悟空の化身のヒーローアカデミア (烈光)
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第1話 個性を発現するために

初投稿ですのであたたかく見守っていただけると嬉しいです。ご意見・ご感想お待ちしております。


『結論から申し上げます。個性は発現していますが、体がその個性に追いついていない状態です。』

 

お医者さんのその言葉にお父さんとお母さんはわけがわからない顔をしていた。

 

僕の名前は野沢明(のざわあきら)。4歳の誕生日を迎えた1月27日の今日、僕はどんな個性が発現しているか確認する為、お父さんとお母さんと3人で病院にきていた。

 

僕の暮らす世界では4歳になるとほとんどの人はそれぞれ特徴の違った特殊能力、『個性』を発現する。実際僕の通う保育園でも個性が発現した子がたくさんいた。僕も自分がどんな個性を発現するのか楽しみだった。

 

でも実際は…

 

『稀なパターンですが、大変強力な個性のようでして、脳が自動的にストッパーをかけているようです。無理に個性を使おうとすれば体は壊れてしまい、最悪死に至ります。しかしこのまま何もしなければ無個性と同じ生活を送る事になるでしょう。』

 

お医者さんの説明を聞きお父さんは呆然とし、お母さんは泣いていた。その時、僕は先生にこう訪ねた。

 

『せんせー、どうすれば個性が使えるようになりますか?』

 

その質問にお父さんとお母さんは驚いて僕を見た。

 

『明くんはどんなヒーローが好きかな?』

 

『僕、悟空が大好きなの!』

 

『悟空って、ドラゴンボールの孫悟空の事かい?』

 

『ウン!僕、悟空みたいに地球も宇宙も救えるようなスーパーヒーローになりたいの!』

 

僕はお父さんとお母さんの影響もあってか、ドラゴンボール、特に主人公の孫悟空が大好きで、家にはマンガはもちろん、アニメ・映画のDVDやBlu-ray、ゲームソフトも全てあり、物心ついたときからそれらに触れていた。特にアニメや映画のDVDやBlu-rayを観るのが大好きだ。

 

『そうかぁ。ならまずはいっぱい運動して体力を付ける事だね』

 

『それって、悟空みたいに修行しろってこと?』

 

『そうだね。たくさん修行すればいつか個性が使えるようになれるさ。』

 

『わかった。僕いっぱい修行して個性が使えるようになる。そしていつか悟空みたいなヒーローになる!』

 

それから僕の修行の日々は始まった。まずはスタミナを付けるために走り込みから始めた。毎日毎日、朝から晩までとにかく走りまくった。スタミナがついてからは本格的な筋トレも始めた。お父さんとお母さんは僕のために筋トレの先生もつけてくれた。

 

個性が使えない事を理由にいじめてくる子も何人かいたが僕は気にしなかった。いつか個性が使えると信じてひたすら修行していた。

 

そして修行を初めて2年程経過し来月からは小学生という6歳の3月はじめ、僕の家の隣にとある一家が引っ越して来た。




いかがだったでしょう。今まで頭の中で考えていた内容を初めて投稿してみました。今後も毎日ではありませんが投稿していくのでよろしくおねがいします。


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第2話 初めてできた友達

前作より長くなってしまいましたが、よかったら読んでいって下さい。


夕方頃、隣に引っ越してきた一家が引っ越し作業を終えて僕の家に挨拶に来た。

「この度隣に引っ越してきました塩崎といいます。よろしくおねがいします。」

『野沢です。こちらこそよろしくおねがいします。』

「この子はうちの一人娘の茨です。茨、ご挨拶しなさい。」

「塩崎茨です。よろしくおねがいします。」

『あらあらかわいいお嬢さんね。よろしくね茨ちゃん。ならうちの息子も紹介しますね。明ぁ、ちょっと来なさい。』

『はーい、なぁにお母さん?』

『こちら今日お隣に引っ越してきた塩崎さん御一家よ。この子がうちの一人息子の明です。』

「はじめまして明くん、今日隣に引っ越してきた塩崎です、よろしくね。この子は娘の茨です。仲良くしてあげてね。」

「塩崎茨です。よろしくおねがいします。」

『野沢明です。よろしくおねがいします。』

話を聞くと塩崎さんは僕と同い年で4月からは僕と同じ小学校に通うそうだ。僕は彼女を一目見たときすぐにその特徴的な髪の毛に目がいった。緑色でトゲトゲがたくさん付いた腰辺りまで伸びる髪の毛を見て、これがあの子の個性なんだろうなぁとすぐに思った。

それから何日かして朝のジョギングを終えて家に帰ってきた時に塩崎さんと顔を合わせた。

『おはよう塩崎さん。』

「おはよう御座います、野沢さん。どちらにいらしてたのですか?」

『朝のジョギングから帰ってきたところだよ』

「ジョギングですか。毎日行ってるのですか?」

『うん。朝の6時から1時間、4歳になってから毎日ね。』

「じゃあもう2年もですか。すごいですね。」

『そんなことないよ。個性を使えるようになるためにはもっともっと修行しないとね。』

「えっ、個性を使えるようになるって、どういうことですか?」

『えっと、話すと長くなるから、朝ごはん食べたら話すから、家に来てくれないかな。』

「わかりました。聞かせて下さい。」

その後、朝食を食べた後家にやってきた塩崎さんに全てを話した。個性のこと、修行のこと、いじめられている事も全て。塩崎さんは僕が話している間黙って話を聞いていてくれた。そして僕が話し終えた後、塩崎さんに質問してみた。

『やっぱり個性が発現しているのに使えないなんて、塩崎さんもおかしいと思うよね。』

「そんなことありません。個性を使えるようにするためにイジメにもめげずに修行する野沢さんを私は尊敬します。」

『そんなふうに言われるとちょっと照れるけど嬉しいな。ありがとう。』

「それに、私は自分の個性が嫌いですし、こんな個性なければと思います。」

『塩崎さんの個性ってその髪の毛だよね。素敵な個性だと思うけど、どこが嫌いなの?』

「私、この髪のトゲのせいで両親や祖父母から頭を撫でられたことがないんです。それによく引っかかるので着替えとか大変なんです。」

『なるほど、個性っていいことばかりじゃないんだね。』

塩崎さんの話を聞いた僕はスッと立ち上がり塩崎さんの横に座り彼女の頭を撫でた。

「だっ、だめですよ野沢さん!手をケガしてしまいますよ!」

『大丈夫だよこんなキズ、いつもやってる修行に比べたら大したことないよ。それに塩崎さん僕のこと尊敬するって言ってくれたでしょ。そんなふうに言われたの初めてだったからとっても嬉しかった。だから僕も塩崎さんの初めてになってあげたいんだ。』

「野沢さん、ありがとうございます。」

塩崎さんの頭を撫でて手のひらは傷だらけになったけど全然気にしなかった。むしろ塩崎さんの髪に血を付けた事を謝ったけど、塩崎さんも全然気にしてないと笑ってくれた。

『ねぇ塩崎さん、塩崎さんの個性のこともっと詳しく聞いてもいいかな?僕もっと塩崎さんとお話したいし、塩崎さんと友達になりたいんだ。』

「もちろんです。私も野沢さんとお話したいですし、野沢さんとお友達になりたいです。」

それから僕達はお昼頃まで話をしていた。塩崎さんの個性のこと、僕がドラゴンボールが大好きなこと、お互いどんなヒーローが好きだとかいろんな話をした。特に塩崎さんの個性の話を聞いて『水と日光を摂っていればすぐに髪が生えるなら、いろんな髪型ができるね』と言ったら塩崎さんは驚いた顔をしていた。そしてもうすぐお昼だから帰ろうとなったとき、

「あの野沢さん、これからは名前で呼んでも構いませんか?」

『もちろん。僕も名字じゃなくて名前で呼んでもいいかな?』

「もちろんです野沢さん、じゃなかった、明さん」

『別にさん付けじゃなくても呼び捨てでいいよ、茨さん。』

「なら私の事も茨と呼んで下さい、明。」

『わかったよ。これからもよろしくね、茨』

「はい!」

こうして僕に初めて友達ができました。




今回は私の一押しの塩崎茨さんとの出会いの話となりました。オリ主の個性は次回少し使用させます。次回もお楽しみに。ご意見・ご感想お待ちしております。


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第3話 遂に個性が!

お待たせしました。第3話です。楽しんでいただけると幸いです。今までより読みやすくなったかと思います。


4月を迎え僕と茨は小学校に入学した。もちろん登下校は一緒に行っている。幸いクラスも同じクラスになった。小学校には同じ保育園から上がってきた生徒もいたし、初めて見る生徒もたくさんいた。茨のほうは時間が経つにつれて同性の友達ができているようだった。一方僕の方は個性の事を話すと馬鹿にしたり距離を置く人、修行の事を話すとおぉ!と感心する人など様々だったが友達はなかなかできなかった。でも僕は茨がいてくれればいいと思い気にしなかった。ただやっかいなのが保育園の時に僕をイジメてたガキ大将が小学校で仲間をつくってまた僕のことをイジメてきた。幸いクラスが違ったのでしょっちゅういじめられる事はなかったし、相変わらず僕は無視をしていた。だがガキ大将は僕が無視をする事と僕が茨と仲良くしている事が気にくわないようだった。そして入学してから1ヶ月ほど経過したある日、事件は起きた。

授業の終わった放課後、茨と一緒に帰ろうと思ったが茨の姿が見当たらない?あちこち探していると

 

茨『やめて!離して下さい!』

 

茨の嫌がる声が聞こえ、すぐに声の聞こえた所へ駆け出した。

 

「こんなトゲだらけの髪の毛なんて人を傷つけるだけの没個性なんだよ!お前はヴィラン堕ちがお似合いだ!」

 

茨はガキ大将の取り巻き2人に羽交い締めにされ、ガキ大将に暴言を吐かれていた。

 

明『お前ら、何やってるんだ!』

 

茨『!明、助けに来てくれたんですか!』

 

「フン!役立たずの無個性野郎の登場か!」

 

茨『明は無個性じゃありません!』

 

「うるせぇ!この女は俺にケガさせたんだ!だからその仕返しをするんだよ!」

 

茨『私は強引にひっぱるあなたの手を払いのけただけです。大体、悪いのはあなたじゃないですか!』

 

「フン!こんな無個性野郎と仲良くしているお前が悪いんだよ!この没個性のヴィラン女!」

 

明『…めろ』

 

「あ?何いってんだオメェ!」

 

明『やめろと言ってるんだ!僕のことをイジメるなら好きにすればいいさ!だけど茨を、大切な友達をイジメることは絶対許さないぞ!』

 

茨『明…』

 

「おもしれー、お前ら、ボコボコにしてやれよ」

 

取り巻き2人が茨を開放し僕に殴りかかってきた。正直勝てる見込みはない。今までケンカなんてしたことがない。修行はしてても走り込みや筋トレだけで武術なんて全く習ってない。ましてや相手は2人、多勢に無勢だ。それでも、茨を守るためにと僕は身構えた。すると、不思議なことが起こった。2人の動きがものすごくスローに見えた。取り巻きの1人が放ったパンチを僕は紙一重で躱した。相手は勢いのあまり思いっきり転んでしまった。それを見たもう1人が僕に殴りかかってきたが、それも難なく躱した。その後2人がかりで僕に攻撃してきたがどんな攻撃も全て躱した。最初は戸惑って紙一重で躱していたが、動きに慣れてくると余裕を持って躱すことができた。そして躱しているうちに戦い方が頭に流れてきた。どうすれば相手にダメージをあたえられるか、どう殴れば相手を気絶させることができるか等。そして戦い方を理解しているうちに僕は気がついた。僕が反撃したら、相手は大ケガをすると。それほど強力な戦い方だった。だから僕はこちらから手は出さず、相手に足払いをかけて転ばせることにした。

殴りかかる→転ぶ→起き上がるを続けているうちに、取り巻き2人は徐々に体力を消耗していった。

 

茨『スゴイ。明がこんなに強いなんて。もしかして、これが明の個性なのでしょうか?』

 

その後取り巻き2人はスタミナ切れで動けなくなった。

 

「全く、こんな無個性野郎に何やってるんだ!クズどもが!」

 

遂にガキ大将自ら動いてきた。茨は心配そうな顔をしていたが僕は軽く深呼吸して相手を睨む。まずは相手の攻撃を見極める事に専念した。ガキ大将の攻撃は取り巻き2人より少し速くなっただけで、難なく躱す事ができた。僕は先程と同様攻撃を全て躱して、足払いをかけて何度も転ばせた。

 

「ちっくしょー!なんで一発も当たらないんだ!こうなったら」

 

攻撃が当たらない事にイラついたガキ大将は個性を使ってきた。僕はガキ大将の個性がどんなものか知っていた。保育園時代からいろんな人に自慢していたからだ。ガキ大将の個性は通常よりも速く動けるというもので、使いすぎると気絶してしまうと言っていた。僕は気絶待ちを狙って足払いをやめて躱す事に専念した。最初は先程よりも速くなった攻撃に驚き、紙一重で躱すのが精一杯だった。頬を何発もかすめて少し血が出ていた。しかしスピードに慣れてくると余裕で躱す事ができた。そして個性を使った攻撃を始めて5分ほど経過して、遂にガキ大将がスタミナ切れを起こして気絶してしまった。ガキ大将は取り巻き2人に担がれて帰っていった。

 

茨『明、助けてくれてありがとうございました。』

 

明『茨!大丈夫?ケガとかしてない?』

 

茨『私は大丈夫です。私より明は大丈夫ですか。頬から血が出ていますよ。』

 

明『これくらい平気だよ。あとごめんね。僕のせいで茨にツライ思いをさせちゃって。茨は没個性でもヴィランでもない、素敵な女の子だよ』

 

茨『それも大丈夫です。明ならそう言ってくれると思ってましたから。あと、私の事を助けに来てくれて嬉しかったです。』

 

明『茨は僕の大切な友達だからね。当然の事をしただけだよ。』

 

茨『ところで、明はケンカしている最中、個性を使ったのですか?』

 

明『いや、個性は使ってないよ。ただ不思議なことが起きてさ。』

 

僕は茨にケンカの最中自分に起こった出来事を全て話した。

 

茨『もしかして、体が個性に追いついて、使えるようになったのではないでしょうか?』

 

明『でも、自分で個性を使ったって実感がないんだよね。とにかく、今日の事を父さんと母さんに話してみるよ。茨、一緒に話してくれる?』

 

茨『もちろんです。それなら早く帰りましょう。あんまり帰りが遅いと心配されますから。』

 

下校の時刻からだいぶ経過していたので、僕達は急いで家に帰った。案の定普段は僕より後に帰ってくる母さんが先に帰ってきており、帰りが遅いと怒られた。その後、父さんが帰ってくると茨を家に呼んで今日の出来事を全て話した。茨を守った事と手を出さなかった事は褒められた。あと茨のご両親にもお礼を言われた。個性の事は後日病院に行って検査する事になった。

翌日の朝、いつものようにジョギングに行こうと外に出るとジャージ姿の茨が待っていた。

 

明『おはよう茨。どうしたのこんな時間に?』

 

茨『おはようございます明。今日から私も明と一緒にジョギングします。』

 

明『それは構わないけど、どうしたの急に?』

 

茨『昨日の事があって私も強くならないといけないと思いました。助けられる側じゃなく、私も誰かを助けるヒーローになりたいですから。構いませんか?』

 

明『もちろん。じゃあ一緒に行こう。でも無理はしないようにね。』

 

茨『はい!』

 

こうして僕と茨は一緒にジョギングする事になった。2人で走るのはとても楽しかった。茨は意外に体力があるのか、僕に余裕でついてきていた。あと、僕は体に負荷をかける為に重りをつける事にした。流石に亀の甲羅を背負ったり、重い服や靴を着ることはできないので、両手両足に重り入りのリストカバーを付けることになった。慣れないうちはかなり大変だった。

ケンカ騒動から3日後、休日になり病院に行って検査をした。結果はまだ体は個性に追いついていなかった。けれど4歳の時に比べればかなり成長していると言われた。あと自分の個性が常時発動タイプの異形型だと分類された。僕のクラスにも異形型の個性の子は何人かいたが自分がそれに分類されるとは思わなかった。でもその事がわかって少し嬉しかった。それとケンカの時の出来事から、対人戦闘訓練をしたらどうかと勧められたが訓練してくれる相手がいないのでこの訓練は一旦保留となった。

それから学校に行きながら修行をかさね、小学校3年生の冬、9歳の誕生日まであと1週間の日まで過ぎた。

 

※ちなみにガキ大将と取り巻きは僕に手も足も出なかった事が噂になり、大人しくなりイジメもなくなりました。




前回の最後に個性を少し使用させると書きましたが、本当に少しになってしまいました。ごめんなさい。次回完全に使用できるようにさせます。ご意見・ご感想お待ちしております。次回もお楽しみに。(ちなみに「不思議なことが起こった」は某特撮から引用しました)


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第4話 個性の名前は

お待たせしました。第4話です。かなりのご都合主義な展開ですが、よかったら最後まで読んで下さい。


茨『来週は明の誕生日ですね。何か欲しい物はありますか?』

 

明『別に無理しなくていいんだよ。クリスマス・誕生日と2ヶ月連続でプレゼント用意するの大変じゃない?』

 

茨『そういう訳にはいきません。明だって私と出会ってから毎年誕生日とクリスマスにはプレゼントしてくれてるじゃないですか。』

 

明『ならお任せでいいよ。茨がくれる物ならなんだって嬉しいし。』

 

茨『それが1番難しいんですけどねぇ。かといって人工重力発生装置とか精神と時の部屋なんて言われても困りますけど。』

 

明『そんな無茶言わないよ。確かに欲しいのは本当だけど。』

 

修行を始めてもうすぐ5年、来週には9歳になる僕は今日も学校を終え茨とプレゼントの話をしながら下校していた。

 

この約5年間、個性を使えるようになるために必死で修行してきた。両親は僕のために家の隣の空き地を購入し、そこに大きなトレーニングルームを建ててくれた。それに知り合いの武闘派ヒーローを紹介してくれて保留していた対人戦闘訓練も始めた。この修行がやってて1番楽しかった。あと重りも徐々に重くしていき、今では1つ10キロの重りを両手両足に付けても余裕で動けるようになった。

 

これらの修行のおかげで同年代に比べるとかなりたくましい体になった。あと茨もジョギングの他にも時々一緒に筋トレしたり、個性を扱う練習もしていた。おかげで茨も初めて出会った時よりも体力も筋力も付いたし、個性の使い方も上手くなっていた。しかし5年間修行しても僕は個性を使えるようにはならなかった。

 

明『でも、やっぱり1番は個性が使えるようになりたいなぁ。』

 

茨『修行を始めてもうすぐ5年ですからねぇ。明はどんな個性だったらいいですか?』

 

明『やっぱり悟空みたいな個性がいいなぁ。』

 

茨『明は本当に悟空が好きなんですね。』

 

明『まぁね。全部とは言わないけど、どれか1つでも出来たらなぁって思ってるよ。舞空術で空を飛んだり、界王拳でパワーアップしたり、かめはめ波を打ったりさ。』

 

そんな他愛もない会話をしながら僕は空に向かってかめはめ波の真似事をした。

 

明『かーめーはーめー波ぁぁ!』

 

すると突き出した両手が青白く光だし、そして、

 

『ギュイーーーン!』

 

なんと青白い光が空に向かって勢いよく飛んでいった。そう、モノマネでやったかめはめ波が本当に打ててしまったのだ!光が空の彼方に飛んでいったあと、僕は茨と顔を見合わせた。

 

明『今の見た?』

 

茨『見ました。』

 

明『ちょっとほっぺたつねってくれない?』

 

茨『わかりました。ムニュ。』

 

明『痛い。』

 

茨『私にもお願いします。』

 

明『わかった。ムニュ。』

 

茨『痛いです。』

 

明・茨『夢じゃないぃぃ!』

 

明『なんで?どうして?どうなってるの?』

 

茨『明、何したんですか!どうしてかめはめ波が打てるのですか!』

 

突然の出来事に僕達2人がパニックになっていると、

 

「こらぁ!誰だ校庭で勝手に個性を使っているのは!」

 

先生の1人が怒って校舎から声を出した。

 

明『ヤバイ!茨、逃げよう!』

 

茨『えっ、ちょっと明、待ってください。』

 

僕は茨の手を引き一目散にその場から逃げ出した。誰も追いかけてこないことを確認して下校途中の公園で休憩した。

 

明『よかった。誰も追いかけてきてないみたいだ。』

 

茨『それにしても明、さっきのかめはめ波は一体?』

 

明『僕にもわからない。でも、僕の個性に関係あるのは間違いない。とにかく早く帰ろう。今日は母さん早く帰ってくるって言ってたからもう帰ってきてるはずだ。茨、証人になってほしいから一緒に来てくれる?』

 

茨『わかりました。なら早く帰りましょう。』

 

僕達は急いで帰宅し、母さんにかめはめ波の事を話した。母さんは最初は半信半疑だったが茨の証言で信じてくれた。

 

そして僕は茨も一緒に病院に行く事になった。父さんには仕事を早退してもらい直接病院に来てもらう事になった。

 

病院で先生にかめはめ波の事を話すと実際にやってみようということになり、病院地下のトレーニングルームのような場所に案内された。

 

「じゃあ明君、あの的めがけてかめはめ波を打ってくれるかい」

 

明『わかりました。いきます!』

 

僕は先生に指示されかめはめ波を打つために構えた。

 

明『かーめーはーめー』

 

今度は腰に手を構えている間に青白い光の玉が両手の中で作られていた。

 

明『波ぁぁ!』

 

そして両手を前に突き出すと青白い光が的めがけてスゴイ速さで飛んでいき、光が的に当たると的は爆発し木端微塵に砕け散った。父さんと母さん、そして病院の先生は呆然としていた。

 

茨は1度見ていたがかめはめ波の威力に驚いていた。僕自身も何も考えてずに打ったので先生に怒られるんじゃないかとヒヤヒヤしていた。その後先生に診察されて診断結果が話された。

 

「まず個性ですが、肉体が個性に追いついたと見ていいでしょう。」

 

「本当ですか。それでどんな個性なんですか?」

 

「それなんですが、明君の個性に対しての前例がないため、どう説明すればいいのかわからないのですが、ご両親お二人の個性が影響しているのは間違いないです。」

 

「私達の個性がですか。一体どういうことですか?」

 

「まず、お母さんですが」

 

母さんの個性は『具現』身近にあるものをベースにして自分の考えた物に作り変える個性だ。例えば掃除に使うホウキを槍に変えたり、折れた木の枝を日本刀に変えたりする事ができる。

 

また、この個性は空想上のものも作れるらしいが、その場合強い思い入れがないと作れないらしい。

 

「お母さんは妊娠中どんな事を考えて生活していましたか?」

 

「私は妊娠中、悟空のような子が生まれてほしい、悟空のように強く、優しく、みんなに愛される人間に育ってほしい。そんなふうに思いながら生活していました。」

 

「お母さんのその強い思い入れに個性が反応し、胎児をベースとした悟空の能力を持った子供が生まれたと考えられます。」

 

「まさか、そんな事が。」

 

「そしてお父さんですが」

 

「私の個性もですか」

 

父さんの個性は『吸収』目で見た個性を自分の体に吸収してしまう個性だ。ただし、吸収できるのは1日1人、しかもオリジナルの80%程の力しか出せないらしい。ちなみに吸収された人には全くの無害らしく、個性も問題なく使えるらしい。

 

父さんも母さんも強力な個性だと僕は思ったが、2人ともヒーロー活動には興味なかったらしく、ヒーローにはならなかったそうだ。

 

「お父さんは息子さんが何歳の時からドラゴンボールのアニメを見せていましたか?」

 

「妻が出産後退院して息子と家に帰ってきた日からです。」

 

「やはりそうでしたか。息子さんはお父さんの個性の一部を受け継いでいるようでして、生まれて間もない時から悟空を見てきた事で時間をかけて悟空の戦い方を吸収したようです。

 

ですから1年生の時ケンカをしたことがないのに問題なく立ち回れたのだと思われますし、何の訓練もなくかめはめ波を打てたのだと思われます。」

 

「そんな事があるんですか。」

 

「つまり、明君の個性は簡単に言ってしまえばドラゴンボールの孫悟空の力が使えるという個性なんです。」

 

先生の説明に父さんと母さんは驚きを隠せないでいたし、僕自身も驚いていた。母さんがどんな思いで僕を妊娠していたのか、父さんが僕が生まれてすぐにドラゴンボールを見せてくれていた事とか、初めて知る事ができた。そして自分にどんな個性があるかわかったのが1番の衝撃だった。

 

「それで個性の名前ですが、どうしましょう。明君が『気』を使えるので【気】とか、明君自身がサイヤ人なので【サイヤ人】というのもありますが。」

 

明『先生、僕が決めたらダメですか?』

 

「明君がかい。どんな名前を考えてるんだい」

 

明『僕自身が悟空の力を使えるなら、【孫悟空】にしたいです。』

 

「なるほど。どうでしょうお父さんお母さん、お二人が反対しないのでしたら明君の案を採用するのがいいと私は思いますが。」

 

「私はそれで構いません。」

 

「私もです。」

 

「では、【孫悟空】で登録しましょう。」

 

こうして僕に個性の発現が確認され、名前も決まり登録される事になった。

 

野沢明:個性【孫悟空】ドラゴンボールの孫悟空の力が使えるというとんでもない個性だ!ただし、悟空の技を使うにはその技に見合った厳しい修行をしないとダメだぞ。byプレゼント・マイク

 

「あとこの個性は非常に強力です。公表したらヴィランに狙われる可能性もあります。しばらくは周囲の人には単なる増強型の個性という事にしておきましょう。明君、こちらのお嬢さん以外にかめはめ波を打つところを見た人はいるかい?」

 

明『あの時校庭には僕と茨以外誰もいなかったし、先生も僕の顔を見てないから、茨以外誰も見てないはずです。』

 

「なら大丈夫でしょう。明君、みんなに自慢したいだろうけど我慢してね。『気』を使うのはしばらくはトレーニングルームの中だけにしてくれるかい。もちろん、トレーニングルームに他の人を入れてもダメだよ。」

 

明『はい、わかりました。』

 

「あとお嬢さんも今日の事は秘密にしておいてね。」

 

茨『あの、私明に起きた事を両親に話してから家を出てきたのですが?』

 

「それではお二人からこちらのお嬢さんのご両親に話をしておいてもらえますか。」

 

「はい、わかりました。」

 

先生の説明が終わり僕達は帰宅した。帰宅後父さんと母さんは茨のご両親に僕の個性の説明をした。茨のご両親も誰にも口外しないと約束してくれた。あと来週の誕生日は僕の個性の発現のお祝いパーティーも兼ねる事になった。そして翌日、僕はクラスメートには特に何も話さなかった。向こうから聞いてくれば増強型の個性が発現したと嘘を付く予定だったが特に何も聞いてこなかった。そして学校が終わり下校となった。

 

明『茨、話したい事があるんだけど、公園寄ってもいいかな?』

 

茨『ええ、構いませんよ。』

 

僕は茨に大事な話をするため公園に寄った。

 

茨『それで明、話ってなんですか?』

 

明『僕の個性が使えるようになったら茨に話そうと決めてたんだ。前にも話したけど、僕はこの個性を使いこなせるようになって地球も宇宙も救えるスーパーヒーローになる!』

 

茨『ええ、それが明の夢ですもんね。』

 

明『そして、命を懸けて茨の事を一生守れる男になる!』

 

茨『えっ…』

 

明『だから、塩崎茨さん』

 

茨『ハッ、ハイ。』

 

明『僕と、恋人になって下さい!』

 

僕は個性が使えるようになったら茨に告白しようと決めていた。このまま幼馴染みの関係でもいいかと思ったけど、やっぱり自分の気持ちを伝えたかった。もし振られても後悔しない。僕はドキドキしながら茨の返事を待った。

 

茨『よろしくおねがいします。』

 

明『えっ!』

 

茨『実は私もずっと前から明の事が好きでした。』

 

明『ほっ、本当に?』

 

茨『きっかけは1年の時にあのガキ大将から私を助けてくれた時でした。その日から明の事を意識するようになり、一緒に過ごしているうちに好きになっていきました。けれど明は個性を使えるようになるために修行を頑張っていたのでこの気持ちを胸の奥に閉まっていました。だからさっき告白された時、本当に嬉しかったです。』

 

明『茨…』

 

茨『明、私明の事が大好きです。だからこれからも一緒にいてください。』

 

明『僕の方こそ修行ばかりで迷惑かけると思うけど、よろしくお願いします。そして、僕も茨の事が大好きです。』

 

僕達は互いの気持ちを伝えあい、その後抱きしめあった。この日僕達は幼馴染みから恋人同士になった。




いかがだったでしょう。個性が使えるようになったら告白するのは前々から決めていました。自分で読み返してもご都合主義だなぁと思いましたが後悔はしてません。ご意見・ご感想お待ちしております。次回もお楽しみに。


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第5話 中学入学&好敵手(ライバル)登場!

前回から1週間以上空いてしまい申し訳ございません。ようやく第後5話が書き上がりました。よろしければどうぞ。


個性が使えるようになってから僕は今まで以上に修行した。これまでの修行に加え気のコントロールの修行も始めた。最初は手の中で気を集中させる事から始め、その後は全身の気を集中させて体を浮き上がらせる修行、いわゆる「舞空術」の習得に励んだ。最初は10センチ浮き上がるだけでも凄く苦労したが、慣れてくると浮き上がる高さ、飛ぶスピード共に上昇していった。それでも自由自在に飛べるようになるまでに半年もかかった。トレーニングルームの中だけだが茨を背中に乗せて飛んだら喜んでくれた。

 

「かめはめ波」は打つ事自体は出来たので大きさや威力の調整、手元の変化でかめはめ波を曲げる訓練をした。あと、「足かめはめ波」も習得した。正直舞空術があるのに必要かと思ったが、もしもの時のためと思い習得した。この他にも「衝撃波」や「気弾(エネルギー弾)」さらに「太陽拳」も使えるようになった。肉弾戦の技は「多重残像拳」の他にアニメやゲームで出てくる技をいくつか習得した。

 

あと修行とは関係ないが茨と恋人同士になったことをお互いの両親に報告した。正直茨のお父さんには激怒されると思っていたが、

 

『君のような男なら安心して娘を任せられる。』

 

と言って喜んでくれた。その後は結婚だ!孫だ!と茨の両親が盛り上がってしまい、茨は顔を赤くするし、僕はただただ笑うしかなかった。

 

そんな小学生生活を送りながら3年の月日が経過し、今日僕は12歳の誕生日を迎える。僕はいつものようにトレーニングルームで修行をしていた。

 

明『うーん、習得方法がないから仕方ないんだけど、気のコントロールが上手くいかないなぁ。それとも、やっぱり使えるだけの体が出来てないからなのかなぁ。』

 

僕は現在、「界王拳」の習得のために修行している。原作に習得方法がないので独学で気をコントロールをして、瞬間的に増幅させようとしているのだが、何度やっても上手くいかない。それに原作の悟空は地球の10倍の重力の界王様の星で修行していたのだから、自分もそれぐらいの負荷をかけて体を作らないと習得出来ないんじゃないかと思った。

 

現在僕は25kgの重りを4個、合計100kgの重りをつけて修行している。僕の身長と体重は個性の影響なのか12歳の平均値よりはかなり高い。10倍の重力を再現するにはかなりの重さの重りをつける必要があったがそんな重りはないし、両親からも100kgが限界だと言われていた。僕がどうしたものかと悩んでいると、

 

茨『明、パーティーの準備ができましたから、修行を切り上げていただけますか。』

 

茨が僕を呼びに来てくれた。今日はこの後茨と茨のご両親を招いて僕のバースデーパーティーを開催する。

 

明『わかった、今いくからちょっと待ってて。』

 

僕は修行をやめ後片付けをして家に帰った。

 

『12歳の誕生日、おめでとう!』

 

みんなが僕の誕生日を祝ってくれた。たくさんの豪華な料理は母さんと茨のお母さんが、バースデーケーキは茨のお父さんがそれぞれ用意してくれた。

 

茨『明、これ受け取ってください。』

 

明『わぁ、ありがとう茨。開けてもいい?』

 

茨『もちろん。』

 

明『おっ、新しいジャージだ!しかもこの色、悟空が着ていた水色のジャージにそっくりだ!』

 

茨『ネットで偶然見つけたんです。気に入っていただけましたか?』

 

明『もちろん。ありがとう茨。早速明日からこれ着て修行するよ。』

 

『明、これは俺からだ。』

 

そう言うと父さんは小さな箱を僕に差し出した。

 

明『なに、これ?』

 

箱を開けると中には途中で切れた輪っかのような物が入っていた。

 

茨『これは、チョーカーですか?』

 

明『チョーカーって何?』

 

茨『簡単に言えば、首につけるアクセサリーの事です。』

 

『それは《グラビティ・チョーカー》と言ってな、父さんと母さんが務めるサポート会社に協力してもらって作ったものだ。』

 

明『グラビティ・チョーカー?』

 

『口で説明するより実際に使ってみたほうが早いだろう。側面に埋込式のスイッチがあるだろ、それを長押ししてみろ。』

 

僕は父さんに言われたとおりにスイッチを長押しした。すると、

 

『音声登録ヲ開始シマス、使用者ノ名前ヲ仰ッテクダサイ』

 

流れてきた音声を聞き父さんの方を見るとうなずくので僕は自分の名前を言った。

 

明『野沢明』

 

『野沢明サンノ音声登録ヲ完了シマシタ』

 

『よし、次は倍率の設定だ。もう一度ボタンを押してみろ。』

 

『重力倍率ヲ設定シマス。希望ノ倍率ヲ仰ッテクダサイ』

 

『初めてだし、2倍にしておけ。』

 

僕は父さんの言うとおりにした。

 

明『2倍』

 

『倍率2倍ニ設定シマシタ』

 

『よし、これで準備完了だ。首につけて「ロック」と言うんだ。それでチョーカーが装着される。』

 

明『わかった。ロック!』

 

するとチョーカーが装着されて体に負荷がかかった。  

 

明『うおっ!体が重くなった。』

 

『お前の体に通常の2倍の重力がかかってるんだ。「アンテ」と言えば外れるぞ。』

 

僕が「アンテ」と言うとチョーカーはカチッと音を鳴らし外れた。

 

『どうだ、付けてみた感想は?』

 

明『凄いよ父さん。悟空の重力修行が本当に出来るようになるなんて夢にも思わなかった。』

 

『倍率は最高100倍まで設定出来るが少しづつ上げていくんだぞ。いきなり100倍なんて設定したらさすがのお前でも確実に死んでしまうからな。』

 

明『わかったよ。ありがとう、父さん。』

 

『それから、お前もあと2ヶ月もすれば中学生だ。中学にあがったら修行だけでなく、勉強もしっかり頑張るんだぞ。お前のことだ、高校はヒーロー科のある高校を受験するだろう。そのためには体や個性だけでなく頭脳も鍛えておくんだぞ。』

 

『それは茨にも言える事だぞ。勉強も個性の修行もしっかり頑張るんだぞ。』

 

明『わかったよ、父さん。』

 

茨『わかっています、お父さん。』

 

その後はみんなで食事を楽しんだ。翌日の朝、茨のくれたジャージとチョーカーを付けてジョギングをした。もちろん茨も一緒だ。しばらくは重りとチョーカーの両方を付けて修行する事にした。流石に100kgの重り+2倍の重力はキツく、いつもの2/3程しか走れなかった。

 

そしてあっという間に2ヶ月が過ぎ、僕達は中学生になった。僕と茨は同じ仮田中学校に入学した。

 

明『遂に今日から中学生か。』

 

茨『3年間、たくさん思い出を作りましょうね。』

 

茨とそんな話をしながら門をくぐったその時、今まで感じた事の無い大きな《気》を感じ、思わず周りを見渡した。修行で《気》を読む訓練もしていたが、こんなに大きな《気》を感じたのは初めてだ。

 

茨『明、どうしたんですか?そんなにキョロキョロして?』

 

明『今、ものすごくデカい《気》を感じた。こんなデカい《気》は初めてだ!』

 

茨『本当ですか?でもここは普通の中学校ですから、プロヒーローなんていないはずですけど。』

 

明『気のせいじゃないとは思うけど、とりあえずクラス表確認して教室に入ろうか。』

 

茨『そうですね、この後入学式もありますし。』

 

僕達は感じた大きな《気》の事を気にしつつもクラス表を確認して教室に入ることにした。僕と茨は同じ1年B組だった。

 

明『また同じクラスだね。よろしくね茨。』

 

茨『こちらこそよろしくお願いします。』

 

明『それにしても、小学校の時も6年間同じクラスで、中学校でも同じクラスだなんて、僕達、何か縁があるのかな?』

 

茨『そうですね。3年生と5年生のクラス替えした時も同じクラスでしたから、本当に縁があるのかもしれませんね。』

 

そんな話をしながら教室に入り席についた。教室にはすでに小学校の時の友達が何人かいたので少し話をした。個性が使えるようになってから茨以外の友達も少しできた。

 

個性の事は病院の先生に言われたように増強型の個性と嘘をついて本当の個性の事は話していない。中学校に入学する際に校長先生と何人かの先生には本当の個性《孫悟空》の事は話しておいた。

 

茨『明、さっきの大きな《気》の事ですが、この教室の中でも感じますか?』

 

明『いや、この教室の中では感じない。たぶん今は《気》を消している。あれだけ大きな《気》だ。教室の中からでも感じられるはずだからね。』

 

茨『そうですか。一体誰なんでしょうね?』

 

感じた大きな《気》の事を気にしつつも、入学式や自己紹介等をこなしていき、下校の時刻となった。家に帰ろうと茨と歩いていると、校門にいた生徒が僕達に向かって歩いてきた。

 

明『あの、僕達に何か用かい?』

 

??『お前、なかなかの戦闘力を持っているな。』

 

そう言うと彼は消していた《気》を開放した。

 

明『この《気》は!そうか、今朝感じたデカい《気》は君だったのか!』

 

??『俺は1年A組の鳥山亮だ。』

 

明『1年B組の野沢明です。』

 

茨『同じく1年B組の塩崎茨です。』

 

亮『お前と話がしたい。連絡先を交換してくれないか。』

 

明『別に構わないけど。』

 

亮『都合のいい時に連絡してくれ。じゃあな。』

 

そう言って連絡先を交換し、彼は帰っていった。

 

茨『明、どうするんですか?』

 

明『僕も彼と話がしたい。それに、彼と戦ってみたい。』

 

僕は父さんと母さんに今日の事を話して彼に自分の個性《孫悟空》の事を話させてほしいと頼み込んだ。父さんと母さんは最初は反対していたが、茨を同席させる事を条件になんとかOKをもらった。そしてその日のうちに彼に連絡をとり、翌日家のトレーニングルームで話をすることになった。そして翌日、学校が終わり家に帰ってしばらくすると彼がやってきたので茨を呼んでトレーニングルームに案内した。

 

亮『さて、まずはお互いの個性について話したいと思うが、なぜ彼女が一緒にいるんだ?』

 

明『茨は僕の幼馴染みで、僕の両親と病院の先生以外で、僕の個性の事を知ってる数少ない人物なんだ。それに両親から茨が同席するなら、話をしてもいいって言われてるからね。』

 

亮『なるほど、お目付役ってわけか。』

 

茨『そんな大層なものじゃありません。私はただお二人の話を聞いているだけですから。』

 

明『で、どうする?鳥山君から話す?』

 

亮『ああ。あと亮でいい。君付けもいらないからな。俺の個性だが、薄々気付いているとは思うが、個性の名前は【ベジータ】ドラゴンボールのベジータの力が使える個性だ。』

 

鳥山亮:個性【ベジータ】明と同様ドラゴンボールのベジータの力が使えるというスゴイ個性だ!もちろん、技を使えるようになるには厳しい修行をしないとダメだぞ。byプレゼント・マイク

 

明『なるほど。どおりでデカい気を感じるワケだ。』

 

亮『で、お前の個性は?』

 

明『僕の個性は【孫悟空】ドラゴンボールの悟空の力が使える個性さ。』

 

亮『ほぉ。』

 

その後僕達はお互いの個性の事を話した。亮はさすがベジータの個性と言うべきか、4歳の時点で《気》を扱えたそうだ。僕がかめはめ波を打つのに5年かかった事を話すと亮は『ほぉ』と言うだけだった。正直ベジータの個性だから「落ちこぼれ」とか言われると思っていたので意外だった。

 

茨『鳥山さんは明の事を落ちこぼれや出来損ない等と思っていますか?』

 

亮『別にベジータの個性だからって性格までベジータってわけじゃない。むしろ5年もくさらずよく修行したもんだと感心した。それに、今の明にならピッタリなセリフがあるだろ。』

 

明『あぁ、なるほど。』

 

茨『なんですか、そのセリフって?』

 

明『悟空とベジータが初めて戦う前に悟空が言ったセリフで《落ちこぼれだって必死で努力すりゃエリートを超えることがあるかもよ》ってのがあるんだ。』

 

茨『なるほど、明にピッタリなセリフですね。』

 

明『亮、よかったら組手でもしないか?僕亮の《気》を感じてからずっと戦ってみたいと思ってたんだ。』

 

亮『いいだろう、相手になってやる!』

 

その後僕と亮は組手をした。結果から言えば僕の完敗だった。パワー・スピード・テクニック全てにおいて亮のほうが一枚も二枚も上手だった。でも僕は悔しい気持ちよりも同い年でこんなにも強いやつがいるという嬉しい気持ちが強かった。そしていつか亮に勝ちたいと強く思った。

 

明『亮、これから時間が合う時は一緒に修行しないか?』

 

亮『いいだろう。俺には宇宙一のヒーローなるという夢がある。その夢のためにはライバルが必要だと思っていた。明、俺がお前を最強のライバルにしてやる。』

 

明『僕だって地球も宇宙も救えるようなスーパーヒーローになるって夢があるんだ。今はまだムリでもこれからもっと修行していつか君を倒して君を超える。そして夢を叶える!』

 

亮『ならどちらが先に夢を叶えるか勝負だ!』

 

明『望むところだ!』

 

そんな男同士の熱いやり取りを茨は楽しそうに眺めていた。こうして今日、僕に好敵手(ライバル)が誕生した。




ということで、第5話いかがだったでしょう。悟空の永遠の好敵手(ライバル)といえばやはりベジータなのでベジータの個性を持つオリキャラを登場させました。ご意見・ご感想お待ちしております。次回もお楽しみに。


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第6話 出会いの多い仮免試験

お待たせしました。第6話です。今回、過去一の長文になってしまいました。長いようでしたら2話に分けようと思いますのでご意見・ご感想お待ちしています。


亮と修行する時間は有意義なものだった。亮は体術も《気》の扱いも本当に上手かった。僕は組手をしながら亮の動きを観察し、自分には無い体術や《気》の使い方を自分の物にしようと修行に励んでいた。

 

また、亮のアドバイスで界王拳の習得は10倍の重力を自分の物にしてから行う事になった。やはり原作にそって修行するのが1番だということだ。

 

あと、亮は僕だけではなく茨にも個性の使い方のアドバイスをしていた。亮曰く、個性を使う時はどんなふうに使いたいかイメージするのが大事らしい。アドバイスをもらった茨は個性の【ツル】の扱いが今まで以上に上手くなっていた。

 

そんななんでも出来る亮だが、勉強が大の苦手らしく、これだけは逆に僕と茨が教える立場になっていた。僕は嫌そうに勉強している亮に

 

明『将来ヒーロー科のある高校を受験するなら、体や個性だけでなく頭脳も鍛えておかないと立派なヒーローにはなれないよ』

 

と父さんの受け売りを言うと、

 

亮『別に馬鹿でもヒーロー出来るんじゃないのか?』

 

なんて言っていたが

 

明『ただヴィランを倒すだけがヒーローの役目じゃないだろ!』

 

と僕が言うとふてくされながらもしぶしぶ勉強していた。

 

そんな修行と勉強の日々を過ごし、あっという間に1年が過ぎ、僕達は中学2年生に進級した。始業式が終わった後担任の先生から

 

『2年生に進級して浮かれているようだが、そろそろ卒業後の事も考えないとダメだぞ!特にヒーロー科のある高校への進学を考えている人は、まだ2年あると思わず、受験まで2年を切っていると思い、志望校の事をよく考えておくように。』

 

とみんなに話していたが、実は僕と茨は既にどこの高校を受験するか随分前から決めていた。帰宅後家にやって来た亮からその話題がでた。どうやら亮のクラスでも同じような事を言われたようだ。

 

亮『明、お前は受験する高校はもう決めているのか?』

 

明『うん。僕と茨は雄英高校を受験するんだ。』

 

茨『実は、志望校は中学に上がる前から決めていたんです。』

 

僕の12歳のバースデーパーティーの後、父さんに言われた事を思い出し、2人でどの高校を受験するか話していた。僕も茨も

 

明・茨『数多くのプロヒーローを輩出した名門校を卒業して、僕(私)もプロヒーローになりたい!』

 

という思いが強かったので、雄英高校を受験するのはあっさり決まった。そして一緒に受験し、一緒に合格し、一緒に雄英に入学しようと約束した。

 

亮『雄英高校か。でも雄英高校っていったら偏差値79、入試倍率300倍の超難関校だぞ。』

 

茨『もちろん、そんな事はわかっています。ですがオールマイト・エンデヴァー・ベストジーニストといった名だたるヒーローを輩出した名門校ですから、私も明も雄英高校を卒業してプロヒーローになりたいんです。』

 

明『だからこれからもっと修行と勉強に力を入れないとね。受験まで2年はとっくに切ってるんだ。時間なんていくらあっても足りないくらいだよ。特に僕は受験までになんとしても《界王拳》と《元気玉》をマスターしたいんだ。』

 

亮と修行した1年で僕は10倍の重力+100kgの重りを完全に自分の物にした。そして中学2年に進級した今日からは改めて界王拳を習得するために修行しようと決めていた。

 

明『ところで、亮はまだ志望校決めてないのか?僕はてっきり亮も雄英を受験すると思ってたんだけど。』

 

亮『雄英も候補の1つに入れてあるが、まだハッキリと決めていない。』

 

明『早く決めたほうがいいよ。先生も言ってたけど、受験までとっくに2年は切ってるんだから。』

 

亮『そんな事、お前に言われなくてもわかっている!それよりも、さっさと修行を初めるぞ!』

 

亮は怒っていたが、きっと亮も雄英を受験するんだろうなと、僕は勝手に思っていた。

 

それから僕達は雄英高校に合格するために今まで以上に勉強や修行に力を入れた。そして2年に進級してから約5ヶ月、夏休みが終わりもうすぐ二学期が始まるという時期に、遂に…

 

茨『スゴイ。明の体から赤いオーラが出ています。』

 

亮『よし、いいぞ明!次はその状態をそのままキープするんだ。』

 

僕は遂に界王拳を発動することに成功した。体中の気をコントロールして瞬間的に増幅させる。最初は無理だったが何度もやっているうちにだんだんとコツを掴んでいき、遂に成功した。あとはこの状態をキープさせるわけだが…。

 

明『クソ、もう…だめだ。』

 

増幅させた気をコントロールするのは想像以上に難しく、僕はすぐに界王拳を解除してしまった。

 

明『ハァハァ、亮、僕どれ位界王拳の状態でいられた?』

 

亮『そうだな。俺の体感では30秒ってとこかな。』

 

茨『やりましたね明。遂に界王拳を習得しましたね。』

 

明『いや、まだまだだよ。発動できてもたった30秒じゃ何の意味も無い。でも発動させるコツは掴めてきた。あとは発動後の気をコントロールするコツを掴めば。』

 

亮『ああ、そうすれば界王拳を自在に操れるだろう。だが分かっているとは思うが、今の体で無茶な倍率の界王拳を使おうとするな。俺の見立てだと今のは1.5倍だ。』

 

明『分かってるよ亮。倍率は2倍までにしておくよ。3倍以上の界王拳は20倍以上の重力修行をクリアしてからだ。』

 

それから僕は界王拳の発動と発動後の気のコントロールを重点的に修行した。かなり苦労したが初めて界王拳の発動に成功してから3ヶ月、年が明ける頃には界王拳の発動と気のコントロールを完全にマスターした。倍率を上げるのはそれほど難しくなく、2倍の界王拳は簡単に出来るようになった。

 

一度だけどうしてもやってみたくて、みんなが寝静まった夜中にこっそりトレーニングルームに忍び込み、3倍界王拳を使ってみた。倍率を3倍に上げるのは問題なくできたが、使用しているうちに体のあちこちが痛くなり、最終的に全身筋肉痛のような状態になってしまい、僕は痛みで気絶してしまった。

 

翌朝ジョギングに来ない僕を心配した茨が父さん母さんと一緒に探しに来てくれた。結局僕は2〜3日はまともに動けなかった。茨と父さん母さん、あと亮にはめちゃくちゃ怒られた。

 

そんなトラブルもありながらも僕達は勉強と修行に励みながら遂に勝負の年、中学3年生に進級した。進級してから僕は元気玉の習得の修行を開始した。

 

初めは思うように元気を集められなかった。それに元気玉の修行以外にも、勉強・組手・界王拳の気のコントロールにさらに磨きをかける修行等元気玉の修行ばかり時間をかける事ができなかった。

 

それでも、夏休みが始まる頃には野球のボールぐらいのサイズの元気玉を作れるようになれた。原作の大きさには程遠い大きさだったが、作れた事が本当に嬉しかった。

 

そして夏休みが始まる前日、僕は担任の先生に呼び出された。

 

『野沢、お前の第1志望は雄英高校だったな。』

 

明『はい、それがなにか?』

 

『実は今度、ヒーロー免許の仮免試験があるんだが、受けてみないか?』

 

明『仮免試験…ですか?』

 

『本来なら高校2年か3年に進級してから受けるのが通例なのだが、お前は既に駆け出しのプロヒーロー並の力量を持っている。自分の力量を測るという意味でも受けてみて損はないと思うぞ。』

 

『それにもし合格したら雄英から推薦入試の声が掛かるかもしれんぞ。お前は内申点も出席日数も問題ない。それに仮免合格も加われば間違いなく校長もお前を雄英に推薦してくれるし、雄英も声を掛けてくれるだろう。どうだ、受けてみないか?』

 

僕は推薦入試には興味なかったが、自分の力量を測る、今の自分の力ががどれだけ通用するか知りたいと思った。

 

明『はい、受けます!』

 

『よし、手続きはこちらでしておく。日時や試験会場等の詳しい内容は後日お前の家に郵送する。あと、合格した時のためにヒーローネームを考えておいてくれよ。』

 

先生との話を終えて僕は家に帰り仮免試験を受ける事を父さんと母さん、茨、あと亮にも話した。父さんからは

 

『受けるなら絶対合格しろ!』

 

と発破をかけられた。母さんからは

 

『明なら絶対合格できるわ。頑張って。』

 

と激励された。茨からは

 

茨『頑張って下さい。私に出来る事なら何でも協力しますから。』

 

と応援された。ただ亮だけは

 

亮『そうか、頑張れよ。』

 

と素っ気ない返事だったが、あまり気にしなかった。

 

みんなに話し終えたあと、僕はベッドに寝っ転がりながらヒーローネームを考えていた。

 

明『ヒーローネームどうしようかなぁ。いっそのこと個性と同じ【孫悟空】にしちゃおうかなぁ。』

 

などと考えていると、ふと最近買ったドラゴンボールの最新ゲームに目がいった。

 

明『ヨシ、これにしよう!』

 

僕のヒーローネームは意外とあっさり決まった。

 

試験日は夏休み最終盤だったので、僕は約1ヶ月の間猛特訓を重ねた。技の性質上元気玉はあまり役に立たないと思ったので、界王拳の気のコントロールを重点的に修行した。今なら3倍も使いこなせるんじゃないかと思ったが、亮から

 

亮『3倍はどうしようもなくなった時の切り札として使え。それ以外では絶対に使うな!』

 

と強く念を押された。

 

そしてついに仮免試験当日を迎えた。

 

会場には1000人を越す人数の受験者が来ていたが、それを見て正直僕は来るんじゃなかったと思った。

 

あきらかにほとんどの人が僕より年上の高校生だし、学校のクラス単位で参加していた。それに学校から支給された服を着ていたり、ヒーローコスチュームを着ている受験者もいた。それに引き替え自分はたった1人で14歳の中3。しかも自前のジャージとあきらかに浮いていた。

 

それに何やらひそひそ話をしていたので聞き耳を立ててみると『ガキ』『場違い』『浪人生』等言いたい放題だったが1番ムカついたのが『アイツから潰してやろう』だった。人を見た目で判断するなとキレそうになるのをグッとこらえた。そして一次試験の内容が発表された。

 

(試験内容は割愛します。詳しくは原作を読んで下さい。)

 

要するに一次試験の通過者は100人で6個のボールを的に当てればクリアというわけだ。僕は体力温存のために手っ取り早い方法を選んだ。

 

試験開始の合図がすると案の定僕を潰そうと何人かの受験者が僕に向かって走ってきた。それを見た僕は両手の親指を折り、残り8本の指を広げておでこの前に構えた。この構えで出す技と言えばモチロン…

 

明『太陽拳っ!』

 

そう、太陽拳だ。近づいてきた受験者の目を眩ませてやった。そして1番近くにいた2人の大柄な男の的に6個のボールを当てて僕は一次試験をクリアした。

 

一次試験を早々にクリアしてしまったので、他の受験者の様子をモニターで見ながら二次試験のスタートを待っていた。すると、1人の女性の受験者に声をかけられた。

 

『ねぇねぇ、君どこの学校の子なの?』

 

明『仮田中学校です。』

 

『ウソ!中学生なの!今何歳?』

 

明『14歳です。』

 

『14歳って事は中2?中3?』

 

明『中3です。』

 

『中3って事は来年は高校受験だよねぇ。どの学校受けるの?』

 

何でもかんでも聞いてくる人だなぁと困っていると、

 

『おいおいねじれちゃん、そんなに質問したらその子が困ってるじゃないか。それに自己紹介もなしで質問するのは失礼だよ。』

 

『あっ、そうだった。ゴメンね君。あたし波動ねじれ。雄英高校ヒーロー科の2年生だよ。』

 

『俺は通形ミリオ。同じく雄英高校ヒーロー科の2年生さ。』

 

明『雄英高校ヒーロー科の生徒なんですか!?あっ失礼しました。僕の名前は野沢明といいます。』

 

僕はこの2人が雄英高校ヒーロー科の生徒だという事に驚いた。

 

『ところで、俺からも1つ質問してもいいかな?君はさっき強い光を放って受験者の目を眩ませてたけど、あれが君の個性なのかい?』

 

明『すいません、お医者さんから自分の個性の事をペラペラ喋らないように言われているので。ただあれは個性ではなく個性によって使える技の1つです。』

 

『そうか、ありがとう。お互い次の試験も頑張ろうね。』

 

そう言うと通形さんと波動さん、あと近くにいたもう1人の生徒は自分達のクラスの元に帰っていった。あれが本物の雄英生かぁと僕は少し感動していた。

 

その後一次試験が終了し、二次試験の説明が開始された。

 

(ここの説明も割愛します。ごめんなさい)

 

要約すると、被災した被災者の救助を行い、その様子を公案職員とHUC(フック)と呼ばれる被災者役の人が採点する。そして持ち点が50点を切ったら不合格らしい。

 

救助活動なんてやったこと無いけど、とりあえず自分のできる事を精一杯やることにした。

 

STARTの合図とともに走り出し《気》を読む能力を最大限発揮した。そして近くのビルに到着すると

 

明『このビルの3階に2人、最上階に1人被災者がいます。僕が最上階の被災者を助けるので3階の2人をお願いします!』

 

僕がそう叫んで救助をお願いしたが、他の受験者は〈なんでわかるの〉みたいな表情をして、すぐに動こうとしなかった。そんな様子にイライラしていると

 

『OK、行くよ環』 『あぁ』

 

さっき話をした通形さんと一緒にいた生徒の2人がビルの中へ入っていった。それを見た僕は舞空術で一気に最上階へ飛んだ。

 

『あいつ空飛べるのかよ』

 

『目眩ましだけじゃないのか?』

 

最上階に到着するとすぐに被災者を発見した。

 

明『大丈夫ですか、意識はありますか。』

 

『う、腕と足が』

 

よく見ると左腕と左足を骨折しているようだった。

 

『大丈夫ですよ。すぐに救護所のテントに運びますからね。』

 

僕はスピードを重視しようと界王拳を使い一気にテントまで飛んだ。

 

『スゲェ、体から赤いオーラが出てたぞ。』

 

『それになんてスピードだ。』

 

明『すいません、お願いします。』

 

『はい。被災者の状況は?』

 

明『意識はありますが左腕と左足を骨折している模様です。』

 

『わかりました。後は任せてください。』

 

僕は被災者をテントに預けると他の被災者を救助するために現場に戻った。

 

その後は気を読んで被災者の居場所を他の受験者に知らせ、高い位置の被災者は舞空術で飛んで自分で救助した。また崩れかけの瓦礫は衝撃波や気弾で粉々にした。最初は僕の言葉を信じてくれなかった人達も通形さん達が被災者を救助してくれた事で信じてくれたようだ。

 

『危ない!』

 

声の方を向くと受験者と被災者の頭上に大きな瓦礫の塊が落ちようとしていた。

 

明『かめはめ波!』

 

僕はかめはめ波を放ち瓦礫を吹き飛ばした。

 

明『2人とも大丈夫ですか。ケガはないですか?』

 

『あぁ、俺もこの人も大丈夫だ。ありがとう。』

 

明『お礼なんていいですから、早くその人をテントに連れて行ってあげて下さい。』

 

『わ、わかった。』

 

『なんだよ、今のビームみたいなの』

 

『それにアイツかめはめ波って言ってたぞ、本物か?』

 

被災者の救助を続けていると爆発が起こった。その後アナウンスによるとヴィランが追撃を開始したから制圧しつつ救助を続行してくれということだ。そして僕の前に現れたのは

 

『悪いけど、邪魔させてもらうよ。』

 

ランキング3位、ウィングヒーロー《ホークス》だった。そして上空のホークスの下の地上には沢山のサイドキックがいた。僕はどうするか考えたが周りを見ると空を飛べるのは自分だけのようだった。

 

『僕がやるしかない!』

 

そう思った僕は

 

明『ホークスは僕が相手をします。皆さんはサイドキックの相手と被災者の救助をお願いします。』

 

他の受験者にそう言うと僕はホークスに向かって飛び上がった。

 

『へぇ、君も空を飛べるのか。でも、ハンデがあるとはいえ、たった1人で俺の相手ができるのかな?』

 

明『出来る出来ないじゃない、やるかやらないかだ!』

 

そう叫ぶと僕は界王拳2倍を発動した。

 

『飛行に加え身体能力の増強、なんなんだこの子の個性は?』

 

動揺しているホークスを見逃さず、僕は一気に間合いを詰め攻撃を仕掛けた。ホークスは間一髪の所でガードした。そして反撃とばかりに自分の個性【剛翼】の風切羽を二刀流のように操って攻撃してきた。僕は《気》を纏った両腕でなんとか防御した。

 

明『くそ、救助で体力を消耗しているうえに慣れない空中戦、向こうはハンデがあるらしいが圧倒的にこっちが不利だ。』

 

そう考えていると次は自身の羽を弾丸のように発射して攻撃してきた。最初は単発で発射してきたが次第に連射してきたのでこちらも連続エネルギー弾で対抗した。正直気弾のグミ撃ちはしたくないのだが、そんな事言ってる場合じゃない。

 

『くっそー、このままじゃきりがないなぁ』

 

痺れを切らしたホークスは一瞬の隙を突いて救護所めがけて最高速で飛んでいった。

 

『ヤバイ、ホークスが来るぞ!』

 

『そんな、まだ救助が完了してないのに』

 

明『駄目だ、間に合わない。こうなったら…』

 

僕は切り札を使う事にした。

 

明『界王拳3倍だぁぁ!』

 

僕は3倍界王拳を使い一気にホークスに追いつき後ろから羽交い締めにした。

 

明『救護所には行かせない!』

 

『そんな、ハンデがあるとはいえ、俺の最高速に追いつくなんて。』

 

ホークスは羽交い締めにされた状態にもかかわらず、羽で攻撃してきた。僕は羽交い締めにしているので防御が出来ず、3倍界王拳を使った反動のダメージも出てきた。それでも僕はホークスを離さなかった。

 

『いい加減諦めろ。大体たった一人で俺を食い止めるなんて無理なんだよ。』

 

明『無理と分かっていても、やらなきゃならない時だってあるんだぁーっ!!』

 

ピーーーーーッ!!!

 

僕が叫んだ直後、合図が鳴り試験終了のアナウンスが流れた。

 

アナウンスを聞いた僕はホークスの羽交い締めを解き、気が抜けたのか、そのまま地面に落ちていった。

 

『おっと。』

 

地面に激突しそうな僕をホークスが受け止めてくれた。

 

『大丈夫かい?』

 

明『あ、ありがとうございます。』

 

『こっちこそ痛め付けてゴメンね。でも、君の根性は大したものだったよ。君なら必ず合格しているさ。いつか一緒にヒーロー活動する日を楽しみにしているよ。』

 

明『はい、ありがとうございます!』

 

ホークスと握手を交わした。ホークスにかけられた言葉は本当に嬉しかった。

 

その後医務室で治療を受け着替えて合否の結果を待った。そして巨大モニターに合格者の名前が表示された。

 

明『えーっと「は行」の最初があそこだから、逆に見ていけば…あったぁぁーっ!』

 

通形『明君、どうだった、合格してたかい?』

 

明『通形さん。はい、無事に合格してました。皆さんはどうでしたか?』

 

通形『俺も合格してたよ。』

 

波動『あたしも。』

 

天喰『俺もだ。俺は天喰環。2人と同じ雄英高校ヒーロー科2年だ。君が被災者の居場所を的確に教えてくれたおかげでスムーズな救助ができた。ありがとう。』

 

明『そんなお礼を言われるような事じゃ。そういえばどうしてお二人は僕の言葉を疑いもせず信じてくれたんですか?』

 

通形『君の事を信用できると思ったからさ。それにあの状況で嘘を付いたって何のメリットもないだろ。』

 

天喰『逆に俺から聞きたいんだが、君はどうして被災者の居場所が分かったんだい』

 

明『被災者の《気》を読む事でその人の居場所がわかったんです。』

 

波動『《気》?《気》って何?』

 

明『人それぞれが持つ体内に眠る潜在エネルギーの事です。』

 

通形『目眩ましに探知、それに空も飛んでたよね。』

 

天喰『それに青白いビームも出してたよな。』

 

波動『それにホークスと戦っていた時赤いオーラ出てたよね。君の個性って何なの?』

 

明『今はお答え出来ませんが、いずれ分かると思いますよ。』

 

通形『いずれ分かる?どうしてだい?』

 

明『僕の第一志望は雄英ですから。』

 

その後3人と握手をして別れた。通形さんには

 

『雄英で会えるのを楽しみにしてるよ』

 

と言われて嬉しかった。そして試験の採点プリントが配られた。僕の点数は90点だった。コメントを読むと

 

『救助に関しては雑な部分が見受けられました。特に被災者の状況を顧みず超スピードで移動するのは全く評価出来ません。』

 

とあった。急いで救助しようと界王拳を使ったのが逆に仇になったのだ。

 

『戦闘に関しては特に言う事はありません。たった一人でホークスを押さえ込んだ事は救助のマイナスを帳消しにするほどの高評価を付けました。』

 

とあった。評価してくれたのは嬉しかったが、自分ではホークスさんにはまだまだ遠く及ばないと思った。

 

最後に顔写真を撮影しライセンスカードが発行された。カードを受け取ると本当に合格したんだと実感が湧いてきた。

 

ライセンスカードには名前・所属学校名・住所・電話番号・交付日・撮影した顔写真・そして1番下にヒーローネーム

KAKAROT(カカロット)》が記載されていた。




いかがでしたでしょうか。色々突っ込む点があるので解説していきます。
1.試験内容ですが、原作では毎年異なるそうなのですが、他の試験の描写がないのでデク達と同じ内容にしました。
2.BIG3の3人ですが、高2の時に仮免取得したと勝手に想像して受験させました。
3.ヴィラン役のホークスですが、原作ではギャングオルカでしたが空中戦が書きたかったのでホークスを登場させました。
4.なぜ明だけで亮が仮免試験を受けてないのかは次回判明します。
読んでいただきありがとうございました。ご意見・ご感想お待ちしています。次回もお楽しみに。


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第7話 推薦か?一般か?

