リバーサル・ワールド (朱花)
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作戦開始

枠組みがファンタジーであっているのか分からない⋯⋯


 常人には持つことすらも叶わない能力『異能』。 この世の中にそう呼ばれたものが誕生したのは、今から約150年前と定義されている。 当時、異能を持った存在『異能使い』は多少恐れられてはいたが、法整備などにより大きな問題には発展していなかった。

 ―――しかし、変革が起きたのはそこから約30年後のことであった。

 

 後の世にて『災厄の日』と呼ばれる大災害が世界中で相次いで発生した。 それによる死者は億を超えるとも言われている。 そんな世の中では、法律なんて速攻で無に期した。 異能使い達が狂ったかのように暴れだし、世界中の国々を支配していった。

 

 そして⋯⋯その日から世界は狂い出した。 全ての尺度が異能の強さに左右される実力世界。 かつての民主制を嘲笑うかのような社会が形成されたのだった。

 

 しかし、そんな状況を良しと思わない者たちもまた水面下にて行動を開始していた。 人々はそんな光の存在を『革命軍』と呼び、全力で支援を行っていた。

 

 ―――ここにもまたひとり。

 ギラギラとネオンが闇を照らす街の路地裏、ほとんど人の通りがないその場所にて、五人の男女がヒソヒソと何かを話していた。

 

「皆、準備はいいな?」

 

 その内の一人の言葉に、残りの四人が頷く。

 

「よし! それじゃあ行くぞ! この腐った世界を⋯⋯ぶっ壊すために!」

 

 そうして彼らは闇の中へと消えてゆく⋯⋯新たなる世界を創り出すために。

 

 ―――

 

「⋯⋯さぁさぁテメェら! 今夜は無礼講。 共に飲み明かそうぞ!」

 

「「「うぉぉぉぉ!」」」

 

 壇上に上がった妖艶な美女の掛け声にその場にいた男たちが湧く。 皆一様になみなみと酒が注がれたジョッキを掲げて狂乱する。 ここは国際的犯罪組織『毒蝶』の会合場。 今日のひと仕事を終えて上機嫌の様子だ。

 

「乾杯!」

「「「乾杯!」」」

 

 大声を上げて騒ぎ立てる男たちはガヤガヤと喚きながら上機嫌で酒やつまみを平らげていく。

 

「⋯⋯ひゃっ! すっ⋯⋯すいません!」

 

 そんな折だった。 酒を運んでいた少女が派手に転び、床にジョッキを落としてしまう。 ガラスが割れる喧しい音が会場中に響き渡り、参加者の視線がその一点に集中した。 楽しい雰囲気をぶち壊されたことにご立腹の様子で、少女を睨みつける⋯⋯

 少女は目に涙を浮かべながらビクリと肩を震わせている⋯⋯

 

「⋯⋯おいアンタ。 よくも折角の楽しい雰囲気をぶち壊してくれたなぁ。 ⋯⋯へへっ覚悟は出来てるんだよなぁ?」

 

 それは酒からか、はたまた欲情してか、ほんのりと顔を赤らめた男が下卑た笑みを浮かべながら床に座り込んでいる少女の肩を掴む。

 

 ―――それが合図であった。

 

「⋯⋯なんだなんだ?」

「電気だ! 電気が落ちている! ブレーカーを上げろ!」

 

 前触れもなく会場中の電気が切れ、暗転した。 男たちは少女のことなど忘れ去り、声を荒らげながら電気の復旧に取り掛かる。

 そして⋯⋯その喧騒に紛れて男たちは気が付かなかった。 断末魔のような小さな呻き声が上がっていたことに。

 

「⋯⋯おいお前たち! ネズミが入り込んでやがる! ⋯⋯即刻抹殺しろ! 魔剣が盗まれたぞ!」

 

 電気が復旧した途端、いつの間にか再び壇上に上がっていた女が指示を飛ばす。 男たちはその言葉を受けて、胸元から拳銃を取り出した。

 先程までの浮ついた雰囲気を感じさせぬ、氷のように冷たい、裏の者たちの表情である。

 

「⋯⋯よーしテメェら! 絶対に逃がすなよ!」

「「「うぉぉぉぉ!」」」

 

 叫び声を上げながら男たちは女の護衛である数名を残して、会場の外へと散らばっていく。

 

「この会場内も念の為精査致しますね」

 

 側近の男の提案を了承する。 そうして扉が閉じられ、会場内の調査が始まった。

 

「⋯⋯さて。 アイツら⋯⋯しっかりやってくれよ?」

 

 偉そうに椅子にふんぞり返りながら、女は誰に言うわけでもなく呟くのであった。

 

 ―――

 

 時を同じくして会場外では、彼らの魔剣を盗んだ()()()の捜索が行われていた。

 静まり返った夜の中に、男たちの喧騒が響き渡る。

 

