ホロライブ ビルドライバーズ (神楽)
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キャラ設定集

結構人数が出てきたので一旦キャラ設定出します。
まだ触れてなかった玲二とホロメン達の過去設定も載せます。
ではどうぞ( っ・ω・)っ


注意

この小説に出てくるホロメン達の年齢はあくまでも設定です、本家様とは差異がありますがご了承下さいませ。

 

各キャラに玲二への好きレベル(RSL)を表記します。通常は『100』がMAXです。(目安で70で人として好きぐらいです)

 

 

 

佐々木玲二

25歳

人間

ホロライブプロダクションで働くスタッフリーダー。

白上フブキの幼馴染みであるが、彼女がアイドルとして所属するとは思ってもいなく、彼女も玲二がスタッフとして働いてるとは思っていなかった。

本人は自分の事は割りと普通と思ってるが実はかなりのハイスペックであり、昔から他人から異様なほど好感度が上がりやすい体質を持っている。

ホロメン達からの好意は気づいてはいるもののアイドルとスタッフとしての線引きはしっかりとわきまえている。

ガンプラ作りが趣味で、最近はホロメン達と一緒に作ったりして楽しんでいる。

実は彼の貞操は既にある娘に奪われたがそれはまた別の話。(ホロメンはこの事を知らない)

 

 

白上フブキ

20歳

狐族の獣人

ホロライブ一期生でありゲーマーズとして活躍するアイドル。

玲二とは幼少期からの幼馴染みであり、彼女の初恋にして最愛の人でもある。

人見知りな自分を変えたくアイドルになったがホロライブに入った時は玲二がスタッフとして働いてるとは思ってもいなく、そのお陰でやる気が一気に上がった。

重度のオタクだが趣味と玲二を天秤にかけた時は基本は玲二を優先する程玲二が好きである。

最近の悩みが皆玲二に好意を寄せる事であり、度々嫉妬しては玲二に構ってもらっている。

玲二への呼び方は『レイくん』

RSL:250(依存大、自分以外とのカップリング認めないレベル)

 

 

ときのそら

21歳

人間

ホロライブの原点とも言えるトップアイドル。

玲二が初めて担当したアイドルでもある。

玲二には痴漢から助けてもらった経緯がありそれから好意を寄せてはいるもののフブキがいたから長らくは諦めていたが、他のホロメンが入ってきてからは負けじと玲二にアピールするようになる。

結構な天然で一緒に風呂に入ったり(水着着用)一緒のベッドで寝る事が多い。

玲二への呼び方は『玲二君』

RSL:180(愛してる、ずっと一緒にいたいレベル)

 

 

AZKi

18歳

人間

ホロライブに所属する歌姫アイドル。

玲二とはガンダムSeedの話題で盛り上がって以来仲良くなり、其処から一緒に仕事をする内に好意を抱くようになった。実はそらと同じくらい天然でアズキもよく玲二の家に寝泊まりしているし、寝ている玲二の頬にキスをしたことも何度かある。

玲二への呼び方は『玲二さん』

RSLは179(愛してる、離れたくないレベル)

 

 

大空スバル

17歳

人間

ホロライブ二期生のツッコミ系アイドル。

普段は普通に話すが玲二と話す時だけ初期のような「~ッス」という語尾を付けている。幼い頃入院していた過去があり、その時偶々知り合った玲二に懐き其処から兄ちゃん呼びが定着した。他にも妹分が増えてきたのが最近の悩みである。

玲二への呼び方は『兄ちゃん』

RSL:159(兄ちゃん大好きレベル)

 

 

姫森ルーナ

14歳

人間

ホロライブ四期生の赤ちゃん系アイドル。

普段はほんわかしていて「~なのら」という独特な語尾を付けて喋っているが激情すると語尾が消え口調が悪くなる。

とある国のお姫様で実は玲二の遠い親戚でもある。

ホロライブに入る前迄は玲二への呼び方は『レイちゃ』だったが入ってからスバルの兄ちゃん呼びに感化され『にーちゃ』になった。

RSL:158(にーちゃ大好きレベル)

(本小説のルーナはまだお酒は飲めません)

 

 

星街すいせい

17歳

人間

ホロライブ0期生のサイコパス系アイドル。

アイドルになってから共に仕事をするようになった玲二に徐々に恋心が芽生え、今では会う度に玲二に貴方のアイドルと言っている。玲二の前でも普段の配信のテンションと全く変わらないので玲二からはたまに引かれてる。

玲二への呼び方は『玲二くん』

RSL:145(ずっと一緒にいたい程大好きレベル)

 

 

さくらみこ

18歳

人間

ホロライブ0期生の滑舌弱々系アイドル。

普段から割りとのんびりした喋り方だが口にする事が一々物騒な事が多い。

神の声を聞く事が出来、かつて運命の人が近くにいると言うお告げに対し最初は興味がなかったがその後事故に遭いそうな所を玲二に助けてもらい、この人がお告げに出た運命の人だと確信し追いかけるようにホロライブに加入した。

玲二への呼び方は呼び捨て。

RSL:169(玲二以外の男はあり得ないにぇレベル)

 

 

雪花ラミィ

22歳

ハーフエルフ

ホロライブ五期生のなんちゃって清楚系アイドル。

実はかなりのご令嬢で五歳の時に親戚一同が集まるパーティーをつまらないからと抜け出した際に偶々旅行中の玲二と出会い一目惚れした。

それから数日間一緒に遊び両親にもこの人と結婚したいと言ったが結局玲二が帰宅してしまい暫くは大泣きしていた過去がある。

ホロライブに加入して玲二と再会するとこれは運命だと信じ毎度婚姻届を持ってきたりとアピールをするようになり今では妄想がどんどん酷くなっている。

玲二への呼び方は『玲二さん』

RSL:211(依存大、玲二さん以外の男はいらないレベル)

 

 

獅白ぼたん

25歳

獅子族の獣人

ホロライブ五期生のぐーたライオン系アイドル。

普段は掴み所のないのほほんとした性格だがやる事はちゃんととこなすしっかり者でもある。

実は玲二とは高校と大学生が一緒の同級生でもあり、誰にでも優しく接する玲二にぼたんはだんだんと惹かれていった。

玲二への呼び方は『レイっち』

RSL:177(他に女がいても良いからあたしを愛してレベル)

 

 

桃鈴ねね

16歳

人間

ホロライブ五期生のクソガキ系アイドル。

最初の頃は自由奔放にやりたい放題していたが玲二に叱られてから何かに目覚めてしまい、其処から玲二を兄のように慕うようになった。

普段は妹分という立場を利用して甘えようとするが度が過ぎるとラミィから物凄い圧を喰らっている。

玲二への呼び方は『レイ兄ちゃん』

RSL:154(レイ兄ちゃん大好きもっと苛めてレベル)

 

 

尾丸ポルカ

23歳

フェネック族の獣人

ホロライブ五期生の弄られ系アイドル。

父親がサーカス団の団長をしており自分も将来は皆をあっと驚かせるようなサーカス団を作りたいと夢見てる。

そんな夢に対し玲二からポルカなら出来るさと言う言葉を受け、それから玲二に好意を抱きつつも皆の事を考えて一歩引いてる状態が続いてる。

玲二への呼び方は『玲二さん』

RSL:122(好きだけど皆がいるから前に出づらいレベル)

 

 

大神ミオ

23歳

狼族の獣人

ホロライブゲーマーズのお母さん系アイドル。

面倒見が良くスバルやあやめ等の年下の面倒をよく行っていて玲二からの信頼も厚い。

玲二とは大学時代の先輩と後輩の関係で大学時代のチャラい先輩に絡まれてた時に玲二に助けられ、その後事故でキスをしてしまい其処から一気に恋心が爆発した。

玲二への呼び方は『レイさん』

RSL:189(愛してる、一生添い遂げたいレベル)

 

 

百鬼あやめ

鬼人族

17歳(大昔に封印されていてそれを含むと1500歳)

ホロライブ二期生の皆のマスコット系アイドル。

かつて悪鬼と間違われて封印されてしまい、現代になって玲二によって封印が解かれ、その後自分を助けてくれた玲二に懐いていく。

よく人の話を聞いてなかったり直ぐに忘れてしまったりするが玲二から教わった事は一言一句完璧に覚えている。

ペットに一緒に封印されていた謎の生物『ぽよ余』がいる。

玲二への呼び方は『玲二様』

RSL:200(玲二様がいてミオちゃん達がいて余は幸せレベル)

(鬼人族は15から飲酒が可能)

 

不知火フレア

23歳

ハーフエルフ

ホロライブ三期生のしっかり者系アイドル。

アイドルを初めて最初の頃に来たファンレターの中にあったアンチの手紙にショックを受けていた時に玲二に慰めてもらい其処から好意を抱くようになった。

ホロライブが崩壊寸前の時も玲二から皆を任される程玲二からの信頼も厚い。

普段は割りとタメ口が多いが玲二と話しをする時だけ恥ずかしくて常に敬語になってしまう。

玲二への呼び方は『玲二さん』

RSL:188(この人となら何処までも付いていくレベル)

 

 

白銀ノエル

22歳

人間

ホロライブ三期生の脳筋女騎士系アイドル。

ホロライブに入りたての頃変態スタッフに絡まれている所を助けられてから玲二に興味を持ち始め、其処から徐々に恋心が芽生えていった。

玲二の事は好きだがもし結ばれるならその時はフレアも一緒に結ばれたいと考えている。

玲二への呼び方は『玲二君』

RSL:172(幸せになるならフレアも一緒にレベル)

 

 

宝鐘マリン

自称17歳(本当は○○歳)

人間

ホロライブ三期生の歳誤魔化してる系アイドル。

他のメンバーと違いマリンは玲二の事をこのイケメンカッコいいと言う感じで好きになっており常に色気とかを使って玲二を誘惑するが玲二からはドン引きされている。

玲二から唯一名前で呼んで貰えてない。(一応玲二は誰も見てない時にはマリンと呼んではいる)

玲二への呼び方は『玲二くん』

RSL:98(ヤダこのイケメンスッゴい興奮しちゃうレベル)

 

 

がうる・ぐら

鮫族の獣人

13歳(海底で眠ってた期間を含むと9928歳)

ホロライブENのサメちゃんアイドル。

アイドルになる前(発見される前)迄は海底でまるで自ら封印されてたかのように9900年近く眠ってた。

以前研修としてやって来た玲二に懐き、玲二が帰った後もあまりの会いたさに荷物に紛れて日本にやってくる程の行動力がある。

玲二と作ったガンダムを宝物のように大事にしており常に首から掛けるタイプのポシェットに入れて持ち歩いている。

玲二への呼び方は呼び捨て。

RSL:145(また一緒に沢山遊んでほしいレベル)

 

 

戌神ころね

20歳

犬族の獣人

ホロライブゲーマーズの威圧系アイドル。

幼き頃おかゆと一緒に迷子になっていた時に玲二に助けて貰った過去があり、その頃からずっと玲二に恋い焦がれていた。

ホロライブに入ってからは他の女に玲二を渡したくないと思いつつも根は優しいので最後には一歩引いてしまう癖がある。

玲二への呼び方は呼び捨て。

RSL:201(愛してる、けど皆も悲しませたくないレベル)

 

 

猫又おかゆ

20歳

猫族の獣人

ホロライブゲーマーズの自由猫系アイドル。

幼き頃ころねと一緒に迷子になっていた時に玲二に助けて貰った過去があり、その頃からずっと玲二に恋い焦がれていた。

ホロライブに入ってから玲二と再会し、其処から玲二に対し甘える事が多くなった。

玲二への呼び方は『レイくん』

RSL:199(愛してる、僕の事をずっと見てレベル)

 

 

田中ヒメ

鈴木ヒナ

16歳

人間

ヒメヒナというユニットで活躍するアイドル。

二人ともフブキの配信を見ていた時に出ていた玲二に一目惚れをしてしまい、其処から玲二の出ている配信や動画等を逐一追っては視聴し、更には街角で偶々買い物をしている玲二を見つけて以来ずっと行動を監視する等ガチのストーカーになっていた。今では週に一度だけ玲二に自分達の動画配信の手伝い等をしてもらっている。

玲二への呼び方は『玲二くん』

RSL:ヒメ163ヒナ170(いつかは私生活でも自分達専属になってほしいレベル)

 

 

ロボ子

5歳

ロボット

ホロライブ0期生の自称高性能ロボットアイドル。

自分の事を高性能と言ってるが配信では度々ポンコツな面を見せている。

しかし実際は本当に高性能で玲二が風邪で休んでた時も的確な看病を行い、更には短時間で佐々木宅のリビングをガンプラ工作ルームに改造するなど何気にハイスペックである。

五年前に廃墟で捨てられ壊れかけていた所を玲二によって助けられ、それから玲二をマスター認証をしてホロライブに加入した。

玲二への呼び方は『マスター』

RSL:???(マスターの幸せはボクの幸せ、仇なす者は許さないレベル)

 

 

潤羽るしあ

16歳

人間(死霊使い)

ホロライブ三期生の猫被り系アイドル。

玲二と出会った時から何故か懐いており、最近では少し押さえ気味だが玲二が何をするにしても一緒に付いて行こうとするくらいである。

実は彼女は1600年前に最愛の兄を亡くし、その兄と再会する為に死霊魔術を使い何度も転生を繰り返し、そして自分の最愛の兄の魂と同じ波長を持つ玲二を見つけホロライブへと加入していった。

玲二への呼び方は『玲二さん』

RSL:222(依存大、もう二度と失わせないレベル)

 

 

天音かなた

17歳

天使

ホロライブ四期生の握力ゴリラ系アイドル。

天界から人類を観察する為に降りてきた天使。

お金が尽きかけた所を玲二に保護され、一週間程居候した後に恩返しする為にホロライブへと加入した。

玲二の事は好きだがそれが本当に恋心なのかはまだ本人も理解していない。

だが玲二の前では非力アピールをしてたものの偶々スチール缶を握り潰した所を見られて恥ずかしがってる一面もある。

玲二への呼び方は『玲二君』

RSL:112(好きだけどこれって恋なの?レベル)

 

 

 

佐々木玲二

 

0歳 佐々木家の次男として誕生。生まれた月は違うが同じ病院でぼたんとちょこも生まれてた。

 

3歳 元気にすくすくと成長中。この時マリンによく似た小学生によく撫で回されていた。

 

5歳 近所のママ会に連れられた際にフレアによく似た幼女とそらによく似た赤ん坊の面倒を見てた。

 

8歳 お隣に白上家が引っ越して来てフブキと出会う。

 

同年 雪国に旅行に行った際にラミィと出会い数日間一緒に遊んだ。

 

9歳 フブキと散歩をしてた時に迷子になっていたころねとおかゆを見つけて助ける。

 

11歳 姫森一族にルーナが誕生した際に遠い親戚として呼ばれ、泣きそうになっていたルーナの面倒を見てた。

 

14歳 怪我をして通院していた時に同じ病院で入院していたスバルと出会いたまに遊んであげた。

 

15歳 高校に入学。同じクラスにぼたんがいて大学までずっと一緒に勉強していた。

 

19歳 大学在籍中にバイトを探してる最中に父親からの紹介でホロライブのスタッフのバイトを紹介されて入る。

 

同年 当時15歳だったそらの世話担当を任される。

 

20歳 そらのMVの撮影場所候補の廃墟に行った際廃棄されてたロボ子を見つけ助ける。

 

21歳 神社の参拝に行った際に何かに呼ばれた気がして社の後ろに行くと石碑があったので触ってみたらあやめの封印が解けた。

 

同年 大学内でチャラ男に絡まれてるミオを助ける。その後バランスを崩し転びそうになったミオを支えようとするも一緒に倒れてしまいその時に事故的にミオとファーストキスをしてしまう。

 

22歳 大学卒業後、正式にホロライブへと入社。その後とある娘と誤って苦手な酒を飲んでしまいその流れで貞操を失う。

 

23歳 フブキの配信にゲストとして出る。それからホロメン全員の配信にほぼ月一で出ている。

 

24歳 ホロライブのスタッフリーダーとなりホロメンのマネジメント等も担当する事になる。

 

25歳 社長の計らいで一軒家を格安で購入する。最近はホロメンの私物がどんどん増えていってる。

 

 




いかがでしたか?今後また増えて来たら第二弾としてやっていこうと思います。ではまた( ゚∀゚)ノシ


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キャラ設定集2

今回はるしあとかなたの回以降に登場したキャラの設定集です。最後に前回の設定にあったキャラの変化したRSL(玲二好きレベル)を載せてます。


湊あくあ

18歳

人間

ホロライブ二期生の陰キャ駄メイド系アイドル。人見知りが激しく玲二と初めて会った時も最初は引っ込み思案だったが何度か誉めてくれる玲二に心惹かれていき、この人とずっと一緒にいたいとご主人と呼ぶようになった。メイドの家系なのだが炊事家事は全く駄目であるが、一度物事に集中すると途轍もなく手際が良くなるという隠れ特技がある。

玲二への呼び方は『ご主人』

RSL:218

 

 

 

犬山たまき

17歳

犬族の獣人

のりプロ所属の男の娘アイドル。玲二と最初会った頃はまだ友人レベルだったが、同じ事務所の後輩のみしろが玲二に迫った事により内に秘めていた想いが爆発し其処からあれよこれよと玲二を手に入れる作戦を企てるが悉く失敗している。豊胸マッサージやエステ等をこまめにやっていてまるで女性のような身体つきになってはいるが股間にはちゃんと『バベルの塔』がある。

玲二への呼び方は『ご主人様』

RSL:250

 

 

 

夜空メル

19歳

吸血鬼

ホロライブ一期生の自称魔界の天才ヴァンパイア系アイドル。自分の事を天才と自称しているがホロメンの中でもかなりの天然でお馬鹿である。吸血鬼なのに血が苦手で何時もアセロラジュースを飲んでいて、更には朝日も平気だし十字架もニンニクも水も平気となんとも吸血鬼らしくない少女である。上記の事で昔悪質な男に馬鹿にされていた時に玲二に助けられてからずっと想いを寄せている。ホロライブの中では彼女が玲二の初めての相手である。

玲二への呼び方は『玲二君』

RSL:222

 

 

 

癒月ちょこ

25歳

悪魔

ホロライブ二期生のセクシー保険医系アイドル。かつてはいろんな男を誘惑していたがお見合いしている最中に相手の男に強姦されそうになった所を偶々居合わせた玲二に助けられ、それから玲二を追いかけるようにホロライブへと加入した。最初は玲二と同じくスタッフになろうとしたがYAGOOに気に入られアイドルとしてデビューした。ホロライブの中では玲二の二番目の相手である。

玲二への呼び方は『玲二様』

RSL:231

 

 

 

赤井はあと

20歳

人間

ホロライブ一期生のクレイジーガール系アイドル。デビュー当初は王道のツンデレキャラで売っていたが、後から加入した娘達の個性の強さに圧され、スランプ気味だった時に玲二からのアドバイスによって新たにはあちゃまというキャラを確立した。それ以来玲二に対しても素直に接しており、いつか玲二との子を成して幸せな家庭を持つ事を夢見ている。普段は狂人っぽく立ち振る舞ってはいるが根はかなりの真面目な努力家である。

玲二への呼び方は『ダーリン、玲二』

RSL:231

 

 

 

角巻わため

18歳

羊の獣人

ホロライブ四期生の非常しょ……吟遊詩人系アイドル。家の反対を押しきり吟遊詩人となったが金銭が底を尽き空腹で倒れた処を玲二に助けられ、その後ホロライブ四期生としてスカウトされ両親を説得してくれた玲二に恋心を抱くようになったが、恥ずかしいのか未だに名前ではなく親分と呼んでいる。しかし、玲二に抱いてもらえるチャンスがあれば積極的に参加しているらしい。

玲二への呼び方は『親分』

RSL:216

 

 

 

夏色まつり

18歳

人間

ホロライブ一期生の自称清楚系アイドル。デビューした当初は他の同期のインパクトが強く圧され気味だったが、玲二からまつりはまつりらしく頑張って進めば良いという言葉に救われ、今では積極的にいろんな事に挑戦するバラドルになっている。玲二への想いは強く最初は独占したいと思っていたが、他の皆と仲良く共有するのが一番と悟り今では同じ人を愛する仲間同士仲良くしている。

玲二への呼び方は『玲二君』

RSL:197

 

 

 

アキ・ローゼンタール

23歳

ハーフエルフ

ホロライブ一期生の脳筋系アイドル。異世界からこの世界に来た際に玲二とそらからいろいろと手助けしてもらい、其処から玲二の事を気に入りホロライブへと加入した。玲二の事は勿論好きだが、皆を見守るような形で一歩引いた立ち位置にいる。しかし、時にはたがが外れたかのように玲二を求める事がある。

玲二への呼び方は『玲二君』

RSL:189

 

 

 

桐生ココ

21歳

龍人族

元ホロライブ四期生の極道ドラゴン娘。元々は桐生会という所謂ヤクザの家柄の娘だったが玲二にスカウトされホロライブへと加入した。自分をヤクザの娘としてではなく一人の女の子として見てくれる玲二に心惹かれ、何時も構ってもらえるようにずっと引っ付いていた時期もあった。しかし先代会長だった父親が倒れ現役を早期引退せざるを得なくなり、ホロライブを卒業し桐生会会長へと就任した。卒業した後もかなたや他のメンバーとは仲は良くたまにちょくちょく会っている。最近では玲二と一緒に跡取りを作る事も頑張っているとかいないとか。

玲二への呼び方は『兄貴』

RSL:244

 

 

 

黒上フブキ

20歳

狐族の獣人

髪と目の色が違う以外はフブキと瓜二つな少女。皆からはクロと呼ばれている。ぶっきらぼうな性格で腕っぷしも強く、一時期はヤンキー共に慕われていたが本人からして見ればうざったいだけであった。実はプロのモデラーで彼女の作品は殆ど上位に入賞するほど評判は良い。玲二とは幼少期に家庭環境が悪かった時に出会い、一緒に遊んでくれたり悩みを聞いてくれたりしていく内に惚れていた。意外と世間知らずな一面もある。

玲二への呼び方は呼び捨て

RSL:199

 

 

 

白雪みしろ

16歳

犬族の獣人

のりプロに所属する犬耳清楚メイド系アイドル。趣味でガンプラ制作をしていて、偶々新作ガンプラを買いに行った際に居合わせた玲二とそのままお茶した時に玲二が自分の仕えるべき人と確信し以来時間に余裕がある時は玲二の元に行きお世話をしている。あくあと違ってメイドとしてのレベルは高く、その点ではよくあくあから嫉妬されている。

玲二への呼び方は『ご主人様』

RSL:214

 

 

 

常闇トワ

18歳

悪魔

ホロライブ四期生の中身天使な悪魔系アイドル。元々歌手を目指して人間界に来たが当てもなくさ迷ってた処に玲二からスカウトを受け四期生としてデビューした。自分の低い声に少しコンプレックスがあったが玲二からスカウトされた時に綺麗な声と言われた事により自信を持つ事が出来た。自分をデビューさせてくれた玲二に想いを寄せるようになるが、皆がいる時は恥ずかしくて甘えられないらしい。

玲二への呼び方は『玲二さん』

RSL:198

 

 

 

シロ・デンノール

17歳

イルカ族の獣人のハーフ

ドットライブに所属するナチュラルサイコパス系アイドル。周囲からは普通の人間と思われがちだが実はイルカ族の獣人とのハーフでその身体はかなり柔軟で跳躍力も高く、ビル六階くらいまでなら何も使わなくてもジャンプで届く。幼い頃交通事故に遭いその時に助けてもらった玲二に恩義と恋愛感情を抱き、以来事ある毎に玲二に引っ付くようになる。本当は玲二を追いかけてアイドルになったがオーディション場所を間違えてしまいドットライブに所属してしまった経歴がある。

玲二への呼び方は呼び捨て。

RSL:285

 

 

 

紫咲シオン

19歳

人間(魔道師)

ホロライブ二期生のクソガキ系アイドル。幼い頃から魔法の才能があり、そのせいで周囲から甘やかされて育ってしまった。その為よく他人をからかったりして楽しんでいたがホロライブ加入後玲二から本気で叱られた事により自分の事をちゃんと考えてくれる人に出会えたと感じ、それ以来玲二に懐いている。

玲二への呼び方は呼び捨て。

RSL:190

 

 

 

兎田ぺこら

20歳

兎族の獣人

ホロライブ三期生の幸運兎系アイドル。人見知りが激しく引っ込み思案だったが玲二と一緒にマ○クラをやるようになってからは段々と社交的になり今ではホロメンの中では誰とでも仲良く遊べるようになり、そのきっかけをくれた玲二に好意を持っている。マイ○ラでいろんなギミックを教えてもらえた事から玲二の事を師匠と呼んで尊敬している。

RSL:198

 

 

 

ミライアカリ

24歳

人間

個人勢として活動しているハイテンション系アイドル。玲二とは同じ大学の先輩後輩の仲であり、一緒にキャンパスライフを送る中で玲二への恋心がどんどん増していき、玲二のホロライブへの就職の際にはお祝いと称してお酒を飲まし、酔った玲二と一線を越えた。その後は玲二と会おうにもその時一緒に参加出来なかったぼたんやミオに逆恨みされてたり自身が忙しかったりと殆ど会えずにいたが、玲二のホロメンとの婚約を機に自分もその中に加わる決意をした。

玲二への呼び方は呼び捨て。

RSL:250

 

その他のメンバーのRSL変化

 

フブキ 250→568

そら 180→236

AZKi 179→231

スバル 159→204

ルーナ 158→200

すいせい 145→205

みこ 169→205

ラミィ 211→244

ぼたん 177→219

ポルカ 122→184

ねね 154→187

ミオ 189→250

あやめ 200→251

フレア 188→219

ノエル 172→218

マリン 98→175

ころね 201→239

おかゆ 199→240

ヒメ 163→179

ヒナ 170→181

ロボ子 ???→350

るしあ 222→251

かなた 112→177



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キャラ設定holoX&赤ちゃんズ(4/11 更新)

タイトル通りholoXのメンバーと赤ちゃん達の設定集です。赤ちゃん達のプロフィールは後々更新していきます。


ラプラス・ダークネス

(ラプラス・D・佐々木)

11歳

悪魔?

ホロライブ六期生、秘密結社holoXの総統を勤めるクソガキ系アイドル。

普段は生意気な態度や言動が目立つが、玲二の養子になってからは玲二を本当の父親のように思い甘えてくる。養子になる前は孤児院にいて、その時に見ていた悪の秘密結社の絵本を見てから自分も秘密結社を作ろうと思いホロライブへと参加した。本人曰く悪魔らしいが、同じ悪魔のちょこやトワからは魔力を感じないと言われている。

玲二への呼び方は『パパ』

RSL:189(但し恋愛的ではなく父親として)

 

 

鷹嶺ルイ

(佐々木ルイ)

26歳

鷹族の獣人

ホロライブ六期生、秘密結社holoXの幹部を勤めるポンコツお姉さん系アイドル。

holoXの中では年長で皆のまとめ役をする事が多くしっかりしているイメージがあるが、実際はかなりのポンコツでその上おやじギャグをよく言うので他のメンバーからはあまり頼られてない。玲二とは中学時代の同級生で、当時担任だった種族差別をする教師から助けて貰ってからずっと好意を抱き、再会した際には告白した後にすぐに婚姻を結んだ。

玲二への呼び方は『レイレイ』

RSL:224

 

 

博衣こより

(佐々木こより)

21歳

コヨーテ族の獣人

ホロライブ六期生、秘密結社holoXの頭脳役を勤める知識全振り系アイドル。

運動神経が抜群な父親がいるのにも関わらず全く遺伝しなかったようでちょっと走っただけでもすぐにバテてしまう貧弱だが、その代わり小学一年生の時点で大学レベルの勉強内容は全て覚え自作でドローンを作る事が出来るようになる等知力に全振りされたアンバランスなステータスをしている。玲二とは小学時代の先輩後輩の仲で、出会った時から玲二に惹かれ放課後になるとずっと一緒に本を読んでいた。実はフブキとは同級生だったのだが別クラスだったのとそもそも玲二以外の子から距離を取ってた為フブキはこよりの事を一切知らなかった。

玲二への呼び方は『玲二くん』

RSL:234

 

 

沙花叉クロヱ

17歳

鯱族の獣人

ホロライブ六期生、秘密結社holoXの掃除役を勤める風呂入らない系アイドル。

幼い頃家族と一緒に水族館に行った時に迷子になってしまい、其処に偶々同じく家族と一緒に来てた玲二に助けられ、それ以来家族ぐるみの付き合いとなってる。その時から玲二の事が好きになっており、玲二と自分の妹に手を出す奴は何人たりとも許さない。極度の風呂嫌いであり、今では玲二が一緒でないと入ろうともしない。最初は恥ずかしさから目元を隠すマスクを着けていたが、玲二に言われ自信がついたのか今はもう着けてない。

玲二への呼び方は『お兄ちゃん』

RSL:294

 

 

風真いろは

19歳

狸族のハーフ(本人は人間と思ってる)

ホロライブ六期生、秘密結社holoXの用心棒を勤めるノットニンニン清楚系アイドル。

都会に憧れ田舎から出たは良いが運悪くヤンキーに絡まれてしまい、偶然其処にいた玲二に助けられた際に玲二の戦いぶりに惚れ、以来ずっと街で玲二を見かける度に付きまとっては修業をしてほしいと懇願し、その時玲二が言ったホロライブに入ったら考えてやると言った冗談を本気で信じてオーディションを受けて見事に合格した経緯がある。本人は普通の人間だと思い込んでいるが実は狸族の獣人のハーフである。しかし獣人特有のタフさや体力もなければ狸族特有の変化等も使えないのでほぼ人間と変わらない。玲二の事は好きなのだが、それが師としての尊敬か異性としての愛なのかは本人も理解していない。

玲二への呼び方は『師匠』

RSL:188

 

※ホロライブタウン編の時点でholoX以外のホロメンは皆一歳上がってます。

 

 

 

赤ちゃんズ

玲二の実の子供達。一見可愛らしい赤ちゃん達だが、実はそれぞれにある秘密が……?

 

こゆき

母親:フブキ

次女(長女はラプラスの為)

玲二とフブキの間に産まれた女の子。フブキ譲りの狐の耳と尻尾、そして前髪の一部が玲二と同じ黒髪になっている。

名前の由来は真っ白な雪のようにいつまでも綺麗な心でいてほしいという願いから。

実は玲二以外の男の人は嫌いなようで一度YAGOOに抱っこさせたらおもいっきりギャン泣きした事がある。

能力:念力(ガンプラ製作特化)

 

 

かいり

母親:そら

3女?

玲二とそらの間に産まれた女の子。黒髪に青い瞳が特徴的である。一応三女という扱いだが、後記する赤ちゃん達と同時に産まれた為に実際のところ不明である。

名前の由来は昔やったゲームからヒントを得て、海のように広大な心を持ってほしいという願いから。

かなり人懐っこく、知らない人にでさえ抱っこをねだろうとする事が結構ある。

能力:治癒能力

 

 

マオ

母親:ミオ

4女?

玲二とミオの間に産まれた女の子。狼の耳と尻尾はミオ譲りだが、髪の色は黒一色である。

名前の由来は漢字で表すと『舞桜』で、舞い散る桜のように美しくなってほしいという願いから。

抱っこが大好きで、一度抱っこすると最低でも一時間は抱っこされないと気が済まない。

能力:瞬間移動

 

 

玲菜

母親:あやめ

5女?

玲二とあやめの間に産まれた女の子。黒い髪で額にちっちゃな二本の角が生えている。

名前の由来は玲二の名前と自分の母親の名前である切菜(せつな)から一文字ずつもらって付けた。

マイペースなのか図太いのか、産声以外で泣いた事は殆どなく、代わりに大きな声で「ぷぁー」と鳴く。

能力:怪力

 

 

カガリ

母親:フレア

6女

玲二とフレアの間に産まれた女の子。フレアの金髪と玲二の肌の色を引き継いでいる。

名前の由来は誰かを照らす篝火(かがりび)になってほしいという願いから。

実は匂いに敏感で、特に香水の匂いが嫌いでそれを付けた人が近づくと嫌がって大泣きする。(実は苺も同じ体質で、以前マリンに抱っこされてぐずったのはマリンがその時薔薇の香水を付けてたから)

能力:雷落とし

 

 

しょこら

母親:ちょこ

7女

玲二とちょこの間に産まれた女の子。毛先だけが黒い金髪でちょこのような角は生えてない。

名前の由来はちょこ繋がりからというのとショコラのように皆から好かれるような子になってほしいという願いから。

パパとママが大好きで、常にどちらかの姿が見えてないと不安で泣いてしまう甘えん坊である。

能力:時空移動(一度使うと数日間は使用不可能)

 

 

玲牙

母親:ぼたん

長男

玲二とぼたんの間に産まれた初の男の子。獅子族特有の耳と尻尾に玲二の黒髪が合わさっている。

名前の由来は玲二の名前の頭を取り、獅子族らしく格好良く誇らしい子に育ってほしいという願いから牙を足した名前にした。

どうやら女の子が苦手らしく母親であるぼたん以外が抱っこすると嫌がって泣きそうになってしまう泣き虫である。

能力:○○○

 

 

つばき

母親:ぼたん

8女

玲二とぼたんの間に産まれた女の子。双子の兄の玲牙とは逆で獅子族の耳と尻尾はなく白髪である。

名前の由来はぼたん繋がりで美しく綺麗な子に育ってほしいという願いから。

玲牙と違いかなりの強気な性格らしく、父親が他の子を抱っこしているのを見つけると大声をあげて威嚇する。

能力:○○○

 

 

レミィ

母親:メル

9女

玲二とメルの間に産まれた女の子。まんま小さくなったメルである。

名前の由来は某弾幕ゲームの吸血鬼から取り、誇り高くも可愛らしい子に育ってほしいという願いを込めた。

母親譲りなのか吸血鬼なのに吸血鬼が弱点とするようなものは全て平気である。

能力:未来詠み(あくまでも予知夢程度)

 

 

さくら

母親:ココ

10女

玲二とココの間に産まれた女の子。黒とオレンジが混ざったロングヘアーが特徴的である。

名前の由来は昔ココが見た映画のタイトルから取り、逞しく育ってほしいという願いから。

龍人族の成長スピードか玲二の影響かは分からないが、片言で簡単な言葉なら喋れる。

能力:火を吐く

 

キララ

母親:ラミィ

11女

玲二とラミィの間に産まれた女の子。前髪の一部分だけ黒髪で後はラミィと同じ髪色をしている。

名前の由来は太陽の光に照らされた雪のように美しくなってほしいという願いから。

酒の匂いが嫌いらしく、シラフ状態のラミィじゃないと抱っこされると嫌がる。

能力:○○○

 

めぐみ

母親:ノエル

12女

玲二とノエルの間に産まれた女の子。毛先だけ黒い以外はちっちゃいノエル。

名前の由来は恵まれた子になってほしいという願いから(というのは建前で本当は名前が思いつかず近くに置いてあった牛乳の名前から取った)。

お乳が大好きで母親であるノエル以外からもよく授乳してもらってる。

能力:○○○

 

あんず

母親:AZKi

13女

玲二とAZKiの間に産まれた女の子。黒髪だが前側に触覚のようなピンク色のアホ毛がある。

名前の由来は自身の名前をもじって親しみのある子に育ってほしいという願いから。

歌が大好きで皆が歌うと喜んで手を叩く(ちょこやノエルの生歌だと若干嫌がる)。

能力:○○○

 

レヴィ

14女

母親:ぺこら

玲二とぺこらの間に産まれた女の子。ぺこらと同じくウサ耳があるが何故か髪の色がピンク色になってる。

名前の由来はウサギの英名のラビットをもじって最初はラヴィと名づけようとしたがそれだとラミィと若干被ると思い玲二の頭文字を合わせてレヴィとなった(結果的にレミィと名前が被ってしまった)。

何故か玲二以外は獣人族にしか懐かないようで、それ以外の人が抱っこすると髪の毛をおもいっきり引っ張る。

能力:○○○

 

ヒカリ

15女

母親:アカリ

玲二とアカリの間に産まれた女の子。茶髪で左目だけ青い。

名前の由来は自身の名前と同じように未来を照らす光になってほしいという願いから。

寝るのが好きらしく、お腹すいた時とオムツ取り替えの時以外は殆ど寝てる。

能力:○○○

 

ユメ

16女

母親:ヒナ

玲二とヒナの間に産まれた女の子。黒髪で母親と同じく前髪の横が跳ねてる。

名前の由来は皆に夢を与えるような子になってほしいという願いから。

母親と同じくホラー耐性が強く、ヒメがビビるようなホラゲーも全然平気である。

能力:○○○

 

つばさ

17女

母親:ルイ

玲二とルイの間に産まれた女の子。レヴィと同じように何故か両親とも違うブロンドヘアーになってる。

名前の由来は大空に羽ばたく翼のように逞しく育ってほしいという願いから。

何故か他の赤ちゃん達からよくかまってもらえてる。

能力:○○○

 

メルト

次男

母親:ロボ子

玲二とロボ子の間に産まれた男の子。ロボ子とは違い純粋な人間である(後から分かった事だがロボ子も完全なロボットではなく四肢と脳の一部を機械化されたサイボーグである)。

名前の由来は皆の心の不安や悲しみをなくしてくれるようになってほしいという願いから氷を溶かすという意味のメルトと名付けた。

純粋な人間の筈だが何故かサイボーグである筈の母親よりも計算能力が高い。

能力:○○○

 

こころ

18女

母親:はあと

玲二とはあとの間に産まれた女の子。まんまちっちゃいはあとである。

名前の由来は自身の名前の日本読みから。そして暖かい心の持ち主になってほしいという願いから。

何故かは分からないが貧乳嫌いらしく、胸がない娘が抱っこするとおもいっきり乳首を引っ張るらしい。

能力:○○○

 

エレオ

19女

母親:ポルカ

玲二とポルカの間に産まれた女の子。フェネックの耳もあるが人間の耳もある。

名前の由来はかつて自分が見たとあるサーカス漫画のキャラの名前から取ったらしい。

粉ミルクを嫌がるのでポルカ以外からも授乳してもらう事もある。

能力:○○○

 

らいむ

20女

母親:わため

玲二とわための間に産まれた女の子。見た目は小さいわためだが耳は人間の耳である。

名前の由来はぼたんがらいむって名前が良いんじゃない?と言われてわためが気に入り名付けた(実はこの時ぼたんはラム肉と言いかけて慌ててらいむと言い直した)。

お腹が空くとよくわための指をちゅぱちゅぱする癖がある。

能力:○○○

 

フィル

21女

母親:クロヱ

玲二とクロヱの間に産まれた女の子。右半分が銀髪、左半分が黒髪で左目だけ瞳が紅い。

名前の由来はシャチと同じ仲間のイルカの英名ドルフィンをもじって名付けたらしい。

他の子達とは何故か仲良くしようとはせずよく玲二かクロヱにくっつく事が多い(単に恥ずかしがりなだけだったりする)。

能力:○○○

 

みるく

22女

母親:シロ

玲二とシロの間に産まれた女の子。黒髪だが後ろの毛先だけ白い。

名前の由来は自分の名前から連想して皆から愛されるような子になってほしいという願いからみるくと名付けた。

基本的にのぼせやすい体質なのか赤ちゃん用のお風呂でもすぐにのぼせるので普段は温いお湯でお風呂に入ってる。

能力:○○○

 

シア

23女

母親:アキ

玲二とアキの間に産まれた女の子。見た目はまんまちっちゃいアキで、アキのツインテールを装着出来る。

名前の由来は皆の幸せを願えるような子になってほしいという願いから幸せの二文字を取った。

子供ながらに酒の匂いが大好きらしく、何時もアキが晩酌するタイミングで抱っこをねだる。

能力:○○○

 

クリス

24女

母親:トワ

玲二とトワの間に産まれた女の子。紫髪と黒髪がバランスよく混ざっている。

名前の由来はクリスタルのように透き通った心の持ち主になってほしいという願いから。

なでなでされるのが好きらしく頭を撫でてあげると気持ちいいのかすぐに寝る。

能力:○○○

 

 




何だか赤ちゃん多くなってきましたね……子供達が主役の未来編を別小説でやってみるのも面白いかもしれないなと思い始めてきました(汗)


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短編集
短編集


ただの思いつきです、どうぞ( っ・ω・)っ


―1―

 

 

『白上の幼少期』

 

「ねぇねぇレイさん、レイさんはフブキの幼少期って知ってるんだよね?」

 

「ん?まぁ、一応幼馴染みだったからなぁ」

 

「ねぇ、フブキって小さい時はどんな子だったの?」

 

「小さい時?そうだなぁ………」

 

 

 

―出会った時―

 

「は、はじめまして、しらかみふぶきでしゅ…///」

 

―一週間目―

 

「あ、あのねれいじくん。しらかみといっしょにおしょとであしょんでくれる?」

 

―一ヶ月目―

 

「やだやだ!しらかみれいくんとずっといっしょにいるもん!」ギュウッ!

 

―一年目―

 

「れいくんあのねあのね、しらかみおおきくなったられいくんのおよめさんになりたいの///」

 

―小学校入学後―

 

「やっぱりしょうらいてきには白上がレイくんといっしょになるのはひつぜんなんですよ!」エッヘン!

 

―中学校入学後―

 

「えへへ~、やっぱ幼馴染み同士が結婚するって究極的なシチュだと思いません?」

 

―高校入学後―

 

「ほらぁレイくん見て下さいこのカップリング!まるで白上とレイくんのような熱いカップリングですよねぇ♪むふぅ、良きですなぁ~♪」

 

 

 

 

 

「………ホント、何処で接し方間違っちまったんだろうなぁ……」

 

「?」

 

 

―2―

 

 

『フレアってなんで?』

 

みことポルカと一緒にマ○クラ配信中…

 

「それじゃあこのまま地下に行ってダイヤを見つけて装備作ってからエンド行く?」

 

「りょーかいでーす」

 

「おっけ~。あ、そう言えばみこずっとふーたんに聞きたかった事あったんだけどさぁ」

 

「え、何?」

 

「ふーたんってさ、何で玲二と話す時ずっと敬語なの?」

 

「……え?」

 

「あ、それポルカも思った。フレア先輩皆がいて普通に話をしてても玲二さんには絶対にタメ口使わないよね?え、なんでなん?」

 

「……そう言えばアタシ何で玲二さんと喋る時敬語になってんだろう?」

 

「え?!無意識なの?!」

 

「うん、考えた事もなかった」

 

「へぇー。じゃあさ、今から玲二さんに電話してタメ口で話してみる?」

 

「え?!」

 

「おーそれ良いにぇ~♪んじゃ早速……」

 

―プルルルルッ…プルルルルッ…ガチャッ―

 

❬はいもしもし、どうしたんだみこ?❭

 

「あ、玲二?実はフレアが玲二に伝えたい事があるんだって、今代わるにぇ。はいふーたん」

 

「え、いや、あ、あの……も、もしもし」

 

❬おうフレアか、てかお前今配信中じゃなかったけ?どうしたんだ?❭

 

「あ、あの……じ、実は今度三期生全員と合同配信するんですけど、良かったら玲二さんと一緒にどうかなと思いまして……///」

 

((あ、これ単にタメ口使うの恥ずかしくて敬語になってるだけだ))

 

好きな人に対してどうしてもタメ口を使えず敬語になっちゃうフレアであった。

 

 

―3―

 

 

『ラミィの妄想』

 

「えへへぇ~、もう玲二さんったら~♪」

 

「……ラミィまた婚姻届持ってトリップしてるよ」

 

「最近レイ兄ちゃんとの妄想がどんどん酷くなってる気がするんだけど……」

 

「うーん、このままじゃかなりまずいかも……よし!」

 

「?ししろんどうするの?」

 

「まあ見てなって、ねぇラミィちゃん」

 

「なぁにししろん?」

 

「実はね……レイっち近所に住むOLと結婚する事になったんだって」

 

「え………………………………………」

 

「……なーんてね♪ラミィちゃん最近トリップし過ぎたからちょっと驚かせちゃった♪でもこれに懲りたら妄想も程々に……ラミィちゃん?」

 

「…………………………………………」

 

「あれ?どうしたんラミィ?ラミ………?!大変だししろん、ねね!ラミィが全く息してない!?」

 

「「えぇぇぇぇぇぇぇぇッ?!!!」」

 

雪花ラミィ22歳(本小説設定)死亡、死因ショック死

後に玲二がやって来て蘇生

 

 

―4―

 

 

『玲二の意外な特技』

 

「そう言えば玲二様って何か特技とかないのか?」

 

「なんだ唐突に?」

 

「いやぁ玲二様って何でもこなすイメージがあるけど特技って言われると何かなぁって思って」

 

「そんな特技なんてないってーの。一スタッフに変な期待し過ぎだ」

 

「えぇー、そんな事言わずに教えて欲しいぞ!」

 

「おーいあやめー!そろそろレッスン行かないと先生に怒られるよぉー!」

 

「ほら早く行くッスよー!」

 

「あ、ミオちゃんスバルちゃんごめーん!今行く余ー!それじゃあ玲二様いってくるね!」

 

「おう、行ってらっしゃい」

 

 

 

 

(あれ?ミオさんとスバルさんなんて何処に……というか今の声佐々木さんの方から聞こえたような……)

 

「うぐぁ…久しぶりにやったから喉が痛てぇな」

 

皆の知らない玲二の特技『一度聞いた事のある声なら出せる』

 

 

―5―

 

 

『マリンの奮闘』

 

「ちょっと玲二くん!いい加減船長の事も名前で呼んで下さいよ!」

 

「別に呼び方なんてどうでもいいだろ?」

 

「船長だけ宝鐘なんて名字で呼ばれて壁を感じるんですけど?!」

 

「おう、壁作ってるもん」

 

「ちょっとぉッ!?」

 

「うるせぇなぁ……なら次のマ○カ配信で三回連続で一位取ったら考えてやる」

 

「言いましたね?!その言葉忘れないで下さいよ!っしゃあおらぁ!そうと分かれば練習じゃあい!!」ババッ!

 

「行ったか……全く相変わらず騒がしい奴だなマリンは」

 

本人がいない所ではちゃんと名前で呼んであげるくらいはマリンを認めてる玲二だった。

 

 

―6―

 

 

『ドッキリ』

 

「今日は佐々木さんにドッキリという事で皆で佐々木さんを無視して見ましょう」

 

「えぇー?レイくんを無視するなんて……」

 

「でも面白そう、マスターどんな反応するかボク気になる!」

 

「それじゃあ早速やっていきましょう!」

 

ドッキリ開始

 

―ガチャッ―

 

「おはようございまーす」

 

「……………………………」

 

「……………………………」ヨイショッ

 

「……………………………」

 

「……………………………」カタカタカタカタカタカタカタッ

 

「……………………………」

 

「……………………………」カタカタカタカタカタカタカタッ

 

「……………………………」

 

―夕方―

 

「…………それじゃあお疲れ様でしたー」ガチャッ、バタン!

 

「………………れ、レイくん挨拶以外全く喋んなかった」

 

「玲二さんずっと仕事に集中してて話しかけてすらしてくれなかった……」

 

基本自分から用がなかったら話しかけてこない玲二だった。ドッキリ失敗……

 

「……今日やけに皆おとなしかったな」

 

それでも少し淋しく感じた様だ。

 

 




こういった短編もちょくちょく書くかもです、ではまた( ゚∀゚)ノシ


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短編集2

場繋ぎ程度の短編集です。気楽に見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


―7―

 

 

 

『ペット達の優先度』

 

 

「余、余~♪」

 

「アハハ、ぽよ余くすぐったいぞ♪」

 

「本当にぽよ余はあやめの事好きだよね?」

 

「にゃあ~♪」

 

「そう言うミオちゃんとタイガも仲良しだよね♪」

 

「うん、タイガはウチにとって我が子みたいなもんだからね♪」

 

―ガチャッ―

 

「ただいまー」

 

―ピクッ!―

 

「余!余!余ぉー♪」ピョンッ

 

『にゃあ~♪』ドドドドドドッ…!

 

「あ!おいお前等そんな一気に来るなってわあぁぁぁぁ……!」

 

「……やっぱりぽよ余達も玲二様が一番なんだな」

 

「うん、タイガ達も一目散にレイさんの所に行っちゃった……」

 

女の子だけでなく、動物達からも好かれる玲二であった。

 

 

 

―8―

 

 

 

『たまきの決断』

 

「………みしろ、僕は決めたよ」

 

「はあ?またご主人様に迷惑かけるつもりですかホモ野郎」

 

「既にご主人様に迷惑かける前提?!それとずっと言ってるけどそのホモ野郎って止めてよ!」

 

「はぁ……それで、一体何を決めたんですか?」

 

「うん…………僕、性転換する!僕が女の子になればご主人様も僕の愛を認めてくれて抱いてくれる筈!だから近い内に性転換する為に海外に……」

 

「寝言は寝て言って下さい。そんな事したら余計にご主人様に引かれますよ」

 

「辛辣過ぎない?!どうしてさ!?どうして性転換しても引かれなきゃならないのさ?!」

 

「いや、今までの自分のやって来た事思い返して下さいよ?あんな事されたらご主人様だって距離置くに決まってるでしょう」

 

「そ、そんなぁ~、じゃあ僕はどうすれば……?」

 

「取り敢えずご主人様の半径50m以内に入らないようにして二十年間待てば許してもらえるんじゃないですか?」

 

「遠回しに諦めろって言ってるだろそれ?!くっそぉッ!僕は絶対に諦めたりしないからなぁ!!」

 

玲二を手に入れる為に、今日もたまきは奮闘するのであった。

 

 

 

―9―

 

 

 

『玲二の感じ方』

 

「そう言えば漫画やラノベだとモテる主人公って鈍感な人が多いですよね?」

 

「まあ確かにそうだな」

 

「女の子が照れて顔を赤らめても『ん?風邪か?』とかで好意に気づかないって感じ、見ててもやもやしますよねぇ。なんで気づかないんだよ?!って」

 

「そういう奴って大体生い立ちとかでそうなってる事が多いからな。恋愛とは無関係な事をやり続けた結果そうなってしまったとか」

 

「その点レイくんって全然鈍感じゃないですよね?皆からの好意を理解して受け止めてくれてますし♪」

 

「あぁ、そりゃあな……」

 

「?」

 

「幼い頃からお前に四六時中ラブアピールされりゃ嫌でも分かるわ」

 

「あ、アハハハハ………お恥ずかしいです///」

 

玲二が鈍感じゃないのはフブキによる猛烈なラブアピールのお陰であった。

 

 

 

―10―

 

 

 

『休止』

 

「ころさん調子は大丈夫なの?」

 

「大丈夫だよおかゆぅ~♪少し休んで十二月には復帰するから、心配してくれてありがとな♪」

 

「あやめも喉大事にしなよ?また痛めたら元も子もないんだから」

 

「ありがとミオちゃん♪でももう少ししたら余も復帰出来るから心配ないぞ♪」

 

「うん、でも休止は全然悪い事じゃないんだから休める時にはしっかり休まないとね」

 

「……まあ、中には駄目なパターンもあるけど」

 

 

 

 

 

「ヤダヤダ!最近ご主人構ってくれないからあてぃし休止する!」

 

「まつりも玲二君抱いてくれないなら長期休止するもん!」

 

「そんな理由で休止なんて許すか!もう今日の配信枠取ってんだからさっさと行ってこいバカタレ共!!」

 

「「やーだあぁーーーッ!!」」

 

「………ああなったらもう駄目だよね」

 

「「「うんうん」」」

 

ころねさん、あやめさん、復帰の日をお待ちしております。

 

 

 

―11―

 

 

 

『姫雛日和』

 

「……最近玲二くんに会えてないねヒナ」

 

「そうだねヒメ……ヒナ達も自分達のライブで大変だったし、何より玲二くんも忙しくて工務店に来れないからね」

 

「いっその事ヒメ達もお願いしてホロライブマンションに引っ越ししない?」

 

「そうなると工務店の人達との連携が取りづらくなっちゃうよ?」

 

「そうだよね………」

 

「「はあ、玲二くんに会いたいなぁ~………」」

 

―ピンポーン―

 

「おーいヒメー、ヒナー。近くに寄ったから遊びに来たぞー」

 

―ピクッ―

 

「玲二くんいらっしゃい!丁度良かったよぉ、これから動画撮ろうとしてたんだ♪」

 

「玲二くんも折角だから一緒に撮ろうよぉ♪」

 

「え?いきなりかよ?まあ良いけどな」

 

ホロメンだけではなく、ヒメヒナに対しても面倒見が良い玲二なのであった。

 

 

 

―12―

 

 

 

『ぐらの宝物』

※全員英語で会話しているという設定です。

 

「……あら?何かしらこれ?」

 

「ん?どうしたのカリ?」

 

「ねぇキアラ、このポシェットに入ったガンダムって一体何なの?誰かの私物?」

 

「ああ、それぐらちゃんのだよ。前に日本に行った時にレイジくんと一緒に作ったんだって」

 

「へぇ、そうなのね?それにしてもあのぐらがガンダムをね「おいカリ」あ、ぐら戻った…の………?」

 

「カリ、お前何ぐらの大切な宝物勝手に触ってるのさ?」ゴゴゴゴゴゴゴゴッ……

 

「あ、あのぐら?こ、これはその、ちょっと興味があって見てただけで別に取ったワケじゃ」

 

「問答無用!SHAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAARK!!」ガバァッ!!

 

「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーッ!!?」

 

「あーあ……ごめんねカリ、ぐらがそのガンダム触られると物凄く怒る事言うの忘れてたわ」

 

玲二と一緒に作ったガンダムを触る事は何人たりとも許さないぐらであった。




もう少ししたら設定集に残りのメンバーを載せようと思います。


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短編集3

息抜きがてら短編集です。今回も短いですが楽しんで頂ければ有難いです、ではどうぞ!


―13―

 

 

 

『本名』

 

「………そう言えばずっと前から気になってたんだけど、Aちゃんの本名ってなんていうんだろう?」

 

「?どうしたそら、そんな唐突に」

 

「だって私達付き合いとしては長いのにAちゃんの本当の名前って知らないなぁって思って……玲二君はAちゃんの本名って知ってる?」

 

「…………そういや俺もAちゃんの名前って聞いた事ないな。なぁ拓哉、お前Aちゃんと付き合ってんだから本名知ってるよな?」

 

「えぇ、そりゃ当然知ってますよ」

 

「じゃあAちゃんの本名ってなんていうんだ?」

 

「本名ですか?ゆうじんえいですよ」

 

「……いやアダ名が友人Aなのは知ってるよ。俺達は本名を聞いてるんだよ」

 

「だからゆうじんえいですって」

 

「もう神代君ふざけないでよ、私達は本当にAちゃんの名前を……」

 

「だぁーかぁーらぁー!悠陣 栄って名前なんです!悠久の悠に陣営の陣で悠陣、栄えると書いて栄です!」

 

「「……ええぇーーーーーーッ?!」」

 

Aちゃん、本名『悠陣 栄』

※当然この小説のオリジナルです。

 

 

 

―14―

 

 

 

『ノエルの子』

 

 

 

「ノエル、無事に産まれて来て良かったな」

 

「うん、可愛い女の子が産まれて良かったぁ~♪これからよろしくなぁ『めぐみ』♪」

 

「あ、あぅあ~」

 

「……それにしてもノエちゃん、どうしてめぐみって名前にしたの?あんまりノエちゃんと繋がりは無さそうだけど?」

 

「え?え、え~とね、この子には将来恵まれた子になってほしいなぁって思って付けたんだけど、変じゃったかなぁ?」

 

「いや、変ではないが……」

 

((近くにそれがあると即席で付けた気がしてしまうんだが……?))

 

ベッドの横に飲みかけの牛乳「メグミルク」

 

ともあれノエル無事に出産。命名『めぐみ』

 

 

 

―15―

 

 

 

『お散歩』

 

 

 

「それじゃあ子供達連れて散歩行ってくるな」

 

「はーいお願いしますね~♪」

 

「レイさん本当に子供達との散歩好きだよね」

 

「うん、レイくんが協力的で私達も助かるよ~♪」

 

「天気の良い日はほぼ毎日散歩もしてくれるし、本当に良いパパだよね♪」

 

「まあ、ちょっと異様な光景だけどね……」

 

「そんじゃ皆散歩に行くぞ~」

 

『あーい♪』

 

※佐々木家用特注20連結ベビーカー

 

「……いつ見てもあのベビーカー凄いよね?」

 

「てかどっから手に入れたんだろあれ……?」

 

 

 

―16―

 

 

 

『声』

 

「おぉ!フェネクスなんテオメェセンス良いナァ♪」

 

「まあな♪この金ピカ具合がたまんねぇよなぁ~♪」

 

(………やっぱり二人の声って同じだよね?皆は何故か気づいてないみたいだけど……ちょっと聞いた方が良いかもしれない……)

 

「あ、あのさ!」

 

「?どうシタかなたん?」

 

「あの、ずっと気になってたんだけど、ココとケイさんのこ……ッ?!」

 

 

 

 

 

《……なりません、それを言ってはなりません。もうその事は忘れなさい……》

 

 

 

 

 

「?どうしたゴリ公、急に黙りやがって?」

 

「ふぇ?!い、いや何でもない……てかいい加減ゴリ公言うの止めろォッ!!」

 

(あれ?何か気になった事があったような気が………まあいっか♪)

 

謎の力によって大事な事を揉み消されるかなたであった。

 

 

 

―17―

 

 

 

『イベント』

 

「hololive SUPER EXPO 2022!最高に楽しかったぺこぉー!!」

 

「ファンの皆も盛り上がってくれて楽しかったね~♪」

 

「このご時世でもあれだけ集まってくれて嬉しいなぁ~♪」

 

「オンラインで見てくれた人達も最高だったよー!って言ってくれてるし、大盛況だったねー♪」

 

「…………まあるしあは参加出来なかったけどね」

 

『あ…………』

 

「良いもん、どうせるしあはアイドル辞めた身だから何も言う権利ないもんね。皆楽しそうで良かったね~」

 

「る、るーちゃんそんなにいじけないでぺこ……」

 

「いじけてないもーん……」

 

「全く……ほらるしあ」

 

「え………これって?」

 

「運営側の好意で一部だけどるしあのグッズとかも展示してたんだよ?その中でぬいぐるみもあったから特別にもらってきたんだよ」

 

「確かに団長達はもう5人一緒にステージに立つ事はないかもしれないけど、それでも3期生はいつまでもずっとこの5人一緒だよ♪」

 

「そうそう♪アイドルとしてはもう難しいけど、プライベートではこれからもずっと一緒だよるしあ♪」

 

「みんな……グスッ……うん、有難う、これからもよろしくね♪」

 

公式チャンネルからの視聴でしたがイベント最高でした。そしてこの小説では3期生の絆は永遠です。

 

 

 

―18―

 

 

 

『たまきの野望』

 

「~♪」

 

「……みしろちゃんご機嫌だね?」

 

「そりゃ愛するご主人様である玲二君の子供授かれたんだもの、これ以上ない幸せだと思うよ♪」

 

「……その代わりこっちはかなり不機嫌になってるみたいだけど……」

 

「ぐぎぎぎぎぎぃ……!みしろぉ、僕を差し置いてご主人様との子供を孕むなんてぇーーーッ!」

 

「あら?ご主人様の妻でもあるみしろがご主人様との子供を授かるのは当然の権利ですわ。むしろたまきちゃんはいい加減ご主人様から手を引いて頂けませんか?どうせ叶わない恋なのですから」

 

「うぐぐぅ……こうなったら最終手段だ。この『男でも孕む秘薬』を使ってご主人様を襲って僕も孕んでやるうぅぅぅぅぅぅぅぅーーーーーーッ!!」

 

「そんなの許すワケないでしょう!?皆さん、今すぐそのホモ野郎を拘束して下さい!」

 

『ラジャーッ!!』

 

「あちょっとおい何するんだ放せこらってそれは僕の大事な秘薬だぞ返せ放せチクショーーーーーーーーーーーーーッ!!」

 

結局たまきは拘束され持っていた秘薬もきっちり処分されたのであった。

 

 




はい、短編集の中でしたがさらっとノエルの子供誕生しました。これからノエルの子供めぐみも本編に出てきますのでよろしくお願いします。


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短編集4

急にネタが降りてきたので投稿です。最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


―19―

 

 

 

『夫婦のあれ』

 

「……フブキあれ」

 

「はい」赤塗料手渡し

 

「おう」

 

「………レイくんあれ」

 

「ほい」ヤスリ600番手渡し

 

「有り難う……レイくんあれってどうなりました?」

 

「来月の後半からスタジオ取れてるからダンスレッスンは出来るがボイスレッスンのスタジオは取れなかったからそれは各自うちの個室スタジオでやってくれ」

 

「はーい」

 

「………なんで玲二君もフブキちゃんもあれだけでわかるの?」

 

「なんだか互いに言いたい事が分かってるみたいで凄いわね……これがホントの以心伝心ってヤツかしら?」

 

最近は大体あれだけでも伝わるようになった玲二とフブキであった。

 

 

 

―20―

 

 

 

『夫婦のあれ2』

 

「あ、だったらまつり達の言いたい事も分かるかも!ねぇ玲二君!」

 

「ん?どうしたまつり」

 

「まつり今晩あれ食べたいなぁ~♪」

 

「あれ?なんだ、焼き肉か?」

 

「違うよ!?あれだよあれ!」

 

「?なんだ、もしかしてラーメンか?」

 

「違うってばぁ~!あれだってば!」

 

「なんだよさっきからあれって?!それだとわかんねぇって!」

 

「うぅ~……」

 

「……ねぇレイくん、まつりちゃんもしかしてあれ食べたいんじゃない?」

 

「ん、そうなのか?なんだよまつり、ウニ食いたいなら最初からそう言えよ」

 

「いや合ってるけどなんでフブキのあれだったら通じるのさ?!」

 

あれで通じるのはどうやら玲二とフブキの間だけらしい。

 

 

 

―21―

 

 

 

『ベイビートーク』

 

「マーオ」

 

「あい~?」

 

「かんぷら~♪」

 

「あきゃあ♪」

 

「あげりゅ~♪」

 

「たやぁ♪あいあと~♪」

 

「こーゆ、かいもぉ~」

 

「あい、とーぞ♪」

 

「ありかと~♪」

 

「………見てて癒されるなぁ」

 

「ホントですねぇ~♪」

 

妹達にカプセルに入ったガンプラをあげて喜ぶこゆきであった。

 

 

 

 

―22―

 

 

 

『獅子族』

 

「……玲牙、つばき、あんた等も獅子族に産まれたからには、この崖から這い上がってくるんだ」

 

「あぅ?」

 

「あぅ、あっぷぁ~」

 

「…………お前達も獅子族の子に産まれたからには、強い子に育ってほしいんだ。だから、頑張って這い上がってこい」

 

「うゅ、うぅ~」

 

「ぷぁっぷぅ~」

 

「………………………やっぱり無理だってぇ!大事な我が子を崖から突き落とすなんてぇッ!!」

 

 

 

 

 

「………というワケでお前が代わりに這い上がってくるんだ」

 

「いやなんでポルカがッ?!おいガチで怖えぇんだけど!?」

 

これがホロぐらの発端であった。(嘘)

 

 

 

―23―

 

 

 

『ホロぐら』

 

「あれ?玲二、フブキちゃん達は?」

 

「ああ、なんかホロぐらの撮影に行ってくるって出掛けたよ」

 

「そうなんだ?でもホロぐらって面白いよね♪アカリも結構見ちゃってるもん♪」

 

「へぇ、そんなに面白いのか?」

 

「え?玲二は知らないの?」

 

「ああ、なんか知らないけどフブキ達から絶対に見ないでくれって念押しされて見せてもらえないんだよ」

 

「あー………そゆこと」

 

はっちゃけてる姿を玲二に見られたくないフブキ達であった。

 

 

 

―24―

 

 

 

『予告』

 

みらーいみらい、あるところに一人の龍人と四人のお供がいた。

 

「愛怒流戦隊!」

 

『ホロシスターズ!!』

 

五人の愛怒流、どんどん見参!

 

「え?!何この人達?!愛怒流って何?!」

 

「アイドルチェンジだ、これ使ってみな!」

 

「アイドルチェンジッ!」

 

「ギア!?銃!?ていうか貴女誰?!」

 

“中二病”

 

「ハァッハッハッハァッ!この孤高の吸血鬼の力が必要か!?」

 

ヴァンシスター!

 

“歌姫”

 

「えぇッ?!また戦い!?今握手会の最中だったのにぃ~!!」

 

ソングシスター!

 

“素行悪天使”

 

「好きで天使になったワケじゃねぇよ!」

 

テンシシスター!

 

“キツネ少女”

 

「吸血鬼、歌姫、天使と来て、お前は猫だな!」

 

「ハアァッ?!キツネなんですけど!?」

 

キツネシスター!

 

そして彼女達を率いる赤き龍!

 

「私を信じろ!私との縁は、超良縁だ!悩みなんざ吹っ飛ばせッ!!」

 

ドンドラゴン!

 

「はあちゃまっちゃま……何よそれ?」

 

「探シナ、さくらヲ……」

 

―謎の存在、盧厘不路―

 

「桐生さくら様!貴女に忠誠を誓います!」

 

ゲシッ!

 

「ぐぇっ?!……モウ、ワケ、ワカンネ」

 

「今私と目があったな?これでお前とも縁が出来た!」

 

「新番組、愛怒流戦隊!」

 

『ホロシスターズ!!』

 

「毎週日曜日午前9時30分いざスタート!さあ楽しもうぜ!勝負勝負ッ!!」

 

 

 

 

 

「………いやなんだこれ?」

 

「モロパクりじゃネーか……」

 

「オー♪」

 

未来のさくらから送られた映像を見て呆れ果てる玲二とココであった。

 

※当然嘘予告です。

 

 

 




一応念押ししますが『愛怒流戦隊 ホロシスターズ』は嘘予告なので絶対にやりません。やりませんったらやりません!


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短編集5

現在積みプラが140を超えてしまいそろそろ作らないとと思いながらも今月サイコガンダムが再販されると聞いて欲しくなってしまってる自分がいます(汗)

今回もある程度まとまったので短編集どうぞ。


―25―

 

 

 

『こゆきの覚醒……?』

 

「スー……スー……」

 

「うゆ?ぱーぱ、おねむ~?」

 

「スー……ん、んぅ……」

 

「ぱーぱ、よちよち♪」

 

「スー……スー……」

 

「…………………」

 

……ピトッ

 

「スンスン………ふへへぇ♪ぱーぱ、しゅきぃ~♪」

 

寝ている玲二にくっつき匂いを堪能するこゆきだった。

 

 

 

―26―

 

 

 

『終焉の日』

 

「……レイくん、どうして?私、あれだけ止めてって言ったよね……?」

 

「………すまないフブキ、皆」

 

「謝られたって許せないよ!ラミィは玲二さんだけには見られたくなかったのに……」

 

「確かに許されないかもしれない、けど俺はそんな事でお前達を軽蔑したりなんて……!」

 

「そういう問題じゃないんだ余!!余達のあんな姿、玲二様だけには絶対に見られたくなかったのに……」

 

「そうだよレイくん!なんで……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんで勝手にホロぐら見ちゃったのおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ?!」

 

「い、いやヒメ達が楽しそうに見てたからつい………で、でもまあ良いんじゃないか?楽しそうで……」

 

「若干引いてるじゃないですかぁッ!?だからレイくんだけには絶対見られたくなかったのにいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ………ッ!!」

 

玲二にホロぐらを見られ暫くの間恥ずかしさに悶えるフブキ達ホロメンであった。

 

 

 

―27―

 

 

 

『ToLOVEるメーカー』

 

「えへへぇ~♪玲二くぅ~ん♪」

 

「いやパトラ、お前引っ付き過ぎだって……」

 

「えぇ~?いーじゃん別に~♪だってパトラもお嫁さん候補だもんね~♪」

 

「全く、お前も物好きだよな……」

 

『ちょおぉっと待ったあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!』

 

「「ッ!?」」

 

「ちょっとパトラちゃん!私を差し置いて玲二君のお嫁さん候補になってるなんて許さないよッ!」

 

「そうだよ!それなら僕達だってご主人様と一緒になる権利はある筈だよッ!!」

 

「いやこのホモは知らんけどうちだって玲二さんのお嫁さんになりたいんよッ!!」

 

「う、ういさん?!それにたまきに咲も……!?」

 

「もうパトラちゃんの事もあるし私も我慢するの止めるわ!さあ玲二君、今から私と一緒にハッスルしようや!」

 

「ご主人様!僕もいつでもご主人様に抱いてもらえるように日々肉体改造してきたんだ……もう普通の女じゃ満足出来ない身体にしてあげるからなぁ……!」

 

「うちも最近胸がおっきくなっとるし、玲二さんの事いっぱい満足させてあげるやよ~♪」

 

「あ、だったらパトラも参加しまーす♪」

 

「あ、いやちょっと待てお前等、まだ其処までの関係は駄目だろ……っておい服脱ぐな!ズボン下ろそうとすんな!おい止めろおぉぉぉぉぉぉ………ッ!!」

 

その後結局転移能力で四人から逃げるもズボンを脱がされた状態だったので転移先にいたそらとAZKiに襲われる玲二であった。

 

 

 

―28―

 

 

 

『るしあ奮闘中』

 

「はい、お会計114514円なのです。では120000円お預かりしたので5486円のお返しと商品なのです。有り難うございました~…………ふう、疲れたぁ。最近商品が沢山入って売れるのは良いけどこうも忙しいとなかなか休めないなぁ……」

 

「あ、あうぅ~」

 

「あ、りあら起きちゃった?ほーらよしよし良い子だね~♪」

 

「すみませーん、会計いいっすか~?」

 

「あ、はーい!少しお待ち下さいなのです!りあら、ちょっとごめんね~?」

 

「あぅ?」

 

「お待たせしました。えと……はい、11081円なのです。あ、丁度頂きます、有り難うございました~♪……ごめんねりあら、今日は忙しくて全然構ってあげられないね……」

 

「うゆ、あぃあ~」

 

「……フフ♪そうだね、ママもうちょっと頑張るから終わったら一緒に遊ぼうね~♪」

 

「あい」

 

ホロライブを辞めた後もホロプラで忙しくも一生懸命頑張るるしあであった。

 

 

 

―29―

 

 

 

『EN』

 

「ううぅ~………」

 

「ど、どうしたのぐら?なんだか此処最近ずっと唸ってるけど……?」

 

「あ~……もうずっとレイジくんと会ってないからイライラが溜まっちゃってるみたいね」

 

「この間ワタシもぐら先輩に噛み千切られそうになって怖かったです……」

 

「ん~、でもワタシ達も忙しいからなかなかJP支部にはいけないし……そだ!いっその事ワタシ達全員少しお休み頂いてレイジくんに会いに行かない?」

 

「ッ!?キアラ!今レイジって言ったよね?!レイジに会いに行けるの!?」

 

「まあ其処はYAGOOに確認取んないといけないけど、多分行けるんじゃないかな?」

 

「おぉぉぉぉぉぉッ!?ぐら、今すぐ支度してくるッ!!」

 

「あ、ぐらちゃん?!もう、まだ決まったワケじゃないのに……」

 

「でも良いんじゃないですか?私達もレイジさんってどんな人なのか会ってみたかったですし♪」

 

「……そうね、ワタシも久々にレイジくんに会いたかったしね♪じゃあ早速YAGOOに連絡してワタシ達も準備しますか♪」

 

久々に登場EN組、ホロライブタウンに来る日は近いかも……?

 

 

 

―30―

 

 

 

『お昼寝』

 

「………うん、皆寝てくれたみたいですね」

 

「お、漸くか?そんじゃあ私達もゆっくりお茶でもすっか♪ホレ」

 

「有り難うございますケイさん………ふぅ、それにしても子供達の寝顔を見てるだけでもなんだか幸せな気分になれますね」

 

「…………まあ事情知ってたら異様な光景だけどな」

 

『スー……スー……』

 

一部屋丸々佐々木ベイビーズ

計45人

 

「……これ全部旦那の子ってスゲーよな?」

 

「そうですね…………………私もほしいって言ったら作ってくれますかね?」

 

「おいコラオメェ聖職者だろ?」

 

若干欲に溺れそうになるシスター・クレアであった。




そろそろ海外組も出していこうかな?


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番外編
番外編『とある裏方のモテモテ計画』


三話を書いている途中でなんとなく思いついたネタ話です。思いの外すらすら書けて自分でびっくりしました( ; ゚Д゚)


俺の名前は『只野喪不男(ただのもぶお)』。このアイドル事務所ホロライブのスタッフとして働く敏腕社員だ。そして此処でアイドルをしている女の子達は世界で活躍するほどの超スーパーアイドルにして超可愛い娘ばかりなのだ。総勢30人程の可愛い女の子達、そんな娘達とお近づきになりたいというのは当然の事!いつかは俺もホロメンの娘達とあーんな事やこーんな事を…ブフフフフ♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、実際は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇねぇレイくん、今日は白上の配信に一緒に出て下さい♪」

 

「駄目なのですフブキ先輩。玲二さんは今日るしあのおうちで一緒に過ごす予定なのです」

 

「るしあ先輩そんな約束してないでしょ?ねえレイ兄ちゃん、今日は一緒にねねと遊ぼー♪」

 

「玲二様、今夜はちょこと一緒に熱ぅーい夜を過ごさない?」

 

「だあぁーッ!!お前等人が仕事してるのにうるせぇーーッ!」

 

…まただ。またあの男『佐々木玲二』の周りにホロメン達が集まっている。何故だ!何故奴の周りにだけホロメン達が寄っていくんだ?!俺の元には一切寄ってこないのに!この間だってそうだ!偶々ダンスレッスンしていた時に俺と佐々木が一緒に行ったら

 

 

 

 

 

 

 

 

「おぉ、玲二様!余のダンスどうだった?」

 

「お疲れあやめ、前にも増して動きに無駄が無くなってきたな。若干息が荒いが、前よりも良くなってるぞ」

 

「むふふ~♪」

 

「ねえご主人!あてぃしは?!」

 

「あくあはスタミナが少ないせいかあやめより息が上がってるな。でも、前よりも楽しそうに踊って良かったぞ」

 

オデコに角を生やした少女『百鬼あやめ』ちゃんと小柄なメイド少女『湊あくあ』ちゃんが佐々木に誉められて嬉しそうに笑ってる。ようし、なら俺も

 

「あやめちゃんあくあちゃんお疲れ~♪二人ともダンスキレッキレで最高だったよ~♪」

 

「うえ…あ、ありがと…」

 

「ッスゥーーー…アリガト…」

 

…なんでだよ、何で佐々木に誉められた時は嬉しそうにしてたのに俺が誉めたら物凄く嫌そうな顔すんだよ。同じように誉めてあげたのにそんなのってねぇだろ!それだけじゃない、この間だって

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「玲二さん、ちょっとお願いがあるんですが」

 

「ん?どうしたラミィ、また○イオ○ザードの事か?」

 

「ちーがーいーまーすー!今日はちょっと此処にサインと判子が欲しかったんですけど……」

 

そう言って水色のロングヘアーの少女『雪花ラミィ』ちゃんが佐々木に大きめの封筒を渡していた。その封筒には一ヶ所四角い穴が開いていて名前と判子を押す欄が見える。

 

「…因みになんだこれ?」

 

「えーと…承諾書?」

 

「…言っとくがこの手はフレアとはあとが既にやってるぞ。こんなバレバレな手に引っ掛かる訳ないだろ諦めな」

 

「ふえぇぇぇぇん!玲二さんの馬鹿ぁ!」

 

佐々木の奴が拒否するとラミィちゃんは半泣きになりながらその場を立ち去ろうとする。佐々木め、可愛い女の子のお願いを拒否するとはなんて奴だ!フッ仕方がないここはこの俺が

 

「やあラミィちゃん、承諾書にサインが必要なんだって?急ぎの物だったら代わりに俺が―ドゴォンッ!―うぼぉッ?!」

 

「触んな豚野郎…」

 

…なんでだ?!なんで俺が腹パンされなきゃならないんだ!しかもなんだ豚野郎って?!どうやったら半泣き顔が一瞬で絶対零度の無表情に変わるんだよ?!

 

 

 

 

 

 

 

畜生ッ!!なんだよ皆して佐々木佐々木って!あんなのちょっと顔が良くて仕事が出来て頭良くて運動も出来てフレンドリーでコミュ力あるだけの優男じゃねぇか!俺だって、俺だってなぁ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…まーた只野がブツブツ何か言ってるペコ」

 

「ホント気持ち悪いにぇ、こないだだってみこやそらちゃんの事やらしい目でじろじろ見てたし」

 

「仕事もロクにしてないどころか自分の仕事他人に押し付けてさっさと帰るし、ホント何しに此処に来てんだろうね?」

 

只野が自分の世界に入ってる中、そんな只野をホロメン達はまるで異物を見るような軽蔑の目で見ていた。そう、只野喪不男は自分の事を優秀な社員と思っているが実際は仕事も遅く時には他人に仕事を押し付けて帰り、その中年太りした体型やハゲ散らかして汗ばんだ頭皮等の見た目、更には性格も悪く暇さえあればいっつも女の子を厭らしい目でじろじろ見てる等のせいでホロメンはもちろん事務所のスタッフ一同からも嫌われている。哀れ只野喪不男(48)

 

 

(クソッ!俺は奴より優れているんだ!何とかして奴からホロメン達を…そういえば確かあの娘達最近ガンダムのプラモデルに嵌まってるらしいな、何でも佐々木の影響だとか…ブフフ、ならこの俺が奴より凄いガンダムを作ればあの娘達も佐々木を見限り俺に寄ってくるに違いない!よおし、見てろよ佐々木、お前の天下も此処までだ!ブフフ、ブフフフフ、ブハアッハッハッハァ!!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―その夜只野宅―

 

「遂に買ったぞ…奴を越える最強のガンダムのプラモデルを!」

 

俺はあの後仕事を終えて(後輩に押し付けて)家電量販店に行き店員に一番高いガンダムのプラモデルを聞き、そして遂に手に入れた!これさえあれば佐々木なんて目じゃない!

 

「プラモデルなんて生まれて初めてだが、この俺の手にかかれば余裕!さぁ、早速組み立てていくぞ!」

 

見てろよ佐々木!お前が威張ってられるのも今のうちだ!(別に威張ってなどいない)そして待ってろよホロメン達!この俺が最強のガンダムを作り、君達のハートをバッチリ掴んであげるからな!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっとこれとこれを取って…あぁもうなんだよこれ取りにくいなぁ」―ブチッブチッ―

 

「このパーツ同士をはめて…ってなんで上手くはまんねぇんだよ!」

 

「ヨシッこのパーツを此処に着けて…―バキッ―ああぁッ?!俺のガンダムがぁ!!」

 

なんでだ?!どうしてこんな上手くいかねぇんだよ?!説明書もやたらページ多いしパーツも細かすぎる!誰だよプラモデルなんて簡単だとか言った奴!めちゃくちゃ難しいじゃねぇか!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

只野は上手く組み立ててられない事に腹を立てているが、それも当然。何故なら只野が買ったのはガンプラの中でもハイレベルの『PGユニコーンガンダム』である。価格も二万もして、サイズも1/60と巨大だがその分パーツ数も半端なくHGやRGなど比ではない。今日初めてガンプラに手をだし、尚且つニッパー等の工具を使わず手でパーツを引きちぎっている只野に上手く組み立てられる訳がなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―そして夜明け…―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………………」

 

只野はただ呆然としていた。目の前にはユニコーンガンダム……になる筈だったパーツの瓦礫の山が積み上がっている。手で引きちぎったため所々残ってるゲート跡、無理にはめようとした結果破損したパーツ等が連なっており、日が昇る頃には只野の心はすっかり折れてしまっていた。

 

「ま、まずい…このままだと佐々木の奴に負けてしまう…こうなったら、奥の手だ!」

 

俺は直ぐ様スマホを取り、その中にあるフリマアプリのメル○リを開き商品を探す。

 

「こうなれば既に完成している凄いガンダムを探して、俺が作った事にする!これなら奴に勝つ事が出来る!おっと、このガンダムなんてカッコいいじゃないか!早速ポチっと……」

 

これで数日後にはガンダムが手元に届く。ブフフフフ、その日が来るのが楽しみだ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―数日後、事務所―

 

「おはようございまーす…ってあら?どうしたんだあくあ」

 

「あ、ご主人大変だよ!なんかいきなりあいつがガンプラを持ってきて皆に見せびらかして…」

 

あいつ?あいつって…あぁ、只野か。確かに言われて見ればあいつの周りにホロメン達が集まってるな。へぇ、あいつもガンプラやってたんだな?どれどれ…

 

「ブフフ、どうだい皆?佐々木が作るガンダムよりよっぽどカッコいいだろう?」

 

「う、うん…(く、悔しいけどレイくんが作ったガンダムより重厚感があって凄い…)」

 

「こ、これ本当に只野、さんが作ったの…?(か、カッコいい、前にアズキやそらちゃんが作ったフリーダム達よりもずっと凄い…)」

 

「ブフフフ、まあ、俺の手に掛かればこんなのちょちょいのちょいだね♪」

 

「よぉ、只野。お前もガンプラ作ってたんだな?」

 

「ん?なんだ佐々木か。そうとも、君のガンダムよりも素晴らしい物を作ってね、折角だから皆に見せに来たんだよ。どうだい?君も見てみたらいいさ、この俺の最高作品を」

 

へぇ、そんな自分で言うほど凄いもんなのか。只野って実はプロレベルなのか?どれどれ…ほう、デスティニーガンダムか。塗装もしっかり施されて重厚感のある仕上がり…ってちょっと待て、これって…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…やっぱり!お前、これってメタルビルドじゃねーか!?」

 

「ん、メタルビルド?…あ、あぁなんだ佐々木、君も知ってたのかいこの技法を…」

 

「馬鹿かお前?!メタルビルドはガンプラじゃなくてアクションフィギュアだ!」

 

 

『………え?』

 

 

俺の言葉にホロメン達はおろか何故か只野まで驚いている。

METAL BUILD(メタルビルド)はガンプラとは違い最初から完成しているアクションフィギュアで、ガンダムは好きだけど作るのが苦手な人がコレクションとして買ったりしている。クオリティーはかなり高いが決してモデラーが作った物ではない。

 

「そ、それじゃあレイくん、これってこの人が作った訳じゃないの?」

 

「あぁ、これは最初からこの状態で売られてるんだよ。てかなんで持ってきた只野本人がそんな事知らないんだ?」

 

「ギクッ!?」

 

俺がそう言うと只野は何か焦った様子になる。そんな只野をホロメン達は白い目で見る。もしかしてこいつ……

 

 

 

 

 

 

 

 

「…もしかしてあなた、玲二さんに対抗しようとして何処からか中古品を買ってそれを自分で作ったなんて言ったんじゃないですよね?」

 

「ギクギクゥッ?!」

 

俺が思っていた事をラミィが代わりに言ってくれ、只野は更に動揺していく。やっぱり図星か。心なしかホロメン達の只野を見る目が更に冷たくなってるのを感じる。只野も居心地が悪くなってきたせいか顔中から脂汗がダラダラと流れている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お、只野君此処にいたか」

 

「え?しゃ、社長?!」

 

そんな中、このホロライブプロダクションの社長谷郷(通称YAGOO)が突然只野を訪ねてきた。その手には何やら封筒が握られている。

 

「只野君おめでとう、君に新しい仕事を持ってきたんだ」

「え!?お、俺にですか!?」

 

「あぁ、君にしか頼めないし、君以外にこれ以上の適材もいないからな。どうだい、引き受けてくれるよね?」

 

「は、はいそれは勿論!いやぁ、社長も分かってらっしゃいますねぇ♪誰に仕事を任せるべきかをちゃんと理解していらっしゃる!」

 

「はは、そうかそうか。ではこれが君に頼む仕事の書類だ」

 

社長はそう言うと手に持っていた封筒を只野に渡す。只野は先ほどまでの事を忘れ嬉しそうに封筒を開け、ホロメン達はYAGOOが直々に只野に仕事を?あり得ないという表情を浮かべていた。しかし…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…あ、あの社長?これは一体……」

 

「新しくホロライブAM(アマゾン)を設立しようと思ってね。君には現地に行って新しいアイドル候補を見つけて来て欲しいんだ」

 

「あ、あの、それって僕じゃなくても…」

 

「ん?どうしてだい?仕事もロクにせず後輩に押し付け暇を持て余している君にはピッタリの仕事じゃないか」

 

あ、これ社長めっちゃ怒ってるやつだ。顔は笑顔だが目が一切笑ってない。只野もショックのせいか真っ白になりその場で呆然としていた。まあ……ドンマイだな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―それから数週間…―

 

「只野の奴今頃どうしてるんだろうな?」

 

「やめてよレイくん、折角あいつの事忘れかけてたのに」

 

「でもちょっと可哀想だったな、見つけるまで帰って来るなって言われてたし。同情はしないけど」

 

只野がいなくなってから事務所はすっかり平和になり、今日も今日とて俺達はいつも通りの日常を過ごしている。でも本当に今頃あいつどうしてるんだろうな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―その頃のアマゾン―

 

 

「くそぅ、新しいアイドル候補見つけろって…こんな野生動物しかいない場所でどうやったら見つかるんだよぉ!?」

 

密林の奥深く、アマゾンの中心部では只野が虚しく叫んでいた。周りには寝床となるボロ小屋が一つしかなく、周囲からは野生動物達の鳴き声が響き渡る。とてもアイドル候補どころか人すらいる気がしない。

 

「ちくしょおッ!!俺はこんな所で終わんねぇぞ!必ず戻ってやるから待ってろよ佐々木ぃッ!!」

 

そんな中でも只野は諦めず玲二に復讐するために本社に戻る事を誓う。頑張れ只野!負けるな只野!もうお前の出番は無いが強く生きろ只野!

 

 

 

 

 

「…え?俺の出番もうないの?ちくしょおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ………ッ!!」

 

 

 

 

 

 




初めての番外編でしたがどうでしたか?因みに最後に書いた通り只野はもう出てきません(笑)

次こそスバルーナの話を近日中に上げますのでお待ちくださいm(_ _)m


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番外編 『一番くじ対決』

本当なら本編の中に組み込みたかったんですが、まだビルドライバーズ編が終わらないので番外編にしました。

本編だとまだまだ殺伐とした部分がありますが、早くこういった日常編をまた書きたいですね(^o^)

今回も最後まで楽しんで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ( っ・ω・)っ


GVWの大会、ビルドライバーズカップ。これはその大会が行われた、あるかもしれない後日談の出来事である。

 

―New佐々木宅―

 

「……ガンプラ一番くじ?あぁ、もうそんな時期か」

 

「うん♪レイくんにガンプラを教わってから、一回はやってみたいと思ってたんですよね~♪」

 

とある土曜の早朝、フブキが俺の部屋に来ていきなり一番くじを引きに行きたいと言い出した。確かにもうそんな時期だったな、この間のドタバタですっかり忘れてた。

 

「まあ、俺も引きに行こうかなって思ってたから別に良いが、行くのはフブキだけか?」

 

「ううん、ぺこらと船長とロボ子さんも一緒に行きたいって。それで皆で五回ずつ引こうって事になったの」

 

「成る程な。んじゃさっさと準備して行くか。もしかしたら他に引きに行ってる人もいるかもしれないし、早くしないと上位賞取られちまうかもな」

 

「そうと決まれば、早速出発しましょー♪」

 

全く、朝からテンションたけぇなコイツ。ま、折角落ち着いて来たんだ、これぐらいは許してやるか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―数十分後、某コンビニ前―

 

「…………で、何でお前等まで此処にいるんだ?」

 

「そりゃあモチロン!兄貴がいる所にこのワタシ、桐生ココアリデスよ♪」

 

「みしろは偶々ご主人様達が此方へ向かうのを見かけたので付き添いさせて頂いただけですわ♪」

 

皆で一番くじをやっている近くのセ○ンイレ○ンにやって来たんだが、其処には何故か待ち伏せしてたかのようにココがいて、更に俺達の後ろからみしろがやって来たのだ。みしろは本当に偶々だろうけど、ココはどうやって俺達の行動を知ったんだ?

 

「ココ会長は今朝船長が誘いましたぁ♪最近ココ会長もアイツの監視で大変だったので息抜きには良いかなって」

 

「なんだ、マリンが誘ったのか。確かにココには只野が変な事しないか監視してもらってるからな。本当に済まないなココ」

 

「イエイエ!兄貴に頼まれれば断る理由なんテ無いデス!それにもう監視の必要も無くなりまシタシ」

 

?監視の必要が無くなった?どういう事だそれ?

 

「ホラ、アイツホロライブや大会運営の方々に莫大な慰謝料と損害賠償払ったじゃないデスカ?ソレで借金するハメにナッテ、しかも借りた処がチョットヤバい処だっタらしくて、今頃其処の人達に連れられテ確か……地下で強制労働サセラレてるみたいデスよ」

 

『強制労働?!』

 

なんだソレ?!そんなのが本当にあるのかよ!?

 

「確か彼処は1000万にツキ15年でしたから……アト480年は出テ来れナイデスね♪」

 

「いや、アイツ普通の人間だから出る前に死んじゃうだろ……?」

 

「ま、よーするにもう二度と会う事もないって事ぺこ♪ぺーこぺこぺこぺこ♪」

 

もう二度と会わなくて良いと分かったからかぺこらは上機嫌に高笑いする。他の娘達もぺこら程ではないが只野に会わなくて良い事をかなり喜んでいるみたいだ。

 

「まあ、ソンな事はモウどーでもイイので今日は沢山楽しみマショウ♪」

 

……そうだな、アイツに関してはもう終わったんだから忘れよう。そんじゃ早速くじを引きに……

 

「ところでご主人様、くじを引く順番はどうするんですか?」

 

「え?……そういや決めてなかったな」

 

「はいはーい!それならじゃんけんで決めましょー♪それと、ついでに賭けしませんか?」

 

『賭け?』

 

……おいなんかイヤな予感がするぞ。こういった時のマリンは本当に余計な事しか言わない。一体何を言うつもりなんだ?

 

「これから皆五回ずつ引くので最も成績が良かった人がこの後玲二くんとデート出来るのはどーでしょー?」

 

『乗ったぁッ!!!!』

 

「……お、おぉ、思ったよりマシだった」

 

コイツの事だから今日の夜のお相手だとか言いそうだったんだけど、デートか……まあ、一緒に出かけるくらいなら良いかな?

 

「ん?でもさ、それって俺が勝ったらどうすんだ?」

 

「うーん、そうですねぇ……あ、じゃあ一番成績の低い人に罰ゲームとかどうです?一番成績の低い人が、玲二くんに一つ命令されるって感じで」

 

ふむ、まあそんなもんか。ま、そうそう一番なんて取れるもんじゃねぇし、気楽に考えるか。

 

 

 

 

 

それから何回かじゃんけんをしてくじの順番が決まった。順番としてはこうだ。

 

ロボ子

みしろ

フブキ

ココ

マリン

ぺこら

 

「それじゃあ早速行ってくるね~♪」

 

まずはロボ子が店内に入っていく。何かアイツいきなり出しそうで怖いんだよなぁ。

 

 

 

 

 

―五分後……―

 

「やってきたよ~♪」

 

くじを引き終えたロボ子は満足そうにニコニコ笑いながら出てきた。よっぽど良い結果だったのか?

 

「ボクの結果はこれだよ。上位賞は出なかったけど、ボク的には大満足かな?」

 

ほう、どれどれ……D賞とE賞とG賞が一個ずつ、それとI賞が二個か。中々の収穫じゃないか。

 

あ、言い忘れてた。今回のくじは全部で80口ぐらいでラインナップは以下の通りだ。

 

A賞 メガサイズガンダムソリッドクリア

B賞 MGフリーダムガンダムソリッドクリア

C賞 SD悟空インパルス&劉備ユニコーンソリッドクリアセット

D賞 エントリーグレードストライクガンダムソリッドクリア

E賞 エントリーグレードガンダムソリッドクリアリバース

F賞 SDEXスタンダードνガンダムソリッドクリア

G賞 プラスチックマグカップ

H賞 ビジュアルボード

I賞 クリアファイル(ステッカー付き)

 

ロボ子が当てたのはエントリーグレード二種類とマグカップが一つ、それにクリアファイルが二枚か。これは中々良いな、特にエントリーグレードのストライクは武装こそほぼ無いが今回が初めての商品化だったから欲しいという人は多いと思う。それにしてもマグカップとクリアファイルは分かるがビジュアルボードってなんだよ?用途が知りたい。

 

「それでは次はみしろの番ですね。必ず上位賞を取ってご主人様に捧げますわ」

 

「いや、自分で作って良いって」

 

コイツ相変わらず俺に献身的なんだが、自分で買った物なんだから自分で作ってくれ。貢がれるのは本当に好きじゃないし。

 

 

 

 

 

―五分後―

 

「……ご主人様、申し訳ありません。みしろは上位賞を取る事が出来ませんでした」

 

「いや、だから良いって」

 

店から出てきたみしろはあまり良くなかったのか俺に申し訳なさそうな感じで頭を下げてきた。全く、そういうの良いからコイツはもう少し自分を優先してくれよな。で?肝心の結果は……ありゃ、E賞止まりか。E賞が二個にF賞が一個、後はH賞一個にI賞一個か。まあ、ロボ子ととんとんぐらいってところか。

 

「それじゃ次は白上の番です!狙うはBのフリーダムガンダム!絶対に当てます!」

 

ほう、フブキはフリーダム狙いか。今回のフリーダムは新しい方のVer2.0じゃないけど、それでも普通に格好良いから俺も欲しいんだよな。

 

 

 

 

 

―五分後……―

 

「うぅ~……C賞は出ましたけど、他が全滅でした……」

 

コンビニからフブキががっかりした様子で出てきた。どうやら今の口振りからするとC賞以外は全部小物か……ふむ、マグカップ二個にビジュアルボード一個にクリアファイル一個か。まあ、上位賞出ただけでも良いんじゃないか?

 

「ソレじゃあ次はワタシの番デス!此処でtopの成績を残シテ、そのママ兄貴との距離を一気に積めテやりマス!」

 

「……何かココ何時にも増して気合い入ってんな」

 

「きっとレイくんと会える日が少ないから此処でデートして少しでも近づきたいんだと思う」

 

成る程な、確かにココがホロライブ辞めてから桐生会関連の事でしか関わりなかったもんな。

 

「では兄貴、行って来マス!モシ上位賞出タ時は一緒に朝マデ子づ「其処まではしない」ムゥ……」

 

本当に油断するとすぐ変な事言うなアイツ。

 

 

 

 

 

―五分後……―

 

「くうぅ~……結局D賞止マリデスか……」

 

「いや、引いて三つはD賞って結構だと思うぞ?」

 

ココの成績はD賞が三個にE賞が一個、後F賞が一個だった。小物系当たらないのも結構凄いと思うけどな。

 

「さあさあ次はお待ちかね玲二くんの番ですよ~♪」

 

「そうだね、マスターも運は良い方だし、そろそろ出てもおかしくないんじゃないかな?」

 

「どうだろな?んじゃ行ってくるか」

 

さっきロボ子に聞いたがこの店では俺達が最初の客だったようでくじはフルにあったみたいだ。今フブキ達が引いて計20だから、後は60回分……当たる気がしねぇな。

 

 

 

 

 

―十分後……―

 

「……師匠遅いぺこだね?」

 

「もしかして他の人が買って目の前で取られたとか?」

 

「うーん、どうなんだろ……あ、出てきた、って……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「わりぃ、A賞とB賞出たわ」

 

『うっそおぉーーーーーーーーーッ?!!!』

 

そりゃそんな反応になるわな、俺も引いてびっくりしたし。今回の俺の成果はAからDまで一個ずつ、そしてGが一個の文句無しの結果だ。

 

「こ、これは文句無しにレイくんがトップだよね?」

 

「うん、そしてこのままだとみしろちゃんが最下位って事に……」

 

「ご主人様からのご命令ですか……みしろは何が来ても受け入れる覚悟はありますが、あまりキツいのは……」

 

いや、別にそんな事しないって……てかまだ最下位がみしろって決まったワケじゃ無いし。

 

「よぉーし!次はいよいよ船長の番ですよぉ~♪」

 

次はマリンか……なんかもう想像つくんだが?

 

「ムッフッフ~♪みしろちゃんには悪いんですが、船長はちゃんとD賞以上を取らせて頂きますよぉ♪」

 

「うぅ~……」

 

マリンの煽りにみしろが悔しそうに唸るが……最早それすらフラグにしか思えない。

 

 

 

 

 

―五分後……―

 

「…………………………」

 

「こ、これはちょっと……」

 

「ある意味凄いね……」

 

「これと同じ事すれったって無理ぺこだよ……」

 

「……よくもさっきは煽ってくれましたね。今の気分はどうでしょうか?」

 

「マリンパイセン……クソザコ過ぎマスね~」

 

「うん、知ってた」

 

マリンが店から出てきた瞬間から何となく察したが……まさか全部H賞、ビジュアルボードだけとは……コイツある意味持ってるな。

 

「なあぁんで船長にはガンプラ一個も当たらないんですかあぁッ?!大体何なんだよビジュアルボードってぇ?!こんなのなんに使うんだよおぉぉぉぉぉぉぉッ!!!」

 

店の前で騒ぐな迷惑だろ!?ほらお前が騒ぐから回りに人が集まって来たじゃないか!

 

「ママぁ、あれなにしてるのー?」

 

「よく見ときなさい衛ちゃん。あれはね、自分に下された処罰に納得出来ないお局の叫びよ」

 

「そーなんだー、かわいそーだねー」

 

いや、母親何教えてんだ?!子供の方も止めてやれ!余計にマリンが可哀想になるわ!

 

「くっそぉ……こうなったらぺこら!お前が引いて全部I賞出せ!そうすれば船長が罰ゲーム受けなくて済むから!」

 

「何でそんな事しなきゃならねーぺこだよ!?それにぺこーらはマリンと違って運が良いんだからそんな変な引きするワケねぇぺこ!」

 

……本来ならこれもフラグっぽく聞こえるが、ぺこらの場合は……

 

 

 

 

 

 

―五分後……―

 

「ほら見たかマリン!ぺこーらの手にかかればB賞手に入れるなんざ簡単ぺこ!まあ、これも幸運ウサギってワーケ♪ぺーこぺこぺこぺこ♪」

 

「キイィィィィィィィィィィィィィィィィィィィッ!!!」

 

ほらな、ぺこらはわりとこういったくじ運は強いんだよな。もし順番が違ってたらA賞はぺこらが取ってたかもな。因みにぺこらはB賞以外はD賞とG賞が二個の全然納得のいく結果に終わった。

 

「て事は、言い出しっぺのマリンが罰ゲームを受けるって事だね?」

 

「うっ?!し、仕方ないですね……さあ玲二くん、このマリンに何でも一つ命令して下さい!どんなえっちぃ事でも受け入れますよ!」

 

何でえっちぃ事限定なんだよ?!でも命令なんて………んー、じゃあ……

 

「んじゃあまた宝鐘呼びで「何でですかあぁッ?!折角マリンって呼ぶようになってくれたじゃないですかあぁーーーーーッ?!」だからうるせぇって!分かったよ!違うのにする!」

 

にしても命令なんてどうしようか………………!そうだ。

 

「じゃあ、一週間皆の朝食当番で。それなら良いだろ?」

 

「ゲェッ?!い、一週間ですか?!」

 

マリンが嫌そうな顔をする。そりゃそうだ。今俺とホロメンは同じ場所に住んでいる。そんな中で皆の朝食は料理出来る奴等で交代で行ってきたがそれを一週間丸々マリンに作らせる事にした。毎日30人以上の量を作らないといけないから結構早起きしなきゃいけないから大変なのだ。

 

「そんじゃマリン、一週間朝食当番よろしくな♪」

 

「うぅ~、わ、分かりましたぁ……」

 

よし、これでミオやフレアに少し楽させれるな。にしても此処の一番くじどうしようか?残り50ぐらいで上位賞無くなったらこの店不良在庫になっちまうよな……仕方ないか。

 

その後俺は店にくじがもう一セットあるのを確認し、最初の残ったくじを全部買わせてもらった。かなり高くついたが、ラストワンのガンダムも手に入れられたから良かったか。

 

「よし、それじゃあ荷物を一旦家に置いて、これから皆で遊びに行くか。ココとみしろも来るか?」

 

「ご主人様のお誘いとあらばこのみしろ、断る理由など御座いませんわ♪」

 

「ワタシもデス!ソレじゃあこのママ皆でラ○ホに「お前本当にいい加減にしろ」ムゥーーーーーッ!」

 

本当に相変わらずフルスロットル過ぎるぞココ……

 

取り敢えず俺達は荷物を置いた後皆で普通にショッピング等をして楽しんだ。因みにその後当たった景品はフリーダムはそらに、SDはスバルとルーナに、そして大量のエントリーグレードは欲しい奴等にプレゼントし、メガサイズはフブキと一緒にオールクリアと通常カラーに組み換えて一緒に作った。やっぱこういった日常って良いよな。




はい、という事で一番くじ対決でした(^_^)
実はこれ、順番は違いますが自分が十回分三セットと五回分一セット、計三十五回引いた結果です。勿論お店は別々の所を選びました。ラストワン欲しいですが、何処かに都合よく残り十回分しか無い店とかあれば嬉しいんですがね(^^;

それでは近日中に本編も上げますのでもう少しお待ち下さいませ、ではまた( ゚∀゚)ノシ


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番外編『たまき、ご主人様に迫る』

アンケート取ったらぶっちぎりでたまきの話が一位だったので今回はたまき回です。他の番外編は思いついたら書こうと思います。

今回も最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ( っ・ω・)っ


ふ、ふふふ………ふふふふふ………ふはあぁっはっはっはっはっはっはっ!!

 

遂に……遂にこの時がきた!

 

ホロメン達は揃ってライブ!あの黒いフブキちゃんもガンプラのコンテスト!ヒメヒナの二人もロケで地方に!そしてみしろにはこの日の為に予め秋田の田舎方面に営業に行かせた!

 

つまり!あのホロライブマンションには今、ご主人様一人しかいない!そう、ご主人様を僕の好きに出来る最大のチャンス到来したんだ!

 

ふふふ♪見てろよお前等ぁ?人の事散々ホモだとかオカマだとか好き勝手に言いたい放題言いやがって!だけどなぁ!最後に笑うのはこの僕、犬山たまき……否!佐々木たまきなんだからなぁ!はあぁっはっはっはっはっはっ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………う、うぅ……………………グッ?!あ、あれ?此処は……」

 

………一体どうしたんだ?俺、さっきまでリビングで一人キン○ダム○ーツやってた筈なのに……てか此処何処だ?窓もないコンクリートの壁に囲まれた殺風景な部屋にベッドがあるだけ……一体なんで俺は此処にいるんだ?

 

「目が覚めた?ご主人様」

 

「………は?」

 

状況を整理していると後ろから声をかけられ、振り向くとそこにはたまきがいた。しかしその格好はかなりヤバイモノだった。なんと服は着ておらず、代わりにかなりきわどい派手な女性用下着を着用していたのだ。

 

「ふふ♪どうかなこの下着?ご主人様に喜んでもらえるように奮発して買ったんだよ♪」

 

「いやどうかって言われても女装見せられて俺はどう反応すりゃ良いんだよ?」

 

「またまたぁ♪ホントは興奮してるクセに?ほら見て僕の胸、豊胸マッサージを毎日してたら此処まで大きくなったんだよ♪多分だけどフブキちゃんぐらいはあるんじゃないかな?」

 

た、確かにフブキぐらいはあるな……てか男でも豊胸マッサージしたら大きくなるのか?何か嫌だなそれ……

 

「それに僕はこの日の為にご主人様を満足させる為のテクニックを沢山身につけて来たんだよ♪今日はそのテクニックを余す事なく使ってご主人様を気持ち良くしてあげるね♪」

 

「何狂った事言ってんだコイツ?」

 

頼むからそう言うの冗談でも言うの止めろ、この小説R-18にする気か?寝言は寝てから言ってくれって話だ。

 

………それにしてもなんかさっきから変だな?身体が火照ってるて言うか、なんか変に興奮状態って言うか……もしかしてたまきの言う通り興奮してるのかこの状況に?いや、そんなわけ……

 

「あ、そろそろご主人様が寝ている間に飲ませた媚薬が効いてきたかな?」

 

「お前寝ている間に何飲ませてんだよこの野郎!?」

 

くそッ!妙に身体が熱いと思ったらコイツのせいか!ヤベェ、何がとは言わんがめっちゃはち切れそうだ……!

 

「ふふ、ご主人様辛そうだね?でも大丈夫だよ、今から僕がご主人様の事いっぱい気持ち良くしてあげるから♪」

 

そう言うとたまきは下着を全部脱ぎ捨て俺に近づいてくる。確かに顔つきや身体つきを見たら女みたいだが股間にあるアレ(通称バベルの塔)のせいで全て台無しである。

 

「ふふふ♪遂に僕とご主人様が結ばれるんだ!そして僕の超絶テクニックでご主人様を骨抜きにして僕無しでは生きられない身体にしてあげるね♪そしてその後は同性婚が認められている国に移住して其処で結婚して僕は晴れて犬山たまきから佐々木たまきになるんだぁ!」

 

コイツマジでヤベェ!?考えてる事がイカれ過ぎだろ?!そ、そうだ!なんとか此処から抜け出して誰か助けを………!

 

「あ、因みに助けを呼んでも無駄だよ?皆それぞれライブやら営業やらで帰ってくるのは早くても明日の朝、それに帰って来ても此処が何処か分からない以上探しようがないしね。スマホも電源を切ってるからGPSも使えないよ」

 

「お、お前、こういう時……だけ行動……速い、な……」

 

ヤバイ、媚薬が大分回ってきたのか身体がかなり火照って仕方ない……頭も回らないしこれは、詰んだか?

 

「ふふふ♪遂に僕のヘブンズゲートにご主人様のグランドクロスが……!それじゃあご主人様、一緒に気持ち良く「させると思ってるんですか?」……へ?」

 

?何だ?急にたまきの後ろから声が聞こえたけど……この部屋に誰か入って来たのか?でも一体誰が……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全く、秋田に営業って妙だとは思ってましたがまさかこんな下らない事を企てていたとは……」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ……

 

「み?!み、みみみみ、みしろぉ?!」

 

其処にいたのは鋭い目ツキでたまきを睨み付けるみしろだった。その身体からは怒りのオーラが溢れていて、今でも爆発しそうな勢いだ。

 

「み、みしろ?どうして此処に?営業は?てかどうやって此処が分かったの……?」

 

「質問が多すぎですわ。営業なんてとっくに終わらせて帰ってきましたよ。ロボ子さんの整備スタッフが作ってくれたテレポートマシンを使って。それにご主人様の身に何かあってはいけないので服の内側に発信器着けておいたんですよ」

 

な、なんて用意周到なんだ?たまきは皆を出し抜いたと思ってたみたいだがみしろはそれすら読んで素早く戻って来たのか……

 

「さて、このホモ野郎。よくもみしろのご主人様をこんな目に合わせてくれましたね?それ相応の覚悟は出来ているんでしょうねぇ?」

 

「あ、あはは……だ、だったらみしろちゃんも一緒にご主人様にご奉仕する?なーんて………」

 

「誰がテメェなんかと一緒にするかあぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」

 

「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!!」

 

あーあ、こりゃかなり悲惨な事になりそうだなたまき……まあこっちは被害者だから同情はしねぇけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―五分後―

 

「………………………」ピクピクッ

 

「……うわぁ、流石にやり過ぎじゃねこれ?」

 

みしろによる制裁が終わると其処にはボロ雑巾のようになってしまったたまきがいた。なんかいつの間にかケツに大根刺さってるし。

 

「………ご主人様、大変お見苦しい処をお見せして申し訳ございません」

 

「い、いや、それは大丈夫……助けてくれて、有り難うな……///」

 

や、ヤバい……たまきの方はもう大丈夫だが肝心のアイツに飲まされた媚薬が効き過ぎてうまく頭が回らない……

 

「………ご主人様、もしかしてあのホモに盛られた媚薬が効き過ぎて辛いのですか?」

 

「あ、あぁ……実は結構身体が火照って……///」

 

「…………でしたら」

 

?どうしたみし………ッ?!な、なんでお前服を脱ぎ始めるんだ?!

 

「このままではご主人様の身体にもよろしくありませんので、僭越ながらこのみしろ、ご主人様の伽の相手をさせて頂きます///」

 

「い、いやお前、もっと自分の身体大事にしろよ!そう言うのは本当に好きな人と……」

 

「本当に好きな人でなければ例え非常事態でも身体を差し出したりしません!みしろはご主人様の事を心の底からお慕い申しています。だからこれはみしろの願いでもあるんです!誠に勝手だと承知しております……ですが今だけはどうか、みしろにお情けを下さいまし」

 

「みしろ………分かったよ、頼む」

 

「はい♪///」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―只今この小説では表現出来ない内容が行われております。え?なんで表現できないかですって?R-18にしたくないからだよ! by神楽―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―後日―

 

「くっそぉ、みしろの奴ぅ……僕が目を覚ましてるの気づいてたクセにご主人様との営み見せつけやがってぇ……痛た、まだ大根刺さった尻が痛いよぉ……」

 

後日、たまきはみしろにたっぷり体罰を受けた後のりプロの反省室という名の独房に入れられていた。因みに今お尻の治療の為にオムツを履いている。

 

「見てろよぉ、次こそは絶対にご主人様を僕のモノにしてやるんだからなぁ!!最後に笑うのはこの僕だぁ!!はあぁっはっはっはっ……痛たたッ!?」

 

果たして、たまきが玲二と結ばれる日は来るのだろうか?そのような展開が来ない事を切に願うばかりである。




はい、という事でたまき暴走回でした。思ってた以上にすらすら書けてビックリしてます( ; ゚Д゚)

さて、最近はたまきばっかり登場している気がするのでそろそろ違うキャラ登場させましょうかね?

次回も気長に待って頂ければ幸いです、ではまた( ゚∀゚)ノシ


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番外編『好感度メーター』

二回目のワクチンを打ってきましたが腕の痛みと頭痛が酷いですね……兎に角番外編出来たので投稿します。

近日には二十六話も投稿出来ると思いますので少しお待ち下さい。

それでは今回も最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


「はあ?好感度メーター?」

 

「そうそう、これを着けたら相手が自分の事どれだけ好きかっていうのが良く分かるんだよ」

 

久しぶりにこいつに呼ばれたと思ったらまた変な物を……あ、こいつはカズマって言ってロボ子を修理してくれた修理屋の店主にして俺の古くからの友人だ。昔からこいつの作る物は変なのが多いが無駄に性能が良いから反応に困る物が多いが、今回も例外なく変な物だな。

 

「そのメガネを掛けて相手を見るとそいつが自分の事をどれだけ好きなのかが良く分かるっていうもんだ。因みにメーターは100がMAXだ」

 

「ふーん、よく二次創作とかで見るようなアイテムだな。どれどれ……」

 

物は試しと俺はメガネを掛けてカズマを見ると右上に61と表記された。これって高い方なのか?

 

「因みに50ぐらいで人として好きって感じだな。大体友人レベルだと高くても70ぐらいか」

 

「ふーん、成る程な」

 

「というワケで、それお前にやるから今日一日使ってみてくれよ。感想は後日にでも教えてくれな」

 

「はいはい、何時もの実験台な。分かったよ」

 

全く、こんな変なの作れるんならもっとマシなの作れば良いのにな?取り敢えずもう用はないからさっさと帰るか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―帰宅―

 

「ただいまー」

 

「お帰りなさいませご主人様」

 

お、今日はみしろが出迎えてくれたのか。折角だし早速見てみるか?えーと……………………ッ?!

 

 

 

 

 

「?ご主人様、どうしたのですかそのメガネ?」

白雪みしろ:好感度214

 

「い、いや、ちょっと知り合いから貰った伊達メガネだよアハハ……」

 

は?!好感度214?!おいおいどういう事だよカズマ!?MAXが100じゃなかったのか!?おもいっきり200オーバーしてるんだが?!

 

「?ご主人様、気分が優れないのでしょうか?一度お休みになられますか?」

 

「あ、あぁそうだな。少し部屋で休むよ……」

 

き、きっと何かしらのエラーが出たんだろ?じゃないと200オーバーなんてするわけがないし……

 

「あ、玲二君お帰りなさい♪」

 

「玲二さん、お帰りなさい♪」

 

ん?あぁ、そらとアズキか。今日は二人とも珍しくリビングでゲームしてたんだな…………………ッ?!

 

 

 

 

 

 

「あれ?玲二君どうしたの?私達の顔じっと見て」

ときのそら:好感度234

 

「アズキ達の顔に何か付いてたかな?」

AZKi:好感度229

 

お前等もかよ?!なんだこの好感度メーター壊れてるんじゃないのか!?

 

「い、いや何でもない。それより珍しいな、二人がマ○クラ以外のゲームをしてるなんて」

 

「最近フブキちゃんに勧められてやってみたんだけど結構面白くて♪」

 

「アズキもランクがもうすぐ50になりそうなんだ♪」

 

「そうか、でもあんまりゲームやり過ぎには注意しろよな」ナデナデ

 

「「はーい///」」

 

そら 234→236

アズキ 229→231

 

なんか増えたし?!本当にこれどうなってるんだ!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

❬ふーん、好感度が200越えねぇ?❭

 

「いや本当だって、俺も最初見てびっくりしたんだから。やっぱりこれ壊れてるんじゃないか?」

 

あれから俺は自分の部屋に戻り直ぐ様カズマに電話を掛けた。流石に100がMAXの筈なのに200越えるなんてあり得ねぇだろ?

 

❬いやワリィ、ちゃんと説明すんの忘れてたわ❭

 

「は?どういう事だ?」

 

❬いやな、100がMAXっていうのはあくまで友好的という意味でそれを超えるとなるとそっからは親愛的という感じになるんだよ❭

 

「親愛的?と言うと?」

 

❬ようはその娘がどれだけお前の事男として好きなのかっていうのが分かるって事だな。それでも200オーバーは高過ぎるが……おそらく其処までいくと他の男なんて眼中にないかも知れないな❭

 

なんて事だ……確かに皆からの好意はある程度は感じてはいたが、まさか此処まで高かったなんて……

 

❬まあ、でも気をつけた方が良いぞ佐々木。200越えという事はそれだけお前に依存しているって事だ。もしかしたらお前の身に何かあったらその後を追う可能性も……❭

 

「物騒な事言わないでくれ!?なあ、俺一体どうしたら良いんだよ?!」

 

❬さあな?まあさっき言ったのは冗談だし、お前が彼女達を大切にしている以上は大丈夫だろ?それとも、めっちゃ嫌われるような事して皆から離れていくか?❭

 

それは………嫌だ。この間だってフブキと喧嘩してしまって、漸くお互いに許し合えたのに皆にも同じような事をするなんて出来ない。皆俺にとって大切な仲間であり、大切な人なんだ。女誑しと思われてしまうかも知れないが、それでも俺は彼女達の辛い顔を見るのは嫌だ。

 

❬………どうやら嫌みたいだな?だったら大事にしてやれ。大丈夫、ロボ子を見てて分かるがあの娘達の事だ。お前の身に何があっても必ず支えてくれる筈だ❭

 

「……ああ、分かった。済まなかったな」

 

❬ん、いいって。それより一応皆の好感度見たら記録しておいてくれないか?データとして集めておきたいし、頼むな❭

 

「わ、分かった。そんじゃな」

 

……さて、記録はともかく皆の様子でも見にいくか。もしかしたらこの200オーバーがあの三人だけかもしれないしな………もし逆に50以下とかいたらそれはそれでツラいな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―レッスンルーム―

 

「さて、最初は一体誰に会うやら」

 

取り敢えずまずはレッスンルームにやって来たが、今日は誰もレッスンしていないのか?仕方ない、他の所に行くか。

 

「あ、レイくんだ。こんな所で何してるの?」

 

ん?おかゆところね、それにミオか。フブキを除くゲーマーズが来たみたいだな。

 

「あぁおかゆ、ミオところねも一緒にレッスン……か?」

 

 

 

 

 

「うん、もうすぐイベントやるからそのためにね。それにしてもレイくん、そのメガネどうしたの?」

猫又おかゆ:好感度240

 

「あ、あぁ、友人から貰った伊達メガネだ。少しお洒落かと思ったけど、もしかして似合ってないか?」

 

「そ、そんな事ないよレイさん。すっごく格好良いよ///」

大神ミオ:好感度248→250

 

「うん、こおねもメガネの玲二良いと思う♪」

戌神ころね:好感度239

 

お前等も結構高いな?!てかさっきの三人よりも高くないか!?

 

「?どうしたのレイさん、ウチ等の顔に何か付いてるの?」

 

「あ、いや何でもない」

 

いかんいかん、じっと見てたら失礼だよな。それにしてもなんでこんなにも好感度高いんだよこいつ等?!しかもミオ少し上がってなかったか!?

 

「そ、そうだ、実はフブキに用があったんだけど、一緒じゃないのか?」

 

「フブキなら今部屋で配信してるから後で来ると思うけど、何かあったの?」

 

「い、いや何でもない。大した用でもないから後で良いや。そんじゃレッスン頑張れよ、じゃな」

 

「あ、レイさん!?」

 

すまんフブキ、言い訳に使ってしまって!兎に角他の皆の所にいかないと!

 

 

 

 

 

 

「どうしたんだろね玲二?」

 

「…………ねぇおかゆ」

 

「うんミオちゃん……レイくん、絶対何か隠してるよね」

 

「?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―遊戯室―

 

さて、次は遊戯室か。てかこの家凄いよなこんな部屋もあって。ビリヤードとかダーツとかそう言ったバーとかに行かないと無いと思ってた。さて、此処にいるのは……

 

 

 

 

 

 

 

「あ、レイっち珍しいね此処に来るなんて」

獅白ぼたん:好感度219

 

「玲二さんもラミィ達と遊びに来てくれたんですか?」

雪花ラミィ:好感度244

 

「だったら玲二さん、ポルカとダーツで勝負しない?」

尾丸ポルカ:好感度184

 

「ねねもレイ兄ちゃんとビリヤードやってみたいな♪」

桃鈴ねね:好感度187

 

ねぽらぼの五期生組か。ポルカとねねは200は切ってるがこいつ等もかなり高い。

 

「それにしても玲二さんのそのメガネ格好良いですね///」

 

「あ、あぁ伊達メガネだけどな。お洒落だと思ったけどやっぱ変か?」

 

「えー?全然変じゃないって、良いじゃんこれ♪」ヒョイッ

 

「え?あ、おいちょっと……」

 

しまった!?油断してたらぼたんにメガネ取られた!しかも既に掛けてるし!?

 

「……………ふーん、成る程ね」

 

「?ししろんどうかしたの?」

 

「んーん、何でもない♪はいレイっち、勝手に取ってごめんね」

 

「あ、あぁ………」

 

「……………後であたしの好感度教えてな」ボソッ…

 

ッ?!やっぱバレた!よりによってぼたんにバレるなんて、大丈夫か?!変に言いふらさないと良いが………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―厨房―

 

さて、次は厨房か………今更だけどなんでこんなレストランのような厨房があるんだようちって?そりゃ大人数だけどこれはやり過ぎだろ絶対?冷蔵庫とかも全部業務用だし。

 

 

 

 

 

 

「あら?玲二様どうかしたの?もしかしてお腹空いちゃったのかしら?」

癒月ちょこ:好感度231

 

「ごめんなさい玲二さん、まだ晩御飯の準備が出来てないのでカップ麺とかでも良いですか?」

不知火フレア:好感度214

 

「いや、それなら昨日の残りの串カツあるからそれで良いんじゃないか?」

黒上フブキ:好感度199

 

ちょことフレアとクロの三人か。もう此処まで来ると驚きもしないな……

 

「いや、ちょっと様子を見にな。それよりも今日はカレーか……まさか甘口?」

 

「いえ、甘口だけじゃなくて中辛も用意してるわ。ちゃんと玲二様や他の皆の事も考えて二つ作ってるわよ♪」

 

そっか、良かった……俺甘口カレーはどうも苦手だからな。フブキほどではないがやっぱカレーは辛くないとな。

 

「それよりも玲二、何なんだそのメガネは?」

 

「これか?知り合いから貰った伊達メガネだ、似合わないか?」

 

「全然そんな事ないです!寧ろ似合ってますよ玲二さん///」

 

フレア 214→219

 

「うーん、まあ似合ってはいるけど……」

 

?どうしたんだちょこ?なんだか疑いの目を向けて来てるけど……もしかしてバレたか?

 

「玲二様、もしかしてそれ……服が透けて見えるマジックアイテムとか?」

 

「誰がそんなの着けるか!普通に只の伊達メガネだ!」

 

いや確かに前カズマがそんなヤツ作ってたけど速攻で叩き割ったわ!人をなんだと思ってるんだよ本当に!

 

「あらそう?まあ玲二様が望めばちょこは何時だって見せてあげるけどね♡」ヌギッ

 

「だからといって此処で脱ごうとするなこの痴女!」

 

こいつ関係持ってから隙あらば誘惑しようとしてくるな!?何だ、悪魔の習性とかなのか?!

 

「おい痴女先生、玲二が困ってるだろ?その辺にしとけ」

 

「もぉクロ様ってばいけずねぇ~?冗談に決まってるじゃない♪」

 

「いやちょこ先生がやると冗談に聞こえないって」

 

いや本当にそれな。にしても付き合いの浅いクロでも200近くかよ?なんかこの先見るの怖くなってきた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―配信ルーム―

 

続いてやってきたのは配信ルーム。此処は皆が合同で配信する時に使う部屋で、たまにホロメン以外が遊びに来た際も此処で配信している。確か今日はるしあとマリンとかなたとトワの四人が合同配信する予定があったからいると思うが………あ、やっぱいたな。

 

 

 

 

 

 

「あ、玲二さんおはようなのです♪」

潤羽るしあ:好感度251

 

「珍しいね、玲二さんが此処に来るなんて」

常闇トワ:好感度198

 

「あ、もしかして船長達の配信に参加してくれるとかですかぁ?」

宝鐘マリン:好感度145

 

「いや、部屋の見回りに来ただけだ。お前等これから配信か?」

 

「うん、四人でマ○カ対決するんだ。もうすぐホロライブ対抗のマリ○大会やる予定だからその練習でね」

天音かなた:好感度177

 

なんというか、るしあはずば抜けて高いけど他は低めだな。いや100越えてる時点で高いけど?

 

「それにしても玲二さんそのメガネどうしたの?何時もメガネなんてかけてないのに」

 

「あぁ、知り合いから貰った伊達メガネだ。少しイメチェンしてみたくてな」

 

「えぇ~、イメチェンですかぁ?あ、もしかしてそれ秘密道具みたいな感じで実は相手の気持ちが分かるメガネとかだったり?」

 

なんでこいつこんな時ばっかり鋭いんだよ?普段は見当外れな事ばっかり思いつくクセに。

 

「そんなワケないだろ、大体そんなの見てどうすんだよ?」

 

「えぇ~?マリンの玲二くんを愛する気持ちが丸裸にされちゃうかなぁって♪いや~ん♡」

 

「それじゃお前等あまり長い時間やるなよ。明日はレッスンもあるんだから」

 

「「「はーい♪」」」

 

「ちょっとおぉッ!?無視すんのだけはやめてくれませんッ!?」

 

何が丸裸だよいっつもオープン状態だろお前の思考。しかも他の皆より好感度低かったし。まあ良いや、次行こ次。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―中庭―

 

さて、次は中庭か。にしてもこの家本当にデカ過ぎるよな、普通ないぞこんな立派な中庭なんて。さて、此処にいるのは……

 

 

 

 

 

「お、玲二様!玲二様も皆と遊びに来たのか?」

百鬼あやめ:好感度248

 

「余!余!」ピョンヒョン♪

ぽよ余:好感度248

 

「おぉあやめ、いや少し外の空気を吸いたくてな。今はお前等だけか?」

 

「んにゃ、あっちにスバルとルーナが猫達と戯れてるぞ。おーいスバル、ルーナ!玲二様が来たぞ~!」

 

「にーちゃが来たのら!?おーいにーちゃあッ!」

姫森ルーナ:好感度194

 

「ちょっとルーナ!皆のご飯やりほったらかしていくなよ!」

大空スバル:好感度201

 

あやスバルーナの三人か。最早これくらいの好感度なら驚かなくなってきたな。てかぽよ余の好感度も見れるのか、何気にあやめと一緒なんだな。

 

「兄ちゃんも皆と遊びに来たッスか?」

 

「いや、只の見回りだ。それより三人ともご苦労さん、何時も皆のご飯やり有り難うな」

 

「うん!今日はシロちゃんも手伝ってくれたから早めに終わったぞ♪おーいシロちゃーん」

 

「はーい♪あ、玲二ぃ~♡」

シロ・デンノール:好感度281

 

281?!今まで一番高いな!?此処まで来ると逆に怖くなってきたぞ……

 

「あれ?玲二どうしたのそのメガネ?もしかして視力下がっちゃった?」

 

「い、いや、只のお洒落用の伊達メガネだ。視力は至って普通だよ」

 

「そうなんスね?でもそのメガネ掛けた兄ちゃんも格好良いなぁ///」

スバル 201→204

 

「うん!メガネの玲二様凛々しくて素敵だぞ!///」

あやめ 248→251

 

「ルーナもとっても似合うと思うのらぁ♪流石にーちゃなのら~///」

ルーナ 194→200

 

「やっぱりシロの玲二は何しても似合うよね♡」

シロ 281→285

 

なんでメガネしただけで好感度上がるんだよ?!こんなんで好感度簡単に上がるなら皆メガネ掛けるだろ!?そしてシロ、何時から俺はお前のになったんだ?!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―地下マッサージルーム―

 

さて、次は地下にあるマッサージルームか………いやマッサージルームってなんだよ?たまに女性整体師さんが来て皆やってもらってるみたいだけど、最早此処家じゃなくてホテルとかじゃん?

 

「あら?佐々木さんお久しぶりですね」

整体師さん:好感度68

 

「お久しぶりです、今日も皆のマッサージですか?」

 

「はい、本日はメルさんとはあとさんとアキさんの三名ですね」

 

ほう、一期生の金髪組か。結構スタイル維持を頑張ってる三人だから美容にも気を遣ってるんだな。さて、そんな三人は……

 

 

 

 

 

「あら?玲二君珍しいわね此処に来るなんて」

アキ・ローゼンタール:好感度189

 

「あ!もしかしてダーリン、美しくなったはあちゃまを見に来てくれたのかしら?ウフフ♪」

赤井はあと:好感度231

 

「で、でも来るなら前もって言って欲しかったな///」

夜空メル:好感度222

 

成る程、終わった直後だからかバスタオル一枚しか身に纏ってなかった。肌もなんか艶が出てて思わず見惚れてしまいそうになっちまった。

 

「す、済まなかった。まさかそんな格好してるとは思ってなかったんだ」

 

「えぇ~?ホントははあちゃまの恥ずかしい姿見たかったんでしょ~?ほら♡」ポロン

 

「いきなり胸出すな!整体師さんだっているんだぞ!?」

 

ほら整体師さんだって苦笑いして困ってるだろ?!本当にこいつはなんでこうも突拍子な事ばっかしすんだよ!?

 

「こらはあとちゃん、整体師さんもいるんだし、そういうのはせめて他の人がいない時にしないと」

 

「あはは♪ごめんねアキちゃん♪整体師さんもごめんなさい」

 

「い、いえ………で、では私は仕事が終わりましたのでこれで失礼しますね」

 

あ、整体師さんが逃げるように去って行った。そりゃそうなるよな、こんな痴女見たら普通は逃げるわな。

 

「全く、整体師さんを困らせるなよな?」

 

「キャハハ、ごめんなさーい♪」

 

「いや絶対反省してないだろ?ったく、頼むからそういうの他の人の前ですんなよ?もし将来俺以外の男と付き合う事になったら大変だぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「…………は?そんな事絶対にあり得無いんだけど?」」」

 

「え?」

 

な、なんだ?なんか雰囲気が……

 

「何?玲二君はメル達が本気で他の男の人に乗り換えると思ってるの?」

メル 222→DANGER!

 

「そんなの絶対にあるわけ無いじゃない?玲二君に比べたら他の男なんていないに等しいわよ」

アキ 189→DANGER!

 

「私が玲二と結婚出来ない未来なんてあるわけ無いんだから。絶対に他の男なんかに私の裸なんて見せないし、玲二も私達以外の女なんて必要ないんだから」

はあと 231→DANGER!

 

な、なんだよこれ?!三人とも目に光が失くなってるし、しかもなんか三人の好感度メーターがおかしな事に?!何だよDANGER!って!?危険ってどういう……!?

 

―ガシッ!―

 

「え、あ?え?」

 

「ウフフ♪アキロゼ達が他の男と付き合うなんて言う玲二君には少しお仕置きしないとね♡」

 

「メル達が玲二君の事どれだけ愛しているか教えてあげる♡」

 

「さあ、覚悟してねダーリン♡キャハハ♪」

 

あ、これ終わったな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―三時間後―

 

散々絞られまくった後、俺はやっとの事であの三人から解放された。あいつ等マジで容赦ねぇな……

 

にしてもこの好感度メーターヤバいな……相手の感情が爆発するとあんな風に危険を知らせてくれるのか。

 

今まではちゃんと対応してたからなのかそういった事は起こらなかったが、あの三人の時は余計な事言ってしまったからこうなったのか……

 

「兎に角これからはちゃんと失言しないようにしないとな……」

 

「あれ?マスター、こんな所で何してるの?」

 

「ん?ロボ子か、いやちょっと……な……?」

 

 

 

 

 

 

 

「?マスターどうしたのそのメガネ?もしかしてボクとお揃いにしてくれてるのかな♪」

ロボ子:好感度350

 

はあぁッ!!!?な、なんだその好感度?!まさかの300越えって、一体どうなってんだよソレ!?

 

「い、いやこれはあれだ、カズマから貰った伊達メガネだよ。ほら、知ってるだろロボ子?」

 

「カズマ?……………………………………あぁ、ボクを修理してくれた人ね?」

 

あれ?なんだか反応薄くねぇか?ロボ子ってこんなドライな奴だっけ?

 

「ろ、ロボ子?なんかお前反応薄くないか?お前の事修理してくれた恩人だろ?」

 

「うん、まあそうだけど、ボクにとってマスター以外の男なんてどうでもいいっていうか……うん、どうでもいい」

 

え?な、なんかロボ子、いつもののほほんとした雰囲気が無くなって怖いんだが?目にも光が宿ってないし……

 

「……あぁそうだ。確かカズマさんってたまに変な発明してマスターに渡してるよね?て事はもしかしてそのメガネ、何か仕掛けがあるって事?」

 

「あ、やば……あぁそうだよ、実は………」

 

また口が滑ったようだ。俺は仕方なくロボ子にこのメガネの事を説明する。

 

「……ふーん、成る程ね。相手の好感度が分かるメガネか」

 

「まあな、でも分かったからって何か変わるワケでも「ねぇマスター?」え?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇマスター、マスターから見てボクの好感度ってどれくらいだったかな?100?200?ううん絶対そんなんじゃ足りないよね?少なくとも300は越えてないとおかしいよね?だってボクは何時だってマスターの事想ってるもんマスターが幸せになってくれるならそれがボクの望みでもあるし幸せでもあるんだよだからマスターを傷つける奴は絶対に許さないし徹底的に潰すつもりだよそれだけマスターの事を大切に想ってるのでもね本当はボクも皆と一緒でマスターとの子供が欲しいし産みたいとも思ってるけどボクはロボットだから無理な願いだって最近まで思ってたんだけどボクの整備スタッフさんの話だとどうやらボクにも生殖機能が備わってるみたいでつまりボクも子供を作れるって事なんだってだからマスター一緒に子作りしよ?ボクとマスターでこの世界初の人間とロボットのハーフ作ろ♡」

ロボ子 350→DANGER!DANGER!

 

いやいやいやいやいやいやいやいや!?なんだよこれ?!病んでる処の話じゃねぇだろ?!しかもなんだよ生殖機能って!?あれか?最近妙に積極的だったのって子供作れるって分かったからか?!―ガシッ!―え?!

 

「さあマスター♡ロボ子といっぱい愛し合おうね♡」

 

ま、またかよおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ…………!!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―三時間後―

 

あれからやっとの事で満足したロボ子から解放され、俺は部屋で横になっていた。まさかロボ子にあんな一面があったとは……兎に角漸く解放されたから今日はもう大人しく寝よう。まだ今日会ってないメンバーもいるけど明日でいいか。さて、寝るとしよう……

 

―コンコンッ―

 

「ん?誰だこんな時間に?はーい、入っていいぞー」

 

―ガチャッ―

 

「こんばんきーつね♪白上が遊びに来ました~♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

白上フブキ:好感度568

 

 

 

………………はあぁッ!!!?な、なんだこの異常な数値?!ロボ子の350でも驚いたのにそれすらも凌駕する550越えだとぉ!?

 

「?どうしたんですかレイくん?」

 

「あ、いや何でもない……ところでフブキ、何か用か?」

 

「あ、そうでした!実はレイくんと一緒にガンプラ作りたくて持ってきたんですよ♪ほら、新発売したガンダムヘリオスですよぉ♪」

 

ガンプラか、何時もなら一緒に作ってやる処だが、生憎今はそんな気になれない。フブキには悪いが、やんわりと断るか。下手に刺激したら何されるか分からんし……

 

「済まないフブキ、今日はもう疲れたんだ。ガンプラはまた明日一緒に作ってやるからそれでも良いか?」

 

「えぇ~?でもレイくん疲れてるなら仕方ないですね………あれ?」

 

ん?どうしたんだフブキ、なんか匂い嗅いでるみたいだが………ん?匂い……ッ!?まさか?!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……レイくん、なんでレイくんからメルメルやアキちゃんやはあとちゃん、それにロボ子さんの匂いがするんですかねぇ?」

フブキ 568→WARNING!WARNING!DANGER!!DANGER!!

 

やば!?こいつこの間の一件(第二十五話参照)で本能が覚醒して嗅覚が鋭くなってるんだった!

 

「そ、それはその、あれだ、今日は皆の様子を見にいってたからそれで」

 

「確かに他の皆の匂いも微かにしますが、それ以上にアキちゃん達の匂いが強いです。それも、かなり濃厚に……レイくん、アキちゃん達としましたね?」

 

ギクッ!?な、なんでそんな事まで分かるんだよ?!嗅覚鋭くなりすぎじゃないか!?

 

「あ、あのなフブキ、これは俺からしたんじゃなくて―ガシィッ!―ておい!?何を」

 

「分かってますよレイくん♪レイくんは優しいから皆に流されてしちゃったんですよね?だからこんなに匂いが付いちゃったんですよね?でも大丈夫です♡今から白上がいっぱい愛してあげて、レイくんを白上の匂いでいっぱいにしてあげますね♡」

 

え?嘘だろ?今日俺既に20以上絞られてるのにまだ絞られてるのか?てか力強くないか?!絶対本能覚醒状態だろこれ?!た、助け……

 

「さあレイくん、朝までいっぱい愛し合いましょうね♡」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、まるでミイラのように干からびた玲二が発見され、原因となった五人の女の子達はそらやミオ達からこっぴどく怒られたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回の好感度調査

低い順から

マリン 145

かなた 177

ポルカ 184

ねね 187

アキ 189

トワ 198

クロ 199

ルーナ 200

スバル 204

みしろ 214

ぼたん 219

フレア 219

メル 222

アズキ 231

ちょこ 231

はあと 231

そら 236

ころね 239

おかゆ 240

ラミィ 244

ミオ 250

るしあ 251

あやめ 251

シロ 285

ロボ子 350

フブキ 568

 

因みに後日調べた他のメンバーの好感度

 

ヒメ 179

ヒナ 181

シオン 190

まつり 197

ぺこら 198

すいせい 205

みこ 205

わため 216

ノエル218

あくあ 218

ココ 244

たまき 250




はい、という事でホロメン達の玲二への好感度調査回でした。

此処まで好感度上がると幸せなのか不幸なのか分からなくなりますね(汗)

そう言えば最近何故かメール投稿しようとしても反映されないんですよね?何かのバグでしょうか?

兎に角次回もまた見て頂ければ幸いです、ではまた!


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番外編『魁!火炉雷舞』

最初に言っておきます。今回は本当に本編とはほぼほぼ無関係な話です。ただやりたかっただけのネタ回なのでこの回に出るゲストキャラは今後出すつもりはありませんのであしからず。


………クソッ、完全に油断した。まさかこんな奴等に捕まるとはな……

 

「うぅ、パパァ……」ギュッ…

 

「お兄ちゃん……」ギュッ…

 

「おうおう、随分と仲の良いとこ見せつけてくれるじゃねぇかあぁん?」

 

俺は今、とあるヤクザ紛いの連中に連れ去られ捕まってしまった。なんでもこいつ等、以前俺に突っかかってきたヤンキー達のボスらしく、自分達の手下がやられた仕返しに俺を拉致したらしい。

 

しかし、俺一人だけならこいつ等程度なんとか出来るが、捕まった際に一緒にいたラプとクロヱも捕まってしまった。流石にこの二人を庇いながら戦うのは無理がある。此処は様子を見て、隙を見せた瞬間二人を連れて逃げるしかない……

 

「おう貴様、調べたところあの有名なホロライブで働く佐々木って奴だろ?なんでも女を侍らせて楽しんでいるクズだとか?」

 

「人の事拉致してクズ呼ばわりとはな。逆恨みでこんな事するお前等の方がよっぽどクズじゃねぇか?」

 

「んだとテメェッ?!」

 

俺の挑発に下っぱの一人が拳銃を取り出し俺達に銃口を向ける。しまった、二人がいるのについ挑発してしまった!?

 

「おい落ち着け。なぁに、俺達は別にお前等を殺すつもりはないさ。ただお前に俺の部下を潰した落とし前をつけてもらうだけだ」

 

「落とし前……?」

 

「そうだ、今からお前に二つの選択肢を与える。一つはお前の会社から一億円を俺達に献上するか、もう一つは其処にいる二人を俺達の慰め物にするかだ」ニヤリッ

 

「「ヒィッ……!?」」

 

こいつッ!?い、いや落ち着け!此処で下手に刺激したらこいつ等の思うつぼだ。だったら少しでも時間稼ぎをして二人だけでも逃げれる状況を作らないと!

 

「……仮に俺が頼んで会社から金が出たとしても、お前等が俺達を解放する保証は何処にあるんだ?」

 

「んだとゴルァ!」チャキッ!

 

「止めろ。ふん、確かにその通りだな。だが安心しろ、金さえ払えばすぐにお前等を解放してやるさ」

 

………よく言うな、解放する気なんかさらさらないって顔してやがるクセに。しかし、それなら幾分かやりようはある。金を運ばせる役にノエルやアキとかが来てくれれば二人がかりでやればラプ達を守りながらこいつ等を倒せる。二人には少し怖い思いをさせてしまうかもしれないが、それしかない。

 

「……分かった、会社に連絡して金を運ばせる。連絡するから少し待って「待ちな、連絡はこちらがしてやる。ホロライブの所属するアイドル以外の社員でなおかつ純粋な人間一人だけ呼ばせてもらおうか」ッ!?」

 

こいつ、俺の考えを読んでいたのか?!クソッ、スタッフの中でまともに戦えるのは俺しかいない。これだと金を届けに来た人を含めて三人を守りながら逃げなきゃいけなくなっちまう!そんな俺の気も知らず組長はホロライブへと電話をかけてしまった。

 

「ああもしもし?ホロライブ事務所でっか?おたくの社長さんに伝えてもらいやせんか?おたくの社員の佐々木とそちらが抱えているアイドル二人を預かってますんで、引き取り料一億円持って極翁組まで来てもらいましょか?ただし、アイドル以外の社員一人で来てもらいましょか。もし約束を破ったりなんかしたら、おたくの社員の額に風穴が空く事になるかもしれないんで……いやいや、そちらがちゃんと指定した人に引き取りに来られれば良いだけですので、ではよろしゅう……」

 

クッ……このままだと被害が大きくなりかねない。最悪俺の命を捨ててもこの二人を守らねぇと!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―数分後、ホロライブ事務所―

 

「……そうか、相手はそう言ってきたんだな?」

 

「はい、ですから奴等の本拠地に今すぐ乗り込み佐々木さん達を「それはいかん!」ッ!?何故ですか社長!?」

 

「そうだよYAGOO!レイくんやラプちゃん達がどうなっても良いって言うんですか?!」

 

「そういうワケではない!仮に君達全員が押し寄せてみろ、奴等は間違いなく佐々木君に銃を向けるかもしれん!君達は自分の最愛の夫を失っても良いのか?!」

 

「ッ!?そ、それはそうですけど……」

 

極翁組からの脅迫電話を受け、一同は頭を抱えていた。どうすれば玲二とラプ達を無事に救う事が出来るのか……そう考えていたその時だった。

 

―バアァンッ!!―

 

「わしが行こうではないか!」

 

「え……あ、貴方は!?」

 

「「し、支部長?!」」

 

突如社長室の扉が蹴破られ、支部長と呼ばれた一人の男が入って来た。その瞬間、社長もAちゃんもフブキも何やら身体を震わせ怯え始めた。

 

「し、支部長大丈夫ですよ!?このような事、支部長が出る幕もないですって!」

 

「そ、そうですよ!だからお願いします支部長!貴方が行くのだけはどうぞご勘弁をぉ~!」

 

Aちゃんとフブキは必死になって支部長を止めようとするも、支部長はただニヤリと笑って社長室を出ていった。

 

「た、大変な事になってしまった……Aちゃん、済まないが桐生会に連絡してくれ、支部長を止めないといかん!」

 

「は、はい!」

 

Aちゃんは慌てて桐生会に応援を呼び、フブキはアワアワと慌てふためくしか出来なかった。果たして一体何が起こるのか……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―戻って極翁組―

 

「……おうそうですかい。そんならお待ちしてます、ほな」

 

組長が電話を切ると満足しているのか俺達を見てニヤニヤし始めた。もしかして社長、条件を呑んだのか……クソッ、本当に不甲斐ない……

 

「パパ……」

 

「お兄ちゃん……」

 

「大丈夫だ、お前等は俺が守るからな」

 

「おーおー、美しい家族愛ですなぁ。まあ心配すんな、今にお前達の“支部長”が一億円持ってこっちに来てくれるってよ。良かったじゃねぇか仲間思いの会社でよぉ♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………は?支部長?今こいつ、支部長って言わなかったか?俺の聞き間違いじゃねぇよな?だ、だとしたらまずい!?

 

「な、なあ頼む!俺達を今すぐ此処から解放してくれ!このままだと俺等まで巻き込まれちまう!」

 

「あぁん?なんだぁ急に命乞いか?やっぱ強がってても本当は怖かったようだなぁ?」

 

「ちげぇよ!正直お前等なんか怖くねぇんだよ!それよりも支部長が……支部長が来てしまったら……!!」

 

「「?」」

 

何時もと違いかなり動揺している玲二を見て首を傾げる二人。すると……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ………―

 

「ッ?!な、なんだ地震か?!」

 

「や、やばい、もう来た!?」

 

突然極翁組のアジトが揺れ始めた。音と揺れは徐々に激しくなっていってる。そして……

 

 

 

 

 

―ドゴオォォォォォォォンッ!!―

 

 

 

 

 

極翁組のアジトに突如戦車が突っ込んで来て組員を何人か引いていった。俺は慌てて二人を連れて壁際へ移り難を逃れた。

 

「な、なんなのだこれは?!」

 

「お兄ちゃん、これって一体……?!」

 

「き、来てしまった……ホロライブ、いや世界で最も強い男が!!」

 

極翁組のアジトを突っ切ると戦車が停まり、乗車口が開き鎧を着た一人の男が現れた。そう、あの人こそ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「わしが男塾塾長兼ホロライブ支部長!江田島平八であーるッ!!」

 

我等がホロライブ支部長『江田島平八』である。もうこの人が出てきたらいろいろとめんどくさくなるから普段は男塾の方に行ってもらってるのになんで今日に限ってこっちに来てしまったんだよ?!

 

「な、なんだ貴様ぁッ?!いきなり戦車で突っ込んで来るとはなんて奴だぁ!?」

 

「ふははははははははぁッ!!我が塾生とその家族を傷つけた輩にお礼参りに来たまでじゃわい!!」

 

「いや、俺あんたのとこの塾生じゃねぇよ!?」

 

「ぱ、パパ!?な、なんなのだあの人は?!」

 

「あ、あの人がホロライブの支部長なんですか?!」

 

あ、そういやholoXのメンバーは支部長見た事ないのか?支部長の『江田島平八』さんは男塾という全国で問題等を起こした者達が集まる私塾を経営している塾長なのだが、最近経営難という事で何故かホロライブでも働き始め、いつの間にか支部長の座を得ていた人だ。はっきり言って、あの人が来たら早く逃げないと変な事に巻き込まれてしまうからさっさと逃げ出したかったのだが、それも最早無理なようだ。

 

「フハハハハハハハハハハハッ!!」

 

―ギュルルルルルルルルルルルルゥッ!!―

 

「ッ?!ま、また突っ込んで来るぞぉッ!?」

 

「うぉッ?!ラプ、クロヱ!こっちに逃げろ!」

 

「「う、うん!」」

 

支部長……いや塾長が再び戦車に乗り込みUターンをし再び極翁組のアジトに突っ込んでいく。お陰でアジト内部はすっかり崩壊してしまってる。しかもそんな大事にしてたら……

 

―ピピィーーーーッ!!―

 

「止まれ止まれぇッ!き、貴様ぁッ!一体何をしとるんだぁッ?!」

 

ほら警察がやって来てしまったよ。そりゃこんな大事起こせば警察も動くわ。

 

「ガハハハハッ!心配は無用!これは映画、ホロライブ監修の新作映画のロケーションじゃあッ!!」

 

「ほ、ホロライブの新作映画の……?!」

 

いやいや塾長、それ無理があるって!?幾ら何でもそんなんで騙されるような警官がいるわけ……

 

―ピピィーーーーッ!!―

 

「はーい、ロケの邪魔になるから下がって下がって!」

 

「はい危ないですから下がって下さいねー!」

 

って騙されるんかい?!それで良いのか日本の警察官!?既に交通整備とかも始めてるし?!

 

「んぐぐぅ、アホかあの警察官!?くそぅッ!お前等、あいつ等ぶっ殺せぇッ!!」

 

『うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーッ!!!』

 

ってやば!?こっちに押し寄せて来た!仕方ねぇ、取り敢えずラプ達には既に向こうに逃げてもらってるからやるか!

 

「死ねやゴルァ!」

 

「そんなへなちょこパンチで死ぬかってーのッ!!」

 

俺は相手の攻撃を避けつつカウンター攻撃を繰り出していく。そして塾長も

 

「バカモンがぁッ!!貴様等のようなチンピラ風情に遅れをとる江田島平八と思うかぁッ!!!」

 

―ズガガガガガガガガガガガガァッ!!―

 

迫り来るヤクザ達を拳や蹴り、そして持ってた薙刀を駆使して返り討ちにしている。まさに一騎当千という言葉が相応しいな。

 

「アクションシーンも凄い迫力ですね!」

 

「あの青年とじいさんさぞや名の知れた俳優に違いない!」

 

警官が俺達の事アクションスターか何かと勘違いしてるけど、これ大丈夫か?バレた時絶対大変だと思うが……

 

「うぎぎぎぎぃ……何をちんたらやってるんだ!?さっさとそいつ等殺せ―ドゴォッ!―ぶへらぁッ!?」

 

「Hey!お前等、ヨクモ兄貴と元事務所の後輩ドモを可愛がっテくれたナ!この落とし前つけさせテもらうゾ!お前等、ヤッチマイナ!!」

 

『応ッ!!』

 

あ、今度はココが桐生会連れてやって来たな。もうこうなったら相手に勝ち目はないか。

 

「おぉ凄い!あの娘、元ホロライブの桐生ココですよ!?」

 

「卒業生も友情出演とは、今回の映画はかなり気合いが入ってるようだな……!」

 

ココが来た事によって警官を含め野次馬達もかなり盛り上がってしまってる。これ後々大変だろうなぁ……もういいや、知らね。俺はもう考えるのを止めてとにかく押し寄せてくるヤクザ達を返り討ちにする事にした。

 

「グハハハハハハハハハハハハァッ!!」

 

あ、塾長が戦車に乗って極翁組の組長達を追いかけ回して……あ、踏まれた。けど生きてるっぽいから大丈夫か?そしてそのまま戦車は極翁組のアジトに突っ込み普通の戦車じゃ出来ないような進み方をしながら建物を壊していく。

 

「おぉ凄い!この大セットを、惜しげもなく破壊するとは……!」

 

あーあ、もうどうにでもなれ。

 

「パパァ!」

 

「お兄ちゃん!」

 

粗方ヤクザを倒すとラプとクロヱが俺の元にやって来て抱きついてきた。取り敢えず、こいつ等が無事で本当に良かった。

 

「ごめんな二人とも、怖い思いさせちまって」ナデナデ

 

「ううん!戦ってるパパ、すっごくかっこよかったぞ!流石吾輩の自慢のパパだな♪」

 

「さ、沙花叉もお兄ちゃんが無事なら良かった///」

 

そっか、それなら良かった…………あ、あっちももう終わったみたいだな、塾長がやりきった感じで一服している。

 

「はいカーット!お疲れ様です、ではラストシーン参りましょう!」

 

「うむッ」

 

あ、いつの間にかAちゃん達も来て映画スタッフに変装して周りを誤魔化してくれてる。さてと……

 

「ラプ、クロヱ……逃げるぞ」

 

「「はーい♪」」

 

そして俺達は映画スタッフに扮したAちゃんに誘導され逃げるように撤収していった。これ絶対今晩後処理確定だよな…………はぁ……

 

「この映画絶対ヒットしますよ!俺、前売り買おう♪」

 

「サイン貰えば良かったな……」

 

警官達も涙を流しながら感動していたが、こっちもバレたら大変だよな普通に………一体どうするつもりだろうなうちの事務所?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―そして半年後……―

 

『ホロライブ監修特別映画

魁!火炉雷舞 大ヒット上映中!主演:佐々木 玲二、江田島平八 友情出演:桐生ココ』

 

「って本当にやるんかいッ?!」

 

その後まさかの本当に映画化、しかもそこそこヒットしたらしい。それで良いのかホロライブ?!

 

そんな俺の心の叫びも虚しく、今日も映画は上映されるのであった。




取り敢えずやりきったので次回とその次はアンケートで多かったラプとクロヱの話になります。少しの間、お待ちくださいませ。


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番外編『聖夜のプレゼント交換会』

世間がクリスマスで盛り上がるこの二日間、自分は仕事に追われてます………(泣)

今回はクリスマスプレゼント交換会です。最後まで楽しんで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


今年も残すとこ後僅か。俺達ホロライブも今年は色々な事があった。皆が俺の趣味であるガンプラをやるようになってくれたり家が豪邸になったり日本が一夫多妻になって皆と結婚&婚約するようになったり………本当に濃密な一年だったな。

 

……そう考えたら俺って幸せ者だよな。皆が俺の事を好きになってくれて俺の事を支えてくれる、これ以上嬉しい事なんてないと思う。だからこそ、この幸せを当たり前だとは思わず俺も皆を守れるように努力しないとな。

 

「レイく~ん、そろそろ皆でプレゼント交換会始めますよ~♪」

 

「ああ、今行くから待ってくれ」

 

っと、そういや今は皆でクリスマスパーティーしてたんだっけ。今年はホロメンだけじゃなくて俺と結婚、婚約を結んだ皆が集まり大々的なパーティーになってる。そしてこれからいよいよ皆でプレゼントを交換しあう交換会が始まろうとしていた。

 

「それじゃあ皆~!自分のプレゼントに配られたトランプ貼ったかな~?」

 

『はーい♪』

 

「では今から皆にこちらのトランプを一枚ずつ引いてもらって、その絵柄と同じカードが貼られたプレゼントをゲット出来まーす♪それじゃあまずはレイくん一枚引いて下さい♪あ、まだ見ないで下さいね~?」

 

「分かったって、そんじゃ……これかな」

 

フブキに言われてカードを一枚引く。さて、一体誰のプレゼントが来るのやら?そうしていく内に全員がカードを引き終えていく。

 

「では最初はデビュー順という事でそらちゃんから見ていきましょう!」

 

「はーい♪えっと私は……ハートの6だね」

 

「あ!それぺこーらのプレゼントぺこ!」

 

1.そら←ぺこら

 

ほう、最初はぺこらのプレゼントか。一体何が入ってるんだろうな?

 

「えーなんだろう?………あ、これ人参抱えたウサギのぬいぐるみだぁ♪可愛い~♪」

 

「でしょでしょ?それ探すのに結構苦労したぺこだよ♪」

 

ほう、確かに可愛いな。でもぺこらにしては意外だな。

 

「へぇ意外、ぺこらの事だから変ないたずらグッズ仕込んでるかと思ったのに」

 

「ふーんだ!ぺこーらだってもう立派なママなんだから子供の手本になるようにちゃんとしてるぺこ!」

 

そういう事か。確かにぺこらって見た目の割にフブキと同い年なんだよな。だからもう既にぺこらとも籍を入れてるからぺこらもラプのお手本になるようにしようとしてんだな。

 

「それじゃあ次はロボ子だね?えーとねー……ダイヤの2だよ~♪」

 

「あ、それならルーナのプレゼントなのら~♪」

 

2.ロボ子←ルーナ

 

「えーなんだろう?ワクワク♪…………ねぇルーナ、何これ?」

 

「ルーナが全身描かれた毛布なのら~♪どうロボ、嬉しいでしょ?」

 

うわぁ……本当にルーナが余すことなく描かれた毛布だな。しかも裏表でイラスト違うし。

 

「ごめんルーナ、これいら……使うのもったいないから部屋にしまっておくね」

 

「えぇーッ?!なぁーんでさぁーーーッ!?」

 

いやそうなるだろ普通。流石に仲間の全身像に包まれながら寝るの勇気いるだろ?

 

「じゃあ次はメルの番!せーのッ!ハートの7だよ~!」

 

「ハートの7だと僕だね、ちょっと待っててね~♪」

 

3.メル←おかゆ

 

………なんだろうな?すっごく嫌な予感がする。

 

「えー、おかゆちゃん一体何くれるの~?」

 

「ふっふっふ~、それはねぇ………じゃーん♪僕愛用のバイ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

只今大変不適切な事案が発生した為対処しております。もう暫くお待ち下さいませ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、あれ?玲二君おかゆちゃんは?」

 

「今Aちゃんに頼んでこの間連れてった寺に送った。プレゼントは俺が後で補填するから勘弁してくれ」

 

「う、うん………?」

 

全くあいつは関係持ってからロクな事しねぇな本当に!この間寺修行させたのにまだ懲りてねぇのか!?

 

「き、気を取り直して次はアキちゃんだね」

 

「はーい♪アキロゼはスペードのJでした~♪」

 

「お、スペードのJなら僕だね♪」

 

4.アキ←たまき

 

次のプレゼントはたまきか………ヤバい、またなんか嫌な予感がするぞ?

 

「それじゃあアキちゃんには僕の秘蔵のお宝!ご主人様の形を型どったディ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

只今大変不適切な事案がまた発生しました。直ちに処理しておりますので少々お待ち下さいませ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、あらら?たまき君さっきまで此処にいた筈なのに……?」

 

「あのホモ野郎ならのりプロの地下牢に閉じ込めてきたのでもう今年は出てくる事はありません。アキさん、みしろ達の愚かな兄が本当に申し訳ありません」

 

よくやったみしろ。にしてもあの野郎いつの間に俺のアレの型とったんだよ?!ったくもう、これはアキにもプレゼント補填しないとな……

 

「それじゃあ次ははあちゃまね!えーとはあちゃまはねー、クローバーの4!」

 

「あ、クローバーの4はわためだねぇ~♪」

 

5.はあと←わため

 

「わためのプレゼントはマフラーだよぉ♪流石に手作りじゃないけど、わためをイメージしたモコモコしたの見つけてきたんだ~♪」

 

「ホントだぁ、すっごくモコモコしてて暖か~い♪ありがとーわためぇ~♪」

 

ホッ………どうやらわためのプレゼントは普通だったようだな。二回連続で変な物だったからわためもそれだったらマジで中止も考えたぞ。

 

「それじゃあ次は私の番ですね♪私のカードは、スペードのAだぁ!」

 

「あ、それなら吾輩のプレゼントだな」

 

6.フブキ←ラプラス

 

「そ、それじゃあこれあげるぞ……ママ///」

 

「ッ!!ら、ラプちゃぁんッ!ママとっても嬉しくて泣いちゃいそうですよぉーーーッ!!」

 

「うがぁーーーーッ!抱きついてくるなぁーーーッ!!」

 

最早定番になりつつあるやり取りだな。因みにプレゼントは新しいニッパー等の工具類だった。おそらく皆プラモ作ってるから誰に当たっても良いように選んだんだな。本当に良い子だよラプは。

 

「それじゃあ一期生ラストはまつり!カードはクローバーのKだね」

 

「はーい、それはヒナのプレゼントだね♪」

 

7.まつり←ヒナ

 

フム、ヒナのプレゼントか………大体予想はつくが果たして?

 

「あーでも……まつりちゃん苦手だったらごめんね」

 

「え?一体何を……………こ、これって………」

 

「バ○オハ○ード全シリーズでーす♪」

 

「嫌だあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!」

 

あーあやっぱり、若干サイコパス気質なヒナだからそういうの選ぶと思ったけど、よりにもよってホラゲ苦手なまつりに当たるか。まあ面白そうだし配信枠組んでやらせてみるか。

 

「つ、次はあてぃしの番、えっと……ハートの9」

 

「あー!それはあちゃまのプレゼントだぁー♪」

 

8.あくあ←はあと

 

「ッスゥーーー……は、はあちゃまのプレゼントなの?」

 

「えー?不安にならなくてもいーよ♪絶対に喜ぶプレゼントだから、キャハハ♪」

 

………不安しかねぇなはあとのプレゼント。

 

「えっと…………ッ?!!!!?」

 

―バタァンッ!―

 

「お、おいあくあ?!一体どうし……ッ!?おいはあと!なんだこのプレゼントは?!」

 

「えー?前にはあちゃまが配信で食べた食用タランチュラだよ~♪フフフフフ♪」

 

んなもんプレゼントにすんな!あくあ泡吹いて倒れたじゃねぇか!

 

「なんか不安になってきたんだけどこの交換会……えっとシオンはダイヤのJだわ」

 

「あ、それならマリンのプレゼントですね♪」

 

9.シオン←マリン

 

「ゲッ船長のプレゼントかぁ……まさか変なヤツ入れてないよね?」

 

「大丈夫だってシオンた~ん♪船長の事もっと信用してよね~?」

 

いや普段のお前からは信用出来ない事の方が多いが?

 

「まあいいや、えーと………あ、S○itchのゲーコンだ。普通に嬉しいけど……なんか船長っぽくないね?」

 

「いやぁ、本当はもっと面白いのにしようとしたんだけどフレアに怒られて、仕方なくパッと見つけたゲーコンにしたんだよね~」

 

「だってマリンアタシが止めなかったらアダルトコーナーに行こうとしてたんだから」

 

そりゃ止められるわな。もし引いたのがラプだったらどうするつもりだったんだよお前?

 

「それじゃあ次は余だぞ!カードはぁ~、クローバーの3!」

 

「あーそれボクのプレゼントだよ♪」

 

10.あやめ←ロボ子

 

あやめはロボ子のプレゼントか。そんな変な物はないと思うが、どんなのがくるんだろうな?

 

「ボクのは凄いよ~♪じゃーん!1/48RX-78F00ガンダムだよ~♪」

 

「おぉーーーッ!あの横浜の動くガンダムのガンプラ!凄く嬉しいぞロボ子先輩♪」

 

マジか、普通に羨ましい。以前横浜に旅行行った時ガンダムファクトリーに寄ったけどなかったんだよなぁ、それ俺が引きたかったわ。

 

「それじゃあ次はちょこの番ね。ちょこの番号はダイヤの5よ♪」

 

「はいはーい、それはこよのプレゼントだよ~♪」

 

11.ちょこ←こより

 

「あら、こより様はちょこにどんなプレゼントをくれるのかしら?」

 

「ふっふーん!これは凄いよぉ……じゃじゃーん!玲二くんの歌ったHA○ENAと○光が入ったCD!しかもちゃんとスタジオで収録したオリジナルCDだよ~♪」

 

『なんだとおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ?!』

 

ああ、確かにそんなの録ったな。こよりがファン数が40万人突破したお祝いに俺の歌ったCDが欲しいからスタジオで収録してくれって言われて録ったけど、まさかこんなプレゼントに回されるとは……ってか俺の歌った歌なんて需要ねぇだろ絶対。

 

「こよりちゃん!言い値で買うからそのCD売って下さい!」

 

「ごめんなさいフブキ先輩、これは世界で二枚しかないから譲れないんです……」

 

「ちょこ先!そのCDスバル達にもコピーさせて!」

 

「だーめ♪これはちょこが部屋でゆっくり聴かせてもらうから♪」

 

いや需要あるんかい。何が良いんだ俺の歌なんて?まあちょこが喜んでいるならそれでいっか。

 

「ぐぬぬ……なら次はスバルの番!此処で兄ちゃんからのプレゼントを引き当てる!カードは……ハートのQッス!さあこれはッ!?」

 

「あ、僕のだ」

 

12.スバル←かなた

 

「ゲッかなたのプレゼント?!ゼッテェ変なのだろ!?」

 

「変じゃねーよ!僕のプレゼントは凄いの選んできたんだから!」

 

本当に大丈夫か?かなたってセンスダサいから変なのを想像するんだが。

 

「じゃーん、僕のはこれ!可愛い花柄のスカートだよ♪」

 

「………いやクソダセェよ!そんな派手なの大阪のおばちゃんくらいしか履いてるの見た事ねーよ!」

 

「ダサくねーよ!これ僕のお気に入りと同じ柄なんだぞ!」

 

いやだとしたら余計センス悪いわ。なんだあの派手な花柄?逆に何処に行ったらあんなの売ってんだ?

 

「えっと、じゃあ次はアズキだね。はい、スペードの7だよ」

 

「あ、じゃあ私のだ♪はいあずきち♪」

 

13.AZKi←そら

 

「私のプレゼントは私とお揃いの髪飾りだよ♪」

 

「わぁ~♪そらちゃんとお揃い、ありがとーそらちゃん♪」

 

うん、そらあずてぇてぇだな。まあここら辺は変なのないと分かってたしな。

 

「はーい次はウチの番!ダイヤの9って誰のかな?」

 

「あ、それシロのだ♪はいミオちゃんどーぞ♪」

 

14.ミオ←シロ

 

「シロからのプレゼントは東京23区で使える大人のホテルの一年間フリーパスチケットだよ♪玲二と一緒に楽しんでね♪」

 

「いやそんな遊園地のフリーパス感覚で言わないでよ!///てか何大人のホテルのフリーパスって?!」

 

本当だよなんだ大人のホテルのフリーパスって?聞いた事もねぇしどっから入手したんだよそれ?

 

「そんじゃ次はみこの番だにぇ!はい、ハートのAは誰かなぁ?」

 

「あ、それ団長のプレゼントだわ♪」

 

15.みこ←ノエル

 

「わー♪団長のプレゼント何かな………おぉーーーッ!暖かそうなセーターやで♪」

 

「団長頑張って一生懸命編んでみました~♪誰が当たっても良いように少し大きめにしたから寝間着とかにしてな~♪」

 

「ありがとーノエちゃん♪」

 

よし、どうやら無事に済んだみたいだな。さて次は……

 

「えっと次はおかゆだけど今寺に送られたから代わりにころねが自分の分と一緒に発表してくれる?」

 

「はいよ~♪それじゃあおかゆのは……あ、こおねのだぁ~♪んでこおねのは……スペードのJだよぉ♪」

 

「はいはーい!それねねのプレゼントだよー!」

 

16.おかゆ←ころね

 

17.ころね←ねね

 

「それじゃあはいころね先輩、ねねからのプレゼントはレッ○ブル5箱だよ♪」

 

「お、おぅありがとな…………」

 

ころねがかなり困惑してるが当然だよな、なんでエナジードリンク5箱もってかそんなに保つのか期限的に?

 

「それでころねのプレゼントはなんだったの?」

 

「こおねのはこのマグカップだよ♪これで冬場に暖かい飲み物飲んでくれたらな~って♪」

 

やっぱころねってこういう時は真面目だよな。おかゆも少しは見習ってくれればいいんだが……

 

「はーい次はすいちゃんの番だよー♪じゃあクローバーの2の人ー?」

 

「あ、それみこのやで♪じゃあはいすいちゃん♪」

 

18すいせい←みこ

 

「おぉー、みこちのプレゼントどんなんだろ…………おいコラみこち、おめぇ喧嘩売ってんのかあぁん?」

 

ん?どうしたんだすいせい……あぁ成る程、みこのプレゼントって『まな板』か。

 

「い、いやそれは最近料理する娘が増えたから頻繁に使うキッチン用具を買っただけで別にすいちゃんに喧嘩売ったワケじゃ……」

 

「うん言い訳なんて良いからみこち、ちょーっとあっちで二人きりでお話しようか?」

 

「え、ちょ、ちょっと待っ………に、にぇーーーーーーーーーッ!?」

 

あらら連れ去られちゃったな。みこ、御愁傷様……

 

「き、気を取り直して次はぺこーらの番ぺこ。えーっとこれは……」

 

「あ、それヒメのプレゼントだよ♪」

 

19.ぺこら←ヒメ

 

「ヒメのはHIMEHINAのオリジナルCD一式サイン入りだよ♪」

 

「うわぁ凄いぺこ!ヒメちゃんありがとーぺこ♪さてと……」

 

「?ぺこらちゃん何してるの?」

 

「え、メ○カリ」

 

「ちょっと売ろうとしないでよぉーーーッ!?」

 

「あっはは♪冗談ぺこだよ♪」

 

いや冗談に聞こえんわ。てか冗談とはいえメル○リに出品しようとすんな。

 

「次はるしあの番!えっとスペードの6です」

 

「あ、まつりのプレゼントだ」

 

20.るしあ←まつり

 

「まつり先輩のプレゼントですか。一体どんなの………何これ?」

 

「ん?この間箱買いしたホロライブマンチョコ(シール抜き)だよ♪」

 

「残飯処理じゃねーか!?せめてダブったシールくれよぉッ!」

 

「やだよダブったのだって予備でとっときたいもん」

 

いやケチクセェな。プレゼントとしては最悪じゃねぇか。ってかそうこうしてる内にフレアとノエルとマリンも受け取り始めてるみたいだな。こっからはテンポアップしてかないと尺もヤバそうだしな。

 

21.フレア←ミオ

 

22.ノエル←メル

 

23.マリン←クロ

 

「ウチからはウチが使ってるのと同じタロットカードだよ♪」

 

「あ、ありがとー……え、アタシにも占いやれと?」

 

「メルのプレゼントはこの間ちょこ先生と買い物行った時に見つけたアロマだよ~♪」

 

「わぁ普通に嬉しい♪メル先輩ありがとなぁ♪」

 

二人のは比較的まとも(?)なプレゼントだったな。さてクロのプレゼントは……

 

「私からはこれだ。旧HG試作2号機とHGトリスタンと旧キットのシャア専用ゲルググだ」

 

「いや全部ゲテモノガンプラじゃないですか!?船長クロさんと違って素人だからとてもじゃないけど無理ですって!」

 

「そう言うな、なんなら配信内で作れば良いじゃないか?」

 

「だから無理だってばぁッ!!」

 

うわぁこれは酷い。クロスッゲェ悪い顔してんなぁ、100パー嫌がらせだろ?

 

さて、次は四期生か。今日はココも遊びに来てるし、一体誰が誰のを貰うのやら。

 

24.かなた←トワ

 

25.ココ←うい

 

26.わため←AZKi

 

27.トワ←すいせい

 

28.ルーナ←スバル

 

「トワのはこの間買ったお揃いのキャップ!結構良いでしょ~♪」

 

「ホントだ、可愛い~♪今度二人でこれ被って遊びに行こっか♪」

 

「いやそれは良いっす」

 

「何でだよッ!?」

 

全く、此処のやり取りは相変わらずだな。さてういさんのプレゼントは……

 

「私からは以前仕事の関係で貰ったHGのフェニーチェだよ♪」

 

「お、コレはなかなか良いガンプラデスね♪ういママありがとゴザイマース♪」

 

フェニーチェか、これはかなり懐かしいガンプラだな。俺が初めて手にしたビルド系のガンプラだったから結構思い入れがあるキットだ。

 

「アズキからは歌配信用に最新型のマイクにしたよ♪」

 

「わあ、これわためが欲しかったヤツだぁ♪アズキちゃんありがとねぇ~♪」

 

アズキのはマイクか。てかそれクロとかに当たったらどうするつもりだったんだ?

 

「トワのは……うわデカッ!?何これ?!」

 

「ネットショッピングしてたら偶々見つけてノリで買っちゃった♪HG史上最もでかくて高いガンプラ、ネオジオング♪」

 

「いやノリで買うようなモンじゃないでしょコレ?!」

 

いや全くだ、確かそれ最後に見た時五万してたような気がしたんだが?もしかしたら今もっと高くなってるかもしれんし。

 

「しゅばのプレゼントは~……わあぁ♪可愛い写真立てなのらぁ♪」

 

「ま、まあそれでルーナの好きな写真入れて飾れば良いじゃん……///」

 

「ありがとぉしゅば♪んじゃ早速にーちゃの写真入れて飾るのらぁ~♪」

 

いやそこはスバルーナのてぇてぇ写真じゃないんかい。まあ本人が良ければ別に良いか。

 

さて、漸く五期生か。一体どんなのが来るのやら。

 

29.ラミィ←ぼたん

 

30.ねね←クロヱ

 

31.ぼたん←ラミィ

 

32.ポルカ←いろは

 

「ありゃ、ラミちゃんとあたしの入れ替わっただけか」

 

「そうみたい、因みにラミィのはコレ!大吟醸雪夜月だよ♪」

 

「お、おう……あたしお酒飲めないんだけど」

 

確かにそうだよな、ぼたん俺より酒ダメだもんな。てかラミィよ、半数以上が酒ダメなのに何自分がプロデュースした酒持ってきてんだよ。

 

「まあこれはギャングタウンのおやっさんにあげるからいいや。それとあたしのは手作りのラーメンどんぶりだから♪」

 

「お、おぅ………」

 

いやお前も大概だなぼたん。どんぶりだけ貰ってどうすんだよ?ラミィめっちゃ困惑してるし。

 

「さぁて、沙花叉のプレゼントは何かな~っと♪あ、iPhoneだぁ!これって13?」

 

「あ、ご、ごめんなさい。13は手に入れられなくて12なんです……」

 

「そうなの?でも普通に嬉しいよ!ありがと沙花叉♪」

 

iPhoneか。最近クロヱが一生懸命何かを探してると思ったらプレゼント用のiPhoneだったんだな。でもデビューしたてでiPhone買うの大変だったろうに、やっぱこいつ根は良い娘なんだよな。

 

「風真は手帳にしてみたでござる。皆アイドルだからこういったスケジュールとか附けれる手帳が良いかなって思って選んだでござる♪」

 

「おーこれは普通に嬉しい!ポルカよくロケとかするからスケジュール纏めれる手帳買おうと思ってたとこだったんだぁ~♪いろはちゃんありがとね♪」

 

流石いろはだな、素直でとても良い娘だ。さて残すはholoXとホロライブ以外の娘達だな、まずはholoXの方から見ていくか。

 

33.ラプラス←玲二

 

34.ルイ←アカリ

 

35.こより←あくあ

 

36.クロヱ←ココ

 

37.いろは←みしろ

 

「あ、吾輩はパパのプレゼントだ!」

 

「そうみたいだな。ほらラプ、俺からのクリスマスプレゼントだ」

 

俺は箱を開けてラプにプレゼントを渡す。俺が持ってきたのは薄水色の宝石が施されたネックレスだ。色はホロライブをイメージしたカラーでこれなら誰に当たっても合いそうだと思って選んでみたんだ。

 

「おぉーーー………ねぇパパ!早速着けてみて良いか?!」

 

「ああ、着けてみな」

 

「うん!んしょ………おぉーーーッ!凄く良い!パパ、ありがとうな♪」

 

ん、喜んでくれて良かった。さて、他の奴等は……

 

「アカリからはいろはちゃんと被っちゃったけど手帳にしてみたよ♪」

 

「ありがとうございますアカリさん、これは是非“丁重”に使わせて頂きます。手帳だけに♪」

 

いや本当にポンポンよくおやじギャグ出てくるよな。まあ喜んでいるみたいだから良いか。

 

「あ、えと……こ、こよりちゃんにはあてぃしのこれ、あげる……」

 

「わぁー、ゲーミングチェア!これすっごく良いヤツだ!あくあ先輩ありがとうございます♪」

 

「ッスゥーーーー……ド、ドウイタシマシテ」

 

相変わらず人見知りが酷いなあくあ、もう一緒の家に暮らすようになって結構経つのにまだ慣れないか。それにしてもゲーミングチェアなんて結構奮発したんだな。

 

「シャチ公にハ桐生会カラの餞別!コノ『天神龍馬』をくれてヤル!」

 

「え、こ、こんなの貰っても沙花叉困………あ、いえ、ありがとございます………」

 

やっぱりと言うかココからのプレゼントは刀か。しかも桐生会からって言ってたから100パー模造刀ではないだろうな。そんなの貰っても確かに困るな……

 

「みしろからはお茶会用のティーセットです。是非他の皆さんと一緒に使って下さいまし♪」

 

「おぉ!かたじけないでござるみしろ殿♪」

 

みしろはティーセットか。いろはは日本茶以外にも普通に紅茶とか飲むから丁度良かったかもな。それじゃあこれでホロメンは全員終わったから最後にそれ以外のメンバーだな。

 

38.クロ←ルイ

 

39.みしろ←あやめ

 

40.たまき←るしあ

 

41.うい←ちょこ

 

42.ヒメ←フレア

 

43.ヒナ←アキ

 

44.アカリ←ポルカ

 

45.シロ←シオン

 

「クロさんには私からのプレゼント、エントリーグレードガンダム10個セットでーす♪」

 

「お、これは丁度良かった。新しいジオラマ作るのに少し多めに欲しかったからな。素直に貰ってやる」

 

いやそれにしたって10個は多くないか?ルイもなんか意外そうな顔してるし、半分嫌がらせ交じりだったんだろうな。

 

「余からはお菓子の詰め合わせだぞ!沢山あるからのりプロの娘にも分けてあげると良い余♪」

 

「たまき君帰っちゃったからみしろちゃんにるしあのプレゼント預けるね♪中身は………開けてからのお楽しみ♪」

 

「有難うございますあやめさん♪るしあさんも愚兄の為に有難うございます」

 

あやめのはお菓子か、クリスマスっぽいお菓子が大量にあるな。るしあのは………なんだか悪い予感がするが気のせいか?

 

「はいういママ、ちょこのプレゼントの万年筆よ♪デパートで凄く良い柄の物を見つけてきたわ♪」

 

「うわぁちょこ先生ありがとう♪仕事のときに使わせてもらうわ」

 

ちょこは凄く落ち着いた黒色の万年筆か。貰ったのがういさんだから良かったけど他の奴だったら使わないのでは?

 

「はいヒメちゃん、アタシのはアロマキャンドルだよ♪」

 

「わぁ何これ、すっごく可愛い~♪フレアちゃんありがとうね♪」

 

「アキロゼからは~……ごめんねヒナちゃん、アキロゼあまり考えないで買ってきちゃった」

 

「え、何々?どんなプレゼント?」

 

「大吟醸鬼ころし」

 

「ヒナまだお酒飲めないよッ!?」

 

あーあ、だからこういうのがあるからプレゼント選びは考えろって言ったのに。フレアのアロマキャンドルはともかくアキ、お前の酒はダメだろ。まあ最悪田中工務店の人が飲んでくれるだろ?

 

「ポルカのはこれ!新しいシリーズの境界戦機のプラモデル一式だぁー♪」

 

「あ、これ気になってたけどまだ買ってなかったヤツだ。ポルカちゃんありがとう、早速作らせてもらうよ♪」

 

ポルカのプレゼントは境界戦機のプラモか、俺も組もうと思いつつ最近は違うのばっかり作ってたからな。今度俺も買ってみよう。

 

「シオンのプレゼントはこれだよ♪早速開けてみてシロちゃん♪」

 

「わぁーありがとう♪…………ねぇシオンちゃん」

 

「え、な、何?」

 

「これビックリ箱とかじゃないよね?」

 

「ギクッ!?……い、いやぁそんなワケないじゃんアハハハハ……」

 

「本当?もしビックリ箱だったらタダじゃおかないから「ごめんなさいビックリ箱です!後日ちゃんとしたのあげるんで許して下さい!!」ん、分かれば良いんだよ♪」

 

やっぱりな、お前ならやると思ったよシオン。ただ当たった相手が悪かったな、シロはこういう時の勘はかなり鋭いんだよ。さて、残すは後俺だけ、そして残ってるのは………

 

「……消去法でいけば俺のプレゼントはお前か、フブキ」

 

「アハハ、そうみたいですね」

 

46.玲二←フブキ

 

「……てかフブキ」

 

「え、な、何かな?」

 

「お前、最初から俺にお前のプレゼント行くように仕組んだだろ?」

 

「あ、アハハ……バレてました?」

 

いやバレバレだ。一番最初に俺に引かせるし、俺だけ一番上から引かせてたのに他の娘にはランダムに選ばせてたから絶対何かあると思ったわ。

 

「で、お前は何をくれるんだフブキ?」

 

「う、うん。はいレイくんこれ、私からのクリスマスプレゼントです」

 

そう言ってフブキは小さな箱を俺に渡してきた。中身を開けると、淡い水色に輝くクリスタルが施された腕輪だった。

 

「白上家の一族に代々伝わる白狐族が紡ぎし腕輪の儀式。愛する者と結ばれた年の冬にこの腕輪を相手に贈る事になってるんです。だからレイくん……ううん私の愛するたった一人の旦那様。どうかこの腕輪を、私の想いと共に受け取って下さい」

 

「フブキ………分かった。お前の想い、しっかりと受け取らせてもらう。そしてお前だけじゃなく、俺の事を好きになってくれた皆の気持ちも一緒にな」

 

そうして俺は腕輪を自分の左腕に着けると、クリスタルの部分が一瞬七色に輝き出し、光が止むとクリスタルの色が淡い水色から虹のような七色に変わっていた。

 

「……これで良いのか?」

 

「うん、ありがとうレイくん。これからもよろしくね♪」

 

フブキの笑顔がいつもより綺麗に感じた。色々あったが、やっぱこいつ等と結ばれて良かったと思う。

 

「あ、そうだレイくん。実はもう一つご報告があるんですよね」

 

「なんだ?遂に金のコイ○ングでも釣れたか?」

 

「そうなんですよ~♪これで漸く旅が始められる……って違いますよ!」

 

なんだ違うのか。まあそんなの俺に報告されても仕方ないしな。それで、一体なんなんだ?

 

「……実はですね、今日私病院に行ってきたんですよ」

 

「病院?フブキ、お前どっか具合でも悪いのか?」

 

「ううん違います………四ヶ月だそうです///」

 

……………は?四ヶ月?一体何が…………ッ!?ま、まさかッ!?

 

「ふ、フブキ?その四ヶ月ってもしかして……?」

 

「はい………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

デキちゃいました、赤ちゃん///」

 

『えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ?!!!』

 

ま、マジか?!た、確かに最近フブキが全然夜求めてこないと思ったら、そういう事だったのか!?

 

「ほ、本当なのかフブキ?お前のお腹の中に俺達の子が……?!」

 

「はい、正真正銘私とレイくんの子です♪」

 

「ま、ママのお腹に赤ちゃん………と言う事は、吾輩お姉ちゃんになるのか?!」

 

「そうだよ~、ラプちゃんもう少ししたらお姉ちゃんになるんだよ~♪」

 

フブキがそう言うとラプは目を輝かせながらフブキのお腹を撫でる。そ、そうか、遂に俺も父親になるのか………

 

「あ、あの~、それだったら私もご報告が……///」

 

「う、ウチも……///」

 

「アタシも……///」

 

?そらとミオとフレア、一体どうし………ッ?!ま、まさかお前等も?!

 

「私は三ヶ月らしいんだ……///」

 

「ウチも三ヶ月……///」

 

「アタシはまだ二ヶ月だけどね……///」

 

『嘘おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ?!!!』

 

な、なんて事だ………少しずれてるとはいえまさか四人一気に妊娠するとは………いや、あれだけやる事やってたんだからデキて当然だよな。

 

「そ、そんな……ラミィが最初に玲二さんとの子供出来ると思ったのにぃ~!」

 

「まあまあ、こればっかりは授かり物だからな」

 

「おめでとうフブちゃん♪ミオちゃん♪」

 

「ありがところね~♪」

 

「あ、ありがとね///」

 

皆がフブキ達に次々と祝福の言葉をかけていく。俺も遂に父親……そう考えると嬉しさが込み上げてくる。

 

「それでは改めて、これからもよろしくねパパ♪」

 

「ああ、こちらこそよろしくな……ママ」

 

こうして驚く事もあったが無事プレゼント交換会は終了した。来年はもっと良い年にしたいな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―オマケ―

 

「全く、ついこの間修行を終えたばかりだというのにまた戻って来たのですか?それならまた此処でしっかり修行を積んでもらいましょう」

 

「うわぁ~ん!冗談のつもりでやっただけなのにぃ~「渇ッ!!」痛ッたぁッ!?」

 

また寺に戻され厳しい座禅を組まされるおかゆ。翌日大泣きしながら謝って来たので仕方なく許す玲二であった。

 

 

 

 

 

―オマケ2―

 

「みしろおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!こっから出せえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!僕は別に何もしてないだろおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!後なんだよこのるしあからのプレゼントォッ?!めっちゃ怖いんだけどおぉぉぉぉぉぉぉッ!?」

 

「オマエ……ウマソウ……ヒトクチ……クワセロ……」

 

「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーッ!!!?」

 

のりプロの地下牢に閉じ込められ、るしあからのプレゼントから現れた謎のゲル状の化け物に襲われるたまき。正月の終わり頃に解放された時にはすっかり飲み込まれ身体の隅々まで弄くり回されていたのであった。




はい、という事でプレゼント交換&フブキ達の妊娠発覚でした。
妊娠発覚についてはこういった特別な時に出したいと思ってたので個人的には満足です♪

そしてこの『ホロライブ ビルドライバーズ』は今回の話で今年の投稿は終わりです。来年は元旦から最新話を出したいと思ってますので気長に待って頂ければ幸いです。

そしていつも読んで頂いてくれてる皆様、まだ書き始めて半年もしてませんがこのような駄文小説でよろしければ来年もよろしくお願いいたします。来年はもっと筆記レベルが上がるよう努力します!


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番外編『新春』

新年明けましておめでとうございます!

今年も去年と変わらず仕事にガンプラ、そして小説筆記と頑張って参ります!

今回は新年会からスタートです、ではどうぞ!


2022年1月1日 元旦

 

「新年、明けまして」

 

『おめでとうございまーす♪』

 

去年は色々な事があったが、無事に新年を迎える事が出来た俺達。今日は元日という事でホロメンといつものメンバーで集まり新年会を開き大いに盛り上がろうとしていた。

 

「皆、去年は本当に色々あったが、なんとか無事に新年を迎える事が出来たという事で、今年も変わらずよろしくな」

 

「勿論ですよレイくん、変わらずどころかこれからどんどん楽しくて明るい家にしていきましょう♪」

 

「ああ、そうだな。それじゃあ挨拶はこのくらいにして、早速食べるとするか!」

 

『はーい♪』

 

挨拶を終えて俺達は目の前にあるご馳走を食べ始めていく。おせちは勿論、オードブルやケン○ッキーやデザートまで揃っておりかなり豪勢な昼飯だ。これ食べきれるのか………いや、何人かめっちゃ食うから大丈夫か。

 

「あ、そうだラプ。ほれお年玉」

 

「おぉ~♪ありがとパパ♪」

 

今年からは新しくラプが娘になったから少ないがお年玉を渡す。これは俺がいつか子供を持った時にしたかった事の一つ、自分の子が笑顔になってくれるならやった甲斐があるな。

 

「それじゃあラプちゃん、これはフブキママからのお年玉です♪」

 

「はい、ウチからもお年玉♪」

 

「私からもお年玉あげるね♪」

 

「はい、これはアタシからだよ♪」

 

「お、おう……」

 

俺に続くように次々と皆がラプにお年玉を渡していく。俺と結婚、婚約した事で皆ラプの母親になったからこれでラプは計40以上のお年玉を貰う事になる。そう考えるとすげぇなラプ。

 

「ぱ、パパァ~。こんなに貰っちゃったけどどうすれば良いんだよぉ~……」

 

「うわスゲェな、もう持ちきれないくらい貰ってるじゃんか」

 

ラプが両手に持ちきれないほど沢山のポチ袋を抱えて困惑している。今まで院長からしかお年玉を貰った事のないラプがいきなりこんなに沢山貰ったらそら困惑するわな。

 

「それじゃあラプちゃん、そのお年玉はママが預かっておきますね。こっちのポーチに一旦入れてね♪」

 

「はーい、んしょ……」

 

お、フブキがラプのお年玉を預かってくれるみたいだな。もうすっかり母親と娘の関係になってるのを見ると初日のやり取りが嘘みたいだわ………それとそのお年玉、ちゃんと使わずラプの口座に入れてやれよ?

 

(分かってますよレイくん♪)

 

こいつ直接脳内に……ッ?!っていつの間にそんな事出来たんだよ!?……………ん?

 

「………おいちょっと待て。誰だこの封筒渡したヤツ?」

 

ラプが持ってたポチ袋の中に一つだけ不恰好な茶封筒が入っており、外から見ても分かるくらい分厚いモンが入ってる。いや、誰が入れたかは大体察しがつくが……

 

「あ、ソレワタシがあげたお年玉デスネ♪」

 

「やっぱりお前かココ…………因みにお前いくら入れた?」

 

「え、二百万デスけど?」

 

「入れすぎだ馬鹿!!」

 

なんでお年玉にそんな大金入れんだよ?!ラプもあまりの大金に困惑しちまってるぞ!?

 

「いやぁ、兄貴の娘って事ハワタシの娘同然デスからネ。初めてのお年玉クライ奮発シテやんねぇとって思いマシテ♪」

 

「だとしても多すぎだ!せめて一万とかにしろ!!」

 

「ぱ、パパ?吾輩もしかして組の奴等に報復されるのか……?」

 

「いやそれはねぇけど!?ほらラプも怯えてしまうから本当に少なくて良いって!」

 

「ムゥ………分かりマシタ」

 

怯えたラプを見て諦めてくれたのかココはみしろが用意したポチ袋に一万だけ入れて改めてラプに渡した。やれやれ、これで一安心だな。

 

「それにしてもココ、本当に玲二君と婚約結ばなくて良いの?あんだけ玲二君の事好きって言ってたのに」

 

「良いんダヨかなた。本音で言えばそりゃ兄貴と結婚したいケド、そんな事したら皆ニモ迷惑かけちまうからナ。ダカラワタシは愛人ってポジションで充分なんダヨ」

 

………そうか、確かに桐生会の会長が結婚したとなると他の組から俺や他の娘が狙われる可能性も考えられるからココとしては俺達を危険な目に会わせないようにしてくれようと考えてるんだな。

 

「ココ……大丈夫だってココ!玲二君だってゴロツキ三十人まとめて倒した事もあるし、何かあったら支部長が出てきてくれるんだから!」

 

「いや待てかなた、出来ればあの人はもう出てきて欲しくないからそれ以上は言うな……でもまあ、お前が桐生会の会長って事もあって俺達の事を考えてくれてるのは分かるが、それでもお前が望んでいるなら俺はお前とも一緒になりたいと思ってる」

 

「兄貴………フフッ♪兄貴も言うようになったナァ、昔はワタシがいくら迫ってモのらりくらりでかわシテたのニ♪」

 

うっさい、あの時は普通にアイドルとして大切にしたかったしこんな事になるとは微塵も思ってなかったからだよ。けど今は俺の事を慕ってくれる奴等を大切にしたいからココの事も大切にしたいし、何より桐生会会長という危険な立場にいるココにせめて人並みの幸せを与えてやりたいと思ってる。エゴだとか女誑しとか言われようがこればっかりは譲れねぇわ。

 

「ほらねココ、玲二君だってこう言ってるんだから婚約結んじゃいなよ。僕達もココと家族になれるの嬉しいから♪」

 

「………そうだナ。兄貴、いや玲二さん、ふつつか者デスがドウゾよろしくお願いいたしマス」

 

「ああ、こっちこそよろしくなココ」

 

ココが三つ指を床に付けてお辞儀をし俺もそれに応えると皆が拍手でココの婚約を祝福してくれた。

 

「それじゃあ改めまして、レイくんとココちゃんの婚約を祝ってカンパーイ♪」

 

『カンパーイ♪』

 

こうして皆で食べて飲んで騒ぎ合う大宴会が日が暮れるまで行われた。途中未成年組の何人かがジュースと間違えてほ○よいを飲んでしまい大騒ぎになってしまうが、みしろやちょこによって介抱されなんとか暴走せずに済んでくれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―その夜―

 

「はあぁ~……久々に食べて飲んだな」

 

「そうですねぇ~」

 

「久しぶりに沢山食べた気がするね~」

 

宴もすっかり落ち着き、既に何人かはリビングで寝落ちしている中俺はフブキとそらと一緒にベランダで一息ついていた。普通なら寒い冬真っ只中なのだがベランダや中庭にはシオンが形成した魔法陣によって心地よい風が吹くようになっているのでどんちゃん騒ぎして火照った身体を冷ますのに丁度良い。

 

「にしても二人とも、全然お酒飲んでなかったな?いつもこういった時は少しくらいは飲んでたのに」

 

「まあ、今はこの子もいますからね」

 

「うん、何かあったらいけないからお酒は飲まないようにしてるの」

 

そう言って二人は自身のお腹を擦る。二人とも俺の子を身籠ってからお酒等は飲まないようにし、激しい動き等もしないようにしているようだ。そしてフブキの方は現在四ヶ月、もう少しで五ヶ月目に突入するからかお腹もぽっこりと大きくなっているから余計に気を使う事が多いらしい。俺も彼女達のダンスレッスンとかは全てキャンセルするなどして身体に負担の掛からない仕事を選ぶようにしている。

 

「そうか………本当に此処に俺の子がいるんだな」

 

「うん、私と玲二君の大切な赤ちゃん♪」

 

「一体どんな子が生まれるんでしょうね~?レイくんみたいに格好良くて優しい男の子が良いですなぁ♪」

 

「もしくは二人みたいに明るくて元気な女の子かもな」

 

どっちにしろ産まれて来る子供が元気でいてくれるのが一番嬉しいがな。

 

「…………レイくん、改めて有難う。私達の旦那様になってくれて」

 

「私達、玲二君と一緒だから此処まで来れたんだ。そしてこれからもずっとずっと一緒にいようね♪」

 

「当たり前だ、これからも俺達はずっと一緒だ。だからよろしくな、二人とも」

 

「「はい、旦那様♪」」

 

―チュッ♡―

 

二人が俺の頬にそっとキスをする。本当、俺には勿体ないくらい良い娘達だ。だからこそ、こんな良い娘達を守っていかないとな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う、うぅ~……」

 

「?あやめ、どうかしたのか?」

 

ベランダからリビングに戻ろうとするとあやめが何やら苦しそうにトイレから出てきた。

 

「あ、玲二様……なんだか少し吐き気がして……」

 

「大丈夫あやめ?もしかして飲み過ぎたんじゃない?」

 

「うーん、そんなに飲んでない筈なんだけど…………それに此処最近ずっとこんな調子が続くし……」

 

吐き気が続く?おいそれ大丈夫なのか?復帰したばっかでもしかして身体の調子が戻ってないのか?

 

「………そう言えばあやめ、今日なんか唐揚げにめっちゃレモンかけてたよね?普段そんなレモンかけたりしないのに。それにお酒も日本酒じゃなくてレモンサワーとか飲んでたし」

 

「え?うん、なんだか最近酸っぱい物が欲しくなって」

 

酸っぱい物が欲しくなった?…………おいそれもしかして……

 

「あやめ」

 

「え、何?」

 

「近い内病院行くぞ」

 

「え?え?」

 

俺はあやめに一緒に病院に行く事を決めた。俺の、いや俺達の予想が合ってれば恐らく……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―数日後―

 

「えーと……余も妊娠してました♪」

 

『なんだってえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ?!!!』

 

案の定あやめは俺との子を身籠っていた。しかも既にそら達と同じく三ヶ月経過しておりお腹も少し膨らんでいる。これで五人目か……なんかペース早くね?

 

「ズルいよ百鬼!あてぃしだってまだご主人の子身籠ってないのに!」

 

「まああやめは二期生の中ではちょこ先に並ぶくらいやる事やってたからねぇ。でもそれだったらちょこ先も妊娠しててもおかしくないのに?」

 

「元々悪魔って他種族との間だと妊娠しづらいのよ。こればっかりは授かり物だから仕方がないわ」

 

ちょこが少し残念そうにため息を吐く。確かに以前ちょこから悪魔や吸血鬼やエルフは他種族間では妊娠する確率が少しだが下がってしまうと聞いてたし、逆に獣人族(一部除く)や鬼人族は妊娠しやすいと聞いた事もある。そう考えたらフレアの妊娠は寧ろ早い方だったんだな。

 

「というワケで玲二様、今からちょこと一緒に子作りしましょ♪」

 

「真っ昼間から何馬鹿な事言ってんだこの痴女!」

 

「そうだよ!するならあてぃし達も一緒にやらないと!」

 

「そういう問題じゃねぇッ!!」

 

あやめの妊娠発覚で他のメンバーが更に迫って来るようになったが、流石にこれからは計画を立ててからしないといかん。皆一辺に妊娠したらホロライブ暫く活動出来んぞ?

 

こうして新年早々あやめの妊娠が発覚しいろいろ大変な事態になったが、何にしろめでたい事には変わらない。今年もこいつ等と一緒に楽しく活動していけたら良いな。

 

 

 

 

 

という事で2022年も頑張って参りますので、今後も『ホロライブ ビルドライバーズ』をよろしくお願いいたします。




はい、という事でココとの婚約、そしてあやめの妊娠発覚回でした!これからもっと大変になりそうですねw

次回はホロライブと対を成すと言っても過言ではないあの事務所から何人か出ます。明日には更新しますのでお待ち頂ければ幸いです、ではまた!

あ、またちょっとアンケートします。


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番外編『新人スタッフの野望』

つい先日小説を評価して戴いた中でガンダム要素何処いった?と言われたので活動報告にて説明させて頂きます。

今回は新しい試みとして、もしも玲二達の世界に転生者が現れたら?という内容でお送りします。それではどうぞ!


※これはまだ、玲二達がホロライブタウンに移住する前の出来事である。

 

 

 

 

 

「……という事で、今日から君達と一緒に働く事になった神代拓哉君だ」

 

「神代です!今日からこのホロライブでスタッフとして働く事になりました!若輩者ですが、これからどうぞよろしくお願いします!」

 

………クククッ、やったぜ!遂にこのホロライブに就職出来たぜ!

 

俺の名は『神代拓哉』所謂転生者ってヤツだ。生前は就活に失敗したせいで引きこもりになってしまい、親からバイトでも良いから働けと口酸っぱく言われ続け苦痛の日々を受けていた。まあ親の金使って推しのライブ見たりゲーム重課金出来たりとわりと悪くない生活だったがなw

 

そしてお菓子買いに外に出たらまさかトラックが突っ込んできたせいで死んじまったが、更にまさかの転生イベントキタァーーーーーッ!しかも転生先があのホロライブのアイドル達が実際にいる世界!これはテンション爆上がり!

 

俺は転生特典でイケメンにしてもらえ、更にホロライブへの就職もさせてもらえた!これで俺は人生勝ち組!これからはホロライブのアイドル達とハーレムを築き、順風満帆ないちゃラブ生活を送るぞぉーーーーーッ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………けど転生させた神が最後に「そんな事しても無駄だろうけどねwww」って言ってたのが気になるが……まあいっか♪

 

「そして神代君、こちらが君の上司になるスタッフリーダーの佐々木玲二君だ。最初の内は彼から仕事のノウハウを学んでくれたまえ」

 

「佐々木だ。これから一緒に働く仲間として頑張っていこうな」

 

「はい!よろしくお願いします!(こんな奴が上司かよ、チョロそうだなw)」

 

これなら俺がトップに立つのも時間の問題だなw

 

「それじゃあ早速だが俺達の主な仕事内容を説明して、終わったらアイドル達とも顔合わせしてもらうから、良いな?」

 

「はい!しっかりやらせて頂きます!」

 

マジで?!早速アイドル達に会えるのか!?うっひょおぉぉッ!!テンション上がってきたぜぇッ!そうと決まればさっさと仕事内容教えてもらって会わせてもらおうじゃないかw

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……んで、これで仕事内容は一通り確認出来たな。どうだ、大丈夫そうか?」

 

「は、はい、大丈夫です……(な、なんだよこれ?思った以上にキツくねぇか?!なんだよ棚卸しとか発注とかスケジュール設定とかライブの準備って!?アイドルのスタッフってこんなに大変なのか?!)」

 

思った以上にキツ過ぎる!しかもなんだよ買い出しとかって?!そんな雑用みたいな事もすんのかよ?!クソッ!思ってたのと全然違ぇじゃねぇか!?

 

「さてと……もう大分時間が経ったし、そろそろ今日は帰るか」

 

「……は?え、先輩?この後はアイドル達と顔合わせするんじゃなかったんですか?」

 

「あぁ、だから帰るんだよ」

 

「え?」

 

ど、どういう事だ?なんでアイドルと顔合わせするのに帰る必要があるんだ?こ、こいつ意味わかんねぇよ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―帰宅―

 

「……あ、あの先輩?此処って一体……」

 

「あぁ、此処は俺達の家『ホロライブマンション』だ」

 

ほ、ホロライブマンション?!なんだよそれ!?こんな豪邸がこいつの家?!ってか待てよ、こいつ今『俺達』って言ってなかったか?え、じゃあなんだ?もしかしてこいつ、既に何人かのホロメンと同棲してるのか?!ふ、ふざけんなッ!!

 

「それじゃあ早速中に入るか」

 

「は、はい……」

 

い、いや落ち着け俺!要はただの社宅のようなもんだろ?きっと俺を紹介する為にアイドル達を此処に呼んだとかだろきっと、そうに違いない……

 

―ガチャッ―

 

「ただいまー」

 

「お帰りなさいレイくん、お仕事お疲れ様です♪」

 

え………う、うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!し、しし、白上フブキちゃん!?ホロライブの中でもトップクラスに人気のあるフブキちゃんが実際に目の前に!生で見るとめっちゃ可愛いじゃねぇか!!

 

「あれ?レイくん、この方は?」

 

「あぁ、この間話しただろ?新しく入った新人スタッフだ。神代、挨拶してくれ」

 

「は、はい!神代拓哉といいます!よ、よろしくお願いします!」

 

「あ、貴方がレイくんの言ってた新しいスタッフさんですね。はじめまして、“佐々木”フブキです♪これからよろしくお願いしますね♪」

 

ああ、めっちゃ可愛いぃ~♪こんな可愛い娘とこれからいちゃラブ出来るかと思うと………………ちょっと待て?今何か変じゃなかったか?今フブキちゃん、“佐々木”って名乗らなかったか?え、白上じゃなくて佐々木?

 

「あ、あの……聞き間違いでしょうか?今佐々木フブキって……確か貴方は白上フブキさんでは?」

 

「?ああ、アイドル活動している時は確かに白上って名乗ってますが本名は佐々木なんですよ♪」

 

「そ、そうなんですか?ち、因みに先輩と同じ苗字ですが、もしかしてご兄妹とか……?」

 

「いえ、“夫婦”です♪」

 

ッ?!!!!!!!!?な、ななな、なな……………なんだとおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ?!!!!?

 

夫婦?!夫婦ってなんだよ?!俺の最推しアイドルが既に結婚!?しかもこんな冴えない野郎と?!いいいい一体どういう事なんだってばよ?!

 

「?どうした神代、具合でも悪いのか?」

 

「い、いえ!?べべ、別に何も問題はないです?!」

 

な、なんだよソレ?!なんで俺の推しがこんな奴と結婚してんだよ?!畜生ッ!ふざけるなッ!!

 

「そ、そうか?なら早速中に入ってくれ、ついでだから飯も食べていきな」

 

「は、はい……」

 

グッ、こいつ!……いや待て、冷静になれ。確かに最推しのフブキちゃんは既にこいつのモノになったかもしれないが、俺には他にも推しはいるんだ!こうなったら他の娘とお近づきになって目一杯いちゃいちゃしてやる!

 

「こっちがリビングだ。多分何人かは既にいるから挨拶しようか」

 

「はい……」

 

―ガチャッ―

 

「皆、ただいまー」

 

『お帰りなさーい♪』

 

お、おおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!と、ときのそらにはあちゃま!それにノエフレにししラミと俺の推し達がこんなに!さ、最高だぜぇ~♪

 

「皆ー、今日は皆に紹介する奴がいるぞー。これから俺達と一緒に働く事になった神代拓哉君だ、よろしくしてやってくれ」

 

「か、神代です!まだ新人ですがよろしくお願いします!!」

 

グフフフフ♪フブキちゃんはこいつに取られちゃったが、他のアイドル達とこれから親密になってハーレムを築けば良いさ♪なんだったらフブキちゃんも寝取って俺のモノに……

 

「はじめまして、“佐々木”そらです。夫から話は聞いてました、これからよろしくね神代さん♪」

 

「“佐々木”はあとよ。皆からははあちゃまとか呼ばれてたりするけど仕事中ははあととか赤井とかで呼んでよね」

 

「こんまっする~“佐々木”ノエルじゃよ~♪これからよろしく頼むな新人君♪」

 

「こんぬい~“佐々木”フレアでーす。直接関わる事は少ないかもしれないけどよろしくなぁ♪」

 

「ちーっす、“佐々木”ぼたんだよ~。あたし達とはあまり絡まないかもしれないけど、旦那の事助けてやってくれな」

 

「こんラミです“佐々木”ラミィです♪夫共々よろしくお願いしますね神代さん♪」

 

………………………………………………………

 

はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ?!!!!?

 

さ、佐々木?!皆苗字が佐々木?!う、嘘だろ?!しかも夫とか旦那って、もしかしなくてもこれって!?

 

「あ、あの………皆さん先輩と苗字がご一緒なのですが?つかぬ事お伺いしますが、皆さんと先輩のご関係は……?」

 

『?夫婦だけど?』

 

嘘だろおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ?!!?

 

なんだよそれ?!なんでフブキちゃんだけじゃなくて他の娘もこんな奴と結婚してんだよ?!てかなんで重婚してんだよ此処日本だろ?!

 

「あ、あああの、夫婦って……日本での重婚は法律で禁止されてるんじゃ……?」

 

「え?何言ってるんですか、数ヶ月前から日本も一夫多妻制になりましたよ。勿論条件を満たした人のみですが」

 

「結構大々的にニュースとかにもなってたんだけど……え、もしかして知らなかった?」

 

マジかよ?!この世界の日本一夫多妻なのかよ!?

 

「は、はは、実はニュースとかあまり見なくて……因みになんですが先輩の奥さんってこちらの方達だけですか?」

 

「いや、一応ホロライブの娘とは20歳以上の娘とは籍を入れてるな。まだ20以下の娘は婚約は結んでるが、それがどうしたんだ?」

 

嘘だあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁうわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんッ!!!!

 

なんてこったパンナコッタ!!まさかホロメン全員がこいつの毒牙にかかってしまってたとは!?あの神が言ってたそんな事しても無駄ってこういう意味かよおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!

 

「ど、どうした神代?!急にしゃがみこんで、やっぱり具合悪いのか?!」

 

「だ、大丈夫です、もう俺帰るんでほっといて下さい……」

 

『?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「畜生ッ!!なんだよこれ?!なんであんな奴に俺の推しが取られなきゃいけねぇんだよ?!しかも全員だと?ふざけるなあぁぁぁぁッ!!」

 

これじゃあ何の為にこの世界に転生したかわかんねぇじゃねぇかッ!?………ハッ!そうか、奴も転生者か?!俺よりも前にこの世界に転生して、俺よりも先にハーレムを作ったのかぁッ!クソッ許せねぇッ!!

 

「………こうなったら実力行使だ!俺の凄さを見せつければフブキちゃん達もあいつに愛想を尽かして俺の処に来てくれる筈!フフフ、見てろよ佐々木ぃッ!最後に笑うのはこの俺だあぁッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう思ってた時期が俺にもありました………

 

「おい神代ぉッ!買い出し行ったのお前だろ?!なんでスポドリが五本足りねぇんだよ?!」

 

「えぇッ?!で、でも確かにメンバー分31本買ってきましたよ!」

 

「アホか!今メンバーは36人だろうが!六期生の事忘れてんじゃねぇよ!!」

 

「あぁッ!?す、スミマセン!!」

 

「まあまあ玄さん落ち着いて下さい、多分そうなると思って予め五本買ってありますから」

 

 

 

 

 

「神代さん、今日中にこの発注を終わらせて下さいね」

 

「えぇッ?!こ、こんな量を一人でですか!?」

 

「これでもほんの一部ですよ、他の大半の発注は佐々木さんがやってくれてますからお願いしますよ」

 

 

 

 

 

 

「ちょっと神代ぉッ!?シオンの部屋とあくあちゃんの部屋一つずつって言ったじゃん!なんで一部屋しか取れてないワケ?!」

 

「ご、ごめんなさい、ちょっと手違いがあったみたいで……」

 

「はあぁぁッ?!何さ手違いって!?玲二ならそんな事しないのにさぁッ!」

 

「もう良いよシオンちゃん、入ったばっかの新人さんなんだから仕方がないって……」

 

 

 

 

 

 

「えぇッ?!レコーディングスタジオの予約が取れてない?!なんでそうなってるのさ?!ポルカ達一週間前には頼んでたよね?!」

 

「す、すみません、どうやら自分が間違えて日にちを昨日にしてたみたいで……」

 

「えぇ~……もうねねもこんな事言いたくないけどさぁ、神代ってポカしまくってるじゃん?もうちょっとしっかりした方が良いんじゃない?」

 

 

 

 

 

 

………………ダメだ、何やっても上手くいかねぇ………

 

俺が頑張って良いとこ見せようとしても全て失敗してしまう。どんなに頑張っても全部裏目に出てしまう。それなのにあいつは俺の何倍もの仕事をこなしている。

 

最初は神からもらったチートとか思ったけど、それは全くの見当違いなのはすぐに分かってしまった。あいつが仕事をこなすのはホロメン達に好かれたいからなんかじゃねぇ、単純にアイドルとして彼女達を輝かせたいんだと嫌でも思い知らされた。

 

その証拠にあいつはホロメン達だけじゃなくて他のスタッフや取引先の奴等とも上手くやってるし、何かトラブルが起きて相手を怒らせてしまってもすぐに対応して謝罪する。

 

はっきり言うと、完敗である。あいつは下心があってホロメン達と一緒にいるワケじゃないし、何より仕事に対して熱意を持って挑んでる。それに比べて俺はただモテたいというだけでホロメン達に近づいて、そのくせ仕事もろくに出来てない。それに顔だって俺もかなりの方だがあいつもそれなりに整っていてイケメンである。

 

オマケに性格も良いし気前も良い。こんな奴と張り合うなんて無理だ、元々ニートだった俺なんて戦う前から負けてしまってたんだ。

 

………畜生、働くってこんなに大変だったんだな。もう俺、やってく自信がねぇよ……

 

「ん?どうした神代、こんな処でボーッとして」

 

「あ、先輩……いや、なんでもないッス………」

 

いつの間にか佐々木の野郎が俺の横にやって来ていた。最初こそ憎たらしく感じたこいつもいつしかそんな感情は消え、ホロメン達がこいつを選んだ理由も今なら納得してしまっている。けどやっぱりまだ抵抗があるのか素直に従う事が出来ないでいる。

 

「そっか……ほれ、コーヒー飲むか?」

 

「あ、ありがとうございます……」

 

そう言って佐々木は俺に缶コーヒーを差し入れてくれた。こいつ……いや、この人はいつも俺がミスしたり落ち込んでいたらフォローしてくれる。それが余計に悔しさを感じさせてしまう……

 

「……神代、いつもありがとうな」

 

「………え?な、何がッスか?」

 

「いや、仕事の事だよ。お前此処に入ってからいつも一生懸命頑張ってくれてるじゃないか。お陰で凄く助かってるんだ、だからありがとうな」

 

な………なんだよこの人!?俺はいっつも仕事でミスばかりしてるのになんでそんな俺にありがとうなんて言うんだよ?!使えない奴とか罵られる事はあっても感謝される事なんて……!

 

「そ、そんな事ないッス。俺、いつも仕事が上手くいかなくて、いっつも皆の迷惑になって……!」

 

「でも、それでも皆の為に一生懸命頑張ろうとしてくれてるじゃないか。皆もキツイ言い方する時もあるかもしれないが、それはお前が一生懸命やろうと知ってるから敢えて強く言ってくれてるんだ。本当にやる気のない奴なら小さな雑用だけやらせてほっとくしな」

 

ッ!?そ、そんな事が……でも確かに玄さんやAちゃん、それにホロメン達も俺がミスする度にいろんなアドバイスをくれたりした。皆、俺の為に………でも

 

「……違う、俺は別にあんたみたいにホロメン達を輝かせたいと思ってやってたんじゃない!俺はただ、ホロメン達と……可愛い娘とお近づきになれればなんて下心でやってただけだ!そうじゃなきゃこんな仕事に一生懸命になったりなんて………!」

 

「………そうか。でも、それでも別に良いんじゃないか?」

 

「……………え?」

 

ど、どういう意味だよそれ?なんで下心でやってもそれで良いだなんて………?

 

「だって………それだけお前がホロライブのアイドル達に熱心になってくれてたって事だろ?本当に可愛い娘とお近づきになりたいって下心だけならわざわざ此処に就職しなくても幾らでも方法はあるしな。それでもお前はこの事務所にやって来て一生懸命働いてくれている。それは決して下心だけで出来る事ではないだろ?」

 

「ッ!?」

 

………確かに、本当に可愛い娘とお近づきになりたいなら他にもっと楽な方法はあった筈だ。だけど俺はそれをせずこの事務所へとやって来た。

 

そうだ、俺がホロライブの皆を好きになったのはただ可愛いとかじゃない、ホロメン達の皆が楽しく活動するその姿を見て応援したかったからだ。家に引きこもりくすぶっていた俺の心をワクワクさせてくれたのはホロライブの皆だった。

 

皆が楽しくゲームをしたり芸人みたいなやり取りをして思わず笑ってしまったり、そしてライブで見せてくれたアイドルとしての輝きを見て思わず応援したくなった。俺が彼女達に対して一生懸命になったのは、決して下心だけなんかじゃなかったんだ。それをこの人は、最初から見抜いてくれてたのか………

 

「それにな神代、お前の頑張ってる姿を見てると、なんだか昔の自分を見てるようでつい応援したくなっちまうんだよ」

 

「え?俺が昔の先輩みたいって……いやでも先輩、めちゃくちゃ仕事出来るじゃないッスか?!」

 

「そんなの長く働いてたら当然だろ?俺だって最初の頃は空回りばっかしてたぜ?例えばな………」

 

それからこの人は……佐々木先輩は俺にいろいろな事を教えてくれた。自分の仕事の経験談やノウハウを、俺に沢山聞かせてくれた。そして改めて思い知った、やっぱりこの人は凄い先輩なんだなって。俺もいつか、こんな人になりたいと。

 

そしてこの時から俺の中で佐々木玲二という人が本当に先輩だと思えるようになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数ヶ月後……

 

「先輩!おはようございます!」

 

「ん、おはようさん。神代、今日も一番乗りか?」

 

「はい!いつか先輩達に負けないような働きを出来るようにしたいので!」

 

あれから俺は一切の下心を捨て、先輩のように皆を輝くアイドルにする為に努力するようになった。まだまだ空回りする事もあるけど次第に玄さんやAちゃん、そしてホロメン達とも打ち解けられるようになったんだ。

 

「そうか、なら頑張れよ。それとAちゃん、今日は神代と一緒に衣装の整理頼んでいいか?」

 

「分かりました、では拓哉君、今日も頑張りましょうね♪」

 

「ああ、頑張ろうなAちゃん!///」

 

そして今、俺はAちゃんと一緒に仕事をこなしていく。実はなんと二週間程前からAちゃんと付き合うようになったのだ。切っ掛けはAちゃんが飲みに誘ってくれ、其処から次第に仲が発展してお付き合いがスタートしたんだ。仕事も充実して、更にこんな可愛い彼女まで出来た!それもこれも、先輩が俺の事支えてくれたお陰なんだ!

 

「先輩!俺、これからもずっと先輩に付いていくッス!」

 

「?よく分からんが……まあ、これからもよろしくな」

 

「はいッス!」

 

よっしゃあッ!今日も一日頑張るぞーッ!!




はい、という事で新人スタッフ回でした!神代はもしかしたら今後ちょくちょく出るかもしれません。

そして神代とAちゃんの交際スタート!実はAちゃんが玲二の事を好きにならなかったのは元からこういったサブキャラとくっつける予定があったからです。漸く実現出来て自己満足です♪

次は本編!久しぶりにヒメヒナ回をやる予定ですので気長に待って頂ければ幸いです、ではまた!


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番外編『ガンダムクイズ』

今回はちょっとホロライブ公式をイメージしてみました。一応クイズなのでよろしければ皆さんも考えてみて下さい。


「第一回ホロライブガンダムクイズ~!」

 

「「「イェーイッ♪」」」

 

「という事で始まりましたガンダムクイズ!司会はホロライブ新米スタッフ神代拓哉がお送りしまーす!そして今回挑戦して頂くのはこの三人!」

 

「はーい、こんこんきーつね♪ホロライブ一期生の佐々木フブキでーす♪そして~」

 

「こんぬい~♪ホロライブ三期生佐々木フレアです~♪そして~」

 

「こんばんドドドー♪ホロライブ四期生佐々木と名乗りたいけどまだ角巻なわためでーす!」

 

「はーいという事で今回はバカタレの三人に集まってもらいましたー♪因みにお三方はガンダムはかなり詳しいんでしょうか?」

 

「そうですねぇ、レイくんの影響でガンプラ沢山作るようになりましたしアニメも結構見るようになったので多分いけると思いますね♪」

 

「アタシも好きなシリーズだったらパッと答えられる自身はあるね」

 

「当然!伊達に歌枠で歌ってるだけあって全問正解ですよ、ドヤァッ……!」

 

「おっとぉ?三人とも自信たっぷりのようですね~?それでは早速ですがルールを説明しましょう!これからガンダムに関わるクイズを十問出題します。その中にはMSに関する問題、アニメのシーンに関する問題、更には皆さんがよくやるガンプラに関する問題なんかも出題されます。最終的に最もポイントが多かった人が勝者となり豪華景品をご用意しておりますが!最下位になった場合は罰ゲームが待っておりますので覚悟して下さい!」

 

「えー?罰ゲームやだー!」

 

「「やだー!」」

 

「はい、罰ゲームが嫌なら頑張って答えて下さいね。それでは早速やっていきましょー!」

 

※此処からは自分なりに用意したクイズになりますのでよろしければ問題時に一度止めて一緒に考えてみて下さい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―第一問―

 

「それでは最初の問題です!この形式番号のMSは?」

 

『PFF-X7II/E3』

 

 

 

 

 

 

「えぇーッ?!」

 

「いきなり形式番号?!」

 

「しかも何この番号?!」

 

「さあお三方、どうぞお考え下さい!」

 

「えぇ~?この感じだと宇宙世紀のMSっぽくはないんだろうけど……」

 

「SEEDやOOでもなさそうだし……」

 

「でも結構分かりやすい形式番号だと思いますよ?」

 

「分かりやすい……………ッ!はいはーい!分かったぁ!」

 

「「嘘ッ?!」」

 

「お、わためさん分かりましたか?ではお答えどうぞ!」

 

「ふふーん♪ズバリ!これはアースリィガンダム!」

 

「え?あ、あぁーーッ!そっか、アースリィか―ブブーッ!―ってえぇ?!」

 

「残念、アースリィじゃないんですよ~」

 

「えぇ?!これアースリィじゃないの?!なんでぇ?!」

 

「ッ!そういう事かぁ!?はい!」

 

「お、フレアさん気づきましたか?それではどうぞ!」

 

「これ形式番号にIIってあるじゃん!これアースリィガンダム(コアガンダムIIVer)だよ!」

 

―ピンポーン♪―

 

「「えぇーーーッ?!」」

 

「正解です!答えはコアガンダムIIベースのアースリィガンダムでした~♪」

 

フレア 1ポイント

 

「ちょっとたくっち卑怯だよ!アースリィで合ってたじゃん!わため正解じゃん!」

 

「いえ、普通のアースリィだと形式番号は『PFF-X7/E3』なのでただのアースリィでは不正解です!」

 

「うわずりぃッ!?いきなり引っかけ問題かよ?!」

 

「いやいや、これでも結構分かりやすい問題出したと思いますよ?番号の下のE3なんてアースリィのモチーフである第三惑星地球というのを表した感じですし、わざわざIIって入れてあげたんですから」

 

「「うぐぐぐぅ………!」」

 

「さ、気を取り直して次の問題にいきましょう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―第二問―

 

「続いても形式番号問題!この形式番号のMSは?」

 

『RGM-89』

 

 

 

 

 

 

 

「さあお考え下さい!」

 

「……いやお考え下さいって!?これ何の特徴もないんだけど?!」

 

「そうだよ神代!アタシ等主役機ぐらいしか形式番号そんなに詳しくないんだからなんかヒント頂戴よ!」

 

「えぇ~……んじゃ搭乗者の名前でも言います?」

 

「「「お願いします!」」」

 

「分かりましたよっと……乗っていたのはハサウェイ・ノアって人ですね」

 

「「……?」」

 

「ッ!分かったぁ!」

 

「お、今度こそわためさん答えられますかな?それでは回答どうぞ!」

 

「ハサウェイって言ったらこれだよねぇ♪Ξガンダム―ブブーッ! ―ってえぇッ?!」

 

「やっぱそうだよね?!Ξなワケないもん!」

 

「そうだよ、Ξの番号はRX-105だし!」

 

「はいその通りですね。わためさん見事に引っ掛かってくれました♪」

 

「そんなあぁ~!?」

 

「えぇ~?そうなると……はい」

 

「今度はフブキさんですね、それでは答えをどうぞ!」

 

「ちょっと名前に自信がないんだけど……ジェガン?」

 

―ピンポーン♪―

 

「はいその通り!正解はジェガンでした~♪」

 

フブキ 1ポイント

 

「あぁーーーッ!?そっかぁ逆シャアかぁ~!」

 

「わためハサウェイってΞしかイメージなかったけどそんな機体にも乗ってたんだ?」

 

「そうなんだよねぇ、でもうろ覚えだったからジェガンかジャガンで迷ったんだよね~」

 

「はい、という事で見事正解したフブキさんに1ポイントです!この調子で皆さん頑張って下さいね。それでは第三問!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―第三問―

 

『機動戦士ガンダムSEEDにて第二話でマリューがストライクを立ち上げた際に出たOSの頭文字を見てキラがガンダムと呟きましたが、この時のOSは

 

General

 

Unilateral

 

Neuro-Link

 

Dispersive

 

A○○○

 

Maneuver

 

でした。では、このOSのAには何が当てはまる?』

 

 

 

 

 

 

 

 

「さあお考え下さい!」

 

「えぇ~?SEEDのOSなんて知らないってばぁー!」

 

「わため一応SEED見てたけど、これってガンダム毎に違うの?」

 

「そうですね、俺もそんなに詳しくないからイメージでしかないけど、製造元によって違うって感じですかねって言ってる側からフレアさん既にフリップに書き込んでいる!?さあフレアさん、お答えよろしいでしょうか?」

 

「はい!絶対これで合ってるよ!」

 

「おお自信満々な様子!それでは回答オープン!」

 

「はい、答えはこれ!『Autonomic』!」

 

―ピンポーン♪―

 

フレア 2ポイント

 

「すげぇぇぇぇぇッ!?」

 

「フーたんなんで分かるの?!」

 

「フフン!ここ最近そら先輩とアズキ先輩と一緒にSEED観賞会しまくってたから全部のガンダムのOS頭の中に入ってるんだわ♪」

 

「いやぁ素晴らしい!因みにフレアさん、このストライクのOSの意味分かります?」

 

「勿論♪単方向の分散型神経接続によって自律機動をおこなう汎用統合性システム、これの英語表記の頭文字を取ったらガンダムになるんよ♪」

 

「なんでそんなのすらすら言えるの………?」

 

「フーたんちょっと怖いねぇ……ガクブルガクブル」

 

「まあ確かにSEEDのOSをすらすら言える人なんて結構限られますよね………ってそんな事は良いとして次に参りましょう、第四問!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―第四問―

 

『かつてスーパーロボット大戦と同じく多作品のロボット達が集結したフィールドを自在に駆け巡る3Dアクションゲーム[Another century episode]ですが、3で登場したガンダム作品を三つあげよ』

 

 

 

 

 

 

「さあお答え下さい!」

 

「……その前にちょっといい?アナザーセンチュリーって何?」

 

「はい、先程の問題文でも出ていましたがかつてスパロボと同じように多作品のロボットが登場し、フルアクションで戦うロボット達に当時のスパロボ大好きなマニア達からはかなりの評価を得た作品なんです。因みに初代と3の主題歌はあの島○ひとみさんが歌ってるんですよ。フブキさんもこの間のライブで歌ってましたよね?」

 

「はい!○arnet moonも○紅もめちゃくちゃ良い曲ですよ~♪という事ではい!」

 

「お、フブキさんいきなり答えてしまうのか?!それでは回答どうぞ!」

 

「はい!逆襲のシャア、ガンダムX、そしてガンダムWEWです♪」

 

―ピンポーン♪―

 

フブキ 2ポイント

 

「はいその通り!これはフブキさんにとってはイージー問題でしたかね?」

 

「このゲームレイくん持ってたからよくやらせてもらったんですよ~♪」

 

「ブーッ!フブちゃんなんかズルい~!」

 

「まあこのゲーム自体結構昔の物でしたしこればっかしは佐々木先輩のゲームやり込んでたフブキさんが有利でしたね。因みに他の登場したガンダム作品は初代、Gガンダム、∀、SEEDですね」

 

「へぇ、結構有名所出てたんだ?それなら当てずっぽうでも当たってたかもなぁ……」

 

「確かに登場の事を考えたら結構参戦してましたね。という事で現在のポイントはフブキさんが2ポイントでフレアさんも2ポイント、そして……おやおや?わためさんまだ0ポイントですかぁ?全問正解ですよドヤァッ!って言ってたのに~?」

 

「悔しいぃー!たくっちのドヤ顔むかつくぅ~ッ!」

 

「もう神代、あんまりわためを苛めるなよ?」

 

「はは、すみませんつい楽しくなって♪それでは続いて第五問目です!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―第五問―

 

「今から俺がとある機体の特徴を言うのでそれが何の機体かお答え下さい。早押しではなくフリップに書いてお答え下さいね。ではいきますよ?

『1.アニメには未登場、登場した媒体は漫画とゲーム。

2.デザインは大河原邦男氏。

3.機体色は青がメインのものと赤がメインのものがある。

4.あの大物アーティストと縁がある。

5.メインの武器とシールドはその大物アーティストに肖ってギターとギターケースがモチーフになっている。』

さあ、この機体は一体何?」

 

 

 

 

 

 

 

「あー、はいはい成る程ね♪」

 

「もうこれ4の時点で確定だよね♪」

 

「これ知らないと失礼だよねぇ?」

 

「お、どうやらお三方答えがもう分かった見たいですね?それでは書き終えたようなので回答を一斉にどうぞ!」

 

「「「せーの……はいッ!」」」

 

フブキ

『エクセリオンガンダム』

 

フレア、わため

『エクストリームガンダム』

 

「……え?あ、あぁーーーッ!間違えたぁッ!?」

 

「あぁーーーっと!?フブキさんだけエクセリオン、残念!正解はエクストリームガンダムでした~!」

 

フレア 3ポイント

わため 1ポイント

 

「ちょっとフブちゃん?!なんでこれ間違えちゃうの?!」

 

「何エクセリオンガンダムって?!」

 

「ち、違うんだよこれは!なんか他のガンダムの名前とごっちゃになっちゃって、いなかったっけエクセリオンガンダムって?!」

 

「えーと……今調べましたけど、二次創作やモデラーの改造等ではいますが公式にはいないようです」

 

※因みにSDにはエクセリオンの名称が付いたものがいるみたいですが、MSとしては存在しないようです。

 

「えぇーーーッ?!」

 

「これフブちゃんやらかしたね……」

 

「これ絶対間違えたらダメでしょ!?だってこの機体ga○ktさんが声当てたんだよねぇ?!」

 

「その通りです!このガンダムは昔ガンダムVSという作品に登場しその時このガンダムの声当てたのがあの大物アーティストのg○cktさんなのです!だからガンダム好きとして歌に関わる者として!この問題を外すのはかなり恥ずかしいです!!」

 

「其処まで言う事ないだろぉ~!///」

 

「アッハハ♪すみません言い過ぎましたね……それにしてもこの方は今病気により無期限休止となっていますが、一日でも早い回復をお祈ります……っという事でわためさん見事初正解となりました!」

 

「イェーイッ♪」

 

「さあまだまだ分からなくなって参りました!それではいよいよ後半戦、第六問です!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―第六問―

 

「またまた機体当てクイズです。次の特徴を持つ機体は?

『1.宇宙世紀のMSです。

2.名前の由来はギリシャ神話から。

3.全高32.5m

4.連邦のMSである。

5.ユニットを外すと別の名前になる。』

さあお答え下さい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「えぇ~?何だろうこれ……?」

 

「ユニットを外すと別の名前になる?そんなのいたっけ……?」

 

「うーん……多分だけど、いや違うかな……?」

 

「おっとぉ?これは皆さん悩んでますねぇ?此処にきて難問に当たってしまったのか、一向にペンが進みませんね~」

 

―五分後―

 

「うーん……もうこれでいくか」

 

「も、もう分からん……」

 

「全高的にも大きいから……やっぱこれかなぁ?」

 

「お、どうやらお三方書き終えたようですね?それでは回答オープン!」

 

フブキ

『Ξガンダム』

 

フレア

『サイコガンダム』

 

わため

『ペーネロペー』

 

「フブキさんがΞ、フレアさんがサイコ、そしてわためさんがペーネロペー!という事で正解は……わためさんのペーネロペーです!」

 

わため 2ポイント

 

「いやったぁーーーッ♪」

 

「ペーネロペー?!え、なんで?!」

 

「ペーネロペーって名前変わるの?!」

 

「そうなんです!ペーネロペーというのはフライトユニットを装着した形態を指していて本来の名前はオデュッセウスガンダムという名前なんですね。しかしわためさん、よく分かりましたね?」

 

「前にヒナちゃんがペーネロペー作ってた時に教えてもらってたからもしかしてって思ったんだよねぇ~♪」

 

「あぁッ?!確かにそんな事言ってた気がする!?」

 

「それってアタシが丁度出産迎えてた頃だよね?うわぁ、その時いればこの問題解けてたなぁ~」

 

「まあ仕方ないですよね、このオデュッセウスガンダムっていう名前もどうやら後付け設定のようですし。それじゃあ気を取り直して次いきましょう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―第七問―

 

「SDガンダムからの問題です。漫画『SD頑駄無武者○伝3』の主人公は破牙丸ことバッキーですが、彼には本来の名前があります。さて、なんという名前でしょうか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………………え?何その問題?」

 

「そもそも武者○伝って何?」

 

「あ、其処からですか?えーとですね……武者○伝は2001年から2004年の間でコミックボンボンで展開されていた三部作の漫画で破牙丸はその三部目の主人公ですね」

 

「だったら分かるワケないじゃん!?もう20年近く前の作品だし!」

 

「そーだよたくっち!わためまだ生まれてすらいないよ!」

 

「えー?でもフブキさんさっき似たような年代のA.C.Eの問題解けてたじゃないですか?」

 

「あれはレイくんの持ってたゲームで知ってただけですよ!」

 

「え?でも先輩確か武者○伝も持ってた筈ですよ。俺この間借りて読んでましたし?」

 

「「「嘘ぉッ?!」」」

 

「うーん、困りましたね……それじゃあこうしましょう、今からお三方それぞれ電話をしていただいてその方に代わりに答えてもらいましょう。但し順番を決めて頂いて、一度選ばれた相手を他の人は選べないという決まりで」

 

「えぇ~?誰知ってそうかな……」

 

「取り敢えずじゃんけんしない?」

 

「そだねぇ、それじゃいくよ~!じゃーんけーん……」

 

「「「ぽんッ!」」」

 

「お、フレアさん一人勝ちですね。それではフレアさん、誰にかけます?」

 

「あー……うん、それじゃあスバちゃんにかけようかな?結構SD沢山作ってるし、もしかしたら玲二さんの漫画も見てるかも知れないから」

 

「成る程、分かりました!それではコールどうぞ!」

 

―プルルルル…ガチャッ―

 

〈もしもーし、フレアどうしたの?今収録中じゃなかったっけ?〉

 

「あ、スバル先輩!そうなんですけどすみません、ちょっと聞いても良いですか?」

 

〈んー?別にいいけど何ー?〉

 

「あのですね…(問題説明中)…という問題なんですけど分かります?」

 

〈……あー、確かねぇ……破牙魔R-01じゃなかったっけ?〉

 

―ピンポーン♪―

 

「はいその通り!正解は破牙魔R-01です!」

 

「よっしゃあーッ!スバちゃんやったよ、ありがとー♪」

 

〈え、何?一体何のはな―ピッ、プー…プー…―

 

「いや最後まで聞いてあげなよ?!」

 

「あ、ごめん時間勿体ないかなって」

 

「まあ確かに少し時間が押してるみたいなんで有難いですがスバルさんの扱いが……まあいいや、では次にわためさん!誰にかけますか?」

 

「えーと、スバル先輩はもうダメだから……ならルーナちゃんにかけたいと思います!」

 

「分かりました!それではコールどうぞ!」

 

―プルルルル…プルルルル…ガチャッ―

 

〈……んなぁ~、もしもしぃ……〉

 

「あ、ごめんルーナちゃん、もしかして寝てた?」

 

〈……うん、で何?〉

 

「実はね、番組のクイズに答えてもらうってヤツなんだけど(問題説明中)って問題なんだけど分かる?」

 

〈知らねぇのら〉

 

「えぇ?!だ、だってルーナちゃんよくSD作ってたりしてるじゃんッ?!」

 

〈そんな事言ったってルーナが作ってるのはHEROSだったり騎士ガンダムだから武者頑駄無なんて範囲外なのら。もう用が済んだのら寝るのら、んじゃ〉

 

―ピッ、プー…プー…―

 

―ブブーッ!―

 

「残念!わためさんポイント獲得ならず!」

 

「うわぁんッ!聞く相手間違えたぁ~ッ!」

 

「確かにルーナが武者頑駄無作ってるところなんて見た事ないもんね」

 

「うち等基本的に本当に気に入ったシリーズのしか作らないからね」

 

「確かにオールマイティーに作るのって先輩かフブキさんくらいですもんね。という事で最後にフブキさん、誰にかけますか?」

 

「うーん……それじゃあクロちゃんにかけようかな?クロちゃんなら知ってそうだし」

 

「分かりました!それではクロさんへコールどうぞ!」

 

―プル、ガチャッ―

 

〈なんだフブキ?〉

 

「って早いよクロちゃん!?まだ1コールもしてなかったのに!?」

 

〈そんな事よりなんか用事あるならさっさと言え、私今作業中なんだから〉

 

「あ、ごめんねクロちゃん。えーと、(問題説明中)って問題なんだけ〈破牙魔R-01〉―ピンポーン♪―ってだから早いよ?!」

 

フブキ 3ポイント

 

〈ふん、そんなの知ってて当然だ。何回あの漫画読み返したと思ってんだ?〉

 

「いや知らないけど?!と、兎に角ありがとクロちゃ―プツッ、プー…プー…―って切れたし?!」

 

「いやぁ流石プロのガンプラモデラーですね、スッと答えてサッと切るとは」

 

「ただ単に作業の邪魔になるからさっさと答えただけだと思うけど?」

 

「確かに最近雑誌とかの仕事が忙しくて親分に全然構ってもらえないからイライラしてたもんねぇ?」

 

「あー、だから最近全然姿を見なかったんですね?ま、それはさておき次の問題に参りましょう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―第八問―

 

「さあ此処からはいよいよガンプラ問題になります!それでは参ります第八問!『現在まで発売されたMGの中で、最も古い宇宙世紀以外のキットは?』さあお答え下さい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「はあぁッ?!そんなの分からんって!?」

 

「えーと、何だろう……うあぁ~ッ!わかんねぇッ!?」

 

「宇宙世紀なら間違いなくファーストガンダムだけど、それ以外なんて分かんないよぉ~!?」

 

「まあ確かにこれかなり難しいかもしれないですね。ヒントになるか分かりませんがそのキットが発売したのは2001年ですね」

 

「20年前?!そんな古いキットなの?!」

 

「さっきからその年代の物多くない?!」

 

「まあこればっかしは問題考えたスタッフさんのさじ加減ですからね」

 

「だったらせめて作品教えてよ!」

 

「いや流石に其処までしたら分かっちゃいそうだからダメですよ。もう後は自力で答えて下さい!」

 

「分かったよもう!ならはい!シャイニング!」

 

―ブブーッ!―

 

「じゃあはい!ウイング!」

 

―ブブーッ!―

 

「えとえと……はい―ブブーッ!―ってまだ答えてないよ!?じゃあこれ!X―ブブブブーッ!―って早いよッ!?」

 

「はい残念でした~。正解は……ゴッドガンダムでした~♪」

 

「えぇーッ?!ゴッドォッ!?」

 

「あぁッ?!フブちゃんさっきシャイニングって言ってたのに!?」

 

「そうです!あの流れでゴッドって言ってれば正解だったのに残念です!」

 

「いやいや!?一番最初にでたMGって言われていきなり後継機が出るとは思いませんよ!?普通一号機が出るもんじゃないですか?!」

 

「それはフブキさん達の勝手な思い込みですよ。因みにゴッドが出たのは2001年11月でその半年後にシャイニングが出てますね」

 

「うがぁ~悔しいぃーッ!」

 

「でも確かにGガンって言われたらシャイニングよりゴッドのイメージが強いもんね。うわぁ、これはやられたなぁ……」

 

「にしてもこれは難しかったなぁ……」

 

「まあ気を取り直して続いて参りましょうか!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―第九問―

 

「それでは問題です!『ガンプラを題材にしたアニメとしてビルドファイターズやダイバーズがパッと思い浮かぶと思いますが、ガンプラ30周年を記念して作られたアニメ、ガンプラビルダーズというアニメにおいて主人公イレイ・ハルが使うガンプラの名前は?』さあお答え下さい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ?これなんだっけ……?」

 

「確かこれ前に玲二さんが作ってたような……?」

 

「うぅ~、思い出せそうで思い出せないぃ~……」

 

「おぉっと!?まさかのこのタイミングで三人ともド忘れしてしまったかぁッ!?しかしこうしている内にも時間はどんどん過ぎてます!さあさあ頑張って思い出して下さいね~!」

 

「えーと………あれだよね?V字アンテナがビームになってるヤツだよね?」

 

「そうそう、ベアッガイが初めて出た作品」

 

「後は……ビームサーベル三本一編に使ってるよね……なんだっけなぁ~?」

 

「うーむ、どうやら本当にド忘れしちゃってるみたいなので此処でヒント、最初の文字は『ビ』です」

 

「「「………ッ!はいはいはいはいはいはい!!」」」

 

「おっとぉ?!お三方一斉に思い出したようだぁ!?それでは皆さん同時だったので答えを一斉にどうぞ!」

 

「いくよ、せーの……」

 

「「「ビギニングガンダム!」」」

 

―ピンポーン♪―

 

フブキ 4ポイント

 

フレア 4ポイント

 

わため 3ポイント

 

「正解です!皆さんよくぞ思い出しましたね!」

 

「いやぁ~、神代のヒントがなかったら多分後三時間掛かってたわw」

 

「えぇ~?フーたん三時間も掛かるのぉ?わためだったら二時間五十分くらいで出てきたかな?」

 

「それ言ったら私だって二時間四十五分あれば出てきてたしw」

 

「いやいや皆さん何ですかそのどんぐりの背比べは?wさあ此処まで九問の問題をやってきましたが次の問題で最後となります!最終問題はなんと1億ポイントです!」

 

「ちょい待てぇーーーいッ!?」

 

「何1億ポイントって?!だったら今までの問題全部意味ないじゃん!?」

 

「なんだったの今までの問題?!」

 

「まあまあよくあるバラエティーの茶番みたいなもんですよwそれではいきましょう最終問題!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―最終問題―

 

『この小説の作者神楽が最近手に入れてめちゃくちゃ嬉しかったガンプラが二つあります。それは何と何?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやいやいやいやいやいやいやいやッ?!」

 

「何このメタい問題?!」

 

「作者の事出しちゃいかんでしょ?!」

 

「さあこれはかなりの難問です!因みに答えは二つあるので二人までお答え出来ますので必然的に残された一人が罰ゲームとなります!」

 

「何その嫌なシステム!?」

 

「そしてヒントを言うと、一つは再販された物でもう一つはプレ○ン限定です!」

 

「えぇ~?再販されたのとプレ○ン限定……はい」

 

「おっとぉ、フレアさん自信なさげですが手を上げたぁ!さてフレアさん、一体なんでしょうか?」

 

「自信はないけど………RGのHi-νガンダム?」

 

「RGのHi-ν、さあ果たして正解なのでしょうか?!結果はぁ~………」

 

 

 

…………

 

 

 

………………

 

 

 

……………………

 

 

 

―ピンポーン♪―

 

「え、嘘ッ?!当てずっぽうだったけど当たった!?」

 

「正解です!再販された物で嬉しかったのはHi-νでした!偶々行った量販店で偶然入荷してたそうです!という事でフレアさん一抜けです!」

 

「うわぁーー!フレアに抜かれたぁ~ッ!」

 

「後一つ、プ○バン限定~?えーと、えーと……はい!」

 

「はいわためさん手が上がった!さて答えは?!」

 

「うわぁーー、わためお願い外してぇ~!」

 

「悪いけどフブちゃん、わためはこれで抜けるよ!答えはズバリ、Hi-ν用ハイパー・メガ・バズーカ・ランチャー!」

 

「成る程、Hi-νに合わせての入手という事ですね?それではいきましょう、果たして正解なのでしょうか?!結果はぁ~………」

 

 

 

…………

 

 

 

………………

 

 

 

……………………

 

 

 

―ブブーッ!―

 

「えぇーーーッ?!」

 

「残念!実は作者はそもそもこの商品は買ってないんですよねぇ」

 

「嘘ォッ?!」

 

「よっしゃあぁッ!これでまだチャンスありだぁーーーッ!」

 

「はい、という事でわためさんは一度お休みで回答権がフブキさんに移ります。それではフブキさん、答えはお決まりですか?」

 

「うーん…………これってもうちゃんと手元にあるヤツだよね?」

 

「そうですね、もう既に到着していますね」

 

「うーん……よし、一か八か……ガンダムアスクレプオス!」

 

「ガンダムアスクレプオス!これはまたマニアックなガンプラをチョイスしましたね!?さあ結果はぁ~………」

 

 

 

…………

 

 

 

………………

 

 

 

……………………

 

 

 

―ピンポーン♪―

 

「よっしゃあぁーーーッ!!」

 

「正解です!見事フブキさん抜けましたぁーーッ!」

 

「いやいやいやいや!?何アスクレプオスって?!」

 

「あれ、知りません?Wの外伝のG-UNITに出てくるガンダムですけど?ほらあのズゴックみたいな姿に変形する」

 

「いや言われても知らないよ!?逆に何でフブちゃんそんなガンダム知ってんの?!」

 

「いやぁ、実は私も二次受注だけど予約してたんだよねぇ。見た目が格好良くて思わず衝動買いしちゃった♪」

 

「流石です!因みに作者はこのアスクレプオスは歴代ガンダムの中で上位に入るくらいのお気に入りのガンダムで、到着して中を見た瞬間思わず三次受注分を二個予約したらしいです」

 

「だから知らないってそんな裏話!?」

 

「さあこれにて全ての問題が終了しました!結果は圧倒的大差!フブキさんとフレアさんが1億4ポイント、わためさんが3ポイント!よって優勝はフブキさんとフレアさんでーす♪」

 

「「いえぇ~い♪」」

 

「納得出来なあぁーーーいッ!!大差ったって最後の1億ポイントおかしいやろぉーーーッ!?」

 

「まあまあ落ち着いて下さい。それでは優勝したフブキさんとフレアさんには豪華賞品としてこちら!全国各地のご当地グルメをお好きな場所を一万円分お取り寄せ致しまーす♪」

 

「おぉーーーッ!これは素直に嬉しいですねぇ♪」

 

「えぇ~?何処にしようかなぁ~♪」

 

「いいなぁ~……」

 

「そしてわためさんへの罰ゲームなんですが、実はこのスタジオ後三十分で捌けなきゃいけないんですよね。ですので我々は撤収しますがわためさんは他のスタッフさんと一緒に残って後片付けお願いします」

 

「何その地味で嫌な罰ゲーム!?結構機材とか無駄にあるんだけど?!」

 

「因みに半分近くが無意味に持ってきた機材ですね」

 

「何でだよ?!絶対持って来なくて良かったじゃん!?只の嫌がらせだよ!!」

 

「はい文句を言わないで下さいねー。それではそろそろこの辺で失礼したいと思います!次回のガンダムクイズはあるのでしょうか?それではまた次の機会でお会いしましょう!」

 

「「「さよ~なら~♪」」」

 

「納得出来ないぃ~……」

 

 

 

 

 

END




如何でしたでしょうか?こういったクイズは今後もやってみたいと思ってますのでその時は暇潰し程度で見て下さいませw


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番外編『これからの事』

急遽書きました。これについては活動報告にも載せてますのでそちらも見て頂けたら有難いです。


夕日が海に沈む頃、俺とるしあはホロライブマンションの屋上に出て二人で沈む夕日を眺めていた。そんな俺達の表情ははっきり言って決して明るくはない、いや寧ろこの落ちる夕日と同じくらい気持ちが沈んでしまっている。その理由は……

 

「…………るしあ、本当に良いのか?」

 

「……良いんです。るしあはもうこれ以上アイドルとしてやっていく事が出来ないのです」

 

るしあの口から弱々しく告げられた言葉。その言葉がもう決して覆る事の出来ない事だと嫌でも思い知らされてしまう……今日この日をもって、『潤羽るしあ』はアイドルを引退した……

 

理由は精神的苦痛によるものである。普段からるしあはメンタルが弱い方だが今までは俺達がなんとかサポートしてきたがそれも限界を超えてしまったのだ。勿論皆も励ましてくれたりしたが、それでもるしあの心は深く傷ついてしまったのであろう。おそらくはもうるしあはこのホロライブタウンの外へ出る事もままならない程精神が衰弱しきっている。

 

「……済まないるしあ、俺がもっとしっかりしていればこんな事には……!」

 

「……良いんです玲二さん。るしあは確かにアイドルはもう出来ないけど、るしあには玲二さんや皆が一緒にいてくれる……るしあはこれからも皆と一緒にいるのです。それが、るしあにとって本当に幸せだから……だから玲二さん、これからはるしあの事ずっと見守っててね?」

 

「るしあ……ごめんな、もうお前に辛い思いはさせない。例えホロライブを辞めたとしても、ずっと俺達は家族だ!」

 

「うん……うん……ッ!」

 

そうだ、例えホロライブを引退したとしても、るしあが俺にとって……いや、俺達にとって大切な家族である事には変わらないんだ!だからこれからは俺達がるしあを家族としてしっかり支えてやるんだ!

 

「スー……スー……」

 

「……泣き疲れて寝てしまったか……るしあ、今までアイドル活動お疲れ様」

 

俺は寝てしまったるしあの頭を優しく撫でる。今も尚るしあの引退に対して様々な意見もあるし、その中にはるしあに対する嫌がらせも混じったりしている。けどいつか、るしあは必ず乗り越えてくれると信じてる。俺に出来る事はは只一つ、家族の長としてるしあの事をしっかり支えてやるだけだ。

 

ともあれ、今までお疲れ様。そして、俺を含むファン達に沢山の笑顔を有り難うな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2022年2月24日、潤羽るしあさんが正式にホロライブを引退されました。一ファンとしては悲しいですが、彼女の新たな旅立ちがきっと幸せになる事を切に願ってます。 by神楽



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番外編『転売について』

この間の転売についてのアンケートを纏めた時に少しネタにしようと思い、今回の話を作りました。今回はほぼ台詞のみなので台詞の前に名前の頭文字を載せます。

今回は玲二とフブキとミオが転売について語り合う回です。最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


フ「………あ、また転売ヤーがガンダムベースで人気のガンプラ買い占めてるって!折角ガンダムベースが規制してるのにそれすらも掻い潜るなんて!?」

 

ミ「ホント、転売ヤーの執念って凄いよね?でも転売ってそもそも本当に儲かるのかな?」

 

フ「でもネットでは月に数百万円稼いだとか言う転売ヤーもいるくらいだし、やっぱり転売ヤーって儲かるみたいだよ?やっぱり副業にはぴったりというふうに言われてるだけあって本業でやればそれなりに稼げるんじゃない?」

 

玲「いや、それは大きな間違いだぞフブキ、ミオ」

 

フ、ミ「え?」

 

玲「転売ヤーって儲かるみたいな事を言ってる人もいるが、それはあくまでもごく一部だけだ。実際には転売をやるにはメリットよりデメリットの方が大きいんだよ」

 

フ「そ、そうなんですか?!」

 

玲「ああ、という事で今回は転売についていろいろと説明していこうと思う。この話は少し長くなると思うがこれを見ている皆も良ければ最後まで見て頂ければ有難いです」

 

ミ「いやレイさんメタいよッ!?」

 

 

 

 

 

※今回は作者による転売について調べてまとめた話となってます。従って必ずしも正しい訳では無いのと個人的主観もあるので興味のない方はブラウザバックして下さい。

 

 

 

 

 

1.そもそも転売って?

 

玲「まずは転売についてだが、これは俺の感想だが今の転売と昔の転売ではかなりの差があると思ってる」

 

フ「どういう事ですか?転売ってただ買ったものを売るって事じゃないんですか?」

 

玲「まあそうだが、本来の転売……つまりせどりと言われるモノは本来の小売価格より何割か安くなった物を購入し本来の小売価格と同じくらいの値段+送料で売る。もしくは購入した後すぐには売らず数年単位で寝かせ、プレ値が付いたら売りに出すという謂わば株のようなモノだったんだよ」

 

ミ「へぇ、そうだったんだ?転売ってなんだか新商品がすぐに高額になるってイメージだったんだけど違うんだね?」

 

玲「そうそれが今の転売、所謂悪質転売ってヤツだな。これ等は転売ヤー達が本来欲しいと思ってる人達よりも早く購入し商品の値段を無理矢理上げている、つまり在りもしないプレ値を付けて市場を掻き回すやり方だ」

 

フ「そうそれですよ!私もこの間再販かかったって言われてたアメイジングストライクフリーダムを買いに行ったらもう売り切れていて、その日のうちにフリマサイトを見たら倍近い値段で転売されてて腹が立ちましたよ!」

 

玲「近年ではこれが横行していて、本来希少性も何もない筈の物を買い占めあたかもレア物のように転売する。これが今の転売に多い所だな」

 

 

 

 

 

2.転売が多いとどうなる?

 

玲「そしてこうした転売が多いと困るのは実は買えない消費者だけではないんだ。さてフブキ、それは一体誰だと思う?」

 

フ「え?えぇっと……誰ですか?」

 

玲「正解は商品を販売するメーカー側だ」

 

ミ「え?でもメーカーにとっては商品が売れるから消費者だろうと転売ヤーだろうと変わらないんじゃ……」

 

玲「いや、それは大きな間違いだ。例えばガンプラもだが、新しい商品を販売したがこれ等を購入したのは殆ど転売ヤーだった場合商品の流れを動かすネット等の市場は大いに荒れてしまう、何故なら正規品よりも転売品が多く出回ってしまうからな。そうなれば商品は売れてる筈なのに買えなかった人達からは苦情の嵐が殺到してしまうんだ」

 

フ「確かに私も商品売り切れた時思わずメーカーに文句言ってやろうと思っちゃいました」

 

玲「そう、そういった事が多くなるとメーカー側としても迷惑でしかないんだよ。商品は充分に行き渡る筈が何故か欲しいと思ってる人達の手に渡らずクレームばかり入るのだからたまったもんじゃないよな」

 

ミ「それじゃあそんな転売なんて許さないってくらいの生産をすれば良いんじゃ……?」

 

玲「簡単に言うがそうなると今度は原材料の供給不足になってしまう。それに仮に出来たとしてもそうするとそのままでは他の転売ヤー達による更に買い占めが横行するだけだ。それがずっと続いてしまうとメーカー側もかなり困ってしまうんだ。なんせ本来の流通量を大きく狂わされた流通の仕方をするからどれだけ生産すれば良いか分からなくなってしまうんだよ」

 

フ「成る程、確かに簡単には生産数を増やせなかったりどれだけ生産すれば良いか分からないとメーカー側も困ってしまいますね」

 

 

 

 

 

3.そもそも転売って儲かるの?

 

ミ「でもレイさん、転売についてはある程度分かったけど、実際転売ってどれだけ儲かるの?やっぱりよくある広告とかにもある通り数百万とか?」

 

玲「はっきり言うとそんなに儲けられる転売ヤーはほんの極一部と言われてる。特にガンプラやカードゲームとかだと寧ろやればやるほどマイナスという人も中にはいるようだ」

 

フ「そうなんですか?!でも月収数百万って人もいるって……!?」

 

玲「所謂誇大広告ってヤツだな。まあ実際本当に稼いでいる人もいるみたいだが殆どが稼ぐより失ってるモノが多いって聞くな」

 

ミ「どうして?買って高い値段で売ればその分儲かるんじゃないの?」

 

玲「それについてはこれを見てくれ、今現在フリマサイトで取引されているΞガンダムの値段だ」

 

フ「えーと………8500円?!小売価格は6600円ですよね!?1900円も高いじゃないですか?!」

 

玲「そう、つまり1個売れば1900円の黒字………とはならないんだ」

 

ミ「え?どうして?」

 

玲「まずフリマサイトだと商品が売れた場合販売手数料の一割が運営側に取られる。もしΞが8500円で取引された場合これでまず850円マイナスだ。更に送料としてΞ程の大きさだとかなり高く、送る場所によるが最低でも1000円近くになると言われてる。そうなると安くてマイナス1850円、そうなれば………」

 

フ「利益は………たったの50円?!これだけ高く売っても手元にこれっぽっちしか残らないんですか?!」

 

玲「勿論安く手に入れたり量販店のポイントとかを駆使したり販売額を上げたりすればもっと利益は出るかもしれんが、それでも微々たるモノだ。しかもこれは順調に売れればの話だ、売れなければそのΞはただの不良在庫になってしまう」

 

ミ「それなら普通にバイトでもしてた方がもっと稼げるじゃん……?」

 

玲「更に此処にメーカー側から再販のアナウンスがあればますます売れなくなってしまう。そうなれば更に値段を下げなければならなくなり今度は売れば売る程赤字になるシステムになってしまうんだ。そもそもガンプラは転売には向かない商材って昔から言われているのに、素人転売ヤーはただただ人気という理由で買い占めようとする傾向があるからな。実際には爆死している方が多いと聞く」

 

フ「ふえぇ、転売ってもっとがっぽり稼いでいるイメージでした……」

 

 

 

 

 

 

4.転売って違法じゃないの?

 

フ「うぅ~……それでもこんな転売ばっかりされるとやっぱり腹が立ちますよ!もういっその事転売を違法化してしまえばいいんですよ!」

 

玲「残念だがフブキ、それはかなり難しいんだ」

 

フ「え、どうしてですか?普通に転売品を規制したりとか………」

 

玲「そもそも転売というのはざっくり纏めると小売業と同じなんだ。スーパーやコンビニが商品を仕入れて店で販売する。要点だけで言うと転売はやってる事はスーパーやコンビニと変わらないんだよ」

 

ミ「つまり転売を規制するような法律を作ってしまったら、同じようなシステムのスーパーとかにも影響が出てしまうかもしれないって事?」

 

玲「そういう事だ。だから転売そのものを規制するのは厳しい…………が、だからと言って法律に全く触れてないかと言われればそうでもない」

 

フ、ミ「「え?」」

 

玲「そもそも企業でもない一般人、消費者が買った時点でその商品は新品ではなく中古品として扱われる。そう言った物を販売する場合は本来古物営業法に基づいて古物商許可を取得しなければならないんだよ」

 

フ「古物商許可?それって何ですか?」

 

玲「ざっくり纏めれば古物、つまり中古品や骨董品を取り扱い販売、買取をする為の許可証だな。ネットオークションやフリマサイトでの販売もこれに該当するんだ」

 

ミ「そうなの?!でもレイさん、そういうフリマサイトでの販売は家財の譲渡って扱いなんじゃないの?」

 

玲「確かに単に不要品を売るという意味では普通なら家財の譲渡だけど、なら二人に聞こう。発売日当日にネットで転売価格で商品が売られてる。これって家財の譲渡だと思うか?」

 

フ「え?!いやいやそんなのおもいっきり販売目的じゃないですか!?」

 

玲「じゃあ不要品と言いながら同じような商品を定期的に販売する。これはどうだ?」

 

ミ「えぇっと……うん、とてもじゃないけど譲渡って言えないね」

 

玲「そう、そういった明らかに家財の譲渡ではなく販売目的と判断された場合、そいつは古物営業法に基づいて古物商許可を取得しなければならない。しかもこの古物商許可は他者の名義を使う事も禁止されている。もし古物商許可を取得しないで古物営業を行った等の違反した場合、三年以下の懲役、最大100万円の罰金、又はその両方が課せられるんだ。実際にこの古物営業法に違反して逮捕されたという転売ヤーもいるくらいだ」

 

フ「そうだったんですね。でもそれならその古物商許可を取得すればそのまま転売出来るって事ですか?」

 

玲「そうだが、それを取得するには以下の条件が必要なんだ」

 

 

・住民票のコピー(※)

・身分証明書(※)

・登記されていないことの証明書(※)

・定款のコピー(法人のみ)

・登記事項証明書(法人のみ)

・最近5年間の略歴書(※)

・許可を受けられない条件に該当しない旨の誓約書(※)

・営業場所の賃貸契約書の写し

(賃貸の場合のみ)

・URLの使用権限疎明資料

(Webサイトを利用して取引する場合のみ、プロバイダ等からの通知書のコピーなど)

(※)法人の場合は、監査役以外の役員全員のもの。役員以外が営業所の管理者になる場合は、管理者のものも必要になります。

 

フ「な、なんだか難しい事ばっかり……?!」

 

ミ「これ全部申請するのに必要なの?!」

 

玲「ああ、しかも必ず申請が通る訳ではない。次の場所は申請は通らない」

 

1.成年被後見人・被保佐人・破産者で復権を得ない者

2.所定の刑罰を受けて5年を経過していない者

3.暴力団員関係者など

4.住居が定まらない者

5.古物営業の許可を取り消されてから5年を経過していない者

6.未成年者(所定の場合を除く)

7.法人で、①~⑤に該当する役員がいるもの

 

玲「これらの内1つでも当てはまってしまったら古物商許可は取得出来ないんだ。しかもこれらの許可申請に必要な手数料は19000円で、原則として申請から40日以内に許可または不許可の通知が届くシステムだ。つまりもし不許可だった場合19000円がまるまる無駄になってしまうって事だ」

 

フ「な、なんだか凄くめんどくさいですね……?」

 

玲「そうだな、誰もが簡単に出来るワケでもなく、しかも申請が必ず通る訳ではない。そう考えると金儲けしか考えてない悪質転売ヤー達はそんなの取得するワケないよな?実際にフリマサイトでもそういった規制は今までなかったからな」

 

ミ「え?じゃあ今の転売ヤー達って野放しにされてるって事?!それじゃあ古物商許可なんて意味ないじゃん!?」

 

玲「そう、其処で消費者庁が遂に動いたんだ。ネット販売での出品者を個人か業者かを分けるガイドラインを策定する事になったんだよ。これで個人としてではなく業者として認定された場合、古物商許可の取得義務は勿論個人の情報も開示しなければならなくなるからこの時点で規約違反するのはつまり完全に犯罪に手を染めるって事になってしまうな」

 

フ「え、じゃあもうそういった販売はやりづらいようになってしまうって事ですか?!」

 

玲「まあまだ曖昧な点もあるしまだまだ制度されたばかりだからなんとも言えんが、少なくともこれから先転売する為のハードルはかなり上がってしまうだろうな」

 

ミ「確かに、転売で生計立ててる人は苦しくなりそうだよね?」

 

玲「更には転売を禁止されている物を売っても犯罪になる。ライブやイベント等のチケットはチケット転売禁止法というモノもあるし、当然偽物ブランド品を売っても詐欺罪になってしまう。それ以外でも売りに出すだけで犯罪になる物もあるらしいからこの話を見ている人達ももしこれ等を転売している人が自分の周りにいたら今すぐ止めるように言ってやってくれ」

 

ミ「だからメタいってレイさんッ?!」

 

 

 

 

 

5.税金について

 

「次に税金についてだな。転売は副業やお小遣い稼ぎに丁度良いと言っている人がいるが、それが一定のラインを越えてしまうと納税の義務が発生してしまうんだよ」

 

フ「一定のライン?それって幾らなんですか?」

 

玲「年間収入、または年間取得が20万円を越えた場合確定申告が必要になり納税の義務が生まれる。ちなみに取得の場合は商品を仕入れて販売した時の実際に得られる金額を差すんだ」

 

ミ「そんなに低い金額で税金が発生しちゃうの?!」

 

玲「ああ、副業だからといって荒稼ぎしてしまうとかなりの税金を納めないといけない事になってしまうんだよ」

 

フ「じ、じゃあ本業でやれば払う必要はないんじゃ……?」

 

玲「………そうなると本業の方で税金が発生するし、仮に発生しないとなるとそれは103万以下の収入だ。月換算すればおおよそ85000円だ。そんなんで生活なんて出来るか?」

 

フ「うッ?!……………出来ません」

 

玲「まあこうして発生した所得税を払わなかった場合追徴課税がとんでもないくらいになってしまうし何より信用問題にも関わってくるから税金が発生するラインを越えた場合はしっかり確定申告をしなければならない。現に4300万円稼いだ男が脱税して1400万円の追徴課税を取られてしまうって話もあったくらいだしな」

 

ミ「1400万円!?そんなに取られちゃうの?!」

 

玲「まあこれはあくまでその時の状況次第だがもし転売していて税金を納めてないって人はちゃんと確定申告しないと後になるとかなりの金額を失う可能性もあるから注意しないといけないな」

 

 

 

 

 

6.転売ヤーの印象

 

玲「そしてこれを見てほしい。これは前回の話からアンケートでとった転売ヤーに対する印象だ」

 

 

 

転売行為についてどう思いますか?

 

1.害悪でしかないから必要ない! 126票(62.6%)

2.ネット販売されない限定品とかならまぁ…… 17票(8.5%)

3.ルールとモラル守ってるなら良いかな? 56票(27.9%)

4.私転売ヤーです 2票(1.0%)

 

フ「やっぱり転売行為に対して必要ないって言ってる人が多いですね」

 

ミ「でもルールやモラルを守っているならやっても良いって人も結構いるね?てか転売ヤーが二人もいるんだけど……?」

 

玲「そうだな、俺もこの結果は意外だったわ。でも俺自身も転売行為に対してはルールやモラルをしっかり守っていれば何も問題ないと思ってる」

 

フ「えぇ?!でも転売ヤーのせいで買えない人もいるんですからこういった人達はいらないと思いますよぉッ!!」

 

玲「落ち着けフブキ、転売ヤーだったら誰でも良いワケではない。ちゃんと古物商許可を取得し、確定申告も行い納税している事。そして商品を仕入れ、発送する際も丁寧な対応を行う事がしっかり出来ている事。これ等を出来て初めてちゃんとした転売と言えるんだ。そういった申請もせず納税もしないで物流を阻害し買い占め行為に走り、不必要な上乗せをして高額転売をするような悪質転売ヤーなんて言語道断だ」

 

ミ「確かにそういった事する人達って結構梱包とかも適当だって人もいるもんね」

 

玲「そうだな。そして当然のように偽物と知ってて売ったり中身のない空箱だけを売る、全く違う物を送る等も立派な詐欺行為になり完全な犯罪となるのでそういった事もしっかり守らないといけないな」

 

 

 

 

 

7.まとめ

 

玲「とまあ此処まで転売について話してきたがどうだった?」

 

フ「なんだか転売ヤーって儲かるって感じだったんですが思ったより稼げないんだなぁって思いました」

 

ミ「ウチも、これなら普通にバイトでもして稼いだ方が有意義な気がしたね」

 

玲「転売と言っても簡単にはうまくいかないって事だな。更にこれからはどんどん転売というのは難しくなると言われている。政府が悪質な転売ヤーを抑制する方針をとっていたり、今まで脱税していた転売ヤー達に対して税務署が税務調査したりと今まで以上に転売ヤー達に対する風当たりが強くなっていくだろう」

 

フ「楽して稼げる道なんてないって事ですね」

 

玲「ああ、フリマサイトのコメント欄でよく『複数購入してしまった』『貰い物だけどいらない』『積みプラの整理の為』とか書いてる奴もいるが、過去の経歴を見られればおそらくそんな言い訳通用しなくなるし、逃げ場をどんどん追いやられていく感じはするな。てかそもそもちゃんとした転売業営んでる人達はそんな言い訳しないけどな」

 

ミ「確かにそうだよね。それともう1つ思ったんだけど駿○屋さんとかの中古品扱ってる店も今ガンプラって高くなってるけどあれはちゃんと古物商許可取ってるから大丈夫って事なの?」

 

玲「そうだな。だが一般人が転売出来なくなってくれば市場の流通も安定してくる。そうなればそういった店も売れなくなるから値下げせざるを得なくなってしまうだろうな」

 

フ「ていうかなんでそんなお店まで転売価格で販売してるんですかね?」

 

玲「理由としては幾つかあるだろうが1つはそういう価格でも売れるからというのと、他だとそうしなければ転売ヤー達による買い占め騒動が起こり更なる転売が横行するからだろうな。だからこれに関しては半分は仕方ないと思うが、それにしたってやっぱり高いんだよなぁ」

 

ミ「まあそれも時期に修まるんだったら良いんじゃないかなそれにウチ等はちゃんとしたお店で適正価格で売られてる時に買えば良いしね♪」

 

玲「そうだな、それとこれを見ている人達でもし転売ヤーが許せないって言う人達はそんなに急いで欲しいという商品ってワケではないなら転売ヤーから買わない事、それを守るだけで悪質な転売ヤーは勝手に自爆してくれるから皆も再販情報等も確認してなるべく転売商品を買わないようにしてくれ」

 

フ「そうですね、ガンプラは特に此処最近再販に力を入れてくれてますしね♪」

 

ミ「そうだよね、さっきの話に出てたΞも6月から4ヶ月連続再販するって言ってたからメーカーの本気が伺えるよね」

 

玲「そういう事、そして最後にこれを見ている転売ヤーに一言。俺からは転売をするなとは言わない、だがやるからにはちゃんと古物商許可を取得ししっかり確定申告をして納税する事、そして無意味な買い占め行為など行わない事。これをちゃんと守らないと後で痛い目見るのは自分自身だからな」

 

フ「それじゃあ転売のお話も終わった事ですしレイくん、一緒にホロプラ行ってガンプラ買いましょうよ♪」

 

ミ「あ、ウチも一緒に行く~♪今日発売のガンダムアスモデウス楽しみなんだよね~♪」

 

玲「ああ、それじゃあ早速ホロプラに行くか」

 

フ、ミ「「おー♪」」

 

転売そのものは違法ではありません。しかし、転売は小売業並びに古物商に該当します。もし転売を行う場合は例えフリマサイトであろうと古物営業法に基づいて古物商許可を取り、稼いだお金によって発生する税金もしっかり納めましょう。でないと、稼ぐ処か失う羽目になりかねません。




はい、という事で転売についてのお話でした。話の途中でも書きましたが自分が調べた事なのでもしかしたら間違っているところがあるかもしれませんがそれは私の勉強不足という事でお許し下さい。

皆さんは転売についてどう思いますか?よろしければコメントして頂ければ有難いです、ではまた!


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番外編『ガンプラ一番くじ2022』

今年も来ましたガンプラ一番くじ!という事で今回はホロライブ対にじさんじの対決です!にじさんじからはまだ出てきた事のないメンバーも出てきますので最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


「ホロライブVS!」

 

「にじさんじの!」

 

「「ガンプラ一番くじ対決2022~!」」

 

『イェ~イ♪』

 

6月5日、この日はホロライブとにじさんじのメンバーによる合同企画『ガンプラ一番くじ対決2022』が行われようとしていた。

 

「はい始まりましたガンプラ一番くじ対決2022!MCを務めますのはホロライブより佐々木フブキと!」

 

「にじさんじより社築がお送りします!それでは早速各メンバーの自己紹介と参りましょうまずはにじさんじメンバーからどうぞ!」

 

「はーい、おはやよ~笹木咲やよ~♪」

 

「1に睡眠2に睡眠、三下なんて言わないで~!椎名唯華でーす♪」

 

「はーい立てばアクティブ座ればポジティブ歩く姿はセンシティブ♪愛園愛美でーすイェーイ♪」

 

「お待たせ、待った?どうも、にじさんじ公式美少女錬金術師アンジュ・カトリーナですよろしくお願いしまーす♪」

 

今回にじさんじメンバーから集まったのはお馴染み笹木咲の他に咲とよく絡んでいる高校生アイドル『椎名唯華』とメイド喫茶で働く『愛園愛美』と何故か異性からモテない『アンジュ・カトリーナ』、其処にMCの社築を加えて計5人が参戦してくれた。

 

「そして次はホロライブメンバーですどうぞ~♪」

 

「はーい、こんなきり~♪佐々木あやめだぞ~♪今日はにじさんじとの合同企画という事で楽しみにしてたんでよろしくお願いしまーす♪」

 

「こんやっぴー♪佐々木トワ様でーす!」

 

「刮目せよ!吾輩の名は、ラプラス・D・佐々木だ!」

 

「ホロライブ6期生掃除屋でインターンの佐々木クロヱでーす♪ばっくばっくばくーん♪」

 

今回ホロライブメンバーから集まったのはあやめ、トワ、ラプラス、クロヱにMCのフブキを加えて計5人の参戦。果たして一体どんな対決になるのだろうか?

 

「はい自己紹介も終わったところで早速ルールを説明させて頂きます。今回はホロライブタウンにありますこちらのコンビニに全面協力して頂き私達ホロライブメンバーと社さん率いるにじさんじメンバーとでどちらがくじ運が強いか勝負したいと思いまーす♪」

 

「そして今回最も点数が高かったチームにはなんと!素敵な賞品が待ってるとの事なので皆さん気合い入れて挑んでほしいと思います!」

 

『イエェーイッ!!』

 

それでは此処で細かなルール説明をさせて頂きます。

 

今回はこちらのセ○ンイレ○ンホロライブタウン店に用意して頂いたガンプラ一番くじをフルロットの状態から皆さん5枚ずつくじを購入し一斉に開いて頂きます。その中にある賞に応じてポイントが加算され、最終的にポイントが多いチームが勝者となります!

 

因みに今回の一番くじのラインナップとポイントはこちら!

 

A賞 MGガンダムエクシア ソリッドクリア 10P

 

B賞 MGガンダムバルバトス ソリッドクリア 7P

 

C賞 HGガンダムバルバトス ソリッドクリア 5P

 

D賞 エントリーグレード ストライクガンダム ソリッドクリアアナザー バズーカ装備Ver 3P

 

E賞 SDOOガンダム ソリッドクリア 1P

 

以下0P

F賞 タオル

G賞 ビジュアルボード

H賞 アクリルキーホルダー

 

またラストワンとしてMGのガンダムエクシアのソリッドクリアアナザーが貰えるが今回の企画では無理なので割愛します。

 

果たして勝つのはホロライブか?!それともにじさんじか?!いざ開幕!!

 

「はいという事で早速これから各自5枚ずつくじを買ってきてもらいますが、皆さん何か欲しい物はありますか?」

 

「うちはやっぱりA賞!ポイント欲しいのもそうやけどエクシア当てて玲二さんと一緒に組みたい!」

 

「あてぃしは其処までガンダム詳しくないからポイント稼げたらなっていうのと後個人的にタオルが欲しいかな~」

 

「私はバルバトス!MGでもHGでも良いから兎に角欲しいです!」

 

「私も其処までガンプラ作った事ないからガンプラ当たったらこれを機に玲二さんと作っていけたらなと思います」

 

「俺はA賞のエクシアだな。本音で言えばラストワン賞のエクシアのソリッドアナザーが欲しいけどそれは企画的に無理なので後で個人で入手したいと思います」

 

「成る程!ではホロライブメンバーはどうでしょうか?因みに私は昨日レイくんと買いに行ったので何が当たっても良いかなって思ってますね」

 

「余はHGバルバトスを出来れば二個欲しいかな。この間オプションパーツセット買ったから第一から第六の形態を並べて飾りたいぞ♪」

 

「トワもバルバトスかな。やっぱり悪魔の名前を持ったガンダムって魅力的だよね~♪」

 

「じゃあ吾輩もトワ様と同じで~♪」

 

「沙花叉はD賞のストライクが良いな。このバズーカ装備は今だとこれでしか入手出来ないし」

 

皆それぞれ違うが比較的バルバトスが人気のようだ。さて結果はどうなる事やら?早速買っていきましょう!

 

 

 

 

 

―購入中……―

 

 

 

 

 

「はい、という事で皆さん買って参りました~。ではまず誰から開けます?」

 

「お、ではMCの俺達から開けようか?」

 

「そうしますか、それでは一緒に開けますね♪」

 

まずはフブキVS社のMC対決!一体何が出るのか?!

 

「ではまずは私から……お、いきなりC賞出ました!HGバルバトスゲットォ~♪」

 

「マジで?!こっちは……クッ、タオルにビジュアルボードか……あぁ~!E賞出たけど他はガンプラ無しかぁ~」

 

「ちょっとやしきず何してんのさ?!」

 

「流石に運悪くない?!」

 

「うるせぇよ!?こればかりはどうしようもねぇだろ!?」

 

どうやら社は散々な結果のようで他のメンバーから言いたい放題言われている。それでは二人の結果を見てみよう。

 

フブキ

C×1 D×1 G×2 H×1

計8P

 

E×1 F×2 G×2

計1P

 

いきなりホロライブチーム7Pリード!にじさんじチームは逆転出来るか?!

 

続いてはあやめVS咲!早速開封……の前に咲が何やら言いたい事があるようで。

 

「おい百鬼あやめぇッ!」

 

「ん?どうしたんだ咲ちゃん?というより余はもう百鬼じゃないんだが?」

 

「そんなのどーでも良い!おい百鬼あやめぇ!お前玲二さんからめちゃめちゃ愛されてるからって調子に乗んじゃねぇぞぉッ!この対決に勝って、そのポジションうちが貰ってやるからなぁッ!!」

 

いきなりの宣戦布告を受け一瞬きょとんとするもあやめはすぐにフフンと余裕な笑みを浮かべ

 

「フフン!そんなの出来っこないぞ!だって玲二様と余は固い絆で結ばれておるからな♪」

 

とまさかの挑発返しをする。

 

「へッ!そんな余裕見せられるのも今の内だかんなぁッ!そんじゃいくぞコラァ~ッ!!」

 

鬼とパンダ、二人の熱いバトルが今始まる!

 

 

 

そして、結果は……ッ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あやめ

F×2 G×2 H×1

計0P

 

F×1 G×1 H×3

計0P

 

「……えーこの勝負、どちらも0Pで引き分けでございます」

 

「まさかガンプラ一個も出ないで終わるとはな……そりゃああなっちまうか」

 

まさかの二人して下位賞のみの結果に。あんだけ息巻いてたのにこの結果だったので恥ずかしさのあまり二人してコンビニの端で蹲っている。

 

「き、気を取り直して次に参りましょう~♪」

 

続いてはトワVS唯華の勝負!お目当ての品は出るのか?!

 

「おっしゃあッ!早速開封……あれ?どうしたの椎名さん?」

 

「………いやちょっと、今日のお仕事聞いてたのと少し違うなぁ思って」

 

「え?でも今日は最初から一番くじ引くって話になってたじゃん?」

 

「そうやけど!やったら何で玲二君おらんの?!あてぃし玲二君が今日来るって言うから来たのにいないだなんて酷いやんッ!?」

 

そう、本当なら今日は玲二も収録に参加する予定だったのだ。では何故来られなくなってしまったのかと言うと……

 

「しょーがないじゃん、かいりちゃんが急にお熱出しちゃって病院行かなきゃいけなくなっちゃったんだし」

 

「う、それ言われたら何にも言い返せない……折角玲二君と久々に会えると思って来たのにぃ~!」

 

お目当ての玲二がまさかの不参加という事でやる気メーターが一気に下がる唯華。まあこの後の打ち上げには来るみたいなので今は収録に集中してほしい処。此処は何としてでも上位賞を当てて後で来る玲二に良いところを見せてやろう!

 

「そんじゃ一斉に開けて下さいオープン!」

 

社の合図と共に二人はくじを開けていく。果たして何が当たるのか?!

 

「……お?やった~♪C賞のバルバトスとE賞のSD当たった~♪」

 

トワ

C×1 E×1 (この先F以下はまとめます)0×3

計6P

 

トワはお目当てのバルバトスをゲット!ポイントも稼げてなかなか良い感じ、しかし!

 

「んーと……あ、D賞が出て……ッ!?やった!B賞出たぁッ!!」

 

「嘘ぉッ?!」

 

一番興味が薄い唯華がまさかのB賞ゲット!D賞も一緒に出たのでこれはかなりの高得点獲得だ!

 

唯華

B×1 D×1 0×3

計10P

 

「うわぁ~ッ!HGも嬉しいけどMGのバルバトス欲しかったなぁ~……」

 

「イェ~イ♪」

 

「さあ3組目にして漸く上位賞が出ました!残る2組もこれに続く事は出来るのでしょうか!?今現在のポイント合計はこちら!!」

 

ホロライブ

13P

 

にじさんじ

11P

 

「若干ホロライブが優勢ですがにじさんじも負けじとまだまだ挽回出来そうな予感がします!それでは次の組み合わせいってみましょう!」

 

続いてはholoXの子供総統ラプラスとメイド喫茶で働くお姉さん愛美との対決!しかし愛美は玲二とどんな関係が………?

 

「そういやお前聞いたぞ?この間パパとママと一緒にホロプラでガンプラ一緒に作ってたって」

 

「そーなんだよね、玲二君とフブキちゃんは前からのガンプラ仲間だったんだ~♪」

 

「へーそうなのか?ならパパ達と作った中で一番お気に入りなのって何だ?」

 

「一番お気に入り?うーんとね……旧MGドム三体かな?」

 

『渋ッ!?』

 

まさかの新造形版ではなく旧MGのドムをチョイス!かなり渋いチョイスだ……

 

「ま、まあそれは良いとして……それとママが言ってたぞ!お前そん時パパにめっちゃ寄りかかって胸当ててたって!!何人のパパ誘惑しようとしてんだよ!?」

 

「あーそれ?ごめんね、そんなつもりなかったんだけどガンプラ作ってたら夢中になっちゃって♪」

 

「ぐぬぬ……良いさ!この勝負でもし吾輩が勝ったら二度とパパに近づけないようにしてやる!」

 

「えぇ~?!玲二君とフブキちゃんは愛園にとって数少ないガンプラ仲間なのにぃ~!?」

 

……本当に他意はないのか?若干怪しいがそれはさておきくじの結果オープン!

 

「……んー、CとDは出たけど……お!Cもう一個出た!」

 

「え、本当に?!こっちは……Dが三個にEが一個かぁ。バルバトス欲しかったなぁ~」

 

ラプラス

C×2 D×1 0×2

計13P

 

愛美

D×3 E×1 0×1

計10P

 

結果はご覧の通り!これで合計点数はホロライブ26Pでにじさんじが21Pとホロライブが依然として有利な状況だ!次が最後、果たしてアンジュは巻き返せるのか?!

 

「さあ次で最後ですがアンジュさん意気込みとかありますか?」

 

「いや意気込みって言われてももうくじ開けるしかないやん!?何を意気込んだらええねん?!」

 

「じゃあこれからこっちに向かってる玲二に向けて何か一言を」

 

「え?!えぇっと………玲二さん、この勝負に勝ったら私と結婚しよ「許すワケねぇだろこのペッタンまな板なんちゃって錬金術師ッ!!」酷ッ!?其処まで言う事ないじゃん許せねぇよなぁッ!?」

 

フブキからの辛辣な一言に傷つき若干涙目になるもアンジュはくじを開いていく。果たして結果は……

 

「グスッ……あ、あぁッ!?や、やった!B賞出たぁ~ッ!良かったぁ~ッ!!」

 

「な、泣く程の事か……?」

 

「いや多分私のせいですねこれ……アンジュさんごめんなさい、言い過ぎました」

 

アンジュ

B×1 E×1 0×3

計8P

 

アンジュ見事に8Pゲット!これによりにじさんじメンバーの合計は29ポイントとなった!つまりはホロライブメンバーが勝つには残るクロヱがD賞以上を当てるしか残されてない!しかし此処まで皆かなりのガンプラを当ててしまっている為、確率はかなり低くなっている。そんな中クロヱは無事ガンプラを引き当てる事が出来るのか!?

 

「ではこれで最後です、クロヱちゃんお願いします!」

 

「はい!では……」

 

緊張の中、クロヱは一枚ずつ慎重にくじをめくっていく。

 

「………タオル……ビジュアルボード……ビジュアルボード………タオル…………後、一枚……」

 

「おっとぉ?!此処でまさかクロヱさんガンプラが出ないまま残り一枚となってしまったぁッ! 」

 

「このままじゃ0Pになってしまいますが、クロヱちゃんは無事にガンプラをゲット出来るのかぁッ!?」

 

緊張の一瞬、泣いても笑ってもこれが最後の一枚!果たして結果は………ッ?!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………………や、やったあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!A賞出たあぁ~ッ!!」

 

『嘘オォッ?!!?』

 

「まさかの逆転勝利ッ!最後の一枚が全くじの中で一枚しかないA賞だったとはまさに奇跡ッ!!」

 

「という事でクロヱちゃん10P獲得!従ってこの勝負、36P対29Pでホロライブメンバーの勝利~ッ♪」

 

『イエェーーイッ♪』

 

まさかの逆転劇!!しかしこれこそ一番くじ勝負の醍醐味!この一番くじを制したのはホロライブメンバーだった!

 

「という事で賞品なんですがなんと!!にじさんじのエリー・コニファーさんが用意して下さいました花のババロアとお紅茶セットでございます!」

 

「はーい♪それでは勝利したホロライブの皆様に私がご給仕させて頂きまーす♪」

 

「えぇッ?!めっちゃええやんそれマジで旨いんよ!うわぁ負けたの悔しいぃ~!!」

 

「うわぁ見た目凄く綺麗で美味しそう~♪」

 

勝利したホロライブメンバーへのご褒美はにじさんじ所属のエリー・コニファーから花のババロア、そしてエリー自らが淹れる紅茶のおもてなしセットだ。これは以前にじさんじの公式番組であるレバガチャダイパンという番組でも登場し社と咲の舌を唸らせた至高の逸品である。

 

「という事で今回はホロライブメンバーの勝利という事でしたが皆さん如何だったでしょうか?」

 

「余はガンプラ何にも当たんなかったから後日個人的にリベンジするぞ!」

 

「うちだってA賞欲しいからもっかい引く!そんで次回があるなら絶対に負けんからなぁ~ッ!」

 

「トワもMGのバルバトス欲しいから後でもう一度挑戦しようと思います♪」

 

「あてぃしはタオル手にはいったしもう満足したから充分かな?負けたのは悔しいけど」

 

「吾輩はこの後パパとバルバトス組むの楽しみだぞ♪」

 

「あ、それなら愛園も一緒に「お前は来んなッ!」えぇ~?!なんでぇ~!?」

 

「沙花叉もエクシアをお兄ちゃんと作って部屋に飾りたいと思います♪」

 

「うぅ、勝てたと思ったのにぃ~……」

 

満足する者もいれば納得しない結果に終わった者もいるが、兎に角これにてガンプラ一番くじ対決は終了でございます!

 

「それではまた機会があれば是非対決シリーズとしてやっていきたいと思いますのでその時はよろしくお願いしますね♪」

 

「はいこちらこそよろしくお願いしますという事でね、今回はこの辺でお開きにしましょう。以上ホロライブVSにじさんじガンプラ一番くじ対決でしたー!」

 

『ばいばーい♪』

 

 

 

―ガンプラ一番くじ対決 完―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―オマケ 玲二合流後―

 

「そういや玲二、お前前日に本土の方で引いてきたんだよな?何回引いたんだ?」

 

「俺?俺は20回を計3ヶ所で引いてきたぞ、1ヶ所だけ21回だけど。結果としてはこんな感じだ」

 

玲二

ラストワン×1

A×1

B×2

C×5

D×6

E×4

他43

 

「え?!マジでラストワン貰えたのか!?」

 

「ああ、2ヶ所目が21枚しか残ってなくてどうせならって残ってるの全部引いてきた。そして3ヶ所目でA賞出たから其処で終わりにしたんだよ」

 

「え?じゃあもしかしてA賞出なかったらもっとやってたのか?」

 

「まあ考えてはいたな。けど早めにA賞出て良かったわ」

 

「そ、そうか……(61回は早めなのか……?)」

 

以上玲二(作者)のくじ結果でした。




はい、という事で今回の一番くじは自分は3ヶ所巡り計61回購入しました!A賞のエクシア出るまでやったらこうなってしまいました(汗)けどラストワン手に入り結果的には満足です♪


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番外編『にじさんじ襲来』

今日は30MSファルの発売日!朝早くから行ってゲットしました♪しかし髪パーツは一種類しか手に入りませんでした……(泣)

今回はにじさんじメンバー達がホロライブマンションで大暴れ?な回です。最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


此処はホロライブタウン。様々なアイドル事務所が集まる夢の島である。

 

その中心とも言えるアイドル事務所『ホロライブ』のメンバーが一緒に住んでるホロライブマンションの近くの公園で、何やら不穏な様子が…………?

 

「皆ぁー!あれを見ろーッ!あれこそがうち等の愛する玲二さんが住むホロライブマンションやぁーーーッ!!」

 

「おぉー……ってなんかでかくなってません?!前来た時の数倍おっきくなってますよ!?」

 

そう、美兎の言う通りホロライブマンションは以前と比べて数倍程拡大していた。外観もお洒落になっており最早豪邸通り越して城である。

 

「なんでも子供達も増えたから家を増築したそうなんやけど、問題はそんな事やないッ!実は昨日フブキちゃんからこんな手紙が届いたんやーッ!!」

 

「手紙?どれどれ………」

 

咲が勢い良くポケットから一枚の手紙を取り出し美兎がそれを読み上げていく。その内容とは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

“拝啓、にじさんじの皆様へ

 

暖かい日の光に照らされ青葉が生い茂る今日この頃、皆様の益々のご活躍大変喜ばしく思います。

 

あまり長々と書くのも怠いので要件だけお伝えします。

 

この度私達佐々木一家が住むホロライブマンションは新たに増築し新名『神羅城』となりました。

 

其処で増築祝いとしましてにじさんじの皆様には素敵なゲームをご用意しました。

 

手紙と一緒に同封した一日限定のゲスト用カードキーが複数枚入っております。

 

本日午前10時から正午までの二時間の間にそのカードキーを使って見事レイくんの部屋にたどり着けた人には賞品として、レイくんと結婚出来る権利を差し上げます。

 

これはレイくんや他の皆と話した事なので正真正銘正式な結婚です。

 

皆様が私達と同じようにレイくんの奥さんになれる最大のチャンス、是非ご参加下さいませ♪

 

佐々木玲二の正妻 フブキより

 

 

 

P.S. やれるもんならやってみなw”

 

 

 

『な…………なんだってえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇーーーーーッ!?』

 

まさかの僥倖!なんとあれだけ新しい嫁を増やす事を拒んでいた佐々木一家がどういう風の吹きまわしかは分からないが自分達にも玲二と結婚するチャンスを正式に与えてきたのだ!

 

「そ、それってこのゲームクリアすれば……!?」

 

「玲二くんと堂々と結婚出来るって事!?」

 

「そうや!そしてそのクリア条件は今日の12時迄にこのホロライブマンション改め神羅城から玲二さんの部屋を探す事やぁーーーーーッ!!」

 

『おぉーーーーーッ!!』

 

まさかのチャンスに一同大興奮!しかし、カードキーは全部で5枚!今いるメンバーを考えると何組か共に行動しなければならないという事になる。果たして、このメンバーの中で玲二と結婚出来る娘は現れるのだろうか!?

 

「っしゃあーーーーーッ!そんじゃあいくでぇーーーッ!!」

 

そして勢い良くカードキーを当て玄関の扉を開ける咲。扉を開けると其処はまるで高級ホテルのような玄関が広がっていた。その光景に一同興奮しながらも目的とする玲二の部屋に通じる道を探っていく。

 

「おぉーし!まずはあまみゃが一番乗りだぁ~♪」

 

そんな中先陣を伐ろうと青髪の女の子『天宮こころ』がフロアへと突っ込んでいく。が……ッ!?

 

―ガコンッ!―

 

「へ…………………?」

 

―ヒュン……!―

 

「なあぁんでえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ……………………ッ?!」

 

突然フロアの床が開きこころはそのまま奈落へと落ちてしまった。

 

「え?!な、何でこんな所に穴が!?」

 

「ど、どうしよう!?あまみゃが落ちちゃったぁ!?」

 

唐突な出来事に呆然とする一同。其処に……

 

―ハアァッハッハッハッハァーーーッ!!にじさんじの諸君、ようこそ神羅城へ!!―

 

「ッ?!こ、この声……フブキさん!?」

 

突然フロアの天井からフブキの声が流れだす。一体これはどういう事なのか?

 

―私達がそう易々とレイくんのいる部屋に行かせるワケないでしょうがぁッ!此処から先にはこうした罠が沢山仕込まれてるから覚悟しなぁッ!!ハアァッハッハッゲホゲホッ!………と、兎に角この罠を掻い潜って来れた人はレイくんのお嫁さんになる事を認めましょう!まぁ出来たらの話ですがねッ!!―

 

「……成る程、道理で条件が緩いと思ったよ」

 

「でも!それでもうち等は引くワケにはいかんのよッ!!皆ぁ!此処からはそれぞれ別行動で玲二さんの部屋を見つけるぞぉーーーッ!!」

 

『おぉーーーーーッ!!』

 

こうしてにじさんじメンバーはそれぞれチーム毎に別れて玲二の部屋を探す事にしたのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―三バカチーム―

 

「……分かってはいたけど前に遊びに来た時と全然配置が違うなぁ」

 

「それでも!私達には一つ一つ探して行くしかないのです!」

 

「おぉ~、頑張れ二人とも~♪」

 

まずはこのチーム。にじさんじの中で三バカと呼ばれている三人、毎度お馴染みアンジュ・カトリーナとしずおk……じゃなくてヘルエスタ王国の第二皇女『リゼ・ヘルエスタ』と二人と仲の良いつよつよケルベロスこと『戌亥とこ』である。そんな三人の玲二への好感度はこちら

 

アンジュ・カトリーナ

RSL(玲二好きレベル):135

 

リゼ・ヘルエスタ

RSL:158

 

戌亥とこ

RSL:79

 

因みに知らない方に説明するとRSLは100を越えると恋愛的、親愛的になるのだが……あれ?戌亥の数値が低いような……?

 

「……そういや戌亥、なんであんたまでこのゲームに参加してんの?確かあんた玲二さんの事只の友達って言ってなかったっけ?」

 

「あ、確かにそうじゃん。まさか戌亥も本当は玲二さんの事を狙って……?!」

 

「違うってばぁ。あたしはただこのゲームクリアしてリゼに玲二さんとの結婚の権利をあげよっかなって♪」

 

「え……?そ、それじゃあ戌亥は私の為に……?!」

 

戌亥の参加した理由がまさかのリゼの為と知り思わず感激で涙が出るリゼ。しかし……

 

「……いやそれだと二手に別れてた方が確率上がんない?」

 

「「…………………あ」」

 

そう、リゼの結婚出来る確率を上げるなら一緒にではなく別行動すべきなのにこれでは殆ど意味がない。肝心なところでやらかす、まさに三バカである。

 

「と、兎に角!私達は当初の予定通り一つ一つ部屋を当たって行くしかないのです!という事でまずはこの部屋です!」

 

そう言ってリゼはまず一番手前の扉を解錠し中に入っていく。しかし其処は家具すら置いてない空き部屋であった。

 

「………此処ではないみたいね?」

 

「そのようですわね……ではすぐに他の部屋に―ガチャンッ!―ってあれ?!扉が勝手に……!?」

 

すぐに部屋を出ようとするリゼだったがいきなり扉が閉まってしまい閉じ込められてしまう三バカ。すると

 

―ビーッ!ビーッ!ビーッ!―

 

―侵入者発見、侵入者発見、迎撃防衛システム『巫女駄贄』召喚―

 

―ゴゴゴゴゴゴゴゴ……ッ!―

 

「な、何この揺れ!?」

 

「いやそれよりも何なのみこだにぇって?!」

 

突然のブザーと警告音が鳴り響き更には急な揺れに三バカ大パニック!そして部屋の中央から魔方陣が現れ其処から何かが姿を現した。

 

 

 

 

 

「にゃあっはろぉ~………!」

 

 

 

 

 

「な、何ですかあれは……?!」

 

「な、なんだかみこさんにそっくりな気もするけど……!?」

 

「ミコダヨォ~」

 

そう、魔方陣から召喚されたのはみこそっくりな何かであった。ただみこと違い等身が低いが身体はでかく、まるで着ぐるみのようなフォルムで顔も笑った表情から一切変わらないというちょっと不気味な感じがする。

 

「レイジィ~」

 

「えちょッ?!こ、こっちに来てない!?」

 

「待って嘘でしょ?!は、早く出ないと!?」

 

「だ、ダメだ!扉が開かなくなってるよ!?」

 

ジリジリと迫ってくる巫女駄贄に恐怖を感じ逃げようとするも扉が閉まってしまいカードキーを使っても開かなくなってしまっていた。そして……

 

 

 

「ウリャアァァァァァァァァッ!」

 

「「「ギャアアァァァァァァァァァァァァァ……………ッ!!」」」

 

 

 

そのまま巫女駄贄に襲われ押し潰される三人であった。

 

 

三バカ、脱落。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―ゲームる?ゲームる!+でびリオンチーム―

 

“ギャアァァァァァァ……”

 

「ッ!?な、何なの今の声?!」

 

「も、もしかして、誰か脱落しちゃった……?」

 

三バカが脱落した頃、今にじさんじ公式チャンネルで絶賛放送中の番組、ゲームる?ゲームる!のMCをしているアイドルマジシャン『夜見れな』と使い魔である『魔使マオ』の二人と異世界から来た悪魔『でびでび・でびる』と政治家の娘で金持ちのお嬢様『鷹宮リオン』が遠くから聞こえる叫び声を聞いて足を止めていた。因みにゲームる?ゲームる!のメンバーは他にも天宮こころがいるが最初の時点で脱落してしまったので此処にはいない。

 

そんな彼女達のRSLはこちら。

 

夜見れな

RSL:129

 

魔使マオ

RSL:119

 

鷹宮リオン

RSL:157

 

でびでび・でびる

RSL:87

 

天宮こころ

RSL:120

 

「そんな事どうでも良いわ。さっさと玲二の部屋を探さないと」

 

「お?こむすめ、なんだかいつもと違って気合い入ってるみたいだな?」

 

「当たり前でしょ、さっさとあいつを見つけてギャフンと言わせてやるんだから……絶対に許さないんだから……この私とのお見合い断っといて他の女達と結婚したあいつをおぉーーーーーッ!!」

 

そう、実はリオンはかつて父親から玲二とのお見合いをセッティングされていたのだ。というのも実は玲二の父親とリオンの父親は古くからの知人で玲二も必然的にリオンと顔馴染みであったのだ。その経緯でお見合いをさせようとしてたらしく、その時のリオンは父親に勝手な事をと言って表面上は怒りつつも内心嬉しさでいっぱいだったのだが玲二がこのお見合いを丁重にお断りし更にはその数日後にホロメン達との結婚、婚約が発表されショックを受けていたのである。

 

「そ、そう言えばリオン様って玲二さんにお見合い断られたって言ってたもんね……」

 

「そうよ、だから私はこの戦いに勝ってあいつと結婚して一生尻に敷いてやるのよッ!この私とのお見合いを断った事後悔させてやるんだからぁッ!!」

 

「………とか言いながら本当は主人と結婚出来るチャンスが来てめちゃめちゃ喜んでたクセに?」

 

「うっさいッ!要らんこと言うな!!///」

 

玲二との結婚に燃えるリオンだがその横からマオに茶化され顔を真っ赤にさせていく。どうやら先程のは建前で実際は玲二との結婚を強く望んでいるようだ。

 

「そ、そういうあんた等こそ玲二に執着してるみたいだけどあいつとはどんな接点があんのよ?」

 

「それは勿論あいつはボクのけーやくしゃだからな!けっこんとかいうのはよく分からんがあいつを手に入れてこのボクがさいきょーの悪魔だって事をみんなに知らしめてやるのだ~!」

 

「ボクだって使い魔として主人と一緒にいるのは当然の権利だよな~♪」

 

「え?マオマオって確かちゃんとした主人が他にいたよね「あ゛っ?」いや怖いって?!そんな睨まないでよ!?ま、まぁ私も玲二さんには何度も助けてもらったからそのお礼もしたいな~なんて……///」

 

「ふーん、成る程ね……まぁ良いわ、兎に角今は玲二を手に入れたい者同士、此処は協力して少しでも早く玲二の部屋を探しましょう」

 

約一名(?)は除いてどうやら皆本気で玲二の事を欲しているのがよく分かる。だからこそ今は互いに協力し玲二の部屋を探しているのだが、どうやら闇雲ではなく何か考えがあるのか途中の扉には目もくれず上の階を目指している。

 

「玲二はこの神羅城の主だから、あいつの部屋はおそらく上の階、それも他とは違う装飾がされているに違いないわ」

 

「おぉー、流石お嬢様♪こうした部屋の構造を理解してらっしゃいますね~♪」

 

「やるなこむすめ!少しは見直したぞ!」

 

「ふふん、当然じゃない♪っと、此処がそうみたいね……」

 

現在神羅城の五階(全八階)、リオンはこうした建物の構造の特性を考え主である玲二は特別な部屋にいると踏んでずっと他とは違う扉を探していたが遂に他とは違う装飾がなされた扉を発見した。

 

「確かに他の扉とは雰囲気からして違うね……」

 

「この先に主人がいるのかな?」

 

「えぇ、きっとそうよ。それじゃ……開けるわよ!」

 

意を決してカードキーでロックを解錠し扉を開いていく。其処にいたのは…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん?おぉ夜見達じゃん、いらっしゃーい」

 

「あら、リオン様にでび様久しぶりね♪」

 

『わーい♪』

 

『………………え?』

 

其処にいたのは玲二……ではなくなんと玲二の子供達が元気に遊び回っている姿が。更に奥にはちょことぼたんがまだ幼い子供達をあやしていた。

 

「え?こ、此処って玲二の部屋じゃ……?」

 

「?違うよ、此処は子供達の為のキッズルームだよ」

 

「今日は保育園もお休みだからこうして皆で遊んでるんだもんね~♪」

 

『あーい♪』

 

ちょこの声掛けにこゆきをはじめとする佐々木ベイビーズが元気に返事をする。そして

 

「あ、折角だから夜見達も暇なら皆の遊び相手になってくんないか?」

 

『えッ?!』

 

「あ、それ良いわね♪ほらみんな~、お姉ちゃん達が遊んでくれるって~♪」

 

「わーい♪あしょぼぉ~♪」

 

『あしょぼぉ~♪』

 

まさかの大誤算!本当ならすぐに出れば良かったものを呆然としていたせいで子供達の相手をさせられそうになってしまう!

 

「ちょ、ちょっと待って!?私達別に遊ぶ為に来たワケじゃ……ッ?!」

 

「ふみゅ……あしょんでくぇないの……?」

 

逃げようとするも今にも泣きそうになってるこゆき達を見て完全に逃げ場を失ってしまう。もうこうなっては仕方がない。

 

「そ、そんな事ないよ~♪よぉーし、お姉ちゃん達がいっぱい遊んであげるね~♪」

 

「ほら、此処にコアラさんもいるから一緒に遊ぼうね~♪」

 

『わぁーい♪』

 

「おい!誰がコアラだ!?ボクは異界の恐ろしい悪魔だぞーッ!!」

 

四人はもう玲二の部屋に行くのを諦めベイビーズと遊ぶ事にした。ゲームる&でびリオンチーム、此処で脱落。そして数分後、ベイビーズによってもみくちゃにされるでび様がいたとか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―尊&咲&ひまわり―

 

「それにしても前に来た時よりも随分大きくなったよね此処」

 

「せやな~、こんなに広いと佐々木一家以外にもにじさんじメンバー全員住めるんちゃう?」

 

「おぉッ!それなら妾も此処に住みたいぞ♪」

 

「いやその為には何としてでも玲二さんの部屋を見つけんと」

 

「あ、そっか………シュン」

 

一方その頃、咲はひまわりと現鬼人族の女王『竜胆尊』と一緒に二階を探索していた。しかしひまわりと咲の言う通りこの神羅城はホロライブマンションだった時よりもかなりでかくなっている為探すのにも一苦労である。因みに三人のRSLはこちら

 

RSL:179

 

ひまわり

RSL:144

 

RSL:149

 

「けど玲二さんの部屋さえ見つければうち等も晴れて佐々木一家の仲間入りが出来るワケや!何としてでも必ず玲二さんの部屋を見つけてやるからなぁ~ッ!」

 

「うむ!まだまだ時間はあるからのう、何としてでも必ず玲二を妾達のモノにしてみせるのじゃ!それで、次はこの部屋かのう?」

 

「そだね、此処を調べれば二階の西側は全部だね」

 

玲二との結婚に燃える三人は片っ端から部屋を探してそして遂に二階西側の最後の部屋の前に辿り着いた。そして咲は手慣れた感じでカードキーを使って扉を開けていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よっしゃあッ!俺の勝ちぃッ!」

 

「ハァッ?!おいふざけんなよ今のアリかよぉッ!?」

 

「あーもう次だ次ッ!!」

 

「またですか?!もう通算20回はやってますよ!?」

 

「「「……………え?」」」

 

其処にいたのは玲二でもホロメンでもなく、寧ろ自分達と同じにじさんじに所属するメンバーの社築と加賀美ハヤト、そして二人とも仲の良い吸血鬼の『葛葉』と白塗りの男性『ジョー・力一』の四人が仲良くマ○オカートで遊んでいた。因みに力一の名前の読み方は『かー』ではなく『りきいち』である。

 

「………ん?ってうおぉッ?!な、何で笹木が此処にいんだよ!?てかどうやって入って来たんだよ?!」

 

「いやフブキちゃんから借りたゲストキーで………っていうかやしきず達こそなんでこんな所で揃ってマ○カなんてしとんねん?!」

 

「そーだぞ!此処は玲二の家なのに何社達は堂々とゲームやってんのじゃ?!」

 

「え?いやだって此処“俺の部屋”だし」

 

「「「……………ハァッ?!」」」

 

まさかの一言!?今男四人でマ○カを楽しんでいるこの部屋が自分の部屋だと言い張るやしきず!

 

「いやいやいやいや!?嘘つくなややしきず!?なんで玲二さんの家ん中にお前の部屋があるんや!?」

 

「なんでってそりゃ引っ越したからに決まってるだろ?」

 

「引っ越し!?え、何でやしきずが玲二の家に引っ越しなんて出来るんじゃ?!」

 

「あーそれなんだけどな、実は三日前に玲二からホロライブマンションを増築したって聞いたからにじさんじの男メンバー何人かで増築祝い持ってお邪魔したんだよ。その時にグウェル一家もやって来てていつかこんな家に住みたいなーみたいな事をグウェル達が言ったら玲二がじゃあ一室あげますか?部屋なら有り余ってるしって言って此処の三階の一室をグウェル一家に格安で賃貸してくれたんだよ。で、そん時に玲二がついでに住む?って聞いてきたから皆して住む事になったんだよ」

 

なんと言う事だろうか……!?まさか三日前にやしきず達が自分達の知らない所で増築祝いに来ていてその流れで入居していたとは夢にも思わないだろう。

 

「え?じ、じゃあもしかして隣の酒の缶やおつまみの袋が置いてあった部屋って……?」

 

「あ、それ俺の部屋だわw」

 

「力ちゃんの部屋?!じゃあ社長や葛葉の部屋も……?!」

 

「えぇ、私は二階東側の220号室です」

 

「俺はその横の219号室だわ」

 

まさかまさかの連続!先程咲が言ってたにじさんじメンバー全員住めるかもというのが既に一部、しかも自分達の知らない所で実現しつつあった!

 

「それにしても此処スゲーよな?部屋にも浴室あるけど一階には大浴場もあるから気分によって使い分け出来るし♪」

 

「そうですね、それにプールやエステ、バーや遊技場なんかもありますし、許可を得れば何時でも使えますしね」

 

「部屋も防音しっかりしてるから幾ら騒いでも隣には聞こえないし♪」

 

「これで水道光熱費込み家賃59800円は安いよな?」

 

「安ッ!?え、そんな凄い設備使えてこんな豪華な部屋に住めてそれで6万以下?!」

 

「もし同じレベルのホテルに普通に一泊したら絶対倍以上取られるじゃん?!」

 

ひまわりの言う通り、同じレベルのホテルに一泊したら十数万掛かりそうなこの部屋を施設の利用込みで月6万以下で住めるなんて夢のようである。それをやしきず達は自分達には何にも連絡せず当たり前のように住み始めていた事に咲達は若干怒りを露にする。

 

「うぐぐ、まさかやしきず達がうちらよりも先に玲二さんの家に転がり込むなんて………せや!ねぇやしきず!此処に住んでるって事は玲二さんの部屋って何処にあるか知っとる?!」

 

「玲二の部屋?あー何処だったかな?この家めっちゃ広いし一回しか行った事ないからなぁ……けど確か七階が佐々木一家のスペースでその何処かだった気がするんだが……?」

 

「七階か!?よっしゃあッ!そうと分かれば早速七階に行くぞぉーーーッ!!」

 

「「おぉーーーッ!」」

 

やしきずから玲二の部屋の情報を手に入れ急いで七階へと向かう咲達。そんな三人を見てやしきず達は何だったんだとポカンとするのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―美兎&楓&唯華―

 

「……………なんで私達こんな所でこんな事してるんですか?」

 

「しゃーないやろ、しぃしぃが考え無しに扉開けて入ったのがこの部屋なんやから……しかも当の本人は寝とるし」

 

「Zzz………」

 

一方その頃、五階のとある部屋にやって来ていた美兎とその友人である暴k……歌姫である『樋口楓』と唯華が何故か目の前にあるガンプラ『RG ガンダム』を作っていた。というのも入った部屋がなんとプラモ工作ルームであり部屋に入った瞬間三人は閉じ込められてしまい、そして目の前に現れたRGガンダムを作り終えるまで出られないと言われ仕方なく作り始めるも開始僅か一分で唯華が寝てしまいこれまた仕方なく二人で作ってるのであった。

 

そんな三人のRSLはこちら

 

美兎

RSL:143

 

RSL:122

 

唯華

RSL:120

 

「それにしてもなんでよりによってリアルグレードなんですか?!幾ら二人がかりでも制限時間内なんてキツイですって!」

 

「おい美兎ちゃん口動かす前に手ぇ動かせよ!アタシだってこういう作業苦手なんやから早くせんとホンマに終わらんぞ!ってかしぃしぃいつまで寝とんねんッ?!」

 

「ふあぁ~……終わった?」

 

「「終わってねーよ!良いからさっさと手伝えッ!!」」

 

「えぇ~……?」

 

美兎と楓に怒られ渋々手伝う唯華。しかし結局制限時間には間に合う事はなく三人とも脱落してしまうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―星川サラ―

 

「うわぁ~、無駄に広すぎるよこの家~……」

 

そして現在七階では星川サラが一人廊下をうろうろしていた。何故他のメンバーは纏まって行動しているのに彼女だけ一人なのか?それは……

 

「うーん、エリーちゃんともはぐれてしまったし……これからどうしたら良いかな?」

 

そう、彼女は最初エリー・コニファーと共に行動していたのだがいつの間にかはぐれてしまい一人になってしまったのだ。今エリーはカードキーを持ってない状態なので探そうと思うもタイミングが悪くスマホの充電が切れていて連絡する事が出来ない状態なのである。

 

因みに星川のRSLはこちら

 

サラ

RSL:177

 

「あ、サラちゃん!サラちゃんも此処に来てたん?」

 

「え?あ、咲ちゃん!それにひま先輩に竜胆先輩も!」

 

すると其処にやしきずから情報を得た咲達とも合流した。

 

「あれ?星川だけかの?エリーは一緒じゃないの?」

 

「うん、実はさっきはぐれちゃって……それより咲ちゃん達もこの階を探索しにきたの?」

 

「そうなんよ!やしきずの話だとこの階の何処かに玲二さんの部屋があるって言ってたんや!」

 

「本当に?!ってかなんで社さんが!?」

 

「細かい事は良いから早く探そう!もうタイムリミットまで時間がないよ!」

 

「そうじゃ!早く玲二の部屋を見つけて妾達が玲二のお嫁さんになるんじゃ!」

 

「よっしゃあーッ!!それじゃ片っ端から探していくぞぉーーーッ!!」

 

「「「おぉーーーッ!!」」」

 

合流して早々四人はこの階にあるであろう玲二の部屋を探す為片っ端から扉を開けていく作戦にでる。果たして四人は無事に玲二の部屋を探し当てる事が出来るのだろうか……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―一方その頃……―

 

「ふえぇ……サラさん一体何処に行っちゃったんですかぁ~?」

 

サラとはぐれてしまったエリーは道に迷ってしまい気づいたら一階のホールに戻って来てしまっていた。そして疲れてしまったのかそのままペタンと座り込んでしまう。

 

「はわわぁ……折角ご主人様の為に新しいお紅茶用意したのに……ご主人様に誉めてほしかったのに……………グスッ」

 

自前のお茶会セットを持ちながらの移動のせいで疲れてしまい遂には泣き出してしまうエリー。と其処に……

 

「ん?コニファーじゃねぇか、どうしたんだ?こんな所で泣いて」

 

「え………?ご、ご主人様!?それにフブキさんにみしろさんも……!?」

 

「エリーちゃんお久しぶり~♪今日は遊びに来てくれたのかな?」

 

泣いているエリーの元にこの家の主である玲二とその妻であるフブキとみしろがやって来たのである。玲二の顔を見たエリーは急いで涙を拭き立ち上がる。

 

「ご、ご主人様、どうして此方に?今はお部屋にいる筈じゃ……?」

 

「?いや、今俺達買い物に行ってたんだが?何で俺が部屋にいると思ったんだ?」

 

「じ、実はかくかくしかじかでして……」

 

エリーは自分が何故此処にいるのか、そして他の皆と何をしていたかを玲二に説明していく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………は?なんだよそれ?そんな話聞いてないんだが?」

 

「私だってそんな手紙とゲストキーなんて送ってないですよ?そもそもゲストキーなんてこの神羅城の極々一部の扉を開ける事が出来るだけで全ての扉を開けるなんてレイくんの持つマスターキーじゃなきゃ出来ない筈ですよ?」

 

「え?!で、ではあの手紙は一体誰が……?!」

 

コニファーの話を聞いてみたがなんか勝手に変なゲームが行われているみたいだな?誰だよフブキの名前を騙って俺の部屋見つけたら俺と結婚出来るなんてワケの分からないゲーム開いたのは?

