事態を重く見たこの私アルトリア・ペンドラゴンは必ず蛮族どもを討ち取ると決意し、ウェールズの救世主で我が夫アーサーとガウェイン、ランスロット、ベディヴィエールを引き連れ現地に駆けつけた。この出陣はお父様には伝えていない……今頃はあわてふためいているだろうな。
いや、モリガン師匠とモルガン義姉様がいるからそれはないか。
「なんて有り様だ……こんなの許せんよなぁ……っ!」
「アーサーここは敵地だ。落ち着いて、先ずは敵を探すとしよう」
「アルトリアは冷静だな」
「そう見えたなら上手いこと気持ちが隠せているようだ」
「なるほどな」
私は騎士と姫、両方の面を持つ。だから騎士道に背く行為は許せないし民を傷つけられては黙っていられない。
ウェールズは只でさえヴォーディガンもとい白き竜の亡霊の被害からやっと復興出来ていた所だ、今回のウェールズ合併はお父様がウェールズの民のことを考えて実行したと聞いている。
「あ、ピクト人」
「あ、ブリテン人」
「「……うぁぁぁぁぁぁっ!? やめて殺さないで~!」」
廃墟の街中を歩いていると出会い頭にピクト人と出会ってしまったアーサーはピクト人と一瞬見つめあって同時に叫んだ。情けないやつ!
「やめて! 乱暴しないで!」
「アイェェェ!? ピクト人?!」
「よし、斬るか」
「まてまてまて!」
「なぜ止める?」
「話の分かる奴をいきなり斬る奴があるか! そも人を簡単に殺そうとしないで!」
むぅ、アーサーがそう言うなら仕方無いか、話くらいは聞いてやろう。私は気持ちを切り替えてピクト人の話を聞いてやる事にした。
「落ち着けよピクトの旦那、殺さないよ」
「本当に? あぁ助かった……じゃない! 早くここから去れ! 奴等が来る! 俺達の中でもとびきりヤバイ奴等が!」
「どれくらい?」
「ドラゴンが尻尾巻いて逃げるレベルだ!」
なるほど、今回の主犯はそいつらか……面白い、正面から叩くとしようか……この三年の間にヨーダ師匠から一から手解きを受け直して更にモリガン様から魔術を教わった。負けようはずが無い。
──バシュッ!
「ごふっ! ……き、た……奴が……っ!」
「弱者が……」
崩れた民家の上から槍が飛びピクト人を貫通し地面へ突き刺さる、屋根には額に赤い刺繍をした半裸の男。奴もピクト人だろう。
「なっ! 敵とは言え仲間を殺すとはっ!」
「止まれランスロット、無闇に突っ込むなど下策中の下策だぞ」
「ベディ殿っしかし!」
駆け出すランスロットをベディが制止し、
「死にさらせぇぇぇぇぇ!!!」ショーリューケン
「ごっふぁぁぁっ!?」
「「「?????!!!!!」」」
アーサーが我慢出来ずに殺人アッパーをかましていた。
「アーサー! 私の話が聞こえなかったか!?」
「ついカッ! となってやった。後悔は無い。……ベディさんその拳下ろして下さい死んでしまいます」
「あらあら、こいつもう喋れないなぁ顎が砕けてる。三倍の俺でももうちょっと手加減してやったのに……運の無いやつ」
アーサーがベディにしばかれている間に貫かれたピクト人を治療して敵の情報をあらかた入手することが出来た、どうやらピクト人も一枚岩では無さそうだ。
ある派閥が突然力を得てここを襲うよう差し向けられたらしい……何者かの悪意が私達を取り巻いているな。
だが先にウェールズを襲う奴等を止めねば。
私達は情報を元にウェールズの中心、奴等の前線基地と思われる場所へ奇襲を仕掛けることにした。
突然はっちゃけるのは転生主人公の特権
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ドスドス生活
ピクトの前線基地に来た我らアルトリア隊! しかしそこは我々の知るウェールズではなかった!
皆さんもご存知だろうがブリテン(イギリス)は北海道より北にあるが温暖な海流のお陰で割りと暖かい……でも目の前の光景はそんなもんじゃねぇのだ。
「特殊な結界で環境が変えられている、日が照り無駄に暑い」
「わーいハワイじゃあ~っ! ……何故にWHY!?」
なんかハワイになっていた意味わからーん!