「⋯⋯ふっふっふっ! ご苦労なことですねぇ」

 

 遠くから聞こえてくる喧騒を聞きながら、人気の無い路地裏にてどこか楽しげに呟く少女がいた。 そんな少女を横のニコニコとした青年が軽く小突く。 少女は「いたっ!」と軽く呻いた後、小突かれた場所を手で抑えながら恨めしげに青年を睨みつけていた。

 

「まだ任務中でしょ? 最後まで油断しちゃダメだよ〜」

「⋯⋯ナビィ、すぐ油断、だめ」

「ほら、シノブちゃんも言ってるじゃん?」

「うぅ⋯⋯わかりましたよぉ。 ⋯⋯って言っても、もう着くじゃないですか? ちゃんと剣も盗んで来ましたし⋯⋯あれ?」

 

 ナビィと呼ばれた少女はそう言いながら、ポンッと腰の辺りを叩く。 そして⋯⋯顔を青くした後にバンバンと何度もそこを叩き続けた後に、絶望的な表情を向けた。

 

「⋯⋯ない、です」

「は?」

「⋯⋯盗んだ剣がないんですよ!」

「⋯⋯嘘でしょ?」

「ナビィ、嘘、よくない」

 

 そんな彼女の言葉にさすがの青年も笑みを崩し、シノブと呼ばれた銀髪の少女も感情の薄そうなその顔を驚愕の色に染め上げていた。

 

「⋯⋯どうしますか?」

「どうするって言っても⋯⋯」

 

 気まずそうに下を俯くナビィを見つめながら、青年は頭を掻く。

 

「⋯⋯敵、近く、来てる」

 

 シノブが長い銀髪を掻き上げながら呟いた。 耳を澄ませば、遠くから大きな足音が少しずつこちらに近づいてきていることが容易に理解出来た。

 

「⋯⋯ッ! 仕方ないねぇ。とりあえずターゲットは殺せたから⋯⋯一旦退こうか」

 

 青年は顎に手を当てて少し考えた後⋯⋯ 苦虫を噛み潰したような表情をして撤退を決意した。

 

「シノブさん、ダリアさん⋯⋯ごめんなさい」

「大丈夫、目的、果たしてる。 ミス、仕方ない」

「そうそう。 気にしなくても大丈夫だよ〜」

 

 ダリアと呼ばれた青年は俯くナビィの頭をポンポンと叩いた後、彼女の手を引いて再び走り出した。 眠らない街の品のない光の中に、彼女ら三人の姿が呑まれていくのであった。

 

「⋯⋯やれやれ。 ビックリしやしたぜ⋯⋯」

 

 静まり返った路地裏にてひとり呟く男がいた。 三角笠を目深に被り、マントを羽織ったその男の格好は明らかに異様なものであった。 そんな彼の腰の辺りは不自然に膨らんでいる。

 

「⋯⋯おやおや。 皆さんお揃いでどうかしやしたかい?」

 

 その男は路地裏を出たところで、ナビィ達を追っていた男たちと鉢合わせる。 男たちはその問いに答えることなく、すぐさま背筋を伸ばして勢いよく頭を下げた。

 

「「「お疲れ様です! ガイザ様!」」」

「あー。 大丈夫でございやす」

 

 ガイザと呼ばれた男は、自分に向かって依然頭を下げたままの彼らを鬱陶しげに制している。

 

「それで? 揃いも揃ってここで何をしてたんですかい? 今日は宴だったような⋯⋯」

「⋯⋯賊が入り込んで、我らの魔剣を盗んでいったのです」

「⋯⋯へぇ?」

 

 その言葉に一番前にいた男はビクッと震える。 見ると、ガイザは腰の辺りをモゾモゾと漁っていた。

 その動作に他の男たちは思わず身構えていたが、先頭の彼は恐怖のあまり声をあげることも叶わない様子であった。

 

「⋯⋯お、お許しを」

「⋯⋯くらいやがれ」

 

 氷のように冷たいその声と共にガイザは何かを抜き放つ。 その何かは、常人には視認することも叶わない速度で先頭の男の首元に突きつけられた。

 

「⋯⋯何で目をつぶっているんでございやすか?」

「⋯⋯え?」

 

 ガイザの言葉で、ひんやりとしたその感覚に気がついた男は恐る恐る目を開き、驚愕の表情を見せた。

 

「これでございやしょう? 見かけたんで奪い返しておきやしたぜ?」

 

 ガイザは三角笠を上に押し上げ、悪戯な笑みを浮かべながらそう言った。 そのまま手に持つ魔剣を腰に差し直す。 男たちはその動作を見届けた後に⋯⋯喉を震わせて雄叫びをあげた。

 