 

「……エリーちゃん、此処に来た時フブキさんの声が聞こえたんでしたっけ?」

 

「え?あ、はい確かに聞こえましたけど……」

 

「そうですか………ご主人様、少しセキュリティールームへ様子を見てきますので先にお部屋へとお戻り下さいまし」

 

お?どうやらみしろには真犯人が誰か分かったみたいだな。なら此処はみしろに任せて俺はフブキとコニファーを連れて部屋に戻るとするか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―そして戻って咲達は……―

 

「…………なんでこんな事になったんや?」

 

「いや、妾達に言われても……」

 

「言い訳しない!どうやって鍵開けたか知らないけど、ウチがシャワー浴びてる時に入って来るなんて何考えてんのさ!?///」

 

片っ端から部屋を開けて探そうと最初の扉を開けたは良いが、其処はミオの部屋でしかもシャワーから出たばっかりでオープン状態だったところを咲達に見られてしまい四人は一列に正座させられ説教を受けていた。

 

「で、でもミオちゃん?ひま達玲二さんの部屋を探すゲームをしてたからこれは不慮の事故というか……」

 

「何さレイさんの部屋を探すゲームって?!そんなのウチ知らないしそれになんでそれがウチの部屋を開けれる事に繋がるのさ!?」

 

「え、えぇ~?どうなってるのこれぇ~……?」

 

こうしてミオからお説教され四人は制限時間終了しても解放される事はなかったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―それから……―

 

「うへぇ~、結局誰も玲二さんの部屋見つけられんなんてぇ~………」

 

ゲームが終了し咲達一同はリビングへと連れてこられ一先ず休憩していた。皆それぞれ大変な目にあったのかぐったりとしている。

 

「よう皆、お疲れ」

 

「え………あぁ~!?玲二さぁ~ん♪」

 

「おっと……ハイハイ、大変だったな咲」

 

俺とフブキとエリーが来ると咲が俺を見るなり勢い良く抱きついてきた。全く、こいつは相変わらず俺を見ると抱きついてくるな?

 

「玲二さぁ~ん、うち頑張ったけど玲二さんの部屋見つけられんかったぁ~!」

 

「私達も……折角玲二さんが与えてくれたチャンスだったのに……!」

 

「あ~……その事なんだけどさ、俺達その事知らないんだが?」

 

『…………………はい?』

 

うん、まあ皆してきょとんとした顔になってるな。取り敢えず俺は咲達にこの件について話していく事にした。俺達はそんな事許可した覚えはないのと、フブキもそんな手紙もゲストキーも送ってはいないという事を。

 

「えぇ?!ど、どういう事?!」

 

「で、でも確かにボク等が子供達と遊んでた時もぼたんさんもちょこ先生もボク等が来た理由も分かってなかったよね?」

 

「そうそう、それにどうやって扉を開けたのかも気になってたし」

 

「最初はリオン様達もにじさんじの誰かの所に遊びに来てそのついでにキッズルームの開閉権限を貰ったかと思ってたけど、本当はその謎のゲストキーを使って開けたのね?」

 

そういう事だ。にしても一体誰が………いや、正直心当たりならある。この神羅城に住んでてこんな事する奴なんて限られてるからな。多分そろそろ……

 

「ご主人様、お待たせしました。今回の件を起こした不届き者達を引っ捕らえて参りました」

 

「お?捕まえたかみしろ………はぁ、やっぱりお前等か」

 

タイミング良くみしろが犯人を捕まえて戻って来たので振り向くと其処にはみしろに首根っこ掴まれしくしくと泣いているたまきとういさんがいた。しかも一発叩かれたのか頭に丸いたんこぶが出来てる。

 

「やっぱりこんな下らない事するなんてお前等しかいねぇもんな?なんでこんな事したんだ?たまき、ういさん」

 

「うぅ~……だってぇ」

 

「こうすれば私達も玲二くんと結婚出来ると思ったんだもん~……!」

 

はぁ?なんだそりゃ?取り敢えず話を聞いてみるか。

 

 

 

…………つまりたまき達が言うには俺達の家が増築したのをきっかけに俺の嫁を増やせば自分達もその輪に入れると踏んだらしい。其処で予め俺の持つマスターキーをこっそり拝借しセキュリティールームに侵入、そしてマスターキーと同じレベルの権限を持つゲストキーを五枚作りそれをフブキの名前を騙って咲に手紙を出してゲームを開き、そして今に至るという。

 

「全く、そんな事してもすぐにバレるし認めるワケねぇだろ?」

 

「い、いやぁご主人様って流されやすいからもしかしたら言いくるめれるかなぁ~なんて思って……」

 

「バカじゃないですか?そんな事になったらみしろ達が止めるに決まってるでしょ?」

 

「そうだよ!それに私の名前勝手に使って、しかもレイくんのマスターキーを悪用するなんて!」

 

確かにマスターキーの件は危ないよな。これからはセキュリティールームには指紋認証とかも付けるとかしないとな。それよりも……

 

「おいたまき、よくもうちらの純情弄んでくれたなぁ……?」

 

「この落とし前、絶対につけさせるから覚悟しとけや……?」

 

「「ひ、ひいぃぃぃ………ッ?!」」

 

やっぱり咲達はかなり怒ってるよな?そりゃ騙されたなんて分かったらそうなるか。

 

「はいご主人様、お紅茶出来ました~♪」

 

「お、ありがとなエリー。ん……うん、何時飲んでもやっぱ旨いな」

 

「本当、エリーちゃんの紅茶は美味しいですね~♪」

 

「やったぁ~♪有り難うございますご主人様~♪」

 

咲達がたまきとういさんにお仕置きをする中俺はエリーから新作の紅茶をご馳走してもらっている。因みに名前呼びなのはエリーからそろそろ名前で呼んでほしいと言われたのでそう呼ぶ事にしたのだ。更にフブキ達もエリーの事は気に入っていたので四階の一部屋をエリーに格安で提供したのでこれからはほぼ毎日エリーの紅茶を飲めそうだな。

 

「ご主人様、これからもよろしくお願いしますね♪」

 

「あぁ、よろしくなエリー」

 

こうして新たに増築したホロライブマンション改め神羅城で起きた事件は終わった。この一件から咲達もこの神羅城に引っ越す事にし二階はほぼにじさんじメンバーの部屋になるのであった。そして今回の件でたまきとういの家賃は三ヶ月間倍になり一部の施設の利用を禁止されるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―オマケ―

 

………あ、そう言えばエリーのRSLを見せてなかったので此処で公開、えーと…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エリー・コニファー

RSL:350

 

 

 

 

ッ?!さ、350?!こ、これは一体……!?

 

 

 

 

 

「はわぁ~♪ご主人様のあの凛々しいお顔をこれから毎日拝めるなんて……夢のようですぅ♪ご主人様、エリーはこれからも生涯ずっとご主人様にお仕え致しますぅ~♡」

 

………ど、どうやらエリーはメイドとして完全に玲二に心酔しているようである。これはまた何か一波乱が起こりそうな予感………!?




はい、という事で玲二達の住むホロライブマンションバージョンアップでした♪今後はにじさんじメンバーも本格的に絡んでいくと思いますのでよろしくお願いします♪

P.S.今回からタグに『にじさんじ』を追加します。


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番外編『積みプラ紹介 前編』

最近スランプ気味になってきたので気分転換に投稿します。

今回は積みプラ紹介です。最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


「…………ふう、これで全部か?」

 

「そうですね………それにしても、かなりの量のガンプラがありますね~?」

 

「私達もそれなりに積んでるけど、玲二君のこれには敵わないなぁ」

 

とある休日、久しぶりに部屋のガンプラを作ろうとも思ったけど、目の前にある自分の積んでるガンプラ……所謂積みプラを見て一度整理しないとなと思いフブキとそらにも協力してもらい一度部屋の外に全てのガンプラを出したが……これは自分でも買い過ぎたと思うくらいの量があるな。

 

「何度も買うの控えようと思っても再販品とか見つけると買っちゃうんだよなぁ」

 

「あー、確かに。この新型ウイルスが流行りだしてからガンプラ需要が良くも悪くも高まってしまってなかなか手に入らなくなってましたからね。見つけたら買わなきゃって思っちゃったりするんですよね」

 

「最近だと再販頻度が多くなってるから比較的手に入りやすいとはいえまだまだ買えない事もあるからね~」

 

そう、人間の心理的に一度でもそうした品薄になってしまうと例え改善されたとしてもなかなか見つけたらすぐに買わなきゃいけないって考えが抜けないんだよな。現に改善されつつあるとはいえ未だに入手困難なキットは沢山あるし。

 

「そうだ!折角だからレイくん、今此処にあるガンプラの紹介とかしてみません?」

 

「ガンプラの紹介?それって今から配信するって事か?」

 

「配信でも良いですし動画でも良いと思いますよ。実は前からすこん部の皆がレイくんの持ってるガンプラが気になるって言ってたので折角なら皆にもこのガンプラを見せてあげたいなって思いまして♪」

 

「あ、それ良いね♪そら友の皆も皆のガンプラ見てみたいってコメント多かったから見せてあげようよ♪」

 

まあそれは良いんだが……そんなの需要あんのか?まあそう言ってもらえてるなら折角だし記録を残すという意味でも動画撮ってみるか。

 

 

 

 

※此処から紹介する積みプラは作者が実際に積んでるキット達です。一部ガンプラ以外もありますしそれなりの量がありますので最後までお付き合いして頂ければ有難いです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んじゃまずは何から見ていくか……ってなんでケイまでいるんだよ?」

 

「いやぁ、久々に旦那の家に遊びに来たらなんかおもしれぇ事やってんなって思って私も参加する事にしたんだよ♪」

 

なんだそりゃ?まあ別に減るもんじゃないから良いけど。それにしてもケイも久々に遊びに来たよな?最近だと元々配信活動してた中でVSHOJOとかいう企業に所属したみたいで忙しくなってたみたいだが大丈夫なのか?それと本人が楽しそうだから別に良いが企業のサポート受けてるのに個人勢ってどういう事なんだ?

 

……まあそんな事は今は良いか。じゃあまずはMGから見ていくか。

 

マスターグレード所持一覧

 

・ウイングガンダムゼロ EW Ver.Ka

・νガンダム Ver.Ka

・サザビー Ver.Ka

・ガンダムバルバトス

・ガンダムバルバトスソリッドクリア 2個

・OOクアンタフルセイバー

・ウイングガンダムプロトゼロ

・ガンダムNT-1 Ver2.0

・フリーダムガンダム ソリッドクリア

・フリーダムガンダム Ver2.0

・エクリプスガンダム 2個

・ドム

・ガンダムエクシア

・ガンダムエクシア ソリッドクリア

・ガンダムエクシア ソリッドクリアアナザー

・ガンダムX

・マニューバストライカーパック

 

計19個

 

「やっぱりMGは箱でかいから場所取るよな」

 

「あれ?レイくんまだサザビーやνガンダム作ってなかったんですね?あれだけ作るの楽しみにしてたからもう作っちゃったのかと思ってました」

 

「うん、それなんだけどな……いざ作ろうと思ってもなかなかパパッと作れないのと単純に勿体なく感じてしまってな……」

 

「あーそれ分かるわ。私も未だに視聴者からもらったガンプラ組み立てられてねーしな」

 

いやお前のは単純に物量の多さに押されてるだけだろ?この間の配信見たけど視聴者からネオジオング送られてたじゃねぇか。けどあれは正直羨ましかった……畜生。

 

「けど玲二君、一番くじのバルバトスが二個あるのは良いとしてなんでエクリプスが二個あるの?」

 

「あぁそれか。エクリプスって可変型MSだろ?そういう機体は可能な範囲で2個買うようにしてるんだよ。いちいち変形させるのも大変だから変形前と変形後で分けて飾りたいって感じだな」

 

「お?旦那それ良いアイディアだな♪私も真似して見ようかな?」

 

止めとけ、マジで出費がかさむだけだぞ。後場所も取るしあんまり良い事ないしな。それじゃあ次はRG見ていくか。

 

リアルグレード所持一覧

・スカイグラスパー

・ガンダムMk-II(ティターンズ仕様)

・ガンダムMk-II(エゥーゴ仕様)

・ストライクフリーダムガンダム

・ガンダムエクシア

・ウイングガンダムゼロ EW

・ユニコーンガンダム

・クロスボーンガンダムX1

・ウイングガンダム

・νガンダム

・Hi-νガンダム

・サザビー

・ジオング

 

計13個

 

「え?レイくんいつの間にサザビーとジオング手に入れてたんですか?」

 

「実はこの間ヤ○ダ電機行ったら売ってて思わず衝動買いしちゃったんだよ」

 

「へ~、でも珍しいね?玲二君あんまりガンダムタイプ以外作らないのに」

 

「まあガンダムタイプが一番好きなだけで別に他の機体が嫌いなワケではないからな。特にもう作ったがシナンジュとか格好良くて好きだし」

 

それにサザビーもジオングも評価高かったから何時かは作ってみたいと思ってたんだよ。まあそれが何時になるのか分からんけどな。

 

さてさて、次はHGか。と言ってもHGはかなり量があるからシリーズ別に分けるか。じゃあまずは……ファーストとZ、それからZZを見ていくか。

 

HG所持一覧

・ガンダム

・ガンキャノン

・ボール ツインセット

・ギャン

・Zガンダム 2個

・ガンダムMk-II(ティターンズ仕様)

・ガンダムMk-II(エゥーゴ仕様)

・スーパーガンダム

・百式

・サイコガンダム

・ZZガンダム

 

計12個

 

「やっぱりサイコガンダムって箱でかいですよね」

 

「元の設定でも全高40mくらいあるから単純に普通のガンダムの倍はあるし変形する機体だからこれくらいなっちゃうのは仕方ないのかな?」

 

「え?このガンダム変形すんのか?なら旦那、これも二つ買うべきじゃないのか?」

 

「無茶言うなよケイ、これなかなか再販しないし場所も取るから安易に二個買う気にはなれねぇよ」

 

……まあ本音言うと欲しいけどな。さて、次はユニコーンとナラティブとムーン見てくか。

 

・フルアーマーユニコーンガンダム(デストロイモード)

・ユニコーンガンダム2号機バンシィ(デストロイモード)2個

・ユニコーンガンダム2号機バンシィ・ノルン(デストロイモード)

・ナラティブガンダムC装備

・シナンジュ・スタイン(ナラティブVer)

・ムーンガンダム

 

計7個

 

「ユニコーン系は比較的手に入りやすいから良いけど、ムーンは手に入れるの苦労したな……」

 

「でもムーンガンダムって作品の知名度で言えばわりと低い方なのに人気凄くありますよね?一時期駿○屋で7000円で販売してたくらいでしたし」

 

「そんなに高騰したのこのガンダム?!それだけ人気あったんだねこれ……!?」

 

「どうして此処まで人気が出たのか分からないけど魅力的な機体なのは間違いないな。俺も正直設定全く知らなかったけど格好良いから欲しかったし」

 

「けどそういう奴多いよな?私だってガンダムの知識殆どねぇけどガンダム格好良いから好きだし♪」

 

確かにそういう人いるよな。ガンダムの設定知らないけど格好良いから買うって人。其処からガンダムを知ってくきっかけにもなるから良い事だけど、そのせいでガンダムなら何でも売れるだろとか勘違いして買い占めする転売ヤーもいるのも事実だからなんとも言えないよなぁ……

 

ともあれ次は何を見ていこうか……よし、08小隊とVガンダム見てくか。

 

・陸戦型ガンダム(旧HGUC)

・陸戦型ガンダム

・ガンダムEz8

・グフカスタム

・ビクトリーガンダム

・V2ガンダム

・V2アサルトバスターガンダム

 

計7個

 

「なんかこの陸戦型ガンダムって他のガンダムより派手さがねぇな?」

 

「元々陸戦型ガンダムはその名の通り地上戦に特化した改造を施した機体でこれが出てきた第08MS小隊は戦争の生々しさを描写した作品でもあるからな。あまり派手な機体にしてもその作品の描写と釣り合わなくなってしまうから仕方ないんだが、俺はこの感じの機体は大好きだ」

 

「うん、この08小隊は登場キャラも皆魅力的で見てほしい作品の一つですね♪」

 

「その後のエピソードを描いたラストリゾートも良い話だったよね♪」

 

「へー、そんなに面白いのか?なら今度見てみようかな」

 

是非そうしてくれ。08小隊はマジで神作品だから見て損はないぞ……え?Vガンダムはどうしたって?スマン、ゲームで使った事ある程度で作品見てないから詳しく分からないんだよ。

 

それじゃあ次は……ハサウェイと逆シャアの機体見ていくか。

 

・Ξガンダム

・ペーネロペー

・メッサーF01型

・νガンダム

・νガンダムHWS

・Hi-νガンダム

・ジェガン

・リ・ガズィ

 

計8個

 

「そろそろνガンダムもリバイブ版出てほしいですよね」

 

「リバイブ版?なんだそれ?」

 

「ガンプラって年々製造技術が進化してるからある程度の年数が経つと新規造形の物が出てくるの。それがリバイブ版って呼ばれてるんだよね」

 

「まあなんだかんだでこのνガンダム達ももう14年前のキットだしな」

 

「そんな前のキットなのかこれ?!」

 

「本当に年月経つのは早ぇよな。けどこのνガンダムに関してはこの間エントリーグレード出たからリバイブ版は暫くは無さそうだけどな」

 

「ならせめてエントリーグレードにフィン・ファンネル付けて欲しかったですよ~!」

 

無茶言うな、あのコスパであれだけのクオリティ出してる時点でかなり有難いんだから。それにリバイブ出なくてもνガンダムはあの時点で合わせ目の出ない良キットだしな。

 

じゃあ次は……宇宙世紀のキットでもうまとまったシリーズは無さそうだな。じゃあ次は他のをまとめて見てくか。

 

・ブルーデスティニー1号機

・ブルーデスティニー2号機

・ガンダムFSD

・ガンキャノン初期型

・ガンダムデルタカイ

・ガンダムNT-1

・ズダ

・ジムスナイパーII

・ジムストライカー

・ケンプファー

・ハイゴッグ

・フルアーマーガンダム7号機

・ジムコマンド宇宙仕様

 

計12個

 

「なんだかここら辺はガンダム以外も多いですね」

 

「ああ、基本的に俺の中で気に入ったのを買ってたらこうなってたな。その中でもやっぱりケンプファーとアレックスが定価で買えたのが一番嬉しいな」

 

「アレックス?そんなキットねぇじゃん?」

 

「ケイさん、アレックスってNT-1の事ですよ」

 

「そうなのか?でもなんでアレックスなんだ?」

 

「スマン、その辺はマジで分からん。アレックスも昔に格好良いからって理由だけで買ってたしな」

 

それと聞いた程度だけどこのアレックスってザクに負けたって話だけど本当なのか?今度見てみようかなこの作品。

 

「けどまあこれで宇宙世紀のキットは全てだな」

 

「えーと、この時点で……78個!?レイくん積み過ぎですよ!?」

 

「しかもこれでもまだ半分もいってねぇって、旦那どんだけ買い漁ったんだよ?」

 

「………何も言い返せねぇ」

 

「もう、積んだらダメとは言わないけどこれからはある程度ちゃんと作ってかないと。そうじゃないと全部作る前にかいり達が大人になっちゃうよ?」

 

いや流石に其処までは………ありそうで怖い。仕方ない、本当はまだ欲しいキットは沢山あるけど取り敢えずはこれらを作り終えるまでは新作以外は控えよう……

 

「じゃあ次は……よし、それじゃあアナザーガンダム見ていくか」

 

「アナザーガンダム?なんだそれ?そんなガンダムがいるのか?」

 

「違いますよケイさん、アナザーガンダムっていうのは宇宙世紀以外の歴史を辿った作品の事ですよ。ケイさんの作ったゴッドガンダムやフリーダムもアナザーガンダムにあたりますね」

 

「それぞれ独自の技術や素材が使われてるから作品によって特徴があって面白いよね♪」

 

そういう事。そんじゃまずは……こいつ等からいくか。

 

HGAC&HGAW&HGCC

・ウイングガンダム

・ウイングガンダムゼロ

・ガンダムデスサイズ

・ガンダムサンドロック

・ガンダムヘビーアームズ

・ガンダムジェミナス01

・ガンダムアスクレプオス 3個

・ジェミナス01用拡張セット

・ガンダムX

・ターンエーガンダム

 

計12個

 

「……いやいきなり突っ込みどころのあるラインナップなんだが?」

 

「………別に良いだろ?アスクレプオス好きなんだから」

 

「まあそれは良いんですが、なんで3個もアスクレプオスがあるんですか?」

 

「本当は最初一つだけにしようと思ったんだけど届いたのを開けた瞬間テンションが上がっちまってそのまま三次受注をポチってしまった……」

 

「玲二君って買える範囲は守ってますが結構衝動買いしちゃうよね?」

 

しょうがないだろ欲しいんだから。けどそれで積んでたら意味ないんだけどな……某玩具レビューしてる投稿者も「買うなら積むな、積むなら買うな」って言ってるくらいだしこれからは本当に暇があったら作ってかないとな。

 

 

 

 

 

 

 

ちょっと長くなりそうなので今回は此処まで。後半に続きます。




暫くは買わない!そう決めても欲しいのが定価で見つかると衝動買いしてしまう自分が情けない……(泣)

次回は後編の予定ですがもしかしたら中編になるかもしれません(汗)

それと簡単なアンケートも行いたいと思います、よろしければお答えして頂ければ有難いです。


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番外編『積みプラ紹介 後編』

アンケートで積みプラどれだけあるか聞きましたがやっぱりそんなに皆積んでないなと思ってたら冗談で入れた数えるのも馬鹿らしいに5人も……?!上には上がいるもんですねw

さて、今回は後編!中編とかになるかなと思いましたが普通に収まったので後編になりました!何時もの如く最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


前回より始まった玲二(作者)の積みプラ紹介。今回もフブキとそらとKsonと一緒に引き続き残りの積みプラを見ていこう。

 

「さ、どんどん見ていくか。次は……オルフェンズを見ていくか」

 

・ガンダムバルバトスソリッドクリア 4個

・ガンダムバルバトス 第6形態

・ガンダムバルバトスルプス

・ガンダムバルバトスルプスレクス

・ガンダムグシオン

・ガンダムグシオンリベイク

・ガンダムグシオンリベイクフルシティ

・ガンダムフラウロス(流星号)

・ガンダムバエル

・ガンダムウィダール

・ガンダムアスタロト

・ガンダムアスタロトオリジン

・ガンダムアスタロトリナシメント 2個

・ガンダムマルコシアス

・ガンダムアスモデウス 2個

・ガンダムグレモリー

・シュヴァルベカスタム(シクラーゼ機)

 

計22個

 

「うわぁ、オルフェンズのガンプラ多いね?」

 

「作品としては苦手だけど機体としては好きだからな。このビーム兵器を使わないっていうコンセプトもなかなか無かったし……ってどうしたケイ?グシオンなんてじっと見て?」

 

「……いや旦那、これの何処がガンダムなんだよ?!どー見たってカエルかなんかだろこれ!?」

 

「あーそれな。オルフェンズの世界だとガンダムフレームさえ使われていればどんな姿でもガンダムなんだよ。だからこいつも設定上は立派なガンダムだ」

 

とはいえ俺も初めて見た時ケイと同じで何処にガンダム要素があるんだよって突っ込んじゃってたからな。そもそも他にもガンダムっぽくない顔つきのガンダムいるしな。そう考えるとこのオルフェンズのガンダムって本当に変わってるよな。

 

「それにケイさん、このグシオンはその後改修されてこのグシオンリベイクになるので一応同一機体ではあるんですよ」

 

「マジで?!これとこれおんなじ機体なのか!?」

 

「俺も劇中見るまでは名前を引き継いだ別の機体だと思ってたからまさかの同一機体とは思わなかったわ。まあ装甲は丸々変わってしまってるけどな」

 

けど俺がオルフェンズ見たの其処辺りぐらいまでなんだよな。どうもあの作風が好きになれない、というかあの作品人の死に方が結構酷いし最終的に鉄華団が皆悲しい結末になる部分を見てしまったから余計に見るのが辛くなって見るのを止めちまったんだ。けど最初にも言ったけど機体自体は好きだから見つけたら買ってしまうんだよ。

 

まあそれは良いや、次は……良し、SEEDを見ていくか。

 

・フォースインパルスガンダム

・デスティニーガンダム

・インフィニットジャスティスガンダム

・ストライクノワールガンダム

・スターゲイザーガンダム

・ガンダムアストレイレッドフレーム(フライトユニット装備)

・ガンダムアストレイブルーフレーム セカンドL

・ガンダムアストレイゴールドフレーム天ミナ

・M1アストレイ

・ロードアストレイΩ

・ダガーL

・ウィンダム

 

計12個

 

「あれ?レイくんストライクやフリーダムは買ってないんですか?」

 

「いや、そこら辺はもう作ったんだよ。本当ならパーフェクトストライクもあってエントリーグレードの物と合わせてそらと一緒に作ったけどやっぱりあの辺りのを比較すると技術の進歩の凄さがよく分かるわ」

 

「ねー、ストライクなんて旧HGとリバイブとエントリーグレードで比較したら凄く違うもんね♪」

 

「へーそんなに違うのか?それと旦那、前にうちの視聴者のガンおじが言ってたんだけどSEEDの世界にガンダムがいないってどういう事なんだ?」

 

あーそれか、それ結構個人的な感想とかも入ってくると思うけど一応教えとくか。

 

「SEEDの世界のガンダムってのは機体のOSを立ち上げた時に出てくる英語表記の頭文字を取ってそれがガンダムって読めるのがガンダムタイプって言われてるな。けど機体そのものの正式名称にはストライクならストライク、インパルスならインパルスとガンダムってつかないからあの世界にはガンダムという機体は存在しないって言われてるという事だ」

 

「え?でもこいつ等此処にちゃんとガンダムって名前が付いてるけど?」

 

「それはあくまで商品として展開する為にガンダムって付けてるんだって。ほら、ガンダムって付けないとなんだか寂しいでしょ?」

 

「ふーん、なんかややこしい設定だな?」

 

全くだな。まあ他にも劇中で正確にガンダムって呼ばれてない作品もあるみたいだし、それらはもうそういう世界観なんだと思うしかないな。

 

さてそれはともかく、次はGガンダムでも見ていくか。

 

・シャイニングガンダム

・ゴッドガンダム

・ノーベルガンダム

・マスターガンダム&風雲再起

・デスアーミー

 

計5個

 

「ここら辺はケイも見た事あるんじゃないか?」

 

「そうだな、けどガンおじ達から聞いた時はネタだと思ってたけど本当にノーベルガンダムってあったんだな?ならネーデルガンダムとかもあったりすんのか?」

 

「い、いや流石にあれはキット化されてませんね……」

 

「?玲二君、ネーデルガンダムってどんなガンダムなの?」

 

「確か風車みたいな姿をしたガンダムだな。あの世界のガンダムは独特な姿をしたガンダムが多いからキット化するにあたってやりづらい事も多々あるみたいなんだよ」

 

そういった意味で一番キット化してほしいのはデビルガンダムだな。旧キットとしてはあるけど今の規格で作るとなるとかなりのデカさになると思うから高くなるのは確実だけど、それでも良いから出してほしい。という事でB○ND○Iさんよろしくお願いします。

 

という事で次が“通常の”ガンダム作品で最後のシリーズかな?OOとAGE、そしてレコンギスタだ。

 

・ガンダムエクシア

・ガンダムエクシアリペアII

・ダブルオーガンダム

・ガンダムアストレア

・ガンダムデュナメス

・ガンダムプルトーネ

・ガンダムAGE-1ノーマル

・ガンダムAGE-2ノーマル

・ガンダムAGE-3ノーマル

・ガンダムAGE-FX

・ガンダムAGE-2ダークハウンド

・Gエグゼス

・シャルドール改

・ファルシア

・ギラーガ

・ゼイドラ

・ガンダムG-セルフ(パーフェクトパック装備型)

 

計17個

 

「そう言えばOOはともかくAGEとレコンギスタってよく分からない作品なんですよね?」

 

「あ、確かに。私達の中でもこの二つの作品見てたのってあずきちとロボ子さんぐらいだった気がするし」

 

「そうなのか?ならなんで旦那達はその作品見ないんだよ?」

 

「うーん……単純に作品の評価があまりよろしくないっていうのが理由だな。勿論この作品が好きだっていう声も多いけどそれでも低い評価も多いのは確かだからどうしても見る優先度が下がってしまうんだよなぁ」

 

現にロボ子も好き嫌いが分かれる作品かもって言ってたし、そうなるとどうしても見る優先度が後回しになっちまうんだよな。けどあくまで他のを見るのを優先しているだけだからいつかは必ず見るけどな。

 

「それにしてもレイくん、レイくんにしてはOOのキットが少ないですよね?確かレイくんOOの機体がシリーズの中で一番好きって言ってませんでした?」

 

「単純に入手出来てねぇだけだよ。本当はまだほしいのあるけどなかなか見つからないのと見つけても転売価格だから避けてたんだよ。好きな作品程転売価格で買うの躊躇ってしまうし」

 

そんな中でアストレアが1800円で買えたのは嬉しかったな。あれ定価でも1760円だったからこれぐらいだったら全然良い。後はプルトーネは4500円したけどこれはネット販売限定でしかももう売ってない商品だからそれは仕方ないと思ってる。

 

「さ、何はともあれこれで“通常の”HGシリーズは終わりかな」

 

「お、漸くHG終わったのか?なら次はSDとかか?」

 

「いや違う。次は別のシリーズ、ビルド系だ」

 

そう、通常のガンダムシリーズはさっきので終わりだがまだガンダムの番外編とも言えるビルド系が残ってる。まずはビルドファイターズのキットから見ていくか。

 

・ビルドストライクガンダム フルパッケージ

・スタービルドストライクガンダム

・ウイングガンダムフェニーチェ

・ガンダムフェニーチェリナーシタ

・ガンダムフェニーチェリベルタ

・ビルドバーニングガンダム

・トライバーニングガンダム

・カミキバーニングガンダム

・スターウイニングガンダム

・ライトニングZガンダム

・ガンダムシュバルツリッター

・クロスボーンガンダムX1フルクロスTYPE.GBFT

・ルナゲイザーガンダム

・アメイジングストライクフリーダムガンダム

・ターンエーガンダムシン

・ウイングガンダムゼロ炎 2個

・ウイングガンダムゼロ炎 カスタムキット

 

計18個

 

「へぇ~?ガンダムってこんなシリーズもあったんだな?」

 

「あぁ、ビルド系は他の作品と違ってガンプラを題材にした作品だからこうした過去のキットを改造した機体も多いんだ。中にはこのバーニングガンダムみたいにオリジナルの機体とかもあるけど、多くは流用ランナーが多いキットだからそうしたヤツの余剰パーツとかも改造とかに使えて面白いしな」

 

「前にまつりちゃんが余剰パーツだけでガンダム作ろうとしてましたけど、流石にそれだけでは無理でしたね……」

 

「余剰パーツはともかくこのキットは本来の機体にはないオリジナリティ溢れる改造とかも多いからそれも魅力的だよね♪」

 

「だな。それにケイもゴッドガンダム作ったならこのバーニングガンダムとかも良いんじゃないか?」

 

「おーそうだな!私もこれ見てなんか作りたくなってきちまったよ♪後でネクロッ娘の所に言って買ってくるか♪」

 

ネクロッ娘?……ああ、るしあの事か。あいつも今ホロプラで一生懸命働いてるもんな。そういや俺も本土の方で買ってばかりだったからホロプラ全然行ってなかったな?るしあとは毎日家の中では顔を合わせるけど今度顔出しに店に行ってみるか。

 

おっと、話がそれてしまったな。次はビルドダイバーズを見ていくか。

 

・ガンダムダブルオースカイHWS(トランザムインフィニティモード)

・ガンダムGP-羅刹天

・νジオンガンダム

・ガンダムTRYAGEマグナム

・ジュピターヴガンダム 2個

・コアガンダムII(ティターンズカラー)

・モビルドールメイ

 

計8個

 

「ビルドダイバーズで思い出しましたけどレイくん、今度またあの世界に遊びに行きましょう♪」

 

「ああ、またいつかな。それよりも自分で言うのも変だがダイバーズのキット少な目だな」

 

「玲二君コアガンダムシリーズは結構早い段階で作っちゃったもんね。作ってるの含めたら10個越えるんじゃないかな?」

 

「そんなにあるのかこのコアガンダムってヤツ?これも面白そうだな……よし、これも買ってくるか!」

 

うん、ケイもすっかりガンプラ好きになったよな。これもケイの視聴者であるガンおじ達のお陰なのか?まあ良いか、次はブレイカーバトローグを見ていくか。

 

・ガンダムヘリオス

・ガンダムリブランスヘブン

・ガンダムパーフェクトストライクフリーダム

・ブレイジングガンダム

・ガンダムダブルオーコマンドクアンタ 2個

・ガンダムバルバタウロス

 

計7個

 

「これは比較的買えたって人多かったですよね」

 

「ああ、特にヘリオスが何の苦労もせず買えたのはびっくりしたな」

 

「うーん……私的にはヘリオスはあんまり好きじゃないかな?他のビルド系と違って改造したというよりいろんなガンダムのパーツくっつけただけに見えちゃうんだよね」

 

確かにヘリオスはフリーダムとデスティニーとXのミキシングで出来た機体だからそう見えるかもしれないがちゃんと細かい所は変更点あるんだぞ。まあ知らない奴が見たら何処が違うのってレベルだけど。

 

「おおー……なあ旦那!このブレイジングガンダムってゴッドガンダムの兄弟機って設定なんだよな!?」

 

「ん?ああ、確かにそうだが……一応それも確かホロプラに残ってた筈だから買ってみたらどうだ?」

 

「本当か!?なら後で見に行くとするか!」

 

……ヤバい、なんかケイもどんどん積みプラを増やそうとしてるぞ?頼むから俺みたいにならないでくれよ、後になって絶対後悔するんだから。

 

そ、それじゃあビルド系は次で最後だな。一部ビルド系じゃないけど、ついでに紹介するか。

 

・ビギニングガンダム

・ビギニング30ガンダム

・ビギニングDガンダム

・エクストリームガンダム&エクリプスFパーツ(EXVS. 10th ANNIVERSARY COLOR Ver) 2個

 

計5個

 

「やっぱりビルド系と言えばビギニングガンダムは外せませんよね♪」

 

「まあな、なんたって初めてのガンプラアニメの主人公機だからな」

 

「え?ガンプラの初めてってプラモ狂四郎じゃねーのか?」

 

「それは漫画だな。映像作品としてはこの模型戦士ガンプラビルダーズが初めてと言われてるんだ。あの有名なベアッガイも此処から誕生したんだよ」

 

「私もこのベアッガイ改造してアンキモッガイ作ったよ~♪」

 

いやそらよ、なんだそのアンキモッガイって?呼びづらいしもっと良い名前なかったのか?例えばキモッガイとか………いやそれはただの悪口だな。まあ本人が気に入ってるならそれで良いか。

 

「それよりも旦那、これで今度こそHGは全てなんだよな?」

 

「ああ、これでHGは全部だ。だから次はSDとウェポンセットを見ていくか」

 

SD&ウェポンセット一覧

・サージェントヴェルデバスターガンダムDXセット

・信長ガンダムエピオン

・アルセーヌガンダムX

・ベンジャミンV2ガンダム

・エドワードセカンドV

・ダブルオーガンダム ソリッドクリア 3個

・MSオプションセット1

・MSオプションセット7

・フェイクニューウェポンズ

・ボールデンアームアームズ

 

計10個

 

「ここら辺は思ってたより少ないですね?」

 

「元々そんなにSD作らないからな。基本的にはここら辺は布教用か練習用だな」

 

「確かにSDは道具も要らないし、それに塗装とかの練習にも良いかもしれないね♪」

 

「あ、そういや私も塗装とかやってみたかったんだ。旦那、今度私に塗装教えてくれないか?」

 

「おお、別に構わないぞ。それならついでに合わせ目消しとかもやってみるか」

 

最近だと皆それぞれ思い思いにガンプラを作ってるからこうして誰かにレクチャーするのも久々かもしれない。なら練習しやすいキットも用意しとかないといけないな。

 

さて、ガンプラはこれが最後か。最後はエントリーグレードだ。

 

・ガンダム フルウェポンセット

・ストライクガンダム ソリッドクリアアナザー バズーカ装備 3個

・ffνガンダム

 

計5個

 

「まあ此処は大したモンねぇから別にいいか」

 

「いや大したモンあるじゃないですか!?レイくんいつの間に限定のνガンダム手に入れてたんですか?!」

 

「いや例の如く駿○屋で買ったんだよ。3000円したけど交通費考えたら別に安いだろ?」

 

「………玲二君、今思ったんだけど玲二君の場合は転移能力あるんだからわざわざ高値で買わなくても現地行ったら買えるんじゃないの?」

 

…………………マジでそうじゃん!?そうだよわざわざそんな高値払う必要なかったじゃねぇか?!なんでそんな事に気づかなかった俺!?

 

※玲二はこう言ってますが当然作者にはそんな能力ないので現地になんて買いに行けません。

 

「つ、次から買いに行く時はそうしよう……まあ暫くは買い物しないようにしないといけないけど……兎に角、これでガンプラは全部だな。後は少しだけだがそれ以外も見ていくか」

 

さて、残すはガンプラ以外のこのプラモ達だ。

 

その他一覧

・30MS リシェッタ

・30MS ファル=ファリーナ

・30MS ボディパーツ G03[カラーB]

・インペリアルドラモン パラディンモード

・アルトアイゼン

 

計5個

 

「へー、レイくんも30MS買ったんですねー?」

 

「な、なんでそんな棒読みなんだよ……?まあ前にフブキ達と作って思ったんだけどこれを改造してホロメン揃えてみたいなって思ってな。それでこれでまずはフブキとそらを作ろうかなって思ってたんだよ」

 

「え?わ、私達を……ですか?///」

 

「そ、そうなんだね……?///」

 

「おーおー、お熱い事で」

 

茶化さないでくれケイ、けどこれでホロメン達を作ると言うのは本当だから頑張って作っていきたいな。

 

「……さて、これで本当に全てだな」

 

「それじゃあ此処までの積みプラを合わせていくとその数は……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

玲二(作者)の積みプラ

合計 204個

 

「……本当に此処までよく積んだな」

 

「そうですよ、これからはこうなる前に少しずつでも良いから作りましょうね?」

 

「私達も手伝ってあげるから頑張っていこ、ね?」

 

ん、そうする。それににじさんじやあおぎりの連中もガンプラに興味を持ってくれてるみたいだし、そいつ等と作るのも悪くないだろう。兎に角これからは買うだけではなく作るのにも力を入れないとな!

 

「……あれ?ねー旦那、此処になんかちっちゃい段ボール箱あるけどこれもプラモじゃねーの?」

 

「ん?ああ、確か前に一回美プラ作ろうかなって考えてたらマリンがオプションパーツあげますって言って押し付けられたんだけど、そういやまだ中身見てねぇな」

 

「なんだろうねオプションパーツって?」

 

「……なんだかマリンが出してきた時点で嫌な予感はするけどな。取り敢えず開けてみるか」

 

さてさて、中身を確認っと……何々、MEGAMI GEAR?聞いた事ねぇけど、名前からしてメガミデバイスのオプションか?どれどれ中身は………………………ッ?!!?

 

「な、なななな……?!///」

 

「こ、これって、お、女の人の……!?///」

 

「うわぁ、大胆にも程があるな……?」

 

「…………………マアァァァァァァリイィィィィィィィィンッ!!」

 

あのバカなんてモン寄越しやがったんだよ!?これ所謂18禁改造用の非公式パーツだろうが!子供達もいるのに何考えてんだあいつはあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!

 

 

 

その後怒りゲージMAXの玲二におもいっきりお仕置きされたマリンは罰として一週間神羅城の賃貸区域の廊下掃除を命じられるのであった。

 

皆さんもこんなに積む前にきちんと作りましょうね。あ、後最後のMEGAMI GEARは流石にネタなので持ってません。 by神楽




はい、という事で玲二の積みプラという名の自分の積みプラの紹介でした!これからは少しずつ作っていこうと思います♪

MEGAMI GEARに関しては検索したら出てきますが一応R指定掛かってるので見るのは自己責任でお願いします(笑)

次回もまったり待って頂ければ幸いです、ではまた!


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番外編『只野リターンズ』

今回ほ番外編という事でタイトルでも分かると思いますが久々にあの男が登場します!ホロメン達に再び魔の手が……?!


どうも皆さん、いつもホロライブビルドライバーズを読んで頂き誠に有り難うございます………時に皆さん、只野喪不男という男を覚えているだろうか?そう、かつてホロライブに所属していたスタッフで自身の事を敏腕スタッフと称してたが、実際は他人に仕事を押し付けたり重要な書類等も期限ギリギリだったりかなり過ぎてから出す上に提出書類がかなり適当な内容だったりと敏腕とは真逆の完全なるお荷物だったようで、そのせいで所属アイドルや他のスタッフから完全に嫌われていた中年男である。

 

そしてその事だけでなく数々の横領、セクハラ、パワハラが発覚しと事によりホロライブから多額の慰謝料と弁償を請求されたうえに懲戒解雇にされてしまい、その慰謝料等を支払う為に金融機関にお金を借りたのだが、其処は闇金の中でも最も最悪と言われる帝愛グループであった。そのせいで借りたお金の金利が恐ろしい程膨れ上がって返済が出来なくなってしまい、その借金を返済する為に帝愛が秘密裏に建設している地下シェルターの工事作業を強制的にさせられていた。

 

そして其処でも問題行動を起こし暫くの間は外出券の使用も禁止されていた。これで只野はもう二度とこの話に出てくる事はなくなった…………筈だった。

 

 

 

 

 

そんな只野が……………再び地上へと這い上がってきた!

 

 

 

 

 

「……ブフフ、遂に俺は自由の身になったのだあぁーーーッ!」

 

とある公園のベンチの上、其処でかつてホロライブから追放された男、只野喪不男が目を覚ました。本来只野は帝愛から借りた金を返済する為に地下で強制労働を行っていたのだが、そんな只野が何故地上に解放されたのか?それは……

 

「ブフフ、この間買った宝くじがまさかの一等!しかもその額はまさかの4億円!これにより俺は帝愛の借金を全て返済、それどころかまだ手元には1億以上の金が残ってる!これで俺は佐々木を蹴落としホロメン達を手に入れる事が出来るぞぉーーーッ!!」

 

……という事である。全くもってなんでこんな男にこんな高額な宝くじが当たってしまったのだろうか?兎も角これはまた一波乱が起きそうである……

 

「さあて、まずはホロライブが何処に行ったかを探すところからだな。まずは近くのネカフェで何か情報を掴まないとな」

 

そして只野はすぐ近くにあったネカフェに行きシャワーを浴びた後にパソコンでホロライブの事を検索する。

 

「えーと何々……ホロライトシティ?なんだこの島は?!いつの間にこんな島に移動したんだ!?しかもにじさんじやのりプロもこの島に移っただとぉ?!成る程、最近アイドル達を見かけなくなったのはこの島に移ったからだったんだな?だったら俺もこの島に移住すれば皆に会える!よぉーし、そうと決まれば早速船の手続きをしなければ!」

 

ホロライトシティの存在を知った只野は急いでホロライトシティに向かう船を調べて席が空いてる船を予約した後そのままウキウキの状態で眠りについた。まるでアイドルのコンサートの予約をするファンみたいだが、これが50過ぎたオッサンだと思うとかなりキツイ絵である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ブフフ♪遂に着いたぞ、ホロライトシティに!」

 

そして数日後、とうとう只野がこのホロライトシティへと降りたってしまった。只野は服を新調したり美味しい物を食べたりとかなり満喫していたがそれでもまだ金が有り余る程残っている。そんな只野は港でもらったマップを見てホロライブの事務所の在りかを探し出す。

 

「ふむふむ、ホロライブの事務所はあの丘の麓にあるのか。ならタクシーを使えばすぐに……ん?なんだ、この神羅城っていうのは?」

 

そして只野は玲二達が住む神羅城を見つけてしまう。このまま只野は神羅城へと向かってしまうのだろうか……?

 

「へぇ~?今時こんな城建てて暮らしてるような奴等もいるもんだな?まあそんな事よりホロライブへと向かうとするか♪」

 

否、どうやら大した興味はなくそのままホロライブの事務所へと向かうようである。只野はタクシーを拾うと運転手に目的地を指定して事務所へと向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おぉ……久しぶりのホロライブの事務所だ……ホロライブよ!俺は帰って来たぞぉーーーッ!」

 

うっさい黙れッ!……コホン、失礼しました。ホロライブの事務所へと到着した只野は高らかに叫んでいた。そして只野はそのまま事務所へと入ろうとしていたその時……

 

「はぁ~今日の収録疲れたわぁ。ねーこころ~♪」

 

「あいぃ~♪」

 

「でもこころちゃんとっても楽しそうだったよね。シアも一緒に歌って楽しそうだったもんね~♪」

 

「あっぷぁ♪」

 

「レミィも二人の面倒見てくれてありがとね~♪」

 

「あい!レミ、おもりできちゃ♪」

 

「ん?あ……あれはぁッ!?」

 

ホロライブの1期生であるはあととアキとメルが子供達と一緒に収録を終えて事務所へと戻ってきたのである。当然只野は三人をロックオンし直ぐ様近付いていく。

 

「ブフフ、やぁ久しぶりだねぇ三人とも♪俺がいなくて寂しかったかい?」

 

「……………は?誰こいつ?」

 

「何なのこの人?急に馴れ馴れしく話しかけてきたけど……メルちゃんの知り合い?」

 

「ううん、メルもこんなおじさんなんて知らないけど……?」

 

しかし只野に声をかけられた三人はまるで汚物を見るかのような冷たい視線を只野に向けていた。しかもどうやら三人の中ではもう只野の事は記憶から抹消されているようだ。

 

「ブフフ♪酷いなぁ三人とも、俺だよ?只野だよ♪」

 

「ただの…………?」

 

「タダノ……………」

 

「只野……………………」

 

「「「…………………ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーッ!?」」」

 

どうやら只野が名乗った事により三人はあの頃の嫌な記憶が蘇ったようである。

 

「な、ななな……?!只野ってあの変態無能の元スタッフの只野?!」

 

「嘘でしょ!?なんでこの島にあんたがいるの?!」

 

「メル達やっとお前の事忘れられてたのに、なんでまた現れてるのさ!?」

 

「ブフフゥ、酷いなぁ久々に会ったというのに?そりゃ勿論また此処で働く為さ♪」

 

……どうやら只野は自分がまたホロライブで働けると思っているようだが三人は更に気持ち悪がり、子供達も只野の醜く笑ってる顔を見てかなり怯えてしまっていた。

 

「はあぁ?!ばっかじゃないのあんた!?自分がなんでホロライブをクビにされたか分かってないの!?」

 

「アキロゼ達に散々酷い事してた挙げ句にホロメンのグッズを横領して転売してた奴を社長がもう一度入社させるワケないじゃない!?」

 

「大体お前メル達や会社に慰謝料払う為に借金して今も返済する為にどっかで労働してたって話じゃなかったの?!」

 

「ブフフ♪そんなの全部返済したに決まってるだろ?それに俺は今超大金持ちなんだ、佐々木なんかよりよっぽど優良物件だと思うぜ♪」

 

「「「うゅ………」」」

 

この男は何処まで自分に都合が良い事しか考えていないのだろうか?宝くじを当てたからといってかなり調子に乗ってるようだ。これには三人だけでなく子供達も呆れ果ててしまっている。

 

「………ところでさっきから気になってたけど、その腕に抱いてる子供は誰なんだい?もしかして親戚の子供達かな?」

 

「ッ!?あ、あんたには関係ないでしょ?!」

 

「それよりももうさっさとこの島から出ていってよ!此処にはあなたの居場所なんてないんだからッ!!」

 

「またまたぁ?照れちゃって可愛いなぁ~♪それに子供達もよく見たら三人に似て可愛らしいしねぇ~、ブフフフフ♪」

 

「「「ふぇ…………」」」

 

只野には三人の嫌がる気持ちも罵声も届いてはおらず、更には子供達に向かって手を伸ばそうとしていた。このままでは子供達が危ない、そんな時……

 

―ガシィッ!―

 

「……おい只野、お前何俺の娘達に触れようとしてんだよ?」

 

「ブフッ?!お、お前は……佐々木!?」

 

只野が子供達に触れる寸前で現れた玲二に抑えられ、そしてそのまま突き飛ばされていった。そんな玲二は完全に冷めた目で只野を睨み付けていた。

 

「ダーリン!」

 

「「玲二君!」」

 

「「「ぱーぱ♪」」」

 

「お、お前いつの間に?!って言うか娘だと!?ど、どういう事だよそれ?!」

 

三人は直ぐ様助けに現れた玲二の後ろに隠れ、只野は三人の腕に抱えられていたのが玲二の娘だという事に困惑していた。なんて察しが悪い男なのだろうか?

 

「まだ分かんないの?!この子達はメル達と玲二君の間に出来た子だよッ!」

 

「ブフゥッ!?な、なんだとぉ?!も、もしかして三人とも佐々木に無理矢理……!?」

 

「んなワケないでしょ!?この子達ははあちゃま達がダーリンと望んで産んだ子よッ!」

 

メルとはあとの言葉に只野はショックを受ける。まさか三人が玲二と子を成してるとは夢にも思ってなかったようだ。

 

「そ、そんな……佐々木ぃッ!よくも俺のアイドル達を無責任に孕ませやがってえぇッ!!」

 

「無責任なんかじゃないわよ!玲二君はアキロゼ達の想いを真剣に受け止めてくれて、そして皆と家族になってくれる事を決めてくれたんだよッ!!」

 

「家族だとぉ?!日本で重婚は犯罪だろうが!?」

 

「日本も今は一夫多妻制よ!それとはあちゃまだけでなくホロメン全員ダーリンの妻になって子供産んでるからッ!!」

 

「まあラプだけは養子だけどな?」

 

「なあぁッ!?そ、そんぬあぁぁぁぁぁぁぁぁーーーッ?!」

 

まさかこの三人だけでなくホロメン全員が玲二と結婚していたという事にショックを受ける只野。だがそれでもめげる事を知らないのがこの男である。只野は瞬時に何とかホロメン達を玲二から引き離す方法を考えだした。

 

「ブ、ブフ……そ、そうだ!三人とも、さっきも言ったけど俺は今超大金持ちなんだ!佐々木から俺に乗り換えれば悠々自適な生活が」

 

「何が超大金持ちだって?!今まで借金返済してた人がどうやってそんな大金集めれるのさ?!」

 

「だ、だからそれは宝くじで一等を当てたから……」

 

「バカじゃないのあんた!?ダーリンは今やホロライブの日本支部支部長でこのホロライトシティの市長よ!年間収入で数十億稼いでいるしはあちゃま達の収益でもかなり稼いでいるからそんな一回の宝くじ当たった程度と比べんなッ!!」

 

日本支部支部長、その言葉を聞いて只野は本日何度目になるか分からないショックを受ける。日本支部支部長という事は実質的な会社のNo.2のポジションであり、いずれ自分が手にする筈だと思っていた地位でもあったからだ。まあ只野には無理だが……そんな地位に玲二が立っていてかなりの収入があり、しかもホロメン全員が家族となって子供にも恵まれている。たかが宝くじ当たった程度でしかも現在無職の只野とは雲泥の差である。

 

「もう分かったでしょ?!玲二君とお前じゃ月と肥溜め、いや比べるまでもなく玲二君の方が圧倒的に上だからッ!」

 

「そうよ!分かったらもうこの島からさっさと出ていって!」

 

「う、うぐぐぐ………い、いや俺は諦めないぞ!こうなったら俺もこの島に住んで佐々木から皆を奪って」

 

「残念だがお前はこの島には住めないぞ?この島は特別居住区だから住む為には厳しい審査を受けなきゃいけない。懲戒解雇されて犯罪歴があって安定した収入がないお前じゃ門前払いされるのがヲチだ」

 

「ブフゥッ?!」

 

そう、ホロライトシティは特別居住区。以前なら島に入るのにも手続きが必要な程であったが現在は其処は緩くなっているとはいえ、住むとなると幾つもある厳しい審査を受けなければならず、不法に住居を構えた場合は強制退去&多額の違約金を払わないといけない。先程玲二が言った通り只野ではこの審査を通るのは不可能である。

 

「ほら、これで分かったでしょ?あんたの居場所はもう此処にはないの!」

 

「分かったなら早くこの島から出ていってよ。それでもしつこく迫るならアキロゼ達も本気で怒るから」

 

「ぐぬぬ……ッ!なんだよ皆して佐々木佐々木って?!そいつの何がそんなに良いんだよ!?俺の方が絶対に優れているのにッ!!」

 

……その一言が、彼女達の逆鱗に触れてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「………は?何下らない寝言ほざいてんの?」」」

 

「へ……?」

 

まるで絶対零度のような悪寒を感じ動けなくなる只野。それほどまでに目の前の三人の冷たい圧が恐ろしいようである。

 

「じゃあ逆に聞くけどお前の何処が良いの?スタッフとして働いてた時も面倒な仕事を周りに押しつけてその間にお前がやってたのってスマホ弄ってるかタバコ吸ってただけでしょ?だから皆から無能スタッフだなんて言われてたんだって自覚しなよ?」

 

「うぐッ!?」

 

「それに平然とアイドルや女性スタッフにセクハラしまくってたし、男性スタッフには理不尽なパワハラをしてたじゃん。そんな奴が慕われるなんてあり得るワケないでしょ?本当に頭の中欲望しかないんじゃない?」

 

「うぎぃッ!?」

 

「それと見た目も性格も最悪。太ってて脂ぎってて禿げてて、その上他人を見下したりねちねち言うのだけは一丁前だよね?はっきり言って反吐が出るよ。だからお前がねちねち言う度に他のスタッフからまた豚がなんかほざいてるって言われてたんだよ」

 

「ブヒイィッ!!?」

 

三人からの容赦のない言葉に只野の心は一気に抉られていく。自分がまさか此処まで嫌われていたのかと痛感し、流石のアイドル達に対してはポジティブ思考の只野でもノックアウト寸前であった。

 

「ブ、ブフ……ちくしょおぉぉぉッ!覚えてろ佐々木ぃッ!このまま終わらせたりなんかしないからなあぁーーーーーーッ!!」

 

そしてとうとう耐えきれなくなった只野は涙を流しながら港へと走っていった。本当に最後までだらしない男である。

 

「あーあ、あれじゃあ暫くやって来れねぇだろうな?」

 

「良いわよあんな奴来なくたって!それよりダーリン!もうあいつの事さっさと忘れたいから今夜は一緒に寝ましょッ!!」

 

「ならアキロゼも一緒に交ぜてもらうわね。もう今日は嫌な事あった分とことん燃えたいわ~♪」

 

「メルも!レミィ、今日はちょこママと一緒におねんねしてもらっていい?」

 

「あい!レミ、しょこちゃといっしょ!」

 

「はいはい、分かりましたよお姫様方………にしてもあいつ相変わらずだったなぁ?」

 

こうして只野はホロライトシティから逃げるように飛び出していき玲二達にまた平和が戻っていった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐぬぬ……このままじゃ済まさないぞ佐々木ぃ……俺にはまだ金ならあるんだ。次こそは完璧な作戦を立ててお前からホロメン達を奪い返してみせるからなぁッ!ブアッハッハッハッハァーーーッ!!」

 

だが只野はまだホロメンを手に入れる事を諦めていなかった。只野は残された1億以上の金を駆使し打倒玲二を強く誓うのであった。

 

 

 

 

 

………が、その夜ボッタクリバーでかなりの金額を取られ、更には美人な女性に声を掛けられそのまま一夜を過ごしたと思いきや目が覚めたら有り金全部持ってかれたりと、結局只野の手元には何も残らなかったとか……

 

「なんでじゃあーーーッ!?ちくしょおぉぉぉーーーッ!!」

 

 

 

只野リターンズ 完




はい、という事で只野奮闘するも一文無しになってしまいました。悪銭身に付かずとよく言ったもんですね(^o^;)

次回こそ本編更新します!


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番外編『襲来!悪の転生者』

昨日母から連絡が来て早ければ今週中には帰って来れるらしく安心しました(⁠^⁠^⁠)

さて、今回は本編にしようか考えましたがガンプラ関係ないので番外編にしました。今回は拓哉と栄ちゃんの間に危機が……?
今回も最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


「………はぁ?栄ちゃんと春先の様子がおかしいだって?」

 

「はい、そうなんですよ先輩……」

 

何時も通り仕事をこなしている中、拓哉が新しい企画の書類を持ってきたのだが何か様子がおかしかったので話を聞いてみたが……栄ちゃんと春先の様子がおかしいってどういう事なんだ?

 

「最近栄ちゃんが俺や子供達の

事を蔑ろにするようになって……それだけじゃなくてのどかさんも俺の事を邪魔者扱いするようになってきて……」

 

「なんだそりゃ?拓哉、お前もしかして二人を何か怒らせるような事したんじゃないのか?」

 

「そんな事してませんよ!ただ、あいつが来てから二人の様子がおかしくなって……」

 

あいつ?あいつって一体誰の事だ?もしかしてまた厄介事か?

 

―ウィーンッ―

 

「うわあぁぁんッ!レイくんお願い助けてぇッ!!」

 

「え、フブキ?どうしたんだそんなに慌てて?」

 

と其処にフブキが何やら慌てて入って来た。一体何があったんだ?

 

「聞いてくださいよレイくん!あの男、仕事の移動中に私とミオのお尻を厭らしい手つきで撫でて来たんですよ!もう気持ち悪くて耐えられないですよぉ~ッ!!」

 

「はあ?!尻を撫でられたって、誰がそんな事を?!」

 

フブキ達が既に結婚しているのは周囲も知ってるから今までそんなセクハラなんて起こってなかったのに……一体誰がそんな事を!?

 

「……フブキさん、もしかしてそれってあいつですか?」

 

「そうですよ神代さん!あの男、何度止めてって言ってもちっとも話を聞いてくれないんですよ!」

 

「え?あいつって……もしかして拓哉、それってお前がさっき言おうとした奴の事か?」

 

「……はいそうです。先輩、今回新たに複数人スタッフやマネージャーが入ったのは知ってますよね?」

 

ああ、確かに何人か入って来たな。リストもチェックしたけど、もしかしてその中に問題児がいるのか?

 

「先輩、『樋山神紅』って奴にあった事ありますか?」

 

「樋山……ああ、あの入社した時の挨拶で俺に愛想なく挨拶した男か」

 

今回入って来た新入スタッフ達に挨拶をした際に他の皆からはホロライブに入社した事の喜びややる気を見せてくれた中で樋山だけは無愛想な態度で挨拶してきたから特に印象に残っている。

 

「……そいつが来てから仕事場の雰囲気がおかしくなり始めたんです。確かに樋山は仕事がかなり出来て助かる面も多いんですが……俺を含め男性スタッフの事を小馬鹿にして、女性スタッフにはセクハラ紛いのちょっかいを出すようになってるんです」

 

「それだけじゃないですよ!私達も何度もレイくんがいるって言ってるのにも関わらず何度も身体を触ろうとしてくるんですよ!」

 

「なんだと?樋山の奴、一体何を考えてるんだ?」

 

例え仕事が出来てもそうした配慮が出来なければ評価は低くなってしまう。それなのになんで樋山はそうした真似を平然と出来るのだろうか?

 

「それに最近では栄ちゃんものどかさんも、それだけじゃなくて他の女性スタッフも全員樋山の味方をするようになってしまって、今じゃ俺の言葉なんて全然聞く耳持たずな感じなんです……」

 

「栄ちゃん達もが?一体なんで……?」

 

―ウィーンッ―

 

「ちょっと玲二さん!これは一体どういう事なんですか?!」

 

「ん?どうしたんだ美兎、お前までそんなに慌てて?」

 

そんな会話をしてる中、其処に更に美兎もやって来た。だがその表情はかなり怒っているようで手には何やら紙が握り潰された。

 

「どうしたもこうしたもありませんよ!これ、一体どういうつもりなんですか!?」

 

そう言って美兎がバンッと机に叩きつけたのはくしゃくしゃになったクリスマスイベントの告知ポスターだ。確か今年はにじさんじが大型ショッピングモールとコラボして大々的なイベントを行うという事で俺も楽しみにしているが、これが一体どうしたんだ?

 

「先程このショッピングモールのオーナーから連絡が来て、今年はにじさんじの起用は止めてホロライブを取る事にしましたのでこの話はなかった事にしてくださいって言われたんですよ!」

 

「「「なんだってぇッ?!」」」

 

どういう事だそれ?!そんな話こっちには届いてないぞ?!

 

「酷いですよ玲二さん!このイベントはにじさんじの皆が楽しみにしていた一大イベントだったのに、それを奪うだなんて……!?」

 

「い、いや俺は知らないぞ!?拓哉、どういう事だこれは!?」

 

「い、いやこれは俺にもさっぱり―ピリリリリッ―あ、ちょっと待っててください。―ピッ―はいもしもし俺だ……何?!どういうつもりだ樋山!?お前何をそんな勝手に……っておい樋山!?クソ……ッ!」

 

?どうしたんだ拓哉の奴、どうやら今樋山から掛かってきたみたいだが……まさか!?

 

「……先輩、どうやらこのにじさんじのイベント、ホロライブに無理矢理移したの樋山だそうです」

 

「「なんですって!?」」

 

「やっぱりそうか……」

 

樋山の奴、どういうつもりか知らないが俺達の許可なく勝手ににじさんじから仕事を奪ってたのか!?だとしたら奴が今まで取ってきた仕事ももしかしたら……

 

「……兎に角俺はこれからそのショッピングモールのオーナーの所へ行ってこの件をなかった事にしてもらう。美兎、フブキ、お前達も着いてきてもらって良いか?」

 

「勿論ですよ!皆が楽しみにしていたイベントを取り戻さないと!」

 

「私達も美兎ちゃんの仕事を奪うなんて許せませんッ!」

 

ん、なら早速転移してそのショッピングモールへと向かうとしよう……にしても一体樋山はどうやってその仕事を得たんだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……という事なので我々ホロライブはこのお仕事を受けるワケにはいきませんので、当初の予定通りににじさんじへと戻して頂きたいのですが?」

 

「えぇ〜?そんな事言われてもねぇ〜?こっちだってもうホロライブさんに任せるよういろいろと手配してますからやってもらわないと困りますよ〜?」

 

……ダメだ、さっきから何度も頼み込んでいるがこのオーナー、頑なににじさんじの再起用を認めようとしない。手配しているとか言うがはっきり言ってまだ告知とかもしてないのだから再起用なんてすぐに出来る筈なんだが?

 

「お願いします!このイベントは私達にじさんじの皆が楽しみにしていたイベントなんです!」

 

「そうですよ!そもそも私達だって他のクリスマスイベントがあるから無理だと言ってるじゃないですか!?なんでそんな私達を採用したがるんですか?!」

 

「えぇ〜?でもやっぱりにじさんじより今ノリに乗ってるホロライブの方がイベント成功間違いないでしょ?それに樋山君だっけ?あの青年の熱い熱意を見て私もこれならイケる!って確信しちゃったからね。あんた、あの樋山君の上司みたいだけど部下の熱意を無碍にするのはどうかと思うよ?」

 

だ、ダメだ、ちっとも話にならん。しかもなんか樋山の事を気に入ってるみたいだし、なんでこんな…………ん?なんかこのオーナー、目が虚ろな感じがするな……ッ!まさか?!

 

「オーナーさん、ちょっと失礼します」

 

ーガシッー

 

「え?な、なんなの急に……?」

 

「………フンッ!」

 

ーパリイィィンッ!ー

 

「…………ッ!あ、あれ?私は一体……?」

 

やっぱり!俺が力を注いた瞬間オーナーの虚ろな目に光が戻ってきた!

 

「あ、あれ?貴方達は確かホロライブの……それに月ノさんまで、一体どうしたのですか?」

 

「え?いやいや、だから今回のクリスマスイベントの起用を私達にじさんじに戻してほしいって」

 

「は?何を言ってるんですか?戻すも何も元々私達は貴方方にじさんじを起用して……ってあれ?!な、なんでいつの間に起用がにじさんじからホロライブに変わってるんだ?!」

 

オーナーは最初何を言ってるのか分かってなかったが手元の資料を見て起用タレントが変わってるのを知ってかなり驚愕していた。間違いない、これは……!

 

「?レイくん、これは一体……?」

 

「……どうやらこのオーナーさんは洗脳術に掛かってたみたいだ。俺がちょっと力を注いだら簡単に洗脳は解けたから其処まで強い力ではないようだったけどな」

 

「洗脳!?一体誰がそんな事を?!」

 

誰が?決まってるだろ美兎、この件の内容とタイミングを考えれば犯人は一人しかいねぇ。

 

「オーナーさん、少しお尋ねしますが、少し前に此処に俺達以外のホロライブのスタッフを名乗る者が来ませんでしたか?」

 

「へ?………あぁッ!?はい来てましたよあの樋山って男!あの野郎いきなり押しかけて来たかと思えばクリスマスイベントをにじさんじからホロライブへと変えろとかふざけた事を言い出したんですよ!そんな事出来るワケないだろって断って追い出そうとして……あれ?その後からの記憶が……?」

 

……やはりそうか。だとしたら栄ちゃん達も……

 

「レイくん、これってもしかして樋山が……?」

 

「ああ、そう見て間違いないないだろう。樋山は何かしらの洗脳術を使えて、その力でオーナーさんを操ったんだ。おそらくは奴が今まで得てきた仕事も、そして事務所の女性スタッフ達も……」

 

そうと分かればやる事は決まってる。まずは栄ちゃんと春先の洗脳を解かないとな。

 

「……ああ拓哉、今すぐ神羅城の俺の事務室に栄ちゃんと春先を呼んでくれ。緊急の仕事の話と言えば否応でも来るだろう、頼んだぞ……よし、これで後は二人の洗脳も解ければ良いんだが」

 

「それにしてもその樋山って男、とんでもない人じゃないですか!?玲二さんなんでそんな人をスタッフに採用なんてしちゃったんですか?!」

 

「いや採用したのは社長だが……だが手渡された資料には特に問題となる点は見当たらなかったのは事実だ。おそらく奴は俺達に悟られないようかなり用心深く動いてたのかもな?」

 

「それよりもレイくん!急いで神羅城に戻って栄ちゃん達を元に戻しましょう!」

 

そうだな、まずは栄ちゃん達を元に戻して何があったかを確認しないと。下手すれば樋山の野郎、洗脳術を使って栄ちゃん達を好き勝手してたかもしれやいしな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ………で?なんですか支部長?私達だって暇じゃないんですよ?」

 

「そうですよ、さっさと早く仕事の話をしてください。私達今忙しいんですから」

 

………神羅城に戻ってすぐに栄ちゃん達に来てもらったが、目の前の二人は明らかに何時もと態度が違う。まず俺や他の皆とも目を合わせようともしない。それどころか目に見えて分かる程やる気が感じられない。そして極めつけは……二人ともあのオーナーのように目が虚ろになっている。これは確実に洗脳に掛かってるな?

 

「……仕事の前に少し確認したい事がある。栄ちゃん、お前最近拓哉や子供達を蔑ろにして新しく入った樋山って奴とよく接触してるようだな?」

 

「は?それがどうしたんですか?別に支部長には関係のない事じゃないですか?大体こいつは入社した時からとろ過ぎるんですよ。何やらせても空回りばっかして本当にダサい。それに比べて神紅君は仕事もテキパキこなして気配りも出来て、とても素晴らしい人ですよ♪一緒にいて楽しいくらいですし♪」

 

……完全に拓哉の事を見下してるな?オマケに樋山の事をかなり慕ってるように見える。隅にいる拓哉も悔しそうな表情を浮かべている。

 

「春先、お前も最近他の女性スタッフと一緒に他の男性スタッフを見下してるそうだな?」

 

「そんなの当然じゃないですか?だって私達にとって神紅君程優れた男性なんていませんし♪支部長も含めて他の男なんてゴミ同然のようなモノですよ」

 

……こっちも完全にナメた態度を取っているな?成る程、樋山の考えが大体分かってきた気がするな。なら……

 

「……なら最後に一つ。お前等は今の発言が自分自身の本心で言ったと思ってるか?」

 

「はあ?何を言ってるんですか、そんなの本心に決まってるでしょ?」

 

「もう良いです、仕事の話と言われたから来ましたがこんなくだらない話をするなら帰ります。私達は一秒でも長く神紅君と一緒に…………ッ!?な、何これ……?!」

 

「………今のでよーく分かった。やっぱり今のお前等は正常じゃない」

 

俺は二人に金縛りをして動けないようにし、そして二人の頭に手を乗せて力を注いでいく。

 

「ッ!やめろ触るな!私に触れて良いのは神紅君だけなんだよぉッ!!」

 

「支部長だからってこんな事して良いと思ってんの?!こんな事したらあんたなんて神紅君に痛い目見させられるんだからぁッ!!」

 

「ギャーギャー煩い……何時までもこんなくだらない洗脳なんかに屈してるんじゃねぇよこのアホンダラッ!!」

 

 

 

ーシュウゥゥゥゥ……カッ!パリイィィィンッ!!ー

 

 

 

「「あ……………」」

 

俺が力を注いだら二人とも糸の切れたマリオネットのようにその場で気を失い倒れてしまった。さて、これで無事に元に戻ってくれれば良いんだが……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………ん、んん……あ、あれ?此処は……?」

 

「栄ちゃん!良かった、目が覚めたんだな!?」

 

あれから栄ちゃん達を客室のベッドへと運んで様子を見ていたが、漸く目が覚め拓哉は安心したのか栄ちゃんに抱きついていく。おそらくは大丈夫だとは思うが、はたしてどうだ……?

 

「へ?た、たっくん?どうしたの急に抱きついてきて……?」

 

「ッ!え、栄ちゃん今俺の事たっくんって……!?」

 

「?当たり前じゃない、結婚してからずっとそう呼んでるでしょ?」

 

……どうやら無事に元に戻ったみたいだな。そしてその横で春先もすぐに目を覚ましたようだ。

 

「う、うーん……あれ?なんで私こんな所で寝てるの……?」

 

「よ、春先。気分はどうだ?」

 

「え?さ、佐々木さん?なんで佐々木さんが此処に?というよりなんで私此処で寝てたんですか?」

 

あー、洗脳から解除されたばっかで混乱してるな?なら一応二人に説明がてら事実確認をしてみるか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……つまり、最近樋山と仕事をしている中で意識が曖昧になる事が多かったと?」

 

「えぇ……でもまさかそれが樋山に洗脳されていただなんて……たっくん、操られていたとはいえ貴方や子供達に酷い事をしてごめんなさい……」

 

「あ、あぁ俺はもう大丈夫だ、洗脳されていたっていうのは分かってるから……だが子供達がすっかり栄ちゃんに怯えてしまってるんだよ……」

 

「そ、そんな……!?うぅ、操られていたとはいえ私ってば子供達になんて事してしまったんだろう……」

 

いや、栄ちゃんは悪くないさ。悪いのは全部そうなるように仕向けた樋山だ。子供達に関しては少しずつ関係性を修復すれば良い。

 

「それにしても少し意識が残ってたせいで凄く気分が悪いです!あの男、私達が抵抗しないからって胸やお尻ばっか触ってきて本当に気持ち悪いですッ!」

 

「まあ寧ろその程度で済んで良かったかもな?正直二人とも最悪樋山に抱かれたかもしれないって心配してたからな」

 

「そういった意味で早く救出出来て良かったですねレイくん♪」

 

あぁ、だがこれであの樋山って奴が何を考えているかは大体見当がついた。その点についても皆にも話しておこうか。

 

「では改めて樋山の事について現状分かっている事を確認しよう。奴はどうやら特殊な洗脳術を使う事が出来て、その力で栄ちゃん達女性スタッフや仕事先の人達を操って支配していた。その中には先程のにじさんじからイベントを奪ったりする等の卑劣なやり方もあったに違いない」

 

「つまり奴の仕事の成績が良いと言うのはその洗脳術を使った偽りの業績って事だったんですね!?」

 

「そういう事だ。クソ、こんな事ならもっと定期的に事務所に顔を出せば良かったな?」

 

「あれ?でもそうだとしたらなんで樋山は女性スタッフだけ洗脳してフブキさん達を洗脳しようとしなかったんでしょうか?」

 

「あー、それは私達が昔誘拐されて洗脳させられそうになった事件があって、それ以降はそうした洗脳がされないようにレイくんに力を分け与えてもらってるんです。だから樋山は私達を洗脳したくても出来ないんじゃないですかね?」

 

そう、以前フブキ達を拐って精神世界に閉じ込めてた男がいて、その事件以降は同じ事にならないように皆には催眠洗脳無効の力を与えてるから例え樋山がどんなに強力な洗脳術を使おうとフブキ達を操る事は不可能なんだ。おそらく樋山もフブキ達を洗脳しようとはしてたと思うがそれが不可能だったから女性スタッフに標的を変えたんだろうな?

 

「そして此処が本題だ。一つは何故奴がこんな力を持っているのか?そしてもう一つは奴は一体何を考えてこんな事をしているのかだ」

 

「確かにプロフィールを見る限りでは樋山は唯の人間ですし……」

 

「そうですね……でも目的は大体分かります。奴の目的はおそらく、ホロライブの乗っ取り……ですよねレイくん?」

 

そう、フブキの言う通りだ。樋山の目的は十中八九ホロライブにいる女性スタッフやアイドルを支配して自分が社内のトップになるというなんとも分かりやすい考えだ。しかも他の男性スタッフを毛嫌いしてるのを見る限りこいつは只野みたいな女性を集めてハーレムを作ろうとか考えてる最低な野郎だ。おそらく入社自体も面接官を操って入社したんだろうな?

 

「フブキの言う通り、樋山の目的はホロライブの乗っ取りで間違いないないだろう。にしても唯の人間である筈の奴が一体何処でこんな洗脳術なんて覚えたんだ?なあ栄ちゃん、樋山はその点について何か変わった事とか言ってなかったか?」

 

「え?えーとそうですね…………あ!確かうっすらとですが何かよく分からない事を言ってた気がします!確か……『まさかぶいちゅーばーが実在する世界に来れたなんて!』とかなんとか……?」

 

『ぶいちゅーばー?』

 

なんだそのぶいちゅーばーって?それにそれが実在する世界だと?まるで他の世界から渡って来たみたいな言い方だし、第一そんな名前のモノなんてこの世界にはない筈だが……ん?

 

「え、栄ちゃん!樋山の奴、本当にVtuberって言ってたのか?!」

 

「え!?え、えぇ確かそう言ってた気が……?」

 

「?なんだ拓哉、お前そのぶいちゅーばーってヤツを知ってるのか?」

 

「………はい。でもその事を説明する為にも、俺の事も話さないといけませんね。本当はずっと隠し続けるつもりでしたが……」

 

?なんだ拓哉の奴、何時にも増して神妙な顔つきになってるけど………?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ええぇーーーーーッ!?樋山と拓哉(たっくん)(神代さん)が転生者あぁーーーーーッ!?』

 

「……はい」

 

な、なんかいきなりぶっ飛んだ事実を告げられたんだが?!転生者って確か一度死んだ者が前世の記憶を引き継いで蘇ったりするヤツだよな?!それが拓哉と樋山って事なのか!?

 

「俺は前世の世界で事故にあって、それでこの世界に転生してきたんです。その前世の世界ではフブキさんや美兎さんはバーチャルチューバー、略してVtuberと呼ばれるアバターを使って動画配信する配信者だったんです」

 

「アバター?!え、私達ってアバターの存在だったの?!」

 

「はい、俺の元いた世界には獣人や天使等の亜人は存在しなくて人間だけだったので、皆さんは中の人がそういったアバターを使ってキャラを演じているって感じでした。それがこの世界では皆さんは実在していたのには最初驚きましたが……」

 

「な、成る程……?つまりはその樋山って男も神代さんと同じかもしくは類似した世界から来て、この世界にそのVtuberが実在したから全部俺のモノにしてやろう!って事なんですか?」

 

「おそらくは……お恥ずかしながらかつての俺も同じ考えを持ってました。でも先輩が俺の事を正してくれたお陰で今はこうして栄ちゃんという素晴らしい奥さんや子供達にも恵まれて幸せにやってこれてます」

 

「たっくん……」

 

そうか、拓哉が最初の頃俺に敵意を向けてたのはそういう事だったんだな?にしても別世界のフブキ達はアバターの存在だったんだな?まあ平行世界は無数に存在するとされてるからもしかしたらそんな世界があってもおかしくないのかもな?

 

「神代さんは優しい性格だったからきっと佐々木さんと一緒にいる事で改心する事が出来たんでしょうね?でも……」

 

「うん、樋山は違う。あいつはこんな卑劣なやり方をしてまでレイくんや神代さんから私達を奪おうとしている根っからの悪人ですッ!」

 

「あぁ、事務所の為と俺達家族の為にも、これ以上奴を野放しにするワケにもいかない。拓哉、今すぐ奴を緊急の仕事と称して此処に呼び出してくれ」

 

「はいッ!………栄ちゃん、今まで隠して来てごめんな。」

 

「ううん、例え転生者だったとしてもたっくんはたっくんでしょ?なら私はそれで充分よ♪それにたっくんは樋山なんかとは全然違うんだから気にしなくて良いんだよ♪」

 

栄ちゃんにそう言ってもらえた拓哉は一瞬泣きそうになるも涙を拭い急いで樋山を呼び出しにいった。さて、この落とし前はきっちりとつけさせてもらうぞ樋山。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「失礼しま〜す。で、なんですか支部長?俺だって暇じゃないんですよ?」

 

……こいつ、来て早々いきなりナメた態度を取ってるな?こっちの事を見ようともせず欠伸をしながら頭を掻いてる。こんな奴が一時でも俺達の事務所にいたかと思うと腹立たしい。

 

「……樋山、お前この間ショッピングモールでのクリスマスイベントをにじさんじから奪う形で無理矢理ホロライブに変更させたみたいだな?一体どういうつもりだこれは?」

 

「あ、それッスか?いやあにじさんじには悪いとは思ってますがやっぱり野郎も一緒にいるイロモノのにじさんじなんかよりアイドルとして輝かしいホロライブが起用された方が盛り上がる事間違いないじゃないですか♪だから俺は皆の為にと思ってオーナーさんに頼んでなんとかホロライブの起用を勝ち取ったんですよ♪」

 

……何処までもふざけた野郎だな?俺の横に美兎がいるのにも関わらずなんの悪びれもなくヘラヘラと笑っている。しかも何が勝ち取っただ?ふざけるのも大概にしろ。

 

「よく言うな、オーナーさんを洗脳してまでにじさんじから仕事を奪う必要が何処にある?」

 

「ッ?!な、なんの事ッスかね〜?」

 

「先程このショッピングモールに行きオーナーさんと話をしたんだが、このオーナーさん明らかに目が虚ろだったから調べてみたんだよ。そしたら案の定洗脳されていたからすぐに解除したよ。オーナーさんびっくりしてたぞ?だって自分の知らない内に起用事務所が変更されてたんだからな」

 

(ッ!?こ、こいつなんで俺があのオーナーを洗脳していた事が分かったんだ?!いや、それよりも解除ってどうやって!?俺のこの力は神からもらった最強の力の筈なのに?!い、いや落ち着け俺!まだ言い訳が出来る範囲だからなんとか知らないフリして誤魔化そう!)

 

おーおー見るからに動揺してるな?だがすぐにニヤけた処を見るとまだ言い訳が出来ると思ってるみたいだな?

 

「へ、へぇ〜洗脳ッスか?でもそれって別に俺がやったなんて証拠はないんじゃないッスかね?だって俺は自分で言うのもなんですが仕事は出来る方ですからそんな洗脳なんて事しなくてもそれくらい勝ち取れますって♪」

 

「そうか……実はお前のその仕事態度についても聞きたい事があったんだ。今から他のスタッフも交えて詳しく聞きたいと思う。栄ちゃん、春先、入ってくれ」

 

俺が呼ぶと扉の奥から栄ちゃん達が現れそのままソファーに座ってもらった。二人の登場に樋山は何やら勝ち誇った表情を浮かべているな。

 

「じゃあ二人とも、これから二人には樋山の普段の仕事の態度について話してもらいたい。嘘偽りなく正直に話してくれ」

 

「「……はい」」

 

(へッバカめ!栄ちゃんやのどかちゃんは既に洗脳済みで俺の事は溺愛しそれ以外の男はゴミだと思うようになってる!幾ら聞いた所で俺の評価が下がる事はないぜッ!)

 

樋山の奴、栄ちゃん達が味方だと思ってニヤニヤ笑っているみたいだな?だが……

 

「……はっきり言って樋山の仕事に対する態度は最悪です。何時も私達が取ってきた仕事を奪って自分の手柄にしたりして、オマケに私の旦那を含めて男性スタッフの事を見下すような態度には我慢が出来ません」

 

「え?」

 

「オマケに私達女性スタッフに対して胸やお尻を触ったりと堂々とセクハラしてきて気持ち悪いです。正直一緒の空間にいるのも嫌な気分です」

 

「はあッ!?」

 

樋山の奴、栄ちゃん達の証言を聞いて慌てだしたな?まさか自分の事をそんなふうに言ってくるとは思ってなかったんだろうな?

 

「成る程……樋山、お前の仕事態度は報告で聞いていたのと大きく違うみたいだな?」

 

「い、いやそんな筈は……!?(ど、どうなってるんだよ!?二人とも俺にベタ惚れの筈だろ?!なんでそんな……!?)」

 

「……洗脳していた筈の二人からそんな事を言われてショックだったか?」

 

「ッ?!!?な、なななな何を……!?」

 

「はぁ、分かりやすい動揺だな?もう全部分かってるんだよ、お前が女性スタッフ達を洗脳して好き勝手してるのも、お前がこのホロライブを乗っ取ろうと企んでいるのもな」

 

(ッ!?ぜ、全部バレてる!?い、いいい、いいや落ち着け俺!例えバレても今此処でこいつ等全員洗脳してやれば良いだけだッ!ケケケ!俺の力を持ってすればお前等なんか怖くねぇんだよバァーカッ!大人しく俺の操り人形になりやがれぇッ!!)

 

 

 

ーキュイィィィンッ!ー

 

 

 

「……ケケッ♪さぁこれでお前等は俺の言いなりだ!まずはお前!大人しく俺にその支部長の座を「渡すワケねぇだろこのボケ」ッ!?な、なんで……?!」

 

やっぱりこいつ、俺達を操ってこの場を乗り切ろうとしていたな?だが俺は元よりそんな洗脳なんて効かないし、此処にいる皆も俺の力を分け与えているから洗脳されずに済んでる。あいも変わらず俺達に睨まれている樋山は最早たじろぐ事しか出来ずにいる。

 

「野心や向上心、結構な事だ。だがそれは道を外せば唯の外道に成り下がる、今のお前のようにな」

 

「う、うぐぐ……な、なんでお前等に洗脳が効かないんだよ……ハッ!?ま、まさか……お前も俺と同じ転生者なのか?!いや、そうに決まってる!じゃなきゃ俺の洗脳を弾き返すなんて出来るワケねぇッ!?」

 

「……お前、もう隠す気ゼロだな?だが俺は別に転生者ではない。ちょっと特殊な力を持ってるけどな。さて……お前には俺の家族と拓哉の家族、そして俺達ホロライブやにじさんじの想いを踏みにじった罰を与えてやる」

 

俺はそう言って樋山を取り押さえ頭を掴んでいく。樋山は抵抗しようとしているが金縛りで動きを封じ込めているので動けはしない。まずはこいつから洗脳の力を消して……よし、そして次にこいつの元いた世界を検索して……見つけた!

 

「な、何をしやがる!?離せやコラァッ!!」

 

「ギャーギャーうるさい……お前みたいな奴はこの世界にいらない。大人しく自分のいた世界に帰れッ!!」

 

俺はそう言って樋山の後ろに次元の扉を開き奴をそのままその中へと入れてすぐに扉を閉め消滅させた。これで奴はもうこの世界に関与出来まい。

 

「……これでもう奴はこの世界に来る事は二度とないだろう」

 

「うん、栄ちゃん無事に戻って来て良かったですね神代♪」

 

「はい……先輩、今回は本当に有り難うございました」

 

「私からも有り難うございます、そしてすみませんでした。これからはたっくんと一緒に子供達との関係を取り戻すように努力します」

 

「ん、そうしてやってくれ。春先も二人の事をサポートしてやれ。その間は三人とも特別休暇を与えてやるから」

 

「はい!私も皆さんの信頼を取り戻せるよう頑張ります!」

 

やれやれ、兎に角これで一件落着かな?全く、ああいう転生者とかは二度と来てほしくないもんだわ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……う、うぅん……ハッ!あ、あれ?此処は……?」

 

「コラァ樋山ぁッ!また仕事中に居眠りとはいい度胸だなぁ?!まだこんだけ資料溜まってるんだからさっさとやれやッ!」

 

「へ?あ、あれ?!俺さっきまでホロライブで働いてた筈じゃ……?!」

 

「何寝ぼけた事言ってんだテメェ?!お前だけ今月のノルマ終わってねぇんだからさっさとしろやボケェッ!!」

 

「ひ、ひいぃぃぃぃ〜ッ!?」

 

その頃、転生前の世界に戻された樋山神紅……否、樋山哲夫(41)は元いた会社で再び社畜として馬車馬のように働かされるのであった。




はい、という事で拓哉の正体判明とクズ転生者追い出しの回でした!幾ら力を得ても他人の家庭を壊したらダメですね(⁠;⁠^⁠ω⁠^⁠)

もうすぐ本編も更新しますので次回もまったり待って頂ければ幸いです、ではまた!


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番外編『集結、ヴィランズ!』

もうすぐ年末、今年もクリスマス回と正月回を書かないと……(^_^;)
今回はまたしてもあの男が何かを企みます。しかも他にも誰かいるようで……?今回も最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


「……諸君、集まったな?それでは始めようか。佐々木玲二に復讐する計画、その作戦会議を」

 

……とある地下施設。薄暗く寂れた其処には何人かの男達が円卓テーブルに集まり何やら話し合いを行っていた。しかも集まった男達は皆何処かで見た事のある者達ばかりであった。

 

 

元ホロライブスタッフ、現無職

只野喪不男(番外編、他一部登場)

 

「ブフフ、まさか佐々木の事を恨んでいる者がこんなにもいたとはな?」

 

 

元アークアイ兵器製造主任、現脱獄囚

Dr.ゴーマン(63話登場)

 

「当たり前だ!奴の所為で私の崇高な計画が全て台無しにされたのだ!奴には復讐しなければ気が済まんッ!」

 

 

元警視庁捜査一課刑事、現脱獄囚

大友和則(79話登場)

 

「俺も奴に大切な芸術品と役職を全て奪われたのだ!奴を潰して奪われた芸術品を全て取り返さんといかんのだッ!」

 

 

催眠洗脳術師&脱獄囚

名もなき悪魔(61話登場)

 

「まぁまぁ落ち着きなって二人とも、奴等一家に恨みがあるのは此処にいる者全員なのだから……」

 

 

フリーター

鈴木太郎(30話、48話登場)

 

「あぁ、奴さえいなければ俺も順風満帆な未来があった筈なんだ!しかも記憶まで消しやがって……だからこそ奴には消えてもらわなきゃ困るんだよッ!!」

 

 

……そう、此処に集まっていたのはかつて玲二によって悪事を阻止された悪役達、所謂ヴィランズであった。中には現在服役中である筈のゴーマンや大友の姿もあった。どうやって集まったかは分からないがどうやら奴等は玲二に復讐する為に此処に集結したようで、今はその為の作戦を話し合うようである。

 

「よし、ではまず作戦を立てる前に今現在の佐々木玲二について情報を共有しよう。只野とやら、お前は少し前に奴に接触したようだな?」

 

「あぁ、あのスカしたムカつく顔を思い出すだけでも嫌だがな……奴は今はホロライトシティという都市島に住んでいて、しかも奴の今の役職はホロライブ日本支部支部長とホロライトシティの市長だというのだ!年間収入も数十億稼いでいる実業家だと持て囃されていて奴は完全に調子に乗ってやがるんだ!」

 

※乗ってません。寧ろ仕事が増えて苦労してます。

 

「しかも奴にはホロライブのアイドル全員と結婚し、しかも子供を産ませている!おそらく奴は彼女達の弱みを握って無理矢理迫ったに違いないッ!」

 

※そんな事してないし、寧ろアイドル達が迫ってきたというのが正しい。

 

「私もその事は耳に入ってきている。奴は自社のアイドルだけではなく他の事務所のアイドルも自分の物にしたと聞いた!奴め、何処まで節操がないのだッ!?」

 

※寧ろ玲二はフブキ達が認めるまで彼女達に自分の事を諦めてくれと促していた。

 

「更には奴は唯の人間の筈なのに転移や透明化等の能力もあった!おそらく奴は洗脳等も使えてそれでアイドル達を操っているのだッ!」

 

※そんな事してないし、基本的に能力は仕事を手早く進める為と日常で便利な程度のモノしか使用してない。

 

「そう!このように佐々木玲二という障害がいる限り我々の望む未来はない!アイドル達を奴の魔の手から救う為にも、必ず奴に復讐するのだぁッ!」

 

『おぉーーーーーッ!!』

 

……もう皆分かっているだろうがこいつ等の言っている事は全て自分達の事を棚に上げた逆恨みである。こんな奴等がまた面倒事を起こすかと思うと玲二達が不憫でならない。

 

「……ところで佐々木玲二に復讐するのは良いとして、問題はどうやって復讐するというのだ?今の我々にはその準備をするだけの資金もないぞ?」

 

「ブフフ……それに関しては問題ないさ♪今の俺にはこれがあるのだからなぁッ!」

 

資金不足という問題をどうするかを悪魔が聞くと只野は不気味な笑みを浮かべながら懐から一枚の紙を取り出した。それはなんと、宝くじである。

 

「なんと!この間宝くじを買ったらまた一等を当てたのだ!その額はなんと三億円!これさえあれば奴を倒す為の下準備が出来るだろう!」

 

「いや、それだけでは足りないぞ。俺の別の別荘の地下には脱税で隠していた七億円がある!まだ警察にも見つかっていないだろうからそれも合わせれば……!」

 

「よぉし、ならば私の隠れ家にある十億円も使おう!それだけあれば完全に奴を陥れる為の研究をする下準備が出来るぞ!」

 

『おぉーーーッ!!』

 

なんという事か、只野は以前大金を失ったと思いきや再び宝くじを当てたという。なんという悪運が強いのだろうか?しかも大友の脱税した七億とゴーマンの十億を合わせれば総額二十億!これだけあれば確かに玲二を陥れる為の道具を作るのに充分かもしれない。

 

「スゲェ只野さん!これからも一生着いてきます!」

 

「ブアァッハッハッハッ!そうだろうそうだろう♪では早速この宝くじを換金しに行くとするか!」

 

「ならば俺も別荘に金を取りに行くとするか」

 

「私も隠れ家に行って金を持ってこよう。ではまた金を持って此処で落ち合うとしよう」

 

只野、大友、ゴーマンの三人は急いで金を持ってこようとそれぞれ目的地へと向かっていき部屋には鈴木と悪魔の二人が残されたのであった。

 

「おっしゃあッ!これであのムカつく野郎と癒月達に一泡吹かす事が出来るぜ!なぁ悪魔さん……ってあれ?あの人何処に行ったんだ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……あぁ俺だ、三人が金を取りに外に出た。発信機を付けてあるから場所の特定は出来る筈だ。俺は残りの一人は頃合いを見て捕まえておくとしよう……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その一時間後……

 

「………は?今なんて……?」

 

「ですのでこの宝くじはハズレておりますので対応出来ません。ご了承くださいませ」

 

宝くじの換金の為に銀行へとやって来た只野だったのだが、従業員から只野の持っている宝くじがハズレていると言われ遠回しに帰れと冷たく対応されるのであった。

 

「そ、そんな事ない筈だ!?だって俺は新聞でもちゃんと確認したぞ!確かに俺の宝くじが一等当たってたんだぞ!?そっちが間違えているんじゃないのか!?」

 

「そんな事言われても何度も確認しましたし、何度見てもやはりハズレでしたよ。番号を見間違えたか、違う宝くじを持ってきたんじゃないんですか?」

 

「はぁ?!そんなワケねぇだろ!番号だって何度も確認したし宝くじだってこの一枚しか持ってないんだから間違うワケが……………………あ」

 

只野は其処まで言うと何かを思い出す。あれはそう、三日前の事である……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ブフフ♪やはり俺は運が良い、また宝くじで一等を引き当てた!これで俺は再び金持ちだぁッ!だが前みたいな事があるからな、換金はゴーマンとかいう奴と会うまでは待つとするか」

 

宝くじを当ててすっかり上機嫌な只野。何度もポケットから宝くじを出してはニヤけるという何とも気持ち悪い事をしていた。そんな時……

 

ービュウウゥゥ〜…バッー

 

「あぁッ!?俺の宝くじがぁ〜ッ!?」

 

突然強風が吹いて持っていた宝くじが飛ばされてしまい只野は慌てて追いかけていった。それから暫くして

 

「えっと確かこの辺に……あ、あった!良かったぁ〜、これで一安心だぜ♪」

 

一瞬見失うも只野は宝くじを見つけ出しすぐにポケットへとしまいそのまま帰宅したのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ま、まさか……あの時拾ったのが別の宝くじだったって事かぁッ!?だ、だったらおれの宝くじは何処に……!?」

 

只野はあの時拾った宝くじが自分のではないと気づき慌てふためいていた。では只野の当てた一等の宝くじは何処へ消えたのだろうか……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃……

 

「レイくん見てみて〜♪僕が買った宝くじが一等の三億円になっちゃいましたぁ〜♪」

 

「にゃあ~♪」

 

「うおッ!?スゲェなおかゆ、どんだけ運が良かったんだよ?」

 

「でも良かったねおかゆ〜?あの時その宝くじ強風で飛ばされて無くしかけてたもんな〜」

 

「本当だよぉ、でもすぐに見つかって良かったぁ〜♪ぴりかもほしいおもちゃあったら買ってあげるね〜♪」

 

「にゃあ~♪ぼぉりゅ〜♪」

 

そう、実は只野が宝くじを飛ばされた時と同じタイミングでおかゆも買っていた宝くじを飛ばしてしまい、そしてすぐに拾ったのだがその時二人して相手の宝くじを拾ってしまったのである。何とも奇怪な出来事もあったもんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「く、クソォッ!こうなったら急いであの宝くじを見つけにーウーッ!ウーッ!ー……ブフ?なんだあのパトカーは?」

 

只野は急いでなくした宝くじを探しに行こうと銀行を出るが、そのタイミングでパトカーが何台もやってきた。しかもパトカーは只野の前に停まり、中から警官がぞろぞろと降りて只野を囲んでいったのであった。

 

「ブフゥ!?な、なんだお前達はぁ!?」

 

「只野喪不男だな?お前にテロ行為の容疑が掛かっている。大人しく署までご同行願おうか?」

 

「ブヒィッ!?テ、テロ行為だと?!なんだそれは!?そんなの俺は知らな……っておい引っ張るな押し込むな!ブヒイィィィィィィィィィ………ッ!?」

 

何故かテロ行為の容疑を掛けられ警察に連行されていく只野。まあ武装を揃えて玲二のいるホロライトシティを攻めようとしていたのであながち間違いではないが、只野は何が起こったのか分からないまま警察署に連れてかれるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして……

 

「フフ、やはり警察は此処まで調べてはいないようだな?相変わらず俺がいないと無能な組織で笑えてくるぜ♪さあ、早速金を持ってさっさとこっからずらかるとするか」

 

大友は自分の別荘の地下に忍び込み、その奥にある隠し部屋の扉を開けて中へと入っていく。目の前には大きな金庫があり、大友は慣れた手つきで金庫のダイヤルを回していく。

 

「フフフ、これで俺はまた再び返り咲く事が出きる!待ってろよ佐々木ぃ、お前の大切なモノを全て奪ってみせるからなぁッ!ーガチャンッーお、開いたみたいだな?」

 

金庫の鍵が解除され、大友はウキウキしながら扉をゆっくりと開けていく。しかし……

 

 

 

ースッカラカーン……ー

 

 

 

「ファッ?!な、なんでだ!?確かに此処には脱税した金を隠してた筈なのに!?一体何処に消えたんだ……ん?」

 

金庫を開けると中には金など入っておらず、大友は慌てて中を調べるがあるのは一枚のカードのような物があるだけだった。それに書かれていたのは……

 

 

 

『貴方のお宝全て頂きました、アデュー♡ 大快盗L.C.S』

 

 

 

「な、ななな……なんだとおぉぉぉぉぉぉぉッ!?」

 

なんと大友の脱税した金は全て大快盗と名乗る者に取られてしまったようである。まさかの事態に慌てふためく大友、更に……

 

『脱獄囚大友和則ッ!貴様が此処に隠れているのは分かっている!無駄な抵抗はせず大人しく出てこいッ!』

 

「げッ!?な、なんで此処に警察が?!というより何故俺が此処にいるってバレたんだ?!」

 

いつの間にか別荘の周りには警察官が集まり厳重体制で構えており、大友は隠し通路から逃げようとするも其処も抑えられあっけなく捕まってしまうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃……

 

「……へぇ、皆見てくださいこの記事。全国の保育園に匿名の方から無償のプレゼントが配られたんですって」

 

「うん、にじほろ保育園でも今朝園の入口に沢山のおもちゃや毛布が置いてあったんだってクレアさんが言ってたよ」

 

「へぇ~、きっと何処かの優しい大快盗がプレゼントしてくれたんだね〜♪」

 

「?なんで其処で大快盗?普通其処はサンタさんやあしながおじさんとかじゃないの?」

 

「……ルイス、お前また何かやったのか?」

 

「……まあちょっとした仕返しを兼ねたお仕事をね♪」

 

どうやら脱税された大友の金は全て全国の保育園におもちゃや備品という形で寄付をされたようだ。そしてその仕事をしたであろうルイス・C・佐々木はやりきった表情をしながら優雅に紅茶を飲むのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

更に……

 

「フン、漸く着いたか。こんなオンボロでなければもっと早く着いたというのに……まあ良い、この奥に私の残した全財産が残っている。後はこれを持って帰れ……ば……?」

 

ゴーマンも隠れ家に辿り着きロックを解除して中にある金を持ち去ろうとするが、こちらも先程の大友の時と同様全てなくなっておりすっからかんな状態であった。

 

「な!?何故だ!?此処を私以外知っているのは側近の奴しかいない筈だぞ!?一体誰が……ん?なんだこの紙は?」

 

そして床に一枚の紙が落ちている事に気づき拾い上げ読んでいくゴーマン。其処に書かれていたのは……

 

 

 

『退職金として貰っていきます。

元RBK-773こと七奈美と元RBK一同より』

 

 

 

「あ、あ、あ………あいつうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅッ!?」

 

まさかの事態、なんと自分が造ったクローン兵士達によって自分の隠し財産が全て奪われてしまったのである。ゴーマンは怒りのあまり何度も頭を壁に叩きつけていた。

 

「クソォッ!こんな事なら警護の為にとこの場所を教えるんじゃなかったわいッ!?こうしちゃおれん!今すぐ奴らを探して金を……ん?まだ何か続きが書いてあるな……?」

 

『P.S.其処はお前が来たら三分後に自爆するようにセットしてます』

 

「へ……?ーカッ!ー

 

ーチュドオォーンッ!ー

 

追伸部分に気づくも時すでに遅し、ゴーマンは家ごと爆発に巻き込まれてしまい、その騒ぎを聞きつけた警察官に見つかりあっけなく捕まってしまうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてその頃……

 

「あれ?!ちょっとななちゃんどうしたのそのゲーミングチェアとパソコン!?それすっごく高いヤツじゃないの?!」

 

「あ、これですか?ちょっとした収入あったから思い切って買ったんですよーストライクショットーッ!ーあ、確定演出!さあ来い!……ああ〜、エミリアαかぁ〜。レムαが欲しいんだけどなぁ〜……もう一万入れよ」

 

「ちょっと何しれっとモ○ストに課金してんの?!昨日も部屋片付けしたら使用済みのウェブマネーカード五万円分出てきたし、まさか全部それに課金してんの?!」

 

「失敬な!昨日のそれはF○Oに使ったんです!」

 

「どっちも一緒でしょうが!?もう兎に角暫くの間課金禁止だからッ!!」

 

「やぁーだぁーッ!スマホ返してぇ〜ッ!!」

 

ゴーマンの隠し財産を退職金代わりに貰って湯水の如く使っていた七奈美だが、杏奈に当然の如くスマホを取り上げられこっぴどく怒られるのであった。それにしても流石ロボ子の姉妹と言うべきか、すっかり俗世に染まり切ってしまっている様子の七奈美であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数時間後……

 

「……おかしい、三人とも金を取りに行ったきり戻って来ないぞ……?まさか、自分の金が惜しくなって逃げたのか?!」

 

何時になっても帰って来ない三人に段々と不信感を抱く鈴木。そんな鈴木を他所に名もなき悪魔は何やら何処かと連絡を取っていた。

 

「……そうか、分かった。なら俺もそろそろ動くとする……おい鈴木、今入った情報だがあの三人は警察に見つかり逮捕されたようだ」

 

「ハァッ?!なんで三人とも逮捕されてんだよ!?使えなさ過ぎるだろあの三人!?」

 

少し前まで一生着いてきますとか言ってたクセにとんだ掌返しをする鈴木。しかし、鈴木は此処である疑問を抱く。

 

「……ってちょっと待て?なんであんたがその情報をすぐに手に入れられたんだよ?ていうかさっきの電話は一体誰と話してたんだ?」

 

「ああ、それはだな……こういう事さ」

 

ープシュウゥゥゥッ!ー

 

「ッ!?な、何を……はにゃ?な、なん……だこ……れ……グゥ……」

 

名もなき悪魔から突然スプレーをかけられたと思いきや鈴木は猛烈な眠気に襲われてしまいそのまま眠ってしまった。そしてそれを確認した名もなき悪魔はフードを下ろし被ってた仮面を外したところで部屋に一人の女性がニコニコ笑いながら入ってきた。

 

「こんるる〜♪黛君わざわざ手伝ってもらってありがと〜♪お陰で玲二君の邪魔者全員排除出来たよ〜♪」

 

「はぁ、別に良いんだけど……こんな潜入捜査なんて俺の管轄外なんだから勘弁してほしかったよ……」

 

そう、現れたのは玲二の妻となったるるであり、名もなき悪魔の正体は変装した黛灰であった。実はとある伝で玲二と敵対している只野達が集結し何かを企んでいるという情報を手に入れた二人はそれを阻止する為に裏でいろいろと画策していたのである。

 

「それで鈴原さん「るる」……るるさん、俺にあの悪魔の変装をさせてたけど肝心の本人は何処に消えたんだ?」

 

「……そういうのは聞かない方が身のためかもしれないよ♪」

 

「あ、はい……(この人なんで玲二さんが絡むとこんなに恐ろしくなるんだろうな……?)」

 

黛は改めてこの人は絶対に敵に回したらいけないと再認識する。ともあれこうして只野達ヴィランズの野望は二人の元にじさんじによってあっけなく阻止されるのであった。尚鈴木太郎は特に何かをしたワケではないので藤枝コーポレーションによって再び記憶を消去されて帰されたとか。




はい、という事でヴィランズ集結!でもあっさり解散!な回でした(笑)まあ今回玲二の知らない所で始まりそして終わりましたが偶にはこういうのも良いですよね?
次回は本編が先かクリスマスが先か……?まったり待って頂ければ幸いです、ではまた!


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番外編『聖夜の翼』

本当はイヴに上げるつもりが日にち跨いでしまいました……仕事さえなければ(ToT)
まあそんな事はさておき今回はクリスマス回です!最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


「Happy Mery Xmas!!みんなぁーーーッ!ガンプラウォーズを楽しんでくれてるかなあぁ〜ッ?!」

 

『イエェェェェェェェェェェェェイッ!!』

 

12月24日、世間ではすっかりクリスマスムードに染まってる中で此処ホロプラも皆で揃ってクリスマスイベントを大いに楽しんでいた。ホロライブは勿論にじさんじ、ハニスト、のりプロ、あおぎり高校、個人勢等のアイドル達は勿論スタッフやお客さんも交えて皆で盛大にクリスマスパーティーを行い盛り上がりを見せている。リク達ビルドダイバーズの世界の皆も誘ったんだが向こうは向こうでパーティーがあるみたいだから今回はこっちの世界のメンバーでのみのパーティーだ。

 

「それにしても今年もいろいろと濃い一年になりましたねレイくん♪」

 

「まあな、けどなんだか何年分も過ごした感じがするのは何でだろうな?」

 

「そうだよね、とても一年間の出来事じゃない気がするもん」

 

……なんかこれ以上はメタい事になりそうだからこの話はもう止めとくか。そう思ってたらにじさんじに所属する吸血鬼葛葉が俺の所にやってきた。

 

「よぉ、楽しんでいるか“トップマネージャー”?」

 

「まあな……それと頼むから普段通りに呼んでくれ、あんまり肩書きで呼ばれたくないんだよ」

 

「まぁ良いじゃねぇか、皆お前がトップマネージャーになってくれて喜んでいるんだからさ♪」

 

いやまあそう言ってくれるなら有難いが……因みにトップマネージャーとはなんの事かと言うと以前ホロライブにやって来た転生者樋山の対処をしていた際に社長からは樋山の穴埋めはすぐに行われたのは良いのだが問題はにじさんじの方だったんだ。すぐに対処したとは言えにじさんじの仕事を一時的に奪ってしまった事により向こうの社長さんに呼び出されたんだ。

 

まあ社長さん自体は其処まで怒ってはいなかった、というより寧ろ樋山がやった事に対し同情してくれたんだがやはり会社が絡んでいる以上何もペナルティは無しというワケにはいかないと言われたのだ。確かにこれで何もなかったら会社の信用問題にも関わってきてしまうからな?

 

其処で向こうが提案してきたのはまさかの俺ににじさんじのマネージャー、それも全体を管轄するトップマネージャーになってほしいとの事だった。なんでも前任のトップマネージャーが急遽天界に帰らなければならなくなったらしく空きが出来てしまったようで、ホロライブでもスタッフリーダーを勤めていた俺なら適任と言われたのだ。いやだからと言ってそんな外部の人間に任せて良いのかって思ったがどうやら美兎達が俺が良いと推してきたらしい。

 

それでホロライブに所属したままでも良いしそんなに頻繁に来なくても大丈夫と言われたのと前回の樋山の件での責任を取る為に謹んで受ける事となったのだ。案の定フブキ達は渋ってたけどな?お陰で今の俺の肩書きは

 

神羅族兼ホロライブ日本支部支部長兼ホロライトシティ市長兼にじさんじトップマネージャー

 

である。何だこれ?

 

因みに前に両親からそんなに沢山仕事して大丈夫なのか?って聞かれたが問題ない。だって俺は時間を操作したり分身したりして仕事を効率的にやっているのだ。その気になれば何日も掛かる仕事をものの数分で終わらせる事も出来る。こういう時神羅族って便利だよな?

 

「それにしても玲二って本当にスゲェよな?委員長や他のライバーも嫁にもらってマジでハーレム状態じゃねぇか、羨ましいぜ」

 

「だったら葛葉も嫁を沢山貰えば良いだろ?お前もかなり収入あるしモテるんだからよ」

 

「……いや、口では言ったけど苦労する事の方が多そうだから遠慮しとくわ。それに今は独り身でいる方が楽しいしな」

 

「ちょっと葛葉さん、なんで私達を見てそう言うんですか?」

 

……まあ否定は出来んわな、実際に苦労する事は多いし。けどそれは普通の結婚生活でも同じだし、大変だけど楽しくて幸せな日々を送れているから俺は今の生活に後悔なんてない。子供達も可愛いしな。

 

「ぱぁぱ〜♪」

 

「お、こゆきも来たか?ほら、こっちにおいで」

 

「あい♪」

 

こゆきもサンタ帽を被りながらとてとてと俺の元に駆け寄って来たのでそのまま抱っこしてあげるとキャッキャと笑いながら頬擦りしてくれる。本当にこの子の成長は早く感じるなぁ。

 

「こゆきも今年は良い子にしてたからな。きっとサンタさんもプレゼントを沢山くれるかもしれないぞ〜?」

 

「うゆ?しゃんたしゃん?」

 

「うん♪クリスマスにはね、良い子にしていた子供の所にサンタさんって人がやって来てプレゼントをくれるんだよ~♪」

 

「ぷえじぇんと?こゆ、ぷえじぇんとほしぃ〜♪しゃんたしゃんくりゅかなぁ〜?」

 

「ああ、こゆきは良い子にしてたから絶対にサンタさん来てくれるさ」

 

「あい♪」

 

うん、良い笑顔だ。こゆきをはじめとする俺の子供達は皆良い子にしてきたから間違いなくサンタは来てくれるだろうしな。

 

※この世界では実際にサンタが存在し小学校低学年までプレゼントをくれる。但し悪い事をして反省しなかったりサンタはいない宣言をしてしまうともうサンタは来なくなる。

 

「さて、俺は他の皆の所に行くとするよ。フブキ達はどうする?」

 

「私達はまだ子供達と一緒に遊んでますので此処にいますね。ほらこゆき、後はママと一緒にいようね〜♪」

 

「あーい♪」

 

フブキは俺からこゆきを引き取るとそら達がいるゲームコーナーへと向かって行った。んじゃ、俺も他の皆の所に行くとするか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ってお前も着いてきたのか葛葉?」

 

「まあお前といると退屈しねぇしな。それに着いてきてるのは俺だけじゃねーし」

 

『わーい♪』

 

まずは此処のメインコンテンツでもあるプラモ販売コーナーにやって来たんだが、なんか葛葉も着いてきていたんだよな?まあ別に良いが、それよりも気づいたらマオをはじめとする一部の子供達がまるでカルガモのヒナみたいに俺にとことこと着いてきていた。可愛らしいのは良いんだが無用心過ぎるぞ……?

 

「こらマオ、それに皆も……今日はいろんな人が集まってるんだから勝手に着いてきたら危ないだろ?」

 

「うゆぅ……ぱぁぱ、いっしょ〜」

 

『いっしょ〜!』

 

「……はぁ、仕方ないな」

 

俺は転送能力で家にある特別ベビーカーを用意して子供達を次々と乗せていく。いるのはマオの他に玲菜とレミィとしょこらとみぐみ、それとさくらと玲牙とつばきとカガリと……よし、これで取り敢えず全員みたいだな。

 

「よし、これなら皆一緒に周れるぞ〜」

 

『わぁーい♪』

 

「……何時もながら普通の家庭じゃ絶対見れねぇ光景だよな?」

 

それは否定しない。というか冷静に考えたら子供これだけいるのも世界広しと言えど多分俺だけだよな?しかも

 

「おぉーいパパ〜♪楽しんでいるか〜♪」

 

「パパ、ネーチャ♪」

 

「ん、まあな。ココと“ももか”も楽しんでくれてるか?」

 

と、丁度良いタイミングでココが“ももか”を連れてやって来たな。ももかはつい先日産まれたココの第二子だ。ココのオレンジ髪をしっかり受け継いでいるか龍人族特有の角と尻尾はなく代わりにそのちっちゃい身体には不釣り合いな大きめの翼が生えている。そしてこの子もさくらと同様に産まれてすぐに喋れている。なんでもさくら曰く言葉はココのお腹の中にいた時から覚えていたんだと、スゲェよな?

 

「お、さくらもベビーカーに乗ってんのか?ならももか、お前もねーちゃんの横に座りな♪」

 

「オー♪」

 

「ももか、いっしょ〜♪」

 

うん、さくらも自分の妹が出来て嬉しそうだな。ももかがココのお腹にいた時からずっと楽しみに待ってたもんな。嬉しそうに背中の羽根がパタパタしているのが分かる。

 

「さて、俺達はまだ他も見て回るけどココも一緒に来るか?」

 

「おぉ、ワタシも今暇してたから全然構わないぞ。さくら、ももか、一緒にいろんなとこ見に行こうな〜♪」

 

「あーい♪」

 

「オー♪」

 

よし、それなら次はレストランルームに行くとするか。彼処には他の皆も集まっているしな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おー皆集まってる……おい葛葉、あれはなんなんだ?」

 

「さ、さあ……?」

 

レストランルーム、其処は今クリスマスという事で様々な料理がビュッフェ形式で並んでおり皆思い思いに食事を楽しみながら会話をしている……と思いきや何やら奥の方で騒いでいる奴がいるな?あれは……

 

「いややぁ〜ッ!うちは部屋で一人ポケモンやりたいんやぁ〜ッ!!」

 

「おら笹木、折角来たんやからそんな騒ぐなや!?」

 

「来たというか楓ちゃんが引っ張ってきたっていう方が正しくないですか?」

 

……なんだこれ?暴れる咲を楓が抑え込んでいるけど一体何があったんだ?取り敢えず話を聞いて見るか。

 

「おーい咲、どうしたんだよそんなに騒いで?」

 

「へ?れ、玲二さん……?い、いややあぁ〜!見んといて、こんなクリぼっちなうちを見んといてえぇ〜ッ!?///」

 

「は?クリぼっち?おい楓、これ一体どういう事なんだ?」

 

「いや笹木の奴が私らの幸せな姿見るくらいなら引き籠もってポケモンやるとかワケの分からん事抜かすから引っ張ってきたんや!」

 

なんだそれ?よく分からん言い分だが、近くにいた美兎と唯華が説明してくれた。

 

簡単に言うと咲は俺と結婚出来なかったのに他の皆が幸せそうなのを見ると余計に辛くなって引き籠もってしまってたらしい。そして今日此処でクリスマスパーティーをすると聞いても皆の幸せな姿を見ると呪いたくなるから引き籠もってゲームをすると言ったら楓が怒って引っ張り出して来たというワケだ。

 

「……なんか申し訳なく感じてくるな?」

 

「玲二さんは何も悪くないですよ。定員オーバーって言って断ってるのは私達なんですから」

 

「せやな、玲二くんの今後を考えると笹木には悪いけど諦めてもらうしかないしな」

 

美兎と唯華は俺の為にと言うが……でもやっぱり今の咲をほっとくワケにはいかねぇよな?

 

「……咲」

 

「うぅ〜ッ!こんな寂しい姿玲二さんに見られたくないんや〜「咲、お前さえ良ければ俺と一緒になるか?」…………え?」

 

『えッ?!』

 

俺の一言で辺りにいた皆の声がピタッと止まった。まあ俺からそんな事言い出すなんて誰も思ってなかったんだろうから当然か。

 

「れ、玲二さんいきなり何を言ってるんですか!?だからもう定員オーバーで……!」

 

「それはお前達が決めた事だろ?お前達が俺の事を考えてこれ以上妻を増やさないようにしているのは知ってる。けど流石に俺の事を此処まで想ってくれている娘を、他の娘は良くてそいつだけダメだと言って拒否するのはなんか嫌だ。女誑しと言われようが、俺は俺の事を想ってくれてる奴を大切にしてやりたいんだ。だから咲、お前がもし良いと言ってくれるなら俺と……いや、俺達とこれからの人生を歩んでくれるか?」

 

俺はそう言いながら咲に手を差し伸べる。思えばこうやって俺から誰かにプロポーズみたいなのするの初めてだな?なんか恥ずかしくなってきたわ……ってどうしたんだ咲の奴?なんかぷるぷる震えてるけど……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………う…………うぅ…………うわあぁぁぁーーーーーんッ!!」

 

「え、えぇッ!?ど、どうしたんだよ咲!?もしかして嫌だったか?!だったらスマン!今のはきっぱり忘れて……!」

 

「違うんよぉッ!玲二さんからそんなふうに言ってもらえてうち、うち嬉しくて……うわあぁぁぁーーーーーんッ!!」

 

咲はなきじゃくりながら俺へと突っ込んで来てそのまま俺の腹部に顔を埋めて泣き続けていた。普段は気の強い感じがするこいつが此処までなるとは、よっぽど溜め込んでいたんだな……すまなかったな咲、これからは家族として一緒の時間を過ごして行こうな。

 

「いやぁ、やっぱパパは甘いとこあるよなぁ?ま、だからこそワタシ等も好きになったんだけどな♪」

 

「えぇ、これでこそ玲二さんって感じですね」

 

「まああてぃしらも笹木の気持ちを知っててあんな事してしまってたからこれに関しては玲二くんの意志に従うわ」

 

ココや皆もどうやら俺の気持ちを汲んでくれたみたいだ。少し回り道をしてしまったが、これで漸く咲も俺達の家族になった。後でフブキ達にも説明しないといけないが、後悔とかはないから良しとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……まあレイくんの事ですから何時か咲ちゃんも嫁に迎えると思ってましたから別に良いんですよ?けど咲ちゃん、さっきからずっとレイくんにべったりし過ぎじゃないかな?」

 

「えへへ〜……///」

 

「……ダメだわ、完全に惚けてしまってるよこりゃ?」

 

あれからホロプラ内を一周した後フブキ達に咲との婚姻を結ぶ事を話したが意外にもあっさりと承諾してくれた。というのもフブキ達も遅かれ早かれ何時かはこうなると予想出来てたらしいので俺が決めたなら咲の事も快く迎えようって決めてたらしい。そんな咲はあれからもずっと俺にしがみつき嬉しそうにニヨニヨと笑っている。

 

「けど玲二君、今回のは例外中の例外だからね?他の娘に同じような事をしたら……」

 

「分かってるって、元よりこれが本当に最後にするする気でいるんだから……それよりそら、そろそろ“あれ”の準備は出来たか?」

 

「うん、バッチリだよ♪それじゃあ早速皆で外に行こう!」

 

こうして本日最後のメインイベントを見る為に皆でホロプラの外に出ていく事に。このメインイベントは俺とそらと店長であるるしあ以外には秘密にしているので皆は何が起こるのか分からずドキドキしている。

 

「なあ玲二、一体何が始まるってんだよ?」

 

「まあ見てなって……それじゃあいくぜ!ライトアップスタンバイ、3!2!1!」

 

ーカッ!ー

 

俺のカウントダウンとともにホロプラの屋上目掛けていくつもの照明が点灯し明るくなっていく。そして其処にいたのはなんと、等身大サイズの一機のMSの姿だった。

 

「あ、あれって!?」

 

「ストライクフリーダム!?しかもあの造形的にMGEXのストフリか!?」

 

「スゲエェェェェェェェッ!?めっちゃ格好良いじゃねぇかッ!」

 

そう、其処にいたのはMGEXのストライクフリーダム、その等身大の立像だったのだ。実はそらがクリスマスの時に皆を驚かせたいと考えていて、それに賛同した俺はそらと一緒にこのストライクフリーダムを作り、そして俺の力で等身大サイズまで大きくしたのだ。皆もこのサプライズには喜んでくれてるみたいだが、これだけじゃないぜ?

 

ーガコンッ!ー

 

ーバシュウッ!バシュウッ!ー

 

「な、何!?」

 

「羽根のドラグーンが展開した!?」

 

俺はストライクフリーダムを遠隔操作してドラグーンを展開、分離してそのドラグーンの発射口を上空へと向け……

 

ーバッシュウゥッ!バッシュウゥゥゥッ!ー

 

ーパアァンッ!パアァンッ!ー

 

「おおぉぉッ!スゲェ、花火だあぁッ!」

 

「凄く綺麗〜♪」

 

ドラグーンの発射口に仕込んでいた花火を打ち上げ、冬の夜空に綺麗な花火が打ち上がっていく。この幻想的な風景に皆も興奮が抑えきれずはしゃいでいた。うん、これはやって良かったな。

 

「玲二くん、大成功だね♪」

 

「あぁ、皆も喜んでくれて何よりだ……来年もこうしたイベントが出来ると良いな?」

 

「そうですね!来年も……ううん、この先ずっと皆で楽しいイベントを沢山やっていきましょう!ね、レイくん♪」

 

「そうだな……よし、少し肌寒いし、そろそろ戻るぞ皆!今日は大いに盛り上がっていくぞぉッ!」

 

『おぉーーーーーッ!!』

 

こうして俺達のクリスマスイベントはまだまだ続くのであった。来年も……いや、これからもこの島で俺達の幸せが続くように。そう願いながら夜は更けていくのであった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーオマケー

 

「ぱぁぱ!しゃんたしゃんぷえじぇんといっぱい!」

 

「お、おぉ……今年はとんでもない数のプレゼントだな?」

 

「あい♪しゃんたしゃんあいあと〜♪」

 

翌朝、神羅城のリビングにはかなりの数のプレゼントが置かれていた。ま、まあうちは子供が多いからこうなるのは当然か……サンタさん、わざわざご苦労様でした。

 

サンタさんが置いてったであろう大量のプレゼントを見て申し訳なさを感じつつも感謝する玲二であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーオマケ2ー

 

「ぐぬぬ……まさか咲ちゃんまでご主人様と結婚するなんて……だったら次は僕の番の筈ッ!」

 

「そんなのは一生来ないので諦めてください。たまきちゃんも良い加減ご主人様の御迷惑になるような事しないでくださいまし」

 

「そうだよたまき君、私らの旦那様に迷惑掛けたらダメだかんな〜♪」

 

「うがあぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!ういママのそのドヤ顔ムカつくうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅッ!!」

 

咲まで結婚した事でますます諦めきれなくなってるたまき。ずっと仲間だと思っていたういにも煽られ行き場のない怒りを抑えきれず怒り狂うのであった。




はい、という事でクリスマス回に咲が遂に玲二と結ばれる!な回でした。まあそろそろ咲も加えても良いかなって思ったのでこれを機に佐々木一家に加わりました(≧∇≦)/

次回は今年中にもう一本更新出来ればなって思ってますので次回もまったり待って頂ければ幸いです、ではまた!


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番外編『ホロライト新年会』

新年明けましておめでとうございます!今年こそは積みプラを半分は消化したいと思っていますが、多分無理だろうなと部屋を見て半ば諦め状態です(ToT)ですが今年も変わらずガンプラにホロライブやにじさんじ等楽しんでいけたらなと思ってます!

今回は新年一発目という事で新年会です!最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


「新年、明けまして」

 

『おめでとうございます!』

 

『あーい♪』

 

2023年元旦、今年も俺達は無事に新年を迎える事が出来ました。これも一重に皆が頑張ってくれたお陰だと思ってる。子供達も新年早々元気で何よりだしな。そして俺達は新年会という事で神羅城のパーティー会場でビュッフェ形式の新年会を行っていた。

 

「それにしても去年は本当に怒涛の一年間でしたね?レイくんもまさかこんなに奥さんが出来るなんてねー?」

 

「……なんか棘がある言い方に聞こえるような気がするんだが?」

 

「当然だよ、折角私達だけで終わると思ってたのににじさんじの娘達まで籍いれちゃうんだもん。玲二君ってばモテモテで困っちゃうね〜?」

 

うッ……!?でもそう言われてもおかしくはないよな、我ながら本当に女性関係だらしなさ過ぎだと思うよ……

 

「まあそんなに言うくらいならもういっその事レイ兄さんの事見限って離婚したら良いんじゃないのーヒュンッ……ドスッ!ーへ……?」

 

そんな様子を見て向かいの席でコーラを飲んでた刀也が冗談混じりのちゃちゃ入れしてきたがその瞬間何かが刀也の頬を掠り後ろの壁に突き刺さっていった。あれってもしかして、ステーキ用のナイフか?一体何が……って

 

「おいコラこのアゴ野郎何フザケた事抜かしてんだ?私達がレイくんと離婚するワケねぇだろ○にたいんかアァンッ?!」

 

「ヒィッ……!?で、でもほら、フブキさん達もレイ兄さんの妻事情に不満があるならそういうのも視野に入れてるのかなー?なんてーヒュンッ!ドスッ!ーヒイィィィッ!?」

 

「寝言は寝てから言ってよね?今のは少しイジワルで言っただけで玲二君に新しいお嫁さんが増えたからって本気で離婚を考えるワケないでしょ?次そんな事言ったらこれ本当に当てるからね?」

 

おいおい二人とも……ってか皆マジでヤバい目つきで刀也を睨んでるし!?フブキもそらも良いからナイフ置けよ!ってかクロヱといろはも後ろでナイフ研ぐな!?子供達もビビってしまってるじゃねぇか!?

 

「二人ともその辺にしといてくださいまし。そんな事してたら本当にご主人様に愛想尽かされてしまいますよ?」

 

「ほら子供達も怯えてしまってるからそろそろ止めないと」

 

『うみゅぅ……』

 

「あぁッ!?ご、ごめんね皆!別にママ達皆に怒ってるワケじゃないからね!?」

 

「ほ、ほらかいり〜♪ママもう大丈夫だからおいで〜♪」

 

「うゆぅ〜……」

 

周りの子供達が怯えているのに気づきフブキ達はすぐにナイフを置き子供達をあやしていく。まあ刀也が悪いにしてもあれはやり過ぎだからな?

 

「まあでも刀也の言う通り俺って他からして見れば女性関係でだらしない処があるからな。皆から見限られて離婚されても仕方ないと思うわ」

 

「しませんからね!?さっきそらちゃんも言ってましたけどあくまで嫉妬でイジワル言っちゃっただけですからッ!!」

 

「ま、ママ必死過ぎるぞ……?」

 

「まぁ嫉妬からくる悪戯でブレインと離婚だなんて笑えませんからね。でもそうしたらその枠に私が納まるだけですが?」

 

「あげねぇからなリシェッタァッ!!」

 

必死になるフブキに若干引くラプ、そしてそんなラプの頭に乗っかってるリシェッタ(省エネモード)が虎視眈々とした目でフブキを徴発していた。もうこれ以上はややこしくなるから止めとくか。

 

「それじゃあ皆、今日は無礼講だ!好きなだけ飲み食いして大いに盛り上がって楽しんでくれ!」

 

『おぉーーーーーッ!』

 

俺の合図と共に皆も再び食事を楽しみ始め、何人かは奥のバーカウンターでお酒を楽しんでいく。にしても何故チャイカがバーテンダーしてんだ?まあ取り敢えず俺も皆の所に周って行くとするか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まずは……って何してんだお前等?」

 

「あ、兄ちゃん!今カケル達に振袖着せて写真撮影してるッス♪兄ちゃんもどうッスか?」

 

「あぅぷぅ〜♪」

 

おぉ、確かにカケルや他の赤ちゃん達が振袖風のベビー服を着て楽しそうに写真撮影してる……ってスバルよ、振袖では女性が着るものだぞ?カケル男の子だけど、普通なら羽織袴だが良いのかそれ?……まあ似合ってるし本人がご満悦みたいだから良いか。

 

「まあまだ赤ん坊だから良いけど、大人になった時女装とかはしないでくれよなカケル?」

 

「う?」

 

「?兄ちゃん、女装って何の事ッス?」

 

マジか、まさかスバルの奴振袖が女性が着るものって知らないのか?でも説明するの面倒くさいな……よし、隣で苦笑いしているちょこに押し付けて次に行くとするか。

 

「というワケでちょこ、俺は他のとこ行くから後は説明頼む」

 

「えぇ?!ちょ、ちょっと玲二様!?」

 

「ねーちょこ先女装って何の事なの〜?」

 

「うゆぅ〜?」

 

俺は上手くちょこに押し付けそのまま他の皆の所に向かう事にした。すまないなちょこ、スバルに説明すると時間が掛かるんだよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、玲二さぁーん!こっちで一緒に飲みましょうよ〜♪」

 

「……美兎、幾ら成人してるからってそんなに飲んでたらすぐ倒れてしまうぞ?」

 

ある程度回ってからにじさんじサイドの妻達の所に来てみたが……美兎の奴すっかり出来上がってないか?近くでひまが酒の瓶抱きしめながらイビキかいて寝てるし。

 

「ご主人様、新年最初のお紅茶が出来ました〜♪」

 

「お、有り難うなエリー。でもエリーもあんまり無茶しないでくれよ?お腹の子にも負担が掛かるかもしれないんだからさ」

 

「はわぁ、でもやっぱりエリーはご主人様にお紅茶を淹れるのが生き甲斐なので……」

 

エリー 妊娠4ヶ月

 

そうは言うがもう結構お腹も大きくなってるんだから無理しないでほしいんだけどな?因みにエリーはにじさんじ組でも早くに身籠ったんだがその大きさは既に臨月並みに大きくなっている。なんでも妖精族は妊娠から出産までの期間が他の種族の半分しかないらしく、来月か早くて今月末には産まれるらしい。だからこそ無理はしてほしくないんだけどエリー自身が本当に辛くなったら休むから大丈夫と言って聞かないのである。

 

「……分かった、けどあまりに無茶だと判断したらちゃんと止めるからな?」

 

「はいですぅ♪」

 

「ん、分かれば良いんだ……ところでエリー、彼処は一体何をしてるんだ?」

 

「え?え、えーと……」

 

 

 

 

 

「ウェヒヒ♪どーよ咲ちゃん?あてぃしと玲二くんの子はすくすくと育っとるよ〜♪」

 

「うぎぎぎぎぎぃ〜………ッ!」

 

「お、落ち着くのじゃ咲!お主ももう玲二の嫁になったんじゃからチャンスは幾らでもあるではないか!?」

 

「まあ笹木もしぃしぃに結婚も妊娠も先越されて悔しいってだけやろ?」

 

……なんか向こうの席では妊娠3ヶ月目の唯華が少し大きくなりだしたお腹を擦りながら咲を徴発してそれにキレそうな咲が尊に抑えられてる。近くにいる楓も呆れながら見てるし……あ、因みに尊も楓も既に俺の子を身篭っていて現在尊が妊娠4ヶ月、楓が3ヶ月になっている。また子供達が増えるのか……その内また神羅城の増築を考えないとな?

 

「あ、玲二さあぁ〜んッ!今からうちと二人っきりでハッスルしようやぁッ!うち今日丁度危ない日やからやったら絶対出来ーゴンッ!ーあ痛ぁッ!?」

 

「新年早々何巫山戯た事抜かしとんねんこのボケパンダは!?お前まだ入籍して一週間も経っとらんやろがいッ!」

 

「だってえぇ〜!しぃしぃが煽ってくるんやもん!」

 

「だからと言って子供っていうのは急いで作るもんじゃねぇんだからさ。今日は新年会なんだから皆で楽しく飲み食いしよう、子供の事は後々にでも考えれば良いさ」

 

「うぅ〜……!」

 

はいはいそんな目で見ないの。折角の元旦なのにそんな日からいきなり色欲まみれた事なんてしたくないんだし。兎に角この話はもうおしまいだ、唯華にも咲を煽らない様に注意して次に行くとするか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おーいキアラ、楽しんでるか〜?……ってなんだこれは?」

 

「あ、アハハ……なんて言えば良いんだろ?」

 

「うぐあぁ〜ッ!」

 

なんだこれ?なんかぐらが子供ビールをグビグビ飲みながら他の奴等に絡んでるんだが?てかなんで子供ビールでそんな酔っぱらいみたいになってんだよ?

 

「で?一体何でこんな事になったんだよ?」

 

「う、うん……ほら、レイジさんってにじさんじの子を中心にまた奥さん増やしたでしょ?それでぐらがなんでその中に自分がいないんだってずっと荒れてるのよ……」

 

なんじゃそりゃ?確かにあの時ぐらも自分もって迫ってきたけどぐらはまだ14歳だから無理だって言ったらそれ以来ずっと不貞腐れてたけど……まさかあれからその事ずっと引きずってるのか?

 

「なんで他の娘は良くてぐらだけダメなのさぁ〜!?こんなの不公平だろうがあぁーーーーーッ!!」

 

「だからぐら、それは貴方がまだ結婚出来る年齢じゃないから「なんだと〜?!これでもぐらは9900年前には産まれてるんだぞー!この中で言ったらぐらが一番年上なんだからなぁーーーーーッ!!」いやそれあんたが封印されてた年数でしょうが……」

 

まあ確かに封印されてた年数考えたら一番生きてる年数は長いな。というか確かぐらって自分で自ら封印したんじゃなかったか?元いた時代だとなんも面白いモノがないからって自分で封印するのってスゲェ行動力だとは思うけど。まあぐらに関しては法律的にアウトだから幾ら想ってくれてたとしても出来ないんだから今はまだ諦めてほしいんだけどな……

 

「うぅ〜!ぐらだってレイジと一緒になりたいのにぃ〜ーヒョイッー……え?」

 

「ほらぐら、他の皆に迷惑になるんだからほどほどにしな?それに前にも言っただろ?お前が結婚出来る歳になってお前がまだ俺の事を想ってくれてるなら俺は受け入れるって。だから今はまだ我慢してくれ、な?」

 

ーナデナデー

 

「……ふへへ〜///レイジィ〜♪」

 

取り敢えずぐらを抱き上げて頭を撫でてやったら落ち着いてくれたみたいだな?じゃあもう大丈夫そうだしそろそろ他の所に行くか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、レイくん戻って来たんですか?」

 

「あぁ、あらかた回って来たからな……ってこゆきとふゆきはどうしたんだ?」

 

「うゆぅ……ぱーぱ、こゆこれやぁ〜」

 

「やー」

 

フブキの所に戻って来たらこゆきとふゆきが何やら着物風ベビー服を脱ぎたそうに手をパタパタさせていた。どうやら着物の所為で上手く動けないのが嫌みたいだな?

 

「そっか、そんじゃちょっと早いけど着替えようかこゆき?」

 

「あい!」

 

「あ、それじゃあその前に一枚だけ写真を撮りません?折角の正月なんですから記念に一枚♪」

 

お、それも良いな。でもそれなら……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし、皆入ったな?」

 

『はーい♪』

 

うん、やっぱ撮るなら家族全員だな。と言ってもうちは人数多いからかなりの集合写真になってしまってるが、まあこれはこれで良いな。よし、それじゃあ自動シャッターをセットして……

 

「それじゃあ皆笑ってくださいね〜♪」

 

「たやぁ♪」

 

ーパンッ!ー

 

『うわぁッ!?』

 

ーパシャッ!ー

 

シャッターが切られる直前に久遠が何処からか持ってきたクラッカーを鳴らして皆がびっくりしてしまい、何とも締まらない感じの写真になってしまった……けどまあこれも俺達らしいと言えば俺達らしいよな?こんな出だしだけど、今年は去年以上に楽しい年になると良いな。

 

 

 

 

 

という事で今年もホロライブ ビルドライバーズをよろしくお願いします!




はい、という事で今年もこういう感じでやっていくのでまた次回までまったり待って頂ければ幸いです、ではまた!


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番外編『これから先のミライ』

すみません、急遽ですが番外編です。


「…………そっか、アイドルを引退してしまうんだな?」

 

「うん…………ごめんね玲二、アカリにはもうこれ以上続けていける自信がなくなっちゃった…………」

 

俺は今肩に身を寄せてるアカリの頭を優しく撫でて落ち着かせている。アカリは実は去年の冬頃から自身のチャンネルでの活動をしておらず、つい先日SNSで引退声明を出したのだ。理由はアカリの所属していた事務所との意見の違い、それもかなり前から続いておりその溝はどんどん深まる一方だったらしい。自分の本来やりたかった事も満足に出来ず、このままでは自分がダメになると思ったアカリは引退を決意したのだ。

 

「いや、お前が選んだ道なんだ。それを止める権利なんて例え俺だとしてもそんなのないさ……それで、これからアカリはどうするんだ?俺は例えお前がアイドルを引退したとしても夫として支えてやりたいと思ってる。だからお前がやりたい事があればサポートしてやりたい」

 

「……それに関してはまだ分からないかな?多分暫くはヒカリの子育てに勤しもうかなって思ってる。けどそれからの事はまだ思いついてないや。ほら、アカリってば今までアイドル活動一筋だったからさ、アハハ……」

 

……俺に心配させまいと必死に笑顔を作ってるが、肩に寄り添うアカリの身体が小刻みに震えているのが分かる。今までアイドル活動一筋でやって来たアカリにとって他にやりたい事が今のところ見つかってなくてこれから先どうなるのか全く分からない事に不安を感じているのだろう。だから俺は一度撫でるのを止めてアカリを強く抱きしめてやった。

 

「……大丈夫、お前には俺や皆が一緒にいる。例えアイドルじゃなくなったとしてもお前が俺達の家族である事には変わりはない。だからもし何か新しくやりたい事が出来たら全力で支えてやる、だから安心してくれ」

 

「玲二……うん、ありがとう玲二。アカリ、玲二に会えて一緒になれて本当に良かった♪これからもずっと、アカリの事を傍で見守っててね?」

 

当たり前だ。例えどんな事になろうとアカリが俺の家族である事には変わりはない。これからも俺達はずっと一緒だ。俺はうっすらと泣いているアカリの頭を優しく撫でながらそう誓うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

2023年3月31日を以てミライアカリさんが引退される事が発表されました。Vtuber界の黎明期から活動され多くの人を魅了してきた彼女が引退されるのは1ファンとしてとても残念ですが、彼女のこれからの未来が明るくなる事を切に願います。 by神楽



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番外編『異界交流』

今回はなんと!コラボをさせて頂く事になりました!お相手の方はアズールレーンの二次創作『深海の龍帝は何を成す?』のリア・ユグドラシル様でございます!こんな小説とコラボして頂き感謝です!(≧∇≦)/

今回は序章という事で、異世界から彼等がやって来る……!?今回も最後まで見て頂ければ有難いです!ではどうぞ!


これは、玲二達の住んでいる世界とは別の世界にある戦士達との交流の物語である…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「畜生ッ!何なんだよこいつ等は!?」

 

「クソッ!テメェ等覚えてろよッ!?」

 

「いやいきなり絡んできて何だったんだよ……?」

 

とある日の昼下がり、俺達は本土の方で仕事がありフブキとマリン、そしてこゆきとふゆきとマリアを連れて撮影を終えたところだったんだが……運悪くスタジオを出たところでチンピラ共に絡まれてしまい追い返そうとしたんだが、其処でマリアがびっくりして大泣きしてしまったんだ。その結果が……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーババン!ババン!ババン!ババババーンッ!ゼーンカイザーッ!ー

 

「世界全開!オールオッケー!」

 

ーイヌブラザー!ヨッ!ワンダフル!ー

 

「ったく、一体何だったんだ今の奴等?」

 

ーAx formー

 

「俺の強さにお前が泣いた!」

 

ーヨモツヘグリアームズ!冥・界・黄泉・黄泉・黄泉……!ー

 

「………………」

 

「こ、今回もまた凄いメンバーですね〜?」

 

「けど変な奴等呼ばれるよりかはマシだよね?龍玄・黄泉が出てきた時は怖かったですけど……」

 

「ふみゅう〜……」

 

いやこれまた濃いメンツが呼ばれたもんだな?本当にマリアの能力だと何呼ばれるか分からないから仕方ないんだが……まあ取り敢えず何時ものように帰ってもらうか。

 

「あー皆さん、もう大丈夫ですので帰って頂いて結構ですよ?」

 

「そう?じゃあそろそろジュラン達も心配しそうだから帰らないと!それじゃあ、サヨナラ全かーい!」

 

「ハァ、急に呼ばれて戦わされるなんて、そういうのは桃井達だけで勘弁してほしいぜ……」

 

「ほな、ごっつぁんです!」

 

ーシュンッ!ー

 

俺が何時ものように声がけするとゼンカイザー達はそのまま光に包まれ帰っていった。取り敢えずこれで一安心…………ん?

 

「……………………」

 

「あ、あれ?なんで龍玄・黄泉だけ残ってるんですかね?」

 

「りゅーげんまだいる〜」

 

「……それにこの龍玄、なんか様子がおかしくないですか?」

 

「あうぅ〜……」

 

確かになんでまだ龍玄・黄泉が残っているんだ?それにこの龍玄、劇中でもかなり危険なヨモツヘグリアームズの状態で変身中は常に生気を吸われてまともに立ってられない筈なのに、なんでこいつずっと平然としていられてるんだ?

 

「な、なぁ、お前ももう帰って良いんだが……?」

 

「……………………成る程、どうやらその子供が俺を呼んだみたいだな?」

 

ッ!?違う!こいつ、龍玄だけど龍玄じゃない?!本来の龍玄はまだ幼さの残る男子高校生の筈だが目の前の龍玄はそれとは違う声で喋りかけてきた!今まで召喚されたヒーローは全て劇中と同じ存在だったのになんでこいつは違う存在が変身しているんだ?!

 

「……龍玄の変身者は本来呉島光実の筈、お前は一体何者だ?」

 

「あ?俺を呼んどいて何者だなんて……まぁいっか」

 

ーパシュウゥンッ!ー

 

「え!?あ、貴方は……!?」

 

「か、艦これの鈴谷さん!?」

 

なんだと!?艦これって確かフブキ達が前にやっていたゲームだよな?!なんでそんな艦これのキャラが龍玄に変身なんてしていたんだ?!

 

「あー悪いけど俺はその鈴谷とは違うから。俺は黄泉桜っていうんだ、よろしくな」

 

「黄泉桜……?なぁ、お前はどうして此処にいるんだ?仮面ライダーに変身していたって事は少なくともこの世界の人間ではないのだろう?」

 

「どうして?それはこっちの台詞だ。敵と戦っている最中に変な穴が現れて飲み込まれたと思ったら、あんな変な雑魚チンピラ共の相手をさせられたんだからびっくりしたぞ?」

 

な、成る程?どうやら何らかの手違いでマリアの力が干渉してこの黄泉桜って奴を呼んでしまったみたいだな……?

 

「それにしても龍玄・黄泉に変身するなんてなんて命知らずな……」

 

「あぁ、それは大丈夫だ。俺はデメリットなしでそういったライダーに変身出来るから。もっとも、今メインに使っているシステムがメンテナンス中だったから仕方なく使ってただけだけどな」

 

「え!?デメリットなしで変身出来るんですか?!チートじゃんそれ!?」

 

確かに龍玄・黄泉の力をデメリットなしで使えたら無双出来そうなスペックはあるからチートっぽいよな?でも問題は其処ではない。本来ならマリアの力で呼び出された奴は用が終わればすぐに帰れるのだが、この黄泉桜は一向に帰る気配がない。つまりはこの間の鎧武こと紘汰のように少し複雑な経緯で此処に呼ばれてしまったみたいだ。こうなるとまた面倒な事になりそうだな……

 

「まあこの際そういうのは良いとして、それでお前はこれからどうするんだ?マリアの力で呼び出されたなら責任を持って元の世界に送り返すが……?」

 

「ん?いや、そんな事をしなくても別に自分の力で帰る事は出来るから良いさ。それよりも此処で出会ったのも何かの縁だ、折角だからこの世界を観光させてもらうとするか♪」

 

なんか随分楽観的な奴だな?まあそういうなら暴れるとかよっぽどの事をしなければ別に良いか。

 

「そうか、それなら呼び出したお詫びとして俺達の島に招待するよ。俺は佐々木玲二、でこっちの二人は俺の妻のフブキとマリン、そして子供達でこゆきとふゆきとマリアだ」

 

「どうもよろしく〜♪」

 

「佐々木マリンですぅ〜♪よろしくね黄泉さん♪」

 

「こんちゃー!」

 

「おう、よろしくな♪にしてもまさかホロメンが存在する世界に来る事になるとはな」

 

ホロメンが存在する世界?もしかしてこいつも拓哉のいた世界みたいな所から来たのか?まあそれはホロライトシティに戻りながら話すとするか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふーん、お前からとんでもない力を感じたけど転生者じゃないのか?」

 

「え?あー、前に俺の事転生者とか言ってた奴がいたけど俺は別に転生者とかではねぇよ。唯の先祖返りで力を得た元人間さ。ま、転生者は別にいるけどな」

 

それからフェリーに乗りながら俺達は黄泉との話しに花を咲かせていた。どうやら黄泉は転生者らしく今はアズールレーンの世界で暮らしているらしい。俺はアズールレーンというモノはよく知らないが確か艦これのような戦艦擬人化ゲームだよな?まあ艦これも其処まで詳しくはないが。

 

「それにしてもこっちのフブキさんやマリンさんが結婚しててしかも子供がいるとはな。こりゃ龍我が知ったら驚くだろうな」

 

「龍我?それって黄泉さんのお友達ですか?」

 

「ああ、見た目は目が赤くなってる以外まんまフブキさんなんだよ。ま、男だけどな♪」

 

「にゃ?!」

 

マジか?見た目フブキで男とかスゲェな?見た目女なのに男……ウッ!?頭が……!?

 

 

 

 

 

「へっくち!」

 

「あれ?たまきくん風邪?」

 

「んーん、多分誰か僕の事でも話してたのかも?きっとパパかもね〜みたまちゃん♪」

 

「あうぅ〜♪」

 

 

 

 

 

「あれ?玲二くん大丈夫ですか?もしかして船酔いしちゃいました?」

 

「ふみゅ、ぱーぱ、だいじょぶ〜?」

 

「あ、あぁ大丈夫だ。有難うなマリア」

 

ダメだ、一瞬たまきの顔が浮かんでしまったけど今はもう気にしないでおこう。

 

「…………お、もしかしてあの島か?」

 

「ああ、あれが俺達の街、ホロライトシティだ」

 

「やぁーやっと帰って来られましたよぉ〜……あれ?あれって……」

 

ーバキュウゥンッ!ー

 

ーガキィンッ!ズバアァッ!ー

 

「な、なんだぁ!?あれってガンダムとザク!?なんでMSが暴れてるんだ?!」

 

あーそういや今日はそういうイベントだったな?今ホロライトシティの上空では『エールストライクガンダム』と『ハイザック』が激しいぶつかり合いをしている。データを見る限りどちらも一般人だがゴールドランク4のプレイヤーか。

 

 

『HG エールストライクガンダム』

『機動戦士ガンダムSEED』に登場する地球連合軍が極秘に開発していたMSの一つ。ストライカーパックという装備を変更する事で戦況に応じた戦闘が可能になっている。その中でもエールストライカーは飛行戦が可能なのとバランスが良いスタンダードなストライカーパックである。

 

 

『HG ハイザック』

『機動戦士Zガンダム』に登場する地球連邦軍の特殊部隊ティターンズの量産型MS。所謂連邦版ザク。序盤でのティターンズの主戦力ではあるがビームサーベルとライフルを同時に使用出来ない等の欠陥もある。

 

 

「ちょ、ちょっと玲二くん大変ですよ!?マリン達の街にガンダムが襲ってきてますよぉ〜!?「もぉマリンってば落ち着いてって。今日はガンプラウォーズのリアルフィールドイベントの開催日でしょ?」あ、そ、そうでした……」

 

「ガンプラウォーズ?もしかしてこれ、ゲームなのか?」

 

「ああそうだ、ガンプラウォーズが地上界で稼働開始した記念イベントとして各国の協力の元にこうしてリアル3Dバトルを楽しめるようになったんだ」

 

「がんぷら、かっこい〜♪」

 

「「わーい♪」」

 

うん、子供達も喜んでくれてるみたいだな。このリアル3Dイベントは世界6カ国全12ヶ所で開催していて何処もかなりの盛況ぶりを見せてくれている。まあ最初テストプレイした際に何も知らない人達が見た時は巨大ロボットが進撃してきたと勘違いされたけど…………あ、そんな事言ってたらいつの間にかハイザックが勝ってたな?

 

まぁエールストライクの方は性能面では有利だったが目視で分かるくらい作りが若干甘かった部分があったから其処を突かれたんだろう。しかもあのハイザックは見た目こそは普通に見えるが細かな部分がプラ板等で補強されているからかなり手の込んだ改造が施されていたに違いない。これがあるからガンプラウォーズは面白いんだ。

 

「スゲェなこれ、めっちゃ面白そうだ!なあ佐々木、これ俺も遊べるのか?!」

 

「ん?まぁIDカードを発行してガンプラさえあれば誰でも遊べるが、このリアル3Dイベントはゴールドランク以上しか参加出来ないから今すぐの参加は無理だな」

 

今このガンプラウォーズは有難い事にかなり大盛況だからただでさえ順番待ちが多い状況なのに更に出来る人数が限られているリアル3Dイベントをフリーで解放したら余計に混雑を招く要因に成りかねないから今回はゴールドランク以上限定のイベントになったんだ。

 

因みにランクは下からブロンズ、シルバー、ゴールド、プラチナ、ダイヤ、ガンダリウムとあって今いるプレイヤーで最高ランクはフブキのプラチナ3だった筈。因みに俺はゲームマスターという事でそういったランク関係なしにゲームに参加出来る、勿論仕事の為にな。

 

「そっか、流石にああやっては戦えねぇか?まあそれでも良いから俺にもやらせてくれよ!ガンプラも買うからさ!」

 

「ま、まあそれは自由だから良いが……なら着いたらまずはホロプラに行って黄泉のID発行とガンプラ作りを手伝うとするか」

 

『おー♪』

 

よし、そうと決まれば今の内にるしあにも連絡を入れておかないとな。黄泉がどんなガンプラを作るのか見物だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃……

 

「…………ったく黄泉桜の奴、戦闘中に消えたと思ったらこんなまさかこんな世界にやって来てたとはな?急に消えてあの後面倒だったから一発文句言わねぇとなぁ……」

 

ホロライトシティの丘からフブキにそっくりだが目が真っ赤な子がホロライトシティを眺めながらボヤいていた。これはまた一波乱が起きそうな予感である…………

 

 

続く……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーオマケー

 

「お!なぁ佐々木!これ格好良いからこれにしても良いか!?」

 

「ん?どれどれ……いや今回のイベントはどれもHG限定だ、それPGだからそもそも参加出来ねぇぞ」

 

ホロプラに着いてガンプラを探すもデカくて迫力のある機体ばかりをチョイスする黄泉桜であった。




はい、という事でまずはリア・ユグドラシル様のキャラの一人、黄泉桜さんの登場でした!向こうの世界にはベイビーズが行ってるみたいなので良ろしければ是非見にいってくださいませ(^o^)
次回は更にもう一人を加えてガンプラウォーズをやりたいと思うので次回もまったり待って頂ければ幸いです、ではまた!

※今回のお話はお互いそれぞれの世界で起きたパラレルワールド的な内容となっております。


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番外編『異界バトル』

最近は有難い事に忙しい日が続いてますがそろそろガンプラ作りたい…………( TДT)

今回はコラボ番外の後編です!最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


マリアの力によって異世界から黄泉桜という奴がやって来た。黄泉は自身の力で元の世界に帰れるのだが少しこの世界を観光するという事で玲二達と共にホロライトシティという街に案内されたのだが、その上空ではMS同士の激しいバトルが繰り広げられていた!

 

ガンプラウォーズなる異世界のゲームに興味を持った黄泉は自分もそのゲームに参加すると意気込み玲二達の御用達の店、ホロプラへと向かうのであった。しかし、その街の丘からフブキに似た謎の男がホロライトシティを眺めている事を、玲二達はまだ知る由もなかった!……とさ。

 

 

 

「……いやなんでキングオージャーの冒頭みたいなナレーションしてんだよ?」

 

「いやぁ、なんか何時もとちょっと違った感じのオープニングにしてみたくてな♪」

 

いや人の小説で何をしてんだよこいつは?…………そして俺は今何を考えてた?なんだよ小説って?

 

「それで、何時になったらガンプラが決まるんだよ?もう結構時間が経ってるぞ?」

 

「あーそれな?いやさ、実際にガンプラをこうやって見ると種類が豊富でどれにすれば良いか悩んじゃうんだよなぁ?」

 

まぁそれは分かる。機動戦士ガンダムが始まってガンプラが出来てから既に40年以上が経ち、今ではHGだけでも千以上の種類が存在する。勿論現在販売されている物はそれより少ないがそれでもかなりの数がある事には変わりないからこっからお気に入りを探すのはなかなか難しいだろうな?

 

「けどそろそろ見つけないと、組み立ても考慮すると今日やる時間がなくなってしまうぞ?」

 

「それは困るな、なら早く決めないと「おいコラ黄泉桜ぁッ!」ゲッ!?」

 

!?な、なんだ?!いきなり後ろから怒鳴り声が聞こえたけど……ッ!?ふ、フブキ?!いやフブキにしては声が低いし、よく見たら喉仏もある!?もしかして、こいつはさっき黄泉が言ってた……!?

 

「お、おぅ龍我……こ、こんな所で会うなんて奇遇だなぁ〜?」

 

「なぁにが奇遇だなぁだ!?テメェ戦いの最中に急に消えやがって!?こちとらあの後大量のセイレーンに追われてめんどくさかったんだぞ!!」

 

「い、いやぁそれは申し訳ないとは思ってるけど、こっちもちょっと色々と事情があってな……」

 

やはり、こいつは黄泉が言ってたフブキの姿をした龍我って奴か。にしても確かに顔立ちはフブキそっくりだが声と喉仏と……あと胸がないのを見ると本当に男なんだなこいつ?ってそんな事より他のお客さんの迷惑になるからさっさと止めないとな。

 

「お、おいその辺で止めてもらっても良いか?他のお客さんに迷惑がかかっちまうからさ」

 

「あ?なんだテメェ?もしかしてテメェがこいつをこの世界に連れ込んだのか?」

 

うわぁめっちゃ機嫌悪そうだな?そりゃ話を聞く限り戦ってる最中に急に仲間が飛ばされたんだからそりゃ迷惑だよな。

 

「それについては本当に申し訳ない。俺の娘が誤ってあんたの仲間を呼んでしまったんだ。戦ってる最中のあんた達に迷惑をかけてしまって申し訳ない」

 

「…………まぁ確かにいきなりこいつが消えてびっくりしたが別に苦戦とかはしてねぇから今回はもういいわ。ってそういやまだ名乗ってなかったな?俺は深海龍我っていうんだ」

 

「俺は佐々木玲二だ、よろしくな」

 

俺はフブキそっくりな男、龍我と握手を交わすが…………

 

(…………この男、やはり人間でも獣人でもない。それにこいつから感じる禍々しい力……黄泉の感じを見る限り悪い奴ではなさそうだが、気を抜かない方が良さそうだな)

 

(…………こいつ、見た目こそ普通の男だが人間とは思えねぇ程の力を秘めてやがるな?今はまだ俺達程ではないにしろ、この力が解放されたら俺ですら危ういかもしれない。警戒するに越した事はなさそうだな……)

 

この龍我という男から感じる力に思わず警戒してしまったが……それは向こうも同じようで顔は笑っているが明らかに目が疑っている感じがする。まあ向こうが何か怪しい事をしなければこちらからは何もしないから今は普通に交流するとしよう。

 

「……それで?黄泉桜は俺達の世界に戻りもせず一体何をしてたんだよ?」

 

「あーそれな。いや実はめちゃくちゃ面白そうなゲームをやろうと思ってたんだけど、そのゲームやるのにガンプラが必要でどのガンプラ買おうか悩んでたとこなんだよ」

 

「ガンプラぁ?なんだよそりゃ?まさかガンプラ同士で戦わせるとかじゃねーよな?」

 

「そうそう、そのまさかだよ。さっきプレイ画面見せてもらったがかなり迫力があって面白そうでな。折角来たんだからこれやってから帰ろっかなって思ってガンプラ探してたんだがなかなか好みに合う機体が見つかんなくて今も探してる最中だったんだよ」

 

「……ほう」

 

……お?黄泉が説明すると龍我も興味を持ったのか近くにあったガンプラを手に取りじっと見てるな。

 

「どうだ?もし良かったらお前もガンプラウォーズやってみるか?」

 

「良いのか?けど俺ガンプラなんて前世含めて今まで一回も作った事ないんだが?」

 

「あ、そういや俺もだわ」

 

おぅマジか?まあこの世界では今ガンプラがブームになってるけど別の世界でもブームになってるとは限らないもんな?だとしたらレンタル品でも貸してやろうかな?

 

「あ、レイくーん!黄泉さんのガンプラ決まりましたか……ってあれ?」

 

「どうしたフブキ?そんなとこで立ち止まって……あん?誰だこいつ等?」

 

『ぱぱ〜♪』

 

お、そんな事を言ってたらフブキがクロと子供達を連れてやってきたな。マリンは配信があるから先に帰ったけど代わりにモデラーの仕事をしていたクロと合流していたようだ。そしてクロが何か持ってるところを見ると新しい展示用ガンプラでも持ってきたようだな?

 

「お、フブキさん……と黒いフブキさん!?」

 

「いや違うな、こいつは……そうだ、白上フブキがネタ枠で演じてるクロとかいう子だったか?」

 

「あ?誰がネタ枠だ?それと私をこんなアホと一緒にすんな」

 

「ちょっとクロちゃん人の事アホ呼ばわりしないでよぉ?!」

 

へぇ、他の世界だとクロはフブキが演じてる存在なのか?まあこの世界でもクロが極稀にフブキの代わりに配信に参加してたりするけど未だに同一人物だと思ってる奴もいるくらいだからそれくらい二人が瓜二つって事なんだよな。

 

「こらこらクロ、こちらは異世界からのお客さんだ。ところでクロは新しい展示用ガンプラでも持ってきたのか?」

 

「ああ、これは玲二が絶対に喜ぶと思って今回はかなり気合入れて作ってみたんだ♪ほぼフルスクラッチだったから半年以上掛かってしまったがな」

 

へぇ、どれどれ……おぉ!?これは『ELSクアンタ』か!それにこれは『ダブルオーライザー』!どっちも作りが細かくて本当に製品としてありそうな出来栄えだ!

 

 

『HG ELSクアンタ』

『劇場版 機動戦士ガンダムOO -A wakening of the Trailblazer-』に登場した刹那・F・セイエイが搭乗していたOOクアンタが変化した機体。クアンタムバーストし装甲がパージされた処を地球外生命体ELSによって新たな装甲を得た姿であり、その為その姿はガンダムどころか全てのMSと比べても異質である。劇中では最後に登場した程度だったが、他のゲーム等では圧倒的な力を見せつける事が多い。

 

 

『HG ダブルオーライザー』

『機動戦士ガンダムOO』のセカンドシーズンに登場した刹那・F・セイエイの機体。GNドライブを二つ要したダブルオーガンダムの出力を安定させる為のサポートとして造られたオーライザーと合体した姿であり、これにより通常時は勿論トランザム状態でも安定して戦う事が出来るようになった。

 

 

「フフン!クアンタをベースにはしてるがほぼほぼフルスクラッチしたからかなり時間が掛かったが漸く納得出来る物が仕上がったんだ!どうだ玲二、前にELSクアンタが欲しいと言ってたから頑張って作ってみたぞ♪」

 

「ああ、これは凄いな。わざわざ俺の為に作ってくれて嬉しいよ」

 

「本当に格好良いですよね〜♪構造やカラーリングの所為でガンプラでの発売がなかったからこういう現物を見れるだけでも嬉しいですねレイくん♪」

 

確かにこういう特殊な所為でキット化出来ない機体が改造機として見れるのは嬉しいよな。これでガンプラウォーズで戦ってる姿とか見れれば最高だし……そうだ!

 

「なぁ龍我、黄泉。折角だからお前等この機体使って参加したらどうだ?」

 

「え、良いのか?だってそれ展示する用のじゃねぇのか?」

 

「あぁ、俺も実際に動くELSクアンタを見てみたいからな。なぁクロ、一回だけ使わせてもらってもいいか?」

 

「ああ別に構わんが、これは玲二や皆の為に作った作品だからな。慎重に扱ってくれよな?」

 

「こゆもみたーい♪」

 

「ふゆも〜♪」

 

「くろこも〜♪」

 

うん、クロの許可も得たし、子供達も見たがっているから二人には是非この機体を使ってもらおう。

 

「おぉ!だったら俺このダブルオーライザーっていうの使ってみたいぞ!龍我はそのクアンタってのを使いなよ♪」

 

「あぁ、なら遠慮なく使わせてもらおう」

 

そういって黄泉はダブルオーライザーを、龍我はELSクアンタを手に取り機体を眺めていく。けどクロの奴、機体を渡す前にちゃんと手袋を渡してる辺りはやはりしっかりとしているな。

 

「それじゃあ今の内にエントリーをしとけば後三十分くらいで参加出来るからそれまで暫く待機だな」

 

「あぁ、これは今から楽しみだな龍我♪」

 

「そうだな、偶にはこういうのも悪くはない」

 

うん、喜んでいるようで何よりだ。さて、今回のイベントは……成る程、これはまた特殊なイベントだな?でもまあ楽しくやれそうではあるからきっと大丈夫だろ?それまで二人に機体のスペック確認もさせておかないとな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

三十分後……

 

ーピンポンパンポーンッ……お待たせしました。深海龍帝様と黄泉桜様、並びに漢坂権三郎様、4番ゲートへとお進みくださいませ ー

 

「お、どうやら準備が整ったようだな?」

 

「おっしゃあ!この世界でも俺達の強さを見せつけてやろうぜ龍我ッ!」

 

「あぁ、思いっきり暴れさせてもらうぜ!」

 

おーおーヤル気マンマンだな?だが相手はどうやらシルバーランク5、もう少しでゴールドランクに昇格出来そうな程までの実力者だ。使うのはクロの手掛けたハイクオリティ機体とはいえ果たして何処まで戦えるのかね?

 

「おん?どんな奴が相手かと思えば、まさかのコスプレイヤーとはな」

 

「あ?なんだこのゴツいおっさんは?まさかこいつが俺達の相手か?」

 

「しかも誰がコスプレイヤーだっての?俺達は普段からこの格好だわ」

 

「何!?まさかの男だと?!男のクセにそんな女装みたいな格好をしよってからに!その腑抜けた根性、この漢の中の漢ッ!漢坂権三郎が叩き直してくれるわッ!!」

 

うわぁなんだあの筋肉ムキムキのマッチョは?しかも古臭い番長スタイルな格好してるし。しかも発言も古臭くて差別的と言われても仕方ないぞ?

 

「うわむさ苦しッ!?こういう奴ホントに苦手なんだよな……」

 

「あぁ、折角初めてのゲームで相手がこれって……まあ良いさ、シルバーって事はそこそこやり込んでいるだろうし相手にとって不足はないさ」

 

「だな。んじゃ早速、始めていくとするか!」

 

お、どうやらもう始まるみたいだな?さて今回のゲームはどんなのだったかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※此処からは龍我の視点でお送りします。

 

「おぉ~……スゲェ、まるで本物の海みてぇだ!?」

 

「あぁ、この海の質感に波の音、まさに俺達が普段見ている海そのものだ!」

 

スゲェな、これが異世界のゲームグラフィック技術の進歩か!?こんなのを楽しめるなんて、この世界の皆羨まし過ぎるぞ!

 

「で、今回はどんな勝負なんだ?取り敢えず敵を倒すとかか?」

 

「あぁ、ちょっと待っててくれ……今回のバトルは『フィッシングバトル』といって指定された()を捕獲していくゲームらしい」

 

「はぁ?魚を穫るゲームぅ?なんでそんなのをガンプラに乗ってしなきゃいけねぇんだ?」

 

「あぁ、それなら普通のフィッシングゲームと変わんな…………おいちょっと待て?なんか下にいねぇか?」

 

ゲームのグラフィックとゲーム内容を見てて気づかなかったが、今俺達の真下の水面に何か巨大な影がゆらぁと動いていたんだが……おいおいまさかこれって……!?

 

ーザッパアァァンッ!ー

 

「なぁ!?な、なんだこいつ?!」

 

「で……デッカイ魚ぁッ!?」

 

そしてその影は浮上し俺達の目の前に姿を現した!こ、これが魚だってのか?!

 

ーガコンッ!ガシャンッ!ー

 

「へ、変形したぁ!?」

 

「もしかしてこいつもガンダムなのか!?」

 

なんか魚がいきなり変形してガンダムになったんだが!?こんなガンダムもいんのかよ?!

 

 

『HG マーメイドガンダム』

『機動武闘伝Gガンダム』に登場したネオデンマークのパイロットハンス・ホルガーが駆る機体。その魚のような見た目から察せれる通り水中戦を得意としておりフィッシュモードでは水中を素早く且つ長距離を移動出来る。今回はみしろがエントリーグレードのガンダムをベースにプラ板やパテを駆使して作成している。

 

 

「へッ!それならこいつをやっつければ良いって事だろ?ならさっさと仕留めてやるぜ!」

 

黄泉はそう言うとダブルオーライザーとかいうガンプラの腰にマウントしている剣を構えて魚ガンダムに向かって攻撃を仕掛けていく。すると

 

ーザクッ!……チュドーンッ!ー

 

「…………は?」

 

「い、一撃?なんか随分あっけないような……?」

 

な、なんか一撃加えただけであの魚ガンダムあっさりと倒されたんだが?なんだか随分と拍子抜けのような気もするが、取り敢えずこれで黄泉にポイントが…………ハァッ?!

 

 

黄泉桜

-1P

 

 

「ハアァッ?!なんで俺のポイントが増えるどころかマイナスになってんだよ!?これってバグかなんかか?!」

 

黄泉のポイントが加算されずむしろマイナスにされている!?これは一体……?!

 

「カァーカッカッカッ!これだからド素人は愚かなのだ!この勝負はあくまでもマーメイドガンダムの捕獲!その捕獲対象を撃破してしまえばペナルティを受けるのは当然であろう!」

 

「な、なんだと!?」

 

「……成る程、撃破は捕獲した事にはならないのか」

 

「当たり前であろう!これだからド素人はなっとらんのじゃあ!よぉーく見とけ!これが海の漢の漁じゃあいッ!!」

 

ーザッパアァンッ!ー

 

ッ!?な、なんだ!近くの水面からまた別のガンダムが浮上してきた!?しかもよく見たらあのガンダム、銛みたいなのであの魚ガンダムを捕まえてるぞ!?

 

 

『HG アトラスガンダム』

『機動戦士ガンダム サンダーボルト』に登場した一年戦争後に登場した機体。水中戦も想定して開発されたが試作装備が優秀だった為に実質陸空海全領域対応型の機体に仕上がっている。今回はバックパックに数本の銛を装備している敵機捕獲仕様となっている。

 

 

「獲ったどおぉぉぉぉッ!ウゥオォリャアァァァァァァッ!!」

 

ーブオォンッ!ザッパァンッ!ー

 

権三郎

1P

 

しまった!?先手を打たれてしまった?!クソ、俺達も早く捕まえないと!

 

「いくぞ黄泉!まだこの下に大量にいる筈だから根こそぎ捕獲していくぞ!」

 

「お、おう!要領さえ分かればこっちのもんだ!」

 

俺達は急いで水中へと飛び込み水中にいる魚ガンダムの捕獲を試みる。黄泉の言う通り要領さえ分かれば俺達だって!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分後……

 

龍帝

-4P

 

黄泉桜

-9P

 

権三郎

35P

 

「だ、ダメだ、捕まえられねぇ……!?」

 

「どんなに出力を弱めても一撃で倒れてしまう……!?」

 

「カァーッカッカッカァッ!やはりド素人よのう!力づくでどうにかなるほどこの勝負は甘くないのじゃいッ!」

 

クソッ!全然上手く仕留められねぇ!どんなに力を弱めて攻撃しても一発で破壊されてしまうし、その間に奴がどんどん魚ガンダムを捕獲してしまう!チィッ!経験不足なのは承知だがなんでこうも差が開いてしまうんだよ?!

 

 

と龍我は愚痴っているがこれには幾つか理由はある。

まずこのミッションに配備されたマーメイドガンダムはどれも貧弱に設定されているのだ。その装甲の脆さは威嚇用の武器でさえ当たれば致命傷になるほどである。

次にこのミッションにおいて二人が使用している機体が不向きである事だ。というのもこの二人が使う機体、ELSクアンタとダブルオーライザーは出力が高過ぎる為にどの武器で攻撃しようとマーメイドガンダム達は全て一撃で仕留められてしまうのである。

そして最後に権三郎の使用する機体、これが権三郎が高得点を得られている要因だ。権三郎は本来のアトラスガンダムが装備している武装は全て外しワイヤー付きの銛のみで挑んでいるのだ。これならマーメイドガンダムを撃破せず且つ捕縛したまま指定エリアまで運ぶ事が出来るのだ。更にこのマーメイドガンダムの中には金のマーメイドガンダムも混じっておりこれを捕獲すると10Pと高得点を得られる為、権三郎はこれらも積極的に捕えていたのである。これらの要因が重なりに重なり、現在龍我達はピンチに陥ってしまっている。このままでは龍我達に勝ち目はないだろう。

 

「さあ残り時間も僅か!最早儂の勝利は確定したも同然じゃあ!カァーカッカッカ!」

 

「チィ、あの野郎好き勝手言いやがって……!」

 

「だがこのままだと負けは確定してしまう。何か手はないのか…………ん?」

 

……なんだ?今何か海の底で光ったような気が……いや、気のせいじゃねぇ!?何かが海の底で動いている!あれは………ッ!?

 

「おい黄泉!あれを見てみろ!」

 

「え?あれって…………ッ!?な、なんじゃこりゃあ?!」

 

俺達が見たもの、それは…………海の底で虹色に輝く魚ガンダムが優雅に泳いでいる姿だった!これは間違いなくレアなヤツに違いない!

 

「よっしゃあ!おい龍我!なんとしてでもあれをゲットするぞ!」

 

「ああ!けどおそらく強さはさっきまでの魚ガンダムとなんも変わんねぇ筈だ。下手に手を加えたらまたやっつけてしまうかもしれねぇ……」

 

さっき金の魚ガンダムを捕まえようとした時も一発弾が当たっただけでやられてしまったからこいつ等に色によって強さが変わるとかはないんだろう。ならどうやってこの虹色魚ガンダムを水上に運ぶか?何か手はないのか……ん?なんだこのクアンタムワープってスキルは?ぱっと見だと移動スキルみたいだが………?

 

「…………あぁもう考えてても仕方ない!此処はもうこのスキルに賭ける!クアンタムワープ、発動!」

 

ーキュイィィィンッ!ー

 

一か八かでスキルを発動させると俺の乗ってるガンプラの背中から生えてたビットみたいな物が分離しそれが大きな円を描くと俺のガンプラと虹色魚ガンダムを包むように降りていき……

 

ーバシュウゥンッ!ー

 

「なッ!?なんだとぉッ!?」

 

「おぉ!?水上にワープ出来た!」

 

なんといつの間にか俺は虹色魚ガンダムと一緒に自分の指定エリアまでワープしており虹色魚ガンダムも無事に捕獲する事に成功したのだ!そしてその得点は……!?

 

 

 

 

 

深海龍帝

100P

 

ーWINNER 深海龍帝ー

 

なんと脅威の100Pだった!それと同時にゲームが終了しこの勝負は俺の一人勝ちで終わったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くうぅッ!この儂が最後に逆転を許してしまうとは!?だがこの漢坂権三郎!勝負の結果は潔く認めようッ!次は必ずや貴様等を纏めて倒して見せるぞぉッ!!」

 

ゲームが終わって漢坂とかいう男は素直に負けを認め勇ましい立ち振る舞いのまま店を後にしていった。にしてもまさか最後に逆転するとは驚きだったな?

 

「貸してくれて有難な、めっちゃ楽しかったわ」

 

「俺も負けちまったが久々に楽しめたぜ!またプライベートでも遊びに来させてもらうぜ♪」

 

「そうか、それなら作った者として嬉しい限りだな。だが今思ったが最初からクアンタムワープ使えば圧勝してたんじゃないのか?」

 

「あ、確かにそうだね。けど流石にそれはチート過ぎるから調整されると思うな」

 

そうだな、流石に強力過ぎたり有利過ぎるスキルはクエストによっては制限掛けないといけないからこのクアンタムワープもこうしたミッションでは一度きりとかに設定しとくか。まあELSクアンタは今のところこれしかないから急ぐ必要はなさそうだがな?

 

「よーし、それじゃあ俺達もそろそろ元の世界に帰るとしますかね?」

 

「それは良いけど向こうに戻ったら皆に謝れよ?お前いなくなった後の後処理押し付けられて皆カンカンに怒ってたからな」

 

「ゲッ!?そりゃねーよぉ〜……」

 

…………なんか申し訳なくなってしまうな?まあ其処は俺達の責任だし謝罪用のお菓子も持たせたからそれで勘弁してほしい。

 

「そんじゃ俺達はそろそろ帰るわ。また暇が出来たら遊びに来るからな」

 

「この世界も気に入ったし、また近い内にでも遊びに来るわ。じゃそういう事で、またな♪」

 

「あぁ、また何時でも来てくれ。その時は歓迎するよ」

 

「じゃあ皆さんさようなら〜♪」

 

『ばいばーい♪』

 

そして帰る時間となり龍我と黄泉は自らゲートを開き元の世界へと戻っていった。にしても不思議な奴等だったな。

 

 

 

こうして異世界からやって来た来訪者達との交流は幕を閉じた。そしてそして玲二と龍我、二人の物語はまた再び別々の道を歩むのであった。

 

ーfinー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーオマケー

 

「……なぁ明石、ガンプラとかって置いてないか?」

 

「にゃ?ガンプラだなんて珍しい、作るのかにゃ?」

 

「まあな、それでガンプラはあるのか?」

 

「うーん……あ、これとかどうかにゃ?」

 

「……なんか違う気がするが、まあこれでもいっか」

 

ガンプラが気になり明石の商店で買おうとするも其処で龍我が買ったのはパチモンの『モビルフォースガンガル』なのであった。




はい、という事で玲二と龍我の異世界交流でした!この度はコラボしていただき大変有り難かったです!コラボして頂いたリア・ユグドラシル様有難うございました!m(_ _)m

そして今夜23時にも本編を更新しますのでまったり待って頂ければ幸いです、ではまた!

リク・ユグドラシル様の方の小説の後半も近い内に投稿されるとの事なのでそちらもよろしくお願いいたします!


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番外編『麺やぼたん』

単純な息抜きですが番外編です。まず最初に言っておきますが今回のお話の主役は玲二でもホロメンやにじさんじ達でもありません。

今回は自分が息抜きでよく見てるドラマのあの人の物語であり、本編とは殆ど関係ありません。

それでもよろしければ最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


―ホロライトシティ中央区―

 

……ふぅ、やっと着いた。此処がホロライトシティか。特別居住区とは聞いていたが、確かに凄く過ごしやすそうな街だ。

 

さて、今日は新しい取引をしたいと言われたんだが……神羅城。この日本で城に住んでる人もいるんだなぁ?

 

いやいや、もしかしたらそういう名前の建物ってだけかもしれないし、兎に角土地柄も分からないしさっさと向かうとするか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時間や社会に囚われず、幸福に空腹を満たす時の束の間、彼は自分勝手になり自由になる。誰にも邪魔されず、気を遣わず物を食べるという孤高の行為。この行為こそが、現代人に平等に与えられた最高の癒しと言えるのである。

 

 

 

 

 

 

 

孤独のグルメ 特別編

 

―ホロライトシティ 黄金ラーメンとラムソテー―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

えーと、場所は確かこの辺だった筈………え?えぇ〜?本当にお城だ……もしかして、王様とか住んでたりして?まさかな……

 

―ピンポーン―

 

〈はーい〉

 

「あ、14時にお約束してました井之頭ですが、佐々木玲二さんはいらっしゃいますでしょうか?」

 

〈あ、お待ちしておりました〜♪今扉開けますね〜♪〉

 

―ゴゴゴゴゴ……―

 

うわぁ、こんなデカい扉が自動で……それにこの庭の広さ、間違いない。この城の主は相当のやり手だ。

 

 

 

 

 

「お待たせ致しました井之頭五郎様。それではご主人様の元へご案内しますので着いて来て下さい♪」

 

「あ、よろしくお願いします」

 

メイド!?メイドさんまでいるのかこの城は……これはますます緊張感が増すなぁ〜……

 

「ご主人様、井之頭様がお見えになられました」

 

〈あぁ有難うエリー、今行くからソファーに座ってもらってくれ〉

 

うわぁ、リビング広いなぁ〜。これだけ広いと此処だけで生活出来そうだな?

 

「それではもう間もなくご主人様が来られますので今暫くお待ちくださいませ」

 

「あ、分かりました」

 

さて、どんな人がやってくるんだが?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー数分後……ー

 

「お待たせしました井之頭さん、電話で依頼したホロライトシティ市長佐々木です」

 

「え?あ、どうもはじめまして……」

 

え、若ッ!?市長って言うからもっと年上かと思ったんだが、まさかこんな青年が市長をしているとは……!?

 

「あ、あぁどうも。それで早速なんですが確か保育園の備品のご依頼という事で?」

 

「えぇ、実はこの街にあるにじほろ保育園に入園者が増えてきたのでこれを機に増築する事になったんですが、その際に子供達の机と椅子も新調しようと思いまして」

 

「あー成る程、でしたらこちらなんて如何でしょうか?お子さん達にも安全な設計をしている物でデザインも幾つかピックアップしてきましたので……」

 

「おぉ、では拝見させて頂きます…………うん、これとかが良いかもしれないですね。出来れば幾つかカラーのバリエーションがあれば有難いんですが……?」

 

「あ、でしたらこちらの方で業者に用意させますので希望の数を言って頂ければ対応します」

 

「本当ですか?では……ピンクを50個に水色を50個、後は白と黄緑と黄色を40個ずつお願いします」

 

え、多ッ!?計220個って……もうそれ学校じゃないか?

 

「あー分かりました。ではそのように発注を掛けさせて頂きます。何時頃迄に納品すればよろしいでしょうか?」

 

「そうですね、出来れば秋頃迄にはお願いしたいと思います」

 

「分かりました、では正式な請求書等は後日お送りしますので」

 

「有難うございます。それにしても本当に井之頭さんに頼んで正解でした。仕事の対応も速く助かりました」

 

「いえいえ、私はあくまで自分の仕事をこなしてるだけですから。それでは、失礼致します」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ふぅ〜、やっと終わったぁ。それにしても緊張したなぁ〜、若いとはいえやはり市長を勤めてるだけあってしっかりしている。けどこれでなかなかデカい仕事が取れたから万々歳だ。

 

 

…………あぁ、でも

 

 

 

 

緊張が解けたら……

 

 

 

 

 

 

腹が、減った…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……よし、帰る前に店を探そう!確か街の方に幾つか店があった筈!

 

 

おぉ、意外と食べ物屋が多いぞ?どれどれ……

 

焼き肉……この間いったばっかり。

 

魚……今日はそんな気分じゃない。

 

うーん、俺の腹は今一体何を求めてるのだろうか?

 

…………お?あれは……『麺や ぼたん』?ラーメンか!そういや此処最近ラーメン食べてなかったなぁ?久しぶりだし、此処は新たなラーメン開拓でもしてみるか!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーガラガラガラッー

 

「へいらっしゃーい」

 

『ラッシャイマセェーッ!』

 

ーワイワイガヤガヤ……ー

 

おぉ、思ってる以上に賑わってるな?もしかして此処、当たりの店じゃないか?だとしたらラッキーだ。

 

「空いてる席へどうぞー」

 

「あ、はい」

 

……よし、まずはメニューだ。どれどれ?

 

定番の塩と味噌と醤油はあるな。後はピリ辛ラーメン。このピリ辛という言葉が食欲を掻き立ててくるんだよなぁ。

 

他には……サイドメニューだと枝豆に鶏の唐揚げ、なんだが居酒屋みたいなメニューだな……ん?骨付きラムソテー!?ラーメン屋でラムソテーだなんて、聞いた事もないぞ?ちょっと気になるなぁ……

 

他には何かないのか……お?あれは……一日三十杯限定、黄金ラーメン!?ラーメン好きな店主が拘り抜いた至高の一杯か……此処は新規開拓という意味も込めてこのラーメンでいってみるか。もし無かったら醤油ラーメンにすればいい。後の付け合せは……よし!

 

「すみません、注文良いですか?」

 

「あいよ〜♪なんにしましょう?」

 

「えっと、このおつまみメンマと骨付きラムソテー、後は煮卵と黄金ラーメンください。後ウーロン茶も一つ」

 

「黄金ラーメンは塩だけど良い?」

 

「あ、大丈夫です」

 

「あいよ〜!メンマとラムソテーと煮卵と黄金とウーロン茶一ずつ入ったよ〜!」

 

『アザァーッス!』

 

「黄金これで完売でーす!」

 

「お?良かったじゃんお客さん、運良く最後の一杯だってさ♪」

 

「あ、そうでしたか……」

 

よしッ!ギリギリセーフだ。しかしこの女性、なんだか妙に馴れ馴れしいなぁ?アルバイトの娘だろうか?

 

「店長ー、お電話でーす!」

 

「あいよ〜!」

 

え、店長!?今の娘が?!女性がラーメン屋の店長とは……フッこれも時代というものか。

 

「この間の収録遅れてきたサラちゃんがさ〜」

 

「えー、またなんか怒られてたの?」

 

「はぁ~、次の雑談のネタどうしよう?」

 

「それよりも次のゲームの許可取りって出来てんの?」

 

…………そういやこの街には動画サイトで配信するアイドルが多く住んでいるって聞いてたが、彼女達もそうなのか?俺にはよく分からん世界だ。

 

「お待たせしました、おつまみメンマと煮卵とラムソテーです!」

 

お、きたきた。どれどれ……

 

 

【五郎'sセレクション】

 

【おつまみメンマ】

ピリッとした辛味がクセになる。一度食べだしたら止まれんわ〜。

 

まずはこのメンマからだな。どれ……

 

「……頂きます」

 

ーハムッ……ポリッポリッー

 

おぉ〜、これは美味い。このメンマ特有の風味に少し硬めのポリポリとした食感。一緒に添えられている白髪ネギとの相性も抜群だ。

 

……ん?おぉ!?後から辛さが追っかけてきた!もし飲兵衛なら酒が欲しくなるところだろうが、俺にとってはこれはご飯が欲しくなる一品だ。

 

【煮卵】

この艶、この半熟具合い、こりゃおったまげた〜!

 

続いては煮卵。これにはカラシが付いているのか?どれ、まずはそのまま……おっほ、良い半熟具合いだ。このとろっとした黄身が良い。カラシを少し多めに付けて……

 

ーハムッモグモグ……ー

 

うーん、このとろとろ卵、実に良い。卵全体にタレが染み渡っている。カラシを多めに付けたのにも関わらずこの力強い美味さ、たまらん。

 

この残った半分と、先程のメンマを合わせてみるのはどうだ?

 

ーモグモグ、ポリッポリッ……ー

 

……うん、やっぱり相性が良い。同じラーメンのトッピングとして乗っている仲間同士、合わないワケがないよなぁ〜。

 

【骨付きラムソテー】

ラーメン屋でラムソテー!?この柔らかい食感、悪くないよねぇ〜?

 

そしてお次はこいつだ。ラーメン屋でまさかラムソテーを食べる日が来るとは……

 

ーハムッホロッ……ー

 

うぉ!?柔らかい!全く歯に力を入れてないのにまるで綿あめみたいに裂けたぞ!?そんでもって、美味い!

 

ラム肉特有の臭みとかも全く無く、それでいてジューシー。これがラーメン屋で出してるとは信じられないな……

 

「お待たせしました〜、黄金ラーメンでーす♪」

 

お、来たか?どれどれ……うぉッ!?

 

【黄金ラーメン】

これぞ究極の一杯!その透き通るスープに心震わせろ!

 

こりゃあ驚いた!スープが黄金色に輝いている!しかも透き通っていてどんぶりの底まで透けて見える!そしてこの匂い、うーん……これはとんでもないラーメンかもしれないぞ?

 

どれ、まずはスープから……

 

ーフー、ズズッ……ー

 

ッ!?おぉ、美味い!この透き通るスープからは想像出来ない程の濃厚な味!口に含んだ瞬間鶏の旨味が口いっぱいに広がったと思いきや後から鰹出汁の風味が優しく包んでくれる。

 

今まで二種類の出汁を合わせたラーメンは何度か食べたが、此処のラーメンはどちらの出汁も充分に良さを引き出しているぞ!

 

ーフー、フー、ズルズルズル……ー

 

うん、このストレート麺もスープとの相性は抜群だ。ちゃんとスープも纏っていて良い。これはラーメンを啜る手が止まらない。

 

……そうだ、こんなのはどうだ?さっきのラムソテーをスープに浸して……

 

ーハムッモグモグ……ー

 

うん、やはり美味い!柔らかいラムソテーがスープの美味さを纏って更に旨味が凝縮されている。この組み合わせ、間違いなく正解だ。

 

ーズル、ズズズズズ……ー

 

新規開拓のつもりで頼んだラーメンがまさか此処までとは、これは最早新規開拓どころか俺が食べてきたラーメンの歴史を塗りつぶす程の衝撃だ。今日はラーメンという気分を選んだ俺、大正解。

 

「……はぁ〜、ごちそうさ……」

 

……スープが残ってる。これは勿体ない……よし!

 

「すみません、小ライスお願いします」

 

「はいよ〜♪」

 

【小ライス】

ラーメンのスープにライス!邪道?否、王道!

 

このライスの上に残ったスープをかけて、更にトッピング用にある葱を乗せて……

 

ーハムッモグモグ……ー

 

ほーらやっぱり、ラーメンのスープとライスがあればこの組み合わせは外せない。これを邪道という奴はいるが、それでも俺はこのコンビネーションは止められない。

 

ーハムッハムッモグモグ、ズズズッ……ー

 

女店長が拘り抜いた至高のラーメン。そしてラーメン屋には珍しいラムソテー。今日俺は人生のラーメン道を大きく塗り替えられた日になっただろう。

 

……ぷはぁ〜、美味かったぁ。

 

「ごちそうさまでした」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ありがとうございました〜!」

 

はぁ〜食った食った。デカい仕事も入って美味いラーメンも食えた。今日は間違いなく良い日だ…………ん?

 

《ららいおーん♪ホロライブ五期生ししろんこと佐々木ぼたんでーす♪》

 

え!?さっきの女店長?!まさかアイドルだったとは……世の中意外な事もあったもんだな?

 

……俺にはアイドルはよく分からんが店長さん、貴方のラーメンのファンになりました。近い内にまた食べに来ます。

 

 

 

孤独のグルメ 特別編 完




はい、という事で孤独のグルメ回でした!息抜きとして書いてみましたがやっぱりこういう食べる系のお話は難しいですね(^o^;)

さて、息抜きもしたしさっさと本編を書きますか!次回もまったり待って頂ければ有難いです、ではまた!


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番外編『神羅の力』

ガンプラ一番くじまであと20日程になりました。今年のはかなり豪華なので絶対にゲットしたいですね。特にビルド系は中々再販がないので絶対にゲットしたいです!

今回は神羅族になりつつあるフブキ達が何やら試すようで……?今回も最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


玲二の妻が神羅族になりつつある事が発覚してから数日後。フブキは皆を会議室に集めていた。

 

「…………皆、今日はわざわざ集まってくれてありがとうね」

 

「いやいや、いきなり全員集合って言われたけど、一体どうしたのさフブキ?」

 

「そうだよフブキ、レイさんの事で大事な話があるって言うから来たけど肝心のレイさんがいないし?」

 

どうやら皆は集められたは良いものの一体何をするのかまでは聞かされていないようだ。だがフブキは構わず話を続けていく。

 

「……皆はもう知ってるとは思うけど、私達の身体は今レイくんと同じ神羅族へと変化しつつあります」

 

「うん、それはこの間の事で知ってるけどそれがどうしたの?」

 

「良いですか、レイくんは神羅族であらゆる能力を使える最強の種族なんです。つまりは……」

 

「ッ!そうか、神羅族になりつつあるあたし等もレイっちと同じくその力を使えてもおかしくはないって事だ」

 

そう、神羅族はあらゆる種族の祖でありどんな能力も体現する事が出来る種族である。そしてそんな玲二によって自分達も神羅族になりつつあるという事は自分達もそういった能力が使えるのでは?とフブキは考えたのだ。

 

「なので今回はそんな神羅族の力を試しに使ってみようじゃないかって事で皆に集まってもらったワケですよ!」

 

「そ、それは分かったけど……?」

 

「でも使ってみようったって、その能力ってどうやって使えるの?」

 

流石に神羅化してるとはいえ今までそんな能力を使った事もない為どうやって使えば良いのか分からず皆困惑する。

 

「それについてはレイくんや子供達に予め聞いてみたけど、能力を使う時は基本的にこうしたいってイメージして発動するみたいだね。取り敢えずミオ、試しにマオちゃんみたいに何処かに転移してみたら?」

 

「えぇ?!ど、何処かに転移って言われても……?」

 

「まぁそんなに深く考えなくても、取り敢えず景色が良いとことかをイメージしてみたら?」

 

「景色が良い所?ま、まぁ取り敢えずやってみる……」

 

おかゆに言われミオは取り敢えず景色が良い所をイメージしながら集中し始める。すると……

 

ー……シュンッ!ー

 

「えぇッ!?ミオしゃが消えたぁ?!」

 

「ほ、本当に転移出来たって事ぉ?!」

 

「おぉーーーッ!やっぱり私達も能力が使えたんですね♪」

 

目の前からミオが消え、無事に能力が使えたと驚く一同だった。だが……

 

ーピリリリリ……ピリリリリ……ー

 

「あれ、ミオから?ーピッーもしもしミオ?今何処に…………え?!スカイツリーのアンテナの所!?戻ろうにも力が入らなくて戻れないってぇ!?」

 

『えぇぇぇぇーーーーーーッ!?』

 

なんとミオ、転移した場所が東京スカイツリーのアンテナ部分だったらしい。確かに景色は良さそうだが、だとしても転移先としては最悪である。

 

「ど、どうしよう?!このままじゃミオがいつか落っこちちゃうよぉ〜ッ!?」

 

「落ち着いてフブちゃん!ポルカも転移して迎えに行けば良いだけだから!待っててくださいミオ先輩!」

 

「ちょ!?ポルカ待っ……!?」

 

ーシュンッ!ー

 

ミオを助ける為に周りの静止も聞かずにポルカも東京スカイツリーをイメージしながら転移能力を発動しその場から消えた。だが……

 

ーピリリリリ……ピリリリリ……ー

 

「あ、今度はポルカからだーピッーもしもしポル……え、スカイツリーじゃない?!じゃあ何処に……はぁ!?札幌のテレビ塔のてっぺん?!しかも疲れてしまって転移出来ないってぇ!?」

 

「はぁ〜、だから待ってって言おうとしたのに……」

 

「これ多分まだ私達じゃ明確な場所に転移出来ないし、一度使ったら暫くは転移出来ないんだろうね?」

 

どうやらそらの言う通り、まだ神羅族になりかけの皆ではまだまともに能力が使えないようである。その後フブキは急いで玲二に頼みミオとポルカを回収してもらったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわあぁーーーんッ!怖かったよおぉぉぉぉーーーッ!?」

 

「そりゃ命綱なしで地上634メートルの高さは恐怖しかないよね……?」

 

玲二によって救出されたミオとポルカはよっぽど怖かったのかずっとわんわん泣き叫んでいた。まぁ予想外な恐怖体験をいきなりやらされれば大概の人は泣いてしまってもおかしくはないが?

 

「うーん、やっぱりまだアズキ達じゃ能力を使えても使いこなす事は出来ないのかも……?」

 

「じゃあ今日はもうこれで止めとく?玲二君にも無闇に力を使うなって怒られたし」

 

「いいや!確かに転移は失敗したけど、それ以外の能力なら大丈夫な筈だからこのまま続けようよ!」

 

「いや転移以外にもヤバい能力あると思うけど?雷とか氷漬けとか」

 

「そういうのは避けてもっと簡単なものでやってみましょうよ!例えば……そうだ!スバル、カケル君みたいにバリアとか張れる!?」

 

「ば、バリア?えーと……こうかな?」

 

フブキに言われバリアを張れるかを試す為に力を溜めるスバル。すると

 

ーブォンッ!ー

 

「おぉッ!バリアが出来てる!」

 

「しゅば凄いのらぁ〜♪」

 

「ぜぇ、ぜぇ……で、でもこれすっごく力いる……カケルのヤツ、なんで何時も平然とバリア張れてるんだよ…………?」

 

バリアを張る事は出来たが完全に疲労困憊になってしまったスバル。どうやら今のままでは一回発動するのが限界のようだ。

 

「へぇ、でもちゃんとバリア張れてて凄いなぁ?」

 

ーコンッ……パリィンッ!ー

 

『…………え?』

 

だがそんなスバルのバリアはなんとぼたんが軽く小突いただけで簡単に破れてしまった。

 

「ちょ、えぇ!?あたし今小突いただけだよ?!」

 

「それで割れるってどんだけ脆いのスバルのバリア!?」

 

「全然使い物にならないじゃん何これ?!」

 

「人にやらせといて言い過ぎだろオメェ等ッ!?」

 

皆から散々言われるスバル。けど実際一回しか張れないのに強度も低過ぎるという、なんとも使えないバリアなのは間違いないだろう。

 

「うーん、バリアも今のままじゃ使い物にならないか〜?なら次は……」

 

「はいはーい!次はマリンがやってみまーす♪」

 

「え、マリンが?でも一体何をするつもりなの?」

 

「フッフッフ……当然!我が愛しの愛娘マリアたんの能力ですよ!」

 

次はマリンが自ら能力を使うと言い出したが、その使おうとする能力を聞いて一同はマリンから遠ざかった。

 

「ちょっとぉッ!?なんで皆マリンから離れるんですかぁ?!」

 

「……いやマリン?あんたマリアちゃんの能力理解してるぺこか?」

 

「マリアちゃんの能力って異世界からヒーローを呼ぶってヤツだよ?しかもランダムでの召喚だから絶対危険だって?」

 

「そんなのやってみなきゃわかんねぇだろうがぁーーーッ!?まぁ兎に角やりますから見てなさいよぉ〜!ムンッ!」

 

皆が危険だからと止めるがマリンは大丈夫だと言って力を発動しようとする。すると目の前に時空の裂け目が現れ其処から何かが此方へと向かってくる。

 

「ほ、本当に呼び出された?!」

 

「え、何が出てくるの?仮面ライダーかスーパー戦隊?」

 

「いやマリンの事考えたらビーファイターやギャバンとかの可能性も……?」

 

皆が此方へと向かって出てくるヒーローを予想する。そして出てきたのは………?

 

 

 

「トォーーーッ!」

 

『…………え?』

 

其処から出てきたのは仮面ライダー……に似ているが何処か違う戦士だった。まず頭には確かに仮面ライダーっぽい複眼があるが顔は全然隠れておらず、更には尖ったデカい耳がある。そんな彼の名は……

 

「怒ると怖ぁ〜い!かめぇんノリダァーッ!」

 

「の、ノリダー!?」

 

「え、何このライダーもどきみたいな人?」

 

「あれ?確かこの人ジオウの映画に出てなかったっけ?」

 

「あぁ!そうだ、この人あれだよ!とん○るずの木○憲○さんがやってた仮面ライダーのパロディだよ!」

 

そう、呼ばれたのはまさかの仮面ライダーのパロディキャラ『仮面ノリダー』だった。呼ばれたノリダーは何故か呼び主であるマリンに向かって戦闘態勢をとっている。

 

「出たな!悪さばかりしている怪人コスプレオババめ!」

 

「ハァァァァ!?ダァレがコスプレオババだこの変態ライダーもどきがぁッ!!」

 

「まぁ大体あってるけどね?」

 

「…………あれ?なんか他にもこっちに来てない?」

 

ノリダーとマリンが言い合ってる中、時空の裂け目から他にも何かが出てこようとしていた。それは……

 

 

 

「アカレンジャイ!」

 

「キレンジャイ!」

 

「アカレンジャイ!」

 

「アカレンジャイ!」

 

「キレンジャイ!」

 

「五人揃って!」

 

『ゴレンジャイッ!』

 

『…………は?』

 

なんと今度はスーパー戦隊っぽい何かが出てきたが、その色は何故か赤三人に黄色二人というワケの分からない組み合わせのヒーローだった。

 

「え、何この五人?ゴレンジャーじゃなくてゴレンジャイ?」

 

「っていうか真ん中の人って松○さんじゃないの?!」

 

「それに今○耕○さんや東○幸○さんとかもいる!?」

 

「あー!ねね知ってる!これダ○ンタ○ンのこれご○つええ感じに出てたゴレンジャイだよ!」

 

そう、彼等は昔やっていたコント番組に登場したヒーロー?の『ゴレンジャイ』である。ノリダーに引き続きまたしてもパロディヒーローが呼ばれたようである。

 

「ちょっとぉッ!?なんで船長の時はパロディヒーローばっか出てくるんですかぁッ!?」

 

「出たな妖怪若作りめッ!さぁどっからでも掛かってこいッ!」

 

「いややらんわ!?それよりなんで貴方達色が被ってるんですか?!せめて全員別々の色で来てくださいよ!?」

 

「いや、僕等はほら、色とかじゃないねん」

 

「そうそう、内面で勝負しとるから……」

 

「知らんわそんなの?!ちびっこは色で判断するんだよ!」

 

「おい!俺を無視するなぁ!ぶっ飛ばすぞぉッ!」

 

パロディヒーローに囲まれカオスな状況になってる佐々木家のリビング。結局戻し方が分からないので玲二に頼み全員帰ってもらったがその後普通に怒られる妻達であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ〜、全然上手くいかないもんですね〜……」

 

「そりゃそうだろ?今のお前等はあくまで神羅族になりかけてるだけなんだから。寧ろ初めてであんなに力を発現出来るだけ凄いと思うぞ?」

 

結局あの後もフブキ達は力を試していたみたいだがどれも上手くいかずにいたみたいだ。そう考えたら最初から普通に能力を使えてる子供達は凄かったんだな?

 

「ま、別に能力が使えなくたって構わないだろ?そんな無理して使う必要もないし」

 

「ま、まぁそうですけど、でもやっぱりレイくんや子供達が能力を使ってる所をみたら少しだけ羨ましくなっちゃって……」

 

「……まぁもしかしたら今後そういうのが必要になる時もあるかもしれないからその時は一緒に練習しような」

 

「ッ!はい、よろしくお願いしますねレイくん♪」

 

うん、何事もコツコツやるのが一番だからな。俺もまだ使いこなせてない能力もあるからこれからは皆で協力しあって力を使いこなしていこう。

 

「それじゃあまずは練習として!このサイコガンダムを念力で作ってみましょう!」

 

「お、おいそれって大丈夫なのか?」

 

「まぁ見ててくださいレイくん♪フンッ!」

 

ーフワッバリッー

 

おぉ、フブキが念力を発動したらこゆきの時みたいに触らずに箱が開いて袋が開いた。意外と上手くいってるみたいだな?

 

ーグググッ……バキィッ!ー

 

「にゃあぁッ!?パーツが割れちゃったぁーーーッ!?」

 

……なんて事はなく無理に切り離そうとしたのかパーツが破損してしまった。やっぱりまだまだ前途多難だなぁ?

 

 

 

まだまだ力を使いこなせないフブキ達。はたしてちゃんと能力を使える日は来るのだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーオマケー

 

ーフワッカチャカチャッチャッチャー

 

「あ、そろそろビーフシチューが出来上がりますね」

 

「はーい♪こっちもパンが焼き上がりましたのであくあさんお皿の準備お願いしますですぅ♪」

 

「は、はーい!」

 

ーフワァ、ガチャッバッバッ!ー

 

「…………なんでこの三人だけ普通に能力使えてんの?」

 

「さ、さぁ……?」

 

当たり前のように念力等を駆使して晩御飯の準備をしているみしろとエリーとあくあのメイド組であった。




はい、という事で今回はフブキ達が神羅の能力を使う回でした!まぁ流石にいきなり力を使いこなすのは難しいですよね(^o^;)

今回は少し気分転換で書きましたが次回は貴方と出会っての続きを出しますので次回もまったりと待って頂ければ幸いです、ではまた!


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番外編『俺達ちょいとムチャするぜ!前編』

一度消してしまいましたがやはり書いた以上ちゃんと載せようかと思います。


九月某日、暑い日々が終わり徐々に涼しくなってきた今日此の頃、にじさんじに所属する人気ユニットである『ロフマオ』と『クロノワール』の六人はホロライトシティの公園に集められていた。

 

加「さぁ、今回我々ロフマオとクロノワールは何も聞かされないまま此処に集められましたが……」

 

不「いや本当になんにも聞かされてないから怖いんだけど?」

 

葛「まさか俺達も目隠しして何処かに連れてかれるんじゃねぇよな?」

 

剣「うわぁ、此処のスタッフ達なら平気でそういう事するからなぁ……?」

 

叶「えぇ〜?そういうのは勘弁してほしいんだけど……」

 

甲「でもクロノワもいるからそれはないんじゃないの?」

 

何も聞かされない所為で不安になる六人。取り敢えずスタッフに言われオープニングを撮る事に。

 

加「ロフマオ&!」

 

葛「クロノワールの!」

 

『にじさんじバラエ「オープニングの間に割り込むムチャ!」っておい!?』

 

するとなんと其処に割り込むかのように一人の少女が勝手に入ってきた。

 

葛「ってまつりじゃねぇか!?何勝手に入ってきてんだよ?!」

 

甲「今オープニング撮ってる最中なんですけど!?」

 

ま「知ってるよ〜、分かってて入ってきたし♪」

 

なんと入ってきたのはホロライブ一期生の自称清楚担当のまつりだった。しかも撮影最中だと分かって入ってきたようだ。

 

不「え?という事はまつりさんが今回俺達を呼び出したって事なのか?」

 

ま「そうそう、今日はロフマオとクロノワの二組に新しい企画に挑戦してもらおうと思って呼んだんだよね♪」

 

加「新しい企画ですか?」

 

叶「なんか嫌な予感しかしないんだけど……?」

 

新しい企画、そう聞いて身構える六人。そんな六人に構わず進行を続けるまつり。

 

ま「皆さん、聞く所によるとなんだか他のアイドル達よりもムチャするのが好きらしいみたいですね?」

 

不「……いやムチャするのが好きなんじゃなくてさぁ……」

 

加「いっつもスタッフの無茶振りに付き合わされてると言うのが正しいんですが……?」

 

叶「それに僕等は別にそんなムチャなんて言う程してないし……」

 

ま「………はい!皆やっぱりムチャが大好きという事で!」

 

葛「いや誰も一言も言ってねぇだろ?!」

 

ま「今回はそんなムチャが大好きな皆さんにこんな企画を持ってきました!題して『俺達ちょいとムチャするぜ!』イェ~イ♪」

 

タイトルコールを聞いて嫌な予感が確信に変わる六人だった。

 

加「…………あの、一応聞きますがそれはどういう企画なんでしょうか?」

 

ま「よくぞ聞いてくれました!では早速企画説明をさせて頂きます!皆さんはこれからまつりが用意したちょいムチャ企画を行ってもらい誰が一番のちょいムチャキングかを決めようという画期的な内容となっております!」

 

剣「いやまんまな企画だなぁ?!」

 

叶「え、ちょいムチャって一体どんな事させられるの?」

 

ま「それはねぇ……こういう感じのムチャですッ!」

 

持ってた財布バシーンッ!

 

葛「ッ!?おいそれ俺の財布じゃねぇか!?」

 

『アッハッハッハァw』

 

葛「笑ってんじゃねぇよスタッフ!?」

 

※いきなりのムチャ。

 

叶「え、大丈夫?ちょっと見せて?」

 

葛「いや大丈夫じゃねぇよ下コンクリなのに……」

 

叶もバシーンッ!

 

葛「っておぉーーーいッ!?オメェも何してんだよ?!メンコじゃねーんだよ!?」

 

『www』

 

※財布クチャクチャ。

 

不「え、俺にも見せてよその財布?」

 

葛「やらせねぇよ!?あーもう跡付いちまってるじゃねーか!?」

 

ま「後はねぇ、この帽子とか♪」

 

剣「ってそれ僕の帽子じゃん!?何勝手に持ってきてんの?!」

 

ま「これをぉ……そーい!」ビューンッ!

 

剣「こらぁーーーッ!?」

 

剣持の帽子が木の上に飛ばされた。

 

剣「お前これちょいムチャじゃなくてガチじゃん!?」

 

叶「あーあー、あれ取るの大変だよ?」

 

ま「いやぁオープニングから最高のムチャが出て良い感じに温まってきた所で早速次の場所へと向かいましょ〜♪」

 

加「……もう最初から不安しかないんですが?」

 

甲「うわぁもう、今日無事に終われるかなぁ……?」

 

先行きが不安ながらも一行は次なる場所へ移動する事に。

 

※尚、剣持の帽子はスタッフ達がムチャせずしっかり回収しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてやって来たのはホロライトシティで一番の洋服屋『ASANO』。アイドル達のコーディネート等でも利用されているこのお店ではたして一体どんなムチャを繰り広げるのか?

 

ま「さぁやってまいりました洋服屋です!」

 

叶「えっと、なんで洋服屋?」

 

剣「何か買い物でもするのかな?」

 

加「…………もう私何となく分かってしまったんですが……?」

 

葛「俺も……というか明らかに値段全部伏せられているんだけど?」

 

なんと衣類をはじめその他の小物等の値段も全て伏せられている。此処で行うムチャとは一体?

 

ま「それでは無駄に引っ張ってもしょうがないんで早速やっていきましょう!『俺達気に入った服を値段もサイズも見ないで買っちゃうぜ!』イェ~イ♪」

 

不「え!?値段もサイズもか?!」

 

甲「うわぁそれ一番危ないでしょ……?」

 

というワケで早速細かなルールを説明しましょう!

 

今から皆さんにはこの洋服屋でそれぞれ自分が気に入った洋服等を値段を伏せられた状態で購入してもらいます。

基本的には触れた物は全て購入して頂きますが、試着は買い物が終わった後に行って頂きます。

最終的に最もムチャな買い物をしたなと思った方が栄えある初代ちょいムチャキングの称号を得られます!

 

葛「っていうかこれあれだろ?絶対一個一個が高いヤツだろ……?」

 

剣「一着2、3万くらいとか……?」

 

叶「そんなにするの?!」

 

ま「いやぁ〜……2、3万なら良いよね〜♪」

 

『え!?』

 

ま「幸せだ、2、3万なら♪」

 

何やら意味ありげに笑うまつり。

 

甲「あんな感じで言うって事はこん中に絶対ヤバい値段の物もあるって事じゃないの……?」

 

剣「あぁもぉ〜!今日大して持ってきてないのにさぁ〜!?」

 

ま「大丈夫だって、いざとなればクレカ切れば良いんだから♪」

 

葛「いやそういう問題じゃねぇだろ?!」

 

なかなかに鬼畜な事を言うまつりに不満が爆発しそうになる一同。

 

ま「まーこんなところで無駄に時間掛けるのもあれだし、では早速ショッピングスタートです!」

 

ーショッピング スタート!ー

 

叶「うわぁ始まったぁ〜……」

 

加「これ本当に大丈夫なんですかね……?」

 

不安になりながらもショッピングスタート!はたして一体幾ら使う事になるのか?

 

ま「基本的に一度触ったもんはお買い上げだからね〜?」

 

不「……そう言われると怖くて触れねぇんだけど?」

 

葛「そもそも服とかそんな自分では滅多に買わねぇしなぁ……?」

 

買い物がスタートしたのにも関わらずなかなか踏み出せない一同を見て……

 

ま「もぉ〜、そんなに難しく考えなくてもいーじゃん?ほらこんなふうにスッと!」バッ!

 

『え!?』

 

まつり ジャケットお買い上げ

 

加「え、まつりさんも参加するんですか?!」

 

ま「当ったり前じゃん♪まつりは初代ちょいムチャキングを目指してるんだから♪」

 

甲「スゲェ、本当にバッと取って買っちゃった……!?」

 

叶「なんか良いなぁアレ……」

 

開始早々まさかのMCであるまつりがジャケットを即買い。それを見た男達のちょいムチャ魂に火が着く!

 

葛「くっそぉ!まつりに負けてらんねぇよ!だったら俺これ買っちまうわ!」バッ!

 

葛葉 ジーパンお買い上げ

 

不「ウッソマジで!?」

 

剣「うわぁ男らしいわぁ……」

 

加「じゃあ私コレとコレ買っちゃいますよ!」バッ!バッ!

 

加賀美 パーカー&キャップお買い上げ

 

叶「じゃあ僕はコレいっちゃうから!」バッ!

 

叶 シューズお買い上げ

 

まつりに感化され次々と即買いする男達。

 

不「じゃあ俺はコレとコレとコレ!」バッ!バッ!バッ!

 

不破 シャツ&ベルト&ズボンお買い上げ

 

ま「じゃあまつりはコレも!」バッ!

 

まつり スカートお買い上げ

 

剣「じゃあ僕はコレとコレ!」バッ!バッ!

 

剣持 パーカー&ズボンお買い上げ

 

値段などお構い無しに商品を購入する一同。そんな中……

 

加「……甲斐田さんなんか高額コーナー行ってません?」

 

甲斐田、何故かアクセサリー系のコーナーへ。

 

甲「やっぱりちょいムチャって言うからにはね、これくらいのインパクトはないとダメかなって思って。というわけで店員さんコレください!」

 

「はい、畏まりました♪」

 

甲斐田 ネックレスお買い上げ

 

葛「おいお前それ結構高いんじゃねぇのか?!」

 

剣「お前何ハードル上げてくれてんだよ!?」

 

甲斐田が高級そうなアクセサリーを購入。それにより男達の買い物はますますヒートアップしていく!

 

ま「あれ、叶さん!?なんか時計持ってない?!」

 

叶「……僕これいっちゃうわ♪」

 

不「え、マジで言ってるのソレ?!」

 

叶 腕時計お買い上げ

 

加「この短時間で腕時計買う人初めて見ましたよ……w」

 

叶「普通だったら何回か足運んで吟味するもんねw」

 

まさかの時計を即買い!その横では……

 

剣「そういや葛葉くん財布とかは?」

 

甲「あーオープニングでクチャクチャにされちゃったもんね?」

 

葛「……え?ナニソレ?まさかこの流れで財布買わせようとしてる?」

 

アクセサリーコーナーの一角にある財布、どれも高級そうな物ばかりだが……?

 

葛「でもこれ触ったら買わなきゃいけねぇんだろ?だったら中身確認出来ねぇじゃん?!」

 

ま「まぁ其処はフィーリングに任せて買っちゃえば良いじゃん♪」

 

※完全他人事。

 

葛「いや本当に他人事じゃねーか!?あーもういいわ!それだったらもうパッと取った奴にするわ!」バッ!

 

葛葉 財布お買い上げ

 

剣「おぉ、いった!?」

 

葛「……ゴメンやっぱ別ので良い?」

 

葛葉、何かに気づき財布を戻そうとする。

 

ま「ダメでーす!一度取った奴はお買い上げ決定でーす!」

 

葛「ちょ!?おい待て勘弁してくれって!?絶対高い奴じゃんあれ?!」

 

甲「え、なんで高い奴って分かるの?」

 

葛「だってあれ絶対鰐皮じゃん!?鰐皮のモンはやべぇんだってッ!」

 

※まさかの高級素材仕様。

 

ま「そういや甲斐田さんまだ服の方選んでなかったよね?」

 

甲「あ、そういや勢いでアクセサリーの方に行っちゃってたから忘れてた」

 

剣「甲斐田君これとか良いんじゃないの?」

 

※明らかに高そうなポンチョを勧める剣持。

 

甲「俺ポンチョなんて羽織んないって!?」

 

叶「でも普段着ている袴に似合うかも?」

 

甲「いや騙されないからな!?それなら僕こっち行くよ!」バッ!

 

そう言って甲斐田は一着のジーンズを取る。だが……

 

加「え、甲斐田さん其処レディースですよ!?」

 

甲「え……ゲッ!?ちょ、これ間違いだからナシ「ダメでーす♪はいお買い上げ〜♪」ちょおッ!?」

 

甲斐田 ジーンズ(女性用)お買い上げ

 

甲「俺あんなの履けねぇよ!?」

 

葛「でも取っちゃったモンは仕方ねぇよなw」

 

剣「甲斐田君後であれ履くのか〜w」

 

ま「いや〜試着タイムが楽しみだね〜♪」

 

甲「くぅ〜!///」

 

ちゃんと確認せず女性用を購入するというムチャを見せた甲斐田。この後、男達のムチャがどんどん加速していく!

 

 

 

後半へと続く……




後半はまだ考えているので出来次第載せようと思います。


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番外編『もう一つのホロライブ』

久々にコラボです!今回のお相手は疲れた斬月様の『Hololive SEED DESTINY─止まらない運命─』です!玲二達の住む世界とは違う世界の住人達が迷い込んだようで……?
今回も最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!

疲れた斬月様の小説
https://syosetu.org/novel/287436/


ホロライトシティ。ホロライブをはじめとする多くのアイドル事務所が拠点を構える人工島都市であり、この島では時空の歪みから多次元の住人がよく迷い込んでしまう事が多いのだが、今回もまた何やら迷い人がやって来たようである…………

 

「……はぁ、ずっと歩き周ってみたけど一体何処なんだ此処?」

 

「うーん……見た所何処かの離島みたいだけど、こんなに発展した島が日本にあったかしら?」

 

「この島、さっき見たけどホロライトシティっていうみたいだけどそんな街や島の名前なんて聞いた事がないよね?」

 

ホロライトシティの岬付近で一人の男性と二人の女性が何やら疲れた様子でベンチに座っていた。どうやらこの三人は次元の歪みに巻き込まれてこの世界にやって来てしまったようである。

 

「………ダメだ、アスランにも事務所にも繋がらない」

 

「そんなぁ、それじゃあメル達これからどうすれば良いのかな……?」

 

「………ねぇそれよりもシン様、メル様、なんだかさっきから妙に視線を感じるんだけど……?」

 

黒髪の男は電話をするも相手と繋がらず、隣にいる金髪の女の子も困った様子で項垂れていたが、もう一人の金髪の女性が何やら視線を感じると言い周りを見てみると周囲の人達が自分達を見てヒソヒソと何かを話しているのに気づいた。

 

「……なぁ、あれってメルちゃんとちょこ先生だよな?」

 

「え、じゃあ真ん中にいる男は一体誰だ?」

 

「もしかして浮気?でもまさか……?」

 

「…………俺達、なんでこんなに皆から見られてるんですかね?」

 

「えっと……やっぱりアイドルが男の人と一緒にいる所を見て変に思っちゃったのかな……?」

 

「にしては少し反応が違う気がするんだけど……?」

 

周りからの妙な視線とヒソヒソ話に居心地が悪くなる三人。此処にこれ以上いても仕方がないと思いこの場を離れようとする。とその時……

 

「まんまぁ、あいちゅたべたいのぉ……」

 

「だーめ、さっきおやつ食べたばっかりでしょ?」

 

「……え?あ、あれって……」

 

「マリン船長?でも一緒にいる子って……?」

 

彼等の視線の先に自分達の知り合いである人物、マリンの姿が見えた。しかしその近くには彼女の事をママと呼びよちよち付いて歩く幼児がいて三人は驚愕する。

 

「え?ま、マリン船長っていつの間に子供産んでたの?!」

 

「わ、分かんねぇ……けど漸く知ってる奴がいたんだ、兎に角声を掛けてみましょう!」

 

知っている人物が近くにいると知り急いで近づこうとする三人。だがこの時、三人ともこの後酷い目に合う事をまだ知らなかった……

 

「……まま、きのうあいちゅかってくえるっていったの………」

 

「ママそんな約束してませーん。それにおやつ食べたんだからアイスなんていらないでしょ?ほら、分かったら早く家に帰るわよ」

 

「……あいちゅ、かってくえるっていったもん……まま、うそついたの……?」

 

「え!?い、いや嘘とかじゃなくて今はお外だからアイスはダメだよってだけで……」

 

「まま、うそちゅいたぁ……ふぇ、ふえぇぇぇぇぇぇん……!」

 

「マリン船長!あんたこんな公衆の面前で何子供なかせてるんですか?!」

 

アイスを買ってもらえずその場でぺたんと座り込んで泣いてしまう女の子。そんなマリン達の元に三人がやって来てマリンを叱った。

 

「え!?ちょこ先生にメルちゃん!?それと……え、誰?!」

 

「え?誰って、シン君だよ。メル達と一緒にVTuberやってるじゃん?」

 

「え、シン?……うちの事務所にそんな人いない筈ですけど?」

 

「は?いない筈って、一体どういう……?」

 

「……というよりマリン様?あの子の事放っといて大丈夫なの?」

 

「ふえぇぇ〜……」

 

「え?ってあぁ!?そうだった!マリアちゃん、アイスなら家に帰ったらあるから……ゲッ!?」

 

ちょこ先生と呼ばれた女性に指摘され泣いてる赤ちゃん、マリアを宥めようとするマリンだったがそのマリアの後ろから時空穴が広がり其処から何かが飛び出してきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー〜♪Gun from!ー

 

「……ねぇ、この子泣かせたのお前?だったら僕許さないけど良いよね?」

 

『えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーッ!?』

 

「で、電王ぉ!?しかもよりによってリュウタロスだなんてぇッ!?」

 

そう、時空穴から現れたのは時を守護する戦士、仮面ライダー電王ガンフォームだった。電王は腰に装着された連結武器デンガッシャーをガンモードに組み立てその銃口をマリンに向けて威圧する。

 

「ちょ、ちょっと待ってくださいって!?マリアはマリンの娘で別に虐めてたワケじゃ「答えは聞いてない♪」ーバキュゥンッ!ー危なッ!?」

 

「ど、どうなってんだこれーバキュゥンッ!ーうわッ!?って俺達もかよ?!」

 

「もぉーーー!?なんでさっきからこんな変な事が続くのぉーーーッ?!」

 

「と、兎に角今は逃げないと?!此処にいたら撃たれてしまうわよ!?」

 

何故かマリンだけでなく三人も巻き込まれ街中を走り抜け電王の攻撃から逃げていく。電王はいつの間にかマシンデンバードに乗り四人を徐々に追い込んでいった。そして逃げ回ってた四人は何時の間にか路地裏の袋小路に追い込まれ逃場を失ってしまった。

 

「じゃあそろそろトドメだよ、良い?」

 

「ちょ、ちょっと待ってくださいって!?だからマリンはマリアちゃんを虐めてたワケじゃないんですってばぁ!」

 

「お、おい!俺はともかくメル先輩とちょこ先生は関係ないんだから巻き込むんじゃねぇ!」

 

「答えは聞いてない」

 

ーFull Chargeー

 

命乞いするマリンと二人を巻き込むなという少年の言葉を電王は無視しベルトのバックルにライナーパスを当てて必殺技のエネルギーをチャージする。そして銃口を向けられ絶体絶命の危機に陥ってしまった四人は恐怖で身動きが取れず目を瞑ってしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

()()()

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………………あれ?全然こないんだけど……?」

 

「ッ!お、おいちょっと!あいつ固まったみたいに動かなくなってますよ?!」

 

「え!?って事は……!」

 

「まったく、一体何やってんだマリン?」

 

先程まで自分達を追い詰めていた電王はまるで時が止まったかのように全く動かなくなっており、その後ろから呆れた様子でマリアを抱っこした男が現れた。

 

「れ、玲二くぅーん!助けに来てくれたんですねぇ〜♪ービシッ!ー痛ぁ!?」

 

「なーにが助けに来てくれただ?マリアを置いてとっとと逃げやがって……」

 

「ぷゆぅ……」

 

「ど、どうなってるんだ……?」

 

「も、もしかしてあの人が助けてくれたの……?」

 

突然現れた男、玲二は擦り寄ってくるマリンの頭をビシッと叩き軽く説教する。そんな様子を三人はただポカーンと眺めるだけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから……

 

「……成る程、今回の来訪者はメルとちょこ、そして『シン・アスカ』とはな?」

 

「は、はいそうです。でも……」

 

「まさか此処がメル達のいた世界とは違う世界だったなんて……?」

 

まぁ確かにさっきまで自分達の世界にいたのに何時の間にか俺達の世界に飛ばされたんだから信じられないのも無理はないな。にしてもまさかガンダムの主人公が別世界のホロライブにアイドルとして参加する世界があるとは夢にも思わなかったな?

 

「それにしてもこっちのマリン船長ってそちらの方と結婚してた事がびっくりしちゃったわ………」

 

「うんうん、それにこんな可愛い女の子まで授かってるなんてね♪」

 

「うみゅう〜……ぱぱぁ、あいちゅ〜」

 

「はいはい、昨日の内にマリアの好きなぶどうのアイス買ってあるから帰ってご飯食べ終えたらパパと食べような?」

 

「ほんとぉ?わ~い♪」

 

「……なんだか信じられない光景だよな?あのマリン船長が結婚して子供もいるなんて……?」

 

そりゃそうだな。あれからいろんな世界を見てみたがホロライブのアイドルが結婚して子供を産んでる世界線なんて殆んどなかったし。

 

「さて、これからについてだがお前達の世界を探して還すのはワリとすぐに出来るが、その前に少しだけこの世界を観光してみるか?」

 

「え、良いんですか?でも……」

 

「何、帰る時には元の世界にいた時の時間に戻す事も出来るからその点は安心してくれ」

 

「え、えっと………ねぇ船長?船長の旦那様って一体何者なの?」

 

「んー……言ってしまえば神様みたいな存在ですかね♪」

 

「ぱーぱ、かみさま〜♪」

 

「か、神様?」

 

まぁいろんな種族の祖とも言われてるから強ち間違いではないが神様は言い過ぎじゃないか?まぁ良いや、取り敢えずシン達を落ち着かせる為にも一度神羅城へと戻るとするか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おーし着いたぞ。此処が俺達の家だ」

 

「え…………!?」

 

「す、すっごい建物だわ……!?」

 

「まるでお城みたいだね……!?」

 

その後俺達がシン達を連れて神羅城へと戻るとやはりと言うべきか、三人はその外観の凄さに圧倒されていた。思えば唯の一軒家が何時の間にか宮殿みたいになってるなんて、俺の家って知らない内にどんどん進化してねぇか?

 

「それじゃ遠慮なく入ってくれ。もうすぐ晩飯だから一緒に食べてけな」

 

「そ、そうですか?で、ではお邪魔します……」

 

こういう所に入る事があまりないのか三人ともスゲェ緊張しながら入っていくな?俺達はずっと住んでいるから気にしなくなってるが普通はこんなモンなんだな?

 

「「ぱぱぁ〜♪」」

 

「ん?あぁレミィ、しょこら」

 

『…………え?』

 

そんな俺の元にレミィとしょこらがガンプラを持ってトコトコと駆け寄って来た。

 

「ぱぱぁ、あのねあのね、こゆねーちゃんががんぷらつくってくれたの〜♪」

 

「しょこもこゆねーちゃんにベアッガイつくってもらった〜♪」

 

「そうかそうか、良かったな二人とも……ん?どうしたシン、この子達の事じっと見て?」

 

「え、えと……あの、その子達も玲二さんの子供なんですか?」

 

「あぁ、そうだけど?」

 

「え、でも…………」

 

「……この子達、マリン船長と全然似てないわ。それどころか……」

 

「この子達、なんとなくだけどメルとちょこ先生に似てる気がする……?」

 

「あぁそういう事か。だってそりゃあ「あ、玲二君お帰りなさ〜い♪」お、話をすれば丁度良く来たか」

 

俺がレミィ達の説明をしようとした時、丁度良く俺達の世界のメルとちょこがやって来た。メルの腕にはフランも抱きかかえられている。

 

「もうレミィったら、嬉しくてパパに見せたい気持ちは分かるけどそんなに急いじゃ危ないよ」

 

「あぅ、あぅあぁ〜」

 

「うゅ、ごめしゃい……」

 

「フフ、大丈夫よレミィちゃん。ママ達は怒ってるワケじゃないから♪……あら?玲二様、その人達ってもしかして……?」

 

どうやら子供達を追ってやって来たようだが此処でこの世界のちょこ達と異世界の癒月達が鉢合わせとなり向こう側は何やら信じられない物を見たかのように口をあんぐりしている。

 

「え?え?ど、どういう事なのこれ……?」

 

「も、もしかしてだけど佐々木さん、その子達の母親って……?」

 

「あぁ、レミィとフランはメルの子でしょこらはちょこの子だ」

 

「え……そ、それじゃあその子達の父親って……」

 

「ん、俺だけど?」

 

……………………

 

 

………………………………

 

 

 

…………………………………………

 

 

 

 

 

 

『ハアァァァァーーーーーーッ!!?』

 

うん、知ってた。そりゃ異世界の自分が全然知らない男と結婚して子供産んでたらそりゃ驚くよな?

 

「で、ででででもさっき妻はマリン船長だって……!?」

 

「あー、実はマリンだけじゃなくて他のホロメンも皆玲二くんのお嫁さんになったんですよね〜」

 

「嘘ォーーーッ?!ま、まさかこの世界のホロメン全員が佐々木さんのお嫁さんになってるだなんて……!?」

 

「実際はReGLOSSとラプは違うけどな」

 

ラプは言わずもがな俺の娘だしReGLOSSに関してはらでん以外は拓哉と絡む事が多いからもしかしたら青以外も拓哉と結ばれるかもな………けど最近莉々華だけ俺に熱い視線を送ってきてる気がするがそれは気のせいという事にしておこう。

 

「ま、まさかちょこ達がシン様以外の男の人と結婚するだなんて………!?」

 

「いやそれはあくまでこの世界の事だからその辺は気にしなくても良いと思うぞ?それよりもちょこ、もう皆集まってるのか?」

 

「えぇ、今日は拓哉様と栄ちゃん達も遊びに来てくれたから久し振りに中庭でバーベキューをする事にしたのよ。それと……貴方達ってもしかしなくても異世界のちょこ達とシン・アスカよね?良かったら貴方達もバーベキュー参加しません?」

 

「え?い、良いんですか?」

 

「うん、ご飯は皆で楽しく食べるのが一番だもんね〜レミィ、フラン♪」

 

「うん!みんなでごはんたべるの〜♪」

 

「あうぅ〜♪」

 

うん、もう結構異世界からの来訪者が多くなってきたから皆もそんなに驚かなくなったどころか普通に受け入れるようになってきたな…………良い事なのかこれは?

 

「…………そうね。シン様、此処はこの世界のちょこのお言葉に甘えてご馳走になりましょ♪」

 

「え、えっと……分かりました、じゃあよろしくお願いします」

 

「ん、それじゃあ早速中庭に案内するよ。こっちだ」

 

こうして俺達はシン達を連れてバーベキュー会場となっている中庭へと案内した。其処にはフブキ達や子供達が沢山集まっていてその光景を見た三人は更に驚いていたのは少しだけ面白かったな。

 

さて、それじゃあ折角俺達の世界に来たワケだし明日はガンプラバトルを体験させる為にホロプラに行くとするか。

 

 

ひょんな事から異世界より現れたシン・アスカとちょことメル。翌日行われるガンプラバトルではどんなバトルを見せてくれるのだろうか?続く……




はい、という事で異世界よりシン・アスカとちょことメルが登場です!次はこの三人と誰かでガンプラバトルをやりたいと思ってます!今回コラボの許可を出して頂いた疲れた斬月様、本当に有り難うございます!それでは次回までまったりと待って頂ければ幸いです、ではまた!


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番外編『シン、ホロプラへ行く!』

えー、今HGのV2アサルトバスターを組もうと思ったんですが……三つの形態を作りたいからって持ってた奴全部開けてしまいました。お陰で二時間経って未だにゲート処理が終わってません……(T_T)

今回はコラボの続きです!ホロプラへと向かう事になったシンと玲二達。はたして一体どんな出来事が待ち受けているのだろうか?今回も最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


異世界からシン・アスカとメルとちょこがやって来て早二日、三人は玲二に連れられてとある場所へとやって来ていた。

 

「ほらシン、此処が俺達の遊び場であるホロプラだ」

 

「す、スゲェ、こんなデカい建物がプラモ屋なのか……?」

 

「まさかこっちの世界のるしあちゃんがホロライブ辞めた後にこんな凄いお店やってるなんて……」

 

まぁ始めたのはるしあではないけど此処まで巨大なアミューズメントパークにしたのは一重にるしあやいろんな奴等が頑張ってくれたお陰だな。

 

「それにしてもこっちの世界のういママやパトラ様も佐々木様と結婚してるのにはびっくりしたわね……」

 

「いやぁ~お陰様で私達は本当に幸せな日々が送れてるってワケですよ♪」

 

「うんうん、パトラも玲二君と結婚して子供も出来て嬉しいよぉ~♪」

 

「良いなぁ、メル達も何時かシン君と……///」

 

……やっぱりこの二人はシンの事が好きみたいだな?まぁ二人の様子を見てたら丸わかりだけど。あ、それと今うい(いい加減呼び捨てにする事にした)とパトラは二人とも妊娠中で現在八ヶ月目だ。お腹も大分大っきくなっていて二人とも嬉しそうにお腹を撫でている。

 

「けどまさか佐々木さんのお嫁さんが六十人以上いて子供も五十人以上いるって知った時は本当にびっくりしたよね……?」

 

「なんというか、ビッグダディが霞むくらいの大家族だよな?」

 

「あぁ、よく言われてるよ。っと、そんな事よりさっさと中に入ろうか」

 

『おぉーーー!』

 

此処でお喋りしてても寒いだけだし、まずは中に入っていろいろと見て回るとするか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「す、スゲェ!こんなに品揃えが良いショップなんてはじめて見たぜ!?」

 

「あ!見てみてシン君!メルの欲しかったガンダムハルートがこんなに沢山置いてるよ!」

 

「本当に凄いわね、此処の品揃え……あ、ちょこもこれ欲しかったのよね〜♪」

 

あらら、入って早々にシン達がガンプラコーナーの品揃えに興奮しながら物色を始めだしたな。確かに此処の品揃えはガンダムベースを超えるくらいの勢いがあるし、一説だと絶版とオンライン限定以外なら此処で手に入らないキットはないと言われてるくらいらしいからな。本当に進化し過ぎじゃね?

 

「さて、買い物は後でするとしてまずはこのホロプラのメインコンテンツ、ガンプラウォーズを体験してもらうとしようか」

 

「ガンプラウォーズ……?それってもしかしてガンプラバトルの

事ですか?」

 

「あぁ、俺達が作り上げた皆で楽しめる最高のゲームさ。ゲームエリアはこっちだからついて来てくれ」

 

そう言って俺は皆を連れてガンプラウォーズのゲームエリアへと移動する。其処は何時もの通り盛り上がっておりモニターには二機のSDガンダムが激しくぶつかり合いをしている最中であった。

 

「うぉッ!?スゲェ迫力だな……!?」

 

「えぇ、ちょこ達の世界のガンプラバトルよりもかなり進化している感じがするわ……!?」

 

「……あれ?でもあのバルバトスとフリーダム、SDなのになんだか体格が良いような気がする……?」

 

「え?あー、もしかしてシン君達の世界じゃまだMGSDシリーズって出てないのかな?」

 

「MGSD!?SDにMGの要素が入ってるのか?!」

 

まぁこれは出た当初俺達もびっくりしたからな。まさかSDのフォルムにMGの要素を組み込むなんて誰も想像してなかったし。けど実際にフリーダムが販売されてからはかなりの出来の良さに人気が急上昇したし、つい先月発売されたバルバトスもホロプラやベースでも即日完売する程だったからな。

 

 

『MGSD ガンダムバルバトス』

『機動戦士ガンダム鉄血のオルフェンズ』に登場した主人公機。SDという小柄な姿でありながら内部のガンダムフレームがしっかりと再現出来るという驚きの設計になっている。因みにバルバトスの形態は馴染みが深い第四形態固定である。

 

 

「さて、今戦ってるのは……バルバトスが築でフリーダムがみしろか。そういや二人ともダイヤランク5だからこれで勝った方がガンダリウムランクへと上がれるって感じか?」

 

「でも相性としてはお互いあんまり良くないよね?バルバトスにはビーム兵器に対して高い耐性があるナノラミネートアーマーがあるし……」

 

「フリーダムも物理攻撃のダメージが無効化されるヴァリアブルフェイズシフト装甲があるわね」

 

そう、互いが相手の得意戦術に対する耐性がある所為で普通なら泥仕合になりそうな組み合わせだが……

 

 

『…………ッ!其処ですッ!!』

 

ーバキュウゥゥンッ!!ー

 

ードゴオォォォンッ!!ー

 

『ぐぁッ!?し、しまった!?』

 

みしろのフリーダムが放ったビーム射撃が築のバルバトスの右腕関節に着弾しそのまま腕を吹き飛ばしていった。ナノラミネートアーマーは実はビームに対する耐性は高いのだがフレームまでにはその装甲は施されていないのだ。

 

鉄血のオルフェンズの機体は軒並みフレームが露出した機体が多く、バルバトスも例外なくフレームが露出している部分が多い為、其処をみしろに突かれたのだ。

 

勿論これは実力のあるバトラーならその点の配慮はしているのである程度しっかりとした戦い方をするし、実際に築もフレームを狙わせないようにバルバトスの機動性を活かして躱していたが、其処は観察力が高いみしろだからこそ出来る芸当だ。

 

『これで…………決まりですッ!!』

 

ーヒュンッ……ズバアァッ!!ー

 

『…………ハァ、一歩先を越されたか………』

 

ートゴオォォォォォォォンッ!!ー

 

ーWINNER 佐々木みしろ!ー

 

怯んだバルバトスの隙を突き最大出力のビームサーベルをバルバトスのコクピットの隙間へと突き刺し、築の呟きと共にバルバトスは爆散しみしろの勝利が告げられた。そして

 

ーRANK UP! DIA5→GUNDARIUM1ー

 

『うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーッ!!』

 

みしろのランクがガンダリウムへと昇格された画面が表示され、それを見ていた観客達が皆して雄叫びのような歓声を上げた。

 

「す、凄い歓声ね……!?」

 

「なぁ玲二さん、そのガンダリウムってランクはそんなに凄いのか?」

 

「あぁ、なんたってこのゲーム最高のランクで現在そのランクへと到達出来たのは今のみしろを含めて四人しかいないからな。本当にガンプラに関する知識とガンプラ製作技術、そして類稀なるゲームテクニックが合わさらないと到達出来ないランクとまで言われてるんだ」

 

「そ、そうなんだ?じゃあこの世界のみしろちゃんは本当に凄いバトラーなんだね?」

 

まぁな。現にランクは上がれば上がる程次のランクへ上がる為の経験値の増加は勿論、それ以外にも幾つかの条件をクリアしなければ例え経験値が貯まろうとランクアップは出来ないようになってるからな。つまりガンダリウムに上がるという事はバトラー達の目標の一つでもあり、それを熟したみしろは本当に凄いバトラーとも言えるだろう。

 

例:シルバーからゴールドに上がるには指定されたゲームで計五回Sランク評価を出さないといけない。

 

「あ、ご主人様!もしかして今のみしろの戦い、見て頂けたのですか?」

 

「あぁ、ばっちり見せてもらったぜ。凄くワクワクするバトルだった。それと、築も惜しかったな?」

 

「あぁ、今回はお互い素組で勝負だったから純粋なバトルの技術が問われたけど、僅かの差で負けちまったわ……」

 

少し経って俺達の元にみしろと築がやって来た。俺がみしろの頭を撫でてやると嬉しそうに尻尾を振って喜んでいる。そして築負けて悔しそうだったがこれを次に活かそうといろいろと考察を始めだす。まぁガンダリウムに上がる為の条件の一つはダイヤランク4以上とのシンプルバトルで十回勝利するだから築も近い内にガンダリウムへと上がれるだろう。

 

「さて、それじゃあそろそろシン達もバトルしてみるか?」

 

「え?でも俺、今ガンプラ持ってないけど……?」

 

「それなら心配ない、なんせ今回はお前の為に特別なガンプラを用意したからな」

 

俺はそう言いながら転移の力を使いシンの前に二つのガンプラを用意した。二つともデスティニーの改造機だが、それぞれ接近戦と遠距離戦を想定した改造を施している。

 

 

『HG デスティニーガンダムスラッシュエッジ』

『機動戦士ガンダムSEEDDestiny』に登場するデスティニーガンダムの改造機。ビームランチャーを廃し代わりに大型のビームソードアロンダイトを二本装備している。機体色も赤に変更されておりソードインパルスの正当進化をイメージして作られた。

 

 

『HG デスティニーガンダムブラストハンター』

同じくデスティニーガンダムの改造機。スラッシュエッジとは対極にこちらはアロンダイトを廃し代わりに長射程ビーム砲を両サイドに装備されている。両肩にあったフラッシュエッジ2もランチャーストライクの肩をイメージしたガトリング砲に代わっている。機体色も緑に変更されておりブラストインパルスの正当進化をイメージして作られた。

 

 

「これって、まさかソードインパルスとブラストインパルス仕様のデスティニーですか!?」

 

「あぁ、シンがやってきたって事で俺が急ピッチで作ったオリジナルガンプラだ」

 

「これを急ピッチで!?ま、まさかこんな凄いのを短時間で作れるだなんて……?!」

 

「佐々木様って本当は凄いモデラーなのかしら……!?」

 

いや、単純に能力で時間操作していろんな工程を簡略化したから出来ただけだ。これを普通に作るとなれば最低でも二週間は掛かるぞ?とまあそんな事はさておき……

 

「さ、シンはどっちを選ぶ?好きな方を使って良いんだぜ」

 

「え、じ、じゃあ……こっちのソードの方を使わせてもらっても良いですか?」

 

「ん、了解。ならこっちのブラストハンターは今日のスペシャルゲストに使ってもらうとしよう。それじゃあ早速筐体へと向かってくれ。既にるしあがゲームの準備をしてくれてるから」

 

「分かりました。じゃあちょこ先生、メル先輩、行ってきます」

 

「シン様、頑張ってね♪」

 

「メル達、シン君の事応援してるからね♪」

 

こうして癒月と夜空の声援を受けシンは準備された筐体へと向かっていった。さて、俺もこれをあいつに渡しに行くか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おぉ……これがガンプラウォーズのゲーム画面か。分かってはいたけど、俺達の世界のガンプラバトルとは違うんだな?」

 

ゲーム開始と同時に密林エリアへと転送されたシンのデスティニー。シンは目の前に広がるゲーム画面を見て自分達の世界でやっているガンプラバトルとの違いに驚きを隠せず魅入っていた。

 

「俺達の世界じゃプラフスキー粒子の力でガンプラを実際に動かしてたけど、確かにこっちだとガンプラが壊れる心配もないなーピピピッピピピッーん?通信か」

 

ーピッー

 

『……あ、あのー、は、初めまして、シン・アスカさん……ですよね?』

 

「え!?お、俺?!」

 

ステージ画面に見惚れている中、突如通信が入り画面を開くと其処には自分とそっくりな顔の少年が苦笑いしながら挨拶してきてシンは思わず驚いてしまった。

 

『ま、まさか玲二さんの言う通り本当にガンダムの世界の人がやって来るだなんて……あ、すみません、俺飛鳥新って言います。今日はよろしくお願いします、シンさん』

 

「あ、あぁ……なんか、俺達そっくりだな……?」

 

『えぇ、まぁよく言われますね。今日は玲二さんに頼まれてこの借りたデスティニーブラストハンターで戦う事になったんですが……ところで今回のバトルの内容ってシンさんは聞いてますか?』

 

「あ、そういや玲二さんからは特に何も聞いてはいないな?一体どんなバトルをするんだ?」

 

突然現れた自分の顔と瓜二つの少年に驚きつつも二人とも今回のゲーム内容について聞かされてない為どうすれば良いか困惑してしまう。と其処に……

 

『あーテステス……コホン、お二人とも、準備の方はよろしいのです?』

 

『あ、るしあさんの声?』

 

「ま、まぁ取り敢えずはいつでも始められるけど……今回は一体どんなバトルなんですか?」

 

『はい、今回のバトルはズバリ!タイムアタックレイドバトルなのです!お二人は今シンさんが密林エリア、新さんが住宅街エリアにいると思います』

 

「あ、お互い今違うエリアにいるのか?」

 

そう、今回はるしあによって二人ともそれぞれ別のエリアに転送されていたようである。

 

『今からお二人の前にレイドボスが現れますのでどちらが先にボスを倒せるかを競います!但し!今回のボスは普通とは違うので気を抜いてたらすぐやられるかもしれないので注意してくださいなのです♪それではぁ〜……スタートォー!』

 

「えちょっと待っ……切れやがった。けど普通じゃないってどういう事だ?」

 

『つまり改造ガンプラか、もしくは大型のモビルアーマーとかかーピーッ!ピィーッ!ーえ!?な、なんだ?!』

 

突然のゲームスタートに困惑する二人だったが其処に突然笛の音が響き、それと同時に何故かサンバのリズムが流れ出す。すると二人の目の前に機械のような姿の赤い恐竜が現れ、更にはシンの方には青とピンクの恐竜が、新の方には黒と緑の恐竜が現れ赤い恐竜に向かって突っ込んでいった。

 

ー〜♪〜♪ー

 

ーガブリンチョ!ステゴッチ!ー

 

ーガブリンチョ!ドリケーラ!ー

 

ーガブリンチョ!パラサガン!ー

 

ーガブリンチョ!ザクトール!ー

 

赤い恐竜の姿が人型へと変形し、それぞれの肩となった部分に恐竜達が噛みつき腕となっていく。最後に赤い恐竜の尾が開き背中に装着され、その中に入っていたメットが頭部へとドッキングされていった。

 

ーハッハッ!シーハッハァーッ!ハッハッ!シーハッハァーッ!ー

 

ーキョウリュウジン!ー

 

ーキョウリュウジン!ウェスタン!イィーハァーッ!ー

 

「キ……キョウリュウジンーーーッ!?」

 

『ま、まさかガンダムじゃなくてスーパー戦隊のロボットだなんて……!?』

 

そう、現れたのはガンダムでも他のスーパーロボットでもなくかつて放送されたスーパー戦隊の一つ、『獣電戦隊キョウリュウジャー』の合体ロボット『キョウリュウジン』であった。

 

 

『キョウリュウジン』

『獣電戦隊キョウリュウジャー』に登場する巨大ロボット。メインとなる獣電竜ガブティラに他の獣電竜達とカミツキ合体する事で変形する事が出来る。基本形態はステゴッチとドリケラとの合体であり、その代わりにパラサガンとザクトルが合体すればキョウリュウジンウェスタンになる。※因みにキョウリュウジャーは作者の一番推しの戦隊でもある。

 

『さぁ二人とも、いよいよバトルなのです!シンさんは普通のキョウリュウジンを、新さんはキョウリュウジンウェスタンを相手よりいち早く倒すよう頑張ってくださいなのです!』

 

「くぅッ!まさかこの世界に来てスーパー戦隊とやりあうだなんてな!?」

 

『本当に玲二さんってこんな変わり種好きだなぁ……けど、やるだけやってやるか!』

 

まさかのキョウリュウジンとのバトルとなったシンと新。はたしてこのバトル、どちらが先にキョウリュウジンを倒す事が出来るのだろうか?

 

続く……




はい!という事で始まったシンと新のガンプラバトル!そしてその相手がまさかのキョウリュウジン!まぁ自分の一番好きな戦隊だというのと今年で10周年なので出してみました(^o^;)

次回はいよいよ本格的なバトル!はたして勝つのはどちらだろうか?次回もまったりと待って頂ければ幸いです、ではまた!


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番外編『荒れるぜぇ、止めてみなッ!』

仕事が忙しくて全然書く暇がなかったです……(泣)

この間発売したジムを組み立てましたが、あれはマジで傑作ですね。この小説のミオも絶賛する程の名キットだと思います!(≧∇≦)/

今回は遂にシンと新のバトルが決着!はたしてどちらが先にキョウリュウジンを撃破するのか!?最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


ードゴォンッ!ガンッ!バキィッ!ー

 

「くッ!やっぱり固いな!」

 

ゲーム開始から数分が経ち、シンはキョウリュウジンに向かってバルカンで牽制しながらアロンダイトで斬り掛かっていくがそれをキョウリュウジンに右手に持っているステゴッチシールドで防がれ左手のドリケラドリルで反撃されそうになっていた。そして……

 

ーバキュゥンッ!ギュイィンッ!ー

 

「うわぁッ!?あ、危ねえ、後少しズレてたら撃墜されるとこだった……!?」

 

住宅街エリアで戦っていた新もダブルビーム砲で攻撃するも左手のザクトルソードで斬り防がれ、逆に右手から放たれたパラサビームガンで反撃され間一髪で避けたが完全には躱せず右肩のガトリング砲が破壊されてしまった。

 

「さ、流石に強過ぎる……!」

 

「本当にこいつ等倒せんのか……?!」

 

攻防一体の強靭な力を誇るキョウリュウジン達に、シンと新のコントローラーを握る手は震えてしまっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バトルが始まり観客席のモニターにはシン達のバトルが表示されているんだが、やはりキョウリュウジン相手だからかあまり戦況はよろしくないようだ。

 

「シ、シン君大丈夫かな……?」

 

「それにしてもあのキョウリュウジンってロボット、強過ぎないかしら……?」

 

「まぁキョウリュウジンに限らずスーパー戦隊のロボットって基本的なスペックはガンダムとかのモビルスーツよりも高いからな。普通に戦ったら勝ち目なんてほぼないだろうし」

 

キョウリュウジンをはじめとするスーパー戦隊のロボットの殆んどは全高、パワー、装甲、どれを取ってもガンダム等の機体のスペックを上回っている。勿論それだけで勝敗が決まるワケではないが、それでも一対一で戦うのには幾らエースパイロットでも荷が重過ぎるかもな?

 

「そんな!?それじゃあこのままだとシン様は……!?」

 

「あぁ、シンも新も負ける可能性があるな」

 

「そ、そんなぁ〜!?それじゃあこのゲーム攻略不可能って事なの?!」

 

いや、攻略自体は出来る。だがこのキョウリュウジン相手に単機で攻略したのは大和とみしろ、そしてやしきずのガンダリウムランクやそれに近い実力者だけだからな。様子見でそれぞれ単機で挑ませて見たけど、此処ら辺で追加支援をしてやるか。

 

「二人とも、そんなにシンの手伝いをしたいならこれ持って乱入してきな」

 

「え?こ、これって……?」

 

「俺からの特別サプライズさ♪」

 

俺は再び転移を利用して二機のガンプラを取り出し癒月と夜空にそれぞれ手渡してゲートに向かうように促した。さて、新の方にも支援を向かわせるとするか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハァ、ハァ、ハァ…………ぜ、全然歯が立たねぇ………!」

 

ゲームが始まって十分が経過した頃、機体のダメージは少ないもののシンは既にヘトヘトになってしまっていた。それは新も同じようでコントローラーを握る手は汗でビッショリな状態だった。

 

「ハァ……新と通信は切ってるから具体的な感じは分からないけど、向こうもそんなにダメージを与えられてないみたいだな……?」

 

現在シンのスラッシュエッジがキョウリュウジンに与えたダメージは11%、対する新のブラストハンターがキョウリュウジンウェスタンに与えたダメージは12%、開始十分でこれだけしか与えられていないのはかなり痛手である。

 

「クッ……このままじゃジリ損だな。何か手を打たないとマジでヤバいぞ……」

 

流石のエースパイロットと言えど十分も戦って戦果が得られてないこの状況に焦りを感じてしまってるようだ。シンに取ってこの戦いはデストロイやアスランとの最後の戦いに匹敵する程の強敵との戦いなのかもしれない。そう思わせる程にシンは今恐ろしい緊張感に襲われていた。すると……

 

「シンくぅーんッ!」

 

「シン様ぁーッ!」

 

「え……ってえぇ!?」

 

なんと其処に()()()()()()()()()が現れシンのデスティニーに近づいてきた。声からしてメルとちょこのようだが、予想外の機体に乗っててシンは困惑してしまう。

 

「何乱入してきてるんですか二人とも!?てか何なんだその機体?!」

 

「あ、これ?佐々木さんがメル達の為に用意してくれた機体だよ♪それとこの機体、こういう事も出来たりするの。見ててねシン君、トランスフォームッ!」

 

メルが叫ぶと同時にゴリラ型の機体は変形を開始し、なんと瞬く間にガンダムタイプの機体となった。

 

「ゴリラがガンダムに!?というかこれビーストウォーズじゃねーか!?」

 

「シン様〜、ちょこの機体も変形するわよ〜♪トランスフォームッ!」

 

ちょこも叫ぶと恐竜型の機体も瞬く間にガンダムタイプへと変形していく。そう、玲二が二人の為に作った機体は『超生命体トランスフォーマー』の一つであり通称声優無法地帯と名高い『ビーストウォーズ』の主要キャラをモチーフにしたガンダムであった。

 

 

『HG コンボイガンダムAGE1』

『機動戦士ガンダムAGE』に登場する主人公機をビーストウォーズに登場するサイバトロンの司令官コンボイをモチーフにして作られたオリジナルガンプラ。外装にはフルスクラッチで作ったゴリラの装甲が装着されておりこれでゴリラモードとガンダムモードを切り替える事が出来る。

 

 

『HG メガトロンガンダムエクシア』

『機動戦士ガンダムOO』に登場する主人公機をビーストウォーズに登場するデストロンのボスメガトロンをモチーフにして作られたオリジナルガンプラ。外装にはプラモサウルスの外皮を改造して取り付けられており恐竜モードとガンダムモードを切り替える事が出来る。

 

 

「そんな改造もしてたのかあの人!?」

 

「えぇ、なんでも完全ロマン重視の面白改造だって言ってたわ」

 

「でもこれでメル達も戦えるから一緒にあいつを倒そうよ!」

 

「え、でもそれだとこっちが一方的に有利になっちまうんじゃ……?」

 

「あ、それなら大丈夫よ。佐々木様が向こうにも助っ人を呼んだって言ってたし」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ、ふぅ……ヤバい、このままじゃキョウリュウジンを倒す前に俺のHPが削られてしまう……」

 

一方その頃、キョウリュウジンウェスタンと戦っていた新もかなり疲弊しているのか手汗が酷い事になっていた。

 

「……そうだ、そういやこの間大和さんが変わったレイドバトルをやったって言ってたけどこれの事だったのか?だとしたらこれをソロでクリアしたって、流石最強のガンダリウムランカーだな……ってそんな事より今はこいつを倒さないと!」

 

自分も最強のチームと言われたガンプラサークルの一員、此処で負けるという事は他のメンバーにも示しがつかなくなってしまう。そんな事にならないよう新は再び構え直しキョウリュウジンウェスタンへと立ち向かおうとする。しかし其処に……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やあぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!飛鳥神拳奥義!熊鋸魅帝打隠連棒ッ!」

 

―ヒュウゥゥゥゥ……ドッゴオォォォォォンッ!―

 

「ってえぇぇぇぇぇッ!?な、なんだぁ一体ッ!?」

 

なんと上空から一機のガンプラ、それもベアッガイが現れ持っていた熊の手みたいな武器でキョウリュウジンウェスタンの頭を思いっきり叩いたのだった。

 

「お兄ちゃん!助けに来たよ!」

 

「ってこの声、優か!?なんでお前此処にいるんだよ?!」

 

「なんでって私今日は真理愛さんと遊びにホロプラ行くって言ってたじゃん。そしたらお兄ちゃんもいて面白いレイドバトルしてるって聞いたから思わず参加しちゃった♪」

 

なんと乱入してきたのは新の妹の優だった。そしてその愛機であるベアッガイも何気にバージョンアップされた新機体となっていた。

 

 

『HG ベアッガイSUNFLOWER』

飛鳥優の愛機、ベアッガイSUNSUNのバージョンアップ機。そのカラーリングは名前の由来であるヒマワリをイメージした黄色と茶色になっている。以前は格闘主体の戦闘スタイルだったが今回は更に背中に陸戦型ガンダムのバックパックを装備しその中に豊富な武器を収納している。

 

 

「おーい!優ちゃん先にいかないでって言ったよね〜ッ!?」

 

「ってお前もか真理愛!?ってか勝手に乱入したら対戦相手が不利になっちまうんじゃ……!?」

 

「あー、それなら大丈夫。玲二さん曰く向こうにも助っ人が入ったからこれで三対三になってるって」

 

「そ、そうなのか?っていうか真理愛、お前も何気に新機体作ってたんだな?」

 

「フフーン♪そのとーり!どぉよ私の新しい『ザクウォーリアディフェンダー』の姿!」

 

 

『HG ザクウォーリアディフェンダー』

『機動戦士ガンダムSEEDDestiny』に登場したザクウォーリアの改造機。両肩のシールドと装甲をパテやプラ板で強化し、更にユニコーンガンダムのハイパービームジャベリンを装備させスピードが低下した分攻防一体の機体に仕上がっている。

 

 

「よーし!これでこっちも三人揃ったから一気に倒すよぉーーーッ!!」

 

「いやなんでお前が仕切ってるんだよ?……まぁそういう事なら、遠慮なくやらせてもらうぜッ!」

 

新も真理愛と優が加わり三人体制となり、バトルはいよいよ本格的となっていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして場面は戻りシン達の方へ……

 

「せー……のッ!」

 

―ドゴオォンッ!―

 

「撃つべし!撃つべし!撃つべし!」

 

―チュドォンッ!チュドォンッ!―

 

「ちょっとちょこ先生それ違うキャラですって?!」

 

先程までの苦戦が嘘のように三人はそれぞれヒットアンドアウェイの攻撃を繰り返しキョウリュウジンを追い詰めていた。メルのコンボイガンダムがキョウリュウジンの胸部を思いっきり殴りつけた後ちょこのメガトロンガンダムが右手の恐竜の口からビームを放っていく。そしてシンもその隙を狙ってキョウリュウジンに向かってアロンダイトで斬り掛かり大ダメージを与え流石のキョウリュウジンもあまりの衝撃に思わずよろけてしまっていた。

 

 

 

そして新達の方は……

 

―チュドォンッ!ズバアァッ!―

 

「クッ!やっぱパラサガンの攻撃が厄介だな!?」

 

「なんとか動きを止められたら良いんだけど……!?」

 

キョウリュウジンウェスタンの右手であるパラサガンのパラサビームガンの砲撃の所為でまともに近づく事が出来ず、新もブラストハンターでの射撃を試みるもやはり向こうの砲撃の方が強力で避けるので精一杯であった。

 

「このままじゃ全然攻撃する事も出来ないよぉ!?」

 

「クッ!何か手はないのか……?!」

 

あまりの強力な砲撃に手を焼いてしまう新達。しかし

 

―ガシィッ!―

 

[ッ!?]

 

「よっしゃあ捕まえたぁッ!二人とも、こいつは私が取り押さえているから今のうちに攻撃して!」

 

「真理愛!?」

 

なんとキョウリュウジンウェスタンの隙を突き真理愛のザクウォーリアディフェンダーが背後に周りキョウリュウジンを取り押さえたのだった。キョウリュウジンウェスタンもザクウォーリアディフェンダーを剥がそうとするがその強度の高さの所為かなかなか振りほどけずにいる。

 

「分かりました!真理愛さんの思いは無駄にはしません!飛鳥神拳究極奥義!友情合神波ッ!」

 

優も真理愛の頑張りを無駄にしない為に自身のスキルを発動しベアッガイの身体を赤く輝かせていく。そして

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オラオラオラァーーーッ!くたばりやがれぇーーーーーーッ!!」

 

―チュドーンッ!チュドーンッ!チュドーンッ!ズガガガガガガガガガガガッ!!ドゴーンッ!ドゴーンッ!ドゴーンッ!―

 

「真理愛への配慮がまるでねぇーーーーーーッ!?」

 

ベアッガイのバックパックから出されたロケットランチャーやガトリング砲の砲撃をこれでもかというくらいにぶっ放す優。新の言う通り真理愛への配慮がまるでなかった。そして爆撃が終わり煙が薄まっていくと……

 

「ハァ、ハァ……」

 

「おぉ、真理愛!無事だったか!?」

 

爆撃を受け少し息が上がっている真理愛と倒れているキョウリュウジンウェスタンの姿があった。取り敢えず真理愛が無事と一安心する新、だったが……

 

「まだ生き残りがいたかッ!?(怒)」

 

―チュドーンッ!!―

 

「真理愛ーーーッ!?」

 

なんと優は真理愛に向かって容赦なくロケランをぶっ放したのだった。

 

「おい何してんだよ優!?今の真理愛だっただろうが!?」

 

「ハッ!?いけない!つい師匠とのやりとりのノリでやっちゃった!?」

 

「いやお前の師匠どんな奴だよそれ!?おい真理愛!大丈夫なのか?!」

 

新に怒られ正気に戻る優。爆撃された真理愛の安否を確認する為に取り敢えず通信するが……

 

「え?普通に大丈夫だけど?」

 

「いや無事なんかい?!」

 

なんと真理愛のザクウォーリアディフェンダーは普通にピンピンしていた。実はこのレイドバトル、味方に対しての攻撃は無効なのでどんなに攻撃してもダメージは0なのだ。つまりは先程までのは優と真理愛の茶番だったワケである。

 

「ってんな茶番なんてしてる場合じゃねぇ!?早くキョウリュウジンにトドメを―ビィーーーッ!―ッ!?な、まさか……?!」

 

キョウリュウジンウェスタンにトドメを刺そうと武器を構えた新だったが、その直後にブザーがなり

 

―WINNER SHIN―

 

のモニターが表示された。一体どういう事かというと、それは少し前に遡り……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……さて、大分ダメージを与えられたようだけど、こっちもそろそろヤバいかもな……?」

 

「うん、もうコンボイガンダムのパンチもボロボロになっちゃってるよ……」

 

「ちょこのメガトロンガンダムもエネルギー切れになっちゃったわ……」

 

あれから少しずつヒットアンドアウェイ攻撃を繰り返していきキョウリュウジンのHPをなんとか八割方削る事に成功したシン達。

 

しかしやはりスーパー戦隊のロボット相手にまともに済む筈はなくシンのスラッシュエッジの二本あるアロンダイトの内一本が折れてしまいコンボイガンダムの手甲はボロボロに、そしてメガトロンガンダムもエネルギーが切れビームがもう撃てずにいた。

 

[……ッ!]

 

―ガシャンッ!―

 

「ッ!あ、あれって!?」

 

「盾が、剣になった!?」

 

「あれは、五連獣電剣!という事は必殺技かッ!」

 

キョウリュウジンの右手に持ってたステゴッチシールドが変形し巨大な剣、五連獣電剣となりエネルギーを充填していく。

 

(あれは間違いなくキョウリュウジンの最強必殺技の構え!このまま受ければ間違いなくやられてしまう!なら……ッ!)

 

シンはキョウリュウジンから必殺技が放たれると悟り、一瞬目を瞑る。そして……

 

 

 

―パリイィィィンッ!―

 

自身の中に眠る力を呼び起こしアロンダイトを構え直していく。

 

 

[獣電剣・ブレイブフィニッシュッ!!]

 

 

「ハアァァァァァァァッ!!」

 

 

戦いに決着をつける為に互いは最後の一撃を放っていく。キョウリュウジンの必殺技、獣電剣・ブレイブフィニッシュの衝撃波がスラッシュエッジを襲っていく。しかし……

 

「させるかぁぁぁぁぁぁッ!!」

 

―グググッ……バキィッ!―

 

スラッシュエッジはそれを避けていく。だが完全には避けきれず右翼が破壊されてしまうが、それでもシンは進む事を止めなかった。そして……

 

「これで……終わりだあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」

 

―ズバアァァァァァァァアッ!!―

 

最後となる渾身の一撃をキョウリュウジンの胸部へと叩き込んだ。それによりキョウリュウジンはそのまま倒れ込んでしまう。だが

 

―ピキッ……パリイィィィンッ!―

 

スラッシュエッジのアロンダイトも限界がきたのか遂に折れてしまい、シンも疲労からか筐体内で座り込んでしまった。

 

「ハァ、ハァ、ハァ……さ、流石にもう限界か……」

 

「シン様!」

 

「シン君、大丈夫なの!?」

 

座り込むシンの元にメルとちょこも心配になって駆けつけシンに肩を貸していく。とその時……

 

―……グググッ―

 

「ッ!?ま、まさか……!?」

 

「嘘でしょ!?まだ立ち上がるの?!」

 

「そ、そんなぁ……もうメル達戦う力なんて残ってないのにぃ……!?」

 

まさかのまさか、なんとあれだけの攻撃を受けても尚キョウリュウジンは立ち上がったのだ。流石にもう打つ手はなくこれでおしまいかと諦めるシン達……だったが

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ハッハァー!お前達スッゲェなぁ!ブレイブだぜぇッ!!』

 

「え!?」

 

「こ、この声って……!?」

 

なんと立ち上がったキョウリュウジンから若い男の声がし、突然の事にシン達は驚いてしまう。

 

『また戦う事があったら、今度は一緒に戦おうぜ!じゃあなーーーッ!』

 

その言葉と共にキョウリュウジンは光に包まれ、そしてその場から静かに消えていった。と同時に

 

―WINNER SHIN―

 

上空にシン達の勝利を告げるモニターが現れ、このゲームは幕を閉じたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわぁーん!負けちゃったよぉ〜!!」

 

「あっちゃぁ〜、ちょっとフザケ過ぎちゃったかもね〜?」

 

「いや、それでもやっぱり向こうの技術が凄かったって事だ。流石ZAFTのエースパイロットなだけあるな……俺も負けてなんかいられないな」

 

戦いが終わって広場に戻ってきた一同。負けて悔しがる優を真理愛が慰め、新もこの戦いで技術向上しさらなる高みを目指す事を誓っていた。まぁ新ならきっとすぐにあの境地へ辿り着けそうだけどな。

 

「…………まさか俺にそっくりな奴だけじゃなくてマリアにそっくりな奴もいたとはな。それにマユにそっくりな子も……」

 

「まぁこの世界ではMSの戦争なんてないからあんな悲劇はないからな」

 

「でも優ちゃんってあんなハジけた戦い方するんだね?」

 

「なんでも飛鳥神拳を習得する切っ掛けになった師匠があんな感じのノリの人なんだって」

 

なんだそりゃ?優の師匠さんってよっぽど変わった人なんだな?まぁそんな事はさておき、これで無事にバトルも終わった事だしそろそろシン達も元の世界に戻してやるか。

 

「それじゃあそろそろ元の世界に帰すとするか。準備は良いか、三人共?」

 

「はい。玲二さん、何から何まで本当に有り難うございました」

 

「そっちの世界のちょこ先生もメルちゃんも元気でね♪」

 

「うん、また会えたらその時は一緒にお出掛けしようね♪」

 

「良いわね、その時はそら様やノエル様達も一緒に来たいわね♪」

 

「あぁ、機会があれば招待してやるよ。それじゃあ、そろそろゲートを開くぞ」

 

別れの時となり俺はシン達の世界へとゲートを繋ぎ扉を開く。このゲートを開くのも簡単に出来るようになったから何時でも会う事も出来るし、その内向こうにも子供達を連れて遊びにいくとするか。

 

「じゃあシン、またな」

 

「はい!玲二さん、また何処かで!」

 

互いに固い握手を交わし、シンと夜空と癒月はゲートを潜り元の世界へと帰っていった。うん、これで一件落着だな。

 

「さて、それじゃあそろそろ帰るとするか」

 

「あ、それなら玲二君、パトラもデスティニー作りたくなったから買いにいっても良いかな?」

 

「私もインパルス作りたくなったから一緒に買おっかなぁ〜♪」

 

「お、そうだな。なら俺も新しいガンプラ買ってから帰るとするか」

 

「「おー♪」」

 

こうしてシン達との交流が終わり、俺達はまた元の日常へと戻っていくのであった。また何時か再び出会う時が来る事を願って……




はい!という事でこれにてシン達との交流は終了です!コラボして頂いた疲れた斬月様有り難うございました!

さて、今年も残すとこ後一ヶ月近くになりました。来年執筆予定のGWDWC編についてもいろいろと考えないと……(-_-;)
次回は本編を進めて参りますのでまったりと待って頂ければ幸いです、ではまた!


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番外編『集う強者達』

さっきまでヒメヒナの去年のクリスマスライブを見てましたがやはりヒメヒナは最高ですね!(≧∇≦)/

とまあそれはさておき今回は番外編!GWDWC開催が発表され多くのバトラーが参加を決める中で特に面白そうな人達をピックアップしてみました!今回も最後まで見て頂ければ有り難いです、ではどうぞ!


ガンプラウォーズディメンショナルワールドチャンピオンシップ、通称GWDWC。ガンプラウォーズ初の超大型イベントであり最強のバトラーを決めるというバトラーなら誰もが挑みたいと思っている最大の祭典である。その参加者にはホロライブやにじさんじ等のアイドルや世界に名を轟かせる強者達が続々と参加を表明している。これは、そんな中でも特に気になる者達のGWDWCの発表時の反応である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

東京都葛飾区亀有公園前派出所……

 

「ふ、ふあぁ〜………あーあ、最近ちっとも良い事ねーなぁ?」

 

「両ちゃん、いつまで競馬中継聞いてるつもり?部長が戻ってきたら怒られるわよ」

 

「あーもううるせぇな〜麗子」

 

派出所の中ではやる気なさそうに競馬中継を聞いている警官にかなり整った顔立ちの婦警に注意されていた。男の名は『両津勘吉』、葛飾区や一部の界隈では良い意味でも悪い意味でも有名な派出所勤務の巡査長である。そして彼を叱ってたのは同じく派出所勤務であり社長令嬢でもある『秋本・カトリーヌ・麗子』である。

 

「それにその書類、今日中に提出しないといけないんじゃなかったかしら?競馬中継なんて聞いてる暇なんかないと思うわよ?」

 

「んな事言ったってよ〜、これ全部やるったってどんだけ溜まってるんだってーの?」

 

「今までやってなかった分も溜まってたんだからしょうがないじゃない。つべこべ言わずさっさとやる!」

 

「ったく、わーったよ。そんなに言うなら手伝ってくれたって良いじゃねーかよ……」

 

麗子に叱られ渋々と書類仕事を始める両津。と其処に……

 

「只今パトロールから戻りました」

 

「あ、ケイちゃんお帰り。お茶用意してるわよ♪」

 

黄色い警察服を着用したイケメン、世界でも名の知れた有名企業中川グループの御曹司『中川圭一』巡査がパトロールから戻ってきた。

 

「そう言えば先輩、確かガンダムのプラモデルを使ったゲームをやってましたよね?」

 

「ん?あーガンプラウォーズの事か?あれはなかなか面白いゲームだぞ。なんたって自分の作ったガンプラでそのままバトルが出来る画期的なゲームだってゲーマーからもモデラーからも高い評価を受けてるゲームだからな」

 

「確かホロライブにいる玲二君が開発に関わったゲームよね?それがどうかしたの?」

 

「えぇ、実は昨日その佐々木さんが緊急生配信でガンプラウォーズの全世界大会の開催を発表したんです。これがその記事です」

 

中川はそう言うとスマホを取り出しネットニュースの記事を両津と麗子に見せていく。

 

「へぇ~、結構大々的に行うのね?」

 

「うーむ、意外と規模がデカい事に驚きだな……………………ッ!?なんだとぉ!?賞金一億円ッ!!?」

 

最初はただスゲェなという感想しかなかった両津だったが、記事の下に書かれていた賞金一億円という文字を見た瞬間目の色を変えてマジマジと記事を確認していく。

 

「えぇ、なんでも賞金以外にも世界でただ一つだけのオリジナルガンプラも贈呈されるみたいですよ」

 

「世界で一つだけのガンプラ!?(もしワシが優勝すれば一億円と特別なガンプラがワシの物に……ッ!?グフフフフ……!)麗子、中川!ワシは暫く仕事を休む!後の事は任せたぞ!」

 

「あ、ちょっと両ちゃん!?」

 

金にガメつい男、両津勘吉。賞金が出ると知って仕事を同僚に押しつけそそくさと派出所から出ていってしまった。

 

「あー、余計な事言っちゃいましたかね……?」

 

「もう、お金の事になると後先考えないんだから……」

 

長い付き合いとはいえ自分達の同僚の傍若無人さに呆れてしまう二人であった。

 

 

 

 

 

「待ってろぉーーーワシの一億円ッ!絶対に誰にも渡さんからなぁーーーーーーッ!!」

 

日本一のお騒がせ警官両津勘吉、参戦!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時同じくして都内某所……

 

「…………な、なんと!?これは……千年に一度あるかないかの一大ビッグイベントだよ!!」

 

「……朝っぱらから何騒いでいるんだ?『うまる』」

 

とあるアパートの一室、其処に住むちんちくりんの少女『土間うまる』がスマホを見て何やら騒いでいた。それを見ていた兄である『土間大平』はまたゲームとかの話かと呆れながら見ていた。

 

「お兄ちゃんこれ見てよ!今うまるがハマってるガンプラウォーズの世界大会が来年開催されるんだって!あのスーパーコーディネイターや白銀のメイドとかも参戦が決まってて今ネットはお祭り状態だよ!」

 

「ガンプラウォーズ?確か自分のガンプラを使ってバトルするゲームだったよな?っていうかお前ガンプラなんて作ってたのか?」

 

「え、エヘヘ〜……お兄ちゃんの棚から偶に借りてたの」

 

「はぁッ!?偶に飾ってるガンプラの位置がおかしいと思ったらお前だったのか!?」

 

自分の作ってたガンプラがまさか勝手にゲームに使われていたと知り怒る大平。だがうまるはそんな事はさておきと言って

 

「お兄ちゃん!うまるこの大会に参加したい!だからお兄ちゃんのガンプラ何体か貸して〜!」

 

「ダメだ!人の数少ない趣味を勝手にそんなゲームに使わせるか!」

 

「お願いしますお兄ちゃぁ〜ん!うまるどうしても参加したいのぉ〜!」

 

ダメと拒否する大平の足ににうまるはしがみつきながら涙と鼻水でぐしゃぐしゃになった顔を擦りつけていく。

 

「だあぁ鼻水擦りつけるな!?分かった分かった!流石にガンプラは貸せないがお前の大会用のガンプラを一緒に作ってやるから!」

 

「ホント!?よっしゃー!そうと決まれば早速新しいガンプラを買いに行こーーーッ!」

 

「いやお前今日は学校だろうが!?」

 

兄のお許し?を受け意気揚々となるうまる。巷ではUMRという名で有名な彼女が大会ではどう活躍するのだろうか?

 

外面だけは良い干物妹土間うまる、参戦!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は代わり魔界……

 

「…………そうか、ガンプラウォーズの最強を決める大会か」

 

「うん!お兄ちゃん達が皆の為に大会を開くんだって!」

 

とある屋敷の一室、其処には以前玲二達の所にやって来たキョウことキョウモデウス四世が目の前の少女に楽しそうに語っていた。その話を聞き、少女はニヤリと笑って何かを企んでいた。

 

「三世界全てが注目するこの大会……此処で我が名を馳せれば我が一族の復興に大きく近づくだろう!茶々丸!今すぐに私に相応しい機体を持って来い!」

 

「は、畏まりましたお嬢様」

 

茶々丸と呼ばれた女性は少女の指示に従いガンプラを取りに部屋を出ていった。

 

「『エヴァ』ちゃんも参加してくれるの!?」

 

「あぁ!この『エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル』の名にかけて必ず優勝してマクダウェル家復興の道を切り開いてみせる!」

 

「お嬢様、ガンプラの用意が出来ました」

 

「うむ、ご苦労……おい茶々丸、なんでこんなエントリーグレードのガンダムしかないのだ!?しかもこれライトパッケージ版だから武装もないではないか!?」

 

「すみませんお嬢様、今この屋敷の財政を考えたらこれが精一杯でございます」

 

茶々丸が持ってきたのはまさかの武装がビームサーベルのみのライトパッケージのガンダムだった。こちらは550円のキットなのだが、これで精一杯とはどれだけ財政難なのだろうか?

 

「エヴァちゃん、良かったら僕の持ってるキット使って良いよ。それと今日もご飯食べにくる?此処最近ずっとねこまんましか食べてないんでしょ?」

 

「ウググ……か、かたじけない……///」

 

「本当にいつも申し訳ございませんキョウモデウス様、今宵もお世話になります。その、見返りとして私の身体を……///」

 

「お前私の友達に何しようとしてんだこのショタコンポンコツ駄メイドッ!///」

 

貧乏な没落貴族であるエヴァンジェリン。彼女は最近知り合ったキョウと共に自分の一族の復興を夢見てGWDWCへの参加を決めるのであった。

 

魔界の伯爵キョウモデウス四世と没落吸血貴族エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル、参戦!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

所変わって天界……

 

「号がーい!号外だよぉ~!」

 

「んあ?なんだ、一体?」

 

天界にあるヘルエスタ王国、その中央区にある市場で男が道行く人達に号外新聞を配り回っていた。その中で一人の男が怠そうに号外新聞を受け取った。

 

「……………………あーそういやヘルエスタ王国の第二皇女に子供いたっけ?にしても『ロゼリア様が初めてパパとママと喋った記念パーティー』とか、どんなパーティーだよそれ?…………ん?裏面になんか別の記事があるな…………ってガンプラウォーズの世界大会開催!?絶対こっちがメインだろうが!?こうしちゃいられねぇ!」

 

男は慌てて停めていたバイクに乗り急いで自宅へと戻っていく。そして自宅に到着すると急いで自分の部屋に入り壁に積んでたガンプラから幾つかをピックアップし新しい機体を組み上げていく。

 

「あれ?『ガロウ』、いつの間に帰って来てたんですか?」

 

其処に白髪で目元を布で隠した男の子がやって来て家主である男の急な帰宅に何があったのかを問いていく。

 

「あぁ『9S』、今俺はかなり燃えているんだ……地上界で行われるガンプラウォーズの祭典、このビッグイベントに乗らない奴はバトラーでもモデラーでもねぇッ!」

 

「ガンプラウォーズの祭典?……あ、これの事ですか?あー、だから『2B』がずっと部屋に引き籠もってるのか……」

 

「ん?2Bがどうかしたのか?」

 

「えぇ、実は昨日の夜からガンプラ作るから入ってこないでと言われて、もうずっと部屋から出てこないんですよね」

 

どうやら彼等にはもう一人同居人がいるようだが、今は自室でずっとガンプラを作っているようだ。

 

「そっか、2Bも参加するつもりなのか。9Sは参加しないのか?」

 

「僕ですか?僕はあくまで作る専門なので参加はしないつもりですね。なので二人のサポートをしようかと」

 

「お、そうか!なら早速このガンプラ作るの手伝ってくれないか?」

 

「分かりました。えっと…………あの、ガロウ?前から聞こうと思ってたのですが何故ガンダムXばかりあるんですか?しかも入手難度が高い十魔王までありますし………?」

 

「おう!俺にとってXは最高の機体だからな!やっぱ火力こそ正義だぜ!」

 

「そういう物ですか?それにしたってXばかりって………(やっぱり『ガロード・ラン』に似てるだけあって惹かれる物があるんですかね?)」

 

家主のX愛に若干呆れながらも9Sは取り敢えず言われた通りに手伝いをしていくのであった。

 

炎のXバトラー『走道ガロウ』、参戦!

 

 

 

次々と多くのバトラーが参戦を決めていくGWDWC。多くの強者が集まる中、果たして勝つのは誰だろうか!?

 

 

 

 

 

出典元

両津勘吉……『こちら葛飾区亀有公園前派出所』

土間うまる……『干物妹!うまるちゃん』

エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル……『魔法先生ネギま!』

9S、2B……『NieR:Automata』




はい、という事でなんと幾つかのアニメキャラが参戦決定です!彼等は果たして本戦へと勝ち進めるのか!?そしてホロメンやにじさんじライバーとの絡みはあるのか!?それらは来年書きながら考えます!(オイッ!?Σ(;´Д`))

そして今回はアニメキャラを出したという事で、活動報告にアンケートを用意しました!もしこのキャラも参加してほしいというのがあれば気軽にお書きください!全てに答えられるかは分かりませんが出来る限り頑張らせて頂きます!

それでは次回もまったりと待って頂ければ幸いです、ではまた!


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番外編『ずんだ共和国の末路』

本当は20時に更新しようかと思ってましたが時間に余裕が出来たので早めに更新します。以前お覇王様がゆっくり解説風の話を作ってたので自分も最近良く見てる解説動画風の番外編を作ってみました。最後まで見て頂ければ有り難いです、ではどうぞ!


2024年現在、世界では佐々木玲二が義兄である藤枝劉斗が会長を勤める藤枝コーポレーションと共に開発したガンプラウォーズが大盛況を果たしていた。その人気ぶりは凄まじく、遂には三世界を巻き込んだ世界大会が開催される事が決まった程である。

 

だがそんなガンプラウォーズの成功を妬む不穏な輩もまた存在していた。これは、そんなガンプラウォーズに対抗心を燃やし真似たとある国の末路を見ていこう。

 

「僕はずんだもん。天界にあるずんだ共和国の国王兼大統領なのだ。今僕は天界で大人気のアニメ『駆動戦記ズンダム』をイッキ見しているのだ。やっぱりズンダムは最高のアニメなのだ♪」

 

「大変です国王!」

 

「お?どうしたんだ秘書よ、そんなに慌てて?」

 

「今さっき街に出ていた時に国民達の話を聞いてたのですが、今地上界の日本という国が開発したガンプラウォーズというのが三世界中で大ブームを巻き起こしているようです!」

 

「ガンプラウォーズ?なんなのだそれは?…………なんと!?ガンプラを使ったリアルシミュレーションゲームだとぉ!?」

 

2022年末、日本の藤枝コーポレーションがガンプラの会社と提携を結びガンダムのプラモデルを読み込む事で誰でも自由にオリジナルガンプラで楽しめるゲーム『ガンプラウォーズ』を開発したのである。これは細かな改造もしっかり読み取り世界で唯一つのガンプラを好きに動かす事が出来、更にバトルだけではなくレースや探索等いろんなユーザーが楽しめる要素が盛り沢山のゲームであった。当然このゲームは爆発的にヒット!ガンプラ業界とゲームセンター業界を大いに潤わせたのである。そんなガンプラウォーズの成功が気に食わないずんだもんは……

 

「ふん!何がガンプラウォーズなのだ!所詮は地上界にある小さな島国が作った子供だましなのだ!」

 

「ですが我が国でも何機か筐体が導入されてゲームセンターは連日大賑わいを見せてるようですよ?」

 

「ヌググ……ってか我が国ではズンダムっていう素晴らしいアニメがあるのに、なんで国民共はガンダムなんかに熱狂してるのだ!?」

 

「いやまぁだって……ズンダムってパクリアニメですし」

 

「な……!?」

 

秘書の言う通り、ずんだもんの言うズンダムというのは地上界で大人気を博したガンダムのモロパクリアニメである。製作会社はズンダムを完全オリジナルアニメーションと言い張ってはいるが登場するキャラクターやロボットが完全にガンダムをそのまま流用したかのような低品質であり、更にはキャラデザのクオリティの低さや作画が崩壊しまくっているという事もありズンダムは他国からはガンダムを真似たゴミと称され自国でもずんだ共和国最大の恥と言われる程の不人気アニメとなっている。

 

「クソが!ズンダムの何処が悪いっていうのだ?!この第15話の『クスクス・ドリアンの港』なんて感動回だぞ!」

 

「いやそれククルス・ドアンの島のパクリですよね?」

 

「そーなのだ?ガンダム見た事ねーからわかんね。ってそんな事より我が国がそんな地上界の弱小国が作ったようなゲームに負けるなんて許せん!こーなったら我が国でもこのガンプラウォーズに負けないゲームを開発するのだ!」

 

「え!?本気で言ってるんですか?!ガンプラウォーズは藤枝コーポレーションが作り上げた最新鋭の技術がふんだんに使われたゲームで同じようなゲームを作るのは至難の業だって言われてますよ!?」

 

「これだから素人は困る。良いか、弱小国の一企業が出来るような事がこの天界でも最速の技術成長を誇る我が国に出来ないワケがないのだ!良いからさっさと準備に取り掛かるのだ!」

 

「え〜……?(技術成長って、ほぼ他国のパクリばっかじゃん……?)」

 

こうしてずんだもんの対抗心からガンプラウォーズに代わる新しいゲームの開発がスタートしたのです。これが後に悲劇を生むことになるとは、この時のずんだもんは知る由もありませんでした……

 

「ではまずはラインナップからなのだ。初代ズンダムは勿論、続編のΣズンダムやΣΣズンダム、更にはアナザーシリーズのAズンダムやズンダムZeedや鋼鉄のウルフェス、最新作の木星の悪女まで幅広いズンプラを対応させるのだ!」

 

「なんか全部どっかで聞いた事ある名前なんですが……?」

 

「知らね。そして更に豊富なカスタムパーツも販売!その数なんと五十種類と幅広いカスタムが可能なのだ!」

 

「成る程、カスタムは確かに重要ですよね?」

 

「フフン、これだけのカスタムなんてガンプラでは真似出来ないだろう!」

 

「(いやガンプラはそれ以上のカスタム出来るんだけど……)そう言えばガンプラウォーズではガンプラ以外にも30MMや他作品のプラモも対応しているようですが、ウチも同じように合わせますか?」

 

「うんにゃ、そんな事しなくて良いだろ?そんなのしなくたってズンプラはかなり豊富なんだから全然余裕だし。寧ろガンプラウォーズは他のプラモも参戦させなきゃ足りないからかさ増し目的の為にやってるだけなのだ。僕らのゲームにそんな小細工いらないのだ」

 

「そ、そうですか……?」

 

一体何の根拠があったかは知らないがずんだもんは自国で生産されたズンダムのプラモ、ズンプラだけで勝負すると言い出したのだ。制作陣もこの指示に従い早急な開発を進めていきました。

 

「このズンプラウォーリアーズが完成すれば我が国のゲーム産業も一躍上場なのだ。なのでこの筐体を一万台発注するのだ」

 

「一万台ですか!?」

 

「これでもかなり抑えた方なのだ。けどあのガンプラウォーズが初回生産で五万台いけたのだからこれくらい余裕なのだ」

 

「し、しかしそんな予算一体何処から……?」

 

「其処は国民にも協力してもらうとするのだ。国民の税金を上げて早急な開発を目指すのだ」

 

「そ、それは流石にマズいのでは……!?」

 

「大丈夫、国民も分かってくれるのだ」

 

ズンプラウォーリアーズの開発の為に国民への税金を上げてしまったずんだもん。当然国民からの怒りは凄まじかったのですが、ずんだもんは

 

「必ずこの国の為になるのだから安心してほしいのだ」

 

となんの根拠もない返事をするだけなのだった。

 

そして2023年二月、遂にズンプラウォーリアーズが世に出始めたのでした。まずは数百台を自国のゲームセンターからガンプラウォーズを撤去した後にこれらを導入し売れ行きを調べる事に

 

それから一ヶ月後……

 

「ズンプラウォーリアーズが稼働してから一ヶ月が経ったのだ。どれ、街のゲームセンターの様子でも見に行くのだ」

 

ズンプラウォーリアーズの視察の為にゲームセンターに足を運んだずんだもん。しかし其処には驚くべき光景が広がっていたのだった。

 

「おぉ!凄い賑わいなのだ!やっぱり僕の考えたズンプラウォーリアーズは大成功なのだ♪……ん?ちょっと待てよ?あれって……ガンプラウォーズなのだ!?な、なんで撤去された筈のガンプラウォーズが稼働しているのだ?!というかズンプラウォーリアーズは?!」

 

「あら、国王様いらしてたんですか?」

 

「おいお前!これはどういう事なのだ!?なんで撤去された筈のガンプラウォーズが普通に稼働してるのだ?!」

 

「なんでってそりゃ再入荷したからに決まってるじゃないですか」

 

「いやいやいやいや!?ズンプラウォーリアーズは?!僕達の国の自慢のゲームを代わりに導入してやったじゃないか!?」

 

「あぁ、あの()()()()ですか?とっくに廃棄しましたけど?」

 

「……………………え?」

 

なんとズンプラウォーリアーズが廃棄されまたガンプラウォーズが稼働している事に驚くずんだもん。一体何があったのか?

 

一ヶ月前……

 

「これがズンプラウォーリアーズってやつ?なんかガンプラウォーズに比べてかなりショボいというか……?」

 

「まぁ取り敢えず遊んでみようぜ。これも一応ちゃんとしたシミュレーションゲームらしいからさ」

 

―ビーッ!―

 

―このプラモは読み取れません―

 

「は?なんでだよ?ガンプラウォーズなら普通に読み取ってくれたぞ?」

 

「お、おい見ろよこの注意書き!?」

 

「ん?何々……『このゲームはズンプラ専用のゲームです。プレイする際はズンプラを購入してください』はぁッ!?なんだよそりゃ?!」

 

「ズンプラってあのガンプラのパチモンだろ?かなり出来の悪いプラモだって有名だぞ?!」

 

ズンプラウォーリアーズが導入されてまずプレイヤーの怒りを買ったのが今まで使えてたプラモが使えなくなってしまい、使えるのはモデラーの中でもかなり不評なズンプラしかないという事だった。ズンプラはこれまたガンプラのパクリでありカラーリングの乏しさと合わせ目の粗さやパーツの咬み合わせが悪かったりと現代のプラモとは思えない程の出来の悪いキットだったのです。

 

「ふう、取り敢えずズンプラを買ってきたけど、やっぱり出来が悪過ぎるなこれ……」

 

「ま、まぁこれで漸く遊べるんだから良いだろ?どれ…………な、なんだこのゲーム!?ラインナップがショボ過ぎるぞ!?」

 

次に発覚した問題点はそのゲームの種類であった。ガンプラウォーズであった対人戦はなくあるのはCPU戦とスマホゲーレベルの探索ゲームしかなく、更にオンライン等も設定されていない為ランキングもなく競い合いのない物だったのだ。更には

 

「おいおい!?動きがヌルヌルし過ぎたり変にカクカクしたりして気持ち悪いぞ!?」

 

「ていうか一応改造したのにその点が全く反映されてないんだが?!これじゃあ改造した意味なんてないじゃないか!」

 

スキャニングシステムもかなりショボい物を使用していた所為か全然まともに反映されず、どんなに改造しようと初期状態でしか反映されず、更には腕が逆方向を向いてたり腰が90度曲がったままなどロボットとは思えない変な動きが目立ってしまいユーザーからはかなりの不満が溜まっていったのです。

 

更には価格自体にも問題がありました。ズンプラウォーリアーズは一プレイ百円、一見すれば普通のゲームと変わらないように思えます。しかしガンプラウォーズの場合はID発行時に980円掛かりますが同時に百回分のプレイが出来るようになり、その後プレイ回数の限度が来ても五百円投入すればまた百回分チャージされるので単純計算で一プレイ五円で遊べるので最早どちらが得かなんて火を見るより明らかでした。

 

このように全てがガンプラウォーズの劣化版であるズンプラウォーリアーズは瞬く間に悪評が広がりユーザーからはガンプラウォーズに戻してくれというクレームが殺到。ゲームセンター側もこれらを重く受け止めズンプラウォーリアーズを廃棄、すぐにガンプラウォーズを再開させたのです。

 

「そ、そんな……!?僕が考えたズンプラウォーリアーズがガンプラウォーズに負けるだなんて……?!」

 

「負けどころか勝負にすらなってませんでしたよ?ユーザーからはガンプラウォーズを真似ようとして出来たゴミなんて言われてますし、もうこの国で稼働している所なんて殆んどないんじゃないですか?」

 

「クソが!こうなったら早急なバージョンアップを図って海外に売り込むのだ!僕のズンプラウォーリアーズがこんなところで終わるワケがないのだ!」

 

自国のゲームセンターからは粗大ごみのように扱われたズンプラウォーリアーズ。ずんだもんはこれを早急にバージョンアップさせて他の国に売り込もうとしました。しかし

 

「いやこれガンプラウォーズのパクリでしょ?」

 

「パクリというか劣化版じゃん」

 

「こんなゲーム誰が買うんだ?」

 

「すみません、ウチの方はもうガンプラウォーズで大盛況なのでいりません」

 

「なんでじゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!?」

 

当たり前のようにガンプラウォーズの普及が広がっている今、ズンプラウォーリアーズなんていうワケの分からないゲームを欲しがる国はありません。地上界にあるT国やK国にすら相手にされませんでした。

 

「く、クソが……!こうなったらズンプラウォーリアーズに代わる新たなズンプラゲームを開発して……!」

 

「国王、大変です!」

 

「ん?どうしたのだ秘書よ、そんなに慌てて?」

 

「ズンプラウォーリアーズが大失敗した事が国民全体に知れ渡り皆怒りのあまりデモが起こってます!」

 

「げ!?な、なんでなのだ?!」

 

「なんでってズンプラウォーリアーズを作る為に国民の税金を上げたのお忘れですか!?」

 

「あ、そうだったのだ、すっかり忘れてたのだ……!?」

 

「更にはズンプラウォーリアーズ一万台分が不良在庫になってしまいその総額は1500万ずんだ(日本円にして120億円)にもなります!」

 

「あ、ああ、ああぁ……!?」

 

「また今回の事でズンダムやズンプラ、そしてズンプラウォーリアーズに対してサン○イズとBA○DAIと藤枝コーポレーションから著作権侵害という事で訴えられてしまってます!」

 

「あ、オワタ……」

 

こうして国民と大企業を敵に回してしまったずんだもんは多額の借金を背負う事となり、そして経営破綻したずんだ共和国はお隣のコーヴァス帝国に取り込まれる形でその歴史に幕を閉じたのでした。

 

「コーヴァス帝国の領土になってから暮らしが豊かになってきたな」

 

「ずんだ共和国の時は国王が好き勝手にしてたからね」

 

「暮らしも豊かになってガンプラウォーズも楽しめて、ホントに良い事尽くしだな♪」

 

ずんだもんが好き勝手にしてた時とは違い国民全てが豊かになって幸せそうです。

 

「ウググ……ちくしょう!このままでは終わらないのだ!いつか必ずずんだ共和国を再建してズンプラウォーリアーズIIを作ってやるのだ!絶対に諦めてやるもんかなのだーーーッ!」

 

国王の座から降ろされてもまだ諦めてないずんだもん。彼がずんだ共和国を再建出来る日が来るのでしょうか?少なくともこれに懲りて少しは大人しくしてほしいものですね。

 

おしまい




はい、という事でずんだもんの野望失敗でした!それにしてもなんでずんだもんってあんなにイジられているんでしょうかね?

次回は本編を更新しますのでまったりと待って頂ければ幸いです、ではまた!


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番外編『ずんだ芸能事務所の末路』

まーた余計なネタ思いついてしまった……取り敢えず場繋ぎとして投稿します。尚今回のこのお話は当然フィクションでございますのでご了承を。という事で今回も最後まで見て頂ければ有り難いです、ではどうぞ!


2016年、この年動画配信型アイドル、通称新生アイドルと言われる第一号キズナアイが誕生した。今までにないアイドルとしての活動に最初こそ懸念されてはいたがその後は爆発的な人気を博し、今ではそんな彼女を追うかのように様々な新生アイドル達が誕生している。これは、そんな新生アイドルに対し対抗心を燃やした結果見事に散ったとある芸能事務所の末路を見ていこう。

 

「僕はずんだもん。今絶賛大人気のアイドル事務所、ずんだ芸能事務所の社長なのだ。ずんだ共和国の国王?そんな国知らないのだ、人違いなのだ」

 

「社長、おはようございます」

 

「おぉ秘書よ、おはようなのだ」

 

「おはようございます。ところで社長、知ってますか?今巷で話題のキズナアイを」

 

「キズナアイ?あー、あの新生アイドルとか言われてる動画配信者の事か?」

 

2016年11月29日、この日突如として当時無名だった事務所からキズナアイが活動を開始し始めた。最初の頃は普通の動画配信者と思われていたがそのバラエティに飛んだ企画や圧巻なライブ等を見せ瞬く間に世界から一気に注目を浴びたのでした。そして彼女の

 

「はいどうもー!新生アイドルのキズナアイです♪」

 

という自己紹介から肖って彼女のような配信サイトでアイドル活動する人をいつしか新生アイドルと呼ぶようになったのです。しかし

 

「ま、そんな新生アイドルとかワケの分からんもんどーだって良いのだ。所詮奴等はアイドルの真似事をして自己満足しているような連中だから気にするだけ無駄なのだ」

 

「そ、そうですか?」

 

「そーなのだ。それよりももうすぐZND48の新曲が出るんだろう?早く何時もの準備に取り掛かるのだ」

 

ずんだもんが新生アイドルを小馬鹿にするのも無理はありません。この頃の新生アイドルはキズナアイが成功こそしてますがそれ以外の者は鳴かず飛ばずな状況が続いており、周りからもアイドルの真似事をしているだけの一般人という扱いだったのです。今でこそホロライブやにじさんじ、ドットライブやななしいんく等の有名な事務所は沢山ありますが、この時にはまだその影すらない状態だった為に一般のアイドル事務所も気に掛ける必要なんかないと感じていたのです。

 

さてそんな事はさておき、先程ずんだもんが何時もの準備と言ってましたが……?

 

「フッフッフ……今回もCDに握手会の参加券を同封するのだ!これでファンはアイドルと握手したさにCDを買ってくれるのだ!更に握手券は枚数が多い程握手出来る時間が長くなるから複数枚買いは必須になる!よって売上はガッポガッポなのだ♪」

 

「しかし、こんな売り方本当に良いんですかね?なんだか歌で勝負してるんじゃなくて物で釣ってるみたいでアイドル達が可哀想というか……」

 

「これだから素人は困る。良いか、今やアイドルなんで沢山いるこのご時世、たかが歌が上手い、可愛いだけじゃ通用しないのだ。だからファンとの距離が縮まるこの握手会を利用して認知度を上げればそれは彼女達の為にもなるのだ!CDの売上はあくまで副産物なのだ♪」

 

このように大手アイドル事務所ではCDに握手会の参加券を同封しファンがアイドルと握手出来る権利を求めてCDを購入するという流れがありました。しかしこれはかなり問題点も多く、握手会の為に大量購入したCDは一枚あれば良い。なんだったらダウンロードしてスマホで聞く事も出来る時代だ。当然そんな大量のCDなんて邪魔になるだけなので毎年不法投棄をする者が後を絶たないと言われてます。はたしてこれは本当にファンやアイドルの為と言えるのでしょうか?

 

とはいえこうした商法でアイドル達の人気を確立していたずんだもん。だがそんなずんだもんの地位を揺るがす事件が起こったのです。

 

時は進み2019年……

 

「お、おかしい……最近うちのアイドル達の人気が低迷しているのだ。なんで?ついこの間までは皆ZND48に熱狂的だったのに?」

 

2019年、ずんだもんの事務所が運営しているZND48をはじめとする多くのアイドル達の人気が徐々に落ちていきました。というのもこの年にホロライブで活動していた4期生である桐生ココが爆発的な人気を得ていたのでした。彼女は日本語と英語を話すバイリンガルな龍人族の娘であり朝ココやミーム紹介等によって日本だけではなく海外、更には天界や魔界にまで影響を及ぼしたのでした。これがきっかけでホロライブや他の新生アイドル達にも注目が集まり、新生アイドル界は大いに賑わいを見せたのでした。

 

「おい、最近ZND48の人気が落ちていってる気がするんだけど、どうなってるのだ!?」

 

「いやそれが……ファンがどんどん離れて皆新生アイドルの方へ流れてしまってるようです」

 

「はぁ!?あんなアイドルの真似事する連中にZND48が負けるだと?!ふざけるな!」

 

「ですがその人気は凄まじいものですよ。なんたって配信している時にコメントを打ち込めばアイドル達が反応してくれるし、誕生日ライブなんかも配信で無料で見れますからね」

 

新生アイドル達が人気になったのにはまだまだ理由がある。それは彼女達が配信者という点である。彼女達は配信中コメントが流れてくるとその中で気になったコメントがあれば反応して応えてくれるのだ。更に誕生日や登録者100万人記念の時にはなんと無料のライブ配信を実施。しかもその配信はアーカイブにしっかり残るので何時でもライブを楽しめるという至れり尽くせりな状態でした。

 

一方今までのアイドル達はそうした配信等はほぼ行わず、ましてやライブ配信等も全くしない為、圧倒的にその姿を見てられる時間が少ないのである。更にZND48のような握手会の為にCDを大量購入しては不法投棄する輩も未だにおり、ZND48のファン=モラルがないと思われるのが嫌でファンを止めてしまう者も多くいたのでした。

 

「クソが!こんなアイドルの真似事をしている奴等の何処が良いっていうのだ!?」

 

「ですが、今は逆に今までのアイドル達に対してのクオリティーも落ちたと言われてますね。人気者だからと高を括っていた所為でパフォーマンスとかも在り来りだって言われてますし」

 

近年のアイドル達も頑張ってはいるものの、新生アイドルのようには伸びずに結成して早々に解散するという自体も珍しくはない。中にはカバー曲を数曲出しただけでオリジナルソングも出せずに業界を去る者までいるくらいである。このように新生アイドル達に人気をどんどん奪われていく事態にずんだもんは焦り始めていたのです。

 

「そ、そうだ、賢い僕は考えたのだ。こうなったらZND48も新生アイドルのように動画サイトで配信をしてもらうのだ!新生アイドル達に出来て本物のアイドルが出来ない理由はないのだ!おい秘書、早速アイドル達に今後の方針を伝えたまえ」

 

「は、はぁ……(本当に大丈夫なのか?)」

 

新生アイドルに負けたくないと思いつつも恥を偲んで配信スタイルに手を出すずんだもん。ですが、そんなのは当然通用しませんでした。

 

「お、おかしい……?なんで全然再生数が伸びないのだ?というよりなんか炎上してるんだけど!?なんでなのだ?!」

 

「どうやら一部の娘が新生アイドルを馬鹿にする発言をしてしまって、その所為で今SNSで大炎上祭りが行われております。現在では新生アイドルを『アイドルになりきれない三流レベルの奴等に本物のアイドルが負けるワケないでしょw』と発言したリーダーの沼斑がSNSで集中砲火を受けてます」

 

実際にその時のファンの反応というと

 

「傲慢過ぎて草」

 

「新生アイドル見てて思ったけどこいつ性格終わってるよな」

 

「新生アイドルがアイドルになりきれない三流レベルならお前は常識をどっかにおいてきた三流、いや五流レベルのおバカ」

 

等とめちゃくちゃに叩かれていた。それ以外の娘も配信スタイルに慣れてない所為で不適切な発言を多く発してしまい、ZND48の人気は瞬く間に地に落ちてしまうという悲惨な結果となってしまったのでした。

 

「うぐぐ……こ、こうなったら汚名返上名誉挽回の握手会作戦なのだ!今度出る新曲のCDの特典版として何時もより長く握手出来る権利をつければ……!」

 

「あ、それなんですがCD販売の規約が変わってしまい握手券並びにアイドルと直接接するような特典を付けるのが禁止になりました」

 

「な、なんですとぉッ!?」

 

「更に新型のウイルスが国内でも広がりイベント等も自粛を余儀なくされてしまってます。ぶっちゃけもう詰んでますね」

 

「どぼじでごうなるのおぉぉぉぉぉぉッ!?」

 

2020年、ついに問題視されていたCD不法投棄の原因とも言えるアイドル握手会の握手券に対する対策がされこれまでのように握手券等を付ける事が出来なくなりました。更にはこの年謎の新型ウイルスが世界中に広がってしまい、ZND48の活動が著しく制限されてしまったのでした。

 

こうして炎上に続く炎上、更に活動自粛の所為でZND48は次第にメディアに出る事はなくなってしまったのでした。

 

そして2022年……

 

「はぁ……もう既にどのテレビ局もZND48に仕事を回してくれなくなったのだ……こ、こうなったら残されたメンバーでニューZND48を結成して……!」

 

「あ、社長。お疲れ様です」

 

「ん?おー、天ヶ瀬くんじゃないか♪丁度良い所に来てくれたのだ。実は「あ、社長。突然で申し訳ないんですが、むゆもうこの事務所辞めます」……え?」

 

「実はにじさんじから移籍の話を受けて本格的に新生アイドルになろうと思ったので、唐突ですみませんがこれで失礼します」

 

「…………はぁ!?な、なんなのだそれは?!そんな勝手なの許されないのだ!?」

 

「いや、もう既にこの事は秘書さんに伝えてますし、正式な手続きも済んでますので。というよりこの件については一年前からむゆが伝えていたのに全然取り合ってくれなかったの社長じゃないですか?だから仕方なく秘書さんに話を通してもらってたんですよ」

 

「…………あ、そういや秘書がなんかそんな事言ってた気がするのだ」

 

「という事でむゆはそろそろ行きますから。お疲れ様でした〜♪」

 

「ま、待つのだ!?今ならニューZND48のリーダーにしてあげるのだ!だから戻ってきてほしいのだぁーーーッ!?」

 

ずんだもんの叫びも虚しく唯一まともだった天ヶ瀬むゆにも移籍されてしまい、結局ずんだもんの事務所は事実上の解散をする事になってしまったのでした。

 

決して通常のアイドル全てが悪いワケではありませんが、人気が出たからと高を括っていたら何時か痛い目を見てしまうかもしれませんね。ずんだもんもこれに懲りてちゃんとしたアイドル経営をしてもらいたい物です。

 

おしまい




はい、という事でずんだもんシリーズパート2でした。どうでも良いんですけどなんでずんだもんってあんなにイジられるんですかね?

そして実はもう一つ、余計なネタが思い浮かんでしまったのでまた本編前に出すか本編出した後に出すかもです。それでは次回もまったりと待って頂ければ幸いです、ではまた!


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番外編『夜は深く、静かに……』

突然の発表で驚いていますが、兎に角緊急ですが投稿します。


神羅城の俺の仕事部屋。其処には緊急で帰省したメルが重々しい様子で俺の目の前に立っていた。

 

「…………メル、すまなかった。俺達がもっとしっかりサポートをしていればこんな事には……!」

 

「ううん、良いの玲二君。これはメルがやってしまった事だから……本当にごめんなさい」

 

そういうメルは悔しさと悲しさが入り混じった表情で俺に謝ってくる。メルは今日、ホロライブを引退、契約解除となってしまった。

 

理由は第三者に対する情報漏洩、これに関してはメル自身が誤って外部に情報を口にしてしまったのだ。勿論本人には悪気はない……だが会社に属する者としてはやってはいけない事をしてしまった事には変わりはない。故にメルの契約解除はどうする事も出来ないのだ。

 

「……メル、お前はこれからどうするんだ?」

 

「うん、取り敢えずはGWDWCも辞退する事にしたよ。今のメルには参加する資格もないから……それとこれも……」

 

そう言ってメルが出してきたのは……離婚届。それもメルの名前が記載されている。まさかメル……

 

「……もうメルは此処にいる資格がないから。だからメルはこの神羅城から出ていきます。子供達の親権については後で話し合―ビリィッ!―え!?れ、玲二君!?」

 

俺はその離婚届を迷わず破り捨てた。そんな事、絶対に許すもんか!

 

「巫山戯るな!お前が責任や負い目を感じてるのは分かる!だがそれで俺達の前からいなくなるなんて絶対に許さない!お前は俺の大切な家族だ!だから、ずっとこの街にいろ!それがお前に対する償いだ!」

 

「れ、玲二君……」

 

「…………これから辛い事もあるかもしれない。だけど俺が必ず守ってやる!だから、俺達の前からいなくならないでくれ……!」

 

「…………ごめんね玲二君。メル、自分の事しか考えてなかった。メルは、ずっと玲二君の傍にいます。これからどんな事があっても貴方を支え続けます。だから……これからもメルの事、よろしくお願いします」

 

当たり前だ!これから何があろうとメルは俺が守る。レミィとフランも、絶対に幸せにし続けるからな!

 

「……………………」

 

「……?メル?」

 

「スー、スー……」

 

「……泣き疲れて寝てしまったか。後の事は俺がどうにかする。取り敢えず今は……お疲れ様、メル」

 

 

 

 

 

2024年1月16日、本日をもってホロライブ1期生夜空メルさんが契約解除となりました。一ファンとしてはとても残念な思いではありますが、彼女の今後が良いものである事を切に願います。 by神楽




夜空メルさんは本当に素晴らしい方でした。多くのファンを魅了し愛された彼女の今後がどうなるのかはまだ分かりませんが、それでも彼女にとっていつかこの出来事を払拭して新しいスタートを切ってくれる事を切に願います。


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番外編『あおぎりガンプラ講座』

昨日、家電量販店にて……

(……ビルドメタバースのベアッガイ、発売してから一週間経つのにまだ在庫あるし。ライジングフリーダムといい最近は本当に在庫が安定してきてるな………………)

そんな事考えてたら気づいたら買い物袋にベアッガイが入ってました。特に買う気なんてなかったのに……(-_-;)

という事で今回は番外編!あおぎりの皆とガンプラ制作です!今回も最後まで見て頂ければ有り難いです、ではどうぞ!


「皆さんこんばんわ〜♪あおぎり高校の音霊と」

 

「大代と」

 

「石狩と」

 

「音玄と」

 

「こまると」

 

「蝶美と」

 

「我部りえると」

 

「エトラと」

 

「……春雨と」

 

「ぽぷらでーす♪」

 

「本日はですね〜、なんと!皆さんもご存知のあの佐々木玲二さんのご自宅にお邪魔しておりまーす!」

 

『イエェェェーイッ!』「……いえーい」

 

「……どうも、佐々木です。本日はよろしくお願いします」

 

「という事でですね〜、本日は玲二さんの指導の元、我々がガンプラを作っていこうという企画です!題して!『佐々木玲二の世界一受けたいガンプラ講座〜!』」

 

………どうも、佐々木玲二です。俺は現在何故かあおぎり高校の公式番組に呼ばれています。というか何故か俺達の工作ルームで撮影が行われてます。というのも以前千代浦からの提案で音霊達にガンプラの講座をするという事になったのだ。

 

事の経緯は音霊達がホロライブやにじさんじ、そしてのりプロばかりとばっかり関わってズルいと駄々を捏ねてうるさいからなんとかしてほしいと千代浦から頼まれ、その解消案として俺がガンプラを教えるという形になったのだが……これには妻達からは反対意見が多かった。

 

何せ音霊をはじめとした何人かは未だに俺の事を諦めていないからだ。最近だとブレーキ役だった大代も何故か俺にアプローチし始めたし、現在あおぎりで普通に接してくれてるのって千代浦とエトラと新しく入った『ぷわぷわぽぷら』くらいなもんだ。春雨は……何故か俺に敵意剥き出しだけど、俺お前と接点ないよな?

 

「では玲二さん!早速今日作るガンプラを紹介してもらって良いですか!?」

 

「お、おぅ……取り敢えずガンプラに関しては千代浦以外が初心者みたいだから取り敢えずSDやエントリーグレードを用意したんだが……って春雨?」

 

「……私これにする」

 

っておいそれ俺の積みプラの棚なんだが!?しかもMGの『ドム』って、初心者が簡単に作れる代物じゃねーぞ?!

 

 

『MG ドム』

『機動戦士ガンダム』に登場するジオン軍のMS。他のMSに比べてマッシブながらも地上ではホバー移動で高速に滑走する事が出来る。主なパイロットとして黒い三連星が有名で、三機揃えばジェットストリームアタックを再現出来る。

 

 

「ほら佐々木さん、こんな凄い奴でもサクッと作れるようにご教示お願いしまーす」

 

……なんか凄く棘のある言い方してるけど、本当になんでそんなに敵視してくるんだ?って他のメンバーも色々と物色し始めてるし!?さっきも言ったがそれ俺の積みプラだぞ!?

 

「んー……あ、じゃあ私これにしよーっと♪」

 

「あ、それだったらあたしはこれで♪」

 

「んー、なら大代はこれにしよっかな♪」

 

「僕これにしよーっと♪」

 

「ちよはもう作るの持ってきてるから♪」

 

「それじゃあこまるは〜……あ、これすっごく良い♡」

 

「私はね〜、これ格好良いからこれにする♪」

 

「じゃあ私は……あ、これ格好良いですね♪」

 

「ん〜……じゃあ私これにしまーす♪」

 

って千代浦以外当たり前のように俺の積みプラから取ってってるし!?ま、まぁマジで積み過ぎてフブキ達から怒られてたから多少は減らさないとって思ってたけど…………ハァ、まぁ積み続けて作らないとかよりマシか。で、一体何を選んだんだ?

 

魂子

HG ガンダムファラクト

 

あかり

HG ナラティブガンダムC装備

 

真白

RG トールギス

 

音玄

HG ストライクノワールガンダム

 

こまる

ダークアドヴェント ラーニア DXVer.1.2

 

蝶美

HG ウイングガンダムゼロ(持参)

 

りえる

HG スタービルドストライクガンダムプラフスキーウイング

 

エトラ

HG ガンヴォルヴァ

 

ぽぷら

SD エクスヴァルキランダー

 

…………ん?おい今なんか変なヤツ混じってなかったか?

 

「……おい栗駒、お前のそれなんだ?俺そんなプラモ買った覚えないんだが?」

 

「え?でもこれ其処の棚の端っこに置いてましたよ?それにしても玲二さんってばムッツリですね〜♡こぉ〜んなエチエチなプラモまで買ってるな・ん・て♡」

 

「え、何エチエチって…………え、これってあれじゃん!おっ○ぇ丸出しじゃん!?それにこれって完全に○○○じゃんッ!」

 

「えぇ!?れ、玲二さんってそんなのも持ってただなんて……///」

 

「いや買った事ねぇよ!?誰だこんなプラモ俺の棚に置いた馬鹿は!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃……

 

「……あ、そういや今日あおぎりの皆がうちの工作ルームに来るんだったっけ?やべ、船長のエチエチプラモ玲二くんの棚に置きっぱだったわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「兎に角こんなプラモ公式の番組で出せるか!他の奴選べ!そしてちゃんとガンプラを選べ!」

 

「ちぇ〜……」

 

何がちぇ〜だ!幾ら生配信じゃないとはいえ殆どモザイク必要になるだろうが!