第7話です。もしかしたらエーッ!てなる展開かもしれません。


明『もしもし茨、僕受かったよ。仮免取れたよ。』

 

茨『本当ですか!おめでとうございます。でも私は明なら絶対合格するって信じてましたよ。』

 

明『ありがとう。これから家に帰るから。』

 

茨『おじ様とおば様には私から伝えておきますね。それから合格祝いのパーティーの準備もしないと。』

 

明『別にいいよパーティーなんて。じゃあ、また後でね。』

 

茨に電話して結果を伝えると自分の事のように喜んでくれた。僕は別にいいと言ったが今頃はパーティーの準備で大忙しだろう。

 

亮にも電話したが亮は出なかった。LINEも送ったが既読にならなかった。僕はまぁいいかとあまり気にせずスルーした。

 

家に帰ると案の定父さんと母さん、茨、茨のご両親がパーティーの準備をしていた。僕も手伝おうとすると

 

『主役はゆっくりしていなさい。』

 

と母さんに風呂に入るよう促された。その後パーティーは開始された。僕がライセンスカードと採点プリントを見せると大盛り上がりだった。母さんなんて泣き出していた。

 

茨『ところで明、どうしてヒーローネームを《KAKAROT(カカロット)》にしたのですか?』

 

明『ああ、なかなかいい名前が思い付かなくてさ、いっそのこと個性と同じ【孫悟空】にしようかとも思ったんだけど、ちょうど最近買ったゲームソフトのタイトルが《KAKAROT(カカロット)》でさ、これにしようって決めたんだ。変なヒーローネームかなぁ。』

 

茨『いえ、明らしくて私はいいと思いますよ。』

 

そんな話をしながらパーティーは終了した。翌日お世話になっている病院の先生に仮免合格の事を報告すると

 

『仮免を取得したなら、緊急時なら個性が使えるからもう心配ないね。』

 

と、自分の個性【孫悟空】を公表してもいいと言われた。今までクラスメートには嘘をついていて少し罪悪感があったので安心した。担任の先生に報告すると、俺の目は節穴じゃなかったと喜んでいた。そしてトレーニングルームに亮がやってきた。やっと報告できると思いながら亮に報告すると

 

『そうか、よかったな。』

 

と、相変わらず素っ気ない返事だったが、その後の言葉に僕は驚愕した。

 

亮『俺も合格したから。』

 

実はあの日、亮も別会場で仮免試験を受けていたのだ。なんで自分も受ける事を言わなかったのか問い詰めると

 

亮『別に言う程の事でもないと思ったから。』

 

と、またも相変わらずな答えに呆れてしまった。茨と一緒に亮の採点プリントを読んでみると点数は92点だった。コメントには

 

『言葉遣いが荒いです。もっと被災者を安心させるような言葉遣いをしましょう。戦闘に関してはギャングオルカとサイドキックをたった1人で相手にしたのは見事ですが、最後の攻撃は周囲に大きな被害を与えかねない攻撃でした。災害後の二次被害の事も考えて行動しましょう。』

 

とあった。僕が言葉遣いの事を注意すると

 

亮『別に通じるんだから問題ないだろ。』

 

と言っていた。最後の攻撃の事を聞くと

 

亮『ギャングオルカにいくら攻撃しても効かないからフルパワーのギャリック砲をくらわせた。』

 

と言ってた。もう今日何度目かの呆れ顔を僕はしていた。逆に僕のプリントを亮に見せると

 

亮『被災者担いだまま界王拳使って移動するなんて何考えてるんだ!』

 

と怒られてしまった。おっしゃる通りです。ちなみに亮はヒーローネームを個性と同じ《ベジータ》にしていた。それに僕のヒーローネーム《KAKAROT(カカロット)》を最新ゲームから採用したのをすぐに見抜いた。

 

そんなこんなで夏休みが終わり二学期を迎えた。始業式の途中僕と亮は呼び出されステージに登らされた。そして校長先生から僕達が仮免試験に合格した事を全校生徒に発表された。正直この後の展開が目に見えてるので僕はやめてほしかった。そして始業式終了後教室に戻ると案の定…

 

『おい明、仮免試験ってどんな内容だったんだよ。』

 

『ねぇ明君、免許証今持ってるの?見せて。』

 

と質問攻めだったが、担任の先生に放課後にするよう注意されて収まった。そして放課後、僕はみんなに嘘をついていた事・本当の個性のこと・仮免試験の事を話し、ライセンスカードを見せてあげた。正直長い間嘘をついていて怒られると思っていたのだが、怒られるどころか

 

『明、かめはめ波打つところ見せてくれよ。』

 

『茨ちゃんだけズルーい。ねぇ明君、あたしも背中に乗せて空飛んでよ。』

 

とリクエストの嵐だった。いくら仮免を取ったからといって公共の場で無闇矢鱈に個性を使う事は出来ないので、『受験勉強があるから』『みんなの進路が決まったら必ず見せてあげるから』とみんなを説得してなんとかその場を乗り切った。

 

二学期になり受験まで半年を切り、僕と茨は雄英合格を目指しより一層勉強に、修行に力を入れていた。最近は修行より勉強に時間を費やす事が多くなっていた。それでも元気玉はバスケットボールぐらいの大きさまで作れるようになった。

 

そして月日は流れ二学期の終業式前日、僕は先生に呼び出され一緒に校長室に入った。

 

『やあ、よく来てくれたね。待っていたよ。』

 

校長室にはネズミのような人物がソファに座っていた。

 

明『あの、あなたは一体?』

 

『ネズミなのか犬なのか熊なのか、かくしてその正体は、雄英高校の校長、根津さ。』

 

明『ゆっ、雄英高校の校長先生ですか!?』

 

思わぬ人物の登場に、僕は驚きを隠せなかった。

 

根津『実は仮田中学校の校長から君を推薦されてね。雄英としても君の内申点・出席日数・そして仮免を取得している事等を考慮して、君に推薦入試を受けてもらおうと思い、今日はやってきたのさ。どうだろう野沢明君、推薦入試を受けてくれないかな?』

 

確かに仮免試験の前に担任の先生が推薦入試の話をしていたが、まさか本当に声が掛かるとは思ってもみなかった。そして同時に1つの約束と1つの疑問が頭の中で駆け巡った。

 

明『あの、お伺いしたい事が2つあるのですが、よろしいでしょうか。』

 

根津『そんな畏まらなくてもいいよ。なんでも聞いてくれて構わないさ。』

 

明『ありがとうございます。では1つ目ですが、今すぐ返事をしないといけませんか?できれば考える時間が欲しいのですが。』

 

根津『勿論大丈夫だよ。ただ返事を先延ばしにされても困るからねぇ。そうだなぁ、今夜一晩考えて、明日の朝担任の先生に報告してもらってもいいかな。』

 

明『はい、大丈夫です。』

 

根津『ありがとう。もう1つの質問はなんだい?』

 

明『あの、雄英からの推薦入試の話は僕だけですか?』

 

根津『そうだけど、何か?』

 

明『あの、亮は、鳥山亮君には推薦の話はないのですか?』

 

根津『あぁ、なるほど。たしかに鳥山亮君も推薦の候補に上がっていたよ。ただ彼の第一志望が雄英じゃなかったので今回は見送ったのさ。』

 

明『そう…ですか。』

 

根津『その様子だと、鳥山亮君の第一志望を知らないようだね。』

 

明『はい。彼も雄英を受けると思っていたので、今まで何も聞かなかったんです。』

 

その後先生に亮の第一志望を聞こうとしたが「生徒の個人情報を教える事は出来ない」と断られ、諦めて帰宅した。そしてその夜、まず父さんと母さんに推薦の話をした。すると父さんから

 

『それは父さん達が決める事じゃない。お前が決める事だ。茨ちゃんとよく話をして、悔いのない決断をするんだな。』

 

と言われた。僕は茨と受験勉強を始める前に話をすることにした。

 

明『茨、勉強を始める前に聞いてほしい話があるんだけど、いいかな。』

 

茨『はい、構いませんよ。それで話というのは?』

 

明『今日雄英高校の校長先生から、推薦入試を受けてくれないかって依頼されたんだ。』

 

茨『本当ですか!?おめでとうございます。それで、返事はしたんですか?』

 

明『いや、今夜一晩考えて、明日の朝報告するんだ。』

 

茨『えっ、どうしてすぐに返事をしなかったんですか?』

 

明『茨、2人でした約束覚えてる?』

 

茨『あっ!』

 

明『僕達約束したよね。一緒に受験して・一緒に合格して・一緒に雄英高校に入学しようって。もし僕が推薦入試を受けたら、茨との約束を破る、茨の事を裏切ると思ってすぐに返事ができなかったんだ。』

 

茨『明…』

 

明『もし、茨が僕と一緒に一般入試を受けたいと言うなら、僕は推薦を辞退しよう思うんだけど…』

 

すると、茨はそっと僕の手を握ってくれた。

 

茨『明、たとえ明が推薦入試を受けても、私は明が私の事を裏切ったなんて思いませんよ。』

 

明『茨…』

 

茨『たしかに、一緒に受験するって約束は破られますが、残り2つの約束は残ってますよ。だから私の事は気になさらず、推薦入試を受けてください。そして一緒に合格して、一緒に雄英高校に入学しましょう。』

 

明『茨、ありがとう。』

 

僕は茨を抱きしめた。茨の気持ちが本当に嬉しかった。

 

茨『でも推薦入試を受けるからって合格した訳じゃないですから、気を抜いてはダメですよ。』

 

明『わかってるよ。推薦の枠は4人。何人受験するかわからないけど、もしかしたら一般入試より倍率が高いかもしれないしね。』

 

茨『それじゃあ早速始めましょう。話し込んだ時間もちゃんとやりますからね。』

 

明『うん、約束を守るためにもね。』

 

勉強終了後、父さんと母さんに推薦入試を受ける事を決めたと話した。そして翌日、登校してすぐ先生に推薦を受けると報告した。これで推薦入試の件は片付いた。次は…。

 

終業式終了後、亮に話があるからと教室に残ってもらった。最近は亮も勉強優先であまり家に来なくなっていた。

 

亮『で、話とはなんだ?』

 

教室に僕と亮と茨の3人だけになったところで僕はまず雄英高校から推薦入試の話がきたから受ける事を話した。その後、

 

明『亮の第一志望は何処なんだ?僕はてっきり亮も雄英だと思っていたから今まで何も聞かなかったけど。』

 

亮『俺の第一志望は士傑だ。一昨日士傑から推薦入試の話が来てな、受ける事にした。』

 

茨『士傑高校、【東の雄英、西の士傑】と呼ばれるほどの難関校ですね。』

 

明『理由を聞いてもいいか。』

 

亮『この中学3年間、お前と修行して俺は強くなった。だが、お前は俺以上に強くなったと俺は思っている。』

 

明『そんな、僕まだ亮に1度も勝ったことないじゃないか。それに3倍界王拳も使いこなせないし。』

 

亮『まあ確かにそうだがな。だがこのままお前と同じ道を進めばお前との差は変わらない、むしろもっと開くと思った。だから俺はお前とは別の道を進む事にした。』

 

茨『鳥山さん…』

 

亮『それにベジータも言ってるだろ。【俺は俺のやり方で、限界なんぞ超えてやる】って。だから俺も俺のやり方で夢をかなえる事にした。』

 

明『いつ士傑に決めたんだ?』

 

亮『2人が雄英を受験すると聞いた頃、考えだしていた。そしてお前が仮免に合格して決めた。』

 

茨『今から志望校を変える事は出来ないのですか?』

 

亮『悪いが、もう決めた事だ。』

 

明『そうか、わかった。話してくれてありがとう。』

 

亮『やけにあっさりしてるな。もっと食って掛かってくると思ってたんだがな。』

 

明『確かに別々の高校になるのは少し寂しい。けど亮が決めた人生だ。僕が口出しする権利なんてないよ。』

 

亮『そうか。』

 

明『亮、絶対合格しろよ!』

 

亮『お前の方こそ、推薦入試だからって気を抜くんじゃないぞ!』

 

明『それ茨にも言われたよ。』

 

亮『塩崎、お前も一般入試頑張れよ。』

 

茨『ありがとうございます。必ず合格します。』

 

こうして僕達はそれぞれの進路に向けてラストスパートをかけるのだった。




第7話いかがだったでしょう。超(スーパー)ではウィスの下2人一緒に修行してますが、Zの頃は一緒に修行する描写はなかったので2人を別々の進路にしました。ご意見・ご感想お待ちしています。次回もお楽しみに。
PS.今後亮が出てこないなんて事はありません。出番は減りますが要所では必ず出てきます。


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第8話 ライバルだらけの推薦入試

いよいよ推薦入試です。原作での推薦入試の描写が少ないのでかなりオリジナルな展開を詰め込みました。


『明、忘れ物ない?これお弁当ね。』

 

明『大丈夫だよ母さん、弁当ありがと。』

 

今日はいよいよ推薦入試の受験日だ。今までやってきた勉強と修行の成果を出す日がきた。僕はそんなに緊張する方ではない。仮免試験前日も全く緊張しなかった。昨夜も徹夜などせずグッスリ睡眠を取ろうとしたのだが、流石に昨夜は緊張でなかなか寝付けなかった。

 

明『じゃあ、ちょっと早いけど行くよ。』

 

『明、お前が今日までしてきた事を全て出し切れば必ず合格できる。頑張れよ。』

 

『明、頑張ってね。』

 

明『父さん、母さん、ありがとう。じゃあ、行ってきます。』

 

出発しようと玄関を出ると茨と茨のご両親が外で待っていた。それを見て父さんと母さんも外に出てきた。

 

『明君、頑張れよ。』

 

『私達も応援しているわ。』

 

茨『明、明が合格することを私は心から信じています。頑張って下さい。』

 

明『茨、ありがとう。』

 

僕は茨を軽く抱きしめた。茨は顔を赤くしていたが、嬉しそうな顔をしていた。

 

明『父さん、母さん、おじさん、おばさん、そして茨。みんなありがとう。じゃあ、行ってきます。』

 

『いってらっしゃい』『頑張れよ!』

 

みんなの応援を胸に、僕は雄英高校へと出発した。

 

『でっかいなぁ。』

 

電車に揺られること約30分。僕は遂に雄英高校に到着した。僕は校舎の大きさに圧倒されていたが、すぐに気持ちを切り替え、案内に従い試験会場へと歩いていった。

 

受験者全員が会場に入ると、受験者の人数や試験内容が発表された。まず人数だが、男子30人・女子30人の合計60人だそうだ。推薦の枠が4人なので、15人に1人しか合格出来ない計算だ。

 

そして試験内容だが、午前中で筆記試験と面接を行い、1時間のお昼休憩を挟み、午後から個性披露、最後に3kmのマラソンをするそうだ。

 

説明後、午後から付けるゼッケンが配られた。僕の番号は60番、1番最後だった。どうせなら59番がよかったなぁなんて思ってしまった。(悟空・59だけに(笑))

 

そしていよいよ試験がスタートした。最初は筆記試験、今まで勉強した内容の問題ばかりだったのでスラスラ解く事が出来た。見直しもしたし、凡ミスさえ無ければ満点の自身があった。

 

次は面接だ。面接は男女別々で2組同時に行なわれる。順番はゼッケンと同じ順番で行われるため、1番最後で暇を持て余していた僕は、暇つぶしに他の受験者の様子を見る事にした。

 

顔を青くしている人、目を閉じて瞑想する人、無表情の人、手のひらに人の字を書いて何度も飲み込む人等様々だった。そんな人間観察をしていると、

 

『次、60番の人、どうぞ。』

 

遂に僕の番がきた。僕は大きく深呼吸をして室内に入った。

 

『面接官の相澤です。』

 

『同じく面接官のブラドキングです。よろしく。』

 

明『よろしくお願いします。』

 

ブラド『最初に名前と中学校名をお願いします。』

 

明『野沢明です。中学は仮田中学校です。』

 

その後は志望動機・好きなヒーロー・未来の自分のヒーロー像等が質問された。僕は全ての質問に事細かく答えた。特に悟空への思いは熱く語っていたと思う。

 

ブラド『それでは最後にそちらから我々に質問はありますか?』

 

ここで何も質問しないのは印象が悪くなると思い、僕は質問することにした。

 

明『あの、1年の時点で本免許を取得する事は可能ですか?』

 

その質問に面接官の2人は少し笑っているようだった。

 

相澤『君、本免許を取得する前にまず仮免を取得しなければならない。それに仮免も2年に進級してから取得するのが通例だ。』

 

明『あの、仮免なら既に取得しているのですが。』

 

相澤『なにっ!?』

 

ブラド『ほっ、本当かい君!?』

 

明『はい。一応今日免許証と採点プリントを持ってきましたけど、御覧になりますか?』

 

ブラド『ああ、見せてもらえるかな。』

 

僕は免許証とプリントを面接官に渡した。どうやら面接官2人は僕が仮免を取得している事を知らないようだ。

 

相澤『確かに、本物の仮免だ。』

 

ブラド『おいイレイザー、これ読んでみろ、スゴイぞ。』

 

相澤『どれ…君、本当にたった一人でホークスを押さえ込んだのか!?』

 

明『あ、はい。僕の近くに空を飛べる個性の人が居なかったので。ホークス本人はハンデがあると言ってましたが、救助で体力が消耗しており、しかも慣れない空中戦でしたから、ホークスを空中に留めるので精一杯でしたけど。』

 

相澤『なんと…。』

 

明『それで、僕の質問ですが。』

 

ブラド『あっ、ああそうだったね。すまない。結論から言えば1年で本免許を取得することは可能だが、何分実例がないためなんと言ったら分からないのが本音だ。曖昧な答えで申し訳ない。』

 

明『いえ、ありがとうございました。』

 

ブラド『他に質問はありますか?』

 

明『いえ、大丈夫です。』

 

相澤『では面接はこれで終了だ。1時間のお昼休憩の後は個性披露になるので、しっかり休んで準備しておくように。』

 

明『はい、ありがとうございました。』

 

面接終了後…

 

相澤『まさか中3で仮免取得とは。』

 

ブラド『とんでもない子供が現れたもんだ。』

 

面接後、僕はお弁当を食べる事にした。流石にみんなで和気あいあいと食べてる人はいなかった。

 

食べ終わると僕はジャージに着替えて胸にゼッケンを付けた。ジャージは勿論お気に入りの悟空の水色ジャージだ。(何着もボロボロにして、これが何着目か分からない)

 

そしていよいよ午後の最初の試験、個性披露が始まった。

 

氷と炎を操る個性・体内から物を創り出す個性・触れた物を柔らかくする個性・全身を細かく分割する個性・風を操る個性等流石に推薦入試に選ばれただけあってどの人も凄い個性ばかりで感心していた。

 

同時に自分は彼等に対抗できるのかと弱気になってしまったが、弱気な事は考えないようにした。そして、

 

『では最後、60番、野沢明君。』

 

明『ハイ!』

 

この試験の試験官であるミッドナイトに呼ばれた僕は大きく返事をして前に出た。

 

ミッド『じゃあまずは個性の説明からよろしくね。』

 

明『はい。僕の個性は【孫悟空】簡単に言えばドラゴンボールの主人公、孫悟空と同じ事が出来ます。』

 

それを聞いた他の受験生は何やらざわざわしていた。

 

ミッド『では、早速見せてもらえるかしら。』

 

明『はい。まずは…』

 

僕は空高く浮き上がった。

 

明『舞空術です。自由自在に空を飛ぶことができます』

 

その後も衝撃波・気弾・太陽拳を続けて披露した。気弾に関しては連発もできると説明すると披露してくれと言われたので、エクトプラズムが用意した30体程の分身に向かって連続エネルギー弾を放った。やっぱりグミ撃ちは何度やっても好きになれない。

 

明『続いてかめはめ波、いきます。』

 

僕はセメントスが用意した的に向かって構えた。

 

明『かーめーはーめー波ぁぁっ!!!』

 

おなじみの構えから両手を突き出すと、青白い光が物凄いスピードで的に向かっていき、光が的に当たると大爆発を起こし、的は粉々になった。

 

『スゲェ、マジでかめはめ波なのかよ。』

 

『悟空本人じゃんかよ。』

 

明『続いて界王拳、いきます。』

 

僕は界王拳を使って試験会場を簡単に移動してみた。移動した時のキュイーンという音が会場内に木霊した。

 

明『今使ったのは1.5倍で現状1.5倍と2倍が使えます。3倍以上を使うと使った反動で自分もダメージを負ってしまいます。』

 

『凄い。彼の体から赤いオーラが出ていましたわ。』

 

『あの移動した時の音、間違いなく界王拳だよ!』

 

明『では最後に元気玉いきます。皆さん手を上げないでください。元気が吸い取られますから。特に受験生の皆さんはこの後走れなくなりますから注意してください。』

 

そうみんなに注意喚起すると僕は元気玉を作るため両手を上に上げた。しばらくすると元気が集まり、集めた元気を右手に集中させて青い玉を出現させた。

 

明『すみません、できるだけ頑丈な的をお願いします。』

 

僕がそうお願いするとセメントスは分厚く大きな的を用意してくれた。

 

明『いっけぇぇっ!』

 

僕は的に向かって元気玉を放った。元気玉が的に当たると大爆発を起こし、爆風が試験会場を襲い、的は木っ端微塵になった。

 

明『今のでもかなり威力を抑えました。元気玉ですから、元気を集める量によりサイズも大きくなり、威力も上がります。その分作る時間も長くなりますが。』

 

試験官のミッドナイト・セメントス・エクトプラズム、受験生59人は元気玉の威力に呆然としていて僕の説明をあまり聞いていないようだった。

 

明『《気》を使った技は以上です。他にも《気》を読んで人を探したりとか、高速移動して残像を作ったり出来ますが、披露した方がいいですか?』

 

ミッド『い、いえ、もう大丈夫よ。ありがとう。お疲れ様でした。』

 

明『はい、ありがとうございました。』

 

こうして僕の個性披露は終了した。そして最後の試験、3kmのマラソンだ。試験官のプレゼント・マイクの説明によると、6人1組で行い、様々な障害物を個性を駆使してゴールするそうだ。

 

僕は順位も大事だがクリアタイムが1番大事だと思ったのでスタートから全開で行き、必要なら3倍界王拳も使う覚悟だ。

 

男子の4組目まで終了し、遂に僕のいる5組目の番がきた。5組目には僕以外に、氷と炎を操る個性の人・触れた物を柔らかくする個性の人・風を操る個性の人の3人が一緒の組だった。シグナルが青に変わりスタートの合図がされると僕は界王拳2倍を使い一気に駆け抜けた。

 

基本は走り、走れない場所は舞空術で対応した。コース途中の障害はパンチや蹴りで破壊し、遠距離からの妨害は衝撃波や気弾で対応した。

 

そして無事ゴール。結果はぶっちぎりの1位だった。3倍界王拳を使う必要もなかった。タイムも60人の中で断トツの1位だった。全員ゴールした後、氷と炎を操る個性の人と風を操る個性の人が揉めているようだったがあまり気にしなかった。

 

こうして推薦入試は終了した。自分の力は出し切ったので、後は結果を待つのみだ。

 

 

 

推薦入試からちょうど一週間後、僕は自室で茨と受験勉強をしていた。受験といっても僕は終わっているので、茨の学力アップのための勉強だ。

 

『明、入るわよ。』

 

明『どうしたの母さん、何か用?』

 

『これ。今雄英から受験結果が届いたのよ。』

 

明『えっ、本当!?』

 

茨『明、早く開けてみて下さい。』

 

『ちょっと待って茨ちゃん。明、1人で確認したいなら私達は部屋を出るけど。』

 

明『大丈夫だよ母さん。3人で確認しよう。』

 

僕達は3人で結果を確認する事にした。母さんから貰った封筒を開けてみると、中には丸い機械が入っていた。それをテーブルの上に置くと

 

根津『やぁこんにちは。ネズミなのか犬なのか熊なのか、かくしてその正体は、雄英高校の校長、根津さ。』

 

雄英の校長先生のホログラムが投影されたのだ。

 

根津『さて野沢明君、早速だが君の受験結果を発表するよ。結果だけ言えば君は無事合格だよ。ただし、ただの合格とは違うんだ。』

 

根津『君の筆記と実技の成績、面接、個性披露、そして既に仮免を取得している事を考慮して、通常の推薦4枠とは別に特別推薦枠として君を合格させる事に決定したのさ。』

 

根津『雄英(ここ)が君のヒーローアカデミアさ。君の入学を楽しみにしているよ。』

 

そう言い終えるとホログラムは消えた。

 

明『僕が、特別推薦枠…』

 

茨『おめでとうございます明。特別推薦枠なんて凄いじゃないですか。』

 

明『ありがとう茨。でも、僕が特別推薦枠だなんて、いいのかなぁ。』

 

『何言ってるのよ。あなたが努力して掴んだ結果なんだから、自信を持ちなさい。』

 

茨『そうですよ明。さて、明が無事合格したのですから、次は私の番ですね。』

 

明『頑張れ茨。僕に出来る事なら何でもするから。』

 

『茨ちゃん頑張ってね。おばさんも協力するから何でも言って頂戴。』

 

茨『明、おば様、ありがとうございます。私必ず合格します。そして明との約束を必ず果たします。』

 

こうして僕は無事雄英高校に合格した。そして一般入試までの間、茨への協力を惜しまない日々を送った。




第8話いかがだったでしょう。原作では、推薦入試の描写が少なく、順番も筆記・実技・面接の順場でしたが、かなりアレンジを加え、順番も変更しました。特に原作にはない個性披露は明の力をみんなに見てもらいたいと思って加えました。後、受験者の人数なんですが、マラソンが6人1組で行われているのと、夜嵐のゼッケンが41番だったので60人にしました。人数の増減の意見があれば変更しようと思うので、ご意見・ご感想お待ちしています。次回もお楽しみに。


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第9話 約束は守られた

お待たせしました。第9話になります。


茨『大きな校舎ですねぇ。』

 

明『だよね。僕も初めて見た時圧倒されたよ。』

 

今日は雄英高校の一般入試の試験日だ。僕は茨を見送るために一緒に雄英高校に来ていた。流石倍率300倍だけあって物凄い人数の受験者がやって来ていた。僕は茨を見送るだけだったので私服で来ていたので周りからの視線が痛かった。こんな事なら制服で来ればよかった。

 

茨『じゃあ明、私そろそろ行きますね。』

 

明『うん。二番煎じかもしれないけど、茨が今日までやってきた事を全て出し切れば必ず合格出来るさ。頑張ってね。』

 

茨『ありがとうございます明。じゃあ、行ってきます。』

 

茨が見えなくなるまで僕は茨を見送っていた。

 

明『さて、試験終了までどうやって時間を潰そうかなぁ。』

 

僕がそんな事を考えていると、

 

『おや、もしかして君は野沢明君じゃないかい?』

 

と、足元の方から声をかけられたので下を見ると、

 

明『あなたは、雄英の校長先生』

 

根津『いかにも、ネズミなのか犬なのか熊なのか、かくしてその正体は、雄英高校の校長さ。』

 

声の主は雄英の根津校長だった。

 

根津『今日は一般入試の試験日だけど、なんで君がここにいるんだい?』

 

明『幼馴染みが試験を受けるので、僕は見送りに来ただけなんです。』

 

根津『なるほど、そういう訳か。ところで、この後何か予定はあるのかい?』

 

明『いえ、試験終了までどうやって時間を潰そうか考えていたとこなんです。』

 

根津『もし君さえよければ、校内見学を兼ねて試験を見物していかないかい?』

 

明『いいんですか?部外者の僕が試験の見物なんて。』

 

根津『大丈夫。他の先生には僕から話しておくから。じゃあ付いてきてくれるかい。』

 

思わぬ形で僕は試験を見物する事になった。

 

校内に入ってしばらく歩くと、僕は職員室の前に案内された。

 

根津『ちょっとここで待っててくれるかい。』

 

そう言い残し、校長先生は職員室に入っていった。そして数分後…

 

根津『お待たせ。こちら君の担任になる予定のブラドキング先生だよ。僕はこの後用事があるから案内はブラド先生に任せてあるから。』

 

ブラド『入試の面接以来だな、野沢。』

 

明『お久しぶりです。よろしくお願いします、ブラドキング先生。』

 

ブラド『俺の事はブラド先生と呼んでくれ。』

 

根津『じゃあブラド先生、後は頼んだよ。』

 

そう言って校長先生は職員室に入っていった。

 

ブラド『それじゃあまずはお前が勉強する教室にでも行ってみるか。』

 

ということで、まずは僕が入学して入る教室に案内された。

 

ブラド『ここがお前が勉強する1年B組の教室だ。』

 

明『デカい扉ですねぇ。』

 

ブラド『異形型に配慮した扉だ。』

 

中に入ると20脚の椅子と机が並んでいた。

 

ブラド『今は20しかないが後日もう1セット用意するから安心してくれ。』

 

明『それってもしかして、特別推薦枠の僕の分って事ですか?』

 

ブラド『まあ、そういう事だな。』

 

明『あのブラド先生、本当に僕が特別推薦枠でよかったんでしょうか?』

 

ブラド『それはどういう意味だ?』

 

明『確かに僕は雄英に合格するために努力してきました。けど、自分の事を特別だなんて思った事はありません。仮免だって運良く合格したようなものですし、推薦入試の時も僕より凄い個性の人はたくさんいました。正直特別推薦枠は僕には相応しくないと思ってるんです。』

 

ブラド『そんなに自分を卑下するものじゃない。お前は今まで一生懸命努力してきた。その結果が今のお前にあるんだ。もっと自身を持て。他人の事なんて気にせず、胸を張ればいいんだ。』

 

明『ブラド先生、ありがとうございます。』

 

ブラド『それじゃ、次の場所へ行くぞ。』

 

その後学校内の色々な場所を見学していった。流石最高峰なだけあって、最新の設備が充実していた。

 

見学後お昼になりブラド先生がご馳走してくれるということで、一緒に食堂に向かい昼食を取る事にした。食事中は自分の修行の話や面接の時の話をした。

 

ブラド『そういえば、面接の時に聞かなかった質問があるんだが、聞いてもいいか?』

 

明『はい、どんな質問ですか?』

 

ブラド『お前は校長が推薦入試の依頼に行った時、考える時間が欲しいと頼んだよな。実は他の受験者は全員即答で返事をして、即答しなかったのはお前だけなんだ。どうしてお前は即答しなかったんだ?』

 

明『ああ、その事ですか。』

 

ブラド『答えたくなかったら無理に答えなくてもいいが。』

 

明『いえ、大丈夫です。僕は幼馴染みと一緒に雄英を受験し、一緒に合格し、一緒に雄英に入学しようと約束しました。』

 

ブラド『そういえば、今日は幼馴染みを見送りに来たんだったな。』

 

明『はい。しかし僕だけ推薦入試を受けたら彼女との約束を破る、彼女の事を裏切ると思い即答できなかったんです。』

 

ブラド『なるほどな。』

 

明『でも彼女は、僕が推薦入試を受けても、僕が私の事を裏切ったなんて思わないと言ってくれました。その言葉を聞いて僕は推薦入試を受験する事を決めました。そして、彼女と一緒に雄英に合格して一緒に入学しようと約束しました。』

 

ブラド『そうか、話してくれてありがとう。2人共お互いの事を本当に大切に思ってるんだな。』

 

明『はい。僕にとっては両親と同じ位大切な存在ですから。』 

 

昼食後、試験が行われている講堂へと案内された。ここでは午前中は筆記試験が行われており、これから実技試験の説明が行われるところだ。僕は他の受験者に見つからないよう隅の方でブラド先生の背中に隠れて説明を聞いていた。

 

司会のプレゼント・マイクの説明によると制限時間は10分、その間に3種のロボットを行動不能にさせポイントを稼ぐというもの。ただし、倒してもポイントにならないロボットもいるらしい。説明後僕は別室でブラド先生とモニターで見物する事になった。試験会場は1つの町かというくらいの大きな場所だった。

 

ブラド『野沢、お前ならこの実技試験、どうやって挑む?』

 

明『そうですねぇ、相手がロボットですから気を読んで居場所を見つける事が出来ないので、界王拳を使って移動しながら見つけたロボットを片っ端から倒していくって感じですかね。ロボット相手なら手加減する必要ないですから。』

 

ブラド『なるほど、お前らしいな。』

 

その後試験はスタートした。プレゼント・マイクの簡単な合図に出遅れた受験者がたくさんいた。そして試験開始から7〜8分経過した頃、とてつもなくデカいロボットが現れた。

 

明『あのデカいロボットは?』

 

ブラド『あれが0Pのロボットだ。』

 

あまりにもデカいロボットの登場に会場は大パニックだ。倒しても意味のない0Pなので、ほとんどの人が逃げ出していた。

 

ブラド『野沢、お前ならあの0Pのロボにどう対処する?やはり皆と同じように逃げるか?』

 

明『いえ、僕なら戦います。あの程度ならかめはめ波一発で倒せますから。それに、困っている人を助けるのがヒーローですから。』

 

その後モニターを見ていると1体の0Pロボがふっ飛ばされた。誰かがあのデカいロボを倒したようだ。僕以外にも倒す考えの人がいるんだと感心した。

 

そして試験終了のアナウンスが響いた。僕は茨が試験を終えて出てくるのを待つ為一足早く雄英を後にする事にした。 

 

明『それではブラド先生、今日1日ありがとうございました。』

 

ブラド『ああ。お前の幼馴染みが無事合格しているといいな。』

 

明『大丈夫ですよ。必ず合格してますから。そして必ず2人で雄英高校に入学します。』

 

ブラド『ああそうだ、一応お前の幼馴染みの名前を教えておいてもらえるか。』

 

明『はい。彼女の名前は塩崎茨といいます。』

 

ブラド『ありがとう。お前達2人の入学を楽しみにしているぞ。』

 

こうして僕はブラド先生と別れた。別れて10数分後、茨が試験を終えて雄英から出てきた。

 

明『お疲れ様茨。どうだった試験は?』

 

茨『はい。筆記も実技もやれる事は全てやりました。後は「人事を尽くして天命を待つ」だけです。』

 

明『大丈夫。茨なら必ず合格しているよ。じゃあ帰ろうか。』

 

茨『はい。』

 

相変わらず周りからの視線が痛かった。中には血涙を流している人もいたようだったが、あまり気にしないようにして僕達は帰宅した。途中僕が学校内を見学し実技試験を見物していた事を話すと茨は驚いていた。

 

 

 

 

一般入試から一週間が経過した。今日は久しぶりに僕と茨と亮の3人でトレーニングをしている。ちなみに亮も無事士傑に合格したそうだ。しかも推薦入試受験者の中で1位の成績だそうだ。それでも僕の特別推薦枠の話を聞くと『くっそーっ、負けた!』と悔しがっていた。

 

『茨!、茨!』

 

茨『どうしたんですかお母さん、そんなに慌てて。』

 

『今雄英から手紙が届いたのよ。』

 

茨『本当ですか!?』

 

亮『おっ、遂に届いたか。』

 

明『茨、1人で見たければ見てきていいけど。』

 

茨『大丈夫です。みんなで確認してください。』

 

僕達は4人で結果を確認する事になった。封筒の中には僕の時と同様丸い機械が入っていた。僕の時は校長先生のホログラムが投影されたが、今回は…

 

『私が投影された!!!』

 

茨『オ、オールマイト!?』

 

明『なんでオールマイトが?』

 

投影されたのはオールマイトだった。

 

オールマイト『はじめまして塩崎少女。ご存知だとは思うが私はオールマイト。この度雄英高校の教師を務める事になったのだ。』

 

亮『オールマイトが先生になるのか。』

 

オールマイト『早速だが塩崎少女の結果を発表しよう。まず筆記だが、文句なしの合格点だ。次に実技だが、ロボを行動不能にした敵P(ヴィランポイント)は36P。

 

さらに我々が見ていたのは敵Pだけにあらず、我々雄英が見ていたもう一つの基礎能力!!救助活動P(レスキューポイント)!!しかも審査制!!人救けなど正しい事をした人間を排斥しちまうヒーロー科があってたまるかって話だよ!!綺麗事!?上等さ!!命を賭して綺麗事を実践するお仕事だ!!

 

塩崎少女の救助Pは32P!!合計68P!!これは全体で第4位、女性受験者だけなら第2位という高成績で見事合格だ!!来いよ塩崎少女!雄英(ここ)が君のヒーローアカデミアだ!』

 

そう言ってホログラムは消えた。

 

明『えっと、色々突っ込む事はあるけど、まずは茨、合格おめでとう。』

 

亮『よくやったな、塩崎。』

 

『茨、おめでとう。』

 

茨『皆さんありがとうございます。でも合格できたのは私1人の力ではありません。明や鳥山さん、お父さん・お母さん、それに明のご両親、みんなが協力してくれたおかげです。』

 

亮『俺は大した事はしていない。お前の努力の結果だ。』

 

茨『明、これで約束が守られましたね。』

 

明『そうだね。2人一緒に雄英に入学できるね。』

 

『さて、早くこの事をお父さんに報告しないと。』

 

そう言って茨のお母さんはトレーニングルームから出ていった。僕達3人はオールマイトの事や茨の成績の事で盛り上がっていた。

 

こうして僕と茨は無事雄英高校に合格し、4月からは雄英高校に入学する。




いかがでしたでしょうか。次回はいよいよ雄英高校に入学します。次回もお楽しみに。ご意見・ご感想お待ちしています。


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第10話  遂に入学

お待たせしました。第10話です。今回は雄英高校への入学になります。では、どうぞ。


明『お待たせ茨、ゴメンね遅くなっちゃって。』

 

茨『大丈夫ですよ、私も今出てきてところですから。』

 

明『ネクタイ締めるの手間取っちゃってさ、こんな事なら練習しとけばよかったよ。ちゃんと締められてるかな?』

 

茨『大丈夫ですよ。制服姿、よく似合ってますよ。』

 

明『茨も、雄英の制服よく似合ってるよ。』

 

茨『ありがとうございます。では、参りましょうか。』

 

今日僕達はいよいよ雄英高校に入学する。ヒーローになるためへの第一歩がスタートするのだ。

 

明『そうだ茨、頼みたい事があるんだけど。』

 

茨『頼みたい事、なんですか一体?』

 

明『いずれバレるかもしれないけど、僕が特別推薦枠だって事と仮免を持ってる事、あと僕達が恋人同士な事を他のクラスメイトには秘密にしてほしいんだ。』

 

茨『恋人同士はともかく、特別推薦枠と仮免の事は話してもいいのではないですか?』

 

明『特別扱いじゃなく、皆と同等の立場で高校生活を送りたいんだ。お願いできるかな。』

 

茨『なるほど、明らしいですね。分かりました。私からは話さないようにしますね。』

 

明『ありがとう、茨。』

 

茨とそんなやり取りをしながら僕達は雄英高校に到着した。

 

茨『入試以来ですね。』

 

明『いよいよ雄英での高校生活がスタートするわけだ。』

 

茨『早速クラス表を確認して教室に入りましょう。』

 

僕達がクラス表を確認しに行こうとしたその時、

 

?『あのー、すいません。』

 

突然後ろにいた女性から声を掛けられた。

 

明『はい、なんですか?』

 

?『もしかして、悟空の個性の方じゃないですか?』

 

明『そうですけど、あなたは?』

 

?『私、推薦入試で御一緒だったのですけど。』

 

明『思い出した!確か体内から物を創り出す個性の人だよね。』

 

八百万『はい。私八百万百と申します。よろしくお願いします。』

 

明『僕は野沢明。名前の明で呼んでくれる。隣の彼女は僕の幼馴染みで塩崎茨さん。』

 

茨『塩崎茨と申します、よろしくお願いします八百万さん。』

 

明『よければ一緒にクラス表の確認に行かない?』

 

八百万『では、御一緒させていただきますね。』

 

僕達は3人でクラス表を確認する事にした。

 

明『茨、見つけた?』

 

茨『はい、1年B組でした。明はどうでしたか?』

 

明『僕もB組。案の定一緒のクラスだったね。』

 

茨『そうですね。』

 

八百万『明さん、案の定とはどういう事ですか?』

 

茨『私達縁があるようで、小学校1年の時から9年間ずっと同じクラスなんです。』

 

明『だから案の定って言ったの。』

 

八百万『それって縁を通り越して、もはや運命じゃないですか!?』

 

明『そんな大袈裟な。ところで、八百万さんのクラスは?』

 

八百万『私は1年A組でした。』

 

明『別れちゃったか。でも昼休みや放課後会えるからあまり気にしなくていいんじゃない。』

 

八百万『そうですね。』

 

茨『では、教室へ参りましょうか。』

 

僕達は校舎に入り、八百万さんは1年A組、僕と茨は1年B組へと向かった。

 

茨『大きな扉ですねぇ。』

 

明『異形型に配慮した扉らしいよ。』

 

教室に入ると既に何人か入っており、その内の2人が僕達に向かって歩いてきた。

 

『ねぇねぇ、あんた悟空の個性の人だよねぇ。私推薦入試で一緒だったんだけど、覚えてる?』

 

『俺も推薦入試で最後のマラソン一緒に走ったんだけど、覚えてるか?』

 

明『ちょ、ちょっと待って。あなたは確か、体をバラバラにする個性の人だよね。』

 

取蔭『あったりー!私取蔭切奈、よろしくね。』

 

明『で、君は確か、触った物を柔らかくしてたよね。』

 

『正解。俺は骨抜柔造、よろしく。』

 

明『二人共よろしく。僕は野沢明、名前の明で呼んでくれる。こちらは僕の幼馴染みで塩崎茨さん。』

 

茨『塩崎茨と申します。よろしくお願いします、取蔭さん、骨抜さん。』

 

取蔭『切奈でいいよ。そのかわり私も茨って呼ぶからね。よろしく茨。』

 

骨抜『よろしくな塩崎。教卓に座席表があるから確認するといい。』

 

座席表は以下のとおり。

 

        教卓

   吹出 角取 小大 泡瀬

   骨抜 円場 小森 回原

   凡戸 鉄哲 塩崎 鎌切

   物間 取蔭 宍田 黒色

  鱗  柳  野沢 庄田 拳藤

 

人数の関係で1番後ろの列だけ横5人で縦の列の間に席がある配置だ。

 

取蔭『ねぇねぇ明、このクラスなんで21人だと思う。それに推薦枠4人のうち3人B組っておかしくない?』

 

明『そ、そうだね。でも先生方が考えた配置だから、何かしら意味があると思うよ。』

 

席に付くと取蔭さんにそんな質問をされたが、当たり障りのない返答でその場は凌いだ。その後他の生徒も続々と登校してきた。

 

柳『私は柳レイ子。よろしく。』

 

庄田『僕は庄田二連撃。よろしくね。』

 

宍田『私は宍田獣郎太と申します。よろしくお願いいたしますぞ。』

 

明『僕は野沢明。名前の明で呼んでもらえるかな。みんなこれからよろしく。』

 

僕は周りの席のクラスメイトと自己紹介をした。どの人も個性的で仲良くなれそうだ。

 

小森『私小森希乃子。これからよろしくノコ。』

 

鉄哲『俺は鉄哲徹鐵だ!よろしくな!』

 

鎌切『俺は鎌切尖。よろしく。』

 

茨『私は塩崎茨と申します。皆さん、これから3年間どうぞよろしくお願いします。』

 

どうやら茨の方も他のクラスメイトと仲良くなれたようだ。

 

『あー、盛り上がってるとこ悪いが、みんな自分の席に付いてくれ。』

 

僕達が自己紹介や談笑をしていると、ブラド先生が教室に入ってきた。どうやら予定通り1年B組の担任になったようだ。僕達は先生の指示に従い自分の席に付いた。

 

ブラド『みんな、雄英高校への入学おめでとう。俺はこのクラスの担任の管赤慈郎、ヒーローネームはブラドキングだ。俺の事はブラド先生と呼んでくれ。』

 

現役プロヒーローが担任という事でみんな少し興奮しているようだった。僕は校内見学や入試の見物で話をしていたので落ち着いていた。

 

ブラド『それでは出席を取るぞ。』

 

『ブラド先生、質問いいですか?』

 

ブラド『ん、どうしたんだ一体?』

 

右端のオレンジ色のサイドテールの女の子がブラド先生に質問した。

 

『このクラスって21人で合ってるんですか?』

 

ブラド『ああ。今年のヒーロー科はA組20人、B組21人の合計41人だ。』

 

『でも、定員は40人ですよね。どうして1人多いんですか?』

 

ブラド『うちのクラスに1人特別な生徒がいる。誰かはいずれ分かる。』

 

ブラド先生の言葉に殆どの生徒はざわざわして教室内を見渡していた。落ち着いていたのは僕と茨、同じ推薦入学の骨抜君と取蔭さんの4人だけだ。きっと2人は僕が特別だと思っているだろう。

 

ブラド『静かに!その生徒が特別だからといって特別扱いはしない。全員平等に時に優しく、時に厳しく接していくからな。では、出席を取るぞ。泡瀬洋雪。』

 

その後はブラド先生が出席を取り、簡単な話がされた。

 

ブラド『ではこの後入学式が行なわれるので体育館に移動するぞ。全員廊下に出て出席番号順に2列で並べ。』

 

僕達はブラド先生の指示に従い廊下に並んだ。

 

骨抜『なあ明。先生が言ってた特別な生徒ってお前じゃないのか?』

 

突然僕の後ろに並んでいた骨抜君に話しかけられた。

 

明『えっ!?ど、どうしてそう思うの?』

 

骨抜『だって試験の時見たけどお前の個性ものすげぇじゃんか。それに推薦枠が1クラスに3人いるし絶対お前だろう。』

 

明『で、でも僕より凄い個性の人がいるかもしれないよ。』

 

骨抜『まあ、その可能性もあるだろうけど。』

 

凡戸『ねぇねぇ、君の個性そんなに凄いの?あ、僕は凡戸固次郎、よろしく。』

 

明『僕は野沢明、よろしく。』

 

凡戸『それで野沢君、君どんな個性してるの?』

 

明『明でいいよ凡戸君。まあ、いずれ披露するから、その時までのお楽しみって事で。』

 

なんとかこの場は切り抜けたが、予想通り骨抜君は僕を特別な生徒だと予想していた。この調子じゃ特別推薦枠がみんなにバレるのは時間の問題だろう。

 

その後僕達は入学式に参加した。雄英高校の入学式だからといって特別何かある訳でも無く、校長先生の挨拶や来賓の挨拶や祝辞、ガイダンスの説明などが行われた。ただ1つ違ったのが、ヒーロー科1年A組の生徒全員が入学式に参加していなかった。

 

入学式終了後、教室に戻ると入学式の内容やA組が参加しなかった事、そしてうちのクラスの特別な生徒は誰かで盛り上がっていた。僕は茨とその様子を眺めていた。

 

茨『みんな特別な生徒が誰なのか気になっているようですね。』

 

明『なんだか犯人探しされてる気分だよ。いっそのことカミングアウトした方が楽になるのかなぁ。』

 

と、茨とそんな話をしていると、

 

拳藤『ねぇあんた達、随分仲がいいみたいだけど、どういう関係なの?あっ、私は拳藤一佳、よろしく。』

 

さっきブラド先生に質問していたオレンジ色のサイドテールの女の子、拳藤一佳さんが僕達に声を掛けてきた。

 

茨『私は塩崎茨と申します。拳藤さん、よろしくお願いします。』

 

明『僕は野沢明、名前の明で呼んでもらえるかな。よろしく拳藤さん。』

 

拳藤『私の事は一佳でいいよ。で、2人はどういう関係なの?』

 

茨『私と明は幼馴染みなんです。』

 

拳藤『幼馴染みかぁ。知り合ってどれ位なの?』

 

明『小学校に入学する前に知り合ったから、もう9年になるかな。』

 

拳藤『随分付き合いが長いんだ。』

 

柳『ねぇ、本当にただの幼馴染み?』

 

突然柳さんが僕達3人の会話に入ってきた。

 

柳『私は柳レイ子、よろしく。』

 

茨『あ、あの柳さん、それはどういう意味でしょうか?』

 

柳『レイ子でいいわ。いや、9年も付き合いのある男女だったら、恋人同士になってもいいんじゃないかなって思って。』

 

取蔭『えっ、なになに恋バナ?私も混ぜてよ。』

 

茨『こ、恋人だなんて私達はそんな大層な関係じゃ。』

 

明『そ、そうだよ。確かに仲はいいけど、本当にただの幼馴染みで、恋人同士なんかじゃ。』

 

柳『怪しいわねぇ。なんか2人共動揺してない?』

 

取蔭『溜め込むのは体に良くないよ。吐いちゃった方が楽になるよ。さあさあ。』

 

拳藤『2人共、他人のプライベートに首を突っ込むのは良くないよ。』

 

ブラド『よーしみんな、自分の席に付いてくれ。』

 

茨『あ、ブラド先生が来たので私は自分の席に戻りますね。』

 

茨は逃げるように自分の席に帰っていった。それに合わせて拳藤さんも自分の席に戻った。

 

取蔭『あーあ、せっかくいいところだったのに。』

 

柳『これは特別な生徒以上に調べる必要のある案件ね。』

 

取蔭『他の女子にも協力してもらおうか。』

 

明『2人共、いつまでも喋ってると先生に怒られるよ。』

 

今日3度目のピンチもなんとか切り抜ける事が出来た。だが、2人は他の女子にも協力してもらうなんて言ってたから、僕と茨の関係がバレるのも時間の問題かもしれない。思いきってカミングアウトした方がいいのかもしれないなぁ。

 

ブラド『お前達、入学式後に立て続けで申し訳ないが、これから体操服を配るから着替えてグラウンドに集合してくれ。』

 

拳藤『ブラド先生、一体何をするんですか?』

 

ブラド『それはグラウンドで説明する。更衣室に案内するから体操服を受け取ったら全員廊下に出てくれ。』

 

僕達は先生の指示に従い体操服を受け取ると廊下に出た。

 

いったいこの後何が行なわれるのやら。




いかがでしたでしょうか。次回はいよいよ個性把握テストです。次回もお楽しみに。ご意見・ご感想お待ちしています


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第11話 個性把握テスト その1

個性把握テスト編になります。長文になったので2話に分けました。どうぞ。


全員が体操服に着替えてグラウンドに集合するとブラド先生の説明が始まった。

 

ブラド『これよりお前達には個性把握テストを受けてもらう。』

 

ブラド先生の言葉に生徒全員が動揺し、ざわざわしていた。

 

拳藤『あのブラド先生、個性把握テストって一体?』

 

ブラド『簡単に言えば中学時代、みんな個性なしのスポーツテストをした事があるだろう。それを個性を使ってするというものだ。種目は全部で8種類。勿論手抜きなどせず全力で、そして1秒でも速く、1mでも長くという雄英高校の校訓でもあるPlus Ultra(プルス ウルトラ=更に 向こうへ)の精神で挑んでくれ。』

 

小森『個性ありのスポーツテストなんて面白そうノコ。』

 

鉄哲『うぉぉぉっ!燃えてきたぜ!!』

 

みんなが盛り上がっている中、僕は少し複雑な表情をしていた。

 

茨『明、どうかしましたか?』

 

明『うん。楽しみ半分、不安半分って感じかな。』

 

茨『それはどういう意味ですか?』

 

明『僕中学の時、個性のせいでスポーツテストやらせてもらえなかったでしょ、だから楽しみなんだ。』

 

茨『そういえば、界王拳無しでも凄い記録出してましたよね。』

 

明『うん。あとはこれからテストをすれば、確実に僕が特別推薦枠だってバレる気がしてね。』 

 

茨『なるほど。』

 

明『まぁ、特別推薦枠の事はもう諦めてるけどね。』

 

ブラド『それでは早速始めていくから全員アップをしておいてくれ。』

 

第1種目 50m走

 

ブラド『位置に付いて、ヨーイ…スタート!』

 

それぞれ個性を駆使して好タイムを出していた人もいたし、走るのには不向きな個性の人は普通に走っていた。

中でも宍田君が体を獣のような姿に変えてここまでで1番の記録を出していた。

 

ブラド『次、取蔭と吹出。』

 

取蔭『あれ、ブラド先生、出席番号順なら私と明じゃないんですか?』

 

ブラド『あぁ、申し訳ないが野沢には全種目最後にやってもらう。』

 

ブラド先生のその言葉を聞いて、みんなが僕に注目した。

 

『まさか、あいつが特別なのか?』

 

『でも見た感じ異形型ではないよな。一体どんな個性なんだ?』

 

茨『明…』

 

明『うん。確実にバレたね。』

 

骨抜『明、やっぱりお前だったか。』

 

明『ゴメン。詳しい事は終わったら話すから。』

 

茨『それにしても、ブラド先生もあんな事言えばバレるに決まっていますのに。』

 

骨抜『ブラド先生は初めから隠す気がないようだったな。』

 

その後、僕以外の20人のテストが無事に終了した。

 

ブラド『よし。じゃあ最後野沢、準備してくれ。』

 

ようやく僕の番が来たので、僕はスタート位置に向かおうとすると

 

茨『あっ、待ってください明、チョーカーを忘れていますよ。』

 

明『おっとそうだった《アンテ!》茨、預かっといて。』

 

僕は外したチョーカーを茨に預けた。

 

小森『ねぇ茨、なんであいつチョーカー外したノコ?』

 

茨『これを付けていると全力が出せないからです。』

 

小森『?』

 

僕は元の重力に慣れる為に屈伸やその場駆け足などをして体を慣らした。そして…

 

明『ブラド先生、2倍でいいですか。』

 

ブラド『3倍はまだ使えんか。』

 

明『すいません。試験後も修行は続けているんですが、未だに3倍はコントロール出来なくて。』

 

ブラド先生『そうか、分かった。なら2倍で頼む。』

 

『2倍3倍って何言ってるんだあいつ?』

 

『さぁ?』

 

骨抜『出るぞ、明の《アレ》が。』

 

取蔭『みんな見たらビックリするだろなぁ。』

 

僕はスタート位置に付いて軽く深呼吸をした。そして…

 

明『界王拳2倍!

 

界王拳2倍を使った。おなじみの赤いオーラが体中に出現した。

 

庄田『な、なんだあれ!?』

 

鉄哲『ス、スゲェ!?』

 

宍田『明氏の体から赤いオーラが発生していますぞ。』

 

小森『茨、あれは一体何ノコ?』

 

茨『あれは界王拳という技です。』

 

茨の界王拳という言葉にみんなが反応した。

 

拳藤『界王拳?界王拳ってドラゴンボールで悟空が使ったあの界王拳?』

 

茨『はい、そうです。』

 

鎌切『界王拳使えるなんて、一体どんな個性なんだよ。』

 

柳『ねぇ切奈、あなた驚いてないようだけど、知ってたの?』

 

取蔭『うん。私と明と骨抜は推薦入学なの。で、推薦入試の個性披露って試験で見たから知ってるわけ。』

 

みんながそんな話をしている中、僕はスタート位置に付いた。

 

ブラド『では行くぞ。位置に付いて、ヨーイ…スタート!』

 

合図と同時に僕は50mを一気に駆け抜けた。

 

《キュイーン!!》

 

お馴染みの移動音がグラウンドに木霊した。

 

角取『Oh!That's amazing!』

 

吹出『今のキュイーン!て音、本物だ、本物の界王拳だ!』

 

明『先生何秒でした?』

 

ブラド『0秒98だ。』

 

骨抜『速えぇ。』

 

取蔭『流石界王拳だね。』

 

タイムを確認しているとみんなが僕の周りに集まってきた。

 

角取『ハジメマシテ。私角取ポニーとイイマス。アメリカから来マシタ。私Dragon Ballのアニメ大好きデス。ダカラ本物の界王拳見られて感激シマシタ。』

 

吹出『ボクは吹出漫我。個性柄音に凄く敏感でさ、今の界王拳の《キュイーン!!》て音、生で聞けてスッゲー感動したよ。』

 

鎌切『おい!お前なんで界王拳が出来るんだ!どういう個性してるんだよ!』

 

小森『ねぇねぇ、界王拳以外にも使える技あるノコ?』

 

もう僕への自己紹介やら質問やらで収集がつかなくなっていた。

 

ブラド『おいお前達、この後もテストはあるんだ、質問なら終わってからにしろ!』

 

明『みっ、みんな落ち着いて!ちょっと茨助けて。骨抜君と取蔭さんもみんなを止めるの手伝ってよ。』

 

茨『皆さん、落ち着いて下さい。』

 

取蔭『みんなストップストップ!』

 

骨抜『みんな落ち着け、明が困ってるじゃないか。』

 

先生や茨達の協力もあり、なんとかみんなを鎮める事が出来た。

 

明『ふぅ。ブラド先生、個性の説明だけするので少しだけ時間を下さい。』

 

ブラド『わかった。手短に頼むぞ。』

 

明『ありがとうございます。では改めて、僕の名前は野沢明。名前の明で呼んで下さい。

 

で、僕の個性ですけど、個性の名前は【孫悟空】簡単に言えばドラゴンボールの悟空の力が使える個性です。

 

ただし、技を使うにはその技に見合った厳しい修行をしなければいけません。』

 

鎌切『マジかよ。』

 

鉄哲『もう悟空本人じゃねえか!』

 

拳藤『ブラド先生、やっぱり明が特別なんですか?』

 

ブラド『ああそうだ。実は野沢は通常の推薦枠4人とは別の特別推薦枠として入学したんだ。』

 

骨抜『明、お前特別推薦枠だったのか!?』

 

取蔭『入試の時から一際スゴイと思ってたけど、まさか特別推薦枠とはねぇ。』

 

ブラド『それだけじゃない。野沢は既に仮』

 

明『わぁぁぁぁぁ!!』

 

仮免の事を話そうとしたブラド先生の口を慌てて塞いで後ろを向いた。

 

明『(ブラド先生、お願いします。仮免を持ってる事はみんなには秘密にしておいて下さい。)』

 

ブラド『(そ、それは構わんが、一体どうしてだ?)』

 

明『(特別扱いされたくないんです。先生も言ってたじゃないですか、特別扱いはしないって。だからお願いします。)』

 

ブラド『(わ、分かった。お前がそう言うなら黙っておこう。)』

 

拳藤『あのー、2人共どうしたんですか?』

 

ブラド『な、なんでもない。気にしないでくれ。』

 

明『ご、ゴメンね、急に取り乱したりして。』

 

ブラド『さて、余計な事に時間を食ってしまったから、次からはテンポよくやっていくぞ。』

 

ブラド先生が次の種目の準備を始めると

 

物間『君スゴイ個性してるね。僕は物間寧人、よろしく。』

 

明『こちらこそよろしく。』

 

僕は差し出された右手を握り握手を交わした。その時物間君が笑ったような気がしたがあまり気にしなかった。

 

第2種目 握力

 

ここでも宍田君の記録が目立っていたが、茨もツルを握力計に巻き付けて計測して高記録を出していた。あと物間君が測定前に『ちぇ、スカか。』と言っていたが何だったんだろう?そして最後、僕の番(ちなみにチョーカーはテスト中は外しておく事にした)

 

【ERROR】

 

明『ブラド先生、エラーって出たんですけど。』

 

ブラド『測定不能だ。この握力計は1トンまで計測できるのだが、それ以上とは。』

 

ちなみに左も【ERROR】だった。

 

泡瀬『お前やっぱスゲェなぁ。俺は泡瀬洋雪。個性は【溶接】だ。よろしくな。』

 

回原『俺は回原旋。ところで、50m走の前に言ってた2倍3倍って何だ?』

 

明『あれは界王拳の倍率だよ。現状1.5倍と2倍が使えてそれ以上だと使った反動で僕もダメージを受けてしまうんだ。』

 

泡瀬『じゃあもし3倍界王拳を使ったら』

 

明『全身筋肉痛みたいな状態になって動けなくなる。原作で悟空がベジータ戦で使ってなってたでしょ。あんな状態。』

 

回原『なるほどなぁ。』

 

第3種目 立ち幅跳び

 

立ち幅跳びで特に目立ったのが角取さんだ。彼女は頭の角を飛ばしてその角に乗って空を飛ぶという方法で【測定不能】という記録を出していた。

 

明『すごいね角取さん。僕の他にも空を飛べる人がいるなんてビックリしたよ。』

 

角取『ありがとうゴザイマス。あと、私ノ事は“ポニー”と呼んで下サイ。』

 

明『じゃあ、“ポニーちゃん”でいいかな?』

 

角取『off courseこれで私達はトモダチです。』

 

そして最後に僕の番。僕はジャンプすると《舞空術》を使い空中で静止した。

 

骨抜『当然舞空術を使うよな。』

 

拳藤『いいなぁ。私も舞空術できたらなぁ。』

 

明『先生、このまま端っこの方まで行きますか?』

 

ブラド『野沢、舞空術はどの位の時間使える?』

 

明『えっと、やった事ないから分からないですけど、舞空術だけなら多分丸1日は出来ると思いますよ。界王拳を併用すれば短くなるでしょうけど。』

 

ブラド『わかった。お前も【測定不能】にしておく。』

 

凡戸『スゴーイ。2人目の測定不能だ。』

 

角取『流石明デス。私タチ空中戦なら最強のコンビになれるカモです。』

 

明『アハハ、その時はよろしくね。』

 

取蔭『ねぇ茨、アンタ平気なの?』

 

茨『平気って、何がですか切奈さん?』

 

取蔭『何がって、明が他の女子と楽しそうに話してるのに、アンタやきもち焼いたりしないワケ?』

 

茨『そんな事ですか。そんなの気にするような事ではありません。それに私は明の事を信じていますから。』

 

取蔭『大した信頼ね。』

 

柳『幼馴染みの余裕ってヤツかしら。』

 

第4種目 反復横跳び

 

ここでは宍田君が他の人より高記録を出していたが特に目立った人はいなかった。僕は通常の横の動きに前後の動きを加えた《多重残像拳》を使いテストに挑んだ。

 

鱗『スゲェ。明が3人になった!』

 

小森『分身したノコ?』

 

明『先生、何回でした?』

 

ブラド『987回だ。』

 

明『くっそーっ、1000回いかなかったかぁ。』

 

鱗『今のスッゲーな。俺は鱗飛竜。中国出身の中国人だ。よろしくな。』

 

明『よろしく鱗君。それにしても、中国出身なのに日本語上手いね。』

 

鱗『小学生の頃に日本に引っ越してきたからな。ところで、今のは3人に分身したのか?』

 

明『違うよ。今のは多重残像拳。移動と停止を超スピードで繰り返して眼に残像を写し出したんだ。初期のドラゴンボールじゃよく使われてた技なんだけど、最近じゃあまり見ないから知らないかな。』

 

鱗『なるほどな。やっぱスゲェなお前。』

 

第5種目 ソフトボール投げ

 

この種目では宍田君の他に柳さんと庄田君が個性を使って高記録を出していた。

 

明『2人共凄いね。一体どんな個性なの?』

 

柳『私の個性は“ポルターガイスト”身近にあるものを操ることができるわ。』

 

庄田『僕の個性は“ツインインパクト”打撃を与えた場所に自分のタイミングでもう一度打撃を発生させる。つまり1度打撃を与えたボールにもう1度打撃を与えたんだ。そして2度目の打撃は1度目の数倍の威力になる。』

 

明『なるほど。2人共凄い個性だね。』

 

柳『なに言ってるのよ。私達より明の方がよっぽど凄いじゃない。』

 

庄田『そうそう。界王拳・舞空術・残像拳、他にも出来る技があるんだろう。』

 

明『まあね。このテストで全部見せられるか分からないけどね。』

 

そして僕の番。とりあえず思い付かなかったので界王拳2倍を使い普通に投げる事にした。

 

明『せーのっ!』

 

ボールは勢いよく飛んでいった。

 

ブラド『記録、8590m』

 

明『1万いかなかったかぁ。』

 

拳藤『それでも十分凄いよ。』

 

ブラド『野沢、挑戦は1人2回だ。2回目は別の投げ方でやってみろ。』

 

明『別の投げ方ですか。』

 

僕はどうするか考えた。そして

 

明『分かりました。』

 

そう言うと僕は思いついた方法を実行するべく、両手で包み込むようにボールを持ち、右下の腰のあたりに構えた。

 

拳藤『あの構えって、まさか…』

 

角取『Wow 本物ガ見ラレるんですか。』

 

吹出『悟空といえばやっぱりこれだよね。』

 

明『(イメージとしては大きさはボールの直径程に・威力はボールを破壊しないように・ただし勢いはMAXで。)』

 

頭の中で打つイメージを固定させた。

 

明『ではいきます!かーめーはーめー波ぁぁっ!』

 

上空に向かってかめはめ波を打ち出した。

 

小大『凄い。』

 

黒色『これぞまさしく本物のかめはめ波。』

 

明『いっけーっ!』

 

僕は打てる限界までかめはめ波を打ち続けた。

 

明『先生、記録は』

 

ブラド『測定不能だ。』

 

物間『測定不能ってどういう事ですか?』

 

ブラド『ボールが大気圏を突破して宇宙に行った。だから測定不能だ。』

 

鉄哲『やっぱスゲェなぁ明は。』

 

明『ふーっ。流石に界王拳2倍でのかめはめ波はキツイなぁ。』

 

僕が一息ついていると2人の生徒が近づいてきた。

 

小大『私、小大唯、よろしく。』

 

明『よろしく、小大さん。』

 

小大『さっきのかめはめ波、凄くカッコよかった。』

 

明『そう言ってもらえると嬉しいよ。ありがとう。』

 

黒色『俺は黒色支配、よろしく。』

 

明『よろしく、黒色君。』

 

黒色『明、お前こそまさに雄英に現れし孫悟空だ!』

 

明『な、何だかよく分からないけど、ありがとう。』

 

ちなみに明がかめはめ波を打った頃1年A組の教室では

 

上鳴『な、なんだ今の光?』

 

麗日『青山君のレーザーみたいやったね。』

 

飯田『でも青山君とは全然違う感じがしたぞ。』

 

切島『みんな外見てみろ、俺たちみたいにテスト受けてる奴らがいるぞ!』

 

蛙吹『あれは、隣の1年B組の生徒かしら』

 

葉隠『今はソフトボール投げをやってるみたいだね。』

 

障子『という事は円の中の生徒が今の光を出したのか?』

 

轟『(アイツはたしか試験の時にいた孫悟空の個性の奴か。て事は今の光は)』

 

八百万『(あれは明さん。という事は今の光は)』

 

轟・八百万『(かめはめ波か/ですか)』

 

緑谷『一体どんな個性なんだろう?』

 

というやり取りがあったらしい

 

第6種目 上体起こし

 

明『宍田君、悪いけど足押さえてもらえないかな。』

 

宍田『お安い御用ですぞ。』

 

明『ありがとう。』

 

宍田君に足を押さえてもらい挑んだが、さっきのかめはめ波で消耗したせいか、余り記録は伸びなかった。

 

明『さっきのかめはめ波で消耗しすぎたかなぁ。もっといけるはずなのに。』

 

宍田『それでもクラスで1位の記録ですぞ明氏。さすがですなぁ。』

 

第7種目 長座体前屈

 

この種目では茨が髪の毛のツルを伸ばして、取蔭さんが手を分割させて高記録を出していた。

 

明『2人共凄い記録出してたね。』

 

茨『ありがとうございます、明。』

 

取蔭『流石の明もこの種目で1位取るのは無理なんじゃない。』

 

取蔭さんの言うとおりだった。長座体前屈では流石の界王拳も何の役にも立たないので普通に挑んで普通の結果が出た。

 

凡戸『初めて普通の結果が出たね。』

 

鎌切『今までが凄すぎて逆に新鮮だぜ。』

 

第8種目 持久走(1500m)

 

流石にここまでくるとみんな疲れの色が見えてきていたが全員無事に完走した。ここでもやはり宍田君が1着でゴールした。また、茨が女子7人の中でトップでゴールした。

 

明『スゴいよ茨!女子7人の中でトップだったよ。』

 

茨『ありがとうございます。毎日一緒にジョギングしてきた甲斐がありました。』

 

拳藤『茨って見掛けによらず体力あるよね。』

 

柳『どうやら明と一緒に修行してるみたいね。』

 