「さすがはガイザ様! 『毒蝶』最強の男!」

「お見逸れ致しました⋯⋯まさかそんなに鮮やかに奪い返すとは⋯⋯」

「⋯⋯宴にいなかったのはこれを予想しての行動だったのか⋯⋯」

「いや⋯⋯それは酒を買っていたんでござい⋯⋯」

「またまたご謙遜を」

「力に溺れないガイザ様は素晴らしい!」

「魔剣も取り戻したことですし、もう一酒行きましょうぞ!」

 

 男たちは力の限りガイザを持ち上げる。 何やら若干の誤解が生じているようだが、色眼鏡がかかりまくっている男たちにとっては些細なことである。

 内心で苦労するガイザを他所に、盛り上がった一同は再び宴会場へと向かうのであった。

 




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死闘

 ガイザが苦労している頃、宴会場でもひとつの動きがあった。

 

「⋯⋯!」

 

 側近の男は自分の視界に入ったそれに思わず目を剥く。 それもそのはず、そこにあったものは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。 その死体の服はひん剥かれて、美しい肢体が惜しげもなく晒されていた。 しかし、そこに色気は全くと言っていいほど無い。 火炎放射のようなもので焼かれたであろう首元は血で赤黒く染まり、抵抗をしたのか腕の辺りには目新しい痣が刻まれていた。 それに加えて死体特有の腐臭を漂わざるそれからは、むしろ不快感しか感じ取れなかった。

 

 男は必死で頭を回転させ、ひとつの結論に辿り着いた。

 ―――目の前にいる女は偽物である。

 

 その男は優秀であった。 さり気なく周囲の仲間たちに指示を飛ばすことで、その死体の存在を知らせることに成功した。 そして⋯⋯何も無い風を装って一人の側近の男が女の背後につく。

 息を飲んで胸元から拳銃を抜き、女の脳天目掛けて放った―――

 

「⋯⋯ば、かな」

 

 苦しげな声が漏れたのは男の方。 いつの間にか女と男の間に割って入った少女が拳銃の弾を受け、そのまま男の身体を拳で貫いたのであった。

 

「⋯⋯対象、生命反応の終了を確認」

「⋯⋯なんであの女が?」

 

 無感動に呟いたその少女を見て、男たちは驚愕の声を上げる。 それもそのはず、メイド服を見に纏ったその少女の顔は、先程床に酒を零してしまった使用人のものと同じであったのだ。 もっとも、その表情は先程までのオドオドとしたものではなく、氷のように冷たい無表情であるのだが。

 

「⋯⋯ヒュー。 危ない危ない、全く気がつかなかったぜ。 助かったよサロメ」

「是。 もう少し注意感を持ってください」

「⋯⋯あれ? もしかして怒ってる? ごめんって!」

 

 そんな男たちを他所に、サロメと呼ばれた少女に彼らのボスである女はペコペコと平謝りを繰り返す。 しかし、その女の声色は明らかな男性のものであったのだが。

 

「さて⋯⋯お前ら⋯⋯よくも余計なことしてくれたな」

「⋯⋯否。 あんな分かりやすい場所にあれば誰でもすぐに見つけられると思います」

「⋯⋯サロメ。 ちょっと黙ってて」

「是。 分かりました」

「⋯⋯まぁいい。 どっちにしろお前たちの寿命がほんの少しだけ短くなっただけだ」

 

 傲慢にもそう告げる女の姿をしたものが、顔と胸元に手をかけそのまま引き裂いた。破られたそれを女だったものは無感動に投げ捨てる。

 ⋯⋯床に落ちたそれは、先程まで女だったものが着ていた服と、変装用のマスクであった。

 

「⋯⋯さーて。 お前らの末路は当然、死だ」

 

 何故か楽しげに呟いた、女だったものの素顔は意外にも端正な顔立ちの勝気な少女であった。 不思議と男言葉が似合う彼女は立てた親指を下に向ける。 処刑の合図である。

 

「⋯⋯よし! サロメ! 後は任せた!」

「⋯⋯是。 《ウイング展開》」

 

 大きな音を立てながら、サロメの背中から何かが生える。 喧しい音を立てながら現れたそれは、鉄で作られた機構の翼であった。

 

「⋯⋯システムオールクリア。 対象の座標を確認。 《殲滅モード》移行」

 

 情報の連続についていけなくなった彼らを他所に、サロメの姿はさらに変化する。 初めに変化したものは彼女の左腕。 触れれば折れてしまいそうなほど細く、色白であったそれは大きく存在感を放つ大砲へと変えられていた。 続いての変化は彼女の右腕。左腕と同じように華奢であったその面影は既に無く、逞しい機械の腕となったそれは成人男性程の長さを持つ剣を握っていた。最後の変化は彼女の周辺。 変身時に砕かれた鉄やコンクリートが空を飛ぶ彼女を護るかのように辺りに漂っていた。