 

 

※今回選ばれたプラモはご紹介しませんのでこまるが選んだプラモが気になる方はご自身で検索してくださいませm(_ _)m

 

 

その後渋々ルブリスを手にした栗駒。さて、それじゃあ早速作って行きますか。

 

「それじゃあまずは工具からだ。此処に初心者用のニッパーがあるからこれで説明書通りにランナーからパーツを切り離していくぞ。この時ランナーとパーツの繋ぎ目が少し残るようにカットしてくれ」

 

『はーい♪』

 

ん、取り敢えず皆言われた通りやってくれてるな。春雨も最初こそ敵視はしてきたがちゃんと指示通りに作り始めているし、取り敢えずは皆を見守る形でやっていくか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………そういや大代さぁ、最近玲二さんと会う時絶対にその可愛い方の衣装着てくるよな?」

 

「あ、確かに。普段の撮影なら殆ど初期衣装なのにね?」

 

「オマケに髪の毛も下ろしてめっちゃシャンプーの良い匂いするし、今日バチバチにキメてきてない?」

 

「う、うるさいなぁ、良いだろ別にぃ?///」

 

「そういやお前、あの新作ゲームのテストプレイやらせてもらってからあんまり下ネタ言わなくなってきたよな?ファンからもすっかり毒が抜けてきたって言われてるし」

 

「い、良いだろそんなの。もうそんな下ネタ言うのも疲れたんだよ///」

 

へぇ、そうなのか?あまりあおぎりの配信は見てないが大代って普段は下ネタ系結構言うのか。この間二人でお出かけした時も(以前の魂子達とのデートの約束にて)凄くお淑やかで落ち着きがあったし、普段はそんな感じかと思ってたわ。

 

「…………ッ!はは~ん……玲二さん!こいつ玲二さんの前では猫被ってますけどホントはド下ネタめっちゃ言いまくるド変態ですよ!」

 

「おい魂子ぉッ!オメェ余計な事言うんじゃねーよッ!?」

 

「いや二人共落ち着けって?別にだからといってそんな事気にしたりしねぇから。下ネタ好きならこっちにも何人かいるし」

 

普段は配信とかで規制されているからNGワードに指定されて言えないだけで普段はワリと変な事ストレートに言う奴等も多いからな。それに大代がクレイジーなのは出会った時から知ってるし。

 

「…………///」

 

「大丈夫だって大代、そんな多少の下ネタくらいなら別に気にしたりしねぇから」

 

「そうですよ真白先輩!玲二さんなら私達がおっ○いや○○○や○○○や○○○○とか言っても受け入れてくれますって!」

 

「うん、お前はもっと普通に自粛しろ栗駒」

 

お前のそれマジで放送禁止用語の連発じゃねぇか。幾ら多少認めると言ってもそれを当たり前のように突き破って来んなよ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……へぇ、デカい割には意外とサクサク作れるんだな?」

 

「ドムはMGの中でも比較的作りやすい部類からな。ただリメイク版とはいえ一部昔のランナーも使われてるからその分余剰パーツが多いから其処だけ間違えなければワリと早めに作れるキットだ」

 

「ふーん……ねぇ佐々木さん、此処のパーツが上手く填まんないだけど?」

 

「ん?あぁ、此処は少しゲート跡が残ってるから少しヤスリを掛けると填まるぞ」

 

「ほーい」

 

「…………なんかめーちゃん、最初は玲二さんの事めっちゃ敵視してたのに今普通にプラモ制作教わってるよな?」

 

「多分それだけ夢中になってるって事だよね?」

 

「まぁそもそも麗女が玲二さんを敵視してるのって逆恨みだしね。普通に接して玲二さんがそんな悪い人じゃないって言うのが分かったんだと思うよ?」

 

………成る程、音玄曰く春雨が俺に敵意剥き出しだったのは逆恨みだったのか。けど一体何処で俺は春雨と出会ってたんだろうな?

 

「佐々木さん、次はどうすれば良い?」

 

「あ、あぁ、次は………あ」

 

うわ、何時の間にか春雨の奴コートを脱いでるんだが?確かに暖房効いてるからあの格好は暑いだろうけど、それにしてもやっぱ際どい格好してるよなこいつ……

 

「ん?…………へぇ……スケベ♡」

 

「……うっさい、次いくぞ」

 

「ほーい♪」

 

「…………なんかあの二人良い雰囲気じゃね?」

 

「後から入ってしかも敵視してたクセにうちらより玲二さんとの距離縮んでない?」

 

………なんか周りの視線が痛いんだが?千代浦とエトラとぽぷらはかなり集中してこっちに見向きもしねぇし。誰かマジで助けてくれよ………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「わぁ、この造形凄く良いですね♪ガンダムの世界の人達はこういうMSに乗って戦うのかぁ……」

 

「まぁエトラの作ってるガンヴォルヴァは無人機だけどな」

 

「え!?これ人乗ってないんですか?!」

 

「うん、それMSに見えるけどエアリアルのエスカッシャンと同じでガンビットなんだよね」

 

「が、ガンビット?」

 

「簡単に言えばシューティングゲームのオプションみたいなヤツだな」

 

「そ、そうなんですか……これって無人機だったんだ……」

 

まぁ確かにこれだけ格好良いのに無人機ってだけで急に冷めてしまうよな?けどこのガンヴォルヴァだって元が良いからこれを改造してオリジナルのガンダムにしてる人もいるから今度そういった改造を教えてやるか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「わーい完成〜♪」

 

「え!?ぽぷらちゃんもう完成したの?!」

 

「はい!サクサク組めて楽しかったです♪」

 

「SDはこれといって必要な工具は少ないからな。パーツも少ないし手慣れていれば一時間もあれば組めるさ。なんならもう一つ組んでみるか?今組んだヤツのバージョンアップ前のヴァルキランダーもあるし」

 

「良いんですか!?やた〜♪」

 

うん、この子は他のメンバーよりかは純粋みたいだな?あおぎりはホロライブやにじさんじとはまた違うクセの強い奴等が多いからこのまま純粋な感じでいてほしい。

 

「…………気の所為かなんかディスられたような気がする」

 

気の所為だ。さて、大代と春雨は他の皆より時間が掛かりそうだから手伝ってやるか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして……

 

「「完せーいッ!」」

 

「うん、これで皆完成したな」

 

収録開始してから五時間くらい経って漸く全ての工程が終わりあおぎり皆のガンプラがテーブルの上にズラッと並んでいる。うん、まぁ分かっていたが纏まりがねぇな。

 

「それにしても始めてちゃんとしたガンプラ作った気がするな〜」

 

「あ、だったら今度皆でこのガンプラ使ってガンプラウォーズやりません?蝶美先輩も一次予選終わってゆっくり出来そうですし♪」

 

「おぉ~良いねぇ♪なら早速明日にでも皆で遊ぼっか!」

 

『おぉーーーッ!』

 

うん、皆ガンプラに興味持ってくれたみたいで嬉しいな。教えた甲斐があったってもんだ。エンディングも撮り終えたし、もう時間も遅いから音霊達にはそのまま客室に泊まらせてやるとしよう。

 

「あ、そうだ。ねぇ玲二さん、ちょっとお願いがあるんだけど……」

 

「なんだ?また求婚されても応えられないぞ」

 

「ちーがーいーまーすぅー!そうじゃなくて、その……今日頑張ったご褒美としてそろそろ私の事名字じゃなくて名前で呼んでくれないかな〜なんて……///」

 

……確かに音霊達と出会ってからそれなりに経つからな。そろそろ普通に呼んでも大丈夫か。

 

「……分かったよ魂子。これで良いか?」

 

「〜ッ!あ、ありがとうございますぅ……///」

 

「あ!魂子先輩ズルい!だったらこまるの事も名前で呼んでくださいよ!」

 

「じ、じゃあ大代も……///」

 

「はーい!私もいい加減名前で呼んでほしいでーす!」

 

「……まぁ折角だから名前で呼んでも良いよ」

 

……なんか連鎖的に栗駒達も名前で呼ぶ事になったけど、まぁ別に問題はないか。

 

「はいはい、じゃあこまる、りえる、真白、麗女、これからもよろしくな」

 

『〜ッ!///』

 

「うんまぁ、よろしくな」

 

三人は顔を真っ赤にしてるけど麗女だけは少し素っ気なく返事を返してくる。

 

「むぅ〜……なんだが魂ちゃんばっかズルい」

 

「そうだそうだ〜!魂子先輩達だけなんかズルいぞぉ〜!」

 

「いやズルいって、お前達に関してはもう名前で呼んでるだろ?」

 

あかりと音玄に関しては初対面の時に打ち解けた際に名前で呼んでほしいからと言われたし、何よりエトラとぽぷらに関しては名字がないから名前で呼ぶしかないし。

 

「ん〜……じゃあ私は麺やぼたんに連れてってください!彼処の黄金ラーメン食べてみたかったんで♪」

 

「麺やぼたんか……まぁそんくらいならお安い御用だ」

 

「よっしゃ〜!」

 

「うわ、なんかズリぃぞ石狩ぃ!」

 

はいはいそんな事言うなって、その内連れてってやるから。

 

「じゃあ私は……あ、今度一緒にオフコラボしてもらって良いですか?ホロライブの皆についていろいろ聞きたいので♪」

 

「オフコラボか……まぁ予定が合えば考えておくよ」

 

エトラはオフコラボを希望か。そういや支部長やら市長やらになってからあんまりメディアに出てなかったし、それにエトラ相手なら安心出来るから近い内にでもやってみるか。

 

「はいはーい!じゃあ私のご褒美なんですけど、玲二さんの事『お兄ちゃん』って呼んで良いですか!?」

 

「え、お兄ちゃん?なんでまた……」

 

「えと、私って大家族の長女なんですけどお兄ちゃんやお姉ちゃんがいなかったんで。今日玲二さんと一緒にいてお兄ちゃんがいたらこんな感じなんだろうな〜って思ってたから……ダメ、ですか?」

 

「…………まぁ好きに呼んで良いさ。今更妹分が増えても変わらないしな」

 

「ッ!やた〜!ありがとお兄ちゃん♪」

 

うん、元気でよろしい。やっぱこの子はこのまままっすぐでいてほしいな。

 

「うぅ~、なんか石狩達の方が得してる気がする……」

 

「そんな唸るな魂子、その内皆とも飯食いに行ってやるから。それと千代浦、これはこの間自然エリア付近に出来た『小野町旅館ホロライトの里』の宿泊チケットだ。拓哉一家分あるから皆で行ってきな」

 

「わぁありがとう玲二さん♪拓哉くん達との温泉、楽しみだなぁ〜♪」

 

千代浦にはこの間にじさんじに所属している『小野町春香』からもらった宿泊チケットをあげた。俺は今忙しいから代わりに拓哉達にゆっくりしてもらうとしよう。

 

「それじゃあ最後は僕だね♪」

 

「あぁそうだな。それで、お前は何が良いんだ?音玄」

 

「え〜?じゃあ僕にチューして♡」

 

『んなもん許すかぁーーーッ!!』

 

「なぁーんでさぁーーーッ!?」

 

最後の最後で音玄がとんでもない事を言った所為で魂子達が荒れ出し、それをエトラとぽぷらと俺で必死に宥めた。麗女からは「やっぱこいつ敵だわ」と言われてしまった、解せぬ。

 

結局その後音玄のご褒美はこの間間違えて二個注文してしまったヨギボーのクッションを一個上げたが、良い物にも関わらず本人は大層不満そうだった。

 

そして後日、この動画が切っ掛けでななしいんくとドットライブとぶいすぽっ!からもオファーがあったが取り敢えず暫くは保留にしとこう。今日ので暫く講座は良いや……




はい、という事であおぎりガンプラ講座回でした!もう少し深堀りしたかったけど力尽きてしまいました……(;´Д`)

次回は本編、そらと長門の対決です!次回もまったりと待って頂ければ幸いです、ではまた!


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番外編『秘密結社鷹の爪団、ホロライトシティに行く』

最近仕事が忙しくて筆記もままならない状態が続いてたので箸休め的なお話です。今回はタイトル通りあの秘密結社がホロライトシティに行きます!短いですが最後までお付き合いくださいませ、ではどうぞ!


2024年某日、ホロライトシティ港にて……

 

「よよ吉田くん!いきなり連れてこられたんじゃが何なんじゃねこの街は?!」

 

「なんですか総統、知らないんですか?此処はホロライトシティ。今世界で最も注目されている日本の人工都市島ですよ。あの有名な新生アイドル事務所のホロライブをはじめとした多くの新生アイドル、そして日本が誇るロボットアニメの金字塔『機動戦士ガンダム』のプラモデル、通称ガンプラの聖地として世界中から多くの観光客が集まる人気のリゾート地でもあるんですよ」

 

「そ、それは分かったんじゃがなんでワシらそんな凄い所に来とるんじゃ?此処に来るのにフェリーとかに乗った所為でもう今月分の食費がなくなってしまったわい」

 

「大丈夫ですよ総統。この街にある秘密兵器を手に入れさえ出来れば世界征服も現実のものに!そうなればこんなフェリー代なんて全てチャラになりますから」

 

「いやぁ秘密兵器なら博士に頼んで作って貰えば良いのに、なんで態々こんな貧乏で品のないワシらみたいなワケの分からん悪の秘密結社なんてお断りのような近未来都市まで来たんじゃよ?」

 

「良いですか?今や世界各国からも注目されているこのホロライトシティにある秘密兵器を手に入れてこの街を征服すれば、我々鷹の爪団の世界征服に一歩近づけるんです。ほら分かったならさっさと行きますよ総統」

 

「あぁ、待ちたまえ吉田くーん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ホロプラ ホロライトシティ本店

 

「な、なんじゃね吉田くん?このとてつもないデカい建物は?新しいデパートか何かかね?」

 

「此処はホロライトシティが誇る一大アミューズメントパーク『ホロプラ』です!此処は先程も言いましたガンプラの聖地。他の店に絶対に負けない程の圧倒的なガンプラの在庫はもちろん、今や国際的なeスポーツとなっているガンプラウォーズ発祥の地とも言われているんです」

 

「が、ガンプラウォーズ?なんじゃねそれは?」

 

「おいおいなんだよおっさん、そんなのも知らないのか?」

 

「ん?だ、誰じゃお前さんは?」

 

「吾輩の名はラプラス・ダークネス。このホロライトシティに暮らす秘密結社holoXの総帥だ!」

 

「なぁ〜!?秘密結社じゃとぉ?!ワシらを差し置いて秘密結社を名乗るとはぁ?!」

 

「なーにが差し置いてだ?まるでスリッパの裏側みたいな顔してるようなおっさんに言われたくないわ!」

 

「いや何も其処まで言わんでも……」

 

「こらガキンチョ!総統はこんな人を絶望させるような悲壮感漂う顔をしてるけどメンタルは弱いんだからそんな事言うなよな!」

 

「君も大分言い過ぎじゃないかね?ところでさっき言ってたガンプラウォーズとは一体何なんじゃね?」

 

「しょーがねーなぁ。それじゃあ分かりやすく説明するからちゃんと聞くんだぞ?ガンプラウォーズとは世界が誇る藤枝コーポレーションがガンプラの販売元と協同開発した、世界で最も凄い技術が多く使われたフルスクリーンバトルシュミュレーションゲームなのだ!」

 

「ふ、フルスクリーンバトル……なんじゃって?」

 

「フルスクリーンバトルシミュレーションゲーム!筐体に入っているだけでまるでガンダムのコックピットの中にいるような臨場感と高揚感が味わえる本格的シミュレーションゲームだ!」

 

「なるほど、つまり総統が何回も撃墜されるのを体験出来るというワケか」

 

「なんでワシ撃墜される前提なんじゃ?!」

 

「更に!ガンプラをテーマとしたゲームも盛り沢山という事で、通常のバトルは勿論レースやドッジボール、更には夏にはスイカ割りや肝試し、冬にはスキーや雪合戦といったレジャーイベントもやっているんだ!」

 

「おぉ~凄いねぇガンプラウォーズ!じゃがこんなに本格的なゲームなら一回やるだけでかなり掛かるんじゃ……?」

 

「いやいや!ガンプラウォーズはそのクオリティーの高さにも関わらず、誰でも手軽に遊べるのも魅力の一つなのだ!最初にID登録をする為に980円必要なんだが、それと同時になんと!100回分のクレジットがついてくるんだ!」

 

「ひゃ、100回分!?980円で100回って、一回十円くらいで出来るという事かね!?」

 

「その通り!更にクレジットがなくなっても500円チャージすれば、また100回分遊べる!つまり、一プレイ五円で遊べるというワケだ!」

 

「一プレイ五円!?」

 

「島根県民のお小遣いでも楽しめますね」

 

「更に!初回ID登録をした場合は特別ボーナスもあって、なんと!エントリーグレードのガンダムか100回分のクレジット!どちらかをオマケでプレゼントしているのだ!」

 

「な、なんじゃその至れり尽くせりな対応は〜!?」

 

「もうこれは僕らに沢山遊んでくれと言わんばかりですね総統!」

 

「まだまだ!更にこのゲームにはランクが存在して、そのランク達成する度にデカールシールやオプションパーツ等も貰えちゃうんだ!例えばこのホロプラではブロンズ1からシルバー1まで上がると、なんとエントリーグレードのガンダムのヘビーアーマー(ホロプラ仕様)が手に入るのだ!」

 

「マジかよ!?こんなゴツくて格好良い装備がゲームをプレイするだけでもらえるの?!」

 

「こりゃやらないなんて選択肢がないわい!」

 

「更には期間限定イベントも盛り沢山!中にはクリア出来れば激レアなガンプラとかもらえたりするんだ!まぁ、そういうのは流石に難易度が高いけどな」

 

「なんて凄いゲームなんだ……総統、これ僕らの世界征服にも使えるんじゃないですかね?」

 

「うむ、皆で楽しく遊んで盛り上がれる。国境という隔てを越えて誰もが自由に楽しむ事が出来る。これぞまさに、我が鷹の爪団の世界征服の思想と同じじゃな」

 

「このガンプラウォーズは吾輩のパパ、佐々木玲二の夢でもあるんだ。いろんな人達にガンダムの事を知ってもらいたい、そして自分だけのガンプラを作って皆と一緒に楽しんでもらいたい。そういう願いが、このガンプラウォーズに詰まっているんだ。だから吾輩達holoXもパパの願いを実現させる為に、このガンプラウォーズで世界を制し、皆に笑顔になってもらいたいんだ!」

 

「成る程……総統、僕らもこのガンプラウォーズで世界征服、一緒にやってみませんか?」

 

「ガンプラウォーズで世界征服、か……うむ!これはきっと盛り上がるぞい!」

 

「という事で!我ら鷹の爪団と秘密結社holoXがガンプラウォーズでコラボ決定!期間中にポイントを貯めると、もれなく素敵なプレゼント上げちゃいます!」

 

「更に!期間中には特別なミッションを開催!クリアすれば吾輩達holoXや鷹の爪団のイメージカラーの特別なガンプラをプレゼントしちゃいます!」

 

「今すぐ皆でポイントを貯めるのじゃ〜!」

 

 

―ガンプラウォーズで世界征服!

鷹の爪団&holoXからの挑戦状、開催決定!!―

 

 

 

こういう感じのコラボ、あったら面白いよね(^o^)




はい、という事で鷹の爪団とholoXがコラボ!みたいな回でした!まぁ当然この小説内での話ですが、こうしたコラボとかあっても面白いですよね?(^_^;)

本編は明日更新しますのでまったりと待って頂ければ有り難いです、ではまた!


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ベイビーズ番外編
番外編『こゆき御披露目』


はい、本当は過去話を投稿しようと思ってましたが構想考えている内に何となく思いついたので投稿しました。今回は台詞のみです。鉤括弧は以下の通りです。

「」通常
〈〉通話
[]コメント


「……………あ、始まったかな?声大丈夫ですかね?皆さーん、聞こえてますか~?」

 

[聞こえてるよー]

 

[バッチリ聞こえてます]

 

[フブちゃん可愛い]

 

「あ、大丈夫そうですね。という事でぇこんこんきーつね♪ホロライブの狐白上フブキでーすはいフレーンズ♪」

 

[ばんはー]

 

[ばんはー]

 

[佐々木さんばんはー]

 

「はい皆さんこんばんは~、って配信中は白上だっつんてんだろ!」

 

[え、白上……?]

 

[もしかして……離婚?]

 

「離婚しとらんわッ!アイドルの時は白上は白上のままですよーって何時も言っとるやろがいッ?!」

 

[最早定番で草]

 

「草じゃねーんだよッ!こちとら普段からラブラブじゃいッ!」

 

[ハイハイノロケノロケw]

 

[仲良さそうで何よりです]

 

「そうですよ、普段から白上とレイくんは仲良いんですから♪という事で早速なんですけど今回は雑談枠という事だったんですけどね、実はすこん部の皆に紹介したい子がいるんですよ」

 

[何?男?]

 

[浮気相手?]

 

「んなワケあるかいッ!そんなのいないわ!ん゛んッ……多分もう知ってる人もいると思いますが改めて紹介しようと思います。では連れて来ますので少し待っててくださーい」

 

[誰だろ?]

 

[お、遂にか?]

 

[もしかして……遂に見せてもらえるのか?!]

 

「………よいしょっと。お待たせしました~♪それじゃあ早速紹介しますね、白上とレイくんの第一子のこゆきちゃんでーす♪ほらこゆき、皆が見てますよ~♪」

 

「あぅ?あぅあ~」

 

[赤ちゃんッ?!]

 

[キタアァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!]

 

[遂に赤ちゃん御披露目!]

 

[カワイイ!]

 

[カワイイ!]

 

[カワイイ!]

 

「ありがとうね皆~♪良かったねこゆき、皆こゆきの事可愛いって言ってくれてますよ~♪」

 

「うあぅ~、あい」

 

[御祝儀です受け取って下さい]10000円

 

[赤ちゃんへのお祝いです]7777円

 

[赤ちゃん可愛い過ぎる]12000円

 

「あ、御祝儀だって。皆ありがとございます♪こゆき、良かったね~♪」

 

「あぃ♪」

 

[笑った!]6000円

 

[ヤバい、尊すぎてタヒにそう……]10000円

 

[これで娘さんを僕に……!]50000円

 

「皆ありがとうね~♪後こゆきはあげませんからね~」

 

[可愛すぐる]10000円

 

[未来のホロメンへの投資です]10000円

 

[これは赤スパ待ったなしですな]20000円

 

「…………ちょっと待って下さい?なんか赤スパの数尋常じゃないくらい来てるんですが……」

 

「?」

 

10000円

 

10000円

 

15000円

 

10000円

 

30000円

 

「あ、あの皆さん?お祝いしてくれるのは嬉しいんですけどやり過ぎなんですけど……」

 

[写真で見た時よりずっと可愛い]12000円

 

[これは親子ライブ楽しみですな]10000円

 

夏色 まつり

[こゆきは俺の嫁]20000円

 

「おいまつりいぃぃぃッ?!何どさくさに紛れて変な事言ってんだお前えぇぇぇぇッ!?」

 

[なんか御祝儀投げ続けてたらエラーが出て投げられなくなったから別アカで投げます]10000円

 

「エラーが出てってそれ単に上限越えただけでしょう!?気持ちは充分受け取ったのでサブアカ使ってまで投げないで下さいよッ!?」

 

[皆、御祝儀だ!御祝儀をもっと出せ!足りない場合はクレジットのリボ払いという魔法があるから大丈夫!]20000円

 

「それ一番やっちゃダメですよ!支払いとんでもない事になりますから止めろぉ~ッ!」

 

[こゆきちゃんが出たって事はマオちゃんやかいりちゃんも出るの?]10000円

 

「え?あ、そうですね。そらちゃんとミオとあやめが近い内に御披露目配信する予定だって言ってましたね」

 

[おお!それは楽しみ!]

 

[あれ?お嬢も産んでたの?!]

 

[え?!お嬢いつの間に?!]

 

「え?皆知らなかったの?!もしかしてあやめなんの報告もしてなかったの?!」

 

[聞いてない]

 

[初耳]

 

[妊娠は知ってたけど]

 

[男の子?女の子?]

 

「あ、そうなんですね?あやめ何にも言ってなかったんだね?因みにあやめの赤ちゃんは女の子ですよ~」

 

[また女の子?!]

 

[男の子が全然産まれて来ないのは何故?]

 

「さあ?何ででしょうねぇ~?兎に角あやめの赤ちゃんについてはあやめの配信にてお知らせするので待っててください♪それじゃあ早速Twi○terで色々寄せられたコメントを見ていきたいと思いまーす」

 

「あうー♪」

 

「それではまずは一つ目のコメントですね。『先日フブキさんのご結婚と妊娠報告をされた事にびっくりしましたが、佐々木さんと結婚する上で一番大変だったのはなんでしょうか?』あー……これはやっぱり一番最初は誰がレイくんと結婚するかで揉めた事ですね。最初は誰か一人が結婚して後のメンバーが愛人になるって話が出てたんだけど、その時白上を含めて一部のホロメン達と衝突してしまってかなりの言い争いになりましたね」

 

[容易に想像出来るw]

 

[拳飛んだ?]

 

「流石に其処まではしとらんわッ!それにそんな事したらレイくん怒るに決まってるし!はい次ッ!えっと『ホロライブの娘以外にも佐々木さんは結婚、婚約されたとお聞きしましたが一体誰がいるんですか?』そうですね、これに関しては特に秘密とかはないのでお伝えしますとヒメヒナちゃんとミライアカリちゃんとシロちゃんと白雪みしろちゃん、後は一般の方一名がいますね」

 

[そんなにいるの?!]

 

[あれ?たまき君は?]

 

しぐれうい

[フブキちゃん私を忘れてるよ!]

 

「たまき君は男でしょーが!それとういママこの間お義母さんに断られてたでしょ!?それじゃ次ッ!『佐々木さんと結婚して後悔した事ってありますか?』これに関しては本当にございません!白上は今とても幸せです♪」

 

[でも今白上って……]

 

[佐々木の姓を名乗りたくないのか………]

 

「だから白上は芸名だって言っとるやろがいッ!そうなったらホロライブ全員佐々木になるわッ!」

 

[でもこの間ロボ子さん佐々木ロボ子って名乗ってたよ?]

 

[あずきちも佐々木アズキって言ってた]

 

「あの人達は苗字がないから佐々木って名乗れるんですよ!」

 

[でもちょこ先ももう癒月って名乗ってないよ?]

 

[ちょこ先既に佐々木ちょこに変わってるよ?]

 

「……え、ウソ?ちょっと待って…………ホントだ!チャンネル名すら癒月じゃなくなってる!?ちょっとちょこ先生どういう事さこれぇッ?!」

 

佐々木ちょこ

[ちょっこーん♪どうも、佐々木ちょこでーす♪]

 

「佐々木ちょこでーす♪じゃないよ?!ちょっと待って……」

 

〈……はいもしも~し、ちょっこーん♪佐々木ちょこでーす♪〉

 

「ちょっこーん♪じゃねーよちょこ先生ッ!?何勝手に芸名じゃなく本名名乗ってんのさ?!」

 

〈えー?でも別に禁止されてるワケではないし、それにちょこ以外にも既に佐々木って名乗ってる娘の方が多いわよ〉

 

「ウソでしょねぇッ?!最初に結婚や婚約した時にレイくんの迷惑になるから皆旧姓を芸名にしてそのまま活動しようって言ってたじゃん!?」

 

〈いやでも結局もうファンの皆にも既に認知されてるからわざわざ旧姓名乗る意味ないなーって玲二様に言ったらそれもそうかって〉

 

「レイくぅーんッ?!なんで認めちゃってるんですかぁッ?!これだとホロライブ家族ぐるみのアイドルグループだと思われちゃいますよぉッ!?」

 

[違うの?]

 

[え、別に良くね?]

 

[何がいけないの?]

 

「いや何がいけないって、白上達はアイドルなんですからイメージっていうのが……」

 

「あぅ?たやぁ♪」

 

〈でももうこゆき様映してる時点でイメージも何もないと思うんだけど?〉

 

[確かに]

 

[確かに]

 

[こゆきちゃん可愛い]10000円

 

[例え白上だろうと佐々木だろうと俺等がフブキちゃんを推して応援する事に変わりはない]12000円

 

「うぅ~……ホントに?ホントに白上が佐々木になっても皆応援し続けてくれます?」

 

[もちろん]

 

[当然]

 

[むしろ玲二を推す]

 

「おいちょっと待てぃッ!レイくん推すってどういう事じゃい?!でも分かりましたよ!これからは白上としてではなく佐々木フブキとしてやっていきますよ!」

 

〈そうそう、それで良いのよフブキ様♪それじゃあちょこは夕飯の用意するからまた後でね~。お疲れ様でしたぁー♪〉

 

「あ、はーいありがとうちょこ先生~♪という事でですね、短いですが今日の雑談はこの辺で終わろうと思います。これからはね、short動画とかでこゆきの成長も撮っていこうと思いますのでよろしくお願いしまーす♪それではぁ、おつこーん♪」

 

「おーん♪」

 

[おつこーん]

 

[おつこーん]

 

[最後までこゆきちゃん可愛かった]

 

[short動画楽しみ]

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本日のスパチャ額

368万4200円

 




はい、という事でこゆきの初配信でした。その内赤ちゃん達のプロフィールも書いていこうと思います。

それと今回から非ログインユーザーからもコメント出来るようにしましたので感想等があれば幸いです。


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番外編『赤ちゃんランド』

今回は仕事と筆記とガンプラ作りの息抜きで書いて見ました。セリフのみの内容となっております。ではどうぞ!

通常「」
コメント[]


「はい皆さーん、こんこんきーつね♪ホロライブ一期生佐々木フブキでーす♪そして~?」

 

「おはみぉーん♪ホロライブゲーマーズ佐々木ミオでーす♪さあ今回はですねぇ、今現在いるウチ等の子供達の様子を見せて行こうと思いまーす♪」

 

[待ってました!]

 

[子供達久々に見るなぁ]

 

[めっちゃ楽しみ]

 

「今回お見せする子の中には初御披露目の子もいるので是非楽しみにしてて下さいね~♪では参りましょう!」

 

[初めての子もいるの?!]

 

[これは期待が高まりますね]

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―こゆき&マオ―

 

「はいこちら皆さんお馴染みの私達の子供、こゆきとマオでーす♪」

 

「あうあ~♪」

 

「あぶぁ~♪」

 

[可愛い!]

 

[安定の可愛さ]

 

[もう天使だわ……]

 

「天使だってマオ、皆マオ達の事可愛いって言ってくれてるよ♪」

 

「あい♪」

 

[癒される……]

 

[こゆマオてぇてぇ]

 

[もうハイハイ出来るの?]

 

「そうですね、もうミオ達が産んだ頃の赤ちゃん達はもうハイハイ出来るようになりましたね。最近だとパパの姿を見ると一目散にハイハイして駆け寄って行くんですよ」

 

[やっぱりパパが好きなんだ]

 

[こゆきちゃんガンプラ持ってるけど危なくない?]

 

「あ、これに関しては大丈夫ですね。こゆき達はガンプラ好きですがちゃんと触っても大丈夫なようにこうしたカプセル型のケースに入れてますから」

 

「あきゃあ♪」

 

[赤ちゃんの時点でガンプラ好きとは……]

 

[完全に佐々木さんの影響だわw]

 

[こゆきちゃんとマオちゃん抱っこしてみたい]

 

「あー、抱っこですか……実はこゆきってパパ以外の男の人に抱っこされると大泣きしちゃうんですよね」

 

「マオは泣きはしないけど抱っこが好き過ぎて最低でも一時間は抱っこしないと気が済まないからね」

 

[そんなに?!]

 

[一時間も抱っこって凄くない!?]

 

「まあそれはもう慣れちゃったからあんまり気にしてないかな?それじゃあそろそろ次の赤ちゃんのところに行ってみよっか」

 

「そだねー、それじゃあ此処からはこゆき達も一緒に皆のところに行ってみましょー♪」

 

「「あぃ♪」」

 

[可愛い]

 

[赤ちゃん達楽しみ]

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―かいり&さくら―

 

「はい次はそらちゃんとかいりちゃん親子とココちゃんとさくらちゃん親子でーす♪」

 

「「よろしくお願いしまーす♪」」

 

「やぁ♪」

 

「オー♪」

 

[え、ココ会長の子供?!]

 

[いつの間に産んでたの?!]

 

[かいりちゃんもさくらちゃんも可愛い!]

 

「アハハ、アリガトウな♪ワタシは先月出産したカラさくらはまだ一ヶ月ダナ」

 

「さくら、ウマレタ」

 

[喋った?!]

 

[え、一ヶ月しか経ってないのに喋れるの?!]

 

「さくらちゃんは龍人族の影響か成長スピードが早くて産まれてすぐに首が据わってるし片言なら喋れるんですよね」

 

「ソウなんデスよ、けど最近みこちやすいちゃんが余計な事教えたセイで変な事言うヨウニなっちゃったんデスよねー」

 

「ミンナ、スパチャ、ヨコセー」

 

「コラさくら!?お前視聴者に向かってナンて事言ってんだバカタレ!」

 

[ははー]10000円

 

[仰せのままに]10000円

 

[こ、これで勘弁してくだせぇ………]30000円

 

「オメェ等も投げナクて良いンダよ!」

 

「オー♪」

 

「あ、アハハ……そ、そしてかいりちゃんなんですが、今は何をしてたの?」

 

「今ね、かいりとさくらちゃんと一緒にN○Kの教育番組見てたんだ~♪いっぱい踊ったもんね~♪」

 

「あーい♪」

 

[手パタパタしてる]

 

[可愛い]

 

[かいりちゃんとさくらちゃんの特徴教えてほしい]

 

「かいりの特徴?んー……やっぱり人懐っこいところかな?知らない人にも愛嬌振り撒くし、なんだったら抱っこねだるもんね~♪」

 

「あぃ♪」

 

[え、それ危なくない?]

 

[不審者とかに誘拐されそう……]

 

「皆心配有り難う、でも大丈夫だよ流石に知らない人には抱っこなんてさせないから」

 

「まあ当然だよね。それでさくらちゃんの特徴は……」

 

「見ての通り産まレテ一ヶ月しか経ってナイ癖に変な言葉ばっかし覚エテしまった子ダナ」

 

「ママ、パパ、キノウ、ガッタイ」

 

「今ソンナ事言うな!ってかナンでソンナ事知ってンダよお前!?///」

 

[え?もう二人目作ろうとしてんの?]

 

[子供に見られてるwww]

 

[お姉ちゃんになる日は近いかも……w]

 

「ああモウウルセェウルセェーッ!Don't speak!モウ喋んナお前等ッ!!///」

 

「あ、アハハ……そ、それじゃあ私達は次の子供達の所に行きますか///」

 

「そ、そうだねアハハ……ハァ///」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―カガリ&玲菜―

 

「はい次はフレアとあやめの子供達でカガリちゃんと玲菜ちゃんでーす♪」

 

「こんぬい~♪ほらカガリも恥ずかしがらずに挨拶しな~?」

 

「あうぅ~……」

 

[恥ずかしがってる]

 

[照れ屋なのかな?]

 

[恥ずかしがってる姿可愛い]

 

「カガリは身内だと大丈夫なんだけど未だに知らない人やカメラの前だと恥ずかしがって顔見せないんだよね」

 

「そうなんだよね、だから御披露目の時も殆ど顔見せれなかったもんね。玲菜ちゃんは今日はどうかな~?」

 

「ぷあー」

 

「ありゃ?玲菜どうしたー?機嫌悪いのかー?」

 

[え、機嫌悪いの?]

 

[なんで分かるの?]

 

[玲菜ちゃんって機嫌が悪いとぷあーって鳴くんだっけ?]

 

「そうそう、よく知っとるな人間様。玲菜って殆ど泣かない代わりに機嫌が悪いとぷあーって鳴くんだ余。でもさっき離乳食あげたし、もしかしてオムツかな?」

 

「ぷあー、ぷぅー」

 

「お、どうやらあってるみたいだね?それじゃ私達はもう行くからゆっくりオムツ替えて良いよ」

 

「うん分かった。それじゃ玲菜、オムツ替えようなぁ~♪」

 

「あい♪」

 

[やっと笑った]

 

[玲菜ちゃんの笑顔可愛い]

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―玲牙&つばき―

 

「はいそれでは次はぼたんちゃんの双子の子供の玲牙くんとつばきちゃんでーす♪」

 

「ちーっす、佐々木ぼたんでーす。んでこっちの黒髪が玲牙で白髪がつばきな」

 

「あぅ……」

 

「あう、あうぅ~」

 

[双子?!]

 

[産んだとは聞いてたけどまさか双子とは……]

 

[あれ?つばきちゃん獅子族じゃないの?]

 

「あー、よく分かんないけど何故かつばきは普通の人間の子に産まれてきたんだよな。でもつばきはレイっちが他の子抱いてると威嚇するところは獅子族っぽいな」

 

「でも確かにつばきちゃんは性格は獅子族っぽく我が強いよね。お兄ちゃんの玲牙くんは気弱なんだけど」

 

「ウチ等が抱っこすると何時も泣きそうになるもんね」

 

「うあぅ……」

 

[ありゃ、玲牙くん気弱なんだ?]

 

[見た目は玲牙くんが、性格はつばきちゃんが獅子族を受け継いだ感じか]

 

[玲牙くんはこゆきちゃんの逆バージョンって感じかな?]

 

「あー確かに玲牙はあたし以外の女の子が苦手みたいだからね。他の赤ちゃん達皆女の子だから余計にびくびくしてるところがあるしな」

 

「そう言えば玲牙くんがレイくんの子供で初めての男の子だもんね」

 

「初めての息子って事もあって産まれた時レイさん少し嬉しそうだったもんね」

 

[分かるその気持ち]

 

[男としては息子と一緒に遊ぶのが夢って人もいるしね]

 

[他にも男の子産まれると良いね]

 

「まあね、多分この後何人か出産控えてる娘もいるからもしかしたらこれから男の子がいっぱい産まれるかもね」

 

「そうだね、そうなれば玲牙くんも少しは安心して遊べるかもね?」

 

「うん、そうなると良いですね~♪ではそろそろ次の赤ちゃん達の所に行きますか。ぼたんちゃんありがとね~♪」

 

「ほーい♪んじゃお疲れさーん」

 

「あーん」

 

「あぅ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―レミィ&しょこら―

 

「えー、次はメルメルとちょこ先生の子供達でレミィちゃんとしょこらちゃんなんだけど……」

 

「ごめんねフブキちゃん、今丁度おっぱいあげてる最中なんだ~」

 

「もうちょっとで終わるから少し待っててちょうだいね」

 

「はーい、という事で今赤ちゃん達が授乳中なので少しお待ち下さいねー」

 

[大丈夫だよ]

 

[ゆっくり飲みな~]

 

[授乳してるところ見せてくれても良いんだよ?]

 

「見せれるかバカタレ!」

 

「見せたくもないし見せたらBANされるわ!」

 

[ちぇー]

 

「ちぇーじゃねーよ!」

 

「あぅ、あぷぁ~」

 

「うぁう、あうぅ~」

 

「あれ?マオどうしたの……まさかマオも?」

 

「え、もしかしてこゆきも……?」

 

「「あい♪」」

 

「…………ちょっと私達も授乳してくるのでお待ち下さーい」

 

「はい、一旦カメラ止めまーす………」

 

[別に撮してても構わんのだよ?]

 

「「だから見せれるか!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―数分後―

 

「……えー、お待たせしました。それでは続きをやっていこうと思いまーす」

 

[おかえりー]

 

[てかこゆきちゃん達にまだ授乳してるの?]

 

「あー、実は離乳食もちゃんと与えてはいるんだけど、たまにまだお乳求める時があるんだよね。ウチ等も未だに出るし……」

 

[まだ出るの?!]

 

[もしかして佐々木さんも飲んでたり?]

 

「…………ノーコメントで」

 

[あ……(察し)]

 

[ふーん、飲んでんだ?]

 

「う、うるさいなぁ!」

 

「もうそんなの良いから次行くよ!はいメル先輩とちょこ先生子供達の紹介宜しく!」

 

「う、うん……はいこんかぷ~♪佐々木メルでーす♪そしてこの子がメルと玲二君の愛の結晶、レミィちゃんでーす♪」

 

「あぅ、あ~」

 

[可愛い!]

 

[まんまちっちゃいメルメルだ!]

 

[この子にならカプカプされたい……]

 

「皆ありがとー♪でもこの子一応吸血鬼なんだけどメルと一緒で血も苦手だし日光も平気だし鏡に映るし水も平気だし……あれ?この子本当に吸血鬼なのかな?」

 

「あぅ?」

 

「いや母親が疑問持ってどーすんの?!」

 

[まんまメルちゃんと一緒だw]

 

[そうなるとメルメルも吸血鬼なのか疑問だよな……]

 

[一応両親は吸血鬼の中でも高貴な存在らしいぞ]

 

「そうなんだよね、パパもママも普通の吸血鬼なのになんでメル全然吸血鬼っぽくないんだろ?………まいっか」

 

「いや良いんかい?!ま、まあそれは今は良いとして、次はちょこ先生子供の紹介お願いします」

 

「はーい♪Good evening!My Cute students.ちょっこーん!ホロライブ二期生悪魔の元保険医佐々木ちょこと、その娘のしょこらでーす♪」

 

「あーうー」

 

[ちょこ先の子供キターーー!]

 

[目がくりっとしててカワイイ!]

 

[あら、角ないんだね?]

 

「そうなのーこの子も一応悪魔なんだけど角がないのよねぇ。でもこの愛くるしい表情は見てて癒されるわよねぇ~♪」

 

「あうぅ~」

 

[確かにカワイイ]

 

[しょこらちゃんには特徴ないの?]

 

「特徴?んー……あ、この子ちょこか玲二様のどっちかの姿が見えなくなると泣いちゃうのよね。だから基本的には常にどっちかが一緒にいる感じね」

 

「以前二人とも本土に仕事に行った時もしょこらちゃんずっと泣いてて困っちゃいましたもんね」

 

[パパとママ大好きッ子なんだ]

 

[逆に佐々木の事嫌がる子っているの?]

 

[いやそんな子いないんちゃう?]

 

「そうね、私達の子供にレイくんを嫌ってる子は一人もいませんね」

 

「しょこらもちょこと一緒でパパ大好きだもんね~♪」

 

「あい」

 

[良い親子だな~]

 

[佐々木が羨ましい]

 

[次に生まれ変わる時は佐々木玲二になりたい]

 

「アハハ、確かにレイさん羨ましいって言う人多いけど、ウチ等が言うのも変だけどなったらなったで大変だと思うな」

 

「うん、仕事に子育てに私達の相手、それに趣味のガンプラ作りをこなすの結構大変だもんね。しかもレイくん一切嫌な顔もしないし、本当に凄いパパだよねーこゆき♪」

 

「あい♪」

 

[確かに凄い]

 

[勝てる気がしない]

 

「そうですよ、レイくんは私達ホロライブの誇る最高のスタッフリーダーにして最愛の旦那様なんですから♪それじゃあそろそろ最後の子に会いに行きますか」

 

「そだねー、それじゃあメル先輩ちょこ先生、また後でね~」

 

「「はーい♪」」

 

「「あぃあ~」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―キララ―

 

「はいそれではラスト、ラミィちゃんの子供のキララちゃんのご紹介でーす」

 

「はい皆さんこんラミです!ホロライブ五期生の佐々木ラミィと愛娘のキララでーす♪」

 

「あぅ~?」

 

[ラミィちゃんの子供可愛い!]

 

[ラミィちゃんよりカワイイ!]

 

[ラミィよりずっとカワイイ!]

 

「おいコラ待てぇい!何ラミィより可愛いって?!確かにキララ可愛いけどラミィも可愛いじゃん!?」

 

「ま、まあまあ……それでラミィちゃんは今何してたの?」

 

「今?今はキララにラミィの作ったガンプラを見せてたんですよ、ねーキララ♪」

 

「あぃ」

 

[お、アメイジングエクシアか]

 

[ラミィちゃんっぽいね]

 

[キララちゃんもずっとエクシア見てるね]

 

「そーなんよ、キララはラミィと同じでOOの、特にエクシア系統が好きだもんね~♪」

 

「あぅ、あぷぁ~」

 

「やっぱり皆ガンプラ好き受け継いでるみたいだけどそれぞれ好み違うよね?マオもジムやザクみたいな量産型が好きみたいだし」

 

「こゆきはその中でもオールマイティーだよね~♪」

 

「たやぁ♪」

 

「あぃやぁ♪」

 

[ちゃんと好みあるんだ?]

 

[赤ちゃんなのにガンプラ理解出来るの凄い……]

 

「ねー、この子達本当に理解力高いもんねー♪」

 

「いつか子供達がおっきくなったら一緒にガンプラ作りたいですね♪」

 

[その時が楽しみ]

 

[いつかそんな未来が来ると良いね]

 

「本当ですね~。という事で今現在いる赤ちゃん達全て紹介し終えたので今回は此処までにしたいと思いまーす」

 

「これからもちょくちょく子供達の成長をお届けしたいと思いますので皆さん宜しくお願いしまーす♪それでは~……」

 

「「「まったね~♪」」」

 

「「ねー♪」」

 

「あやぁ」

 

[おつかれー]

 

[お疲れ様でーす]

 

[これからも赤ちゃん楽しみだなぁ♪]

 



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番外編『フューチャーチルドレン』

前の話の前に出そうと思ってた番外編が出来たので投稿します。

今回は玲二の子供達の未来の姿が……?!の回です。最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


ホロライブ、別名佐々木一家。其処に所属するアイドル達の何名かは旦那である玲二の子を産み子育てに勤しんでいる。

 

そんな子供達は果たしてどんな風に成長するのだろうか?今回はそんな未来の子供達を見てみようと思う…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「?レイくん何ですかこの機械?」

 

「ん、これか?これはカズマの野郎が送ってきた発明品だ。何でも未来の自分を呼ぶマシンだとか」

 

俺は皆をリビングに呼び以前俺に好感度メーターを渡してきた知人カズマから新しい装置を預かってきたので皆に御披露目する事にしたんだが、何度説明された事を確認しても俄には信じられないんだよなぁ……

 

「何でもこのメモリで年数を設定して此処に手を置くとその設定した年数後の自分が現れるんだと。ただ出てくるのは確定した未来ではなくてあくまでも一番可能性が高い未来の姿らしい。そして15分経ったら消えてしまうんだと」

 

「何ですかそのとんでもなくSF感満載の装置は?!」

 

「あの人たまに世間に出たら絶対に賞取れそうな発明品作るんだよね、普段はヘンテコな物が多いけど。それでマスター、これで一体何をするつもりなの?」

 

「ああ、それなんだけど……これ、子供達で試してみないか?」

 

『子供達で?』

 

そう、この装置を使えば今は赤ちゃんでも将来成長した我が子の姿を見る事が出来るって事だ。勿論出てきた姿が100%確定ではないが将来の我が子の姿が見れるのはワクワクしてしまうな。

 

「確かにちょっと見てみたいですね……」

 

「うん、やってみようよ♪それで玲二君、此処に手を当てれば良いのかな?」

 

「ああ、設定は20年後に合わせているからその手形の部分に手を当てたらすぐに起動する筈だ」

 

「分かった、それじゃあかいり、此処に手を当ててね~♪」

 

「あぅ?あい♪」

 

―ピッ……キュイィィィィィィンッ……ビカアァァァッ!―

 

「うわ眩し……!?」

 

かいりが装置に手を当てると突然強い光に包まれ思わず目を閉じてしまった。そして光りますは徐々に収まっていき、ゆっくりと目を開けると其処には……

 

 

 

 

 

「う、うぅ~ん……あ、あれ?!此処何処?!私今スタジオに向かってた筈なのに!?」

 

そらにそっくりな黒髪のポニーテール少女がいた。少女自身も何が起こったか分かっておらず辺りをキョロキョロと見渡し驚いてる。もしかしなくても、この子がかいりか?

 

「な、なあ君……?」

 

「ふぇ……?あ、パパ!?どうして此処に?!パパ今ママとアズキママと一緒に旅行行ってる筈じゃないの!?」

 

「旅行?そうか、そんなタイミングで呼び出してしまったのか……」

 

「ね、ねぇ玲二君、もしかしてこの子が……?」

 

「ああ、間違いなく成長したかいりだろうな」

 

No.1 かいり

 

それから俺達は未来のかいりに事情を話すと何となくだが納得はしてくれたようだ。

 

「ほぇ~、此処が20年前のホロライブマンションなんだね~?それとちっちゃい私可愛いなぁ♪」

 

「あぷぅ♪」

 

「にしても本当にそらちゃんそっくりだにぇ~」

 

「ホント、髪の毛染めたらどっちがどっちだか分からなくなりそう」

 

確かにかいりの見た目は髪の毛が黒くポニーテールにしている以外はそらと瓜二つだ、流石親子って事なのか?

 

「あはは、それ結構ファンの人達にも言われるけどそんなに似てるかなぁ?」

 

「ああ本当に見分けがつかないくらい……ちょっと待て、今ファンって言わなかったか?もしかしてかいり、お前もアイドルとかしてるのか?」

 

「あ、そういや言ってなかったっけ?それじゃあ軽く挨拶……みんな~、こんかいり~♪ホロライブ28期生の歌姫担当空宮かいりでーす♪」

 

『28期生?!』

 

そんなにいるのかホロライブって!?てかなんだ空宮って?!

 

「な、なぁかいり?その空宮っていうのは……?」

 

「あ、空宮は私の芸名だよ。ママが自分の名前を貸してくれたんだ~♪」

 

「そ、そうなのか?それなら良かった……」

 

「?」

 

(……多分玲二君かいりが嫁入りしたと思ってびっくりしたんだろうなぁ)

 

(玲二さんって絶対子供達が嫁入りしたら一番ショック受けそうだもんね)

 

おいこそこそ喋ってるけど聞こえてるからな。まあ確かに一瞬ショックだったわ、かいりが知らん男に嫁いだと思うと思わず握り拳が強くなってしまった。

 

「いや、お前が何処ぞの馬の骨と結婚したかと思ってヒヤッとしてな……」

 

「あはは、それは絶対にないよ♪だってかいりが好きなのは……///」

 

?な、なんだ?かいりの奴顔を赤くして俺の方を見てるけど……いやまさかな。

 

「……かいり、貴方もしかして……それだけは絶対にダメだからね!ママ許さないから!」

 

「なんでぇ?!私がパパの事を好きになったって良いじゃん!他の皆だってパパの事大好きだって言ってるし!」

 

『まさかの全員ファザコン!?』

 

マジか……確かに知らない男と付き合うとかも嫌だがそれはそれで心配だぞ?父親としてはちゃんとした男とお付き合いしてほしいんだが……

 

「そんなのダメに決まってるでしょ!?かいりと玲二君は血の繋がった親子なんだから!」

 

「そんなの知らないもん!かいりはパパが求めてくれたら○○捧げるくらいパパの事愛してるもん!」

 

「絶対にそんなのママ許しません!かいりはちゃんとパパ以外の良い人を見つけなさい!」

 

「絶対に嫌!私パパと結婚して可愛い赤ちゃん産―シュンッ!―

 

え?!急に消えたんだけど?!ってそうか、もう15分経ったのか。それにしても凄いなかいり、そらにはないアグレッシブさを感じたぞ。

 

「あ、消えた……もう、かいりはパパじゃなくて他に良い人見つけるんだよ~?」

 

「う?」

 

「それと玲二君、絶対に娘達には手を出しちゃいけませんからね~?」

 

「わ、分かっております……」

 

う、そらの圧がかかった言葉も刺さるし皆からの視線も痛い……流石に娘達にまで手は出さねぇって。そ、それより次だ次!

 

「それじゃあ次はキララが良いなぁ♪ほらキララ、此処におてて当ててね~♪」

 

「うゅ?」

 

次はキララか。現時点での末っ子は果たしてどうなるのか……そして先程と同じように光に包まれ次第に収まっていくと其処には……

 

 

 

 

 

「……あら?此方は一体何処なのでしょう?」

 

青白いドレスで身を包んだラミィそっくりな女の子がちょこんと座っていた。

 

No.2 キララ

 

「え?これがキララの成長した姿なの……?」

 

「あ、あぁ、なんかめちゃくちゃ綺麗だな……」

 

「あら?お父様にお母様、何故に此方に?お二人は今お仕事でパリに渡航していた筈では?」

 

な、なんだこの清楚な喋り方?本当に良いとこのお嬢様みたいじゃねぇか?と、取り敢えず一応説明しないとな……

 

「……成る程、此処は過去に私が産まれ育ったホロライブマンションという事なんですね?確かに何処か懐かしさを感じる佇まいですわ」

 

「ね、ねぇししろん?あれって本当にラミちゃんの子供なの……?」

 

「た、多分見た目からして間違いない筈だけど……初期のラミィより清楚なお嬢様って感じがすんな……」

 

確かに親である自分でもびっくりするぐらい清楚なお嬢様なんだが……

 

「ね、ねぇキララ?キララももしかしてホロライブに所属してたりすんの……?」

 

「いえ、私は女優業をやらせて頂いております。最近では有難い事に舞台で主演を頂きまして、今はその稽古を終えた後でしたの」

 

「そ、そうか女優なのか……」

 

だ、ダメだ!自分の娘の筈なのにめっちゃ緊張する!一体どう育てたらこんな良い子に育つんだよ?!

 

「ところで申し訳ないのですが、どなたかお水を頂いて宜しいでしょうか?稽古を終えた後でしたので少し喉が渇いてしまって」

 

「あ、なら此処に水があるから、はいキラちゃん♪」

 

「有難うございますねねお母様。では失礼ながら頂きます、ん……」

 

うわ、水を飲む仕草でさえ上品だな……あれ?確か其処にあったのって……

 

「あ!ねねちゃんそれ水じゃなくてアキロゼがさっきまで飲んでた日本酒だよ!?」

 

「えぇッ?!そ、そうなの?!アキ先輩ごめんなさい!」

 

「いやそれよりなんで昼間から酒飲んでんだお前は?!お、おいキララ?お前大丈……」

 

「ぷっはあぁーーーーッ!うんめぇーーーーーッ!!」

 

『ッ?!!?』

 

な、なんだ?!キララの奴急に態度がガラッと変わったぞ!?さっきまで正座だったのにいつの間にかあぐらかいてるし!?

 

「いやぁ~昼間っから飲む酒はやっぱうめぇなぁ~♪」

 

「あ、あの?キララちゃん……?」

 

「あ?何さかーちゃん?」

 

『かーちゃん?!』

 

喋り方まで変わってんじゃねぇか?!もしかしてこいつ、酒飲んだら性格がかわるのか?!

 

「にしてもこの酒うめぇなホントに♪おーい、誰でも良いからおかわりくれへん?」

 

「ちょ、ちょっとキララ!?あんたさっきまで清楚なお嬢様だったのに何さその下品な感じは?!」

 

「うっさいなぁかーちゃん。キララだってねぇ!大してやりたくもなかった女優の仕事やらせれてストレス溜まってんだよ!分かる?!かーちゃんキララにやりたい事やって良いよって言ったクセにいつの間にかピアノやらバイオリンの稽古までやらされるし挙げ句の果てに素質があるからって勝手に女優のオーディションに参加させられて合格しちまうし!キララ普通にネトゲやってゲーム実況したかったのに何がやりたい事やって良いよだ全然出来ねぇじゃんふざけんなッ!!」

 

な、成る程、どうやらこっちが素みたいだな?酒飲む事で本来の自分になれるって感じか……父親ながら将来の娘のこんな姿を見てて悲しくなってきたわ……

 

「な、なんだかめんどくさい時のラミィそっくりだな……」

 

「変な所でラミちゃんの性格が受け継がれてしまったんだな……」

 

「そ、そんなぁ~……」

 

あ、ラミィがショックのあまり膝から崩れ落ちていったな。そりゃ自分の娘がこんな風になってたら誰だってショックだわ。

 

「ん~それにしてもこの酒うめぇなぁ♪これでツマミでもありゃ………あそだ、とーちゃんちょっとこっち来てくれへん?」

 

「?一体何を……ッ?!」

 

―ぶっちゅうぅぅぅぅぅぅぅぅッ♡―

 

『なあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーッ?!!?』

 

な、なんだ?!俺今何されてんだ?!え、目の前にキララの顔ってもしかしなくても今キスされてんのか俺?!てかおい吸いながら舌入れるってどうなってんだよ?!しかも酒臭ッ!?

 

「ぷはぁ♡やっぱとーちゃんとのキスは最高のツマミやなぁ♡」

 

「ツマミやなぁ♡じゃないよ!?キララ!あんた一体何考えてんのさ?!」

 

「えぇ~?そんなちっちゃい事気にせんと、そんな事だからとーちゃんに全然構ってもらえなくなるんよ?」

 

「………え?何、未来のラミィって玲二さんに構ってもらえてないの………?ラミィもしかして未来じゃ玲二さんに愛されてないん……?」

 

キララの言葉にショックを受けてまたもや膝から崩れ落ちていくラミィ。しかし、とんでもないモンスターガールだなキララ……っていつの間にか消えてるし。15分ってあっという間だよなホントに。

 

「ほらラミィ、未来のキララはもう帰ったみたいだから落ち着けって」

 

「うぅ~……ごめんねキララぁ、ママ絶対にピアノとかのお稽古させないし女優になんてさせないからもっとちゃんとした子に育ってぇ~……」

 

「うゅ?」

 

まあ確かにあくまでも可能性で一番高いってだけだから今から改善すれば違う未来にはなりそうだけどな……そうなるとさっきのキララはどうなるんだ?並行世界の存在として枝分かれしていくのか?

 

「それじゃあ次はメルにやらせて!ほらレミィ、此処におてて乗せてね~♪」

 

「あ、あぅ~」

 

今度はレミィか。レミィは子供達の中でも大人しくて手の掛からない子だけど果たしてどうなるのやら………

 

 

 

 

 

「ハアァッハッハッハッハァ!よくぞ我を呼び寄せたな、褒めてやろう!我が名はレミィ・S・ブラッディムーン!誇り高きホロライブ28期生なり!」

 

「……え?な、何この子?」

 

………いや本当になんだこの子は?!なんか黒いマント羽織ってるし玉座っぽい椅子に座ってるし手に持ってるワイングラスに赤黒い飲み物入ってるし!?こいつ本当にレミィなのか?!

 

No.3 レミィ

 

「フッ我が父上よ、お主が我をこの時代に呼ぶ事は既に見通していたぞ!」

 

「え?見通してたって……そんな事出来るのかお前?!」

 

「無論だ、我がお主から授かった未来読みの力を持ってすれば容易い事だ!」

 

未来読み?!そんな事も出来るのか!?それって便利……って程でもないか。未来が見えるだけなら危機回避ぐらいにしか使えそうにないしな。

 

「ね、ねぇレミィ?レミィが未来を見る事が出来るのは分かったけど、そのマントと椅子とワイングラスはなんなの?」

 

「これか?フフン、一流の吸血鬼として相応しい振舞いをしているに決まっておろう!黒き衣を身に纏い王たる威厳を表す為の玉座へと座り、そして今宵の漆黒の闇夜に映る満月を眺めながらこのブラッディソウルを飲む……あぁ、これこそが一流の吸血鬼というものだ!」

 

「いや今真っ昼間だし。てかこのマントよく見たら手作りなんだな?裏側の赤い布なんて100均に売ってるフェルト生地じゃん」

 

しかも更によく見たら手作りらしく糸が解れてる所もあるし、多分裁縫が苦手か幼い頃に作ったかのどっちかだな。

 

「なんでそんな事言うのパパァッ?!こういうのはふいんきが大事なのにぃ~!」

 

『…………え?』

 

……今普通に喋ってたよな?もしかしてレミィって所謂中二病ってヤツなのか?しかもレミィよ、『雰囲気』は『ふいんき』ではなくて『ふんいき』だぞ?

 

「………ハッ!フ、フン!すまんな、我としたことが取り乱してしまったようだ……どれ、このブラッディソウルでも飲んで気を落ち着かせ……ってあ、あれ?」

 

「ングッ……やっぱり、色は濃くしてあるけどこれノンアルコールのカシスオレンジだわ」

 

「ちょっとぉッ!?アキママレミィのカシスオレンジ取らないでよぉ~!!」

 

いやカシスオレンジだったんかい、しかもノンアルコールって。というかいつの間に取ったんだよアキの奴?

 

「てかやっぱりそっちの方が素みたいだな?なんでそんな中二臭い言葉遣いなんかしてたんだ?」

 

「うぅ~……だってレミィ、昔からパパのお嫁さんになりたいのにママは怒るしパパは笑ってはぐらかすばかりだし……どうやったらパパのお嫁さんになれるの?って聞いたらカッコイイ立派な吸血鬼になったらなって言うからレミィ頑張ってカッコイイ吸血鬼目指してたのにぃ~!」

 

なんだそりゃ?絶対未来の俺適当にはぐらかす為に言っただけだろそれ?てかさっきから未来から来る娘達全員ファザコン過ぎないか?

 

「あのねレミィ?いくら頑張っても血の繋がった父娘じゃ結婚は出来ないんだよ?」

 

「そんなの知らないもん!そんなほーりつなんてパパが大好きなレミィの愛の前じゃ無力に等しいもん!それに今さくらちゃんがほーりつ変えるって言って国のお偉いさんって人達に話をつけて来るって言ってたもん!」

 

いや何してんだよ未来のさくら?!ココの時と良いそんな自分達の都合でポンポン法律変えようとすんなよ!?

 

「絶対ダメ!例え法律変えられてもママ絶対に許さないからね!」

 

「そんなのママ達に関係ないもん!ママ達がどう足掻こうともレミィがパパと結ばれる運命の夜は必ず訪れるんだから!パパ、そなたもその日を楽しみにしてるが良い!ハアァッハッハッハッハァ!」

 

―シュンッ!―

 

あ、消えた。最後なんて中二と素がごっちゃになってたじゃねぇか、ある意味メルの子っぽいけどな。

 

「うぅ~、レミィはあんなバカな子に育っちゃダメだからね~」

 

「う?」

 

おい未来の自分の娘をバカな子って………まああんなの見たらそう思ってしまっても仕方ないか。

 

「さて、そろそろ皆も他の事もあるし今日は次で最後にするか」

 

「あ、なら最後はこゆきが良いな♪ほらこゆき、此処におててタッチしてね♪」

 

「たっちぃ~?あい♪」

 

今日最後の子はこゆきか。俺の実子では一番上の子だけど一体どんな風に成長してんだろうか?まあ今まで見た三人が少しおかしかったからまともに育ってくれればそれで良いけど……ってそうしてる内に光が止んで………ってあれ?

 

「あ、あれ?誰もいない……?」

 

「ど、どういう事?さっきまでだったらこの台の上に現れるはずなのに……まさか20年後にはこゆきちゃんがもういないとか……?」

 

「不吉な事言うなよスバル!?もしかしたら何か故障とかか……も……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クンカクンカクンカクンカハスハスハスハススーハースーハースーハースーハー……ふあぁ~♪6時間28分12秒振りのパパの匂いだぁ~♪」

 

……拝啓父さん母さん、今俺の目の前では信じられない光景が見えてしまってます。おそらく未来の娘であろう子が俺にしがみついて腹に顔を埋めて匂いを嗅いでます。これが我が子とは正直信じたくはないです。

 

―No.4 こゆき―

 

「……な、なあ?もしかしなくても、お前こゆきか?」

 

「え………?パパ、こゆきの事忘れたの?パパの愛娘のこゆきだよ?パパの事が大好きなこゆきだよ?パパと結婚したいっていつも思ってるこゆきだよ?パパに初めてを捧げたいと思ってるこゆきだよ?パパ、こゆきの事忘れちゃったの?そんなの嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダ」

 

「いや落ち着けって!?なんか怖ぇよッ?!」

 

な、なんだこの子?!さっきまでの三人よりめちゃくちゃヤベェじゃねぇか!?ファザコン通り越して病んでるだろこれ!?

 

「ちょ、ちょっとこゆき……で良いんだよね?あなた何パパにしがみついて匂い嗅いでるのさ!?それは私達の特権ですよ!!」

 

「いや何処注意してんだよ?!」

 

「ふぇ?……なんだママか」

 

うわ、こゆきの奴めっちゃ冷めた目でフブキを睨んでるし。さっきから思ったけど未来の子供達母親に対してめっちゃ反発してないか?

 

「何その態度?!良いから早くパパから離れなさい!」

 

「イヤッ!こゆきパパから絶対に離れないもん!パパはこゆきの未来の旦那様だもん!」

 

「二十歳にもなって何言ってんの?!父娘で結婚なんて無理に決まってるでしょ!!」

 

「ママいつもそればっかり言ってくるじゃん!最初はママだってこゆきの恋応援してくれるって言ってた癖に相手がパパって分かった瞬間猛反発してくるし!」

 

「当たり前でしょ!?何処の世界に娘と夫の恋を応援する母親がいんのさ?!」

 

ごもっともです。そして流石の俺も娘と結婚する気はありません。けど強く言えません、だってさっきのめっちゃ怖かったから。

 

「そんなのママには関係ないじゃん!部外者は引っ込んでてよ!」

 

「バリバリ関係者じゃい!あんた母親に向かって部外者とは何事じゃい!?」

 

「もううるさいなぁ……そんな事言うならこうしてやるッ!!」

 

?なんだこゆきの奴、急に目を閉じて何を―バアァンッ!―……え?

 

「え、何………ッ?!ああ!私の積みプラが!?」

 

な、なんだ?!RGのジオングにHGのダブルオースカイメビウス、PGのアストレイも!?これ確か全部フブキの積みプラだよな?!え、これもしかしてこゆきが動かしてるのか?という事は……!?

 

―バリッ!バッ!―

 

―パキッ!パキッ!―

 

―パチッ!カチッ!ガチャッ!―

 

「ちょおぉぉッ?!勝手に組上がっていってんだけどぉッ!?」

 

「ハアァーッハッハッハッハァ!ママの積みプラ全部組み立ててやるぅッ!!」

 

「や、やめろおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーッ!?」

 

フブキがこゆきを止めようと必死になるも結局数分後にはフブキの積みプラ計12個全てが綺麗に組上がっていた。

 

「う、うぅ~!全部苦労して手に入れたのにぃ~……」

 

「ハアァッハッハァ!どーだママ!こゆきに逆らうとこうなるんだよ!念力モデラー嘗めんな―ゴツンッ!―あ痛ぁッ?!」

 

確かに凄いがこれはやり過ぎだ。俺はこゆきの頭を軽く叩き叱っていく。

 

「コラこゆきッ!お前幾らムカついたからってママの大切なガンプラを勝手に作るな!」

 

「う、うぅ~……パパァーッ!ごめんなさぁーいッ!!もうしないからこゆきの事嫌いにならな―シュンッ―

 

あ、消えた…………はぁ、なんかどっと疲れたな。まさか未来のこゆきがあんなクレイジーガールに成長するとは……それにしても念力を使ったとはいえ見事な仕上がりだよな。なんだかんだ言って、俺達のガンプラ好きを受け継いでくれたんだな……けどこのままじゃ流石にフブキが可哀想だし、仕方ないから“戻してやるか”。

 

「うぅ~、私の積みプラがぁ~……」

 

―パアァァァァァッ…―

 

「うぅ~……ってあれ?!全部戻ってる!?」

 

「……ふぅ、この数戻すのは疲れるな。もう少し鍛練した方が良いな」

 

俺は自分の力を使いこゆきに作られたガンプラの時間を逆行させ作られる前まで戻したのだ。今までも自分のガンプラ制作が失敗した時も時々逆行させてやり直したりはするが纏めて作る前に戻すのは初めてで結構疲れるわ……

 

「レイくんありがとぉ~!これで今度こそゆっくり作る事が出来るよ~♪」

 

「あぁ、それは良かった。けど力使ったせいで眠くなってきたな……少し昼寝してくる」

 

「はーい。こゆきはあんなクレイジーガールに育っちゃダメだからね~?」

 

「あぅ~、ぱーぱ、まーま♪」

 

ホント、こんな可愛らしい子がどうやったらあんな風に育つんだろうな?一眠りしたら今後の子育てについて皆で考えてみよう、その前におやすみ~……

 

 

 

 

 

今回は此処まで。他の子供達の未来の姿についてはまた後日に!




はい、という事で今回はかいり、キララ、レミィ、こゆきの四人の未来の姿でした。他の子供達も随時出していこうと思います。ではまた!


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番外編『フューチャーチルドレン2』

最近この小説とは違う新しいホロライブの小説を書こうかと思ってる今日この頃……その場合は恋愛系じゃない物にしようと思います。

今回は以前もやった子供達の未来の姿です。果たして今回現れるのは誰なのか?最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


以前玲二の知り合いであるカズマから預かった未来の自分を呼ぶマシン。それにより子供達の未来の姿を見て一抹の不安を抱えるフブキ達。今日もそのままマシンを使ってまた未来の子供達を呼ぶようである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……よし、それじゃあ誰がやってみる?」

 

「うーん……ウチは少し様子見ようかな?マオの未来がこの間のようなクレイジーな子になってたらウチ見てらんない……」

 

「う?」

 

だよなぁ、前回の子供達は揃いも揃ってクレイジーガールばっかりだったし、あんなの見た後だとやるのに勇気がいるよな……

 

「それじゃあ玲二様、最初に玲菜にやらせても良い?」

 

「え?ああ構わないが……一応前回と同じく20年後に設定してあるから其処に手を乗せるだけで大丈夫な筈だ」

 

「おーし!それじゃあ玲菜、此処におてて乗せるんだぞー♪」

 

「あーい♪」

 

おお、まさかあやめが先陣を切るとは。それにしても未来の玲菜か、どんな子に育ってるんだろうな……っと、そんな事考えてたら光が止んで人影が見えてきたな。さて、未来の玲菜はどんな感じだ……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……はにゃ?此処は一体何処じゃ?」

 

……な、何だか思ってたより小柄だな?あやめより小柄で和服っぽい見た目のパーカーを着てる。そんで角もあるし、この子が未来の玲菜で間違いなさそうだな。

 

―No.5 玲菜―

 

「おおー、これが玲菜の未来の姿なのか?」

 

「ん?おおパパ上、ママ上、いつの間にフランスから帰って来たのじゃ?」

 

フランス……未来の俺とあやめは一体何しに行ってんだ?全く想像出来ないんだが……兎に角例の如く玲菜にも事情を説明するか。

 

「………なるほどのう、此処が過去の世界とはなぁ~。あまり実感がなくてピンとこんがのぉ」

 

「……にしても玲菜、その喋り方一体何なんだ?何て言うか、爺臭いぞ?」

 

「そうは言われても儂は昔からこんな喋り方じゃから今さら変えろと言われても変えられんからのう」

 

そ、そうなのか?だとしたら一体誰の影響だ?俺らの中でそんな喋り方する奴なんかいない筈だが?

 

「それはそうとパパ上、少し膝を貸してくれんかのう?今しがた盆栽の手入れやって疲れたのじゃ~……」

 

「お、おう……てか盆栽って、趣味まで年寄りみたいだな……」

 

本当に誰の影響なんだこの子の年寄り臭さは?しかもいつの間にか俺の膝の上に頭を乗せて寝転んでるし。

 

「ふあぁ~……やっぱりパパ上の膝枕は暖かいのじゃあ~♪」

 

「え?もしかして玲菜、何時も玲二様に膝枕をしてもらってるのか?!」

 

「ん?そうじゃよ~♪何時もはママ上と一緒にパパ上の膝枕や腕枕でぽかぽかお昼寝しとるんじゃあ~♪」

 

「いや20歳にもなってお昼寝って……」

 

「お昼寝するのに歳は関係ないじゃろう?それに儂にはパパ上がいて、ママ上がいて、そして一緒にいてくれる姉妹達もおる。儂にとってこのホロライブマンションで暮らす日々ほど幸せな物はないのじゃ~♪お昼寝もその内の一つじゃよ~♪」

 

…………驚いた、喋り方は変であれ考え方が凄くあやめにそっくりだな。流石親子って事なのか?

 

結局その後も玲菜は俺に膝枕をされたまま時間が経ち元の時代へと戻っていった。それにしても玲菜、良い子に育ってくれてるみたいで良かったな。

 

「良かったな玲菜~♪良い子に育ってくれてママとパパはとっても嬉しいぞ~♪」

 

「あきゃあ♪」

 

「まああの子もあくまで可能性として一番高い時間軸の玲菜だからちゃんと良い子に育つかは俺達の頑張り次第だな……ってフブキ、一体どうしたんだ?」

 

「……いやぁ、玲菜ちゃんがあんなに良い子に育っているのを見たら前回の未来のこゆき達はなんだったんだろうなって思って少し情けなくなっちゃいまして……」

 

あー……確かに前回の未来のこゆき達に比べて玲菜はのんびりとした良い子だったからなぁ。同じ親としては情けなく感じてしまったのか?でもまあまだまだ未来は変えられるんだから今から気をつけて育てていけば問題ないさ。

 

「よし、じゃあ次は誰行ってみる?」

 

「オッシ!そんジャアさくら、オメェ行ってコイ!」

 

「オー♪」

 

お、次はさくらか。一体どんな大人になってるのだろうか?ココの跡を継いで桐生会の会長になってたりしてな。さて、どんな姿で出てくるのやら……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハアッハッハッハァッ!めでてぇめでてぇ祭りだ祭りだぁッ!踊れ!騒げ!袖振り合うも多生の縁、躓く石も縁の端くれ、共に踊れば繋がる縁、この世は楽園!悩みなんざ吹っ飛ばせッ!!さあ、笑えや笑えぇいッ!ハアッハッハッハァーーーッ!!」

 

「「いやお前は何処ぞの暴太郎だ?!」」

 

なんだよこれ?!呼んだのは未来のさくらだけだろ?!なんで神輿に乗って運ばれてんだよってか誰だよこの褌姿の男共は?!

 

No.6 さくら

 

「ん?おおパパにママ!いつの間に火星探査から帰って来たんだ?」

 

「いやそんな事よりお前……………え?火星探査?何それ?未来の俺とココ火星で一体何してんだ?!」

 

ヤバい、なんか気になるワードが出てきたんだが!?あれか?俺達いつの間にか宇宙飛行士になってしまうのか?!い、いや取り敢えずそんな事は置いといてさくらにも事情を説明しないと……

 

「ふーん、此処が過去のホロライブマンションねぇ~……にしてもパパもママ達もちっとも変わってねぇなぁ~」

 

「え?ちっとも変わってないって……それって俺達老けてないって事か?」

 

「おう、パパ達皆私のいる時代のパパ達となんも変わんねぇな。強いて言うなら髪型が違う程度か?」

 

マジか……道理で未来から来た子供達が俺等を見て何も気にしてないワケだ。20年後って言ったら俺等40代前後だからそれなりに老けると思ったんだが、これももしかして神羅族の影響か?

 

「ま、まあソンナ事よりさくら、オメェさっきめでテェなんて言ってたケド何かあったノカ?」

 

「ん?おおそうだ!実はさっき政界の大御所どもに頼み込んで父娘でも結婚出来るように法律変えてもらったんだよ!これでいつでもパパと結婚出来るってワケだ!ハアァッハッハッハァーーーッ♪」

 

「いや何してくれてんだお前?!」

 

いや確か前回未来のレミィがそんな事言ってたけど、こいつもしかしてこの間のレミィと同じ時間軸から来たのか?!

 

「……さくら、オメェ本気でパパと結婚スルつもりカ?」

 

ほらぁ!ココも目ツキが鋭くなってるし!?そりゃそうだろ父娘で結婚だなんて……!?

 

「おう!当然だ、私にパパ以外の男なんて有り得ねぇからな!パパは私の自慢の父親でありお婿さんよ!」

 

「ソッカ………なら好きにすれバ良いサ!ママも応援してヤルからッ!!」

 

「って良いんかい?!」

 

まさかのココの反応に思わずずっこけてしまいそうになっちまった。いやなんで認めてんだよココ!?

 

「ちょ、ちょっとココちゃん?!父娘での結婚認めるなんてそんなのダメだよ!!」

 

「?別に良いんじゃネーノ?さくらがパパ以上に良い男がイネェって言うナラ別に構わネェし。ソレに龍人族は紀元前なら血縁関係間での結婚ナンテ当たり前だったらしいカラな、何処ぞの変な男捕まエルくらいナラパパとくっついた方がよっぽど安心ダ♪」

 

「おおーーーッ!さっすがママ、良い事言うねぇ♪」

 

マジか、これが種族の考え方の違いなのか……いや、ただ単純にこの母娘が破天荒なだけか?

 

「という事でパパ!未来で私との結婚楽しみにしておいてな!なんたって私との縁は超良縁だからな!そんじゃあそろそろ時間だから帰るとするか!ハアァッハッハッハァーーーッ!!」

 

―シュンッ!―

 

そしてさくらは神輿に跨がり男どもに運ばれながら未来へと帰っていった。つ、疲れた……

 

「良かったナァさくら♪オメェもこれで未来は安泰だゾ~♪」

 

「オー♪さくら、パパ、ケッコン♪」

 

「いやそんなの許させる筈ないって……」

 

「そーですよ!ココちゃんもさくらちゃんも父娘で結婚だなんてダメですからね!!」

 

「「エ~……」」

 

いやえーって言われてもしょうがないだろ?前にも言ったが父娘で結婚するつもりはないわ。さくらには特にしっかり教育しないとな……

 

「じゃあ次はちょこ達の番ね♪ほらしょこら、此処におてて乗せてね~?」

 

「うゅ?」

 

今度はしょこらの番か、出来れば変なふうに育ってなければ良いんだが―シュンッ!―…………へ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う、うーーーーん……ハアァ~ッ!此処が過去のホロライブマンションねぇ?」

 

―No.7 しょこら―

 

な、なんだ?!まだしょこらマシンに手を乗せてないぞ?!でもこの角はないけどちょこそっくりな見た目からしておそらくしょこらなんだろうけど、一体どうして……!?

 

「……あらぁ、玲二ちゃんみーっけ♪」

 

『玲二ちゃんッ?!』

 

「なぁ……ッ?!」

 

目の前にいるしょこら?は俺を見つけるなりいきなり俺に抱きついてきやがった?!胸元が大きく開いた服装でそんなに密着されたら恥ずかしいんだが?!てかこいつ俺の事玲二ちゃんって呼んでたよな!?こいつ本当にしょこらなのか?!

 

「ちょ、ちょっと!?貴方もしかして、しょこらなの……?」

 

「あらぁ、ママったら自分の娘の事が分からないなんてダメねぇ?まあ、しょこらがこんな綺麗でエッチな大人になってたら分かんないのも無理はないかしらぁ♪」

 

「いやそれは良いから離れてくれって……!ってかお前、どうやってこの時代に来たんだよ?!まだこの時代のしょこらこのマシンに手を乗せてない筈だろ?!」

 

「そ・れ・はぁ~♪しょこらが玲二ちゃんから受け継いだ時空移動能力を使ってこの時代に来たのよん♪」

 

『時空移動能力ッ?!』

 

なんだソレ?!要は自分自身がタイムマシンって事なのか!?神羅族ってそんな事も出来たのか?!

 

「レミィちゃんもさくらちゃんもぉ、それにこゆきちゃん達も皆この時代の玲二ちゃんに呼ばれて喜んでてしょこらも過去の玲二ちゃんに会いたいなぁって思ったんたけどぉ、15分間しかいられないって言ってたからぁ、そんなんじゃ物足りないからしょこら自分でこの時代に来ちゃいましたぁ~♪」

 

「来ちゃいましたぁ~♪じゃないわよ!?貴方そんな理由でこの時代に来るなんて!大体何よその玲二ちゃんって?!貴方自分の父親をちゃん付けで呼ぶなんてどういうつもり!?」

 

「えぇ~?だってぇ、玲二ちゃんはしょこらにとってパパじゃなくてぇ、しょこらの運命のお相手なんだもーん♪」

 

「なぁにが運命の相手じゃこらぁッ!そんなのちょこ絶対に認めんからなぁッ!!」

 

うわぁ、珍しくちょこが荒れてるなぁ……にしても未来のしょこら、ちょこと同じくらいスタイルが良いな。やっぱり女ってこうしたスタイルを維持するのに努力とかするもんなのかね?

 

「別に認めなくても良いもーん♪しょこらはぁ、暫くこの時代で玲二ちゃんとイチャイチャするもーん♪」

 

「だから認めるワケないでしょ!!玲二様もいい加減しょこらから離れなさい!!」

 

「い、いや離れたいのは山々なんだが、この子意外と力強くて全然ほどけない……!?」

 

「もう玲二ちゃんってばぁ、別にしょこらから離れなくても良いじゃない♪ほらぁしょこらのお胸、ママよりおっきいし形も良いんだよぉ♪このお胸、玲二ちゃんの好きにしても良いんだからぁ♪」

 

「うがあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーッ!!!」

 

ヤバい!?ちょこの奴怒りが臨界点突破しそうになってる!?早く何とかしないと……そうだ、俺ももしかしたらしょこらと同じ事が出来る筈!やった事ないけど、試してみるか!

 

「しょこら、すまん!!」

 

「え?何玲二ちゃ―シュンッ!―

 

………よし、何とか上手くいった…のか?にしてもこの時空移動能力ってめちゃくちゃ疲れる……20年後を想像して飛ばしてみたが今まで使った能力とは比べ物にならないくらい疲労感が半端ない。ともあれこれ程疲れるんならしょこらもそう易々とこの時代には来れないだろう。

 

「ほらちょこ先!もう未来のしょこらちゃん帰ったってば!」

 

「ちょこ先生落ち着いてほしいのらぁー!」

 

「フーッ!フーッ!」

 

ってちょこの奴まだ荒れてるんかい?もう良いや、喋る気力もないし今日は此処までにするか。もう俺も喋る程の気力もないし、このまま寝かせてもらおう……おやすみ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―一方その頃……―

 

「ふえぇ~……パパ送る年代間違えてるよぉ~……」

 

力の使い方がまだ上手くいっていない玲二のせいで20年後ではなく20年前の2002年に飛ばされてしまったしょこらであった。結局その後未来の玲二が助けにくるまで3日は掛かったとか。

 




はい、という事で今回は玲菜とさくらとしょこらの三人でした♪
また今後もこういった感じで未来の子供達を出していこうと思います、ではまた!


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番外編『フューチャーチルドレン3』

台風の影響で旅行や帰省先で行き来が出来なくなってる人が沢山いるみたいです。自分の友人も九州に旅行に行って未だに帰れずにいるみたいなので心配です(-_-;)

今回は久々にフューチャーチルドレン!はたしてどんな子が未来からやってくるのか?今回も最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


前回から大分経って再び未来の子供達を呼び出す事にした玲二達。果たして今回はどんな子の未来の姿が待ってるのだろうか?

 

「………これ使うのもかなり久々だよな?」

 

「まあ、ちょっと使うのを躊躇ってたからね……それじゃあまずウチからいってみるね。ほらマオ、此処にお手々乗っけてね~♪」

 

「あーい♪」

 

ミオに言われてマオは素直に装置に手を置くと例の如く強い光に包まれそして次第に光が止んでいく。さて、未来のマオはどんな感じかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さあ迷える子羊達よ、今こそ祈りを捧げなさい。さすれば我等が魂は偉大なる神羅の神レイジによって悠久の祝福が与えられるでしょう」

 

『………………………え?』

 

な、なんだこいつ?!これが未来のマオなのか?!白いローブを着て祈りのポーズを構えて、まるで怪しい宗教みたいじゃねぇか!?しかもなんだ神羅の神レイジって?!まさか俺の事じゃねぇよな!?

 

―No.8 マオ―

 

「ね、ねぇ?あなたマオ……なんだよね?」

 

「?あぁ教祖様!それに我等が神レイジ様も!今日は教会には来られないとおっしゃってましたのに、どうしたのですか?」

 

『教祖様?!我等が神?!』

 

なんじゃそれ?!何、未来じゃミオが変な宗教の教祖で俺は神として奉られてるの?!なんか嫌なんだが!?

 

「あぁ我等が神レイジ様よ、今日も美しく神々しいお姿……貴方様がいる限り我等の世界は未来永劫安泰の道を歩んで行けます……!」

 

「いやいやいやいや!?別に俺神様じゃねぇよ!確かに神羅族だが神になったつもりこれっぽっちもねぇよッ!!」

 

「そうだよ!それにウチだってそんな怪しい宗教開くつもりなんてないよ!!」

 

「ッ?!そ、そんな……教祖様は世界が平和になると仰ってこの神羅教を開き我等が神も世界の平和を願い自らを神格化されたというのに、それを真っ向から否定されるおつもりですか?!それでは我々は今後どうやって生きていけば良いのですか!?う、うぅ…………」

 

や、ヤバい……なんかマオが泣き出したがどうすりゃ良いんだ?かといって俺等もそんな宗教開くつもりなんてないからどう慰めたら良いか分からん!?ミオも同じようであたふたしてしまってるし、本当にどうしたら良いんだよ?!

 

「う、うぅ……う……く、くふふ……あぁーはっはっはっは♪」

 

「え……ま、マオ?」

 

「あーはっはっは♪やっぱりパパとママからかうの面白いなぁ♪まんまと乗せられちゃってるし♪」

 

「え?!ま、まさかマオ、あんた今の嘘なの……?」

 

「当たり前じゃん、もしママがそんなカルト宗教開いたらもう絶縁モノだよ。このローブだってウチがイベントで使ってたただのコスプレだし」

 

そ、そうなのか?良かった……もし本当にミオが変な宗教開いたら今後の付き合い方マジで考えなきゃいけなかったから嘘で良かったわ……

 

「アッハハ♪それにしても昔のパパとママも全然変わんないね?さくらちゃんに聞いた時は半信半疑だったけど」

 

「え?どういう事?さくらちゃんに聞いてたって……それにこんなドッキリ仕掛けるなんて、まるで自分が呼ばれるのが分かってたみたいだけど?」

 

「あぁそれ?実は前からさくらちゃんやしょこらちゃんがよく過去のパパやママの事話してたからその辺はよく知ってるんだ~♪それと呼ばれるのが分かってた理由はレミィちゃんが未来読みでウチが呼ばれるのを教えてくれたからだよ♪」

 

「そ、そうだったのか……?」

 

ああでも良かったわ、俺の娘が将来こんなカルト宗教開いたら多分ショックで寝込んでるかもしれないし。にしても未来のマオってもしかして悪戯好きなのか?

 

「うんうん、やっぱ過去のパパ達も全然変わってないなぁ〜。強いて言えば髪型違うくらいだし」

 

「そ、そんなにウチら変わってないの?」

 

「うん、ママ達も全然老けてないし、それに……パパも変わらず格好良いしね〜♪」

 

ーギュッ♡ー

 

「お、おいマオ!?」

 

なんかいきなりマオが俺の腕に抱きついてきたんだが!?うわやっぱミオの娘なだけあって胸が……って何考えてんだ俺!?

 

「あぁ!?ちょっとマオ!あんた何パパにくっついてるのさ?!」

 

「え〜?だってウチ大っきくなったらパパのお嫁さんになるのが夢だし、もうこの際この時代に残ってパパと結婚するのもアリかもね?キャ〜♪」

 

「あんた何馬鹿な事言ってるのさ!?もう良いからさっさとレイさんから離れなさい!」

 

「やーだもーん♪」

 

いややだとか言わずに離れてくれないか?めっちゃ抱きつく力強いしミオも無理矢理剥がそうとするからめっちゃ痛いんだが?

 

「……あ、でもそろそろ時間切れみたいだね?まあ仕方ないから今日のところはこの辺にしておくね」

 

?なんだ、意外とあっさりと離れてくれたな?まぁ素直に離れてくれたならそれで良いんだが。

 

「それじゃパパ、また何時かしょこらちゃんに頼んで遊びにくるからね♪それとママ、()()()()が出てるから気をつけてね。そんじゃ、おつまぉーん♪」

 

ーシュンッ!ー

 

……今あいつサラッととんでもない事言ってなかったか?水難の相って一体何の事なんだ?

 

「もぉ~疲れたぁ〜!なぁにが水難の相さ?!マオは絶対にあんな変な子になっちゃダメだからね〜……ってマオ?」

 

「あ、あうぅ〜……」

 

あれ?マオ、一体どうしたんだ?なんか半べそでプルプル震えてるけど……まさか?

 

「ま、まんまぁ〜、おちっこぉ……」

 

「え、おちっこ?……ってえぇぇぇぇッ!?ちょ、ちょっと待って!今トイレに連れてって……!」

 

ージョボボボボボボボボォ〜……ッ!ー

 

「いやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーッ!?」

 

あー間に合わなかったか。ミオがトイレに連れてこうとするもその前にマオがミオに抱っこされたままその場で漏らしてしまった。ついこの間おむつ外れたばっかだから漏れたおしっこはそのままミオの服にも伝達していた。出すもん出せてスッキリした顔になってるマオに対しおしっこまみれになったミオはげんなりとしている。

 

「…………ちょっとウチシャワー浴びて着替えてくるから……グスンッ」

 

『う、うん…………』

 

半べそになりながら自分の部屋に戻っていくミオ。もしかしてこれが水難の相なのか?けどこれ、ミオの占いの才能を引き継いだからなのか当事者だから言ったのか分かんねぇな?

 

「じ、じゃあ次は誰いってみる?」

 

「な、なんかああいうの見るとやっぱり子供の未来見るの怖くなるよね……?」

 

「で、でもやっぱり見てみたいって気持ちが勝っちゃうんだよね……うん、次はるしあ達がやってみる!りあら、此処にお手々乗っけてね〜♪」

 

「おてて〜?あい!」

 

るしあに言われりあらがマシンに手を置くとまた強い光が辺りを包んでいく。さて、りあらは一体どんな大人になってるんだろうか……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あぁあの糞虫以下のナルシストゴミ野郎が顔が良いってだけでりあらと付き合えるワケねぇだろりあらの旦那様はパパ以外にいるワケねぇんだからゴミ虫はゴミ虫らしく誰にでもケツ振るような安くて意地汚い売春女のケツでも追っかけて自己破産でもしてろや」

 

『怖っ!?』

 

な、なんだこの子!?かなりヤバいオーラ出しながら持ってる藁人形をまるで雑巾のように絞ってるんだが!?こ、これが未来のりあらだっていうのか?!

 

ーNo.9 りあらー

 

「お、おいりあら……?」

 

「あ?なんだよ馴れ馴れしく声かけんな…………あ〜、パパァ♪そんなびっくりしたお顔してどうしちゃったのですかぁ〜?」

 

『いやキャラ変わり過ぎだろ?!』

 

うん、全く持ってその通り、りあらは俺を見た瞬間恐ろしい形相が嘘のように明るい少女の笑顔へと様変わりしたのだ。まるで最初の頃のるしあを見てるようだ。

 

「ねぇパパァ、聞いてくださいなのですぅ。りあらには大好きなパパがいるのにあのナルシスト野郎がりあらと付き合うとか抜かしたんですぅ!しかもあまつさえりあらのお胸も触ってきて……あぁ本当に○したくなるほど気持ちが悪いのです……!!」

 

「い、いや落ち着けってりあら……!?」

 

「な、なんという恐ろしいオーラ……!?」

 

「まるで最初の頃のるーちゃんみてぇぺこだね……?」

 

「え?る、るしあって皆から見たらあんな感じだったの……?」

 

「うん、まんま昔のるしあじゃね。ただ一箇所全然違うとこがあるけど……」

 

まぁ今は大人しくなったとはいえ目の前にいるりあらは昔のるしあを彷彿させる程そっくりだ。だがノエルの言う通り、ただ一箇所だけるしあとりあらには違う所がある。それは……

 

「?……!あーパパァ、りあらのお胸さんをジロジロ見てどうしちゃったのですかぁ〜♡」

 

ボインボインッ♡

 

そう、りあらの胸はその童顔で小柄な体格には不釣り合いなほど大きく育っていたのだ。これには母親であるるしあも鬼の形相になりながらりあらの胸を睨んでいる。

 

「チィ!なんでそんなに乳でっかくなってんだよ今すぐその無駄な脂肪削いでやろうか……!?」

 

「お、落ち着きなってるしあ!?」

 

「そうだよ娘にキレたってしょうがないじゃん!?でもなんでりあらちゃんそんなに胸が大きくなってんの?!」

 

「えー?りあら分かんなーい。あ、でも赤ちゃんだった時にるしあママのおっぱいだけじゃ足りなかったみたいでよくノエルママやフレアママからもおっぱいもらってたからかなぁ〜♪」

 

え、何それ?もしかしてノエルの授乳ってそんな効果があるのか?だとしたら結構な子が代理授乳してもらってるんだが……?

 

「ほらパパァ♪りあらのお胸さん、ママと違って本当にボインボインだよ。このお胸さんはパパだけの物だからいっぱい触れても良いのですよぉ♡」

 

「あぁッ?!テメェ娘のクセに父親誘惑してんじゃねぇよこの○○○○がぁッ!!」

 

「落ち着けってるしあ!?子供達がいる前でそんな教育に悪いような事言うな!!」

 

「やっぱ大人しくなったとはいえるーちゃんはるーちゃんぺこだね……?」

 

「あの母親あってこの娘ありって事じゃね?」

 

その後もタイムリミットが来るまでるしあとりあらの親子喧嘩は続きりあらが帰った後も暫く荒れるるしあであった。

 

 

 

 

 

「さ、さぁ気を取り直して次で今回は最後にするか。さて、誰にしようか……?」

 

「あ、じゃあ今度はスバルがいくッス!はいカケル、此処にタッチしてね〜」

 

「たっちぃ?えぃ!」

 

今度はスバルがカケルのおててをマシンに乗せていく。そういや男の子は初めてだったな?いっつも娘ばっかりだったから将来の息子がどんな感じなのか楽しみだな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「きゅるるるるん♡みんなぁ、お待たせ〜♪今を駆ける絶世の美女、カケルちゃんだよ〜☆」

 

『いや誰!?』

 

いやマジで誰だこいつ!?目の前に現れたのはまるで魔法少女みたいな格好をした女の子だった。もしかしてこいつがカケル?!いやいやいやいや!?カケルは男の子だぞ!?なんでこんな魔法少女みたいな格好してるんだよ?!

 

ーNo.10 カケルー

 

「お、おいお前、カケルなのか……?」

 

「ふぇ?あーとーちゃん!そんな鳩が豆鉄砲食らったような顔しちゃってどうしたのぉ?もしかして娘の顔も忘れちゃったぁ?」

 

「いや娘ってオメェは男だろうが!?なんでそんな女装なんてしてんだよ?!」

 

「はぁ?何言ってんのさかーちゃん、ボク五年前に性転換したじゃん?」

 

『性転換ッ!?』

 

え、何その衝撃的な事実!?という事は15年後、高校生くらいでカケルは性転換して女の子になるって事だよな?!かなりショッキングなんだが!?

 

「だってボク昔からぬいぐるみや可愛いお洋服とかが好きなのにかーちゃんが男の子なんだから格好良い服とか着ろってうるさいんだもん。だからとーちゃんの知り合いの人に頼んで性転換手術を受けたのもう忘れたの?」

 

「そ、そんなぁ〜……!?」

 

スバルはショックから膝から崩れ落ち床にペタンと座り込んでしまう。そりゃ息子が将来娘になるなんて知ったらショックはデカいよな?俺だって結構精神的にくらってるし。

 

「な、なぁカケル?お前は本当に性転換して良かったと思うのか?」

 

「うん!お陰でボク、前よりいろんな可愛いお洋服とかぬいぐるみとか集める事が出来るようになったし♪それにボク昔から男の子だった自分に違和感があったし……っていうかとーちゃんもかーちゃんもその事話したら許してくれたよね?」

 

…………成る程。もしかしたらカケル、心の性別と実際の性別が合わなかったのかもしれない。もしそうだとしたらカケルに無理に男として育てるのは良くないかもしれないな。

 

「……スバル、確かにショックだったかもしれないがこれはカケルの問題だ。もしカケルがそうしたいと思ったなら俺達は親としてちゃんと向き合わないといけないんだ。だから今目の前のカケルの事もちゃんと認めてやらないとな?」

 

「に、兄ちゃん……そうッスね。ごめんなカケル、かーちゃんお前の苦しみも分かんないで否定しちゃって」

 

「?よく分かんないけど気にしないでかーちゃん。ボクは女の子になれて凄く楽しいから♪それに最近格好良い彼氏も出来たし♡」

 

ーピシッ!ー

 

「…………おいカケル、誰なんだその彼氏って?一体どんな奴なんだ?ちゃんとお前の事理解してくれてる奴なのか?」

 

「取り敢えず一回此処に連れて来いそいつがカケルに相応しいかスバル達がじっくりと確かめてやるから」

 

「え?え?ど、どうしちゃったの二人とも?」

 

どうしちゃったじゃない、娘に彼氏が出来たとなったらそいつが相応しい奴か確かめるのが親の努めだからな。だから今すぐそいつをこの場に連れて来い!もしチャラ男とかだったら絶対に許さんからなあぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全く二人とも熱くなり過ぎよ?未来から来たんだからそんなすぐに彼氏なんて連れて来れるワケないじゃない」

 

「「はい……」」

 

…………確かにちょっとムキになってしまったかもしれない。けど今までファザコンになってしまった娘しか見て来なかったから実際に彼氏が出来たと聞いて少し興奮してしまった。もしかしたら将来娘達を送り出す時こんな気持ちになったりすんのかね?

 

「それにしてもカケルが将来性転換するなんてなぁ……」

 

「まぁ一応確率が高いってだけで実際はどうなるかは分からないけどな。でももしカケルが将来そうした悩みを打ち明けた時は俺達は素直に受け入れような?」

 

「…………そうッスね。でも出来れば男の子のままですくすくと育ってほしいッス。ねーカケル〜♪」

 

「?」

 

カケルはまだ理解してないのかキョトンとしてるけど、例え子供達がどんな成長をしたとしても親としてそれを支えていくだけだ。だから皆、ちゃんと良い子に育ってくれよな?

 

 

 

今回は此処まで。次回は一体どんな子の未来の姿が待ってるのだろうか?




はい、という事で今回はマオとりあらとカケルの三人でした!あくまで可能性の未来ですがこういう子供達の成長した姿を考えるのって結構大変ですがやっぱり楽しいですね♪

さて、もうすぐ本編の方も完成するので次回もまったりと待って頂ければ幸いです、ではまた!


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番外編『ベイビーズ紹介1』

少し気分転換に書きました。地文なしの台詞のみです。

セリフ「」
コメント[]


「さあ始まりました佐々木ベイビーズ紹介のコーナーです。今回この私、にじさんじの社築と」

 

「笹木咲がお送りするやよ~♪」

 

[え?何故にやしきずと笹木?]

 

[紹介は有難いけどなんでにじさんじ?]

 

「それについてなんだけど……本当になんで俺達なんだ?」

 

「それはうちが玲二さんの赤ちゃん見たいって言ったらフブキちゃんにだったら動画にしたら?って言われたからうちのチャンネルで公開する事にしたんよ」

 

「成る程、再生数稼ぎか」

 

「人聞きの悪い事いうなや!」

 

[何はともあれ楽しみ♪]

 

[今玲二の子って何人いるんだ?]

 

[確か四十人はいたはず……]

 

[多すぎw]

 

「確かに多いなこりゃ……という事でサクサクと紹介していこうと思います。まずはホロライブ0期生の皆さんからです」

 

 

 

0期生

 

「まずはこちらにいます0期生の皆さんでーす♪」

 

「はーいこんそめ~♪佐々木そらです♪そして毎度お馴染みかいりでーす♪」

 

「あい!かーい、いっちゃい!」

 

[可愛いッ!!]

 

[尊すぎる……!]

 

「確かに可愛いな、そらさんそっくりだ」

 

「ありがとー♪良かったねかいり、皆かいりの事誉めてくれてるよ♪」

 

「あい!あいあと~♪」

 

「いやぁマジで可愛いなぁ~、羨ましい……そして次はロボ子さん親子やな」

 

「はーいはろーぼ~ロボ子だよ~♪そしてこの子はボクの可愛いメルト君だよ~♪」

 

「あ、あうぅ~」

 

[この子も可愛い!]

 

[君って事は男の子?]

 

[玲牙君以外の男の子だ!]

 

「確かこの子は写真だけでこうした動画には出てきてなかったですよね?因みにこの子は何か特徴ありますか?」

 

「特徴?んーと……あ、そうだ!これを用意して……」

 

「?数字が書かれたボード?一体何すんの?」

 

「ねぇメルト、12×3は?」

 

「あぅ?あ、あうゆぅ~」

 

「え?メルト君ボードに向かって指差してるけど……まさか?」

 

―36―

 

「ッ?!36の所指差してる!?」

 

[ウソッ?!]

 

[え、赤ちゃんなのに分かるの?!]

 

[もしかして天才児!?]

 

「メルトはママより計算早いもんね~♪」

 

「あい♪」

 

「じ、じゃあ165÷15は?」

 

「う?あーい」

 

―11―

 

「合ってる!?」

 

[スゲエェェェェェッ!]

 

[ホントの天才児だ!]

 

[高性能赤ちゃんだ!]

 

「良かったねメルト、皆メルトの事凄いよだって♪」

 

「あい♪」

 

「ま、まさかこんなに頭の良い赤ちゃんもいるなんて、佐々木ベイビーズ恐るべし……!」

 

「き、気を取り直して次にいこか!それじゃ次はアズキちゃんお願いするやよ~」

 

「はーい。こんアズキ~AZKiで~す♪それとこの子がアズキの子供であんずちゃんだよ~♪」

 

「あうぅ~♪」

 

[うわぁこの子も可愛い……]

 

[ダメだ、浄化してしまいそう……]

 

[なんで赤ちゃんってこんなにも可愛いんだろうね?]

 

「本当にそうだな、赤ちゃんの笑ってる顔は見てるだけで癒されるわ。因みにこの子は何か特徴とかあるんですか?」

 

「特徴?んーと………おうたが好きなのが特徴かな?」

 

[それ特徴?]

 

[でもなんとなく分かる]

 

[流石あずきちの子供って感じがする]

 

「あはは、ありがとー♪それじゃああんず、一緒におうたをうたおうねー?せーの、ら~♪ら~♪」

 

「あ、あう、あい~♪」パチパチ

 

[手パチパチしてる]

 

[可愛いなぁ~♪]

 

[ヤバい、鼻血出そう……]

 

「本当におうたが好きなんやね?」

 

「うん♪あ、でもちょこ先生や団長が生で歌うと少し嫌がるかな?」

 

「うゅ?」

 

[あー、あの二人は……(汗)]

 

[歌は好きでも音程外れるのは嫌なのね?w]

 

「うん、それのせいか最近ちょこ先生と団長歌のレッスン積極的に受けてるみたい」

 

「なるほど、それは頑張ってほしいですね。それでは次はすいせいさんお願いします」

 

「はーい♪彗星の如く現れたスターの原石!皆のアイドル佐々木すいせいです♪そしてこの子がすいちゃんの子供できらりちゃんでーす♪」

 

「………あぅ」

 

[か、かわいい……?]

 

[なんかふてぶてしいね( ; ゚Д゚)]

 

[なんか不機嫌じゃね?]

 

「せやな、なんか全然愛嬌がないっていうか……?」

 

「あはは、実はこの子すいちゃんと玲二くん以外には決して懐いてくんないんだよね?最近笑うようになったんだけどすいちゃんと玲二くんの他に誰かいたら絶対に笑わないもん」

 

「………ぷぅ」

 

[ありゃ?顔隠れちゃった]

 

[玲牙君やカガリちゃんとはまた違った照れ屋なのかな?]

 

「照れ屋って言うより親以外には興味ないって感じかな?抱っことかはしても大丈夫なんだけど決して笑わないからね」

 

「そうなんや?でもこうして見ると玲二さんの子供って結構他人に懐かない子も多いんよな」

 

「確かに、こゆきちゃんなんて玲二以外の男には決して懐かないもんな。それじゃ0期生最後はみこさんお願いします」

 

「はーいにゃっはろ~♪佐々木みこだよ~♪そんでこの子がみこの子供でかぐらたんだよ~♪」

 

「あいッ!」

 

[みこちの子供!]

 

[初めて見たけど可愛い( 〃▽〃)]

 

[すっごい元気な子だね]

 

「ホンマに可愛いなぁ~♪ちっちゃいお手てパタパタさせとるやよ~♪」

 

「あ、あうやぁ~♪」

 

「いや本当に可愛らしいですね。ちなみにこの子は何か特徴とかあります?」

 

「特徴?そーだにぇ~…………あれ?この子なんか特徴あったっけ?」

 

「う?」

 

[特徴ないの?]

 

[いや、寧ろ他の赤ちゃん達が個性的過ぎるだけじゃね?]

 

[佐々木ベイビーズの中で一番赤ちゃんらしい赤ちゃんかも]

 

「確かにみこちの赤ちゃんって他の子に比べたら普通だもんね」

 

「えぇ~?それって良い事なのかな?」

 

「まあ確かに周りの赤ちゃんが凄いとそう思っちゃうかもしれませんがそれでも元気に育ってくれてるのは良い事じゃないですか?」

 

「うん、ボク達の子供がちょっと特殊なだけだかかぐらちゃんはかぐらちゃんらしくそのままで良いと思うよ♪」

 

「せやな、それにお母さんとしてはどんな子だろうと元気に育ってくれればそれでええやん♪」

 

「……まあそうだね。おーしかぐら、立派に成長してみこみたいなエリートな巫女になるんやで♪」

 

「にぇ~♪」ピョコッ♪

 

[え?!猫耳?!]

 

[なんか生えたんですけどΣ( ; ゚Д゚)]

 

「え?!かぐら、お前そんな事出来たんか?!」

 

「にぇ?」

 

「いや知らんかったの?!」

 

「う、うん今までこんな猫耳生えるなんて事なかったから……かぐら、お前すげーなぁ♪」

 

「あぃ♪」

 

「はぁ~、まさか最後に意外な特徴が出るとは……ではこれで0期生は全てとなりますので次は1期生と参りましょう。そらさん、そして皆さんどうも有り難うございました」

 

「はーい、それじゃあ皆まったね~♪」

 

『ね~♪』

 

「…………ね~」

 

[皆手振って可愛い]

 

[きらりちゃん最後まで笑わなかったね]

 

[いつか笑った顔みたいな]

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1期生

 

「それでは次は1期生の皆さんの赤ちゃんを見ていきましょう、まずはお馴染みフブキさんのお子さんのこゆきちゃんです」

 

「あい!こんちゃー!」

 

[相変わらず可愛い!]

 

[やっぱりこゆきちゃんは天使やなぁ……( 〃▽〃)]

 

[あれ?フブキちゃんは?]

 

「あ、そういやフブキちゃんいないなぁ?こゆきちゃん、ママは何処におるんや?」

 

「まーま、ふゆのとこ~」

 

「ふゆ?ああ、こゆきちゃんの妹の事か」

 

[え?!こゆきちゃんに妹いたの?!]

 

[確かふゆきちゃんだっけ?こゆきちゃんと違ってまだ御披露目されてなかった筈]

 

「そうなんや?そういやうちらもふゆきちゃんをちゃんと見た事ないなぁ」

 

「じゃあこゆきちゃんは今他の子達の相手をしてあげてたのかな?」

 

「あいッ!こゆ、みなとあしょんでたッ!」

 

[可愛いなぁ……]

 

[前から思ってたけど一歳にしてはハキハキ喋ってない?]

 

[それ思った。普通だったらこれくらい喋るのって二、三歳ぐらいの筈だよね?]

 

「そういや玲二さんの子供達って結構成長速いよな?」

 

「確かにグウェルも自分の子供と比べて成長が速いって驚いてたもんな」

 

「こゆ、しゅごい?」

 

「せやな、こゆきちゃんは間違いなくスーパーベイビーやな♪」

 

「あい♪」

 

[スーパーベイビー可愛い( 〃▽〃)]

 

[こゆきちゃんみたいな子欲しいなぁ]

 

「うんうん、うちも何時かは玲二さんと可愛い子を……♡」

 

「そんな叶わない願い止めとけって。では次はまつりさんお願いしてもいいですか?」

 

「はーい!わっしょーい!まつりだよ~♪そしてこの子がまつりの子供、祭華ちゃんでーす♪」

 

「あっきゃ♪」

 

[可愛いッ!///]

 

[ライオンの着ぐるみ着てる!]

 

[可愛い過ぎるッ!!]

 

「良かったね祭華♪皆祭華の事可愛いって言ってくれてるよ~♪」

 

「あぅやぁ♪」

 

「いやぁこの子も可愛いなぁ。因みにこの子の特徴って何かあります?」

 

「この子の特徴?んーとねー……あ、よくいろんな物の匂いを嗅ぐのが好きなところかな?最近だと干したてのタオルの匂いがお気に入りみたいなんだ♪」

 

「うみゅぅ……あぷぁ♪」

 

[タオルの匂い嗅いでうっとりしてるw]

 

[匂いフェチなの?]

 

[干したてのタオルってなんか良い匂いするもんね]

 

「子供ながらに匂いフェチってなんか凄いなぁ?」

 

「そうかな?祭華はママと一緒で匂い好きだもんね~♪特にパパの使用済みパ「それ以上はあかんッ!?うちのチャンネルBANされてまうッ!もう次や次ッ!!」

 

[今何言おうとした?w]

 

[ド変態にも程があるぞw]

 

「もう掘り下げんでええやろ?!もう時間も迫っとるし残りのお三方どうぞ!」

 

「な、なんか雑じゃない?まあ良いわ、アローラ~♪アキ・R・佐々木でーす♪そしてこの子はアキロゼの子でシアちゃんでーす♪」

 

「あっぷぅ……」

 

「こんかぷ~♪メルだよ~♪そしてもうお馴染みになってるメルの子供のレミィちゃんでーす♪」

 

「あいッ!」

 

「はあっちゃまっちゃま~♪はあちゃまこと佐々木はあとよ♪そしてこの子がダーリンとはあちゃまの愛の結晶こころちゃんでーす♪」

 

「うゅ?」

 

[金髪ベイビーズだ!]

 

[三人ともまんまちっちゃくなった感じだね]

 

[あんまり佐々木要素ないね?]

 

「確かにあまり玲二に似てないよな?」

 

「せやな。因みにこの子達の特徴ってあるん?」

 

「あるわよ、試しに咲ちゃんこころを抱っこしてみて?」

 

「え、抱っこ?ほい」

 

「………うぅ~」

 

「え、何?一体どうしたんや―ぎゅうぅぅぅぅぅぅぅぅッ!―痛だだだだだだだだだッ?!」

 

[乳首ら辺おもいっきりつねられとるw]

 

[確かこころちゃん貧乳キライなんだっけ?]

 

「そうそう、こころってば何故か胸のない女の子に抱っこされるのが嫌みたいで抱っこされるとこうやって相手の乳首おもいっきりつねるんだよね♪」

 

「うわぁえげつないな……」

 

「見てないで助けろや痛だだだだだぁーーーッ!?」

 

 

 

―数分後―

 

 

 

「はぁ、はぁ…め、めっちゃ痛かった……」

 

「アハハ♪ごめんね咲ちゃん♪」

 

「ねー」

 

「悪いと思うなら最初から抱っこさせんなやッ!?」

 

「まあ落ち着けって……それで、こころちゃんの特徴は分かったけどシアちゃんとレミィちゃんはどんな特徴があるんだ?」

 

「えっとね~?シアはアキロゼの影響か分からないけどお酒の匂いが好きみたい。よく晩酌とかしてると抱っこをねだってくるのよね♪」

 

「ぷぅ♪」

 

[酒の匂いが好きって……( ; ゚Д゚)]

 

[赤ちゃんなのにそれはまずくない?]

 

[ある意味将来有望だなw]

 

「まあ確かにお酒の匂いは赤ちゃんにはまずいよな?」

 

「そうそう、だからなるべくは飲んでる時は遠ざけてるんだけどそれでもたまに近づこうとしてくるんだよね。あまり遠ざけてると泣いちゃうし」

 

「う?」

 

「うーん、でもやっぱ幾らエルフ族でもお酒の匂いはアカンよなぁ?」

 

[うん、エルフ族だろうと普通の人間と変わらないからダメ]

 

[可哀想だけど匂い嗅いで酔っぱらったら危ないから止めさせよ?]

 

「うーん、やっぱりそうよね……という事でシア、悪いけどシアの為にもお酒の匂いはもうちょっと大人になってからにしようね~♪」

 

「うゆぅ……」

 

「まあしゃーないな。じゃあ1期生最後はレミィちゃんやな」

 

「うん、レミィは相変わらずメルと一緒で吸血鬼っぽいところはないけど、最近だとパパがよく買ってくる赤の野菜ジュースを好きで飲んでるよ♪」

 

「あい♪れみのじゅーしゅ♪」

 

[赤い野菜ジュース?]

 

[あーなんか昔あったね、血の吸えない吸血鬼がトマトジュース飲む話]

 

[あれ実際にあるんだ?]

 

「まあ昨今の吸血鬼は血が苦手としてる人もいるみたいだからレバーとかそういう別の形で鉄分を補ってる場合もあるみたいだけど野菜ジュースとかではあまり代用にはならん気がするけどな?」

 

「えーと、その辺はあんまり分かんないかな?メルも別に小さい時からそんなに吸血した事もないし血が欲しいとかも思った事ないからそういう体質なのかも?」

 

「じゅーしゅ~♪」

 

[レミィちゃん一々可愛い]

 

[紙パックジュース嬉しそうに見せてるレミちゃん天使]

 

[でもメルちゃんといいレミィちゃんといい本当に吸血鬼としては異例過ぎるよね?]

 

「確かに血も吸えない、日の光も平気、ニンニクも十字架も大丈夫、水の中泳げるし鏡にも写る吸血鬼なんて聞いた事もないな」

 

「あ、でもニンニクは少し苦手かな?食べると口臭くなるもん」

 

「いやそういう意味ではないやろ………まあとりあえずこれで1期生は全員やから次は2期生の所に行くとしますか。それじゃあまつりちゃんはあとちゃんアキちゃんメルちゃんありがとな~♪」

 

『はーいまったね~♪』

 

『ね~♪』

 

[次は2期生か]

 

[2期生だとまだシオンとあくたんの子見た事ないな]

 

[後スバルもだね、楽しみ]

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2期生

 

「それじゃあこっからは皆それぞれ自己紹介してもらうとするか。じゃあ皆さんよろしくお願いします」

 

「はーい、ちょっこーん♪ホロライブ2期生悪魔の元保険医ちょこでーす♪そしてこの子がちょこの子でしょこらちゃんでーす♪」

 

「………うゅ?」

 

[あれ?寝てたのかな?]

 

[寝惚けてるしょこらたんかわえぇ……(;´Д`)ハァハァ]

 

[おい危ないヤツおるぞ?]

 

「ちわーす!佐々木すばーう!そしてこいつが兄ちゃんとスバルの息子、カケルだよ♪」

 

「あ~うぅ~」

 

[息子?!]

 

[という事は三人目か!]

 

[あれだけ子供がいて息子が三人だけか……( ; ゚Д゚)]

 

「こんなきり~、あやめだぞ~♪そして久しぶりの玲菜もおるぞ~♪」

 

「あーいこんちゃ~♪」

 

[何この母娘……可愛い過ぎる]

 

[玲菜ちゃんもおっきくなったね]

 

[ダメだ、この親子の可愛さは最早兵器クラスだよ……]

 

「こ、こんあくあ~、佐々木あくあと、えっと……娘のえりあちゃんでーす……」

 

「あうぁ……」

 

[あくたんの子供ちっちゃい!]

 

[あくたん緊張し過ぎw]

 

[えりあちゃんも緊張してるのか動きが鈍いね?w]

 

「はーいシオンだよ~♪そしてこの子が玲二とシオンの娘で久遠っていうんだ~♪」

 

「むにー」

 

「やーあぁー!」

 

[シオンの子供もちっちゃいね~]

 

[久遠ちゃんがえりあちゃんのほっぺむにむにしててえりあちゃんが嫌がっとるw]

 

[なんか柔らかそうだし気持ち良いのかな?]

 

「はいそれでは一気に挨拶をしてもらいましたが、この子達もまた一癖も二癖もありそうな感じがするな?」

 

「まあとりあえず順番に見ていこか。まずはこの中で一番のお姉ちゃんの玲菜ちゃんからやな」

 

「うーん、といっても玲菜もおっきくなっただけで特に変わったところはないぞ?あ、でも玲菜って実はめちゃくちゃ力持ちなんだよね」

 

「あい!れーな、つおい!」

 

[力持ち?]

 

[あー鬼人族だからかな?]

 

[でも力持ちったっておっきいペットボトル持てるぐらいでしょ?]

 

「あー言ったな人間様?なら玲菜の凄さ見せてあげるね。ほら玲菜、社さんばんざーい♪」

 

「あーい♪」

 

「え?ばんざいってどういう―ヒョイッ―ってええぇーーーーーッ?!」

 

「どぉえぇぇぇぇーーーーーッ?!や、やしきずが持ち上がったあぁぁぁぁぁぁーーーーーッ?!」

 

[マジで?!]

 

[え、鬼人族ってこんなに力持ちなの?!]

 

[いや俺鬼人族だけど赤ん坊でこんな力は出せんよ?!]

 

「ぴょんぴょーん♪」

 

「お、下ろしてくれえぇぇぇぇぇぇぇーーーーーッ!?」

 

[やしきずがボールみたいにぴょんぴょんされてる……]

 

[え?これ配信だよね?]

 

[動画にしたってこの編集は無理だろ……( ; ゚Д゚)]

 

「ほら玲菜、そろそろ下ろしてあげな?」

 

「あーい♪」

 

―ヒョイッドシーンッ!―

 

「痛ぁッ!?い、痛てて……」

 

「あぁ!?社さんごめん!こら玲菜、もっと優しく下ろしてあげないと!」

 

「うゅ、ぷあー……」

 

「そ、それにしても玲菜ちゃんこんな力持ちやったんやな……そ、そんじゃ気を取り直して次はしょこらちゃんやな」

 

「はーい♪しょこらは最近だと漸く玲二様もちょこも近くにいなくても泣かなくなりました~♪」

 

「あい!しょこ、なかない!」

 

[おー、泣かなくなったんだ?]

 

[前までどっちかいないと泣いてたみたいだもんね]

 

「あれ?でもこの間お留守番してた時ずっと涙目でカケルに抱きついてたけど?」

 

「え、そうなの?前にフブキ様に聞いたら泣かないで待ってたって言ってたから……?」

 

「正確には泣くのをずっと我慢してたみたいだな?」

 

[寂しくて他の子に抱きついてたんだね?]

 

[これはまだまだ一緒にいてあげないとね?]

 

「そ、そうね?もうしょこらったらまだまだ甘えん坊さんね~♪」

 

「あい~♪」

 

「いやぁ微笑ましいなぁ~。それじゃ次はスバルちゃんの子やな。この子で玲二さんの息子三人目みたいやけど他にはもう男の子はおらんの?」

 

「うん、玲牙くんとメルトくんとカケルで兄ちゃんの息子は全員だね。それとカケルは最近他の子の抱き枕代わりになってる事が多いんだ」

 

「うゆ?」

 

[モテモテじゃんw]

 

[佐々木の血を引き継いでいるなw]

 

[そういやさっきしょこらちゃんもずっと引っ付いてたって言ってたもんね?]

 

[という事はこゆきちゃんとかも?]

 

「あー、流石にこゆきちゃんやきらりちゃんは抱きついては来ないね。こゆきちゃん相手が男だと赤ちゃんでもくっつくの嫌がるからね」

 

「でもこの間頭を撫でてあげたりしてたからその辺はまだ姉弟って事で大丈夫みたいね?」

 

「やっぱりこゆきちゃんはまだ男嫌いが治ってないんだな?さっき普通に接してたからもう大丈夫だと思ってたけど?」

 

「取り敢えず触れなければ大丈夫っぽいな」

 

[こゆきちゃん本当に男嫌いだもんね?]

 

[この間の番組で出た時それを知らない芸人さんがこゆきちゃん抱っこして泣かせてたもんね]

 

[逆に玲二さんにはめちゃくちゃ懐いてるよね?]

 

「せやな、まあ其処は父親だからという事だからやと思うけど……っていつの間にかこゆきちゃんの話になっとったな?そういやカケルくんは抱き枕代わりになってるって言うてたけどカケルくんは嫌がらんの?」

 

「うん、寧ろカケルは寂しがりだから誰か近くにいないと泣いちゃうんだよ」

 

「あーあぃ~♪」

 

[甘えん坊なんだ?]

 

[確かに今もスバルに引っ付いてるもんね]

 

[カケルくん可愛い(;´Д`)ハァハァ]

 

「おいなんかコメント欄に危ないヤツいるぞ?」

 

「知らん、無視や無視!それじゃ次は久遠ちゃん……ってさっきから久遠ちゃんずっとえりあちゃんの頬っぺたむにむにしとるな?」

 

「むにに~」

 

「やぁーあぁー!」

 

[ほんとだ、ずっとむにむにしてるw]

 

[よっぽど気持ちいいのかな?]

 

[えりあちゃん嫌がってるw]

 

「こら久遠、あんまりやるとえりあちゃんに嫌われちゃうよ~? 」

 

「あう?」

 

「それにしてもずっとえりあちゃんの頬を揉んでたけどこれは普段からこうなのか?」

 

「う、うん、久遠ちゃんえりあのほっぺが好きみたいで隙があればずっとむにむにしてるんだよね」

 

「うぅ~……」

 

[弄られ体質なのかな?]

 

[まるであくシオの関係そのものだなw]

 

[親も親なら子も子ってヤツかな?]

 

「確かにこの弄られる感じはあくあとシオンの関係に似とるな」

 

「二人の関係性もそのまま受け継いじゃった感じだな?」

 

「うぅ、あんまり嬉しくないんだけど……」

 

「まあそれだけ仲が良いって証拠じゃね?なんだかんだでえりあちゃんも久遠の所に近づくし」

 

「あぅ~」

 

「ぷあぃ~」

 

[仲が良いのは良い事で]

 

[久遠ちゃんあんまりえりあちゃん苛めないでね~?]

 

「まあ取り敢えずこれで2期生も全て終わったな?」

 

「せやな、じゃあ次はゲーマーズの所に行ってみようか。そんじゃ皆さん今日はありがとな~♪」

 

『はーいまったね~♪』

 

『ね~♪』

 

「むに~」

 

「やあぁ~!」

 

[結局最後までむにむにされとるw]

 

[次はゲマズか、楽しみ♪]

 

[おかゆんの子どんなんやろ?]

 

 

 

次回に続く……




次書く時はゲーマーズと3期生と4期生を紹介しようと思います。


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番外編『ベイビーズ紹介2』

明日はいよいよエアリアルの発売日!今回は予約してるのでゆっくり買いに行けます♪

今回はゲーマーズ、3期生、4期生のベイビーズ紹介です。多分次回で終わるかな?

セリフ「」
コメント[]


ゲーマーズ

 

「それじゃあ次はゲーマーズだな。まずはやっぱりフブキさんからお願いしますか」

 

「はーい、こんこんきーつね♪ホロライブ1期生兼ゲーマーズのフブキでーす♪そしてこの子が私とレイくんの第二子のふゆきちゃんでーす♪」

 

「あぅ?あ、あゅぷぅ~」

 

[可愛いッ!!]

 

[こゆきちゃんがちっちゃかった時思い出すね( 〃▽〃)]

 

[あれ?この子しっぽないんだ?]

 

「あ、ホンマや。この子こゆきちゃんと違ってしっぽがないんやな?」

 

「うん、こゆきは耳だけ私と同じで後は人間と変わらないんですって」

 

「う?」

 

[キョトン顔可愛いなぁ~]

 

[ひょっとしてこの子ももしかして男嫌い?]

 

「いえ、この子は別に男の人は平気ですね。ただ抱っこだけは私かレイくんじゃないと嫌がるみたいなんだよね~?」

 

「そうなんや?じゃあもし二人ともお仕事だったらそん時はどうすんの?」

 

「その時は一応他のメンバーに任せる事はありますがあまり抱っこはせずに寝かしつける感じみたいですね」

 

「ふぁ……ふみゅぅ……」

 

[あら?あくびしちゃってる]

 

[おねむかな?]

 

[フブキちゃんにくっついて寝ようとしてるふゆきちゃん可愛い~♡]

 

「あ、そろそろお昼寝の時間かな?はいふゆちゃん、おねんねしようね~♪よしよ~し……」

 

「ふみゅ……スゥ…スゥ…」

 

「お、どうやら眠ったみたいですね。それじゃあ次はミオさんお願いします」

 

「はーい、ウチだよ~ウチウチ♪佐々木ミオだよ~♪はい、マオもごあいさつしようね~♪」

 

「あーい、こんちゃ~♪」

 

[相変わらずマオちゃん抱っこされてるね]

 

[ちゃんとふゆきちゃん起こさないように声抑えてるね]

 

[マオちゃんえらいね~♪]

 

「マオちゃんも大分おっきくなったなぁ~」

 

「そうなんだよねぇ、お陰で抱っこするのも一苦労だよ。一度抱っこしたら満足するまで下ろせないのは変わらないし」

 

「だっこ~♪」

 

[抱っこ大好きなの変わんないね~?]

 

[でもそのうち抱っこも飽きるんじゃない?]

 

「だと良いんだけどね……マオ、そろそろ下りる?」

 

「や~」

 

「……これはまだまだ抱っこ離れは出来なさそうだな?」

 

[こうして見るとやっぱミオしゃが一番ママみがある]

 

[元からママ的雰囲気あったしね]

 

[つまりは……ミオしゃは俺達のママってコト?!]

 

「……と言ってるヤツおるけどどうなん?」

 

「ウチはお前らを産んだ覚えはねぇ!」

 

「まあそりゃそうだよな?じゃあ次はころねさんとおかゆさんの二人だな」

 

「おらよ~♪こおねだよぉ~♪そしてこの子がこおねの娘でまかろんっていうんだ~♪」

 

「わぅ、わお~ん♪」

 

「もぐもぐ~、おかゆ~♪おかゆだよ~♪それとこの子が僕とレイくんの愛娘のぴりかちゃんでーす♪」

 

「にゃあ~♪」

 

[ちっこくて可愛い!]

 

[黒髪以外は殆どころさんとおかゆんだね]

 

[わんとかにゃあとかまるで本当の犬猫みたい]

 

「ホンマや、獣人族って別に動物の鳴き声みたいな声って出さんよな?」

 

「うん、でもこの子達はなんでかわんとかにゃあって鳴くんだよね」

 

「うん、普通に他の赤ちゃんみたいにあぅ~とかは言わないねぇ?」

 

「わぅ?」

 

「にゃん?」

 

[なんでだろうね?]

 

[これも佐々木の影響か?]

 

[この子達他に特徴あるの?]

 

「あるよ~。ほらまかろん、咲ちゃんにゆびゆび~♪」

 

「わん♪」

 

「え?なんやゆびゆびって……?」

 

―ぱくっ、ちゅぱちゅぱ…―

 

「ッ!?お、おぉ~……なんやこれ?この子すっごいテクニシャンやぁ……///」

 

「いや何やってんだよこれ?!」

 

[笹木の指ちゅぱちゅぱ舐められてるw]

 

[笹木悶えんなやw]

 

「まかろんは相手の指あむあむするの大好きなんだよね♪ほらまかろん、次はやしきずにゆびゆび~♪」

 

「わぉ~♪」

 

「え、俺もかよ……?」

 

―ぱくっ………ガブゥッ!―

 

「痛ってえぇぇぇぇぇッ?!」

 

[おもいっきり噛まれてる?!]

 

[え?もしかしてやしきずの事気に入らなかったのか?]

 

「あー違うんよ、まかろんは気に入った相手に自分のモノって証付ける為におもいっきり噛むんだよね。こおねも玲二もおもいっきり噛まれたしね♪」

 

「わうぅ~♪」ガブガブガブッ!

 

「痛だだだだだぁーーーッ!?」

 

「うわぁ、この懐かれ方は嫌やな……?」

 

[凄い懐き方だねw]

 

[でもちょっとされてみたいかも……?]

 

[やめとけ、やしきずみたいになるぞ?]

 

 

 

 

 

―数分後―

 

「はぁ、はぁ、や、やっと放してくれた……」

 

「もぉやしきず大げさ過ぎるでな~?こんなん甘噛みだって、ねぇまかろん~♪」

 

「わっふぅ♪」

 

「いや甘噛みにしてはやしきずの指真っ赤になっとるけど……ま、まあ気を取り直して次はぴりかちゃんの特徴を……ってあら?」

 

「にゃぅ……スー…スー…」

 

「あ、ごめんね咲ちゃん。ぴりかもうおねむみたいだから今日はもう特徴見せれないね?」

 

[あちゃー寝ちゃったか?]

 

[可愛い寝息立ててるね♪]

 

[本当に微笑ましい…( 〃▽〃)]

 

「確かに寝顔可愛いな。因みにだけどぴりかちゃんってどんな特徴があったんだ?」

 

「あーぴりかはね~、日向ぼっこが大好きでよく中庭の窓辺で日差しを受けながら猫みたいに丸くなって寝るのが大好きなんだ~♪」

 

「そうなんや?ホンマに猫みたいな子やな」

 

[母親も結構気ままな性格だもんね?]

 

[おかゆんに似たんだね?]

 

[日向ぼっこしてるぴりかちゃん見てみたい]

 

「うん、でもそれはまた今度ね~」

 

「せやな、今はぐっすり寝とるしゲーマーズはこの辺にしとくか。そんじゃあ次うちら3期生の所に行くからフブキちゃん達またな~♪」

 

「はーいおつこんでした~♪」

 

『まったね~♪』

 

「ね~♪」

 

「わぉ~♪」

 

[次は3期生か]

 

[3期生ってカガリちゃん以外見た事ないよね?]

 

[るーちゃんいるかな?]

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3期生

 

「はいそれでは続いて3期生の赤ちゃん達の紹介です。まずはこの中で一番のお姉ちゃんであるフレアさんのお子さんからお願いします」

 

「はーいこんぬい~♪ホロライブ3期生の佐々木フレアだよ~♪そして~……ほらカガリ、一緒にごあいさつしよ?」

 

「……やぁ~」

 

[久しぶりのカガリちゃんだ!]

 

[相変わらず恥ずかしがりやなんだね?]

 

[ママの後ろに隠れて可愛い]

 

「カガリちゃん相変わらずカメラ嫌いなんやな?」

 

「そうなんだよね、初めて会う人やカメラには未だに慣れないから何回配信しても顔を見れる機会も少ないんだよ。ほらカガリ、何も怖くないからカメラに向かってごあいさつしな~?」

 

「うぅ~……」

 

[ママに引っ付いて離れようとしないね]

 

[カガリたんかわえぇ……(;´Д`)ハァハァ]

 

[ハァハァおじさんはどっか行ってくださいw]

 

「まだこの人コメント欄にいるな……?」

 

「ホンマ気持ち悪いなぁ、えっと何々……T.Kさんっていうんか?子供達が怖がるからもうこんなコメント止めてな?」

 

「ほらカガリ、一度だけで良いからカメラの前でごあいさつしよ?出来たらカガリの好きなア○パ○マンチョコ買ってあげるよ♪」

 

「……ほんとぉ?」

 

「うん、ホントホント♪」

 

「あぅ……こ、こんちゃ~……」

 

[恥ずかしがりながらもちゃんと挨拶してる!]

 

[カガリちゃん偉いね~♪]

 

[照れてるカガリちゃん可愛い]

 

「ほら皆カガリの事可愛いって言ってくれてるよ♪」

 

「あ、あうぅ~……」

 

「あ、また隠れてもうたな?」

 

「けど頑張って挨拶できたのは偉いな。それじゃ次はぺこらさんお願いします」

 

「はーいこんぺここんぺここんぺこ~♪ホロライブ3期生のぺこーら~♪そしてこの子がぺこーらの娘のレヴィちゃんぺこ♪」

 

「あぃ~♪」

 

[え?髪の毛ピンク色?!]

 

[ぺこちゃんとも佐々木とも違う?!]

 

[実は別の男との子だったり……?]

 

「んなワケねーぺこ!ぺこーら今まで師匠にしか抱かれた事ねーぺこだよ!!」

 

「いや気持ちは分かるが配信で堂々と抱かれたなんて言うなよ?!」

 

「そういうお前もんな事でかい声で言うなや!?」

 

[白昼堂々抱かれたってw]

 

[逆に玲二以外の男に抱かれた娘っているの?]

 

[流石にいねーんじゃね?]

 

「もうその話ええわ!それでぺこら!この子の特徴は?!」

 

「なんでちょっとキレ気味なんだよ?!まあ良いぺこだけど……この子は師匠以外は何故か獣人族にしか懐かないぺこだね」

 

「そうなのか?それでもやっぱり玲二には懐いているんだな?」

 

「まあなんたってパパだから懐いて当然ぺこだけどね。それとこの子は本当に可愛くて良い子ぺこなんだよ~♪」

 

「う~ん………!」

 

[あれ?なんかレヴィちゃん苦しそうじゃない?]

 

[苦しそうっていうかなんか踏ん張ってない?]

 

「あ、ホンマや。なんかめっちゃ踏ん張って…………」

 

―ブッ!!!!!!―

 

―ビクゥッ!?―

 

「ふぇ……ふぎゃあっ!ふぎゃあぁ~っ!」

 

「あぁッ?!ち、ちょっとマリア大丈夫!?びっくりさせちゃったね~よしよ~し……」

 

[ものすごいおなら出たねw]

 

[近くにいた船長の子供が泣いてるw]

 

[画面越しでもびっくりした……]

 

「こらレヴィ!?あんた皆が見てる前で何してんだバカタレ!」

 

「キャッキャ♪」

 

「この状況で笑ってるって……もしかしてさっきのおならもわざとか?」

 

「だとしたらこの子撮れ高分かっとるな?」

 

「んな事どーでもいいぺこ!しかもさっきの音からして……やっぱあんたおならだけじゃなくて実まで出してるじゃねーぺこか!?」

 

「ふぎゅ、ふえぇ~……」

 

[実も出ちゃったの?w]

 

[早くオムツ替えてあげないとw]

 

「あーもう!ちょっとぺこーらレヴィのオムツ替えてくるから少し抜けるぺこ!ほらレヴィも自分が悪いんだから泣かないの!」

 

「ふえぇ~……」

 

「い、行っちゃったな……き、気を取り直して次はマリン船長お願い出来ますか?」

 

「は、はい。Ahoy~宝鐘海賊団船長のマリンですぅ~♪そしてこの子が船長と玲二くんの愛の結晶マリアたんでーす♪」

 

「ふぇ……ヒッグ」

 

[船長が赤ちゃん抱っこしてる?!]

 

[何処から拐ったの?!正直に言いなさい!]

 

[今からでも遅くないから自主しよ?]

 

[俺等も頭下げてあげるから!]

 

「ちょっとぉッ?!キミタチ何人の事誘拐犯みたいに言ってんだよぉ!?この子は正真正銘玲二くんとあたしの子だってばあぁーーーッ!!」

 

「ッ!?ふぇ、ふぎゃあっ!ふぎゃあぁーーーっ!!」

 

「あぁッ!?ご、ごめんねマリアちゃん、びっくりさせちゃったね?よしよ~し、良い子良い子~♪」

 

「うわぁ、結構大声とかに敏感なんやなこの子?」

 

「さっきのレヴィちゃんのおならでもびっくりして泣いてたしな?」

 

[繊細な子なんだね?]

 

[本当に船長の子か?]

 

[いや、船長わりと繊細な部分あるから……]

 

「……なぁんで船長の時だけこんなに疑われるのさぁ~?!マリアは本当に船長と玲二くんの子供なのにぃ~!?」

 

「ふぎゅ、ふえぇ~……」

 

「あーあ、マリン船長まで泣いてしまったな……」

 

「もうこれ以上は弄ったらアカンな……お前らも船長の子供に対してそんな事言ったらアカンからな!?」

 

[ごめんなさい……]

 

[いつものノリで弄っちゃいました……]

 

「ん、分かればえぇんや。それじゃ次は……あれ?団長何処にいるんや?」

 

「はーい、こっちにおるよ~♪」

 

「あーうぅ~♪」

 

「あ、戻ってきたみたいだ……な……?」

 

[え?何あれ……?]

 

[団長が赤ちゃんと一緒にでっかい哺乳瓶持ってるんだけど?!]

 

[え?まさかそれ飲ます気?!]

 

「あ、あのノエルさん?まさかとは思いますがその哺乳瓶ってもしかして……?」

 

「ん?勿論めぐみのミルクじゃよ~♪ほらめぐみ、たーくさん飲んで良いからね~♪」

 

「あーい♪んぐっ…んぐっ…」

 

[ッ?!めっちゃ速いスピードで減ってる!?]

 

[嘘だろ?!ざっと見てもでっかいペットボトルジュースぐらいはあるぞ!?]

 

[ど、どうなってんのそれ?!]

 

「いやいや!?マジでこれどうなっとるんや?!」

 

「この子すっごいミルクが好きなんだ~♪普段は少食でそんな食べないんだけどたまにこんなふうに2Lのミルクを飲んじゃう事があるんよ」

 

「いやそれにしたって本当にどうなってんだこれ?!もう殆ど飲み干してるのにこの子全然体型変わってないぞ!?」

 

「……ぷはぁ♪けっぷ」

 

[ま、マジで飲み干した……( ; ゚Д゚) ]

 

[あんな量一気に飲み干したのに全然身体に変化ないのなんで……?]

 

[もしかしてこれ産まれてからずっとこうなの?]

 

「そうなんよ、団長がお乳あげてる時も大胸筋痛くなるまで吸ってたから他の子にも授乳を手伝ってもらってたんだけど結局皆痛さに耐えられなくなってそれから粉ミルクで与えるようになったんだ~」

 

「そ、そうなのか……少食とは言ってたけど実はとんでもない大食漢、なのか?」

 

「ふわぁ~……うみゅぅ……」

 

[ありゃ、寝ちゃった]

 

[満足してそのまま寝ちゃって可愛い( 〃▽〃)]

 

[それにしても玲二の子ってやっぱ不思議な子が多いなぁ?]

 

「確かに玲二さんの子供達って大なり小なり変わった特徴あるもんな?ほな3期生はこれで全員やな?」

 

「あ、ちょっと待って………ねぇるしあ、やっぱりるしあもこっちで一緒に配信出る?……そっか、わかったよ。ううん良いって、無理は良くないしね………皆ごめんな、今るしあ画面外にいて出てみるか聞いたけどやっぱりもう写りたくないって」

 

「そっか、まあ無理しちゃいかんしな」

 

[るーちゃん見たかったなぁ……]

 

[こればっかしはしゃーない]

 

[るしあちゃんも赤ちゃんも元気でね]

 

「というワケで3期生は以上となります。次は4期生の子供達を見ていきましょう。という事で皆さんどうも有り難うございました」

 

『はーいありがとね~♪』

 

[次は4期生か]

 

[4期生の子って会長の子以外は見た事ないな?]

 

[楽しみ]

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

4期生

 

「はい、という事で続いては4期生の皆さんです。それぞれ自己紹介お願いします」

 

「はーい、へいこんかなた~♪佐々木かなたでーす♪この子は僕の娘でミカっていいまーす♪」

 

「あ、あうぅ~」

 

[かなたその赤ちゃん!]

 

[頭にちっちゃい星の輪がある!]

 

[背中の羽ピコピコ動いて可愛い~///]

 

「こんばんドドドー!わためだよ~♪そしてこの子がわための赤ちゃんでらいむっていいまーす♪」

 

「ぷぅ~」

 

[ちっちゃくて可愛い~♪]

 

[おしゃぶりが羊型になってる]

 

[共食い?]

 

「こんやっぴぃ!トワ様でーす♪そしてこの子が……ほらクリス、皆に顔見せてあげないと?」

 

「……………」

 

[トワ様にがっしりしがみついてるw]

 

[顔も見えないしなんも喋らないね?]

 

[カガリちゃんみたいな照れ屋なのかな?]

 

「んなぁ~、ルーナなのらぁ~♪そしてこの子がにーちゃとルーナの赤ちゃんのミーアなのら~♪」

 

「うゆっぷぅ~♪」

 

[姫の赤ちゃんってだけで違和感バリバリw]

 

[赤ちゃんが赤ちゃん抱っこしてるw]

 

[母娘ではなくて姉妹に見えるね]

 

「へいこんドラゴーン!佐々木ココデース♪そして毎度お馴染みさくらだぞ~♪」

 

「みんなー、ひさしぶり~♪」

 

[さくらちゃんおっきくなったね]

 

[待って、会長のお腹大きくない?]

 

[え?まさかの二人目?!]

 

「ホンマや、ココ会長のお腹おっきいな?」

 

「まあワタシは今皆と違ってほぼ専業主婦だからな。桐生会も今は他の奴が引き継いでくれてるからほぼ自由だから二人目作ったんだよ」

 

「そうなんですか。因みに結構お腹大きいですけどもう臨月なんですか?」

 

「いや、まだ6ヶ月だよねココ?龍人族は卵で産まれるから他の種族より若干大きくなっちゃうんだって」

 

「おう!さくら産んだ時も股裂けっかと思ったぞ!」

 

[言い方w]

 

[龍人族って卵で産まれるんだ?]

 

[龍人族の出産って結構大変らしいからね]

 

「そうそう、だから社さんもドーラと子供作るんだったらちゃんと労れよ?」

 

「ななな?!なんでその事知ってんだよ?!///」

 

「いやそりゃもう周囲の皆既に知っとるよ?来月には籍入れるんやろ?」

 

[そうなの?!]

 

[やしきずおめでとー♪]

 

[奥さん大事にしろよ~?]

 

[浮気すんなよー?]

 

「良いんだよ俺の事は!?今は玲二の子供達の紹介だろ?!」

 

「せ、せやな。それじゃまずは誰から特徴説明する?」

 

「あ、じゃあ僕からいくね?ミカは最近だと玲二君を見ると一生懸命羽ばたいて頭に乗っかるのが好きなんだ。勿論ちゃんと落ちないように見てあげてるけどね♪」

 

「あぅあ~♪」

 

[飛べるの?!]

 

[天使って飛べるの大体三歳ぐらいじゃないと無理じゃね?]

 

[流石佐々木ベイビーズ、成長速度がハンパない……( ; ゚Д゚)]

 

「あ、やっぱり飛べるのって本当はまだ先なんだ?」

 

「もお此処まで来ると玲二さんの子供って事で当たり前みたいに感じてしまうな……」

 

「あぃ~?」

 

[此処まで来ると玲二の種族疑ってしまうわ……]

 

[佐々木の種族って本当にただの人間なの?]

 

「……まあ人間だね、うん」

 

「その辺に関しては本当に分からんからあんまり深掘りしないでおこうか?じゃあ次はトワさんだけど……クリスちゃん未だに顔見せないな?」

 

「………………」

 

「あーうん、この子一度不機嫌になるとこんな感じでずっとしがみついて黙っちゃうんだよね」

 

[不機嫌なのか?]

 

[何かあったの?]

 

[もしかして何か怒られた?]

 

「いや怒ってはないんだけど、さっきまで玲二さんに抱っこされてて上機嫌だったのに玲二さんが仕事に戻るからってクリスをおろしたら機嫌悪くなっちゃってね。でも大丈夫だからちょっと待ってて……ほらクリス、パパはお仕事頑張ってくれてるんだからそれ終わったらまた後で遊んでもらおうな~♪」

 

―ナデナデ―

 

「………あいぃ~♪」

 

[あ、笑った!]

 

[撫でられたら嬉しそうな顔になった!]

 

[なでなでが好きなのかな?]

 

「そうそう、この子頭を撫でられるのが大好きなんだ。だから機嫌悪くなったら優しく撫でてあげると大体は機嫌直してくれるんだわ」

 

「あいぃ~♪」

 

「そうなんや?ともかく機嫌直してくれて良かったな♪じゃあ次はわためお願いするやよ~♪」

 

「はーい♪らいむはねぇ、よくわための指をちゅぱちゅぱするのが大好きなんだぁ~♪」

 

「あ、あぅやぁ~」

 

[指をちゅぱちゅぱ?]

 

[まかろんちゃんみたいな感じか?]

 

「……なんかついさっきの嫌な記憶が……」

 

「あー、それは大丈夫。らいむはわための指しかちゅぱちゅぱしないし噛まないからね」

 

「そうそう、因みにらいむちゃんがわための指舐めるのお腹がすいた合図なんだよね」

 

[お腹がすいた合図……?]

 

[それってつまり……?]

 

[わため、娘に食糧だと思われてない?]

 

「えぇ~?そんな事ないってばぁ、あくまで愛情表現だもんね~らいむぅ♪」

 

「…………………………ジュルリ」

 

「おいちょっと待て、今この子唾飲んでなかったか?」

 

「き、気のせいやきっと!?そ、そんじゃ次はルーナ姫お願いするわ!」

 

「はーい♪ミーアはね、最近だとパパ以外にカケルくんによく抱きついておねんねする事が多いのらぁ♪」

 

「あい♪」

 

[カケルくんってスバルちゃんの子だよね?]

 

[親子揃っててぇてぇか]

 

[スバルーナとカケミーアてぇてぇ]

 

「しゅばとは殆ど同じタイミングで出産したから多分ミーアも安心出来るんだと思うのらね」

 

「そういやさっきスバルもカケルくんはよく皆の抱き枕になってるって言ってたな?」

 

「同じタイミングで産まれた兄妹同士波長が合うのかもな?」

 

「うん♪でも最近だとミーア、カケルくんに他の赤ちゃん達が集まってなかなか抱きついて寝れないもんね?」

 

「うゆぅ~……」

 

[カケルくんモテモテやんw]

 

[流石玲二の息子だw]

 

[将来は佐々木さんみたいにハーレム作ったりして?w]

 

「……うん、普通にありえそうやな」

 

「まあおそらく何処かで一修羅場ありそうではあるな?じゃあ最後はココさんお願いします」

 

「はーい、さくらは最近だとお姉ちゃんになるのが楽しみみたいでワタシのお腹にぴったりくっつく事が多いな♪」

 

「さくらのしゃてい~♪」

 

[舎弟ってw]

 

[何はともあれさくらちゃん嬉しそう♪]

 

[ココ会長も幸せそうで何より( 〃▽〃)]

 

「おう!今ワタシすっごく幸せだぞッ!!」

 

「ココいろんな事から解放されて本当に幸せだもんね♪」

 

「だからやしきずもドーラとちゃんと幸せになれよ!」

 

「だから今それは良いって!?///そ、それでは4期生はこの辺にして次は5期生に移りましょう皆さん有り難うございましたッ!!」

 

『はーいまたね~♪』

 

『ね~♪』

 

「なんか無理矢理切ったなやしきず?w」

 

[照れてるやしきず珍しかったなw]

 

[次は5期生だ~♪]

 

[ししろんの双子ちゃんも楽しみ♪]

 

 

 

 

 

次回に続く……




あ、後そろそろテストの方も更新しないと……( ; ゚Д゚)


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番外編『ベイビーズ紹介3』

最近ホロメン達がガンダムのゲームの配信を初めて嬉しい限りなんですがこの小説と本人達の好みが違ってしまっているのが少し悩ましいです(ー_ー;)
まあこちらはあくまでもオリジナルストーリーという事なので気にせずやっていこうと思います(^^;
今回は佐々木ベイビーズ紹介第三回目です。最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


5期生

 

「はい、それでは残す処後僅かとなりましたがどんどんいきましょう。続いては5期生の皆さんお願いします」

 

「ほーい、ららいおーん♪佐々木ぼたんだぞー♪そんで普段からもちょくちょく配信とかで出てるけど玲牙とつばきもいるぞ~♪」

 

「あむむ~」

 

「やぁーあぁーッ!」

 

[つばきちゃん玲牙くんに乗っかって耳あむあむしてるw]

 

[玲牙くん嫌がってるなw]

 

[さっきの久遠ちゃんとえりあちゃんのやりとりみたいw]

 

「こんラミです、ラミィでーす♪そして久しぶりのキララちゃんもおるよ~♪」

 

「あぃ、こんちゃ~♪」

 

[お、喋れるようになってる]

 

[前回の配信で紹介された子達はもう喋れるみたいだね]

 

[アホ毛ピコピコしてる(^o^)]

 

「ポルカおるか~?おるよ~♪佐々木ポルカでーす♪そんでこの子がポルカの子でエレオっていうんだ♪」

 

「あぃ~?」

 

[めっちゃきょとんとしてる]

 

[首傾げて可愛い♪]

 

[目元おまるんにそっくりだね]

 

「こんねねー!ねねだよ~♪そしてこの子が……ってねるダメだってお洋服脱いじゃ!?」

 

「キャッキャ♪」

 

[オムツ一丁で笑ってるw]

 

[露出狂だ露出狂w]

 

[母親と一緒で恥じらいがないw]

 

「いやぁいきなり癖の強い子がおるなぁ?」

 

「そうだな。それにしても俺等もよく玲牙くんと会うが相変わらずつばきちゃんに遊ばれてるんだな?」

 

「まあつばきは玲牙の耳好きだからね「まんまぁ~!」おっと?ほら玲牙、あんたつばきの兄ちゃんなんだからしっかりしないと。つばきもあんま兄ちゃんの耳あむあむすんなよー?」

 

「やぁー、にーちゃぁ~」

 

[玲牙くん逃げれたんだ?]

 

[つばきちゃん涙目で玲牙くんに手を伸ばしてる]

 

[よっぽど玲牙くんの耳好きなんだね?]

 

「それにしても玲牙くんはホンマに気弱やな?玲二さんもぼたんちゃんも別にそうでもないのになんでやろ?」

 

「んー、多分気の強さが殆どつばきにいっちゃったせいじゃないかな?つばきは家族や知り合い以外だと威嚇するしね」

 

「確かに俺等も最初威嚇されたな」

 

[そういやテレビで初めて出た時も他の演者さん達に威嚇してたもんね?]

 

[その横で玲牙くんずっと泣いてたもんね]

 

[珍しくししろん戸惑ってたもんね]

 

「まあ確かにあん時は初めての事だから仕方なかったんだけどね?この子達は今でも手の掛かる双子だよ」

 

「にーちゃぁ♪あむ~♪」

 

「やぁ~!ちゅばやぁ~!」

 

[あ、また耳あむあむされてる]

 

[つばきちゃん嬉しそう]

 

[玲牙くんは嫌がってるけどねw]

 

「……なんだかんだで仲良さそうやな?じゃあ次はラミィちゃんお願いするやよ~♪」

 

「はーい♪キララは最近はパパばっかりにくっつくから寂しかったけど今日は珍しく機嫌良くて抱っこさせてもらえたんだ~♪」

 

「あぃ♪」

 

[そうなんだ?]

 

[もしかしてあんまりラミィちゃんに懐いてない?]

 

「んー?そんな事ないと思うんだけどね?たまにラミィが抱っこするとこの子嫌がる時あるんだよね」

 

「……ねぇラミィ、それなんだけどさ?多分キララちゃんがラミィを嫌がる時って酒入ってる時じゃないの?」

 

「え……?」

 

「そういやこの間俺が玲二と二人でゲームしてた時にやって来た時もビール飲んでた俺を避けて玲二にくっついていたな?」

 

「もしかしてキララちゃんってお酒の臭いが嫌いなんじゃないの?」

 

「え?そ、そうなのキララ……?」

 

「きら、おしゃけくちゃいのやぁ」

 

Σ(TДT)ガーンッ!

 

[娘に嫌われたw]

 

[シアちゃんと真逆だな]

 

[飲んべえの子供が必ずしも酒好きになるとは限らない]

 

「あーだからこの子にじさんじメンバーの中でも尊っちゃんとかには懐かなかったんや?」

 

「身内だとアキ先輩やあやめ先輩のお母さんにも懐かないね」

 

「そこら辺はもう身体に酒の臭い染み付いちゃってるもんな」

 

「うぅ~、キララぁ~……」

 

(……けどそんな子がもしかしたらあんなふうになるかもしれないと思うと怖いよなぁ?)

 

※ぼたんが言うあんなふうにとは番外編『フューチャーチルドレン』にて。

 

「んじゃ次はポルカお願いするやよ~♪」

 

「ほーい。エレオはねぇ、こう見えて手品が得意なんだぁ♪」

 

「あい♪」

 

[手品?!]

 

[赤ちゃんなのに出来るの?!]

 

[最早何でもありだな……?]

 

「ほ、本当に手品なんて出来るのか?」

 

「うん、例えばこのトランプで……ほい咲ちゃん、この中から一枚好きなの選んでもらって良い?」

 

「へ?じ、じゃあこれで……」

 

ハートの5

 

「ほーい、じゃあこれをいれて混ぜて……はいエレオ、咲ちゃんが選んだカードはどーれだ?」

 

「う~……あい!」

 

スペードの8

 

「……あれ?全然ちゃうんやけど?」

 

[あれ?失敗しちゃった?]

 

[やっぱ流石に無理か……]

 

「うゅ?あーい」

 

トランプ裏返し→コスコス→めくり

 

ハートの5

 

「「はあぁッ?!」」

 

[絵柄変わった?!]

 

[え?!待って今何した?!]

 

[裏返して擦ったら絵柄が変わるだと……?!]

 

「ほい咲ちゃん、これで合ってるしょ♪」

 

「いや合っとるけど今マジで何したん?!」

 

「え、今のポルカさん何かしたのか?!」

 

「いや、ポルカこんな事出来ないし。なんだったらもう一回やってもらえば?」

 

「あい♪」

 

「え?じゃ、じゃあ次はこれで……」

 

「あ、あぅ、あーう」

 

「ん?あ、エレオがついでにそのトランプに何かマーク付けといてもらって良い?って」

 

「え?あ、あぁ……よし、これで良いか?」

 

クローバーのK(やしきずサイン入り)

 

「よし、これを再び良く混ぜて……ほいエレオ、社さんが選んだカードはどーれだ?」

 

「あーい!」

 

JOKER

 

「あら?また外した」

 

[いや、こっからだ!]

 

[またカード擦るのか?]

 

[今度は見逃さないぞ!]

 

「うぁ、やあぁ~!」バンバンッ!

 

「あー社さん違うってこっちだって」

 

「は?山札?確かにそんなかにはまだあるだろうけど……?」

 

「やぁー!」

 

「良いから捲れだって」

 

「わ、分かったって……?」

 

めくり

 

残りのカード全部クローバーのK(やしきずサイン入り)

 

「「はあぁーーーーーー?!!?」」

 

[な、何が起きた?!]

 

[引いたカードじゃなくて残りのカード全てがやしきずの選んだカードだった……?!]

 

[まるで意味が分からんぞ?!]

 

[しかもちゃんと全部にサイン入ってない?!]

 

「ホンマや!?全部にやしきずのサインが入っとる?!」

 

「どうなってんだよこれ?!さっきまでこのトランプ普通だったぞ?!」

 

「う?あーうぅ~」

 

トランプ全部裏返し→おててパンッ→めくり→元通り

 

「へあッ?!も、元に戻ったぁ?!」

 

[赤ちゃんが此処まで出来るの?!]

 

[史上最年少マジシャンだ!]

 

[あれ?クローバーのK何処いった?]

 

「あれ?確かにクローバーのKだけないんだが……?」

 

「あ、あぅあ~」

 

「社さん、胸ポケットだって」

 

「え?ま、まさか……ッ?!入ってたあぁーーーーーッ!?」

 

「怖い怖いッ?!此処まで来ると最早恐怖しかないわッ!?」

 

[え?エレオちゃんって今いくつなの?]

 

[おまるんの出産報告からしたらまだ一歳にもなってない筈だけど……?]

 

[幼児がこれだけの事理解してやるなんて確かに怖いわ……]

 

「ん~?やっぱ流石に異常なのかな?」

 

「う?」

 

「いや異常過ぎるわ!?こんなん普通の大人ですら出来る事やないって!?」

 

「まあエレちゃんって手品大好きでよくテレビで手品やってると喜んで見てるもんね?」

 

「そうそう、今のトランプの手品だって有名なマジシャンがやってたヤツだし」

 

[そうなの?!]

 

[そういえば似た手品したマジシャンいた気がする!]

 

[でも見ただけで真似出来んの?!]

 

「エレオは未来の尾丸サーカス団の花形だもんね~♪」

 

「あぃ~♪」

 

「いやそういう問題じゃ……もうこれ以上追及すんの止めよっか?」

 

「そうだな、なんか怖くなってきたし……じ、じゃあ最後にねねさんお願いします」

 

「な、なんかエレオちゃんの後だとやりにくいなぁ……ってあれ?ねるちゃん何処行ったの?」

 

[あ、本当だいなくなってる?]

 

[さっきまでいたよね?]

 

[もしかして部屋から出ちゃった?]

 

「えぇ?でもねるはまだハイハイ出来ないから寝っ転がるしか移動手段ない筈「あうぅ~♪」あ、ねるちゃん一体何処に……ってねる!?お前一体何してんのさ?!」

 

「あうあぅあぁ~♪」ゴロゴロ

 

[脱いだオムツ頭に被ってるw]

 

[汚ねぇw]

 

[流石ねねちの娘だw]

 

「こらねる!そんな事したらばっちぃでしょ!?ほら早く取って!」

 

―スポンッ―

 

「あぅあ~……うぉえぇ~」

 

[目回って嗚咽してるw]

 

[志○けんみてぇw]

 

[令和の○リフターズだなw]

 

「なんか今まで見た玲二さんの子の中で一番自由な子やな?」

 

「うぅ~、いつもはこんなんじゃないのにぃ~!?」

 

「多分カメラに撮られて気分が上がっちゃったんじゃない?」

 

「成る程、カガリちゃんとは反対でカメラに写るとテンション上がるのか」

 

[撮れ高分かる赤ちゃん凄いw]

 

[エレオちゃんの凄さを吹っ飛ばすくらいのインパクトあったなw]

 

[ねるちゃん最高w]

 

「もうやだぁ~!これじゃまるでねねがちゃんと子育てしてないように思われるじゃん~!?」

 

「大丈夫だって、ねねちが一生懸命子育てしてるのあたしら知ってるからさ」

 

「そうそう、ねるちゃんもちょっとテンション上がっちゃっただけだから許してあげよ、ね?」

 

「あぷぁ♪」

 

「うぅ~……」

 

[ねるちゃんの子育て大変そうw]

 

[そんなねるちゃん育ててるねねち凄い]

 

「ほら皆もねねちゃんの事凄いって言ってくれてるから大丈夫だって♪」

 

「うぅ……ねる、これからはカメラ写ってても大人しくしようね?」

 

「あい♪」

 

「では5期生の子供達は以上という事で、次は6期生holoXの皆さんの所に行きましょうか。それでは5期生の皆さん有り難うございました」

 

『はーいまたね~♪』

 

『あーい♪』

 

[次はholoXか]

 

[6期生で玲二の子見た事ないな]

 

[ラプラスおるやん]

 

[あれは違うやろw]

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

6期生

 

「はいそれではホロライブでは最後の6期生の皆さんです。ご順番に紹介どうぞ」

 

「刮目せよ!秘密結社holoX総統にして佐々木家長女、ラプラス・D・佐々木だ!」

 

[出た!皆のお姉ちゃん!]

 

[YMD!]

 

[山田!]

 

[ベイビーズではないじゃんw]

 

「はーい皆ー、待ったかね~?holoX幹部の佐々木ルイでーす♪そして本邦初公開つばさちゃんでーす♪」

 

「あぶぶぅ~」

 

[あれ?茶髪だ?]

 

[これまた両親とも違う髪色だね?]

 

[でもルイ姉と佐々木さんの髪色合わせたらこんな感じじゃね?]

 

「こんこよ~、holoXの頭脳佐々木こよりだよ~♪そしてこの子はこよと玲二くんの愛娘!ひよりちゃんだよ~♪」

 

「ぷぅ~♪」

 

[こよちゃんの赤ちゃん!]

 

[あんまり佐々木要素ないね?]

 

[佐々木要素ない子も結構いるよね?]

 

[それだけホロメンが可愛い証拠]

 

「ばっくばっくばくーん♪holoXの掃除屋でインターン佐々木クロヱでーす♪そしてこの子が沙花叉とお兄ちゃんの娘のフィルちゃんだよ~♪」

 

「あ、あぁう……」

 

[なんか微妙に表情固いね?]

 

[もしかして緊張してる?]

 

[どうでも良いけどもう佐々木なのに未だに沙花叉って言ってるの混乱するな?]

 

「はーい、holoXの用心棒いろはでござる~♪そしてこの子が風真の子供のにほちゃんでござるよ~♪」

 

「あっぷぅ♪」

 

[タヌキのおしゃぶりしてて可愛い♪]

 

[それにしてもいろはちゃんといいクロヱといいそろそろ一人称変えたら?]

 

[確かにいつまでも沙花叉と風真だとややこしいなw]

 

「うーん、こればっかしはちょっと……」

 

「風真も沙花叉も幼少の頃からずっとこの一人称だったからなかなか変えられぬでござるよ」

 

「まあ玲二も気にしてる様子もないから良いんじゃないか?」

 

「せやな。それよりも早く赤ちゃん達紹介してもらってええかな?」

 

「はーい、まずは私からいくわ。つばさは何でか分からないけどよくお姉ちゃん達に構ってもらう事が多いのよね?」

 

「ぷぅ?」

 

[そうなんだ?]

 

[カケルくんみたいな感じ?]

 

[モテモテじゃんw]

 

「へぇ、じゃあカケルくんみたいに皆の抱き枕とかになってんの?」

 

「いえ、そういう感じじゃなくてよく頭をナデナデされたりおやつの玉子ボーロをもらったりガンプラの入ったカプセルもらったりしてるのよ」

 

「成る程、甘やかされてるのか」

 

「そうなの、だからこの子がもしかしたら周りがなんでもしてくれるみたいな考え方しないかちょっと心配なのよね……?」

 

[あー確かにそれは心配だ]

 

[そうした子ってろくな大人にならないもんね?]

 

[まあその辺は玲二さんがいるうちは大丈夫でしょ?]

 

「せやな、玲二さん間違った事ビシッと叱ってくれるもんな」

 

「それにまだ赤ん坊なんだから甘えられる内は甘えても良いと思うぞ?」

 

「うーん、そんなもんかしら?」

 

「あぅ、ぷやぁ♪」

 

[赤ちゃんの時に無理に叱るよりある程度おっきくなってから躾た方が良いと思う]

 

[赤ちゃんのうちはある程度は自由にさせて良いと思うよ?]

 

「……ならルイ友さんを信じてもう少し甘えさせてもらおうかしら?ねーつばさ~♪」

 

「あいぃ~♪」

 

「よし、話もまとまったみたいやし次は博士お願いします!」

 

「はーい♪ひよちゃんはねぇ、最近だと本を読むのが好きなんだよね~♪」

 

「あい!」

 

[本?]

 

[絵本とかかな?]

 

[いや、多分だけど絵本じゃなくね……?]

 

「確かにこのパターンで普通だった試しがなかったような……」

 

「もぉ失礼しちゃうなー?!ひよちゃんはちゃんと絵本が好きなんだよ。桃太郎とか浦島太郎とか金太郎とか」

 

「……なんかチョイスに引っ掛かりを感じるけど確かに普通やな?」

 

[あれ?普通に絵本好きだったな?]

 

[哲学本とか読んでそうだった]

 

「もぉ失礼だね皆!?ひよちゃんはそんな小難しい本なんか読まないもんね~♪」

 

「きゃう♪」

 

「へぇ意外やな?因みに今ひよりちゃんが持ってる本はなんや?」

 

「あ、これ?これ今は赤ずきんの本だね」

 

「へぇ赤ずきんか……ってちょっと待て?」

 

「?どないしたんやしきず?」

 

「………いやこれグリム童話じゃねーか?!こんなの子供に見せたらダメだろ?!」

 

[グリム童話?]

 

[あー、童話の原作か]

 

[確か現代版に比べてグロい要素とかもあるヤツだよね?]

 

「え?!そ、そんな本読ませてたん?!」

 

「だってひより普通の絵本だと全然納得してくれないから試しにグリム童話見せたら喜んでくれたんだもん」

 

「キャッキャ♪」

 

「ひよりちゃんこういうの平気なんだけど他の子がこの本見て大泣きしてたわ……」

 

[普通にアカンやんw]

 

[なんで平気なの?]

 

[もし理解した上で平気なら怖いよこの子……( ; ゚Д゚)]

 

「えぇ~?面白いのにね?」

 

「ね~?」

 

「だ、ダメだ、理解が追いつかん……き、気を取り直して次はクロヱさんお願いします」

 

「は、はーい。フィルちゃんはあんまり他の子とは遊ばないで一人でいる事が多いんだよね」

 

「あ、あぅ……」

 

[ありゃ?一人が好きなの?]

 

[きらりちゃんみたいな感じ?]

 

[いや、多分この様子からして恥ずかしいんだと思う]

 

「あ、やっぱり分かっちゃった?フィルっては極度の恥ずかしがりやでお兄ちゃんか沙花叉以外だと恥ずかしくて固まっちゃうんだぁ」

 

「あ、あうぅ~……」

 

「ホンマや、顔真っ赤になっとるな」

 

「カガリちゃん以上の恥ずかしがりやなんだな?」

 

[これは沙花叉の影響もありそうだな?]

 

[沙花叉も最初は恥ずかしがってたもんね]

 

[それが今じゃなんであんなふうに……(;つД`)]

 

「ちょっとぉーッ!?別に沙花叉最初からこんな感じじゃん!?皆沙花叉の事どう思ってんのさぁ?!」

 

[スロカス]

 

[風呂嫌いシャチ]

 

[玲二から避けられてそう]

 

「皆酷くない?!可哀想でしょ沙花叉がぁ~!?それと別に沙花叉お兄ちゃんから避けられてなんかないもん~!」

 

「う?」

 

「な、なんか話題がクロヱさんの方に移ってしまってるな?」

 

「これ以上脱線したらめんどくさそうだから次いこ次。というワケでいろはちゃんよろしくやよ~♪」

 

「はいでござる~♪えっとにほはね~………特に何事もなくすくすくと育ってるでござるよ~♪」

 

「あいぃ~♪」

 

[……え?終わり?!]

 

[なんか特徴ないの?!]

 

「せ、せやな?玲二さんの子だから何かしらの特徴ありそうやけど……?」

 

「そんな事言われてもにほは別に普通の赤ちゃんでござるよ?」

 

「ま、まあ確かに今までの子供達が癖が強かっただけで実際の赤ちゃんなんてそんなもんだよな……?」

 

「そうでござる。例え普通だろうと風真はにほがすくすくと育ってくれる事が何より幸せでござるよ。ねーにほ~♪」

 

「あやぁ~♪」

 

「たやぁ~♪」

 

[あれ?にほちゃんが二人……?!]

 

[え?!どういう事?!]

 

[まさか、双子ってコトォ?!]

 

「え?!な、なんでにほが二人いるでござるか?!」

 

「いやそんなん俺らに言われても?!」

 

「ど、どういう事やこれ?!」

 

「あぅ~……あい♪」パンッ

 

―ポンッ―

 

「たやぁ~♪」

 

「たやぁ~♪」

 

[増えた?!]

 

[分身?!]

 

「えぇーーーッ?!に、にほ?!お前そんな事出来たでござるか?!」

 

「いやまたこのパターンかよ?!」

 

「みこちの時といいやっぱ玲二さんの子で普通な子なんておらんかったんやな……」

 

―ポンッポンッポンッ―

 

「あうぅ~」

 

「キャッキャ♪」

 

「うっぷゆぅ~」

 

「あぷぁ♪」

 

「ど、どんどん増えていくでござる~!?」

 

「ど、どうすんのこれ?!」

 

「おぉ~にほがいっぱいだな♪よーし、お姉ちゃんと一緒に遊ぶぞ~♪」

 

『あーい♪』

 

「ラプ殿普通に遊ぼうとしないで!?」

 

[え?これ元に戻るの?]

 

[にしても分身の術が使えるなんて……]

 

[やっぱ忍者の娘は忍者か]

 

「風真忍者じゃないでござる!ノットにんにんイエスじゃきんじゃきんでござる~!」

 

『たやぁ~♪』ポンッポンッポンッ

 

「な、なんだか収集つかなくなってきたんでholoXの皆さんとは此処までにしましょう!」

 

「つ、次で最後!ホロライブ以外の皆の所にいくやよ~♪そんじゃうちらはおいとまします!」

 

「あ、ちょっとぉーーー?!」

 

「こ、これどうしたら良いの~?!」

 

「あ、あれ?沢山のにほちゃんに隠れてフィルがどっかいっちゃった?!」

 

「つばさぁー?!何処にいっちゃったのぉーッ?!」

 

『あっきゃぁ♪』

 

[なんだこのカオス?]

 

[本当に収集つかなくなってんじゃんw]

 

[あ、端っこにフィルちゃんとつばさちゃんいた]

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その他組

 

「えー、にほちゃん大量発生からなんとか抜け出しましていよいよ最後!ホロライブ以外の皆の赤ちゃん紹介するやよ~♪」

 

「はーい、ハロー!佐々木アカリだよ♪そしてこの子がアカリと玲二の赤ちゃんでヒカリっていいまーす♪」

 

「スゥ…スゥ…」

 

[あれ?寝てるね]

 

[タイミング悪かったかな?]

 

[起きてたらよかったのに]

 

「こんにちは、シロです♪そしてこの子がシロの子、みるくちゃんでーす♪」

 

「あぅあ~」

 

[可愛い!]

 

[髪は黒なんだ?]

 

[後ろの毛先だけ白いね]

 

「「はおー!ヒメヒナでぇーす♪」」

 

「そしてこの子がヒメの赤ちゃんでリナちゃんっていいまーす♪」

 

「あーい♪」

 

「そしてこっちがヒナの娘でユメっていいまーす♪」

 

「キャッキャ♪」

 

[二人して可愛い!]

 

[ヒメヒナの娘でユメリナか]

 

[ママと一緒で仲良くあり続けてほしいね♪]

 

「皆様、こんしろーでございます。佐々木みしろです。そしてこの子がご主人様との間に生まれたミナちゃんでございます♪」

 

「あぅ~?」

 

[ちっちゃい!]

 

[キョトン顔可愛い!]

 

[頭にメイドのカチューシャしてるね♪]

 

「……佐々木フブキだ。ホロライブの方のフブキと混合したら面倒だからクロでいい……んで、こいつが私と玲二の娘で黒子だ 」

 

「あぅや~♪」

 

[え?フブちゃんそっくり?!]

 

[あ、知らない人いるな?クロちゃんはフブキちゃんの従姉妹なんだって]

 

[前に一回配信で見たけどマジで似てるな……]

 

「……はぁ、なんで私らまで配信に出ないといけないんだか?」

 

「まあ良いではないですか。せっかく皆様がご主人様とみしろ達の子を見たいと言って頂けるんですから♪」

 

「あい♪」

 

「そう言ってもらえると有難いな。そんじゃ早速「ちょい待ち」?どうした笹木?」

 

「………皆さん教えて下さい!どうやって玲二さんとの結婚にこぎ着けたんですか?!」

 

『え、えぇッ?!』

 

[綺麗な土下座w]

 

[其処までして佐々木と結婚したいのかw]

 

[まあアイドル引退しかけた時の恩人みたいだしね?]

 

「えぇ~……そんな事言われたって……?」

 

「まあ強いて言えばタイミングが良かったといったところでしょうか?この国が一夫多妻になるタイミングでご主人様の傍にいられたのが決定打のような物ですし」

 

「うん、それとやっぱり玲二くんに一生懸命アタックしたのが分かってくれたのが一番だと思うな♪」

 

[つまりタイミング逃した笹木はもうチャンスはないと?]

 

[咲ちゃん……どんまい(;ω;`*)]

 

「まだそうと決まったワケやないんやからんな事言わんといてッ!!」

 

「いや玲二にその気がない時点でほぼ無理だろ?さあそんな笹木はほっといて皆さんのお子さんの紹介お願いします」

 

「う、うん……じゃあまずはシロのみるくちゃんからね♪みるくはこれといった特徴はないんだけどお風呂に入るとすぐにのぼせちゃうんだよね」

 

「あいぃ~」

 

[のぼせちゃう?]

 

[熱いのがダメなのかな?]

 

「そうなんだよね、みるくは普通の赤ちゃん用のお風呂でも熱いみたいですぐにのぼせちゃうんだ。だからいっつも温いお湯に入れてるんだぁ~」

 

「そうなんや?それだとお風呂入るのはちょっとめんどくさいやろ?」

 

「うん、基本的にみるくは一番最後になるね。前に一回一番最初に入れたらすぐにのぼせちゃったんだよね」

 

[やっぱイルカ族って熱いのが苦手なんだね?]

 

[あれ?シロちゃんってイルカ族だっけ?]

 

[正確にはイルカ族のハーフらしいよ]

 

「そうなんだよね、シロもそのせいでそんなに熱いのは得意じゃないけどみるくはそれ以上にダメみたいだね?」

 

「あい♪」

 

「まあこれは種族的な問題だから仕方ないな。それじゃ次はアカリさん………と言いたかったけどヒカリちゃんがまだ眠ってるから後回しにするか?」

 

「あー大丈夫、ヒカリは元々殆ど寝てるから」

 

「スゥ…ムニャ……」

 

[え?普段からずっと寝てるの?]

 

[それ大丈夫なの?]

 

「うん、ヒカリは寝るのが好きでご飯とおやつとお風呂とトイレ以外は殆ど寝てるの。それと一度寝ると大抵の物音じゃ起きなくなっちゃうんだ」

 

「な、なんかすごいなそれ?しいしい越えてるんちゃう?」

 

「ち、因みに途中で起こすとどうなっちゃうんだ?」

 

「あー……めっちゃ大声で泣く。前に一回寝てる途中で起こしたら玲二が来るまで泣いてたけどマジで爆音で他の子もびっくりして泣いちゃったもん」

 

「ば、爆音って、流石に言い過ぎじゃ……?」

 

「嘘じゃないよ?この間ヒカリが泣いて家中に泣き声響いてたじゃん」

 

「え?あ、あれヒカリちゃんの泣き声やったん?!一体何があったんやって思ったけど!?」

 

[どんだけでかい声なの?!]

 

[まるで爆弾だな……( ; ゚Д゚)]

 

[そりゃ途中で起こしたらダメだな]

 

「ンニュ……ふあぁ~……」

 

「あ、ヒカリ起きた?そろそろお腹空いちゃったかな?」

 

「あいぃ~……♪」

 

「だ、大丈夫だよなヒカリちゃん……?」

 

「ん?ああ大丈夫だって、自分から起きた時は機嫌良いし♪そんじゃアカリはヒカリにご飯あげてくるね~♪」

 

「あぅやぁ~……♪」

 

[いっちゃった……]

 

[今後アカリちゃんの配信の時はなるべく煽んないでおこう……]

 

「うん、それがえぇ。んじゃ気を取り直して次はヒメヒナちゃん達お願いやよ~♪」

 

「はーい♪えっとまずリナなんだけどヒメと同じですっごく怖がりなんだよね。夜中になるとずっとヒメにくっついて寝るもん」

 

「あいぃ……」

 

[怖がりなのか]

 

[ヒメちゃんの怖がりを受け継いじゃったんだw]

 

[という事はユメちゃんも……?]

 

「うん、ユメはその逆で怖いの全然平気なの。この間ヒナがバ○オハ○ードやってるのを横で笑って見てたし♪」

 

「あやぁ♪」

 

[やっぱりw]

 

[じゃあもしかしたら将来的にユメリナの二人でホラゲ企画とかやるのかもw]

 

[何それ凄く見たいw]

 

「この子達は母親の性格をしっかり受け継いだみたいだな?」

 

「せやな。いつか親子でホラゲ企画とかやっても面白いかもな♪」

 

「えぇ~?!そんなの絶対やだよぉ~!?」

 

「あぅあ~!?」

 

「えぇ~?でも面白そうだから今度工務店の皆に調整してもらおうよ♪」

 

「たやぁ♪」

 

「「やあぁ~ッ!」」

 

[親子揃って嫌がってるw]

 

[まさにヒメヒナの娘って感じだな]

 

「それじゃ次はみしろさんお願いしても良いですか?」

 

「はい、ミナはみしろの家系の影響なのか最近みしろのお仕事の真似をするようになってますね。この間も自分が寝るのに使ってたタオルケットを畳もうとしてました♪」

 

「うぷぁ♪」

 

[もうメイドとしての自覚があるの?!]

 

[流石みしろちゃんの娘だ]

 

[もうタオルケットとか畳めるの?]

 

「いえ、流石にまだ畳むというより丸めてる感じですが一生懸命お手伝いしようとしてくれるその姿が凄く愛らしくていつもご主人様と一緒に微笑みながら見てますね」

 

「はあぁ~、赤ちゃんなのに偉いなぁミナちゃんは?」

 

「笹木なんて脱いだ服そこら辺に置きっぱなしだっていうのにな?」

 

「うっさい!今そんなの関係ないやろ?!」

 

[だらしないな笹木w]

 

[ミナちゃんもやろうとしてんのにw]

 

[そんなんだから玲二が振り向かないんじゃね?w]

 

「うっさいわ!玲二さんはそんなんでうちの事避けたりせんわ!そんじゃ最後にクロさんお願いするやよ!」

 

「いやこっちに当たるなよ?ったく……えっと、黒子は私が作ったガンプラが好きみたいでな。最近だと私のガンプラが飾ってあるショーケースをじっと見るのがお気に入りだ」

 

「あい♪」

 

[へぇ?クロさんガンプラ作るんだ?]

 

[ちょ待って?!もしかしてクロさんってまさかあの黒上フブキさん?!]

 

[嘘?!マジで!?]

 

「ん?ああやっぱ知ってる奴は知ってるのか?ああそうだ、私が黒上フブキで間違いない」

 

「俺達も初めて聞いた時はびっくりしたな?なんせ顔出ししてなかったプロモデラーがまさかフブキさんの従姉妹でしかも玲二の嫁になってたとは思いもしなかったし」

 

「ホンマ世の中って意外と狭いよな?」

 

[マジで玲二すげぇ!]

 

[一体どんな経緯で佐々木と付き合えたんだ?]

 

[ちょっと知りたいな~?]

 

「……はぁ、なんでお前らにそんな事話さなきゃいけないんだ?別に話すような事でもねぇし、私はもう自分の部屋に戻るわ」

 

「あちょっと!?……戻ってしまったな……」

 

「まあ元々乗り気じゃなかったのに此処まで喋ってくれただけえぇやん♪という事でこれで佐々木ベイビーズは全て紹介し終えたな?」

 

[皆可愛かった!]

 

[将来が楽しみ♪]

 

[一部凄い子もいたけど面白かった]

 

「確かに凄い子もいたが皆元気な子で玲二が羨ましく思ったわ」

 

「いややしきずももうすぐドーラさんと家族になるんだからすぐに子供も出来るって♪」

 

「だからそれ掘り返すなよ!?ってかどんだけ広まってんだよこの話?!」

 

「まあまあ♪という事でこれで佐々木ベイビーズの紹介は以上やよ~♪お相手は笹木咲と社築でお送りしました~♪まったね~♪」

 

[良かった♪]

 

[おつやよ~]

 

[またこうした企画見てみたい]

 

 

 

―佐々木ベイビーズ 終―




はい、これにてベイビーズ紹介は以上です!皆さんはどの子が良かったですかね?この子達も本編や番外編で活躍すると思うのでその時を楽しみにして頂ければ幸いです♪
さ、本編考えないとな……( >Д<;)


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番外編『ベイビーズレポート01』

今回は気分転換に佐々木ベイビーズの能力についてです。実はこの子達、こういう事出来るんですよね(^^;

ではどうぞ!


2022年11月14日、私は藤枝コーポレーションの会長から特別な依頼を受け重大な任務を行う事となった。それは会長の義理の弟であり現在重要機密とされているこの世界唯一の伝説の種族、神羅族である佐々木玲二のその子供達の調査である。現在世界で唯一の神羅族である佐々木玲二の子供達にも、おそらくその力が受け継がれているかもしれないという事で今後何かあった時の対処をする為にも今回こうして子供達の能力を記録する事となったのだ。

 

果たしてこの子達にはどんな力が宿ってるのだろうか?早速確認していこう。

 

 

 

 

 

No.01 かいり

 

まずはそらさんの娘であるかいりちゃんからだ。今回は子供達が普段通り過ごせるように佐々木一家から許可をもらい高性能のステルスカメラを使用しているので子供達には普段通りの状態で過ごしてもらっている。どうやら今はボールで遊んでいるようだが、特に変わった様子はないな……

 

「ごめーんかいり、ママちょっと指切っちゃった。治してもらって良いかな?」

 

「うゆ?あーい♪」

 

―パアァァァァァッ―

 

ッ!?なんと、母親であるそらさんの切ってしまった指にかいりちゃんの手が触れると淡い光を放ちそらさんの怪我がみるみる内に治っていった!?かいりちゃんの能力が治癒能力とは事前に聞いてはいたが、まさか此処まで瞬時に治すとは……

 

「ありがとかいり、おかげさまでママ治ったよ~♪」

 

「あい~♪」

 

成る程、どうやら軽い怪我や病気程度ならこうやって治療する事が出来るようだ。だがご両親の話によるとあまり大きな治癒となると本人の体力もかなり消耗するのでそういった場合の治療はさせないようにしているようだ。だがかいりちゃん本人の事を考えればそれが正解だろう。

 

 

かいり

能力:治癒

 

 

 

 

 

No.02 メルト

 

続いてはかつてアークアイの人造兵器の試作品として造られたサイボーグRBK-00ことロボ子さんの息子、メルトくんだ。母親であるロボ子さんはサイボーグではあるが生殖機能が備わっていた為に産まれる事が出来たという、まさに奇跡の子と言えよう。そんなメルトくんは今何やらハイハイしながらテレビに向かっているが、何をするつもりなのだろうか?

 

「うー……あい♪」

 

―ピッ―

 

ッ!?な、なんだ?!メルトくんが手を翳しただけでテレビの電源が付いた!?いやそれだけではない!先程から何かを操作するかのように手を動かすとテレビのチャンネルが代わり、そして目的であろうアニメが映るとメルトくんはそのまま近くのクッションに座ってキャッキャと笑いながらアニメを見始めた。

 

「こらメルト、また勝手にテレビつけたらだめだよ~?」

 

「あうやぁ~♪まーま、ぷーたん♪」

 

「うん、プーさんいるね~♪でもテレビ見たい時はちゃんとママかパパに言ってよね?」

 

「あーい♪」

 

どうやらこの行為は日頃から行われているようだ。そして後にロボ子さんから話を聞くとメルトくんはテレビだけではなく家電ならなんでも操作出来るとの事だ。流石に精密な物になると操作するのには時間が掛かるとの事だが、それでもこの能力はかなり便利である。

 

 

メルト

能力:家電操作

 

 

 

 

 

No.03 あんず

 

続いてはAZKiさんの娘であるあんずちゃんだ。アズキさんの話によるとあんずちゃんはまだその能力を発揮した所を見た事がないらしいのだが、果たしてどんな力なのだろうか?

 

「あう~、やっぷぅ~♪」

 

どうやらおうたを歌っているようだ。楽しそうにおもちゃのピアノをパシパシと叩きながら歌っているのを見るとなんだかこちらも和んでしまいそうだ……

 

「だから今のはルーナのせいだろうが!?」

 

「ちげーだろ~?!今のは絶対しゅばが足引っ張ったせいだろうがぁ~!?」

 

「ッ!あぅ………」

 

其処に偶々リビングの端にいたスバルさんとルーナさんが何やら揉め始めていた。どうやら協力プレイのゲームでお互いに足を引っ張ったのは相手だと責任転嫁してるようだ。その叫び声にびっくりしたあんずちゃんだったが、おうたを邪魔されて何やら不機嫌そうな表情をしている……おや?何やら二人に向かって指を差してるようだが……?

 

「うぅ~……あいッ!」

 

―キュイィンッ!―

 

「だからおめぇがスバルをサポ―――――?――――ッ!?――――ッ?!」

 

「しゅばがちゃんとルーナに合わせ――――ッ!?―――ッ!?――――――ッ?!」

 

な、なんだ?!急にスバルさんとルーナさんの声が聞こえなくなってしまった!?二人とも何かを必死に喋ろうとしているが全く聞こえていない!?

 

「たやぁ♪」

 

そして静かになってあんずちゃんが再びおうたを歌い始めた。まさか、これがあんずちゃんの能力なのか!?まさか音を遮る能力とはピンポイント過ぎる……結局この後二人とも後から来た佐々木玲二に解除されるまではずっと声が聞こえないままであった。

 

 

あんず

能力:音波遮断

 

 

 

 

 

No.04 きらり

 

続いてはすいせいさんの娘のきらりちゃんだ。この子はご両親と一緒にいる時だけ笑ったりするが他の人間が一人でもいると途端に無表情になるんだとか?そんなこの子は一体どんな力を持っているのだろうか?

 

「ぷうぅ……」

 

「きーら、よちよち♪」

 

現在きらりちゃんはかいりちゃんに頭をなでなでされている。だがきらりちゃんは相変わらず無表情でかいりちゃんを見ようともしない。それでもかいりちゃんは嬉しそうにきらりちゃんをなでなでしている。

 

「かいり~、おやつ食べる~?」

 

「あい、たべりゅぅ~♪」

 

「!あぅ……」

 

おや?おやつと聞いてかいりちゃんがなでなでを止めてそらさんの所へ行こうとするが、きらりちゃんは何やら寂しそうにかいりちゃんの方を見ている。

 

「あうぅ……むん!」

 

―フワァ……―

 

「あぅ?」

 

な、なんだ?!かいりちゃんがいきなり何かに引っ張られるかのようにきらりちゃんの方へ引き戻されている!?そしてかいりちゃんがきらりちゃんの前に戻されるときらりちゃんはそのままかいりちゃんのおててを自分の頭に乗っけだした。

 

「………あぃ」

 

「うゅ?……あい♪よちよーち♪」

 

「あ、きらりちゃんも一緒だったんだね?じゃあきらりちゃんにもたまごボーロ用意してあげるね♪」

 

成る程、きらりちゃんはどうやら引力を操る力を持っているようだ。それにしてもご両親からは他人に興味がないようだと聞いてはいたが、案外寂しがりな面もあるようだ。

 

 

きらり

能力:引力操作

 

 

 

 

 

No.05 かぐら

 

お次はみこさんの娘のかぐらちゃんだ。この子はかいりちゃんに次ぐ程の人懐っこさを持っている。そんなかぐらちゃんだが今……

 

「にぇ~にぇ~♪」

 

……何故か猫耳としっぽが生えている。調べではみこさんの血筋に猫の獣人はいない筈。ならばこれは佐々木玲二から与えられた能力が関係してるに違いない……

 

「うゅ?にぇ~♪」

 

―ポンッ―

 

「わっふぅ♪」

 

ッ!?なんと、今度は犬耳に変わった!?これは一体……そうだ!確かこのカメラは他にも霊視モードとかあった筈だからそれで……こ、これは!?

 

「にぇ~♪」

 

―ワンワンッ―

 

―ニャァー―

 

―コケコッコー―

 

―メェー―

 

―モォー―

 

―ゲッツ!―

 

―ザンネンッ!―

 

―ハイ、オッパッピー―

 

か、かぐらちゃんの周りに動物の霊が沢山いる!?成る程、この動物達を憑依させて自身の姿を変えてるのか!だが若干変なのが混じっているが大丈夫なのだろうか?

 

 

かぐら

能力:憑依合体

 

 

 

 

 

No.06 こゆき

 

続いては佐々木玲二の正妻であるフブキさんの第一子こゆきちゃんだ。彼女の能力は既に報告されているが、念の為何か変化がないか確認しよう。

 

「あい、あ~い♪」

 

―パチッカチャッパチパチッ―

 

……やはり報告通り、この子の能力はガンプラを作る念力だ。以前佐々木玲二がガンプラを作る以外に念力が使えないかを試したようだが、やはりこゆきちゃんはガンプラを作る以外はその力を発揮出来ないようだ。しかしながら念力で作るにしてもその内容を理解してないと出来る筈がないというのに、この子はさも当たり前のように作っている。やはり報告通り佐々木玲二の子供達の理解力と成長スピードはかなり高いようだ。現に……

 

「あい、できちゃ~♪」

 

「凄いねこゆき~、もうMGのザクII出来たんだね~♪」

 

「あーい♪……ふあぁ~」

 

こゆきちゃんは今ではMGまでなら作れるらしい。だがその後疲れたのかそのままフブキさんの膝の上で眠ってしまった。やはり複雑な工程をすればするほど疲れるようだ。

 

 

こゆき

能力:ガンプラ特化の念力

 

 

 

 

 

No.07 レミィ

 

お次はメルさんの娘のレミィちゃんだ。レミィちゃんはどうやら未来透視が出来るようだが、残念ながらこの映像記録ではそれを記録するのは出来なさそうだ……

 

「見てみてレミィ!レミィの言う通りスクラッチ宝くじやったら一等出たよ~♪これで美味しい果物いーっぱい買ってあげるね~♪」

 

「わーいりんごとまんご~♪」

 

ッ!?な、なんとそんな使い方が出来るのか?!だがその後に聞いた話ではレミィちゃんの未来透視は約84%程なので確率は高いが必ず当たるワケではないようだ……今度私もお願いしてみようかな?

 

 

レミィ

能力:未来透視

 

 

 

 

 

No.08 シア

 

き、気を取り直して続いてはアキさんの娘のシアちゃんだ。この子はまだどんな能力があるかは分からないとの事なので、今回のこの調査で分かるかどうか……?

 

「あ、あぅ~♪」フワフワ…

 

……否、すぐに分かった。どうやらこの子は浮遊する事が出来るようだ。今はキッズルームをふわふわと楽しそうに浮遊している。

 

「あぅ?あっきゃ♪」

 

おや?シアちゃんが何かを見つけて降下していく。一体何を……どうやらお気に入りの一升瓶のぬいぐるみのようだ。というかなんだ一升瓶のぬいぐるみって?ともかく嬉しそうで何よりだ。

 

 

シア

能力:浮遊

 

 

 

 

 

No.09 こころ

 

さて今度ははあとさんの娘のこころちゃんだ。こころちゃんはどうやら成長に関する能力と聞いたが、果たしてどんな感じなのか……?

 

「あうぅ……あい♪」

 

―シュルシュルシュル……ポンッ―

 

ッ!?こ、これは……こころちゃんが何も咲いてない鉢植えに手を当てた瞬間、土から芽が出てそれが急成長し綺麗なチューリップを咲かせた!成る程、どうやらこれが成長促進能力という物か……

 

「ねーねーこころちゃん、ちょっとお願いがあるんだけど良い?」

 

「あぅ?」

 

おや?花を咲かせてるこころちゃんの元にまつりさんがやって来た。一体何をするつもりだろうか?

 

「あのね、こころちゃんのその力でまつりのおむねを成長させてもらえないかな~って♪やってもらっていい?」

 

「うゅ?…あーい♪」

 

成る程、どうやらまつりさんはこころちゃんの力を使って自分の胸を大きく成長させようというつもりらしい。そしてこころちゃんがまつりさんの胸に手を当てて力を注ぐ…………

 

 

 

―シーン………―

 

「……あぁうぅ~」フルフル

 

「え……?ど、どうしたのこころちゃん?あれ?まつりの胸は……え……?」

 

こころちゃんが幾ら力を注いでもまつりさんの胸は一向に大きくならない。どうやら元から成長の見込みがないと成長させれないらしい。こころちゃんも諦めて自分の毛布にくるまってそのまま眠ってしまった。

 

 

こころ

能力:成長促進(但しちゃんと成長出来るモノのみ)

 

 

 

 

 

No.10 祭華

 

では今回最後はまつりさんの娘の祭華ちゃんだ。祭華ちゃんはどうやら収納に関する能力らしいが、一体何を収納出来るのだろうか?

 

「こら祭華!またパパの下着持ってっちゃったでしょ!?ほら早く全部出して!」

 

「あうぅ~……」

 

……何やら祭華ちゃんが母親であるまつりさんに怒られてる。話の内容を聞くとどうやら祭華ちゃんが佐々木玲二の使用済みの下着を持ち出してしまったらしい。なんでそんな物を?そして怒られた祭華ちゃんは渋々とお洋服のポケットから下着を出してまつりさんに渡していく。

 

「これだけじゃないでしょ?全部出しなさい!」

 

「うゆぅ……」

 

え?どういう事だ?もしかして他にも隠し場所があるのか?そう思ってたら祭華ちゃんは再びポケットに手を入れてガサゴソと何かを探し始めた。一体何を……?

 

―ポイッポイッポイッポイッポイッポイッポイッポイッポイッポイッポイッポイッポイッポイッ―

 

ッ!?な、なんだ?!祭華ちゃんのポケットから次々と下着が取り出されていく!?というよりどうなっているのだ?!明らかに服に入る容量を超えているぞ!?こ、これがもしや報告にあった収納能力というのか!?

 

「これで全部?……いや、まだ絶対あるでしょ!?」

 

―バッ!―

 

「あぅ!?やあぁ~!」

 

まつりさんはおもむろに祭華ちゃんのお洋服を脱がしポケットが下に向くようにしておもいっきり揺らしていく。すると……

 

―ドババババババババババッ!―

 

な!?まだあんなにあったのか!?というかどんだけ下着あるんだ!?

 

「ほらまだこんなにあった!もうダメだよ祭華!下着失くなったらパパも困るんだから!」

 

「ふえぇ~……!」

 

まつりさんに怒られて祭華ちゃんも泣きじゃくってしまうが、それよりもこの能力はかなり凄い。私も結構部屋が汚れているのでこうした能力は欲しい物だ……

 

 

祭華

能力:四次元空間生成

 

 

 

 

 

……以上をもって最初の報告を終えます。しかしこれでもまだ1/4にも満たないとは……大変ではあるがこれからも引き続き佐々木玲二の子供達の調査を進めたいと思う。

 

 

レポート01 報告完了

 

レポート02に続く……




これからもちょくちょくこうしたレポートを出して行こうと思います( ≧∀≦)ノ


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番外編『ベイビーズレポート02』

今年も残すところあと半月、年末年始は大変ですが仕事も小説も頑張って更新していきたいです!

今回はベイビーズレポート第二弾!果たしてあの子達はどんな能力があるのだろうか……?今回も最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


……12月15日、報告等で本土に戻っていた為に前回より少し間が空いてしまったがこれより佐々木玲二の子供達に関する調査を再開する。今回は2期生及びゲーマーズの子供達を調べていこうと思う。さて、今回はどのような能力が見られるのだろうか?

 

 

 

 

 

No.11 玲菜

 

今回最初の子はあやめさんの娘の玲菜ちゃんだ。玲菜ちゃんの能力は怪力らしいが果たしてどれだけの力があるのか?今回は間近で見せてくれるとの事なので早速見せてもらおう。

 

「それじゃあ玲菜、お兄さんにばんざーい♪」

 

「あいッ!」

 

え?ばんざいって何ーヒョイッーってえぇ!?な、何?!私もしかして今玲菜ちゃんに持ち上げられてるのか!?

 

「ぴょんぴょーん♪」

 

「おぉー、玲菜は今日も力持ちだな〜♪」

 

いやいや!?なんで一歳児が成人男性をボールみたいに軽々と持ち上げられるんだ?!鬼人族とはいえこれは無理だろう?!これが神羅族の力の影響なのか!?

 

……そ、それから私は約三十分もの間玲菜ちゃんにボールのように遊ばれた。赤ちゃんのエネルギーは無尽蔵とはよく言うが、これはかなり身体にきてしまう……イタタ……

 

 

玲菜

能力:怪力

 

 

 

 

 

 

No.12 カケル

 

お次はスバルさんのお子さんのカケルくんだ。カケルくんはよく他の姉妹から抱き枕になってると聞くが、どうやら一人で遊びたい時にその力を発揮するらしい。一体どういう事だ?

 

「かーく♪」

 

「うゅ?あぅ……」

 

お、どうやらノエルさんの娘さんのめぐみちゃんがカケルに抱きつこうとしているようだ。だがカケルくんはガンプラが入ったカプセルで遊んでたようで、邪魔されると思ったのか不機嫌な表情になっている。

 

「ううぅぅ〜……むん!」

 

ーブオォンッ!ー

 

「あぅ!?かーく!かーくぅ〜!?」

 

なんと!?カケルくんの周りにバリアが張られた!?成る程、一人で遊びたい時に発揮するってそういう事か!

 

「あぅやぁ〜♪」

 

「かぁーくぅ〜!?ふえぇ〜……」

 

バリアを張られて泣きじゃくりながら必死に抱きつこうとするめぐみちゃんを他所に一人楽しく遊ぶカケルくんであった。

 

 

カケル

能力:バリア

 

 

 

 

 

 

No.13 久遠

 

続いてはシオンさんの娘さんの久遠ちゃんだ。この子は普段あくあさんの娘のえりあちゃんと遊ぶ時以外は大人しいようで今も窓の外をボーッと眺めているようだ。

 

「あーうぅ〜……」

 

ースウゥー……ー

 

ッ!?な、なんだ?!久遠ちゃんの身体がどんどん透けていく?!もしかしてこれは、透明化の能力か?!いや、これは透明化というより存在感が薄れてっているような感じが……!?

 

「久遠〜、梨剥いたけど食べる〜?」

 

「!あうぅ〜♪」

 

あ、シオンさんが呼んだらまた元に戻ってそのままハイハイしながらカメラ外に行ってしまった。しかし先程の様子を見る限りではあれは能力が発動しているというよりは自然に透明化になっている感じがした。おそらくはまだ自発的に使う事が出来ないのであろう。

 

 

久遠

能力:透明化

 

 

 

 

 

 

No.14 えりあ

 

続いてはあくあさんの娘のえりあちゃんだ。この子は普段は両親がお気に入りのガラガラで遊んでいるがその他に誰かいるだけで緊張して動きがぎこちなくなるらしい。此処は母親譲りな性格になったようだ。さて、肝心の能力は一体どんな……

 

「ふえぇ〜……」チャプチャプ

 

……なんだこれは?フローリングのうえで水溜りが出来て、しかも顔があって泣いている……もしかしてこれがえりあちゃんなのだろうか?

 

「あぁッ!?またえりあちゃん液体化しちゃってる!?ご主人ーッ!大変、えりあちゃんがぁ〜ッ!?」

 

「ふえぇ〜ん……」

 

成る程、この子は液体化する能力があるのか。だがかなり危ない力だな?下手すれば違う水が混ざったりしたらどうするんだ?と思ったがどうやら他の液体とは混ざらないようだ。上手く使いこなせば扉の隙間等から侵入出来たりしそうだな?

 

 

えりあ

能力:液体化

 

 

 

 

 

 

 

No.14 しょこら

 

お次はちょこさんの娘さんのしょこらちゃん……と言いたいところだがこの子の能力は時空移動というのが分かっている。そしてこの能力は危険な為に他の子以上に厳重に能力を封印している。なのでこの記録ではこれ以上の紹介は出来ないのが残念である……

 

「あーう〜♪しょこ、おっき〜♪」

 

「あぁもう子供の頃のしょこって本当に可愛いわねぇ〜♪流石玲二ちゃんの子供だわぁ〜♪」

 

「こらしょこら!あんたまた未来から勝手に来て!それといい加減ちゃんと玲二様の事はパパって呼びなさいよッ!?」

 

「べーだ!ママの言う事なんて聞かないもんね〜♪ね~ちっちゃいしょこ〜♪」

 

「ね〜♪」

 

「うがあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」

 

「ちょっとちょこ先落ち着いてってッ!?」

 

……どうやら未来のしょこらちゃんはこの力で偶に遊びに来ているようだ。にしても未来のしょこらちゃん、スタイル良いなぁ……

 

 

しょこら

能力:時空移動

 

 

 

 

 

 

 

No.16 ふゆき

 

では続いてはゲーマーズの子供達を見ていこう。まずはフブキさんの娘さんでこゆきちゃんの妹のふゆきちゃんだ。この子ももしかしてこゆきちゃんのようなガンプラに関する能力なのだろうか?

 

「あい、できちゃ♪」

 

おや?どうやらこゆきちゃんがまたガンプラを作っているようだ。今回は簡単なSDのエアリアルを作ったようでご満悦のようだ。っておや?何やらふゆきちゃんが羨ましそうに見てるが……?

 

「あうぅ〜……あい!」

 

ーフワァッ……ー

 

「あぅ?」

 

なんと、エアリアルがこゆきちゃんの手から離れてふゆきちゃんの元へフワフワと飛んでいく!?そしてエアリアルを手にしたふゆきちゃんは嬉しそうに手をパタパタしている。

 

「あうぅ〜♪」

 

「む〜……ふーゆ、とっちゃめー」

 

「めー?」

 

こゆきちゃんも取られてびっくりはしたもののふゆきちゃんの頭を撫で撫でしながら取っちゃ駄目と注意する。どうやらふゆきちゃんはこゆきちゃんと同じ念力を使えるがガンプラを作る事は出来ず代わりに物を動かす事が出来るらしい。但し動かせるのは本人の体重より軽い物限定なんだとか。

 

 

ふゆき

能力:念力(物体浮遊)

 

 

 

 

 

 

 

No.17 マオ

 

さてお次はミオさんの娘のマオちゃんだ。マオちゃんの能力も事前に知らされているが、確か転移能力だった筈だ。そしてその力は佐々木玲二も使い勝手が良いとよく使用している能力だが、どんな感じで転移出来るのか……

 

「ぱーぱ、まーま、あしょぼぉ〜♪」トントンッ

 

「ま、マオ!?ちょ、ちょっと待っててね!?今パパもママも手が離せないから……!?」

 

?どうやらマオちゃん、両親と遊びたくて部屋の前に来てるみたいだが、何やらミオさんが慌てた様子で返事をしているが一体何をしているんだ……?

 

「うゆ?あーい♪」

 

ーシュンッー

 

あ、マオちゃんが消えた!?そうか、これがマオちゃんの転移か!という事はマオちゃんは部屋の中に……?

 

「うゅ?ぱーぱ、まーま、はだかんぼ〜?」

 

「ま、マオ!?こ、これはだな……!?///」

 

「そ、そう!ママ今パパとプロレスごっこしてたんだよね〜///」

 

「ぷおれすごっこぉ?マオもやりゅう〜♪」

 

「「ちょお……ッ!?」」

 

……どうやらミオさんは佐々木玲二と致している最中だったようだ///まさか調査している中でそのような行為の最中に出くわすとは……大人しく引こう///

 

 

マオ

能力:転移

 

 

 

 

 

 

No.18 まかろん

 

さ、さあ気を取り直して続いてはころねさんの娘のまかろんちゃんを見ていこう。この子の能力は外で遊ぶ時に見れるようだ。一体どんな能力なのか……?

 

「うぅ〜……わおぉ〜ん!」

 

?まかろんちゃん、突然遠吠えみたいに鳴いてどうしたんだ?

 

ーザッザッ!ー

 

ーワオォーン!ワンッワウゥンッ!ー

 

な、なんだ?!広場の向こう側から沢山の犬が集まってきた!?様々な犬種がまかろんちゃんの周りに向かって来ている……これはどういう事なんだ!?

 

「わぅ!わぉっ!」

 

ーザッザッ!ー

 

「わぅ、わおぉ〜ん♪」

 

ーワオォーン!ー

 

な!?しかもまかろんちゃんの声に合わせて犬達もそれに従うかのように隊列を作って遠吠えしている!?どうやらまかろんちゃんの能力は他の犬を従える能力があるみたいだな……?

 

「こらぁまかろん!また勝手にわんちゃん達集めたらだめでなぁ!?ほら飼い主さんも困るし早く解散させなぁ〜!」

 

「わうぁ〜……」

 

……どうやら呼び出した犬の中にはちゃんと飼い主がいる犬も交ざっているようだ。まかろんちゃんはころねさんに怒られて渋々犬達を解散させるのであった。

 

 

まかろん

能力:犬使役

 

 

 

 

 

 

No.19 ぴりか

 

さて、今回最後はおかゆさんの娘のぴりかちゃんだ。この子の能力は面白いよ〜♪っておかゆさんは言ってたけど、一体どういう事なんだ?

 

『クー…クー……』

 

おや?ゲーマーズの子供達が何やら大きなクッションに寄りかかっておねんねしている。可愛いなぁ〜♪ってあれ?肝心のぴりかちゃんは何処に……?

 

「にゃうぅ〜……」

 

ッ!?違う!これクッションじゃない!巨大化したぴりかちゃんだぁッ!?え、まさかぴりかちゃんの能力って巨大化する事なのか!?

 

「ん、にゃぅ〜ん……」

 

ーゴロン…フニュウッー

 

ッ!?ヤバイ!ぴりかちゃんが寝返りしてこゆきちゃん達が下敷きになってしまった!?は、早く助けないと……!?

 

ーヌポンッー

 

「あぅ……クー…クー……」

 

あ、あれ?皆すんなり顔を出したと思ったらまた気持ち良さそうに眠り始めた?ど、どうやら巨大化したぴりかちゃんは見た目程重くなく柔らかいようだ……軟らかそうで良いなぁ~……

 

 

ぴりか

能力:巨大化

 

 

 

 

 

 

……以上を持って今回の調査報告を終了する。次回は3期生と4期生の報告を予定しているが、まだ半分にも行っていないとか……この調査、思っていた以上に大変ではあるが、引き受けた以上は必ず最後まで遂行しようと思う。

 

 

 

レポート02 報告完了

 

 

レポート03に続く……




はい、という事でベイビーズレポート02でした!次回は03、今年中にはあげたいですね……(-_-;)

次回もまったり待って頂ければ幸いです、ではまた!


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番外編『ベイビーズレポート03』

今月二連休が2回あるので貯まってるガンプラを作っていきたいんですが、大量にあるガンプラを眺めて結局作らないで休みが終わりそうな予感……というか毎回そうなんですけどね(-_-;)

今回でレポート三回目!はたして他の子達はどのような能力があるんだろうか……?


1月11日、今回で三度目のベイビーズレポートの結果が纏まったので報告したいと思います。本当なら年末にはほぼ出来てて報告をしたかったのですが一人だけ能力の確認が遅れたので待っていました。今回は3期生と4期生の子供達のレポートをまとめたのでご報告致します。

 

 

 

 

 

No.20 カガリ

 

3期生最初はフレアさんの娘のカガリちゃんだ。この子の能力は既に聞いてたがなんでも雷を落とす能力だとか?だがそんなピンポイントな能力約に立つのだろうか?

 

「あ、ヤバ!?スマホの充電切れかかってる……カガリ〜、ちょっとこれ持ってもらっていーい?」

 

「あい?」

 

ん?フレアさんカガリちゃんにスマホの充電コード持たせて何をさせるつもりなんだ?

 

「はいカガリ、ビリビリ〜♪」

 

「ビリビリ〜?あーい♪」

 

ービリビリビリビリッー

 

充電5%→100%

 

なんと!?カガリちゃんの身体がバチバチしたと思ったらフレアさんのスマホが充電されていく!?雷を落とす力と聞いていたが、実際は電気を操る力なのか?!

 

「お、充電出来た。カガリ、ありがとな〜♪」

 

「あーい♪」

 

「あ、カガリたーん♪マリンのスマホも充電が切れちゃったの〜。急ぎの連絡しなくちゃいけないからもうバリバリっと充電してもらって良いですかぁ〜?」

 

「バリバリ〜?あーい♪」

 

ービリ…バリバリバリバリィッ!ボンッ!ー

 

「あぁぁぁぁぁぁーーーーーッ!?マリンのスマホがあぁーーーーーッ?!」

 

「あーあ、バリバリなんて言うからカガリ電力上げちゃったじゃん?」

 

「あうぅ〜……」

 

あらら、マリンさんも充電を頼んだみたいだけどカガリちゃんを急かしたせいかマリンさんのスマホが爆発してしまった。どうやら言葉の言い方で電力が変わるみたいだが、失敗するとああなってしまうのか。これは面白い結果だ。

 

 

 

カガリ

能力:電力操作

 

 

 

 

 

 

No.21めぐみ

 

続いてはノエルさんの娘のめぐみちゃんだ。この子は最近父親の佐々木玲二やスバルさんの息子のカケルくんによく抱きつくのが好きらしいが、果たしてどんな能力があるのだろうか?

 

「ぱん、ぱん♪めぐのおしろ〜♪」

 

お、どうやらめぐみちゃんは中庭の砂場でおしろを作って遊んでいるようだ。嬉しそうに砂山を叩いておしろ?を作っている……ん?

 

「あぁーーーーーッ!?めぐみちゃん危ないッ!!」

 

ッ!?た、大変だ!めぐみちゃんの遊んでいる上から植木鉢が落ちてきた!?このままじゃ……!?

 

ーガッシャーンッ!ー

 

あぁッ!?めぐみちゃんの頭におもいっきり落ちて植木鉢が割れてしまった!こ、これはいけない!早く救急車を……ッ!?

 

「……うゅ?」

 

あ、あれ?!めぐみちゃんなんともないのか!?確かに植木鉢はめぐみちゃんの頭に直撃した筈なのに、めぐみちゃんは頭に乗った土を払っただけでその後は何事もなかったかのように砂遊びを続けている!?ど、どういう事だこれは?!

 

「あぁ!?めぐみ〜、大丈夫か〜?!」

 

「あい!まーま、めぐのおしろ〜♪」

 

「ほ……うん、おしろ出来てるね〜♪でも今頭に植木鉢落ちてきたから念の為ちょこ先生に見てもらおうな〜?」

 

「うゆぅ?」

 

な、なんというかノエルさんもめぐみちゃんが無事なのが分かってすぐに落ち着いたな?にしてもこれは一体……?

 

その後ノエルさんに話を聞くとめぐみちゃんは恐ろしい程身体が頑丈で、なんとハイハイの突進だけで分厚い鉄製の壁をぶち破る程の強度らしい。恐ろしくパワフルで頑丈な能力、まさに脳筋なノエルさんの娘らしい能力だ……!?

 

 

 

めぐみ

能力:頑丈ボディ

 

 

 

 

 

 

No.22 レヴィ

 

続いてぺこらさんの娘のレヴィちゃんだ。この子は母親譲りなのか大のイタズラ好きらしく、それが能力に反映されているのだとか?はたしてどんな能力なのだろうか?

 

「あぁー!ろふまお塾の収録疲れたぁ〜ッ!」

 

「もうなんで僕らアイドルなのに身体張った企画ばっかりさせられるんだろうなぁ?」

 

「まあ今日はもう終わりましたしこのまま飲みにいきましょうか?」

 

おや?どうやらにじさんじのユニットの一つであるROF-MAOのメンバーが収録を終えて戻ってきたようだ……ってレヴィちゃんが物陰からROF-MAOの事を見ているが何を……?

 

「ニシシ♪あい!」

 

ーシュンッ!ー

 

「へ……ってうわあぁぁぁッ!?」

 

ーヒュウウゥゥ〜……ベチャッ!ー

 

な、なんだ!?急に甲斐田さんの足元にデカい穴が空いたと思ったら甲斐田さんがそのまま落ちてしまった?!

 

「はぁッ!?おい甲斐田大丈夫かぁッ?!」

 

「な、なんとか……ってかこれ一体何……これトマトじゃねーか?!うわ最悪口に入ったんだがヴォエェ〜ッ!?」

 

「甲斐田さーん!?待っててください!今ロープを持ってきてーシュンッ!ー……へ?」

 

ーヒュウウゥゥ〜……グチャッ!ー

 

うわ、今度は加賀美さんの足元に落とし穴が!?しかも今嫌な音が聞こえたんだが……?

 

「ヴォエェェェェッ?!大量のキナーゼがあぁーーーーーッ!?」

 

「社長ーーーッ!?大丈夫かーッ!?」

 

な、なんという事か……甲斐田さんの落とし穴にはトマトが入っていて加賀美さんのには納豆が入っているとは、どうやらレヴィちゃんは相手の嫌いなモノが入った落とし穴を生成する能力らしい。なんとも恐ろしい能力だ……?!

 

「ファッファッファ〜♪」

 

「あ!お前の仕業かレヴィ!?こいつ何時もイタズラしやがってーシュンッ!ーってうぉッ!?」

 

イタズラしているレヴィちゃんを見つけ不破さんがとっ捕まえようとするがその前に落とし穴が現れそのまま落ちてしまった。確か不破さんの嫌いなのって……?

 

ードサァッ!ー

 

「うわクッセエェェェェェェェェェッ!?ヴォエェェェェ〜ッ!」

 

あぁ、やっぱりパクチーか。これで残るのは剣持さんだけになってしまったが……?

 

「ファッファッファ♪おとしぇ〜ーヒョイッーう?」

 

「レヴィ〜?あんたまた性懲りもなくイタズラして!この間力一さんにイタズラして怒られたのにまだ反省してねぇぺこかこのバカタレッ!!」

 

「あ、あうぅ〜!?」

 

「ふぅ、レイ兄さんに渡されてた呼び出しボタン持ってて良かったわ……」

 

どうやら剣持さんが持ってた呼び出しボタンを使ってぺこらさんに知らせてたようだ。駆けつけたぺこらさんはかなり怒っていてその後捕まったレヴィちゃんはぺこらさんのお尻ペンペンを受けギャン泣きするのであった。

 

 

 

レヴィ

能力:落とし穴生成

 

 

 

 

 

 

 

No.23 マリア

 

さて、続いてはマリンさんの娘のマリアちゃんだ。この子はかなり繊細でちょっとした物音でもびっくりして泣いてしまうのでよくあんずちゃんの能力にお世話になってるらしいのだが、さて一体どんな能力を持っているのか……?

 

「スゥ、スゥ……」

 

お、今は丁度お昼寝の時間みたいだ。静かな寝息を立てて気持ち良さそうに寝ているのが可愛らしいなぁ……

 

ーバッタアァンッ!ー

 

「うがあぁぁぁぁぁぁぁッ!やしきずマジでセコいやろがあのコンボ!?」

 

「ハッ!悔しかったら笹木も格ゲーもっと練習するんだなぁ!?」

 

ービクゥッ!ー

 

「……ふぇ……ふえぇ……びゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!」

 

あぁ、折角寝てたマリアちゃんがリビングにやって来た社築さんと咲さんの二人の大声でびっくりして起きて泣いてしまった!?ってあれ……?

 

ーゴゴゴゴゴゴゴゴッ……ー

 

「へ?な、何やこの揺れ……?」

 

「さぁ……ってオイオイオイオイ何か出てくるぞ!?」

 

泣きじゃくるマリアちゃんの前に謎の空洞が現れ、其処から何かが姿を現していく。あ、あれは……?!

 

ーブラックホール!ブラックホール!ブラックホール!レボリューションッ!フハハハハハァ……!ー

 

「……おいおい、何かに呼ばれたかと思ったらこんなガキが俺を呼んだのかぁ?」

 

「「え、エボルトオォォォォォォォォッ!?」」

 

な、なんと!?あれは仮面ライダービルドのラスボスのエボルトこと仮面ライダーエボルブラックホールフォームではないか!?こ、これってまさかマリアちゃんが呼んだのか?!

 

「ふぎゅ……ふぇ……」

 

「あーあー、どんな力で呼んだか知らねぇが、呼ばれたからにはきっちりと仕事をしねぇとなぁ?」

 

「「ヒイィィィィィィィィィッ?!!?」」

 

や、ヤバい!このままじゃ社さんと咲さんが危ない!?急いで佐々木玲二を呼ばないと!?

 

結局その後佐々木玲二を呼びエボルトを元の世界へと戻しなんとか無事に済んだ。どうやらマリアちゃんは泣くと異世界から特撮ヒーローを呼んで自分を守ってもらうみたいだが今回は見事にハズレを引いてしまったようだ……はぁ、疲れた……

 

 

 

マリア

能力:ヒーロー召喚

 

 

 

 

 

 

No.24 りあら

 

さて、続いては元3期生のるしあさんの娘のりあらちゃんだ。この子の能力は一体どんなのだろうか?先程のマリアちゃんの所為で何が来ても驚きはしないが……?

 

「うゅ……ちょちょしゃんげんきなって?」

 

「うーん、この子はもう寿命がきてしまってるからこれ以上は飛べないかもね?」

 

「うゆぅ〜……」

 

……どうやら今りあらちゃんの手のひらにいる蝶々が死にかけているようだ。もうじき命の灯火が消えるという事にりあらちゃんは悲しそうな表情を浮かべているな……

 

「うぅ〜……あいッ!」

 

ーパアァァァァ……!ー

 

「え?りあら、一体何をしてるの?」

 

な、なんだ?りあらちゃんの手のひらが光って蝶々がその光を吸収している?これは……

 

ー……ピク……ヒラヒラ〜ー

 

「わーい、ちょちょしゃんげんきなった〜♪」

 

「えぇッ!?こ、これって蘇生術?!りあら、あんたるしあが前世で何百年掛けても出来なかった事が出来るの!?」

 

「あい!」

 

な、なんという事か!?蘇生術といえば死霊使いが太古の時代からずっと追い求めてきた究極の秘術ではないか!?まさか神羅族の力が影響した事でその蘇生術を獲得したのか?!

 

その後、りあらちゃんの蘇生術について詳しく調べたところどうやら蘇生術を行うには自分の寿命を一部分け与えているようだ。なので虫等の寿命が極端に短いのなら兎も角人間を蘇生させるとなるとかなりの寿命を消費してしまう為にこの力は禁忌の力として厳重に封印する事が決まった。いやはや、なんとも恐ろしい力だ……

 

 

 

りあら

能力:蘇生術(但し自身の命に危険がある為厳重封印)

 

 

 

 

 

 

No.25 ミカ

 

此処からは4期生の子供達の紹介に移ろう。まずはかなたさんの娘のミカちゃんである。この子は産まれてすぐに短距離だが飛ぶ事が出来る等やはり普通の子よりも早い成長を見せているが、どうやらそれとは別に能力があるようで……

 

「あれ?ミカ〜、そろそろおねんねの時間だよ〜……何処に行っちゃったんだろう?」

 

おや?どうやらかなたさんはミカちゃんを寝かしつけようとしているが肝心のミカちゃん本人の姿が見当たらないな?

 

「あ、ねぇミーアちゃん、ミカ何処に行ったか知ってる?」

 

「うゅ?あっち〜」

 

かなたさんは近くにいたルーナさんの娘のミーアちゃんに聞くとミーアちゃんはあっちに行ったと指を指していく。

 

「そう、ありがとうミーアちゃん♪……なんて言うと思ったミカ?」ガシッ!

 

「あぅ!?」

 

ミカちゃん?いやかなたさん、貴方が抱っこしてるのはミーアちゃんじゃ……?

 

ーポンッ!ー

 

「あうぅ〜……」

 

え?!ミーアちゃんがミカちゃんになった!?もしかしてこれって、変身の能力か!?

 

「残念だったねミカ?ミーアちゃんはまだ喋れないからあっちなんて言うワケないんだよ!ほら観念してさっさとお昼寝するよ!?」

 

「やいやいぃ〜!まだあしょぶぅ〜ッ!」

 

駄々を捏ねるも結局は連れてかれてベビーベッドに寝かしつけられてしまうミカちゃん。どうやらまだ遊びたい時はああやって変身して誤魔化そうとしているようだ。けど結局はすぐにバレてしまうらしい。

 

 

 

ミカ

能力:変身

 

 

 

 

 

 

No.26 らいむ

 

続いてはわためさんの娘のらいむちゃんだ。この子は偶に母親の事を食料か何かを見るような目で見ていると言うがはたしてその能力は一体どんなモノなのか?

 

「おぉ〜!めっちゃ美味そうなステーキやん♪」

 

「でしょでしょ♪この間の収録終わってスタッフさんが残ってた霜降りステーキ分けてくれたんだ〜♪」

 

「じゃあ早速食べよ食べよ〜♪」

 

「………………ジュルリ」

 

どうやら今にじさんじの三バカこと戌亥さんとリゼさんとアンジュさんが高級霜降りステーキを食べようとしてるのをらいむちゃんが羨ましそうに眺めている……ん?なんからいむちゃん口を大きく開いてどうしたんだ?

 

「あー……ん!」

 

ーパッ!ー

 

「あれ!?ステーキが消えた?!」

 

「え、嘘でしょ!?誰かのイタズラ?!」

 

「誰やぁ?!ウチらのステーキ盗った奴はぁーーーーーッ!?」

 

なんと!?三バカの皆さんのステーキが一瞬で消えた?!これは一体…………え?

 

「……ぷはぁ♪けっぷ」

 

え?なんからいむちゃんがお腹を擦りながら満足そうな笑みを浮かべてけっぷしてる……ま、まさか、あのステーキってもしかして……!?

 

……その後調べによるとらいむちゃんは一定の範囲内の食べ物を瞬時に自分のエネルギーに変換出来るようだ。つまりはあの三人のステーキはらいむちゃんのお腹に収まってしまったようだ。そして驚くのはその後一時間後にらいむちゃん自身のご飯があったのだがらいむちゃんはこれを普通に完食していた。この子、母親と違って肉食の大食漢なのかもしれない……?

 

 

 

らいむ

能力:食料吸収

 

 

 

 

 

 

No.27 クリス

 

お次はトワさんの娘のクリスちゃんだ。クリスちゃんの能力はどうやら実演してくれるみたいだが、それにしても何故まつりさんとマリンさんまでいるんだ?

 

「はいそれじゃあクリス、まずはまつりちゃんに右手でポン♪」

 

「え?何右手でポンって……?」

 

「あーい♪んー……ぽん!」

 

ーシュウゥゥ……ポンッ!ー

 

え?クリスちゃんが何か力を込めて右手をまつりさんに向けたら急に煙に包まれて……ってえぇッ!?

 

「……ほぇ?ここどこぉ?パパとママは〜?」

 

な、なんと!?まつりさんが小さくなってしまった!?これはもしかして幼少期のまつりさんに戻ってしまったのか?!

 

「え?!こ、これってもしかして船長も!?いや~ん船長ってばまたぷりてぃになっちゃう〜♪」

 

「……はいクリス、今度はマリン船長に左手でポン♪」

 

「あい!うー……ぽん!」

 

今度は左手に力を込めてマリンさんに向けてまた辺りが煙に包まれていくが……え?

 

「……んあ?あぁもうお昼かい?そろそろお昼ごはんを食べんとなぁ〜」

 

マ、マリンさんが老婆に!?まさかクリスちゃんの力って右手だと若返られて左手だと逆に歳をとらせてしまうのか!?

 

「アタタ、腰が……歳は取りたくないもんじゃのぉ〜?」

 

「おばーちゃんだいじょぶ〜?」

 

「おぉ、お嬢ちゃんありがとうね〜。処で善子さんや、トイレは何処じゃったかのぉ?」

 

「いや善子って誰やねん?!」

 

な、なんだか性格まで歳老いてしまっているな……?これはある意味不老不死になれるのでは?と思ったがどうやらこの力は5分程で切れてしまうようだ。まあそれでも充分に凄い能力ではあるが、なかなか使い道が限られそうだ。

 

 

 

クリス

能力:年齢変化

 

 

 

 

 

 

No.28 ミーア

 

さて、続いてはルーナさんの娘のミーアちゃんだ。この子は普段は誰かに甘えるのが好きでよく両親やカケルくん等にしがみつく事が多いのだとか?さて、そんなミーアちゃんはどんな力を見せてくれるのか……?

 

「ほらミーア!もうそんなに玉子ボーロ食べたら夕ご飯食べれなくなるでしょ!?もう今日はおやつはおしまいなのら!」

 

「ぷゆぅ〜……」

 

あらら、ミーアちゃん玉子ボーロの食べ過ぎでルーナさんに没収されちゃったみたいだ……おや?ミーアちゃんが何かをしようとしているようだが……?

 

「うゆぅ〜……あい!」

 

ーブォン……バッ!ー

 

「あ!?こらミーア!また能力使っただろ〜?!」

 

おお、ミーアちゃんの目の前に魔法陣のようなモノが現れたと思いきや其処に手を突っ込むとルーナさんの持ってた玉子ボーロの目の前にミーアちゃんの手が現れてそのまま玉子ボーロを奪ってしまった!成る程、ミーアちゃんの能力は空間を操作する事が出来るのか!これでは幾ら取り上げてもミーアちゃんが奪ってしまうだろう。

 

「こらミーア!もうご飯の時間も近いんだから放すのらぁ〜!」

 

「むあぁ〜!」

 

そしてルーナさんもめげずに取り上げてその度にミーアちゃんも必死に奪い返していく。結局このイタチごっこはちょこさんが夕ご飯の呼び出しをするまでずっと続くのであった。

 

 

 

ミーア

能力:空間操作

 

 

 

 

 

 

No.29 さくら

No.30 ももか

 

そして今回最後は元4期生のココさんの娘のさくらちゃんとももかちゃんだ。ももかちゃんはまだ産まれて間もなく、能力の確認をするのが遅れたのはその為である。さて、そんな二人の能力を見てみよう。

 

「ほーらさくらたん、火炎放射〜♪」

 

「おー♪」ゴオォォォォォォッ!

 

「はいももかちゃん此処に冷凍ビーム♪」

 

「オー♪」ビュオォォォォォッ!

 

……え、何コレ?みこさんがさくらちゃんに火を吹かせてバーベキューしてるしすいせいさんがももかちゃんに冷気を出させてそれでレモンサワー冷やしているんだが?これを見て一応さくらちゃん達の能力は分かったけど二人は何をしてるんだ?

 

「おいみこちにすいちゃん!オメェ等何ワタシの娘使ってバーベキューパーティー楽しんでやがるんだ!?」

 

「ゲェッ会長!?桐生会の集まりに行ってたんじゃないの?!」

 

「い、いやぁ気分的にバーベキューしたかったんだけど丁度良いところにさくらちゃん達がいたから手伝ってもらおうかなーなんて……ダメ?」

 

「ダメに決まってんだろうが!さくらもももかもバーベキューの便利グッズじゃねーんだぞ!?」

 

「おにくおいしい〜♪」

 

「ニク、ウマイ♪」

 

成る程、どうやら二人はさくらちゃん達の能力を利用してバーベキューを楽しんでいたのか。そりゃココさん怒って当然だな?でもちゃっかりさくらちゃん達お肉食べてるけど良いのか?

 

 

 

さくら

能力:炎のブレス

 

ももか

能力:氷のブレス

 

 

 

 

 

 

……以上で今回の報告は終了する。次回で残りのメンバーを紹介していきますので次で最後の報告になるかと思う。では、引き続き調査をしていきます。

 

 

 

レポート03 報告完了

 

 

 

レポート04に続く……




さて、次でレポートは最後なんですが……うーん、残りの子達の能力どうしよう?(;・∀・)


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番外編『ベイビーズレポート04』

早速買ったMGSDフリーダムを組んで見ましたが……これやばくないですか?( ゚д゚;)このキットも今後頻繁に再販されるみたいなので見かけたら是非買って作ってみてください!(≧∇≦)/

今回でベイビーズレポートは一旦終了です!はたして残りの子達にはどんな能力があるのだろうか……?最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


1月24日、このレポートも遂に今回で一旦の区切りがつく。今現在妊娠中の者もいるがそれは出産しある程度成長してから確認する事にしよう。ではまずは5期生の子供達を見ていこう。

 

 

 

 

 

 

No.31 玲牙

 

まずはぼたんさんの双子の兄で佐々木家の長男である玲牙くんからだ。この子はかなり気弱で知らない人がいると泣きじゃくってしまう程らしい。さて、この子はどんな能力があるのだろうか?

 

「あぅ……ぱーぱ、まーまぁ……」

 

おや?どうやら玲牙くんは両親を探しているみたいだな。ぼたんさんのぬいぐるみを抱っこしながら今にも泣きそうな顔で必死に両親を探している。だが確かこの時間は佐々木玲二は事務所で仕事をしていてぼたんさんは5期生の皆と配信をしているので可哀想ではあるが会うのは無理だろうな……?

 

「あうぅ……むんッ!」

 

ーシュウゥゥ…ポンッ!ー

 

「ふぅ、終わったぁ……ってあれ?」

 

「アッハッハッハ♪……ありゃ? 」

 

な、なんだ!?いきなり佐々木玲二とぼたんさんが現れた!?もしかしてこれって、玲牙くんが呼び寄せたのか?!

 

「ぱーぱ、まーまぁ♪」

 

「あ、玲牙お前また勝手にママ達呼んだのかぁ?全く、ママ今配信中だったんだぞ?しょーがない奴だなぁ〜♪」

 

「まあこっちも仕事一段落ついたから別に構わないけど……玲牙、寂しいからってパパとママを勝手に呼んじゃダメだからな〜?」

 

「あうぅ〜……」

 

「……ま、パパもママも其処まで怒ってないからそんな顔すんなって。ママは配信に戻らないといけないけどパパだったら沢山遊んでやるからな〜」

 

「!あーい♪」

 

「ごめんなレイっち、んじゃ後は頼むわ。玲牙、今日はパパにたっぷり遊んでもらうんだぞ〜♪」

 

……お互い其処まで驚いた様子はないな?どうやらこういう事が何度もあるらしい。そして佐々木玲二が玲牙くんの相手をする事になりぼたんさんは配信へと戻っていった。玲牙くんの能力は自身が転移するマオちゃんとは逆で相手を転移させる能力みたいだ。ある意味気弱で寂しがりな玲牙くんらしい能力である。

 

 

 

玲牙

能力:転移(招集)

 

 

 

 

 

 

No.32 つばき

 

お次は玲牙くんの双子の妹のつばきちゃんだ。この子は玲牙くんとは真逆でかなり強気で勝気な正確をしているらしい。実際私も調査前の挨拶をしに行った時に威嚇された程である。はたしてどんな能力を持っているのか?

 

……どうやら今は佐々木玲二がリビングで新聞を読んでるみたいだな……ん?

 

「ぐるるうぅぅぅぅ〜……」

 

なぁッ?!し、白いライオン!?なんで神羅城の中にライオンがいるんだ!?誰かのペット!?そんなワケあるか!そ、そんな事よりライオンは佐々木玲二を狙っているようだ!?このままでは佐々木玲二が襲われる!?

 

「ぐるるうぅぅぅぅ……があぁッ!」

 

「ん?ってうぉ!?」

 

あぁッ!?ライオンが飛び掛かって佐々木玲二がバランスを崩して床に倒れてしまった!は、早く助けないと!?

 

「……つばき、何時も言ってるだろ?急に飛び掛かって来るなって」

 

……へ?つ、つばきちゃん?一体どういう……?

 

ーポンッ!ー

 

「えへへ〜、とーちゃ♪」

 

な、なんと!?あの白いライオンの正体はつばきちゃんだったのか!?つばきちゃんは玲牙くんと違って獅子族の耳と尻尾はないと思ってたがまさか能力でライオンに変身出来るとは!

 

「こらこら、そんなにほっぺすりすりするなって。今日は兄ちゃんは良いのか?」

 

「やー、きょーはにーちゃよりとーちゃ〜♪あむむ〜♪」

 

「おいおい耳あむあむすんなって。全く、変わった甘え方するよなぁつばきは?」

 

つばきちゃんはそのまま佐々木玲二に甘えるように耳をあむあむして満足そうな表情を浮かべている。その後の話によるとつばきちゃんは佐々木玲二に甘える前にライオンの姿になって他の子を近づけないように威嚇しているらしい。その度にぼたんさんからお叱りを受けているのだとか。

 

 

 

つばき

能力:ライオン化

 

 

 

 

 

 

No.33 キララ

 

お次はラミィさんの娘のキララちゃんだ。この子はお酒の臭いが嫌いらしく、ほんの一杯飲んだだけでも近づくと避けられるほどである。さて、そんなこの子は一体どんな能力を見せてくれるのか?

 

「アッハッハッハァ!可愛いのうキララちゃんはぁ~♪」

 

「あうゆぅ~……」

 

あらら、あやめさんのお母さんである切菜さんが酔っ払った状態でキララちゃんを抱っこしている。この人かなりの酒豪だから酒の臭いがキツいのかキララちゃんが必死に抜け出そうとジタバタしているが、鬼人族である切菜さんの力は強く子供のキララちゃんでは抜け出せずにいるようだ。

 

「ちょ、ちょっと母上!?ダメだってキララちゃんはお酒の臭いが嫌いなんだから!」

 

「なーにちょっとくらいなら大丈夫じゃて!なぁキララ〜♪」

 

「うぅ~……やあぁーーーッ!」

 

ービカーーーッ!ー

 

うわ眩しッ!?一体何が……ってえぇッ!?

 

ーコッチーンー

 

「は、母上が氷漬けに!?だからダメだって言ったのにぃ〜!母上〜!?」

 

「ふん!」

 

せ、切菜さんが見事なまでに氷漬けになっている!?そしてキララちゃんも不機嫌なまま部屋を出ていってしまいあやめさんは急いでヤカンのお湯で氷を溶かそうとしている。成る程、これは雪国出身のラミィさんの娘らしい能力だ。

 

 

 

キララ

能力:冷気操作

 

 

 

 

 

 

No.34 エレオ

 

お次はポルカさんの娘のエレオちゃんだ。この子は佐々木ベイビーズの中でもずば抜けた記憶力を持っており一度見たもの、聞いたものは忘れる事はなく、更に手先も器用でよく手品をするのが好きらしい。そんな素で凄いこの子は一体どんな力を持っているのか?

 

「こらエレオー!それは明日のおやつでしょうが!早く返しなさーい!」

 

「やぁーッ!」

 

あ、今エレオちゃんがポルカさんに追いかけられている。どうやら明日の分のおやつまで食べようとおやつ袋を持って逃げ回っているようだ。

 

「ほーらエレオ、もう追い詰めたよ?早くそのおやつ袋ママに返しなさい!」

 

「あうぅ〜……」

 

あーやっぱり赤ちゃんだとすぐに追いつかれてしまうよな?エレオちゃんは壁際に追い込まれピンチになってしまった。それでもおやつ袋は絶対に離さないとギュッと抱き抱えているが、これはもう逃げられないな……?

 

「うぅ~……あい!」

 

ーパンッ!パアァァ……クルッ!ー

 

「はあぁッ!?な、なんだ今の!?」

 

え?!な、何が起こったんだ!?今エレオちゃんが壁を叩いたと思ったら一瞬光って、そして壁の一部が回転してエレオちゃんが其処に逃げ込んだ!?ど、どうなってるんだこれは!?

 

「はあ!?なんでいきなり壁が回転したんだよ!?しかももう普通の壁になってるし!?忍者かお前は?!」

 

そしてポルカさんはカードキーを使って壁の向こう側である部屋に入るもまたエレオちゃんが壁を回転させて抜け出し、その後も床を坂道にしたりベルトコンベアみたいに動かしたりして逃げ回っていた。どうやらエレオちゃんは触れた物をカラクリ化させる能力があるようで、神羅城は瞬く間に忍者屋敷のようになってしまった。まあ結局騒ぎに気づいて駆けつけた佐々木玲二が全てのカラクリを無力化させてエレオちゃんは捕まったみたいだ。おやつ袋を取られたエレオちゃん泣きじゃくって可哀想だったが、おやつの食べ過ぎは良くないから仕方がないな……

 

 

 

エレオ

能力:カラクリ化

 

 

 

 

 

 

No.35 ねる

 

続いてはねねさんの娘のねるちゃんだ。この子は目立ちたがり屋というかなんというか、兎に角カメラとかに写されるとテンションがあがるようだ。さて、そんなねるちゃんは一体どんな力を見せてくれるのだろうか?

 

「あうぅ〜♪」ゴロゴロッ

 

……何をしてるんだこの子?頭におむつ被ってご機嫌にゴロゴロしているんだが?しかもそのおむつさっきまで履いてたヤツじゃないのか?だとしたら汚ぇ……

 

「こらねる!お前またおむつ被って!それは帽子じゃないんだから早く取って!」バッ!

 

「やあぁ〜!」

 

お、ねねさんが気づいてねるちゃんからおむつを取ったな。こうして見るとねねさんも母親なんだと思えるな?肝心のねるちゃんはおむつ取られて不機嫌になってるけど、流石に止められて当然だから仕方がないな……

 

「うぅ~……あいッ!」

 

ーパッ!ー

 

「へ…………ッ!?キャアァァァァァァァァァァーーーーーッ!!///」

 

ブゥーーーーッ!?///な、なんだ!?ねねさんの服が一瞬で消えて全裸に!?うわねねさんって思った以上に大き……じゃなくて早く切らないとッ!?///

 

その後ねねに呼ばれた調査員は記憶が飛ぶまでぶん殴られ撮っていた映像を取られて処分されてしまうのであった。

 

 

 

ねる

能力:物体転移

 

 

 

 

 

 

No.36 つばさ

 

痛た……何で顔が腫れてるんだ?ねるちゃんの記録も消えてるし、でもなんかもの凄く得した気分なのは何でだろうか?まあ気を取り直して次は6期生ホロックスの幹部ルイさんの娘のつばさちゃんだ。この子はカケルくんとはまた違う感じで他の子達から甘やかされているようで、今もかいりちゃんからもらったペロペロキャンディを嬉しそうに振って遊んでいる。

 

「わーいあめちゃ〜♪」

 

「ちゅばしゃ、めしあーれ♪」

 

うんうん、かいりちゃんもつばさちゃんが喜んで嬉しそうだな……あれ?つばさちゃんかいりちゃんとペロペロキャンディを交互に見てどうしたんだ?

 

「………あい!」

 

ーパアァァ……パッ!ー

 

え!?つばさちゃんのペロペロキャンディが二つに増えた!?こ、これは一体……ッ!?

 

「ねーちゃ、いっしょ〜♪」

 

「あい、ちゅばしゃありあと〜♪」

 

そしてつばさちゃんからキャンディを受け取ったかいりちゃんは何事もなかったかのように二人でキャンディをペロペロと舐めていた。その後ルイさんに聞くとあれはコピーではなく一つの物を均等に分裂させているのだとか。確かにさっきのキャンディ、分裂する前と後では大きさが違ったな?だとしても凄い便利な能力だ。

 

 

 

つばさ

能力:均等分裂(生きてる者は不可)

 

 

 

 

 

 

No.37 ひより

 

お次はこよりさんの娘のひよりちゃんだ。この子も理解力は高いようだが、どうやら母親の影響か少しアダルトな方面に思考が寄ってるようだ。大丈夫なのかそれ?ま、まあそんな事は兎も角この子はどんな力を持っているのか?

 

ーガッシャアーンッ!ー

 

「あぁッ!?折角焼いたケーキが〜!?」

 

「う?」

 

おや?どうやらフブキさんがケーキを焼いてたみたいだが手元が狂って落としてしまったみたいだ。あーあ、折角焼いたケーキが台無しに……ん?

 

「むむ……あーい!」

 

ーギュイィィィィィィィンッ!ー

 

な、なんだぁ!?床に落ちてたケーキが宙に浮いて元に戻っている!?いやそれだけじゃない!割れた皿も集まって元に戻ってケーキと一緒にオーブンに戻っていく!?こ、これって時間逆行!?

 

「え?!け、ケーキが元に……あ、ありがとうひよりちゃん?」

 

「あい♪」

 

元に戻ったケーキを見てフブキさんは戸惑いながらもひよりちゃんにお礼を言う。いやこれはかなり凄い力だ!これが上手く使えれば年老いた人も若返らせる事が出来るかも!?

 

……と思ってたがどうやらこよりさんによると生きている者には効力がないようだ。少し残念ではあるが、風化した遺産等を復元するのにこの力はかなり有効だ。これは引き続き調査をしていきたいと思う。

 

 

 

ひより

能力:時間逆行

 

 

 

 

 

 

No.38 フィル

 

続いてはクロヱさんの娘のフィルちゃんだ。この子は佐々木ベイビーズの中でも一二を争う程のあがり症で両親以外がいるだけで緊張して動けなくなるようだ。そんなこの子はどんな力を持っているのだろうか?

 

「あ、あうぅ〜♪」

 

今現在フィルちゃんはお絵かきを楽しんでいるようだ。描いているのは……うさぎかな?子供ながらに可愛く描けているなぁ……あれ?描き終わった絵を持ってどうしたんだ?

 

「でてきて〜♪」

 

ーピカーッ!ー

 

ーピョンッピョンッー

 

え!?急に絵が光ったと思ったら絵の中からフィルちゃんの描いたうさぎが出てきた!?成る程、これがフィルちゃんの能力なのか!

 

「あ、フィルまたお絵かきしてたの?上手く出来てるね〜♪」

 

「あーい!まーま、にゃーにゃー♪」

 

「へ?にゃ、にゃーにゃー?もしかしてこれ、猫のつもりなの……?」

 

……どうやら描いていたのはうさぎではなく猫だったようだ。これは子供特有の独特センスか、もしくはクロヱさんの筆記の汚さの遺伝か……いや、子供の描いた絵にこれ以上とやかく言うのは止めよう。

 

 

 

フィル

能力:実体化

 

 

 

 

 

 

No.39 にほ

 

そしてホロックス最後はいろはさんの娘のにほちゃんだ。この子は普段はこれといった特徴はないらしいのだが、実はかなり面白い能力があるらしい。一体どんな……

 

「もうにほ!これ以上は晩御飯食べれなくなるからおやつはダメでござるよ!」

 

「うゆぅ〜……」

 

「そんな目で見てもダメ!大体一人でこんなに食べたらおデブになっちゃうよ!?」

 

「うぅ~…………!あーい!」

 

ーパンッ!ポンッポンッポンッポンッ!ー

 

『あーい♪』

 

なんと!?にほちゃんが分身した?!そう言えば以前にじさんじの笹木咲さんの配信でこの子が分身したという情報があったがこれの事だったのか!?ざっと三十人はいるぞ!?

 

「こらにほ!分身してもダメでござるよ!この間だって一人に戻ったらお腹パンパンになっちゃったでしょ!?ダメったらダメでござる!」

 

『ふぇ……ビャアァァァァァァァァァァァァァァァァーーーーーーッ!!』

 

うわうるさッ!?約三十人のにほちゃんが一斉に泣き出して最早災害レベルの爆音になっているぞ!?

 

「あぁーーーもうにほったらうるさいってばぁ!はぁもぉ〜……仕方ない、分かったでござるよ!後少しだけあげるから早く泣き止んで分身解くでござる!」

 

『あぅ……あーい!』

 

ーポンッ!ー

 

あ、元に戻ったみたいだな?一人に戻ったにほちゃんがちっちゃい饅頭をあむあむと幸せそうに食べてる後ろでいろはさんが少し疲れた様子を見せていた。まあこれはそうなるよな……?

 

 

 

にほ

能力:分身

 

 

 

 

 

 

No.40 ミナ

 

此処からはホロライブ以外の佐々木玲二の子供達の紹介にいこう。まずはみしろさんの娘のミナちゃんだ。この子は母親譲りなのかお手伝いする事が大好きらしく、何時も自分が使ってる毛布を一生懸命畳もうとしたりしているらしい。そんなしっかりした子だが一体どんな力を持っているのだろうか?

 

「うゆぅ〜、ぷゆぅ〜」

 

そして今現在ミナちゃんはみしろさんのお手伝いという事でハンカチを畳んでいた。と言ってもやはり畳むというよりは丸めてる感じだが、それでもみしろさんは微笑ましそうにミナちゃんの事を見ていた。

 

「ミナちゃんありがとう、それじゃあハンカチはこっちにちょうだいね♪」

 

「あい♪」

 

みしろさんに言われミナちゃんは素直に畳んだ(丸めた)ハンカチを渡していく。みしろさんは可哀想だが丸まったハンカチを畳み直そうと広げようとするが……

 

ーカンカンッー

 

「……ミナちゃん、また硬化させちゃったのね?はぁ……」

 

「あい♪」

 

へ!?こ、硬化!?あ、確かにミナちゃんの丸めたハンカチが鉄みたいに硬くなってる!?成る程、きっちり畳もうとするミナちゃんが形を崩さないように固めてしまったのか。みしろさんもお手伝いしてくれてるって事であんまり怒れないんだろうなぁ……?

 

 

 

ミナ

能力:硬化

 

 

 

 

 

 

No.41 ヒカリ

 

お次はアカリさんの娘のヒカリちゃんだ。この子は寝るのが大好きで下手に起こすと物凄い爆音で泣き出すらしい。それが能力か?と思いきや能力は他にあるらしい。一体どんな……?

 

「うーんとこれがこうで……あーこのままだと準備が間に合わないかなぁ〜?ねーヒカリ〜、お願いしても良いかな?」

 

「あーい♪」

 

おや、どうやらアカリさんが何やら撮影の準備をしているようだが少し戸惑っているみたいだな?でもそれでなんでヒカリちゃんにお願いなんてしているのだ?

 

ーピタッ…ピカーーッ!ー

 

そう思ってたらヒカリちゃんがアカリさんの胸に手を当てると其処から紫の光が放たれ何かが飛び出してきた!?こ、これは……!?

 

「……はぁ、また呼び出し〜?面倒くさいんだけどぉ〜……?」

 

な!?こ、これは……アカリさんがもう一人?!でもアカリさんと違って紫を基調とした姿をしているし明るいアカリとは対照的になんかダウナーっぽい感じがする!?

 

「ごめんねヤミちゃん!どうしても動画の準備が間に合わないから手伝ってほしいんだ!」

 

「やだ面倒くさい自分でやれ」

 

「そんな事言わないでお願いしますー!後で美味しいスイーツご馳走するからぁ〜ッ!」

 

「……特大ホールケーキなら手伝ってあげる」

 

「ホントに!?ありがとヤミちゃーん♪」

 

ど、どうやら話は纏まったみたいだな?にしてもこれはどうなってるんだ……?

 

その後の話によるとヒカリちゃんの能力は多次元から対象となる者を召喚する能力らしい。但し呼び出されるのは本人の性格とは真逆の性格をした存在らしい。まさに鏡写しの自分を呼び出す能力といったところだ。因みに先程の紫のアカリさんはココロヤミというらしい。

 

 

 

ヒカリ

能力:次元召喚

 

 

 

 

 

 

No.42 みるく

 

続いてはシロさんの娘のみるくちゃんだ。この子はイルカ族のクォーターらしく暑いのは苦手らしい。そしてこの能力はそんな暑さ対策らしい。一体どんな……

 

「わーい♪」

 

ーチャプチャプチャプーンー

 

……なんだこれ?!中庭で観察していたらみるくちゃんの頭上に巨大な水が集まってる!?もしかしなくてもこれみるくちゃんが集めたのか?!

 

「あ、結構集まったね〜♪それじゃあももかちゃんお願い♪」

 

「オー♪」

 

ーゴオォォォォォォォォォッ!ー

 

今度はももかちゃんが冷気を吐いて集まった水を凍らせてデカい氷の塊にしていく。これはひょっとして……?

 

ードッシーンッ!ー

 

「わーい巨大スケートリンク完成〜♪」

 

「わ~い♪」

 

「オー♪」

 

なんと作っていたのはスケートリンクだったのか!?確かにこういう冬にはぴったりだな。それにしてもみるくちゃんの能力は大気中の水分を集める能力とは、確かに暑がりなみるくちゃんにはぴったりの力だ。

 

 

 

みるく

能力:水生成

 

 

 

 

 

 

No.43 ユメ

No.44 リナ

 

さて続いてはヒメヒナのお二人の娘のユメちゃんとリナちゃんだ。この子達はそれぞれの母親の特徴を色濃く受け継いでおりヒメさんの娘のリナちゃんはホラーが苦手でヒナさんの娘のユメちゃんは逆にホラーに強いのだとか。さて、そんなこの子達の能力は……?

 

「リーナ♪」

 

「あぅ?」

 

「んー……ぱぁ!」

 

ーピカーッ!ー

 

ん?ユメちゃんが力んで一瞬光ったが特に変わった所はないような……?

 

「リーナ、おいで〜♪」

 

「あ、あうぅ〜」ハイハイ

 

ー〜♪〜♪ー

 

「!あうぅ〜♪」〜♪〜♪

 

おお!?リナちゃんがハイハイする度に床からピアノのような音が鳴り出した!まるで床全体が楽器になったみたいだ!

 

「あぅあ〜♪むん!」

 

ーパアァァ……!ー

 

ーフワッ……〜♪〜♪ー

 

すると今度はリナちゃんが力むと周りにあったおもちゃの楽器達が浮かび上がり独りでに音楽を奏で始めた!そして先程の床も楽しそうなメロディを奏でまるでテーマパークのような愉快な雰囲気になっていく。

 

「わーい!たのちーねリナ〜♪」

 

「あうやぁ〜♪」

 

成る程、ユメちゃんは物を楽器化させる能力でリナちゃんは楽器を操る能力を持ってたのか。周りの楽しそうな雰囲気にユメちゃんリナちゃんだけでなく近くにいた佐々木ベイビーズも集まり楽しそうに楽器で遊び始めていた。あぁ、見ているだけで和むなぁ〜。

 

 

 

ユメ

能力:楽器化

 

リナ

能力:楽器操作

 

 

 

 

 

 

No.45 黒子

 

さて、最後はフブキさん……いや、同じ名前の方がいるので此処ではクロさんと呼ばせてもらおう。最後はクロさんの娘の黒子ちゃんだ。この子は最近分かった事でなんとこゆきちゃんとは逆で母親以外の女の人が嫌いらしい。とはいえ全てではなくクロさんの母親であるイブキさんや何度か面識のある人ならある程度は大丈夫なんだとか。そんな黒子ちゃんは一体どんな能力を見せてくれるのか?

 

「あい、あーい♪」

 

ーパチッパチッパチッー

 

これは……こゆきちゃんと同じ念力によるガンプラ作り?でもこゆきちゃんと違って黒子ちゃん三つのガンプラを同時に作ってしかもヤスリ掛けやマーカーでの塗装もしている!?しかも作るスピードがこゆきちゃんよりも早い!?

 

「あうやぁ〜♪」

 

「お、出来たか黒子?……おぉ、見事なまでのザクとグフとゲルググだな♪しかしまぁなんでこの子は旧キットしか作れないんだろうな?」

 

「う?」

 

……どうやら黒子ちゃんは旧キット限定でしかこの力を使えないらしい。だがあの古いキットを此処まで格好良く仕上げるとは、見事な物だ。因みに私は旧キットではビグザムが好きだ。

 

 

 

黒子

能力:念力(ガンプラ制作特化。こゆきより強力だが旧キットしか作れない)

 

 

 

 

 

 

……以上をもって現時点での佐々木ベイビーズの調査報告を終了致します。今後は定期的に能力の成長具合等も確認しつつ暴走しないかを監視してまいります。

 

 

 

レポート04報告完了

 

 

 

これにてベイビーズレポート一時的に観察終了。




はい、冒頭でも言いましたがベイビーズレポートはこれで一旦終了です。次やるとしたらにじさんじ組のベイビーズが産まれた後ですかね?

次回もまったり待って頂ければ幸いです、ではまた!


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番外編『ベイビーズの大冒険』

なんか仕事の合間にお菓子食ってたら急にネタが降ってきたんで取り敢えず投稿します。


此処はホロライト王国。いろんな種族が集う平和なこの国には今、悪の脅威が押し寄せようとしていた。

 

魔王ぺこーらとその部下が悪の兵士を差し向け、国中のお菓子がどんどん奪われてしまっていたのだった。

 

そんな危機を救うべく、伝説の勇者に選ばれた戦士とその仲間達が立ち上がるのであった!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よいか勇者よ、世界を救う事が出来るのはお前達しかおらん。世界の平和の為、お前達には魔王を必ず討伐してもらうぞ」

 

国王スバル

 

「あい!こゆ、がんばりゅ!」

 

勇者こゆき

武器 ポッキーソードイチゴ味

 

「かいり、がんばりましゅ!」

 

ヒーラーかいり

武器 ペロペロキャンディの杖

 

「ふみゅぅ……」

 

召喚士マリア

武器 ひもQのムチ

 

「わーい♪」

 

グラップラーめぐみ

武器 哺乳瓶型棍棒

 

「うむ!では早速魔王を倒しに征くのだ勇者達よ!」

 

『あーい♪』

 

勇者こゆきとその一行は魔王ぺこーらを討伐する為に旅立つのであった。

 

「…………いや本当に大丈夫か?」

 

内心不安なスバル王であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして勇者一行は遂に魔王ぺこーらが支配しているという魔王城まで辿り着いた!

 

「みんな〜、いくよ〜!」

 

『おー!』

 

勇者こゆきは気合いを込め魔王城の門の横にあるボタンを押す。

 

ーピンポーンッー

 

《はーい》

 

「こゆ、きまちた!」

 

《あ、勇者御一行さんね?今開けますからちょっとお待ちを〜♪》

 

ーゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ……ー

 

扉を開く合言葉を唱え、勇者一行はいよいよ魔王城へと侵入していく。その最初の刺客は……?

 

「ハーッハッハッハァッ!よく来たな勇者共よ!しかぁしッ!此処から先に進みたければこのマッドサイエンティストこよりを倒してからだぁッ!」

 

マッドサイエンティストこよりが現れた!

 

「むんッ!やあぁ〜!」

 

こゆきのポッキー攻撃!

 

ーポキッー

 

「……あ」

 

こよりに0ダメージ!

 

ポッキーソードが折れた!

 

「うみゅ……ふえぇ……うわあぁ〜ん!こゆのポッキ〜!」

 

「えぇッ!?ちょ、ちょっとぉ!?」

 

こゆきは大泣きした!

 

こよりに5000の精神ダメージ!

 

「ちょ、ちょっとぉ!?ごめんってばぁ!?ほ、ほらこれ!こよりのお菓子あげるから!そんで此処通って良いから!だからお願い泣き止んでえぇぇーーーッ!?」

 

「グスッ……ふぇ?……わーいポッキ〜♪」

 

こゆきは新たにポッキーソード夕張メロン味を手に入れた!

 

マッドサイエンティストこよりをたおした!

 

「もぉ~!もうこんな役回りやだよぉ〜!?」

 

第一の刺客を見事に撃破した勇者一行は次の敵と戦う為に更に奥へと進むのであった!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フッフッフッ……マッドサイエンティストこよりを倒すとはなかなかやるな?だがこの第二の刺客!幻惑の奇術師ポルカが相手になってやろう!」

 

第二の刺客、幻惑の奇術師ポルカが現れた!

 

「むん!とやあぁ〜!」

 

めぐみの突進攻撃!

 

ードゴォッ!ー

 

「ぐぼぁ!?」

 

クリティカルヒット!ポルカに2000のダメージ!

 

「ちょ、おま……物理的に攻撃すんの聞いてな……グフッ」

 

ポルカは腹を抑えて倒れた!

 

「う?いたいのいたいの〜とんでけ〜♪」

 

ーパアァァ……ー

 

かいりの治癒!ポルカは回復した!

 

「う、う〜ん……あ、あれ?回復してる?」

 

「あい♪」

 

「あ、えと……お、おのれ〜、よくも情けをかけてくれたな〜。覚えてろよ〜?」

 

ポルカは逃げ出した!

 

第二の刺客も倒し、残るは魔王ぺこーらのみとなった。勇者一行は意気揚々と最後の部屋へと辿り着いた!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぺーこぺこぺこ!あんた達ぃ、よく此処まで辿り着いたぺこだねぇ?だぁけぇどぉ?この魔王ぺこーら様の前にはあんた達の力なんて無力ぺこ!さあ野ウサギ達!やってしまえぺこぉッ!」

 

魔王ぺこーらが現れた!

 

ぺこーらは野ウサギ達を呼び出した!

 

ーバッ!バッ!バッ!バッ!ー

 

「あぅ!?こゆのポッキ〜!」

 

「かいりのあめちゃあ!?とっちゃめー!」

 

「うゆぅ!?めぐのみゆくかえちて〜!」

 

野ウサギ達はお菓子を強奪した!

 

こゆきとかいりとめぐみは泣きながら追いかけた!

 

「な、なんか凄く良心が痛むぺこだけど……と、兎に角これで誰も魔王ぺこーらには逆らえないぺこ!ファッファッファッファ〜♪ってあれ……?」

 

「ふぇ…マリのおやちゅ……ふぇ……ふえぇ……びゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーッ!」

 

マリアは大泣きした!

 

ーゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ……ー

 

マリアは仲間を呼び出した!

 

「な!?ま、まさかの召喚魔法とは!?け、けどそんな泣きながら呼ぶ奴なんてどうせ大した事ねぇぺ…こ……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーアンコントロールスイッチ!ブラックハザード!ヤベーイッ!ー

 

ーSecret material! 飛電メタル!メタルクラスタホッパー!

"It's High Quality."ー

 

ーバキッ!ボキッ!ボーン!ガキッ!ゴキッ!ボーン!プリミティブドラゴン!ー

 

『ハアァァァ……』

 

マリアは仮面ライダービルド ラビットタンクハザードフォームを召喚した!

 

マリアは仮面ライダーゼロワン メタルクラスタホッパーを召喚した!

 

マリアは仮面ライダーセイバー プリミティブドラゴンを召喚した!

 

「って全部暴走フォームじゃねーかぁ!?」

 

「うゅ、マリのおやちゅぅ〜……」

 

『…………ギロッ!』

 

「ヒッ!?あ、あの〜?此処は一つ話し合いで穏便に解決というのは……?」

 

ーReady Go!ハザードフィニッシュ!ー

 

ビルドのハザードフィニッシュ!

 

ーメタルライジングインパクト!ー

 

ゼロワンのメタルライジングインパクト!

 

ー烈火抜刀!クラッシュ必殺斬り!ー

 

セイバーのクラッシュ必殺斬り!

 

「ぺ、ぺこおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ…………ッ!?」

 

ーチュドーンッ!ー

 

ぺこーらに999999のダメージ!

 

ぺこーらは倒れた!

 

 

こうして魔王ぺこーらは勇者こゆきとその仲間達の手によって倒され、ホロライト王国には再びお菓子が戻ってきて皆末永く幸せに暮らしましたとさ。

 

めでたしめでたし♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやめでたくねぇぺこッ!ぺこーら只々酷ぇ目にあわされてるだけぺこじゃん!?なんなのさこの絵本?!」

 

「これ?これは魔使ちゃんがこゆき達の為に作ってくれた絵本だよ。楽しかったよね〜こゆき♪」

 

「あい♪」

 

「いやどんな絵本だよ?」

 

ベイビーズの大冒険

著:魔使マオ




短いとはいえこれくらいパッと思いついてすぐに書けるというのを本編でも発揮したいと思う今日この頃です(-_-;)


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番外編『佐々木チルドレンって?』

そういや最近ベイビーズ、もといチルドレンネタ書いてないな〜って事で投稿します。今回も最後まで見て頂ければ有り難いです、ではどうぞ!


「どうも、ずんだもんなのだ」

 

「四国めたんです。ところでずんだもん、貴方は子供は好きかしら?」

 

「突然なんなのだ?まぁ子供は大好きなのだ。元気にはしゃいでいるのを見るとこっちも元気になれるのだ♪」

 

「そうね、そんな中でも最近話題になっている子供達がいるのは知ってる?」

 

「最近話題に?あ、もしかして佐々木ベイビーズの事なのだ?」

 

「そうそう、今はもう成長して赤ちゃんが少なくなってるから佐々木チルドレンって呼ばれてるみたいだけど、この子達ってそんなに話題になるくらい凄いのかしら?ずんだもんってホロライブに詳しいから、知ってたら是非教えてもらえないかしら?」

 

「分かったのだ!それじゃあ今回はそんな佐々木チルドレンの中からホロライブ0期生から1期生までの子を紹介していくのだ」

 

 

 

01.かいり

 

「まず一人目はかいりちゃんなのだ。かいりちゃんは佐々木玲二さんとときのそらさんの間に産まれた女の子なのだ」

 

「あら可愛らしい♪マイクのおもちゃを持ってアイドルごっこしてるわね♪」

 

「かいりちゃんは幼少期のそらさんの髪色が黒くなっているような愛くるしい見た目をしているのだ。両親の呼び方はパパとママで、とても人懐っこくておうたと踊りが大好きなのだ」

 

「確かに誰にでも懐きそうな雰囲気があるわね」

 

「まぁあまりにも人懐っこ過ぎる所為で知らない人にも抱っこねだる程らしいのだ。そしてこれは佐々木家の子供達共通なんだけど、佐々木チルドレンは皆ガンプラが大好きなのだ」

 

「ガンプラが?なんでまた……?」

 

「この子達の父親、つまり佐々木玲二さんの趣味がガンプラなのだ。彼の趣味が後の妻となるホロメン達の間でブームになって、その影響からか子供達もガンプラ好きが遺伝しているみたいなのだ。因みにかいりちゃんはそらさんの影響でSEEDのガンプラ、特にストライクやフリーダムが大好きなのだ」

 

「へぇ、好みとかもしっかり分かれているのね?」

 

「後これも子供達共通なんだけど皆ファザコンなのだ」

 

「ふぁ、ファザコン?それは子供特有の父親への懐きとかじゃなくて?」

 

「まぁかいりちゃんだと分かりづらいのだけど、この後説明する子達の中ではそれがよく分かる子が沢山いるのだ。その時になったらめたんもこの子達がファザコンなのがよく分かるのだ」

 

 

 

02.メルト

 

「続いてはメルト君なのだ。メルト君は玲二さんとロボ子さんの間に産まれた男の子なのだ」

 

「あれ?ロボ子さんってロボットの筈じゃ……?」

 

「それはあくまで設定なのだ。公開されてはいないけどちゃんと本名もあるみたいだし。まぁそんな説明は置いといて、両親の呼び方はパパとママ。メルト君はロボ子さんの子供という事で何処かほわほわした表情をしているけど目元とかは玲二さんそっくりなのだ」

 

「ホントだ、おっとりしてそうなのに目はキリッとしてるわね」

 

「そんな彼の好みは重装甲のガンプラなのだ。νガンダムのHWSやフルアーマーガンダムなんかは彼の好みドストライクらしくて、そのガンプラが入ったカプセルを抱き枕代わりにして寝るのが好きらしいのだ」

 

「が、ガンプラを抱き枕に?カプセルに入ってるとはいえ固くて抱き心地は悪そうね……?」

 

「まぁ其処は本人達が満足してるから良いんじゃないかな?そしてこの子は凄い特技があって、なんと計算が得意なのだ」

 

「計算が得意?あ、足し算とか引き算とかが速いとかかしら?」

 

「そんなレベルじゃないのだ。試しにめたん、この問題解いてみるのだ」

 

[193✕753+555✕913]

 

「いや解けるワケないじゃない!?」

 

「メルト君はこれを数秒で解く事が出来るのだ」

 

「嘘でしょ!?幾ら計算が得意っていってもこれは流石に子供じゃ無理でしょ」

 

「ところがどっこい、これを見るのだ」

 

 

「メルト、問題だよ〜。193✕753+555✕913は?」

 

「う?はーい!652044!」

 

「はいメルト、せいかーい♪」

 

「わ~い♪」

 

 

「ほらね」

 

「いやほらねじゃないわよ!?え、これって本当に合ってるの?」

 

「僕も気になって調べたけど間違いなく合ってるのだ。因みに最近じゃ彼は素数を千単位ですっと答えられるらしいのだ」

 

「この子の頭の中どうなってるのよ!?」

 

 

 

03.かぐら

 

「続いてはかぐらちゃんなのだ。かぐらちゃんは玲二さんとさくらみこさんとの間に産まれた女の子なのだ。両親の呼び方はおとーたんとおかーたんなのだ」

 

「へぇ、見た目は黒髪になったみこちみたいね。赤い猫のキグルミ着て楽しそうに笑ってて可愛らしいわ♪」

 

「これは35P(みこのファンの呼称)の大先輩とも呼べる金時パイセンのキグルミなのだ。どうやらファンの子が作ってくれたオリジナルらしいんだけど、背中にはこんな刺繍がされてるのだ」

 

『俺等の中に上下はなく、上にかぐらたん、下にみこちがいるのみ』

 

「え、何これ?」

 

「昔とある35Pが言ったコメントなのだ。当然このコメントにはみこちはキレたしキグルミにこの刺繍がされてる事に気づいた時はかなり怒ってたのだ。当のかぐらちゃんはご満悦だったけど」

 

「ま、まぁみこちはよくイジられるけどこう形に残されるのはなんとも言えないわね……?」

 

「そんなかぐらちゃんは特に好きなガンプラのカテゴリーはないのだ。強いて言えば強そうなガンプラが好きらしいのだ」

 

「強そう?例えばフリーダムとかエクシアとかの主人公機かしら?」

 

「それよりもサイコとかデストロイとかのゴツい機体らしいのだ」

 

「あー、成る程……」

 

「そしてこの子は佐々木チルドレンの中でも特にこれと言った特徴がない子……」

 

「そうなの?まぁ全員が全員メルト君みたいな凄さがあったらびっくりよね」

 

「……と言うのは表向きなのだ」

 

「え?」

 

「実はこの子、とてつもなく霊感が強いのだ。しかもそれだけでなく多くの動物の守護霊がかぐらちゃんの周りにいるのだ」

 

「霊感!?それってもしかして、巫女であるみこちの影響かしら?」

 

「いや、どうやらみこちには霊感はないらしいのだ。つまりこの子の霊感の強さは天性のモノなのだ」

 

「そ、そうなのね?でも霊が視えるなんて凄いわね」

 

「まぁみこち曰く、視えるのは動物の霊だけらしいのだ。それにこの子の周りには沢山の動物の霊が守護霊としてかぐらちゃんを護ってくれてるというから驚きなのだ」

 

 

 

04.きらり

 

「続いてはきらりちゃんなのだ。きらりちゃんは玲二さんと星街すいせいさんとの間に産まれた女の子なのだ。両親の呼び方はパパとママなのだ」

 

「見た目はちっちゃいすいせいさんだけど、前髪に黒い触覚みたいなアホ毛が二本あるのね……あら?でもこの子、すっごく仏頂面ね。もしかして機嫌悪い時に撮っちゃったのかしら?」

 

「違うのだ。実はこの子、両親に対してしか笑顔を見せた事がないのだ。他のお母さんや子供達相手も誰もきらりちゃんが実際に笑ったところを見た事がないらしいのだ」

 

「両親っていうと玲二さんとすいせいさんだけって事?どうしてまた?」

 

「すいせいさん曰く、きらりちゃんは両親以外の人には興味がないみたいなのだ。最近では少しずついろんな事に興味が出てきたみたいだけど、それでもやっぱり笑顔はまだ両親しか見れないんだって」

 

「そうなのね。何時かきらりちゃんが皆に笑顔を見せてくれる日が楽しみね♪」

 

「そんなきらりちゃんはベアッガイとかの可愛い系のガンプラが好きらしいのだ」

 

「へぇ、意外ね?すいせいさんの子供だからもっとサイコパス的な機体を好むと思ってたんだけど」

 

「おそらくこれはすいせいさんがぬいぐるみ好きと言うのを引き継いでいるんだと思うのだ。最近ではすいせいさんが頑張って作ったベアッガイのぬいぐるみがお気に入りらしいのだ」

 

「あら可愛い♪」

 

 

 

05.あんず

 

「0期生最後の子はあんずちゃんなのなのだ。あんずちゃんは玲二さんとAZKiさんとの間に産まれた女の子で、両親の呼び方はパパとママなのだ」

 

「あ、この子は見た事があるわ。あずきちと違って真っ黒な髪色なのよね」

 

「あんずちゃんはあずきちと一緒で音楽がとても大好きなのだ。皆が楽しく歌っていると可愛らしくおててを叩いて喜ぶ仕草がとても愛くるしいと評判なのだ。でも音痴な歌を聞くと途端に嫌そうな顔をするのだ」

 

「意外と厳しいのね……」

 

「後これもあずきち譲りだと思うけど、この子空間把握能力が凄まじく高いのだ。玲二さん曰く、この子は道に迷った事が一度もないらしいのだ」

 

「道に?でも小さい子が行ける範囲で考えたら割りと行けそうな気がするけど?」

 

「あの未だに増築し続ける神羅城の内部構造を全て把握してると言っても?」

 

「……マジ?」

 

「マジなのだ。玲二さん達の家である神羅城は今も尚増築していて内部構造を完全に把握しているのは玲二さんかあんずちゃんくらいと言われているのだ」

 

「あのみしろさんでも偶に迷うって言ってるあの城の中を把握してるなんて、かなり凄いわね」

 

「神羅城の中で道に迷った時にあんずちゃんに出会えたらちゃんと帰れるって言われてるくらい凄い子なのだ。そんなあんずちゃんの好みはイージスやジャスティス系の機体が好きなのだ」

 

「此処はそらアズの二人みたいにかいりちゃんと対になってるのね」

 

 

 

6.こゆき

 

「続いてはこゆきちゃんなのだ。こゆきちゃんは玲二さんと白上フブキさんとの間に産まれた女の子で、前髪だけが黒くなってるのが特徴なのだ」

 

「出たわねこゆきちゃん!玲二さんの子供達を語る上では絶対に欠かせない子ね」

 

「その通り、こゆきちゃんは玲二さんにとって初の実子なのだ。両親の呼び方はパパとママで、好きなガンプラはガンダム全般なのだ。これは玲二さんがガンダムタイプ全般が好きなのが遺伝してると言われているのだ」

 

「初めてフブキちゃんの配信に出てきた時は皆からご祝儀が贈られていたのが印象的ね。私も五万スパチャしちゃったし」

 

「めたん、そんなにスパチャ送って大丈夫なのだ?」

 

「大丈夫よ、暫くもやし生活になってただけだから」

 

「それ大丈夫じゃないのだ!?まぁスパチャは程々に投げるのが一番なのだ。それとこの子なんだけど、最初かいりちゃんの時にこの子達が全員ファザコンと言ったのを覚えているのだ?」

 

「あ、そう言えばそんな事言ってたわね。それがどうかしたの?」

 

「この子がその筆頭なのだ」

 

「え、この子が?見たところ普通に人懐っこそうな明るい女の子じゃないの?」

 

「ところがどっこい、こゆきちゃんは父親である玲二さん以外は大の男嫌いなのだ。玲二さんのお父さんやフブキさんのお父さん、そしてYAGOOにも絶対に懐かない程に男の人が嫌いなのだ」

 

「身内にも!?それじゃあメルト君とかも嫌がるって事?」

 

「流石に最近だとメルト君とかにはナデナデしたりとかは出来るくらいにはなってるのだ。でもそれ以外で触ったり触られたりするのは嫌らしいのだ」

 

「ま、まさかそんなに男嫌いが凄いなんて……でも玲二さんにだけは懐いているのよね?やっぱり父親だからかしら?」

 

「それもあるかもしれないけど、こゆきちゃんはそれ以上に玲二さんにベタベタする事が多いのだ。特に玲二さんがお昼寝してる際は近づいて匂いを嗅ぐくらい当たり前なのだ」

 

「そ、それって最早親子愛で済ませて良いもんじゃないわね……?」

 

 

 

7.レミィ

 

「次はレミィちゃんなのだ。レミィちゃんは玲二さんと夜空メルさんとの間に産まれた女の子なのだ。両親の呼び方はパパとママなのだ」

 

「あら、そのまんまちっちゃくなったメルちゃんみたいで可愛らしいわね」

 

「レミィちゃんは母親であるメルさんと同じ吸血鬼なんだけど、母親と同じく吸血鬼が苦手とするものは全て克服、というか全く平気で代わりに血が苦手で代わりによくトマトや人参の野菜ジュースを飲んでるのだ」

 

「へぇ、やっぱりメルちゃんと同じで血が苦手なのね?」

 

「正直誰かが怪我して軽く血が出たくらいでも大泣きする程なのだ。そんな彼女の好きなガンプラはHEROSとかのSDシリーズなのだ。これは本家のMSが出てる作品が血みどろシーンがあるから避けていた影響なのだ」

 

「アニメの血ですら嫌なんて、本当に血が苦手なのね……?」

 

「ただ噂程度だけど、そんなレミィちゃんは満月の夜には魔力が膨大してしまうらしいのだ。その魔力は地球全体の魔力供給を安定させる程の膨大な量だとか」

 

「え?それは流石に嘘……よね?」

 

 

 

8.フラン

 

「続いてはレミィちゃんの妹のフランちゃんなのだ」

 

「あら可愛い♪見た目は黒髪になってちっちゃくなったメルちゃんみたいね。という事はこの子の母親もメルちゃんなの?」

 

「そうなのだ。両親は玲二さんとメルさんで、両親の呼び方はパパとママなのだ。この子はメルさんやレミィちゃんと違って血を見ても平気なのだ。飲むのは嫌がるみたいだけど」

 

「其処はメルちゃんやレミィちゃんと一緒なのね?」

 

「そんなフランちゃんのガンプラの好みはデスサイズ系の機体なのだ。これはおそらくコウモリモチーフな羽が気に入っているからとの事なのだ。後レミィちゃんがトマトや人参の野菜ジュースが好きなのに対してこの子は苺やリンゴの果物のジュースが好きなのだ」

 

「姉妹で好きな飲み物も違うのね?」

 

 

 

9.シア

 

「続いてはシアちゃんなのだ。シアちゃんは玲二さんとアキ・ローゼンタールさんとの間に産まれた女の子で両親の呼び方はパパとママなのだ」

 

「見た目はちっちゃくなったアキロゼそのものね。確かこの子ってお酒の匂いが大好きなのよね?」

 

「そうなのだ。母親譲りなのかお酒の香りが好きでよくアキロゼが晩酌する時にはわざわざ近づいて匂いを嗅ぐ程なのだ」

 

「そ、それって大丈夫なの?幾ら匂いだけとはいえお酒の匂いを嗅がせるなんて……」

 

「勿論流石に長い事嗅がせたらダメだから少しかまった後すぐに遠ざけてるみたいなのだ。本人は凄く納得してないみたいだけど、これは仕方がない事なのだ。そんなシアちゃんのお気に入りガンプラは明確でG-ポータントとダブルオーシアクアンタなのだ」

 

「G-ポータントとダブルオーシアクアンタ?それってどんな機体だっけ?」

 

「ビルドファイターズトライに登場したキジマ・シアのガンプラなのだ。これは劇中でキジマ・シアが踊るような動きで戦っていたのが気に入ったかららしいのだ」

 

「へぇ、踊るような動きが好きなのね?」

 

「シアちゃんは踊りが大好きで、よくアキロゼの真似してベリーダンスを踊ったりするからその影響かもしれないのだ。それ以外にもフラダンスやタップダンス、ブレイクダンスや盆踊りといろいろと習得している最中なのだ」

 

「え?シアちゃんって二歳児よね?そんな小さな頃からダンスの英才教育とかしてるの?」

 

「これは英才教育とかではなくシアちゃんが勝手に覚えてるだけなのだ」

 

「この子どんだけダンスが好きなのよ?!」

 

 

 

10.こころ

 

「次はこころちゃんなのだ。こころちゃんは玲二さんと赤井はあとさんとの間に産まれた女の子なのだ。両親の呼び方はパパとママなのだ」

 

「あら、見た目はちっちゃいはあちゃまね。赤いドレスみたいなお洋服が可愛らしいわね♪」

 

「こころちゃんの特徴は何故か貧乳嫌いなのだ。貧乳な子に抱っこされると途端に不機嫌になって相手の乳首を思いっきり引っ張るのだ」

 

「あー咲ちゃんがやられてたやつね?という事はずんだもんが抱っこしても引っ張られるのかしらね」

 

「僕はまだ成長中なだけなのだッ!そんな事は兎も角、そんなこころちゃんの好きなガンプラは赤いガンプラなのだ。シナンジュやサザビー、最近だとゲルググメナースがお気に入りなのだ」

 

「やっぱりはあちゃまと同じでその辺の機体が好みなのね」

 

「後最近の話なんだけど、こころちゃんははあちゃまが料理をすると途端に逃げ出すらしいのだ」

 

「やっぱり子供ながらにあの料理の脅威はわかるのね……?」

 

 

 

11.祭華

 

「1期生最後は祭華ちゃんなのだ。祭華ちゃんは玲二さんと夏色まつりさんとの間に産まれた女の子なのだ。両親の呼び方はパパとママなのだ。そして好きなガンプラはGガン系のような格闘主体な機体なのだ」

 

「見た目は黒髪になったまつりちゃんって感じね……ねぇずんだもん?祭華ちゃんの手に持ってるのって一体何かしら?」

 

「これは玲二さんの脱ぎたてトランクスなのだ」

 

「何て物を持ってるのこの子は!?」

 

「この子は重度の匂いフェチなのだ。特に父親である玲二さんの服や下着の匂いが好きで偶に何着か取って隠し持ってるらしいのだ」

 

「完全に変態じゃない!?子供ながらに大丈夫なのそれ?!」

 

「だから見つかる度にまつりちゃんに没収されてその度に大泣きしてるのだ。それもあって時々まつりちゃんには反抗的でぺちゃぱいと言って余計に怒らせているのだ」

 

「え?もしかして母娘関係悪いのかしら……?」

 

「そんな事はないのだ。普段はとても仲の良い母娘でよくSNSで一緒にご飯を食べてる写真が上げられているのだ」

 

「あら素敵……何これ?テーブルにびっしり料理が並んでるんだけど?え、流石に他のホロメンとかと一緒の食事よね?」

 

「ところがどっこい、これまつりちゃんと祭華ちゃんのお昼ご飯なのだ」

 

「この母娘どんだけ食べてるの?!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「という事で今回は佐々木チルドレン0期生と1期生を紹介したけどどうだったのだ?」

 

「何と言うかまぁ、凄く個性的な子ばっかりだったわね?母親である皆の協力があるとはいえ、玲二さんはよく子育て頑張ってるわよね?」

 

「玲二さんは元からハイスペックだからこれくらいは父親として当然といった感じでこなしているのだ。勿論それにはフブキさん達のような皆の協力があってこそだからこれからもチルドレンの皆にはすくすくと育ってほしいのだ」

 

「そうね。それに機会があれば他の子も紹介してほしいわ」

 

「というワケで今日は此処までなのだ。ご視聴」

 

「「ありがとうございます♪」」




はい、という事でチルドレン紹介第一弾でした!次回も他の話の合間にちょこちょこ書きながら出来たら投稿しますのでまったりと待って頂ければ幸いです、ではまた!


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コント
コント『墓参り』


気分転換に書いて見ました。地文無し&吹き出し前に名前有りです。

登場人物
玲二 スバル ちょこ ルーナ ぼたん ロボ子 るしあ わため


―墓場―

 

ス『……あれ、スバル何で此処にいるの?ってか此処何処だ?』

 

玲「………スバル」

 

ス『あ、兄ちゃんだ。それにちょこ先にルーナにぼたんちゃんも、皆してどうしたんだろ?今日皆でコラボ配信だっけ?』

 

玲「スバル……どうして死んでしまったんだよ!」

 

ス『死んだ?!え、スバル死んだの……てか何この幽霊みたいな格好!?あ、もしかしてそれスバルの墓?!』

 

ル「うぅ、しゅばぁ……」

 

ちょ「スバル、いくら何でも早すぎるわよ……」

 

ぼ「スバル先輩、もっと一緒に遊びたかったです……」

 

ス『み、皆、スバルの為に………ってよく見たら何で全員蝶ネクタイなんだよ?!え、喪服じゃないの?!何で墓参りにタキシードで来てるのコイツ等!?』

 

ル「しゅば、ルーナはしゅばのツッコミが好きだったのら。でも……電信柱につっこむ事なかったのら!」

 

ス『いや突っ込み違いも甚だしいわ!え、スバル電信柱に突っ込んで死んだの?!何があったんだよスバルの身に!?』

 

ちょ「本当にびっくりしたわよ………まさか人間ハンマー投げしただけで死んじゃうなんて」

 

ス『お前か犯人!?何、スバルの事ブン回して投げてそれでスバル電信柱に当たって死んだの?!最悪の死に方じゃん!?』

 

ぼ「スバル先輩……せめて貸した二千円返してから死んでほしかったです」

 

ス『いや最低かお前!?ぼたんちゃんにとってスバルは貸した二千円以下か?!』

 

玲「スバル、今日はこれだけしか集まれなくて済まないな。本当は皆で来たかったんだが、皆それぞれ外せない予定があってな」

 

ス『あ、そうなんだ?でも確かに急に死んじゃったから都合なんて合わないッスよね』

 

玲「ショッピング行ったり遊園地行ったり部屋でゴロゴロしたりして忙しいって皆断られたんだよ」

 

ス『前言撤回じゃ何が予定だよ!?皆遊ぶ方優先してるじゃん!しかも最後なんて予定でも何でもねーじゃん!!』

 

玲「でも安心してくれ。皆で折半してくれて花を買ってきたからな」

 

ス『あ、花あるんだ?良かった、本当に皆無関心だったらどうしようかと思ったけど』

 

玲「んじゃちょこ、ぼたん、こっちに持ってきてくれ」

 

ちょ・ぼ「「はーい」」ドサッ!

 

ス『ちょい待てそれお祝い花じゃねーか!?しかも新装開店とかでよくあるでかいヤツ!死者を弔うのにそんなお祝い事のヤツ持ってくんじゃってよく見たら祝・大空スバルの墓建設って書いてるし!墓建てるのを祝うんじゃねぇ!』

 

ル「それとこれはルーナ個人の花なのらぁ~」コトッ

 

ス『おいお前これカリフラワーじゃねーか!?確かにフラワーって付いてるけど野菜だ、ってもう一つに関してはブロッコリーじゃん?!最早花関係ねーよ!』

 

ちょ「あ、そうだ。今日はね、スバルの大好きだった物沢山持ってきたわよ♪」

 

ス『あ、ホントに?なんだかんだちょこ先優しいなぁ』

 

ちょ「ほらこれ、スバルの好きなオレンジジュースよ」

 

ス『おぉー、ホントにスバルの好きな物だぁ♪ちょこ先ありがとねー♪』

 

ちょ「はい、たーんとお飲み~♪」ドボドボドボドボッ

 

ス『いやかけるなかけるな!水差し代わりにオレンジジュースかけるな!墓ベットベトになるし蟻依ってくるわ!』

 

ぼ「それとこれ、この間スバルが美味しいって言ってたモンブラン、一緒に置いとくね」ベチャッ

 

ス『ちょっと待て墓の上に雑な直置きすんなって形崩れてなんかウ○コみたいになってるじゃん!?それとしれっと呼び捨てにしやがったなコイツ!?』

 

ル「ルーナからは今までの思い出の写真をシールにしたからあげるのら~♪」ペタッペタッペタッ

 

ス『墓に直で貼るんじゃねーよ!何だよスバルがルーナにキスしてたりハグしたりの写真……って後半に関してはお前が兄ちゃんとデートしたり○○○中の写真ばっかりじゃねーか!何だ嫌みか?!』

 

玲「良かったなスバル、皆お前の事大事に思ってくれてるぞ」

 

ス『大事に思ってるんだったらこんな事しねーだろ!?何だこのきったねぇ墓?!』

 

玲「だから頼むから化けて出てこないでくれよな?」

 

ス『言い方!なんだ化けて出てくんなって?!こんなん100%化けて出てやるわ!』

 

玲「………でもなスバル。やっぱり俺も皆も、まだお前が死んだ事を受け入れられてねぇんだ」

 

ス『え………?』

 

玲「なんとか皆でスバルを生き返らせれないかって、色々方法を探したんだ」

 

ス『そ、そうだったんスか……?』

 

玲「其処で漸くお前を蘇生させる方法を見つけたんだ。だから今日、この場でお前を蘇生させる」

 

ス『兄ちゃん……で、でもどうやって蘇生させるんスか?』

 

玲「よし、ロボ子とるしあ、そしてわため早速始めてくれ!」

 

ロ・る・わ「「「はーい♪」」」

 

ス『え、ロボ子先輩にるしあにわためいたの?ってか何を始める気だ?』

 

ロ「このロボ子が用意したアンドロイド『なんちゃってすばるん6号』にるしあのネクロマンサーの力を注ぐ事でスバルをこの世に呼び戻すんだよ~♪」

 

ス『何そのオカルトと最新技術のコラボ!?ってか何なんちゃってすばるん6号って、1号から5号はどうしたのさ?!』

 

る「それじゃ早速始めるのです!わため、準備はいい?」

 

わ「いつでもやれるよるーちゃん♪」

 

ス『え?一体何するつもりなのこの二人……?』

 

る・わ「「ヘイ!ヘヘイ!タンバリン倶楽部!アイツの明るさサンシャイン♪ヘイ!ヘヘイ!タンバリン倶楽部!スバルの寝顔は大魔界♪」」

 

ス『翌日タンバリン倶楽部じゃねーか!!てゆーかスバルの寝顔そんな酷くねーよ!』

 

る「あ!力が段々高まってきたよ!」

 

わ「ほんとぉ?それじゃあラストスパートだね!せーの!」

 

―~♪HEY!~~♪HE・HEY!~♪HEY!~~♪HE・HEY!―

 

ス『いやお前それツー○イザーだろ?!確かにタンバリンっぽい武器持ってるけど!?』

 

る「きたきたきたぁッ!!甦りやがれスバルうぅぅぅぅぅぅぅぅッ!!」

 

ス『いやなんだ甦りやがれって!?しかもお前まで呼び捨てかい!』

 

―ドゴオォンッ!!―

 

ちょ「な、何今の爆発?もしかして失敗しちゃったの……?」

 

る「いいえ、成功しました!ほら、スバル先輩が立ってます!」

 

ス『……え?ちょっと待って、スバルまだ此処にいるんだけど?』

 

玲「す、スバルなのか…………?」

 

す「………スバルでヤンス」

 

ス『嘘つけえぇぇぇぇッ!!おいちょっとるしあ、全然成功してねーじゃん!?なんか知らんヤツ入り込んでるぞ!』

 

ル「じゃ、じゃあもし本当にしゅばなら此処にいる皆の事分かるのら?」

 

す「……兄貴とその愉快な仲間達でヤンス」

 

ス『違えぇだろ!?何だそのざっくりとした答えは!?』

 

ロ「そ、それじゃあスバルの大好物は?」

 

す「……薩摩揚げを食べながら芋焼酎でぐいっと一杯でヤンス」

 

ス『おっさんじゃねーか!!スバルまだお酒飲めないっての!』

 

玲「良かった……本物のスバルだ」

 

ス『兄ちゃん目を覚まして!ソイツどー考えてもスバルじゃないじゃん!』

 

玲「よし、スバルも生き返った事だし、そろそろ帰るとするか」

 

全『はーい♪(でヤンス)』

 

ス『いやいや生き返ってないから!スバルまだ此処にいるからってせめて墓綺麗にしてから帰れよ!』

 

す「…………」チラッ

 

ス『あ、アイツこっち見た!一回こっち見てから去りやがった!このポンコツもっかい出てこい!こら逃げんなあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……………』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ス「はっ!?…………夢?」

 

す「おはようでヤンス」

 

ス「いやいるんかい!?」

 




今回はとある漫才師のコントとホログラのノリを合わせた感じにしてみました。いつか読んで下さる方々にお題もらってまたやってみたいですね(^o^)


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コント『温泉旅行』

場繋ぎのコントです。本編は明日出します。

登場人物
ポルカ ねね




ポ「いやぁ、久しぶりの温泉旅行楽しみだなぁ♪折角懸賞で当たったから思いっきり楽しまないとね。それで、此処がポルカの泊まる最新の旅館かぁ」

 

―老舗旅館 根子―

 

ポ「あれ、老舗旅館?あれ、パンフレットだと今年オープンしたばっかりって書いてるけど……まあ中で聞けば分かるか、すみませーん」

 

ね「へいラッシャアイッ!!お客様お入りになりましたぁーーーーーッ!!!!」

 

ポ「いや初っぱなからうるせぇなぁッ!?何その居酒屋みたいなノリ?!」

 

ね「……えと、はい、ようこそお越し下さいました」

 

ポ「テンション急に下がるなぁッ?!何その落差……?まあいいや、すみませんが今日予約していた者なんですが」

 

ね「あ、ご予約されたお客様ですね?少々お待ちを……えーと、58名でご予約のタヌキ商店様で」

 

ポ「違ぇわ!?一人で来た尾丸ですよ!」

 

ね「あ、尾丸様でしたか!失礼しました!」

 

ポ「当たり前だろどう見たって一人だろ!?大体なんだよタヌキ商店って、どうぶつの森じゃねぇか!?あそこ絶対そんな人数いねぇよ!」

 

ね「大変失礼しました。えーと、空いてますが相部屋でよろしいですか?」

 

ポ「良いわけねーだろ!なんだ旅行の相部屋って!?聞いた事ねーよ!」

 

ね「今ですと60人部屋に59名でお越しになったクローバー社様のお部屋に一人分空いてますが」

 

ポ「ヤダよ普通に!全員もれなく知らない人だよ!気まずくてしょーがないよ!後なんだよクローバー社って、ガンプラ最初に売ってた会社じゃん!ってかもうとっくに無くなってるわ!」

 

ね「えー、じゃあ一人部屋ですか?」

 

ポ「当たり前だ!一人で来たんだから一人部屋にしてよ!」

 

ね「そーですか……何か辛い事でもあった?もし良かったらねねが今日一緒に寝てあげるよ?」

 

ポ「いらねーよそんな気遣い!別に何かあったから一人な訳じゃないからね、ただ懸賞で当たったから来たんだって」

 

ね「あ、そうなんですね?それじゃあ金も払わずタダで寝泊まりされる方ですね?」

 

ポ「言い方悪いなぁ!?確かにポルカ自身はお金出してないけど!」

 

ね「それでは改めまして、ようこそお越し下さいました。ねねがこの老舗旅館根子の女将のねねでーす♪」

 

ポ「な、なんか調子狂うなぁ……ところで女将さん?貴方さっきこの旅館の事老舗旅館って言ってましたけど、パンフレットには今年オープンしたって書いてるけど?」

 

ね「ん?そうだよ、この旅館は今年オープンしたばっかりだよ」

 

ポ「え?あ、じゃあ改装工事とかでリニューアルしてオープンしたって事?」

 

ね「んーん、正真正銘今年。なんなら先週オープンしたばっかりだよ」

 

ポ「じゃあ老舗じゃねーじゃん!なんで老舗って嘘ついてるの?!」

 

ね「いやね、こう言っておけば格式のある旅館だと思ってお客さん勘違いして来てくれないかなーって」

 

ポ「バカでしょ絶対!?そんなんすぐにバレるでしょ、ってかそもそも老舗旅館って自分で言う事じゃないからね!」

 

ね「あ、そうなの?なんか老舗って付けとけばカッコいいかなって思ったんだけどなー」

 

ポ「お前さては老舗の意味知らねーだろ?!老舗って言うのは昔から長く続いている格式のあるお店の事を言うんだよ」

 

ね「ちょっと何言ってるか分からないwww」

 

ポ「なんで分かんねーんだよ?!結構分かりやすく説明したつもりだけど!?」

 

ね「まーまー、そんな細かい事は置いといて早速お部屋にご案内しますね」

 

ポ「なんだよ細かい事って、全然細かくないけど……もういいや、此処来るまで疲れちゃったから早く部屋に案内して」

 

ね「はーい♪それでは金も払わず偉そうな態度のお客様ご案内でーす!」

 

ポ「だから言い方悪いなぁ!?喧嘩売ってんのか?!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ね「……はい、えーでは、こちらが本日お客様がお泊まりになるお部屋でーす」チッ

 

ポ「舌打ちすんなよ!滅茶苦茶態度悪くなってんなぁ?!案内してる間に何があったんだよ!?」

 

ね「あ、すみません急に元彼の事思い出しちゃってつい♪」

 

ポ「何でこのタイミング?!そして元彼と何があったんだよ!?」

 

ね「はい、それではこちらがお客様のお泊まりになるお部屋でーす♪」

 

ポ「無視すんなよ!なんでそんなテンション上げ下げが激しいんだよ……?で、此処がポルカの部屋?」

 

ね「はい。此処がお客様のお部屋『「お母さん、最近太ったんちゃう?」「失礼な!わしゃ毎日ダイエットしてるんやで!」「でもお母さん、お腹三段腹やんwww」「間ッ!」』です♪」

 

ポ「新喜劇か!?なんだその変な名前の部屋?!今時の子供絶対そのネタ知らないでしょうが!?」

 

ね「それでは夕飯になりましたらお知らせに参りますね。何かありましたらそのボタンでねねを呼んでね♪」―バタンッ―

 

ポ「なんでたまに話聞かねぇんだアイツ?!ちょくちょくタメ口だし腹立つなぁ………って浴衣がないじゃん?もう何なのさこの旅館……そして何なのさこのコント?えーと、このボタン押せば来るのかな?」

 

―ポチッ―

 

―デデーンッ!尾丸、アウト―

 

ポ「はあぁッ?!何これ?!何アウトって!?」

 

―バアンッ!!ダッダッダッ……バシイィンッ!!―

 

ポ「いったあぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!?」

 

ね「……はい、何か用ですか?」

 

ポ「何か用じゃねぇよ!!なんでいきなりケツバットされたのポルカは!?」

 

ね「おまるんがそれ押したからじゃん?」

 

ポ「台本に無い事すんなよ!?なんでこんなガキ使みたいな仕打ち受けなきゃいかないのさ?!もういい!ポルカもう帰るから!」

 

ね「あ、お客様ちょっとお待ちください!」

 

ポ「何さ?!もう謝っても許さないよ!」

 

ね「すみません、ですが怒らせてしまったのでこちら、お詫びのお品です」

 

ポ「お詫びぃ?……何さこれ?」

 

ね「この旅館のクーポン券だよ」

 

ポ「もう来ねぇよ!!」

 




こんなコント書いてる暇あったら本編書けよと思った読者様、ごもっともです(*T^T)前書きでも言った通り明日には本編上がりますので少しお待ち下さいませm(_ _)m


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コント『組織』

なんとなくの投稿です。今回は前のコントとは違うコンビのコントが元ネタになってます。

登場人物
すいせい ラプラス


―カツンッカツンッカツンッカツンッ……コンコンッ―

 

ラ「……入れ」

 

―ガチャッ―

 

ラ「貴様か?我が秘密結社に入りたいという奴は」

 

す「そうだけど、あんたが此処のボス?一つ言わせてもらうけど、人と話す時は顔を見せるのが礼儀じゃない?」

 

ラ「ふん、吾輩は誰にも正体を明かさん」

 

す「何……?」

 

―スッ……―

 

す「ッ?!レーザーポイント……完全に狙われてるってワケね」

 

ラ「その通りだ。吾輩の正体を知った者は半分が死に二割が行方不明、残りの三割はどうなったと思う?」

 

す「……どうなったのさ?」

 

ラ「……死んだんだよ!」

 

す「じゃあ八割死んだで良いじゃん?!バカなのこいつ……?」

 

ラ「またそんな嘗めた口を叩けば容赦はしない、分かったな?」

 

す「え、えぇ分かったわ、もう嘗めた口はきかない」

 

ラ「そうか、ならば今からお前の腕前を試させてもらおうか……フンッ!」

 

―バキュゥンッ!バキュゥンッ!バキュゥンッ!―

 

ラ「フッなかなかやるな。吾輩の投げたホロライブの缶バッチの中からYAGOOだけを撃ち抜くとは」

 

す「有り難うございます……何でYAGOOの缶バッチがあるの?!」

 

ラ「しかし、これならどうかな……フンッ!」

 

―キュインッ!―

 

ラ「……完璧だ。吾輩の投げた天音かなたの天使の輪をピアノ線で真っ二つにするとは」

 

す「え、今のかなたんの輪っかだったの?!それ普通にヤバくない?!」

 

ラ「だが、いくら貴様とてこれは避けられまい……フンッ!」

 

―ジャキィッ!―

 

ラ「……まさか此処までとは、吾輩の投げたさくらみこのアホ毛だけを切り裂くとは」

 

す「今のみこちだったの?!妙にバカデカいと思ったけど!?」

 

み「うえぇ~んそらちゃーん!すいちゃんにアホ毛切られたぁ~!」

 

そ「おーよしよーし♪」

 

す「いや何でいるの二人とも?!」

 

ラ「気に入った!我が秘密結社でその力を存分に発揮してくれ」

 

す「あ、有り難うございます!」

 

ラ「ではまず貴様のコードネームを決めよう。先程のしなやかな銃捌き、流れるように鮮やかな射撃から取って、コードネームはパンパンガールだ!」

 

す「パンパンガール?!あ、あのボス、それはちょっと止めて頂けないですか?なんかやらしい事してる売春女みたいに聞こえるんで……」

 

ラ「む、そうか?なら、先程の見事なピアノ線捌きから取って、コードネームはピーちゃんだ!」

 

す「ピーちゃん?!い、いやぁそれも止めて頂ければ有難いんですが……なんか嫌ですよ何かと指令受ける度にピーちゃんって呼ばれるのは」

 

ラ「なんだ注文の多い女だな……ならば先程の華麗なナイフ捌き、その切る才能から取って、コードネームはキリキリマイだ!」

 

す「キリキリマイ?!あ、あのボス?それもちょっと嫌ですわ、なんかいっぱいいっぱいみたいに思われるじゃないですか?」

 

ラ「なんだよあれもやだこれもやだって、じゃあ逆に何が良いんだよ?」

 

す「はい。私は元々この裏社会ではコメットと呼ばれて活動してましたので、出来ればそれで活動したいのですが……」

 

ラ「コメット?コメット……光る……コメット……宇宙……光る、宇宙……光る……宇宙……よし、お前のコードネームはピカチュウだ!」

 

す「なんでそうなるんだよ?!ピカチュウ?!今光る宇宙って言ってピカチュウっていったよね!?昔あったキラキラネームか!?光宙って書いてピカチュウって読むあの変な名前か!」

 

ラ「おう、えらく気に入ったみたいだな?」

 

す「気に入ってない!そもそも私コメットが良いって言ったんだからコメットにしてよ!」

 

ラ「…………チッ。なら貴様のコードネームはコメットだ」

 

す「今お前舌打ちしたな?!ふざけんなよぶっ飛ばすぞコラァッ!」

 

ラ「そんなに騒いでどうした?キリキリマイ」

 

す「コメット!キリキリマイは断ったでしょ!?」

 

ラ「ふん、細かい事イチイチうるさい奴だな。まあ良い、それでは今から我が秘密結社の掟を話す。が、掟を破った場合命はないと思え」

 

す「はい、覚悟は出来てます」

 

ラ「そうか。ではまず、報酬の支払いは月末締めの25日払いとなる」

 

す「給料制なの?!秘密結社なのに?!」

 

ラ「フ、そんなに驚かなくても、どうしてもキツいのであれば20日に変えてやる」

 

す「いやそうじゃなくて!給料制というところに驚いてんの!普通こういうのって仕事の度に報酬振り込まれない?!」

 

ラ「次に、自分が仕事可能な日を予めセッティングしてくれ。その中から働く日を決めてやるが月末より10日前には必ずセッティングしてくれ。ギリギリになると立て込むからな」

 

す「シフト制なの?!え、普通仕事の依頼があって其処で任務が与えられるとかでしょ?!」

 

ラ「それから急に仕事に出れなくなった場合は自分で代わりを見つけろ」

 

す「もうバイトの掟みたいになってるじゃん?!何此処バイトなの?!」

 

ラ「よし、では掟も話したところで他のメンバーを紹介する。入ってこい」

 

―ガチャッ―

 

す「おぉ、結構人がいるんだ……?」

 

ラ「まずは我が秘密結社の幹部でお前と同じナイフ使い、おやじギャグのルイだ」

 

す「おやじギャグのルイ?!何それコードネームなの?!ま、まあ良いやよろしくお願いします」

 

ラ「次に我が秘密結社のインターンの掃除屋、カス叉クサヱだ」

 

す「カス叉クサヱ?!何そのコードネーム?!あ、ちょっと泣いてる!?これ絶対コードネームじゃなくてただの悪口でしょ?!」

 

ラ「その横にいるのは我が秘密結社の頭脳、アンリミテッドブレインだ」

 

す「いや格好良いなぁ!?さっきまでパンパンガールとかピーちゃんとか名づけようとしてたくせにそんな格好良い名前考えられるなら私にも付けてよ!」

 

ラ「そして次に我が秘密結社の用心棒として雇った侍、ポン太だ」

 

す「ポン太?!え、何GE○かロー○ンと繋がりあったりすんの?!大丈夫かその名前?!」

 

ラ「そしてその横にいるのが机運びのスペシャリスト、ブラッドだ」

 

す「え、机運び?何それ?」

 

ラ「その横にいるのが雑巾がけのスペシャリスト、ジェイク」

 

す「雑巾がけ?!」

 

ラ「更にその横にいるのが塵取りのスペシャリスト、ブレイクだ」

 

す「もう小学校の掃除のメンバーみたいになってんじゃん?!絶対いらないだろこいつ等!?」

 

ラ「そして最後に今日仕事があるのにわざわざ無理言ってやって来てもらった玲二パパだ」

 

す「何してんのさバカタレ!玲二くん今日大事な打ち合わせあるのにこんなコントに付き合わせんなよ!?」

 

ラ「そんなに叫んでどうした?ピカチュウ」

 

す「コメットだって言ってんだろ!ピカチュウは断っただろうが!」

 

ラ「ふん、何をそんなに叫んでいるかは知らんが、まあこんだけメンバーが集まったんだ。お前が今までどれだけの事をしてきたか聞かせてもらおうか」

 

す「何だよ人に叫ばせといて……まあ良いわ、どんな話をすれば良いですか?」

 

ラ「そうだな……ではまず今まで殺してきた数を教えてもらおうか?」

 

す「はい、私は丁度1000人殺してます」

 

ラ「え……嘘だろこいつ?マジかよやり過ぎじゃね?」

 

す「え?あの、ボスは今まで何人殺してきたんですか?」

 

ラ「……2000人だ」

 

す「2000人ですか……本当に?」

 

ラ「……本当だ。それで、最初に殺しをしたのは何時だ?」

 

す「はい、8歳の時に初めて人を殺しました」

 

ラ「うわぁーこいつやってんなぁ……」

 

す「え?!ボス今なんて!?」

 

ラ「引くわ~……」

 

す「いや引くわじゃないって!?じゃあボスは一体何時人を殺しました?!」

 

ラ「吾輩か?吾輩は確か……7歳の時だ」

 

す「………あの、それ本当何ですか?」

 

ラ「ああ、本当だ。最後に、今まで一番印象深い殺しはなんだ?」

 

す「はい、ある大統領がターゲットだったのですがその日は雨だったのでスナイパーライフルで狙うもスコープが雲って狙いづらかったんです。けど私は長年の経験と感を信じ引き金を引き、見事に大統領を暗殺出来たというワケです」

 

ラ「……ふ、ふーんそうなんだぁ……えぇ~?やってんなぁホントに………」

 

す「……それで?ボスは今までで一番印象深い殺しは何なのですか?」

 

ラ「ふ、よくぞ聞いてくれた。あれは薄暗い森の中、当時吾輩は仲間と共に探索をしていると野犬に襲われ仕方なく逃げているとある洋館に辿り着いた」

 

す「………ん?」

 

ラ「吾輩達は手分けして館の中を探索した。すると目の前に何かが地肉を貪る音が聞こえたのだ……」

 

す「ん?ん?」

 

ラ「其処にいたのはなんと、恐るべきウィルスに侵されゾンビと化した男だった!吾輩は恐れを抱きながらも男に向かって銃撃を放った!それが吾輩の初めてであり印象深い殺しだ」

 

す「バ○オハ○ードじゃねーか!?しかも1の最初の方じゃん!?」

 

ラ「3発外したし別の方向向いてた……」

 

す「いや初心者あるあるだけど?!最初の頃だから操作感覚狂ってワケ分からん所に打つヤツいるけど!ちょっと!ボス本当は人殺した事ないでしょ?!」

 

ラ「失敬な!吾輩今までちゃんと2000キルはしたぞ!」

 

す「もうキルって言っちゃってんじゃん!?何、ボスの今までの殺しの話って全部ゲームの話なの?!」

 

ラ「当たり前だ、本当に人殺すなんてそんな事しちゃいけないだろ?吾輩一応長女だし妹達の手本にならんと」

 

す「此処にきて至極全うな事言われた!?」

 

ラ「そんな事どうでも良い。これからは我が秘密結社の一員としてしっかりゲーム配信とこの街の福祉活動頑張ってもらうぞ」

 

す「そんな組織だったの此処?!私てっきり裏家業の組織だと思って来たんだけど?!もう良いわ、こんな組織なら私は抜けるから!」

 

ラ「ふ、そうか……なら仕方がない」

 

―スッ…………―

 

す「何……?まさか、私の事を消すつもりじゃ……!?」

 

ラ「パパに言いつける」

 

す「勝手にしろ!!」

 



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コント『ファンタジー』

一昨日コロナの陽性反応が出てしまいました。凄く頭が痛くて何も出来ませんでした。

今回は思考を落ち着かせるという意味でコントです。本編はもう少しお待ちくださいませ( >Д<;)

登場人物 スバル、ノエル


ノ「……遅くなってすみません勇者スバル、それでお話とは?」

 

ス「……ノエル、悪いんだけどお前にはこのパーティーから抜けてもらう」

 

ノ「ッ?!そ、そんな!?一体どうして?!団長は今までこのパーティーの為に一生懸命尽くしてきたのに!?」

 

ス「悪いなノエル………けどお前がいる事で皆に迷惑が掛かってるんだ、分かってくれ」

 

ノ「そ、そんな………確かに団長はシオン先輩のような魔法も使えなければこよりちゃんのような学力も知識もない。けど!それでも団長は皆の為に!勇者の為に一生懸命戦ってきたんですよ!?それでもだめなんですか?!」

 

ス「………すまないノエル」

 

ノ「嫌ですよ!確かに団長は皆と違ってなんの取り柄もないし戦う事しか出来ないけど、だからといってパーティーから外されるなんて!?」

 

ス「………違う、そうじゃないんだよ」

 

ノ「違う?!じゃあ一体なんだって言うんですか?!納得のいく説明してくださいよッ!!」

 

ス「…………お前が強すぎるからなんだよッ!!」

 

ノ「…………え?」

 

ス「お前なんの取り柄もないって言ってるけどめちゃくちゃ強いじゃねーか!?何だよその馬鹿力?!この間の巨大竜討伐のクエスト!あれ本来少なくとも軍隊クラスの人数で数ヶ月かけてやっと討伐出来るという超難関クエストだったけど、お前どんくらいで倒したんだっけ?」

 

ノ「え?えーと確か………一分も掛からなかったですね?」

 

ス「あり得ねーだろ?!いきなりドラゴンが襲ってきたと思ったらお前がいきなり飛び出してドラゴンの脳天におもいっきりメイスぶっ込んで一撃で倒しただろ!?スバル達なんもしないまま討伐クエスト終わっちまったんだよ!?」

 

ノ「でも無事で済んだんですから良かったじゃないですか?」

 

ス「ま、まあそうだけど……それともう一つ!前にスバル達を襲ってきた魔王直属の部下だった四天王の一人幻惑のポルカと戦った時!あいつ物理攻撃を跳ね返すローブを纏ってスバルの剣を跳ね返してピンチになってシオンがその間に最上級魔法を放つ準備してたけど、お前そん時何したっけ?」

 

ノ「相手の腹におもいっきりメイス叩きつけましたけど?」

 

ス「おかしいだろ!?相手物理攻撃跳ね返すローブ着てんのになんで普通に攻撃通ってるの?!しかもその攻撃でポルカ倒せたし何そのメイス!?なんか特殊な武器なの?!」

 

ノ「これですか?これは団長の国の道具屋で150ゴールドで売ってたヤツです♪」

 

ス「初期装備じゃねーか!?じゃあ尚更なんでダメージ与えられたんだよおかしいだろ!?しかも出番なくなったシオンが折角貯めた魔力を仕方がないから勝利の打ち上げ花火~とかいって無駄に空に打ったんだぞ!」

 

ノ「あれ綺麗でしたね~♪」

 

ス「うるせーよ!あん時シオンが「シオンが最上級魔法を放つから時間稼ぎして!」って格好良く決めてたのに結局敵も倒さないでただの打ち上げ花火になってしまって拗ねちまって今部屋に引きこもってしまったんだぞ!」

 

ノ「だってシオン先輩が後ろの方で一人ぶつくさ何か言ってたからさっさと倒せば良いのにって思って」

 

ス「お前人の話聞いてた?!物理攻撃効かないから魔法で倒そうって事だったのにそのセオリー無視しやがってッ!しかもシオンが言ってたのは魔法の呪文だからなッ!!」

 

ノ「なんだ、最初から言ってくれれば良かったのに?」

 

ス「大体分かるだろふざけんなッ!後あれ!この間の特殊なダンジョン!特定のギミックを解かないと先に進めない迷いの砦!こよりが一生懸命謎を解明して扉を開こうとした時、お前何やった?」

 

ノ「壁ぶっ壊して前に進みました」

 

ス「お前本当に何してくれてんだよ!?びっくりしたぞお前がいきなり扉に向かって殴り出したと思ったら扉がまるでビスケットみたいに粉々に砕けて、そんでお前何事もなかったかのように進んでったじゃねーかッ!?」

 

ノ「いや皆して先に進まないで何してんのかなー?とは思いましたけど……」

 

ス「だから仕掛けを解いてたんだよ!こよりなんて自分の頭脳の見せ所って張り切ってたのにお前がバンバン仕掛けぶっ壊して先に進むから「こよなんて必要ないんだ~!」って言って国に帰りかけてしまってるんだぞ!分かったか?!皆お前の猪突猛進に迷惑してんだよッ!!」

 

ノ「……ああもう良いですよ!じゃあ百歩譲って団長が悪いとしますよ!でもスバル先輩、それなら尚更団長を外さない方が良いでしょ?だって団長がいれば面倒な敵だって倒せるし面倒な仕掛けだって突破出来るし良い事づくしじゃないですか!」

 

ス「いいやダメだ!」

 

ノ「なんでですか?!」

 

ス「………お前いたらスバル達いらねーだろ?!」

 

ノ「………え?」

 

ス「気づいたかノエル?!さっきスバルが言った三つの出来事!これ全部お前一人で解決してんじゃねーか?!その間スバル達大して何もしてないし、しかもその噂が広まって周りからスバルなんて言われてるか知ってるか?お荷物勇者だぞ!?そんな不名誉な称号あるか?!」

 

ノ「そんな!?誰ですか団長のスバル先輩をそんな風に言う奴は?!そいつ今すぐこのメイスで頭叩き割って……ッ!」

 

ス「怖ぇーよッ!?それにスバルいつからノエルの物になったんだ!?いやもうそうじゃなくて!お前がいるとスバル達ずっと肩身が狭いんだよ!だから頼むからもうどっか別のパーティーに行ってよ!」

 

ノ「そんな?!団長にとって推しのスバル先輩の側にいるのが生き甲斐だっていうのに、そんなスバル先輩から見捨てられたら団長どうやって生きてけばいいって言うんですか!?」

 

ス「知らねーよ?!何だよ推しって?!スバル勇者であってアイドルとかじゃねーよ!」

 

ノ「団長にとってスバル先輩はアイドルなんですッ!!」

 

ス「んな力んで言う事じゃねーだろッ!?なんなんだよお前本当に!?もう頼むからパーティー抜けてくれよッ!!」

 

ノ「そ、そんなッ?!…………分かりましたよッ!要は魔王がいなくなって勇者が必要ない世界になればスバル先輩の側にいても良いって事ですよね?!」

 

ス「いやなんでそうなるんだよ?!そんなの簡単に出来たら苦労しねーだろ「じゃあちょっと団長行ってきますね!」人の話を聞けよッ!?っていうか本当にどっか行っちゃったし……まさか本当に魔王討伐に行ったとか?いやまさかな………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―翌日―

 

ノ「スバル先輩ッ!見てみて~♪魔王討伐しちゃいました~♪」

 

ス「いや本当に討伐したんかいッ?!ならスバル達マジでいらなかったじゃねーか!?」

 

こうして世界を支配していた魔王ぺこーらは勇者でもなんでもないノエルのメイスの一撃によってあっけなく倒され世界に平和が訪れた。その後平和になった世界でスバルは何故かアイドルをやらされノエルがそのファン第一号となり末永くスバルの追っかけとなった。そして同じパーティーにいたシオンとこよりだがノエルにおいしい所を取られ不貞腐れ引きこもりになってしまったとかなんとか……。

 

めでたしめでたし

 

ス「いやめでたくねーよ!?なんだこれッ?!」

 

ノ「スバル先輩~♪こっち向いて~♪」

 

ス「だからお前も追っかけ止めろぉーッ!!」



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コント『ラーメン』

ちょっとスランプ気味なので気晴らしにコントでも投稿します(^^;

ツッコミ:ラミィ

ボケ:ぼたん、咲


ぼ「あー腹減ったぁ~……」

 

ラ「ね~?もうこの後予定もないしどっかで食べて帰らない?」

 

ぼ「お、良いね~♪じゃあ丁度彼処にあるラーメン屋で良いんじゃね?」

 

麺や 虹賛辞

 

ラ「あー……なんかどっかで聞いた事ある名前だけど大丈夫なのこれ?」

 

ぼ「ん~そうかぁ?兎に角入ってみようよ」

 

ラ「まぁお腹空いてるし何でも良いか……」

 

―ガラガラガラッ―

 

咲「………いらっしゃいませ、麺や虹賛辞へようこそ」

 

ラ「お、おぅ……?なんかラーメン屋っぽくないね?普通こういうラーメン屋ってらっしゃいやせ~!みたいな感じで出迎えてくれるんじゃないの?」

 

咲「はい、当店は全てのお客様の食事を邪魔してはならないよう声のトーンを抑えるようにしておりますので」

 

ぼ「へぇ、結構珍しいね?」

 

咲「それではお客様、二名様でよろしいでしょうか?」

 

ラ「あ、はい二人です」

 

咲「畏まりました、それでは只今より宴会場にご案内を」

 

ラ「なんでだよ?!二人って言ってんだからテーブル席かカウンターで良いじゃん!何宴会場連れてこうとすんのさ!?てか何でラーメン屋に宴会場なんかあんのさ?!」

 

咲「当店宴会も出来るようにしておりますので。今ですと全日本筋肉コンテスト参加者の皆さんが打ち上げのボディビル大会を行ってますがその端の席でしたら空いておりますのでそちらに」

 

ラ「嫌だよ!?何でそんなむさ苦しい筋肉集団と混じってラーメン食わなきゃならんのさ?!ってかボディビルしてる奴がラーメンなんか食うなや!」

 

ぼ「あー、ちょっと騒がしいのは嫌かな……?」

 

ラ「そういう問題ちゃうやろ?!何?席空いてないの?」

 

咲「何言っとんねん空いてるに決まっとるやろぶん殴るぞ?」

 

ラ「なんで逆ギレしてんの!?そしてなんでラミィぶん殴られなきゃならんのさ?!」

 

ぼ「ラミちゃん何変な事聞いてんのさ!?ほら早く謝って!」

 

ラ「なんでラミィが悪い事になっとるん?!ラミィ席空いてるか聞いただけじゃん!?」

 

咲「まぁ今回は許しますが次席空いてるか聞いたらぶん殴るからな?」

 

ラ「怖いって!?普通に接客する態度じゃないやろ?!何があったの席空いてるかについてのやりとりで?!」

 

咲「ではこちらのカウンター席空いてるんでそちらにどうぞ。こちらラーメンのメニュー表です」

 

ぼ「へぇ?結構品揃えあるじゃん」

 

ラ「確かに凄いね?ラーメンだけでも20種類ぐらいあるよ……因みにチャーハンとかって何処に書いてるの?」

 

咲「あ、チャーハンのメニュー表はこちらです」

 

ラ「あ、これ?へぇ、チャーハンも種類結構あるなぁ……あの、餃子って何処に……?」

 

咲「こちら餃子のメニュー表です」

 

ラ「………あの、トッピングは何処に……?」

 

咲「こちらトッピングのメニュー表です」

 

ラ「一つに纏めなよッ!?何でメニュー表だけでこんだけあんのさめんどくさいよ!?」

 

咲「えー?でも他にもまだこんだけあるんですよメニュー表」ドサッ!