そして最後に僕の持久走。最後だから全力を出そうと頑張ったが、これまでの疲労と2倍界王拳かめはめ波による消耗が思いの外激しく、30秒台を目指したが45秒以上かかってしまった。

 

明『あー疲れた。』

 

茨『明、お疲れ様でした。』

 

明『30秒台を狙ってたんだけどね。2倍界王拳のかめはめ波でかなり体力消耗したみたい。今後の課題だよ。』

 

こうして個性把握テストは無事に終了した。




いかがだったでしょう。その2はできるだけ早く上げる予定です。次回もお楽しみに。あとアンケートを受け付けますので回答お願いします。


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第12話 個性把握テスト その2

前回の続きです。続きなので少し短めです。どうぞ。


ブラド『みんなご苦労。これより順位を発表するが正直あまり気にしなくていい。こういうテストの場合どうしても身体能力を強化する個性が有利になってしまう。

 

このクラスの場合宍田と野沢だな。順位よりも自分が何が得意・不得意なのかをよく理解するのが大切だぞ。では発表だ。』

 

結果的には先生の言ったとおり僕が1位、宍田君が2位だった。また、茨も女子7人の中で1位の成績だった。

 

茨『おめでとうございます明、見事1位ですね。』

 

明『茨も女子の中じゃトップじゃないか。』

 

ブラド『この後カリキュラム等を配るから速やかに着替えて教室に戻ってくれ。』

 

そう言ってブラド先生は戻っていった。

 

明『さてと《ロック》流石にテストの後だと重いなぁ。』

 

小森『ねぇ明、ちょっと聞きたい事があるノコ。』

 

明『えっと、たしか小森さんだったよね。』

 

小森『そうタケ。小森希乃子、よろしくノコ。』

 

明『よろしく。で、聞きたい事って何?』

 

小森『そのチョーカーだけど、なんでテスト中外してたノコ?』

 

明『ああこれ。これは《グラビティ・チョーカー》って言ってね、装着者に設定した倍率の重力を発生させるんだ。』

 

小森『へぇ。で、今は何倍にしてるノコ?』

 

明『今は10倍。もう随分慣れてきたからそろそろ倍率を上げようと思ってるんだ。』

 

小森『ねぇ、私にもつけさせてノコ。』

 

明『止めた方がいいよ。仮に小森さんの体重を45kgだとして、その10倍だから450kgになるんだよ。普通の人なら1歩も動けなくなる重さだよ。』

 

鎌切『なら俺に付けさせてくれ!』

 

明『えっと君は、鎌切君だよね。』

 

鎌切『そうだ。鎌切尖だ。俺に10倍の重力を体験させてくれ!』

 

明『別にいいけど…』

 

僕はチョーカーを外して鎌切君に渡し、首にセットしてもらった。

 

明『僕がある言葉を言うと装着されて同時に重力が発生するからね。耐えられなくなったらすぐに言うんだよ。』

 

鎌切『分かったぜ!』

 

明『じゃあいくよ。《ロック》』

 

チョーカーが装着され10倍の重力が発生すると、鎌切君は立っていられずすぐに地面にへばり付いた。

 

鎌切『明、もう無理、ギブギブギブ!』

 

明『《アンテ》どうだった10倍の重力は?』

 

鎌切『ハア、ハア、お前よくこんなの付けていられるなぁ。』

 

明『まあ、普通の人間じゃあ無理だろうね。あれ、小森さん、どうかした?』

 

小森『明、私ってそんなに痩せて見えるノコ?』

 

明『え?いや僕は小森さんの見た目で勝手に45kgって想像しただけで。もしかして失礼な事言った?それなら謝るよ、ごめんなさい。』

 

小森『ち、違うタケ!明はなんにも悪くないノコ!むしろ私が急に変な事言ってゴメンノコ!』

 

明『そ、それならいいんだけど。』

 

茨『明、早く着替えないと先生に怒られますよ。』

 

明『おっとそうだった。2人共、早く着替えよう。』

 

鎌切『おう。』

 

僕達は急いで更衣室に向かった。

 

小森『……』

 

取蔭『希乃子、もしかして…惚れた?』

 

小森『ち、違うタケ!私はただ本当の体重より軽く見られた事が嬉しかっただけノコ!』

 

取蔭『またまたぁ。』

 

小森『それより、私達も早く着替えるノコ!』

 

色々あったが無事に個性把握テストは終了した。教室に戻るとブラド先生からカリキュラム等が配られ、明日からの予定が話されてその日は終了し、帰宅となった。

 

明『入学初日から色々あったなぁ。』

 

茨『でも、友達もできましたし、充実した1日でしたわ。』

 

明『そうだね。ねぇ茨、どこかでお昼食べてから帰ろうか。』

 

茨『いいですね。そうしましょうか。』

 

僕達がそんな話をしていると

 

吹出『おーい、明ぁ。』

 

角取『待ってクダサイ。』

 

吹出君とポニーちゃんが追いかけてきた。

 

吹出『明、途中まで一緒に帰ろうぜ。』

 

明『いいよ。これから茨とどこかでお昼食べようって話してたんだけど、2人もどうかな?』

 

吹出『いいねぇ。早く行こう。』

 

角取『私もLunch御一緒シマス。』

 

明『茨もいいよね。』

 

茨『もちろん。人数が多い方が楽しいですし。』

 

拳藤『ねぇねぇ、私も仲間に入れてくれない?』

 

鉄哲『俺もいいか?』

 

明『いいよ。拳藤さんと、たしか鉄哲君だよね。』

 

鉄哲『ああ。俺は鉄哲徹鐵だ。よろしくな。』

 

こうして僕達は6人で昼食を食べる事になった。人数が多いので場所はファミレスにした。食事中は互いの個性の話や今日のテストの話で盛り上がったが、1番盛り上がったのはやはり僕の個性の話だった。

 

拳藤『ねぇ明、今日見せた技以外に何ができるの?』

 

明『あと気を使う技で出来るのは衝撃波・気弾・太陽拳、あとは元気玉が出来るよ。』

 

鉄哲『元気玉も出来るのか!』

 

明『まあね。作るのに時間がかかるし、その間無防備だから実戦だとあまり役に立たないけど。』

 

角取『もし作ル時は手を上げて私の元気ヲ分けてアゲマス。』

 

明『ありがとう、ポニーちゃん。』

 

拳藤『ねぇ明、瞬間移動はできないの?』

 

明『瞬間移動か。修行すれば出来ると思うけど、無理だね。』

 

拳藤『どうして無理なの?』

 

明『時間がないから。瞬間移動を習得するのに何日かかるか知ってる?』

 

吹出『僕知ってるよ。150日だよね。』

 

明『吹出君よく知ってるね。』

 

吹出『ドラゴンボールの漫画は全巻読破してるし、現在連載中の(スーパー)も愛読してるからね。』

 

拳藤『150日もかかるの!?』

 

明『そう。漫画だと棒の上で座禅を組んで体と心のバランスを整える。悟空はこの修行を150日ぐらいやったらしいんだ。』

 

吹出『実際に修行している描写は悟空じゃなくてベジータだけどね。』

 

明『技の習得には基本原作と同じ修行をしないといけないんだ。だから修行の描写のない界王拳と元気玉を習得するのには苦労したよ』

 

拳藤『そうなんだ。』

 

明『で、瞬間移動だけど、雄英に通いながら棒の上で150日も座禅を組むなんて出来る訳ないでしょ。だから無理なの。』

 

拳藤『なるほどねぇ。』

 

鉄哲『なあ明、(スーパー)サイヤ人にはなれないのか?』

 

明『うーん、きっかけさえあればなれると思うんだけど、そのきっかけが発生するとも思えないし、無理なんじゃないかな。』

 

鉄哲『明、きっかけってなんだ?』

 

明『超サイヤ人になる条件に《穏やかな心を持ちながら、激しい怒りによって目覚める》ってのがあるでしょ。その中の激しい怒りってのがイメージできなくてさ。』

 

鉄哲『激しい怒りか。』

 

明『両親や茨が目の前で殺されたりしたら覚醒するかもしれないけど、そんな場面想像できないし、もしそんな状況になっても絶対になんとかしようとするだろうからねぇ。』

 

鉄哲『なるほどなぁ。』

 

明『そもそも僕怒った事ほとんどないもん。』

 

茨『そういえば私も明が怒った姿なんて今まで1回しか見た事ないですね。』

 

拳藤『ねぇ茨、その1回ってどんな状況だったの?』

 

茨『小学校1年の頃、私がガキ大将とその取り巻きにイジメられそうになったのを明が助けてくれたんです。』

 

明『そういえば、そんな事もあったね。』

 

茨『その時の明は本気で怒っていましたよね。』

 

明『あの頃は茨が初めてできた友達だったし、茨を傷つけようとする奴らが絶対許せなかったからね。』

 

拳藤『へぇ、やるじゃん明』

 

角取『デモ、私は明の超サイヤ人の姿見てみたいデス。』

 

吹出『僕も見てみたいなぁ。』

 

鉄哲『吹出、お前の本命は明の超サイヤ人の姿より《シュインシュインシュインシュイン》てゆう効果音じゃないのか。』

 

吹出『あ、バレた?』

 

一同『アハハハハ。』

 

その後はあまり長居してもお店に迷惑だという事で1時間ぐらいお店を後にした。

 

茨『それでは皆さん、また明日。』

 

明『また明日ねー。バイバーイ。』

 

吹出『みんなバイバーイ。』

 

鉄哲『また明日な。』

 

拳藤『みんな、また明日ね。』

 

角取『みんなsee you tomorrowデス。』

 

みんなそれぞれ帰路に就き、僕達も家に帰る事にした。

 

明『楽しかったね。』

 

茨『ええ。今度は他の友達とも食事したいですね。』

 

明『そうだ茨、僕達の関係の事だけど、隠してるのが辛かったら話しちゃってもいいよ。』

 

茨『え、いいんですか話しても。』

 

明『特別推薦枠の事もあっさりバレちゃったし、取蔭さんと柳さんが僕達の関係を調べようとしてるみたいだしさ。』

 

茨『確かに、あのお二人はそんな様子でしたね。』

 

明『それに茨、隠し事や嘘ついたりするの苦手でしょ。』

 

茨『ごめんなさい。明に気を遣わせてしまって。』

 

明『いいよいいよ気にしないで。あ、でも仮免の事だけは時期が来るまでは秘密にしておいてね。』

 

茨『はい。それなら心配いりませんよ。』

 

明『さて、明日から本格的に授業が始まるし、プロヒーロー目指して頑張ろうか。』

 

茨『そうですね。頑張りましょう。』

 

こうして僕達の雄英高校での高校生活がスタートした。これからどんな事が起こるか楽しみだ。




第12話いかがだったでしょう。皆さんのご意見・ご感想お待ちしています。次回もお楽しみに。


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第13話 初の戦闘訓練 その1

戦闘訓練編になります。今回も2〜3話に別けたいと思います。どうぞ。


入学2日目。早速丸一日授業を受ける事になった。午前中は必修科目の授業。プロヒーローが教えてくれる事を除けばごく普通の授業だ。ちなみに主な科目の担当は

 

現代文→セメントス

 

数学→エクトプラズム

 

英語→プレゼント・マイク

 

近代ヒーロー美術史→ミッドナイト

 

となっている。勿論どの科目も真面目に取り組んだ。そもそも僕の座席の場合、気を抜く事が出来ないのだ。

(明の座席の場所は10話を参照して下さい)

 

お昼になると大食堂でクックヒーロー“ランチラッシュ”の作る一流の料理を安価で食べる事が出来る。大食堂で初めて食べる昼食という事で、僕は手堅く日替わりランチを注文した。他のみんなもそれぞれ好きな物を注文していた。

 

回原『なあ明、お前のそのチョーカー、どこで手に入れたんだ?』

 

明『これは12歳の誕生日に父さんがプレゼントしてくれたんだ。何でも父さんの務めるサポート会社に協力してもらって作ったらしいよ。』

 

鱗『明の親父さんってどこの会社に務めてるんだ?』

 

明『たしか、【ドラゴン・コーポレーション】だったかな。』

 

一同『ドラゴン・コーポレーション!?』

 

明『あれ、みんな知ってるの?』

 

柳『知ってるもなにも、ドラゴン・コーポレーションといえば日本を代表するサポート会社の内の一社じゃない!』

 

取蔭『たしか、ドラグーンヒーロー“リューキュウ”も専属契約してるって話よね。』

 

明『ああ、リューキュウなら中2の頃だったっけ、会社の創業記念パーティーに茨と参加した時に1度会った事があるよ。』

 

茨『3人で記念写真も撮りましたけど、ご覧になりますか。』

 

茨はスマホを操作して記念写真の画像をみんなに見せた。

 

鱗『スゲェ、本当にリューキュウだ。』

 

取蔭『私リューキュウ好きだから羨ましいなぁ。』

 

回原『明、お前って良いとこのボンボンなのか?』

 

明『いや、ごく普通の家庭だと思うよ。ねぇ茨。』

 

茨『でも、普通の家庭に比べたら裕福だと思いますよ。家の隣の土地を購入してトレーニングルームを建設するぐらいですから。』

 

一同『(絶対ボンボンだ!)』

 

そんな会話をしつつ昼食をすまし、午後の授業を向かえた。午後から行なわれるのはヒーロー基礎学。僕を含めたみんなが楽しみにしていた授業だ。

 

AM『わーたーしーがー!!』

 

一同『来っ』

 

AM『普通にドアから来た!!!』

 

一拍置いてからオールマイトが教室に入って来た。No.1ヒーローの登場に興奮する人、鳥肌が立つ人と様々だったし、詳しい人は銀時代(シルバーエイジ)のコスチュームだと気付いた人もいた。

 

対して僕はそれ程興奮していなかった。確かにオールマイトは好きなヒーローの1人だが、僕にとってのNo.1ヒーローは今までも、そしてこれからも《孫悟空》ただ1人なのだから。

 

AM『ヒーロー基礎学!ヒーローの素地をつくる為様々な訓練を行う科目だ!!単位数も最も多いぞ!

 

早速だが今日はコレ!!《戦闘訓練!!!》 そしてそいつに伴って…こちら!!!』

 

そう言うと教室の壁が動き出し、番号が書かれたアタッシュケースが出てきた。

 

AM『入学前に送ってもらった「個性届」と「要望」に沿ってあつらえた…戦闘服(コスチューム)!!!』

 

一同『おおお!!!!』

 

AM『着替えたら順次グラウンド・βに集まるんだ!!』

 

一同『はい!!!』

 

AM『格好から入るってのも大切な事だぜ少年少女!!自覚するのだ!!!!今日から自分は…ヒーローなんだと!!』

 

そう言うとオールマイトは一足先に教室を出ていった。僕達は自分の出席番号のアタッシュケースを手に取り、更衣室に向かった。

 

グラウンド・βにて

 

着替えてグラウンド・βに行くと既に何人かのクラスメイトが集合していた。

 

明『茨、戦闘服(コスチューム)よく似合ってるよ。』

 

茨『ありがとうございます。明もよくお似合いですよ。』

 

拳藤『明、アンタの格好、戦闘服(コスチューム)というよりコスプレって感じがするよ。』

 

小大『ん。悟空のまんま。』

 

明『まあね。でも、これだけは絶対に譲れなかったんだ。』

 

僕の戦闘服(コスチューム)だが、小大さんの言うとおり悟空の道着そのまんまなのだ。山吹色の道着・紺のシャツ・青いリストバンド等全く一緒だ。

 

ただし亀や界、悟のマークは無く、帯も垂れ下がっていない。要するに人造人間編やブウ編の道着なのだ。勿論界王様の道着同様素晴らしく丈夫な布で作られている。

 

茨『あ、他の皆さんも来ましたよ。』

 

明『みんな特徴的な戦闘服(コスチューム)だね。ん、あれは…』

 

みんなの戦闘服(コスチューム)を見物している中、1人気になる戦闘服(コスチューム)の人がいたので声をかけてみた。

 

明『庄田君、その耳に付けてるのってさ…』

 

庄田『ああこれ。これはHMD、頭に付けるディスプレイだよ。VRのゲームで付けるゴーグルと要領は一緒さ。』

 

明『じゃあスカウターとしての機能は』

 

庄田『残念ながらないよ。もしかして本物のスカウターだと思ったかい?』

 

明『見た目そっくりだから本物かと思ったよ。本物だったら誰でも気を読める事になるからね。』

 

庄田『確かに、気を読む能力は君の個性で出来る技の1つだからね。』

 

そんな話をしているとオールマイトがやって来た。

 

AM『みんなよく似合ってるぞ。カッコイイぜ!!』

 

泡瀬『先生、ここは入試の演習場ですけど、また市街地演習をするんですか?』

 

AM『いいや!もう二歩先に踏み込む!屋内での対人戦闘訓練さ!!』

 

要約するとヒーロー・ヴィランの2組に別れて2対2で屋内戦を行う。ルールはヒーロー側はヴィラン側が屋内に隠した核兵器を回収するかヴィラン側2人を拘束すればヒーローの勝ち。

 

ヴィラン側は時間内に核兵器を守り切るかヒーロー側2人を拘束すればヴィラン側の勝ち。というものだ。なお、ペアはくじ引きで決める。これは現場での急造チームアップに対処する為だそうだ。

 

拳藤『先生、うちのクラスは21人で1人余ってしまいますが、どうするんですか?』

 

AM『その点は問題無い!くじの中に1つだけ★マークの描いた“アタリ”が入っている。アタリを引いた人は最後に訓練を行ってもらい、その際、パートナーを1人指名してもらう。ただし、指名された人がケガをしていたり、体力を消耗している場合は辞退してもOKだ。

 

そして対戦相手だが、まずは立候補をしてもらう。立候補者がいない場合はくじで決める。勿論この場合も辞退OKだ。なお、ヒーロー側・ヴィラン側はアタリを引いた人に決めてもらう。』

 

オールマイトの説明が終わり、出席番号順にくじを引いていった。僕の引いたクジは

 

明『あ、アタリだ。』

 

AM『おっ!野沢少年がアタリを引いたか。では野沢少年、みんなの訓練の様子を見て誰をパートナーにするか決めておいてくれ。』

 

オールマイトはそう言っていたが、僕の中ではパートナーは1人しかいなかった。

 

明『茨、初めての訓練だし、最初はよく知った人と組みたいんだけど、指名してもいいかな。』

 

茨『もちろん、私でよければ構いませんよ。』

 

明『ありがとう。あ、でももしケガしたりしてたら言ってよね。他の人を指名するから。』

 

茨『分かりました。』

 

こうして戦闘訓練がスタートした。みんな自分の個性を最大限に使って自分のチームが勝つ為に全力を出していた。そしてみんなの訓練を見ているうちに、早く自分も戦いたいと思っていた。おそらく僕の個性によるサイヤ人の血がそう思わせているのかもしれない。

 

数十分後、5組の戦闘訓練が終了した。みんな特に大きなケガも無いようで元気にしていた。もちろん茨も元気そうだったのでこれなら僕との訓練も問題ないだろう。

 

AM『では最後は野沢少年の番だが、指名するパートナーは決めているかい?』

 

明『はい。塩崎茨さんでお願いします。』

 

AM『うむ。塩崎少女、指名されたけど引き受けてくれるかな?』

 

茨『もちろんです。やらせていただきます。』

 

AM『では次は対戦相手だが、この2人と戦いたい人は手を挙げてくれるかな!』

 

『はい!』

 

AM『よーし、1番手を挙げるのが早かった拳藤少女と鉄哲少年を指名しよう。2人共よろしく頼むぞ!』

 

拳藤『はい、頑張ります!』

 

鉄哲『ヨッシャー!』

 

AM『野沢少年、ヒーローとヴィランどちらがいいかな?』

 

明『じゃあヒーローでお願いします。』

 

AM『OK。では野沢・塩崎ペアがヒーローチーム、拳藤・鉄哲ペアがヴィランチームだ!ヴィランチームは核兵器のセッティングに取り掛かってくれ!』

 

ヴィランチームが核をセッティングする5分間、僕と茨は2人とどう戦うか話し合っていた。

 

茨『明、作戦などは考えていますか?』

 

明『2人の訓練を見てたけど、拳藤さんの個性は拳を巨大化させる。鉄哲君の個性は体を金属化させる。2人とも近接戦に特化した個性だから一人一倒で来ると思うんだ。で、多分だけど鉄哲君が先行して拳藤さんが核を守る陣形だろうね。』

 

茨『なるほど、確かにその可能性が大きいですね。』

 

明『だから先行してきた鉄哲君を僕が相手をして、その隙に茨が拳藤さんと核を見付けて拳藤さんを確保するか核を回収するでいいと思うけど、どうかな?』

 

茨『大丈夫です。その作戦で参りましょう。』

 

〜一方、ヴィランチームの2人は…〜

 

鉄哲『俺が明の相手するから拳藤が塩崎の相手と核を守ってくれよな。』

 

拳藤『ちょっと待ってよ!私だって明と戦いたい!』

 

鉄哲『なんだよ、お前も明が目当てなのかよ!』

 

拳藤『当然でしょ、見た目や性格は野沢明でも、中身は《孫悟空》なんだから!私も悟空と戦えると思って立候補したのに!』

 

鉄哲『でも俺達2人で明の相手したら、核が無防備で簡単に塩崎に回収されちまうぞ。』

 

拳藤『うーん、どうしようか……ねぇ!こんな作戦どうかな!』

 

鉄哲『どんな作戦だ?』

 

拳藤『えーとまずは…』

 

拳藤さんによって作戦内容が説明された。

 

鉄哲『いいじゃねえか!その作戦でいこうぜ!!』

 

拳藤『なら早速核をセッティングだよ!』

 

そして5分後、準備が完了した。

 

AM『4人共準備はいいかな。では、屋内対人戦闘訓練、START!!』

 

こうして僕の初めての戦闘訓練が始まった。




13話いかがだったでしょう。いくつかオリジナルな単語が出てきましたが、あまり気にしないで下さい。ルール説明ですが、この小説を読んでくださってるという事は原作を読んでるかアニメを見ていると思うのでお馴染みの要約をつかいました。ごめんなさい。次回は初戦闘になるのですが、正直、戦闘描写を上手く書ける自身がありません。なんとか頑張ってみますので、次回もお楽しみに。ご意見・ご感想お待ちしています。


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第14話 初の戦闘訓練 その2

戦闘訓練その2です。戦闘描写書くの難しい!普通に書いて長期投稿している方を尊敬します。ド素人が書いた超駄文ですが、それでもよろしければ是非読んでください。どうぞ。


明『さて、拳藤さんと鉄哲君の居場所を探さないと。』

 

僕が気を読んで二人の居場所を探そうとしたその時

 

鉄哲『オイ!そこのヒーロー共!!』

 

鉄哲君が2階から声をかけてきた。

 

鉄哲『俺達の事、捕まえられるもんなら捕まえてみろ!まぁ一生かかっても無理だけどな!ハッハッハッハ!』

 

そう言って建物の中に消えていった。

 

明『なんか、あからさまに挑発してたけど、作戦かな?』

 

茨『明、ここはあえて鉄哲さんの挑発に乗ってみてはどうでしょうか。』

 

明『それは構わないけど、どうして?』

 

茨『正確な位置の分からない一佳さんと核兵器を探すより、居場所が分かった鉄哲さんを確保する方が効率がいいと思ったんですけど、どうでしょう?』

 

明『OK、茨の案に乗るよ。じゃあちょっとゴメンね。』

 

そう言うと僕は茨をお姫様抱っこして空を飛び、2階の窓から建物内に侵入した。中に入ると鉄哲君が待ち構えていた。

 

一方、モニタールームでは

 

円場『鉄哲の奴、あんなあからさまな挑発なんかしてどういうつもりなんだ?』

 

鎌切『あれじゃあ2人に自分の位置を教えるだけだぜ。』

 

取蔭『あ、明の奴茨を抱っこして飛んだよ。どうやら鉄哲の挑発に乗るみたいだね。』

 

AM『……』

 

オールマイトは静かに訓練の様子を見守っていた。

 

建物内では明と茨が鉄哲と対峙していた

 

鉄哲『よく来たな。残念だがここに核はないぜ。通りたければ俺を倒してから行くんだな。』

 

明『茨、予定通り僕が鉄哲君の相手をするから、その隙に茨は核を探しに行って。』

 

茨『分かりました。それで一佳さんの居場所は』

 

明『待って、今探すから。……えっ?』

 

茨『明、どうしました?』

 

明『後ろ?』

 

僕が後を振り向くと瓦礫の山しかなかった。だか確かに拳藤さんの気を感じた。その時!

 

『バーン!』

 

突然瓦礫が吹き飛び瓦礫の中にいた拳藤さんが飛び出してきた。拳藤さんは巨大化させた両手で僕を握り込んで拘束した。

 

明『しまった!』

 

拳藤『鉄哲今だよ!』

 

鉄哲『よっしゃあ!』

 

僕が拘束されている隙に、鉄哲君は僕の耳に付いている無線機を奪い取った。

 

茨『明、大丈夫ですか!?』

 

明『くそ!茨、僕の事はいいから茨は核の回収に行って。』

 

茨『で、でも…』

 

明『いいから行って!2人がここにいるって事は核は無防備だから茨が核を回収すれば僕達の勝ちだ。だから早く!!』

 

茨『分かりました。すぐに核を回収してきますからね!』

 

茨は核を回収する為、走って3階に向かった。だが何故か拳藤さんも鉄哲君も茨の後を追おうとはしなかった。

 

明『2人共茨を追いかけなくていいの?茨が核を回収すれば2人の負けなんだよ。』

 

拳藤『フフッ』

 

鉄哲『フッフッフッ』

 

明『何がそんなにおかしいの?』

 

拳藤『2人が私達の作戦に見事にはまってくれたからだよ。』

 

鉄哲『明、確かに俺は《ここに核はない》と言ったが、《核は上の階にある》とは一言も言ってないぜ。』

 

明『ま、まさか核があるのは!?』

 

〜モニタールーム〜

 

小森『一佳と鉄哲、なんで茨を追いかけないノコ?』

 

回原『それになんか2人笑ってるようだぜ。どうなってるんだ?』

 

骨抜『もしかして、核は…』

 

物間『なるほど、そういう事か。』

 

泡瀬『骨抜、物間、どういう事だよ!説明してくれよ!』

 

骨抜『みんなよく考えてみろ。塩崎が核を回収すればGAME OVERなのに追いかけもせず笑っている。という事は考えられるのは《塩崎が核を見つけられない》からだ。要するに《上の階に核がない》って事だ。』

 

柳『でも、上の階に核がないんだったら、一体何処に?』

 

物間『下だよ。』

 

一同『下ぁ!?』

 

物間『そう。おそらく核は1階のどこかに隠してあるんだ。』

 

骨抜『俺もそう思う。鉄哲の挑発も2人が1階に意識を向けない為にだろう。』

 

物間『無線機を奪ったのは単に明が塩崎に核の場所を知らせない為さ。』

 

〜その頃明達は〜

 

明『してやられたって訳か。でもなんでこんな回りくどい作戦を?』

 

鉄哲『俺達、どうしてもお前と戦いたかったんだ。』

 

拳藤『見た目や性格は野沢明でも中身は孫悟空だからね。悟空と戦えるなんて夢のような話じゃない。』

 

そう言うと拳藤さんは僕の拘束を解いた。

 

鉄哲『それじゃ早速いくぜ!』

 

同時に鉄哲君が個性《スティール》を使い攻撃してきた。金属化した拳は通常より遥かに重く、ガードしていても体力を削られるようだった。

 

僕は1度間合を取り反撃に出た。しかし鉄哲君は金属化した体で全ての攻撃を受け止め、逆に僕の手足をしびれさせる事になった。

 

明『くっそーなんて硬いんだ。まるでメタルクウラじゃないか。』

 

鉄哲『明、肉弾戦じゃなくてエネルギー波やかめはめ波を使ったらどうだ。』

 

明に『こんな屋内でかめはめ波なんて使える訳ないでしょ!そっちこそ、なんで拳藤さんは手を出さないの?』

 

拳藤『鉄哲が「やるなら絶対タイマンだ!」って聞かないからさ、私は鉄哲の後。』

 

明『ヴィラン側なのに戦い方選んでていいの?後でオールマイト先生に怒られても知らないよ。』

 

そう言うと僕は攻撃を再開した。しかし鉄哲君は全ての攻撃を受け止め先程と同じ結果になってしまう。僕は戦闘スタイルを変える事にした。

 

鉄哲『どうした明、そんな攻撃じゃ俺のスティールは破れないぜ!』

 

明『鉄哲君、君の個性による攻撃力と防御力は大したもんだ。けど、君が僕に勝てない物が1つある。』

 

鉄哲『勝てない物だと、何だそれ?』

 

明『スピードだよ。界王拳!!』

 

そう言うと僕は界王拳を発動しヒット&アウェイの攻撃を繰り返した。

 

鉄哲『ちっ!ちょこまかと!!』

 

界王拳により先程より強化された攻撃とスピードによる翻弄で鉄哲君は徐々に消耗していった。そして僕は頃合いを見て鉄哲君の正面に躍り出た。

 

鉄哲『なっ!?』

 

『いくぞ!激烈連脚!!』

 

激烈連脚……相手に突進しながら連続で回し蹴りを放つ。ドラゴンボールの格ゲーで悟空がよく使う技の1つだ。作品によって微妙に攻撃動作等が違うが、僕が使うのは初出の「超武闘伝2」のタイプだ。

 

この技はガードの上からでもHPをゴリゴリ削る事ができる僕のお気に入りの技の1つだ。もちろん鉄哲君も例外ではなく、ガードはしているがどんどん体力を削られていた。

 

明『まだまだいくぞ!!』

 

鉄哲『くそっ、このままじゃ…』

 

激烈連脚の連続攻撃でかなりの体力を消耗してしまい、遂にガードが解けてしまった。

 

明『今だ!!』

 

僕は瞬間的に界王拳を2倍まで引き上げ、鉄哲君のガラ空きの腹部に強烈な左ボディを叩き込んだ。

 

明『ふんっ!《ズドン!!》』

 

鉄哲『あっ!がっ…』

 

鉄哲君はその場でうずくまってしまった。

 

明『今の一発は餃子(チャオズ)のうらみだ!なんてね。』

 

〜一方、核を回収に行った茨は〜

 

茨『一体どういう事でしょう。最上階まで探しましたけど、核が何処にもないなんて。もしかして、こうなる事を見越して鉄哲さんと一佳さんは私を追いかけて来ないのでしょうか。とにかく、1度戻って明と合流しましょう。』

 

茨は明と合流するために、2階へと戻る事にした。

 

〜明・拳藤・鉄哲の3人〜

 

明『今ので気絶しないなんて大したもんだ。でも、さすがに動けないようだから確保させてもらうよ。』

 

僕が確保テープを鉄哲君に巻こうとしたその時!

 

『ヒュン!!』

 

巨大な手刀が僕と鉄哲君を分断した。

 

拳藤『確保はさせないよ!明、次は私の番だ!言っとくけど、女だからって手加減なんかしたら絶対許さないからね!!』

 

できれば女の子相手に本気は出したくないのだが、言われたからにはやるしかない。まあ、雄英にはリカバリーガールもいるし、もしもの場合「アレ」もあるから大丈夫だろう。

 

明『それなら、遠慮なくいくよ!』

 

僕は拳藤さんに攻撃を仕掛けたが、拳藤さんは鉄哲君のように個性を使い攻撃を受け止めるのではなく、華麗な身のこなしで防御や回避を繰り返し、僕の攻撃を捌いていった。

 

明『へぇ、鉄哲君のケンカ殺法と違っていい動きしてるね。何か習ってるの?』

 

拳藤『小さい頃から武道を習ってるのさ。私の個性《大拳》を活かす為にね!』

 

そう言うと拳藤さんは地面を叩いて大岩を作り出した。

 

拳藤『砕大拳!』

 

そしてその岩を僕に向かって投げ飛ばした。僕は殴って岩を粉々にしたが、拳藤さんは岩が死角になってる間に間合いを一気に詰めて来た。

 

拳藤『いくよ、景華!』

 

続けて巨大化した両手を左右に広げ、回転しながら突っ込んできた、さしずめ激烈連脚の巨大な手バージョンと言ったところか。なんとか防御したが、巨大化した両手での攻撃はかなり体力を削られた気がした。

 

明『お返しだ!激烈連脚!』

 

拳藤さんの技が止まった瞬間、僕は激烈連脚を繰り出した。拳藤さんは巨大化した両手でなんとかガードしていた。

 

拳藤『くそっ!鉄哲との戦いで技は見てたけど、こんなに強力だなんて。』

 

明『まだまだっ!』

 

僕は連続して激烈連脚を繰り出した。だが今度は拳藤さんが激烈連脚の終わるタイミングで巨大化した左手で掌底を打ってきた。

 

拳藤『今だ!追大拳!!』

 

左の掌底を打ち間合いを取り、続けて右の正拳突きを繰り出してきた。掌底はモロにくらってしまったが、正拳突きはなんとか防御する事ができた。

 

明『拳藤さん僕が思っていたよりずっと強いね。悟空じゃないけど、ワクワクしてきたよ。』

 

拳藤『そう言ってもらえて嬉しいよ。でも、勝負はこれからだよ!!』

 

明『悪いけど、こっちには時間がないんだ。そろそろ決めさせてもらうよ!』

 

僕達がそんな会話をしていた時…

 

茨『明、上の階には核はありませんでした。一体どういう事でしょう?』

 

茨が上の階から2階に戻ってきた。

 

明『茨、鉄哲君はまともに動けない。今の内にテープを巻いてくれ。』

 

茨『は、はいっ!』

 

拳藤『そうはさせないよ!まずは…大掴!』

 

そう言うと拳藤さんは巨大化した右手で僕を鷲摑みにして、そのまま勢いよく投げ飛ばした。

 

明『うわっ!』

 

僕が3人からかなり離れた場所に投げ飛ばされると、拳藤さんは右拳を巨大化させ、茨に向かって走り出した。

 

拳藤『いくよ茨!大花繚乱!!』

 

明『茨!くそっ!界王拳2倍!!』

 

僕は界王拳2倍を使い拳藤さんが狙う茨の前に一気に躍り出た。

 

拳藤『はあああああっ!』

 

明『龍閃拳!』

 

拳藤さんの巨大化した右拳と僕の左拳が激突した。

 

《バゴォォォォォン!!!》

 

同時に物凄い炸裂音が辺り一帯に木霊した。そして

 

《ヒュュュュュュュドガーン!!!》

 

拳藤さんは勢いよく飛んでいき、壁に叩きつけられた。

 

茨『明!いくらなんでもやり過ぎです!しかも相手は一佳さんなんですよ。』

 

明『分かってるよそんな事。でも、茨を助けなきゃと思ったら力をコントロール出来なかったんだ。』

 

茨『一佳さん、大丈夫でしょうか。』

 

明『大丈夫。ケガが酷い時は「アレ」を食べさせるから。とりあえず、2人にテープを巻いて訓練を終了しよう。』

 

茨『そうですね。』

 

その後僕達は2人に確保テープを巻いて初の戦闘訓練は終了した。

 

AM『ヒーローチーム、WIN!』

 

オールマイトの勝利宣言が木霊した。




14話いかがだったでしょう。戦闘描写は本当に難しいです。最後は駆け足になったかもしれません。あと技の名前ですが、明は「ドラゴンボール ファイターズ」から流用しました。ただし、激烈連脚のモーションは「超武闘伝2」のものです。拳藤の技は「僕のヒーローアカデミア One’s Justice2」から流用しました。戦闘訓練編はもう少し続きます。ご意見・ご感想お待ちしています。次回もお楽しみに。PS.アンケートありがとうございました。結果通りにオールマイトを復活させます。


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第15話 初の戦闘訓練 その3

随分遅くなってしまいました。第15話です。戦闘訓練編はこれでラストになります。ではどうぞ。


明『鉄哲君、立てるかい?』

 

鉄哲『ああ、大丈夫だ。くっそー負けちまったか。やっぱ強えな明は。特にあの連続蹴りはキツかったぜ。』

 

明『激烈連脚の事だね。』

 

鉄哲『激烈連脚?ファイターズのとは随分攻撃モーションが違うな?』

 

明『名前が一緒でも作品によって攻撃モーションが微妙に違うんだ。僕が使ったのは《超武闘伝2》のタイプ。28年も前(2021年時点)のゲームだから知らなくて当然だよ。』

 

鉄哲君は受けたダメージの割に元気にしていた。これならリカバリーガールの処置だけで問題ないだろう。問題は…

 

茨『一佳さん、大丈夫ですか?』

 

拳藤『正直、あまり大丈夫じゃないかな。体中あちこち痛いし、特に右手がヤバイよ。』

 

茨は拳藤さんの右手を見て青ざめていた。それ程酷い状態だった。

 

僕達は鉄哲君を僕が、拳藤さんを茨が担いでみんなの所へ戻る事にした。

 

モニタールームに戻るとみんなから「やり過ぎだ!」と怒られた。当然だ。茨を守る為とはいえ、2倍の界王拳で龍閃拳を打ったのだし、それ程の重傷を拳藤さんは負っているのだから。

 

拳藤『みんな明を責めないで。私が手加減するなって言ったんだから、当然の結果だよ。』

 

AM『拳藤少女、すぐにハンソーロボを手配するからリカバリーガールに治療してもらいなさい。』

 

明『あ、待ってください、オールマイト先生。』

 

僕はオールマイトを止めるとポケットから茶色の布袋を取り出し、その中に入っている緑色の豆を一粒取り出した。

 

明『拳藤さん、これ食べて。』

 

拳藤『明、何これ?』

 

明『いいから食べて。よく噛んで飲み込むんだ。』

 

拳藤『わ、わかった。』

 

拳藤さんは言われたとおり貰った豆を食べた。

 

『ポリポリポリ…ゴクン!』

 

すると

 

拳藤『!?』

 

小森『一佳、どうしたノコ?』

 

拳藤『スゴイ!体中の痛みが消えて、消耗してた体力も回復した!』

 

一同(AM含む)『えーーーーーっ!?』

 

鉄哲『まっ、マジかよ拳藤!?』

 

取蔭『一佳、右手はどうなってるの?』

 

拳藤『みんな見て!あんなにボロボロだったのに元通りになってるよ!』

 

小大『凄い。』

 

柳『ねえ一佳、個性は使えるの。』

 

拳藤さんは柳さんの質問に答えるため、右手を巨大化して見せた。

 

拳藤『大丈夫。大拳も自由に使えるよ。』

 

角取『明、ソノ豆はマサカ…』

 

吹出『《仙豆》なの?』

 

明『さすがポニーちゃんと吹出君、よく分かったね。2人が思ってる通り、この豆は《仙豆》だよ。僕の母さんが個性を使って作ってくれたんだ。』

 

(明の母の個性については4話を参照して下さい)

 

きっかけは僕が無断で3倍界王拳を使った事だった。今後も僕がこんな無茶をすると思った母さんは、枝豆をベースに仙豆を作ることにした。

 

勿論簡単に出来る訳ではない。何度も失敗を重ねていた。その度に『私の思いが足りなかった』と嘆いていたが、それでも諦める事なく栽培を続け、今年の正月に遂に仙豆の栽培に成功した。

 

そして仙豆の最初の体験者は僕だった。最初母さんに『動けなくなるまで3倍界王拳を使いなさい』と言われた時はビックリしたが、言われた通り3倍界王拳を使い、案の定痛みで動けなくなってしまったが、渡された仙豆を食べると体中の痛みが消えた事にさらにビックリした。

 

円場『スゲェ。本物の仙豆が存在するなんて。』

 

鎌切『リカバリーガール要らずじゃねえか!』

 

明『残念だけど、そういう訳にはいかないんだ。』

 

黒色『どういう事だ明?』

 

明『僕の個性と一緒で、栽培には原作と同じ日数がかかるし、収穫出来る量も原作と一緒なんだ。』

 

物間『へえ。で、何日かかって何粒採れるんだい?』

 

明『栽培には約45日。で、1度に7粒しか採れないんだ。』

 

鱗『たった7粒…』

 

明『だから母さんからは《半死半生の人を最優先にする事》ってきつく言われてるんだ。』

 

骨抜『なるほど。リカバリーガールでも対処出来ない大ケガとなると仙豆が必要になるからな。』

 

茨『皆さん、お話はそれぐらいにして、先生から講評をお願いしましょう。オールマイト先生、お願いします。』

 

AM『………』

 

茨『オールマイト先生?』

 

AM『ハッ!?な、なんだね塩崎少女?』

 

茨『あの、講評をお願いしたいのですが。』

 

庄田『どうしたんですかオールマイト?ぼーっとしてましたけど。』

 

AM『いや申し訳ない。野沢少年の豆の効力に驚いていたんだ。』

 

凡戸『へぇー、オールマイトでも驚く事あるんだ。』

 

宍田『我々はオールマイト先生に驚かされっぱなしですけどな。』

 

一同『アハハハハ!』

 

AM『ゴホン!では講評を始めるとしよう。』

 

その後オールマイトから講評が話された。まず、この戦いでのMVPは該当者無し、しいてあげるなら僕という事だった。

 

AM『ヴィランチームの2人だが、作戦自体は見事なものだった。野沢少年と塩崎少女を完全に分断していたからな。

 

ただし、問題はその後だ。2人共、野沢少年と戦う事にこだわり過ぎだ。特に鉄哲少年は1対1にもこだわり、拳藤少女もそれにあっさり了承した。

 

本番でそんなこだわりを持っていたら、ヴィランに簡単に逃げられてしまうし、最悪殺される可能性もあるぞ。状況によってはどんな手段を使ってもヴィランを捕まえなければならない事もある。それをよく理解するように。』

 

鉄哲『確かに、俺達明と戦う事にこだわり過ぎてたな。』

 

拳藤『個人の感情より、チームが勝つことを優先するべきだったね。』

 

AM『次にヒーローチームの2人だが、まず塩崎少女はヴィランチームの作戦にハマり何も出来ていなかった。

 

そして野沢少年だが、ヴィランチーム2人への立ち回りは見事だったが、やはり君も作戦にハマっていたからな。特に君の場合、建物に侵入する前に気を読んで2人の居場所を突き止めるべきだったな。

 

後は拳藤少女への最後の一撃だ。とっさの事とはいえ、力を上手くコントロールしないと、必要以上に相手を痛めつける事になるからな。ただ、その後の対処は見事だったぞ。』

 

茨『ごめんなさい明。私の軽率な判断でこのような結果になってしまって。』

 

明『気にしなくていいよ。僕だって茨の案にあっさり同意したし、もっと慎重に行動するべきだったね。』

 

AM『4人共、今回の訓練の結果をよく反省して、次の訓練にしっかり活かしてくれ。』

 

明・茨・拳藤・鉄哲『ハイ!』

 

AM『では、訓練はこれにて終了だ。みんな大きなケガもなくて何よりだ!それにみんな真摯に取り組んでいた。初めての訓練にしちゃ皆上出来だったぜ!!

 

では、私は報告する事があるのでお先に職員室に戻らせてもらう。皆も着替えて教室に戻るように!』

 

そう言うとオールマイトは急いで戻っていった。

 

明『あの、拳藤さん』

 

拳藤『何、明?』

 

明『さっきはゴメンね。僕のせいで拳藤さんを酷い目にあわせちゃって。』

 

拳藤『別にいいよ。気にしてないから。それに手加減するなって言ったのは私だし、私と本気で戦ってくれて嬉しかったよ。それよりよかったの?貴重な仙豆を私に使ったりして?』

 

明『それなら大丈夫。今のところ手元に9粒、家に10粒あるし、5月の中旬になればまた7粒できるから。ただ使った理由を母さんに話したら怒られるけどね。』

 

こうして多少のトラブルはあったものの、僕達の初めての戦闘訓練は無事に終了した。

 

〜一方、生徒から離れたオールマイトは〜

 

AM『あの仙豆という豆があれば、もしかしたら……………よし!』

 

オールマイトはある決意を固めるのだった。

 

〜放課後〜

 

僕達は下校時間まで今日の訓練の反省会をすることにした。それぞれ個性の事や作戦、立ち回りの事など、ああでもないこうでもないと色々な意見が飛び交っていた。

 

鉄哲『ところで物間、お前他人の個性コピー出来るなら明の個性コピーすればお前も界王拳やかめはめ波が使えるんじゃないのか?』

 

物間『いや、何かしら蓄積が必要な個性はコピーしても役に立たないんだ。実際、昨日のテストで明の個性をコピーしたけど、界王拳使えなかったし。』

 

明『もしかして、昨日の握手ってそういう意味だったの?』

 

物間『そういう事さ。』

 

泡瀬『そういえば明が自己紹介の時に「技を使うにはその技に見合った厳しい修行をしなければならない」って言ってたよな。つまり物間も明がやってる厳しい修行をすれば、かめはめ波や界王拳が使えるようになるわけだ。』

 

茨『明は4歳になってから現在も毎日厳しい修行をしていますからね。』

 

明『どう物間君、一緒に修行してみる?』

 

物間『遠慮しておくよ。君の修行にはとてもついて行けないだろうし、そんな修行するくらいなら、もっと強力な個性をコピーした方が手っ取り早いしね。』

 

そんな話をしながら、いい時間になったので帰ろうとしたその時…

 

AM『私が頼みに来た!!!』

 

突然オールマイトが教室にやって来たのだ。

 

AM『よかった、まだ残っていてくれたか。実は野沢少年、君に頼みたい事があるんだ。』

 

明『僕に頼みたい事って、一体なんですか?』

 

AM『君の持っている仙豆を一粒分けてくれないだろうか。』

 

明『仙豆をですか?』

 

AM『ああ、実は私の友達で酷い怪我で苦しんでいる人がいてね、いろんな医者に診てもらったが、これ以上の回復は見込めないと匙を投げられてしまったんだ。』

 

明『なるほど。』

 

AM『私としても、なんとかその友達を助けたいと思っていたのだが、そんな時君の仙豆を目撃したんだ。』

 

そう言うとオールマイトは深々と頭を下げてきた。

 

AM『野沢少年、貴重な物だという事は分かっているが、無理を承知でお願いする。君の持っている仙豆を、一粒でいいから分けてもらえないだろうか。』

 

クラスメイトのみんなが僕の動向に注目していたが、僕の答えは決まっていた。

 

明『いいですよ。』

 

AM『えっ!?』

 

明『そもそも、みんなの前でオールマイトに頭を下げられたら、断る訳にいかないじゃないですか。それに、オールマイトの頼みだったら、母さんも納得してくれるでしょうから。』

 

そう言うと僕はポケットから布袋を取り出し、仙豆を一粒渡した。

 

AM『ありがとう、野沢少年。』

 

明『お友達のケガ、完治するといいですね。』

 

AM『ああ。早速食べさせてあげたいから、私はこれで失礼するよ。皆も気をつけて帰るんだよ。』

 

そう言ってオールマイトは教室から出ていった。

 

茨『明、オールマイト先生凄く喜んでいましたね。』

 

明『うん。ちゃんと仙豆が効いてケガが治るといいけど。』

 

取蔭『それにしても、オールマイトがあそこまで頭を下げてお願いするなんて、オールマイトの友達ってどんな人なんだろう?』

 

拳藤『それも気になるけど、もうすぐ下校時間だし、みんな早く帰ろう。』

 

そうして僕達はそれぞれ自分の家に帰宅した。

 

〜保健室にて〜

 

RG(リカバリーガール)『なるほど、話はわかったよ。しかし、その豆にそんな効力があるとは、にわかには信じがたい話だねぇ。』

 

AM『しかし、私はこの目で見ました。野沢少年との戦いでボロボロになった拳藤少女が、この仙豆を食べた途端、傷が癒え、体力も回復しました。特に右手はあなたの個性でも完治できるかどうかも分からない程の重傷を負っていましたが、元通りのキレイな右手に戻っていたのです。』

 

RG『それで、アンタはその豆で自分の体が元通りになるかもと思ってるんだね。』

 

AM『はい。もしかしたら今まで通りかもしれませんが、少しでも可能性があるのなら、私はそれに賭けてみたいのです。』

 

RG『わかったよ。じゃあ食べたらすぐに検査するから、ベッドに寝ておくれ。』

 

オールマイトは言われたとおりベッドに横になった。

 

RG『それじゃ、食べておくれ。』

 

AM『わかりました。』

 

『ポリポリポリ……ゴクン!』

 

RG『どうだい、気分の方は。』

 

AM『凄いです。今まで感じていた体の違和感が完全になくなりました。それに、5年前に『奴』に傷つけられる前の生命力が戻ってきました!』

 

RG『どうやら効果があったようだね。では、早速検査を始めるよ。』

 

その後、リカバリーガールによる精密検査の結果、半壊していた呼吸器官、全摘出した胃袋が完全に元の状態に戻っていた。さらに個性因子も完全回復した事が確認された。

 

こうして、オールマイトは完全復活を果たしたのであった。




第15話いかがだったでしょう。ドラゴンボールの原作では、仙豆を食べて摘出した臓器が再生するなんて描写はないですが、この小説オリジナルの設定という事で、大目に見て下さい。次回もお楽しみに。ご意見・ご感想お待ちしています。


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第16話 委員長は誰だ!侵入者は誰だ!

おまたせしました。今回は学級委員長決定と食堂での侵入者騒動です。どうぞ。


翌朝、いつも通り茨と登校すると、校門の前が沢山の人でごった返していた。

 

明『なんだろう、あれ?』

 

茨『さあ、一体何の騒ぎでしょう?』

 

よく見ると登校してきた生徒がインタビューを受けていた。どうやらオールマイトが雄英高校の教師に就任した事を知ったマスコミが押し寄せて騒ぎになっているようだ。

 

『オールマイトの授業はどんな感じですか?』

 

『“平和の象徴”が教壇に立っているということで様子など聞かせて下さい!』

 

『教師オールマイトについてどう思ってますか?』

 

と、登校してきた生徒に片っ端からインタビューしていた。僕達はしばらくその様子を呆然と眺めていたが、僕達を見つけたマスコミが今度は僕達にインタビューしようと押し寄せてきた。

 

茨『どうします明、このままじゃ遅刻してしまいますよ。』

 

明『仕方がない。あまり使いたくない方法だけど、遅刻するよりかはマシか。茨、ちょっと失礼するよ。』

 

そう言うと僕は茨をお姫様抱っこして、舞空術で空を飛び、マスコミの頭上を飛び越えて校門をくぐった。

 

茨『ありがとうございます、明。』

 

明『どういたしまして、お姫様。』

 

茨『もう!からかわないでください!』

 

僕達がそんな会話をしていると

 

相澤『おい、遅刻しそうだからといってむやみに個性を使うな!』

 

明『あなたはたしか、入試の時の面接官の』

 

相澤『1年A組担任の相澤だ。まあお前の場合仮免もあるし、今回は緊急事態という事で不問にしておく。早く教室に入れ。』

 

そう言って相澤先生はマスコミの対応に戻っていった。

 

教室に入るとやはりみんな校門のマスコミの件で盛り上がっていたが、程無くしてブラド先生が教室に入って来たのでみんな自分の席に戻り、教室は静かになった。

 

ブラド『みんなおはよう。昨日の戦闘訓練の映像を見させてもらった。みんな初めての訓練にしてはよく頑張っていたぞ。昨日の訓練で課題や反省点が見つかった人も多いだろう。その反省を今後の訓練に活かして、一人前のヒーロー目指してみんな頑張ってくれ。』

 

一同『ハイ!』

 

ブラド『では今日のHR(ホームルーム)だが、お前達には今から、』

 

一同『(なんだ?またテストでもあるのか?)』

 

ブラド『このクラスの委員長を決めてもらう。』

 

一同『学校っぽいのきたー!!!』

 

普通クラスの委員長なんて面倒くさくてみんなやりたがらないのだが、ヒーロー科の場合、集団を導くというトップヒーローの素地を鍛えられる大人気のポジションである。

 

案の定クラスの半分ぐらいの生徒が《自分がやる!》と立候補していた。僕はそれを静かに見つめていた。僕は委員長などの人を指示したりする立場があまり好きじゃない。

 

どちらかと言えば先陣を切って敵の部隊に突撃したり、殿(しんがり)として後方からの敵の攻撃から部隊を守る方が性に合ってるのだ。

 

ブラド『では立候補者が多いので投票で決めたいと思う。これから紙を配るから相応しい人の名前を書いて投票してくれ。』

 

こうして投票によって委員長を決める事になった。その結果…

 

ブラド『投票の結果拳藤が9票、泡瀬が4票という事で、委員長が拳藤、副委員長が泡瀬で決定だ。なお、異論反論は一切認めない。』

 

ちなみに残りの生徒はみんな0票か1票だった。

 

ブラド『では選ばれた2人、一言ずつ挨拶してくれ。』

 

拳藤『えーと、選ばれたからには頑張って委員長を務めたいと思うので、みんなよろしくお願いします。』

 

泡瀬『俺も全力で拳藤の事をサポートしていくんで、みんなよろしくな!』

 

こうして1年B組の委員長・副委員長が決定した。

 

〜食堂にて〜

 

この日は茨・拳藤さん・鉄哲君の4人でお昼を食べていた。ちなみに僕は生姜焼き定食を注文した。

 

拳藤『そういえば、3人は投票で0票だったけど、もしかして3人共私に投票したの?』

 

明『うん。僕は拳藤さんに投票したよ。』

 

茨『私も一佳さんに投票しました。』

 

鉄哲『俺もお前に投票したぜ。』

 

拳藤『やっぱり。でもなんで私に?』

 

明『僕達の訓練の時の作戦を拳藤さんが考えたって反省会で聞いたからさ、あんな見事な作戦を考えられるなら、委員長も務められると思ったんだ。』

 

茨『私も明と同意見です。訓練では一佳さんの作戦にまんまとはまってしまいましたし、そもそも核が1階にあるだなんて思いもしませんでした。』

 

鉄哲『俺も2人と一緒だ。拳藤の作戦のおかげで明とタイマン張る事ができたからな。まあ、結果は負けちまったけどな。』

 

拳藤『3人共、私の事買い被り過ぎじゃないかな?』

 

明『そんな事ないよ。拳藤さんしっかりしてるし、それに面倒見良さそうだから、ちゃんとクラスのみんなの事まとめられるよ。』

 

拳藤『まあ、選ばれたからにはちゃんと務めてみせるけどね。』

 

そんな会話をしながら4人で食事していたその時

 

『!?』

 

今まで感じた事の無い異質な気を感じた。強さは僕や亮程強くないが、まるで氷のように冷たく、汚れた沼のようにどす黒い、そんな感じの気だった。ぼくは思わず立ち上がり、周囲を見渡した。

 

鉄哲『どうした明?』

 

拳藤『一体どうしたの?いきなり立ち上がってキョロキョロしてさ。』

 

2人が僕を心配した次の瞬間

 

『ウウーーーーーーーーーーー!!』

 

茨『これは、警報ですか?』

 

『セキュリティ3が突破されました。生徒の皆さんはすみやかに屋外へ避難して下さい』

 

鉄哲『スリー?』

 

拳藤『すいません、セキュリティ3ってなんですか?』

 

『校舎内に誰かが侵入してきたってことだよ!入学してからこんな事初めてだ!!君達も早く避難するんだ!!』

 

突然の警報に食堂内は大パニックになり、早く避難しようと出入口付近は人の波でごった返していた。

 

拳藤『どうしよう、早く何とかしないと、私達の所にも人の波が押し寄せて来るよ!』

 

明『茨、僕の首に腕を回して背中に掴まって!』

 

茨『ハッ、ハイ!』

 

僕は茨が掴まったのを確認すると舞空術でゆっくりと浮き上がった。

 

明『拳藤さん、鉄哲君、僕の手に掴まって!』

 

拳藤『わかった!』

 

鉄哲『よし!』

 

拳藤さんを左手、鉄哲君を右手で掴むと僕はさらに上空へと浮上した。その直後、僕達のいた場所にも人の波が押し寄せてきた。

 

明『危なかった。騒ぎが落ち着くまで、しばらくここで様子を見よう。』

 

拳藤『明大丈夫?私達3人で150kgはあると思うけど。』

 

明『大丈夫。入学前はチョーカーと一緒に100kgの重りを付けて修行してたからね。これぐらいの重さ大した事ないよ。』

 

鉄哲『でもよ、本当に誰かが侵入してきたなら、早く避難しないとヤバイぜ。』

 

明『そうだね。最悪、窓ガラスを割ってでも避難しないと…』

 

僕達がそんな心配をしていたその時

 

『大丈ー夫!!』

 

と大きな声と共に非常口のピクトグラムのようなポーズをした生徒から侵入者はマスコミだから心配いらないという説明がされて食堂の混乱は収まった。

 

明『どうやら収まったみたいだね。』

 

茨『明、早く降りないと今度は私達に注目が集まってしまいますよ。』

 

明『そうだね。じゃあ3人共、下に降りるよ。』

 

僕達は開けた場所に無事着地した。

 

拳藤『ふう。助かったよ明、ありがとう。』

 

鉄哲『サンキュー明、助かったぜ。』

 

茨『明、ありがとうございました。』

 

明『どういたしまして。みんなケガがなくて良かったよ。』

 

その後僕達に注目が集まる事はなかったが、

 

『畜生!あの野郎、女子の胸の感触を背中で堪能しやがって!』

 

と場違いな嫉妬をしていた人がいたとかいないとか。

 

後、騒ぎの前に感じた不思議な気だが、騒ぎが収束する頃には消えていた。一体あの気は何だったのだろう?