ルルハワ……うっ、頭が。電波受信したが気にしねぇ!
開幕から飛ばして行くぜぇ!
良くもブリテンをハワイにしてくれたなありがとう、そして俺の出世の為に散りやがれ下さい。
「奴等にブリテンに来たことを後悔させてやる!」
「うむ! その意気だアーサー! 皆よ私に続け!」
「仰せのままに!」
「このランスロット! 戦場にて姫の剣とならん!」
「太陽が貴様らピクトを許しても俺が許さないぞ!」
小高い丘の上に奴等のキャンプを見つけ静かに素早く移動する、遠目から見て数は千や二千では無い……先程の威勢はどこ……? ここ……?
「……止めとく?」
「一番槍の誉れはアーサーに譲る」
「おい体よく日和るなアルトリア、俺達仮にも夫婦だしここは道連れ、もとい二人でどうかな? ちなみに無策じゃないぞ……ゴニョゴニョ」
「……ふむ、分かったその作戦に乗ってやるぞ」
「むふふ、想定外の戦力差があったとしてもこの策士アーサーにかかれば何ともない差だろう(希望的観測)」
正直戦力では話にならないくらいに格差があるがそんなもの頭脳で何とかする、絶対何て事は戦場にはねぇ! さぁ策士アーサーの作戦を殺りながら解説しよう、まずはこうだ。
「うっふーん、ピクトの旦那方~っ! 私とどう?」
女装して(俺の場合変身だが)相手に近づき
「ブリテン美人キタコレ!」
「ブリテン攻めてヨカタ!」
鼻の下を伸ばして油断したところに
「後ろががら空きだ! 成敗!」
「アロンダイトの錆びに成れ! 成敗!」
「アーサーに発情していいのは俺だけだ! 成敗!」
「「タコスッ!?」」
アルトリア達が不意討ち、と言う手順だ。おさらいしよう。俺が釣ってアルトリアが仕留める。簡単だな!
これで敵の大将まで近付いていけば後は全力で攻めるのみ、ブリテンをハワイにした責任を取ってもらおうかピクトさんよぉ!
「なぁランスロット」
「何だねガウェイン」
「美人って良いよな」
「む、まぁそうだな(俺は人妻だけど)」
「アーサーって可愛いな」
「うん……んんっ?」
「あのままで居てくれたら本気で狙うのになぁ」
「男でも良いのか? 中身男だぞ? 八歳だぞ?」
「我が愛の前には些事である、中身よりも外見だ。外見だ!」
ガウェインからの熱視線ががが…………ケツが危ないかもしれない
☆☆★★
ガウェインの熱視線を背に受けながら釣り野伏せ的戦法で敵の陣地を突っ切って行く、二か三人ずつ始末すればバレることもなくすんなりと行けた。そもそも警戒心がゲノム兵並みだからな、簡単簡単おちゃのこさいさいよ。あれだあれ、自分達の力に絶対的自信を持っているタイプだから警戒しないんだな。
「ん、あれが大将の居場所かな」
「まるで進撃の巨人だ……にーさんーしー……十五メートルはありそうな壁だぁ、でもウェールズにあんな要塞ねぇよな、敵に凄腕の魔術師が付いている可能性が有りよりの有り」
俺達の視線の先には万里の長城に似た横長の石造りの要塞が建っている、以前のウェールズには絶対に無かった物だ。
やつらが建てた、と言うにはブリテン風の繊細な細工を施した部分がちらほら見受けられる、更に要塞の大きさを加味して推理すると相手に建物を魔術で造っちゃう高等魔術を扱える者がいると言うこと。それもブリテンの文化に慣れ親しんだヤツ。マーリンかな? (適当)
「するってーと先生、いやベティさんに質問、俺達の接近も感づかれてるのでは?」
「それは無いだろう、敵の動きをよく見てみると監視の目が変わっていない。気付いたなら何らか動きが有る筈、情報を伝達している様子も無いからバレては居ないと私は考えるよ」
策士ぃ~! 流石俺の先生だぜ! この三年ビッチリ授業しやがってありがとうくたばれございます!