 

 ―――これこそが彼女の真の姿。

 《殲滅モード》となったサロメの本気であった。

 

「⋯⋯ん? あぁ。 分かった。 それじゃあ手筈通りに頼む。 ⋯⋯おーいサロメ!」

 

 耳に取り付けられた電話機から何か情報を受け取った勝気な少女―――ニコラは右手を大きく振ってサロメに呼びかける。

 

「ナビィ達も終わったってよ! さっさとこっちも終わらせるぞ!」

 

 サロメからの応答は無かったが、構わずニコラは叫んだ。 どうやらその声が届いたようで、小さく頷いていた。

 

「目標⋯⋯確認。 照射準備⋯⋯完了」

 

 左手の大砲を未だ呆然とする男たちに向ける。 今さら事の重大さに気がついたように、慌てふためいていたが、もう遅い。

 

「⋯⋯発射(バースト)!」

 

 凛とした声が響き、数瞬遅れて死を届ける絶望の光が到来した。 その光に充てられて、男たちは断末魔を上げることすら叶わずに、有無を言わぬ焼け焦げた肉塊へとその姿を変えられた。

 

「⋯⋯対象の消滅を確認。 システム異常なし。 完全な勝利を達成」

「いや⋯⋯えげつねえな」

 

 ふわふわと滑空しながら床に着地したサロメを、ニコラは呆れて見つめる。 誰一人として残さない、完全な殲滅であった。

 

「否。 ニコラが手伝ってくれていれば、こんなことにはなっていませんでした」

「うるせえよ! ⋯⋯ほら! さっさとずらかるぞ⋯⋯」

 

 翼を弄りながらそう呟いたサロメの頭をニコラはコツりと叩く。 そして、二人は顔を仮面で隠した。

 

「⋯⋯よし! 頼むぞサロメ」

「是。 システムオールクリア。 飛行準備完了」

「⋯⋯発進!」

 

 ニコラを背に乗せた状態で、サロメの身体が浮き上がる。 機構の翼を忙しなく動かしながら、彼女らが向かうのは会場の真上に設置されている窓であった。

 

「⋯⋯おやおや。 逃げられてはこまりやすねぇ」

「⋯⋯!」

 

 どこからか響いた野太い男の声が、サロメの耳に届く。 そんな彼女に続いてやって来たのは何かが翼を貫く―――そんな感覚であった。硬い鉄で出来たはずのその翼が。

 

「⋯⋯翼の損傷を確認。 墜落します」

「⋯⋯なに! ぐっ⋯⋯!」

 

 翼に穴が開けられるという予想外の事態に戸惑ったニコラは為す術もなく宙に投げ出された。 何とか受身を取ることに成功したが、身体へのダメージは決して小さくない。 内出血や打撲での痛みが身体中でその存在を訴えていた。

 

「サロメ! 大丈夫か? 何があった?」

「身体損傷は軽微です。 どこからか翼を撃ち抜かれました。 飛ぶこと自体に問題はありません」

「⋯⋯次はオレも周辺を警戒する。 早くここを脱出するぞ!」

 

 そう言ってニコラはサロメの所へと駆け寄り、その背中に飛び乗ろうと身体を動かす。

 

「だから⋯⋯逃げられてはこまりやすねぇ!」

 

 声が聞こえたのは背後。 慌てて振り返るが遅かった。

 三角笠を目深に被った男が、既に自分に向けて剣を振るっている最中であったのだ。

(これは⋯⋯防げないな。 ⋯⋯くそったれ!)

 

 走馬灯なのか、異常な程ゆっくりと迫り来るそれを必死で睨みつけるが、実用的な対策は何一つとして浮かばなかった。 無駄だと悟りながらも、その剣のやってくる場所に向けて防御姿勢をとる。

 残るは次の瞬間やってくるであろう剣の感覚を待って、目を瞑るのみであった。

 

 ―――ガキン!

 

(え?)

 耳に届いたのは、硬い金属同士が触れ合う音。 自分の身体を斬り裂く剣の感覚もどれだけ待ってもやってくる気配がなかった。 恐る恐ると目を開ける―――

 

「おんやお嬢さん。 身体硬いですねぇ。 いや、良い意味で、ですぜ?」

「警告。 これ以上危害を加えるのでしたら、排除を実行致します」

 

 視界に飛び込んできたのは、男の斬撃を身を呈して受け止めていたサロメの姿であった。彼女の警告を無視して、三角笠の男は自分たちが奪ったはずの魔剣を振り続ける。

(あの変な喋り方⋯⋯間違いない)

 その様子を見つめながら、ニコラは確信した。 事前に忠告を受けていたこの組織の副会長『雷神のガイザ』が自分たちの目の前にいることを。

 