 

ラ「多いなぁ!?なんだこの量?!なんでこんなにメニュー表ばっかあんのさ?!どれどれ……いやスマイルのメニューって何さ?!此処は某ハンバーガーショップか?!」

 

ぼ「すみませーん、この『いやいやながらもするスマイル』お願いしまーす」

 

ラ「そんで注文すんの?!しかも何その変なスマイルは?!」

 

咲「はい、畏まりました~♪………チッ」

 

ラ「舌打ちしないでよ!?見て分かるくらいの作り笑いしながら舌打ちされるの腹立つなぁッ!?」

 

咲「ご注文は以上でよろしいでしょうか?」

 

ラ「んなワケあるかぁッ!まだラミィ達なんも食べ物注文してないし!?」

 

咲「えー?じゃあ早く注文して食べてどっかカラオケでも行こうや~?」

 

ラ「連れか?!貴方何時からラミィ達の連れになったん?!」

 

ぼ「んー、じゃああたしはこの『豚骨牛骨鶏骨MIX醤油ラーメン』にしようかな」

 

ラ「そんで何事もないかのように進めんの止めてもろて?!えー何にしよう?……あの、この『当店オススメ特製チャイチャイラーメン』ってなんですか?」

 

咲「あ、それ?それは幻の食材と言われてるチャイチャイから贅沢に出汁を取って作ったラーメンです♪」

 

ラ「そうなんだ?因みにチャイチャイってなんですか?」

 

咲「うちで住み込みで働いてる女装が趣味のオッサンです」

 

ラ「気持ち悪いよ!?なんでオッサンから出汁を取ろうと思ったのさ?!発想がサイコパスだよ!?」

 

ぼ「うーん、女装が趣味なのかぁ?悩むな……」

 

ラ「悩むワケないやろが!こんなの衛生的にも生理的にもアカンやろ?!」

 

咲「失礼な!チャイチャイは出汁を取る際必ず全身清めてからバラの入浴剤入れた寸胴に入ってるんやぞ!」

 

ラ「もういろんなとこがアウトだわ!入浴剤?!そんなの入ったスープなんて飲めるワケないでしょ!?ってかオッサン入った時点でスープとしてダメでしょうが!保健所来る前に止めなって!?」

 

咲「えぇ~?もう、オープン初日からクレーマーなんてツイてないわ~……」

 

ラ「誰がクレーマーじゃい!?ってかオープン初日?!今日開店したばっかりなのこの店!?じゃなんで宴会場にいきなり客いんのさ?!」

 

咲「それはうちの男性スタッフ達が暇だから暇潰しに筋肉コンテストやってるだけやよ」

 

ラ「仕事放棄しないでよ!?お客さん来たんだからちゃんとラーメン作ってよ!ラミィは塩ラーメンで良いから!」

 

咲「はーい………おぉーい!三骨醤油と塩入ったからはよ作れやぁーーーッ!!」

 

ラ「声でかいし乱暴だよ?!声のトーン抑えるんじゃなかったん?!今さらだけど!?」

 

 

 

10分後

 

 

 

咲「はーい三骨醤油のお客さんお待たせやよ~♪」

 

ぼ「お、きたきた♪うわぁ旨そうだわ~♪」

 

ラ「わぁ、本当に美味しそう♪これはラミィも楽しみになってきたわ~♪」

 

咲「はい塩ラーメンでお待ちのお客さん~?」

 

ラ「あ、はーい♪」

 

咲「ほい、三分待ってから食べてな~♪」

 

ラ「ちょっと待てえぇいッ!?なんでラミィのカップ麺なのさ?!ししろんのラーメン普通に美味しそうなのになんでラミィがその隣でカップ麺なんか食べなきゃならんのさ?!」

 

咲「失敬な!?ただのカップ麺ちゃうわ!○清の麺○人や!」

 

ぼ「そうだよラミちゃん!これ普通に美味しいラーメンだぞ!」

 

ラ「知らんがな?!大体なんでこんなにもししろんのラーメンと差があるのさ?!」

 

咲「いや実は……塩ラーメン担当の娘が今確変が止まらなくて」

 

ラ「パチンコしてんの?!客待たせて何やってんのさその人!?言っといてバカ野郎って!!そんな事よりラーメン屋に来てまでカップ麺食べたくないからなんか他に普通のラーメンないの?!」

 

咲「えぇ~他にぃ?ちょっと待っててな~……お、この『極熱筋肉ラーメン』か『激凍心火ラーメン』か『大義晩成ラーメン』なら」

 

ラ「なんで全部ビルドなの?!味の想像全くつかないよ?!そうじゃなくて普通に醤油とか味噌とかないの?!」

 

咲「普通の?なら『昔ながらのラーメン』でええ?」

 

ラ「あ、漸くまともそうなラーメン食べれそうかな?じゃあそのラーメンで」

 

咲「あいよ~ちょっと待っててな~♪」

 

ぼ「ズズズー……うん、旨い♪」

 

 

 

15分後

 

 

 

ラ「ごめんねししろん、せっかく一緒に食べようって言ってたのに」

 

ぼ「良いって、それより此処のラーメンめちゃくちゃ美味しいから期待して良いと思うよ♪」

 

ラ「本当?まぁいろいろあったけど楽しみだな~♪」

 

咲「お待たせしました~♪昔ながらのラーメンやよ~♪」

 

ラ「わあ美味しそう♪いただきまーす♪ズズズー……美味し~い♪」

 

咲「お、良かったわ~♪」

 

 

 

10分後

 

 

 

ラ「ぷはぁー!美味しくてついスープまで飲んじゃった♪」

 

咲「おおきに~♪」

 

ぼ「………あれ?」

 

ラ「?どうしたのししろん?」

 

ぼ「いやこれ……あ、やっぱり。このどんぶりどっかで見た事あると思ったらうちのじゃん?」

 

ラ「え?ししろんの……あ、確かにどんぶりの底に『ぼ』って書いてある!?え、これどういう事なの?!」

 

咲「どうもこうも出前とったからやけど?」

 

ラ「出前?!なんでラーメン屋がラーメン出前なんてしてんのさ?!」

 

咲「だってお客さんが昔ながらのラーメンが良いって言うから向かいの麺やぼたんに出前したんよ」

 

ラ「向かい?!あ、本当だ!?店の向かいに麺やぼたんがある!?ってかししろんいつの間に麺やぼたん開業してたの?!」

 

ぼ「あれ?言ってなかったっけ?今麺やぼたん全国展開拡大中だけど?」

 

ラ「まさかのチェーン展開?!いやそれよりもラーメン屋がラーメン屋に出前なんてしたらダメでしょうが!?」

 

咲「だって麺やぼたんのラーメンの方が旨いんやもん~」

 

ラ「だからってやっちゃいかんでしょうが!?もういいよ!お会計幾ら?!」

 

咲「えーと、三骨醤油が850円です。そんで昔ながらのラーメンが680円と手数料合わせてで2680円やね」

 

ラ「ボッタクリか?!何手数料で2000円も取ろうとすんのさ!?てか手数料って何?!」

 

咲「そりゃ取り寄せるのに手間も掛かりますし……」

 

ぼ「ラミちゃん、此処は潔く払った方が良いって」

 

ラ「なんでししろんさっきからちょくちょくそっち側につくの?!もう良いよ払うよ!その代わり二度と来ないから!はいこれ1万円から!」

 

咲「1万円?!アザーッス!」

 

ラ「あげてないよ!?お釣は返してよ!?」

 

咲「いやぁ助かりますわぁ~♪」

 

ラ「懐にしまうな!?お釣返してくんないなら訴えるよこの店!」

 

咲「もう冗談やないですか~♪はい、こちらお釣やよ~♪」

 

ラ「冗談でもすんな!もう来ないからね!ほらししろん早くこんな店出よう!?」

 

ぼ「あ、その前にちょっと待っててもらって良い?」

 

ラ「え?良いけど……」

 

ぼ「ありがとー♪……あ、咲ちゃんちょっといいか~?」

 

咲「はいはーい、これさっきの手数料の山分け分ね♪」

 

ぼ「はいサンキュー♪」

 

ラ「いやお前もグルやったんかいッ?!」

 




こういうコント考えてるとホロぐらってやっぱ凄いんだなと実感します……(^^;


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???
バーチャルフューチャーズ


アカン、余計な話ばっかり思いつく……(*T^T)

今回も気休め程度の話です。ですが何やら雰囲気が……?


此処は我々の住む世界とはまた別の世界。此処には我々の世界で言うVtuberと呼ばれる者達が普通に存在し生活している。

 

そしてその内の一つの事務所のアイドル達+αが一人の男を愛し家族となり子を成した世界である。

 

これは、そんな男とアイドル達の間に産まれた子供達によって織り成すもしもの物語である……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、あの……僕、ずっとあなたの事が好きでした!僕と、付き合って下さい!」

 

「………………ごめんなさい、折角の告白ですがあなたとはお付き合い出来ません」

 

とある学校の体育館裏、其処では一人の男子生徒が目の前の女子生徒に向かって一世一代の告白をしていた。が、女子生徒はその告白を拒否しその場から去ろうとしていた。

 

「えッ?!ちょ、ちょっと待ってください!?僕、自分で言うのもなんですが学年でも成績は上位ですし運動だって出来ます!それなのに一体何がダメだって言うんですか?!」

 

「………ごめんなさい、それ以前の問題なの。だって……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こゆき、男の人が大ッ嫌いなんです♪」

 

告白された女子生徒『こゆき』は笑顔でそう言うと男子生徒はショックからか項垂れて膝から崩れ落ちてしまった。そしてそんな男子生徒に見向きもせずこゆきは体育館裏から去っていき自分の家に戻るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―白上家―

 

「ただいま~♪」

 

「お帰りなさいこゆき。今日も遅かったけどまた男の人に告白でもされたの?」

 

「うん、今日は四人……なんで皆こゆきが男嫌いなの知ってる筈なのに性懲りもなくアタックしてくるんだろうなぁ~?」

 

家に帰宅しこゆきは鞄を片付けソファーに寝っ転がる。その様子を見て母親である『フブキ』は冗談交じりで訪ねるが相変わらずモテるのに男嫌いな我が子に少し呆れてしまっていた。

 

「もう、お姉ちゃんってばなんで男の人が大嫌いなんだろうね?別にレズビアンでもないのに?」

 

「うっさいよ“ふゆき”。これでもこゆきは探しているんだよ?いつかこゆきと一緒になって幸せな家庭を作ってくれる、そんな優しくて格好良い男の人を……♡」

 

「はぁ、さいですか……?」

 

男嫌いな癖に別にレズビアンでもなければ未だにそんな都合の良い理想像を掲げるこゆきに妹である『ふゆき』はため息交じりで呆れた表情をしていた。

 

「さあそんな事よりもうすぐ晩御飯だから手伝ってね?こゆきはご飯盛って、ふゆきは食器並べて」

 

「「は~い」」

 

そんな中フブキが晩御飯の準備を終えて娘達に手伝うように良い、二人も言われた通りに手伝いご飯を用意していくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……あ、見てみて!これママの若い頃の特集じゃない?」

 

「あ、本当だね?いやぁ~今改めて見ると恥ずかしいね……///」

 

ご飯を食べながらテレビを見ていると、其処には偶然フブキがかつてアイドルとして活動していた『ホロライブ』の特集が組まれていた。テレビに映る若い頃の自分を見てフブキは照れくさそうにしているが、その見た目は未だに変わっていないのが不思議である。そんなホロライブの特集を見ている内にこゆきはある考えに至ってしまう。

 

「……ねぇ、ママ?ママってパパと何処で知り合ったの?」

 

「ッ?!え、えぇっと、な、なんで急にそんな事……?」

 

「いやだってこゆき達パパの事殆ど覚えてないし、ママがホロライブを辞めた切っ掛けってパパだって聞いた事あったから……」

 

そう、今こゆき達には父親という者が存在しない。こゆきとふゆきが物心つく時には既に父親はおらず、今まで家族三人で暮らしていたのだ。そしてそのフブキ達がホロライブを解散しアイドルを辞めた切っ掛けが自分の父親が関係してるという話を噂で聞いてしまい、聞いてはいけないと思いつつもこゆきはフブキにその事を聞こうとする。しかし……

 

「……二人とも、お願いだからパパの事はもうこれ以上忘れて」

 

「え?なんで?やっぱりママ、パパに何かされたんじゃ……?」

 

「ううん、そうじゃないの。だからもうパパの話はこれ以上しないで、お願い……」

 

「で、でも―バアァンッ!―ッ?!ま、ママ……?」

 

「……お願い、だから……もうこれ以上は、やめて……」

 

頑なに話そうとしないフブキに二人は問い詰めようとするが、テーブルを叩き涙を流しながらやめるようにお願いする母の姿を見て二人はこれ以上聞いてはいけないと思い、それ以上の事を聞く事を諦めるのであった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―こゆき&ふゆき自室―

 

「……それにしてもママ、そんなにもパパの事話したくなかったのかな?」

 

「……もしかしてママ、パパにDVを受けてたとか?それともアイドルの時に望まない妊娠しちゃったとか?」

 

食事と風呂を終えて自室に戻ったこゆきとふゆきは二人で自分達の父親について考えていた。何故フブキが彼処まで頑なに答えようとしないのか?何故ホロライブが解散してしまったのか?そればかりが気になってしまい眠れなくなってしまっていた。

 

「……やっぱりこゆき、パパの事がどうしても気になって仕方がないなぁ」

 

「ふゆも……でもママが話してくれない以上何も分からないし、いつかママが話してくれるまで待つしかないんじゃない?」

 

「まあそうだよね?はぁ、そんな日が来るのかねぇ~?」

 

そんな事を考えているといつの間にか眠気に襲われてしまい、二人の意識がどんどんと沈んでいくのであった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………………あれ?此処って……一体何処?」

 

意識が沈み眠りについたこゆきとふゆきはいつの間にか謎の空間にいた。まるで城が崩れ落ちてしまった廃墟のような建物の中、そしてその奥には何やら棺のような物が横たわっていた。

 

「な、何なの此処?なんでこゆき達こんなとこに……?」

 

「これって、夢……?にしては妙にリアルだし、それになんか此処……凄く懐かしい気がする……」

 

「ッ!ねぇふゆき、彼処に何かあるよ?ちょっと見てみない?」

 

「えぇッ?!お、お姉ちゃん待ってよ~!?」

 

何やら懐かしくも感じるこの空間の中、二人は奥にある棺に気付き近づいていく。そしてその中にいたのはミイラ……ではなく石化した男性の姿があった。

 

「ッ?!こ、これって彫刻……とかじゃないよね?」

 

「う、うん……でもこの人、なんだか見てると懐かしく感じる……」

 

棺に入ってた石化した男性を見て二人は驚くも何処か懐かしさを感じていた。こゆきも石化しているとはいえ男嫌いな筈なのにその棺に眠る男性の頬を撫でていく。

 

 

 

 

 

―キイィィィィンッ!―

 

「ッ?!な、何!?」

 

すると突然自分の頭の中に無数の記憶が流れ込んでいく。それは……

 

 

 

―こゆき、良い子にしてたか?―

 

 

 

―こゆき、パパのガンプラ気に入ってくれたか~?―

 

 

 

―ほらこゆき、おやつにプリン買って来たぞ~♪―

 

 

 

―……すまないフブキ、こゆきとふゆきの事よろしくな………―

 

 

 

 

 

「ッ!パパッ!!」

 

頭の中に流れ込んだ記憶、それはかつて自分を育ててくれた父親の記憶。そしてその父親とは、目の前にいる石化している男性であった。

 

「お姉ちゃん、今の記憶って……ッ!?」

 

「うん、間違いない……この人が、こゆき達のパパなんだ!」

 

目の前にいる男性が自分達の父親であるという事を確信する二人。しかし何故この人はこんな廃墟の中石化して棺に入れられているのか?そんな事を考えていると……

 

「……漸く、二人集まりましたね?」

 

「「え?!」」

 

自分達の後ろから突然声をかけられ、振り向くと其処には黒いローブを纏った黒髪の少年が立っていた。いきなり現れた少年に二人は驚き後退りするも少年はそのまま二人に近づいていく。

 

「落ち着いてください。ボクも貴方達と同じなんです」

 

「え?ふゆ達と同じ……?」

 

「はい……ボクは佐々木メルト、其処に眠る“佐々木玲二”の息子です」

 

「え………?!」

 

突如現れたその少年、『メルト』は自分は棺に眠る男性『佐々木玲二』の息子と名乗る。しかしどういう事なのか?おそらくこの玲二という男性は自分達の父親だろうと思われたが目の前にいるメルトも玲二の息子であると言っている。しかし、こゆき達には男の兄弟はいない筈である。

 

「え、息子って……でもこの人がこゆき達のパパだとしたらあなたはこゆき達と姉弟って事……?こゆき達には男の兄弟なんていない筈……?」

 

「えぇ、ですがボクと貴方達は間違いなく姉弟です。最も、母親は違いますけどね」

 

「母親が…違う?それって一体……?」

 

「……そうですね、少し長くなるかもしれませんがお話を聞いてもらっても良いでしょうか?」

 

「……分かった、聞かせてもらっても良いかな?」

 

おそらく何かを知ってるであろうメルトの話を聞く為に、二人は話を続けるように頼む。

 

「ありがとうございます。では何処から話しましょうか……まずはボク達の父親である佐々木玲二の話からしましょう。ボク達の父さんはかつてホロライブに勤めていました。その後にスタッフリーダー、日本支部支部長、そして社長へと上り詰めたんです」

 

「そんなに凄い人だったの?!」

 

「えぇ、そんな父さんにボク達の母さん達、つまりホロライブのアイドル達が惹かれていき、そして結ばれたんです」

 

「え……つ、つまりメルトくんもふゆ達のママみたいにホロライブの誰かって事?」

 

「ええ、ボクの母さんの名前はロボ子って言います。聞いた事ありませんか?」

 

『ロボ子』、その名前に二人は聞き覚えがあった。そう、かつて自分達の母親が所属していたホロライブにいたアイドルの一人である。つまり目の前にいるメルトは玲二とロボ子の間に産まれた子供という事になる。

 

「つ、つまりこゆき達とメルトくんって異母姉弟って事?!」

 

「ええ、そしてボク達兄弟は……現在は確認出来るだけで100人はいます」

 

「「ひゃ……100人?!」」

 

100人、その異常な数に二人は驚いてしまう。まさか自分達の父親が他の人とも関係を持ちそんなに子を残しているとは思ってもいなかったから当然である。

 

「こ、こゆき達の兄弟ってそんなにいたんだね……?」

 

「で、でもそんな兄弟事情は分かったけど、それじゃあなんでふゆ達のパパがこんなふうになっちゃってるの?!それに此処って一体何処なの?!」

 

「……此処はホロライブタウンにある神羅城、かつてボク達家族全員が住んでいた場所です」

 

ホロライブタウン、そして神羅城。何処かそのワードに懐かしさを感じつつも二人はメルトの話を聞き続けていく。

 

「ボク達の母さん達は父さんと結ばれた後この地にやって来てボク達を産み、そして何事もなく平和に暮らしてました。あの日までは……」

 

「?あの日って?」

 

「……ある日、この世界を崩壊させかねない程のエネルギーが暴走する事件がありました。その暴走させた首謀者はなんとか捕まえる事は出来ましたがエネルギーの暴走は止まる事はなくまさに世界崩壊の目前でした。其処で父さんは自分の力を解放させてその暴走を食い止めたんです。ですが、父さんはその反動で力を失いこんな姿に……」

 

……なんという事だろうか?まさか自分達の父親がそんな世界を救う為にこのような姿になってしまうとは……しかし、そうなるとまたある疑問が浮かび上がってくる。

 

「ちょ、ちょっと待って?!こゆき達のパパってそんな凄い事したの?!でもどうやって!?」

 

「そうだよ!だってこの人、とてもそんな暴走を止められるようには見えないんだけど?!」

 

「それが、止められたんですよ。なんたってボク達の父さんは……あの伝説の種族、神羅族なんですから」

 

「「…………………はあぁッ?!神羅族うぅーーーッ!?」」

 

『神羅族』、その名を聞いて思わず驚いてしまう二人。無理もない、神羅族と言えばかつてこの世界を創造しあらゆる種族を産みだし知恵を与えたとされるまさに神話の中に出てくるような種族である。自分達の父親がまさかそんな伝説の種族とはにわかに信じがたいが目の前のメルトの真剣さを見るとそれが嘘ではないのは容易に分かった。

 

「そ、そんな、パパが伝説の神羅族だったなんて……?!」

 

「………え?っていう事はその娘であるふゆ達も……?」

 

「ええ、ボク達も少なからず神羅族の血を引いています。そしてそれこそがボク達が此処に導かれた理由でもあります」

 

「「?」」

 

神羅族の血を引く事が此処に導かれた理由。そう言われてもいまいちピンとこない二人だがメルトは構わず話を続けていく。

 

「……こゆき姉さん、ふゆきさんお願いします。二人にはどうかボクと一緒に他の兄弟達を探して欲しいんです。他の兄弟達もボク達と同じく神羅族の力を持っている。つまりはその力を父さんに注ぐ事で父さんを解放する事が出来るかもしれません」

 

「ッ!?それって本当なの?!」

 

「確実とは分かりませんが、おそらくはきっと……なのでお願いします!ボクは母さんにまた昔みたいに笑ってほしいんです!その為にもボク達佐々木チルドレンの力がどうしても必要なんです!なのでどうか、どうかボクに力を貸してください!」

 

……初めて会う筈のメルトから頼み込まれて困惑する二人。しかし、普通なら信じられないようなこの状況だが何故か二人は信じれた。それはおそらく自分の中に眠るであろう神羅族の血がそうさせているのかもしれない。いや、それ以前に今まで会う事のなかった父親を見つけた事により自分達の中で何かが確実に変わっていた。

 

「……メルトくん、今こゆき達の他にパパの子供達がいる場所って分かる?」

 

「ッ!?そ、それってつまり……!?」

 

「うん、探すよ。こゆき達もママの悲しんだ顔もう見たくないし、それに……パパを起こして一緒にいろんなお話もしたいし♪」

 

「ふゆも!ずっと口には出さなかったけど、探してたパパをやっと見つけられたんだもん!だから必ず、パパを起こして皆でお話しよ♪」

 

「ッ!ありがとうございます!」

 

こうして自分達の為に、母達の為に、そして何より父親である玲二を救う為にこゆき達は協力しあう事を誓うのであった。

 

「……とはいえ他の兄弟については所在が分かりません。何せ父さんが眠りについてからホロライブは解散し皆それぞれ別々の家庭に移ってしまいましたし、父さんと結婚していたのはホロメン以外にもいましたから……ですが、ラプラス姉さんならもしかしたら他の皆の居場所を何か知ってるかもしれません」

 

「ラプラス?それってホロライブ6期生のラプラス・ダークネスの事だよね?」

 

「確か今女優として活動してて京都に住んでいるって聞いたけど……」

 

「ラプラス姉さんは父さん達の養子としてボク達と一緒に暮らしてました。もしかしたら彼女なら他の家族について何か知ってるかもしれません。なのでまずはラプラス姉さんに会いに行くのが先決だと思います」

 

「成る程、確かにそれはそうだね」

 

取り敢えず最初の行き先は決まった。目指すは京都に住んでいるという自分達の姉、ラプラスとの接触。こうしてこゆき達佐々木チルドレンによる父佐々木玲二を救う旅が始まろうとしていた。すると……

 

「……あれ?メルトくん、なんだか身体が薄くなってるような……?」

 

「え……ああ、多分もうボクの本体が目を覚ますんだと思います。今のボク達はあくまでも精神だけがこの場所に飛ばされているので目を覚ませば元の場所に戻ると思います。ほら、二人の身体も」

 

「え?あ、本当だ……じゃあこゆき達は起きたらすぐに京都に向かってみるね」

 

「お願いします。それとこれはボクの連絡先です、何かあったら此処まで連絡をください。では、お先に失礼します」

 

メルトはそう言うと光と共に消えていき、その直後にこゆき達も光と共にこの場から消えていくのであった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……う、うぅん………ハッ!ゆ、夢………じゃないよね?」

 

「うん……だってほら」

 

目を覚ましいつもの自分達の部屋に戻ったこゆきとふゆきが先程の出来事が夢でない事を再確認する。何故ならその手にはメルトから託された連絡先が握りしめられていたのだから。

 

「……それにしても100人かぁ、一体どれくらいかかっちゃうんだろうね?」

 

「うん……でも弱音言ってる場合じゃないよお姉ちゃん」

 

「……だね。よし、ママも起きてないみたいだし、準備が出来たら早速出発しよう!」

 

「うん!」

 

二人はメルトに言われた通りラプラスに会いに行く為に急いで支度し家を出ていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こゆき~、ふゆき~、そろそろ起きなさーい。休みだからってダラダラ寝てたらダメですよ~?今日は二人の大好きなパンケーキ作ったあげたから早く起きて……あれ?二人とも?何処に行っちゃったの?」

 

朝になり二人を起こそうと朝食を持ってやって来たフブキだが部屋は既にもぬけの殻であった。そして二人の共有してるテーブルには一枚の置き手紙があり、其処には

 

 

 

『パパを救う為に他の兄弟達に会ってきます。必ずパパを助けるから心配しないで こゆき、ふゆき』

 

 

 

とあった。

 

―ガシャンッ!―

 

「ッ?!あ、あの子達、どうして……?!」

 

娘達の置き手紙を見てフブキは思わず持っていた朝食を落としてしまう。しかし、そんなのが気にならないくらいに今フブキの頭の中は混乱していた。

 

「どうして……レイくんに関する記憶はトワやシオン、それにちょこの魔法で消した筈なのに……あの子達、一体何をするつもりなの……?!」

 

自分の夫である玲二を復活させるなど、そんな事は当時の自分達では不可能であった。だからフブキ達は子供達にツラい思いをさせたくないとわざわざ父親に関する記憶を消しホロライブを解散させ二度と互いに会わないようにしていたのに、その子供達がどうして今頃になって……?

 

「………あれからもう12年ですか……あの事件さえなければ私達は今も彼処で変わらず幸せに暮らせてたのに……レイくん、私は一体どうしたら良いんだろう……?う、うぅ……レイくぅん……」

 

夫と居場所を失い、仲間とも全員離散したフブキにはもう何も出来る事がない。そんな無力な自分にフブキはただ今はもう傍にいない夫の名を呼びながら泣くしか出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……それにしてもお姉ちゃん、本当にママに何も言わなくて良かったのかなぁ?」

 

「うん……少し考えたけど、もしこの事を話したらきっと止めてくると思うし、それに余計な心配もかけさせたくないからね」

 

「……それならあの置き手紙は逆効果じゃない?絶対今頃心配してると思うよ?」

 

「………まあやっちゃったもんは仕方ないよね?それよりもひとまずの行き先は京都!其処に行けばラプラスお姉ちゃんに会える筈!」

 

朝早くから家を飛び出し新幹線へと乗り込むこゆきとふゆき。其処から京都へと向かいその後は聞き込みでラプラスの居場所を探るつもりのようだ。

 

「……ねぇお姉ちゃん」

 

「ん?どうしたのふゆき?」

 

「……必ずパパを助けようね♪」

 

「……勿論!絶対に他の兄弟を見つけてパパを起こしてみせるよ♪」

 

走る新幹線の中、こゆきとふゆきは互いに父親である玲二の復活を心に誓い合う。こうして始まった100人近くいる佐々木チルドレンを探す旅。果たしてこゆき達は全ての兄弟を探しだし無事に玲二を復活させれるのだろうか……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……というこゆきとふゆき主演の新作小説を考えて見たんですがレイくんどうでしょうか?」

 

「却下だ。っていうか100人近くってどんだけ子供作る気だっての?」

 

「ぱーぱ!こゆ、がんばりゅ!」

 

「うー!」

 

「うん、こゆきもふゆきもそんな意気込まなくてもパパは何処にもいかないからな~?」

 

以上、佐々木フブキ先生の妄想による超大作(没)でした。




……はい、という事で完全妄想話です。続きなんてありません、だって適当に考えた話ですもん(^^;

次回こそは本編出しますのでご勘弁を……(*T^T)


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『アナザーホロライブ』

まーた本編考えてたら余計な話を思いついてしまいました(-_-;)

というワケでまた気晴らしで書いた物ですがどうぞ見ていってくださいませm(_ _)m


ホロライトシティ。藤枝コーポレーションを中心となって開発されている人工島都市であるこの島ではあまり知られてはいないが時空の歪みが発生しており時々異世界より来訪者がやってくる事象が起きていた。そして今回も……

 

ーシュウゥゥ……バッ!ー

 

「おわっと!?な、なんですか此処は?!まさかこれはヒューマやデモンズの罠ですか!?」

 

街の路地裏に発生した歪みから一人の少女が迷い込んで来た。だがやって来た少女は今までやって来た者達とは違い白いと蒼の模様が入った羽織と袴を纏いその子柄な身体に不釣り合いな長さの刀を手にしている。

 

「おのれぇ、流石卑劣で姑息な事しか出来ぬ連中め!このジューマの王族である白上を孤立させるとは!?とにかく此処が何処なのか探らなければ!」

 

自身を白上と呼ぶ少女は刀を収める事無く路地裏からメインストリートへと飛び出し外の様子を確認していく。そして其処に広がる自分が想像するより発展した巨大な街に思わず唖然としてしまうのであった。

 

「な、なな、な……?!ど、何処なんですか此処は!?ジューマの国にこれ程の街は存在しない筈……いや、これ程街を無駄に発展させるのはヒューマの連中しかいない!やはり此処はヒューマの本拠地か!?」

 

「あ、フブキさんおはようございま〜す♪」

 

そんな戸惑う白上の元にこの街に住む人間の夫婦が白上の事をフブキと呼びにこやかに挨拶をしてきた。夫婦はどうやら白上を知り合いだと思い挨拶したようだが……

 

「ッ!お前達ヒューマか!?やはり此処はヒューマ達の拠点だったかッ!」

 

ージャキィッ!ー

 

「ヒィッ!?ど、どうしたんですかフブキさん?!」

 

「止めてくださいフブキさん!いきなりどうしちゃったんですか?!」

 

「ヒューマが気安く白上の名を口にするな!そしてよくも白上をこんな場所に飛ばしてくれたなッ!さあ吐け!貴様らのリーダーは何処にいる?!言わなければ貴様らの首を刎ねるぞッ!」

 

「「ひいぃぃーーーッ!? 」」

 

恐ろしい程の殺気を放ちながら切っ先を夫の方に当て睨む白上に夫婦は怯えてしまい気絶寸前の状態であった。

 

「其処の女性!一体何をしているんだッ!?」

 

「今すぐその刀を捨てその人達を解放しなさ……ってフブキさん!?一体なんで……?!」

 

「ッ!?デモンズにホーリィだと……まさかこいつ等、手を組んだという事か!?クッ、ホーリィは頭は硬いがまだ知的かと思っていたがまさか敵対しているデモンズと手を組んでいるとは、貴様らも堕ちるとこまで堕ちたという事かッ!」

 

駆けつけた悪魔と天使の警察官を見て白上は標的を警察官へと移し刀を構え襲い掛かっていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんだって?!フブキが街で暴れてるだと!?」

 

ある昼下り、仕事も終えてガンプラでも作ろうと思っていたら突然警官が慌てて入ってきたと思ったらいきなりとんでもない事を言い出しびっくりしてしまった。ってかフブキが暴れてるってどういう事だよ?!

 

「は、はい!私達では止める事が出来ず住民を安全な場所に避難させるのが精一杯でして!」

 

なんじゃそりゃ?!フブキが暴れてるって、肝心のフブキは今こゆき達を寝かしつけてる最中なんだが!?だが警官が見せてきた街の防犯カメラを見ても確かにこれはフブキだが……

 

「レイさん!この際この子がフブキかどうかはともかく早く止めないと街の皆が危ないよ!」

 

「そ、そうだな?よし、なら早いとここのフブキっぽい奴の所に行くか!ミオとおかゆところねも一緒についてきてくれ!」

 

「「「おーーーッ!」」」

 

という事で俺達は急いでこの暴れてるフブキっぽい奴の元へと急行していくのだった。マジでどうなってんだよこれ……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっと、確かここら辺で警察官達がフブキっぽい奴を抑えてるんだよな?」

 

「うん、でもそのフブキっぽい子かなり暴れてるみたいだね?いろんな場所に切り傷が残ってるし……」

 

「あ!ねぇ玲二!彼処にいるのがそのフブちゃんっぽい子じゃない!?」

 

え?ってマジでフブキみたいな娘が刀を振り回しながら暴れてる?!これ何がどうなってんだよ!?

 

「と、兎に角一旦止めないと!おい其処のお前!俺達の街で何暴れてくれてんだよ!?」

 

「ハァ、ハァ……ん?なんだ貴様は?もしかして貴様が此処のリーダーか?となるとデモンズやホーリィがいたがやはり此処はヒューマ達の拠点だったか!」

 

……は?ヒューマ?デモンズ?ホーリィ?一体何の話をしてるんだこいつは?

 

「なぁミオ?何だヒューマやデモンズとか言うのは?」

 

「え?さ、さぁ?ウチも分からないんだけど……?」

 

「ッ!?ミ、ミオ!?なんでミオが此処にいるの!?それになんでそんなヒューマの男と一緒に?!」

 

?なんかフブキっぽい奴がミオを見て動揺しているみたいだな?けどミオの事を知ってるって事は……まさかこいつは!?

 

「それによく見たらころねにおかゆまで!?おのれぇヒューマめ!我が家臣にして親友であるミオ達をよくもぉッ!」

 

「お、落ち着けって!?多分だがこいつ等はお前の知ってる奴等とは別人だって!」

 

「黙れヒューマッ!誇り高きジューマの王族であるこの白上フブキを前にして数々の愚行!絶対に許してはやらんぞぉッ!!」

 

うわ!?フブキっぽい奴が刀を振りかざしながら突っ込んで来やがった!?はぁ、こうなったらもう仕方ないな……

 

「フンッ!」

 

ードスッ!ー

 

「カハァ……ッ!?」

 

ーカランカランッ……ドサッー

 

ふぅ、取り敢えず突っ込んできたフブキっぽい奴の腹に一発入れて気絶させる事には成功したが、にしてもこいつさっき自分の事を白上フブキって名乗ってたな?それにあのヒューマやジューマとかいう単語からしてやっぱりこいつは……取り敢えずこいつは神羅城に連れて行って目が覚めたら話を聞かないとな?

 

あ、その前に街を元通りにしておかないと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………う、うぅん……ハッ!こ、此処は一体……?」

 

あれからどれだけの時間が過ぎたかは分からないが、白上は先程までの街中ではなく何やら薬品等が置かれている病室のような部屋で目を覚ました。しかも何故か身体に力が入らず、起き上がっても何処か倦怠感みたいな感覚に襲われ何か薬を盛られたのかと思っていると……

 

ーウイィーンッー

 

「あら、どうやら目覚めたみたいね?」

 

「え……ッ!?貴様、デモンズか!?貴様が白上をこんな所に……グッ?!」

 

「ほらぁそんなに動いちゃダメよ?今の貴方はその手枷の効力で力を封じられているんだから」

 

突如部屋に入ってきたデモンズの女に驚くも抵抗しようと白上は立ち上がろうとする。しかし手に填められた手枷の所為で力が発揮出来ずふらつきながらデモンズの女に寄りかかってしまった。

 

「はぁ、本当にフブキ様そっくりね?性格は全然違うようだけど」

 

「グッデモンズの女に情けを掛けられるつもりはない!白上は何時でも死ぬ覚悟がある!殺すならさっさと殺せぇッ!!」

 

「そんな物騒な事を言わないの。それよりも貴方が目を覚ましたら連れてきてほしいって言われてるからちょっとついて来てもらうわよ?」

 

デモンズの女はそう言うと白上に肩を貸して病室から出ていき、そしてとある部屋に入れられると其処には信じられない光景が広がっていた。

 

「な!?ヒューマにジューマ、それにデモンズやホーリィだけでなくドラグーンやオーガやエルフまで!?何故他種族同士がこんなに集まっているのだ?!」

 

「うわぁ、ミオしゃから聞いてたけどやっぱフブちゃんに似てるだけで性格全然違うね?」

 

「それになんか何処か厨二病っぽいよね?なんかイタイフブキちゃんというか?」

 

「ほっといてくださいよッ!?そ、それにしても本当に私そっくりなんですね〜?」

 

其処には多種多様な種族が当たり前のように一緒に暮らしているという光景だった。しかもその中には自分と全く同じ顔をしたジューマがいた事に白上はかなりの衝撃を受けてしまった。

 

「お、漸く目が覚めたみたいだな?まずは謝らせてくれ、先程は暴れるお前を止める為とはいえ腹を殴ってしまった事、本当にすまなかった」

 

「…………フン、ヒューマからの謝罪など受けても何とも思わない。それよりも貴様が此処のリーダーなのか?貴様の目的とは一体なんだ?何故ヒューマである貴様が他種族の娘を従えているのだ?」

 

「…………それについてまずお前の事を詳しく聞きたい。お前の言うヒューマやジューマとは一体なんだ?そして何故お前が其処まで他種族を忌み嫌うんだ?」

 

白上は男が何を言っているのかがよく分からなかったが、取り敢えず説明しろと言われたので仕方なく説明をする事になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………つまりお前はそのジューマの国の国王の一人娘で名前は白上フブキ。そしてそのジューマはヒューマと呼ばれる種族をはじめとする他種族と数千年前からずっと争いを続けているという事か?」

 

「フン、何を当たり前の事を言っている?この都市も貴様等が我々を潰す為に建てた拠点であろう?」

 

……やっぱりというべきか、このフブキは俺達の知るフブキとは全くの別人だったか。いや、それどころか……

 

「……そんなお前に言っておかなきゃいけない事がある。まずお前が言うようなヒューマやジューマなんて種族の呼び方は俺達は誰も聞いた事もない」

 

「は?何を言っている?ヒューマもジューマも古の時代から伝わってきた種族の名だろ「加えて言えばお前が言うような他種族同士の争い事なんてこの数千年の歴史の中には起こってなんかいない」…………は?」

 

そう、俺達の歴史には遥か昔には他種族同士の縄張り争いがあったようだが数千年前に行われた和平交渉によって天界、地上界、魔界の三世界から種族間での争いというのは徐々に減っている。あやめの時のような風潮差別等は多少はあったものの今ではどんな種族だろうと共に手を取り合い協力して生きていく世界になっている。間違ってもこの目の前のフブキっぽい奴が言うような他種族同士の争いなんて少なくとも此処千年は起こっていないのだ。

 

「な、何を馬鹿な事を?!他種族同士の争いが起きてないだと?!そんな馬鹿な話が……!?」

 

「悪いけどレイさんの言ってる事は本当だよ。ウチ達獣人族は他種族に対してそんな嫌悪な関係なんてしてないもん」

 

「うん、だから聞かせてほしいの。貴方が知ってる事を全部」

 

「…………分かった」

 

こうしてフブキっぽい奴……もとい白上フブキは俺達に全てを話してくれた。自分達のいた場所では元々他種族間での仲はかなり嫌悪であったが此処数年で更に火種が燃え上がってしまいもう何度目か分からない世界大戦が勃発してしまっている事を……その話を聞いて俺達は目の前にいる白上が俺達とは違う世界から来た存在だという事を確信した。

 

「……まさか此処が白上のいた世界とは別の世界だったなんて……」

 

「うん、私達もそんな他種族同士が争いあってる世界があるなんて知らなかったな……」

 

「それだけアタシらの世界が平和で白上さんの世界が荒れてるって事だよね……」

 

「うん、まるで真逆な世界観だよね?」

 

確かに白上のいる世界はまるで俺達の世界の鏡写しのような世界観をしているな?そんな白上がこんな種族間での争いがない世界に来たらそりゃ困惑してしまうのも無理はない。

 

「で、お前はこれからどうする?元の世界に戻るというなら俺の力でお前の世界を探してゲートを開くし、この世界に残るならそれなりの衣食住は保証するが?」

 

「…………折角ですがお断りします。此処が別の世界だと言うのは分かりましたが、だからと言ってやはりヒューマの手助けを受けるつもりはありません。元の世界へ戻る方法も、自分で探します。ただ……気持ちだけは受け取っておきます。お気遣いありがとうございます、では……」

 

白上はそう言うと自分の刀を取り部屋から出ていってしまう。やはりそう簡単には信用してもらえないか……

 

「……ねぇレイくん、本当に行かせて良かったんですか?」

 

「あぁ、取り敢えずこの世界についてはもう理解しているからさっきみたいに無闇に他人を襲ったりはしないだろう。それに何かあればきっとまた会う事になる筈だ。それまでは心の整理をさせるという意味でこの世界を回ってみるのも良いだろう」

 

一応刀にはこの時の為に幾らかお金を入れた巾着を付けておいたし、大体一週間くらいは金銭的な余裕はあるだろう。取り敢えず一週間経ったら気を探って様子を見に行くとするか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………白上の刀にお金の入った巾着を括り付けるなんて、ヒューマのくせに余計なお節介を……いえ、この世界ではヒューマもジューマもその他の種族も関係ないんですもんね」

 

神羅城を後にした白上は途中で刀に括り付けられていた巾着に気づき中に入っていた20万くらいのお金を見て玲二の事を余計なお節介をと思っていた。しかし、先程の玲二や他の仲間達の話を聞いたのと多種多様な種族が街を歩く姿を見て此処では本当に種族間の蟠りがないのだと改めて実感してしまい白上は思わず失笑してしまう。

 

「…………ミオ、おかゆ、ころね。白上達の世界のヒューマや他の奴等もこの世界の人達と同じようだったなら、皆もあの時傷つかずに済んだのかな……?」

 

そう言って白上は懐から一枚のボロボロの写真を取り出して悲しそうにそれを眺めていた。其処には白上を中心にミオとおかゆところねが楽しそうな笑顔で写っていた。

 

「……絶対に戻ってみせますから。そして必ず、皆の仇を討ってみせます。だから待っててくださいね……」

 

白上は写真を懐にしまい再び立ち上がりホロライトシティを出る船に乗り込んだ。はたして彼女はこの先この世界で何を見るのか?そして無事に元の世界に帰る事が出来るのだろうか……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っていう内容を思いついたんですがどうですかね玲二さん?」

 

「いやかなりツッコミどころが多くて何とも言えんのだが?」

 

「そうですよ美兎ちゃん!これ別世界の私かなり厨二病全開じゃないですかぁ!?」

 

「それに最後の感じだと別世界のウチ等死んでない?」

 

「えー?結構良いとおもったんだけどなぁ〜?」

 

以上、佐々木美兎による妄想長編作(没)でした。




はい、という事でまた妄想話でした(^^;)

まあこの欄に載せてる時点で察したと思いますが……さて、こんなの書いてないで本編書くか(;´∀`)


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本編
第1話『白上、初めてのガンプラ』


家にいる時間が多くて暇潰しで書きました。作者は戦闘描写が苦手なのであくまでホロライブメンバーがガンプラを作るだけの日常系です。駄文ですが、見ていただけたら有難いです。


ここはホロライブプロダクション。今世界で最も有名なアイドル達が所属するタレント事務所である。俺はそこのスタッフとして働いていて、今まさに次の企画書を纏めていた最中だったのだが…

 

「レイくん、白上ガンプラを作りたい!」

 

「…は?」

 

突如獣耳を生やした白髪の少女がやって来て俺の前に立つと意気揚々と謎の欲求をぶつけてきた。人が仕事中だっていうのにこいつはいきなり何を言い出すんだ?

 

「…いきなり来て何を言い出すかと思えば、また何かのアニメに影響されたか?フブキ」

 

俺は仕事の手を一旦止めて呆れながらも目の前の少女『白上フブキ』の話を聞く事にした。どうせこのオタク猫「キツネじゃい!」…地の文に入ってくんなよ。まあ、このオタクキツネの事だ、どうせアニメ見て自分も作りたくなったってところだろうが。

 

「えへへ~、実は昨日ゲーマーズの皆と一緒にビルドダイバーズリライズを見てて、それで白上もこんなガンプラ作ってみたいなーなんて」

 

「やっぱりか。てかそれならゲマズの皆と模型店なり量販店なり行けばいいじゃねーか。見ての通り俺は次の企画書纏めるのに忙しいんだよ」

 

「いや~、それがですね~、皆にガンプラ作ってみたいって言ってもあまり乗り気じゃなくてですね、レイくんなら昔からガンプラ作ってたし色々と詳しいかなーって」

 

まあ、確かに昔から趣味で作っていたりとかはしたけど、言うほどガンダムの原作はあまり詳しくないし、あくまで見た目で気に入った物を買っていただけだし、精々ゲート処理や部分塗装、後は墨入れぐらいしかしていない。プロモデラーがやるような塗装や改造なんてやった事すらない。そんな俺が教えられる事なんてたかが知れている。

 

「お願いですよぉ、白上どうしてもガンプラ作ってみたいんですよぉ~。幼馴染みのお願い聞いて下さいよぉ~」

 

…はぁ、また始まった。昔からこいつ一度駄々こねると中々しつこいんだよなぁ…仕方がないか。

 

「…わかった。取り敢えず15時前には終わってそのまま直帰だから少し待っててくれ」

 

「やたー!流石レイくん、持つべき者は頼りになる幼馴染みですねぇ♪」

 

…本当に調子いいやつだなこいつ。まぁ、頼られる自体は悪い気はしないからいいけどな。それに俺もそろそろ新しいガンプラ作りたいと思ってたし、せっかくだから今日のガンプラは奢ってやるか。

 

こうして俺は早く終わらせるために自分の仕事に手をつけるのであった。

 

 

 

 

 

―数時間後、場所は変わって某家電量販店―

 

「という事でやって来ましたビ○クカ○ラ!」

 

「着いて早々デカイ声出すな、周りの人に迷惑だろうが」

 

仕事を終わらせた俺はフブキを連れて大型家電量販店○ック○メラへとやって来た。ここのホビースペースはかなり広く、下手な模型店よりも品揃えが豊富なのが魅力的である。早速プラモデル売り場に着くとフブキは沢山あるガンプラを前に目をキラキラさせていた。

 

「おぉー!ガンプラがこんなに沢山、どれにするか迷っちゃいますね!」

 

「ガンプラは種類が豊富だから、目移りしてしまうのは仕方がないな。でもフブキは初心者だから、HG(ハイグレード)がオススメだな」

 

俺はそう言うとフブキを連れてHGスペースへ向かう。HG(ハイグレード)は1/144サイズのキットでガンプラの中でも手頃な値段と組み立て易さで初心者から上級者まで幅広く愛されているシリーズだ。まぁ、中には元のサイズ設定のせいででかく値段も高いのがあるがそれは置いといて。

 

「おぉ、このガンダムバルバトスカッコいい!こっちのダブルオークアンタもいいですねぇ」

 

「どっちも作りやすいキットだな。特にバルバトスはパーツ数も少なくプロポーションも良いからオススメだ」

 

「へぇ、ならこのバルバトスに決めよっかな~…あれ?」

 

組むガンプラが決まると思いきやフブキは 何かを見つけたのかバルバトスを元の場所に戻して別のガンプラを取り出した。

 

「レイくん!白上やっぱりこっちがいい!」

 

「ん?こっちって…えぇ!?」

 

そう言ってフブキが出してきたガンプラに俺は思わず驚いてしまった。フブキが出してきたのはパッケージに宇宙空間に白い装甲を纏ったガンダムが描かれているガンプラ『HGジュピターヴガンダム』だった。

 

「マジかよ、ジュピターヴが売られてるってかなりレアケースだぞ」

 

「そうなの?リライズ見ててこのアーマーが一番カッコいいなぁって」

 

ジュピターヴガンダム

ガンダムビルドダイバーズRe:Riseの主人公クガ・ヒロトが作り上げたガンプラの一つ。コアガンダムという他のガンダムより一回り小振りな機体にプラネッツシステムと呼ばれるアーマーを装着するという今までに有りそうで無かった換装システムが人気のシリーズであり、特にこの宇宙空間での戦闘を想定したジュピターヴは再販されても直ぐに売り切れになるほどの人気のガンプラなのだ。

 

「まさかジュピターヴがあるなんて…てかよく見たらユーラヴェンもあるし」

 

「へぇ~よくわからないけどスゴイ事なんですね」

 

コアガンダムシリーズって一部除いて中々手に入らないのにドンピシャでコイツ等があるなんて…ま、まぁ、折角有るんだし俺もユーラヴェン買っていこうっと。

 

「んじゃフブキもそれで良いなら会計しにいくか。ほら、買ってやるからよこせ」

 

「え、いいの?白上全然お金出せるけど…」

 

「折角ガンプラに興味持ってくれたんだし、趣味レベルとはいえここはガンプラ先輩の俺に出させてくれ、な?」

 

「あ、ありがとう…えへへぇ~、やっぱり持つべき者は優しい幼馴染みですねぇ♪」

 

白上はそう言うと顔を赤らめながらにへらと笑い、尻尾をゆらゆらと振りながらレジへと向かっていった。

 

 

 

 

 

―ガンプラ購入後、主人公宅―

 

「イエーイ久々のレイくんちだぁ♪」

 

「久々って2日前にミオとスバルと来てただろ。てかソファーにダイブする前に手を洗え」

 

あれから俺達はガンプラを買った後自宅に戻っていた。最初は事務所の空いてる部屋かフブキの家でやろうと思ったがさっきの買い物でうっかり工具を買うのを忘れてしまったために急遽俺の家で作る事にしたのだ。部屋に入った瞬間フブキはソファーにダイブしたが、このご時世なんだから家に入ったらまず手を洗えよ。そんなやり取りをし俺達は手を洗った後早速テーブルの上に自分達のガンプラを開ける。

 

「おぉ、思った以上にパーツ数が多い…」

 

「コアガンダム系統はアーマーもあるから他のやつに比べたら少し多いかもな。けど説明書通りにやれば問題ないし、早速組んでいくか」

 

「よぉし!それじゃあ早速作りますよー!」グギギギギ…

 

「って馬鹿!何無理矢理パーツ取ろうとしてんだよ?!」

 

コイツいきなりパーツを手で取ろうとしやがった!折角のガンプラを壊す気か?!

 

「あれ?何か違いました?」

 

「手でパーツを取ろうとするな!パーツが破損する可能性もあるし、怪我する原因にもなるんだよ!パーツはこのニッパーを使ってゲート部分を切るんだよ」

 

「ご、ごめんなさい…」

 

「まずは説明書通りにニッパーでパーツを切り取っていく。その際に直接切るんじゃなくて少し間を取って切るんだ」

 

「?何で直接切っちゃダメなの?」

 

「直接切るとパーツが傷付きやすくなるし、色の着いたパーツが白い跡が残りやすくなってしまうんだよ。だから予め少しゲートを残して切って、それからパーツに密着させて残りの部分を切る。この時にゲートの薄い方に合わせて切れば白い跡が残りにくくなるんだ」

 

「おぉー、キレイに取れました!よぉし、どんどん切り取っていこー!」

 

そう言ってフブキはパーツを切り説明書とにらめっこしながらパーツを合わせていく。さて、俺もユーラヴェン組み立てるか。

 

―パチパチパチパチッ…―

 

「えーっとここがこうで……ってえぇ!?レイくん説明書は?!」

 

「いらん。コアガンダムシリーズは何度も作ってるから見なくてもわかる」

 

フブキは俺が説明書無しで組み立てているのに驚いているが、もう何度もコアガンダムシリーズを組み立てているから見なくても殆ど分かる。これもガンプラあるあるかもな。

 

「んー、シールが小さくて貼りづらいなぁ」

 

「そういう時はつまようじ使うとキレイに貼れる。そして貼る前に一旦ハンカチとかで拭いてから貼ると剥がれにくいぞ」

 

そうして俺はフブキにアドバイス(殆どネットで得た初心者用のテクニックだが)をしながら一緒にガンプラを組み立てていく。フブキは楽しいのかさっきから尻尾をフリフリさせているのを見てると、たまにはこういう事も悪くないと思えるな。

 

 

 

 

 

―そして約一時間後…―

 

「後は手に武器を装着させて……やたー!ジュピターヴガンダム完成だぁー♪」

 

「お疲れ。初めてのガンプラ作りはどうだったか?」

 

「うん!最初は組み立てるのに苦労したけど、段々楽しくなってきたし最後出来上がったこの子見たらなんだか嬉しくなってきちゃった♪」

 

そいつは良かった。一度とは言えガンプラの楽しさを知って貰えたらこっちも教えた甲斐はあったな。俺も完成させたユーラヴェンを自分のガンプラ用のショーケースに飾っていくと、フブキは興味津々でショーケースを眺めていた。

 

「へぇ~、コアガンダムシリーズってこんなに種類あるんですね」

 

「アーマーがプラネッツシステムの名前通り太陽系惑星を冠した8つと、後は派生のものがあるからな。ここに飾ってる以外に俺の知ってる限りだと二種類ある筈だな」

 

ホント、売ってる時にロゼ買っとけば良かったな。後リライジングガンダムはたまに見かけるけどなんだか買う気が起きない。なんでだろう?

 

「よし、これで基本のプラネッツアーマーは全部揃った」

 

「やっぱりこれだけ並ぶとカッコいいですねぇ、横にいるアルスの偽アースリィと偽ニューガンダムもいいなぁ♪」

 

アルスアースリィとフェイクニューガンダムな。確かに劇中では名前出て無かったけど。

 

「ねぇねぇレイくんレイくん」

 

「ん?どうした」

 

「あのね、もし良かったらまた一緒にガンプラ作りたいなーって…ダメかな?」

 

「なんだそんな事か。こんな素組ぐらいしかしない俺で良かったらいくらでも付き合ってやるよ」

 

「イエーイ!ありがとレイくん、やっぱり持つべき者は優しくてカッコいい幼馴染みですねぇ♪」

 

「おいコラ飛び付くな!後ろショーケースあるんだから危ねぇだろうが!」

 

余程嬉しかったのかフブキは尻尾をブンブン振りながら俺に飛び付いて来やがった。ショーケース割れたらどうすんだよコイツ!

 

 

 

 

 

―翌日ホロライブ事務所―

 

「レイさん!フブキにだけガンダム一緒に作ってズルい!ウチともガンダム一緒に作って!」

 

「…は?」

 

フブキとガンプラを作った翌日。いきなり俺のディスクに犬耳を生やした少女『大神ミオ』がやって来て大声あげながら俺の肩を掴んで揺らしてくる。頼むから止めてくれ、気持ち悪くなってくる。

 

「いきなりやって来て何を言い出すんだミオ?お前確かフブキがガンプラ作ろうと言った時に断ったんじゃないのか?」

 

「うぅ~、だってプラモデルなんてウチには難しいと思って…でも昨日の夜にフブキと一緒に配信してたらレイさんと一緒に作ったって言ってガンダム自慢してくるんだもん」

 

そういえばコイツ等昨日配信していたな。ミオが昨日のアーカイブを見せると其処には確かにニヤケながらジュピターヴを自慢気にミオに見せるフブキがいた。

 

「『昨日レイくんと一緒に作ったんだ~♪』って嬉しそうに見せてくるんだもん!ウチだってレイさんに教えてもらえるって知ってたら一緒に行ってたもん!」

 

「いやそんな事言われてもなぁ」

 

「とにかく仕事終わったら一緒にガンダム買いに行こ!フブキに教えたんだからウチだっていいよね?!」

 

「既に決定事項かよ…まぁ、いっか。もう少しで仕事終わるからそれまで待ってな」

 

「ホント!?ありがとレイさん!」

 

ミオが尻尾をブンブン振りながら喜んでいる。フブキもそうだがそんなに振って痛くないのか?まあそれはともかく、理由はどうあれガンプラに興味持ってくれるなら俺も嬉しいしな。ミオのためにも、さっさと仕事終わらせるか。

 

「レイさんはーやーくー!」

 

「分かったから肩掴んで揺らすな!気分悪くな……ウップ」

 

そしてミオ、楽しみなのは分かったから頼むから揺らすな!

 

 

その後某家電量販店に行き、ミオもフブキと同じくコアガンダムシリーズを買おうとしたが既に売り切れてしまい、仕方がなく沢山置いてあったジャスティスナイトガンダムを一つ買って作ったのであった。

 

 

白上フブキのアニメの影響で始まったガンプラ作り。これがきっかけで後にホロライブにガンプラブームが起こる事になるのであった。

 

 




佐々木玲二
本作の主人公的存在。ホロライブのスタッフとして働いており白上フブキの幼少期からの幼馴染み。ホロメンの皆からは結構慕われており、配信の時に稀にゲストとして出てる時もある。好きなアイドルはヒメヒナだがそれを口にすると何故かホロメン達の機嫌が悪くなる。ガンプラは幼い頃から作っているがガンダムのアニメ等は部分的にしか見ていない。簡単な塗装等はするが改造等はしない所謂カジュアル勢。最近ではフブキを筆頭にホロメン達とガンプラを作るのが日課になりつつある。

世界観
現実の世界とそう変わらないが人間以外にも獣人や鬼人、天使やエルフ等様々な種族が共に共存している。種族差別もなく平和な世界である。


この間近くにある量販店に行ったらジュピターヴとユーラヴェンとアースリィが売られていてびっくりしました。翌日無くなってましたが(・・;)
こんな駄文でしたが楽しんで頂けたら幸いです。次はそらちゃんとAzkiちゃんをメインに書こうと思ってます。


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第2話『歌姫達の自由の翼』

たった2日でお気に入り11件来ていてびっくりしました( ; ゚Д゚)
こんな駄文にお気に入りして頂きありがとうございます!

今回は前回の後書きで予告していた通りときのそらとAZKiの二人がメインです。

今さらですがキャラのイメージと違う場合かあるかも知れませんがご了承下さいませ。


「…よっと、書類チェック終わりと。思ったより早く終わってしまったな」

 

俺は今日も今日とて仕事をしている。と言っても今日は仕事量も少なく午前中に終わらせてしまい、午後からの予定が完全に空いてしまった俺は特にやる事もないのでどうしたもんかと考えていた。同僚のAちゃんからは終わったら帰ってもいいですとは言われたが、さてどうするか…

 

「あ、玲二さんおはようございます」

 

「玲二君おはよー」

 

「ん?あぁ、そらにAZKiか。二人ともおはようさん」

 

そんな時に後ろからロングヘアーで赤いリボンを着けている少女『ときのそら』と外側が黒で内側がピンク色と変わった髪色をした少女『AZKi』(以後アズキ)の二人が声をかけてきた。手には何やら大きめな紙袋を持っている。

 

「二人ともどうしたんだ?今日は確か収録あった筈だろ?」

 

「うん、歌ってみた動画の収録をしていたんだけど、機材トラブルで明日に延期になっちゃったんだ」

 

「それでこの間届いたそらともと開拓者さん(そらとアズキのファン)からのチェック済みのプレゼントを頂いたんですけど、もし良かったら玲二さんに一緒に作ってもらえたらなって」

 

そう言うとアズキは手に持っていた紙袋を広げて俺に見せてくる。中には幾つか箱が入っており、その全てがガンプラだった。

 

「ストライクにフリーダム、そしてストフリか。スカイグラスパーまであるし、見事にSeedばっかりだな」

 

多分送ってきたリスナーはそらとアズキが出していたガンダムSeedの歌ってみた動画を見て送ってくれたんだろうな。実際あの動画凄く良かったし、俺もたまに聞いてたりする。ただ送るのは良いんだが、よりにもよってこれかぁ……

 

「なぁんで全部RGなんだよ、普通HGとかじゃないのかよ」

 

そう、入っていたガンプラは全てRGだった。RG(リアルグレード)は前回作ったHGとサイズは同じ1/144なのだがHGと違って内部フレームがありパーツ数も倍近く多い。とてもじゃないが初心者にオススメするようなガンプラではない。

 

「そんなにこのRGって作るの難しいの?」

 

「難しいというよりパーツが多いし細かいのもあるから時間が掛かって面倒ってのがあるな。その分完成した時のかっこよさはかなり良いけどな」

 

俺もついこの間ウイングガンダム作ったけど、出来上がりはかなり最高だった。賛否両論あったみたいだけど俺はあの形態含めて良いと思ってる。

 

「じゃあなおのこと玲二君一緒に作ろ?私達だけじゃ多分上手くいかないし、折角そらともや開拓者さんが送ってくれたから作らないと失礼だと思うから」

 

「うん、それにアズキもフリーダムも含めてSeedのガンダム皆好きだから、ちゃんと作ってあげたいな」

 

う、そう言われると断りづらい…まぁ今日は仕事はもう片付いているし、特に予定もなかったから別にいいか。

 

「わかった。んじゃ少し待っててくれ、今工具ないから近くで買って…」

 

「あ、それなら今から玲二君の家で作らない?そこだったら工具もあるからいいよね?」

 

「え?」

 

「そうだね、玲二さんこの間フブキちゃんやミオちゃん達の為に工具一式買い揃えて常備しているもんね」

 

ちょっと待て、なんでそんな事知ってるんだ?確かにこの間のフブキとミオの件があってから新しい工具買い揃えたけど、そんな事誰にも言ってないぞ。

 

「おい、なんでお前等俺が工具買い揃えた事知ってんだよ?」

 

「この間ロボ子ちゃんが玲二君の家に遊びに行った時にカメラ置いてったんだ。映像はホロメンの皆のスマホでいつでも見れるようになってるよ」

 

なあぁにしれっと犯罪犯しとんじゃお前等あぁ?!この前ロボ子が遊びに来たとき妙にソワソワしてたのそういう事かあぁ!!

 

「だから玲二さんが工具買ってた事も知ってるし、そ、その……週に2、3回程○○ってる事も…///」

 

「言わなくていいっての!!」

 

最悪だ!隠し撮りされてただけじゃなく人が○○してる所まで見られるなんて!最近皆がよそよそしかったのってそういう事かよ!何人か獲物を見るような目で見てたし!

 

「だ、大丈夫だよ玲二さん。皆そんな事で玲二さんの事嫌いにならないから…(それに呼んでくれたらアズキが…///」

 

「そうだよ、玲二君だって男の人なんだから発散したい時ぐらいあるもんね(私だったらいつでもいいんだけどなぁ///」

 

「わかったから止めてくれ慰めなんて…後アイドルとしてあるまじき心の声漏れてるぞ」

 

ホント明日からどう皆と接すればいいんだよ……

 

…いや、もう今日は忘れよう。取り敢えず今はそらとアズキと一緒にガンプラ作って忘れようそうしよう。

 

そしてあのポンコツロボ後で覚えとけよ…

 

 

 

 

 

―一方その頃―

 

「へっ…くち!」

 

別のスタジオで後輩とゲームをしていたショートヘアーで眼鏡を掛けた少女『ロボ子』が可愛らしくくしゃみをしていた。

 

「あれ?ロボ子先輩風邪ぺこ?」

 

「う、うん、なんだか悪寒が…(なんだろう?なんだか嫌な予感がする…)」

 

この後起きる出来事をなんとなく察知したのか悪寒で身震いを起こすロボ子だった。

 

 

 

 

 

―数時間後、佐々木宅―

 

「さて、手洗いもしたし、工具の準備もオッケー。早速始めていくか」

 

「「はーい♪」」

 

二人を連れて帰宅し手洗いを済ませた後俺等は早速ガンプラを作り始める。今回はそらが『RGストライクフリーダムガンダム』、アズキが『RGフリーダムガンダム』を作っていく事になった。

 

『RGフリーダムガンダム』

『RGストライクフリーダムガンダム』

機動戦士ガンダムSeedの主人公キラ・ヤマトの機体で主に射撃をメインとした青い羽が特徴の機体である。見た目は似ているがフリーダムの羽には強力なビーム砲が、ストライクフリーダムの羽は分離して遠隔射撃ができるドラグーンという武装が備わっている。どちらも人気だがHG含め生産されている数が多いのか比較的入手しやすいガンプラだ。

 

「それじゃあ早速パーツを切っていくぞ。内部フレームは細かい部分が多いから間違って切らなくていい所まで切らないようにな」

 

「んっしょ…本当に細かいね。ちょっと慎重になっちゃう」

 

「えっと、ここにこのパーツを…うーん…」

 

「?アズキどうかしたか」

 

「さっき切った所がまだ少しボコってなってて気になっちゃって……」

 

アズキは先程切った爪先のパーツを俺に見せてくる。確かに切った跡が少し盛り上がってしまって見栄えが少し悪くなってるな。

 

「そうだな、それならこのデザインナイフを使うか」

 

「デザインナイフ?この彫刻刀みたいなので削るの?」

 

「あぁ、このボコってなってる所に刃を当てて少しずつ削っていくんだ。一気にやろうとすると勢い余って怪我する恐れがあるからゆっくりやるのがポイントだ」

 

そう言って俺が手本としてやってパーツの盛り上がりが無くなったのを見せると二人ともおぉーと感心した声を出す。

 

「更にこの切り跡に紙ヤスリをかけてやると綺麗になるぞ。最初は400番でやってそれから600、800とかければほぼ綺麗に仕上がる」

 

「んしょ、んしょ…これでいいですか?」

 

「ん、あらかた綺麗になったな。最後にこのガンダムマーカーを使おう。切り跡の所に近い色のマーカーをちょっと当ててハンカチとかで少し擦れば跡が気にならなくなるぞ」

 

「ちょんちょんってしてフキフキっと…ホントだ、全然気にならない!」

 

そらとアズキが綺麗になったパーツを見て感動している。俺も初めてやった時はスゴいと思ったしな。よし、この調子でどんどんやってくか。

 

 

 

 

 

―数時間後―

 

「……よし、ついに完成だな」

 

「終わったぁー!」

 

「大変だったけどやっと出来たー!」

 

数時間の長い激闘の末、遂に二人はフリーダムとストライクフリーダムを完成させた。テーブルの上にはアクションベースに乗せてかっこよくポーズを決めた二体が飾られている。

 

「RG久しぶりにやったけどやっぱ時間かかるな。その分完成したらかなりカッコいいし、リアリティーがあるな」

 

「うん、まるで本当に動き出しそう」

 

「このハイマットフルバーストの再現が凄くいい♪」

 

「喜んでくれたなら教えた甲斐はあったな。んじゃもう遅いし二人ともそろそろ帰らないと」

 

「「え?」」

 

「いやえ?ってなんだよ?もう暗くなってんだから早く帰れよ。これ以上遅くなると家の人が心配するだろ?」

 

そう、現在時刻は午後7時半、辺りもすっかり薄暗くなっていてこれ以上暗くなるとアイドル二人が帰るのには少し危険な時間帯になってしまう。だからまだ少し明るい内に二人を家に帰さないと……

 

「あ、私家族には玲二君の家に泊まるって言っちゃった」

 

「アズキもパパに今日は玲二さんちにお世話になるって」

 

「おいちょっと待てコラ、何勝手に泊まるって決めてんだ」

 

こいつ等、此処に来る時に何やらカバンを持ってきたけど最初から泊まる気だったのかよ。

 

「お前等、仮にも俺は男だぞ?そんなやつの家に泊まるって親御さん許す訳ないだろ」

 

「ううん、二人とも泊まる事には反対してないよ。寧ろそのまま玲二君に貰われちゃいなさいって///」

 

「パパも玲二さんにならアズキを任せられるって///」

 

なんでそんな簡単に娘さんを預けられるんだ親御さん達。てか仮に親御さん達が許しても社長が許す訳な……いや、あの人何故か俺とアイドル達のやり取りに関してはノータッチだった…はぁ、仕方がないか。

 

「もう今日は仕方がないから泊まっていい。ベッドは二人で使いな。俺はソファーで寝るから「「ダメ」」…なんでだよ?」

 

「折角のお泊まりだから玲二君も一緒に寝よう?」

 

何を言い出すんだこのド天然?男一人が女の子二人、それもアイドルと一緒に寝るなんて完全にアウトだろ。絵面が完全に援○になっちまう。

 

「だ、大丈夫。もし○○したくなったらアズキ達が手伝うから…///」

 

「止めろ折角忘れかけてたのに掘り返すな!!後アイドルがそういう事言ったらだめだろうがあぁぁぁっ!!!」

 

そしてそれから30分、結局俺は二人の気迫に負け三人で寝る事になってしまった。そして就寝時間…

 

「「Zzz…」」

 

「……なんだよこれ」

 

俺は何故か二人の間で寝かされていた。なんでだよ、端で寝かせてくれよ、しかも二人して腕にしがみついてくるから寝返りも打てない。でも腕に柔らかな感触が当たってちょっと嬉しい自分がいてなんか恥ずかしくも哀しくなってしまう。

 

(あぁもう!こいつ等なんでこんな無防備なんだよ!もう少しアイドルとしての自覚持てよ!もういい今日の事は仕方がないんだ気にするな後の事は明日考えろ今日は寝るもう寝る!)

 

俺は無理矢理目をつむり何も考えずそのまま眠りについていったのだった。

 

 

 

 

「…ねぇあずきち」

 

「…何?そらちゃん」

 

「…私負けないから、あずきちにもフブキちゃんにも、皆にも…」

 

「…アズキだって、負けるつもりはないよ…」

 

玲二が寝静まったのを確認した二人はお互いに自分の気持ちを伝え、玲二の腕を少し強く抱きしめながら幸せそうに眠りについていった。

 

 

 

 

 

―翌朝事務所にて―

 

「おいこのポンコツロボ何人んちに勝手にカメラ仕込んでんだよ覚悟は出来てんだろうなぁ?」―ググググググッ…―

 

「痛たたたたたたたたあぁッ!!!ご、ごめんなさいマスターボクが悪かったです外しますカメラ外しますから許してエェェェェェェェ!!!!」―ミシミシミシミシミシミシミシッ…―

 

出社早々俺はロボ子を見つけおもいっきりアイアンクローをかました。その後今後は俺の家出禁と言うと泣きながら許してと叫んでいたので三ヶ月出禁で勘弁してやった。なんだかんだで俺も甘いのかな。

 

「レイくんそらちゃんとアズキちゃんだけお泊まりなんてズルい!白上もレイくんの家に泊まる!なんだったら白上がレイくんの○○のお手伝いもしま「やめろおぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!!!」

 

こうしてカメラは撤去されたものの、最後に撮られてたそらとアズキのお泊まりのせいでフブキを初め他のホロメン達もお泊まりしたいと迫ってきたのは言うまでもない。後頼むから皆俺が○○してた事は忘れてくれ!!

 




内容的にR-15にしないとまずいかなと思いタグを追加しました、申し訳ない( >Д<;)

この二人ならやっぱりSeedかなって思いフリーダムとストフリにしました。因みに前回のフブキは何故ジュピターヴだったかと言うと、最近偶々手に入ったというのと単にフブキのイメージカラーが白だからという安直な理由です(^^;

次回はスバルーナで行こうと思ってます。他にこのキャラがみたいというのがあればコメントお願いします。


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第3話『SD大空警察出動』

朝起きて見たらお気に入りが26件も…( ; ゚Д゚)

思った以上に色んな方に喜んで頂けてとても感謝です(^_^)

今回は予告どおりスバルーナ回です。そう言えば今回のタイトルルーナ全然関係ねぇ…(・・;)


雲一つない晴天の昼下がり、久しぶりのオフの俺は新しく作るガンプラを求めて街をぶらついていた。最近は何かと誰かが一緒にいたからこうして一人でいるのも悪くないな。

 

「さて、今日は何買うかな…最近だとMGとか作ってないから久しぶりに組もうかな。確か彼処の店にウィングゼロが置いてあった筈…」

 

…駄目だ、最近誰かしら一緒にいたせいか独り言が多くなってしまってる。なんだかんだ俺も皆といる時間が心地よくなってるのかもな。まあ、とにかく今日はウイングゼロを買ってさっさと帰「兄ちゃあーーーーーん!!」ん?

 

「あぁ、やっぱりスバルか。相変わらず元気だなぁ」

 

声をかけられた方を振り向くと其処には赤白の帽子を被ったボーイッシュな少女『大空スバル』が手を振りながら俺の元に駆け寄ってきた。

 

「兄ちゃんちわーッス!今日は一人ッスか?」

 

「ん、久しぶりのオフだからな。スバルもオフか?」

 

「うん!久々の連休だから新しいゲームを探しに来てたッス!兄ちゃんは何してたんスか?」

 

「俺は新しくガンプラ買いに来てたんだよ。ここ最近自分で作るのがあまり無かったからな」

 

ホント、最近はフブキを初め皆が一緒にガンプラ作ろうと言ってなかなか自分のガンプラを作る機会がなかったからな。すると何故かスバルは目をキラキラさせながら俺を見てくる。

 

「おぉーガンプラ!スバルも一緒にガンプラ作りたいッス!」

 

「スバルがガンプラ?別にいいけど、ゲームはどうするんだよ?」

 

「それならもう買った後だから問題ないッス!んじゃ早速買いに行くッス!」

 

そう言ってスバルは俺の手を引いて連れてこうとする。しかし悪いがスバル、俺が行こうとしていた店は反対側だ。こうして話を聞かないスバルのせいで俺は少し遠回りをさせられてしまった。

 

 

 

 

 

―某家電量販店―

 

「やっと着いたッスねぇ」

 

「お前が話を聞いてたらもっと早く着いてたけどな」

 

「アハハ…(笑)」

 

ったく、この炎天下の中なんで遠回りしなくちゃいけなかったんだ。本当なら10分も掛からず来れた筈なのに30分も掛かっちまった。まあとにかく俺はさっさとMGウイングゼロを確保するか。

 

「おぉー、兄ちゃんそのガンプラカッコいいッスねぇ」

 

「あぁ、一時期は即売り切れになった程の人気のガンプラだからな。けど初心者のスバルにはMGは早すぎるからまずはHGのコーナーから気に入ったの探しな、一緒に買ってやるから」

 

「ホント?ありがとー兄ちゃん大好き!」

 

全く調子良いなこいつ。さて、俺も他に何か買って行こうかな。そういえばMG武者頑駄無まだ作った事ないから一緒に買おうかな。後は…

 

「ねぇねぇ兄ちゃん!スバルこれに決めたッス!」

 

「ん?決まったか…っておぉ、これはまた中々のチョイスだな」

 

幾つか買うものを纏めているとスバルも欲しいのが見つかったようで俺に渡してきた。だがそれはHGではなく本来のガンダムよりも小さくデフォルメされたガンダム『SDサージェントヴェルデバスターガンダム』だった。

 

SD(スーパーデフォルメ)ガンダムはその名の通り本来のガンダムを低等身にデフォルメされており、ただデフォルメされただけではなく武者や騎士、更には三國志の英雄等の姿にアレンジされたものもある。シールは多めだが、ニッパー等の工具がなくても作れるので子供を中心にかなり人気が高いガンプラなのだ。

 

「ほら、スバル最近大空警察っていうのやってるから、このガンダムなんて正にピッタリたなって♪」

 

「あぁ、そういう事か。でもそれだけでいいのか?SDなら安くて簡単だからもう一つぐらいなら買ってやるぞ」

 

「ホント?ならこれも一緒に買おうっと」

 

そう言ってスバルはもう一つのSD『信長ガンダムエピオン』を取り出した。サージェントは大空警察繋がりで分かるとして信長は何でだと聞くと単にカッコいいかららしい。とにかく一通り買い揃えた事だし、会計済ませてそろそろ帰るか。

 

 

 

 

 

―数十分後、佐々木家帰宅―

 

「よっと、流石に荷物多すぎたかな?」

 

「兄ちゃん今日沢山買ったもんね~」

 

流石にMG四つは買いすぎたか?でも他に金の使い道あんまりないし、たまにはこういった贅沢しても構わないよな。そしてスバルに鍵を渡して開けてもらい、俺達は家の中に入っていった。

 

「おかえりなのら~」

 

「「…は?」」

 

本来家の中には誰もいない筈なのにリビングから声が聞こえてくる。恐る恐るリビングを覗くと、其処にはピンクのロングヘアーにファンシーな服を着た少女がテレビを見ながら寛いでいた。

 

「…おいルーナ、お前どうやって家に入った?鍵は掛かっていた筈だぞ?」

 

俺は目の前の少女『姫森ルーナ』を問い詰めた。確かに俺は家を出る際鍵を掛けて出掛けた。なのに何故こいつが家の中で平然と寛いでいる?

 

「そんなの鍵開けて入ったのに決まってるのら~」

 

「は?何でお前が俺の家の鍵持ってんだよ?」

 

「YAGOOから貰ったのら。ホロメンの皆なら誰でも持ってるのらよ」

 

社長おぉぉッ!!!あんた何人んちの鍵配ってんだよ!てかいつの間に鍵複製したんだよ普通に怖えぇよッ!!

 

「…て事はスバル?まさかお前も…」

 

「え、えーと、はい、持ってるッス…け、けどスバルは使った事ないから安心して欲しいッス!」

 

「持ってる時点で安心もクソもねぇよ!」

 

「ココちゃもホロライブ辞める時にYAGOOに涙流しながらにーちゃの鍵返してたのら」

 

「知らねぇよ!!」

 

クソッ!道理で最近部屋が片付いてたり食材が入れ替わったり下着が何枚か無くなってたりしてたのか!俺のプライバシーどうなってんだよ?!もう黙って引っ越した方が良いような気がしてきた……

 

「もう、にーちゃ落ち着いてなのら。皆悪用なんて絶対にしないのら」

 

「既に下着が無くなっている時点で信用できねぇんだが」

 

まあ、下着を盗る奴なんて数名心当たりがあるから今度そいつ等問い詰めればいいか。

 

「…ところで、ルーナは何しに兄ちゃんの家に来たんだ?」

 

「んな?…おぉ、そうだったのら。今日はにーちゃと一緒にこれを作りたくて持ってきたのら」

 

スバルが聞くとルーナは当初の目的を思い出しカバンの中から一つの箱を取り出した。それは黒をメインとした箱にまるで騎士の甲冑を彷彿させる低等身のガンダムが描かれたガンプラ『SDガンダムLEGENDBB 騎士(ナイト)ガンダム』であった。

 

「ほう?これはまた懐かしい物を」

 

「でしょでしょ?ルーナイト(ルーナのファン)からのプレゼントで貰ったからにーちゃと作りたくて持ってきたのら♪」

 

成る程、確かにルーナのイメージに合ったガンダムだな。ルーナイトも中々良いチョイスしてるな。ところでさっきからスバルが大人しいけどどうしたんだ?

 

「そういえばスバルちゃ先輩はなんでにーちゃと一緒にいるのら?」

 

「…街で偶々兄ちゃんに会ったから一緒にガンプラ作ろうってなったんだよ。だから一緒に兄ちゃんの家に来たってワケ。ルーナこそなんでわざわざ兄ちゃんの家に来たんだよ?ルーナって確か前からガンプラ自分で作ってたよね?そのガンプラだって自分で作ればいいじゃん」

 

…なんかスバル妙に棘のある言い方してるな。どうした急に?

 

「別に来たっていいじゃん。ルーナとにーちゃはずっと前から一緒にガンプラ作ってるガンプラ仲間なのら。ルーナはにーちゃと一緒に作りたいから来てるのら。だから今日は先に家に来ていたルーナが優先だからスバルちゃ先輩は別の日にでもすればいいのら」

 

お前もどうしたルーナ?お前等いつも仲良くしてんのに今日に限って何でこんなに仲悪くなってんだよ?

 

「うっさいそっちは連絡も無しに勝手に来たんだろ。後そのにーちゃって言うの止めろよ、兄ちゃんは別にルーナの兄ちゃんじゃねぇだろ」

 

「それ言ったらスバルちゃ先輩だってにーちゃの妹じゃねーだろ。ルーナはにーちゃにちゃんと頼んで呼ばせてもらってんだから」

 

「それ以前からスバルは兄ちゃんの事兄ちゃんって呼ばせてもらってんだよ。先に妹分になったのスバルなんだからおめぇはにーちゃなんて呼ぶんじゃねぇよ」

 

「あ?何こんな時だけ先輩面してんだよ?別にスバルちゃ先輩に許可なんて必要ねぇだろ」

 

おいおい落ち着けよお前等、そんな呼び方なんてどうでも良いだろ?ルーナに至ってはなのらすら言わなくなっちまってるぞ。全くしょうがねぇな…

 

「いい加減にしろお前等、そんな事で一々喧嘩すんなら今日は二人とも帰ってもらうぞ!」

 

「「う…だってルーナ(スバルちゃ先輩)が…」」

 

「だっても何もない!そんな喧嘩しなくても二人とも俺にとって大事な妹分だし、ガンプラだって皆で一緒に作ればいいだろ、な?」

 

そう言って俺は二人の頭を撫でる。二人ともまるで小動物のように気持ち良さそうに撫でられている。

 

「さ、分かったら二人とも互いに何か言う事あるだろ?」

 

「う…ルーナ、ごめんね。スバル大人気なかったよ」

 

「ルーナこそ、スバルちゃ先輩ごめんなのら…」

 

二人ともさっきの険悪なムードから一変してちゃんと仲直りをした。よし、取り敢えずはもう大丈夫だろ。んじゃ早速準備をするか。

 

 

 

 

 

―準備完了―

 

「よし、んじゃ早速作り始めるか」

 

「おーし、作るぞー♪」

 

「作るのらー♪」

 

さっきの険悪ムードはすっかり無くなり、二人とも楽しそうに箱からパーツを取り出している。やっぱりスバルーナは仲良くが一番だな。さて、今回は久しぶりのSDだからな。組み立て自体はパパッと終わらすか。

 

『SDサージェントヴェルデバスターガンダム』

SDガンダムワールドヒーローズに登場する警察モチーフのガンダム。キャプテンシティという街を守る特殊警察隊の隊長であり、確かこのシリーズにしては珍しく元のモチーフになった偉人がいないガンダムでもある。

 

『SDガンダムLEGENDBB騎士ガンダム』

かつて子供達に人気だった騎士ガンダムのリメイク。当時の騎士ガンダムに比べて等身も高くなりプロポーションも比較的にUPしている。今直再販が出る程の人気シリーズだ。

 

「まずは袋からパーツを取り出していこう。そして説明書を見ながらパーツを取っていくんだ」

 

「あれ、兄ちゃんニッパーは?確かガンプラを作るのにニッパー使わないとダメじゃなかったっけ?」

 

「ん?あぁ、SDガンダムはタッチゲート式と言ってな、ニッパーが無くても手で簡単に取れるようになってんだよ、こんな感じで」

 

俺はサージェントのパーツの一つを指で摘まんで揺らすと簡単に取れ、それを見た二人もそれぞれ同じようにパーツを取ると目を輝かせながら感動していた。

 

「んなぁ、ルーナSDガンダム初めて作るからなんだか新鮮なのら」

 

「元々低年層をターゲットにしたプラモデルだからな。近年だとそうとは思えないほどクオリティーが上がってるけど、作りやすさは変わらないからな」

 

「これならスバルにも出来そう!よぉーし、どんどんいくッスよー!」

 

そう言ってスバルは説明書を見ながらパチパチとパーツを外していく。ルーナも集中しているのか無言でパチパチと組み立てている。

 

「それとタッチゲート式とは言えゲート跡に少しカスっぽいのが残る時があるからその時はデザインナイフでちょっと削って紙ヤスリで少し削ってやればキレイになる。SDは他のガンプラよりもこういう処理は少なく済むからちゃッちゃとやっていくぞ」

 

「「はーい」」

 

こうして二人は説明書を見ながらスムーズに組み立てていくのであった。

 

 

 

 

 

―一時間後―

 

「よっしゃー!スバルのガンダム完成だぁー♪」

 

「ルーナのガンダムもできたのらー♪」

 

流石SD、初心者でもパパッと作れるというのが良いな。さてと

 

「お疲れさん、だけど二人ともまだやることがあるぞ」

 

「「え?」」

 

「特にスバル、お前のサージェントヴェルデバスターなんてパッケージと違って色が足らない部分が多いだろ?」

 

「あ、ホントッス。組み立てている時は気にならなかったけど結構淋しい箇所が多いなぁ」

 

そう、近年のSDは細かいディテールが多くなっているがパーツ自体の量は少ないのでこういった細かい所の色分けがなってない事が多い。気にならない人なら良いんだが、俺はこういうの気になっちゃうからな。

 

「だから今回はこういった細かい部分を塗装していこう。ルーナの方はあまりする必要はないから、スバルのヤツで一緒にやっていくか」

 

「「はーい♪」」

 

「んじゃ今回はこのメタリックのガンダムマーカーを使っていくか。まずは箱のイメージ写真を見ながら其処に合わせてマーカーを塗っていく。この時少しぐらいならはみ出ても構わないからとにかく塗ってみな」

 

俺がそう言うと二人は一旦外したパーツにマーカーで色を塗っていく。はみ出ても良いと言ったが二人はなるべくはみ出さないようにしようとしているのか真剣に塗っている。

 

「んっしょ…あ、頑張ったけど少しはみ出ちゃった」

 

「大丈夫、そんな時はこの消しペンを使えばいい。このペンをよく振ってから蓋を開けて綿棒に少し着けてはみ出した所にこの綿棒をちょんちょんってすれば…」

 

「おぉー!凄いのら、はみ出した跡がキレイになくなったのら!」

 

「後はこれの繰り返しだな。少し大変だが、頑張ってやってくか!」

 

「「おぉー!」」

 

こうして俺達は手分けしてサージェントヴェルデバスターの塗装を始めていった。さて、自分で言い出したのは良いが、こっから大変だなぁ…

 

 

 

 

 

―それから更に三時間後―

 

「塗装を終えた後に半光沢のトップコートを吹き掛けて、乾いた後にパーツを元に組み合わせていけば…よし、これで完成だ!」

 

「いやったーッ!遂に本当にスバルのガンダム完成ッス!」

 

「つ、疲れたのらぁ~」

 

良かったなスバル、ルーナもお手伝いお疲れさん。今回は組み立てよりもその後の作業に時間が掛かってしまったな。まあ、何はともあれ今回も無事終わったな。

 

「さてと、もう夕方か…確か冷蔵庫の中大した物残ってなかったな…よし、折角だから皆でご飯食べに行くか」

 

「ホント!じゃあスバル○っくりド○キー行きたい!」

 

「ルーナもハンバーグ食べたいのらぁ♪」

 

「ハイハイ、それじゃあ準備が出来たら行きますか」

 

「「イエーイ♪」」

 

こうして俺達は飯を食いにびっ○り○ンキーへと向かって行った。まぁ、たまにはこうやって妹分二人と過ごす日も悪くはないな…

 

 

 

 

 

―翌日事務所にて―

 

「うわあぁぁぁぁぁぁあんッ!レイ兄ちゃんズルい!ねねだってレイ兄ちゃんの妹分なんだよ!何でねねも誘ってくれなかったのぉ?!」

 

朝出勤していきなり昨日の事を何処から嗅ぎ付けたのか知らないがクリーム色のロングヘアーの少女『桃鈴ねね』が俺に向かって半泣きで叫んでいた。いや、何でって言われてもなぁ…

 

「しゅーばしゅばしゅば!ねねちはまだ兄ちゃんにとって真の妹分じゃねぇって事しゅばなぁ♪」

 

「そうなのら、にーちゃの真の妹分になってないねねちはまだ一緒には遊べねーのら♪」

 

「うわあぁんッ!!ねねだってレイ兄ちゃんと一緒にガンプラ作ったりご飯食べに行きたかったのにいぃ!」

 

泣き叫ぶねねに対し煽るスバルーナ。なんだよ真の妹分って?ねねもガンプラ作るなら今度一緒にやってやるって。全く、世話の妬ける妹分達だ事…それはそうと

 

「社長、俺の家の鍵についてちょっとお話が…」

 

「ギクッ?!」

 

俺は俺で社長に複製した鍵の事を問い詰めていく。どうやら鍵は一部のホロメン達に脅されて作ったらしく、回収するのは難しいとの事だったのでその日の内に業者を呼んで家の鍵を替えて貰った。後でホロメン達が俺に文句を言いに来たが、文句を言いたいのはこっちだっての全く!

 

 




如何でしたでしょうか?自分の中ではスバルとルーナとねねは妹ポジションだったので兄ちゃん呼びにさせましたがこれ需要あるのかな…?

今回作ったガンプラはスバルとルーナのイメージに合わせてみました。今後もこういったイメージに合うのも選べばたまに予想外なガンプラを作ったりとかもしてみたいです。

次回はあのビジネスコンビの回です、気長に待って頂ければ幸いです(^_^)


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第4話『彗星の扉と赤い巫女』

なんだか思いのまま書いていたらすらすらと出来上がってびっくりしました(・・;)

今回はタイトルで誰がメインか丸分かりですが、どうぞ楽しんで頂けたら有難いです。


―カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタッ…カタッ―

 

「…ふう、漸く一段落だな」

 

長かった企画書纏めも一段落がつき、俺は身体を伸ばして一段落する。因みに今日は事務所ではなく自宅で仕事をしている。このご時世になってから自宅で仕事をする事も増え、今日もリモート会議を終えてからの企画書纏めとずっとパソコンとにらめっこしていた為に目が少し痛い。

 

「取り敢えず今日はこのぐらいにして、飯食って風呂入ろうかな―ピンポーン―…ん?誰だこんな時間に」

 

この後する事を考えていると突然インターホンが鳴り、誰かと思い玄関へと向かう。こんな時間帯だから恐らくはホロメンの誰かとは思うが…

 

―ガチャッ―

 

「はーい、どちらさ「こんばんはー!彗星の如く現れたスターの原石、貴方のアイドル星街すいせいです♪すいちゃんはぁ~?」…はい、今日も可愛いよすいせい」

 

…いきなりびっくりしたな。てっきりフブキ辺りかと思ったがまさかこいつとは。俺の目の前にいたのはニコニコと笑いながら手を振る青髪のサイドテール娘『星街すいせい』だった。

 

「もう、玲二くんノリワルいよ!もっといつも見たいにテンション高く言ってよ」

 

いや、そんな頬膨らませて言っても仕方ないんだけど。そもそも俺がテンション高く言った事なんて一度たりとも無いんだが?

 

「それじゃあもう一回言うから今度こそお願いね♪すいちゃんはぁ~「今日も平たぁ~い」あ゛ぁ゛ッ!?誰が平たいだゴルアァッ!?」

 

俺が答える前に(答える気もなかったが)すいせいの後ろから煽るような声が聞こえ、すいせいはまるで般若のような顔をしながら高速で振り向いた、おぉ怖っ……

そして其処にいたのは不機嫌そうな表情を浮かべながら仁王立ちしている桜色の髪に巫女っぽい服を着た少女『さくらみこ』がいた。

 

「おいみこちどういう意味だ今の誰の何が平たいってあぁ?」

 

「へッ!怒ってるって事は自分で自覚あるって事じゃん?それにみこの事を置いてさっさと玲二の所に行ったんだから、これぐらい言わないと気が済まないにぇ!」

 

「んだとコラァ?よーしわかった、そんなら戦争だゴルアァッ!」

 

「望む所だにぇ!サンドバッグにしてボコボコにしてやんよぉ!」

 

…また始まった。こいつ等ミコメットでコンビ組んでる筈なのに何でこんなにも仲が悪いんだよ?これならまだペコみこの方がマシだぞ。全く……

 

 

 

―ゴンッ!ゴンッ!―

 

 

 

 

 

―数十分後―

 

「……で、もう喧嘩しないと誓うか?」

 

「「はい……」」

 

あれから俺は家の前で騒ぎ立てるこいつ等の頭に鉄拳制裁をした後に説教をしていた。目の前で正座しているこいつ等の頭にはギャグみたいなたんこぶが出来ており、目からはこれまたギャグのような涙の滝が流れている。てかこういう事は今に始まったことじゃないんだからいい加減学習しろよ。

 

「全く、これに懲りたらもうすんなよ。それで、こんな時間にすいせいとみこは一体何しに来たんだ?」

 

「あ、そうだ!実は今日みこちと一緒にヨ○バシに行ったんだけどその時にビビッ!ときたガンプラを見つけたから玲二くんと一緒にやりたいなと思って買ってきたんだ♪」

 

「そうそう、みこもこれ凄く良いと思って買ったの♪ほらこれ!」

 

そう言って二人はカバンの中を漁りそれぞれガンプラを一つずつ取り出す。その間に涙はピタッと止まっておりたんこぶもいつの間にか無くなっていた。どういう体構造してんだお前等……まぁいいや、それで何買ってきたんだろうか?

 

「…へぇ、すいせいがスターゲイザーにみこが…おぉ、まさかのニュージオンか」

 

すいせいの買ってきたのは白を基調としたボディに光のラインが所々に入った『HGスターゲイザーガンダム』、そしてみこが買ってきたのは真っ赤なガンダムが巨大な剣を持って凛々しく構えている『HGニュージオンガンダム』だった。

 

『HGスターゲイザーガンダム』

機動戦士ガンダムSeedの番外作品「C.E.73 STARGAZER」に登場した宇宙探査用のガンダムである。その目的上戦闘には向いてなく武装も自己防衛用に最低限しか備わってないが劇中ではその機動力により敵ポジションのガンダム達を追い詰める程の活躍をしている。因みに俺はこの作品のブルデュエルのパイロットの死に方が結構トラウマである。

 

『HG ニュージオンガンダム』

ガンダムビルドダイバーズRe:Riseに登場するキャプテンジオンがニューガンダムをベースに作り上げたガンプラである。まるで赤い彗星と呼ばれたシャアの専用機のような真っ赤なボディに手に持っている巨大な剣「ジオニックソード」をメインに劇中でも豪快な戦いを繰り広げていた。しかし、ニューガンダム自体は結構人気があるのにこのニュージオンガンダムは割りと色んな所で余ってたりしてる。

 

「やっぱりすいちゃんと言えば名前の通り星のイメージがあるから、このスターゲイザーにはビビッ!と来ちゃったんだよねぇ♪」

 

「みこもいつも赤いザクやゲルググとか作ってるからこのニュージオンも良い!ってなったんだにぇ♪」

 

まぁ、言われればそうだが…星と言う意味では確かにすいせいっぽいが、ホロメン達からサイコパス呼ばわりされてるヤツが探査用のガンダム作るってなんかシュールだよな。みこもみこで今までガンダムは「兎田と被るからヤダ!」とか言って今まで頑なに手を出さなかったのに…いや、でもまぁ人が何作ろうが自由か。

 

「まぁ作るのは分かったけど、今から作るってキツくないか?もう外真っ暗だぞ」

 

「うん、だから今日は玲二くんのおうちに泊まって明日の朝作ろうかなって」

 

ちょっと待て、何で泊まる必要がある?明日になってから来れば良いだけじゃねーか。

 

「ほら、善は急げって言うし、みこも最近玲二の家に来てなかったから折角なら泊まりたいなーって」

 

いやなんだその理由?もしそれで明日会社で仕事だったらどうす……いやこいつ等の事だ、俺の出勤日なんて何処かで把握してるんだろう。ホント一体誰なんだよ俺の勤務情報流してるのは、Aちゃんか?

 

「はぁ…まぁ今日はもう遅いし、仕方がないから泊まっていけ」

 

「「いやったー♪」」

 

ホント調子良い奴等だな。さて、こいつ等の寝床を確保するか。

 

「取り敢えず俺はベッドで寝るからすいせいはフローリングで、みこは洗面台の床で「「ちょっと待てえぇーーいッ!!」」…なんだよ」

 

「なんで私がフローリングで寝ないといけないの?!そらちゃん達にはベッドで寝かせたのにおかしくない?!」

 

「みこも洗面台なんかで寝たくないにぇ!こうなったら今日は三人でベッドで寝るにぇ!異論は認めないからにえぇ!」

 

「えぇ……」

 

物凄い剣幕な表情で二人に迫られ俺は思わず困惑してしまい結局三人で寝る事を了承してしまった。しかし何故だろう?そらとアズキと一緒に寝た時のドキドキ感が全く湧かないのは……

 

 

 

 

 

―就寝時間―

 

「ぐごおぉぉぉぉぉぉぉ……ッ」

 

「ごがあぁぁぁぁぁぁぁあんごごごご……ッ」

 

(…う、うるさすぎて眠れねぇ…それにさっきから手足が…痛たたたたたたたあぁッ!!?)―ギシギシギシギシッ!―

 

こいつ等イビキうるさすぎなんだけど?!しかもそれぞれ腕と足に絡みついてよく分からねぇプロレス技みたいなのかけられてるんだがあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあッ!!! ?

 

結局この二人のイビキのうるささと関節技のせいで俺は一睡も出来ずに朝を迎えてしまったのだった……

 

 

 

 

 

―翌朝―

 

「…そんじゃさっさと作ってさっさと終わらせるぞ二人とも…」

 

「う、うん…それよりどうしたの玲二くん、目の下物凄い隈出来てるけど…」

 

「うっせぇそんなの良いから早くやるぞさっさとパーツ切り取れよ俺は顔洗ってくっから…」

 

「わ、分かったにぇ…みこ達何がしちゃったかな?」

 

結局一睡も出来なかったのと一晩中関節技をかけられた痛みと疲労のせいでまるで三徹した時並みの疲れが襲って身体の限界がピークを迎えていた。もうこいつ等と絶対に二度と一緒に寝るもんか。仕方ないから取り敢えず顔を洗ってから冷蔵庫の中にあるメ○シャキを飲んでひとまずすっきりさせてからリビングへと戻っていく。

 

「よし、それじゃあ気持ち切り替えてやってくか。まずそれぞれパーツを切って…」

 

「あ、それなんだけど玲二くん、すいちゃんちょっとやってみたい事があるんだけど」

 

「ん?一体なんだ?」

 

「あのね、このガンダムを青く塗装したいなぁって。ほら、すいちゃんのイメージカラーって青でしょ?だからこの子も青くしたらすいちゃん専用機っぽくなると思って♪」

 

ふむ、確かに言われて見ればスターゲイザーのそのままの色だとすいせいのイメージとは違うな……よし、久々にちゃんとした塗装をするか。

 

「それならまずすいせいはスターゲイザーの白いパーツを全部切り取ってくれ。この時にどのパーツか分かるようにこの付箋に番号書いて貼ってくれ」

 

「了解であります!」

 

「あ、それならみこも塗装したい!」

 

「ん?ならみこも同じように塗りたい色のパーツを切っていってくれ。俺はちょっとパソコンで仕事するから二人とも終わったら教えてくれ」

 

そう言って俺はパソコンを開き昨日の仕事の続きを始める。この二人はちょくちょくガンプラ作りに来てるからパーツの跡処理は大丈夫だろう。

 

 

 

 

 

―数分後―

 

「痛ッ!」

 

ん?なんかみこの奴変な声出してなかったか?

 

…あぁ、デザインナイフで指切っちゃったみたいだな。やっぱり何回かやってるとは言え目を離すのはまずかったかな。取り敢えず救急箱を……

 

「あれ、みこち指切っちゃったの?痛い?」

 

「痛いぃ…」

 

「苦しい?」

 

「苦しいぃ…」

 

「そっかぁ♪」

 

「喜んでんじゃねぇッ!!」

 

…何二人してやってんだよ?しかもそのやり取りどっかで見たし。

 

「何やってんだか…ほれみこ手出しな、手当してやるから」

 

「あ~ん玲二優しい~♪どっかのサイコパスと全然違うにぇ~♪」

 

「…ケッ、そんなの唾付けときゃ治るっての」

 

「それ余計に雑菌繁殖するだけだろ」

 

…ん、見た感じそんな深くまで切ってないな。これで少し消毒して、乾いたら絆創膏っと。よし、これで大丈夫だ。

 

こうして手当をしてもらったみこはご機嫌で作業を再開し、すいせいは何か面白くないのか少しふてくされながら作業を進めていくのであった。

 

 

 

 

 

―更に三十分後―

 

「全て切って跡処理も終えたな。それじゃあ塗装始めていくか」

 

「おぉ、漸くだにぇ」

 

「楽しみだなぁ♪」

 

全てのパーツの処理を終え、塗装しやすいよう全てペインティングクリップ(棒の付いたクリップ)に付けて塗装ベースに刺しいよいよパーツを塗装していく。因みに今俺達は庭に出ている。塗装する時は換気の良い所でマスクをして行わないと大変な事になるので決して換気環境が整ってない場所での塗装は絶対ダメだからな。

 

「まずは塗装するパーツにこのサフを噴いていくんだ」

 

「「サフ?」」

 

「サーフェイサーって言って、要は下地だな。塗る色によって色は変わるが、今回は二人ともこの白サフを噴いていくか」

 

「?何でわざわざ下地なんてする必要あるの?そのまま塗りたい色で塗っちゃダメなの?」

 

「これをする事によってより塗装しやすいようにするためだ。特に今回のみこのニュージオンみたいに色の濃い物だと塗装した後に下地に負けて思い通りの色にならない事もある。そしてサフを噴く事でヤスリ掛けの細かい傷跡も隠す事が出来るんだ」

 

今回使うのはMR.HOBBYのMr.ベースホワイト1000。俺が塗装する時にいつも使っているサフだ。因みに塗る色によってもこのサフの色も変わってくる。

 

「まず塗装する前にスプレー缶だからよく降ってちゃんと出るか確かめて、そしたら余裕を持って右から左へと均等になるよう一方方向に噴いていく。この時めんどくさいからと言って右左右左と行ったり来たりの噴き方はダメだからな、下地や色にムラが出来てしまうから」

 

「う、言われなかったらやってしまうとこだったにぇ…」

 

「でも綺麗に仕上げたいし、頑張って塗りますか!」

 

二人は俺が教えた通りにサフを噴いていく。うん、綺麗に噴けているな。それじゃ終わったら下地が乾くまで少し待つか。

 

 

 

 

 

―一時間後―

 

「よし、下地も乾いたし、早速今回使う塗料を選んで貰うか」

 

そう言って俺は部屋の物置にしまっていたスプレー缶を取り出して二人に選ばせる。本当ならエアブラシなんかで塗るのが一番なんだろうけど、あいにく今住んでいる家でそれを使える環境ではないので俺は塗装する時はいつも庭でスプレー缶でやっている。皆ももしやる時は換気の良い場所で近隣の人に迷惑の掛からないように塗装しよう。

 

「えーと……あ、すいちゃんこれに決めた♪」

 

「みこもこれに決めた!」

 

そう言って二人はそれぞれの色を選んだ。すいせいが選んだのはタミヤのTS-23ライトブルー、みこが選んだのは同じくタミヤのTS-25ピンクである。うん、二人のイメージにぴったりのチョイスだ。

 

「それじゃあこれをさっきのサフのように右から左へと一方方向に噴いていこう。綺麗になるよう均等にな」

 

「「はーい♪」」

 

二人は自分の選んだ色を思い思いにパーツへと噴きかけていく。こうして見るとやっぱりガンプラって色によって印象が大分変わるって改めて思うな。

 

 

 

 

 

―数時間後―

 

「よし、お互い塗装も完全に乾いたし、後は組み立てていくか」

 

「よおし、もうすぐ完成だあー♪」

 

「みこもワクワクするにぇー♪」

 

あれから塗装を終えて(すいせいはあの後更にクリアパールを噴いた)遂に組み立ての作業に入っていた。塗装したパーツが剥げないよう慎重に組み合わせていく。そして……

 

「おおっし!スターゲイザー…否!コメットゲイザーガンダム完成だあ♪」

 

「みこもニュージオン改めニューミコンガンダム完成だにぇ!」

 

こうして二人は自分達のガンプラを完成させそれぞれに新しい名前を付けていく。にしてもコメットゲイザーってちょっと語呂悪いな。しかもちゃっかり俺のジャンクパーツからストライクのライフルとシールド使ってるし。

 

「二人ともお疲れ。後はそれぞれにトップコートを噴き掛ければ終わりだな」

 

「「トップコート?」」

 

「これを噴く事で塗装剥げを防ぐんだよ。種類としては光沢、半光沢、つや消しがあるから今回はすいせいのには光沢、みこのにはつや消しを噴くか」

 

そうして俺は最後の仕上げのトップコートを噴き、これを乾かして本当に完成だ。

 

今回はこのシリーズでは初めての塗装だったのでそれぞれのガンプラを軽く紹介しよう。

 

『コメットゲイザーガンダム』

スターゲイザーガンダムにライトブルーとクリアパールを噴いた星街すいせいの専用機。色を明るめの青色にした事ですいせいっぽいイメージカラーを出しつつ元のスターゲイザーの良さを残している。本来は探査用のガンダムだがジャンクパーツのビームライフルとシールドを持たせる事で戦闘用として戦えるようになっているという設定だ。

 

『ニューミコンガンダム』

ニュージオンガンダムの濃い赤色と一部の赤色の部分をピンク色に変更した事により少し和風っぽさを感じるさくらみこの専用機。つや消しを噴いた事により落ち着いたイメージになり、これはこれで有りな作品になっている。

 

「こうして見るとどっちもなかなか良い感じに出来たな。て言うかこういった自分専用の塗装したのってホロメンだとこれが初めてか?」

 

「「!?……ふーん、そうなんだ(にぇ)」」ニヤニヤ

 

ん?どうしたんだ二人してニヤニヤ笑って?こういった笑い方する時のこいつ等ってロクな事しないから嫌なんだが……

 

 

 

 

 

―翌日事務所―

 

「どおーだ兎田!これがみこ専用ニューミコンガンダムだにぇ!兎田のペコダムなんて目じゃないにぇ♪」

 

「ぐぬぬヌヌ…ッ!」

 

「ほらほらフブちゃん見てみて♪玲二くんと一緒に作ったすいちゃん専用のコメットゲイザーガンダムだよぉ♪」

 

「ウギギギギ……ッ!」

 

久しぶりの出社早々事務所では何やら騒がしい様子だった。どうやらすいせいとみこの二人が昨日作ったガンプラを自慢気に皆に見せているようだ。そんな自慢するような事かそれ?

 

「師匠!みこ先輩達だけオリジナルなんてズルいぺこ!そんなのってねぇぺこじゃん!こうなったらぺこーらも師匠と一緒にペコダムmark-7作るぺこよ!」

 

「白上もすいちゃん達みたいな改造したい!だからレイくんこのジュピターヴにキツネの耳と尻尾付けてフブキングガンダムにしましょう!」

 

二人が自慢するから羨ましくなったのか兎の獣人『兎田ぺこら』とフブキを初めとした他のホロメン達も自分専用のガンプラが欲しいと押し寄せてくる。てかぺこら、お前の作ったペコダムって全部素組のRX-78-2(初代)ガンダムだろ。そしてフブキ、残念ながら俺にそんなパーツを作る技術はない。ホント、あいつ等余計な事してくれたな。

 

それから暫く俺は塗装や改造をしたいという皆に付き合わされる日々が続くのであった。

 




はい、という事で今回は星街すいせいとさくらみこの二人でした。正直この二人が手を組むとロクな事が起きないと思ってます(^^;

今回は初めて塗装しただけとはいえオリジナルのガンダムにしてみました、如何でしたでしょうか?

これから少しずつですがリアルも含め改造等にも手を出してみたいと思ってますのでどうぞよろしくお願いしますm(_ _)m

次回は誰にしようかなぁ?よろしければリクエストお待ちしてます。


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第5話『私達が、ガンダムだ!』

お気に入りが70件超えてビックリです( ; ゚Д゚)

今回は最初二人組にする予定だったんですが急にネタが降りてきたので少し路線変更しました。

楽しんで頂ければ有難いです、ではどうぞ( っ・ω・)っ


―カッカッカッカッカッカッ…―

 

 

 

薄暗い廃墟の街、男は何かから逃げるように走り出す。その身体は傷だらけで頭からは血も流れている。

 

 

 

―はぁ、はぁ、はぁ……こ、此処まで来れば大丈夫だろ…―

 

 

 

 

男は廃ビルの中に逃げ込み辺りを見回して安全を確認し一息つく。しかし……

 

 

 

 

 

 

 

―ベチャッ―

 

 

 

―?な、なんだよこれ……―

 

 

 

 

突然上から粘ついた液体が男の頭に垂れてくる。何やら生臭い匂い、それはまるで何かの体液のよう…男は恐る恐る頭上に顔を上げていくと……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―キシャアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアッ!!!―

 

 

 

 

―うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!?―

 

「「イヤアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!」」

 

「うぉッ?!急に叫ぶなよビックリするだろ!」

 

……現在夜の11時、俺はとあるメンバーと一緒に映画を見ていた。ジャンルはサバイバルホラーらしいが超マイナーなB級映画というのとかなり昔の作品という事でそんなに怖くはない。しかし、俺の腕にしがみついてる二人には相当怖かったらしく顔を埋めてガクガクと震えてる。

 

「……なあお前等、今のそんなに怖かったか?」

 

「怖かったよ!こんな化け物に急に襲われるなんて恐怖以外ないよ!だからラミィはこんな映画見たくないって言ったのにぃ!」

 

「ねねだってレイ兄ちゃんが大丈夫って言ったから見たのに、全然怖いじゃん!もうちょっとでねね漏らすとこだったよ!」

 

二人は埋めてた顔を上げるとわんわん泣きながら俺に文句を言ってくる。因みに今俺の左手にしがみついているのは妹分の一人であるねね、右手にしがみついているのはきらびやかな青色のロングヘアーが特徴の雪国育ちのハーフエルフ『雪花ラミィ』である。

いや、俺に文句言われても用意したの俺じゃないから困るんだが。それとねねよ、アイドルが漏らすとか平気で言うな。

 

「うーん、あんまりリアリティーがないな~」

 

「映像荒いしエイリアンも作り物っぽさが出ててなんか怖くないんだよなぁ」

 

そんな俺等のやり取りに目もくれず横のソファーや床に寝そべってる二人は映画に対して辛口な評価をしながらポップコーンを食べている。

ベッドで寝そべってる方は少しボサッとした白い髪の自称ギャングタウン出身のライオンの獣人『獅白ぼたん』で、床に寝そべってる方はまるでサーカスを彷彿とさせる奇抜な衣装のフェネックの獣人『尾丸ポルカ』である。

何故この四人がこんな夜中に俺の家に居るのかというと、早い話俺とこのねぽらぼの四人が一週間程の休みが取れたのでその内の三日間を俺の家で過ごす事になったのだ。まぁ当然の如く唐突だったのだがこいつ等既にリビングに布団敷いて寝泊まりする気マンマンである。更にはポルカが持ってきたこの古くさい映画を見る事になって今に至るという訳だ。

 

「ほら二人とももう映画止めたから落ち着けって」

 

「うぅ~、うぅ~!」

 

「ありゃ、ラミィすっかり怯えちゃってるね」

 

「ねねちもレイっちに顔を埋めたまま動かなくなってるし」

 

全く、本当にこの二人はホラー耐性が低いよな。こっちが宥めてもラミィは涙目で唸るだけだし、ねねも俺の腕に顔を埋めてグジュグジュ泣いている。頼むから服に鼻水付けんなよ。

 

「ほら、明日は皆でガンプラ買いに行くんだろ?だったらもう今日はそろそろ寝ないと「「ヤダッ!!」」…なんでだよ?」

 

「こんな怖いの見て一人じゃ寝られない!お願い玲二さんラミィと一緒に寝て!」

 

「ねねもレイ兄ちゃんが一緒じゃないとヤダ!一緒に寝てくれないとねね漏らしちゃうよ!」

 

いや、んなこと言われてもしょうがないんだが?後ねねよ、何度も言うがアイドルが漏らすとか言うなどんな脅し文句だそれ?

 

「あぁ二人ともそれはズルい!ポルカだって玲二さんと一緒に寝たいよ!」

 

「あたしもレイっちと一緒に寝たいなぁ~♪」

 

おいお前等何しれっと参戦してるんだ?寧ろ二人を宥めて止めてほしいんだが?

 

「ダメッ!二人とも別に怖くなかったんだよね?!だったら別に玲二さんと寝る必要ないじゃん!」

 

「そうだよ!ししろんもおまるんもさっきの映画見ても平気だったじゃん!」

 

「……アーソウイエバサッキノエイガコワカッタナー」

 

「ポルカモナンダカキュウニコワクナッテキタヨー」

 

なんだその分かりやすい棒読みは?そして引っ付いてくんな暑苦しい。いつも思うがなんで皆そんなに俺と寝たがるんだよ……

 

そんな俺を他所に四人の言い合いが始まり、結局は勝手にじゃんけんで勝った二人が一緒に寝る事となった。

 

 

 

 

 

―就寝時間―

 

「すぅ、すぅ……Zzz」

 

「……結局こうなるのか」

 

あの後じゃんけんで寝床を決めた後、俺達は明日の為にそのまま寝る事にした。俺の右側にはラミィが俺に抱きつきながら可愛らしい寝息を立てすやすやと寝ている、とてもさっきまで怯えてたとは思えない落ち着き様だ。

 

「……レイっち、ごめんね」

 

「ん?どうしたんだぼたん」

 

そんな中俺の左側にいるぼたんが突然俺に謝ってきた。どうしたんだ急に?

 

「レイっちも折角の休みなのにあたし等の我が儘に付き合ってくれてさ。この休暇だって本当は一人でゆっくり過ごしたかった筈なのに……」

 

「なんだそんな事か。確かに何も無かったら一人で過ごしてたかもしれないが、皆が遊びたいって言うなら断る理由はないさ」

 

「でも……」

 

「そんなの一々気にするなって、いつもマイペースな獅白ぼたんらしくないぞ?それになんだかんだで俺が楽しんでいるんだからそれで良いじゃねぇか。さぁ今日はもう寝るぞ、明日は皆でガンプラ買いに行くんだから」

 

……なんか自分で言ってて少し恥ずかしくなってきた。でもなんだかんだでホロライブの皆と一緒にいて楽しいのし、こんな俺を慕ってくれてると思うと嬉しいのは確かだ。まぁ、たまに喧しい奴もいるけどな。

 

「……えへへ、やっぱりレイっちは優しいなぁ~(皆が好きになるのも当然だよね///)」ギュッ

 

ぼたんはそう言うとなんだか嬉しそうに笑い俺に引っ付いてきて、その数分後に寝息を立てていた。寝るの早いなこいつ……

さて、俺もそろそろ寝るか……今思うと色んなホロメンと一緒に寝てたせいかこの状態に慣れてしまっている自分が怖い。

 

 

 

 

 

(……負けないもん、ししろんにも皆にも。玲二さんはラミィの運命の人だもん)

 

そんな玲二とぼたんのやり取りをこっそり聞いていたラミィ。その目にはハイライトが消えており黒く濁っていた……

 

 

 

「うぅ~、レイ兄ちゃぁん……Zzz」ギュウゥゥッ

 

「うぐおぉぉぉぉぉ…?!」ミシミシミシミシッ

 

そんな中リビングの布団では先程の映画のせいで怖くて震えながら寝ているねねとそのねねに思いっきりしがみつかれて苦しそうに寝るポルカがいた。

 

 

 

 

 

―翌日―

 

朝起きて朝食を済ませた俺達は今日のガンプラを買いに少し遠くにあるB○○K○FF(おい伏せ字仕事しろ)へとやって来ていた。ラミィとねねはすっかり元気になってたがポルカは逆に元気がなかった、どうしたんだ?

 

「へぇ、こんな所にもガンプラって売ってるんだね~」

 

「此処は量販店と違って中古のガンプラが多いから最新のは少ないけどたまに激レアな物が出てくるんだよ。今日は此処で皆で作るガンプラを探すか」

 

「「「おぉー♪」」」

 

「おぉ~……」

 

ホント大丈夫かポルカ?昨日の夜何があったんだよ?

 

 

 

それから……

 

「お、この武者丸懐かしいなぁ。こっちの新し目の劉備ユニコーンも良いけど、こうした昔の武者頑駄無もやっぱり良いよなぁ。まぁ、今回はパスだけどな」

 

 

「どうしようかなーっと……お、この子あたしにぴったりじゃん♪これにしよーっと」

 

 

「な、に、に、し、よ、う、か、な~っと?あ!これねねっぽい色してるしこれにしよう!」

 

 

「何か皆をあっ!と言わせるようなガンダムが良いなぁ~…ん?おぉッ!これなんて面白そう♪」

 

 

「えーと、あのガンダムは……あ、あった!ラミィは最初からこの子って決めてました♪」

 

 

俺達は皆思い思いのガンプラを選び購入し店を後にする。さて、皆何を買ったんだろうか?

 

 

 

 

 

―一時間後、帰宅―

 

「んじゃ皆早速買ってきたガンプラを出しますか」

 

「ふっふーん!ねねのガンダム見てビックリすんなよー?」

 

「ポルカもこれは良い物手に入れたと思うよ」

 

「あたしもあたしっぽさが出てるガンダム見つけたからね」

 

「それじゃあ皆で一斉に出しましょう♪それじゃあ……」

 

「「「「「せーの、はい!」」」」」バンッ!

 

「…え?」

 

俺は皆の買ってきたガンプラを見て思わず唖然としてしまった。俺が買ってきたのはMGガンダム(オリジン版)だったがこれはまあいい。問題なのが四人が買ってきたガンプラ…なんとまさかの同シリーズ、しかも被り無しときた。それが……

 

「…まさかのソレスタルビーイング全員集合、しかも1/100とはな」

 

そう、機動戦士ガンダムOOの第一期に活躍したメインのガンダム四機、しかもMGではない1/100スケールキットだった。

 

『1/100ガンダムエクシア』

『1/100ガンダムデュナメス』

『1/100ガンダムキュリオス』

『1/100ガンダムヴァーチェ』

機動戦士ガンダムOOの主人公達が所属している組織『ソレスタルビーイング』が保有する四機のガンダム。それぞれが接近戦がメインのエクシア、精密射撃のデュナメス、空中戦闘のキュリオス、そして他のガンダムより一回りゴツく巨大なビーム砲を持つヴァーチェとなっている。因みに俺は初期設定ぐらいしかOOは知らない。

 

「……まさかお前等打ち合わせでもした?」

 

「してないよ?ねねはこの子オレンジ色だから良いなぁって思ったから決めたんだよ」

 

「ポルカもこのヴァーチェのギミックがビックリ要素っぽかったからこれにした」

 

「あたしはもうデュナメスに一目惚れしちゃった♪このスナイパーライフルカッコいいし」

 

「ラミィはOOを見て作るならこのエクシアって決めてたんです」

 

……成る程、みんなの好みが偶々こういった形で一致したのか。凄い偶然だな、しかも全員1/100スケールだし。HGとかなかったのか?

 

「しかしまぁよくこれらが一緒にあったな結構古いガンプラなのに」

 

「まぁいいじゃんそんなの。それよりレイ兄ちゃん早く作ろ!」

 

「…それもそうか。んじゃ早速作っていくか」

 

「「「「おぉー♪」」」」

 

ねねの言う通り、もうこの際細かい事は気にしないで、今はこいつ等のガンプラを仕上げていくとしますか。

 

 

 

 

 

―尺の都合上パーツ処理シーンはカット―

 

「よし、今回は塗装とプチ改造って事だったけど、改造はラミィとぼたんだけで残りは塗装だけでいいんだな?」

 

「はい、このエクシアをもう少しオリジナル感を出したいのでお願いします♪」

 

「あたしは改造と言うより武装追加がしたいから何かあったのがあれば使いたいな」

 

「ん、ならこの段ボールにジャンクパーツとか入ってるから好きなの使っていいぞ」

 

そう言って俺は部屋の隅に置いていた二人にジャンクパーツが入った段ボールを渡す。この中には作る際に使わないパーツや昔作って破損してしまったガンプラ達がいる。こういうのは改造や修繕する時に役立つから壊れたからと言って捨てたりせず取っとくと良いぞ。そして二人は中に入ってるパーツを思い思いに漁り出す。

 

「ねぇ玲二さーん」

 

「ん?どうしたポルカ?」

 

俺が庭で塗装の準備をしているとポルカが突然声をかけてきた。その手には赤と青のスプレー缶が握られている。

 

「パーツをポルカっぽく二色で塗装したいんだけど、一つのパーツに赤と青のツートーンにするのってどうすればいいの?」

 

「成る程な、それならマスキングテープを使うといい。一色目を塗ってトップコートを噴いて乾いたらテープを塗りたくない部分に貼って残りを塗った後に乾いたら後はテープを剥がせばツートーンに出来るぞ」

 

「そうなんだ、じゃあやってみる!」

 

そう言ってポルカは一足早くサフを噴き始める。すると今度は入れ替わりでねねがやって来る。

 

「ねぇねぇレイ兄ちゃん。ねねね、このオレンジの部分をキラキラさせたいの!どうすればキラキラさせる事が出来るの?」

 

「キラキラ?そうだなぁ…ならまずこのゴールドで塗って、その後にクリアオレンジを塗るとちょっと光沢のあるオレンジになるぞ。この時にクリアオレンジを噴きすぎると暗いオレンジ色になってしまうから気持ち薄く噴いた方がキレイに出来ると思う」

 

「わかった!ねねやってみる!」

 

ねねも早速塗装する為にまずはサフで下地付けを始める。こうして各自思い思いのガンプラ塗装&改造を施すのであった。

 

 

 

 

 

―完成まで大幅カット!!―

 

お泊まり会最終日、四人はそれぞれ完成させたガンプラの御披露目会をする事になった。皆納得の出来る仕上がりになったのか嬉しそうな笑顔を浮かべている。

 

「それじゃあまずはラミィから見せて貰おうかな?」

 

「はい、ラミィのこれが自信作『フリージングガンダムエクシア』です!」

 

そう言ってラミィはテーブルに自分の作ったガンダムを展示する。どれどれ……

 

『フリージングガンダムエクシア』

雪花ラミィが作り上げたガンダムエクシアの改造機。青かった装甲は薄い水色になっており右肩のアーマーには前と後ろにそれぞれ『ビギニング30ガンダム』のifs(イフス)ユニットが一枚ずつ付けられており、更にその右肩のアーマーの後ろ部分から半透明の水色のレースがマントのように装着されている。そして驚いたのがシールドの白い部分に薄い水色で雪の結晶が描かれていた事だ。どうやらポルカからマスキングテープを拝借して自分なりにテーピングしたらしい。かなりビックリだ。

 

「次はあたしだね。あたしのは『陸戦型ガンダムデュナメス』だよ」

 

次に見せてきたのはぼたん。一体どんな風に仕上げたんだ?

 

『陸戦型ガンダムデュナメス』

獅白ぼたんが作り上げたガンダムデュナメスの改造機。緑の装甲はつや消しの黒に変わっていて背中にはその名前が指す通り『MG陸戦型ガンダム』のバックパックが装着されている。ぼたん曰くビームも実弾も使えるマルチタイプの武装という設定らしい。

 

「お次はポルカだぁー!ポルカのはこちら、『トリッキーガンダムヴァーチェ』だ!」

 

次はポルカか。ツートーンにしたいと言ってたが果たしてどうだ?

 

『トリッキーガンダムヴァーチェ』

尾丸ポルカが作り上げたガンダムヴァーチェのリカラー。主に赤と青のツートーンに仕上がっていて、まるでサーカスの衣装のようである。色の境目にもキレイに仕上がっていて、初めての塗装にしてはかなり上手くいってると思う。しかもこのガンダム実は装甲の中に『ナドレ』というガンダムが隠されているのだが其処もしっかりサーカス風に塗装されている。あまりガチャガチャやると塗装剥げするからあまり見れないけどな。

 

「最後はねねの自信作!『ガンダムキュリオス ハイパーねねちVr.』だよ!」

 

いよいよ最後、ねねの番か。ちゃんと言った通りに塗れたのか?

 

『ガンダムキュリオス ハイパーねねちVr.』

桃鈴ねねが作り上げたガンダムキュリオスのリカラー。オレンジ色の部分をゴールドとクリアオレンジで仕上げた光沢感のある機体になっている。ただ、やっぱり所々にクリアオレンジのムラがあり少し色が暗くなっているのが残念だが、まあ初めてにしては上出来だな。

 

「皆お疲れさん、どれもキレイに仕上がっているな。ねねのは少しムラが出来てしまってるけど、初めての塗装にしては皆良く出来てるぞ」

 

「本当ですか?やったぁ♪」

 

「うん、今回この子を上手く作れて良かったよ」

 

「ねねはちょっと塗装失敗したから、次こそは絶対上手く塗ってみたい!」

 

「ポルカも今回のお泊まり会凄く楽しかった!また皆でこうやってガンプラ作りたいね♪」

 

今回のガンプラ作りも無事終わる事が出来たな。やっぱり皆が楽しくガンプラを作ってくれるのは俺も嬉しくなるな。

 

「ねえ玲二さん、今回頑張ったご褒美が欲しいんですけど」

 

「ん、ご褒美?まあ、可能な限りならあげてもいいが」

 

「なら此処にサインと判子をしてもろて……」

 

「だからそれはやらねぇって」

 

こいつ本当に隙あらば婚姻届出してくるな。なんだ、常に持ち歩いてるのかそれ?

 

「あぁ!ラミィちゃんズルい!ねねもレイ兄ちゃんと結婚したいのに!」

 

「ラミィ抜け駆け禁止って言ったじゃん!ポルカだって玲二さんと一緒になりたいのに!」

 

「あたしは愛してもらえれば愛人でもいいけどね♪」

 

いや、ダメだろぼたん。お前等も俺何かよりもっと良い人探せって。全く最後の最後まで騒がしい事で…

 

 

 

 

こうして御披露目も終えて楽しい中終えたお泊まり会だった。

 

 

……だが、この時は誰も知るよしもなかった……

 

 

この日の一週間後、あんな出来事が起こるとは………

 

 




はい、というわけでねぽらぼの四人組でした。さすがに四人いっぺんは無謀でしたね( ; ゚Д゚)
でも書いている時は楽しかったので良かったです。
次回ものんびり書いていくので気長にお待ち頂けたらなと思います。それではまた( ≧∀≦)ノ


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第6話『ガンプラの鬼降臨』

昨日知り合いからお前どんだけ小説書き溜めてんの?って言われましたが別に書き溜めてはいないんです。投稿した後思いついたネタをそのまま書いてるだけなんです。だからこんな駄文なんです(T^T)

とまあ、そんな事はさておきこんな小説に評価やお気に入り登録して頂き感謝です。今回はちょっといつもと志向を変えて書いて見ましたので楽しんで頂けたら有難いです。ではどうぞ( っ・ω・)っ


ホロライブプロダクション

今やその名を知らない者はいない程世界的人気のアイドル事務所の日本支部である此処には30人程のアイドルが所属している。そんな事務所の中は今……とんでもない事態に陥っている。というのもこの場にいるアイドル達がおかしくなってしまったのだ。

 

ある者はまるで魂が抜け出たように呆然と上を見上げ、ある者はずっと泣きじゃくっており、またある者は壁に向かって何やらぶつぶつと呟いている。中には事務所にすら来ないで家に引きこもったり自身のチャンネルを休止してしまう者さえいる。

 

(……どうして?どうして皆こんな事に…)

 

そんな中まだ辛うじて普通な者がいた。ゲーマーズの一人である狼の獣人ミオだ。彼女は平常心を保っているが、他の皆を見て何故こんな事になってしまったのかを考えていた。

 

(……いや、考える迄もない、原因なんて分かりきってる。だって

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今この事務所にレイさんがいないんだから)

 

 

そう、実は今現在この事務所に佐々木玲二はいない。それは休みだからとかではなく、彼自身は今この事務所から外れているという事なのだ。一体何故?事の発端は今から一ヶ月前に遡る………

 

 

 

 

 

―一ヶ月前(前話の一週間後)―

 

「……え?俺が一ヶ月間のEN支部の研修に?」

 

「あぁ、向こうの支部長からの強い要望でね。どうも君の仕事ぶりを向こうでも活かしてほしいそうだ」

 

出社して早々俺は社長からEN支部への研修を命じられる。しかしENか…英語全く喋れないのに何故俺が指名されたんだ?

 

「社長、お言葉ですが俺は英語喋れないですし、俺よりも優秀な社員がいるのでそちらに頼まれては?」

 

「いや、それが実は指名したのは支部長だけではなくて向こうに所属している小鳥遊さんと森さんも君の事を強く要望していてね。通訳に関しては自分達がするから是非君と仕事がしたいとの事なんだ」

 

小鳥遊と森……あぁ、キアラとカリオペか。確かにあの二人とは一度こっちに来た時に仕事したな。まさかそれがきっかけで向こうに呼ばれるとは。まあ、仕事の幅を広げるチャンスと思えば良いか。

 

「分かりました、それでいつ出発すればいいのでしょうか?」

 

「おぉ、行ってくれるんだね!では、明日の14時頃に出発してくれ」

 

「明日!?随分急ですね……」

 

「すまない、本当はもう少し余裕を持たせたかったんだがご時世的な事情でどうしても急ぎになってしまうんだ。明日その時間に我が社のプライベート機を用意するからそれで向かってくれ」

 

プライベート機?!そんなのあるのかうちの会社!?い、いやそうか、この会社今かなり稼いでいるからそれぐらい用意出来るのか、流石世界一のアイドル事務所…

 

 

こうして俺は急遽EN支部に一ヶ月間の研修を受けに行く事になった。向こうに行くことは通訳がいるなら別に何ともないが、唯一の不安はあいつ等がちゃんと仕事してくれるかだけど……まぁ、隔離期間合わせて約二ヶ月間弱離れるが、あいつ等も子供じゃねぇんだから(一部除いて)俺がいなくたって大丈夫だろう。

 

 

 

 

 

 

―そして現在―

 

あれから一ヶ月程経ち、今事務所内は地獄絵図と化していた。初日に玲二が研修に行ったと聞かされホロメン達はYAGOOを問い詰めていたりもしたがこれも玲二のスキルアップの為と思い最初は皆我慢して頑張ろうとしていた。

 

しかし、それも日が経つ毎に徐々に皆がおかしくなり始めていた。例えば……

 

 

「ウヘヘヘェ…レイくんもう離しませんよぉ…♪」

 

「玲二さぁん…やっとラミィ達夫婦になれましたねぇ…♪」

 

 

フブキはソファーの上にあるクッションを抱き締めながら、ラミィは何も書かれていない婚姻届を握り締めながら不気味な笑顔を浮かべている。最早末期である。

 

 

「うぅ~、あぅあぅあ~」

 

「ふぎゅうッふぎゃあ!ふぎゃあ!」

 

「ブーブー、ブーブー」カラカラッ

 

 

ルーナとスバルとねねの妹分達は完全に幼児退行してしまい喋れなくなってしまっている。

 

 

「あれ?なんでわたしあいどるなんてやってんだろう?そもそもあいどるってなんだっけ?それいぜんにわたしってだれだっけ?」

 

「あずきはいままでれいじさんにほめてもらえたからがんばってこれたわけであれ?じゃあれいじさんがいないいまあずきのそんざいりゆうってなんなんだろう?」

 

「なんでみこにぇっていうんだろう?そもそもにぇってなんなんだろう?」

 

 

そらとアズキとみこはまるで壊れたロボットの様に同じ事を繰り返している。既に崩壊寸前である。

 

 

その他にも先程から無言な者、苛立ちで他人に当たる者、自ら退職届を出そうとしようとする者等最早無法地帯以外の何ものでもない。因みにロボ子は玲二がいなくなってから直ぐに事務所の隅でスリープモードになり、背中には『マスターが帰ってくるまで起こさないで ロボ子』の貼り紙が貼ってある。

 

(…レイさんがEN支部に行って一ヶ月、まだ折り返しなのにもう事務所が崩壊しかけている…ウチも正直限界だけど、レイさんに頼まれた以上最後まで皆を支えないと!)

 

そう、実は玲二が出発する際ミオを始め一部のホロメン達に自分が不在の間皆を支えてほしいとお願いしていたのだ。お願いされたメンバーは玲二の期待に応える為にも心折れそうになっても頑張って皆をサポートしていた為に何とか完全崩壊は食い止めている状態なのだ。

 

(えっと、今事務所にいないのは……あやめとシオンところねか。シオンはちょこ先生にお願いしてころねは多分おかゆが見に行ってくれる筈、ならウチはあやめの所に行ってみよう)

 

ミオは今事務所に来ていないあやめの様子を見に行く為に荷物を纏めていく。

 

「それじゃあフブキ、ウチはあやめの所に行くから何時までも其処でゴロゴロしないでレッスン受けに行きなよ」

 

「はぁい、分かってるよぉ~うえっへっへっへ♪」

 

ミオが呼び掛けるもフブキは返事はするものの相変わらず不気味な悪い方をしながら抱き締めているクッションに顔を擦らせている。そんなフブキをミオは見ていられず顔を背け涙を堪えながら事務所を後にした。

 

 

 

 

 

―一時間後、あやめ宅前―

 

電車に揺られる事一時間、ミオはあやめの住むマンションに到着し部屋の前に立っていた。郵便受けには結構な量の手紙が挟まっており、もしかしたらいないのではと疑ってしまうがミオは取り敢えずインターホンを鳴らしてみた。

 

―ピンポーンッ―

 

―シーンッ…―

 

「…あれ?いないのかな…おーいあやめー。いるなら返事してー―ガチャッ―…あ、鍵開いてる」

 

何気なくドアノブを捻ると無用心にも扉には鍵がかかっていなかった。ミオは仕方なく恐る恐る中に入ってみる。

 

「うっ……?!何これ、ゴミだらけじゃん!?」

 

中に入ると其処はまるでゴミ屋敷だった。食べ終わったカップ麺やお菓子の袋がそこら辺に散らばっており、他にもジュースや酒の空き缶まで散乱している。結構な時間放置していた為かお菓子の袋等からコバエのような虫が集っており異臭を放っている。窓もカーテンで閉まっており外の光が殆ど入ってきていない。正に最悪な状況である。

 

「あ、あやめ~?だ、大丈夫?いるなら返事し「なぁ~にぃ~…?」うぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあッ?!!」

 

ミオは恐る恐るあやめを呼ぼうとした瞬間、奥の部屋から何かが蠢きこの世の者とは思えない程の低い唸り声のようなものが聞こえ思わずミオはパニックになってしまうが……

 

「……あれ?ミオちゃんだ…おはなきり~…」

 

「余ぉ~…」

 

「……へ?」

 

自分の名前を呼ばれミオは蠢いていた物体に目を戻す。其処にいたのは額に二本の角が生えた鬼人『百鬼あやめ』とそのペットである『ぽよ余』だった。只、その美しかった白い髪はくすんでボサボサになっていて顔もかなりやつれており、手には少し歪んだ箱を抱えている。ぽよ余もまるで汚れたぬいぐるみのように汚くなっていた。

 

 

 

 

 

―それから約三時間後―

 

「全く!こんな汚くなるまでずっと部屋を放置するなんて!」

 

「ご、ごめん余ミオちゃん…玲二様がいなくなってから何もする気が起きなくて……」

 

「余ッ!余ッ!」ピョンピョンッ!

 

あれからミオはあやめの部屋のゴミを纏めて部屋を換気しながら掃除をしていた。その間にあやめとぽよ余を風呂に入れて綺麗になってもらい、ぽよ余は久しぶりに風呂に入ったお陰か元気よく跳ねている。

 

「それにしてもレイさんがいなくなってから全く外に出てなかったなんて。食料も尽きてたのによく今まで生きてたよね……」

 

「だって余鬼だから少しの間食べなくても平気だし、昔人間様達に追いかけ回された頃に比べたら全然……」

 

「にしたってあんな状態になるまで引きこもるなんてダメでしょ!ウチが来なかったらどうするつもりだったのさ?!そんな姿見たらレイさんだって心配するでしょ!」

 

「うっ…ごめんなさい……」

 

ミオに怒られてあやめは持っていた箱をぎゅっと抱き締めながらシュンとなる。ぽよ余も慰めてるのかあやめの頭の上によじ登りぴょんぴょん跳ねている……慰めてるのかそれ?

 

「…ところでさっきからずっと抱き抱えてるその箱なんなの?見た所ガンプラみたいだけど」

 

「あ、うん。余が前に買ったガンプラだぞ。玲二様と一緒に作りたくて買って遊びに行こうとしたんだけど、丁度その日に玲二様EN支部に行っちゃって…」

 

そう言ってあやめは抱き抱えいたガンプラ『MG 戦国アストレイ頑駄無』をミオに見せる。その箱は強く抱き締められていたせいか所々歪んでしまっている。

 

 

『MG 戦国アストレイ頑駄無』

ガンダムビルドファイターズに登場するニルス・ニールセンが作ったガンダムアストレイの改造機。二本の刀とサブアームにもなる両肩の大袖、更には盾としても使える鬼面を模したバックパックが特徴的な和風チックなガンプラである。

 

「玲二様があの日いなくなって、折角買ったこれも一緒に作れないと思ったら悲しくなってきて……」

 

あやめはそう言うとまた戦国アストレイの箱を抱き締める。その目からは大粒の涙が零れ、ぽよ余は泣いてるあやめを慰めようとちっちゃな手で頭をナデナデしている。

 

(こ、これは重症だ…何とかしてあやめを立ち直らせないとこのままじゃ鬱病になってしまう。というかYAGOOがレイさんをEN支部に飛ばさなかったらこんな事にはならなかったのに…ダメだ、急にYAGOOに対して○意が湧いてきちゃった。いや、今はそんな事よりあやめを……こうなったら!)

 

「あやめ!」

 

「え、な、何?ミオちゃん」

 

「一緒にそのガンプラ作ろう!」

 

「え?!」

 

ミオの突然の申し出にあやめは驚く。そもそも玲二と一緒に作ろうとしていたガンプラを何故今ミオと作る事になるのかあやめには理解出来なかった。

 

「ほら、レイさんも言ってたじゃん!ガンプラは気分転換するのに丁度良いって。今あやめは気持ちが沈んでるから一緒にガンプラ作って気分転換しよ!」

 

「で、でも……」

 

「それにウチ等だけで作って良いのが出来たらレイさんも帰って来た時にきっと誉めてくれるよ!あやめ、頑張ったなって!」

 

「ッ!!そ、そうか……ミオちゃん、余作る!凄いのを作って、玲二様に誉めて貰うんだ余!」

 

玲二に誉めて貰う。その言葉を聞きあやめは一気にやる気を取り戻した。地文だが言わせてもらおう、何てチョロいんだ。

 

「よし、それなら早速行こう!」

 

「え?ミオちゃん、行くって何処に……」

 

「良いからほら、早く着替えて出掛けるよ!」

 

「え?え?え?」

 

あやめは訳が分からぬまま着替えさせられ、そしてミオに連れられるまま何処かへと向かうのであった。

 

 

 

 

 

―目的地到着―

 

「よし、着いた!」

 

「着いたって…ね、ねぇミオちゃん?」

 

「ん?どうしたのあやめ」

 

「此処って……玲二様のおうちだよね?」

 

そう、あやめがミオに連れてこられた場所はなんと玲二の家だった。本来の家主がいないのにミオは何故此処にやって来たのか?

 

「大丈夫、ほら早く中に入ろう?」ガチッガチャッ!

 

「え?!ミオちゃんなんで鍵開けれるの?!玲二様のおうちの鍵ってこの前変えられたのに?!」

 

「レイさんがEN支部に行く前にウチと他に二人くらいに何かあった時用に預けてくれたんだ。もしあれだったら此処でガンプラ作る為の工具もあるから使って良いって」

 

そう、玲二は自分が事務所からいなくなる前日にミオを含む信用できるメンバーに鍵を預けていた。もし何かあった時に気分転換出来る用にゲームも用意しているし何より此処なら工具が一式揃っているので思いのままガンプラを作る事が出来る。因みにミオ以外に鍵を預けたのはフレアとぼたんの二人であり、二人も心折れそうな時は此処に来て気分転換をしていた。

 

「それじゃあ早速組み立てよう。あやめはMGって作った事あるの?」

 

「ううん、ないぞ。いつもガンプラ買う時はHGか武者頑駄無だったから、MGはこれが初めてだぞ」

 

「そ、そうなんだ…ウチもHGかRGとかだからMGは…いや、確かレイさんはMGは要はでかいRGみたいなもんだって言ってたから、多分大丈夫だよね?」

 

此処で二人とも実はMGは初めてという事に気づく。MG(マスターグレード)は1/100スケールのガンプラで、その最大の魅力は設定に忠実な内部構造とHG等では再現しきれなかったモールドや色分け等である。先程のミオの言った通りMGはデカイRGと言う人もいるが実際は内部構造もRG以上にしっかりしている為パーツ数は相当ある。

 

「それじゃあレイさんを驚かせる為にも、頑張って組み立てていこう♪」

 

「おぉー♪」

 

こうしてあやミオによる初めてのMG作りが幕を開けた。因みにぽよ余は今玲二のベッドの上で跳ねて遊んでいた。

 

 

 

 

 

 

―そして翌日―

 

「や、やっと終わった……」

 

「…もう、日が昇ってる余…」

 

あれから時間が経ち、現在朝の6時。予想以上のパーツの多さにゲート処理や跡消し等をしていたらすっかり朝を迎えていた。二人がかりでMGを作るのにこれだけ時間が掛かったのにRGとはいえ初めての時に三、四時間程で作ったそらとアズキは凄かったんだなと感じる。

 

「……取り敢えずまずは此処までにして一旦寝よ?」

 

「……うん、眠い」

 

とまあ、何はともあれまずは第一段階の組み立ては完了したので二人は一旦眠りにつくことにした(勿論玲二のベッドで)。

 

 

 

 

 

―そして昼頃起床―

 

「よおし。一眠りもしたし、最後の作業をしていこう♪」

 

「おぉ~……」Zzz…

 

一眠りを終えて再び作業を始める二人。あやめは低血圧のせいかまだ眠たそうにしているが、何にせよこのMG作りもいよいよラストスパートとなった。

 

「……と言ってもここからどう仕上げて行こうかな?一応ジャンクパーツにMGアストレイの刀二本見つかったけど……」

 

「うーん………ッ!そうだ、良い事思いついた!」

 

この戦国アストレイをどう仕上げようか考えているとあやめは突然デザインナイフを使い戦国アストレイのボディに傷跡を付けていく。

 

「ちょちょちょッ?!ちょっとあやめ、いきなり何してるの?!」

 

「ん?このままじゃ寂しいから、やっぱり武者モチーフだから傷痕がある方が感じ出るかなぁって。ほら、これなんて刀でズバァッって切られた痕っぽいでしょ?」

 

突然の事にミオは驚くがあやめは付けた傷痕を見せると左肩から胸部にかけてまるで刀等で切られた様な跡が出来ている。実はこれはダメージ加工といってデザインナイフやピンバイス等を使って削りその部分を塗装する事によりまるで戦って負った傷痕のような仕上がりになるのだ。

 

「ほ、ホントだ、デザインナイフで切ったとは思えないえぐれ方してるけど…」

 

「ふふん、彫刻は余得意だからな♪この調子でどんどん切っていこうっと♪」

 

あやめは彫刻の要領でパーツに傷痕を与えていく。そして塗装に入ると取り出したのはマーカーではなく何やら塗料の入った小瓶と筆を用意し始めた。

 

「え?あやめ、それって何?」

 

「これ?玲二様の塗料の所にあった小瓶の塗料だぞ。本当ならエアブラシ?とか言うもので色を塗るらしいけどこういったダメージ加工の時は筆塗りの方が良い感じになるって言ってたんだ余」

 

そう言ってあやめは黒鉄色の塗料を細めの筆に付けて傷痕を塗っていく。すると傷痕の部分が深みを増してよりリアリティーが出てきた。

 

「よおし、このままどんどん塗っていくぞぉ~♪」

 

「お、おぉ~……」

 

意気揚々と作業を進めるあやめに対し完全に置いてきぼりになってるミオであった。

 

そして……

 

「おしッ!これで塗装終わった余♪」

 

「ホント?それじゃあこれで完成だ「いや、まだだぞ?」…え?後はトップコート噴くだけで終わりじゃないの?」

 

「その前に最後にウェザリングしないと」

 

「うぇ、うぇざりんぐ……?」

 

「汚し加工の事だ余。ほら、傷痕の部分は良いとしてそれ以外の部分がちょっと綺麗すぎるでしょ?」

 

そう言って見せた戦国アストレイは確かに傷痕以外は綺麗なままでアンバランスな状態になってしまって少しカッコ悪く見えてしまってる。

 

「だからこのウェザリングマスターっていう汚し塗装用の道具を使って色んな所に汚れを付けてるんだ余。この100均のアイシャドウブラシを使って状況に合わせて汚れの種類を変えてちょちょっと付けていけば良い感じになるぞ」

 

今回使っているのはタミヤから出ているウェザリングマスターという汚し塗装用の塗料。見た目は化粧道具のアイライナーに似ていて、あやめはその中からサンド(砂色)を選んでアイシャドウブラシを使ってちょんちょんと足パーツに付けていくとまるで砂汚れのような跡が付いていた。

 

「……て言うかあやめ、ダメージ加工といいウェザリングといい、何でそんなに詳しいの?」

 

「ん?全部玲二様に教えてもらった事だぞ?ミオちゃんは教わってなかったのか?」

 

「…ウチ、一回もそんなの教えてもらってない……」

 

あやめが今までやっていた事は全部玲二からの受け売りだった事を聞くとミオはあやめに少し嫉妬してしまった。自分の方が先に玲二とガンプラを作り始めた筈なのに何故自分が教わってないやり方をあやめが知っているのかと。

 

実はこれには理由があり、ミオはどちらかと言うと綺麗な塗装をしたガンプラを好んでいたため玲二は恐らくウェザリング等を教えてもあまり好みじゃないなら教えたって仕方がないと思い敢えて教えていなかったのだ。あやめやぼたんは逆にこういった汚れ加工は好みだったので自然とやり方を教わっていたのである。(前回の陸戦型デュナメスもあの後汚し加工をしていた)

 

(そりゃウチはどちらかと言うと綺麗なガンプラの方が好きだけど、こういった汚れ加工もしてみたかったのに……もっと積極的にレイさんに教えて貰えば良かったかな……)

 

「?どうしたのミオちゃん」

 

「え?い、いや何でもないよ。それじゃ早く終わらせて完成させよ、これならウチも出来そうだし手伝うよ」

 

「うん♪よっし、頑張るぞー!」

 

「「おぉー♪」」

 

こうして二人は最後の仕上げに取り掛かるのであった。

 

 

 

 

 

 

―それから数時間後―

 

「……遂に、完成したね」

 

「うん…余が玲二様に頼らないで素組以外で作った初めてのガンプラ!」

 

時刻は午後十時半、あれから納得のいくウェザリングを試行錯誤しながら行っていき、最後につや消しのトップコートを噴いて遂に完成させた戦国アストレイが今テーブルの上で四本の刀を構え立っていた。

 

 

『戦国アストレイ頑駄無 ダメージ加工Vr.』

百鬼あやめが作り上げたガンプラ。特別な改造はしていないが至るところに斬撃によって受けた様な傷痕やウェザリングを施した事でまるで歴戦の猛者のような重厚感のあるガンプラとなった。更にはジャンクパーツの中にあったアストレイの刀二本をサブアームの大袖に持たせる事により四刀流を実現している。因みにあやめの拘りポイントはバックパックの鬼の鬼面の右角に自分と同じ様な傷痕を付けた所である。

 

「おぉ、こうして見ると元がプラモデルとは思えない……」

 

「ちょっと大変だったけど、納得のいく戦国アストレイになった余。これ玲二様が見たらびっくりするだろうなぁ」

 

改めて完成したガンプラを見て二人は喜びを分かち合う。これを玲二に早く見せたいという気持ちもあり、二人は早く戻って来る日が来ないかと待ちわびていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

―ガチャッ―

 

「あれ?誰か中にいんのか?」

 

「「え……」」

 

そんな事を考えていると突然玄関の扉が開き、そこから本来ならまだ聞こえない筈の声が聞こえてきた。そしてその数秒後、リビングの扉が開き其処にいたのはまだEN支部にいる筈のこの家の家主、佐々木玲二だった。

 

「あ、なんだミオとあやめか?どうした、二人でガンプラでも作ってたのか?」

 

「れ、レイさん……?どうして?まだEN支部で研修していたんじゃ……」

 

「あぁ、それなんだけどさあ、向こうで隔離期間を終えてEN支部で仕事してたんだけど一週間目で社長から連絡があって緊急事態だから急いで戻って来てほしいって言われてな。急遽戻ってこっちの隔離期間も終えて帰って来たんだよ」

 

「余ッ!余ッ!余ぉ~♪」

 

「お、なんだぽよ余までいたのか久しぶりだなぁ」

 

玲二は早く帰って来た経緯を話ながら荷物をソファーに置いて手洗いをしていく。そんな玲二を察知したぽよ余は寝室から飛び出し玲二の頭の上によじ登り嬉しそうにぴょんぴょん跳ねている。

 

「そういやテーブルの上にあるのって戦国アストレイか?二人で作ったのかこれ?めちゃくちゃカッコいいなこのダメージ加工……ってどうした二人とも?」

 

 

「「う…うぅ……うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあんレイさあぁん(玲二様あぁ)ッ!!!」」ダキィッ!

 

「おわぁッ?!ど、どうしたんだよ二人して……?!」ドサァッ!

 

玲二の姿を見て最初は固まっていたが徐々にその目に大粒の涙が溜まっていき遂には決壊したダムのように大泣きしながら玲二に飛び込んだ。

 

「ごめんなさあぁい!ウチレイさんに皆の事任されたのに、ウチ頑張ったけど!頑張ったけどぉ……ッ!!」

 

「玲二様余辛かった!玲二様いなくなってミオちゃんがいなかったら余はぁッ!!」

 

「……成る程、お前等の様子を見たら相当大変だったんだな。よしよし、よく頑張ったな二人とも……」

 

二人は今まで溜め込んでいたものを吐き出すかのように玲二の胸でわんわん大泣きし、その様子を見て現状を把握した玲二は取り敢えず二人を宥める為に頭を撫でて落ち着かせていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―それから一週間後―

 

「全く、たかが俺がいなくなっただけで何でこんな崩壊寸前になるんだよ?!配信も一ヶ月近く休みやがって!」

 

『ご、ごめんなさぁい……』

 

あれから俺はミオ達から現状を詳しく聞き、その翌日各メンバーの所に行き説教をした後直ぐに遅れを取り戻す為の軌道修正を行い、そして三日前に漸く全てが元通りになった。どうやら俺がいなかった間ほぼ全員配信を行ってなかったらしくネットニュースでは『遂にホロライブ倒産か?』なんて記事が出ていて誤解を解くのに一苦労した。そしてその記事のコメント欄に『とうとう佐々木がいなくなったか?』なんてコメントが多かったのはびっくりしたが。

 

「ほら、来月にはライブイベントがあるんだからレッスンする奴はとっとと行け!配信する奴は早く戻って準備をしろ!」

 

『は、はいッ!!』

 

ともあれ軌道修正はしたもののまだ遅れは完全に取り戻せていないので俺は皆に指示を出して行動させる。

 

「お疲れ様です玲二さん」

 

「レイっちお疲れ~」

 

「ん?フレアにぼたんか、お疲れさん」

 

そんな俺の所にぼたんともう一人、金髪で褐色肌のハーフエルフ『不知火フレア』がやって来た。その手には俺の家のスペアキーが握られている。

 

「二人とも俺がいない間ありがとうな」

 

「い、いえ、アタシなんてそんな対した事なんて、精々ノエちゃんやマリン達を支えるぐらいしか出来なかったですし……」

 

「あたしも自分の事に手一杯だったから皆の事構ってあげれなかったし。特にラミィちゃんとか……」

 

そう言って二人は俺にスペアキーを返してくる。確かに最初不気味に笑うラミィとフブキを見た時は目を疑ってしまったな、危うく襲われかけたし。そしてこれも後から知ったがどうやらこの一ヶ月間でまともに配信していたのはミオを含めてこの三人だけだったらしい。全く本当に何してんだあいつ等?

 

「まぁ、それでもお陰で大分楽に軌道修正出来たよ。二人ともありがとうな」

 

「あ、ありがとうございます…///じ、じゃあアタシこれからレッスンに行くので失礼します!」

 

「あたしもこれから配信の準備をするからこれで失礼するね。それじゃレイっち、また一緒に遊ぼうね~♪」

 

そうして二人はそれぞれのやるべき事をしに事務所を後にしていった。それと入れ替わるかのように今度はミオとあやめが俺の元にやって来た。

 

「あ、レイさんこの間はごめんなさい。ウチ、あんな恥ずかしい所レイさんに見せちゃって…」

 

「そんな事気にしなくていいって、寧ろあんな状況の中一人頑張って皆の事支えようとしてたんだからよくやったと思うよ」

 

「れ、レイさぁん……!///」

 

ミオはまた涙ぐんで俺の胸に飛び込んで来る。これは暫くは慰めなきゃいけないのか?そう考えていると俺のシャツの裾が引っ張られたのでそっちを見るとあやめが何やらガンプラの箱を持って上目遣いで俺を見ていた。

 

「れ、玲二様、今度余と一緒にこれ作ってほしいんだけど…」

 

「ん?あぁ、『武者ガンダムMk-Ⅱ』か」

 

「うん、この間の戦国アストレイはミオちゃんと作っちゃったから、今度こそ玲二様と一緒に作りたくて…ダメ、かな?」

 

「いや、そんな事はないさ。今度の休みに一緒に作ろうか」ナデナデ

 

「あ、ありがとう玲二様!///それじゃあ余達もレッスン受けに行ってくるね!ほらミオちゃん行こう!」

 

「あ、ちょっと待ってあやめぇ!そ、それじゃレイさんウチも失礼します!」

 

そうして二人もレッスンを受けにスタジオへと向かっていった。

 

全く、本当に世話の掛かるアイドル達な事で……

 

 

 

こうしてこれが後のホロライブの伝説として語られる『ホロメン崩壊の変』と呼ばれる事となったのである。

 

 




はい、という事で今回はあやめとミオでした。個人的にはガンプラを作るシーンよりも崩壊したホロメンを書いてる時が楽しかったです(^^;

因みに戦国アストレイはHGですが自分が初めてダメージ加工とウェザリングを行ったガンプラなので思い入れがあります。まぁ、地震のせいで壊れてしまいましたが(*T^T)

次回はちょっと変わった子とある三人組でやっていこうと思います。


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第7話『お姉さん組とAの子』

急な仕事に追われ、更には書いている途中でネタを思いついては書き直したりして遅くなってしまった……(*T^T)

今回はお試し的な要素が多い話です。多分タイトル見たら誰が出てくるかわかると思いますが(^^;

それでは楽しんで頂ければ有難いです、どうぞ( っ・ω・)っ


『ホロメン崩壊の変』と呼ばれる事件?から数週間が経ち、今では事務所はすっかり元の状態まで落ち着きを取り戻していた。にしても社員一人が抜けるだけで崩壊しかけたなんて今思えば末代迄の恥だよな……

 

そんな事を考えていると俺の元にまた喧しい奴が来るのが見えた。なんか嫌な予感がする……

 

「玲二くぅんAhoy~♪宝鐘海賊団船長、宝鐘マリンですぅ~♪」

 

「おうおはよう宝鐘それじゃあそのまま回れ右して帰ろうか」

 

「来て早々おかしくないですかぁッ?!折角船長が遊びに来てあげたのに何なのその態度はぁッ!!」

 

チッ、うるせぇなこいつ……俺は目の前にいる海賊のコスプレをしているBB……女性『宝鐘マリン』を見て思わず舌打ちとため息をしてしまう。こいついつもろくな事しないから嫌なんだよなぁ……

 

「で、何の用なんだ宝鐘?言っとくが腰痛用の湿布ならAちゃんの所にあるからそっち行け」

 

「違いますぅ~、船長はまだぴちぴちの17歳だから腰痛になんてなってませーん♪」

 

「おう、ド○ホルン○ンクルと○潤使ってる奴の何処が17歳だって?」

 

「まだ使った事ないわあぁッ!!!」

 

全く何が17歳だよ本当は○○歳の癖に。無理して若い子ぶるなよ、しかも言葉使いとかも古臭いし。

 

「いたいた。もうマリン何で先に行っちゃうかなぁ?あ、玲二君おはまっする~♪」

 

「おはようございます、玲二さん」

 

「あぁノエルにフレア、おはよう。こんな暑い中お疲れさん」

 

そんな騒がしい中更に俺の元にフレアともう一人、ホロライブの中でもトップクラスの大胸筋を誇る脳筋女性『白銀ノエル』がやって来たので俺は二人に挨拶をする。

 

「ちょっとぉッ!なんかノエちゃまとフレちゃまに対して何で優しいんですか?!船長にも優しくしてくださいよぉッ!」

 

「そうして欲しがったら普段の態度を改めるんだな」

 

「なんでよッ!船長何も悪い事してないでしょう?!」

 

してるだろ仕事中喧しくするし平気で下ネタぶっこむしおばちゃんみたいな誘惑してくるし。

 

「それにいつも言ってるじゃないですか!何で皆の事は名前で呼んでるのに船長だけ名字なんですか?!いい加減名前で呼んで下さいよ!」

 

「いや別に俺がどう呼ぼうが良いだろ?後さっきから声デカイぞ宝鐘」

 

「そうだよ宝鐘さん静かにせんと」

 

「皆迷惑するから静かにしよ宝鐘さん」

 

「ノエちゃま?!フレちゃま?!」

 

ホント喧しいなこいつ。取り敢えずこのままじゃ話が進まないからいい加減要件聞くか。

 

「で?三人は何しに来たんだ?確か今日は三期生は全員お休みだったんじゃなかったっけ?」

 

「あ、そうそうそれなんだけどね、実は団長達お姉さん組で勝負する事になって」

 

「勝負?一体なんの?」

 

「ガンプラです。アタシとノエルとマリンの三人でそれぞれガンプラを作って、その出来た完成品を見て誰が一番良いか玲二さんに決めてほしいんです」

 

成る程、審査員として俺に選んでほしいと。それは良いんだがなんで急に?

 

「ほら、団長達これまで玲二君に教わりながら作って、今じゃ個人的にも作っちょるじゃろ?それで今一人で作ったら誰が一番上手く作れるんだろって話になって」

 

「それで対決というワケか。それは良いんだが作るのは決まってるのか?」

 

「ふっふーん!よくぞ聞いてくれましたね玲二くん♪今回船長達が作るのはこれです!」

 

そう言ってマリンは背負ってたカバンから三つのガンプラを取り出す。それぞれ巨大な槌を持つガンダム『HG ガンダムバルバトス』と全身が金の装甲で覆われている『シラヌイアカツキガンダム』、そしてまるで海賊を彷彿させるようなデザインの『HG クロスボーンガンダム X1』だ。まあ、なんと言うか大体予想はしてた。

 

『HG ガンダムバルバトス』

機動戦士ガンダム鉄血のオルフェンズの主人公三日月・オーガスの機体。俺はこの作品は詳しくは知らないが確かこの作品にはビーム兵器が殆ど無く基本はこのガンダムが持ってるような鈍器か実弾の銃で戦っている、今までにはあまり無かったタイプのガンプラである。

 

『HG シラヌイアカツキガンダム』

機動戦士ガンダムSeedDestinyに登場するネオ・ロアノークの機体。劇中でも金色に輝くその機体はメッキで再現されているが傷が付きやすく塗装するにしてもメッキのせいで色が上手く着きにくい。この点をどうするかがポイントだな。

 

『HG クロスボーンガンダムX1』

機動戦士クロスボーン・ガンダムに登場する宇宙海賊が使った機体らしい。らしいというのもこれに関しては設定も本編も見た事のない、俺も作った事のないガンプラだからである。確かに宝鐘のイメージに近いが、一体どう仕上がるのか想像が出来ない。

 

といった三者三様のガンプラが揃ってるワケだが、なんと言うか……そのまんまのイメージだな。

 

「これを見る限りバルバトスがノエルでアカツキがフレア、んでクロスボーンが宝鐘か。てかフレア、お前これ名前だけで選んだろ?」

 

「は、はい…///名前を見て何となく良いなって思って。後このガンプラの色もアタシの髪の色に近いから少し親近感が沸いちゃって」

 

成る程、確かに言われてみればフレアの髪も金髪だったな。でもそれにしたって少し安直のような気が……いや、本人が選んだ物だ、他人がケチつけるなんて不粋だったな。

 

「まあそれは良いとして、で?肝心のガンプラは何処で作るんだ?まさか俺んちでやるなんて言うんじゃ……」

 

「そのまさかですよ玲二くん♪さっきAちゃんに玲二くんは今日の仕事はもう終わったって聞きましたから、このまま玲二くんの家に行ってガンプラ対決しましょう!」

 

やっぱりか。確かに今日の仕事はもう全部終えてこれから帰ろうとはしてたし、正直ホロメン達が遊びに来る事に関してももう全然良いんだが……宝鐘だけは正直来てほしくないんだよなぁ。こいつ以前来た時酔っぱらって騒いだ挙げ句パンツ一丁でソファーに寝てやがったからもう嫌なんだが。他のホロメンがやったら慌てて布団掛けたり起こして服着させたりするがこいつに関してはもう見るに耐えないと思ってそのまま放置して翌朝るしあを呼んでそのまま引き取ってもらった。そんな事があったから俺は宝鐘だけは家に入れたくないのだ。

 

「なあ、本当に俺んちじゃなきゃダメなのか?俺宝鐘を家に入れたくないんだけど」

 

「ちょっとおぉッ!なんで船長だけ仲間外れにするんですか!船長玲二くんになんかしちゃいましたかぁ?!」

 

「人んちで酔っぱらって騒いだ挙げ句パン一で寝っ転がってた」

 

「……うわぁ、マリン流石にそれはないと思う」

 

「人の家で裸で寝るなんて非常識過ぎじゃない?」

 

俺が宝鐘の醜態を晒すとノエルとフレアもドン引きして軽蔑の目で宝鐘を見る。

 

「う……あ、あのー、それはですねー、つい楽しくなっちゃって…そ、その…で、でも玲二くんもマリンの裸見れて嬉しかったかなーなんて」

 

「よし宝鐘お前二度と俺んちに来んな今日はノエルとフレアだけうちに来れば良いから」

 

「ごめんなさあぁぁぁいッ!二度としないのでそれだけはご勘弁をおぉぉぉぉおッ!!」

 

開き直るこいつにムカついたので俺は出禁を言い渡すと宝鐘は俺の足にしがみつきなから大泣きして謝ってきた。ったく、大の大人がそんな真似するなよ。

 

「はぁ……わかった。前回の事は一先ず不問にしてやる。けど今後あんな事したら本当に出禁&一年の禁酒だからな」

 

「罰が重すぎません?!」

 

何言ってる当然だろ?とにかくもうしないと言うなら俺はもう一度だけ信じてやる事にする。

 

「それじゃあノエル、フレア、宝鐘の奴が俺んちでまた変な事したら問答無用で取り押さえて良いから」

 

「わっかりました!」

 

「任せて下さい玲二さん」

 

「うし、それじゃそろそろ家に行くとする「あ、佐々木さんお疲れ様です」ん?Aちゃんお疲れさん、どうかしたのか?」

 

俺は帰宅しようとした時俺の元に眼鏡を掛けた少し地味な女性『友人A(通称Aちゃん)』が何やらかなり大きな荷物を乗せた荷台を牽いてやって来た。

 

「すみません、実は佐々木さん宛にEN支部からの荷物が届きまして、帰る前に中身の確認をお願いしたかったのですが」

 

「俺宛に?てか随分デカイな、一体何が入ってんだこれ?」

 

「ホントですね、人が入れるくらいの大きさですよこの箱」

 

「まあまあ取り敢えず開けてみたら良いと思いますよ♪」

 

「そうそうマリンの言う通り、開けなきゃ何も始まらんよ♪」

 

かなり大きい箱に俺とフレアが戸惑いつつも、宝鐘とノエルは何の躊躇いも無しにその箱を開けようとする。しかし………

 

 

 

 

 

―ガタガタガタッ―

 

「「「「「?!!!」」」」」

 

マリンの手が箱に触れようとした瞬間、いきなり箱がガタガタと動き始め俺達は一斉に驚き箱から距離を離していく。そして箱の揺れが徐々に大きくなっていき………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―ガタガタッガタガタガタガタッ!バアァァンッ!!―

 

 

「SHAAAAAAAAAAAAAAAAAAARK!」

 

「「「「「どわああぁぁっ?!!」」」」」

 

箱の蓋が勢いよく開き、中から青いフードを被った少女がこれまた勢いよく飛び出し俺達は思わず叫びながら尻餅をついてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

―その後、佐々木宅―

 

「……まさか、ぐらちゃんが玲二君を追って此処まで来るなんてびっくりじゃよ」

 

「あぁ、それは俺もそう思う」

 

「~♪」フリフリッ

 

あれから俺は気持ちの整理も兼ねて俺の家に皆を連れて帰って来た。その悩みの原因は言うまでも無く俺の背中におぶさり上機嫌に尾びれを振ってるサメ少女『がうる・ぐら』のせいである。

 

何故彼女が此処にいるのか?それは先日EN支部の研修を急遽切り上げて帰国した俺にどうやら会いたかったらしく、ENメンバーが俺や日本のホロメン達にプレゼントを送る話を聞いて荷物を届ける際、荷物を積んでいた作業員の目を盗みデカイ箱を用意してその中に大量のお菓子と一緒に入って隠れ、そのまま俺の元にやって来たという事らしい。何ともバカらしくも大した行動力である。

 

「というかこのままじゃまずいだろこれ?こいつ今完全に不法入国してんだぞ」

 

「そ、それに関してはYAGOOがプライベート機を使って何とか秘密裏に送り返そうとしてるみたいですけど、色々な都合で三日は掛かるみたいだって」

 

そう、今回のぐらの行動は世間にバレたらとんでもない事になるため社長は俺が使ったプライベート機でぐらを秘密裏に空輸するつもりなのだが、今そのプライベート機が直ぐには使えないようなのでその間俺がぐらの面倒を見る事になったのだ。

 

「はぁ、これまた本当にめんどくさい事になっちまったな……」

 

「?」

 

「可愛く首を傾げてもダメだってのに」

 

はぁ、どうしてこの事務所はとんだ事件が頻繁に起こるんだよ。しかも俺絡みの事ばっかり……あれ?これってもしかしなくても俺のせいなのか?なら俺が退職すれば……いや、止めとこう。一ヶ月離れただけであんな事になったんだ、そんな事したらあいつ等とんでもない事しでかすに違いない。

 

「だ、大丈夫ですか玲二さん?さっきから辛そうな表情ですが……」

 

「いや、大丈夫だフレア。ちょっと頭が痛くなっただけだ。そんな事よりほら、お前達ガンプラ対決するんだろ?工具や塗料とかは好きに使って良いから好きに作りな」

 

「う、うん、わかったよ」

 

「それじゃあ船長の進化したテクニックを存分に見せますよ~♪」

 

俺は三人にガンプラ作りを勧めるとフレアとノエルは俺を心配してくれつつも自分のガンプラを作り始めた。そして宝鐘よ、お前は心配すらしてくれないのか?そう思ってると先程まで背中にいた筈のぐらがいつの間にか俺の横に立っており不意に袖を引っ張られた。

 

「ん?どうしたんだぐら」

 

「レイジ、ガンプラってナニ?」

 

ぐらが片言の日本語で俺にガンプラとは何かと聞いてきた。そういや俺向こうじゃ色々とバタバタしててガンプラの話一切してなかったな。それなら俺の作ったガンプラでも見せるか。

 

「ほらこれがガンプラだ、えーと…Japanese robot plastic model?」

 

「おおぉー……GUNDAM!Was this all made by Rage?(これ全部レイジが作ったの?)」

 

「ん?もしかして俺が作ったのか聞いてるのか?まあ、このショーケースの中にあるガンプラは全部俺が作った物だな」

 

俺がそう言うとぐらは目を輝かせながらショーケースの中のガンプラ達を見ている。どうやら気に入ってくれたようだな。

 

「a.レイジ、ぐらもガンプラ、えと…make…エーッと……」

 

「make?もしかしてぐら、お前もガンプラ作ってみたいのか?」

 

「Yes!ぐら、レイジとガンプラ、作ってミタイ!」

 

おぉ、まさかぐらがガンプラをやりたいと言うとは。それはガンプラ好きとしては嬉しい事だが、ただ今この家にある積みプラは難しいのばかりだし、それに今からガンプラを買いに行くのは時間的に厳しいしなぁ。仕方ないが明日一緒に買いに……いや待てよ、確かあれが一つあった筈…そう思い俺は積みプラを置いている物置部屋に行き目的の物を探す。

 

「えーと、確か此処に……お、あった。これなら初心者のぐらでも直ぐに作れるな」

 

そう言って俺はぐらに見つけたガンプラを渡す。それはプラモデル入門編とも言える超簡単なガンプラ『エントリーグレード ガンダム』である。それを渡されたぐらはまるでおもちゃをプレゼントされた子供みたいに目をキラキラ輝かせて喜んでいた。

 

 

『エントリーグレード ガンダム』

お馴染み機動戦士ガンダムの主人公アムロ・レイの機体。原点とも言えるこのガンダムを知らない人はまずいないだろう。そしてこのエントリーグレードは工具やシール貼りが無く直ぐに組み立てられるという事でガンダムに限らずプラモデルに触れた事のない初心者でも安心して作れるキットとして人気がある。

 

「GUNDAM!カッコイイ!レイジ、Let's make it immediately!(早速作ろう!)」

 

「えと、早く作ろうってか?はいはい、それじゃあ早速始めるか……なんかこういうのも久しぶりだな」

 

ガンプラを持ってはしゃぐぐらを見て、俺は何となく最初フブキに作り方を教えた時の事を思い出してた。一人で作るのも良いが、やっぱりこうやって誰かとガンプラを作るのもいいな。

 

 

 

 

 

 

―その頃リビングでは―

 

「……ねえフレア?」

 

「うん?何ノエル」

 

「フレアってさ、いつから玲二君の事好きになったん?」

 

「え?!ど、どうしてそんな急に…///」

 

「いやぁ、ぶっちゃけホロメンの皆玲二君の事好きじゃろ?だけどそのきっかけって皆なんなのかお互い知らんからどうなのかなぁって」

 

「あ、それ船長も気になってたんだよね。フレアってどうして玲二くんの事好きになったの?」

 

それぞれ自分のガンプラを作る中、突然ノエルの一言から始まった恋愛トーク。フレアは顔を赤くし少し照れながらも頬を掻きながら答えていく。

 

「え、えーと、あれは確かデビューしてから間もなかった頃の話なんだけど……」

 

 

 

 

 

 

 

 

―数年前、事務所―

 

この頃のホロライブはまだそこまで知名度は高くなく、自分たちも漸くファンがついてきた頃だった。その日自分に初めてのファンレターが届き、少しウキウキしながら一枚ずつ読んでいたのだが、そこに何枚か似たような事が書かれていた内容を見て思わず手が止まってしまった。

 

『ダークエルフの癖にアイドルなんてやりやがって』

 

その内容を見た瞬間、アタシの中で忘れかけてた嫌な記憶が甦った。生まれつきのこの褐色肌のせいで皆からダークエルフと呼ばれ弄られていた幼少期の事を。アタシはただのハーフエルフなのに、なんでダークエルフなんて呼ばれなきゃいけないのか?その頃の記憶とこのアンチの手紙を見てアタシは思わず涙ぐんでしまった。そんな時だった……

 

「おう不知火、どうしたんだ泣いてて?」

 

当時まだ顔見知り程度だった玲二さんが事務所にやって来て、泣いてたアタシに声を掛けてきたんだ。

 

「……あ、佐々木さん…すみません、何でも無いんです。大丈夫なんで、ほっといてください」

 

「いや、どう見ても大丈夫なワケないだろ……ん?」

 

アタシは玲二さんにほっといてって言っちゃったけど、玲二さんはアタシの持ってた手紙を見てその一枚を手にとって読み出した。

 

「…ダークエルフがアイドルすんなよ、どうせ禁忌的な魔法か身体使ってファン作ってんだろ、か」

 

「……ッ!」

 

玲二さんが手紙を見た後にアタシの目を見てきた。その時はアタシの中ではあぁ、この人もアタシの事ダークエルフと言って軽蔑するんだろうなって少し怯えてしまってたんだ、けど……

 

「はっ!下らねぇなこんなガキみたいな事書くなんて、よっぽどこいつ等暇なんだろうな?」

 

「……え?」

 

「だってこんな根も葉もない事を書くなんてそいつ不知火の事見た目でしか判断してないって事だろ?そんな見た目でしか人を測れない奴等の言葉なんて聞く価値すらないっての」

 

玲二さんの言った言葉はアタシの想像とは全く違う言葉だった。そして玲二さんはその手紙をクシャクシャに丸めてゴミ箱に投げて更にアタシにこう言ってきたんだ。

 

「不知火、俺はまだお前の事知ってから日は浅いが、それでもお前が皆の為に一生懸命やってる事は知っている。だからこんなアンチの下らない言葉なんて気にするな、お前はお前のやりたいようにやればいい。それでも辛い時は俺達を頼ればいいさ」

 

そう言って玲二さんはアタシの頭を軽く撫で自分用に買っていたホットコーヒーをアタシにくれて事務所を出ていったんだ。その時感じたんだ、この人なら信じて一緒に歩んで行けるって。それがアタシが玲二さんを好きになった時の話だよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんなのそれぇ?!船長そんな事一度も言われた事が無いんですけどぉ!」

 

「あ、あはは…まあともかくそれがアタシが玲二さんを好きになった瞬間かな///というかそう言うノエちゃんはいつから玲二さんを好きになったの?」

 

「団長?団長も入って間もない頃だったな~」

 

 

 

 

 

 

 

 

―数年前、事務所―

 

あの頃はまだ団長も少しずつだけど知名度も出てきて、漸くアイドルとしてスタート出来たんだなって思っとったんよ。けどある日レッスンを終えた後に……

 

「やぁやぁノエルちゃん、レッスンは終わったのかい?」

 

「え、あ、は、はい……」

 

「そうかそうか、それならこれから一緒に食事でもどうだい?その後二人きりでゆっくり出来る所で一休みしたりしてさ、ブフフ♪」

 

まただ。またこの変なスタッフが団長の事を厭らしい目で見ながら近づいて来た。団長はいつも断っているのにまるで話すら聞いてくれないから困ってるのに……

 

「い、いや、団長これから皆と遊びに行くから……」

 

「そうなの?なら俺も一緒に行こうかなぁ?こういうのは人数多い方が盛り上がるでしょ。なんなら皆一緒に良い所に連れてってあげる、ブフフ♪」

 

本当にしつこい!許されるなら一発ぶん殴ってやりたいけど、そんな事したら折角アイドルになったのに全て無駄になってしまう。一体どうしたら……そんな時だった。

 

「おい只野、お前何してんだ?」

 

しつこく迫ってくるスタッフを玲二君が腕を掴んで止めたのは。

 

「ブフ?……なんだ佐々木か、お前には関係ない事だろ?」

 

「あるに決まってるだろ?同じ職場で働く奴がこんなセクハラみたいなマネしてるなんて黙ってられるか」

 

「あ?お前何調子こいてんだおい?俺の方が先輩なんだから俺のする事に口を挟むんじゃねぇ、わかったらとっとと消えな」

 

「……だったらこの事を社長に報告する。これは立派なセクハラとパワハラだ」

 

「は!何処にそんな証拠がある?お前みたいな新人なんかの言う事なんか鵜呑みにするわけないだろ」

 

最低だ、こいつこの人が訴えてもシラを切るつもりでいる。しかし、そんな余裕の笑みも次の瞬間崩れ去った。彼がポケットから出したボイスレコーダーによって。

 

「今の会話全て録音させてもらった。これなら社長も信じてくれるだろ?」

 

「なっ?!お、お前、俺の事嵌めやがったのか!」

 

「あんたの事は前々から他の子達からも苦情がきてたんだよ、全部あんたがシラを切るから中々対応出来なかったみたいだけど、これなら十分証拠になるだろ?」

 

「うぎぎぎ……こ、この卑怯者がぁッ!」

 

「自分の立場を利用してアイドル達にセクハラ、同僚達にパワハラしているお前の方がよっぽど卑怯者だろ!今回はまだ目をつぶってやる、だが次にまた同じ事をしたら確実に社長に報告するからな。分かったらとっとと失せろ!」

 

そう言われて変態スタッフは居心地が悪くなったのか逃げるようにその場から去っていってくれて、そのまま玲二君と話す事になったんだ。

 

「あ、あの、本当にありがとうございました」

 

「気にしなくていいさ、前々から事務所内でも問題になってた奴だったからな。フブキやそらが凄く嫌がってたから早めに対応出来て良かった。それより白銀だったか?済まなかったな、あいつの尻尾を掴む為とはいえお前を利用するみたいなマネしてしまって」

 

「い、いえ、こちらこそ助けてもらったんで良かったです」

 

それからは全然会話が進まず、団長も何を言っていいかわからなかったし玲二君も先程のボイスレコーダーのデータをパソコンに保存するだけでそれ以上何も言って来なかった。けど玲二君が事務所から出ていく時に

 

「白銀、今度またあいつがしつこく迫ってくるような事があったらきっぱり断っていいぞ。それでもしつこかったら俺やAちゃんに頼れ、直ぐに対応してやるから」

 

そう言ってその場から出ていったんだ。その時からかな?まだ好きという感じじゃないけど、団長にとって佐々木玲二という人にとても興味を持った瞬間だったんだと思う。

 

 

 

 

 

「それから玲二君とお出かけしたり一緒に仕事したりしていくうちに段々好きになっていったから、明確に好きになった瞬間はわからんけど、団長が玲二君に興味を持ったきっかけは間違いなくその時じゃったな」

 

「あぁ、確かにそんなスタッフいたね。アタシも何度かセクハラされたけどいつの日か境に大分大人しくなったよね」

 

「あ、確かに。て言うかそもそもその人全然姿見なくなったけどいつの間にか辞めちゃったんですかね?ま、どうでも良いんですけど」

 

「まあね~、それで次はマリンの番だけど、マリンはなんで玲二君の事好きになったん?」

 

「……あ~、それなんですがね~…」

 

「「?」」

 

フレア、ノエルと来て次はマリンが玲二を好きになった理由を聞かれるとマリンは何処か言いづらそうにゴニョゴニョと語り始める。

 

 

「ほら、玲二くんって凄くカッコいいでしょ?初めて会った時からこのイケメン凄く良いって感じちゃって、それで玲二くんを見ていると船長の性的興奮がムラムラ沸いちゃって」

 

「ノエちゃん、其処にあるヤスリ取ってもらっていい?」

 

「はいよ~♪」

 

「ちょっとおぉッ!人に聞いといて無視するって酷くなぁい?!最後まで聞いてよねえぇぇぇぇぇぇぇッ!!」

 

マリンの玲二を好きになった理由が途轍もなく下らない内容だったので二人はまだ語ろうとするマリンを無視してガンプラ作りを再開するのであった。

 

 

 

 

 

 

―その頃、寝室―

 

「……何騒いでんだあいつ等?」

 

「レイジ、デキタ♪」

 

「ん?おぉ、初めてにしては早く出来たな。それじゃあちょっと墨入れして仕上げるか」

 

「スミイレスミイレ♪」

 

リビングから何やら騒がしい声、主に宝鐘の声が聞こえて来るが何かあったのか?まあ、宝鐘が騒いでももし酷くなりそうならフレアとノエルが抑えてくれるからいいか。ぐらもガンダムを組み立て終えたし、墨入れして仕上げてあげるか。

 

 

 

 

 

 

 

 

―翌日―

 

結局いつも通りのお泊まりとなってしまったが、三人ともそれぞれ完成させたようで満足気な顔をしているな。さて、早速皆のガンプラを見ていくか。

 

「そんじゃあまずは団長のから見てもらうね、今回はシンプルにダメージ加工とウェザリングで仕上げたんよ」

 

『ガンダムバルバトス ダメージ加工Vr.』

以前あやめ達が作った戦国アストレイのようなダメージ加工を施しているが、あちらの大胆な傷痕みたいなのではなく銃弾痕や機体や武器に一部欠けたような傷をつけた事により劇中に近い印象があり、この両手で巨大なメイスを振りかざしている姿はかなりカッコいい。

 

「うん、このシンプルながらも細かいダメージ具合が良いな、汚し塗装も全体的にバランスが取れて普通に凄いぞ」

 

「フフン、頑張った甲斐があったってもんだね♪」

 

「It's really going to work!(本当に動きそう!)ダンチョウ、スゴイ!」

 

どうやらぐらも喜んでるみたいだ。さて、次はフレアかな。

 

「アタシのはあまり弄れる箇所が少なかったので、思いきってメッキ部分にオレンジのクリアを少し強めに吹いて黄昏時を表現して見ました」

 

 

『不知火黄昏ガンダム(仮)』

メッキ部分にクリアオレンジを強めに噴いた事により金色から鈍く光るオレンジになりより重厚感のあるガンダムとなっていた。ただかなり発想は良いし綺麗だが、下地がメッキだって事もありニッパーで切った跡の部分が少しメッキが剥がれている部分の色が少し黒ずんでしまってるのが残念だったな。

 

「なるべくメッキを傷付けないようにはしたんですが、どうしても少し欠けてしまって、其処が少し残念ですが……」

 

「いや、こればっかしはしょうがないさ。俺もメッキ修繕は出来ないし、それにこれぐらいだったら間近で見なければ問題ないだろ?」

 

「Very beautiful color.(とても綺麗な色だね)ぐら、コレ好キ♪」

 

俺的には発想も良くて好きだしな。さて、後残ってるのは宝鐘のクロスボーンか。

 

「フフーン!玲二くん見て驚かないで下さいね、これが船長の傑作です!」

 

そう言って宝鐘は自分のガンプラをテーブルの上に置いた。ふむ、見た感じ改造は無く塗装のみか。頭とボディは赤く、右腕は青、左腕は緑、右足はピンクで左足は黄色となんともカラフル……おいちょっと待て、まさかこいつって……

 

「船長のとっておき!名付けて、クロスボーンゴー○イオーです!」

 

「やっぱりかよ?!お前なんでゴーカ○オーをチョイスしたんだよ、全部メタリックで塗装してるから目が変にチカチカする!」

 

「あれ?やっぱり今流行りのツーカ○ザーの方が良かったですか?」

 

「そう言う問題じゃねぇ!」

 

全くなんてチョイスがいつも微妙なんだよこいつ!しかも塗装にもムラが多いしゲート跡も処理しきれてねぇし、もうこれは論外だ!ぐらもなんか呆れた表情してるし!

 

「で?玲二くん、結局誰が一番凄かったですかぁ?やっぱ船長的には頑張って作ったから其処は評価してほし「ノエルとフレアが同率一位でお前がビリだ」なアァんでダヨおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ?!!!」

 

当たり前だお前が拘ったの配色だけで後は適当じゃねぇか!こいつガンプラ作る前から船のプラモも作ってだけどその時からちっとも成長してやしねぇ。ぐらも宝鐘のガンプラに既に飽きたのかノエルとフレアのガンプラと自分のガンプラを並べて遊んでるし。

 

こうして初めてガンプラ対決は宝鐘の一人負けという不甲斐ない結果で終わったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

―数日後―

 

「ヤダ、ぐら帰りたくナイ」ギュウゥッ!

 

「いや、帰りたくないって言われても仕方がないんだよ」

 

あれから数日間ぐらの世話をしていたせいか完全に懐かれてしまい、これからプライベート機に乗って帰らないといけないのにぐらは俺にずっとしがみついて離そうとしない。もうかれこれ一時間は引っ付かれてるんだが。

 

「ほらぐら、皆困ってるからそろそろ帰らないと「ヤ!」……参ったなこりゃ」

 

もう完全に動くつもりがないらしいな。他のスタッフが力を合わせて引っ張っても全然びくともしない、てかそれやられるとこっちの方が痛い。全く、しょうがないな……

 

「ぐら、もうこれで一生のお別れって訳じゃないんだ、また時間が出来た時にもう一度EN支部に遊びに行くから、その時は向こうの街を案内してくれ、な?」

 

「……ホント?」

 

俺は通訳の人を通してぐらに伝えるとぐらは少し引っ付く力を弱めてくれた。

 

「あぁ、約束する。また今度一緒にガンプラ作ったりゲームをして遊ぼう」

 

「……Okay,レイジ、ヤクソク」

 

「あぁ、約束な」

 

俺はそう言ってぐらの頭を撫でるとぐらも分かってくれたのか俺から離れプライベート機へと乗り込んで行こうとする。

 

「……レイジ!」

 

「ん?なん―Chu!―ッ?!」

 

するとぐらはいきなり俺の元に戻ると俺の唇に自分の唇を当ててきた。突然の事に俺は混乱し同様を隠せないでいた。

 

「レイジ、I love you!マタ一緒に遊ぼうネ!///」

 

ぐらは照れながらそう言ってプライベート機へと乗り込んでいってしまった……今までいろんなアピールする子はいたがまさかキスされるとは思わなかった。流石は海外、なのか?

 

 

その後俺は柄にもなく恥ずかしくなったので近くの喫茶店で頭を冷やそうとしたが結局落ち着いたのは閉店ギリギリの時間だった。

 




はい、という事で三期生お姉さん組とENからがうる・ぐらでした。試しにENメンバー入れてみましたが多分もう出来ません( >Д<;)

そしてフレアとノエルが玲二を好きになったきっかけも入れてみました。これのせいで長くなってしまいましたが、自分では書けて満足してます(^_^)

後マリンの扱いが雑になってしまってますが自分はマリンはホロメンでは上位に好きです。

次回ものんびり書いていくので気長に待って頂ければ幸いです、ではまた( ≧∀≦)ノ


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第8話『仁義なきおかころの戦い』

最近ガンプラとホロライブ(を含むVtuber)と小説を書く以外の事がすっかり冷めてしまいました( ; ゚Д゚)

取り敢えず暫くは書くことに集中出来そうです。

今回はタイトル通りおかころの二人です。
もう決まり文句みたいになってますが、楽しんで頂けたら有難いです!ではどうぞ( っ・ω・)っ


照りつける太陽の下、ホロライブプロダクションは有難い事なのか相変わらずの忙しい状態が続いている。そして今日も俺はこの暑い中仕事に励んでいる……筈だったのだが……

 

 

 

 

 

 

「…………………………………………………」

 

 

「…………………………………………………」

 

 

(…………い、居心地が悪い)

 

 

 

俺の目の前は今驚く程冷えきっていた。エアコンとかそんなのじゃなく、まるでこの場が凍りきっていると錯覚してしまう程空気が冷えきっている。理由は言うまでもなく俺の目の前で互いに無言で睨み合ってる二人のせいである。

 

 

「……ねぇおかゆ、いい加減そのチケットこおねに返してくんない?」

 

「………いくらころさんのお願いでもこればっかしは譲れないよ。このチケットは僕とレイくんで使うんだから」

 

「……な、なぁ二人とも落ち着けって、そんなに行きたいならそのチケットやるから二人で行き「「レイくん(玲二)は黙ってて!」」…はい……」

 

……一体どうしてこうなってしまったんだよ?どうしてこの二人が……ころねとおかゆが睨みあいながら一枚のチケットを取り合ってんだよ?確か事の発端は今から30分前………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―30分前―

 

 

「いやあ、まさか福引きで特賞当たるとはな、久々に良い事が起きた気がすんなぁ」

 

 

そう、俺は近くのスーパーで買い物二千円につき一回引ける福引きがやっていたので運試しのノリで一回挑戦したら、なんとまさかの特賞が当たったのだ!しかもその特賞の内容というのが『横浜高級ホテル二泊三日ペアチケット』だったんだ。そう、あの横浜!其処にはガンダム好きなら一度は行きたいガンダムファクトリーヨコハマがあるのだ!限定ガンプラに動くガンダム!これを喜ばずしていつ喜ぶ?!……いかん、テンションが上がりすぎた。それにしても……

 

「喜ぶのはいいが、問題は誰と一緒に行くべきかだ……この事がホロメン達に知られたらヤバいな。あいつ等の事だから誰が一緒に行くかで争い始めるに決まってる」

 

そう、このチケットを持って誰かを誘った瞬間、其処から始まる熾烈なチケット争奪戦が容易に想像出来てしまう。もうそれなりに付き合いが長いからこそわかってしまう。ホント好意を持ってくれるのは嬉しいが勘弁してほしい。たまに俺の事羨ましいと言う奴等がいるが実際になってみろ、面倒な事の方が大きいぞ。

 

「…そうだな、確か高倉さんがガンダム好きって言ってたな。ならこれは高倉さんを誘って一緒に行くか」

 

「高倉さんっておじさんスタイリストの高倉さん?」

 

「そうそう、あの少しお茶目なおじさんな」

 

「その人と何処に行くの?」

 

「いや、だからホテル宿泊ペアチケット手に入れたから二人でガンダム巡り、に………」

 

……ちょっと待て、俺は今一体誰と話してる?今この部屋には俺以外誰もいない筈なのに……俺は怖くなりながらも恐る恐る声がした方を振り向くと……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんで?なんでこおねの事誘わないでスタイリストさんと旅行行こうとしてるの?ねぇなんでなんでなんでなんでなんでなんでぇ?」

 

「ウオワアアアアアアアアアアアァッ?!!」

 

其処にいたのは目に全く光を宿してない茶髪の犬の獣人『戌神ころね』だった。いつもはくりっとした可愛らしい目をしているのにまるで眼力だけで人を○せるくらいの絶対零度の目をしている。

 

「び、びっくりさせるなころね!後お前一体いつの間に入ってきたんだよ?!」

 

「そんなのどうでもいいよ。それよりなんでこおねの事誘わないの?」

 

そんなのどうでもいいってお前……と、とにかく此処はなんとか説得して落ち着かせないと。

 

「い、いやほらさ、高倉さんもガンダムが好きって言ってたからさ、お互い交流を良くするという意味で一緒に行こうかなーって」

 

「なんで?玲二って別にあの人とそんなに接点ないじゃん、そんな人と一緒に旅行行くなんておかしいでしょ?それならこおねと一緒に行った方が楽しめるじゃん」

 

「……で、でもな、お前はアイドル、俺はスタッフ。スキャンダルになる可能性だってあるから……」

 

「それならもう皆玲二の家に泊まってる時点でなってるでしょ?それにこおね達と玲二の関係って既に世間にも知れ渡ってるし」

 

……尽く退路を潰されていく。てかなんでこいついつもはのほほんとしてるのにこんな時だけ饒舌なの?それに何故世間は俺とホロメン達の関係を知ってて許容してんだよ?昔きっかけは忘れたが俺がフレアと結婚するというガセが飛び回った時も何故かおめでとうコメントで埋まってたし……(その後訂正してフレアは少し残念がってたが)

 

「だったら玲二がこおねと一緒に行けない理由はないでしょ?だからスタイリストさんなんかじゃなくこおねと一緒に旅行行こう?」

 

「そ、そうは言ってもなぁ……」

 

こ、困った……もうこれは何言っても無理なんだろうか?でも此処で連れていった場合後で他の奴等にばれたらとんでもない事になりかねんし、一体どうすれば……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれぇ?ころさんどうしたのこんな所で」

 

「ッ?!」

 

そんな事を考えているとまた背後から声が聞こえ、慌てて後ろを振り向くといつの間にか其処には紫色のショートヘアーの猫の獣人『猫又おかゆ』がいた。こいつ、本当にいつの間に後ろに?!

 

「……おかゆー♪今ね、ちょうど暇してたから玲二とお喋りしてたんだぁ♪」

 

ころねも先程迄の雰囲気を隠し俺とのお喋りしてたと笑いながら誤魔化している。こいつ本当に切り替え早いな。

 

「ふーん、そうなんだぁ。所でレイくん、ちょっと聞きたいんだけど」

 

「あ?な、なんだよ?」

 

「このホテルのペアチケットって何かなぁ?」

 

「「ッ?!」」

 

おかゆが俺ところねに見せびらかすかのようにホテルのペアチケットを見せてくる……ってちょっと待て!お前いつの間にそれ取ったんだよ?!

 

「ころさんも誤魔化すの下手だねー、僕が何も気づいてないと思った?」

 

「……おかゆ、そのチケットどうするつもりなの?」

 

「そうだねー、僕も動くガンダムを見てみたいし、何よりレイくんと二人きりでデートしたいなぁって」

 

「……それって最初からこおね達の話を聞いてたって事?だったらこおねが先に玲二と行くって約束してたんだからそれ返してよ」

 

「別にころさん約束なんてしてなかったじゃん、ただレイくんを問い詰めて無理矢理一緒に行こうとしてただけでしょ?それだったら僕にだって一緒に行く権利あると思うけど?」

 

「………ッ!!」ギリィッ!

 

………何だか雲行きが怪しくなってきた。というかこの二人普段は大の仲良しなのになんでチケット一枚でそんなに殺伐とした雰囲気出してんの?てか一緒に行くなんて言ってないのに……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―そして冒頭に戻る―

 

……そうだ、俺が持ってきたホテルのペアチケットのせいでこいつ等揉めてたんだった。調子に乗って事務所に持ってくるんじゃなかった……いや、こいつ等の事だ、隠したとしても恐らく何かしらの方法で察知してたかもしれない。こんな事なら運試しとか言って福引きしなけりゃよかった。

 

「おかゆ卑怯だよ!そうやってチケット奪い取って自分だけ玲二を一人占めしようとして!」

 

「そう言うころさんだって、僕があの時いなかったらそのまま強引にレイくんと行こうとしてたよね?そんなころさんに卑怯呼ばわりされたくないかな」

 

……ダメだ、さっきからこいつ等いがみ合いを続けるだけで進展がない。このままだと他の奴等も来て更に面倒な事になってしまう。どうする?どうすればこの事態を収束出来る?

 

「……ねぇころさん、一つ提案があるんだけど」

 

「……何さ?」

 

「このままじゃお互いが一歩も譲らないし、他の皆が来たら余計にこのチケットの取り合いが激しくなっちゃう。なら今のうちに僕達で勝負をして、勝った方がレイくんと一緒にお泊まりデート出来るってのはどうかな?」

 

「勝負?一体何で?」

 

「んーそうだねぇ、ゲームとかでも良いんだけど……やっぱり此処はレイくんに因んでガンプラ対決なんてどうかな?」

 

……なんか俺抜きでどんどん話が進んでいってるんだが?だが確かにこのまま二人に騒がれても事態は悪化しかねないし、そう言った意味ではおかゆのこの判断は助かる……助かるのか?

 

「……いいよ、それじゃあ他の皆に知られないように明日三人ともお休みだから玲二の家で勝負しよ」

 

ころねも勝負受けるのかよ、しかも流れるように明日の予定埋められたし。本当なら明日一人でサウナ行くつもりたったけど、そんな事を言っても許してくれないんだろうな。はぁ、もうどうでも良くなってきた。

 

こうしておかゆところねによる玲二との旅行デートを賭けた仁義なきおかころガンプラ対決が幕を開けたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

―翌日、佐々木宅―

 

昼頃になり、二人は予定通り俺の家にやって来た。おかゆの手には対決に使用すると思われるガンプラが入った紙袋があったが随分大きいな?恐らくMGクラスと思うが、一体何を買ってきたんだ?

 

「それじゃあ昨日もルールを説明したけど、もう一度確認の為に言うね。勝負はガンプラ早組み対決、先にこのガンプラを早く作り終えた方が勝ち。但し早く出来たとしてもゲート跡の処理が出来て無かったりパーツの破損が見られた場合はマイナスポイントになり、一定のマイナスポイントが見つかった場合例え早くても負け。どうかな?」

 

「うん、それでいいよ」

 

おかゆの説明にころねも納得する。因みに勝負のポイント制はこんな感じだ。

 

・完成で20ポイント。二番目は一番目が完成してから十分経つ度にマイナス1ポイント。

 

・完成後、お互いにガンプラを確認してゲート跡が残っていれば1ポイント、パーツ破損が見られたら2ポイントをその都度マイナスする。

 

・最終的にこのポイントが高い方が勝ちとなる。

 

「そして今回はこのMGのガンダムを使って勝負するよー」

 

そう言っておかゆは紙袋から今回の対決に使うガンプラ『MG ガンダム(オリジン版)』を取り出した。しかも一番くじバージョンかよ、良く見つけたなそんなの。

 

『MG ガンダム(オリジン版)ソリッドクリアバージョン』

機動戦士ガンダムThe Originでアムロ・レイが乗る機体。コミックで展開し後にアニメ展開もされた初代機動戦士ガンダムをベースにしたリメイク作品であり、このガンダムも初代と比べ左肩にはショルダーキャノンが追加されたり初代にはあったコアファイターが排除されていたりと結構大きな違いがある。そして今回作るのは2019年の一番くじの景品であるソリッドクリアバージョン二種類であり、一部がクリアパーツに変更されていてA賞が赤と青と黄色の部分が、ラストワン賞は白い部分がクリアとなっている。

 

「本当ならそれぞれ一部分がクリアパーツなんだけど今回はパーツ交換して通常カラーとクリアカラーの二体を作ろうと思うんだけど、ころさんはどっちにする?」

 

「こおねは別にどっちでもいいよ、このガンダム一度作った事あるからどっち作っても変わりないからおかゆが決めなよ」

 

「ホント?なら僕は通常カラーでいいかな?ころさんはクリアカラーで勝負ね」

 

こうしてパーツ交換を終えておかゆはクリアカラーバージョンのガンダムをころねに渡していく。

 

 

 

 

この時俺は理解した……この勝負『ころねが圧倒的に不利』だと。そして気づいてしまった、この時おかゆがうっすらと勝ち誇った笑みを見せていた事を……

 

 

 

 

「それじゃあころさん、13時になったら勝負開始だよ。レイくんは途中で口出しは無しだよ」

 

「あ、あぁ、わかってる」

 

「こっちはいつでもいけるよー」

 

「それじゃあお互いに準備OKというか事で………スタート!」

 

こうしてお互いにパーツを開封し説明書通りに組み立てていく。ころねは一度作った事があるとは言ったが、果たしてどうなる事やら。

 

(ふふん、一度作った事があるからパーツの場所は大体把握してるからね!この勝負、こおねが圧倒的に有利だよ!えっと、まずは頭パーツの部品を切って……)

 

ころねは幸先良くパーツを纏めて切っていくが、クリアパーツを切ってゲート跡処理をしようとした瞬間手を止めてしまった。どうやら気づいたみたいだな。

 

(……あれ?なんかこのパーツ少し脆いような感じがする……気のせいかな?えと、それからゲート処理を………?!ちゃんとニッパーで切った筈なのに跡が目立つ?!それにヤスリをかけたら濁った色になっちゃうし角の部分が折れそうな感じがする!)

 

ころね、ゲート処理にヤスリがけでどうやら完全に気づいたみたいだな……クリアパーツのプラモの難点を。

 

 

そう、クリアパーツは通常のパーツに比べて強度が多少低く、細いパーツだと割りと簡単に破損してしまうのだ。更にクリアという事でニッパーで切った跡がより目立ったり、ヤスリがけをすれば濁りやすくなってしまう。勿論これもちゃんとした処理法はあるが、今回みたいな早組み対決でそれをやるにはあまりにも時間のロスになってしまう。

 

「あれ~?ころさん手が止まってるけどどうかしたの?」

 

「ッ!?おかゆ、もしかして最初からこの事知っててこおねにこっちを渡したの?!」

 

「何の事?僕は最初ころさんに選ばせようとしたし、ころさんが僕が決めていいって言ったからこっちにしたんだよ」

 

此処で俺ところねは完全に理解した、何故おかゆがわざわざソリッドクリアバージョンのガンダムを選んだのか?

 

ころねは以前作ったガンプラとなれば当然自分が有利になると踏み、おかゆが選んでいいと言っても余裕な感じで逆におかゆに選ばせた。

 

しかしそれこそがおかゆの作戦、ころねの事をよく知ってるおかゆはころねがこのガンダムを作った事があるのも知っていたし、これを対決内容に持ち出せばころねは自分が有利と思い調子に乗る事もわかっていた。

 

だから選ばせた時もころねが逆に自分が決めていいと言われるのも予想してこの処理が大変なクリアバージョンをころねに押し付けた、つまりこれは戦う前からころねはおかゆの術中に嵌まってしまったという事だ。

 

「ひ、卑怯だよおかゆ!こおねの事嵌めたの?!」

 

「嵌めたなんてそんな、僕は戦う前にどっちを作るって聞いてころさんが僕に決めていいって言ったんじゃん」

 

そう、いくらおかゆが嵌めたとはいえ選ばせたのはころねなので強く言えない。それにもしころねが通常カラーバージョンを選んでいたらおかゆは逆に自分が不利なクリアバージョンを作らないといけないのでこればかりはおかゆの賭けが勝ったとしか言いようがない。

 

「それよりころさん手止めていいの?僕もう胴体の組み立てに入るけど」

 

「ッ?!ま、まだ負けたわけじゃないからね!こおねの本気を見せてやんよぉッ!」

 

……これはもう結果が見えたな。おかゆの揺さぶりのせいでころねが完全にテンパってしまってる。恐らくはこの後もミスをしてしまうだろう。

 

(……ころさんごめんね、でも僕だってレイくんと一緒に旅行に行きたいんだ。例え卑怯だと言われても、こればっかしは譲れないから!)

 

(……負けない、絶対におかゆには負けたくない!玲二との旅行はこおねにとって皆よりリードする最大のチャンスなんだもん!必ず勝って、玲二と一緒に行くんだもん!)

 

……いや、ころねの目はまだ諦めていない。これはもしかしたら逆転の可能性もあるか?勝負はまだ分からなそうだな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―その夜―

 

「…………………………」

 

「……この勝負、18対17でおかゆの勝利だ」

 

「か、勝てた……」

 

あれから二人は途中一時間の休憩を挟みつつ無言で淡々と作り上げ、そして遂に決着がついた。勝者はさっきも言った通りおかゆだ。

 

だが実際に早く出来たのはころねの方でおかゆはその十分後に完成させたのだが、やはりクリアパーツのハンデがあり、ころねのガンダムには一ヶ所ずつのゲート処理不足とパーツ破損が見つかりマイナス3ポイントとなってしまった。

 

恐らくは勝負を急かしすぎたせいだな、おかゆも一ヶ所のゲート処理不足があったももの、なんとか勝利へと繋げたのだ。

 

「そ、それじゃあころさん。この勝負僕の勝ちだから、このチケットは僕とレイくんで使うからね」

 

そう言っておかゆは持ってたチケットをころねに見せつける。そういやそんな賭けしてたな、勝負の熱さですっかり忘れてた……ってかころねさっきからうつむいたまま黙ってるけどどうしたんだ?

 

 

 

 

「…う、うぅ………」

 

「?ころね、一体どうし「うわ゛あ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあんッ!!」ッ?!」

 

うつむいたままのころねに声をかけようとした瞬間、ころねが顔を上げ大声で泣き出した。お、思いっきり近くだったから耳があぁッ!?

 

「こ、ころさん?!一体どう「おがゆ゛のばがあ゛ぁッ!!ごんなひぎょうなごどじでがっでひどいよぉッ!!ごおねだっでれいじといっしょにりょごういぎだがったのにぃ!!うわあぁぁぁぁぁぁぁんッ!!」……ころさん」

 

よっぽど負けたのが悔しいのか、ころねは俺とおかゆが声をかけてもわんわん泣き叫ぶだけだった……はぁ、仕方ないなぁ。

 

「なぁ、ころ「ねぇ、ころさん」おかゆ?」

 

「う、うぅ…何さおがゆ?」

 

「ごめんねころさん、僕自分が勝つ事しか考えてなかった。普通にやっても勝てないかもしれないからってころさんに難しいクリアパーツのガンダムを渡して……こんなの全然フェアな勝負じゃなかったよね」

 

俺が提案する前におかゆがころねに謝り、そして持っていたチケットをころねの手に渡そうとする。

 

「このチケットころさんにあげる、レイくんと二人で行ってきなよ」

 

「?!で、でもおかゆ、これっておかゆが……」

 

「良いんだよころさん、僕ころさんの言う通り卑怯な手を使って勝ったんだし、それにころさんの方が作り終えたのが早かったんだよ?だからこれはころさんが使って」

 

「……おかゆ」

 

目に涙を溜めながらおかゆはころねにチケットを渡そうとするが、ころねもおかゆの泣いている姿を見て戸惑っているようだ。全く、こいつ等やっぱ変な所で優しいんだよなぁ。

 

「なぁおかゆ、そんな我慢して泣きながらチケット渡す必要ないだろ?」

 

「「……え?」」

 

「チケットはお前等二人で使え、俺は自腹でついて行くからさ」

 

「そんな?!レイくんそのホテルって結構高いんじゃ……」

 

「なあに、ガンプラ以外だとあまり使い道がないから結構貯金貯まってるんだよ。だから今回の横浜旅行は三人で行こう、な?」

 

そうだ、最初からこうしていれば良かったんだよ。これなら三人で行けるし二人がいがみ合う必要もない、出費は少し痛いけどな。

 

「はい、それじゃあこの話は終わり!旅行は来週だからそれまでに準備をしろよ」

 

「「レイくん(玲二)………ありがとう」」

 

まだ少し涙目だが二人は俺にそう言うと自分の作ったガンプラを片付け部屋を後にした。さ、俺も少しずつ旅行の準備しないとな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―おかころ帰宅中―

 

「……ころさん、ごめんね」

 

「ううん、こおねこそ意地張ってごめんね」

 

玲二の家から自分達の家に向かう帰り道で二人はお互いに先程迄のいがみ合いを謝りながら手を繋ぎ歩いていた。

 

「にしてもやっぱレイくんって優しいよね、自分が自腹になっても僕達を連れてってくれるなんて」

 

「ホントだよね、玲二って昔っから何にも変わんないよね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―十数年前―

 

僕ところさんはまだ四歳だった頃、ころさんと僕は公園で遊んでたんだけどころさんが蝶々に夢中になって追いかけて行って、僕もそのまま付いていったらいつの間にか知らない道にいて二人で泣いていた時があった。

 

「うぅ~、おがゆぅごめんねぇ……」

 

「グスッころしゃん、ぼくたちおうちかえれるの……?」

 

帰り道が分からず、ただ泣きながら当てもなく歩き続けたけど、四歳だった僕達は直ぐに歩く体力もなくなりその場で泣きじゃくってしまったんだ。もしかしたら二人とももう家に帰らないんじゃないかって?そんな時だった……

 

「あー、お嬢ちゃん達、そんな泣いてどうしたんだ?」

 

「「え…?」」

 

声を掛けられ顔をあげると其処には小学生くらいの少年がいたんだ。彼の後ろには僕と同じ歳くらいの猫?の獣人の女の子が恥ずかしそうに顔を少し出してた。

 

「もしかして迷子かな?どっから来たかわかる?」

 

「ううん、ちょうちょおいかけてたらここにいたの……」

 

「そっか……それまでどこにいたか覚えてる?」

 

「……こうえん」

 

「公園かぁ、ここら辺だと何ヵ所かあるけど、それだけじゃあ分かりにくいな」

 

彼はずっと僕達を送ってくれようとしてたけどその時の僕達の説明がざっくりし過ぎて分からなかったみたい、けど

 

「……ね、ねぇれいくん。このこたちさっきしらかみがあそんでたこうえんにいたとおもう」

 

「ホントかフブキ?その公園の場所分かるか?」

 

「うん、あっちのこうえん」

 

「そっか、でかしたぞフブキ、えらいえらい」ナデナデ

 

「ふみゅう///」

 

後ろにいた猫?の女の子が僕達を知ってたみたいでさっきまでいた公園の道程を言うと彼に頭を撫でられ照れながらも嬉しそうに目を細めていた。

 

そしてそのまま女の子に案内されながら公園へと向かって行ったんだ。その時に女の子に僕と同じ猫?って聞くと「きちゅねじゃい!」とちょっと怒ってたのがちょっぴり可愛かった。そして

 

「ころね!もう何処に行ってたのよ?!」

 

「おかゆも心配したじゃない!怪我とかはない?!」

 

「うわぁ~ん!ままごめんなしゃあい!」

 

「まま、ごめんなしゃい……」

 

公園にたどり着いた瞬間ママ達に見つかりこっぴどく叱られてしまった。いつもはあまり怒らないママがあんなに怒ったのは恐らくあの時ぐらいだろう。

 

「君達も娘を見つけてくれてありがとうね」

 

「いえ、当然の事をしたまでなんで。それじゃあ俺達もそろそろ帰るかフブキ」

 

「う、うん」

 

そう言って彼は女の子と一緒に家に帰ろうとしたけど、その時僕ところさんは無意識なのか彼のズボンをぎゅっと掴んでいたんだ。

 

「?えーっと、どうしたのかな?」

 

「……またこおねたちとあしょんでくえる?」

 

「遊んで?あー、まあ此処にいる時なら全然良いぞ、フブキもお友達が出来るしな」

 

「ホント?じゃあおにいちゃん、またぼくたちといっしょにあそんでね」

 

「あぁ、約束な。それじゃあ今度こそ帰るか」

 

「ば、ばいばーい」

 

こうして彼と女の子はその日は帰っていった。そしてそれからほぼ毎日のように彼や女の子と一緒に遊んでたけど、彼が中学に上がった頃から彼とは会わなくなってしまった。

 

けど、それでも僕達はまた会いたいと思ったんだ。だってこれが僕ところさんの初めての恋だったんだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―そして現在―

 

「あの時はびっくりしたよね~、まさか入ったアイドル事務所に初恋の人がいるなんてね」

 

「そうそう、玲二はこおね達の事忘れてるみたいだったけど、こおね達は一発で分かっちゃったもんね~」

 

そう、あれから十数年の月日が経ちおかゆところねはホロライブに入社し、其処で幼少期に出会った彼と女の子、つまり佐々木玲二と白上フブキと再会したのだ。玲二は二人の事はすっかり忘れていたが、二人は動物的感か直ぐに玲二があの時助けてくれた初恋の人だと気づいたのだ。まぁ、フブキも二人の事を覚えていてライバルが増えるとバリバリ警戒していたが。

 

「レイくんはあの時から何にも変わってない、優しい僕達のレイくんだよね」

 

「そだね~、だからこそライバルは多いんだけどね」

 

ホロライブのアイドル達は大なり小なり玲二に好意を寄せている。それは本当に依存レベルな娘もいるくらいだ。だからこそ自分達ももっとアピールをして玲二に近づきたい、そう思う二人である。

 

「ねぇころさん」

 

「なぁにおかゆ」

 

「旅行、楽しみだね♪」

 

「……うん、楽しみだね~♪」

 

そんな二人は来週の旅行を楽しみにしながら自分達の家へと帰るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―旅行から帰宅した翌日―

 

あれから俺達三人は横浜の高級ホテルへと旅行に行って存分に楽しんできた。当初の予定通りガンダムファクトリーヨコハマへと行き其処でしか手に入らない限定プラモや動くガンダムの見学等で凄く盛り上がり、更には横浜の中華街に行き美味しい料理を堪能しまくった。ちょっと出費は大きかったが凄く楽しい旅行だったな!

 

さて、気持ちも切り替えて今日から仕事を再開して……

 

「ねぇレイくん、ちょおっとお話良いですかぁ?」

 

「ん?どうしたフブキ、そんな怖い顔して」

 

仕事を再開しようとした瞬間後ろからフブキが笑顔ながら物凄い圧を出して俺に詰めよって来た。な、何か嫌な予感が……

 

「おかゆところねから聞きましたけど、三人で旅行に行ってきたんだって?それも同じ部屋で」

 

「あ、あぁ、ハイ、行ってきましたが……」

 

「ふぅん、そうなんですかぁ~……なぁんで幼馴染みである白上を誘ってくれなかったんですかねぇ?」

 

「え、いや、あの、その……」

 

あの二人旅行に行った事言いふらしてるのか?!ちょっと何考えてんだよ!絶対めんどくさい事に……

 

「レイさん旅行って何?おかゆところねを誘って何でウチを誘わなかったの?」

 

「兄ちゃん酷いよ!おかゆ達だけ旅行に連れてって貰えるなんて狡すぎるッス!」

 

「玲二さん、ラミィという婚約者がいながら他の女と旅行ですか?浮気なんですか?」

 

ほらぁ、結局他の娘達も集まって来ちゃったじゃないかぁ!あいつ等余計な事しやがって!後ラミィ、お前別に俺の婚約者じゃねぇだろ現実と妄想ごっちゃにすんな。

 

『さ、じっくりお話し聞かせてもらいますよ』

 

「………はい」

 

はぁ、帰って来て早々面倒事になってしまった、最悪だ………

 

 

 

 

その後他のメンバーとは各自一日デートをする約束で勘弁してもらえたがお陰で財布に大ダメージを負った玲二であった。




はい、という事でおかころの話でした!

次回はちょっと珍しい組み合わせにしてみたいと思いますので待って頂ければ幸いです(^o^)


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第9話『はおーな二人の奪取作戦』

本来書こうとしていた組み合わせのシナリオを考えていたら何故かこの二人の話が先に思いつき出来上がってしまいました( ; ゚Д゚)
恐らくタイトルでバレバレですが今回はホロメンがメインじゃありません。
ホロメンを楽しみにしていた方は申し訳ございませんm(_ _)m
それでも楽しんで見て頂けたら有難いです、ではどうぞ( っ・ω・)っ


「ふんふんふっふーん♪」

 

「なんだ、随分上機嫌じゃないかフブキ?」

 

「だって久々にレイくんとデートなんだもん、もう楽しみで仕方ないですよ~♪」

 

晴れ渡る快晴の中、俺とフブキはとある繁華街に遊びに来ていた。というのもフブキが俺と久々に出掛けたいと言い出し、俺も特に予定がなかったのでこうして青空デートをする事になったのだ。フブキはかなり上機嫌なのかさっきから尻尾がゆらゆらと揺れている。

 

「それじゃあ今日は何処に行きましょうかね~?新しい服を見るのもいいし、今やってるアニメグッズを漁りに行くのもいいですな~♪」

 

「おいおい、程々にしてくれよな」

 

まぁ、フブキには最近構ってやれなかったからな。今日ぐらいはこいつの我が儘に付き合ってやるとするか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………ターゲットを捉えました、何時でも行けます」

 

❬OK、じゃあフブキちゃんに見つからないよう速やかに連れてきて❭

 

「了解」

 

 

 

 

 

「さて、折角だし俺も途中本屋に寄らせてもら―ガバァッ!―むぐぅッ?!」

 

俺も行く所を考えていると突如後ろから何者かに押さえられ口も塞がれ脇道に止めてあったワゴン車に無理矢理乗せられてしまった。

 

「ターゲット確保しました」

 

❬よぉし、そのまま連れてきちゃって!❭

 

「了解」

 

「むぐぅーッ!?むーーッ!!」

 

そしてそのままワゴン車は俺を乗せたまま走り出した。てか何なんだよこの目隠しした集団は?!そんなんでよく運転出来んな?!

 

 

「それとね~、後はハニストに行ってお茶したいですねー♪ねぇ、レイく…んは……何処に?」

 

デートプランを考えてたフブキがふと振り向くと、其処には既に玲二の姿はなかった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―数十分後―

 

―キキーッ!―

 

「……着きました、どうぞ此方へ」

 

「……む?」

 

ワゴン車に揺られる事数十分、目的地に着いたのか目隠し集団は俺をワゴン車から下ろし口を塞いでたガムテープを剥がし目の前にあった建物に誘導していく。

 

「痛てて、何なんだよ此処は?『田中工務店』……どっかで聞いた事があるような……」

 

「さぁ、早く中に入って下さい。二人が待っています」

 

連れ去る時の荒々しさはなく目隠し集団の一人が俺を丁重に中へと案内する。てか二人って誰の事だ?

 

「二人とも、連れて来ました」

 

「おぉー皆ありがとねー♪」

 

「皆お疲れー♪もう下がっていいよー」

 

目的の部屋に着くと其処にいた二人は目隠し集団に下がるよう伝えそのまま集団は部屋から出ていき俺達三人になった。にしてもまさかこいつ等が俺を連れてきたのか……

 

「それじゃあ改めて自己紹介だね?せーの……」

 

「「はおー!ヒメヒナでぇーす!」」

 

「……まさかの人物過ぎてびっくりだわ」

 

其処にいたのは赤いチャイナ服にピンクヘアーの少女『田中ヒメ』と青い服に青いキャップを被ったロングヘアーの少女『鈴木ヒナ』のコンビ『ヒメヒナ』だった。一体何されるんだ俺……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―その頃、ホロライブ事務所―

 

「なんだってえぇッ?!レイさんが拐われたぁッ!?」

 

『えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ?!!!』―パリィィンッ!!―

 

あれからフブキは事務所に行き先程の出来事を皆に伝えるとまるでスピーカー大音量並みの大声でホロメン達が驚いていた。その衝撃で事務所の窓ガラスが一斉に割れる。

 

「う、うん、白上がレイくんとデートしていたらいつの間にかいなくなって……」

 

「ちょっと待って下さいフブキ先輩、デートってなんですか?人の夫に手を出したんですか?」

 

「はいはい、兄ちゃんはラミィの夫じゃないでしょ?それよりもフブキ先輩、本当に兄ちゃんは拐われたの?何処かに一人で行ったんじゃ……」

 

「レイくんが白上に何も言わずにどっか行くなんてあり得ないよ!それにレイくんを探してたら脇道の所にこれがあったし!」

 

そう言ってフブキはポケットからあるものを取り出し皆に見せた。それは玲二がいつも入社する際にいつも首にぶら下げている社員証だった。

 

「これって玲二君の社員証?!」

 

「玲二様は物を大事に保管する人だから、そんな道端で落とすような事なんてしない余!」

 

「それじゃあやっぱりレイっちは……!」

 

玲二が拐われた可能性が高くなり、ホロメン達の不安が一気に増す。もしかしたらとんでもない事件に巻き込まれたのかもしれない、そう思うといてもたってもいられなかった。

 

「こ、こうなったら皆で手分けして玲二君を探そう!街で聞き込みとかすればもしかしたら玲二君が拐われた瞬間を見た人もいるかもしれない!」

 

「そ、そら先輩の言う通りです!それじゃあ早速皆で街に出ましょう!」

 

『おぉーーーッ!!』

 

こうして玲二を助け出す為にホロメン達は手分けして街を散策する事になったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―そして戻って田中工務店―

 

「……んで?何でお前等が俺をこんな所に連れてきたんだ?」

 

「あははーごめんね~、ヒメ達どうしても玲二くんに会いたかったから工務店の皆に協力してもらって連れてきてもらったんだ~♪」

 

「……ん?お前等俺の事知ってんのか?」

 

「知ってるよ~、一回会った事もあるし。ホロライブのスタッフリーダーで白上フブキちゃんの幼馴染み、趣味はガンプラ作りで最近ではホロメンの皆とちょくちょく一緒に作ってるんだよね?」

 

「………何でそんな事まで知ってるんだよ?」

 

「何でって?んっふっふ~♪それはねぇ………」

 

な、なんだこいつ等、何でアイドルならともかくこんなスタッフの俺の事そんなに……まさか俺の事を調べて、俺を通じて会社内の情報を聞き出そうとしてんじゃ……?!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「ヒメ(ヒナ)達が!玲二くんの大、大、大ファンだからでぇーす!!///」」

 

「………………はい?」

 

返ってきた答えが全く予想とは違い、俺は思わずポカンとしてしまった。何?俺のファン?ただのスタッフの俺の?なんで?

 

「もう初めてフブキちゃんの配信に出てきた時からスッゴくカッコ良くて、他の子の配信とかに出てた時も絶対欠かさず見てたの!///」

 

「特にゲーマーズの皆と一緒にやったマ○オカートでぶっちぎりの連続一位を取った時やホロメン対抗クイズ大会で誰も答えられなかった問題を当てた時の満面の笑みでガッツポーズなんてもう最高で思わず胸がキュンってなっちゃったんだよ!///」

 

「そうそう!それに半年ぐらい前の事務所対抗宇宙人狼のコラボの時に初めて会ってその時のヒメ達に裏方から優しくアドバイスしてくれた時なんてもう嬉しくてテンションがハイになっちゃったし!///」

 

「その後もヒナ達全員にドーナツとジュースの差し入れを自腹で買ってきてくれてもう本当に優しくて嬉しくてヒナ思わず○れちゃった!///」

 

「えぇー……?」

 

……何こいつ等、あまりのテンションの高さについて行けないんだが?まず俺が出てた配信全部見てたの?結構急なコラボも多かったんだが?それに半年程前の宇宙人狼の時には確かに一人一人アドバイスをあげたり皆に差し入れ買ってきてあげたりとかしたけどまさかそんな風に思ってたのかよ……後鈴木、お前もアイドルなんだから○れるとか言うな、伏せ字使うのも大変なんだから。

 

「それで玲二くんをもっと知りたいなって思ってたあの日玲二くんがフブキちゃんと一緒にガンプラを買いに行った所を偶々見つけちゃってそれから暇があれば常に玲二くんを探しに出掛けてたんだ♪///」

 

「そして今日ついに我慢出来なくなったから工務店の皆に協力してもらって此処に連れてきてもらっちゃいましたぁー♪///」

 

「………マジかよこいつ等」

 

まさかホロメン以外のアイドルにこんなガチのストーカーがいたなんてびっくりなんだが。たまに買い物行ってる時に変な視線を感じたが気のせいかホロメンの誰かかと思ったらこの二人の仕業だったのかよ?俺ヒメヒナの二人は歌も上手いしMVもカッコいいし普段の動画も面白いから好きだったのに、これから見方が変わっちまうじゃねぇか。

 

「……で、それは分かったんだが、肝心の俺を此処に連れてきた理由は何なんだ?まさか我慢出来なくなったからって理由だけで連れてきたんじゃねぇよな?」

 

「ふっふっふ~♪よくぞ聞いてくれました!今回玲二くんを連れてきてもらった理由はぁ……」

 

「ヒナ達と一緒に!ガンプラを作って欲しいと言うことで!」

 

「「題して、ヒメヒナ玲二のガンプラ制作会でぇす!」」ドンドンドンッパフパフ♪

 

ガンプラ制作?その為にこんな回りくどいやり方で俺を此処に連れてきたのか?てかなんだそのドンパフ効果音は、もしかして動画撮ってんのか?

 

「てかそんなに俺とガンプラ作りしたかったらこんな回りくどい事しないで事務所通してくれれば良かったんじゃねぇのか?」

 

「いやぁそれがね、一回事務所の方に頼んでみたんだけどフブキちゃんや他の皆がダメって言って断られちゃったんだよね」

 

そうなのか?いや、確かにあいつ等俺が他の事務所の娘と話しをしてるだけでもかなり不機嫌になるからな。俺も他の事務所とコラボする事がないから気にしてなかったがあいつ等そんな根回しをしてたのかよ。どんだけ俺を外部と関わらせたくないんだよ、ったく……

 

「……まぁ、経緯はどうであれ、ガンプラを作りたいなら手伝ってやるか。でも今度からはちゃんと事務所を通してから誘ってくれよな」

 

「やったぁー!良かったねヒナ♪」

 

「うん!アイドルやっててこんなに嬉しい事ないよ~♪」

 

そんなにか?まぁ、何をそんなに喜んでくれてるかはわからんが、ガンプラを作るんならガンプラ好きとしては断る理由もないしな。初めてのホロメン以外との制作だがいつも通りにやっていくか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―それから数時間後、繁華街―

 

「………あ、ミオー!どう、レイくん見つかった?」

 

「だ、ダメ、全然目撃したって人もいない……」

 

「そんなぁ……レイくん電話も繋がらないし、一体何処に行っちゃったんだろう……?」

 

繁華街へ玲二を探しに来たホロメン達だが一向に手掛かりが掴めず途方に暮れていた。電話もどうやら電源を切ってるのか繋がらずお手上げ状態だった。

 

「おーい、フブキちゃんミオちゃーん!」

 

「あ、アズキちゃんロボ子さん!どうかしました?」

 

「そ、それがさっきここら辺に遊びに来ていたって人からマスターの事を聞いてみたら、マスターが目隠ししたコートの集団にワゴン車に乗せられて何処かに連れてかれたのを見たって」

 

「「えぇッ?!」」

 

謎の集団に拐われたと聞いてフブキとミオは悪い予感が的中し一気に不安に駆られていく。

 

「そ、それでレイくんは何処に?!」

 

「ご、ごめんね、其処まではわからないみたい。分かってるのは拐った人達が目隠ししてて黒っぽいコートを着てたってだけだから……」

 

「そんなぁ、折角手掛かりが見つかったと思ったのに……」

 

玲二が拐われたという事が分かったまではいいが、肝心の玲二の居場所に関しての手掛かりは無くがっかりする一同だった。そんな時……

 

 

 

❬~♪~~♪❭

 

「……ん?あぁ、ヒメヒナちゃんだぁ♪」

 

「え?あ、本当だ!新しい新曲のMVかな?」

 

ビルの一面にある巨大スクリーンに突然音楽が流れ始め、其処にはヒメヒナの二人がバックダンサーと一緒に踊りながら新曲を披露するMVが流れていた。四人はヒメヒナの新曲MVに喜ぶが、其処でアズキがある事に気づく。

 

「……あれ?」

 

「?アズキちゃんどうかしたの?」

 

「いや、ヒメヒナちゃん達と一緒に踊ってるバックダンサーの人達が……」

 

「え…………ッ!?目隠ししたコートの集団!!」

 

「えぇ?!そ、それじゃあマスターを拐った人達ってまさか……!?」

 

ヒメヒナと一緒に映っていたバックダンサー達の姿を見て四人は玲二を拐った犯人がまさかこの人達ではないかと考え、そしてフブキはある事を思い出していた。

 

「そ、そう言えば数ヶ月前にヒメヒナちゃん達がレイくんと一緒に動画撮りたいって連絡があって断ったんだけど……」

 

「まさか、その時断られたから強行手段に出たってこと?!」

 

「こうしちゃいられないよ!今すぐ皆を呼んでヒメヒナちゃん達の住む家に向かわないと!」

 

ミオは直ぐ様他のメンバーに連絡を取り、四人はそのままタクシーを捕まえ二人が住む田中工務店へと向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―時は戻って田中工務店―

 

「そんじゃあ早速始めて行くか、因みに今回は何を作っていくんだ?」

 

「うん、今回はこの二つを作っていこうと思うよー♪」

 

そう言うとヒメ(二人からヒメとヒナって呼んでと言われた)が二つのガンプラをテーブルのしたから取り出した。といっても二体とも色が違うだけで見た目は一緒なガンプラ『HG ガンダムアストレイ レッドフレーム&ブルーフレーム』の二体である。なんとまあ、ぴったりなイメージだ事で。

 

『HG ガンダムアストレイ レッドフレーム&ブルーフレーム』

外伝作品『機動戦士ガンダムSeed ASTRAY』に登場する二機のガンダム。このアストレイは劇中でも様々なバリエーションが存在し、この二機はその原点とも言える機体である。更にレッドフレームにはガーベラストレートという通常のガンダム作品には珍しい刀型の武器を携帯していてそれがまたカッコいい。まあ、俺が一番好きなアストレイはM1だけどな。

 

「道具は工務店の皆に揃えてもらったから、早速やっていこー♪」

 

「おー♪」

 

そうしてヒメはレッドフレームを、ヒナはブルーフレーム取りそれぞれ作り始めようとする。やっぱり色は自分達のイメージカラー通りか。

 

「それじゃあ玲二くん、まずは何をすればいいのかな?」

 

「ん?もしかして本当に作った事がないのか?」

 

「うん、ヒナ達これが初ガンプラなんだよね」

 

「成る程、まるっきりの初心者か。ならまずはニッパーで……」

 

二人とも全くの初心者という事で俺は久しぶりに簡易レクチャーをしながら二人のガンプラ作りをサポートする。最近だとホロメン達はもう全員(宝鐘除いて)出来るようになってたから、なんかこういうのも久々で良いな。

 

 

 

 

 

―数十分後―

 

「「痛ッ!?」」

 

「あ、おい大丈夫か?!」

 

トークしながら作り続ける中、二人とも同じタイミングでデザインナイフで指を切ってしまった。特にヒナの方は少し血が多いな、早く止血しないと。

 

「ほらヒメ、ヒナ。ティッシュあるからまずはそれで怪我した部分を押さえとけ。今救急箱用意してもらうから」

 

「「う、うん……」」

 

ティッシュで押さえている間に俺は工務店の人達から救急箱を借りて其処から消毒液と絆創膏を取り出し、まずは出血量が多いヒナから手当てするか。

 

「ほらヒナ、手出しな。まずは消毒してやる、少し染みるけど我慢な」

 

「うん………ーーッ!」

 

「ハイハイ染みるの分かるが少し辛抱な。余分な消毒液を拭いて絆創膏貼ってと……よし、これで大丈夫だ」

 

「あ、ありがとう玲二くん……///」

 

「よし、次はヒメの番だ、ほら手出しな」

 

「あ、は、はい」

 

こうして二人の手当てを終え、再びガンプラ作りを再開する、が………

 

「「………………………」」

 

先程までとは違い全くの無言で淡々と組み立てていく二人。よっぽど怪我したのが痛かったのか?動画回ってるみたいだが大丈夫かこれ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(ヒャーーーーー!!手当てしてくれた時の玲二くんの真剣な表情カッコ良すぎる!!あんな間近で真剣な表情で優しくされたら凄くドキドキしちゃうよぉーーー!!!//////)

 

(ひ、ヒメの手に玲二くんの手と吐息の温もりがまだ残ってる!!こ、こんなの嬉し過ぎて集中出来ないよぉー!!こんな事をよくやってもらってるフブキちゃん達が羨ましいよおぉーーー!!!//////)

 

実際は玲二に手当てをされて嬉し過ぎてオーバーヒート寸前になってるだけのヒメヒナであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―そして数時間後―

 

「さて、後は武器とシールドを持たせて好きなポーズを取らせたら……」

 

「「で、出来たーー♪」」

 

今回は簡単な素組で墨入れのみ行ったが、ポーズも決まってかなりカッコいいアストレイ達が出来上がった。特にヒメが作ったレッドフレームが刀を構えてるのは様になってる。ヒナのブルーフレームもバズーカを構えてる姿はなかなか良いな。

 

「初めてのガンプラ作りだったけど面白かったねヒナ♪」

 

「うん!玲二くんがいっぱい教えてくれたし、次はもっと凄いの作りたいね♪」

 

「そう言ってもらえたなら俺も教えた甲斐があったな」

 

「玲二くんも本当にありがとう!と言うことで今回はここまで!それではー……」

 

「「ごきげんよーう♪」」

 

二人の締めの挨拶と共にどうやら動画撮影は終わったようで、二人は一息つきながら自分達の作ったアストレイを眺めていた。さて、俺もそろそろ……

 

「そんじゃあガンプラ作りも終わったし、今日の所はそろそろ失礼しようかな。次はちゃんと事務所を通してから「ねぇ玲二くん、ちょっとお話良いかな?」……どうしたんだ急に?」

 

そろそろ帰ろうと二人に声を掛けると、ヒメが先程までのおちゃらけた感じではなく真面目な雰囲気で俺に話を持ちかけてきた。一体何の話だ?

 

「………玲二くん、いえ、佐々木玲二さん、貴方にお願いがあります。どうか私達と一緒に、この田中工務店でスタッフをやって頂けませんか?」

 

「………それって何か?俺にホロライブを辞めてお前達のスタッフになれって事か?」

 

「はい、そう捉えて頂いて構いません。今日貴方と一緒にいて私もヒメも確信しました、私達ヒメヒナが今以上に成長するには貴方の存在が必要不可欠なんだと」

 

「お給料に関してはホロライブプロダクションに比べたら少し安くなってしまうかもしれませんが、その分仕事環境や勤務時間は優遇致します」

 

「「だから、これからも私達と一緒に歩んで下さい。お願い致します」」

 

………まさかそう来るとはな。ヒメもヒナもいつものような雰囲気ではなく至って真面目な態度で俺に頭を下げている。それだけこいつ等が本気で俺を必要としてくれてるんだろう。それはアイドルスタッフをしてる身としてはかなり光栄だ。だけど……

 

「……悪い、折角だけどその話は受けれないな」

 

「?!そ、それはどうしてですか?!やっぱりお給料ですか!?お給料に関しては最初は少ないかもしれませんが、其処はなんとかして……」

 

「いや、金の事じゃない。俺がこの話を受けれない理由は、あいつ等を裏切りたくないからなんだよ」

 

そう、俺はあいつ等がいたから一緒に頑張って来れたし、あいつ等のステージで輝く笑顔を見て絶対トップにしてやりたいって思えるんだ。もし此処でホロライブを辞めてこっちに移ったら、それはあいつ等の想いを裏切る事になる。それだけは絶対にしたくないんだ。

 

「……そんなに、フブキちゃん達が大切なんですね?」

 

「あぁ、て言うかあいつ等俺がたかが一ヶ月間いなかっただけで崩壊寸前にまで追いやられてたからな。だからあいつ等にとって俺はまだ必要としてくれてるんだと思うし、そう思ってくれる内はあいつ等とは頑張っていきたいんだ。これだけは絶対に譲れない」

 

というよりはあいつ等を放置してたらとんでもない事起こしそうだから目が離せないってのが本音だけどな。

 

「………わかりました。今日の所は素直に諦めます。急な申し出大変すみま「けど、たまにならこっちの手伝いをしてやってもいいぞ」!?ほ、本当ですか?!」

 

「あぁ、但し条件があるけどな」

 

「条件……ですか?」

 

そう、俺がこの二人に出す条件、それは……

 

「その喋り方は止めろ、無理して使ってる感がバリバリだし、おまけに全然笑顔じゃない。俺の知ってるヒメヒナは、皆と一緒に楽しく笑う可愛らしい女の子なんだからさ」

 

「「!?//////」」

 

……やべ、ちょっとキザッぽかったか?少しカッコつけて言ってみたが引かれたらどうしよ……あれ?なんか二人とも顔真っ赤にしてプルプルしてるけどどうし……

 

「うわあぁんッ!!やっぱり玲二くんスッゴく優しくてカッコいいーーーッ!!///」バッ!

 

「やっぱりヒナ、玲二くんの事大好きだよぉーーーッ!!///」バッ!

 

「どわあぁッ?!」ドサァッ!

 

いきなり二人が真っ赤になりながらも満面の笑みで俺に飛び付いて来て思わず尻餅をついてしまった。てか大好きってお前等、まだそんなに親しくない男に気を許しすぎじゃねぇか?!こんな所誰かに見られたら……

 

―バアァンッ!!―

 

「レイくん大丈夫!?白上が助けに来ま…した…よ………レイくん?一体何をしてるんですかねぇ?」

 

「あ……(終わった)」

 

突如部屋の扉が勢いよく開けられフブキ達が入ってきて現状をバッチリ見られてしまった……はぁ、話長くなりそうだな。

 

 

 

それから三時間程俺はフブキを初め皆から問い詰められ最終的に俺が晩御飯に全員(ヒメヒナ含む)焼き肉に連れていく事で許してもらった。この間の全員デートで減った分回復したばっかなのに……(泣)

 

 

 

 

 

 

 

 

―それから四日後―

 

「なぁフブキ、いい加減機嫌直してくれよ」

 

「ふーんだ、白上の事ほっといてヒメヒナちゃん達といちゃついてた誰かさんなんか知りませんよーだ」

 

あれから四日たった今でもフブキの機嫌は直ってなかった。まあ、デートが台無しになった挙げ句ヒメヒナの所には週一で行く事になったんだから仕方はないが、このままだと仕事にも支障が出るからな……しょうがないか。

 

「フブキ、この間のデート台無しになった分、お詫びという訳じゃないが次の休みの日に二人で日帰り温泉でも行こう、な?」

 

「……本当ですか?」

 

「あぁ、約束する。二人で久々にゆっくりしよう」

 

「……しょーがないですねぇ~♪次はちゃんと約束守って下さいね?」

 

ほ……良かった、フブキの機嫌が戻ってくれた。さて、それじゃあ仕事に戻るとするか。

 

「あ、佐々木さんちょっといいですか?」

 

「ん?どうしたAちゃん」

 

「あの、実は……先程から佐々木さんとコラボ配信をしたいという電話が殺到してまして」

 

コラボ配信?なんでまた急にそんな電話が?

 

「どうやら昨日投稿されたヒメヒナさんの動画に佐々木さんが一緒に出てたのを見て自分達とも一緒に配信したいという娘が沢山いるみたいで……」

 

「………因みにそれって何処からだ?」

 

「えと……にじさんじにハニスト、.LIVEにのりプロと、後は個人ではおめシスさんと猫宮ひなたさんと富士葵さん等ですね」

 

……なんで?何ヵ所は仕事の関係で顔見せ程度にしかあったことないし、知らない娘の方が多い。特におめシスなんて絶対に面白半分で電話してきただろ?

 

そう考えていると何やら不穏な空気を感じ、後ろを振り向くとさっきまで上機嫌だったフブキがまた不満そうに頬を膨らましプルプルと震えていた。

 

「お、おいフブキ?大丈「うっさいレイくんのバーカバーカ!!もう知らないもんうわあぁんッ!!」あ、おいフブキィッ!?」

 

フブキはそのまま半泣き状態のまま事務所を飛び出し、その後数日間まともに口をきいてもらえなかったがその後に日帰り温泉に連れていくといつもの上機嫌なフブキに戻ってくれた。はぁ、ホント女心ってめんどくさいな………

 




はい、という事でヒメヒナのお二人でした( ≧∀≦)ノ
この二人はホロメン並みに好きなので書けて満足です(^o^)
最近少し組み合わせにネタ切れが起きてしまい、次誰を出すか全く考え付きません( >Д<;)
それでもしこの子出してというのがあれば(JPホロメン限定で)コメント欄に書いて頂けたら有難いです。
それではまた次回お会いしましょう( ゚∀゚)ノシ


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第10話『マスターの看病はボクにおまかせ』

最近この小説書いてるとふとこの話にガンプラっているか?って思ってしまったんですが知り合いからHGに恋するふたりって漫画も其処までガンプラ工作描写少ないからいいんじゃね?って言われたので吹っ切れる事にしました(^^;

今回はあの高性能?な娘の話です。毎度の事ながら楽しんで頂けたら有難いです、ではどうぞ( っ・ω・)っ


―…ピピッピピッピピッ―

 

「……38.9度」

 

完全に風邪引いた。此処の所雑務に追われて体調管理が不十分だったのが原因か体調を崩してしまった。数年前なら解熱剤飲んで仕事に行ってたが今はご時世的な理由でそれも出来ない。

 

Aちゃんからは例のウイルス検査するためのキットを配送するから結果がわかり次第連絡を下さいと言われたが、それまでやることがない……

 

積みプラでも作ろうかと考えたが頭がフラフラして出来そうにもない。もう大人しく寝てるしかないか……

 

 

―ピンポーンッ―

 

「……誰か来たのか?」

 

もしかして検査キット持ってきてくれたスタッフか?ならそのまま玄関の郵便受けに入れて帰る筈……なら新聞の勧誘かなんかだろ、生憎俺は風邪で出れませんよー。

 

―カチッガチャッ!―

 

「……は?」

 

おい待てなんか鍵開かなかったか?おかしいだろホロメン達の持ってる鍵はもう使えないし今の家の鍵は全部俺が持ってるんだぞ?しかも足音がこっちに向かって来るし、一体誰が……

 

 

 

 

 

 

 

―ガチャッ!―

 

「はろーぼーマスター、ロボ子が看病しに来たよ~♪」

 

「ってお前かい?!ゴホッ!ゴホッ!」

 

寝室の扉が開き入って来たのは自称高性能ロボットのポンコツ娘ロボ子だった。てか一体どうやって入って来たんだよ?!

 

「お、お前一体どうやって鍵開けたんだよ……?」

 

「えへへぇ、Aちゃんが検査キット届けるって聞いたからボクが代わりに届けるって言ったら鍵貸してくれたんだよね~」

 

……そうだった、Aちゃんには何かあった時用にスペアキーを一つ預けてたんだった。にしてもなんでアイドルに検査キット届けさせてんだよ?!

 

「お前、一体何考えてんだ?!俺がもし新型ウイルスに感染してたらお前にも……」

 

「かかるわけないじゃんマスター。ボクはロボットだから人に感染するウイルスも効かないよ。それに万一マスターが感染しててもボクその後に全身消毒すればいいし」

 

……それもそうだった。こいつ普通に飯食うし風呂に入ったりするしトイレとかもするけどれっきとしたロボットだったっけ?どう見ても人間と変わらんからたまに忘れる、ポンコツだしな。

 

「とにかくマスターは検査キット使ったら安静にしててね、後はボクが看病してあげるから♪」

 

「……不安で仕方がないんだが……お前に看病なんて出来んのか?」

 

「あー酷いよマスター、ボクは高性能なんだから看病ぐらい朝飯前だよ~♪」

 

まだ言うかこのポンコツは……ダメだ、熱のせいで思考が上手く働かない。此処はもう不安だがこいつに任せて寝るしかないか……

 

「……わかった。とにかく検査したらもう一眠りするから後は任せた」

 

「まっかせてよマスター!」

 

俺が任せるとロボ子は自信満々に胸を張る。本当に大丈夫かこいつ………

 

 

 

 

 

 

「……よし、マスター寝たね?それじゃあボクも早速準備しよっと」

 

玲二が寝たのを確認したロボ子は再び玄関に戻り其処から何やら大量の荷物をリビングへと持ち込んで行くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―その頃、事務所―

 

「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁんッ!!白上もレイくんの看病に行きたいよぉーーーッ!!なんでロボ子さんは良くて白上はダメなんですかーーーッ?!」

 

「しょーがないよフブキ、もしレイさんが例のウイルスに感染してたらウチ等が危ないし。そういった意味でも行けるのはロボ子先輩だけなんだから」

 

「こうなったら白上も全身ロボットになってやるうぅぅぅぅぅッ!!」

 

「落ち着いてフブキちゃん早まらないで!?」

 

「よ、余は鬼だからそんな病気効かないから行こうかな「この間鬼人族の人達が四人感染したってニュースで言ってたけど?」……しょぼーん」

 

玲二が風邪を引いたと聞いたホロメン達がやんややんやと騒いでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―数時間後、佐々木宅―

 

「………んぅ、ふあぁ…少し楽になったか?」

 

「あ、おはようマスター、身体の具合はどう?」

 

俺が目を覚ますとタイミング良くロボ子が部屋にお粥を持って入って来た。なんかエプロン姿が様になってるな。

 

「ん、少し楽になったと思う。それよりもロボ子、それってお粥か?」

 

「うん、冷蔵庫にあった有り合わせで作ったんだ。栄養をつけないと治る物も治らなくなっちゃうよ」

 

ロボ子はそう言ってミニテーブルの上にお粥と野菜ジュースを置く。お粥はシンプルな卵粥で、ほんのり鶏ガラの匂いがする。試しに一口食べてみると普通に美味しかった。

 

「……旨い」

 

「ホントぉ?良かった~♪」

 

「……これ、本当にお前が作ったのか?」

 

「そうだよ~、卵とネギと鶏ガラと、後は柚の皮と生姜を入れたボク特製栄養満点の卵粥だよ♪」

 

……意外だ、こいつ普段の行動や配信での言動でやらかす事が多いから私生活もポンコツだと思ってたが、意外とこういう事は得意なんだな。

 

 

 

 

 

それからお粥を食べ終わった俺はロボ子に身体の汗を拭いてもらっている。なんかまるで介護されてるじいさんみてぇだな。

 

「マスターどう?痒い所とかない?」

 

「あぁ、大丈夫だ」

 

「そっか、ならこれで終わりだね」

 

「ん、ありがとなロボ子」

 

「どういたしまして♪」

 

身体を拭き終わりロボ子は俺に寝間着を着せてくれる。こいつ本当はしっかりしてんだな。

 

「あ、そうだ。今日はマスターにプレゼントがあるんだ」

 

「プレゼント?珍しいなお前が俺にプレゼントなんて」

 

「ふっふっふ~♪取り敢えず見せたいからリビングに来てみてよ」

 

「?」

 

リビング?なんでわざわざリビングなんだ?此処でくれればいいだろ。けどロボ子はさっさとリビングに行きやがったし、仕方ないからついて行くか。

 

 

 

 

「なんだこりゃ……」

 

「どう?ボクからのプレゼント『ガンプラ工作ルーム』だよ♪」

 

リビングにやって来ると其処は既に俺の知ってる自宅のリビングではなくなっていた。部屋の壁紙がまるでホワイトベースをイメージしたような白くメカニカルなものになっており部屋の片隅には今までなかった塗装ブースとその隣に小型ショーケースに入って並ぶ塗装道具のエアブラシの数々、更には壁の一部にヤスリや接着剤、ニッパーにドライバーにピンバイス等の工具が量販店並みにずらっと並んでいる。よく見たら塗装ブースの上に今まで使った事のないような塗料がたくさん収納されている。一体いつの間にこんな……

 

「えへへ~♪マスターが寝ている間に改造してみたんだぁ♪」

 

「……お前やってくれたな」

 

よくこんな短時間でイベントブースみたいな作業部屋に改造出来たな。一体何処をどうしたら普通のリビングをこんな作業部屋に改造出来るんだ?しかもちゃんとテーブルやソファーにテレビもあって普通に生活出来るし。

 

「……まぁ、やってしまったもんは仕方ねぇか。ところでお前、どさくさに紛れてカメラとか盗聴器とか仕込んでねぇよな?」

 

「もうマスター、あんな事は二度としないよボクを信じてよ」

 

「前科があるから信じられんのだが?」

 

「あ、あはは~……ごめんなさい」

 

俺の指摘にロボ子は笑って誤魔化そうとするが、前回出禁になったのを思い出したのか直ぐに謝ってきた。どうやらこの様子だと本当にカメラとかは仕掛けてないみたいだな……ん?

 

「おいロボ子、部屋の片隅にあるあのカプセルなんだ?」

 

俺は部屋の片隅にある薄水色のカプセルに目がついた。どうやら開閉出来て中には何か収納出来そうなスペースがあるが、一体なんだ?

 

「あ、あれ?あれはボクのカプセル型のベッドだよ♪」

 

「おいちょっと待て何ちゃっかり住み着こうとしてんだよ?」

 

こいつしれっと自分のベッドを人のリビングに設置しやがった。てか何でだよ自分の家に置けよ。

 

「いや~それがねぇ、ボクの住んでた場所が取り壊されてしまう事になったんだよね~」

 

「はぁ?!なんでそんな急に……と言うか取り壊されるって一体何処に住んでたんだよ?」

 

「………マスターと出会った場所」

 

ん?俺と出会った場所………………ッ?!お前まさか!?

 

「お前、まさかずっとあの“廃墟”で生活してたのか?!」

 

「……うん、そうだよ。だって彼処は……ボクが“ボク”になれた場所、ボクがマスターと出会えた 大切な思い出の場所だから」

 

大切なって思い出ってお前……確かに彼処は俺とロボ子が出会った場所だが……それと同時にあの場所は“ロボ子が捨てられていた”場所だぞ?!それを思い出の場所って言ってずっと住み続けていたのか……

 

「それであの廃墟が解体されるから住む所がなくて、今は事務所の片隅で寝泊まりさせてもらってたんだけど流石にずっとは居られないから何処かないかなって思って。もしかしたらマスターならボクを迎えてくれるかなって思ってたんだけど、やっぱりダメ、だったよね……」

 

……ったく、お前本当にロボットか?そんな涙目になるんじゃねーよ、仕方ねぇな。

 

「……わかった、取り敢えず暫くは居座ってもいい。但し、一ヶ月以内には新しい家を探せよ」

 

「!ありがとうマスター!」

 

一ヶ月間の居候を許すと言うとロボ子は嬉しいのか俺に飛びついて来た。お前こっちは病人なんだからかんがえろよ?!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―その夜―

 

あれからマスターは薬も飲んでぐっすり寝ている。明日には検査結果が出るけどこの様子だと多分陰性だよね、良かった……

 

ボクもそろそろ寝ようかな……おやすみ、マスター……

 

 

 

その日、ボクは夢を見た。ボクがマスター『佐々木玲二』と出会ったあの日の夢を……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―五年前の記憶、廃墟―

 

 

 

 

 

―……ピピッ……キュイーン……ピッピッピッ……―

 

『Reboot』

 

「……あ、レ?ボ、Kuは…いっ体……」

 

あの日、ボクは瓦礫の上で目覚めた。その時はどうして自分が此処にいるのか、そもそも自分が今まで何をしていたのかも理解出来ずにいた。

 

それに身体が動かない……首をなんとか動かし自分の身体を確認するとこの身体が傷んでいるのが見えた。右側の手足は傷跡が多く、所々人工皮膚が剥がれ内部フレームが見え、左側に至っては足は太ももより下が、腕は肩から下がなくなっており代わりに其処から何本か千切れたケーブルが出ていた。

 

どうやらボクはロボットで廃棄された後に何かが原因で再起動されてのだろう。だけど再起動される前の記憶がない……恐らく記憶回路もやられてしまったみたいだ……それに再起動してもこんな朽ちた身体じゃあどうする事も出来ない。このまま残されたエネルギーが切れるのを待つしか出来ない。ボクは直ぐに諦めた、そんな時だった……

 

「……ん?なんだこれ……ロボットか?」

 

「……エ?」

 

瓦礫が連なる廃墟の片隅に捨てられていたボクの元に一人の青年がやって来た。どうしてこんな所に人が……

 

「…あ…Aな、たハ …だ、dAダレ…です……Ka…?」

 

「うおッ?!喋った!?……でも壊れかけてるみたいだな……おーい誰か手伝ってくれ!」

 

青年はボクが喋ると驚いてたけど、ボクが壊れる寸前だと理解すると他の人を呼んでボクを何処かに運び込んだんだ。この時は廃棄処分されるんだと思ってたけど……

 

 

 

 

 

 

「破損していたパーツもすっかり直ってる。新しい腕も足も問題ないな……よし、もう大丈夫だ!」

 

「ホントか?!良かったなお前!」

 

「…………………………」

 

あれから青年は知り合いの機械修理屋にボクを連れていって数日間かけて完全に直してくれた。失くなっていた手足も新しい物になり人工皮膚も全て一新し新しいボクに生まれ変わってたんだ。

 

そして彼は修理屋にお礼を言うとボクを公園に連れてベンチに座って一息ついていた。けど……

 

「……どうしてボクなんかを助けたの?」

 

「ん?どうしたんだ急に」

 

「急にじゃないよ。どうしてボクなんかを助けたのさ?あのままほっといてくれればボクは何も考えずに機能停止できたのに……」

 

そう、ボクは彼がなんでボクを助けてくれたのか全く理解出来なかった。あのまま放置していればボクも静かに停止出来たし、彼だってボクを直すのに多額の支払いなんてしなくて済んだのに……

 

「なんでって……彼処で見捨ててたら後味悪いって言うか、まぁ単純にほっとけなかったってだけだ」

 

……何それ?そんな理由でボクを助けたのこの人?ひょっとしてバカなの?

 

「バカみたい、そんな理由でボクを助けるなんて……」

 

「まぁ、確かにな。でもお前……あぁ、ずっとお前って言うのもなんか悪いな。仮に“ロボ子”って呼ばせてもらうわ。あの時ロボ子を見捨てたら俺絶対後悔してた」

 

「後悔?なんでさ?」

 

「だってお前……あの時泣いてただろ?」

 

「?!」

 

泣いてた?ボクが?そんなわけない、だってボクはロボットだよ。ロボットが泣くわけないじゃん。

 

「……バカじゃないのお前、ロボットが泣くなんてあるわけないじゃん」

 

「そうか?そう見えたんだけどな……てかロボ子、お前今も泣いてんじゃん」

 

「え………?!」

 

な、泣いてる……どうして?ボクはロボットだよ?!どうして泣いてるのさ?!意味が分からない!!

 

 

 

……いや、ホントは分かってる。あのまま誰にも見つからず壊れていくのが……折角目が醒めたのに見えるのが薄暗い瓦礫が積まれた廃墟だけだなんて……もっと外の世界を見たかった、自分の足で歩きたかった。でもそれが出来ないと思うとあの時は悲しくて泣いていたんだ。そして今は、そんなボクの願いを彼が叶えてくれて嬉しくて泣いてしまったんだ。そして……

 

―ギュッ―

 

「え?ど、どうして……」

 

「……なんとなく泣いてた理由が分かった。お前、本当は怖かったんだな。あんな廃墟に身動きが取れないまま死んでくかもしれないなんて思うと誰でも嫌だもんな。けど大丈夫だ、お前はもう自由なんだ。これからはお前が、ロボ子がやりたいように生きろ」

 

「……う、うぅ……うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあんッ!!!」

 

ボクの気持ちを理解した彼はボクをギュッと抱き締めてくれて頭を撫でてくれた。そしてボクは心の中に溜まっていた思いが爆発して人目を気にせず大泣きしてしまったんだ。今思い出すと少し恥ずかしい……///

 

 

 

それから彼はボクを自分が働いているホロライブプロダクションを紹介してくれてボクに居場所と仲間をくれたんだ。因みにあの時なんで彼が廃墟にいたのかと言うと、どうやらそらちゃんの新曲MVの撮影場所を探していて其処で偶々ボクを見つけたらしい。本当に凄い偶然たったんだなぁ……

 

 

そして彼はボクにちゃんとした名前を考えないとって言ってたけど、その必要はない。

 

 

だってボクには彼が、新しいマスターである佐々木玲二がくれたロボ子っていう大切な名前があるんだから。

 

これがボクとマスターが出会った時の思い出、絶対忘れないボクの宝物だよ♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―数日後―

 

あれから検査結果も出て無事陰性反応が出て四日ほど療養期間を終えて漸く復帰する事が出来る。本当にこの数日間辛かったな……

 

「いやぁレイくんが無事復帰して白上一安心ですよ~♪」

 

「うん、フブキちゃん玲二君に会いたいからって全身ロボットになろうとした時はどうなるかと思ったけど」

 

「そらちゃんそれは内緒にしてよぉ~///」

 

その復帰前日にフブキとそらが見舞いに来てくれたんだがどうやらフブキは俺がいない間散々騒いだみたいだな。こいつ本当に俺がいなくなったらどうすんだよ?

 

「そんな事よりロボ子さんズルいよ!白上もレイくんと一緒に暮らしたいのにぃ!」

 

「うん、確かにちょっとズルいかなぁ」

 

「ごめんねぇ、でも新しいおうち見つかるまでの間だから許してね」

 

「むぅー!こうなったら白上も引っ越しします!その間レイくん白上を居候させて下さい!」

 

「ダメに決まってんだろ引っ越すなら決めてから引っ越せや」

 

「むぅーーーーッ!!」

 

なんで引っ越し先決めずに部屋解約するんだよ。でもこのままじゃこいつまたうるさくなるしなぁ。仕方ねぇ、またお泊まりで勘弁してもらうか。

 

 

その後結局フブキとそらを泊めた事によりホロメン達が一ヶ月かけて入れ替わりでお泊まりする事になったのは言うまでもない。




はい、という事でロボ子さんの回でした!これで0期生は全員メイン回出来ました!

ガンプラ作らずの回は番外編以外では初になりました( >Д<;)

次回はちゃんとガンプラ作ります。次回は何やら平たい組み合わせが……気長に待って頂ければ有難いです、ではまた( ゚∀゚)ノシ


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第11話『天使と死霊の円舞曲』

最近暑くて夏バテ気味です……( ´Д`)
皆さんも小まめな水分補給を取って下さいね。

今回はリクエストにありました二人組です。
この組み合わせは難しかったので色々と考えてみましたが、楽しんで頂けたら有難いです、ではどうぞ( っ・ω・)っ


風邪を引いてその後復帰してから一週間が過ぎた頃、漸く休んでた間の仕事の遅れを取り戻し通常の業務に戻る事が出来た。これもロボ子の看病のお陰かな、あいつもやる時はやるんだな。

 

さて、そんな俺はいつも通りパソコンとにらめっこしながら新しいイベントの企画書を纏めているんだが……正直に言うと全然集中出来ない。それは何故かと言うと……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―じーーーーーーーーーーー……―

 

(……めっちゃ見られてるんだが?)

 

そう、さっきから俺のディスクの横で顔を目の所まで覗かせずっとこっちを見てくる二人のせいだ。視線が物凄く気になって仕方がない。用があるなら声を掛ければ良いのに……

 

「「じーーーーーーーーーーー」」

 

(もう口でじーって言ってるし……わからん、一体何がしたいんだこいつ等? )

 

てか口でじーって言う奴いるんだな。だがこのままじゃ集中出来ないし、そろそろ声掛けるか。

 

「………るしあ、かなた、さっきからお前等何してるんだよ?」

 

「あ、やっと話しかけてくれたのです」

 

「もぉ、玲二君僕達の事気づいてくれてないかと思って心配したじゃん」

 

俺は横にいた緑髪のお団子ヘアーの少女『潤羽るしあ』と頭に手裏剣のような天輪を付けてる天使『天音かなた』に声を掛けると二人は嬉しそうに俺の横に来る。てか気づくわ普通に。

 

「……んで、お前等は何の用があって来たんだ?まさか仕事の邪魔をしに来た訳じゃねぇだろうな?」

 

「そんな事しないのです。そんな事したら玲二さんに嫌われてしまうのでやらないのです」

 

「そうだよ玲二君、僕達は今日のお泊まり会の話をしたくて来たんだよ」

 

お泊まり会……あぁ、ロボ子の居候がきっかけでホロメン達が交代でお泊まりする事になってたっけ?(前話参照)

と言う事は今回はこの二人か、珍しいコンビだな。

 

「随分珍しい組み合わせだな、てっきりるしあは宝鐘とかと一緒に来るかと思ったんだが」

 

「それがマリンは今日予定があるからってるしあとかなたんにこれを渡して帰っちゃったのです」

 

「だから今日はるしあちゃんと一緒に玲二君とこのガンプラを作りたいなって」

 

宝鐘がガンプラを二人に?珍しい事もあるんだな。で、肝心のキットは……かなたが『MGウイングガンダムゼロEW Vr.Ka』でるしあが『MGガンダムデスサイズヘル EW』か……どっちもイメージに合ってるような合ってないような感じだな。

 

 

『MGウイングガンダムゼロEW Ver.Ka』

『MG ガンダムデスサイズヘル EW』

新機動戦記ガンダムW Endless Waltzにて登場したヒイロ・ユイとデュオ・マクスウェルの機体。

ウイングゼロにはまるで天使の羽のようなウイングバインダーと言う装備とこのガンダムの代名詞とも言えるツインバスターライフルが特徴である。更にはこのVer.Kaには従来のウイングゼロには無かったネオバード形態にも変形が可能である。一時期は品薄になるほどの人気の機体だったが最近少しだけ入手しやすくなったな、俺もこの間買えたし。

デスサイズヘルはその名の通りまるで死神のような姿をしていてメインの武器もビームサイズと言う鎌状のビーム兵器を使用し、更にはハイパージャマーと言うステルス機能を用いて敵に気づかれる事なく懐に潜り込み仕留めると言うまさに死神のようなガンダムである。まぁ、劇中じゃあ結構ゴリ押しの接近戦法が多かった気もするが。

因みにこの二機は一番最初のキットではそれぞれカスタムと名前に付いてたが今はもうそれはない。理由は後に説明しよう。

 

「凄いな二人して結構なレアキットを……ウイングゼロは再販されたけどデスサイズヘルってなかなか見かけないぞ。宝鐘の奴何処で手に入れたんだ?」

 

「そうなのですか?マリンがるしあとかなたんにはぴったりって言ってくれたのです」

 

ぴったり?確かに天使と死神……と言うか死霊使いと言う意味では確かにそうだが……なんか違和感があるな。なんなんだこの違和感は?

 

 

 

 

 

ガンダムW……Endless Waltz……敗者たちの栄光……敗者………そういう事か。

 

 

 

 

 

 

「?どうしたの玲二君?」

 

「……いや、何でもない」

 

俺は本当の事を言おうと思ったが二人のある部分を見てこれは本人達には黙っておく事にした。にしても宝鐘の奴分かりにくい事しやがって。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―その頃―

 

「そういやマリン、るしあとかなたんにガンプラあげてたけどどういう風の吹き回し?」

 

「いやぁ、あのガンダム達が出てる作品は敗者たちの栄光って言ってね、るしあとかなたんには是非とも自分達がホロメンの中でお胸が敗者だって事を自覚してほしいなーって♪」

 

やっぱりまともな理由でプレゼントをしてなかった宝鐘マリンであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―その後佐々木宅―

 

仕事を終えてるしあとかなたを連れて帰宅した俺は直ぐ様手洗い等を済ませてガンプラを作る準備に取り掛かる。新しいリビングになってから初めて来た二人はずらっと並ぶ工具に興味津々で目を輝かせている。俺も使ってみたがかなり良かったし、これには本当にロボ子に感謝だな。(因みにロボ子はロケで家を出ている)

 

「凄いのです!今まで使った事のない道具がいっぱいありますね♪」

 

「これなら十分凄いのが作れそう!早く作ってみたいなぁ♪」

 

どうやら二人とも気に入ってくれたみたいだな。よし、それじゃ早速作成しますか。

 

「よっしゃ、それじゃあ作っていくか」

 

「はいなのです……あれ?玲二さんも作るんですか?」

 

「ん、俺もこの間ウイングゼロ買ったからついでに一緒に作ろうと思ってな」

 

「おぉー!じゃあ僕と玲二君お揃いだね♪」

 

「………ズルいのですかなたんだけ。るしあも玲二さんとお揃いのガンプラ作りたかったのです……」

 

……ヤバい、るしあの病みモードが発動しちまったか。こうなったら早めに対処しないと厄介な事になっちまう。昔一度監禁されかけたし、さっさと対処するか。

 

「るしあ済まんな、今デスサイズは手元に無いし、そろそろ俺もウイングゼロを作りたかったんだよ。るしあとはまた今度同じガンプラ作ってやるから今日は勘弁してくれ」ナデナデ

 

「ん……///しょうがないですね、次は必ず、なのですよ♪」

 

「………むぅー」

 

るしあを落ち着かせる為に頭を撫でてやるとペットのように気持ち良さそうにし機嫌が直っていく。が、今度はかなたの方が不満そうに頬を膨らましていた。いや、どうすればいいんだよ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―それから数時間後―

 

あれから俺達はそれぞれのガンダムを自分のオリジナル機にする為一度仮組みを行っていた。

仮組みとはその名の通り一旦簡単に素組をしてその後この仮組みをしたパーツを分解して塗装等を行う。

多少めんどくさいかもしれないがこれをする事で本組みをする際に塗装や合わせ目消しがやり易くなるので大事な事だ。

 

「……あれ?」

 

「ん、どうしたかなた?何か足りないパーツでもあったか?」

 

「う、ううん違うの。只このウイングゼロカスタムにシールドが付いてるのにちょっと驚いちゃって」

 

あぁそういう事か。確かにVr.Kaにはシールドが新設されてこれによってネオバード形態が可能になったもんな。にしても……

 

「かなた、お前EW版の事カスタムって言ってるんだな」

 

「え?玲二さんはカスタムって付けないのですか?」

 

「そうだよ、だってこのウイングゼロとデスサイズヘルってカスタム機じゃないの?」

 

「は?」

 

「「え?」」

 

………もしかしてこいつ等勘違いしてないか?仕方ない、説明するか。

 

「あのな二人とも、別にこいつ等はTV版からEW版の間でカスタムされたからこの姿になった訳じゃねぇぞ」

 

「えぇ?!そ、そうなのですか?!」

 

「え、じゃあこの二体は一体なんなの?」

 

「姿は違うけど設定上はTV版と同一機だ」

 

「「えええぇッ?!!」」

 

やっぱり勘違いしてたか。まぁ、詳しく知らないとそう思うのは無理はないな。

 

Endless WaltzはTV版の一年後の後日談と言う設定だが、正確にはTV版とはパラレルワールドの世界となっている。因みにTV版のガンダム五機の機体デザインは大河原邦男氏が、EW版はカトキハジメ氏がデザインしており、Ver.Kaとはカトキ氏の手掛けたデザインという意味だ。更に余談だがEWの前日談にあたる敗者たちの栄光ではTV版のウイングゼロがプロトゼロとして登場する等の後付け設定もある。

 

「だからこの二体を含むガンダムWのガンダム達はカスタム機ではないんだよ、カスタムだと改修されてる事になるしな」

 

「そ、そうだったんだ。最初中古で古いウイングゼロ買った時カスタムって付いてたから改造されたんだと思ってた……」

 

「るしあもなのです……」

 

まあ知らないとそう思ってしまうよな、俺も最初そうだったし。因みに俺はウイングゼロだとEW版が好きだがウイングガンダムだとTV版が好きだ。だからこの間のRGは本当に嬉しかったな。

 

「さ、そんな小話はこれくらいにして、さっさと今日は仮組みを終わらせようか。明日はエアブラシを使って初塗装したいしな」

 

「は、はいなのです」

 

「はーい」

 

雑談も多くなってきたので此処からはパッパと作業を進めて行くとしよう。塗装と本組みは明日でもするとしよう。

 

こうして仮組みを終わらせていく三人であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―深夜―

 

仮組みを終えて晩御飯も終えた玲二は寝室で、るしあとかなたはリビングで布団を敷いて横になっていた。しかし、二人はまだ寝ておらずスマホを弄ったりして眠気が来るまで暇潰しをしていた。

 

「……ねぇるしあ先輩、ちょっと聞いて良いですか?」

 

「ん?何かなたん」

 

「るしあ先輩って、何で玲二君の前だけ昔みたいな喋り方してるんですか?別に玲二君だって普段のるしあ先輩を知らない訳じゃないし、態々そんな喋り方しなくても……」

 

「……うん、でもねかなたん。るしあは玲二さんの前だけでもあの喋り方でいたいの。多分皆からは猫被ってるって思われてるかもしれないけど、るしあが玲二さんといる時だけはあの喋り方でい続けたいの………」

 

るしあはかなたから玲二に対する喋り方を指摘されるも本人は直す気はなく玲二といる時はあの喋り方を続けると言う。よっぽど大切な何かがあるようだがるしあはそれ以上語ろうとはしなかった。

 

「……そうですか。すみません、急に変な事聞いてしまって」

 

「ううん、それは良いよ別に。ところでなんだけど……」

 

「はい?」

 

「かなたんこそ玲二さんの前で非力アピールはどうかなって思って……普通にスチール缶握り潰した所見られたんだから無理があると思うけど」

 

「それ今言う?!あの時玲二君に見られてずっと恥ずかしかったんだから思い出させないでよおぉーーッ!!」

 

逆にるしあから握力の事を指摘され顔を真っ赤にして怒るかなたであった。と言うよりまだ握力上がっとるのかこの握力ゴリラは?(本小説設定です、リアルは知りません)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―翌日―

 

何だか昨日の夜騒がしかった気もするが取り敢えず朝食も終えていよいよ塗装作業へと入るとしよう。

 

俺達はそれぞれの機体の部品を超音波洗浄器で洗い(これもロボ子が持ってきた)乾燥を終え、サフも噴いたのでこれからそれぞれパーツを塗装していく。折角エアブラシも手に入れたし今回はこれ等を使って塗装しよう。

 

「それじゃあ早速俺から塗るか、使う塗料は……お、偏光塗料か。面白そうだからこれ使ってみるか」

 

偏光塗料とは見る角度によって色が変わって見えるという面白い塗料だ。確か○本プラモデル部の副部長さんがよく使っている塗料でもあった筈、今回は黄色にはメタリックプリズムムーンゴールドシルバーを、赤をプリズムメタリックレッドパープルレッドゴールド、更に青はプリズムメタリックブルーバイオレットにして白は純粋にクリアパールを噴こう。後どうでも良いけど名前長いなこの塗料……

 

「さてと……」

 

「?玲二さん何を塗料に混ぜたのですか?」

 

「ん、これか?これは希釈液って言ってこの溶剤で塗料を希釈しないとエアブラシの中で詰まってしまって思い通りに塗れないんだよ」

 

そう、俺も昔イベント会場で初めてエアブラシを使った時この希釈液を入れないで塗装しようとした結果上手く塗る事が出来ず失敗に終わった苦い経験がある。初めてエアブラシを使う人は希釈液も忘れずに購入しような。

 

「塗料と希釈液の割合は塗料にもよるけど大体1:2か1:3くらいだな。よし、それじゃやってみるか」

 

こうして俺は人生で二度目のエアブラシで塗装をする……おぉ、めっちゃ綺麗に塗れる!これはかなり期待大だな!

 

 

 

―二時間後―

 

「やっとるしあの番なのです!何色使ってみようかなぁ~?」

 

俺の塗装を終えて次はるしあが塗装する番になった。るしあは塗料一つ一つを見ていき、そしてその中から真っ黒な塗料が入った瓶を取り出した。

 

「るしあはこれに決めました!黒色無双なのです!」

 

黒色無双!?確かそれって一時期話題になった光が全く反射しない真っ黒な塗料じゃねーか!そんな塗料まであいつ揃えてたのか……

 

「それじゃあ早速塗るのです………………!!す、凄い!塗ったばかりなのにもう真っ黒なのです!」

 

嘘ォッ!?そんな直ぐに分かる程……ホントだ!?もう真っ黒になってる!しかも光が反射しないから吸い込まれるような黒さになってる、もう脳がバグりそうだ!

 

「よぉーし、この調子でどんどん塗っていくのです♪」

 

こうしてるしあはデスサイズヘルの黒いパーツを黒色無双で全て塗装していくのであった。

 

 

 

 

 

―二時間後―

 

「お、終わったのですぅ~……」

 

黒いパーツを全て塗り終えたるしあ。こうして見るとかなり異様な光景だな、まるで影しかねぇみてぇだ。

 

「あ、二人とももう終わったんだ?」

 

「あぁ、今るしあが塗装を終えた所だ。かなたも塗装するのか?」

 

「ううん、僕はもうダメージ加工とウェザリングを終えたから後は組み立てるだけだよ」

 

そう言うとかなたは処理を終えたパーツを俺達に見せてきた。かなり大胆な破損風のダメージ加工だな。というとこれはあのシーンの再現か?

 

「よし、それなら後は塗料が乾いたらトップコートを噴いて組み立てて完成させるか」

 

「「おー(なのです)♪」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―数時間後―

 

こうして三機のガンプラが遂に完成された。それぞれのガンダムを見ていこう。

 

『ウイングガンダムゼロ EW プリズムメタリックVr.』

まずは俺の作ったウイングゼロからだな。今回初めてエアブラシで、しかも使った事のない偏光塗料での塗装になったがこれは凄いな。全身がキラキラ輝いていて見る角度で色が変わって見える、これは自分の中では満点だな。

 

『ガンダムデスサイズヘル EW ハイパージャマーVr.』

続いてるしあのデスサイズだな。黒い部分が真っ黒になりまるでハイパージャマーを発動してステルス状態になっているような印象だ。只後でわかったがこの塗料、めっちゃ塗膜(塗った後の塗料の厚み)が薄く、ちょっとでも擦ると直ぐに剥げてしまう。更にトップコートを噴くと黒さが軽減されてちょっと残念だったな。

 

『ウイングガンダムゼロ EWラストシューティングVr.』

最後にかなたのウイングゼロだな。かなたは俺達と違って塗装はせずにダメージ加工とウェザリングを施し劇中での最後のツインバスターライフルでの射撃を見事に再現していた。特に右肩の破損なんてよく知ってたな。

 

「おぉー、玲二君のウイングゼロキラキラしてて凄く良いね♪」

 

「いや、かなたのウイングゼロもかなり良いぞ、劇中の名シーンを彷彿とさせる。るしあのデスサイズも本当にハイパージャマーを使ってるみたいで良いな」

 

「は、はい……でもトップコートを噴いたせいで黒さが弱まってしまったのが残念なのです……」

 

まあな、でもそれでもかなり良い作品が出来たから良かったじゃねぇか。俺は二人の頭を撫でてやると二人とも上機嫌ににへらと笑っていた。二人とも普段の配信だとあんなに騒ぎ散らしているのにこういう時は大人しいよな。

 

こうして俺達の初の本格塗装は上々という形で終わったのであった。

 

 

 

 

余談だがあのプリズムメタリックの塗料が1500円で黒色無双が2500円もするのにビックリした。本当にロボ子何処で仕入れて来たんだよ?




はい、という訳でるしあとかなたの二人組でした( ≧∀≦)ノ
この二人だけの配信がなくて本当に考えてしまいました( >Д<;)
次回はあのメイドとホロライブにも結構関わりのある男の娘がメインです。
また気長に待って頂けたら幸いです。それではまた( ゚∀゚)ノシ


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第12話『ご主人争奪戦』

最近プラモ買いに行っても売り切れな事が多いですよね……
単純に人気だからという理由なら仕方がないんですが半分以上が転売ヤーのせいと考えると悲しくなってきます(*T^T)
転売ヤーにデカイ顔させない為にもフリマサイト等の規律を厳しくしてほしいですね。

今回はあの駄メイドの回です、ついでにホロライブ以外からも何人か出てきます。
いつもながら楽しんで頂けたら有難いです、ではどうぞ( っ・ω・)っ


―ザアァーーーーーーーーーーーッ……―

 

「……雨、止まねぇな」

 

「そうだねぇ~……」

 

「何にもする事ないねぇ~……」

 

真夏も中盤に差し掛かった今日この頃、外は大荒れの状態である。最近晴れ続きだったのを取り戻すかのように大雨が降り続け、更には台風が近いせいで風も酷い。とてもじゃないが外になんて出れやしない状態に俺とロボ子ともう一人泊まりに来ていた奴がリビングでだらけている。

 

「ねぇご主人~、あてぃしお腹空いたよぉ~…」

 

「そう思うなら何か作れば良いだろあくあ……」

 

「無理、あてぃし料理なんて出来ないもん」

 

おい、それでもお前メイドなのか?俺はソファーに横たわってだらける駄メイド少女『湊あくあ』に目をやるとスマホを弄りながら欠伸をしていた。本当にお前の何処がメイドなんだよ?

 

「でもマスター、あくあちゃんじゃないけど今冷蔵庫には食材殆ど残ってないから何も作る事が出来ないよ」

 

「それなんだよなぁ……」

 

そう、今買い物にも行けないので冷蔵庫にはまともな食材が残ってなく、海苔と人参や玉ねぎしかない。頑張ってもヘルシーなサラダしか出来んぞこれじゃあ……

 

「はぁ、仕方ない。出前でも頼むか……ってもこんな天気だと来てくれるかどうか―ピンポーンッ―…ん?誰だこんな天気に?」

 

出前を頼むか考えているとチャイムが鳴った。こんな荒れた天気に誰が来たんだ?どっちにしろこんな天気だから勧誘とかはないだろうし、出てやるか……

 

 

 

 

「はいはい、一体誰ですかーっと……」

 

 

―ガチャッ―

 

 

「はぁいご主人様、わんたま~♪貴方の犬山たまきです―バタアァンッ!!ガチャッ!―

 

「マスター、今のなんだったの~?」

 

「んー、只の宗教の勧誘だったよー」

 

「ちょっとおぉッ!!何で閉め出すのさぁッ?!折角こんな雨の日に来てあげたのにこの仕打ち酷くないッ?!!」―ドンドンドンドンッ!!!―

 

ドアを叩くな喧しい!!折角何も見なかった事にしたかったのによぉ!!

 

全く、これ以上騒いで扉叩かれても困るし仕方ないからいれてやるか……

 

―ガチャッ……バタアァンッ!!―

 

「ちょっとぉッ!何で今閉め出したのさ?!こんな雨の中折角遊びに来てあげたのに!!」

 

「いや、予想外な人物だったのと俺の中で何か拒否反応が出て……」

 

「拒否反応ってなに?!そんなに僕の事苛めて楽しいのかよぉ!?」

 

別に苛めた訳でもないし拒否反応だって本当なんだから仕方がないだろう。俺は目の前でギャンギャン騒ぐメイド服を来た奴『犬山たまき』を見て溜め息をつく。可愛らしい顔つきだし一見女の子っぽいがこいつはれっきとした男である。本人曰く『男の娘』らしいが女装とは違うのか?

 

「うるさいから騒ぐなたまき、用があるならさっさと入れよ」

 

「もう、ご主人様ってばイケずだね♪ホントは僕に会いたかったのにこんな意地悪しちゃって♪「用がねぇなら出てけ」わあぁゴメンゴメン!ちゃんと用ありますから中に入れて下さいもう雨のせいで濡れて寒いんだよぉ!!」

 

本当に喧しいなこいつ。最近宝鐘に似てきてないか?まあ、それは良いとして……

 

「おいたまき、なんかお前荷物多くないか?段ボール何個かあるみたいたが……」

 

「うん、折角ご主人様の家に来たんだからお土産ないとね。お昼用に食材とご主人様が好きそうなガンプラ沢山持ってきたんだ♪」

 

おいマジかよ。食材は恐らく手に持ってるビニール袋だけだと思うからこの段ボール全部がもしかしてガンプラか?それは確かにかなり嬉しいが、かなり積みプラが増えてしまうな……まあ、取り敢えずリビングに持っていくか。

 

 

 

 

 

 

 

「あ、ご主人~、なんか騒がしかったけどどうし……なんでたまきくんが此処にいるの?」

 

「あ、たまきくんはろーぼー♪」

 

「あくあちゃんロボ子さん久しぶり~♪二人もご主人様の家に遊びに来てたんだ?」

 

リビングに戻って来るとあくあが俺の方を向くがその隣にいたたまきを見た瞬間物凄く嫌そうな顔をし出した。どうしたんだお前?

 

「うん、ご主人の家でお泊まり会してたんだよ……それよりたまきくん、いつまでご主人の事ご主人様って呼ぶつもりなの?」

 

「ん?別に良いじゃん呼んだって。僕にとってご主人様はご主人様なんだから♪それに僕はあくあちゃんと違って家事も出来るし、僕の方がメイドに相応しいんじゃないかなぁ?」

 

「ッスゥーーーーー………なにさ!あてぃしだってその気になれば家事ぐらい出来るもん!」

 

いや何を張り合ってんだお前?てかお前家事なんて壊滅的に出来ねぇだろ。部屋片付けろって言ったら逆に汚くなるし洗濯しようとしたら洗剤全部ぶち込むし。

 

「あくあちゃんが家事なんて無理でしょ?それに僕なら家事以外にも色々と出来るよ、例えば……夜の営みとかね♪」

 

「なによ!?そんなのあてぃしがやった方がご主人喜ぶに決まってるじゃん!オカマは引っ込んでてよ!」

 

「オカマじゃねーし!!男の娘って言ってんだろうが!!」

 

いやどっちでも良いわ。てかどっちとも夜の営みなんかする訳ねーだろ、ってかたまきは男だろ野郎と○る趣味なんかねーよ。

 

「ねぇマスター、ボクなら何時でもマスターの○処理してあげるよ♪」

 

「まるで人の考え読んだかのように入ってくんな、んなの誰も頼んじゃいねぇ」

 

全くこのポンコツは何考えてんだよ?目の前のバカ共もギャーギャー騒ぎながらキャットファイトしてるし……

 

「おいお前等いい加減にしろよ……」

 

「だってご主人このオカマがッ!」

 

「テメェまだ言うかこの駄メイド!」

 

―ブチッ―

 

「いい加減にしろってんだろうがゴルアァッ!!」

 

―ゴンッ!ゴンッ!―

 

「「イッタアアアアアアアァァッ!!!?」」

 

あまりの喧しさに久しぶりにキレてしまい二人の頭に鉄拳制裁を喰らわせた。以前のミコメットもそうだがこいつ等いい加減にしてほしいわ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―一時間後―

 

あれから漸く二人ともおとなしくなり俺達はたまきの持ってきた食材でうどんを作って昼飯を済ませた。その間もあくあとたまきはずっとにらみ合いを続けたままだったが、本当に何が気に食わないんだ?

 

「なあお前等いつまでそんなにらみ合いしてんだよ?」

 

「……たまきくんがご主人の事ご主人様って呼ぶの止めるまで」

 

「だから別にいいじゃんそんなの。何?もしかして自分のメイドと言うアイデンティティーが無くなっちゃうのがそんなに嫌なの?」

 

「それもあるけど!そもそもご主人って呼び方は元々あてぃしだけのものだったのに、なんでホロライブでもないたまきくんがご主人様なんて呼んだりしてんのさ?!」

 

そう言えばそうだな。あくあは自分の事メイドと言って俺に仕えるから俺の事をご主人って呼んでるけど、たまきの場合は仕事で何回か会う内にいつの間にかご主人様なんて呼ばれていた。一体なんでだ?

 

「あーうん……えっとね、最初は僕も仕事相手と思って接してたけど、玲二君の仕事に対する真剣な表情や上手くいった時に優しく誉めてくれたりしてく内に何だかとても体が火照ってきてあぁ、そうかこの人が僕のご主人様なんだなって思えて思わず僕のお尻とバベルの塔が疼いてきて」

 

「お前今まで仕事してる時そんな事考えてたのかよ?!」

 

何か深い意味があるのかと思ったら只の変態じゃねぇか!後何度も言うが俺にそっちの気はねぇ!!

 

「マスター……ボクはマスターが本当に幸せになってくれるならそれで良いんだけど……流石に男に手を出すのは」

 

「出すかよ!?」

 

男に手を出したなんて言ったらもう父さん母さんに顔向け出来ねぇよ!

 

「ほら見なよ!ご主人だって迷惑してるんだからたまきくんはご主人から身を引いてよ!」

 

「グググ……!そ、それでも僕は諦めないよ!だってなんだかんだ言ってご主人様と僕は結構仲良いんだから!」

 

確かに変態発言とかはともかく普段の仕事やプライベートでは割りと仲良くしてるな。今日の変態発言で引いてるけど……

 

「こうなったら……あくあちゃん、僕と勝負しよう!この勝負で勝った方がご主人様の真のメイドという事でどう!?」

 

「勝負?一体何で勝負するの?」

 

「決まってるじゃん、ご主人様と言えばガンプラ!なら此処はガンプラで勝負といこうよ」

 

「ッスゥーーーーー……が、ガンプラ勝負ですか…」

 

おい何だそのしょうもない賭け事?しかも流れ的にガンプラで勝負になってるが良いのか?あくあは丁寧に作る分めっちゃ遅いから時間掛かるぞ。

 

「そ、勝負の内容はSDガンプラ早組み対決。僕の持ってきたこのSDガンダムの三国創傑伝とWORLDHEROESのガンプラを制限時間内でどれだけ早く組み立てられるかで勿論多くガンプラを作った方が勝ち。どうかな?」

 

そう言ってたまきは一つの段ボールをテーブルの上に置いた。てかこれの中身全部SDか?軽く20は入ってるぞ。

 

「は、早組み対決……」

 

「あれ~?もしかしてあくあちゃん早組み出来ないの?しかも一番簡単なSDなのに?」

 

「?!で、出来るもん!あてぃしだってもう何個もガンプラ作ってるんだからこれくらいよゆーだよ!」

 

そうは言ってるがあくあ、お前めっちゃ声が震えてるぞ。でもまあSDなら簡単だしただ素組するだけなら工具もいらないからこれならあくあでも早く出来るかもな。

 

こうしてあくあVSたまきによる主人を賭けたSDガンプラ勝負が幕を開ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―両者準備完了―

 

「それじゃルールは予め伝えた通り制限時間は二時間、ガンプラは一度に作れるのは一個までで完成させてから次のを作れる。シールは目の部分だけでオッケー、これで良いよね?」

 

「うん、大丈夫だよ」

 

「あてぃしも大丈夫」

 

ロボ子の確認を兼ねたルール説明を聞き二人とも納得し準備を整える。因みに二人は今テーブルに向かい合うように座っていてテーブルの中央にはSDガンダムの箱がズラリと並んでいる。どれを取るかは早い者勝ちだかはこのチョイスも勝敗に影響しそうだな。

 

「それじゃ早速いくよ~、レディー……ゴー!!」

 

「よし、僕はこれ!」バッ!

 

「あ、それあてぃしが取ろうとしたのにぃ!じ、じゃあこっち!」バッ!

 

勝負が始まりお互いにそれぞれガンプラを手に取る。たまきが先に手にしたのは『劉備ユニコーンガンダム』三国創傑伝の主人公で人気のガンプラだ。対するあくあは狙いの劉備を取られたのでその隣にあった以前スバルが作ったサージェントヴェルデバスターを手にし両者早速作り始めた。さて、この勝負どうなる事やら……

 

 

 

 

―15分経過―

 

「よし!まずは一体目出来上がり!」

 

「え、ウソ?!もう出来たの!?」

 

最初に一体目を完成させたのはたまきだ。完成させた劉備ユニコーンを置いて続いて『曹操ウィングガンダム』に手をつけた。あくあもまだ慣れてないようだがもう少しで一体目を完成させられそうだな。

 

 

 

 

―45分経過―

 

「よし!あてぃしも二体目完成!」

 

「あれぇ?あくあちゃんまだ二体目?僕これで三体目出来上がったよ♪」

 

「!?ま、まだまだこれからだもん!絶対に負けないもん!」

 

45分が経ってあくあがサージェントヴェルデと孫権アストレイを、たまきが劉備ユニコーンと曹操ウィングと悟空インパルスを完成させていく。このままだと恐らくあくあの負けになりそうだが果たして……

 

 

 

 

―一時間経過―

 

(……よし、これで四体目完成っと。流石にこのペースだとあくあちゃんには楽勝で勝てるね♪……そう言えばあくあちゃんさっきからずっと黙ってるけどどうし……ッ?!)

 

……ん?たまきの奴あくあの方を見て何か驚いてるけどどうしたん………ッ?!こ、これは!?

 

(あ、あくあちゃんいつの間にか三体目作り終えてる!?それだけじゃない、今作ってるのももう少しで出来上がりそうなんだけど?!)

 

あくあの奴いつの間に三体目作り終えたんだ?!というよりも今作ってるのももうすぐ出来そうだし……そうだ思い出した、こいつ集中するととんでもなく手際が良くなるんだった!

 

普段だと配信中や皆で遊びながらだと注意力が散漫してミスする事が多いけど、一度集中して自分の世界に入ると普段のミスなんてウソのように手際が良くなる。それはゲームだけじゃなくガンプラにも影響してるのか……そうこうしてる内にあくあが四体目を作り終えパッケージも見ないまま次の箱に手をつけた 、これで並んだ!

 

(ま、マズイ、このままじゃ間違いなく抜かされる!こうなったら僕も此処からテンポアップしないと!)

 

たまきの奴も焦ったかすぐに五体目の製作に掛かったな。これは大判狂わせだな、どっちが勝つかは見物だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―二時間経過―

 

「3…2…1…其処まで!二人とも手を止めて!」

 

「お、終わった……」

 

「………あ、あれ?あてぃしいつの間に……」

 

勝負が終わり二人とも作り掛けのガンプラから手を放し、たまきの方はひと息つきあくあは集中力が切れたのか元に戻っていた。てかあくあずっと無意識で作ってたのかスゲェな。そして肝心の勝負の結果は……

 

 

 

 

 

9-9 引き分け

 

 

そう、二人とも九体目を作り終えた時点で終了し引き分けに終わった。特にたまきは後少し遅れてたら間に合わず負けてたな。どっちにしろいい勝負だった。

 

「引き分けって事は、結局たまきくんがマスターの事ご主人様って呼ぶのはそのままって事だね?」

 

「あ、そうだ。結局たまきくんからご主人取り返せなかったよぉ……」

 

「僕もあくあちゃんからご主人様奪えなかったよ……」

 

いやお前等、俺は別にどっちのものでもねぇから。しかも二時間もぶっ続けで作ってたせいで疲労しきってるし、大丈夫か?

 

―~♪~♪―

 

「……あ、ごめん僕のだわ―ピッ―もしもしみるく?お疲れ~どうしたの……え゛ッ?!アイちゃんとシロちゃんのコラボ今日だっけ!?ヤバい、急がないと!ごめんねご主人様、僕もう帰らないと!それじゃあねーー!!」

 

電話が鳴って出たと思えばたまきがいきなり慌てて家を飛び出してしまった。まあ確かにあの二人のコラボ遅れたら何されるかわからないから怖いの分かるが……せめて片付けてから帰れや。

 

「フニャ~集中してたからスッゴく疲れた~…ご主人撫でて~」

 

「ハイハイ、お疲れさんあくあ。少し休んだら片付け手伝えよ」ナデナデ

 

「フニャぁ~♪」

 

「あ、あくあちゃんズルい。マスター、ボクも審判頑張ったから撫でて撫でて~♪」

 

「いや、お前は特に何もしてなかっただろ……全く、ホラ」ナデナデ

 

「~♪」

 

まあ、こいつ等も最近は頑張ってたからこれくらいはな。よく見たら雨も止んでるし、少し休んでから片付けして晩御飯の買い出しにいくか。今日は騒がしかったけどなかなか面白かったな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―オマケ その後のたまき―

 

「ねぇたまきくん?シロとアイちゃんのコラボ配信に遅れて来るなんてどういう事かな?」

 

「ご、ごめんなさいシロちゃん、ちょ、ちょっと忘れてご主人様の所に行ってました……」

 

「ご主人様って確かホロライブの佐々木さんだっけ?スッゴくカッコいいスタッフさんだって聞いたよ♪」

 

「う、うんそうなんですよねー……」

 

「ふうん、シロとアイちゃんの事をほったらかしにしただけじゃなくシロの許可なく勝手に玲二の所に行ってたんだぁ」

 

「あ、いや、あの、その……」

 

「そんなたまきくんにはお仕置きが必要だね?まずはたまきくんの○○を○○した後○○して○○○○してあげるね♪」

 

「い、嫌だあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!!」

 

コラボ配信に遅刻し玲二の所に行った事により理不尽な仕打ちを受けそうになるたまきであった。

 




はい、という事であくあとのりプロから犬山たまきの回でした。
あくあは結構初期から見てるので早めに出したかったんですが遅くなってしまいました( >Д<;)
次回は二パターンあるんでどっちから書くかは悩んでますが気長に待って頂ければ有難いです、ではまた( ゚∀゚)ノシ

あ、設定に玲二の生い立ちを加えたのでどうぞ( っ・ω・)っ


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第13話『子守り騎士』

ヤバい……前話投稿した後に書き始めたらすらすら書けました( ; ゚Д゚)
今回は金髪コンビの登場です。今までとは何かが違うかも…… (・・;)
今回も楽しんで頂けたら幸いです、ではどうぞ( っ・ω・)っ


……今、事務所に来てメルこと魔界の天才ヴァンパイアである『夜空メル』と、悪魔の保険医『癒月ちょこ』先生は目の前の光景を見て絶望してる。

 

「そ、そんな…玲二君…」

 

「れ、玲二様、一体どうして……」

 

なんで……なんでどうして?!メルは、メルはずっと玲二君の事信じてたのに!ちょこ先生もあまりにも残酷な現実から目を背けようとしてる。今まで信じてきたのに急に裏切られた気持ちだよ!なんで……どうして……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「?お前等さっきから何してんだ?」

 

「あーうー♪」キャッキャッ♪

 

なんで玲二君赤ちゃん抱っこしてんのおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ?!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―数分後―

 

「全く、急に泣き出したと思ったらそんな事思ってたのかよ?」

 

「そんな事じゃないもん!メル本気で玲二君が他の女の人と子供作っちゃったかと思っちゃったもん!!」

 

いやなんでそうなる?俺は姉貴が用事で出掛けなきゃいけないからってこの子を預かっただけだし。そもそも俺に相手がいねぇよ。

 

「ほーらよちよち良い子でちゅね~♪」

 

「あうぅ♪」

 

ちょこはちょこで姉貴の子供をあやしてるし。てか俺よりよっぽど親っぽいじゃん。

 

「ねぇ玲二様、この子の名前はなんて言うの?」

 

「ん?あぁ、苺って言うんだ。まだ五ヶ月の女の子だ」

 

「五ヶ月!うわぁ道理でちっちゃくて可愛いんだね、かぷかぷしちゃいたい♪」

 

こらご時世的にそれは止めろ、てかそうでなくても赤ん坊に甘噛みしようとすんなよ。

 

「それにしても玲二君も仕事があるのによく引き受けたね?」

 

「今日は偶々午前中に仕事が終わるし、明日と明後日は休みと在宅ワークで家にいられるからな。姉貴もどうしても外せない用事だったみたいだし義兄さんも出張に行ってるから俺しか頼める相手がいなかったから仕方ないさ」

 

……とは言うものの、正直一人で面倒見るのも大変だよな。夜中に夜泣きとかもあると思うからちょっとキツい……そうだ。

 

「なあ二人とも、丁度良いから二人も子守り手伝ってくれないか?」

 

「「え!?」」

 

「いやホラ、俺も四六時中見てやれないかもしれないし、二人なら子供の相手するの慣れてそうだからお願いしたいんだけど……どうだ、頼めるか?」

 

ってよくよく考えたらアイドルに頼む事じゃねぇか。仕方ない、Aちゃんに頼んで…………?どうしたんだ二人とも?顔を真っ赤にしてプルプルしてるけど……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(れ、玲二様と子育て!そんな!それじゃあまるで………玲二様とちょこが新婚さんみたいじゃない!?そ、そんな玲二様ったらもう、この子が見てるのにあぁんな事やこぉんな事を……はうぅん!!//////)ビクンッビクンッ!

 

(玲二君と子育て!それってつまりメルと結婚!夢の幸せ夫婦生活!!だ、ダメだよ玲二君そんな子供が見てる前でイチャつくなんて恥ずかしいよぉ!!ひゃうぅん!!//////)ビクンッビクンッ!

 

?!ど、どうしたこいつ等?!顔真っ赤になったと思ったらいきなりビクビクしだして!?

 

「お、おいお前等大丈夫か?!」

 

「う、うん大丈夫、だよ……(い、いけない。子守りと言う言葉で思わず夫婦の営み想像しちゃって○ッちゃった///)」

 

「え、えぇ、ちょこも大丈夫よ……(や、ヤバいわ、玲二様との新婚生活を想像して思いっきり○れてしまったわ///)」

 

本当に大丈夫かよまだ顔真っ赤だし!?そして何で内股になってモジモジしてんだよ?

 

「な、なんだか二人とも調子悪そうだからAちゃんか井筒に頼んで「「ダメ!苺ちゃんの子守りメル(ちょこ)が一緒にします!!」」……お、おう」

 

……ヤバい、今だから言えるが頼まない方が良かったか?二人とも目がギラギラしてて怖えぇよ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―その後佐々木宅―

 

「ほーら苺ちゃんこっちにおいでー♪」

 

「うあうぅ~、あい♪」

 

「おーよちよち良く出来まちたねー♪」

 

あれから自宅に帰り俺は苺のミルクと一緒に夕飯を作ってる。その間二人に苺の相手を任せているが二人とも完全に苺にメロメロ状態だ……もしこいつ等が母親になるとしたらこんな感じなのかね?

 

「あうぅ~…」

 

「あれ、苺ちゃんどうしたのかな?もしかしてお腹すいちゃったんでちゅか~?メルママのおっぱい飲みまちゅか~♪」

 

「ちょこママのおっぱいもありまちゅよ~♪」

 

「だぁー♪」

 

「おいこら人んちで何しようとしてんだお前等!?ミルク用意してんだからんな事せんでいい!!」

 

こいつ等俺もいるってのに何脱ごうとしてんだよ!?苺も飲もうとすんな!てかそれ以前に出ねぇだろ!?

 

「もう玲二君ってば冗談だよー♪」

 

「もう慌てちゃって玲二様ったら可愛いんだから♪」

 

「うっさい、お前等の場合冗談に聞こえねぇんだよ……ほら、ミルク出来たから苺に飲ませてあげてくれ。それと飲ませた後はゲップさせてくれな」

 

「「はーい♪」」

 

全くこいつ等ときたら……俺は人肌程の温さになったミルクを二人に渡すと二人は交互に苺にミルクを与えていった。

 

「うわぁ~、一生懸命飲んでる姿可愛い~♪」

 

「はわぁ~、まるで天使みたいだねぇ~♪」

 

いや天使みたいってそれ悪魔と吸血鬼が言う事か?まあ良いや、苺も機嫌良く飲んでるみたいだし、今は二人に任せておくか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―食事終了後―

 

「すぅー…すぅー…」

 

「わぁ、寝顔も可愛い~♪」

 

「ほらメル、起こしたらいけないからそろそろほっときな」

 

ミルクも与えた後苺を寝かしつけ、俺等も食事を終えて漸く一段落ついた。これ等を毎日のようにやってる姉貴ってやっぱスゲェんだなって思うわ。

 

「さて、苺も寝たし漸く落ち着けるな。まだ俺達が寝るのには早すぎるから何かするか?」

 

「あ、それなら玲二様、ちょこ前に買ったプラモを作りたいから持ってきたんだけど一緒に作らない?」

 

「メルもちょこ先生と一緒に買ってきたんだー♪」

 

ほう、ガンプラか。この二人はビルド系のヒロインかベアッガイばっか作るから今回もそんな感じか………おいちょっと待て。

 

「おいお前等、これガンプラじゃねぇだろ?」

 

「そうだよ、スッゴくカッコよくて衝動買いしちゃった♪」

 

「ちょこは前にやってたアニメ見て買っちゃった♪」

 

……成る程、けどお前等がこれを買うなんて予想外過ぎたわ。まさかの『デジモン』のプラモ、ちょこが『オメガモン』でメルが『デュークモン』か。確かにカッコいいけど意外だわ本当に。

 

 

『Figure-rise Standard Amplified オメガモン』

『Figure-rise Standard Amplified デュークモン』

長きに渡り人気を得ている『デジタルモンスター』に登場する二体の聖騎士型デジモン。

オメガモンは『デジモンアドベンチャー』に登場する主人公太一とその仲間のヤマトのそれぞれのパートナーデジモンが合体した姿で右腕がメタルガルルモンの頭部が、左腕がウォーグレイモンの頭部が変形したものになっている。

デュークモンは『デジモンテイマーズ』に登場する主人公タカトのパートナーデジモンでありその姿は王道の騎士甲冑モチーフである。デジモンにはワクチンとデータとウィルスの三つの種族がいるがこのデュークモンは聖騎士でありながらウィルス種という矛盾を持ったデジモンでもある。

因みにプラモのシリーズ名にもあるAmplifiedとは増幅という意味がありこの二体は元の設定よりもデティールがアップされよりカッコよくなっているのが特徴である。

 

「まさかガンプラ以外のプラモ作る事になるなんてな」

 

「あら、玲二様はガンプラ以外は初めて?」

 

「いや、只かなり久々だな。だがたまにはこういうのもアリだな」

 

「そうそう、たまには違うプラモも作ってみないとね」

 

よく言うよベアッガイばっか作ってる癖に。まあそれは良いとして、今回は苺もいるから塗装は出来ないし、素組でフィニッシュかな?んじゃ作ってくか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―作成中―

 

「…凄ッ、何だかアニメで見た時よりゴツく感じるわ」

 

「Amplifiedは元の姿をよりカッコよくデザインし直したプラモらしいからな。中には元の姿が良いって人もいるが俺的にはどっちもカッコいいから良いんだけどな」

 

「ふーん、凄いんだねそのあ、あ…あんぷりふぁいどって」

 

言えてねぇし良く分かってねぇじゃねぇかメル、そんなんだから自称天才(笑)って言われるんだよ。でも確かにこれは凄く良いキットだ、直ぐに売り切れになるのもわかるな。

 

 

 

 

 

「そういやちょこは今やってるデジモンアドベンチャー見てるんだよな?」

 

「そうね、でもちょこ的には有料配信サイトで見た昔のデジモンアドベンチャーの方が好きだわ。今のデジモンはちょっと物足りないって言うか……」

 

「あー何となく分かるわそれ。オメガモンの登場シーンも味気なさ過ぎたし」

 

こればっかりは個人の捉え方だから仕方ないがオメガモンはやっぱり昔の映画に出た時が一番興奮したな、敵のデジモン(名前なんだっけ?)が不気味で怖かった記憶があるけど。

 

 

 

 

 

「メルはテイマーズは見た事あるのか?」

 

「ううん、デジモン自体あまり知らないかな。でもこの子見た時カッコいいから思わず買っちゃった」

 

「作品知らないのに買うってスゲェな、よっぽど見た目に惹かれたんだな……因みにアニメだとこのデュークモンの声やってたのド○ゴン○ールの○空の声の人だぞ」

 

「え?!この見た目で声が悟○なの?!」

 

俺も最初声聞いてかなり驚いたな。○空の声なのに騎士っぽい喋り方をしてたから違和感半端なかったな、今でもデュークモンの声って変わってないのか?てかもうそもそも出てないか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―完成―

 

「……おぉ、見た目の割に結構早く出来上がったな」

 

「うん、パーツも多くなかったからメルでも楽しく作れたよ♪」

 

「えぇ、それに見た目もカッコよく出来て良かったわ♪」

 

テーブルの上に完成された二体を並べるとこれまた様になってて良いな、無塗装でも此処までカッコよく出来るってやっぱり今のプラモって凄いんだな。

 

「んじゃ完成したし片付けしようか。今日は苺もいるし念入りに片付けしないとな」

 

「「はーい♪」」

 

もう作ってて大分遅くなったし、俺達も片付けてさっさと寝るか。さっきも言ったが苺がいるから細かい破片や工具はしっかり片付けないととんでもない事になってしまうからな。

 

「ふぅぅ…ふ、ふえぇぇん……」

 

「ん?あぁ、苺が夜泣きしちゃったか」

 

「あ、それなら任せて頂戴玲二様」

 

そう言うとちょこは一旦手を洗い夜泣きしてる苺を抱っこしてあやし再び寝かしつけようとしてくれた。やっぱこいつの方が親っぽいな。

 

「おーよちよち、怖くなーい怖くなーい……」

 

「あ、もしかしてお漏らしかな?オムツ取り替えようか」

 

メルも姉貴が用意してくれたお世話セットからオムツを取り出し手際良く取り替えてくれた、こいつもこういう時意外としっかりしてんだよなぁ。

 

こうして苺は再び寝かしつけられた。二人には感謝だな。

 

「うーん、やっぱりこうしてみると子育てって大変だけど赤ちゃん欲しくなっちゃうなぁ♪」

 

「ちょこもいつかはママになって幸せな家庭を作りたいわね♪」

 

「それならまずは相手を見つけないとな。お前等なら直ぐに好い人が「「玲二君(様)以外なんてあり得ない」」……お前等迄それ言うか。全くフブキ達もそうだが何で俺なんかに固執するかね?」

 

ホント、皆それぞれ一癖あったりするがかなりの美人なんだから俺みたいな男よりももっと好い人見つければ良いのにな。

 

「メルにとって玲二君以上の男の人なんているわけないもん。あの日吸血鬼なのに血が苦手でバカにされてたメルを守ってくれた玲二君だから今まで一緒にやって来れたんだもん」

 

「ちょこも無理矢理お見合いさせられて相手の男に押し倒されそうになった時玲二様が助けてくれたから今のちょこがいるのよ。そんな玲二様以上の殿方なんて少なくともちょこの中にはいないわ」

 

「……お前等」

 

其処まで俺の事想ってくれてたのか……でも俺自身が皆に対してどう思ってるか分かってない以上その気持ちに応える訳にはいかないしな。さて、どう返せば良いか……

 

 

 

 

 

「それにホロメンの中で誰が一番最初に玲二君の童貞を奪うか勝負してるし」

 

「何下らない事で勝負してんだよお前等?!」

 

ヤベェ、今苺が寝てるのに大声出そうになっちまった。にしてもお前等なんちゅう勝負してんだよ!?さっきの感動返せよ!

 

「えー、だって玲二様の童貞奪えたらそのままゴールイン出来るって事じゃない?」

 

「いや知らねぇし。てかそれ以前に俺もう童貞じゃねぇし」

 

「「…………………………………は?」」

 

ん?なんか俺余計な事言ってしまったか?二人の目に光が全く宿って無いんだが……

 

「れ、玲二君?もう童貞じゃないってどういう……?」

 

「あ、いや……ホロライブに正規雇用された後くらいかな?とある娘とジュースと間違ってカクテル飲んじゃってそのまま酔った勢いで……」

 

「ガチィ?……ふーん、そうなんだ」

 

な、なんだ?とてつもなく嫌な予感がする……余計な事言わなきゃ良かったか?―ガシィッ!―……え?

 

「玲二様が童貞でないならもう遠慮する必要なんてないわねメル様♪」

 

「そうだねちょこ先生♪」

 

「え、あの~?い、一体何を……」

 

「大丈夫、メルとちょこ先生で玲二君の事いっぱい愛してあげるから♪」

 

「ふふっ、今夜は寝かせないわよ玲二様♪」

 

「な、何の事だよおいちょっとぉ?!」

 

俺はメルとちょこに腕を掴まれそのまま寝室へと連行されていった。

 

あ、ちょっと待て何脱いでるんだよ何脱がそうとしてんだよ止めろおぉぉぉぉぉぉぉお………!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『この夜に何が起きたかは大変申し訳ございませんが本小説では語る事が出来ません。皆様のご想像にお任せ致します by神楽』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―二日後―

 

「いやぁ、本当にありがとうね玲二。お陰で助かったわ」

 

「……そりゃどうも」

 

あれから二日が経ち漸く姉貴が戻ってきて苺を引き取りに来てくれた。この三日間本当に大変だったな、特に夜中が……

 

「メルちゃんにちょこちゃんだっけ?二人もありがとうね♪」

 

「い、いえメルは玲二君とお義姉さんのお役に立ててれば良かったので///」

 

「ちょこもお義姉様の赤ちゃんのお世話出来て嬉しかったですわ♪」

 

窶れた俺とは反対に肌が艶々になってる二人。なんか理不尽さを感じてしまうが口に出したら何されるか分からないからもう黙っておこう……

 

「本当に良い娘達だね♪これからもうちの弟をヨロシクね♪」

 

「「は、はい!///」」

 

「玲二もこんな良い娘達がいるんだからさっさと身を固めなさいよ」

 

「あんたはオカンか?良いから早く帰れって」

 

「ハイハイ、分かってるわよ。それじゃ苺、おじちゃんとお姉ちゃん達にバイバイってしてね」フリフリッ

 

「あーうー♪」

 

「「バイバーイ♪」」

 

こうして姉貴は苺を連れて帰っていった。はぁ、漸く終わった……

 

「それじゃあ玲二君、一休みしたらまたする?」

 

「もうしないっつーの!!」

 

全くこいつ等俺の事も考えてくれよ死ぬわ!!