 

〜放課後〜

 

その後は特に問題無く、この日の授業は終了した。僕は帰る前に今日感じた不思議な気の事をブラド先生に話しておこうと思い、職員室に行くことにした。

 

茨『明、帰りましょう。』

 

明『ゴメン。ちょっとブラド先生に話したい事があるから、職員室に寄ってから帰るよ。悪いけど、先に帰ってくれる。』

 

茨『もしかして、食堂で感じた気の事ですか?』

 

明『茨、気付いてたの?』

 

茨『初めて鳥山さんの気を感じた時と反応が同じでしたから、もしかしたらと思ったんです。』

 

明『さすがだね茨。実はさぁ…』

 

僕は昼間感じた異質な気の事を茨に話した。

 

茨『そうでしたか。そんな異質な気を。』

 

明『本当なら感じてすぐに報告すればよかったんだけど、侵入者騒ぎで後回しになっちゃたんだ。』

 

茨『明、よろしければ私もご一緒してもよろしいですか?』

 

明『いいよ。じゃあ一緒に行こう。』

 

こうして僕達は2人で職員室に行く事にした。

 

〜職員室近くの応接室〜

 

ブラド『一体どうした?野沢と塩崎が来るって事は、相当な事だとは思うが。』

 

明『ブラド先生、実は…』

 

僕は昼間感じた異質な気の事をブラド先生に話した。

 

ブラド『そうか、昼間にそんな気を感じたのか。』

 

茨『明は中学時代にも似たような経験をしています。だから間違いありません。』

 

ブラド『勿論、俺も野沢の話を信じているさ。』

 

明『すいませんブラド先生、報告が遅くなってしまって。』

 

ブラド『いや、報告してくれただけで十分だ。それに野沢の話を照らし合わせれば、校門の破壊の件も納得できる。』

 

明『ブラド先生、校門の破壊の件って一体?』

 

ブラド『ああ、実はな…』

 

その後ブラド先生は校門の雄英バリアーが破壊された事を話してくれた。雄英高校の校門には雄英バリアーと呼ばれるバリケードがあり、学生証や通行許可IDを持たない人が門をくぐるとバリアーが作動する仕組みらしい。

 

そしてそのバリアーが破壊された事が原因でマスコミが校内に侵入して騒動になったわけだ。

 

茨『では、その異質な気を持った人物が雄英バリアーを破壊したとブラド先生は考えているのですか?』

 

ブラド『ああ、間違いなくそうだろう。』

 

明『そんな奴が。でも、一体何のためにそんな事を?』

 

ブラド『わからない。雄英への侵入が目的か、もしくは宣戦布告の腹づもりか。どちらにせよこの件は引き続きこちらで調査する。2人共、この事は秘密にしてくれ。他の生徒には絶対に話さないように頼むぞ。』

 

明・茨『分かりました。』

 

ブラド『ありがとう。じゃあ、遅くならないうちに今日はもう帰りなさい。』

 

こうして僕達はブラド先生との会話を終えて帰宅する事にした。

 

茨『明、これから先、一体どうなるのでしょうか?』

 

明『正直何も分からないし、見当もつかない。でもきっと大丈夫だよ。雄英にはプロヒーローが沢山いるし、なによりオールマイトがいる。

 

それにもしリカバリーガールでも治療できないようなケガ人が出たら、迷わず仙豆を食べさせるさ。』

 

茨『そうですね。それなら心配ないですね。』

 

明『うん。だから今日はもう帰ろう。あんまり帰りが遅いと母さん達に心配かける事になるし。』

 

茨『そうですね。』

 

こうして僕達は帰宅した。一体この先、どんな未来が待っているのか、それは誰にも分からない。




16話いかがだったでしょう。次回の17話ですが、他の方とは違った切り口で話を進めていきたいと思っていますので、次回もお楽しみに。ご意見・ご感想お待ちしています。


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第17話 USJヴィラン侵入事件 その1

おまたせしました。第17話です。今回も2から3話にわけたいと思います。どうぞ。


平日の午後、僕達はいつも通り授業を受けていた。本来なら今日の午後はヒーロー基礎学による何らかの訓練が行なわれる予定だったが、先生の都合で急遽予定が変わってしまい、今はブラド先生の下、ヒーロー情報学の授業が行なわれていた。

 

だが、いつもと何ら変わらない普通の日常は突然終わりを迎えた。

 

セメントス『ブラド先生、大変です!』

 

ブラド『どうしたセメントス、そんな血相変えていきなりやって来て?それに今は授業中だぞ。』

 

突然僕達の教室にセメントス先生がやって来た。セメントス先生は切羽詰まったような表情をしていた。

 

セメントス『ゆ、USJにヴィランが侵入しました!!』

 

セメントス先生の言葉で教室内に衝撃が走った。

 

ブラド『なんだって!?それで状況は!』

 

セメントス『助けを求めに来た生徒の話によると、イレイザーヘッドと13号がヴィランと交戦中、生徒の何名かはヴィランの個性によってUSJ内に散り散りにされたそうです。』

 

ブラド『確か今日は1年A組がUSJで訓練する予定だったな。』

 

セメントス『既に先生の何名かはグラウンドに集まっています。私は他の先生に報告に行くので、ブラド先生もグラウンドに向かって下さい。』

 

ブラド『わかった、すぐに行く!』

 

セメントス先生は報告が終わると他の先生に報告するべく、教室を出ていった。

 

ブラド先生はすぐに出発しようとしたが、思い留まり、僕達の方を、いや、僕の方を見た。

 

ブラド『野沢、ライセンスカードは持っているな!』

 

明『は、はいっ!』

 

ブラド『緊急事態だ、今は1人でも人手が欲しい、俺と一緒に来てくれ!』

 

明『わ、分かりました。』

 

僕はすぐにブラド先生の所に向かった。

 

明『《アンテ!》茨、頼むよ。』

 

途中チョーカーを外し茨に預けた。

 

ブラド『よし、行くぞ!』

 

鉄哲『せ、先生、俺達も』

 

ブラド『お前達はここにいろ!俺が戻って来るまで絶対に教室を出るんじゃないぞ!拳藤、泡瀬、みんなの事頼んだぞ!』

 

拳藤『は、はいっ!』

 

泡瀬『わ、分かりました。』

 

ブラド『よし野沢、行くぞ!』

 

明『ハイ!』

 

僕とブラド先生は急いで教室を出ていった。

 

〜2人が出ていった後の教室では〜

 

茨『明…』

 

吹出『ヴィランが侵入って…』

 

凡戸『一体どうなるんだろう。』

 

円場『でも、なんで明だけ連れて行かれたんだ?』

 

泡瀬『そういえばブラド先生、ライセンスカードがどうとかって言ってたよな。』

 

回原『ああ、確かに言ってた。』

 

小森『ねえ茨、ブラド先生が言ってたライセンスカードってなんの事ノコ?』

 

茨『そ、それは…』

 

宍田『たしか、明氏と塩崎氏は幼なじみでしたな。』

 

柳『幼なじみなら、何か知ってるんじゃないの?』

 

骨抜『塩崎、明は特別推薦枠以外にも何か秘密を隠してるのか?』

 

取蔭『前にも言ったけど、溜め込むのは体に良くないよ。吐いちゃった方が楽になるよ。』

 

鎌切『塩崎、教えてくれ!』

 

黒色『明の隠された秘密とは!』

 

角取『Please茨、教えて下サイ。』

 

鉄哲『教えてくれよ塩崎!』

 

拳藤『私達友達でしょ。』

 

小大『ん。茨、教えて。』

 

庄田『頼むよ塩崎。』

 

物間『今の状況だと、僕達にも知る権利はあると思うよ。』

 

鱗『なあ塩崎。』

 

全員が秘密を教えてもらおうと茨の周りに集まってきた。

 

茨『(この状況ではこれ以上隠し通す事は不可能ですね。仕方がありません。ごめんなさい、明。)

 

分かりました。お話します。実は明は……』

 

一同『エーーーーーーーーッ!!!』

 

教室内に19人の驚きの声が響き渡った。

 

〜教室を出たブラド先生と明は〜

 

明『でも先生、僕実戦の経験なんてゼロですよ。』

 

ブラド『分かっている。お前に戦闘はさせん。お前には気を読んで散り散りになった生徒の捜索、及び救助をしてもらう。』

 

僕はブラド先生に自分の役割を聞きながらグラウンドに向かって走っていた。

 

程無くしてグラウンドに到着した。既にグラウンドには根津校長をはじめ何人かの先生が集まっていた。

 

ミッドナイト『ちょっとブラド、なんで野沢君を連れてきたのよ!』

 

ブラド『野沢は既に仮免を取得しています。それに野沢の個性《孫悟空》は必ず我々の力になってくれます。校長、野沢の同行を許可して下さい。』

 

根津『わかった。同行を許可しよう。』

 

ブラド『ありがとうございます。それでは、俺と野沢は一足先にUSJに向かいます。』

 

根津『うむ。既にオールマイトがUSJに向かっている。オールマイトや相澤君、13号君の援護をしつつ、生徒の安全を第一に行動してくれたまえ。』

 

ブラド『わかりました。野沢、道案内するから俺を背中に乗せて飛んでくれ。』

 

僕は言われた通り舞空術で浮き上がり横になった。

 

ブラド『野沢、遠慮は要らん。界王拳を使ってくれ。』

 

明『わかりました。界王拳!』

 

パワーローダー『あれが界王拳。』

 

スナイプ『試験の映像は見ていたが、本当に使えるとは。しかも舞空術まで。』

 

明『ブラド先生、振り落とされないよう、しっかり掴まっていて下さい。』

 

ブラド『心配無用だ!』

 

そう言うとブラド先生は自分の個性《操血》を使い、自身の体と僕の体をしっかり繋いだ。

 

明『ブラド先生、これは?』

 

ブラド『俺の個性、《操血》だ。こうして互いを繋げば振り落とされる心配はない。さあ野沢、行ってくれ。USJは向こうだ!』

 

明『わかりました。行きます!』

 

僕はブラド先生を背中に乗せてUSJに向かった。

 

《キュイーン!!》

 

ミッドナイト『さすが界王拳、速いわね。』

 

根津『さあ、僕達も人数が集まり次第、すぐに出発するよ!』

 

先生達もUSJへの出発に向けて準備を始めた。その中で唯一人

 

飯田『彼は一体何者なんだ?先生は仮免を取得していると言っていたし、個性の名前を《孫悟空》と言っていた。さらに舞空術や界王拳を使えるなんて。彼は一体?』

 

助けを求めにきた1年A組委員長飯田だけが呆然と僕達が飛び去った後を見つめていた。

 

〜USJにて〜

 

出発して数分で無事にUSJに到着した。

 

ブラド『よし、入るぞ野沢!』

 

僕と先生は破壊された扉から内部に突入した。すると内部ではオールマイトが脳みそがむき出しのような見た目のヴィランと戦っていた。

 

さらにその近くにいた顔や体に「手」の模型のような物を付けたヴィランから食堂で感じた異質な気を感じた。どうやらあいつが雄英バリアーを破壊した張本人のようだ。

 

ブラド『オールマイト、助太刀するぞ!』

 

AM『その声はブラド君か。私の事はいいから相澤君と13号君、子供達を守ってやってくれ。』

 

ブラド『しかし、あなたには時間が!』

 

AM『大丈夫!私は野沢少年のおかげで完全復活したのだ!だから心配ない!』

 

明『(僕のおかげって、僕オールマイトになにかしたかな?仙豆あげたぐらいしか思いつかないけど。)』

 

ブラド『了解した。野沢、気を読んで散り散りになった生徒を探してくれ。できるだけここから離れた生徒を頼む。』

 

明『分かりました。』

 

僕は気を読んで散り散りになった生徒の捜索を開始した。

 

ブラド『1−Aの生徒は全員俺の周りに集まるんだ!』

 

障子『あの、あなたは?』

 

ブラド『1−B担任のブラドキングだ。もう心配いらないぞ。』

 

明『ブラド先生、見つけました。この方向の右の方に1人、左の方に3人います。これが1番遠い生徒です。』

 

ブラド『この方向は火災ゾーンと山岳ゾーンか。よし野沢、その4人を助けに行ってくれ。』

 

明『分かりました。あ、ブラド先生これを。』

 

僕は仙豆の入った布袋をブラド先生に渡した。

 

ブラド『野沢、これは一体?』

 

明『仙豆です。ケガ人に食べさせてあげて下さい。』

 

ブラド『おお、拳藤のケガを直したあの豆か。』

 

明『はい。ただし数に限りがあります。半死半生の人を最優先して下さい。』

 

ブラド『わかった。じゃあ行ってくれ!』

 

明『はい!』

 

僕は界王拳を使い、4人の生徒を助ける為に飛び立った。

 

砂藤『スゲー、あいつ空飛んだぞ!』

 

麗日『めちゃくちゃ早かったね。』

 

瀬呂『それになんだよ、あいつが体に纏った赤いオーラは?』

 

障子『あいつは個性把握テストのソフトボール投げで光を出していた奴だよな。一体何者でどんな個性をしているんだ?』

 

〜僕が飛び立った後の出入口〜

 

芦戸『ブラド先生、13号先生が…』

 

ブラド『これは酷い。13号、しっかりしろ!』

 

13号『その声は、ブラド先生…』

 

ブラド『よし、意識はあるな。13号、これを食ってくれ。』

 

13号『ブラド先生、これは一体?』

 

ブラド『いいから、俺を信じて食ってくれ。』

 

13号『分かりました。』

 

『ポリポリポリ……ゴクン!』

 

13号『!?』

 

峰田『ブラド先生、相澤先生がヤバイんだ!』

 

ブラド『わかった、今行く。』

 

ブラド先生は13号先生に仙豆を食べさせると、すぐに相澤先生の所に向かった。

 

13号『……』

 

芦戸『13号先生?』

 

13号『凄い、傷が治った!』

 

芦戸達5人『エーーーーーーーッ!!!』

 

ブラド『おいイレイザー、しっかりしろ!』

 

相澤『その声は、ブラドか…』

 

ブラド『そうだ。イレイザー、これを食ってくれ。』

 

相澤『この豆は、なんだ?』

 

ブラド『いいから頼む、食ってくれ!』

 

相澤『わかった。』

 

『ポリポリポリ……ゴクン!』

 

相澤『!?』

 

ブラド『よし、これでイレイザーも大丈夫だ。俺は散り散りなった生徒を助けに行く。イレイザー、13号、子供達を頼んだぞ!』

 

そう言うとブラド先生は広場から近い暴風・大雨ゾーンへ走っていった。

 

相澤『ふう。ブラドの奴、一体何を食わせたんだ?』

 

蛙吹『相澤先生、大丈夫なの?』

 

相澤『ああ心配ない。ブラドが食わせてくれた豆のおかげで傷が治り体力も回復した。』

 

蛙吹『ケロッ!本当なの先生?』

 

峰田『信じられねぇ、あんなにボロボロだったのに。』

 

相澤『後でブラドに豆の事聞かないとな。』

 

相澤先生と13号先生は仙豆のおかげで一命を取り留める事ができた。

              18話へ続く




17話いかがだったでしょう。相澤先生の意識があったりと原作と違う点が多いですが、大目に見て下さい。次回もUSJ編です。お楽しみ。ご意見・ご感想お待ちしています。PS.仙豆で回復したので相澤先生に後遺症はありません。後デクですが両足は重傷にならない設定にします。(オールマイトが復活したし、仙豆も節約したいので。)


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第18話 USJヴィラン侵入事件 その2

18話です。どうぞ。


〜救助に向かった明〜

 

僕はまず3人の気を感じた山岳ゾーンへ向かう事にした。到着して上空から様子を見ると1人の男子生徒が人質に取られて女子生徒2人が身動きが取れないでいた。

 

『トッ』

 

敵『がっ!!』『バタン』

 

僕はヴィランの背後に降り立ち、当て身をくらわせてヴィランを気絶させた。

 

明『皆さん、大丈夫ですか?って八百万さん?』

 

八百万『えっ、明さん?どうしてUSJ(ここ)に?』

 

耳郎『えっ、何ヤオモモ、知り合いなの?しかも空飛んで来たし!』

 

上鳴『ウェーイ?』

 

明『ゴメン、詳しい話は後で。実は君達3人以外に火災ゾーンにいるもう1人助けに行かないといけないんだ。』

 

八百万『そうでしたか。それでは私達に構わず行ってください。』

 

明『そうはいかないよ。まだ他にヴィランが潜んでいる可能性もあるし、一緒に連れて行くから八百万さんとあなたは僕の背中に乗って。彼は僕が担ぐから。』

 

八百万『分かりました。耳郎さん、上鳴さん、参りましょう。』

 

耳郎『う、うん。』

 

上鳴『ウェーイ。』

 

僕は八百万さんともう1人の女子生徒を背中に乗せ、男子生徒を両手で担いで上空へ浮き上がった。

 

明『2人共、窮屈だと思うけど我慢してね。』

 

八百万『大丈夫ですわ。』

 

耳郎『ウチも大丈夫。』

 

明『じゃあ行くよ。スピードは抑えるけどしっかり捕まっててね。』

 

僕達は火災ゾーンに向かって出発した。

 

火災ゾーンは山岳ゾーンの隣なのですぐに到着した。

 

明『たしか、この辺りのはずなんだけど、どこだろう?』

 

耳郎『ねえ見てヤオモモ、あれ尾白じゃない?』

 

八百万『本当ですわ。尾白さんで間違いありません。』

 

地上を見ると1人の男子生徒が数人のヴィランと戦っていた。

 

明『よし、3人共降りるよ。』

 

僕達は少し離れた場所に着地した。

 

八百万・耳郎・上鳴『尾白!/尾白さん!』

 

尾白『みんな!どうしてここに?』

 

耳郎『助けに来たに決まってるでしょ。』

 

八百万『私達も一緒に戦いますわ!』

 

上鳴『5人もいりゃこんな奴らに負けないぜ!(ちなみにアホ状態は解消した)』

 

明『いや、ダメだ!』

 

僕の言葉に4人が一斉に反応してこっちを見た。

 

明『戦うより、ここから離脱する事を優先するんだ。』

 

尾白『君は一体?それにどうやって?』

 

明『大丈夫。僕に考えがある。みんな僕が合図したら目を瞑るんだ。』

 

上鳴『オイオイ大丈夫かよ、お前の作戦で?』

 

八百万『皆さん、ここは明さんの指示に従いましょう。』

 

耳郎『ヤオモモ?』

 

八百万『私は明さんの個性をよく知っています。明さんなら絶対に作戦を成功させてくれます。だから皆さん、明さんを信じて下さい。』

 

耳郎『わかったよ。ウチはアンタを信じる!』

 

尾白『俺も君を信じるよ。』

 

上鳴『しゃーねー。作戦成功させてくれよ!』

 

明『みんな、ありがとう。』

 

敵『何をゴチャゴチャと。でもまあ、自分からやって来てくれたおかげで探す手間が省けたぜ。』

 

敵『おい、女は殺すなよ。後でたっぷり楽しませてもらうんだからな。』

 

明『うわぁ、ベッタベタなセリフ。言ってて恥ずかしくないですか?』

 

僕はヴィランをこちらに近づけさせる為に軽く煽った。

 

敵『ガキのくせに生意気な!まずお前からぶっ殺してやるぜ!』

 

敵『やっちまえー!!』

 

予定通り、ヴィランは全員僕達に襲いかかってきた。

 

明『みんな、今だ!』

 

僕の合図で4人は一斉に目を閉じた。これで準備完了だ。

 

『太陽拳!!』

 

敵『うわっ、なんだこの光!?』

 

敵『まっ、眩しい!』

 

敵『目が、目がぁっ!』

 

僕は太陽拳を放ち、ヴィラン全員の目をくらませてやった。

 

明『よし!上手く行った。みんな、目を開けていいよ。』

 

上鳴『なんだ?どうなったんだ?』

 

耳郎『ねえ、アンタ何したの?』

 

明『太陽拳で目をくらませてやったのさ。』

 

尾白『太陽拳?ドラゴンボールの?』

 

八百万『流石明さん、お見事ですわ。』

 

明『さあ、今の内にここを離れるよ。2人共、僕の背中に乗って。』

 

僕は女子2人を背中に乗せて浮き上がった。

 

明『君達2人は僕の手に掴まって!』

 

尾白『わかった!』

 

上鳴『よっしゃ!』

 

その後男子2人の手を掴むとさらに上空へと浮上した。

 

尾白『君は空も飛べるのか。一体どんな個性なんだ?』

 

明『その説明はまた後日ね。』

 

八百万『あの明さん、重くないですか?私達4人で200kg前後はあると思うのですが?』

 

明『大丈夫。この位の重さ、普段の修行に比べたら全然大した事ないから。』

 

耳郎『(200kgで大した事ないなんて、コイツ普段どんな特訓してるんだ?)』

 

明『じゃあ出発するよ。4人共しっかり掴まっててよ。』

 

僕はUSJの出入口に向けて飛び立った。

 

〜USJ出入口付近〜

 

ブラド『(野沢が出発してしばらく経つが、無事に4人を救出できただろうか。)』

 

僕が飛び立って数分後には他の先生達や警察がUSJに到着した。1年A組の生徒は僕が助けに行った4人以外は全員無事で既に出入口に集合していた。

 

ヴィランはというと、主犯の2人は分が悪いと見るや仲間を見捨ててそそくさと撤退してしまった。主犯から「脳無」と呼ばれていた脳みそむき出しヴィランはオールマイトがSMASHでぶっ飛ばした。手下のヴィランは先生や警察によって全員確保された。

 

ブラド先生が僕の帰りをまだかまだかと心配していたその時

 

明『ブラド先生ー!』

 

僕達5人は無事にUSJの出入口に到着した。

 

ブラド『やっと帰ってきたか。それに4人の生徒も無事に救出したようだな。』

 

芦戸『ねぇ見てアレ、ヤオモモだよ!』

 

葉隠『耳郎ちゃんに上鳴君、尾白君もいるよ!』

 

切島『ところで誰だアイツ?空飛んでるし、たった1人で4人も抱えてやがるぜ!』

 

爆豪『あの野郎、一体何者だ!』

 

轟『アイツ、なぜUSJ(ここ)にいる?』

 

常闇『大空を飛翔する謎の雄英生。』

 

口田『……(何も喋らないがみんなの意見には同意している)』

 

青山『一体誰だいあの生徒は?』

 

峰田『畜生、あの野郎!1度ならず2度までも!!今度は八百万と耳郎の尻の感触を背中で堪能しやがって!!』

 

蛙吹『峰田ちゃん本当に最低ね。』

 

緑谷『たしか彼はテストの時は光を出していたし、今は4人も連れて空を飛んでいる。複合型の個性なのか?それともブツブツブツブツブツブツブツブツ……

 

麗日『デク君、ちょっと怖いよ。』

 

1年A組のほとんどの生徒が僕は一体何者かと不思議に思っていた。

 

明『みんな、下に降りるよ。』

 

僕は開けた場所に着地し、4人を降ろした。その後すぐにブラド先生の所に向かった。

 

明『ブラド先生、他の生徒は?』

 

ブラド『心配ない。お前の助けた4人で最後だし、全員無事だ。』

 

明『よかったぁ。あ、ヴィランはどうなりました?』

 

ブラド『主犯の2人には逃げられてしまったが、脳がむき出しのヴィランはオールマイトが倒した。あと仲間のヴィランは他の先生や警察によって確保された。』

 

明『そうですか。』

 

ブラド『後これ、助かったぞ。』

 

そう言うとブラド先生は仙豆の入った布袋を差し出してきた。

 

明『助かったって事は使ったんですね。何粒使ったんですか?』

 

ブラド『2粒だ。イレイザー…いや、相澤先生と13号先生が重傷だったんでな、使わせてもらった。まずかったか?』

 

明『いえ、大丈夫です。むしろたった2粒で済んだのが不思議なくらいですよ。』

 

ブラド『そうか。ところで野沢、お前オールマイトに何かしたのか?』

 

明『それが、仙豆をあげたぐらいしか心当りがないんですけど。』

 

ブラド『オールマイトに仙豆をあげたのか?』

 

明『はい。友達のケガを治してあげたいからって、みんなの前で深々と頭を下げてお願いしてきたんです。』

 

ブラド『そうだったのか。』

 

明『たしか、オールマイトは僕のおかげで復活したとか言ってたし、ブラド先生も時間がどうとか言ってましたよねぇ。あれってどういう意味ですか?』

 

ブラド『その件については、また後日説明してやる。』

 

明『あ、あともう1つ、オールマイトの近くに体中に「手」の模型みたいなのを付けたヴィランがいましたよね。』

 

ブラド『ああ、たしかにいた。そいつが主犯の1人だ。』

 

明『そいつから食堂で感じた異質な気を感じました。あのヴィランが雄英バリアーを破壊した犯人です。間違いありません。』

 

ブラド『そうか、わかった。校長や警察に報告しておこう。俺はまだUSJの見回りなどをしなければならないから、お前は先に教室に戻って、帰るのはもう少し遅くなるとみんなに説明してくれ。』

 

明『分かりました。それに少々遅くなっても大丈夫ですよ。どうせ僕が戻ったら質問攻めでしょうから。』

 

ブラド『そういえば秘密の約束だったのにバラしてしまったな。すまん。』

 

明『別にいいですよ、緊急事態だったんですし。じゃあ、僕は教室に戻りますね。』

 

僕が教室に戻るために飛び立とうとすると

 

八百万『あの、明さん。』

 

明『あ、八百万さん。』

 

八百万『助けていただき、本当にありがとうございました。』

 

明『どういたしまして。A組の生徒が全員無事で本当に良かったよ。じゃあまたね。』

 

そう言って僕はUSJを後にした。

 

耳郎『助けてもらったのに、お礼言えなかったなぁ。』

 

尾白『今度ちゃんとお礼言わないとな。』

 

上鳴『でも、なんでアイツ生徒なのに助けに来たんだ?』

 

こうして、僕のUSJでの仕事は終了した。しかしまだ大仕事が残っている。きっと仮免の事もバレただろうし、事件の事も聞かれるだろう。もしかしたら、こっちの仕事の方が大変かもしれないなと思いながら、みんなの待つ教室に戻るのだった。

 

              19話に続く




18話いかがだったでしょう。USJ編は次回で最後にします。次回はB組生徒への事件や仮免の説明がメインになると思います。次回もお楽しみに。ご意見・ご感想お待ちしています。


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第19話 USJヴィラン侵入事件 その3

19話です、どうぞ。


明『はぁ。』

 

僕は今、自分の教室の出入口の扉の前にいる。すぐに教室に入ればいいのだが、正直あまり入りたくない。絶対事件の事は勿論、仮免の事なども含めて根掘り葉掘り聞かれるに決まっているからだ。だからといってこのまま立っているわけにもいかないので、僕は意を決して教室に入る事にした。

 

明『ただいま。』

 

一同『明ーーーーーーーー!!!』

 

教室に入った途端、みんなが僕に詰め寄ってきた。

 

取蔭『ねぇ明、仮免持ってるって本当なの?』

 

鎌切『おい明、なんで仮免の事隠してたんだよ!』

 

小森『ねぇねぇ明、免許証見せてほしいノコ。』

 

拳藤『明、A組の生徒や先生達は大丈夫なの?』

 

鉄哲『ヴィランの奴らはどうなったんだ?』

 

もう初日のテストの時とは比べ物にならないくらいの勢いでみんな聞いてくる。

 

しかもテストの時は茨の他にブラド先生と骨抜君と取蔭さんがみんなを鎮めてくれたが、今は先生はいないし骨抜君と取蔭さんは聞く側にまわっている為僕と茨の2人だけではとても鎮められない。

 

明『みんな落ち着いて。ちゃんと順番に話していくから。』

 

茨『皆さん落ち着いて下さい。明はちゃんと話してくれますから。』

 

なんとかみんなを鎮めようとするが、とても聞いてくれそうにないので、僕は最後の手段を使う事にした。

 

明『仕方がない。茨、ちょっと目を閉じてて。』

 

茨『あ、はい。』

 

『太陽拳!』

 

僕はみんなに向かって太陽拳を放った。

 

柳『きゃっ、眩しい!』

 

庄田『なんだこの光?』

 

円場『おい明、なんで太陽拳使うんだよ!』

 

明『仕方ないでしょ。こうでもしないとみんな落ち着いてくれないんだから。やれやれ、まさかクラスメイトに太陽拳を使う事になるとは。みんな、誘導するから席についてよね。茨、悪いけど女子のみんなを誘導してあげてくれる。』

 

茨『分かりました。』

 

僕と茨はみんなを誘導してそれぞれの席に座らせた。その後みんなの視力が回復したので話を始める事にした。

 

茨『明、ごめんなさい。バラしてしまいました。』

 

明『気にしなくていいよ。あの状況じゃどうしようもないからね。そろそろ始めるから、茨も席について。』

 

茨『はい。』

 

明『みんな目は大丈夫だね。じゃあ順番に話していくよ。まずは…』

 

僕は首にかけてあるライセンスカードを外して泡瀬君の机の前に立った。

 

明『泡瀬君、これ預けるから見終わったら後ろの人にまわしてくれる。』

 

泡瀬『わかった。』

 

明『で、たぶん吹出君が最後だと思うから、見終わったら僕に返してね。』

 

吹出『OK。』

 

泡瀬『スゲェ。これが本物の仮免の免許証か。』

 

回原『おい泡瀬、早く後ろにまわせよ!』

 

小大『泡瀬、見るの長すぎ。』

 

泡瀬君や後ろの回原君、隣の小大さんは僕のライセンスカードを見て大興奮していた。

 

明『じゃあまずはA組の生徒と先生の事だけど、生徒の方は軽傷の人は何人かいたそうだけど全員無事だよ。』

 

凡戸『よかったぁ。』

 

明『先生の方だけど、A組担任の相澤先生と13号先生が重傷だったらしいけど、仙豆を食べさせたから問題なし。』

 

鱗『やっぱ仙豆はスゲェなぁ。』

 

明『次にヴィランね。主犯の2人には逃げられたけど、一緒にいた大柄で脳みそがむき出しのような見た目のヴィランはオールマイトが倒したって。』

 

角取『流石オールマイトです!』

 

明『あと、各ゾーンにいた手下のヴィランは他の先生や警察によって全員確保されたって。』

 

黒色『ただの有象無象の集まりだったか。』

 

明『ここまでで何か質問ある?』

 

物間『なぁ明、明はUSJで何してたんだい?』

 

明『僕は到着後に出入口から1番遠い生徒の気を読んで、山岳ゾーンにいた3人と火災ゾーンにいた1人の生徒を救出したんだ。』

 

宍田『ヴィランと戦ったのですか?』

 

明『大した事はしてないよ。山岳ゾーンでは人質を取っていたヴィランの背後に降り立って当て身をくらわせただけだし、火災ゾーンではヴィランに太陽拳をくらわせてその隙にみんなを連れて離脱したからね。』

 

骨抜『生徒の安全を第一に行動したわけだ。』

 

明『事件については以上ね。次は仮免の事だけど、まずはみんな、今まで隠していてごめんなさい。』

 

柳『ねぇ明、どうして仮免持ってる事隠していたの?』

 

明『僕はみんなと同等の立場で高校生活を送りたかったんだ。ただでさえ特別推薦枠で入学してるのに、仮免を持ってる事まで知られたら、みんなから特別扱いされて、逆に孤立するんじゃないかと思って黙ってたんだ。』

 

骨抜『なるほど、確かにそうなるかもしれないな。』

 

明『だからみんな、これからも今までどおり接してほしいんだけど、いいかな?』

 

鉄哲『当たり前だぜ!それに俺はお前の事を特別だなんて思った事ないぜ。』

 

拳藤『そうだよ。確かに個性は凄いし仙豆も持ってるけど、私達同じプロヒーローを目指すクラスメイトで、仲間で、友達でしょ。だからこれからもみんなで一緒に頑張っていこうよ!』

 

明『鉄哲君、拳藤さん。』

 

拳藤『みんなもいいよね!』

 

拳藤さんがみんなに同意の返事を求めるとみんなすぐに『うん』『もちろん』『当然だ』と返事を返してくれた。それが本当に嬉しかった。

 

明『みんなありがとう。あと、茨には僕から内緒にするよう頼んだんだ。だから茨の事を責めないであげてくれるかな。』

 

取蔭『当たり前じゃない!そんなの当然だよ。』

 

角取『ソウです。明も茨も大切なMy friendデス。』

 

凡戸『誰も塩崎の事責めたりしないよ。』

 

茨『皆さん、本当にありがとうございます。』

 

明『じゃあ次は仮免の事で聞きたい事があれば質問してくれる。なんでも答えるから。』

 

その後はヒーロー名を《KAKAROT(カカロット)》にした理由や仮免試験の試験内容の質問がされたので丁寧に答えた。特に試験でホークスと戦った事を話すとみんな凄く盛り上がっていた。

 

話し終えた頃にブラド先生が教室に戻ってきて、明日は臨時休校になり、今日は先生がそれぞれ自宅まで車で送ってくれる事になったのだが

 

ブラド『野沢、お前は塩崎を連れて舞空術で飛んで帰ってくれ。』

 

明『えっ、いいんですか?空を飛んで帰っても?』

 

ブラド『大丈夫だ、問題無い。もしヒーローや警察に見つかったら、仮免と学生証を見せて「学校には許可をもらっている」と伝えてくれ。』

 

明『わかりました。それじゃあ茨、カバン頼むね。』

 

僕は自分のカバンを茨に預けると、浮き上がり茨を背中に乗せるために横になった。

 

茨『それでは明、失礼しますね。』

 

小森『いいなぁ。私も明の背中に乗って空飛びたいノコ。』

 

明『雄英の敷地内なら乗せて飛んであげられるよ。いいですよね、先生。』

 

ブラド『ああ、それなら問題ない。』

 

小森『やったノコ。明、約束ノコ!』

 

柳『ねぇ明、私もいいかしら。』

 

小大『明、私も。』

 

明『いいよ。今度放課後にでも飛んであげるよ。それじゃみんな、またね。』

 

茨『皆さん、さようなら。』

 

拳藤『明、茨、また明後日ね。』

 

取蔭『2人共、気をつけてな。』

 

角取『Good byeです。』

 

こうして僕達は家に帰るために飛び立った。

 

明『そういえば、茨を背中に乗せてこうして夜空を飛ぶのって初めてだね。』

 

茨『そういえばそうですね。今まではトレーニングルームの中だけでしたから。』

 

明『思わぬ形で初体験しちゃったね。』

 

茨『明、今日は本当にお疲れ様でした。』

 

明『ありがとう。でも、できればこんな事は2度と起きて欲しくないけどね。』

 

そんな思いを胸に、僕達は家路を急いだ。

 

〜何処かのとあるバー〜

 

???『話が違うじゃないか先生!オールマイトの奴、弱ってるどころか復活してるじゃないか!』

 

???『復活?それはどういう事だい?』

 

???『本人がそう言ったんだ。アイツ「野沢少年のおかげで完全復活した」ってなあ。おかげで脳無もあっさりやられちまったし、手下共も全員掴まっちまった。』

 

???『ほう。ところで誰だい、その「野沢少年」というのは?』

 

???『知らねぇよそんな奴!それに、妙な事も起こりやがるし。』

 

???『妙な事?一体何があったんだい。』

 

???『脳無や黒霧が倒したはずの教師が復活したんだ。2人共かなりの深手を負ってたはずなのにだ!』

 

???『それは不可解だねぇ。何か変わった事はなかったかい?』

 

???『途中で2人の教師と生徒が助けに来たんだ。復活したのはそれからだ。生徒の方は赤く光りながら空を飛んでいた。』

 

???『なるほど。思っていた以上に見通しが甘かったようだ。もっと時間をかけてじっくりと精鋭を集めなければならないね。

 

後情報も必要だ。特にオールマイトの言った「野沢少年」という人物、そして教師2人が復活した理由。この2つについては徹底的に調べる必要があるね。』

 

野沢明にヴィランの魔の手が伸びようとしていることを、まだ誰も知らない。




19話いかがだったでしょう。次回からは体育祭編になります。次回もお楽しみに。ご意見・ご感想お待ちしています。


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第20話 雄英体育祭に向けて その1

まずは体育祭に向けての修行になります。色々書いていたら詰め込み過ぎてしまいました。どうぞ。


ヴィラン侵入事件から臨時休校を挟んだ次の日、僕達はいつも通り登校した。事件後最初の登校だったが、特別変わった事もなく、B組のみんなも事件の当事者ではないのでいつも通りだったし、僕自身も大した事はしていないのでいつも通り過ごし、朝のホームルームをむかえた。

 

ブラド『みんなおはよう。先日は緊急事態とはいえ途中で授業を放り出してすまなかった。特に野沢、お前には本当に世話になった。ありがとう。』

 

明『いえ、そんな大した事はしてませんから。』

 

ブラド『だがみんな、戦いはまだ終わってないぞ。』

 

円場『戦いって?』

 

骨抜『ま、まさか…』

 

鉄哲『またヴィランの奴らが!?』

 

ブラド『雄英体育祭が2週間後に迫ってきている!』

 

一同『クソ学校っぽいの来たあああ!!』

 

宍田『ちょっ、ちょっと待ってください!ヴィランが侵入した直後だというのに、開催しても大丈夫なのですか!?』

 

ブラド『確かに、宍田の言う事も尤もだが、逆に開催することで雄英の危機管理体制が盤石だと示す…という考えだそうだ。それに、今年の警備は例年の5倍に強化するとのことだ。』

 

宍田『なるほど。』

 

ブラド『それに雄英体育祭はお前達にとって最大のチャンス。そう簡単に中止にしていい催しじゃないんだ。』

 

その後ブラド先生から雄英体育祭開催理由や体育祭の重要性などが細かく説明されて、ホームルームは終了した。

 

〜昼休み〜

 

鎌切『事件があったとはいえ、体育祭と聞くとやっぱりワクワクするよなぁ!』

 

回原『体育祭で活躍してプロの目に止まればプロヒーローにグッと近づくからな!』

 

クラスのみんなは体育祭の開催に盛り上がっていたが、僕は気になる事があって考え事をしていた。

 

茨『明、どうかしましたか?なんだか難しい顔をしていましたけど。』

 

明『うん。ちょっと考え事しててさ。』

 

柳『明は体育祭、楽しみじゃないの?』

 

取蔭『明なんて優勝候補筆頭なんだから、もっと盛り上がるんじゃないの?』

 

明『実は、その事で考えていたんだ。』

 

庄田『その事って、どうゆう事だい?』

 

明『既に仮免を取得している僕が、みんなに混じって出場してもいいのかなって考えてたんだ。』

 

宍田『なるほど。言われてみればそうですな。』

 

鱗『仮免、いわゆるセミプロの明がヒーローの志願者(タマゴ)の俺達に混ざって体育祭に出場するのは、確かにおかしいかもな。』

 

拳藤『しかも明の場合、個性が個性だからね。やり方によっちゃあぶっちぎりで優勝しちゃうかもね。』

 

茨『明、放課後ブラド先生に聞いてみてはどうですか?』

 

明『そうだね、放課後聞いてみるよ。』

 

僕は放課後ブラド先生に話を聞く事にして、みんなで食堂へむかった。

 

〜放課後、A組の教室〜

 

A組の教室の前にはヴィランの襲撃を耐え抜いた1年A組の生徒を一目見ようと他のクラスの生徒が沢山集まっていた。そんな中…

 

耳郎『ねぇヤオモモ、聞きたい事があるんだけど。』

 

八百万『耳郎さん、どうかしましたか?』

 

耳郎『USJでウチらを助けてくれた生徒の事だけど、ヤオモモ知り合いなの?』

 

八百万『明さんですか?明さんは私や轟さんと同じ推薦入学者なんです。入学初日にはご挨拶も致しました。』

 

耳郎『そうだったんだ。ねぇヤオモモ、頼みがあるんだけど、ウチUSJで助けてもらったお礼ちゃんと言えてないからさぁ、お礼言いたいんだけど、悪いけどヤオモモ仲介してもらえないかなぁ。』

 

八百万『そうでしたか。それでは早速2人でB組の教室へ参りましょう。』

 

尾白『なぁ2人共、俺も一緒にいいかな。』

 

上鳴『俺もいいか?』

 

耳郎『尾白…』

 

八百万『上鳴さんまで。』

 

尾白『俺もちゃんとお礼言えてないからさ、言いたいんだ。』

 

上鳴『俺も。それにアイツには聞きたい事がいっぱいあるからな。』

 

八百万『では、4人で参りましょう。』

 

こうして4人は明にお礼を言うためにB組の教室にむかった。

 

〜1年B組の教室〜

 

明『なんか廊下が騒がしいけど、なんかあったの?』

 

茨『A組の生徒を一目見ようと他のクラスの生徒が集まっているようです。さっき鉄哲さんも行ってしまいました。』

 

明『やれやれ、みんな物好きだなぁ。』

 

茨『明はA組の生徒に興味ないのですか?』

 

明『全く無いって言ったらウソになるけど、他人の事を気にするより、自分の事を見つめる方が大事だと思うけどなぁ。』

 

茨『ふふっ、そういう所は明らしいですね。』

 

僕と茨がそんな話をしていると

 

取蔭『おーい明、あんたにお客さんだよ。』

 

明『お客さん?一体誰だろう?』

 

取蔭『さ、入って入って。』

 

取蔭さんに促されて教室に入ってきたのは、八百万さんと僕がUSJで助けた3人の生徒だった。

 

物間『おやおや、襲撃されたA組がわざわざB組を偵察するなんて、どうやらA組は是が非でも体育祭で勝ちたいようだね。しかも我らがB組のエースの明に狙いを付けるとは、君達は助けてもらった恩を仇で返すのかい?』

 

拳藤『当て身!』

 

物間『がっ!?』

 

拳藤『お客さんに失礼な事を言うんじゃない!あ、こいつの事は気にしなくていいから遠慮なく入って。』

 

八百万『し、失礼します。』

 

八百万さんたちは物間君の煽りに多少困惑しながらも、教室の中に入ってきた。

 

明『どうしたの八百万さん、何か用?』

 

八百万『実は、こちらの耳郎さん達3人が明さんに助けてもらったお礼を言いたいという事で、今日はお邪魔したのです。』

 

そういうと八百万さんは3人にお礼を言うよう促した。

 

耳郎『ウチは耳郎響香。USJでは助けてくれてありがとう。』

 

尾白『俺は尾白猿夫。この間はありがとう。助かったよ。』

 

上鳴『俺は上鳴電気。USJではサンキューな。』

 

明『どういたしまして。僕は野沢明。名前の明で呼んでもらえるかな。』

 

茨『明、この方達は一体?』

 

明『僕がUSJで助けたA組の生徒だよ。彼女は僕の幼馴染みで、塩崎茨さん。』

 

茨『塩崎茨と申します。皆さん、よろしくお願いします。』

 

上鳴『ヒョー!B組の女子ってA組よりレベル高いんじゃね!ねぇねぇ、LINE交換しない?』

 

『グサッ!、ドックン!!!』

 

上鳴『うぎゃあああ!!』

 

耳郎『A組の恥をさらすな!ゴメンね、コイツの事は気にしなくていいから。』

 

茨『は、はあ。』

 

八百万『あ、あの明さん、私達明さんにお伺いしたい事があるのですが、構いませんか?』

 

明『いいよ。答えられる質問ならなんでも答えるよ。』

 

八百万『ではまず私から。USJでの事件の時、どうしてB組の生徒の中で明さんだけが助けに来られたのですか?』

 

取蔭『ああ、やっぱそれ気になるよね。』

 

僕は首にかけてある仮免を外して4人に見せた。

 

明『これがあるからだよ。』

 

八百万『明さん、これは一体?』

 

明『ヒーロー活動許可仮免許証。いわゆるヒーロー免許の仮免だよ。』

 

八百万『ええっ!』

 

耳郎『嘘!』

 

尾白『か、仮免!?』

 

上鳴『お前、仮免取ってたのかよ!?』

 

八百万『明さん、いつお取りになったのですか?』

 

明『去年の夏休みの終盤。まあ取れたのは運が良かったからだけどね。』

 

茨『そんな事ありません。明の実力は本物ですよ。』

 

八百万『では、中学3年で仮免を取得されたのですか!?』

 

拳藤『私達も初めて知った時はビックリしたよ。でもそれだけじゃないよ。明は通常の推薦入試4枠とは別の特別推薦枠で入学してるんだから。』

 

八百万『特別推薦枠…』

 

耳郎『それってヤオモモや轟より実力が上って事なんじゃ…』

 

尾白『仮免持ちで特別推薦だなんて。』

 

上鳴『スゲェ。』

 

4人は僕の秘密を知って驚いていた。

 

明『他に質問は?』

 

尾白『じゃ、じゃあ俺から。明ってどういう個性してるんだ?USJでは空飛んだり、太陽拳って言って目をくらませたりしていたけど。』

 

明『あれ、八百万さんから聞いてないの?僕の個性は【孫悟空】ドラゴンボールの主人公孫悟空の力や技が使える個性だよ。USJでは舞空術で空を飛んで太陽拳でヴィランの目をくらませたのさ。』

 

上鳴『マジかよ!?じゃあ入学初日のB組のテストで見た光が空に登って行ったのって…』

 

明『ああ、きっとかめはめ波でソフトボールを飛ばした時だね。ちなみにボールが大気圏を突破して測定不能だったよ。』

 

尾白『あれはかめはめ波だったのか。』

 

上鳴『こんなのチート個性じゃねえか!』

 

耳郎『ねぇ明、他にも使える技あるの?見せてよ。』

 

明『教室で出来る技となると…』

 

僕は手を構えて気を集中させたり、舞空術で教室内を飛んだりした。そして最後に

 

明『界王拳!』

 

僕は界王拳を使ってみせた。

 

耳郎『凄い!体が赤くなった!』

 

尾白『界王拳まで使えるのか!』

 

上鳴『カッケー!』

 

明『後いくつかあるけど、教室で見せられる技はこのぐらいかな。ここまで出来る様になるのに必死で修行したからね。』

 

耳郎『あっ!明、次ウチの質問いい?USJでウチら4人も担いで大した事ないって言ってたけど、普段どんな特訓してるの?』

 

明『そうだなぁ、1番わかりやすいのだとこれかな。《アンテ!》』

 

僕は首のチョーカーを外して4人に見せた。

 

八百万『明さん、このチョーカーがどうしたんですか?』

 

明『これはグラビティ・チョーカーっていって、付けた人に設定した倍率の重力を発生させるんだ。』

 

耳郎『へぇー。で、今は何倍にしてるの?』

 

明『今は10倍。体育祭にむけて帰ったら倍率を上げようと思ってるんだ。』

 

尾白『なぁ、俺にもちょっと付けさせてくれないか。』

 

鎌切『やめたほうがいいぜ。俺も1度付けた事あるけど10秒もたなかったからな。』

 

それでも尾白君がどうしてもと言うので貸してあげた。

 

明『じゃあいくよ、《ロック》』

 

案の定重力が発生すると鎌切君の時と同様、尾白君は床にへばりついてしまった。

 

尾白『た、助けて…』

 

明『《アンテ》どうだった、10倍の重力は?』

 

尾白『ハァハァ。明、お前こんなの付けて毎日生活してるのか?』

 

明『まあ、普通の人間じゃあ無理だろうね。これはサイヤ人の僕だからできる修行だからね。』

 

小森『ねぇ明、サイヤ人ってどうゆう事ノコ?』

 

明『そういえば言ってなかったね。僕個性の名前こそ【孫悟空】だけど、体は完全にサイヤ人だからね。ちなみに個性のタイプも常時発動タイプの異形型に分類されてるよ。』

 

凡戸『明、君異形型だったの!?』

 

吹出『見た目普通の人間なのに。』

 

明『まあね。だからやった事ないけど死にかけて全快すればパワーアップするだろうし、後何度か変えようとしたけど、ずーっとこの髪型なんだよね。』

 

茨『そういえば、私も明の今の髪型以外、見た事ないですね。』

 

そんな話も交えながら、いい時間になったのでそろそろお開きにしようとなった時

 

泡瀬『明、相澤先生がきてるぞ。』

 

A組担任の相澤先生がB組の教室にやって来たのだ。

 

相澤『野沢、お前がブラドに渡した仙豆のおかげで俺と13号は一命を取り留める事ができた。ありがとう。』

 

明『お礼なんていいですよ。2人共無事で本当に良かったです。』

 

相澤『ところで、どうしてお前達がB組(ここ)にいるんだ?』

 

耳郎『ウチらUSJで明に助けてもらったんです。それで、その時のお礼を言いに。』

 

尾白『後、明が助けに来た理由や明の個性の事を聞いていました。』

 

相澤『そうだったのか。野沢、俺の生徒を助けてくれてありがとう。重ね重ね礼を言わせてくれ。』

 

明『いいですよ。当然の事をしただけなんで。』

 

上鳴『なぁ明、仙豆って?』

 

僕は上鳴君の質問に答える為に、ポケットから仙豆を取り出した。

 

明『これがそうだよ。ドラゴンボールに出てくる本物の仙豆だよ。』

 

八百万『それでは、相澤先生はこの仙豆を食べて怪我が完治されたのですか?』

 

相澤『そうだ。俺も食べた時は驚いた。ヴィランとの戦いの傷が完全に無くなり、体力まで回復したんだからな。』

 

耳郎『明、この仙豆どこで手に入れたの?』

 

明『僕の母さんが個性を使って作ってくれたんだ。』

 

上鳴『スゲェ。お前の母さんカリン様かよ!』

 

と、みんなが仙豆の事で盛り上がっている途中、相澤先生が教室を出ようとしたので僕は咄嗟に声をかけた。

 

明『あっ!相澤先生、1つ聞きたい事があるんですけど。』

 

相澤『聞きたい事?何だ一体?』

 

明『僕は体育祭に出場できますか?』

 

相澤『それはどういう意味だ?』

 

明『既に仮免を取得している僕がみんなに混じって体育祭に出場してもいいのかって考えていたんですけど。』

 

相澤『なるほど。確かにお前の実力は他の生徒に比べてかなり抜きん出ている。だからといってお前だけ体育祭に出場させないなんて事はない。』

 

明『そうですか。』

 

茨『明、よかったですね。』

 

相澤『ただ、お前と他の生徒の差を少しでも埋めるためにはどうすればいいか、体育祭までの2週間の間に他の先生達と相談して決める予定だ。だからお前も体育祭までの2週間、しっかり準備しておけ。』

 

明『はい!』

 

相澤『勿論、野沢以外の全員もだ!今回はA組が襲撃されたがこれはあくまで偶然だ。現状A組とB組に実力差は全く無い。誰が優勝してもおかしくないと俺は思っている。全員、体育祭までの2週間しっかり準備しておくように。』

 

一同『はい!』

 

その後は体育祭へのテンションが否が応でも高くなり、みんな早く帰って修行しようとなり、その日は帰宅した。

 

〜自宅のトレーニングルームにて〜

 

茨『それで明、重力を何倍まで上げるのですか?』

 

明『うん、20倍にしようと思うんだ。』

 

茨『大丈夫ですか、一気に今までの倍なんて。』

 

明『まあ原作の悟空も10倍から20倍にしてたし、それに体育祭では必ず3倍界王拳が必要になると思うんだ。だから少しでも3倍界王拳に耐えられる体に仕上げておきたいんだ。』

 

茨『なるほど。』

 

明『それに、僕と他の生徒の差を埋める為に、学校が何をしてくるか分からないからね。アンテ!』

 

そう言うと僕はチョーカーを外してボタンを押した。

 

『重力倍率ヲ設定シマス 希望ノ倍率ヲ仰ッテクダサイ』

 

明『20倍』

 

『重力倍率を20倍ニ設定シマシタ』

 

明『よし、ロック!』

 

改めてチョーカーを装着すると僕の体に20倍の重力がのしかかった。

 

明『くー!!さ、流石にキクなぁ…!!』

 

茨『明、あまり無理をなさらないようにしてください。』

 

明『分かってるよ。さ、早速始めよう。』

 

こうして、体育祭までの2週間、僕達の厳しい修行が始まった。




20話いかがだったでしょう。修行回は後2〜3回続きます。次回もお楽しみに。ご意見・ご感想お待ちしています。


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第21話 雄英体育祭に向けて その2

前回の投稿から随分時間が空いてしまいました。ごめんなさい。引き続き、体育祭に向けての修行です。どうぞ。


重力を20倍にして日曜日を1日挟んだ月曜、僕は動きづらそうに登校していた。無理もない、土曜の夜倍率を20倍にしてたった1日修行しただけなのだから、そう簡単に20倍の重力を自分の物にできる訳が無い。そのせいで日曜の朝と今朝のジョギングも普段の2/3程度しか走れず、茨に迷惑をかけてしまった。

 

だが時間は待ってくれない。体育祭までの2週間でなんとか20倍の重力を自分の物にして、3倍界王拳を使える体に仕上げないと。だから今まで通り、風呂と寝る時、あと学校での訓練の時以外はチョーカーを付けて生活する予定だ。

 

そして動きづらそうにしながらも、なんとか教室に到着した。

 

明『みんなおはよう。』

 

柳『おはよう明。なんだか動きづらそうにしているけど、どうかしたの?』

 

明『チョーカーの倍率を、今までの10倍から20倍に上げたんだ。』

 

庄田『20倍か。という事は明の体重が75kgだとすると1500kgになるわけだ。すごいな。』

 

宍田『明氏、あまり無理をしてはかえって逆効果ではないですか?』

 

明『それは分かってるよ。でも体育祭では必ず3倍界王拳が必要になると思うんだ。だから体育祭までに20倍の重力を少しでも自分の物にして、長時間3倍界王拳を使える体に仕上げたいんだ。』

 

取蔭『なるほどねぇ。でも宍田の言うとおりあまり無理しちゃダメだよ。修行で頑張りすぎて本番動けないじゃ話にならないからね。』

 

明『大丈夫。修行はいつも茨と一緒だし、もし何かあれば茨が動いてくれる事になってるから。』

 

柳『あらあら、相変わらず仲が良くてウラメシいわねぇ。』

 

と、僕の席の周りの友達は驚いたり、心配したり、からかったりしてきた。僕はそんなやり取りがとても嬉しく、そして楽しかった。

 

一方で…

 

鉄哲『(クソッ!俺も明位に体に負荷をかけて特訓出来れば。)』

 

拳藤『(いいなぁ。私もあのチョーカー付けて修行出来たらなぁ。)』

 

と、鉄哲君と拳藤さんは僕の事を羨ましがっていた。

 

〜昼休み〜

 

この日は鉄哲君と拳藤さんが聞きたい事があるということで、茨を含めた4人でお昼を食べることになった。

 

明『それで2人共、僕に聞きたい事って何?』

 

鉄哲『なぁ、明のチョーカーって、誕生日のプレゼントで明の父さんから貰ったんだったよなぁ。』

 

明『うん、僕が12歳の時にね。父さんが務めてるサポート会社に協力してもらって作ったらしいよ。』

 

拳藤『明のお父さんって、たしかドラゴン・コーポレーションに務めてるんだよね。』

 

明『そうだよ。それがどうかしたの?』

 

鉄哲『なあ明、お前の父さんに俺の分のチョーカー作ってくれるよう頼んでくれないか。』

 

明『えっ!?グラビティ・チョーカーを?』

 

拳藤『明、私からもお願い。私の分のチョーカー作ってくれるよう明のお父さんに頼んでよ。』

 

明『そ、それは別にいいけど…』

 

2人の突然のお願いに僕は少し困惑していた。

 

茨『お二人共、どうしてそんなにグラビティ・チョーカーが欲しいのですか?』

 

拳藤『体育祭で活躍するためにも、私も明のように体に負荷をかけて修行したいんだ。』

 

鉄哲『俺も拳藤と一緒だ。明のような強力な重力の下で体を鍛えたいんだ。』

 

茨『しかし、超重力下での修行は明だから出来る修行であって、お2人には負荷がかかり過ぎて、逆に体を痛める事になるのではないでしょうか。』

 

拳藤『茨の言う事もわかるよ。でも、私も鉄哲も明のように厳しい修行をして強くなりたいんだ!』

 

鉄哲『明頼む!お前の父さんに俺達の分のチョーカー作ってくれるよう頼んでくれよ!』

 

明『わ、わかったよ。帰ったら父さんに話してみるよ。でも2人共、あまり期待しないで待っててよね。』

 

拳藤『ありがとう、明。』

 

鉄哲『頼んだぜ!』

 

こうして僕は父さんに拳藤さんと鉄哲君の分のチョーカーを作ってくれるよう頼む事になったのだった。

 

〜その日の夜〜

 

明『ねぇ父さん、ちょっと話したい事があるんだけど、今時間いいかな?』

 

明父『別に構わないが、何だ急に改まって。もしかして、また学校で事件でも起きたのか?』

 

明『いや、事件じゃないんだけど、実は…』

 

僕は今日学校で拳藤さんと鉄哲君に頼まれた事を話した。

 

明『という訳なんだけど。』

 

明父『なるほど、話は分かった。』

 

明『流石に無理だよね。クラスメイトの為にグラビティ・チョーカーを作るなんて。』

 

明父『いや、そんな事はないぞ。』

 

明『えっ!?本当に?』

 

明父『ああ、ただ条件や制約はあるけどな。』

 

その後父さんは詳しい話をしてくれた。

 

〜翌日〜

 

僕と茨が登校すると早速拳藤さんと鉄哲君が近付いてきた。

 

鉄哲『明、昨日のチョーカーの事、お前の父さんに話してくれたか?』

 

明『うん、ちゃんと話したよ。』

 

拳藤『それで、お父さんはなんて?』

 

明『それが、父さんは廉価版ならすぐに用意できるって言ってたんだけど。』

 

拳藤『廉価版?』

 

鉄哲『廉価版ってどういう事だ?』

 

明『僕のチョーカーは最大100倍の重力が設定出来るんだ。で、廉価版はその10分の1、つまり最大10倍の重力が設定出来るんだけど、それでもいいかな。』

 

拳藤『もちろん!』

 

鉄哲『俺もそれで構わないぜ。』

 

明『わかったよ。ただ、2人に渡す際に条件が出されたんだけど、呑んでくれるかな?』

 

鉄哲『条件?やっぱ金か?』

 

明『お金じゃないよ。父さんも僕のクラスメイト相手に商売する気はないって。』

 

拳藤『それじゃあ、条件って一体?』

 

明『今後の商品開発の参考にしたいから、使って1ヶ月経過したら、使った感想のレポートを提出する。これが父さんの出した条件なんだけど。』

 

拳藤『条件って、それだけでいいの?』

 

明『2人共この条件、呑めそう?』

 

鉄哲『もちろんだ!そんな事でグラビティ・チョーカーが手に入るなら何枚でも書いてやるぜ!』

 

拳藤『私もいいよ。ちゃんとレポート提出するから。』

 

明『じゃあ、父さんにLINE送るね。』

 

その後僕は父さんに廉価版の事や条件の事を了承してくれた事をLINEで送った。送り終えると同時にブラド先生が教室に入ってきたので、続きは昼休みに話す事になった。

 

〜昼休み〜

 

昼休みになると早速拳藤さんと鉄哲君が朝の続きを話してきた。

 

拳藤『ねぇ明、チョーカーはいつ私達の手元に届くの?』

 

明『それが、父さん土曜日は午前中仕事で、その仕事が終わったら持って帰るって言うんだ。』

 

鉄哲『という事は、俺達に届くのは来週の月曜になるのか。』

 

拳藤『せっかくチョーカー貰っても大した時間修行出来ないか。』

 

2人はチョーカーを貰うのが遅くなる事にガッカリしていたので、僕はある提案をした。

 

明『そこでなんだけど、2人共、土曜日学校が終わったら僕の家に泊まりに来ない?』

 

鉄哲『えっ!?』

 

拳藤『明の家に?』

 

明『うん。そうすれば土曜日にチョーカーが渡せるし、そのまま僕の家のトレーニングルームで修行も出来るよ。なんなら日曜の夜も泊まって月曜の朝そのまま学校に登校してもいいよ。』

 

鉄哲『いいのかよ明、お前の家に2泊もして。』

 

明『うん。これは父さんが提案してくれた事だし、母さんもOKしてくれたから問題ないよ。だから遠慮しないで泊まりに来てよ。』

 

鉄哲『そうか。なら遠慮なく泊めさせてもらうぜ。』

 

拳藤『私も行くよ。土日を使ってしっかり修行したいからね。』

 

明『じゃあ決まりだね。茨、土曜と日曜拳藤さんが泊めてもらえるようおじさんとおばさんに頼んでもらえるかな。』

 

茨『分かりました。今日帰ったら頼んでみますね。』

 

鉄哲『お、おい明!お前の家に泊まるのにどうして塩崎が出てくるんだ?』

 

明『ああ、僕の家と茨の家は隣同士なんだよ。』

 

拳藤『えっ!そうだったの?』

 

明『うん。女の子同士だし、拳藤さんは茨の家に泊まった方がいいと思って提案したんだけど、もちろん僕の家にも客間があるから僕の家に泊まってもいいけど、どっちに泊まるかは拳藤さんにまかせるよ。』

 

拳藤『ね、ねぇ茨、私が茨の家に2泊もして、茨や茨のご両親にご迷惑じゃないかな?』

 

茨『そんな事ありませんよ。家は両親2人と私の3人暮らしですから、一佳さん1人増えたからって何も問題ありませんよ。それに野沢家とは家族ぐるみで仲良くしていますから、実質6人家族のようなものですから。』

 

鉄哲『お前ら、本当に仲がいいんだな。』

 

明『まあね。出会ってもう9年の付き合いだからね。』

 

拳藤『それじゃあ茨、泊めさせてもらえるかな。』

 

茨『はい。』

 

こうして、拳藤さんと鉄哲君は土日を使って僕達の家に泊まり掛けで修行する事になった。

 

〜土曜日の放課後〜

 

この日の授業も終わり、僕と茨はいつも通り一緒に帰宅していた。そして予定通り拳藤さんと鉄哲君も2泊する為の鞄を持って僕達の家に向かっていた。拳藤さんに至っては2家族分のお土産まで持って来ていた。ちなみに、茨のご両親も拳藤さんが2泊する事を快く許可してくれた。

 

明『拳藤さん、別にお土産なんてよかったのに…』

 

拳藤『これは家の両親が持たせてくれたんだ。それに私も2泊もするのに手ぶらじゃ失礼だと思ってたからね。だから気にしないで。』

 

鉄哲『おい拳藤、そんな事されたら手ぶらの俺の肩身が狭くなるじゃねえか。』

 

茨『鉄哲さん、そんなに気を使う事ないと思いますよ。』

 

明『そうだよ。僕達まだ子供なんだし、子供らしくしてればいいと思うよ。』

 

鉄哲『そ、そうかぁ。』

 

と、手ぶらな事を気にしている鉄哲君を励ましながら、僕達はそれぞれの家に到着した。

 

明『それじゃあ、夕飯まで修行するから荷物を置いて着替えたらトレーニングルームに来てね。』

 

茨『分かりました。』

 

拳藤『じゃあ、また後でね。』

 

〜明の家〜

 

明『ただいま。』

 

家に帰ると母さんが出迎えてくれた。

 

明母『お帰り、明。』

 

明『母さん、こちら僕のクラスメイトの鉄哲徹鐵君だよ。』

 

鉄哲『は、初めまして、鉄哲徹鐵です。2日間、よろしくお願いします。』

 

明母『いらっしゃい。遠慮しないでいいから、ゆっくりしていってね。』

 

鉄哲『あ、ありがとうございます。』

 

明『母さん、夕飯までみんなで修行してくるから。』

 

明母『わかったわ。時間になったら呼びに行くわね。あと、リビングにお父さんいるから行く前にチョーカー受け取って行くといいわ。』

 

明『わかった。さ、鉄哲君、僕の部屋に案内するよ。』

 

鉄哲『お、お邪魔します。』

 

僕は鉄哲君を自宅に招き入れ、自分の部屋に案内した。

 

鉄哲『うっわー!お前の部屋、ドラゴンボールだらけじゃねえか。』

 

明『まあね。両親の影響もあって、小さい頃からドラゴンボールのアニメや映画をよく見てたからね。』

 

鉄哲『それとお前の母さんすっげー美人じゃねえか。』

 

明『そうかな?他の人と比べた事無いからよくわかんないや。それより、2人を待たせても悪いから早く着替えよう。』

 

鉄哲『おう。』

 

僕達は手早くジャージに着替えてトレーニングルームにむかった。

 

〜一方、茨の家では〜

 

茨『ただいま。』

 

茨父『おお茨、おかえり。』

 

茨『あ、お父さん。彼女が家に2泊するクラスメイトの拳藤一佳さんです。』

 

拳藤『初めまして、拳藤一佳といいます。2日間お世話になります。』

 

茨父『初めまして、茨の父です。よろしく。』

 

拳藤『あ、これ家の両親からです。どうぞ。』

 

茨父『これはこれは、ご丁寧にどうも。』

 

茨『お父さん、お母さんは?』

 

茨父『母さんなら買い物に行っている。もうすぐ帰ってくるだろう。』

 

茨『そうですか。私はこれから明達と一緒に、夕食の時間まで修行してきますので。』

 

茨父『わかった。母さんには伝えておくよ。頑張ってきなさい。』

 

茨『それでは一佳さん、私の部屋にご案内しますね。』

 

拳藤『お邪魔します。』

 

茨は拳藤さんを自室へと案内した。

 

拳藤『へー、ちゃんとキレイに片付けてるんだね。それに観葉植物も置いてるんだ。』

 

茨『一佳さん、私の部屋に興味がお有りのようですが、早く着替えてトレーニングルームに参りましょう。私達は遊びに来た訳ではないのですから。』

 

拳藤『わかってるって。すぐ着替えるからさ。』

 

茨と拳藤さんは話もそこそこに、着替えてトレーニングルームにむかった。

 

〜トレーニングルームにて〜

 

鉄哲『へぇー、結構広いんだな。』

 

拳藤『体育館程じゃないけど、多目的ホールぐらいあるね。』

 

鉄哲『でも器具はそんなにある訳じゃないんだな。』

 

明『器具を使わずに体を動かして鍛えるようにしてるんだ。それに負荷ならチョーカーでかかってるからね。』

 

拳藤さんと鉄哲君は僕のトレーニングルームを見てそれぞれ思い思いの事を口にしていた。

 

明『それじゃあ、これから2人にチョーカーを渡すけど、その前に1つ約束してほしい事があるんだ。』

 

拳藤『約束?』

 

鉄哲『レポートならちゃんと出すぞ。』

 

明『その事じゃないよ。いきなり10倍なんて強力な倍率に設定せず、低い倍率から少しずつ慣れていってほしいんだ。2人共、約束してくれるかな?』

 

拳藤『わかった、約束するよ。』

 

鉄哲『俺も約束するぜ。』

 

明『ありがとう。じゃあチョーカー渡すね。』

 

僕は両手に持っていた赤と白のチョーカーを差し出した。

 

明『2人で相談して、好きな方を取ってよ。』

 

拳藤『鉄哲、私赤でもいい?』

 

鉄哲『いいぜ。じゃあ俺は白だな。』

 

拳藤さんは赤、鉄哲君は白のチョーカーをそれぞれ受け取った。(ちなみに明は黒)

 

明『じゃあまずは音声登録からね。拳藤さんからするから鉄哲君はしばらく黙っててね。拳藤さん、側面にあるボタンを長押ししてみて。』

 

拳藤『側面のボタンって、これだね。』

 

拳藤さんは言われた通りボタンを長押しした。

 

『音声登録ヲ開始シマス。使用者ノ名前ヲ仰ッテクダサイ。』

 

拳藤『拳藤一佳』

 

『拳藤一佳サンノ音声登録ヲ完了シマシタ』

 

明『よし、次は重力倍率の設定だよ。倍率は2倍〜10倍までの9段階調整ができるから、最初は2倍に設定してね。拳藤さん、もう1度ボタンを押して。今度は長押しじゃなくて1回押せばいいから。』

 

拳藤『わかった。』

 

『重力倍率ヲ設定シマス。希望ノ倍率ヲ仰ッテクダサイ』

 

拳藤『2倍』

 

『倍率2倍ニ設定シマシタ』

 

明『これでOKだよ。チョーカーを首にあててロックって言うんだ。そうすればチョーカーが装着されて重力が発生するから。』

 

拳藤『こうだね、ロック。』

 

すると拳藤さんの首にチョーカーが装着され、2倍の重力が発生した。

 

拳藤『うわっ!体が重くなった!』

 

明『じゃあ次は鉄哲くんだよ。』

 

その後鉄哲君も音声登録と倍率設定を完了させ、チョーカーを装着した。

 

鉄哲『くーっ!2倍でも結構キツイなぁ。』

 

明『2倍だから自分の体重と同じ重りを背負ってるって感じかな。』

 

2人共2倍の重力に悪戦苦闘していた。

 

茨『それでは皆さん、準備もできましたし、早速修行を始めましょう。』

 

こうして、土日に渡る僕達4人の修行が始まった。                    

 

次回に続く




21話いかがだったでしょう。原作にはっきりした時間軸がないので勝手に設定しました。自分の設定は
木曜に襲撃→金曜・臨時休校→土曜・体育祭まで2週間→2週間後の日曜に体育祭本番 という流れです。2週間なのに1日多いですが、気にしないで下さい。次回も体育祭に向けての修行になります。次回もお楽しみに。ご意見・ご感想お待ちしています。


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第22話 雄英体育祭に向けて その3

前回から随分時間が空いてしまいました。引き続き体育祭に向けての修行です。修行はこれが最後です。どうぞ。


僕達は早速修行を始めた。だが、鉄哲君と拳藤さんは僕の修行を見て少し驚いているようだった。

 

拳藤『ねぇ明、いつもこんな修行してるの?』

 

明『そうだよ。どうかした?』

 

僕がやっていたのはごく普通の腕立て伏せだった。

 

鉄哲『いや、明の場合、組手とかもっと激しい動きをする修行だと思ってたもんだから、ちょっと意外で。』

 

明『そういうのは20倍の重力に慣れてきてからだよ。何事もまずは基本から。悟空だって原作では

「基本から徹底的に鍛え直さねえと…

何倍もの界王拳に耐えられねえ…!」

って言って最初は腕立てや腹筋してるからね。』

 

鉄哲『なるほど。よし、俺もやるぜ!』

 

拳藤『私も。まずは2倍の重力に慣れる事からだね。』

 

そういうと鉄哲君と拳藤さんも腕立て伏せを始めた。その後は4人で腕立て・腹筋・スクワット・短距離ダッシュ等のメニューをこなし約3時間程経過した午後7時を過ぎた頃…

 

明母『みんな、そろそろ夕食の時間よ。』

 

明『わかったよ母さん。みんな、一旦切り上げよう。』

 

拳藤『ふぅ、疲れた。ねぇ明、チョーカーはどうやって外すの?』

 

明『《アンテ!》今みたいにアンテって言えば外れるよ。』

 

拳藤『《アンテ!》あっ、外れた。それに体が軽くなった。』

 

鉄哲『なぁ明、着ける時のロックは分かるけど、なんで外す時はアンテなんだ?』

 

明『幽遊白書の呪霊錠を外す合言葉から採用したらしいよ。』

 

鉄哲『へぇー。』

 

その後はとりあえずシャワーだけ浴びて夕食になった。夕食は塩崎一家と拳藤さんを僕の家に招いて8人でする事になった。食事中はやはり鉄哲君と拳藤さんの事で盛り上がったが、訓練で僕が拳藤さんに大怪我を負わせた事を話すと、僕の父さんと母さんは物凄い勢いで謝っていた。

 

対する拳藤さんも『手加減するなと言ったのは私ですし、仙豆も頂いたので気になさらないで下さい。』と言って困った顔をしていた。茨と鉄哲君はそんな様子を笑って見ていた。

 

夕食後少し一服して、『腹ごなしに、少し体動かそうか。』という事になり修行を再開して、夜の10時30分頃にこの日の修行は終了した。

 

〜野沢家・明の部屋〜

 

鉄哲『おっ、ドラゴンボールファイターズがあるじゃねえか。それにアーケードスティックが2つも。』

 

明『休みの日によく父さんと対戦するんだ。』

 

鉄哲『なぁ明、ちょっと勝負しねえか?』

 

明『じゃあちょっとだけね。言っとくけど、僕結構強いよ。』

 

鉄哲『俺だって格ゲーはかなりやり込んでるんだぜ。』

 

こうして僕と鉄哲君でファイターズで勝負する事になった。鉄哲君は言うだけあってなかなか強く、最終的に5戦やって3勝2敗でなんとか僕が勝ち越した。

 

鉄哲『明強ぇなぁ。特に悟空の扱いホント上手いよな。』

 

明『一応悟空関連のキャラは全部扱えるようにしてるんだ。そういう鉄哲君だって格ゲーやり込んでるだけあってかなり強いじゃないか。』

 

鉄哲『へへっ、そうだろ。いつか他の奴らとも勝負したいな。』

 

明『みんなで集まってファイターズ最強No.1決定戦とかやってみたいね。』

 

そんなふうにファイターズの話で盛り上がりながら、明日に備えて僕達は就寝した。

 

〜一方、塩崎家・浴室にて〜

 

拳藤『さっきも見たけど、茨って意外と胸あるよね。』

 

茨『そうですか?他の人と比べた事がないのでよく分からないのですが。』

 

拳藤『それに肌も透き通る位白いし、羨ましいなぁ。』

 

茨『そういう一佳さんも、武道を習ってるだけあって見事なスタイルをしていると思いますよ。』

 

拳藤『そうかな?そう言われると嬉しいよ。ありがとう。ねぇ茨、聞きたい事があるんだけど、いい?』

 

茨『聞きたい事?なんですか一体?』

 

拳藤『茨と明って、本当はどういう関係なの?』

 

茨『えっ!?私と明ですか?』

 

拳藤『うん。実は私が茨の家に泊まるって決まってから、切奈とレイ子に2人の関係を聞いてくるように頼まれちゃってさ。』

 

茨『なるほど、あの2人からですか。』

 

拳藤『私も前は他人のプライベートに首を突っ込むのはよくないって言ったんだけど、正直私も興味あるんだよね。ねぇ、教えてくれない?』

 

茨『まあ、明にも口止めされてないですし、構いませんよ。』

 

拳藤『やった!で、どうなの?やっぱ2人って付き合ってるの?』

 

茨『はい。私と明は恋人同士なんです。』

 

拳藤『やっぱりそうなんだぁ!ねぇねぇ、いつ頃付き合いだしたの?どっちから告白したの?どの位の関係までいってるの?』

 

茨『そ、そんな事まで答えるのですか!?』

 

拳藤『いいじゃん、教えてよ。付き合ってる事以外は切奈とレイ子には秘密にするからさぁ。ねぇ。』

 

茨『じゃあ続きはお部屋でお話しますね。そのかわり、絶対秘密にして下さいよ。』

 

拳藤『わかってるって、約束するよ。じゃあ早く上がろう。』

 

その後茨は拳藤さんから僕達の事を根掘り葉掘り聞かれ、就寝したのだった。

 

〜翌朝・午前6時前〜

 

『ピピピピピッ!』

 

スマホのアラーム音で目を覚ました僕は眠そうにしながらも、鉄哲君を起こさないようジャージに着替えていた。

 

鉄哲『うーん。おぉ、明、おはよう。』

 