「敵対の意志を確認。 対象の排除に移行します」

「⋯⋯勘弁して欲しいですねぇ」

 

 言葉上は余裕の無いように振る舞いながらも、ガイザの立ち回りは全く危なげのないものであった。 無駄の無い動きで恐るべき速さで迫るサロメの攻撃を捌き続ける⋯⋯

 

「お嬢さん⋯⋯お強いでございやすねぇ。 ⋯⋯こいつは厄介でござんす」

「否。 貴方も強いです。 提案です。 この辺りで手打ちに致しませんか?」

「⋯⋯それは無理なお願いでございやす」

「⋯⋯敵対の意志を確認。 《断罪モード》移行」

 

 宣言したサロメの身体に更なる変化が訪れる。 左腕の大砲はより小ぶりの、しかし連射が可能な銃へと変わり、右腕の剣もより短く小回りの利くものへと変化した。 これこそ彼女の別の姿、多対一を想定した《殲滅モード》とは別の一対一を念頭に置いた《断罪モード》である。

 

「⋯⋯ご覚悟を」

「⋯⋯!」

 

 先程までの拮抗した状態とは一変して、戦況は彼女の一転攻勢へと変化した。 素早く間合いを詰めて斬り伏せる彼女の攻撃は、間違いなく先程の三倍は速い。

 

「これはこれは⋯⋯」

 

 仕切り直すべく間合いを開けたガイザに向けて、サロメが放った弾丸が彼の脛を撃ち貫いた。 そのまま膝をついたガイザの隙を見逃すはずもなく、サロメは恐るべき速さで間合いを詰める。そのまま剣を振り下ろした。

 ―――しかし、そこで予想外の事態が起こった。

 

「⋯⋯ガイザ様!」

 

 いつの間にか会場の入口に立っていた男が、叫びながらサロメに向けて発砲したのだ。 《断罪モード》によって極端に視界が狭くなっていた彼女は、それに反応出来ずに彼女の身体の中で最も柔らかい部分⋯⋯脛を弾丸によって撃ち抜かれた。

 

「⋯⋯グッ」

「⋯⋯あっしの力では及びませんでしたが、仲間の力での勝利でござんす。 では⋯⋯神妙に逝け!」

 

 膝をついた彼女に向かって、立ち上がったガイザが勝利宣言と共に剣を振りかぶる。 彼女は悔しそうに顔を歪めるが、足が機能せずに動けない様子だった。 絶望的な表情を浮かべるサロメにその凶刃が迫る―――



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終決

「サロメ! ⋯⋯うぉぉぉ! 炎獄よ!」

「⋯⋯!」

 

 ニコラが手袋を脱ぎ捨てて、その手を向けながら叫ぶ。 数瞬遅れてサロメとガイザの間に炎の壁が発生した。 そして⋯⋯そのままサロメの元へと駆け寄っていく。

 

「大丈夫か?」

「⋯⋯損傷過多。 避けきれずに翼を損傷致しました」

 

 どうやら炎の壁が少し間に合わなかったようで、彼女の機構の翼は真っ二つに斬られていた。

 そして彼女が飛べないという絶望的な事実。 つまり、彼らはこの場からの脱出方法を失ってしまったのだ。 依然燃え盛る炎の壁によって追撃からは守られているが、果たしてそれもいつまで持つか。

 

「⋯⋯どうしましょうか」

「⋯⋯どうした? 不安なのか?」

「⋯⋯是。 やはり死ぬのは怖いです」

「へへっ。 人間らしい所を見せてくれるな。 だったら⋯⋯オレも頑張ってやるよ」

 

 そう言ってニコラは立ち上がる。 その表情から多少の怯えの色は伺えたが、それでもガイザに立ち向かうようだ。

 

「⋯⋯さて。 サロメ。 ひとつ頼まれてくれるか?」

「是。 なんでしょうか?」

「今からオレが言うことをやってほしい。 ――――――――」

 

 彼女はサロメに耳打ちする。 それを聞いてサロメは「是」とだけ言って呟いた。

 

「⋯⋯さて。 来なよ? 聞こえてるんでしょ?」

 

 振り向きながらニコラは指先から炎の弾を放つ。 何も無い虚空を貫くはずであったそれは、そこにいた男によって弾かれた。

 

「あっしの気配に気がつくとは⋯⋯お嬢さんもやり手でござんすねぇ」

「⋯⋯何その喋り方。 キモい。 早く消えてくれ?」

「⋯⋯ふふっ。 手厳しいでござんす。 しかし立ち去る訳にはいきやせん」

 

 途端にガイザが動いた。 その狙いは⋯⋯サロメ!