 

こうして玲二とメルとちょこの三人の子守りは無事(?)終了したのであった。

 

 

 




はい、という事でメルちょこ回でした!
今回初めてガンプラ以外のプラモを登場させて見ましたがいかがだったでしょうか?

そして流れるようにメルちょこに喰われる玲二……なんかこの二人だとこんなネタぐらいしか思いつきませんでした( >Д<;)

次回はホロライブ随一のヤバい女とホロライブの食ざ……羊の回です。気長に待って頂けたら有難いです、ではまた( ゚∀゚)ノシ


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第14話『赤い心星、可能性の羊』

今年の異常な暑さにボーッとする事もありやる気が起きなかったんですが今回の話に出てくるRGを手に入れられてテンションが一気に上がりました( ≧∀≦)ノ

いつも通り楽しんで頂けたら有難いです、ではどうぞ( っ・ω・)っ


「……ふぅ、これで備品は全部揃ってるな。後はステージ用の衣装を各自のロッカーに入れたら終わりだな」

 

ホロライブが夏休みに入りスタッフや殆どのホロメン達も実家に帰ったりして何時もより静かな事務所で俺は一人備品チェックの仕事を行っていた。夏休みが終わったら直ぐにオンラインライブがあるからそれに向けて今の内に準備を進めないと。

 

「うーーん、よし!これで今日は仕事終わりっと。特に他にやる事ないしこのまま帰ろうかな」

 

そう、さっきも言った通りホロメン達は殆ど実家に帰ったりしていないので今日は久々に一人でいられそうだ。因みにロボ子は前回のメルとちょこのお泊まりの前に既に新しい家を見つけて其処に引っ越して行き、しかも定期メンテナンスの為に遊びに来る事もない。

 

「さて、それじゃあそろそろ退社しますかねっと」

 

仕事も終わったし、今日はさっさと帰って積みプラでも作るとするか。そうと決まれば帰り支度を……

 

 

 

 

 

 

 

―バアァンッ!―

 

「はあちゃまっちゃまぁー!heyダーリン!」

 

「うおッ?!ビックリしたぁ……」

 

帰ろうとした瞬間事務所のドアが勢い良く開きビックリしてしまった。てかこの独特の挨拶は……

 

「もうダーリンってば何そんなに驚いてるの?ウフフフフ♪」

 

「お前がいきなり入って来たからビックリしたんだよはあと!何時も言ってるだろ勢い良く入ってくんなって!」

 

俺は目の前にいる無邪気に笑う金髪少女『赤井はあと』に向かって怒るがこいつは全く反省した様子がなくニコニコと笑うだけだった、流石ホロライブ随一のクレイジーガール。

 

「後何時も言ってるがそのダーリンって呼び方止めろよ!周りに誰がいてもお構い無しに言いやがって!」

 

「えー、でもはあちゃまにとってダーリンはダーリンよ?だって将来はあちゃまとダーリンが結ばれるのは確定事項なんだから、キャハハ♪」

 

駄目だこのクレイジーガール、何言っても聞こうとしねぇ。最初会った時はこんなんじゃ無かったのに本当に何があってこんな風になっちまったんだ?

 

「……まあそれは今はまだ良いが、お前今日どうしたんだ?皆夏休みだから実家に帰ったりしてるけどお前は帰らないのか?」

 

「勿論これから帰るわよ、はあちゃまとダーリンの愛の巣にね♪」

 

「いつから俺の家がお前の巣になったんだよ」

 

本当に時々……いや、結構な確率でこいつが何言ってるかわからん。どうやら俺の家に遊びに来ようとしてるみたいだが……折角一人でゆっくり出来ると思ったのによりによってこのクレイジーガールが来るなんて……はぁ

 

「どうしたのダーリン?ため息ばっかついてると幸せ逃げちゃうわよ」

 

「誰のせいだと思ってるんだ」

 

……もう仕方がない、これ以上はあとに何言っても通用しないだろうし連れてくしかないか。もうさっさと支度して行くか……

 

 

 

 

 

 

 

―バアァンッ!―

 

「こんばんドドドー!親分いるかー?!」

 

「ってお前もかわため!?」

 

改めて支度としたら今度は皆の非常食……じゃなかった、ホロライブの羊こと吟遊少女『角巻わため』が勢い良く入って来やがった。お前等毎回勢い良く入ってくんな!この間ドア壊してAちゃん怒ってたぞ!

 

「あ、親分やっぱ此処にいたねぇ♪」

 

「おうラム肉一体何の用だこの野郎」

 

「ラム肉じゃないよ!?折角夏休みだから親分と遊ぼうと思って来たんだよ!」

 

いや遊びに来たってお前も実家に……そうだ、こいつホロライブに入る前は両親の反対押し切って吟遊詩人やってたから実家に帰れないのか。今住んでる所も野原でこの時期暑いから避暑地代わりに俺の家に来ようという魂胆か。

 

「あ、わためー!わためもダーリンのおうちに来るの?」

 

「はあちゃまー!わためぇもって事ははあちゃまも親分の家に行くんだー?」

 

「そう!これからいっぱいダーリンとイチャイチャするんだー♪」

 

「いいなー、わためも一緒に混ざっていい?」

 

「いいよー、わためなら全然大歓迎♪」

 

大歓迎♪じゃねぇよ何でお前に決定権があるんだよ?……いや、もう諦めよう、はあとがやって来た時点で俺に平穏なんて来るわけ無かったんだから……はぁ

 

こうして支度を終え俺は仕方なく、仕方なく!二人を連れて家に帰る事になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―佐々木宅―

 

「おぉー!親分のリビングスッゴい事になってるねぇ!」

 

「本当だー!まるで秘密基地みたいになってるわ、キャハハ♪」

 

「おいお前等家に入ったらまず手を洗えよ」

 

家に入るなりこいつ等手も洗わずにリビングに直行しやがった。新しくなったリビングになってから初めて来て興奮するのは分かるが今は手洗い大事なんだからしっかり洗えよ。

 

「ふわぁ…エアコンが効いて涼しい~♪」

 

「此処は天国だねぇ~♪」

 

「ほらだらけてないでご飯の準備が出来たから食器並べてくれ」

 

「「はーい」」

 

確かに今日は外かなり暑かったが、リビングの床に寝っ転がるなみっともない。ご飯出来たんだからさっさと食うぞ。

 

「それじゃ、いただきます」

 

「「いただきまーす」」

 

今日の献立はアジフライに鱈フライ、そしてなめこと油揚げの味噌汁にキュウリの浅漬けだ。ちゃんとスーパーのお惣菜とかではなく俺が作ったフライだが、二人の味の感想は大体予想がつく。

 

「ダーリンが作る料理って味は美味しいけど普通よね」

 

「うん、特別美味しいって感じじゃなくて普通なんだけど美味しいって感じだよねぇ」

 

ほらやっぱり。俺の作る料理って皆いつも至って普通の味なんだけど美味しいとか美味しいけど普通とか言われる。例えどんな自信作でもその評価は変わらないから其処は少しショックだったりする。てか普通だけど美味しいってどういう事だ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―食事終了後―

 

あれから食事を終えて俺は食器洗いをしてわためはテレビを見ながらゲラゲラ笑っている。はあとは汗かいたからとシャワーを浴びている。此処まで俺の家で自由気ままにしてるの宝鐘かこいつ等くらいなもんだ。

 

「わため、お前も汗かいてるならはあとが出たら次入っちゃいな」

 

「えぇー、今面白い所なのにぃ。もうちょっと後じゃダメ?」

 

「ダメだ、その番組後一時間ぐらいあるだろ、さっさと入っちまえ」

 

「なら親分先に入んなよ、その後わためがはあちゃまと親分の残り香を堪能しながら入るから」

 

「何言ってんだこの変態羊」

 

こいつもホロメンの中ではトップクラスで変態だよな。リスナーの一部からはわたおじって言われてるくらいだし。もう少し変態発言気をつけた方がいいぞ。

 

―ガチャッ―

 

「はぁ~いい湯だった♪」

 

「ほらわため、はあとも上がったんだからさっさとシャワー浴びて……ってはあと!お前なんて格好で出てきてんだ!?///」

 

浴室からはあとが出てきたからわために入るように言おうとしたが、はあとの奴何も着てない状態でリビングに戻って来やがった!?一体何考えてんだこいつ?!

 

「?別にいーじゃない、今此処にははあちゃまとダーリンとわためしかいないんだし。それにダーリン前にマリン船長の裸も見たんだし平気でしょ?」

 

「それはそれでこれはこれだ!良いから早く着替えろ少しは羞恥心を持て!!///」

 

もう色々見えて気まずいったらありゃしねぇ!ダメだ、平常心を取り戻さないと……わためには悪いが先にシャワー入らせてもらおうそうしよう!

 

そうして俺は気持ちを落ち着かせる為にシャワーを浴びに浴室へと入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はあちゃま大胆だねぇ」

 

「まあね、これくらいダーリンを刺激しないとメルメルやちょこ先生には勝てないからね」

 

「そだねぇ、二人とも親分と関係持ったらしいし、わため達も負けてらんないね」

 

「……そうよ、負けてらんない。はあちゃまは別にダーリンが誰と関係を持っても構わない、けどダーリンの……玲二の一番になるのはこの私なんだから」

 

そう、こればっかしは例えフブキやそらちゃん、そしてわためにも譲るつもりはない。私はなんとしても玲二の一番になってみせるんだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―一年半程前―

 

当時私は、赤井はあとはかなり悩んでいたわ。それはわためを初めとした四期生のデビューにあった。

 

あの頃の私は王道のツンデレアイドルとして活動していたんだけど、三期生の頃から感じてた今までにない個性の強いアイドル達の登場に焦りを感じ、其処に新たにより個性の強い四期生が登場した事により自分のファンがどんどん新しい娘に取られてしまうんじゃないかって、そう思い込んでしまってたの。

 

現にそれまで上手くいってた事が全然空回りで終わってしまった事もあったし大好きだった歌もまともに歌えなくなった事もあった。このままじゃいけない、もっと頑張んなきゃいけない。そう思っても思い通りにはいかなかったわ。そんな時だったかしら……

 

「おいはあと、何しょげてるんだ?」

 

登場私達一期生の世話担当をしていた玲二が私に声をかけてくれたのは。

 

「え……あ、玲二、えと…おはるーじゅ」

 

「おう、おはよう。んで、はあとは今何でしょげてたんだ?」

 

「え?べ、別にしょげてなんかないわよ……」

 

「嘘つくなって、お前最近上手くいってないみたいじゃねぇか?俺で良かったら相談に乗るぜ」

 

玲二は私にスポドリを差し入れてくれて、話を聞くと言ってくれた。もうその頃には私も玲二の事は信頼してたから私の悩みを全部打ち明けたの。

 

「……成る程な、確かに三期生も四期生も個性派揃いだからなぁ」

 

「うん……ねぇ玲二、私これからどうすれば良いのかな?このままだとアイドル続けてもファンはどんどん取られてしまうだけな気がして……」

 

今はまだ無いがその内ファンの先輩達が他の娘に移ってしまう、そう考えるとアイドルを続けていく勇気が出なかった。けどその時玲二から出たのは意外な言葉だった。

 

「なんだ、それならお前もキャラチェンしてみたらどうだ?」

 

「え?キャラチェン……?」

 

「そう、て言うかはあと。お前のあのツンデレキャラってちょっと無理してる感じがあったからさ。普段のお前ってわりと素直だしこれを気にキャラ変えてみるのもアリだと思うぞ」

 

「!?」

 

そうだ、確かにあのツンデレキャラは私の見た目のイメージで付けられたキャラであって私自身はわりと素直に人と接している。自分でも言ってる事がまどろっこしいと思った事が何度もあったし、もしかしてあのキャラって私にあってなかったのかもしれない。

 

「ま、それはお前が決める事さ。今までのツンデレキャラでいくのも良し、心機一転新しいキャラでいくのも良しだ。何、お前の本当のファンならお前がキャラチェンしたところでそんな簡単には離れていかねぇよ」

 

玲二はその後コーヒーを飲み干すと私の頭を軽く撫でた後その場を去ってしまったけど、その時思ったんだ。あぁ、私って素直になって良かったんだって。

 

それから私は新しい自分『はあちゃま』になったの。勿論最初は戸惑うファンも多かったし大変な事も沢山あったけどそのおかげで今の私、はあちゃまがいる。

 

だから玲二には感謝してもしきれないの、あの時私を救ってくれたのは玲二だから。そしてその時に気づいたわ、私って玲二の事が好きなんだって。勿論フブキもそらちゃんも他の皆も玲二が好きなのは分かってるしライバルが多いのも知ってる。だけど私は負ける気なんてないわ、だって……私は最強アイドルはあちゃまこと赤井はあとなんだから♪いつか玲二に……ダーリンに相応しいアイドルになってやるんだから!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―時は戻って現在―

 

「へぇ~、はあちゃまってわため達のデビューがきっかけでキャラチェンしたんだね?」

 

「そ、だけど実質的なきっかけはダーリンの言葉ね。あの時の言葉があったからこそはあちゃまは最強アイドルでいられるようになったんだから♪」

 

はあとは寝間着に着替えながらわために自分の昔話を語っていた。そして自分がどれだけ玲二を好きなのかも……それを聞いたわためも負けじと自分と玲二が出会った頃の話を語り始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―二年程前、とある公園―

 

―フラッ…フラッ…―

 

「……あ、あぁ……もう、ダ、メ…かも……」バタンッ

 

あの頃のわためは親の反対を押し切って吟遊詩人になった。わためは昔から歌が好きだったから、大好きな歌を色んな人に聞いてほしい、そう思ってたんだ。

 

けどお父さんもお母さんも理解してくれなかった。お前は角巻家の長女として両親が経営する牧場の跡継ぎにならなきゃいけないって。

 

でもわためはそれが嫌だった、自分の夢を否定されてやりたくもない牧場経営の跡継ぎなんてまっぴらごめんだって。

 

そしてわためは自分の夢を叶える為に親の反対を押し切って半ば家出同然の状態で家を飛び出し吟遊詩人になったんだよね。

 

けどはっきり言って無謀過ぎた……住む所は公園や河川敷で野宿し、旅の資金は街中で路上ライブ等して稼いではいたものの、そんな生活が長く続く訳もなくお金も底をつき食べ物もろくに食べれず遂に力尽きて倒れちゃったんだよね。

 

そして意識が朦朧としてく中で思っちゃったんだ、あの時親の反対に逆らわないで牧場経営の跡を継いでいれば良かったのかなって。わためなんかに夢は叶えられないのかなって……

 

 

 

 

 

「おいお前、どうしたんだ?!大丈夫かしっかりしろ!!」

 

そんな事を考えてたら急に誰かが声を掛けて来たんだ、こんなみすぼらしいわために声を掛けてくれる人もいるんだなって思いながらもそのまま気を失っちゃったんだよね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………う、ううん……此処は?」

 

「お、良かった気がついたな!」

 

目が覚めると其処はさっきの公園じゃなくて何処かの家の中だった。服も汚れてしまった一張羅ではなく少し大きめの寝間着になっていたし、何よりわための目の前に見知らぬ男の人がいたんだ。

 

「あ、あの、此処って……」

 

「ああ、そりゃ急な事で驚いてるよな、ごめんな。此処は俺の姉貴の家だ。偶々公園に行ったら倒れてた君を見つけてな、姉貴の家が近かったから此処に運んだんだよ」

 

どうやらわためはこの人に助けられたみたい。服もこの人のお姉さんが着替えさせてくれたみたいだし、その後もご飯を出してくれたおかげでわためは一命を取り留めたんだ。そして……

 

「……成る程、お前の事はたまにあの公園で路上ライブをしてたから知ってたけど、まさかそんな理由があったんだな」

 

「え、わための事知ってたの?」

 

「あぁ、今日も君にある誘いをするためにあの公園に行ったんだけど、まさか空腹で倒れてるとは思わなかったわ」

 

は、恥ずかしい……///確かに空腹で倒れるなんて普通はないよね///……でも誘いって言ってたけどわため何されるんだろう……?

 

「まあ、それは良いとして単刀直入に言うわ。お前、アイドルに興味ないか?」

 

「あ、アイドル?」

 

「そ、俺ホロライブっていうアイドル事務所のスタッフなんだけど、今新しく四期生のアイドル候補を探してたんだよ」

 

ホロライブ?!今や世界にも進出している歌やダンスが好きな人なら知らない人はいないと言われる程の大手アイドル事務所!この人其処のスタッフさんなんだ!?

 

「わ、わためがホロライブのアイドルに?!」

 

「あぁ、この間お前の路上ライブ見た時に聞いた歌声もさる事ながらあの楽しく歌う笑顔に惹かれたんだ。こいつは間違いなくトップアイドルになれる素質があるって!どうだ、やってみないか?」

 

最初はホロライブスタッフを騙る詐欺師かと思ったけど直ぐに違うと分かった。だって倒れてたわためを助けてくれて、わための歌を誉めてくれてそしてこうやって真剣に手を差し伸べてくれた。そうか、わためのやってきた事は無意味なんかじゃなかったんだ……そう思うと涙が止まらなかった。

 

「?!お、おいどうしたんだ急に!?」

 

「だ、だって……だって、わための歌に意味なんてないと思ってたから……けどわための事ちゃんと見てくれてた人がいたから……う、うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあんッ!!!!」

 

気が付くとわためはスタッフさんの胸に飛び込み大泣きしちゃったんだ。でもスタッフさんはそれ以上何も言わずにただわための頭を撫でて落ち着かせてくれた、それがとても心地良かったんだ。

 

 

 

 

 

それからわためは正式的にアイドルになるために色々したんだ。スタッフさんはわための両親を説得してくれて、遂にわための夢を認めてくれたんだ。ただ世界でも通じる程のアイドルになるまで戻ってくるなって言われたけど。そして家を出る時二人とも頑張れって言ってくれたんだよね。それもこれも全部スタッフさんの、佐々木玲二さんのおかげなんだ。

 

だからわためはそんな玲二さんを好きになったんだよね。でも名前で呼ぶのが少し恥ずかしかったから親分って呼ばせてもらってるけど、いつかはちゃんと恥ずかしがらずに名前を呼べるようになりたいな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―再び戻って現在―

 

あれからシャワーを浴びて一先ず落ち着いた俺はわためをシャワーに入れた後寝る準備をしていた。今日は色々あり過ぎて本当に疲れた……

 

「あれ?ダーリンもう寝ちゃうの?」

 

「あぁ、今日はもう疲れた……お前達もそろそろ布団敷いて寝ろよ―ギュッ―……はあと?」

 

?どうしたんだ急に抱きついてきて?いつも何考えてるか分からんが今日のこいつは特に分からん……何がしたいんだ?

 

「ねぇダーリン、お願いがあるんだけど」

 

「お願い?一体なんだ?」

 

「……私とわための事抱いて」

 

「?!」

 

な、何を急に言い出すんだこいつは?!そんな事出来るわけねぇだろ!?

 

「お前何考えてんだ!?アイドルに手を出すなんて「メルメルやちょこ先生には手を出したのに?」?!な、何でそれを……」

 

「この間二人がスッゴく幸せそうな顔してたから皆で問い詰めたらあっさり答えてくれたわ、ダーリンに愛してもらったって」

 

あの二人何言ってくれてんだ!?というかあれはどっちかと言うと俺は襲われた方だけど!

 

「分かってるわ、別にダーリンから手を出したワケじゃない事は。でもねダーリン、好きな人が他の女と一緒になったなんて聞いたら女ってとっても不安になっちゃうのよ。だからお願い、今日だけでも良いから私達を愛して」

 

「そ、そうは言ってもお前が良くてもわためが「わためも良いよ」ッ?!わ、わため……?」

 

寝室のドアの方を向くとわためが顔を赤らめながら俺の元に近づいていた。その姿は先程のはあと同様何も着てない状態だった。

 

「わためだって親分と……好きな人と一緒になりたいよ。それにわためもはあちゃまも覚悟があってこんな格好してるんだから察してほしかったなぁ///」

 

「ウフフ♪ほらダーリン、わためも覚悟を決めてるわ。此処までしてる女に恥をかかせるつもり?」

 

「あ、あいや、その……」

 

お、俺はどうすれば……?!

 

「良いんだよダーリン、これは私達が望んだ事なんだから。だから……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……はあちゃま達と一緒に堕ちて♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『大変申し訳ありませんがこの後起きる事は本小説では書けません。書けませんったら書けません!! by神楽』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―翌日―

 

……や、やってしまった。流されてしまったとは言え自分の働く事務所のアイドルとまたしてしまった。これ世間にバレたら殺されるんじゃないか俺?

 

「ねぇはあちゃま!わためこれに決めたよ!」

 

「あ、良いと思うー♪じゃあはあちゃまはこれにしようっと♪」

 

……こいつ等はこいつ等で昨日の事がまるで無かったかのように俺の積みプラを漁ってるし。何でそんな直ぐに気持ち切り替えれるんだよ少しは恥じらってくれよ俺一人がバカみたいじゃねぇか。

 

「どうしたのダーリン?もしかして昨日の事まだ気にしてるの?」

 

「当たり前だろ!流されてたとは言え所属アイドルに手を出してしまったんだぞ!」

 

「親分まだそんな事言ってる。それ以上言わないで欲しいな、あれはわため達が勝手に親分を求めただけなんだから其処まで気にしなくて良いんだよ。ねぇはあちゃま、親分は悪くないよねぇ?」

 

「そうそう♪ダーリンにははあちゃま達の気持ちを知ってほしかっただけなんだから、今は気分転換にガンプラ作ろ、ね?」

 

いや、気分転換も何も……いや、取り敢えず今ははあとの言う通り気持ちを落ち着かせる為にガンプラ作るか。はぁ、後で社長になんて言えば良いんだよ……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから二人はそれぞれ作るガンプラを見つけリビングで作り始めた。はあとが作っているのは『RG シナンジュ』わためが作っているのは『RG ユニコーンガンダム』どちらも機動戦士ガンダムUCに登場する人気のガンプラだ。

 

 

『RG ユニコーンガンダム』

『RG シナンジュ』

機動戦士ガンダムUCに登場する

機体。ユニコーンは二つの形態があり普段はユニコーンモードというガンダムには見えない姿だが特定の状態でデストロイモードというサイコフレームが露出した姿になり凄まじい力を発揮するがその分操縦者に対するフィードバックも凄まじい。

シナンジュは赤き彗星の再来と言われるようにまるでサザビーの後継機を思わせるような見た目をしているが実はこの機体の事はまだそんなに知らない。今ホロメン等が活動してる配信サイトでUCが無料配信されたので勉強中だ。

 

既にパーツの処理は終えて超音波洗浄器で洗い終えたので此処から塗装に入るが、今回はどう塗装するつもりだ?

 

「えーっとねー、はあちゃま前にキャンディ塗装っていうの見てちょっとやってみたいなって」

 

「あ、わためもそのキャンディ塗装っていうのやりたい!」

 

キャンディ塗装?確かそれって随分時間が掛かる塗装だぞ。俺もやり方は知ってるがガンプラ相手に実際にはやった事ないな。でも今回は結構時間もあるし、やってみるか。

 

「それじゃまずは下地からだな。まずはこの黒サフでパーツを塗っていくか」

 

「ねぇ親分、何で黒いサフなの?いつもの白いサフじゃダメなのかな?」

 

「白いサフでも良いみたいだが、黒いサフの方がメタリックカラーの乗りが良いし重厚感が出るんだよ。一口にサフと言っても結構種類があるから用途に合わせて変えるとより塗装が綺麗になるぞ」

 

こうして二人は黒サフを吹き終え、乾燥も終えいよいよ塗装に入る。

 

「それじゃまずはシルバーから噴いていくか。だけど今回は一気に塗装するんじゃなくて少しずつ重ね塗りしていくんだ、そうしないと後で噴くクリアカラーに色が負けて暗くなってしまうからな」

 

「はーい♪」

 

二人は俺の指示に従いシルバーを少しずつ重ね塗りしていく。これ動画で見た時此処まで塗るかって思ったな、でもそれくらいしないとあの綺麗な色は出せないからしっかり塗らないとな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―翌日―

 

シルバーも噴き終わり一日掛けて乾燥させ続いてはクリアカラーを噴いていく。カラーははあとがクリアレッドを、わためがクリアイエローとクリアオレンジの重ね塗りに決めたようだ。

 

「まずはクリアカラーを少しずつ噴いていくんだが、この時噴く分は色が付いたか付いてないかくらいにして、これを三回から四回程繰り返すんだ。これも綺麗に塗るためのコツだな」

 

「うへぇ、思ったよりキャンディ塗装ってめんどくさいんだねぇ」

 

「でもその分思い入れが強くなって良いと思う!よぉーし、頑張っちゃおー!ウフフ♪」

 

わためは若干めんどくさそうにしてるがはあとはノリノリで塗装を始めていく。こいつ意外とこういうマメな作業好きなんだよな、料理の時は恐ろしいくらい雑でおぞましいのに……

 

「そして最後に均等になるようにクリアカラーを噴き付けるんだ。これが終わったら乾燥させて光沢コートを噴いて終わりだな」

 

「「はーい♪」」

 

漸く此処まで来たな。後もう少しだから二人とも頑張れな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―完成―

 

「良し、乾燥も終わったし、これで完成だ」

 

「やったぁ♪はあちゃま専用シナンジュの完成ね、キャハハ♪」

 

「わためもユニコーンガンダム上手く出来て良かったなぁ♪」

 

二人とも始めてのキャンディ塗装に満足してるみたいだな。二人の作ったユニコーンとシナンジュを見てると俺もキャンディ塗装してみたくなってきたな、今度アースリィでやってみようかな?

 

「ダーリン、今回ははあちゃまとわために付き合ってくれてありがとー♪」

 

「わためも親分と一緒に遊べて楽しかったんだよ、ありがとうね親分♪」

 

……まぁ、あんな事があったけどこいつ等の無邪気な笑顔を見ると少しは気持ちが楽になってきたな。けどやってしまった事は変わらないし、この件は社長に報告しないとな……クビで済まされれば良い方か。

 

こうしてはあととわためとのお泊まり会は幕を閉じた。因みにこの後社長にホロメン四人に手を出してしまった事を言ったら彼女達の気持ちを尊重しなさいとだけ言われお咎め無しだった……え、そんなんで良いのかうちの会社?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―おまけ、夏休み明け―

 

「おはようございまーすっと。さて、今日のスケジュールはっと……」

 

「ねぇレイくん、少しお話があるんですけど良いですかね?」

 

「ん?フブキ、お前今日はダンスレッスンがあったんじゃない…の…か……?」

 

「そんな事はどうだって良いんですよぉ。さっさとお話したいので早くこっちに来てくれませんかねぇ?」ゴゴゴゴゴゴゴゴッ……

 

な、なんかフブキがめっちゃ怒ってる……いや、よく見ると他にいる殆どのホロメン達が怒ってる。これは、また嫌な予感がする……

 

 

 




はい、という事ではあちゃまとわためのコンビ回でした!
はあちゃま昔はわりと普通だったのになんであんな狂人になっちゃったのか( ´Д`)
まぁ、好きなのには変わりませんがね( ・`д・´)

さて、この後あった筈の話を全て消して、これから全く別のストーリーになってしまいますがまたのんびりと書いていくので気長に待って頂けたら幸いです、ではまた( ゚∀゚)ノシ


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第15話『新たな日常』

はい、活動報告にもあった通り、本編を大幅軌道修正しました。そして書いてて思った事ですが……やっぱり自分はこういった小説の方が性に合ってるみたいです(^^;

今回は玲二とホロメン達の新しい日常に向けての話です。最後まで楽しんで見ていただければ有難いです、ではどうぞ( っ・ω・)っ


…………どうも佐々木玲二です。俺は今、最大のピンチを迎えております。一体何があったかと言うと…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇレイくん、ちょこ先生やメルメル、それにはあとちゃんやわために手を出すってどういう事かなぁ?」

 

今目の前にいるフブキを初め俺の周りにいるホロメン達に囲まれ正座させられているからだ。全員笑顔だが目が全然笑ってない……も、もう結構な時間座らされてるからあ、足が……

 

「あの、何て言うか……手を出したと言うより寧ろ俺が襲われたって言うか……」

 

「レイさん、誰が言い訳していいって言ったかなぁ?」

 

こ、怖ぇ……いつも温厚なミオがまるで地獄の閻魔みたいだ……

 

「い、いや言い訳とかじゃなくて……いや、すまない……俺がもっとしっかりしていればこんな事には……」

 

……そうだ、どっちにしても俺はちょこ達とそういった関係になってしまった事には変わりはない。許される事じゃないが、皆にはしっかりと謝らないといけないよな。

 

「……玲二さん、何か勘違いしてるみたいだけどラミィ達が欲しいのは言い訳でも謝罪でもありません」

 

?言い訳はともかく謝罪もいらない?それってどういう……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「良いですかレイくん、白上達が言いたいのは……なんでちょこ先生達にしか手を出さないんですかって事ですよ!!」

 

「…………………………………はい?」

 

何を言ってんだコイツ?普通仲間に手を出した事を怒るんじゃないのか?

 

「白上達は何時だってレイくんとそういった関係になるのを期待していたのに、レイくんがいっつもはぐらかしたりするから仕方なく我慢してたのに!いつの間にかちょこ先生達とやってるし、しかもメルメルの話だとレイくん既に童貞じゃなかったってどういう事なんですか!?レイくんの初めては白上が欲しかったのにぃ~!!」

 

「え、えぇー………」

 

いや本当に何を言ってるんだコイツは?それだとまるで自分達にも手を出してくれって言ってるようなもんじゃねぇかよ。

 

「本当なら皆自分を選んで欲しいっていうのが本音だけど、レイくんが誰かを特別扱いしようとしてないのは分かってるし皆を本当に大切にしているのは知ってる。だから僕達ホロメンの皆で話し合ってある事を決めたんだよ」

 

「あ、ある事?それって一体……」

 

「皆で一緒に暮らして玲二様の事を支えようって事だ余。そうすれば玲二様を取り合うなんて事しなくて済むし、玲二様とずっと一緒にいられるから一石二鳥だなって♪」

 

は?一緒に暮らす?本気で言ってるのかそれ?

 

「俺が皆と一緒に暮らすって……お前達、それ本気でそんな事言ってるのか?」

 

「……本気だよ。私達は玲二君の事が本当に大好き……ううん、愛してると言っても過言じゃないんだよ。けど、だからと言って皆とその事で取り合うとか喧嘩とかもしたくない。だから皆玲二君を一緒に支えるって決めたの」

 

「別に誰かを決めて付き合ったり責任とってほしいとか言わない……(いや、本当はそうしてほしいけど)白上達はずっとレイくんと一緒にいたい、そしてレイくんを幸せにしたい、そう思ったんです。だからお願いします、どうかこれから先白上達を傍にいさせて下さい!」

 

『よろしくお願いします!』

 

お前達、其処まで………正直俺みたいなスタッフに其処まで思ってくれるのは嬉しいけど、お前等それで良いのかよ?って言うか……

 

「けどお前等がそうしたいって言っても、社長がそれを許すとは……」

 

「あ、それならこの事をYAGOOに言ったら……『そうか……分かった。彼の事、皆で支えてあげてくれ』って」

 

「マジかよ……」

 

それで良いのかホロライブ?いや、前回社長も俺にコイツ等の気持ちを尊重しろって言ってたぐらいだからな……仕方ない、俺も覚悟を決めるか。

 

「……分かった、お前達の提案に乗ろう。俺も男だ、こうなった責任はしっかり取るよ」

 

「本当!?レイくん本当に白上達と一緒に暮らしてくれるの?!」

 

「ああ、但し!俺の迷惑になるような事を起こしたら即刻止めるからな!良いな?!」

 

『はーい♪』

 

ったく皆して返事は良いな本当に………ってか冷静に考えたけど家どうするんだ?俺の家どう頑張っても十人ぐらいしか寝泊まり出来んが……もしかして交代で住むって事なのか?

 

「それじゃあマスター、申し訳ないんだけど一週間ほどホテルで寝泊まりしてもらっていいかな?」

 

「は?なんでまた……」

 

「良いから良いから♪それじゃあレイくん、一週間後にまた家に戻って来てね♪」

 

一体何をするつもりなんだコイツ等……なんか嫌な予感しかしないんだが……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―その夜、ビジネスホテル―

 

「……で、なんでお前等も一緒にいるんだ?」

 

「良いじゃん玲二君、一人でいるよりまつり達と一緒の方が楽しいでしょ?」

 

「そうそう、どうせ飲むなら一人より皆で飲んだ方が美味しいよ♪」

 

一週間程格安のビジネスホテルに泊まる事になったのは良いが、何故か茶髪な元気っ娘『夏色まつり』と異世界から来たハーフエルフ『アキ・ローゼンタール』の二人も一緒にいた。てかアキ、俺そんなに酒飲めないし、そもそもまつりは未成年だから飲ませれないぞ。

 

「……と言うよりお前等は何が行われるか知ってるのか?」

 

「ううん知らないよ?まつり達は玲二君と一緒に暮らせるしか聞いてないんだよね?」

 

「アキロゼもフブキちゃんやロボ子さんから自分達に任せてとしか言われてないしね」

 

そうなのか、結局何が行われるのか分からないって訳か……ってかアキ、お前それ四缶目だけどピッチ速くねぇか?

 

「それじゃあレイくん、せっかく皆で集まってるんだから一緒にガンプラ作らない?まつり此処に来る前に買ってきたんだ~♪」

 

「ん?別に良いが……おぉ、お前それよく見つけたな。結構売り切れになってるキットなのに」

 

まつりが出して来たのはHGの『シャイニングガンダム』と『ゴッドガンダム』の二つ。どちらもかなり人気のある機体だが、正直ストーリーはよく分からん。確かコックピットの中で動いた通りにガンダムが動くんだったか?

 

 

『HG シャイニングガンダム』

『HG ゴッドガンダム』

機動武闘伝Gガンダムの主人公ドモン・カッシュの機体。従来のガンダムには無かったモビルトレースというシステムがあり操縦者と同じ動きをするという今までのガンダムシリーズの中でも極めて異質な作品となっている。その性質上、ビームライフル等は無く基本は格闘戦特化になっている。

 

「えへへ、実は駿○屋に行ったらあったんだよね♪ちょっと値段高かったけどね」

 

「成る程、○河屋ね。確かに彼処なら少し値は張るが結構レアキットとかもあるからな」

 

「それじゃあ早速作りましょう♪アキロゼはこっち作りたいな~♪」

 

「じゃあまつりはこっちにするね♪」

 

ふむ、まつりがシャイニングでアキはゴッドか。確かにそれっぽい感じはするな……てかアキ大丈夫か?少し顔赤いし、大分酔ってんじゃねぇかこれ?そんなんで作れるのかよ……

 

 

 

 

 

 

それから俺達は一緒にガンプラを組み立て始めた。俺は最初はそれぞれを手伝っていたが案の定アキのニッパーの使い方が危なっかしかったのでアキの方をメインに手伝っている。だからまつりよ、そんな風に睨まないでくれ。怪我でもしたら大変だから仕方ないんだよ。

 

「むぅ……アキロゼばっかり玲二君に構って貰えてズルいぃ~」

 

「えへへぇ、ごめんねまつりちゃあん。アキロゼ少し酔っぱらっちゃったから上手くニッパー使えないから仕方ないよねぇ♪」

 

「むぅ~!」

 

いやそんな唇尖らせても仕方ないって……というかアキ本当に酔ってんのか?確かにニッパー持ってた時はフラフラだったけど今普通にヤスリ掛けてねぇか?もしかして手伝ってもらうようにわざと酔ったふりをしたのか?

 

「それにしても玲二君よく皆と暮らす事許したよねぇ?てっきり玲二君は色々理由付けて断るのかと思ったのに」

 

「……まあな。どんな理由であれちょこ達に手を出してしまった事には変わらないし、俺も責任は取らないといけないからな。とは言え、流石に問題になるようなら止めるつもりだけどな」

 

「玲二君……大丈夫だよ、皆玲二君の事大切に想ってる。今までだってまつり達玲二君にいっぱい支えてもらったんだもん、今度はまつり達が玲二君を支えるつもりで頑張るから、これからもよろしくね玲二君♪」

 

まつり……なんだろう、こう直接言われるとなんか胸にくるものがあるな……

 

「あれ?玲二君少し泣いてない?大丈夫?」

 

「あ、あぁ大丈夫だ。済まない、少し涙脆くなってるみたいだ……さ!後もう少しだしさっさと組み立てようか!」

 

「「はーい♪」」

 

少し泣いてしまったみたいで恥ずかしいが、今はそんな事よりもさっさと組み立てないとな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―二時間後―

 

「……よし、今回は墨入れだけだけど格好よく出来たな」

 

「うん!このダブルフィンガーの構え良いよね♪」

 

「此処にマスターガンダムも入ればもっと良かったんだけどね」

 

いや、流石にマスターガンダムは無理だろ?あれこそマジのレアキットだし。旧HGならまだ比較的見つかりやすいけどあれ確かあれ1/100だしサイズが合わん。

 

「ふぅ……それじゃあ今日はもう遅いし、片付けして寝るか」

 

「そうだね~、とその前にまつりもジュースジュースっと……」

 

まつりが冷蔵庫を漁り其処から缶ジュースを取り出し飲み始める。俺も一本だけ飲もうかな…………っておいちょっと待て!?これこん中に入ってるの全部酒じゃねぇか!?

 

「お、おいまつり!もうそれ以上飲むんじゃ……」

 

「プハァ~……ふぇ~?どうしたのれいじくぅ~ん?///」

 

速ッ?!もう飲み干したのかコイツ?!てか酔うの速くねぇか?!

 

「あ、ごめーん玲二君、その中お酒しか入れてないんだった、てへ♪」

 

てへ♪じゃねぇよ!どうすんだこれ?!未成年の飲酒なんてバレたら世間が許さねぇぞ!?

 

「ふあぁ、あちゅぅ~い……///」バサァッ

 

「あ、おいコラ此処で脱ぐな!早く隠せ!」

 

「えぇ~?いーじゃんべつにぃ~……そぅだぁ、れいじくんもいっしょにぬいじゃおうよぉ~♪///」

 

「あ、コラ止めろズボンに手をやるな!」

 

「あ、じゃあアキロゼも一緒に脱がせちゃおーっと♪」

 

おいアキまで何手伝ってんだよってかいつの間に服脱いでるんだよコラ止めろおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ……………!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―只今この小説では表現出来ない出来事が起こっております。暫くお待ち下さいませ by神楽―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―一週間後―

 

……あれから一週間が経ち、漸く俺は家に帰る事が出来る。え?あの後まつり達と何があったって?聞かないでくれ頼むから………って俺は誰に向かって言ってんだ?

 

まあいい、これで漸く家に帰れるんだ、帰ったらゆっくり休もう…………ってあれ?何だか人集りが出来てるけどどうし……ッ!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、来た来た!おぉーいレイくぅーん!」

 

上を見上げると“俺の家があった場所にある豪邸”の三階の窓からフブキが満面の笑みを浮かべながら俺に手を振ってくる。いや待ておい!?どうなってんだこれ俺の家どうしたんだ?!

 

「どうですかレイくん!これがレイくんと白上達の新しい家、その名もホロライブマンションです♪」

 

「ほ、ホロライブマンション?!いや待てどうしたんだこれ?!どうやって一週間で建てたんだってかこんな豪邸建てる金どっから出たんだよ?!」

 

「それはボクとシオンちゃんが知り合いに頼んで最新技術と魔法を駆使して作り上げたんだよ。皆良い人達で結構格安で作ってくれたんだぁ♪」

 

「えへへぇ♪どう玲二?シオンもなかなかやるでしょ?」

 

どうやって建てたか聞くとロボ子と小柄な魔法使い『紫咲シオン』が胸を張って自慢してくる(張る胸無いけど)。にしたっていくら格安でも普通に億とかの金が動いてんじゃ……?

 

「そ、それにしたってこんな豪邸建てるお金、一体何処から……?」

 

「あー、それなんだけど……マスター、只野って男覚えてる?」

 

只野?あぁ、確かいたなそんな奴。今確かアマゾンに飛ばされた筈だけど、ソイツがどうしたんだ?

 

「ほらアイツさ、シオン達にセクハラしたり同僚のスタッフに酷いパワハラとかしてたじゃん?それに聞いた話だとアイツ会社の金やグッズも横領してたんだって。それでYAGOOがめっちゃ激怒して只野を呼び戻して多額の慰謝料と損害賠償を請求してその後クビにしたんだって。だからこの家はシオン達に対する慰謝料で建てたってワケ」

 

「アイツそんな事してたのかよ?!」

 

本社にいた時からヤバい奴だと思ってたけどそんな事してたなんて………にしてもよくそんな金払えたなアイツ。

 

「確かどっかの金融会社からお金借りてたみたいだよ。確か……帝愛グループって名前だったような?」

 

おいそれヤミ金とかじゃねぇよな、大丈夫か?

 

「まあまあ、アイツの事はもう良いとして、折角新しい家が出来たんだから入ろうよ♪」

 

いつの間にか降りてきたフブキが俺の袖を引っ張って中へ案内しようとする。分かったから引っ張るなって。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まず此処がリビングだよ」

 

「予想はしてたがむちゃくちゃ広いな……」

 

これ事務所の中よりも広くねぇか?もう既に何人かソファーで寛いでるしってかテレビデカ過ぎだろ何インチあるんだよ?

よく見ると端にはそれぞれのペットもじゃれあってる……てかどっちかと言うとぽよ余が猫達に襲われてるようにしか見えん。まあ、本人(?)は笑ってるから大丈夫か。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「次に此処がレッスンルームです♪」

 

「すげぇ、いつも取ってるスタジオより広いな」

 

これなら全員でレッスン出来るし、何より出来たばかりだから綺麗でモチベーションも上がるな。早速次のライブのスケジュールを……

 

「ありゃ、マスターが仕事モードに入りそうになってる」

 

「おーいレイくーん。それは全部見回ってからにしよー?」

 

む?それもそうだな。よし、次の部屋に行くか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「此処が大浴場だよ♪ボク達が一番拘ったところなんだー♪」

 

「……こんな風呂アニメや漫画でしか見た事ないぞ?」

 

なんだこの広さ?軽く十人は入れるぞ?シャワー台も五個もあるし最早ホテルだろこれ?

 

「……あれ?これってもしかして風呂一つしかないのか?」

 

「当然ですよ?だから皆で交代で入る形で……」

 

「いやいや!?俺は?!俺男なんですけど!?」

 

「大丈夫!レイくんも白上達と一緒に入れば問題ないですよ!」

 

「大問題だこのバカ!!」

 

「もぉマスターってば、既に何人かと関係持ってるんだから今更風呂くらい大丈夫でしょ?」

 

「そういう問題じゃねぇ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そして此処が最大の目玉!ガンプラルームですよ~♪」

 

「うおぉッ!すげぇ、工具は勿論いろんな設備も整ってるしガンプラや塗料も沢山……!まるでガンダムベースのブースみたいだな!」

 

これだけの設備、よく揃えられたな……今まで見せてもらった中でも一番興奮する!

 

「良かったねフブキちゃん、マスター凄く喜んでくれてるよ♪」

 

「うん、皆で頑張って揃えた甲斐があったよ~♪」

 

「お前等……本当に有難うな、こんな俺の為に此処までしてくれて」

 

「ううん、白上達もレイくんともっとガンプラ作りたかったから、レイくんに喜んで貰えたならこれ以上ない喜びだよ♪だから、これからも皆で一緒にガンプラ作ろうね♪」

 

フブキ……本当に俺は幸せ者だな。こんなに良い仲間達に恵まれてるんだから。

 

「有難うな皆……それじゃ悪いけど少し休みたいから部屋に「その前にレイくんちょっとお話があるんですが」………え?」

 

「レイくん今度はまつりちゃんとアキちゃんにも手出しましたよねぇ?あれだけ言ってる割には随分節操ないですよねぇ?」

 

あ、ヤバい。めっちゃ怒ってる。これは……死んだか?

 

「そ、それはその……酔ったまつりとアキに押し倒されてしまったというか……」

 

「言い訳なんて見苦しいよマスター」

 

ろ、ロボ子まで冷たい……ど、どうにかして逃げ……

 

「レイくん、今夜レイくんの部屋に行きますから……覚悟して下さいね♪」

 

あ、絶対に死んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから約一ヶ月、夜な夜なホロメン達が代わる代わるやって来て絞られるだけ絞られ、終わった頃にはすっかり干からびてる玲二の姿があったとかなかったとか。




はい、という事でまつり&アキロゼ回+玲二の家豪邸化回でした。やっぱりこういったストーリーの方がすんなり書けますね(^^;

それと削除してしまった登場人物達についてはまた別の形で登場させようと思います。もう殺伐とした感じはないようにします( >Д<;)

次回は依然やったアンケートの順番通り、あのドラゴン娘の回です。次回も気長に待って頂けたら幸いです、ではまた( ゚∀゚)ノシ


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第16話『これがワタシの龍儀』

やっぱりバトル物よりこういった話の方がすんなり書けますね(^^;
これからは知り合いの意見要望は聞かず自分の描きたいように書いていこうと思います( ≧∀≦)ノ

今回はあの卒業した娘のお話です、最後まで楽しんで見て頂けたら有難いです、ではどうぞ( っ・ω・)っ


新しい家になってから早一ヶ月、俺とホロメン達の生活も大分慣れてきた。たった一つを除いて………

 

「………………………」チーンッ……

 

「れ、レイく~ん?大丈夫ですかぁ?」

 

「…………誰の……せいだと……思ってんだよ……」

 

そう、この一ヶ月の間毎晩代わる代わるホロメンがやって来て絞られまくり今や干からびる寸前だ……アイツ等本当に初めてだったのかよ?どんだけ○欲強いんだよ?

 

「あ、アハハ……ごめんなさい、つい調子に乗っちゃいました」

 

「で、でも玲二様!余は玲二様と一つになれて嬉しかったぞ!///」

 

「……そーかい、そりゃ良かったな」

 

「だ、ダメだ、絞り取り過ぎたせいで覇気が無くなっちゃってる……ほらレイさん、これ食べて元気出して!」

 

……ミオがテーブルの上に何か料理を置いてくれたみたいだが、一体何だ…………おい朝から何でウナギとスッポン鍋なんだよ?頼むから胃に優しい物にしてくれよ。

 

 

 

 

 

 

結局ミオが用意したご飯を食べきった、残すのは嫌だしな。それにしても胃の中が熱い……スッポン鍋の中の生姜がかなり効いてるなこりゃ。

 

「ふぅ、ごちそうさん」

 

「お粗末様です♪レイさん少しは元気になったみたいで良かったぁ♪」

 

「ん、有難うなミオ」ナデナテ

 

「み、みぉーん……///」ブンブンッ

 

ミオの頭を撫でるとよっぽど嬉しいのか尻尾をブンブン降っている。てかなんだよそのみぉーんって?

 

「むぅ、ミオちゃんばっかりズルい余……」

 

「うぅ~、白上だって簡単な物なら作れるのにぃ~!」

 

いや、別に張り合う事ねぇだろ?お前等もたまにしてくれる食事当番助かってるぜ?

 

「お前等もいつも有難うな、お陰で俺もなんとかやっていけてるよ」ナデナテ

 

「「ふにゃあぁ~♪」」

 

二人の頭も撫でるとまるでたれぱんだみたいにでれーとしていく。いや、今時たれぱんだなんて誰も知らんか?

 

「あ、親分此処にいたんだ!部屋にもいなかったから何処行ったかと思っちゃったよぉ」

 

「あぁわため、どうしたんだ?こんな朝っぱらから」

 

そのまま寛いでいるとリビングにわためが何やら慌てた様子で入って来た。一体どうしたんだ?

 

「そ、それが家の前に黒服の男の人が何人もいて、親分を出せってずっと言ってきて……」

 

「は?黒服の男?なんだよそんなの俺の知り合いにいないんだが?」

 

もしかして急にこんな豪邸建てたからどっかの危ない連中がいちゃもん付けに来たのか?

 

「と、兎に角向こうも親分連れて来るまで帰らねぇって言ってるけど、これって警察呼んだ方が……」

 

「いや、あまり大事にすると後で何されるか分からん……仕方ない、会ってさっさと話を終わらすか」

 

取り敢えず大事にはしたくないから俺は着替えて玄関へと向かう。というか一体何なんだよ黒服の男達って?

 

―ガチャッ―

 

「はいはーい、一体俺に何のようですか……って」

 

「……お久しぶりです、旦那」

 

『お久しぶりです!!』

 

玄関を開けると其処にはグラサンを掛け黒服を着た完全にカタギじゃないいかつい男達がいた。けど……

 

「あぁ、なんだお前等か。一体どうしたんだ急にやって来て?」

 

「え?レイさんこの人達知ってるの?」

 

黒服達が俺に頭を下げるのを見てミオやフブキ達もびっくりしてるがコイツ等はそんな悪い奴等じゃない、だって……

 

「あぁ、コイツ等はあれだ、桐生会の組員だよ」

 

「え?桐生会ってもしかして……」

 

「そ、アイツが仕切ってる組だよ」

 

桐生会、それはこの地域を裏で取り締まっている所謂ヤクザだ。そんな人達と何で俺が知り合いなのかと言うと、今の桐生会の会長がホロライブを卒業した“アイツ”だからだ。

 

「んで?お前等こんな朝っぱらからどうしたんだ?」

 

「へい、実は今朝方会長が旦那を桐生会本部に連れて来てくれとの命令を受けやして、旦那には申し訳ありませんが一緒に来て頂けやせんか?」

 

アイツが?アイツとは卒業後もたまに会ったりとかはしてるが桐生会に呼ばれるのは初めてだな。もしかして何か重大な事でもあったのか……?

 

「何でまたアイツは俺を桐生会に?」

 

「すいやせん、それは俺等も分からんのです。会長はただ連れてこいしか言ってなかったんで」

 

「そうか……分かった、取り敢えず行って会ってみるか」

 

「有難うございやす。では旦那、どうぞこちらに」

 

兎に角本人に会えば全て分かる筈だ。俺は黒服達の車に乗せてもらい桐生会へと向かう事にした。

 

「れ、レイくん大丈夫なんですか?!」

 

「あぁ、大丈夫だ。心配しなくてもちゃんと帰って来るから。んじゃ、行ってくるな」

 

俺がそう言うと車は発進し桐生会本部へと向かって行く。さて一体何があったんだか……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―桐生会本部―

 

「着きやした旦那、どうぞこちらに」

 

「あぁ、有難う」

 

数十分後、街の外れにそびえ立つ桐生会本部へと着いた俺は黒服に案内され中に入っていく。アイツから送られた写真を見て大体は知ってたけど実際に見るとかなりでかいな。そしてエレベーターに乗り最上階へと上がり、その奥の部屋の前に着くと黒服が軽く扉をノックした。

 

―コンコンッ―

 

「失礼しやす。会長、旦那をお連れしやした」

 

「オウ、ご苦労サン!中に入れてクレ!」

 

奥から声が聞こえると黒服は扉を開け、俺を中へと誘導する。そしてそのまま中に入ると黒服は役目を終えたのか部屋から出て扉を閉めた。

 

「hey兄貴!お久しブリデスね♪」

 

「あぁ、本当に久しぶりだな……ココ」

 

その部屋にいたのはかつてホロライブに所属していた元四期生の竜娘『桐生ココ』だ。今はコイツはアイドルを辞めて父親から受け継いだ桐生会の会長を務めている。

 

「そうデスねー、最後に会ったのハ二ヶ月前デスね。ワタシもホロライブ辞めて結構経ちマシタネ~」

 

「そうだな、とは行ってもまだ三ヶ月くらいだけどな……で、一体どうしたんだ?急に呼び出して」

 

取り敢えず俺はソファーに座り用意されてたお茶を飲む。うむ、高級玉露とは流石だな。旨い……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「実はデスネ、今から兄貴にはワタシと子作りしてホシイんデスよ♪」

 

―ブーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!―

 

「ケホッ!ゴホッ!はぁ、はぁ……はぁッ?!お前いきなり何を言い出すんだ!?」

 

あまりにも衝撃的過ぎて思わずお茶吹き出してしまったじゃねぇか!!いきなり来て子作りしろとか何考えてるんだ!?

 

「いやぁ、実はデスネ……ホラ、ワタシって随分と早い内に桐生会の会長になったじゃナイデスカ?」

 

「まあ、親父さんが倒れてしまって仕方なくお前が跡を継いだんだよな?それをきっかけにホロライブも卒業する事になったんだし」

 

「ソレで急に上が変わった事で組員達の混乱がアッタリ他の組とかとの抗争勃発やらでパパドラゴンが心配シテきやがるんデスよ。お前にもしもの事があったら跡取りはどうなるンダ?って。だったら今の内に跡取り作っちゃえって事デ今日兄貴に来てもらったんデス♪」

 

なんだそのめちゃくちゃな理由は?!コイツそんな事で俺を呼んだのかよ!?バカなのかコイツ!?

 

「お、お前なぁ……だったらそんなのお前の所にいる組員の誰かと結婚でもすればいいじゃないか。真島さんとか秋山さんとか、後冴島さんとか良い人達ばっかりだろ?」

 

「NO!兄貴ってば女心が分かってナイデスネェ~。良いデスカ兄貴、ワタシだって好きデモナイ男にこんな事頼んだりしまセン。ワタシにとって兄貴は世界デ一番好きな男なんデスから、だからこうやって兄貴に直接頼んでるんデスよ」

 

……そうだ、コイツ出会った時からこんな感じだったな。自分の思った事はストレートに言うっていうか……けど慕ってくれるのは嬉しいが俺には

 

「別に兄貴にワタシと結婚シテホシイって事じゃナイんデスよ、ただワタシも皆と同じヨウに愛シテホシイだけなんデス」

 

「皆と同じように……ってちょっと待て、何で俺が皆とそういった関係になってるって知ってんだよ?」

 

「この間かなたから画像付きデラインが届いたんデス。思わず嫉妬でスマホ壊しソウになりマシタが」

 

あの馬鹿天使何してんだ?!ココが見せてきた画像には確かに事後の笑顔のかなたとぐったりしてる俺が写ってる。こんな写真いつ撮ったんだよ?!というかよく見たらココのスマホヒビ入ってるし!?てかなんだこの最後の一文?!何が『ココもお願いしてみたら?』だ!?

 

「あーいや、ココ、これはだな……」

 

「別に兄貴を責めるツモリは全くナイデスよ?兄貴はヤるダケヤって後は知らんプリするヨウな無責任な男じゃナイのは皆知ってマス。だから皆兄貴の事好きデスし支えてあげタイって思えるんデス。だからお願いシマス兄貴、この現桐生会会長桐生ココの一生の願い、聞いてくれまセンか?」

 

…………全く、ココもそうだけど皆何でこんな只のスタッフの事好きになっちゃうかね?まあ、此処まで明確な好意を出されて悪い気はしないが……そういや前にフブキに言われたな、俺は押しに弱いって。正にその通りだな……仕方ない。

 

「……分かった。桐生会会長であり、何より元とは言え俺がスカウトしたアイドルの頼みだ。今すぐとはいかないが、俺の覚悟が決まったらお前の頼み、引き受けるよ」

 

「!!ホントデスカ兄貴!アリガトウゴザイマス!!」ダキィッ!!

 

「うおっと!急に抱きつくな全く……ホント相変わらずだなお前」

 

俺に抱きつき頬擦りをしながら尻尾を振り喜ぶココ。そんなココを俺は頭を撫で暫くココの好きなようにさせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―一時間後―

 

「………で、なんだこれ?」

 

「いやぁ、折角兄貴が遊びに来てくれたカラ久々に一緒にガンプラ作ろうカナって思って♪」

 

それだけの為に態々こんな制作ルームがあるのかよ?完全に事務所私物化してないかこれ?

 

「デハ今回作るGUNDAMはぁ、コチラデス♪」

 

おい頼むから俺を置いてさっさと進めるな。で、作るのは『MG シェンロンガンダム』か。しかもタウヤー装備版か。確かプレ○アムバ○ダイ限定だっけ?

 

 

『MG シェンロンガンダムEW タウヤー装備』

新機動戦記ガンダムWEW敗者たちの栄光に登場する張五飛が乗る機体。メインの五体のガンダムの中でも比較的オールマイティーに戦えるが殆ど三股の矛ビームトライデントでの近接戦闘が多く、更に通常のシェンロンでは伸縮可能だった右腕のドラゴンハングはクローが大きくなった代わりにその伸縮機能が省略された。更にこのキットにはタウヤーと呼ばれる青龍刀のような実体剣も付属している。

 

「改めて見るとガンダムWの機体ってTV版とEW版で大分姿違うよな。こんなデケェ実体剣なんて無かったし」

 

「まあまあ、そんナノ良いじゃナイデスカカッコイイんだから♪ソレじゃあ早速作りマショウ!と言っても外装は既に塗装済みナノで、後は内部フレームを組んデ外装着けレバ完成デス♪」

 

成る程な、確かに既に外装の青い部分が濃いオレンジ色になってるし腰回りや両腕辺りはガンメタブラックで塗装されてる。正にココのイメージカラーだな。

 

「ならさっさと組み立てるか。フレームだけなら二人合わせれば一時間くらいでいけるだろ?」

 

「ソーデスネ、じゃあサッさとヤって行きまショウ♪」

 

 

 

 

 

 

―組み立て中―

 

「………そういやさ」

 

「?どーしたんデスカ兄貴?」

 

「いや、少し気になったんだが……自分で言うのもなんだけどココって何で俺なんかを好きになっただろうなって」

 

シェンロンガンダムの内部フレームを組んでる中、俺はふと気になった事をココに聞いた。皆もそうだが何で俺みたいな只のスタッフを好きになったのか正直気になる。特別な事をした覚えはないんだけどな。

 

「ウーン、ソウデスネェ~……強いて言うナラ兄貴にスカウトされた時デスネ。ホラ、四期生って全員兄貴のスカウトで入ったメンバーじゃナイデスカ?」

 

「そうだな、俺が初めて社長から言われてスカウトしたメンバー達だったな。ルーナに関してはスカウトと言うより話聞かれてついてきた感じだが」

 

「……正直あの頃のワタシって将来の事デ少し悩んでたんデスよネ。このママパパドラゴンの跡を継いで桐生会を率いるだけで良いのかって。このママ他の女の子達がするような事は出来ナイのカナって………そんな時兄貴がワタシをスカウトしてくれた。兄貴がワタシを絶対に世界に通用するアイドルにしてみせる!って真剣な眼で言われた時に思ったんデス。なんとなくだケドこの人の言葉なら信じらレルって、この人と一緒ならワタシがヤりたかった事叶えてクレルって。たった二年チョットデスが、兄貴はワタシに沢山の思い出をくれマシタ。そんな兄貴だからワタシは好きになったんデスよ♪」

 

「ココ……」

 

「きっと他の娘も兄貴に救われた切っ掛けがあったんだと思いマス。兄貴は自分が思ってるヨリ素晴らしい人なんデス。だからワタシ達はそんな兄貴を支えタイと思えるんデス。例えホロライブを辞めても、ソレは絶対に変わりマセン」

 

俺のやってきた事で救われた、か………何だろうな?少し泣きそうになってしまう。前にまつりに言われた時もそうだが、こんな俺でも誰かの救いにはなってるんだな………

 

「…………兄貴、泣いてるんデスカ?」

 

「え?あ………済まない、ちょっと嬉しく感じてな……ごめんな、こんな泣いてる処を見せてしまって」

 

「イイエ、大丈夫デスよ兄貴。パパドラゴンが言ってマシタ、男が涙を流すのは決して恥ずかしい事じゃナイって。ホラ、こっちに来て下サイ、少し膝枕してあげマス♪」

 

「え、ちょっと別に良いって……おわッ?!」

 

年甲斐もなく少し嬉し泣きしてしまい、作業を続けようとしたらココが腕を引っ張って少し強引に自分の膝に俺の頭を乗せた。や、やっぱり龍人族は力が強いな……

 

「兄貴は一人で何デモ抱え込もうとしマスからネ。たまにはワタシ達を頼って下サイ、それが仲間ってモンデスよ♪」ナデナデ

 

「ココ……本当に有難うな。それと済まない、もう少しだけこのままでいさせてくれるか?」

 

「YES!兄貴のお願いとあらばこの桐生ココ、何処マデも着いて行きマスよ♪」

 

そういやこうやって誰かに甘えるなんて十何年振りかもしれない……今はココの好意に甘えて少しこのままでいさせてもらおう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―数時間後―

 

「よしッ遂に完成したな、ココオリジナルのシェンロンガンダム」

 

「YES!その名も『桐生ガンダム』デス!」

 

『桐生ガンダム』

シェンロンガンダムの青い部分を濃いオレンジ色に塗装し、両腕とスカート部分をガンメタブラックに塗装したココのオリジナル機。左手に持ってるタウヤーにはオリジナルデカールで桐生会の文字が貼られている。

 

「こうやって見ると本当に格好良いな。夕日とかに照らされるともっと見栄えが良くなるかもな」

 

「ソーデスネ♪兄貴、今日は本当にアリガトウゴザイマス!」

 

「ん、俺も久々にお前とガンプラ作れて良かったよ、こっちこそ今日は色々有難うな」ナデナデ

 

「~♪」

 

俺はココの頭を撫でるとココは嬉しそうにニコニコと笑っている。最初はびっくりする事もあったが、今日は此処に来て良かったな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―その後―

 

あれから俺は桐生会を出て一人街中へと出ていた。ココは俺を送ってくと言ってくれたが、折角なので久々に一人ガンプラ巡りに出る事にした。最近は本当に一人の時間なんて無かったし、少しぐらいは別に良いよな?

 

「さて、まずはいつも通りビ○クカ○ラに「おい」……ん?」

 

この後行く店を考えていたら突然声をかけられ、後ろを振り向くとガラの悪い連中が俺を囲むようにやってきた。

 

「な、何だお前達は?」

 

「テメェか?佐々木玲二とかいう野郎は?」

 

「え?あ、あぁそうだが―バチィッ!―ウグッ?!グ、ガァ……?!」

 

な、何だ……いきなり背中がバチッて……ヤバ…い、意…識……が……

 

―バタンッ―

 

「……悪いな、あんたに恨みはねぇが姉御の命令だ、このまま連れてかせてもらうぜ。おい、コイツを運べ」

 

『おう』

 

男達は気絶した玲二を近くに停めていたワゴン車に乗せるとそのまま何処かへと移動しその場から消えていった。果たして、玲二の身に一体何が起こるのだろうか?

 

 

 

―次回に続く―

 




はい、という事で卒業生桐生ココの回でした。書いて思ったのは会長戻ってこないかなぁって(*T^T)

そう言えば最近会長に声がそっくりな個人勢のVtuberがいたような……気のせいですよね(^^;

さて、最後少し不穏な感じになってますが安心してください、前みたいなバトル物にはなりません。

次回のタイトルは『白黒つけましょう』です。フブキととある娘の話になります。

次回もまったり書いていきますので気長に待って頂けたら幸いです、ではまた( ゚∀゚)ノシ


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第17話『白黒つけましょう』

自分でもびっくりするぐらい筆記が捗りました( ; ゚Д゚)

今回はタイトルで分かる方もいると思いますがとある娘の回です。話の都合上ガンプラ制作回では無いですが、最後まで楽しんで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ( っ・ω・)っ


謎の集団に気絶させられ拉致されてしまった玲二。果たして一体どうなってしまうのだろうか?

 

 

 

―その夜、ホロライブマンション―

 

「………ねぇ、玲二君遅くないかな?」

 

「確かに、マスターが連絡も無しにこんな遅くなるなんて事今まで無かったのに……」

 

「レイくん、まだココちゃんの所にいるのかな?」

 

「でもそれにしたって何の連絡もないのは変じゃないかな?」

 

既に夕飯時、リビングには既にご飯が用意されホロメン達も全員集まっているが、肝心の家主である玲二がまだ帰っていなかった。何時もは遅くなりそうなら予め連絡をくれる筈の玲二から何の音沙汰もない事にホロメン達は焦りを感じていた。もしかしてこの一ヶ月の間に急に迫ったのがいけなかったのか?そう思うメンバーもいるくらいだった。

 

「………そうなんだ。分かった、ありがとうねココ。何か分かったら連絡するから……うん、うん……それじゃまたね」ピッ

 

「あ、天音ちゃん!どうなのら、ココちゃ何か知ってたのら?」

 

「うん……ココの話によると玲二君、夕方前には桐生会を出ていったみたいでその後の事は分からないんだって」

 

「そ、そんな……?!それじゃ玲二さんが今何処にいるか誰も分からないって事?!」

 

「そうなるね……あ、もしかしてまたヒメヒナちゃんの所に行ってるとかは……?」

 

「それも最初思って電話で聞いたけど二人とも今日は会ってないって。同じように事務所やにじさんじとか玲二君の事聞いたけど誰も知らないって」

 

「そ、そんな……?レイくんが……」

 

桐生会を出た後の玲二の行方を誰も知らない……もしかしたら何か事件に巻き込まれたんじゃないか?そう思うとホロメン達は一気に不安になっていく。

 

「こ、こうしちゃいられない!早いとこ玲二を探しに行かないと大変な事になってしまうで!」

 

「みこちの言う通りだよ!また前みたいに街で玲二君が何処に言ったか聞き込みを「待って!!」え、ロボ子ちゃん……?」

 

そらが以前みたいに街へ出て玲二を探しに行こうとした瞬間ロボ子がそれを引き止め、自分の部屋からパソコンを持ってきて何やらページを開き始めた。

 

「実はマスターのスマホにはヒメヒナちゃん達の一件以来GPS機能が付けられてるんだよ。だからマスターのスマホの電源が入っていれば、今何処にいるか分かるかも」

 

「GPS?!いつの間にそんな機能を……てかロボ子先輩そんなのあるなら何で今まで言わなかったのさ?!」

 

「ご、ごめんねスバル、まだ事件性があるかどうか分からなかったから無闇にマスターの事調べたらいけないかなって……」

 

「まあまあ、今はそんな事より玲二さんが何処にいるかつきとめんと!」

 

フレアに言われロボ子は急いで玲二の行動履歴を調べる。すると町外れにあるとある建物から玲二のスマホの反応が確認された。

 

「此処って確か……そうだ、今は使われてない自動車工場だよ。噂によるととあるヤンキー達の溜まり場になってるらしいけど……」

 

「ヤンキーの溜まり場?!じゃあソイツ等がレイっちを誘拐したって事!?」

 

「でも一体何の為に?!」

 

「そんなのは今はいいよ!それよりも今はレイくんを助けないと!皆、急いでこの工場に向かおう!」

 

『オォーーーッ!!』

 

ホロメン達は一致団結し、急いで玲二がいるかもしれない廃工場へと向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―その頃……―

 

「…………う、うぅ………ハッ!?こ、此処は?俺は確か……」

 

うぅ、頭が痛ぇ……そうだ、確か変な奴等に声を掛けられたと思ったら急に気絶させられて……てか、此処って一体何処なんだ?何で俺こんな所に連れてこられたんだ?

 

「…………漸く目が覚めたみたいだな?」

 

「え………ッ?!お、お前は……!?」

 

突然声を掛けられ、目の前を見ると其処に座っていたのはなんと“フブキ”だった。だけど何か様子が変だ……髪と服の色がいつもの白とは真逆の黒に染まってるし目の色も赤い……本当にフブキなのか?

 

「済まなかったな、アイツ等には理由を伝えて連れて来るように言った筈なんだが、まさか気絶させるとはな……あぁ、連中ならもう用はないから帰らせたぞ」

 

「……お前、フブキなのか?」

 

「ん?おぉ、会うのは久し振りだが私の事覚えていてくれたのか。フフ、やはりお前と私は結ばれる運命なんだな♪」

 

?何だ、何か微妙に会話が噛み合って無いような感じがするが……

 

「いや、会うのは久し振りって、もう15年以上の付き合いだろ?ってか今朝だって普通に会ってるだろ?」

 

「?何を言ってるんだ、私がお前に会うのはそれこそ15年振りだぞ?」

 

な、何だ?会話が微妙処か全く噛み合って無い……コイツは、一体誰なんだ?

 

「……お前、一体誰なんだ?俺の知ってるフブキじゃないのか?」

 

「何?………そうか、どうやらお前は私を他の誰かと勘違いしてるみたいだな?通りで話が噛み合わないワケだ……なら改めて名乗ってやる」

 

目の前のフブキ?は立ち上がるとそのタイミングでひび割れた天井から月明かりが射し込み俺達を照らす。その月明かりに照らされフブキ?の黒い髪は美しく煌めき、その瞳はまるでルビーのような輝きをしていた。

 

「私の名前は“黒上フブキ”。お前の嫁になる女だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―その頃、廃工場の目の前―

 

「……此処だよね?レイくんがいるかもしれない廃工場って」

 

「うん、少なくともマスターのスマホはこの中から反応してるよ」

 

その頃フブキ達ホロメンは玲二のスマホの反応がある廃工場へとやって来ていた。入り口の出入り禁止の表札は壊されており、中には誰かが出入りしていた形跡がある。

 

「それじゃ皆、準備は良い?」

 

「戦えるメンバーはアキロゼと一緒に中に入って戦えないメンバーは外で待機。もしヤンキー達がいて襲ってきたら無力化させて、玲二君の安否を確認する。そしてもし中に入ったメンバーが三十分経っても出て来なかった場合は最終手段で残ったメンバーで警察に助けを求める。これで大丈夫かな?」

 

アキが確認すると皆は頷き予定通り定位置につく。そしてロボ子の合図と共に潜入チームが工場内へと入っていった。

 

 

 

 

「?おい、誰か来たみてぇだぞ?」

 

「あぁん?ておいおい、こんな夜中に何で女が何人もやって来てんだ?誰かデリヘルでも頼んだかぁ?」

 

中に入ると其処にはヤンキー達がざっと三十人はいた。突然入ってきたホロメン達を見てヤンキー達はニヤニヤ笑いながら獲物を見るような目をしていた。

 

「……此処に佐々木玲二さんがいるって聞いたんだけど、もしかして玲二さん襲ったのはあんた達かい?」

 

「はぁ?佐々木玲二ぃ?知らねぇなぁそんなヤツ」

 

ミオがヤンキー共を睨みながら聞くが、ヤンキー共は完全に舐めた態度でニヤニヤ笑うだけだった。

 

「嘘つくな!お前等が今いるこの場所から玲二さんのスマホの反応があったんだよ!」

 

「……チッ、うるせぇなぁ。おいお前等、黙らせろ。なんだったら犯してもいいぞ」

 

「マジっすか?!ヒャッホウゥ!!」

 

「ふへぇっへっへっへ、俺のビッグマグナムでヒィヒィ言わせてやるぜぇ♪」

 

リーダーらしき男が命令するとヤンキー共はやる気満々でホロメン達へと詰め寄っていく。

 

「はぁ?ビッグマグナムぅ?玲二君のに比べたらお前等のなんて小指くらいじゃろ?」

 

「ちょ、ノエちゃん笑わせないでよwww」

 

「そうだよノエルちゃん、小指に失礼でしょ?精々爪楊枝くらいじゃない?」

 

「ちょっとおかゆぅwwwそっちの方が失礼だってwww」

 

「こ、この女ぁ……ゼッテェ許さねぇッ!おいお前等、さっさと殺っちまえ!!」

 

『おうッ!!』

 

ノエルやおかゆの挑発によりヤンキー共が一斉にホロメン達へと襲い掛かる。そしてホロメン達もヤンキー共を懲らしめる為立ち向かっていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―一分後―

 

「……全く、口がでかいだけで全然強くないじゃん?そんなんじゃムキロゼには勝てないよ?」

 

『……………………………』チーンッ

 

戦闘が始まってから一分程でヤンキー共は全て鎮圧されていた。周りにはボコボコにされたりケツに矢が刺さってたり氷づけにされたヤンキー共が死屍累々とした状態で倒れている。

 

「ひ、ひいぃぃぃぃぃぃぃぃ……………」ガタガタガタガタッ

 

あれだけイキってたリーダーらしき男もすっかりビビり思わず漏らしてしまったようだ。

 

「うわ、汚ッ……まあいいや。そろそろマスターが何処にいるか教えてくれない?」

 

「だ、だから知らねぇって言ってんだろ!」

 

男は相変わらず知らないの一点張りで口を割ろうとしない。しかし

 

「皆ー!レイさんのスマホあったよー!だけど近くにレイさんの姿はなかったよ!」

 

ミオが玲二のスマホを見つけた事により玲二が此処にいたという事が分かった。ロボ子は再び男を問い詰める。

 

「これでもまだシラを切る気?早く答えた方が身の為だよ」

 

「い、いや、その……」

 

「…………もう煮え切らないね。でもまあそんなに喋りたくないなら仕方ないよね?」

 

ロボ子がそう言うとロボ子の左腕が変形していき巨大なドリルになりその先端を男の鼻に軽く突き刺した。

 

「ヒィッ……!?」

 

「さあ、早くマスターの居場所答えてよ?じゃないと君の顔○○した後全身○○して最後に○○○○○するよ?」

 

「ヒイィィィィィィィィィィッ!!?わ、分かりました!喋ります、喋りますから命だけはオタスケエェェェェェェェェェッ!!!!」

 

ロボ子に脅され遂に観念したのか男は玲二の居場所を吐くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―その頃外では―

 

「な、何か叫び声聞こえるけど大丈夫かな?」

 

「た、多分……皆やり過ぎてなければ良いんだけど……」

 

先程から工場から聞こえる叫び声に待機していたメンバーは中にいるヤンキー達の心配をしていた。只のヤンキー程度ならまずあのメンバーがやられるワケないからやり過ぎて玲二の居場所が分からなくなったら意味無いからである。

 

―ピリリリッピリリリッ―

 

「あ、メール……ロボ子さんからだ!えっと、『マスターの居場所が分かったよ。一緒にマップを載せるから其処に向かってほしい』だって!」

 

「ヨシッ!それじゃあ早速その場所に行こう!」

 

『おーーーーーッ!!』

 

そらやフブキ達は中にいるメンバーに後処理をお願いし一足先に玲二が囚われているであろう場所に向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―そして戻って玲二視点―

 

「黒上……フブキ?白上じゃなくて黒上?」

 

「あぁそうだ。そして覚えているか?15年前のあの日、公園で落ち込んでいた私をお前が励ましてくれた事を」

 

15年前?俺がまだ十歳でフブキが五歳の時か……ん?確かにその時フブキの髪の色が一時的に黒かった時期があったような……

 

「最初は馴れ馴れしい奴だと思ったが、お前は私の孤独だった悩みを聞いてくれて、励ましてくれた。そのお陰で今の私がいるんだ」

 

黒上はそう言うと顔を赤らめながら笑っていた。という事はなんだ?15年前俺がフブキだと思って遊んでたのはただそっくりなだけの別人だったって事か?!……いや、確かに冷静に考えたらそりゃそうだ。一日でフブキの髪色がころころ変わるワケないし、何より性格が違う。当時の俺よ、何故気づかなかった?!

 

「……今完全に思い出した。お前、あの時一緒に遊んだ黒髪の女の子だったんだな」

 

「おぉ!漸く思い出したか。全く、話が噛み合わなかった時はヒヤヒヤしたぞ?」

 

「す、済まない……処で黒上「クロでいいぞ。本当に仲が良い奴にはそう呼ばせてるからな」……そうか。じゃあクロ、何で俺をこんな所に連れてきたんだ?しかもあんなヤンキー達を使って無理矢理」

 

「その事に関してはすまん。私はあいつ等に玲二を此処に連れて来るように頼んだんだが、まさかスタンガン使って気絶させるとは思わなかった。やはりあんな半端者のヤンキーに頼むんじゃなかったな」

 

「?連中はお前の仲間じゃないのか?」

 

「まさか、そんなワケ無いだろ。前に襲いかかってきたアイツ等を返り討ちにしたら勝手に姉御って呼んできて正直迷惑だったんだよな」

 

いや返り討ちって、この娘見た目によらず強いのか?

 

「私はただ少し前に街中で偶然お前の姿を見つけて、それでまた会いたくなって、そしたら連中が俺等に任せて下さいって言うから頼んだんだ。こんな強引に連れてくるつもりは最初からなかったんだ、済まない……」

 

「いや、それはもう良いんだが……それにしてもさっきのあれはなんだったんだ?俺の嫁になるとか言ってたけど……」

 

「?好きな人がいたらその人と結婚して家庭を持つのは普通じゃないのか?」

 

わーお、この娘色々と話がぶっ飛んでるなぁ。好きになった=結婚ってまるでラミィじゃねぇかその思考回路。

 

「さあ玲二、早速だがこの婚姻届にサインしてくれ。そして明日朝一で役所に提出しに行こう。挙式はいつにしようか?新婚旅行は本当はハワイとかが良いが今はご時世的に控えなきゃいけないしな、国内だと奄美大島とかが良いな。そうだな、子供は少なくとも十人は」

 

「ちょ、ちょっと待てよ話が色々ぶっ飛んでる!?」

 

なんだこの娘?!ラミィより質が悪いぞ!?しかもなんだ子供十人ってどんだけ産む気だよ?!

 

―バアァンッ!!―

 

「レイくん大丈夫ですか?!白上達が助けに来ましたよ!」

 

「ふ、フブキ?!」

 

「む?なんだお前等?」

 

その時扉が勢い良く開き、其処からフブキ達ホロメンが流れるように入ってきた。ひ、一先ず助かったのか?

 

「ね、ねぇ皆!彼処にいる娘って……!?」

 

「え………ッ?!ふ、フブキちゃんがもう一人?!」

 

「えぇ?!じゃあ犯人はフブキだったって事?!」

 

「えぇッ?!し、白上は知らないですよぉ!?」

 

「…………随分喧しい連中だな」

 

「ま、まあ、こういう奴等だからな……」

 

……取り敢えずまずはコイツ等を落ち着かせるか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―三十分後―

 

「…………ていう事だ」

 

「な、成る程、そんな事になってたんだ……?」

 

あれから残りのホロメン達も集まり全員揃った処でこれまでの出来事を説明した。一先ずは皆納得してくれたのと俺が無事だった事で一安心してくれたみたいだ。それにしても……

 

「な、なんだか不思議な感じだよね?」

 

「本当にフブキ先輩が二人いるみたいです……」

 

「フブキちゃん、本当は双子だったりしない?」

 

「冗談言うな、誰がこんなマヌケ面なんかと双子になんなきゃならねぇんだ?」

 

「ニ゛ャッ?!ま、マヌケ面って、そっちだって同じ顔じゃん!?」

 

………本当に二人並ぶと髪と目の色が違うだけで瓜二つなんだよなぁ。しかも名前も白上フブキと黒上フブキって、名字一文字違うだけだし。

 

「全くこんな事で騒ぐんじゃねぇよ、世の中には似た顔なんて三人はいるって言うだろ?」

 

「いやいや!?似てるなんてレベルじゃ済まされないって!遺伝子レベルでそっくりじゃん!?」

 

それなんだよなぁ。トーンは違うが声も似てるし、これで全くの赤の他人なんて信じられん。世の中こんな不思議な事も起こるもんなんだな。

 

「あ、あの……ちょっと聞いても良いかな?もしかしてあなたって………あの“プロモデラー”の黒上フブキさん?」

 

………うん?プロモデラー?

 

「あん?なんだお前、私の事知ってるのか?」

 

「は、はい!デビューしてからいろんな雑誌に作品が掲載されていて、しかも多くのコンテストで必ずと言って良いほど上位を取ってる今最も話題の名前以外正体不明のプロモデラー!この間の雑誌に載っていた百年後の世界っていうジオラマが凄く感動しました!!」

 

突然アズキが目を輝かせながらクロの手を握り早口で熱く語っていた。こ、こんなアズキ初めて見た……ってかプロモデラーだったのかコイツ!?そ、そういや少し前にアズキが見ていた雑誌に載っていたジオラマ見た時になんかフブキに似た名前の制作者名が載っていたような気が……?

 

「お、おう……まさか私の事知ってる奴がいるなんてな……てか何時まで手を握ってるんだ?」

 

「あ、ご、ごめんなさい!」

 

アズキは慌ててクロから手を離しいそいそとクロに謝る。アズキが此処までなるなんて、コイツ本当に凄いモデラーなんだな?他のホロメンもかなり驚いてるみたいだ。

 

「さあ話も済んだ事だし玲二、早速この婚姻届にサインを『ちょっと待てえぇい!!』……何だようるさいなぁ?」

 

「いや何だよじゃないですよ!?何でいきなりレイくんと結婚しようとしてるんですか?!」

 

「そうですよ!しかもそれラミィの十八番ですよ!!」

 

「いやラミィ、十八番って言っちゃダメじゃん?!」

 

「チッ、騒がしい奴等だなホントに」

 

いやその原因お前だろクロ。聞いた事あるか再会してすぐに婚姻届って?

 

「兎に角ダメな物はダメです!そんなの白上達は絶対に許しませんよ!!」

 

「何だよそれ?一体何の権利があってそんな事言ってんだ?」

 

「白上達ホロメンは今レイくんと一緒に暮らしてるんです!だからクロちゃんには悪いけどレイくんは絶対に渡したりしません!」

 

フブキがクロに向かって睨みながら威嚇している。これ以上話をややこしくしても仕方ないからそろそろ止めるか。

 

「なあクロ、さっきフブキも言った通り俺は今コイツ等と一緒に暮らしてる。それにお前と俺は再会したばっかりでお互いの事をよく知らないだろ?だからお前の気持ちは嬉しいが受けるワケにはいかない」

 

「……………そうか」

 

クロはそう言うと素直に聞いたのか、婚姻届をしまいその場から出ていこうとする。

 

「取り敢えず今日の処は諦めて大人しく帰る。だけど忘れるな玲二、私は絶対にお前の事諦めたりしないからな」

 

クロは一言だけそう言うとその場から去っていった。まるで嵐みたいな娘だったな。

 

「な、なんか凄い娘だったね?」

 

「うん、まるで暴走した時のフブキみたい」

 

「ちょっとぉッ?!白上あんなに酷くないですよぉッ!?」

 

いや、どっちもどっちだぞ?兎に角もう大分遅くなってきたし、そろそろ帰るとするか。

 

 

こうして無事玲二を救出したホロメン達は皆で仲良くホロライブマンションへと帰宅するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―翌朝―

 

「という事で今日から私も此処に住む事にした」

 

『いやちょっと待てえぇいッ!?』

 

翌日、何故かリビングには大量の荷物を持ったクロがいた。ちゃっかり朝飯食ってるし。

 

「ちょっとクロちゃん?!昨日諦めて帰ったんじゃなかったの?!」

 

「あぁそうだよ、けど昨日言っただろ?“今日の処は”って。それでもう次の日になったからまた来たんだよ」

 

クロが味噌汁を啜りながら説明する。確かに言ってたけどマジでその翌日に来るとは思わねぇよ普通。

 

「昨日玲二にまだお互いの事を知らないと言われて確かにと思ってな。だからお互いをよく知るには一緒に住むのが一番だと思って今日来たと言うワケだ」

 

「いや、話がぶっ飛びすぎだろってかそもそもどうやって俺達の家が分かったんだよ?」

 

「そんなモノ昨日のうちに着けた発信器辿って見つけたに決まってるだろ?」

 

おいコラ何しれっと犯罪犯してんだよ?ってかもうこのレベルだと驚かない自分が怖いわ。何で俺の周りの奴等こんな強行手段とる奴多いの?

 

「安心しろ、住む以上はちゃんと家事もするし手伝える事はする。家賃払えって言うならちゃんと払うさ、これでもそこそこ稼いでるからな」

 

そう言うとクロは食べ終わった食事の食器を片付け皆の分の洗い物も始めた………おぉ、速い。何気に手際良いな。

 

「………ねぇ、どうするの?本当に住まわせちゃうの?」

 

「ダメに決まってるじゃん!只でさえご主人の競争率高いのに更にライバル増えるなんて絶対ダメ!!」

 

「とは言ってもあの食器洗いのスピードを考えるとかなり家事は出来そうなのよね」

 

「…………此処は一先ず様子を見よう。あの娘がもしレイくんに手を出すようなら追い出せば良いし、何より家事が出来るなら白上達にとってもメリットはあるしね」

 

?アイツ等何隅っこでこそこそ話してんだ?

 

 

 

それから数分後、ホロメン達の話し合いの結果家賃八万の週に一度程の家事当番を条件にクロの入居は許された。

 

「玲二、これからよろしく頼むな」

 

「………まあ、ちゃんと皆と仲良くしてくれればな」ナデナデ

 

「ん……考えとく///」

 

こうしてホロライブマンションに新たな仲間が加わった。またこれから一段と騒がしくなりそうだな。

 




はい、という事で黒上フブキ登場&入居回でした。
少し前に白上フブキのライブに登場した時はめっちゃ良かったですよね( ≧∀≦)ノ

次回は少し懐かしいあの子が再び登場します。また気長に待って頂ければ幸いです、ではまた( ゚∀゚)ノシ


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第18話『トキメキ驚きあの子の秘密?』

えー、結論から言いますと今回もガンプラ制作はありません(*T^T)
次回はガンプラ制作出来るようにしたいと思ってます(^^;

今回は久しぶりにあの子が登場します。最後まで楽しんで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ( っ・ω・)っ


その日、白上達にとってのXデーとも言える出来事が起こった……

 

その光景を見た皆が絶望し、中には涙を流す娘もいる。白上も目の前の光景に膝から崩れ落ち、目を反らしてしまう。

 

一体……一体なんで?!なんでこんな事になってしまったの?!こんなの、誰も望んでなんかいないのに!!なんで……一体どうして!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……いやこのやりとり前もやっただろ?」

 

「あうあ~♪」キャッキャッ♪

 

レイくんその赤ちゃん誰の子なのおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ?!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―数分後―

 

「いや、だから姉貴が事故って入院する事になって義兄さんも出張中だからまた苺を暫く預かる事になったんだよ」

 

「そ、そうなんだ?てっきり誰かがレイくんの赤ちゃん産んだのかと思っちゃったよぉ~」

 

いや、流石にそれはねぇだろ?仮に出来たとしてもまず皆に報告するわ普通に。

 

「わぁ苺ちゃんお久しぶりでちゅね~♪」

 

「きゃうぅ♪」

 

「え?メル先輩この子の事知ってるんですか?」

 

「うん、前にちょこ先生と一緒に苺ちゃんのお世話をしたんだよね~♪」

 

「そうそう、その時よりも少し大きくなったけどやっぱり可愛いわねぇ~♪」

 

おぉ、メルとちょこがまた苺にメロメロ状態になってるな。前に預かった時は五ヶ月だったけど今は八ヶ月ぐらいになって少しだけ大きくなって最近漸く座れるようになったらしい。

 

「それにしても本当に可愛い~♪ねぇちょこ先生、ねねにも抱っこさせて♪」

 

「良いわよぉ、ゆっくり優しく抱いてね」

 

「うっきゃあ♪」

 

「ふわあぁ……めっちゃ可愛いぃ~♪」

 

「あぁ!ねねちズルいよぉ!まつりも苺ちゃん抱っこしたい!」

 

ありゃ、メル達だけじゃなくて他の皆もメロメロ状態になってるな。苺がたらい回し状態で代わる代わる抱っこされてる。まあ、苺は笑ってるから楽しんでるみたいだな。

 

「あ、次は船長の番ですねぇ♪ほーらよちよち苺ちゃん可愛いでちゅねぇ~♪」

 

「…………うぅ~…ふ、ふえぇぇぇぇ……」

 

「えぇ?!な、なんで?!さっきまで笑ってたのに!?」

 

どうしたんだ急に?さっきまで苺喜んでたのにマリンに抱っこされた瞬間グズリだしたぞ?(玲二は皆と同居した際にマリンも名前で呼ぶようになった)

 

「ちょっとマリン何してるの?!ほら貸して!……ほら苺ちゃん、もう大丈夫、怖くないでちゅよ~?」

 

「ふえぇ………あきゃあ♪」

 

「なんでだよ?!なんでるしあが抱っこしたらすぐ泣き止むんだよ!?」

 

見かねたるしあが代わりに抱っこしたらピタリと泣き止んでまた上機嫌に笑っていた。多分だが苺的にはマリンが苦手みたいだな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから苺は代わる代わるホロメン達に可愛がられていた。そしてあの後他の娘も苺を抱っこしたがやはりマリン以外は至って笑っていた。多分本能的にマリンが嫌だったんだろうな。

 

「ほらクロちゃん、苺ちゃん可愛いでしょ♪」

 

「あ、あぁ……なんだか不思議な気分だな、こう赤ちゃんを抱いていると暖かい気持ちになる感じがする」

 

「あいやぁ♪」

 

今はフブキとクロが面倒を見てくれてるようだ。他の娘には未だ無愛想な処があるあのクロも苺の前には思わず優しい笑顔になっている。

 

「さてと、それじゃ皆済まないけどちょっと社長の所に行かなきゃならないから夕方まで苺の事よろしくな」

 

『はぁ~い♪』

 

ダメだ、皆メロメロ状態で生返事しかしてこない。けど俺はそのまま仕事の為事務所へと向かっていった。にしても大丈夫だろうか?あれを着けてるとは言え苺、“また暴走しなきゃいいんだけどな”……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―一時間後―

 

「すぅ……すぅ……」

 

「うわぁ、寝顔も可愛いぃねぇ~♪」

 

「ホントに天使みたいなのら~♪天音ちゃんと違って」

 

「ちょい待てルーナ、それどういう意味?」

 

ホロメンの皆に可愛がられ遊び疲れたのか苺はベビーベッドの上ですやすやと眠っていた。その愛くるしい寝顔にもホロメン達は心奪われ思わずデレーっとした顔になっている。

 

「本当に可愛いねぇ苺ちゃん♪」

 

「だねぇ♪いつか私も玲二君との赤ちゃん欲しいなぁ」

 

苺の愛くるしさを見てそらやアズキもいつか自分も玲二との子供を持ちたいという気持ちが強くなっていた。

 

「ま、マリン、ほら元気出してよ」

 

「……………なぁんで船長にだけ苺ちゃん懐いてくれないんですかねぇ?」

 

「多分本能的に嫌がってるんじゃない?船長おばさんだから♪」

 

「はあぁッ?!だあれがおばさんじゃこのクソ陰キャァッ!!」

 

「マリンダメだって!苺ちゃん起きちゃうよ!」

 

懐かれないマリンに対し珍しくあくあが弄りぶちギレて大声が出そうな処を抑えるミオだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな時、事件は起こった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……あれ?ねぇ皆、苺ちゃんは?」

 

『…………え?』

 

そらがそう言って皆がベビーベッドの方を見ると、其処には先程まですやすやと眠っていた苺の姿は無かった。

 

「えぇッ?!い、苺ちゃんが消えたぁ?!」

 

「え、そんな筈ないよ!?ねぇ、誰か抱っこしてるとかじゃないよね?!」

 

「ううん、誰も……てか皆が目を離した隙にいつの間に……?!」

 

「と、兎に角早く苺ちゃんを探そうよ!まだ絶対にこの近くにいる筈だよ!」

 

突然消えた苺にホロメン達は大慌てし、急いで探そうとする、が………

 

「…………ね、ねぇ皆」

 

「え?どうしたのスバル?」

 

「い、苺ちゃんいたけど……?」

 

「え?!ど、何処に?!」

 

スバルがまるで奇妙なモノを見てしまったような表情で“天井”の方に指を差す。皆もスバルの指差した方を見上げると……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぷあっぷぅ♪」フワフワ

 

其処にいたのはご機嫌に笑いながら“浮かんでいる”苺の姿があった。

 

 

 

『でえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ?!宙に浮かんでいるうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅッ?!!!』

 

 

 

あまりにもあり得ない光景にホロメン達は思わず叫んでしまった。

 

「ちょちょちょ、ちょっと待って?!なんで苺ちゃん宙に浮かんでいるの?!」

 

「シオンちゃんもしかしてなんかやった?!」

 

「ヴえぇッ!?し、シオン何もしてないって!?」

 

「そんなの今どうでも良いから早く苺ちゃん下ろさないと!」

 

突然の出来事に驚きつつもホロメン達は急いで苺を下に下ろそうとする。しかし……

 

「ふあ、ふあ♪」フヨフヨ

 

「ああッ!?そ、外に出ようとしてる!」

 

「ま、待って苺ちゃん!!」

 

開いてた上の窓から苺は外へと出てしまい、ホロメン達も慌てて外へ追いかけていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―その頃、ホロライブマンション付近―

 

「久しぶりにフブキちゃんや玲二くんに会えるねヒナ♪」

 

「そうだねヒメ、少し遅れたけどやっと新居祝い持ってこれたね♪」

 

丁度その頃、玲二の新居祝いの為にヒメヒナの二人が菓子折りを持ってホロライブマンションへと向かっていた。本当は出来たタイミングで行くつもりだったが、ライブの準備等があって今まで遅くなってしまったようだ。

 

「まず向こうに着いたら玲二くんとまたガンプラ作りたいね♪」

 

「うん、今度はPGのアストレイとかやりたいね………ってあれ?ねぇヒメ、あれ何だろう?」

 

「え?」

 

ホロライブマンションに着いたら何するかを話し合ってる中、ヒナは空から何かがこちらに向かって飛んできているのが見えヒメと一緒に確認する。それは……

 

「あうぅ~♪」フワフワ

 

ホロライブマンションから飛び出した苺だった。

 

「あ、赤ちゃん?!赤ちゃんが飛んでる!?」

 

「えぇ?!あ、赤ちゃんって飛べるの!?」

 

「いや普通は飛べんよ!?」

 

「あぅ?あっきゃあ~♪」フヨフヨ

 

赤ちゃんが飛んでる事に驚くヒメヒナだが、苺はそんな二人に気づき足をパタパタさせながら二人に向かってゆっくり降下していく。

 

「あい♪」ポフッ

 

「わわ……?!な、何だろうこの子?」

 

「わ、分からない……分からないけど」

 

「たぃやぁ♪」キャッキャッ♪

 

「「か、可愛いぃ~♪」」

 

突然空からやって来た苺に驚きつつも苺の愛くるしい笑顔にヒメヒナ、ノックアウト。

 

「おーい苺ちゃあーん!何処にいるのぉ~?!」

 

其処へ苺を探しに出たフブキがやって来た。

 

「あれ?フブキちゃんだ、おーいフブキちゃあーん!」

 

「あ、ヒメちゃん……って苺ちゃん!こんな所にいた!」

 

「あぁい♪」

 

駆け寄ってきたフブキに気づき苺はまた少し浮いてフブキの元へと抱きついていった。

 

「え?ふ、フブキちゃんこの子の事知ってるの?」

 

「あ、う、うんレイくんのお義姉さんの子供だよ。ちょっとした事情で預かってるの。苺ちゃんっていうんだ」

 

「あい♪」

 

「そーなんだ。それにしても凄いね、空飛べるんだこの子?」

 

「あ、アハハ、実は白上達もさっき知ったんだけどね……」

 

とにもかくにも無事苺を保護出来フブキはヒメヒナと一緒にホロライブマンションへと戻っていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―数時間後―

 

―ガチャッ―

 

「ただいま……って何だこりゃ?」

 

『……………………………』チーンッ……

 

仕事も終わって帰って見れば全員疲れているのかテーブルやソファー、挙げ句にはカーペットの上でぐったりしていた。よく見たらヒメとヒナもいるし、一体何があったんだ?

 

「あ、レイくんお帰りぃ……」

 

「お、おうフブキ、ただいま……ってかこれ一体どうしたんだ?」

 

「そ、それが……」

 

「おいたぁ♪」フワフワ

 

フブキが疲れはてながらも説明しようとした処に苺がフワフワと飛びながら俺の元にやって来た。

 

「おっと……こら苺、また飛んでたのか?ダメだろ危ないんだから」

 

「あい♪」

 

「………………え?れ、レイくん?もしかして知ってたの?苺ちゃんが空飛べるの……」

 

…………あ、そうかコイツ等に説明するの忘れてたな。それで苺に振り回された結果がこれか。

 

「あぁ済まないな、お前達に苺の事説明すんの忘れてたわ」

 

「え?い、苺ちゃんの事って……レイくん、この子一体なんなの?何で空飛んだり物を浮かせたり出来るの?!」

 

「お、落ち着けってフブキ。ちゃんと説明するから……取り敢えず皆起こすか」

 

取り敢えず説明はちゃんとしないとな。俺は皆に説明するため一旦起きてもらい苺の能力について説明する事にした。

 

 

 

 

 

―十分後―

 

「………まあ、簡単に説明すると苺のあれらの能力は苺の中に流れる血筋が影響してるんだと思う」

 

「血筋?でも玲二君もお義姉さんも普通の人間だよね?」

 

「あぁ、俺と姉貴は普通の人間だ。だが問題なのは義兄さんの方なんだよ」

 

『?』

 

苺の力は義兄さんの影響、そう言われるがあった事もないので今一つピンと来ないホロメン+α達。

 

「実は………義兄さんは八種族の血が流れる、所謂混合種なんだよ」

 

『混合種?!』

 

「そ、それって産まれてくるだけでも奇跡と言われる程希少な存在ですよね?!」

 

そう、今フレアが言ってくれたように混合種とは三つ以上の種族が交わって産まれる特殊な存在だ。ハーフぐらいならまだ普通に産まれるが混合種レベルになると産まれる確率が一気に1/20程になってしまう。そんな中八種類もの種族が交わって産まれた義兄さん、更にその娘の苺はまさに奇跡レベルの存在である。

 

「そ、それでレイさん?一体お義兄さんはどんな種族の血を引いてるの?」

 

「あぁ、確か……天使と悪魔、それと龍人とエルフと魔道師と死霊使い、後は……そうだ、吸血鬼と獅子族の血を引いてるな」

 

「何その豪華な血筋?!」

 

まあ、確かにそうだよな。俺も初めて聞いた時はびっくりしたし。

 

「まあ、その影響だとは思うが苺も六ヶ月頃には少しだが飛べるようになってな。だがまだ赤ちゃんだからうまく力を使いこなせてないんだよ。だから本当は力を抑制するブレスレットを着けてるんだが、どうやらまた何かの拍子で外れてしまったみたいだな」

 

そう言って俺はリビングを見渡すとベビーベッドの下に外れたブレスレットを見つけ、すぐに拾って苺の右腕に着け直した。

 

「これで良しと。もう暴走する事はないが、また外れてたら着け直してあげてくれ」

 

「きゃうぅ♪」

 

「よ、良かったぁ~……」

 

漸く一安心出来ると分かってフブキ達はまたぐったりしだした。ともあれこれで一件落着だな。

 

 

 

その後、回復したホロメン達からそういった大事な事は先に言えと怒られた。本当に面目ない……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―一ヶ月後―

 

「いやぁホントにありがとねぇ、旦那が家にいれば任せれたんだけど。でもあんたがいてくれてホントに助かったわ~♪」

 

「全く、転んで骨折したって聞いた時はびっくりしたけど、その様子ならもう大丈夫そうだな?」

 

あれから一ヶ月が経ち漸く退院した姉貴が俺の所にやって来た。にしても転んで骨折って一体何してたんだ?

 

「それにしてもあんた、いつの間にこんな豪邸手に入れたのさ?おまけにメルちゃんやちょこちゃん以外にも可愛い嫁さん候補増えてるし」

 

「いや嫁さん候補って言い方古くさいななんか」

 

姉貴に嫁さん候補って言われてホロメン達も顔を赤らめて照れてる。なんかこっちも照れ臭くなってくるな……

 

「まんまぁ~♪」

 

「あんら苺、ママって言えるようになったのぉ?凄いでちゅね~♪」

 

「あい♪」

 

久しぶりに会う娘に姉貴は親バカ全開状態だった。あれから暫くして苺は簡単な言葉なら言えるようになっていた。と言っても流石にまだ上手く言えないけど、それでもこの成長スピードは凄い。これも義兄さんの影響か?

 

「それじゃあフブキちゃん、皆、また何かあったら苺の事よろしくね♪それと、このバカ弟の事、大変かもしれないけど支えてあげてね」

 

「は、はいお義姉さん!この白上フブキ、神に誓ってレイくんを一生支えます!」

 

『任せて下さいお義姉さん!!』

 

「いや姉貴、余計なお世話だって」

 

ホントにオカンみたいだなこの人。皆も支えてくれるっていう気持ちは嬉しいが気合い入り過ぎだろ?

 

「あんたもこんな良い子達に恵まれてるんだから、大事にしてあげなさいよ?」

 

「言われなくても分かってるって。本当に母さんみたいになってきてるぞ?」

 

「大事な弟なんだから心配するのは当たり前でしょ?それじゃあそろそろ行くわね。また近いうちに遊びに来るからね~♪」

 

「おいたぁ、ねーたぁん、あいあぁ~♪」バイバイ

 

最後までお節介な感じで姉貴は苺を連れて帰っていった。全く、少しは信用してほしいもんだ。

 

「そんじゃあ漸く子育てにも解放されたし、今日くらいはゆっくりするか「あの~、レイくんちょっと良いですか?」?どうしたんだフブキ」

 

「いやぁ、この一ヶ月で苺ちゃんのお世話をしていて思ったんですが、やっぱり白上達も赤ちゃん欲しいなぁって思いまして……」

 

な、なんだ?なんか皆の目がギラギラしてるんだが……い、嫌な予感しかしない……

 

「レイくん、今夜からまた頑張って下さいね♪」

 

あ、絶対に死んだなこりゃ…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それからまた一ヶ月後、毎晩絞りに絞られた玲二は干からびてしまい一週間程入院する羽目になりホロメン達は看護師からこっぴどく叱られたのであった。




はい、という事で玲二の姪っ子苺の再登場です。結構設定詰め込み過ぎたような気がします(^^;

次回はホロメンではなくあの清楚なメイドの登場です。次回も気長に待って頂ければ幸いです、ではまた( ゚∀゚)ノシ


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第19話『完璧な清楚メイド』

久しぶりのガンプラ制作回!どういった展開にしようか考えましたがちょっとYouTube見て面白そうな技法あったので取り入れました( ≧∀≦)ノ

今回はのりプロより清楚なあの娘が登場します。今回も楽しんで見て頂けたら有難いです、ではどうぞ( っ・ω・)っ


ホロメン達に絞りとられ俺は不覚にも一週間程入院する羽目になってしまった。アイツ等加減と言うのを知らんのかホントに、いつか死んじまうぞ?

 

まあ、兎に角漸く退院出来たし、早く家に帰って久しぶりにガンプラを作るとしますか。

 

 

 

 

 

―玲二帰宅―

 

「ふぅ、久々の我が家だ……と言っても豪邸過ぎて未だに実感湧かねぇけどな」

 

本当に何で俺がこんな豪邸に住めるんだろうな?なんか場違い感が凄いんだが………まあいいや、さっさと入ろう。

 

―ガチャッ―

 

「ただいまーっと」

 

「お帰りなさいませご主人様」

 

「………………………は?」

 

………ご主人様?俺の事そんな風に呼ぶのってホロメンにいない筈、あくあはご主人だし……あれ?そうなると今此処にいるのってたまきか?いやたまきにしたって声色違うし……

 

「………ってなんだお前だったのか、“みしろ”」

 

「はい、お久しぶりですわご主人様」

 

そうだ、コイツがいたなそういや。俺は目の前で俺に向かってお辞儀をしている犬耳のメイド『白雪みしろ』を見て思った、そういやコイツも俺の事ご主人様って呼んでたな。

 

「どうしてお前が此処に?てかお前一人か、たまきとかは一緒じゃないのか?」

 

「はい、本日はご主人様が退院される日とお聞きしましてこのみしろ、ご主人様をお迎えする為に参りました。たまきちゃんも着いてくるとは言ってましたが邪m……みしろ一人で十分ですので椅子に座らせ縄で括り付けてきました」

 

おいなんでコイツ俺の行動把握してんの?そしてたまきの事邪魔って、しかも言い直した割にはやってる事えげつないぞ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―その頃のたまき―

 

「みしろおぉぉッ!なんで僕をこんな目に合わすんだよおぉぉッ!?外せえぇッ!僕もご主人様の所に行くんだあぁぁぁぁぁぁッ!!」バタバタッ!!

 

椅子に括り付けられまるで芋虫みたいに暴れるたまきを見て同じのりプロの娘達はドン引きしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―戻ってホロライブマンション―

 

「さあご主人様、お荷物はみしろがお持ちしますわ。お疲れのようなのでまずはリビングでお寛ぎ下さいまし」

 

「あ、あぁ……」

 

な、なんだ?一瞬たまきが芋虫みたいになって騒いでる姿が浮かんだんだが……?

 

ま、まあ取り敢えず疲れてるのは確かだし、一先ずリビングで休ませてもらうか。てか他の奴等どうしたんだ?何時もなら真っ先に飛び込んできそうなのに。

 

 

 

 

 

 

だがその答えはすぐに分かった。

 

「……なんだこりゃ?」

 

『……………………………………』チーンッ……

 

リビングに入った瞬間目に飛び込んだのは死んだ魚の目をしながら正座しているホロメン達の姿だった。皆何やらボードみたいなのを首からぶら下げてるが、何々……?

 

『もうレイくんを襲ったりしません 白上フブキ』

 

『もう絞り過ぎたりしないにぇ さくらみこ』

 

『もう玲二君のパンツ(使用済み)被ったりしません 夏色まつり』

 

な、なんか皆戒めみたいなのが書いてある。なんだこれ、全員何か刑罰でも受けてるのか?そしてまつりよ、お前そんな事してたのかよ?

 

「……なあみしろ、コイツ等一体何してたんだ?」

 

「ご主人様が入院したのは彼女達ホロメンがご主人様に対して無茶させ過ぎたのが原因だと言うので、反省の為に今こうして三日間正座の刑を執行中なのです。因みに今は二日目ですわ」

 

いややり過ぎだろ!?て事はあれか?コイツ等丸一日ずっと正座してんのか?!流石に止めろよ可哀想だろ!?

 

 

 

 

 

―十分後―

 

「ふえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!レイくんごめんなさあぁい!!もうレイくんに強引に迫ったりしないから白上を捨てないでえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!!」

 

「あーはいはい、もう分かったから泣くな泣くな」

 

あれからみしろに止めさせるように言うと渋々だが止めさせてくれ、今フブキが俺にしがみつき大泣きしながら許しを請うた。まあ、コイツ等も悪気は無かったんだし俺もこうして元気だから別に良いんだが。

 

「全く、ご主人様も甘過ぎます!そんなだといつか悪い女に引っ掛かってしまいますよ!?」

 

「いや、だとしてもこれはやり過ぎだろ?」

 

俺の心配してくれるのは良いが流石に命に関わる事はまずいだろ?そして解放されたホロメンの内半数以上が眠気に耐えきれず今は自室で眠っている。おそらく今日はもう起きてこないな。

 

「痛た……あ、足が痺れて立てない……」

 

「おいおい大丈夫かクロ?ほら、手を貸してやるからゆっくり立て」

 

「あ、あぁ済まない玲二……というか何なんだこの猫メイドは?!いきなり来たかと思えば私達に説教始めて挙げ句には丸一日正座させるっておかしいだろ!?」

 

まるで生まれたての小鹿のようにクロは足をプルプルさせながら俺にしがみつきみしろを睨み付ける。よっぽど根に持ってるなこりゃ。

 

「随分口の悪い方ですわねこの2Pカラーのフブキさんは?それとみしろは猫ではなく犬の獣人ですわ」

 

「誰が2Pカラーだ!?こんなバカと私を一緒にするな!」

 

「みしろからしてみればご主人様に迷惑をかけてる時点でどちらもバカだと思いますが?」

 

「ちょっとクロちゃんバカって言わないでよ!それとみしろちゃんも白上の事さらっとディスらないで!?」

 

いやフブキ、今それ良くないか別に?てかクロもそうだがみしろも結構口悪いな、普段は皆と仲良くしてる良い娘なのになんで俺が絡むとこうなるんだ?

 

「…………そう言えば貴方、クロって呼ばれてますがもしかしてあの黒上フブキさんなのですか?」

 

「あ?何だお前、私の事知ってるのか?」

 

「えぇ、クロと言う名とフブキさんそっくりな姿でもしやと思いましたが、やはりそうでしたか。名前以外は正体不明のプロモデラー、デビューしてから数多くの賞を総嘗めする偉業を果たしたという、知らない人はにわかレベルとも言われる程のガンプラ界では超有名人ですから」

 

え、クロってそんなに凄いヤツだったのか?てか俺それ知らないからにわかレベルなのか?まあ、確かにガチでは組んだ事あまりないけど。

 

「クロ、お前思ってたより凄いヤツだったんだな?」

 

「フフン、もっと誉めてくれても良いぞ♪」

 

「…………しかしその反面インタビュー等ではガサツな態度をとり他のモデラーの方々と揉めたりする事もしばしばあり、一部のモデラーや関係者から問題児扱いされてるといった一面もありますよね?」

 

「うぐっ……?!」

 

は?そんな事してたのかコイツ?確かにホロメン達に対して前よりかは丸くはなってるがまだ無愛想な処はあるし、そういやクロの作品が載ってる雑誌を見ようとしたら慌てて取り上げられて作品の写真だけ見せられたな。

 

「いくら素晴らしい作品を作れても中身が伴ってなければ意味がありませんわ。本当にそんな方の作品がよく上位入賞なんて出来ますね?」

 

「………お前、さっきから言いたい放題言ってくれるじゃねぇか?だったらなんだ?お前なら私以上の作品を作れるって言うのか?」

 

「あら、そう聞こえましたか?ですがそうですね、あれ程の作品ならみしろでも作れそうですわね」

 

どうしたんだみしろ?今日はやけにクロに絡んでくるな。いつもは其処まで相手を挑発するような事はしないのに何かあったのか?

 

「上等だテメェ、其処まで言われたらプロモデラーとして黙ってられるか!それだったら私と勝負しろこのメイド女!私に其処まで言ったんだから当然それだけの実力はあるんだろ?!」

 

「はぁ、勝負ですか。正直あまり気乗りはしませんが、後から何か言われても面倒ですからね。良いでしょう、お受けしますわ」

 

あ、みしろがうっすらとだけど笑ってる。どうやら最初から挑発して勝負するつもりだったみたいだな。だが何の為に?

 

「そうですね、勝負はジオラマ制作対決というのはどうでしょうか?制作期限は二週間、完成した作品をご主人様を含む数名に判断して頂き、勝敗を決めるといった感じです。如何でしょうか?」

 

「フン、良いだろう。それで、勝った方には何かあるのか?」

 

「そうですね……では貴方が勝った場合、貴方が欲しいガンプラを十万円分買ってあげるというのはどうでしょう?」

 

随分と気前良いな?!そんだけありゃプレ値付いてたとしても割りと好きなガンプラ買えるぞ!?

 

「…………おい、只のガンプラ対決にしては気前良すぎないか?お前、何企んでるんだ?」

 

「いえ、もしみしろが勝った場合の事を考えた場合これくらいの条件じゃないといけないかと思いまして」

 

これくらいしないと?みしろ、お前勝ったら何をしてもらうつもりなんだ?

 

「みしろちゃん、もしみしろちゃんが勝った場合何してもらうつもりなの?」

 

あ、フブキも気になってるみたいだな。でも負けたら十万円分も奢るって言ってるくらいだ、よっぽどな要求になりそうだな。

 

「いえ、そんな難しい事ではありませんわ。ただ……もしみしろが勝った場合、その時はみしろもこの家に住まわせてほしいだけです♪」

 

「「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ?!」」

 

……成る程、わざと相手を挑発して勝負に持ち込み自分が此処に住む条件を出す……考えたなみしろ。

 

「だ、ダメだよそんなの!だってみしろちゃんのりプロ所属なのにホロライブマンションに住むなんて……!」

 

「それを言ったら其処の方だってホロライブ所属ではないじゃないですか?どうして此処に住んでるか経緯は知りませんが、その方が良くてみしろがダメというのはおかしくはないですか?」

 

「うっ……!?」

 

あーあ、こうなったらみしろには勝てないぞフブキ。コイツ口が上手いから何言っても多分打ち負かされるだけだぞ?

 

「ふざけるな!そんな条件で勝負なんて出来るワケ……!」

 

「何故ですか?貴方プロモデラーですよね?もしかしてみしろに勝つ自信がないのですか?こんな良い条件を出しているにも関わらず」

 

「ぐっ……?!」

 

ほらな、何言っても言いくるめられるだけだぞクロ。

 

「安心して下さい、仮に住む事になったらちゃんと家賃は払いますし、なんでしたら炊事洗濯家事全てお手伝い致しますわ。それに先程も言った通り、要は貴方が勝てば良いのです。簡単な事ですよね?」

 

「ぐぐ………分かったよ、やってやるよ!この私に勝負挑んだ事後悔させてやる!」

 

あーあ、もうこうなったら収まり利かないぞこりゃ。そしてこのレベルだともう動じなくなってる自分が本当に怖い。

 

「では、勝負の為にこの二週間泊まらせて頂きますね♪同じ制作ルームで同等の条件で制作する、良いですね?」

 

「おう、構わないぞ。寧ろ条件違って後で言い訳されてもこっちが迷惑だからな」

 

「ちょっとクロちゃん?!」

 

「決まりですわね。それではご主人様、この二週間お世話になりますわ♪」

 

「あ、あぁ分かった。ただ皆とはほどほどで良いから仲良くな」

 

「はい♪」

 

こうしてみしろとクロによる二週間を掛けてのガンプラジオラマ対決が始まった。余談だが翌日すっかり回復したホロメン達からブーイングはあったが結局みしろに言いくるめられ、更にみしろの作る料理に胃袋を掴まれ完全に言い返す事が出来なくなっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―一方たまきは………―

 

 

 

「みしろおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!なんだご主人様の所に二週間泊まりに行くってえぇぇぇぇぇぇぇぇッ!?みるくぅッ!ゆづるぅッ!今すぐ此処から出せえぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!僕もご主人様の所に行って僕の○○を捧げるんだあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!!」

 

「ど、どうしようこれ……?」

 

「み、みしろちゃんから絶対たまきちゃんを部屋から出すなって言われてるから取り敢えずこのままにしよ?」

 

あれから一度帰ってきたみしろに地下室に入れられ幽閉されたたまきはまるで狂った野獣のように暴れていたのであった。

 

「出せえぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―二週間後―

 

「それではご主人様、お互いの作品が出来ましたので早速ご覧下さいまし」

 

「あ、あぁ……」

 

な、なんだ?また脳裏に狂ったたまきの姿が浮かんだんだが?

 

ま、まあ、取り敢えずお互いの作品を見ていくか。因みに今回は公平なジャッジをする為俺以外の審査するホロメン達はどっちがどっちの作品か分からないように伏せられている。そして審査するのは俺、そら、はあと、あやめ、おかゆ、ぺこら、かなた、ポルカの計八人で、勝敗は投票制で俺が2ポイント、それ以外は1ポイントとなっている。

 

「それじゃあまずは一つ目、タイトルは『歴戦の勇姿』です」

 

今回仕切ってくれる事になったアズキがリビングに最初の作品を持ってきた。これは……エクシアリペアか。しかも通常のダメージ表現以外に更にダメージ加工を施した事によってより戦い続けた戦士といった印象があるな。

 

 

『歴戦の勇姿』

MGガンダムエクシアのイグニッションモードというセットに付いているリペアパーツを使い更にダメージ加工を施した事により長きに渡って戦い抜いた猛者を彷彿させる仕上がりになっている。更に回りには瓦礫の街と撃破されたであろうフラッグの破損パーツが散らばっており、つい先程まで戦っていたと想像できる作品だ。

 

「こ、これ凄い……」

 

「まるで本当に戦い続けたモビルスーツみたい……」

 

「ぺこーら、こんなにリアリティのあるガンプラ見た事ねぇぺこ……」

 

「凄い……余もダメージ加工はよくするけど、こんな絶妙なバランスのダメージ加工は出来ないぞ」

 

確かにこれは凄い、この周りのフラッグの破損具合いも相まってOOの世界観をしっかり描いてるように感じるな。

 

「そして次の作品です。タイトルは『飛翔』です」

 

そうしている内に次の作品がリビングに運ばれてきたな。これは………水槽に入ったウイングゼロ?けどちょっと待て、これ……どうやってポーズつけて浮かせてるんだ?!

 

 

『飛翔』

大きな水槽の中にMGウイングガンダムゼロEWが翼を広げて飛び立とうとしているシーンを再現している。なんと言っても驚きなのはみる限り糸等でぶら下げているわけではなく、本当にこのポーズを決めたまま浮いて固定されている。周りにも半透明の羽が散らばっておりかなり幻想的な光景になっている。

 

「えぇ!?何これ一体どうなってるの?!」

 

「糸に吊るされてる感じもないし、水もちゃんと入ってる……」

 

「凄い、なんだかとても神秘的な感じがする……」

 

「え、マジでこれどうなってるの?!」

 

さっきのエクシアも凄かったがこっちはまた違うベクトルで凄い。本当にどうやって浮かせてるんだこれ?

 

「それではお互いの作品を紹介したので此処から投票に入りたいと思います。それぞれ良かったと思う方を紙に書いてこの箱に入れて下さい」

 

そして俺達は紙とペンを渡されいよいよ投票に入る。すぐに決める者もいればかなり悩んでいる者もいる。俺は少し悩んだ結果、決めた作品名を書いて投票箱に入れ、これで全ての票が箱に入った。

 

「それでは全ての票が入りました。そして集計の結果は……このようになりました!」

 

集計が終わり、アズキはその結果が書かれたボードを皆に見せた。結果は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『歴戦の勇姿』

3ポイント

 

『飛翔』

6ポイント

 

「飛翔が6ポイントという事で、この勝負………みしろちゃんの勝ちです!」

 

「ふふ、やりました♪」

 

「ぐっ……まさか負けるとは……」

 

かなりの差をつけて、みしろの作った作品『飛翔』が勝った。いや、これは本当に凄かったな。因みに俺もみしろの作品に票を入れた。

 

「にしても凄いなみしろ、こんな幻想的な作品を作れるなんてな。これ一体どうやって浮かせてるんだ?」

 

「お褒め頂き有難うございますご主人様♪実は……これを使いました♪」

 

そういうとみしろが後ろから出したのは、なんと消臭用のビーズ、それも100均とかで買えるような物だった。

 

「水槽にガンプラを入れて調整しながらこれを中に敷き詰め、後はバランスを整えた後気泡が出来ないように少しずつ水を足して作りました。中に入れるプラモによりますが基本は半年から一年は水を取り替えなくても大丈夫なんですよ♪」

 

「そ、そんな技法が……」

 

「成る程な……ただ組んでるだけでは確かにこんな技法思いつかないな。これはみしろに一本取られたな」

 

現にみしろが種明かしした後も皆みしろの作品に釘付けになっている。特にかなたとポルカはかなり気に入ったようでうっとりした表情になってるな。

 

「それではご主人様、みしろが勝負に勝ったという事でお約束通り、今日から正式にこの家に住まわせて頂きますね♪」

 

「まあそういう約束だもんな、これからもよろしくな、みしろ」

 

「はい♪クロさんも良いですよね?」

 

「あぁ、負けたからには言い訳はしないさ、現に完成したそれを見た瞬間に負けが見えてしまってたからな……だけど、このままじゃ終われない。またいつか勝負するぞ、次は絶対に負けないからな」

 

「えぇ、望む所ですわ♪」

 

お?思ったよりクロもあっさり負けを認めたな……きっと一緒に作っている間に何かあったのか二人の間に友情みたいなのが芽生えたようだな。取り敢えず揉め事とかなくて良かったわ。

 

こうしてホロライブマンションに新しい住人、白雪みしろが入居した。とは言えホロライブに移籍するワケではなくあくまで入居しているといった感じだ。そしてそれに対しホロメン達はと言うと、この二週間でみしろに炊事洗濯家事をしてもらい、すっかり餌付け状態だった為すんなり受け入れていた。これもしかしなくてもみしろが負けたとしても入居出来たんじゃねぇか?

 

まあそれはともかく、今度俺もクロとみしろに教わりながらジオラマ作りやってみようかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―オマケ―

 

「ふ、ふふ……みしろぉ……この僕を差し置いてご主人様の家に住むだとぉ?見てろよぉ、後で絶対後悔させてやるぅ……そして僕が代わりにご主人様と一緒に暮らしていっぱい○○○○するんだぁッ!!」

 

「……ねぇみるくちゃん、もうこのホモこっから出さない方が良いかな?」

 

「うん、その方が玲二君の為に良いかも」

 

あれから二週間経った今でも地下室から出してもらえないたまきは怨念まみれになっており、既に同じ事務所の娘達からも避けられていた。そして数日後、隙を見て抜け出し玲二の所へ行き性的に襲おうとするもみしろに返り討ちにあい暫くの間玲二との接触禁止令を出されるのであった。




はい、という事でみしろとクロのガンプラ対決でした(^_^)
YouTubeで瓶の中に消臭ビーズを入れて浮かせるといった技術を見て実際にやったらめちゃくちゃ綺麗に出来て、それをみしろの作品に応用して見ました( ≧∀≦)ノ
「ガンプラ 水中」で検索すると出てくるので是非見てみて下さい(^o^)
さて次回なんですが、少し過去回をやろうかなと思ってます。其処でやろうと思っている娘をアンケートを取るのでその順番でやっていこうと思います。

次回もまったり書いていくので気長に待って頂ければ幸いです、ではまた( ゚∀゚)ノシ


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第20話『貴方と出会って』

ガンダムグレモリー、かなり良いキットですよね。素組でもかなり良かったです( ≧∀≦)ノ

今回は前回のアンケートで取った上位五人の過去話を総集編みたいな感じに纏めました。今回も最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ( っ・ω・)っ


ホロライブメンバー、そして一部他のアイドル達から好かれているスタッフリーダーである男、佐々木玲二。

 

何故彼はそんなに慕われているのか?何が切っ掛けで彼女達は彼に好意を持ったのか?

 

これは、そんなスタッフと恋する女の子達の出会いの物語である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―1.白上フブキ―

 

あれはそうだな……俺がまだ八歳の頃、俺の家の隣に一組の家族が引っ越して来た時の話だな。思えばこれが、俺の今後を大きく変えたターニングポイントだったのかもしれない。

 

「玲二、ちょっと良いかしら?」

 

「んー?どうしたの母さん?」

 

いつものように俺はリビングで本を読んでいると母親に呼ばれた。また何か手伝えって感じかな?

 

「実はお隣に新しい人達が引っ越して来てね、それでお引っ越しのご挨拶に来てくれたんだけど玲二も一緒に来てくれる?」

 

「俺も?挨拶なら母さんだけで良いじゃん、なんで俺も?」

 

「向こうのご家族にも子供がいるのよ。だからご挨拶のついでに仲良くなってほしいなって」

 

成る程、そういう事なら仕方ないか。俺は本を読むのを止めて母さんと一緒に玄関へと向かっていった。

 

 

 

「こんにちは、お隣に引っ越して来ました白上といいます。これからご近所という事でどうぞよろしくお願いします」

 

「あらあら、こちらこそよろしくお願いします♪何か分からない事があったら遠慮せず訪ねて下さいな」

 

玄関につくと其処にいたのは白い髪に狐の耳を生やした美しい獣人の女性だった。俺は子供ながらに思わず見惚れてしまうほど綺麗な人だったのは今でも覚えてる。

 

「あら?そちらが息子さんですか?」

 

「えぇ、本当は娘もいるんですが今は部活で出てまして。ほら玲二、ご挨拶して」

 

「あ、うん。えっと、佐々木玲二です、よろしくお願いします」

 

「はい、よろしくね玲二君♪そうだ、うちの子も紹介しないとね。ほらフブキ、ちゃんとご挨拶して」

 

白上さんがそう言うと先程から後ろにいたちっちゃい子がビクッと反応し、こちらに向かって恐る恐る顔を出して様子を伺っていた。

 

「は、はじめまして、しらかみフブキでしゅ……///」

 

「あらフブキちゃんっていうの?可愛いわねぇ♪今いくつなんですか?」

 

「先月三歳になったばかりですね。玲二君、この子人見知りが激しく恥ずかしがりやなんだけど、どうか仲良くしてあげてね」

 

「は、はい。よろしくね、フブキちゃん」

 

「………………///」サッ!

 

ありゃ、本当に恥ずかしがりなんだな?俺が挨拶するとその子はすぐに顔を赤らめ白上さんの後ろに隠れてしまった。こんなんで本当に仲良くできるのかな?

 

 

 

 

 

 

―一週間後―

 

あれから一週間が経ち、うちの両親と白上さんご夫婦はすっかり仲良くなっていた。今日も白上さんがフブキを連れて遊びに来ていた。けどフブキは俺の近くには来ようとはせず白上さんの足元でずっとお絵かきをしている。何度か一緒に遊ぶよう誘ってみたけどすぐに避けられてしまい、俺も途中から諦め一人本を読んでいた。

 

「……ねぇフブキ、そろそろ玲二君に慣れてきたんじゃない?たまには一緒に遊んで「ヤ!しらかみままといっしょがいい!」えー……?困ったわねぇ、この子の人見知りが此処まで酷かったなんて……」

 

「まあまあ、こういった人見知りは無理して治そうと思うと余計に酷くなっちゃうからね。焦らず徐々に慣らしていくのが一番なのよ」

 

そういうもんかね?にしてもこのままだと何かしら支障は出そうだよな………なんとかしてやりたいけど、どうすればいいんだか……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………んん………ん、いけね、寝ちゃってたみたい」

 

本を読んでたらいつの間にか寝ちゃってたみたいだ。あーあ、この本お気に入りだったのに下敷きになったせいで少しくしゃくしゃになっちまった………ん?

 

「くー……くー……」

 

ありゃ?どうやらフブキもお昼寝中みたいだな。初めて寝顔を見るがなんだか可愛らしいよなコイツ。というか母さん達はどうしたんだ?見た感じ近くにはいないみたいだが……ん?何この紙?

 

―ママちょっと白上さんとお買い物行ってくるから留守番お願いします。フブキちゃんの事、よろしくね♪―

 

「……いや八歳と三歳置いて買い物行くなよ」

 

何か昔からあんたはしっかりしてるとか言われてこういった留守番を当たり前のようにさせられる。しっかりしてると言われて嬉しくない訳じゃないけど、まだ俺八歳だぞ?それで良いのか母上よ?

 

「……うー……あれ、ままは?」

 

お、どうやらフブキも起きたみたいだな。さて、今この家に二人しかいない状況、どうしたもんかな?

 

「おはよフブキ、気持ち良さそうに寝ていたな?」

 

「え…………っ!?///」ササッ!

 

俺に声をかけられ、眠気が吹っ飛んだフブキは顔を赤くし凄いスピードでソファーの影に隠れてしまった。おお、三歳児とは思えない俊敏さ、流石獣人族……は関係あるのか?

 

「あぅ……ま、まま……どこいったの?」

 

「え?あー……フブキのママは俺の母さんと一緒に買い物に行ったよ。今は俺とフブキの二人でお留守番中だ」

 

「!!」ダッ……

 

俺がフブキに説明した瞬間、フブキは驚き慌てて玄関へと走っていった。あいつ、まさか?!

 

「うーっ!うーっ!」ピョンピョンッ

 

「お、おいフブキ?!どうしたんだ急に!?」

 

「しらかみままのとこいく!」ピョンピョンッ

 

やっぱりか!フブキは母親の元に行こうと必死に玄関を開けようとするが、流石に三歳児の身長じゃどう頑張っても届くわけがない。

 

「無理言わないでくれフブキ!母さん達が何処に買い物に行ったか分からないし、一人で行ったら危ないだろ?!多分もうすぐ帰って来るからそれまで大人しく……」

 

「ヤー!しらかみままといっしょじゃなきゃやだぁっ!あぅっ!」ピョンピョンッ…ペタンッ!

 

俺が止めてもフブキは母親を求めて外に出ようとする。けど途中で足を滑らせてしまいその場で倒れてしまった。幸い怪我は無さそうだが、フブキは起き上がらずその場で蹲ってしまった。

 

「ふ、フブキ、大丈夫か?」

 

「ふうぅ、ふえぇぇん…ままぁ……」ヒッグ、エッグ…

 

あぁ、泣いてしまった……今この家には俺しかいないし……そうだ、あれでもあげてみるか。

 

俺はすぐに和室に行き仏壇にあるお菓子を少し取って玄関へと戻っていく。じーちゃんばーちゃんごめんなさい、後で新しいお菓子買ってくるから少しもらいます。

 

「ほら、フブキこれ食べるか?」

 

「ヒッグ……ふぇ?」

 

泣いているフブキに俺は仏壇から持ってきたお菓子の中からお饅頭を選びフブキに見せる。するとフブキは少し泣き止んで俺をじっと見てくる。

 

「俺等だけで外に出たら危ないからさ、母さん達が帰って来るまで一緒にお菓子食べて待ってよ、な?」

 

「…………………うん」

 

良かった、なんとか泣き止んでくれた。フブキを連れて居間に戻りソファーに座らせ、お饅頭をフブキが食べやすい大きさにちぎってあげるとフブキはあむあむと食べ、全部食べ終わると満足したのか満面の笑みを浮かべていた。

 

「良かった、泣き止んでくれて。それじゃ母さん達が来るまで何か遊ぶか……って言っても俺と遊ぶの嫌だったら一人でお絵かきでも―クイックイッ―ん?どうしたんだ?」

 

「……あのね、えほんよんでほしいの……///」

 

フブキは俺の服の袖を引っ張りながら持っていた絵本を俺に渡してきた、こんな事初めてだな。

 

「ん、いいよ。それじゃ早速読んでいくか」

 

「はーい」

 

俺が絵本を読むためソファーに座るとフブキはなんと俺の膝の上に乗ってきた。たったお菓子あげただけなのに急に懐いてきたな?

 

 

 

 

 

 

「……こうして悪い魔女は逃げ出し街に平和が戻りました。平和に戻った国で騎士はお姫様になり王子といつまでも幸せにくらしましたとさ。めでたしめでたし」

 

「わーい♪」パチパチッ

 

本を読み終わるとフブキは楽しかったのか笑顔で拍手していた。なんか妹が出来たみたいで可愛らしいな。

 

「…………れいじくん、ごめんなしゃい」

 

「ん?どうしたんだ急に?」

 

すると先程まで笑っていたフブキが突然俺に謝ってきた。一体何を謝ってるんだコイツは?

 

「あのね、しらかみずっとぱぱとまましかいっしょにいなかったから、ほかのひとがいるとはずかしくて……れいじくんのことずっとちかくにいないようにしてたの」

 

成る程、人見知りして俺を避けてた事を謝ってたのか。そんな事あんま気にしてなかったけどな。

 

「大丈夫だって気にすんなそんな事、誰だって苦手な事があるんだからこれから少しずつ慣れていけばいいだけさ」ナデナデ

 

「ふみゅぅ……///」

 

俺が頭を撫でてやるとフブキは恥ずかしいのかまた顔を赤く染めている。しかし嫌というワケでは無さそうだな、だってしっぽフリフリしてるし。

 

 

 

 

 

 

―二時間後―

 

「玲二君、今日は本当にありがとうね♪まさかフブキが私達以外の人に懐くなんて初めてだわ♪」

 

「いえ、自分もフブキと遊べて楽しかったです」

 

「しらかみもたのしかった!」

 

あれから少しして母さん達が帰って来て、俺とフブキが普通に遊んでいるのを見て驚いた顔をしていた。まああれだけ俺を避けていたフブキが俺と一緒に本を読んでいたらそうなるよな。

 

「それじゃあフブキ、今日はそろそろおうちに帰ろっか?」

 

「え……おうちかえるの?」

 

白上さんが家に帰ると言うといつもならすぐにくっついて帰るフブキだが今日は俺の方を見て帰りたくないと目で訴えてきていた。

 

「フブキ、また明日になったら遊べるからその時になったら遊ぼうな。だから今日はそろそろおうちに帰りな」ナデナデ

 

「うみゅ………うん///」

 

俺がフブキの頭を撫でるとフブキは照れながらも俺の言う事を聞いてくれ、その日は白上さんと一緒に家に帰っていった。

 

 

 

 

 

 

しかし、それも一ヶ月が経つと……

 

 

 

 

 

 

「ほらフブキ!そろそろご飯の時間だから帰らないと!」

 

「ヤダヤダ!しらかみれいくんとずっといっしょにいるもん!」ギュウゥッ

 

「……はあ、またか……」

 

フブキは完全に俺に懐いてしまったようで、今じゃ両親よりも俺に引っ付くようになり、今もこうして帰りたくないと俺に引っ付いて離れない状態である。

 

「ほらフブキ、おばさんも困ってるしそろそろ帰らないと「ヤーーーッ!!」……困ったなぁ」

 

結局その日はフブキが俺の家に泊まる事になり、その間ずっと俺に引っ付いていた。それこそご飯の時も風呂の時も寝る時も、挙げ句の果てにはトイレにまでついて来ようとしていた。

 

その結果、フブキは週に二回程泊まるようになった。母さん達は俺とフブキが仲良くなって喜んでいるようで、将来は仲の良い夫婦になりそうねとも言われた。流石に其処まではいかないだろ、後何十年後の話だよ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―現在―

 

「………あの頃はそう思ってたんだけどなぁ。まさかこんな事になるなんてな……」

 

「あれ、レイさんそれってアルバム?もしかしてその写真小さい時のレイさんとフブキ?うわぁ、可愛い♪」

 

「ん、ミオか。まあ、ふと懐かしく感じてな」

 

あれからすっかり時が経ち、俺もフブキも今じゃ同じ屋根の下で暮らす仲になっている。といっても別に夫婦ってワケではないしフブキ以外にも同居人は沢山いるけどな。

 

「へぇー、フブキにもこんなちっちゃくて可愛い時があったんだね♪」

 

「まあな………それなのに今じゃどうしてこうなったんだか?」

 

「むふぅーー、このキャラ同士の濃密なシチュ、大変良きですなぁ~♪むふぅ♪」

 

「ちょっとフブキさん!リビングでそんな成人向け同人誌見ないで下さい!未成年の子だっているんですよ!」

 

今じゃフブキはリビングのソファーの上で寝っ転がり成人向け同人誌を堂々と見てファンには見せれない程気味の悪い笑顔を浮かべていた。部屋の掃除しているみしろにもめっちゃ怒られてるし、本当に何処で接し方間違えてしまったのだろうか?

 

 

―白上フブキ編 完―

 

 

 

 

 

 

―2.ときのそら―

 

玲二君と最初に出会った時の事?うーん、そうだなぁ……正直に言うと最初の出会いはちょっと嫌な思い出なんだよね。あ、玲二君に対して嫌な思いしたワケじゃなくて、その少し前に起きた事が嫌な事だったんだよね。あれはそう、私がホロライブに入る当日の話だね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―六年前―

 

―ガタンゴトンッガタンゴトンッ……―

 

(………うぅ、どうしよう?注意した方が良いのかな?でもあんまり大事にはしたくないし……ん……)

 

「ブフフ、良い尻だなぁ…♪」

 

私は今、後ろにいる男の人にお尻を触られている。満員電車だから人同士が密接するから多少触れ合う事はあるかもしれないけど、この人は明らかに故意で触ってきてる。どうしよう、注意するべきかな?でももし知らないふりとかされたら?それにこれから大事な用事があるのにあまり大事にはしたくないし……

 

―トントンッ―

 

?いきなり隣にいる男の人に肩を叩かれたけど、どうしたんだろう……?何かスマホの画面を見せてきたけど……

 

[もしかして痴漢にあってる?]

 

ッ!この人、私が今お尻触られているのに気づいてくれたんだ。私は後ろの人に気づかれないよう軽く頷くと男の人は更にスマホを打ちまた画面を見せてきた。

 

[捕まえる?それとも大事にしたくない?前者なら頷いて、後者なら首を降って]

 

この人、私の事考えてくれてる……私は大事にしたくないから首を軽く降ると、男の人は軽く笑った後少しずれ後ろの人の横に立った。そして……

 

―ドスンッ!―

 

「ブヒャアッ!?」

 

なんといきなりその人の足をおもいっきり踏んで怯ませ、そのタイミングで駅に到着すると男の人は私の手を掴んで急いで駅へと降りた。ど、どうしよう?何だか今凄くドキドキしてる……///

 

 

 

 

 

「済まなかったな、助ける為とは言え少し強引だったな」

 

「い、いえ、助けて頂きありがとうございます!」

 

駅から降りて一息つき、私達は近くの公園のベンチで休んでいる。結構走ったから喉が渇き、彼は私の分も含めてスポドリを買ってきてくれて二人で一緒に飲んで気持ちを落ち着かせていた。

 

「それにしても本当に済まない、助ける為とは言えいきなり駅に降りてしまって……目的地は何処だ?その駅の分まで出すよ」

 

「い、いえ!丁度此処の駅で降りる予定でしたし、それより私こそ助けてもらった上にこんなジュースまでご馳走になって申し訳ないです!私の方こそ何かお礼させて下さい!」

 

「いや、そんなつもりで助けたワケじゃ「お願いします!私の気が済まないんです!」……分かったよ。と言っても今何にも思いつかないから俺のライン教えるから決まったら連絡するわ」

 

彼はそう言うと私にラインアドレスを教えてくれ、そのままその場を後にして何処かに行ってしまった。また会えると良いな……

 

「って私ももう時間がないんだった!急いで行かないと!」

 

私も目的地に向かう為、急いでその場から走って向かっていった。

 

 

 

 

 

 

―目的地―

 

「はあ、はあ……や、やっと着いた」

 

ちょっと道に迷ってしまったけど、なんとか目的地に辿り着いた……ホロライブプロダクション。此処で私は今日から新人アイドルとして活躍するんだ!よぉーし、頑張るぞぉーッ!ぬんぬんッ!

 

「あれ、お前さっきの娘か?」

 

「……え?」

 

気合いを入れていると横から声をかけられ、振り向くと其処にはさっきの男の人がいた。

 

「え?ど、どうして貴方が此処に……?」

 

「いや、俺この建物に用があったんだけど……あれ、もしかしてお前も?」

 

何という偶然なのだろうか?さっき助けてくれた男の人がまさか私と同じ事務所に勤めてる人だった。何というか……これってもしかして、運命なのかな?

 

 

 

 

 

「いやぁ、それは災難だったね?まさか出社初日にそんな事があったなんて」

 

「全くですね。今時あんな変態行為を堂々とする馬鹿がいると思うと情けなく思いますよ」

 

あれから事務所の中へと入り、私と彼は社長室に招かれ今社長と話をしていた。どうやら彼は今日からアルバイトスタッフとして入社したらしく、つまりは私と同期という事になるらしい。すっごく格好いいからてっきりアイドルなんだと思っちゃった。

 

「それじゃあ今日から佐々木玲二君はスタッフとして、ときのそらさんは新人アイドルとしてこれから頑張ってくれたまえ。我々も出来る限りのサポートはさせてもらうよ」

 

「「はい、よろしくお願いします!」」

 

いよいよ始まるんだ、私の新しいアイドルとしての生活が。そして……私の運命の人と、佐々木玲二君と一緒に絶対にトップにいってみせるよ!///

 

 

 

後に玲二にフブキという幼馴染みや同級生のぼたんの存在を知り、一度はこの恋を諦めかけるがその後に現れる沢山のライバル達を見て再び熱を入れるそらなのであった。

 

 

―ときのそら編 完―

 

 

 

 

 

 

―3.獅白ぼたん―

 

んー?あたしがレイっちと出会った時の話?そんなん聞いてどーすんの?多分聞いても大して面白くないよ?え、それでも良いって?しょーがないなぁ………あれはそうだね、高校一年の時かな……

 

 

 

 

 

―十年前―

 

―キーンコーンカーンコーン…―

 

放課後のチャイムが鳴り、皆が部活に行ったり下校したりする中、あたしは教室で一人漫画を読んでいた。入学してからあたしには友達と呼べる子はいなかった。と言うのもあたしの出身地が原因でもあるんだけどね。

 

あたしの出身はギャングタウンと言われていて其処にはガラの悪い連中で溢れている。中には平気で法に触れるような危ない仕事をする奴もいる。

 

そんな場所の出身のせいであたしには変な噂が広がっていた。『あたしのバックには危ない組織がいる』だとか『危ないクスリを大量に所持してるしやってる』だとか、後は『金さえ払えば誰とでも寝る』とか。はっきり言えば全部嘘だし、でもかといって一々否定するのもめんどくさい。だから今噂がどんどん拡大され、あたしに声を掛けて来るのは殆ど噂を鵜呑みにして金を持ってあたしからクスリを買おうとする不良だったり身体目当ての男子しかいない。

 

ホント、なんであたしこんな所にいるんだろうな?おやっさんが高校まではせめて通えって言うから来てるけどちっとも楽しくない。これだったら家でFPSやってた方がずっとマシのんだけど?

 

―ガラガラガラッ―

 

「ん?なんだ、まだ人がいたのか?」

 

「あ?……ってなんだ、佐々木じゃん。どうしたのさ放課後なのに教室に来て」

 

漫画を読み終わる頃、教室の扉が開きクラスメートの佐々木玲二が入ってきた。コイツもあたしと同じで基本的に一人でいる事が多い。とは言えあたしと違って周りから頼られる事が多く女子からの人気は高いみたいだけどね。

 

「ああ獅白、丁度良かった。先生からこの間のプリント回収してきてくれって言われて、後はお前だけだからプリント今もらっていいか?」

 

「プリントぉ?……ああこれか、はい」

 

あたしは佐々木に言われ机の中から一枚のプリントを出して渡す。にしてもなんだよこのクラス合同ピクニックって小学校かよ?

 

「ん、ありがと。これで全員分だな」

 

「あんたも真面目だよね。先生に頼まれた事嫌な顔一つもしないで引き受けるなんてさ」

 

ホントに今時珍しいよね、こんな絵に描いたような真面目君は。あたしと住む世界が違うって感じがするよ……

 

「別にそんな事はないさ。寧ろ獅白、お前の方が真面目じゃん」

 

「は?あたしが真面目?冗談でしょ、あたしの何処が真面目なのさ?」

 

「道で迷ってるお年寄りの荷物持って道案内してあげたり、母親とはぐれて泣いてる子供と一緒に探してあげたりしてるだろ?」

 

ッ!?な、なんでコイツそんな事知ってんだよ?!確かに困ってる人がいたら見過ごせないからお節介かもしれないと思いつつ助けたりしてたけど、まさかクラスメートに見られてたなんて!?

 

「あの時の獅白、学校にいる時と違って優しい笑顔をしてたからな。だからコイツは根は真面目な良い奴なんだなって思ったんだ」

 

「ま、真面目だなんてそんな……それにあたしってほら、色々噂あるじゃん?そんな奴に優しいとか良い奴って……」

 

「ああ、あの噂か?そんなの自分の目で確かめないで他人の言葉に踊らされてる奴等が更に広めていっただけの話だろ?現にそんな噂が本当なら獅白がこの学校に入れたのだっておかしいだろ?それに先生達は良い人達ばっかりだから皆お前の事理解してくれてるって」

 

た、確かに言われてみれば先生達からは一切何も言ってこない、と言うかそういった噂を話してる生徒を注意してたような気がする……?

 

「少なくとも俺は噂なんかで人を見るつもりもないし、真に受けてる奴がいたらそんな奴適当にあしらっておけばいいって。そんじゃ俺は用も済んだしもう行くわ、じゃな」

 

佐々木はそう言って教室を後にした。アイツってなんか変わってるよな、妙に達観してるって言うか……本当にあたし等と同い年なんだろうか?

 

そしてあたしも帰ろうと教室を出た時、目の前に一人の男子生徒がいた。確かコイツは……そうだ、A組の金満だ。親が社長をしてるとかで金に物を言わせてる成金野郎だ。そんな奴がなんで此処に?

 

「あ、あの!し、獅白さんにお願いがあって!」

 

「お願い?一体何さ?」

 

「こ、これ!このお金で僕と一晩過ごしてくれないか!」

 

……はあ、またか。さっきは佐々木はそういう奴は気にするな的な事言ってたけど、やっぱりこういった奴は後を絶えないもんだよね。

 

「……何か勘違いしてるみたいだけど、あたしは金で人を釣る奴が大嫌いなんだ。分かったらさっさと帰りな」

 

「そ、そんな!頼むよ本当に、僕女の子達から避けられてるから、獅白さんなら金さえあげれば何でも頼みを聞いてくれるって聞いたから来たんだから!」

 

「いや知らんし。てかそんな金で動くような奴だと思われるのも心外だわ。さっさと帰ってくんない?」

 

生憎あたしは金銭的には全然余裕があるし、ましてや金で人を釣るなんて奴にろくな奴はいないのは知ってるからそんな奴の頼みなんて受けるつもりもない。

 

「た、頼むよ獅白さん!僕本当に女の子と付き合いたいんだ!僕の持ってるお金自由に使っていいから頼むよ!」

 

「……ああもうしつこいってホントに!あたしはそう言った成金的な考えの奴大嫌いなんだ!分かったらさっさと帰れ!」

 

あたしが何度も帰れと言ってるのに目の前で土下座をし始めた金満にしつこく感じて思わず感情的に大声をあげてしまった。けど金満はあたしの前から一歩も動こうとせず、もう無視して帰ろうかと思った。

 

「あ、金満こんな所にいたのか」

 

そう思っていたらさっき職員室に行った筈の佐々木が戻ってきた。え、何で戻ってきたんだ?

 

「え?あ、さ、佐々木君?どうかしたのかい?」

 

「いや、校門前でお前の事探してる女の子がいたから教えようと思ってな」

 

「ほ、本当かい?!」

 

「ああホントホント。だから早めに行った方が良いんじゃないか?女の子待たせるような真似はしたくないだろ?」

 

佐々木がそう言うと金満は喜びながらその場を去っていった。な、なんか単純な奴だったな……

 

「……全く、さっきも言っただろ獅白?あーいう奴は適当にあしらっておけばいいって」

 

「あ、うん……ありがとね、助けてくれて」

 

「良いって、それに金満に用があるって女の子がいたのも本当だったし、偶々そういった偶然が重なっただけだから気にするな。んじゃ、俺ももう用ないし帰るわ」

 

……なんだろう?コイツ、あたしが今まで見てきた奴等と全く違う感じがする。なんかとても興味が湧いてきた。

 

「ねえねえ佐々木、この後何か用事とかあるの?」

 

「ん、用事か?いや、特に何もないけど……」

 

「だったらさ、一緒にラーメンでも食べに行かない?あたしめっちゃウマイラーメン屋知ってるから行こうよ♪」

 

「はあ?なんでまた急に……」

 

「いーじゃんいーじゃん♪あたしさ、あんたに凄く興味が湧いてきちゃったんだよね。なんだか良い相棒になりそうって感じがしてさ♪」

 

「なんだよそれ?まあ、確かに今日は親も遅いからどっかで食べて帰ろうと思ってたし、別に構わないよ」

 

「よっしゃー♪それじゃあ早速行こっか」

 

あたしは佐々木の腕を掴んでそのままラーメン屋へと向かっていった。

 

これがあたしと佐々木……いや、レイっちとの出会い。そして一緒にいる日々を重ねていく内にあたしはレイっちの事が好きになっていた。

 

だからレイっち、いつか絶対あんたの事を振り向かせて見せる。獅子族は一度狙った獲物は逃がさないからね♪

 

「………そういや金満に用がある女の子って誰だったの?」

 

「ああ、D組の猿山さんだよ」

 

「え?!それってあのゴリラの獣人で柔道四段のあの猿山さん?」

 

「そう、なんか金満に一目惚れしたらしくてな」

 

そ、そうなんだ。なんか……金満、御愁傷様。

 

 

―獅白ぼたん編 完―

 

 

 

 

 

 

―4.百鬼あやめ―

 

ん?余が玲二様と出会った切っ掛けか?ふふん、それはまさに運命的な出会いだったぞ♪あれはそう、余が封印されていた時の話だな……

 

 

 

 

 

―四年前―

 

……もうどれくらいの時が経ったのだろう?余が昔、人を喰らう悪鬼と呼ばれ人間様達に追いかけられ、一人の僧侶にこの岩に封印されてしまったのは?

 

十年?それとも百年?……いや、もしかしたらもっと長い年月が経ってるのやもしれない。

 

……どうして余が封印されなきゃいけなかったの?余は人間様を食べてなんかいないのに。余はただ人間様や仲間の鬼達と仲良く暮らしてただけなのに……

 

こうして時々意識が戻ってはまた沈み、これを繰り返して、余はもうこのままずっと封印されたままでいなきゃいけないのか?

 

そんなの……そんなの嫌だ!お願い、誰か余を見つけて!余を……余を助けて!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―……れ?今…かこ……聞こえ……うな……―

 

……あれ?何か聞こえる……今までそんな事一度もなかったのに?

 

―……んだ?……っちの……から聞……よう……―

 

ッ!気のせいなんかじゃない!聞こえる……誰かの声が!お願い、余は此処にいる余!余を此処から出して!

 

―あれ?この岩……こっから声が聞こえるけど……―

 

声がどんどんはっきりと聞こえてくる!此処だよ!余は此処にいる余!余を助けて!

 

―いや助けてって言われてもどうしたら良いんだこれ?―ペタッ

 

―ビカアァァッ!!―

 

ッ!?こ、これは……!?

 

声の主が岩に手を触れた瞬間、真っ暗だった世界に突然光が溢れ、その光の壁にどんどん皹が入っていき……

 

―ピシッ……パリイィィィィィンッ!!―

 

この世界が崩れ、余は外の世界へと解放された。

 

―ドサッ―

 

「うわっと!?な、なんだ?鬼人族の女の子?何でこんな岩に……?」

 

「や、やった。やっと出れ……た……」

 

「え?あ、ちょ、ちょっとお前?!しっかりしろおい!?」

 

外に出た際に奇妙な格好をした男の人間様に抱き寄せられ、久しぶりの人肌に安心したのか余はそのまま意識を手放してしまった。

 

 

 

 

 

 

「………う、うぅ……あれ?此処は……」

 

目が覚めると余は全く知らない所にいた。妙にモコモコして寝心地の良い布団に見たこともないような奇妙な箱。それに外は見えるが何やらキラキラした板が張られたりと余が生まれてから見たことのない物で溢れかえっていた。

 

―ガチャッ―

 

「お、目が覚めたみたいだな」

 

「え?あ、貴方はさっきの……」

 

部屋の扉が開くと先程の人間様が何やら食事のような物を持って入ってきた。けど……な、何なのだその変な容器は?

 

「済まない、最近買い物に行ってなかったから食べ物があまりなくてな。カップ麺しかなかったけどこれで一先ずは我慢してくれ」

 

「か、かっぷめん?」

 

な、何なのだかっぷめんっていうのは……?そう思ってると人間様は変わった容器の上の紙?をペリペリと剥がし、近くに置いていた銀色の袋を開けて中から液体が出てきて容器の中に入れて混ぜ始めた。これは……蕎麦かな?

 

「ほれ、出来たぞ」

 

「う、うむ……では遠慮なく……」

 

見た目は蕎麦に近いが余の知ってる蕎麦はこんな綺麗な色はしてないし匂いもかなり美味しそうな感じがする。初めての食べ物に不信感は多少あるものの、恐る恐る箸を使って一口啜った。

 

―ズズッ……―

 

「ッ!?う、旨い!!」

 

なんだこの蕎麦は!?こんな旨い物を余は今まで食べた事がない!あまりの美味しさに余は勢い良く食べ進め、そしてあっという間に汁も飲み干してしまった。

 

「ぷはぁ♪こ、これはなんて旨い料理なんだ!」

 

「そうか、そんな気に入ったかカップ麺」

 

それから人間様にお願いしてこのかっぷめんとやらを後三個出してもらいあっという間に全部平らげた。出てくるたびに容器の形や味が変わってどれも美味しかったぞ♪

 

 

 

 

 

 

―食事終了後―

 

「……えーとつまり、お前は昔悪鬼と間違われて封印されて、ずっとあの岩の中にいたって事か?」

 

「うん、そうだ余」

 

かっぷめんを食べ終えた後、人間様が余の事を知りたいと言ってきたので余は今までの経緯を全て人間様に話したんだ。

 

「成る程、でももしそれが本当だとすれば……お前、大体1500年間封印されてた事になるな」

 

「せ、1500年?!そ、そんな長い間余は封印されてたのか?!」

 

「ああ、あの石碑に書いていた事が間違いじゃなければな」

 

な、なんて事だ……封印されてからまさかそんな長い年月が経っていようとは……それじゃあもう余の家族や仲間、それに故郷も既に無いという事なのか……?

 

「そ、そんな……それじゃあ余はこれから一体どうすればいいんだ?こんな時代が進み過ぎてこの部屋の中でさえ分からない事だらけなのに……」

 

せっかく封印が解けてもこれでは生きていく術が見当たらない。少し外を見てみたが自然と呼べる物は殆どなく、ましてや頼れる人もいない。これから余は一体どうやって生きていけばいいんだ?

 

「うーん、確かに1500年も時代が変わればどうすればいいかなんてわからないよな……よし!それならちょっと待っててくれ!」

 

そう言うと人間様は何やら薄い板を取り出しそれを耳に当てると何やら独り言を喋り出した。い、一体何をしてるのだ人間様は?

 

「……ああ、ミオ。突然済まない、実はお前に頼みたい事があってな。少しの間で良いから女の子一人預かってほしいんだ。うん、うん……いや、事情は会って話したいから今から大丈夫か?……分かった、ありがとう。なら一時間後にこの間の喫茶店で待ち合わせな」

 

どうやら独り言は終わったようで人間様は板を服の中にしまって余の方に振り向く。

 

「よし、これで当面の衣食住はなんとかなりそうだな」

 

「に、人間様?今の独り言は一体?」

 

「ん?ああ、今のは独り言じゃなくてこのスマホで電話……まあ、遠くにいる知り合いに連絡をとったんだよ。お前の事を預かってもらえないかってな」

 

な、なんだその便利な道具?!いや、それよりも余の事を預かるって一体……?

 

「お前、この時代に来てまだ全然勝手とか分からないんだろ?だったら少しずつでいいから慣れていければ良いんじゃないかと思ってな。とは言え流石に男の家に居候させるのも不自由だろうし、今俺の後輩に連絡して暫くの間だけ預かってもらう事にしたんだ」

 

「え……そ、そんな事まで……」

 

「まあ、流石にあんな助けを求められてたのに見捨てるのは可哀想だしな。助けた以上はお前がこの時代に馴染めるようしっかりサポート……じゃなくて支えてやらないとな」

 

…………なんて優しい人間様なんだろう?今までいろんな人間様を見てきたけど、此処まで余に優しくしてくれた人間様は生まれて初めて出会った。そう思うとふと涙が出てきてしまった。

 

「ふ……ひっぐ……」

 

「えぇ?!ど、どうした?!何か嫌な事でもあったか?!」

 

「ち、違うの……こんなに優しくされた事、両親以外では殆どなかったから……つい、嬉しくて……ひっぐ……」

 

余は気づいたら人間様に抱きついて泣いていた。こんな素性も分からない鬼に此処までしてくれる人間様に余はいつの間にか心を許していたんだ。

 

「……そうか。だったらまだ約束の時間まで少し余裕があるから、落ち着くまで泣いて良いぞ」

 

「うん、うん……!」

 

余はそれから数分程人間様の胸で泣き、すっきりした後人間様に連れられてとある建物に入り、其処にいた狼族の獣人の娘と出会いこれからの事を話し合った。そして余はその獣人の娘、ミオちゃんの家にお世話になる事になったんだ。

 

それから沢山の事があった。ミオちゃんからこの時代の事を沢山教えてくれた事で今では何も不自由がなく過ごす事が出来るようになったし、それから余を助けてくれた人間様、佐々木玲二様と一緒に余が封印されていた場所に行ってみると其処にいた余にそっくりな不思議な生き物ぽよ余がいたりと、本当に沢山の出会いと発見があって楽しかった。

 

それもこれも余を助けてくれた玲二様やミオちゃん達のお陰なんだ。だからこんな幸せな日々がずっと続いたら良いな♪

 

 

―百鬼あやめ編 完―

 

 

 

 

 

 

―5.白雪みしろ―

 

みしろがご主人様をお慕いしてる理由ですか?それを聞いてどうするんですか?…………え、ただ気になっただけ?そ、そんな理由で……まあ、別に構いませんが。あれはそうですね、みしろがのりプロに所属し始めた頃の事です……

 

 

 

 

 

 

 

―一年前―

 

のりプロからデビューして早くも二週間が経ち、漸くアイドルとして少し慣れてきた頃、みしろはレッスンを終えて事務所で一息ついていました。

 

「あ、みしろちゃんお疲れ~♪」

 

「あ、たまきさん……お疲れ様です」

 

「もー、みしろちゃん相変わらず硬いよぉ。そんな他人行儀じゃなくても良いっていつも言ってるじゃん」

 

事務所のソファーで休んでいると其処に先輩でありこののりプロの創設者の息子である犬山たまきさんに声をかけられました。それにしてもこの人男なのに何で女装してるんでしょうか?

 

「す、すみません、まだ慣れなくて……」

 

「ふーん……ま、仕方ないか。時期に慣れてくれれば良いし♪」

 

たまきさんはそう言うと自分の荷物を入れているロッカーを開けてカバンを取り出す。その際にですが、ロッカーの中に写真立てが見え、その中にはたまきさんが見知らぬ男性と腕を組んで写ってる写真がありました。たまきさんの性別を知らない方が見ればカップルのようにも見えますが、一体この方は誰なのでしょう?

 

「あの、たまきさん?そちらの写真に写っている方は……?」

 

「ん?ああ、これ?これね、ホロライブのスタッフさんの佐々木玲二君だよ。僕の仕事仲間さ♪」

 

「へぇ、そうなんですね。でもまるでカップルみたいな写り方した写真ですね?」

 

「か、カップル?や、やだなぁみしろちゃん、玲二君と僕は男同士だよ、カップルなワケないじゃん。只の仲の良い友達なだけ///」

 

……たまきさんはそう言ってますがこの表情、とても仲が良いだけの友達には思えないんですが……もしかしてたまきさん、そっち系だったりするんですか?

 

 

 

 

 

 

それからその日のレッスンを全て終わらせ、みしろはとある家電量販店にやってきました。実はみしろ、趣味でガンプラを作っていまして、今日は新しくHGのヘビーアームズが発売されるので買いに来ました。最近のガンプラブームもあるので売り切れていなければ良いんですが……

 

「えーと……あ、良かった。まだ残ってました」

 

少し遅かったから売り切れてないか心配でしたが、最後の一つが残ってました。ではこれを買って帰りましょうか。

 

「お、良かった。最後の一個だったけどゲットだ」ヒョイッ

 

「あ……」

 

なんと最後の一個を目の前で男性に取られてしまいました。ど、どうしましょう……声をかけて譲ってもらう?いえ、そんな非常識な事出来ません。此処は素直に諦めるしかありませんね……

 

「……なぁ、もしかして君もこれが欲しかったの?」

 

「え?」

 

諦めて帰ろうとした瞬間、先程の男性がみしろに声をかけてきました。一体どうして……

 

「あのさ、これ良かったら譲るわ。俺は他にも売ってそうな場所知ってるし」

 

「え?!そ、そんな大丈夫ですよ!みしろこそ他の所を当たりますので!」

 

「良いって。俺は最悪他のガンプラ買えれば良いし、君みたいな娘に作ってもらえればコイツも喜ぶだろ?ほら」

 

男性はそう言ってみしろにヘビーアームズを渡してその場を去ろうとしました……あれ?というかこの方…………ッ!たまきさんのロッカーにあった写真に写っていた男性!まさかこんな偶然が……

 

「あ、あのすみません!もしかして貴方、佐々木玲二さんでしょうか?!」

 

「え?なんで俺の名前知ってんだ?」

 

やっぱり!たまきさんの友達の方だったんですね!まさかこんな偶然があるとは思いませんでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやぁ、まさかたまきのいる事務所の後輩だったなんてな。妙な偶然もあるもんだね」

 

「そ、そうですね」

 

あれからみしろ達はヘビーアームズを購入した後近くの喫茶店でお茶を飲む事になりました。因みに佐々木さんもあの後行ったお店で無事ヘビーアームズを購入する事が出来ました。にしてもあんな所にお店があったんですね?普通に在庫があってびっくりしました。

 

「あ、今日行ったあの店なんだけど他の奴等には内緒にしてくれよな?知る人ぞ知る穴場なんだよ」

 

「はい、ですがみしろも教えて頂きましたし、今後はみしろも利用させて頂きますね♪それにしてもすみません、こんなお茶やケーキまでご馳走になって」

 

「良いって、たまきの後輩は俺の後輩のようなモンだからな。遠慮なんかしないで食べてくれよな」

 

……なんだかとてもお優しい方ですね。たまきさんが好意を持つのも納得してしまいます。

 

 

 

 

 

 

「へえ、白雪さんはメイドの家系なんだ?」

 

「みしろで良いですよ、さん付けも要りません。はい、白雪家に生まれた女は代々メイドとして教育され、自分が主に相応しいと思う方に生涯仕えるという風習があるのです」

 

それからみしろは佐々木さんと話が弾み、今ではすっかりお互いの事を話すようになってました。こんなに楽しく話をしたのは何時振りでしょうか……?

 

「にしても生涯仕えるかぁ……それってなんか自分の自由な時間がなくなってしまうような感じがするけど嫌じゃないのか?」

 

「いえ、白雪家の血筋のせいなのか分かりませんが、人に尽くす事自体は全然嫌ではありませんね。寧ろみしろも早く仕える主を見つけたいと思ってますし」

 

「はぁー、なんか偉いなぁみしろって」

 

「フフ、そんな事ありませんよ♪」

 

なんだか佐々木さんとお話しているととても楽しい。いつまでもずっとこうしていたいと思ってしまいます……もしかしてこの方がみしろの……いえ、流石に会った初日でそんな考えになるのはおかしいですよね?

 

「あ、そうだ。今度で良いからみしろからもたまきにちょっと注意してやってくんない?」

 

「え?たまきさん、何かやったんですか?」

 

「いや、アイツ最近なんかスキンシップが酷いと言うか、やたらと腕を組んできたりボディータッチが多かったりして少し困ってるんだよ。アイツ見た目こそは女っぽいけどれっきとした男だから流石にキツイって言うか……」

 

「わ、分かりました、みしろからも注意しておきます……」

 

たまきさん、仲が良いとは言え流石にやり過ぎではないですか?まさか本当に佐々木さんの事……そう思ったらなんか知りませんがムカついてきましたね。

 

「そ、それではそろそろお暇(いとま)させて頂きますね。ご馳走様でし―ガタンッ―キャッ!?」

 

「ッ!危ない!」

 

そろそろ帰ろうと立ち上がった時にバランスを崩してしまい、その場で倒れそうになったみしろを佐々木さんが支えてくれました。お陰で怪我をする事はなかったのですが………

 

(ッ!?ち、近い!佐々木さんの顔がみしろの近くに!?)

 

「あ!?す、済まない!助ける為とは言え、嫌だったよな?」

 

い、嫌ではありません!寧ろ嬉し……ってみしろは何を考えてるんですか!?///

 

「?みしろ、どうかしたか?」

 

ッ!///だ、ダメです!佐々木さんを見ていると心の動悸が治まりません!やっぱりそうだったんですね、先程は出会ったばかりだと思ってましたがそんなのもう関係ありません!漸く見つけました……みしろの仕えるべきお方が!

 

「さ、佐々木玲二さん……いえ、玲二様!///」

 

「え?れ、玲二様?」

 

「いきなりこんな事を言うのも失礼だと承知しておりますが……どうか、みしろのご主人様になってくださいまし!///」

 

「は、はあぁッ?!」

 

こうしてみしろは玲二様にご主人様になってもらうようにお願いしました。今思えば喫茶店の中で他のお客さんもいるのに大きな声でみしろは何を言い出してしまったんでしょうか……///

 

それから少し経ってから玲二様に無事承諾を得る事が出来ましてみしろは晴れて玲二様のメイドになる事が出来ました。と言ってもお互いに本業があるのでみしろが本格的に仕えるのはアイドルを卒業してからですね。ともあれこれからよろしくお願いしますね、ご主人様♪

 

 

―白雪みしろ編 完―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―オマケ―

 

「~♪」

 

「あれ?みしろちゃん随分機嫌が良いね。何かあったの?」

 

「はい♪みしろにも漸く仕えるべきご主人様に巡り会えました♪」

 

「へぇ~そうなんだ?どんな人なの?」

 

「はい、優しくて思いやりのあるお方ですね。こんなに素晴らしいお方に巡り会えてみしろは幸せ者です♪」

 

「ふーん、良かったじゃん♪大事にしなよ、そのご主人様♪」

 

「はい♪それではみしろはこれで失礼しますね♪お疲れ様です」―ヒラッ……―

 

「あ、みしろちゃん何か落として―バタンッ―あ、行っちゃった……一体何を落とし…て……?」

 

みしろが落とした物、それは玲二に寄り添うようにみしろがもたれかかっているツーショット写真だった。

 

「み、みしろ……まさか仕えるご主人様って…………フ、フフフ……いい度胸だよみしろぉ。玲二君はずっと僕が狙っていたのにぽっと出のみしろが先に手を付けるなんてぇ!絶対に許さないからなみしろぉッ!!」

 

その後猛ダッシュで玲二の所に行き自分も玲二に仕えるメイドになると宣言し玲二を困惑させるたまきなのであった。




はい、という事でフブキ、そら、ぼたん、あやめ、みしろの五人の過去回でした。流石に一纏めにしたら長くなってしまいましたね(^^;

次回はホロライブの天使のような悪魔っ娘のお話です。また次回も気長に待って頂ければ幸いです、ではまた( ゚∀゚)ノシ


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第21話『悪魔的改造』

前回が少し長過ぎたので今回はさくっと書きました。

今回はホロライブのもう一人の悪魔の登場です。最後まで楽しんで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ( っ・ω・)っ


みしろがホロライブマンションに住み始めて数日が経ち、俺達もこの生活に随分馴染めるようになってきた。と言ってもほぼ毎晩誰かしら来るのはちょっとキツイけどな……

 

今日は皆それぞれロケやレッスン、そしてコラボ配信があったりして今家には俺ともう一人、ホロライブの第二の天使……じゃなかった悪魔の『常闇トワ』の二人だけだった。皆早くても夕方まで戻ってこれないらしい。

 

「ねぇ玲二さん、今日のお昼はトワ達しかいないから出前でも良い?」

 

「そうだな、たまにはピザでも頼むか。トワはどれが食べたい?」

 

「玲二さんが決めても良いよ。トワは玲二さんと一緒に食べられれば何でも良いから」

 

なんだろう?この子本当に良い子なんだよなぁ。よく悪魔的とか自分で言ってるけど根が優しすぎるから思わず天使じゃないかって思ってしまう。本来の天使は最近ゴリラって言われるようになってるし、もうこれトワが天使って事で良いんじゃないか?

 

結局その後俺は四種類の味が楽しめるピザを頼み、二人で仲良く食べていた。終始トワが俺の食べてるヤツと同じ物を食べようとしていたのは可愛いと思ってしまった。

 

「ふぅー……なんだかこうしてゆっくりした時間を過ごすの久しぶりな気がするな」

 

「皆で住むようになってから玲二さんの周りには必ず誰かしら何人かいたもんね」

 

そう考えると俺の生活って前と比べて大分賑やかになってるよな?本当に昔は考えられなかったよこんな生活。

 

「そんじゃあ皆帰って来るまで時間があるし、何か二人でゲームでもするか?」

 

「あ、それならトワこの間買ってきたガンプラあるから玲二さんと一緒に作りたいな」

 

お、トワも自分でガンプラ買いに行ったのか?コイツは今まで家にあった積みプラばかり組んでたから自分で買うのは珍しいな。

 

「珍しいな、トワが自分でガンプラ買うなんて。で、一体何を買ってきたんだ?」

 

「えへへぇ♪今回トワが買ってきたのはこれ!ガンダムグレモリー!」

 

グレモリー!?お前よくそれ入手出来たな?!一体何処で買ったんだよ?!

 

「実は発売日の日に○ン・キホ○テにふらっと行ったらあって、一人二個まで買えたから玲二さんの為に二個買ってきちゃいましたぁ♪」

 

マジか、やっぱりトワって天使じゃね?本当にこの子良い子過ぎるんだよなぁ。まあ、実際天使と悪魔って多少の役割があるけど基本的には俺達人間と変わらないから良い奴は良い奴だし悪い奴は悪い奴だからな。

 

 

『HG ガンダムグレモリー』

機動戦士ガンダム鉄血のオルフェンズ月鋼に登場するデイラ・ナディラの機体。絶対的な防御力を誇るナノラミネートコートと呼ばれる装甲が上半身に施され、それがフードのようになっている。また武器のバトルアンカーも片刃が破損してしまってる為にまるで鎌のような武器になっているのでその出で立ちから死神や幽霊を彷彿させる機体になっている。

 

「今回は二つあるからトワと玲二さんでそれぞれ一つずつ作ろうよ」

 

「そうだな。そんじゃあ今日はどう作ろうか?塗装するか、それとも汚し加工だけにするか……」

 

まあ其処は動画等を見ながら考えるか。取り敢えずはまずは仮組からだな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―仮組完了―

 

「うーん……プロポーションも良いし合わせ目もバトルアンカーの刃の部分は特に問題ない。けど……」

 

「問題はこの武器の形状だよね……」

 

そう、グレモリーはそのプロポーションやパーツの接続等は申し分無いのだが、このバトルアンカーの持ち手部分が丸い筒状の形をしてるので手に持たせると中でくるくる回ってしまい安定しないのである。此処をどうするかで改造案が変わってくるな。

 

「うーん、いっその事接着しちゃおうかなぁ?」

 

「そうだな、ただポージングを固定して飾るだけならそれでも良いかもな」

 

でも何か他の方法ないもんかね………ッ!そうだ、あれ使うか。

 

俺はある事を思いつきジャンクボックスからとあるパーツを探しそれを二つ見つけるとすぐに加工を始めた。

 

「え?玲二さん、そのパーツは?」

 

「前に誰かが作ってた旧キットのデスサイズのビームサイズだ。破損してジャンク行きになってたの思い出してな。これを持ち手部分を切り取って加工して、プラ板で太さを調節してから削ってバトルアンカーの持ち手と入れ換えれば見栄えも良いし持ってる時も安定するだろ」

 

俺の提案にトワもおぉーッ!凄い!と褒めてくれ、そして一緒にやると言ってくれた。ならまずは寸法を図って、それから切り取って加工だな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―バトルアンカー加工中―

 

「……ねぇ玲二さん、ちょっと良いかな?」

 

「ん?なんだトワ?」

 

「前からずっと気になってた事なんだけど……玲二さんって本当はどんな女性が好みなの?」

 

……はい?どうしたんだ急に?

 

「どうしたんだそんな藪から棒に?」

 

「あ、別に変な事じゃ無いんだけど……玲二さんってトワ達ホロメンの皆から好かれてるし、なんなら関係も持ってるよね?それにヒメヒナちゃんやクロさんやみしろちゃんとか色んな娘からも好かれてる……でもそんな中で玲二さん自身の好みのタイプって聞いた事がなかったなって思って」

 

……好み、か……確かにそれについて俺自身深く考えた事なかったような気がするかもしれない。

 

「……トワね、正直不安なんだ。玲二さんって優しいからトワ達が迫ったから抱いてくれたのかもしれない。けどトワって他の娘に比べて声も低いし、身体つきも良い方じゃないから、もしかしたら玲二さんがトワに気を遣って仕方なく付き合ってくれてるだけなんじゃないかって……」

 

………………………………………

 

「……あ、あはは、こんな事急に言われても困るよね?ごめんね玲二さ「別に俺はお前達の事仕方なく抱いたりしたワケでも嫌々付き合ってるワケでもない」……え?」

 

「正直俺はどんな女性が好きなのかよく分かってない。別に顔で選んでるワケでもないし身体つきも極端に痩せすぎたり太りすぎたりしなければそれで良いと思ってるし。強いて言うなら俺は俺の事を好きになってくれた女性が好きって処かな?まあ、確かにこの優柔不断な性格のせいで皆を不安にさせてしまってたのかもしれないな」

 

………てか冷静に考えたら俺、女性関係かなりだらしないよな?でも………

 

「俺は皆がこんな俺の事を好きになってくれて凄く嬉しいし、そんな娘達を大切にしたいと思ってる。周りから優柔不断とか女たらしとか言われても構わない。俺は俺を好きになってくれた皆を大切にしたいと思ってる……それは絶対に変わらない俺の気持ちだ」

 

「れ、玲二さん……」

 

「それにトワにだって魅力が沢山あるだろ?誰にでも隔てなく優しかったり、時には間違った事はしっかり注意してくれたり……それにお前が皆といる時に見せるあのキラキラした笑顔、俺は好きだぜ?」

 

………って何言ってんだ俺?これじゃあ完全にキザ野郎じゃん。自分で言っててめっちゃ恥ずかしい……

 

「……………やっぱりトワ、この人に着いていって良かったな///」ボソッ……

 

「?今何か言ったか?」

 

「んーん、何でもないよーだ♪ねぇ玲二さん、今日の夜玲二さんの部屋に行っていい?」

 

「え?別に良いけど、珍しいな、トワがそんな事言うなんて」

 

「たまにはトワも甘えたいんです~♪」

 

そう言ってトワは俺にもたれ掛かりすり寄ってきた。トワが甘えてくるって結構珍しいし、今日くらいは好きにさせてやるか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うぅ~、トワ様いつになく大胆だよぉ……」

 

「ラミィも玲二さんにラミィの魅力語ってほしいのにぃ~!」

 

「そういやウチもレイさんにウチの好きなとこ聞いた事ない……」

 

「うなぁ~、トワちんそんなににーちゃにぴったりくっついてズルいのらぁ~!」

 

トワが玲二に甘えていた丁度その頃、その部屋の外では仕事を終えて帰ってきたフブキ達がドアの隙間からトワと玲二を羨ましそうに見ていたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―五日後―

 

「……漸く出来たな」

 

「うん、トワと玲二さんのグレモリー完成!」

 

あれからフブキ達が帰って来て作業を中断し、その後も毎日空いてる時間を見つけてはコツコツと作り続け、漸く今日完成させる事が出来た。それにしてもここ数日皆が私の好きなとこ何処?って聞いてきたけどあれなんだったんだ?

 

まあいいか。それよりも俺達の作ったグレモリーだな。同じ機体だが今回やった改造がそれぞれ違うので見ていこう。

 

 

『ガンダムグレモリー ゴーストタイプ』

玲二が改造したグレモリー。本体は煤汚れをした後つや消しをされ、バトルアンカーの持ち手部分にはデスサイズのビームサイズの持ち手を流用し持っても回転しないように改造した。更に黒いパーツ部分に少しボロボロになった黒い布を着ける事によりまるで亡霊のような出で立ちになった。

 

 

『ガンダムグレモリー フルメタルタイプ』

トワが改造したグレモリー。バトルアンカーは玲二のと同じ改造を施し、機体全体をメタリック塗装し、更にクリアカラーを噴いてより重厚な機体に仕上がった。光に当てると強く反射するので少し目がチカチカするがかなり良い出来になっている。

 

「にしても同じ機体でもやった事が違うとこうも違うんだな」

 

「うん、でもトワはどっちも良いと思うよ♪それに玲二さんのグレモリーのこのローブっぽい感じ、なんだか悪魔的だし♪」

 

なんだよ悪魔的って?まあとにかく喜んでるみたいだし俺も納得出来る物が出来て満足だけどな。

 

「……ねぇ玲二さん。またこうやってトワと一緒にガンプラ作ってくれる?」

 

「ん?別に構わないぞ。てかそんなの頼まなくたっていつも一緒に作ってるだろ?」

 

「えへへ、なんとなく聞きたかっただけ♪じゃあまた今度一緒に作ろうね玲二さん♪」

 

トワはそう言いながら満面の笑みを見せ自分の部屋に戻っていった。まあアイツが満足したならそれでいっか。

 

 

 

 

それからと言うもの、フブキや他の娘達が同じガンプラを二個買ってきて俺と一緒にお揃いの物を作ろうと頼む事が多かった。いや別にやるのは良いが、流石にそんな一辺には出来ないぞ?

 




はい、という事でトワ様回でした(^o^)
これで残るホロメンはぺこらとシオンですね。早いところネタを考えないと(^^;

次回はまだ未定ですが、気長に待って頂ければ幸いです、ではまた( ゚∀゚)ノシ


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第22話『白色に染めてあげる♪』

最近新しく出たVtuberのksonさんという方の配信を最近見てますがとても良いですね(^_^)でも……何がとは言いませんがもう卒業したあの娘は戻る事はないんだなと思うと少し寂しく思いますね(*T^T)

今回はタイトルで分かるかと思いますがあの娘の登場回です。今回も最後まで楽しんで見て頂けたら有難いです、ではどうぞ( っ・ω・)っ


―ピピピピッピピピピッピピピピッ……―

 

「………ん、んん………朝か……」

 

目覚ましの音に起こされ、現在午前七時。俺はまだ少し寝ぼけ半分状態たが、今日は折角の休みだし最近だと珍しく一人で寝ていたので普段もう少し寝る事にした。本当に久しぶりだな、一人で寝たの………

 

……それにしてもなんだか身体が怠いな、なんでだ?……それよりも目覚まし止めないと……

 

 

 

―モニュンッ―

 

 

 

………?何だ、この感触?随分柔らかいし、何よりも温かい………ちょい待て?目覚ましがこんな感触するワケがない、という事は俺は今何を触ってるんだ?触った感じ人肌っぽいが、今この部屋には俺以外いない筈だが?

 

な、なんかイヤな予感がする。俺は恐る恐る目を開けて見ると……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あん♡もう玲二ったらぁ~、そんなに強く握ったらシロのお胸潰れちゃうよぉ♡」

 

「どわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ?!!!」

 

な、ななななななななんでだ?!なんでコイツが此処にいるんだ?!てかどっから入って来たんだ?!それとなんで全裸なんだよ俺等?!

 

「な、なんでお前が此処にいるんだよ『シロ』!?」

 

「ふあぁ~……おはよぉ玲二ぃ♪」

 

俺は慌ててベッドから飛び出し、目の前で寝ていた白髪の女の子『シロ・デンノール』に問い詰めた。(シロのデンノールと言う名字はこの世界でのオリジナル設定です。)

シロはまだ寝惚けているのか欠伸をしながら俺に笑顔で朝の挨拶をするだけだった。

 

「いや質問に答えろよ?!一体なんでお前が俺の部屋で、しかも裸で寝ているんだ?!」

 

「えぇ~?んーと……玲二に会いたくなって、夜中にこっそり忍び込んで、玲二の寝顔を見たらなんだか我慢出来なくなって、そのままハッスルした後疲れて寝ちゃった♪」

 

「いや何してんだよお前?!」

 

何がハッスルだよ?!寝起きの倦怠感はそのせいか!?そしてよく起きなかったな俺!?

 

「昨日の玲二ってばホントに凄かったんだよ?玲二の○○○○がシロの○○○○に入ってそのまま激しく○○○○して最後はシロ○○○○におもいっきり○○○○してくれたんだよ♡」

 

「説明せんでいい!!」

 

何が悲しくて自分が寝込み襲われた状況聞かなきゃいけねぇんだよ!?たまきですらそんな事しなかったのに!ってかアイツがやったらマジでぶっ飛ばすけど!!

 

―バアァンッ!!―

 

「レイくん!なんか大きな声出してたけど大丈………夫……?」

 

「あ」

 

「いやん♡」

 

あまりにも大きな声を出しすぎてフブキがやって来てしまい、この状態をバッチリ見られてしまった。これ、また説教タイムか?終わった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―三十分後―

 

「……だから白上達も既に抱いてもらった身なので別にレイくんを問い詰めるつもりはないんですが、それにしたってなんで襲われていたのに全然起きなかったんですかねぇ?」

 

「あ、いや、あの………返す言葉もありません」

 

あれからすぐに着替え俺とシロはリビングで正座をさせられていた。シロは面白くないのか不貞腐れてるのか頬を膨らましながら不機嫌そうな顔をしている。

 

「まあ、レイくんも白上達の為に頑張ってくれてますし疲れているのは分かります。だからもうこれ以上は言いませんが、問題はシロちゃんだよ!なんでシロちゃんがホロライブマンションにいるの?!てかいつの間に入って来たの?!」

 

「えぇ~?そんなの玲二に会いたくなったから来たに決まってるじゃん?でも折角来たのに殆ど皆寝てたしどうしようかなって思ったら玲二の部屋の窓が開いてたから其処から中に入っちゃった♪」

 

「え?窓が開いてたってお前、俺の部屋四階だぞ?どうやって登ったんだ?」

 

コイツ俺と同じ普通の人間の筈なのにたまに常識外れな事するよな?その有り余る行動力を他に活かしてほしかったけど……

 

「レイくんに会いたいのは分かるけど流石に寝込みを襲うのはダメでしょ!白上達だってそれは絶対にしないようにしてるんだよ!」

 

「えー?でもシロ別にホロライブじゃないからそんな決まり知らないもん」

 

「だとしても普通に考えたらやっちゃいけないって分かるじゃん!」

 

「むー……」

 

フブキの言ってる事は至極当然な事だがシロは納得してないのかまた頬を膨らましながら不貞腐れている。

 

「とにかく、シロちゃんはもう今日は帰って下さい!レイくん折角の休みなんだからゆっくり休ませないと!」

 

「おぉ、フブキにしては珍しく気を遣ってくれてるな」

 

「ま、まぁみしろちゃんに散々怒られたので……」

 

やっぱそういう事か。みしろが来てくれたお陰でほぼ毎日夜に誰か一緒にいたのが週四回になったからな。本当にみしろには頭が上がらないな。

 

「むぅーーー!そもそもフブキちゃん達やみしろちゃんもズルいじゃん!なんでシロはダメなのさ!?シロだって玲二と一緒に住みたいよぉ!部屋だってまだ沢山あるから一部屋ぐらい良いじゃん!」

 

「いや、確かに部屋はまだ余ってるけど……」

 

本当、この家は無駄に広すぎるんだよな。今この家に俺を含めてホロメンとクロ、そしてみしろが住んで計三十四人。そんな大人数が暮らしてもまだ部屋は十近く空いている。まあその内一部屋はたまに遊びに来るAちゃん用だが。

 

「ねえ玲二!シロも此処に住んで良いでしょ?もし家賃が必要ならちゃんと払うしお手伝いもする!だからお願い!」

 

「えぇ?!ま、まぁ俺としては構わないけど……」

 

「ダメですよレイくん!レイくんの寝込みを襲うような事するようなシロちゃんを一緒に住むなんて許せません!」

 

そうだよなぁ、俺としてはそういった事しないと誓ってくれれば問題ないんだが、フブキ達にとっては信用出来ないだろうし、何よりこれ以上俺の回りに女の子を近寄らせたくないんだろうな……今思えば俺、なんでこんなにも皆に好かれてるんだろう?

 

「いーじゃん!玲二だって構わないって言ってくれてるし!大体此処って元はと言えば玲二の家でしょ?なんでフブキちゃん達がそれを決めるの?!」

 

「そーだけど!此処は今じゃレイくんだけじゃなくて白上達全員の家なんです!だからレイくんが良くても白上達がダメって言ったらダメなんです!」

 

「そんなの横暴だよ!」

 

うわぁ、二人して唸りあいながら睨みあって、まるで野生動物の縄張り争いだな……

 

「もうこのままだと埒が明かないね……だったらさ、勝負して決めない?もしシロが勝ったらこの家に住まわせて。負けた時は潔く諦めるよ、どう?」

 

「いやどうって言われても、そんなの白上には何の得にもならないじゃん?!せめて白上が勝った時に何かあればまだ勝負受けるけど……」

 

「なら、シロの持っているガンプラを全部プレゼントでどうかな?シロの家には積みプラが四十近くあるから、それだけでもかなりの額になると思うし、中にはRGジオングやHGナイチンゲールとかもあるよ?」

 

ジオングにナイチンゲール?!俺がずっと作りたかったキットじゃねぇか!?そんな激レアキット持ってんのか!

 

「う、確かにかなり魅力的だけど……」

 

「それとも何かな?もしかしてこんな良い条件出してるのに負けるのが怖いとか思ってたりするのかな?」

 

「はぁ?!そんな事ないんですけど!?てかまだ勝負の内容だって決めてないじゃん!白上が負けるなんて決めつけないでほしいなぁ!」

 

「じゃあこの勝負受けてくれるよね?」

 

「いーよ、やってやろーじゃん!勝つのは絶対に白上だけどね!」

 

あらら、シロの口車にまんまと乗せられたなフブキ。クロの時といいこの二人はなんでこんなに煽り耐性が低いんだ?

 

「それなら勝負の内容はガンプラ早組み対決でどうかな?今日の十二時から六時間かけて、どちらが多くのガンプラを作れるかで勝敗を決めるって事で」

 

「いーよそれで。早組みは白上の得意分野だから絶対に負けないけどね」

 

前にあくあがたまきとやったのと同じような対決法か。けどフブキは手先がかなり器用だからかなり手強いけど大丈夫かシロ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それからシロによる細かいルール設定が設けられた。今回はポイント制の対決になっておりポイントは以下の通り

 

HG 1ポイント

RG 3ポイント

MG 5ポイント

PG 30ポイント

 

となっている。実質PGを組めたら勝利となるが、流石に内部構造が複雑なPG(パーフェクトグレード)を六時間で組むのはかなりきつい。恐らく集中力も続かないし何より失敗すれば0ポイントで終わってしまう恐れもあるからPGのポイントは実際にはお遊び要素的なもんだろうな。

 

「それじゃあ最初に言った通り十二時になった瞬間に組み立て開始、六時になった時点で作業終了、それでいいね?」

 

「いいよ、絶対に負けないから」

 

お、そろそろ始まるみたいだな。にしてもシロ、随分落ち着いているな?よっぽど自信でもあるのか?

 

と、そうしている間にもうすぐ十二時だ。いよいよ始まるぞ……

 

11:59 57

 

11:59 58

 

11:59 59

 

12:00 00

 

「よし、勝負開始!」

 

時間と共に勝負が始まり、フブキは真っ先にMGの棚からウイングガンダムを取り出した。成る程、ウイング系は其処まで難しいキットではないからそれを中心に組んでポイントを稼ごうという作戦か。対するシロが手にしたのは……………ッ?!

 

「なッ!?PGシャアザク?!」

 

「え、嘘?!PGってシロちゃん本気なの!?」

 

「うん、シロはこれ作るよ♪」

 

嘘だろ?!PGの中でも比較的作りやすいとは言えそれでもパーツがめっちゃ多くて大変だぞ?!

 

 

『PG シャア専用ザク』

機動戦士ガンダムに登場するシャア・アズナブルの最初の機体。その中でも二番目の大きさを誇り、内部構造ではトップクラスの精密さが売りの1/60サイズのキットである。しかし発売されたのが1999年と既に22年前のキットなので最近のガンプラに比べると少し古く感じてしまうが、それでもかなりの良キットであるのには間違いない。

 

それにしたってPGかよ。最近のは分からないが初期の時って確かビス止めとかあるから結構面倒くさいような気がしたが、大丈夫なのか本当に?

 

「よぉーし!作るぞぉ!」フンスッ!

 

シロは気合いを入れて箱を開けてパーツを取り分けていく。しかし、本当に大丈夫なのかこの勝負?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―一時間半後―

 

「………ふぅ、これで一体目完成っと」

 

お、どうやらフブキはウイングガンダムを完成させたようだな。ペースとしてはかなり早いな。そして次はヘビーアームズか。対するシロは…………ってえぇ?!

 

「ふんふんふーん♪」パチッパチッ

 

嘘だろ?!既に両足と武器完成している!?て言うかよく見たらシロ、最初から全てのパーツを切り離してる!?い、一体どうなってるんだこれ?!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―四時間後―

 

「………よし、これでもうすぐ完成!」

 

フブキはこれで三体目、ペースとしてはかなり早い。これならもしかするとウイング系のメインを全部作れるかもしれない。だが、それよりも驚くのはシロだ。なんてったって……

 

「ふふんふんふーん♪」パチッパチッパチッ

 

明らかに早くねぇかこれ?!だってもう既に全体のフレームが完成して後は外装を取り付けるだけになってる。一体どうやったらこんなにスムーズに組み立てられるんだ!?

 

でもこれだともう勝負は見えたな。今回はお互いの制作作業は見えないようにしているからフブキは気づいてないがこれだともう間に合わないだろうな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―六時間後―

 

「其処まで!二人とも手を止めて終了してくれ」

 

「ふぅー、終わったぁーッ!」

 

「ふあぁ~、疲れたねぇ」

 

六時間に及ぶガンプラ早組み対決も遂に終わり、決着の時を迎えた………と言っても既に勝敗は決まってるようなもんだけどな。

 

「それじゃあ判定だが……30対20でこの勝負、シロの勝ちだ」

 

「やったぁ~♪」

 

「嘘?!あのPGシャアザク完成出来たの!?」

 

まあフブキが驚くのは無理ないよな。しかもシロ、残り一時間の処で完成させてその後普通にお茶休憩してたしな。フブキも五体目のシェンロンガンダムを作っている最中で時間切れになってしまったけど、仮に出来たとしてもポイントが届かず結局は負け確定だったけどな。

 

因みに勝因としては実はシロはこのPGシャアザクを何度も作っておりその製作工程が既に頭の中に入っており今では説明書無しでもスムーズに作る事が出来たとの事だ。確かに何度も同じのを作ればそれは可能だがそれをPGでやるのスゲェ……

 

「それじゃあこの勝負シロの勝ちだからシロもこの家に住んでも良いよねフブキちゃん?」

 

「う、うぐぐぐ………」

 

「まあ、勝負を受けた以上は仕方ないよな」

 

「という事で玲二、これからもよろしくね♪」

 

「……まあ、それは良いが問題だけは起こすなよ」

 

フブキが悔しそうに歯を食い縛る中、シロは満面の笑みを浮かべながら俺に抱きついてきた。まぁまたこの家が騒がしくなりそうだが、それはそれでこの家らしくていいか。

 

 

 

 

こうして新たにシロがホロライブマンションに入居する事になり、勝負に負けたフブキは罰として二週間玲二の部屋出入り禁止を言い渡され涙する日々を暫く送るのであった。因みにシロもその後再び玲二の寝込みを襲おうとしていた処をみしろとフレアに捕まり一ヶ月間玲二の部屋出入り禁止となった。

 




はい、という事でドットライブよりシロの登場回でした。こうして見るとかなりヤバイ娘にしちゃった感じがしますね(^^;

次回はあのクソガキと兎の回です。この二人のせいでホロライブマンションに異変が……?次回も気長に待って頂けたら幸いです、ではまた( ゚∀゚)ノシ


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第23話『あの頃の私達』

本当は午前中に投稿する予定が手直し等あって少し時間がかかってしまいました。

今回は魔女ッ娘とウサギが起こす珍事件です。最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ( っ・ω・)っ


「フッフッフッ………♪」

 

「ぺーこぺこぺこ………♪」

 

皆が寝静まっている真夜中、ホロライブマンションのとある部屋では何やら二人が不気味な笑みを浮かべながら何かの儀式を行っていた。

 

「これで準備万端、後はこの呪文を唱えれば……」

 

「師匠が遂にぺこーら達のモノに……ぺーこぺこぺこ♪」

 

薄暗い部屋で魔法使いの格好をした少女、シオンと兎耳の少女、ぺこらの二人は用意した魔方陣の上に乗り、そしてシオンは何やら呪文を唱え始めた。

 

「ヌンヌンハローボカプカプアローラッチャマーコンコーンワッショーイアクアーネエェェナキリーチョッコーンスバーウアズーミョーンニャッハロモグモグユビユビスイチャンカワイイペコールシ-ヌイーマッスルアホーイカナターオキテードドドヤッピィンナァラミネネーラライオーンオルカー………」

 

「な、なんかよく分かんないけど凄そうぺこ……」

 

何か何処かで聞いた事のあるような呪文を唱えているとシオンの身体が青白く光り魔力が溜まっていく。そして……

 

「……来た!偉大なる精霊の力よ、今こそ我が呼び掛けに応え願いを聞き入れよ!!」

 

―シュウゥゥゥゥゥゥ………ビカアーーーーーッ!!!―

 

「うわ、眩し………ッ!?」

 

シオンが叫ぶと同時に魔方陣の中心に魔力が集まり、それが爆ぜると突然強い光が放たれホロライブマンションを包む程の強大な光の柱となったが、一分程でその光は終息し、シオンとぺこらもいつの間にか寝込んでしまい一件すると何事も起き無かったかのように見えた。

 

 

 

 

 

しかし、これが後に大変な事態を引き起こす事になろうとは、この時は誰も思わなかった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―翌朝―

 

「ん、んん……ふあぁ~……」

 

あぁ~よく寝た……ってやべ、目覚ましかけ忘れてたか。今日は確か0期生の皆とショッピングに行く約束してたのに…………良かった、まだ八時か。これならまだゆっくり出来そうだな。取り敢えずはまず着替えて……

 

―バアァンッ!!―

 

「れ、玲二様!大変なんだ余!」

 

「レイさん緊急事態だよ!!」

 

「ん?どうしたんだあやめ、ミオ………ん?あれ……あやめ、なんだかお前少し幼くなってないか?」

 

着替えようとした瞬間ミオとあやめが慌ただしく俺の部屋に入って来たが、なんだか様子がおかしい……あやめの姿が少しだけだが幼くなっている気がする。まるで俺があやめと初めて会った時みたいだ。

 

「そ、そうなんだ余!朝起きたら身体が少し縮んでて……!」

 

「ウチもあやめが珍しく早起きしたと思ってみたらあやめが小さくなってて、そしたら……と、とにかくリビングに一回来て!」

 

「あ、ああ分かった……取り敢えず着替えるから少し待っててくれ」

 

何なんだあの慌て様……どうやら只事では無いようだな?とにかく着替えてリビングに向かうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―リビング―

 

それから俺は直ぐに着替え、ミオとあやめと一緒にリビングへと向かった。本当に何があったんだ?

 

「ほらレイさんこれ見て!」

 

「おいおい落ち着けってミオ。一体何があっ……た……?」

 

「れ、れいく~ん……」

 

あれ?なんだこの目の前にいる小さな女の子は?なんだか幼い頃のフブキにそっくりだが…………え?まさかと思うがもしかして……?

 

「な、なあもしかしてお前……フブキか?」

 

「!そうだよれいくん、しらかみだよ!よかったぁ、きづいてくれたぁ♪」

 

はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぉぁぁぁぁぁぁぁッ?!こ、これがフブキ!?こんなちっちゃい子供が?!

 

「な、なんだよそれ?!どうしてフブキがこんなちっちゃくなってんだ?!」

 

「わ、わからないよぉ。しらかみもあさおきたらこんなすがたになってたもん……」

 

いやいや目が覚めたら身体がちっちゃくなるって何処の名探偵だよ?!

 

「ど、どうしてフブキがこんなちっちゃく……?」

 

「ちっちゃくなったのはフブキだけじゃないぞ?」

 

「え……………ッ?!も、もしかしてお前、クロか?」

 

「ん、なんかあさおきたらこーなってた」

 

な、なんという事だ……フブキだけじゃなくてクロもちっちゃくなっている?!フブキに比べて少しだけ大きいがそれでもちっちゃい!

 

「ほ、本当にこれどうなってるんだ?」

 

「いきなり身体が小さくなるなんて……」

 

「それにしても、なんでこんな小さくなり方が皆バラバラなんだろ?」

 

……言われて見れば確かにそうだな。フブキにクロにあやめ、小さくなったと言ってもそれぞれの推定年齢を見ると三歳と五、六歳と十二、三歳くらいだ。なんでこんなにもバラけてるんだ?そしてそんな中でどうしてミオは普通なんだ?

 

 

 

 

 

「失礼します、ご主人様」

 

「ん?おお、みしろか。お前は……特に変わってないみたいだな」

 

「……いえ、厳密に言えばみしろも、そしてミオさんも少しだけですが変化しています」

 

?変化している?でもどう見たって何時もと変わらない気がするが……?

 

「そして、このような状況を作った原因はこの二人です」

 

みしろはそう言うと何やらぐったりしている二人の首根っこを掴み俺の前に差し出してきた。え?コイツ等って、シオンとぺこらか?な、なんか二人も若干だけど幼くなっている気はするが、一体どうしたんだ?

 

「どうやらこの二人は昨晩怪しげな儀式を行っていて、その結果がこのような事態を招いたようです」

 

「怪しげな儀式?一体何をしてたんだ?」

 

「あ、あはは……」

 

「じ、実はその~……」

 

?なんだかばつが悪そうにしているけど一体何をやらかしたんだコイツ等?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……成る程、二人して魔法で理想の体型になろうとしたら失敗したと?」

 

「うぅ~、だって師匠、ノエちゃんやラミィちゃん達としてる時の方がなんだか嬉しそうで悔しかったんだぺこ……」

 

「だからぺこらちゃんと強力して玲二を喜ばすナイスバディになろうとしたんだけど、ちょっと失敗しまして……」

 

で、それがこの結果か?一体何がどうなってそんな事になったんだよ?

 

「それで、その失敗した作用が今のフブキ達って事だよね?ねぇ、一体どんな魔法にかかっちゃったの?」

 

「そ、それなんだけど……理想の体型を手に入れる魔法の筈がどういうワケか玲二と初めて会った時の姿に戻る魔法になっちゃってたんだよね」

 

「はぁ?俺と出会った時の姿?」

 

「だからみしろとミオさんは其処まで変化しなかったという事です。みしろとご主人様が出会ったのは一年前ですし、ミオさんは比較的大人に近い時に出会ったと聞いてましたから」

 

成る程、そういう事か。確かに言われてみればフブキもクロもあやめも、皆俺が初めて出会った時の年齢と合致する。みしろとミオの見た目が殆ど変わってないのもそういう事だったんだな、ってかそれよりみしろはどうやってこの二人が犯人だって気づいたんだ?

 

「それで、この魔法はいつまで続くんだ?まさかずっとこのままって事は……?」

 

「そ、それはないと思うけど?元々やろうとした魔法も時限式の魔法だったから時間が来たら元に戻る感じだったし、それにこれ失敗魔法だからそんなに続かない筈……多分明日には元に戻ってると思う」

 

「え?じゃあしらかみきょうはこのままなの?このあとはいしんするよていだったのに……」

 

「わたしだってきょうはざっしにのせるようのガンプラつくるつもりだったんだが?」

 

フブキとクロに睨まれシオンとぺこらは思わず目を反らしているがお前等、自分が悪い事したんだからちゃんと謝れよ。にしても俺と出会った時の姿に戻る魔法か、なんだか変な魔法だな………ん?俺と出会った時の姿に戻る?…………………………ッ?!

 

「ッ!?ヤバイ!!」ダッ!

 

「え、レイさん?どうしたの急に?」

 

ヤバイぞこれ、一大事だ!!もし本当に俺と出会った時の姿に戻るんなら、アイツが危ない!!

 

 

 

 

 

 

 

 

―バアァンッ!!―

 

「おいロボ子!大丈夫か…………ッ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ま、マMaすター……?ぼboクくkUどドドうなtTeルのノノ……?」バチバチバチバチッ

 

俺はロボ子が心配で急いでロボ子の部屋にやって来たがやっぱりか!?出会った時って言われてもしやと思ったけど、コイツ俺と出会った時壊れてて機能停止寸前だったんだよ!

 

「えぇッ?!ろ、ロボ子さんどうしてこんな風になってるの!?」

 

「コイツは俺と出会った時こうだったんだよ!ミオ、急いで何時もの修理スタッフ呼んでくれ!」

 

俺は慌ててミオに修理スタッフを呼ぶように頼み、到着するまでロボ子が機能停止しないように必死でエネルギー回路を繋ぎ止めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……はあ、なんとか間に合って良かった」

 

あれから事情を聞いた修理スタッフが慌ててやって来てロボ子を回収し、そのまま修理作業の為に前回も直してもらった修理屋へと運ばれていった。本当に一時はどうなるかと思ったよ……

 

「全く、後少し発見が遅かったらロボ子完全に壊れてしまうところだったぞ?」

 

「う……すみません」

 

「面目ねぇぺこ……」

 

流石に仲間が大変な目にあったせいか二人ともかなり反省しているみたいだ。取り敢えずロボ子が復活したら謝っとけよ?さて……

 

「それじゃあ一応他の皆の様子も見に行くか。当然お前達も来いよ、今回の件はお前等にも責任あるんだから」

 

「「はーい」」

 

全く、朝からとんだ事件だよ本当に……まあ起きてしまった事は仕方ない。二人には後で罰を与えるとして、今は他のメンバーの様子を見に行かないとな。

 

あ、因みに今みしろは仕事に出てミオとあやめはフブキ達がおねむという事で面倒を見てくれている。中身はそのままだが身体が幼児だから仕方ないな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―0期生―

 

「……取り敢えずアズキとすいせいとみこは殆ど影響はないみたいだな?」

 

「うん、でも少し身体がちっちゃくなったから服がちょっと合わないかな?」

 

「みこも少し胸周りが小さくなってしまったにぇ……まあすいちゃんに比べたらまだあるけど」

 

「おいコラみこち、朝っぱらから喧嘩売ってんのか?」

 

おいおいお前等喧嘩すんな。それにしても皆出会った当初だから少し幼いな……なんだかデビューした時の事思い出すな。

 

「あれ?そういやそら先輩何処にいるぺこ?」

 

「え?まだ部屋にいるんじゃないかな?」

 

「部屋に?そらにしては珍しいな、こんな時間になっても出てこないなんて」

 

……なんだかやな予感がするな。取り敢えずそらの部屋に行ってみるか。

 

 

 

 

 

 

―コンコンッ、ガチャッ―

 

「入るぞー?おいそら、大丈……夫……か……?」

 

「うあうぅ~」

 

あれ?何で赤ちゃんが此処にいるんだ?なんかベッドの上でもぞもぞしてるし………まさかとは思うけど、コイツそらか?

 

「え、もしかしてこの子そら先輩?」

 

「うわぁ~♪ちっちゃくて可愛いぺこ~♪師匠、こんな小さい時からそら先輩と知り合いだったんぺこだね?」

 

「え?いや、そんな筈は……だって俺とそらが初めて会ったのって俺達がホロライブに入った初日の筈だぞ?」

 

…………いや待てよ?確かガキの頃に町内会の集まりに着いていった時にこんな赤ちゃんいたような………え?もしかしてその時の赤ちゃんがそらだったのか?

 

「ま、まさかそんな昔からそらと会ってたなんてな」

 

「えーうん♪おあおー♪」

 

うん、どうやら俺の事は分かるみたいだな。おそらく「玲二君おはよー」と言ったみたいだけど、やっぱり赤ちゃんだとよく分からんな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―一期生―

 

さて、そらもアズキに預けてきたし、次は一期生だな。でもまあ流石にもうそらの時みたいな事はもうないだろう………そう思ってたのになぁ……

 

「うわぁまつりちゃんちっちゃーい♪」

 

「なんだかちっちゃいまつりちゃんも良いわね♪いっそのことはあちゃまとダーリンの子供にならない?キャハハ♪」

 

「えぇー?それならアキロゼと玲二君との子供の方が良いわよねぇ♪」

 

「うがぁ~!はなせぇー!」ジタバタッ

 

大して変わってないのはアキくらいでメルとはあとは少し幼くなっていて、そして後はそんな三人にたらい回しで抱っこされてる推定五歳くらいの女の子がいた。もしかしなくてもあれまつりだよな?

 

「まつりちゃんちっちゃくて可愛いねぇ♪」プニプニ

 

「まつり先輩にもこんな可愛い時期があったぺこなんだね♪」プニプニ

 

「ほっぺつっつくなぁー!れいじくんもみてないでたすけて~!」

 

シオンとぺこらにも頬をつつかれて若干涙目になって俺に助けを求めるまつり。にしても俺、この時期のまつりと何時出会ったんだ?

 

「ほらお前等、まつりも困ってるんだから止めてやれって」

 

「うーーーーッ!!」ダキッ!

 

取り敢えずまつりを助けてやるとまつりはそのまま俺に抱きついてきた。こうして見ると本当に只の子供―クンカクンカスンスンスンッ―………おいコラどさくさ紛れに匂い嗅ぐな。ちっちゃくなっても相変わらずの匂いフェチなんだなコイツ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―二期生―

 

「ほぇ~、そんな事になってたんだぁ?」

 

「通りでスバルがこんなちっちゃくなってたワケね?それにしてもスバルってちょこ達よりも前に玲二様と知り合っていたのね?」

 

「まあね♪すばうと兄ちゃんはいわばちくわのともッス!」

 

「それを言うなら竹馬の友な」

 

此処はまあ予想通りかな?スバルは昔俺が通院していた病院で出会ったから今は六歳ぐらいか?他はちょこは見た目は変わらないしあくあも元が幼いからあまり見た目の変化はない。強いて言えば今より少し胸が……いや、これは普通にセクハラだから止めとこう。

 

「それよりスバル、お前体調の方はどうだ?」

 

「たいちょう?………あー、いまはぜんぜんだいじょぶッス!兄ちゃんしんぱいしてくれてありがとッス♪」

 

そっか、それなら良かった。

 

「?スバルって何処か具合でも悪いの?」

 

「ん?ああ、実はスバルは昔は病弱でな。俺と出会ったのも手術する一週間前だったんだよ」

 

「えぇッ?!何時も元気なスバル先輩が昔は病弱だったぺこか!?」

 

まあ知らないとそんな反応になるよな。コイツ今でこそ元気なスポーツ系女子だが、昔はそれこそ走っただけで心臓に負担が掛かるほど病弱だったんだよなぁ………そういやスバルもそうだがアイツは大丈夫か?

 

―ガチャッ―

 

「れいじぃ~、どこにいるのぉ~?」

 

「あ、丁度なタイミングでやって来たな……ってやっぱりお前もかシロ?」

 

考え事をしている中、丁度その相手だったシロが部屋の扉を開けて入って来た。そして案の定コイツも身体が小さくなってるな。おそらくコイツも今六歳ぐらいか。

 

「あ、れいじぃ~♪おはよー!」トテトテトテ…ダキッ!

 

「はいはいおはようさん。そういやお前と会ったのもこんぐらいの時だったな?」

 

「おぉ~、シロちゃんなつかしいッス!」

 

「え?もしかしてスバルとシロちゃんって幼馴染みだったの?」

 

「幼馴染みというか、昔スバルとシロは同じ病室で入院してたんだよ。その時に知り合って今に至るって感じだな」

 

と言ってもシロの場合は事故だけどな。俺があの時もっと早く気づけたらあんな事には………いや、過ぎた事を悔やんでも仕方ない。今俺に出来るのはシロが人並みの幸せを手に入れてくれるように手助けするだけだ。

 

「えへへぇ~、れいじぃ~♪」スリスリ

 

「あぁ!シロちゃんズルいッス!すばうも兄ちゃんにくっつくッス♪」ダキッ!

 

「おいおいお前等、あんまりはしゃぐなって。特にスバル、お前今は昔みたいに病弱体質なんだから」

 

コイツ等小さくなったのを良い事にめっちゃ甘えてくるな。お陰で他の娘が凄く羨ましそうにこっちを見てくるけど、どうしようもないだろう?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―三期生―

 

「るしあとノエルは殆ど変化してないみたいだが……まさかフレアとマリンがこうなってるとはな」

 

「フレアちっちゃくて可愛いなぁ~♪」ギュウゥッ

 

「の、ノエちゃんくるしいよぉー!」ジタバタッ

 

フレアよ、お前もか?年齢的には恐らく三歳くらいか?フブキと同じくらいだが一体何処で会ったんだろ?……もしかしてそらの時と同じ町内会の集まりにいたあの金髪の女の子がそうだったのか?

 

「マリンがるしあよりちっちゃくなってるのです……」

 

「どうですかぁ?せんちょーもぷりちーでかわいらしいおんなのこですよねぇ~♪」

 

「でも中身はそのままだから妙にオバサンっぽいよね?」

 

「これがホントのロリババァぺこだね」

 

「はあぁぁッ!?だぁれがロリババァだこのクソガキどもぉッ!!」

 

マリンも小さくなっていてそれで可愛さアピールしてるがシオンとぺこらに弄られてめっちゃキレてる。身体がいくら小さくなってもやっぱりマリンはマリンか。にしても俺、こんな小さい時期のマリンに何時会ったんだ…………………あ。

 

「そういや俺がまだ幼かった頃にこんな小学生に頭撫でられまくった気がするんだが……?」

 

「え、玲二さんが小さかった時?それって……」

 

「やっぱりマリンってみそ「ちがう!リアルなこといってもまだにじゅうだいだもん!!」ひ、必死すぎるぺこ……」

 

確かに必死すぎるよな……それにしてもこうして見ると俺、意外にも昔から何かしらな形で皆と会ってたりしてたんだな?スゲェ偶然もあったもんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―四期生―

 

そして次に四期生か。ここら辺になるとデビューしてから出会った場合はそんなに年月は経ってないから其処まで変化は無いが……やっぱりこうなってるよなぁ。

 

「痛たたたたたぁッ!?ちょ、ルーナお願いだからトワの髪引っ張らないでよぉ!」

 

「ほ、ほらルーナたんいないいなーい、ばぁ―ゲシッ!―あ痛ぁッ?!」

 

「こ、こらルーナ暴れないでって!?」

 

「んなあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」

 

トワとわためとかなたは殆ど変化はしていなかったがルーナだけは赤ん坊になっていて今は三人がかりで押さえ込もうとしているみたいだがルーナがそれに抗うように暴れまくってる。そういやコイツ赤ちゃん扱いされるの凄く嫌がるもんな。

 

「それにしても玲二ってルーナが赤ちゃんの時から知り合いだったんだ?」

 

「まあな、一応姫森家は佐々木家の遠い親戚らしいからな。小さい頃ルーナが生まれた際にパーティーに呼ばれて何故か知らんがルーナの子守りさせられたんだよ」

 

「にーたぁ♪」

 

おっと、どうやらルーナが俺に気づいて俺に向かって手を伸ばしてきたな。かなたからルーナを受けとりそのまま抱っこしてやると先ほどと打って変わっておとなしくきゃっきゃと笑っていた。

 

「や、やっぱり玲二さんだとルーナもおとなしくなるんだね?」

 

「まあそうみたいだな。それにしても懐かしいなこの感じ」

 

「んなぁ♪」

 

全く、赤ちゃん扱いは嫌な癖に何で俺の時だけ甘えてくるんだろうなコイツ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―五期生―

 

次は五期生の四人か。さてさて、この中にももしかして昔会った事のある奴がいるのか?

 

「へぇ~、ししろんって昔ショートヘアーだったんだ?しかも片目隠れてるし」

 

「え、何で髪伸ばしたん?」

 

「まあ、本当は短い方が楽なんだけどレイっちがなんかロングの方が好きみたいだったから伸ばしたんだよ」

 

「………まあ、否定はしない」

 

ねねとポルカは殆ど変わって無かったけど、やっぱりぼたんは高校の時に出会った姿に戻ってるな。なんだか懐かしいな、よく二人でラーメン食いに行ったりしてたな………そういやあの時ぼたんに言い寄ってた金満、今頃どうしてんだろうな?

 

「………そして、ラミィはこんなちっちゃくなってると」

 

「いやぁラミィちゃん可愛いねぇ~♪」ナデナデ

 

「ラミィちゃんお菓子食べるぺこぉ?」

 

「むぅー!こどもあつかいしないでよぉ~!ふたりよりはラミィのほうがとしうえなんだからぁー!」

 

ラミィは俺が八歳の時に旅行先で出会ったから今は五歳って事か。この頃は純粋な娘だったのに今じゃ酒好きの大喜利ハーフエルフだもんな。どうしてこうなった?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―ゲーマーズ―

 

そんで最後はゲーマーズか。と言ってもミオはもう会ったから残りはおかゆところねだけだが……まあ二人ともデビューした時に出会ったから其処まで変わってないだろう?

 

―コンコンッガチャッ―

 

「おーいおかゆ、ころね。起きてる……か……?」

 

「あ、れいじだぁ♪」

 

「れいくんおはよぉ~♪」

 

……コイツ等もかよ?見た感じ五歳、いやもう少し下か?一体何時コイツ等と出会ったんだ?取り敢えず二人にも事の経緯を伝えるか。

 

「……なるほどね、ぼくたちがれいくんとであったときにもどっちゃったんだ?」

 

「なつかしいねおかゆぅ♪あんときまいごになってたこおねたちをれいじがたすけてくれたのおもいだすね♪」

 

「助けた?………もしかしてあの時フブキと散歩してた時に迷子になってた二人か?」

 

なんて事だ、まさかそんな前に出会ってたのか?本当に世間って意外と狭いもんだな……

 

「おらよ~♪」ガブガブガブッ

 

「痛たたたッ!?ちょっと指齧んないでよねえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!」

 

「おかゆ先輩も可愛らしいぺこだねぇ♪」

 

「ぺこらおねぇちゃんおこづかいじゅうまんえんちょーだい♪」

 

「金せびるんじゃないよ!全く可愛くねぇぺこだね?!」

 

やっぱりあくまで小さくなってるだけで中身は変わんないな。ころねはシオンの指を齧ってるし、おかゆはぺこらの事弄って遊んでるし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ、これで全員確認出来たか……それにしても予想外な事が多すぎたな」

 

「痛た、まだ指が痛い……」

 

「ぺこーらも疲れたぺこ……こんなんだったらシオン先輩の誘いに乗るんじゃなかったぺこよ」

 

まあ大変な事もあったがなんだか懐かしい気分も味わえたからよしとするか。何人か何時出会ったんだって奴もいたけど。

 

「とにかく、明日にはおそらく戻っていると思うし、今日の処は一先ず家でおとなしくするか」

 

「そうぺこね……あ、それなら師匠、ぺこーら今作ってるガンプラがあってもう少しで完成出来そうだから手伝ってほしいぺこなんだけど……」

 

「ガンプラ?まあ良いけど、一体何を作ってるんだ?てかもう少しで完成なら手伝う必要あるのか?」

 

「残ってるのはプラ板で改造したパーツの後処理だから一緒にヤスリがけしてほしいぺこよ」

 

「あ、それならシオンも手伝ってあげるよー♪」

 

ヤスリがけか。プラ板で改造したって事はオリジナル機に仕上げたのか?どういった機体にしたのか楽しみだな。

 

「それじゃあ師匠、シオン先輩、このパーツの処理お願いするぺこ」

 

「おう分かっ………おぉ、まさかの改造だな、まさかオーガンダムとは」

 

ぺこらが出してきたのはMGのフレームにオーガンダムの外装パーツだった。けどオーガンダムにはMGは存在しないのでおそらくはファーストガンダムとエクシアのミキシングだろうな。

 

 

『オーガンダム』

機動戦士ガンダムOOに登場した最初のガンダムにしてセカンドシーズンのラスボス的ポジションの機体。その見た目は初代のガンダムに似ていてパイロットのリボンズの声優もアムロの声と同じ人という事でかなり意識された機体と言える。ちなみにこのガンダムはHGでのみ存在し、それ以外のスケールはない。

 

「本当にぺこらはファーストガンダムやそれに近い見た目のガンダムが好きだよな」

 

「やっぱガンダムはこの見た目が至高ぺこ!WやらSEEDやらオルフェンズなんてぺこーらにとっては邪道ぺこ!」

 

「何その変な拘り……?」

 

確かにぺこらって基本的にはファーストガンダムやそれに似た機体しか作らないんだよなぁ。このオーガンダムだって絶対ファーストに似てるからって理由だろうし。

 

「そう言うシオン先輩だって基本的にドマイナーな機体しか作らないぺこじゃん?この間だってなんだっけ?……そうだあのGセイバーとか言うワケの分からないの作ってたし」

 

「はあぁぁッ?!G-SAVIOURの何処が変だって言うのさ!?」

 

いや変じゃないけどよく知ってたな?G-SAVIOURなんて絶対今の世代の子知らないだろうし。確か海外でやってた実写映画だっけ?

 

「大体あんなヒョロガリな機体でどうやって戦うって言うぺこだよ!」

 

「あれは宇宙戦用の仕様で効率よく動く為なんだって!それ言ったらぺこらのファーストガンダムだって他のに比べたらずんぐり体型じゃん!」

 

「はいはい、二人ともファンが聞いたら怒られるような討論するなって、とにかくさっさと終わらせるぞ」

 

二人とも別に何が好きなのかは個人の考えだから良いけど他人の好きな物を否定するのは止めとけよな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ところで今回の事だけどなんでこんな事しようと思ったんだ?理想の体型を求めるとか言ってたけど?」

 

ヤスリがけを終えて各部パーツを組み立てていく中で俺はシオンとぺこらに今回の事について問い質した。そもそもそんな事今まで気にしてなかっただろうになんでまた……?

 

「……最初にも言ったけど悔しかったぺこだよ。師匠がノエルやラミィちゃんとしてる時なんだかぺこーらとしてる時より満足してるように見えて……」

 

おい何で他の娘としてる時の事知ってるんだよ?まさか隠れて覗き見してたのか?

 

「シオンもちょこ先やあやめるとしてる時の玲二を見てたらちょこ先達の体型が羨ましくなってつい……」

 

そしてお前もかシオン?なんで他の娘と致してる時の事知ってるんだよ?え、もしかして皆共有しているのか?

 

「だから魔法図書館にあった変化の魔道書を使えば玲二を喜ばせれるような理想の体型になれると思ったんだけど……こんな事になってごめんなさい」

 

「ごめんなさいぺこ……」

 

……二人とも珍しく言い訳とかしないで素直に謝ったな。まあ皆に迷惑、特にロボ子に至っては生死をさ迷うレベルだったから大分懲りたんだろ?

 

「全く、そんな事気にしなくてもお前達に不満なんて持った事はないし、お前等にはお前等の良いところとかもあるんだから無理にそんな事する必要なんてなかったっての。寧ろ俺がお前等にちゃんと言ってればこうした事も起きなかっただろうし」

 

…………あれ?なんだかちゃんとした気持ちで言ってる筈なのにスゲェ誑しみたいな事言ってる気がする?もしかしてこういうところが俺のダメなところなのか?

 

「それと謝るんなら俺じゃなくて皆に謝れよ。あれだったら俺も一緒に頭下げてやるから」

 

「玲二……ありがとうね、でもシオンは大丈夫だから。明日ちゃんと皆に謝るよ」

 

「ぺこーらもシオン先輩と一緒に謝るぺこ。師匠、気を遣ってくれてありがとぺこな」

 

ん、どうやら二人とも大丈夫そうだな。さ、この話は終わりにして、後はオーガンダムを完成させるとするか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―翌日―

 

「ふあぁ~……おはよう」

 

あれからオーガンダムを完成させ、後日塗装する約束をした後そのまま眠りにつき、翌朝起きてすぐに皆の様子を確認する。

 

「あ、レイくんおはようございます♪」

 

「玲二君おはよう♪」

 

「おうフブキ、そら、おはようさん。二人とも元に戻ったんだな」

 

良かった、どうやら皆元に戻ったみたいだな。一事はどうなるかと思ったが、取り敢えず何事もなく済んで良か………なんだあれ?

 

「ろ、ロボ子さん……も、もう許し、て………」ビリビリビリビリッ

 

「か、身体がし、痺れるぺ、こ……」ビリビリビリビリッ

 

「ダァメ♪二人にはまだまだボクが受けた辛さ味わってもらうからねぇ♪」ゴゴゴゴゴゴゴゴッ……!

 

「……何してるんだあれ?」

 

「ロボ子さん危うく壊れかけたって事で二人には罰で一日全身低周波の刑なんだって」

 

うわぁ、容赦ねぇなロボ子……まあ今回は二人が悪かったという事で、一日頑張ってくれな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―その頃―

 

「……此処がホロライブマンションね?」

 

シオンとぺこらがロボ子のお仕置きを受けてる最中、ホロライブマンションの前には何やら怪しげな二人組が訪れていた。

 

「レイジ、また会えるネ♪」

 

「そうね、久し振りに会うんだから目一杯楽しませてもらわないとね♪」

 

そう言うと二人組の内の一人、探偵のような格好をした金髪の女の子がホロライブマンションのインターホンを押した。果たして、これから何が起こるのだろうか?

 




はい、という事で今回はシオンとぺこらの回……というよりはホロメン達全員登場回でした(^^;
これにてホロライブJPは全員登場完了しました!( ≧∀≦)ノ

さて、これでJPメンバーがメインの回が終わったという事で、次回はAの娘と探偵ッ娘の話になります。次もまったり書いていくので気長に待って頂ければ有難いです、ではまた( ゚∀゚)ノシ


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第24話『再びAの娘と名探偵?』

本当は二週間くらい休もうかと思いましたがなんか筆記してないと落ち着かなくなってしまい、結局また書き始めました。これからもスローペースながらも書いていこうと思いますのでどうかよろしくお願いします!

今回は前回の後書き通りあの二人の登場です。今回も最後まで見ていただければ有難いです、ではどうぞ!


シオンとぺこらによるホロメン時間逆行事件の翌朝、二人はロボ子からお仕置きという事で一日全身低周波の刑を受けていた。まあ事故とはいえロボ子普通に危なかったし、こればっかしは仕方ないな。

 

「んじゃ俺も部屋で仕事してるからフブキ達ゲーマーズは今日はレッスンルームでストレッチしっかりしろよ。ロボ子も程々にしてあげろよな」

 

「「はーい♪」」

 

「「アバババババババババババババ」」ビリビリビリビリッ

 

さて、今日中に次の配信でやるゲームの許諾を得るのと、それとこれは今週中だけど年末に向けてのライブイベントの準備をしないとな。今年もおそらくオンライン限定だが、楽しんで盛り上げられるようにしないと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―ピンポーン―

 

「?誰か来たみたいだな」

 

「あ、私が出るよ。はーい今出まーす!」

 

誰だこんな朝早くに?時間的に宅配とかでもなさそうだし……

 

 

 

 

 

「……エ、ドウシテフタリガココニ?ア、チョットマッテ!」

 

?なんだかそらが騒いでるようだがどうしたん―ドタドタドタドタドタッ―……なんかこっちに向かってくる音が聞こえるけど一体なんだ?

 

 

 

 

 

―バアァンッ!!―

 

「SHAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAARK!!!!」

 

『ワアァァァァァァァァァァァァァッ?!!!』

 

―ドスンッ!―

 

「ぐおぉッ?!」

 

リビングのドアが蹴破られ其処から青いフードを被った奴が弾丸の如く俺の腹に突進してきた。めっちゃ痛ぇッ!!

 

「レイジ、久しぶり!!」

 

「痛てて……ってぐら!?なんでお前こんな所に?!」

 

突進してきたのはかつて俺がEN支部に行った時に出会い、後に日本に勢いだけでやって来たがうる・ぐらだった。なんでこいつが此処に?!

 

「ぐらね、レイジにもう一度会いたくて日本に来たの!今度はちゃんと空港使ったよ!ぐら、偉いでしょ♪」

 

「あ、あぁ……ってかお前、なんか日本語上手くなってないか?」

 

前に会った時は殆ど簡単なカタコトの日本語ぐらいしか喋れなかったのに今はかなり流暢に日本語を喋ってる。あれからそんなに経ってないのにどうしたんだよ一体?

 

「もうぐら!一人で勝手に入ってかないでよ!」

 

「え……なんだ、お前も来ていたのか?アメリア」

 

「Ohレイジ!久しぶりね、元気してたかしら♪」

 

それから少ししてリビングにもう一人、探偵のような格好をした女の子『ワトソン・アメリア』が入って来た。一体何がどうなってるんだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……成る程、少しの間休暇を取って、それを利用して日本に来たワケか」

 

「Yes!そしたらぐらも日本に行ってレイジに会いたいって言ってたから一緒に皆に会いに来たってワケ♪」

 

成る程なぁ、こいつ等も今や世界に誇るトップアイドルだもんな。中身はかなりクレイジーだけど………それにしても

 

「なあアメリア、お前等って確か日本語殆ど喋れないんじゃなかったっけ?なんでこんな短期間で其処まで流暢に話せるようになったんだ?」

 

「?あぁ、それね。それはこれを使ってるのよ」

 

インカム?なんだそれ?よく見たらぐらも同じもの着けてるみたいだが……

 

「これホロライブJPの整備スタッフが作ってくれた自動翻訳機なの。これさえあれば私達の喋ってる言葉が自動で日本語に変換されるし、レイジ達の言葉も英語に翻訳されて聞こえるようになってるの♪」

 

「そんな便利な物作ってるのかうちの整備スタッフ?!」

 

最早普通に売れるレベルじゃねぇか!?一体何処を目指しているんだホロライブ?!

 

「レイジ!これでぐらもレイジと沢山お話出来るよ♪」

 

「あ、あぁ、それは良いが……」

 

「「「…………………………」」」

 

ヤバい、さっきからフブキとそらとロボ子が凄いジト目でこっちを見てくる……

 

「レイくん凄いですねー、たった数回しか会ってないのにそんなに懐かれるなんて」

 

「流石マスター、モテる男は違うよねー」

 

「玲二君一体何人の娘落とせば気が済むんだろうねー?」

 

スッゲェ悪意のある言い方されてるし……そしてそらよ、別に好きで女の子を落としてるワケじゃないぞ?普通に接してたらこうなってただけだ………そう考えたら人との接し方少し変えた方が良いのか俺?

 

「ま、まあそれはさておき、なんで態々日本に?俺に会うなら来月一期生と一緒にEN支部に行く予定があっただろ?」

 

「んーまあそうだけど、元々日本の皆にも会いたいと思ってたし、何より皆に街の案内とかしてほしいなって思って♪」

 

「ぐらもレイジや皆ともっと遊びたい♪」

 

成る程な、そう言う事なら皆と一緒に街に出てみるか?仕事に関しては移動しながらでも出来るし。

 

「よし、それなら今から皆で街に行くか。フブキ、そら、ロボ子、お前達も来るか?」

 

「そうだね、白上も久しぶりに色々と行ってみたい所もあるし♪」

 

「私も行きたいな。折角のぐらちゃんとアメリアちゃんとのお出かけ楽しみたいし♪」

 

「うーん……ごめん、ボクも本当は行きたいけどまだあの二人のお仕置き終わってないから今回はパスするね」

 

「「…………………………」」ビリビリビリビリッ

 

おい大丈夫かシオンとぺこら?もう何も喋らずうつ伏せ状態だが?

 

「そ、それじゃ早速行くか。行き先は………済まないフブキ、任せても良いか?」

 

「勿論!さあ早速夢と希望が溢れる素敵な街巡りに行きましょう~♪」

 

「「「おー♪」」」

 

………なんだろ、大体行き先が想像つくんだが?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから俺達はフブキの案内で街中を観光していた。やっぱりと言うべきか大体の行き先がアニ○イトだったりま○だらけだったり、そして極めつけにはハニストとまさにオタク全開の観光だった。それでもアメリアとぐらは喜んでいるみたいだから、まあ良いとするか。

 

「ふう、大満足ですよ~♪」

 

「殆どお前の買い物だったじゃねぇか」

 

「まあまあ、私も結構楽しめたよ♪二人はどうだったかな?」

 

「えぇ、すっごく面白かったわ!流石アニメの聖地日本ね♪」

 

「ぐらも楽しかった♪センタイライダースーパーロボットサイコー!」

 

二人も結構物買ってるな。すっかりフブキによって染められてしまってる……よくこういったアニメのせいで日本の文化が勘違いされてるって言われてるけど此処までくるとあながち間違いじゃないような気がする。

 

「さて、一息ついたし、そろそろ家に戻るか?」

 

「何言ってるんですかレイくん?まだ今日のメインイベントが終わってませんよ!」

 

メインイベント?まだどっか行くような所あったか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「というワケでやって来ました駿○屋さんです!」

 

「「「わー♪」」」

 

って此処かよ?なんでまた○河屋に?

 

「折角だからアメちゃんとぐらちゃんにもガンプラの良さを知ってもらいたいなって思いまして♪本当なら量販店とかでも良かったんだけど、最近だと品薄状態が多いから此処にしました」

 

「確かに最近だと全然品薄状態が解消される処か酷くなる一方だもんな。この間ビ○クカ○ラ行ったら二列あった棚が一列になってたし」

 

「そうそう!私もよく利用していたスーパーのおもちゃ売場もガンプラスペースなくなっちゃったし!」

 

本当にこのガンプラの品薄状態早く解消してほしいよな。でもそれまでは今まで買ってたガンプラもちゃんと作らないとな。

 

「それじゃ折角だし今日の代金は俺が出してやるよ。皆好きなの選んできな」

 

「やたー♪流石レイくん、気前が良いですなぁ~♪」

 

「レイジ、有り難うね♪それじゃあそら先輩、私あまりガンダム詳しくないから一緒に見てもらっても良いかしら?」

 

「うん、良いよ♪アメリアちゃんとぐらちゃんにぴったりのガンプラ探そうね」

 

「ぐら、さいきょーのガンプラ作る!」フンスッ!

 

こうして俺達はそれぞれ店内を物色する事になった。さて、俺も何か探してみますか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―そら&アメリア―

 

皆でそれぞれ欲しいガンプラを探す為、私はアメリアちゃんと一緒にHGのコーナーを探索する事になった。初めてのガンプラ漁りにアメリアちゃんの目がキラキラ輝いている………やっぱり少し気になるし、ちょっと聞いてみようかな?

 

「………ねぇアメリアちゃん、ちょっと聞いて良いかな?」

 

「ん、何かしら?」

 

「アメリアちゃんって、玲二君の事どう思っているのかなって思って。もしかしてアメリアちゃんも玲二君の事……」

 

「好きなんじゃないかって?あはは、ナイナイ♪私にとってレイジは良い仕事仲間よ」

 

ほっ……やっぱりそうなんだ。玲二君とのやり取りを見ててもなんだか他の娘と違って一歩引いてる感じがしたし、もしかしてと思ったけどやっぱりAちゃんと同じような仕事仲間的な感じだったんだ。

 

「まあ、不安になるのも仕方ないわよね?レイジって優しいし気遣い出来るし頼りになるし、色んな娘が好きになるのも分かる気がする」

 

「……うん、私も玲二君に助けてもらったし、玲二君がいなかったら私、此処までやってこれなかったかもしれない」

 

だから玲二君にはとっても感謝してるんだ。私のアイドルとしての道を一緒に切り開いてくれた大切な人、そんな人だから私はずっと傍にいたいと思ってる。

 

「…………でも彼って優しすぎるわよね?」

 

「…………え?」

 

「レイジって基本的に人から頼られたら断らないじゃない?多少の文句は言ってもなんだかんだ引き受けてくれる。レイジってもしかして今まで頼まれ事を断った事ってないんじゃないの?」

 

……………言われてみたら確かにそうだ。玲二君は私達が頼んだ事は絶対に受けてくれるし、仮にその時ダメだったとしても近い内に引き受けてくれる。玲二君が頼み事を断るのは決まって仕事関係で無茶な要求をしてくるような人達に対してなだけで私達にはそういった事はない。

 

「……もしかしたらレイジ、本当は一人になるのが嫌なのかもしれない。今まで誰かが近くにいたからそれが当たり前になってしまって、もし頼み事を断ってしまったら皆自分から離れていってしまうんじゃないかって無意識に感じているのかも?だから皆からの頼みを断る事が出来ないんだと思う」

 

………そう言われたらそうかもしれない。玲二君の優しさや気遣いはもしかしたら全部自分の為だったのかもしれない。だとしたら私達、そんな玲二君の優しさに付け込んで一緒になって……私って、最低だ……

 

「……………なーんてね♪ごめんなさいそら先輩、少しからかっちゃいました♪」

 

「え……?」

 

「レイジはそんなふうには思ってないわよ。前にEN支部で仲良くなった時に気になって聞いてみたのよ、どうしてレイジって皆にそんなに優しくするのって。そしたら」

 

 

 

 

 

『優しくする理由?そうだな……俺は今まで沢山の人に支えられてきたんだ。家族、友人、そして仲間達によってな。もしそいつ等がいなかったら俺は今日まで頑張れなかったと思う。だからそんな人達に俺は全力で応えたいと思ってる。あいつ等が幸せになってくれるなら、俺はその為の協力は惜しむつもりはないさ』

 

 

 

 

 

「だって。良かったじゃない、レイジも皆の事大切に想ってくれてて♪」

 

「玲二君……私達の事、そう思ってくれてたんだ」

 

玲二君、私達の事を想ってくれて、そしてそんな私達の幸せを願ってくれている。そう思うと嬉しくて涙が出てしまった。

 

「レイジは皆に対して本当に大切にしたいと思ってるんだと思う。だからそら先輩達もレイジの事、しっかり支えてあげてね。あんな良い人、大事にしてあげないと♪はいこれ」

 

「グスッ……うん、有り難う」

 

アメリアちゃんが泣いてる私にハンカチを渡してくれて、私はそっと涙を拭いた。そして誓ったんだ、玲二君の事を皆で幸せにしてあげようと。私達の幸せを願ってくれる優しいあの人を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お、どうやら決まったみたいだな」

 

三十分程物色した後俺とそらとアメリアは合流しそれぞれのガンプラの会計をする事にした。因みにフブキとぐらはまだ物色中だ。

 

「うん♪私達はこれに決めたよ」

 

「すっごく格好良くて一目惚れしちゃった♪」

 

「どれどれ……成る程、『リライジングガンダム』か」

 

そらとアメリアが選んだのはこれまた予想外なキット、ビルドダイバーズRe:RISEの新ビルドダイバーズの四人の合体機体である『リライジングガンダム』だった。いや本当に予想外だわ。

 

 

『HG リライジングガンダム』

ガンダムビルドダイバーズRe:RISEに登場するチームビルドダイバーズの四人の機体が合体した機体。作中ではガンダムとは思えない合体や戦い方をしたある意味ビルドシリーズらしい機体となっている。因みにこの機体は元の機体が個別で売っているのでそれを組み合わせても完成出来る。このキットでは全てがセットになっているだけでなく全身が金色の成型色で統一されている。

 

「まさかリライジングとはな、俺もコアガンダム系統は好きだけどこのキットは手を出してなかったな」

 

「このガンプラ丁度四機入ってるから今回は私とそら先輩、そしてフブキ先輩とぐらの四人のカラーにしてみようって事になったの」

 

ほう、それは良いな。四人それぞれのカラーがどうマッチするのか楽しみだ。

 

「レイくーん!白上達も決めましたぁ♪」

 

「ぐら、これにするー♪」

 

「お、二人も決まったか?一体何にした…………」

 

フブキ PGユニコーンガンダム

ぐら PGバンシィ・ノルン

計50000円也

 

「おいふざけんな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―帰宅―

 

あれから帰宅した俺達はすぐにガンプラルームに行きリライジングガンダムの制作に取り掛かる事にした。因みにフブキとぐらのガンプラだがそらとアメリアに怒られ却下された。俺も別に何か特別な日なら構わないがそうでもないのにPGは流石に買いたくないぞ。

 

「それじゃあ早速組み立てていくか。それで、誰が何を組むんだ?」

 

「私はイージスナイトが良いな。やっぱりSEEDベースの機体は好きだからね♪」

 

「白上はやっぱりコアガンダムIIが良い!合体ロボの核ってなんか良い響きですよねぇ~♪」

 

「なら私はこのウォドムポッドって奴にしようかしら。となると残りのヤツがぐらって事になるわね?」

 

「えぇ~?こんなちっこいガンダムがぐらのなの?もっとカッコいいのが良い!」

 

皆どうやらそれぞれ作るのが決まったみたいだな、ぐらは納得してないようだが。まあエクスヴァルキランダーはこの中で唯一のSDだし格好良いのが好きなぐらにとっては不満か。

 

「でもぐら、このガンプラドラゴンに変形出来るからこれをぐらのカラーに変えたら格好良くなるんじゃないか?」

 

「ホント?じゃあぐらこれでも良いよ♪」

 

お、意外と説得したら納得してくれたなぐら。ちょっとチョロい気もするが、兎に角これで全員作るのが決まったな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―下準備完了―

 

「さて、今回はどんな塗料使っていこうか?」

 

「うーん、折角の四体合体だから少し派手にしてみたいね」

 

「そうなるとメタリックやキャンディ塗装とかが良いんじゃないかな?」

 

メタリックやキャンディ塗装か。でもキャンディ塗装は手間と時間が掛かるからやっぱりメタリックかな?

 

「ねぇねぇレイジ、ぐらこれが良い!」

 

「え、これ? これって……偏光塗料か?」

 

偏光塗料、それは光の当たり方や見る角度によって色味が変わって見えるという変わった塗料だ。以前俺もウイングゼロでやったけど中々良かったな。

 

「これ、キラキラ光っててキレイだから使ってみたい♪」

 

「確かにこれだとリライジングに合体した時も格好良くなりそうね。うん、これにしてみようかしら♪」

 

「そうだな、それじゃあ塗装経験のあるフブキとそらは各自で行って、ぐらとアメリアは俺と一緒に塗装していくか」

 

「「はーい♪」」

 

そうと決まればまずはサフ噴きからだな。下地はホワイトサフで仕上げて、其処から偏光塗料を選んでいくか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―そして四日後―

 

「漸く完成したな」

 

「こう並べて見ると皆それぞれ違って良いね♪」

 

「凄い!皆キラキラしてキレイ♪」

 

うん、皆綺麗に塗装出来たな。偏光塗料が良い感じに輝いてて良い出来になったし、これは塗装成功と言っても良いな。

 

 

『ユーラヴェンガンダム フブキカラーVer』

ビルドダイバーズのメンバーヒロトの機体をフブキのイメージカラーに変更したカスタマイズ機。核となるコアガンダムIIは光沢のある白にガイアノーツのパールシルバーを施し、ユーラヴェンのアーマーは薄水色を表現する為に白の下地にプリズムブルーグリーンを施した。光の当たり方によっては名前通り緑にも見える。

 

 

『イージスナイトガンダム そらカラーVer』

ビルドダイバーズのメンバーカザミの機体をそらのイメージカラーに変更したカスタマイズ機。本体の白い部分を白の下地にガイアノーツのプリズムブルーグリーンを、その他の装甲を銀の下地にプリズムブルーバイオレットを施した。光の当たり方によって濃い紫にも見えるようになっている。

 

 

『ウォドムポッド アメリアカラーVer』

ビルドダイバーズのメンバーメイの機体をアメリアのイメージカラーに変更したカスタマイズ機。元の黒い装甲部分は白の下地にプリズムマゼンタゴールドを施し、緑の装甲部分は黒の下地にプリズムブルーブラックを施し、最後に白の装甲部分は白の下地にパールシルバーを施した。光の当たり方によってゴールド部分は紫がかったピンクに見え、黒い部分が青く見えるようになっている。

 

 

『エクスヴァルキランダー ぐらカラーVer』

ビルドダイバーズのメンバーパルヴィーズの機体をぐらのイメージカラーに変更したカスタマイズ機。フェイス部分以外の白を下地にプリズムメタリックターコイズグリーンライトブルーを施し髪の部分を白の下地にパールシルバーを施した。光の当たり方によって青い部分が淡い緑に見えるようになっている。

 

「こうして見ると皆のイメージカラーにしつつ、光の当たり方によってまた別の色に見えるから面白いな」

 

「そうだね、後はこれ等を組み換えて合体すれば……」

 

「リライジング改めホロライジングガンダム完成ね♪」

 

 

『ホロライジングガンダム』

四人のカスタマイズ機が合体した機体。カラーリング以外はリライジングと変わらないが、偏光をふんだんに使用している為色がかなり鮮やかになっている。見た目は綺麗だが、欠点として元のキットの動きがかなり制限されているのと塗装している為必要以上に動かせない。実質飾る専用の機体になっている。

 

「おぉ、合体させると更にインパクトがあるな」

 

「うん、凄く綺麗♪でもやっぱりあまりポーズを決められないのが残念かな」

 

そればっかりは仕方がない。元々派手に動かす事を想定していないだろうし、あまり無理させると塗装が剥げる可能性もあるからな。

 

「でもこれで充分じゃない?皆で作った最高のガンダム、これだけでもかなり価値があると思うわ♪」

 

「ぐらもこれ好き♪皆で一つのガンダム、サイコー!!」

 

「………ま、それもそうだな」

 

例え動かせなくても皆で作り上げたガンプラなんだ、それだけで充分素晴らしい作品だから良しとしよう。

 

こうしてJPのそらとフブキ、ENのぐらとアメリアによる合同ガンプラが完成し、二人の日本旅行も幕を閉じた。因みにホロライジングガンダムはホロライブマンションのリビングの一角に飾る事になったが、皆気に入ってくれたみたいで良かったよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―翌日―

 

「それじゃあレイジ、また来月に会いましょう♪」

 

「ぐら、またレイジと遊ぶの楽しみにしてる♪」

 

「ん、俺もまた皆と会えるの楽しみにしてるよ」

 

旅行を終えて自国に帰る二人を俺は見送りに来たが、それにしても随分荷物多くなったな。これ全部アニメグッズやガンプラと思うとスゲェな。

 

「それじゃあねレイジ!また来月会おうねー♪」

 

「おう、またな」

 

ぐらは一足先に飛行機に向かい、すぐにその姿は見えなくなった。さて、俺もそろそろ帰るか……

 

「あ、そうだ。レイジ、最後に一つ良い?」

 

「ん?なんだアメリア?」

 

「……レイジ、皆の事、そしてぐらの事泣かせたら許さないからね。あの娘達は貴方の事を信じて着いてきてくれてるんだから、裏切るような真似はしないでね」

 

…………裏切るような真似するな、か。勿論そんな事するつもりなんてないが、そうならないように俺ももっとしっかりしないとな。

 

「ああ、分かってる。肝に銘じるよ」

 

「うん、よろしい♪それじゃあまたねレイジ、来月の来訪楽しみにしてるから♪」

 

アメリアは笑顔で言うとそのまま飛行機に向かい消えていった。騒がしかったけど、楽しい時間だったな。

 

こうしてぐらとアメリアによるEN組の日本旅行は無事に幕を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………しかし、その数日後に大事件が起こってしまう事を、この時の玲二は知るよしもなかった…………




はいという事でぐらとアメリアの回でした。最初は英語どうしようと思いましたが二次創作という事でご都合的な翻訳機を登場させました。だからと言って他の海外組が出るとは限りませんが(汗)

それと近い内にまたタイトル変わるかもしれません。最近ガンプラ要素薄くなってるので名前負けしてる気がするので……

次回はちょっとした事件勃発?回です。次もまったり書いていくので気長に待って頂ければ幸いです、ではまた


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第25話『狐の心情』

いつも自分の小説を見て頂き有り難うございます。

今回の話からこの小説のタイトルを変更し、『ガンダム ビルドライバーズ』から『ホロライブ ビルドライバーズ』になります。

と言っても特に変化があるワケではなく、あるとしてもガンプラ以外のプラモデルが出たりプラモに関係のない話が頻繁に出たりするようになります。流石にガンプラだけだとネタがきつくなってきたので……

そして今回の話はタイトル通りフブキ回です。少し特別ゲストも出てきますので、今回も最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


こんこんきーつね♪ホロライブ一期生兼ゲーマーズの白上フブキです♪なんと今白上はですねー………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

荷物纏めてとある河川敷の下にいます……

 

なんで白上がこんな事になっているのかって?それは、今から昨日の事です……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―昨日―

 

「あぁーーーーーーーーーーーーッ!?レイくんそれ!?」

 

「ん?どうしたんだよフブキ?」

 

今日も皆と一緒にゲームをしようとリビングに入ると、其処にはレイくんがいたんだけど………レイくん、今食べてるそれってもしかして……

 

「れ、レイくん……それってもしかして冷蔵庫にあったプリン?」

 

「え?あ、あぁそうだけど?」

 

「なんで勝手に食べてるの?!それ白上が後で食べようと思ってたプリンだったのに!?」

 

「え、マジで?す、すまん……後で新しいの買ってくるから許してくれ」

 

新しいの………?何言ってるのさ!?それは只のプリンじゃないのに!

 

「それは街中でも有名なスィーツ店の土日限定20個のロイヤルプリンなんだよ!白上が朝から並んでやっと手に入れたのに!なんで勝手に食べちゃうのさ!?」

 

「え?これそんなに凄いプリンだったのか?そ、それは本当に済まない。それなら来週買ってきてやるから……」

 

「白上は今日食べたかったの!大体一つしかない上にそんな高そうな容器に入っているんだから誰かの大事な物だって分かるでしょ?!そんなのも分からないなんてレイくんってバカなのッ?!」

 

「な……ッ!?だったら大事なモンなら名前書いとけよ!そんなたかがプリン一つ食ったくらいで人の事バカ呼ばわりしやがって!」

 

……………は?たかがプリン?

 

「………何さその言い方?人が朝から並んで苦労して手に入れたロイヤルプリンをたかがって何?人の物勝手に食べといて何さその態度?!レイくんなんて……玲二なんて最低だよ!!」ドンッ!

 

「うぉッ?!」

 

あまりにも自分勝手なレイくんに苛立ち、白上はおもいっきりレイくんの事を突き飛ばした。けど……

 

―ガッシャーンッ!―

 

「ぐあッ……!」

 

「あ………」

 

突き飛ばした場所に食器棚があり、ぶつかった衝撃で棚から皿が落ちてレイくんの頭を直撃して割れてしまった。かなりの衝撃だったのか、レイくんの頭から血が流れている。

 

「れ、レイくん、あの、ご、ごめんな「……いけ」……え?」

 

「出ていけって言ったんだよ!俺前にも言ったよな?!俺の迷惑になるようなら出ていけって!もうお前なんかこの家にいる資格ない!荷物纏めてとっとと出ていけ!!」

 

出ていけ、その一言で白上の中で何かが崩れていったような気がした。そしていろんな感情がごちゃ混ぜになって爆発してしまった。

 

「分かったよ!白上こそこんな非常識な男の人と一緒に住みたくないよ!もう今日限りで白上はこの家出ていくから!!」

 

白上は溢れる涙を抑えながら自分の部屋に戻り、自分の荷物を纏めてホロライブマンションを飛び出した。途中皆の声が聞こえたような気がしたけど、白上は気にせず外へと出ていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それが昨日起きた出来事。今思い返せば自分はなんて大人げない事をしたんだろう……レイくんは確かに白上のプリンを勝手に食べちゃったけど、だからと言ってあんな大怪我負わせちゃって、それでレイくんが怒るのも無理ないのに我を忘れて逆上して家を飛び出すなんて……

 

しかも飛び出した処でどうすれば良いんだろう?今更ホロライブマンションに戻る訳にもいかないし、かといって元々住んでた場所は既に引き払ったから戻れない。いっそ実家に帰ろうかと思ったけど飛び出した時にうっかり財布を持ってくるのを忘れて、更にスマホもまともに充電していなかったからか電源が切れてしまって連絡する事も出来ない。闇雲に走ったせいで此処が何処か分からないしお腹も空いちゃった。これから白上はどうしたら良いんだろう………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あん?なんだオメェ?此処は私の縄張りなんだが」

 

「………え?」

 

急に声をかけられ振り向くと、其処には青みがかったポニーテールにメガネを掛け、更に特攻服のようなものを着た女の人がいた。も、もしかしなくてもこの人ヤンキー?にしてもこの声、何処かで聞いたような……?

 

「あ、あの、えーと、その……」

 

「なんだぁ?はっきり喋んねぇ奴だな?此処はこの私、Kson総長の縄張りだ!しかも其処は私のお気に入りの昼寝スペースだぞ!何座り込んでやがる!?」

 

け、けいそんそうちょう……?そうちょう………総長?!って事はこの人本当にヤンキー!?しかも総長って相当ヤバい人じゃ?!

 

「ご、ごめんなさい!!此処にいるのは本当に偶々で、別に喧嘩を売りに来た訳じゃないんです!だから許して下さいお願いします!!」

 

「え?!お、おい落ち着けって!?別にそんなつもりで声かけたんじゃねぇから!!」

 

総長さんは何か言ってるけど、白上は兎に角許してもらえるよう必死に土下座しまくりました。お願いですから○さないでぇーーーッ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全く、人の話はちゃんと聞けっつーの!」

 

「ご、ごめんなさい………」ヒリヒリ

 

あれから少しして白上は落ち着きました。ただその際にKsonさんから一発頭を叩かれましたが……

 

「そ、それでやっぱり白上はどうなるんですか?やっぱり仲間呼ばれてシメられるんですか?出来れば半○しとかは………」

 

「だからしねぇって!それに総長とは名乗ったけど実際は私一人だけしかいねぇし。そもそも喧嘩とか嫌いだしな」

 

え?じゃあなんでこの人総長なんて名乗ってそんな格好してるの?そう思って聞いたら……

 

「え?だって総長ってなんかカッコいいじゃん♪」

 

だって。じゃあ所謂コスプレなのそれ?…………それにしても

 

「なんかKsonさんの声って何処かで聞いたような声なんですけど………?」

 

「あ?私の声?そんなの気のせいだろ、他人のそら似ならぬ他声のそら似ってヤツじゃね?」

 

そ、そうかな?でもなんだろ、前からこの声知ってるような気が………ダメだ、思いだそうとしたら何かに遮られてるような感じがして思い出せない。

 

「そんな事より、お前はなんでこんな所にいるんだ?見た感じこの辺の奴じゃなさそうだけど」

 

「う、うん、実は………」

 

何故か他人とは思えないくらい馴染んでいたせいか、白上は初対面なのにKsonさんに白上の悩み事を全て打ち明ける事にしました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………ふーん、成る程ねぇ。プリン食われた腹いせに男にケガさせて家を飛び出したと?」

 

「ざ、ざっくり言うとそうですはい……」

 

改めて振り返ると本当に酷い話だよね。白上も彼処まで怒る事もなかったのに、レイくんには本当に酷い事しちゃったな……

 

「なんつーか……お互いにバカだろお前等?」

 

「うぐ……ッ?!い、言い返せません………」

 

「……まあ相手はともかくオメェは本当に反省してるみたいだし、本気で謝れば許してもらえるんじゃねぇのか?」

 

「うん、そうしたいけど……此処が何処か分からないし、スマホも電源が切れてるから連絡出来ないんだよね……」

 

「………ったくしょーがねぇなぁ!ホレ、これ使え」

 

そう言うとKsonさんはモバイルバッテリーを白上に貸してくれました。

 

「え、使って良いの?」

 

「良いも何も使わねぇと連絡出来ねぇだろ?さっさと充電して仲間に連絡しな」

 

「あ、有り難うございます!」

 

Ksonさん、最初は怖い人だと思ってたけど凄く優しい人だな……でもやっぱり誰かに声が似ている気がする。うーん、一体誰だっけ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―その頃―

 

「ブエックショイッ!!」

 

「か、会長?!どうかしやしたか?」

 

「いや、ナンかいきなりクシャミが……風邪カ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―それから暫くして―

 

「ふーん、普段はアイドルやってんのかオメェ?」

 

「は、はい、ホロライブっていうアイドルグループなんですけど知りません?」

 

「知らね、私はそもそもアイドルなんて興味ねぇし」

 

「そ、そうですか……」

 

うぅ、白上結構頑張ってはいるけどやっぱり知らない人は知らないんだね……

 

「てかオメェのとこのスタッフもヒデェ奴だよな。そもそもそいつが勝手にオメェのプリン食わなかったらこんな事になってたのによ?」

 

「うん……でも怪我させちゃった事には変わらないから、其処はちゃんと謝らないと」

 

「そっか。でももしそいつがプリン食った事反省してなかったら私に言いな、一発ぶん殴ってやるから」

 

お、お手柔らかにお願いします……と、そろそろ充電大丈夫かな?えーと…………あ、着信がかなりある。皆、白上の事心配してくれてたのかな……取り敢えず電話しないと!えーと、相手はミオで良いかな?

 

―プルルルルップルルルルッガチャッ!―

 

❬もしもしフブキ!?一体何処にいるの?!❭

 

「ご、ごめんねミオ。スマホの電源が切れちゃってて……今ちょっと隣街の河川敷の下にいるの」

 

❬はあッ?!なんでそんな所にいるの?!❭

 

「ご、ごめんなさい、闇雲に走ってたらいつの間にかこんな所に……」

 

ミオ、やっぱり怒ってるよね?そりゃそうだよね、皆に何も言わずに家飛び出して、更には電話も通じなかったし、白上も逆の立場だったら心配して怒るもん。

 

「そ、それよりもレイくんはどうしてる?やっぱり怒ってるよね……?」

 

❬それだよ!今レイさん大変な事になってるんだから!❭

 

え?レイくんが大変…………どういう事?

 

❬レイさんあの後みしろちゃんに応急措置はしてもらったけど、病院に行こうとしないでそのまま家を飛び出しちゃったんだよ!❭

 

「えぇッ!?ど、どうして……」

 

❬実はあの後レイさんフブキに言った事酷く後悔してて、それでフブキを見つける為に出ていっちゃったんだと思う……レイさんもスマホ置いていっちゃったみたいだし、応急措置してるとは言えあんな怪我してるからもしかしたら……❭

 

そ、そんな……レイくん怪我した時もあんなに血が出てたのに、応急措置したとはいえそのまま白上を探してくれてるなんて……いや、それよりもレイくんを見つけないと!あんな怪我で動き回ったらいつか倒れちゃうよ!?

 

「ミオ、レイくんの居場所って何処か分からない?!GPSとか発信器とか!」

 

❬そ、それが……レイさんスマホ置いていっちゃったし、発信器もレイさん自身のプライバシー侵害だからって外しちゃって本当に誰も居場所が分からないの❭

 

「そんな……ミオ、ごめん!戻ったら説教でもなんでも受けるから、だから一緒にレイくんを!」

 

❬そう言うと思ってもう皆探しに出てるよ!今フレアとわためが隣街にいるからなんとか連絡取って合流して!❭

 

「うん!」

 

ミオとの通話を終えて白上は次にフレアに連絡を取って近くで合流する事になった。急いでレイくんを見つけないと!

 

「Ksonさんバッテリーとそして、いろいろと有り難うございました!」

 

「ん、礼なら別にいいさ。それより早く仲間の所に行きな。それと、もしまた何かあったら此処に来な。私は暇な時は大体此処にいるからよ」

 

「はい!本当に有り難うございました!」

 

Ksonさんにもお礼を言って白上はフレア達の待つ合流地点へと向かっていく。Ksonさん、最初は怖かったけど良い人でした。また何処かで会えると良いな。そして待っててねレイくん、今探しに行きますから!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―三十分後―

 

「あ、いた!おーいフブちゃーん!!」

 

「フレア、わため!おーい、こっちこっち~!」

 

あれから白上は指定された場所に向かい、フレアとわためと合流出来た。二人にも心配させちゃったからちゃんと謝りたいけど、それよりもまずはレイくんだ!

 

「そ、それでフレア!レイくんが何処に行ったか分かった?!」

 

「ううん……最後に目撃証言があったのは昨日の夕方頃に中央街で見かけたって人がいたけど、それっきりで他に見たって人は……」

 

「そんな……それで、レイくんの怪我は?」

 

「その最後に見たって人の話だと親分頭から血が流れてたって……みしろちゃんの応急措置もあくまでタオルで抑えてその上で包帯巻いただけの物だから、そんな状態で動き回ってたら、止血も出来てないと思う……」

 

なんて事だ……レイくんはそんな状態になってまで白上を探してくれてるなんて……

 

「……白上のせいだ。白上がレイくんを怪我させたから、白上が逆上して家を飛び出したからこんな事に……」

 

「フブちゃん、今はそんな過ぎた事悔やんでないで玲二さんを探さないと。このままじゃ取り返しのつかない事になっちゃうかもしれんよ?」

 

「グスッ……うん」

 

そうだ、フレアの言う通り今は急いでレイくんを探さないと!一先ず白上達はレイくんが最後に目撃された中央街へと向かい、其処から手分けして探すことになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―数時間後―

 

「だ、ダメだ、見つからない……」

 

あれから心当たりがある場所をくまなく探して見たけど、全然レイくんが見つからない。どうしよう、このままじゃレイくんが……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………あれ?これって……」

 

項垂れて俯いたその時、白上の目にある物が見えた。アスファルトの上に出来た赤黒い染みのようなモノ………これってもしかして、血?

 

―スンスンッ……―

 

「ッ!?この匂い、レイくんの………じゃあこれってレイくんの血?!」

 

血の痕から僅かだけど匂うレイくんの匂い。でもどうして………そうだ、昔お母さんから聞いた事がある。獣人族は本能を覚醒させると内に秘めた獣の力が目覚めるって。狐は犬と同じくらいの嗅覚を持っていてその嗅覚は人間の千倍から一億倍程にもなるという。もしかして、レイくんを見つけたいという白上の思いが本能を覚醒させちゃったの?!

 

でも、これならきっとレイくんの居場所が分かるかも!ならこの匂いを辿って行けば!

 

「スンスンッ………………ッ!こっちだ!」

 

匂いからレイくんの向かった方向が分かった!後はこの匂いを信じて向かってみよう!お願いレイくん、無事でいて下さい!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「スンスンッスンスンッ……匂いはこっちに向かってるみたいだけど……」

 

匂いを辿ってやって来たのは街外れの路地裏だった。此処からレイくんの匂いが強く感じる、おそらくはこの先にレイくんがいる。けど……

 

「それと同じくらい何か嫌な匂いがする……待っててレイくん、今行きますから!」

 

なんだか嫌な予感を感じ、急いでその路地裏へと入っていった。其処はかなり入り組んだ所だったけど、匂いを頼りに進んでいくと、其処には…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい見ろよこいつの財布!二十万入ってるぜ!」

 

「マジで?!めっちゃラッキーじゃん♪そんじゃこれクリーニング代としてもらっていくか♪」

 

「ぐっ………返、せ………」

 

「あぁッ?!テメェがぶつかってきたせいで俺の服が汚れたんだろうが!」ドゴォッ!

 

「うぐッ……?!」ドサッ

 

ガラの悪い男達に殴られボロボロになったレイくんがいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……………は?

 

こいつ等、一体何をしてるの?

 

白上の大切なレイくんに、こいつ等はなんでこんな事したの?

 

 

許さない

 

 

 

許サナイ

 

 

 

 

ユルサナイ

 

 

 

 

 

 

ユ ル サ ナ イ

 

 

 

 

 

 

「ん?おい見ろよ、なんか可愛い娘がいるぜ♪」

 

「お、ホントだ♪ねぇ君、俺達今こいつから金貰ったから一緒に―ドグシャアッ!―

 

「…………え?」

 

「………ユルサナイ、オ前等全員マトメテ始末シテヤル」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして気がついたら白上の服は血塗れになっていて、周りにはボロボロになった男達の姿があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―病院―

 

「………………んん………此処は……」

 

「ご主人様!お目覚めになられたのですね!」

 

この声……みしろか?俺、今までどうしてたんだっけ?それに此処は何処だ?

 

「ご主人様、全く無茶が過ぎます!後少し発見が遅れてたら出血多量で死んでいたかもしれないんですよ!?もっと自分の身体を大切にして下さいまし!」

 

「出血多量…………そうか、フブキを探している内にガラの悪い連中に絡まれて……………ッ!そうだ、フブキは?!」

 

「急に起き上がらないで下さい!まだお身体も万全ではないのですから!それに、フブキさんならほら」

 

「スゥ、スゥ………」

 

みしろに言われベッドの足元を見ると、其処には可愛らしい寝息をたてながら寝ているフブキの姿があった。良かったフブキ、無事だったんだな………

 

「あれからフブキさんから連絡が入って駆けつけた時には既にご主人様を傷つけた愚か者達は殲滅されていました、流石に生きてますが。状況を見る限り、おそらくはフブキさんがやったと思います」

 

「は?フブキが?いやいや、フブキは運動神経は良いけど俺より力は弱いぞ?どうやってあんな連中を倒したんだよ?」

 

「おそらくですが、フブキさんは獣人の本能を覚醒させたのでしょう。普段みしろ達獣人族は人間と同じくらいの力しかありませんが、本能を覚醒させればあのような連中くらいでしたらものの数分で殲滅出来ますから。その証拠に発見した時のフブキさん、大量の返り血を浴びてましたから」

 

ま、マジか……いや、それにしてもフブキが無事でいてくれて良かった。あの時激情して出ていけなんて言ったせいで本当に出ていった時は酷い事してしまったと思っちまったからな。

 

「それではみしろはこれで失礼します。それと、フブキさんが目を覚ましたらちゃんと謝って下さいね。そもそも今回の事はご主人様がフブキさんのプリンを勝手に食べてしまったのが原因なんですから」

 

「う………わ、分かってる。みしろも済まなかったな」

 

「いえ、ではこれで失礼します」

 

……はぁ、みしろ怒ってたな。そりゃそうだよな、自分が悪いのに怪我させられたからってキレて出ていけなんて言ってしまったんだ。皆から怒られたり軽蔑されたりしても仕方ないよな……フブキが目を覚ましたらちゃんと謝らないと……ん?

 

「う、うぅん………あれ?白上寝ちゃってたんだ「フブキ」……え?」

 

フブキも目が覚めたんだな、良かった……あれ?なんか俺の顔じっと見てどうしたんだ?

 

「レイ……くん?う………………うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんッ!!良かった!レイくんが目を覚ましたぁッ!」ダキッ!

 

「ちょッ?!お、おいフブキ!?」

 

「レイくんごめんなさい!白上がレイくんの事怪我させちゃったから、白上が勝手にいなくなったりしなかったらレイくんがあんな奴等にやられる事なんてなかったから!ごめんなさい!本当にごめんなさあぁいッ!!」

 

「フブキ………いや、俺の方こそごめんな、元はと言えば俺がお前のプリン勝手に食べてしまったのが原因なんだから。それに怪我したからってそれで勝手にキレて出ていけなんて言ってしまって、本当にごめんな」ギュッ

 

泣きじゃくりながら謝るフブキを優しく抱きしめ、俺もフブキへと謝りながら頭を撫でて落ち着かせていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから俺達は落ち着きを取り戻し、お互いに許しあった後病室のベッドで一緒に横になっていた。どうやらフブキは予め看護士さんに許可を得て泊まるようだ。でも流石に大人二人だと少し狭いな。

 

「エヘヘ~♪」

 

「?どうしたフブキ 」

 

「だって久しぶりにレイくんと一緒に寝られるもん♪二人っきりで寝るのって子供の時以来だよね?」

 

そうだったか?なんか最近たまに一緒に寝てる気が……いや、あれはフブキ以外にも他に誰か一緒に寝てるから二人きりではないか。え?なんで一緒に寝てるって?聞くな。

 

「あの頃も白上が怖い夢見たり雷とかで怯えてた時もレイくん一緒に寝てくれたもんね♪」

 

「あぁ、そんな事もあったな。懐かしいな本当に」

 

あの頃はフブキ何かと理由つけては俺と寝ようとしてきたもんな。流石に思春期になったら止めたけど。

 

「レイくん、改めてごめんなさい。もう白上はあんな事で怒ったりしません。だから、これからも白上と一緒にいてくれますか?」

 

「ああ、俺の方こそごめんな。俺も、お前等が俺を必要としなくなるその日まで、お前等の事見守ってやるから」

 

「レイくん…………ん」

 

フブキが目を閉じて俺に唇を近づけ、そのまま俺はフブキと口付けを交わす。静かに、それでいて少し激しくお互いを求めるかのように。

 

「ん………んちゅ………ぷはぁ♪へへ、レイくんこれからもよろしくお願いします♪」

 

「ん、よろしくなフブキ」

 

さて、そろそろ眠くなってきたし寝るか。まだ回復しきってないし、ゆっくり休ませてもらおう。おやすみフブキ、良い夢見ろよ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(レイくんはあんな事言ってたけど、皆も多分同じだけど白上もレイくんの事必要としなくなるなんてないよ。レイくん、白上はレイくんの事を愛してます。だからずっと、白上と一緒にいて下さいね♪)

 

 

 

お互いに許しあい、より深い絆で結ばれた玲二とフブキ。互いが相手を大切に想い続けている限り、二人が今回のような喧嘩をする事はもうないであろう。

 

 

それから数日後、無事退院して家に帰れたは良いものを今回の事で玲二とフブキはミオやみしろを中心に皆から怒られたのであった。




はい、という事でフブキと玲二の喧嘩回でした。なんかこういった喧嘩とか書くのってやっぱり大変ですね……

そして特別ゲストとしてKson総長を出してみました、と言っても今回限りのつもりなのでもう出てこないと思います。

次は番外編になるかもしれませんが、次回も気長に待って頂ければ幸いです。ではまた


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第26話『サバイバルバトル』

年末に近づくに連れ、忙しくなったり寒くなったりで体調を崩しやすくなると思いますが、皆様も風邪等をひかないように頑張って下さい。社長にそう言われた翌日に普通に風邪ひいてしまいました……(泣)

今回はガンプラ対決です。最後まで楽しんで見て頂ければ有難いです。ではどうぞ!


「「第一回ホロライブ+α対抗ガンプラサバイバルバトルーーーッ!!」」

 

『イエェーーーイッ♪』

 

「………なんだこれ?」

 

もう十一月になったというのに俺達は何故か南の島、それも無人島にやって来ていた。てか聞いてないぞこんな企画?なんか皆ノリノリで盛り上がっているけどなんだガンプラサバイバルって?一体この島で何をすれば良いんだよ?

 

「さて、今回の対決のMCを務めますのはホロライブの狐!白上フブキと」

 

「はい、こんぬいー!不知火フレアがお送りします!さて、早速だけどこれから皆にルールを説明します!」

 

あ、フブキとフレアがMCなのか?てっきりミオ辺りがMCかと思ったが、てかよく見たらミオは今回参加側か……にしてもあの二人、気のせいか知らんけど何時もの配信時のテンションだけどなんか目が死んでないか?

 

「ルールは簡単、皆さんにはこれから二日間ペアを組んでサバイバルを行ってもらいます。その間にこの島のあらゆる所に隠されたガンプラを見つけ出し、最終的に一番多くのガンプラを作ったチームの優勝となります!」

 

成る程、だから簡易的な工具も持たされたのか。にしてもなんでわざわざ十一月にこんな事を?

 

「本当だったら夏場にやろうと思ってた企画だったんだけど、なんかその頃白上達別の事をやってた気がして出来なかったんですよねぇ?」

 

「そうそう、何か争ってたような気もするけど、あの時アタシ等何してたんだっけ?」

 

……そういやあの頃俺達何してたんだ?やけに俺の出番がなかったような気が……………ハッ!?な、なんかこれ以上は考えたらいけない気がする!?

 

「まあ兎に角気を取り直して早速チーム分けしましょう!皆この中から一枚選んで、其処に書かれた絵柄と同じ者同士でチームを組んでもらいます!」

 

「というワケではい玲二さん、此処から一枚取って下さい♪」

 

「あ、あぁ分かった。なら……これにするか」

 

さて、俺が取ったカードの絵柄は……スペードか。今回は俺を含めて参加者は十人だから、誰とペアになるかな?出来ればしっかりしてるミオやみしろ辺りが良いが……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………で?俺のペアがよりによってお前かよ?」

 

「えぇ~、なんでですか玲二くぅ~ん?マリンと一緒になれて嬉しくないんですかぁ~?」

 

「すまんフブキ、チェンジ可能か?」

 

「ちょっとおぉッ?!チェンジとか酷くないッ!?」

 

いやだって喧しいし体力ないしガンプラ作るのもそんな上手くないし、はっきり言って其処まで期待出来ない。

 

「ごめんなさいレイくん、チェンジしちゃうと他の皆から不公平だと思われてしまうので今回は我慢して下さい」

 

「そっか、なら仕方ないか……」

 

「ちょっと玲二くん仕方ないって何ですか?!後フブちゃん我慢しろってどういう事!?」

 

いやそのままの意味だろ?まあなってしまったモノは仕方ない、今回は大人しくマリンとペアを組むか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―ゲーム開始―

 

「よぉーし!それじゃあ早速ガンプラ探しに行きましょうか!」

 

「待て待て、まずは拠点を見つけないと。取り敢えず雨降っても大丈夫なように雨風を防げるような場所がいいな」

 

例えガンプラを見つけても環境が悪いと作りようがないからな。そういってる内に目の前に洞窟が見え、中を確認するとなかなかの広さがあった。よし、此処を拠点にして行動するか。

 

「よし、此処を拠点にするぞ。荷物を纏めたら早速ガンプラ探しに出掛けるか」

 

「うへぇ、やっと着いたぁ……あ、ねぇ玲二くんあれ見て下さいよ」

 

ん?どうしたんだ急に……おぉ、洞窟の奥にガンプラが二個あるな。これは……HGのオリジン版ガンダムとエゥーゴ版マークIIか。わりと楽な奴を見つけられたな。

 

あ、因みに今回のルールではどのグレードのガンダムを作っても一体として扱う。そして比較的簡単な場所にあるのはMG等の難しい奴で探しにくい場所ではSDやエントリーグレード等の簡単なガンプラが置いてあるらしい。簡単な場所で大量に難しいのを作り続けるか、見つかりづらい場所を探して簡単なのを作り続けるか、その立ち回りによって勝負が決まりそうだな………あ、そう言えば

 

「そういやこの対決の優勝チームには何かあるのか?ルール説明の時には何も伝えられてないんだが」

 

「え゛ッ?!え、えぇっとその……い、一体なんなんでしょうねぇ~?」

 

おいなんだその挙動は?

 

「…………おいマリン、お前なんか隠してないか?明らかに動揺したよなお前?」

 

「そ、そんな事は「良いから言え、お前の知ってる事全部」……はい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………成る程、優勝したチームには俺と高級旅館七泊八日の旅か」

 

「は、はい。本当は皆出たがってたんですがスケジュール的に合うのが船長達だけで、フブちゃんとフレアは企画段階でじゃんけんで負けてMCに……」

 

そういう事かよ?道理でMCしていたフブキとフレアの目が死んだ魚みたいになってたワケか。別に頼んで有給取れれば一緒に連れてってやるのに?

 

「ったく、そういうのはちゃんと言ってくれよな?何も聞かされないのが一番質が悪いわ」

 

「……あれ?玲二くん怒ってないんですか?」

 

「もうお前等のする事には慣れたし、これくらいの事ではもう驚かん。てかなんでわざわざこんな企画立ててまで俺と旅行行こうとすんだよ?」

 

「……いやぁ、今回の事は船長達の為というか玲二くんの為って感じだったので」

 

俺の為?一体どういう意味だ?

 

「いやね、玲二くんの家がホロライブマンションになって皆で住むようになってから、玲二くん全然休めてないじゃないですか?特に夜なんて……」

 

「ああ、そういう事か」

 

確かに皆と暮らすようになってから殆ど誰かと一緒に寝てるし、なんだったらセンシティブな事もしてる。時にはそれが原因で入院した時もあったし、そう考えたら俺がまともに一人で寝たのって数える程しかないな……

 

「だから今回の一週間の旅行で玲二くんにはゆっくり休んでもらえたらなって皆で考えたんですよ。一緒に着いていくのもあくまで付き添い感覚でいようって」

 

そんな事考えてくれてたのか。なんだかんだ言ってこいつ等も優しい処あるよな………

 

「……で、本音は?」

 

「この旅行の間で玲二くんとの距離を一気に縮めて正妻になれたらな~って♪」

 

やっぱりそんな考えかよ?!そんな事だろうと思ったけど!?まさか他の奴等も同じ考えなのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―すいせい&わためペア―

 

「あ、すいちゃん!こっちにまたガンプラあったよ♪」

 

「おぉ~!これで四つ目だね?今のところ順調順調~♪」

 

川原の近くにテントを張り拠点を構えているすいせいとわためのペア。どうやら纏めて手に入れた後に一気に作る作戦のようだ。

 

「………ところでさわため」

 

「え?どうしたのすいちゃん?」

 

「わためってさ、玲二くんに何回抱いてもらった?」

 

「えぇッ!?え、えぇーと……四回、かな?」

 

「そうなんだ……私まだ二回しかない。フブキちゃんとかは絶対にそれ以上ある筈なのに……」

 

すいせいの言葉にわためも言葉が詰まって何も言えなかった。やっぱり幼馴染みという間柄もあってかフブキやぼたん等は多いらしく、自分達はタイミングも合わない等であまり抱いてもらってないのが現状らしい。

 

「だからこの勝負絶対に勝たないと!正妻は無理でも、早い内に玲二くんとすいちゃんの子供は欲しいし!」

 

「わためも同じだよ!だから絶対に勝とうねすいちゃん♪」

 

「うん!勝つのはこのすいわたコンビだよ!!」

 

どうやらこの二人の目的は玲二との子供を作る事らしい。果たして、この作戦で勝利を勝ち取れるのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―ミオ&みしろペア―

 

所変わって海辺付近、此処の近くにあった小屋を見つけ其処を拠点にするミオとみしろの姿があった。

 

「それじゃあ作戦通り、ウチが山の中を探索してみしろちゃんが海岸沿いを探索していこう」

 

「はい、よろしくお願いいたしますねミオさん」

 

どうやら二人は二手に別れて探索をするようだ。確かに効率は良さそうだが、事前調査で危険動物はいないのが分かってるとはいえ大丈夫なのだろうか?

 

「処でミオさん、ちょっとお聞きしてもよろしいでしょうか?」

 

「え、何かな?」

 

「……ミオさんは誰が一番早くご主人様の子を身籠ると思いますか?」

 

「ッ!?……さ、さあ?誰だろうね?」

 

「………みしろ達獣人族は他の種族に比べて極めて妊娠しやすい体質なのはご存知ですよね?そんな中、最もご主人様からの求愛を受けているのはフブキさんです。みしろが知る中でもフブキさんは抱いて頂いた回数は二桁になります。もしかしたら既にご主人様の子を……」

 

みしろの言葉にミオは思わず拳を握り歯を食い縛る。ミオも玲二と一緒に寝た回数は多い方だがフブキに比べれば少ない。別に一番に玲二との子供を欲しいとは思ってなくても、やはり他の娘に先に子供が出来ると悔しい気持ちになってしまう。

 

「……けどそれはレイさんが決める事だから。レイさんがウチとの子供を望んでくれたらウチは喜んで身体を預けるつもりだから、それまでは我慢するつもりだよ」

 

「……やっぱりそうですか。まあ今回の対決ではご主人様をゆっくり休める旅行に連れていくのが目的ですからね。ですがもしかしたら他のチームの娘がそういった事を狙ってる可能性もあるのでそれだけは阻止しないといけませんね」

 

「うん、そうだね。それじゃあ頑張ろっかみしろちゃん♪」

 

「はい♪」

 

どうやらお互いに思う所はあるようだが、今回は純粋に玲二の為に優勝を目指すようであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―ラミィ&かなたペア―

 

「えーと……あ、此処にもあった!これでSD三個目だよ♪」

 

「かなたんナイスぅ~♪」

 

一方こちらはラミィとかなたのペア。二人は滝のある泉の近くにテントを張り、其処を中心にラミィが制作、かなたが探索と分担して行っているようだ。

 

「これなら他のチームに遅れをとる事は無さそうだね?」

 

「えぇ、そしてこの対決で見事に勝利して、玲二さんと一週間の旅行をする事が出来れば!その間にラミィが真の正妻になる事間違い無しなんよ!」

 

何時も以上に気合いが入っているラミィを見てかなたは若干引いたが、兎に角このまま順調に進めれば優勝出来るかもしれない。

 

「それじゃかなたんもっと探してきてもろていーでしょうかー?」

 

「なんかラミィちゃん天使使いが荒くね?!僕一応先輩なんだけど!?」

 

優勝する為なら先輩すらこき使うラミィなのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―スバル&シロペア―

 

「ねぇシロちゃん!早く他の見つけないと勝てないよ!?」

 

「えぇ~?でもシロこれ作りたいなぁ♪良いよねぇ、RGジオングにHGナイチンゲール♪」ウットリ♡

 

ミオ達とは別の海岸沿いではスバルとシロが拠点を構えた後比較的簡単な所に大量のガンプラを発見した。が、それ等は全てRGやMG、PG等で簡単なHGでも巨大な物しかないという制作時間の掛かる物ばかりであった。

 

「ほらこんなのばっか作ってたら絶対に他のメンバーに勝てないって!兄ちゃんとの旅行行きたくないの?!」

 

「うぅ~、そりゃあ行きたいけどぉ……でもこんなレアキットなかなか組める機会ないしなぁ」

 

「いやレアキットってこれ全部シロちゃん持ってるじゃん!?そんなの帰ってから組もうよわざわざ此処じゃなくてもいーじゃん?!」

 

スバルが必死にシロを引っ張ろうとするもまるで岩のようにピクリとも動かない。実はシロ、ガンプラの中でもガンダム以外の機体、それもゴツい見た目の機体が大好きでプライベートでもよくでかくてゴツいMGやPGを好んで作っている。そんなシロにとって目の前のガンプラの山はまさにお宝の山なのである。

 

「ねぇスバちゃん、シロ頑張って沢山作るから駄目?」ウルウル

 

「う……し、仕方ないッスね!それならスバルも手伝うから早く作ろうよ!」

 

「わーい♪」

 

シロの涙目攻撃に折れてしまい、仕方なくスバルは一緒に作る事にしたようだ。果たして、他のチームに追い付く事は出来るのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―戻って玲二&マリンペア―

 

「…………よっと。これで七個目か。思ったより順調だな」

 

「そうですね、この調子でどんどん探しちゃいましょう!」

 

今俺達は森林エリアに入りガンプラの探索を行っている。ここら辺なら死角になる場所が多いからわりと簡単なガンプラが多いと思ったが予想通りだったな、既に洞窟で見つけたヤツ以外で七個見つけられた。しかもその内四個はSDだから比較的作りやすいだろう。

 

「さて、そろそろ暗くなりそうだしもう少し見つけたら一旦拠点に戻るか」

 

「はーい。あ、彼処にも一個ありましたよ!」

 

お?あの木の上か。少し高いが登れない高さではないな。

 

「よぉーし!それじゃ船長が取ってきてあげますよぉ~♪」ヨイショッ

 

「あ、おい危ないぞマリン!?俺が代わりに取るから……」

 

ダメだ、話を聞く前に既に登り始めた。大丈夫かマリン?あいつホロメンの中でも断トツに身体硬くて運動音痴なのに……あーあー、やっぱめっちゃプルプルしてる。

 

「うん……しょ……っと。はい取ったぞおぉッ!―バキッ―あ……」

 

ッ!?ヤバい、マリンの掴んでた枝が折れてバランスを崩した!このままだと落ちて大怪我してしまう!!クソ、間に合うか?!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―バシィッ!グキィッ!!―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……玲二くんごめんなさい、マリンのせいで腕が……」

 

「気にするなマリン、お前が無事ならそれで良いさ。痛てて……」

 

あの後なんとか落ちるマリンを救出は出来たが、その時に左手首を捻挫してしまい激痛に襲われていた。最悪なのは俺の利き腕が左利きだった為これではまともにガンプラも作れそうにもない。

 

「兎に角少し安静にして下さい。幸い支給された物資の中には救急箱もありましたから、一先ずはこれで応急措置しましょう。ほら玲二くん、左腕出して下さい」

 

「あ、あぁ……」

 

な、なんかマリン何時もと違ってなんか頼りになる感じがするな?やっぱりなんだかんだ言って最年長って感じがする「玲二くん、何か失礼な事考えてません?」……何で考えてる事分かるんだよ?

 

それから数分が経ち、俺の左腕には包帯か巻かれ多少はマシになった。けどやっぱり痛みは結構酷い、これだと暫くは動かせそうにないな。

 

「……やっぱり玲二くん、腕が痛むんですか?このままだと悪化したら大変ですし、フブちゃんに連絡して棄権しましょう」

 

「え?棄権?それは確かに有難いが……マリンは良いのか?あんなに旅行行きたがってたのに」

 

「………確かに旅行は行きたかったんですけど、怪我をした玲二くんを無理矢理付き合わせるのは良くないですし、それに何より玲二くんの怪我を治すのが最優先ですから」

 

…………本当にこいつマリンか?何時もだったら棄権とかになると駄々こねて無理にでも続行しようとするのに、俺の事気遣って棄権しようだなんて。でも本当は諦めたくないのはなんとなく分かる、だってさっきからマリンの声が震えてる……仕方ないな。

 

「……マリン、組み立ては俺がやるからパーツの切り取りとヤスリがけはお前に任せる」

 

「え?!れ、玲二くんダメですよ!そんな怪我しているのに続けるなんて!ほら、早くフブちゃんに連絡して棄権を……」

 

「我慢してるのが丸分かりだ、声震えてるぞ?それに気を遣わなくても少し痛むだけだから組み立てくらいは全然出来る。それ以外をお前に任せる事になるが良いか?」

 

「で、でも……」

 

「俺が大丈夫って言ってんだから良いんだよ。それに諦めの悪さはお前の長所だろ?だったら俺の怪我なんて気にしないで優勝狙ってこい。その手伝いはちゃんとしてやるから」

 

本当は結構キツいが、こいつの普段見ない態度を見てなんだか手助けしたくなってしまった。これが所謂ギャップ萌えってヤツなのか?

 

「……わっかりましたぁ!其処まで言うのならこの宝鐘マリン、全力で優勝目指します!けど玲二くん、腕がそれ以上痛むようならちゃんと棄権しますからね!」

 

「分かってる。それじゃあ早速やっていくか」

 

どうやら何時ものマリンに戻ったみたいだな。それじゃあさっさと組み立てていくか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―その夜―

 

辺りも薄暗くなり、俺達は一度作業を止めて夕食の準備を始めてた。食糧も支給されていたので今は洞窟の外で火を起こしカレーの準備を行っている。

 

「それにしてもマリン、お前結構手際が良いんだな?」

 

「まあ、これでも一人暮らしは長かったので料理はある程度は出来ますからね♪これでも結構自信はあるんで期待しちゃって下さい♪」

 

おぉ、そりゃ楽しみだ。さて、俺は特に手伝える事もないし中で制作の続きをするか。今のところはSDが五個にエントリーグレードが一個、そしてHGを一個完成させている。手持ちにはHGが四個残っていて、今はその内の一つのアッガイを組み立てている。パーツ自体はマリンが切ってくれてるので後は右手を駆使すればなんとか作れそうだ。

 

(しかし、利き手が使えないと此処まで不便とはな……普段右手で作業する事がないからかなりキツイ)

 

現にさっきからパーツをはめようとすると手が少し震えてしまう。片手だけでもツラいのに利き手じゃない手でやるのも大変だ。そう考えるとマリンの手助けはかなり有り難かった。

 

(なんだかんだ言って、あいつの事もちゃんと信頼してたんだな俺って)

 

「玲二くーん、カレーが出来たので食べましょ~♪」

 

「ああ、今いく」

 

さて、カレーも出来たようだし、腹拵えするか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はい玲二くん、あーん♪」

 

「いや一人で食えるって……」

 

「ダメですよ!玲二くん今左手使えないんですから、マリンがちゃんと食べさせてあげます。ほら、あーん♪」

 

「…………あむッ」

 

カレーが出来たのは良いが、さっきからマリンが俺に食べさせようとしてくる。別に右手で食べようと思えば食べれるのだが、マリンがそれを許してくれずカレーを掬ったスプーンを俺に差し出してくる。なんか小さい時に姉貴に食べさせてもらった時を思い出すな、マリンも姉貴と一緒で面倒見が良いし。

 

「あ、玲二くんごめんなさい、

ほっぺにカレー付いちゃいましたね」

 

「ん、本当か?なら何か拭く物を―ペロッ―ッ!?ま、マリン?!///」

 

「ん……はい、綺麗になりましたよ♪」

 

綺麗になったじゃねぇよ!?いきなり頬を舐めて取るなよ?!なんか何時もと違って妙に色っぽいからドキドキしちまったじゃねえか!?

 

「はい、それじゃあ食べ終わりましたし、片付けしたらガンプラ作りの続きをしますか♪」

 

「あ、あぁ……///」

 

なんであんな事して涼しい顔してられるんだよこいつ?!あれか?これが年長者の余裕ってヤツなのか……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(や、やっちゃったぁーーーッ!!二人っきりなのと何時もと違って弱った玲二くん見て思わず大胆な事しちゃったあぁーーーッ!!だ、大丈夫だよね?あたし顔赤くなってないよね?!//////)

 

実はマリンも思わずやってしまった大胆行動に恥ずかしくなって沸騰寸前になっていたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―翌日、結果発表―

 

「という事で優勝は、十七個作ったラミィ&かなたペアでーす!」

 

「おめでとうございまーーす!」

 

「「イエェーイ♪」」

 

結局俺達は十個までしか作れず、優勝はラミィとかなたペアになった。まあ怪我もそうだがあの後変にマリンを意識してしまってそれどころじゃなくなってしまったのが原因だな。しかしフブキとフレア、おめでとうとか言ってるけど相変わらず目が死んでるな。

 

「それではこちらレイくんと行く優勝賞品の高級旅館七泊八日の旅のチケットでーす」チッ……

 

「二人とも玲二さんと楽しんで来てな」チッ……

 

おいコラ舌打ちすんなって。一応これ放送すんだろ?なんか他の皆も邪念混じりの視線をラミィ達にぶつけてるし、ラミィ達はお構い無しに喜んでいるし、これ放送して大丈夫なのか?

 

「それにしてもマリン、玲二さんが怪我したなら連絡してよ!皆集合した時玲二さん怪我しててびっくりしたんだから!」

 

「ご、ごめんなさいふーたん、玲二くんが続行するって言って聞かなくて……」

 

おいその言い方だと俺が我が儘言って続行したみたいじゃねぇか?一応お前のためにやってやったんだからもっとマシな言い方してくれよ?

 

「まあまあ、兎に角レイくんが無事だったんだから良いじゃないですか♪それじゃあこれにてガンプラサバイバルバトルは終了でーす!皆さんおつこんでしたー♪」

 

フブキの締めの挨拶でサバイバルバトルは幕を閉じた。皆もそれぞれ帰り支度を済ませ、帰りの船に乗って日本へと戻る事となった。

 

「玲二くん、今回は怪我させてしまって本当にごめんなさい」

 

「もう過ぎた事なんだから気にするなって。でも治るのに二週間くらいかかるみたいだから、それまでのサポート頼むな」

 

「はい!それは勿論、船長が責任を持って玲二くんの朝から晩までの○処理を―バシィッ!―いったあぁぁぁぁぁぁッ!!?」

 

「調子に乗るな色欲魔神」

 

全く、油断するとすぐこれだ。ま、今回は本当に頑張ってくれたから帰ったら何処か連れてってやるか。

 

 

 

 

 

こうしてサバイバルバトルを終えて日本に帰国する玲二達。そして帰った後も暫くはマリンが世話してくれたせいか他のホロメン達が妬ましそうにしていたのはまた別の話である。

 

 

 

 

 

今回のRSL

 

マリン 145→175




はい、という事でマリン回でした。配信見ててもやっぱりマリン船長って面倒見が良いなと思いました。

次回は温泉回ですかね?またまったりと書いていくので待って頂けたら幸いです、ではまた!


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第27話『癒しの旅館』

はい、正直に言います。書く気のないR-18書いてしまいました。タイトルは『ホロライブ 裏ビルドライバーズ』です。相変わらずの駄文ですが、そちらも見て頂ければ有難いです。

今回は温泉旅行回です。何時もの事ながら最後まで楽しんで見て頂けたら幸いです、ではどうぞ!


秋も過ぎ去り、季節はそろそろ冬に差し掛かろうとしている今日この頃、俺はラミィとかなたと一緒にとある温泉旅館へとやって来ていた。今回は前回行ったサバイバルバトルで優勝した二人と一緒に一週間の温泉旅行へと行く事になり、久しぶりにのんびり過ごすのが目的だ。

 

「ふわぁ、とっても大きな旅館ですね~……」

 

「何でも各界の著名人もお忍びで来るような格式のある旅館らしい。泊まるにしても半年以上は予約で埋まってるんだってさ」

 

「うわぁ、凄い所なんだねぇ……」

 

二人ともかなり気に入ったのか旅館の周りの風景に目を奪われていた。この旅館、入った時から既に凄く入り口側の庭にはまだ少しだが紅葉が残っており、そしてその落ち葉が地面や庭の池の水面に落ちる光景はかなり風情があった。

 

「それじゃあそろそろ中に入るとするか」

 

「はーい♪あ、玲二さんその前に皆で記念写真撮りましょー?」

 

「あ、良いねそれ♪思い出の一枚撮ろうよ♪」

 

「それじゃあかなたんカメラ持ってラミィ達を写してもろて」

 

「僕が写んねぇじゃねーか!」

 

おい何こんな所でも漫才してんだよ?其処に中居さんがいるんだから頼めば良いだろ?

 

「はい、それじゃあ撮りますよぉ?はいチーズ♪」

 

―カシャッ―

 

中居さんに写真を撮ってもらい、俺達は無事記念撮影をする事が出来た。さて、今度こそ中に入るとするか。

 

 

 

………………それにしても

 

(((あれでバレてないと思ってるんだろうか……?)))

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うぅ~、ラミィちゃんもかなたんもズルいよ!レイくんと一緒に写真撮るなんてぇ!」

 

「仕方ないじゃん、あの二人はこの間の対決で勝ったんだからこれはそのご褒美なんだから」

 

そう、少し離れた林の影ではフブキとロボ子が双眼鏡で玲二の事を環視していた。その後ろにはフレアとミオとみしろもいたが……

 

「……ねぇ、これってさぁ」

 

「えぇ……絶対ご主人様達にバレてますね。一度こちら側をチラ見してましたし」

 

「もう止めようよフブちゃん、ロボ子先輩。後で玲二さんに怒られるって絶対」

 

「ダメだよフレア!かなたんはともかくラミィちゃんは絶対レイくんに手を出すに決まってるんだから!だから白上達が徹底して環視しないと!」

 

「そうだよ、もしラミィちゃんがマスターに迫って来たらあの乳捥いでも止めないと……」

 

既にバレているんだから止めようとフブキ達を止めようとするが、二人は断固として環視を続けようと言う。というよりロボ子はかなり物騒な事を言っているが。

 

「兎に角!レイくんが襲われないように白上達が見守らないといけないんです!絶対にレイくんをラミィちゃんの魔の手から救いましょう!」

 

「おー!」

 

(いや、寧ろ普段襲ってるの二人じゃ……?)

 

(全く、後で怒られても知りませんよ?)

 

(あーあ、今の内にレイさんに謝っておこう……)

 

やる気になってる二人とは反対に三人は既に諦め状態であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お待たせしました。それではこちらがお客様方のお泊まりになる『鳳凰の間』です。何かご用がありましたらそちらのベルをお鳴らし下さいませ」

 

俺達は女将さんに部屋を案内され入っていく。流石高級旅館の最高級クラスの部屋だな、何もかもが豪勢だ。

 

「す、凄いよ玲二君!この浴衣かなり着心地が良いよ!」

 

「わあぁ、冷蔵庫にも美味しそうな高級酒が沢山♪これ飲んでも良いんだよね♪」

 

二人とも普段よりかなりテンションが高く部屋を物色しているな。でもラミィ、流石にまだ昼間だから酒はもうちょい待て。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それではこちらがお客様方のお泊まりになる部屋『「お母さーん、聞いて聞いて~!クラスの担任の先生と良子ちゃんのお母さんが不倫してるんだって!」「間ぁ~!」』です」

 

「いや新喜劇か!?ちょっと前のポルカとねねのコントの使いまわしか?!」

 

「てか変な名前の部屋だね?」

 

「すみません、一番安いお部屋なので……何かありましたらそちらのベルをお鳴らし下さいませ」

 

一方フブキ達も予め予約していた部屋に案内されるが、一番安いコースを頼んだせいかかなりボロい部屋になっていた。

 

「うわ、この部屋布団ボロボロだよ……」

 

「オマケにテレビもなければトイレも備え付けられてないですね……」

 

「確か此処から共通トイレって結構距離あったよね……?フブちゃん、何でこんな安い部屋にしたのさ?」

 

「しょうがないじゃん!一番安い部屋じゃないと五人も来れなかったんだから!」

 

「そうだよ!それに僕達の目的はマスターの事を見守る事なんだから少しは我慢しないと!」

 

だったら二人だけでくればもっとマシな部屋に泊まれたんじゃないのか?と思ってしまったが、最早つっこむ気力もない為我慢する事にした三人。

 

「ってあれ?この部屋浴衣ないよ?」

 

「あ、本当?じゃあ中居さん呼んで聞いてみますか。ポチっとな」

 

―ポチッ―

 

―デデーン!大神、タイキックー!―

 

『………え?』

 

―~♪―

 

毎年年末で毎度お馴染みのBGMが流れると同時に部屋の外からタイキックボクサーが入って来た。

 

「はあぁッ?!な、なんでなの!?なんでウチの名前入ってるのさ!?てかタイキックって何さ―ガシッ!―て嫌あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」

 

慌てて逃げようとするもすぐに捕まり壁に手を付けさせられるミオ、そして……

 

―バシイィィィィンッ!!―

 

「うぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!?」ドサァッ

 

ミオのケツにタイキックボクサーの見事なタイキックがクリーンヒットしたのである。そのまま崩れ落ちるミオを見る事なくボクサーはそのまま部屋を退出していった。

 

「み、ミオ?大丈夫……?」

 

「………だ」

 

「だ?」

 

「大丈夫なワケあるかぁ!?なんでウチがこんな目に遇わなきゃいけないのさ!?絶対お前仕込んだだろ白上ぃッ!」

 

「ええぇッ?!し、白上仕込んでないよぉ!?」

 

理不尽にもタイキックを喰らいキレてしまうミオ。そしてケツを押さえながらも自分の荷物を纏めて部屋を出ようとする。

 

「ちょ、ミオ?!ど、何処に行くのさ?!」

 

「決まってるじゃん、レイさんの所だよ!もうレイさんにはバレてるしこんな仕打ち喰らうならお金払ってでもレイさん達と一緒に過ごす方が良いに決まってるでしょ!?」

 

―バアァンッ!―

 

怒り心頭でミオは部屋を出ていってしまった。

 

「……まあ無理もないですね、理不尽にあんな事されれば誰だって怒りますよ」

 

「うぅ~そんなぁ~!ミオぉ~……」

 

早くも一人脱落してしまい涙目になるフブキであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……成る程な、そんな事があったのか。よしよし、辛かったなミオ」ナデナデ

 

「うぅ~、レイさぁ~ん」グスッ

 

いきなりミオが俺達の部屋にやって来たと思ったら泣きながら俺の懐に潜り込んできた。どうやら格安の部屋に泊まったは良いが酷い仕打ちを受けたらしい。

 

「にしてもなんでタイキックボクサーがこんな旅館にいるのさ……?」

 

「あれじゃないかな?今年の年末笑ってはいけないがないから代わりにアルバイトしてたとか?」

 

なんだそりゃ?結局ミオも事情を話して自腹でこの部屋に泊まる事にしたらしい。まあ、あんな話聞いたら俺達も断れないな……

 

「まあそろそろ飯もくるし、四人で仲良く食べるとするか」

 

「「はーい♪」」

 

「はーい……」グスッ

 

ハイハイミオ、泣かない泣かない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夕食、俺達は大広間へと行き其処で高級料理が食べ放題のビュッフェを堪能する事になった。山の幸に海の幸、どれもこれも美味しそうだな。

 

「ぷはぁ♪このお酒最高なんだなぁ~♪」

 

「え、ラミィちゃんもう飲んでるの……?」

 

「あまり飲み過ぎには注意しなよ、この後お風呂に入るんだから」

 

良かった、ミオも吹っ切れたようだな。さて、俺も食べるとするか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ねぇフブキさん、これは一体どういう事でしょうか?」

 

「あ、あはは……や、やっぱり一番安いコースだからかな?」

 

同じく夕食時、四人の前に出されていたのは『赤いき○ね』だった。

 

「……なんで旅館に来てまでカップ麺食べなきゃいけないのさ?」

 

「えー?ボクは結構好きだよぉ♪」

 

「そ、そうですよ!別に高級料理が食べられなくたってカップ麺だって充分美味しいですよ!」

 

「だからと言ってこの一週間カップ麺だけで過ごすなんて絶対身体壊します!もうみしろも付き合ってられません!」

 

みしろも荷物を纏め始め、部屋を出ようとする。

 

「ちょ、ちょっと待ってよみしろちゃん!?ほら、この赤いき○ね北海道バージョンだから少し味が違うんだよ!更に明日の朝ごはんにはや○そば弁○が」

 

「だからそれが不健康極まりないんです!もうみしろもご主人様の方に行きますので後は勝手にやって下さい!」

 

―バアァンッ!―

 

ミオに続き、みしろ迄もが抜け出してしまった。

 

「まぁそりゃそうだよねぇ……ボクはエネルギーになれば問題ないから良いんだけど」ズルルルルッ

 

「そ、そんなぁ~……」

 

(……アタシも向こうに行った方がいい気がしてきたな)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……で、今度はみしろが愛想尽かしてこっちに来たのか?」

 

「全く、人の事なんだと思ってるんですかあの人は?」モグモグッ

 

夕食も終えようとした頃、ミオに続いて今度はみしろ迄もこっちに来た。確かに一週間毎食カップ麺は地獄だよな、絶対身体壊すだろ?

 

「てかその格安部屋って一泊幾らなんだよ?絶対二千円切ってるだろ?」

 

「知りませんよもうそんな事、ご主人様に迷惑掛けるような事するような人達なんてもう知りません」プンスカプンッ!

 

あらら、こんなに怒ったみしろを見るの久しぶりだな。まあ話を聞く限り無理もないか。でも流石にこの後の温泉で機嫌直してくれるだろ多分?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―ズドドドドドドドドドドッ!―

 

「いやぁ、やっぱり温泉って良いですねぇーーッ!」

 

「何処がじゃあぁぁッ?!フブちゃん、これの何処が温泉だっていうのさぁッ!?」

 

入浴タイム、フブキ達がやって来たのは温泉…………ではなくその近くにある滝の下だった。

 

「なんで旅館に泊まりに来てこんな修行みたいな事せんといかんのさ!?そしてロボ子さんなんで入らないのさ?!」

 

「えー?だってボクロボットだから水に濡れると故障しちゃうもん♪」

 

「嘘つけえぇぇぇぇッ!普段普通にお風呂入ってるだろがあぁッ!しかも皆より結構長湯してんじゃん!もうアタシも付き合ってらんないよ!」

 

「あ、フーたん?!」

 

とうとう堪忍袋の緒が切れたフレアは滝から抜け出し旅館へと戻っていく。

 

「アタシも玲二さんの所に行くから後は勝手にしなよ!じゃーね!」

 

「あぁ、そんなぁ!?フレアまでぇ!?」

 

遂にフレアまで抜け出してしまい、フブキとロボ子だけになってしまった。因みにロボ子は既に部屋に戻って布団に潜ってたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……はぁ、とうとうフレアもこっちに来たのか」

 

「だってこんな冬になるって時期にあんな冷たい滝に打たれるなんてバカも良いところですよ!」プンスカプンッ!

 

夕食も終え、風呂に入ろうとしたタイミングでフレアも合流してきた。そして今は皆で部屋に備え付けられている巨大露天風呂に入っている。かなり気持ち良いが、少し目のやり場が……

 

「うぅ~、最初はラミィとかなたんだけの筈だったのにぃ~」

 

「ごめんねラミィ、でも流石にあんな事あったらあっちにはいられないし……」

 

「まあ本当なら他の部屋に泊まれば良かったのですが生憎満室でしたので仕方なかったんですよ」

 

「ぼ、僕は皆と一緒にいられるから別に良いかな♪」

 

目の前には誰もが見惚れるような美女達が湯船に浸かってほんのり汗ばんでる。かなり艶っぽくて綺麗だ……いやいや!今回は只の身体を休める為の旅行だ!変な事は考えるな!

 

「……それにしてもかなたん、少し胸大きくなった?」

 

「え?!う、うん……実は少し///」

 

「えぇ!?あのかなたんの絶壁が膨らんだと?!」

 

「おいコララミィ、どういう意味だよ?誰の胸が絶壁だと?」

 

「それはともかく、確かにかなたの胸大きくなってるよね?もしかして、レイさんに揉んでもらったとか?」

 

おいミオ、お前何言ってるんだよ!?確かに揉んだ事あるけど。

 

「確かによく好きな人に揉んでもらうと胸が大きくなるとは聞きますが、まさか本当になるとは……」

 

「……まぁ、それでも皆には勝てないけどね」

 

……確かにかなたの胸が大きくなってるとはいえ、それでも此処にいる四人には到底追いついてない。

 

「大丈夫だよかなたん!かなたんもいつか胸が大きくなって立派にドラミング出来る日が来るから!」

 

「だからゴリラじゃねぇ!てかそれ胸と言うか胸板だろ!?」

 

此処でも引っ張るかゴリラネタ。まあ良いや、兎に角もう一度身体流すとするか。

 

「あ、玲二さん、身体流すならラミィが洗ってあげます♪」

 

「ん、そうか?なら頼もうか」

 

「はい!ラミィのこのから「身体で洗うとか言ったら怒るからな。普通に洗ってくれ」なんで言わせてくれないんですかもぉ~!?」

 

言わせるかバカ、この小説これでもR-15だぞ。そういったのはこっちじゃやらねぇよ……俺何言ってるんだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして就寝時間、後から来た三人は布団に寝て俺とラミィとかなたはベッドの上で寝ていた。と言っても少し目が冴えてしまいまだ眠くない状態だが。ラミィは既に眠りについたみたいだし、俺も早く寝ないとな。

 

「ねぇ玲二君」

 

「ん?どうしたかなた、まだ寝つけないのか?」

 

「うん……ねぇ玲二君、玲二君ってさ、今幸せかな?」

 

?どうしたんだ急に?かなたにしては珍しく神妙だな。

 

「玲二君の周りには沢山の女の子がいて、仕事も充実していて、趣味も楽しんでいるけど、たまに思っちゃうんだよね……僕達が玲二君の事を束縛しているせいで玲二君、本当の幸せを逃しちゃうんじゃないかって。僕達がいるせいで玲二君が本当の幸せを掴む機会を失ってしまってるんじゃないかって……」

 

「なんだそれ?前にも言ったかもしれないが俺は皆と過ごす今がとても幸せなんだ。多少大変な事もあるけど、それ含めての幸せだ。そんな事気にする必要なんかないって」

 

「………そっか、そうだよね♪ごめんね玲二君、変な事聞いちゃって。僕ももう寝るね、おやすみなさい」

 

?本当にどうしたんだかなた?変な奴だな……ふあぁ……俺も眠くなってきたな、そろそろ寝るか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(……いつか、玲二君が誰か一人を選ぶ時、僕達はそれを素直に受け入れられるのだろうか?もしかしたら玲二君を巡って争い合うかもしれない……そんな事になったら玲二君は絶対不幸になるし、僕も悲しくなっちゃう。だから、玲二君も僕達も不幸にならないようにする為にも、そろそろココにあの事をお願いしないと)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃……

 

―ビュウゥゥゥゥゥ……―

 

「さ、寒いよぉ……」ブルブルブル、ガチガチガチガチッ

 

滝に打たれ、すっかり冷えきった身体に追い討ちをかけるかのように隙間風が入り更に冷えていくフブキ。残ってる布団を重ねて被っても薄い為殆ど効果がない。因みにロボ子はスリープモードになっている為寒さを感じていない様子である。

 

「ふえぇ~……なんで白上こんな目に遇わなきゃいけないのぉ……は、はっくしゅんっ!」

 

あまりにも過酷な状況に全然眠れないフブキ。当然の如くそんな事を繰り返す内に風邪を引いてしまい、三日目の昼にはホロライブマンションに帰宅するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして一週間後……

 

「う、うぅーん……はぁ!よし、それじゃ俺達も帰るとするか」

 

『はーい♪』

 

この一週間ですっかりリフレッシュ出来た俺達はホロライブマンションへと帰る事になった。ロボ子はフブキがどうやら体調崩したから途中で連れて帰ったみたいだけど大丈夫か?なんか可哀想だからお土産でも買って帰るとするか。

 

「それではご帰宅の皆様、そろそろバスが発車致しまーす」

 

お、送迎バスももう出るみたいだし、そろそろ乗るか。それにしても良い旅行だったな、帰ったらまた仕事頑張りますか!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―帰宅途中……―

 

「……うえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!?」

 

「な、なんだ?!」

 

バスに揺られ眠っていた最中、突然フレアが大声で叫び出した。一体何があったんだ?

 

「れ、玲二さん、こ、これ見て下さい……」

 

なんだ?ネットニュースの記事か?どれどれ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―日本、遂に一夫多妻制度が認められる!―

 

「なんじゃこりゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ?!」

 

ヤベェ、他のお客さんもいるのに大声出してしまった……じゃなくてなんだこれ?!一夫多妻?!この日本でか?!どうなってるんだ一体?!

 

「あ、ココ漸く動いてくれたんだ♪」

 

「……は?ちょっと待てかなた、今のどういう意味だ?」

 

「うん、もしこの先玲二君が誰か一人選ばなきゃならない時、そうなったら選ばれなかった皆が納得出来ないかもしれないって思ったからココに頼んで政界の大物達に“お願い”してもらって一夫多妻制度を設けてもらったんだ♪」

 

なんだそりゃあッ?!こんな制度作る為に桐生会に動いてもらったのか?!しかもなんだよお願いって?!絶対まともなやり方じゃねえよな?!

 

「か、かなたん……ナイスぅ~♪」

 

「こ、これなら皆纏めて正式にレイさんのお嫁さんになれるよ!///」

 

「もう最悪愛人とか言わなくても良いんですね玲二さん♪」

 

「ご主人様……ふつつか者ですが、宜しくお願いします///」

 

ダメだ皆既に乗り気になっている!?もう脳内処理も追いつかないし周りの冷ややかな目線も気になるしあぁもう!どうすんだよこれぇッ!?

 

 

 

結局皆その気になってしまい、帰宅した後も同じくニュースを見たホロメン達に襲われ絞られてしまい、結局旅行でのリフレッシュが無駄になってしまった玲二なのであった……

 

 

 

 

 

今回のRSL

ラミィ 244→258

かなた 177→201

フレア 219→233

ミオ 250→264

みしろ 214→231

 

その他

全員+10




はい、という事でまさかのオチで一夫多妻制度でした(笑)
もう全員が結婚出来ると分かったら皆遠慮しなくなりそうですね……

次回はスバルとあの母ちゃんの回にしたいと思います。次回も気長に待って頂けたら幸いです、ではまた!


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第28話『母ちゃん襲来』

今年も残すところ後一ヶ月程になってきましたね。来年こそは不自由なくガンプラを購入出来るようになってほしいです。

今回はスバルとその母親の回です。最後まで楽しんで見て頂けたら有り難いです、ではどうぞ!


旅行から帰り、世間では一夫多妻が認められ、そのせいで皆から絞られてしまってから早一週間。この間もいろいろな事がありすぎて、今じゃこんな事になってしまった……

 

 

 

―ホロライブスタッフリーダー、所属アイドル達との婚約発表―

 

 

 

新聞ではこんな見出しが取り上げられ、連日ニュース沙汰にもなっている。そのせいで俺はほぼ毎日記者からインタビューを受け、フブキ達も満面の笑みで惚気ているから報道陣が更に沸き上がる。

 

しかもファン達も殆ど叩く事がなく寧ろ

 

『ようやく結婚か……長かったな』

 

『まあ、佐々木になら任せられるでしょ?』

 

『流石佐々木さん!俺等の期待を裏切らねぇなぁwww』

 

『ご主人様!ホロメンだけじゃなくて僕とも婚姻して!』

 

『ホモはお帰り下さいwww』

 

等とネットの掲示板では殆ど結婚を認めているようなコメントで溢れていた。てかたまき、こんな処にコメント書いても仕方ないだろ?てかお前は男なんだから結婚しねぇよいい加減諦めてくれ。

 

まあ、それでも少なからず叩いてくる奴はいるが、それも本当にごく一部だけ、他のファン曰く『推しの幸せを願えない奴は本当のファンじゃねぇ』らしい。良いのかそれで?

 

とまあこんな事が多々ありつつも漸く世間も落ち着いてくれたみたいだし、俺も漸く落ち着けるな。今日は久々にオフだし、溜まっていたガンプラでも作るとするか。

 

―コンコンッ―

 

「兄ちゃーん、ちょっと良いッスかー?」

 

「うん?あぁ良いぞスバル、開いてるから入ってきな」

 

―ガチャッ―

 

「あ、兄ちゃん。ちょっとお話があるんだけど良いッスか?」

 

「話?一体なんだ?」

 

「実は……今スバルの母ちゃんが来てて、兄ちゃんにどうしても会いたいって言ってきたんスよ」

 

スバルの母ちゃん……という事はういさんか?なんでまた俺に?ういさんとはホロライブマンションが出来てから殆ど会ってないんだが……まあ、会ってみれば分かるか。

 

「分かったよ、ういさんは今リビングか?」

 

「うん!それじゃスバルは先に行って待ってるね♪」

 

そう言ってスバルは一足先にリビングへと向かった。さて、俺も向かうとするか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、玲二くんお久しぶりだねぇ♪」

 

「お久しぶりです、ういさん」

 

リビングに入るとソファーにはスバルの母親である『しぐれうい』さんが座っていた。因みに彼女はイラストレーターとして活動しており、しぐれういとはペンネームで本名は大空ういという。見た目も高校生くらいに見えるが、こう見えて三十代のシングルマザーである。

 

「もお玲二くんってば、何時も言ってるじゃん?タメ口で話して良いって♪」

 

「いや、流石にスバルの母親にタメ口は……」

 

「もう堅いなぁ玲二くんってば、硬いのはアソコだけで良いのに♪」

 

「ちょっと母ちゃん?!」

 

もしかしてういさん酔ってんのか?普段はそんな下ネタ言わないのにな。

 

「……それで?今日は一体何しに来たんですか?態々俺を呼ぶなんて世間話だけとは思えませんが」

 

「まあね。今日は二つほどお願いがあって来たんだよねぇ」

 

「お願い?母ちゃんお願いってなんなのさ?」

 

「うん、それなんだけどね、私もこの家に住まわせてくれないかなぁって」

 

この家に?なんでまた……

 

「スバルがこのホロライブマンションに引っ越して大分経つけど、今まで一緒に暮らしてたスバルがいなくなってから寂しくなっちゃって……最初は我慢してたけどやっぱり限界が来ちゃったからまたスバルと一緒に暮らしたいなぁって」

 

「母ちゃん……」

 

成る程、確かにういさんはシングルマザーだったし、スバルがいなくなってから一人で暮らしてたんだもんな。愛する我が子がいなくなって寂しいのはなんとなくだが分かるな。

 

「まあ俺としては別に構いませんが……皆はどうだ?ういさんも此処に住んで良いと思うか?」

 

「白上は別に良いよ。スバルもういママとまた一緒に暮らせるなら嬉しいと思うし」

 

「うん!スバルもまた母ちゃんと一緒に暮らしたい♪」

 

……どうやら他の皆も反対する奴はいないみたいだな。なら、決まりだ。

 

「分かりました。それではういさん、このホロライブマンションの入居を許可します。この家に暮らすとして炊事等の家事もありますが、これからよろしくお願いします」

 

「有り難う玲二くん、これからもよろしくね♪」

 

「はい。それで、もう一つのお願いとは?」

 

「そうそう、一緒に住むにあたってこれもついでに書いてほしいんだよねぇ」

 

そう言うとういさんはカバンから何やら紙を一枚俺の前に差し出してきた。一体何を……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

婚姻届(妻となる者に大空ういの名前記入済み)

 

『ちょっと待てえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇーーーーッ!!?』

 

目の前に出された婚姻届を見てホロメン達は一気にういさんに詰め寄っていく。

 

「ど、どういう事さ母ちゃん?!なんで母ちゃんが兄ちゃんと結婚しようとしてんのさ?!」

 

「そうですよ!?今までういママそんな素振り見せなかったんじゃないですか!?なんでまた急にレイくんに迫ってきたんですか?!」

 

そうだよな、今までういさんからは一度もそんな素振りを見せられた事なかったし、いきなりどうしてなんだ?