「では私から追加の質問があります、ベティ殿」
「何ですか? ランスロット」
「要塞を少人数で落とそうとするならどうします?」
「そうですね……前もって準備しないのなら電光石火の早業で大将の首だけ切って帰るのが手っ取り早いですね。司令塔が無くなれば後は烏合の集……ピクトの場合は烏合の集と言うより化け物の集ですかね」
わぁシンプルイズベストだなー、でも人数的にそれ以外は難しいか。
「それでは夜に作戦決行と行くとしよう、それまでは英気を養うように」
「アルトリア、忘れてるかもだけどここ敵のど真ん中よ? 養えません」
「なるほど、しかしバレなければ襲われない。バレても「「我らが始末します!」」な?」
それで良いのか我らのリーダー、それともガウェインとランスロットを先に何とかした方がいいか?
見てみろベティさん頭抱えて先に休んじゃったぞ。
進撃のピクト
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スラスラ生活
辺りはすっかり闇に染まり月明かりと奴等の篝火だけが光源だ。とりま夜のハワイは蒸し暑い。
「それ暑くないかランスロット? 甲冑脱げば?」
「戦を前に何を……」
「アッゥーい! よっこらせい」
「ほらアーサーだって脱いでるし」
「お、お前ッ……騎士とは何なのだ……私の憧れは一体……」
「正確にはアーサーは騎士じゃ無いから気にするだけ無駄なんだけどね?」
おはようからお葬式までお付き合いします。で、お馴染みのアーサーでござんす。ランスロットさんは自分の思い描く騎士とここにいる騎士とのズレに苦しんでますね。放っておきましょう、今はあの要塞に夜襲を掛け敵の大将を抹殺しないといけないのだ。
「あの壁を登り拠点ごと爆破してまいればよいか?」
「アーサー、昼間の話を聞いてなかったか?」
「いや聞いてたよ、でも首切るよりボン! って殺った方が速くない?」
「確実かつ迅速に、それでいて面倒が少ないのなら爆破でもいいですが?」
「すいませんちょっと調子に乗っていましただからベティさん槍をしまって下さい」
ベティさんに制裁を食らったので真面目にします、要塞にこそこそと忍び込んで最上階へ向かい大将の部屋へ行くとそこではなんと……パンツ一丁の男達が激しく殴りあっていた。俺は正気を失った、いやいや幻覚だろうかと二度見て二度も正気を失った。ガウェイン以外は皆そうだった、特にアルトリアには刺激が強く俺の方を見て顔を真っ赤にしていた。可愛い。
話が逸れたがつまりはガチムチパンツレスリングだった、もれなく赤い刺繍が入っていたのでピクトのヤバいいやつらだろうな。
ここにカチコミ掛けるの嫌なんだけど……
「これ帰ってもいいのでは?」
「待てアーサー、逃げると男が
「……ガウェインやばくない?」
「つーかランスロット的には関わりたくない的な~」
「ヤバイですねっ☆ミ」
何だ今の?!
「なんだ今の!?」
あっ、ピクトに気付かれた。
☆★☆★☆★
私だ、アルトリアだ。この度は部下の不甲斐なさに憤りを感じている、それも私の怒りが有頂天になるほどにな。有頂天とはなんだ? アーサーの言い回しを真似してみたがよくわからないな。
ともかく先のバカ騒ぎでピクトに見つかり大将と四人の護衛と真っ向勝負せねばなるまい。口伝や書物からピクトの知識を得た私達だが本物はそれを軽く上回る迫力だ。
弾ける筋肉飛び散る汗が妙に清々しいが、その体から溢れる熱気にも似たオーラが伝わってくる。
「ムハッ! ブリテン人か」
「ここまで忍び込んできたか」
「あえてスカスカの警備して正解だったな」
「今宵は楽しめそうだ」
四人の護衛は恐らく四天王と言うべき立ち位置、ピクトの選りすぐりの戦士とあらば相当な苦戦を強いられるか。
「誰ぞ来るかと思っていたが女子供をつれた騎士か! 舐められているのか……それともその程度の戦力しか残されていないのか。この族長ゾルの前に来れたことは誉めてやる」
「いやはやどこ見てもマッチョだね、やっぴーアルトリアちゃん! 助けに来たよ?」
族長ゾルと名乗った大男は一際オーラが大きい、怒気が本気のお父様に似ているな。
この事態を何処から見ていたのか不意にマーリンが私の横に現れた、雰囲気や話し方、花の香りが場違い感を与えているがマーリンの手助けはありがたい。勝率がグッと引き上がった。
「マーリン、早速で悪いが力を貸し「ダメなんだなそれが」何?」
「アルトリアちゃんにはアーサー君より頑張ってもらうよ、その為に力を貸す。でもアーサー君テメーはダメだ」
「ここでそんなこと言われてもなぁ……」