 

「⋯⋯おいおい。 汚ぇ真似はどうかと思うぜ?」

「⋯⋯何。 敵の弱点を突くという戦いの基本に従ったまで」

 

 炎の壁に阻まれてサロメを仕留め損ねたガイザはニコラに狙いを変更した。

 

「⋯⋯来いよ?」

「言われなくても行くでござんす」

 

 ニコラに浴びせられる全力の殺意。 すくみそうになる身体を、彼女は虚勢を張ることで何とかつなぎ止めた。

 

「⋯⋯ふーん。 そんなもんか。 全然遅せぇな。 サロメはもっと早いぜ?」

「あのお嬢さんには適いやせんぜ」

 

 余裕の表情で攻撃を躱し続けるニコラであるが、内心の余裕はそれほど無い。 これ以上の速度に慣れているから躱せているのであって、決して攻撃が見切れている訳ではないのである。 ガイザもそれに気がついたようで、先程からフェイントを織り交ぜつつの攻撃を繰り出している。

 

「⋯⋯クソっ!」

 

 苦々しく呟きながら、彼女は剣を躱す。 先程から身体を掠める攻撃が多くなっている事に苛立ちを覚えているようだ。 それでも彼女が攻撃を捌けているのは、一重に彼女の異能『炎獄支配』のおかげであった。

 この異能の権能は単純で『炎を操る』。

 

 躱せないと判断した攻撃にはすぐさま炎で牽制を入れることで、何とか捌いているのだ。

 しかし⋯⋯そんな彼女の限界も近い。

 

「⋯⋯そろそろ限界でございやしょう? 楽にしてやりますぜ?」

「⋯⋯ハァハァ。 うるさい、黙ってろ」

 

 気力と体力、そして集中力。 全てが限界に近かった。 もうあと数回の攻防のうちに彼女がトドメを刺されてしまう事は火を見るより明らかであった。

 

「⋯⋯ふっ!」

「⋯⋯ぐあっ!」

 

 遂にニコラが攻撃を喰らってしまう。 派手に吹き飛ばされ、床に叩きつけられた。 かろうじて炎の壁が間に合いガイザの追撃は防げたが、よろめきながら立ち上がるその姿に覇気はなかった。

 

「⋯⋯限界でございやすね」

「⋯⋯だから、黙ってろって。 勝手に決めつけるんじゃねえよ」

 

 彼女は大きく前に一歩を踏み出した。 明らかに戦える状態ではないが、その迷いのない一歩はほんの少しだけ、ガイザを退かせることに成功した。

 

「⋯⋯とりあえず邪魔者は消えろ」

 

 その隙を見逃さずに、ニコラは指先から炎の弾を放ち、入口の辺りに集まっていた男たちを迎撃した。

 

「お嬢さんも卑怯でございやすねぇ」

「は? お前が先にやったことだろ?」

 

 軽口を叩くガイザを睨みつける。 彼は剣を鞘にしまい、抜刀の構えを整えていた。

 

「⋯⋯あっしのこの技で倒せなかった相手はおりやせん」

「ふーん。 そうなんだ。 でも、それで本当にオレを倒せるとでも?」

 

 虚勢を張っているニコラであるが、その視線はガイザの一挙一動を油断なく見つめている。

 ―――それでも、ガイザの攻撃を見ることは叶わなかった。

 

「終いでござんす」

「⋯⋯!」

 

 目にも留まらぬ速度でいつの間にかニコラの正面に移動してきたガイザの呟きでようやく気がつく。 既に鞘から剣を抜き放ち、その切っ先を自分に突き出しているところであった。

 

「⋯⋯くそったれ!」

 

 短い罵倒を残して、彼女の立つ場所に雷が落ちる。

 耳をつんざく轟音が去ったその場所には何も残っていなかった。

 

「⋯⋯秘剣《雷迅》。 ⋯⋯お嬢さん、貴方は強かったでござんす」

 

 それを確認したガイザは地面に落ちた三角笠を被り直しながらそう呟く。

 

「⋯⋯なーに殺してくれてんだ?」

「⋯⋯!」

 

 声が聞こえた。

 自分に迫り来る何かを察知したガイザは脊髄反射で剣を抜きながらそれを斬り伏せる。 それは先程から何度も見てきた炎の弾であった。

 

「⋯⋯お嬢さん。 不死身ですかい?」

「まさか。 そんな訳ないだろ?」

 

 ガイザの問いかけを笑いながら一蹴したニコラ。 方法は分からないが自分の必殺技を凌がれて流石のガイザも驚いている様子だった。

 

「ただ⋯⋯あんたとはもう戦いたくねえな。 もう帰るわ」

「⋯⋯逃がしやせんぜ」

「だったら試してみろよ?」

「⋯⋯!」

 

 パチンと指を鳴らした彼女の身体が消える。 再び現れたのは地面に座り込んだままのサロメのところであった。

 

「大丈夫か?」

「是。 問題ありません」

 