 

「あのね、実は玲二くんの事は大分前から好きだったんだよねぇ///」

 

「えぇッ?!い、一体何時から……?!」

 

「うーんとねぇ……スバルが入院してた時に一緒に遊んでた姿見た時からだね♪」

 

「最初からじゃねぇか!?」

 

マジか?ういさんそんな時から俺の事好きだったって……あの時俺まだ14歳だぞ?一体どうしてなんだ?

 

「ほらスバル、私って夫が早い内に亡くなってしまって今まで女手一つでスバルを育て上げたけど、やっぱり時折寂しく感じる時があるのよ。それにスバルもお父さんがほしいって言ってたじゃない?だから玲二くんが結婚してくれれば私の寂しさも薄れてスバルもお父さんが出来て一石二鳥かなぁって♪」

 

「いや何言ってんのさ母ちゃん?!確かに小さい時父ちゃん欲しいとは言ったけど今更過ぎるし、何より兄ちゃんはスバルの婚約者なんだよ!何娘の婚約者取ろうとしてんのさ!?」

 

「えー?でも今日本は一夫多妻制になったから別に玲二くんが私とも結婚しても何も問題ないと思うけどなぁ?玲二くんだって来月にはホロメンの一部の娘と籍を入れるんだから私一人くらい増えたって問題ないよねぇ?」

 

まあ、確かに俺は既に婚約発表した時に年末に20歳以上のホロメンと籍を入れる事にはなって、それ以外の娘はちゃんと20歳を迎えてから順次籍を入れる事になっている。因みに正妻は厳選なる結果、フブキになった。

 

「全然良くないよ!母ちゃん今年で3X歳でしょ!?結婚するなら年相応の人探してよ!」

 

「歳の事言うんじゃねーよ!それに私見た目ならスバルと変わらないし、玲二くん的にもマリン船長とも結婚するんだから3X歳は許容範囲でしょ?!」

 

「ちょっとぉッ!?なんで其処で船長が出てくるんですかぁ?!」

 

あーあ、もうこれ収拾がつかないぞ?まさかの住まわせてからの婚姻届とは夢にも思わなかったわ。

 

「あの、ういさん?折角なんですが俺はういさんの事はスバルのお母さんといった印象しかないですし、申し訳ないんですが結婚はちょっと……」

 

「ほらみなよ!兄ちゃんだって困ってるんだから母ちゃんはダメだって!」

 

「えぇー……ヒドイわ玲二くん、あの夜私達あんなに愛し合ったのに……」シクシク……

 

「断られたからって捏造すんじゃねーよ!?」

 

……なんだこの茶番?にしてもういさんが俺の事を好きだったなんてな、全然知らんかった。

 

「そもそもなんで母ちゃんが兄ちゃんの事好きになったりしたのさ!?まさかマリンみたいに性的欲求がムラムラしたからなんて下らない理由じゃねーだろなぁ?!」

 

「ちょっとさっきから失礼過ぎませんこの母娘?!」

 

確かに、この母娘マリンになんか恨みでもあんのか?しかし、確かになんでういさん俺の事を好きになったりしたんだ?

 

「……実はね、玲二くんの笑った笑顔が亡くなったあの人にそっくりだったの。子育てに四苦八苦した私を何時も隣で支えてくれたあの人の笑顔……そんなあの人と同じように笑う玲二くんが、まるであの人の生き写しのように思えて、そんな玲二くんを見ている内に一人の男の人として好きになったの」

 

「母ちゃん………」

 

そうだったのか……ういさんは、亡くなった旦那さんと俺を被って見えてしまったのか。なんだかそう思うと少し複雑になってくるな………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「嘘つけえぇぇぇぇぇぇッ!!何が亡くなった父ちゃんに似てるだ!?父ちゃんの顔写真で見たけど普通の中年のおっさんだったじゃねーか!兄ちゃんと似ても似つかねぇよ!!」ムニィーッ!

 

「いふぁいいふぁいっ!?ひょっとふばう!ほっへひっふぁらないへぇ!!」ビヨーンッ

 

って嘘なのかよ?!なんだったんだよ今の話は!?

 

「うぅ~……だって玲二くん普通に格好良いし気立てが良いし可愛い処もあるし、私のストライクゾーンど真ん中なんだもん!前の旦那はお見合いで出会ってそのままの流れで結婚しちゃったから今度こそちゃんとした恋愛結婚したかったんだもん!」

 

「なぁにが恋愛結婚だよ?!いろいろすっ飛ばして婚姻届持ってきて何処が恋愛だよ!?」

 

確かに恋愛言ってる割にはいきなり婚姻届って………いや、ラミィとクロもそうだったな。どっちにしてもういさんとはそういった関係になるなんてやっぱり考えられないな。

 

「うぅ~……分かったよ!だったらスバル、私と勝負しよ!私が勝ったら玲二くんとの結婚とまではいかないけど交際は認めて!」

 

「嫌に決まってるじゃん!?スバルに何のメリットがあるって言うのさ?!」

 

「もしスバルが勝ったらスバルが欲しがってた電動自転車買ってあげる!それだけじゃなくて一ヶ月間分のジュース常備させてあげるから、だからお願い!」

 

ういさんがスバルの前で土下座しながら頼みこんでくる。これには流石のスバルも困るよな、こんな事されたらなかなか断りづらいし。

 

「う、うぅ~………ジュースの常備、三ヶ月分なら考えても良いよ」

 

「本当に!?有り難うスバル♪」

 

さっきまで半べそ状態で土下座していたのにスバルが勝負を受けるとなるとういさんは満面の笑みを浮かべ立ち上がる。この人も結構調子良いよな?そして何時も思うけどなんで皆俺の断りもなく話を進めていくんだ?

 

「……まあ良いや。それで、勝負って何をするんですかういさん?」

 

「ふっふっふ~♪よくぞ聞いてくれたね玲二くん!今回はガンプラの塗装対決で勝負したいと思うよ!」

 

塗装対決……スバルも最近塗装作業とか頑張っていてかなり成長しているけど、ういさんはどんな塗装するんだろうか?そもそもういさんってガンプラ作れたのか?

 

「使うのは、そうだねぇ……あ、これなんて良いね♪お互いにこのガンダム使ってどっちが凄い塗装したかで勝負着けよう!」

 

ういさんがリビングの端に置いていたガンプラから同じ物を二つ取り一つをスバルに渡す……っておい待て、そのガンプラは……

 

「ちょ、ちょっと待て二人と」

 

「いーよ!これで勝って母ちゃんに電動自転車と三ヶ月分のジュース買ってもらうんだから!」フンスッ!

 

「そうこなくっちゃねぇ!それじゃあ一週間後、また此処に来るからその時にお互いのガンプラ見せ合おう!それじゃあ今日はこれで失礼するね、玲二くんまたね♪」バタァンッ!

 

俺の言葉に耳を傾けないままういさんはホロライブマンションから出ていってしまった。スバルもやる気になってガンプラルームに直行してしまった。そ、そんな……

 

「あれ、今日俺が作ろうとした『エクリプスガンダム』……しかも二つしかないのに両方持ってくなんて……」ガックシ……

 

「れ、レイくんしっかりして下さい!?」

 

あいつ等俺の楽しみ奪って行きやがった……あれ手に入れるの大変だったのに……

 

 

『エクリプスガンダム』

機動戦士ガンダムSEEDの新しい外伝作品ガンダムECLIPSEに登場する機体。フリーダムのフレームをベースに作られつつ飛行形態への変形機構も備わっていて、更にはストライカーパックという追加武装も可能という豪華な仕様のガンダムである。まだ外伝は始まったばかりなので詳しくは分からないが、かなり格好良い機体である。

 

くそぅ、こうなったらちゃんと格好良い塗装しなかったら許さんぞあいつ等……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―そして一週間後―

 

「それじゃあスバル、ガンプラはちゃんと出来たよね?」

 

「もっちろん!スバルのガンプラ見たら皆絶対驚くからなぁ♪」

 

再びういさんがやって来ていよいよ二人の作品の御披露目となった。これで変な塗装だったら許さんからな……(まだ根に持ってる)それじゃあまずはスバルからか。

 

「これがスバルのエクリプス!『出撃直後』だぁッ!」バサァッ!

 

スバルが勢い良く被せてた布を取ると其処にはカタパルトから射出されたエクリプスだった。そのカラーリングは本来のトリコロールカラーだけでなく所々が灰色がかった色になっている。これはSEED特有のPS装甲による色の変化を表したものか。

 

 

『出撃直後』

カタパルトデッキから射出されたエクリプスを見事に表現している作品。そのカラーリングはSEEDならではの灰色から色が変化するというPS装甲を見事に表現していて、まさにこれから戦いの場に向かうといった感じがする作品に仕上がってる。

 

「ほう、作品の設定を再現した見事な出来だな」

 

「えぇ、これは作品をしっかり見てないと出来ない事ですね」

 

クロやみしろもスバルの塗装センスを素直に誉めている。けど確かにエクリプスも設定だとPS装甲だったけど色変わったっけ?今のところ媒体が漫画しかないから分からん。

 

「どーだ母ちゃん!これがスバルの力ッス!」

 

「……ふっふっふ、甘いわねスバル。あんたがアニメ設定を再現なら、私は漫画の一ページを再現よ!」

 

……は?漫画を再現?どういう意味だそれ?

 

「これが私の作品よ!特とご覧あれ!」バサァッ!

 

……………?なんだこれ?ケースの奥にエクリプスが描かれた漫画の一コマを拡大した感じの物が貼ってあるだけ?てか肝心のエクリプス本体は?

 

「……ちょっと母ちゃん?いくらスバルに勝てないからって自分のイラスト持ってくるとか……」

 

「ふっふーん♪これがイラストだと本気で思ってるのかしら?」

 

え?どういう事だ?そう思ってるとういさんはケースの蓋を外してイラストのエクリプスを“持ち上げた”………はぁッ?!イラストのエクリプスが持ち上がったぁッ?!

 

「えぇッ?!な、なんでエクリプスのイラストだけ?!」

 

「どーよスバル?これが漫画風塗装の力よぉ!イラストだと思われてたなら大成功よね♪」

 

漫画風塗装?!そ、そういえば何かで見た事がある。筆等で細かいところに影を描いて艶消しをすればまるでイラストみたいに見えるガンプラが出来るんだと!

 

 

『戦場の一ページ』

パッと見だと漫画の一コマで宇宙空間で戦うエクリプスガンダム。イラストに見えるよう筆等で陰影をつけて漫画風塗装で仕上げた。イラストレーターであるしぐれういらしい作品である。

 

「成る程、イラスト風塗装か」

 

「久しぶりに見ましたね、こういったタッチの作品は……」

 

クロとみしろもじっくりとういさんのエクリプスを手にとって見ている。スバルも表情が曇ってるし、これは勝負あったか?

 

 

 

 

 

そしてこれから最終結果を発表する。今回は俺とクロとみしろの三人でそれぞれ良いと思った作品を選び、選ばれた方が多かった作品が勝ちとなっている。しかし……すまんスバル、今回は俺はういさんの方が凄いと思ったからういさんを選ぶわ。

 

「それではご主人様、クロさん。それぞれ良いと思った作品を指差して下さい。いきますよ、せーの……」

 

みしろの合図で俺達三人の指がそれぞれ選んだ作品を差す。その結果………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

玲二→うい

 

クロ→スバル

 

みしろ→スバル

 

…………あれ?ま、マジで?クロとみしろはスバルを選んだ?という事は……

 

「この勝負、二対一でスバルさんの勝利です」

 

「え………や、やったあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!勝った!母ちゃんに負けたかと思ったけど勝ったあぁぁぁぁぁッ!」

 

「うえぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ?!な、なんで?!絶対勝ったと思ったのに!?ちょっとクロちゃんみしろちゃん!私が玲二くんと結ばれるのが嫌だからってスバルに肩入れしてない?!」

 

いや俺もびっくりだ……いや待てよ?そういやさっきういさんのエクリプスを見てた時のクロとみしろの表情が若干険しかったな。何かあったのか?

 

「肩入れなんてしていない。これでも私はプロモデラーだ、ガンプラの対決は公平に見るさ。問題なのはこのエクリプスの塗装の仕方だ」

 

「塗装の仕方?一体何かあったのか?」

 

「これですご主人様、このエクリプスの後ろ姿を見て下さい」

 

みしろがういさんのエクリプスを俺に渡して確認させる。一体何が…………ッ!こ、これは!?

 

「気がついたか玲二?そう、このエクリプスは表面だけにしか漫画風塗装を施されてない。後ろ姿は艶消しはされているもののほぼ成型色、つまりは完全な手抜きだ」

 

本当だ、後ろ姿は殆ど成型色のままだし良く見たらゲート跡の処理も甘い。これは流石に処理の仕方が雑だな……

 

「うぅ~……だ、だってイラストレーターとしての仕事も忙しかったし……そ、それにこの作品は前から見るのが前提だから後ろは良いかなって……」

 

「いや、私の知ってるイラスト風塗装をしているモデラーもちゃんと全体的に塗装しているぞ。例え正面しか見ないとしてもそれは言い訳にしかならん」

 

「それにこの勝負の期間を一週間と言ったのはういさんなんですから忙しかったなんてのもそれこそ言い訳ですわ」

 

「ウグッ?!」

 

あらら、二人に言われて何も言い返せなくなってる。それにしても、俺もちゃんと手にとって確認すれば良かったな……

 

「スバル、ごめんな。俺もちゃんと確認すれば良かった。最初の見た目だけで判断してしまった、許してくれ」

 

「に、兄ちゃん頭下げなくて良いッスよ!それにスバルも最初正直負けたかと思ったんスから。まあどっちにしても母ちゃん!この勝負スバルの勝ちだから兄ちゃんの事は諦めてよね!」

 

「う、うぅ~……分かったわよ、でも!この家に住む事は既に許可は得てるんだから、いつの日か絶対に玲二くんを振り向かせて見せるんだから!まだまだ私は諦めないんだからなぁーーーーッ!!」

 

そうだ、結局ういさんがこの家に住む事には変わりはないんだよな。やれやれ、またこの家も騒がしくなりそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、スバルとの約束で電動自転車を購入させられたが、スバルは容赦なく最新型の一番高い自転車を選び購入してもらい、その夜玲二に慰めてもらおうと夜這いするが、結局それもみしろに止められ皆からお叱りを受けるういであった。




はい、という事でスバルとういママの塗装対決でした!実際にYouTubeでイラスト風塗装を見た時真っ先にういママが思い浮かんだので今回は塗装対決といった形で出してみましたがいかがでしたでしょうか?

次回は遂に玲二の貞操を奪ったあの娘の登場です。次回もまったり書いていくので気長に待って頂けたら幸いです、ではまた!


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第29話『明るい未来はくるのか?』

最近裏話ばかり書いてこっちが疎かにならないか心配してます……(汗)まあ、そんな事にはならないようにしますが。

今回はタイトルでも分かるかも知れませんがあの娘の登場です。以前書いた話とは少し話の流れは変わってますがご了承下さいませ、ではどうぞ!


「……此処がホロライブマンションかぁ」

 

とある昼下がり、一人の金髪の女性がホロライブマンションの前へとやって来ていた。その手にはキャリーバッグが握られており、まるで此処に引っ越ししに来たかのようにも思える。

 

「フフ♪待っててね玲二、今から会いに行くよ♪」

 

女性はそう言うとインターホンを押す為に手を伸ばす。どうやら、また一波乱が起こりそうだ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―その少し前―

 

「フンフンフーン♪」

 

「お?なんだか機嫌良さそうだなフブキ、何か良い事でもあったのか?」

 

久しぶりの完全フリーなオフの日、俺とフブキは一緒にガンプラを作っていた。フブキはアースリィガンダムのアーマーを自分のカラーに塗装しながら何やら機嫌良く鼻歌を歌っている。

 

「えー?だって久々にしらか……じゃなかった、私とレイくんが一緒にガンプラ作れるんですもん♪嬉しいに決まってますよ~♪」

 

「そっか……ところでフブキ、お前最近自分の事『私』って言うようになったけどどうしたんだ?」

 

此処数日前からフブキは自分の事を『白上』ではなく『私』と言うようになった。たまに忘れて白上と言いそうになってるが、それにしてもどうして一人称変えたんだ?

 

「え?だ、だって……もう私『白上』じゃないから……///」

 

フブキが顔を赤らめながら照れくさそうに言う。そういう事か、確かにもう戸籍上は『白上フブキ』じゃなくて『佐々木フブキ』だもんな。

 

そう、俺達はつい先日籍を入れ、それに伴いフブキも俺の姓に変えたんだ。最も、それはフブキだけではないが。

 

因みに既に籍を入れたのは

 

そら

アキ

はあと

ちょこ

ミオ

おかゆ

ころね

ぺこら

フレア

ノエル

マリン

ラミィ

ぼたん

ポルカ

クロ

 

である。何故彼女達だけかと言えば皆との話し合いの結果、籍を入れるのは20歳以上にしようという事になったのだ。これに対して一番文句を言ってきたのはルーナだったが、そもそも14歳なんだからまだ結婚出来る年齢ではないから我慢しろと言ったら頬を膨らまして唸ってた。

 

「けどお前はアイドルとしては白上フブキなんだから一人称白上のままで良いんじゃないか?」

 

「それはそれですよ。アイドルしてない時は私はもう佐々木なんですから白上と言うのはおかしい話じゃないですか」

 

それもそうか。まあそんな他愛もない話をしつつ俺達はガンプラ作りを続けていく事にした。

 

―ピンポーンッ―

 

「あれ?誰か来たのかな?」

 

「うん?確か今日は夕方くらいにヒメヒナが遊びに来る予定だったが、早くないか?」

 

もしかして早く来たのか?にしてもまだ昼前だぞ?それとも宅急便とかか?まあどちらにせよ行って確認するか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―ガチャッ―

 

「はいはーい、どちら様ですか……って」

 

「はーい玲二ぃ、久しぶりぃ♪」

 

……驚いた、まさかこいつが此処に来るなんてな。めっちゃ久しぶりだけど、一体どうして?

 

「レイくーん、一体誰が来たんですか……って、あなたは……」

 

「あ、フブキちゃん久しぶりぃ♪ハロー、ミライアカリだよ♪」

 

其処にいたのは俺のかつての大学時代の後輩でありトップアイドルの一人である『ミライアカリ』だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやぁ~、ごめんね急にやって来ちゃって♪本当なら前もって連絡したかったんだけど玲二のスマホの番号変わってたから仕方なく直接来ちゃった♪」

 

「いや、それは良いんだが……」

 

それからアカリは家に上がり込みリビングでお茶していた。こいつとは大学卒業してから殆ど会ってなかったがちっとも変わってないな。

 

「ぼたんちゃんとミオちゃんも久しぶりだね、元気してたかな?」

 

「……まあね」

 

「……ウチもそれなりには元気してましたよ」

 

……ぼたんとミオの機嫌が目に見えて悪いのが分かる。やっぱり二人とも、“あの事”まだ根に持ってるのか?

 

「ね、ねぇどうなってるの?あの人ミライアカリさんだよね?なんで此処にいるの?」

 

「わ、分からないけど……って言うかアカリちゃんってもしかしてぼたんちゃんとミオしゃと知り合いなの?」

 

「た、多分ぼたんちゃんとミオって事はレイくんの大学時代に関係してると思うんだけど……」

 

「そ、それにしてもあの二人なんか機嫌悪くない?一体どうしちゃったの?」

 

一部のホロメン達が部屋の隅でこちらを見ながらヒソヒソと話している。まあ、こんな空気になってるんだから仕方ないか。

 

「てかあんたは一体何しに来たのさ?まあ、聞かなくても大体想像つくけど」

 

「流石ぼたんちゃん、鋭いねぇ♪実は、アカリは今日玲二に用があって来たんだよね」

 

「用……成る程、あの婚約発表を見て来たワケですか」

 

アカリの言葉に二人の目つきが鋭くなっていく。まあおそらく言いたい事は分かるが……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うん、単刀直入に言うね。玲二、私とも結婚して」

 

『はあぁぁぁぁぁぁッ?!』

 

やっぱそうだよなぁ。ミオとぼたんは更に目つきが鋭くなりそれ以外は急な求婚に驚いてしまってる。

 

「ど、どういう事なのレイくん?!なんでアカリちゃんがレイくんに求婚迫ってくるの!?それにミオとぼたんちゃんもアカリちゃんの事知ってるみたいだけど一体何があったの?!」

 

「落ち着けフブキ、ちゃんと一から説明する。他の皆も良いか?」

 

俺が確認すると皆取り敢えずは納得したのか頷いてくれた。さて、どう説明しようか……?

 

「んじゃまずは俺達の関係だな。知ってる奴もいるかもしれないが俺とミオとぼたんは三人とも同じ大学に通っていた仲だが、其処に他にもう一人いたんだ。それがアカリってワケだ」

 

「あ、アカリちゃんが、玲二君と同じ大学に……?」

 

「そう、そしてアカリはレイっちとあたしの後輩でミオちゃんの先輩だったのさ。大学時代はあたし達四人が絡む事が多かったからその時は自然と仲良くなってたんだよね」

 

「な、成る程……でも、さっきのししろんとミオ先輩見てたらとてもそうは見えなかったんだけど?寧ろ二人ともアカリさんの事毛嫌いしてるっていうか……」

 

「……そりゃあんな事あれば険悪になるのは当然だよ」

 

ミオの言葉に皆は理解出来ず首を傾げる。しかし次のぼたんの一言で事の重大さに気づく。

 

「そりゃそうだよ、だって……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

酒に酔ってレイっちの初めて奪ったのは此処にいるミライアカリなんだから」

 

『はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ?!!!』

 

ぼたんの口から告げられた衝撃的な真実に皆は驚愕の叫びをあげた。にしても結構な人数がいるからうるせぇ、鼓膜が破けるかと思った。

 

「何さそれ?!それじゃレイくんの初めての相手ってアカリちゃんだったの!?」

 

「あ、あぁ……ホロライブに正式に勤める事が決まった日にアカリがお祝いを持ってきて、そしたらいつの間にか酒が入ってて、気づいたら一線越えてしまったんだよ……」

 

「いやぁ~あの時は大変だったねぇ?玲二のおっきいからいろいろとするのに戸惑っちゃって♪」

 

俺が申し訳なさそうに話すもアカリは何の悪びれもなくケラケラと笑いながら当時の事を語り出す。そのせいで皆もミオ達のように目つきが鋭くなっていく。

 

「何が大変だよ!?あんたレイっちが酒に弱いの知っててわざと酒買ってきて飲ませたんだろうが?!」

 

「ウチ等がレイさんの住んでたアパートに行った時には既に事後だったし、あれのせいでウチ初めて人に対して○意覚えちゃったよ!」

 

「うえぇぇッ?!だ、だって玲二が就職しちゃったら会える時間が少なくなると思ってぇ~……本当はぼたんちゃんやミオちゃんが来るのを待ってたんだけど、思った以上に玲二が酔うの早かったんだもん……」

 

いや確かに俺酒弱いからあの時酔った勢いでしちまったけど……ん、ちょっと待てよ?

 

「なあアカリ、ぼたんとミオが来るのを待ってたってどういう意味だ?」

 

―ギクッ!?―

 

ん?ぼたんとミオの様子が突然変わったぞ?さっきまであんなにアカリの事睨んでたのにいきなり動揺し始めて……まさかこいつ等……

 

「え?だって……この計画考えたのミオちゃんだもん、ぼたんちゃんも乗っかってくれたし」

 

『なんだとおぉぉッ?!』

 

やっぱりか。先程までアカリだけを睨んでいた皆が今度はミオ達にその鋭い視線を向ける。二人とも更に動揺したのか汗が滝のように噴き出している。

 

「ちょっとミオ、一体どういう事?もしかしてミオ達もその時に一緒に交ざるつもりだったの?」

 

「ししろんもさっきまでアカリさんだけが悪いみたいな言い方してたけど、おもいっきり同罪じゃん?」

 

「「い、いやぁその~……」」

 

どうやら図星らしいな。おそらくアカリが俺に酒を飲ませて酔い始めた頃にミオ達も来て事を始めるつもりだったが思った以上に俺が酒に弱いからそれが狂ってしまったと?

 

「うぅ……だ、だってウチだって大学時代からレイさんの事好きだったもん!それでアカリさんから就職祝いに何かしてあげたいって言うからウチ等の身体をあげようってなって……」

 

「あ、あたしもレイっちと一緒になれたらなーって……すんません」

 

なんだそりゃ?結局のところあの時の事はアカリと言うかお前等のせいだったのかよ?

 

「それで結局二人の初体験もお流れになっちゃったしアカリもアイドルとしての活動が忙しくなったから全然玲二に会えない日が続いてたからずっと我慢してたの。けどこの間の一夫多妻制度のニュースと玲二とホロメン達の婚約発表を見てこれはチャンスと思って今日此処に来たんだぁ♪」

 

「来たんだぁ♪じゃないよ!?そんなの私達絶対に認めないからね!只でさえクロちゃんやシロちゃん、それにみしろちゃんとも婚約してるのにこれ以上レイくんの嫁が増えるのを許せるワケないじゃん!!」

 

フブキが完全に敵意剥き出しでアカリの事を威嚇する。まるで縄張りに入って来た相手を威嚇する猫だな……

 

……さて、いつもならこのタイミングで勝負事になりそうだが、一体どうするのか……ん?どうしたんだアカリ?なんか皆集めて何やら話し込んでいるようだが……それに何か配ってるけど、それを見た皆が何故か顔を赤らめている。一体何配ったんだ?

 

 

 

 

 

「……アカリちゃん、ようこそホロライブマンションへ!これからは同じレイくんのお嫁さんとして一緒に支えていきましょうッ♪」

 

「うん、よろしくね皆~♪」

 

「はあぁッ?!ど、どういう事だよそりゃあッ!?」

 

いきなりフブキが手のひら返してアカリの事迎え入れたんだが?!他の皆もなんだかさっきまでと違ってニコニコしてるし、本当に何があったんだよ!?

 

「やっぱり同じ人を愛する者同士、いがみ合いなんてしちゃダメなんですよレイくん♪それにレイくんも酔った勢いとは言えアカリちゃんの事抱いたなら責任は取らないと♪」

 

……本当にどうしちまったんだ?アカリ、お前一体何言ったんだ?何渡したんだ?めっちゃ気になるんだが?!

 

「それじゃ玲二、皆!改めてこれからよろしくね♪」

 

『よろしく~♪』

 

お前等もそれで良いんかい?!……もう良いや、これ以上突っ込んでもキリがない。それにフブキの言う通り、アカリに抱いた事には変わりないんだから責任は取らないとな。

 

「というワケで玲二、これからもよろしくね♪」

 

「あ、あぁよろしくな」

 

やれやれ、またこの家が一層騒がしくなるな。

 

 

 

 

 

こうしてホロライブマンションに新たな住人、そして婚約者にミライアカリが加わった。これからまた玲二の周りが賑やかになるだろう。そして玲二の貞操喪失の真相が分かった事によりミオとぼたんは一ヶ月の玲二接触禁止令が出される事になったのは言うまでもない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―オマケ―

 

「……ガンプラビルダーコンテスト?なんだそりゃ?」

 

「うん、最大十人一チームで行われるガンプラの大型コンテストなんだって♪」

 

夕方頃になりヒメヒナの二人が遊びに来て、ヒメから突然ガンプラに関するイベントのチラシを見せられたが、なかなか面白そうな感じだな。

 

「あぁ、私の処にも話は来てたな。まあこのコンテストはアマチュア専門だからプロの私は出れないけどな」

 

「そうなのか?にしてもバラエティーが凄いな、旧キット部門やジオラマ部門、塗装部門なんてのもあるのか」

 

「うん、凄いでしょ?だからヒナ達も出たいから玲二くんも一緒に参加しよ?勿論フブキちゃん達も一緒に♪」

 

そうだな……これで入賞出来ればもしかしたら皆の仕事の幅も広がるかもしれないな。ヨシ、やってみるか!

 

「分かった、他のメンバーはこちらで選抜しよう。そして皆で最高のガンプラを作ろうな」

 

「「おーッ♪」」

 

こうして俺達は初のガンプライベント『ガンプラビルダーコンテスト』への参加を決めた。そうと決まったら各種部門に出る娘を選抜しないとな。

 




はい、という事でミライアカリ参戦回でした。そして次はコンテスト!勿論以前のようなバトル物ではなく普通にガンプラを提示するようなイベントです♪

そしてフブキの一人称を『白上』から『私』に変更しました。まあ、名字変わるのにずっと白上はおかしいと思ったので。

次回もまったり書いていくので気長に待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第30話『開催、ガンプラビルダーコンテスト!』

急な仕事と裏話のリク小説を書いたりで正直ガンプラを作る時間が減りました……(泣)

でも年末年始はゆっくり出来そうなのでその間でゆっくりガンプラ作りたいと思います。

今回は初のコンテストのお話です。最後まで見て頂けたら有難いです、ではどうぞ!


ヒメヒナからの誘いを受けて出場する事になったガンプラビルダーコンテスト。玲二は自ら決めた選抜チームと共に会場であるイ○ンモールの中にあるガンダムベース出張店へとやって来ていた。回りには玲二達と同じような参加者達が皆各々のガンプラを手に沢山集まっていた。

 

「おぉ、これはまた凄いなぁ。こんなにも参加者がいるなんてな」

 

「ほえぇ~、此処にいる殆どが参加者なんですねぇ?」

 

「それに持っているガンプラもクオリティが高い……本当にアマチュアの人達なの?」

 

回りにいる参加者のオーラにフブキとヒナは圧倒されそうになる。クロも言っていたがアマチュアと言っても中には表舞台に出ていないだけでプロレベルの人もいるからな。動画投稿者とかがそれに当たるし。

 

「そんな気張らなくても良いだろ?俺達はあくまでもイベントを楽しめば良いんだからさ」

 

「そ、そうですよね!私も新しく作ったガンプラをいろんな人に見てもらいたいですし♪」

 

「ヒナもヒメと一緒に作ったアストレイを早く見せたい♪」

 

二人とも緊張が解れたのか逆に早く自分のガンプラを展示したいとワクワクし始める。うん、やっぱりこういったイベントは楽しまないとな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おやおや?何やら聞き捨てならない事をほざいている奴がいるみたいだねぇ?」

 

「「え……?」」

 

「……は?」

 

そんな中、俺達は後ろから突然嫌味っぽく声をかけられた。振り向くと其処にはビシッと整えられたセミロングの金髪に赤と青のオッドアイが特徴の如何にもキザったらしい男がニヤニヤ笑いながら近づいて来る姿があった。

 

「楽しむ?何を寝惚けた事言ってるんだか?これはコンテスト、自分の素晴らしい作品を周囲に見せつける謂わば戦いなのだよ。それなのにそんな楽しく参加出来ればいいなんて、全くこれだから庶民は嫌だねぇ」

 

「なんだと……?このコンテストはプロ以外なら誰でも参加出来るモノだろ?なんでお前にそんな事言われなきゃいけねぇんだ?」

 

「そうですよ!というかあなた一体誰なんですか?!急に来てそんな事言うなんて失礼ですよ!?」

 

フブキがそう言うと男はフブキの前に立つと急に屈み、フブキの手を取る。

 

「フッこれは失礼、麗しき猫の姫よ。この庶民があまりにもふざけた事を抜かすモノだからつい口を挟んでしまった。どうか、この僕の美しい顔に免じて許してほしい」

 

「ふざけた事言ってるのどっちですか!?後私は狐じゃい!」

 

「おぉ、それは申し訳ない。気を悪くしたならお詫びをしよう」チュッ

 

「ッ?!!!」ゾワゾワゾワァッ!!

 

こいつ、フブキの手の甲にいきなりキスしやがった!フブキもキスをされたのが嫌なのか鳥肌がたっており、その顔は怒りや憎悪で真っ赤になっていた。

 

「おやおや?照れて顔が真っ赤になってるようだね?フフッ無理もないね、この麗しき貴公子である僕の所有物になれる誓いの口づけを受けたのだから―ドグシャアッ!―ぶべほぉッ?!」

 

「なぁにが誓いの口づけじゃあぁぁッ?!オメェの気持ち悪いキスなんて一ミリも嬉しくねぇんだよこのギザ丸出しのナルシスト野郎があぁッ!!」ゲシゲシゲシゲシッ!!

 

「お、落ち着いてフブキちゃんッ!?気持ちは分かるけど!」

 

あーあ、フブキがキレてナルシスト野郎ぶん殴っておもいっきり踏みつけまくってる。ヒナも一生懸命フブキを止めようと必死にしがみついていく。

 

「ほらフブキ、周りの人達にも迷惑がかかるからそろそろ止めな」

 

「フーッ!フーッ!」フシャーッ!

 

あらら、少し野生に還りかけてるぞ?しかしなんなんだこのナルシスト野郎は?

 

「い、痛い……ッ?!ぼ、僕の美しい顔が、僕のお気に入りの一張羅があぁッ!?なんて野蛮なんだこの猫娘は?!」

 

「まだ言うかおいッ!?」フシャーッ!

 

「まあまあ落ち着けって……」

 

まだ暴れそうになるフブキを抑えながら取り敢えずこの場を抜けようとする。しかし……

 

「ちょっとあんた達!ベルツリー様に何してくれてるのッ?!」

 

「ん……?」

 

数人の女性がこの男を庇うように現れ俺達を睨みつけてきた。一体なんなんだこいつ等?

 

「ベルツリー様はいずれ世界を統べる大企業の御曹司様よ!あんた達のような安っぽい庶民なんかが軽々しく話しかけて良いお方ではないわ!」

 

「いや、話しかけてきたのはそっちなんだが……」

 

「うっさいこのダサ男!それに其処の女も、ベルツリー様が折角誓いの口づけをしてくださったのに何よその態度!?恥を知りなさい!」

 

「そんなの知らないよ!寧ろそんな気色悪い事平気でしてくるその神経を疑うよ!後レイくんはダサ男なんかじゃないよ!寧ろそっちの方がダサいじゃん!!」

 

突然現れ俺達の事を貶してくる女達にフブキがまた噛みついていく。にしてもなんなんだこいつ等?ベルツリー様とか大企業の御曹司様とか言ってたけど……

 

「まあまあ君達、この僕の為に争わないでくれたまえ。其処の子猫ちゃんもさっきの事は水に流してあげるよ、なんせ僕は海より広い心の持ち主だからね♪」キラーンッ☆

 

『キャアァァァァァァッ!ベルツリー様ぁッ♡///』

 

…………ダメだ、もう着いていけねぇ。さっさとエントリーに行った他の皆戻って来てくれねぇかな?

 

「あ、あのす……ベルツリー君、コンテストの受付済ませてきたよ……」

 

するとこのベルツリーという奴の更に連れなのかメガネを掛けてダボダボな服を着た地味な感じの娘が近づいてきた。どうやらこの娘もこいつ等と同じチームらしいな。

 

「ふん、漸くかこよみ。全くお前はいつもどんくさいんだからこういう時くらいはさっさと済ませてほしいもんだね。では、僕達もそろそろ準備をしに行こうかハニー達♪そして其処の庶民、君達も恥を晒したくないならさっさと自分のガンプラを片付けて帰りたまえ。子猫ちゃんもそんな男の何処が良いんだから知らないが、さっさと別れて僕みたいな素晴らしい男の元に来るといい。では、アデュー☆」キラーンッ☆

 

なんだかすっげぇねちっこい奴だな?一体何がしたかったんだ?フブキもさっきからずっと威嚇するのを止めないし……

 

「あら?玲二様何かあったのかしら?」

 

「あ、ちょこ。もうエントリーは済ませたのか?」

 

ベルツリーとかいう奴と入れ替わりに今度はちょことヒメとメルがエントリーを終えたのか戻ってきた。因みに本当は他にもメンバーを集めたかったが他の皆はロケやレッスンがあって参加出来なかったので今回は俺を含めて六人で参加する事になったのだ。

 

「えぇ、思ったより混雑してたから大変だったけど……それよりフブキ様一体どうしたの?なんだか凄く怒っているような……」

 

「そりゃ怒るよあんな事されたらッ!レイくん私小一時間ほど手洗ってくるからッ!!」プンスカプンッ!

 

「お、おう……」

 

よっぽど嫌だったんだなフブキ。まあ俺も自分の嫁があんな事されて本当は一発ぶん殴ってやりたかったわ、よく耐えたよ俺の拳。

 

「あ、あの……」

 

「ん?あぁ、あんたは確かさっきの……」

 

そんな事を考えてたらさっきのベルツリーとかいう奴の連れの地味な女の子が俺に話しかけてきた。一体どうしたんだ?

 

「あ、あの……さ、さっきはす……ベルツリー君が皆さんにご迷惑おかけしてすみませんでした」

 

「あぁ、そういう事か……正直めちゃくちゃ腹立ったけどな。でもそれは君が謝るような事ではないし、何より本人が悪いと思ってないなら君がいくら謝っても意味がない」

 

「で、でも、それでもしっかり謝りたくて……本当にすみませんでした!で、では私はこれで……」ダッ……

 

そう言うと女の子はあの男を追いかけるようにその場から去って行った。なんか他の取り巻きと違って律儀な娘だったな。

 

「……ねぇヒナ、一体何があったの?」

 

「えぇっと……実はかくかくしかじかで…… 」

 

「えぇッ?!フブキちゃんそんな事されたの!?」

 

「それは確かに怒るわね、ちょこだったらそいつ二度と日の光が見れないようにしてやったのに……」

 

いや怖ぇよちょこ、そこまでしなくて良いって。にしても本当に何だったんだろうな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それからコンテストが開催され、俺達のガンプラ以外にも多くのガンプラが展示され沢山の見物客が集まってきてくれた。どれも素晴らしい作品が並んでいて、特に旧キット部門の作品は見ごたえがあった。まさか旧キットがあんなに格好良くなるなんて思いもしなかったな。

 

そして俺達が選んだのはジオラマ部門、そして作ったのは皆の自作ガンプラを集めた『ビルドライバーズ』だ。

 

 

『ビルドライバーズ』

玲二、フブキ、ちょこ、メル、そしてヒメヒナの六人のガンプラをゲームのパッケージ風に展開した作品。以前みしろがやった消臭ビーズを使ったやり方でガンプラを水中で固定させる方法はあったが今回はそれとは違いレジンを使い完全に固定した。玲二のGNドライヴを三つ使用したデルタオークアンタ、フブキのジュピターヴを改造したフォクシードガンダム、ちょこの赤と黄色と灰色に塗装したガンダムデスサイズ(ハートブレイクVer)、メルの全身黄色にハート柄のリボンを着けたプリティベアッガイ、そしてヒメヒナが作ったアストレイ天の両腕をブリッツガンダムに差し替え右半身を赤、左半身を青に塗装したアストレイ姫雛鳥が武器を構えて立ち並んでいる。

 

本当にこれ作るの苦労したよな、何回も試作して失敗する度に動画見て塗装とかも工夫して、漸く出来た作品だ。いつかはこれをホロライブ全員でやりたいな。そして苦労して作った甲斐があった為か、俺達の作品の前では見物客が足を止めじっくり見てくれている。自分でもかなり満足のいく作品になったのでこれは本当に嬉しい。

 

「良かったねレイくん、皆喜んでくれてるみたいですよ♪」

 

「メルのベアッガイも可愛いって言ってもらえた~♪」

 

フブキ達も喜んでもらえて嬉しいようだな、良かった。けど……

 

「……あっちもかなり凄い事になってるみたいだな」

 

展示されている作品の中で俺達の所以外にも一ヶ所、見物客が足を止めている場所がある。それはあのナルシスト野郎のチームが作った作品『戦乱の世』が置かれている場所である。その見物客の量は俺達の所の倍はいるようだ。

 

 

『戦乱の世』

MG武者頑駄無に重塗装とダメージ加工を施し、更には回りには竹藪が広がっており正に戦乱の世を駆ける武者を彷彿とさせている。

 

凄いなあの武者頑駄無、本当にあいつ等が作ったのか?かなり細かく作られていてとてもアマチュアとは思えないな……ん?自慢気に話すあいつ等の影にさっきの娘がいたが、なんだか暗いけどどうしたんだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お待たせしました、これよりコンテストの最優秀作品の発表を致します!」

 

夕方頃、作品の展示が終わりいよいよ最優秀作品の発表が行われようとしていた。今回は見物客に投票してもらい、最も票数の高い物が最優秀作品に選ばれるのだ。こういったイベントに参加した以上は勿論最優秀に選ばれたいが、果たして……

 

「それでは、発表致します……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最優秀作品は、チームベルツリーファミリーの『戦乱の世』です!」

 

―おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!―

 

「フッ、まあ当然の結果だね☆」キラーンッ☆

 

……やっぱり負けたか、そりゃあんな凄い作品見せられたら勝てないわな、あの自信はハッタリではなかったんだな……

 

「フッ、どうだい庶民君?君のその出来損ないの作品なんかよりも、僕の作り上げた作品の方が遥かに優れているだろう?」

 

表彰されたあの野郎が俺の処に来て一々嫌みを言ってくる……悔しいが、確かに俺達の作品ではあのクオリティには勝てないな。

 

「君達もこんな庶民なんかと一緒にいたらその程度の物しか出来ないよ。これに懲りたらそんな奴とは縁を切って僕の処に来ると良い、何せ僕はいずれ世界を統べる大企業の御曹司だからね☆」キラーンッ☆

 

『…………ッ!』

 

……こいつ、こっちが黙ってたら言いたい事言いやがって……けど此処で騒ぎを起こしたら面倒な事になりかねない。悔しいが此処は無視する他ない……

 

「フッ、僕の凄さに声も出なくなったかい?それではそろそろ表彰式と参ろうじゃないか☆」

 

「は、はい!それではこれより表彰式を「その表彰、ちょっと待て!」ってえ?な、なんでしょうか?」

 

司会者が表彰式を行おうとした瞬間、周りの人混みをすり抜けて突如クロが現れた。その瞳は何時も以上に鋭くナルシスト野郎を睨みつけていた。

 

「やれやれ、暇潰しがてらに見に来て見れば、随分嘗めくさった奴がいたもんだな?」

 

「な、なんだい君は?あ、もしかして僕のこの顔とこの作品に見惚れてしまったのか―ガシィッ!―って痛たたたぁッ?!」

 

ど、どうしたんだクロの奴?!急にナルシスト野郎の腕を掴んで手のひらを眺めているが、一体何があったんだ?!

 

「………やっぱりそうか。このガンプラを作ったのはお前じゃないだろ?」

 

「ッ?!な、ななな、何をいいいい言ってるんだね君は?ここ、これは正真正銘僕が手掛けた……」

 

ッ!?どういう事だ?クロの奴、あいつの手を見ただけであいつが作ってないって判断したぞ?!どうしてそんな事が……

 

「お前、さっき展示してた時自慢気に話してたよな?このガンプラを納得のいく物にするまで当日の朝まで掛かったって。それなのにお前のこの手、これだけの大作を作るような奴にしては綺麗過ぎるんだよ。普通当日まで掛かったならもっと汚れててもおかしくないだろ?」

 

「ッ!?い、いやそれは……そ、そうだ!僕は潔癖性でね、何時も作業する時はゴム手袋を着用してるんだよねぇ☆」

 

?なんだ、あいつ急にしどろもどろになってるが……まさか本当にあいつ自分で作ってないのか?

 

「そうか……なら聞こう。お前、このガンプラは一体何を使った?」

 

「……へ?が、ガンプラ?」

 

「そうだ、一体何を使ったんだ?そして塗料は?工具は?そしてそれらをまとめてこのガンプラを作るのにどれだけの費用が掛かった?」

 

「え?あ、あの、それは、その……」

 

クロの怒涛の質問ラッシュにナルシスト野郎はどんどん追い詰められていく。そして遂に

 

「い、いい加減にしてくれ!僕はアマチュアなんだ!ガンプラだって見た目が気に入ったのを選んだだけだし、工具だって知人から借りた物を使用した!一々覚えているワケないだろ!?」

 

「そ、そうですよ!これはアマチュアのコンテストなんですから、ガンプラに詳しくない人だっていてもおかしくありません!」

 

ナルシスト野郎が顔を真っ赤にしてキレ始め、司会者も思わずフォローするような形で止めようとする。そんなナルシスト野郎を見てクロは深いため息をつく。

 

「はあぁ……確かに、アマチュアのコンテストだからそういったケースもあり得る。そしてビギナーズラックでこんな素晴らしい作品を作る事もある……なんて誤魔化せるとでも思っているのか?」ギロッ!

 

「ヒッ……?!」

 

クロはナルシスト野郎を鋭く睨み、あいつのガンプラを手にとってじっくり見ていく。

 

「こんな明らかにプロが作ったガンプラをアマチュアが作ったなんて無理があるんだよ。こいつはビギナーズラックなんかじゃ出来ない、よっぽどの経験を積まなきゃ作れないレベルのモンだ」

 

そう言うとクロはあいつのガンプラを持って今度は……あ、さっきの地味な女の子の前で止まった。

 

「これを作ったのはお前だな……『黄昏黄泉子』」

 

「ッ?!」

 

黄昏黄泉子?誰なんだそれ……って、なんか周りの見物客が急にざわつき始めた?え、そんなに凄い奴なのか?

 

「黄昏黄泉子だって?!」

 

「ガンプラをはじめとする様々なプラモで和風改造するなら右に出るものはいないと言われている、あの黄昏黄泉子?!」

 

「スゲェ!日本だけでなく海外のモデラーも魅了するトッププロモデラーじゃねぇか!」

 

「あ、あの……その……」アタフタアタフタ……ッ!

 

え、なんだそれ?そんなに凄い娘だったのかあの娘?!フブキ達も知らなかったようでかなりびっくりしている。でもこんなアマチュア限定のコンテストでなんでそんなプロモデラーが参加してんだ?!

 

「私もプロとして活動しているからな、他のモデラーの情報は常にチェックしているんだ。特にお前はここ数年で海外でも活躍する程のトップモデラーだから作品を見ただけですぐに分かったぞ。さあ答えてもらおうか?なんでプロが参加出来ないこのコンテストでトッププロモデラーのお前が正体隠して参加してるんだ?」

 

「そ、それは……」

 

クロが女の子を追い詰めていくと、ナルシスト野郎が間に割って入っていく。

 

「待ちたまえ!君は何か勘違いしているようだが、彼女は黄昏黄泉子なんて名前じゃない!そしてそのガンプラは僕が手掛けた物だ!これ以上僕の事を貶すような事をするなら「そうそう、言い忘れてたな」何……?」

 

「黄昏黄泉子は作品を作る際、必ず入れている物があるんだよ。自分が作った証となる……この刻印をな!」

 

「「ッ?!!」」

 

クロがジオラマの台座をひっくり返すと、その右端部分に夕焼けのようなマークが入った刻印が刻まれていた。もしクロが言っていた事が本当なら、あの娘はやっぱりプロモデラーだったのか?

 

「ぐ、ぐぐぐ……コヨミぃッ!!お前なんであんな刻印入れやがったんだぁッ? !」ガバァッ!

 

「ウグッ……?!ご、ごめんなさい鈴木君!私、何時もの癖でつい……」

 

全てがバレた瞬間、ナルシスト野郎が女の子の胸ぐらを掴み持ち上げる。女の子も苦しそうにしながらもナルシスト野郎に謝ってく。てか鈴木って……あぁ、ベルツリーってそういう事なのか。するとそれを見たちょこが急に何かが引っ掛かるのか首を傾げていた。どうしたんだちょこ?

 

「……あら?鈴木ってもしかして………あ、やっぱり!あなた鈴木太郎じゃない!」

 

「ッ?!ど、どうして僕の事を……」ダラダラダラダラ……

 

え?鈴木太郎?なんだその地味な名前?逆に今時いるのかそんな古典的な名前?てかちょこ、お前こいつの事知ってるのか?

 

「ほら、覚えてない?中学の頃、あなたちょこに告白してきたじゃない?」

 

「へ……………………ッ?!!も、もしかして……癒月、さん?」

 

「あ、やっぱり鈴木君だったんだ。懐かしいわねぇ、中学時代にちょこに告白してくれて、でも好みじゃないから断ったら茂みで隠れて見てた他の男子に言いふらされて翌日には学校中に広められちゃって、一時期不登校になってたわよね?」

 

え?中学時代の同級生だったのかこいつとちょこって?にしてもフラれた事を言いふらされるなんて、そりゃ心折れるわな。

 

「あら?でも確か大企業の御曹司って言ってたけど、貴方の実家って精肉店でしょ?ほら、街の商店街にある庶民の味方、鈴木精肉店で有名じゃない?」

 

「あ、いや、それは……?!」

 

精肉店?もしかしてこの間ちょこと買い物した時に寄ったあの店か?店長さん気前良くてコロッケサービスしてくれたけど……え?あの人柄が良い人からこんな奴生まれたの?

 

「ちょ、ちょっとどういう事……?」

 

「ベルツリー様って年間数十億もの利益を出す大企業の御曹司じゃなかったの……?」

 

「え?それじゃあ何?こいつ、今までアタシ達の事騙してたって事?!」

 

「ちょっと!一体どういう事なのか説明しなさいよ!」

 

周りにいた取り巻き達も鈴木の正体を知って怒りの眼差しを向けていく。鈴木も居心地が悪いのか黙り状態になっているが、漸く口を開き説明しだす。

 

「あ、あの、その……だ、大企業の御曹司って言えば僕と付き合ってくれる女の子が集まってくれるかな~なんて、少し見栄を張ったというかなんというか……」

 

「はあッ?!何処が少しよ!?冗談じゃない!こんな奴と付き合ってられないわ!婚約は破棄させてもらうから!それと慰謝料も払ってもらうかね!」

 

「よくも私達を騙してくれたわね!このお礼はたっぷりするから覚悟しなさい!」

 

「そ、そそそそんなぁッ?!ま、待ってくれ皆!?皆がいないと僕は、僕はあぁぁーーーーッ!!」

 

鈴木の正体を知った取り巻き達はこれまでの態度を一変させ鈴木の下から一人、また一人と去っていく。そして遂には黄泉子以外は取り巻きは誰もいなくなった。

 

「………お前等のせいだ。お前等が俺の正体ばらさなかったり、刻印なんか刻まなかったり、俺の表彰式を邪魔さえしなければ!俺の人生は順風満帆になる筈だったんだぁッ!!それを、お前等のせいでえぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!」

 

「え……?」

 

全てを失った瞬間、鈴木は怒り狂って黄泉子に向かって拳を振り下ろそうとした。けど……

 

―パシィッ!―

 

「な……ッ?!」

 

「……流石にこれ以上は黙って見てらんねぇわ」グググッ……

 

黄泉子に当たる直前で俺は鈴木の拳を受け止め抜け出せないように強く握りしめる。鈴木も力を込めて抜け出そうとするが、その程度の力で抜け出せるワケがない。

 

「正直、俺には結局お前が何をしたかったのか分からん。けどな、自分の思い通りにならないからって周りの人達に迷惑をかけるような事をするお前を許してはおけない」

 

「う、うるさい!お前だってこいつ等引っ掛ける為に見栄張ったりしてんだろ?!だったら俺とお前はおんなじだろうが!俺は何も悪くねぇッ!!」

 

「……俺はお前とは何もかも違う。俺はあいつ等の事は大切だし、心の底から愛してる。だからこそ俺はあいつ等の事をずっと支えていきたいと願ってる。見栄を張る事でしか人を寄せ付けられないお前とは、一緒にされたくない!」

 

―ブゥンッ……ドッシイィィンッ!!―

 

「うぐおぉッ?!」

 

俺は鈴木の腕を掴み、そのまま一本背負いをかまし鈴木を地面に叩きつけた。痛みからか鈴木は気絶してしまい、そのまま駆けつけた警備員達によって身柄を確保されたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから結局鈴木のチームは失格となり、最優秀作品は俺達の『ビルドライバーズ』に決定した。とはいえあれだけの騒ぎを起こしてしまった為、表彰式は景品をもらうだけの簡単なものとなってしまったが。さて、後は彼女だけだが……

 

「あ、あの……こ、この度は本当に申し訳ありませんでした!」

 

「いやまあ、それは別に良いんだが……」

 

あの後黄昏黄泉子……本名伊藤コヨミが俺達の処にやって来て何度も頭を下げてきた。でも、なんでまたあんな事したんだろうか?それを聞くとコヨミはとてもつらそうに語り始める。

 

「……実は私、鈴木君とは幼馴染みだったんです。小さい時から鈴木君とは何時も一緒に遊んでいて、でも中学に入って間もなくの頃に鈴木君が癒月さんに一目惚れしてしまってそのまま告白したは良いんですが……見事にフラれてしまい、しかもそれを学校中に言いふらされてしまって、そのせいで鈴木君は不登校になってしまったんです」

 

成る程、それは確かに辛いな……でもそれと今回の事と何が関係するんだ?

 

「私は子供の頃から好きだったプラモを作り続けていく内にプロモデラーになって幾つかの雑誌からお仕事をもらえるようになって、大変だったけど楽しい日々を過ごせてました。ところがある日、鈴木君から連絡があってこう言われたんです。『俺のハーレム計画の手伝いをしろ』って……」

 

はあ?ハーレム計画ってなんだそりゃ?

 

「久しぶりに会った鈴木君はまるで別人でした……金髪にオッドアイのカラコンを入れて、まるでホステスみたいな格好をするようになって……そして、金遣いが荒くなってしまったんです。両親のクレジットカードを無断で使用したり、久しぶりに会った私にまでお金をせびるようになって……そしてまるで自分が金持ちになったように見せかけていろんな女性を引っ掛けては婚約するようになって……今回のコンテストだって、自分の新しい嫁候補を探す為だって言って私にガンプラを作るように言ってきて……」

 

「それで素直に作ってしまったと?あんたバカじゃねぇのか?」

 

「フフ、確かにバカっぽいですよね……今まで一緒にいた鈴木君から初めて頼られて、利用されているだけだって分かってても嬉しくなってしまって……私、本当にバカですよね……グスッ」

 

……この娘、鈴木の事が好きだったんだな?けど好きな人から頼まれたら断りづらいのは分かるが、流石にそれは許してはいけないだろ?

 

「そう思うなら今度からはあいつがバカな事しないようにしっかり支えてやりな。ああいう奴はちゃんと叱ってくれる人がいないとすぐに調子に乗るからな。あいつが戻ってきたらガツンと一発叱ってやれ」

 

「叱る……そう、ですね。そんな事、考えた事もなかったです。分かりました、彼が戻ってきたらこれまで我慢していた事も含めてガツンと言ってやります!そしてまた、昔の鈴木君に戻ってもらえるように頑張ります!」

 

良かった、どうやら立ち直ってくれたようだな。これで漸く一安心ってとこか。

 

「皆さん、本日は沢山のご迷惑をおかけして申し訳ありません、そして有り難うございました!お陰で私、やるべき事が見つかった気がします!」

 

「そっか、なら今度は間違えないようにな」

 

「はい!それでは皆さん、今日はありがとうございました♪」

 

そう言うとコヨミは笑顔で去っていった。あの娘、普通に可愛かったな……しまった、スカウトすべきだったか?

 

「むぅ、なんかレイくんが何時もより優しい気がする……」

 

「ヒメも玲二くんにもっと優しくしてほしいよぉ~!」

 

何でだよ?何時も優しくしてるだろうが。それ以上甘やかすとお前等すぐに調子に乗るからダメだ。

 

こうして俺達の初のコンテストは波乱万丈の中なんとか終える事が出来た。余談だがあの後鈴木は両親に叱られ勘当され、取り巻き達からは結婚詐欺で訴えられコヨミの処に逃げようとしたが、コヨミはしっかり罪を償ってときっぱり断った事により鈴木は刑務所行きとなったそうな。




はい、という事で初のコンテストは無事?終了しました♪
因みに今回出たオリキャラである鈴木太郎と伊藤コヨミは単発キャラですので今後名前ぐらいは出るかもですが再登場とかはありません。

次回はあの秘密結社の登場の予定です、まったり書いていくので気長に待って頂けたなら幸いです。ではまた!


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第31話 『刮目せよ!秘密結社holoX』

驚くほど筆記が捗りました(汗)

因みに注意書きですが、今回登場する六期生達はまだ登場して間もないのでもしかしたらイメージと違うかもしれません。また、今後の配信内容で立ち位置や性格が変わるかもしれませんのでご了承下さいませ。

それでは今回も楽しんで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


「フッフッフッ……遂に来たな、この時が!」

 

十二月の上旬、すっかり冷えるようになってきた今日この頃早朝からホロライブマンションの前では五人の人影がいた。その中でも一際小さく、大きな角を生やした女の子は胸を張りながらホロライブマンションを見上げ笑みを浮かべている。

 

「此処がホロライブマンション……吾輩達の先輩達が住んでいる寮なんだな!」

 

「うーん、社長曰く寮ではないとは言ってたけど……」

 

「でも確か此処にホロライブJPの方々が全員住んでいると言ってたでござるよ?」

 

「という事は沙花叉達も此処に住む事になるのかな……?」

 

「すごーい♪こよ、こんな立派な寮に住めるなんて思ってなかったよ~♪」

 

五人はホロライブマンションを見てそれぞれ感想を言うが、どうやら此処を寮と勘違いしているようである。

 

「よぅし!それじゃ社長も今日は先輩方皆此処にいると言ってたから早速突撃するぞ~!皆の者、吾輩に続けぇー♪」

 

『おぉ~♪』

 

角が生えた女の子の掛け声と共に全員ホロライブマンションへと入っていく。そして玄関に入り廊下を渡っていくと目の前に扉があり、五人は此処で一旦止まり角が生えた女の子が先に入る為一歩前に出る。

 

「こういうのは最初が肝心だからな、インパクトがあるようにしないと……ヨシッ、いくぞ!」

 

意を決して扉を開けて勢いよく中に入っていく。

 

―バアァンッ!―

 

「刮目せよ!吾輩はholoX総帥、ラプラ…………ッ?!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『あぁッ?なんだテメェ?』

 

……が、中に入って其処にいたのは特攻服を着たガラの悪い連中だった。

 

「あ、いや、あの、その……?」

 

「おいおいなんだこのガキんちょはぁ?おめぇ誰だか知らねぇが、此処が何処だか分かって来てんのかえぇッ!?」

 

「ひ、ひいぃッ?!こ、此処ってホロライブマンションじゃ……?」

 

「おうそうだ、此処はアタイ等『火炉雷舞』の縄張りだ。テメェ、誰の許可得て勝手に入って来やがった!?」バシィーンッ!

 

「ひいぃぃぃぃぃぃぃぃぃッ?!!」

 

いきなり水色の髪のスケバンが竹刀を地面に振り下ろしびっくりする女の子。他の四人も思っていたのと違う光景に身体を震わせていた。

 

「おい落ち着きな、星街0期生。そんないきなり威嚇したらこいつ等も喋れねぇだろ?」

 

「押忍ッ!失礼しやした白上一期生筆頭!」

 

白い猫のような獣人が一喝すると青髪のスケバンは竹刀を納め自分の定位置に戻っていく。そして女の子に近づくと角を掴みにっこりと笑う。

 

「済まんかったなぁ、こいつ等気性が荒くてよぉ。んで?お前等一体何モンだ?何しにオレ等の縄張りに入ってきたんだ?」

 

「あ、あああああの、わ、わわ吾輩達はその、ほ、ホロライブ六期生、秘密結社holoXというメンバーでして……」ガクガクブルブル

 

女の子は声が震えながらも必死に答えていく。その目には涙が溜まっており今にも泣き叫びそうになっている。

 

「はぁ?六期生ぃ?ホロックスゥ?なんだそりゃあ、お前等オレ等の事嘗めてんのか?」

 

「い、いえ!べべ、別に嘗めてなど……」

 

周りから睨まれ段々涙が溢れてくる六期生の娘達。其処に

 

「押忍ッ!白上一期生筆頭殿!たった今YAGOOに確認をとったところ、こいつ等が我々の後輩になる六期生というのは間違いないとの事であります!」

 

「しかもこいつ等秘密結社とかいうのをやっており、何かを企んでいるのは明確であります!」

 

「……そうか。ご苦労、角巻四期生、桃鈴五期生」

 

「「押忍ッ!」」

 

羊の獣人とクリーム色の髪の女が報告すると猫?の獣人は女の子の角を持って顔を近づけていく。

 

「なら、これからお前等がこの火炉雷舞に相応しいかどうかテストしてやる。お前等の根性見せてくれよな?」

 

「こ、根性?い、一体何を……」

 

「何、すぐに分かるさ。おい!例のヤツ用意せいッ!」

 

『押忍ッ!』

 

そう言うと女の子達は中庭へと連れられていく。一体、何があるというだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よぅし!それではお前達には今から順番に此処に入ってもらう!」

 

「あ、あの………これって一体何でしょうか?」ダラダラダラダラ……

 

「見て分からねぇか?これは火炉雷舞名物『油風呂』じゃいッ!」

 

中庭に連れてこられ、目の前には人一人入れるくらいの鉄鍋にたっぷりの油が入っており、下から火がガンガン焚かれていた。

 

「今からこの油風呂に入ってもらい、其処でこの蝋燭を立てた笹舟を浮かす!蝋燭の火が消えるまで入り続ける事が出来れば見事六期生として認めてやろう!但し!ちょっとでも動けば笹舟は倒れ蝋燭の火が油に引火し火ダルマ確定!さあ、早速やってもらおうかい!」

 

想像の数億倍鬼畜過ぎる内容、最早拷問とも言える内容に六期生達は互いに身体を寄せあい震えている。フードを被った娘に至ってはもう号泣状態なのかマスクの下から涙が溢れている。

 

「や、ヤダ、そんなのしたら吾輩死んじゃう……」ガクガクブルブル

 

「あぁんッ?!甘えた事抜かすんじゃねぇッ!この火炉雷舞に入った以上、真の女を磨く為にはこれくらい出来なきゃなんねぇだろうが!?さあ、分かったらさっさと……」

 

「何バカな事してんだお前等ッ!!」

 

―ゴンッ!!―

 

「あ痛ぁッ?!」

 

迫りくる猫?の獣人の後ろから一人の男性がやって来て獣人の頭に鉄拳制裁を喰らわした。よっぽど痛かったのか庭でのたうち回っている。そう、やって来たのはこのホロライブマンションの主、佐々木玲二であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全くお前等と来たら何バカな事させようとしたんだ?!大体なんだホロライブ名物って!?俺達の事務所にそんな事した奴一人もいねぇだろ!!」

 

買い物を終えて帰ってみれば皆して新人達を威圧するわ変な事させようとするわで大変だった。今ホロライブマンションにはホロメン以外は仕事で出払ってるからみしろがいない事をいい事にこんな事しやがって。

 

「うぅ~だってぇ、かなり久々にJPに新人が来るから嘗められないようにするにはどうしようかと思ったら支部長がこれが良いって……」

 

「あの人の事は真に受けるな!例え冗談でも度が過ぎてるわこんなの!寧ろミオやフレアは止める側だろうが!何一緒に威圧してんだよ?!」

 

「「ご、ごめんなさい……」」

 

「うぅぅぅぅ~………」ギュウゥッ

 

角が生えた女の子はすっかり怯えてしまい俺の胸に顔を埋めて離れようとしない。そりゃ無理もないか、あんな事しろって言われたら泣きたくもなるわ。

 

「ほらラプちゃん、もう大丈夫だからそろそろ玲二くんから離れないと」

 

「うー!うー!」ブンブンッ

 

ダメだ、完全に幼児退行してしまってる。こりゃ暫くは好きにさせるしかないか。にしても……

 

「それにしても、まさかお前等が六期生として来るとはな。皆元気にしてたか?」

 

「えぇ、久しぶりねレイレイ♪」

 

「玲二くんお久しぶりです~♪」

 

「お、お久しぶりです、お兄ちゃん///」

 

「久しぶりでござるな師匠!」

 

『え……えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ?!!』

 

皆が驚いているが、無理もないか。六期生五人の内、リーダーである『ラプラス・ダークネス』以外の四人は実は過去にそれぞれ別々に出会っている。最初に資料もらった時は正直俺もびっくりしたけどな、こんな偶然あるんだな。

 

「れ、レイくん?レイくんってこの娘達と会った事あるんですか?!」

 

「まあ、といっても出会った時期は別々だけどな。折角だから皆自己紹介してくれないか?」

 

「はーい♪こんるいるーい♪みなさーん、まったかね~?ホロライブ六期生holoX女幹部の鷹嶺ルイと申しまーす♪レイレイとは中学時代の同級生でした~♪」

 

一人目はholoXの幹部役である鷹の獣人『鷹嶺ルイ』だ。こいつはさっき言ってた通り俺とは中学時代一緒に過ごした同級生だ。昔から賑やかな事とおやじギャグが好きな変わった奴で、見た目のせいでよく女子からモテていたんだよな。

 

「レイっちの中学時代……あたしより前に出会ってたなんて……」

 

「ウチ等の知らない中学時代のレイさん……気になる」

 

いやそんな大した事ないぞ?それに少しの間ならスバルだって俺の中学時代の事知ってるから知りたいならそっちに聞きな、他愛のない普通の中学生だったけど。

 

「次はボクだね?皆さんこんこよー♪holoXの頭脳、博衣こよりだよ~♪玲二くんとは小学生時代の後輩でーす♪」

 

次はコヨーテの獣人でピンクヘアーが特徴の女の子『博衣こより』だ。小学生時代、こよりは既に頭が良くて周りの授業に飽きてた頃俺が興味本位で近づいたら懐かれてしまった経緯がある。なんでも他の人間と何かが違うらしい。いや俺は普通の人間だが?

 

「小学生の時?!白上全然会った事ないんですけど!?」

 

「そりゃそうだわ。こよりはあの頃他の子達とは基本的に距離を取ってたし俺がこよりと会ってたのも基本的に放課後のクラブ活動の時間だったからな」

 

あの頃は図書室の隅にいたこよりと日が暮れるまでよく本を読みあってたな、懐かしいわ。

 

「つ、次は沙花叉ですね。は、初めまして、holoXの掃除屋沙花叉クロヱです。お兄ちゃんとはその……水族館で迷子になってたところを助けてもらいました///」

 

三人目はholoXの掃除屋担当のシャチの獣人『沙花叉クロヱ』だ。掃除屋と言っているが基本的に名ばかりで実際にはそういった事は寧ろ苦手らしい。クロヱとは昔行った水族館で迷子になっていたところを助けたら懐かれてしまい、更にお互いの両親が意気投合しちゃって今でもたまに家族ぐるみの付き合いがある。にしても……

 

「クロヱ、お前相変わらずその変なマスクしてんだな?」

 

「え……だ、だって沙花叉、これがないと初対面の人とまともに話せないから……///」

 

「そんなのしなくても良いんじゃねぇか?お前充分可愛いし」

 

「か、可愛ッ?!//////」ボシュウッ!

 

うおッ?!一瞬で顔真っ赤になって沸騰した!?相変わらずの恥ずかしがりなんだな……

 

「……レイくんの女誑し」ボソッ

 

おい聞こえてるぞフブキ。別に俺にそんなつもりはねぇ。

 

「次は拙者でござるな!holoXの用心棒、風真いろはでござる!皆殿、以後お見知りおきよろしくお願いしますでござる♪因みに師匠とは二年ほど前に悪漢から救ってもらった身でござる♪」

 

こいつはholoXの用心棒役の『風真いろは』だ。六期生の中で唯一の人間だな。二年ほど前に田舎から上京してきた時にチンピラに絡まれてた際に返り討ちにしてやったら何故か師匠と呼ばれるようになってしまい、それ以降たまに街でばったり会う度に俺に指南を頼んできていたがめんどくさくなってそんなに指南して欲しければホロライブ入れば?と冗談で言ったらマジで来やがった。よくオーディション通ったな?

 

「それでは師匠!早速武術の指南をお願いしますでござる!」

 

「いや、あれは冗談で言ったんだが……はぁ、仕方ない。でも今日は勘弁してくれ、俺もやらなきゃいけない事があるんだから」

 

「わかりましたでござる!これからよろしくお願いいたします師匠♪」

 

……こんな笑顔で言われたら断りづらいよなぁ。仕方ない、こいつが飽きるまで付き合ってやるか。

 

「それで、お前が最後だが……どうだ、自己紹介出来そうか?」

 

「うーッ……」ギュウゥッ

 

あらら、これは結構酷いかもな……仕方ないな。

 

「ほらラプラス、さっきのバカな先輩達の悪ふざけは済まなかった。だから落ち着いたら自己紹介してくれるか?」ナデナデ

 

俺はラプラスの頭を優しく撫で落ち着かせようとする。すると先程まで力強く握っていた俺の服をゆっくりと放してくれた。良かった、これなら大丈夫そうだな……

 

「…………パパァ///」スリスリ

 

『パパァッ?!』

 

な、なんだ?!落ち着かせようとしたら何故かパパと呼ばれたんだが!?

 

「ちょ、ちょっとラプちゃん!?その人ラプちゃんのパパじゃないよッ?!」

 

「ふぇ?……………ッ?!///ち、違う!吾輩は断じてパパなど言っとらんぞ!///」ババッ!

 

急に我に返ったのか俺から逃げるように離れていくラプラス。よっぽど恥ずかしかったのか顔が真っ赤になっている。本人は否定したが、まさかパパと呼ばれるとは思わなかったぞ?

 

「オホンッ……で、では改めて自己紹介をするぞ……刮目せよ!吾輩は秘密結社holoX総統、ラプラス・ダークネスだ!」ドヤァッ!

 

もの凄いドヤ顔で自分の自己紹介をするラプラスだが、周りにいる仲間達はシラーっとした感じでラプラスを見ていた。

 

「………………おいお前達、Yes my darkって言え!」ボソッ…

 

「え?…………あ、YMD~♪」

 

「「「YMD~♪」」」

 

「略すな!ちゃんとYes my darkって言え!」

 

「山田~♪」

 

「「「山田~♪」」」

 

「山田って言うなぁーッ!」ウガーッ!

 

仲間達から散々弄られているけど、この娘本当に六期生のリーダーなのか?また泣きそうになってるし。

 

「ほらほら、お前等ラプラスの事弄り過ぎるなよ。この娘だって一生懸命頑張ってんだからさ」ナデナデ

 

「う、うぅ~!パパァッ!」ダキッ!

 

「いや、またパパって言ってるし……」

 

俺まだお前くらいの歳の娘持つような歳じゃねぇんだけど……

 

「どうやらラプにとってレイレイはお父さんみたいな者なんでしょうね♪」

 

「そうなのか?まあ俺は気にしないし、好きなように呼んでいいぞ」

 

「ほんとぉ……?な、ならお前の事、これからずっとパパって呼ばせてもらうからな!///吾輩の事可愛がってくれな♪」

 

……ヤバい、なんだかスッゴく可愛いな。これが娘を持つ父親の気持ちなのだろうか?その後六期生達にこのホロライブマンションの詳しい説明、そして俺とホロメン+αが結婚&婚約している事を伝えると自分達も一緒に住みたいと言ってきてフブキ達と揉めそうになったが最初にやった事を考えたらフブキ達も断るワケにはいかず結局入居を認める事になった。さて、これからまた賑やかになるだろうな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―オマケ―

 

六期生の心境

 

ラプラス

(フフーン♪吾輩にも漸くパパが出来たぞ!これからパパと一緒にこの地球を手に入れていくぞー♪)

RSL:165

 

ルイ

(やっぱレイレイってモテるよねぇ?中学時代でもレイレイに告白しようとした女の子が後を絶たなかったからね~。お陰でそういった娘を根絶するの苦労したけど…………)

RSL:210

 

こより

(玲二くん久しぶりに“直接”会ったけどやっぱり生で見るとより格好良いなぁ~♡ドローンとか使った撮影も良いけどやっぱり直接会って生で見るのが一番だよぉ~♡)

RSL:223

 

クロヱ

(お兄ちゃんの周りに女の人が沢山……消さなきゃ、消さなきゃ消さなきゃ消さなきゃ消さなきゃ消さなきゃ消さなきゃ消さなきゃ消さなきゃ消さなきゃ消さなきゃ消さなきゃ消さなきゃ消さなきゃ消さなきゃ消さなきゃ消さなきゃ消さなきゃ消さなきゃ消さなきゃ消さなきゃ消さなきゃ消さなきゃ消さなきゃ消さなきゃ消さなきゃ消さなきゃ消さなきゃ消さなきゃ消さなきゃ消さなきゃ消さなきゃ消さなきゃ消さなきゃ消さなきゃ消さなきゃ消さなきゃ消さなきゃ消さなきゃ消さなきゃ消さなきゃ、お兄ちゃんには沙花叉だけいれば良いんだから、それ以外の女はいらないから……ハヤクケサナキャ)

RSL:275

 

いろは

(漸く師匠と鍛練する事が出来るでござる!これから毎日師匠と鍛練して、皆と一緒にご飯食べたり買い物行ったりして……もうやりたい事いっぱいでござるよぉ~♪)

RSL:159




はい、という事でholoX登場回でした!今回も皆もれなく可愛いかったですよねぇ♪今後の活躍に期待出来そうです!

次回もまったり書いていくので気長に待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第32話『ラプ様、初めてのプラモデル』

年末になるにつれ、仕事が忙しくなっていって自由が少なくって辛いですね(泣)

今回はラプラスとフブキの回です。最後まで楽しんで見て頂けたら有難いです、ではどうぞ!


六期生、holoXがデビューしホロライブマンションに入居してから一週間が経ち、ルイ達もわりとすんなり皆と打ち解けてくれていた。しかし、ラプに関しては最初にやられた手荒い歓迎がトラウマになってしまったらしく今でも六期生かホロメン以外の娘か俺にしか近づこうとしていたなかった。特に俺には四六時中引っ付いており、此処数日ずっと一緒に寝てあげてるが毎度夢にまで出てるのか酷くうなされている。

 

「全く、お前等があんな事するからラプがすっかり怯えてしまったじゃねぇか」

 

「うぅ~ごめんなさいぃ~……」

 

フブキも流石にやり過ぎたと反省してあれから何度かラプに謝ろうとするも、フブキの姿を見た瞬間韋駄天の如きスピードで逃げ去ってしまう。俺としては早く仲直りしてもらいたいんだけどなぁ……

 

―ガチャッ―

 

「パパァ~♪」

 

―トテトテ…ギュッ―

 

「おいこらラプ、ちゃんと部屋に入る時はノックしてから入れって」

 

「はーい♪ん?………なんでこいつもいるの?」

 

ラプが部屋に入っていきなり俺に抱きつくが、フブキの顔を見た瞬間一瞬嫌な顔をして俺の身体に顔を埋めていく。よっぽど嫌なんだろうなフブキの事……

 

「わ、私はレイくんの奥さんですから。ほらラプちゃん、レイくんがパパなら私はママですよ~♪」

 

「オマエ、ママチガウ。オマエ、キライ」

 

「そ、そんなぁ~……」

 

あらら、完全に嫌われてしまったみたいだな。まああんな熱した油ん中入れなんて言った相手を母親と呼べって無理があるし。文面だけ見たら完全に毒親だよな。

 

「フブキ、今回はお前が全面的に悪いんだから諦めな」

 

「ふえぇぇん……」

 

「ふん、泣いても許さんぞ」

 

……ラプも少し強気に言ってるがフブキの方を一切見ようとしないとこを見るとやっぱまだ怖いんだな?

 

「ところでパパ、今何をしてるんだ?」

 

「ん?あぁ、今積んでいたガンプラを組み立ててる最中だ。と言ってももうすぐ終わるけどな」

 

「ガンプラ?ガンプラって、あのガンダムのプラモデルの事か?」

 

「そうそう、そんで後はパーツを組み合わせて……よし出来た、ガンダムアストレアだ」

 

俺は折角の休みという事でフブキと積みプラしていたガンプラの中からガンダムアストレアを選んで組み立てていたところだ。因みに俺はTYPE-Fを、フブキは通常のトリコロールカラーのを作っていた。

 

 

『ガンダムアストレア』

機動戦士ガンダムOOPに登場した機体。エクシア等の第三世代機を開発する為に試験運用されていた機体であり、その姿はエクシアに近いが近接武器を多様しているエクシアとは違い砲撃武器等もある。OOPに登場した際はトリコロールカラーだが、OOFに登場した際は深紅へと変更されており、更にとある理由によりガンダムである事を隠す為にセンサーマスクという物を着用している。

 

「おぉー……」

 

完成したアストレアを手にとってラプが目を輝かせている。と言っても俺の作ったTYPE-Fだけを見てフブキの作ったアストレアには目もくれていない。

 

「ほ、ほらラプちゃん。私の作ったアストレアもどう「ねぇパパ、吾輩もガンプラ作ってみたいぞ!」うぅ~……」

 

「ラプも?作りたいって言ってくれるのは確かに嬉しいけど、今ある積みプラはそれぞれ皆作るの決めてるから余ってるのがないんだよなぁ……」

 

フブキがまだ泣いてるが今はほっとこう。それよりもラプがガンプラを作りたいと言ってくれたのは嬉しいが今この家にあるガンプラは皆それぞれが作る予定のある物ばかりで、あったとしてもRGやMG、PG等の難易度が高い物しか残ってない。流石に今までガンプラに触れて来なかったラプがこんな難易度高いのは無理だろ?そら達の時と違ってラプもまだ11歳なんだし。

 

「パパ、ガンプラ残ってないのか……?」

 

「うーん、最近だと店に行っても全然残ってないしなぁ……でも折角ラプが作りたいって言ってるし、明日は土曜でラプも学校が無いから駿○屋にでも行くか」

 

「ほんとぉ?流石吾輩の頼れるパパだな♪」

 

……うん、やっぱりラプって可愛らしいな。本当に子供を持つとこんな気持ちになるんだろうな。ま、それはともかく明日はラプを連れて買い物に行くか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うぅ~、ラプちゃあぁ~ん……」

 

ラプに無視され続け既に心が折れかけてるフブキであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―翌日―

 

「おぉ~♪」

 

ずらっと並ぶプラモの山に目を輝かせているラプ。此処、○河屋は中古プラモが充実しており、中には激レアなキットも存在する程である。その分値段はお高くなってるが、それでも来てみる価値はあるな。

 

「凄いぞパパ!ガンプラがこんなに沢山あるなんて!」

 

「分かったからはしゃぐなって。他のお客さんに迷惑だろ?」

 

「はーい♪……で、なんでこいつも着いてきてるんだ?」

 

「そ、そんな事言わないでラプちゃん、私だってラプちゃんと親睦を深めたいだけなんだからぁ~……」

 

そうそう、今回はフブキも一緒に着いてきている。フブキとしてはこの間の事も謝りたいし、ラプとも仲良くしたいと思ってるがラプは相変わらず俺の後ろに隠れ引っ付いている。

 

「ほらラプ、今日はフブキがラプの為にガンプラ買ってくれるって言ってるし、この間の事だって反省してるんだし少しは許してやってくれ、な?」

 

「………高いの買っても文句言うなよ?」

 

「ッ!ありがとーラプちゃあぁん!」

 

「うおぉッ?!えぇい急に抱きつくなぁッ!!」

 

よっぽど嬉しかったのかフブキがラプに抱きつき、ラプが抗おうとじたばたしている。取り敢えずは仲直り出来たかな?

 

 

 

 

 

「うーん……」

 

「どうだラプ、何か良いのが見つかったか?」

 

「あ、パパ……いや、吾輩よく考えたらガンダム詳しくないから何が良いのが分からなくてな」

 

そっか、ラプはガンダム作品を見た事がないのか。ならSDとかなら詳しくなくても大丈夫だし作りやすいからオススメしようか。

 

「……お♪ねぇパパ、吾輩これが良いぞ!」

 

「お、漸く見つけたか……ってこれガンプラじゃないんだが?」

 

ラプが満面の笑みで見せて来たのはガンプラではなく、以前メルとちょこと一緒に作ったデジモンシリーズより『Figure-rise Standard Amplified オメガモンX抗体』だった。

 

 

『Figure-rise Standard Amplified オメガモンX抗体』

デジモンシリーズ初のフル3D映像作品『DIGITAL MONSTER X-evolution』で登場したロイヤルナイツの一体であるオメガモンがX抗体という新たな力を得てパワーアップした姿。その活躍は僅か数分にも満たなかったが、その格好良さとオメガモン単体での人気もあり長らく立体物を希望する声もあったが遂にプラモデルとして実現された。資料設定よりもマッシブになっており、両腕にある武器も厳つくなっている。

 

「吾輩、デジモンならこの間まで見てたからこのオメガモンっていうのも知ってるぞ♪」

 

「ま、まあラプがそれで良いって言うなら……(厳密に言えばそのオメガモンとは別物だけどな)」

 

でも本人が良ければそれで良いか。もう既に気に入って抱き締めてるし。

 

「あれ?ラプちゃんもガンプラ決めたの……ってそれデジモンじゃん?それで良いの?」

 

「うむ!さぁ、買ってくれるって言ったんだからよろしくな♪」

 

「はいはーい、って五千円?!け、結構するんですね……?」

 

そうなんだよな、Figure-rise Standard Amplifiedって結構値段張るんだよなぁ。確かに造形も拘ってるしパーツ数も多いけど、それでもHGと同じくらいのパーツ数でこれは高く感じるな、クオリティは高いから仕方ないのか?

 

ともかく俺達は買い物を済ませ自宅へと帰る事にした。帰る前に○っくりド○キーに寄って食事をしたがその時ハンバーグを食べてるラプが小動物っぽくて可愛いかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―帰宅―

 

「それじゃあパパ、早速ガンプラ作ろうではないか♪」

 

「正確にはガンプラではないがな。それじゃあ早速工具を……」

 

「あ、それならもう用意してありますよ。ラプちゃん、この初心者用の工具を使って下さい♪」

 

フブキは既にラプ用にニッパーやヤスリを用意してくれたようだ。流石にデザインナイフは危険だから用意はされてないな。

 

「うむ!ならまずは部品を取っていくぞ」

 

―バチバチバチンッ!―

 

「あぁッ?!ラプちゃんそんな適当に切ったらどれがどの部品か分からなくなっちゃうって!ちゃんと説明書通りやろ、ね?」

 

「う、うむ……ごめんなさい……」

 

最初は説明書も見ずに適当にパーツを切っていくラプだったが、フブキに注意され少しシュンとしながらも一緒に作り始めていく。なんだかんだで少しずつだが打ち解けはじめてるな。

 

「痛ッ?!」

 

「ッ!?お、おい大丈夫かラプ?!」

 

少し気を抜いてたらラプがニッパーで指を少し切ってしまった。幸い其処まで深くなさそうだが血が少し出てしまってる。

 

「ふえぇ、パパァ……」

 

「ちょ、ちょっと待ってろ、今救急箱を……」

 

「あ、レイくん大丈夫だよ。私今絆創膏持ってるから。ほらラプちゃん、指出してね」

 

そう言うとフブキはラプの指にティッシュを当てて血を拭き取り、其処から絆創膏を丁寧に巻いていく。

 

「ん、これで大丈夫♪」

 

「あ、ありがとう……///」

 

ラプが照れ臭そうにお礼を言って、フブキはニコニコと笑っている。さっきラプは否定していたが、まるで母親と娘だな。

 

「……ラプちゃん、この間の事は本当にごめんなさい。少しでもラプちゃん達と距離を縮めたいと思って何時も皆とやるようなノリでラプちゃんを驚かせてしまって……本当にごめんね」

 

「………もう二度とやらないなら許してやらん事もない」

 

「本当!?ありがとうラプちゃん♪」

 

「うがぁーーッ!抱きつくなぁ!!」

 

……どうやらもう大丈夫そうだな。なら俺も少し手伝って早く完成させるか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おぉ~……これが、吾輩のオメガモン!」

 

「うん、初めてにしてはうまく出来てるな。ゲート跡も綺麗に処理されている」

 

「良かったねラプちゃん♪凄く格好良いオメガモンの完成ですよぉ♪」

 

作り始めて三時間、漸くラプのオメガモンが完成した。やっぱりAmplifiedはかなり格好良いな、オリジナルにはないような追加デザインが良い味出してる。

 

「レイさーん、フブキィー、ラプちゃーんご飯だよ~!」

 

「あ、ミオの声。もうそんな時間だったんですね?」

 

「作り始めて結構経ってたみたいだな。それじゃあリビングに行くか」

 

ミオに呼ばれ、俺達はリビング奥にある食卓へと向かった。リビングに入ると既に良い匂いが広がっている、今日はどうやらオムライスみたいだな。

 

「それじゃあ食べるか…………?ラプ、どうかしたか?」

 

「………………」

 

何時もだったら俺の右隣の席に座って真っ先に食べるラプがオムライスをジーッと見つめたと思いきや、そのオムライスを持って俺の左隣の席に座ってるフブキの処に持っていき、そのままフブキの膝の上に座りだした。

 

「え?あ、あの、どうしたのラプちゃん?」

 

「……お前は吾輩のママなんだろ?だったら我輩に食べさせろ///」

 

「ッ!!ら、ラプちゃあぁーーーんッ!!ママはとっても嬉しいですよぉーーー♪」

 

「えぇい!抱きつかなくて良いからさっさと食わせろぉーーーーーッ!!///」

 

よっぽど嬉しかったのかラプをおもいっきり抱き締めるフブキに照れながらじたばたするラプ。そんな二人を見て他の娘達はポカンとした表情になっていた。ともあれ、フブキとラプが仲良くなってくれて良かったよ。さ、俺も飯食うか!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(……やっぱりあの女、気に入らない。お兄ちゃんは沙花叉のモノだもん。他の女になんて絶対に渡さないんだから………)

 

フブキとラプのやり取りを皆が微笑ましく見ている中、ただ一人だけ目の光を失くしながら睨む娘がいた。何やらまた、一波乱が起きそうな予感………




はい、という事でフブキ、ラプラスの母親になるの回でした。ただ今後もラプがフブキの事をママと呼ぶかは未定ですが(笑)

次回は沙花叉回となります。また気長に待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第33話『沙花叉の執着心』

少し指摘を受けまして、台詞の後ろに擬音を付けるのは止める事にします。今までのもこれから少しずつ手直ししていこうと思います。ご指摘された方、有り難うございます。

今回は沙花叉回です。ガンプラ回ではないですが、最後まで楽しんで見て頂けたら有難いです、ではどうぞ!


ギシィッ………………………

 

「……………………ん、んん……う、うぅ……こ、此処は……?」

 

目が覚めると其処は全く知らない廃屋の中だった。辺りは薄暗く、蝋燭の明かりが数本分あるだけで他には何もない。よく見ると左足にも鎖を付けられて此処から逃げられそうにないな……

 

―ガチャッ―

 

「あ、気がつきました?お兄ちゃん」

 

「え………く、クロヱ?お前一体何を……?」

 

扉が開くと、其処にはクロヱの姿があった。しかしいつも着けているフードや仮面はなく美しい銀髪を靡かせルビーのような赤い瞳で俺を見据えてくる。服も着ておらず少し派手な黒い下着を着けているだけだ。

 

「あは♪やっとお兄ちゃんと二人きりになれましたぁ♪お兄ちゃんを此処まで運ぶの大変だったけど、此処なら誰にも邪魔されずお兄ちゃんと愛し合えますね♡」

 

「く、クロヱ?一体これはどういう状況だ?なんで俺達こんな所に「お兄ちゃんがいけないんだよ?」……え?」

 

「沙花叉ずっと言ってたよね?沙花叉が大きくなったらお兄ちゃんと結婚するって。それなのにお兄ちゃんってばあんな女達と結婚や婚約して、沙花叉の事ほったらかしにするんだから……お兄ちゃんに必要なのはあんな女達なんかじゃない、お兄ちゃんには沙花叉だけいれば良いの。だからお兄ちゃんもあの女達を捨てて此処で沙花叉と一緒に暮らそ?そしてお兄ちゃんと沙花叉でいっぱい愛しあって子供沢山作って幸せな楽園を作ろ♡大丈夫、此処には沙花叉達以外は誰も来られないから。お兄ちゃんを狙う悪い女は沙花叉が全部お掃除するからね♡」

 

……ヤバい、これはヤバ過ぎる。クロヱの眼に全く光が宿ってない。まさかクロヱがこんな病むような娘だったなんて……足には鎖が付けられているから逃げる事も出来ないし、何より此処が何処かも分からないから逃げようがない。スマホは……やっぱり取られてるか……

 

「それじゃあお兄ちゃん……沙花叉とたっぷり愛しあいましょうね♡」

 

……もうこれは今のところ身を委ねるしかないか。下手に刺激すると後が怖い……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―一方その頃―

 

「な、何これ……?」

 

リビングにやって来たフブキ達がテーブルの上に置いてあった物を見て絶句していた。そう、それは玲二の名前が記載された離婚届だったのだ。しかも、既に結婚しているメンバー全員分のがきっちり置かれていた。

 

「れ、レイくん朝から姿が見えないと思ったら……どうしてこんな……」

 

「う、うぅ……ラミィ、折角玲二さんと結婚出来たのにぃ……」

 

「玲二君、私達の事嫌いになっちゃったのかな……?」

 

唐突な出来事に結婚組もそうだがまだ婚約最中の娘達もショックを受けて泣いていた。しかし……

 

「いや皆落ち着きなよ。これ明らかにレイっちの字じゃないじゃん?」

 

「うん、レイくんの字ってこんなに汚くないよね」

 

『え……?』

 

ぼたんとおかゆの指摘を受け離婚届を見ると、確かに佐々木玲二の文字がかなり汚く書かれていた。寧ろこれをパッと見て玲二の名前かどうか分かりづらい感じもある。しかもよく見たら玲二の名前も伶二と間違えてる。

 

「………これって、沙花叉の字でござるよね?」

 

「確かに、この汚さは新人の字だな……」

 

「クロヱちゃんの?!じゃあこれ書いたのクロヱちゃんって事!?」

 

「……そう言えばクロヱちゃんも今朝からずっと姿が見えないけど?」

 

離婚届を書いた犯人がクロヱだと分かり、しかもその本人は玲二同様今朝から姿を見ていない。其処から考えられる事は……

 

 

 

 

 

「……新人の奴、パパを連れ去りやがった!!」

 

「しかも離婚届まで用意して、ウチ等から引き離そうとして!あの娘完全にレイさんを独占する気だよ!!」

 

新しく入った新人が玲二を連れ去り逃亡するというまさかの展開に一同驚愕。そしてすぐさま玲二の部屋を確認すると案の定スマホ等居場所が分かるような物は全てベッドの上に置かれていた。

 

「こ、こうしちゃいられないよ!?早くレイくんを探さないと!」

 

「そうですね、獣人族で本能覚醒出来る方はご主人様の匂いを辿って探しましょう!それ以外の方は街へ出てご主人様の目撃証言がないか聞き込みをお願いします!!」

 

『おぉーーーッ!!』

 

玲二と、そして玲二を連れ去ったクロヱを見つける為一同は手分けして二人の捜索に出るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―それから数時間後―

 

「……どう?フブキちゃんミオちゃん、玲二の匂い分かる?」

 

「スンスンッ……確かにこっちからレイくんの匂いがしますが……」

 

「スンスンッ……なんだろう?匂いがどんどん薄くなってる。普通は近づく程匂いは強くなる筈なのに……」

 

玲二の匂いを辿って海辺に辿り着いたフブキ達は一生懸命に匂いの元を辿るが、何故か匂いがどんどん薄れていき分からなくなっていた。そして……

 

「スンスンッ……………ッ!レイくんの匂い、此処で切れてる……」

 

「え?でもこの先って……」

 

遂に匂いが完全に分からなくなってしまった。そう、匂いが切れた場所は海の方向だったのだ。おそらく、クロヱは玲二を抱き抱え海へと飛び込んだのだろう。

 

「そっか、クロヱちゃんってシャチの獣人だから泳いでレイくんを連れ去ったんだ。僕達がレイくんの匂いを追えるのを分かっていたから……これは完全にやられたね」

 

「そ、そんなぁ、これじゃあこおね達匂いを追う事が出来ないよぉ……」

 

例え本能覚醒出来ると言えど、潮の匂いで玲二の匂いがかき消されては探しようがない。オマケに玲二を連れているからそんな遠くには行けないとはいえ、こんな広大な海を手掛かり無しで探すのは至難の業である。最早万事休すな状況だった。

 

「……ねぇ、此処はシロに任せて♪」

 

「え?シロちゃん、任せてって一体……」

 

そんな中、シロは海に向かって何かを始めようとする。一体何を?そう思っていたら……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「スゥーーッ……―――――――――!」

 

「わあぁッ?!な、何この声?!」

 

「す、すっごく甲高い声……ッ!頭に響くぅ……ッ!?」

 

いきなりシロは通常の人間では出せないような甲高い声をあげ始めた。すると……

 

―ザバァッ!―

 

「あ、あれって!?」

 

「い、イルカ?!なんでイルカが此処に?!」

 

まるでシロの声に呼ばれたかのように白いイルカ達が現れ、そしてシロへと近づいていく。

 

「―――、――――。―――――?」

 

「―――、――――――。――――、―――――」

 

「え?し、シロちゃん?もしかして、イルカと喋ってる?!」

 

「ウソ?!シロちゃんってそんな事出来たの?!」

 

当たり前のようにイルカと会話?しているシロに驚きを隠せないフブキ達。そして

 

「……ありがとう皆♪また今度遊びに来るね♪」

 

「―――――♪」

 

シロはイルカ達にお礼を言って頭を撫でるとイルカ達は嬉しそうに笑い去って行った。その直後、シロは何やらおもむろにストレッチを始め出した。今度は何をするつもりなのだろうか?

 

「それじゃあ皆は此処で待ってて。シロ、玲二の居場所が分かったから行ってくるね♪」

 

「え、居場所が分かったって一体―ザッパァンッ!―ってシロちゃん?!」

 

フブキが聞く間もなくシロはいきなり海に飛び込み泳いでいった。そのスピードはかなり速く、あっという間にフブキ達の視界から消えてしまった。

 

「し、シロちゃんって本当にただの人間なのかな……?」

 

「もしかして、シロちゃんも獣人族だったりして……?」

 

あまりにも急な出来事に一同ポカーンと開いた口が塞がらない状態であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―そしてその頃―

 

「……はふぅ♡お兄ちゃんってやっぱり凄いですね♡こんなにしたのにまだ元気だなんて♡」

 

……あれからずっとクロヱは俺の事を求め続け、漸く満足したのか解放してもらえた。とはいえ鎖には繋がったままだが……

 

「それじゃあお兄ちゃん、ご飯を食べたらまた続きしましょう♪まだまだ二人っきりの時間は始まったばかりなんですから♪」

 

「……頼むクロヱ、此処から解放してくれ。そうじゃないと「まだそんな事言うの?何度も言うけどお兄ちゃんにはあんな女達必要ないよ。お兄ちゃんには沙花叉さえいればずっと幸せなんですから、余計な事は全部忘れて下さい」……クロヱ」

 

ダメだ、今のクロヱに何を言っても通じない。情緒も安定してないのかタメ口と敬語が入り雑じってるし、こうなったら少し強引だが時間をかけてでも鎖を壊すしかないか。

 

「さあお兄ちゃん、ご飯が出来たので一緒に食べましょう♪」

 

そう考えてたらクロヱが笑顔で焼き魚を持ってきた。もしかして飯ってそれだけ?せめて野菜とかねぇのか?いやそういう問題でもねぇか。とにかく今は食って体力回復して、クロヱを満足させたらその後どうするか考えるか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―バアァンッ!!―

 

「「ッ?!」」

 

「アハ♪玲二見ぃーつけたぁ♡」

 

焼き魚を食べようとした瞬間、突然廃屋の一角の壁がぶち破られ、そして其処から現れたのは斧を持って笑顔を浮かべているシロであった。めっちゃホラーチックでちょっとビビっちまった……

 

「な、なんで此処がバレたの?!此処離れ小島で周りには気づかれない筈だったのに?!」

 

「そんなの、イルカさん達に教えてもらったんだよ。久しぶりに結構な距離泳いだけどまだまだイケるもんだね♪」

 

は?此処離れ小島だったの?しかもシロ、お前今泳いできたとか言わなかったか?

 

「ど、どうしてただの人間の貴方が……?!」

 

「あれ、シロ言ってなかったかな?シロはイルカ族のハーフだから普通の人間よりかは泳げるんだよ♪」

 

「え?!シロ、お前獣人族のハーフだったの?!」

 

初めて知ったぞその情報!?道理で時々人間離れした動きが出来たのか!あれは全部イルカ族の柔軟性や跳躍力からきてたんだな……

 

「さーてと……よくも玲二をこんな目にあわせてくれたね?シロ、久しぶりに頭にキテるから覚悟しなよ」

 

「ヒィッ……?!」

 

ってそんな事よりヤバい!?シロが久々にキレてやがる!?一度キレたシロは誰だろうと止める事が出来ない!このままだとクロヱの命が危ないぞ!?

 

「お、落ち着けシロ!俺は特に酷い事されたワケじゃないし、クロヱだって悪気があってやったワケじゃ……!」

 

「何言ってるの玲二?離婚届まで用意して、シロがいなかったら見つかる可能性が低かったこんな離れ小島に玲二を連れ去っておいて悪気がないワケないじゃん?玲二を一人占めしようとしたこの娘を許せるワケないでしょ?」

 

「………え?クロヱ、お前そんな事したのか?」

 

「う、うぅ………だって!お兄ちゃんは沙花叉のモノだもん!沙花叉にはお兄ちゃんしかいないから!それなのにお兄ちゃんが他の女に取られるなんて、沙花叉には耐えられないモン!!」

 

クロヱは心の叫びをあげながら俺に抱きついてきた。その目からは涙が溢れ出ており、俺の事を離さないと言わんばかりに腕に力をいれていた。けど……

 

「まだそんな事言えるんだね?これは少し痛い目見せなきゃ「シロ、少しクロヱと話させてくれないか?頼む」……しょーがないなぁ。玲二、早く済ませてね」

 

俺の真剣さが伝わったのか、シロは渋々ながらも斧を下ろし下がってくれた。さてと……

 

「お、お兄ちゃ「クロヱ、はっきり言うぞ。俺は今のお前が嫌いだ」ッ?!」

 

俺の言葉にクロヱは目を見開き絶望の表情を浮かべる。だが俺は……いや、だからこそ俺ははっきり言わなくちゃいけないんだ。

 

「今の俺がいるのはあいつ等が、俺の大切な娘達が一緒にこの先の人生を歩んでくれると誓ってくれたからだ。それを、自分勝手な理由で引き離そうとして自分だけ独占しようとするお前なんて、俺は嫌いだ」

 

「そ、そんな……」

 

「だから俺はお前だけのモノにはならない。俺のこの先の人生は、皆と一緒に歩んでいきたいから」

 

俺が其処まで言うとクロヱは泣きじゃくりながら崩れ落ちていく。そしてその間にシロが俺の足についてた鎖を切り離してくれ、漸く俺は身動きがとれるようになった。

 

―ギュウッ……―

 

「…………ふぇ?」

 

「……済まなかったなクロヱ、お前の気持ちに気づいてやれなくて。お前が俺の事好きでいてくれて嬉しかったよ」

 

俺はクロヱをそっと抱きしめ、ゆっくりと頭を撫でていく。

 

「俺の人生はもう俺だけのモノじゃない。俺の事を好きになってくれて、俺の事を支えてくれるあいつ等の為にも俺はお前だけを好きにはなれない。けど、こんな優柔不断な俺で申し訳ないが、もしそれでも良いというなら……これからも俺と、皆と一緒に歩んでくれないか?」

 

……これが今の俺が出来る精一杯の答えだ。優柔不断とか女誑しとか言われても良い。俺は、俺の事を好きでいてくれるあいつ等の事を支えてやりたい、そう願ってるから。

 

「………お兄ちゃんのバカ。優柔不断、浮気者」

 

「……うん」

 

「……沙花叉はお兄ちゃんが他の女に取られるのが嫌。でも、お兄ちゃんが束縛した事でお兄ちゃんの心が沙花叉から離れていくのはもっと嫌。お兄ちゃんがあの人達の事そんなに大切に想ってるなら、沙花叉はもうお兄ちゃんを束縛出来ないし何も言えない……だったらお兄ちゃん、これからは沙花叉の事も愛して。沙花叉の事も皆と同じくらい愛して下さい」

 

クロヱが泣きながら俺にお願いしてくる。本当は一人占めしたいのだろうが、俺の気持ちを理解してくれたようでそれ以上は何も言ってこなかった。ありがとう、クロヱ……

 

「絶対に後悔なんてさせない。お前の事も、一生大事にする」

 

「うん……約束だよ、お兄ちゃん」

 

―チュッ♡―

 

クロヱは俺に軽く口づけをして寄り添ってきた。ひとまず、これで大丈夫かな?

 

「……シロ、もうクロヱの事を許してやってくれないか?頼む」

 

「もう玲二ってば、本当に女の子にはとことん甘いよね?けど、そんな優しくて甘い玲二だから皆好きになったんだけど……分かった、シロからはもう何も言わないよ」

 

シロも呆れ気味だったが取り敢えず斧を捨てて許してくれたようだ。良かった、これで後は二人と一緒に帰るだけだ。クロヱの事は皆にも許してもらえるようにしないと……

 

「っておいシロ、なんで今服脱いでるんだ?」

 

「え?だってシロ泳いで来たから服びしょ濡れだもん。それに二人のそんな格好見たらシロもなんだかムラムラしてきちゃった♡」

 

……そうだ、少ししんみりした感じだったが今の俺とクロヱは先程までハッスルしてたから何も着ていない状態だ。て事は……

 

「それじゃあクロヱちゃん、仲直りの記念にシロと一緒に玲二を気持ち良くさせよ♪シロが気持ち良くさせる方法沢山教えてあげるね♪」

 

「え……は、はい、お願いしますシロ先輩///」

 

やっぱ喰われるのか……はぁ、多分今夜は帰れんなこれは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※此処からはこちらでは表現出来ない内容です。気が向いたら裏話に載せます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―その後―

 

「……で?クロヱちゃんを説得したのは良いけどその後シロちゃんも一緒に混ざって朝までして、その結果風邪引いたと?」

 

「め、面目ない……ゴホッゴホッ」

 

あの後俺は案の定風邪を引いてしまった。そりゃこんな寒い中あんな冷たい海の中移動されて、焚き火があったとはいえ服も着ないでハッスルしてたらそりゃそうなるよな。我ながら情けない……

 

「まあ、クロヱさんの件についてはもうみしろ達も何も言いません。今回の事は充分反省しているみたいですし、皆許す事にしました。ですが、ご主人様もこれに懲りたらむやみやたらに女の子に優しくしないようにして下さいまし」

 

「……肝に銘じます」

 

はぁ、フブキとみしろの視線が冷たい……でもまあ、俺がもっとしっかりしていればこんな事にはならなかったからな。今後はもう少し考えてから行動しないとな……にしても

 

「ゴホッゴホッ……お兄ちゃん、ごめんなさぁい……ケホッ」

 

「まさか新人まで風邪引くとはな、シャチの獣人のクセに」

 

「沙花叉ってホント結構抜けてるわよね?」

 

「る、ルイ姉酷いよぉ……ヘックチッ!」

 

まさかクロヱも一緒に風邪引くとはな。シロは全然平気だったのにな?まあこれも罰だと思って今は治す事を優先しないとな。

 

こうしてクロヱによる玲二誘拐事件は玲二とクロヱが風邪引いて戻って来たものの無事幕を閉じたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―その頃―

 

「はあ~♪風邪引いた玲二くんも普段の格好良さとは違って可愛くて良いなぁ♡またこよのお気に入りコレクションが増えちゃったなぁ♪」

 

別室では風邪を引いた玲二の写真を見てうっとりしている娘がいたとかいなかったとか……




はい、という事でクロヱ回でした。最近この娘見てたら予想以上にPONでホロライブ内でもトップクラスに好きになってしまいました、最推しはフブキのままですがw

次回はこより辺りの話にしようと思います。気長に待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第34話『スナップトラブル』

最近プラモ関連の話を出来てないので今回こそはって思ってたのですが結局関係のない話になってしまいました……

今回はこよりの話、というよりこよりが起こす事件となります。最後まで楽しんで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


ホロライブマンションのとある一室、その部屋からは何やら薄気味悪い笑い声が昼夜問わず聞こえてくるそうである。一体何が行われているのやら……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はうぅ~ん♡やっぱり玲二くんのこの笑顔、最高にたまんないよぉ~♪やっぱこの写真はボクのお気に入りナンバーワンだよぉ~♡」

 

―ハスハスハスハスクンカクンカクンカクンカッ―

 

……其処にいたのはこの部屋の主である博衣こよりであった。ただ、玲二の写真を眺めながらおそらく玲二の部屋からパクったであろう枕の匂いを嗅いで興奮しているその姿は完全に薬物中毒者のようでかなり怖い事になっている。

 

「はあぁん♡玲二くんがこよから離れて十年以上経つけど、その間ドローンとか使って写真を撮り続けて良かったぁ~♪そう最早これはただの写真じゃないよ、神がくれた贈り物だよぉ~♡「…………こよりちゃん何してるの?」……ふぇ?」

 

写真と匂いを堪能していると突然後ろから声をかけられ振り向くと、其処にはアカリとロボ子が苦笑いでこよりを見ていた。流石に恥ずかしい処を見られたこよりも徐々に顔が真っ赤になっていき冷や汗をだらだらかいていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふえぇーーーーーッ!見ないで、こんなこよを見ないでぇーーーーーッ!///」

 

「ま、まあまあこよりちゃん落ち着いて……」

 

自分の醜態を見られたこよりはベッドに顔を埋めてじたばたしていた。それでも玲二の枕を手放したりしていないが。

 

「にしてもよくこんなに沢山写真撮ってたね……」

 

そう、それよりも驚くのはこよりの部屋の壁一面に玲二の写真がズラっと貼られていたのである。しかも乱雑にではなく一枚一枚丁寧にラミネートされて綺麗に並べて貼っており、更に右端には『こよのお気に入りベスト5』という枠があり、其処には五枚の写真がアクリルケースに厳重に保管されていた。

 

「ご飯を食べてる時の玲二に運動してる時の玲二……」

 

「それにマスターがボク達とハッスルしてる時の写真まである……こよりちゃん、これって一体どういう事?」

 

「ふえぇ~………え?あ、それね、それはこよが今まであらゆる機材を駆使して撮ってきた玲二くんの写真だよ♪名付けて『玲二くんコレクション』略して『レイコレ』!」

 

ロボ子に聞かれこよりはピタッと泣き止み自慢気に今まで撮ってきた写真を見せてくる。どうやら壁だけではなくその近くの棚にあるアルバムにも写真が沢山あるらしい。

 

「す、凄いよこれ、少なくとも五千枚はあるよ」

 

「ホントよく撮ったねこんな写真…………ッ!?こ、これは……///」

 

「あ、そのアルバムはねぇこよの秘蔵アルバム『レイコレアダルト』だね♪どう?玲二くんの○○○立派に写ってるでしょ~♡///」

 

アカリが偶々開いたアルバムにはなんと玲二の○○○がドアップで写し出された卑猥な写真がズラっと並んでいた。唐突の事でアカリとロボ子の顔が真っ赤になりオーバーヒートを起こしてしまう。

 

「こ、ここ、こんな卑猥な写真ダメだよ!これはアカリが責任持って頂……いや回収するから!///」

 

「い、いやいや!マスターの威厳を守る為にこれはボクが貰……じゃなくて処分するから!///」

 

「ちょッ!?そんなの絶対ダメだってば!それはこよがこれまでドローンやいろんな機材使って撮ってきた汗と涙の結晶なんだから勝手に盗ろうとしないでぇーーーーーッ!!」

 

レイコレアダルトを処分という建前で奪おうとするアカリとロボ子から取り返そうと必死に追いかけようとする。が、運動神経が壊滅的に悪いこよりはすぐにバテてヘロヘロ状態になってしまうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「グフフフフ~♪玲二の立派なメガ・バズーカ・ランチャーの写真がこぉんなにぃ~♡これはアカリのお宝に加えよーっと♪「ちょっと待ってアカリちゃん」……何かなロボ子ちゃん?」

 

「その写真はマスターの威厳を損ねる可能性があるからそれはボクが処分するからこっちに渡してくれないかなぁ?」

 

ロボ子は笑顔で写真を渡すようアカリに言うが、その目はまるで獲物を狙う野獣のようにギラギラしている。

 

「えぇ~?そんな事言って、ロボ子ちゃんもこの写真欲しいんでしょ?でもダーメ♪これはアカリが一生の宝物にするんだから♪」

 

「……そう、それなら実力行使で奪うまでだよ!」

 

「へぇ、やれるモンならやってみなよ!」

 

ロボ子がレイコレアダルトを奪おうとアカリに襲いかかるが、アカリもかわしながら死守していく。しかし……

 

 

 

 

 

―ヒュンッ―

 

「「あぁッ?!」」

 

動き回ってる最中アカリの手からレイコレアダルトが飛んでしまい、中庭へと落ちてしまった。(現在アカリ達がいるのは三階)其処に

 

「あれ、なんだろこれ?」

 

偶々ペット達と遊んでいたスバルがレイコレアダルトを拾って中身を見てしまった。

 

「………………ッ?!!!こ、これって男の人の!?しかもこの大きさって兄ちゃんの……!?は、は、はは、はにゃあぁぁぁぁ……///」

 

スバルには刺激が強過ぎたのかその場で顔を真っ赤にして気絶し倒れてしまった。

 

「あれ?スバル、どうかしたのか?ってあれ、なんだろこれ?」

 

其処に一緒にいたあやめもレイコレアダルトを見つけてしまい中を確認しだす。

 

「ッ?!こ、この150ガーベラストレートは間違いなく玲二様の………ゴクッ、そ、それじゃあ余はそろそろ部屋に戻ろうかなぁ~?///」

 

あやめは白々しく何事もなかったかのように部屋へと戻ろうとしていた。そして中庭から出たと同時にアカリとロボ子も漸く下りてきたが一歩遅かったようだ。

 

「ハァ、ハァ……あ、あれ?レイコレアダルトが落ちてない?!」

 

「そんなッ?!ってさっき此処にあやめるがいたよね!?ねぇスバル、あやめる知らない?!」

 

「うぅぅぅ……に、兄ちゃんの、兄ちゃんのハイメガランチャーがいっぱいぃ~……キュウゥ~///」

 

「……ダメだ、スバル使い物になんなくなっちゃってるよ」

 

あまりにも衝撃的過ぎるレイコレアダルトを見てスバルは未だに目を回しながら気絶している。仕方なく二人はあやめは室内に戻ったと考えスバルをほったらかして中に戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふんふんふーん♪」

 

「あれ?あやめちゃんなんか機嫌良いね。どうしたの?」

 

「あ、おかゆ~♪実はさっき良い事が起きたんだ~♪」

 

レイコレアダルトを手に入れ上機嫌におにぎりを食べてるあやめだった、が…………

 

「あれぇ?あやめる、これ何なの?」

 

―ヒョイッ―

 

「え………あ!?そ、それは!」

 

油断していたのか、後ろからやって来たころねに気づかず膝に乗せていたレイコレアダルトを取られてしまう。

 

「なんだろこれ…………………ッ?!!!?き、き…………きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!?/////////」

 

―バタンッ!キュウゥ~……―

 

「ころさんッ?!い、一体何が……ッ!?こ、これは……ッ!?///」

 

中身を見たころねがあまりのショッキング内容に耐えきれずその場で気絶してしまい、慌てておかゆも中身を見ると顔が真っ赤になり尻尾もピーンッと伸ばす。

 

「こここ、これは間違いなくレイくんのアグニッ!!///あ、あやめちゃんなんてこんな素晴ら……じゃなかった卑猥な写真を!?こ、これは他の娘に見られたら大変だから僕が厳重に保管しておくからッ!!」

 

「ちょおッ!?ちょ、ちょっと待ってよおかゆ!それは余が手に入れたお宝……じゃなくて危険物だから余が責任持って封印しておくから早く渡すんだ余ッ!!」

 

レイコレアダルトを巡り対立するおかゆとあやめ。まるで大切な何かを賭けて戦うかのように真剣な表情で睨み合うが賭けている物があまりにもくだらな過ぎるのでなんか締まらない。其処に

 

「ふえぇ~……こよのレイコレアダルト返してぇ~」

 

「……え?こ、こよりちゃん?」

 

漸く追いついたこより。しかし、体力がないせいで既にヘロヘロ状態、立つのがやっとの状態だった。

 

「ふえぇ、無駄に広いよこの家ぇ~………ってあぁーーーッ!!それ、こよのレイコレアダルトぉッ!それこよの大切な物なの、返してよぉーーーッ!!」

 

「えッ?!これこよりちゃんの物だったの!?だ、ダメだよこんな危ない写真………あぁもう建前なんていいや!これは僕が貰うからッ!」

 

最早建前すら捨てたおかゆ。その瞳はまるで野獣のようにギラついている。

 

「ちょおッ?!おかゆ卑怯だ余ッ!それは余が手に入れた物だぞ!」

 

「違うよッ!それはこよがこの十年間頑張って隠し撮りしてきた努力の結晶なんだから返してよぉッ!!」

 

レイコレアダルトを巡り睨み合う三人。更に

 

「あぁーーーーーッ!やっと見つけたぁッ!!」

 

「さああやめる!さっさとマスターのバスタートマホークの写真を渡しなよ!!」

 

「ゲッ?!アカリちゃんにロボ子先輩!?」

 

騒ぎを聞きつけ合流するアカリとロボ子。これにより五人の少女達が集結してしまった。

 

「………そう、アカリちゃんとロボ子先輩もなんだね?だったらもう遠慮はしないよ!僕の全てを賭けてこのアルバムは頂くよ!」

 

「させぬッ!それは余の玲二様コレクションの一つにさせてもらう余ッ!!」

 

「へぇ、皆アカリの事邪魔するんだ?だったらもう容赦しないよ!レイコレアダルトを手に入れるのはこのアカリだよ!!」

 

「マスターの威厳を守る為に、そしてマスターのお宝を手に入れる為にボクは戦う!!」

 

「皆勝手な事言わないで!これはこよの大切な写真なんだからあぁッ!!」

 

一触即発の空気、五人は凄まじいオーラを放ちながら互いに牽制しあう。そしてこれからレイコレアダルトを巡る戦いが始まろうとする!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前等何騒いでんだ?」

 

『ッ?!!』

 

と其処にこの家の主である玲二が登場。五人は思わず身体が固まりその場で止まってしまう。此処からは玲二視点で進めていこう。

 

「れ、レイくん?もう体調は大丈夫なの……?」

 

「あぁ、もうすっかり良くなったよ。久々に風邪引いたから辛かったなぁ。で、お前等一体何騒いでたんだ?なんかレイコレなんとかって聞こえたけど」

 

「え、えーと、それは……」

 

?一体どうしたんだ?皆汗ダラダラに流して止まってるけど……もしかしてこいつ等、俺のいない処でまた変な事してたんじゃないだろうな?

 

「ご……ご主人様、ちょっと失礼します///」

 

「ん?どうしたみしろ?なんか顔が赤いけど……」

 

「い、今おかゆさんの手に持っていたアルバムを拝借して中身を確認したのですが……///」

 

「え………あぁーーーーーッ?!い、いつの間にぃッ!?」

 

?なんだこのアルバム……………………………………………………………………………………

 

「……………………お前等、全員其処に座れ」

 

「え?えぇーっと、あの、マスター?ぼ、ボク達の話も聞いてくれたら嬉しいかなーって「座れ」……はい」

 

それから俺はこのバカ共に約三時間に渡るお説教をするのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さぁーてご飯の時間ですよー♪ってあれ?あやめとおかゆとロボ子さんは?」

 

「そう言えばアカリちゃんもいないね?」

 

「それを言ったら博士も……パパ、何か知らないか?」

 

食事時になり他の娘達が集まるも先程の五人だけはこの場にいなかった。因みにスバルところねは今みしろによって看護されているので省かれている。

 

「あぁ、あのバカ共は今お寺でお仕置き中だ。最低でも二週間は帰って来ないから」

 

『?』

 

一体何があったのか分からない皆はただ首を傾げるだけだった。流石に今回の件はとても許せる事じゃねぇからしっかり反省してもらわんとな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―その頃―

 

「ふえぇ~、なんでこよがこんな所に来なきゃなんないのぉ……?」

 

「貴方方は煩悩にまみれております。したがって此処でしっかり修行を積んで邪念を祓って差し上げましょう」

 

「いや、アカリは別にそんなの頼んでな「渇ッ!!」痛ぁッ!?」

 

山奥にある厳しいと噂のお寺に連れて来られ二週間の修行を言い渡された五人は和尚さんにより早速座禅を組まされていた。因みにレイコレアダルトは玲二の手によりしっかりと処分された。

 

「うぅ~、スリープモードになったらそのまま海の底に封印するなんてぇ……」

 

「もう余達このまま反省するしかないよね……」

 

「そうだねぇ………はぁ」

 

「其処ッ!お喋りはしないッ!渇ッ!!」

 

―バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシ-ンッ!―

 

「「痛あぁッ!」」

 

「ってなんで余だけ二回ぃッ?!」

 

まだまだ始まったばかりの修行。果たして五人は無事に下山する事は出来るのだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―オマケ―

 

「うぅ、兄ちゃんのハイメガランチャーがぁ……///」

 

「れ、玲二の、玲二のゼンリョクゼンカイキャノンがぁ……///」

 

「……お二人には刺激が強すぎましたね。確かにあのアルバムはとんでもない破壊力でしたし……みしろも気を抜いたら気絶しそうでしたし//////」

 

レイコレアダルトのせいですっかりやられてしまったスバルところねが復帰するのに四日かかってしまうのであった。




はい、という事で玲二の写真を巡る戦いのお話でしたw

流石にアレの名前をダイレクトに言うワケにはいかないのでいろんな表現にしてみましたがw

次回はルイかいろはのどっちかでガンプラの話をしたいですね。この二人に合うガンプラってなんでしょうね?
次回も気長に待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第35話『無礼講なブレイカー』

年末になるにつれどんどん忙しくなってきてます。皆さんも体調管理はしっかり行って新年を迎えましょうね(笑)

今回はルイのメイン回です。最後まで呼んで頂けたのなら有難いです、ではどうぞ!


「ムムム…………」

 

「うーん…………」

 

「うぅー…………」

 

?何やってんだあの三人?リビングに下りてみたらルイとぼたんとミオが何やらガンプラと睨めっこしていたけど、一体何をしてるんだ?

 

「おーいお前等、一体何してんだよ?」

 

「あ、レイレイ。実は私も皆に触発されてガンプラを作ろうと思って、其処で偶々暇してたぼたん先輩とミオ先輩に手伝って貰おうかなって思ったんだけどね………」

 

「今余ってるのがこれ等しかなくて、どれを作ろうかなって話し合ってたんだよね」

 

ほう、どれどれ………成る程、『バトローグ』シリーズか。確かに一つ除いて誰も手を出してなかったな。

 

 

『ガンダムブレイカーバトローグ』

ガンダムシリーズの中でガンプラを題材にした作品の一つである。新シリーズと言えば聞こえは良いがその実態は過去に登場したガンプラのリデコとなっていて、入ってるランナーの半数以上が既存のガンプラの流用になってる。その為か現在四種類出ているが一つを除いて完売までに時間がかかった店も多かったという。

 

「確かにこれはあまり手を出す気になれなかったな……」

 

「え、どうして?どれも格好良い機体だと思うんだけど?」

 

「うーん……実はこのガンプラ達、過去に出たガンプラをベースに改造した物だからあまり特別感がないというか……」

 

「それに一度は完売したもののすぐにネットショッピングで定価で出回ってるから急いで作ろうという気になれないんだよね」

 

そう、これ等はやろうと思えば過去に出たガンプラを組み合わせれば作れそうな感じの、所謂キメラのようなガンプラだ。そのせいでいまいち特別感のないガンプラになってしまった感じがする。

 

「そうなんだ、でもそれはそれで面白そうね」

 

「まあガンプラ作った事ないならそうだろうな。んで、ルイはどれを作ろうと思ってんだ?」

 

「んーーー…………それじゃあこれにしようかしら」

 

お、『ガンダムヘリオス』か。確かに翼的にルイにぴったりかもな。

 

 

『ガンダムヘリオス』

ガンダムブレイカーバトローグの主人公フドウ・リュウセイが手掛けた機体。フリーダム、デスティニー、Xのパーツをミキシングされたこの機体は高火力の武装を保持している。中でも特徴的なのがフリーダムの羽が反転しており、バックパックに備えられたサテライトキャノンとあわせて四つの砲台と両手のパルマフィオキーナから放たれる砲撃は凄まじい破壊力を誇る。

 

「成る程ねぇ、確かに羽もあるし似合いそうな感じはするね」

 

「うん、それにルイさんholoXの女幹部って名乗ってるからこういった火力の高い武装とか似合うかも」

 

「ああ、ただ色がルイと真逆な感じがするから其処は塗装するしかないな」

 

「まあ其処は私というより私達秘密結社holoXに合うような色にする“からー”、色だけに♪」

 

…………出たよルイお得意のおやじギャグ。こいつ隙あらばすぐにこういったギャグを言い放ってくるんだよな、しかも大体滑るし。現にぼたんとミオも固まったまま動こうとしない。

 

「……ルイ、お前まだそんなおやじギャグ言ってるのか?」

 

「えぇ~、でもこれでこそ私って感じしない?それに今の結構自信あったんだけど?」

 

「え、今のギャグで自信あったの……?」

 

「一瞬場が凍りついたんだけど……」

 

本当によくポンポンおやじギャグ出てくるよな、しかも滑っても気にしてないところが凄いわ。

 

「まあいいや、俺もついでに作るとするか」

 

「お、レイレイも一緒に作るの?どれにするの?」

 

「そうだな……やっぱりこれかな?」

 

そう言って俺は残る三つの中から一つ選んで手に取る。

 

「あ、やっぱりレイさん『パーフェクトストライクフリーダム』にするんだ?」

 

「まあ、これが今回の目玉でもあるしな」

 

 

『ガンダムパーフェクトストライクフリーダム』

ガンダムブレイカーバトローグのヒロインの一人ミヤマ・サナがストライクフリーダムをベースに改造した機体。登場作品のSEEDで主人公キラが最初に乗ったストライクガンダムの武装ユニットを全て装着したパーフェクトストライクをイメージし近接、遠距離両方に対応し、更にバックパックのストライカーにはストライクフリーダムを象徴するスーパードラグーンが装着されており遠隔操作での攻撃も可能になっている。まさにパーフェクトの名に相応しい機体となっている。

 

「やっぱりね、レイっちなら絶対それ選ぶと思ったわ」

 

「まあこれが今回の目玉だし、やっぱこういった武装てんこ盛りの機体ってロマンを感じるからな、それに今作らないと暫く作るタイミング無さそうだしな」

 

ホント、このキットだけ争奪戦になってたしな。他のはわりとその日の夕方とかに行っても残ってたけどこれだけ売り切れてたし。しかも買った帰りで近くのベンチに座って商品の写真を撮ってすぐにフリマサイトで出品してた奴もいたし、おそらくは転売目的で買った奴も多いのだろう。許すまじ転売ヤーめ。

 

「んじゃ早速作るか。今日は夕方くらいに他の娘も帰って来るし、それまでには仮組みと下処理と洗浄は終わらせれるだろう」

 

今日は平日だから学校組は四時半ぐらいまで帰って来ないからゆっくり出来そうだな。因みにフブキとちょことマリンは昨日遅くまで配信してたせいか爆睡している。

 

「それじゃあガンプラルームに行きましょう、早くしないと作る時間がヘリオス(減ります)からね♪」

 

「…………ホントよくポンポン出てくるな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―仮組み完了―

 

「よし、まずは仮組みは終了っと……ん?どうしたルイ、何かミスったか?」

 

「あ、ううん違うんだけど……やっぱりこの機体の羽が違和感あるなって思って」

 

「あぁ~確かに、なんでフリーダムの羽が反転して装着されてるんだろうね?」

 

「あれじゃない?一斉射撃する時に同じ場所に砲台が来ないようにするためじゃないかな?」

 

確かに、ヘリオスに着いてるフリーダムの羽は反転しているけどそうじゃなかったら肩の部分に砲台が集中してバランスが悪くなるし、そもそも互いが干渉しあって邪魔になってしまうな。

 

「とはいえ、このままだと確かに違和感出ちゃうよな。いっその事砲撃以外の時は羽をフリーダムと同じようにするか?」

 

「うーん……そうね。本当はなんとか背中の砲撃を腰にやる方法にしようと思ったけど、ガンプラ作るの初だし変に失敗したら嫌だから羽だけ反転して後は塗装だけにするわ」

 

それが良い。手際は良かったもののルイは今日が初のガンプラ作りなんだから下手に改造しようとしたら失敗する可能性の方が高い。此処は無難に作るのが一番だな。

 

「よし、仮組みを終えたし後は細かい処の処理をして洗浄して今日は終えるか」

 

「あ、ならルイさんウチ等も手伝うよ」

 

「え、ホントですか?」

 

「そうだね、ルイさんにはあたしもいろいろ聞きたい事もあるし、お喋りしながら一緒にやろうか♪」

 

お、ぼたんとミオがルイを手伝ってくれるみたいだな。なら俺も自分のを―~♪―って電話か?相手は……知らない番号だな。

 

「はい佐々木です……あぁ、お世話になってます。はい………えぇッ?!わ、分かりましたすぐに向かいます!」

 

「?レイっちどうかしたの?」

 

「いや、今ラプの通ってる学校から連絡があってな、どうやらラプが同じクラスの男子と喧嘩したらしい。だからこれからラプを引き取りに行くから俺のガンプラ片付けておいてくれないか?」

 

「う、うん分かった。レイレイ、ラプの事よろしくね」

 

言われなくても分かってるって。そんじゃさっさと向かいますか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………ラプちゃん一体何したんだろ?」

 

「さあ?ってかこういうのって普通実家とかに連絡いくんじゃないの?なんでレイっちの処に連絡がくるのさ?」

 

そう、いくらラプラスが玲二の事を父親のように慕ってるとは言え普通なら本当の両親に連絡がいく筈なのに、何故玲二に連絡がきたのだろうか?

 

「…………仕方ないわ、だってラプには本当の両親がいないんだから」

 

「え?本当の両親が……いない?」

 

「えぇ、ラプは物心ついた時から孤児院にいたのよ」

 

「「ッ?!」」

 

まさかのラプラスの出生を聞き驚く二人。確かにラプラスは現在小学生なのにホロライブに入ってこのホロライブマンションに住むようになるまでに両親との相談事等は一切なかったから不自然ではあったが、其処は玲二やYAGOOが予め手配していたものだと思っていたのだ。

 

「ラプは物心ついた時から既に両親がいなくて、代わりに院長や同じ境遇の子達はいたんだけど、それでもやっぱり親を求めてたんでしょうね。レイレイが父親になる前までは親なんていらないって維持張ってたけど、道行く親子を見て羨ましそうにしていたって院長も言ってたもの」

 

「それでラプラスって異様にレイっちに甘えてたんだ」

 

「ラプちゃんにとってレイさんは本当に父親のような存在になったんだね……」

 

両親がいないラプラスにとって優しくしてくれた玲二は実の父親同然の存在になっていた。そう思うと自分達が初日にやった手荒い歓迎が如何に愚かだったのか思い知らされてしまう二人だった。

 

「ウチ等、そんなラプちゃんに凄く申し訳ない事しちゃったな……」

 

「でもまあ皆には感謝してますよ、あの出会い方してなかったらもしかしたらラプもレイレイに甘えられてなかったかもしれないし」

 

「だとしてもだよね。本当ならあたし等が止めなきゃいけなかったのに六期生が来るってテンション上がってあんな事しちゃったし……」

 

あの時やった事によりラプラスは今でも自分達と距離を取ってしまっている。ラプラスの諸事情を知ってしまった今、余計に引け目を感じてしまうのであった。

 

「……そう思うならこれからはちゃんとラプの“母親”として頑張ってね。子は親の背中を見て育つと言いますから」

 

「?母親って、確かに前にフブキがラプちゃんと親子みたいな会話をしてましたけど……」

 

「あれ?聞いてないんですか?ラプはホロライブマンションに住む際に正式にレイレイの養子になったんですよ?」

 

「「………………………………………はあッ?!」」

 

今知らされた事実、ラプの玲二へのパパ呼びは形だけではなく正式な親子関係になっていたのである。そう、それが意味する事は……

 

「え、ちょっと待って……レイっちが正式に父親になったって事は……」

 

「それってウチ等も、ラプちゃんのお母さんになってたって事?!」

 

「そういう事、だから二人だけじゃなくて他の娘達もだけどこれからはラプの事、しっかり頼むわね♪」

 

唐突に自分達に娘が出来ていた事に同様を隠せない二人。ぼたんも珍しく顔が真っ赤になっている。

 

「う、ウチがラプちゃんのお母さん……///」

 

「そ、そう考えるとなんか照れるね///」

 

「あはは、二人とも顔真っ赤♪あ、それとこれも言い忘れてた事なんだけど……」

 

そう言ってルイはポケットから一枚の紙を出して二人に見せる。その紙は二人も見覚えのある物だ、なんだったらつい最近役所に提出したのだから。

 

そう、ルイが出したのは婚姻届だった。それも、玲二のサインもしっかり入ってる状態で。

 

「私もレイレイと結婚する事になったから、これから同じ妻としてよろしくね♪」

 

「「……………あ、はいこちらこそよろしく」」

 

「えぇッ?!なんか思ってた反応と違うんだけど!?てっきり驚くもんだと思ってたのに?!」

 

予想と違いあまりにもあっさりとした反応をする二人に驚き思わず立ち上がるルイ。

 

「いやだってね………」

 

「うん、大体予想ついてたし。なんだったら二日前にレイっちから話聞かされてたし」

 

「ウソォッ?!もう皆に伝わってるの!?折角サプライズで言おうと思ってたのにぃ~、ルイの“涙”腺崩壊しちゃうぅ~……」

 

思惑が外れてしまいしくしくと泣くルイ。しかししれっとおやじギャグを挟んでいる辺り流石である。

 

「………にしてもよく私がレイレイの事好きだなんて分かったわね?それにそれを分かった上で私もレイレイのハーレムに受け入れてくれるなんて」

 

「まあ、其処はあたし達も同じ感じだったからなんとなく分かるし………それに」

 

「最近のレイさん、夜が凄くなってきてウチ等だけじゃ手におえないようになってきちゃって……///」

 

「え、それって……///」

 

ルイが聞き返すもぼたんとミオは顔を赤くし顔を伏せるだけ。もうこの時点で何が言いたいのか大体察しがついたのでルイもこれ以上は追及しない事にした。

 

「そ、それよりルイさんってレイさんの中学生時代を知ってるんだよね?良かったらその頃のレイさんの話を聞かせてもらっても良いかな?ウチ等も大学時代の話を聞かせてあげるから」

 

「あたしも高校時代のレイっちの話ならいくらでも聞かせてあげるよ♪」

 

「ホント?ならレイレイの中学時代のエピソードを教えてあげようかな~♪まずはそうね……私とレイレイが出会うきっかけになった差別教師制裁事件の話からしようかしら?」

 

こうして三人は玲二との出会いの話で盛り上がっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―その後―

 

「それでラプちゃん学校で何があったんですか?」

 

「ああ、なんでもクラスの男子にカンチョーされて怒ってやり返してそれで喧嘩になったんだと」

 

「な、なんか思ってたより下らない事だったんですね?」

 

だろ?俺も何事かと思って慌てて行ってみれば物凄く下らなくて思わず頭を抱えてしまった。取り敢えず大事にならなくて良かったよ。にしても……

 

「はいラプちゃん、今日はラプちゃんの大好きなハンバーグだよ~♪ママ張り切っておっきいの作っちゃったよ~♪」

 

「はいラプラス、野菜も食べないと大きくなれないんだからしっかり食べような~♪」

 

「ほらラプちゃん、今日は食後にプリンも用意してるから後でママと食べましょうね~♪」

 

「な、なんだお前等急にどうしたんだ?!というか幹部、お前は別に吾輩のママではないだろぉッ!?」

 

「………何してんだあれ?」

 

「なんでもラプちゃんがレイくんの養子になってたって知って自分達もママとして接しようって事になったみたいで」

 

なんじゃそりゃ?まあ母親として頑張るのは良いがあまりラプを困惑させるなよ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―二日後―

 

「トップコートも乾いたし、後は組み立てて……よし、完成だ」

 

「うん、私達holoXの象徴『ガンダムホロックス』の完成ね♪」

 

あれから塗装を施しトップコートも噴いて漸くルイのガンプラが完成した。今回は初の組み立てと塗装だったがかなりうまくいったみたいだな。

 

 

『ガンダムホロックス』

ガンダムヘリオスのカラーをメインにガンメタブラックとパープルメタリックで塗装し、一部メタリックレッドとクリアピンクとシルバーとスカイブルーでラインを描き六期生holoXを象徴するカラーリングに仕上げた。

 

「うわぁ、オリジナルのカラーよりこっちの方がウチは好きだなぁ♪」

 

「確かに、六期生のイメージがしっかり出てるね」

 

「ええ、これで無事私の初ガンプラは終了ね。本当ならレイレイのガンプラと並べたかったけど」

 

「すまん、急にやりたい事思いついてな、その為のガンプラが届くまで保留にする事にしたんだ」

 

届くのも来週になるみたいだし、パーフェクトストライクフリーダムはそれまでお預けだな。

 

「兎に角これでルイのガンプラ作りは終わったし、折角だから昼飯は出前でも取るか」

 

「あ、ならウチウー○ーイー○に注文するね、何食べる?」

 

「そうねぇ……じゃあ私は“華麗”にカレーにしよっかな♪」

 

「結局最後までダジャレなんだね……?」

 

本当に懲りないよな……まあそれがルイの良い処なんだが。

 

こうしてルイの初のガンプラ作りは無事に終了するのであった。今度はholoX皆と作れたら良いな。




はい、という事でルイのヘリオス製作回でした♪

最近裏話の筆記も進んでないので近い内に更新しようかと思います。

次回はholoXの用心棒いろはの回です。次回も気長に待って頂けたなら幸いです、ではまた!


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第36話『赤き剣士見参!でござる』

今年も残すとこ後十日ですね。もう少ししたらクリスマスの話と正月の話を書かないと……(汗)

今回はholoXの最後の一人、いろはのお話です。今回も最後まで楽しんで頂ければ有難いです、ではどうぞ!


―カンッ!カンッ!カアァンッ!―

 

「フッ、ヤッ、ハァッ!」

 

「ヨッ、ホッ、ハッと……ソォイッ!」

 

―カキィンッ!―

 

「あぁッ!?風真の木刀が……!」

 

「其処まで!この勝負、 玲二の勝ちだにぇ!」

 

ふぅ、やっと終わったか。俺は今いろはに頼まれて剣術の練習試合を行っていた。偶々暇してたみこに審判を頼み中庭で何度か試合をし、現在いろはの木刀を弾き飛ばし漸く十試合を終えた処だ。因みに試合は全て俺が勝っている。

 

「うぅ~、やっぱり師匠は強いでござる……」

 

「まあアイドル達にもしもの事があったらいけないからな、それなりに鍛練はしているつもりだ」

 

「それにしても玲二って本当に強いよにぇ。多分勝てるのアキちゃんか団長だけじゃない?」

 

そんな事ないと思うけどな。現に本能覚醒したフブキ達には押し負ける事もあるし。

 

「それで師匠!風真の剣捌きはどうでござったか?」

 

「うーん……素直に言えば全然だ、闇雲に剣を振ってるだけだし振り方も荒すぎる。しかも攻撃仕掛けようとする度に叫びながら来るから予兆が丸わかりだ」

 

「ウグッ?!や、やっぱりでござるか……」

 

「うんうん、これならみこでも余裕で勝てるで♪」

 

お、みこがいろはを挑発してきたな。さていろはは乗ってしまうのか?

 

「むッ?ならみこ先輩、風真と一対一で勝負です!」

 

「望む処だにぇ!サンドバッグみたいにボコボコにしてやんよぉッ!」

 

やっぱり挑発に乗ってしまったか。果たしてこの勝負、どっちが勝つんだろうな?

 

 

 

―五分後……―

 

「うややややややややややややややーーーーーッ!!」

 

「にぇにぇにぇにぇにぇにぇにぇにぇにぇにぇにぇにぇーーーーーッ!!」

 

―ポカポカポカポカポカポカポカポカッ!!―

 

………なんだこれ?二人とも途中までは木刀使ってたのにいつの間にかお互い木刀捨ててポカポカ叩きあってる、子供の喧嘩かな?

 

「このこのこのぉッ!みこ先輩の赤ちゃん!舌足らず!」

 

「なにおぉッ!?いろはちゃんのなんちゃって侍!ばーかばーか!」

 

いやかなじゃないわ完全にこれ子供の喧嘩だわ。さて、そろそろ止めないとな。

 

「コラコラ、いい加減止めろって。これじゃあ小学生以下の喧嘩だぞ?」

 

「だっていろはちゃんがぁ~!ビエェェェェェェンッ!!」

 

「風真悪くないもん!先に叩いてきたのみこ先輩だもん~!フエェェェェェェェンッ!!」

 

いや小学生通り越して最早園児だよこれじゃ。

 

「はいはい、もう今日の練習はこれで終わり。この後は皆でお茶しようか」

 

「「グスッ、うん……」」

 

なんとか二人を泣き止ませ、俺達は練習を終えてリビングへと向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハムハム……うん!やっぱりドーナツは美味しいでござるな♪」

 

「ングングッ……ぷはぁ!やっぱミ○ドの○ン・デ・リ○グは最強やで♪」

 

リビングに戻り昨日買ってきた○スドのドーナツを笑顔で頬張る二人。まるでリスやハムスターみたいだな、兎に角泣き止んでくれて良かったわ。

 

「ズズッ……はぁ~♪でも本当ならあやめ先輩にもご教授願いたかったのでござる……」

 

「仕方ないさ、あいつ等はまだ寺から戻って来てないからな」

 

「でもホントになんであやめちゃん達寺に修行なんて行ってんの?」

 

「……………まあ罰だと思ってくれればいいさ」

 

「「?」」

 

本当にちょっと油断したらロクな事しないからなあいつ等。兎に角これを機に変な煩悩は祓って戻って来て欲しい。

 

「ところで師匠、今日の稽古はこれで終わりでござるか?」

 

「ん、そのつもりだが?」

 

「それならこれから一緒にプラモ作って欲しいでござる。風真も師匠や皆が作ってるところを見て一緒に作りたいと思ってこの間買ってきたでござる♪」

 

ほう?いろはもガンプラに興味があったのか。それなら今日は一緒に作ってみるか。

 

「ねぇねぇ、いろはちゃんは一体何を買ってきたの?」

 

「ちょっと待っててほしいでござる。えーと………あ、これでござる♪」

 

いろはが持ってた紙袋から一つの箱を取り出した。けどそれはガンプラでも、以前作ったデジモンでもなかった。

 

「…………これはまた珍しいな、まさか『ロックマンX』シリーズから『ゼロ』か」

 

「昔やってたゲームで格好良かったからつい買っちゃったでござるよ♪」

 

 

『ゼロ』

ロックマンXシリーズに登場する人型ロボット『レプリロイド』で、作中では異常を起こしたイレギュラーを狩るイレギュラーハンターである。真紅のボディに長い金髪、そしてゼロの代名詞とも言えるビームサーベル『ゼットセイバー』が特徴的なキャラクターであり、全ロックマンシリーズの中でもトップクラスに人気のあるキャラクターである。因みにこのゼロをはじめとするロックマンシリーズのプラモはガンプラとは違う会社が出している。

 

「てかゼロってプラモ化されてたんだにぇ?」

 

「ああ、ガンプラ作ってるとことは違う会社から出てるんだけどな。それにしてもいろは、よくこんな高い物変えたな?」

 

「エヘヘ、風真はあまり物を買ったりしないから結構お金貯まってるのでござるよ♪」

 

確かに、こいつ物欲があまりないのか必要な物以外はあまり買わないよな。だからこういうの買うのも意外だったし。

 

「それじゃあ早速作るか。処でいろは、お前プラモは作った事あるのか?」

 

「うーんと、小さい時に里の子と一緒に作った以来でござるな」

 

成る程、つまりはほぼ初心者なんだな。なら今回は無難に素組でやってくか。それじゃあいつもの工作ルームに行くとするか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そんじゃまずは説明書を見ながらパーツを切りだしていくか」

 

「はーい♪ってあれ?師匠とみこ先輩も一緒に作るのでござるか?」

 

「ああ、実は俺達もちょっと前にロックマンシリーズを買ったんだよ。俺のは『エックス マックスアーマー』だ」

 

「みこのは『エックス フォースアーマー』だにぇ!」

 

 

『X マックスアーマー』

『X フォースアーマー』

ロックマンXシリーズの主人公エックスがパワーアップした姿。本来のエックスは青いボディなのだがパワーアップしたアーマーは白を基調とした物に変化している。因みにマックスアーマーがX3、フォースアーマーがX4に登場するアーマーである。

 

「おぉー!これってエックスでござるか?でも風真の知ってるエックスとは姿が違うでござるな」

 

「え?これはX3とX4のアーマーだけど……いろはちゃんってXシリーズやってたんじゃなかったの?」

 

「里にいた時は友達が貸してくれたX2をやってたんですが、Xシリーズって4まであるのでござるか?」

 

「いやXシリーズは8まであるが、そうか2しかやってないんだな」

 

ならマックスとフォースのアーマーを知らなくて当然か。という事は……

 

「なあいろは、お前のゼロの印象ってどんな感じだ?」

 

「えっと、格好良い敵キャラだと思うでござる。ラスボスのシグマと戦う前に立ち塞がる強敵って感じかな?」

 

やっぱりか。幼い頃にやってたのもあって大まかなストーリーも覚えてないみたいだな。

 

「いろはちゃん違うで。ゼロはエックスの頼もしい仲間なんやで」

 

「えぇッ?!で、でも風真はゲームの中で確かにゼロと戦ったでござるよ!?」

 

「実はゼロって初代の時に敵と戦ってた時に自爆して一度倒れてしまったんだが、其処でシグマが部下を使ってゼロのボディを再生し洗脳して自分の配下に置いたんだよ。ストーリーの中でもその流れはあったんだが、幼い頃にやってたなら其処まで覚えてないか」

 

「そうだったでござるか?!あ、でも確かにそんな話があったような……」

 

多分いろははストーリーよりもアクション重視でやってたようだな。まあそれはいいや、話の続きは組み立てながらにするか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―組み立て中―

 

「よっと………処で師匠、ゼロが仲間という事はX3以降ではゼロも使えるのでござるか?」

 

「ああ、3だと限定的にしか使えないが、4からは選択式で使えるようになってるな」

 

「おぉーッ!それなら今度やってみるでござるよ♪」

 

そうか、それなら今過去作が遊べるアニバーサリーコレクションがあるからそれ買ってやれば良い。けどなんであれにコマンドミッション入ってないんだ?めっちゃ面白いのに……

 

「あれ?という事はいろはちゃん、もしかして黒ゼロって知らない?」

 

「黒ゼロ?え、ゼロって赤以外にもいるのでござるか?」

 

「うん、4から特殊なコマンド使ったり特定条件満たせばゼロの身体が赤から黒に変わるんだにぇ」

 

「そうだったのでござるか?!黒いゼロ、ちょっと見てみたいでござる……」

 

まあ厳密に言えば2でも見れたけどな。おそらくいろははそのルートをやってなかったんだな、いったとしてもすぐ退場したし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―細かい処の処理中―

 

「そういえばロックマンシリーズってX以外にもあったでござるよね?あれ等もエックス達と同じイレギュラーハンターなのでござる?」

 

「いや、そもそもロックマンってシリーズ事に世界観違うからな。人間をサポートするAIだったりするし、なんなら人間が変身して戦うロックマンもいるしな」

 

「その中でもXシリーズは人気が高いんだよにぇ。7は不人気だったけど」

 

「え?7って人気なかったんでござる?」

 

「あぁ、新しい事を色々やろうとして失敗してしまった作品だな。あれがなかったらもしかしたらXシリーズはまだ続いてたかもしれないし」

 

お陰でまだ解決してない謎とかもあるし、いつかX9とか出てくれると有難い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―組み立て完了―

 

「よし、これで完成だ」

 

「おぉ~ッ!これが風真のゼロでござるな♪って師匠のエックスにもビームサーベルが付いてるでござるか?」

 

「ああ、これも劇中でとあるルートでゼロから手に入るサーベルだな」

 

「うぅ~、みこのエックスには付いてないにぇ……」

 

仕方ないだろ、4は元々エックスとゼロは別行動してるんだから。それにしてもデジモンの時も感じたがこのガンダム以外のプラモも大分クオリティが高くなってるよな。今度からこういうのも作っていこうか?

 

「ねぇねぇ師匠!ロックマンの話をしながら作ってたら風真もまたゲームしてみたくなったでござる!だからこれからソフト一緒に買いにGE○に行くでござる♪」

 

「いやお前伏字の意味ないだろそれ………でも確かに俺もやりたくなったな」

 

「みこも久々にゼロシリーズやりたくなったにぇ!という事で早速三人で買いに行こー♪」

 

「おー♪」

 

結局その後俺達は三人でロックマンシリーズを買いにゲームショップに向かい、それぞれ欲しいゲームを買って皆で楽しく遊んだが途中でいろはが配信すれば良かったと少し後悔していた。なんだか久しぶりに平和な感じで一日が終わったような気がするな。




はい、という事でいろはとみこのロックマンプラモ製作回でした。ロックマンXのプラモは少し高いですがクオリティがめっちゃ良いので興味のある方は是非作ってみて下さい♪

次回はおそらくクリスマス回になると思うので気長に待って頂けたら幸いです、ではまた!


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第37話『狙われてる玲二』

新年早々従姉が遊びに来て其処の子供に積んでたSDガンダム根こそぎ持っていかれました(泣)

今回は正月のその後の話です。最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


クリスマスに元旦と無事に過ごせ、俺達は今年も変わらず平和な日々を送っている。そしてそんなある日、俺達は大型ショッピングモールへとやって来ていた。その目的は……

 

「ねぇそらちゃん、このベビーベッド可愛いよね♪」

 

「うん、ディ○ニーキャラクターがプリントされてて可愛いね♪」

 

「あ、このお洋服可愛いなぁ~♪」

 

「お洋服は生まれた後でも良いんじゃない?それよりもアタシベビーカーとかもみたいな」

 

「ならあっちにいろんなベビーカー揃ってたから見に行こう余♪」

 

そう、これから産まれて来る我が子の為のベビーグッズを揃えにやって来ていたのだ。クリスマスから正月にかけてフブキとそら、そしてミオとフレアとあやめの妊娠が発覚し社長から少ないが御祝儀と言われお金を渡されたのでそのまま五人と一緒にいろいろなベビーグッズを買い集める事にしたのだ。少し気が早いと思うが、俺達もそれなりに忙しい身だから買える内に買っとかないとな。

 

「さて、俺もおもちゃとか見ておこうか……………ってあれは」

 

ベビー用のおもちゃを見に行こうとした時、この場にいる筈のない見慣れた奴がガラガラやおしゃぶりとにらめっこしていた。なんであいつが此処に?ってか一体何をしてんだ?

 

「うーん、どういったのあげれば喜ぶんだろう?私こういうの買った事ないしなぁ……」

 

「………何してんだよカトリーナ?」

 

「………へ?」

 

俺はおもちゃとにらめっこしている赤髪の女性『アンジュ・カトリーナ』に声をかけた。そして俺の方を向いて少しすると顔が真っ赤になっていく。

 

「れ、れれ、れれれ玲二さん?!な、なんで此処にいるのッ?!」

 

「いやそれはこっちの台詞だ、お前こそ新年早々なんでこんな所にいるんだよ?」

 

こいつは俺達ホロライブとは別のアイドル事務所『にじさんじ』に所属しているアイドルで現在に残る錬金術師の末裔らしい。にじさんじのアイドル達とは全員ではないが何人かちょくちょく関わりを持っていて、カトリーナとも会う度に結構話したりする仲である。けどそんなカトリーナがなんで此処に?こいつ確か独身で彼氏とかもいなかった筈だよな?

 

「あ、いやその……実は今度私の高校時代の友達に子供が産まれるって言うから出産祝いに何か送ろうかなって思って……」

 

「成る程な、てっきり良い相手が見つかったのかと思ったけど」

 

 

 

―ピシッ………!―

 

 

 

……あれ?俺もしかして余計な事言ったか?なんかカトリーナが固まってしまったんだが―ガシィッ!―ってうおッ?!

 

「いるワケねぇだろぉ!?いたらエアフレンドとかで自分を慰めたりしないってーのッ!大体なんだよ結婚だの出産だの皆私の事置き去りにしやがってぇッ!!高校時代に言ってた私達ずっと友達だよってのも嘘だったのかよなんで私だけ未だに独り身なんだよおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!」

 

「ちょ、わか、分かったから首掴むな苦し………ッ!」

 

ヤバい、完全に地雷踏んでしまった。こいつ黙っていればかなり美人だからそれなりに相手はいる筈なんだが、如何せん結婚願望が強いせいか押しが強すぎてよく男に逃げられてるらしい。確かにこれじゃあ逃げられても仕方ない気がする。

 

「あれ?アンジュと……あぁッ!玲二さん!」

 

「え、ホンマに玲二さん?!どこどこ!?あーーーーッ!玲二さぁーーーーーんッ♪」

 

―ドゴォッ!!―

 

「うぐおぉッ?!」

 

カトリーナに首を絞められてる中、突然大声と共に何かが突進してきてそのまま倒されてしまった。めっちゃ痛ってぇ……

 

「玲二さんおはやよー♪久しぶりやねぇ♪」

 

「…………やっぱりお前か咲、相変わらず突進してくるのやめてくれないか?」

 

俺はなんとか起き上がり突進してきたパンダのフードを被った女の子『笹木咲』に注意をする。咲はテヘヘと笑うだけで全然反省してないようだ、この野郎。

 

「エヘヘ~♪ごめんなぁ、久しぶりに玲二さんに会えて嬉しかったんよぉ~♪」

 

「だからって突進してくんなよ、痛てて………」

 

「もぉさくちゃん玲二さんに会えたからって突進しちゃあかんよぉ」

 

咲が悪びれもなく笑ってる横で一緒に来ていたのであろうオレンジ髪に向日葵のヘアピンを着けた女の子『本間ひまわり』が近づいてきた。にしてもこの三人とまともに会うのかなり久しぶりだな。

 

「おう、本間も久しぶりだな。今日は咲と買い物か?」

 

「うん、社長からお年玉貰ったから一緒に新しい服買いに来たんだ♪玲二さんはアンジュさんと一緒?」

 

「いや、此処で偶々出会っただけだ。なんか急に怒って首絞められたけど」

 

「玲二さんが私の心を抉るような事言うからですよ!罰として玲二さん私を貰って下さいよッ!」

 

なんでそうなる?てか俺とカトリーナって其処までの仲ではないだろ?

 

「ちょっとアンジュ!婚期逃しそうやからって玲二さんに迫んなや!」

 

「まあまあさくちゃん落ち着きなって。それよりも玲二さんこそなんでこんな所に?」

 

「ああ、それはだな……」

 

「レイくぅーん、一体何してるんですかぁー?」

 

おっと、話し込んでる内にフブキ達が戻ってきたみたいだな。カートには沢山のベビーグッズが梱包されて入ってるとこからしてもう買い物は終わったようだ。

 

「あ、フブキちゃん久しぶりやね~♪」

 

「あ、ひまちゃん咲ちゃん、それにアンジュさんも久しぶり~♪何々、今日は皆で買い物?」

 

「お久しぶりですフブキさん。それよりも皆さんで買い物ですか?随分沢山買われたみたいですけど……」

 

「うん、今日は産まれて来る子供達の為にいろいろと買い揃えに来たんだ~♪」

 

 

 

―ピシッ……!―

 

 

 

あ、またなんかカトリーナが固まってしまった。いやカトリーナだけじゃない、咲と本間も固まってしまってる。

 

「産まれてくる、子供………?」

 

「え、ちょ、ま、待って?あの、フブキちゃん?産まれて来る子供達って、それにそのお腹ってもしかして………」

 

「あ、そうだった。ひまちゃん達に報告するの忘れてたけど、私達無事子供を授かる事が出来ました♪」

 

 

 

……………

 

 

……………………

 

 

 

………………………………

 

 

 

「「「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ?!!」」」

 

うおッ?!なんか黙ったと思ったらいきなり大声で叫びやがった!?回りにもお客さんいるんだからうるさくすんなよ!?

 

「え、ちょ、待って?!こ、子供ってその、相手って!?」

 

「そんなの玲二様以外いるワケない余?」

 

「そ、そんな……玲二さんがフブキちゃん達との子供を……うち、ずっと玲二さんの事好きやったのに………ウッ!?」

 

―バッタァーンッ!―

 

「さ、さくちゃん?!さくちゃんしっか………ッ?!大変!さくちゃん息してへんよ!?」

 

「はあぁッ?!お、おい大丈夫か咲!?しっかりしろ!!おいカトリーナ!お前も黙ってないでなんとか………ってこいつ立ったまま気絶してやがる?!」

 

ああもうッ!!只でさえ今悪目立ちしてんのにこのままだと余計に人が集まって来てしまう!仕方ない、此処はこいつ等も連れて何処か人気のない場所へ移動しよう!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―ファミレスにて―

 

「全く、少しは他の客の迷惑になるって事を考えろよ?お陰で大事になってしまうとこだったわ」

 

「「「ご、ごめんなさい……」」」

 

あれから人目につかない所で咲とカトリーナを起こし、落ち着かせる為にファミレスで飯を食う事になった俺達。漸く落ち着いてくれたのか今はおとなしくジュースを飲んでいる。

 

「それにしてもフブキちゃん、本当に妊娠してんだね?服の上からも分かるくらいぽっこりしてる」

 

「うぐぐぅ……玲二さんがホロメン達と結婚したって聞いてた時から何時かはこうなると思ってたけど、まさかこんなに早くくるとは思わんかった……」

 

カトリーナがなんか悔しそうにコップを握り締めてる。てかコップに皹入ってるから止めろって。

 

「……というか咲は大丈夫なのか?さっきからずっと黙って俯いてるけど」

 

「…………うん、大丈夫やよ。うん………」

 

咲は咲でさっきからずっと落ち込んでるような感じだし、本当に大丈夫か?てかさっきからコーヒー飲んでるけどお前コーヒー苦手じゃなかったか?

 

「……あ、これダメだ、あまりのショックでさくちゃん味覚までおかしくなっちゃったみたいやな……」

 

「そりゃ好きな人が違う人と結婚して子供作ってたらショックデカイよね」

 

………まあ俺もなんとなくだが咲からの好意には気づいてはいたが、所属する事務所が違うのとみしろみたいに頻繁に会うワケでもなかったから特に何もせずそのままにしてしまった。

 

「済まない咲、お前の気持ちには少しは気づいていたのにそのままにしてしまって……」

 

「ええんよ玲二さん、恥ずかしがって告白しなかったうちが悪いんやから。それにうちはもう大丈夫やから、あむッ………ブフォッ?!」

 

「ちょっと咲ちゃん?!それ私のハバネロカレーだよ!?」

 

いやなんてモン食ってんだお前?!あーあー咲の奴が間違って食っちまったからめっちゃ悶えるじゃねぇか!?

 

「おい咲大丈夫か!?ほら水!」

 

「ヒーッ!ヒーッ!ヒーヒーヒーッ!!ングング………ぷはぁッ!まだ辛いよぉッ!?」

 

やっぱ水だけじゃダメか!仕方ない、アイス頼んで口ん中冷やしてもらうしかないか!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふみゅうぅぅぅ~………」

 

「やれやれ、やっと治まったか」

 

それから咲がアイス三杯食べ終えたところで漸く辛さが治まったみたいだ。にしてもなんだよハバネロカレーって?そんなのファミレスに置くなよ。もっと言えば妊娠中にそんな刺激物食うなよフブキ。

 

「ご、ごめんね咲ちゃん、私のハバネロカレー咲ちゃんの近くに置かなきゃこんな事にはならなかったのに」

 

「う、ううん、うちがボーッとしてフブキちゃんのカレー食べたのが悪いんよ」

 

「いやそれ以前に妊婦がそんな物食べちゃいけないでしょ?!お腹の子に影響出たらどうすんのさ!?」

 

「ご、ごめんなさい……」

 

ほらミオにも怒られてるじゃねぇか。妊娠発覚してから食事とかも色々制限されてるんだから子供の為にも其処は守れよ。

 

「でも玲二さん、どうにかひま達も玲二さんと一緒になれへんかな?正直玲二さんと一緒になりたいって娘多いし」

 

「いやそんな事言われても…………ちょっと待て、一緒になりたいって一体誰だよ?」

 

「え?んーと………美兎ちゃんに楓さんにたまちゃんにしぃしぃ、後クレアさんとリゼちゃんやな」

 

「あと私と星川さんもだね」

 

………マジかよ?確かに今言われた奴等は全員関わりがあるが、そんな風に思われてるなんて思いもしなかった。特に星川なんててっきり叶と仲良いから付き合ってると思ってたんだが?

 

「……そういえば以前あおぎり高校のメンバーに会った時やたらとレイくんの事聞かれたような気が……」

 

「ウチもシロちゃん通じてドットライブのメンバーと話した時執拗にレイさんに会いたがってたな……」

 

「それ言ったらアタシもパトラと会う度に玲二さんに会わせてほしいってお願いされてんだけど……」

 

「というかこの間ぽよ余や動物達に紛れてでびでびが紛れてた余。すぐに追い出したけど」

 

なんだよそりゃ、なんでそんなに……そういや以前おめシスの二人と話した時姉のレイがこんな事言ってたような………

 

 

 

 

 

『佐々木さんってホロライブの娘以外にもいろんなとこから狙われててモテモテだねぇ~♪』

 

 

 

 

 

……なんだいろんなとこって?!俺他の事務所とは特に関わりない筈だぞ?!それにあおぎり高校なんて一度も行った事ねぇしそこの娘達と会った事もねぇぞ!?どういう事だ?!

 

「なんだろうね?玲二君ってアイドルを引き寄せる何かがあるのかな?」

 

「確かにレイくんアイドルの娘ばかりに好かれるよね?Aちゃんとかは仲は良くても良き同僚レベルだし」

 

「もしかして玲二さんいるだけでアイドル界を支配出来るんじゃ……?」

 

「変な事言うなフレア!?俺はそんな気全然ねぇッ!!」

 

流石に俺にそんな力はねぇし、あったとしてもやらんわ!!けどどうして俺なんかが好かれるんだ!?皆俺の事優しいとか言うけど絶対俺より優しい奴なんかいっぱいいるだろ?!

 

「ハッ!?そうだよ玲二さん既に皆と結婚してんならその中に私も入れてくれればいーじゃん!」

 

「それや!お願い玲二さん!ウチ等も玲二さんのお嫁さんにして!!」

 

「あ、だったらひまも~♪」

 

「い、いや流石にそれは……済まない、お前達の気持ちは嬉しいが俺にはもうこれ以上結婚するつもりはないんだ」

 

そんな簡単に結婚なんて出来るワケない。既に婚約含めて俺には40人近く嫁がいる。これ以上増えてしまったら手に負えなくなってしまう。

 

「そんな………分かった。今のところは諦めるけど、うちは絶対に玲二さんの事諦めたりせんからなぁッ!」

 

「あ、さくちゃんちょっとぉッ!?ご、ごめんなさい玲二さん、ひまさくちゃん追いかけないと!待ってぇさくちゃーーーんッ!」

 

「あ、二人とも行っちゃった………それじゃあ私も行きますね、ごちそうさまでした」

 

咲が叫びながら店を飛び出し、本間も慌てて追いかけて行きカトリーナも二人を追いかける為に店を出ていった。本当に慌ただしい奴等だな。

 

「あの、レイくん……本当に良かったの?咲ちゃん達の想いを断ってしまって……」

 

「良いんだフブキ。確かにあいつ等の気持ちは嬉しかった、けど俺にはもうお前達がいる。それなのに好きって言ってくれたからってこれ以上増えたら本当に只の女誑しの無責任野郎になってしまうからな。これからは何があっても断っていくつもりだ」

 

「玲二君、私達の事を考えてくれるのは嬉しいけど……本当に良かったのかな?」

 

………確かに心苦しいところはあるが、もうこれ以上はダメだ。フブキ達を悲しませない為にも、これからは心を鬼にしてきっぱり断っていかないとな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―数日後―

 

「失礼します。社長、お話とは一体なんでしょうか?」

 

「う、うむ。取り敢えずまずは座りたまえ」

 

咲達の騒動から数日が経過し、前日にはホロライブ公式サイトで俺達の結婚とフブキ達の妊娠を報告したのだがその翌日俺は社長に緊急で呼び出され事務所へとやって来たのだが、一体何があったんだ?

 

「……実は昨日の公式の発表がされた直後から我が社にこんな物が大量に送られて来たんだが」

 

―ドサッ!―

 

「………え、何ですかこれ?」

 

俺の目の前に段ボールが置かれ、中を見ると何やら封筒やら手紙やらが沢山入っていた。一体なんなんだこれ?ホロメン達宛のファンレター……ではなさそうだな?じゃあ一体……

 

「全部君宛のお見合い写真とラブレターだ」

 

「え……………これ、全部ですか?」

 

は?お見合い写真?ラブレター?どういう事だ?!俺はその中から封筒を一つ取り出し開けて見ると何処かで見た事のある娘の写真が入っており、また別の手紙を見ると俺に対する熱烈なラブコールがたっぷり書かれたラブレターが入っていた。何でこんなのが急に……ッ?!

 

「おそらく昨日の結婚と妊娠発表が切っ掛けで自分達にもチャンスがあると思った娘達が一斉に押し寄せてきたのだろう。中には企業絡みで迫って来ている処もある。そういった処はおそらく君と結婚する事でホロライブとの繋がりを得ようとしているようだが」

 

「そ、そんな馬鹿な話が?!大体これ見たところ俺の知らない娘も結構混じってますよ!?そんな娘までなんで……?!」

 

「因みにだがこれでもかなり減らした方だ。本当はこれにかなり知名度の低いアイドルも含まれていたのだが流石にそういった娘は全て弾いたが、それでもまだこれだけいるんだ」

 

そんな娘まで?!絶対それ自分の知名度上げが目的じゃねぇか?!いや、どっちにしろもう俺はこれ以上は結婚するつもりはねぇよ!

 

「君がもうそんな気はないのは知っている。だからと言って君がホロメン以外の娘とも結婚、婚約している以上我々が突っぱねたところで向こうは決して納得しないだろう。なんでその娘達は良くて自分達はダメなんだと。だから君が直接この件を対処していかないとこの先こういった娘がどんどん増えてしまいかねない。その為この後緊急の記者会見を開き、この件についての説明をしたいのだが大丈夫かな?」

 

「………分かりました、あの娘達の為にも此処はきっちり断りの意思を見せたいと思います」

 

こうして俺は社長に緊急記者会見を開いてもらいこれ以上の結婚の意思はない事を発表するが、それでも納得していない娘が多くあれやこれやで迫って来るがそれはまた別の話である……

 




はい、という事で玲二の一波乱回でした。今後は玲二どうなることやら?と言いつつ流石にこれ以上は増やすつもりほないので今後のキャラは出てきても一話限りだと思います。

次回は今回の話にも出てきたあの高校に行きます。次回もまったり待って頂ければ幸いです、ではまた!


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ホロライブタウン編
第38話『玲二の真実』


すみません、本当は別の話を出す予定でしたがこちらの方が早く出来たので先に出します。その方がいろいろと都合が良いので。

今回は遂に玲二の秘密が明かされます!最後まで楽しんで頂ければ有難いです、ではどうぞ!


俺達の結婚、そしてフブキ達の妊娠発表から早くも三ヶ月が経ち、他社アイドル達の逆プロポーズもすっかり落ち着きを取り戻していた。(と言ってもあくまで表面上だけ)

 

フブキも今月で八ヶ月目となりお腹もかなり大きくなっていて、そしてそら達もそれぞれお腹が大きくなっていた。更には

 

「うぅ~……なんで妊娠しづらいメルちゃんとちょこ先生の方が先に妊娠してんのさねぇぇぇぇぇぇッ!?」

 

「アハハ、ごめんねあくあちゃん♪」

夜空メル(妊娠三ヶ月目)

 

「まあこれも玲二様に対する愛の力かしら♪」

癒月ちょこ(妊娠三ヶ月目)

 

「ラミィとししろんも同じ三ヶ月くらいなのになんかししろんの方がお腹大きくない?」

 

「まあどうやらあたしの方は双子らしいからね」

獅白ぼたん(妊娠三ヶ月目、双子)

 

「良いなぁししろん、ラミィも双子が欲しかったなぁ」

雪花ラミィ(妊娠三ヶ月目)

 

なんと、あれからメル、ちょこ、ぼたん、ラミィの四人の妊娠が発覚したのである。しかもぼたんは双子を授かったようで他の三人に比べ少しお腹が大きくなっている。更には此処にはいないがココも妊娠が発覚したらしく、これで計十人が妊娠した事になる。一気に増えてきたな………

 

「それにしてもフブキちゃんもミオちゃんも立派に大きくなってるねぇ~」

 

「ミオしゃ最近ずっとお腹の子に話しかけてるもんね」

 

「もぉ~スバルってば、恥ずかしいから言わなくて良いよぉ///」

 

「でも二人もきっと近い内に授かる事になるんだからすぐにミオの気持ちが分かると思うよ♪」

 

おかゆとスバルがそれぞれフブキとミオの大きくなったお腹を撫でて喜び、フブキ達は照れ臭そうに笑っている………なんだか良いな、こんな感じ。

 

―ピンポーンッ―

 

「あ、誰か来たみたい。私ちょっと見てきますね」

 

「ああ頼む」

 

一体誰が来たんだろうか?最近思ったがこうやって誰かが来た時って大抵何かしらトラブルになってるような気がするが大丈夫か?

 

―ガチャッ―

 

「おいたーん♪」

 

「お、苺か。久しぶりだなぁ」

 

「あい♪」

 

やって来たのは俺の姪っ子の苺だった。最後に会ってから暫くの経ったがもう一歳になっており簡単な言葉なら喋れるようになっている。因みに今当たり前のようにプカプカ浮かびながら俺の元にやって来ていたが、もうコントロール出来るようになったのか?スゲェないっち。

 

「わあ苺ちゃん久しぶり、おっきくなったねぇ♪」

 

「あい♪」

 

「それでどうしたいっち?お前一人じゃないよな?ママと来たのか?」

 

「んーん、ぱぱときたー」

 

パパ?という事は義兄さんと来たのか。めっちゃ会うの久しぶりだな。でもまたなんで此処に?

 

―ガチャッ―

 

「お邪魔しまーす。久しぶりだね玲二君」

 

「あ、義兄さん本当に久しぶり。最後に会ったの一年前くらいだよな?」

 

「そうだね、最後はいっちが生まれて直ぐの時だったからもうそんなに経つね」

 

「たつね~♪」

 

俺はリビングに入ってきた義理の兄『藤枝劉斗』さんにいっちを返していく。この人は年中多忙な人だから会えるのも年に一回か二回、三回会えたら多いくらいに滅多に会えないのだ。それなのに今日はどうして……?

 

「あ、あの、玲二さん?この人ってまさか……あの藤枝劉斗さんですか?」

 

「ん?ああそうだが……フレア、義兄さんの事知ってるのか?」

 

「いや知らない方がおかしいですよ!?今や世界有数の大企業藤枝コーポレーションの会長じゃないですか!!そんな凄い人が玲二さんの義兄さんだったんですか?!」

 

「そうなんだよね~、レイくんも私も最初知った時驚いたもん」

 

全くだよ。義兄さんは実は実業家で世界で主に電子機器を中心にあらゆるジャンルで事業を展開している藤枝コーポレーションの会長をしているのだ。しかも最初は小さな町工場だったのに僅か七年で世界トップクラスの大企業にしたのだから凄すぎるよな。

 

「あはは、僕の事知ってくれてるのは有難いけど、今日は大事な話があって来たんだよね」

 

「大事な話?一体何の話なんだ?」

 

「うん、その話をする為にも君の奥さん達も集めてもらって良いかな?勿論集まれる娘達だけで良いから」

 

なんだ?皆も集めてだなんて、よっぽど大事な話なんだろうけど………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから三十分後、リビングに全員が集まり、ココや田中工務店にいたヒメヒナの二人(実は既に婚約結んでた)もやって来て漸く話が始められるようになった。果たしてどんな話が出るのやら……

 

「……皆集まったみたいだな。それで義兄さん、大事な話ってなんなんだ?」

 

「うん、まずは皆この資料を見てほしいんだ」

 

そう言って義兄さんはある資料を皆に配っていく。なんだこの資料……『佐々木玲二生態調査報告書』?一体なんだよ生態調査って?俺は絶滅危惧種か何かか?

 

「実は以前玲二君に頼まれて僕の知り合いがいる病院で精密検査をしてもらったでしょ?その後検査した結果、驚くべき事が発覚したんだ」

 

驚くべき事?それって一体………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「結論から言わせてもらうよ玲二君。君は、人間じゃない」

 

「…………………………………………え?」

 

『え………えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ?!!!』

 

え?!は?!えぇッ?!ど、どういう事!?人間じゃない?!俺が?!そんなワケないだろうが!?

 

「ちょ、ちょっとお義兄さん?!人間じゃないってそんな筈ないですよ!?レイくんの家系って今まで純粋な人間しかいなかったんじゃないんですか!?」

 

「それとも何?!玲二君ってもしかして養子とか捨て子だったとか?!」

 

「いや、DNA鑑定では玲二君は間違いなく佐々木家の実子だよ。だけど身体を精密に調べた結果、とんでもない結果が報告されたんだ。資料の四ページから見てくれ」

 

な、なんか頭がこんがらがってしまいそうだけど兎に角事実確認の為にも資料を見るか……………ッ?!こ、これはッ!?

 

「玲二君の身体を構成する筋肉部分だが通常の人間よりもかなり発達している。その発達具合は獣人族と然程変わらない……いや、それどころか遥かに越える筋肉の発達の仕方をしている。更にその身体から魔力と霊力、そして神力がかなりの高濃度で発せられている」

 

「す、凄い……魔力は普通の人間だと0から8%だけど、玲二様の魔力は176%……?!」

 

「それってトワ達悪魔が完全に力を解放した時よりもずっと高いよ!?」

 

「神力だって僕達天使や神に準ずる種族よりも遥かに上回ってるよ!?」

 

「それを言ったら霊力だって!これだけの霊力があれば死者を100人一気に甦らせても全然平気だよ?!」

 

「筋肉もあたし達獣人よりもかなり発達している……!?レイっち、これ絶対普通じゃないって!?」

 

ど、どうなってんだよこれ……?!今まで此処まで精密な検査した事なかったから全然分からんかった……

 

「他にもいろんな検査をしていった結果、遂に玲二君の本当の種族が分かったんだ。それが……これだ」

 

そう言って義兄さんは最後のページに載っている一文を皆に見せる。其処に書いてあったのは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『……以上の検査の結果、佐々木玲二の種族は“神羅族”と断定されたり』

 

 

 

「………神羅、族?」

 

『………神羅族ぅッ?!』

 

お、おい嘘だろ……?!神羅族って言えば!?

 

「神羅族って確かかつてこの世界に生命が誕生した際に最初に生まれ、様々な種族を創造したと言われる伝説の種族だよね……!?」

 

「あらゆる種族に知恵を与え、役目を与えた後その存在は行方知れずとなった正に神話の中の種族だよ!?」

 

「昔話に出てくる架空の種族だとも言われてたけど……まさか、玲二君がその神羅族だったなんて」

 

「俺が、神羅族………でもなんでだ?父さんも母さんも普通の人間だった筈だ。なのになんでそんな二人から神羅族が産まれてくるんだ?!」

 

今までだって多種族同士で子供が出来た場合両方の種族の特徴が出たハイブリッド種になるかどちらかの種族が産まれてくると言われていたし、全く違う種族が産まれた事例がない!それなのにどうして?!

 

「おそらくだけどこれは……玲二君のご先祖様にもしかしたら神羅族がいて、その中でその血が薄れながらも受け継がれていって、そして玲二君が産まれる際にその神羅族の血が強くなって表に出てしまったんだと思うよ。所謂先祖返りってヤツだね」

 

先祖返り……確か先祖の血が色濃く出る現象だったか?けどそんなんで神羅族が産まれるなんて……?!

 

「だが今の問題は其処じゃない。本題は今後の玲二君の対応についてだ」

 

「?俺の対応?」

 

「分からないかい?もし伝説上の種族、神羅族が現れたと世間に知られたら一体どうなる事か?」

 

『ッ?!』

 

そ、そうか!?もし神羅族が現れ、そしてそれが俺だと判明してしまったら!?

 

「玲二君はおそらく政府によって保護され良くて監禁実験、悪ければ解剖されるかもしれない。幸い今は僕と僕の知り合いの医者、そして君の家族と君達以外は知らせていないが、もし情報がバレたら玲二君は間違いなく二度と自由に過ごす事が出来なくなってしまう。そんなの嫌だろう君達?」

 

「当たり前じゃん!レイさんはウチ等の大切な夫ですよ!」

 

「玲二さんがそんな事になったらラミィそいつ等全員氷漬けにしてやりますよッ!!」

 

「……まあ氷漬けはともかく玲二君の為にも僕達は早急に手を打たないといけないんだ。なんたって君は僕の大切な義弟なんだから」

 

「義兄さん………でも手を打つって言ってもどうやって……?」

 

「それについては既に明日に行う手筈をとっている。君達が今後も安心して暮らせる為の方法だ」

 

?どういう事だ?でも義兄さんの考えだ、きっと大丈夫だとは思うが……

 

「ぱぱー、ちゃぷちゃぷ~」

 

「ん?ああいっち、お風呂に入りたいのかい?それじゃあそろそろ帰るからもう少し待って……」

 

「あ、それならうちの風呂に入ればいいよ。うちにも赤ちゃん用のお風呂買っといてあるし、なんなら俺が入れてあげるよ。ほらいっち、おいで」

 

「あい♪」

 

「あ、なら吾輩も入る!いっち、ラプお姉ちゃんとお風呂に入るぞー♪」

 

「ぞー♪」

 

俺はいっちを連れてラプと一緒に風呂へと向かう。今日はいろんな事がありすぎて頭パンクしそうだったからお風呂に入りながら気持ちを落ち着かせないとな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フフッやっぱり玲二君は面倒見が良いね。君達もそんな彼に惹かれてるんだね」

 

「はい、なんたって私達の自慢の旦那様ですから♪」

 

「うん、そうだね………さて、君達には他にも話しておかなきゃいけない事がある」

 

『?』

 

先程までの穏やかな表情から一変、劉斗の顔つきが険しくなっていく。その表情から只事ではないと察した皆は息を呑んで話を聞く。

 

「先程は玲二君の種族は神羅族と言ったが、正確には神羅族になりつつあると言うのが正しい」

 

「神羅族になりつつある?それってどういう……」

 

「スバルちゃんとシロちゃんは知ってるよね?玲二君が昔怪我して通院していたのを」

 

「う、うん。スバルはその時兄ちゃんが通ってた病院で入院してたッス」

 

「……忘れるワケないよ。玲二が怪我したのだって、シロの事事故から助けてくれたからだもん」

 

「そうだね。そしてその時の診断書を提示してもらった結果、その時の玲二君の身体はまだ普通の人間と変わらなかったんだ」

 

そう言って劉斗は皆に再び資料を見せると、確かに玲二の身体は年相応の人間と何も変わらない状態だった。

 

「そしてこれは僕の調査結果なんだけど、どうやら彼は自分が危機的な状態になる度に身体が進化しているようなんだ」

 

「身体が進化している?」

 

「そう、この事故もそうだけど、玲二君は時々いろんな事で命の危険に晒されてる事があったみたいだね?出血多量で死にかけたり、君達が見境なく彼から精力を搾り取ったりして」

 

「なんでそんな事まで知ってるんですか!?///」

 

まさか自分達の営み事情が劉斗にバレてて思わず顔を赤くする皆。

 

「済まないね、玲二君からいろいろ話を聞いてたからね。それでそんな危機的な状態から対応するかのように身体がどんどん変化していったんだ」

 

「そ、そうだったんだ……」

 

「確かにダーリン、日に日に精力が増していってるわよね?」

 

「玲二さんの夜が凄くなってるのって、アズキ達のせいだったんだ……///」

 

まさかの玲二の夜の凄さは自分達のせいと気づくと皆して顔を真っ赤にしていく。

 

「そして此処からが本題だ。もし玲二君が本当に神羅族に覚醒した場合、果たして玲二君はどうなってしまうのか?神羅族の詳細についてはまだ未知数な事が多すぎる。分かっているのはあらゆる種族の特性を持ち合わせているという事だけだ。もしかしたらこの先玲二君は今とは全く違う姿、それこそ人型ですらなくなる可能性もある」

 

『ッ?!!!』

 

玲二の姿が変わってしまうかもしれない……そう聞くと皆は思わず震え上がってしまう。そうなったら玲二はどう思ってしまうのだろうか?もしかしたらショックで立ち直れなくなってしまうかもしれない………

 

「……今の話を聞いてもらった上で君達に聞くよ。君達は例え玲二君の姿が変化して化け物のようになっても、それでも君達は彼を愛し続ける事が出来るかい?」

 

「ッ!!当たり前ですよ!例えどんな姿になろうとレイくんは私達の大事な旦那様だよッ!!」

 

「ワタシだってドラゴンに変身したり出来ルんデスから兄貴が何に変化したって大丈夫デスよッ!」

 

「そうよ、それにもし玲二様が化け物になっても、ちょこ達が必ず元に戻して見せるわ」

 

例え玲二がどんな姿になろうと変わらず愛し続ける。そんな皆の強い意思を感じたのか劉斗は満足そうにほくそ笑んだ。

 

「そっか………うん、安心したよ。義弟の事、これからもよろしく頼むね」

 

『はい、お義兄さんッ!!』

 

こんな優しい娘達が嫁になって玲二は幸せ者だなと沁々感じ、そんな義弟の家族を守って行かないといけないと感じる劉斗であった。

 

「あ、そうだお義兄さん。レイくんがアイドルの娘にモテたりするのももしかして神羅族の力だったり……?」

 

「いや、流石に違うよ。彼がモテるのは彼自身の人柄だからね。仮にそんな力があって彼がその力で君達を惹き付けたとしても、君達ならすぐに効き目なくなってとっくに彼を見放してると思うし」

 

「あ、そうなんですね……」

 

玲二のモテる秘訣はあくまで玲二自身の人柄であり神羅族とは関係無い事にホッとする皆であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―翌日―

 

……なんだか朝からバタバタしているな。俺達の家の回りに数十人の魔術師達が集まり、何やら大掛かりな魔方陣が形成されていく。一体何が行われるんだ?

 

「……それじゃあ始めるとするか。皆、柱や壁にしっかり捕まるんだよ」

 

「あ、はい……」

 

壁や柱に捕まる?一体何を―ゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ……―ッ?!な、なんだ!?急に揺れだして……ッ!?

 

―ビカァァァァァッ!!―

 

「うおぉッ?!」

 

『キャアァァァァァァァァァァッ?!』

 

突然辺りが真っ白な光に包まれ思わず目を閉じてしまう。そして揺れと光が修まりゆっくり目を開けるが、特に何かが変わった様子はないようだが……?

 

「うん、どうやら成功したみたいだね」

 

「だね~♪」

 

「成功?義兄さん、あんた一体何をしたんだ?」

 

「ハハッ外を見れば分かるよ」

 

外?一体何が………………ッ?!な、なんだこれッ!?

 

「ど、何処なの此処ッ?!」

 

「見た限り何処かの島みたいだけど……?!」

 

窓から見えた景色、それは今まで暮らしてきた街ではなく見た事のない街並みが広がっている……いや、よく見たら見覚えのある建物がちらほらある!?

 

「ねぇ、あれホロライブの事務所じゃない?!」

 

「ホントだ!?それにその横、桐生会のビルまであるよ?!」

 

「ど、どうなってヤガルんだ……?!」

 

いや、それだけじゃない!田中工務店やシロの所属するドットライブの事務所にアカリの事務所まである!?な、なんなんだこの街は?!

 

「それでは改めて、ようこそ玲二君。此処が今日から君達が暮らす街、その名も『ホロライブタウン』だよ」

 

「だよ~♪」

 

『ホロライブタウンッ?!』

 

なんだよそれ?!もしかしてさっきの転移魔法か?!それで俺達の家や関わりのある場所を此処に移転させたという事なのか?!

 

「この島は元々僕の会社が新しく展開しようとしていた人工島だったんだけど、急遽予定を変更して君達の住む街に変えたんだ。この島の存在も我が社の上層部しか知られてないから此処なら安心して暮らせると思うよ」

 

「いや待て待て待て待て?!そんな軽いノリで島を開発するって!?いくら会長だからって其処までしなくても……!?」

 

「それだけ君は今大変な状況にいるという事だ。だからこそ君には家族と共に安心して暮らせる環境が必要なんだ。それに此処には君達が今まで利用していたタイプのお店は沢山あるし、学校もちゃんとあるから学生組も安心して勉強出来るよ」

 

な、なんだその至れり尽くせりな感じ……あ、学校と聞いて学生組がちょっと嫌そうな顔をしてんな。

 

「玲二さぁーーーーーーーーーーんッ!!」

 

「え……―ドスゥッ!―ウボォッ?!」

 

「れ、レイくん?!というか、咲ちゃん?!」

 

突然死角から弾丸のように突進してきた何かに突き飛ばされてしまい、確認すると俺の腹部に笑顔で顔を擦らせてる咲がいた。なんでこいつ此処にいるんだ?!

 

「玲二さんがこの島に引っ越すって聞いてうち等にじさんじもこの島に移転する事になったんよ!これで何時でも玲二さんに会えるよ♪」

 

「流石に住人が君達だけというのも寂しいからね。玲二君に関わりがあって悪意のない者達もこの島に移住する権利をあげたんだよ。今はこの島にはアイドルやスタッフや関係者、そしてその家族含めて1500人は住む事になってるよ(勿論彼等には神羅族の事は伏せてるよ)」

 

『な、なんだってえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ?!』

 

ヤバい、かなり大事になってきているぞ!?いくら神羅族とはいえたった一人の男の為にやるスケールじゃねぇだろ?!

 

「それからもし必要な施設があったら言ってくれ。なるべく対応出来るようにするから」

 

「ならまつり映画館とか作ってほしい♪」

 

「メルもエステサロンとかあれば嬉しいなぁ~♪」

 

「だったラ兄貴と営みスル為のラ○ホ「お前いい加減にしろよ」ムゥーーーッ!!」

 

「分かった、取り敢えず手配しておくよ。一週間くらいで出来るから少し待っててくれ」

 

いや義兄さん最初の二つはともかくココのは聞かなくて良いからな!?てか要望聞いて一週間くらいで作るっておかしいだろ?!

 

「ともかくこれで玲二君や皆の安心は保証出来たワケだ。これからはこの島を拠点に頑張ってくれ、僕達も出来る事は全力でサポートするからな」

 

「あ、アハハ………はい」

 

もういろんな事ありすぎて頭がオーバーヒートしそうだ。これから先一体どうなってしまうのだろうか………?

 

 

 

 

 

発覚した玲二の秘密、そしてその秘密を守る為に新しく作られた人工島ホロライブタウン。果たしてこれからどんな波乱万丈な日常が待っているのだろうか?

 

次回より新章ホロライブタウン編スタート!(と言っても日常編と変わりませんが)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―オマケ―

 

「あ、あれ?のりプロが、ない…………?」

 

朝起きて事務所へと向かったは良いが肝心ののりプロが消えていた事に呆然とするたまき。どうやら彼には玲二達の移住と自分達の移転を聞かされてなかったようであった。




はい、という事で玲二の種族発覚、そして新章ホロライブタウン編開幕回でした。
まあ新章と言っても舞台が変わっただけで日常編と何も変わらずいきますがw

そして今回から時間の進み方が現実とはリンクせず進んでいきますのでもしかしたらいきなり数ヶ月経つ事もありますがご了承下さいませ。

そして次回こそあの高校のメンバーとの接触回です。次回もまったり待って頂ければ有難いです、ではまた!


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第39話『あおぎり高校からの挑戦状』

自分雪国に住んでいて今朝も雪かきしてから仕事に向かってます。こういう時だけ暖かい地域で生まれたかったなと感じてしまいます。

さて、今回はあおぎり高校での出来事です。最後まで楽しんで見て頂けたら有難いです、ではどうぞ!


俺が伝説の神羅族と発覚し、その秘密を守る為にこのホロライブタウンに移住し始めて早くも二週間が経った。最初こそ新しい街で戸惑う事もあるかと思ったが、街にいる多くの人が俺の知り合いというのと悪意のある奴がいないお陰か皆すんなり馴染めていった。

 

しかもこの街で抗争相手がいないという事でココも桐生会にずっといる必要もなくなり今では限定的だが復帰を果たすようになってくれた。これはファンも喜んでいたから本当に良かったな。

 

さて、そんな事は置いといて、今回は少し用事がありとある場所へとやって来ていた。それは……

 

「……此処か、あおぎり高校っていうのは」

 

この街唯一の高校『あおぎり高校』である。元々は街外れにある小さな高校だったが、この島に移動した事により元々学校に通っていた高校生組は皆この学校に通う事になった。しかし今日は日曜日、普通だったら部活をする生徒以外はいない筈なんだが、そんな中俺が此処に来た理由は手に持っていた手紙……果たし状を渡されたからである。

 

「……今時果たし状って。一体何なんだよこんな休日の昼間から呼び出すって?今日は折角手に入ったガンプラ作ろうと思ってたのに、はぁ………」

 

「まあまあ、そんなめんどくさそうにしないで取り敢えず行ってあげれば良いんじゃない?」

 

「そうなのです、それに一度会っておけばしつこく迫られる事もないのです」

 

めんどくさがる俺に一緒に着いて来たすいせいとるしあが宥めてくれる。多分こいつ等が一緒に着いて来てなかったら途中で帰ってたけど、こいつ等が今通ってる学校も見てみたかったのもあったし仕方なく来たんだが………で?肝心の差出人は何処にいるんだ?確か校門の前で待ってるって書いてたんだが……

 

「はぁーっはっはっはっは!!よく来たな佐々木玲二ぃッ!」

 

「「「ッ?!」」」

 

突然大きな声で呼ばれ、その声のした校舎の屋上を見ると、其処には白い服に白髪の女が高笑いしながらこちらを見下ろしていた。あいつか?こんな果たし状を差し出した奴は?

 

「今からそっちに行くから待ってろぉッ!トゥッ!!」

 

「えぇッ?!」

 

「嘘だろ!?」

 

「屋上から飛び降りた?!」

 

なんと女はいきなり屋上から飛び降りて大の字になって急降下する。まさかこいつ、獣人族か!?このまま地面に着地するつもりで………!?

 

―ドッゴオォォォォォォォォォォォンッ!!―

 

っておもいっきり地面に落ちたし?!しかもギャグマンガでよく見る人型のクレーターが出来てるし!?ってそんな事はいいから早く助けねぇとッ!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやぁ~、上手く着地出来ると思ってたんですけどねぇ~♪」

 

「なんで地面にめり込んだのに無傷なのこの人……?」

 

「もしかしてこの人獣人?いやでも特に変なところないし……」

 

あれから救出しようと近づいてみたがなんとこいつ、自力で起き上がりしかも無傷だった。どういう身体してんだよ?

 

「という事で改めましてようこそあおぎり高校へ佐々木玲二さん!大代は二年生の大代真白でーす!」

 

「な、なんか喧しい奴だな………ところで大代、この果たし状はお前が出したのか?」

 

「あ、それですか?それは魂子先輩が出した物ですね。大代は魂子先輩から今日は玲二さんが来ると話を聞いてたので一足先に玲二さんを見に来たんですよね」

 

魂子?そいつがこの果たし状の差出人か。取り敢えずこいつ『大代真白』は居場所知ってそうだし、案内してもらうか。

 

「だったら大代、済まないがその魂子って奴の所に案内してもらってもいいか?俺達は今日はそいつに呼び出されて此処に来たんだ、そいつも此処にいるんだろ?」

 

「わっかりましたー!では大代達の溜まり場に案内しますね~♪」

 

なんだか元気な奴だな。まるでスバルの元気さとロボ子の頑丈さとマリンの年増感足した感じだ………こんな事言ったらマリンに○されそうだから止めとこう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「着きましたよー、此処が真白達の溜まり場の資料室でーす!」

 

「へぇ、この学校こんな所あったんだ?」

 

「るしあ達こっち側来た事なかったから知らなかったなぁ」

 

へぇ、すいせい達も知らなかったのか?確かに此処に来る際他の教室から離れてたし、よっぽど用事がない限り此処には来ないか。それにしても随分立派な資料室だな、他の教室の扉より豪華な装飾されてるのはなんでだ?

 

―コンコンッ―

 

「魂子せんぱーい!魂子先輩にお客さんですよぉ~」

 

―シィーーン………―

 

「……あれ?いないのか?おーい魂子せんぱーい!!」

 

大代が扉をドンドン叩くも全く反応がない。なんだよ、人の事呼んどいて留守なのか?

 

「ほら魂子せんぱーいッ!!いい加減いるなら出てきて「うるっせえぇぇぇぇぇぇぇッ!!」うぼぁッ?!」

 

な、なんだ?!いきなり叫び声と共に扉がぶっ飛んだ?!しかもそれによって大代が巻き込まれてるし!?

 

「……ったく大代よぉ?こっちは着替え中だってのに外からギャーギャーうるさいっての」

 

そして資料室の中から前髪で左目が隠れた女の子が不機嫌そうに姿を現した。どうやらこいつが扉をぶっ飛ばしたみたいだが、もしかして果たし状送ってきたのはこいつか?

 

「な、なぁ……?」

 

「あぁ?なんだテメェ、こっちは今忙し………………ッ?!」

 

?どうしたんだ?急にこっち見て固まってしまったが……あれ?めっちゃ顔真っ赤になっていってる。

 

「あ、あああああああああの!?あ、貴方はもしかして佐々木玲二、さんですか………?」

 

「あ、あぁ確かに俺が佐々木だけど?」

 

俺がそう答えると女の子は更に顔が真っ赤になり慌てて資料室へと戻っていった。一体なんなんだ?そんな事考えてたら……

 

「ンッンンッ!………はじめまして玲二さぁん♪私があおぎり高校三年生の音霊魂子でぇーす♡」

 

「「「いや無理があるだろッ?!」」」

 

さっきの女の子『音霊魂子』がかなり気合いの入ったドレスを着て凄い甘い猫なで声を出しながら再び現れた。いやるしあも結構な猫被りだが此処までの猫被りは見た事がない。

 

「えぇ~?魂子無理なんてしてないですよぉ~?今日も玲二さんに会えると思ってウキウキしてたんですからぁ~♪」

 

「その割には今機嫌悪そうに扉ごと後輩吹っ飛ばさなかったか?」

 

「そんなの気のせいですよ玲二さぁん♪さ、早く中に入って下さぁい♪」

 

「な、なんか凄いキャラだね……」

 

「るしあももしかして、端から見たらこんな感じなの?……もう猫被るの止めようかな?」

 

猫被りキャラの自分でさえドン引きするほどの猫被りな音霊を見てるしあも今後のイメージを変えようかと本気で考えてる。と言ってもるしあの場合素の状態が既に認知されてるけどな。そして音霊よ、後輩の事はほったらかしで良いのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「では改めまして玲二さん、ようこそあおぎり高校へ!」

 

「ようこそ佐々木さん、お待ちしてました♪」

 

「ふあぁ~♪これが本物の佐々木さんなんですね♪」

 

資料室に入ると音霊以外に赤毛の女の子とぺこらと同じ兎の獣人の娘が出迎えてくれた。兎の娘はなんか俺の事をキラキラした目でめっちゃ見てるけど、そんな大それた人間じゃねぇぞ?

 

「えっと、まずは自己紹介ですね。私は石狩あかりです、魂子先輩と同じ三年生で写真部に所属してます。よろしくお願いします佐々木さん♪」

 

「改めまして、はじめまして佐々木さん。一年生の山黒音玄です、よろしくお願いします♪」

 

そして赤毛の女の子『石狩あかり』と兎の女の子『山黒音玄』が俺達に向かって自己紹介しながらお辞儀をしてきた。この娘達は大代と音霊に比べたらまともそうだな。

 

「ああよろしくな。ところで音霊、この果たし状はお前が出したんだよな?」

 

「あ、確かにそれは私が出した物ですね。それと玲二さん、私の事は魂子って呼んで下さい♪」

 

「……いや、それはまだ遠慮しておく。それよりなんなんだこの果たし状は?読んでて意味が分からなかったぞ?」

 

「?玲二くん、意味が分からないってどういう事?」

 

いやそのままの意味だよすいせい。取り敢えず読んでみたら分かるから果たし状をすいせいとるしあに見せていく。

 

「えっと……

『拝啓、麗しの佐々木玲二様。昨今の貴方様の益々のご活躍大変喜ばしく思います。さて、この度は私達あおぎり高校アイドルチームと貴方様とで勝負をして頂きたくこの果たし状を送りします。この勝負で私達が勝てば私達を貴方様の伴侶として迎えて頂きたいと思います。そして負けた場合は私達の身体を貴方様に差し出したいと思っております。何卒よろしくお願いします』………はあッ?!何だよこれ?!」

 

「何なのさこの内容?!これだと勝っても負けても玲二さんのモノになるって言ってるもんじゃん?!」

 

「何を言ってるんですか!?伴侶になるのと身体だけの関係は全然違いますよ!」

 

いや確かに違うけど力説されても困るわ。だがこれだと確かにどっちにしろ音霊達にとって都合の良い方にしか転ばないよな?

 

「ほら魂子先輩、やっぱり止めましょうよ。佐々木さんだって困惑してるじゃないですか?」

 

「そうですよ、それにこれだと僕達まで佐々木さんと付き合う事になるじゃないですか?」

 

「はあッ?!何だよお前等、玲二さんと結婚出来るチャンスなんだぞ!?お前等だって玲二さんの事好きだって言ってたじゃねぇか?!」

 

「それはあくまで同業者として尊敬出来る人だってだけですよ。それに私達彼氏いますし」

 

―ピシッ………!―

 

あ、なんか音霊が固まってしまったな。てか二人に彼氏がいるのに知らずにこんな内容で出してきたのか?

 

「か、彼氏?お前等、彼氏なんていたのか……?」

 

「いやそりゃ彼氏ぐらいいますよ?てか前にも言ったじゃないですか?」

 

「え?え?あれってドッキリとかじゃなかったの……?」

 

「ドッキリだったらとっくにネタばらししてるでしょ?それに何度もデートした話をしてたじゃん?」

 

……なんか石狩と山黒の話を聞いて音霊が白くなっていく。同じチームなのに彼氏がいた事がよっぽどショックだったんだろうな。

 

「…………もうこうなったら私だけでいいですよ!玲二さん、私を貰って下さいッ!!」

 

「おいッ!!何勝手な事言ってんだテメェッ!?」

 

「玲二くんは私達の旦那さんだよ!今日会ったばっかのお前に渡すワケねぇだろッ!!」

 

「うっせぇッ!!おっぺぇのねぇ奴は引っ込んでろッ!!」

 

「「んだとゴルァッ!?」」

 

あーあー、すいせいとるしあに胸で煽るってこいつ結構命知らずだな。どうなっても知らんぞ?

 

「上等だゴルァッ!だったら私達が代わりに相手になってやんよぉッ!!」

 

「もしテメェが負けたら全裸で校舎一週してもらうかんなぁ!?」

 

「上等だオラァッ!こっちが勝ったら玲二さん貰って更にオメェ等の胸にまな板シール貼ってやるぁッ!!」

 

いやなんだその賭け?とても女の子がするような内容じゃねぇだろ?

 

「すみません佐々木さん、私達のリーダーが馬鹿な事に巻き込んでしまって……」

 

「まあそれは良いんだが……石狩も大変だよな?あんなノリで毎回音霊に付き合ってるんだろ?」

 

「まあ、先輩のバカは今に始まった事じゃないんですけどね。こんな事ばっかしてるから留年しちゃうんだから」

 

あ、音霊って留年してんのか?だから同じ学年の石狩が音霊の事先輩って呼んでたのか。

 

「それじゃ佐々木さん、勝負はあの三人が行うみたいですから僕達はこっちでお茶しましょう♪」

 

「ん?ああ分かった、お言葉に甘えて頂くとしよう」

 

本当に良い娘達だな、こんな娘と付き合っている彼氏は幸せ者だろうな。

 

「「………………」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(フッ、バカだね魂子先輩は。あんなガツガツ迫っていったら玲二さん引くに決まってんじゃん?此処は一歩引いたところから自然なアプローチをしつつ、彼氏と別れたなんて言って慰めてもらうのが一番効果があるってのに♪)

 

(せいぜい魂子先輩は玲二さんの奥さん達と揉めていれば良いんです。その間に僕達は玲二さんとの距離を徐々に積めていくんだから♪)

 

否、実は密かに玲二を狙ってた二人。実際彼氏がいるというのも玲二を狙ってるというのを悟られない為の嘘であり、その思惑により二人は自然な感じで玲二とお茶する事になった。なんとも強かな二人である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで?一体どんな対決するのさ?すいちゃん的にはテトリスとかが良いんだけどなぁ~♪」

 

「いやそれあんたのめっちゃ得意な分野でしょ?!配信見てたから知ってんぞ!そうじゃなくて、玲二さんと言えばそう!ガンプラと言う事で、今回はこのガンプラを如何に格好良く仕上げた方が勝ちって事でどうよッ!?」

 

ほう、ガンプラバトルか。そう言えば久しくガンプラでの対決ってなかったよな…………ってこれって

 

「……なあ音霊、これガンプラではないんだが?」

 

「……え?これガンダムのプラモじゃないの?模型屋行ったらガンダムの処にあったんだけど?」

 

「いや、確かにロボット系として同じ処に並ばれがちだが……これ『30 MINUTES MISSIONS』だぞ」

 

 

『30 MINUTES MISSIONS』

時間を忘れて挑む30分をコンセプトに作られたプラモデルシリーズ。その内容はガンダムのような主役機ではなく量産型をモチーフとしており武装だけでなくカラーバリエーションもかなり豊富で自分だけのオリジナル機体を作る事も可能、更に作りやすさもあってプラモ初心者でも手に取りやすいシリーズである。

 

「さ、さーてぃーみにっつ?」

 

「要は自分だけのオリジナル量産型機体を作ろうっていうコンセプトで出来た物でガンダムではない、というよりガンダムとは関係のないシリーズだな」

 

「でもガンプラのパーツと同じ軸を使ってるから互換性は結構あるよね?すいちゃんも結構作ってるけどかなり面白いよ♪」

 

「るしあも前々から気になってはいたけど実際作るのは初めてですね」

 

「そ、そうなんだ。これ、ガンダムじゃないんだ……?」

 

まあ確かに知らない人が初めて見るとガンプラと間違えるのか?売り場も大体近いし。にしてもこれ結構買ったな、大体のパーツと機体揃ってるぞ?

 

「ほらだから言ったじゃん先輩?これガンダムじゃないんじゃないかって」

 

「う、うるさい!こうなったらサーティワンだかなんだか知らんがこれで格好良い機体作った方が勝ちだ!」

 

いやサーティワンだとアイスになっちまうぞ?でもこれはこれで面白そうだな、こういうのはセンスが問われるから三人がどういった機体を作るかは楽しみだ。

 

「それじゃあ私は……この黒色のヤツにしようかな」

 

「ならすいちゃんはこの青い『アルト』にしようっと♪」

 

「ならるしあはこの『スピナティア』にするです♪」

 

成る程、すいせいは『アルト』、るしあは『スピナティア』か。確かアルトが地球軍でスピナティアがマクシオン軍の機体だったか?そして音霊のは『ポルタノヴァ』か。これはこれは確かバイロン軍の機体だったか?流石に詳しい設定までは覚えてないな……

 

「それじゃあ制限時間は一時間、使うのはニッパーとヤスリのみでメインのキットさえ使っていれば他のパーツは何を使っても構わない。最終的に玲二さんの審査によって勝敗を決める、これで良いよね?」

 

「オッケー、構わないよ」

 

「るしあも問題ないよ」

 

「よっしゃあッ!それじゃあ早速始めるぞ!」

 

こうして三人によるプラモバトルが始まった。さて、どんなのが出来るのやら……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―一時間後―

 

「へぇ、音玄って兎じゃなくてヤギの獣人だったのか?」

 

「はい、と言っても僕もそれを知ったのつい最近なんですよね」

 

そうなのか?にしてもかなり変わった娘だな音玄って。一度死んで絵画に憑依して、そして死霊使いに生前の肉体を貰って蘇るなんて。かなり波乱万丈な人生?を送ってんだな。

 

「そうだ玲二さん、今度私の写真の被写体になってくれませんか?玲二さんなら絶対に良い写真が出来る気がして……どうでしょうか?」

 

「ん?それくらいなら構わないが……」

 

「やった♪では来週辺りお願いしますね(フフフ♪この一時間で自然な流れで名前を呼びあうようになったし、写真撮影の約束も取り付けた!これは脈ありと捉えてもいいのでは?!)」

 

(やっぱり僕の思った通り、玲二さん僕の経歴を聞いても引かずにいてくれた♪これはもう一気に……いやいや、慌てて失敗してもダメだし、此処はじっくり距離を積めてかないと!)

 

………なんか二人から変な気を感じるが、気のせいだと思いたい。さて、そろそろ一時間経ったけどあいつ等どうなったんだ?

 

―ガチャッ―

 

「終わったぁー!」

 

「いやぁ、どんな改造するか悩んじゃった♪」

 

「けどお陰で納得出来る機体が出来たのです♪」

 

お、どうやら終わったみたいだな。さて、どんなのが出来たのやら?

 

「それじゃあまずは私からだ!これが私の機体『ポルタウロスノヴァ』だ!」

 

 

『ポルタウロスノヴァ』

ポルタノヴァ(黒)の腰の後ろに更にポルタノヴァの一部のパーツを付け足してケンタウロスのような人馬形態になり、さらに両腕や胴体にはシエルノヴァ士官部隊用オプションパーツ(レッド)が備え付けられている。

 

「ほう、人馬形態とはな。初めて作る割には大胆な改造だな?」

 

「なんかガンダムのアニメ見てたらこんなケンタウロスみたいな機体出てたから真似してみましたぁ♪玲二さん、どうですかぁ~?」

 

ケンタウロスみたいな機体……ああ、バルバタウロスか。確かに似てるような気もするが、それにしても大胆な改造だよな。

 

「ふん!それがどうした!?すいちゃんのは最強のアルト、その名も『アルトシューティングスター』だ!」

 

 

『アルトシューティングスター』

アルト(青)に指揮官用オプションアーマー(黒)とオプションバックパック1、そして足にはマルチブースターユニットを装着させた完全飛行型の機体に仕上がっている。更に武装としてガトリング砲のような武器を持っていてなんとなくすいせいっぽい機体だ。

 

「スゲェな、これ完全な飛行戦特化の機体か」

 

「そう!空を駆けるこの機体は正に流れ星!すいちゃんにぴったりでしょ♪」

 

確かにすいせいのイメージっぽいな、特にこのガトリング砲みたいなゴツい武器をチョイスする辺りが。

 

「最後はるしあ機体、『スピナティアブラッディ』だよ」

 

 

『スピナティアブラッディ』

スピナティア(アサシン仕様)にマルチウィングを装着、更にカスタマイズウェポンズの魔法武装で鎌と魔方陣の盾、マジックサークルを装備させロボットながらもファンタジー要素を加えた機体に仕上がっている。

 

「へえ、なんだか二人とは路線が違うがこれも格好良いな」

 

「るしあもこのカスタムは気に入ったのです♪本当だったら塗装とかもしたかったのですが、今回はカスタムのみの対決なので仕方ないのです……それで玲二さん、誰の機体が一番良かったですか?」

 

ふむ、誰の機体が一番か………難しいところだな、どれも良い味出してんだよなぁ………うん、決めた。

 

「済まないが、この勝負引き分けだ」

 

「「「えぇーーーッ?!引き分けぇッ?!」」」

 

「ああ、三人ともどれも良い感じの改造出来てたし、何よりもそれぞれの機体の良さを引き出してたからな。これを優劣つけるなんて俺には無理だわ」

 

「確かに魂子先輩にしては立派な機体だよね」

 

「うん、それにお二人の改造も素晴らしいですし、これは引き分けが良いと思います」

 

あかりと音玄も同意してくれた為か、三人は納得はしてないものの仕方なく諦めたようだ。

 

「うぅ……し、仕方ないですね。だったら次こそは勝って玲二さんと結婚してみせますからね!」

 

「ハッ!上等だコラァッ!こっちこそ次こそ勝って全裸で街一週させてやるよぉッ!!」

 

……そういやそんな賭けしてたな。てかるしあよ、罰が重くなってねぇかそれ?兎に角これで音霊とすいせいとるしあの対決は終了した事だし、今日はこれで帰るとするか。

 

「よし、折角だから皆でパフェでも食いに行くか。今日は俺が奢ってやるよ」

 

「ホントッ!?やっぱ玲二くんって優しいねぇ♪」

 

「流石るしあ達の旦那さんなのです♪」

 

「玲二さんありがとうございます♪」

 

「ほら魂子先輩、いつまでも悔しがってないで行きますよ?」

 

「うぅ~ッ!次こそは絶対勝つぞぉーーーッ!!」

 

いろいろとゴタゴタしてたけど今日は三人とも頑張ったし、これぐらいの労いがないとな………はて、なんか忘れてる気がするんだが?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お、おぉ~い、大代の事忘れてないですかぁ~………ガクッ」

 

先輩にぶっ飛ばされてしまった大代は翌朝先生に発見されるまで皆から忘れ去られてしまうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―オマケ―

 

「それにしても石狩先輩とねくろんに彼氏がいたなんてねぇ~?」

 

「まあ、そりゃ彼氏ぐらいはね」

 

「クソゥ……この私を差し置いて彼氏なんて作りやがってぇ~ッ!」

 

「まあ魂子先輩もこれに懲りたら高望みしないで彼氏でも見つけたら良いじゃん?」

 

―ヒラッ……―

 

「ん?おい石狩、なんか写真落とし…………ッ?!」

 

あかりが落とした写真……それはとびっきりの笑顔で玲二と写っているあかりと音玄の写真だった。ご丁寧に腕まで組んでいる。

 

「……おい石狩、ねくろん?テメェ等彼氏いるって言ったのになんだよこの写真?」

 

「あ、やっべ……」

 

自分の不注意でとっておきの写真を見られてしまい、それを魂子に問い詰められ二人は開き直って彼氏なんて嘘だったのと自分達も玲二を狙ってると言うと暫くの間あおぎり高校の中で揉め事が繰り広げられるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―オマケ2―

 

「だから僕はご主人様の婚約者なんだからお義兄さんに会わせてよッ!!」

 

「い、いやそんな事言われても困ります!?」

 

「……なんだあれ?」

 

「なんでも会長の義弟さんの婚約者だと名乗って会長に会わせろってさっきからしつこく言ってきてるらしいんだ」

 

「なんだそれ?」

 

本土に残され、みしろからの電話でホロライブタウンに移住した事を聞いたたまきはその発端である劉斗に会いに来たが案の定まともに相手にされてなかった。




はい、という事で30mm対決でした!このシリーズ初心者でも作りやすく改造の幅が広いので是非オススメしたいキットです♪

次回は遂にあの時が………!?

次回もまったり待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第40話『新たな命』

この小説も本編が四十話に到達しました!これからも頑張って書いていこうと思うのでよろしくお願いします!

今回はタイトル通り遂に……!最後まで楽しんで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


「ふんふふんふふーん♪」

 

「あれ?フブキちゃん随分ご機嫌だね、何かあった?」

 

「まあね♪今日はレイくんと一緒にプリン食べようと思ってロイヤルプリン買ってきたんだ~♪」

 

とある平日の午後、フブキはおかゆところねと一緒にリビングでお茶会を開いていた。玲二や他の娘は学校だったり仕事だったりで出払っており、今は三人だけで少し高めのクッキーを用意してゆったりとした時間を過ごしていた。

 

「それにしてもいよいよだねフブちゃん♪」

 

「うん、もうじきこの子に会えるね♪」

 

「予定だと来週だっけ?妊娠発覚してから本当にあっという間だったよね」

 

フブキはそっとお腹を撫でて嬉しそうに笑う。妊娠発覚してからいろいろと辛い時期もあったが、もうすぐで初めての我が子に会える。そう思うとフブキの顔が思わず緩んでいく。

 

「ねぇねぇフブキちゃん、確かお医者さんの話だと女の子なんだっけ?名前とかもう決めてるの?」

 

「うん、レイくんと考えてちゃんと良い名前にしたよ~♪」

 

「へぇ~♪一体どんな名前?」

 

「エヘヘ~♪この子の名前はですねぇ、こ…………ッ?!」

 

子供の名前を言おうとした瞬間、突然フブキがお腹を抑え苦しそうに踞ってしまう。その顔からはかなりの汗が出ていて只事ではないのが容易に伺える。

 

「ふ、フブちゃん?!急にどうしちゃったの!?」

 

「う、うぅ……ご、ごめん二人とも、救急車呼んでくれない……?もしかしたら、来ちゃったかも……」

 

「えぇッ?!ちょ、ちょっと待ってフブキちゃん!?えぇっと救急車、110番!」

 

「おかゆそれ警察だよ!?救急車は117番だよ!」

 

「いやそれ時報……ボケなくて良いからは、早く……うぅッ!?」

 

「ご、ごめん!?えぇっと、確か……そうだ!119番!」

 

苦しむフブキから救急車を頼まれ、番号を一瞬度忘れしてしまったがおかゆは慌てて救急車を手配する。果たしてフブキは無事に病院に行けるのだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―その頃―

 

「んしょ……よし、これで一先ずオンラインライブの準備はオッケーだな」

 

「そうですね、後はみんなの衣装が到着すれば全ての準備完了です♪」

 

よし、これなら予定通り来週にはholoXのオンラインライブが開けそうだ。にしても今思えばまともにチームで動けるのってholoXだけなのか……なんだかファン達に凄く申し訳ない感じがする。

 

「それにしても佐々木さん良いんですか?フブキさん来週には出産ですよね?社長からも折角休んでも良いって言われてるんですから無理に仕事しなくても……」

 

「まあな。でも、なんか身体動かしてないと落ち着かないっていうか……すまん、俺も初めてだから緊張してんだよ」

 

「気持ちは分かりますけど、それを言ったらフブキさんも不安なんですから旦那さんが傍にいてあげないといけないじゃないですか」

 

………確かにAちゃんの言う通りだよな。俺が緊張している以上にフブキも不安だもんな。夫である俺が近くにいなきゃいけないのに……はぁ、俺ってこうした配慮しねぇで何此処で仕事に逃げてんだか?

 

「………済まないAちゃん、今日はもう家に帰るよ」

 

「そうしてやって下さい。後今後そらもそうですが他の娘の時も同じ事したら問答無用で帰ってもらいますからね」

 

……肝に銘じます。じゃあAちゃんに叱られた事だし、今日は大人しく帰るか―ピリリリリッピリリリリッ―ん?電話……おかゆからか?

 

―ピッ―

 

「はいもしも『レイくん大変だよッ!!』ッ?!あぁびっくりした……どうしたんだおかゆ、そんなに慌てて?」

 

『そんな呑気にしてる場合じゃないよ!フブキちゃんが……フブキちゃんが産気づいちゃって!!』

 

「はあッ?!う、嘘だろ?!予定だと来週じゃないか!?」

 

『そんな事言われたって……と、兎に角今すぐ病院に来て!!もう他の娘にも連絡してあるからッ!それじゃッ!!』

 

「あ、おいおか―プッ、プーップーップーッ……―ああもう!何でこんなタイミングで!?」

 

「と、兎に角タクシー手配するので佐々木さんは今すぐに病院へ向かって下さい!」

 

クソッ!こんなフブキが辛い時に何で俺は此処にいんだよ?!兎に角今すぐ病院に向かわないと!待ってろフブキ、今いくからな!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―一時間後―

 

「ハァ、ハァ……み、皆、フブキは……?!」

 

「玲二君!?汗びっしょりだけど大丈夫なの?!」

 

「だ、大丈夫だ……それよりフブキは?」

 

「今分娩室に入ってるよ。破水もしていて産まれるまでそう時間が掛からないって言われたけど……」

 

そ、そうか、取り敢えずは無事なのか。けど……クソッ!こんな事ならAちゃんに言われた通り仕事なんてしてないでフブキの傍にいてやれば良かった!折角社長が休みをくれたのに、俺って奴はッ!!

 

―ガチャッ―

 

「失礼しまーす。あ、佐々木さん丁度良いところに来ましたね」

 

「あ………?あ、お前は確か、名取だったか?」

 

俺が自分を責めていると分娩室から独特なナース服を着た女の子『名取さな』が出てきた。そういやこいつ病院で勤務してるんだったか?にしてもなんでこんな時にこいつがいるんだ?

 

「はい♪実はフブキさんが出産すると聞いて微力ながらもお手伝いに来たんです」

 

「そ、そうなのか……それにしても丁度良いところってどういう事だ?」

 

「えぇ、もうすぐ赤ちゃんが産まれそうなので佐々木さん、是非ともフブキさんの傍にいてあげて下さい。そのほうがきっとフブキさんも安心して産めると思いますから♪」

 

「ッ!?そ、そういう事なら是非そうしたい!名取、良いのか?!」

 

「はい、ではこちらにどうぞ♪」

 

良かった……このご時世だから出産の立ち会いは無理かと思ったけど、それなら喜んでフブキの出産に立ち会わせてもらおう。そして案内され分娩室に入ると、其処には苦しそうに息をするフブキの姿があった。

 

「フブキッ!」

 

「ハァ、ハァ……れ、レイくん、来て、くれたんだ、ね……ウゥッ!ハァ、グゥ……ッ!」

 

フブキが苦しそうにしながらも俺に向かって笑いかけてくれる。けど目に見えて辛いのが分かる、痛みと苦しさを我慢して俺を心配させまいとしているのを見ると俺は思わずフブキの手をとっていた。

 

「フブキ!ごめんな、俺が傍にいなきゃいけなかったのに肝心な時に仕事に逃げてしまって……」

 

「ハァ、い、良いんです、よレイく…ん。レイくんが皆の為に、頑張ってくうぅッ!?くれ、てるの、知ってます…から…ウグゥッ!?」

 

「フブキッ?!」

 

「落ち着いて下さいッ!もう赤ちゃんが大分下りてきてるんです。ここから呼吸を整えていきますので佐々木さんはフブキさんの手をしっかり握ってやって下さい」

 

……そうだ、此処で俺が慌ててしまったらフブキが余計に心配してしまう。なら俺に出来るのはフブキの手を握って安心させる事だけだ。頼むフブキ、頑張ってくれ!

 

「ひぃッひぃーッふぅー…ウグゥッ!あうぅッ!ああぁッ!!」

 

「……あ!漸く頭が出てきましたよ!」

 

「よし!もう少しだ、頑張れフブキ!」

 

だけどやっぱり苦しいのか途中から呼吸が乱れ歯を食い縛るフブキ……頼む!フブキの為にも、無事に産まれてきてくれッ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……フギャ…オギャアァ!フンギャアァァッ!」

 

「ッ!!産まれました!佐々木さん、フブキさん!無事に産まれてきてくれましたよッ!!」

 

「ッ!あ、ああ……やったぞフブキッ!無事に産まれてきてくれたぞッ!俺達の子だッ!!」

 

「ハァ……ハァ……わ、私の……私達の赤ちゃん……」

 

分娩室に元気な産声が広がり、名取は手際よく胎盤やへその緒の処理を済ませ産湯へと浸からせ、それらを終えた後タオルで綺麗に拭いてくれフブキへと赤ちゃんを渡していく。

 

「はいフブキさん、ゆっくり優しくお願いしますね♪」

 

「う、うん……やっと、会えましたね♪」

 

赤ちゃんを受け取った瞬間、フブキの目からこれまでの辛さを払拭するかのような嬉し涙と笑顔で溢れていた。産まれたての子はフブキと同じような狐の耳と尻尾があり、全体的に白い髪だけど前髪の真ん中部分だけ黒髪が特徴的な女の子だった。今は泣き疲れたのかフブキの腕の中ですやすやと眠っている。

 

「フブキ、よく頑張ってくれたな」

 

「うん……レイくんがいてくれたから、私は安心して産む事が出来ました♪有難うレイくん、私の旦那様♪」

 

フブキはすっかり疲弊しきってたが、それでも我が子が産まれた事が嬉しいのか赤ちゃんの頭を優しく撫でていく。

 

「なあフブキ、この子の名前は……」

 

「勿論、レイくんと話し合って決めたあの名前です。これからよろしくね“こゆき”♪」

 

そう、『こゆき』それがこの子の名前だ。あの聖夜の雪の降る日に妊娠を聞かされた事と、深々と降る雪のようにいつまでも綺麗な心でいて欲しいと願い俺とフブキが考えた名前だ。そしてこゆきは名前を呼ばれると少しだけニパッと笑ったように見えた。フブキも言ってたが、これからよろしくなこゆき。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―そして三週間後―

 

「へぇー、確かに佐々木さんとフブキさんの特徴がしっかり出ていますね」

 

「えっへへ~♪そうでしょAちゃん、こゆき可愛いですよね~♪」

 

あれから無事に退院してフブキはこゆきと一緒に家に戻り、そして今は遊びに来ていたAちゃんにこゆきを会わせていた。ベビーベッドの上ですやすやと眠るこゆきを見てAちゃんの顔も思わずにやけてしまっている。

 

「……それにしても佐々木さん、今頃大変な状態なんでしょうね」

 

「あ、あはは……確かに今頃バタバタしてそうですね」

 

そう、実は今此処に玲二はいない。折角こゆきが産まれてきたのに一体何処で何をしているのか?それは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―その頃、病院―

 

「……まさか三人同時に出産とは思ってなかったぞ」

 

「あ、あはは……こんな偶然あるんだねぇ♪」

 

「さなちゃん曰く貰い陣痛ってヤツらしいけど、そんな事あるんだね」

 

「見て見て玲二様、ほらこの子まだ角が生えきってないからぷにぷにしてる余♪」

 

あれからフブキが退院したと思ったら今度はそらが産気づいてしまい、更にそれに同調するかのようにミオとあやめも産気づいてしまい、まさかの三人同時に出産する形となってしまった。三人の手を代わる代わる繋いでいってたから凄く忙しい状態だったが、ともかく皆無事に産まれてきてくれて良かった。

 

「これからよろしくね“かいり”♪」

 

「立派に育つんだぞー“マオ”♪」

 

「これから沢山一緒に遊ぼうな~“玲菜”♪」

 

三人は産まれてきたそれぞれの子の名前を呼びながら頭を優しく撫でていく。因みに全員女の子だった。女の子でも良いけど、やっぱり父親としては男の子も欲しかったな……けど、それでも俺の子には変わりないし、出来る限りの愛情は注いでいくつもりだ。これからどんなふうに成長していくか楽しみだな。

 

 

 

 

 

遂に産まれた玲二の子供達。更に賑やかになるホロライブマンションでこれからどんな成長をしていくのだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―オマケ―

 

「ですから会長は多忙なお方なのでアポイントがない方はお引き取り願ってるんですって!!」

 

「だったら今すぐ会う約束取りつけてよ!この僕を置いてきぼりにするなんて、絶対に許さないからなぁッ!!」

 

「あれ?まだあの子居座ってるんスか?」

 

「ああ、なんでも会長に会うまでは会社の前にずっと張り付くって言ってきかないらしいんだよ」

 

相変わらず劉斗に面談を求めるたまき。流石に他の社員の迷惑になりかねないので受付嬢は仕方なく劉斗の秘書へと事情を伝えていく。

 

「……はい、はい……分かりました、そのようにお伝えします……今確認しました、貴方が会長の義弟様のお知り合いなのは確認出来ましたので三日後に義弟様の住む場所へと送る事になりました」

 

「ホントッ!?よっしゃオラァッ!待ってろよみしろぉッ!お前だけ良い思いなんてさせないからなぁーーーッ!!」

 

こうして無理矢理だがホロライブタウンへと行く事を許させたたまき。そして三日後………

 

 

 

 

 

「……いや何処だよ此処はぁーーーッ?!」

 

なんとたまきが送られた場所はホロライブタウンの南側にある森林エリアであった。見渡す限りの樹木にたまきは足をとられ何度も転ぶ。

 

「ちくしょーーーッ!こんな事で諦めたりしないからなぁーーーッ!待っててねご主人様あぁーーーーーーッ!!」

 

頑張れたまき!お前の信じる明日へと向かって!!

 

因みにたまきが進んでいる方向は街側と真逆であった。




はい、という事でこゆき、そして玲二の子供達誕生回でした!これから沢山出てくると思いますのでどうぞよろしくお願いします!

次回は男同士のお付き合い回です。気長に待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第41話『友情VS愛情?』

今仕事に向かってるんですが雪のせいで全然進めないですね本当に雪国っていやになります………(泣)

今回は最初に言っておきます、女性Vがメインじゃありません。

それでも宜しければ最後まで見て頂いて下さい、ではどうぞ!


「ほーらこゆき、ラプお姉ちゃんだぞ~♪」

 

「あうぅ?あぅあ~」

 

「もうラプちゃんったら、まだこゆきには分からないと思うよ?」

 

「スゥ…スゥ…」

 

「はわわぁ~……皆メチャメチャ可愛いよぉ~♪」

 

「もうかなたんもマオ達折角寝てるんだからそんなにじろじろ見ないの」

 

フブキが出産し、その後日にそら達も無事に出産して退院した翌日、リビングには新しく出来た家族を皆で眺めていた。ラプはこゆきにべったりでずっとニコニコ笑いながらこゆきを眺め、そんなラプをこゆきは不思議そうにじっと見つめている。かなたをはじめ他の娘は三人仲良くお昼寝している姿を見て思わず顔が緩んでいる。皆既にこゆき達の可愛さに虜状態になっている。

 

「それにしてもやっぱ赤ちゃん良いよね~♪フレアも来月だもんね?」

 

「そだね、それにノエルも漸く授かれたもんね。早く元気に産まれて来ると良いね♪」

 

そう言うとフレアはノエルのお腹を擦っていく。ノエルも無事に身籠る事が出来、現在二ヶ月が経過していた。流石にまだお腹は大きくないが、此処に確かに自分と玲二の娘がいると思うとノエルの顔が嬉しそうな笑顔になっていく。フレアも既に来月出産に向けて活動は休止しており、いつ産気づいても良いような状態にある。

 

「それにしてもレイさん、今頃何してるのかな?」

 

「多分今頃ガンプラ漁りでもしてるんじゃないかな?レイくんには此処最近ずっとこゆき達のお世話とか頑張ってくれてるんですから、今日くらいはゆっくりさせてあげないと♪」

 

そう、実は今玲二はフブキに言われて街へ外出している。此処最近玲二はこゆき達のお世話を積極的に行っていたので今日くらいはゆっくりさせたいと街へ出掛けさせたのである。フブキ達も何時も自分達の為に頑張ってくれてる玲二の為に少しでも休める時間をあげたかったようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―その頃―

 

「はあぁ………こゆきぃ、かいりぃ、マオォ、玲菜ぁ……」

 

「……大分重症ですねこれは、久々に会ったけど此処まで親バカになってるとは……」

 

うっせぇ、こっちは好きでこゆき達のお世話してたのにいきなり今日はお世話しなくていいから街に出てろって何だよ一体?あれか?俺ってそんなに邪魔だったか?産まれたばかりの我が子にいろいろしてあげてたのに酷いよチクショウ。

 

「まあまあ、彼女達からしてみれば玲二が働き過ぎなのが心配だったんでしょう?他の娘も手伝ってくれてるんなら、今日くらいはゆっくり休めば良いんじゃないですか?」

 

「……別に好きでやってたんだから良いじゃねぇか?」

 

「いやそれが心配される原因だと思いますよ?玲二って自分の事後回しにする癖がありますし」

 

何だよそれ?余計なお世話だっての。それに俺自身が好きでやってんだから別に良かったんじゃねぇの?兎に角帰ったら絶対四人とも抱っこしてやるからな。

 

「……んで、今更だがなんでお前が一緒にいるんだよ?ハヤト」

 

「まあ良いじゃないですか。久しぶりに友人同士水入らずで過ごすのも悪くはないと思うけど?」

 

ったく何が水入らずだよ?俺は目の前にいる数少ない男の友人『加賀美ハヤト』の顔を見てため息を吐く。こいつはにじさんじに所属するアイドル兼玩具会社『加賀美インダストリアル』の若き社長でもあるのだが、普段は暇さえ出来たら俺と遊んだりしている。

 

「……んで?これからお前はどうすんだよハヤト?俺はこの後模型屋に行こうと思ってるんだが」

 

「あ、なら私も一緒に行こうかな?最近また作りたいキットがあるから買い揃えておきたいんですよ」

 

「ん、そうか。ならこのまま一緒に行くとするか」

 

そうと決まれば早速行動に移すか。どうせなら最近不足しているガンプラを買い揃えたいし、ハヤトは俺より知識が凄いからオススメキットとかあれば教えてもらうか。

 

「んじゃ早速模型屋に行こ「ごおぉしゅじいぃんさまあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」は……?」

 

―ドッゴオォォンッ!―

 

「うぼあぁッ?!」

 

「玲二?!」

 

な、なんだ?!いきなり何かにタックルされたんだが?!痛ってぇ、おもいっきりみぞおちに入ったぞ!?ってお前は……ッ?!

 

「やっと会えたねご主人様ぁーーーッ!」

 

「た、たまき?!一体なんでお前が?!最近見ないなと思ったけど何処にいたんだ!?」

 

タックルしてきたのはなんとたまきだった。そういやこいつホロライブタウンに移ってから全然会ってなかったけど今まで何してたんだ?

 

「もう酷いよご主人様ッ!?僕の事置いてきぼりにしてこんな島に移住するなんて!ご主人様のお義兄様にお願いして来たのは良いけど着いた場所が森の中だし道に迷うし野犬に追いかけ回されるし大変だったんだよ!!」

 

は?お前移住した時置いてかれてたのか?みしろからは何も聞かされてなかったんだけど?てか森の中って、だからそんなに服がボロボロなのか?てか何で人工島なのに野犬なんているんだよ?

 

※たまきを襲ったのは野犬ではなくころねの舎弟達です。

 

「そんな事よりご主人様ッ!この僕が来たからにはもうご主人様に淋しい思いはさせないからね!さあ早速この近くにあったラ○ホに……!」

 

「行くわけねぇだろッ!?てかマジで建てたんか義兄さん?!」

 

あれ程建てなくて良いって言ったのに何で建てたんだよ?!言っとくが使わんぞ!……………ぜ、絶対使わんぞッ!!

 

「まあまあたまきさん落ち着いて下さいって」

 

「ん?ああかがみんじゃん、どうしたのこんな所で?」

 

「いや今私玲二と一緒に模型屋に行こうとしてたんですけど、たまきさんそんな下らない理由なら後にしてもらえません?」

 

「はあぁッ?!下らなくなんかないんですけど!?」

 

いや下らねぇって。何でこんな真っ昼間から男同士でラ○ホに行かなきゃならんのだ?

 

「大体前から思ってたけど君さぁ、ご主人様の友人だからって調子に乗ってない?暇さえあればご主人様の事呼んで遊びに行ったりして、僕でさえそんなの頻繁には出来ないのに」

 

「いやいや調子に乗ってないですって。それに遊びに行くのも別に私だけじゃないですし、なんなら神田さんや舞元さんも結構一緒に遊んでますよ?」

 

そういやそうだな、ハヤト以外ならその辺の奴等とも結構遊んでたりするな……そう考えると俺の男の友人ってにじさんじにしかいなくねぇか?確かホロライブの姉妹事務所でホロスターズもいたが其処の奴等とは全く関わった事がないな。

 

「それよりも玲二も迷惑してますし、今日の処はもう帰ってもらっていいですかね?」

 

「ふざけんなよッ!こちとら随分と久々にご主人様に会えたんだからそっちこそ譲れよ!!」

 

「いやそんな事言われたってな……仕方ない、流石にラ○ホは行かんがこれから模型屋行くからたまきも一緒に行くか?ハヤトも良いよな?」

 

「まあ、私はどちらでも良いですけど……」

 

俺の提案にハヤトは構わないと言ってくれてるが、たまきはいまいち納得してくれてない。するとたまきは何か思いついたのか急ににやけた顔になっていく。

 

「……だったら折角だからかがみん、僕と勝負しない?ご主人様に対する君の友情と僕の愛情、どっちが上かはっきりさせておきたいなぁ♪」

 

「はぁ……よく分かりませんが、勝負したいなら別に良いですけど?」

 

「おっしゃあッ!ならそうと決まれば早速その模型屋とやらに行こうよ!ほら二人とも、早く早く!」

 

たまきのよく分からん勝負にハヤトは仕方なく受ける事になり、機嫌を良くしたのかたまきは急いで模型屋へと向かおうとしていた。けどお前模型屋の場所知らんだろ?てかその前にそのボロボロの服どうにかせんと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして一時間後、一先ず服屋でたまきの服を新調し漸く模型屋『ホロプラ』へと到着した。此処は義兄さんが俺の趣味を理解してくれて作ってくれた模型屋で、普段はなんとAちゃんが店主として働いているのだ。その最大の特徴は……

 

「す、凄いよ此処!?今のガンプラ市場では考えられない程ガンプラが充実してる!しかも全部小売価格の20パーオフなんて凄くない?!」

 

「私も最初に来た時はびっくりしましたね。プラモ好きには此処はまさに天国ですよ」

 

そう、この店なんと品揃えがヤバい程充実しているのだ。ガンプラは勿論、人気でなかなか入手しづらい物も沢山揃っており、しかも割引価格なので安く手に入ったり出来るのだ。何故こんな事が出来るのか?それには理由があり一つは藤枝コーポレーションがガンプラを製造しているB○ND○I等と契約を交わし一部商品をこの店に仕入れさせて貰っているのだ。そしてもう一つ、この島に転売ヤー行為を働く者がいないのである。そもそもそういった事をするような奴はこの島には来れないし、仮にやろうと思ってもこの島は特別な手続きをしなければ島の外に郵便物を出す事は出来ないのだ。そういった理由でこの店の在庫は何時来ても潤っているのである。

 

「そんじゃ早速対決に使うキットを探すか。えっとそうだな……お、これなんか面白そうだな」

 

俺は目の前に見えたキットを二つ取り出し二人に渡す。今回勝負に選んだキットは……

 

「……成る程、『千年パズル』ですか」

 

「あ、これ知ってる!遊戯王の主人公が付けてるヤツだよね?」

 

 

『千年パズル』

遊戯王デュエルモンスターズに登場する主人公『武藤遊戯』が身につけているアイテム。逆ピラミッド型に瞳のようなマーク、ウジャトの目が描かれていて作中でも千年アイテムというキーアイテムとして登場している。しかもこのキット、単なるプラモではなくある秘密が……?

 

「今回はこれを早く組み立てた方が勝ち。勝った方には、そうだなぁ……よし、俺から二万分の此処での買い物奢ろう」

 

「マジで?!それはテンション上がるわ!」

 

「流石ご主人様!よ、太っ腹♪」

 

まあたまにはこれくらいしても良いよな?それに久々にハヤトとたまきの制作風景見たかったし。そして俺は千年パズルを二つ購入した後奥にある工作ルームへと移動し早速勝負を始めようか。

 

「それじゃ早速始めるぞー、よーい……スタート!」

 

「おっしゃあッ!いくぞぉッ!」

 

「絶対に負けんからなかがみんッ!」

 

二人はスタートと共に箱からランナーを取り出しニッパーでパーツを切り離していく。さて……この勝負“何時間”かかるのかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―数十分後―

 

「此処を嵌めてっと……よし、これで全てのパーツが出来た!後はこれを……あ、あれ?」

 

「どうしたたまき、何かミスったか?」

 

「い、いやご主人様?このプラモ、組み立ての完成部分のところが全然載ってないんだけど……?」

 

ああ、もう其処までいったのか?でもな……

 

「何言ってんだたまき?これパズルなんだから組み立て方が載ってるワケねぇだろ?ほら此処に書いてるだろ『本書にパズルの解き方は載せておりません』って」

 

「………………………え?」

 

そう、これがこの千年パズルのヤバいところでなんとこのキット、プラモデルでありながら名前の通りパズルでもあるのだ。しかもこのパズル、かなり難易度が高く初見だと速い人でも数時間はかかってしまう代物だ。今だと公式ページに解き方は載っているがこれは真剣勝負なのでそれはルール違反となる。つまりはこの勝負では自力で考えて作らないといけない。

 

「え、え?じ、じゃあこれ自分で考えて作らないとダメって事?」

 

「そういう事。因みに一つでもピースが余ったらダメだからな。ちゃんと全部使って完成させろよ」

 

「そ、そんなぁ~!?ってかがみんもいつの間にかパズル組み立て始めてる?!ヤバいッ!」

 

嘆くたまきだがとなりにいるハヤトが無言で淡々とピースを完成させパズル作業を既に始めていた。しかし、流石のハヤトもやった事ないのか頭を悩ませているようだ。まだまだこの勝負、結果は分からんな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―一時間後―

 

「えっと……あれ?こっちはこれじゃない?じゃあこのパーツ?え、あれ?」

 

「確か此処はこれっぽいような気が……は、填まりそうで填まらない……」

 

……うん、二人とも大分沼に嵌まってるみたいだな。ハヤトもたまきも上の部分が出来上がったみたいだが其処から全然進展してないぞ?このままだとかなり時間かかりそうだな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―更に一時間後―

 

「………お?此処をこうすれば……よっしゃ填まった!」

 

「こっちがこうすれば……そしてこのピースを……」

 

お、どうやら進展があったみたいだな。このパズルフブキも配信でやってたが六時間近くかかってたからな。そう考えると結構速い方か?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―更に更に一時間後―

 

「よっしゃあぁッ!!これで完成ッ!!」

 

「なんですとぉッ?!」

 

「ん、どれどれ……おいたまき、ピースが二つ余ってるぞ?」

 

「え、嘘?!ってホントだ!?で、でももう見た目完成してるからこれで「ダメだ、やり直し」うぅ~……」

 

このパズル厄介なのは内部のピースをちゃんと填めないとこんな風に余ってしまうのだ。見た目的には問題なさそうだが、実はこれ内部のピースが上手く填まってないとすぐにバラバラになってしまうんだよな。そしてこの大幅なタイムロスのお陰でハヤトは一気にラストスパートをかける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―そして数十分後―

 

「………おっしゃ完成だあぁッ!!」

 

「お、ハヤト出来たのか?どれどれ……うん、余ってるピースもないな。これは文句無しでハヤトの勝利だ」

 

「嘘ォッ?!そんなぁ~僕の方が速く出来てたのにぃ~……」

 

いやお前のはピース余ってただろ?兎に角この勝負はハヤトの勝利だ。

 

「いやぁ~それにしてもこの千年パズル凄いクオリティーですねぇ。この後持って帰って塗装しますかね」

 

「うぐぐぅ……次は絶対に負けないんだからなぁッ!!」

 

「ハイハイ、んじゃもう遅くなってきたし、後は他のプラモ買って帰るとするか」

 

こうして久しぶりにプラモ対決を楽しみ、そして大量のプラモを購入した俺はハヤトとたまきと別れて帰宅していく。たまきは俺について行くと言ってたが、先にのりプロに行ってこいと言って道を教えてのりプロへと向かわせて行った。さあ、早く帰ってこゆき達を愛でよう!

 

 

 

遂にたまきがホロライブタウンに到着した。これからまた一段と賑やかになりそうな予感である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―オマケ―

 

「おぉ~よちよちこゆきぃ~、かいりぃ~、マオォ~、玲菜ぁ~♪パパがいなくて寂しくなかったかぁ~?」

 

「「あぅあ~」」

 

「「あぃあぁ~」」

 

「………レイくん帰ってからこゆき達にべったりですね」

 

「よっぽど赤ちゃん達に会えなかったのが辛かったみたいだね?」

 

家に帰って手洗いを済ませるなり玲二はこゆき達にべったりとくっついて離そうとしなかった。最早立派な親バカである玲二なのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―オマケ2―

 

「あらたまきちゃん?随分久しぶりですね、今まで何処に行ってたんですか?」

 

「おぅらみしろぉッ!何が久しぶりだよ?!お前この僕を置いて何勝手に事務所毎移住してんだよッ!?」

 

「……………ああ、すっかり忘れてましたわ」

 

「事務所の先輩兼看板アイドルの事を忘れんなあぁーーーーッ!!」

 

自分が置いてかれただけでなくみしろ達からすっかり忘れられて怒り狂うたまきなのであった。

 




はい、という事でたまき合流そして加賀美社長とのパズル対決でした!千年パズルってかなり面倒なんですよね、途中から諦めて組み立て方見ちゃいましたw

そして次回ですが………すみません未定です(汗)
兎に角思い付いたら書いていこうと思うのでまったり待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第42話『姫雛、仁義なき戦い』

久方ぶりにガンプラ作れたぁーーーッ!!という事で今回はヒメヒナのガンプラ+α対決です!やっぱりガンプラって良いですねぇ♪

今回も楽しんで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


「もうなんでヒナそんなに分かってくんないのさ?!」

 

「それはこっちのセリフだよ!ヒメの分からずやッ!」

 

「うぐぐぅ……!」

 

「むむむむむぅ………!」

 

………なんだこれ?朝起きてリビングに降りて来たらヒメとヒナがそれぞれこゆきとマオを抱っこして睨みあってる。一体何をしてるんだ二人は?

 

「おいお前等朝っぱらから何揉めてんだよ?そんなこゆき達抱きながら揉め事するんじゃ……」

 

「玲二くん黙ってて!これはヒメとヒナの問題なの!」

 

「そうだよ!こればっかしは玲二くんでも止められないよ!」

 

な、なんだこの気迫……?!普段温厚で仲良しな二人が此処まで対立するとは、一体何が……?!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヒナは何も分かってないよ!一番可愛いのはこゆきちゃんに決まってるじゃん!」

 

「ヒメこそ何寝ぼけた事言ってんのさッ!?マオちゃんこそ一番可愛いに決まってるじゃん!」

 

「「?」」

 

ってそんな事かよ?!物凄い一大事かと思ったらそんな大した事ない言い争いじゃねぇか!?こゆきとマオもきょとんとして分かってなさそうな顔してるし!

 

「お、お前等そんな下らない事で喧嘩してたのか?」

 

「下らない?!何言ってるのさ玲二くん!?玲二くんなら分かるでしょ!このこゆきちゃんのつぶらな瞳、愛くるしい表情!そして極めつけはこのピョコピョコ動く可愛らしいお耳!もうこんなの惚れてしまうに決まってんじゃん!」

 

「あぅあ~」

 

「何言ってんのさヒメ!マオちゃんだって見てよこの柔らかいほっぺたにサラサラした髪!そしてなんと言ってもこのフリフリ動くしっぽ!これこそマオちゃんが最高に可愛いと言われる由縁なんだよ!」

 

「あぅぶぁ~」

 

なんか二人してこゆきとマオの可愛らしさをプレゼンし始めたんだが?後ヒナ、由縁じゃなくて所以な。こゆきとマオも自分が誉められてるのが分かってるかのように手をパタパタ動かしている、可愛い。

 

「ほら見なよヒメ!このハチさんのお洋服着てるマオちゃんの姿!愛くるしさ全力全開だよぉ~♪」

 

「何をー?!それならこっちだって見なよヒナ!この苺のお洋服着てるこゆきちゃんを!この可愛さなんて最早天元突破だね~♪」

 

確かに今二人とも可愛らしい苺とハチのお洋服を着ていて愛くるしい感じでテンション上がるのは分かるが、あんまり抱っこし続けるなよ?まだ二人とも首がすわってないんだから。

 

「……ってかフブキ、ミオ。お前等も黙って見てないで止めろよ?」

 

「あ、あはは……いやぁ最近ヒメヒナちゃん達こゆきとマオの事ずっと溺愛してて母親としても嬉しいというか」

 

「それにそれぞれ自分の好きな子のアピールはするけど他の子を貶してるワケじゃないから良いかなって思って」

 

二人が言い争いをする中、母親であるフブキとミオは朝食を食べながらN○Kの連続テレビ小説を見ていた。どうやら朝食食べてる間だけヒメヒナに子供達を預けてるみたいだが、それでも自分の子供抱えて揉めてんだから止めろよな。

 

「ングッ…ングッ…」

 

「おぉ~♪いっぱい飲むなぁ玲菜♪」

 

「ングッ…プハッ」

 

「あれ?かいり、もう飲まないの?じゃあげっぷしないとね~♪トントン♪」

 

一緒にいるそらとあやめは我関せずといった感じでかいりと玲菜に乳あげてるし。頼むから少しはこっちに関心示してくれよ。

 

「で、玲二くんはどっちが一番可愛いと思う?!やっぱりこゆきちゃんだよね♪」

 

「違うよ!やっぱり一番はマオちゃんでしょ♪」

 

「あのなぁ……こゆきもマオも俺にとっちゃ掛け替えのない大切な子供達だ、かいりと玲菜もそうだが、誰が一番なんてないし、なんなら全員俺にとって一番だよ」

 

「「むぅ………」」

 

何やら二人は俺の答えに納得してないみたいだが、俺にとってこゆき達は全員もれなく可愛いし大切な子供達だ。それを優劣つけるなんて俺には出来ん……ってしまった、そろそろ行かないと。

 

「それじゃ俺はフレアの所に行くから、お前等もこゆきとマオの事で言い争いすんなよ、子供にはそういう事は悪影響になりかねんからな」

 

「「はーい……」」

 

俺は替えの着替えやタオル等を持ってフレアのいる病院へと向かう。フレアももうじきらしいからな、なるべく傍にいてやらねぇと。二人も早めにこゆき達をフブキ達に返せよー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―それから……―

 

「………玲二くんはああ言ってたけど」

 

「うん……やっぱりヒナは譲る事は出来ないよ!」

 

玲二が出ていき、こゆきとマオをフブキ達に返した後もヒメヒナの二人はバチバチに対立しあっている。

 

「こうなったらどっちが一番かを決める為に勝負だよヒナ!」

 

「望むところだよヒメ!」

 

「まだやってるし……それで?一体何で勝負する気なの?」

 

食事を終えてマオをあやしてるミオが呆れた様子で聞くと、二人は何やら妖しく笑い出す。

 

「ふっふっふ~♪実はね、ヒメ達少し前からあるガンプラを作ってたんだ♪」

 

「だから今日はそのガンプラに合うマオちゃん達のお洋服を見つけてコスプレ写真対決をしようと思うよ♪」

 

『コスプレ写真対決?』

 

ヒメヒナのやる対決内容にその場にいたフブキ達は?状態になっている。コスプレ写真対決とはなんぞや?

 

「今からヒメとヒナが街に出てこゆきちゃん達のお洋服を買ってきて、それでこゆきちゃん達に着てもらってガンプラと一緒に写真を取るの♪」

 

「その写真をフブキちゃんとミオちゃんのTwi○terに投稿してもらって、一時間でどっちが多くいいねをもらえるか勝負するの♪どうかな?」

 

「おお~、面白そうだねそれ♪」

 

「確かにマオ達の写真産まれた時以来だしてなかったもんね」

 

対決内容を聞いてどうやらフブキ達も乗り気になっているようだ。本人達の許可も降りた事で二人は早速お洋服を探しに街へと向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―一時間後―

 

「よーぅしヒナ!ちゃんと買ってこれた?」

 

「もっちろん!マオちゃんに似合うお洋服選んで来たよ~♪」

 

買い物も終えて二人はフブキとミオにお洋服を渡し着替えてもらい、そしてホロライブマンションの一角にある写真スタジオルームに集まり写真撮影を開始する。

 

「まずはこゆきちゃんからだよ♪ヒメが選んだのはね、Ξガンダムとハサウェイのコスプレだよ~♪」

 

「あーうー」

 

 

『HG Ξガンダム(こゆき仕様)』

機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイに登場する第五世代にあたる大型のMS。主人公が乗る通常形態のガンダムの中ではトップクラスに大きいのと主人公機とは思えない悪役っぽい顔つきのせいで作者は最初の頃敵の乗るMSだと勘違いしていた。(因みにまだ作品を見れていないです)

今回はこゆき仕様という事で白っぽい水色に塗装されている。

 

今回こゆきはこれに合わせて搭乗者であるハサウェイ・ノアの黒っぽいスーツ風のお洋服を着ている。そしてついでにこゆきを抱っこしているフブキにもハサウェイの想い人であったクェスの普段着のコスプレをしてもらってる。

 

「な、なんだか恥ずかしいね……///」

 

「そんな事ないよフブキちゃん、こゆきちゃんと揃って可愛いよ♪でもなんでそんなガンダムのキャラのコスプレなんて持ってたの?」

 

「そ、それは………べ、別に良いじゃんそんなの!///」

 

(あ、これ絶対フブキ夜のお楽しみに使ってるな……)

 

顔を赤らめて恥ずかしがるフブキを見てコスプレ用の服の意味を察するミオ。そして撮影が始まりフブキがこゆきとΞを抱えるとこゆきは興味があるのかΞをペタペタと触っていた。

 

「よっし、これでバッチリ!そんじゃあ次はヒナの番だよ♪」

 

「オッケー♪それじゃあヒナのガンプラはこれ!ペーネロペー!そしてコスプレはアムロだよ~♪」

 

「あいぅあー」

 

 

『HG ペーネロペー(マオ仕様)』

機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイに登場するΞガンダムと同じ第五世代のMS。ペーネロペーとはフライトユニットという装備を装着した時の形態で本来のガンダムとしての名前はオデュッセウスガンダムである。今回はマオ仕様という事で黒のメタリック塗装を施されている。

 

そしてそんなマオが着こんでいるコスプレは、何故か初代の主人公アムロ・レイの連邦の制服だった。

 

「……ねぇヒナちゃん?なんでペーネロペーなのにアムロなの?ウチも何故かシャアの軍服だし」

 

「うーん、実はヒナ閃光のハサウェイまだ見れていないからこのペーネロペーに乗ってるのがレーンっていう以外知らないんだよね~」

 

「あれ?珍しいね、ヒナなら真っ先に見そうな感じなのに?」

 

「それなんだけど去年は見たいアニメが沢山あったしライブとかもあって全然見に行けなかったんだよぉ~」

 

他に見たいアニメがあったり多忙なスケジュールのせいでハサウェイを劇場で見る事が出来ず泣いてしまうヒナ。流石売れっ子なだけはあるが、本人にとっては大好きなアニメを見れないのはやっぱりキツいようだ。

 

ともあれ早速写真撮影スタート。マオもミオに抱っこされてる最中ペーネロペーが気になるのかペタペタと触っていた。それにしてもアムロ赤ちゃんを抱っこするシャアママ、何ともシュールである。

 

「それじゃお互い写真を撮りあったという事で、早速T○itterに投稿してもらいましょう♪」

 

「「はーい♪」」

 

無事撮影を終えてフブキとミオはそれぞれ自分のTw○tterに写真を投稿、これより一時間様子を見て反応を待つ事になる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―一時間後―

 

「一時間経過~!それじゃ早速結果見てみよう♪」

 

「フブキちゃんミオちゃん、どうなってるか見せてもらって良い?」

 

「はーい♪それじゃミオ、準備は良い?」

 

「ウチは何時でもいーよ♪そんじゃあ、いくよー?」

 

「「せーのッ!」」

 

二人は同じタイミングで投稿した写真のいいねを確認する。結果は………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フブキ

38624いいね

 

ミオ

29580いいね

 

 

「んと、私が三万八千でミオが二万九千だから、この勝負ヒメちゃんの勝ちだね」

 

「イエーイ!ヒメが勝ったぁ~♪」

 

「ウソぉ~?!なぁんでぇ~!?」

 

圧倒的な差をつけられヒナは半泣きで崩れ落ちていく。やっぱり相当自信があったのか負けた事に納得してないようである。

 

「えーと……多分ヒナちゃんが負けた理由はコスプレのせいかな?リツイート見ても『可愛いけどなんでアムロとシャア?』って声が多いもん」

 

「確かにペーネロペーと関係ないもんね」

 

「そんなぁ~……」

 

確かにミスマッチなコスプレをチョイスしてしまった為かコメントも?でいっぱいだった。これは完全にヒナのチョイスミスである。

 

「へへーんだ!という事でヒナ、やっぱり一番可愛いのはこゆきちゃんという事で決定ね♪」

 

「うわぁ~ん!それでもマオちゃんが一番可愛いもん~!」

 

ヒメが勝ち誇るもやっぱりマオが一番可愛いと半泣きで主張するヒナ。そんな二人を見てフブキとミオはお互い好きならそれで良いんじゃない?と言って落ち着かせるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、この時皆気づいてなかった………

 

「あうぅ……あっやぁ♪」

 

フブキに抱っこされながらΞガンダムを見てこゆきが初めてニパッと笑っていたのであった。どうやらこゆきも親譲りなのかガンダムを気に入ったようである、将来が楽しみだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―オマケ―

 

「うわぁ~フレアの赤ちゃんちっこくて可愛いなぁ~♪」

 

「もうノエルってばずっと抱っこしっぱなしじゃん、ほらそろそろ返してな~?」

 

「あーん、赤ちゃ~ん……」

 

ヒメヒナの勝負から三日後、フレアが遂に出産を迎え、半日程の奮闘を終え漸く赤ちゃんが産まれた。今回もまた女の子で、これで五人目の赤ちゃんとなる。本当に賑やかになってきたな。

 

「それにしてもフレア、お前子供の名前『カガリ』って……絶対不知火(シラヌイ)から連想してつけたろ?」

 

「あはは……まあそれも少しあるんですけど、アタシのフレアって名前も火に関する名前だし、それにこの子が将来誰かを照らす篝火になってほしいなって思って……ダメでしたか?」

 

「いや、ダメじゃないさ。それにちゃんとした理由があって安心したよ、これからもよろしくなフレア、カガリ」

 

「……うん、ありがとね玲二さん、これからもずっとよろしくなぁ♪」

 

新しく産まれたカガリを抱っこしながら笑顔を見せてくれた。そしてこの日をきっかけにフレアも俺に対して敬語ではなくなってくれたのであった。

 




はい、という事でヒメヒナによる赤ちゃんコスプレ対決でした!
そしてフレアにも第一子カガリが産まれこれで五人目!今後は更に賑やかになっていきますね~♪

次回はなんと………佐々木家全員集合します!気長にまったり待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第43話『佐々木家全員集合』

最近プレバンで頼んでいたガンプラが一気に来たのでゆっくり組ながら話のネタを探していこうと思ってます。

今回はタイトル通り佐々木家が全員集合します。何やら一波乱の予感が……最後まで読んで頂ければ有難いです、ではどうぞ!


フレアの第一子カガリが生まれて早二週間。我が家はすっかり赤ちゃん達中心の生活になり賑やかな家庭を築き上げていた。先日漸くこゆきが首がすわるようになり、最初は分かりづらかったが段々と笑顔を見せてくれるようになり父親としてはこうした日々の成長が嬉しく感じる。

 

そんなある日、突如として事件は起こった……

 

「………はあッ?!いや皆集まるのは良いんだけど、なんで俺の家に集まるんだよ!?」

 

❬いや集まるったってあんたのところ嫁さんが多すぎて実家には入りきらないじゃない。だったら元々デカイあんたの家が一番良いって事になったのよ。それに父さんも母さんもこゆきちゃん達に会いたがっていたしね❭

 

「いやそうは言われても………別に父さん達や姉貴達が来るのは構わねぇが、“兄貴”まで来るのか?!あの人めんどくさいから家にいれたくないんだが……」

 

❬……まあ気持ちは分からないでもないけど、それでもあいつも大事な家族なんだから我慢してちょうだい。それじゃあ来週の土曜日に行くから準備しなさいよ、それじゃ❭

 

「あ、おいちょっと待―プーップーップーッ……―って切りやがった!?クソッ……」

 

「ど、どうしたんですかレイくん?」

 

「ああフブキ……実は来週の日曜に姉貴達や俺の家族が全員此処に集まる事になっちまって……」

 

「え…………」

 

ったく、なんでこんな事になるんだよ?確かに俺の家族が多いからってなんで俺等の家に来んだよ?ホテルとかで会食でも……いや、ご時世的に無理か……はぁ

 

「え、何々?玲二君の家族が来るの?」

 

「あ、ああ、来週の土曜日にうちに来るらしいんだよ……」

 

「そうなんだ?でも玲二さんのご両親とはリモートでご挨拶しただけで直接あった事がなかったから楽しみだなぁ♪」

 

「パパの両親って事は、吾輩のおじいちゃんとおばあちゃんって事か!?それは楽しみだ♪」

 

俺の家族がやってくる、そう聞いて皆は楽しそうにはしゃいでいる。しかし……

 

「ね、ねぇレイっち……レイっちの家族集合って事は……?」

 

「まさか……“浩一さん”も来るって事?」

 

「………ああ」

 

ぼたんとスバルは恐る恐る俺に聞いてきてそれに頷くと二人とそしてフブキとミオとアカリの顔も真っ青になっていく。

 

「?ねえ玲二さん、浩一さんって?」

 

「………俺の兄貴だよ。劉斗義兄さんと違って本当の兄だ」

 

「玲二さんの実のお兄さん?!玲二さんに実兄がいたんですね?!」

 

ああいたよ、でも皆に知られたくなかったから今まで黙ってたけどな。出来れば一生会わせたくなかった……

 

「そうなんだ?でもそれなら会って皆でご飯とか食べたいわね♪」

 

「うん♪皆でお話したり子供に会わせてあげたりね♪」

 

………大変盛り上がってるところ悪いが、そんな期待しないほうが良いぞ?だって……

 

「い、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ……」

 

「もうスバルあれだけは……あれだけはぁッ!?」

 

「あ、あはは……終わりだぁ、この世の終わりだぁ……」

 

「お父さんお母さん、汚されてしまったウチをどうか許してください………」

 

「あ、アカリもうあんな思いしたくないぃ~………」

 

ほら、フブキ達が身体を震わせ恐怖におののいている。あのぼたんでさえ半泣きで天井を見上げる程だ。それだけ俺の兄貴の事知ってる奴にとって兄貴は恐ろしい奴なんだよ………

 

「ど、どうしたのフブキちゃん達?」

 

「な、なんだか浩一さんの名前を聞いたとたんに震え出したんだけど……一体浩一さんってどんな人なの?」

 

「も、もしかシテソイツカタギじゃナイとか……?だ、だったラこのワタシが皆を守ってヤルよ!」

 

安心しろココ、兄貴は“今は”ただの人間だ。だけど、組の連中なんかよりもっと恐ろしいんだよ。これに関してはもう俺から説明せず直接見てもらったほうがいいな………はぁ、もう既に鬱だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―一週間後―

 

―ピンポーン―

 

「お、来たか……はーい、今出るよー」

 

当日、家の掃除を終えた頃丁度インターホンが鳴り玄関へと向かい扉を開けると、其処には父さんと母さん、そして姉貴と苺と俺達の妹『彩夏』が集まっていた。

 

「久しぶりだな玲二」

 

「本当に久しぶりねぇ♪最後に会ったのは二年前かしら?」

 

「もうそんなに経つか?彩夏も久しぶりだな、もう高校卒業したんだっけ?」

 

「おにぃ久しぶり!うん、今は短大に出てるよ♪」

 

うん、皆元気そうで良かった。にしても……兄貴の姿がねぇな、一緒には来てないのか?

 

「なあ父さん、兄貴はどうしたんだ?一緒に来るもんだと思ってたんだが………」

 

「ああ浩一か。あいつは今仕事を終えてからこっちに向かうそうだ。大丈夫、ちゃんとこの島に来る方法は伝えているさ」

 

そうなのか……いや、そんな仕事で忙しいなら来なくて良いんだが……取り敢えず皆を家に入れるか。

 

「そんじゃあ中に入ってくれ、皆もリビングで待っててくれてるから」

 

「うん、お邪魔するわね玲二♪」

 

「お邪魔しまーす♪赤ちゃん楽しみだなぁ~♪」

 

「だなぁ~♪」

 

そのまま皆を家に上げ、リビングにいる皆のところへと案内する。

 

「あら素敵なおうちねぇ~♪あ、フブキちゃんお久しぶり~♪」

 

「お久しぶりですお義母さん♪ほらこゆき、おばあちゃんだよ~♪」

 

「あぅ?」

 

リビングに入るなり母さんはフブキのところへ行き、フブキもこゆきを母さんへと抱っこさせる。流石にまだ初対面だからこゆき不思議そうに母さんを見てるな。

 

「それじゃ皆、何人かは会った事あると思うけど改めて紹介するな。俺の父さんと母さん、そして妹の彩夏だ」

 

「何人かは直接会うのは初めてだね。改めてまして、玲二の父親の佐々木康晴です。息子の事、何時も支えてくれて有り難う」

 

「い、いえ!こちらこそお義父様に直接ご挨拶出来ないまま籍を入れて申し訳ございません!」

 

父さんが自己紹介と共に頭を下げるとそらが代表して更に頭を深々と下げる。そんな事しなくても父さん達は気にしてないけどな。寧ろ俺が結婚した時は二人してはしゃいでたって言うし。

 

「それじゃ私も、玲二の母の聖愛(せいら)です。みんなの事は玲二からよく聞いてたわ♪特に、ラプラスちゃんだったかしら?」

 

「は、はい!あ、あの、その……わ、吾輩が玲二パパの娘になりましたラプラス・D・佐々木です!お、おば、おば……」

 

「フフ♪そんなに緊張しなくて良いわよ?玲二の娘なんだから私の事はおばあちゃんって呼んでね♪」

 

「は、はい、おばあちゃん……///」

 

スゲェな、普通だったらまだおばあちゃんなんて言われたくない見た目と年齢なのに躊躇なくラプにおばあちゃんって呼ばせてる。これが母さんの包容力の凄さなんだよなぁ。

 

「はいはーい!次はあたし!玲二おにぃと春香ねぇの妹、彩夏でーす♪」

 

「おぉ~!あやたん久しぶりなのらぁ~♪」

 

「るーたん久しぶりぃ~♪」

 

彩夏が自己紹介するとルーナが彩夏のところへ近づき二人してハグしあっている。二人とも幼い頃からの仲良しでルーナにとってお姉ちゃん的な存在になってる。因みに春香とは姉貴の名前である。

 

「さて自己紹介も済んだし、これから三日間よろしく頼むな玲二」

 

「ん、騒がしい家だけど父さん達もゆっくりしていってくれ。娘達とも沢山構ってやってくれな」

 

「ええ、折角の玲二からの初孫達だもの、沢山愛でてあげるわ♪」

 

そう言うと母さんはリビングに置いてあるベビーベッドに行き他の子達とも顔合わせしていく。今日から三日間俺の家族達はこのホロライブマンションで泊まる事になっている。本当だったら俺が皆を連れて実家に行きたかったが、流石に皆で行ったら家に入りきらないと姉貴に言われたので今回から家族の集まりはこのホロライブマンションで行われる事になったのだ。

 

そして……

 

「へぇ~お義父様って料理人なんですね?しかもあの有名ホテルの料理長を勤めてらっしゃったなんて」

 

「はは、そんな大した事ではないよ。もう退職した身だし、ちょこさんやフレアさんもこの家で料理を担当されているんですよね?」

 

「ええ、でも流石に一流ホテルの料理に比べたら全然ですが……」

 

ちょことフレアは父さんと料理について語り合ってる。折角だから家族が集まってる今の内に父さんの作った料理食べたいな。

 

「お義母様!是非私も玲二君のお嫁さんにさせて下さい!」

 

「ちょっと母ちゃんみっともないから止めてよ!?」

 

「え?母ちゃんって……貴方人妻?さ、流石にそれはちょっと……」

 

母さんに向かってういさんが土下座で俺との結婚を頼み込んでいてそれをスバルに止められている。流石の母さんも少し引いてしまってるみたいだな。

 

「こーゆ、まーお、かーい、れーい、かーが♪」

 

「あっぷぅ♪」

 

「良かったねぇいっち、いきなり沢山の子のお姉ちゃんになったわねぇ~♪」

 

「あい♪」

 

ベビーベッドで横になってるこゆき達を見て名前を呼んであげてるいっち。そして名前を呼ばれて笑ってるこゆき。うん、可愛い。マオ達はまだよく分かってないみたいだけど、それも可愛い。

 

「ふわぁ~……この中におにぃの赤ちゃんが……しかもこんなにいっぱい、すごーい♪」

 

「アハハ、この子達に会えるのはまだ少し先だけどね♪」

 

「後三ヶ月ぐらいだよね?ラミィ達も待ち遠しいなぁ♪」

 

「あたし的にも早く産まれてほしいかな?双子って結構お腹重たくなって大変だし」

 

「ワタシはこの子が無事に産まれテくれレバソレで充分だけどナ♪」

 

彩夏がメル達のお腹を見て目を輝かせている。これから産まれてくる赤ちゃん達を早くみたいといった感じで楽しみにしているようだ。俺も楽しみで仕方ないしな。

 

こうして各自各々と俺の家族と交流を行っていた、その時……

 

 

 

 

 

―ピンポーン―

 

『ッ!?』

 

突然インターホンが鳴り俺やフブキ、そして一部の娘達の身体が思わず硬直してしまう。この感じ間違いない………遂に、兄貴が来てしまった!

 

「み、皆、ちょっと出てくるから少し待っててくれ」

 

「れ、レイくん私も……」

 

「ダメだ!フブキはこゆき達についてやってくれ。そんじゃあ、ちょっと出てくる……」

 

俺は意を決して玄関へと向かって行く。そして玄関を開けると、案の定其処には兄貴がいた。

 

「ひ、久しぶりだな、兄貴」

 

「……ああ」

 

「と、取り敢えず中に入れよ、皆も待ってるから……」

 

俺はそう言って兄貴を招き入れリビングへと戻っていく。そして……

 

「あ、玲二様戻ってき……た……?」

 

リビングに戻ってきた俺にあやめが声をかけるもすぐに言葉が途切れてしまった。無理もない、何故なら……俺の横でスキンヘッドでマッチョな男が厳つい顔つきでリビングに入って来たのだから。

 

「な、なんなのあの人……?」

 

「も、もしかしてあれが、玲二のお兄さん……?」

 

「こ、怖すぎるでござる……!?」

 

「わ、わため達もしかしてしばかれたりするのかな……?」

 

初めて見る兄貴の姿に皆はブルブルと震えが止まらないでいる。あのシロでさえ兄貴の姿を見て半泣きになりそうに震えている。そしてそんな兄貴に父さんが近づいて声をかけていく。

 

「おお久しぶりだな浩一、元気だったか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あらもうパパったらお久しぶりぃ~♪ママも春香も彩夏も元気そうで何よりだわぁ~♪」

 

―ズッテーーーンッ!!―

 

あ、皆してずっこけたな。そりゃそうか。いきなり厳つい男が笑顔で更にオネェ口調で喋り出すんだからびっくりするよなそりゃ。

 

「あ、貴方達が玲二のお嫁さん達ね?初めての方ははじめまして♪久しぶりの方はお久しぶり~♪アテクシが佐々木家の長男の浩一こと『麗閃・アルフォンス』よ、以後お見知りおきを♪」

 

「な、なんなのこの人……?!」

 

「ぼ、ボクの脳内処理が追い付かないんだけど……?!」

 

「そりゃそうなるよな?兄貴の事初めて見た奴皆同じ反応するし」

 

皆がパニクるのも仕方ない、俺の兄貴『佐々木浩一』は海外では一流のメイクアーティスト兼パティシエ『麗閃・アルフォンス』として名が知れているのだがその見た目と喋り方のギャップで何時も皆を困惑させているのだ。だから俺は皆に兄貴の事紹介したくなかったんだよ。

 

「あら?やだもうフブちゃんお久しぶり~♪前にもまして随分綺麗になったわね~♪」

 

「あ、アハハ……お久しぶりです、浩一さ「Non!麗閃と呼びなさいと何時も言ってるでしょ?」……麗閃さん」

 

「よろしい♪スバちゃんもぼたんちゃんもミオちゃん、それにアカリちゃんもお久しぶり~♪」

 

『……お久しぶりです、麗閃さん』

 

あ、フブキ達が兄貴に目を付けられたな。初対面の皆はただの厳ついオカマに見えているが面識もあってかつてあれをやらされたフブキ達からしたら兄貴は恐怖の対象でしかない。何故かと言うと……

 

「……あら?フブちゃん、貴方随分顔が丸くなってない?」

 

「ギクッ!?」

 

「それに他の皆も随分お肉付いちゃったみたいね……貴方達、さては今までトレーニングサボってたわねぇ?!」

 

『ギクギクゥッ!?』

 

……あ、ヤベェなこれ。やっぱり兄貴の目は誤魔化せないようだな?フブキ達結婚してから少しだけ肉が付いちゃったって言ってたし……これはかなりまずい展開になりそうだ。

 

「よく見たら他の娘達も全然たるんでるじゃない!?玲二と結婚して幸せだからって気を抜き過ぎじゃないかしら?!」

 

「い、いやそんな事言われても……」

 

「黙らっしゃいッ!もうこうなったら容赦しないわッ!」

 

兄貴はそう言うとスマホを操作して何処かへ電話をかけていく。

 

「……もしもしマネージャー?悪いけどアテクシの一ヶ月先までのスケジュール全部キャンセルして。スィーツ博覧会もファッションショーのメイクの仕事も全部!分かったわね!?」

 

―ピッ―

 

「これで良し……それじゃ早速だけど今日から一ヶ月間アテクシがたるみきったあんた達に地獄の修業を叩き込んであげるわ!」

 

『地獄の修業?!』

 

やっぱりか。実は兄貴は今の仕事に就く前はアメリカ特殊部隊グ○ン・○レーに所属していて、今でもたるんだ奴を見ると根性叩き直すとか言って地獄の修業を行っているのだ。そして今回もそんな兄貴に皆目を付けられたのだ。

 

「あ、兄貴?流石にそれは勘弁してくれないか?何人かまだ妊娠してるし、それにフブキ達もこゆき達がいるから……」

 

「そんな事分かってるわよ。流石に妊婦は勘弁してあげるわ。それと赤ちゃん達はパパ達に任せてもらうわ。パパ、ママ、三日間の予定のところ悪いけど一ヶ月間滞在してもらっても良いかしら?」

 

「もう浩一ったら……仕方ないわねぇ」

 

「こうなった浩一は何を言っても聞かないしな。仕方ないか」

 

うん知ってた。兄貴のこのやり取りは軍にいた頃から変わってないので父さん達も既に諦めているようだ。本当に迷惑だ、これだから兄貴には来てほしくなかったんだよ畜生。

 

「さあ!そうと決まれば妊婦以外はさっさと裏の山に集合!玲二、春香、彩夏!あんた達も一緒にやるわよ!」

 

「はあぁッ?!なんであたしまで?!」

 

「……諦めなさい彩夏、今のあのバカ兄貴に何を言っても無駄よ」

 

「そうだよな…………はぁ、最悪だ」

 

こうして急遽始まってしまった地獄の修業。此処からはその一部を抜粋してお送りしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほら其処!まだ三週しかしてないじゃない!はい後七週!」

 

「ゼェ…ゼェ……も、もう無理……」

 

「な、なんでねねこんな事してんの………?」

 

その一『両手両足に計2kgの重りを着けて島十週(俺と兄貴は計10kg)』

 

 

 

「148…149…150……ハァッ!ハー、ハー……」

 

「こらぁッ!何休んでるの!?残り後50回よ!休んだらペナルティで50回プラスよ!」

 

「ふえぇ~、あんまりだよぉ……」

 

その二『腹筋腕立て伏せスクワット各200回計4セット(俺達は各350回計6セット)』

 

 

 

「ふ、フブキィ……こんな事言ったら申し訳ないけど……お、重いぃ~……」

 

「ごめんなさぁーい!もう食べ過ぎたりしませんから許してぇ~!」

 

「お喋りしてる暇あったらさっさとやる!」

 

その三『相方背負って兎跳び1km』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―五日後―

 

―チーーーンッ……―

 

「……そりゃそうなるわな」

 

地獄の修業が始まってまだ五日しか経ってないが、全員屍のように動けないでいる。当然だ、兄貴のやる訓練ははっきり言って普通の人間がやるような事じゃねぇ。鬼人族のあやめや獣人族の娘達でさえ音をあげる程厳しい内容である。しかもこれがただやらせてるだけなら文句を言えるが俺も兄貴もそれ以上の内容のトレーニングを一緒にやってるので誰も文句を言えないでいる。

 

「こ、こんなに恐ろしいトレーニングだなんて……」

 

「皆に申し訳ないけど、メル妊娠してて良かった……」

 

「あたしも、あんな地獄もう見たくないわ……」

 

「コレがフブキパイセン達が恐がっテタ原因だったんダナ……」

 

「こんなの受けてたらラミィ死んじゃうわ……」

 

「フレアぁ~助けてやれんでごめんなぁ……」

 

地獄の修業を免れた妊婦組もトレーニング内容を見て思わず震えが止まらず、それでも皆に申し訳ないと思いつつ免れて良かったとホッとしている。特に一度受けた事のあるぼたんにとっては二度とやりたくないと言ってたので若干涙を流しながら喜んでいる。因みにこの地獄の修業は俺はこれで三回目、姉貴は二回目である。

 

「う、うぅぅ……うがあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!もうやってられるかあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」

 

あ、はあとがとうとうキレた。おそらく誰か一人はキレると思ってたがまさかのはあとか、てっきりシオンとかるしあ辺りがキレると思ったんだが。

 

「あの筋肉ハゲダルマ!玲二のお兄さんだから今まで我慢してたけどもう無理!こんなトレーニングしてたら身体が幾つあっても足らんわ!こうなったら直接文句言ってやるッ!!」

 

「あー……はあちゃま、それは無理だと思うよ?前にスバルがやった時もキツイから止めたいって言ったら逆に根性足りないって言われて一週間増やされたし」

 

そうなんだよな、兄貴って口答えする奴が一番嫌いだからそういう奴には容赦なくトレーニング内容増やすんだよなぁ。でも兄貴は相手の将来の事を考えての事でやってるワケで決して悪意でやってるワケではない。だとしてもこれはやり過ぎだと思うけど。

 

「フンッ!そんなのあの筋肉ハゲダルマ見てたら分かるわよ!だから私に良い考えがあるのよ♪」

 

?はあと、お前一体何するつもりなんだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………なんですって?修業を止めろですって?」

 

「そうよ!勿論タダでとは言わないわ、私とあんたで勝負して、勝ったらこのふざけた修業を即止めさせてもらうわ!」

 

………正気かはあと?言っとくが兄貴はこんなナリでも意外とオールマイティーだぞ?俺だって兄貴に勝った事殆どねぇし。

 

「ふーん、なかなかの反抗心ね貴方?良いわ、その度胸に免じてその勝負受けて立つわ!但し、貴方がアテクシに負けた場合連帯責任として全員修業一ヶ月追加よ!」

 

「うッ?!………の、望むところよ!!」

 

『はあちゃま(はあとちゃん)ッ?!』

 

うわぁ、これはヤバい。勝負の内容にもよるけどはあと勝てるのか………?

 

「それで?貴方は一体何でアテクシと勝負するつもりかしら?」

 

「フンッ!私の用意したのはこれよ!これをどちらが良い塗装をするか勝負よッ!」

 

そう言ってはあとが出したのはガンプラ、それもエントリーグレードのストライクガンダムか。成る程、面白いチョイスだな。

 

 

『エントリーグレード ストライクガンダム』

機動戦士ガンダムSEEDに登場する主人公『キラ・ヤマト』が乗った最初の機体。その機体を組み立て易く、更に色分けだけで再現している工具不要シール無しとまさに初心者の入門用キットと言えるガンプラである。しかしその可動域の凄さやHGのストライクとの互換性もある事からかなりの人気がある。

 

(この間玲二が言ってたけど、この筋肉ハゲダルマはガンプラをした事がないって言ってたからこの勝負、経験の差で私が圧倒的に有利の筈よ!)

 

「成る程ねぇ……分かったわ、それじゃあ今日のトレーニングは中止、今夜中にお互いに塗装して御披露目しましょう。そしてそれをパパとママに判断してもらい、どちらが凄い塗装かはっきりさせましょう!」

 

「望むところよ!絶対勝ってこんなふざけた修業なんて終わらせてやるんだからッ!」

 

そういうとはあとはガンプラルームへ、兄貴は来客用に貸してる自分の部屋へと向かって行った。果たしてこの勝負、どちらが勝つのやら……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―その日の夜―

 

「さあて、では早速貴方が拵えたストライクを見せてもらおうかしら?アテクシに挑戦したという事はそれなりの物を作って来たのよね?」

 

「当然よ!あんたなんかギャフンと言わせてやるんだから覚悟しなさい!」

 

そして夜になり二人はリビングへと戻ってきて早速お互いのストライクが入ったケースをテーブルへと置く。回りの皆も自分達の命運が決まるこの勝負をドキドキしながら見ている。さて、どんな塗装に仕上がったのか?

 

「さあ、まずははあちゃまのストライク!その名も『シャイニングストライク』よ!」

 

はあとがフードを取ると其処にはツインアイがゴールドに、それ以外がメッキ塗装された光輝くストライクの姿があった。これは、ガンダムマーカーのメッキを使ったのか?

 

 

『シャイニングストライク』

ストライクのツインアイだけゴールドに塗装し、それ以外をメッキのマーカーとマーカー用のエアブラシを使って塗装したゴージャス仕様に仕上がったストライク。まさにはあとらしい破天荒な塗装の仕方である。

 

「ほぉ、ピッカピカに輝くストライクか」

 

「凄いわね、塗装一つでこんなに印象変わるのね?」

 

はあとのストライクを見て父さん達はかなりじっくりと見ている。確かに凄いしなかなか良いが、なんか違和感があるな……

 

「はんッ!自信満々で出して来たと思ったら何よ!?ただの見かけ倒しのメッキ塗装じゃない!貴方、ストライクの事何も分かってないのね!?」

 

「はあぁッ?!何よ!?はあちゃまのストライクが見かけ倒しですって?!」

 

「そうよ!その証拠を今見せてあげるわ!見なさい、これが真のストライクよッ!」

 

そう言うと兄貴も自分の作品を隠すフードを取っ払っていく…………………ッ!?こ、これはッ!?

 

「見なさい!これぞストライクの原点!その名も『その名はガンダム』よッ!」

 

 

『その名はガンダム』

機動戦士ガンダムSEEDの最初において欠かせないストライク最初の起動の瞬間。フェイズシフト装甲を展開してない灰色の姿だけではなく爆発や炎による煤汚れ等を見事に表現している。

 

「これは……凄いな、まさにストライクが最初に動き出したあの炎の中を彷彿とさせる塗装だ……」

 

「私は皆と違ってガンダムは詳しくないけど、こっちの方が戦うガンダムって感じがするわね……」

 

確かに、このストライクからは幼き当初TVで見たあのストライクを思い起こさせる雰囲気が出てる。それに比べてはあとのストライクはメッキで輝いてはいるものの何処か安っぽく感じてしまう。

 

「そ、そんな……ガンプラ作った事ない奴が此処まで凄い塗装をするなんて……?!」

 

「あら、貴方アテクシの職業お忘れかしら?アテクシはパティシエでありメイクアーティストでもあるの。これくらいの塗装なんてタルトの仕込みをするより簡単よ♪それに、貴方達は知らないかもしれないけど、玲二にガンダムの良さを教え込んだのは他でもないこのアテクシよ!そんなアテクシのストライクが貴方の見栄えだけのストライクに負けるワケないじゃない!」

 

「ッ!?そ、そんな……」

 

確かに、兄貴はガンプラを作った事がないだけで塗装やガンダムの知識は俺なんか比べ物にならない程凄い。これは最初から勝負が決まってたようなもんだな……

 

「うーん、確かにこれはもう決まったようなものか……」

 

「うん、皆には申し訳ないけど、こればっかりはね……」

 

父さん達も俺達に申し訳なさそうにしているが他の皆もすっかり諦めてしまってるし既に勝敗は見えてしまってる。此処は潔く地獄の修業を受けるしかないか………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、あうぅ~」

 

「あぁ、うぅ~」

 

「あう、あうゆぅ~」

 

「?かいり、どうしたの?」

 

「マオも……一体どうしちゃったの?」

 

「玲菜……もしかして皆、ガンプラに興味があるのかな?」

 

結果が決まろうとした瞬間、突然かいりとマオと玲菜が何かに反応し始め、あやめは試しにと二人のガンプラが入ったケースへと玲菜を近づけると玲菜はそれぞれのケースをペタペタと触り始めた。そして……

 

「……あやぁ♪」

 

「ッ!?れ、玲二様!玲菜が、玲菜が初めて笑ってくれた余ッ!」

 

「え………ッ!?ほ、本当に笑ってる……!?」

 

なんと玲菜ははあとのストライクが入ったケースを触りながら初めてニパッと笑っていた。時期的にはそろそろ笑うようになる頃だと思ってたけど、まさかこのタイミングで笑うとは!?

 

「え、それじゃあもしかして……?」

 

「う、ウチも!ほらマオ、これが良いの?」

 

そらとミオもそれぞれかいりとマオをケースに近づけると二人とも玲菜のようにケースをペタペタ触り始める。すると……

 

「「……あっきゃあ♪」」

 

「ッ!?玲二君!かいりが、かいりが笑ってくれたよ!」

 

「マオも笑ってくれた……アッハハ♪マオ、お前そんな風に笑うのかぁ♪」

 

初めて笑う我が子にそらもミオも嬉しさのあまり思わず少し泣いてしまう。それにしても、三人とも初笑いがガンプラ、それもはあとの作ったストライクを見て喜ぶとはな……

 

「……どうやら赤ちゃん達にははあとちゃんの作ったピカピカなストライクが良いみたいだね」

 

「ええ、あんなに嬉しそうに笑うなんて、まるで皆が赤ちゃんだった頃を思い出すわ♪それにしてもよっぽどはあとちゃんのストライクが気に入ったみたいね、ずっとペタペタケース触ってるわ♪」

 

「…………そうね」

 

かいり達がはあとのストライクが入ったケースを触ってるのを見ると、兄貴は先程までのテンションから一変して落ち着いた態度ではあとの前に立った。

 

「……はあとちゃんだったかしら?今回のところは赤ちゃん達に免じてアテクシの負けで良いわ。それと、さっきは貴方のストライクを馬鹿にするような事を言って悪かったわ」

 

「え………?ほ、本当に?!」

 

「ええ、あの子達の反応みたら誰だって負けを認めざるを得ないわよ。それに、アテクシに此処まで対抗してきたのは貴方が初めて、だから貴方の事はちょっとだけ認めてあげてもよろしくてよ♪」

 

兄貴はそう言うとかいり達の頭を撫でた後リビングから出ていこうとする。

 

「予定とは大分早くなっちゃったけど、今回の修業は此処までにしてあげる。だけど次にまたたるんだ姿見せたら容赦しないからね!分かったかしら?!」

 

『は、はいぃッ!?』

 

兄貴の言葉に皆姿勢を正し返事をすると兄貴は満足したのか自分の部屋に戻っていく。と、兎に角助かったみたいだな……

 

「………よ、良かったぁ~」

 

「これでもうあんなトレーニングしなくて良いんだよね……」

 

「でもこれを機に少し運動した方が良いかも……またたるんでるって言われてまた修業だなんてこりごりだもん……」

 

皆して一安心したのか身体力が一気に抜けていく。流石に限界に達してた娘もいたようで何人かはそのまま眠ってしまったが、今はゆっくり休ませてあげないとな。

 

「……ありがとうねかいり、はあとちゃんのストライクを選んでくれて♪」

 

「マオもありがとうね♪」

 

「玲菜もな~♪」

 

「「「あぅ♪」」」

 

「……皆、本当にありがとうね♪」

 

そらやはあと達もかいり達がはあとのストライクを選んだ事を感謝すると三人ともまたニパッっと笑っていた。うん、やっぱ皆子供がこうして笑ってくれるのは嬉しいな。

 

こうして兄貴による地獄の修業はかいり達のお陰ではあとの勝利によって幕を閉じたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―数日後―

 

「え?!父さん達もこの島に移住すんの?!」

 

「ああ、そもそもこの移住は最初から決めてたんだよ」

 

「玲二の家に泊まってる間に既に私達の家もこの島に移転してもらってたのよ♪」

 

そういう事だったのか。そういや姉貴も既にこの島に移住してたしな……でもそれなら彩夏はどうすんだ?あいつ実家暮らしだけど今短大行ってるのにこっから通えるのか?

 

「あたしも義兄さんにお願いしたら専用のワープ装置作ってくれたから何時でも学校と行き来出来るようになってるから大丈夫だよ♪」

 

何その無駄なテクノロジー?でもまあそうしないと無理か。このホロライブタウンは外部からは見えないように魔法によってバリアが張られてるからこういったワープ装置がないと島と外との行き来が出来ないからな。そのお陰で俺達は安心して暮らせるんだが……兎に角これからは父さん達とも頻繁に交流出来そうだな。

 

 

ホロライブタウンに新しく佐々木家が加わった。これにより玲二達と佐々木一家との交流は更に良くなりそうである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―その頃―

 

ブフフ、皆久しぶりだな♪俺が遂に帰って来たぜッ!

 

……………え、お前誰だだって?ふざけるな!番外編の一番最初に出てきた元ホロライブのエリートスタッフの只野喪不男だッ!あれから俺はアマゾンに飛ばされたと思ったら今度は多額の慰謝料と損害賠償を支払わさせ、そのせいで帝愛グループから借金を背負わされ地下労働施設にぶちこまれてしまったんだ!それもこれも全部あの佐々木のせいなんだッ!!あいつが何時も俺の邪魔してくるから………ッ!

 

ブフフ、しかしそれも此処までだ!俺は地下でコツコツと資金を貯めて一日外出券を手に入れ、遂に外に出る事が出来たのだ!これでホロライブ事務所へ行き其処にいる誰かに取り入って借金を肩代わりしてもらい、俺は再びホロライブのエリートスタッフとして返り咲くのだぁッ!ブァッハッハッハッハァッ!!

 

―数分後―

 

「………あ、あれ?確か此処に事務所があった筈なんだが……」

 

俺が事務所へと向かい辿り着くと、其処には事務所はなく更地となっていた。ど、どういう事だ?場所は確かに此処であってるのに……

 

ハッ!?もしやホロライブが潰れてしまったのか?!だとしたらそれはきっと佐々木のせいだろう………おのれぇ佐々木ぃッ!!俺を追い出しただけでなくホロライブまで潰すとは、何処までも卑劣な奴なんだッ!!

 

そうなるともしかしたら他のホロメン達も別の事務所へ移籍したのかもしれない。こうなったらホロメン達がどうなったのか聞き込みをしなければッ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え?ホロライブならもう数ヶ月前に別の場所に移転しましたよ?」

 

「え………い、移転?」

 

あれからすぐ近くにいたサラリーマンに声をかけホロライブの事を訪ねると既にこの場所から違う所へと移転してしまったらしい。な、何でまた移転なんて……?

 

「そ、それで?ホロライブは一体何処に……?」

 

「さぁ?移転先は誰も知らないみたいですよ。同じ理由でにじさんじやハニスト等も移転したみたいですが、流石に何処へ行ったのかまではね……」

 

なんてこったッ!?まさかホロライブだけでなくにじさんじとかも移転してしまったとは!?しかも何処へ行ったのか分からんだと?!

 

こ、こうしちゃおれん!今すぐ他の奴等にも聞き込みをして皆の所へ行かないと!ブフフ、待ってろよぉ俺のアイドル達ぃッ!!

 

 

 

その後、結局ホロメン達の足取りを掴む事は出来ず一日外出券の使用時間が過ぎてしまい強制的に地下労働施設に戻される只野であった。




はい、という事で佐々木家との交流回……もとい玲二の兄からの地獄の修業回でしたw結構真面目な佐々木家に一人くらいはこういうのいても良いかなって思い書きましたw

そして最近只野の名前が出てきたのでなんとなくでしたが出して見ました。まあ、今後も出す気はないですがw

次回はいよいよ玲二とホロメンの出会い回にしようと思いますので気長に待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第44話『貴方と出会って2』

今回は過去話となります。本当は前回やったアンケートの上位五名というつもりだったのですが、意外と多くの投票を頂いたので投票数20を越えた娘全員書く事にしました!とはいえまとめて書くと長いので二話に分けてお送りします。

それではどうぞ!


ホロライブに所属するスタッフとアイドル。彼等はどのようにして出会い、そして惹かれていったのか?今回はそんな彼女達との出会いを振り返って見てみよう。

 

 

 

 

 

―6.AZKi―

 

アズキが玲二さんの事を好きになった理由ですか?そんな、多分聞いても面白くないと思いますが……え、それでも良いですって?わ、分かりました。あれはそうですね、アズキがホロライブに所属し始めた頃の話です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―数年前―

 

(……うぅ、アズキこれから本当にアイドルとしてデビューするんだよね?なんか緊張するなぁ……)

 

当時のアズキはまだ出来たばかりのホロライブのオーディションを受けて、そして最終審査まで残り見事に合格する事が出来た。そしてその中でも音楽に特化したチーム『イノナカミュージック』という場所に配属される事になり、この日はその契約を結ぶ為に事務所へとやって来ていたんだけど……

 

(だ、大丈夫!落ち着いていれば絶対メジャーデビュー出来る!落ち着けアズキ!落ち着……うぅ~、やっぱり緊張するぅ~……)

 

初めてのアイドルデビューなのと当時まだ其処まで名前が知られていない事務所に所属した事でアズキは不安と緊張にずっと悩まされていた。本当にこの事務所で大丈夫だったのかな?本当にアズキなんかがメジャーデビュー出来るのかな?そんな不安がずっとアズキに押し寄せてくる。今すぐにでも話をなかった事にして逃げ出したい、そう思ってしまう程でした。でも……

 

「あれ?見ない顔だけど……ひょっとして君が新人アイドルの娘かな?」

 

「え……あ、は、はい!あ、AZKiと言います、よろしくお願いします!」

 

「AZKiね、俺が今日から君のサポートをする佐々木だ。と言っても俺も新米だからお互いに頑張っていこうな」

 

そう言ってやって来た男性スタッフである佐々木さんはアズキに笑顔で手を差し伸べてくれた。これが、アズキが初めて玲二さんと出会った瞬間だったんだ。

 

それからは最初こそは躓きもあったんだけど、玲二さんは一生懸命アズキの事をサポートしてくれた。当初はまだ人員も少なかったから玲二さんがマネージメントも全て行ってくれて、そのお陰でアズキは早い段階でオリ曲を出す事が出来たんだけど……それでもその時まではアズキの中では玲二さんは頼れるスタッフさんというイメージしかなかったんだよね。

 

そしてアズキが玲二さんの事を意識するようになったのは、意外と単純な事だった。ある日アズキが収録を終えて帰ろうとした時に、事務所の休憩室のテーブルにあった箱に目が行き手に取った事が切っ掛けだったんです。

 

「……フリーダムとストライクの箱?これって確かガンダムのプラモデル……だよね?」

 

其処に置かれていたのはストライクとフリーダムのプラモデルだった。昔親戚の叔父さんが見ていたガンダムの中でアズキが最も惹かれ何度も見たSEEDに出てきた主人公キラのMS。でもそのプラモデルがなんで此処に?

 

「お?なんだアズキ、ガンプラに興味でもあるのか?」

 

「え?あ、佐々木さん。もしかしてこのガンダムのプラモデル、佐々木さんのですか?」

 

「ああ、済まんな。他の仕事してたらそれをしまうのすっかり忘れてたわ」

 

そう言うと玲二さんはアズキからストライクとフリーダムの箱を受け取ると自分のバッグにしまってしまった。もう少し見たかったな………

 

「………アズキ、もしかして本当にガンプラに興味があるのか?」

 

「え………い、いえ!ただストライクやフリーダムって懐かしいなって思っちゃって……」

 

「ふーん、そっか。それにしてもアズキ、このガンダム達の事知ってたんだな?懐かしいって言ってたし、もしかして昔見た事あるのか?」

 

「あ、はい。昔叔父さんから見せてもらって、それからずっと惹かれて何度も見た事があります……///」

 

ど、どうしよう……やっぱり女の子がガンダム好きって変かな?男っぽい趣味で変とか思われちゃったかな……?

 

「そうなのか………なあアズキ、良かったら俺にこのガンダムの出てた作品の事教えてもらって良いか?」

 

「え?あ、大丈夫ですけど……」

 

「そっか良かった。俺実は兄貴からガンダムの事色々聞いたんだけどいろんな作品一辺に教えられたせいで機体くらいしか覚えてなくてストーリーが殆ど分からないからさ、教えてもらえたらとても有難いわ」

 

……この人、アズキがガンダムSEEDが好きだって知っても引くどころかアズキにSEEDの話を聞いてくるなんて……今までそんな事なかったから、ちょっと嬉しいな♪

 

こうしてアズキは玲二さんと時間が許す限りSEEDの話をして盛り上がり、話が終わる頃にはアズキも玲二さんの事は名前で呼ぶくらい親しくなれた。それからアズキは玲二さんと一緒に仕事をしながら合間の時間でガンダムトークを楽しんでいる内に段々と玲二さんに惹かれていたんだ。いつまでもこんな関係が続けば良いなって思う程に……でも、それは突然終わりを告げた。

 

「え……他の娘の担当に戻る……?」

 

「ああ、元々俺はイノナカミュージックには仕事内容を覚える為の研修に来てたから、もうそれも終わったし元々受け持ってたメンバー達のサポートに戻る事になったんだよ」

 

そんな……それじゃあアズキはもう玲二さんと一緒に仕事が出来ないの?玲二さんが他の女の子のところに行っちゃうの?そんなの、嫌……

 

「ま、といっても後数日は残ってるしそれまでは何時ものように一緒に「嫌です……」え?ど、どうしたアズキ?何が嫌なんだ?」

 

「嫌です!アズキ、玲二さんとずっと一緒にいたい!玲二さんはアズキがガンダム好きなの知っても引くどころか興味を持ってくれた!沢山ガンダムの話もして、一緒に沢山笑ってくれた!そんな優しくて頼りになる玲二さんがアズキは好きなんです!だからお願いします、これからもアズキと一緒にいて!」

 

「……アズキ……」

 

アズキはいつの間にか玲二さんにしがみついて思いの全てをぶつけていた。玲二さんがアズキから離れて違う娘のところにいくなんて、そんなの絶対堪えられない!

 

「……悪いアズキ、それは出来ない。俺はあいつ等と約束したんだ、一緒にトップへ行こうって……アズキの好意はとても嬉しいが、だからと言ってお前一人だけにつくワケにはいかないんだ。本当に済まない……」

 

……だけど、そんなアズキを玲二さんは優しく撫でてくれながらそう言った。そして気づいてしまった。玲二さんにとってその娘達はとても大切な人なんだと……だったら

 

「……だったら玲二さん、アズキとも約束して下さい。アズキも一緒にトップへ連れていって下さい。玲二さんと一緒なら、絶対トップに行けるって信じてます。だからアズキも、玲二さんの大切な人の中に入れて下さい」

 

「アズキ………分かった、とは言っても俺はイノナカミュージックから外れるからそんな頻繁には会えないと思うが、俺で良ければお前のサポートをさせてくれ」

 

「ッ!はい、これからもよろしくお願いします玲二さん♪」

 

こうしてアズキは玲二さんと約束し、その数日後に玲二さんはイノナカミュージックから去ってしまった。けど元々同じホロライブ事務所だから結局殆ど毎日会えるって知って嬉しかったけど、そのせいであんな永遠の別れを惜しむようなやりとりが少し恥ずかしくなっちゃった……///

 

これがアズキが玲二さんの事が好きになった時のお話。まだまだ夢の途中だけど、これからもよろしくお願いしますね玲二さん♪

 

 

 

―AZKi編 完―

 

 

 

 

 

―7.癒月ちょこ―

 

ん?ちょこが玲二様と出会った時の話ですって?どうしても言わなきゃダメって、ガチィ?……しょうがないわねぇ、本当はあまり話したくはなかったけど……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―数年前―

 

フフ♪今日も沢山の男の人から貢いで貰っちゃったわぁ♪それにしても本当に男の人ってチョロいわね?ちょっとそれっぽい誘惑しただけですぐに浮かれちゃって♪そのお陰でちょこも贅沢な生活が堪能出来てwin-winね♪

 

「ちょっと癒月先生!何ですかこれは?!」

 

「あら、どうかしました教頭先生?」

 

「どうかしましたじゃないですよ!また貴方宛に沢山の苦情が殺到してんですよ!学校の男子生徒や教師、それに来校された父兄の方々にも色目を使って沢山貢がせてるらしいじゃないですか!貴方それでも保険医ですか!?」

 

うるさいわねぇこのおばさん教頭……そんなんだから四十にもなって未だに独身なの分かってるのかしら?それに貢がせてるんじゃなくて向こうが勝手に貢いでいるだけよ?

 

「もうPTAや教育委員会からもお叱りを受けてるんですから、これ以上男達を誘惑するような言動は控えて下さい!」

 

「は~い善処しまーす」

 

「真面目に話を聞きなさいッ!」

 

もう本当にうるさいわぁ……もう無視してさっさと帰っちゃいましょ。

 

「それじゃあ定時なのでちょこはこれで失礼しまーす」

 

「あ、コラ待ちなさい!癒月先生!」

 

ギャーギャー騒ぐ教頭を無視してちょこは学校からさっさと逃げて街へと向かう。なんだか気分が悪いし、こんな時は街で気分転換しないと♪

 

 

 

 

 

それから街へ着いてちょこは買い物を目一杯楽しんだわ♪やっぱりこういう時は買い物が一番ね♪でも流石に買い過ぎたから一旦家に帰ろうかしら?

 

そんな時だった……

 

―ドンッ―

 

「キャッ!?」

 

「うぉッ?!す、済まない大丈夫ですか?」

 

曲がり角を曲がった時に反対側から来た男の人に気づかずぶつかってしまい持っていた荷物が全て辺りに散らばってしまった。男の人は慌てて散らばった荷物を集めてちょこに渡してくれたんだけど……なかなか良い男じゃない♪ちょっと遊んじゃおっと♪

 

「ごめんなさぁい、ちょこがちゃんと前を見ないで歩いてたから……「いやこっちも急いでたから済みません、そんじゃ」ってちょちょちょッ!?ちょっと待って!?」

 

「ん?どうかしましたか?」

 

どうかしましたじゃないわよ!?ちょこがお詫びをしようとしているのになんですぐに立ち去ろうとするのこの男は?!

 

「あ、あの、それでもちょこが他の事に気が散ってしまったせいで貴方にぶつかってしまったから、そのお詫びがしたいなぁ~なんて♪」

 

「そういう事なら本当に急いでいるんで結構ですので。他に用がないなら失礼します」

 

「なッ………?!」

 

な………ななな、なんなのあの男?!今までちょこが誘惑して引っ掛からなかった男なんていなかったのに、なんであんなあっさりと……ってもう姿が見えないし?!

 

「何よあの男……ああもうムカつくぅ~!もう帰る!」

 

こんな事今まで一度もなかったのに!今度会ったらタダじゃおかないんだから!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―数日後―

 

「はぁ?お見合い~?」

 

「そうよ!貴方みたいに男どもを誘惑する女はさっさと結婚して身を固めなさい!そうすればその男漁りも少しは治まるでしょう!」

 

「ガチィ?なんでちょこがそんなめんどくさい事を、自分がすれば良いのに……」

 

「文句を言うな!兎に角今週末にお見合いを設けましたので必ず行って下さいね!」

 

「はぁーい……」

 

はぁー……なんでちょこがお見合いなんかしなきゃいけないのかしら?身を固めるなんて性に合わないのに……こうなったら適当にあしらって破談させちゃいましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―お見合い当日―

 

「は、はじめまして、錦野権太郎と言います。よろしくお願いしますね癒月さん、フヘヘ……」

 

「よろしく……」

 

……うわぁ、お見合い写真を見た時も思ったけどやっぱりキモい。確かどっかの会社の重役みたいだけど豚族の獣人らしく醜く太ってしかも脂汗が常に吹き出してる。しかも分かりやすくちょこの事を厭らしい目で見てくるから尚気持ち悪い。これがイケメンとかならちょっと誘惑して遊ぼうと思ったけど、これはさっさとあしらって帰りたい……

 

そしてお見合いが始まったのは良いけど、相手からはお見合い定番の趣味とかの話等つまらない事ばかりを聞かされてうんざりしていた。テーブルを挟んでいるのにも関わらず汗臭いし、もうさっさと帰りたいわ……

 

「それではこの後は我々は失礼して二人でゆっくりお話してもらいましょう」

 

「そうですね。それでは癒月先生、錦野さんに失礼のないようにして下さいな」

 

「は~い……」

 

「ブヘヘ……」

 

うわぁ、こんな男と二人きりなんてガチィ?一緒の空間にいるのも無理なんですけど……そんなちょこの気持ちも汲み取ってはもらえず立会人である教頭先生や相手の上司は部屋から出ていってしまった。仕方ない、もうきっぱり断ってさっさと帰ろう。

 

「ブヘヘ、癒月さんやっと二人きりになれましたね♪」

 

「そ、そうですわね……あの、すみませんがやっぱりこのお見合いは―ガバッ!―キャアッ?!」

 

な、何?!いきなり豚男がちょこの目の前に来て押し倒されたんだけど!?く、臭いぃッ!

 

「ブヘヘ、また僕のコレクションが増える♪これだからお見合いは止められないんだよなぁ♪」

 

「こ、コレクション……?貴方、何を……」

 

「僕はね、貴方みたいに綺麗な女の子をペットとして飼うのが大好きなんだよ。だから社長に金を渡してこうやってお見合いの場を設けてもらって、やって来た女の子をペットにさせてもらってるってワケさ♪」

 

なッ?!なんて奴なのこいつ!?そんな事の為にちょこはこんなお見合いさせられたっていうの?!

 

「あ、因みに助けを呼んでも無駄だよ、社長も貴方のところの教頭先生も皆グルだから。それに貴方も散々男遊びしてきたんでしょ?なら今回もたっぷり楽しませてあげるからねぇ♪」

 

な、なんて事……あの教頭までグルだったなんて、これが男の人を弄んでたちょこへの罰だっていうの?そんなの、嫌ぁ……誰か、誰か助けてッ!!

 

「ブヘヘ、それじゃあ早速その身体、たっぷりと堪能させてもら「すみませんお客さん、此処そういう店じゃないんで止めてもらえます?」え―バキィッ!―ブヘラァッ?!」

 

豚男がちょこの胸に触れようとした瞬間、突然別の男の人が部屋に入って来て豚男をおもいっきり蹴り飛ばしてくれたお陰でちょこはなんとか助かった。けど、脂汗が服に付いちゃって気持ち悪いぃ~……

 

「うぇ、なんだこいつの汗、ヌルヌルして気持ち悪い……っと、それよりもあんた大丈夫か?ほれ、あいつの汗で汚れてると思うから俺のジャケットで良かったら貸すよ」

 

「あ、ありがと………って!貴方、この間のぶつかってきた人!?」

 

なんとちょこを助けてくれたのは先日ちょことぶつかってさっさと消えてしまった男だった。もしかして此処の従業員だったの?なんて偶然……

 

「ん?あぁあの時の。スゲェ偶然だな」

 

「え、えぇ……貴方、此処の従業員だったのね?」

 

「いや、俺は此処の店長とは昔馴染みでな、最近同じ奴が何度もお見合いをしに此処を利用していて、しかも魔方陣を使って外部から侵入出来ないようにしていたから不審に思って俺に調査を依頼してきたんだ。ずっと掛軸の裏の隠し部屋にいたんだが、まさかこんな事になるとはな」

 

そ、そういう事だったのね……それにしても、さっきからちょこの心臓がずっとドキドキしている……こんな事初めてだわ///

 

「さて、後はこいつ等をこの録画したメモリと一緒に警察につき出せば終わりだな。それにしても済まなかったな、こいつにボロを出させる為とはいえあんたをすぐに助けてやらなくて」

 

「う、ううんそれは良いわ、助けてくれた事には変わりないもの///そ、それと、お名前教えてもらっても良いかしら?恩人である貴方にお礼もしたいし……」

 

「名前?別に良いけど……佐々木玲二だ、けどお礼とかは気にしなくて良いからな。礼なら既に此処の店長に報酬もらってるから」

 

そう言った男の人……玲二様の笑顔はとても素敵で、ちょこは既にその笑顔の虜になってしまった。

 

それからの展開は物凄く早かったわ。男の人、玲二様が豚男を警察につき出したお陰であいつに囚われていた女の子は無事に保護され、そしてこの事を黙認していた会社の社長は他からの信用を失くし直ぐ様会社は倒産、あのおばさん教頭もグルになってちょこを陥れようとしたのが学校にバレて教育委員会から教員免許を剥奪されてクビになった。そしてちょこはと言うと……

 

「……はぁ~、玲二様ぁ……♪」

 

「……どうしちゃったの癒月先生?最近ずっと上の空なんだけど」

 

「昨日も男子生徒から貢ぎ物されたけどいらないって突っぱねたし、それどころか学校にそんな物を持ってこないようにって怒ってたし……一体何があったの?」

 

あれからすっかり男の人を誘惑するのを止めてしまった。と言うのもあの一件以来玲二様以外の男の人になんの魅力も感じなくなってしまったわ。あの後も何度も玲二様に会って話をして、その度に玲二様への想いがどんどん膨れ上がっていったの。

 

そこからのちょこの行動は早かったわ。今まで男の人から貢いで貰った物を全て処分して学校にも退職届を出し、そして玲二様が勤めているというホロライブへの転職を決めたの。最初こそは玲二様と同じスタッフになるつもりだったのだけど、社長であるYAGOOからのススメでいつの間にかアイドルになっちゃったけどね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―そして現在―

 

「……ん、うぅん……随分懐かしい夢を見たわ」

 

「?どうかしたかちょこ?」

 

今ではちょこは玲二様と結婚して、そして子供まで授かる事が出来た。勿論それはちょこだけではないのだけれど、それでも今すっごく幸せよ♪

 

「んーん、なんでもないわ。それより玲二様、折角だからもう一回戦しましょ♡」

 

「おいおい、いくら安定期だからと言っても無茶はするなよ?」

 

そんな事言って、玲二様だってヤル気満々じゃない♪それじゃあまた頑張ってね、ちょこの愛しい旦那様♡

 

 

 

―癒月ちょこ編 完―

 

 

 

 

 

―8.大空スバル―

 

兄ちゃんとの出会い?別に話しても良いけど、特に面白い話でもないよ?それでも良いって?仕方ないなぁ……あれはまだスバルが入院していた時の話だけど……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―十二年前―

 

「スバル~♪今日はスバルの大好きなプリンとオレンジジュースを買ってきてあげたわよ~♪」

 

「………うん」

 

……何時までスバルはこの部屋にいなきゃならないんだろう?小学校に入ったと思ったら急に具合が悪くなって、気づいたらこの部屋に入れられて……母ちゃんに何度もお外で遊びたいって言ってもダメだって言われて、スバルもうこんな生活やだよ!

 

「?スバル、どうかしたの?具合悪いのかしら?」

 

「……ねぇかあちゃん、スバルいつまでこのへやにいなくちゃいけないの?スバルまたみんなといっしょにおそとであそびたいよ!」

 

「ッ!スバル……ごめんなさい、それだけは無理なのよ」

 

「なんで?!なんでスバルおそとであそんじゃいけないの?!なんでがっこうにもいかせてくれないの?!もうスバルこんなへやにいるのやだよ!」

 

「スバル………ごめんなさい、本当にごめんなさいね……」

 

スバルがお外に出たいと言っても、母ちゃんは泣いて謝るだけだった。どうして母ちゃん謝るの?どうしてスバルを抱いて泣いてるの?

 

その理由はその夜に分かった。夜中にトイレに行きたくなったスバルは怖くなりながらも廊下に出てトイレへと向かう途中、光が漏れてる部屋から何か声が聞こえてきたので思わず扉に耳を当てて聞いてみたんだ。

 

「……それにしても204号室のあの子、スバルちゃんだったかしら?あの子も可哀想よねぇ、もうそんなに長くないんでしょう?」

 

「えぇ、先生が言うには持って二ヶ月だって……あの子の心臓の腫瘍は世界でも名高い名医でも成功確率は四割だって……」

 

「本当に可哀想、あの子くらいの歳の子なら本当は外に出て楽しく遊んでいる筈なのに……」

 

え………スバル、そんなに酷い病気だったの?後二ヶ月しか持たないって………それじゃあスバル、このままだと死んじゃうの……?なんで?なんでスバルが死なないといけないの?そんなの、酷いよ…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―翌朝―

 

「おはようスバルー♪今日もスバルの好きなオレンジジュース買って来たわよ~♪」

 

「………………」

 

「あ、あれ?どうしたのスバル?オレンジジュース買ってきてあげたから一緒に飲も?」

 

「……………ほっといてよ、どうせスバルもうすぐしんじゃうんでしょ?」

 

「ッ?!ど、どうしたのスバル、何を急に……!?」

 

「スバルしってるもん!スバルもうそんなにながくいきてられないんでしょッ!だったらもうほっといてよ!」

 

もうやだ!スバル死んじゃうっていうのに母ちゃんはスバルにそんな事全然教えてくれなかった!スバルが死ぬっていうのにヘラヘラ笑って誤魔化してばっかりで、もううんざりだよ!

 

「そ、そんな事ないよスバル、お医者様もしっかり治療すれば必ず治るって……」

 

「うそつき!かんごふさんがいってたもん!せかいのめいいでもなおすのはむりだって!もうどうせしぬんだったらスバルのことなんかほっといてよ!」

 

「ッ!」

 

―パシィンッ……!―

 

………え?スバル、今母ちゃんにほっぺを叩かれた?なんで母ちゃんスバルを叩いたの?なんで母ちゃん………そんな泣きそうな顔してるの?