明『あっ、鉄哲君おはよう。ゴメン、起こしちゃったかな。』

 

鉄哲『なんだよ、まだ6時前じゃねえか。って明、何処行くんだ?』

 

明『これから朝のジョギングに行くんだ。』

 

鉄哲『ジョギング?毎日やってるのか?』

 

明『うん。4歳になってから毎日ね。じゃあ行ってくるね。』

 

鉄哲『ちょっ!?ちょっと待ってくれ!俺も行く!』

 

明『それはいいけど、無理して僕に付き合わなくていいんだよ。』

 

鉄哲『いや行く!それにどうせ塩崎も行くんだろ。』

 

明『そうだけど。』

 

鉄哲『て事は絶対拳藤も行くはずだ。3人がジョギングしてる間俺だけ朝飯の時間まで寝てるってのは格好がつかないからな。』

 

明『わかったよ。着替えて顔だけ洗ったら行くからね。』

 

僕達が準備をして外に出ると既に茨と拳藤さんが待っていた。

 

明『ゴメン、お待たせ。やっぱり拳藤さんも来たんだ。』

 

拳藤『もちろん。絶対鉄哲も行くと思ったし、3人が走ってる間私だけ寝てるわけにいかないからね。』

 

鉄哲『ほらな、俺の行ったとおりだろ。』

 

茨『それでは皆さん、出発しましょう。』

 

こうして僕達は朝のジョギングに出発した。

 

拳藤『ねぇ明、いつもどれ位走るの?』

 

明『別に距離は決めてないよ。走り始めて30分経過したら引き返す。それだけだよ。』

 

鉄哲『じゃあ毎日1時間走ってるのか?』

 

茨『はい。明は4歳になってから、私は小学校に入学して1ヶ月経過した頃から毎日走っています。』

 

拳藤『しかも明はチョーカー付けて走ってるじゃん。キツくないの?』

 

明『勿論キツイよ。でもこれも修行だからね。だから基本風呂と寝る時、あと学校の訓練の時以外はチョーカーを着けるようにしてるんだ。』

 

鉄哲『スゲェな明、さすがサイヤ人って感じだな。』

 

拳藤『それに茨が思いの外体力がある理由がなんとなく分かったよ。』

 

その後ジョギングを終えた僕達は1度それぞれの自宅に戻り、朝食を食べ終えた後、修行の為再びトレーニングルームに集合した。

 

明『さて、今日だけど、午前中は昨日同様筋トレ中心に修行して、午後は20倍の重力にも少し慣れてきたし、組手をしたいんだけど、2人共いいかな?』

 

鉄哲『お、組手するのか?実はそれを待ってたんだ。』

 

拳藤『でも私も鉄哲もまだ2倍の重力に慣れてないけど、どうするの?』

 

明『もちろん2人はチョーカーを外して構わないし、個性も使って構わないよ。ただし僕はチョーカー付けたままでやるし、界王拳も使わないつもりだからよろしくね。』

 

鉄哲『わかった。それじゃ、早速始めようぜ!』

 

こうして日曜日の僕達4人の修行が始まった。午前中は昨日同様の筋トレ。腕立て・腹筋・スクワット・短距離ダッシュ等をこなしていった。途中でやり方を変えたり、負荷をかけるなど工夫をして取り組んだ。

 

その後、お昼の12時になったので昼食を取る事にした。食事中、拳藤さんが聞きたい事があるという事で質問してきた。

 

拳藤『ねぇ明、昨日茨から聞いたんだけど、9歳の頃初めてかめはめ波が打てたって本当?』

 

明『うん、本当だよ。僕4歳になってすぐに気を扱えた訳じゃないんだ。4歳になって個性は発現したけど、なんにも出来なくて無個性と一緒だったんだ。それで病院の先生から沢山修行すれば個性が使えるようになるって言われて必死で修行したんだ。』

 

鉄哲『そうだったのか。イジメられたりしなかったのか?』 

 

明『個性が使えない事を理由にイジメてきた子もいたよ。でもいつか個性が使えるようになると信じて、無視して修行してたんだ。でも1番辛かったのは僕のせいで茨がイジメられた事かな。』

 

拳藤『あぁ、前にファミレスで話してたよね。』

 

茨『明、私は気にしてないって言ったはずですよ。それに明は私を助けてくれたじゃないですか。』

 

明『わかってるよ、気にしてないから。』

 

鉄哲『でもよ明、何がきっかけでかめはめ波が打てるようになったんだ?』

 

明『2人共、子供の頃かめはめ波のモノマネした事ある?』

 

鉄哲『もちろんあるぜ。ドラゴンボール見た事ある子供なら1度はあるんじゃねえか?』

 

拳藤『私もあるよ。ポニーと吹出なんて今でもやってるんじゃない?』

 

明『ハハハ、そうかもね。で、小3の冬、9歳の誕生日の1週間前だったかな、茨と下校途中に僕もかめはめ波の真似をしたんだ。そうしたら本当にかめはめ波が打てたんだ。その後は病院で診断してもらって、個性が使えるようになったんだ。』

 

拳藤『なるほどねぇ。やっぱ嬉しかった?』

 

明『最初は嬉しさより、何が起こったのかわからなくて呆然としてたね。茨とほっぺたつねりあって夢じゃないか確認もしたよ。』

 

茨『そういえばそうでしたね。』

 

明『でもその後病院の先生から話を聞いたりして、嬉しさと5年間今まで頑張って修行してきてよかったって思ったね。』

 

鉄哲『5年も修行してきたんだ。喜びもひとしおだっただろうな。』

 

そんな話をしながら昼食を終え、午後の修行、これから鉄哲君・拳藤さんの2人と組手をおこなう。

 

明『さて、最初はどっちが相手してくれるの?』

 

鉄哲『拳藤、前の訓練では俺からだったから、拳藤が先でいいぜ。』

 

拳藤『そう、じゃあ私からやらせてもらうね。』

 

明『拳藤さん、よろしくね。』

 

茨『それでは、鉄哲さんは私の修行に付き合って頂けますか。』

 

鉄哲『おう!よろしく頼むぜ。』

 

こうして午後の修行が始まった。完全に20倍の重力に慣れた訳ではないので、流石に初訓練の時のような機敏な動きは出来なかったが、それでも有意義な修行が出来たと思う。その後は途中で休憩を挟みつつ、パートナーを交代しながら組手を行い、午後6時30分を過ぎた頃…

 

明母『みんな、今日はもう切り上げたらどうかしら。あんまり根を詰めるのも良くないわよ。』

 

明『わかったよ母さん。みんな、今日はここまでにしよう。』

 

鉄哲『あー疲れた。なぁ明、何か俺にアドバイスくれねぇか?』

 

明『アドバイス?』

 

鉄哲『ああ。明が思う事でなんでもいいから言ってくれねえか。』

 

明『そうだなぁ、鉄哲君の場合、まずは機動力を上げる事かな。』

 

鉄哲『やっぱりそうだよなぁ。』

 

明『あとはそうだなぁ、もう少し防御をしっかりする事かな。』

 

鉄哲『防御?別にスティールがあるんだからいいんじゃねえのか?』

 

明『個性のスティールだって無限に使える訳じゃないでしょ。防御に個性を使い過ぎて肝心の攻撃する時に個性が使えないじゃ話にならないからね。』

 

鉄哲『なるほど、言われてみればそうだな。』

 

拳藤『ねぇ明、私はどうかな?』

 

拳藤『拳藤さんの場合、武道を習ってるおかげで基本の型は出来ているから、地力を上げる事かな。』

 

拳藤『やっぱりそうなるよね。』

 

明『あとそうだなぁ、個性の大拳をもっと大きくできるようになれば攻撃や防御の幅が広がるんじゃないかな。』

 

拳藤『今以上に大きくかぁ…』

 

明『機動力や地力を上げるのはチョーカーの倍率を上げていけばいずれ改善されると思うけど、防御や個性に関しては先生に相談してみたらどうかなぁ。特に雄英にはオールマイトもいる事だし。』

 

鉄哲『そうだな、今度聞いてみるか。』

 

拳藤『私も。今度オールマイトやブラド先生に相談してみるよ。』

 

その後はそれぞれの自宅で風呂に入り、僕の家に集まって8人で夕飯を楽しんだ。夕食後は最後の夜と言う事で修行は再開せず、みんなでファイターズやスマブラなどをプレイして楽しんだ。最初は僕・茨・鉄哲君・拳藤さんの4人で遊んでいたが、途中で僕の父さんと茨のお父さんも加わり、最終的に男4人でバトルを楽しんだ。一方、その間女性陣は4人でガールズトークに花を咲かせていた。

 

そして楽しい時間はあっという間に過ぎ、明日の学校に備えて僕達は就寝した。

 

〜月曜の朝〜

 

今朝もいつも通りの時間に起床し、4人でジョギングをして、朝食を食べ、学校へ行く準備をして、僕達は今、僕の家の前に集まっていた。ちなみに僕と茨の父さんは一足先に出勤してしまった。

 

拳藤『お2人共、2日間お世話になりました。』

 

鉄哲『本当にありがとうございました。』

 

茨母『またいつでも遊びに来てね。今度は他のお友達も連れて来るといいわ。』

 

明母『鉄哲君、拳藤さん、2人共修行頑張ってね。あとお父さんからチョーカーのレポート、よろしくって。』

 

拳藤・鉄哲『ハイ!』

 

茨『それでは皆さん、参りましょうか。』

 

明『じゃあ、行ってきます。』

 

両母『いってらっしゃい。』

 

こうして僕達4人は出発した。

 

〜雄英高校にて〜

 

学校に到着すると早速みんなが声をかけて来た。

 

円場『おはよう鉄哲。どうだった、明の家での修行は?』

 

鉄哲『ああ、2日間だったがしっかり修行できたぜ。それに、頼んでた物ももらえたしな。』

 

そういうと鉄哲君はチョーカーを指でクルクルと回し始めた。

 

鎌切『鉄哲、お前それ、グラビティ・チョーカーか?』

 

鉄哲『ああ、明に頼んで俺の分のチョーカー作ってもらったんだ。倍率はまだ2倍だけど、それでもキツいぜ。』

 

鱗『お前、いつの間に…』

 

回原『俺も明にチョーカー頼んでみようかな。』

 

一方、拳藤さんも…

 

取蔭『おはよう一佳。茨の家での2泊はどうだった?』

 

拳藤『うん。修行もしっかり出来たし、グラビティ・チョーカーも貰えたし、楽しい2日間だったよ。』

 

小森『一佳もグラビティ・チョーカーもらったノコ?』

 

拳藤『うん。どうしても欲しかったから、明に頼み込んで用意してもらったんだ。』

 

小大『今は何倍なの?』

 

拳藤『私も今は2倍。それでも十分キツいよ。自分の体重と同じ重りを背負ってる感じだからね。』

 

角取『そう聞くと、明の20倍っテ物凄いデス!』

 

柳『ところで一佳、私と切奈が頼んだ質問、聞いてくれたの?』

 

拳藤『ちゃんと聞いてきたよ。みんな気付いてると思うけど、茨と明って…』

 

その後女性陣はガールズトークで盛り上がり、茨は終始顔を赤くしていた。そしてみんなから色々と質問されていたが、約束通り拳藤さんは僕達が付き合ってること以外は秘密にしてくれた。

 

そして後日、クラスのみんなから自分の分のチョーカーを用意してほしいとお願いされ、宍田君の協力もあり、残り18人分のグラビティ・チョーカーを用意することになったのはまた別のお話で……

 

その後体育祭まで残り1週間を切り、みんな最後の追い込みの修行を開始した。勿論僕も学校が終わると真っ直ぐ家に帰り、茨と一緒に20倍の重力の下での修行を体育祭前日まで行い、残った1日はぐっすり休んで体力の回復や元の重力に慣れる為の時間に使った。

 

そしていよいよ、体育祭当日を向かえた。




いかがだったでしょう。今後は次回の投稿までの期間を短くしようと頑張りたいと思います。次回からはいよいよ体育祭本番です。次回もお楽しみに。ご意見・ご感想お待ちしています。


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第23話 遂に開幕!雄英体育祭

遂に体育祭本番です。最初は選手入場・選手宣誓・第1種目説明になります。


体育祭当日、雄英高校にはたくさんの観客・報道陣・そして警備の為のプロヒーローが詰め掛けていた。

 

〜1年B組の控室〜

 

1年B組の生徒21人は既に体操服に着替えて控室に集まっており、体育祭の開催を今か今かと心待ちにしていた。

 

吹出『うわぁどうしよう。緊張で心臓バックバクだよ。』

 

角取『私もドキドキワクワクしてます。』

 

骨抜『遂に来たな、この時が!』

 

鎌切『言っとくが、クラスメイトだからって容赦しないからな!』

 

鉄哲『勿論、誰が勝っても恨みっこなしだ!』

 

回原『ああ、お互い正々堂々勝負しようぜ。』

 

円場『でも、どうせなら戦闘服(コスチューム)着て出場したかったな。そうすればプロヒーローにもっとアピール出来るのに。』

 

取蔭『ヒーロー科だけ戦闘服(コスチューム)着て出場すると普通科やサポート科が不利になるでしょ。公平を期す為だから仕方ないよ。』

 

クラスメイトのみんなは緊張していたり、体育祭に向けて闘志を燃やしたりしていた。僕はそんな様子を見ながら考え事をしていた。

 

小森『ねぇ明、明は緊張してないノコ?』

 

明『うん。僕大舞台でもそんなに緊張するタイプじゃないんだ。仮免試験や推薦入試の時もそんなに緊張しなかったし。』

 

小森『へぇ、そうなんだ。』

 

黒色『正に鋼のメンタル!』

 

明『それより、気になる事が2つあるんだよね。』

 

茨『明、気になる事ってなんですか?』

 

明『うん。1つはさっき教室でブラド先生に言われた事なんだけど…』

 

実は体操服に着替える前にブラド先生から

 

ブラド『野沢、B組が会場に入場する際、お前が先頭で入場してきてくれ。』

 

と言われていたのだ。

 

明『こういう大会の場合、委員長の拳藤さんや副委員長の泡瀬くんが先頭じゃないのかな?なんで僕が先頭なんだろう?』

 

物間『おいおい明、そんな事もわからないのかい?』

 

明『物間君?』

 

柳『物間はわかるの、明が先頭の理由?』

 

物間『当たり前だろ、明は我らが1年B組のエース!エースが先頭で出て来るのは当然に決まってるじゃないか。』

 

明『エースって物間君、僕自分の事をエースだなんて思った事1度もないよ。』

 

物間『何言ってるんだい。空が飛べて、気を読んで相手の位置を特定できて、近距離・遠距離問題なく戦闘できて、界王拳でパワーアップもできる。間違いなく君がエースじゃないか。』

 

明『でも、個性の使い方や戦い方次第では、僕より強い人なんていくらでもいると思うけどなぁ。それにもしかしたら、A組には僕よりすごい個性の人がいるかもしれないじゃないか。』

 

物間『やれやれ、君は自分の事を過小評価しすぎだよ。《孫悟空》の個性を持つ君に勝てる1年なんている訳ないじゃないか。』

 

茨『いいえ物間さん、そんな事はありませんよ。』

 

庄田『どういう事だい塩崎?』

 

茨『A組にいるかどうかは分かりませんが、明と同等かそれ以上の1年生が少なくとも1人はいますよ。』

 

凡戸『塩崎、それって誰の事なの?』

 

茨『残念ながら雄英(ここ)にはいません。今は別の高校に通ってますから。』

 

明『あぁ、なるほど。』

 

鱗『なぁ明、塩崎の言ってる人ってそんなに強いのか?』

 

明『強いよ。僕のライバルなんだけど、中学時代そいつに1度も勝てなかったからね。』

 

泡瀬『そんな奴がいるのか!スゲェな!』

 

明『(そういえば雄英に入学してから1度もアイツに連絡してないな。向こうから連絡してくる事は基本ないし、体育祭が終わったら久しぶりに連絡してみるか。)』

 

取蔭『そういえば明、選手宣誓も辞退してたよね。』

 

小大『明、よかったの?』

 

明『別にいいよ。選手宣誓なんて柄じゃないし。』

 

実は1週間前にブラド先生から選手宣誓をするよう依頼されたのだが、僕は自分の柄じゃないという事で丁重にお断りさせてもらった。そして結局、一般入試成績1位のA組の爆豪という生徒がやる事に決定した。

 

宍田『ところで明氏、もう1つの気になる事とは一体何なのですか?』

 

明『うん。2週間前相澤先生が言ってた「僕と他の生徒の差を埋めるためにどうするか」が気になってるんだ。』

 

柳『そういえば相澤先生、そんな事言ってたわね。』

 

鉄哲『もしかしたら、チョーカー付けたまま出場しろとかじゃねえか。』

 

明『それだとちょっとキツいなぁ。まだ20倍の重力を自分の物にしてないからね。』

 

僕達がそんな話をしていると

 

拳藤『みんな準備はいい?そろそろ入場の時間だよ!』

 

拳藤さんが入場する為に皆に声をかけて来たので

 

明『よしっ!じゃあみんな、行こうか!』

 

一同『おうっ!!』

 

僕達は会場に向けて出発した。

 

〜一方、1年A組の控室〜

 

轟『緑谷、お前には勝つぞ。』

 

緑谷『僕も本気で獲りに行く!』

 

と、クラス内で火花を散らしていたが、

 

上鳴『おい2人共、クラス内で火花バチバチやり合うのもいいけどよ、ライバルはクラスの外にもたくさんいるんだぜ。』

 

緑谷『そ、そんな事分かってるよ上鳴君。』

 

轟『ああ、全員倒して俺が勝つ。』

 

上鳴『どうかな。少なくとも俺と尾白、耳郎と八百万はお前ら2人よりずっと強い生徒を1人知ってるぜ。』

 

尾白『ああ。』

 

耳郎『なるほど。』

 

八百万『確かにそうですわね。』

 

峰田『おい上鳴、誰だよそいつ?』

 

葉隠『ねえ尾白君、そんな生徒本当にいるの?』

 

芦戸『耳郎、誰の事言ってるの?』

 

蛙吹『百ちゃん、私達の知ってる生徒なの?』

 

八百万『皆さん顔は1度見た事あるはずです。それより、そろそろ入場の時間ですよ。皆さん、出発しましょう。』

 

と、少しピリピリした雰囲気の中、会場に向けて出発した。

 

〜大会会場内〜

 

会場内はマイク先生が実況をしており、観客は大興奮していた。

 

マイク『雄英体育祭‼ヒーローの卵たちが我こそはとシノギを削る年に1度の大バトル‼どうせてめーらの目当てはアレだろ!!?敵の襲撃を受けたにも拘わらず鋼の精神で乗り越えた奇跡の新生!!!

 

ヒーロー科‼1年!!!A組だぁっ!!?』

 

マイク先生のド派手な実況の下、最初にA組が入場した。

 

取蔭『事件の当事者とはいえ、ド派手な入場だね。』

 

骨抜『でも当事者だからって実力が高い訳じゃないんだ。俺達B組の実力を観客達に見せてやろうぜ。』 

 

拳藤『みんなお喋りはそこまで!そろそろ私達の入場だよ。』

 

続いてB組の紹介実況が始まった。だが……

 

マイク『続いて登場は、今年入学したヒーロー科41人の中で、実力間違いなくNo.1‼野沢明率いる

 

ヒーロー科!!1年!!!B組だぁっ!!?

 

明『こういう理由だったのか。』

 

マイク先生の実況を聞いた僕は、先頭に指名された事に納得し、頭を抱え、みんなの方に向き直った。

 

明『みんな、マイク先生あんな実況してるけど、僕自分が1番だなんて思ってないし、それにみんなの事を率いてるなんて思ってないからね!』

 

拳藤『分かってるって。入学してまだ短い付き合いだけど、明の性格はよく知ってるつもりだから。』

 

泡瀬『そうそう。それより早く入場しようぜ。』

 

拳藤さんと泡瀬君の励ましを受け、僕達は入場を開始した。

 

入場するとA組の何人かの生徒が僕の事を睨むように見つめてきた。

 

爆豪『アイツがNo.1だと?ふざけるな!No.1はこの俺だ!!』

 

轟『なるほど、上鳴が言ってたのはアイツの事か。』

 

緑谷『彼野沢明って名前なんだ。一体どんな個性なんだろう?』

 

その後マイク先生の雑な実況の下、普通科やサポート科の生徒も次々と入場してきた。だが殆どの生徒は自分達の扱いに納得していないようだった。

 

そして選手入場も終わり、開会セレモニーが始まった。

 

ミッド『選手宣誓!!選手代表‼1-A爆豪勝己‼』

 

主審のミッドナイト先生より選手宣誓を担当するA組の爆豪君が呼び出された。

 

爆豪『せんせー、俺が1位になる』

 

爆豪君の選手宣誓に多くの生徒からブーイングの嵐だった。

 

『調子のんなよA組オラァ』

 

『何故品位を貶めるような事をするんだ‼』

 

鉄哲『どんだけ自信過剰だよ‼この俺が潰したるわ‼』

 

柳『明、こんな事なら明が選手宣誓した方がよかったんじゃない?』

 

明『アハハ、そうかもね。』

 

そして開会セレモニーも終わり、最初の種目が発表された。

 

ミッド『さて運命の第1種目‼今年は……コレ!!!』

 

『障害物競走』

 

第1種目・障害物競走の発表に生徒は全員ザワザワしていた。

 

ミッド『計11クラスでの総当たりレースよ!コースはこのスタジアムの外周約4km!我が校は自由さが売り文句!ウフフフ…コースさえ守れば何をしたって(・・・・・・)構わないわ!』

 

ミッドナイト先生の説明を聞きみんなそれぞれ準備を始めようとするが、

 

ミッド『あっ⁉大事な事を言い忘れていたわ!1年B組の野沢明君、ちょっと前に出て来てもらえるかしら。』

 

何故か僕はミッドナイト先生に呼び出され、前に出た。

 

明『なんですか、ミッドナイト先生?』

 

ミッド『野沢君、申し訳ないけど、あなたにはハンデを付けさせてもらうわ。』

 

明『ハンデ、ですか?』

 

ミッド『そう。あなた今年入学した1年の中じゃぶっちぎりで強いんだもの。普通にやったら間違いなくあなたが優勝するわ。だからハンデを付けさせてもらうのよ。仮免持ちの特別推薦枠がそのいい証拠よ。』

 

ミッドナイト先生の発言に、殆どの生徒はどういう意味かとザワザワしていた。

 

飯田『あの、すみませんミッドナイト先生、今の先生の発言はどういう意味でしょうか?』

 

ミッド『野沢君は既にヒーロー免許の仮免を取得しているの。そして通常の推薦入学4枠とは別の特別推薦枠として入学したのよ。』

 

一同『ええーっ!!!』

 

ミッドナイト先生の発言に、殆どの生徒は驚きの声を上げていた。

 

爆豪『あの野郎が仮免持ちの特別推薦枠だと‼』

 

轟『アイツ、特別推薦枠だったのか。』

 

緑谷『しかも既に仮免を取得してるなんて。』

 

峰田『おい上鳴、なんでお前驚いてないんだよ。もしかして知ってたのか?』

 

上鳴『ああ、2週間前、俺と尾白・耳郎・八百万の4人でUSJで助けてもらったお礼を言いに行ったんだ。その時に教えてもらった。』

 

耳郎『ウチも初めて教えてもらった時はビックリしたよ。』

 

八百万『私も明さんの個性の事は知っていましたが、仮免と特別推薦枠の事は初耳だったので驚きました。』

 

麗日『ねぇ、B組のみんなも彼の事知ってたの?』

 

拳藤『ええ。特別推薦枠は初日の個性把握テストの時に、仮免の事はUSJの事件から帰ってきた時に教えてもらったの。』

 

蛙吹『ケロケロ。それで彼だけ他の先生に混じって私達を助けに来たのね。』

 

葉隠『尾白君、彼の個性ってそんなに凄いの?』

 

尾白『ああ、すごいよ。なんたって《孫悟空》なんだから。』

 

葉隠『孫悟空?』

 

切島『孫悟空ってどういう事だ尾白?』

 

尾白君の孫悟空という発言に周りのみんなはポカンとしていた。

 

明『それでミッドナイト先生、ハンデはどんな内容なんですか?』

 

ミッド『野沢君には、こちらが指定した2つの技の使用を禁止してもらうわ。その技を使った瞬間、即失格よ。』

 

明『分かりました。それで、どの技なんですか?』

 

ミッド『ズバリ、舞空術と界王拳よ。』

 

ミッドナイト先生の発言で、またしても殆どの生徒がざわついた。

 

飯田『あの、ミッドナイト先生、たびたびすいません。彼の個性は一体どういったものなのですか?』

 

ミッド『野沢君の個性は《孫悟空》みんなドラゴンボールは知ってるわよね。野沢君の個性はドラゴンボールの主人公、孫悟空の力や技が使えるというものよ。』

 

一同『えええーっ!!?』

 

またしても殆どの生徒から驚きの声が上がった。

 

爆豪『悟空の力が使えるだと!!?』

 

緑谷『架空のキャラクターの力や技が使える個性なんて聞いたことないよ!』

 

峰田『突然変異にしても突然変異すぎるじゃねぇか!!』

 

葉隠『ちょっ、ちょっと待って!じゃあ入学初日に私達が窓から見た光が空に飛んでいったのって…』

 

尾白『あれはかめはめ波だよ。かめはめ波でソフトボールを飛ばしたんだ。』

 

芦戸『あの光かめはめ波だったの!?青山のレーザーとは大違いじゃない!』

 

青山『確かに、悔しいけどあのかめはめ波は僕のレーザーより美しかったね。』

 

瀬呂『じゃあ、俺達がUSJで見た体に纏った赤いオーラは…』

 

障子『界王拳だったのか。』

 

砂藤『そして舞空術で空を飛んだのか。スゲェ。』

 

常闇『まさに雄英に現れし孫悟空。』

 

口田『スゴイ…

 

殆どの生徒が僕の個性を聞いて驚いている中

 

明『ミッドナイト先生、その2つ以外の技は自由に使っていいんですね。』

 

ミッド『勿論。遠慮なく使って構わないわ。スタートは今から5分後、みんなしっかりアップしておいてね。』

 

ミッドナイト先生の説明が終わり、みんなが入念にアップをする中、僕は靴と靴下を脱いで裸足になり、ズボンの裾をまくり上げた。

 

鉄哲『明、相澤先生が言ってた「差を埋める」ってこういう事だったんだな。』

 

拳藤『界王拳と舞空術が使えないなんて、飛車と角無しで将棋打てって言ってるようなものじゃない。』

 

明『仕方ないよ。これ位しないと僕とみんなの差は埋まらないって先生達が判断したんだから。』

 

小大『明、なんで裸足になるの?』

 

明『舞空術が使えないからその対策。あと、靴と靴下を駄目にしない為だよ。』

 

小大『?』

 

吹出『ああ、なるほど。』

 

角取『ソノ手がありましたネ。』

 

小森『ポニーと吹出は、明がなにをしようとしてるのか分かるノコ?』

 

角取『Of course!』

 

吹出『ドラゴンボール好きなら、みんなすぐにピンとくるはずだよ。』

 

その後ポニーちゃんが耳打ちして僕の作戦を言い当てた。

 

明『That's right! 』

 

茨『でも明、あの技は舞空術をマスターして以降殆どやってないですけど、大丈夫ですか?』

 

明『大丈夫。使うのは久しぶりだけど、やり方はマスターしてるから。それより、みんなアップは大丈夫?』

 

鎌切『控室でちゃんと体動かしてきたから問題ないぜ。』

 

その後5分が経過し、スタートの時間になった。

 

ミッド『時間よ。さあさあ位置につきまくりなさい…』

 

そしてシグナルが赤から青に変わり

 

ミッド『スターーーーーート!!』

 

遂に雄英体育祭第1種目・障害物競走がスタートした。

 

次回に続く。




23話いかがだったでしょう。次回は障害物競走本番です。次回もお楽しみに。ご意見・ご感想お待ちしています。


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第24話 激走!?障害物競走!!!

第1種目・障害物競走の本番です。どうぞ。


マイク『遂に始まったぜ雄英体育祭・1年の部、第1種目は障害物競走!実況は引き続きこの俺プレゼント・マイクが、解説はイレイザーヘッドがお送りするぜ!』

 

相澤『無理矢理呼んだんだろうが。』

 

スタートして早々、狭いスタートゲートに大量の選手が押し寄せすし詰め状態になっており、さらにその中からいち早く飛び出した生徒の1人が地面を凍らせて沢山の選手を氷漬けにしていた。どうやら推薦入試の時にいた氷と炎を操る個性の人がやったようだ。

 

一方、僕はスタート前、集団の最後尾で待機しており、スタートの合図を待ちながら、両足に気を集中させていた。

 

明『かー、めー、はー、めー、…』

 

そしてシグナルが青に変わりスタートの合図がされた瞬間!

 

『波ぁっ!!』『ギュイーン!!』

 

耳郎『えっ!?』

 

障子『何?』

 

葉隠『嘘!』

 

僕は高くジャンプしてすし詰め状態の選手の頭上を飛んで(・・・)スタートゲートを通過し、一気に先頭に躍り出た。

 

マイク『さーて、大混戦のスタート地点をいち早く突破して先頭に躍り出たのは…野沢だぁっ!って野沢の奴、舞空術使って空飛んでないか?開始早々失格か!?』

 

相澤『いや違う、あれは舞空術じゃない。』

 

マイク『何!?どういう事だイレイザー?』

 

相澤『野沢の足元をよく見てみろ。』

 

マイク『足元?なっ!なんだ!?足から光が出てるぞ!』

 

相澤『あれは俗に言う「足かめはめ波」というやつだ。』

 

マイク『足かめはめ波?思い出した!天下一武道会で悟空がピッコロ戦で使ったやつか!』

 

相澤『そうだ。まさかこんなマイナーな技まで習得しているとは。』

 

マイク『ミッドナイト!あれはOKなのか?』

 

ミッド『勿論。野沢君は舞空術ではなく、かめはめ波の推進力で空を飛んでるいからセーフよ。』

 

相澤先生の言うとおり、僕は足かめはめ波を使ってスタートゲートを通過したのだ。正直久しぶりに使うので上手く出来るか不安だったが、無事に成功した。しかも普通に打ったはずなのに思いの外パワーが出たことに驚いた。どうやらアニメ同様、20Gの特訓の成果が出ているようだ。

 

峰田『足でかめはめ波を打つなんて、そんなのアリかよ!』

 

吹出『当然。原作でもたった1回だけど悟空が使ってるからね。』

 

角取『もちろんアニメでもデス。』

 

スタート地点を通過しトップに立った僕は地上に着地し普通に走り出した。今後の事を考えて体力は温存した方がいいと思ったからだ。そしてその後ろから

 

爆豪『待ちやがれ悟空野郎!』

 

轟『たとえ孫悟空が相手でも、勝つのは俺だ!』

 

選手宣誓したA組の爆豪君と氷と炎を使う生徒(確か轟だったか)が追いかけてきた。さらにその後方からも

 

鉄哲『明、待ちやがれ!』

 

拳藤『アンタだけにいいカッコさせないよ!』

 

茨『明、すぐに追い付きますからね。』

 

と茨やB組のみんな、他のA組の生徒も追いかけてきた。これは一筋縄ではいかないようだ。

 

スタートしてしばらく走ったところで沢山の大きな影がこちらに向かってくるのが見えた。あれは…

 

マイク『さぁいきなり障害物だ!!まずは手始め…』

 

マイク『第一関門 ロボ・インフェルノ!!』

 

一般入試の実技試験に出てきた0Pの巨大な(ヴィラン)ロボが大量に押し寄せてきた。それ以外にも人間サイズのロボットも大量に配置されている。

 

明『こりゃいいや。試験を見学して、戦ってみたいなって思ってたんだ。』

 

僕は0Pロボの内の1体の頭部に向けてエネルギー弾を放った。

 

『はっ!』『ドガーン!!』

 

頭部は簡単に破壊され、ロボットは動かなくなってしまった。

 

明『あれ、思ってたより脆いや。ビッグゲテスターのロボット軍団並みの装甲を期待してたんだけどな。』

 

僕はロボット軍団を破壊しながら進んでいった。他のみんなもそれぞれ個性を駆使してロボット軍団の猛攻を掻い潜りながら進んでいった。

 

しかし、大量のロボット軍団の猛攻と破壊したロボットの残骸が進路を妨害し、中々前に進めずにいた。

 

明『くっそー!1体1体相手にしてたら切りがないや。こうなったら…』

 

僕はロボットが1番集まっている場所に向かって一気に突っ込んだ。

 

黒色『ん、明の奴、何をする気だ?』

 

明『(後続に道を作る事になっちゃうけど、全部まとめて一気に吹き飛ばす!)』

 

凡戸『明、もしかして…』

 

鱗『明の奴、やる気だな。』

 

回原『ここは明の力を頼るか。』

 

僕は走りながら、両手を構えて気を集中した。

 

明『かーめーはーめー』

 

砂藤『あの構えって、まさか…』

 

切島『ほ、本当に打つのか!?』

 

芦戸『しかも走りながら!』

 

『波ぁっ!!』『ギュイーン!!』

 

マイク『で、でたー!!!野沢必殺のかめはめ波!大量のロボ軍団を一気に一網打尽だぁっ!!』

 

相澤『しかも走りながら気を集中させて放つとは、まるで神越かめはめ波のようだな。』

 

もちろん神越かめはめ波ではない。だがアニメで見た走りながら気を集中してかめはめ波を放つ事なら、修行すれば自分でも出来るんじゃないかと思い修行した。実戦で使うのは初めてだったが、思いのほか上手くいった。

 

かめはめ波を打った跡には1本の道が出来ており、沢山のロボットや残骸は全て消し飛んでいた。

 

上鳴『スゲェ…』

 

尾白『なんて威力だ。』

 

麗日『か、カッコいい!』

 

かめはめ波を後方から見ていたB組以外の生徒は、その威力に呆然としていたり、カッコよさに見惚れたりしていた。

 

明『よし、行くぞ!』

 

取蔭『明、待ちなさい!』

 

泡瀬『俺達も行くぜ!』

 

円場『明、お前の作った道、遠慮なく使わせてもらうぜ!』

 

僕はかめはめ波で出来た道を再び走り出した。そして案の定、後続も僕の作った道を使い、途中生き残っていたロボを破壊しながら進んでいた。

 

第一関門を突破して走っていると、次の関門が登場した。

 

マイク『オイオイ第一関門チョロイってよ!!んじゃ第二はどうさ!?落ちればアウト!!それが嫌なら這いずりな!!』

 

マイク『ザ・フォーーーーール!!!』

 

目の前には深く大きな谷といくつもの島があり、島と島の間には何本かのロープが張られている。要するに綱渡りをして向こう岸まで渡れという事だ。だが、

 

明『この程度なら、かめはめ波無しで突破出来るな。』

 

僕はロープやかめはめ波を使わず、島から島へ普通にジャンプしてこの関門を突破していった。正直最初のロボ軍団に比べたら全然大した事ない関門だ。

 

この関門では個性や身体能力の差が大きく出ており、僕のようにすんなり突破する人、悪戦苦闘しながら綱を渡る人がハッキリ別れた。

 

さらにヒーロー科だけでなく普通科やサポート科の生徒の何人かもこの関門を突破していった。

 

そんな様子を観戦していたプロヒーロー達は

 

『今年の1年はスゴイなぁ。』

 

『今2位の子はエンデヴァーの息子らしいよ。』

 

『3位の選手宣誓した子も頑張ってるじゃないか。』

 

『でも、やっぱり1番はあの悟空の個性の子だな。』

 

『さっきのかめはめ波見たかよ。スゲェ威力だったぜ。』

 

『しかも舞空術と界王拳も使えるんだ。フルパワーはあんなもんじゃないはずだぜ。』

 

『それに既に仮免を取得しているとは。将来はウチの事務所に来てほしいな。』

 

などと、色々な話がされていたが

 

???『(ウフフ。みんなには申し訳ないけど、明君にはウチの事務所に来てもらうわ。なにしろ私には来てもらう為の切り札があるんだから。ウフフ…)』

 

と、1人の女性ヒーローが笑みを浮かべていた。

 

第二関門をトップであっさり通過した僕は次の関門に差し掛かろうとしていた。

 

マイク『先頭が一足抜けて下はダンゴ状態!上位何名が通過するかは公表してねえから安心せずに突き進め!!

 

そして早くも最終関門!!かくしてその実態はーーーー…

 

一面地雷原!!!怒りのアフガンだ!!

 

地雷の位置はよく見りゃわかる仕様になってんぞ!!目と脚酷使しろ!!

 

ちなみに地雷!威力は大したことねえが音と見た目は派手だから失禁必至だぜ!』

 

相澤『人によるだろ。』

 

明『地雷か。確かにある場所は分かるけど、いちいち避けながら走るのも面倒くさいなぁ……よし!』

 

僕は地雷原のスタート地点から空高くジャンプした。そして

 

『ダダダダダダダダダダ!!』

 

僕は地雷原のスタートからゴールまでの一直線上の地雷を連続エネルギー弾で全て爆破させた。

 

明『これでよし!いくぞ!!』

 

マイク『でたー!野沢の連続エネルギー弾!!でも気弾のグミ撃ちは負けフラグなんて言われているが大丈夫か?』

 

相澤『勿論野沢もそれは分かっているはずだ。だからそうならない為の対策も考えているだろう。』

 

相澤先生の言う通りだ。そして僕が地雷の無い地雷原を走っていると

 

轟『野沢明!これ以上好きにはさせねぇ!!』

 

A組の轟君、さらに

 

爆豪『悟空野郎!待ちやがれ!!それからてめェ、宣戦布告する相手を間違えてんじゃねえよ!』

 

選手宣誓した爆豪君も追いかけてきた。

 

マイク『レースもいよいよ終盤!!後続もスパートをかけてきた!!!だが引っ張り合いながらも…1位は野沢・轟・爆豪の3人に絞られたか!!?』

 

明『さて、フラグをへし折る為にも、この辺りで後続を足止めしておくか。』

 

僕は地雷原を突破する直前、後ろの轟・爆豪の2人を足止めする為、後ろを振り返り、身構えた。

 

轟『アイツ、やる気か?』

 

爆豪『おもしれぇ、ぶっ殺してやるぜ!』

 

2人は僕に向かって突っ込んできた。しかし戦うのが目的じゃない。僕の狙いは

 

『太陽拳!!』

 

そう、太陽拳だ。後続を足止めするにはピッタリの技だ。

 

爆豪『なっ、なんだこの光!?』

 

轟『しまった!太陽拳か!?』

 

マイク『おーっと野沢、太陽拳で轟・爆豪両名の目をくらませた!』

 

相澤『なるほど。戦うと見せかけて太陽拳が狙いだったワケか。』

 

僕の太陽拳をまともに受けた2人は眩しさで苦しんでいた。

 

爆豪『目が!目がぁっ!!ちくしょう!あの野郎ふざけた真似しやがって!!』

 

轟『くそ、アイツは何処だ!何処に行った!!』

 

2人は僕を探していたが、既に僕はその場を後にしていた。

 

僕は地雷原を抜けゴールのスタジアムを目指しラストスパートを掛けようとした。その時!

 

『BOOOOOM』

 

後ろの方で大きな爆発音がした。そして何かが物凄い勢いで僕の頭上を通過していった。

 

マイク『おーっとA組 緑谷爆風で猛追ーー…っつーか!!!野沢を抜いたあああああー!!!』

 

実況で緑谷と呼ばれていた生徒は僕の遥か前方で着地して、再びゴール目指して走り出した。

 

明『(まさかあんなダークホースがいるなんて。でも!)』

 

『負けるわけにはいかない!』

 

僕も1位でのゴールを目指しラストスパートをかけた。

 

そして…

 

マイク『さァさァ序盤の展開から誰が予想出来た!?今一番にスタジアムへ還ってきたのはーーーー…

緑谷と野沢の2人だぁっ!!?』

 

マイク『でもこれは2人同時にゴールしたがどっちがトップなんだ?おっとこれから写真判定が始まるぞ。みんなは他の生徒のゴールを見ながら結果を待っていてくれ。』

 

僕はみんながゴールする間、一緒にゴールした緑谷という子に声を掛ける事にした。

 

明『君スゴイねぇ。僕は1年B組の野沢明、よろしく。』

 

緑谷『あ、ありがとう。僕はA組の緑谷出久です。よ、よろしく野沢君。』

 

明『明でいいよ緑谷君。ところで、僕の後ろで起きた大爆発が君の個性なのかい?』

 

緑谷『いや違うよ。あれは掘り起こした大量の地雷を一気に爆破させてその爆風を利用して飛んだんだ。』

 

明『なるほど。そんな方法を使ったのか。』

 

緑谷『あ、あの僕も質問なんだけど、どうして明君は僕を妨害しなかったの?』

 

明『へ?妨害?』

 

緑谷『うん。明君の個性ならかめはめ波なんかを使って僕を妨害すれば余裕で1位になれたはずなのに、どうして…』

 

明『あー、そっか。忘れてた。』

 

緑谷『わ、忘れてた!?』

 

明『うん。界王拳と舞空術を使っちゃいけないのは覚えてたんだけど、君に抜かれてから絶対抜き返すって事しか頭になくてさ、選手を妨害していいルールなんてすっかり忘れてたよ。アハハハハハ。』

 

緑谷『そ、そうなんだ。アハハハ。(よかったー。もし覚えていて妨害されていたら明君どころかかっちゃんや轟君にも抜かれてたかも)』

 

そしてほとんどの生徒がゴールした頃

 

マイク『みんな待たせたな!写真判定の結果が出たぞ。緑谷と野沢の順位だが、なんと同着!同着で2人共1位という結果になったぞ!』

 

麗日『デクくん…!すごいねぇ!』

 

緑谷『あ、麗日さん。』

 

麗日『一位すごいね!悔しいよちくしょー!』

 

緑谷『いやあ…(運がよかっただけ!使えそうと思ったものがたまたま使えただけだ。それに明君が妨害の事を忘れていたからだ。すごいのは僕の運だ、ラッキーパンチだ。本当に実力を試されるのはここからーーー…!!)』

 

茨『明、1位おめでとうございます。』

 

明『ありがとう茨。でも結局同着だったし、最後やらかしちゃったからね。』

 

柳『やらかしたって一体何を?』

 

明『実は…』

 

僕はみんなに最後に他人を妨害していいルールを忘れていた事を話した。

 

骨抜『じゃあ、最後緑谷を妨害しなかったのは…』

 

明『ウン。彼に抜かれてから抜き返す事しか頭になくてさ、妨害の事なんて全く頭になかったよ。』

 

物間『勿体ないなぁ。最後エネルギー弾の一発でも緑谷に当てていたら君が1位だったのに。』

 

明『でも、忘れたのが妨害の事でよかったと思ってるよ。』

 

取蔭『明、それってどういう意味?』

 

明『もしハンデの事を忘れて界王拳使ってたら、ゴール直前で失格だったかもしれないからね。』

 

宍田『なるほど。そういう考え方もありますな。』

 

と、みんなと談笑していると

 

ミッド『ようやく写真判定の結果が出たわね。それじゃあ結果をご覧なさい!』

 

障害物競走の順位が発表された。

(1位が明と緑谷の2人。それ以外は原作と全く一緒の設定です。)

 

ミッド『1位が2人なので予選通過は上位43名!!!なお、次の種目を考慮して1位が2人だけど3位の轟君を2位、それ以降を順番に順位を付けさせてもらったわ。

 

残念ながら落ちちゃった人も安心しなさい!まだ見せ場は用意されてるわ!!

 

そして次からいよいよ本番よ!!ここらかは取材陣も白熱してくるよ!キバりなさい!!!』

 

果たして、次の種目は一体…             

             

             次回に続く…      




24話いかがだったでしょう。原作と違う点がいくつかありますが、そこは大目に見てください。後相澤先生ですが、仙豆で回復したのでミイラ男にはなっていません。次回は第二種目・騎馬戦の発表、チーム決め、作戦会議になります。次回もお楽しみに。ご意見・ご感想お待ちしています。


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第25話 気になる第ニ種目は…

第ニ種目の発表・チーム決め・作戦会議となります。どうぞ。


ミッド『さーて第二種目よ!!私はもう知ってるけど〰…何かしら!!?言ってるそばから』

 

ミッド『コレよ!!!!』

 

『騎馬戦』

 

上鳴・峰田『騎馬戦…!』

 

明『騎馬戦かぁ。』

 

蛙吹『個人競技じゃないけど、どうやるのかしら?』

 

ミッド『参加者は2〜4人のチームを自由に組んで騎馬を作ってもらうわ!基本は普通の騎馬戦と同じルールだけど一つ違うのが…先程の結果にしたがい各自にP(ポイント)が振りあてられること!』

 

砂藤『入試みてえなP稼ぎ方式か、わかりやすいぜ。』

 

葉隠『つまり組み合わせによって騎馬のPが違ってくると!』

 

ミッド『あんたら私が喋ってんのにすぐ言うね!!!』

 

明『(ミッドナイト先生が説明してるんだから黙って聞けばいいのに…)』

 

ミッド『ええそうよ!!そして与えられるPは下から5ずつ!42位が5P、41位が10P…といった具合よ。』

 

八百万『なるほど、それで1位が2人なにの3位の轟さんが2位なのですね。』

 

ミッド『そういう事。そして…1位の2人に与えられるPは1000万を半分ずつにした…』

 

ミッド『500万Pよ!!!!』

 

緑谷『500万?

 

明が『あらー。』

 

ミッド『上位の奴ほど狙われちゃうーーーーーーーーーーー…下剋上サバイバルよ!!!』

 

ミッド『上を行くものには更なる受難を。雄英に在籍する以上何度も聞かされるよ。これぞPuls Ultra(プルスウルトラ)!(更に向こうへ)』

 

ミッド『予選通過1位の緑谷出久君と野沢明君。それぞれ持ちP500万!!

 

ミッドナイト先生が500万と言った瞬間、まわりのみんなが獲物を狙うハンターのような視線を向けてきた。緑谷君はその視線にドキドキしているようだったが、僕は…

 

明『(面白そうだからちょっとイタズラしてみようかな。)』

 

明『ふっ!』

 

『ギュイン!!』

 

界王拳を使ってみんなを驚かしてみた。その瞬間、向けられていた視線は外れ、半分位の生徒から驚きの声が上がった。

 

茨『あ…明、どうして界王拳を使うのですか?』

 

明『あっ、ゴメンね。みんなが視線を向けてくるからビックリさせてやろうと思って。』

 

物間『オイオイ明、僕達B組のみんなは君の界王拳を何度も見てるんだから、そんな事でビックリしないよ。』

 

確かに物間君の言う通りだ。だが…

 

峰田『(あんなスゲェ奴からポイント取れる訳ねえよ!)』

 

芦戸『(彼からポイント取るのは厳しいか。やっぱり狙いは…)』

 

麗日『(かめはめ波もカッコよかったけど、界王拳もカッコいい!)』

 

どうやらA組の数名には効果があったようだ。

 

ミッド『野沢君、ルール説明はまだ途中だから、おとなしく聞いていてね。』

 

明『あっ!?すいませんミッドナイト先生。続けて下さい。』

 

ミッド『制限時間は15分。振り当てられたPの合計が騎馬のPとなり、騎手はそのP数が表示された“ハチマキ”を装着!終了までにハチマキを奪い合い保持Pを競うのよ。

 

取ったハチマキは首から上に巻くこと。とりまくればとりまくる程管理が大変になるわよ!そして重要なのはハチマキを取られても、また騎馬が崩れてもアウトにはならないってところ!』

 

八百万『てことは…』

 

砂藤『43名からなる騎馬10〜12組がずっとフィールドにいるわけか…?』

 

青山『シンド☆』

 

芦戸『いったんP取られて身軽になっちゃうのもアリだね。』

 

蛙吹『それは全体のPの分かれ方見ないと判断しかねるわ三奈ちゃん。』

 

ミッド『“個性”発動アリの残虐ファイト!でも……あくまで騎馬戦!!悪質な崩し目的での攻撃等はレッドカード!一発退場とします!』

 

ミッド『あと野沢君、引き続き舞空術と界王拳は使用禁止だからヨロシクね。』

 

その言葉を聞いた瞬間、殆どの生徒から安堵のため息が漏れた。

 

ミッド『それじゃこれより15分!チーム決めの交渉タイムスタートよ!』

 

一同『15分!!?』

 

こうして騎馬戦のチームを決める交渉タイムがスタートした。A組の方は2位の轟君、3位の爆豪君に人気が集中しており、沢山の人が一緒に組もうと勧誘していた。そして案の定500万Pを持っている緑谷君は狙われる事を想定され、みんなから避けられており、孤立していた。一方、僕はというと…

 

鎌切『おい明、俺と騎馬組もうぜ!』

 

取蔭『ねぇ明、私とチーム組んでよ。』

 

骨抜『明頼む、俺と組んでくれ!』

 

角取『Please明、私と組んでクダサイ。』

 

凡戸『ねぇ明、僕と騎馬組もうよ。』

 

と、なんとB組の殆どのクラスメイトから勧誘されていた。

 

砂藤『アイツスゲェ人気だな。でも、なんでわざわざ500万P持ってるアイツと組みたがるんだ?集中攻撃に合うのは目に見えてるはずだぜ。』

 

障子『確かにな。だがお前だって見ただろ、奴のかめはめ波を。界王拳なしであの威力なんだ。ハンデがあるとはいえ、敵に回すより味方に付いた方が勝ち残る確率は絶対高いはずだ。』

 

砂藤『なるほど、言われてみればそうだな。俺だって500万P持ってる緑谷とアイツなら、間違いなく緑谷を狙うぜ。』

 

緑谷『(流石明君だ。同じ500万Pを持ってる者同士なのに、こんなにも人望の差があるなんて)』

 

僕はみんなから組もうと誘われてとても嬉しかったが、同時に申し訳なく思った。なぜなら…

 

明『み、みんなありがとう。でもゴメンね。僕どうしても組みたい人がいるから、まずはその人に声を掛ける事にするよ。それじゃ。』

 

そう言い残し、僕は舞空術でその場から飛び立った。

 

吹出『おっ、おい明!あーあ、行っちゃった。』

 

宍田『しかし、明氏が組みたい人とは一体誰なのでしょう?』

 

柳『明が組みたい人なんて、1人しかいないわ!』

 

小森『そうタケ!すぐに明を追いかけるノコ!』

 

小大『ん!』

 

残されたみんなもすぐに僕の後を追いかけた。

 

僕は組みたい人の気を読んですぐにその人のいる場所に到着した。しかし…

 

明『おーい茨!ってあれ?』

 

茨『あっ!明、待っていましたよ。』

 

鉄哲『お、やっと来たか。』

 

拳藤『随分遅かったじゃん。』

 

茨の両隣には鉄哲君と拳藤さんが並んでいた。

 

明『茨と鉄哲君と拳藤さん、もしかして、もう3人でチーム組んだの?』

 

鉄哲『ああ。お前がここに来る前に、俺達3人でチームを組んだんだ。』

 

拳藤『で、明が来るのを待ってたとこ。』

 

明『えっ、僕の事を?』

 

茨『ハイ!明、是非私達のチームに加入して下さい。』

 

明『それはいいけど、3人共僕が一緒でいいの?僕500万P持ってるから狙われる可能性高いし、相変わらず舞空術と界王拳使えないよ。』

 

拳藤『もちろん!ポイントやハンデの事を差し引いても、明と組んだ方が勝ち残る可能性が高いし。』

 

鉄哲『それに、明にはチョーカーや泊めてもらった恩があるからな。』

 

茨『私は最初から明と組もうと決めていましたから。』

 

明『みんな…わかったよ。僕このチームに入るよ!』

 

鉄哲『ヨッシャー!』

 

茨『明、ありがとうございます。』

 

拳藤『ヨロシク、明。』

 

こうして、僕の所属するチームが決まった。

 

明『ところで、それぞれのポジションはどうするの?』

 

拳藤『当然、騎手は明。そして騎馬だけど、正面が鉄哲、明の右手側を私、左が茨、これでどう?』

 

明『うん、僕はそれでOKだよ。』

 

鉄哲『俺もそれでいいぜ!』

 

茨『私も問題ありません。』

 

拳藤『それじゃ、大会本部に報告に行こうか。』

 

こうして、僕達が報告に行こうとした時…

 

取蔭『やっと追いついた。って一佳と鉄哲、あんた達もしかして…』

 

拳藤『残念でした。私達4人、もうチーム組んじゃったからね。』

 

鱗『アイヤー、一足遅かったか!』

 

鉄哲『実は、俺と拳藤は最初から塩崎をマークしてたんだ。』

 

茨『えっ!そうだったのですか?』

 

拳藤『そういう事。明の事だから絶対茨に声をかけると思ってた。』

 

鉄哲『だから直接明を勧誘するんじゃなくて、塩崎を勧誘して明が来るのを待ってたって訳だ。』

 

明『なるほど、そういう作戦だったのか。』

 

小森『しまった、先を越されたノコ!』

 

角取『goddamn(ガッデム)!悔しいデス。』

 

柳『仕方ないわ、ウラメシいけど、私達でチームを作りましょう。』

 

こうして他のみんなもそれぞれチームを作り出した。その間に僕達は本部に報告し、4人のポイントの合計500万435Pが記入されたハチマキをもらった。その後、僕達は作戦会議を始めた。

 

明『それで拳藤さん、作戦はどうするの?』

 

拳藤『とりあえず、私達は500万を守りきれば勝てるから、無理に自分達から攻めに行かず、相手の出方を待つ。これが作戦。』

 

鉄哲『おい拳藤、そんな後手後手の作戦で大丈夫かよ?』

 

拳藤『大丈夫。ねぇ鉄哲、もしあんたが私達と別のチームだとして、500万Pを持ってる明とA組の緑谷、どっちを狙う?』

 

鉄哲『そりゃ当然緑谷だろ。アイツの個性がどんな物か知らねぇけど、明の事はクラスメイトだからよく知ってるし、なによりハンデがあるとはいえ、その実力は障害物競走で証明済みだ。攻めに行ったら逆に返り討ちに遭いかねないぜ。』

 

拳藤『その通り。おそらくB組の騎馬はみんな緑谷の騎馬を狙う。そしてA組の騎馬も障害物競走やさっきの界王拳の事を踏まえても、殆どが緑谷を狙うはず。』

 

茨『なるほど。緑谷さんの騎馬を狙う騎馬を観察して、自分達が攻められた時の為に対策を立てるのですね。』

 

拳藤『そういう事。ただ始まっていきなり攻められる可能性もあるから、警戒は怠らない事。特に明は気の動きには十分注意して。』

 

明『了解。』

 

拳藤『そして攻撃に関しては明の衝撃波やエネルギー弾を主体で攻撃して。防御は左右からの攻撃は私の大拳と茨のツル、正面からの攻撃は鉄哲のスティールで防御して。後明、後ろからの攻撃とルール違反には十分気をつけてよ。』

 

鉄哲『かめはめ波は使わない方がいいのか?』

 

拳藤『かめはめ波は威力が大きすぎてルール違反になりかねない。だからピンポイントで騎手を狙える衝撃波やエネルギー弾がいいと思うんだ。』

 

明『OK、わかったよ。』

 

拳藤『3人共、何か質問ある?』

 

鉄哲『俺は大丈夫だぜ!』

 

茨『私も問題ありません。』

 

明『僕も大丈夫だよ。ただ3人に注意してほしい人が1人いるんだ。』

 

茨『明、注意してほしい人って誰の事なのですか。』

 

明『A組の八百万さんなんだけど…』

 

鉄哲『八百万って、ポニーテールで胸のデカい女の事だよなぁ。』

 

拳藤『鉄哲言い方!で、彼女がどうしたの?』

 

明『彼女の個性は「体内から物を創り出す」というものなんだ。』

 

鉄哲『その個性がどうしたんだよ?』

 

明『ゲームの終盤になれば、クラスとか関係なく高いPを持った僕達に向かって他の騎馬が襲いかかってくると思うんだ。そんな時1度に大量の騎馬を動けなくする技と言えば…』

 

茨『太陽拳ですね。』

 

拳藤『なるほど、明の言いたい事がわかった。』

 

鉄哲『えっ!どういう事だよ拳藤、教えてくれよ。』

 

明『鉄哲君、太陽拳のような強い光から目を守る為に必要なものといえば?』

 

鉄哲『そんなの、サングラスに決まってるだろ…あっ、そうか!』

 

明『わかったようだね。ゲーム終盤になれば必ず太陽拳が必要になってくる。その時に八百万さんが太陽拳対策に個性を使ってサングラスを予め用意してくると思うんだ。』

 

拳藤『明は障害物競走でも太陽拳を使っているし、必ず用意してくるね。』

 

明『だから八百万さんのいるチームには十分注意してね。』

 

茨『分かりました。』

 

鉄哲『ヨッシャ!俺達4人で500万Pを守り抜いて、絶対に勝ち残ろうぜ!』

 

明・茨・拳藤『オー!!!』

 

こうして僕達が作戦会議をしている間に、他のみんなも無事に騎馬を作り終えて、15分の交渉タイムが終了した。

 

ミッド『15分経ったわ。それじゃあいよいよ始めるわよ。』

 

物間『ヒーロー科B組(ぼくら)が予選で何故中下位に甘んじたか、調子づいたA組に知らしめてやろう皆。』

 

マイク『さぁ起きろイレイザー!15分のチーム決め兼作戦タイムを経て、フィールドに12組の騎馬が並び立った!!』

 

相澤『………なかなか、面しれぇ組が揃ったな。』

 

〜小説オリジナルのチーム紹介〜

 

・野沢チーム

野沢(上)・鉄哲(中)・拳藤(右)・塩崎(左) 500万435P

 

・泡瀬チーム

泡瀬(上)・骨抜(中)・吹出(右)・凡戸(左) 450P

 

・取蔭チーム

取蔭(上)・柳(中)・小大(右)・小森(左) 210P

 

(他のチームは全て原作と同様の設定ですが、小大チームが存在しません。詳しくは後書きにて。また、緑谷チームは500万325Pとなっています。)

 

マイク『さァ上げてけ(とき)の声!!血で血を洗う雄英の合戦が今!!狼煙を上げる!!!!』

 

明『3人共、準備はいいね。』

 

茨『はい!』

 

鉄哲『いいぜ!』

 

拳藤『OK!』

 

『よし、行くぞ!』

 

次回、遂に騎馬戦開始!      続く 




25話いかがだったでしょう。今回説明文を原作のまんま使ってみたのですが、簡略化した方がよかったでしょうか。あと、小説オリジナルの野沢チームに茨・鉄哲・拳藤の3人を使ってしまったので、原作の小大チームの3人をバラして茨達が原作でいた場所にはめ込みました。ポジションは私の独断です。次回は騎馬戦本番になります。次回もお楽しみに。ご意見・ご感想お待ちしています。


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第26話 白熱!騎馬戦

お待たせしました。騎馬戦本番です。今回かなりの長文です。どうぞ。


マイク『よォーし組み終わったな!!?準備はいいかなんて聞かねえぞ!!いくぜ!!残虐バトルロイヤルカウントダウン!!』

 

マイク『3!!!』

 

爆豪『狙いは…』

 

マイク『2!!』

 

轟『一つ』

 

マイク『1…!』

 

緑谷『……』

 

明『ふぅ。』

 

マイクSTART(スタート)!』

 

遂に次のステージの出場者を決める騎馬戦が始まった。序盤から拳藤さんの予想通り、緑谷君の騎馬に狙いが集中していた。そして僕達の騎馬には誰も攻めてこなかった。

 

鉄哲『拳藤の予想通りだな。』

 

茨『皆さん緑谷さんの騎馬に狙いを定めていますね。』

 

拳藤『2人共油断しないで!騎馬の動きをよく観察して!明、気の動きはどう?』

 

明『大丈夫。今の所こっちに向かってくる気はないよ。』

 

拳藤『わかった。引き続き気の動きに注意して。』

 

緑谷君の騎馬はいきなり3組の騎馬に襲われていたが、自分から攻める事はせず、攻撃を捌いていった。サポート科の生徒と組んで借りたアイテムを使ったりしていたが、1番驚いたのが影のような物体が攻撃をガードしている事だ。どうやら鳥のような顔の生徒の個性のようだ。

 

鉄哲『緑谷の騎馬、頑張ってるな。』

 

茨『サポート科の生徒と組んだのですね。サポートアイテムを上手く使用しています。』

 

明『それにあの影スゴイよ。自由自在に動き回ってる。まるでジョジョのスタンドみたいだ。』

 

その後緑谷君の騎馬は1人で2人の騎手を背負う騎馬の紫の玉やピンク色の紐状のものを躱し、更に騎馬から離れた爆豪君の攻撃もなんとか影がガードしていた。

 

ちなみに1人の騎馬に2人の騎手というスタイルや騎馬から騎手が離れるのはテクニカルなのでセーフというミッドナイト先生の判定だ。(地面に足がついてたらダメ)

 

鉄哲『騎馬1人で騎手2人なんてズルくねぇか!』

 

拳藤『騎手が騎馬から離れていいなら、明の足でやるかめはめ波もアリか。』

 

明『うん。緊急時の避難に使えるね。』

 

そんな緑谷君の騎馬を中心とした攻防が各所で行われ、開始から3分が経過した。

 

マイク『ヘイ!イレイザー、スタートして3分経ったが、ここまでの感想を貰えるか?』

 

相澤『まあ予想通りの展開だが、正直言ってつまらん。』

 

マイク『つまらんってなんでだよ!みんな盛り上がってるじゃねえか。』

 

相澤『盛り上がってはいるが、誰も野沢の騎馬に仕掛けようとしない。これでは面白みに欠ける。』

 

マイク『そういや、B組は当然としても、A組すら野沢チームに仕掛けようとしてないな。てゆうか、野沢チームスタートして3分経つがその場から一歩も動いてねえぞ!』

 

相澤『おそらく、こうなる事を想定して他の騎馬の動きを観察しているんだ。自分達が攻撃された時の為にな。』

 

マイク『オイオイ、それじゃあますます野沢チームが有利じゃねえか!!』

 

相澤『確かに、無理して自分より格上の相手に勝てない勝負を挑むのは不合理の極みだ。だが、それでは校訓のPlus Ultraの精神に反する。それに作戦や攻め方次第では野沢からハチマキを奪えるはずだ。俺はジャイアントキリングを期待しているんだがな。』

 

マイク『ヘイお前ら!!イレイザーはこう言ってるぞ。誰か野沢チームに挑戦する勇気あるチームはいないのか!!?』

 

マイク先生の実況に他の騎馬が感化されたのか、遂に僕達も動く時が来た。

 

明『みんな、右から来るよ!』

 

さっきの2騎手1騎馬チームが襲いかかってきた。

 

峰田『こうなりゃヤケクソだぁっ!』

 

障子『落ち着け峰田、自暴自棄になるな。』

 

蛙吹『そうよ峰田ちゃん、チャンスは必ずあるわ。』

 

相手は紫の玉を投げながら突っ込んできた。

 

拳藤『こんなもの!』

 

拳藤さんが大拳で紫の玉をはたき落とそうとしたが

 

明『拳藤さんダメだ!ハァッ!!』

 

僕は拳藤さんがはたき落とす前にエネルギー弾で全て撃ち落とした。

 

明『あの紫の玉は1度くっついたら離れない。迂闊(うかつ)に触らないほうがいい。』

 

拳藤『わかった、ありがと明。』

 

峰田『クッソー、このこのこのこの!』

 

明『はあああああああぁっ!』

 

その後も僕は飛んできた紫の玉を連続エネルギー弾で全て撃ち落とした。そして全ての玉を撃ち落としたその時!