 既に機構の翼を畳んで通常形態へと戻ったサロメはさし伸ばされたニコラの手を取る。 困惑するガイザを置いて、二人は再び消えた。

 どれだけ待っても、再び彼女らが現れることは無かった。

 

「⋯⋯逃げられやしたか」

 

 彼はそう呟いて鞘に剣を戻す。 そのまま戦いの途中に見かけた()()()()へと駆け寄った。

 

「⋯⋯姐さん」

 

 彼は『毒蝶』の会長であった女の死体の前で静かに手を合わせる。そして、胸の辺りから何かを取り出して、その栓を抜き死体にかける。

 

「冥土の土産でござんす」

 

 ガイザがかけたのは、宴で共に飲み明かすはずであった酒。 彼自身も容器に口をつけて、ぐびぐびと酒を飲み干した。

 

「⋯⋯姐さんのおかげであっしはここまで生きてこれました。 絶対に仇は討つでござんす。 ⋯⋯どうか安らかに」

 

 さらに三角笠を目深に被った彼は、自分の頬から流れ落ちる雫に気が付かない振りをしながら、ライターを取り出し、静かに死体へと火をつけた。

 

「⋯⋯皆さん。 生きていやすか?」

「⋯⋯ハッ! ガイザ様!」

 

 入口の辺りで気絶していた男たちは次々と目を覚ます。 どうやら死んではいないようだ。 ガイザはその様をニッコリと微笑んで見つめる。

 そして言い放った―――

 

「姐さんが殺されやした。 ⋯⋯おそらくは革命軍の連中に」

「そんな⋯⋯会長が」

 

 彼らの中には涙を流す者もいた。

 彼らのボスはそれほどの人物であったのだ。

 

「⋯⋯あっしは絶対に仇を討つでござんす。 ⋯⋯皆さんは好きにしてくだせえ。 とりあえず⋯⋯『毒蝶』はお終いでござんす」

 

 ガイザはそう言い残して悠然と歩き出す。 ここからは自分の闘いだ。 関係ない者を巻き込む訳にはいかない。

 

「⋯⋯私はついて行きます」

「⋯⋯俺もだ!」

 

 そんな彼を追う者も全員では無いにしろ多くいた。

 

「⋯⋯恩に着るでござんす」

 

 彼は三角笠を軽く上げてそう呟いた後、そのまま前へと歩き出した。 その胸に消えることの無い復讐という炎を燃やしながら⋯⋯

 

 ―――この日、世界中にて多くの犯罪を起こしてきた組織『毒蝶』は、その会長が討たれたことによって壊滅した。

 

 それと同時に⋯⋯その『毒蝶』の生き残り『雷神のガイザ』が行動を開始したのだった。

 

 革命軍に地獄を見せる復讐鬼として⋯⋯



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作戦終了と叱咤

 ここは、とある国の外れに位置する「革命軍本部」その一角にて、現在怒号が響き渡っていた。

 

「それで⋯⋯お前たちは失敗して帰ってきたと」

「いや⋯⋯だから失敗してねえっての!」

 

 大きく机を叩きながら声を荒らげるのはニコラ。 彼女は目の前に座る大柄の男を忌々しげに見つめている。

 

「ニコラ、暴れる、良くない」

「そうだよ〜。 ちょっと落ち着きなよ〜」

「うるせえ黙ってろ! これで落ち着いてられるかよ!」

 

 そんな彼女を止める仲間の健闘も虚しく、ニコラは男に喰らい付いていく。

 

「⋯⋯お前たちが失敗していなかったとしても関係ない。 結果として、お前たちは魔剣の奪取に失敗した」

「だから! テメェは倒せるのかって聞いてるんだよ、『雷神』を! それに『毒蝶』の会長は始末したんだから別に問題ねえだろ!」

「そもそも出会さないように行動出来たはずだろう? 一度奪った魔剣を奪い返されるなどという失態を起こしたのは君たちの責任だ」

 

 必死の弁明も冷たくあしらわれたニコラの激情は留まるところを知らない。 遂に炎をその手に灯しだした。 しかし、「出て行くがいい」という声と共に彼らはつまみ出されるのであった。

 

「⋯⋯くそっ! ムカつくなぁぁぁ!」

「是。 自分だけ安全なところでぬくぬくしておいてあの言い草⋯⋯ものすごく苛立ちを覚えます」

「ですよねー。 私もあの人苦手ですー!」

 

 廊下を歩きながらも彼女らの激情は収まらない。 ブツブツと文句を言いながら行進する様は多くの同胞にすらも異端視される程であった。

 

「おい⋯⋯十四番隊だぜ」

「⋯⋯なんでも任務に失敗したらしいぞ。 絡まれないうちに行くぞ!」

「ああん?」

 

 通り際にヒソヒソと離される噂話に突っかかろうとするニコラを、今度はサロメが取り押さえた。彼女の豪腕に取り押さえられたニコラは動く事が叶わない。

 