 

「……ほっとけるわけないじゃない。スバルは私にとって大切な子供なんだから!自分の子供が苦しんでいるのに、ほっとける親なんているもんですか!!」

 

母ちゃんが涙を流しながらスバルを叱りつけてくる。こんなに怒鳴った母ちゃん見たの、今まで一度もなかったのに……そう思ってたら今度は母ちゃんがスバルの事を優しく抱き締めてきた。

 

「……ごめんねスバル、私スバルの母ちゃんなのになんにもしてあげられなくてごめんね。本当に、ごめん…なさい……」

 

「かあちゃん……ごめんなさいかあちゃん、スバルかあちゃんわるくないのにほっといてっていってごめんなさい、ごめんなさあぁい……ウワアァァァァァァァァンッ!」

 

母ちゃんに抱き締められながら謝られ、スバルも自分の中にあった不安が一気に爆発して泣いてしまった。死んじゃうのも怖いけど、母ちゃんと会えなくなるのはもっと嫌だ。だからこの日からスバルは残された日々を一生懸命生きようと決めたんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―数日後―

 

「んしょ、んしょ……」

 

今日は病院の先生から無茶をしない程度ならキッズルームで遊んで良いって言われたからお気に入りの絵本を持ってキッズルームにやって来た。回りにはスバルと同じくらいの子が沢山遊び回って楽しそう……良いなぁ、スバルもあんなふうに遊び回れたらなぁ。

 

「あれ?見かけない子だな、新しくやって来た子かな?」

 

「え、えっと……お、おおぞらスバルです。からだがよわいからあんまりはしりまわれないけど、いっしょにあそんでください!」

 

「ん、スバル君か。俺は玲二、今は足怪我してこの病院に通院してるんだ、よろしくな」

 

そういうとやって来たお兄ちゃんはスバルの頭を優しく撫でてくれた。母ちゃん以外の人に頭を撫でられるの初めてだけど、なんだか不思議とポカポカして気持ち良いなぁ……ってあれ?お兄ちゃんの後ろにいる子、なんかスバルの事じっと見てる気がするんだけど……

 

「………ねぇれいじ、このこおんなのこじゃないの?」

 

「え?!そ、そうなのか?」

 

「う、うんそうだよ、スバルおんなのこだよ」

 

「マジか?!ごめんな、つい男の子だと思って君付けで呼んじまった!えっと、済まなかったなスバルちゃん」

 

「ううんぜんぜんきにしてないよ。それよりちゃんもつけなくていいよ、スバルってよんで」

 

「そ、そうか、分かったよスバル。それじゃあ早速遊ぶとするか、シロも一緒で良いよな?」

 

「………うん、いいよ」

 

こうしてお兄ちゃんはスバルともう一人の女の子、シロちゃんと一緒に沢山遊んでくれた。スバルのお気に入りの絵本を読んでくれたり、あまり動かなくても良いような遊びを沢山教えてくれた。途中シロちゃんがスバルの事ずっと睨んでたような気がしたけど、暫くしたら一緒に笑いながら遊んでくれた。そんな楽しい日が暫く続いたある日……

 

「え、手術する事になったのか?」

 

「うん……おいしゃさんがスバルのしんぞうのびょうきをなおしてくれるって。でも……」

 

「?スバちゃんどうしたの?うれしくないの?」

 

母ちゃんが必死の思いでスバルは手術する事が出来る事になったけど、それでも成功する確率は僅か三割しかない。命を落とす可能性が高いと言われ、スバルの心が不安と恐怖でいっぱいになっていたんだ。

 

「……おいしゃさんがいうにはかならずなおるわけじゃないって。もしかしたらしんじゃうかもしれないって……にいちゃん、スバルしにたくないよぉ、まだにいちゃんやシロちゃんといっしょにいっぱいあそびたいよぉ………」

 

「スバル………分かった、それじゃあスバルが必ず治るおまじないだ」

 

兄ちゃんはそう言うとスバルの頭に手を乗せ優しく撫でてくれる。とても温かくて優しい手、撫でられる度にスバルの心が温かくなれる大好きな魔法の手……

 

「スバルの病気、必ず治りますように。治ったら必ずまた沢山遊べますように………よし、これで大丈夫だ」

 

「にいちゃん……ありがとッス!スバル、がんばってびょうきなおすッス!」

 

兄ちゃんに撫でられたお陰で、スバルの心から不安も恐怖もなくなった。必ず治して、また皆といっぱい遊ぶッス!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―そして………―

 

「スバちゃーん!こっちこっち~♪」

 

「もぉ、まってよシロちゃーん!」

 

あの後スバルは手術を行い、そして無事に成功して心臓の病気が良くなったんだ!今は検査入院ってやつでまだ退院出来てないけど、其処まで激しい運動でなければ走り回れる程元気になれたッス!これもきっと兄ちゃんのおまじないが効いたお陰ッスね♪

 

「スバル、すっかり元気になって良かったな」

 

「うん!にいちゃんのまほうのてのおかげッス♪」

 

「魔法の手?なんだそりゃ?」

 

兄ちゃんは自覚してないみたいだけど、あの手はスバルを勇気づけてくれたスバルにとっての魔法の手。今のスバルがいるのは兄ちゃんのお陰ッス!兄ちゃん、大好きッス♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやぁ、それにしてもあの難しいオペをよく成功したな。君は我が病院の誇りだよ」

 

「………医院長、それなんですが………実は私、特に何もしてないんです」

 

「?何もしてないだと?一体どういう……」

 

「………無かったんです、腫瘍が。スバルちゃんの胸部を開いて確認してもそのような物が一切見当たらず、すぐにレントゲンを確認したのですがあった筈の腫瘍が綺麗さっぱりなくなっていたんです」

 

「なんだって?!そんなバカな……!?」

 

医院長が外科医からカルテを渡され確認するが、確かにあった筈の腫瘍が影もなく綺麗に消え去っていた。

 

「ど、どういう事だこれは?!まさか、腫瘍が勝手に消えたと言うのか!?」

 

「そ、そうとしか……念の為に今精密検査等も行っておりますが、全て異常なしという様子です」

 

「そ、そうか……なら退院した後も定期的に来てもらい、精密検査を受けてもらうしか出来ないな……しかし、一体どうして……?」

 

特別な処置を施したワケでもなく腫瘍が勝手に消えるという不可解な現象に医院長も外科医も逆に頭を悩ませてしまう。そして当然の事ながらこの後数年間定期的に精密検査をするもどこも異常なしと診断されるスバルであった。

 

 

 

―大空スバル編 完―

 

 

 

 

 

―9.大神ミオ―

 

レイさんとの出会い?そんなの聞いてどうするんですか?興味本位なら別に言わなくても……え?皆話してくれてる?!うぅ~……分かりましたよ、あれはウチが大学に入ったばっかりの頃だけど……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―数年前―

 

田舎町から上京して初めての一人暮らしに漸く慣れ始めた今日この頃、ウチはこれから始まる大学でのキャンパスライフにドキドキしながらも期待に胸を膨らませて大学へと向かった、けど………

 

「ふえぇ、この大学広過ぎるよぉ~……」

 

田舎町では絶対にない程の広大な大学内の敷地にウチはすっかり迷ってしまっていた。田舎町からはウチしかこの大学に進学してないから周りに頼れる人もいないし、初めての人に声をかける度胸もないし……

 

(で、でも!今日こそはこの大学で今までのウチと変わってみせるんだ!大丈夫、今朝の占いでも『運命の出会いがある』って出てたし!大丈夫、うんきっと大丈夫!)

 

ウチは自分にそう言い聞かせ、取り敢えず講堂の方へと向かう事にした、その時……

 

「ねぇねぇキミィ~♪もしかして新入生かなぁ?」

 

「良かったら俺達がこの大学案内してあげるよぉ~♪」

 

「え……えっと、その……」

 

な、何なのこのチャラチャラした人達?もしかしてこれがこの大学の先輩なの?だ、だとしたら怖いんだけど……

 

「あ、あの、結構です、ウチもう講堂に行くんで」

 

「そんな事言わないでよ~?あ、それなら俺達のサークルに入らない?今なら沢山の仲間達がいるよぉ♪」

 

「そうそう、なんだったら皆で気持ち良くなれる事もしてるよ~♪」

 

き、気持ち悪い……よく分からないけど、絶対関わっちゃいけない気がする。早く此処から逃げないと!

 

「も、もうウチ講堂に行きたいんで失礼します!」

 

―ガシッ―

 

「ちょっと待ってってば~?そんなつまらない授業なんかしないで俺達と遊ぼうぜ~♪」

 

「そうだよ、俺達と遊ぶ方が何倍も楽しくて気持ち良くなれるぜぇ♪」

 

うぅ、手を掴まれて逃げ出せない!?このままじゃウチこいつ等に変な事されちゃう!だ、誰か……誰か助けてッ!!

 

「よぉーし、それじゃあ早速俺達のサークルに―ガシッ!―……あ?」

 

「はい其処までだお二人さん」

 

「そうそう、そんな嫌がる後輩を無理矢理連れてく程女に飢えてんのかお前等?」

 

ウチが連れ去られそうになったその時、チャラチャラした男達の手を二人の男女が掴み強く握り締めていた。

 

「イデデデデデデデッ?!な、なんだお前等!?」

 

「只の通りすがりだ。けど、これから入る後輩が酷い目に合いそうなのを黙って見てる程腐っちゃいねぇからな」

 

「そうそう、それにあんた等前にもこんな事して教師から警告受けてんでしょ?あんた等只でさえ留年してんのにこれがバレたら今度こそこの大学にいられなくなるよ?」

 

え?この人達前にもこんな事してたの?!どんだけ見境がないの!?

 

「う、うるせぇッ!てかテメェ等確か佐々木と獅白とかいう三年だろ!?こっちは四年なんだぞ!だったら先輩の顔を立てるという意味でも黙認するのが普通だろ?!」

 

「はぁ?何が先輩だよ大して講義にも出ないで今年で三回目の四年生だろ?そんな奴俺等にとって先輩でもなんでもねぇよ」

 

「そんなに先輩面したいんならこんな下らない事しないでもっと真面目に講義受けなよ?まあ、それが出来てたら三回も留年なんかしないか」

 

「グゥッ?!……チッ!くだらねぇ、もう帰るぞ!」

 

「クソッ……覚えてろよな!」

 

チャラチャラした男達は分かりやすい捨て台詞を吐いてその場から逃げるように立ち去っていった。と、取り敢えず助かった……のかな?

 

「……ハァ、済まなかったな。俺等の大学の恥晒しのせいで君に不快な思いさせてしまったな」

 

「い、いえ!それよりも助けて頂いて有り難うございます!」

 

「そんなの別に気にしなくて良いよ、あいつ等新入生がくる度にああいうバカな事してくる連中だから」

 

「で、でも助けてもらった事に変わりないですから、ウチに何かお礼させて下さい!」

 

ウチを助けてくれた人間の男の人と獅子族の獣人の女の人は気にするなとは言ってくれたけど、それでも助けてもらったお礼はどうしてもしたいから大学で行われる行事を全て終えた後に二人を大学近くの喫茶店に呼んでご馳走する事になったんだ。

 

「全く、わざわざお礼なんて別に良かったのに君も律儀だな?」

 

「で、でも助けてもらったのに何もしないなんてウチにはそんな事出来ないし……」

 

「へぇー、あんた大分真面目な娘なんだね♪それに引き換え、なんであんたが此処にいるのさアカリ?」

 

「いやぁ、なんか玲二とぼたんちゃんが知らない娘と一緒にいるのを見て気になっちゃって♪」

 

……そう言えばこの金髪の女の人は誰なんだろう?いつの間にか一緒に喫茶店に入ってたけど……

 

「ったく、自分で頼んだのは自分で払えよ?っと、そんな事より自己紹介だな。俺は佐々木玲二、お前の通う大学の三年生だ」

 

「あたしは獅白ぼたん、レイっちと同じ三年生だよ。これから同じ大学仲間としてよろしくな♪」

 

「ハロー、ミライアカリだよ♪玲二とぼたんちゃんとは一学年下の二年生だよ。何か分からない事があったらアカリに何でも聞いてね♪」

 

「あ、有り難うございます!ウチは大神ミオって言います!田舎町からこの大学に進学しました、よろしくお願いします佐々木先輩、獅白先輩、ミライ先輩!」

 

ウチは先輩方に助けてもらったお礼の意味も込めて深々と頭を下げる、けど三人は何故か微妙な顔をしていた。どうしたんだろう?

 

「あー……大神、別に俺達の事先輩って呼ばなくて良いぞ?そんな柄じゃねぇし」

 

「そうそう、うち等の事は名前で呼んでくれれば良いよ」

 

「なんか先輩だと距離置かれてる感じがしてちょっとやだよね?」

 

「え……えっと、それじゃあ改めてよろしくお願いしましゅレイさんッ!ってあぅ、噛んじゃった……///」

 

初めて会うのに優しくしてくれる先輩方に思わず嬉しくなって名前で呼ぼうとしたら噛んじゃった……しかも玲二さんって言おうとしたのにレイさんだなんて、ウチなんて失礼な事を……!?

 

「いや、そんな慌てて呼ばなくても……それにしてもレイさんだなんて初めて呼ばれたな」

 

「す、すみません!ウチ初対面なのにそんな!」

 

「あはは♪でも良いんじゃない?レイっちの事レイさんなんて呼んでる娘いないし、特別な呼び方っぽくて♪」

 

「まあ変な呼び方されなきゃ何でも良いけどな」

 

そ、そうなんだ……レイさん、なんだか不思議な人だなぁ。初対面のウチにこんなに優しくしてくれるし、ぼたんさんと一緒にあのチャラチャラした男達からウチの事守ってくれたし……

 

 

 

『運命の出会いがある』

 

 

 

ッ!?も、もしかして、これが占いに出てた事?!レイさんが、ウチの運命の人って事!?い、いいいいやいや!?今日初めて会った人にそんな事思うなんて流石に変だよね?!///

 

「?大神、顔赤いけどどうしたんだ?」

 

「いいいいいいえ別に!///そ、それじゃあウチそろそろ帰って明日の講義の準備を―ガタッ!―あッ……」

 

「ッ!危ない!」

 

あまりの恥ずかしさにその場から去ろうとした時、ウチはバランスを崩して倒れそうになってしまい、そんなウチをレイさんは助けようとウチの下敷きになってくれた。そして……

 

 

 

―チュッ♡―

 

「ッ?!!!!?//////」

 

「んんッ?!」

 

「「ああぁーーーーーーーーーーッ?!」」

 

ウチの唇とレイさんの唇がくっついてしまった。こ、これってもしかしなくても、ウチとレイさんが……キ、キキキキキキキスしちゃってる?!//////

 

「あ、あの、そのえと……ふ、ふみぁあぁぁぁぁぁ~……//////」

 

「お、おい大神?!しっかりしろ大神ィッ?!」

 

ウチはあまりの恥ずかしさにそのまま沸騰して気絶してしまった。でも、ウチの心は今までにない程の幸せな気分に包まれていたんだ。

 

拝啓お父さんお母さん、今日初めてウチは一生を添い遂げたい運命の人に出会いました……♡

 

「……また一人堕ちちゃったね」

 

「はぁ……レイっち、一体何人堕とせば気が済むんだろうな?」

 

そんな新たに堕ちたミオを見てぼたんとアカリは呆れた様子でタメ息を吐くのであった。

 

 

 

―大神ミオ編 完―




はい、という事で今回はAZKi、ちょこ、スバル、ミオの過去回でした!次回は後半として残り五名いますのでまったり待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第45話『貴方と出会って3』

はい、すみません……本当はクロヱとアカリの分も書く筈が予定より長くなってしまったのでまずはこちらの三人から出します。残りはもう少しだけお待ちくださいませ。

今回も楽しんで頂ければ有難いです、ではどうぞ!


―10.潤羽るしあ―

 

は?玲二さんとの出会い?なんであんた等なんかに………まあいいや、今のるしあは機嫌が良いから教えてあげる。あれはそう、遡る事1600年前……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―1600年前―

 

―コンコンッ―

 

「失礼します。ルシアお嬢様、兄上様がお見えになられました」

 

「……そう、ならすぐに通しなさい」

 

「はッ、只今」

 

1600年前、この深い森の中にある館でるしあの前世である『ルシア・モイスウイング』は静かに暮らしていた。ルシアは生まれながらに強力な霊力を備え僅か六歳にして最高位の死霊使いとしての地位を手に入れた。しかしそれは周りからすれば異常であり、周囲の大人達は両親を含めすぐにルシアを怖がるようになった。

 

だからルシアはこの森の館で一人静かに暮らすようになったのだ。使用人も霊術を用いて作り上げたネクロイドという操り人形に過ぎず、ルシアはいつも寂しい思いをしていた……けど、そんなルシアでも一ヶ月に一度、楽しみにしている事があったの!それは……

 

「……ルシア、久しぶりだな」

 

「お兄ちゃん、お久しぶりなのです♪」

 

そう、一ヶ月に一度だけお兄ちゃんがルシアの元にやってきてくれるのです♪お兄ちゃんは他の奴等と違ってルシアの事を怖がらないし優しくしてくれる。ルシアが寂しい時は何時も甘えさせてくれる、たった一人のお兄ちゃんなのです♪

 

「お兄ちゃん、ルシア寂しかったのです。今日はルシアの事、いっぱい可愛がって下さいね♪」

 

「……ああ、今日はいっぱい遊ぼうな」

 

?お兄ちゃん、一体どうしたのです?何時もと違って元気がないような……お兄ちゃんも疲れてるのですかね?

 

それからルシアとお兄ちゃんは日がくれるまで沢山遊んだ。そしてお兄ちゃんは今外の世界ではどんな事が流行っているのだとか沢山教えてくれて、お兄ちゃんの楽しそうな顔を見るだけでルシアはとても幸せなのです♪

 

けどそんな幸せな時間は長く続かなく、何時も夕方になるとお兄ちゃんは自分の家に戻ってしまうのです……一ヶ月に一度ではなく、もっと沢山遊べたら良いのに……けど、その日は何時もと様子が違ったのです。

 

「………なあルシア、俺と一緒に暮らさないか?父さんや母さんも関係なく、何処か遠い国に行って」

 

「?お兄ちゃん、急にどうしたのです?今までそんな事、一度も言った事ないのに……」

 

その日のお兄ちゃんは何時もと違って帰ろうとはせずルシアと遠い国で暮らそうと言ってきたのです。一体どうして?そう考えてたらお兄ちゃんの表情が更に曇っていたのです。

 

「……実は、隣国の王が俺達の国に侵略し始めたんだ。奴等の狙いはルシア、お前だ」

 

「え……ルシアが狙い、なのです?」

 

「ああ……奴等はお前の持つ膨大な霊力を使って大量の屍兵士を生み出しそれを戦力にして他の国を支配するつもりなんだ。父さんと母さんは最後までお前の居場所を言わなかったがそのせいで殺され、更には召し使いの一人が裏切りこの森の事を話してしまったんだ。幸いこの森は深く迷いやすいから詳しい位置までは知られてないが、見つかるのも時間の問題だ……だからルシア、急いで此処から逃げるんだ!此処にいたら奴等に捕まってしまう!」

 

そ、そんな……パパとママまで殺されたなんて……もう何年も会ってないのに、ルシアの為に命を賭けてくれて……

 

「この館の裏に同盟国に繋がる秘密の洞窟がある、其処から一緒に逃げるんだ!」

 

「……分かったのです。お兄ちゃん、行きましょう!」

 

ルシアはお兄ちゃんと一緒に急いで館を出て裏の洞窟へと逃げ込もうとしたのです。でも……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―ザシュッ!―

 

「ぐあッ……?!」

 

「え…………?」

 

洞窟に入ろうとした瞬間、お兄ちゃんの胸に矢が突き刺さったのです。お兄ちゃんはその場で倒れてしまい、射貫かれた箇所から血が溢れて止まりませんでした。

 

「ふん!こんな奥深くに隠れてたとはな、散々探させおって……まあいい、これで漸く死霊使いを確保出来るわい」

 

そしてルシア達の周りには隣国の兵士達とそのリーダー格である将軍らしき中年の男が妖しげな笑みを浮かべながら近づいて来たのです。そんな……こいつ等、ルシアを捕まえる為にお兄ちゃんを……!?

 

「ぐッ………ルシア、俺はもうダメだ……お前、だけでも、早く……」

 

「嫌ぁッ!お兄ちゃん、起きて下さい!一緒に逃げるのです!」

 

「ルシア……お前を……守れな、くて……ダメな兄、で……ゴメ、ンな……」

 

お兄ちゃんの声がどんどん小さくなっていく。そしてそれと同時に命の灯火も……嫌、嫌だよそんなの!

 

「そんな事言わないで!ルシアはお兄ちゃんが……お兄ちゃんがいないと嫌なの!」

 

「……もし、生まれ……変わった、なら……また一緒……に……遊……ぼう……な……」

 

お兄ちゃんは最後にルシアに笑いながらそう言うと力尽き、命の灯火が消え去ってしまった。そんな……こんなの、嘘だ……嘘に決まってる……

 

「い、嫌ぁ……嫌あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」

 

嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだ!!

 

ルシアの大好きなお兄ちゃんが、ルシアを置いて死んじゃうなんて……そんなのイヤだあぁーーーーーーッ!!

 

「ふん!美しい兄妹愛ってか?そんな物、貴様のような戦争の道具になるヤツには必要ない。おい、この女を連れていけ」

 

「ハッ!」

 

 

 

……………………………………そうだ、全部こいつ等が悪いんだ。

 

 

 

 

 

こいつ等が勝手に此処に来てお兄ちゃんを殺したんだ……………

 

 

 

 

 

 

 

コイツラガオニイチャンヲコロシタンダ……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゼ ッ タ イ ニ ユ ル サ ナ イ

 

 

 

 

 

「さあ、おとなしく我々について―ヒラヒラッ……―?なんだ…………ッ?!こ、これは?!」

 

ルシアは自分の中にある霊力を解放して周りに緑に光輝く蝶を大量に具現化させる。そしてその蝶達を敵の兵士達に向け次々と飛ばしていく。

 

「な、なんだこれは?!ええい!こんな蝶などさっさと…………ッ?!な、なんだ!?わ、ワシの腕が……?!」

 

蝶が将軍の男や兵士達に取り憑くとみるみる内に生気を吸いとり、そして男達は生気を吸われたせいでどんどん老けて干からびていく。そう、この蝶は触られたら最後死ぬまで生気を吸いとりそして相手の魂までも喰らう死蝶なのである。

 

「うがぁ……!ひ、干からび……る……」

 

「しょ、将軍……お、助……け……」

 

「や、止めろぉ!ワシは時期、にこの世か、いを支配……する……王、に……」

 

一人、また一人と、兵士達は干からびてミイラとなって倒れていき、そして最後に将軍の男もミイラになり全滅したのだった。これがルシアのお兄ちゃんを奪った報いだ、お前等なんて、輪廻転生すら許さないんだから……

 

「………ごめんなさいお兄ちゃん、ルシアお兄ちゃんとの約束破って人を殺めてしまいました」

 

ルシアはお兄ちゃんの遺体を抱きしめそっと口づけをしました。そしてルシアはお兄ちゃんの遺体を運び館へと戻りお兄ちゃんをベッドへと寝かせました。

 

「………死霊術には死者を操る事は出来ても死者を完全に甦らせる術がありません。でも、ルシアは必ずその方法を見つけます……お兄ちゃんを、必ずこの手で甦らせるのです!」

 

こうしてルシアはお兄ちゃんを甦らせる為にあらゆる手段を尽くしました。その間に迫ってくる奴等を死蝶を使い追い払い、森は何時しか死霊の森と呼ばれるようになったみたいだけど、ルシアにとってそんなのどうでも良かったのです。それよりもお兄ちゃんを甦らせる為に、今出来る事を精一杯やらないと!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、それは結果的に無理であった………禁忌の延命術を駆使してなんとか300年を生きながらえたけど、ルシアの身体は既に限界を迎えていたのです。もうすぐこの身体は朽ちてしまう……こうなれば奥の手を使うしかない。

 

「ゴホッ!ゴホッ!……お兄ちゃん、ルシアは此処までのようなのです……延命術のお陰で此処までやってこれましたが、既にこの身体は限界なのです……なのでルシアはこれから転生術を行います。この時代ではもう会えないですが……何時の日か必ず、ルシアはお兄ちゃんと再び会える時が来ると信じて未来へと旅立ちます。必ず……見つけてみせるのです、お兄ちゃん……」

 

ルシアは覚悟を決め転生術の呪文を唱えその身から魂を分離し、それと同時に肉体は朽ちて崩れさりましたが魂は新たな依り代を求め未来へと向かったのでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―そして現在―

 

「はぁ、結局今日も無駄足だったな………」

 

あれから何度も転生を繰り返し、今は『潤羽るしあ』としてこの日本で生活をしている。そして休みの日はこうして街を探索してお兄ちゃんの魂がいないかを探してたけど……そんな都合よくいくワケないよね?そもそもこの時代のお兄ちゃんが日本にいるのかも分からないし、何より人に生まれ変わってるのかも分からない。るしあもうお兄ちゃんに会う事は出来ないのかな……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな時だった……

 

―ヒラヒラッ……―

 

「え………?今のって……」

 

るしあの横を光の蝶が飛んでいき、慌てて急いでその蝶を追いかけた。そして……

 

「レイくん、今日は久々にハンバーガー食べに行きませんか♪」

 

「はいはい、それは良いがこの間みたいに何個も食べんなよ?」

 

ッ!!見つけた………間違いない、あの人からお兄ちゃんの魂と同じ輝きが見える!るしあは思わず駆け出しその人へ抱きついてしまいました。

 

―ダキッ!―

 

「うぉッ?!ってな、なんだお前?!」

 

「ちょ、ちょっと貴方?!いきなり何レイくんに抱きついて……?!」

 

「……やっと、やっと会えたのです!お兄ちゃん!」

 

「「………ハアァッ?!」」

 

漸く会えた……ずっとこの時を待ち焦がれてた……もう絶対に失ったりしない、今度こそるしあがお兄ちゃんを守ってみせるのです!

 

そう、これがるしあとお兄ちゃん……の生まれ変わりの佐々木玲二さんとの出会いの話なのです。

 

 

 

―潤羽るしあ編 完―

 

 

 

 

 

―11.常闇トワ―

 

ん?トワと玲二さんの出会い?そんな面白い話でもないけど良いの?それで良いなら話すけど……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―三年前―

 

「………はぁ、これでもう四回目の落選かぁ……」

 

とある昼下がりの公園でトワは深いため息を吐いた。というのも原因は手に持ってるオーディションの当選結果の紙の内容のせいだ。その紙にはでかでかと“落選”と書かれていた。歌うのが好きでアーティストになりたいと子供の頃から夢見て、こうして何度もオーディションに挑戦したりしていたけど………何度やっても結果は同じだった。

 

「何度やっても落選……やっぱりトワ、アーティストになれないのかなぁ……?」

 

何度も何度も受けても帰ってくるのは落選用紙だけ………一体何がいけないのだろう?やっぱりこの低すぎる声がダメなのかな……?

 

『君、確かに歌は上手いけど……なんか声が低すぎるんだよねぇ。何て言うか?これじゃあとても人気が出るとは思えないなぁ~?』

 

声が低すぎる……オーディションを受けた時、必ずと言って良い程にトワのこの低い声があげられてしまう。確かに同年代に比べたら低いのは自覚してるけど……それだけでアーティストになっちゃダメなの?それじゃあトワ、一生アーティストになんてなれないじゃん………

 

「あ!みんなーお姉ちゃんいたよーーーッ!!」

 

そう考えていたら近所に住む子供達が一斉に集まり始めてた。そっか、もうこんな時間か……

 

「え……あ、皆また今日も来たの?」

 

「姉ちゃんだっていつも此処にいるじゃん!姉ちゃんもしかして暇なの?」

 

「暇ちゃうわッ!今日だって普通に学校行ってたっての!」

 

もう、この子達はすぐこうやってトワをからかってくるんだから……でも、この子達の笑顔を見てたらなんだか少しだけ気が晴れてきたわ。

 

「ねぇねぇお姉ちゃん、今日もお歌歌ってくれるの?」

 

「えぇーまたぁ?しょーがないなぁ~♪」

 

「とか言って姉ちゃんめっちゃ嬉しそうじゃん」

 

うっさい糞ガキ、こちとら落選の憂さ晴らしを歌でしたいんじゃい。ン゛ンッ……よし、それじゃあ歌おう。

 

こうしてトワは約三十分ほど子供達の為のミニライブを行ったんだ。と言ってもリクエストされたアニソンや流行りの歌ばかりだったけどね。そして最後の一曲を歌い終えた後、皆から拍手を受けトワの気分は大分晴れた。やっぱ歌は良いなぁ♪

 

「皆、今日も聞いてくれてありがとうね♪」

 

「うん!お姉ちゃんの歌、とっても良かったよ!」

 

「そうだよ!まるでテレビで見るアイドルみたい♪」

 

ズキッ……

 

「姉ちゃん、そんなにお歌上手なら歌手になったらいーじゃん?」

 

「あ、アハハ……実は何度もなろうとしたけど……トワの声じゃ低すぎるから歌手にはなれないんだって……」

 

「えぇー?絶対歌手になれると思うのになぁ~?それ言った人見る目ないよー」

 

………折角良い気分だったのにまた掘り返されたせいで嫌な気分になってしまった。この子達に悪気はないのは分かってる、けど……この子達の期待の眼差しや褒め言葉が今のトワには逆に傷ついてしまう。そんなに簡単にアーティストになれるなら苦労なんてしないのに………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうだな、その歌声を評価出来ないなんてそいつ等見る目無さすぎるよな」

 

「…………………え?」

 

そう思っていたら一人の男の人が突然トワに声をかけてきたんだ。隣にはサングラスをかけ帽子を被った女性もいたけど、一体何なのこの人達……

 

「あ、あの……あなた達は?」

 

「ああすまん、急に声をかけてきて悪かったな。俺はこういう者だ」

 

男の人はそういうと一枚の名刺をトワに渡してきた。えと……『ホロライブプロダクション 佐々木玲二』?

 

……………

 

…………………

 

………………………

 

「エェェェェェェェェェェェェェェェーーーッ?!ほ、ホロライブゥッ?!」

 

ほ、ホロライブって言ったらあの今人気急上昇中の超大手アイドル事務所じゃん?!な、なんでそんな人が?!

 

「お兄ちゃんホロライブの人なの?!」

 

「ってかこの人、フブキちゃん達の配信でたまに見るスタッフさんじゃない?! 」

 

「まあ、確かにたまに出てるけどそんなのはどうでも良いとして……実は君の事は少し前から知ってたんだ、この公園で子供達に歌を歌ってあげてる女の子がいるってね。そして今日実際に歌声を聞いて確信したよ、この娘ならトップに行けるって」

 

え………そ、それってつまり……?

 

「単刀直入に言うな、今日は君をホロライブに四期生としてスカウトしに来たんだ。どうだ?一緒にトップアイドルの道に行ってみる気はないか?」

 

「え……えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇーーーッ?!!!」

 

と、トワがホロライブにスカウト?!嘘でしょ!?何かのドッキリ?!

 

「姉ちゃんスゲーッ!」

 

「ホロライブからスカウトされるなんて!」

 

「でででででも!トワの声って低すぎるし、とてもアイドルだなんて……!?」

 

「?それの何処が悪いんだ?それに俺は別に君の声が低いなんてそんな思ってないし、寧ろ綺麗な声だと思ってるよ。なあそら?」

 

「うん♪貴方の歌を聞いてたら私も一緒に歌いたくなっちゃった♪」

 

トワが謙虚になってると男の人……佐々木さんはそんな事ないと言ってくれ、そして今まで喋ってなかった女性もサングラスと帽子をとってトワに笑いかけてきた…………ってこの人、ときのそら?!

 

「うわぁ、ときのそらちゃんだぁ!」

 

「スゲーッ!本物だぁッ!」

 

「アハハ、驚かせてごめんね♪それでトワちゃんだっけ?どうかな、私と一緒に歌ってくれる?」

 

「そ、そそそそんなッ!?あの有名アイドルのそらさんと一緒に歌うなんて?!「ダメ…だったかな?」い、いいえ!寧ろ光栄です!」

 

「そっかぁ♪それじゃあ一緒に歌おうよ♪」

 

それからトワはそらさんに誘われ戸惑いながらも皆の前でまた歌を披露したんだ。一緒に歌っているそらさんはとても楽しそうに笑っていて綺麗だった……トワも、こんなふうに歌ってみたい!

 

そうして歌い終えるといつの間にか子供達だけではなく周りに沢山の人達が集まってトワ達に拍手をしてくれた。中にはデュエットが良かったと喜んでくれる人もいた。トワの歌が、皆に認められた……そう思うと嬉しくて思わず涙が溢れてきた。

 

「ヒッグ……トワの歌、皆に喜んでもらえた……」

 

「うん、私とトワちゃんが紡いだ歌が、皆の心を動かしたんだよ♪」

 

「それだけ君の歌が素晴らしかったんだ。もし君が本当に皆にその歌を届けたいと思うなら、どうだ?俺達と一緒に行かないか?輝くトップアイドルへの道を」

 

「……はい、よろしくお願いします♪」

 

こうしてトワはスタッフさん……玲二さんにスカウトされホロライブへと加入したんだ。勿論大変な事もいっぱいあったけど、それ以上に楽しい事が沢山あった。ライブや配信をする度に皆に喜んでもらえて、とても充実したアイドル活動が出来てとっても嬉しい♪まあ、有名になった瞬間トワの事落選させた事務所から引き抜き交渉があったみたいだけど、玲二さんが全部蹴ってトワの事守ってくれた……そら先輩もそうだけど、あの時玲二さんがトワを見つけてくれたから今のトワがいるんだ。だから玲二さん……トワの事、これからもずっと見守っててね♪

 

 

 

―常闇トワ編 完―

 

 

 

 

 

 

―12.雪花ラミィ―

 

えー?ラミィが玲二さんを好きになった理由ですか~?そんなぁ、簡単に教えるワケ……は?興味ない?なんでだよ?!兎に角聞いてよ!あれはラミィがまだ五歳の頃……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―18年前―

 

「………ぶー、つまんなぁい」

 

今日は11月15日、ラミィの5さいのお誕生日だけど、ちっとも嬉しくない。だってパーティーをしてくれるのは良いけど集まってた人達全然知らない人ばっかりだし、パパもママも他のおじさんたちと話してばっかりで全然構ってくれなくて面白くない……お兄様達も遊んでくれないし、こんなのラミィちっとも楽しくない!もういいや、お外で遊ぼうっと。

 

「これラミィ、お前も皆さんにご挨拶を……ってラミィ!何処に行くんだ!?」

 

「ラミィぜんぜんたのしくないもん!もうラミィおそとでひとりであそんでるもん!」

 

「あ、コラ待ちなさい!」

 

ラミィはパパの怒鳴り声を無視して一人お外に出て近くの公園に向かった。あんな知らない人ばっかりの誕生日パーティーならやらなくていいもん。

 

それからラミィは公園で一人雪だるまを作って遊んでたけど……やっぱりつまんない。周りの子は皆ラミィの事雪花家のお嬢様だって知ってるから遊んでくれないし………こんな事ならお嬢様になんて生まれたくなかった。

 

「……だれもあそんでくれないしつまんないなぁ―バサァッ!―キャッ!?」

 

「ああごめん!?大丈夫か?!」

 

そんな事を考えてたら突然風が吹いてマフラーが飛んできてラミィの顔に被さってきたの。持ち主の男の子が慌ててやって来て謝ってきたけど……か、格好良い///

 

「あ、ああああの、その……!///」

 

「?どうしたの、まさか目とかに当たっちゃったか?!」

 

「い、いえ!ラミィはだいじょうぶです///あ、あの、これ……///」

 

ラミィは男の子にマフラーを返すと男の子は不思議そうな顔をしたけどすぐに笑顔になってラミィの頭を撫でてくれた……ど、どうしよう、今お外寒い筈なのにラミィの身体物凄く暑いよぉ~///

 

「ごめんな、急に突風が吹いてマフラー外れてしまって……それじゃあな―グイッ―……どうしたんだ?」

 

「あ、あの……ラミィとあそんでくれます?///」

 

ッ?!な、ななな……何を言ってるのラミィは?!今日初めて会った男の子の袖を掴んであまつさえ遊んでだなんて!?ホラァ男の子だってきょとんとした顔してるしぃ~!

 

「あ、えーと……別に構わないけど、あんまり知らない人にそんな事言わない方が良いよ?下手したら変な所に連れ去られちゃうかもだし」

 

「は、はぃ……///」

 

「………ま、いっか。それじゃあ何して遊ぶ?」

 

それから男の子は日が暮れるまでラミィと一緒に遊んでくれました。一緒に雪だるまを作ったり雪合戦したりして、ラミィは生まれて初めてこんなに楽しくて幸せな時間を過ごしました。そして夕方になり男の子……玲二さんはご両親が来て一緒に帰ってしまいますがまた明日会う約束をしてラミィも家に帰る事にしました。それにしてもあんなに幸せな気持ちになれるなんて……これは、間違いない!ラミィは今日、運命の人に出会えたんだ!これは神様がくれた最高の誕生日プレゼントですね!

 

「コララミィ!パーティーを抜け出して今まで何処に行ってたんだ!」

 

「まあまああなた、ラミィはまだ幼いですし、何より知らない人に祝われてもあまり嬉しくないでしょう。それにしてもラミィ、あなたまた近所の公園に行ってたの?」

 

「うん!パパ、ママ!ラミィきょうね、けっこんしたいうんめいのひとにであえました!///」

 

「「………………はいぃッ?!」」

 

ラミィが運命の人と出会い、結婚したいと言うとパパもママもびっくりしてたけど、ラミィのこの気持ちに嘘偽りなんてないもん!必ず玲二さんと結婚して幸せな家庭を持つもん!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

けど、そんな日々は長く続かなかった……

 

「………え?帰るって……?」

 

「ああ、俺元々東京に住んでてな、今は旅行で父さんの知り合いがやってる旅館にいたんだけど、明日で帰るから遊べるのも今日で最後なんだよ」

 

嘘………玲二さんが帰っちゃう?それってもう、ラミィは玲二さんに会えなくなるって事?そ、そんな……そんなのやだ、やだよぉ……!

 

「やだ!ラミィれいじさんとはなれたくない!ラミィはれいじさんのおよめさんになるんだもん!とうきょーにかえるなんてぜったいにだめだもん!」

 

「いやそんな事言われても帰らないといけないし……」

 

「だったらラミィれいじさんについてくもん!れいじさんがいないならここにいたってたのしくないもん!」

 

「えぇー……困ったなぁ……」

 

ラミィは玲二さんにしがみつき必死になって帰らせないようにしたけど、そんなラミィに玲二さんは頭を撫でてこう言ったんだ。

 

「……ラミィ、お前が俺の事好きになってくれたのは嬉しいよ。だけど俺には俺の、ラミィにはラミィのいるべき場所がある。だから俺達は今日でお別れしないといけないんだ。それにお前はまだ子供だ、これから俺以上に好きになる人もきっと見つかる筈だって」

 

「そんなのいないもん!ラミィのすきなひとはれいじさんいがいいるわけないもん!」

 

「…………分かった、ならもし俺達が大人になってまた再会した時にラミィがまだ俺の事を好きでいてくれたら、その時はちゃんとラミィの気持ちに応えるよ。だからいつかまた会おう、約束だ」

 

玲二さんはそう言ってラミィの小指を立てた手を差し出し、ラミィも涙ぐみながらも小指を出して玲二さんの小指と絡ませていく。

 

「「ゆーびきりげーんまん、うそついたらはりせんぼんのーます、ゆびきった」」

 

ラミィは玲二さんと指切りをして、そして玲二さんはそのまま笑顔でラミィに手を振って別れていった。その日の夜ラミィはずっと泣いてしまい、数日間まともにお勉強とかも出来なかったけど……何時しかラミィは玲二さんの事を忘れてしまい何時ものつまらない日常に戻ってしまったんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―それから17年後―

 

「うぅ~……き、緊張するなぁ……」

 

ラミィは新しい自分になりたく、ネットであったホロライブのオーディションを受ける事になり漸く最終審査まで残る事が出来た。けど、やっぱりまだ緊張するなぁ……ううん、此処まで来たら後はやれる事をやるだけだよ!スゥー…ハァ…ヨシッ!

 

―コンコンッ―

 

「はい、どうぞお入り下さい」

 

―ガチャッ―

 

「し、失礼します!エントリーナンバー210番雪花ラミィです!よろしくお願いしま……ッ!?」

 

「はい、よろしくお願いします。それでは早速審査を始めていこうと…………あの、どうかしましたか?」

 

あ、あれ?この面接官の人、何処かで……何だろう、とても懐かしくて暖かい気持ちになっていく。まるでラミィの中の氷の塊が溶けていくかのようなこの感じ……

 

 

 

―だからいつかまた会おう、約束だ―

 

 

 

ッ!そうだ……ラミィ、どうして忘れてしまってたんだろう?こんなにも大切な運命の出会いを!

 

「あ、あの!もしかして貴方は玲二さんですか?!」

 

「え?あ、はい確かに俺の名前は玲二ですが……………え?まさか……君もしかして、昔一緒に雪遊びした女の子か……?」

 

「ッ!はい、お久しぶりです玲二さんッ!またこうして会えて嬉しいです♪」

 

こうしてラミィは再び運命の出会いを果たす事が出来ました。その後に分かった事だけど此処にいるアイドル達は皆玲二さんに惹かれていてかなり競争率が高いようだけど、ラミィは絶対に諦めない!必ず玲二さんと結婚して幸せな家庭を築くんだもん!玲二さん、覚悟して下さいね♪




はい、という事で次回はクロヱとアカリ、そしてもう一人書いていきますのでまったり待って頂ければ幸いです。それではまた!


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第46話『覚醒ベイビーズ』

本当は過去話を書こうと思いましたがこっちが先に出来たのでこちらから出したいと思います。今回は玲二の赤ちゃん達の秘密についてのお話です。最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


『神羅族』

かつてこの世界に現れた最初の種族であり、後に現れるあらゆる種族の元祖であり頂点に立った種族。

 

そして現代にただ一人現れた神羅族、佐々木玲二。まだ完全な状態でないにも関わらずその身体能力も然ることながら魔力や霊力等もあらゆる種族すら凌駕する程である。

 

そんな玲二の血を分けた子供が普通であるのだろうか?否、そんなワケがない。

 

これは、そんな玲二の子供達が起こすとんでもない事件の一部始終である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あぅ、あー……ぅゅ」

 

「よちよーちこゆき~♪そろそろおねむのお時間だよ~♪」

 

ホロライブタウンに移住して早数ヶ月、この島での生活もすっかり慣れてきて皆各々自由に生活を行っている。フブキも今日はこゆきと一緒にのんびり過ごしており、今しがた授乳を終えてお昼寝タイムに入るところである。

 

「ぁぅ……クー、クー……」

 

「………うん、やっと寝たね。それじゃあ私もゆっくりこれを作ろーっと♪」

 

こゆきが寝たのを確認するとベビーベッドに寝かせフブキは自分の積みプラから一つ、SDのウイングガンダムを取り出し組み立てようとする。

 

 

『SD ウイングガンダムEW』

『新機動戦記ガンダムWEndless Waltz―敗者たちの栄光―』に登場したウイングガンダムゼロの設計図を元に作られた五機のガンダムの一つ。SDながらもプロポーションは良く、更にバード形態の変形もしっかり行える。

 

「最近だとこゆきの子育てもあるし、こういった簡単な物しか作れないけど仕方ないよね?でもこれも前から作りたかったし、こゆきが寝てる間にちゃっちゃと作ろーっと♪あ、そうだニッパー持ってこないと……」

 

工具がない事に気付き、フブキはこゆきを起こさないように静かに部屋を出てニッパーを取りにいく。最初から用意しとけば良いと思われがちだが、こゆきが近くにいる中で危険になるからと工具は全て工作ルームに置くようにしているのだ。これも全てこゆき達が安心して暮らせる為の配慮である。

 

しかし……

 

―……パチッ―

 

「……あぅ?あー、うぁぅ~」

 

フブキが部屋を出てすぐに目を覚ましてしまったこゆき。母親を探しているのか首を動かしていると、目の前のウイングガンダムの箱に目がいきそれをじっと見つめるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―十分後―

 

「もうまつりちゃんったら間違って私のニッパー使うんだから~。でもこれで漸く作れますね~♪さてと……ってあれ?」

 

ニッパーを手に戻って来たフブキだが、部屋に入ると一瞬ポカンとしてしまった。何故なら、テーブルの上にあったウイングガンダムの箱が開けられており中のランナーも全て抜き取られていたのであった。

 

「あ、あれ?なんでランナーだけ?え、誰かのいたずら?一体誰が………え?」

 

「スー…スー…」

 

誰かのいたずらかと思いフブキが手掛かりがないか辺りを見回すと……なんと、可愛らしい寝息を立てて眠っているこゆきの手に“完成されたウイングガンダム”が握られていたのであった。

 

「な、なんで?なんでウイングが完成してるの?てかなんでこゆきが………え、まさか……こゆき?」

 

「スー、スー……ぅゅ…」

 

フブキは一瞬こゆきがやったのではと思ってしまうがそんなのはあり得ないとすぐに切り捨てた。何故ならこゆきは今ベビーベッドで寝ておりウイングの箱に届くワケがないし、仮に手の届く距離にあったとしてもどうやっても赤ちゃんであるこゆきが組み立てられるワケがないのだ。しかしそれなら一体誰が?あまりにも不可解な出来事に頭を抱えるフブキであった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………って事があったんですよね」

 

「ふーん、ニッパーを取りに行って戻ってみたらこゆきの手に完成したウイングがねぇ?」

 

「うあゆぅ~」

 

夕方になり帰宅するとフブキは今日起きた不可解な出来事について話してくれたが……流石に誰かのいたずらじゃないか?

 

「それにしてもそれ結構危ないぞ?こゆきまだ小さいから食べ物と勘違いして口に含んだら危険だし、一体誰がこんな事を……」

 

「あ、レイさんちょっと良いかな……?」

 

ん?どうしたんだミオ、何やら深刻そうな顔つきして、何かあったのか?

 

「実はマオの事なんだけど……何か様子が変なんだよね……」

 

「様子が変?一体何がだ?」

 

「う、うん実は……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―時は戻って朝―

 

「それじゃあスバル、マオの事よろしくね♪」

 

「分かってるってミオちゃん♪ほらマオちゃん、スバルと一緒にいようね~♪」

 

「うぅ~、あ、あぅ~」

 

ミオは何時もの朝活配信をする為、マオを一度スバルに預けて自室へと戻っていた。しかしマオがミオから離れたがらないのか、ミオが入った部屋の扉に向かってずっと手を伸ばしている。

 

「マオちゃん、ほんのちょっとの間だからスバルと一緒にいようね~♪」

 

「あぅ~……」

 

スバルが笑顔でマオを抱っこするも、マオは母親と離れるのが嫌だったのか不機嫌な顔をしていた。

 

そしてミオは全ての準備を終えてマイクをONにして画面のスイッチを入れ、いよいよ配信を始める。

 

「……よし、皆ぁ~、おはみぉーん♪佐々木ミオだみぉーん♪」

 

〈おはよー〉

 

〈おはよー〉

 

〈ミオしゃおはよー〉

 

〈マオちゃんもおはよー〉

 

「はーい皆おはよー………え?マオ?…………ってええッ?!」

 

「あぅー♪」

 

リスナーからのコメントでマオへの挨拶があったのでなんの事かと思いきや、なんと先程スバルに預けた筈のマオが画面前で笑顔でパタパタと手を振っていたのである。これにはミオも開いた口が塞がらなかった。

 

「な、なんで?!なんでマオがウチの膝にいるの?!いつの間に?!」

 

「う?」

 

〈始まった時からいたよ?〉

 

〈最初からいたじゃん?〉

 

「嘘ォッ?!と、取り敢えず皆ごめん!マオをスバルに預けて来るからちょっと待ってて!」

 

最初からいたと言われ余計に混乱するミオ。一先ず落ち着いてマオを再びスバルへと預けに部屋を出ていく。

 

「あ、ミオしゃ大変だよ!マオちゃんが急に消えて……ってマオちゃん?!」

 

「うゆ?」

 

「な、なんでか知らないけどいつの間にかウチの膝の上にいたんだよね………ごめんスバちゃん、もう一度預かってもらっていい?」

 

「う、うん……ほらマオちゃん、こっちおいで~♪」

 

「あ、あぅ、あうぅ~……」

 

ミオはもう一度スバルにマオを預けて再び部屋へと戻っていく。そして気持ちを落ち着かせ再び配信をスタートする。

 

「フゥ……お待たせぇ~、皆びっくりさせてごめんねぇ?」

 

〈気にしてないよ〉

 

〈大丈夫〉

 

〈あれ?マオちゃん?!〉

 

〈さっき部屋から出てたよね?!〉

 

「え、マオならもうスバルに預け………ってええぇーーーッ?!」

 

「あう、あぁ~♪」

 

マオを預けてきを取り直して配信を再開するも、なんと先程スバルに預けた筈のマオが何故かミオの膝の上ではしゃいでいたのだった。流石のミオも混乱したのかリスナーにごめんと一言言って配信を切りマオを抱えてベッドに横たわっていく。

 

「ど、どうなってんのこれぇ~……?」

 

「?」

 

唐突に起きた出来事に頭がパンクしそうになるミオを他所にマオは母親の胸をペチペチ叩いて遊ぶのであった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……という事があったの」

 

「うーん、マオが一瞬でミオの膝にねぇ……」

 

「あうぅ♪」

 

「きゃう♪」

 

フブキとミオからこゆきとマオを引き取り二人まとめて抱っこしてやると嬉しそうに笑ってくれてる、可愛いなぁ本当に。それにしてもいつの間にかガンプラが作られたり何度も膝に戻ってくるとは………一体どうなってるんだ?

 

「うーん……一先ず何が起こってるのか分からん以上様子を見るしか出来ねぇな。もしかしたらシオンやぺこら辺りのいたずらかもしれんし……」

 

―ドッゴオォォォォォォォォォンッ!!―

 

『うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーッ!!?』

 

「「「ッ?!」」」

 

な、なんだ?!中庭の方から悲鳴が聞こえてきたが……兎に角行ってみるか!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―中庭―

 

「お、おい!なんだ今の悲鳴…は……?」

 

「ぷあー」

 

「びやぁーーーーーーッ!!」

 

中庭にやって来てみると、其処には不機嫌そうにぷあーと鳴く玲菜とギャン泣きするカガリを困惑しながら抱っこするあやめとフレアがいた。一体何があったんだ?

 

「あ、玲二様!」

 

「あやめ、フレア!一体どうしたんだ?何が起きたんだ?!」

 

「そ、それが……」

 

フレアが何やら申し訳なさそうに中庭の真ん中を見る、すると……

 

―ピク、ピクピクピク……―

 

―シュウゥゥゥゥゥゥ……―

 

其処にはバトル漫画のように壁にめり込んでいるぺこらと、おそらくマリンであろう物体が丸焦げの状態で倒れている姿があった。

 

「……え?これは……一体何が起きたんだ?」

 

「え、えっと、実は……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………成る程、マリンがカガリを抱っこしてほっぺを擦り寄せてたらいきなり雷が落ちたと?」

 

「そして玲菜ちゃんもぺこらに角をツンツンされて不機嫌になった瞬間ぺこらを掴んで壁に叩きつけたと……?」

 

「「うん……」」

 

なんだよそりゃ?!玲菜にそんな怪力があったのか?!それにカガリも無傷って!?雷受けてびっくりして大泣きで済むってなんだよそれ?!

 

「ほ、本当に一体どうなってるのこれ……?」

 

「赤ちゃん達がいきなりおかしくなっちゃった余……」

 

「う、うーん………一先ず義兄さんに連絡するか……」

 

もしかしたら義兄さんなら何か分かるかもしれないし、急いで呼ぶしかないな。一体どうなってんだよ本当に……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……と言うワケなんだけど」

 

「………ふむ、成る程ね」

 

翌日、俺からの連絡を受けて義兄さんが出向いてくれて事の内容を全て話した。すると義兄さんはやっぱりと言わんばかりに何かを納得した様子で赤ちゃん達を見ていく。

 

「これはあくまでも憶測だけど……おそらくは玲二君、あの子達は君の力の一部を受け継いでしまってるのかもしれない」

 

「?俺の力って……いやいや、俺あんな事出来ないって……」

 

「忘れたのかい?君はこの世界で唯一の種族、神羅族なんだよ。その未知の力を持つ君の子がそれを受け継いでいてもなんもおかしくはないんだ。おそらくだけど赤ちゃん達がやった事は玲二君も出来る筈だよ」

 

……………あ、そうか。俺って神羅族なんだっけ?けど神羅族だからって俺、赤ちゃん達がやったような事なんてそんな出来ないんだが?

 

「物は試しさ、例えばマオちゃんがやったっていう瞬間移動をやってみなよ」

 

「いややれって言われてもどうやって……?」

 

「うーん……例えば行きたいところを想像して其処に行けって強く念じるとかは?」

 

何そのなげやりな感じ?でもまあ試すだけやってみるか。えっと……行きたいところを想像して強く念じる、だったか?

 

………

 

……………

 

…………………

 

―ヒュンッ―

 

「うぉッ!?」

 

「ッ?!れ、玲二くんなんで此処に?!」

 

「え?っていうか玲二くんどっから入って来たの?!」

 

な!?ほ、本当に出来た?!試しにヒメヒナの事考えて念じてみたが本当に移動するとは……という事は帰る時も……

 

―ヒュンッ―

 

「え、消えた?!」

 

「な、何だったの一体……?!」

 

…………………

 

……………

 

………

 

 

 

―ヒュンッ―

 

「……よっと」

 

「あ、レイくん戻ってきた!?」

 

「ほ、本当に瞬間移動しちゃったの?!」

 

スゲェ、本当に戻ってこれた……けどこれ結構疲れるな、まるで100m走五回ぐらい連続で走ったくらい疲れるわ……

 

「やっぱり……玲二君の身体は既に僕達の予想を遥かに上回る程の進化をしているみたいだ。その進化した君の力をあの子達も受け継いでしまったようだね」

 

「そ、それって苺ちゃんと同じような超能力みたいな感じですか?」

 

「うん、感覚的にはそれに近いかもしれない。だけどさっき赤ちゃん達をそれぞれ調べてもらったけど、その力は苺の約四倍ものエネルギーを内包しているのが分かったんだ。このままではおそらく苺に使ってた力を抑制する為の制御装置を使っても押さえられないだろうね」

 

そ、そんなに強い力なのか?!只でさえいっちでも手を妬いたのにそれ以上の力を、しかも五人……いや、もうじきメルとちょこ、それにぼたんとラミィとココも出産するから計11人もいるなんて……制御装置もダメとなると、もうどうにかならないのか?!

 

「まあ装置自体は今から手配して明日になれば用意出来るからそれまで辛抱してくれればいいよ」

 

「そ、そうなのか?良かった……」

 

「それにしても凄いよね皆、マオちゃんが瞬間移動で玲菜ちゃんが怪力、それにカガリちゃんが雷を落とすって。じゃあかいりは一体何が出来るんだろうね~?」

 

「う?」

 

力の制御に関してはなんとかなるらしいから良いとして、確かにそらの言う通りかいりは一体何が出来るんだろうな?出来れば物騒な力じゃなきゃ良いんだが……

 

「それについてももう検査で調べてもらったから分かるよ。かいりちゃんは……おそらく治癒能力に長けてるみたいだね」

 

「治癒能力?怪我や病気を治すって事ですか?」

 

「そうだね。物は試しだから昨日雷に打たれたっていうマリンさんにその力を使ってみるといいよ」

 

治癒能力か……今までの中では比較的にまともだが、本当に効くのか?取り敢えずそらは言われた通り昨日からリビングで横になってる黒焦げのマリンに試すようでマリンの上にかいりを置いてみる。すると……

 

「あー……たい♪」

 

―パアァァァァ……!―

 

「おお……!」

 

「これは……」

 

「す、凄い……マリンちゃんの姿がみるみる戻っていってる!」

 

かいりがマリンの顔に触れた瞬間、先程まで黒焦げだったマリンから淡い光が放たれみるみる内に元の状態へと回復していった。す、スゲェ!今まで魔力や神力で治癒する人は見た事あるけど此処まで凄まじい回復スピードは見た事ないぞ?!もう完璧に元に戻ってるし!?

 

「……う、うぅん……ハッ!?あ、あれ?船長今まで何してたんだっけ?ってかなんで船長にかいりちゃんが乗っかってるんですか?」

 

「あぃ~……うゅ……」

 

あら?マリンが目を覚ましたのは良いが今度はかいりが眠そうにしてるな……もしかして力を使ったせいで眠たくなったのか?

 

「……どうやら力を使うと眠くなっちゃうみたいだね」

 

「そうみたいですね。かいり、マリンちゃん助けてくれてありがとうね♪疲れちゃったから少しおねむしよっか?」

 

「ぅゅ……スー…スー…」

 

そらが抱っこしてあげるとかいりは安心したのかそのまま可愛らしい寝息をたてて眠ってしまった。確かに便利な力だがこれはかいりにかなりの負担がかかってしまうな……

 

「ところでマリン、お前身体の方は大丈夫か?なんともないのか?」

 

「え?えっと……全然大丈夫ですね。むしろずっと悩まされてた肩こりと腰痛がなくなってますし……え、どうなってるのこれ?」

 

「火傷どころか肩こり腰痛まで治るなんて……」

 

「かいりちゃんの治癒能力恐るべしですね……」

 

全くだ。さて、そうなると残るはこゆきか。でもフブキの話を聞く限りだとこゆきの能力はおそらく……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「レイくん、言われた通りにエントリーグレードのガンダム用意しましたけど……一体何をするつもりなんです?」

 

「まあ見てろって……ほらこゆき、ガンプラだぞぉ?」

 

「あぅ?………うきゃぁ♪」

 

俺はこゆきの能力を探る為にフブキにエントリーグレードのガンダムを用意してもらいそれをテーブルの上に乗せてこゆきに見せるとこゆきは嬉しそうに笑いながらガンプラへと手を伸ばした。すると……

 

―フワァッ……―

 

「え?!」

 

「は、箱が勝手に開いたぁ?!」

 

なんとガンプラの箱が独りでに開き中のランナーが取り出されていく。更に

 

―バリッバッ―

 

―パキッパキッ―

 

―パチッパチッ―

 

「え?え?えぇッ?!」

 

「ひ、独りでにどんどん組上がっている……?!」

 

「あやぁ♪」

 

袋から取り出されてパーツがランナーから切り離され、そのパーツ達がパチパチと組合わさり、そして物の数分でガンダムが完成してこゆきの手元へと渡っていったのであった。

 

「たやぁ♪」

 

「う、嘘でしょ……?」

 

「ガンダムが独りでに組上がってこゆきの手に……?」

 

「やっぱり……こゆきの能力は念力、それもガンプラを作る事に特化した念力だ」

 

なんともまあ一番変わった能力だな?だとしてもいくら念力と言えど作るという事は作り方を理解してないと作れる筈もない。その事からこゆきは説明書等も理解して組み立てていた事になるからこゆきの理解力の高さはかなり異常である。

 

「うにゅ……」

 

「あれ?もしかしてこゆきも疲れちゃったのかな?」

 

「基本的に力を使い過ぎると眠くなるみたいだな……ほらこゆき、おいで」

 

「ぁぃ……」

 

やっぱりかいりと同じでこゆきも力を使うと疲れるみたいだな。にしてもこゆきのこの能力、間違いなく俺達の趣味が大きく影響してしまってるな……でもこゆきには可哀想だがまだ赤ちゃんの内にガンプラは流石に危険だからしっかり制御しないとな。

 

「兎に角赤ちゃん達の力を制御する為の装置は明日には届けるからそれまではなんとか赤ちゃん達を刺激しないようにしてくれれば大丈夫だよ」

 

「分かったよ義兄さん、取り敢えずこの子達は今日一日は大人しくさせないとな……」

 

こうして赤ちゃん達の力を制御する為の装置を作ってもらう事になったのだが、その装置が到着するまでにホロライブマンションでは二回雷が落ちねねとシオンが投げ飛ばされロボ子がマオごと沖縄に飛ばされたりスバルのSDガンダムが三つ程勝手に作られてしまうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして一週間後……

 

「…………まあ皆無事に産まれてきて良かった、良かったけど……」

 

「あ、アハハ……まさか龍人族って卵で産まれてクルとは知らなカッタゼ……」

 

無事にメル達の出産を終え元気な赤ちゃんが産まれてくれたのは良いが、問題はココの赤ちゃんだった。なんと卵の状態で出産したんだよココの奴。名取曰く龍人族は卵で産まれてくるらしいのだがなんで当人のココがその事知らないんだよ?それにすぐ卵が孵って元気な女の子が出てきたし。

 

「それにしても今回産まれた子達も皆元気で良かったね♪」

 

「ええ、これからもっと忙しくなるわよ玲二様♪」

 

「あたし等の旦那様なんだから頑張ってな玲二♪」

 

「これから子供達の為に沢山楽しい事しましょうね♪」

 

「兄貴と一緒ナラワタシ達何処までモついていくかんナ♪」

 

「はいはい、分かってますよ奥様方。お前達もこれからよろしくな」

 

こうして無事に皆出産を終え元気な赤ちゃん達が産まれてきてくれた。この子達にもおそらく何かしらの力はあると思うが、間違って暴走しないようにしっかり面倒みないとな。ともあれ皆お疲れ様、それとこれからもよろしくな。

 

命名

 

メルの赤ちゃん

女の子『レミィ』

 

ちょこの赤ちゃん

女の子『しょこら』

 

ぼたんの赤ちゃん

男の子『玲牙』

女の子『つばき』

 

ラミィの赤ちゃん

女の子『キララ』

 

ココの赤ちゃん

女の子『さくら』




はい、という事で今回は玲二の赤ちゃん達の力解放、そして新たな赤ちゃん達の出産回でした。いつか赤ちゃん達メインの話を書きたいですね♪では次回こそ過去話を書こうと思うのでまったり待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第47話『貴方と出会って4+α』

最近色々と調子が悪かったり仕事が忙しくてなかなか投稿出来ずすみませんでした……まだまだ忙しいですがこれからも頑張って書いて参りますのでよろしくお願いします。

今回は過去話第四弾です。最後まで見て頂けたら有難いです、ではどうぞ!


―13.沙花叉クロヱ―

 

え?沙花叉とお兄ちゃんの出会いですかぁ~?フフン、よくぞ聞いてくれましたね!これはそう、沙花叉とお兄ちゃんが運命の出会いを果たす感動必須の超ラブストーリー……って何処行くのさ!?聞いといて逃げないでよぉ~!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―数年前―

 

「ぽえぽえぽえ~♪ぷいぷい~♪」

 

「こらクロヱ、一人でそんなに進んだら迷子になっちゃうわよ~?」

 

「もうお姉ちゃんったらはしゃぎ過ぎだって」

 

「だって~、久々に家族皆で水族館だもん♪楽しみで仕方ないんだもーん♪」

 

今日は沙花叉にとって嬉しい日♪なんてったってとっても楽しみにしていた水族館に家族皆でやって来たんだもん♪皆と一緒にイルカやアシカのショー見るの楽しみだなぁ~♪

 

「あ、見てみて妹ちゃん♪アザラシが泳いでるよ~♪」

 

「もうお姉ちゃんはしゃぎ過ぎ!ちょっと待ってよ~!」

 

それから沙花叉は妹ちゃんと一緒に沢山のお魚さんやアザラシを見たんだ。妹ちゃんも最初は沙花叉を止めてたんだけどいつの間にか一緒に目をキラキラさせながらお魚さんを見てくれてすっごく嬉しかったんだぁ♪

 

けど……

 

「ねぇねぇ妹ちゃん!次は何を見ようか……あ、あれ?妹ちゃん?」

 

次は何を見るか聞こうと振り向いたけど、其処には妹ちゃんの姿はなかったの。どうやらお魚さんに夢中になりすぎていつの間にか妹ちゃんとはぐれてしまったみたい、ど、どうしよう……?

 

「うぅ、妹ちゃぁん……パパ、ママ、何処にいるのぉ……?ぷいぷいぃ~……」

 

周りを見ても妹ちゃんもパパもママもいない……沙花叉、完全に迷子になっちゃった……グスッ、皆ぁ、何処に行っちゃったのぉ……

 

「ヒッグ……妹ちゃぁん、お姉ちゃん一人にしないでぇ……―ドンッ―あぅッ!?」

 

「うぁッ!?ご、ごめんな、余所見してて気づかなかった!怪我はないか?!」

 

兎に角はぐれた妹ちゃん達を探さないと、そう思ってウロウロしていたら目の前にいた男の子に気づかずぶつかってしまい転んでしまった。うぅ……もうやだよぉ、なんで沙花叉こんな事になっちゃったのぉ~……

 

「フェ……ヒッグ…エッグ…フエェェェェェ~ン」

 

「ちょ?!ど、どうしたんだ?!やっぱ何処か打っちゃったか?!参ったな……と、兎に角此処だと通行人の邪魔になるから其処のベンチに座るか?」

 

泣きじゃくる沙花叉に男の子は困惑するも落ち着かせる為か近くのベンチに座らせてくれたんだけど、それでもまだ沙花叉の涙は止まってくれなかった。

 

「グスッヒッグ……」

 

「うーん、弱ったなぁ……ッ!そうだ、さっき売店で買ったお魚型のグミがあるんだけど、良かったら食べるか?」

 

「グスッ……ふぇ?」

 

男の子はそう言うとカバンから綺麗な瓶を取り出し、中に入っていた綺麗なお魚さんのグミを沙花叉にくれたの。赤や青、黄色といった色んな色のお魚さんがキラキラ輝いてとっても綺麗だった。

 

「これ、食べていいの……?」

 

「ああ、ぶつかったお詫びだ。遠慮なく食べて良いぞ」

 

「ふわぁ……あむッ♪」

 

美味しい~♪このお魚さんイチゴ味だぁ♪こっちのイカさんはメロン味でタコさんはブドウ味♪うわぁ~幸せだなぁ~♪

 

「お兄ちゃん、沙花叉もっと食べたい!」

 

「え、もっと?うーん……それじゃあこれ全部あげるよ。と言っても一辺に食べるなよ?」

 

「わーい♪」

 

お兄ちゃんは持ってたグミの瓶を全部くれた。まだ沢山入ってる♪どれから食べようかな~?

 

「……ところで君、なんで一人でウロウロしてたんだ?お父さんとお母さんは?」

 

「あ………そうだ、沙花叉迷子になっちゃったんだった……」

 

お兄ちゃんに言われて迷子になってたのを思い出して沙花叉はまた悲しくなってきちゃった……パパ、ママ、妹ちゃん……何処にいるの……グスッ

 

「そっか……分かった、なら一緒に迷子センターに行こっか。其処ならきっと君のお父さん達もやって来てくれるだろうし」

 

「グスッ……一緒に行ってくれるの……?」

 

「ああ、どうせすぐ其処だし一緒に行ってあげるさ」

 

……なんだろう?このお兄ちゃんと一緒にいるとすっごく安心するなぁ……そう言えば沙花叉何時も初対面の人と話すの恥ずかしくてまともに喋れなかったのに、お兄ちゃん相手だと全然そんな感じにならなかったな。どうしてなんだろう?

 

「そんじゃ早速行くか。ほら」

 

―ギュッ―

 

「え?!///」

 

そんな事考えていたらお兄ちゃんがいきなり沙花叉と手を繋いできた。え?!な、なんでいきなり?!///

 

「あ、いやまたはぐれたらまずいと思ったんだけど……嫌だったか?」

 

「そそそ、そんな事ないよ!むしろ暖かくて優しい感じ……ってそうじゃなくて!?///」

 

あうあぅ~///な、なんか何時もとは違う恥ずかしさでいっぱいだよぉ~///で、でもお兄ちゃんの手、すっごく暖かくて安心するなぁ……♪

 

「お、おうそうか……ならもうそろそろ行くとするか」

 

「う、うん……///」

 

こうして沙花叉はお兄ちゃんと一緒に迷子センターに向かったんだ。其処でも沙花叉は何時もの人見知りが出てしまって全然喋れなかったんだけどお兄ちゃんが全部代わりに伝えてくれたお陰で無事に館内放送でパパ達を呼ぶ事が出来たの。そして……

 

「もうクロヱったら、だからあんなにはしゃいじゃダメって言ったのに……」

 

「お姉ちゃんったら一瞬目を離したらすぐいなくなっちゃうんだから」

 

「うわあぁんッ!ごめんなさぁ~い!!」

 

数分後、パパ達が駆けつけてくれて沙花叉は無事に家族と再会する事が出来たの。もう会えなくなったらどうしようかと思っちゃったけど、見つかって良かったぁ~。

 

「うん、見つかって良かったな。それじゃあ俺はこれで失礼します」

 

「あ……お兄ちゃん待って!」

 

お兄ちゃんは沙花叉が皆と再会したのを確認してそのまま去ろうとしてた。そんなのやだ!まだ沙花叉、お兄ちゃんと一緒にいたい!

 

「ん?どうした、もう家族に会えたんだから早く一緒に行きなよ」

 

「やだぁッ!沙花叉まだお兄ちゃんと一緒にいたいもん!ぷいぷいぃ~!」

 

「こ、こらクロヱ!?貴方一体何言ってるの?!ご、ごめんね君!ほらクロヱ、早くお兄ちゃんを放して「ヤーーーッ!!」もう、困ったわね……」

 

「でもあの人見知りなお姉ちゃんが此処まで人に懐くなんて初めてだよね?」

 

ママが沙花叉をお兄ちゃんから放そうとするけど絶対に離れないもん!沙花叉まだお兄ちゃんと一緒にいるもん!!

 

「うーん、困ったなぁ……分かった、ちょっと待ってな」

 

そう言うとお兄ちゃんはケータイを出して何処かに電話し始めたの。そしたら数分後にお兄ちゃんの家族の人がやって来てお兄ちゃんがいろいろとお話してくれたみたいで一緒に水族館を回ってくれるって言ってくれたの。

 

「すみません、この子普段は人見知りで私達以外には懐かない筈なんですが、どうやらお宅の息子さんに懐いてしまったみたいで……」

 

「いえ、寧ろ私達の息子がご迷惑をおかけして済みません。こいつどういうワケか昔から女の子に懐かれやすい体質みたいで、こういった事も珍しくはないんですよね」

 

「おい父さん、それだとまるで俺が女誑しみたいじゃないか?」

 

「でも実際そうじゃんおにぃ?この間だってフブキちゃんべったりくっついて離れなかったじゃん」

 

………そうなんだ、お兄ちゃんモテるんだ………なんかすっごくヤダナァ……

 

「まあ兎に角此処でこうなったのも何かの縁ですし、うちの息子でよろしければ幾らでも相手させますよ。お前も懐かれたんだからしっかり相手してあげなさい」

 

「いや相手してやれって……はぁ、分かったよ。えっと、クロヱちゃんだっけ?今日はこのまま一緒に回ろっか?」

 

「ッ!うん!沙花叉、お兄ちゃんと一緒にイルカのショー見たい!」

 

やったぁッ♪お兄ちゃんも一緒に水族館回ってくれるなんて嬉しいなぁ♪

 

それから沙花叉はお兄ちゃんと妹ちゃん、そしてお兄ちゃんの妹さんと一緒にいろんなお魚さんを見て回ったの♪本当にすっごく楽しかった……けど、いつの間にか妹ちゃんもお兄ちゃんに懐いてべったりとくっついていたんだ。

 

妹ちゃん……なんでお兄ちゃんにくっついてるの?お兄ちゃんは沙花叉に優しくしてくれたんだよ?妹ちゃんは関係ないんだから……サッサトオニイチャンカラハナレテヨ……

 

「……クロヱちゃん、どうかしたのか?さっきから黙ってるけど」

 

「ふぇッ?!べ、別に何でもないよ!ホントだよ!」

 

あ、あれ?沙花叉何で妹ちゃんに対してそんなふうに思っちゃったんだろ?お兄ちゃんと妹ちゃんがくっついてるの見て、なんか心の中がモヤモヤしちゃった……一体どうしちゃったんだろ?

 

そして楽しい時間はあっという間に終わってお互いに帰らなきゃいけない時間になってしまったの。もうこれでお兄ちゃんと会えなくなる……そう思ってたんだけど、いつの間にかパパ達とお兄ちゃんのパパ達が仲良くなったみたいでその後も何回か家族ぐるみのお出かけをするようになったんだ。

 

そして何時しか気づいたんだ。沙花叉はいつの間にかお兄ちゃんの事を好きになってたって。ううん、思えばあの時助けてもらった瞬間から好きになってたのかもしれない。だから………

 

「レイくーん!今日も一緒にお出かけしましょー♪」

 

「ハイハイ、分かりましたよお姫様」

 

(………またお兄ちゃんに近づく女……あの狐女いつもいつも、サカマタノオニイチャンニキヤスクチカヅクナ………)

 

今日も沙花叉はお兄ちゃんを見守ってる。相変わらずお兄ちゃんの周りには女が沢山集まってる……特にあの狐の女、いつもお兄ちゃんの側でベタベタしやがって……いつか絶対お兄ちゃんから引き離してやるんだから……ッ!

 

 

 

―沙花叉クロヱ編 完―

 

 

 

 

 

 

―14.ミライアカリ―

 

アカリと玲二の出会い?うーん……そういやどんなんだったかな?確かあれは大学に入って間もない頃かな………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―数年前―

 

「うぅ~、ん……ハァッ!やっと講義終わったぁ~!」

 

あーもう今日も長かったぁ~!けど今日は課題とかもそんなに多くないし、このままどっかに遊びに行こうかな~♪

 

「こらミライ!ちょっと待ちなさい!」

 

「ふぇ?なんですか先生、アカリこれから帰るところなんだけど?」

 

「そうはいきません!貴方、今日の放課後に図書館の本の整理を頼まれていたでしょ!?」

 

うげッ?!そう言えばそんなのあったような気が……うわぁ、だるッ……

 

「えぇ~?なんでアカリがそんな事……」

 

「なんで?貴方入学してから既に課題を二回提出してなかったでしょうが!その課題をチャラにする代わりに図書館の整理をするって言ったのは貴方自身でしょ!?」

 

うへぇ、そうだった……はぁ、仕方ないなぁ……

 

そして結局アカリは先生に連行されて図書館の整理をする羽目になってしまった……なんでアカリがこんな事しないといけないのさもぉ~!?

 

「はぁ、もういいや。さっさと終わらせて帰ろ「あれ?俺等の他に誰かいるのか?」へ?」

 

もう諦めて整理しようとしていたら後ろから男の人と獅子族の女の人が来てアカリに声をかけてきた。なんだろうこの人達?男の人はともかく、女の人なんだか怖いんだけど……

 

「なんだぁ?あたし等以外に本棚整理する奴なんていたのか?」

 

「あ、は、はい!えと、一年のミライアカリっていいます」

 

「ミライか、よろしくな。俺は二年の佐々木、んでこいつは同級生のぼたんだ」

 

「うぃーっす、よろしくな~」

 

あ、二年生なんだこの人達……でもこの人達も課題やってなかったとかで本の整理やらされるのかな?

 

「んじゃ三人もいる事だし、さっさと終わらせて帰るとするか」

 

「ほーい」

 

「あ、はい!」

 

それからアカリ達はそれぞれ分担して片付けを始めたんだけど……な、なんだか二人とも凄く手際が良くて自分の担当部分がもうすぐで終わりそうなんだけど?!

 

「よっと……ところでミライ、お前も教授に本の整理やらされてんだよな?一体何したんだ?」

 

「え、えーっと、実は課題を二回程提出しなかったからその罰としてなんです……あの、先輩達は一体どうして……?」

 

「あたし等?あたしは下心丸出しでやって来た奴等を茶化したらキレて殴りかかってきたからカウンター御見舞いしたら怒られたんだよね。一応正当防衛にはなったけどやり過ぎだって言われて罰として本の整理をしろって言われたんだ」

 

「んで俺がその手伝いをしてるんだよ。ぼたんが暇ならラーメン奢るから手伝ってほしいって言うからな」

 

そ、そうなんだ……そう言えばこの間校門前で可愛い娘に手当たり次第ナンパしてた男が二年生の女の子に返り討ちにあったって聞いたような……あれぼたん先輩だったんだ?

 

「そ、それでそのナンパしてきた男の人は一体……?」

 

「ん?ああ、そのまま警察行きだよ。前科もあったみたいだし、暫くは塀の中じゃないか?」

 

「そ、そうなんですね……」

 

「………それとミライ、お前もしかして敬語使い慣れてないのか?だったら別にタメ口でも良いぞ、その方が俺等も話しやすいし」

 

ッ!?この人、さっきまでの会話でアカリが敬語苦手なの気づいたの?!凄い洞察力なんだけど……でも、折角タメ口でも良いって言ってくれたからお言葉に甘えようかな♪

 

「そ、そう?ならそうさせてもらうね♪えーっと、佐々木さんとぼたんちゃんで良いのかな?アカリの事もアカリって呼び捨てで良いから♪」

 

「お、おう……あんまりちゃん付けされた事ないからなんか新鮮な感じだわ」

 

「確かにぼたん何時も呼び捨てかさん付けだもんな。そんじゃぼたん、アカリ、早いとこさっさと残りも終わらせて帰ろうぜ」

 

「「はーい♪」」

 

そうしてアカリ達は残りの本も全て整理し終えて予定よりもかなり早い時間で帰れるようになった。先生からはもう問題を起こさないようにって言われてそのまま許してもらえたし、それじゃあアカリも帰ろうかな。

 

「んん~……ハァッ!そんじゃレイっち、約束通りラーメン食べに行こうよ。今日は手伝ってもらったし、あたしが奢るから♪」

 

「ラーメン食べに行くのは良いが別に奢んなくても良いぞ?」

 

「そうはいかないよ約束だし。そうだ、アカリも一緒に行くか?ラーメン食べに」

 

「え?でもアカリ今手持ちがないから……」

 

「そんなのあたしが奢るから良いって。そんじゃ早速行こっか、この間めっちゃ旨いラーメン屋見つけたんだぁ~♪」

 

……なんかいつの間にかアカリもラーメン屋に行く事になったんだけど、良いのかな?アカリ逆に殆ど手伝ってもらってたような気がってもう先に行っちゃってるし!?

 

「……済まないなアカリ、ぼたんの奴結構マイペースだから何時もこんな感じなんだよ」

 

「そ、そうなんだ……ところで佐々木さん、さっきぼたんちゃんがレイっちって呼んでたけど……」

 

「ん?ああ、それは俺の名前が玲二だからだよ。あいつ最初の頃は俺の事佐々木って呼んでたけどいつの間にか呼び方がレイっちになってたんだよ」

 

「へぇ、そうなんだ~……ならアカリもこれから玲二って呼んでも良いかな?その方が呼びやすいし♪」

 

「いやいきなり呼び捨てかよ?まあ別に構わないけど……ってそろそろぼたんの奴追いかけないと。てかあいつ俺達に目的のラーメン屋教えてくれてないから早く行かねぇと」

 

「うん!行こう玲二♪」

 

こうしてアカリと玲二もぼたんちゃんを後を追って街へと向かった。それにしても玲二ってなんだか不思議な人だなぁ……アカリの勘だけど、この人と一緒だと今以上にもっと楽しくなりそう♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―そしてその後……―

 

「もう二人とも遅かったじゃん、待ちくたびれたよ~」

 

「いやお前がさっさと行っちゃうからだろ?まあ兎に角腹も減ったし、早く入ろうぜ」

 

「はーい♪あ、玲二は一体何食べるの?」

 

「ッ?!」

 

「俺か?そうだな、今日は塩の気分……ってどうしたぼたん?」

 

「い、いや、なんでもない……」(今アカリの奴レイっちの事呼び捨てにした?!一体いつの間に!?まさか、こいつもレイっちの事狙ってるんじゃ……もしそうなら手を打っておかないと……!)

 

「「?」」

 

その後、いろんな出来事を繰り返す内に玲二の事を好きになったアカリは玲二を巡ってぼたんと対立する事がしばしばあったが、結局は同じ人を好きになった同士という形で落ち着くのであった。

 

 

 

―ミライアカリ編 完―

 

 

 

 

 

 

―α1.しぐれうい―

 

え?なんで私が玲二君を好きになったかって?フフン!よくぞ聞いてくれたなぁ!あれはそう……え?なんで呼んでもないのに来たんだって?うっさい!こういう時にアピールせんと玲二君と結ばれんだろ!?兎に角聞きなよ!私と玲二君の出会いにはそれはもう海よりも深い壮大なストーリーなんだから!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―十二年前―

 

「はぁ………スバルの手術、無事に終わってくれるかな……?」

 

私は今、人生で最大の危機に瀕している。それは私の大切な一人娘のスバルが今、生きるか死ぬかの瀬戸際に立たされているからだ。

 

私はスバルが産まれてすぐに夫に先立たれてしまい、それに加えてスバルまで失ってしまったら……もう私、この先生きていく自身がない!だから神様お願いします!どうか、どうかスバルを助けてあげて下さい!

 

そう願ってる内に手術中のランプが消え、中から先生が出てきた。

 

「先生!スバルは……スバルの病気はどうなりました?!」

 

「落ち着いて下さいお母さん……娘さんの腫瘍は完全になくなっておりました。もう大丈夫でしょう」

 

ッ!!スバルの腫瘍がなくなった……それじゃあスバルは、スバルは助かったんだ!?本当に、本当に良かったよぉ……!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(………やっぱ言えないよな、我々が除去する前から腫瘍が消えていたなんて……しかし、あれだけ大きな腫瘍が一体どうして……?)

 

手術をしたものの摘出すべき腫瘍が綺麗さっぱり消えていた事に頭を悩ませる外科医であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―一週間後―

 

「良かったねぇスバル、お医者様が後もう少ししたら退院出来るって♪」

 

「うん!スバルはやくおそとでみんなとあそびたい!」

 

手術が終わって一週間が経ち、スバルの身体はすっかり良くなって病院の中庭を元気に走り回ってる。こんなに元気に走り回るスバルを見れるなんて、もう叶わない願いだと思ってたのに、とても幸せだわ……あら?スバルの近くに誰か近づいてるみたい……………ッ!?

 

「おースバル、もうすっかり元気になったな」

 

「あぁーーッ!にいちゃんとシロちゃんちわーッス!」

 

「おはよースバちゃん♪今日も一緒にあそぼー♪」

 

「わーい♪かあちゃーん!スバルにいちゃんとシロちゃんといっしょにあそぶねー!」

 

「う、うん、気をつけて遊んでね……」

 

私はそうスバルに言って病院内に戻りトイレへと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……え?何あのイケメンな子?すっごく好みドストライクなんだが!?夫の時にすら感じた事のないドキドキ感で胸がいっぱいなんだが!?///スバルあの子の事兄ちゃんって呼んでたけど、は?これ何か?夫を失ってしまった私に対して神様が授けてくれた運命の出会いなのか!?だとしたら神様有り難うございます!!

 

いつの間にか私の中にはスバルの病気克服に関する喜びは薄れ代わりにスバルと一緒にいたあの少年に心を奪われていた。見た目からしておそらく十五歳前後……私と十歳ぐらい離れてるけどそんなの関係ないよね?!

 

それから私はスバルからいろいろと話を聞き、彼がこの病院で通院している佐々木玲二という名前である事と、彼がキッズルームでスバルの事を面倒見てくれてた事を知り、そして直接彼とお話していく内に私の中の熱い炎がどんどん燃え上がっていった。

 

間違いない!この子は私の運命の人なんだわ!あなたごめんなさい、私はこの人とスバルの三人で新しい家庭を築きます!

 

「ねぇスバル~♪スバルはお父さんとか欲しくないかな~?」

 

「んー、とうちゃん?たしかにとうちゃんはほしいけど……」

 

「そっか♪ならさ、玲二君が家族になったら嬉しい?」

 

「にいちゃんがかぞく?!うん!スバルにいちゃんとかぞくになりたい!」

 

「フフフ、そっかぁ~♪」

 

ヨシッ!スバルから言質をとった!これで堂々と玲二君を私のモノに……いえ、焦ってはダメよ大空うい。まずは玲二君を私の好みの男性になるようじっくり育てていかないとね♪フフフ、数年後が楽しみだなぁ♪

 

 

 

こうして大空ういによる玲二旦那化計画が密かに行われていった……が、その後イラストレーター『しぐれうい』としてデビューし忙しくなってしまい結局失敗してしまい現在に至る。しかしういは決して諦めず玲二を追い求め今日もまた奮闘するのであった。

 

「フヒヒ、今日は玲二君の飲み物にこの媚薬を……」

 

「母ちゃんいい加減にしろぉッ!!」

 

 

 

―しぐれうい編 完―




はい、という事で沙花叉、アカリ、そしてういママの過去回でした!次回からはまた通常回となりますので気長に待って頂けたら有難いです、ではまた!


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第48話『ホロライブVS転売ヤー』

前書きとして少しお話させて頂きます。現在三期生潤羽るしあさんについて大変な状況に置かれている事と思いますが、一ファンとしてましては時間はかかっても気持ちを落ち着かせて頂き、また元気な姿を見せて頂く事を切に願ってます。そして例えどのような結果になろうと、この小説では最後までるしあさんを出し続けていくつもりでございます。

そして今回のお話ですが、最近のガンプラ事情に思う所があったのでお話として上げさせてもらいました。是非見て頂けたら有難いです、ではどうぞ。


これはとある昼下がり、俺が三期生の皆と一緒にAちゃんが働いてる模型屋ホロプラへと遊びに来た時に起きた出来事なんだが、まさかこの島でこんな事になろうとは……

 

「え……ガンプラが品薄……?」

 

「はい、そうなんですよ……」

 

「あ、あれ?でもこの島のガンプラって本土に比べたら全然潤ってましたよね?なんでまた急に……」

 

確かに変だよな?本土の方では今でも人気があるのと転売行為のせいでなかなかガンプラが買えないがこの島では一定の供給はあるし同じ物は一日一つしか買えない制限がついてるから買い占めもできない。だからそんなに品薄になるなんて事そうそうない筈なんだが……?

 

「……それについてなんですが佐々木さん、ちょっとお話したい事があるんです」

 

「?なんだ話って?」

 

「はい、実は……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『転売ヤーが来てるかもしれないッ?!』

 

「ええ……まだ確定ではないのですが……」

 

ど、どういう事だ?!この島で転売行為なんて出来ないようにあらゆる対策が施されているのに、なんで転売ヤーが現れたりしたんだよ?!

 

「話せば長くなるんですが、事の発端は今から一ヶ月前の事なんです……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―一ヶ月前―

 

「それじゃあ拓哉君、塗料の発注お願いするわね」

 

「ああ、ついでにヤスリも大分減ってきたから一緒に発注しとくな」

 

その日、私と私の彼氏である拓哉君と一緒に商品の発注と棚卸しを行っていたんです。拓哉君も最初はかなり苦戦していたんですが今ではスムーズに発注をこなしてくれて助かってました。そんな時……

 

「うおぉスゲェッ!こんな所にこんなに宝の山があるなんてッ♪」

 

「あ、いらっしゃいませー」

 

いきなり一人の男の人がテンション高く入って来たんです。今まで見た事がない人でしたが男はガンプラや他のプラモを見て目を輝かせていたのではじめは普通にプラモ好きな人だと思ってたんですが……その時はそれが間違いだったと気づかなかったんです。

 

「あれ?見た事ない人ですね?いらっしゃい、お客さん初めての方ですか?」

 

「え、あ、そうなんですよねぇ~♪実は最近ガンプラが爆発的に人気だから自分も作ってみたいなあって思って来ちゃったんですよ♪まだ初心者なモンで、良かったらオススメのガンプラがあれば教えて頂けたらな~って思って」

 

「そうでしたか、それではこちらとかは如何でしょうか?こちらのガンプラは今イチオシで……」

 

それから私と拓哉君はその人にオススメのガンプラを紹介したんですが、なんとオススメしたガンプラを全部購入したんです。その日は計10点のガンプラを購入されていって帰っていかれて、私も拓哉君も気前の良い人だなと思ってたんですが、その一週間後……

 

「いやぁ、今日も元気にガンプラ購入っと♪」

 

「あ、あれ?お客さん、この間ガンプラ大量に購入されてましたよね?あれもう作っちゃったんですか?」

 

「そうなんですよ♪俺結構手先器用だからパパッと作れたんですよねぇ~♪だから今日は新しく作るガンプラを補充しに来たんですよぉ~♪今日はもう少し多めに買おうかなぁーなんて♪」

 

「は、はぁ……」

 

またその男の人がやって来てガンプラを大量に購入していったんです。それからというものその人は一週間に一度、必ず店に現れては大量にガンプラを購入するようになってしまって、そのせいでガンプラが大幅に減ってしまったんです……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―戻って現在―

 

「……という事があって、昨日もその人がやって来てまた大量にガンプラを購入されてしまったんです……」

 

「何それ?!どう考えてもおかしいでしょ!?」

 

確かに、話を聞く限り不審な点が多すぎるな。只の素組にしたってよっぽど暇じゃなければ素人がそんな一週間で十個なんて無理だろ?

 

「でもそれって本当に転売ヤーなのかな?本当にガンプラが好きで夢中で作ってるとか……」

 

「いやフレア、残念だがそれは絶対にない。今Aちゃんにそいつが買ったレシートのコピーを見せてもらったが……こいつ、同じ物を連続で買ってるし初心者がパッとすぐ作れるような物じゃないMGやRGまで手を出してる。にも関わらず、こいつ作るのに必要なニッパーやヤスリとかの工具類は一切購入してないぞ」

 

「え!?あ、本当ぺこ!こいつ明らかに初心者がすぐ作れそうにないRGジオングとかも買ってるぺこだよ!」

 

「それにこれだけの物を大量に作るのにも関わらずニッパーも買わないなんて!」

 

そう、この男が買ったガンプラは初心者がすぐ作れるワケのない高難易度のガンプラもあるし、そのくせ初心者とか言っときながらガンプラ作りに必要な工具類を全く買っていない。流石これで作ってるなんて思えないぞ?

 

「これは流石におかし過ぎるよAちゃん!なんでこんな事気がつかなかったの?!」

 

「す、すみません!まさかこの島で転売ヤーが現れるなんて思ってなかったので……」

 

確かにこのホロライブタウンで転売なんて出来ないようにしている筈だからな。けど、もしこの男が本当に転売ヤーだとしたら一体どうやって転売しているんだ?

 

「玲二くん、今フリマアプリとかでこの人が買った商品を見たんですけど、やっぱりこいつ二回目以降に来た時は高額で転売されている物ばかり狙ってますね」

 

「やっぱりか、けどそれだと一体どうやって……?」

 

―バアァンッ!―

 

「Aちゃん大変だ!とんでもない事が分かっちまった!」

 

うおッ?!拓哉、いきなり入って来るなよ!ビックリするだろうが!!

 

「か、神代!?あんたこんな時に今まで何処に行ってたのさ?!」

 

「あれ、フレアさんに先輩?それに皆さんも遊びに来てたんですか?」

 

「ま、まあそうだけど……処で拓哉、大変な事ってなんだ?もしかして例の転売ヤーの事か?」

 

「あ、先輩達もAちゃんに聞いたんですね?そうなんですよ!この写真見てください!」

 

そう言うと拓哉は一枚の写真を俺達に見せてきた。どうやらこの写真に写っている奴が例の転売ヤーらしいが……あれ?こいつ、何処かで見たような……?

 

「今この男についてこのホロライブタウンにいる住人全てに聞き込みをしてきたんです。そしたら……」

 

『そしたら?』

 

「いなかったんですよ!こいつの事を知ってる奴が誰一人として!つまりこいつ、ホロライブタウンの住人じゃないって事なんですよッ!!」

 

『な……なんだってえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーッ?!』

 

どういう事だよそれ?!この男がホロライブタウンの住人じゃないとしたら、こいつ一体どうやってこの島に来たんだよ?!

 

「でも神代くんの言う通りなら、この男どうやってこの島に入りこんだんですか?!」

 

「いやそれもそうだけど、それよりもこんだけあるガンプラをどうやって本土に送っとるんじゃろ?」

 

「確かに、本土に送る郵便物に関してはかなり厳しい規制があるからそう易々と本土にガンプラを送る事なんて出来ないのに……」

 

皆もどうやってこの男が本土にガンプラを送って転売しているのかを考えるが一向に思いつかない。一体どんな手を使ってやがるんだこいつ……?

 

「………ねぇ玲二さん、ちょっと気になる点があるのですが」

 

「ん?るしあ、何か分かったのか?」

 

「いえ、だけど気づいた事があって……ほら、この男がホロプラにやって来る曜日を見てほしいのです」

 

「曜日?……あ、確かに全部火曜日に来てるぺこ」

 

本当だ、ぺこらの言う通りこいつ毎週火曜にこの店に現れてるな…………ん?火曜日ってたしか……

 

「確かに全部火曜日だけど、けどそれが一体どうしたってワケさ?」

 

「忘れたのフーたん?毎週火曜日は荷物を運送する船がこの島にやって来る日だよ」

 

「え?という事はつまりこの人は……」

 

「……その船でこの島にやって来た乗組員の誰かって事か」

 

成る程、確かにそれならこの島に部外者が唯一出入り出来るし、この島では漁や農業もやってるから買った物もそれらの出荷品に紛れ混ませれば怪しまれず本土へ持ち込む事が出来る。手口としてはかなりの悪知恵を働かせているなこいつ。

 

「でも乗組員って事はそれらの中にいる人を確認してもらえればすぐに見つかるよね?」

 

「そうだよ!玲二君、今すぐお義兄さんに頼んで乗組員のリスト見せてもらおうよ!」

 

「そうだな……分かった、少し待っててくれ」

 

そうと決まればすぐに義兄さんに確認をしないとな。多分リストはすぐに来ると思うが……それにしてもこいつ、やっぱり何処かで見たような気が……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―二時間後―

 

「…………送られて来たリストを見たが」

 

「どの人も顔写真が一致しないのです……」

 

「そんなッ?!もっと確認してみましょうよ!もしかしたら見逃しがあるかも……!?」

 

「残念ですが神代くん、もうこれ全員で三回ずつ確認したんですよ。これだけ確認してもいないって事はこいつ、乗組員じゃないって事ですよ」

 

義兄さんが送ってくれたリストにはこいつの写真と一致する者はいなかった事からこの船で働く乗組員じゃない………となるとこいつはつまり

 

「……つまりこいつは、この船に勝手に乗り込んで侵入してる不法侵入者って事か。それもおそらく荷物を誤魔化す為に乗組員に変装とかして……小者のクセに手の込んだ事やりやがって」

 

「マジで許せねぇぺこ!何処のどいつか知らねぇけどぺこーら達のホロライブタウンでこんな卑怯な真似するなんて!!」

 

「本当だぜ!よくも俺とAちゃんの店で好き勝手しやがって!こいつぜってぇ許せねぇ!!」

 

「そうですね……佐々木さん、一体どうやってこの男を捕まえましょうか?やはり船を抑えて中を徹底的に探しましょうか?」

 

いや、それだと他の乗組員達に迷惑がかかる。それに万が一だが他の手段でこの島に来ているなら無駄骨に終わってしまう可能性もある。ならどうするか?そんなのは決まってる。

 

「……もし奴がまた此処に来るとしたら此処で捕まえるのが一番だ。だったら来週の火曜に奴を捕まえる為に罠を張るんだ」

 

「罠?それって一体……?」

 

「良いか?内容としては……」

 

俺は皆に作戦内容を伝えその為の準備をするように頼んでいく。決行は火曜、その時が勝負の時だ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―そして火曜日―

 

「……いよいよなのです」

 

「でも師匠、本当に奴は現れるぺこか?」

 

「ああ、こういうセコい事を繰り返す奴は自分が捕まるかもなんて自覚がないんだ。だからこそ、奴は必ず現れる筈だ」

 

「シッ!玲二さん、誰か来たみたいだよ……?」

 

お、遂に来たか?俺達は作戦を実行する為それぞれ違う場所に身を潜め入って来た奴の姿を確認する……間違いない、写真に写ってた男だ!でもやっぱりこいつ何処かで見たような……?

 

「いらっしゃいま……ああ、貴方でしたか」

 

「どうも~♪今日もガンプラ買いに来ちゃいましたぁ~♪さーてと、今日はどれにしようかな~っと♪」

 

……こいつ、目移りしてるフリして明らかに高値で転売されている物ばっかりかごに入れてやがる。初心者がMGやRGを大量に買って一週間で作りきれるワケねぇだろ?

 

(RGのHi-νやウイング、MGだとXやヴァーチェ……)

 

(どれも初心者が易々と作れるような代物じゃないのです)

 

(そのくせこの人工具や塗料には一切目もくれてない……いよいよもってきな臭く感じてきたね……)

 

明らかに初心者向けのHGも殆ど目もくれず、手にしてもパーストやコマンドクアンタのように転売されやすい商品ばっかり買おうとしてやがる。おまけにこいつスマホ見ながら選んでやがるし、此処までしといて本当に純粋に作るなんて誰が信じられるってんだよ?

 

「さーてと、今日はこれくらいにしようかな~っと♪」

 

お、どうやら会計するみたいだな?さあこっからが勝負所だ、頼むぞ拓哉。

 

「んじゃこれお願いしまーす♪」

 

「はい、では会計しますので少しお待ち下さい……処で少しお聞きしたい事があるのですが……」

 

「ん?一体何ですかな?」

 

「……貴方、これ本当に作ってるんですか?毎回貴方来る度に作りきったからまた補充するみたいな言い方してますが、とても一週間でこの量を一人で作るなんて出来ないような気がするんですが……」

 

「え…………そ、そりゃあ勿論!俺って結構手先器用だからパパッと作れちゃうんですよねぇ~♪」

 

……今一瞬焦りが見えたな。けど流石にまだ言い訳はしてくるか。だがまだまだ拓哉の質問責めは続く、いつまで誤魔化すつもりだろうな?

 

「そうですか……因みに貴方、工具は一体何を使ってるんですか?」

 

「……へ?工具?」

 

「はい、貴方初心者だって言ってた割にはうちで工具類を買った事ないじゃないですか?普段ガンプラ作る時一体何使って作ってるんだろうなって思いまして」

 

「え、えっと、それはその……し、知り合いからもらった道具を使ってるんですよ!俺がガンプラ作るってなって自分のお下がりを「因みにその道具ってなんですか?流石に普段使ってる道具くらいは分かりますよね?」ぐうぅ……ッ!?い、いいからさっさとガンプラ売れよ!こっちは客だぞ!!」

 

やっぱり、こいつはガンプラを作る際に必要な工具すら理解していない。しかも開き直ってさっさと売れとまで言い出してきたな。

 

「そうですか……では最後の質問です。貴方、一体どうやってこの島に来たんですか?」

 

「へ…………?」

 

「いやね、正直に申しますと貴方のその不審な買い方が気になってちょっと調べて見たんですよ。そしたら貴方の事知ってる人がこの島に誰一人としていなかったんですよ。この島は今現在3000人程暮らしてますが、誰一人として……この島は特別居住区なので正式な手続きをした人しか暮らす事が出来ないし島の出入りも許可証を持たない者は出来ないようになってるんですよ。それを踏まえてもう一度お聞きします、貴方一体何処から来たんですか?」

 

「え……あの、それは……え、えーっと、その……」

 

拓哉の最後の質問に奴は完全にしどろもどろな状態になってる。もうこれは完全に黒確定だな……

 

「ぐ、ぐうぅ……ッ!もういい!こんな客のプライベートをしつこく聞いてくる店なんか二度と来るか!クソがッ!!」

 

そして奴は遂にキレ店から逃げるように出ていこうとする。けど残念だな、だって……

 

―ガチャッ!バコオォンッ!―

 

「ぐえッ?!」

 

拓哉が時間を稼いでくれてる間に外にバリケード張らせてもらったからな。しかも透明なバリケードだから本当に近づかないと其処にあるかどうか分からないから慌てて飛び出せばそりゃぶつかるよな。っと、そんな事より

 

「今だ!確保ぺこぉーーーッ!」

 

『おぉーーーーーーッ!!』

 

って俺が出る前にぺこらの合図で皆が飛び出してあっという間に男を縄で縛り上げていった……ってかなんで亀甲縛り?絶対やったのマリンだろ?まあ何はともあれ無事捕まえたし、さっさと話を聞かないとな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さあ、さっさと答えてもらおうか。お前、一体どうやってこの島に来たんだ?いや、それ以前にこの島の事を何処で知ったんだ?」

 

「ふん!なんでお前みたいな奴にそんな事言わなきゃならねぇんだよ!?」

 

「こいつ!全然反省してねぇぺこ!」

 

「んー、取り敢えず一回しばき倒そっか?」

 

「ノエル、お腹の子に悪影響だから止めなって」

 

全くだ。しかしこいつマジで性格が歪んでんな、自分が何をしたか分かってねぇぞ?

 

「玲二くん、こいつの身分証ありましたよ~。えーっと……鈴木太郎?なんか今時にない古臭い名前ですね」

 

「うるせぇッ!!てか人の個人情報ばらすんじゃねぇよババァッ!!」

 

「はあぁッ?!誰がババァだこの転売ヤーがぁッ!!」

 

…………鈴木太郎?その名前、何処かで…………ああぁーーーーーッ!?

 

「お前もしかして、以前ビルダーコンテストでベルツリーとかいう名前で参加してたあの鈴木太郎か?!」

 

「ッ?!な、なんでその事を……って、あぁッ!?お前は確かあの時俺をバカにしやがったクソ野郎かッ!?」

 

いやお前にだけはクソ野郎なんて言われたくねぇよッ!しかしこいつ、髪もボサボサだったしあの時してたカラコンもしてないから全然気がつかなかったぞ?!

 

「なんでお前がこんな転売行為なんて下らねぇ事してんだよッ?!ってかお前、確か結婚詐欺で捕まってたんじゃなかったのか?!」

 

「うるせぇよッ!お前や癒月達のせいであれから俺は踏んだり蹴ったりなんだよ!金持ちを偽ってたのがバレて彼女達から慰謝料請求されるし親から勘当されるし、挙げ句の果てにはコヨミからも見放されるしッ!全部お前等のせいでこうなったんだよッ!!」

 

「いや何それ?!どう考えても玲二さんのせいじゃなくて自分の自業自得じゃん?!」

 

「そうぺこ!それにそんな金持ちを偽るとか絶対すぐにバレるんだからそれが早まっただけじゃねぇぺこか!?」

 

「うぐッ……!?」

 

フレア達に言い返され言葉に詰まる鈴木だが、確かに全部自分が見栄張った結果だから仕方ないだろ?てかそもそもコヨミっていう良い娘がいたのになんでこいつそんなにモテたいとか思ったんだよ?

 

「……まあそれは良いとして、お前にはまだまだ聞きたい事が山ほどある。さっき拓哉も言ってたがこの島は特別な居住区だ。従って正式な手続きをしないと入れない筈なのにお前はどうしてこの島に入る事が出来たんだ?」

 

「グッ……だ、誰がそんな事「言わないならお前には途轍もない程の罰則金が請求されるぞ?なんてったってお前がやってるのは立派な不法侵入だからな」ウグゥッ?!わ、分かったよ!喋れば良いんだろ喋れば!」

 

俺がそう言うと鈴木は観念したのかあっさり話してくれた。話を纏めるとこいつあの一件の後出所したは良いが慰謝料の支払いのせいでまともに生活が出来ず仕方なく土木関係の日雇いで食い繋いでいたが嫌気がさし、其処で最近儲かると言われてるガンプラの転売に目をつけたらしい。

 

しかし今世界的にはガンプラは品薄で転売ヤーですらなかなか入手する事が出来ない状態になっている。いざ手を出した物のあまり売上が出ず諦めてた時に俺等の島に行く貨物船の乗組員からこの店の事を聞き、これはチャンスと思い他の乗組員達の目を盗み乗船、そしてガンプラを購入し船の片隅に隠し帰宅、その結果見事沢山の売上を出した……って事らしい。

 

「…………なんともまあ呆れた根性だよ」

 

「こいつ昔いたスタッフ並みに考えが腐ってるのです……」

 

「あーいたねそんな人……もう名前すら覚えてないけど」

 

「それにしてもこいつ、此処が特別居住区だって知らなかったとはいえよくこんな真似出来ましたね?」

 

「それだけ後先考えてないって事ぺこ」

 

「うぐぐぐぐぅ………うるせぇなぁッ!!大体何なんだよお前等!?転売する事がそんなにいけないのか?!別に転売自体犯罪ってワケじゃねぇんだからやったって構わねぇだろうが?!」

 

うわ、こいつもう完全に開き直りやがった……まあ確かに転売に関しては今の法律では明確に禁止されているワケではない。しかし、こいつは今それ以上にとんでもない事している事に気づいているのか?

 

「……確かに転売自体は明確に犯罪行為ではないが、お前今それよりもっとヤバい事している事に気づいているのか?」

 

「はぁッ?!なんだよヤバい事って!?別に俺なんも悪い事なんて……」

 

「特別居住区への不法侵入、並びに貨物船への不法入船、これ立派な違反行為だぞ」

 

「ッ!?」

 

そう、こいつは転売云々ではなく特別居住区であるこのホロライブタウンへの不法侵入並びに無許可での貨物船への入船を犯している。こればっかりは言い逃れが出来ない犯罪行為である。

 

「取り敢えずお前の処遇はこの島の管理者に委ねるとする。まあどうなるかは俺等も分からんけどな」

 

「そ、そんな……だ、だったらさ、俺もこの島に住ませてくれよ?もう転売行為なんてしないしちゃんと働くからさ、な?良いだろ?」

 

「………この島に住むったってお前にそんな金あるのか?この島許可証得るのにもかなりの出費がかかるぞ?」

 

そう言って俺はこの島の入居許可の申請の為の金額を提示すると鈴木は顔を真っ青にしてうつ向いてしまう。そりゃそうだ、この島に住むにはかなりの富豪層じゃなきゃとても住む事が出来ない。一応初期の住人のツテがあれば一般レベルの引っ越し程度で済むが、当然こいつにはそのツテがないから無理である。

 

「うぐぐぐぐぅ………ッ!クソがぁッ!!」

 

―ダッ!―

 

「あッ?!逃げたぺこ!」

 

「しまった!?縛り方に拘ったせいで足まで縛ってなかった!」

 

「何やってんのさマリン!?バカじゃないの?!」

 

「そんな事言ってる場合じゃないよ!はやくあいつ追いかけんと!?ってか速ッ?!」

 

一瞬の隙をついて鈴木が駆け逃げ出し俺達も慌てて追いかけるがあいつ逃げ足速ぇなぁ?!このままじゃ港に逃げられてしまう……一か八かやってみるか!

 

「へッ!あばよ間抜け共!もうこんな島二度と来るもんか―ドッゴオォォォォォォォォォンッ!!―ギャアァァァァァァァァッ?!」

 

「え?!なんで急に雷が?!」

 

「ど、どういう事?!こんな雲一つない天気に……!?」

 

「……ふぅ、結構しんどいなこれ」

 

「え?!もしかして今の、玲二さんがやったのです!?」

 

なんとか成功して良かったわ。俺はカガリがやった雷落としを試しにやってみたがこうも上手くいくとは……でも慣れてないから結構キツイな……ともあれこのバカを逃がさずに済んだな。

 

「取り敢えず義兄さんに連絡してこいつの身柄を渡すか。一先ずこれで一件落着だな」

 

「そうですね、皆さん有り難うございました。お陰様でホロプラの品揃えも元に戻りそうです」

 

「良いって、俺等も大切なガンプラを守る事が出来たんだから。それじゃあ皆、こいつを義兄さんの所に連れてくぞ」

 

『はーい』

 

こうして無事に鈴木を確保した俺達は直ぐ様義兄さんの所に向かい身柄を差し出した。鈴木には秘密漏洩防止の為に魔術でホロライブタウンと俺達の事に関する記憶を全て消し去ってもらい、更にこいつが買い占めてまだ転売されていないガンプラは全て回収(ちゃんと返金対応済み)して本土へと送り返したのであった。

 

「いやぁ、まさかこんな身近に転売ヤーを見てしまうとは」

 

「ホント、世の中の情勢も関わってるとは言えこうした転売行為が横行してるって思うと作ってる身としては悲しいのです……」

 

「そうだな……いつかこういった転売騒動も落ち着いて店で皆が普通にガンプラが買える日が戻って来る事を願うばかりだな」

 

「そうぺこだね……まあそんな暗い話は此処までにして今日も皆でガンプラ作ろうぺこ♪」

 

「うん!団長もこの間買ったバルバタウロス作りたいし♪」

 

「アタシもコマンドクアンタ作りたかったし、今日はアタシとノエルのを皆で一緒に組もうよ♪」

 

こうして再びホロプラに平和が訪れる事が出来た。まだ本土……いや、世界的にガンプラの供給は追い付いていない。けどいつの日かガンプラが本当に欲しい人の元に適正価格で出回る事を切に願うばかりだ。

 

 

 

転売行為そのものは明確に犯罪行為ではない。しかし、それによって別の犯罪に触れているかもしれないという事を自覚してほしい。そして転売行為が広がる事で皆が辛い思いをしている事をしっかり考えてほしい。そうでないと、後で酷いしっぺ返しを喰らうのは転売ヤー自身なのだから…………

 




はい、という事で今回は転売ヤーに関するお話でした。今世界的にガンプラが品薄状態にある中、ガンプラが異常なまでの高騰化が進んでしまってます。転売ヤーが全ての原因ではないのは当然ですが、こうした転売という迷惑行為のせいで困ってる人もいるので早くこの品薄問題は解決してほしいところです。

次回は久々ににじさんじの面々が登場します。次回もまったり待って頂けたら幸いです、だはまた!


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第49話『るしあ、再スタート』

本当はにじさんじ回にするつもりでしたがそれよりもこちらを先に書きたくなり急遽書いてみました。

今回はタイトルどおりるしあの再スタート回です。彼女の今後はどうなるのか、最後まで見て頂けたら有難いです。ではどうぞ!


「………………………………」

 

「…………るしあ、最近元気ないですね」

 

「無理もないよ、只でさえあんな事になった上に私達が普通にアイドル活動してるんだもん」

 

とある昼下がり、るしあはリビングでボーッとしながら外の景色を眺めている。無理もない、あんな形でアイドル生命を終えてしまった上に皆が普通にアイドルを続けているんだ。同じホロライブマンションに住む身としては肩身が狭くなってしまってるんだろう。

 

「………るしあ、そろそろ昼飯にするか?此処最近まともに食事出来てないだろ?ちゃんと食べないと元気出ないぞ」

 

「あ、はい……玲二さん、心配させてごめんなさいなのです……」

 

「ん、良いって別に。俺はお前の夫なんだから、支えるのは当然だろ?」

 

俺はるしあが引退したその数日後にるしあとも籍を入れた。るしあはもうアイドルとして活動はしないのでこれからは佐々木るしあとして生活する事になる。しかし、それでもるしあは落ち着かないのかボーッとしている時もあれば何かソワソワしている時もある。気持ちは分かるが、どうしたら良いものか……

 

「………なあるしあ、お前これからはどうするつもりだ?もしお前が別の仕事をしたいというなら構わないし、勿論専業主婦になりたいというならそれでいい。俺はお前の意思を尊重するつもりだから遠慮なく言ってくれ」

 

「玲二さん……その事なんですけど、実はもう新しく就職先が決まってるのです」

 

「え?!新しくって、そんなに早く!?一体何処で働くんだよ?」

 

「フフ、明日になれば分かるのです♪」

 

?明日になればって、一体どんな仕事だ?まさか夜の仕事とかじゃ……ってこの島にそんなのないか。ともあれるしあも働く気があったみたいで良かった。暫くは大変だろうが皆で暖かく見守らないとな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―翌日―

 

「う、うぅーん……ふぅ、良い天気だなぁ」

 

「パパ、ジジクサイ」

 

「コラさくら!お前パパに向かっテ何て事言ってンダ!?」

 

今日は朝からココと娘のさくらと一緒にホロライブタウンを散歩している。さくらは龍人族の血を引いてるせいか成長スピードは凄まじく産まれた時点で首が据わってるし片言程度なら喋れるんだが、爺臭いって……この子は一体何処からそんな言葉覚えてくるんだ?

 

「それにしてもるしあの奴、朝っぱらから仕事に行くっていって出てったけど……一体どんな仕事にしたんだろうな?」

 

「まあデモるしあパイセンもこのホロライブタウンで働いテいるみたいデスし、その内どっかで会えるンジャないデスか?」

 

「るしあママ、シゴト、カチコミ」

 

まあ確かにこの島はそこそこ広いが街にある店って考えるとそんなにないからな、その内見つかるか。それとさくら、カチコミは仕事じゃないぞ。

 

「ソレよりも兄貴、折角ダカラこのママホロプラに行きまセン?ワタシチョット作りたいガンプラがあるんデスよ」

 

「そうだな、最近だと子育ても皆が積極的にやってくれてるお陰で大分時間が出来るようになったからな。そろそろ俺も新しいガンプラを作るとするかな。んじゃそうと決まったら早速行きますか」

 

「オー」

 

こうして俺達はホロプラへと足を運んでいった。前に行った時はあの転売問題があった時だったな……あの時まではるしあもずっとアイドルとして輝き続けられると思ってたんだけどなあ……ってダメだダメだ!折角るしあが新しいスタートを切ったというのに俺が何時までも引きずったらダメだろ!此処はもうその事は忘れて今はココとさくらと一緒にガンプラを楽しまないとな!ってそんな事考えてたらもうホロプラに着いたな。

 

―ガチャッ―

 

「おーAちゃん遊びに来たぞー」

 

「いらっしゃいませなのです」

 

「……………え?」

 

扉を開けて中に入ってみると、其処には満面の笑みを浮かべたるしあが俺達を出迎えてくれた。え?どういう事だ?もしかしてるしあの仕事先って、此処なのか?

 

「る、るしあ?なんでお前が此処に……もしかして新しい仕事先って此処なのか?」

 

「フッフッフ~♪そうなのです!というワケで改めましていらっしゃいませなのです!るしあが此処の新店長の佐々木るしあなのです!」

 

「「新店長?!」」

 

「オー」

 

な、何だよ新店長って?!てかAちゃんは?!そしてさくらもよく分かってないのに手をパチパチするな!

 

「はいなのです♪実はるしあがホロライブを引退した時にAちゃんから誘われて此処の店長になってくれないかって言われてたのです」

 

「ええ、私も最近は本業の方が忙しかったのでるしあさんになら任せられると思ったのでお願いしたんです」

 

そ、そういう事か……確かに最近俺達の作業が増えては来たからAちゃんも拓哉もホロプラに付きっきりとはいかなくなってたけど、まさかるしあに店を引き継ぐとはな……

 

「というワケで玲二さん、ココちゃん。これからはるしあはこのお店で頑張りますのでよろしくお願いしますね♪」

 

「あ、ああよろしくな」

 

「はいなのです♪では早速ですが今日はるしあのオススメをご紹介するのです。はいドーン!」

 

いやなんだその通販番組みたいな商品の出し方?そして出してきたのもまた珍しいな『ガンダムアスクレプオス』って。

 

 

『ガンダムアスクレプオス』

『新機動戦記ガンダムW』の外伝作品『デュアルストーリーG-UNIT』に登場した機体。本来はガンダムジェミナスという機体の二号機だったが敵軍に鹵獲され改造された。最大の特徴はまるでズゴックのような姿の強襲形態に変形出来るギミックがある。因みに作者の好きな機体ベスト5に入っている。

 

「玲二さんが前にこれ作りたいって言ってたので取り寄せてみました♪」

 

「いや言ってたけど、これプ○バン限定だろ?どうやって仕入れたんだよ?」

 

「安心して下さい、決して転売品とかではなくちゃんと製造元と契約の上で仕入れてますので♪」

 

いやすげぇなそれ?でも確かにこれは前から作りたかったから有難いな。んで、ココは一体何を買うんだ?

 

「ウーンと……あ、あった!兄貴、ワタシはコレにシマス!」

 

「ん、どれどれ……これはまたらしいチョイスだな、アストレイか」

 

『HG ガンダムアストレイ レッドフレーム(フライトユニット装備)』

以前ヒメが組み立てたアストレイレッドフレームのリニューアルバージョン。構造も進化しつつフライトユニットという飛行パーツとバクゥの頭部パーツが付属している事によりOVAのシーンを再現出来るようになった。

 

「ヤッパリこの刀を持ってル感じが格好イイデスね♪」

 

「ゴクドー、ジンギ、ギリニンジョー」

 

「ちょっとまてさくら、お前どっからそんな言葉覚えてきた?」

 

「タマにコノ子が何処でソンナ言葉覚エテきたのかワタシにも分からナイ時があるんデスよね……」

 

ちょっとこの子の将来が心配になってきたぞ?もしかして桐生会か?だとしたら暫くは桐生会には連れてけねぇな……

 

「と、兎に角!早速だけど工作ルームを借りて作るとするか。るしあ、部屋借りても良いか?」

 

「勿論なのです。それじゃあさくらちゃんはるしあと一緒に遊ぼうねー♪」

 

「るしあママ、ペッタン」

 

「あ゛?」

 

「コラさくら!お前失礼な事言うんじゃナイよ!?」

 

………本当にこの子は何処でそんな言葉覚えてしまったんだろうか?心当たりが多過ぎて分からんな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「取り敢えず仮組は終わったけど、今回はどうしようかな……」

 

「そうデスね~……ワタシは赤い部分をメタリックにシテオリジナルの桜のデカールを貼ろうと思いマス」

 

「そっか、なら俺は………うん、この塗装でいくとするか」

 

俺達は塗装プランを決めてそれぞれ使用する塗料を選択して塗装に入る。俺もメタリック塗装にするからまずは黒サフ噴いていくか。そして乾いたら次は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―夕方頃―

 

「……うん、これは良いデキに仕上がったな」

 

「そうデスね、にしテモ兄貴のソノ能力凄いナァ。塗装シタと思っタラすぐ乾いテビックリしたゾ」

 

まあな。俺は塗装作業中についで感覚で自分の能力を試す為に塗装したガンプラで実験してみたが上手くいって良かった。因みに使ったのは時間操作、塗装した後ガンプラの時間だけを進めて塗装の乾燥を一瞬で終わらせようと思ったんだが、これがスムーズに進んでくれて良かったわ。でももしかしたら今後この力を持った子が産まれると思うと少し怖いな、下手に時進められて死んだらたまったモンじゃない。ってそんな事は良いとして、早速るしあにも見せに行こうか。

 

「おーいるしあ、出来たぞ……って何してんだるしあ?」

 

「あ、玲二さんココちゃん終わったのですか?ほらさくらちゃん、さっきの言葉もう一度言ってみて?」

 

「……るしあママ、ボインボイン」

 

「おーよしよしさくらちゃん良い子でちゅね~♪」

 

「ウ~……」

 

いや何嘘教え込んでんだよ?さくらも嫌がってんじゃんか。それにあんまり変な言葉を覚えさせるなよ、今さらかも知れないけど。

 

「ホラるしあパイセン、さくらにウソ教えないデ下サイよ」

 

「嘘じゃないもん!アイムノットペッタン!アイムアボインボイン!」

 

「No!Rushia paisen is PETTAN!!」

 

「うがあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーッ!!」

 

「こらココ、るしあを挑発するんじゃない。るしあも良いから落ち着けって」

 

「ママ、オチツケー」

 

ダメだ、このままじゃ収拾がつかないからさっさと本題のガンプラ御披露目しないと。まずはココの作品からだな。

 

 

『ガンダムアストレイ・仁義』

アストレイのレッドフレーム部分をメタリックレッドに塗装し左肩に桜の花びらのデカールを貼りココの描く仁義を表現したという。

 

「ほう、結構重厚感のある感じが良いな」

 

「フフン♪今回の塗装ハかなり気合い入れタカラな♪」

 

「ママ、ガンダム、キレイ♪」

 

「確かにこれはキレイ、プラモというよりは和風の人形みたいな印象があるのです♪」

 

お、二人も気に入ってくれたみたいだな。それじゃあ俺も自分の作品を見せるとするか。

 

「それじゃあ次は俺の番だな。るしあ、布取ってもらってもいいか?」

 

「?はいなのです」

 

―ファサッ……―

 

「ッ!!これって……」

 

「どうだ?るしあの事をイメージして塗装してみたんだ。名付けて『アスクレプオスバタフライ』だ」

 

 

『アスクレプオスバタフライ』

アスクレプオスのメインカラーである紫の装甲を全てガイアノーツのパープルグリーンに塗装し、更にアーマーの所々に蝶の羽をイメージした模様を施している。見える位置から紫に見えたり緑に見えたりし、蝶の羽の模様が施されたりと正にるしあのイメージを受け継いだ作品に仕上がった。

 

「れ、玲二さんこれって……」

 

「……るしあ、今回はこんな事になってしまって残念な結果に終わってしまったかもしれない。けどだからと言って俺達はお前が今まで頑張ってきたその姿をよく知ってる。もうアイドルには戻れないかもしれないが、これからはアイドルとしてではなくホロプラの店長として、そして俺の妻として一緒に未来を歩んでほしい。これは、そういう願いを込めて作ったんだ」

 

俺がそういうとるしあはアスクレプオスバタフライを手に取り、そしてそっと涙を流しながら抱きしめていく。そんなるしあを、俺も優しく抱きしめていく。

 

「今までお疲れ様、そしてこれからもよろしくなるしあ」

 

「うん……うん!有り難う玲二さん、るしあの大切な旦那様」

 

るしあはそう言うとショーケースの前に行きアスクレプオスバタフライを中に飾り、そして笑顔で振り向きこう言った。

 

「それじゃ玲二さん、これからもるしあとこの子の事、よろしくお願いするのです♪」

 

「ああよろしく……ん?この子って………え、まさか」

 

「はいなのです♪るしあと玲二さんの愛の結晶が此処にいるのです♪」

 

マジか?!るしあも懐妊するとは!?いや嬉しいけどタイミング的に少し複雑だな……

 

「オォー!コレでるしあパイセンもママにナルんか~♪オイさくら、お前お姉ちゃんになれるゾ~♪」

 

「さくら、シャテイ、デキル♪」

 

「こらさくら、舎弟じゃなくて弟か妹な」

 

……まあ何はともあれ、るしあも新たな道を歩み出したんだ。これからは俺も一緒に進んでいかないとな、勿論皆も一緒にな。

 

 

 

 

 

新しくホロプラの店長として働き始めたるしあ。彼女のこの世界での幸せはまだ始まったばかりである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―オマケ、帰宅後―

 

「……それにしても一体誰がさくらにあんな変な言葉教えてるんだろうな?」

 

「サア?デモもし桐生会の奴等ナラ少しお仕置きせんトナ」

 

「まあその内分かるだろ。それよりもそろそろさくらもお腹空いてるんじゃないか?」

 

「お、そうダナ。んじゃサッサとオッペェやってくるカ」

 

いやもっと違う言い方ないんかい?別に良いけど……えーと、確か今さくらはみことすいせいが面倒見てくれてる筈だが………ん?

 

「ほらさくらたん、みこに続いて言ってみるにぇ。はい、若い衆」

 

「ワカイシュー」

 

「おー凄い凄い♪じゃあ次、お控えなすって」

 

「オヒカエ、ナスッテー」

 

「「おぉーさくらたん偉いねぇ~♪」」

 

「オー♪」

 

「「犯人お前等かぁーーーーーッ!?」」

 

その後変な言葉を教え込んでた罰として二人とも以前おかゆ達が行ってた山寺へと二ヶ月の修行を言い渡した。




はい、という事でるしあホロプラの店長になるの回でした!今後はるしあは主婦兼店長という立ち位置で登場するのでよろしくお願いします!

次回こそにじさんじ回なのでまったり待って頂けたら幸いです、ではまた!


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第50話『にじさんじビルドライバーズ』

気づけば本編五十話突入、よく此処まで書いて来たと思います。ですがこれからも気を抜かずこの物語を書いて行こうと思います!

今回はにじさんじ組のお話です、最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


「第一回!にじさんじビルドライバーズ~!」

 

『イエーイ♪』

 

「……なんだこれ?」

 

とある休日の日、俺は早朝からハヤトに電話で起こされ呼び出されたと思ったらなんかいきなりワケの分からない企画に参加させられてるんだが?折角今日はこゆき達を連れて海沿いを散歩しようと思ってたのに……

 

「さあついに念願のこの企画を行う事が出来ました!MCは私加賀美ハヤトがお送りします。そして今回参加して頂くのはこちらの方々ですどうぞ!」

 

「はい起立きょうつけ礼!にじさんじ所属の委員長月ノ美兎です!今日は初めて本格的なガンプラを作るという事でめっちゃ楽しみにしてました♪よろしくお願いしまーす♪」

 

「はいおはござー!本間ひまわりでーす♪プラモデルはポケモンのヤツを何個か作った事があるのでガンプラも楽しく作りたいと思いまーす♪」

 

「はいおはやよ~♪笹木咲やよ~♪今日は玲二さんがうち等の為にガンプラを教えてくれるという事なので沢山学んでいこうと思いま~す♪」

 

「はい有り難うございます!そして今回はなんとスペシャルゲストがこのにじさんじにやって来てくれております!私の友人でホロライブ所属のスタッフリーダー、佐々木玲二さんです!よろしくお願いしまーす!」

 

「いやよろしくって……てかハヤト、お前やけにテンション高くないか?」

 

こいつ配信時ってこんなにテンション高いのか?何時も俺と遊ぶ時もう少しおとなしかったと思うが………いやそうでもないか。

 

「いやぁなんたって今日は私の大好きなガンプラの企画ですからめっちゃテンション爆上がりですね!それに今日は玲二も快く出演してくれましたし♪」

 

「いや快くって、早朝に叩き起こされ何の説明もされずに此処に連れて来られたんだが?俺今日は赤ちゃん達と一緒に散歩するつもりだったんだが?」

 

「………さあという事で早速企画の方を説明しましょう!」

 

「おい無視すんなッ!」

 

こいつたまに強引になるのなんなんだよ?!俺だって用事とか予定があるんだから止めてくれよマジで!?

 

「という事で今回は三人には予め自分が作りたいと思ったガンプラを三つ選んで頂きそれらを思い思いに作って頂こうという企画でございます!さあという事で早速購入したガンプラを見せて頂きましょうまずは委員長!」

 

「はい!私が購入したのはこちら『ムーンガンダム』です!」

 

 

『HG ムーンガンダム』

機動戦士ムーンガンダムに登場する主人公機。元々はバルギルという機体にサイコガンダムMk-IVの頭部を接続しサイコプレートという特殊兵装を備えたという経緯があり、その姿を見た者からムーンガンダムと名付けられた。

 

「へぇ、ムーンガンダムか。月ノも結構変わり種持ってきたな?」

 

「はい!初めて見た瞬間にビビってきたんです♪名前もムーンって付いて私にぴったりだし♪」

 

成る程な、確かにそういう意味では月ノにぴったりかもな。

 

「ひまはね、これにしてみましたぁ~♪」

 

「どれどれ……ほお、これまた懐かしい『鳳凰似帝大将軍』か」

 

 

『SD 鳳凰似帝大将軍』

SD頑駄無武者○伝3に登場する合体大将軍。武者○伝の各シリーズの主人公達がパワーアップして合体した姿は歴代の大将軍の中でもかなりのインパクトがある。更にメインを切り替える事により剣技に特化した『野ッ突化大将軍』と格闘に特化した『裂ッ駆離大将軍』へと変形出来る。

 

「てかこんなのよく売ってたな?ホロプラでも流石にこれの在庫はなかったぞ?」

 

「エヘヘ~、初めて見た瞬間一目惚れしちゃって、思わずA○azonでポチっちゃった♪」

 

へぇ、Ama○onでねぇ?………あれ?確かこの間見た時鳳凰似帝って6000円越えてたような気が……?

 

「最後はうちやよ~♪うちのはねぇ、これ!」

 

「えっとこれは……また懐かしい物が出てきたな、まさか『ビギニングガンダム』とは……」

 

 

『HG ビギニングガンダム』

模型戦士ガンプラビルダーズGに登場した主人公イレイ・ハルの機体。ガンプラバトル初のアニメでありそのアニメの世界でもかなり珍しいキットの為か詳しいスペックとかは分からないのであるが、作中を見る限りは近距離、遠距離どちらにも優れている機体ではあるようだ。

 

「前にこの子が活躍するアニメ見て格好良かったから作って見たくなったんよ~♪」

 

「成る程な、確かにあのアニメは俺も結構好きなんだよな。最初のガンプラアニメってのもあったけど自分の作ったガンプラが戦うっていうのがすげぇ好きだったわ」

 

思えばあのアニメがあったからこそビルド系のアニメが発展したようなモノだからな。この機体は謂わば立役者のようなモノだから俺としては思い入れがあるんだよな。

 

「よし、これで三人とも作りたいガンプラが分かったから早速作っていくか。で、工具とかの準備は出来てるのか?」

 

「「「…………工具?」」」

 

「あ………すいません玲二、お三方にはガンプラだけしか買うように言ってなかったので工具の事は忘れてしまいましたね……」

 

「マジか、それなら今から買いに………いや、どうせなら俺の家の工作ルームでやった方が良いかもな」

 

彼処なら必要な工具は全て揃ってるし、もし数日掛かるなら皆を泊めてやる事も出来るしな。

 

「玲二さんの家!?ホロライブマンションに入れるのですか?!」

 

「わあ~、ひま前にポルカちゃんとコラボした時以来だから楽しみやなぁ~♪」

 

「うちも玲二さんの家に行ってみたい!」

 

「私も玲二の家に行くのは改装前以来ですから楽しみですね。では早速荷物を纏めてバスへ……」

 

「あ、その必要ないから。必要な物もったら皆俺の肩に手を乗せてくれ」

 

『?』

 

さて、他の人を連れての移動は初めてだけど多分イケるよな?マオも前にロボ子を連れたまま沖縄へ行った事もあったし。ってそうしてる内に皆俺の肩や腕に掴まってくれたな、んじゃ……

 

―シュンッ…!―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―…シュンッ!―

 

「はい到着」

 

「…………え?!」

 

「こ、此処何処?!」

 

「ん?俺の家の前だけど」

 

『ハアァァァァァァァァァァァァァァァァァァーーーーーッ?!』

 

…………あ、そうか。この力妻達や家族にしか見せた事ないからびっくりされても仕方ないのか。

 

「ど、どういう事なんですか?!玲二さんそんな事出来たんですか?!」

 

「え、玲二って只の人間の筈ですよね?!」

 

「んー……詳しくは言えないけど、先祖返りした元人間ってところだな」

 

「先祖返り?!玲二さんのご先祖に魔法使いとかがいたん?!」

 

「………まあそんなとこだ」

 

口が裂けても神羅族の事は言えないからな。こいつ等を信用してないワケではないが、何かの拍子で外部に洩らす可能性がある以上むやみやたらに教えられないんだよ、ごめんな。

 

「そ、そんな、玲二さん……めっちゃ凄いやん~♪」

 

「あ、さくちゃんがめっちゃうっとりしとる」

 

「また惚れなおしたみたいですね」

 

………なんか一人熱烈な視線を送ってくるが気にせず中に入るか。

 

「ただいまー」

 

「あ、レイくんお帰りなさい♪」

 

『あぁうぅ~♪』

 

俺がリビングに戻るとフブキとこゆき達が出迎えてくれた。こゆきやかいり達が最近覚えたハイハイをしながら俺の元にやってくる、可愛いなぁ。

 

「わあ~♪赤ちゃん達可愛い~♪」

 

「あ、ひまちゃんに美兎ちゃん達、いらっしゃい。今日は皆で遊びにきたの?」

 

「はい、今日は玲二にお三方がガンプラを教わりに来たんです。それでフブキさん、良かったら赤ちゃん抱っこしてみても良いですか?」

 

「え、良いけど……」

 

「本当ですか!では早速♪」

 

ハヤトはそう言うとこゆきをヒョイと持ち上げ抱っこする………ってちょっとまてハヤト!?こゆきは……!

 

「おぉー、ちっちゃくて可愛らしいですねってあれ……?」

 

「うゅ……ふぇ……びゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」

 

「えぇッ?!な、なんで急に?!」

 

「だ、ダメですよ加賀美さん!こゆきはパパ以外は大の男嫌いだから抱っこされると大泣きしちゃうんですよ!」

 

「あぁもうハヤト何してんだよ!?早くこゆきをこっちに寄越せ!」

 

「は、はい!」

 

俺は慌ててハヤトからこゆきを受け取ると背中を擦ってあやしていく。この子は本当になんで俺以外の男には懐かないんだろうな?父さんや社長にも決して懐かないし。

 

「ほらよしよーし、こゆきもう大丈夫だからな~」

 

「グスッ……ふぇ……」

 

「はぁ、びっくりしました……」

 

「よっぽど玲二さん以外の男の人は嫌いなんですね?」

 

「でも分かるわ、うちも玲二さん以外に触られたらぶっ飛ばすもん」

 

おい咲、アイドルが平気でぶっ飛ばすとか言うな赤ちゃんの目の前だぞ。まあこゆきも落ち着いたのかキャッキャと笑ってるしもう大丈夫だろ。

 

「済みません玲二、知らなかったとは言えこゆきちゃんを泣かせてしまって……」

 

「いや、説明するのが遅かったから仕方ないさ。他の子なら抱っこしても問題ないからしてあげな」

 

「そ、そうですか?では……ほら、こっちにおいで~♪」

 

「あやぁ♪」

 

月ノがしゃがんで手を広げるとかいりが喜んで近づき抱っこされていく。かいりがキャッキャと笑う顔を見て月ノはかなり嬉しいのか少しにやけているな。

 

「ふあぁ~……めっちゃ可愛いぃ~♪」

 

「かいりは子供達の中でも一番人懐っこい子だからな。愛嬌もあってより可愛いだろ?」

 

「あぃ♪」

 

「良いなぁ~、ひまも抱っこしたい!」

 

「うちもうちも!」

 

そう言うと二人もそれぞれ玲菜とカガリを抱っこしていくと玲菜もカガリもニパッと笑いながら二人の顔をペタペタ触っていく。

 

「あぅ、あやぁ♪」

 

「きゃっぷぅ♪」

 

「「か………可愛いぃ~♪」」

 

うん、こいつ等も喜んでいるし赤ちゃん達も嬉しそうだから良かった。さて、後残ってるのは……

 

「で、では気を取り直して……ほら、こっちにおいで~♪」

 

「あぅ?あっきゃぁ♪」

 

ハヤトは残るマオに向かって手を広げるとマオは一目散にハヤトへと駆け寄り抱っこされていった。マオは子供達の中でも一番抱っこが好きだから基本的に優しい奴なら誰でも抱っこ出来るんだが……問題は抱っこした後なんだよなぁ……

 

「おぉ、これはなかなか……剣持さんではないですがこうしてみると子供って良いですね」

 

「あぃやぁ♪」

 

「なんでそこで刀也が出てくんだよ?ってかそろそろ工作ルームに行かないと時間が勿体ないぞー?」

 

「あ、そうやね、ちょっと名残惜しいけどまた後で遊ぼうなぁ~♪」

 

「あぃ♪」

 

月ノ達は名残惜しそうにしつつもかいり達をフブキ達の元へと返していき、俺もこゆきをフブキへと渡していく。だが……

 

「では私も……ってあれ?ち、ちょっと、マオちゃん?」

 

「うぅ~……」

 

やっぱりか。マオがハヤトの服を強く握って放そうとしない。これがマオの厄介なとこなんだよなぁ……

 

「……すまんハヤト、マオは一度抱っこすると最低でも一時間は抱っこされてないと気が済まないんだよ」

 

「えぇッ?!じ、じゃあ私はどうしたら……?」

 

「うーん……取り敢えず満足するまで面倒見ててくれ、俺達は先に工作ルームに行くから」

 

「そんなぁッ?!ふ、フブキさんあの、抱っこを代わってもらう事は……?」

 

「あー……ごめんなさい、ミオかレイくんだったら代われるんですけど他の人の場合だと代わったらマオ泣いちゃうんですよね」

 

「そ、そんなぁ~……」

 

「たやぁ♪」

 

そうなんだよな、しかもミオ今仕事で本土の方に行ってるし。ま、仕方ない事だから諦めてくれ。それにマオが満足すれば眠ってくれるからそれまで頑張ってくれなー。

 

「んじゃこのまま工作ルームへと向かうか」

 

「「「はーい♪」」」

 

「うぅ、私も工作ルーム見たかった……」

 

「あぅ?」

 

マオを抱っこしてるハヤトを尻目に俺達は一足先に工作ルームへと向かう。ハヤトドンマイ、後でじっくり見れば良いさ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―工作ルーム―

 

「うわぁ~!これがホロライブマンションの工作ルーム!」

 

「めっちゃ凄いやん~♪この間行ったガンダムベースのブースみたいでええやんねぇ♪」

 

「それに工具もかなり充実してますし、これは作るのが楽しみですね♪」

 

「それは良かった。それじゃあ今回は此処にある工具を使ってやっていくから少し待ってくれ」

 

さて、今回はどうしようかな?初心者用のニッパーとかもあるけど……いや、今回は敢えて普段使ってるニッパーでやってみるか。

 

「よし、それじゃあこれが今回使うニッパーだ」

 

「へぇ、意外と小さいんですね?」

 

「それにカバーに究極って書いててなんか凄そう♪」

 

「これって玲二さんが普段使ってるヤツと同じなん?」

 

「ああ、普段はこのニッパーで作業してるな。それとそのニッパー、五千円くらいしたから雑に扱わないでくれな」

 

「「「五千円?!」」」

 

今回皆が使うニッパーはGod Handから出ているアルティメットニッパーだ。このニッパーは普通に公式から出されているニッパーよりも高く、なんと五千円近くする代物だ。その最大の特徴は切れ味の良さと片側のみに刃がついてる片刃ニッパーであり、これによりランナーから切り離した時に起こるプラの白色化を抑える事が出来てヤスリがけの手間も少なくなる優れものなのだ。これ買ってからガンプラの制作作業がかなり楽しくなったな。

 

「に、ニッパーってこんなに高いんやね……?」

 

「いや普通に作るだけなら千円くらいで買えるから今後作るならそれくらいで充分だ。ホロメンでもアルティメットニッパー使ってるのそんなにいないけど今回は敢えて俺が使ってるヤツを使ってもらおうと思って用意してみた」

 

「そうなんや……でもそれだけ凄いニッパーって事やよね?」

 

まあな、アルティメットって付くだけあってかなり良いニッパーだから今回のこの制作で本格的にガンプラをやるなら是非買ってほしいと思う、長期間プラモを作るなら間違いなく損はないからな。

 

「それじゃあ早速組み立てて行くか。まずは仮組からしていって、其処から塗装や改造案を考えていこうか」

 

「「「はーい♪」」」

 

こうして皆各々パーツを切り取り仮組をしていく。因みに仮組する際は後で分解しやすいように噛み合わせの穴をニッパーで一部切ったりすると良い。最終的には合わせ目消しの時等に接着するから多少緩くなっても問題はない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―仮組後―

 

「さて、皆仮組も終えたし改造案とかはどうする?」

 

「そうですね……私はそのままでもいいんですが、このサイコプレートの中をもっと輝かせてみたいですね」

 

「そうか……ならこのホログラムシートを使ってみるか。百均とかにも売ってる物だけど、これを使いたいパーツに合わせて切り取り張り付けていって、最後にこのクリアパーツを被せれば中からホログラムのキラキラ感が良い感じで表現出来るぞ。ただそれだと噛み合わせするピンや穴を全て削る必要があるから接着の必要が出てくるし其処は根気との勝負だな」

 

「わ、分かりました、やってみます!」

 

……いや勧めた俺も悪いが結構大変だぞその作業。かなり根気と集中力がいるし、失敗したらホログラムシートの部分に接着剤が流れて濁ってしまう。素直にガンダムマーカーのメタリック塗装勧めれば良かったか?

 

「うーん……ひま的にはこの武器達を輝かせたいかな?」

 

「それならこのガンダムマーカーを使うと良い。これはその中の一つでメッキシルバーっていうヤツで塗るだけでメッキ加工を施せるんだ。ただこれを塗ったら最後、素手で触ったら塗装が汚れてしまうから触れられなくなってしまうがな」

 

「そうなんや?でもちょっと面白そう♪これで武器塗ってみようかな」

 

因みにこのマーカーはそのまま塗るよりガンダムマーカー用のエアブラシがあるからそれを使って塗装すると良い。そうすればよりムラなく仕上げる事が可能だ。

 

「最後はうちやけど……さっき玲二さんのガンプラを見ててうちのビギニングももうちょっとメカメカしい感じにしたいかな?」

 

「成る程、なら筋彫りしてみるか。予めパーツにそれっぽい線を引いて、このデザインナイフで慎重に彫っていくんだ。万が一失敗してもパテで埋めて乾燥させればまたやり直しが利くから頑張ってみな」

 

「分かった!よっしゃやるぞ~♪」

 

こうして三人はそれぞれ思い思いの改造を施していく。なんだがこうして教えるのも久々で良いな、最近だと皆それぞれ思い思いに作るようになってきたからな。それに子供達が産まれてから本格的に作る機会も減ってたし、たまにはこういうのも悪くないな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―その夜―

 

「よし、この調子なら明日の昼には完成するな」

 

「そうですね。でも済みません玲二さん、わざわざ泊めて頂けるなんて」

 

「気にすんなって、それに幾らこの街が平和とは言え夜中に出歩くワケにはいかんだろ」

 

確かにこの島は事件らしい事件はないが最近だと人口も徐々に増え始めているから何があってもおかしくはないからな。女の子三人を夜中に返すワケにはいかないし、泊まらせるのが正解だろ。

 

「さて、今日はもう作業済んだしそろそろ飯でも………何やってんだハヤト?」

 

「れ、玲二……この子、ずっと私に股がって降りてくれないんですが……」

 

「パパ、さくら、シャテイ、デキタ♪」

 

リビングに戻って見ると其処には四つん這いになって跪いてさくらを乗せておうまさんしてるハヤトの姿があった。さくらもご満悦なのかキャッキャ笑ってるし、全然来ないと思ったらずっと子守りしてくれてたのか。ハヤト……有り難うな、そしてドンマイ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―翌日―

 

「……うん、始めて本格的に作ったにしては上手くいったな」

 

「はい、今回は大変でしたけど作ってて楽しかったです♪」

 

「ひまも鳳凰似帝の武器キレイに塗れて良かった~♪」

 

「うちも筋彫り上手く出来て満足だわ♪」

 

確かに意外と咲の筋彫り上手く出来ててびっくりしたわ。それに皆思い思いに完成出来てて満足そうだし今回は大成功だな。あ、因みに何時もなら此処で作品紹介してるが今回は軽いプチ改造程度なので省略しとこう。

 

「という事で今回はお三方がそれぞれ上手くガンプラを作れたという事で玲二、何か彼女達にご褒美とかはありますかね?」

 

「褒美?急に言われてもな……」

 

「あ、だったら私お願いがあるんですが良いですか?」

 

お願い?まあ変な事じゃなきゃ良いんだが……

 

「別に良いけど、叶えられる範囲で頼むな」

 

「あ、それは大丈夫です。それでなんですが……私の事名前で呼んでもらえないでしょうか?何時も月ノって呼ばれてなんだか距離をとられてるみたいでちょっと嫌だったので……」

 

「あ、だったらひまも!ひまってちゃんと呼んでほしいなぁ~?」

 

「なんだそんな事か。確かにもうそれなりに長い付き合いだしな……分かった、これからは名前で呼ぶ事にするな。美兎、ひま」

 

「「ッ!!!?//////」」

 

?どうしたんだ二人とも、なんか顔を赤くして……って二人とも、なんで内股になってモジモジしてんだよ?一応撮影中だぞ?

 

「はあ、これでまた暫くは戦えますね……♡///」

 

「ひま、今まで生きてて良かった~♡///」

 

いや美兎よ、お前は何と戦うんだよ?それとひま、お前それだともう未練ないように感じるぞ?

 

「ねぇねぇ玲二さん!うちにもうちにも!」

 

「え、でも咲は既に名前で呼んでるし、他に何かあるか?」

 

そう、俺はにじさんじのメンバーの中で唯一咲だけは名前で呼んでいる。理由は漢字は違えど同じ『ささき』だからなんか自分を呼んでるみたいで嫌だったから咲だけは名前で呼ぶようになったんだ。

 

「それなら玲二さん、この紙に書いてる事を気持ちを込めて言ってほしいんやけどええかな?」

 

「これ?…………なあ、これ本当に言うのか?俺フブキ達にも面と向かって言った事あんまないのに……」

 

「まあまあ其処はご褒美という事で♪それじゃあ玲二さん、お願いします♪」

 

マジかよ……ってかちゃっかりボイスレコーダー用意してるし、これもう逃げ場なくなるヤツだろ?はあ、仕方ないからさっさと言うか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……咲、お前の笑顔素敵だぜ。愛してるよ」

 

「ッ!!!!!!//////」

 

「「なあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ?!」」

 

うわあぁッ!言っててめっちゃ恥ずかしいんだが?!俺そんなキャラじゃないのにこれじゃあ本当に只のキザな女誑しじゃねぇか!?

 

「はにゃあぁ~……うち、もう幸せで死んじゃいそうやぁ~♡///」

 

「ズルいですよ玲二さん!私にも愛してるって言って下さいよ!」

 

「ひまもひまも!」

 

「ああもう絶対に言わねぇから!ハヤトも見てねぇで止めろや!?」

 

「いや、こればっかしは私ではどうにもならないんで……御愁傷様!」

 

「あ、コラ逃げんなこの野郎おぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!」

 

こうしてにじさんじ組によるガンプラ制作は修羅場を残して幕を閉じた。その後この動画を見たフブキをはじめとする妻達や一部女性からも暫くの間この恥ずかしいプロポーズを要求される事となる。




はい、という事でにじさんじ回でした。そして書いてて思ったのは玲二って面と向かって愛の言葉を言った事なかったなって(汗)

次回はクロとみしろの回です。また気長に待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第51話『黒狐と白犬のデート』

皆様のお陰でお気に入り登録が1000件突破致しました!こんな駄文な小説ですがこれからも宜しくお願い致します!

今回はクロとみしろのお話です。最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


「………………………………」

 

「………………………………」

 

「………………おい、これどうしたら良いんだよ?」

 

「さ、さあ……………?」

 

子供達も寝かしつけちょこやミオに子守りを任せ昼飯を食べる為にリビングにやって来たんだが……なんだこの空気?テーブルの所にクロとみしろの二人がいるが、明らかに機嫌が悪いのが目に見えて分かるんだが?え、一体何があったんだ?

 

「な、なあ二人とも、一体どうしたんだよそんな機嫌悪そうに……?」

 

「……………玲二、お前それ本気で言ってんのか?」

 

「…………ご主人様ならみしろ達がどうして怒っているのか分かると思ってたんですが、そうですか分かりませんか」

 

……………ヤバい、何に対して怒ってるのか分からんがこいつ等の機嫌が思った以上にヤバい。一体なんて言えば正解なんだよ?誰か頼むから教えてくれ。

 

「え、えーっと……ふ、二人ともそんな黙ってたらレイくんも分からないと思うし、何があったかだけでも「フブキは黙ってろ」……はい」

 

「……まあでも確かにフブキさんの言い分もごもっともですし、仕方がないので何も分かっていただけてないご主人様に一からご説明して差し上げてやります」

 

「な、なんかすげぇ毒のある言い方だな……」

 

本当に俺なんかしたか?全く身に覚えがないんだが……

 

「……なら聞こう玲二、お前私達がこのホロライブタウンに移ってから最後に私と会話したのは何時だ?」

 

「え、最後に会話………そういやこっちに移住してからクロとあんまり一緒にいなかったような……」

 

「そうだ、私はこのホロライブタウンに移ってからは玲二、お前と一緒に過ごした時間は極端に少なかったんだ。確かに私の仕事が忙しかったのもあるが、それでも私も玲二の妻だからお前からデートなり食事なりを期待していたのに、お前は私に対して何にもしてくれなかったよなぁ?」

 

「あ………」

 

………そういや以前あくあが部屋から出てきたクロが物凄く機嫌が悪かったって言ってたな。けどあの時はこゆき達の子育てとホロライブでの仕事もあったし、クロもモデラーとしての仕事があって忙しそうだからそっとしておこうと思ってたんだがまさか逆効果だったとは……

 

「そしてご主人様、貴方様はみしろが最後に身の回りのお世話をしたのは何時か覚えてますか?」

 

「え…………あれ?そういやみしろって最後に掃除とか洗濯してくれたのって何時だったか?先月……いや二ヶ月くらいか?」

 

「昨日です」

 

「………………え?」

 

「………やっぱり全然気にしてなかったのですね?みしろは昨日も一昨日も、ご主人様が家にいる時は身の回りのお世話をさせて頂きました。にも関わらずご主人様は他の娘や子供達に気を取られ生返事で返すばかり。あれですか?ご主人様にとってみしろは身の回りのお世話をする便利屋程度の存在ですか?」

 

そ、そうなのか?!いやまあ確かに子供達のお世話とかで忙しい時もあったけど幾らなんでもみしろの事に気づかないなんて……!?

 

「……レイくん、確かにみしろちゃんずっとレイくんの身の回りのお世話してたよ」

 

「ウソォッ?!」

 

「うん……けど流石に全く気づいてないなんて酷いんじゃない?これじゃみしろちゃんが可哀想だよ」

 

「良いんですよフブキさん、ご主人様にとってみしろは気づいたら身の回りの片付けをしてくれる程度の便利な召し使いぐらいにしか思われてないっていうのがよく分かりましたから」

 

 

 

―グサッ!―

 

 

 

「…………済まないクロ、みしろ。お前達の事何も気にかけてやれなくて………こんな俺なんてお前達の夫になる資格なんてないよな………」

 

「え?!あ、あのご主人様?何も其処までは言ってないのですが……?」

 

「良いんだみしろ、それにクロも……お前達もこんな俺に愛想が尽きただろ?俺なんかよりも他に良い人が沢山いるんだから俺なんて忘れて他のところに行きなよ………」

 

「いや其処までは思ってねぇよ?!おいフブキ!玲二の奴一体どうしちゃったんだよ?!」

 

「あー……レイくんって自分が許せなくなると超ネガティブになるんですよね。此処数年はそんな事はなかったんだけど、こうなると落ち着くのに結構時間が掛かるんですよねぇ………」

 

なんかフブキが言ってるみたいだけどもう良いよ別に………こんな仕事とガンプラしか取り柄のないダメ男なんて見限って違う男のところに行った方が皆幸せになれるって………

 

「ああもう玲二!私達は何も其処まで責めるつもりはねぇんだよ!確かに仕事が忙しくてイライラしてたけど、別にお前の事が嫌いになったりなんてしねぇから!」

 

「そうですご主人様!みしろもご主人様に構って頂けなくて少し意地悪してしまいましたが、みしろにとってご主人様以上の殿方なんていないのですからそんな事言わないで下さいまし!」

 

「良いんだ二人とも、二人の気持ちを理解出来なかったこんな俺なんて「だから落ち着けって!私達はお前にお詫びしてくれればそれで良いんだから!」お詫び?なんだ、首を跳ねたら良いのか……?」

 

「そんな事誰も望んでません!!みしろ達はただ、ご主人様とお出かけして頂ければそれで良いのです!」

 

お出かけ?そんなんで許してくれるのか………いや、それだと俺が許せねぇんだよ。

 

「お出かけ……それだけで良いのか?もし他に何かしてほしいなら遠慮なく言ってくれ、欲しい物があるなら買ってやるし、殴られろって言うなら甘んじて殴られるから……」

 

「だから其処まで言ってねぇって言ってんだろ!私達は本当に一緒にデートしてくれたらそれで良いんだよ!」

 

「それ以上そんなめんどくさいネガティブモード見せるつもりならみしろ達本気で怒りますよ!」

 

「ご、ごめんなさい……」

 

ヤバ……みしろに怒鳴られて少し落ち着いたけどまた自己嫌悪になっちまったみたいだな……はぁ、俺ってなんでこんな……いや、もう止めよう。これ以上自己嫌悪になってたらまたみしろに怒鳴られてしまう。

 

「ま、まあ二人がそれで良いって言うなら喜んでデートするけど、今から行くのか?」

 

「まさか、私達にだって準備しなきゃいけない事もあるから今日は無理だ。だからデートは明日の朝からにしようと思うんだ」

 

「明日はご主人様も何もご予定はなかった筈ですのでよろしいですよね?」

 

確かに明日は一日中フリーだから全然大丈夫だ。本当はハヤトか刀也辺りと久々にスポーツでもしようかと思ってたけど、今は二人と出かける事が大切だな。

 

「ああ問題ない、なら明日の十時に街へと出かけるか。私はそれまでに仕上げなきゃいけない作品があるから部屋に戻る」

 

「みしろも明日に備えて準備させて頂きます、それでは失礼します」

 

そう言うと二人はそれぞれ自分の部屋へと戻っていく。それにしても二人には本当に悪い事してしまったな……明日はうんと楽しませてやらないとな。

 

「フブキすまん、明日は一日中出る事になったわ」

 

「良いんですよレイくん、それよりも明日はクロちゃんとみしろちゃんを沢山楽しませてあげて下さいね。それとデートが終わっても二人の事もしっかり大切にしないと私達も怒りますからね」

 

うッ……肝に銘じます。まあ兎に角明日は二人とのデートだ、今の内に着ていく服でも考えておこうかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―翌日―

 

「………同じ家に住んでるのにわざわざ待ち合わせする必要あったか?」

 

今時刻は午前九時四十五分、俺は一足先にホロライブタウンの街中の噴水広場にいる。というのも朝になってみしろが折角のデートという事だからそれらしく待ち合わせをしたいという事なので俺が先に噴水広場に行ってくれと言われたのだ。確かに雰囲気は大事かもしれんがわざわざ待ち合わせする必要なんてないような気が……?

 

「お、お待たせしましたご主人様……///」

 

「ん、来たかみし……ろ……?」

 

………いやびっくりしたな。何時ものメイド服ではなくてまさか白と淡いピンクのワンピースとは、清楚なみしろがより美しく感じて思わず言葉が詰まってしまった。めっちゃ綺麗でずっと見ていたいと思ってしまうほど可憐で見惚れてしまったわ。

 

「あ、あの、ご主人様?そんなにじっと見られると恥ずかしいですわ……///」

 

「あ、あぁすまん!つい綺麗で見惚れてしまった」

 

「そ、そんな綺麗だなんて……♡///」

 

「おい玲二、みしろばっかりじゃなくて私の方も見ろよ?」

 

みしろに見惚れていると今度は後ろから声をかけられ、振り向くと其処には黒いジャケットに赤いシャツを着てワイルドな感じのクロがいた。いやはや、こっちはこっちでなんだか新鮮だな。

 

「どうだ玲二、私もなかなか良いだろ?」

 

「あぁ、何時もと違うワイルドさがあってよく似合うな」

 

「フフン、当然だ///」

 

クロは清ました表情をするが顔が赤くなってるのと尻尾を振ってるので照れてるのが一目瞭然で分かる、なんだか可愛いな今日のクロは。

 

「さて、三人とも集まった事だし早速行くか。最初は何処が良い?」

 

「それでしたらまずは本屋に行きませんか?最近ちょっと読みたい小説があったので買いに行きたかったんです」

 

「フム、私も少し読みたい本があるから丁度良いな」

 

「ん、ならまずは本屋に行くとするか」

 

こうして始まった三人デート、まずは街の外れにある本屋へと向かう事にした。久々のお出かけだから楽しみだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―本屋 富士―

 

「いらっしゃいませ~って佐々木さん達じゃないですか?クロちゃんとみしろちゃんもいますし、もしかして三人でデートですかぁ~?」

 

「ああ、久々に三人で出掛けようってなってな。それにしても久しぶりだな富士」

 

本屋に到着し中に入ると店主である自称君の心の応援団長『富士葵』が笑顔で出迎えてきた。こいつとはそらも一緒に歌ってみた動画を出してたりとホロメンとも結構仲の良いアイドルだ。最近はこの店を任されているみたいでこの店を拠点にアイドル活動をしているようだ。

 

「そーだったんですね?それならゆっくり見てって下さい♪葵は奥の方で動画撮影してるので会計の時に声掛けして下さいね~」

 

「おいそんなんで良いのか店主?まあ取り敢えずお目当ての本でも探すか」

 

「はい、それではみしろは小説コーナーへ」

 

「私は雑誌の所に行くから」

 

そう言って二人ともそれぞれ自分の欲しい本があるコーナーへと向かっていったから俺も欲しい本探してみるか。多分あるとは思うんだが……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―十分後―

 

「よし、見つかって良かった。二人とも、欲しい本は見つかったか?」

 

「はい、無事に見つける事が出来ました♪」

 

「私も欲しいのが見つかったぞ♪」

 

へぇどれどれ……みしろ、結構渋いな西村○太郎の十○川警部シリーズって。確かに面白いけどさ……そんでクロはホ○ージャパンか、前にあった編集者のやらかし以来見てなかったけどクロは見てるんだな?やっぱり他のモデラーが作った作品とか見て参考にしたりするのか?まあ二人の選んだ物にとやかく言う必要はないか。

 

「そっか、なら俺が払うから二人とも本を渡してくれ」

 

「え、宜しいのですか?」

 

「ああ、折角のデートなんだし今日の支払いは全部俺が持つさ」

 

「そうか、なら遠慮はしないぞ。ところで玲二は何の本を買うんだ?」

 

ん?俺か?俺はこれだ、KAD○KAWAから出てる漫画『HGに恋するふたり』だ。アラサーのOL神崎さやかと16歳の女子高校生高宮宇宙が織り成すガンプラ日常コメディ漫画だ。作画も良いし女性がガンプラ作りをするという作品も珍しくまた面白い。現在四巻まで出ているので気になる人はお近くの書店、または電子コミックでチェックしてほしい。

 

※唐突の宣伝申し訳ありません。

 

「ああその漫画か、確かに面白いもんな」

 

「そんなに面白い漫画なんですか?ご主人様、今度見せて頂いても宜しいでしょうか?」

 

「ああ、読み終わったら何時でも貸してやるよ。という事でおーい富士、これ会計頼「辛ぁ~い!もう無理無理食べられんって!」「頑張ってキクノジョー!ほら後ちょっとだから!」………何やってんだ一体?」

 

この声からしておそらくは激辛料理系の動画らしいけど、なんで客いるのに激辛料理食ってんだよ?そしてそんなの良いから早く会計してくれよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―ゲームセンター OMEGA―

 

本を買い終えた俺達は次に街中にあるゲームセンターOMEGAへとやって来た。此処は最新のゲームからレトロゲームまで充実してるからホロメンは勿論他の事務所のアイドル達も結構遊びに来ているのだが……この店の店長の趣味の影響か半数近くは音ゲーなんだよなぁ。その店長というのが……

 

「あ、佐々木さんお久しぶりだね~♪どもども、おめがってる?おめがシスターズのおめがレイと」

 

「おめがリオでーす♪」

 

この二人、『おめがシスターズ』の『おめがレイ』と『おめがリオ』の双子アイドルである。こいつ等歌声は良いんだが性格がかなりクレイジーで姉のレイは重度のオタクで俺と同じガンプラもそうだが遊戯王のカードやポケモン等も広く手を出している。対する妹のリオは姉と正反対でガンプラや遊戯王には殆ど興味はなく知ったかぶりをしたりする傾向がある。

 

「それで佐々木さん、今日は何のゲームをしに来たんですか?特にないなら久々にビートセイバーで勝負しません?」

 

「いやそれお前の得意分野だろ、一回も勝てた事ねぇし。今日はクロとみしろと一緒にあれをやりに来たんだよ」

 

そう、俺達の目的は沢山あるゲーム筐体の中から前の方に置いてあるゲーム『機動戦士ガンダムEXTREME VS2 XBOOST』をやりにきたのだ。このゲームは歴代のガンダム作品のMSが世界の垣根を越えて戦いあうというアーケードならではの白熱したバトルが楽しめるEXTREME VSシリーズの最新作である。因みに俺達は家でたまに旧版の移植である『EXTREME VS.マキシブーストON』をよくやっており、一番上手いのはおかゆで使うのはユニコーンである。

 

「それじゃあ何時ものように二対二のバトルでやるか。おめがレイも一緒にやるか?」

 

「お、良いね~♪組み合わせはどうしよっか?」

 

「そうですね、本音を言えばご主人様と一緒が良いですが此処は後腐れなくじゃんけんで決めましょうか?」

 

「そうだな、では勝った者同士と負けた者同士で組むとしよう。その後でメンバーを替えればいいだろう」

 

「よし、それじゃあメンバー決めて早速やるか」

 

こうして俺達は二時間程メンバーを替えながらバトルを楽しんでいた。途中おめがリオも興味を持ったのか参戦してきたがやっぱり初心者だったからボコボコにやられていたな。戦績としては俺の勝率は八割ってところか。そして一番負けてたのは……

 

「……………………」

 

「クロ、結局殆ど勝ててなかったな」

 

「初心者のリオさんにも一回落とされましたしね」

 

「う、うるさい!そもそもアーケードは苦手なんだよ!」

 

そう、意外にも強そうなクロだった。まあクロは家でやってる時も下から数える方が早いくらいEXVSシリーズは弱い。と言うのも結構単純な動きしかしてこないので標的になりやすいのだ。因みに一番弱いのはういさんであり、今までの撃墜数は驚異の0である。

 

「ほらクロそんなにふてくされないでくれよ、この後のレストランで好きなの食べて良いから、な?」

 

「うぅ~……だったらハンバーグが良い」

 

「了解、それじゃあみしろもそれで良いか?」

 

「ええ、構いませんわ。それではレイさんとリオさん、また近い内に遊びに来ますね」

 

「うん!今日はすっごく楽しかったぁ♪また今度遊ぼうね~♪」

 

「次は絶対リオが勝ぁつッ!」

 

そうかい、それならまず自分の使ってる機体の名前を覚えな。何度も変な間違いしてたし、何だよエクレアとかジャスティンって?エクシアとジャスティスだっての。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―ホロプラ―

 

食事を終えクロの機嫌も直ったので俺達はデートの締めくくりとしてホロプラへとやって来ていた。どうやら二人とも欲しいガンプラがあるみたいなので今日はそれを買って後日三人で組む事にしたのだ。さて、一体何を買うのやら?

 

「いらっしゃいなので……あ、玲二さんにクロちゃんにみしろちゃん、こんにちはなのです♪」

 

「ああ、と言っても朝普通に一緒に飯食ってたけどな。ってかそれよりもなんだこの在庫の山は?」

 

「これですか?何でか分からないのですが発注した物以外にも大量に流れて来たんですよね」

 

ホロプラに入った瞬間びっくりしたのは在庫の数が三倍近く増えていた事だった。一体何が……そういや最近問屋が転売行為を行っていてガンプラのメーカーが本気の声明文を出したらいろんな所の在庫が潤ってきたって話があったな?まさかこれ、そんな問屋から回収した物なのか?よく見たら在庫の中に青ロゴじゃなくて旧赤ロゴのヤツが混じってるし。

 

「やはり一部の問屋が横流しをしていたという噂は本当だったのか……?」

 

「ええ、しかもこのようないきなりの流通量を考えると、あの噂が本当ならば一部というよりは殆どの問屋が関わっていたかもしれませんね………」

 

全く、金儲けに目が眩んだのか知らんがこんな小売店やメーカー、それに俺達消費者を裏切る行為を平然とするなんて何考えてんだろうな?まあT○itterで堂々と転売価格で売ってたと言ったあの自称小売店以外は本当にやってたかは知らんけど?

 

「まあそれは良いとして早速選ぶとするか。るしあ、まだ購入制限とかってあるのか?」

 

「いえ、あの一件以来この島で転売行為を働く輩はいないし、こんなに沢山あっても捌けないので購入制限は解除してるのです」

 

「お、それなら私はこれ等をまとめ買いしようか♪」

 

「ではみしろはこちらを……」

 

なんだ、もう買うの決めてたのか?えっとクロは……成る程『ドム』か。確かに購入制限がないならこれは三機は欲しいもんな。そしてみしろは……これはまたみしろにしては珍しい、『エクシアダークマター』か。

 

 

『MG ドム』

『機動戦士ガンダム』に登場したジオン軍のMS。他のジオン系のMSに比べて重厚な装甲なのと豊富な武装が特徴で、更にこのMGのドムは過去に出たMGよりバージョンアップして登場した物である。因みに三機揃えばアニメのジェットストリームアタックを再現出来る。

 

※再現するには財布には優しくないのでよっぽどお金に余裕ある人でなければオススメ出来ません。

 

 

『HG ガンダムエクシアダークマター』

『ガンダムビルドファイターズ』に登場するガンプラファイターの頂点に君臨する『三代目メイジン・カワグチ』が使用したエクシアの改良型。元は『ガンダムアメイジングエクシア』という機体だったのだがとある事情で洗脳されてしまい青と白のボディが真逆の赤と黒のボディに変更され戦い方も非道な物に変わっていた。

 

「おぉ~♪ドムが三機揃うなんて、何年後になるのかと思ってたらこんなにも早く手に入るとはなぁ♪」

 

「みしろもアメイジングエクシアは既に持ってたので対になるダークマターが欲しかったのですが、漸く手に入れる事が出来ました♪」

 

「そっか、なら一応レジに預けておいてくれ。俺も何か買おっかな……あ、これは……」

 

俺は沢山あるガンプラの中でたった一つだけポツンとあったガンプラを見つけ手に取る。まさか、こんなキットが残ってたなんてな……

 

「あ、それたった一つだけしか送られて来なかったガンプラなのです」

 

「ほお、懐かしいガンプラだな?」

 

「ええ、みしろも新品を見るのは初めてですわ」

 

「そうだな、まさか『エクストリーム』があるとは……」

 

 

『HG エクストリームガンダム』

『機動戦士ガンダムEXTREME VS.』に登場したオリジナル機体。ex-という人工知能が操縦しており、その目的は対峙する相手に極限の絶望を与える事である。究極の名を持つこのガンダムは歴代の主人公機の見た目を融合させたシンプルなデザインとなっている。

 

「あれ?でも確か玲二さん家の積みプラにこれの限定版ありませんでしたっけ?」

 

「確かに、そちらがあるのでしたらわざわざこちらはいらないのでは……」

 

「………いや、急になんだけどちょっと作ってみたい事を思い付いた」

 

「作ってみたいって……それってつまり?!」

 

「ああ……このエクストリームをベースに俺のオリジナルガンプラを作ってみたいんだ」

 

俺が求めるオリジナルのガンプラ。今までは軽い改造やプロポーション変更程度しかしてこなかったが、このエクストリームを見て俺も新しいステップに進みたくなったんだ!

 

「今までの制作と違って結構大掛かりになるかもしれない。けど俺はそれでもこいつを改修してみたいんだ。クロ、みしろ、お前達も手伝ってくれるか?」

 

「ええ、ご主人様のお望みとあらばこのみしろ、何処までもお手伝い致します♪」

 

「ふん、そんなの言われなくなたって手伝ってやるさ。なんたって私はお前の嫁なんだからな♪」

 

 

「るしあも出来る事があれば協力するのです!玲二さん、皆でこのエクストリームを格好良く仕上げましょう♪」

 

「皆……有り難うな」

 

これから俺の、俺達の大掛かりなエクストリームの改造が始まる。どれ程の期間がかかるか分からないが、それでもこれは絶対に完成させてみせる!だから皆、これからも宜しくな!

 

 

 

 

 

こうして始まったエクストリームガンダムの大改造計画。果たして玲二はどのようなオリジナルガンプラを作り上げるのだろうか?それはまだ、誰も知らない……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―オマケ―

 

「ふぅ、すっかり遅くなってしまったな」

 

「あ、あぁそうだな……///」

 

「そうですね……///」

 

?二人ともどうしたんだそんな恥ずかしそうにモジモジして……まさか?

 

「な、なあ玲二。今日はデートの最後に、その……あ、彼処に行きたいんだが……///」

 

「彼処?………マジか」

 

クロが指差した場所、其処はなんとラ○ホだった。普段そんな所に行こうなんて言わないクロが顔を赤くして言うという事は……

 

「………もしかして、二人してあれか?」

 

「はい……どうやら発情期に差し掛かったようです///」

 

「流石に家だと子供達がいるからあんまり激しく出来ないし……ダメか?」

 

「……いや、ダメじゃないさ。でもその前にフブキ達にも連絡しないとな」

 

やっぱり発情期か。獣人族は普段こそ普通の人間と変わらないが動物と同じで発情期になるとソワソワして落ち着かなくなるのだ。こうなったらその日は満足するまで相手をするしかない、まあ悪い気はしないけどな。

 

「それではご主人様、不束者ですが宜しくお願いします……♡」

 

「フフ、今夜は寝かせんぞ玲二♡」

 

「ハイハイお姫様達、仰せのままに」

 

その後三人はラ○ホに入り夜が明けるまで何度も何度もハッスルし続けた。そしてその数ヶ月後、二人の懐妊が確認されるのはまた別の話である……




はい、という事でクロとみしろとのデート回でした。しれっと他のVtuber出したり軽い宣伝してましたが特に深い意味はありません(笑)

次回もまったり待って頂ければ幸いです、ではまた!

次回…… 『玲二、敵現れる』



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第52話『玲二、敵現れる』

最近になって少しずつですがガンプラが流通するようになったのは良いのですが相変わらず人気キットは狙われますね……いっその事フリマアプリやamazon等も一時的にガンプラの出品を制限すれば良いんじゃないかと思いますね、そうすればモラルの無い転売ヤーは排除出来そうですし………自分で言ってて思いましたが無理ですね。

今回は玲二がホロライブタウンに移り住んでから初めての敵の登場です。最後まで見て頂けたら有難いです、ではどうぞ!


これは、ホロライブタウンに初めて玲二の敵と呼べる存在が現れた出来事である……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………はぁ」

 

「?どうしたのレイくん、さっきからずっとため息ばっかして」

 

「あ、フブキ………いや、なんでもない」

 

「いやいや玲二、さっきからそんなため息ばっかしてなんでもないなんてないでしょ?何かあったのかくらい教えてくれても良いんじゃない?」

 

「そうだよ玲二。シロも玲二の事相談に乗るくらいは出来るから、何があったのかだけでも言って、ね?」

 

……そんなにため息ばっかしてたのか俺?はぁ、フブキ達に心配させるなんてダメだな俺……けどこれ以上は流石に俺一人じゃどうこう出来そうにないし、相談するだけしてみるか。

 

「………実は、最近誰かに跡をつけられてる気がしてな」

 

『つけられてる?!』

 

そう、此処一週間程前から誰かにずっとつけられてる気がして気になって仕方がないのだ。確かな証拠はないのだが、それでも気のせいとは思えないんだよなぁ……

 

「でもそれって玲二くんの事狙ってる他の事務所の娘だったりすんじゃないですかぁ?」

 

「確かに、レイさんって変にモテるから未だに迫ってくる娘も少なくはないもんね」

 

「……いや、そうじゃないんだよマリン、ミオ。今までフブキや皆から受けてきた好意的な視線ではなくて何て言うか……その、殺気みたいな視線を感じるんだよ」

 

『殺気?!』

 

そう、今まで皆から受けてきた好意的な視線とは真逆とも言える殺気立った視線が此処一週間程前からずっと感じていたのだ。明確にお前の事殺すと言わんばかりの強烈な殺気を……

 

「んー、確かに玲二って一部のファンからはアイドルを手にかけた誑し野郎って言われてるし、そんな奴が玲二に殺気立てた視線送るのも無理ないで」

 

「で、でもやっぱり気のせいとかじゃないかな?流石にこの島で玲二君に敵意を向ける人なんていないと思うし……」

 

……確かにそらの言う通り、このホロライブタウンには義兄さんの計らいで俺に敵意を向ける者は出入りする事は出来ないからそんな事はない筈なんだが……やっぱり気のせいとは思えない、間違いなく誰かに敵意を向けられてる感じがするんだよ……

 

「けど変な視線を向けられているのは間違いないんだ。ただ何時も気配がしたと思って振り向いてもすぐ気配がなくなってしまうが」

 

「うーん、やっぱり気のせいなんじゃないかな?」

 

「でも玲二君って人の気配感じ取るの得意だし、もしかしたら本当に跡をつけられてるんじゃ……?」

 

「だとしたらそいつ相当俊敏に動いてるって事だよな?玲二、何か心当たりはないのか?」

 

心当たり……そう言われてもこの島で恨まれるような事はしてない筈なんだが?本土にいた時は絡んできた奴等を返り討ちにはしてたけど、流石にそいつ等がこの島に来てるワケないしな。

 

「………すまん、思いつかないな」

 

「そっか……ならレイくん、暫くは家にいた方が良いかもしれませんね。それなら相手も手出し出来ないと思いますし」

 

「うーん、そうは言っても普通に仕事もあるしな。全く家から出ないなんて出来ないだろうし、どうしたものか……」

 

「……ねぇ玲二、ちょっと良いかな?」

 

?どうしたんだアカリ、そんな険しい表情して……

 

「あのね……多分だけど、アカリ一人だけ心当たりあるの」

 

『ええぇッ?!』

 

「ま、マジかそれ?!一体誰が……?!」

 

「……それは多分明日になれば分かると思う。だから玲二、明日は少しアカリと一緒に街に行ってくれる?それとシロちゃんも協力してくれないかな?」

 

「シロも?それは別に構わないけど……」

 

……一体何をする気なんだアカリは?何だか大変な事になりそうな予感がするんだが……本当に大丈夫なのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―翌日―

 

(……どう玲二、何か感じる?)

 

(……ああ、後ろの方からかなり強い殺気を感じるな)

 

(……うん、シロも感じる。明らかに玲二に向けて邪念のような気配が放たれてるね)

 

あれから一夜明けて俺はアカリとシロに連れられて街へとやって来たが……やはりというべきか、背後から強い殺気をひしひしと感じる。こんな強い殺気は間違いなく気のせいなんかじゃないのは分かるが、そうなると一体誰が……?

 

(……やっぱりあの人か。それじゃあ玲二、昨日の手筈通りアカリが合図したらすぐにあれを行ってね)

 

(あ、あぁ、しかし一体何を……?)

 

(まあ見てて♪それじゃあシロちゃんいくよ~♪)

 

(はーい♪)

 

?二人とも何をする気……

 

―ムニュン♡―

 

「ッ?!」

 

「ねぇ玲二ぃ~♡アカリなんだがムラムラしてきちゃったなぁ~♡」

 

「シロもなんだか身体が火照ってきちゃったぁ♡ねぇ玲二、今から三人でラ○ホに行ってハッスルしよっか~♡」

 

な、何だ?!二人とも急に胸を押し当ててきて何を考えて……!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アアァァァァァァァァァァァァァァーーーーーーーッ!!もう我慢出来るかぁーーーーーーッ!!死にさらせえぇーーーーーーーーーッ!!!」

 

なッ?!なんだ、いきなり後ろから甲高い声が……!?

 

「ッ!今だよ玲二!」

 

「え?!あ、ああ!」

 

―ヒュンッ……!―

 

「え!?あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーッ?!」

 

―ドンガラガッシャーーンッ!!―

 

―……ヒュンッ!―

 

……どうやら上手くいったみたいだな?アカリに言われて瞬間移動で一瞬だけ別の所に移動して戻って来てみたら目の前の坂道の下で俺に殺気を放ってたであろう奴がごみ捨て場に突っ込んで気絶しているのが見えた。

 

「……ふぅ、なんとか成功したみたいだね」

 

「あ、ああ……しかし一体誰がこんな事を……ってこいつは!?」

 

ごみ捨て場から犯人を引っ張りだし顔を見ると、其処にいたのは俺のよく知る相手だったのだ。

 

「な、何でこいつが……?」

 

「はぁ、やっぱりあなたの仕業だったんだね……『エイレーン』」

 

そう、其処にいたのは俺と同じようにアイドル達のサポートをしている自称アニメ女こと『エイレーン』だった。なんでこいつが此処に?てかなんで俺に殺気なんて……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから一時間後、漸くエイレーンが目を覚ましたが俺の顔を見た瞬間今にもお前殺すと言わんばかりの殺気を放ってくるのでシロに厳重に鎖でぐるぐる巻きにしてもらってるんだが……さて、一体どうした物やら?

 

「……うぐぐ、まさか佐々木玲二にあんな事出来る力があったなんて……」

 

「いやそんなのはどうでも良いんだよ。それよりエイレーン、お前なんで俺に殺気なんて向けてたんだよ?」

 

「フンッ!そんなの決まってるデェス!お前が私から楽しみを奪っていったからデェスッ!」

 

楽しみ?一体何の事だ?

 

「そう、お前がいるせいで私の……私の……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私の百合百合なカップリングが全て台無しになるんだヨオォォォーーーーーッ!!」

 

「………はい?」

 

は?百合百合なカップリング?なんだそれ?

 

「あーあ、やっぱりそんな理由か」

 

「え?やっぱりってアカリちゃんもしかしてエイレーンさんのやってた事気づいてたの?!」

 

「いやあくまで予想だったんだけど、エイレーンって昔から百合カップリングが大好きだったからそんなエイレーンにとって玲二は百合カップリングをぶち壊した敵って事だね」

 

なんだそりゃ?それで俺あんなに殺気立った視線を向けられてたのか?普通に理不尽な逆恨みじゃねぇかそれ?

 

「お前がいるせいでヨメミさん達もお前の事ダーリンとか旦那様なんて呼ぶ始末!お前に出会う前まで百合百合してたアイドル達がどんどん佐々木ラブになってムカつくんデエェェェェェェェェェェスッ!!」

 

「いや知らんがな。確かに好かれて悪い気はしないがどんな人を好きになるのもそいつ次第だろ?」

 

「黙れこの女誑し!しかもただ百合を壊すだけならまだしも……私が手塩にかけたアカリやその友達のシロちゃんまで孕ませやがってエェェェェェェェェッ!!」

 

「別に良いじゃんそんなの。アカリが玲二の子身籠ったってエイレーンには関係ないじゃん」妊娠六ヶ月目

 

「そうそう、好きな人の子供が出来るなんて幸せな事じゃん♪」妊娠五ヶ月目

 

エイレーンが血眼になってアカリ達に迫るが二人とも涼しい顔で返していく。そう、実はアカリとシロも既に俺の子を身籠っている。判明したのは兄貴の地獄の修行の後に二人をはじめ何人かが具合が悪くなり検査した所調べたメンバー全員の妊娠が発覚したんだ。五日だけとは言えあんな無茶な修行したのによく流産しなかったよな………因みに妊娠発覚したのは

 

AZKi

ロボ子

アキ

はあと

ぺこら

わため

トワ

ポルカ

ルイ

クロヱ

ヒナ

 

である。現在五ヶ月か六ヶ月程らしく、更には最近だとるしあとクロとみしろも懐妊、更になんとフブキが二人目を身籠るというホロライブベビーブームが到来中である。こうして考えてみると妊娠してないほうが少なくなってないか?そして俺どんだけ節操ないんだろうか……改めて自分の精力の強さに呆れてしまうな、勿論子育てと仕事は頑張るけど。

 

「キイィィィィィィィィィィィィィィィィーーーーーッ!!こんな節操なしの種馬男の何処が良いっていうだよぉッ?!こんなプラモ作るしか取り柄のない奴が私の百合パラダイスをぶち壊したと思うと腹立たしいデェスッ!! 」

 

「ちょっと!玲二の事悪く言うの止めなよ!玲二はシロ達の事大切に想ってくれてるし何より子育てや仕事も両立してるもん!それになんたって玲二はあの伝説のしムグゥッ?!」

 

(ダメだってシロちゃん!?玲二が神羅族なのはアカリ達以外絶対に秘密だから例えこの島の住人相手でも話しちゃいけないんだって!)

 

「は?伝説の何だって言うんデスかぁ?こんな奴が伝説になるなら無責任に女を孕ませる猿伝説がお似合いデェス!」

 

おいコラ言い過ぎじゃねぇか?確かに妊娠させたけど無責任じゃねぇし。子育ても仕事もちゃんと両立してるわ。

 

「兎に角私にとってこの男は邪魔者以外の何者でもないデェス!ヨメミさん達も誑かしたこの男をこれ以上野放しに出来ないのデェスッ!」

 

「そんなのエイレーンの趣味の都合じゃん!?そんな事で玲二を殺そうなんて!」

 

「流石に其処までは考えてないデェス!まあ確かにさっきは感情に任せて飛び蹴りしましたが……私の願いはただ一つ、百合パラダイスの復活デェス!」

 

百合パラダイスの復活?つまりはどういう事だ?

 

「という事で佐々木玲二!お前に勝負を挑むデェスッ!もし私が勝ったらアカリさん達全員と離婚してこの島から出ていけデェスッ!そしてお前が勝ったら百合パラダイスは諦めて二度とお前に近づかないと約束しましょう!」

 

「何それ?!そんなの玲二やアカリ達に何の得もないじゃん!」

 

「そうだよ!シロ絶対に玲二と別れるつもりなんてこれっぽっちもないよッ!」

 

……確かにこの勝負、俺に対してメリットと呼べるモノは殆ど無いに等しい。あるとしても俺に対する嫌がらせがなくなる程度だが、それよりも負けた時のデメリットの方が圧倒的に大きい。負けた瞬間俺は家族を、そして居場所を奪われてしまう。普通に考えたらこんな勝負受けるワケがない、けど……

 

「……勝負の内容は?」

 

「「ッ?!玲二!?」」

 

「ほう、勝負を受けるんデスネェ?」

 

「勝負の内容次第だ。あまりにも俺が不利過ぎる内容なら俺は受けない。だが勝負の内容次第と、さっきの条件に三つの条件を加えてくれるなら受けてやる」

 

「三つの条件?一体何デェス?」

 

「一つは俺が勝った場合の俺に近づかないを俺と俺の家族と二度と関わらないに変える事。二つはお前も負けた場合はこの島から手を引く事。そして最後にこの島から出ていった場合はこの島の事は絶対に他者に口外しない事。この三つの条件を加えてくれるなら受けてやっても良い」

 

そう、これは俺だけでなく俺の家族全員を守る為の絶対条件。エイレーンには悪いが家族に危害を加えない為に負けた場合はこの島から手を引いてもらおう。さっき調べたらどうやらエイレーンは今仕事の都合で単独でこの島に来ているだけのようだから問題はないし、これくらいじゃないと割に合わないからな。

 

「うぐぐ……良いでしょう!その条件呑んでやるデェス!」

 

「よし。で、肝心の勝負は一体何をするんだ?」

 

「フンッ!私はこう見えて結構フェアですので今回はお前の得意なプラモデルで勝負デェス!」

 

プラモデル対決……内容にもよるがそれだと確かに俺が得意なジャンルだがこいつは大丈夫なのか?さっきの言い方だとこいつプラモデル自体作った事ないんじゃないか?

 

「プラモデル対決って、エイレーンってプラモ作った事ないんじゃ……?」

 

「えぇ、勿論作った事なんてないデェス。だからハンデを設けてもらいます。勝負の内容は早組み対決、先にプラモデルを五個組み立てた方が勝ちデェス。但しハンデとして佐々木玲二、貴方にはプラス二個、計七個のプラモデルを組み立てもらいます」

 

「早組み対決……使用するキットは?」

 

「私はそんなに詳しくはないから間違ってたら済みませんが、確か前にヨメミさん達が作ってたエントリーなんとかってシリーズがありますのでそれでやりましょう」

 

「エントリー……ああ、エントリーグレードか」

 

 

『エントリーグレード』

プラモデル初心者の入門キットとも言われるシリーズ。その特徴として工具を必要としない手軽さとパーツ数の少なさでまさにパズル感覚で組み立てられるキットである。以前ガンダムとストライクもこの物語で出てきたがそれ以外にもドラえもんや名探偵コナン、更に仮面ライダー等もある。

 

「それを今から購入して組み立て、先程も言った通り私が五個、貴方が七個先に作った方が勝ちデェス。更にハンデとして、貴方には説明書なしで組み立ててもらうデェス!」

 

「説明書なしか……良いだろう、それならさっさと始めるとするか」

 

「フンッ!後で吠え面かいても遅いからナァッ!!」

 

……説明書なしか。けど悪いなエイレーン、説明書なしなんてそんなの俺にはハンデでもなんでもないからな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―ホロプラ―

 

そして俺達はホロプラに到着し店番していた拓哉に今あるエントリーグレードを用意してもらった。るしあは今日は非番だったから良かったがもし事情を知ったらあいつキレてたかもな……

 

「……それじゃあ此処に勝負用にプラモを用意してもらった。今から三分後の十三時に早組み対決開始、同じキットは一体まででシールがある物は必ず貼る事。それでいいな?」

 

「勿論デェス!そして貴方は説明書は箱から出さず組み立ててもらいマァス!」

 

「……それじゃあもうすぐ時間だからアカリが合図したと同時にスタートだよ。それでは、よーい……スタート!」

 

アカリの合図と共に俺達は早速最初の箱を取り出す。最初に取ったのはお互いに星のカービィ、この中でも比較的簡単なキットだ。これの制作スピードによってこの後の展開が大きく変わるだろう。さあ、久々にやってやるか!

 

(フフン!掛かったな佐々木玲二!確かに私はプラモデルを作った事はないですが手先は器用だからこれくらい簡単に作れるんデェス!しかもお前には説明書もないから四苦八苦しながら作るしかない!この勝負、私の圧倒的有利デェス!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―十分後―

 

(ふぅ、これでカービィは完成しましたね。すぐに次のに取りかかりましょう。そう言えば佐々木玲二の方はどうなって……ってエェェェェェェェェッ?!)

 

「……よし次」

 

(な、なんで?!こいつ説明書もないのに既にカービィとドラえもんを組み立てている!?しかもすぐに赤い仮面ライダーに手を出して組み立て始めて……ど、どうなってるんデェス?!)

 

「……やっぱりエイレーン驚いてるね」

 

「うん、説明書なしなんて玲二にとってデメリットでもなんでもないしね♪」

 

そう、シロの言う通り俺には説明書なんて最初から必要ない。何故なら、これ等のエントリーグレードは既に一度作った事のある物ばかりだからだ。元々のパーツ数が圧倒的に少ないから一度組んでしまえば殆ど作り方は頭の中に残りやすい。更には工具を必要としないこの早組み対決なら処理等も必要ないのでただ組むだけならこのくらいなら五分も掛からない。逆にエイレーンは説明書を見ながらの作業だから余計に時間が掛かってしまう、つまりは説明書なしは俺にとって逆に有利になる条件だったのだ。

 

「どうしたエイレーン、手が止まってるぞ?」

 

「ハッ!?な、なんの!まだ一個しか差は開いてないデェス!此処から私もテンポアップしていくデエェェェェェェスッ!!」

 

そう言ってエイレーンは組み立てを続けるが焦っているのかパーツの扱いが雑になってきている。これは油断しなければイケるな、このまま押しきる!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―数十分後―

 

「其処まで!勝者、玲二!」

 

「ふぅ、終わった……」

 

「キィィィィィィィィィィィィィィッ!悔しいデェスッ!!」

 

「さっすが玲二♪圧倒的勝利だね♪」

 

「おっと……こらシロ、いきなり飛び込むなよ身体に障るだろ?」

 

ふぅ、特に危なげもなく終わったな。エイレーンが三個作り終えた辺りで俺は七個完成させ見事に勝利出来た。

 

「キイィィィィィィィィィィィィィッ!!私が完膚なき迄にやられるなんてエェェェェェェェェッ!私の百合パラダイスの夢があぁぁぁぁぁ~……!!」

 

「まだ言ってるし……あのなエイレーン、俺は確かに女誑しの最低野郎なのかもしれない。けどな、俺は俺の事を好きになってくれて支えてくれる人達を守っていきたいと願ってる、この気持ちに決して嘘偽りはない。だから俺の事を否定するのは構わないが、俺のアイドル達と……妻達と一緒に歩むこの先の人生だけは否定しないでくれ、頼む」

 

こんな俺と一緒に生涯を歩んでくれる皆の為にも、俺は絶対に皆を幸せにする義務がある。例え誰かに蔑まされようが、その想いを否定されたくはない。

 

「………………フンッ!そんな真剣な目で言われたら何も言い返せないデェス!約束通りもうこの島には来ません。けど!アカリさんや皆の事泣かせたら只じゃおかねぇから覚悟しやがれデェスッ!!」

 

そう言ってエイレーンはホロプラを出て島から出ていこうとする。はぁ、流石にあの条件はキツすぎるか……よし!

 

「エイレーンッ!」

 

「…………何ですか?」

 

「さっきの条件取り消す!また遊びに来いよ!今度はヨメミ達も連れて、アカリ達の赤ちゃんに会いに!」

 

「…………フン、考えてやるデェス」

 

エイレーンは振り向く事なくそう言って港へと向かっていった。全く、最後ぐらい素直になれば良いのにな。

 

「やっぱり玲二って優しいよね、あんな事されたのに許すなんて」

 

「まあ実害があったワケじゃねぇし、それにあんな悔しそうな顔されたらな。やっぱ俺って変に甘いよな」

 

「うん、確かにね。でもそんな玲二だからシロ達は好きになったんだよ♪だから胸張って良いと思うな♪」

 

そう言ってくれると有難いな。今回のエイレーンの暴走は少し危なかったが実害もなかったし許す事にした。けど次に会う時はもう暴走しないようにしてくれたら助かるけどな。

 

こうしてエイレーン暴走事件は互いに遺恨を残す事なく無事に幕を閉じたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―オマケ―

 

エイレーンが本土に戻った翌日……

 

「……あんな真剣な目であんな事言われたら信じるしかないデェス。ヨメミさんやアカリさん達が好きになる気持ちが少しだけ分かりますね……あーあ、しっかし勝負に負けて悔しいデェス。次に会った時は絶対に佐々木玲二に勝ってやるデェス!」

 

「ッ?!お、おいあんた!今佐々木玲二って言わなかったか!?」

 

「はい?……誰だオメェ?」

 

いきなり声をかけられたエイレーンは振り向くと明らかに嫌そうな顔になる。其処にいたのは再び一日外出券によって地上へと戻った只野であった。相変わらず酷い脂汗と体臭が漂っておりエイレーンは本能的に後退りしてしまう程である。

 

「ブフフ、実は俺ホロライブの関係者なんだけど、佐々木や他のアイドル達が何処に行ったか知りたくてね。良かったら居場所を教えてほしいなぁーって思って、ブフフ♪」

 

「ホロライブの関係者………もしかしてお前、前にフブキさんから聞いてた只野とかいう奴デスか?」

 

「そうそう!いやぁ俺の事知っててくれて光栄だなぁ♪それで、佐々木の奴が何処にいるか教えてくれないかなぁ?」

 

フブキが自分の事を話してくれてたと思った只野は機嫌良さそうにその不気味な笑みを浮かべながらエイレーンに玲二達の居場所を聞き出そうとする。それを見たエイレーンは何かを考えたようだがすぐに怪しげな笑みを浮かべながら口を開いた。

 

「そうデスねぇ、確かに只野さんには本当にお世話になったってフブキさん達も言ってましたし、特別に秘密を教えてあげましょうかねぇ?」

 

「ほ、本当かい?!ブフフゥ♪これで漸くフブキちゃん達に再会出来る!それで、一体何処にいるんだい?!」

 

「フフン!それはデスねぇ…………………に事務所があるんデェス!」

 

「な、なんと?!そうかそんな所に、だから今まで誰も居場所が分からなかったんだな!?だが居場所が分かればこっちのモンだ!待ってろ佐々木ぃッ!お前の呪縛からホロメン達を解放してやるからなぁッ!ブハアァッハッハッハッハッハァッ!!」

 

エイレーンに居場所を聞くと只野はそのまま目的地へと向かって行くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……全く、誰がホロライブの最大の汚点だなんて呼ばれてる奴に本当の事言うと思ってんデェスか?あるワケねぇだろ国会議事堂の地下に事務所なんて」

 

しかしエイレーンが教えたのは真っ赤な嘘であった。その嘘を鵜呑みにした只野は国会議事堂に侵入しようとして逮捕、更に帝愛グループにも迷惑を掛けたとして保釈金と罰則金を合わせて借金が増額、更に金輪際一日外出券の使用の禁止を言い渡されるのであった。




はい、という事でエイレーン登場回でした!そしてしれっと何人かの妊娠発覚させました、フブキに至っては二人目ですしかなり子供達が増えますね(笑)

次回はおそらくまた番外編になるかもしれません。まったり待って頂けたら幸いです、ではまた!


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第53話『密会』

番外編と平行して書いてたらこっちが先に出来たので先に本編出します。そして今回から漢数字はあまり使わないようにしようと思います。

今回は玲二に不穏な影……な回です。最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


それは、とあるきっかけで起きた出来事である……

 

「あれ?兄ちゃん今日も出掛けるの?」

 

「あぁ、夕飯頃には帰って来るから。そんじゃ行ってくる」

 

「行ってらっしゃーい♪………ねぇ皆、最近のレイくんなんか変じゃない?」

 

「うん、玲二さん此処最近行き先も告げずに何処かに行く時が多いんだよね……」

 

そう、実は今から約一週間程前から玲二は暇が出来ればフラッと何処かへ出掛けるようになったのだ。しかも何時もなら行き先を告げるのに此処最近では何処に行くかと聞いても「何時もの所」としか言わずはぐらかすばかりで教えないで家を出ていくばかりである。

 

「お義父さん達に聞いても最近は来てないって言うし……」

 

「にじさんじや他の事務所にも親分行ってないみたい……」

 

「うーん、このホロライブタウンの何処かにはいるとは思うんだけどなぁ……」

 

行き先も告げずに何処へ行ってるのか分からず皆不安に刈られてしまう……そんな中、るしあがゆっくりと口を開く。

 

「……ねぇ皆、ちょっと聞いてほしい事があるんだけど」

 

「?どーしたんるしあ、もしかして玲二くんの事何か知ってんの?」

 

「うん……皆、落ち着いて聞いてほしい。何があっても慌てないでほしいの」

 

「いや何ぺこか?!勿体ぶらずにさっさと教えるぺこ!」

 

「……分かった、じゃあ言うね」

 

そう言ってるしあは一旦深呼吸し、皆も息を呑んで話を聞く。そしてるしあは決意したのか再び口を開く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………実は玲二さん…………浮気してるかもしれないの」

 

「え……………?」

 

『エエェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェッ?!!?』

 

るしあから放たれた衝撃発言、玲二がまさか浮気をしている……その言葉を聞いた瞬間皆は驚愕しフブキはショックからかその場で倒れこんでしまう。

 

「ちょ?!フブキ、しっかりしてフブキィッ!?」

 

「ちょ、ちょっとるしあ先輩それ本当なの?!にわかには信じられないんだけど!?」

 

「そうよ!ダーリンがはあちゃま達を裏切るようなそんな事するワケないじゃない!」

 

「るしあだって信じたくないよ!でも見ちゃったんだもん……玲二さんが女の人と歩いているのを!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―数日前―

 

「ようるしあ、ガンプラ買いに来たぜ」

 

「あ、玲二さんいらっしゃいませなのです♪」

 

その日は何時ものように玲二がガンプラを買いにホロプラへとやって来ていた。しかし、この日の買い方は何時もと違っていたのだ。

 

(……あれ?エントリーグレードのガンダムフルウェポンが4個にストライクが6個?後は……エクシアやバルバドスにSDの悟空インパルス……全部玲二さんが既に作った事のあるガンプラばかり、しかも初心者用のニッパーを3つも買うなんて……)

 

「……ん、こんだけあれば充分か。それじゃあるしあ、会計頼む」

 

「は、はいなのです!それにしても玲二さん、こんなに大量のガンプラどうするのです?」

 

「ん?ああ、ちょっとな……ほいお金な」

 

「あ、はい丁度頂くのです。ではこちらが商品なのです」

 

「おう有難う、そんじゃあな」

 

そう言って玲二は大量のガンプラを持って店を出ていく。其処に……

 

「おぉ旦那!スゲェな、これ全部ガンプラか!?」

 

「ッ?!」

 

自分が今まで見た事のない女性が突如現れ、あろうことか玲二の腕にしがみついたのであった。るしあもまさかの光景に思わず身体が硬直してしまった。

 

「おい、荷物持ってんだから腕にしがみついてくんなって」

 

「良いじゃねーかそんな細かい事♪ほら早くしねぇと皆待ってるぞ♪」

 

「ハイハイ分かりましたよと」

 

そして二人はそのまま街の方へと向かって去っていってしまった。るしあも漸く正気に戻って急いで店の外に出るも既に玲二達の姿は消えていたのであった。

 

「そ、そんな……玲二さんが、浮気……?」

 

あまりにも衝撃的過ぎてるしあは膝から崩れ落ちてしまい、そのまま店を閉店し家に帰って行くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……という事があったの」

 

「そ、そんな……」

 

「う、嘘だよそんなの……」

 

「マスターが、マスターがボク達を裏切るなんてそんな……」

 

るしあから玲二の密会を聞かされた皆はショックのあまり泣き崩れてしまっていた。中には号泣したり気を失ってしまう者もいるくらいだ。

 

「れ、レイくんが……レイくん……が浮気だなんて……キュゥ」

 

「フブちゃんしっかりして!気持ちは分かるけど気を確かに!」

 

「ご主人様……貴方様はそのような事をするようなお人ではないと信じていましたのに……」

 

「玲二様、一体どうして……」

 

「………こうなったらもう直接聞くしかないよ。レイさんが浮気してるかはともかく何かを隠しているのは間違いない筈、だから今日レイさんが帰って来たら全員で問い詰めよう!」

 

ミオのこの言葉に皆も納得し頷く。玲二が今一体何をしようとしているのか、それをはっきりさせる為に帰ってきたら徹底的に問い詰めようと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………」

 

「?天音ちゃん、どうしたのら?」

 

「へ……?い、いや何でもないよルーナ!(い、言えないよね?こんな雰囲気で玲二君が“あんな事してる”だなんて……)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―そして夕方―

 

「ただいまー、皆帰ったぞー……ってあれ?」

 

何時もの夕飯時に玲二は帰宅しリビングに入るも、其処には完全に無表情な状態の皆が待っていた。何時もと違う光景に玲二は思わず身震いをしてしまう。

 

「な、何だよ皆して……?」

 

「……レイくん、ちょっと其処に座って」

 

「え?いきなり何だ「座って!」……分かったよ」

 

フブキの圧に負け玲二は直ぐにその場で正座をする。今まで味わった事のないような重苦しい雰囲気に玲二は息を呑む。

 

「……レイくん、何か私達に隠してる事があるんじゃないんですか?」

 

「隠してる事?いや別に何もないけど?」

 

「ホントに?何か疚しい事でも隠してるんじゃないの?」

 

「疚しい事?何だよそれ?」

 

フブキ達の質問に対して玲二は何の事だと首を傾げるばかりで埒が明かない。痺れを切らしたフブキが玲二に本題を突きつけていく。

 

「もう良いです、なら単刀直入に言います………レイくん、私達に内緒で浮気してますよね?」

 

「ハァッ?!浮気?!俺が?!一体何の話だよ?!」

 

「惚けないでよレイさん!最近行き先も告げずに何処かへ行ってるじゃないですか!ウチ等に隠れて知らない女と浮気してたんでしょ!?」

 

「いや行き先告げずって、だからそれは……!」

 

「それにるしあ見ちゃったんだよ!玲二さんが知らない女と腕組んで街の方に向かったの!あの時買ったガンプラだってこの家になかったし、その女の所に持ってったんじゃないの!?」

 

「だから何でそうなるんだよ?!別にあいつは……!」

 

「ほら認めたじゃないですか!?レイくんには私達や子供達がいるのに、レイくんは平気な顔して私達を裏切ったんですよ!」

 

「だから裏切ってなんか「裏切ったんです!私達がレイくんの事大切に想ってたのに、レイくんは私達の見えない所で女の人と密会をしてたんですよ!」いやだから違うって……!」

 

「もう言い訳なんて聞きたくないよ!レイくんには……玲二には失望したよ!そんなにその女の人が大切ならそっちに行けば良いじゃん!もう私達離婚しますから!」

 

離婚、その言葉を聞いて玲二の頭の中が真っ白になっていく。一体何故そうなったのか?どうしてこんな事になってしまったのか?そんな事も考えられないぐらい真っ白になり崩れ落ちていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちょ、ちょっと待って!!」

 

……が、其処に待ったをかける一声が放たれた。それは皆が悲しみにくれる中一人だけ焦った表情をしていたかなたであった。

 

「何さかなたん?もうこれは覆らない事だよ、この人は私達を裏切ったんだから「だからそれが誤解なんだって!玲二君別に浮気なんてしてないよ!」……え?」

 

かなたの口から放たれた衝撃発言、玲二の浮気は誤解という言葉。一体どういう事なのか?そして何故かなたはその事を知っているのか……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―翌日―

 

「……レイくん一体何処に連れてくつもりなんですか?」

 

「もうじき着く………見えた、彼処だ」

 

浮気を疑われた翌日、俺はとある所へ皆を連れてやって来た。全く、前に説明してた筈なのになんでそれが浮気なんて考えになるんだよ?まあこれを見てもらったら誤解も解けるか。

 

「ほら、此処だよ」

 

「え、此処って……?」

 

「俺達の子やこの島に住む子供達の為の施設、名付けて『にじほろ保育園』だ」

 

そう、俺が此処最近出掛けていたのはこの施設の準備等も兼ねて子供達の相手をしていたのだ。今園内の広場では子供達が楽しそうに走り回っている。

 

「ほら、前に自分達が忙しい時に子供達を預かってくれる保育園があればなって話をしただろ?それで義兄さんに頼んで作ってもらうってなって、それでこの間無事に承認が降りたから街中の住人に伝えて無事に昨日入園式が出来たってワケだ」

 

「え……い、いつの間にそんな事に?」

 

「何言ってんだよ?先月保育園とかあれば良いねって言ったのフブキだろ?それに一週間ぐらい前に俺言っただろ、今回の件で話が纏まったから暫く手伝いに行くって」

 

「え?そんな話いつの間に…………あれ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―回想中―

 

「やたーーーッ!SSRきちゃーーーッ♪」

 

「おーいフブキー……ってすまん配信中か?」

 

「あ、レイくん大丈夫ですよ~♪それで何の用ですかぁ~?」

 

「ああ、例の件で話が纏まったからこれから一週間ぐらい手伝いに行くから子供達の事宜しくな」

 

「はーい行ってらっしゃ~い♪」

 

[例の件って何?]

 

[また何かイベントかな?]

 

「え~?多分そうじゃないですか~?あ!?またSSRきちゃーーーーーッ♪」

 

―回想終了―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………そう言えばそんな事あったような?」

 

あ、やっぱりこいつ大して話を聞かずに返事してたんだな?皆がフブキを見る目が鋭くなってるのが分かるわ。

 

「あら?玲二さんに皆さん、今日は揃って遊びに来てくれたんですか?」

 

「え……?あ、貴方は!?」

 

「おうクレア、今日は約束通り子供達連れて来たぞ」

 

「あぅ、たやぁ♪」

 

そんな中俺達の元に修道服を着た女性、にじさんじ所属のアイドル『シスター・クレア』がやって来た。クレアの姿を見た瞬間こゆきをはじめとする子供達が笑いながら手を伸ばしている。

 

「え、なんでクレアちゃんが此処にいるの?!」

 

「はい、実は玲二さんのお義兄さんに頼まれまして不肖ながら私がこのにじほろ保育園の先生を勤めさせて頂く事になりました♪」

 

「しょこらや玲牙もクレアになら懐いてくれたからな。これならちょこやぼたんが遠出する事になっても安心出来るだろ?」

 

そう、この話が決まってから俺が義兄さん経由でクレアに頼んでみたら二つ返事でOKしてくれたのだ。しかも自分の知り合いにも協力を仰いでくれたので本当に感謝しきれない程だ。

 

「ちょ、ちょっと待って!じゃあ玲二さんがホロプラの前で一緒に腕組んでたあの女の人は?!あれは一体何だったのです?!」

 

「ああそれは……「おー旦那!遊びに来てくれたのかー♪」って噂をすればなんとやらだ」

 

るしあがこの間ガンプラを買いに行った時に一緒にいた奴は誰かと聞いてきたので説明しようとしたが丁度本人がやって来てくれたのでそのまま説明しようとしたんだが……

 

「あ!?あ、貴方は……ksonさん?!」

 

「ん?おお、あの時のキツネッ娘!なんだ、お前もこの街に越してきたのか~♪」

 

「あれ?フブキ、ケイの事知ってたのか?」

 

「え、うん、前にレイくんと喧嘩して家出した時に知り合って……ってかレイくんこそksonさんと知り合いだったの?!」

 

「ああ、この島に来てクレア経由でな」

 

なんだ、フブキとケイは面識があったのか?ケイことksonはクレアの古い知り合いだったらしくホロライブタウンに移動する際に一緒に来ないかと誘われてやって来たらしい。そしてこのにじほろ保育園を作る際に一緒に子供達の面倒を見てくれると言ってくれたのでクレアと共に先生として働いてくれる事になったのだ。

 

「あら?なんだキツネッ娘が言ってた相手って旦那だったのか?てっきりゴリ公と仲良かったからゴリ公が旦那の嫁だと思ってたのに?」

 

「だからゴリ公って言うな!会う度に僕の事ゴリラ扱いしやがってぇ!」

 

「………え、ちょっと待って?かなたんksonさんと面識あったの?」

 

「あ、うん……実は僕も玲二君と一緒に手伝ってたんだよね。偶々こっちに用があってこの保育園の前を通り過ぎた時に玲二君に頼まれて」

 

「という事はかなたは最初からこの事知ってたの……?だったらなんでウチ等にそんな大事な事教えてくれなかったの!?」

 

「だ、だって玲二君がフブキ先輩に伝えてるって言うからてっきり皆知ってるもんだと思ってたし、あの時の皆気迫が凄くて言うに言えない状態だったんだもん。けどあのままだったら玲二君皆に誤解されたまま離婚させられそうになってたし……」

 

ホント、あの時かなたが待ったかけてくれなかったらあらぬ誤解を生んだまま離婚する事になってたからマジで助かったわ。

 

「……つまりこのバカ狐が玲二の話をちゃんと聞かなかったのと」

 

「るしあさんが早とちりでご主人様が浮気していると言ったせいで起きた誤解だったというワケですね?」

 

「「ご、ごめんなさい……」」

 

まあ確かにフブキがちゃんと話を聞いててくれてればこんな誤解は生まれなかったんだよな。ケイの事に関しては疑われても仕方がなかったから俺も悪いが。

 

「……レイくんごめんなさい。私レイくんの話をちゃんと聞きもせず一方的に責めて離婚するだなんて言って……」

 

「いや、俺もフブキだけじゃなくて皆に伝えておけばよかったんだから今後お互いに気をつければ良いだけさ。それより保育園も出来たし、これからは俺達が忙しくなってもこゆき達を任せる事が出来るぞ」

 

「うん!レイくん、こゆき達の為に頑張ってくれて有難う♪こゆき、良かったね~♪」

 

「あぅ、あぅあ~♪」

 

うん、フブキとも漸くわだかまりもなくせたし、これからは安心してクレア達にこゆき達を任せられる。勿論ちゃんと自分達でも子育てをするけどな。

 

「うんうん、こゆきも嬉しそうに笑ってるね~♪」

 

「あぅ、あ~……ぱーぱ、まーま♪」

 

「…………え?」

 

「ぱーぱ♪まーま♪あっきゃあ♪」

 

『しゃ……喋ったぁッ!?』

 

マジか!?そろそろ何か言葉覚えるかなって思ったけど、このタイミングで喋って、しかも俺達の事を呼んでくれてるなんて!

 

「レイくん!こゆきが、こゆきが私の事ママって!」

 

「ああ、呼んでたな!ほらこゆき、もう一度言ってみてくれないか?」

 

「ばーぱ♪ま、まんまー♪」

 

こゆきが俺とフブキをパパとママと呼ぶ度に嬉しさが込み上げてきて、思わずこゆきとフブキを抱き締めていた。これは今晩はお祝いだな!

 

「よぅし!今日はにじほろ保育園開園記念とこゆきの初めて言葉を覚えた記念にお祝いしよー♪」

 

『おお~♪』

 

「クレアちゃんとksonさんも一緒に参加してくれますよね♪」

 

「え、よろしいのですか?折角の家族のお祝い事なのに私達がお邪魔しても……」

 

「良いって、二人とも保育園の先生として働いてくれるんだからこれからお世話になりますって意味も込めてご馳走させてよ♪」

 

「お、そりゃありがてぇなぁ♪なら遠慮せずにご馳走になるわ♪」

 

「おし、それじゃ帰ってパーティーの準備すっか!」

 

『おおーーーッ♪』

 

こうして誤解等もあったが無事に保育園を作る事も出来、更にこゆきも初めて言葉を覚えたというなんともめでたい日になったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―オマケ―

 

「ほらこゆき、おねぇちゃんって呼んでみな~♪」

 

「あ、あぅあ~」

 

「……まだやってるでござるな」

 

「こゆきちゃんがパパとママって呼んだから自分の事もお姉ちゃんって呼んでほしいのね」

 

「でもそんな簡単にはいかないんじゃない?」

 

「あれ?でもこゆきちゃん何か喋ろうとしてない?」

 

「あぅ、あ、あー」

 

「おぉ!頑張れこゆき!おねぇちゃんだぞ~♪」

 

「あぅあ、う~……や」

 

『……や?』

 

「や、まだ~、やまだ~♪」

 

―ピシッ……!―

 

「あ、ラプが固まっちゃった」

 

「これってこよ達がラプちゃんをたまに山田って呼んでたからかな?」

 

「確かにラプラスとかお姉ちゃんよりかは呼びやすいもんね」

 

「ラプ殿……御愁傷様でござる」

 

「やまだ~♪」

 

その後暫くショックを受けてたが後日ちゃんとねーちゃと呼んでもらえ涙を流しながらこゆきを抱っこして喜ぶラプラスがいたとかいないとか。

 

 

 

 

 

―オマケその2―

 

「へぇ、ケイさんもガンプラ作るんだ?」

 

「おう、まあ旦那と違って私は素組派だけどな。まあそれもあって私と旦那は気があったんだよ。最近だと知育の一貫で子供達にガンプラ作らせたりして楽しんだぜ♪」

 

「それで玲二さんあんなにエントリーグレードとか買ってたんだ……」

 

「オウ!オメェもなかなか良い奴じゃネーカ♪」

 

「ケイ、スゲー♪」

 

「お、そうだろそうだろ♪アッハッハッハ~♪」

 

(………何だろう?一緒にいて何となく思ったけど、ココとケイさんって声全く一緒じゃね?)

 

仲良く喋ってるココとksonを見てかなたは全く声が一緒という謎現象に頭が少し混乱するのであった。

 




はい、という事で玲二の浮気疑惑からのにじほろ保育園開園、そしてこゆき喋るの回でした!子供達も増えたのでこうした保育園は必要かなと思い作ってみました♪

次回はエクストリームガンダムの改造回その1を予定してます。まったりと待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第54話『玲二、初の本格改造』

以前話に出ていたエクストリームガンダムの改造、実はリアルで自分がやってる改造なんですね。今回は途中経過という事で作った部分までを載せます。それだけだとちょっと足りないと思ったのですこしオマケもあります。最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


以前ホロプラで見つけ何かを感じ購入したエクストリームガンダム。玲二はこのガンプラを使い初めての本格的な改造を施し自分だけのオリジナルガンプラを作ろうと試みていた。果たして、どのようなガンダムへと生まれ変わるのだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うーん、どうした物か……?」

 

「やっぱりこの特徴的な武器は活かしたいよね?」

 

「後はこのクリアパーツも残しておきたいぺこだね」

 

「それとエクストリームって色んなバリエーションもあるから何か拡張性があっても面白そうだよね♪」

 

先日買ったエクストリームを改造しようと早速制作を開始し一先ず仮組みまでは出来たが……ヤバイな、初めての改造って事もあってどうしようか全然思い浮かばん。今一緒にいるまつり、シオン、ぺこら、ロボ子も先程からいろいろ提案してくれてはいるが、これと言った具体的な物がない為考えが纏まらない状態である。

 

「うーん……取り敢えずまずはこの頭部から変えていくか。と言ってもこのエクストリームの顔って旧タイプだからのっぺりしてて格好悪いんだよなぁ……いっそ頭部を思い切って別の物に差し替えるか」

 

「別の物に?それだとエクストリーム特有のダブルフェイスがなくなっちゃうんじゃ……」

 

「ああ、けど元々このダブルフェイス自体あまり良い感じじゃなかったし、これに関しては最初から後ろの顔は消そうと思ってたんだよ。それだったらいっその事顔パーツは別の物に差し替えた方が良さそうだしな」

 

そう、このエクストリームガンダムの頭部はメインフェイスの他に裏側にもう1つのフェイスが隠されている。けどこのダブルフェイス自体どうしても好きになれなかったから後ろの顔は最初パテで埋めようと考えてたんだが今度は前の顔ののっぺり具合が気になりだし、それならいっその事頭部を変える事にしたのだ。もちろんエクストリームのアンテナや頭部横のパーツは流用する形でな。

 

「そうなると頭部をどうするかだよな。出来ればエクストリームに近い物にしたいんだが……」

 

「あ、ならマスター、これなんか良いんじゃない?これなら上手く組み合わせられそうだよ♪」

 

そう言ってロボ子が持ってきたのはガンダムバトローグブレイカーに登場した『ガンダムダブルオーコマンドクアンタ』だった。これの頭部?確かに面白そうだが……

 

「うーん、でも折角手に入れたキットだからそれはそれで作りたいが……」

 

「違うよマスター、このキット実は余剰パーツで元のダブルオークアンタの頭部が余るんだよ。これを使えばパーツを無駄なく活用出来るんじゃない?」

 

そうなのか?!あ、確かに説明書見たら頭部が新規パーツのみで構成されてるから元のクアンタの頭部が余るのか!バトローグシリーズもそうだがビルド系のガンプラは元ネタのガンプラのパーツを流用している事が多くこう言った余剰パーツが多く見られるのだが、まさか頭部が丸々余るとは……!?

 

「でも確かにこれなら違和感なく作れそうだよね?エクストリームの頭部も確かエクシアモチーフだったし、クアンタもエクシアの派生機みたいなもんだから進化したみたいで良いじゃん♪」

 

「ああそうだな、試しに少しやってみるか。まあ当然の事ながらこのままじゃアンテナとか移植出来ないから少し削ったりしないとな」

 

そうと決まれば早速組み立ててみよう。まずはエクストリームのアンテナを取り付け出来るように元の噛み合わせ部分をカットしてクアンタのアンテナの噛み合わせ部分をとって接着、そして乾いたら試しに付けてみて……うん、バランス調整とかしなきゃいけないがこれはいけそうだな。よし、頭部横も削ってエクストリームの頭部横のパーツも付けれるようにしよう。一先ず頭部はこれで良いかな?

 

「そして次に胴体か……マッシブな感じにいくか、スタイリッシュにするか、悩み処だな……」

 

「うーん………ッ!そうだ玲二!いっその事他のビルド系の余剰パーツ集めて見てさ、其処から改造に使えそうなパーツ探すのはどう!?」

 

「余剰パーツを集めて?確かに面白そうだが、果たして上手く行くのかそれ?」

 

「でも確かに面白そう!玲二君、試しに幾つか使ってみたら?まつり胴体の余剰パーツが出そうなキット探してみるね♪」

 

そう言うとまつりはスマホを取り出し余剰パーツを検索しながら積みプラからキットを探していく。すると何かを見つけたのかそのキットを俺の所に持ってきてくれた。

 

「ねえ玲二君!これなら胴体と肩と足が余剰パーツとして残るよ♪」

 

「ん?これは……ヘリオスか。確かにフリーダムのランナーを使ってるからかなりの余剰パーツが出るけど……」

 

これを組み合わせるか……難しいなぁ、胴体は使えそうだが肩と足はイメージに合わないような気もするし、此処は少し保留するか。

 

「取り敢えず胴体は試してみるとして首回りをどうするかだな。少しジャンクパーツ漁るか……あ、これは……」

 

何か使えそうな物はないかとジャンクパーツを保管しているボックスを漁ると、その中にあったガンダムMk-IIの胴体だった。それを見た瞬間、俺は両肩のアーマーを取り一部のパーツを削ってエクストリームの両肩のクリアパーツを加工し装着してみた。

 

「……よし、思ったより良い感じに出来たな」

 

「おおー!何だかバージョンアップした感じがして格好良いぺこ!」

 

「確かに肩がしっかりして良くなってるね♪」

 

よし、皆の印象も良い感じだ。エクストリームの両肩はクリアパーツが施されている以外はシンプルな形だからMk-IIのような肩アーマーは印象を変えるのに持って来いだ。さて、胴体に戻るか……いや、胴体は少し手を加えるくらいにして元のままの物を使おう。あまり差し替えばかりするとエクストリームからかけ離れてしまうからな。

 

「結局エクストリームの胴体使うんだね?」

 

「ああ、あんまり変えすぎたら全くの別の機体になるからな。あくまでもコンセプトはエクストリームの派生機って所だから其処はしっかり守っていきたいから胴体は少し加工する程度に終わらそうと思う……よし、これでどうかな?」

 

「おおー、胴体もプラ板使って延長したんだ?」

 

「確かにこれだと少し伸びてバランスが良くなりそう♪」

 

胴体の下の部分も2mmのプラ板で埋めて延長し、更に首横の部分にプラ板で追加の装甲を加える事で大分印象を変える事が出来た。こうしてみるとこういった改造って楽しいな。

 

「ふぅ……一先ず今回は此処までにするか。こういうのはじっくりゆっくりやっていきたいからな」

 

「確かに一気にやったら疲れちゃうからね~………!そうだ玲二君、まつりちょっと面白い事思いついちゃった♪」

 

面白い事?一体何を思いついたんだまつり?

 

「あのね、さっきロボ子先輩が余剰パーツを出してくれたけど、これ今あるガンプラの余剰パーツを集めたらもう一体分ガンダムが出来るんじゃないかなって思ったんだ♪折角だからちょっとやってみない?」

 

「何それ面白そう!シオンも余剰パーツ探すから皆で作ろう♪」

 

成る程、余剰パーツだけでガンプラか。確かに面白そうだけど、そんなに余剰パーツってあるもんなのかね?因みに余剰パーツの定義としては説明書のパーツ一覧を見て✕マークが付いてる物、又はディスプレイする際に無くても問題ないパーツを指すが、それでも一機分は難しいような……

 

「あ、さっきのヘリオスもそうだしエクシア系のガンプラも結構余剰パーツ出てきそう♪」

 

「フェニーチェもウイングの頭部余るみたいだよ?でも頭部全てってワケじゃないか……あ、でもブルーデスティニーの頭部も二種類あるから片方使えそうだね♪」

 

「………まあ、新しいアイデアを出す為にも少し気分転換にやってみるか」

 

こうして俺も積みプラから色んなガンプラから余剰パーツを探して切り出していく。さて、どんなのが出来るのやら……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―数時間後―

 

「こ、これは……」

 

「何だかワケ分かんないもんが出来ちまったぺこだね……」

 

「うぅー……やっぱ余剰パーツだけで作るなんて無理だったのかなぁ?」

 

なんとか試行錯誤しながら作ったのは良いが、本当にワケの分からんガンダムが生まれてしまったな……一度頭部と胴体を探していると『ガンダムシャイニングブレイク』が頭部と胴体が丸々一組余剰パーツで作れるってなって組んでみたがフリーダムの足だったりエクシアの腰だったりインパルスアルクの肩だったりバルバトスの腕だったりと纏まりが無さすぎるガンダムが生まれてしまった。しかも間接部を補う余剰パーツが見つからず、仕方なくパテで一端補強したハリボテのようなガンダムになってしまった。

 

「まあ余剰パーツはあくまでも余剰な物だからそれだけで組もうとしたらこうなってしまうよな」

 

「そうだね、間接部も脆そうだし、名前を付けるなら『ハリボテガンダム』だね」

 

「そんなぁ~、良いアイデアだと思ったんだけどなぁ……」

 

「まあまつりちゃんの発想は良かったんだし、今後のガンプラ製作に活かせば良いんじゃない?」

 

そうだな。それにガンプラは自由だ、こうした余剰パーツで楽しむのもまたガンプラの醍醐味の一つと言えるし、俺も今度余剰パーツを活かして何かを作ってみるか。

 

「ただいま~♪お仕事から帰って来ましたよ~♪」

 

「よ~♪」

 

お、どうやらフブキ達も仕事から帰ってきたみたいだな。今日はこゆき達と一緒に子育て雑誌の表紙の撮影に行ってたようでフブキ達もそうだがこゆき達も普段と違うおめかしをして可愛らしい。

 

「どう玲二君、エクストリームの改造進んでる?」

 

「ああ、頭部と胴体まで進んで今日は一旦終わりにしたんだ。今はまつり達と余剰パーツで遊んでたんだよ」

 

「余剰パーツで?もしかしてこのガンプラの事………何か、変だね?」

 

―グサッ!―

 

「………いーもん、どーせまつりの作ったガンプラは変だもん」

 

あら、フブキの一言でまつりが傷ついてしまったみたいだな?そりゃ一生懸命試行錯誤しながら作った物を変呼ばわりされたら悲しいもんな。

 

「ご、ごめんまつりちゃん!そんな悪気があって言ったんじゃないんだよ!?ほら、私も手伝ってあげるから一緒にこのガンダムを格好良くしよ、ね?」

 

「…………うん」

 

フブキも流石に失言した事を悪いと思ってまつりのガンプラを一緒に格好良くしようと手伝ってくれるみたいだな。昔は俺にいろいろ教わってたフブキがこうして他の娘に教えているのをみるとなんだか嬉しく思えてくる。

 

「ぱーぱ、かんぷら~」

 

「ん?まだこゆきにはガンプラは早いからな、おっきくなったらパパとママと一緒に作ろうな?」

 

「あい♪」

 

こゆきにはまだガンプラは早いけど、いつか大きくなったら一緒にガンプラ作りをしてみたいと思う。なんとなくだけど、この子はきっと良い作品を作ってくれそうだしな。

 

「マスター、なんだか嬉しそうな顔してるね♪」

 

「ああ、やっぱりガンプラは面白いなって思ってな。皆、俺の趣味に付き合ってくれて有り難うな」

 

「そんなの良いって、最早師匠の趣味はぺこーら達の趣味でもあるぺこだし、これからも一緒に沢山作っていこうぺこ♪」

 

「ああ、そうだな」

 

昔はただ一人で作るガンプラが今では皆も一緒に作ってくれてこんなに大きな輪となっている。この繋がりをこれからも大切にしていきたいな。

 

 

 

 

 

こうしてエクストリームの改造第一段階、そしてまつりによる余剰パーツによるガンプラ製作は無事に終了した。果たして玲二は納得のいくエクストリームガンダムを完成させる事が出来るのだろうか?それはまた次の機会に………




はい、という事でエクストリームの頭部と胴体の改造&余剰パーツでの遊び回でした。エクストリームに関しては今後も作り次第載せていこうと思います。

ガンプラの余剰パーツって結構有難い物多いですよね♪皆さんは何か嬉しかった余剰パーツとかはありますか?

次回はまた懲りずに新しいVtuberが出てきます。ヒントはフレアと関わりがある娘です。次回もまったり待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第55話『でびるくいーん到来』

最近ビックカメラに行ったら普通にΞとドムが売っててどっちを買うかで迷った挙げ句Ξにしましたが今になって少し後悔してます……(泣)

今回はまた懲りずに新しいアイドル登場!まあタイトル見たら大体誰か分かりそうですが……今回も最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


―ピピピピッピピピピッピピピピッ……―

 

 

 

「………ん、んん………朝か……」

 

 

 

目覚ましの音に起こされ、現在午前七時。俺はまだ少し寝ぼけ半分状態たが、今日は折角の休みだし最近だと珍しく一人で寝ていたので普段もう少し寝る事にした。本当に久しぶりだな、一人で寝たの………

 

 

 

……なんか前にもこんな出だしがあったような気もするが、それよりも目覚まし止めないと……

 

 

 

 

 

 

 

―モニュンッ♡―

 

 

 

 

 

 

 

………?何だ、この感触?随分柔らかいし、何よりも温かい………ちょい待て?目覚ましがこんな感触するワケがない、という事は俺は今何を触ってるんだ?触った感じ人肌っぽいが、今この部屋には俺以外いない筈だが?

 

 

 

……ヤバい、前にもこんな事があったような気が……イ、イヤな予感がする。俺は恐る恐る目を開けて見ると……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「や~ん玲二君ったらぁ~♡いくらパトラのお胸が魅力的だからってそんな強く鷲掴みしたらダメだよぉ~♡」

 

「だあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ?!」

 

またかよ?!前にもシロが潜り込んで来た事あったけど何で俺が一人で寝てたら必ずと言っていいほど誰かが侵入してくんだよ?!

 

「いや何でお前が此処にいるんだよ周防!?」

 

「え~?久しぶりに玲二君に会いたいなぁって思って来てみたら玲二君が一人で寝てるからラッキー♪って思って一緒に寝ちゃいましたぁ~♪そ・れ・とぉ~、そろそろいい加減パトラって呼んでほしいなぁ~♡」

 

呼ぶワケねぇだろそんなに親しい間柄じゃねぇんだから!俺は目の前にいる自称デビルクイーンこと『周防パトラ』の全く反省してない様子を見て思わず頭を抱えてしまう。こいつとはフレアを通じて知り合ったのだが会う度にやたらと俺にラブアピールをしてきて困ってたが、まさか部屋にまで侵入してくるとは……

 

「てかお前どうやって俺の部屋に侵入した?!俺の部屋ってかホロライブマンションの部屋の殆どにはカードキーがないと入れないシステムなのに?!」

 

「ふっふっふ~♪玲二君、君はパトラがデビルクイーンという事を忘れてるようだね?そんな扉なんてパトラの力を持ってすれば!」

 

な、なんだ?!まさか、悪魔が持つ特殊能力の中に空間移動能力とかあるのか!?こいつ自分の事をデビルクイーンとか言ってたが、もしかして本当に凄い力を持ってるんじゃ……?!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フレアのバックから取ったカードキー使って開けるなんて容易いんだよ!」

 

「何してくれてんだこの大バカ野郎!?」

 

四日前にフレアがカードキー失くしたって言ってたけど犯人お前か!!あの後皆して家中探しまくったんだぞ!

 

「もぉ玲二君ってば、パトラは野郎じゃないよ?」

 

「どうでも良いわそんな事!勝手にフレアのカードキー抜き取りやがって!あれから家中探すの大変だったんだぞ!」

 

「えー?でも元々返すつもりだったよ、玲二君に用事があったからちょっと借りただけだもん」

 

「へぇ~?用事があったからって黙って勝手にカードキー持ち去るの?」

 

「「へ?」」

 

周防が言い訳していると、いつの間にか俺の部屋に入ってきたフレアが笑顔ながらも厳ついオーラを放ちながら周防へと近づいていた。これ、マジでフレアの奴怒ってる……!?

 

「人の家のカードキー勝手に持ち出して玲二さんに迷惑かけて、一体何のつもりさパトラ?」

 

「え、えぇ~っとその~……よ、良かったらフレアも一緒に寝る?」

 

「寝るかバカタレエェェェェェェェェェェェェェェェェェッ!!」

 

「ごめんなさあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁいッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―30分後―

 

「………で?一体どういうつもりさパトラ?玲二さんの布団に忍び込んで一緒に寝るなんて」

 

うわぁ、フレアめっちゃ怒ってるなぁ。そりゃそうか、自分のカードキー取られた挙げ句に悪用されたら誰だって怒るわな。

 

「だ、だってぇ~、パトラ最近玲二君と全然会えなかったから色々と鬱憤が溜まってたんだもん~!」

 

「鬱憤が溜まってたからってやって良い事と悪い事があるでしょ!?ノエル、もう1個追加!」

 

「あいよ~♪よいしょっと」

 

そして現在正座している周防の膝の上に巨大なブロックが置かれているが、周防が言い訳する度に更にブロックが追加されていく。いや江戸時代の拷問か?流石にレプリカだから其処まで重くないにしろ4個も乗ってたら結構重そうだよな?

 

「ふえぇ~重いよぉ~……」

 

「自分が悪いんでしょ!?そもそもなんでパトラが此処まで玲二さんに拘るのさ?!パトラって別に玲二さんと何か特別な繋がりがあるワケじゃないじゃん!?」

 

「だってぇ~!玲二君と初めて出会った時パトラが指を怪我したの見てすぐに手当てしてくれて優しく微笑んでくれて、こんなの誰だって惚れちゃうでしょッ!?」

 

「いやそんなの知らな……いや分かるけど、それでも妻がいる男の人のベッドに忍び込んで良いワケにならんわ!」

 

ごもっともです。朝目が覚めた時心臓が止まると思ったわ。そしてフレアよ、お前もたまに忍び込んでくる時あるからあんま人の事言えないぞ?

 

「第一パトラが玲二さんの事狙ってるのは知ってたけど玲二さん前に記者会見したよね?今いる妻達以外とは今後は婚姻しませんしましてや愛人関係など結びませんって!なのになんでしつこく迫ってくるのさ!?」

 

「フッフッフ~♪フレア、婚姻しないっていうのはそれは記者会見後の話だよね?けどそれ以前にその権利を得ているパトラは玲二君と結ばれても許させるって事だよ!」

 

は?婚姻の権利を得ている?どういう事だよそれ?

 

「何さその権利って!?そんなのあるワケ……!」

 

「あるよ?ほらコレ」

 

そう言うと周防はスマホを取り出し動画を再生し始める。一体何の動画だ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《よっしゃーーーッ!!パトラの勝ちぃ~♪》

 

《うわぁ悔しいぃーーーッ!パトラに負けるなんてぇーーーッ!!》

 

《それじゃあ約束通り、フレアが玲二君と結婚する時はパトラも一緒に付いてきまーす♪》

 

《嫌じゃあぁーーーーッ!なんで愛人なんて認めなきゃならんの!?》

 

《でも約束は約束だもんね~?フレアもわざわざ有利なゲームで戦ったんだから文句無しだよ♪》

 

《うぐぐ……ま、まあアタシが玲二さんと結婚出来た場合だからね!他の娘が玲二さんと結婚した場合は諦めなよ!?》

 

《はーい♪》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………ほら言ってるじゃん」

 

「……確かに言ってるね?」

 

「これ言い逃れ出来ないヤツじゃん?」

 

「フ~レ~ア~?」

 

「あ、アハハハ………すんませんッ!!」

 

確かに動画のフレアは自分が俺と結婚した場合は俺と結ばれるのは構わないみたいな事を言ってる。何故に俺の知らない所でこんな賭け事しとんじゃ?てかこれもしかして他にもこんな事例あるんじゃねぇのか?ヤバい、今までは皆の配信ばかり確認してたがこれからは皆がコラボした過去の動画もチェックしなきゃならんのか……

 

「……悪いが周防、フレアが勝手に口約束しただけだしそもそも俺が了承してないからはいじゃあお付き合いしましょうとはならんわ」

 

「えぇ~ッ?!パトラ玲二君と結婚出来ると思ってやって来たのにそんなのってないよぉ~!」

 

「パトラちゃん我が儘言っちゃダメでしょ!それにもし結婚するなら私が先だよ!」

 

「うん、ちょっと母ちゃん黙ってて」

 

結婚をねだる周防に対しういさんも自分もと立ち上がるがスバルに首根っこ掴まれそのまま部屋に連れ去られていく。あの人もいい加減諦めてくれないかなぁ……?

 

「兎に角!アタシ達は何がなんでも玲二さんと結婚はおろかお付き合いも許さないからね!」

 

「そんなの知らないもん!それにもう手は打ってるんだから………!」

 

ん?周防の奴何かするつもりか?何時もなら此処でガンプラバトルが勃発しそうなんだが―ピリリリリッピリリリリッ―ん?電話か、相手は……拓哉?一体どうしたんだ?

 

「はいもしもし、どうした拓哉?」

 

〈せ、先輩大変ですよ!!今すぐハニストの公式ページを確認して下さい!!〉

 

な、なんだ急に?ハニストって確か周防の所属するアイドル事務所兼喫茶店だよな?えーっと………ハアァッ?!

 

―電撃スクープ!周防パトラと佐々木玲二、遂に婚約か!?―

 

「なんだこの記事?!どうなってんだよ一体!?」

 

〈な、なんかこのお知らせ今朝から載ってたみたいでそのせいで事務所にずっと問い合わせの電話がなりっぱなしなんですよ!!今俺と栄ちゃんが対応してるんですが手に終えなくて…… 先輩パトラさんとも婚約だなんてどういう事なんですか?!〉

 

「いやそんな話俺も知らな……周防ッ!!お前何かしたのか!?」

 

「えへへ~♪こんな事もあろうかと予めハニストのお知らせに今朝婚約発表の告知を載せておいたのだぁー!」

 

『何してくれてんだこのバカ悪魔ッ?!』

 

ヤバい、このままだと前にした記者会見が無意味になってしまう!?未だに諦めてない娘もいるとはいえやっとこういった話はなくなったと思ったのにまた掘り返しやがって!

 

「どういうつもりさパトラ!?このままじゃ折角玲二さんがした記者会見が無意味になっちゃうじゃん!?」

 

「フッフッフ~♪フレア止めてほしい?ならパトラと勝負しようよ、もしフレアが勝ったらパトラも結婚は諦めるしサイトに載せた告知も消して謝罪動画を出してあげる。でもパトラが勝ったらパトラも玲二君との結婚を認めてね♪」

 

………そうきたか。こうすれば確かに俺達に拒否権はない。仮にこの勝負を蹴ってハニストに抗議したとしても時間が掛かりすぎるしその間に不審な噂が広がる可能性もある。事態を早急に収めるには周防に勝ってすぐに謝罪動画を出してもらうのが手っ取り早い。

 

「うぐぐ……分かったよ!但しすぐに決着がつく勝負にしよう!そうじゃないと時間が経つ程状況が悪くなるから!」

 

「そうこなくっちゃ♪それじゃあねぇ~……クイズ勝負にしない?今からガンプラに関わるクイズを出して多くの問題を答えられた方が勝ち、どうかな?」

 

クイズ勝負……これは以前拓哉がMCをしたガンダム問題と同じようなものか。確かにそれなら早く勝負を着ける事が出来るな。

 

「良いよ、この勝負絶対に負けないから!」

 

「それはパトラもおんなじだよ!勝って玲二君との結婚認めてもらうんだから!!」

 

こうしてフレアと周防によるガンプラクイズ対決が幕を開けるのであった。当然の事ながらフレアを応援するが、果たしてどんな勝負が繰り広げられるのやら………

 

 

 

※此処からクイズが始まります、よろしければ皆さんも考えてみて下さい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それでは始めましょうガンプラクイズバトル!司会兼問題出題者は公平を期す為に私、悠陣栄が行わせて頂きます!」

 

それから30分後、事情を知った悠陣栄(Aちゃんの本名、短編集3参照)が速攻で問題を用意してくれた。本当なら俺が問題を作っても良かったんだがそれだと俺がフレアに有利な問題を作るかもしれないと周防に却下されてしまったから仕方なく栄ちゃんに頼んだのだ。さて、一体どんな問題がくるのか……?

 

「これからお二人には私が出題します。問題は全て読み上げた後にお互いフリップに答えを書いて頂き発表してもらい、先に5問正解した方が優勝となります!よろしいですね?」

 

「「はいッ!」」

 

「それではお二人の気合いも充分という事で早速参りましょう第1問!」

 

 

 

 

 

〔Q1.ガンダムビルドファイターズにて、主人公達の友でありライバルの1人ヤサカ・マオ。彼が彼が劇中で門下生として学んでたガンプラの流派は?〕

 

 

 

 

 

 

「さあお答えください!」

 

「えぇー?!これなんだったかなぁ……」

 

「これはアタシは知ってるよ、けど漢字これで合ってたかな……?」

 

いきなりマニアックな問題だな、作中で何度も名前は出てるけど其処まで印象強かったワケじゃなかったから俺も殆ど覚えてねぇな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さあお互いに答えが出揃ったみたいなので出して頂きましょう、お願いします!」

 

 

フレア

『ガンプラ心形流造形術』

 

パトラ

『ガンプラ心形流』

 

 

「ガンプラ心形流!お二人とも正解です!フレアさんに至っては造形術までお答えしてますね!」

 

「よっしゃあーーーッ!!」

 

「え、造形術って付いてたの?!パトラ初めて知ったんだけど!?」

 

あー確かにそんな名前だったな。けどフレアすげぇな、流石趣味に関する記憶力の高さはピカ一だわ。

 

フレア

1ポイント

 

パトラ

1ポイント

 

「お互い最初の問題は順調な滑り出しとなりました!それでは続いて第2問です!」

 

 

 

 

 

〔Q2.ガンダムビルドダイバーズRe:RISEの敵として第2シーズンから登場したアルスコアガンダムはメインのアルスアースリィの他に歴代のガンダムをモチーフにしたアーマーを装着しますがその中で商品化されていないのがアルケーガンダムとターンXの二種類です。劇中では名前は出てませんでしたがアルケーアーマー装着状態はデュビアスアルケーガンダム、ではターンXアーマー装着状態の時の名前は?〕

 

 

 

 

 

「さあお答えください!」

 

「いや分かんないって!?アルケーのアーマーの名前だって今知ったのに?!」

 

「へぇ~フレア分かんないんだぁ?パトラ答え知ってるもんね~♪」

 

「嘘ぉッ?!」

 

マジか周防の奴、これの名前なんて俺もこの間知ったばかりなんだが……それにしてもプ○バン限定でも良いからこの二体のアーマー出てくれねぇかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はい其処まで!それではお互い答えをお出しくださいどうぞ!」

 

 

フレア

『フェイクターンX』

 

パトラ

『リバースターンX』

 

「フレアさんがフェイク、パトラさんがリバース!という事で正解は、パトラさんのリバースターンXです!」

 

「わふ~い♪リライズ大好きだから設定までよく見てたんだよね~♪」

 

「ちょっとフレア?!なんで間違えてんのさ!?」

 

「フェイクはνガンダムのアーマーの時の名前ぺこだよ!?」

 

「う、うっさいなぁッ!全部名前フェイクだと思ってたんだよぉッ!!」

 

パトラ

2ポイント

 

まあそう思っても仕方ないよな、俺もこの間公式ページ何気に見るまではフレアと同じ考えだったし。にしてもパトラの奴、名前知ってるぐらいリライズ好きなんだな?っと、そろそろ3問目に行くみたいだな。

 

 

 

 

 

〔Q3.ガンダムブレイカーバトローグに登場する主人公機ガンダムヘリオスに使われているヘリオス以外のランナーは?〕

 

 

 

 

 

「これは簡単でしょ、寧ろこれを1問目に出してほしかったんだけど?」

 

「うんうん、これなら余裕で答えられるよ~♪」

 

まあこのガンプラは結構出回ってたから作った事ある人も結構いそうだし簡単な問題っぽいけど……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それではお二人とも答えが出たようなのでお願いします!」

 

 

フレア

『フリーダム、デスティニー』

 

パトラ

『フリーダム、デスティニー、X』

 

「フレアさんがフリーダムとデスティニーのみでパトラさんはそれにX!という事で正解は……フレアさんです!」

 

「よっしゃあぁぁぁぁぁぁッ!!」

 

「えぇーーーッ?!なんでぇ?!だってこの胴体とサテライトキャノンなんてXじゃないのぉ?!」

 

「あー、周防これ作った事なかったんだな?これ実はサテライトキャノンや胴体ってXのじゃなくてヘリオスの新規ランナーなんだよ」

 

「ええぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!?そんなぁ~……」

 

そうなんだよなぁ、このヘリオスってXのパーツだけ全部新規で構成されてんだよな。ついでにデスティニーのランナーを流用してるけど頭部は新規になってるし。とはいえこれでまたイーブンだな。

 

フレア2ポイント

 

「さあまた同点になりました!これはまだまだわかりませんね?それではいきましょう第4問!」

 

 

 

 

 

〔Q4.MG等で展開されているシリーズのVer.Ka。現在何種類ある?〕

 

 

 

 

 

「さあお答えください!」

 

「いやいやいやいやいやいやいやいやッ!?無理でしょそんなの?!」

 

「パトラ達がいくらガンプラ作ってるからって流石に分かんないってば!?」

 

確かにこれは鬼畜過ぎるぞ……Ver.Kaなんてそれこそ俺が子供の時からあったシリーズだから数はかなりありそうだけど、てかそんな数なんてきっちり知ってる奴なんていないだろ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「其処まで!それではお二人とも答えをどうぞ!」

 

 

フレア

『14』

 

パトラ

『35』

 

「え?!ちょっとパトラ!?そんなにVer.Kaってあったっけ?!」

 

「フレアこそ14ってそんなに少なかったっけ?!」

 

「はいお二人の答えも出たところで正解は…………27種類!という事でお二人とも残念!」

 

「いや分かるワケないってこんなの!?」

 

「そんな具体的な数知ってる奴いたら出てこいって!!」

 

うわぁ二人とも荒れてんなぁ……今調べてみたら確かに27種類あったな、内5個がクリアカラーやチタニウムフィニッシュ版だから実際は22種類か。にしても分からんってこんなの。栄ちゃんもなかなかエグい問題もってくんなぁ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから二人によるガンプラクイズは激しさをまし、遂には

 

フレア

4ポイント

 

パトラ

4ポイント

 

と同点のまま最終問題へと差し掛かっていた。泣いても笑っても次の問題で全てが決まる……ってかこれもし二人とも正解だったらどうなるんだ?

 

「さあ、泣いても笑っても次の問題がラストです!お二人とも準備はよろしいでしょうか?」

 

「勿論!」

 

「どっからでも掛かってこんかいッ!」

 

「おお、気合い充分ですね!それでは参りましょうラスト問題!」

 

 

 

 

 

〔Q.ガンプラを製造しているバ○ダイが初めて作ったガンダムのプラモデル。そのデザイン、設計を手掛けた人の社内でのアダ名は?〕

 

 

 

 

 

「さあこれが最終問題です!お答えください!」

 

……うわぁこんなの知ってる人少ないんじゃねぇの?それこそ本当のマニアとかじゃないと分からなそうだし。まあ俺は昔見た特番で知ってるけど二人はどうなんだ……って二人とも既にペンを走らせてる?まさか、分かるのか……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お?お二人とももう書いたんですか?!それでは早速答え合わせに参りましょうどうぞ!」

 

 

フレア パトラ

『ザク松さん』

 

「お二人ともザク松さん!という事で見事正解ですッ!!」

 

「「やったあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」」

 

マジか?!この問題答えられるなんて……因みに特番でも見てたけど当時はパソコンもないから手書きで設計してたようでその図面をテレビで見た時は興奮したもんだ…………ってそんな事よりこれって……?

 

「という事でこのガンプラクイズバトルはお互いに引き分けです!!」

 

「あッ!?そうだよアタシ等対決してたんだっけ?!」

 

「途中から白熱してすっかり忘れてたよ!?」

 

やっぱり、途中からめっちゃ熱心に答えてたから二人して頭から勝負の事完全に抜けてたみたいだな?となると、一体どうなるんだこれ?

 

「え、それじゃあパトラちゃんとフレアが引き分けって事は……?」

 

「この件に関しては保留?いやそんなワケには行かないでしょ?!」

 

「でもこのままずるずるサドンデスするのも……」

 

確かに、これ以上は時間的にも余裕は無さそうだし、どうしたものか……

 

「……それならさ、もうパトラハニストの公式サイトの告知消して謝罪動画を出すよ」

 

「え!?良いのパトラ?!」

 

「おっと、勘違いしないでよフレア。パトラは別に玲二君を諦めたワケじゃないよ?告知消して謝罪動画あげる代わりに、パトラにもチャンスを頂戴。いきなり結婚やお付き合いなんて言わないからさ、パトラにも玲二君と一緒にデートとかさせて。それで玲二君や皆が認めてくれたらパトラも玲二君のお嫁さんにして、ね?」

 

………そうきたか。まあそれだとまだ平和的な解決にはなるか?

 

「……分かったよ。ごめん皆、それでも良いかな?」

 

「うーん……まあ確かにそれなら妥協点としては良いかな?」

 

「本当ならお断りしたいけど、パトラちゃんも本気みたいだしそれを無碍にするワケにはいかないよね?」

 

「まあ最悪僕達が拒否し続ければ問題ないし」

 

おいおかゆ、それは幾らなんでも酷くないか?でもまあこれで事態は収まりそうだし良しとするか。

 

「それじゃあ玲二君、改めてパトラの事よろしくね♪」

 

「あ、ああ、周防「パトラ。これからもお世話になるんだからちゃんと名前で呼んで?」……分かったよパトラ、これから先どうなるか分からんがよろしくな」

 

「うん♪それじゃあ今日は帰って告知消したり謝罪動画出したりするからもう帰るね。皆、まったね~♪」

 

そう言ってパトラはリビングから出てホロライブマンションから去っていった。本当に嵐のような奴だったな……

 

「玲二さんごめん、アタシ途中からクイズに答える事に集中し過ぎて賭け事の事すっかり忘れて……」

 

「良いって気にするな。それに俺も皆が認めない限りはパトラの気持ちに応えるつもりはないからさ」

 

俺はフレアの頭に手を乗せ撫でてやるとフレアは子犬のように目を細めて気持ち良さそうに顔が緩んでいく。さあフレアも頑張ってくれた事だし、後でフレアの好きなフルーツでも買ってきてやるか。

 

 

 

 

 

こうしてパトラによる結婚騒動は何とか沈静化する事が出来た。しかしそれでも玲二に再び迫ろうとする娘が現れたのでまた会見を開く羽目になったのは言うまでもない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―オマケ―

 

「そういやスバルとういさん部屋に戻ったきり出てきてないな?一体何して……」

 

「はいスバル、もう一度母ちゃんの言う事復唱して?玲二君はスバルの旦那、玲二君はスバルの父ちゃん」

 

「……ニイチャンハスバルノダンナ、ニイチャンハスバルノトーチャン」

 

「そうそう♪スバルは良い子だね~♪」

 

「………なんだこれ?」

 

何やら怪しげな催眠術で母親に洗脳されそうになってるスバルであった。

 




はい、という事でパトラ登場!そしてフレアとのガンプラクイズバトルでした!皆さんは難問解けましたか?よろしければアンケート出したのでお答えくださいね♪

次回はまだ未定ですがまったり待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第56話『別れ、そして……』

最近ガンプラが買いやすいのは良いですが相変わらずマナーの悪い客が多いですね。この間Ξを買った時も俺が手に持ってたのを横取りしようとしたおばさんがいてびっくりしました(汗)

今回もまたちょっとした騒動が……?最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


パトラとの結婚騒動から暫く経った頃、その間に玲二の周りではいろんな事が起こった。最近ではマオとかいりと玲菜とカガリが言葉を覚え出したり、その後に産まれた子供達が笑う事を覚えた。こゆきも捕まり立ちをするようになり、一人で歩けるのもそう遠くはないであろう。そして……

 

「……なんだか不思議な感覚だね、僕の此処にレイくんとの子供がいるなんて」

おかゆ 妊娠4ヶ月

 

「うん♪でもこおねとっても嬉しいし楽しみだなぁ~♪」

ころね 妊娠3ヶ月

 

「それにしても驚いたわね……まさかスバルやルーナちゃんまでデキちゃったなんて」

 

「まあね、スバルも漸く兄ちゃんとの子供が出来て嬉しいし♪」

スバル 妊娠3ヶ月

 

「ルーナも楽しみなのら~♪早く産まれてこないかな~?」

ルーナ 妊娠3ヶ月

 

そう、おかゆ達を初めまだ妊娠してなかった娘達も次々と玲二との子供を身籠り、見事全員子持ち状態となったのだ。そしてアカリ達一部のメンバーは来月には出産を予定されていて、今ホロライブマンションはてんやわんやな状態ながらも日々を楽しく過ごしている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これは、そんな中で起きた事件である………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふんふんふふーん♪今日は久々に玲二くんとのガンプラ作り~♪」

ヒナ 妊娠9ヶ月

 

「ヒナ~、はしゃぐのは良いけどあまり無理しないでね?ヒナは来月には子供生まれるんだから」

ヒメ 妊娠3ヶ月

 

この日、ホロメン達はそれぞれ仕事だったり休暇だったりで家を離れていて、子供達も今は保育園に預けているので今は在宅ワークをしている玲二とヒメヒナだけだった。今日は久々に玲二と仕事が終わった後に一緒にガンプラを作ろうと玲二が今仕事をしているリビングへと向かっていた。すると……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……なあ、それってどうしてもしなきゃならないのか?」

 

「そうよ、そうじゃないともう無理なのよ……」

 

「……あれ?ねぇヒナ、玲二くん誰かと話してるみたいだよ?」

 

「この声は……お義母さん?遊びに来てたのかな?でも何の話をしてるんだろう?」

 

リビングに入ろうとした瞬間中から玲二と玲二の母親である聖愛の話し声が聞こえて来た。何やら深刻そうな会話に二人はドア越しに話し声を聞いてみる事に、すると……

 

「……なあ、どうしても皆と別れなきゃいけないのか?」

 

(え……別れるって……?)

 

「えぇ、今までだったら大丈夫だったんだけどもう流石に無理よ。もう人数も多くなってきたし、せめて半数は別れてもらわないと」

 

(せめて半数と別れてもらう……それって……?!)

 

「まあ確かに大所帯だから仕方ないのか……でも別れるったって皆納得してくれるかどうか……」

 

「でももう時間はないんだから早くしないと。もしあれだったら子供達は母さん達が面倒見てあげるから、今の内に別れる娘達を決めないとね」

 

(別れる娘……やっぱりそれって……!?)

 

((離婚ッ?!))

 

思いがけず聞いてしまった玲二と義母の会話、その内容がまさかの自分達との別れ話と知りヒメヒナの二人はショックのせいかリビングに入らず自分達の部屋へと戻っていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―夕方―

 

そして日も暮れた頃、玲二は事務所に呼ばれたと言って向かっていき入れ替わるかのようにホロメン達や子供達が帰宅。全員が帰って来たのを確認するとヒメヒナは全員をリビングに集め今日聞いた話を皆に打ち明けた。

 

『ええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ?!離婚だってえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ?!!!』

 

「う、うん……」

 

「ちょ、ちょっとヒメちゃんヒナちゃんそれ本当なの?!レイくんやお義母さんが私達を別れさせようとしてたなんて?!」

 

「ど、どうせまた何かの間違いとかでしょ?!ほら、この間のケイさんの件とかもそうだったし!?」

 

唐突な離婚話にメンバー一同大混乱、中にはまた以前のような勘違いだろうと否定してくる娘もいる。

 

「ヒナだって信じたくないよ!でも聞いちゃったんだもん!お義母さんが流石に無理よ、せめて半数は別れてもらわないとって!!」

 

「半数ッ?!なんでそんなに……!?」

 

義母である聖愛の口から半数は別れてもらうという言葉が発せられたと知り、ホロメン達の顔がどんどん青ざめていく。一体何故こんな事になってしまったのだろうか……?

 

「は、半数は別れてもらうって、それってウチ等レイさんの妻が多いからって事だよね……?」

 

「でもお義母様がそんな事で離婚させようとするなんて……」

 

「……もしかして、スバル達何かお義母さんの逆鱗に触れるような事しちゃったのかな……?」

 

「……確かにその可能性は否定出来ませんね。みしろ達は大なり小なりご主人様に負担をかけている事が多いですし……」

 

聖愛が自分達を別れさせようとするのには何か理由があるのではないか……その言葉が出た瞬間、皆の間に亀裂が生じ始めた。

 

「……そーいやはあちゃま、ご主人の為にご飯作るとか言って厨房汚しまくって挙げ句にダークマターみたいなハンバーグをご主人に食べさせようとした事あったよね?」

 

「はあぁッ?!何よ、はあちゃまのせいだって言うの!?それ言ったらあくあちゃんだってダーリンの部屋掃除するとか言っていっつも逆に汚してるじゃん!!」

 

「ちょ!?ちょっと二人とも落ち着きなよ!?こんな事で争ってもしょうがな「何言ってんのよ!?るしあだってダーリンや事務所に迷惑かけて引退したクセに!」はあぁッ?!今そんなの関係ねぇだろぉがぁッ!?」

 

突然互いを陥れようとする発言がリビングに飛び交っていく。そしてその火種はどんどん大きくなっていく。

 

「それ言ったらすいちゃんやみこちだって玲二さんにめちゃくちゃ迷惑かけてるだろうがぁ!一緒に寝てると決まって関節技掛けられるってめっちゃ愚痴ってたぞ!!」

 

「何をぉッ!?それだったらラミィたんとかも酔っ払ったら酒無理やり飲まされそうになるって玲二が迷惑がってたにぇーーーッ!」

 

「私だって聞いたぞ!ねねちとシオンのいたずらには何時も参ってるって玲二くん呆れてたんだからぁッ!」

 

『はあぁーーーッ!?』

 

一人、また一人と、何時もは仲の良いメンバー達が今では離婚したくない一心で互いの事を陥れるような発言を飛ばしていく。しまいには玲二とは関係のない内容にまで発展してしまっている。そして……

 

 

 

 

 

―バアァンッ!!―

 

「……皆いい加減にしてッ!!今はそんな事してる場合じゃないでしょうッ!?」

 

『ッ!?』

 

この状況に痺れを切らしたフブキがテーブルをおもいっきり叩きつけ皆を黙らせていった。

 

「ふぇ……まんまぁ……」

 

「あッ!?こゆきごめんね!びっくりさせちゃったね~、よしよーし……皆、原因をつきとめようとするのは良いけど仲間同士家族同士で貶しあって陥れようとするのは違うでしょ?私達皆時期は違えどもう同じ愛する人の子を授かってるんだから、そんな子供達に悪影響になりかねない事をしたらダメだよ」

 

こゆきをあやすフブキに言われ、皆の頭の中が徐々に冷静さを取り戻していく。確かに今のは玲二と別れさせられる原因をつきとめようとすると言うよりは玲二と別れたくないという一心で仲間を貶しあってただけである。それに気づかされ皆は少し落ち込みを見せてしまう。

 

「……兎に角これに関してはレイくんに直接聞いてみよう。もしかしたら前みたいな誤解かもしれないし、もし本当に離婚の話だったとしてもレイくんやお義母さんを説得して今まで通りに過ごせるようにしようよ、ね?」

 

「……そうだな、こうなった以上は玲二にはしっかり話を聞かないとな」

 

クロや他の皆も納得し、こうしてフブキ達は玲二から話を聞く為に玲二の帰りを待つのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―そして夜―

 

「ただいまー……ってどうしたんだ皆?」

 

『……………………』

 

な、なんだこのお通夜ムードは?まるでこの間の俺の浮気疑惑騒動の時みたい……まさか、また俺浮気してると思われてるのか?

 

「いや、本当にどうしたんだよ皆?そんな暗い顔して……」

 

「……ねぇ玲二くん、昼間ヒメ達玲二くんがお義母さんとお話しているのを聞いちゃったんだけど、あれって……?」

 

昼間………………あーあの話か、なんだ聞かれてたのか?

 

「その……ヒナ達が別れなきゃいけないって……?」

 

「あぁそうなんだよなぁ、出来れば別れたくはないけど、こればっかりは仕方ない事だからなぁ……」

 

「え……し、仕方ないって、レイさんは良いの?!ウチ等が別れる事になっても!?」

 

「そりゃ俺だって別れたくはないさ。けどこんだけ人数がいるとどうしようもないって言うかなんと言うか……まあ諦めて別れるしかないよなぁ」

 

「そ、そんな……」

 

?なんだ、皆して表情が雲っているけど、そんなに別れる事に不満があるのか?

 

「……もしかして、皆別れる事に不満あるのか?」

 

「ッ!?当たり前だよ!私達は何時だって玲二君と一緒にいたいよ!!」

 

「マスターと別れるなんて、ボク達はそんなの嫌だよ!!」

 

お、おぅ……なんだか分からんけど気迫が凄いな、本当にどうしたんだ皆?

 

「そ、そんな凄まなくてももう一生会えなくなるワケじゃないんだからさ……」

 

「だからと言ってレイっちはあたし等と簡単に別れて良いっていうの?!」

 

「ラミィは嫌だよ!!これからもずっと玲二さんと皆と一緒にいたいもん!!」

 

「確かに私達何度かすれ違ったりしたし、私が感情に任せて言っちゃった事もあったけど、それでも皆レイくんの事を大切に想ってるんだよ!だからお願い!離婚なんて考えないでぇッ!!」

 

 

 

…………………

 

 

 

 

…………………………

 

 

 

 

 

………………………………………

 

 

 

 

 

 

………………………………………………はい?

 

「離婚?何の話をしてるんだ?」

 

「え?だってレイくん私達と別れるって…………」

 

「はあ?なんで“旅行先の旅館分け”が離婚の話になるんだよ?」

 

『………………………………え?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………成る程、ヒメ達が俺と母さんの旅行先の旅館分けの話を肝心な部分を聞き逃したせいで離婚話だと勘違いしたワケか」

 

「ご、ごめんなさい……」

 

「というよりレイくん、旅行先の旅館分けって?」

 

ああ、その説明もしてなかったか。兎に角ちゃんと説明しないとな。

 

「俺って家族と一緒に毎年北海道に旅行に行ってるんだよ。まあ去年と一昨年は新型ウイルスのせいで行けなかったけどな……けど今年は漸く行けるようになったから今回は皆で行こうってなったけど、ほら俺達ってかなり大所帯だろ?だから何時も泊まってる旅館じゃ全員は無理だから仕方ないからそれぞれ別の旅館に別れて泊まる事にしようって話になったんだよ」

 

「そ、そういう事だったの……?」

 

「それじゃあ離婚話は……?」

 

「あるわけねぇだろ、お前等が俺を見限って離婚されるならともかく俺から離婚なんて持ちかけねぇよ。そりゃ確かに大変な事も多いけど、それでも俺は皆と過ごすこの時間が好きだしな」

 

こんな幸せな生活をくれた皆には感謝しかない。だからこそ俺は決してこいつ等を裏切る真似だけはしないと決めてるんだ、浮気も離婚も最初っから考えた事もねぇよ。

 

「………よ、良がっだよ゛ぉ゛~……」

 

「玲二様に見捨てられたらちょこ達もう生きていけないもん……でも、聞き間違いで本当に良かったわぁ~……グスッ」

 

「まあ吾輩はそんな心配してなかったけどな」

 

「……そりゃラプちゃんはお兄ちゃんの娘だから皆が離婚しようともお兄ちゃんについていけるもんね」

 

……まあ兎に角皆誤解が解けて一安心だが、さてこれから皆で話し合いをして旅館分けをしないとな。

 

「あの、玲二さん。その旅館って必ず其処じゃないとダメなの?」

 

「ん?いや、ダメってワケじゃないけど場所が少し都会から離れた田舎だから宿も少ないんだよなぁ。いっその事今年から他の所に変えようかって話にもなったけどなかなか案が浮かばなくてな」

 

「それだったらラミィに良い考えがあるから任せてほしいんだけど、良いかな?」

 

?ラミィの奴、一体どういうつもりだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―そして3ヶ月後―

 

「どーです玲二さん!お父さん達に頼んで今はあまり利用していない別荘をもらって改造しました♪」

 

「おぉ……これは凄いな」

 

「ラミィちゃん私達の為にわざわざ有り難うね~♪」

 

まさかラミィがわざわざ両親に頼んでこんな凄い別荘をもらえるとはな、しかもホロライブマンションと同じくらいの広さだから皆で泊まっても充分過ぎるくらいの広さだ。それに目の前には広大な湖も広がって近くには天然の温泉まである。まさに至れり尽くせりとはこの事だな。にしても……

 

「ほーら“こころ”でっかい湖でちゅよ~♪」

 

「う~ん、空気が美味しいね“メルト”♪」

 

「“シア”ちゃんも一緒に来れて良かったでちゅね~♪」

 

「あれ、“あんず”おねむかな?そろそろお部屋に戻ろっか♪」

 

「痛てて、こら“レヴィ”ママの髪引っ張るなぺこ」

 

「ねーねートワ様、“らいむ”がわためぇの指ちゅぱちゅぱして可愛いよねぇ~♪」

 

「えー?もしかしてそれ食材と思われてるんじゃない?ねぇ“クリス”~♪」

 

「あ、コラコラダメだぞ“エレオ”ママの耳触ろうとしちゃ」

 

「ほーら“つばさ”鷹らしく高い高ーい♪」

 

「ふわぁ~可愛い寝顔だね“フィル”♪」

 

「ほら見てヒメ、“ユメ”がヒナの顔ぺちぺち触ってくるんだよ~♪」

 

………改めて見るとすげぇ光景だよな?ついこの間無事に出産も終え産まれてきた子供達も一緒に連れてきたが、皆楽しそうに我が子を抱いて嬉しそうに笑っている。そしてルイよ、まだ首が据わってないんだから本当に高い高いはするなよ。

 

「あ、玲二~!」

 

「ん?アカリにシロ、どうしたんだ?今皆で湖の周りを散歩してたんじゃないのか?」

 

「うん、そうなんだけど“ヒカリ”がおねむみたいだからそろそろ戻ろうかなって思って」

 

「シロも“みるく”がお腹空かせたみたいだから授乳しに戻ってきたよ♪ついでに玲二も飲む?」

 

「いらんわ、それより少し冷えてきたから赤ちゃんの為にも早く部屋に戻りな」

 

「「はーい♪」」

 

ったく本当に元気だなあの二人は、難産だったのがまるで嘘みたいだ。

 

「それにしても佐々木さん、私達までご招待して頂き有り難うございます」

 

「良いのよ、玲二が何時もお世話になってるんだから♪それにしても栄ちゃんだったかしら?随分お腹おっきいわねぇ、もしかして双子かしら?」

 

「いえ……お医者さんに診てもらったらどうやら三つ子らしくて……」

栄ちゃん 妊娠5ヶ月

 

そう、実は今回の旅行には栄ちゃん達も一緒に誘ってついてきてもらったのだ。栄ちゃんは少し前に拓哉との子供を身籠り、そのまま籍を入れて悠陣 栄から神代 栄になった。栄ちゃんも今凄く幸せそうで何より……なんだが、あっちの方は大丈夫なのか?

 

「ほら動きが鈍くなってきてるわよ!!そんなんじゃ愛する人を守る事なんて出来るワケないじゃない!もっと腰に力を入れて!!」

 

「は、はい師匠ッ!!ふぎぎぎ………!!」

 

……今目の前では巨大なタイヤを4つ引き摺って走る拓哉とそのタイヤの上に据わって渇を入れる兄貴の姿がいた。最近拓哉が栄ちゃんを守れるくらいに強くなりたいと俺に志願してきたのだがその話を聞きつけた兄貴が師範役を買って出て今では週末になると地獄の修行を行っているらしい。にしても拓哉の奴、疲れてはいる筈なのに根をあげないのは凄いな。

 

「レイく~ん♪」

 

「ぱぁぱ~♪」

 

「ん?フブキ、こゆき、もう散歩は終わったのか?」

 

「うん、こゆきも色んな所に行って楽しかったもんね~♪」

 

「あい♪」

 

俺の元にフブキとよちよち歩くこゆきがやって来て俺はそのままこゆきを抱っこする。この子ももう自由に歩けるようになったと思うと本当に子供の成長は早いと感じるな。

 

「……レイくん、本当に有り難うね。皆でこうして旅行するのを考えてくれて」

 

「いや、本当に感謝するのはラミィだよ。ラミィが両親に頼んでくれたおかげでこんな立派な別荘に泊まる事が出来たんだから」

 

「うん、それでも皆でこうしてのんびり楽しめるのはレイくんがいてくれたお陰だよ。本当に有り難うねパパ♪」

 

「ぱぁぱ、ありあとぉー♪」

 

……そう言ってくれると旅行に来て良かったと思うよ。こっちこそ有り難うな皆。また来年も再来年も、その先も毎年来ような。

 

 

 

こうしてちょっとした騒動はあったものの無事に旅行を満喫した佐々木一家。そして新たに子供達も増えホロライブマンションは更に賑わいを見せるのであった。

 

 

 

命名

 

AZKiの赤ちゃん

『あんず』

 

はあとの赤ちゃん

『こころ』

 

ロボ子の赤ちゃん

『メルト』

 

アキの赤ちゃん

『シア』

 

ぺこらの赤ちゃん

『レヴィ』

 

わための赤ちゃん

『らいむ』

 

トワの赤ちゃん

『クリス』

 

ポルカの赤ちゃん

『エレオ』

 

ルイの赤ちゃん

『つばさ』

 

クロヱの赤ちゃん

『フィル』

 

アカリの赤ちゃん

『ヒカリ』

 

シロの赤ちゃん

『みるく』

 

ヒナの赤ちゃん

『ユメ』




はい、という事で勘違いの離婚騒動からの玲二の赤ちゃん誕生回でした!かなり大所帯になってきましたね……(汗)

次回は玲二とフブキがまさかの事態に……?!

次回もまったり待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第57話『ホロライブ ビルドダイバーズ』

昨日買った中で個人的に一番の収穫はHGUCのボールツインセットとライトニングゼータの二つでした♪これで積みプラ90個到達……頑張って今年中には作り上げたいですね(汗)

今回は玲二の力のせいでまさかの事態に……?!
最後まで読んで頂ければ有難いです、ではどうぞ!


「……………なんでこんな事になったんだ?」

 

「あ、あはは……なんででしょうね?」

 

「………それより、この後一体どうするつもりだ?」

 

「あ、あぅ~♪」

 

………本当になんでこんな事になっちまったんだ?俺達確かライブイベントが終わって帰ろうとしてた筈だよな?なのになんで……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈GBN新イベント、グランドバトルロワイヤル開催中!最強のエースの称号を手にするのは一体誰だ!?〉

 

………本当に、なんでこんな事になっちまったんだろうか?俺は目の前に浮かぶ“この世界”のイベント告知を見ながら深くため息を吐いた。

 

「そもそもフブキが早く帰りたいから玲二の瞬間移動を使おうとか言わなければこんな事にはならなかったんじゃないか?」

 

「だ、だってこんな別世界の、それも『ビルドダイバーズ』の世界に飛ばされるなんて夢にも思わなかったんだもん!!」

 

「まあそうだよなぁ、今までこんな事一度もなかったのになんでこんな事になっちまったんだろうな?」

 

そう、今俺達がいるのはGBN、正式名ガンプラバトルネクサスオンラインのメインエリアにいる。つまり此処はアニメ『ガンダムビルドダイバーズ』の世界というワケだ。何故こうなったかというと、フブキとはあととまつりの1期生三人のライブイベントが終わり俺と付き添いで来たクロと一緒に皆で家に帰ろうとしたのだがフブキが

 

「どうせ帰るならレイくんの瞬間移動で一気に帰りましょうよ♪」

 

と言ってきたので何時ものように転移したのは良いが、何が原因かは知らないが家ではなくこの世界に皆して飛ばされてしまったのである。

 

「ほらこころ、あっちに可愛い動物達がいまちゅよ~♪」

 

「あうぅやぁ~」

 

「良いなぁはあちゃま、まつりも早くこの子と一緒に遊びたいなぁ」

 

はあととまつりに至っては既にこの世界を満喫し始めてるし……しかもまつりよ、いつの間にそんなハロ型の帽子なんて手に入れたんだ?

 

「はぁ、これからどうすりゃ良いんだ?戻ろうにも力を使いきったのか全然転移すら出来ねぇし……」

 

「そうですねぇ、せめて少し休める所があれば良いんですが「ちょっと其処の君達ぃ?」え?」

 

「君達もしかして初心者かな?それだったらさ、俺達とチーム組んでこれから一緒に遊びに行かない?」

 

な、なんだこいつ?もしかして、俺達の事プレイヤーと勘違いしてるのか?てかそりゃそうか、この世界にいるって事はダイブしたプレイヤーか電子生命体であるLダイバーしかいないもんな。まさかリアルから、それも別世界の生身の人間が此処にいるとは誰も考えつかないだろうな。

 

「い、いえ私達結構ですので……」

 

「うぅ~……」

 

「そんな事言わずにさぁ~。てか赤ちゃん?まさか本物……なワケないか、赤ん坊がGBNにログインなんて聞いた事ねーし。それにしてもすっごいリアルだなぁ」

 

―ヒョイッ―

 

「あぁッ!?こゆきッ!」

 

目の前の男はフブキからいきなりこゆきの首根っこを掴み手荒に触りまくっていく。こいつ、ゲーム内とはいえモラルはないのか?!しかもこゆきは……

 

「ふぇ……………びゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」

 

「うわッウッセェッ?!何なんだこのガキッ?!」

 

「ッ!?」

 

男は急に泣き出したこゆきをフブキに向かって放り投げやがった!こいつ、絶対許さねぇ……!!

 

「な、何なんだよこいつ?此処まで赤ん坊をリアルに作らなくても良いだろ「おい」ん?なんだおま……」

 

―ドゴオォッ!!―

 

「ぶへらぁッ?!」

 

俺は目の前の男の顔面におもいっきり拳を叩き込んだ。殴られたショックで男は吹っ飛び周りも何事かと騒ぎ立ててるが知ったこっちゃない。

 

「は、ハァ?!な、なんれおれなぐられ……てかまひでいへぇッ?!どうなっへるんだよほれ?!」

 

「……おいお前、よくも俺の娘を泣かせ、挙げ句に雑に投げつけやがったな?ゲームだからといって何やっても許されると思うなよ。てめぇみたいな奴は絶対に許さねぇ……二度とこのゲームにログイン出来ねぇ身体にしてやるから覚悟しろよなぁ?!」

 

「ひ、ひいぃぃぃぃぃぃッ!?」

 

「れ、レイくんもう大丈夫ですから!もうこゆきは大丈夫ですしそんな奴の為にレイくんが殴る必要なんてないですから!!」

 

「グスッ……ぱーぱぁ……」

 

………チッ!本当だったら再起不能になるまでぶん殴ろうとしたがフブキとこゆきに止められたら止めるしかないだろう。

 

「……おいクズ、今回はフブキが止めたからもうこれで勘弁してやる。だから二度と俺等の前に姿見せんな!分かったらさっさと失せろッ!!」

 

「は、はひいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃッ!!」

 

俺が威圧すると男は慌ててログアウトしその場から消え去っていった。クソッまだこの苛立ちが収まりそうにないが……

 

「……すまんフブキ、皆が見てる前であんな事してしまって」

 

「ううん、レイくんのせいじゃないですよ。悪いのはこゆきの事を投げつけてきたあの男なんですから……それでもいきなり顔面パンチは良くないけど」

 

「全くだ、幾ら相手が悪くても手を出してしまったら玲二もあの男となんも変わらないぞ?」

 

「うッ……申し訳ない」

 

「うゆぅ……ぱーぱ、よちよち」

 

フブキとクロに怒られ頭を下げる俺にこゆきがそのちっちゃな手で俺の頭を撫でてくれる。こゆき、怖い思いをさせてごめんな……

 

「ねぇ玲二君!今何か怒鳴ってたけど何かあったの?!」

 

「ダーリン!何だか皆が騒いでいたけどどうしたの?!」

 

「あ、ああちょっとな……取り敢えずはもう大丈夫だから安心してくれ」

 

騒ぎを聞きつけたまつりとはあとも駆けつけ俺達の心配をしてたので、取り敢えずは大丈夫と宥めておく。周りももう興味が薄れたのか既に解散してそれぞれの場所に戻っていった。其処に……

 

「あらぁ、其処のお兄さん達災難だったわねぇ?」

 

「ん?………え?!あ、あんたは……!?」

 

「え、嘘?!なんでこの人が……?!」

 

「?どうしたのかしら?もしかして、私の顔に何か付いてた?」

 

いやそうじゃないけど、なんでこの人が……ってよく考えたら此処は『ガンダムビルドダイバーズ』の世界だったな?ならこの人が此処にいてもおかしくはないのか?と、兎に角何か返事を返さないと……

 

「い、いえ、まさか此処で有名なダイバーの方に会えるとは思ってなかったので……」

 

「あら、私の事を知ってるのね?嬉しいわぁ♪では改めて、フォース『アダムの林檎』のリーダーのマギーよ、よろしくねん♪」

 

そう、俺達に声をかけてきたこのオネェ口調の男はこの『ガンダムビルドダイバーズ』の世界において主人公達をサポートしてきた重要人物の一人『マギー』であった。思えばこの人はアニメ内でも主人公のリク達のサポートをするなど結構なお節介焼きだからこういったナビゲーター役も買って出てるんだっけ?

 

「ところで貴方達見たところ初心者っぽいけど……にしても随分リアルな姿ね?女の子四人の内三人のお腹がおっきくて妊婦さんみたいだし、こんな可愛らしい赤ちゃんもいるなんて♪」

 

「あい♪」

 

「あ、アハハ……それには事情がありまして……」

 

「事情?」

 

(……ねぇレイくん、どうしましょうか?マギーさんって本編でもすっごく良い人でしたし、私達の事話して見ません?)

 

(まてフブキ。そんな事言っても信じてもらえないかも知れんし、仮に信じてもらえたとしても私達が此処で関わる事で時系列によってはアニメの改変に繋がるおそれがあるぞ?)

 

(……だったらその辺も含めて一応確認してみるか。それに仮に此処の時系列がRe:Riseの後日談だったら俺達の事も信じてもらえるかも知れないしな)

 

「あの、マギーさん?こんな事聞くのも変かもしれないんですが、此処最近このGBNで何か大きな事件とかありましたか?」

 

「事件?そうねぇ……あまり詳しくは言えないけど、最近だとGBN全体を巻き込んだ大型のレイドイベントがあったわね。ほら、これがその時の映像よ♪」

 

………これは、アルスとの最終決戦の時の映像か。となると此処はRe:Riseの後日談という事で間違いなさそうだな。なら俺達の事を話してみるか。話してみてもし信じてもらえたなら何か手助けをしてもらえるかもしれないし、ダメだった場合はその時は俺達自身でなんとか元に戻れる方法を探さないとな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………成る程ねぇ。まさか異世界からの来訪者が来るなんて、本当にGBNは不思議な事が沢山起きるわねぇ」

 

「え?!まつり達の事信じてくれるの!?」

 

「そりゃ信じるわよ。だって私達の事も細かく説明してくれたし、何より貴方達のその姿……まあ其処の子猫ちゃん達のお耳と尻尾を除けばリアル過ぎる見た目だもの。それに、貴方達のそのまっすぐな瞳を見たら嘘を言ってないのはよく分かるわ♪」

 

「いや私とクロちゃんは狐なんだけど……」

 

良かった、どうやら信じてもらえたみたいだ。だが問題はこれからだ。俺達はこの世界では頼れるものが何もない。だからせめて元の世界に戻るまで少なくともフブキ達が安全に過ごせる所を紹介してもらえれば良いんだが……

 

「そうねぇ……うん、それならリッ君達に相談してみましょうか?あの子達ならきっと協力してくれると思うわ♪」

 

「え?リッ君……それって、ビルドダイバーズのリクの事ですか?!」

 

「あら、其処まで知ってるのね?それなら話は早いわ、早速リッ君達のフォースネストへと案内してあげるわ♪」

 

マジか、誘ってもらえるとしてもてっきりマギーさんのフォースネストに招かれるかと思ってたがまさか最初の主人公のいるビルドダイバーズのフォースネストに連れてってもらえるとはな。これはアニメ見ていた身としては物凄く興奮するぞ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―ビルドダイバーズ フォースネスト―

 

「着いたわ、此処がリッ君達のフォースネストよ♪」

 

「うわぁ~♪凄く綺麗~♪」

 

「たやぁ~♪」

 

メインホールから転送された先は目の前に広がる青い海、そして眩しい太陽が照りつける明るい空。間違いない、此処はアニメでも見たビルドダイバーズのフォースネストだ!スゲェッ!まさか本当に此処に来れる日が来るとは!!しかも彼処にいるのは……!

 

「マギーさん、お久しぶりです!」

 

「お久しぶりです!」

 

「あらぁリッ君にユッキー、それに皆も久しぶりね♪」

 

「お、おぉ!本物のビルドダイバーズのメンバー……!」

 

「凄い!まつり達ホントにビルドダイバーズの世界に来たって感じがしてめちゃめちゃ興奮しちゃってるよ!」

 

フォースネストの拠点である船に近づくと其処にはかつてこのGBNを救ったビルドダイバーズのメンバーが勢揃いしていた。まさか本当にアニメのキャラ達とこうして会えるなんて、さっきまでの苛立ちが嘘のように消えていた。

 

「リッ君、この人達がさっき連絡した異世界からの来訪者よ♪」

 

「はじめまして、リクと言います。話はマギーさんから伺ってます。大変な目にあってるみたいだけど、俺達が精一杯サポートさせてもらいますのでよろしくお願いします」

 

「あ、ああ、佐々木玲二だ。こちらこそよろしく頼む」

 

俺はリクから手を差しのべられそのまま握手を交わした。そしてこれが、俺達の世界とこのビルドダイバーズの世界を繋ぐ架け橋の第一歩となるのであった。

 

 

 

 

―To be continued……―




はい、という事で玲二達の異世界転移回その1でした!なんだか長くなりそうだったので前編後編に分ける事にしました。次回は後編となりますのでまったり待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第58話『ガンプラバトル……え?それアリなのか?』

本当なら前編後編に分けるつもりがかなり長くなりそうなので数話に分ける事にしました。

今回はガンプラバトル回です!なんだか久しぶりにバトルを書いて見ましたがやっぱり苦手ですね(汗)

それでも以前のようなギスギス感はないので最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


ガンダムビルドダイバーズの世界に迷いこんでしまった俺達。マギーやリクの好意によって暫くはビルドダイバーズのフォースネストに厄介になる事になったのだが、さてこれからどうしたものか……

 

「うわぁ~赤ちゃん可愛い~♪」

 

「うん、お耳もピコピコして凄く可愛い~♪」

 

「あやぁ♪」

 

「良かったねこゆき、モモちゃんやサラちゃんに可愛いって言ってもらえて♪」

 

 

 

 

「えッ?!クロさんもまつりさんも玲二さんの奥さんなんですか?!」

 

「ああ、私達は皆玲二の嫁だ」

 

「まつり達の世界では条件付きだけど一夫多妻だからね~」

 

「そ、それはなんとも凄いですね……」

 

 

 

 

「………………」

 

「どうしたの?さっきからずっとこころを見てるけど……もしかして抱っこしてみたいのかしら?」

 

「ッ!?い、いやそんな事は「はい、どーぞ♪」ッ?!え、えと……」

 

「あうぅ~」

 

「…………か、可愛いぃ~///」

 

……なんだか皆既に馴染んでいるな。まあ気まずい雰囲気になるよりかはマシだが、どうして皆してこうもすんなり受け入れられるんだろうな?まあそれは俺もだが。

 

因みに今フブキと一緒にこゆきと戯れているのはビルドダイバーズのメンバーで桃色髪でパンダモチーフの服を着た少女『モモ』と水色髪のおとなしそうな電子生命体Lダイバーの『サラ』。まつりとクロと話をしているのは同じビルドダイバーズでメガネをかけ帽子を被った青年『ユッキー』と同じくメガネをかけたエルフっぽい見た目の青年『コーイチ』。そしてはあとと一緒にこころを抱っこして目を輝かせているのは忍者のような格好をした少女『アヤメ』である。こうして見ると本当に凄い事だよな、俺達がアニメキャラとこうしてコンタクトを取ってるなんて。

 

「そう言えば玲二さん達もガンプラ作ってるんですよね?という事はバトルとかもやってたりするんですか!?」

 

「いや、俺達の世界にはGBNみたいなガンプラを使って遊ぶゲームがまだないんだよ。別のガンダムが出てくるゲームとかはやってたけどな」

 

「あ、そうなんですか……」

 

……なんだか申し訳ないな。リクはおそらく俺達とバトルしてみたかったんだろうが、生憎今までガンプラバトルなんてした事ないしそれに今ガンプラだって持っていないしな。

 

「……そう言えば貴方達ってガンプラ今持ってないのかしら?一応メイン画面から開いて確認する事は出来るんだけど」

 

「え?でも俺達この世界のプレイヤーじゃないからメイン画面なんて…………あ、開けた。しかもガンプラあるし」

 

俺はマギーさんに言われた通りにやってみると本当にメイン画面が開け、其処にあるガンプラの項目を開くと転送という項目が現れタッチすると目の前に一機のガンダムが転送され砂浜へと着地する。

 

「おぉーーーッ!これが玲二さんのガンプラ!?」

 

「リッ君と同じダブルオーガンダム……いや、これはクアンタだね!?」

 

「あ、ああそうだが……いや確かにこいつは直近で作ってたガンプラだが……」

 

目の前に現れた俺のガンプラを見てリクやユッキー達が目を輝かせながらその全てをじっくり眺めていく。にしても『ダブルオーコマンドクアンタ』、まさかこれが俺のガンプラとはな……

 

 

『HG ガンダムダブルオーコマンドクアンタ』

『ガンダムブレイカーバトローグ』にて全米チャンピオンナギツジ・タクマが使うガンプラ。ダブルオークアンタをベースにSDのコマンドガンダムの要素を盛り込んだ機体であり、防御面の向上と武装の追加によりあらゆる局地戦が可能になった機体である。

 

「おぉーーーッ!!ダブルオーコマンドクアンタ!1/1サイズで見ると迫力がありますねぇ♪」

 

「かんぷら~♪かっこい~♪」

 

「これは、コマンドガンダムの要素をクアンタに落とし込んだのね?個性が出てて凄く良いわぁ~♪」

 

「うん、この子凄く嬉しそう♪」

 

「そ、そうか?アハハ……」

 

………言えない、まさかこれが改造ではなく普通の製品だなんて。確かに胴体の延長や肉抜き穴埋めとかはしたしモールドも彫って塗装も頑張ったけど、このコマンドクアンタ自体は普通に売ってたヤツなんだよ。まあこの世界にブレバトなんてあるワケないから知らなくて当然なんだが、なんだか騙しているみたいで申し訳ない……

 

「じゃあはあちゃま達ももしかしたら……あ、あった!えい♪」

 

「あ、じゃあまつりも!えい♪」

 

はあととまつりも俺に続くように自分の画面を開きガンプラを展開すると、コマンドクアンタの横にそれぞれガンダムが一機ずつ転送されていく。ってこれは……

 

「これは……まつりさんのはゴッドガンダムの改造機で、はあとさんのはバルバトスかな?」

 

「にしてもこの機体、なんだか凄くゴツいわね……足も四本あるし、まるでケンタウロスみたい」

 

「……まさかのブレバトシリーズ揃いかよ」

 

そう、転送されたまつりとはあとの機体はゴッドガンダムベースの『ブレイジングガンダム』とバルバトスベースの『ガンダムバルバタウロス』だった。そういや此処来る前日に三人で作ってたっけ。もしかすると直近で作ったヤツが俺達の機体として反映されるのか?

 

 

『HG ブレイジングガンダム』

『ガンダムブレイカーバトローグ』にてヒロインの一人サツキノ・ミサが使うガンプラ。ゴッドガンダムの姉妹機をイメージしたこの機体は軽量化を施され超高速の接近戦闘特化型の機体になっている。なおフェイス部分はパーツの差し替えでマスク装着状態を表現出来る。

 

 

『HG ガンダムバルバタウロス』

『ガンダムブレイカーバトローグ』にて敵役である仮面の男ことマハラ・ケンタロウが使うガンプラ。バルバトスのフレームを二機分仕様した事によりケンタウロスのような四足歩行の機体になっている。機体強度はバルバトス譲りでかなり頑丈であり劇中でも素のスペックだけでも主人公達を圧倒していた。

 

「凄いよこれ!三機とも仕上がりも改造レベルも桁違いだよ!!」

 

「ホント、ガンプラの技術だけで言うなら間違いなくチャンピオンをも凌ぐポテンシャルを持ってるわぁ♪」

 

「こんな凄いガンプラを作れるなんて……玲二さん達凄いです!」

 

「「「あ、アハハ……」」」

 

(((な、なんか申し訳ない……)))

 

本当にそんな尊敬するような目で見ないでくれ!こいつ等全部改造じゃないから!れっきとした正規品だから!そんなにキラキラした目で見られると本当の事言いづらいから!!

 

「ま、まあそれはさておき、フブキ達も自分のガンプラ呼んでみたの……か……?」

 

「れ、レイくんこれ……これ、どういう事だろう?」

 

「うゆ?」

 

「あら?こんなガンプラなんてあったかしら?」

 

「……いやマギーさん、これガンプラじゃないです。フブキ、お前直近で作ってたの『グラディオン』かよ?」

 

 

『MODEROID グラディオン』

『電脳冒険記ウェブダイバー』に登場したネット空間マジカルゲートを守護するウェブナイトの一体。原作ではパートナーである結城ケントと共に悪のコンピューターデリトロスとの戦いを繰り広げていた。特徴としては蒸気機関車への変形機能があるのと主にグランブレードという武器を状況に応じて剣や銃に変形させて戦う。

 

「うぅ~……だってぇ、この間加々美さんからウェブダイバーのDVD借りて見てたら作りたくなっちゃったんだもん~」

 

「いやそれは良いんだが、ってか良く反映されたなこの世界に?なあリク、この世界にウェブダイバーなんてアニメあったか?」

 

「え?えーと……いえ、そんなアニメはないみたいですが……?」

 

成る程、じゃあ尚更何で反映出来たんだよ?情報があるならまだしもない物をどうやって……まさか、アニメみたいに意思とか宿ってないよな?いきなり杉○ボイスで喋ったりしたらびっくりするぞ……それに

 

「まあフブキのは百歩譲ってまだロボット(正確にはコンピュータープログラム)だから良いが………クロ、お前のは何なんだよ?!」

 

「知らん、まあ確かに一番最近作ったのがこれだったが」

 

いやせめてロボットにしてくれよ!?なんで仮面ライダー、しかも世界を廻る破壊者である『仮面ライダーディケイド』なんだよ?!

 

 

『Figure-rise Standard 仮面ライダーディケイド』

平成仮面ライダーシリーズ第10作目の記念として誕生した仮面ライダー。カメンライドカードを使用する事で様々なライダーに変身して戦う事が出来る。ベルトであるディケイドライバーの色が白だと放映当時の、マゼンタだとジオウに登場したネオディケイド版でありクロが制作したのはネオディケイドである。

 

「最近ジオウ見てて作りたくなったんだよ。けど私的にはジオウよりやっぱディケイド派だからな」

 

「いや知らんけど!?てかなんでよりにもよってディケイドなんだよ?!しかもガンダムと並んでると違和感しかないぞこのデカさ!?」

 

「何言ってんだ玲二?映画だとこれ以上のデカさになってただろう」

 

「いやなってたけど!?そうじゃなくてガンダムと並んでいるのが違和感あるって言ってんだよ!」

 

「これ、私と同じモビルドール……じゃない?」

 

「なんだか不思議な見た目してるよね?顔なんてシマシマでまるでバーコードみたい」

 

いや確かにモモの言う通りモチーフはバーコードだけどな。にしてもなんでこいつまで反映されてんだよ?!ディケイドはロボットでもなんでもないだろ!?一体なんなんだよこいつは?!

 

 

 

 

 

(通りすがりの仮面ライダーだ、覚えておけ)

 

 

 

 

 

「ッ?!な、なんか今破壊者の声が聞こえたような……?」

 

「?玲二、どうかしたのか?」

 

「い、いや何でもない……」

 

た、多分気のせいだよな?そうだこんなプラモデルにあの破壊者の意思があるわけないんだ今のは幻聴だきっとそうだそうに違いない。

 

「ねーねー!折角だからさ、皆で参加出来るようなミッションに参加してみない!?」

 

「ああ良いねそれ!玲二さん、俺達がいろいろと教えますから一緒にやりましょう!」

 

「え……ま、まあそれなら」

 

「おぉーーーッ!まさかリアルガンプラバトルが出来る時が来るなんて!」

 

「よーし!はあちゃまとダーリンの実力、皆に見せつけてやるんだから♪」

 

なんか成り行きでミッションをやる事になったが良いのか?でも確かにこんな機会なんて本来ない訳だし、折角なら思う存分楽しむか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―高原エリア―

 

「おぉ……これが、ガンダムに乗ってるという感覚なのか……!」

 

〈凄いよ玲二君!まつり本当にブレイジングに乗ってるよ!!〉

 

〈このリアルな感覚、はあちゃま達の世界のガンダムゲームじゃ到底味わえないわね!最高~♪〉

 

ミッションが行われる高原エリアへとやって来た俺達だが、これは本当に凄いな……アニメで見た光景が目の前に広がって、更に自分の作ったガンプラがこうして自分の手で動いている。これだけでもうかなりの興奮物だ。けど……

 

〈あ、あれ?これどうやって変形するんですかーーーッ?!〉

 

〈な、なんだこれ?右手がこうして左手がこう……ってあぁッ?!なんで逆方向に動くんだよ?!〉

 

……あっちはなんかいろいろと四苦八苦してるみたいだな?後ろを見るとビークルモードからファイターモードへと変形させようとするもやり方が分からずじたばたしてるグラディオンと動かし方が分からずまるで盆踊りを踊っているような動きを見せるディケイドがいる。なんともシュールな光景だよな。

 

〈それじゃあ今回のミッションを説明するわね?今回は5対5のチームバトル、フィールドの何処かに設置された相手のフラッグを取ったチームの勝利よ♪それと今回貴方達は初めてという事だからハンデとしてリッ君達には本来のガンプラではなくて用意されているレンタル品での戦いになるわ〉

 

「成る程、確かに初心者の俺達にはビルドダイバーズの機体は荷が重いかもしれないからそれは有難いな」

 

〈けど玲二さん、幾らレンタル品とはいえ手加減はしませんからね!〉

 

それは当然だ、寧ろハンデもらって尚且つ手を抜かれたなんて言ったら折角のガンプラバトルなのに萎えてしまう。やるからには本気で戦ってもらわんと!

 

〈それじゃあ早速始めるわよぉ、ゲームスタート!〉

 

[battle start]

 

「よし、まずは全員別れて敵のフラッグを探そう。俺はこっち森の中を、はあととまつりは別の方向を目指してくれ」

 

〈〈りょーかい!〉〉

 

〈あ、あの~私達は……?〉

 

「そのままだと足手まといだからまず操作に慣れてから来い」

 

〈む……まあ仕方がないか〉

 

フブキとクロの二人には申し訳ないが二人とも操作に慣れてもらうまでは其処にいてもらうしかない。にしても結構操作時間もらったのになんで未だに上手くいかないんだ?やっぱりガンプラじゃないからか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―まつり Side―

 

「ふんふんふふーん♪」

 

まつりは今上機嫌になりながらブレイジングに乗り森の中を進み湖の近くにやって来ていた。初めこそはびっくりしたけど、このビルドダイバーズの世界にやって来て凄く嬉しかったんだ♪だってモモちゃんやサラちゃんみたいな可愛い娘達にも会えたし、何より自分の作ったガンプラにこうして乗って操縦出来るなんてまさに夢のような体験だ。事故とはいえ、この世界にまつり達を連れて来てくれた玲二君には本当に感謝だよ♪

 

「まあ、本当ならこの子も一緒にこの世界を見て回りたかったなぁ」

 

まつりは自分の膨らんだお腹を撫でながらそう思った。現在まつりは7ヶ月目でかなりお腹もおっきくなってきている。出来ればこの子が産まれてから来たかったけど、まあそれは仕方ないから良いとして、今はゲームに集中しないと!

 

「……にしても全然敵が出てこないけど、一体何処に……」

 

―ザッパアァァンッ!―

 

〈ハァッハッハァ!先手必勝だよ!〉

 

「ッ?!湖の中から?!」

 

周りを探索しているといきなり湖の中から1機のガンプラが現れブレイジングに襲いかかってきた!?これって……シャアズゴック!?しかも声からして、相手はモモちゃん!?

 

―ガキィンッ!―

 

「うぐッ?!」

 

〈おぉッ!今の攻撃を防ぐなんて!?やるねまつりちゃん!〉

 

「へへーンッ!伊達に色んなアクションゲームやって来てるだけはあるからね!」

 

なんとか間一髪でトンファーを使って爪攻撃を防いでズゴックを弾き返したけど、やっぱ反撃までは無理だったか……それにあのズゴック、レンタル品って言ってたけどかなり完成度が高い!きっとあれはコーイチさんの作品に違いないよね?原作でもカプルの完成度が凄かったし……だとしたら本当に油断出来ないね。

 

「よっしゃあッ!久々に燃えてきたよ!まつりのブレイジングガンダムの力、存分に見せてあげるよ!」

 

〈それはこっちも同じだよ!レンタル品だからと言って嘗めてたら痛い目みるからね!〉

 

お互い啖呵を切り激しくぶつかっていく。まつりはブレイジングをなんとか操作し拳をぶつけていくけど、やっぱ操縦技術はモモちゃんの方が上手みたいだね。慣れないガンプラの筈なのにブレイジングの拳を難なくかわしたり防いでくる。

 

「うぐぐ、全くダメージを与えられない……!」

 

〈そのガンプラ、なかなか強いけど操縦技術が追いついてないみたいだね?そんなんじゃこのシャアズゴックの動きについてこれないよ!〉

 

た、確かにモモちゃんのシャアズゴックのスピードはかなり早い……!元々水中戦の方が得意な筈のズゴックがこんなに素早い動きをするなんて!?これが熟練者の力量ってヤツなの?!

 

―ガッ!―

 

「ッ?!しま……ッ!?」

 

〈隙ありぃッ!〉

 

ズゴックの攻撃を避けていたけど足元の段差に躓いたせいで隙が出来てしまい、その隙をつかれて重い一撃を受けて吹っ飛ばされてしまった。そして……

 

―バキィッ!―

 

「ああッ!?両腕がッ!?」

 

〈フッフッフ~♪これでゴッドフィンガーみたいな必殺技は使えないでしょ?これで、トドメだよ!!〉

 

倒れたブレイジングの両腕が爪攻撃によって損傷し、そのままズゴックがゆっくりと近づいてトドメを刺そうとその鋭い爪を振りかざしていく。

 

 

 

…………確かにこれが“只のゴッドガンダム”だったらもう必殺技は打てない。だけど、まつりの乗っているのは“ブレイジングガンダム”だから!

 

「……ねぇモモちゃん、実はまつりって足癖が悪いんだよね」

 

〈へ?一体何言って……〉

 

「だからね、このブレイジングガンダムもまつりと同じで足癖が悪いんだよ!」

 

まつりは急いで必殺コマンドを開きブレイジングの右足をズゴックの腹に当てると、ブレイジングの足が緑に光輝き力が増していく。そう、このブレイジングガンダムの必殺技は拳技じゃなくて足技!

 

「いっくよぉッ!爆熱爆砕!ブレイジングキイィィィィィックッ!!」

 

―ドッゴオォォォォォォォォォォォォォォォンッ!!―

 

〈エェェェェェェェェーーーッ?!足技なんて、そんなのありなのおぉぉぉぉぉ~……?!〉

 

「ありだよ、だってガンプラは自由なんだから!」

 

ブレイジングの必殺技『爆熱爆砕ブレイジングキック』を喰らいズゴックはそのまま吹っ飛ばされ撃破が確認された。よし!初のガンプラバトル、まつりの大勝利~♪

 

「って違う違う!?バトルに夢中になってたけど相手のフラッグを探さないと!」

 

そうだ、このバトルは相手のフラッグを取るのが目的だから撃破したって大して意味がない。倒されても拠点に戻されて1分間のロスタイムを受けた後にまた再出撃が可能なんだから!早いところ相手のフラッグを探さないと!

 

こうして初のバトルは辛くもまつりの勝利で納める事が出来た。次は一体どんなバトルが繰り広げられるのだろうか?

 

 

 

 

―To be continued―




はい、という事でまつりのブレイジングガンダムのバトルでした。次回も引き続きビルドダイバーズとのバトルになりますのでまったり待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第59話『守護者と破壊者』

明日はいよいよエントリーグレードのνガンダム発売日!楽しみでわくわくしてます♪多分争奪戦にはならないだろうけど早めにゲットしたいですね。

今回はフブキとクロの視点です。最後まで見てイタダケタラ有難いです、ではどうぞ!


ビルドダイバーズの世界へとやって来て初めてのガンプラバトルを体験する玲二達。最初のバトルはまつりの操るブレイジングガンダムが見事モモの操るシャアズゴックを撃墜する事に成功した。そしてその頃……

 

 

 

 

 

―フブキ&クロ Side―

 

「ね、ねぇクロちゃんどう?動かせそう?」

 

〈な、なんとか歩くくらいは……そう言うフブキこそどうなんだ?〉

 

「だ、ダメみたい。動かせはするけど全然変形出来ない……」

 

私とクロちゃんは未だにスタート地点で四苦八苦してます……私はなんとか動く事は出来るようになったけど何故か変形だけ出来ない状況が続いてます。っていうかなんで変形出来ないんですか?!普通こういうのってコマンドみたいなのがあるんじゃないんですか?!大体なんで転送される前はファイターモードだったのにフィールドに転送それた時はビークルモードなんですかぁーーーッ?!

 

クロちゃんのディケイドもさっきから変な動きしかしてないし、なんで私達だけこんな事になるのぉーーーッ?!これじゃあ観客席でサラちゃんと一緒に見てくれてるこゆきとこころちゃんに申し訳ないよぉ~……

 

〈………フブキ、私の事は良いからお前はさっさと他の奴等の所に行け。お前は私と違って変形出来ないだけで動かせはするんだろ?〉

 

「え?でもそれじゃあクロちゃんが……」

 

〈良いんだよ、元より私はこういうゲームが苦手だしな。一緒に行ったって足手まといにしかならんし、お前は一人でも良いから相手のフラッグを探しに行け〉

 

「でも……」

 

〈良いから行け!こうしてる間にも相手がこの近くに来ているかもしれないんだ……!〉

 

〈そうね、そんな騒いでいたら簡単に居場所が分かるわ〉

 

〈「ッ?!」〉

 

し、しまった!?いつの間にか崖の上に相手の機体が!?あれは……SDの武者號斗丸!それにこの声はアヤメちゃん!やっぱりレンタル品でもSDなんだね。

 

〈本当ならもっと小回りの利くのが良かったんだけど、生憎SDタイプはこれしかレンタルがなかったからね。けど、やるからには容赦はしないよ!〉

 

アヤメちゃんがそう言うと號斗丸は崖から飛び降りディケイドへと攻撃を仕掛けていく。クロちゃんもいきなりの事で対応出来ずディケイドはもろに攻撃を受け吹っ飛ばされてしまった。

 

「クロちゃんッ!?」

 

〈グッ……!良いから早く行け!このままだと二人とも撃破されてしまうぞ!〉

 

「で、でも……〈早くッ!〉ッ!わ、分かったよ、クロちゃんごめん!」

 

クロちゃんに言われ私は急いでグラディオンを発進させ森の奥へ進もうとする。けど……

 

―ズキュウゥンッ!ドゴオォォンッ!―

 

「キャアァァァァーーーッ!!?」

 

突然グラディオンに向けて銃撃が放たれ直撃こそしなかったけど爆風に吹き飛ばされてしまった。今のって、遠距離からの狙撃?!という事はもう一人いるって事!?

 

―ズキュウゥンッ!ズキュウゥンッ!ズキュウゥンッ!―

 

「うわわ!?に、逃げないと!」

 

再び狙撃され急いでグラディオンを発進させていくけど、この狙撃技術かなり正確で避けるのが精一杯だよ!?一体誰……いや、これ程の狙撃技術を行うなんてビルドダイバーズには一人しかいない!けど今は避ける事に専念しないと!

 

「っていうかなんで本当に変形出来ないんですかぁーーーッ?!普通こういうのって変形する為のコマンドみたいなのってある筈でしょこうアニメみたいに………………アニメみたいに?」

 

………そういえばグラディオンの変形時も別にコマンドで変形しているワケじゃなかったよね?確かアニメではケント君が………そういう事かぁーーーッ!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ッスゥーーー………ウェブチェンジ!グラディオン、ファイターモードッ!!」

 

アニメのケント君のように私が叫ぶ!するとグラディオンはそれに応えるかのように変形を始めていく。やっぱり、変形コマンドがなかったのはアニメと同じ音声による変形だったんだ!そしてグラディオンはファイターモードに変形しフェイスマスクを展開し目つきが鋭くなっていく。これが、最強のウェブダイバーグラディオンのファイターモード!

 

「やった!やっと変形出来た!ようし、こっからが本当のバトルだよ!」

 

私はグラディオンを操縦し専用武器グランマグナムを構え狙撃ポイントと思われる場所に向かって銃撃を放っていく。

 

―バシュウッ!バシュウッ!―

 

〈わわッ?!撃ってきた!?〉

 

銃撃を放つと其処から1機のガンプラが姿を現した。あれは、ジム・スナイパーII!しかも声からしてやっぱりユッキーだった!

 

「ようし、変形出来たし姿も見えたからこっちのもんだよ!」

 

〈クッ……!けどまだ勝負は此処からだよ!このジム・スナイパーIIの力を甘くみないでね!〉

 

ユッキーはそう言うとそのまま空中でスナイパーライフルを構えて再び狙撃を開始する。けど姿が見えたらこっちのもんだよ!これが私、佐々木フブキの戦い方!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ごり押しは正義じゃあぁぁぁぁぁぁいッ!!」

 

〈ええぇーーーッ?!つ、突っ込んできたぁッ!?〉

 

私はグラディオンのグランシールドを展開し構えながらジム・スナイパーIIへと突進していく。何発か被弾してるけど関係ない!そのままグランマグナムを変形させグランブレードを構えジム・スナイパーIIの目の前で大きく振り上げていく!

 

「これがグラディオンの必殺技!ブレイク・ザアァァーーーーンッ!!」

 

―ズバアァァァァァァァァァァァァァッ!!―

 

〈そ、そんなあぁぁぁぁぁぁーーーーーッ!?〉

 

グラディオンの必殺技、ブレイク・ザーンが見事にヒットしジム・スナイパーIIはそのまま地上へと落ち爆破されていった。よし!これで心置きなく探索出来る!クロちゃんの為にも早く相手のフラッグを見つけないと!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―クロ Side―

 

〈……貴女、動きが全然ダメね?折角そのガンプラ?の出来は良いのに操縦している貴女の腕が全然追いついてない〉

 

「………言わないでくれ、元よりアクションゲーム……というよりはゲームそのものがそんなに得意じゃないんだよ」

 

……だとしてもこのやられっぷりは自分事だけど笑ってしまう。さっきから全然攻撃も出来ないし一方的に號斗丸にボコボコにされてるだけ、これじゃあもうういの事バカに出来んな……

 

〈まあ、これも立派な真剣勝負だから悪く思わない事ね?それじゃ……〉

 

アヤメの言葉と共に號斗丸の刀が振り下ろされ万事休すな状況。確かに私はゲームが苦手だから足手まといにしかならないのは最初から分かっていた。けど、せめて玲二の為にも1機くらいは撃破したかったな………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《全く、この俺を使っておいてこんな無様な姿晒すとはな》

 

「……………………え?」

 

諦めかけていたその時、何処からか突然声が聞こえ、次の瞬間ディケイドは“独りでに動きだし”號斗丸の攻撃を回避した。え?い、一体どういう事だこれは?!

 

〈な……ッ?!急に動きが変わった?!〉

 

《……成る程、大体分かった。取り敢えずこいつを倒せば良いんだな?》

 

「な、なんだこれ?!急に操縦出来なくなって……ていうかこの声、まさか?!」

 

《お前はもう何もしなくて良い。こっからは俺が相手だ》

 

―ATTACK RIDE BLAST!―

 

いきなり操縦出来なくなったと思ったらディケイドが勝手に動きだしライドブッカーからカードを一枚取り出しネオディケイドライバーへと装填しライドブッカーをブラストモードに変形させ號斗丸に向かって無数の分裂弾を放っていく。

 

〈なぁッ?!な、なんなのこの攻撃!?というか貴女、なんか雰囲気変わってない?!〉

 

《そんな事はどーでも良い。それと、こんなんで驚くのは早いぞ?》

 

驚くアヤメに対しディケイドはそう言うと再びライドブッカーから一枚のカードを取り出しネオディケイドライバーへと装填していく。っておいまさかそれって……?!

 

―KAMEN RIDE EX-AID―

 

―マイティジャンプ!マイティキック!マイティマイティアクションX!―

 

ベルトの音声と共に軽快な歌が流れ目の前にキャラ選択パネルが現れ、その中の一つを選択するとディケイドの姿がカラフルなゲームキャラのようなライダー『仮面ライダーエグゼイド』へと変化していく。やっぱりカメンライドか!?一体どうなってんだよこれ?!

 

〈す、姿が変わった?!〉

 

《ゲームにはゲームってな?そんじゃいくぜ!》

 

―ガシャコンブレイカー!―

 

Dエグゼイドはガシャコンブレイカーを出現させハンマーモードのまま號斗丸に突っ込み殴っていく。

 

―Hit!―

 

―Hit!―

 

―Hit!―

 

〈キャアァッ!?な、何コレ?!急に動きが素早くなって―ジャ・キーン!―ッ!?〉

 

そしてガシャコンブレイカーのAボタンを押してハンマーモードからブレードモードへと変形させ直ぐ様Bボタンを10回連続で押してから號斗丸へと斬りつけていく。

 

―Hit!―

 

―Hit!―

 

―Hit!―

 

―Hit!―

 

―Hit!―

 

―Hit!―

 

―Hit!―

 

―Hit!―

 

―Hit!―

 

―Hit!―

 

〈キャアアァァーーーッ!?〉

 

Dエグゼイドの多段ヒット攻撃を受け號斗丸の鎧は砕かれ軽装形態になっていく。これは、最早戦いではなく一方的なイジメだろ…………?

 

《どうした、もう終わりか?なら、これで終わらせてやる》

 

そう言うとDエグゼイドはガシャコンブレイカーを投げ捨て再びライドブッカーからカードを一枚取り出していく。先程までのマゼンタの縁のカードとは違う黄色い縁にエグゼイドの顔のようなクレストが描かれているカード。このカードが意味するものは……必殺技ッ!

 

―FINAL ATTACK RIDE E・E・E・EX-AID―

 

ネオディケイドライバーの音声と共にDエグゼイドの足にコミカルなタッチの電撃が流れ、そしてそのまま高く飛び上がり號斗丸へとライダーキックを放っていく。

 

―Hit!―

 

―Hit!―

 

―Hit!―

 

―Hit!―

 

―Hit!―

 

―Hit!―

 

―Great!―

 

―Perfect!!―

 

―ドゴオォォンッ!!―

 

〈キャアアァァーーーーーーッ?!〉

 

Dエグゼイドの必殺技、マイティクリティカルストライクが炸裂し號斗丸はそのまま何処かへと吹っ飛ばされていった。おそらくだが撃破出来たのか………ってそんな事より!

 

「お前!いきなり動き出して、一体何者なんだ!?」

 

《………通りすがりの仮面ライダーだ、覚えておけ。ま、この世界での俺の役目は終わった。後はお前に任せる》

 

謎の声はそう言うとDエグゼイドは元のディケイドへと戻り動かなくなってしまった。い、一体何だったんだ今のは?もしかして、さっきのは本物のディケイド……門矢士だったとでもいうのか?!

 

突然起きた謎の現象にクロは混乱し頭を抱えるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―玲二 Side―

 

「………にしても随分広いなこのエリア」

 

〈ホント、でも良い景色ねダーリン♪本当ならこころも一緒に乗せてあげたかったけどね〉

 

「それは仕方ないだろ、こころはまだ首も据わってないんだからこんな揺れる操縦席になんて危なくて乗せれないからな」

 

俺達は今エリアの端の方にある草原地帯へとやって来ていた。周りには草木は勿論、キレイな花畑が広がっている。確かに此処は一度子供達と一緒に来てみたいな。もしこの世界と自由に行き来出来る手段が分かればいつか子供達を連れて散歩したいな。

 

「……………処ではあと、お前気づいているか?」

 

〈……えぇ、後ろから2機の機影、しかもさっきからずっと尾行してきてるわね〉

 

やっぱり気のせいではないか。かなり慎重に尾行していたみたいだがしっかりと気配は感じてた……いや、初めから気づかれるように尾行してたってところか。

 

「………そろそろコソコソしないで出てきたらどうだ?いるんだろリク?」

 

〈……アハハ、やっぱりバレましたか?〉

 

「よく言うよ、最初からバレるように尾行してたクセに。それにしてもお前のその機体、『ガンダムエクシアリペアII』か」

 

〈えぇ、玲二さんのその機体と戦うならやっぱりOOの機体が一番だと思って。これならレンタル品と言えど本気で戦えそうですから〉

 

俺達の目の前に現れたのは1機はリクの乗るガンダムエクシアリペアII、そしてもう1機は『ガンダムバルバトスルプスレクス』か。おそらくは、コーイチ辺りか?

 

〈玲二さん、はあとさん、初めてとはいえ手加減はしませんよ!〉

 

〈上等じゃない!はあちゃまとダーリンの力が合わさればあんた達なんてけちょんけちょんよ!〉

 

「ああ、俺達のガンプラの力、思う存分味あわせてやる!いくぞはあと!」

 

 

 

こうして始まった玲二とはあとペアのバトル。果たして勝つのはどちらか?そしてフラッグを手にするのはどちらのチームか?

 

 

 

 

 

―To be continued―




はい、という事でグラディオンとディケイドの戦いでした。こちらはどちらも良キットなので是非オススメしたいです♪まあグラディオンは20年前のアニメなので世代的に知らない人多そうですが……(汗)

次回はいよいよビルドダイバーズ編最後の戦いです!次回もまったり待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第60話『さらばビルドダイバーズ』

またるしあの中の人……というよりそのファン達が問題起こしたと騒ぎになってるようですが記事に書くにしろもうるしあの名前を出さないようにしてほしいですね。問題起こすのも悪いですがそういった記事にも悪意を感じてしまいます……まあこの小説のるしあには関係のない事ですが。

今回はビルドダイバーズ編完結!果たして玲二とリクの戦いの結果は?!最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


遂に始まったビルドダイバーズの主人公リクとの対決。現在俺とリクは互いの駆るコマンドクアンタとエクシアリペアIIとの激しい攻防を繰り広げていた。

 

―キィンッ!キィンッ!ガキィンッ!!―

 

「クッ……!流石にすんなりとはいかせてくれないか……!」

 

〈当然ですよ!俺だって今までいろんな戦いをしてきたんだから、これぐらいのハンデで負けてあげる程ヤワじゃないッ!〉

 

―ガキイィンッ!!―

 

「グアァッ?!」

 

コマンドクアンタのコマンドソードがエクシアリペアIIのGNソードIIに競り負けてしまい手元から弾かれそのまま吹っ飛ばされてしまった。やっぱりレンタル品とは言えビルドダイバーズの主人公、実力が段違いだ!

 

〈ダーリンッ!?待ってて、今はあちゃまが助けてあげるから!〉

 

〈悪いけどそれはさせないよ!君の相手はこの僕だよ!〉

 

倒れたコマンドクアンタを見てはあとが助けようとするもコーイチが操るバルバトスルプスレクスの巨大なメイスによって妨害されこちらに近づけないようにされた。やはりルプスレクスをどうにかしないとはあとの応援は得られそうにないな……

 

〈余所見している場合じゃありませんよ!〉

 

「ッ!分かってるっての!」

 

―ズガガガガガガッ!―

 

俺は迫り来るエクシアリペアIIの攻撃をかわし体制を整え直ぐ様ヘビーマシンガンを撃ち込む。だがやはりスピードは向こうの方が上のようでまともにヒットしない。このままだとジリ損だな……なら!