 

『シュバ!!』

 

明『うぉっ!?危なっ!』

 

さっき見たピンクの紐がハチマキを奪おうと伸びてきた。が、僕は間一髪で躱す事ができた。

 

蛙吹『ケロッ!もう少しだったのに。』

 

鉄哲『クソッ!さっきも見たけど、あのピンクのロープは一体何だ?』

 

茨『あれは「舌」です。彼女が舌を伸ばしているのです。』

 

明『舌を伸ばすなんて、ヨッシーみたいな個性だな。』

 

蛙吹『私の個性はヨッシーじゃないわ。』

 

そんな事を言いながら彼女は舌を伸ばし続け、そして…

 

『グッ!』

 

明『しまった!』

 

蛙吹『ケロッ!捕まえたわ。』

 

遂に彼女の舌が僕の左腕を捕らえた。

 

障子『いいぞ蛙吹!そのままハチマキを奪ってしまえ!』

 

明『残念だけど、そうはいかないよ。』

 

僕は右手を構え気を集中させて気弾を作った。

 

峰田『ヤ、ヤバイ!?蛙吹、舌戻せ!障子、早く閉じるんだ!』

 

だが時すでに遅し。2人が行動を起こす前に僕はエネルギー弾を発射した。

 

『ドカーン!!!』

 

エネルギー弾は2人の騎手に当たると爆発した。そして同時に左腕に絡まった舌も外れた。

 

明『パワーは抑えておいたから、たいしたダメージはないはずだよ。』

 

障子『峰田、蛙吹、大丈夫か?』

 

蛙吹『ケホッケホッ、大丈夫よ障子ちゃん。あと、梅雨ちゃんと呼んで。』

 

峰田『ゴホッゴホッ!やっぱアイツからハチマキ奪うなんて無理なんだ!2人共、もう1度緑谷を狙おうぜ。』

 

初めての敵からの攻撃をなんとか躱したのも束の間、次は…

 

明『みんな、後ろから気が近付いてきてるよ!』

 

僕の呼び掛けに騎馬の3人はすぐに反応して後ろに振り返った。するとそこには

 

葉隠『嘘!?気付かれないように後ろから忍び寄ったのに、どうしてバレたの!』

 

上半身が透明になっている騎手が乗った耳郎さんのチームが後ろから近付いてきていた。

 

鉄哲『へへっ、残念だったな。明は気を読んで敵の位置を探る事が出来るんだ。いくら透明でも、背後から忍び寄っても、気を消さない限り明にはバレバレなんだぜ。』

 

砂藤『気を消すなんて、俺達に出来る訳ないだろ!』

 

明『(ま、普通そうだよね。僕以外で気を消せる人なんて、“アイツ”しかいないし)』

 

耳郎『チッ!このぉっ!』

 

耳郎さんがハチマキを奪うべく、耳たぶのイヤホンジャックを伸ばしてきた。しかし…

 

『ガキーン!!』

 

鉄哲君がそれをガードして叩き落とした。

 

鉄哲『俺の鋼の体に、イヤホンなんて刺さらないぜ!』

 

耳郎『クソッ!切島と似たような個性か!?』

 

拳藤『それじゃ、またね。』

 

拳藤さんはそう言うと右手を巨大化させて地面を叩き大岩を作り出した。そう、僕との初訓練で使った砕大拳だ。そしてその岩を耳郎さんの騎馬の目の前に放り投げた。

 

葉隠『危ない!?みんな逃げて!』

 

『ガッシャーン!!!』

 

投げた岩は砕け、あたりには破片が舞い散り、土煙が発生していた。そのスキに僕達はその場を後にした。

 

鉄哲『ふう。A組の奴ら緑谷だけじゃなく、俺達にまで狙いを付けてきたな。』

 

茨『500万Pを持つ者の宿命ですね。』

 

攻撃を躱して一息ついていた矢先、今度は…

 

明『ハッ!?みんな左上!』

 

僕は気を読んで左上の方向を見ると、そこには

 

爆豪『悟空野郎!ハチマキよこしやがれ!!!』

 

騎馬から離れた爆豪君が上空から襲ってきた。

 

明『みんな、1度分離するよ。フォローよろしく!』

 

茨・鉄哲・拳藤『はい!/おう!/OK!』

 

僕は騎馬から離れ上空へジャンプした。

 

爆豪『待ちやがれ!!ぜってー逃さねぇぞ!!!』

 

すかさず爆豪君も個性の爆破を利用して追いかけてきた。が、

 

『かーめーはーめー波ぁっ!』

 

僕は足かめはめ波を使い更に上へと上昇した。そして、

 

明『だぁりゃぁ!!』

 

僕は爆豪君に向けて衝撃波を放った。

 

爆豪『ぐわぁ!』

 

衝撃波をまともに受けた爆豪君は真っ逆さまに地上に落ちていった。が…

 

瀬呂『爆豪、危ねぇ!』

 

落下する直前、仲間の騎馬に回収され、なんとか危機を脱した。

 

芦戸『爆豪、大丈夫?』

 

切島『爆豪、空中戦はこっちが不利だ。地上から攻めようぜ。』

 

爆豪『チッ、クソがぁ!』

 

そして僕も

 

明『おーい、茨!』

 

茨『あ、明!』

 

明『悪いけど、回収よろしく。』

 

その声を聞いた茨は髪の毛のツルを伸ばして僕に巻き付け、自分達の所まで引っ張って僕を回収した。

 

明『みんなただいま。それと茨、ありがと。』

 

茨『いえ、大した事ではありませんから。』

 

拳藤『2人共、イチャついてないで集中して!』

 

明『了解!』

 

その後も他の騎馬からの攻撃をなんとか躱し、半分の7分が経過した。

 

マイク『さーて、現在の保持Pはどうなってるのか…7分経過した現在のランクを見てみよう!』

 

1位 野沢チーム 500万435P

(500万435Pのみ)

 

2位 緑谷チーム 500万325P

(500万325Pのみ)

 

3位 物間チーム 1360P

(305P+665P+390P)

 

4位 泡瀬チーム 870P

(450P+420P)

 

5位 取蔭チーム 700P

(210P+295P+125P+70P)

 

6位 轟チーム 615P

(615Pのみ)

 

残り6チームはすべて0P

 

マイク『なっ!なんとポイントがある6チームの内4チームがB組という予想外の展開だぁ!!!?』

 

どうやら物間君の作戦が上手くいっているようだ。物間君は障害物競走の開始前、あえてB組は中下位に甘んじて、ライバルになるA組の生徒達の“個性”や性格を観察しようとクラスのみんなに提案してきた。だが僕はそれを断った。

 

自分の個性はミッドナイト先生のハンデの説明でバレバレだし、どうせ勝負するなら1番を取りたかったからだ。そして物間君の作戦に乗らなかった僕を含めたB組の数名が障害物競走の上位に入賞した。

 

マイク『さァ残り時間半分を切ったぞ!!B組隆盛の中果たしてーー2つの500万Pは誰に(こうべ)を垂れるのか!!!』

 

拳藤『明、あれ見て!八百万だよ。』

 

拳藤さんの言う方を見ると八百万さんが騎馬をしている轟君のチームと緑谷君のチームが対峙していた。

 

明『うわぁ、厄介なチームにいるなぁ。ん?』

 

と、八百万さんを確認した時、上鳴君が気を高めているのを感じた。

 

明『上鳴君何か仕掛る気だ!茨、防御頼むよ!!』

 

茨『任せてください。信仰の盾(フェイスズシールド)!』

 

上鳴『無差別放電・130万(ボルト)‼』

 

思った通り上鳴君は自分の周囲に強力な電力を放出し、近くにいた数組の騎馬を感電させた。僕達は茨がツルで作った盾でガードして、間一髪感電を免れた。

 

拳藤『あ、危なかったぁ。』

 

鉄哲『サンキュー塩崎、助かったぜ!』

 

茨『お礼は後です。皆さん来ますよ!』

 

轟君は八百万さんが創った棒伝いに氷を発生させ、痺れて動けない騎馬を氷漬けにして、ハチマキを奪いながら緑谷君の騎馬に迫っていった。一方、僕達の方も…

 

鎌切『こうなったらクラスとか関係ねえ!明、お前の500万頂くぜ!!!』

 

角取『明、Let's Fightデス。』

 

鱗『宍田、動けるか?』

 

宍田『大丈夫ですぞ鱗氏、我々も500万を獲りに行きますぞ!』

 

柳『唯、個性で氷小さくできない?』

 

小大『ゴメン、無理。』

 

小森『そんなぁ、このままじゃ負けちゃうノコ!』

 

取蔭『こうなったら私1人でも戦うわ。待ってなさい明。あんたの500万もらうからね。』

 

今まで手を出してこなかったB組の騎馬、更にA組の騎馬も何組か僕達に狙いを定めてきた。

 

拳藤『うわぁ、まさに四面楚歌って感じ。』

 

鉄哲『明、太陽拳使ったほうがいいんじゃねえか。』

 

明『太陽拳は最後の切り札だから、ギリギリまで使わないよ。それによく言うでしょ。“切り札は先に見せるな。見せるなら更に奥の手を持て。”ってね。』

 

拳藤『けど、いつまでも使わないでハチマキ取られちゃったら元も子もないんだよ。』

 

茨『お2人共、明を信じて下さい。』

 

鉄哲『塩崎、お前…』

 

茨『大丈夫です。明ならやってくれます。それに明は最強のサイヤ人、孫悟空なのですから。』

 

拳藤『わかった。明、私はアンタを信じる!』

 

鉄哲『俺もだ!絶対500万守り抜いてやるぜ。』

 

明『3人共、ここからが本番だよ!』

 

その後、僕達は敵の騎馬からの猛攻をなんとか掻い潜り、500万のハチマキを死守する事が出来た。そしてゲーム終了まで残り約1分となった頃

 

飯田『トルクオーバー!レシプロバースト!!!』

 

遂に轟君の騎馬が緑谷君の500万のハチマキを奪い取った。

 

轟『よし!次の500万を獲りに行くぞ。』

 

八百万『次の500万って、まさか明さんですか!?』

 

上鳴『正気かよ轟!相手は悟空なんだぞ!迂闊に攻めに行って苦労して取った500万奪われたらどうするんだよ!』

 

轟『わかっている。だが、どうせならトップを取りたい。それに、そのために八百万に創ってもらった「アレ」もある。』

 

上鳴『そうだけどよぉ。』

 

飯田『……獲りに行こう、轟君。』

 

轟・八百万・上鳴『飯田…/飯田さん…/飯田…』

 

飯田『僕だって勝負事なら1番になりたいさ。2人だってそうだろ。だからみんな、獲りに行こう。』

 

八百万『わかりました。皆さん、行きましょう。』

 

上鳴『しゃーねー、付き合ってやるぜ。その代わり、絶対500万死守してくれよ!』

 

轟『ああ!』

 

轟君のチームは僕のハチマキを奪うべく動き出した。そして500万を取られた緑谷君も

 

麗日『よっしゃ!取り返そうデク君!!絶対!!!』

 

緑谷『麗日さん…!!あああああああああ!!!』

 

緑谷君の騎馬も奪われた500万を奪い返すべく、動き出した。そして僕達も…

 

明『残り約1分。みんな、そろそろ切り札を使うよ。フィールドの中央に移動して!』

 

茨・鉄哲・拳藤『はい!/おう!/よし!』

 

僕はフィールドの中央に移動するように3人に指示した。それを見た0Pやポイントの少ない騎馬が僕達を追いかけてきた。

 

マイク『さあ残り時間約1分!フィールドの中央に陣取る野沢チームから500万Pを奪うべく、他のチームが全方位から野沢チームに襲いかかりに行く!!これは野沢チーム、絶体絶命か!!!』

 

相澤『(いや、野沢はあえて中央にいるんだ。それに野沢は騎馬戦でまだあの技を使っていない。おそらくあの技で他の騎馬を一気に動けなくするはずだ。)』

 

明『みんな、他の騎馬をギリギリまで引き付けたらジャンプするから、そうしたら目を閉じるんだ。いいね。』

 

拳藤・鉄哲『おう!!』

 

明『あとスタート前の作戦通り、彼女に注意して。』

 

茨『はい、任せて下さい。』

 

残り時間が経過するとともに殆どの騎馬が僕達に向かって近付いてきた。そして僕達と他の騎馬の距離が約2m位になったところで

 

『今だ!!』

 

僕は合図して空高くジャンプした。そして合図と同時に茨達は目を閉じた。

 

爆豪『マズイ、お前ら目ぇ瞑れ!』

 

切島『な、なんでだよ爆豪?』

 

芦戸『えっ!なになに?何が起こるの?』

 

瀬呂『アイツ、何する気だ?』

 

轟『来るぞお前ら、準備しろ!』

 

八百万『はい!』

 

上鳴『おう!』

 

飯田『轟君、頼むぞ!』

 

『太陽拳!』

 

僕は上空から太陽拳を放った。

 

マイク『おーっと野沢、まもなくゲーム終了のこのタイミングで太陽拳を使ってきた!この光は強烈だ!!』

 

相澤『やはりな。だからわざと中央に陣取って、他の騎馬が近付いてくるのを待っていたんだ。』

 

僕の放った太陽拳により、殆どの騎馬は眩しさで目がくらみ、動けなくなっていた。

 

爆豪『クソッ!お前ら、早く悟空野郎を追いやがれ!』

 

切島『む、無茶言うな爆豪。』

 

瀬呂『こんな状態で動けるわけないだろ。』

 

芦戸『眩しくて何も見えないよ。』

 

緑谷『常闇君、黒影(ダークシャドウ)でなんとかならない?』

 

常闇『無理だ。こんな強力な光の中じゃ、黒影(ダークシャドウ)は動けない。』

 

発明『この光、私の目には強すぎます。』

 

麗日『こ、これが太陽拳。』

 

僕はかめはめ波で制動をかけながら、自分の騎馬に着地した。

 

明『みんな、ただいま。』

 

茨『明、彼女の騎馬は私達の左後方にいます。』

 

明『よし!みんな合図するまでまっすぐ走って。そして合図したら後ろに振り返るんだ。そこで轟君の騎馬を迎え撃つ。』

 

茨・鉄哲・拳藤『はい!/おう!/よし!』

 

僕達はその場を離れ轟君の騎馬を迎え撃つ事に。一方轟君達も

 

轟『お前らいいか、野沢の騎馬に仕掛けるぞ!』

 

飯田・八百万・上鳴『よし!/はい!/おう!』

 

僕の500万を奪うべく動き出した。

 

飯田『みんな、これが彼から500万を奪う最初で最後のチャンスだ。轟君、必ず獲ってくれよ。』

 

轟『任せろ。』

 

轟君の騎馬はハチマキを奪うべく、僕達の騎馬に突っ込んできた。しかし…

 

飯田『ハア、ハア、轟君、獲ったか?』

 

轟『……すまねぇ。』

 

八百万『そんな!太陽拳対策は万全です。なのになぜ?』

 

そう。僕は轟君の攻撃を難なく躱していたのだ。そして予想通り、轟君たち4人はサングラスを掛けていた。

 

明『残念だったね。僕だって推薦入試を受けてるんだ。八百万さんが太陽拳対策に、個性でサングラスを用意する事位、簡単に予想出来たよ。』

 

八百万『そんな、私のサングラスを読んでいたなんて!?』

 

明『ところで、なんでさっきのもの凄いスピードでハチマキ奪おうとしないの?。アレ使えばあっさりハチマキ奪えるんじゃないの?』

 

轟『クソッ!飯田、さっきのもう1度出来るか?』

 

飯田『無理だ。1度レシプロバーストを使ったら、しばらくは使えない。』

 

轟『ちぃっ!』

 

八百万『轟さん、今伝導用の棒を創ります。』

 

八百万さんが騎馬を凍らせる用に使った棒を創ろうとした。だが

 

明『はぁっ!』

 

八百万『きゃっ!』

 

僕は八百万さんが棒を創り終える前に、エネルギー弾を放って棒を破壊した。

 

明『どうやら八百万さんが物を創り終えるよりも、僕が気弾を撃つ方が速いようだね。悪いけど、僕の前じゃ何も創らせないよ。』

 

八百万『そんな!?』

 

上鳴『こうなったら俺の電撃で!』

 

飯田『ダメだ上鳴君!絶縁シート無しで電撃を放てば、僕達まで痺れて動けなくなるぞ!』

 

上鳴『クソッ!これじゃあ八方塞がりじゃねえか!』

 

轟君達は完全に攻め手を失っていた。

 

明『あれ来ないの?来ないなら、こっちから行くよ。はっ!』

 

僕は騎馬からジャンプした。そして

 

『かーめーはーめー波ぁっ!』

 

僕は足かめはめ波を使い、轟君の騎馬に突っ込んだ。

 

轟『クソッ!はああっ!』

 

轟君も迎え撃ってきたが、僕は戦闘はせず、轟君の横を通過しただけで騎馬に戻った。

 

茨『明、あまり無茶しないで下さい!』

 

鉄哲『そうだぜ明、ハチマキ取られたらどうすんだよ!』

 

明『ゴメンゴメン。でも、無茶した甲斐はあったよ。』

 

僕の手にはハチマキが1本握られていた。

 

明『悪いけど、君のハチマキ1本もらったよ。』

 

轟『なっ!?』

 

僕は轟君を横切った瞬間、ハチマキを1本奪っていたのだ。

 

拳藤『明、いつの間に。』

 

轟『くそっ!』

 

轟君が悔しがっていたその時

 

緑谷『あああああああああ!!!』

 

緑谷君の騎馬が500万を奪い返すべく、突っ込んできた。

 

明『みんな、ここは緑谷君達に任せよう。それじゃ、バイバイ。』

 

僕達はその場を後にした。

 

轟『くそっ!お前ら追うぞ!』

 

飯田『待て轟君!彼等より緑谷君達を対処するんだ。』

 

八百万『そうです。今の私達では明さんのハチマキを奪う事は不可能です。それより、緑谷さん達をなんとかしましょう。』

 

轟『くそっ!』

 

上鳴『おい轟、500万は無事なのか!?』

 

轟『心配ない、500万は無事だ。』

 

その後は僕と轟君が持つ500万を奪うべく、激しい攻防が繰り広げられたが…

 

マイク『3・2・1・TIME UP!

 

遂に15分による激闘が終了した。

 

マイク『それじゃ早速、上位5チームを発表していくぜ!!』

 

1位 野沢チーム 500万560P

(500万435P+125P)

 

鉄哲『ヨッシャー!勝ち残ったぜ!!!』

 

拳藤『ふう。なんとか500万を守り抜けた。』

 

茨『神よ、私達をお守りくださり、ありがとうございます。』

 

明『これも3人が協力してくれたおかげだよ。3人共、本当にありがとう。』

 

相澤『やはりこうなったか。野沢のハンデ、もっと厳しいものにするべきだったな。』

 

2位 轟チーム  500万325P

(500万325Pのみ)

 

轟『………くそっ…』

 

3位 爆豪チーム 1360P

(665P+390P+305P)

 

爆豪『だああぁ!』

 

4位 心操チーム 870P

(450P+420P)

 

マイク『4位 泡せ…アレェ!?オイ!!!心操チーム!!?いつの間に逆転してたんだよオイオイ!』

 

心操『ご苦労様。』

 

青山・尾白・庄田『?????』

 

5位 緑谷チーム 685P

(615P+70P)

 

常闇『お前が轟に攻撃している最中、警戒が薄くなっていた頭の方(持ちP)を頂いておいた。緑谷、お前が追い込み生み出した轟の隙だ。』

 

緑谷『常闇君、ありがとう(大泣)』

 

マイク『以上5組が最終種目へ…

進出だああーーーーーーーーー!!

 

凡戸『何が起きたの?』

 

骨抜『泡瀬、いつの間にハチマキ取られたんだ?』

 

泡瀬『わからない。気が付いたらハチマキを取られていた。』

 

吹出『勝ち残れると思ったのに。』

 

泡瀬君たち4人はいつの間にかハチマキを取られていた事に呆然としていた。

 

マイク『1時間程昼休憩挟んでから午後の部だぜ!じゃあな!!!オイ、イレイザーヘッド、飯行こうぜ…!』

 

相澤『寝る』

 

こうして大熱戦の騎馬戦が終了した。

 

               〜続く〜   




第26話いかがだったでしょう。今後の進行上、原作とは違い上位5チームをトーナメントに進出させました。あと、色々と突っ込むところがあると思います。
茨の「電撃をツルの盾でガードする」に関してはアニメのトーナメントでツルの盾で電撃をガードしているので問題ないと思いますが、なにか気になる点があるようでしたらコメント下さい。修正・もしくは削除します。次回もお楽しみに。ご意見・ご感想お待ちしています。

PS.読者のコメントを元に加筆訂正しました。よろしければ読み直して見て下さい。


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第27話 昼休みの一時&最終種目発表

随分遅くなってしまいました。ごめんなさい。とりあえず、このまま続けていく事にしましたので、よろしくお願いします。今回は騎馬戦後の昼休みの様子とトーナメントの組み合わせ抽選会になります。どうぞ。


騎馬戦が終わり昼休みとなったので、僕達は食堂で食事を取る事にした。

 

物間『クソッ!もう少しで勝ち残れたはずなのに…』

 

円場『物間、お前爆豪の事煽りすぎなんだよ。』

 

回原『そうそう。怒りで我を忘れるどころか、逆に集中力研ぎ澄ませる結果になっちまうし。』

 

黒色『まさに身から出た錆。やれやれ。』

 

柳『私達もA組の轟に凍らされて、途中から全く動けなかったよ。』

 

取蔭『みんなゴメン。私がもっとしっかりしていれば。』

 

小森『切奈は悪くないノコ。切奈1人の力じゃ限界があるノコ。』

 

小大『ん。切奈、気にしないで。』

 

鎌切『結局、B組から最終種目に進んだのは5人か。』

 

宍田『A組13人、B組5人、普通科とサポート科から1人ずつの20人ですか。』

 

角取『A組から半分以上モ進まれてシマイマシタ。』

 

鱗『でも、量より質って言うしな。』

 

凡戸『質のことを言えば、明なんて超上質だよね。』

 

明『ちょっと、人の事を年代物のワインみたいに言わないでよ。』

 

一同『アハハハハ!』

 

泡瀬『それに、明以外の4人だって、B組の精鋭揃いだぜ。』

 

骨抜『明と幼馴染みの塩崎、チョーカーを付けて修行した鉄哲と拳藤、そして庄田。なるほど、確かに精鋭だな。』

 

物間『みんな頼むぞ!君達5人で表彰台を独占して、ヒーロー科1年はA組よりB組の方が優秀だって事を、世界中の人に知らしめてくれ!』

 

拳藤『アンタまだそんな事言ってんの!』

 

明『ま、まぁA組B組どうこうはともかく、優勝目指して頑張るよ。』

 

回原『鉄哲も頑張れよな、応援してるぜ!』

 

鉄哲『おう!絶対優勝してみせるぜ!!』

 

取蔭『一佳と茨はB組女子の代表だからね。頑張ってよね。』

 

柳『一佳、応援してるからね。』

 

小森『一佳、頑張るノコ!』

 

拳藤『みんなありがとう。私も優勝目指して頑張る!』

 

小大『ん。茨、頑張れ。』

 

角取『茨、応援してマスからね!』

 

茨『皆さんありがとうございます。私、優勝出来るよう全力を尽くします。』

 

と、みんなが優勝目指して盛り上がっている中…

 

吹出『ん?どうした庄田、なんだか元気無さそうな顔してるけど。』

 

庄田『……みんなゴメン、僕最終種目辞退しようと思うんだ。』

 

一同『エーーーーーーーーッ!!!?』

 

突然の庄田君の発言にクラスメイトの数人が驚愕し、大声を出してしまい、そのせいで周りから注目を集めてしまった。

 

明『み、みんな静かに!他の人だって食事してるんだよ。』

 

円場『なんで辞退するんだよ!せっかくのチャンスなんだぜ!!』

 

鎌切『本戦で活躍すれば、プロヒーローの目にも止まるかもしれないんだぞ!』

 

柳『もしかして、体調悪いの?それとも騎馬戦の時に何処かケガしたとか?』

 

小森『それなら、早くリカバリーガールのところに行くノコ!』

 

庄田『いや、ケガや体調の問題じゃないんだ。』

 

泡瀬『じゃあ、どうして…』

 

拳藤『みんなSTOP!』

 

鉄哲『拳藤?』

 

拳藤『庄田、理由を話してくれる。そうじゃないとみんなも私も納得できないから。』

 

庄田『うん。実は騎馬戦のチーム決めの途中から、騎馬戦が終わるまでの記憶が全然ないんだ。』

 

宍田『庄田氏、一体どういう事ですか?』

 

庄田『多分、僕と組んだ普通科の生徒の個性だと思うんだけど、彼に話しかけられて、返事をした瞬間から騎馬戦終了までの記憶がないんだ。』

 

鱗『つまり、その普通科の生徒に声をかけられて、返事をしたら庄田はそいつに操られてしまったって事か?』

 

庄田『多分、そうだと思う。』

 

泡瀬『あっ!思い出した!!!』

 

回原『ど、どうしたんだよ泡瀬。いきなり声上げて?』

 

泡瀬『俺達もだよ。俺達も騎馬戦終盤に普通科の奴に挑発されて、言い返したら頭がボーッとして、気が付いたらハチマキ取られて終わってたんだ。』

 

骨抜『そういえば、確かそうだったな。』

 

凡戸『僕も彼に挑発されたの覚えてるよ。』

 

吹出『僕も。それで言い返したら、騎馬戦終わるまでの記憶がないんだ。』

 

物間『でも、どうしてそれで最終種目を辞退するんだ?別に出場してもいいじゃないか。』

 

庄田『明達4人は実力で勝ち残った。明に至ってはハンデがあるにも拘らずわだ。それなのに、実力如何以前に…何もしてない僕(・・・・・・・)が勝ち上がるのは、体育祭の趣旨と相反すると思うんだ。』

 

黒色『庄田…』

 

吹出『庄田、考え過ぎじゃないか?』

 

取蔭『そうだよ。それに庄田と組んだA組の2人も何もしてないんだから気にする事ないと思うよ。』

 

みんなは庄田君に最終種目に出場してもらおうと説得を続けた。そんな中、僕は庄田君の後ろに立ち、彼の肩を軽く叩いた。

 

明『庄田君、君がその決断をして後悔しないって言うなら、僕は君の意思を尊重するよ。』

 

庄田『明……』

 

明『みんなも、庄田君のしたいようにさせてあげてくれないかな。中途半端な気持ちで戦っても、いい結果なんて出ないと思うしさ。みんな、どうだろう。』

 

少しの間沈黙が続いた。そして…

 

拳藤『わかったよ。庄田、私もアンタの意思を尊重するよ。』

 

鉄哲『俺もだ庄田、お前の分まで戦ってやるぜ!』

 

茨『私もです、庄田さん。』

 

その後、他のみんなも納得してくれたようで返事をしてくれた。

 

明『庄田君、君の思い、僕達4人が引き継ぐよ。』

 

庄田『明、みんな、ありがとう。』

 

庄田君は安心したようで少し笑っていた。僕はその笑顔を確認して自分が座っていた席に戻った。そしてふと、庄田君が話した普通科の生徒の個性の事を考えていた。

 

明『それにしても、人を操る個性か…』

 

茨『明、もしかして掛かってみたいなんて思ってないですよね?』

 

明『えっ!?ど、どうしてわかったの?』

 

茨『はぁ。まったく、この後戦うかもしれないのに、不謹慎な事考えないで下さい!』

 

明『ご、ゴメン。そんなに怒らないでよ。』

 

吹出『明、お前の事だ、どうせドラゴンボールの魔道士バビディとベジータの事考えてたんだろ。』

 

明『ふ、吹出君、どうして分かるの?』

 

吹出『僕だってドラゴンボールが大好きだからね。明の考えてる事位手に取るように分かるさ。どうせ「自分も支配されて、ベジータみたいに逆らう事が出来るかなぁ」なんて考えてたんだろ。』

 

明『その通りです。』

 

角取『明、アレはベジータのとてつもなく高いPrideがあったから逆らえたんですよ。明にそんな高いPrideがあるんですか?』

 

明『そう言われると、ないです。』

 

吹出『だろ。そもそもバビディの魔術と普通科の生徒の個性なんて全く別物なんだから、逆らうなんて無理だって。』

 

角取『ソウデス。明、諦めて下サイ。』

 

明『は、はい。』

 

小森『ウ、ウフフ…』

 

取蔭『アハハハハ!』

 

僕が怒られている姿を見て、クラスメイトの何人かが笑いだしていた。

 

明『み、みんな、なんで笑うの?』

 

泡瀬『だってよ、普段真面目な明がくだらない事考えてこんなに怒られてるんだぜ。』

 

円場『そうそう。普段とのギャップがスゲェあってメチャメチャおもしれぇじゃねえか。アッハハハハ!』

 

明『そ、そんなに笑わなくても…』

 

茨『自業自得ですよ明、反省してください。』

 

明『はい。』

 

とまあ、色々あった昼食を終えて、僕達は会場に戻ることにした。会場に戻ると何故か1年A組の女子生徒6人がチアリーダーの格好をしており、みんな不思議がっていた。僕は八百万さんに話を聞いてみる事にした。

 

明『八百万さん、どうしてそんな格好してるの?』

 

八百万『明さん、実は…』

 

話を聞くと上鳴君と同じクラスの峰田という生徒に騙されてしまったそうだ。僕はくだらない事を考えるなぁと少し呆れてしまったが、同時にB組の女子(特に茨)に被害がなくてよかったと少し安堵した。

 

その後マイク先生の実況で、午後はまずレクリエーションが行われ、その後最終種目の1対1のトーナメントが行われると説明された。なお、ミッドナイト先生からトーナメント出場者はレクリエーションへの参加は自由と説明された。そして先にトーナメントの組み合わせを決めるくじ引きが行われる事になった。

 

そしてくじ引きが行われる前に、予定通り庄田君となんとA組の尾白君までもがトーナメント出場辞退を申し出た。話を聞くと尾白君も庄田君と似たような理由だった。そしてミッドナイト先生の“好み”という采配で2人の棄権は認められた。

 

ミッド『では、くじ引きの前にトーナメント表を見てもらうわ!』

 

ミッドナイト先生がそう言うと巨大モニターにトーナメント表が映し出された。

 

ミッド『トーナメント出場者が18人という事で、1番と18番がシード枠になっているわ。なので2番・3番・16番・17番に入った人は優勝までに他の人より1試合多い5試合する事になるけど、そこはPlus Ultraの精神で乗り越えてね。あと、試合順は連戦にならないよう考慮するから安心しなさい。』

 

上鳴『2・3・16・17には入りたくねぇなぁ。』

 

芦戸『試合数多いもんね。』

 

瀬呂『そう考えると、1番いいのは18番か。』

 

麗日『一番最後だから、他の選手の手の内がじっくり見られるよね。』

 

A組の生徒は皆思い思いの事を口にしていたが、正直僕はどこでも良かった。誰と戦っても楽しい勝負になると思っているからだ。

 

ミッド『それじゃあくじ引きよ。くじを引く順番は騎馬戦1位のチームの持ちポイントの多い人から引いてもらうわ。という事で、最初は野沢君、引いてちょうだい。』

 

明『ハイ。』

 

名前を呼ばれた僕はミッドナイト先生の前に行き、くじを引いた。その後茨達もくじを引いていき、以下の組み合わせになった。

 

トーナメント前半ブロック

【挿絵表示】

 

 

トーナメント後半ブロック

【挿絵表示】

 

 

物間『おいおい、何やってんだよ君達!片方のブロックにB組4人共固まっちゃったら、B組だけで表彰台独占出来ないじゃないか!』

 

回原『お前、まだそんな事言ってるのかよ。』

 

鱗『くじ引きなんだから仕方ないじゃないか。』

 

物間君はくじ引きの結果に不満を爆発させており、それをみんながたしなめていた。一方、当事者はというと…

 

鉄哲『ヨッシャー!明、1回戦絶対勝ち抜いてお前に初訓練のリベンジを果たしてやるからな!』

 

拳藤『鉄哲、それは私のセリフだよ!明、私も1回戦勝ち抜いて準々決勝で絶対明と勝負するんだからね。だから明も1回戦絶対勝ちなさいよね!』

 

明『うん、僕も2人と勝負出来るのを楽しみにしているよ。』

 

鉄哲君も拳藤さんも僕と勝負するのをとても楽しみにしていた。そして僕も2人と勝負するのをが楽しみだった。だがそれよりも僕が気がかりだったのは…

 

茨『明。』

 

明『あ、茨。』

 

茨『明、私必ず勝ち上がって準決勝に進出します。だから明も必ず準決勝まで勝ち上がってくださいね。』

 

明『う、うん。頑張るよ。』

 

茨『明と勝負するのを楽しみにしてますから。』

 

そう言って茨は僕から離れていった。正直頑張るとは言ったものの、茨を目の前にして果たして本当に勝負する事が出来るのかと考えていた。

 

柳『明…』

 

僕のまわりに柳さんや小森さん達が集まってきた。

 

小森『明、本当に茨と勝負するノコ?』

 

明『うん。正直戦いたくないって気持ちはあるよ。幼馴染で大切な彼女だからね。でも茨が僕と戦う事を望んでいるのに、僕が逃げるわけにはいかないよ。』

 

小大『明…』

 

明『だから戦うよ。茨のためにも、そして自分のためにも。』

 

角取『頑張ッテ下サイ。私明のコトも茨のコトも応援シテマス。』

 

取蔭『そういえば、トーナメントでの明のハンデってどうなるのかしら?』

 

明『そういえばそうだね。ミッドナイト先生に聞いてみないと。』

 

僕はミッドナイト先生にハンデの事を聞いてみる事にした。

 

ミッド『これにて、トーナメントの組み合わせ抽選会は終了よ。』

 

明『あの、ミッドナイト先生、質問いいですか?』

 

ミッド『どうぞ野沢君。そのかわり手短にね。』

 

明『トーナメントでも界王拳と舞空術は使用禁止なんですか?』

 

ミッド『ああそうだったわね。明君のハンデだけど、対戦相手に決めてもらう事にするわ。』

 

明『対戦相手って、どういう事ですか?』

 

ミッド『例えば、野沢君の最初の対戦相手は鉄哲君か切島君のどちらかよね。試合開始前に対戦相手にハンデが必要かどうか質問して、もし“いる”と答えた場合、かめはめ波・界王拳・舞空術の3つから2つを選んでもらい、明君にはその2つの技の使用を禁止してもらうわ。もし“いらない”と答えた場合、遠慮なく戦って構わないわ。わかったかしら?』

 

明『はい、分かりました。』

 

マイク『よーしそれじゃあトーナメントはひとまず置いといてイッツ束の間、楽しく遊ぶぞレクリエーション!』

 

その後、大玉転がしや借り物競走等のレクリエーションが行われた。トーナメントに出場する選手の殆どはレクリエーションには参加せず、神経を研ぎ澄ます者、緊張を解きほぐそうとする者と様々だった。そして僕もトーナメントに向けて集中力を高めていった。

 

そして楽しかったレクリエーションも終わり、セメントス先生の手により会場中央にトーナメント用の武舞台が用意された。この後、いよいよ最終種目のトーナメントが開始される!




27話いかがだったでしょう。色々考えた結果、このような組み合わせになりました。前半の9人の準決勝までで原作の決勝爆豪対轟を再現した結果、轟対瀬呂・爆豪対切島を削る事にしました。轟はともかく、爆豪は麗日・切島・常闇戦のどれを削るか悩みました。後半9人はほぼ小説オリジナルの組み合わせです。本当は明対A組メンバーを多くしたかったのですが、あまり原作を荒らさないような組み合わせにするとこのようになりました。せっかくアンケートな答えてもらったのに、申し訳ありません。次回もお楽しみに。ご意見・ご感想お待ちしています。


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第28話 ガチバトルトーナメント1回戦

随分遅くなりました。トーナメント、明の試合以外の1回戦です。どうぞ。


遂に雄英体育祭の優勝者を決める1対1のガチバトルトーナメントがスタートする。まずはシード枠を含めた1回戦だ。

 

ちなみに、1回戦の試合の順番だが

 

① 緑谷対心操  ② 常闇対八百万

 

③ 麗日対爆豪  ④ 塩崎対上鳴

 

⑤ 芦戸対青山  ⑥ 鉄哲対切島

 

⑦ 轟対①の勝者 ⑧ 飯田対発目

 

⑨ 拳藤対瀬呂  ⑩ ⑥の勝者対野沢

 

となっている。

 

〜1回戦 第1試合 緑谷対心操〜

 

試合開始早々緑谷君は対戦相手の心操君の挑発に乗ってしまい操られてしまった。やはり床田君達が言っていたように彼の言葉に反応して返事をしてしまうと操られてしまうという個性のようだ。

 

そして心操君に場外に出るよう命令された緑谷君は場外に向かって歩き出した。そして場外まであと一歩となったところで緑谷君は立ち止まり

 

『バキッ!!ブォ!!!』

 

緑谷君の体から衝撃波が発生し、その衝撃で緑谷君は正気に戻った。その後は取っ組み合いの末緑谷君が心操君を一本背負いで地面に叩きつけて緑谷君が勝利した。

 

僕は緑谷君の個性や操られた状態でどうやって衝撃波を発生させたのかが気になったのでA組の生徒に聞いてみる事にした。

 

舞空術で浮いて塀の向こうのA組の席を覗くとちょうど塀の近くに耳郎さんが座っていたので聞いてみた。

 

明『ねぇ耳郎さん、聞きたい事があるんだけどいいかな?』

 

耳郎『ん?何明、なんか用?』

 

明『緑谷君の個性なんだけど、どういう個性か知ってたら教えてくれないかな。』

 

耳郎『緑谷の個性?ウチも詳しい事はよく知らないんだけど…そうだ!ねぇ梅雨ちゃん、緑谷の個性の事なにか知ってる?』

 

蛙吹『緑谷ちゃんの個性?緑谷ちゃん本人は超パワーって言ってたわ。使った先からバッキバキになるとも言ってたけど。』

 

明『超パワーって、僕の界王拳みたいな物って捉え方でいいのかな?』

 

蛙吹『多分それでいいと思うわ。野沢ちゃんのように上手くコントロール出来ないみたいだけど。』

 

明『ふーん。でも、その個性でどうやって操られた状態で衝撃波を発生させたんだろう?』

 

蛙吹『さあ、そこまでは私にも解らないわ。』

 

明『そうか。ありがとう耳郎さん、それから…』

 

蛙吹『蛙吹梅雨よ、梅雨ちゃんと呼んで。』

 

明『ありがとう梅雨ちゃん。僕の事は名前の明で呼んでもらえるかな。あとさっきはゴメンね、エネルギー弾ぶつけたりして。』

 

蛙吹『ケロッ。わかったわ明ちゃん。あと騎馬戦の事は気にしてないから安心して。』

 

明『ありがとう、じゃあ。』

 

僕は緑谷君の個性の事を気にしつつも、次の試合を観戦することにした。

 

〜1回戦 第2試合 常闇対八百万〜

 

この試合は常闇君が個性の“黒影(ダークシャドウ)”で猛攻を仕掛け、せっかく創造したアイテムを使えない八百万さんは防戦一方となり、気付かないうちに場外に押し出されてしまい、常闇君が勝利した。

 

茨『では、私は次の次が試合なので、そろそろ控室に向かいますね。』

 

角取『茨、頑張ッテ下サイ。』

 

回原『負けんなよ塩崎!』

 

みんな茨にエールを送っていた。そして僕も

 

明『頑張れ茨。僕も必ず準決勝に進出するからね。』

 

そう言って茨の前に拳を突き出した。

 

茨『ハイ!』

 

茨は僕の拳にグータッチをして控室に向かっていった。

 

〜1回戦 第3試合 麗日対爆豪〜

 

この試合は壮絶なものとなった。爆豪君に突っ込んでいく麗日さんを爆豪君は個性の爆破を使いふっ飛ばす。それが何度も何度も続いてしまい、会場からはブーイングが起こっていたが、それを聞いた相澤先生が

 

相澤『今遊んでるつったのプロか?何年目だ?シラフで言ってんなら見る意味ねぇから帰れ!帰って転職サイトでも見てろ!ここまで上がってきた相手の力を認めてるから警戒してんだろう!』

 

と一喝してブーイングをやめさせた。その後麗日さんは密かに頭上に浮かせていた爆破によって出来た大量の瓦礫を爆豪君に向かって降り注いだ。しかし爆豪君はすべての瓦礫を爆破で粉々にした。その後体力の限界を迎えた麗日さんは倒れて行動不能となり、爆豪君が勝利した。

 

鉄哲『んじゃ、そろそろ俺も行くぜ。みんな、俺の分まで塩崎の応援頼んだぜ。』

 

泡瀬『頑張れよ鉄哲!』

 

小大『ん。鉄哲、頑張れ。』

 

明『鉄哲君、僕の最初の相手は鉄哲君だと思ってるからね。頑張ってね。』

 

鉄哲『おう!明、シード席で待っててくれよな。』

 

茨同様鉄哲君もみんなのエールを受け、最後に僕とグータッチをして控室に向かっていった。

 

〜1回戦 第4試合 塩崎対上鳴〜

 

マイク『B組からの刺客!!キレイなアレにはトゲがある!?ヒーロー科塩崎茨!VS、スパーキングキリングボーイ!ヒーロー科上鳴電気!!』

 

選手の紹介が終わりマイク先生がスタートの合図をしようとした。だが…

 

茨『あの、申し立て失礼いたします。刺客とはどういうことでしょう?私はただ勝利を目指しここまで来ただけであり、試合相手を殺める為に来たわけではありません。』

 

マイク『ごっごめん!!』

 

茨『そもそも、私が雄英高の進学を希望したのは、決して邪な考えではなく、多くの人々を救済したいと思ったからであり…』

 

マイク『だからごめんってば!俺が悪かったから!!』

 

自分の紹介が不適切だと思った茨はマイク先生に異議を申し立てていた。そしてマイク先生から謝罪を受けた茨は笑顔で武舞台に戻った。そんな茨を上鳴君は何やら考え事をしながら見つめていた。

 

マイク『とっとにかく、START!!』

 

上鳴『ねぇねぇ、これ終わったら飯とかどうよ?俺でよけりゃ慰めるよ。』

 

茨『えっ?』

 

上鳴『多分この勝負、一瞬で終わっから!』

 

そう言ってナンパしてきた上鳴君は開始早々最大電力の電撃を放ってきた。しかし茨は上鳴君に背を向け髪の毛のツルを地面に突き刺して切り離し、ツルで壁を作り電撃をガードした。

 

さらに茨はツルを伸ばし上鳴君に巻き付け拘束した。その後上鳴君は拘束を解く事が出来ず、茨が勝利した。この間僅か数秒、マイク先生の実況通りの“瞬殺”だった。

 

茨『ふぅ。与えられたチャンス、無駄にせずにすみました。さてと…』

 

試合終了後、何故か茨は上鳴君に近付いていった。

 

茨『上鳴さん、先程のお誘いですが、お受けしても構いませんよ。』

 

上鳴『ウェーイ。ってマジで!?一緒に飯行ってくれるの?』

 

茨の思いがけない返事に上鳴君のアホ状態が一瞬で解消してしまった。

 

茨『はい。ただし1つだけ条件があります。』

 

上鳴『なになに?飯代だったら俺がゴチするよ。』

 

茨『明に勝って下さい。』

 

上鳴『へ?』

 

茨『言葉通りです。上鳴さんが明に勝つことが出来ましたら、お誘いをお受けいたします。私は明より強い男性からのお誘いしかお受け致しませんので。』

 

そう言うと茨は武舞台を後にした。残された上鳴君は呆然とし、再びアホ状態に戻ってしまった。

 

マイク『な、なあイレイザー、塩崎の奴サラッとスゲェ事言ってたと思うが…』

 

相澤『ブラドから聞いた話では、塩崎と野沢は小学1年の頃からの幼馴染みだそうだ。だがもしかする、それ以上の関係かもしれんな。』

 

マイク『いやいや、絶対そうだろ!!』

 

試合終了後、観客席では試合内容や茨の個性や上鳴君への発言の事でザワザワしていた。B組のみんなも盛り上がっていたが、そんな中僕はただ一人頭を抱えていた。そしてしばらくして茨が席に戻ってきた。

 

拳藤『おかえり茨。1回戦突破おめでとう。』

 

鎌切『やったな塩崎。』

 

茨『皆さんありがとうございます。』

 

小森『ねぇ茨、なんで最後上鳴にあんな事言ったノコ?』

 

茨『あれは、上鳴さんのせっかくのお誘いを無下に断るのもどうかと思いましたので、自分の思いを素直にお伝えしただけなのですが。』

 

取蔭『なるほど、茨らしいね。でもアンタ、自分が爆弾発言したってわかってる?』

 

茨『爆弾発言?何がですか?』

 

取蔭『やっぱりわかってないか。あのねぇ茨、この雄英体育祭は全世界に中継されてるんだよ。つまりアンタと明が特別な関係だって事が全世界の視聴者に知れ渡ったって事。』

 

取蔭さんの説明を聞いた茨は顔を真っ赤にして動揺していた。

 

茨『わっわわわ私は別にそのような事を言ったつもりはなくて、たっただ上鳴さんのお誘いをお断りしただけで。そ、それに私と明がお付き合いをしていると言った訳ではありませんし…』

 

茨はそんな言い訳をしていたが、試合後の発言を聞けば僕と茨がそういう関係だって誰でも気付くとB組女子全員に言われていた。

 

明『だ、大丈夫だよ茨。僕は気にしてないから。悪いのはナンパしてきた上鳴君の方だし、それにヒーローになれば嫌でも目立つようになるんだから。』

 

そう言って僕は茨をフォローしたが、内心では「今後落ち着いた高校生活を送れるのかな」と、ちょっと心配になったりもした。その後、A組の女子数名から僕と茨がどういう関係なのか質問攻めに合うのだった。

 

〜1回戦 第5試合 芦戸対青山〜

 

ベルトからレーザーを発射して遠距離から攻撃する青山君に対して、芦戸さんは武舞台を滑るように移動してレーザーを躱していく。それからしばらくすると青山君の顔色が悪くなっていき、それを見た芦戸さんは一気に距離を詰め、青山君のベルトに酸性の強い液体をかけてレーザーを発射できなくした。そして最後は芦戸さんが強烈なアッパーカットを青山君に決めて芦戸さんが勝利した。

 

宍田『あの身のこなしは脅威ですな。』

 

柳『それに青山のベルトを壊した酸。きっと茨のツルも簡単に溶かすはずよ。』

 

円場『準々決勝は一筋縄では行かなそうだな。頑張れよ塩崎。』

 

茨『勿論です。準決勝で明と勝負するためにも、絶対に負けられません。』

 

準々決勝の対戦相手が芦戸さんに決まった茨は静かに闘志を燃やしていた。

 

〜1回戦 第6試合 鉄哲対切島〜

 

切島君の個性は鉄哲君の個性“スティール”と同じ体を硬くさせる個性のようで、2人は真正面から殴り合っていたが、互角の勝負が続いていた。だが互角と思えた戦いも少しずつ均衡が崩れ始めた。

 

鉄哲君が切島君を押し始めたのだ。どうやら僅か1週間程だったが、2倍の重力の下で修行した事で、僕との初訓練の時よりも格段にレベルアップしているようだ。そして壮絶な殴り合いの末、最後は互いのクロスカウンターが決まったが、切島君は耐える事が出来ずダウンしてしまい、鉄哲君が勝利した。

 

鉄哲『ヨッシャー!!俺の勝ちだ!!!』

 

切島『クッソー!!お前強えなぁ。俺と個性ダダ被りなのに、なんで攻撃も防御も俺より上なんだよ?』

 

鉄哲『へへっ。体育祭までの約1週間、通常の2倍の重力の下で修行したからな。』

 

切島『2倍の重力!?どういう事だよ、詳しく教えてくれよ!』

 

鉄哲『体育祭が終わったら教えてやるよ。』

 

切島『約束だぜ!それと今度は絶対俺が勝つからな!!次の試合も頑張れよ!!!』

 

試合後鉄哲君と切島君は再戦の約束をし、硬く握手を交わした。その様子をミッドナイト先生は何やら感激した様子で見つめていた。そして数分後、鉄哲君が帰ってきた。

 

凡戸『鉄哲、1回戦突破おめでとう。』

 

吹出『見てるこっちもハラハラドキドキしたよ!』

 

鉄哲『これも全て明のおかげだ。明、ありがとな。』

 

明『僕はチョーカーと修行の場所を提供しただけだよ。この結果は鉄哲君の修行の賜物だよ。』

 

黒色『次はいよいよ鉄哲と明が勝負するのか。』

 

鱗『鉄哲、次の試合まであまりインターバルないけど大丈夫か?』

 

鉄哲『心配ねぇ。明、遠慮なんかいらねぇから全力で来てくれよな!』

 

明『勿論。僕も鉄哲君相手ならおもいっきりやれるしね。』

 

遂に僕の最初の対戦相手が決定した。初訓練以来の鉄哲君との対戦。悟空じゃないが今からワクワクしている。きっといい試合になるだろう。

 

〜1回戦 第7試合 轟対緑谷〜

 

開始早々氷塊を放ってくる轟君に対して緑谷君はデコピンで衝撃波を放ち氷塊を破壊していった。だが衝撃波を放った事により緑谷君は指を痛めていた。どうやら梅雨ちゃんの言うとおり個性の“超パワー”をコントロール出来ないようだ。

 

その後も轟君は氷塊を放ち、緑谷君は指を痛めながらもデコピンで衝撃波を放ち氷塊を破壊していた。そのせいで緑谷くんは両腕がボロボロなっていたが、轟君は氷塊を出し続けた事により寒さで震えていた。それを見た緑谷君は

 

『全力でかかってこい!!』

 

と怒鳴っていた。どうやら右の氷だけしか使わず左の炎を使わない事に怒っているようだ。その後何やら話しながら戦う2人だったが、遂に轟君が左の炎を使用した。そして2人は渾身の力でぶつかりあった。

 

明『や、ヤバい!波あぁっ!』

 

2人がぶつかりあうと今まで冷やされた空気が熱された事で膨張し、2人のパワーも相まって凄まじい爆風が発生した。瞬時にそれを察知した僕は気を込めた衝撃波を放ち爆風を防いだ。

 

明『ふう。みんな大丈夫?ケガはない?』

 

茨『だ、大丈夫ですよ明。』

 

凡戸『物凄い爆風だったね。』

 

なんとかB組のみんなを守る事が出来たようだ。

 

骨抜『そういえば、緑谷と轟はどうなったんだ?』

 

煙が晴れ、武舞台を見ると轟君1人が立っていた。そして緑谷君は場外に吹き飛ばされていた。こうしてこの試合は轟君が勝利した。

 

拳藤『よしっ!もうすぐ私の出番だ。じゃあみんな、控室行ってくるよ。』

 

取蔭『一佳、頑張りなよ!』

 

物間『頑張れよ拳藤。B組の生徒がA組より優秀だって事を見せつけてくれ!』

 

拳藤『ハイハイ。あっそうだ鉄哲、私は準々決勝で明と戦いたいんだ。だから明とアンタの試合、悪いけど私は明を応援するからね。』

 

鉄哲『ああ。けど結果がどうなるかはやってみないとわからないぜ。』

 

拳藤『明、私は絶対勝って準々決勝に進むから、明も絶対鉄哲に勝って準々決勝に進みなさい。いい、絶対よ!』

 

明『うん。僕も拳藤さんの期待に応えられるよう頑張るよ。』

 

僕はそう言って拳を突き出し、拳藤さんはグータッチをして控室に向かっていった。

 

〜1回戦 第8試合 飯田対発目〜

 

この試合は思わぬ展開となった。発目さんは自分が開発したサポートアイテムを飯田くんに装着させて、鬼ごっこをしながらなんと観客に向かってアイテムのプレゼンを始めたのだ。

 

そしてプレゼンが終わると思い残す事は無いと言って自ら場外に出ていった。その後飯田君は『騙したなあああ!!!』と怒っていたが、なにはともあれ飯田君が勝利した。

 

ただ、僕や茨は試合内容よりも気になる事があった。それは…

 

茨『彼女、読み方は違いますが、明と同じ名前なんですね。』

 

明『そうだね。昔父さんと母さんに聞いた事があるんだけど、もし僕が女の子だったら、彼女と同じ“明(メイ)”か“アラレ”って付けるつもりだったらしいよ。』

 

柳『ねぇ明、“メイ”はともかく“アラレ”って何?』

 

明『吹出君、わかるよね。』

 

吹出『もちろん!Dr.スランプだろ。』

 

明『正解。』

 

そしてこの後の拳藤さんの試合の次は、いよいよ僕と鉄哲君の試合だ。

 

明『ようやく出番が回ってきたよ。みんな、僕たちの分も拳藤さんの応援ヨロシクね。じゃあ鉄哲君、行こうか。』

 

鉄哲『おう。修行の成果、お前に全部見せてやるぜ!』

 

明『それは僕も同じだよ。お互い悔いの無い試合をしよう。』

 

そう言うと僕たちはグータッチをした。

 

明『あ、そうだ!茨、悪いけどカード預かっといて。』

 

僕は首にかけてある仮免のライセンスカードを外して茨に預けた。

 

茨『明のライセンスカード、私が責任をもってお預かり致します。』

 

柳『明、鉄哲、2人共頑張って。』

 

床田『好勝負を期待しているよ。』

 

みんなの応援を胸に、僕たちは控室に向かった。

 

〜1回戦 第9試合 拳藤対瀬呂〜

 

開始早々瀬呂君は肘からテープを伸ばし拳藤さんを拘束しようとした。だが拳藤さんはテープを素早く躱し、一気に瀬呂君との間合いを詰めて巨大化させた掌底を瀬呂君に放ち、瀬呂君を場外につきとばして拳藤さんが勝利した。

 

あっという間の出来事に会場から瀬呂君に対しドンマイコールが起こっていた。そして勝利した拳藤さんは急いでB組の席に帰っていった。

 

拳藤『はぁはぁ、みんなただいま。明と鉄哲の試合は?』

 

柳『大丈夫よ一佳、もうすぐ2人が入場するところだから。』

 

鎌切『スゲーな拳藤、速攻で勝っちまったな。』

 

拳藤『ああ、修行を頑張った甲斐があったよ。』

 

床田『いよいよ鉄哲と明の試合か。』

 

角取『2人共頑張ッテほしいです』

 

茨『明、頑張って下さい。』

 

みんな僕と鉄哲君の試合を楽しみにしていた。一方、隣のA組も…

 

麗日『あ、デク君!もういいの!?』

 

緑谷『う、うん。なんとかね。本当はノートとりたいから右腕も自由にしたかったんだけど、ダメだって。』

 

飯田『緑谷君も気になるのか、彼の事が。』

 

緑谷『勿論!悟空の個性を持つ明君がどんな戦いをするか、この目で見ておきたいからね。』

 

芦戸『ヤオモモや耳郎達は彼が戦う姿を見てないの?』

 

八百万『ええ。推薦入試では戦闘はありませんでしたし。』

 

耳郎『USJでもヴィランに当て身と太陽拳しかしてないからね。』

 

切島『鉄哲相手にどんな勝負するか楽しみだぜ!』

 

A組のみんなも僕が戦うのを観るのが楽しみなようだ。

 

次回遂に野沢明、出陣!




28話いかがだったでしょう。本当なら明の試合もこの話で書こうと思ったのですが、思いのほか文字数が多くなったので明の試合だけ次回に持ち越しました。前半のA組メインのブロックは原作と同じ内容にしました。後半のB組メインのブロックはかなりオリジナルな内容にしています。もし読んでいて違和感などがありましたら感想でお願いします。次回はいよいよ明対鉄哲になります。次回もお楽しみに。ご意見・ご感想よろしくお願いします。


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第29話 明 対 鉄哲

大変お待たせいたしました。29話です。相変わらず戦闘描写は苦手です。駄文ですがよければ読んで下さい。どうぞ。


マイク『さあさあ、長かった1回戦も残すところあと1試合!この試合でベスト8が出揃うぞ!!早速行くぜ!!!まずは…

 

その鋼の肉体で如何なる攻撃もはね返す!?ヒーロー科鉄哲徹鐵!VS、満を持しての登場!悟空の個性を持つ男!!ヒーロー科野沢明!!』

 

マイク先生の紹介の下、僕達は武舞台に上がった。

 

ミッド『では鉄哲君、ハンデはどうする?』

 

鉄哲『要りません。明とは手加減無しで勝負したいですから。』

 

ミッド『分かったわ。では野沢君、ハンデ無しで自由に技を使って構わないわ。』

 

明『はい、分かりました。』

 

マイク『それじゃ行くぜ!BATTLE…START!!!

 

鉄哲『いくぜっ!!』

 

開始早々鉄哲君は個性のスティールを使い僕に突っ込んで来た。

 

そして僕に体当たりを放ち、続けてパンチを連発してきた。

 

明『はあああああっ!!』

 

僕は全ての攻撃をガードし、お返しとばかりにスラッシュダウンキックや激烈連脚など蹴り技を中心に攻撃した。が、鉄哲君は個性のスティールを使い全ての攻撃をガードした。

 

そんな攻防がしばらく続いた後、僕達は一旦間合いを取り、睨み合っていた。

 

明『さすが、修行しただけあって初訓練の時よりもパワーもスピードもアップしてるね。でも防御にもスティールを使って大丈夫なのかい?』

 

鉄哲『お前相手じゃ生身で防御しても無駄だからな。それより、お前も本気出したらどうだ。』

 

明『なら遠慮なくいくよ…界王拳!

 

マイク『おーっと野沢、遂に界王拳を使ってきたぞ!』

 

相澤『入試の時点では1.5倍と2倍が使えると言っていたが、今は…』

 

僕は界王拳2倍を使った。後の事も考えて3倍以上は切り札として取っておきたいからだ。だが、

 

鉄哲『明、俺は本気を出せと言ったはずだぜ。』

 

明『えっ?』

 

鉄哲『今使ってる界王拳は2倍だろ。お前は体育祭までの2週間、20倍の重力の下で修行してきた。だったら3倍界王拳も使えるんじゃないのか。』

 

明『…』

 

鉄哲『俺は全力でかかってこいって言ったはずだぜ。それとも、使った反動でしっぺ返しをくらうのが怖いのか?』

 

鉄哲君の発言を聞いたA組の生徒や観客、警備に来ていたプロヒーロー達はみんなザワザワしていた。

 

砂藤『20倍の重力の下で修行だって!?』

 

瀬呂『本当に悟空みたいな修行やってんだな。』

 

切島『鉄哲の2倍にも驚いたけど、20倍かよ…』

 

そして鉄哲君の挑発を聞いた僕も覚悟を決める事にした。

 

明『わかったよ。本当は温存しておきたかったんだけど、そこまで言われたら使わない訳にはいかないね。』

 

僕は上半身の服を脱ぎ捨て裸になった。

 

葉隠『す、スゴイ!!』

 

峰田『何だよあの体、あれが高校1年の体かよ!?』

 

そして目を瞑り意識を集中させた。

 

明『カラダもってくれよ!!3倍界王拳だっ!!!!!

 

僕は3倍界王拳を使うため気を高めていった。

 

明『だあああああああああああああっ!!!』

 

そして徐々に筋肉が盛り上がっていき、体中から凄まじい勢いで蒸気を発していた。

 

マイク『お、おい野沢の奴大丈夫かよ。筋肉がどんどん発達していくし、体中から煙出てるぞ。』

 

相澤『3倍界王拳を使おうとしてるんだ、当然だ。原作では悟空が使ってその反動でダメージを負っているが、鉄哲の言うとおり20倍の重力の下で修行したのならば、もしかしたら…』

 

そしてしばらく時間が経ち、僕は界王拳を3倍まで上げ終えた。

 

明『待たせたね。これがお待ちかねの3倍界王拳だよ。』

 

会場にいる全ての人は3倍界王拳を使った僕の姿を見て驚愕していた。

 

緑谷『あ、あれが3倍界王拳…』

 

麗日『か、か、カッコいい!!』

 

八百万『私達は気を感じる事は出来ませんが、明さんの物凄いパワーが伝わってきますわ。』

 

上鳴『あんなの勝てっこねえよ!!!』

 

爆豪『ケッ!!』

 

轟『……』

 

A組の生徒はみんな思い思いの事を口にしていた。そして鉄哲君も

 

鉄哲『(ス、スゲェ。2倍と3倍でこんなに違うのかよ。)ようやくか。さあ、どっからでもかかってきやがれ!!!』

 

明『それじゃあ…』

 

僕は腰をかがめ、クラウチングスタートの体制になった。そして

 

明『よーい……ドン!!!!!

 

僕は合図と共に鉄哲君に突っ込んで行った。

 

常闇『は、速い!』

 

尾白『消え…た?』

 

あまりのスピードにほとんどの人には僕が消えたように見えていた。

 

明『だりゃあぁぁぁ!!!』

 

鉄哲『ぐわぁっ!』

 

僕は鉄哲君の横っ面に肘打ちを打ち込んだ。

 

吹出『あれはまさか、メテオコンビネーション!?』

 

角取『そうデス、間違いありません!』

 

小森『ポニーと吹出、明が使ってる技がわかるノコ?』

 

角取『ハイ!あれはメテオコンビネーションと言って、天下一武道会で悟空がピッコロに使った技デス。』

 

吹出『クラウチングスタートの体制からよーいドンの掛け声と共に相手に突撃して、まずは顔面に肘打ちを打ち込む。次に…』

 

明『だだだだだだだ!どりゃあ!!』

 

吹出『物凄いスピードで連続でキックを放ち、そして…』

 

明『だありゃあっ!!!』

 

ズドン!

 

鉄哲『が…はっ…』

 

角取『強烈なbody blowを叩き込みます。そしてfinishに、』

 

明『ふっ!』

 

僕は鉄哲君の真上に飛び上がった。

 

相澤『いかん!セメントス、鉄哲を守れ!!』

 

僕が何をするか察した相澤先生はセメントス先生に鉄哲君を守るように指示し、それを聞いたセメントス先生は鉄哲君をセメントで覆い尽くそうとした。それでも僕はお構いなしに

 

明『かー、めー、はー、めー…

 

口田『!?』

 

障子『お、おい、本当に打つのか!?』

 

芦戸『しかも3倍界王拳の状態で!?』

 

明『波ああっ!!!

 

僕は鉄哲君にかめはめ波を打ち込んだ。

 

ギュイーーーーーーーーーン!

 

鉄哲『あああああああああああああっ!』

 

ドガーーーーーーーーーーン!

 

かめはめ波は動けない鉄哲君に直撃し、爆風が会場全体を襲った。そしてかめはめ波を打ち終えた僕は武舞台に着地した。武舞台には大きなクレーターが出来ており、その中心で鉄哲君は気絶しているようだった。

 

明『ミッドナイト先生、お願いします。』

 

僕はミッドナイト先生を呼んで鉄哲君を見てもらうことにした。

 

ミッド『野沢君、いくらリカバリーガールがいるからって、最後のかめはめ波は流石にやりすぎよ!』

 

明『すいません。でも打つ前にセメントス先生が鉄哲君を守るのが見えましたし、それにかめはめ波を打つ直前に3倍界王拳は解除しましたから。』

 

ミッド『あらそうだったの。ではこの勝負…』

 

明『あ!待ってくださいミッドナイト先生、1つお願いが。』

 

僕はミッドナイト先生に耳打ちしてある事をお願いした。

 

ミッド『わかったわ。それじゃあ…ワン、ツー、』

 

そう、僕はミッドナイト先生にカウントを数えるよう頼んだのだった。せっかくメテオコンビネーションを使ったのだし、できるだけ原作を再現したかったからだ。

 

ミッド『スリー、フォー、ファイブ、シックス、』

 

観客『セブン、エイト、』

 

途中からミッドナイト先生につられて観客達も一緒にカウントをしだした。

 

観客『ナイン、』

 

そしてミッドナイト先生や観客達が最後の“テン”をコールしようとしたその時!

 

鉄哲『まだだ!!!!!』

 

目を覚ました鉄哲君が大きな声を出して叫んだ。

 

鉄哲『明、おっ、俺はまだ負けた訳じゃねえ!ミッドナイト先生、ま、まだやれます、戦えます!』

 

そう言いながら鉄哲君はクレーターを登り、武舞台に戻ってきた。

 

明『驚いた。確かにセメントス先生が守ったし3倍界王拳も解除したけど、かめはめ波をまともにくらってまだ立ち上がってくるなんて。』

 

鉄哲『ハァハァ、明、勝負はこれからだ!行くぞ!!』

 

そう言って鉄哲君は僕に向かって走ってきた。だが、

 

『バタン!』

 

体力の限界を迎えた鉄哲君は走っている途中で倒れ込み気絶してしまった。

 

ミッド『鉄哲君戦闘不能により、勝者、野沢君!』

 

ミッドナイト先生により僕の勝利が宣告された。僕は鉄哲君を担いでリカバリーガールの所へ行く事にした。僕達が武舞台から退場する際、観客席では僕の3倍界王拳やかめはめ波の威力の事、鉄哲君の耐久力の事等で盛り上がっていた。一方でA組の生徒は…

 

青山『スゴイ☆。』

 

耳郎『順当に行けば轟・飯田・常闇・爆豪の誰かが決勝で戦うんだよなぁ。』

 

峰田『あんなの悟空本人じゃねえか!悟空相手にどうやって勝つんだよ!』

 

蛙吹『ケロ?緑谷ちゃんどうしたの?体震えてるようだけど大丈夫?』

 

緑谷『だ、大丈夫。ただ今の試合の事をノートに取りたくてウズウズしてるだけだから。』

 

飯田『落ち着け緑谷君、後で録画した試合の映像を見ればいいじゃないか!』

 

切島『でも、かめはめ波をくらっても立ち上がった鉄哲も大したもんだぜ。』

 

と、思い思いの反応をしていたようだ。

 

〜リカバリーガールの出張保健所にて〜

 

RG(リカバリーガール)『これで大丈夫。(じき)に目が覚めるよ。』

 

明『ありがとうございました。では、僕はみんなのところに戻りますね。』

 

RG『お待ち。お前さんは大丈夫なのかい?短時間とはいえあんな体に無茶な技を使ったんだ。使った反動のダメージがあるんじゃないのかい?』

 

明『大丈夫です。多少痛みはありますが我慢できない程じゃありませんから。』

 

RG『そうかい、だが無理するんじゃないよ。辛くなったらいつでも私の所へおいで。』

 

明『ありがとうございます。それでは、失礼します。』

 

僕は鉄哲君をリカバリーガールに任せて保健所を出た。リカバリーガールに言った通り確かに3倍界王拳を使った反動の痛みはある。だが初めて3倍界王拳を使った時と比べたらたいした痛みではない。たった2週間とはいえ20倍の重力下での修行の効果はしっかり出ているようだ。その後僕はクラスメイトのいる観客席に戻った。

 

明『みんなただいま。』

 

茨『お帰りなさい明。1回戦突破おめでとうございます。』

 

明『ありがとう、茨。』

 

取蔭『明、鉄哲は?』

 

明『リカバリーガールの所で休んでるよ。(じき)に目が覚めるって。』

 

柳『そう、それなら安心ね。』

 

角取『明、さっきのメテオコンビネーションとてもカッコよかったデス。』

 

吹出『ホントホント。明の事が本物の悟空に見えたよ。』

 

明『2人共、ありがとう。』

 

泡瀬『ところで明、3倍界王拳使って体は大丈夫なのかよ?』

 

回原『そうそう、しっぺ返しのダメージ受けてるんじゃないのか?』

 

明『それなら大丈夫。多少痛みはあるけど我慢出来ない程じゃないから。』

 

円場『そうか、それなら拳藤との勝負も心配ないな。』

 

明『うん。拳藤さん、約束通り1回戦突破したよ。』

 

拳藤『ああ。明、今度は私がアンタにリベンジする番だ。鉄哲の分までやってやるからね、見てなさい!』

 

明『うん。僕も拳藤さんとの勝負を楽しみにしているよ。』

 

こうしてシード枠を含む1回戦が全て終了し、準々決勝に進出する8人が出揃った。

 

次回準々決勝、これまでよりもさらに熱い試合が展開される。

 

30話に続く




29話いかがだったでしょう。まずは3ヶ月近く更新が遅れてすいませんでした。仕事などのこちらの都合で遅くなってしまいました。そして本文ですが、メテオコンビネーションを入れたいという思いは最初からあったのですが、他の戦闘描写がものすごくあっさりしてしまいました。文才のない自分が情けないです。それでも、この後書きまで読んで下さった方には本当に感謝しています。こんなド素人の駄文を読んでくださりありがとうございます。次回もお楽しみ。ご意見・ご感想お待ちしています。


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第30話 ガチバトルトーナメント準々決勝

お待たせしました、30話です。今回は準々決勝4試合の内の明対拳藤戦以外の3試合になります、どうぞ。


〜準々決勝 第1試合 轟対飯田〜

 

開始早々轟君が氷結を放つが、飯田君はレシプロバーストを使い氷結を躱しながら一気に距離を詰め轟君を蹴りつけた。そのまま轟君を鷲掴みにして場外に投げ飛ばそうとするが何故か動きが止まってしまう。なんと轟君は飯田君に蹴られた瞬間、足の排気筒に氷を詰めていたのだった。その後轟君は飯田君の腕を掴んで凍らせ動けなくして轟君が勝利した。

 

骨抜『さすが、エンデヴァーの息子だけあって強いな。』

 

鱗『右の氷だけじゃなく左の炎も使えるんだ。もし戦う事になったら強敵だぜ。』

 

と、B組のみんなも色々な事を言っていたが、そんな中僕はいつもの悪い癖を出してしまった。

 

吹出『明、お前またよからぬ事考えてるでしょ。』

 

明『なっ、何言ってるの吹出君?』

 

吹出『表情が食堂の時と一緒だったからね。どうせ「自分も氷漬けにされたら界王拳でブチ破れるかなぁ」なんて考えてたんでしょ。』

 

明『やれやれ、吹出君の前じゃドラゴンボール関連の事で隠し事は出来ないな。お願い、みんなには黙っててよ。こんな事で試合に水を差したくないからさ。』

 

吹出『わかってるって、僕もそこまで鬼じゃないよ。』

 

明『ありがとう、吹出君。』

 

(ちなみに、明が考えていたシーンは映画「ドラゴンボールZ この世で一番強いヤツ」のワンシーンで悟空が敵の部下の戦士によって氷漬けにされたのを界王拳で吹き飛ばすシーンの事です。)

 

〜準々決勝 第2試合 常闇対爆豪〜

 

この試合は相性が最悪なものとなってしまった。常闇君の個性“黒影(ダークシャドウ)”は光が弱点のようで、爆豪君が放つ爆破による光によって黒影は弱体化していた。常闇君はなんとかして爆豪君を黒影で捕まえようとしたが、爆豪君はそれを躱し常闇君の背後に回り込み太陽拳のような強力な光を発生させた。その後、爆豪君は常闇君の嘴?を掴んでマウントを取り、常闇君はギブアップして爆豪君の勝ちが決定した。

 

円場『爆豪の奴も強いなぁ。』

 

回原『準決勝は轟と爆豪の対戦になるのか。どっちが強いんだろうな。』

 

取蔭『それよりも、次は茨の試合だよ。』

 

柳『茨、芦戸に勝てるかしら。』

 

角取『No problem!茨なら絶対勝ちマス。』

 

僕は茨の勝利を信じて控え室でモニターを眺めていた。

 

〜準々決勝 第3試合 塩崎対芦戸〜

 

マイク『さーて続けていくぜ準々決勝第3試合! かわいい見た目とは裏腹に強力な酸でなんでも溶かす、ヒーロー科芦戸三奈!VS、今やちょっとした時の人、ヒーロー科塩崎茨!』

 

マイク先生により選手紹介をされて2人は武舞台に上がった。

 

芦戸『ねぇねぇ、あなたあの野沢って生徒とどういう関係なの?やっぱり付き合ってるの?』

 

茨『その質問でしたら、既にA組の何人かの人にはお話ししましたので、そちらの方々からお聞きになって下さい。』

 

芦戸『えー!私あなたの試合の次が試合だったから話聞けてないしー、それに聞くならやっぱ本人から聞きたいしー。』

 

茨『では、この試合であなたが私に勝てたらなんでもお答えしてさしあげます。』

 

芦戸『ホントに!じゃあ絶対勝ってあなたと彼の事根掘り葉掘り聞かせてもらうからね。』

 

茨『私だって準決勝で明と戦う為にも、絶対に負けるわけには行きません!』

 

マイク『なにやら試合前から火花バチバチ飛んでるようだが2人共行くぜ!BATTLE…START!!!