「全く。 少し落ち着きなさいよ単細胞。 確かにあのおっさんが言うことは気に食わないけど、言うことも一理あるわ」

「⋯⋯くそったれ。 わかったよ」

 

 暴れ狂うニコラを諌めたのは、皆が暗めの色の任務服を着込む中で一人だけ白衣を纏った端正な顔立ちの少女であった。

 

「まぁあの人はああ言ってるけど、気にする必要なんてないわ。 あの魔剣が無くても私たちには関係ないもの。 まぁこれからは気をつけて行動するようにしましょう。 次からも私が助けてあげられるとは限らないもの」

「そうだな⋯⋯ありがとうリーシャ」

 

 ニコラはその少女―――リーシャに頭を下げる。 彼女は柔らかく微笑んだ後に「良いわよ」と呟いた。 実は彼女こそが、あの絶望的な状況からサロメとニコラを救出した人物だったのだ。

 

「それじゃあ! 任務も終わったことですし遊びに行きましょうよ!」

「お! いいねぇ。 僕も遊びたいよ!」

「是。 休息が必要と判断」

「ふふっ。 良いわね。 私も色々と調達したいものがあるし」

「遊び、たい」

「たっく。 仕方ねえな。 思いっきり遊ぶぞー!」

 

 青髪の溌剌とした少女―――ナビィの提案に全員が同調する。 彼らは拳を突き上げた後に、ワイワイとしながら準備をするべく自室へと向かう。

 事件が起きたのは、その途中のことであった―――

 

「いやいや。 流石は落ちこぼれの十四番隊。 任務失敗後に反省もしないで遊びに行くとは⋯⋯その能天気さには恐れ入ったよ」

「⋯⋯ゴルアン」

 

 丸々と肉付いた男が、難癖をつけながら彼らに絡んでくる。 その男―――ゴルアンはニヤニヤと意地悪い笑みを浮かべながら彼らの前へと歩み寄った。

 

「全く⋯⋯いいかい? 君たちみたいな凡人は僕たち天才の足を引っ張らないように訓練に励むべき立場なんだよ。 それを自覚してくれないと困るねえ」

「⋯⋯あん? んだよテメェ」

「ふーん。 そうやってすぐに暴力に訴えるんだねえ。 やはり君は低脳だ。 『女装癖』のニコラくん?」

「あん! やるのか? ぶっ殺してやるよ」

 

 ニコラがゴルアンの胸ぐらを掴みながらそう言った。先程と違い、仲間たちも今度は彼女を諌める気配はなかった。 しかし、彼の表情に余裕はあった。

 

「それで俺を殺してどうするんだ? お前はその後の制裁をどう乗り切るつもりだ? その次、を考えられない君は所詮雑魚なんだよ」

「グッ⋯⋯」

 

 黙り込んだニコラを見て、彼は「それに⋯⋯」と続ける。

 

「君の『異能』は知っている。 炎を操る能力だろう? 普段君は、それを暴発させないように手袋をしている。 ただ今もそれをつけたままだ。 本当に殺す気もない雑魚の言葉なんて響くわけないじゃないか」

「⋯⋯やめろ馬鹿者が」

 

 得意げな顔でつらつらと論理を並べていたゴルアンの頭を後ろから来た強面の男がコツンと叩いた。 彼は頭を抑えながら小さく呻く。 その男はゴルアンの首根っこを掴みあげながら、こちらを見つめた。

 そして、そのまま頭を下げる。

 

「こいつが失礼したな。 十四番隊」

「あっ⋯⋯ああ。 ⋯⋯大丈夫だ」

 

 その様子に呆気に取られていたニコラは、二つ返事でそう呟いた。 彼はこくりと頷いた後に、未だ恨めしげに自分たちを見つめているゴルアンの頭を殴り無理やりに連行していくのであった。

 

「いやー。 ニコラさんナイスです! よくあそこで胸ぐらを掴みました!」

「⋯⋯ニコラ、かっこよかった」

「おいやめろ! 引っ付くなナビィ!」

 

 振り返ったニコラを迎えたのは仲間の盛大な歓迎であった。 特にナビィはニコラの身体に掴みかかって離さない。 よっぽど鬱憤が溜まっていたようで人一倍清々とした顔ぶりである。

 

「うん。 正直驚いたね〜。 まさか一番隊の隊長様が出てくるなんて⋯⋯」

「是。 あのように素晴らしい上司からゴミみたいな部下が出るとは信じ難いですね」

「⋯⋯ちょっと! サロメがキレてるわよ!」

「まぁいい。 とりあえず部屋に戻るぞ」

 

 ひとつの波乱を超えた一行は再びワイワイと騒ぎながら廊下を歩いていくのであった。



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