私の頼みはマーリンのおかしな理論で却下されてしまった、何故と聞いても答えないだろうな。そう言うヤツだと知っている。
「僕ね、物語に加筆して修正するよりそうなるように最初から誘導したいタイプなんだよね。でも今回から加筆修正します! アーサー君はボッシュートです」
「……あっぁぁぁぁ~~~」
「アーサーっ!?」
「アーサー君っ! マーリン殿これはどういう事ですか! このような暴挙ユーサー王はお認めになられませんよ!」
「ざーんねんアルトリアちゃんやアーサー君は僕に任されているんだな~」
「マーリン! アーサーを何処へやった!?」
「おほほ、上かな」
「上? 上だと? イカれているのかこの魔術師! 姫よ抜剣の許可を! ヤツは斬ります! 私がっ!」
「落ち着きたまえよ、アーサー君は月にいるよ」
月……月っ?!
「転送の魔術でうんと遠くへ飛ばそうと思うなら月がギリギリ射程圏かな」
「ゾル様! やっていいですかい!」
「やれ、これ以上待つ理由がない!」
「ごちゃごちゃとうるさいよ、ピクトのクセに。ボクが話してるでしょ?」
マーリンは不愉快な表情を誇張してゾルに向かい合う、筋肉の塊とマーリンのような痩せた男では天地がひっくり返っても勝てない差があると私は感じた。マーリンはブリテンの中で最高の魔術師だが近接戦闘が得意だとは聞いたことがない。
「ブーメランも良いとこだな、変な魔術師っ!」
「『動くな』その力は誰が与えたのかな?」
何かの魔術でマーリンはピクトの一人を金縛りにした、冷徹に言い放った言葉に背筋が冷える感覚がした……あのマーリンからそんな気配を感じるとは思ってもみなかった。
マーリンの目的がさっぱり分からないがアーサーは月にいる、一先ず無事と信じ目の前の事に私は当たろう。
マーリンは多分こんな事言う(言わない)
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パサパサ生活
「月面からこんにちわぁぁぁぁぁぁぁっ! 絶ッ好ッ調ッでぁぁぁぁぁる! ユニバァァァァァァァス!」
なにも無さすぎて三回叫んだけど返答なし、何もない誰もいない月にウサギはいない餅もついてない臼と杵は作ればある。宇宙空間で呼吸出来る不思議はさておき……地球は青かった。
「青いなー」
「青いね」
「……どちら様?」
「月の女神よ」
「お名前は……?」
「あなたブリテンの人? なら私はディアナ……かな」
「よ、よしなに……?」
フラッと隣に知らない人が来たと思ったら神だったでござる、ディアナって言うそうな。何処かに∀ガンダム埋まってないかな……無いよね。ディアナ様はみる人で姿が変わるそうで俺には可愛らしい少女に見えている。
なんか月っぽい能力だと思う、月って日本だとウサギが見えるけどカニが見える国もあるらしいからね。
「何故ここに? 月にお客様が来るなんてそう無いことよ」
「来たと言うか送り込まれたと言うか」
「……島流しならぬ月流し?」
「罪人じゃ無いです勘弁して下さい」
「そうだ、することがないなら月を案内しましょう。ついてきて」
そう言うとグイッと俺の腕を引っ張って緩い重力に身を任せ漂うように移動する、俗に月の裏側と言われる場所へ来た。うん、何もない。何か月ネタぶちこもうにもまっさら過ぎて思い付かない。
あ、お星さま綺麗に見えるよ(精一杯のフォロー)
「ここはね、誰からも見えない私の家よ」
「屋根と壁と扉がない実に開放的なお家ですね」
「うん」
「……ツッコんでください」
ディアナ閣下もとい女神ディアナは俺の腕を掴んでその場に座り込んだ、俺も座らねば不作法と言うもの。隣に失礼して宇宙をしばらく眺めていたらディアナ様は話を始めた。
「月は見守る星、私は見守る者。人の概念が私を産み出しそうあれと願った。神様神様と人が言わなくなれば私は消える、他の神も同じだけどね」
「女神ディアナ、俺になぜそんな話を?」
「こう見えて寂しがりやだから……」
このあと僕で良ければ話し相手になりますと答えてしまい三日間話通しになった、さすがに神様だけあって飽きないけど単純に情報量が多くて辛い。
「ありがとう、楽しい時間が過ごせたわ」
「そ、そうですか……」フラフラ
「寝たければ横になって」
「いや地球に戻らないと……」
「地球からみてあと少しで満月になる、満月は私の力が十全に発揮できるタイミング、その時に送ってあげる。それまでは寝ているといい」
「ではお言葉に甘えて」
このあと一時間もせずに叩き起こされた、あと少しが早すぎる。せめてもう少し寝かせてくださいディアナ様!