 

開始早々茨は武舞台全体にツルを敷き詰めて芦戸さんの機動力を封じる作戦にでた。そして敷き詰めたツルを四方八方から伸ばして芦戸さんを拘束しようとしたが、芦戸さんにツルを溶かされてなかなか拘束できないでいた。

 

対する芦戸さんも初戦同様足元に酸を出してツルを溶かしながら移動していた。さらに手から出した酸で地面から伸びたツルを溶かして拘束を免れていたが、ツルの対応に手一杯でなかなか茨に近づけないでいた。

 

そんな膠着状態が続いたが決着がついたのは一瞬だった。芦戸さんは茨のツルをバク転で回避した際、酸を出さずに床に敷き詰めたツルに手を突いてしまい、ツルの棘を手に刺して体勢を崩してしまった。

 

その隙を茨は見逃さなかった。体勢を崩した芦戸さんに向けてツルを伸ばし、遂に芦戸さんを拘束した。対する芦戸さんもなんとか拘束を解こうと酸を出してツルを溶かしていたが、溶かした先からまたツルで拘束されてしまい遂に酸を出せなくなってしまった。

 

茨『これ以上私の棘であなたを傷つけたくありません。お願いします、降参してください。』

 

芦戸『悔しいけど、これ以上の戦闘は無理みたいだね。ギブアップするよ。』

 

ミッド『勝者、塩崎さん。準決勝進出決定!』

 

小森『やったノコ!茨が勝ったノコ!!』

 

泡瀬『次は拳藤と明の試合か。拳藤の奴、初訓練の時のような大ケガしないといいけどな。』

 

と、茨の勝利を喜んだり拳藤さんの心配をしていると

 

鉄哲『みんな、ただいま。』

 

鉄哲君がリカバリーガールの所から帰ってきた。

 

小大『ん。鉄哲、お帰り。』

 

宍田『残念でしたな鉄哲氏。でも最後のかめはめ波をくらっても立ち上がった姿は見事でしたぞ。』

 

鉄哲『いや、正直かめはめ波よりも3倍界王拳でのラッシュの方がキツかったぜ。俺のスティールもなんの役にも立たなかったからな。』

 

物間『鉄哲のスティールが役に立たないなんて、3倍界王拳のパワーは相当なものなんだな。』

 

3倍界王拳の凄さに改めて驚くクラスメイト達だった。

 

〜準々決勝 第4試合 拳藤対野沢〜

 

マイク『ベスト4を賭けた戦いもこれがラストだ!早速選手を紹介するぜ!まずは…その巨大な拳で立ち塞がる敵をなぎ倒すファイターガール、ヒーロー科拳藤一佳!VS、孫悟空の個性は伊達じゃない、ヒーロー科野沢明!』

 

僕達は武舞台に上がりミッドナイト先生がハンデの確認をするのだったが…

 

ミッド『野沢君。さっきの3倍界王拳のパワーと対戦相手が女性という事を考慮して、界王拳の使用を強制的に禁止させてもらうわ。いいわね。』

 

明『あ、はい。分かりました。』

 

ミッドナイト先生の突然の発言に僕はあっさり了承したが、拳藤さんは納得出来ないでいた。

 

拳藤『待ってくださいミッドナイト先生!私は全力の明と勝負したいです。だからハンデなんていりません。』

 

ミッド『拳藤さん、あなたの気持ちもわかるわ。でもさっきの3倍界王拳は鉄哲君だったからあの程度で済んだのよ。拳藤さんじゃとてもあの程度じゃ済まないわ。それにあなた、初訓練で野沢君にボロボロにされたそうね。また同じ目に遭うつもりなの?』

 

拳藤『それなら大丈夫です。もしこの試合で明にボロボロにされてもその時は…』

 

ミッド『仙豆を食べるから問題ないと言いたいの?』

 

拳藤『えっ!?』

 

明『ミッドナイト先生、どうして仙豆の事を?』

 

僕達はミッドナイト先生が仙豆の事を知っている事に驚いた。

 

ミッド『ブラドやイレイザー、それに13号から話は聞いたわ。USJでの事件の時、重傷を負っていたイレイザーと13号が、野沢君から貰った仙豆を食べて助かったってね。悪いけど、雄英としてもリカバリーガールの個性を超えるような回復手段を無闇に使わせる訳にはいかないの。それに野沢君、あなた仙豆は半死半生の人を最優先に食べさせてるそうね。あなた自分の手でまた拳藤さんを半死半生にして仙豆を食べさせるつもりなのかしら?』

 

明『いえ、そんなつもりは…』

 

マイク『お、おいイレイザー、ミッドナイトが言ってる事は本当なのかよ?』

 

相澤『ああ、本当だ。USJでの事件の時、俺と13号はヴィランの攻撃により瀕死の重傷を負った。だがブラドが食べさせてくれた仙豆のおかげで俺達2人は一命を取り留めた。そしてその仙豆は野沢の母親の個性によって作られたそうだ。』

 

マイク『マジかよ!?悟空の個性に加えて仙豆まで持ってるなんて、もう悟空本人じゃねえか!』

 

蛙吹『ケロケロ。それで相澤先生や13号先生が大ケガしていたのに、たちまちケガが治ったのね。』

 

麗日『いいなあ。私も食べてみたいなあ。仙豆って一粒食べれば10日はお腹がもつんだよね。食費の節約にピッタリだよ。』

 

砂藤『なあ八百万、お前個性で仙豆創れないのか?』

 

八百万『さすがに空想上の物を創る事は私の個性では不可能です。』

 

会場にいた生徒や先生、観客やプロヒーロー達は仙豆の話を聞いてみんな思い思いの事を口にしていた。

 

拳藤『ミッドナイト先生、私は初訓練のリベンジをするためにここに来ました。それに負けた鉄哲の分も含めて、お互い全力で勝負したいんです。だからお願いします。界王拳の使用を許可してください。』

 

明『ミッドナイト先生、僕からもお願いします。今度は必ず気をコントロールして、拳藤さんに大ケガさせないようにします。だから界王拳を使わせてください。』

 

僕達2人の必死の説得にミッドナイト先生は困惑していた。そして遂に…

 

ミッド『仕方ないわね。わかったわ、界王拳の使用を許可します。そのかわり野沢君は必要以上に拳藤さんを痛めつけない事。そして拳藤さんも、敵わないと思ったら素直にギブアップする事。2人共、いいわね!』

 

明・拳藤『ハイ!

 

マイク『ようやく話がまとまったようだな。それじゃ…BATTLE…START!!!

 

次回、明対拳藤、試合開始!




いかがでしたでしょうか。本当は明対拳藤戦もこの話に入れたかったのですが、そうすると7000文字をオーバーしそうだったので今回も別にしました。明対拳藤戦は割りと早く出せると思います。次回もお楽しみに。ご意見・ご感想お待ちしています。


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第31話 明 対 拳藤

お待たせしました。31話です。今回は明と拳藤の対戦です。何度書いても戦闘描写は上手くなりません。駄文ですがそれでもよろしければお読みになって下さい。では、どうぞ。


マイク『BATTLE…START!!!

 

合図と同時に僕達は相手に向かって突っ込み、ぶつかりあった。そして互いにパンチやキックを繰り出し、激しい攻防が続いた。そしてしばらく攻防が続いた後、一旦体勢を整える為間合いを取った。

 

明『ふう、拳藤さんも鉄哲君同様、初訓練の時よりパワーアップしてるね。』

 

拳藤『私も明を見習って、出来るだけチョーカーを付けて2倍の重力の下で生活してたんだ。修行は大変だったけど、おかげでパワーもスピードも随分アップしたよ。明、アンタには本当に感謝してるよ。』

 

明『そりゃどうも。父さんもその話を聞いたら喜ぶよ。』

 

拳藤『でも、それと勝負は別だよ。修行の成果、アンタに全部見せてあげるからね!』

 

そう言うと拳藤さんは両手を巨大化させその手で地面を叩き、2つの大岩を作り出した。なんと今まで片手でやっていた砕大拳を両手でやってみせたのだ。

 

拳藤『ダブル砕大拳!』

 

そしてその2つの岩を僕に向かって投げ飛ばした。が、僕はその岩を簡単に避けてみせた。

 

明『手数が2つになっても変わらないよ。』

 

拳藤『ならこれならどう!』

 

そう言うと今度は両手で地面を何度も叩いて大岩を大量に作り出し、僕に投げつけてきた。

 

拳藤『砕大拳・乱れ撃ち!』

 

明『無茶苦茶やるなぁ。』

 

僕は後ろの観客の事を考えて避けるのではなく飛んできた岩をパンチやキックですべて破壊した。そして全ての岩を粉々にすると拳藤さんは武舞台から姿を消していた。

 

拳藤『こっちだよ!』

 

聞こえた声の方を向くと上空に拳藤さんがいた。そして巨大化した両手を組んで僕に向かって振り下ろしてきた。

 

僕は咄嗟にガードしたが、その威力は凄まじく、僕の立っていた地面にクレーターが出来る程だった。

 

拳藤『続けていくよ、景華!』

 

拳藤さんは着地すると続けざまに初訓練で見せた景華を放ってきた。

 

明『なら力比べだ、激烈連脚!』

 

僕も激烈連脚で応戦した。景華と激烈連脚、互いの手と脚がぶつかり合い、物凄い炸裂音が何度も木霊していた。だが拳藤さんは一歩も引かなかった。そして拳藤さんは景華を打ち終えた後、巨大化した左の掌底で僕を突き飛ばした。このパターンは…

 

拳藤『ならこれはどう、追大拳!』

 

やはり初訓練で見せた追大拳だ。なら僕も、

 

明『それなら、龍閃拳!』

 

僕も今度は龍閃拳で迎え撃った。拳藤さんの右拳と僕の左拳、互いの渾身の一撃がぶつかり合い、先程以上の炸裂音が会場全体に響き渡った。その後僕達は互いに後ろに飛んで間合いをとった。

 

マイク『す、スゲェ。界王拳なしとはいえ、拳藤の奴、野沢と互角に渡り合ってるぞ!』

 

相澤『拳藤も鉄哲と同様、体育祭までの間2倍の重力の下で修行したらしいな。それに武道を習ってる為戦闘力も高い。初戦は一瞬で勝負が着いたから分からなかったが、まさかここまでとは。』

 

会場の観客達は僕達の試合を見て大興奮しており、大きな歓声が鳴り響いていた。

 

明『さて、体も温まってきたし、そろそろ拳藤さんのお望みの全開でいこうか。』

 

拳藤『ようやくかい。さあ、鉄哲に見せた3倍界王拳、私にも見せてみな!』

 

明『なら……界王拳3倍だああっ!

 

僕は3倍界王拳を使った。今回は最初から一気に倍率を3倍まで上げて発動した。

 

拳藤『(す、スゴイ!明の物凄いパワーが体全体に伝わってくる。)』

 

明『拳藤さん、僕も拳藤さんと同じ戦法で戦わせてもらうよ。』

 

そう言うと僕は武舞台全体を動き回り、移動と停止を超スピードで繰り返した。そう、この技は…

 

マイク『なっ!何だ!?野沢の奴が何十人にも見えるぞ!分身したのか?』

 

相澤『違う、あれは残像拳だ。移動と停止を超スピードで繰り返して俺達の眼に残像を写してるんだ。しかも一度に何人も写し出す多重残像拳だ。』

 

マイク『ああそうか! 初期のドラゴンボールじゃよく使われてたな。』

 

床田『スゴイ。個性把握テストの時は3人だったけど、こんなに大量に残像を写しだせるのか。』

 

凡戸『これじゃあどれが本物の明か分かんないよ。』

 

正直残像拳なんて僕からしたら子供だましの技だ。相手の気を読めば本体の位置なんてすぐ分かるのだから。だが、僕以外で気を読める人なんて亮1人しか僕は知らない。だから気が読めない拳藤さんには効果的な技なのだ。

 

拳藤『くそっ!どれが本物だ!!』

 

案の定拳藤さんは本物の僕がわからず、闇雲に残像に攻撃して体力を消耗していた。そしてある程度体力を消耗したところで

 

明『おーい!拳藤さーん!!』

 

上空にいた僕は上から拳藤さんに声をかけた。

 

黒色『明の奴、いつの間に。』

 

鎌切『あんな所にいやがったのか!』

 

明『悪いけど、決めさせてもらうよ。

ダダダダダダダダ!

 

僕は拳藤さんに向かって連続エネルギー弾を放った。

 

マイク『野沢の奴、拳藤に気弾のグミ打ちを使いやがったぞ。流石にやり過ぎじゃねえか!?』

 

相澤『ミッドナイトにきつく言われてるんだ。心配無いだろ。』

 

そう。僕は拳藤さんに直撃しないように連続エネルギー弾を放っていた。だが、それでも弾が地面に着弾したときの衝撃や爆風で多少なりとも拳藤さんはダメージを負っていた。

 

拳藤『くっ、くそっ! 明の奴!!』

 

そして僕はある程度エネルギー弾を打ち終えると、3倍界王拳を解除し拳藤さんの正面に躍り出た。

 

拳藤『なっ!?』

 

明『はあっ!』

 

拳藤さんの正面に立つと僕は拳藤さんを上空へ思いっきり蹴り上げた。そして蹴り上げると僕はその場から消え、拳藤さんより先に上空に移動した。

 

明『ふんっ!』

 

拳藤『きゃっ!?』

 

拳藤さんが僕が待っている上空まで到達すると、今度は両手を組んで振り下ろし、拳藤さんを地上に叩き落とした。そして拳藤さんが地上に落ちる前に、僕は先に地上に降り、拳藤さんが落ちてくるのを待った。

 

明『でやあっ!』

 

そして最後に僕は拳藤さんが地面に激突する直前、場外の壁にむけて拳藤さんに肘打ちを放った。

 

拳藤『うわぁ!?』

 

拳藤さんは勢いよく飛んでいき、壁に激突しそうだった。だが激突する直前、

 

明『よっと。』

 

僕は壁の前に先に回り込み、拳藤さんを受け止め壁への激突を回避した。

 

拳藤『あ、明?』

 

明『ゴメンね拳藤さん、勝負ありだよ。』

 

僕がそう言って拳藤さんを下ろして地面に立たせると、

 

ミッド『拳藤さん場外! 勝者、野沢君!!準決勝進出決定!!!』

 

ミッドナイト先生によって僕の勝ちが宣言された。

 

鉄哲『明の奴、今度はメテオスマッシュかよ。』

 

回原『鉄哲、お前明が使った技知ってるのか?』

 

鉄哲『ああ。あれはメテオスマッシュって言ってな、ドラゴンボールZの初の格ゲーで悟空が使った技だ。俺も実際プレイしたことはないけど、SNSのプレイ動画を見て知ったんだ。』

 

吹出『最初は悟空しか使えなかったけど、次回作以降はいろんなキャラが使えるようになって、その後はスマブラなんかのメテオ技の原点となった技なんて言われてるんだよ。』

 

物間『へぇ。でも、最後壁に激突しそうな拳藤を受け止めてダメージを最小限にするあたりは、明らしいな。』

 

柳『これで準決勝は轟対爆豪と茨対明のカードに決まったわね。』

 

小森『茨、明は約束を守ったノコ。』

 

茨『ハイ。では、私は控え室に向かいますね。』

 

取蔭『頑張りなよ茨!相手が明だからって遠慮なんかしなくていいからね。おもいっきりやるんだよ。』

 

宍田『塩崎氏、ご武運を祈りますぞ。』

 

鉄哲『頑張れよ塩崎。(かたき)を取ってくれとは言わないが、負けた俺や拳藤の分まで頼むぜ!』

 

茨『皆さん応援ありがとうございます。では、行ってきます。』

 

皆からの応援を胸に、茨は控え室へと向かって行った。

 

〜リカバリーガールの出張保健所にて〜

 

RG(リカバリーガール)『これでヨシ。さっきの子に比べたら大したケガじゃないから心配ないよ。』

 

試合終了後、僕は拳藤さんを連れてリカバリーガールの所へ向かって拳藤さんを治療してもらった。

 

明『ゴメン拳藤さん。拳藤さんに大ケガ負わせないよう勝つにはあんな戦い方しか思いつかなくて。』

 

拳藤『わかってる。それでも消化不良なのは本当だからね。だからこれからもっと修行して、いつかもう一度明に挑戦するからね。』

 

明『うん。僕もその日を楽しみ待ってるよ。僕ももっともっと腕を上げて。それじゃあリカバリーガール、失礼しますね。』

 

僕が保健所を出ようとしたその時

 

明『ぐあっ!』

 

突然強烈な痛みが体中を駆け巡った。

 

拳藤『あっ、明!』

 

RG『お前さん、大丈夫かい?』

 

明『だ、大丈夫です。どうやら3倍界王拳を使った反動のダメージが出てきたようです。』

 

鉄哲君、拳藤さんとの2戦で短時間だが3倍界王拳を使った為、遂に使った反動のダメージが出てきたようだ。無理もない。たった2週間で20倍の重力を自分の物に出来る訳がない。だから3倍界王拳を扱える体はまだ出来ていないのだ。

 

拳藤『明、無理しないで。リカバリーガールに治療してもらった方がいいよ。』

 

RG『ああそうしな。幸い体力は問題ないようだから、私の個性で治療してあげよう。』

 

その後僕はリカバリーガールの個性“癒やし”によって治療してもらい、完治まではいかないが体の痛みは柔らいだ。

 

明『ありがとうございますリカバリーガール。さっきより随分体が楽になりました。』

 

RG『そうかい、それは良かった。私の個性は患者の体力がないと使えないからね。その点お前さんの仙豆は食べれば傷が治り体力まで回復する。本当に便利な豆だよ。』

 

拳藤『リカバリーガールも仙豆の事を?』

 

RG『ええ、知ってるよ。だから今後も半死半生の人を最優先に食べさせてあげなさい。少々の傷なら私が私が治してあげるからね。』

 

明『はい。それじゃ、失礼しました。』

 

僕と拳藤さんは保健所を後にした。

 

RG『本当にスゴイ豆だよ。あのバカ(・・・・)まで復活しちまうんだから。』

 

僕達が退室した後、リカバリーガールは1人そんな事を言っていた。

 

明『拳藤さん、僕は準決勝に備えてこのまま控え室に行くよ。皆にそう言っといて。』

 

拳藤『わかった。でも明、茨相手に戦えるの?幼なじみで恋人なんでしょ。』

 

明『うん。でも茨が戦う事を望んでるからね。僕も逃げる訳にいかないよ。ただ一緒に修行はしたけど、拳藤さんや鉄哲君みたいに鍛えている訳じゃないからね。』

 

拳藤『じゃあどうやって戦うの? 茨相手じゃ界王拳なしで攻撃しても絶対大ケガしちゃうよ。』

 

明『うん。ただ1か所だけ僕がどんなに攻撃しても問題ない場所があるんだ。だからそこを攻める事にするよ。』

 

拳藤『茨の体にそんな場所があるの?一体どこなの?』

 

明『それは試合を観てのお楽しみって事で。じゃあね。』

 

そう言って僕は拳藤さんと別れ控え室へと向かった。

 

次回、準決勝試合開始!




31話いかがだったでしょう。OJ2とは少し違う拳藤の技やメテオスマッシュの解釈が実際のゲームと違ったりしてますが、大目にみてください。特にメテオスマッシュですが、ゲームでは下に叩き落とされると相手が地面でバウンドするのですが、絶対バウンドしないだろうと思い本編のような解釈になりました。ご意見等ありましたら、是非感想お願いします。次回もお楽しみ。


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第32話 明 対 茨(ガチバトルトーナメント準決勝)

お待たせしました。今回は準決勝2試合です。どうぞ。


〜準決勝 第1試合 轟対爆豪〜

 

開始早々轟君は氷結を放ち爆豪君を氷の中に閉じ込めた。しかし爆豪君は爆破で氷を掘り進んで脱出した。そして轟君の氷を躱しながら接近し、轟君を掴み場外に投げ飛ばした。だが轟君も氷の壁を作り場外負けを回避する。そして追撃してきた爆豪君の攻撃を躱し応戦するが、何故か左の炎を使おうとしなかった。爆豪君は轟君が炎を使わない事に激怒していた。そして爆豪君は跳躍して轟君に突っ込んでいった。何か大技を繰り出す感じだ。轟君もそれに応戦しようとしたその時!

 

緑谷『轟君、負けるなっ!頑張れ!』

 

緑谷君の応援が会場に響いた。応援を聞いた轟君は遂に左の炎を発動した。そして爆豪君は必殺の榴弾砲着弾(ハウザーインパクト)を放ち、轟君はそれを迎え撃つ。だが放つ直前、何故か轟君は左の炎を消してしまった。榴弾砲着弾(ハウザーインパクト)をまともにくらった轟君は場外に吹っ飛ばされ爆豪君の勝ちが決定した。だが自分の勝ち方に納得出来ない爆豪君は轟君の胸ぐらをつかみ詰め寄るが、ミッドナイト先生の個性“眠り香”によって眠らされてしまった。こうして準決勝第1試合は終了した。

 

骨抜『決勝には爆豪が進んだか。でもなんだか納得出来てないようだったな。』

 

鎌切『そりゃそうだ。右の氷しか使ってない轟に勝ったって嬉しくないと思うぜ。』

 

凡戸『でも、なんで轟は左の炎を使わなかったんだろう。緑谷との戦いの時は使ったのに。』

 

柳『何か事情があるのよ。それより、次は茨と明の試合よ。』

 

床田『幼なじみ2人の対決か。戦前の予想は圧倒的に明が有利だが、塩崎には勝算があるのかな?』

 

鱗『それに塩崎は鉄哲や拳藤程体を鍛えている訳じゃない。界王拳なしで攻撃しても相当のダメージを与えるはずだ。明の奴、どんな攻め方をする気なんだ?』

 

拳藤『その事だけど、さっき明に聞いたんだけど、茨には攻撃しても全く問題ない場所が1か所あって、明はそこを攻めるって言ってたんだ。』

 

小森『茨の体にそんな場所があるノコ?一佳、一体何処ノコ?』

 

拳藤『試合を観てのお楽しみって事で教えてくれなかったんだ。』

 

鉄哲『そんな話を聞いたら、ますます2人の試合が楽しみになってきたぜ!』

 

みんな僕達2人の対戦を楽しみにしていた。

 

〜準決勝 第2試合 塩崎対野沢〜

 

マイク『武舞台の整備も完了したんで、準決勝第2試合をはじめるぜ。ヒーロー科塩崎茨!VS、ヒーロー科野沢明!なんとこの2人、小学校1年からの幼なじみだそうだ。互いの事を知り尽くした2人がどんなバトルを繰り広げるか、注目の一戦だ!』

 

選手紹介された僕達2人は武舞台に上がった。

 

ミッド『塩崎さん、ハンデはどうする?』

 

茨『必要ありません。私も鉄哲さん・一佳さんの2人と同様、全力の明と勝負したいですから。』

 

ミッド『わかったわ。では先程と同様、野沢君は必要以上に塩崎さんを痛めつけない事。そして塩崎さんも、敵わないと思ったら素直にギブアップする事。2人共、いいわね。』

 

明・茨『ハイ!

 

マイク『それじゃあ早速始めるぜ!

BATTLE…START!!!

 

開始早々茨は髪の毛のツルを伸ばして僕に巻きつけ拘束しようとした。僕は敢えて抵抗せず拘束される事にした。

 

茨『明、まさかこのままギブアップなんて言わないですよね。』

 

明『勿論。茨の方こそ、こんな事で僕に勝ったなんて思ってないよね。』

 

茨『当然です。明がこの程度で音を上げる人ではない事は、私が1番理解していますから。』

 

明『それじゃあ……界王拳!

 

僕は界王拳を発動しツルを引きちぎった。その後茨は引きちぎられたツルを操作して僕に向かわせたが、界王拳によって放つ赤い気のオーラによって僕に届く前に燃え尽きてしまった。

 

明『さあ茨、次はどうする?』

 

茨『やはりこの程度ではダメですよね。では、私の修行の成果、明に御覧に入れましょう。』

 

そう言うと茨はツルを頭上に集め出した。そしてそのツルはどんどん大きくなっていき、最終的に巨大化したMt.レディと同じ位の大きさの拳の形となった。

 

明『遂に完成したんだね、その技。』

 

茨『いえ、まだ未完成です。今はまだ拳の形にしか出来ません。本物の手と同じ動きをするにはより精密なツルのコントロールが必要ですし、それに1度に大量のツルを使うので、1度作ってしまうと他の事はほとんど出来なくなってしまいます。』

 

明『なるほどねぇ。』

 

茨『では、参ります!』

 

そう言うと茨はツルの拳を僕に向かって振り下ろしてきた。僕はその攻撃を素早く躱したが、そのパワーは凄まじく、振り下ろした地面にはくっきりとクレーターが残っていた。

 

マイク『スゲェ。塩崎のツルはあんな使い方も出来るのか。』

 

相澤『本来、塩崎の個性“ツル”は捜索や捕縛が主な使い方だ。だが上鳴の電撃を防いだ防御に特化した使い方もあれば、今のような攻撃特化の使い方も出来る。まさにオールラウンダーという奴だな。』

 

その後も茨はツルの拳を振り下ろしたり薙ぎ払ったりして攻撃してきた。僕はツルの拳に向けてエネルギー弾を放って対抗した。だが当たりはするものの、破損した場所を新たなツルによって瞬時に修復してしまう。僕は少しの間肉弾戦や衝撃波や気弾によるツルの拳への攻撃を続けていた。観客達はその様子を不思議そうに見ていた。

 

マイク『明の奴、なんでツルの拳にばかり攻撃するんだ?塩崎の個性の場合、接近して能力者本人を攻撃するのが定石だぜ。』

 

相澤『お前の言う通りだ。だが塩崎はこれまでの鉄哲や拳藤のような近接格闘タイプの個性ではない。それに2人程体を鍛えている訳でもない。迂闊に本人を攻撃すれば大ダメージ与えてしまう。それに2人が幼なじみ以上の関係なら野沢も塩崎の体を攻撃して傷つけたくないだろう。』

 

マイク『なるほどな。でもそれなら野沢はどうやって塩崎に勝つつもりなんだ?』

 

相澤『塩崎の攻撃手段を奪う。つまり塩崎のツルを使えなくするしかないだろうな。』

 

実況のマイク先生、解説の相澤先生はそんな実況・解説をしていた。一方でB組のクラスメイトは

 

拳藤『もしかして、明が言ってた茨の攻撃しても問題ない場所って、髪の毛のツルの事なんじゃ…』

 

取蔭『まっさかぁ!そんな訳ないって。』

 

拳藤『でも、明はツルの拳にばかり攻撃して、茨本人には全く手を出してないよ。』

 

小森『でも、このままツルの拳に攻撃し続ければ、茨の髪が大変な事になるノコ。そんなの明だってわかってるはずノコ。』

 

小大『ん。一佳、考えすぎ。』

 

拳藤『そうかなぁ。』

 

と、女子のみんなはそんな事を話していた。既に誰かに話していたかと思ったが、どうやら茨は自分の個性の詳しい能力を誰にも話してないようだ。

 

さて、話を話を武舞台の僕達に戻すと

 

明『クソっ。生半可な攻撃ではあのツルの拳はビクともしないな。大火力で一気に吹っ飛ばさないと。』

 

僕はそんな事を考えながら武舞台を移動していると

 

『グッ!』

 

明『あれ?』

 

突然両足を何かに引っ張られて動けなかった。僕は足元を確認すると…

 

両足に茨のツルが絡まっていた。なんと茨はツルの拳とは別にツルを伸ばし、地中を掘り進んで僕の足に絡ませていたのだ。

 

明『一体いつの間に…はっ!しまった!』

 

僕が足下のツルに気を取られている隙に、ツルの拳をおもいっきり振りかぶり、僕に振り下ろそうとしていた。

 

茨『いきます明、最後の審判(ファイナル・ジャッジメント)

 

そしてツルの拳をおもいっきり振り下ろした。

 

ドガアァァァァァァァァァン!

 

その衝撃で武舞台は物凄い衝撃と土煙が発生した。

 

マイク『きっ、決まったー!遂に塩崎のツルの拳が野沢を捉えたー!これは勝負あったか?』

 

鎌切『う、嘘だろ…』

 

泡瀬『明が負けた、塩崎が勝ったのか?』

 

その後土煙が晴れ、武舞台の様子が見えてきた。

 

相澤『……いや、まだだ。』

 

明『グググググググ…!』

 

僕はツルの拳を受け止め、なんとか直撃を免れていた。そして、

 

明『か、界王拳3倍だああっ!

 

僕は3倍界王拳を発動しツルの拳を押し返した。同時に両足に絡まっていたツルも引きちぎった。

 

明『ふう。茨、悪いけどそのツルの拳、吹き飛ばさせてもらうよ。』

 

茨『ええ。明の力、私に見せてください。』

 

明『なら……はあああああああ!』

 

僕は気を集中し、高めていった。

 

明『3倍界王拳の!!!

 

明『かめはめ波だあっ!!!!!

 

僕はかめはめ波を打つために構えた。そして茨も僕に攻撃するべく、ツルの拳を大きく振りかぶった。

 

明『かー、めー、はー、めー、

 

茨『最後の審判(ファイナル・ジャッジメント)

 

明『波ああっ!!!!!

 

ギュイーーーーーーーーーン!

 

僕は3倍界王拳のかめはめ波をツルの拳に向けて放った。かめはめ波は茨が作ったツルの拳を飲み込み、完全に消滅させた。

 

緑谷『い、今のが3倍界王拳のかめはめ波…』

 

麗日『ス、スゴイ!それにめちゃくちゃカッコいい!』

 

切島『なんて威力だよ。鉄哲に打ったかめはめ波とは比較にならねえよ。』

 

A組の生徒は3倍界王拳のかめはめ波の威力に驚いていた。勿論B組のクラスメイトも驚いていたが、

 

角取『Oh my God!』

 

柳『茨の、髪の毛が…』

 

かめはめ波で吹き飛ばされてしまい、茨の髪の毛は柳さん位のショートカットになってしまった。さらに毛先はかめはめ波で燃やされチリチリになってしまった。茨の髪を見たB組の女子は皆呆然としていた。

 

明『はぁはぁ、茨、出来ればこれ以上君を傷つけたくない。このまま降参してくれないかな?』

 

茨『分かっています。私も修行の成果を明に見せられて満足していますから。ミッドナイト先生、これ以上戦闘を続ける事は不可能です。降参致します。』

 

ミッド『分かったわ。塩崎さんギブアップにより、勝者、野沢君!決勝進出決定!』

 

ミッドナイト先生により、僕の勝ちが宣言された。

 

明『ありがとう、茨。ぐわあっ!』

 

茨『明、どうしたんですか!?』

 

ミッド『野沢君、大丈夫?何処か痛めたの?』

 

明『だ、大丈夫です。3倍界王拳のかめはめ波を使った反動のダメージが出てきたようです。』

 

ミッド『それはいけないわ。すぐにリカバリーガールに治療してもらいなさい。塩崎さん、野沢君を保健所に連れて行ってもらえるかしら。』

 

茨『勿論です。さあ明、私の肩に掴まって下さい。』

 

明『ゴメンね茨、迷惑かけちゃって。』

 

茨『私の事は気にしなくていいですから、早くリカバリーガールの所に向かいましょう。』

 

こうして僕は茨に連れられてリカバリーガールの保健所に向かうことになった。

 

マイク『さあ、これで決勝に進出する2人が決まったぞ。なお、決勝戦だが、爆豪の奴がミッドナイトの眠り香からまだ目を覚まさないので、目を覚ますまでしばらく休憩にするぜ。目覚め次第決勝を開始するから、その間にトイレに行きたい人は行っといてくれよな。イレイザー、俺達もトイレ行こうぜ!』

 

相澤『寝る。』

 

33話につづく


最後の審判(ファイナル・ジャッジメント) この小説オリジナルの茨の必殺技。髪の毛のツルで巨大な拳を作り、その拳を振り下ろして攻撃する。体育祭の時点では拳の形にしか出来ず、本物の手と同じ動きをするにはより精密なツルのコントロールが必要になる。また1度に大量のツルを使うが使う量を調整することで本文のような拘束も可能。イメージとしては漫画“トリコ”のキャラクター“サニー”の(ヘア)パンチや“ハートキャッチプリキュア”の必殺技“ハートキャッチオーケストラ”のような上空から巨大な拳で殴る感じ。




32話いかがだったでしょう。茨の技ですが、本編では捜索や捕縛がメインで自分から攻める描写はほとんど見られなかったので、本文のような技を考えました。次回ですが、決勝の前に1話はさみたいと思います。次回も楽しみに。ご意見・ご感想等お待ちしています。


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第33話 決勝前の一時(ひととき)

お待たせしました。今回は決勝前のクラスメイトとの雑談となってます。どうぞ。


〜リカバリーガールの出張保健所にて〜

 

RG(リカバリーガール)『まったく、この子のツルを吹き飛ばすだけなら3倍界王拳を使う必要なかったんじゃないのかい。』

 

明『はい。ですが茨が修行の成果を見せてくれたので、僕もそれに応えないといけないと思いまして。』

 

僕はリカバリーガールのお説教を聞きながら治療を受けていた。

 

RG『それにこの子の髪の毛をこんなにしちまって、幼なじみだからってやり過ぎじゃないのかい。』

 

茨『それなら心配いりません。私の髪のツルは…』

 

茨はリカバリーガールに自分の髪の毛のツルの事を話した。

 

RG『そうかい、それなら心配ないね。ところでアンタ、仙豆は後何粒あるんだい?』

 

明『仙豆ですか?手元に6粒、家に10粒、あともう少しすれば新しく7粒出来ますけど。』

 

RG『という事は全部で23粒か。なら心配いらないね。どうせこの後の決勝も無茶するだろうから、あまりにケガがヒドいようなら仙豆を食べな。』

 

明『わかりました。でも出来るだけ仙豆に頼らないように頑張りますね。』

 

RG『ああ、それに越した事はないよ。さあ、頑張ってきな。』

 

明『はい、ありがとうございました。』

 

茨『それでは、失礼しました。』

 

僕と茨は保健所を後にした。

 

明『茨、一応仙豆用意しときたいから、更衣室寄ってもいいかな?』

 

茨『ええ、構いませんよ。』

 

僕達は控え室に行く前仙豆を取りに行く為更衣室に寄ることにした。

 

明『茨、仙豆預かっといてくれる?』

 

茨『わかりました。お預かりしますね。』

 

更衣室で仙豆を回収すると僕は仙豆を茨に預け、2人で控え室へ向かった。

 

控え室に入るとB組のクラスメイトみんなが中に入って待っていた。

 

泡瀬『よう明、随分遅かったな。』

 

回原『もしかして、3倍界王拳を使った反動のダメージがそんなに酷いのか?』

 

明『それなら大丈夫。リカバリーガールに治療してもらったから決勝は問題ないよ。』

 

鱗『そうか、それなら心配ないな。』

 

男子生徒はそんなふうに僕の体を気にかけてくれていたが

 

女子5人『……………………』

 

拳藤さん以外の女子生徒5人はなんだか怒っているようだった。

 

明『あ、あのみんな、どうかしたの?』

 

取蔭『明、あんた自分が何やったかわかってんの!』

 

明『へ?』

 

小森『へ?じゃないノコ!茨の髪をこんなにしちゃって、ヒドいノコ!』

 

柳『髪は女の命って言うでしょ、それをこんなにして。』

 

角取『いくら幼なじみで恋人だからって、やってイイコトとワルイコトがアリマス!』

 

小大『ん。明、ヒドすぎ。』

 

女子5人は僕が茨の髪の毛をかめはめ波で吹き飛ばした事をかなり怒っていた。

 

茨『み、皆さん落ち着いて下さい。髪の毛でしたらまたすぐに生えてきますから。』

 

取蔭『生えてくるって茨、元の長さに戻るのに何ヶ月、いや何年かかると思ってるの!?』

 

柳『それに毛先だってかめはめ波でチリチリになってるし。』

 

茨『ああ、それでしたら…』

 

そう言うと茨は躊躇なくチリチリになった毛先を切り離した。

 

角取『Oh my God!?』

 

小大『茨、どうして?』

 

茨の髪はさらに短くなり、ベリーショートのような髪型になってしまった。

 

小森『茨なんてことするノコ!それじゃあますます元の長さに戻るのに時間がかかるノコ!』

 

茨『心配なさらなくても、長くても1週間もすれば元の長さに戻りますから。』

 

一同『いっ、1週間!?

 

茨の1週間という言葉に女子だけでなく男子も含めた全員が驚いていた。

 

拳藤『茨、1週間ってどういう事?』

 

茨『はい。私の髪の毛のツルは、水と太陽の光をしっかり摂っていればすぐに生えてくるのです。ですから心配いりません。』

 

拳藤『そうだったんだ。じゃあ明、茨の攻撃しても問題無い場所って、やっぱり…』

 

明『そう、髪の毛のツルの事さ。茨の個性の事は出会ってすぐに教えてもらったからね。だから躊躇なくかめはめ波を打ったんだ。』

 

宍田『そうでしたか。それでは塩崎氏、こちらをお飲みになって下さい。』

 

そう言うと宍田君は茨にミネラルウォーターを差し出した。

 

茨『ありがとうございます、宍田さん。』

 

茨は貰ったミネラルウォーターを少し飲んだ。するとほんの少しだが茨の髪の毛のツルが伸びてみんな驚いていた。

 

取蔭『明ゴメン。私明に酷い事言っちゃったね。』

 

柳『私もごめんなさい。知らなかったとはいえ明に酷い事言って。』

 

小森『明ゴメンノコ、許してほしいノコ。』

 

角取『明、I'm sorry』

 

小大『ん。明、ごめんなさい。』

 

明『別にいいよ、気にしてないから。それにみんな茨の髪の事知らなかったんだし、怒るのも当然だよ。』

 

鉄哲『そうそう。それより湿っぽくなってる場合じゃないぜ。この後明は決勝なんだから、みんなで応援してやらないと!』

 

物間『その通り。しかも相手はA組の爆豪だ。君が爆豪に勝ってヒーロー科1年はA組よりB組の方が優秀だって事を全世界の人に知らしめるんだ!』

 

円場『コイツまだ言ってるよ。でもまあ、明は俺達B組の代表だからな。頑張れよ。』

 

凡戸『明、頑張れ!』

 

鎌切『爆豪にお前の力を見せてやれ!』

 

黒色『期待しているぞ、明。』

 

明『みんなありがとう。みんなの期待に応えられるよう頑張るよ。』

 

僕が皆からの激励を受けていると

 

『ピンポンパンポーン♫』

 

マイク『待たせたな。爆豪の奴がようやく目を覚ましたぞ。これより10分後、決勝戦を開始するから、みんな席に戻ってくれ。それから選手の2人は武舞台に集合してくれ。』

 

拳藤『よし!みんな、景気づけに円陣組むよ!』

 

拳藤さんの声の元、僕達21人は円陣を組んだ。

 

拳藤『明、あんたは私達1年B組の代表だ。結果はどうあれ代表に恥じない素晴らしい試合をすること。いいね!』

 

明『うん、約束する。そして必ず勝つ!』

 

拳藤『そして私達は全力で明の事を応援する。みんないいね!』

 

一同『おう!

 

拳藤『じゃあ最後に校訓いくよ、更に向こうへ!』

 

一同『Plus Ultra(プルス ウルトラ)!!

 

全員の盛り上がりは最高潮に達していた。

 

明『じゃあみんな、行ってきます!』

 

床田『頑張れよ明!』

 

吹田『明、絶対勝てよー!』

 

骨抜『負けるんじゃねえぞ、明!』

 

みんなの激励を受け、僕は決勝の舞台に出発した。

 

茨『明、頑張って下さい。』

 

小森『茨、はいコレ。』

 

そう言うと小森さんは僕のライセンスカードを茨に差し出した。実は茨は、芦戸さんとの試合の前『私の代わりに預かって欲しい』と小森さんに僕のライセンスカードを預けていたのだった。

 

小森『やっぱりコレは、茨が持っておくべきノコ。』

 

茨『希乃子さん、ありがとうございます。』

 

拳藤『さあみんな、私達も席に戻るよ。』

 

残っていたみんなも急いで観客席に戻るのだった。

 

〜一方、A組爆豪の控え室〜

 

爆豪『てめぇ半分野郎!なんで最後火ぃ消しやがった!』

 

轟『……』

 

爆豪君は目を覚ましてからも轟君が個性の火を使わなかった事に激怒していた。

 

瀬呂『落ち着け爆豪。気持ちは分かるがもうすぐ決勝の時間なんだぞ。』

 

切島『そうだぜ爆豪、こんなところで時間食ってたら失格になっちまうぞ。』

 

爆豪『ケッ!決勝なんか出ねえよ。』

 

一同『えーーーーーーーーっ!!

 

爆豪君の突然の決勝棄権発言に他のA組生徒のほとんどが驚きの声を上げた。

 

上鳴『な、なんでだよ爆豪?なんで決勝出ねえんだよ?』

 

尾白『そうだ爆豪。しかも相手はB組の明だぞ。悟空と戦えるなんて、ドラゴンボールのファンからしたら夢のような話じゃないか。』

 

耳郎『それにアンタの事だから、No.1って言われてる明に対抗意識燃やしてるんじゃないの?』

 

爆豪『俺が欲しいのは完膚なきまでの一位なんだよ!舐めプのクソカスに勝って決勝進んでも意味ねえんだよ!』

 

爆豪君は轟君が左の炎を使わなかった事を自分がなめられていると思っているようだ。

 

芦戸『けど、爆豪…』

 

口田『……』

 

A組の生徒はなんとか爆豪君に決勝に出てもらおうと必死で説得していた。そんな中…

 

緑谷『逃げるの、かっちゃん?』

 

緑谷君が口を開いた。

 

爆豪『あ?デク!てめぇ今なんて言いやがった!』

 

緑谷『逃げるのかって言ったんだよ!決勝の舞台で明君が、悟空が待ってるんだよ!それなのに戦おうともせず試合を放棄して逃げるなんて、そんなの左の炎を使わなかった轟君より最低じゃないか!』

 

爆豪『んだとテメェ、もういっぺん言ってみろ!ぶっ殺すぞ!』

 

緑谷『何度でも言ってやるさ。それに君はオールマイトを超えるヒーローになるんだろ!それなのに今年入学した1年でNo.1て言われてる明君から逃げてるようじゃ、一生明君からNo.1の座を奪うことも、ましてやオールマイトを超えるヒーローになることなんて出来る訳ないよ!』

 

蛙吹『緑谷ちゃんの言う通りよ。今明ちゃんから逃げてるようじゃ、No.1なんて絶対なれないわね。』

 

峰田『それに爆豪は寝てたから知らねえけどよ、準決勝でアイツが打った3倍界王拳のかめはめ波、流石の爆豪もあれをくらったらひとたまりもないぜ。』

 

障子『確かに、あのかめはめ波は凄かったな。』

 

麗日『めちゃくちゃカッコよかったよね。』

 

青山『それにとても美しかったよ。』

 

その後もA組の生徒は爆豪君を説得するのではなく、煽るような発言を続けていた。

 

爆豪『てめえら言いたい放題言いやがって!いいぜ、俺が悟空野郎をブッ倒して今年の1年でNo.1が俺だって事をお前らに証明してやる!』

 

そう言い残すと爆豪君は不機嫌そうにしながらも会場に向かって歩いていった。

 

砂藤『ふう。なんとか行ってくれたか。』

 

常闇『まったく、世話のかかる奴だ。』

 

葉隠『時間に間に合えばいいけど。』

 

八百万『さあ皆さん、私達も急いで席に戻りましょう。』

 

残されたA組の生徒も急いで観客席に戻るのだった。

 

次回、いよいよ決勝戦開始!




33話いかがだったでしょう。原作やアニメをちゃんと見てないので爆豪の言葉遣いが違っているかもしれません。もし違うようなら誤字報告等で訂正お願いします。次回はいよいよ決勝です。次回も楽しみに。


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第34話 明 対 爆豪(ガチバトルトーナメント決勝)

お待たせしました。今回は決勝戦、明対爆豪戦の途中までとなります。どうぞ。


マイク『さァいよいよラスト!!雄英1年の頂点がここで決まる!!奇しくもA組代表対B組代表の対戦となったぞ!!それじゃあ選手紹介だ!!強個性の才能マン!ヒーロー科1年A組代表、爆豪勝己!VS、雄英に現れし孫悟空!ヒーロー科1年B組代表、野沢明!!』

 

マイク先生の選手紹介の下、僕は武舞台に上った。だが爆豪君はすぐに現れなかった。爆豪君が現れない事に観客達はザワザワしていた。

 

明『ミッドナイト先生、爆豪君目を覚ましたんですよね。』

 

ミッド『ええ。そう聞いているけど、どうしたのかしら?』

 

明『僕このまま不戦勝なんてイヤですよ。』

 

ミッド『それは分かってるけど、このまま現れないようじゃ…』

 

と、僕達が心配しているとようやく爆豪君が現れ、不機嫌そうにしながら武舞台に上ってきた。

 

ミッド『遅いわよ爆豪君、時間はちゃんと守りなさい!』

 

爆豪『けっ!うるせぇ!!』

 

ミッド『爆豪君、遅刻しておいて何なのその態度は!』

 

明『まあまあミッドナイト先生、きっと寝起きで機嫌が悪いんですよ。』

 

ミッド『まあいいわ、そういう事にしてあげる。それで爆豪君、ハンデはどうする?』

 

爆豪『んなもんいらねぇ!全力の悟空野郎を俺の全力でぶっ倒す!』

 

ミッド『分かったわ。では野沢君、ハンデ無しで自由に技を使って構わないわ。』

 

明『はい。』

 

マイク『それじゃあ決勝戦!!爆豪対野沢!!今!!

BATTLE…START!!!

 

合図と同時にいきなり爆豪君は僕に突っ込んできて右腕を大きく振りかぶって攻撃してきた。僕はそれを難なく躱し、彼の背後からスラッシュダウンキックを放った。蹴られた爆豪は地面に突っ伏した。

 

明『そんな猪突猛進な攻撃じゃあ勝てないよ。』

 

爆豪『てめェ、なめやがって!』

 

その後爆豪君は怒涛の攻撃を繰り出してきた。爆破による加速を利用した攻撃はかなりのスピードで、僕は何発かもらってしまった。だが僕も体制を立て直し反撃した。序盤は様子見なのか爆豪君は個性の爆破で攻撃せず、肉弾戦だけで攻めてきたので僕もエネルギー弾等は使わず肉弾戦で対応した。そんな攻防がしばらく続き、僕達は1度間合いを取った。

 

爆豪『どうした悟空野郎!てめェの力を見せてみろ!それとも力を使い切っちまったか!』

 

明『わかったよ、見せてあげるよ!はああああ…』

 

僕は気を集中し高めていった。そして…

 

明『界王拳2倍!だぁりゃぁっ!!』

 

界王拳2倍を発動し衝撃波を放った。爆豪君は衝撃波を躱し上空にジャンプした。僕は爆豪君を追いかけ顔面に右ストレートを放った。その後も僕はパンチを連発し最後キックを放ち爆豪君を吹き飛ばした。僕は追撃を行おうと爆豪君を追いかけたが爆豪君は体制を立て直し僕にキックを放った。僕は驚いて間合いを取った。

 

明『凄い、2倍の界王拳にも余裕でついてくるなんて。』

 

僕は思わず顔から笑みをこぼしていた。

 

爆豪『てめェ何笑ってやがる!』

 

明『ゴメンね、サイヤ人の悪い癖ってやつだよ。君みたいな強い相手と戦ってると嬉しくてワクワクしてくるんだ。』

 

爆豪『だったらその薄ら笑いを消してやらァ!』

 

そう言うと爆豪君は爆破の推進力を利用して僕に突っ込んできた。僕は爆豪君の突撃をもろにくらってしまったがすぐさま体制を立て直した。だが爆豪君は姿を消していた。

 

爆豪『バカが、後ろだ!』

 

爆豪君は僕が気を読む前に後ろから蹴りを放ってきた。僕は蹴り飛ばされたのを利用して間合いを取ったが爆豪君は僕を追いかけ追撃の爆破を放ってきた。

 

明『界王拳2倍!』

 

僕は界王拳のを使い上空へジャンプしたが爆豪君は爆破の推進力を利用して更に僕を追いかけ爆破を放った。僕はなんとか爆破を躱したが上半身のジャージが半分吹き飛ばされてしまった。

 

マイク『スゲェ。爆豪の奴野沢の2倍の界王拳にも余裕でついていってやがる。』

 

相澤『自分の個性をよく理解し上手く使っている。戦う度にセンスが光ってくるなアイツは。』

 

マイク『ホゥホゥ。』

 

相澤『だが問題はここからだ。野沢はまだ2倍までしか界王拳を使っていない。爆豪が3倍界王拳にどのように対応するかが勝負のカギになるだろうな。』

 

明『さてどうしたもんかな。このまま2倍の界王拳を使い続けてもジリ貧になるだけだし、かといって界王拳を3倍まで上げれば爆豪君に必要以上のダメージを与えてしまうし…』

 

僕がそんな事を考えていると

 

爆豪『てめェ、なんで3倍を使わねえんだ!てめェもあの半分野郎と同じように俺を虚仮(こけ)にしてんのか!それとも使った反動のダメージを受けるのが怖えのか!この根性無しの腰抜けが!』

 

爆豪君は僕が3倍界王拳を使わない事に苛立っていた。

 

明『いいだろう。君の体の事を考えてどうしようか悩んでたけど、そこまで言うなら使ってやるよ!』

 

僕はボロボロになった上半身のジャージを破り捨て裸になった。

 

明『だあああああああああああああっ!!!』

 

そして気を集中し高めていった。

 

明『いくぞ!3倍界王拳だぁっ!』

 

僕は3倍界王拳を使い爆豪君に突っ込み龍閃拳を放った。龍閃拳は直撃し爆豪君は後方の場外に向かって吹っ飛んでいった。僕は場外手前に先回りし、飛んできた爆豪君を上空に蹴り上げた。僕は更に追撃を行おうと爆豪君を追いかけたが爆豪君も体制を立て直し反撃の爆破を放ってきた。僕は爆破を大きく躱し爆豪君を武舞台に向かって蹴り落とした。

 

爆豪君は地面にめり込んで埋まっていたが爆破で地面を吹き飛ばして出てきた。僕は更に追撃を加えようと爆豪君に突っ込み爆豪君の頭上を飛び越え背後から膝蹴りを放った。対する爆豪君も体制を立て直し爆破を放ってきたが、僕は紙一重で躱しカウンターとなる左ボディを叩き込んだ。

 

爆豪『て、てめェ…』

 

明『はぁ、はぁ、はぁ…ぐぁっ!』

 

その後も激しい攻防が続いた。だが爆豪君の攻撃が当たる事はなく、僕が猛攻を仕掛ける一方的な展開になっていた。それでも爆豪君が倒れる事はなかった。そして僕の方も3倍界王拳を使い続ける事で使った反動のダメージを負っていた。

 

爆豪『ンの野郎!』

 

爆豪君は再び僕に向かって突っ込んできた。

 

明『ならコレならどうだ!』

 

僕は場外手前まで下がって爆豪君を迎え撃った。そして爆豪君の攻撃を躱し、上空に蹴り上げた。そして蹴り上げると僕はすぐさま上空に移動した。

 

明『でやあっ!』

 

爆豪君が上空まで到達すると、今度は両手を組んで振り下ろし、地上に叩き落とした。

 

取蔭『あれは一佳との試合で使った…』

 

鎌切『メテオスマッシュだ!』

 

明『でやあっ!』

 

そして最後に落ちてくる爆豪君に肘打ちを放った。爆豪君は勢いよく飛んでいきこのまま場外かと思われたが、爆破でブレーキをかけなんとか場外負けを脱し、立ち上がってきた。だがかなりのダメージを負っているようだった。

 

爆豪『ざけやがって……!この俺が手も足も出ねえだと……!?』

 

明『はぁ、はぁ。な、なんて奴なんだ。いくら攻撃しても立ち上がってくる。これ以上長引くと…ぐあっ!く、くそっ!か、体が…』

 

爆豪『あ、あんな奴に負けてたまるかよ……!俺はいずれオールマイトを超えるNo.1ヒーローになる男だ!俺が、俺が…

この俺がNo.1なんだ!

 

明『こ、このままじゃ爆豪君を倒す前に、こっちが先に動けなくなっちゃうよ。爆豪君を倒す肉体ではなく精神を断つ一撃を放つには…』

 

僕がどうやって爆豪君を倒すか考えていると

 

爆豪『こうなったら最大火力の榴弾砲着弾(ハウザーインパクト)で場外に吹き飛ばしてやる!』

 

そう言って爆豪君は空高く飛び上がった。

 

爆豪『この一撃でてめェは終わりだ!』

 

そして榴弾砲着弾(ハウザーインパクト)を放つ体制に入った。

 

明『爆豪君の精神を断つ一撃を放つには…これしかない!』

 

僕は爆豪君を倒すため、覚悟を決めた。

 

明『爆豪君!僕も自分の限界以上の力を使って君を倒す!』

 

そう言うと僕は意識を集中し、気を高めていった。

 

明『界王拳……4倍だぁっ!!!

 

回原『4倍だって!明の奴、4倍の界王拳も使えるのか!?』

 

茨『使えるわけありません!3倍だってまだ上手くコントロール出来ないのに、4倍なんて使ったら…』

 

柳『じゃあ、どうして?』

 

拳藤『使わないと爆豪に勝てないって判断したんだろうね。』

 

僕はかめはめ波を打つために構えた。

 

明『4倍界王拳の!!!

 

明『かめはめ波だあっ!!!!!

 

そして両手の中で気を集中した。

 

明『かー、めー、はー、

 

爆豪『俺の榴弾砲着弾(ハウザーインパクト)からは、絶対逃げられねぇぞ!』

 

明『めー、

 

爆豪『舞台もろとも吹っ飛びやがれ!榴弾砲着弾(ハウザーインパクト)!!!

 

明『波ああっ!!!!!

 

4倍界王拳のかめはめ波と最大火力の榴弾砲着弾(ハウザーインパクト)、互いの渾身の一撃がぶつかり合い、競技場では凄まじい大爆発が発生した。その威力は轟対緑谷戦の比ではなく、実況席やVIP席のガラスが砕け散って吹き飛び、競技場が崩壊するんじゃないかと思われる程の衝撃だった。

 

泡瀬『み、みんな大丈夫か?』

 

床田『な、なんとか。』

 

小森『あ、明と爆豪はどうなったノコ!?』

 

茨『明…』

 

緑谷『かっちゃん…』

 

しばらくすると煙が晴れ武舞台が姿を表した。

 

明『はあ、はあ、はあ、はあ…』

 

武舞台にはかめはめ波を打ち終えた僕1人が立っていた。

 

明『ぐわぁっ!!!

 

4倍界王拳のかめはめ波を打った反動のダメージの為に、思わず僕は地面に膝を付けてしまった。

 

明『い、今まで味わった事のない痛みだ。やっぱり4倍の界王拳は無理があったか。それに気もほとんど使い切っちゃった。これで決まってないと…』

 

僕は武舞台を見渡して爆豪君の姿を確認した。しかし爆豪君は何処にもいなかった。

 

切島『お、おい爆豪の奴何処に行ったんだよ?』

 

峰田『まさか、今の爆発で木っ端微塵に…』

 

芦戸『ちょっと峰田、変な事言わないでよ!』

 

緑谷『障子君、耳郎さん、かっちゃんを探してくれない?』

 

障子『わかった。』

 

耳郎『任せといて。』

 

耳郎さんのような索敵が得意な個性を持つ人が爆豪君を探し始めた。僕は彼等より先に行動を起こし、爆豪君の気を読んで上空を見つめていた。

 

耳郎『何かが上空から落ちてくる!』

 

障子『ああ、俺も確認した。間違いない、あれは爆豪だ!』

 

超爆発によって上空へ吹っ飛ばされた爆豪君が空から落ちてきた。そしてこのまま地面に激突すると思われたが、激突ギリギリで爆破で制動をかけ、無事に着地した。

 

爆豪『はあ、はあ、はあ、はあ。』

 

明『な、なんてことだ。4倍界王拳のかめはめ波でも倒れないなんて。まいったなあ、完全に手詰まりだ。』

 

僕がそんな事を考えていると

 

爆豪『どうした!もう終わりか!てめェの力はそんなものか!』

 

爆豪君が僕を挑発してきた。

 

爆豪『俺が取んのは完膚なきまでの一位なんだよ!てめェの目一杯の攻撃を見せてみろ!俺がそれをぶち破ってNo.1になってやる!』

 

マイク『な、なあイレイザー、この勝負どうなるんだ。』

 

相澤『爆豪はああ言ってはいるが、野沢の怒涛の攻撃に加えあの爆発を至近距離でまともにくらったんだ。今立ってるのもやっとだろうな。一方で野沢も3倍界王拳の攻撃に加えて4倍界王拳のかめはめ波まで打ったんだ。使った反動のダメージも相当なものだろう。』

 

マイク『と、言う事は…』

 

相澤『どちらも次の一撃が決め手になるだろうな。』

 

僕は次の、いや最後の一手をどうするか考えていた。正直この技は使いたくない。下手をしたら爆豪君に再起不能のダメージを与えてしまうからだ。でも爆豪君にあそこまで言われた以上使わない訳にはいかない。僕は覚悟を決めた。

 

明『わかったよ、僕の切り札を見せてやる。これを人に向けて使うのは君が初めてだ!』

 

そう言うと僕は空に向かって両手を上に上げた。

 

次回、遂に決着!




34話いかがだったでしょう。明対爆豪ですが、完全に悟空対ベジータをアレンジしたものとなってしまいました。やっぱり戦闘描写は何度書いても上手く書けません。こんな駄文を最後まで読んでいただきありがとうございます。後相変わらず爆豪の言葉遣いが曖昧なので、違和感などあれば誤字報告等で連絡してください。さて、明は何をしようとしているのか…って、こんなの誰でも分かりますよね。次回もお楽しみに。ご意見・ご感想等お待ちしています。


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第35話  決着

前回投稿から随分間があいてしまいました。ごめんなさい。今回は明対爆豪戦の決着です、どうぞ。


僕は空に向かって両手を上に上げた。僕の行動を見て何をするか理解した人もしてない人も、皆ザワザワしていた。

 

マイク『お、おい、野沢の奴両手を上に上げて、あれは降参のつもりか?』

 

相澤『お前、ドラゴンボールの漫画やアニメ見た事無いのか?』

 

マイク『あるに決まってるだろ、あんな日本を代表する漫画やアニメ。』

 

相澤『なら分かるだろ。悟空が両手を上げてやる事といえば1つしかないだろ。』

 

マイク『悟空が両手を上げて…って野沢の奴、まさか!』

 

相澤『ようやく気付いたか。』

 

マイク『元気玉を使うのか!?』

 

マイク先生の実況により、観客全員が僕が何をしようとしているのか理解した。そしてそれをいち早く理解し、行動したのが吹出君とポニーちゃんだった。

 

角取『明!』

 

吹出『ポニー、僕もやるよ!』

 

2人は僕が手を上げると立ち上がり、自分達も手を上げた。

 

取蔭『ポニー、吹出、2人共なにやってんの?』

 

角取『私明と約束シマシタ。元気玉を作ル時は、手を上げて私の元気ヲ分けてアゲマスって。だから私の元気ヲ分けてアゲルんです。』

 

吹出『僕もだよ!僕の元気が明の役に立つなら、いくらでも分けてあげるよ。』

 

2人の行動の意味を理解した他のクラスメイトは、僕も私もと立ち上がった。

 

拳藤『みんな、まずは明に呼びかけるよ。それから一斉に手を上げるんだ。いくよ、せーの!』

 

一同『明っ!

 

僕は呼びかけられた方を振り向いた。すると茨達B組のクラスメイト全員が立ち上がっていた。

 

拳藤『みんな、今だよ!』

 

そして僕が振り向いたのを確認すると、みんなは一斉に手を上げた。僕はすぐにみんなが何をしようとしているのか理解した。

 

吹出『明、ガンバレー!』

 

角取『明、負けないでクダサイ。』

 

円場『おい、鉄哲と拳藤はトーナメントで体力消耗してるんだから、やめといた方がいいんじゃねえか?』

 

柳『茨もやめた方がいいわ。』

 

鉄哲『心配いらねえ。カスみたいな俺の元気だが、明に全部くれてやる!』

 

拳藤『私も大丈夫。それにみんなが明を応援してるのに、委員長の私が何もしない訳にはいかないよ。』

 

茨『私も大丈夫です。残っている私の元気、明に届けます。』

 

物間『明、僕の元気もわけてやる。その元気で爆豪を倒して、A組よりB組の方が優秀だって事を証明するんだ!』

 

泡瀬『相変わらずだなコイツは。でも、明に勝ってほしいって気持ちは本物だよな。勿論俺もだ。負けるんじゃねえぞ明!』

 

回原『明、俺の元気、全部持ってけ!』

 

凡戸『明、僕の元気も受け取って!』

 

鎌切『俺の元気で爆豪をぶっ倒せ!』

 

黒色『俺の元気、受け取れ明!』

 

小大『ん。明、頑張って。』

 

小森『明、絶対勝つノコ!』

 

宍田『明氏、私の元気も使って下さい。』

 

床田『頑張れ明、もうひと踏ん張りだ!』

 

骨抜『入試で見せたのより凄い元気玉、俺達に見せてくれ!』

 

取蔭『私達の元気で作ろう、でっかい元気玉!』

 

鱗『俺達の元気で作った元気玉でお前が勝つんだ!』

 

明『クラスのみんな、ありがとう。』

 

みんなの行動を理解した僕は、地球上から少しづつ元気を集めるのではなく、B組のクラスメイト20人の元気だけを集める事にした。

 

マイク『なあイレイザー、B組の奴らみんな手上げてるけど、あれって…』

 

相澤『ああ、お前の思っている通り、野沢に元気を送ってるんだ。』

 

マイク『やっぱりそうだよな。でも、他人の力を借りるって反則になるんじゃないのか?』

 

相澤『それはミッドナイトがどう判定するかだな。』

 

僕もその事を気にしていた。でもミッドナイト先生は何も言ってこなかったので、僕は元気玉を作り続けた。

 

そして意外だったのが僕が元気玉を作っている間、爆豪君は一切手を出さなかった。

 

上鳴『爆豪の奴、なんで攻撃しないんだ?今の無防備な明を攻撃すれば簡単に勝てるはずなのに。』

 

緑谷『待ってるんだ、元気玉が出来るのを。』

 

瀬呂『マジかよ緑谷!でもなんでわざわざそんな事?』

 

緑谷『かっちゃんのあの性格だ。無防備な明君を倒して勝っても嬉しくないんだ。それよりも、元気玉に正面から挑んで勝つ事に意味があるんだ。かっちゃんにとっては。』

 

切島『なるほどな。爆豪の奴、漢気あるじゃねえか!』

 

みんなが元気を分けてくれたおかげであっという間に元気玉は完成した。その大きさは直径150cm程の大きなサイズになった。

 

葉隠『あれが、元気玉。』

 

麗日『綺麗。』

 

青山『あんな美しい光の玉を見たのは初めてだよ☆』

 

砂藤『フリーザや魔人ブウに使ったのよりは小さいが、ベジータに使ったのよりは大きいな』

 

蛙吹『爆豪ちゃん、あの元気玉に勝てるのかしら?』

 

A組のみんなは出来上がった元気玉を見て思い思いの事を口にしていた。一方で、

 

八百万『み、皆さん!大丈夫ですか!?』

 

八百万さんが隣のB組の席を覗くと20人全員が疲れて椅子に座り込んでいた。

 

拳藤『だ、大丈夫。明に元気を分けたせいで、みんな体力を消耗してるだけだから。』

 

鉄哲『頼むぞ明、その元気玉には俺達20人の元気が詰まってるんだからな!』

 

僕は元気玉を打つ体制に入り、爆豪君に身構えた。

 

明『待たせたね。これが僕の切り札、元気玉だよ。』

 

爆豪『ようやくか、遅えんだよクソが!』

 

明『先に言っておく。君が弱きを助け強きを挫くヒーローとしての正義の心を持っていれば、元気玉が爆発することはない。』

 

爆豪『……』

 

明『ただしパワーは本物だ。君が元気玉のパワーに耐えられず、場外に吹き飛ばされれば僕の勝ち、元気玉のパワーに耐え、はね返せば君の勝ちだ。』

 

爆豪『いいぜ、俺の榴弾砲着弾(ハウザーインパクト)でお前の元気玉をぶち破ってやる!』

 

明『ならいくぞ!これが僕達1年B組21人の、思いの詰まった元気玉だあっ!!!!!