★★☆☆
一方その頃アルトリア達はピクト人をマーリンの協力を得て打ち破った……しかしアルトリアにはこれが最後に思えなかった。族長ゾルは死に際に
「……グブッ! 俺を、こ……殺してもっ、他のやつが来るぞ……皆闘いに餓えている! フハハハッ……ゴホッ!」
と、言い残し散っていった。近いうちにピクトが攻めてくる事を示唆しているなら対策と根本的な解決、つまりはピクトを滅ぼす事も視野に入れていかなければ近い将来ブリテンが崩壊するだろう。
またマーリンの行動もアルトリアは怪しんでいる、いつも胡散臭いイメージのマーリンではあるが今回のアーサーへの扱いで胡散臭いどころか警戒感すら感じていた。
「やーやーこれでアルトリアちゃんの偉業がまたひとつ増えたね!」
「マーリン……あなた何を考えているのです?」
「ボクはハッピーエンドを目指しているのさ、でも今は秘密、じゃあね!」
ひゅるると風のなかにマーリンは消えあとには花の香りだけが残された、勝手に来て勝手に去っていく事については通常運転である。
「姫、アーサー君はどうしましょう?」
「……ベティ、帰ろう。アーサーは仮にもモリガン殿の弟子であり力を受け継いでいる人間だ、大丈夫だ」
アルトリアはアーサーを信じてユーサー王の元に事件の終息を伝えるべく帰路についた、その頃のアーサーは女神ディアナに投げられて流星の如く地球に帰還しようとしていた。
「流れ星か……さっさと戻ってこいよアーサー」
ガウェインは夜空に流れ星を見てポツリと呟いたがそれがアーサーだとは全く考えもしなかっただろう。
☆☆★★
やった! やったぁ! アーサーが何かやらかす前に追い出せた! そして予定通りアルトリアちゃんがピクトを退けたぞ! まぁ僕も協力をしたけどそんなのハナクソ程も関係ないね、アルトリアちゃんが活躍したと言う事実! それが大事なのさー!
「おらっ! アーサー君見たか! アッハハハハ!」
「あのー」
「ん? 何かな? ボクは今スゴく気分が良いんだ、何でもいってく「お前マジ許さん」え?」
「アッハハハハ……アーサー君? 何でここに?」
アーサー君、月に送ったのにすぐ帰ってくるなんて……なんてことだ何が問題だったんだ!
「ディアナ様に送ってもらった」
「どうも」
「あ、ディアナ……じゃないアーサー君他所の神様だよちゃんともといた所に戻してきなさい」
「ブリテンもローマみたいなもんでしょ」Yポーズ
「そう」Yポーズ
あーもうメチャクチャだよ
書きたいように書いたら整合性が吹っ飛んだ
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すりすり生活
歴史関係はガバガバなんで許して。
更なる襲撃の予感とマーリンのヤバい部分が発覚したこの事件は収束したが残った問題がやたら多くそれらを解決するには島国ブリテンでは人、物、金、全て不足していた。
これではいけない、しかしどこから無いものを持ってこれようか。それに頭を悩ませるユーサー王にアーサーがこう提案した。
「ユーサー王! 私にいい考えがある!」
「本当か?」
「すべての道はローマに続くと言うありがたいお言葉に従いローマに向かい支援を要請して参ります!」
「それができたら苦労せん、もうよいアーサー戻れ」
「なにぃ? アバタケダブラる?」
「止めろアーサーそれはワシに効く、この際行ってこい止めはせん」
「じゃ!」バリーン
「窓から出ていくなーッ!」
こうして半ば脅してアーサーはローマを目指して旅をすることになった、アルトリア達はピクト人の対応に当たるためアーサー一人で向かう事となった。
一人と言うが実はディアナ様も居るので実質一人と一柱だったりする。
★★☆☆
さぁ行こうぜ! ローマに!