 

爆豪『くらえ!榴弾砲着弾(ハウザーインパクト)!!!

 

元気玉と榴弾砲着弾(ハウザーインパクト)がぶつかり合い、大爆発が発生した。といっても先程のような大規模な爆発ではなかった。

 

爆豪『どうだ、俺の勝ちだ!』

 

しばらくして煙が晴れてきた。だが元気玉に榴弾砲着弾(ハウザーインパクト)は全く効いていなかった。

 

爆豪『なっ!?』

 

そして元気玉は爆豪君を場外に吹き飛ばすべく、爆豪君に向かって突き進んだ。

 

明『いっけええええっ!』

 

爆豪『こ、こんなもん!』

 

爆豪君は元気玉を受け止め、両手から爆破を放ち元気玉を破壊しようとした。だがいくら攻撃しても元気玉はビクともしなかった。

 

緑谷『かっちゃん、負けるなっ!頑張れ!』

 

常闇『爆豪、貴様の力はその程度か!』

 

切島『根性見せろ爆豪!』

 

轟『爆豪…』

 

A組のみんなは爆豪君を必死で応援していた。だが時間が経つに連れて両手からの爆破は出なくなり、爆豪君は場外に向かって押し出されていった。

 

爆豪『こんなもん!こんなもん!』

 

そして遂に場外まであと1歩という所まで爆豪君は押し出された。

 

爆豪『!?』

 

明『爆豪君、君は凄いよ、ここまでよく頑張った。何度攻撃しても立ち上がってきて、いい加減嫌になるくらいだったよ。今度は元気玉無しで、1対1で勝負しよう。その時を楽しみにしてるからね。僕ももっともっと修行して腕を上げて。』

 

爆豪『くっ、クソがっ!』

 

明『またね。』

 

僕は元気玉を操る手に力を込めた。

 

茨『明!

 

鉄哲『明!

 

拳藤『明!

 

1年B組『いっけえーーーーーっ!!!!!

 

明『はあああああああああっ!!!!!

 

爆豪『うわあああああ!』

 

そして遂に爆豪君を場外に吹き飛ばした。爆豪君が場外に出たのを確認すると僕は元気玉を上空に打ち上げた。そして元気玉は大気圏を突破して宇宙空間に出た所で爆発し消滅した。

 

ミッド『爆豪君場外!!よって━━━━━━…野沢君の勝ち!!

 

マイク『以上で全ての競技が終了!!今年度雄英体育祭1年優勝は━━━━━━━━━━…B組野沢明!!!!!

 

明『ふう、やっと終わった。』

 

吹出『やったー!明が勝ったー!』

 

小森『やったノコ!明が優勝したノコ!』

 

物間『まあ、僕達が元気を分けてあげたおかげだけどね。』

 

拳藤『そんな事、明だってわかってるよ。だからこの優勝は私達1年B組全員で勝ち取った優勝だよ。』

 

鉄哲『けど、あれだけの明の猛攻を耐えた爆豪も大した奴だぜ。』

 

茨『明、おめでとうございます。』

 

僕の優勝が決まり観客席では大歓声が響いていた。そんな中、僕はどうしても気になる事があったのでミッドナイト先生に聞いてみた。

 

明『ミッドナイト先生、聞きたい事があるんですけど。』

 

ミッド『ん、何野沢君?』

 

明『僕失格にならないんですか?』

 

ミッド『えっ!どうして?』

 

明『最後の元気玉ですけど、クラスメイトのみんなが僕に元気を分けてくれたから短時間であのサイズの元気玉が作れたんです。1対1のトーナメントなのに他人の力を借りたんですから、失格なんじゃないかと思って…』

 

ミッド『野沢君、あなた事前にクラスメイトのみんなに元気を分けてくれって頼んでいたの?』

 

明『いえ、作るときに元気を分けてあげると約束してくれた人はいました。けど僕から分けてくれと頼んだ人は1人もいません。』

 

ミッド『なら、クラスメイトのみんなは自主的に元気を分けてくれたって事よね。あなたの意志が関わっていないのならば、失格にはならないわ。だから安心しなさい。』

 

明『そうですか、ありがとうございました。』

 

ミッドナイト先生の説明を聞き終えた後、僕は安心感と疲労と体の痛みによりその場で気を失ってしまった。

 

ミッド『の、野沢君!』

 

僕はすぐさまリハンソーロボによりリカバリーガールの保健所に運ばれた。

 

36話へ続く…




35話いかがだったでしょう。元気玉のシーンですが、またしても純粋ブウ戦のアレンジになってしまいました。申し訳ございません。こんな駄文を読んでいただきありがとうございました。ご意見・ご感想、誤字脱字や言葉遣いの指摘等、何でもお寄せ下さい。次回もお楽しみに。


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第36話  閉会式。そして…

お久しぶりです。随分投稿が遅くなってしまい、申し訳ありません。今回は閉会式とその後の様子です。どうぞ。


〜リカバリーガールの出張保健所にて〜

 

明『う、うーん。』

 

茨『あ、明!気が付きましたか?』

 

明『茨、ここは?僕は一体?』

 

茨『ここはリカバリーガールの保健所です。あなたは武舞台で気を失って倒れたんですよ。』

 

明『そうだったのか…』

 

ふと横を見ると爆豪君もベッドで眠っていた。

 

茨『さあ明、仙豆です。食べて下さい。』

 

僕は差し出された仙豆を見て少し考えた。

 

明『茨、悪いんだけど、鎌切君呼んできてくれないかな。』

 

茨『え!?それは構いませんが、どうしてですか?』

 

明『悪いけど、頼むよ。』

 

茨『分かりました。』

 

そう言うと茨は保健所を出ていった。そしてしばらくすると鎌切君を連れて戻ってきた。

 

鎌切『明、大丈夫なのか?』

 

明『うん、なんとかね。』

 

鎌切『で、俺に何の用なんだ?』

 

明『茨、仙豆を。』

 

僕は茨から仙豆を一粒受け取った。

 

明『鎌切君、この仙豆、2つに切り分けてもらえるかな。』

 

鎌切『えっ!?それはいいが、何でそんな事するんだ?』

 

明『ちょっとね、悪いけど頼むよ。』

 

鎌切『わかった。』

 

鎌切君の個性“刃鋭”で仙豆を半分づつに切り分けてもらった。そしてその片方を食べた。半分だったので完全回復とはいかなかったが、体の痛みは消え、自由に動ける程度には回復した。

 

明『ふう。リカバリーガール、これ爆豪君が目を覚ましたら食べさせて下さい。』

 

そう言うと僕は残っていたもう半分の仙豆を差し出した。

 

茨『明…』

 

鎌切『なるほど、そういう事か。』

 

RG『わかった、預かっておくよ。さあ、お前さん達はみんなの所に戻りな。』

 

明『はい、ありがとうございました。さあ2人共、戻ろう。』

 

茨『はい。』

 

鎌切『ああ。』

 

僕達は保健所を後にし、皆の所に戻った。戻ると皆から「おめでとう」と祝福の嵐だった。

 

その後爆豪君が目を覚まし、表彰式が行われる事になった。

 

表彰台には1位の場所に僕が、2位の場所に爆豪君が、3位の場所に茨と轟君が立っていたが、爆豪君は拘束され石柱にくくりつけられ、おまけに猿ぐつわまでされていた。何でも目を覚ましてからずっと暴れていたそうだ。

 

ミッド『それではこれより!!表彰式に移ります!さっそくメダル授与よ!!今年メダルを贈呈するのはもちろんこの人!!』

 

オールマイト『私が、メダルを持って来…』

 

ミッド『我らがヒーロー、オールマイトォ!!

 

オールマイトのおなじみのセリフとミッドナイト先生の紹介が被ってしまい、会場は少し微妙な空気になってしまった。ともあれ、メダルの授与が始まった。

 

オールマイト『轟少年、3位入賞おめでとう。準決勝で左の炎を収めてしまったのには訳があるのかな?』

 

轟『緑谷との試合できっかけをもらって…わからなくなってしまいました。あなたがアイツを気にかけるのも、少しわかった気がします。俺もあなたのようなヒーローになりたかった。ただ…俺だけが吹っ切れてそれで終わりじゃ駄目だと思った。清算しなきゃならないモノがまだある。』

 

オールマイト『……顔が以前と全然違う、深くは聞くまいよ。今の君ならきっと清算できる。』

 

そう言うとオールマイトは轟君をハグし、背中をポンポンと軽く叩いた。

 

オールマイト『続いて塩崎少女、3位入賞おめでとう。女子生徒ながら見事入賞とは、大したものだ。』

 

茨『ありがとうございます。私には勿体ないお言葉です。』

 

オールマイト『だが君は個性に頼りすぎている面がある。個性だけでなく自力も鍛えれば戦いの幅が広がるだろう。特に君の場合、近くにいいお手本がいるのだから、必ず参考になるはずだよ。』

 

茨『はい。オールマイト先生の言葉を糧に、これからも明やクラスメイトの皆さんと共に、一人前のヒーロー目指して精進努力して参ります。』

 

オールマイト『うむ。さて爆豪少年!っとこりゃあんまりだ…』

 

そう言うとオールマイトは爆豪君の口の猿ぐつわを外した。

 

オールマイト『準優勝おめでとう。伏線回収とはならなかったが、見事な戦いぶりだったよ。』

 

爆豪『オールマイトォ、こんな準優勝…何の価値もねぇんだよ!No.1じゃなきゃ2位もビリも俺にとっちゃゴミ同然なんだ!それに俺は半分野郎に舐めプされてんだ!クラスの奴らが煽るから決勝には出たが、本当は出る気なんてなかったんだ!』

 

オールマイト『(顔すげえ…)』

 

爆豪『それからテメェ、余計な事すんじゃねえ!』

 

突然爆豪君は僕に向かって怒鳴りだした。

 

明『へ?余計な事って?』

 

爆豪『お前がばあさんに渡した仙豆の事だ!お前の施しなんて俺には必要ねえんだよ!!』

 

明『ああ、別に僕が勝手にやった事だから、気にしなくていいよ。』

 

オールマイト『うむ!相対評価に晒され続けるこの世界で、不変の絶対評価を持ち続けられる人間はそう多くない。受けとっとけよ!“傷”として!忘れぬよう!』

 

爆豪『要らねっつってんだろが!!』

 

爆豪くんはメダルの受け取りを拒否していたが、オールマイトは強引にメダルのリボンを口に咥えさせてメダルを授与した。

 

オールマイト『そして野沢少年!優勝おめでとう。流石悟空の個性というところかな!』

 

明『ありがとうございます。ですがオールマイト先生、僕はこの体育祭、自分1人で優勝出来たとは思っていません。1年B組全員で勝ち取った優勝だと思ってます。』

 

オールマイト『ほう。』

 

明『特に最後の元気玉ですが、僕一人では短時間であのサイズの元気玉を作る事は出来ませんでした。B組のクラスメイトみんなが元気を分けてくれたから作る事が出来たんです。』

 

オールマイト『うんうん。』

 

明『それに1対1の試合で他人の力を借りたんですから、失格でもおかしくないと思っています。』

 

オールマイト『なるほど。』

 

明『ですからこれからもっと修行して、いつか元気玉無しで、1対1でもう1度爆豪君と勝負したいと思います。爆豪君、その時はよろしくね。』

 

爆豪『当たり前だ!いつか必ずお前も全力の半分野郎もぶっ倒して、俺がNo.1だって事を証明してやるからな!』

 

轟『俺も…』

 

突然轟君が会話に入ってきた。

 

轟『俺も、いつかお前に挑戦してもいいか?』

 

明『勿論!その時を楽しみにしているよ。』

 

オールマイト『うむ。ただ1点だけ。今の体で無茶な倍率の界王拳を使わないように。見た限りじゃまだ3倍界王拳を使える体は出来ていない。4倍なんて以ての外だ。しっかり体を鍛えてからにするんだよ。』

 

明『ハイ!』

 

オールマイト『さァ!!今回は彼らだった!!しかし皆さん!この場の誰にもここ(・・)に立つ可能性はあった!!ご覧いただいた通りだ!競い!高め合い!さらに先へと登っていくその姿!!次世代のヒーローは確実にその芽を伸ばしている!!てな感じで最後に一言!!皆さんご唱和下さい!!』

 

オールマイト『せーの

 

一同『プルス…』

 

オールマイト『おつかれさまでした!!!

 

ミッド『そこはプルスウルトラでしょオールマイト!!』

 

オールマイト『ああいや…疲れたろうなと思って……(汗)』

 

こうして最後はキレイに締まらずビミョーな空気になってしまったが、雄英体育祭は幕を閉じた。

 

〜体育祭終了後、ホームルームにて〜

 

ブラド『みんなご苦労だったな。明日、明後日の2日間は学校は休みになるので、しっかり体を休めておくように。あと、休み明けにプロからの指名等を発表するから、全員楽しみにしておけ。』

 

ブラド先生から明日以降の予定が説明されて、ホームルームは終了した。そして放課後…

 

取蔭『ねぇみんな、明日なんだけど、明の優勝と茨の3位入賞を祝って祝勝会やらない?』

 

骨抜『いいなそれ。でも場所はどうするんだ?俺達21人が集まれる場所なんて…』

 

拳藤『それなら明のトレーニングルームがいいよ。私と鉄哲この間行ったけど、あの部屋かなり広いから私達全員入っても問題無いよ。明、使わせてもらえるかな?』

 

明『場所を提供するのは問題無いけど、今決めて明日開催じゃ、大した料理や飲み物用意出来ないよ。』

 

宍田『それでしたら、私にお任せして頂けませんか?』

 

明『宍田君に?』

 

宍田『はい。皆さんが必ずご満足いくお食事をご用意致します。』

 

明『じゃあ宍田君にお任せするよ。時間はどうする?』

 

鉄哲『昼頃でいいんじゃねえか?』

 

明『それじゃ明日の昼12時、僕の家の最寄り駅で待ち合わせって事で。みんないいかな?』

 

一同『賛成〜!』

 

こうして明日は僕の家のトレーニングルームで祝勝会を開く事になった。そしてその日の夜、僕は久しぶりに亮に電話をし連絡をとった。お互い、高校に進学してから初めての連絡だった。ちなみにスピーカーモードにして、茨も一緒に通話している。

 

明『久しぶり、亮。』

 

茨『お久しぶりです、鳥山さん。』

 

亮『ああ。2人共元気そうだな。』

 

明『雄英体育祭、見てくれたか?』

 

亮『ああ、ちゃんと見たぞ。見事な優勝だったな明。塩崎も3位入賞おめでとう。』

 

明『ありがとう亮。』

 

茨『ありがとうございます、鳥山さん。』

 

亮『2人共中学卒業した時よりも成長していたな。明は3倍界王拳が使える時間が以前より長くなってるし、塩崎は個性のツルの扱いに更に磨きがかかっていたな。』

 

茨『雄英に入学してからは、厳しい訓練の毎日ですから。』

 

明『特に体育祭開催までの2週間、僕は20倍の重力の下で修行したからね。』

 

亮『なるほど。だが気に入らない事が1つだけある。』

 

明『気に入らない事?』

 

茨『何ですかそれは?』

 

亮『初めて元気玉をくらったのが俺じゃなかったって事だ!明の元気玉を最初にくらうのは俺だと思っていたからな!』

 

明『なるほど。確かに爆豪君は強かったからね。僕の4倍界王拳のかめはめ波をくらっても立ち上がってきたし。』

 

茨『私も鳥山さん以外で明にあそこまで対抗出来る人は初めて見ました。』

 

その後は互いの近況報告等をして、通話を終了した。さて、明日は祝勝会だ。僕の家に20人近くの友達が来るのは初めてだから、凄くたのしみだ。

 

37話に続く…




36話いかがでしたでしょう?このところ仕事が忙しかったりでなかなか投稿出来なくて申し訳ありません。今後も不定期更新になりますが、こんな駄文を読んでいただけると嬉しいです。次回もお楽しみに。ご意見・感想・誤字報告等、何でもお待ちしています。


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第37話  祝勝会

お待たせしました。37話です。今回は祝勝会の様子です。今回とある人物にオリジナルの設定を入れています。それではどうぞ。


雄英体育祭の翌日、時間は午前11時30分、僕と茨は自宅からの最寄り駅でみんなの到着を待っていた。待っている間いろんな人から体育祭の事で声をかけられて少し大変だった。

 

明『ちょっと来るのが早かったかな?』

 

茨『そうですね。でも、もう少ししたら皆さん到着すると思いますよ。』

 

明『あと食事の事だけど、任せてって言ったから宍田君に全部任せちゃったけど、大丈夫かな?』 

 

茨『確かに、21人分の食事を宍田さん1人で用意するのは流石に無理がありますよね。』

 

明『用意出来なかったらみんなで買い出しにでも行こうか?』

 

茨『そうしましょう。皆さん手伝ってくれるはずですから。』

 

僕と茨がみんなの到着を待ちながらそんな話をしていると

 

鉄哲『おーい!明!塩崎!』

 

拳藤『ちょっと鉄哲、声が大きい!』

 

鉄哲君と拳藤さんが最初にやって来た。

 

拳藤『お待たせ。2人共待たせちゃったかな?』

 

茨『大丈夫ですよ。私達もさっき来たところですから。』

 

鉄哲『他のみんなはまだなのか?』

 

明『うん。2人が1番だよ。』

 

鉄哲『ったく、みんななにやってんだよ!』

 

明『まあまあ、12時までまだ時間はあるし、みんな必ず時間通りに来てくれるよ。』

 

拳藤『そうそう。イライラせずにみんなを待ってようよ。』

 

茨『あっ!あれは希乃子さん達ですよ。』

 

その後他のみんなも続々と到着し、12時5分前には宍田君以外の全員が到着した。

 

明『後は宍田君だけだけど、どうしたんだろう?』

 

鎌切『まさか、食事が用意出来なくて逃げたんじゃないのか?』

 

小森『そんな訳ないノコ!宍田は約束を破るような男じゃないノコ!』

 

凡戸『そうだよ。それにまだ12時まで5分あるし、必ず来るよ。』

 

僕達が宍田君の到着を待っていると

 

『♬』

 

僕のスマホにLINEが届いた。

 

明『あっ、宍田君からだ。』

 

取蔭『明、なんて書いてあるの?』

 

明『えーと、「直接明氏のご自宅にお伺いいたしますので、住所を教えていただけますか。」だって。』

 

柳『直接明の家に向かうって、何かあったのかしら?』

 

明『とりあえず、宍田君にLINE送るよ。』

 

僕は自宅の住所を書いて宍田君にLINEを返信した。するとすぐに返事が来た、

 

明『「すぐに明氏のご自宅に向かいますので、皆さんは先に向かって下さい。」だって。』

 

茨『それでは、ここでみんなで待っているのもなんですし、参りましょうか。』

 

明『そうだね、じゃあみんな、僕の家に案内するよ。』

 

僕と茨はみんなを僕の自宅に案内することにした。そして歩く事数分、僕の自宅に到着した。

 

明『みんな、ここが僕の家だよ。で、隣が僕のトレーニングルーム。』

 

物間『おお、結構デカい家だね。』

 

回原『それに拳藤が言った通り、トレーニングルームもデカいな。これなら俺達全員入っても大丈夫だな。』

 

明『ちなみに僕の家の隣にある家が茨の家だよ。』

 

取蔭『茨の家って、本当に明の家の隣だったんだ。』

 

角取『茨、後デ茨の部屋ニ行ってモいいデスカ?』

 

小大『ん。茨、私もいい?』

 

茨『ええ、構いませんよ。』

 

明『それじゃ、トレーニングルームに案内するよ。』

 

僕がみんなをトレーニングルームに案内しようとすると

 

『ブロロロロロロ』

 

僕の家の前に2台の大型トラックがやって来た。

 

鱗『な、なんだこのトラック!?』

 

骨抜『明、お前が手配したのか?』

 

明『いや僕じゃないよ。なんだろうこのトラック?』

 

2台のトラックは僕の家の前に停車した。そしてそのうちの1台のトラックの助手席から誰か降りてきた。

 

宍田『皆さん、遅くなって申し訳ありませんでした。』

 

降りてきたのは宍田君だった。

 

円場『宍田、お前がこのトラック手配したのか?』

 

茨『宍田さん、このトラックは一体何なのですか?』

 

宍田『皆さんお話は後程。明氏、トレーニングルームはどちらですか?』

 

明『あ、あっちに見えるのがそうだけど。』

 

宍田『分かりました。それでは皆さん、よろしくお願いします。』

 

宍田君がそう言うとトラックの荷台の扉が開き、沢山の人が降りてきた。そして片方の荷台からは椅子やテーブルが降ろされ、もう片方の荷台からは沢山の料理が降ろされ、トレーニングルームに運び込まれた。そして数分後

 

『獣郎太(ぼっ)ちゃま、御用意完了致しました。』

 

宍田『ありがとうございました。パーティーが終了したらまた御連絡致しますので、よろしくお願いします。』

 

『かしこまりました。それでは、失礼致します。』

 

執事のような人がそう言うと、その人はトラックに乗り込み、去っていった。

 

宍田『明氏、お待たせ致しました。それでは、皆さんをご案内致しましょう。』

 

明『う、うん。じゃあみんな、案内するね。』

 

僕は改めてみんなをトレーニングルームに案内することにした。

 

吹出『うおおおおお!スッゲー!』

 

中に入ると室内には椅子とテーブルが並べられ、テーブルの上には和・洋・中といった様々なジャンルの料理が並べられていた。更に料理だけでなく、沢山の種類の飲み物やフルーツ、さらにはティラミスやモンブラン等のスイーツも用意されていた。

 

泡瀬『スゲぇ。宍田、これ全部食っていいのか?』

 

宍田『勿論、心ゆくまで堪能して下さい。あとタッパーも御用意してますので、余ったお料理はお持ち帰りしても構いませんよ。』

 

明『ありがとう宍田君。でも、どうしてこんな豪勢な料理を用意出来たの?』

 

宍田『昨日帰って今日の祝勝会の事を私の父上に相談したら、快く用意してくださったのです。』

 

黒色『宍田の父親が…』

 

床田『宍田の家って、凄いお金持ちなのか?』

 

宍田『実は、私の父上は宍田コンツェルンの社長をしてまして、御祖父様は会長をしているのです。』

 

一同『宍田コンツェルン!?

 

柳『宍田コンツェルンっていったら、アッ○ルやマ○ク○ソフトと肩を並べる程の大企業グループじゃない!』

 

物間『どおりで息子の頼みとはいえ、こんな豪華な料理を簡単に用意出来る訳だ。』

 

回原『明もいいトコのボンボンだと思っていたけど、まさかそれ以上のボンボンがいたとは…』

 

明『いや、僕ボンボンじゃないから。』

 

みんな宍田君の家の凄さに呆然としていた。

 

拳藤『み、みんなせっかくの料理が冷めてもあれだから。あっ!その前に乾杯しようか。』

 

という事で、食事を頂く前に皆で乾杯する事になった。

 

拳藤『明、乾杯の前に一言いい?』

 

明『うん、いいよ。ゴホン!えーと、まずはみんな、今日は僕と茨のためにこんな祝勝会を開いてくれてありがとう。あと、表彰式でも言ったけど、最後の元気玉でみんなが元気を分けてくれたから優勝できました。だから今回の優勝は僕達21人で掴み取った優勝だと思ってます。みんな、本当にありがとう。』

 

拳藤『それじゃ、明の優勝と茨の3位入賞を祝って!』

 

一同『乾杯!!

 

円場『さーて、何から食うかな?』

 

小森『どれを食べるか迷っちゃうノコ♪』

 

乾杯終了後、みんなで宍田君が用意してくれた料理を頂く事にした。

 

角取『Oh,it's delicious!』

 

泡瀬『うっめー!こんなうめぇ飯食ったの初めてだぜ!宍田、ありがとな。』

 

宍田君が用意してくれた料理はみんなに大好評だった。そんな中、みんなは僕が結構な量を食べることに驚いていた。

 

取蔭『あ、明、アンタものスゴイ食べるね。』

 

柳『学校じゃ私達よりちょっと多い位しか食べないのに。』

 

明『食費の事もあるからね。普段は食べる量を抑えてるんだ。こんな時でもないとガッツリ食べられないからね。』

 

茨『ちなみに明は中学時代、大食いチャレンジのお店に何軒も通って、全てのお店から出禁になってるんですよ。』

 

明『ちょっと茨、恥ずかしいから言わないでよソレ!』

 

拳藤『マジで!流石サイヤ人、底無しの食欲だね。』

 

宍田『明氏、足りないようでしたら追加致しますので、遠慮なく食べて下さい。』

 

明『ありがとう、宍田君。』

 

みんな宍田君が用意してくれた料理に大満足のようだった。

 

回原「ふう、食った食った。なあ明、何かゲームとか無いのか?」

 

鉄哲『そうだ明、みんなでドラゴンボールファイターズやろうぜ!』

 

拳藤『ファイターズよりスマブラがいいよ。ねえ明、用意してよ。』

 

明『ちょっ、ちょっと待って。確かにファイターズもスマブラもあるけど、流石に全員を家のリビングに入れることは出来ないし、家からテレビ持ってきたりするのも手間がかかるし。』

 

拳藤『大丈夫だよ明、うちのクラスには大きい物や重い物を運ぶのにピッタリな個性の人がいるでしょ。』

 

明『ああ、そうか!』

 

拳藤『唯、明の事手伝ってあげて。』

 

小大『ん。明、任せて。』

 

明『ありがとう小大さん。』

 

小大さんの個性“サイズ”でテレビを小さくしてもらい、僕はファイターズやスマブラができるよう準備した。

 

その後はみんなでスマブラやファイターズをプレイして楽しだ。途中女性陣は茨の部屋を見物に行っていた。更に僕の部屋も見たいという友達もいたので案内してあげた。特に吹出君とポニーちゃんは僕の部屋を見て大興奮していた。そしてそろそろお開きにしようとなった頃、父さんと母さんがトレーニングルームにやって来た。

 

明父『みんなこんにちは。仕事が遅くなってこんな時間での挨拶になってしまった。申し訳ない。』

 

明母『皆さんこんにちは。今日は明と茨ちゃんのためにこんな祝勝会を開いてくれてどうもありがとう。』

 

拳藤『こちらこそ、祝勝会の場所を提供して頂き、ありがとうございます。』

 

明父『気にしなくていいよ。このトレーニングルームは明のために建てたんだから、明がどう使おうと、私達は口を出さないよ。』

 

明母『その代わり、みんなこれからも明と茨ちゃんの2人と仲良くしてあげてね。』

 

一同『ハイ!』

 

こうして挨拶が終わり父さんと母さんが家に戻ろうとした時

 

回原『あの、ちょっと待って下さい。』

 

突然回原君が父さんと母さんを引き止めた。

 

回原『俺明のクラスメイトの回原旋っていいます。明のお父さん、お願いがあります。鉄哲と拳藤に渡したグラビティ・チョーカー、俺にも用意してもらえませんか。』

 

明父『グラビティ・チョーカーをかい?』

 

回原『はい。2人は体育祭までの約1週間、チョーカーを付けて2倍の重力の下で修行したって聞きました。そのおかげで体育祭で活躍出来たんです。だから俺も2人に追いつけるように、チョーカーを付けて修行したいんです。お願いします。』

 

鎌切『お、俺もお願いします!俺にもグラビティ・チョーカーを下さい!』

 

取蔭『明のお父さん、私もお願いします。私の分のグラビティ・チョーカー用意して下さい。』

 

回原君のお願いに反応して、殆どの友達が父さんにグラビティ・チョーカーをくれるようお願いしてきた。

 

明父『ちょっ、ちょっと待ってくれ。この間は鉄哲君と拳藤さんの2人だったからすぐ用意出来たが、流石にこの人数だとそれなりの時間もかかるし、何より無償でというわけには…』

 

宍田『それでしたら、私にお任せして頂けませんか?確か、明氏のお父様はドラゴン・コーポレーションにお勤めでしたね。』

 

そう言うと宍田君はスマホを取り出し、どこかに電話をし始めた。

 

宍田『もしもし父上ですか?仕事中に申し訳ありません。実はお願いしたい事がありまして…』

 

宍田君は自分の父親に電話しているようだ。そしてしばらくすると通話を終了した。

 

宍田『明氏のお父様、ご安心下さい。私の父上がグラビティ・チョーカーを制作するために、ドラゴン・コーポレーションへの資金援助と人材派遣を約束してくださいました。なのでなんのご心配もなく、我々の人数分のグラビティ・チョーカーをご用意してください。』

 

明父『君のお父さんがかい!?君は一体?』

 

明『彼は宍田獣郎太君っていって、彼のお父さんは宍田コンツェルンの社長なんだって。』

 

明父『あの宍田コンツェルンの社長!?どおりで簡単に融通がきく訳だ。わかった!君達の分のグラビティ・チョーカー、必ず用意しよう。』

 

凡戸『やったー!』

 

柳『明のお父さん、ありがとうございます。』

 

鱗『宍田もありがとな。』

 

宍田『いえいえ、私もグラビティ・チョーカーが欲しかったですから。』

 

明父『その代わり1つだけお願いがあるんだが。鉄哲君と拳藤さんにもお願いしたんだが、今後の商品開発の参考にしたいので、使って1ヶ月経過したら、使った感想のレポートを提出してほしい。みんな、お願いできるかな?』

 

一同『ハイ!』

 

こうして、僕の父さんにグラビティ・チョーカーを用意してもらう約束をして、祝勝会はお開きとなった。宍田君の執事の人達がテーブルや椅子を片付けた後、せっかく使わせてもらったって事で最後はみんなで掃除までしてくれた。

 

明『みんな、今日は本当に楽しかったよ。ありがとう。特に宍田君は豪華な料理を用意してもらって本当にありがとう。』

 

宍田『いえいえ、私の方こそ、クラスのみんなで集まってパーティーなんて初めてでしたから、貴重な経験ができて大変満足しています。皆さん、ありがとうございました。』

 

拳藤『じゃあ明、茨、また明後日学校でね。』

 

茨『はい。皆さんもお気をつけて。』

 

明『みんな、また明後日ね。』

 

こうしてみんなは自宅へと帰っていった。次の日の休みは僕はいつも通り修行を行い、茨は短くなった髪を伸ばす為、日光浴に時間を費やした。

 

さて、2日間の休み明けの学校、僕や茨にどれ位の指名がきているか楽しみだ。

 

38話に続く




37話いかがだったでしょう。原作をベースにしない完全オリジナルの話だったので書いてて楽しかったてす。ちなみに宍田ですが、原作では良家のお坊ちゃまという設定がありますが、両親の会社の事などは原作には書かれていないので、私が勝手に作りました。イメージとしては、こち亀の中川をイメージして考えました。

次回もお楽しみに。ご意見・ご感想・誤字報告等気になった事があれば何でもご連絡下さい。お待ちしています。


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第38話  ヒーロー名を考えよう!

お待たせしました。38話です。今回はB組のヒーローネームを決める話です。どうぞ。


雄英体育祭後2日間の休みを明け、僕と茨は学校に登校していた。休み初日の駅前でもそうだったが、今日の登校途中でもいろんな人から声をかけられて大変だった。仮免の力を使って茨を背中に乗せて舞空術で飛んでいってやろうかとも思ったが、天気は生憎の雨だし、そもそもこんな事で仮免の力を使って個性を使ったら先生に怒られると思い、なんとか頑張って登校した。

 

学校に着き教室に入ると他のみんなも登校途中に声をかけられたようで、その事で話題は持ち切りだった。その後ブラド先生がやって来て朝のHRが行われ1時間目が始まった。そして時間は進み2時間目…

 

ブラド『この時間の“ヒーロー情報学”だが、少し特別なものになっている。』

 

回原『(ヒーロー関連の法律とか、苦手だから嫌だなぁ(泣))』

 

泡瀬『(特別って、まさか小テストとか!?)』

 

ブラド『お前達にはこれから、「コードネーム」ヒーロー名の考案をしてもらう。』

 

一同『胸ふくらむヤツきたああああ!!』

 

ブラド『静かに!というのも体育祭終了後に話した「プロからのドラフト指名」に関係してくる。本来指名が本格化するのは経験を積んで即戦力として見られる2年・3年からだ。つまり今回来た“指名”は将来性に対する“興味”のようなものだ。卒業までにその興味が無くなったら一方的なキャンセルなんてのはよくある話だ。』

 

物間『やれやれ、大人は勝手だなぁ。』

 

小大『頂いた指名がそのまま自分へのハードルになるって事ですね。』

 

ブラド『そういう事だ。で、その指名の結果だが、B組からはトーナメントに出場した4人に指名が来た。』

 

野沢 5009

 

塩崎 326

 

拳藤 298

 

鉄哲 287

 

ブラド『例年はもっと数が割れるんだが、B組は野沢に指名が偏った。まあ、当然といえば当然だがな。』

 

柳『凄いわね明、圧倒的な数じゃない。』

 

鱗『そりゃそうだ。悟空の個性を持っててあれだけの活躍をしたんだから。』

 

明『アハハ、でも流石に多すぎじゃないかな?僕以外にも活躍した人沢山いたはずなのに。』

 

取蔭『茨、300以上も指名があるなんて凄いじゃない。』

 

鎌切『やるじゃないか塩崎。』

 

小森『本当ノコ!正直羨ましいノコ。』

 

茨『ありがとうございます。私の希望するヒーローから指名があるといいのですが。』

 

床田『拳藤も300近い指名があるなんて凄いなあ。』

 

黒色『初戦の瀬呂戦はともかく、明とあれだけの試合をしたんだ。当然の結果だ。』

 

宍田『拳藤氏、よかったですなあ。』

 

拳藤『みんなありがとう。』

 

凡戸『鉄哲、指名があってよかったね。』

 

骨抜『切島との殴り合いや明との試合で最後に立ち上がった姿は、強く印象に残ってるだろうからな。』

 

円場『チョーカー付けて修行した甲斐があったな鉄哲。』

 

鉄哲『ああ。どんなヒーローから指名が来てるか楽しみだぜ!』

 

ブラド『なお、指名の無かった者達も学校から依頼した40の受け入れヒーローから1人選んでもらい、お前達には1週間の職場体験に行ってもらう。プロの活動を実際に体験してより実りある訓練をしようという訳だ。』

 

吹出『それでヒーロー名って事なんだ!』

 

角取『I'm looking forward to it!(楽しみになってきました!)』

 

ブラド『なお、今の段階では仮の名前にはなるが、適当な名前は…』

 

ミッド『付けたら地獄を見ちゃうよ!!この時の名が!世に認知されそのままプロ名になってる人多いからね!!

 

一同『ミッドナイト!!

 

ブラド『そういう事だ。そのあたりのセンスをミッドナイト先生に査定してもらう。将来自分がどんなヒーローになるのか、名付けることでイメージが固まり近付いていく。要するに「名は体を表す」ということだ。“オールマイト”がいい例だ。俺はそういうのは苦手なんでな、ミッドナイト先生に全てお願いしてある。』

 

ミッド『それじゃ考えてもらう前に、既にみんな知ってると思うけど、野沢君、あなたのヒーローネームを改めて発表してもらえるかしら。』

 

ミッドナイト先生に指名された僕は教卓の前に行き、フリップを貰い自分のヒーローネームを記入した。

 

明『“龍玉ヒーロー・KAKAROT(カカロット)”これが僕のヒーローネームです。』

 

ミッド『悟空のサイヤ人名をそのまま頂いた訳ね。英語表記なのはゲームからかしら。』

 

明『そうです。龍玉もドラゴンボールをそのまま使うのもどうかと思ったので漢字に変換しました。』

 

ミッド『まさに“名は体を表す”野沢君にピッタリのヒーロー名よ。』

 

明『ありがとうございます。そういえばミッドナイト先生、僕特に何も考えずにKAKAROTって付けたんですけど、原作者や出版社からクレーム来ないですかね?』

 

ミッド『そういう事でトラブルになったって話はあまり聞かないから大丈夫だと思うわ。それに野沢君の場合、体育祭優勝や中3で仮免取得という輝かしい記録があるし、野沢君自身が悟空みたいな存在だから、心配いらないわ。』

 

明『そうですか、それを聞いて安心しました。』

 

その後他のみんなも自身のヒーローネームを考え、1人ずつ発表していく事になった。そして以下のヒーローネームに決まった。

 

泡瀬…ウェルダー 回原…スパイラル

鎌切…ジャックマンティス

黒色…陰謀ヒーロー《ペンタブラック》

拳藤…バトルフィスト 小大…ルール

小森…SHEMAGE(シーメイジ)

茨…ヴァイン 宍田…ジェボーダン

床田…マインズ 角取…ロケッティ

円場…ツブラバ 鉄哲…リアルスティール

取蔭…リザーディ 吹出…コミックマン

骨抜…マッドマン 凡戸…プラモ

物間…ファントムシーフ 柳…エミリー

鱗…龍帷子(ロンウェイヅゥ)

 

みんな個性的なヒーローネームだと思ったが、円場君だけヒーローネームが決まらず、仮で自分の名字をカタカナ表記にした形になった。

 

ミッド『これで私の役目は終了ね。ちなみに1時間目にA組で指名数の発表とヒーローネームを決めたから、気になる人は聞いてみるといいわ。』

 

こうして大盛り上がりの指名数の発表とヒーロー名の考案は終了した。

 

39話へ続く…




38話いかがだったでしょう。指名数ですが、ハッキリ言って適当です。ただこだわりもあって、明は59(悟空)、茨は26(ツル)を入れたいと思いこの数字にしました。(明は59の間に00がありますが)拳藤と鉄哲に関しては大体こんなもんだろうと完全に適当です。もっと理想的、現実的な指名数があれば誤字報告でご連絡して下さい。後、茨のヒーローネームですが、原作ではマリアからヴァインに改名したという経緯がありますが、この小説では最初からヴァインと名付けた事にしますのでご了承下さい。次回もお楽しみに。ご意見・ご感想・誤字報告等ありましたら、何でもご連絡して下さい。お待ちしています。


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第39話  職場体験先を決めよう!

今回は職場体験先を決める話+αです。どうぞ。


〜ヒーローネームを決めた日の放課後〜

 

教室ではどのヒーローの所へ職場体験に行くかみんなで話し合っていた。

 

宍田『40か所でも、どのヒーローの所へ職場体験に行くか、やっぱり迷いますなぁ。』

 

柳『私達でこんなに迷うんだから、指名のあった4人はもっと大変よ。』

 

小森『明なんて5000以上指名があったんだから、めちゃくちゃ大変ノコ!』

 

鎌切『なあ明、どんなヒーローから指名があったのか、教えてくれないか。』

 

明『いいよ、見てみる?』

 

そう言うと僕はみんなの前にタブレットを差し出した。

 

取蔭『明、何このタブレット?』

 

明『指名数があまりに多いから、そのタブレットに指名したヒーローのデータが全部入ってるんだって。』

 

円場『へぇ。それじゃ、早速見せてもらうぜ。』

 

みんなはタブレットを操作して指名してきたヒーローのデータを見始めた。

 

回原『ス、スゲェ!エンデヴァー、ホークス、ベストジーニスト、ランキング上位3人から指名来てるぜ!』

 

取蔭『それ以外にもエッジショット・クラスト・ミルコの名前まであるよ!』

 

泡瀬『ヨロイムシャにリューキュウにギャングオルカまで。オールマイト以外のランキングBEST10全員から指名があるじゃねえか!』

 

鱗『BEST10以外にも、俺達が知ってるヒーローの名前が山ほどあるぞ!』

 

小森『こんなビッグネームばかりじゃ、何処を選ぶか本当に大変ノコ!明、どうするノコ?』

 

明『その事なんだけど、実は指名の数を見る前から、何処に職場体験に行くかは決まってたんだ。』

 

凡戸『えっ!?そうなの明?』

 

小大『明、何処に行くの?』

 

明『ちょっとタブレット返してもらえる。』

 

僕はタブレットを返してもらい、自分が職場体験に行くヒーローを表示させた。

 

明『この人だよ。この人の所に行くんだ。』

 

タブレットにはリューキュウのデータが表示されていた。

 

角取『リューキュウ?Why?明、どうしてリューキュウなんですか?』

 

明『実は、体育祭終了後に父さんの勤める会社にリューキュウから連絡があったらしくてね。』

 

床田『明の父さんって、ドラゴン・コーポレーションに勤めてるんだったよね。』

 

明『うん。それでリューキュウから、「是非明君に職場体験では私の所に来てくれるよう説得して下さい!」って懇願されたらしくてさぁ。会社としても専属契約してるお得意様なだけに無下に断る事も出来ないから、なんとかリューキュウの所に行ってくれって頼まれちゃってさ。』

 

黒色『それでリューキュウにしたのか。』

 

物間『自分の立場を利用したって訳か。専属契約してるとはいえ、ちょっとズルいな。』

 

拳藤『よかったの明?本当は行きたいヒーローがいたんじゃないの?』

 

明『うん。本当はホークスの所に行きたかったんだけど、父さんには小さい頃から僕がヒーローになるために色々やってもらってるから、少しでも恩返ししないとと思ってね。』

 

骨抜『明、どうしてホークスなんだ?ランキングならエンデヴァーの方が上だぞ?』

 

明『前に仮免試験でホークスと戦った事をみんなに話したよね。それから自分がどれだけ成長したか見てもらいたかったんだ。』

 

鎌切『なるほど、それでホークスなのか。明、無理にリューキュウじゃなくても、ホークスでもいいんじゃないか?』

 

明『ホークスには今後会えるチャンスはあると思うからね、今回はリューキュウにするよ。それにリューキュウの所でも学べる事は沢山あるはずだからね。』

 

取蔭『いいなあ、私もリューキュウの所に行きたいんだけど、40の受け入れヒーローの中にリューキュウの名前がないからダメなんだよね。』

 

茨『明、頑張って下さいね。』

 

明『ありがとう茨。ところで、茨はお目当てのヒーローから指名はあったの?』

 

茨『ハイ!無事にシンリンカムイから指名がありましたので、シンリンカムイの所に行くことにします。』

 

宍田『塩崎氏、何故シンリンカムイなのですか?』

 

明『茨はシンリンカムイがデビューしてからずっと、彼の事を注目してたんだ。』

 

茨『同じ植物系の個性という事で、彼の事を敬愛しているんです。』

 

床田『なるほど、同じ植物タイプの個性なら、シンリンカムイから学べる事は沢山あるだろうね。』

 

明『拳藤さんと鉄哲君は、もう全部のリストに目を通して、何処に行くか決めたの?』

 

拳藤『いやまだ。ギリギリまで熟考して、どこに行くか決めようと思ってるんだ。』

 

鉄哲『俺もだ。数が多いからしっかり考えて後悔のないようにしないとな。』

 

と、みんなでどこのヒーローの所に職場体験に行くか話していると、

 

黒色『明、A組の連中がお前に話があるって来てるぞ。』

 

明『えっ!?A組のみんなが?何の話だろう?』

 

黒色『どうぞ。』

 

入ってきたのは緑谷君と八百万さん、そして2人の男女の生徒だった。

 

物間『おやおや、トーナメントに12人も進出したA組がB組に何の用だい?そうか、明にどれだけの指名が来たか調べに来たんだね。でも残念だったね。明には君達の想像を遥かに超える指名が来ていて、君達のプライドをへし折るだけだよ。アッハッハッハッハ!』

 

拳藤『当て身!』

 

物間『ぐへっ!』

 

拳藤『毎度毎度いい加減にしろ!さ、どうぞ入って。』

 

緑谷『お、お邪魔します。』

 

相変わらずの物間君の煽りに少し困惑しながらも、A組の4人は教室に入ってきた。

 

明『どうしたの緑谷君?あ、その前にそちらの2人とは話すのは初めてだったね。僕は野沢明、名前の明で呼んでもらえるかな、よろしく。』

 

麗日『私の名前は麗日お茶子、よろしく明君!』

 

飯田『僕はA組委員長の飯田天哉だ、よろしく。』

 

明『2人共よろしく。で、今日は何の用なの?』

 

八百万『実は、こちらの飯田さんが明さんにお願いしたい事があって、今日はお邪魔したのです。』

 

八百万さんがそう言うと、飯田君は真剣な眼差しで僕を見つめてきた。

 

飯田『明君、君はヒーロー殺しの事件の事は知っているかい?』

 

明『う、うん。休みの間にニュースは見たよ。』

 

ヒーロー殺し…(ヴィラン)名“ステイン” 

神出鬼没で過去に17人ものヒーローを殺し、23人ものヒーローを再起不能にした、現在も逃走中の凶悪ヴィランだ。

 

飯田『そのヒーロー殺しの被害者の1人、インゲニウムなんだが、実は僕の兄さんなんだ。』

 

明『そうだったんだ。それで、お兄さんの容態は?』

 

飯田『一命は取り留めたが、下半身麻痺の重傷を負ってしまい、医者からはヒーローとしての再起は不可能だと宣告されたんだ。』

 

明『そうか…。』

 

八百万『私達も今日学校に来てその話を聞かされました。そしてふと思ったんです。明さんの持っている仙豆なら、飯田さんのお兄さんを助けられるんじゃないかって。』

 

茨『なるほど、それで明に話をしに来られたのですね。』

 

すると飯田君は深々と頭を下げてきた。

 

飯田『明君、兄さんは僕の目標なんだ!兄さんにこんなところでヒーローとしての人生を終わってほしくないんだ!だからお願いします!君の持っている仙豆、一粒だけ譲って下さい!』

 

麗日『明君、私からもお願い、飯田君に仙豆を分けてあげて。』

 

八百万『私からもお願いします。飯田さんに仙豆を一粒分けてあげて下さい。』

 

緑谷『僕からもお願いだよ。僕もインゲニウムにこんなところでヒーローを引退してほしくないんだ。だから明君、仙豆を分けてくれないかな。』

 

みんなの視線が僕に集まった。勿論、僕の返事は決まっていた。

 

明『わかった。そういう事情なら仙豆を分けてあげるよ。それにもうすぐ新しく7粒できるからね。』

 

飯田『ほ、本当かい明君!』

 

明『うん。その代わり、言っておかないといけない事があるから、しっかり聞いてほしい。』

 

飯田『い、言っておかないといけない事って、何だい?』

 

明『知っての通り、仙豆にはケガを治すのに絶大な効果がある。それこそ、体を貫かれても元通りになるし、首の骨が折れていても無理矢理押し込んで食べさせれば復活する程にだ。』

 

吹出『天下一武道会での悟空や、人造人間編でのヤムチャのパターンだね。』

 

角取『首の骨は、ナメック星での悟飯の事デスネ。』

 

明『そう。けど今回のインゲニウムのパターンの場合、食べてみないとどうなるかわからない。』

 

飯田『ど、どうしてだい?仙豆を食べればどんなケガでも治せるんじゃ。』

 

明『描写がないからだよ。吹出君、ドラゴンボールの原作の描写に、下半身麻痺の重傷を負った人が仙豆を食べて歩けるようになったなんて描写、あったかい?』

 

吹出『いや、そんな描写1ページもないね。』

 

明『だからなんだ。お兄さんのケガは必ず治る。ただ下半身の麻痺が消えて歩けるようになるかは、食べてみないとわからない。これだけは覚えておいてほしい。』

 

飯田『わかった、覚えておくよ。』

 

明『それじゃ、仙豆を渡すね。』

 

僕はポケットから布袋を取り出し、その中に入っている仙豆を一粒取り出し、飯田君に手渡した。

 

明『はい。お兄さん、元気になるといいね。』

 

麗日『大丈夫だよ飯田君、必ず仙豆が効いて歩けるようになるよ。』

 

八百万『飯田さん、私もそう信じています。』

 

緑谷『僕も信じてる。インゲニウムは絶対復活するよ。』

 

飯田『み、みんなありがとう。すぐに兄さんに食べさせてあげたいから、僕はこれで失礼するよ。B組の皆さん、お邪魔しました。』

 

そう言うと飯田君は急いで教室を出ていった。

 

茨『明、インゲニウムが元気になるといいですね。』

 

明『大丈夫。ああは言ったけど、必ず仙豆が効いて歩けるようになるよ。』

 

取蔭『そういえば、前にもこんな事あったよね?』

 

骨抜『ああ、オールマイトが仙豆を貰いに来た時だろ。』

 

緑谷『えっ!?オールマイトにも仙豆をあげたの?』

 

明『うん。何でもオールマイトの友達で酷い怪我で苦しんでいる人がいて、その人に仙豆を食べさせて助けてあげたいからって、頭を下げてお願いしてきたんだ。』

 

柳『そういえば、あれからオールマイト何も言ってこないけど、友達は助かったのかしら?』

 

緑谷『(そうか、その貰った仙豆を自分で食べたんだ。それで昔付けられた傷が治って、活動時間の制限も無くなったんだ。)』

 

明『そういえば、あれってどういう意味だったんだろう?』

 

茨『明、何の事を言ってるのですか?』

 

明『うん。USJにヴィランが侵入した事件の時に、ヴィランと戦ってたオールマイトが、「野沢少年のおかげで完全復活したから心配ない!」って言ったんだ。僕のおかげって、仙豆をあげた事しか思いつかないんだけど、どういう意味だったんだろう?』

 

緑谷『!?』

 

明『後ブラド先生も、オールマイトに時間がどうとか言ってたんだ。後日説明してやるって言ってたけど、どういう意味だったんだろう?』

 

緑谷『(ヤ、ヤバイ!いくらケガが治ったからって、オールマイトのトゥルーフォームの事をみんなに知られるのはマズイ!)』

 

回原『まさかオールマイト、自分で仙豆食べたんじゃないか?』

 

円場『そんな訳ないだろ。オールマイト何処もケガしてないじゃないか。仙豆食べたって腹が満たされるだけだぜ。』

 

緑谷『そっ、そうだよ!それより明君、明君に何件指名が来たか教えてくれないかな?』

 

麗日『私も知りたい!どんなヒーローから指名があったか、教えて明君。』

 

八百万『私も明さんの指名数や指名してきたヒーローの事が気になっていました。明さん、教えて頂けますか?』

 

明『いいよ。その代わり、A組の指名数や、誰に指名があったか教えてね。』

 

その後は緑谷君、麗日さん、八百万さんも加わって、下校時間ギリギリまで職場体験の事で話をした。そして翌日登校すると、飯田君からお兄さんのケガが治って、無事に歩けるようになったと報告され、涙ながらにお礼を言われたのだった。

 

40話へ続く…




39話、いかがだったでしょう。リューキュウより実力が上のヒーローは沢山いますが、ドラゴン繋がりということで、職場体験にリューキュウの所に行くことは前々から考えていました。実は明がリューキュウの所に行くことは、伏線が張られていたんです。まず13話、ここで小説オリジナルのドラゴン・コーポレーションとリューキュウが専属契約をしてると話が出ます。そして24話で笑みを浮かべていたヒーロー、実はあれリューキュウだったんです。ホークスやミルコを期待していた方には本当に申し訳ございません。さて次回ですが、職場体験の前に1話挟みます。クラスメイトとの約束を果たそうと思います。次回もお楽しみに。ご意見・ご感想・誤字報告等ありましたら、なんでもご連絡して下さい。お待ちしています。


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第40話  空を自由に飛びたいな

皆さんお待たせしました。40話です。今回は小説オリジナルの話です。どうぞ。


ヒーローからの指名数の発表から2日経ち、全員が締切日までに無事に希望の職場体験先を決め、ブラド先生に提出した。そしてその日の4時間目が終わり昼休み、僕がみんなと食堂へ行こうとすると、小森さんが話しかけてきた。

 

小森『明、私達とした約束、覚えてるノコ?』

 

明『約束?ああ、背中に乗せて空を飛ぶって約束でしょ。ちゃんと覚えてるよ。』(19話参照)

 

小森『よかったノコ。できれば、職場体験が始まる前に果たしてほしいんだけど、どうノコ?』

 

明『そうか…それじゃ、特に用事がないようなら、今日の放課後でもどうかな?』

 

小森『OKノコ。みんなにも伝えておくノコ。』

 

明『うん、お願いね。』

 

という事で、放課後みんなを背中に乗せて空を飛ぶ事になった。

 

〜放課後〜

 

僕達はブラド先生に使用の許可をもらい、グラウンドに集合していた。茨を含めた女子7人だけかと思っていたが、男子のみんなも興味があるようで、結局ほぼ全員集まってしまった。

 

明『それじゃ、最初は誰にする?』

 

拳藤『希乃子、アンタが最初に言い出したんだし、最初に行きなよ。』

 

小森『分かったノコ。明、よろしくノコ。』

 

僕は小森さんを背中に乗せる為、舞空術で浮き上がり横になった。

 

明『小森さん、どうぞ。』

 

そう言うと小森さんは僕の背中に腰掛けた。

 

小森『明大丈夫?重くないノコ?』

 

明『大丈夫。全然平気だから。』

 

早速上空に飛び上がろうとしたその時

 

角取『明、私もご一緒シマス!』

 

ポニーちゃんはそう言うと頭部の角を飛ばし、その上に飛び乗った。

 

取蔭『ちょっ、ちょっとポニー!制服のまま空飛んだら、下からパンツ丸見えになっちゃうよ!』

 

角取『No problem見られてもいいようさっき着替えた時にスパッツ履きましたから。』

 

柳『ポニー、いつの間に。』

 

ポニーちゃんの準備も出来て改めて飛び上がろうとした時、今度はA組の生徒が集まってきた。

 

葉隠『ねえねえ、B組みんなで集まって何してるの?』

 

拳藤『明の背中に乗せてもらって、空を飛んでもらうんだ。』

 

芦戸『うわぁいいなあ。私も乗せてもらえないかな?』

 

物間『おやおやぁ、A組には優秀な生徒が揃っているはずなのに、空を飛ぶ事も出来ないのかい?こんな事じゃ、A組の実力もたかが知れてるね。アッハッハッハッハ!』

 

拳藤『当て身!』

 

物間『ぐへっ!』

 

拳藤『みんなゴメンね。コイツの煽りは一種の病気みたいなもんだから、気にしないで。』

 

もう何度も見た光景に、僕もただただ呆れるだけだった。

 

麗日『ねえ明君、私も乗せてもらえないかな?』

 

耳郎『明、ウチもいい?USJでは空中散歩を楽しむ余裕なんて無かったし。』

 

明『いいよ。先にB組のみんなを乗せて飛んであげるから、その後でもいいかな?』

 

麗日『勿論。ありがとう明君。』

 

こうして急遽A組の生徒も背中に乗せて空を飛ぶことになった。

 

角取『明、Let's go!』

 

明『OK。それじゃ小森さん、とりあえず校舎の屋上辺りまで上昇するから、怖かったり気分が悪くなったらすぐ言ってね。』

 

小森『分かったノコ。』

 

僕達は校舎の屋上辺りまで上昇し、その後グラウンドの上空をひと回りする事にした。

 

明『小森さん大丈夫?怖くない?』

 

小森『全然平気ノコ。風が気持ちいいし、眺めも最高ノコ!むしろもっとスピード上げてほしい位ノコ。』

 

明『OK、じゃあちょっとスピード上げてみるよ。小森さん、しっかり掴まっててね。』

 

小森『了解ノコ!』

 

その後少しスピードを上げてグラウンドの上空を2〜3周した後、僕達は地上に戻った。

 

小森『あー楽しかった。明、ありがとうノコ。』

 

明『どういたしまして。さて、次は誰?』

 

柳『明、私が行くわ。』

 

明『それじゃ柳さん、どうぞ。』

 

その後柳さん、小大さん、拳藤さんを順番に背中に乗せて空を飛んだ。みんな上空からの眺めや上空で浴びる風に大満足のようだった。

 

鱗『明の奴、まるで遊園地のアトラクションみたいだな。』

 

泡瀬『でも、やっぱり羨ましいよな、空が飛べるって。』

 

回原『そういえば物間の奴、ポニーの個性コピーすれば空飛べるんじゃないのか?』

 

円場『どうだろうな。ただ、今確かめるのはちょっと無理だな。』

 

物間君は今も尚、拳藤さんの当て身によって気絶していた。

 

鉄哲『そういや物間も言ってたが、A組には空を飛べる個性の奴はいねえのか?』

 

切島『俺達のクラスで空飛べるのって、爆豪位じゃねえか?』

 

緑谷『うん。でもかっちゃんも空中で静止する事は出来ないから、明君の舞空術のようにはいかないよ。』

 

蛙吹『お茶子ちゃんはどうなの?無重力(ゼログラビティ)で空飛べるんじゃないの?』

 

麗日『私の場合飛ぶというより浮き上がるって感じだし、すぐに気持ち悪くなっちゃうから長時間浮いていられないんだ。』

 

上鳴『八百万は個性の創造で翼を創って空飛べないのか?』

 

八百万『ハンググライダーのようなものなら創れますが、ホークスやリューキュウのように直接体から生やして翼を創る事はちょっと無理です。』

 

やはり空を飛ぶという事は、みんなの憧れのようだ。

 

明『さて、次は誰かな?』

 

取蔭『あっ、明、次私いい?』

 

明『えっ!?でも取蔭さんはパーツ切り離したら空飛べるんじゃないの?』

 

取蔭『そうなんだけど、私の場合も飛ぶというより宙に浮くって感じだし、明みたいにスピード出せないからさ、私も乗せて。』

 

明『わかった。それじゃあ取蔭さん、どうぞ。』

 

僕は取蔭さんを背中に乗せて空を飛んだ。その後茨やB組男子のみんなを乗せて飛ぼうと思ったが、俺達はいいからA組の女子を乗せてやってくれと言われたので、乗せてあげる事にした。

 

小大『茨よかったの、飛ばなくて?』

 

茨『ええ。私は明が舞空術をマスターした頃から何度も乗せてもらってますし、この間も夜空を飛んで帰りましたから。』

 

明『さて、A組は誰から行くの?』

 

芦戸『ハイハイ、最初私!』

 

葉隠『その次は私!よろしくね野沢君。』

 

明『2人共僕の事は明でいいよ。2人は…』

 

芦戸『私は芦戸三奈。よろしく明。』

 

葉隠『私の名前は葉隠透。明君、よろしくね。』

 

早速僕は芦戸さんを背中に乗せて空を飛んだ。その様子をA組の1人の男子生徒が血涙を流しながら悔しそうな表情で見つめていた。

 

峰田『畜生!あの野郎2度ならず3度までも!しかも今度はA組とB組の女子全員の尻の感触を背中で堪能しやがって!』

 

瀬呂『悔しがっても仕方ないだろ。お前空飛べねえし、それにお前の体格じゃあ背中に人なんて乗せられないだろ。』

 

峰田『ぐぬぬぬぬ(怒)』

 

その様子を見た梅雨ちゃんが何か思い付いたのか、降りてきた芦戸さんに耳打ちをしていた。

 

蛙吹『ゴニョゴニョ…』

 

芦戸『OK、任せて梅雨ちゃん。』

 

蛙吹『三奈ちゃん、お願いね。』

 

その後葉隠さん、麗日さん、耳郎さん、八百万さん、梅雨ちゃんを乗せて空を飛び、A組女子はこれで終わりかなと思っていたところ、

 

蛙吹『明ちゃん、もう1人乗せて飛んでほしいんだけど、いいかしら。』

 

明『いいよ。誰を乗せるの?』

 

蛙吹『その前に、ちょっといいかしら。』

 

そう言うと梅雨ちゃんは僕に耳打ちしてきた。

 

蛙吹『ゴニョゴニョ…』

 

明『わかった、任せといて。』

 

蛙吹『明ちゃん、お願いね。』

 

一方、僕が梅雨ちゃんの耳打ちを聞いている間、A組のみんなはというと…

 

芦戸『ねえ峰田、アンタも乗せて飛んでもらいなよ。』

 

峰田『フン!オイラは男の背中に乗る趣味なんてねえよ。』

 

芦戸『あれいいの?今だったら明の背中には今まで背中に乗った女子の温もりや残り香がいっぱい残ってると思うんだけど、他の人に譲っちゃうの?』

 

峰田『うっ!?そ、それは…』

 

芦戸『まあ峰田が乗る気ない仕方ないか。それじゃあ上鳴、代わりにアンタが乗っけてもらえば?』

 

上鳴『そ、そうか。それじゃ峰田、お前の代わりに俺が乗っけてもらうぜ。』

 

峰田『まて上鳴!アイツの背中はオイラのもんだ!!』

 

そう言うと峰田君は勢いよく僕の背中にしがみついてきた。

 

芦戸『ニヒヒ、上手くいった。』

 

蛙吹『瀬呂ちゃん、峰田ちゃんが落っこちないよう、テープで固定してもらえないかしら。』

 

瀬呂『あ、ああ、いいぜ。』

 

そう言うと瀬呂君は個性のテープを僕に巻き付け僕と峰田君をしっかり固定した。

 

峰田『おい瀬呂、こんなしっかりテープ巻く必要ねえだろ?』

 

蛙吹『いいえ、絶対必要よ。それじゃあ明ちゃん、よろしくお願いね。』

 

明『OK。それじゃあ…界王拳!

 

僕は界王拳を使った。

 

峰田『お、おい!なんで界王拳使うんだよ!』

 

明『実はさっき、梅雨ちゃんに頼まれたんだ。君をお仕置きしてほしいって。』

 

峰田『お、お仕置き!?』

 

蛙吹『そうよ。入学してからこれまでの数々のセクハラ発言や行為、それに体育祭で私達をだましてチアリーダーの格好をさせた事。峰田ちゃんには少し痛い目にあって反省してもらおうと思っていたの。だから明ちゃんにお願いしたのよ。峰田ちゃんを背中に乗せて、界王拳を使って超スピードで縦横無尽に飛び回ってほしいって。』

 

峰田『う、嘘だろ(汗)』

 

蛙吹『本当よ。三奈ちゃんが峰田ちゃんに背中に乗るよう勧めたのも、作戦の一部よ。』

 

芦戸『峰田ってば私の言葉にまんまと乗せられて明の背中にしがみつくんだもん。』

 

明『それじゃあ峰田君だっけ?空中散歩楽しんでね。』

 

峰田『ちょ、ちょっと待て…』

 

蛙吹『いってらっしゃい。』

 

僕は超スピードで上空へ飛び上がった。

 

峰田『ギヤアアアア!!!

 

飛び上がってからも僕は急上昇・急降下・急旋回・急加速・急停止を繰り返した。峰田君は最初の方こそ絶叫を上げていたが、途中から全く叫ばなくなっていた。

 

鉄哲『明の奴、まるで富○急のFU○YA○みたいだな。』

 

切島『いやFU○YA○以上だろ、あのスピードは…』

 

麗日『つ、梅雨ちゃん、流石にやり過ぎなんじゃ…』

 

蛙吹『そんな事ないわ。これ位がちょうどいいのよ。』

 

八百万『そうです、むしろ足りない位ですわ!』

 

どうやらA組女子のみんなは峰田君のセクハラに相当苦労しているようだ。その後僕は暫く飛んだ後、地上に降りた。峰田君は泡を吹き、白目をむいて失神していた。

 

明『さて、次は上鳴君の番だよ。』

 

上鳴『おっ、俺!』

 

明『そう。むしろ僕は峰田君より君をお仕置きしたいんだけど。』

 

上鳴『ちょっ!ちょっと待ってくれ!確かに峰田と結託して女子達をチアリーダーの格好にはさせたけど、峰田程のセクハラ行為をした覚えは…』

 

明『上鳴君、君茨の事ナンパしたよね。しかも雄英体育祭の大観衆の目の前で。』

 

上鳴『あっ!』

 

明『僕の大切な人に手を出そうとしたんだ。それなりの覚悟は出来てるんだよね。』

 

上鳴『そ、それは…』

 

明『梅雨ちゃん、構わないよね?』

 

蛙吹『勿論。明ちゃんの好きにしてもらって構わないわ。』

 

上鳴『つ、梅雨ちゃん…』

 

明『それじゃあ上鳴君、行こうか。』

 

上鳴『だ、誰か助けてええええぇ!』

 

その後

 

上鳴『ギヤアアアア!!!

 

夕暮れの空に上鳴君の悲痛な叫び声が響き渡るのだった。

 

41話に続く




40話いかがだったでしょう。インターン前なので常闇は黒の堕天使を習得して空を飛ぶ事が出来ません。なので職場体験前の時点ではA組では爆豪位しか空を飛べる人はいないはずですが、他にいたら感想等で教えて下さい。次回もお楽しみに。ご意見・ご感想・誤字報告等ありましたらなんでもご連絡下さい。


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