「っても俺には道が分かりません、助けてディアナ様!」
「うん、分かった」
これは心強い(他力本願)
ブリテンからローマに向かっています、アーサーでございます。ディアナ様と一緒にローマに支援をお願いしに行く所だ。この世界のブリテンがこの先イギリスと呼ばれるまで存続するにはやはり自給自足では限界がある、なので豊かな国ローマに後ろ盾となっていただきそこから世界の覇権を握っていくのだ。
ローマとブリテンの間にはいざこざがあったり無かったりするらしいので交渉次第では敵を増やす事になりそうだがその辺はディアナ様、ローマで崇められてる神様も一緒にいるので勝算高めだろうと思う。
ユーサー王からは一番脚の早い馬を貰ったので強化魔術を掛けて街道をすっ飛ばした。ディアナ様ナビのお陰で最短距離を走る事が出来たので三日でブリテンの端っこ、ドイツとかフランスに面する海に出た。
「さて、なるべく急ぎたいが船を待たないとなぁ」
「今夜は満月、だから向こうまで私が投げてあげる」
「いやー36万キロを一日で帰ってこれる速さで投げられたら普通死にます」
「安心して、大気圏再突入コースで衝撃も少ないから」
「俺は弾道ミサイルにされるのか……」
この日の夜に流星を見たら多分それは俺、そこからなんやかんやありましてローマにホールインワンした。ブリテンからローマ直行出来て良かったけどこれなら最初から投げてもらえばよかった……
☆☆☆★★
「皇帝陛下! お初にお目にかかります! 私はブリテンからやって参りましたアーサーペンドラゴンと申します。以後お見知りおきを」
「ディアナです」
「うむ、私がローマ皇帝であるロムルス・アウグストゥルスだ」
はぁ……ブリテンか。別にどうと言うことは無いが子供を寄越してくるとは一体どういう神経をしているのだ、我らの崇める月の女神ディアナがいなければ門前払いしていた。
「で、ブリテンの使者よ用件を聞こう」
「ブリテンに是非ともご支援願います、ブリテンは今あらゆる問題を抱えておりもう詰みに近くどうしようもないのです、この書類をご覧くださいブリテンの現状が事細かに書かれています」
ふむ……なんと悲惨なことか、ウェールズを始めブリテンの国々は疲弊して特にこのピクト人が厄介だな。我らローマ帝国の力をもってすれば容易いが今のブリテンでは籠城しても兵糧がすぐに底を突く、防衛戦も難しいな。
人も資源も足りていない、国として生きていけるギリギリのラインか。
「ブリテンの現状はよく分かった、私としてもこの状況は許せん」
「ではご支援下さいますか」
「ハッキリと言おう、潰れかけのブリテンを救ってもローマ帝国に利益がない。助ける義理もな。女神ディアナの顔に泥を塗ってしまいますがこればかりは国の指導者としては首を横に振るしかない」
「そうですか……これは使いたく無かったが『変身』」
……っ!? 一瞬にして小僧が美女になった?! 一体これはどう言うことだ? しかしローマでも見ることのできない美しさ、神々しさすら感じさせる姿だ。
「皇帝陛下、ブリテンを助けて下さるなら私があなたの側に着きましょう、これでも見た目と力には自信がございます」
「むっ……色仕掛け……というよりは苦肉の策か、そこまで追い詰められているか、ここまでされては皇帝として人として助けねばなるまい一先ずはピクト人制圧するとしよう。今から書を書く、これを君の王に渡したまえ」
「ありがとうございます!」
「見直したよロムルス、今夜は良い月を見られるよ」
ふぅー正直ずっとディアナ様が隣で睨んでいたからやりづらいにも程があるっ! 良い落とし所に持っていくのにかなり疲れた、今日はもう休んで月見酒しよう。うん
久々投稿
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