 

「………このまま押されっぱなしなんて流石に格好悪いよな?なら、一か八かやってみるか!」

 

〈?玲二さん、一体何をする気なんだ?〉

 

俺はスキルコマンドの中から一つの項目を選択する。ガンダムブレイカーではよく使ってたが果たして上手くいくか……?

 

「いくぜダブルオーコマンドクアンタ……覚醒スキル『アサルトバースト』発動!」

 

―ASSAULT BURST IGNITION―

 

スキル発動と共にコマンドクアンタの身体が蒼白く輝きはじめ、機体の操縦レバーが軽くなるのを感じた。よし、上手くいったみたいだ!これならいける!

 

「よっしゃあッ!反撃開始だ!」

 

―キュイィィィンッ!―

 

「ッ!?は、速いッ?!」

 

スキル発動と同時に俺はエクシアリペアIIへと向かって突進していく。そのスピードは先程より速く一瞬でエクシアリペアIIの目の前へと詰め寄った。そしてその無防備な胴体に向けて渾身のヘビーマシンガンを撃ち込んでいく。

 

―ズガガガガガガガガガガガガガガァッ!!―

 

「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!?」

 

先程の時よりも射撃の威力もかなり向上しているのかエクシアリペアIIはモロに全弾を受け吹っ飛ばされていく。これがダブルオーコマンドクアンタの覚醒スキル『アサルトバースト』。一定時間だけ自身のスピードを20%上昇させ、さらに射撃攻撃力も30%も向上させるというスキルだ。元はガンダムブレイカーでのゲーム内スキルだが、この世界でも使えるようで助かった。

 

〈クッ………!トランザム?いや、違う……今のは一体?〉

 

「これがコマンドクアンタの覚醒スキル、アサルトバーストだ!」

 

〈覚醒スキル?!そんなのがあるなんて……玲二さん凄いです!!〉

 

…………なんだか凄く恥ずかしい。これ本当はガンブレやブレバト見て見よう見まねでやっただけなんだよ。俺のオリジナルじゃないんだよ。だからそんな尊敬するような目で見るの止めて?余計に恥ずかしくなる。

 

〈よぅしッ!玲二が本気を見せてくれたなら、俺も本気で挑ませてもらいますよ!トランザム、起動!!〉

 

―TRANS-AM―

 

「ッ!?やっぱり使ってきたか!」

 

トランザム起動と同時にエクシアリペアIIの装甲が赤く輝きはじめコマンドクアンタへと突っ込んできた!クソ、こちとら覚醒スキルがあるせいか何故か代わりにトランザムが使えないってのに!だがなってしまったモノは仕方がない、こうなったら出来る限り対抗するしかない!

 

 

 

―ズガガガガガッ!―

 

 

 

―ガキィンッ!ガキィンッ!!―

 

 

 

―ドゴォッ!バキィッ!!―

 

 

 

〈グゥッ!?や、やりますね玲二さん!〉

 

「ああ、お前もなリク!レンタル品のガンプラを其処まで使いこなすなんて、流石はビルドダイバーズのエースってだけはあるな!こんな楽しい体験は久しぶりだッ!!」

 

コマンドクアンタとエクシアリペアIIが激しくぶつかり合う度に俺の中に眠ってた闘争心に火がついていく。これ程楽しいと思えたのは何時振りだろうか?そんな考えもすぐに掻き消される程に今俺は充実している!

 

〈俺もです!出来る事ならもっと貴方とバトルしたい、そう思える程に!〉

 

「嬉しい事を言ってくれるな!そんじゃあその期待に応えられるよう、全力でいくぞリクッ!!」

 

〈勿論です!いきますよ玲二さんッ!!〉

 

「〈うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーッ!!!!〉」

 

そして互いに高まる気持ちをぶつけ合う為に相手へと向かって武器を構え突っ込んでいく。お互いの全力をぶつけ合う為にッ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―WINNER! guest team!―

 

「〈…………………………え?〉」

 

え?WINNER?どういう事だ?ゲストチームって俺達の事だよな?え、どういう事だよこれ?!

 

〈はぁいダーリンッ♪はあちゃま見事に相手チームのフラッグゲットしたわよ~♪〉

 

「え、はあと?フラッグって………あ、そうかこれフラッグ戦だったっけか?」

 

そうだ、リクとの激しいぶつかり合いですっかり忘れてしまったがこれフラッグ戦だから相手のフラッグを取った瞬間に勝負が着いてしまうのか…………うわあぁぁぁぁッ!!めっちゃ消化不良なんだが?!今まさにリクとの熱いバトルが繰り広げられると思ったのに急にバトルが終わってしまって中途半端な状態なんだがぁッ!!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―ビルドダイバーズ フォースネスト―

 

「はぁい皆ぁお疲れ様ぁ~♪とても熱く激しく愛のあるバトルだったわぁ~♪」

 

「いやぁ~始めてのガンプラバトル楽しかったね~♪」

 

「うん!次は私達もちゃんとしたガンプラで挑みたいね♪」

 

「まーま、しゅごーい♪」

 

……バトルを終えて俺達はビルドダイバーズのフォースネストへと戻って来ていた。皆それぞれ楽しめたようで和気あいあいとしている……俺とリクを除いて。

 

「………なあ玲二、いい加減機嫌直せって」

 

「り、リッ君もほら元気出してよ、ね?」

 

「………いやあんな中途半端で終わってこちとら消化不良なんだよ」

 

「俺も久しぶりに楽しい勝負になりそうだと思ったのに……しかも負けたし……」

 

「な、なんかごめんなさい……吹っ飛ばされた所に丁度フラッグがあったからつい……」

 

「ぱーぱ、よちよち」

 

そう、あの時はあとはコーイチの駆るルプスレクスと交戦しそのまま追い詰められ吹っ飛ばされたのだが、その吹っ飛ばされた先に偶々相手のフラッグがありそのまま引っこ抜いたというワケである。いやはあとは何も悪くないさ、寧ろこの勝負の功労者だ。けどそれとこれとは違うんだよなぁ………

 

「……まあいつまでもウジウジ言っても仕方ないな。リク、この勝負の続きはまたいつか決着つけようぜ」

 

「……そうですね。その時は俺もダブルオースカイメビウスで挑みますので絶対に負けませんからね!」

 

おう!そん時は俺も自分のオリジナルガンプラ作ってお前に挑むぜ!

 

 

 

 

 

―パアァァァ………―

 

「ッ!?これは……?」

 

「え!?れ、玲二さん達の身体が、光ってる……?!」

 

「レイくん、これって……!?」

 

「ああ……もしかしたら、今なら戻れるかもしれない!」

 

リクとの再戦を誓う中、突然俺やフブキ達の身体が光出していく。どうやら力が戻ったのか帰れる条件が整ったのかは分からないが、おそらく今なら元の世界に帰れるかもしれない!

 

「そんなぁ~!?折角こゆきちゃんとも仲良くなれたと思ったのにぃ~!」

 

「アハハ……でも大丈夫です、きっとまたすぐに会えますから♪」

 

「うん、きっとまた皆に会える♪」

 

「あい♪」

 

そうだな、今回は偶然この世界に来てしまったが、行き来の仕方が分かればまた何時でも会いに来れる。それまで暫くお別れだが、俺達は必ずこの世界にやって来るさ。

 

 

 

「まつりちゃん!今度来た時は一緒にコスプレイベントとかしようね♪」

 

「うん!その時は産まれて来る子も一緒に連れて来るね♪」

 

 

 

「はあとさん、君や玲二さんのガンプラのおかげで新しいアイデアが出来そうだよ。本当にありがとう」

 

「ま、まあ当然よね?なんたってはあちゃまやダーリンのガンプラは最強だから!」

 

「あぅやぁ~」

 

 

 

「クロさん、貴女のディケイドの力、とても不思議だったけど凄かったわ。でも次に戦う時は絶対に負けないから」

 

「い、いやあれは正直私にもよく分からない状況だったんだが……まあいい、私こそちゃんと腕を上げて戦ってみせる」

 

 

 

「フブキさん!あのグラディオンの力、とっても凄かったです!まさに勇者って感じがしてとても格好良かったです!」

 

「えぇ、あの変形する時の掛け声はロマン溢れてたわぁ♪少しごり押しが凄かったけどね?」

 

「あ、アハハ……まあ私にとっても少しごり押しが酷かったなって思いましたし、次に戦う時はちゃんとしたガンプラでバトルしましょうね♪」

 

「ね~♪」

 

 

 

「……リク、さっきも言ったが俺はお前と決着をつけたい。だから俺達はまた必ずこの世界に戻ってくる。それまで暫くはお別れだ」

 

「はい!必ずまた来て下さい!その時は俺達だけじゃなくチャンピオンやタイガさんやシャフリさん、それにもう1つのビルドダイバーズの方達ともバトルしましょう!」

 

「私も、皆と一緒にもっと遊びたい♪」

 

「ああ、俺もその時は他の家族も連れて来るな」

 

俺達はいつの日か再会する事を誓い皆と握手を交わしていく。俺は決して忘れない、この世界で出会えたリク達の事を!

 

「……そろそろ時間みたいだな」

 

「そうですか……玲二さん、またいつか!」

 

「ああ、またな」

 

その簡単なやり取りを最後に、俺達は光に包まれて視界が真っ白になっていった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………行っちゃった」

 

「えぇ、とても不思議な人達だったわね」

 

「そうね。でも、とても素敵な子達だったわね♪」

 

「はい……それに玲二さんとも約束したんだ。また会おう、その時に決着をつけようって。だからそれまでに俺ももっともっと強くなんないと!」

 

「うん、僕も彼等に負けない新しいガンプラを考えないとね」

 

「……………ね、ねぇ、それは良いんだけどさぁ……フブキちゃんだけじゃなくユッキーとサラちゃんの姿が消えちゃったんだけどどういう事?」

 

「「「「……………え?」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………まあ無事に戻って来れたのは良かった。良かったんだけど……なんでこうなっちまったんだ?」

 

「え、えぇっと……た、偶々私達の近くにいたから巻き込まれちゃったとか?」

 

「だとしてもこれどーすんだよ?」

 

光が止んで視界が元に戻ると、俺達は何時ものホロライブタウンへと戻っていた。どうやら転移は上手くいったようで皆無事に戻ってこれた………一部例外も連れて。

 

「す、凄い!僕やリッ君が作ったガンプラが製品化されてるなんて、夢みたいだ!」

 

「でしょでしょ?皆のガンプラってはあちゃま達の世界でも大人気なんだから♪」

 

「ほわぁ……これがリク達が普段触ってるガンプラ……凄く面白そう♪」

 

「あー、そういやサラちゃんってリアルだとガンプラサイズの大きさだからこうやって見るのは新鮮なんだね♪」

 

……そう、あの時偶々俺達の近くにいたのか、或いは他の要因があるのかは分からんが何故かユッキーとサラが一緒に着いてきてしまったのだ。しかも何故かユッキーはリアルの姿になってるのに、サラはGBNの姿のままである。しかも二人とも最初こそはびっくりしてたが近くにあったホロプラを見るとユッキーはテンション高く買い物を始めだした。本当にどうしてこうなった?

 

「れ、玲二さんこれは一体?というかあの人達ビルドダイバーズのユッキーとサラちゃんそっくりなんですが一体誰なのです?」

 

「……すまんるしあ、それは後で説明する。俺等も今すげぇ混乱してっから」

 

「は、はぁ……?」

 

そりゃ店番してたるしあも混乱するのは分かる、けどそれ以上に俺も混乱してるから取り敢えず今は何も考えず一回寝たい。本当にどうしてこうなったんだ?はぁ………

 

 

 

その後ユッキーとサラを送り返す為に必死で方法を探った結果、なんと僅か4日でビルドダイバーズの世界と行き来する方法を見つけ出し無事に二人を送り返す玲二であった。




はい、という事でビルドダイバーズ編完結です!まあ玲二にとっては消化不良ですが……因みにこれからもしかしたらちょこちょこビルドダイバーズの世界の住人と交流があるかもしれません。

そして次回なんですが……実はこの話を書く前に第60話が出来ていたのですぐに投稿出来ますが手直しをする事も含め今日の夜か明日の朝に投稿しようと思いますので待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第61話『貴方がいない世界』

発売日にEGのνガンダム買って組み立てたんですが………このクオリティヤバくないですか……?(震え声)
同時にHGのνガンダムも作って並ばせましたがファンネル無しとは言えこれで1000円前後で買えるのはヤバいですよね(汗)
因みにこのνガンダムは例のごとくフリマサイトで転売されてますがこのキットは生産数も多い上に再販も多いので転売ヤーからは買う必要がないので絶対に買わないようにしましょう。

今回で61話目!けど何か不穏な感じが……?今回も最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


―ピピピ、ピピピ、ピピピ………―

 

「…………う、うぅ~ん……もう朝?」

 

スマホの目覚ましの音に起こされ私はそのまま身体を伸ばした後スマホの画面を開く。今は朝の7時か……ってあれ?

 

「………私の部屋ってこんなだっけ?」

 

いつも見慣れている筈の“一人暮らし”の自分の部屋を見て何か変な違和感を感じてしまう。あれ?私の部屋ってこんな感じだっけ?なんかもう久しぶりな感じがするのは何でだろう……?

 

「ってそんな事より今日はゲマズのスタジオ収録だった!急がないと!」

 

そうだ、今日はゲーマーズの皆と一緒に新作アプリの紹介をする収録があるから早く出ないといけないんだった!早くシャワー浴びてご飯食べて着替えて行かないと!

 

………それにしてもこの変な感じ、一体何なんだろう?何か大切な事を忘れているような気がする……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―スタジオ収録後―

 

「それにしても今回のゲーム面白そうだったねおかゆ~♪」

 

「そうだねころさん、サービス開始したら実況配信してみようか?」

 

「ウチも今度配信でやってみようかな?でもSSRの排出率が結構渋そうだったのが難点かなぁ?」

 

…………何だろう?いつものように皆と一緒にスタジオ収録して楽しく雑談している筈なのに、なんだか凄く物足りない感じがする。一体どうしちゃったんだろう私……?

 

「………フブキどうしたの?なんか今日ずっと上の空な感じだったけど」

 

「え?あ、いやなんでもないよ!ごめんなさい、私ちょっと疲れてるのかな……?」

 

「あ、そういやフブキちゃん今日ずっと一人称『私』だったよね?昨日までは『白上』だったのに」

 

「あ!それこおねも思った!フブちゃんなんで一人称変えたん?」

 

「え?…………そういや今日ずっと自分の事私って言ってた……」

 

あれ?なんでだろう?いつも自分の事は『白上』って言ってた筈なのに今日はずっと『私』って言ってた……でも昨日までは?なんだかそれよりもずっと前から自分の事『白上』なんて言ってない気がするんだけど……?

 

「……まあ良いじゃんそんなの♪それよりこれから皆で駿○屋行かない?私欲しいガンプラがあるんだよね~♪」

 

「え?フブキってガンダムとかに興味あったっけ?」

 

「え………いや、興味も何もいつも皆で作ってたじゃん?ほらこの間だって……」

 

「?僕達ガンダムなんて作ってたっけ?」

 

「ううん、作った事ないよ?フブちゃんそれ誰かと勘違いしてない?」

 

「え…………?」

 

あ、あれ?でも確かにこの間も……あれ?この間って何時?何時も一緒に楽しく作ってた筈なのに……それって誰と?私、一体誰と作ってたんだっけ?

 

「フ、フブキ?ちょっと大丈夫?」

 

「う、うん……ごめん、なんかちょっと混乱してるみたいだから私もう先に事務所に帰るね……」

 

「う、うん……」

 

……何だか頭の中が混乱してうまく考えられない。私、大事な事を忘れているような気がするのに、それがなんなのか思い出せない……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―事務所―

 

「…………………はぁ」

 

「?どーしたのフブちゃん、そんなため息なんて吐いて」

 

「あ、フレアにわため……ううん、何でもない」

 

「ホントぉ?でもフブちゃん顔色良くないよ?」

 

「ううん、本当に大丈夫だから………」

 

はぁ、本当にダメだな今日は……フレアやわためにまで心配されて、これでも一応先輩なんだけどなぁ……

 

「あ、そうだ!ねぇねぇこれ見て!わための前のマネちゃんが子供を出産したんだって♪ほらこれ~♪」

 

「わあぁ♪可愛いなぁ~♪」

 

わためはそう言って私とフレアに赤ちゃんが写った写真を見せてくれた。確かに写真に写ってるマネちゃんの赤ちゃんぷっくりほっぺで可愛いなぁ~♪………赤ちゃん?あれ?

 

「………ねぇフレア、わため。私達にさ、赤ちゃんっていなかったっけ?」

 

「……は?いやいや、いるワケないじゃん!?そもそも相手がいないのにどうやって子供が出来るのさ?!」

 

「そうだよぉ。わため達そんな出会いなんてないのに赤ちゃんなんている筈ないよねぇ~」

 

「そ、そうだよね?あ、アハハ~……」

 

………何で私、自分達に赤ちゃんがいるなんて思っちゃったんだろう?でも何故か分からないけど、確かに私達に赤ちゃんがいたような気がする……本当にどうしちゃったんだろう私?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、フブキさんちょっといいですか?」

 

「?Aちゃんどうしたんですか?」

 

「この間歌ってみたいという歌ありましたよね?その歌の許諾を得ましたので明日にでも収録しても大丈夫ですよ♪」

 

「本当ですか!やふ~い♪」

 

やた~♪あの歌歌ってみたかったんですよね~♪じゃあ今日は早速帰って練習を…………あれ?

 

「………ねぇAちゃん、私の仕事の話って何時もAちゃんから聞かされてたっけ?」

 

「え?えぇ、何時も私かマネージャーさんにお願いしてお伝えしてますが………それがどうしました?」

 

「…………他に誰かいませんでしたか?例えばその……男の人とか?」

 

「いえ?そもそも皆さん女性のアイドルなんですから男性スタッフは基本的に裏方ですしマネージャーも女性しか採用してないですよ」

 

「そ、そうだよね?ごめんなさい変な事聞いてしまって……」

 

「はぁ……?」

 

何で私、仕事関係の連絡で男の人がいるなんて聞いたんだろう?そんな筈ないのに……そんな……筈…………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………本当にどうしちゃったんだろう私?なんだか変な違和感感じてばっかりだし……」

 

作った事もない筈のガンプラ、いない筈の赤ちゃん、そして関わった事のない筈の男の人……なのに、私の中でそれらが引っ掛かってしまって心の中がずっとモヤモヤしてしまってる。一体何なんだろうこの違和感は……?

 

「………フブキ様」

 

「あれ?ちょこ先生、それにトワちゃんも……どうしたの二人とも?」

 

「……フブキ先輩、大事な話があります。一緒に来てもらってもいいですか?」

 

「話?うん良いけど……」

 

何だろう話って?なんだか二人とも何時もと違ってかなり真剣そうな表情だったけど…………そして会議室に連れられていくと、其処にはそらちゃんとメルメルとロボ子さん、それにあやめとぼたんちゃんもいた。

 

「?珍しい組み合わせだね、皆どうしたの?」

 

「…………フブキ様、いきなりで申し訳ないのだけれども少し聞いても良いかしら?」

 

「え?う、うん何かな?」

 

「フブキ様、今日1日過ごして何か変な違和感を感じなかったかしら?」

 

ッ?!え、何でちょこ先生が私の感じてた違和感の事知ってるの?!……もしかして、此処にいる皆って!?

 

「………その様子だとやっぱりフブキ様も他の娘達に比べて影響は少ないみたいね?」

 

「え?どういう事なのちょこ先生!?もしかして、皆も何か違和感があったの?!」

 

「う、うん……なんだか今日1日ずっと妙な感じがして仕方がなかったんだよね」

 

「あたしも、何か忘れちゃいけない筈の大切な事を忘れてしまったような気がしてね……」

 

「メルも……そもそもメル達の今のこの状況が違和感しかないんだよね。なんていうか……メル達って今一人暮らししてたっけ?って」

 

……そう言われると確かに私達、ずっと一緒に暮らしていたような……あれ?でもだとすると何のために?

 

「………やっぱり皆、違和感を感じるだけで其処まではまだちゃんと思い出せてないんだ?」

 

「どうして……どうして皆忘れちゃったのさ!?あんなに大切な事だったのに!?」

 

「え?もしかして、ロボ子さんとあやめは何か覚えてるの?」

 

「当たり前だ余!忘れるワケないじゃん……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

“玲二様”の事をッ!!」

 

 

 

………玲二?あれ、その名前何処かで………………

 

 

 

 

 

ッ!?違う、そうじゃない……聞いた事あるんじゃない、ずっと一緒にいたような………

 

 

 

 

 

―ほらフブキ、皆が待ってるから早く行くぞ?―

 

―あーん待ってよレイくーんッ!―

 

 

 

 

 

ッ!!この記憶………凄く懐かしい。私の脳裏に浮かぶ知らない筈の男の人………ううん、知らないワケない!だって、この人は私の……私達の大切な人!!

 

 

 

 

 

「レイくんッ!!」

 

そうだ、思い出した!私達今までずっとレイくんと一緒にいた筈なのに、どうしてそんな大切な事忘れてしまってたんだろう?!

 

「……その様子だと思い出したみたいね?」

 

「うん……今思い出した、レイくんの事、そしてレイくんとの間に産まれたこゆきの事も!皆も思い出した?!」

 

「………うん、今あやめちゃんに玲二君の名前を出されて全ての記憶が戻ったよ。玲二君との出会いも、そしてかいりが産まれたあの日の事も!」

 

「………あたし最低だ。理由は分からないけどレイっちの事も玲牙とつばきの事も忘れてしまってたなんて……」

 

「メルも……今まであんなに玲二君に助けてもらってたのに……」

 

……どうやら皆も記憶が戻ったみたいだね。でも一体どうして皆レイくんの事を忘れてしまったんだろう?私達にとって大切な記憶の筈なのに……

 

「ねぇちょこ先生、トワちゃん。これって一体どういう事なの?レイくんの記憶もそうだけど、なんで私達前の家に戻ってるの?ホロライブタウンやホロライブマンションは?」

 

「………その事についても説明するわ。それじゃあまずはこの世界についてね」

 

この世界?もしかして此処ってこの間行ったビルドダイバーズの世界のようなパラレルワールドみたいなものなのかな?

 

「……此処は皆の意識の中、つまりは精神世界なのよ」

 

『精神世界?』

 

「うん、簡単に言えば夢の中って事だね」

 

夢の中?此処が?一体どういう事?

 

「ほら皆、覚えてない?トワ達がこの世界に来る前に一体何があったのか」

 

此処に来る前?確か……………………あぁッ!そうだ、私達ホロライブ全体のライブイベントを終えて帰るところだったんだ!それで帰りのバスに乗って皆とお喋りしてたら急に眠たくなって……気がついたらこの世界にいたんだ!

 

「どうやらトワ達、嵌められたみたいなんだよね。バスの中にいつの間にか催眠ガスが溢れてたみたいで、そのガスを吸ってしまって此処に来させられたみたい。だからこの世界にいるのはあのバスに乗ってたトワ達しかいないんだ」

 

「そんな?!でも確かにるしあやココちゃんも見かけなかったし、別のバスに乗ってたholoXのメンバーもいないのはそういう事だったんだ?でもそれならなんでちょこ先生やトワちゃん達の記憶はなくなってなかったの?」

 

「ちょことトワ様は悪魔だからこうした催眠系の能力は効かないのよ。それと眠りかけた時にもしかしたら何かしらの危害が加わるかもしれないと思って皆にも阻害魔法をかけようと思ったんだけど、此処にいるメンバーに、それも中途半端にかかってしまったワケ」

 

「ボクの場合は過去の記憶はバックアップとして残ってたんだよ。だからすぐに記憶が戻ったんだぁ」

 

「余も最初は一瞬だけあやふやだったけど、ちょこ先生のおかげですぐに記憶が戻ったんだ余」

 

そういう事だったんだね。それにしても、なんで私達のバスに催眠ガスなんて流れてたんだろう?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈………い、だ……か……聞こえ……か?〉

 

「………え?この声って……」

 

な、何だろう?突然頭の中に声が……ッ!この声、もしかして!?

 

〈お………誰……か……えてたら……返事をしてくれ!おーい!〉

 

「ッ!やっぱり、レイくんの声だ!おーいレイくーんッ!!」

 

〈ッ!フブキか!良かった、やっと繋がった!〉

 

頭の中にレイくんの声が流れてきて、私は嬉しさのあまりに泣きそうになっちゃった。皆も同じく聞こえていたみたいで同じように泣きそうになってる。

 

「玲二君!良かったぁ無事で……ねぇ玲二君、今一体何処にいるの?!」

 

〈皆がライブを行った会場の楽屋だ。それよりも落ち着いて聞いてくれ……お前達は今誘拐されている〉

 

『誘拐ッ?!』

 

ど、どういう事?!なんで私達誘拐なんてされてるの?!

 

〈皆の乗ったバスを見送った後、俺達も自分達のバスに乗ろうとした時にバスの荷台から声がして開けてみたらお前等のバスを運転する筈の人が縛られてたんだ。おそらく犯人はお前等を誘拐する為に運転手を襲って成り代わり、皆を乗せた後そのまま誘拐したんだと思う。電話をしても通じなかったからこうして念話を試してみたが、なんとか繋がって良かった。フブキ、お前等は今何処にいるんだ?〉

 

「そ、それが……」

 

私は今皆が置かれている状況をレイくんに説明すると、レイくんは何かを考えてるかのように唸っている。

 

〈……成る程な、そいつは厄介だな……ちょこ、トワ、お前達の力でその精神世界を突破出来ないのか?〉

 

「ごめんなさい、私達も出来る限りの事はしたんだけど……」

 

「どうやら相手の催眠術の方がトワ達の力よりも上の力みたいで突破出来ないんです……しかもこの空間どうやら洗脳能力もあるみたいで、この世界にずっといれば記憶が改竄されてしまうんです……おそらく犯人の目的は皆から玲二さんに関する記憶を全て消す事かもしれないんです」

 

レイくんに関する記憶が!?そんなの絶対嫌だよ!折角レイくんの事を思い出せたのにまた忘れるなんて!そんな事絶対にさせないんだから!!

 

〈成る程……兎に角今この念話で感じたお前達の波動を探って位置情報を探ってみる。お前達もどうにかしてその空間から抜け出す方法を考えてくれ〉

 

「分かったよレイくん!必ず私達皆レイくんの元に帰るから待ってて下さい!」

 

〈ああ、絶対戻ってこいよ……〉

 

レイくんはそう言うと念話を切り、私達は再びこの世界を抜け出す為の案を考えてる事にした。

 

「けどこの世界から抜け出すって言っても……」

 

「確かに、その方法が分からないと話にならないよね……ねぇちょこ先、本当に何も方法がないの?」

 

「………一応ある、というよりはそれしかないっていうのが1つだけあるわ。それはこの世界を形成している術者を見つけて倒す事。これ程の空間を作るには術者本人もこの世界に入り込む必要があるから、それを見つけ出して倒す事が出来ればちょこ達も皆目を覚ます事が出来る筈よ」

 

「おぉーーーッ!それですよちょこ先生!で、その術者って一体何処に?」

 

「………それが分かれば苦労しないわ」

 

ですよねー?わざわざ犯人が私達の見える範囲にいるワケないもんねー。じゃあこの世界をしらみつぶしに探すしかないって事?!そんなの時間が掛かりすぎるよ!

 

「一応この世界では引き込まれた人物以外は存在出来ないから探しやすいけど、術者がそんな分かりやすい場所にいるとは思えないわ」

 

「そうだね、誰にも気づかれない場所に隠れているか、もしくは……誰かに成りすましているかだね」

 

「誰かに成りすます?」

 

「うん、此処は精神世界だから、術者もトワ達にとって身近な人物に化けて監視してる可能性もあるんだよ」

 

「え………それってつまりメルや此処にいるメンバーの中にもその術者って人がいる可能性があるって事?!」

 

「いいえ、それはないわ。此処にいるメンバーは既に術を破ってるし、もし演技だとしてもフブキ様達のような違和感を感じる演技なんてバレるリスクの方が高いから術者もしないと思うわ。そうね、例えば……ちょこ達皆と関わる事が多い人物に化けているとか。そうすれば皆を言葉巧みに誘導して記憶の改竄もしやすいしね」

 

………皆と関わる事が多い人物?でもこの世界にいるのって取り込まれた私達しかいない筈だよね?だったら……いやちょっと待って?そう言えばこの世界で会ったメンバーって全員本当にあのバスに乗ってたっけ?

 

 

 

……………いや、いた。1人だけあのバスに乗ってなかったのにこの世界にいる人が!

 

「皆、ちょっと着いてきてもらっても良いかな?」

 

「え?どうしたのフブキちゃん?」

 

「もしかして、何か分かったの?!」

 

「うん……私の記憶が間違いじゃなければ、あの人に術者が化けてると思う!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ?フブキさんにそら、それに皆さんも……一体どうしたんですか?」

 

「………ねぇAちゃん、私思い出したんだよね?昨日の夜、皆でバスに乗って帰る時に……Aちゃん、貴方は私達と同じバスに乗ってなかったですよね?」

 

そう、私が怪しいと思った人物……それはAちゃんだった。この世界は取り込まれた私達以外は存在出来ない筈、なのに私達とは別のバスに乗った筈のAちゃんがこの世界にいるのはおかしいんだよ!

 

「………なんの話ですか?昨日は皆さんそれぞれ各々の配信や収録をしてたじゃないですか?」

 

「貴方は私達を眠らせてこの精神世界へと引きずり込み、そして貴方自身もAちゃんに成りすましてこの世界へとやって来た。私達を監視するのと、皆の記憶からレイくんを消す為に」

 

「……確かに言われてみれば昨日のバスにAちゃんは乗ってなかったよね?」

 

「急に眠らされた事によってその辺が曖昧になってたけど、フブキ様はその事を覚えてたのね」

 

「………本当にどうしたんですか皆さん?さっきからワケの分からない事ばかり言って」

 

……やっぱりまだシラを切るつもりみたいだね。でも、それならボロが出るまで問い詰めるまでだよ!

 

「答えて下さい、貴方は一体何者何ですか?なんで私達からレイくんを引き離すような事をするんですか!?」

 

「そうだ余!早く余達を玲二様の元に返して!」

 

「いやだからさっきから何を言ってるんですか?!皆さん今日は何か変ですよ!?」

 

「そんな臭い芝居はもう良いから早くボク達をマスターの所に返してよ」

 

「そうだよ!メルは玲二君やレミィのいるあのホロライブマンションに戻らないと!」

 

「だから知りませんって!?何なんですか皆さん揃ってワケの分からない事ばっかり言って?!大体うちのスタッフに佐々木なんて名前の人はいませんって!!」

 

………今、ボロが出たね。

 

「……今貴方、自分でボロを出しちゃいましたね?」

 

「な、何をですか?」

 

「私達はレイくんとか玲二と名前で呼んでたんですよ?それなのに……なんで知らないとか言ってる筈のAちゃんがレイくんの苗字を知ってるんですか?」

 

「ッ!?」

 

そう、私達はずっとレイくんとか玲二と名前で呼んでいた。レイくんの苗字の佐々木とは誰も一言も言ってない!

 

「皆の記憶からレイくんに関わる記憶が消されたこの世界で、何で貴方はレイくんの苗字を知ってるんですか?!さぁ、答えて下さい!」

 

「し、知りませんって!?今のはその……そう!頭の中に急に浮かんだ名前を言っただけです!その玲二って人の苗字が佐々木だったのも知りませんし、只の偶然ですって!」

 

「そう……それならAちゃん、貴方がもし本物のAちゃんだって言うなら絶対に答えられる質問して良いかな?」

 

「な、何ですかそら……?」

 

「Aちゃん…………貴方の本名って何っていうの?」

 

「ッ?!」

 

此処まできて尚シラを切る偽Aちゃんにそらちゃんが更なる追い討ちをかけた。そうだ、友人AというのはAちゃんのアダ名に過ぎない。本当の名前を知ってるのは当然の事ながら本人、そして身内である私達だけ。これが答えられないワケがない、そう!本人だったら絶対に!

 

「え、えぇーと……わ、私の本名、ですか?」

 

「どうしたの?Aちゃん自分の名前なら当然分かるよね?だって自分の名前なんだから」

 

「でも貴方はそれが分からないんですよね?それが答えられないって事は………貴方はAちゃんじゃない何よりの証拠だよ!」

 

「ッ!?く、クソォッ!!」

 

「あぁッ!?逃げたよあいつ!」

 

私達に問い詰められた偽Aちゃんは逃げるように事務所から飛び出していく。絶対に逃がしたりしないんだからッ!!

 

「く、クソ!なんで俺の術が効かないんだ?!他の奴等は上手くいってたのに!?」

 

「何故だか知りたい?それはね……お前がトワ達悪魔の力を甘くみたからだよ!」

 

逃げる偽Aちゃんにトワちゃんは魔方陣を展開し其処から無数の鎖を出現させて身体を拘束していく。

 

「グエッ?!な、何だよこれはぁッ!?」

 

「貴方が何者か知らないけど、よくもちょこ達から玲二様を奪おうとしたわね?」

 

「そうだね、ボク久しぶりにキレてるから……お前、只で済むと思わないでよね?」

 

「あたしも、大切な思い出や家族を奪おうとしたあんたを許すつもりはないから」

 

「メル達の怒り、その身にしっかり焼きつけるといいよ……」

 

「覚悟しなよこの下郎……この余の刀で原形残らないくらい斬り刻んでやる余!!」

 

「私も、玲二君との思い出を消そうとした貴方を許すワケにはいかないよ!」

 

「この腐れ外道、貴方に慈悲なんて与えません……さぁ、お前の罪を数えろ!!」

 

「ヒィッ………ぎいぃやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーー…………ッ!!」

 

鎖に縛られた偽Aちゃんに対し私達はこれでもかというくらいボコボコにし、全てが片付いた頃には周りの景色も白くなっていって私達も其処で意識が途絶えていった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………う、うぅん…………ハッ!?こ、此処は………?」

 

気がつくと私達は何処かの病院らしき施設のベッドの上で寝ていた。頭には何やらヘンテコな装置、そして周りには眠ってる皆……という事は私達、現実に戻ってこれたんだ!

 

「皆起きて!寝てる場合じゃないよ!!」

 

「う、うーん……あれ、フブキ?どうしたの……てか何処此処?」

 

「あれ?僕達さっきまで事務所にいたような………?」

 

「あれ、そだっけ?うーん……なんだか記憶が曖昧だし何だか忘れちゃいけない事忘れてたような気がする……?」

 

良かった、取り敢えず皆目が覚めたみたい。けどまだなんか朦朧としてるみたいだけど大丈夫だよね?皆ちゃんとレイくんの事覚えてるよね?

 

「ね、ねぇミオ、レイくんや自分の子供の事覚えてる……?」

 

「?何言ってるのさフブキ、ウチがレイさんやマオの事忘れるワケないじゃん?」

 

「そ、そうだよね……良かった~、取り敢えず一安心だよぉ~」

 

「?」

 

一応他の娘達にもレイくんの事を聞くと皆ちゃんと覚えていて一安心しました……そして皆の目が覚めたのとレイくんの記憶があるかの確認をした後にちょこ先生と一緒に何が起こったのかを皆に説明していく。

 

「はあぁッ?!それじゃあ何?まつり達一瞬とはいえ夢の中で玲二君の事を忘れてたって事?!」

 

「しかもシオン達の記憶操作して玲二の事を永久的に忘れさせられそうになったなんて!?」

 

「ラミィと玲二さんの大切な思い出を奪おうとするなんて……そいつ絶対に許せない!それでフブキ先輩、そいつは今何処にいるんですか?!」

 

「う、うん、それなんだけどこの部屋にいるのはどうやら私達だけみたい。多分犯人は他の部屋にいるのかも……」

 

「ねぇちょっと!皆あれ見て!!」

 

皆が怒り心頭の中、スバルが慌てた様子で窓の外を見るように言ってきたので見てみると、其処には慌てて逃げ出す1人の男の姿、そしてその先には私達が乗っていたバスが停まっていた!

 

「あれってもしかして……間違いない!きっと私達の事を拐った犯人だよ!」

 

「えぇッ?!それじゃあこのままだとあいつに逃げられちゃうよ!?」

 

「ねぇかなたん!かなたんなら飛んで捕まえる事出来るでしょ?!ほら早く!!」

 

「いやムチャ言わないでよねねち!?まだ催眠ガスのせいで身体が上手く動かないんだから!」

 

そんなッ!?折角現実に戻ってこれたのにみすみす犯人を逃がすなんて……!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クソッ!!なんであんなあっさり俺の催眠術を破りやがったんだよあいつ等!?だがまだガスが効いてる筈だからまともに動けないだろ?今のうちに逃げて体制を立て直してやる!」

 

「悪いがそれは出来ないぞ?何故ならお前は此処で捕まるんだから」

 

「ッ?!だ、誰だいった……ッ?!」

 

バスに乗って逃げようとする犯人、そのバスの中から7人の女の子が現れ犯人の前に立ち塞がった。そう、その7人とはホロライブ6期生の秘密結社holoXのメンバーと元ホロライブのるしあとココであった。

 

「なぁッ?!な、何でお前達が此処に?!どうやってこの場所を特定したんだ?!」

 

「そんなのはお前には関係ない。それよりもお前……よくも吾輩のママ達に酷い事してくれたな?この落とし前はたっぷり受けてもらうぞ!」

 

「ワタシも家族を拐わレテかなり腹が立ってンダ、モウ日の目は見れナイと思いナァ!」

 

「皆はるしあにとって大切な家族……それを奪おうとしたお前に現世処か来世なんて与えてあげないんだから……永 遠 ノ 虚 無 ニ 誘 ッ テ ア ゲ ル」

 

「ひ、ひいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃッ!?」

 

とても女の子から放たれるようなものでないほどの尋常な殺気を受け、犯人はその恐怖のあまり失禁し泡を吹いて気絶してしまうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ラプちゃん!良かった、此処の場所が分かったんですね!」

 

「あぁ、パパが皆の居場所を感知出来たと聞いてすぐに駆けつけたのだ。それよりも、ママ達が無事で本当に良かったぞ……」

 

気絶した犯人を駆けつけた警察に引き渡した後ラプちゃんが私達の所に来て半泣きで私に抱きついてきた。ごめんねラプちゃん、それに皆にも心配かけちゃったね……

 

「フブキッ!皆ッ!」

 

「まんまぁ~!」

 

「ッ!レイくん!こゆき!」

 

すると私達の元に遅れてレイくんとこゆきを含めて一部子供達が私達の元に駆け寄って来てくれた。

 

「グスッ……まんまぁ……」

 

「ごめんねこゆき!一瞬とはいえ大切なパパやこゆきの事を忘れてしまうなんて……!」

 

「ままぁ……ふえぇん……」

 

「ごめんなカガリ!記憶が消されてたからってお前の事いるワケないなんて言っちゃってごめんなぁ!」

 

「皆、遅れて本当に済まなかった。子供達もママが拐われたと知ってずっと泣きじゃくってたけど、兎に角皆無事で良かった……」

 

レイくんも私達が無事だったと分かりホッと胸を撫で下ろしてる。でも本当に良かったぁ~、もしちょこ先生とトワ様が魔法を掛けてくれてなかったら私達の記憶も失くなってたかもしれなかったし、ともあれこれで皆一緒に帰れますね♪

 

「じゃあ皆、島に帰ったら念の為病院行って見てもらおうな?もしかしたら副作用とかもあるかもしれないしな」

 

『はーい』

 

「よし。それじゃあ帰るか、ホロライブタウンに」

 

「はい!皆で一緒に帰りましょう、レイくんと私達の大切な居場所に♪」

 

こうして私達の誘拐事件は幕を閉じました。そして私達はホロライブタウンに戻った後1日検査入院をしましたが異常なしを診断され無事に我が家に帰れました。やっぱり皆がいる我が家が一番ですねぇ~♪

 

あ、それと例の犯人ですが、話によると私達ホロライブの熱狂的なファンだったらしいのですがどうも私達がレイくんと結婚したのが気にくわなかったらしく、私達を拐ってレイくんの記憶を消した後に自分との偽りの記憶を刷り込んでホロライブごと私達を自分のモノにしようとしていたみたい………本当にそうならなくて良かったぁ~……




はい、という事でフブキ達の悪夢脱却回でした!実はこの話は前々から考えてはいましたが書くタイミングをずっと逃してました(汗)

最後にちょっと最近感じた事についてのアンケートを行いたいと思いますのでよろしければお答え下さい。

次回もまったり書いていきますので気長に待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第62話『ロボ子の過去』

ライトニングZとアメイジングストライクフリーダムが定価で買えてテンションが上がりましたが来月のID払いの事を考えると少し萎えてしまいました……(泣)

今回はガンプラ無しです。ロボ子の知られざる過去が明らかに……?!最後まで見て頂けると有難いです、ではどうぞ!


「……え?ボクに会いたい人がいるって?」

 

「ええ、私達も何度も断ったのですが相手の方が一度で良いから会わせてほしいと懇願されてまして」

 

仕事の為に本土にある簡易事務所にやってきてた俺とロボ子だったが、その途中で新人スタッフの『春先のどか』からロボ子に会いたがってる人がいると言われたのだった。

 

「なんだそれ?そんなの普通なら無理だって分かる筈なのに……因みに一体どんな人なんだ?」

 

「えぇーと……二人組でおそらく夫婦ですかね?年齢は初老くらいかと」

 

初老の夫婦?ファンにしては結構な年齢だが、それにしたって夫婦で来るのもおかしいよな?なんか怪しそうだし、会わずに帰ってもらうのが正解だろうな。

 

「済まないが春先、やっぱり流石に一般人においそれとアイドルと会わせるワケにはいかないから丁重にお断りして「マスター、ボクは会っても良いよ?」ってロボ子?!」

 

「だってその人達わざわざ夫婦揃ってボクに会いに来るって事はそれなりの用事があるって事じゃない?それに万が一襲われる事があってもボクなら撃退出来るし、いざとなったらマスターが助けてくれるでしょ?」

 

………全く、普通ならダメだって言いたいところだがロボ子は結構頑固だから多分俺が何言っても相手の所に行くつもりだろうな。仕方ないか……

 

「……分かった、けど危ないと判断したらすぐに連れて逃げるからな。春先、相手は客間か?」

 

「は、はい!今はお茶をお出ししてお待ち頂いてます!」

 

「ん、分かった。それじゃあ行くぞロボ子」

 

「はーい♪」

 

さて、一体どんな人が待ち構えているのやら?まあ危なくなりそうならロボ子を連れて逃げないとな……っと、そんな事考えてたらもう客間の前に着いたな。まあまずは俺だけ入って様子を見るか。

 

―ガチャッ―

 

「お待たせしました、ホロライブスタッフリーダーの佐々木と申します。先程別のスタッフからお話を伺いました、なんでもわが社に所属するアイドルに会いたいとの事でしたが……?」

 

「ッ!?貴様か!杏奈を誑かした男というのは!貴様だけは……貴様だけは絶対に許さんぞぉッ!!」

 

―ドゴオォンッ!―

 

客間に入り名前を名乗って要件を確認しようとした瞬間、いきなり目の前の初老の男性に掴まれおもいっきりぶん殴られてしまった。

 

「ウグッ?!い、いきなり何を……!?」

 

「あ、あなた!?ちょっといきなりなんて事してるんですか?!」

 

「黙れッ!!このクズ野郎、よくも私達の愛する娘にアイドルなんてやらせた上に自分の性欲の捌け口にしやがって!」

 

グッ……!?い、一体なんだこの人?!いきなり殴ってきたかと思ったら胸ぐら掴んできやがった!?てかなんだよクズ野郎って?!

 

「お、落ち着いて下さい!そもそも杏奈って一体誰の事ですか?!うちの事務所にそんな名前の娘は所属してないんですが……?!」

 

「惚けるな!お前達の事務所にロボ子と名乗る娘がいるだろうが!それが私達の娘だッ!!」

 

…………………え?ロボ子?どういう事だそれ?この人達が言う杏奈ってロボ子の事なのか?と、兎に角話をする為にも一旦手を放してもらわんと……

 

「た、確かにうちの事務所にはロボ子は所属してます。貴方達はロボ子のご両親なのですか?」

 

「そうだ!あの娘は私達の……死んだと思っていた最愛の娘杏奈だッ!!」

 

「え、死んだって………分かりました、今本人も連れて詳しいお話を聞かせて頂きましょう。少しお待ち頂いてよろしいでしょうか?」

 

「え、えぇ勿論です。貴方、気持ちは分かるけど一旦手を放して下さい」

 

「……………分かった、だが逃げたらただでは済まさんぞ」

 

良かった、取り敢えずは話を聞いてくれそうだ。兎に角ロボ子も入って来てもらって詳しい話を聞かせてもらうとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お、おぉ……杏奈!本当に杏奈なんだな?!」

 

「杏奈ッ!良かった、貴方が生きていてくれて良かった……」

 

客間の外に待たせていたロボ子を部屋に入れると、ロボ子のご両親を名乗る二人がロボ子に詰め寄りロボ子を抱きしめ涙を流していた。端から見れば親子の再会にも思えるが…………

 

「……………ねぇマスター、この人達一体誰なの?」

 

「ッ?!な、何を言ってるんだ杏奈?ほら、お前の母さんだぞ?」

 

「あ、杏奈?どうしちゃったの一体?お父さんとお母さんの顔忘れちゃったの……?」

 

………やっぱりロボ子には何の事だか分かってないみたいだな。そりゃそうか、ロボ子には俺と出会う前の過去の記憶が一切ない状態だもんな。

 

「あー……ごめんね、貴方達が一体誰なのか本当に分かんないんだよね。ボク、マスターに助けられた後の記憶しかないからそれより前の記憶が全然ないの」

 

「そ、そんな……?!」

 

「な、なんという事だ……!?」

 

二人の事を全く知らないというロボ子に二人はショックで崩れ落ちてしまった。奥さんに至っては顔を手で被いながら号泣してしまってる。

 

「……ロボ子は7年程前に撮影の為に訪れた廃墟で発見しました。見つけた時は身体の半分近くが故障して機能停止寸前だったので我々が回収し修理したのが始まりです」

 

「……ちょ、ちょっと待て?!故障?機能停止?修理?一体どういう事だ?!その言い方だとこの娘がまるでロボットみたいじゃないか!?」

 

「ええ……正確にはロボ子の身体の6割近くは機械化されたサイボーグです」

 

「そんな………そんなの嘘よッ!この子は普通の人間よ!ロボットだなんて……?!」

 

「嘘じゃないよ、ほら」

 

「「ッ?!!!!?」」

 

俺の言葉を信じられないと否定する二人にロボ子は自身の左腕を外してみせる。外した左腕もロボ子の意思で動いており、それを見た二人は顔が真っ青になり奥さんはそのまま泡を吹いて気絶してしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………つまり、貴様が見つけた時にはこの娘は既にロボットだったという事か?」

 

「ええまあ、正確にはサイボーグですが……」

 

あれから30分程経ち漸く二人とも落ち着いてくれたのか話を聞いてくれるようになってくれた。にしてもこのご両親?もロボ子がロボットだって事を知らなかったなんてな……

 

「……てか貴方達、本当にボクの両親なの?なんか実感が湧かないんだけど」

 

「ッ!?何を言ってるんだ杏奈!お前は私と幸奈にとってたった一人の大切な娘だぞ!?」

 

「いやそんな事言われたって……」

 

「……すみません、ロボ子は「その呼び方は止めろッ!!」……失礼しました。杏奈さんは7年程前に助けてからの記憶しかないようなので、もしよろしければ杏奈さんの事、詳しく教えて頂けませんか?」

 

「………分かった。私達としても状況整理はしておきたいからな」

 

まだ相当困惑しているようだけど、取り敢えず話はしてくれるみたいだ。一体ロボ子……いや、杏奈に一体どんな過去があったんだ?

 

「……私達上山家は東北の田舎町に暮らしていたんだ。家庭は然程裕福とは言えないくらいではあったが、それでも家族三人でいつも笑いながら生活をしていた。ところが8年前、杏奈は都内の進学校に通う事になって、私達の元を離れて一人暮らしをする事になったんだ。杏奈はバイトを探しながら一人でも頑張ると言って出ていってしまったんだが………その3ヶ月後、警察から杏奈が友人にバイトに行くと言ったきり帰って来ないと連絡があった。そして行方不明の捜索願いを出したんだが、結局見つかる事もないまま杏奈は死亡したものという扱いになってしまったんだ………」

 

「そんな事が………」

 

「だが私達はそれでも諦めきれなかった!もしかしたら娘はまだ何処かで生きてるんじゃないかって………そんなある日、ふとネットニュースを見ていたら死んだと言われた杏奈が写っていて、其処には子供を出産したという内容のニュースを見つけたんだ!何度も画像を確認したが間違いない、この娘は私達の娘だと!娘は生きてたんだと!」

 

成る程、そのニュースを見て俺達が娘を拐いアイドル活動を強要したもんだと思い込んでしまったって事か。けどもしそれが本当なら、この人達の娘の杏奈が行方不明になりその後俺が発見してロボ子になるまでの合間に一体何があったんだ?

 

「………事情は分かりました。ですが先程も申した通り我々が杏奈さんを見つけた時には既に身体の半分近くは機械化されていまして、その後アイドル活動をしているのも本人の意思によるものです」

 

「そんなの信じられるか!?貴様等が杏奈を拐って勝手に機械化させて洗脳したんじゃないのか!?」

 

「ッ!?ふざけないでよ!マスターはボクを助けてくれた命の恩人なんだよ!そんな事するわけないじゃんッ!大体お前達こそ本当にボクの両親なの?!そんな証拠何処にもないじゃん!それにさっきからボクの事杏奈って呼んでるけど、それ単純にボクと死んだ娘さんが似ているってだけじゃないのッ?!」

 

「な?!何を言ってるんだ杏奈「ボクはそんな名前じゃないッ!ボクには佐々木ロボ子っていう名前があるんだッ!ボクをあんた等の死んだ娘さんと重ねるのは止めてよッ!!」ッ!?そ、そんな………」

 

男性はロボ子から明確に拒絶されその場で崩れ落ちてしまった。まあ娘が生きてたと思ってたのにその娘に此処まで拒絶されればそりゃショックだよな……けど、俺にはこの人達が嘘を言ってるとは思えないし、何よりロボ子には本人にも分からない過去があるのには違いない……これは少し調べる必要があるな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈………成る程、ロボ子さんの秘密についてか〉

 

「ああ、こんな事義兄さんに聞くのも申し訳ないけど、なんとか調べられないかな?義兄さんって人脈が広いし、もしかしたら何か知ってるんじゃないかと思って」

 

俺はロボ子の両親を名乗る二人を近くのビジネスホテルに泊まらせ、ロボ子と共に義兄さんにロボ子の過去について調べてもらうように頼む事にした。今まではロボ子の過去については本人も気にしてなかったから調べようともしなかったが、こうなった以上知らぬ存ぜぬという訳にはいかないからな。

 

〈実はそれについては僕達も既に調べていたんだ。流石にロボ子さんの素性までは分からなかったけど………今の玲二君の話を聞いて大分確証が持てたよ、なんせ辻褄が合う部分もあるしね〉

 

「そうなのか?!それで、一体何が分かったんだ?」

 

〈………君達はアークアイコーポレーションって知ってるかな?〉

 

「アークアイコーポレーション?それって確か世界でも有数の大手家電メーカーだよね?」

 

ああ、俺も聞いた事はあるな。アークアイは世界を繋ぐというキャッチコピーを掲げていて今や世界中の多くの人に愛される大手家電メーカーだ。けど確か昔日本にも支部があったんだがいつの間にか撤退してたんだよな?

 

「で、その家電メーカーが一体どうしたの?」

 

〈うん、実はロボ子さんの壊れてたパーツを君の友人のカズマ君から受け取って調べたんだ。そしたら……ロボ子さんの身体に使われていたパーツの殆どがアークアイ製の部品だったのが分かったんだ〉

 

「なんだってッ!?」

 

どういう事だよそれ?!なんで家電メーカーの部品がロボ子の身体に使われてるんだよ!?カズマから聞いたが修理する前のロボ子の身体には軍事兵器と思われる部品の破片もあったって言ってたぞ!?

 

〈そう、そしてその後の調べで分かったんだけど……実はアークアイは表向きは家電メーカーとして事業展開しているが、実際は裏では軍事兵器を量産しているかなり過激な軍事工業だったんだ〉

 

「「軍事工業ッ?!」」

 

なんだよそれ?!それってつまりロボ子は其処で作られた兵器って事なのか?!なんだよその非人道的な組織は!?

 

〈其処から僕達はいろいろと調べてみた結果、ある1つの実験が行われていた事が分かったんだ。それが、ヒューマノイド計画だ〉

 

「ヒューマノイド計画……?」

 

〈ああ、人間の四肢を機械化しそして脳の一部をコンピューターと接続するようにする事で工作員としても戦闘員としても行動出来る万能な兵士を作ろうとしていたんだ。そしてその実験の過程で生まれたのがRBK-00という少女型の兵士だったんだ〉

 

「RBK-00……まさかそれって!?」

 

〈そう、おそらくロボ子さん、君の事だ〉

 

なんて事だ……今までロボットとはいえ普通の女の子だと思ってたロボ子が実は戦争の為に作られた兵器だったなんて……

 

〈更に君達の元にやって来た上山夫妻、そして上山杏奈さんについても今調べてみたんだけど、これも驚くような情報だった。今から8年前、まだ当時あったアークアイ日本支部にオペレーターのバイトとして参加していた娘が突如行方不明になる事件があったんだ。その被害者こそが、上山杏奈さんという訳だ〉

 

「………つまり上山杏奈さんは8年前にそのアークアイによって兵器へと改造されてしまい、その後何らかの形で破棄されてしまってた処を偶々俺が発見したって事なのか?」

 

「そしてボクは記憶を失くしていて、マスターにロボ子って名前をもらってホロライブに入ってアイドルをするようになったって事なんだね?」

 

〈そう考えるとかなり辻褄が合うね〉

 

そういう事だったのか……にしてもそのアークアイって会社、とんでもない会社だな!人を拐って勝手に兵器に改造して、挙げ句に不必要になったらポイ捨てかよ?!

 

〈けどまだこれは憶測に過ぎない点も多い。僕はこれからまたいろいろと調べてみようと思うよ。丁度今アークアイとの商談もあったし、奴等の素性も暴かないとね〉

 

「……分かった、忙しいところ有り難う義兄さん」

 

〈良いって、大切な義弟とその奥さんが困ってるんだから協力するのは当たり前さ。それに、アークアイは前々から僕の会社を乗っ取ろうとしてるって噂もあったし、これを機に奴等を徹底的に叩こうと思うよ。それじゃ、何か分かったら連絡するよ〉

 

………まさかのとんでもない事態になってしまったな。ロボ子の過去にそんな凄まじい経歴があったなんて、流石に想像つかなかったぞ?

 

「そっか……ボクは元々戦争の道具として生み出されたんだ……」

 

「ロボ子…………仮にそうだとしても、今のお前は俺達の大切な仲間であり家族だ。もしお前の身に危険が迫ってくるっていうなら、俺はお前の事を全力で守ってみせる、絶対にな」

 

「マスター………うん、有り難うマスター。貴方がボクのマスターで本当に良かった♪」

 

俺も、ロボ子に出会えて良かったと思ってる。だからこそ、この先何があろうとも必ずロボ子の事を守り抜いてみせるさ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―その頃……―

 

「…………所長、RBK-00の所在が分かりました。どうやら奴は今日本でロボ子という名前でアイドル活動を行ってるようです」

 

「アイドル活動だと?フンッ!兵器の癖に何がアイドルだ!?所在が分かったんだったらさっさと連れ戻してこい!抵抗するなら死なない程度に痛めつけろッ!!」

 

「ハッ!!」

 

「全く、試作品のクセにワシ等に迷惑かけよって!だがこれでまたワシの野望に一歩近づくワケだ……グフフフ、グワァッハッハッハッハッハァーーーーーッ!!」

 

薄暗い研究所の一室で一人の男が不気味に高笑いをしている。その回りにはバイザーで目を隠して沈黙している女の子達、そして謎のカプセルの中にまるで眠ってるように封印されている女の子がいた。一体此処で何が行われているのだろうか…………?

 

 

次回、ロボ子の身に危機が迫る……!?




はい、という事でロボ子の両親?登場、そしてロボ子の過去についての回でした!果たしてこの二人は本当にロボ子の両親なのか?そしてロボ子を狙う怪しい影は一体……?

といったところでその続きは次回書きます。次回もまったり待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第63話『明かされるロボ子の真実』

はい、後編です。少し後悔してます。前後編で分けましたが後編が長くなってしまい、これなら三部に分ければ良かったと思ってます(泣)

取り敢えず今回でロボ子の真実が明かされます、最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


ロボ子の過去が明らかになった翌日、俺は上山夫妻を送る為にロボ子と共に東京駅へとやって来ていた。昨日の事もあってかロボ子は上山夫妻と喋るどころか目もあわせようとせず途中までずっと気まずい空気が流れていたが、ロボ子もいい加減機嫌を直してもらいたいんだがな……

 

「……では、我々は此処で。もしロボ子……いや、杏奈さんの記憶が戻った場合は速やかにご連絡致します」

 

「ああ、そうしてもらえると助かる……それと、昨日は君に大変失礼な事をしてしまった。杏奈の命の恩人である君を殴ってしまって、本当に申し訳ない」

 

「いえ、父親なら子供が危ない目にあってたらほっとけないのは当然です。私も娘達に何かあったら相手に同じような事をしてたかもしれませんし……」

 

俺ももしラプラスやこゆき達が同じような目にあってたら間違いなく相手に制裁を加える気がするしな。子供を想うのは親として当然だし、この人もそのせいで少し暴走してしまっただけだから俺はもう気にしてはいない。

 

「では、私達はそろそろ帰るとする。これが私達の連絡先だ、何かあったら連絡をくれると助かる」

 

「分かりました、何か発展が有り次第必ずご連絡を差し上げます。ほらロボ子、お前も何か言いな」

 

「…………別に、ボクはまだ貴方達がボクの両親だなんて信じてないんだから」

 

「コラロボ子ッ!お前まだそんな……!?」

 

「だから、ちゃんと確証を持てるようになったら……その時はちゃんと謝るよ。それまではまだ気持ちの整理とかもしたいから」

 

「杏奈……いや、ロボ子さん。私達こそ君を娘だという確証がないのに申し訳なかった。これからも君の活躍を応援するよ。じゃあ幸奈、行こうか」

 

「はい、あなた……ウゥ……」

 

……やっぱりまだそんな簡単にわだかまりは消えないか。けどいつかちゃんと親子としてまた一緒に笑いあえる日が来ると良いな。その時はメルトも一緒に…………………ん?なんだこの気配は?何か嫌な感じがする……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「其処の四人、動くな」

 

『ッ?!』

 

な、なんだいきなり?!いつの間にか俺達の周りに変なバイザーを着けた女達が俺達を囲って銃を突きつけてる!?いきなり現れて、何なんだこいつ等は!?

 

「……マスター、試作型RBK-00を発見しました。直ちに回収を行います。それで、一緒にいる奴等は如何致します?………分かりました、すぐに対処します」

 

リーダー格であろう女が何処かに連絡をすると再び俺達に銃を向けてくる。RBK-00って、ロボ子の事だよな?という事はこいつ等、アークアイコーポレーションの刺客か!?

 

「貴方達には申し訳ありませんが、マスターからRBK-00に関わった者を全て始末しろとのご命令です。従って貴方達には此処で処分させて頂きます」

 

「マスター………お前等はそいつの命令でロボ子の事を拐いにきたのか?そいつはアークアイの人間か?」

 

「………貴方、アークアイの事もご存知でしたか……なら尚更、貴方を生かしておくわけにはいけませんね」

 

アークアイの名前を出した瞬間、こいつ等の殺気が一気に鋭くなったな……ロボ子も上山夫妻も唐突な出来事でかなり怯えてしまってるし、此処は一度逃げるか。

 

(上山さん、今から逃げますから俺の服に掴まってて下さい。ロボ子、お前も掴まっててくれ)

 

(え、逃げるってどうやって……?!)

 

(良いから早く!)

 

(あ、あぁ……)

 

……よし、ロボ子も上山夫妻も掴まってくれたな。なら……

 

「何をこそこそ話してるんですか?どうせ貴方達はもう助からないのだから無駄な抵抗は無意味ですよ?」

 

「悪いな、俺達は此処で死ぬつもりもなければロボ子を渡すつもりもない。だからさっさと帰らせてもらうぜ」

 

「………貴方、よっぽど馬鹿なのですね?もういいです、時間の無駄なので死になさい」

 

相手が銃を構え引き金に指を掛けた。けど、俺にはそんなの通用しない!

 

 

 

―バキュウゥンッ!―

 

―シュンッ……!―

 

「なぁッ?!」

 

奴が引き金を引く直前に俺は三人を連れて転移しその場を離れた。おそらくかわした弾は俺等の後ろにいた奴に被弾したかもしれないが、命を狙われてる以上流石にそんなの気にしてられない。このまま三人を連れてホロライブタウンへと移動すれば取り敢えず奴等は追ってこれない筈だから一先ずは安心だな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………マスター、試作型RBK-00と他三名が突如消失しました。その際にかわされた弾丸がRBK-134に被弾、機能停止してしまいました…………はい、分かりました。ではプランBに移行します」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから俺達は無事にホロライブタウンへと戻り一息つく事が出来た。最初は上山夫妻も俺の能力に驚いていたが、命を狙われてる以上この島にいた方が安全なので暫くは父さん達の家で保護する事にした。にしてもあいつ等、一体なんのつもりでロボ子を誘拐しようとしたんだ?

 

「ロボ~、大丈夫?何処も怪我してないのら?」

 

「うん、ボクは全然平気だよ。心配してくれてありがとルーナ♪メルトも遅くなってごめんね~?」

 

「あ、あうゆぅ~」

 

うん、ロボ子も漸く落ち着きを取り戻したみたいだし、義兄さんも奴等の事を調べてくれてる筈だからほとぼりが冷めるまでは暫くこの島から出ない方が良いな。

 

「それにしてもロボ子さんやレイくんを襲った人達って一体何者なんですか?」

 

「そうそう、確かアークアイの刺客だっけ?なんでそんな大手家電メーカーがロボ子さんを拐おうとしたりレイさんを殺そうとするのさ?」

 

「………それは………」

 

………果たしてこれは言って良いものか?これに関してはロボ子の産み出された理由とかにも関わってくるからあまりにも言いづらいんだが………

 

「……それに関してはボクが説明するよ」

 

「ッ?!ロボ子、お前……」

 

「マスター、ボクなら大丈夫だよ。それにこれからも皆と一緒に暮らしていく為にも、ボク自身の秘密を皆にも知ってもらわないと」

 

…………そうか、それなら俺からは何も言えないな。ロボ子も覚悟を決めているし、それに皆も例えロボ子が何者だろうときっと受け入れてくれる筈だ。

 

そしてロボ子は自分の過去の事、そしてアークアイの秘密について皆に話すのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何それ?!それってつまりロボ子さんが元々兵器型の人造人間で、しかもそれを作ったのがアークアイって事?!」

 

「自分達の兵器開発の為に人を拐って勝手に改造するって、なんて非人道的な奴等なの?!人の命を一体なんだと思ってんのさ!?」

 

「そんな事の為にロボ子先輩がこんな目に合わないといけないなんて、そいつ等絶対に許せないよッ!!」

 

ロボ子の話を聞いて皆がアークアイに対して激しい怒りを抱いていく。人を拐って人体改造を施すような非道な奴等なんて誰だって許せはしないからな。

 

「皆ごめんね、知らなかったとはいえ皆の事今まで騙してたみたいで………」

 

「ロボ子先輩が悪い事なんてないよ!悪いのはアークアイの連中だよ!」

 

「そうよ、寧ろロボ子様は被害者じゃない!?ロボ子様が気に病む必要なんかないわ!」

 

「例えロボが兵器だったとしてもルーナ達が家族なのには変わらないのらぁ~ッ!!」

 

「皆………ホントにありがとう」

 

うん、心配はしてなかったが過去の事を知ってもやっぱりロボ子の事を受け入れてくれたな。やっぱり皆優しい俺の自慢の仲間であり良き奥さん達だ。

 

 

 

 

 

「ねえご主人大変だよッ!!ちょっとテレビ見てよッ!!」

 

?どうしたんだあくあ、そんなに慌てて……ん?緊急速報……ッ?!こ、これは……!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈……繰り返します。本日未明、東京都にあるホロライブ運営窓口が何者かによって襲撃されました。現在怪我人等は確認されておりませんが、この窓口で働いている春先のどかさんが行方不明となっております。警察では現在調査中との事で……〉

 

「これ、さっきまでボク達がいた仮事務所だよね?」

 

「ああ……あいつ等、ロボ子を拐えなかったからって俺達の仮事務所を襲撃したのか!?」

 

なんて奴等だ!?ロボ子を拐う為なら手段なんて選ばないって事かよ?!こいつ等一体何処まで汚い事すりゃ気が済むんだ!?―ジジッ……―ん?な、なんだ?

 

―ジジッザーザー……プツンッ―

 

〈……RBK-00、お前の仲間は預かってる。返してほしくば今から指定する場所に必ず一人で来い。もし誰か一人でも連れて来たり関係のない者が来た場合、そいつとこの女を始末する。時間は明日の正午、お前が賢い判断が出来る事を期待しているぞ………〉

 

電波ジャック!?しかもこいつ、さっき俺の事を撃ち殺そうとした女!?しまった、ロボ子と上山夫妻を逃がす為に必死で春先達の事すっかり忘れてしまってた!?奴等春先を人質にしてロボ子を連れ去る気か!

 

「どどど、どうすんのレイくん?!このままじゃのどかさんの命が危ないですよぉ!?」

 

「かといってロボ子さんを差し出す訳にはいかないじゃん?!ねぇ玲二、なんとかならないの!?」

 

………確かにこのままではロボ子か春先、どちらかの命が危ない。しかしどうする?もし俺達も一緒に行ったらその時点で春先の命はない。かといってロボ子だけを行かせてしまうと今度はロボ子が危険に晒される。それにロボ子が一人で行ったところで奴等が素直に春先を解放するとはとても思えない。

 

「………マスター、ボクは行くよ。のどかさんを危険に晒すワケにはいかないもん」

 

「そんなッ?!ダメですよロボ子さん!そんなの相手の思うつぼですよ!?もうこうなったら皆で行ってのどかさんを助けましょうよ!」

 

「いやフブキ、さっき相手も言ってたけどロボ子一人じゃないと春先の命が………待てよ?」

 

………………そうだ、この手があった。この間俺が練習したあの力を使えばロボ子も守れて春先も救えるかもしれない!

 

「……………よし、フブキの言う通りだ。此処は皆で一緒に行くぞ!」

 

「マスターッ?!そんな事したらのどかさんが……!?」

 

「そんなのは分かってるさ。勿論、道中はロボ子一人で行ってもらうけどな」

 

『?』

 

「いいか皆、よく聞いてくれ。まず内容としては………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―翌日―

 

「…………此処だよね?指定された場所って」

 

翌日、結局ボクは“一人”でのどかさんを拐った奴等が指定した場所へとやって来ていた。其処は日本海側に浮かぶ小さな島で、草木等の自然物はなく崩れた瓦礫が散らばるだけの古びた人工島みたいだ。かなり悲惨な事になってるけど元々此処は一体どんな場所だったんだろう………?

 

「……来ましたねRBK-00。どうやら約束通り一人で来たみたいですね、感心です」

 

「ッ!お前はあの時の……いや、それよりものどかさんは何処にいるの?約束通りボクが一人で来たんだから早く彼女を解放してよ!」

 

「まあ落ち着いて下さい。心配しなくても人質は解放してあげますよ。こちらです、ついて来なさい……」

 

………この女、一体何者なんだろう?いきなりボクの背後に現れたりしたし、それに昨日囲まれた時も感じたけど、この感じ……まるで“ボク自身と対峙している”ような感覚だった。一体なんなんだろうこの感覚は………?

 

「……ねぇ、一つ聞いて良い?君は一体何者なの?どうしてボクの事を執拗に捕まえようとしたの?」

 

「それについてはマスターが教えてくれます……まあ、一つだけ教えてあげましょうか?」

 

そう言うと女はバイザーを外して素顔を見せてきた……………ッ?!な、なんで、どういう事………ッ?!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……私は『RBK-773』、貴女と同じ造られた兵器です」

 

晒されたその素顔は“ボクの顔と全く同じ顔”だった。ど、どういう事?!なんでこいつ、ボクと同じ顔をしてんの?!

 

「フフ、困惑してますね?でも大丈夫、マスターと会えばその答えもすぐに分かります。さぁ、こっちです」

 

……………正直今頭の中がこんがらがってる状態だ。だってまさか自分と同じ顔の人間?がボクの事拐おうとするなんて考えつくワケないじゃん!?ホントにどうなってんのこれ?!

 

……そんな混乱するボクを他所にRBK-773と名乗る女はどんどん先へと進んでいく。辿り着いたのは島の中心部に位置する所にポツンと建ってる崩壊しかけの廃墟だった。何故こんな所に?

 

「マスターはこの地下にいます。勿論貴女のお仲間も一緒にいますので、貴女がマスターと対面次第解放して差し上げます」

 

そう言うとRBK-773は廃墟の中に入りその奥にある扉を開けると下へと続く階段があり降りていく773の跡をボクも追いかけていく。それにしてもこの階段、結構奥まで続いてるけど一体何があるんだろ………って思ったらいつの間にか広い空間に着いてた。此処は一体………?

 

「マスター、RBK-00を連れて来ました」

 

「ご苦労だったなRBK-773よ。お前は下がって良いぞ」

 

「ハッ」

 

ッ?!男の声………こいつが773がマスターと呼んでた奴かな―パァッ!―ウッ!?眩し………………ッ?!!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よく戻ってきたなRBK-00!散々手間をとらせやがって!!」

 

部屋の電気がつくと、其処はかなり広い研究所なのか工場なのかよく分からない場所だったけど、その中央の高台に声の主と思われる見るからに悪そうな男が嫌味ったらしくボクを睨んでいた。それに…………部屋の奥には銃を構えて待機しているボクそっくりな女が何百人もいた!ど、どういう事なのこれは?!

 

「フフフ、驚いているようだな?どうだ凄いだろう!これが私の至高の傑作『ヒューマノイドRBKシリーズ』の軍隊だ!」

 

「RBKシリーズ……?!もしかしてお前、こいつ等を量産しているの!?」

 

「そうだ、この私!Dr.ゴーマンが長年掛けて造り上げた究極の生体兵器、その集大成とも言えよう!!」

 

Dr.ゴーマン……こいつがこの軍隊を作ったの?!にしてもゴーマン……傲慢ってモロそのまんまだね?

 

「……にしても生体兵器だとしてもこの数、一体どうやって造ったのさ!?まさかボクのように誰かを拐って改造したんじゃ……?!」

 

「ふん!馬鹿かお前?!そんなコスパの悪い事するワケないだろう!こいつ等は全員クローンだ!」

 

クローン!?それってつまり同じ人間のDNAを複製して造ったって事?!人を拐って改造するのもそうだけど、こいつ何処まで非人道的なの?!

 

「クローン……という事はこいつ等はボクを複製して造られたって事なの?人の身体を改造するだけじゃなくてこんな複製までするなんて!!」

 

「あ?試作型のクセに何を生意気な事を言ってる?それに何を勘違いしている?改造案こそはお前の改良を施しはしたがこいつ等はお前をベースに産み出したワケではない」

 

「?どういう事なの?だってこいつ等はボクを………上山杏奈を元に造られたんじゃないの?」

 

「何?…………そうか、そういう事か。ククク、どうやらお前、何処で知ったかしらんが自分の事を上山杏奈だと思い込んでるようだな?なら見せてやろう……」

 

?ボクが自分を上山杏奈だと思い込んでる?どういう意味なのそれ…………?あいつの横に床からカプセルが出てきたけど…………ッ?!そ、そんな………まさかあれって!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「見よ、これがヒューマノイドRBKシリーズの大元になった被験体!お前達のオリジナルの上山杏奈だ!!」

 

そのカプセルに入っていたのはボクと、そしてこのRBKシリーズと呼ばれる奴等と同じ顔をした女の子が培養液に浸かりながら眠っている姿だった!な、なんで?!本当にどうなってんのこれ?!

 

「ふん、混乱しているようだな。なら教えてやろう!あれは8年前の事だ………私達アークアイの兵器開発部門はかつてから考えていた人間と機械を融合した生体兵器を開発していた。これが成功すれば工作員としては勿論戦争にも利用する事が出来我がアークアイはもっと発展すると!しかし、殆どの場合は失敗に終わった……機械の高出力なエネルギーに適合出来ない人体だと身体がついていけなくなって崩壊してしまったのだ」

 

そんな?!それじゃあこの馬鹿らしい実験の為にこいつ等は多くの人の命を奪ったっていうの?!

 

「そんなある日、我々の研究内容を知ってしまった奴がいた。それが上山杏奈というワケだ。奴はバイトのクセに我々の研究内容を知った瞬間世間に告発すると馬鹿な事を言い出し出ていこうとしたのだ」

 

「いや馬鹿な事って、そんな非人道的な研究なんて普通なら誰だって告発するに決まってるじゃん!馬鹿はお前の方じゃん!」

 

「黙れッ!我々の研究はいずれ世界を征する素晴らしいモノなのだ!だから私は上山杏奈を捕獲し研究材料として利用する事にしたのだ。すると前段階の検査で素晴らしい結果が出た!右腕だけを改造したがその結果、今までの被験体なんかと比べ物にもならない程の機械との適合率を叩き出したのだ!そう、彼女こそ私が理想とするヒューマノイドに相応しい適合者だったのだ!!」

 

そんな……告発しようとしたら人体実験に使われるなんて……!

 

「だが私は考えた、このまま彼女を改造するだけで良いのかと?もしこの先彼女のような適合者が現れる保証はあるのかと?其処で私は閃いたのだ!なら作れば良いじゃないかと!だから私は彼女を利用しこの培養カプセルに閉じ込め遺伝子をコピーしクローンを造り出した!それが試作型RBK-00、お前だ!!」

 

「そ、そんな………じゃあボクもこいつ等と同じ、造られた存在って事なの………?」

 

それじゃあマスターと出会った時に記憶がなかったのも忘れてしまったんじゃなくて元々なかったって事?じゃあボクって本当に最初から戦争目的の兵器として産み出されたって事……?

 

「そうだ、そしてクローンは見事に成功しすぐに改造を施した!だが、其処で事件が起きてしまった。お前を起動した際にエネルギー過多が発生し暴走してしまったのだ。そのせいでこの島も、そして私の研究所もめちゃくちゃになってしまい挙げ句には貴様も何処かへ飛んで消えてしまったのだ!しかもその事が世間にバレそうになり仕方なくアークアイは日本から撤退する羽目になってしまったのだよ!!」

 

「いや知らないよそんなの!?全部お前等が蒔いた種じゃん!」

 

何さこいつ?!自分でやった事を棚にあげてボクを責めるなんてそんなのお門違いでしょ!?

 

「ええい黙れ黙れッ!!本来ならすぐにでも回収して再実験をしたかったのだが貴様の行方は分からなくなってしまったせいでとんだ手間をかけられたんだぞ!貴様、マスターであるこの私に迷惑をかけるとは何事だッ!?」

 

「ふざけないでよ!ボクのマスターはお前なんかじゃない!ボクのマスターは世界一優しくて頼りなる最高の旦那様だ!お前みたいに人の命をなんとも思ってない奴なんてマスターでも何でもない!只のクズだよッ!」

 

「何をぉッ?!貴様ぁ、そんな嘗めた口を聞いてられるのも今の内だ……こいつを見ろッ!!」

 

ゴーマンがそう言うと今度は別の扉が開き其処から檻に入れられたのどかさんが現れた。しまった!のどかさんの事すっかり忘れてた!?

 

「のどかさん!」

 

「ロボ子さん!ごめんなさい、私捕まってしまって………」

 

「そんなの気にしないで!ボク達仲間なんだから………おいゴーマン!約束通りのどかさんを解放しろッ!」

 

「約束?そんなの守ると思ってるのか?この女も私の研究材料に使ってやる!それにお前にはまた再調整して我がアークアイが誇るRBKシリーズの戦力に加えてやるから覚悟しろ!」

 

やっぱり!こいつ最初からのどかさんを解放する気なんてなかったんだ!それにいつの間にかボクの回りにボクの、いや杏奈さんのクローンが囲んで逃げ場を封じ込められてしまった………けど

 

「………悪いけどボクはもうお前の言う兵器になんて戻らない!それにボクはRBK-00なんて名前じゃない……ボクは佐々木ロボ子!ホロライブ0期生でありマスターであるホロライブスタッフリーダー佐々木玲二の妻なんだから!!」

 

「ハッ!兵器であるお前が誰かを愛するなんて馬鹿らしい!大体今の貴様に何が出来るというのだ!?頼みの仲間も此処にはいないんだからな!!」

 

「………お前には分からないだろうけど、ボク達は仲間同士、家族同士何かあったら必ず助け合うって決めてるんだ。それに言ったでしょ?ボクのマスターは世界一優しくて頼りになる人だって!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「その通りだ、後は任せなロボ子」

 

―ヒュンッ!―

 

「え?さ、佐々木さ―ヒュンッ!―

 

「なぁッ?!ななな、なんだとぉッ!?」

 

おーおー、期待通りの反応してくれたな?取り敢えず春先はホロライブタウンに転移させたし、後はこいつ等をどうにかするだけだな。

 

「お、お前は773の報告にあった男!何故此処に?!というより貴様どうやって此処に入って来たんだ?!」

 

「どうやってって、普通に入って来たぜ?ロボ子と一緒にな」

 

「なんだとぉッ?!馬鹿な!?RBK-00が此処に入る際、ずっとモニターでも確認したがお前が入った形跡なんてなかったぞ!?」

 

「そりゃそうだ、だって………“俺達”姿を消して一緒について来たんだからな、こんなふうに」

 

―スゥーーー………―

 

「なぁ…………ッ?!」

 

俺が実際に姿を消すとゴーマンとかいう奴が驚いた表情を見せる。そう、俺はロボ子がこの島に来る前から姿を消してずっと一緒にいたのだ。しかもこの透明化の能力はただ姿を消すだけでなくあらゆるセンサーからも引っ掛からないまさに隠密行動に特化した能力だ。これにより“俺達”は相手に気づかれる事なく侵入出来たというワケだ。そして俺はロボ子の元へ行き再び姿を現しロボ子を安心させる為に頭を撫でていく。

 

「すまなかったなロボ子、春先の姿が見えなかったから出てくるのに時間が掛かっちまった」

 

「ううん、ボクは最初からマスターがやってくれるって信じてたから♪」

 

「ウググ……そうか、貴様がRBK-00のマスターか。なら貴様にも教えてやろう!そいつは「RBK-00?なんだそりゃ?俺はただ自分の妻の危機に駆けつけただけだよ。ロボ子っていう大切な俺の奥さんをな。てめぇのいうRBKなんちゃらなんてどうだっていい」なぁッ!?」

 

大体ずっと姿隠して聞いてたんだから事の状況全て知ってるっての。例えロボ子が兵器として産まれたとしても今は俺達の大切な家族なんだからそんな些細な事はどうだっていいんだよ。

 

「それにな、お前のそのくだらない兵器ごっこも此処で終わりだ。俺の家族に手を出し、更に上山さん達の大切な娘杏奈さんに酷い事をしたお前だけは絶対に許さんからなッ!!」

 

「許さんだとぉ?貴様、誰に向かって口を利いてると思ってんだ?私は世界が誇る最強の兵器製造アークアイの主任Dr.ゴーマンだぞ!私がその気になればお前等など簡単に処分出来るのだぞ!それに上山杏奈は今私の手中にある!こいつがある限り貴様等は手出しでき―バキィッ!―………は?」

 

「玲二くーん!杏奈さん取り戻したよ~♪」

 

「もう思う存分暴れても大丈夫よ~♪」

 

「おうノエル、アキ、有り難うな」

 

ゴーマンが熱く語ってる間、俺の能力で姿を消していたノエルとアキが杏奈さんを救出すべくカプセルごと回収して降りてきた。

 

「なぁッ?!な、なんだこいつ等!?どっから入って来たんだ?!」

 

「いやノエル達も俺やロボ子と一緒に入って来たぜ?最初に言っただろ、“俺達”って。おーい皆、もう出てきて良いぞー」

 

俺がそう言うと隠れていた他の皆も姿を現した。そう、俺達ホロライブは総力戦になる事を想像し最初からロボ子について行き、この部屋に到着した瞬間に戦える奴はそれぞれ戦闘配備し戦えない奴や妊婦組は工作員役としてこの研究所を色々と調べ尽くしてくれてたんだ…………おいちょっと待てシオン、ねね。その風呂敷に入ってる大量のお金はなんだ?まさか金庫見つけてパクって来たのか?だとしたら後で説教だな。

 

「うぎぎぎぎぃ……な、なんて卑怯な奴等だッ?!」

 

「非人道的な事してる貴様に卑怯呼ばわりされる筋合いなんかねぇよ!兎に角テメェはこれで終わりだ、大人しく罰を受けるんだな!」

 

「ふん!何を勝った気でいる!?私にはまだRBK達がいる!おいRBK-773よ!今すぐ他のRBK達を起動しこの侵入者どもを殺せッ!」

 

チッ、やっぱり抵抗はするか……調べてみた限りこいつ等千人程いたから全部相手にするとなると少し骨が折れそうだな。その前に戦えないそら達も逃がさないと……!

 

「……………………………」

 

『……………………………』

 

…………あれ?なんでこいつ等全く動かないんだ?此処に来るまではリーダーらしき773とかいう奴もゴーマンの命令を聞いてたのに、一体どうしたんだ?

 

「…………?ど、どうした773!?命令が聞こえんのか?!さっさとこいつ等を殺せッ!!」

 

「…………何故貴方の命令を聞かなければならないのですか?」

 

「ッ?!な、何を言ってるのだ773!?私はお前達のマスターだぞ!!私が命令したのだからさっさとこいつ等を始末しろッ!!」

 

「私のマスターは貴方ではありません。故に貴方の命令を受ける筋合いはありません」

 

「な、なんだとぉッ?!!?」

 

……え?どうなってんだこれ?さっきまでゴーマンの事マスターとか言ってたクセに今度はマスターじゃないって……一体どうなってるんだ?

 

 

 

 

 

―ジジッ……ザーザー―

 

〈ハアッハッハッハッハァーーー!残念だったねこのマッドサイエンティスト!この子達のマスター権限はこよが全部もらったよ!!〉

 

「何ィッ?!!?」

 

するとスピーカーからこよりの高笑いが聞こえRBK達のマスター権限を全て掌握した事を皆に伝えてくれた。成る程、だから真っ先にメインルームを探すって言って皆と別行動していたのか。流石理系全振りコヨーテだ。

 

「よし、よくやってくれたこより!」

 

〈エヘヘ~♪玲二くんに誉められちゃった♪それじゃあ皆、マスターこよの最初のお願い!其処の馬鹿なマッドサイエンティストを捕まえて!!〉

 

『……了解しました、マスター』

 

「な?!お、おいよせ!?私は世界が誇るアークアイの頭脳とも言える至高の科学者だぞ!?そんな私にこんな事して良いと思って………お、おい止めろ、こっちに来るな、来るなあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ………!!」

 

あーあー、あんなにイキってたのにRBK達にいっきに詰め寄られて下敷きになってしまったな。まあこれで取り敢えず諸悪の根源も捕まえたし一件落着かな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数日後、無事にゴーマンを引っ捕らえ過去に行った人体実験等の証拠が明るみになった事でアークアイは今厳しい状況に置かれていた。恐らくは近い内に重役共は逮捕、会社も倒産するだろうな。

 

RBK達はゴーマンの身勝手な理由で産み出されただけであって彼女達自身には罪はないという事で義兄さんがこよりからマスター権限を受け取り自社の警備員として雇う事になった、勿論人間として扱ってな。

 

そして上山杏奈さんはあれから治療を行った甲斐もあり無事に目を覚まし、今ではすっかり元気になってる。機械化された右腕も元の腕が保管されていたのですぐに元に戻す事も出来たし、上山夫妻も泣いて喜んでいたな。

 

「………佐々木さん、貴方達家族には本当にお世話になりました。娘を取り戻してくれただけではなく、私達にこんな素晴らしい島でまた三人で暮らせるなんて、本当になんてお礼をすれば良いのやら……」

 

「気にしないで下さい上山さん。杏奈さんも無事に戻って来れたのですから、これからは8年間失った娘さんとの生活を取り戻して下さい」

 

「佐々木さん、僕からもお礼を言うね。僕や妹達の事、助けてくれて有り難う♪ほらななちゃん、一緒にお礼を言お?」

 

「………それがマスターの命令であれば。佐々木玲二、有り難うございました」

 

「もぉ~ななちゃんってば!マスターじゃなくてお姉ちゃんでしょ?それにこれは命令じゃないってばぁ~」

 

そして上山一家はこのホロライブタウンで一緒に暮らす事になったのだ。折角取り戻した家族との絆なんだ、出来れば安心して生活出来るようになってほしいと願いこの島の入居許可を出してあげたら凄く喜んでくれたんだ。それとなんと、あのRBKのリーダー格だった773を自分達の養子にしたのだ。773改め七奈美は優秀個体だったせいで兵器として扱われてた期間が長かったせいか人間味が薄れていたため可哀想に思った杏奈さんが自分の妹にすると言って家族として迎え入れたんだと。いやはや優しい娘だな本当に。

 

「おーいマスタァ~♪」

 

「あやぁ~」

 

お、どうやらロボ子もメルトを連れてやって来たみたいだな。上山さん達もロボ子が抱えてるメルトを見てびっくりしてるな、まさかロボ子が子持ちとは思ってなかったようだ。

 

「ほらメルト、おじいちゃんとおばあちゃんだよぉ~♪」

 

「あぅ?あ、あうやぁ~」

 

「お、おう……なんだか不思議な気分だな、娘が戻って来たと思ったら孫までいるとは……」

 

「そうね、まさかこんな日がやってくるなんて夢みたいだわ……」

 

「うぅ~、僕まだ結婚もしてないのになんだか先越された気分だよぉ~」

 

まあ正確には本当の孫ではないけど、ロボ子が杏奈さんのクローンだから実質孫みたいなもんか。

 

「ほら、七奈美も♪」

 

「え………私には子供の扱い方なんて分からないです」

 

「大丈夫、優しく抱っこするだけで良いんだよ。ほら♪」

 

「たやぁ」

 

ロボ子はじっと見てた七奈美にもメルトを抱っこさせてあげると、メルトは一生懸命七奈美に手を伸ばして顔を触ろうとし、そしてその手が七奈美の顔に触れると……

 

「……あっぷぁ♪」

 

「あ、メルトが初めて笑った!」

 

「本当だ!きっと七奈美の顔に触れて嬉しかったんだろうな」

 

「………………これが、笑う?」

 

七奈美、今まで体験した事のない感覚に戸惑っているみたいだな。けど、それもこれから沢山学んでいけるさ。だってもう七奈美含めRBKシリーズの皆は人間として新しい道に進み始めたんだからな。

 

 

 

こうしてロボ子を巡る騒動は無事に幕を閉じた。そして杏奈さんと七奈美は新しい就職先としてにじほろ保育園で働く事になり、数ヶ月もすれば七奈美も人間らしい笑顔をみせるのであった。それと余談だがあの研究所から金を持ってこようとしたシオンとねねはきつくお説教され暫く保育園の手伝いをさせられたのだった。




はい、これにてロボ子の過去については終わりです。杏奈や七奈美ももしかしたらゲストとして出てくると思います。

次回は久し振りに日常回になると思います。一応アンケートでどのグループが良いか取ってみようと思います。

次回もまったり待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第64話『ママって呼んで』

次の話をどうするかアンケートを取ったら僅差だったので上位3つのholoX、3期生、ゲーマーズの順番でやっていこうと思います。アンケートにお答え頂き有り難うございました。

今回はholoX回、ラプラスに対する他のメンバーの奮闘回です。それでは最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


5月に入って皆が待ちに待ったゴールデンウィーク到来。数年ぶりの規制のない長期休みという事でホロライブタウンの住人達も本土にある実家に帰省する者もいる中、島に残ったホロメン達は各々自由を満喫していた。そんな中……

 

「ねぇママぁ~、今日のおやつはまだなのか~?」

 

「もうちょっと待っててねラプちゃん、今ふわふわパンケーキ焼いてあげるから一緒に食べようね♪」

 

「おぉー!吾輩ホイップクリームたっぷりのが良いぞ!」

 

「はいはい、もう少し待っててね~♪」

 

「「「「………………………」」」」

 

リビングではフブキとラプラスが二人で仲良くパンケーキを焼いておやつタイムを楽しんでいた。が、そんな仲睦まじい親子を見てルイをはじめとするholoXのメンバーは何やら不満そうな顔をしていた。

 

「………ねぇラプラス?」

 

「うん?なんだ“幹部”?吾輩今パンケーキ食べるのに忙しいんだが?」

 

「いや、食べながらでも良いんだけと……ラプちゃん、フブキさんの事はなんて呼んでる?」

 

「ん?ママに決まってるだろ、何を今さら?」

 

「………じゃあ私達holoXのメンバーはなんて呼んでたかしら?」

 

「そりゃ“幹部”に“博士”に“新人”に“侍”でしょ?普段からそう呼んでるんだから分かってるだろ」

 

何を今さら、そんな感じで言ったラプラスの一言がholoXメンバーの不満が爆発してしまう。

 

「それだよ!ラプラスってお兄ちゃんの子供だからフブキ先輩と同じく妻である沙花叉達もラプラスのママになる筈なのに、何で未だに沙花叉達の事ママって呼んでくれないの?!」

 

「え?いやだって吾輩にとってお前等ママじゃなくてholoXの構成員だから……」

 

「それはホロライブ6期生のグループとしての括りなだけでしょ?!こよ達だって家族構成で言えばラプちゃんのお母さんなんだからママって呼んでほしいよ!」

 

「そんな事言われても吾輩にとってママはフブキママとミオママの二人で他は先輩とか同僚って感じだからなぁ……」

 

そう、ラプラスは普段から玲二とよく一緒にいるフブキやミオを母親として認識しているがその他は仕事として接する事が多いせいか先輩や同僚としか認識していないのだ。故に他のメンバーが母親のように接してもラプラスにはピンとこないようなのである。

 

「うぅ~……一体風真達に何が足りないというのでござるかぁ~?」

 

「沙花叉だってお兄ちゃんの奥さんとして頑張ってるもん!お風呂も今じゃ週2で入ってるもん!」

 

「え?!新人まだそんだけしか入ってないのか!?汚ッ!?」

 

未だに風呂に入ってないクロヱに思わず引いてしまうラプラス。

 

「なぁんでそんな事言うのぉ~?!可哀想でしょ沙花叉がぁ~!!」

 

「いや沙花叉流石にもう赤ちゃんいるんだからもっと清潔にしなさいよ……」

 

「そうでござるよ、フィルちゃんだって臭いママなんて嫌でござるよきっと。ねー『にほ』♪」

 

「あうぅ~」

 

子供の為にも清潔でいろとルイに指摘され、いろはも自分の娘『にほ』を抱きしめながら注意する。実は前回のロボ子の事件から少し経過しており、残ったメンバーも無事に出産し今では全員子持ち状態になっている。

 

「まあまあ皆、ラプちゃんも皆がお母さんとして接しようとしてるのは分かってるんだから無理に迫らないで焦らずゆっくりやれば良いよ。はい、皆の分のパンケーキ♪トッピングも一緒に置いてるから自由に使ってね~♪」

 

フブキもパンケーキを焼き終えて皆の前に並べていく。最初の頃は上手く出来なかったお菓子作りもちょこ先生やミオのお陰でだいぶ上手に作れるようになり見事にふわふわなパンケーキが皆の前に並んでいく。

 

「有り難うございますフブキ先輩……でもやっぱり私達もレイレイの奥さんだからラプにママって呼んでもらいたいですね」

 

「気持ちは分かるけど、焦っても変に蟠りが出来るだけだから自然に呼んでもらえるようになるのを待った方が良いと思うよ」

 

「まんまぁ~」

 

皆がパンケーキを食べようとする中、こゆきがよちよちと歩きながらフブキの元へとやって来る。もう1歳になったこゆきは今ではすっかり動き回る元気な子になっていた。

 

「ん?どうしたのこゆき?」

 

「『ふゆき』おきたよ~」

 

「あ、ホント?ちょっと待っててね。ごめんねラプちゃん、ママちょっとふゆきを見てくるから皆と食べてて?」

 

「はーい」

 

こゆきに言われフブキはエプロンを外し先日産まれた第二子『ふゆき』の元へと行ってしまった。ふゆきはこゆきと同じく女の子で、髪の毛の色が水色で狐族の耳はあるが尻尾がないのが特徴である。

 

そしてラプラスはフブキの作ってくれたパンケーキを夢中で食べていくが、そんなラプラスを見てholoXの皆はやっぱり納得出来ない様子であった。

 

「……フブキ先輩はああ言ってたけど、やっぱり私達もラプラスの母親には違いないんだから」

 

「うん、やっぱりママって呼んでもらいたいよね」

 

「てか絶対に呼ばせてやる!このままいつまでも新人なんて格下だと思われるのも嫌だもんッ!」

 

「まあそうでござるね、同じ家に住む家族としては風真もラプ殿には親として接してもらいたいでござる」

 

「……そうと決まれば、明日早速決行ね」

 

自分達もママと呼ばれる為にも、四人は明日ラプラスと共にある事を行う事を決めるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―翌日―

 

「………で?親子としての絆作りの為に皆でガンプラ作る事になったって事か?」

 

「そういう事♪考えてみたら私達holoXが揃ってガンプラ作る事なんてなかったからね」

 

「こよも今までガンプラ作りは殆どしてしてなかったからこれを機に皆と一緒に作ろうと思って買ってたヤツがあるんだ~♪」

 

成る程、確かに形式上では皆ラプの母親だけどラプが“表だって”ママって呼んでるのはフブキとミオだけだもんな。同じ母親としたらそりゃママって呼んでもらいたいか。

 

「にしても絆作りの為にガンプラってなかなかないよな?」

 

「まあまあ、これが佐々木家流家族団欒って事で良いんじゃないでござるか?」

 

「……吾輩別にやりたいだなんて言ってないんだが?」

 

「良いのラプラス!今日はholoXとしてじゃなくて家族として皆で一緒にガンプラ作ろうよ、ね♪」

 

……まあたまにはこういう日もあっても良いかもな。特にこの前までロボ子の件や他の皆の出産やらでいろんな事がありすぎてこうやってのんびり出来るのも久々だし。俺も最近作ってなかったから一緒に作っていくか。

 

「で、今日は一体何を作るんだ?」

 

「ふふーん♪今日作るガンダムは~、これ!『ガンダムX』だよ~♪」

 

 

『MG ガンダムX』

『機動新世紀ガンダムX』に登場する主人公ガロード・ランが搭乗するMS。その性能は歴代のガンダム主人公機の中でもトップクラスの火力を誇り、中でもそのXの名を象徴するサテライトキャノンは使用出来る状況が限定的だがガンダムが保有する武器の中では最強クラスの威力を誇る。

 

「おぉガンダムXか、しかも昔の赤ロゴ。こより、よくこんなレアキット見つけたな?」

 

「うん、実はこれ前にファンの子からプレゼントでもらったんだよね~♪」

 

へぇ、そうなのか………あれ?確か今ホロライブってファンからのプレゼントって禁止してるよな?ならこよりは一体何処でどうやってこのガンダムXをもらったんだ?

 

※実際のホロライブでも2021年8月末よりタレントを守るという理由でファンからのプレゼント受け取りを終了してます。

 

「……なあこより、お前これ何処でもらったんだよ?」

 

「これ?実はこの間のイベントで一緒にお仕事したタレントの子がこよ達holoXのファンで、これを良かったら皆さんで作って下さいって言ってくれたんだよね♪」

 

成る程、そういう事なら大丈夫か。それにマネージャーも中身の確認はしてるだろうから問題はないな。それにXを見てラプも目を輝かせて喜んでるみたいだし、今回はこれを皆で作っていくか。

 

「それじゃあ早速仮組からしていくか。今日は六人もいるしぱぱっと作っていこう」

 

『はーい♪』

 

さて、そうと決まれば早速皆で手分けして作っていくか。六人もいれば多分一時間もしないで終わるだろ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―一時間後―

 

「……よし、これで仮組は完了だな。にしても素組でもかなり格好良いな」

 

「確かにプロポーションも申し分ないし、このサテライト部分もキレイだね♪」

 

「ホント、これが8年前のキットだなんて信じられないわね……」

 

そっか、もうそんなに経つんだな。そう思うと結構……あれ?けどもっと前だったような気がするんだが……けど今は2022年だし、気のせいか?

 

 

 

※この世界は現在サ○エさんやこ○亀に近い感覚で時間が進行してます。

 

 

 

……なんだか今メタい事言われた気がするが、気のせいという事にしとこう。それにしてもやっぱりXは格好良いな、これが放送期間が短縮された作品の機体なのが残念だ。

 

「ふわぁ……パパ!吾輩このガンダム気に入ったぞ♪」

 

「そっか、それなら持ってきてくれたこよりに感謝しないとな?」

 

「あ、そうだな。博士、有り難うな♪」

 

「もぉ~、其処は『有り難うママ♪』って言ってよぉ~?」

 

「いや、それだけは嫌だ」

 

「むぅ……」

 

まあこよりも無理に迫らないでじっくり待てばその内言ってくれると思うから今は我慢しな。さて、後はこの機体をどう手を加えるかだな。

 

「それならこのサテライトのパネル部分を風真達のイメージカラーにして、本体をラプ殿のイメージカラーにすればholoXの専用機みたいで格好良いんじゃないでござるか?」

 

「おぉー!それ良いな侍!なら早速サフを噴いて塗装しようか♪」

 

「こら待ちなよラプ!まずは分解してヤスリがけして洗浄しないと!」

 

「はーい♪」

 

……ラプの奴よっぽどXが気に入ったんだな。クロヱに怒られながらも嬉しそうに塗装の準備を進めていってる。なんか良いなこういうの、少しずつだが家族として接しているようで。まあ親子というよりは姉妹に近いけどな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―翌日―

 

「……よし、時間を進めてトップコートも乾かしたしこれで塗装は完了だな」

 

「何時も思うけどレイレイのその神羅族の力って便利だけど、ガンプラ塗装を早く乾かすなんてなんだか変な使い方よね?」

 

まあ確かにもっと使いようはあるとは思うが、俺は別にこの力を使って何かしようとは思ってないし、これくらいの使い方の方が平和で良いだろ?

 

「まあ確かに変な使い方かもしれないが悪い事に使うよりよっぽど良いだろ?ほれラプ、後はこれを組み立てて完成だ」

 

「おぉー♪これで吾輩達の新しい機体、『ガンダムholoX』の完成だな♪」

 

 

『ガンダムholoX』

ガンダムXをholoXのイメージカラーに合わせた機体。本体はラプラスのイメージカラーである紫をメインにし四枚のサテライトパネルにはオレンジ、ピンク、赤、黄緑の塗装を施している。更に右肩アーマーにはオリジナルデカールでholoXの文字が表記されている。

 

「うん、私達らしい機体に仕上がったわね♪ほらつばさ、ママ達のガンダムよ~♪」

 

「あ、あぅゆ~」

 

「ねーフィル、ママ達のガンプラ格好良いでしょ~♪」

 

「たやぁ」

 

「あぅ、あぅやぁ~」

 

「うんうん、『ひより』も気に入ってくれたみたいだね♪」

 

「にほも気に入ってくれたでござるか~♪」

 

「あぃ」

 

うん、ラプをはじめ赤ちゃん達も嬉しそうにガンダムholoXを眺めているな。因みに『ひより』はこよりの娘で黒髪な点以外はちっちゃいこよりそのものである。にしても親子揃ってガンプラをジーッと見てるのはなかなかシュールだよな。

 

「よし!これでラプとの親子の絆が深まったという事で!さぁラプちゃん、沙花叉をママって呼んでみて!」

 

「は?誰が呼ぶか」

 

「なぁんでさぁ~?!一緒にガンプラ作ったじゃん~!?」

 

「それとこれとは話は別だ。そんなに呼んでほしかったらまず毎日風呂入れ」

 

「やぁだぁ~!」

 

いやそれくらい入れよ、もうフィルもいるんだし清潔感は大事だぞ?

 

「はぁ、やっぱりいきなりなんて無理だったわね……」

 

「まあこれからも一緒に暮らすのだし、ゆっくりやっていけば良いでござるよ♪」

 

「……うん、それもそうだね。じゃあそろそろ授乳の時間だし、こよは部屋に戻るね~」

 

こうして四人はそれぞれ子供達の面倒を見る為それぞれの部屋に戻っていった。そして残ったラプはガンダムholoXを手にしながら俺の膝の上に座ってきた。

 

「良かったなラプ、皆が一緒に作ってくれて」

 

「フン、別に頼んだワケじゃないぞ……まあでも、持ってきてくれた“こよりママ”には感謝するけどな」

 

……全く、俺やフブキやミオには素直なクセに他の娘相手だと恥ずかしいのか皆が見てない時だけママと呼んでいる。なんだかんだでラプも皆の事母親だと認めているんだよな。

 

「そう思うならあいつ等の前でもちゃんとママって呼んであげな。そうしたら絶対に喜んでくれるから」

 

「やだ。特にクロヱママなんて面と向かって呼んだら絶対調子に乗るからまだ呼ぶもんか」

 

まあ確かにクロヱは調子に乗りそうだな。それに形式上は母親でも種族も違うし血は繋がってないからなかなかラプも皆を母親と呼ぶのには勇気はいるか。

 

「………安心しろパパ。いつか必ず皆の事、面と向かってママって呼べるようにするから。けど今はまだもうちょっとだけ、皆とこの関係で居続けたいから」

 

「……そっか。なら俺からはもう何も言わないさ」

 

そう言ってラプの頭を撫でてやるとラプは目を細めて俺にもたれ掛かってくる。なんだかんだ言ってラプは優しい子だから、きっとすぐに皆の事ママと呼んでくれる筈だ。今はただ、その時がくるのを待ってあげれば良い。

 

 

 

こうして玲二とholoXによるガンダムX製作は無事に終了した。そしてラプラスが皆の事をママと呼ぶ日は何時になるのやら……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―オマケ―

 

「だから新人のクセに生意気言うな!吾輩総帥だぞ!」

 

「何さラプラス!あんたそれ母親に対して言う言葉なの!?」

 

「ウッセー!お前なんか絶対母親だなんて思わねーかんなばーか!!」

 

「何でさもぉーーーッ?!」

 

「………やっぱ母親と呼ぶのに時間が掛かるかもな?」

 

口喧嘩するラプラスとクロヱを見て思わずため息を吐く玲二であった。




はい、という事でラプラスとママ達のX製作回でした!皆が見てないところではちゃんとママって呼んでる辺りラプラスも皆の事を母親と認めてる感じですね♪

そしてしれっと皆既に出産している事が発覚、今後いろんな形で出てくると思うのでお楽しみに♪

次回は3期生のお話にしようと思います。まったり待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第65話『エコ、してますか?』

皆さんはゴールデンウィーク満喫してますか?私は相変わらず仕事です(泣)

今回は3期生と一緒にとあるガンプラを作っていきます。最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


―ザァーーーーーーー………―

 

「………雨、止まねぇな」

 

「ホントだねぇ……」

 

「なんでこんな日に限ってどしゃ降りなんだろうねぇ……?」

 

「なんか気分が暗くなっちゃうぺこだね……」

 

現在ゴールデンウィーク真っ只中、俺と3期生組は子供達と一緒に久し振りに外に出掛けたんだが、途中で雨が降り始めたせいで急いでホロプラへと入って雨宿りをしている。だが雨は止むどころかどんどん強くなって今はどしゃ降り状態だ。

 

「ねぇるしあ~、折角来たんだからそんなパソコンとにらめっこしないでお茶くらい出してよ~」

 

「お茶なら其処に自販機あるでしょ?るしあは今発注で忙しいから構ってらんないの」

 

「そんなぁ~。るしあってばホロライブ辞めてからすっかり冷たくなっちゃって、マリン悲しくて泣いちゃうよぉ~。え~ん「泣きたきゃ勝手に泣けば?」はあぁッ?!なぁに生意気抜かしとんじゃこのガキィ!?」

 

「ちょっとマリン!?今赤ちゃん達寝てるんだから大声出したらダメでしょ!?るしあも煽んなや!」

 

「………ッ!?ふぇ……」

 

いやフレアよ、お前もなかなか声でかいぞ?ほら『マリア』が聞こえたのか少しぐずりそうになってるし……ほらよしよーし、怖くないからな~。あ、因みにマリアとはマリンの娘で黒髪で金色の瞳が特徴の子だ。母親と違って繊細なのかちょっとした事でぐずってしまうので最近だと一番あやしてる感じがするな。

 

「ほらマリン、マリアがびっくりしちゃうからもう大声あげんなよ?お前はもうお母さんなんだから」

 

「う……すんません」

 

「まあ分かれば良いんだよ。それにしてもこうずっと雨降ってたら気が滅入るな……」

 

一瞬転移能力で帰ろうかと思ったがこの人数をまとめては少し大変なのでそれは最後の手段に取っとこうと思ってる。それにしてもやっぱり何か暇を潰せる物はないもんかね?

 

「あ、そうだ玲二さん。実はホビーセンターから特別に発注出来た商品が来たので良かったら作ってみるです?」

 

「ホビーセンターから?何だ、もしかしてベース限定商品とかか………ああ成る程、これか」

 

るしあが俺達の座ってる席に計6個のガンプラの箱を置いてきたのだが、どれも全部モノクロで今のHGに比べても高さの薄い箱に入ってる。確かにこれもホビーセンター限定だが、まさか『エコプラ』とはな……

 

 

『エコプラ』

ガンプラを製造する段階で出てしまった不要部分や回収されたランナーから再利用されて作られた、まさにエコなガンプラである。最大の特徴としては成形色が黒一色で統一されておりそのまま組んでもなかなかインパクトのあるキットになってる。

 

「うわ、何この真っ黒なガンプラ……?」

 

「これはエコプラって言ってな、要するに捨てられる筈のプラ材で作られたガンプラだ。色は違うだけで元のキットと何も変わらないから簡単に組み立てられるのが特徴だな」

 

「へぇそうなんだ?でも玲二さん、何でこのガンプラって全部真っ黒なの?」

 

「確か色んな色のプラ材が混じってるから色ムラが出来ないように黒で統一してんじゃなかったかな?だから全部真っ黒ってワケだ」

 

「成る程ね~?でも光沢があって完成すると格好良さそうだなぁ♪団長これにしよーっと♪」

 

そう言ってノエルが取ったのは『グフ』か。それとしれっとぺこらが『ガンダム』を持っていったな。やっぱりぺこらはファーストのガンプラが良いみたいだな。

 

 

『HGエコプラ グフ』

『機動戦士ガンダム』に登場するジオンの大尉ランバ・ラルが搭乗した機体。ザクIIの格闘能力を強化し改良した機体であり、特徴としては左指にマシンガンが仕込まれていたりヒートロッドという鞭状の武器を使用している。本来の機体色は青だがエコプラという事で黒で統一されている。

 

 

『HGエコプラ ガンダム』

『機動戦士ガンダム』に登場するアムロ・レイが搭乗した機体。言わずも知れた全てのガンダムの原点とも言える始まりのガンダムである。普通なら機体色はトリコロールカラーではあるがこちらもエコプラという事で黒くなっている。

 

「やっぱりぺこーらにとってガンダムって言ったらこれぺこだね♪」

 

「ぺこらってば相変わらずファースト信者だよね?それじゃあるしあも発注終わったし、 『りあら』もぐっすり眠ってるから休憩がてら一緒に作ろっかな?」

 

「あ、ならアタシもこれ作ろうかなっと」

 

仕事が一段落したるしあも寝ている自分の我が子『りあら』を他の赤ちゃんと一緒に寝かせるとエコプラの中から『ザクII』を取り、フレアも『ガンキャノン』を取り出し中身を開けていった。

 

 

『HGエコプラ ザクII』

『機動戦士ガンダム』に登場するジオン軍の量産型MS。量産型でありながら宇宙世紀において様々な派生機も登場しておりガンダムと同じくらいの根強い人気を誇る機体である。

 

 

『HGエコプラ ガンキャノン』

『機動戦士ガンダム』に登場する連邦軍のMS。特徴としてその名の通り両肩に一機ずつのキャノン砲が備わっており遠距離にも対応出来る機体になっている反面、接近戦を想定していない為に近距離用の武器を持ち合わせてない。

 

「あぁッ?!るしあそれ船長が取ろうとした奴!うぅ~、ならもう船長これで「それじゃあ俺はこれにするか」ってちょっとぉッ?!」

 

?マリンの奴叫んでどうしたんだ?あんまり叫ぶと子供達がびっくりするから叫ばんでほしいんだが……まあ俺はこの『ガンダム Mk-II』にするか。

 

 

『HGエコプラ ガンダムMk-II』

『機動戦士Zガンダム』に登場する連邦の過激派組織ティターンズによって開発されたMS。開発時は4機存在したが1機は試験運用時に大破し残り3機もティターンズが保有していたが、結果主人公カミーユ・ビダンの所属するエゥーゴによって全て奪取される。

 

「そんなぁ~?!じゃあ残ってるのって、この戦車っぽい奴しかないって事ぉ!?」

 

「でも良いじゃん、『ガンタンク』なんて今なかなか再販してないし」

 

 

『HGエコプラ ガンタンク』

『機動戦士ガンダム』に登場する連邦軍のMS。他のMSと違い下半身は戦車のようなキャタピラになっており両肩に砲台、両腕にミサイルランチャーが備わっており主に砲台としての役割が多い。ガンキャノン同様接近戦を想定していない為に近距離用の武器を備えてないのとその脚部のせいで接近されるとガンキャノン以上に自衛するのが難しい。

 

「ねぇるしあ!これ以外に他にないの?!ガンダムとかザクとか!?」

 

「そんな事言われたって送られてきたのこの6個だけだもん。本当はジムもこのシリーズにあったみたいだけどそれは人気みたいだからなかったみたい」

 

「まあ良いじゃねぇか。それにそのガンタンクもなかなか良い仕上がりだし、完成したらきっとマリンも気に入ると思うぞ?」

 

「えぇ~、ホントですかぁ?ならまあこれでも良いですよ……」

 

ほら拗ねんなって。それじゃあ早速作っていくか。今回も赤ちゃんが近くにいるから素組だけでいくか。最もエコプラは素組の方が格好良いしな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………あれ?」

 

「ん?どうしたんだぺこら」

 

「いや師匠?このガンダムってもしかして……古いキットのガンダムぺこか?」

 

お、流石にぺこらは気づいたか?ってそりゃあれだけアホみたいにファーストばっかり作ってたら気づくか。そう、このエコプラは全てリバイブ前の古いHGの金型を使用しているので今のHGと違って関節に制限があったり合わせ目も目立ったりする部分が多いのだ。

 

「ああ、これは全部旧HGUCのキットだな。けど、これはこれで味があって良いだろ?」

 

「えぇ~?でも玲二くん、折角エコで再利用するんだったら最新のキットでエコプラ作った方が良くないですか~?」

 

「まぁ其処は色んな事情があるんじゃない?」

 

「そうだよ、それにるしあはリバイブ版より旧HGのプロポーションの方が好きだし」

 

「ぺこーらも旧版もリバイブ版もどれも別々の良さがあるからこれはこれで良いぺこ♪」

 

「そもそもマリンの作ってるガンタンクってリバイブ版ないしね」

 

「そうなの?!」

 

そうなんだよなぁ、なんでガンダムやガンキャノンとかはリバイブされてるのにガンタンクだけされないんだろうな?まあでもガンタンクってあれで既に完成されてる感はあるから仕方ないのかもな。元々そんなに動く機体でもないし。

 

「………そういや俺達今までこうやって色々ガンプラ作ってきたけど、皆はどのガンプラが一番お気に入りなんだ?まあぺこらは分かりきってるけど」

 

「勿論!ぺこーらの一番はファーストガンダム一択ぺこ!大体SEEDやOOとかのアナザーガンダムって余計なモン付きすぎてごちゃごちゃしてて好きになれないぺこだよ!やっぱりガンダムと言ったらビームライフルとサーベルが一番ぺこ!!」

 

「うーん、団長はやっぱりバルバトスかな?特にルプスレクスのあのでかいメイスは心が踊るなぁ~♪」

 

「アタシは最初はアカツキだったけど、今はバンシィかな?普通のユニコーンも良いけどあの黒と金のコントラストが格好良いしね♪」

 

「るしあはやっぱりデスサイズのあの死神っぽいシルエットが好きなのです。けど最近はグレモリーも良いなって思ってたりするのです」

 

「船長はですね~「どうせクロスボーンでしょ?」ちょっとフレア!?勝手に決めつけないでよ!?船長はサンドロックが一推しなんですから!」

 

ほう、サンドロックか。にしてもマリンが海賊要素のないサンドロックを一推しするとは………いや、多分違うな。

 

「………マリン、お前推してるのってサンドロックじゃなくてパイロットのカトルの方だろ?」

 

「え?!そ、そそそ、ソンナコトナイデスヨー……」

 

いや図星じゃねぇか。まあ別に良いんだけどさ。そのキャラが好きでその機体が好きになるなんてよくあるし。けどお前サンドロックなんて作った事あったっけ?

 

「そ、そういう玲二くんこそ一体どんな機体が好きなんですか?!」

 

「俺?俺はそうだな……やっぱりメジャー処だとクアンタ、マイナー処だとアスクレプオスだな」

 

「師匠ってRGのクアンタ二つ買って左右対称のトリプルドライブに改造するくらい気に入ってるぺこだもんね」

 

「余った1機は量産型みたいに改造してたしね。そういやアスクレプオスってどんな機体だっけ?」

 

「分かりやすく言えばズゴックみたいなのに変形するガンダムだな」

 

初期のアスクレプオスのキットもよく買ってたの思い出すなぁ。遊ぶ用とMS状態で飾る用と強襲形態で飾る用で揃えてたのが変形ガンプラを複数買いするきっかけだな。

 

「………っと、そんな話をしてたらもう完成間近だな?皆はどうだ?」

 

「アタシももう出来るね。やっぱりパーツがリバイブ版より少な目だしサクサク作れて良いよねこれ♪」

 

「ただこれ旧版だから少し噛み合わせが悪い部分あるよね。後股関節がボールジョイントだからすぐにへたりそうじゃし」

 

確かに今のキットは腕の根元がボールジョイントで股関節が軸関節が多いけど昔は逆だったんだよなぁ。そのせいかガシガシ動かしてたら足がへたって自立出来なくなってたし。それにただ飾る分になら問題ないが、やっぱりブンドドするとなると今の構造の方がポージング決めやすいからその点はリバイブ版含め新キットに軍配が上がるな。けど俺はやっぱり旧版のプロポーションも結構好きだから多少可動域少なくても問題ないけどな。

 

「おっしゃあッ!ぺこーらのガンダム完成ぺこ♪」

 

「船長のガンタンクも完成ですね♪いやぁ、最初は微妙かと思いましたがこの見た目、結構良いですねぇ~♪」

 

お?どうやらマリンもガンタンクの良さに気づいたみたいだな。他のMSにはないこのフォルムが良いんだよなぁ。今のホロプラにもガンタンクないけど俺も今度通常版やオリジンの初期型が再販されたら買ってみようかな?

 

「……にしても、全部黒だと凄い違和感感じるな」

 

「確かにこうもみんな全身黒いと少し不気味なのです……」

 

「まあそれはそれでまた格好良いから良いんじゃないけん♪」

 

……それもそうだな。これもまたガンプラの面白さの一つか。こういったリカラーバージョンを作るなんて滅多になかったし、今後はこう言ったリカラー版見つけたら作ってみようかな?

 

「……ふ、ふえぇ……」

 

「ん?ありゃ、皆起きちゃったか」

 

「あ、もしかして時間的にお腹すいちゃったぺこかな?」

 

「それじゃあ俺はカガリの離乳食用意するからるしあ達はその間に授乳しときな」

 

「「「「はーい」」」」

 

こうして皆各々我が子に授乳をしていき、俺とフレアはカガリの離乳食の準備をしてカガリに食べさせていく。まだ若干眠いのか毛布を握りしめながらあむあむと離乳食を食べている姿が愛らしく可愛い。

 

「……玲二さん、今日は雨降っちゃって予定が狂っちゃったけど楽しかったね♪」

 

「ああ、そうだなフレア。カガリ、今日はまともにお出かけ出来なかったけど、また明日にでもパパとママと一緒にお出かけしような」

 

「あいぃ~……♪」

 

あらら、寝惚けながらも可愛く返事してるな。取り敢えずまだ雨も止みそうもないし、今日は残りの時間もホロプラでゆっくりしようか。

 

 

 

 

 

エコプラはガンダムベースや公式の通販サイトでお買い求め出来ます。価格も千円前後なので皆さんもよろしければ是非一度買ってみては如何でしょうか?




はい、という事で3期生と一緒にエコプラ製作回でした!エコプラはこの間プレバンで購入して作ってみましたがかなり格好良かったですね♪皆さんも是非購入して作ってみては如何でしょうか?

さて、次回はゲーマーズの皆と一緒にプラモ製作しようと思います。次回はガンプラではないキットを出そうと思ってますのでまたまったり待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第66話『可愛い娘製作?』

この間仕事終わりに中古ショップに寄ったらガンプラの値段が少しずつですが安くなってました。フリマサイトを見ても思いましたが、やっぱりガンプラ転売が衰退しているんですかね?それだと凄く有難いです。

今回は久し振りのガンプラ以外の製作回です。このキット、定価で買えて作った人ってどれくらいいるんでしょうか?今回も最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


「ほ~ら『まかろん』ちょうちょさん飛んでるよ~♪」

 

「わぅ、わぉ~」

 

「にゃあ~」

 

「ん?どーしたの『ぴりか』?何か面白い物でも見つけた?」

 

ゴールデンウィークも終わりに近づいた頃、俺はゲーマーズと一緒に庭で日向ぼっこをしていた。今はころねが自分の娘『まかろん』と庭に飛ぶ蝶を眺めていたりおかゆが自分の娘『ぴりか』と空を眺めている。二人の特徴としてはわんとかにゃあと犬猫のように鳴くのだが、他の獣人族の子達はそんな事なかったのになんでだろうな?

 

「ぱぱぁ~」

 

「ん?どうしたマオ、ママやこゆきと遊ばないのか?」

 

「ぱぱもあしょぼぉ~♪」

 

「あー……ごめんな、今ふゆきあやしてるからまた後でな」

 

「あうぅ~」

 

「むぅー……」

 

そんな拗ねるなって。まだふゆきは産まれたばかりの赤ちゃんなんだから誰かがついてないと危ないんだから。

 

「ほらマオ、もうマオもお姉ちゃんなんだからわがまま言ってパパを困らせないの」

 

「うゆぅ~……」

 

そんな拗ねてるマオをミオが優しく抱きしめ抱っこしていく。仕方ないとは言え、40人以上も子供がいると均等に相手するのも大変だし、ましてやふゆき達みたいに産まれたばかりの子に集中せざるをえないのが問題だよなぁ………まあそれは皆と結婚した時点で覚悟してた事だし、皆可愛いから頑張って子育てしようと思う。

 

そういや拓哉もこの間栄ちゃんが出産したって言ってたし、今度皆と一緒に子供達の初対面させてみるか。

 

「ぱーぱぁ」

 

「ん?どうしたんだこゆき?」

 

「これなーに?」

 

ん?なんだそれ?リビングにいたこゆきが何やら箱を持ってやって来たんだが…………うわ、随分珍しいもん持ってきたな?『30MINUTES SISTARS』って………

 

 

『30MINUTES SISTARS』

時間を忘れて挑む30分をコンセプトにシリーズ展開している3 0mmシリーズより派生した美少女系プラモデル。お気に入りのパーツを装着する事で髪型や体型を替える事が出来、自分だけのオリジナル美少女を作る事が出来るキットとなっている。

 

「てかこのキットホロプラでもあまり見かけないのに……なあこゆき、これどっから持ってきたんだ?」

 

「ままのおへや~♪」

 

「ママの……って事はこれはフブキのか?おーいフブキ~」

 

「はーい。どうしたのレイく……ん……」

 

俺に呼ばれたフブキがやって来ると俺の持ってる箱に気づき慌てて取り上げてしまう。どうしたんだフブキの奴?

 

「れ、レイくん?これ一体どっから……?」

 

「え?いやこゆきが持ってきたんだが?」

 

「こゆきぃッ!?またママの積みプラ勝手に持ってきちゃダメでしょおッ!!」

 

「あぅ………ふえぇ……」

 

「お、おいフブキそんなに怒んなよ?!ほらこゆき、こっちにおいで」

 

俺は泣きそうになるこゆきを呼び寄せ頭を撫でて落ち着かせていく―スンスン―………最近なんかどさくさ紛れに匂い嗅がれてるような気がするのは気のせいか?

 

「こゆき、前にも言ったけどママや皆のプラモを勝手に持ってきちゃダメだぞ?もしこゆきがケガとかしちゃったらパパ達悲しいからな」

 

「ぅゅ……あい」

 

「フブキも気持ちは分かるがそんな頭ごなしに怒ったらこゆきが怯えてしまうだろ?叱るのは良いがもう少し冷静になれよ」

 

「う………ごめんなさい」

 

ん、分かればよろしい。まあ俺もたまに感情的になってしまう事もあるし、そんな時は皆で支えてやればいいさ。

 

「……ところでフブキ、その30MSってどっから手に入れたんだ?それめちゃくちゃ人気で店頭にもなかなか並ばないキットだろ?」

 

「え!?えぇ~っと……実はこの間本土に仕事に行った帰りに中古ショップで4000円で売ってたのでつい……」

 

4000円?!確かこれって小売価格2500円くらいじゃなかったか?!いつも転売品とか中古ショップの高騰品は買わないフブキがなんでそんな高いの買ったんだ?!

 

「いやぁ、本当は私も買うつもりはなかったんですよ?けどネットでのこのキットの評価とか出来を見ると急に欲しくなってしまってつい衝動的に買っちゃいまって……」

 

「成る程、そういう事か。でもそれなら別に恥ずかしがる必要ないんじゃないか?」

 

「あぅ……だってレイくんこういった美少女系プラモなんて全然作らないから好きじゃないんじゃないかなって思っちゃって……」

 

まあ確かに俺はガンプラとかロボット系だったりデジモンみたいな人外系のプラモばっかり作ってるがこういう美少女系はあまり………というか全然作った事がないな。こういう美少女系プラモって当たり外れがあるって聞くし、何より美少女系に限らず人型のプラモに対してあまり興味が持てなかったのもある。

 

「まあ確かにこういった美少女系プラモは作った事ないな。けどフブキが思わず衝動買いする程出来は良いのか……少し興味が出てきたな」

 

「ぱぁぱ、つくりゅの~?」

 

「そうだな、折角だから作ってみたいがこれはママのだからパパはまた今度見つけてからに……」

 

「あ、それならレイくんも折角だから一緒に作りません?実はこれ複数買ってるので♪」

 

え?複数買ってる?お前さっき4000円で買ったって言ってなかったか?まさか、その店にあるの複数買ったとか?

 

「え?フブキ、もしかしてその中古ショップでこれ買い占めたのか?」

 

「流石にそんな非常識な事しないよ!?実はこれ買ったらオプションパーツとかも欲しくなっていろんなお店を回って30MSシリーズを買い漁ったんですよ」

 

「そうなのか……因みにそれ幾らくらい使った?」

 

「えぇ~っと……五体分とオプションパーツいろいろで4万弱くらいですかね?」

 

高ッ!?幾ら人気でも値段釣り上げ過ぎじゃないか?!さっきの値段に合わせるなら本体で合計2万くらいでオプションパーツでも2万くらいかかったって事だよな?!衝動買いにしてはどんだけ買ったんだよ?!

 

「ま、まぁそんなのは置いといて、今夜子供達が寝静まったら一緒に作りましょうよ♪」

 

「ま、まあフブキが良いならそれでも良いが「ねぇねぇレイくん、一体なんの話してるの?」あ、おかゆ。もう日向ぼっこは良いのか?」

 

「うん、ぴりかもすっかりおねむみたいだからそろそろ部屋に入ろうかなって」

 

「にゃぅ………」

 

「そっか、ならおいでぴりか」

 

眠たそうにしながらもぴりかは俺に向かって手を伸ばしていたので俺はふゆきをフブキに預けぴりかを抱っこしてやると安心したのかすぐに眠ってしまった。相変わらず可愛い寝顔だな。

 

「ところでレイくん、さっきフブキちゃんと何か作るみたいな話をしてたけど何を作るの?」

 

「ああ、この30MSシリーズを作ろうかって話になってたんだよ。今まで全く作った事のないシリーズだからちょっと面白そうだなって思って」

 

「そうなんだぁ?ねぇ、僕も一緒に参加しても良い?最近全然プラモ作れてないから気分転換したいと思ってたし」

 

「良いよぉ♪それなら久々にゲーマーズ全員で作って誰が一番可愛いシスターを作れるか勝負してみません?」

 

お、それ面白そうだな。でも良いのかそれ?折角五体手に入れたのにそれを俺等で一気に消費しちゃって?

 

「まぁ少し買い過ぎた感もありましたし、やっぱりこういうのは皆で作るのが一番楽しいですからね~♪」

 

「そっか、まあフブキがそれで良いなら皆で作るか」

 

「ぱぁぱ、こゆも~♪」

 

「こゆきはもう少しおっきくなったら一緒に作ろうな」

 

「むぅ~……あぃ」

 

はいはい拗ねないの。幾ら念力能力があるとはいえ間違って細かい部品を飲み込んだりしたら大変だからもっと成長してから一緒に作ろうな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―その夜―

 

「よし、じゃあ早速やってくか……ってかこんなにオプションパーツってあるんだな?」

 

「エヘヘ、ちょっと多かったかなって思いましたがこれだけあれば皆で自由にカスタマイズ出来て良いですよね♪」

 

「す、凄いねこれ……髪型だけじゃなくて表情までこんなにあるなんて……」

 

「あ!この髪型可愛いなぁ~♪ねーねーおかゆ~、この髪型おかゆみたいだよぉ♪」

 

「ホントだぁ~♪じゃあ僕これにしようかな♪」

 

夜になり子供達を寝かしつけちょことみしろに任せた後俺達はそれぞれ基本となる30MS『リシェッタ』をベースにそれぞれ各々の好みでカスタマイズを始めていた。にしてもこれ凄いな、表情の目の部分がシールじゃなくてタンポ印刷されてんだな?しかもこうしたタイプに多いって聞く表情のバランスの悪さというのもないし、これは人気が出るのも納得だな……けど

 

「………なんかこのオプションパーツ使うのに勇気がいるよな……かなり露出し過ぎじゃないかこの胸部?」

 

「まぁ確かにこれはやり過ぎな気もするよね。これ殆ど肌見えちゃってるじゃん……」

 

「それだけ世の男共はおっぱいに飢えてんのかねぇ?」

 

「いやその言い方って……まあ否定出来ない時点で俺も同類なのか?」

 

「そだね~。レイくん夜になると僕達の嬉しそうに揉んで……」

 

それ以上言うなおかゆ、マジで恥ずかしくて洒落にならん……それに念の為に言っとくが俺は別に胸の大きさで女性を贔屓するつもりはないからな。

 

「と、兎に角パーツも決まったしさっさと作るぞ///」

 

「あ、レイさん珍しく照れてるね♪」

 

「うっさい、もう後は組むだけなんだからさっさと作るぞ///」

 

『はーい♪』

 

全く、プラモ作ってるだけなのになんでこんな恥ずかしい思いしなきゃなんないんだよ……?まあいいや、もう今日は遅いし兎に角さっさと作って今日は終わろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……よし、これでみんな完成だな」

 

「うん、どれも個性的で皆可愛いですね~♪」

 

こうして俺達は各々お気に入りのシスターを作り上げた。因みに今回俺達が作った物は以下の通りだ。詳しくは公式のホームページで確認出来るので気になった人はチェックしてくれ………俺一体誰に言ってんだ?

 

 

玲二

髪型:リシェッタHP

表情:表情セット3笑み[カラーA]

体型:タイプA01[カラーB]

オプション:スピードアーマー

 

フブキ

髪型:ツインテール2[イエロー]

表情:表情セット4照れ[カラーA]

体型:タイプG01[カラーA]

オプション:無し

 

ミオ

髪型:ロングヘア[ブラック1]

表情:表情セット3叫び[カラーA]

体型:リシェッタBP

オプション:リシェッタ同梱OP

 

ころね

髪型:ロングヘア2[レッド2]

表情:リシェッタ笑顔[カラーA]

体型:タイプA01[カラーB]

オプション:スピードアーマー

 

おかゆ

髪型:ミディアムヘア2[パープル1]

表情:リシェッタ通常[カラーA]

体型:タイプG01[カラーA]

オプション:無し

 

「こうして見るとパーツが少し違うだけで大分印象が変わるんだな」

 

「そうだね、ところでレイさんはこういう感じの娘が好みなの?」

 

「え?いやまぁ何て言うか……フブキをイメージしたらこんなふうになったって感じかな?」

 

「え?!そ、そうなんですね……エヘヘ///」

 

「「「………………」」」

 

いやそんなに睨まないでくれよ、どういうのが良いか考えながらやってたらフブキが真っ先に思いついてしまったんだから仕方ないだろ?まあ完璧に似せるならもっと手を加えなきゃいけないけどな。

 

「……まぁフブキが正妻だから仕方ないけど、たまにはウチ等の事もちゃんと見てくれないと拗ねちゃうよ?」

 

「そーそー、こおね達だって玲二の奥さんなんだからこおね達の事も大事にしてよね♪」

 

「はいはい、分かってますよ奥様方。そしてフブキ、いつまでもヘラヘラしてないで戻ってこーい」

 

「エヘヘ~……ハッ!?ご、ごめんなさい///」

 

まあミオの言う通り他の皆の事もちゃんと考えてやらないとな。

 

「という事でレイさん、今日は久々にウチ等と一緒に寝ようね♡」

 

「フッフッフ~♪今夜は皆で玲二を気持ち良くしてあげるでな♡」

 

「今夜はレイくんの事寝かせないからね~♡」

 

「じ、じゃあ私も……♡」

 

「いや何故そうなるし?」

 

あれか?もしかして皆して発情期か?子供達が産まれてから全然なかったからもう収まったと思ったんだが……まあこうなったら拒否しても襲われるだけだし、俺自身も此処最近はご無沙汰だったから皆が満足するようしっかり相手してあげないとな。

 

 

 

その後結局朝まで寝ずにハッスルしたせいで翌日の仕事におもいっきり支障を来してしまう玲二とゲーマーズであった。




はい、という事で30MINUTES SISTARS製作回でした!前書きでも言ってましたがこれ定価で買えた人ってどれくらいいるんでしょうかね?自分も興味があって一個購入しましたが転売品で4200円してかなり痛い出費でした(泣)けどこのキットはかなり出来が良いので是非皆さんも店頭で見かけたら購入して作ってみて下さい♪

次回は未定です。まったり待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第67話『大切な子供達』

最近買い過ぎだから買うのを控えようと思いつつも欲しいのが見つかるとすぐに買ってしまう。これってガンプラあるあるですよね♪………そんなわけないか(泣)

今回は前半はとあるスポンサーとのやり取りです。最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


…………どうも、佐々木玲二です。俺は今スバルとちょこ、そしてルーナとぼたんの四人と一緒に本土にあるとある屋敷にやって来ていた。何故そんなところにやって来ていたのか?それは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「では、此処に一億円があります。これで貴方達の子供を一人私共に買い取らせて下さい」

 

目の前にいる笑顔でふざけた事を抜かす夫婦と対談する事になったからだ。このふざけた内容に対し俺は勿論スバル達も決して良い顔はしていない。現在何故こうなっているのか?それは今から3日ほど前に遡る……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………はあ?俺達にお願いですか?」

 

「あぁ、そうなんだ。実は我々のスポンサーの一つである企業の社長夫婦がどうしても君達に会って話がしたいそうなんだ」

 

なんでまたスポンサーが俺達に?確かにスポンサーとは契約時や案件等の内容確認の際に会議する事はあるがこんな直接呼ばれるなんて事はなかったんだが……

 

「それで、話と言うのはどういった内容なんですか?」

 

「それが、会った時に直接話すと言うだけで内容までは話してくれてないんだ。それと、来る時は是非君の子供も一緒に連れて来て欲しいと」

 

子供?なんで子供を連れて行く必要があるんだ?仕事の話とかなら絶対に必要ない筈だが………なんだか嫌な予感がするな。けどスポンサーである以上頭ごなしに断る訳にはいかないからなぁ……仕方ない、取り敢えず行って話聞いてみるか。

 

 

 

それがまさかあんな事になるなんてな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして話は冒頭に戻る。俺は皆に事情を話すとスバル達すばちょこるなたんの四人が丁度空いていると言ってくれたから一緒に子供達を連れてスポンサーである『金成電器』の社長夫婦が住む屋敷にやって来たんだが……部屋に招き入れられた瞬間いきなりジュラルミンケースを取り出され中から一億円分の札束を出して子供を売ってくれとワケの分からん事を抜かしやがったんだ。本当にいきなりの事だったから一瞬ポカンとしてしまったが、一体何を言ってんだこいつ等?

 

「あ、あの……これは一体?」

 

「ですので、此処に一億円を用意しましたのでこれで佐々木さん、お宅の子供を一人買い取らせて下さいませんか?」

 

………こいつ、本当に一体何を言ってんだ?唐突に俺等を呼んでいきなり金出して子供を売ってくれ?こんなダイレクトに人身売買お願いしてくるなんて誰が予想出来るんだ?

 

「あ、あの……子供を売ってくれってどういう……?」

 

「いやぁ実はね、私達夫婦は仕事一筋でこの金成電器を大きく発展させてきたのだが、そのせいで跡継ぎを作る事を後回しにしてしまってたらいつの間にか私達共々子供を作るのにはいささか年齢がきつくなってしまってね」

 

「もうこの歳じゃ子供を作れないし、どうしたら良いか考えてたら私達がスポンサーをしているホロライブで貴方達佐々木一家の話を耳にしたのよ。何でも貴方、子供が40人以上いるんですって?それなら一人くらい売ってくれたりしないかなって思ってこうして足を運んでもらったのよ♪」

 

…………こいつ等頭おかしいんじゃねぇか?自分達が子供が出来ないからって相手の子供を金で買おうとする?しかもその理由が俺の子供が40人以上いるから一人くらい売ってくれると思って?ふざけるのも大概にしろや……!!

 

「さ、という事で早速契約を結んでもらおうかな♪では此処に私達に譲ってくれる子供の名前を「誰がテメェ等なんかに大切な子供を渡すかこのイカれ夫婦」ッ!?い、いいい今何て言ったんだ君は……?」

 

「子供は渡さねぇって言ったんだよこのイカれ野郎!自分達が子供が出来ないのは仕事ばっかりしてた自業自得じゃねぇか!?それに俺の子供が40人以上いるから一人くらいは良い?ふざけんなッ!!この子達は皆がお腹を痛めながらも必死に産んでくれた掛け替えのない大切な子達だ!!それをテメェ等の跡継ぎの為に売るなんて例え一兆円積まれたとしても売るワケねぇよッ!!」

 

「そうだよッ!あんた等にしたら確かに40人以上いる兄ちゃんの子供かもしれないけど、スバルにとって『カケル』はたった一人の掛け替えのない子供なんだよッ!!」

 

「ちょこだって幾らお金を出されたってしょこらを手放すなんてそんな親失格な行為するワケないわ」

 

「ルーナだってお前等に『ミーア』を渡すつもりなんてこれっぽっちもねぇのらッ!!」

 

「あたしも玲牙とつばきをそんな金で売る程落ちぶれてなんかないよ。そんでそれは他のホロメン皆も同じ意見だと思うからこんな事頼んだって無駄だよ」

 

スバル達も我が子を抱きしめながら金成夫婦を睨むと恐れをなしたのか若干後退りをしていく。だが、こいつ等のイカれ具合は止まる事を知らないらしい。

 

「な、なら二億でどうだ?それがダメなら三億……いや五億まで出すぞ?」

 

「だから金の問題じゃねぇよッ!大切な我が子をお前等の跡継ぎなんかにさせねぇって言ってんだよ!いい加減それを理解しやがれこのイカれ老害夫婦ッ!!」

 

俺は金成夫婦に言うだけ言ってスバル達と共にそのまま黙って屋敷から出ていった。嫌な予感はしていたが、まさかこんな下らない事だったとは……はぁ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………えぇ、すみません社長。おそらくもう金成電器とのスポンサー契約は取り消しになるかと………分かりました、有り難うございます。では、後程事務所で詳しい話を……はい、失礼します」

 

………はぁ、やってしまったな。幾らムカついたからといってスポンサー相手にあんな暴言吐いたら契約継続はもう絶望的だろう。社長は特に怒ってる様子はなかったけど、これはある程度のペナルティは覚悟しないといけないだろうな……

 

「……すまない皆、折角の休みにわざわざ付き合ってくれたのにこんな不快な思いをさせてしまって……」

 

「兄ちゃんが気にする事ないッスよ。悪いのはあの非常識な夫婦なんスから、ね~カケル♪」

 

「あぃ~」

 

「そーそー、寧ろあんな非常識な奴等がスポンサーにいたなんてそっちの方がヤバいもんね~ミーア♪」

 

「あっぷゆぅ」

 

俺が皆に謝るが皆相手が悪いと言いながら子供達をあやしていく。あ、因みにカケルはスバルの子供で玲牙、メルトに続く3番目の息子でミーアはルーナの娘だ。二人とも産む時相当苦労した分産まれてきてくれた我が子の事が人一倍大事だった為あんな事を言われて俺以上に腹が立ってたらしい。

 

「ちょこも久々に腹が立ったわね。あんなのがちょこ達のスポンサーだったと思うと恥ずかしいわ」

 

「全くだよ、何でも金で解決させようだなんてあたしが一番嫌いな考えだってのに……」

 

「……本当にごめんな、これなら最初から俺一人で行った方が良かったな……」

 

「そんな事言わないの。玲二様ってばいっつもそうやって一人で何でも抱えようとするんだから。ちょこ達は玲二様の妻なんだから支えるのは当然よ。まぁ確かにあの夫婦には腹が立ったけどね……」

 

「だから謝らなくて良いッスよ兄ちゃん。これはスバル達が自分で着いて来た事なんスから」

 

………全く、本当に皆俺には勿体ないくらい良い奥さんだな。皆、本当に有り難うな……

 

「それじゃもう用は済んだしそろそろホロライブタウンに戻るとするか」

 

「あ、その前にレイっち、あたしちょっと量販店寄ってもいい?この間再販情報があったヤツあるか見てみたいんだよね」

 

「そう言えば最近ホロライブタウンでもガンプラブームが来てるせいで結構争奪戦になってるものね」

 

そう言えば俺等やにじさんじがガンプラをよく作ってるせいかスタッフの家族や他の事務所の子達もガンプラを作るようになってきて、そのせいかホロプラでも結構品薄状況が続いてるんだよなぁ。るしあも今製造元に頼み込んで発注数増やしてもらってるみたいだし結構大変な状態だが、まあ皆がガンプラ作ってくれるなら有難い事だわ。

 

「ん、なら早速量販店に行くとするか。で、皆はお目当ての物はあるのか?」

 

「スバルは殆どSDばっかりだからホロプラに売ってないSDがあれば良いかなぁ」

 

「ルーナは最近ビルドファイターズやダイバーズ見てたからそのシリーズで何か一つ欲しいのら~」

 

「ちょこはそうねぇ……確かHGUCのνガンダムが最近再販されたって聞いてたからそれを買っておきたいわね」

 

「あたしはHGで何か一つ作りたいから気に入ったのがあればって感じかな」

 

成る程、皆して欲しいのがバラバラだな。まあ基本的な好みや製作工程は皆それぞれ違うんだから当然か。まあ兎に角早いうちに行かないと他の人に買われてしまうかもしれないからさっさと行くとするか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―量販店―

 

「おぉー、前と比べて大分商品が揃ってるなぁ」

 

「あぷぅ~♪」

 

量販店に着いた俺達は早速それぞれガンプラを探しに来たのだが……これは凄いな、前程ではないがガンプラが充実しつつある。最近だと漸く転売ヤー達もガンプラでは商売にならないと分かってきたのかフリマサイトでも投げ売り状態が続いているし、これならガンプラ品薄も解消される日は近いかもな。

 

「けど相変わらず購入制限が掛けられてるな……さて、一人5個までだし、何を買おうかな……」

 

「あ、あぃやぁ~」

 

「ん?どうした玲牙……ってこれは!?」

 

マジか!?これが普通に置いてあるだと?!しかもこんなに沢山!だからフリマサイトでも値段が下落してたのか……でもこれを見つけたのはでかいな、これは間違いなく買いだ。

 

 

 

 

 

「えーと……あ、あったわνガンダム♪それから……え?!このキットもあるの!?ガチィ?!」

 

「あいぃ~?」

 

 

 

 

 

「うーん、SDはやっぱりどこもHEROSばっかりだなぁ……あ!これSDだ!しかも変形するみたいだし格好良い!ね、カケルも良いと思うよな♪」

 

「あぷぁ」

 

 

 

 

 

「あ~、やっぱりビルド系ってヒロインプラモが大量に余ってるのらね……おぉ!見てみてミーア♪このガンプラ格好良いのらぁ~♪」

 

「ぉあ~」

 

 

 

 

 

「あぅ、あぷやぁ~」

 

「ん?どうしたつばき?何か良い物でも……おぉ!こりゃ良いなぁ♪これ見つけるなんてお手柄だよつばき♪」

 

「あきゃ♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……よし、それじゃあ皆それぞれ買った戦利品を見せあうとするか」

 

「スバルもSD以外にも沢山買えて良かったッス♪」

 

「ルーナも良い物見つけられて良かったのらぁ~♪」

 

「それじゃあ誰から見せましょうか?」

 

「ならあたしからいこうかな?あたしが買った一番はこれだね」

 

まずはぼたんからか。一体何を……おぉ、『ザクIスナイパー』とはまた渋いな。

 

 

『HG ザクIスナイパー』

『機動戦士ガンダム 戦場の絆』に登場した機体。その名の通り遠距離からの狙撃を得意とする機体で16年前のキットながらも綺麗な狙撃ポーズを再現出来る等から今でも根強いファンが多い機体である。

 

「偶々棚の端にあったのをつばきが見つけてくれたもんな~♪」

 

「あきゃぁ♪」

 

「へぇ、つばきもママに似てこういうのが好きなんだな?」

 

本当にこの子達の理解力は凄いよな。普通0歳児でガンプラなんて理解出来ないし好みのガンプラが分かれるなんてないぞ?

 

「後はMGでヘビーアームズとかも買ったよ。これ前々から作ろうと思って買わずにいたらホロプラから品切れになってたし丁度良かったわ♪」

 

「ルーナのも見てみて~♪ずっと欲しかった『ビルドストライクガンダム』なのら~♪」

 

 

『HG ビルドストライクガンダム フルパッケージ』

『ガンダムビルドファイターズ』に登場する主人公イオリ・セイが作り上げたガンプラ。ストライクガンダムをベースに作られたこの機体は高スペックを誇るがビルダーであるセイはガンプラバトルが苦手だった為に相棒であるレイジが代わりに操縦し数々の戦いを繰り広げていた。

 

「へぇ、ビルドストライクガンダムあったのか?アニメでも主役機だけにかなり活躍してたから俺も買った事あるが良いキットだと思うぞ」

 

「ミーアもこのビルドストライク格好良いってずっとペタペタ触ってたもんねぇ~♪」

 

「あっぷぅ」

 

いやペタペタどころか顔ベターってくっ付けてるじゃねぇか?まだ産まれて間もないのにガンプラ気に入るって本当にどういう事なんだ?

 

「ちょこはこれ見つけたわ♪νガンダムと一緒に作って並べてみたいと思ったから見つかってかなり嬉しいわねぇ♪」

 

「え、マジでか?!『リ・ガズィ』なんて置いてたのか此処!?」

 

 

『HG リ・ガズィ』

『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』に登場する主人公アムロ・レイ等が搭乗した機体。Zガンダムから派生したこの機体も変形機構が存在するが変形する際にブースターパックを切り離す為、一度ウェイブライダー形態からMS形態になると再出撃するまではウェイブライダー形態には戻る事は出来ない。

 

「やっぱり逆シャアと言ったらνガンダムもそうだけどリ・ガズィも外せないわよね~♪」

 

「確かにそうだが……それにしてもよくあったなこれ?しかもヤクト・ドーガとかもあるし、もはや逆シャア祭りじゃねぇか」

 

「まあ福岡の立体像の事もあったからタイミング的には丁度良かったのかもね?」

 

そういや福岡に特別仕様のνガンダムが建設されてたっけ?まあそのままのファンネルだと倒壊する危険があるから仕方ないとはいえあのでっかいファンネルは最初どうかと思ったが、実際に映像で見るとかなり格好良くて思わず限定キットが欲しくなったな。だからと言って転売ヤーからは絶対買わんがな。

 

「次はスバルの番ッスね!スバルはこれ買ってきたッス♪」

 

「お、『スターウイニングガンダム』か。これも少し前に再販されたキットだな」

 

 

『SD スターウイニングガンダム』

『ガンダムビルドファイターズトライ』に登場するヒロインの一人ホシノフミナが仕様するSDガンダム。元は支援型として作られたウイニングガンダムを単独戦闘も出来るように改造した。その最大の特徴はSDモードから通常のガンダムのようなリアルモードへの変形である。

 

「HEROS以外のSDないかなって探してたらHGのコーナーにあったからすぐに購入決めたッス♪」

 

「ルーナも同じの買ったのらぁ、しゅば真似しないでよぉ~」

 

「いや真似したつもりなんかねーよ!?」

 

「ルーナ姫もスバルもメインで作ってるのはSDだから結構被る事多いわよね?」

 

「一応スバルが武者系メインでルーナたんがナイト系メインだから差別化は出来てるみたいだけどね」

 

確かに一応差別化は出来てるが皆の作ったガンプラのショーケースを見たらスバルとルーナのガンプラって結構被ってたりするんだよな。まあそれだけ仲が良いって事だろう、互いに真似しないでと冗談では言ってるが嫌がってる感じはないし。

 

「それで、兄ちゃんは何を買ったんスか?」

 

「俺か?俺はかなり満足いく買い物が出来たな」

 

「……確かに玲二様の袋、ちょこ達よりもおっきいわね……」

 

「まあ結構でかいの買ったからな。その中でも嬉しかったのはこの3つだ」

 

俺は購入した内の3つを皆に見せていく。1つは最初に見つけた『RG Hi-νガンダム』、そして残りの2つはかなり嬉しい誤算である『MG νガンダムVer.Ka』と『MG サザビーVer.Ka』だ。

 

 

『RG Hi-νガンダム』

『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン』に登場する主人公アムロ・レイが搭乗した機体。νガンダムの名を持つがフィン・ファンネルの一部以外は全て新規造形のパーツで構成されている。因みにベルトーチカ・チルドレンとは逆襲のシャアのパラレルワールドのような内容でνガンダムの代わりにHi-νガンダムといった感じで機体も一部変更されている。

 

 

『MG νガンダムVer.Ka』

『MG サザビーVer.Ka』

『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』に登場する主役級MS。νガンダムはアムロ・レイが、サザビーにはシャア・アズナブルが搭乗している。実質的に二人が最後に乗ったこの機体をメカニックデザイナーであるカトキハジメ氏によってよりリアルに、そして精密なディテールが施されている。

 

「Ver.Kaのνガンダムにサザビー?!これ結構高いガンプラじゃん!?」

 

「特にサザビーなんて一万くらいしなかったっけ!?」

 

「ああ、サザビーが9900円でνガンダムが7700円だな。けど転売品に比べたら大分安いし前から組みたかったキットだからこれは本当に嬉しかったわ」

 

実はこれνガンダムの方は昔ガンプラ作りたいって言ってた友人にあげちゃったから少し後悔してたんだよ。結果そいつ今じゃ俺よりガンプラハマって部屋丸々ガンプラで埋め尽くされてるから良いっちゃ良いが。(これ作者の実体験)

 

「それとRGのHi-ν……やっぱりにーちゃも買ったのらね~?」

 

「え、俺も?って事は……?」

 

「……実はちょこ達も買っちゃったのよね」

 

「スバルもRG作った事ないけど話題になってたからつい買っちゃったッス」

 

「あたしも、ラミちゃんが凄く推してたから気になってたんだけど、何処行っても売ってなかったからもう諦めてたんだよね……けどまさかこんな山積みになってるとは思わんかったわ」

 

「それだけ世間に出回ってるって事なのらね~♪」

 

マジか、全員Hi-ν買ってるとはな……けど今昼過ぎなのにHi-νが当たり前のようにあるっていうのが凄いよな?それだけメーカーが力を入れてる証拠であり少しずつだがガンプラ供給が追いついてきてる感じがするな。

 

「さて、皆の成果も見せあったしそろそろ帰るとするか」

 

「そうね、でも帰ったらまず玲二様は事務所に行かないといけないわよね………」

 

「にーちゃ、そんなに重い罰受けないといいのらけど………」

 

……それに関してはなるようになるしかないな。向こうに非があるとはいえ大事なスポンサーを1つ失ってしまったんだからそれなりの罰は下るだろう、クビ……まではないだろうが下手すればスタッフリーダー降格だろうな……

 

「まあ取り敢えずある程度の処罰は覚悟しないとな……じゃあそろそろホロライブタウンに帰るか」

 

『はーい♪』

 

『あーい♪』

 

こうして俺達は人目のつかない場所に移動した後転移能力を使ってホロライブタウンへと帰るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから帰宅してすぐに俺は事務所へとやって来ていた。理由は言わずもがな金成電器とのトラブルについてだ。向こうに非があるとはいえ取引相手に罵声を浴びせ友好関係を台無しにしてしまったのだ、それ相応の処罰が待ってるのは間違いない。そう思いながら俺は社長室の扉を開けて中に入る。

 

「失礼します。社長、金成電器との件についての話と聞いて参りました」

 

「うむ、ご苦労。今回の件、君達に対して向こうが大変失礼な態度をとったと聞いている。しかし、その結果金成電器とのスポンサー関係は全て白紙になったのもまた事実だ。よってそれに対する君の処遇がこの紙に書いてある」

 

…………さて、一体どんな処罰が下るのか?最悪クビにでもなったら専業主夫としてやってく覚悟ではあるが、さて結果は………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

{本日付より佐々木 玲二を“ホロライブ日本支部支部長”への就任を命ずる}

 

 

………………

 

 

 

……………………

 

 

 

 

……………………………

 

 

 

 

 

…………………………………ハアァッ?!

 

「し、支部長?!お、俺が支部長って………社長!これ一体どういう事なんですか?!」

 

「どうしたもこうしたも、其処に書いてある通り佐々木君、君は今日からスタッフリーダーからホロライブ日本支部支部長への昇格が決まったんだ。おめでとう佐々木君」

 

「いやいやいやいやいやいやいやいやッ?!なんでですか?!俺スポンサー先を潰してしまったんですよ!?降格される事はあっても昇格するなんてそんなバカな話ありますか?!」

 

しかも支部長って、実質的な会社のNo.2じゃねぇか!?なんでいきなりそんな高い地位に上がるんだよ!?

 

「いや実はだね、君の昇格自体はずっと前から決まってたんだよ。けど此処最近君が仕事でも家庭でもバタバタしていたからもっと落ち着いてからにしようと思ってたんだが、今回の金成電器との件で丁度良かったから昇格させる事にしたんだ。元々金成電器とはスポンサー切るつもりだったから丁度良くてね」

 

「え?スポンサー切るつもりだったってどういう……?」

 

「彼処はかなり前から好き勝手言ってきてね。自慢ばかりで中身のないCMをもっと流せとか、自分達とコラボした商品を作れとか、更にはそれを断ったのにも関わらず勝手にホロライブの名前を使って非公式のグッズを作る等してて困ってたんだよ。それに今回君の子供達を金で買おうとする横暴さもあったって聞いたからこれを機にこちらからスポンサーを切らせてもらう事にしたんだ」

 

そんな事してたのかあいつ等?!非常識にも程があるぞ!?

 

「それに彼処はスポンサーと言っても他のスポンサーと違って注文が多すぎるわりに継続出来る最低限の契約金しか払ってなかったから我々にとっても正直いなくても構わなかったし、何より他の同業者から聞いた話だと金成電器には近い内に税務調査が入るみたいなんだ。どうやらかなりの脱税や裏金が動いてたようだ」

 

「な、なんだか思ってたよりセコい感じだったんですね……」

 

「という事で金成電器に関してはもう心配する事はない。そして今日から……というよりは明日から君はホロライブ日本支部支部長として頑張ってもらいたい」

 

「は、はぁ………あれ?ですが社長、俺が支部長になるって事は前支部長は……?」

 

「あぁ、あの人は実は数ヶ月前にホロライブを辞めたんだよ。何でも当面の間自分の経営する塾を存続出来る程の資金を得たからまた塾長として戻る事になったんだと」

 

そ、そうだったんだ……という事はもうあの人と会う事はなさそうだな。あの人の起こす面倒事の後始末しなくて済むんだな……

(番外編『魁!火炉雷舞』参照)

 

こうして俺はお咎め無し……というより昇格し金成電器での事件は終わった。因みに後日社長の言ってた通り金成電器に税務調査が入り裏金帳簿等の脱税の証拠が多数見つかりかなりの追徴課税が発生し、更には許可なくホロライブの非公式グッズを販売した事から名誉毀損で裁判沙汰になるなど八方塞がりな状態になってるのだとか………




はい、という事で玲二の昇格、そしてガンプラ購入回でした!今回出たガンプラは今月に入って自分が購入したキットでございます。どれも良いキットなので是非見かけたら購入してみて下さい♪

次回もまったり待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第68話『かまってベイビーズ』

最近仕事が忙しくてガンプラ作る暇がなく、またそれにより小説に出すガンプラのネタも尽きそうになってます。なのでもうこの際作った事ないガンプラも出そうかなと思います。

今回は少し短めでガンプラも出てきませんが、昇進した玲二の近況です。最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


ホロライブ日本支部支部長に就任してから早二週間。俺は今かなり仕事に追われていた。

 

ホロライブマンションの一室を俺のオフィスにさせてもらい1日の殆どを其処で過ごす日々がずっと続いている。企画書のチェック、企業許諾の確認、衣装のチェック、各自の給料算出、予算の割り当て、そして他の支部との連携を取りながらの総合会議等、やる事が多すぎる。

 

前の支部長は豪快な性格だから殆ど勢いで決めて後は部下に任せてたみたいだが、流石にそんなやり方俺には出来ないしな。早く新しい仕事に慣れないと……

 

―コンコンッガチャッ―

 

「失礼します。ご主人様、お昼ごはんをお持ちしました」

 

「ん、有難うみしろ。其処に置いといてくれ」

 

「かしこまりました……あの、ご主人様。少しお休みになられた方がよろしいのではないでしょうか?此処最近ずっとこの部屋に籠って仕事ばかりされているようですが……」

 

昼ごはんを持ってきてくれたみしろが俺の顔を見て心配してくれてるが、こればっかりは本当にどうしようもない。今此処で仕事を投げ出すワケにはいかないし、何より早い段階で仕事に慣れておかないと後々苦労するのは自分なんだから出来る事はなるべくさっさとやんないとな。

 

「俺の事は大丈夫だ、心配してくれて有難うな。それより『ミナ』の方は大丈夫なのか?」

 

「えぇ、今はこの通りぐっすり眠ってますわ。先程まで授乳してたので今はお腹いっぱいで満足してるみたいです」

 

みしろはそう言いながら背中で幸せそうに眠ってる我が子『ミナ』を俺に見せてくれる。この子はレミィみたいに俺の特徴はあまり受け継いでなく見た目はちっちゃいみしろで可愛らしい。今もおしゃぶりを咥えながらすやすやと眠っている。

 

「そっか、それなら良かった。んじゃ俺も飯食って仕事の続きでもするか」

 

「分かりました、では食べ終わる頃にまた食器を下げに「ぱーぱぁ♪」あら?」

 

昼ごはんを食べようとする中、仕事部屋にこゆきとマオと玲菜が笑いながら入ってきた。そういやこゆき達見るの久々な気がするな………

 

「ぱーぱ、あしょぼぉ~♪」

 

「「あしょぼぉ~♪」」

 

「あー………ごめんな皆、パパまだお仕事が残ってるんだ。遊んであげたいのは山々だけど、今はママ達と遊んでくれないか?」

 

「うゅ…………ぱーぱ、あしょんでくぇないの?」

 

……こゆき達が悲しそうな顔をしているがごめんな。俺だって本当は遊んであげたいけど、まだ仕事が山積み状態だから終わらせないといけないんだ。

 

「本当にごめんな、お仕事が終わったら沢山遊んであげるからそれまでは我慢してくれ」

 

「うぅ~……いちゅおあるの?」

 

「えっと……今日はもう無理だから明日とかになるかな?」

 

「やーーーッ!!こゆぱぱといっしょにあしょぶぅーーーッ!!」

 

こゆき達が俺の足にしがみついて駄々を捏ねるが、そんな事言われたって仕事を放棄するワケにはいかないから遊べないんだよ………

 

「こらこらこゆきちゃんマオちゃん玲菜ちゃん、ワガママ言ってパパを困らせたらダメですよ~?パパは今大事なお仕事をしてるんですから代わりにみしろママが遊んであげますからね~♪」

 

「「「やぁーーーッ!!」」」

 

みしろが代わりに遊んであげると言ってもこゆき達は駄々を捏ねて俺から離れようとしない。あぁもう……

 

「はぁ……こゆき、マオ、玲菜!頼むからパパのお仕事の邪魔しないでくれ!もうこれ以上パパのお仕事邪魔するならもう一生遊んでやんないからな!」

 

「あぅ!?………ふぇ………」

 

「「「びゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」」」

 

ヤバッ!?ちょっとイラッとしたせいで思わず声を荒げてしまった!?こゆきとマオもそうだが普段滅多な事では泣かない玲菜も俺の怒鳴り声にびっくりして泣いてしまった!

 

「ご、ご主人様!?そんな幾らお仕事で疲れているからといって子供達を泣かせるなんて酷いですわ!ほら皆、パパはちょっと疲れているみたいだからみしろママと一緒にあっちに行ってようね~♪」

 

「「「びゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」」」

 

泣きじゃくるこゆき達をみしろがあやしながら部屋から連れていき、残された俺は罪悪感に圧されながらも仕事を再開するしかなかった。はぁ、やってしまったな………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その夜、なんとか仕事を全て終わらせお腹も空いてきたので俺は疲れた身体を伸ばしながらリビングへと向かっていた。今は20時か……もうこゆき達は寝てしまってるだろうな。仕事に追われてたとはいえあんなふうに怒鳴るなんて父親失格だし、流石にちゃんと謝らないといけないな……

 

「あ、レイくんお仕事お疲れ様です」

 

「あぁ、有難う……あのさフブキ、こゆきは……?」

 

「今其処でねんねしちゃってますよ、ほら」

 

フブキがソファーの方を指差すと其処にはガンプラの入ったカプセルを抱き締めながら眠ってるこゆきがいた。だがその表情は何時もと違い悲しそうな感じがする。やっぱり怒鳴ってしまった事が引きずってしまってるみたいだな……

 

「フブキごめん、俺仕事が忙しいからってこゆき達の事を……」

 

「謝らないで下さいレイくん。レイくんが私達の為に一生懸命仕事をしてくれてる事は皆分かってますし、きっとこゆき達も分かってくれますよ♪」

 

………いや、それでも今日の俺のあの怒鳴りは俺自身のイライラからきてしまったモノなのだからちゃんと謝らないといけない。

 

それにあれから冷静になって考えてみたら支部長になったからって思い詰めて仕事を一気に終わらせようと勝手に自分を追い込んでただけだし、もっと何時も通りにこなしていればこゆき達にも構ってあげれたしな。

 

現にさっき調べたら今日はまだ火曜なのに今週中にやらなきゃいけない仕事もう殆ど終わってたし、寧ろまだ月始めなのに今月中の仕事すら8割程終わらせてたんだから自分で勝手に仕事進めて追い詰めてただけだってのがよく分かってしまった。

 

「フブキ、お前達にも子供達を任せっきりになってしまってて本当にすまなかった……」

 

「もぉ大丈夫ですってばレイくん、私はレイくんの奥さんなんですから旦那さんが仕事で忙しい時は子供達の面倒見るのは当然ですし、そんなに気にしないで下さい。寧ろ私は私達の事を考えてまっすぐに仕事をしてくれるレイくんには感謝してるんですから♪」

 

フブキは怒ってる様子はなく寧ろ俺に笑顔で労いの言葉を贈ってくれる。そんなフブキの姿に俺の心は幾分か落ち着きを取り戻していた。

 

「フブキ、有難うな……なぁフブキ、今日は久し振りに一緒に寝てくれるか?こゆきとふゆきも一緒に」

 

「うん、もちろん良いですよ♪それと、もうお仕事終わったのなら明日はこゆき達と沢山遊んで下さいね?」

 

「あぁ、それはもちろんだ」

 

「よろしい♪ではレイくん、お腹も空いてるでしょうしご飯用意しちゃいますね♪」

 

……本当に良い子だよなフブキは。こんな幼馴染みがいてそれで奥さんになってくれるなんて俺は本当に幸せ者だよ、何時も有難うなフブキ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………ぅゅ……あぅ?ぱーぱ?」

 

「スゥ………スゥ…………」

 

皆が寝静まる深夜、こゆきが目を覚ますと目の前には寝息を立てながら静かに眠る玲二がいた。昼間に怒鳴ったような怖い顔ではなく穏やかに眠るその表情を見てこゆきは安心したのか玲二の顔をペタペタ触っていく。

 

「……うぅ……ん……」

 

「?ぱーぱ、どーちたの?」

 

「……こゆきぃ……ごめんなぁ……スゥ……スゥ……」

 

すると突然辛そうな表情をしながら寝言でこゆきに謝り出す玲二。そんな玲二を見てこゆきはそのちっちゃな手で玲二の頭を撫でていくとまた穏やかな表情へと戻っていった。

 

「ぱーぱ、よちよち……こゆもごめしゃい……」

 

(………うん、もう大丈夫そうだね♪)

 

そんな二人を見て一緒に寝ていたフブキも一安心しそのまま眠りにつくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―翌日―

 

「ぱーぱ、たかーい♪」

 

「お、そうか?ならもっと高くしてあげるな、そーれ!」

 

「きゃうぅ~♪」

 

「ぱーぱ、かいもぉ~」

 

「マオもぉ~」

 

「ハイハイ、順番だから待っててな」

 

翌朝、俺はこゆき達に謝った後今日は一日中遊んであげると言って皆と一緒に中庭で遊んでいた。肩車をしてあげたりおうまさんしてあげたりすると子供達はキャッキャと笑って楽しんでくれてる。

 

「いやぁ、漸く何時ものレイくんに戻ってくれて本当に良かったね~♪」

 

「そうですね。ご主人様がホロライブの支部長に就任されてからずっと仕事ばかりしてましたから少し心配してましたが、もうその心配は必要ないようで安心しました」

 

そんな俺達をフブキとみしろがお茶をしながら微笑ましそうな表情で見ている。二人にも……いや、皆にも心配かけてしまったからな。後数日は特に急いで仕事する必要もないし、子供達だけでなく皆にも出来る限りの家族サービスをしてやらないとな。

 

「ぱーぱ、おうましゃん~」

 

「お、次はおうまさんか?よーし、落ちないようにしっかり掴まるんだぞ~?」

 

「あーい♪ぱーぱ、しゅきぃ~♪」

 

「ハハ、そっかそっか。俺もこゆき達の事大好きだぞぉ~♪」

 

「あいぃ♪」

 

そして今は子供達とうんと遊んであげよう。今日は皆が満足するまで遊んでやるからな~♪

 

ホロライブ日本支部支部長佐々木玲二。以前より忙しくなったものの家族を大切に想う気持ちは変わらずより一層この時間を大切にしようと心がけるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―オマケ―

 

「………まぁ遊んであげるのは良い事なんですが……」

 

「えぇ、流石に我が家だとああなってしまいますわよね……」

 

「ぱーぱ♪」

 

「ぱーぱ♪」

 

「ぱーぱ♪」

 

「とーちゃ♪」

 

「ちーち♪」

 

「お、おいお前達そんな詰め寄らなくてもちゃんと順番に遊んでやるから……」

 

寝そべってる所に動ける子供達が一斉に群がり下敷きになる玲二。そして子供達がそのままお昼寝に入ってしまい解放されるのは三時間後であった。




はい、という事で玲二と子供達の絡み回でした。子供がいる家庭って仕事で忙しくなると子供にかまってあげられないなんて事あるのかなって思い書いてみました。

次回はフブキとクロの回です。二人の容姿が似てる理由が明らかに……?

次回もまったり待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第69話『白黒の関係』

明日はいよいよガンプラ一番くじの発売日!絶対AとBは確保したいのとそして願わくはラストワンも欲しいですね♪

今回はフブキとクロの回です、お互いの関係性が明らかに……?今回も最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


「はぁッ?!家に来るってどういう事だ母さん!?そんな事急に言われたって……あ、ちょっ……!?クソ……」

 

「?どうしたのクロちゃん、そんな大声出して?」

 

とある昼下がり、リビングで誰かと電話してたであろうクロがスマホをソファーに放り投げた後ため息を吐いていた。一体どうしたんだ?

 

「あ、いやまぁ……実は母さんがこの島にやって来るって言ってきてな……」

 

「クロちゃんのお母さん?そう言えばクロちゃんのご両親に会うのって初めてだよね?」

 

「そういやそうだな?他にも直接会った事のないご両親もいるけど、クロに至っては家族の話すら聞いた事なかったからな」

 

他の娘のご両親とは直接会った事はないがリモートで挨拶した事はあるがクロに関してはその必要はないと言って連絡先すら教えてくれなかったのだ。

 

「………実はな、玲二には内緒にしてたんだが母さんとは前からずっとやり取りはしてたんだ。結婚した事も、子供が産まれた事もな」

 

「そうなのか?でもお義母さんだけ?お義父さんには伝えてないのか?」

 

「………あんなろくでなしになんて連絡してねぇよ。そもそも今何処にいんのかもわからないしな」

 

な、なんかお義父さんの話をした瞬間クロの表情が険しくなっていってる……そういや昔家族仲が悪いとは聞いてたけど、それって父親の事だったのか?

 

「というワケで玲二、すまないが三日後に私の母親が来るから家に泊めても良いか?」

 

「あ、ああそれは構わないぞ。それにその日は他にもフブキのお母さんもやって来るって言ってたし、この際だから二人まとめておもてなししようか」

 

「そうなのか?フブキもお袋さんが来んのか?」

 

「うん、お母さんとはこゆきが産まれた時に帰省した以来会ってなかったからふゆきも産まれたし是非来てほしいと思って招待したんです♪」

 

そうそう、あの時のお義母さんこゆきを抱いた瞬間物凄くだらしない顔でこゆきに頬擦りしてたんだよな。長年見てきたけどあんなお義母さん見た事なかったわ。

 

「よし、そうと決まればおもてなしする為の準備でもしていくか」

 

「良いですね、折角ですから子供達も連れてスーパーに行きましょう♪クロちゃんもそれで良いかな?」

 

「ああ、別に構わないさ。そんじゃ“黒子”連れて来るからちょっと待っててくれ」

 

そう言うとクロはベビーベットですやすや眠る我が子『黒子』を抱っこし抱っこ紐にくくりつけ出かける準備を済ませていく。それにしてもクロもすっかりお母さんらしくなってきたよな、最初は赤ちゃんの扱いに四苦八苦してたのに。

 

「待たせたな、それじゃあ行こうか」

 

「ああ、じゃあまずはスーパーに行ってその後酒屋に行ってお酒も買っていくか」

 

「はーい♪こゆきも今日はおやつ買っても良いからね~♪」

 

「わーい♪ねるねるね~♪」

 

こうして俺達はフブキとクロのお母さん達を迎える為のパーティーの食材を買いに街に出かけるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………この訪問がまさかあんな事になるなんて、この時の俺達はまだ知るよしもなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―三日後―

 

―ピンポーンッ―

 

「お、どうやら来たみたいだな」

 

「そうみたいですね、はーい今出まーす!」

 

おもてなしの準備を終えた頃、タイミングを見計らったかのようにインターホンが鳴り玄関を開けると其処にはフブキにそっくりなおっとりとした女性がにこやかに立っていた。

 

「こんにちは~二人とも久しぶりね~♪」

 

「いらっしゃいお母さん♪」

 

「お久しぶりです、みゆきさん」

 

俺達はやって来たフブキのお母さん『白上みゆき』さんを家へと招き入れていく。この人は俺が幼い頃から近所付き合いがあるからずっと見てきたが全然老けていない、というより寧ろ俺より若々しいんじゃないか?

 

「もう玲二君ってば、前にも言ったでしょ?私の事はお義母さんって呼んでよね♪」

 

「す、すみませんまだなれなくて……」

 

「まぁまぁ、それは良いとして……ほらこゆき、おばあちゃんだよ~♪」

 

「ばーばぁ?」

 

「あらぁこゆきちゃん久しぶりねぇ~♪おばあちゃんだよぉ~♪」

 

あらら、またみゆ……じゃなかったお義母さんの顔がだらしなくデレデレしている。本当に子供が大好きなんだな……あ、そうだ。

 

「お義母さん、こっちが俺とフブキの第二子のふゆきです。ほらふゆき、おばあちゃんだよ」

 

「う?」

 

「あらぁ!この子がこゆきちゃんの妹?こっちも可愛いわねぇ~♪」

 

お義母さんは俺からふゆきを受けとると優しく頬をすりすり擦って可愛がってた。ふゆきは何をされてるのか分からずキョトンとしてるけどな。

 

「おーい玲二、フブキー。もう料理並べ終えたぞ……っと、もうお前のお母さん来てたのか?」

 

「………え?ふ、フブキ?フブキが……二人いる?!」

 

と其処に料理の準備を終えたクロが俺達を呼びに来て、そのクロの姿を見たお義母さんが口をパクパクさせながら驚いていた。あそっか、お義母さんはクロの事初めて見たからそりゃ困惑するわな。娘と瓜二つな娘が目の前に現れたら誰だってこうなるよな?

 

「あー……お母さん驚かせてごめんね。こちら私と同じレイくんの奥さんのクロちゃんです」

 

「あ、どうも、フブキです。こいつと名前が一緒なのでクロって呼んで下さい」

 

「え?クロ……ちゃん?え?え?どういう事?フブキと名前が一緒?え?」

 

あ、ダメだ完全に混乱してしまってるな。そりゃ此処まで瓜二つな娘がいきなり現れたらびっくりするだろうから仕方ないか。

 

「……………ッ!?あ、貴方……もしかして貴方の旧姓って、黒上だったりする?」

 

「え?は、はいそうですが……?」

 

「ッ!?や、やっぱり……」

 

やっぱり?え?なんでお義母さんがクロの旧姓知ってんだ?もしかしてお義母さん何か知って……

 

「おぉーーーッ!此処がフブキの住んでる豪邸かぁ!?話には聞いてたけどデッケェなぁ♪」

 

「え………あ、母さん!?」

 

「「「え?」」」

 

そんな中いきなり大声が聞こえ再び外に出ると遠くの方からラフな格好した狐族の黒髪の女性が豪快に笑いながらこっちにやって来ていた。もしかしてあの人がクロのお母さん……ってあの人、なんかみゆきお義母さんにそっくりじゃないか?!

 

「おぉ、フブキ久しぶりだなぁ♪元気してたかぁ?」

 

「か、母さんそんなデカイ声出すなよ!?他の皆に迷惑がかかるだろ?!」

 

「ん?そっか?いやぁスマンスマン♪アッハッハッハァ♪」

 

な、なんか豪快な人だなクロのお母さん?どうやったらこんな豪快な人からクロみたいな性格な娘が産まれるんだ?

 

「お、あんたがフブキの言ってた旦那か?いやぁ話に聞いてた通り良い男じゃねぇか!あたしの元クズ夫とは全然違って真面目そうだしな♪フブキ、お前良い旦那見つけたなぁ♪」

 

「は、はぁ……?」

 

や、ヤバイな。これはみゆきお義母さんとはまた違ったマイペースな人だな。

 

「………ん?あれ?みゆきじゃねぇか、なんでお前が此処にいるんだよ?」

 

「……それはこっちのセリフよ“イブキ”。なんであんたが此処にいるのよ?」

 

………え?ど、どういう事だ?なんでみゆきお義母さんとクロのお母さんが睨みあってんだ?てかこの二人顔見知りなのか?

 

「おいおい今のやりとり見て気づかねぇのかよ?あたしは自分の娘とその旦那に会いに来たんだよ。そんなのも分からねぇのかこのノロマ狐が」

 

「あらあら脳筋狐が何をほざいているんだろうねぇ?それに私だって大切な娘と義息子と孫に会いに来たのよ」

 

「へぇ?お前の娘?それってフブキの横にいるその白い狐ッ娘か?なんかお前に似て頭のネジ外れてそうな顔してんなぁ?」

 

「あらあら、それ言ったら貴方の娘さんだって貴方に似て随分がさつそうねぇ?」

 

ちょ!?ど、どうしたんだ急に?!なんで二人ともいきなりそんな険悪なムードになってんだよ?!

 

「ちょ、ちょっとお母さん?!どうしちゃったのいきなりそんな喧嘩腰になって……!?」

 

「それに母さんも……っていうかなんで母さんがフブキの母親の事知ってんだよ?!」

 

「あ?知ってて当然だろ?」

 

「そうよ、だって………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「この子(こいつ)は私(あたし)の双子の妹(姉)なんだから」」

 

………………

 

 

……………………………

 

 

 

………………………………………………え?

 

「「「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーッ?!!?」」」

 

唐突に明かされた真実に俺達の叫びが島中に木霊するのであった……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それからなんとか二人を招き入れ料理を振る舞うも相変わらずギスギスした空気が流れている。一応安全確保の為フブキとクロの子供達以外は二人が落ち着くまで別室に待機してもらうようにしているが……さて、どうしたもんか?

 

「……本当に二人ともそっくりですね?」

 

「まさかフブちゃんのお母さんとクロちゃんのお母さんが双子の姉妹だったなんてね……」

 

「あれ?という事はフブちゃんとクロさんって実は従姉妹同士だったって事ですか?」

 

「そういう事になるよね……」

 

「いやそれよりどうすんのこの空気?!このままじゃ子供達リビングに呼ぶ事出来ないじゃん!?」

 

全くもってその通りなんだよなぁ。取り敢えずなんでこの二人の仲が悪いのかだけでも振り返ってみるか……

 

 

 

元々みゆきさんとその妹である『イブキ』さんは幼い頃はそうでもなかったのだが大人になるにつれ互いの性格が合わずいがみ合う事が多かったらしい。確かにみゆきさんのおっとりした性格とイブキさんの豪快な性格は相性悪そうだもんな。

 

そしてみゆきさんは白上家に嫁ぎイブキさんは合コンで知り合った男と付き合い結婚して黒上となったのだが、そのイブキさんの相手がかなりのクズだったらしく所謂パチンカスだったらしい。仕事で稼いだ金も全てパチンコに費やし更にクロを身籠って産まれてからもそれは変わらず寧ろ酔ってDVとかも珍しくなかったとか。

 

その結果イブキさんは離婚してクロの親権と多額の慰謝料をもらったがその事で両親に男を見る目がないと説教されてそれにキレて自分から家族と絶縁してしまったらしい。そして今に至るまで再会する事はなかったんだとか。

 

「……ったく、フブキの結婚相手の他の女にお前の娘がいたって知ってりゃ反対だったのによぉ」

 

「あら?それならさっさと離婚でもして母娘仲良く出ていってくれないかしら?私は玲二君とフブキが幸せに暮らしてくれるなら構わないから」

 

「あぁんッ?んだとてめぇ……ッ!」

 

「おい母さん!母さん達の仲が悪いのは分かったけどそんなんで私と玲二を離婚させようとすんなや!」

 

「そうだよ!お母さんがイブキおばさんと仲が悪いからってそんなんで離婚したらクロちゃんも黒子ちゃんも可哀想だよ!」

 

一触即発な状況に娘であるフブキとクロが割って入り止めていく。そりゃ親の勝手な都合で離婚させられそうになったら怒るわな。けどそんな二人の言葉は届いてないのか二人の言い合いはヒートアップしていく。

 

「大体なんでてめぇの子供の名前がフブキなんだよ?!あたしの子供と名前被せてくんじゃねぇよ!」

 

「そっちこそなんでよりにもよって私の子と同じ名前にしてんのよ!?私と夫が一生懸命考えた名前が貴方の適当に考えた名前と一緒だと思うと情けなくなってくるわ!」

 

「ふざけんなよ!適当に付けたワケねぇだろこのボケ狐!!」

 

「何よこのガサツ狐!!」

 

………ダメだ、最初は落ち着くのを待とうと思ったがこれ以上は流石に許容出来ないな、はぁ………

 

 

 

 

 

―バアァンッ!!―

 

「「ッ?!」」

 

「………お二人とも、これ以上下らない事で争うならもう帰ってもらえませんか?」

 

俺はテーブルをおもいっきり叩き二人を睨みながら静かに告げていく。これ以上は夫としてフブキ達を、子供達に嫌な思いをさせるワケにはいかないからな。

 

「れ、玲二君……?」

 

「な、なんだよ急に……?」

 

「だからこれ以上この家で下らない姉妹喧嘩するならさっさと出ていけって言ってんだよ。しかもただ自分達の喧嘩ならまだしも互いの娘まで貶すようなみっともない真似しやがって」

 

最早敬語すら取っ払い喧嘩するみゆきさん達に更に睨みながら言葉を続けていく。もう義母だとかそんなの関係ない、俺の家族を傷つけようとするなら容赦はしない。

 

「あんた等の仲の悪さはよく分かったけど、だからといって自分達の娘まで巻き込む理由が何処にある?そんなに仲の悪い自分の姉妹の娘が俺と結婚したのが気にくわないならもうこっから出ていってくれ。そして二度とこの島に来ないでくれ」

 

「え?!ちょ、ちょっと玲二君!?」

 

「な、なんだよそんな勝手な事……?!」

 

「勝手な事?勝手なのはあんた等だろうが!人の家に来たと思ったらいきなり姉妹喧嘩始めやがって、しかもそれだけならまだしも俺の大切な妻達の事も貶しやがって!母親だからって何しても許させると思ってんじゃねぇよ!俺には夫として妻達と子供達を守る義務がある。だからこれ以上下らない喧嘩でフブキ達を巻き込むなら本当に出ていってもらうぞッ!!」

 

そうだ、俺にはフブキやクロ、そして皆を守っていくと決めたんだ。それを傷つけようとする奴は例えそれが義理の母親でも許す事は出来ない。

 

「……お母さんごめんなさい。私は同じレイくんの妻としてクロちゃんと仲良くしていきたいの。もしお母さんがそんな喧嘩を続けて更にクロちゃんを貶すようならお母さんとは今日限りで絶縁するから」

 

「え?!ちょ、ちょっとフブキ……!?」

 

「私もだ。私だって玲二の事が好きで家族になったんだ。それを母さんの嫌いな姉の娘であるフブキがいるからって理由で離婚させようとするなら私もあんたとは此処で縁を切る」

 

「お、おい!?別にあたしは離婚させようなんて……!?」

 

娘達からも睨まれ何も言えなくなってしまう二人だが、次第に自分達が如何に醜い争いをしていたのか理解したのかおとなしくなっていった。

 

「………確かに私達、大人気なかったわね。ごめんなさい玲二君、それにフブキや皆もごめんなさいね……」

 

「あたしも……すまなかったフブキ。それに、そっちのフブキも貶すような真似してしまって申し訳ない」

 

「うん、分かってくれたならそれで良いんですよ♪これからはこゆき達の為にも喧嘩はしないようにしてくださいね?」

 

「ばーば、けんか、めー」

 

「「はい、肝に銘じます……」」

 

うん、こゆきにも言われたお陰で二人とも落ち着いてくれたし、これでもう大丈夫だろ。なら他の子供達を連れてきて皆でご飯食べるとするか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―その夜―

 

「……あ、あのー?なんで私がクロちゃんのお母さんと一緒にガンプラ作る事になってるんですか?」

 

食事を終えて子供達も眠りにつき一休みしようとした瞬間、私はイブキさんに自分が寝泊まりする客室に連行されました。その理由がなんとガンプラを作ってみたいとの事なんですが……なんで私が?

 

「ん?いやフブキ……いや、お前もフブキだからややこしいな。ならあたしも皆に合わせてクロって呼ぶか。クロがいっつもガンプラ作ってるのを見てたら興味が出てな。折角だからあたしも一回は作ってみようかと思ったんだよ」

 

「で、でもそれならクロちゃんと一緒に作ったら良いんじゃ……?」

 

「………それも良いんだが、ちょっとお前とも話をしてみたいと思ったんだよ。それにみゆきも同じ考えだったみたいだし、今回は娘を交換して一緒に作ろうって事にしたんだよ」

 

成る程、そういう事なら構いませんが私に聞きたい事って何だろう?それと一体何を作るんだろう?

 

「というワケで今回はさっき近くにあった模型屋で売ってたこれを作ろうと思うんだが、どうだ格好良いだろ~♪」

 

「え?あ、はい……でもこれは初めて作るキットですね、同じ物の最新版なら作った事があるんですが」

 

イブキさんが持ってきたのはかなり古いキットで『ガンダムジェミナス01』でした。これは私も最新版を作って其処からレイくんから漫画を見せてもらってハマった作品ですね。

 

 

『HG1/144 ガンダムジェミナス01』

『新機動戦記ガンダムW デュアルストーリー G-UNIT』に登場する主人公アディン・バーネットが搭乗する機体。Wシリーズのガンダムは特化型の機体が多い中このジェミナスはオールマイティーに戦う事が出来、更に換装用の装備と入れ換える事で状況に合わせた戦い方が出来るGユニットという機体に分類されている。尚本商品は通常形態に加え宇宙戦用の換装パーツも付属している。

 

「よっしゃあ!そんじゃ早速作っていくか!まずはこのパーツを取れば良いんだな?」

 

「は、はいそうですね…ってちょちょちょ!?そんな手で無理矢理取っちゃパーツがボロボロになっちゃいますって!まずはこのニッパーでパーツを切らないと!」

 

「そ、そうなのか?す、すまねぇ、初めて作るもんだからよく分かんなくてな……」

 

「そうだったんですね?なら私もお手伝いしますので一緒に作っていきましょう♪」

 

「お、おう……」

 

………フフッ♪なんだか私がレイくんと初めてジュピターヴを作った時を思い出しますね♪あの時のレイくんもこんな気持ちだったんでしょうね。まあそんな事はともかくちゃっちゃと作っていきますか!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………なあ、それで話なんだが……」

 

「あ、そうでしたね。それで私に聞きたい事って何ですか?もしかして、お母さんの事とかですかね?」

 

「……ああそうだ。あいつ……家にいる時はどんな感じなんだ?あたしが家を出てからあいつとは連絡した事なかったからどうしてるかなって気になってな……」

 

……イブキさん、最初はあんなにお母さんといがみ合ってたから凄く仲が悪いと思ったのに今は嘘のようにお母さんの事を気にかけてる。本当はお母さんの事大切に思ってたのに、何処かでその歯車が狂ってしまったのだろう。イブキさんの表情には後悔の念が見えます。

 

「さっきも見たから分かると思うがあたし等ってどうも姉妹仲だと素直になれなくてな。本当は今までの事を謝りたいしもっと沢山おしゃべりとかしたかったんだが、どうしてか素直になれねぇんたよなぁ。そのせいであいつには嫌われちまってるし、どうすればいいのかと思ってね「大丈夫だと思いますよ?」………え?」

 

「お母さん昔言ってました。昔私が素直になれなかったせいで離ればなれになってしまった子がいるって。それって多分イブキさんの事だと思います。その話をしている時のお母さん、すっごく寂しそうな顔をしてました……お母さんも心の中ではきっとイブキさんと仲直りしたいと思ってる筈です。だからお互い少しだけでも素直になれれば、きっとまた仲良く出来ると思います♪」

 

私だってレイくんや皆とたまに言い合いになったりしますけど、その度にお互い反省しあってまた歩んでいける。私達は何時だってそうやってきて此処まで来れたんです。だからお母さん達もきっと、またやり直せると思います♪

 

「…………やっぱりあいつの娘だな。優しい処は母親譲りってワケだな」

 

「そうですかね?でもそれを言ったらイブキさんもやっぱりクロちゃんのお母さんだと思いますよ?なかなか素直になれない処とか♪」

 

「お?言ったな小娘がぁ~!おれおれ~♪」

 

「にゃあッ?!あ、頭ワシワシするのだめですって~!!」

 

すっかり元通りになったイブキさんに頭をワシャワシャされながらも私達はジェミナスを完成させる為に協力していくのでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―一方その頃………―

 

「ねぇクロちゃあ~ん。もう私どうしたら良いと思う?やっぱり素直に謝るべきだよね?でもあの子に拒絶されたらどうしよぉ~?!そうなったら私もう立ち直れないよぉ~!」

 

「だ、だから大丈夫ですって!母さんはそんな事で人を嫌いになったりしませんから!………ったく、このめんどくささ、間違いなくあいつの母親って感じだよな………ハァ」

 

こちらもこちらとてみゆきに泣きながら絡まれ若干うんざりしているクロであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―翌朝―

 

フブキとクロのお互いの母親を交換してのガンプラ作りが終わり、リビングのテーブルの上には二組が完成させたガンプラが並んでいる。それにしてもジェミナスとアスクレプオスとは、正に双子らしいチョイスだな。

 

「おお、初めて作った割にはかなり良いんじゃねぇか?」

 

「そうね、それにしてもいざこうして作ってみるとかなり楽しいわね♪これはフブキ達がハマるのも無理ないわ~♪」

 

「うん、私達もお母さん達に楽しんでもらえて良かったですよ~♪」

 

「まあ私もなんだかんだ楽しかったから良しとするか」

 

「かんぷら、かっこい~♪」

 

うん、お義母さん達も満足してるしこゆきも喜んでいるみたいで良かった………ん?

 

「あ、あうぅ~」

 

「あぅ、あやぁ~」

 

「あれ?ふゆき、もしかしてガンプラが気になるの?」

 

「黒子もか?どれ……」

 

組上がったジェミナスとアスクレプオスを見てふゆきと黒子が手を伸ばしガンプラに触ろうとしている。そしてフブキ達がガンプラを持ってふゆき達に触らせてみると……

 

「「……たやぁ♪」」

 

「ッ!?ふゆきが初めて笑った!」

 

「黒子、お前母さん達が作ったガンプラが気に入ったのか?」

 

「あぃ♪」

 

マジか、ふゆき達ももう笑う事が出来るようになったのか……っていうか俺の子供ガンプラがきっかけで笑うようになる子多くないか?まあある意味俺の子らしいけど。

 

「そっかそっか♪黒子、おばあちゃんのガンプラがそんなに気に入ったのかぁ?」

 

「あい♪」

 

「ふゆきちゃんもばーばのガンプラ気に入ってくれたのね~♪」

 

「うゅ♪」

 

うん、お義母さん達もふゆき達の笑顔を見て嬉しそうに笑ってくれてるし、昨日の姉妹喧嘩がまるで嘘のようだ。

 

「……なぁみゆき、その………すまなかったな、昨日の事……いや、これまで心配かけさせちまった事も……」

 

「……そう思うならこれからはちゃんと連絡しなさい。それとお父さんとお母さんもあんたの事心配してたんだからそっちにも顔を出してあげなさいよ?」

 

「うげ、まだ生きてんのかよ……?」

 

「当たり前じゃない、私達だってまだ45歳よ?お父さん達だってまだまだピンピンしてるわよ」

 

「マジか……はぁ、近いうちに顔を出してやるか」

 

「……それと、私もごめんなさい。私が貴方の事、しっかり考えてあげれば良かったのに……」

 

「そんなのお互い様だ。あたしももっとお前の事気にかけていればこんなふうになんなかった筈だからな」

 

二人は互いに謝り、そして自然と笑顔になっていた。うん、もう二人の関係も大丈夫そうだな。それなら……

 

「じゃあ皆、折角だから一緒に記念撮影しようか。お義母さん達も一緒に撮りましょう」

 

「あ、それ良いですね♪ほらクロちゃんも♪」

 

「わ、分かったから引っ張んなって……!」

 

「ばーば、いっしょ~♪」

 

「はーいこゆきちゃん一緒にお写真撮りましょうね~♪」

 

「全くお前は相変わらず子供好きだな」

 

「良し、それじゃあ撮るぞ~。はいチーズ!」

 

―パシャッ―

 

こうしてフブキとクロ、そして子供達とお義母さん達の親子三代の記念撮影は無事に撮る事が出来た。そしてその後そらにカメラを任せ俺も一緒に入り写真を撮ってもらった。うん、皆良い笑顔だな。やっぱり家族は仲良くないとな?

 

 

 

無事に仲直りをする事が出来たみゆきとイブキ。まだ完全にわだかまりは消えたワケではないが、二人の関係が完全に修復されるのはそう遠くないであろう……




はい、という事でフブキとクロが実は従姉妹同士だった回でした!そしてフブキ達のお母さん達も登場、今後も何らかの形で出したいですね♪

次回はホロライブ……ではなくにじさんじ回!新たに登場したあの娘が……?!次回もまったり待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第70話『クレイジーお嬢様?』

感想でご指摘を受けましたので話を再構築しました。配慮が至らなく申し訳ありませんでした。

話の大まかな内容は変わりませんのでよろしければまた見て頂ければ有難いです、ではどうぞ。


「………此処がにじさんじの事務所、わたくしの新しい職場ですわね?」

 

梅雨入り目前の今日この頃、ホロライブと対をなすと言われているアイドルグループにじさんじの事務所の前に一人の女性がキャリーバッグを引きながら訪れていた。

 

「此処にあのお方がいらっしゃるのですわね……ああ、今からとっても楽しみですわぁ~♪」

 

女性は頬を染めながらうっとりとした表情で物思いに耽っている。その表情はまるで恋する乙女そのものである。

 

「漸く貴方に会えますわ。待ってて下さいね…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

“佐藤太郎様”♡」

 

そう言うと女性はルンルンとスキップしながら事務所へと入っていった。何やら一波乱起こりそうな予感がするが、果たして何が起こるのやら…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えー、それでは今日から私達の仲間になりますサロメさんです。では自己紹介お願いいたしまーす♪」

 

「は、はいですわ!一、十、百、千、満点サロメ~♪皆様に笑顔をお届けさせて頂きます壱百満天原サロメでございますわ~♪まだまだ未熟者ではございますが、どうぞ宜しくお願い致しますわ~!」

 

そして数時間後、スタッフに一部のにじさんじメンバーが休憩している待機スペースへ案内され其処にいたメンバーに女性こと『壱百満天原サロメ』は元気に挨拶していた。そして其処にいた美兎や咲、そして花の妖精メイドこと『エリー・コニファー』とホロライブのまつりと仲良しな『星川サラ』はサロメのインパクトに圧されつつも挨拶を返していく。

 

「あ、はじめましてサロメさん。私がにじさんじの委員長月ノ美兎です、よろしくお願いしますね♪」

 

「おはやよ~!笹木咲やよ~♪サロメちゃんよろしくな~♪」

 

「輝く一番星!星川サラです!よろしくねサロメちゃん♪」

 

「はい~、お花の妖精でメイドを勤めておりますエリー・コニファーでーす♪よろしくお願いしまーす♪」

 

「は、はい!まだ若輩者ですがよろしくお願い致しますわ!」

 

ファーストコンタクトはどうやら順調に済み五人はその後も楽しく会話を続けるのであった。

 

「へぇ~、サロメ嬢って本物のお嬢様じゃないんや?」

 

「はいですわ!わたくし、お嬢様に憧れそしてお嬢様になりたくて日々奮闘中の一般庶民ですわ~」

 

「ほわぁ~、そうなんですねぇ?でもそれなら何でにじさんじに入ってライバーになろうとしたんですか?」

 

サロメの個人的な話を聞く中、エリーは素朴な質問をサロメに問いかける。確かにお嬢様を目指すならアイドルやライバーにならなくても他に方法はありそうな物だが一体何故サロメはライバーになる道を選んだのか?

 

「………実は、この事務所にわたくしがお慕いしている殿方がいるのですわ♡」

 

「え?!そうなの!?」

 

「お慕いしているって事は、つまりその人の事好きって事ですか?!」

 

「はい♪これはわたくしが以前初めて都会に行った時の事ですわ……あの時のわたくしは右も左も分からなく困り果ててた時にチャラチャラした男共がナンパしてきてどうしようかと考えてたその時、その殿方がわたくしとチャラ男共の間に入って追い返してくれましたの!更に街の案内とかも丁寧にして頂いてエスコートして下さり、その時からわたくしの心はその殿方に奪われてしまったのですわ~♡」

 

その時の事をサロメは思い出しながら顔を赤く染め眼をキラキラ輝かせ物思いに耽っていく。まさに恋する乙女そのものである。

 

「………そんな事しそうな人うちにいましたっけ?」

 

「加賀美社長?それともエクス?けどプライベートで其処までするワケないしなぁ~?」

 

「そ、それじゃあスタッフさんでしょうかね?」

 

「うーん、わからん……ねぇサロメ嬢?その助けてくれた人の名前って分かる?」

 

サロメ嬢の言うような人物に全く心当たりがない四人は取り敢えずサロメに助けてくれた男の名前を聞いて見る事に。すると……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はい♪“佐藤太郎”様ですわ~♡」

 

………………

 

 

…………………………

 

 

 

………………………………

 

 

 

 

『………………はい?』

 

「さ、佐藤太郎?誰ですかそれ?」

 

「そんな地味な名前の奴おったっけ?」

 

「少なくともライバーの中にはいなかった筈だよね……?」

 

「も、もしかしてスタッフさんの中にいるのかも知れませんが……」

 

『佐藤太郎』、その名前を聞いても美兎達はピンとこなかった。そんな地味な名前は当然ライバーにはいないし、もしスタッフにいたとしても全てのスタッフを把握しているワケではない為名前を言われても分からないのである。

 

「あ、あの、サロメさん?本当に佐藤太郎という方が貴方を助けたんですか?」

 

「はいですわ♪あの凛々しいお顔にふと笑った時の笑顔……ああ、あのお顔を見た瞬間わたくしの心の炎は激しく燃え上がっていましてよ~!!」

 

「凛々しい……お顔?」

 

「ふと笑った時の笑顔……?」

 

「そんな感じのスタッフさんいたっけ……?」

 

凛々しい顔つき、ふと笑った時の笑顔。それだけでは情報が分からず一同は一先ず他に情報がないか探ってみる。

 

「ねぇサロメ嬢?その人他に何か言ってなかった?例えば誰かの名前とか」

 

「名前………あ、確かきずくという方にお土産を買っていくと言ってたような……?」

 

「きずく……もしかしてやしきずの事かな?という事はその佐藤太郎って人やしきずの知り合いなのかな?」

 

「それならお師匠様に聞いてみたら何か分かるかもしれないですね♪」

 

やしきずとはこのにじさんじに所属するメンバーの一人で本名『社築』という。因みに読み方は『しゃちく』ではなく『やしろきずく』なのであしからず。確かにやしきずは他のライバーに比べスタッフと接する機会が多い為もしかすればその佐藤太郎という人物の事も知ってるかもしれない。

 

「と、取り敢えずそれであれば今やしきずを呼んで確認してみますか?確か今は上の階でミーティングしてた筈ですから」

 

「ホントですの!?是非お願い致しますわ~♪」

 

「え、えぇ……少し待ってて下さい、今から連れて来るので……」

 

「あぁ、もうすぐお会いできるのですわね……♡」

 

うっとりとした表情をし続けるサロメに美兎は引きながらもやしきずのいる上の階へと向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お、お待たせしましたサロメさん。やしきずを連れて来ましたよ」

 

「どうも、社です」

 

「ッ!お待ちしておりましたわ!そ、それで佐藤太郎様の事なのですが……///」

 

数分後、想い人との接点があろうと思われる人物がやって来て嬉しさのあまり思わず跳び跳ねるサロメ。しかし……

 

「あ、あの……その事なんですが」

 

「その、期待してるところ申し訳ないんだけど……結論から言うと佐藤太郎とかいう奴は俺は知らないし、この事務所にそんな名前のスタッフはいないんだよな」

 

「えッ?!そ、そんな……!?」

 

「え、マジで?!」

 

「それってどういう事なの……?」

 

「お、お師匠様、本当にその佐藤太郎というお方に心当たりはないのですか?」

 

やしきずから告げられたのは自分には佐藤太郎という人物とは接点がない処かそのような名前の人物はにじさんじにはいないという事実だった。まさかの事実にサロメはショックでその場から崩れてしまい、エリー達も何かの間違いではないかとやしきずにもう一度確認する。

 

「いや、そう思って何度も思い返してみたがどう考えてもそんな名前や類似してる名前も知らないんだよ」

 

「そ、そんな………?!」

 

「それじゃあこれって一体どういう事なの?」

 

これだけ確認しても佐藤太郎、またはそれに類似する名前の人間がこの事務所にはいないとやしきずに言われてしまう。という事は……

 

「……もしかしてなんですが、多分その人偽名を使ってたとか……?」

 

「えぇ?!偽名!?でもなんで!?」

 

「た、多分ですけどもう会う事はないと思ったから本名じゃなくて適当に思い浮かんだ名前を言ったんじゃないでしょうか?」

 

「せやな、それに考えてみたら佐藤太郎って名前もシンプル過ぎて偽名な感じするもんな」

 

「そ、そんなぁ~……!?」

 

自分を助けてくれた相手がまさか偽名を名乗ってたかもしれないと知りショックを受けるサロメ。また膝から崩れていき気力が一気に抜け落ちていった。

 

「……にしても誰がそんな名前を騙ってそんな人助けなんてしたんだ?」

 

「確かに……ねぇサロメさん?その助けてくれた人とはどんな会話をしてたのですか?」

 

「え?あ、はい……わたくしがあのお方と別れる際にあの方が「これから築にお土産買ってかないとな」って言っておりましてどなたでしょうかと確認したところ「にじさんじに所属するライバーだよ、俺の仕事仲間で友達だな」って仰っておりました」

 

「……………え?それって……」

 

「……その言い方だと別にその人がにじさんじに所属してるとは言ってないよね?」

 

「……………あぁッ?!ほ、本当ですわぁ~ッ!?」

 

そう、先程のサロメの言葉通りならその佐藤太郎と名乗る人物は築とは仕事仲間であり友達と言ってるだけでありにじさんじに所属してるとは一言も言ってない。つまり、サロメはこの時の言葉を勘違いし佐藤太郎が此処にいると思い込んでやって来てしまったという事である。

 

「けどやっぱり佐藤太郎なんて名前は知らないからそいつ間違いなく偽名で名乗ってるのかもな」

 

「せやな……ねぇサロメ嬢?その人他になんか言っとらんかったか?」

 

「え?そ、そうですわね、えぇっと……………あ、そうですわ!確か、別れ際に他に新作の“天ぷら”を買いにいくと言っておりましたわ~!」

 

『天ぷら?』

 

新作の天ぷら、それを聞いてもピンとこない美兎達は首を傾げる。

 

「え?なんで天ぷら?もしかしてその人、食べ歩きでもしてたの?」

 

「さあ?……あら?でも天ぷらだったかしら?えっと……ナンプラー?コンプラ?確かそのような言葉だった気が……」

 

「ナンプラー?コンプラ?その人一体何を買おうとしてたん?」

 

「ていうかコンプラって買うものじゃないじゃん?」

 

ますますワケが分からなくなる一同。しかしその時、エリーは何かに気づいたようだ。

 

「あ、あの!サロメさん、その人もしかして“ガンプラ”って言ったんじゃないでしょうか?」

 

「ッ!!そうですわ!ガンプラですわ!!」

 

「ガンプラ?という事はその人、ガンプラ買いに行った時にサロメさんと出会ったって事ですか?」

 

「そうなんや?でもガンプラを買ったり人助けするなんてまるで…………………ッ!?ま、まさか……?!」

 

「はい笹木監督、そのまさかだと思います……サロメさん、貴方を助けてくれた人ってもしかしてこの人じゃないですか?」

 

咲達も何かに気付き、そしてエリーがスマホにある一枚の写真を見せてサロメに確認をとる。すると

 

「……あぁッ!?こ、このお方ですわ!この殿方こそ間違いなくわたくしを助けてくださったお方ですわ~!」

 

『や、やっぱり……』

 

「?どうしたんだお前等……ってこいつはッ!?」

 

写真を見たサロメは自分を助けてくれた人は間違いなくこの人と断言し、四人は思ってた通りだったと若干呆れやしきずはその写真を見て驚きを隠せずにいた。そう、其処に写っていたのはにじさんじとは関わりがあるものの別の事務所の人間……ホロライブの元スタッフ佐々木玲二であった。

 

「ま、まさか玲二さんが佐藤太郎なんて偽名を名乗ってたなんて……」

 

「でも確かに玲二くん最近面倒事に巻き込まれない為にプライベートでは本名隠して行動する事が多いって言ってたわ」

 

「でもそれがまさかこんな事になるだなんて……」

 

「全く、なんて人騒がせなんだよあいつ……」

 

「おいやしきず!お前玲二さんの事あいつ呼ばわりすんなやッ!!」

 

サロメを助けた相手がまさか自分達が知ってる……というより慕ってる意中の相手だと知り四人は複雑な気分になりやしきずはこのややこしい事態を引き起こした事に呆れてしまっている。ついでに好きな人をあいつ呼ばわりされた咲はやしきずに蹴りを入れていた。

 

「あ、あの?皆様、こちらのお方をご存知でして?」

 

「えぇ……サロメさん、大変申しあげにくいのですが、この人はにじさんじではなくホロライブのスタッフさんなんです」

 

「……ホロライブ?」

 

「星川達と同じアイドル事務所だよ。玲二くんは其処のスタッフリーダーで星川達ともよく交流があるけどにじさんじには所属してないんだよね」

 

「はぇッ!?そ、そんなぁ~……?!ではわたくし、本当に入るべき事務所を間違えてしまったって事ですのぉ~?!」

 

「間違えたというより勘違いしたって感じですね」

 

「まぁこれはサロメ嬢の完全な勘違いやからな」

 

自分が追い求めていた人は実は別の事務所の人間と知りまたまたショックを受けるサロメ。これには流石に同情するも諸事情を知ってる美兎達は仕方ない事だと分かっているのでどうしようもなかった。

 

「それにしても玲二さんって本当に根っからの女誑しですよね?」

 

「しかもそれが善意でやっとるから逆に質が悪いよな~?」

 

「まあそんな玲二くんだから星川達も好きになったんだし///」

 

「はわわわわぁ~、ご主人様本当にギャルゲーの主人公みたいですぅ~!///」

 

「全く、あいつどんだけ女の子落とせば気が済むんだよ……?」

 

「?あ、あの……もしかして皆様もこのお方と関わりが……?」

 

他の娘の玲二に対する反応を見てサロメは嫌な予感をしつつも恐る恐る聞いてみる、すると……

 

「え?普通に好きな人ですが?」

 

「うちの愛する人やよ♪」

 

「玲二くんは星川の未来のダーリンだよ♪」

 

「大切なご主人様ですぅ~♪」

 

「え………エエェェェェェェェェェェェェェェェェェェェッ?!」

 

「まぁそりゃそんな反応になるよな」

 

嫌な予感をしていたがまさか此処にいる娘全員が玲二の事を好きという事実にサロメは本日何度目かのショックを受ける。

 

「そ、そんな、まさか皆様方もこの方の事が好きだなんて……ラ、ライバルが多すぎますわぁーーーッ!?」

 

「いやいや、こんなんじゃ収まらないけどね?」

 

「そうそう、にじさんじには他にも玲二さんの事を好きな人はいっぱいいますし、何より最大の障壁もありますしね」

 

「………最大の障壁、ですの?」

 

「うん、かなり高くて分厚い障壁やな……取り敢えず玲二さん呼んでみるわ、多分何もなかったらすぐ来てくれると思うし」

 

兎に角咲はこの事態を収める為に玲二を呼び出す事にするのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………咲から急いでにじさんじに来てくれって言われたけど一体何があったんだ?」

 

「でも丁度散歩してた時だったから良かったね♪」

 

「でも咲ちゃんなんだか落ち着かない様子だったけどどうしたんだろう?ね~ユメ♪」

 

「キャッキャッ♪」

 

天気の良い昼下がり、俺はヒメとヒナと子供達と一緒に散歩していたらいきなり咲から連絡が入りにじさんじの事務所に来てくれと言われたので特に他に用はなかったので言われた通り事務所へとやって来たのだが……一体何があったんだ?

 

「………はい、確認が取れましたのでどうぞお通り下さいませ。場所は二階の第二ミーティングルームです」

 

「有難うございます。それじゃあ行くとするか」

 

「「はーい♪」」

 

受付嬢に許可を取り俺達は咲が待ってるミーティングルームへと向かっていく……なんだか何時も此処に来るとスタッフにじろじろ見られてる気がするのはなんでだろうな?

 

「……っと、此処か。んじゃ早速」

 

―コンコンッ―

 

「おーい咲、来たぞー」

 

「あ、玲二さ~ん♪開いとるから入ってきてやよ~♪」

 

中から咲が入っていいと言ってきたので中に入る。すると其処には咲の他に美兎と星川とコニファーと築も一緒にいた。それと他にも何やらお嬢様っぽい娘も一緒にいたけど……あれ?この娘どっかで会ったような気が……?

 

「お?なんだ美兎達もいたのか、一体どうしたんだ?それにこの娘は……?」

 

「お久しぶりです玲二さん♪……それでなんですが、玲二さんこの方に見覚えはありませんか?」

 

この娘に見覚え?うーん………あ、そういや少し前に道を聞いてた外国人に対して困ってたからそん時に間に割って入って助けたっけ?でもそんな娘がなんで此処に?

 

「ああ思い出した、前に外国人に道聞かれて困ってた時に助けた娘だっけ?」

 

「ッ!お、覚えて下さったのですね!?///」

 

「あぁ、でもなんで此処に?」

 

「いや、それなんだが実はかくかくしかじかで……」

 

……成る程、そういや最近昇格してから外部でトラブル避ける為によっぽど重要な事だったり必要な署名でなければ名前聞かれても適当に名前名乗ってたんだ。志村純一とか佐藤太郎とか……それでこの娘を目的地まで送り届けた時ににじさんじの名前が出たからこの娘はそれを頼りにこの事務所に来たワケか。

 

「まさか俺を追いかけてアイドルになるとは……凄い行動力だな」

 

「確かに今時ないアグレッシブさを感じますね」

 

「なんや知らんけどこの娘絶対大物になりそうな気がするな……」

 

「けどそれだけ玲二くんに会いたかったって事だもんね♪」

 

「そうだよな……っていうかお前何ちゃっかりお茶してんだよ?」

 

「ん?いやコニファーが今淹れてくれたから折角だと思って……うん、何時もながら旨いわ。というよりまた腕を上げたんじゃね?」

 

「やったぁ~♪有難うございますご主人様ぁ~♪」

 

コニファーは何時も俺がにじさんじに来たりホロライブマンションに遊びに来た時は自前の紅茶セットを使っておもてなししてくれるからよく飲む機会多いんだよな。お陰で普通に売ってる紅茶飲めなくなってるし。けどそれに対して何時も俺が金払うって言っても

 

「ご主人様にご給仕するのが私の生き甲斐ですからお金払うとか言わないで下さいぃ~!」

 

って言って受け取りを拒否されてしまう。そう言ってもらえるのは嬉しいが、こうも何時もだとなんだか申し訳なくなるんだが……

 

「ふぅ………で、俺を呼んだ理由が君って事で良いんだよな?えっと……」

 

「は、はい!わたくし壱百満天原サロメと申しますわ!えっと、玲二様……でよろしいのですわよね?」

 

「あ、ああまあそうだけど……」

 

え?ひゃくまんてんばら?なんだそのスッゴい名字は?もしかしてこいつ凄いお嬢様とか?

 

「ああ、玲二様……またこうしてお会い出来るなんて夢みたいですわぁ~♡///わたくし、貴方様にもう一度お会いしたくて此処まで来ましたの♪ですがまさか偽名を使われるなんて……ひどいですわ~!」

 

「そ、そうか、それはすまなかった……けど立場上プライベートでホイホイ名前を言うワケにはいかなかったからな」

 

「立場?それって、どういう……?」

 

「あれ、知らないの?玲二くんホロライブの日本支部支部長に就任したから今まで以上にプライベートで気を使わなくちゃいけなくなっちゃったんだよ」

 

『…………はあぁッ?!日本支部支部長ぉッ!?』

 

あれ、そういやこいつ等にはまだ言ってなかったっけ?まああれから結構バタバタしてたしにじさんじメンバーに会うのもかなり久々だったから仕方ないか。

 

「そ、それじゃあ玲二さんってもうスタッフリーダーじゃないん?」

 

「ああ、スタッフリーダーは拓哉に引き継いで今は支部長として活動してるな」

 

「そ、そういえば最近玲二さん他のホロメンの配信とかでも姿を見せなくなりましたよね?それってそういう事だったんですね……」

 

「って事はつまり……」

 

「もうご主人様をにじさんじに引き抜く事はほぼ不可能って事ですぅ~!?はわわわわぁ~!?」

 

いやまだ諦めてなかったんかい?例えスタッフリーダーのままでも俺はホロライブから他に行くつもりはないからどのみち無理だって前から言ってんのにな。

 

「そ、そんなに凄いお方だったのですわね?ところで先程から気になってましたけど、そちらのお二人は一体……?」

 

「え、ヒメ?ヒメは玲二くんの奥さんだよ♪そしてこの子が玲二くんとの子供“リナ”ちゃんでーす♪」

 

「あぶぅ」

 

「ヒナも玲二くんの奥さんだよ~♪この子はヒナの赤ちゃんでユメっていうんだ~♪」

 

「あぅやぁ~♪」

 

―ピシッ……!―

 

あ、ヒメとヒナが自己紹介すると壱百満天原が固まってしまった。二人が自分が抱っこしてる我が子『リナ』と『ユメ』を見せると二人は可愛らしく声をあげて手をパタパタさせている。親バカだと思われるかもしれないが本当に俺の子供達って可愛いよなぁ。

 

「お、奥さん……?それも二人……?」

 

「……残念ですがサロメさん、玲二さんの奥さんは彼女達だけではないんですよ」

 

「……………え?」

 

「玲二くんにはね……今43人の奥さんがいるんだよ。それも全員一つ屋根の下でね」

 

「しかもご主人様物凄く愛妻家でもあるので奥様達全員の事凄く大切にされてるんですよね~」

 

―ピシッ!ボロボロボロ……ヒュウゥゥゥゥ……―

 

あぁ、美兎と星川とコニファーの言葉に壱百満天原が崩れて塵になって風化してしまった。にしてもこの娘表情がころころ変わって面白いな。っとそんな事よりこの状況どうにかしないと、えーと塵取り塵取りと……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……お見苦しいところ大変失礼しましたわ」

 

「まあそれは良いんだけどさ」

 

「それにしても人がショックで崩れて塵になるの初めて見ましたね」

 

「いや普通はそうはならんやろ?」

 

確かに普通は風化なんかしないよな。どんだけ繊細なんだこの娘?けど塵集め直したらまた元に戻ったし取り敢えずは一安心だな。

 

「な、言ったやろサロメ嬢?玲二さんには最大の障壁がおるって」

 

「えぇ……まさか玲二様に奥様がそんなにいるとは思いませんでしたわ」

 

「そりゃ普通思わねぇよな?こいつとんでもないくらい女の子引っかけてんだもんな」

 

「おい築、その言い方悪意を感じるから止めてくんないか?」

 

まあ流された俺も悪いんだが……けどそれは置いといて、問題は壱百満天原だな。

 

「まあそういう事だから壱百満天原、俺の事を慕ってくれるのは有難いけど俺は自分の家族を裏切る真似はしたくないんだ。悪いが俺の事なんて忘れてもっと良い人を探してくれ」

 

もう俺はこれ以上は結婚するつもりもないし、それに愛人とか不倫なんてこれっぽっちも考えてない。まあパトラという例外はいるが……それでもそれ以外ではもう誰とも付き合うつもりはないんだよ。だから壱百満天原には悪いが俺の事なんてきっぱり諦めてほしい。

 

「そ、そんな………………………いいえ、そんなの嫌ですわッ!わたくしそんな事で諦めたりなんてしませんわぁッ!!」

 

……はぁッ?!な、なんでだよ?!今の話を聞いて何でお尚も俺に固執しようとしてんのこの娘!?

 

「玲二様には既に奥様が43人いる……それは覆らない事実なのでもう良いんですわ!ならばわたくしは更に其処に加わり玲二様の44人目の奥さんになるのですわぁ~ッ!!」

 

「ちょちょちょ?!ちょっと待ってよ!悪いけど玲二くんはこれ以上結婚するつもりも愛人作るつもりもないんだよ!?」

 

「そーだよ!それにヒナ達だってそんなの許すつもりなんてないよ!!」

 

「そんなの百も承知ですわ!ですがこの燃え上がるわたくしの恋心は既にオーバーヒートをとうに越えましたわ!もう誰にもこの熱い想いを止める事は出来ないのですわぁ~ッ!!」

 

ま、マジかよ……なんで俺の周りの娘達ってこうも諦めが悪いんだよ?あれか?俺がホロメン全員の他に何人かと結婚したし加えてパトラも加わりかけてるからまだ自分達も充分チャンスがあると思われてるのか?だとしたら俺が悪いのかこれ?……うん、完全な自業自得だわ。

 

「ちょっと待ったぁーーーッ!!それならうちだって玲二さんと結婚するの諦めてないんやからなぁ~ッ!!」

 

いや咲、お前まで便乗してくんなよ!?

 

「私だって!玲二さんと結婚出来るなら喜んで股開きますよ!!」

 

こら美兎!アイドルが股開くとか言うな!?

 

「それなら星川も玲二くんと結婚したいし!それにまつりちゃんも星川なら良いよって言ってくれたんだから!」

 

おいまつり!お前何勝手な事星川に言ってんだよ?!

 

「わ、私はご主人様の傍でずっとご給仕出来ればそれで……///」

 

おいコニファー!どさくさ紛れに俺にしがみついて頬擦りしてくんな!もうめちゃくちゃだよ!!なあ築、頼むから助けてく……ってあいつ何時の間にかいなくなってるし?!あの野郎めんどくさいからってさっさと逃げやがったな!?

 

「さあ玲二様!これからわたくしと親睦を深める為にも一緒に愛の営みを……♡」

 

「しねぇよ!?あぁもう勘弁してくれッ!!」

 

―シュンッ!―

 

「あッ?!玲二さん逃げたぁッ!?」

 

「えぇッ?!ご主人様ってそんな事出来たんですかぁ~ッ?!」

 

「ちょ、ちょっと玲二くん待ってよぉ~!?」

 

壱百満天原達の圧に耐えきれなくなり瞬間移動でその場から逃げ一足先に自宅へと帰り部屋に引き籠る。ヒメ達おいてきちゃったがすまん、お詫びなら後で何でもするから一先ず落ち着きたいから一人にさせてくれ。ハァ、今日は散々だったな………

 

 

 

新たに現れた壱百満天原サロメ。彼女の出現によりにじさんじメンバーの玲二へのアタックは激しさを増していくのであった。果たして玲二はこれ以上嫁を増やさずに済むのだろうか?




大まかな変更点はありませんが話を修正致しました。社築さんのファンの方々に不快な思いをさせてしまい申し訳ありませんでした。今後はより一層気をつけて書いて行こうと思いますのでどうか宜しくお願いします。


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第71話『鬼の過去』

最近3D化した沙花叉を見てやっぱり沙花叉は可愛いなと再認識しちゃいましたwいろはの3Dも良かったですし早く他のholoXも見てみたいですね♪

今回はあやめの過去に関わる話です。今回長くなってしまいましたが、最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


…………此処は………?

 

 

…………あれ?本当に何処だ此処?

 

 

余は確かご飯食べて玲二様と玲菜とお風呂に入って……その後布団に入って寝てた筈なのに……

 

 

………という事は此処は余の夢?でも何でこんなところ……でも此処、何処かで………

 

 

―おーい母上~♪―

 

 

ッ!?あれは……ちっちゃい余?!それに母上って……

 

 

―見てみて母上、蝶々捕まえたぞ~♪―

 

 

―おお凄いなあやめ♪じゃがな、命あるモノをそのように不必要に捕まえたらいかんぞ?命とは一つしかないモノじゃから大切にせんとな?―

 

 

―う~?……うん!なら帰してあげるぞ!蝶々さんまたな~♪―

 

 

―うむ、それで良い♪あやめ、お前は命を大切にする優しい鬼になるのじゃよ?それが儂ととと様の願いなのじゃからな………―

 

 

ッ!?ま、待って!母上、行かないで!!母上えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ………………ッ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………ハアァッ!?ハァ、ハァ………こ、此処は……?」

 

「あぅ?まーま、どーちたの?」

 

「れ、玲菜……?そ、そうか、やっぱりあれは余の夢……でも……」

 

随分懐かしい夢を見た気がする。母百鬼の夢なんてもうずっと見てなかったというのに不思議な気分だな………でもなんで今になって母百鬼の夢なんて見たんだろう?

 

「まーま?」

 

「ん?あ、あぁごめんな玲菜。ちょっと早いけどリビングに行ってぽよ余達の様子見に行くか♪」

 

「あーい♪」

 

うん、玲菜に心配させるワケにもいかないから今はぽよ余達の様子でも見に行こう。それにしてもあの夢……もしかしたら何かが起こる予兆なのかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……で?その夢が気になって此処に来たと?」

 

「うん、玲二様折角の休みの日にごめんなさい。でも余はどうしてもあれがただの夢とは思えなくて……」

 

それは良いんだが、母親の夢か……普通なら只の夢だと思うがあやめのこの様子、確かに何かあるような気がするな。

 

「それでレイくん、此処があやめが封印されていたっていう祠なんですか?」

 

「あぁ、此処は昔パワースポットとして知られていた場所でな。あやめは其処にあった巨石の中に封印されていたんだ」

 

まあ俺が訪れてあやめの封印が解かれた後は象徴とも言える巨石が失くなってしまったから今は只の古びた祠になってしまったけどな。

 

「でもレイくん、あやめの言ってた事って只の夢ならそんなに気にする事もないような気もするんだけど……?」

 

「普通ならな。だがあやめは封印されてから一度も自分の家族の事を深く話した事はなかったんだ。そんなあやめがこうして気になると言って此処に来たんだ、きっと何かあるのかもしれない。それに何もなかったらちょっとした遠出の散歩だと思えば良いさ、な?こゆき」

 

「あい♪」

 

本当なら今日は皆でガンプラ作ろうかと思ったがあやめがどうしてもと言うので俺はフブキと子供達と一緒に散歩がてら此処までやって来たというワケである。にしても懐かしいな此処、仕事に追われてた時にリフレッシュの為に来た時は都内でもこんな自然があるんだなって癒されたりしたが、あやめが出てきた時はマジでびっくりしたな……

 

「……ッ!?ねぇ玲二様!あれ見てッ!!」

 

「?どうしたあやめ………なんだこれ?」

 

あやめに呼ばれ指差す方を見ると……何だあれは?あやめが封印されていた巨石があった場所の所にぽっかりと穴が空いている。まるでSFとかで出てくるワープホールみたいな感じだが、もしそうならこれは一体何処に通じてんだ?

 

「な、なんでしょうねこれ?」

 

「うーん……エネルギーの流れからしてこれは……時空の捻れか何かか?」

 

「「時空の捻れ?」」

 

「ああ、どうやらこの穴に入れば何処かの時代に飛ばされてしまうみたいだ。行き着く先は過去か未来か……入ってみないと分からないし、入ったらもしかしたら戻ってこれないかもしれないな」

 

ってこんな事も分かるようになってきたとは、いよいよもって俺も人間離れしてきたかもな。それはともかく問題はこのタイムホールだ。早く処理しないと此処に入ってきた誰かが誤って入ってしまうかもしれないからな……ってあやめ?

 

「………聞こえる」

 

「?あやめ、聞こえるって何が?」

 

「…………ごめんフブちゃん、玲二様。余、いかないとッ!!」

 

「ッ?!お、おいあやめ!?」

 

あやめの奴なんの躊躇いもなくタイムホールへと突っ込んで行きやがった!?何考えてんだあいつ?!

 

「ちょ、ちょっと待ってあやめ!!」

 

「あ、おいフブキ!?……あぁもう!こゆき、玲菜!しっかり掴まってろ!!」

 

「「あぃッ!!」」

 

フブキもふゆきを抱っこしたままあやめを追いかけてタイムホールへと突っ込んで行く。このままだと大変な事になってしまうかもしれない……本当は危険な目に合わせるワケにはいかないが此処に置いていくワケにもいかないのでこゆきと玲菜を抱っこして俺もタイムホールへと突っ込んでいった!グッ……!?やっぱりかなり衝撃があるな……一体何処に繋がってるんだ………?!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………ぱ……ーぱ………ぱーぱ!」

 

「……う、うぅ…………こゆき、玲菜……此処は……?」

 

気を失ってたのかこゆきと玲菜に揺さぶられて目を覚まし、辺りを見回す。見た感じ変わった所は………ッ!?あやめが封印されていた巨石がある!?それに近くにある石碑もまだ彫られて間もない感じがするな。何か微妙な違和感を感じるが……此処ってひょっとして………!?

 

「あ、レイくん!良かったぁ~、目覚ましたんですね♪」

 

「フブキ!無事だったのか!?それにふゆきも……」

 

「えぇ、私達は大丈夫です。ふゆきは衝撃でびっくりしちゃってさっきまで泣いてましたが……」

 

「ぅゅ……ヒッグ……」

 

そ、そうか、なら良かった……取り敢えずふゆきをあやさないとな。ほらふゆき、よしよーし……

 

……うん、暫くあやしたらふゆきが気持ち良さそうにねんねしてくれた。これで一安心……じゃねぇッ!

 

「おいフブキ!あやめは一体何処に行ったんだ?!」

 

「そ、それが……あやめったら何かに取り憑かれたかのように行かなきゃって言ってあっちの方に……追いかけようとしたんだけどふゆきがずっと泣いてたから……ごめんなさい」

 

「い、いやそれなら仕方ない……それにしてもあっちの方か?方角的に言えば前の俺達の住んでた地域に近い場所だな。なら行ってみるしかないな、皆歩けるか?」

 

「私は大丈夫、こゆき達は歩けるかな?」

 

「「あい!」」

 

とにもかくにも今はあやめを見つけて連れ戻さないと!そして俺達は林の中を抜けて街があった場所に出るが……

 

「こ、これは……!?」

 

「ま、街が失くなってる処か、殆ど畑や田んぼばっかり……?此処って一体何処なんですかあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ?!」

 

其処に広がるのは街並みではなく広大に広がる畑や田んぼ、そして所々にポツンと古びた家が建ってるだけの風景だった。やはり此処は……

 

「俺達は過去の、それもかなり昔の時代に飛ばされてしまったって事だ……」

 

「そ、そんな……ってあれ?彼処にいるのって……あやめ!?な、なんか追っかけられてない?!」

 

何?………ッ?!本当だ、あやめの奴なんか変な連中に追いかけられている!?しかし追いかけてる奴等の格好……服装や装飾からして此処は飛鳥時代辺りか?ってそんな事よりまずはあやめを助けないと!?待ってろあやめ、今助けてやるからな!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハァ、ハァ……きゃうッ!?」

 

「よし、追い詰めたぞ!」

 

「この悪鬼め!どうやって封印を解いたか知らぬが、また我々の領地で悪さを働きおって!」

 

「う、ち、違……余は悪鬼なんかじゃ……」

 

「黙れ!我々の領主を襲い更には食い物を荒らした貴様など悪鬼以外の何者でもない!最早封印など生ぬるい……此処でこやつの首を跳ねるッ!!」

 

ッ?!く、首を跳ねるって……それって余、殺されるって事?そ、そんな………なんでこんな事に?余が勝手にこの時代に戻って来たから?

 

「い、嫌だ……余は帰らないと……玲二様や玲菜、それに皆がいるホロライブマンションに……」

 

「れいじ?其奴等が貴様を解放した奴等か?それにそのほろらいぶなんとかというのが貴様の隠れ家か!?ならば其奴等も反逆者として引っ捕らえてやる!!」

 

あ……ッ?!余、思わず玲二様達の事口にしちゃった……このままじゃ余だけじゃなく玲二様やフブキちゃん、それに子供達にも危険な目に合わせてしまう……玲二様ごめんなさい、余が勝手にこんな時代に来なければ玲二様達に迷惑をかける事もなかったのに…………

 

―シュンッ!―

 

「おぅりゃあッ!!」

 

―ドッゴォンッ!―

 

「ぶへぇッ?!」

 

「なぁッ!?な、なんだ貴様は?!どっから現れた!?」

 

「ッ!!れ、玲二様ッ!?」

 

「話は後だ、早く掴まれッ!!」

 

「う、うんッ!」

 

―シュンッ!―

 

もう駄目だと思ったその瞬間、目の前に玲二様が現れて連中の一人に向かっておもいっきり飛び蹴りを放った後余の手を握って再び瞬間移動でその場を離れたんだ。

 

「な、なんだ今のは?!妖術とかの類いか!?」

 

「こ、こうしちゃおれん!今すぐ巫女様を呼ぶんじゃ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「バカかお前!?こんなよく分からない時代に飛ばされたのにあんな無茶な事しやがって!」

 

「うぅ、ごめんなさい……」

 

「ま、まあまあレイくん落ち着いて、あやめも反省してるんだし」

 

「ぱーぱ、ままいじめちゃめー」

 

……確かにあんな連中に襲われた後なのにあんまりきつく言ったらダメだな。それと玲菜、別にパパはママを虐めてるワケじゃないからな。

 

……それにしてもあいつ等、あやめの事知ってる感じがしたな?それにあやめが妙にこの時代に馴染んでいるし……そういう事か。

 

「……なああやめ、もしかして此処ってお前が産まれた時代なのか?」

 

「え?!そうなのあやめ!?」

 

「………うん、此処は余が生まれ育った時代だぞ。ここら辺も子供の頃見慣れた風景だから間違いない余」

 

やっぱりか……だとすればあやめの見た夢はこの時代に飛ばされる前兆だったのかもな。にしても何故この時代にタイムホールが繋がってしまったんだ?

 

……そういやあやめが言ってたな、聞こえるって。もしかして、誰かがあやめを呼んだのか?けど一体誰が……

 

「あやめ、お前確かタイムホールに入る前に聞こえるって言ってたよな?一体何が聞こえたんだ?」

 

「ッ!そうだった……あの時タイムホールの中から余には聞こえたんだ……母百鬼の声が!」

 

「母百鬼?それってつまり、あやめのお母さんって事?」

 

「うん!ずっと余を呼ぶあの声……あれは間違いなく母百鬼の声だった!」

 

あやめの母親が?どういう事だ?それだとまるであやめの夢とあやめの母親の気持ちが何らかの因果関係を引き起こして俺達をこの時代に呼び寄せたみたいじゃないか……ならあやめの母親に会えばもしかすると何か分かるかもしれないな。

 

「あやめ、お前の母親の居場所……お前が住んでた場所は覚えてるか?」

 

「う、うん。あの山の奥にある鬼の集落に余達は暮らしてたんだ」

 

あの山か………うん、僅かだが鬼人族の気配を感じるな。なら其処へ行ってみるか。

 

「あやめ、皆、これから転移で彼処の集落へ向かう。何があるか分からないからしっかり俺に掴まってろよ」

 

「ッ!玲二様、有難う!玲菜、ママから離れるなよ?」

 

「あい!」

 

「こゆきも絶対離れちゃ駄目だからね?」

 

「あい!」

 

よし、全員俺に掴まったな。それじゃ行くとするか……!

 

―シュンッ!―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―シュンッ!―

 

「………此処が鬼の集落か?」

 

「う、うん……けど何だか余がいた時よりも静かな気がする……前はもっと他の鬼人族で賑わってたのに……」

 

転移して来たは良いが、この異様な静けさはなんだ?気配こそは感じるが、それにしては周りに建っている家も寂れてるし畑ももうかなりの間手入れされてないような感じもする。一体此処で何が起こったっていうんだ?

 

「其処の人間の男と狐族の女、動くなッ!」

 

「ッ!?」

 

「え?!な、何ですかぁ?!」

 

しまった、考え事をしていたらいつの間にか俺等の背後に竹槍を持った鬼人族の男達に囲まれている!?

 

…………?けど様子がおかしい、鬼人族っていったら普通の人間よりも体格の良い奴が多いがこいつ等の体格、まるで数日間まともに食事を摂れてないんじゃないかってくらいに痩せ細ってる。竹槍を持つ手もプルプル震えてるし、どうなってるんだ?

 

「お、おい人間!貴様、此処が儂ら鬼の住みかと知って来たのか?!」

 

「今度は我らを根絶やしにするつもりか!?」

 

「い、いや落ち着いて下さい!?俺達はこいつを此処に連れて来ただけですって!」

 

「こいつ?………………ッ!?お、お前さん、まさかあやめか?!」

 

「え?……ッ!?も、もしかして隣の家に住んでた豪鬼おじさん?!そ、そんなにやつれてどうしちゃったんだ?!」

 

俺があやめを見せると一人の男が竹槍を落としあやめに近づいてきた。あやめも最初はきょとんとしていたが次第に誰か分かったのかハッとした表情になる。ってか豪鬼って……なんか名前に似合わないくらいにヒョロガリだが?

 

「そ、そんなのはどうだって良いんだ!おめぇがどうやって封印から抜け出したか知らねぇが兎に角こうしちゃいらんねぇ!おぉーい切菜ぁ~ッ!あやめが、あやめが帰ってきたぞぉーッ!!」

 

豪鬼と呼ばれる男があやめの腕を引っ張り集落の奥にある家へと駆け込んで扉を叩き出す。すると

 

「……なんじゃ騒がしいのぅ。一体どうしたというんじゃ豪鬼?」

 

「切菜ぁッ!あやめが……お前の娘さんが帰ってきたぞぉッ!!」

 

「あぁん?何を寝惚けた事抜かして……………ッ?!あ、あやめ……?」

 

「ッ!は、母上…………」

 

母上ッ!?て事はつまり、あの女性があやめのお母さんって事か!?確かに面影はあるな……てかこの人もほっそいなぁ?!なんでこの集落の人達は皆こんなやつれてるんだ?!

 

「あやめ……本当にあやめなんじゃな?」

 

「うん、母上………余、ずっと母上に会いたかった……」

 

「儂もじゃ……もう会えんと思っとったから……お前がいなくなってしまってから生きる気力さえ失くなってしまったからのう。けどこうしてまた会えるとは、奇跡とは起こるもんじゃのう……」

 

「母上ぇ……うえぇぇぇぇぇぇん……」

 

……あやめ、本当に嬉しそうだな。まあそりゃそうだよな?もう会える事はないと思ってた母親とこうして再会出来たんだから。

 

「良かったなあやめ、お母さんと再会出来て」

 

「ん?…………ッ?!に、人間!?何故人間が此処におるのじゃ!?まさか、また儂らを狩りに来たのか!?」

 

ッ?!な、なんだ?!俺を見た瞬間あやめのお母さんが物凄い殺気を放ってきたんだが!?しかもいつの間にか斧持ってるし?!

 

「おのれ人間……あやめを封印したに飽きたらず儂らも根絶やしにするとは、何処まで卑劣な連中よ!!ならば貴様らに狩られるその前にその首打ち落としてやるわッ!!」

 

な、なんか勘違いしてるみたいだけどこのままじゃ殺される?!こゆきと玲菜も怖がって俺の足にしがみついて離れようとしないし、これが鬼の気迫ってヤツなのか!?

 

「ちょ!?ちょっと待って母上!玲二様はそんな事するような人間様じゃない余!」

 

「何ッ……?!何故止めるあやめ!?人間なぞ、この世を汚す汚物同然!そんな奴を庇うなど……ッ!」

 

「汚物なんかじゃない余!玲二様は余の旦那様なんだから!!」

 

「………………………………………何?」

 

あ、あやめの言葉に反応して斧を下ろしてくれた………よ、良かった、久しぶりに恐怖を感じたわ……取り敢えず泣きそうなこゆき達あやしてから説明しないとな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………成る程、つまりあやめは千五百年後にこの男に封印を解いてもらいそして伴侶になったと?そして封印されてた場所に現れたたいむほーるとかいう穴に入ったらこの時代に来たと?」

 

「ま、まあそんなところです」

 

「………にわかには信じられんのう。此処にいるあやめが千五百年後からやって来たとは……じゃがあやめが嘘を言うような子じゃないのは知っとるし、お前達のその妙な格好を見れば本当の事なんじゃろうな」

 

良かった、取り敢えずは信じてもらえたみたいだし俺達の命の保証は大丈夫そうだな。

 

「それにしてもこやつがあやめとその男の子か……うむ、鬼らしく立派な角が生えとるのう♪」

 

「………ぷぁー」

 

そしてあやめのお母さん『百鬼切菜』さんは玲菜を抱っこして嬉しそうに笑うが、さっきの事もあってか玲菜が嫌そうな顔しながらぷぁーって鳴いてる。そりゃあんな鬼の形相みたら懐くのは難しいよな。

 

「あ、あの!処で切菜さん、先程から気になってたんですが何でこの集落の人達はそんなに人間を嫌ってるんですか?」

 

「そうだぞ母上!母上だって前はそんなに人間様を嫌うような事してなかったじゃないか!?それに父上はどうしたんだ?さっきからずっと姿が見えないけど………?」

 

そういえば確かにあやめのお父さんの姿が見えないな?あやめの話だと封印される前は三人で暮らしていたと聞いてたが……ん?切菜さん、何やら家の奥から何か持ってきたが……………ッ?!

 

「……とと様なら此処じゃ」

 

「え…………?こ、これが、父上………?」

 

ほ、骨ッ?!何で骨が?!ていうかこれがあやめのお父さん!?どういう事なんだよ!?

 

「覚えておらんか?お前が封印される日、お前は流行り病に侵されたとと様を助けると言って隣の山に生えとる薬草を取りに行った事を………」

 

「あ………そうだ、あの日余は病気で苦しむ父上を助けたくて薬草を取りに行ったんだ……」

 

薬草を取りに?ならなんでそんなあやめが悪鬼だなんて呼ばれて封印されたんだ?そう思ってると切菜さんがこれまでの経緯を詳しく語ってくれた。

 

 

 

どうやらあやめが薬草を取りに行ったその時タイミングが悪くこの地を治める領主の元に賊が侵入したらしく、その犯人に何故かあやめがでっち上げられてしまったらしい。そしてそんなあやめを封印したのが領主に依頼された巫女なんだとか。そしてあやめを封印した奴等は今度はあやめが住んでいた集落を悪鬼の住みかとして討伐を開始したというんだ。最初の頃は持ち前の力でなんとか追い返したが次第に守りが追いつかなくなってしまい今では半数以上の者が亡くなってしまったらしい。その時あやめのお父さんも一緒に戦ったは良いが病魔のせいで身体が蝕まれてしまいそのまま命を落としてしまったというワケだ。

 

「……成る程、そりゃ確かに人間不信になっちまうな」

 

「余が封印されてからそんな事があったなんて……」

 

そういや昔学校で習ったな、鬼人族が冷遇されていた時代があったって。何か事件があれば全て鬼のせいにしていた時代だって聞いてたが、もしかしてこの時代がそうなのか?

 

「で、でもレイくんはそんな事するような酷い人間じゃありません!レイくんは私やあやめ、それに他の皆が困ってたら必ず助けてくれる優しい人です!」

 

「そうだぞ!玲二様がいなかったら余はまだあの冷たい岩に封印されたままだったし、それに玲二様がいたから今の余と玲菜がいるんだ!だから母上、玲二様の事をそんな毛嫌いしないで!!」

 

「切菜さん……こんな事俺が言えた義理じゃありませんが、確かに世の中酷い人間もいます。けど誰かの為に一生懸命になれる人間もいるのは確かです。だから全ての人間が酷いワケではありませんのでどうか人間の事をもう少しだけ信じてもらえませんか?」

 

「……………………………」

 

……やっぱりそう簡単には不信感は拭えないか。切菜さんの表情は未だに曇ってるし、どうしたら良いんだろうか……?

 

「た、大変だあぁーーーーーッ!!」

 

「ッ?!どうしたのじゃ豪鬼、そんなに慌てて」

 

そんな中先程の豪鬼さんが慌てながら切菜さんの家に入り込んできた。かなり慌てているが何かあったのか?

 

「ハァ、ハァ……せ、切菜大変だ!今この山に領主の兵達と巫女が攻めてきたぞ!!」

 

「何ッ!?兵だけではなく巫女までも………?!」

 

「ッ!玲二様、そいつきっと余の事を封印した巫女だぞ!領主に雇われた巫女っていったらそいつしかいない筈だもん!」

 

何だと!?もしかして奴等、あやめの封印が解かれたと思って今度はこの集落ごと皆を封印するつもりか!だとしたらかなりまずい!!

 

「どどど、どうしましょうレイくん?!このままじゃあやめや集落の皆が……!?」

 

「ぱーぱぁ……」

 

クッ!?フブキやこゆき達もかなり動揺してしまってる。一体どうすれば………?

 

 

 

 

 

………いや待てよ?そういや此処に来た時なんか妙な違和感を感じたような気がする……………そういえば此処に来た時に見たあの石碑、俺達の時代の物と何か違う部分があったような………?

 

………ッ!そうだ、文面が足りないんだ!俺達の時代に書かれてた文面が一部欠けていたんだ!きっとこの時はまだその事が起きてなくて、この先にその出来事が起きて後で付け加えられたのか。えっと、確かその文面は………

 

 

 

“悪鬼の怨念具現化し巨大な赤き豪腕の鬼が怒りの刃を大地に剥けた”

 

 

 

ッ!!そうだ、そんな文面だ!巨大な赤き豪腕の鬼………ッ!それだッ!!

 

「あやめ!確かお前、“あれ”持ってきてたよな?!」

 

「あ、あれ?あれって………もしかして“これ”の事?」

 

「え、それ?レイくん、そんなので一体どうするつもりですか!?」

 

「まあ見てな、奴等をこれで二度と鬼達にちょっかいかけれないようにしてやる」

 

『?』

 

よし、そうとなれば急いで準備だ!まずはこいつをこうして………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「巫女様!もうすぐ鬼共の住みかに到着します!」

 

「そうですか……悪鬼め、私の封印を解いただけでなくまたも悪事を働くとは、この“さくらのみこと”の名において、再び封印してくれましょう!!」

 

数分後、鬼の集落目前の所に領主から派遣された兵士達とその兵士に護衛されている一人の巫女『さくらのみこと』がやって来て鬼達を殲滅しようと目論んでいた。その数はおよそ千人、確実に此処で終わらせようという気迫を感じる。

 

「いいか皆の衆!只今よりみこと様が封印の儀を執り行う!もし鬼共が邪魔をしようものならば容赦なく切り捨ていッ!!鬼共は一人残らず始末するのだッ!!」

 

『おぉーーーーーッ!!』

 

指揮を執る兵長の合図と共に兵士達はみことによる封印の儀の準備を始めようとする。そんな時………

 

 

 

 

―ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ………!―

 

「ッ?!な、なんだこの揺れは!?」

 

「い、一体何が起きているのです!?」

 

「ッ!?お、おいあれを見ろぉッ!!」

 

突然の揺れに兵士達やみことが困惑する中、一人の兵士が慌てて上の方を指差し皆に知らせる。其処にいたのは…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

“……よくも余を封印してくれたなぁ~?この怨み、はらさでおくべきかぁ~!”

 

山よりも大きな巨体、そして身体に不釣り合いな程大きな腕を持つ巨大な赤き鬼が立っていた!

 

「な、ななな……なんだあの化け物はあぁッ?!」

 

「き、巨大な鬼だあぁーーーーーッ!?」

 

突如現れた巨大な鬼に兵士達はパニックを起こし思わず矢を放つが矢は刺さるどころか弾き返されてしまう。

 

「だ、ダメだ!全然効かねぇ!?」

 

「な、なんだと………こうなればみこと様!どうか、どうか貴女様のお力であの悪鬼を退治して下さいませ!」

 

「はぇッ?!……い、良いでしょう!このさくらのみことの名において、悪鬼は一人残らず封じて見せましょう!!悪鬼退散ッ!!せぇーーーいッ!!」

 

兵長に頼まれみことは巨大な鬼に向かって札を投げつける!……が、鬼は何事もなかったかのように札を剥がしてしまった。

 

“そんな物効くわけないだろうが~。これでも喰らえぇ~!”

 

すると今度は巨大な鬼が手に持っていたこれまた巨大な刀を地面に向けて振り下ろしていった。幸い兵士達には当たらなかったが、叩きつけられたその場所は地面が抉れ崖が出来上がっていた。

 

「ひ、ひえぇ……?!」

 

「や、山が真っ二つに……!?」

 

「み、みこと様!今一度奴に封印を「……っか」?み、みこと様……?」

 

「もうやってられっかぁーーーッ!?こちとらこんな化け物いるなんて聞いてないでぇ!?もうみこと帰るから後はお前らでなんとかするにぇーーーーーッ!!」

 

「えぇッ?!み、みこと様ぁッ!お待ちをぉ~!?」

 

「あぁッ!?ま、待って下さい兵長!!」

 

みことはまるで子供のように癇癪を起こしそのまま逃亡、兵長や残りの兵士達も追いかけるかのように逃げ去っていった。

 

 

 

 

 

「………どうやら上手くいったみたいだな」

 

「うん!玲二様、大成功だ余♪」

 

あいつ等、敵わないと知って蜘蛛の巣撒き散らすかのように慌てて逃げていったな。それにしてもまさか玲菜達のおもちゃ代わりになってた『アストレイパワードレッド』がこんな形で役に立つとはな。

 

 

『ハイレゾリューションモデル1/100 ガンダムアストレイパワードレッド』

『機動戦士ガンダムSEED ASTRAYR』に登場するロウ・ギュールが搭乗する機体。ガンダムアストレイレッドフレーム腕部強化型の機体でその巨大な腕で相手を殴り付ける事は勿論、専用武器である巨大な刀『150ガーベラ・ストレート』を軽快に振り回す事が出来る。

 

そう、実は相手が巨大な鬼と呼んでいたのは俺の力で巨大化させたアストレイだったんだ。其処にスピーカー機能を付け加えあやめによる怨み節を流しフブキに操作を任せていたんだ。これによって奴等はアストレイの事を巨大な怪物と思い込み逃げていったワケだ。まさか此処までスムーズにいくとは思わなかったが、これでひとまず安心だな。

 

「………にしてもあいつらと一緒にいた巫女さん、なんだかみこちに似てたような気がするんだけど………?」

 

「あ、そういやそうだな。案外みこのご先祖様だったりしてな?」

 

「え?という事は余、みこちのご先祖様に封印されたって事?えぇ~、これからみこち見る目変わっちゃうなぁ~」

 

まああの巫女さんも多分依頼されてやってただけに過ぎないし、仮に本当にみこのご先祖様だとしてもみこ本人には罪はないんだから許してやりな。それとこゆきと玲菜、アストレイを見て喜んでいるところ悪いがそろそろしまうぞー。

 

「よっと……これで奴等も迂闊には攻めてこれないでしょう。ひとまずは安心して下さい」

 

「あ、あぁ……驚いたな、まさか人間にこのような力があったとは……」

 

まあ人間というか神羅族の力だけどな。けど今はそんな事どうでもいい、それよりもこれからの事を考えないと。

 

「さて、これからどうするべきかだな……」

 

「え?どうするって、あんなでかいアストレイ見たらもうあいつ等が此処に攻めてくる事はないんじゃ……?」

 

「いや、それは分からない。もしかしたらこの件が知れ渡って領主が今以上の兵士を連れてまた来るかもしれない。そうなればもうこんな虚仮威しなんて通用しなくなる」

 

「そ、そんな……それじゃ一体どうすれば良いんだ玲二様!?」

 

そう、このままじゃいずれ奴等がまた攻めに来るかもしれない。俺達もいつまでもこの時代にいるワケにもいかない……なら、この手しかないか。

 

「……切菜さん、俺から一つ提案があります。集落の皆がこれ以上傷つかず、そして切菜さんがこれからもあやめや玲菜といられる方法です」

 

「何?!そんな方法があるのか!?」

 

そう、たった一つだけだが方法がある。デメリットとすればおそらく俺の身体に相当な負担が掛かるかもしれないが、そんなのは大した事ではない。折角あやめも母親に会えたんだ、これでお別れというのも勿体ないしな。

 

「その方法とは、俺達と一緒に未来に行く事です。未来では鬼人族が虐げられてるなんて事はありませんし、当面の衣食住も俺達がサポ……援助出来ますし」

 

「未来へ?しかしそんな事したら……」

 

「多分大丈夫です。そもそも未来の石碑にアストレイの事が書かれていた時点で俺達がこの時代に来る事は確定だった見たいですし、それにこれくらいの人数ならそんなに未来に影響は出ない筈です。どうしますか?此処で暮らし続けるか、未来に行って新しい生活を始めるか、選んで下さい」

 

「う、うぅむ……」

 

突然の提案に切菜さんを初め他の鬼達も戸惑いを見せてる。そりゃそうか、仲間が多く亡くなってしまったのに自分達だけいきなり未来に行こうとか言われてはい行きますなんて言えないよな。でも……

 

「切菜さん、それに皆さん。おそらく皆さんは自分達だけ未来に行くなんて死んだ仲間達に申し訳ない、そう思ってるのではないでしょうか?」

 

「………ッ!?」

 

「ですが、此処に残って悪鬼扱いされてやられた方がよっぽど仲間達に申し訳ないと思いませんか?きっと仲間達も此処で命を散らすよりも皆さんには生きてほしい、そう願ってる筈です。それに切菜さん、折角会えたあやめとまた離ればなれになっても良いんですか?」

 

「ッ!?そ、それは………」

 

「……母上、余も母上や皆とまた一緒に暮らしたい。また前みたいにいろんな事一緒に遊びたい!今度は余だけじゃなくて、玲菜も一緒に!」

 

「あぅ……ばーば?」

 

あやめも切菜さんに一緒に暮らしたいと強く願ってる。そしてそんなあやめを見て玲菜も切菜さんに向かってばーばと呼んでいた。更に

 

「……なぁ切菜、此処はこいつらの言う事信じてみないか?」

 

「なッ?!豪鬼、お前……!?」

 

「……さっき其処の若造が言ってた通りだ。此処で俺達まで死んだら天国に行った嫁に怒られてしまうんじゃねぇかって。あんたまでこっちに来て何してんだ!?ってな……」

 

「お、おらも……こんなとこで死にたくねぇだ!」

 

「確かに此処はおいら達にとって大事な場所じゃ……けど此処に居続ければいずれかやられてしまうんじゃ、ならこの小僧共を信じて未来に行こうじゃないか」

 

「お、お前ら…………分かった、儂の負けじゃ。小僧……いや、玲二殿。こんな大した事の出来ぬ鬼共じゃが、どうかよろしく頼む」

 

豪鬼さんを初めとする他の鬼達からも説得され、遂に切菜さんも未来に行く事を承諾してくれた。あやめと玲菜も嬉しそうに喜んでいるし、これでもうこの時代に思い残す事はないな。

 

「でもレイくん、一体どうやって未来に戻るんですか?あのタイムホールはもう消滅してしまったし………」

 

「大丈夫だって。俺の力をフルで使えばおそらく元の時代に戻れるさ」

 

「え……で、でもレイくん?それってレイくんの身体は大丈夫なんですか?1500年も未来に、それもこれだけの人数を連れて行くなんて……」

 

「……心配すんなフブキ、失敗なんて最初から頭にない。それに出来るか出来ないかじゃない、俺がやるったらやるんだ」

 

そう言って俺は強く念じ力を一気に解放させる。目指すは1500年後、俺達の居場所であるホロライブタウン!絶対に一人残らず連れて帰るッ!!

 

「頼むから持ってくれよ俺の身体………ウオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!」

 

俺は自分の中にある力を出し尽くす勢いで解放させていく。すると辺りが強い光に包まれてその光に呑まれるように皆の姿が消えていった。だが、其処で意識が途切れてしまい俺が覚えているのは此処までだった…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………さ、ま………れい……様!……玲二様ッ!!」

 

「………う、うぅ…………あやめ?此処は……?」

 

目を覚ますと其処は俺の部屋のベッドの上だった。その横には涙で顔がぐしゃぐしゃなあやめがいる。それより此処が俺の部屋って事は………俺達元の時代に戻って来れたんだな。

 

「グスッ……玲二様、やっと目が覚めて良かったぁ……」

 

「あやめ………俺、どれだけの間眠ってたんだ?」

 

「儂らを連れてこの時代についてからじゃからもう一ヶ月は寝ていたぞ」

 

俺があやめに訪ねると丁度なタイミングで切菜さんが入って来た……一ヶ月?!そ、そんな長い間眠ってたのか俺?!

 

「まあ如何に神羅族といえど1500年もタイムワープすればそりゃ力尽きてしまうわな」

 

「そ、そうですか……………え?せ、切菜さん?今なんて……?」

 

「ん?じゃから1500年もタイムワープすれば……」

 

「いやそうじゃなくて!?今切菜さん、神羅族って………?!」

 

な、何で切菜さんが神羅族の事知ってんだ?!一体何処でそんな―クイックイッ―?どうしたんだあやめ?

 

「………玲二様、ごめんなさい。玲二様が神羅族だって事、ホロライブタウンの皆にバレちゃった………」

 

「…………………ハアァッ?!」

 

な、何でだ!?何で俺の、神羅族の事が皆にバレたんだ!?もしかして俺……何かやっちまったのか?!

 

「玲二様がタイムワープを使ってこの時代に戻って来れたのは良かったんだけど、戻った場所がホロライブタウンの中央広場だったんだ余。そのせいで島の皆集まって来ちゃって大騒ぎたったんだけど、玲二様タイムワープの反動でそのまま気を失ってしまって………」

 

「しかもお主の姿が変わってしまったのを見て他の奴等が問い詰めて来てな。あまりの事態にフブキ嬢とあやめが玲二殿の秘密を打ち明けてしまったワケじゃ」

 

マジかぁーーーッ?!そういや時間移動に気を取られて具体的な転移先まで考えてなかったぁーーーッ!?しかも俺の姿が変わってる?!どういう事だよ!?えっと鏡は……………ッ?!!?な、なんじゃこりゃあぁーーーーーッ?!

 

お、俺の前髪が左半分銀髪に!?しかもなんだこの眼は?!右目が青くて左目が金色って!?それになんだこの手の甲に出来た赤い紋章みたいな模様は?!これじゃあ完全に中二病じゃねぇか!?

 

「ど、どうなってんだよこれ!?何で俺こんな姿になってんだ?!」

 

「そ、それなんだけど、お義兄さんが言うには神羅族の力を無理矢理フルに使ったせいでその反動でそうなったかもしれないって」

 

マジかよ?!じゃあこれもう元に戻せないのか!?こんなんじゃ仕事に支障出ちまうじゃねぇか!!

 

「まあその辺はこれから考えておけば良いじゃろう?それより一ヶ月も何も食ってないと腹が減って死にそうじゃろ?今儂とあやめでおかゆ作ってくるから待っとれ」

 

「そうそう♪玲二様は今はゆっくり安静するんだぞ♪」

 

………はぁ、もうこうなったら仕方ない。取り敢えず切菜さんもこの時代でやっていけそうな感じだし、あやめも家族や仲間達と再会出来たんだから良しとするか。けど神羅族の事も島の皆にバレてしまったし、この髪と眼の色はなんとかしないとな…………はあぁ、前途多難だなぁ………

 

こうして無事あやめの母親切菜をこの時代に連れて来れた玲二。その後切菜達は玲二の義兄劉斗によりホロライブタウンの開拓チームに任命され日々島の拡張を頑張っているらしい。そして玲二の髪と眼だが数日療養した後になんとか力をコントロールして元に戻り取り敢えず一安心する玲二なのであった。




はい、という事であやめのタイムワープ回でした!そしてあやめの母切菜も登場です!これからまた絡む事があるかもですがよろしくお願いします♪

次回はサロメ対Aの娘………?の回です。次回もまったり待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第72話『またまたAの娘、ですわ!』

もう新作以外は買うまい。そう誓った筈なのに手元にはHGのガンダムアストレアが……こりゃ怒られても当然ですね(泣)

今回は久々のAの娘登場!そしてにじさんじのお嬢様系一般庶民の回です!最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


「………はぁ、どうしたらいいのでしょう?」

 

ホロライブタウンの海岸沿い、其処ににじさんじのニューフェイス壱百満天原サロメがため息を吐きながら歩いていた。何やら思い詰めた様子だが、一体何があったのだろうか?

 

「はぁ、どうすれば玲二様とずっと一緒にいられるのでしょう?」

 

……どうやら玲二と結ばれる為にどうすれば良いのかを考えているようだ。この島に来て玲二と再会してから早二ヶ月が経とうとしているが、その間はにじさんじのアイドルとしての活動に追われていてまともに接触する事が出来なかったのでどう接近すれば良いのか分からずに困っていた。しかもその理由はただ会うタイミングがないというだけではない。

 

「……それに玲二様はあの伝説の神羅族、一般庶民のわたくしが釣り合うワケもございませんし……もう諦めるしかないのでしょうか?」

 

そう、玲二は少し前の一件でこの島に住む住人全員に伝説の神羅族だという事、そしてこのホロライブタウンはそんな玲二を守る為に作られた人工島だという事を知られたのだ。神羅族と言えばこの世界のあらゆる種族の祖となったと伝わる正に神話の中の種族。そんな伝説級の種族である玲二と何の取り柄もない(自分でそう思い込んでるだけで実際はかなり凄い才能の塊)の自分では釣り合うワケがないとサロメは半ば諦めかけていたのだ。

 

「………いいえ、こんな事で諦めてはいけませんわ!わたくしは壱百満天原サロメ!皆様に、そして玲二様に百満点の笑顔をお届けする為に日々努力するお嬢様を目指す一般庶民!今はまだ玲二様に釣り合わないとしても必ずや玲二様と並ぶに相応しいお嬢様になってみせますわぁ~ッ!!」

 

否、それでもサロメは自分を奮い立たせ今一度玲二と結ばれる事を誓う。その為にどうすれば良いのかを考える為にもサロメは一度海を眺めて心を落ち着かせる事にする。すると……

 

「……あら?あれは……」

 

少し遠くの方で海の表面に何やら青っぽい三角形の物が浮かんでいるのが見えた。いや、浮かんでいるというよりまるで泳いでいるようだ。どうやら何かのヒレのようだが……?

 

「まさか………サメ?!怖いですわぁ~!?で、でもまあこちらは陸地にいますし襲ってくるなんて事はないでしょう」

 

大きさからしてサメだと思い一瞬恐怖するも自分は陸地にいるから襲われる心配はないとサロメは再び海を眺めようとする。しかし……

 

「……………あら?な、何だかこっちに向かってるような……?」

 

そう、青っぽいヒレは突然進行方向を変えてこちらに向かって突っ込んできた。しかも徐々にそのスピードを上げてこちらに突っ込んでいくかのように。

 

「ま、まさか、此処に上がって来たりしませんことよね……?」

 

いや、流石にサメが陸地に上がって来るなんてそんなB級映画のような展開あるワケない。そう思いつつもそれはどんどんこちらに向かっている。そして………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―ザッパアァーーーンッ!!―

 

「SHAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAARK!!!!」

 

「ひゃわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ?!」

 

それは突然高く浮上し大きく叫びながら陸地に上がり、サロメは驚き思わず腰が抜けて座り込んでしまっ為おもいっきり海水を浴びてしまった。そして飛び上がって来たそれはまるで猫のように身体を震わせ水を飛ばしていく。

 

「ななな、何ですの一体~!?」

 

「ン~……ハァッ!I finally arrived.So this is the island where Rage lives」

 

「へ………?な、なんておっしゃいましたの……?」

 

突如上がって来たそれはいきなり日本語ではなく英語で喋りだし何を言ってるのかサロメには理解出来ず更に困惑していた。

 

「ン?Are you a resident of this island?I'm sorry I startled you.」

 

「へあ?!あ、あの……は、はろーないすとぅーみーとぅー?」

 

「?…………A.Okay, so you don't speak the language.」

 

サロメは取り敢えず挨拶をしようとするもやはり意志疎通は出来てないようだ。そんなサロメを見てそれは何かに気づいたのか自身の着ているパーカーのポケットから何やらインカムのような物を取り出しセットしてスイッチを入れた。

 

「………アー、アー……ねーねーお前、ぐらの言ってる事分かるか?」

 

「ッ?!え、えぇ?!貴方、日本語喋れたのですか?!」

 

インカムを着けた途端女の子がいきなり日本語を喋りだし驚くサロメ。そう、既にお気づきの方もいると思うが先程からそれと呼んでいたのはホロライブイングリッシュの一人で全世界No.1アイドルのぐらであった。

 

「アッハハ♪ゴメンね、ぐらこのインカムないとまだまともに日本語で会話出来ないんだよね」

 

「そ、そうでしたの………処で貴方は一体何者でしょうか?見たところホロライブタウンの住人では無さそうですが………?」

 

「ん?何お前、ぐらの事知らないの?まあ良いけど……ぐらの名前はがうる・ぐら、ホロライブイングリッシュのメンバーだよ♪」

 

「まあ!貴方ホロライブの関係者でしたの!?それは失礼致しましたわ!わたくしは壱、十、百、千、満点サロメ~♪皆様に笑顔をお届けするにじさんじ所属の壱百満天原サロメでございますわ~♪」

 

「おお~サロメ!よろしくなサロメ♪」

 

「はいぐらさん!よろしくですわ~♪」

 

唐突な出会いではあったが一先ず無事に交流をとる事が出来たサロメとぐら。と其処に……

 

「あ、やっと見つけた!もおぐら!勝手に船から降りたら危ないじゃない!?」

 

「……A.アメにキアラ、やっと来たのか?」

 

「やっと来たのかじゃない!?ぐら!貴方レイジさんに会いたいからって勝手に一人で先に行こうとしないでよね!」

 

ぐらを追いかけて来たらしき二人組、ぐらと同じくホロライブイングリッシュのメンバーで以前も玲二の所に遊びに来ていたアメリアと不死鳥を先祖に持つという現KFP(キアラフライドフェニックス)というファストフードの店長をしている『小鳥遊キアラ』がやって来た。

 

「だって~一秒でも早くレイジに会いたかったんだもん~!」

 

「だからっていきなり船から飛び込んだら危険でしょう!全く、普段は浮き輪がないと泳げないクセになんでレイジが絡むとあんなにすいすい泳げるのかしら……?」

 

「べ、別に普段だって浮き輪無くたって泳げるモン!!」

 

どうやらぐらは玲二に会いたいが為に一足早く行こうと乗っていた船から飛び降りて此処まで泳いできたらしい。取り敢えずぐらが無事だと分かり安心して茶化すアメリアにぐらは可愛らしくポコポコと二人を叩いてく。

 

「あ、あの!」

 

「ん?貴方は……ああ、確か最近話題の新人アイドルのなんとかサロメさんだっけ?」

 

「は、はい!わたくし壱百満天原サロメと申します!あの、お二人もぐらさんと同じホロライブの方なのでしょうか?」

 

「あぁごめんなさい、ぐらの事ばっかり気にしてたから……改めて自己紹介ね。アメリア・ワトソンよ、ホロライブイングリッシュのメンバーで普段は探偵業もやってるの、よろしくねサロメ♪」

 

「キッケルキー!小鳥遊キアラだよ♪私もホロライブイングリッシュのメンバーで今はKFPっていうファストフードの店長してるんだ~♪と言ってもまだ一店舗しかないけどね。でもまあそれはともかくよろしくネ~♪」

 

「はい!よろしくお願いしますですわ~♪」

 

お互いに挨拶を交わし握手をするサロメとアメリア達。いきなりの出会いで驚きつつも新しいアイドル達との出会いにサロメは気分が良いのか凄く良い笑顔をしている。

 

「………あッ!それよりもお聞きしたいのですが、皆様方先程玲二と仰っておりましたがもしかして玲二様にお会いになる為に来られたのですか?」

 

「うん!ぐらね、レイジに会いたくて日本に来たんだけどレイジ達がこの島に移住したって聞いたから急いでこっちに来たんだ♪ところでアメ、カリとイナの姿が見えないけど何処にいるんだ?」

 

「あの二人なら先にレイジの所に向かったわよ。ぐらを連れてくるなら二人で充分でしょって言って「何ィッ?!マジフザケンナヨ!ぐらの事差し置いて先にレイジに会いに行くなんて上等ダァッ!!」あ、コラ待ちなさいぐらッ!!」

 

どうやら他の同僚が先に玲二の元へ行ったと知ったぐらは急いで玲二の住む神羅城へと向かって行きアメリアもそれを追いかけるかのようにその場から去ってしまった。

 

「………あ、あはは、ゴメンねバタバタしちゃって」

 

「い、いえ大丈夫ですわ。それよりも皆様も玲二様の元へ行かれるのですよね?よろしければわたくしもご一緒してよろしいでしょうか?」

 

「うん良いよ♪それに私達もまだこの島についてよく分かってないから歩きながらでも教えてくれたら嬉しいな♪」

 

「勿論ですわ♪それでは早速参りますわ~♪」

 

こうしてキアラと共に神羅城へと向かう事になったサロメ。はてさて、何やら面白い事が起こりそうな予感を感じるが果たして?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へぇ、それじゃあEN組もこの島に移住する事にしたのか?」

 

「えぇ、此処なら私達も皆と一緒に活動しやすいと思ったから、後輩達はまだだけど皆でこの島に拠点を置く事にしたのよ」

 

俺は今ENからやって来た死神『森カリオペ』と古き神の司祭『一伊那尓栖』(以降イナニス)の二人と一緒にみしろとエリーが淹れてくれたお茶を楽しんでいた。確かにそれだと皆との連携もとりやすくて良いな。それに近々ID組もこの島にやって来るみたいだし、それなら喜んでこの家の部屋を使わせてあげよう。

 

「それより他の奴等はどうしたんだ?ぐらとか真っ先に来そうなイメージだったんだが……」

 

「あー、あの子は今頃こっちに向かってると思うわ。あの子あのまま船で進めば良かったのに途中から貴方に会いたいからって海に飛び込んで泳いでいったのよ。アメとクソ鳥はそのお迎えに行かせたってワケ」

 

なんだそりゃ?まあぐらはサメの獣人だから海見て泳ぎたいとも思ったのかね?

 

※玲二はぐらが本来浮き輪がないとまともに泳げないのを知りません。

 

「だからぐら達ももうすぐ此処に来ると思うよ。多分そろそろ「レイジィーッ!何処にいるのぉーッ!?」ほらね」

 

イナニスの言う通り、吹き抜けになってる下の階からぐらの大声が聞こえてきた。どうやら闇雲に探してあちこち動き回ってるみたいだな。仕方ない、迎えに行くか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「エヘヘ、レイジ~♪」

 

「はいはい、分かったから落ち着けって。それにしてもまさか壱百満天原も一緒だったとはな」

 

「は、はい!先程ぐらさんと偶然出会いご一緒させて頂く事になりましたの」

 

へぇ、そんな偶然あるんだな?それにしても……

 

「……なあ壱百満天原、お前もしかして海入ったのか?髪がゴワゴワしてるぞ?」

 

「え、えーと実はかくかくしかじかでして……」

 

成る程、海から飛び上がってきたぐらの近くにいたせいでおもいっきり海水を浴びてしまったワケか。よく見たらぐらと壱百満天原の服の生乾きだし、こいつ等濡れたまま此処にきたのか。

 

「なら一階に大浴場あるから入ってきな。ついでにぐらも海水で濡れてるから一緒に行ってこい」

 

「はーい♪」

 

「よろしいですの?では、お言葉に甘えて失礼しますね」

 

うん、取り敢えず二人とも風呂に行ったしその間皆の近状報告でも聞くとするか。

 

「そういやぐらから聞いたけどEN組も最近プラモ作りが流行ってるみたいだな?」

 

「ええ、といってもガンプラ作ってるのは私とぐらだけで他は皆それぞれ違うのを作ってるわ」

 

「私は車とかバイクのプラモが殆どね。ロボットとかは作った事ないわ」

 

「イナはダンバインとかドラグナーとかの他のロボット系作ってるけどガンダムは作った事ないなぁ」

 

「私はなんと言っても美プラ!特に最近のお気に入りはこのアルカナディアのルミティアちゃん!この綺麗なフォルム、堪んないね~♪」

 

成る程、カリオペが乗り物系でイナニスはガンダム以外のロボット系、そしてキアラはまさかの美少女プラモか。俺も最近ガンプラ以外作ってなかったからそういうのにも手を出していこうかな。

 

「そっか、なら今度ゆっくり出来る時間に一緒にプラモ作っていくか。それとだがもう住む家は決まってるのか?」

 

「えぇ、私達は海沿いのアパートに住む事にしたわ。レイジ君と会ったら其処に行って正式な手続きをする予定だったのよ。ID組も其処に暮らすみたいだからこれからは今まで以上にJP組とも連携が取れやすくなるわね」

 

そうなのか…………あれ?海沿いのアパート?

 

「……なあ、それってもしかしてどんぶら荘の事か?」

 

「えぇそうよ。それがどうしたの?」

 

「あー………スマン、どんぶら荘なんだが……もう先に住んでる人達で埋まってしまってるわ」

 

『え?!』

 

そう、カリオペ達が暮らそうと考えてたどんぶら荘だが実は既にあやめのお母さんである切菜さんやその仲間の鬼人族の人達が住んでいてもう空き部屋がないのだ。おそらくあの一件でドタバタしてたからEN組の手続きが手違いでなくなってしまったみたいだ。うーん、困ったな……

 

「そ、それじゃあ私達住むとこないの……?」

 

「困ったわね……取り敢えずこの島にも何ヵ所か宿泊施設があったから暫くは其処で泊まるしかないかしら?」

 

「そんな~!?もう自国の引っ越し済ませたから荷物だって今日こっちに来るのに~!?」

 

「其処はなんとかするしかないわね……はぁ、また不動産屋に行かないと……」

 

住む筈だった場所がなくなってしまい困り果てるカリオペ達。こうなったら仕方ないな……

 

「よし、ならこの家に住むか?今なら四階に空き部屋あるから其処なら自由に使って良いぞ。当然家賃は発生するけどな」

 

「え?!良いのレイジ?そんな簡単に……!?」

 

「ああ、元々この神羅城は今二階から四階は賃貸として貸し出してるんだよ。勿論俺の知り合い限定だけどな。今なら同じ事務所の吉身で安くしてやるけどどうだ?」

 

「それならイナ此処に住みたい!レイジ君や皆と毎日会えるなら此処で暮らしたい!」

 

イナは俺にそう言って抱きついてきた。いやまあそれは良いんだが背後にある触手が俺の手足に絡んで来て怖ぇんだけど……

 

「そ、それじゃあ正式な手続きはフブキ達が帰って来てからで良いから四階の402から406号室を使ってくれ」

 

「ごめんなさいねレイジ、わざわざこんな手間掛けさせてしまって……あ、そう言えばJPの皆いないみたいだけど皆何処に行ったのかしら?」

 

「ああ、実は二日前からJP組は京都に慰安旅行に行ってるんだよ。俺は仕事もあるから此処に残ったんだけどな。だから後4日は帰って来ないぞ」

 

子供達も一緒に行ったから少し寂しいが皆が帰った後でもすぐにいろんな仕事を出来るようにするのが俺の役目だからな。それにみしろやココ達もいるし、咲達にじさんじ組もいるから相変わらず此処は騒がしいけどな。

 

「それじゃあ早速部屋に案内す「ちょっとお待ちなさいですわぁーーーッ!」って壱百満天原、戻ってきたのか……ってお前なんて格好で歩き回ってんだよ?!」

 

皆を部屋に案内しようとしたタイミングで壱百満天原が戻ってきたのだが、こいつバスローブを羽織ってるだけの格好で来やがった!?胸のところが強調されているのを見るとこいつ下着も着てないのか?!此処七階なのに一階の大浴場から此処までその格好で来たのか!?

 

「お前馬鹿か!?そんな格好して他の奴等に見られたらどうするつもりだったんだよ?!」

 

「そんな事どーだって良いのですわ!それよりも玲二様!この方達が此処に住むとは一体どういう事ですのぉーーー!?」

 

いやどーだって良いって……女の子としてそれはどうなんだ?

 

「いやだからこのままだとカリオペ達が住む場所がないからこの神羅城に住んでもらっても構わないって事だよ。元々此処の二階から四階は今俺の知り合い限定で賃貸として貸し出してるからな」

 

「そうなのですの?!そんなの初めて聞きましたわ!?」

 

「そうなのか?いや今にじさんじやのりプロ、それに他の奴等も入居してるからてっきり知ってるのかと思ってたんだが?」

 

「そ、そんなの聞いておりませんわぁーーーッ!?」

 

え、マジで知らなかったのか?咲の奴他のにじさんじメンバーにも声をかけたって言ってたからてっきり知ってるものかと思ってたんだが?

 

※壱百満天原サロメはまだ所属して間もない為他のメンバーの連絡先を知らないのでこうした連絡が取れてないのである。

 

「でしたらわたくしもこの家に住まわせて頂きますわ!そうすれば何時でも玲二様のお顔を拝む事が出来ますし、此処を拠点にする事で真のお嬢様になる為の第一歩になりますわ~!!」

 

「ま、まあ住みたいと言うなら審査が通れば「ダメ!それは絶対に許さないッ!!」ってぐら……ってお前もか?!」

 

此処に住みたいと迫ってくるサロメだったが其処にぐらもやってきてサロメの入居を許さないと立ち塞がる。けどなんでパンツ一丁で来てんだよ?!一応首にかけてるバスタオルのお陰で胸は隠れているが完全に女の子がしていい格好ではないぞ!?

 

「どーしてですの?!此処は玲二様のご自宅ですのよ!なのになんで貴方がそんな事言う権利があるのですか!?」

 

「あるに決まってるだろ!ぐらはレイジと同じホロライブ!お前は別の事務所!だったらお前が此処に住んで良いワケないだろ!」

 

「いやにじさんじ組も結構入居してるけど?」

 

そういや黛灰にも住むかって聞いたけどあいつにじさんじ辞めてしかもこの島からも出ていっちゃうみたいだったな。なんでも公務員にでもなろうとか言ってたけど、まああいつが新しい人生を始めるなら友人として応援してやらねぇとな。

 

「ほら見なさい!玲二様は貴方のような心の狭いお方ではありませんの!だから貴方にそのような事言われる筋合いなんてありませんのよ!!」

 

「ウッサイこのデカチチ女!レイジはぐらがずっと前から仲良くしてたんだ!それをぽっと出のお前なんかにくれてやるもんか!!」

 

「なんですってぇ~!?」

 

「あぁ?やんのかぁ~!?」

 

「「ぐぎぎぎぎぎぎぎぃ……ッ!!」」

 

いやいや、さっきまでそれなりに仲良くしてた筈なのになんで入居する話でこんな事になってんだよ?

 

「……だったらデカチチ女、ぐらと勝負しろ!それでぐらが勝ったらお前は二度とこの城に入って来んな!」

 

「良いですわよ!ならわたくしが勝ったら此処に住んで貴方にはわたくしが今暮らしてる格安アパートに引っ越してもらいますわぁ~ッ!!」

 

いやなんだその勝負?そんな事しなくたって部屋ならまだ空いてるから別に住んだって構わないんだが?

 

「……ごめんなさいレイジ、うちのぐらがまた暴走しちゃって……」

 

「いや、別に良いんだが……はぁ、取り敢えずフブキ達にも新しい入居者が来たって連絡しとくか」

 

まあ勝負の結果がどうであれ此処にいる奴等の入居手続きを済ませておくとしよう。取り敢えず今は皆に迷惑をかけない範囲なら二人に満足するまでやらせてやるか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―その頃―

 

「……はい、分かりました。じゃあレイくん、よろしくお願いしますね♪」

 

「フブキー、レイさんなんだって~?」

 

「うん、実はEN組とサロメさんが新しく入居するみたいなんだけど……なんかよく分からないけどそれで勝負事になってるんだって」

 

『………………はい?』

 

慰安旅行中に玲二から連絡があったのだが入居する為の勝負事について今一分からず首を傾げるフブキ達であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―オマケ 今日の一部屋―

 

304号室 おめがシスターズ

 

「うおぉーーーッ!?窓からの景色最高ーーーッ!!」

 

「ねー♪こんな良い部屋が毎月六万って安いよね~♪」

 

「マジで!?おぉ~!それならレイちゃんの貯金でも大丈夫だね~♪」

 

「え、違うよ?月々の家賃はリオちゃんの口座から引かれるようにしてるよ?」

 

「え…………?」

 

「それじゃあリオちゃん、毎月の家賃よろしくね~♪」

 

「………………………………へあッ?!」

 

本当は二人半々ずつの支払いだが面白いので黙ってるおめがレイであった。




はい、という事でぐら達とサロメが入居、そして何故か始まる二人の対決!な回でした。今回はスランプ気味だったのでどう書こうか悩んでいたら長くなりそうなので対決は次回に持ち込みます。

それと今回からオマケシーンで今日の一部屋というのを載せていこうと思います。もしかしたら意外な人が入居してるかも…?

次はこの続きか番外編の続きを出そうと思います。まったりと待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第73話『対決?初めてのガンプラ作り』

実は昨日で初投稿から一年経ったので本当は昨日上げたかったのですが忙しくて出来ませんでした……(泣)いつもこんな小説を見て頂き有り難うございます!これからものんびりと更新していく予定なのでよろしくお願いします!

今回はぐらとサロメの対決?になります。最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


神羅城に住む事を賭けて何故か戦う事になったぐらと壱百満天原。まあどっちが勝っても入居は認めるつもりだから良いんだが結局何で対決するんだ?

 

「それで?一体どんな対決をするおつもりですの?」

 

「そんなの決まってるだろ、レイジと言えばガンプラ。なら勝負はどっちがレイジを納得させるガンダムを作るかの勝負だッ!」

 

「やはりそうなりますのね?良いですわ!わたくしも今日は玲二様と共にガンプラを作るためにホロプラというお店でガンプラを買ってきましたのよーッ!」

 

へぇ?壱百満天原ガンプラに興味持ってくれたのか。それは同じガンプラ好きとしては嬉しいけど一体何を買って……………え?

 

「ひ、壱百満天原?なんでこのキット選んだんだ?」

 

「はい!このガンダムがわたくしの見る限りでは最安値のガンダムでしたので買っちゃいましたわ~♪これだけお安いという事はつまり!作るのにそんなに難しい事はないという事ですわ~♪「ばっかじゃないのお前?」はぁッ?!な、何がおバカというのですの?!」

 

「だってお前これ……『ファーストグレード』じゃん。初心者なら絶対エントリーグレード買った方が良いのに」

 

どうやらぐらは知ってるみたいだな。そう、壱百満天原が買ってきたのはある意味初心者にオススメ出来ない最安値キット『FG(ファーストグレード)』なのだ。

 

 

『FG ガンダム』

言わずも知れた初代ガンダムのキット。その中でもこのFGのガンダムは格安の300円!しかしこれは本来初心者にオススメ出来るキットではない。何故なら……

 

「ふぁ、ファーストグレード……?」

 

「……壱百満天原、取り敢えず箱開けてみな。そうしたらそれが初心者向けではないのがよく分かるから」

 

「は、はあ………………ッ?!こ、これは!?」

 

俺に言われて箱を開けた壱百満天原が驚いている。そう、実はこのガンプラ……単色成型のキットで全く塗り分けがされていないのだ。更に一度組み立てたら腕や首、間接部は外せなくなってしまう為に塗装するのにも一苦労なキットなのである。このキットが値段が安いのは初心者向けだからではなくあらゆる部分が削減されてるある意味上級者向けのキットなのだ。

 

「これからガンプラを作る壱百満天原にはエントリーグレードから入った方が良いんだけど、まさかFGを買ってきてしまうとは……」

 

「ハハハッ!バーカバーカ♪」

 

「うぐぐッ……うっせぇですわぁーーーッ!!其処まで言うからには貴方はこれを格好良く仕上げられるというのですわよね!?なら勝負はこのガンダムをどちらがより格好良く仕上げられるかに致しましょう!!」

 

「えッ?!」

 

あーあ、ぐらが調子に乗って煽ったせいでとんでもない泥沼勝負になりそうだな。しかもどっちが格好良く仕上げるかなんて、こいつ等勝負にどんだけ時間かけるつもりなんだ?

 

「それでは玲二様!わたくしガンプラは初めてですので是非ご教授お願いしますわ~♪」

 

「おいフザケンナ!お前これ勝負なのになんでレイジに頼ろうとしてんだよ!?」

 

「わ、分かったからぐら怒るなって。今回のキットはちょっと初心者には難しいから二人とも教えてやるから先に工作ルームに行ってこい、俺は助っ人呼んでから向かうから。みしろ、案内頼めるか?」

 

「畏まりましたご主人様。それではお二人とも、こちらへどうぞ」

 

俺がそう言うと二人はみしろの案内で工作ルームへと向かって行く。さて、俺もあいつを連れてくるとするか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、これから対決という事だが壱百満天原は完全に初心者、ぐらも最低限の事しか出来ないみたいだから土俵としてはほぼ同じようなもんだ。だから今回は俺が壱百満天原に、ココがぐらに着いてレクチャーしていこうと思う。ココ、よろしく頼むな」

 

「おう!パパの頼みとあらば断る理由はねぇ!この桐生ココ、しっかりぐらをサポートしてやるぜ!」

 

いよいよ始まるガンプラ対決。俺は丁度暇してたココにぐらのサポートを頼んだので対決というよりは最早レクチャーみたいなもんだな。それとココなんだがもうカタコトな部分も殆どなくなり流暢な日本語になったり最近は俺の事兄貴ではなくパパと呼ぶようになったんだよな。理由を聞くと自分はもう俺の妻だからいつまでも兄貴はおかしいだろとの事だ。それを言ったら他にも俺の事未だに兄と呼ぶ奴いるけどな。

 

「こ、この方も玲二様の奥様なのですね?」

 

「おうよ!この佐々木ココこそパパの嫁の一人よ!よろしくなサロメ嬢♪」

 

「え、えぇ、よろしくお願いしますわ………それにしても、おっきなお腹ですわね?」

 

「まあな♪なんたってヤる事はヤってるからな♪」

 

ココ 妊娠五ヶ月目

 

おい言い方。確かにハッスルした結果ココにも二人目が出来たけどもうちょいオブラートに包めよ壱百満天原が顔真っ赤にして困ってるだろ?それと……

 

「……さくら?ちょっと重たいから降りてくれないか?」

 

「やー。パパのあたま、さくらのとくとーせき~♪」

 

そう、さっきからさくらが俺の頭に乗っかり離れようとしないのだ。この子も成長が早いのかもう普通に喋れるしなんなら少しの距離ならちっちゃい羽で飛ぶ事も出来る。これが龍人族の成長スピードかと思いきや普通の龍人族の子でも此処まで成長は早くないと言われたので間違いなく神羅族の力が影響してるんだろうな。

 

「むぅ~!ぐらもレイジの赤ちゃん欲しいのにぃ~!」

 

「ハハハッ!寝言は寝てから言えサメちゃん♪ほらとっととガンプラ作っていくぞ!」

 

悔しがるぐらの首根っこを掴んでココは奥の方へと向かって行ったので俺達も始めるとするか。さて、まずは必要なアイテムを揃えてテーブルに並べないとな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……よし、こんなところかな?」

 

「凄いですわ……ガンプラってこんなに使う道具が多いのですね?」

 

「まあその時作るモン次第だな。ただ組み立てるだけならニッパーあれば充分だし、もっと拘るならこれより道具が必要になる事もある。今回は壱百満天原も初心者という事もあるし丁寧に作っていくとするか」

 

今回使用するのは基本のニッパーとヤスリ、そしてプラモ用の接着剤に塗装する為の筆と希釈液だ。今回はエアブラシ等は使わず筆塗りでやっていこうと思う。

 

「それじゃあまずはパーツをニッパーを使って全部切り出していくか。本来なら初心者なら説明書を見ながら一つ一つ外して組み立てながらやるのが良いが今回はパーツも少ないから全部一気に切り取っても問題はない」

 

「わ、分かりましたわ。んしょ……」

 

―パチッパチッパチッ―

 

パーツがランナーから切り取られる音が心地好く響いている。この没入した時の静寂感が自分の世界に入っている感じがして俺は好きだ。壱百満天原も真剣な表情でパーツを切り取っている。

 

「………ふぅ、終わりましたわ」

 

「よし、それなら次はパーツを組み立てるんだが、まずはパーツを噛み合わせるピンと穴があるだろ?其処にニッパーを入れて少しカットするんだ」

 

「?どうしてですの?そんな事をしたら組み立ててもすぐに外れやすくなってしまいますわ」

 

「良いんだよ、これからやる組み立ては仮組と言って一旦組み立てた後にもう一回バラすから」

 

「??何故そのような面倒な事をするのですか?」

 

「それについては後で説明する。まずは指示通り組み立てて見てくれ」

 

俺が指示するとサロメは不思議そうにしながらもパーツにダボ穴カットをしつつ組み立てていく。それにしても本当に単色だな……旧キットとかこういうのは作った事なかったから分からなかったけど昔はプラモ作るのも一苦労だったんだな?今のプラモがどれだけ進化してるのかが良く分かる。っと思ってる間にもう出来たみたいだな?

 

「よし、とりあえず仮組が完成したらパーツの合わせ目なんかをチェックするんだ。後は塗装する際に塗りづらい場所の確認も一緒に行う。こうする事で接着する時に消すべき合わせ目も分かるし塗装もやり易くなる」

 

「なるほど……分かりましたわ!では、次はどのようにすればよろしいですの?」

 

「次はパーツをバラして、そして合わせ目に沿って接着剤を着けて再びパーツを組み立てていくんだ。この時に接着剤が多いと余計な所にも接着剤が流れてしまい間接部等に影響が出てしまうからなるべく薄く塗ってくれ」

 

「は、はい玲二様!では……!」

 

「サロメ~がんばれ~♪」

 

お、さくらも壱百満天原を気に入ったのか名前を呼んで応援してるな。それにしても壱百満天原ってすげぇよな?たった1ヶ月でにじさんじのトップに上り詰めただけでも凄いがこうした細かい事に対しても並々ならぬ熱意を持って挑んでくれてる。きっとそれが彼女を彼処までの人気者にした要因なんだろうな。

 

そして暫くして接着が終わり接着剤が固まってヤスリがけを終えたのでいよいよ此処からがメインイベント、塗装に入る。

 

「いよいよだな。此処からは壱百満天原、お前自身で好きなように塗ってみろ」

 

「え?!で、ですがわたくしこうしたのが苦手でして、上手くこの絵のように濡れるか自信が……」

 

「別にその通りに塗らなくて良い。寧ろ壱百満天原……いや、サロメが思う通りに好きなように塗れば良い。ガンプラは必ずしもその通りに塗らなければならないなんてそんな掟はないからな」

 

「……わたくしの、好きなように……」

 

「そういう事だ、だから此処からは一旦席を外す。暫くしたらまた戻って来るから頑張ってやってみな」

 

「サロメ、がんばって~♪」

 

こうして俺はさくらを抱っこして工作ルームを後にする。サロメに一人でやらせる一番の理由はさくらがいるからな。成長が早いとは言えまだ赤ちゃんだから塗料の近くにやるのは危険だからな。まあもっと言えばガンプラ作ってる傍にいる自体本当は危ないんだけど皆して興味持ってるから其処はなるべく危なくない範囲に離して見せるようにはしてる。

 

さて、それはさておきサロメはどんな風に塗っていくんだろうな?

 

「お、パパの方も終わったのか?」

 

「あぁ、後は塗装だけだ。ぐらの方は?」

 

「サメちゃんも後は塗装だけってところだな。それよりもパパ、お腹空いてねぇか?今からサンドイッチでも作って皆で食べようと思ってたんだよ♪」

 

「お、それはいいな。さくらもバナナのサンドイッチ食べるだろ?」

 

「わーいバナナサンド~♪」

 

さくらは喜びながら俺の腕から離れココの頭上に乗っていく。ココもちょっと重そうなのか若干首が傾いている。

 

「ママ、はやくはやく~♪」

 

「はいはい、ったく重てぇったらありゃしねぇ♪」

 

口ではそう言ってるが嬉しそうだなココ。組の娘に産まれて会長になったから人並みの幸せを掴むなんて諦めてたのにこうして子供に恵まれるなんてそりゃ嬉しい気分にもなるか。

 

「ほらパパ、早く来ないとパパの分なくなっちまうぞ~?」

 

「パパ、はやく~♪」

 

「はいはい、今行きますよっと」

 

さて、俺も皆と一緒にサンドイッチ食べるか。後ぐらとサロメの分も作っておくか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―数時間後―

 

「さて、そろそろある程度塗装終えた頃かな?」

 

あいつ等もそろそろ腹減ってると思うし、俺はサンドイッチを持って工作ルームへと戻ってきた。さて、一体どんな塗装に………ってありゃ?

 

「スー……スー……」

 

「あらら、集中し過ぎて疲れて寝ちまったか……成る程、面白い塗装だ」

 

寝息をたてながら寝てるサロメの横には既に塗装を終えたガンダムが置かれていた。そのガンダムは不器用ながらも紫色をベースに丁寧に塗られており肩とシールドにサロメのイメージであるサソリの模様が描かれていた。まさにサロメらしい塗装に仕上がっているな。

 

「お疲れ様サロメ、よく頑張ったな」

 

「スー……エヘヘ、玲二様ァ~♪」

 

気持ち良さそうに寝て、一体どんな夢見てんだか?けど此処で寝かせてたら風邪引くかもしれんしとっとと運ぶか。あ、それとぐらの方はどうなんだ?

 

……やれやれ、こっちもか?

 

「エヘヘェ~♪イヤーンレイジノエッチィ~♪」

 

「……いやどんな夢見てんだこいつ?」

 

こいつの場合は叩き起こそうか?いや、流石に可哀想だから止めとこう。それにしても……ぐらもかなり良い感じに塗装出来たみたいだな。少し暗めのメタリックブルーに白のグラデーション、まるで深海を思わせるかのような仕上がりになってる。これは他でもないぐらだから表現出来る塗装だな。

 

「まあ欲を言えばもう少し色ムラとか塗装の粗さもあるが、二人とも初の筆塗りにしては上出来だ。よってこの勝負は引き分けだな、お疲れさん二人とも」

 

俺はぐらの頭を少し撫でた後浮遊の能力を使いサロメとぐらを浮かせて部屋へと運んで行った。勝負の結果に納得してくれるかどうかは分からないがこれからよろしくな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へー、そんな事になってたんですね?」

 

「あぁすまなかったなフブキ、急だったとは言えEN組やサロメを入居させてしまって」

 

「大丈夫ですよレイくん♪そもそもEN組やID組が引っ越して来るのは想定済みでしたし、サロメさんも家賃をしっかり払ってくれるなら文句は言いません」

 

「そうか、それなら良かっ……ちょっと待て?想定済み?それってどういう事なんだ?」

 

「元々EN組がこの島に移住するのはキアラちゃんから聞いてたので万が一移住する家が見つからなかった場合は神羅城に住ませてあげようって皆で決めてたんです。まあぐらちゃんがサロメさんと対決する事になったのはちょっとびっくりしましたけどね」

 

成る程、そういう事か。まあそれなら穏便に住んで良か「あーそうそうレイくん?」……ん?な、なんだフブキの奴、急に雰囲気が変わったけど……?

 

「レイくん、みしろちゃんから聞いたんですけど……レイくん、ぐらちゃんと寝たみたいですねぇ~?」

 

うぐッ!?や、やっぱりバレてる?!実はぐらの奴フブキ達が帰ってくるまで毎日俺の部屋に来ては無理矢理一緒に寝かされてたんだよ、勿論厭らしい事は一切してないけど。

 

「す、すまん、ぐらが毎日無理矢理入って来て、それで……」

 

「ううん良いですよレイくん、ぐらちゃんもレイくんに会えなくて甘えたかったんですもんね~?だから許してあげる代わりに今夜から暫くは私と一緒に寝ましょうね♪ココちゃんも二人目が出来ましたし、私もそろそろ三人目欲しいと思ってたんですよ~♪」

 

や、ヤバい、フブキの目がギラギラしている。これは逃げられそうもないか……?

 

「レイジ~♪」

 

「玲二様ぁ~♪」

 

「ん?お、おうぐらにサロメ、どうしたんだ?」

 

ナイスタイミング!フブキに迫られそうなタイミングでぐらとサロメがやって来てくれた!

 

「レイジ!今度はぐらと一緒にアスタロト作ろう♪」

 

「いえ玲二様!今度はわたくしとルナゲイザーガンダムをお作りしましょう♪」

 

「おいサロメ!今はぐらがレイジにお願いしてんだからあっちにいけよ!」

 

「嫌ですわ!わたくしまだまだ初心者なもので玲二様と一緒にもっとガンプラを作ってスキルアップしたいのですわぁ~!」

 

「はいはい分かったから、この後リモート会議あるからそれが終わったら二人一緒にやってやる。という事でフブキ、さっきの話はまた後でな」

 

「むぅ……分かりました、けどレイくん………………ニゲラレルトオモワナイデヨネ?」

 

ヒィッ……?!こ、これは……暫く大変かもな………

 

 

 

その後、暫くの間玲二はフブキの夜の相手をする事になるが結局の所これ以上の子供は暫くは作らないでおこうという考えに収まってくれた。ココの新しい子供を考えたら46人、流石に多過ぎるからな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―オマケ 今日の一部屋―

 

230号室 社築

 

「ふぃ~、漸く仕事も終わって一息つけるな。こういう時は一杯やってゲームするのが一番だ」

 

―ピンポーンッ―

 

「ん?誰だこんな時間に……はーい」

 

[開けろぉー!やしきずーッ!ゲームやるぞぉーーーッ!!]

 

「いやお前かよ笹木!?俺は今から晩酌するんだからガキは帰った帰った!」

 

[開けろぉーーーッ!暇なんだから相手し―プツッ―

 

「はいはいもう相手にしてられないって。それにレバガチャの時は散々家破壊されたけど此処は玲二の家だからあいつも手出し出来んだろ―ピッガチャッ―……え?」

 

「お邪魔しまーす♪」

 

「オイオイオイお前どうやって入ったんだよ!?鍵掛かってる筈だろ?!」

 

「いやぁ~あの時のゲストマスターキーまだ持ってるんで♪」

 

「いや返せよ?!怒られるぞ玲二に「そんじゃあ早速ゲームすっぞぉ~♪」聞けよ!?」

 

当然この後怒られる笹木咲であった。




はい、という事で対決という名のガンプラ講座でした!ファーストグレードは一度だけ作った事がありますがマジで塗装が大変でした……(泣)

次回はミオの幼馴染みが登場、玲二とミオに危機迫る?なお話です。次回もまったり待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第74話『幼馴染み』

仕事、仕事、また仕事………一体何時になったら自由を得られるのだろうか?(泣)

取り敢えず水星の魔女のガンプラ出る日の午前中だけは時間を確保しなければ!( ・`ω・´)

今回はミオの幼馴染みが登場でまたまた一悶着が?な回です。最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


「……………え?ホロライブタウンの再開発?」

 

〈そうなんだ。それに伴い島の名前も新しくしようと思うんだけど、どうかな?〉

 

ある日の午後、俺は義兄さんと島の再開発を行うという話を聞き、それに伴う島の名前の変更を提案されたのだがいきなりそんな事言われてもなぁ……

 

「うーん……なら俺の種族名から取って神羅島とかは……」

 

〈それも最初は考えたけどその名前はやはり許可は出来ないな。以前の件で君の正体が島中にバレたとはいえそれは現島民の極秘事項として収まる事になったんだ。だからこれからこの島も拡大し認知される中で外部から来た者に君の正体を悟られるリスクはどうしても避けなければならない〉

 

そっか、俺が神羅族だとバレても今まで大丈夫だったのはあくまでこの島にいる人達が俺や俺の家族の味方でいてくれる人達ばかりだったからだ。もしこれから外部の人間が来て俺の正体がバレるような事があったら皆にも危険が迫るのか……だったらこの家も神羅城なんて名前付けなきゃ良かったな。

 

〈取り敢えず候補はこちらでも考えておくから後で君の奥さん達とも話し合ってほしい。それと来月には工事していた島北部の拡大と其処にホロライブとにじさんじの合同建設予定のコンサート用大型ドーム会場の立地確保が終わると思うから明日そっちに行く建設部の者と詳しい話をしてほしいんだ〉

 

「分かった、こっちの事は任せてくれ。それじゃあ義兄さんお疲れ様」

 

俺は義兄さんとの通話を終えるとパソコンの画面を閉じて一息つく。確かにこの島はもうホロライブタウンと言うにはそれ以外の人達があまりにも多過ぎる。いつかは名前を変える必要があるとは思ってたが、はてさてどんな名前が良いのやら?

 

……まあそれは義兄さんに任せて俺は明日来る建設部の部長さんとの会議に使う資料を纏めるとするか―シュンッ―ん?

 

「ぱーぱ♪」

 

「……おいおいマオ、お前また勝手にリミッター外したのか?危ないから外しちゃダメだって言ってるのに」

 

「あーい♪ぱーぱ、あしょぼ~♪」

 

全く、この子達も最近だとリミッターの為に着けた腕輪を外して自由に能力を使っている。今のところ危険な目にあってないから良いが万が一の事があったらダメだからもっと外しにくいリミッターを用意してもらわないとな。

 

「分かった、でもパパは今目を通さなきゃいけない資料があるから読み終わるまでは膝の上でおとなしくしててな」

 

「あーい♪」

 

うん、良い子だ。マオは俺の言う通り俺の膝の上に座り母親であるミオのぬいぐるみで遊び始めた。この子達も大分聞き分けが良くなってきて親としては嬉しい限りだけど、それなら勝手にリミッター外さないでくれよな?

 

―ガチャッ―

 

「レイさん!こっちにマオ来てな……ってやっぱりいた!もうマオ!勝手に転移しちゃダメだって言ってるでしょ?!マオにもし何かあったらママ悲しいんだから!」

 

「ぶぅー……あい」

 

お、ミオもマオの転移に気づいて来たか。まあマオが転移する場所なんて俺かミオのとこしかないからな。

 

「ミオ、そんなに怒んないであげな。幸い怪我もないんだし」

 

「レイさんは甘いんだってば!今までだってたまたま何もなかっただけでマオがもし知らない所に行っちゃったらウチ……!」

 

「大丈夫だって、そうなったら俺が必ず見つけるから。それにもうすぐ新しいリミッター用の腕輪も来るからそれならこっちから外さないと外れない仕組みになってるからそんな心配する必要なくなる。だからもっと俺の事信用してくれないか?」

 

俺はミオを落ち着かせようと頭を撫でてやるとミオも目を細めて気持ち良さそうな顔になっていく。どうやら落ち着いてくれたみたいだな。

 

「マオもパパやママに会いたいからって勝手に腕輪外して転移しちゃダメだぞ?その力はせめてマオがもっとおっきくなってから使ってくれ。パパとママとの約束だ」

 

「あい!マーオ、やくしょく!」

 

全く、この子は本当に分かってるのかね?いつかこの子達がおっきくなったら力の使い方を練習させないとな。

 

「それよりレイさん、その資料ってもしかして明日の会議の?」

 

「ああ、明日来る建設部の部長との会議で使う資料だ。先方は11時にはこっちに来るって言ってたから明日は少しバタバタするかもしれないから子供達の事よろしくな」

 

「うん、ウチに任せて♪マオも明日はパパ大事なお仕事があって遊べないから今のうちに沢山遊んでもらいなよ~♪」

 

「あい!」

 

やれやれ、まだ資料読んでる最中だったんだが……まあ良いか、後でゆっくり目を通すとして今はマオの相手をしてあげるとするか。

 

こうしてこの日はマオや他の子供達と遊ぶ事にし、資料に目を通す事が出来たのは結局深夜になってしまった玲二であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―翌日―

 

「さて、そろそろ先方も来る時間だな」

 

「そだね~、多分もう見えると思うけど……あ、玲二見て!多分あの人達じゃない?」

 

「あ、あぅぶぁ~」

 

翌日、俺はシロと愛娘のみるくと一緒に建設部の人達を迎えに港で待って、そして暫くして船から搭乗客が降りて来てその中からそれらしき人達が俺に気づいたのか近づいてきた。おそらく中心にいるあの人が建設部長だと思うが、あの耳は犬……いや、ミオと同じ狼族の獣人か?

 

「あ、どうもはじめまして。佐々木玲二さんですよね?私藤枝コーポレーション建設部門部長の井之上雄輔と申します。本日はどうかよろしくお願いいたします」

 

「こちらこそよろしくお願いします。では早速ですが私の家の会議室に案内しますのでそちらで詳しい内容の説明をさせてもらってもよろしいでしょうか?」

 

「勿論です、では時間も惜しいので早速向かいましょう」

 

おお、なんだか頼りになりそうな感じの人だな……にしてもこの人の名前、なんかどっかで聞いた事があるような………ああそうか、あの芸人さんと名前が一緒なのか。名刺を見たら漢字は違ってたけどまさかこんな偶然あるもんなんだな?でも最近あの人見なくなったな、結構好きだったんだけど………ってそんなの今はどうでもいいか。取り敢えず今は会議の為に家に戻るとするか。

 

「いやぁそれにしても美しい奥様ですね。こんな素敵な方とご結婚されてしかもこんな可愛らしいお子様まで授かれるなんて羨ましい限りです」

 

「えー、ほんとぉ?良かったねみるく、可愛らしい子だって♪」

 

「あぅぶぅ♪」

 

「有り難うございます、しかし井之上さんも素敵な奥さんがいらっしゃるのでは?」

 

「いやはや実は恥ずかしながら私はまだ独身でして」

 

独身?!マジか、こんな誠実そうで見た目も清潔感ばっちりなのに……!?

 

「そうなんだ?凄くモテそうな感じなのにどうして?」

 

「おいシロ!すみません、うちの妻が余計な事を……」

 

「いえ、構いませんよ……実は私には昔から好きな人、所謂想い人がいまして、その娘を想うと他の女性と付き合うという考えが出来なくて……」

 

「……そうだったんですね、其処まで想う程ならその女性はきっと素晴らしい方なのでしょうね?」

 

「えぇ、私にとっては大切な人なんです……すみません、こんな独り身男のつまらない身の上話をしてしまって。さ、早く会議を済ませて昼飯でも食べましょうか。今日は私が奢りますので♪」

 

………最後少し誤魔化してたけどなんだか少し寂しそうな感じがしたな。そこ想い人との間に何かあったんだろうか?まあ部外者である俺が考えても仕方がないかもしれないけど……

 

ってそんな事考えてたらもう神羅城に着いたか。

 

「うわぁ、前任の部長から建設等の話は聞いていましたが此処まで凄い豪邸とは」

 

「まあ私だけではなくいろんな人が住んでる集合居住地ですから。さ、こちらへどうぞ」

 

俺はマスターキーを使って入り口を開き井之上さんや他の建設部の方々を神羅城へと招き入れていく。すると……

 

「あ、レイさんお帰りなさい♪そちらの方々が建設部の皆さん?」

 

「ああ、これから会議室で話し合いをするから皆さんの分のお茶を………?井之上さん、どうかしましたか?」

 

?どうしたんだ?井之上さんなんか目を見開いて驚いた表情でミオを見てるけど……

 

「あ、あの……ひょっとしてミオちゃん?大神ミオちゃんだよね!?」

 

「え?は、はいそうですけど……?」

 

「ッ!!やっぱりミオちゃんだ!ほら覚えてる?!小学校の頃ずっと一緒に遊んでた井之上雄輔だよ!」

 

「え……………あー!?ゆーくんなの!?本当に?!」

 

ゆーくん?!なんだかミオが凄く懐かしそうに井之上さんをそう呼んでるけど、二人とも知り合いだったのか!?

 

「うわぁ懐かしいねゆーくん♪元気してた?」

 

「う、うん、元気してたよ。ミオちゃんも随分おっきくなったね」

 

「そりゃウチだってもう20代なんだからおっきくなってるに決まってんじゃん♪」

 

「そ、そうだよね、ハハハ……///」

 

………なんか井之上さんのミオを見る目が好きな人と話してるそれに見える。もしかして、さっきの話に出てた想い人ってミオの事なのか?だとしたらなんか複雑なんだが………

 

「と、ところでミオちゃんはなんでこの家に住んでるの?前にミオちゃんのお母さんから上京したって聞いてたんだけど……」

 

「あー、それはね「ままぁ~♪」あ、マオ来ちゃったの?もうしょうがないなぁ~」

 

奥の広間からマオがミオの元にやって来てミオに抱っこされるとマオはキャッキャとご満悦で笑ってる……が、それを見た井之上さんはまた目を見開いて口まであんぐりと開いていた。

 

「………み、みみみミオちゃん?そそそ、その子は一体………?」

 

「え、この子?この子はウチとレイさんの子供だよ♪ほらマオ、おじさんにごあいさつして?」

 

「あーい!マオ、いっちゃい!こんちゃー!」

 

―ピシッ!―

 

あ、井之上さんが石化してしまった。この反応からしてやっぱり井之上さんの想い人ってミオだったのか?

 

「え?でででででも、さ、ささ、ささ佐々木さんのおおお奥様はそそ、そ、そちらの方では……?」

 

「うん、シロも玲二の奥さんだしミオちゃんも玲二の奥さんだよ♪他にも玲二の奥さんは沢山いるんだぁ~♪」

 

―ピシィッ!ガラガラガラッ……―

 

あ、崩れてしまった。前にサロメもおんなじように崩れてしまったが普通はこんな風にならんやろ?まあいいや、取り敢えず井之上さんには落ち着いてもらわないと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数時間後、井之上さんは一旦回復はしたもののやはりショックだったのか会議にも身が入らず終始魂が抜けたかの状態だったので仕方なく会議は一度中断する事になり今はゲスト用の宿泊ルームで休ませている。

 

それにしても井之上さんの想い人がまさかのミオだったなんてな。一途に想い続けてた人がまさか別の男と結婚して子供作ったなんてそりゃ誰だってショック受けるわな。

 

「はぁ、まさかゆーくんが建設部の部長さんだったなんてね」

 

「……ねぇミオちゃん、あの人ミオちゃんの事想い人って言ってたけど、もしかして井之上さんってミオちゃんの恋人だった人なの?」

 

「へ?いやいやまさか!?第一ゆーくんとは小学校時代家が近かっただけの幼馴染みなだけだし中学に上がってから全然会ってなかったし。それに前にも話したけどウチの初恋はレイさんだって」

 

そ、そうか、そう言ってくれるとちょっと安心したわ。正直ミオが井之上さんの事ずっとゆーくんって親しげに呼んでたからもしかしたらって思ってずっとドキドキしてたし。

 

「うーん、それにしてはあの人のショックの受け方が普通じゃないなぁって。だってあの人ミオちゃんの事ずっと想い続けてたって言ってたし、ただ単に好きなだけならそんな長い間一途に想うなんて出来ないと思うんだけど……ねぇミオちゃん、もしかしてあの人との間に何かあったんじゃない?例えば何か約束をしてたとか?」

 

「約束?………………………………………あ、もしかして“あの事”かな?」

 

「あの事?一体何があったんだ?」

 

「うん、これはウチとゆーく……井之上君が卒業する間近の話なんだけど、当時井之上君が卒業した後都会に引っ越す事になって………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―小学校時代卒業間近―

 

「ミオちゃん、もうすぐで卒業だね……」

 

「うん、なんだかちょっぴり寂しくなっちゃうね」

 

「……ミオちゃん、実は僕ミオちゃんの事(異性として)ずっと好きだったんだ」

 

「うん、ウチもゆーくんの事(友達として)好きだよ♪」

 

「本当に!?だったらミオちゃん!僕は将来凄い建築士になるんだ!だから僕が立派になったら、その時にミオちゃんには(僕と結婚して)幸せな家を作ってあげる!」

 

「ほんと?ウチの為に(立派な家を)作ってくれるの?嬉しいなぁ~♪」

 

「うん、必ずミオちゃんの為の立派な家を作る!約束だよ!」

 

「うん、約束!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………って事があったな~」

 

「……何だろう?この一見噛み合ってるようで微妙にすれ違ってる感じがするのは?」

 

「多分井之上さんの言う好きとミオちゃんの言う好きに温度差があったんだろうね?」

 

多分そうだろうな。井之上さんはミオの事を異性として好きと言ったのに対してミオはあくまで友達として好きって意味で返したんだろう。肝心な部分が抜けてると上手く伝わらない、言葉って難しいよな。

 

「そっか、あの時の井之上君ウチの事異性としての意味で好きって言ったんだ?」

 

「それが拗れて恋心抱いたまま今まで誰とも付き合わずに過ごして来ちゃったんだね……」

 

「なんと言うか、ツライなぁ……」

 

そう考えるとなんだか変な罪悪感を感じてしまうな……俺がミオと出会わなければもしかしたら井之上さんとミオが付き合って結婚してたかと思うとなんだか俺が井之上さんの恋を邪魔したみたいで申し訳ない……―ガチャッ―ん?あれ、井之上さんが何か真剣な表情でこっちに来てるけどどうかしたのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―………バッ!―

 

「佐々木さん!無理を承知でお願いします!ミオちゃんと別れてくださいッ!!」

 

「「「……………はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ?!!?」」」

 

な、何を言い出すんだこの人?!ミオと別れろ?!なんでそんな事になるんだよ!?

 

「ちょ、ちょっとゆーくん?!いきなり何を言い出すのさ!?」

 

「すまないミオちゃん!君が既にこの人に嫁いだ事も理解しているしそれに見る限りでも佐々木さんもミオちゃんや他の奥さんを大切にしているのはよく分かる!けど、それでも僕は諦めきれないんだ!君と離ればなれになる前にしたあの約束を守る為に僕は今日まで必死に頑張って来たんだ!その約束を果たす為に、そして僕自身の気持ちを受け取ってもらいたい!その為に僕は此処までやって来たんだ!!」

 

な、なんだこの人?もしかしてあれか?質が悪い意味で真っ直ぐ過ぎる性格なのか?普通そんな子供の頃にした約束なんてあんま覚えてないだろうしミオだって本気だと思ってなさそうだったのに対して井之上さんは本気でミオと付き合う為だけを動力源にしてきたって事か?だとしたらかなり厄介だぞそれ。

 

「そ、そんな事言われても俺はミオの事は大事だし、井之上さんの気持ちは分かりますが大切なミオと別れるつもりは俺からはありません。ミオが俺を見限るなら話は別ですが……」

 

「ウチだってレイさんと離婚するつもりなんてこれっぽっちだってないよ!?それにゆーく……井之上君の事だってそんな恋愛的な目で見た事ないし!」

 

「…………え?だ、だってミオちゃん、あの時僕の事好きだって?それに僕の事ずっとゆーくんって………?」

 

「それはあくまで幼馴染みとして、友達としての意味での好きで別に恋愛的な意味で言ったんじゃないよ!それに確かにゆーくんって呼んでたけどウチその頃クラスの皆の事そういうあだ名で呼んでただけだし!だから井之上君とはそういった関係にはなれませんからごめんなさいッ!!」

 

「ッ?!そ、そんな………!?」

 

うわぁ、はっきり言ったなミオ……そんなミオの拒絶を受け井之上さんはショックで放心状態になってしまった……と思ったらすぐに気を取り戻してまた俺達に頭を下げてきた。

 

「……でしたら!でしたらお願いします!どうか僕にミオちゃんの一日をもらえませんか!?ミオちゃんが佐々木さんの事を愛してるのはよく分かりました……けど僕、どうしても諦めきれないんです!なのでお願いします、どうかミオちゃんと一日デートをさせてください!!それで僕もキッパリと諦めますからッ!!」

 

「えぇッ?!そ、そんな事言われてもウチ困るんだけど……!?」

 

「お願いします!たった一日だけで良いんです!!ミオちゃんとデートする事が出来れば僕はもうキッパリと諦めます!だからどうか、どうかお願いしますッ!!」

 

う、うーん困ったな……まさか井之上さんが其処までお願いしてくるなんて、よっぽどミオの事が好きだったんだな?けど女々しいと思われるかもしれないが、だからといって自分の大切な妻を一日だけとは言え他の男とデートさせるなんてとてもじゃないがキツい。はて、どうしたものか……?

 

「………ねぇミオちゃん、だったら此処は勝負してみたら?それでもし井之上さんが勝ったら一日デートをしてあげるって事にすれば良いんじゃない?」

 

「え、勝負……?」

 

「うん♪だってシロ達も玲二の事で対立した時は何時も勝負事で決めてたでしょ?だから今回もそれに沿って玲二と井之上さんとで勝負して勝った方がミオちゃんと一日デート出来るっていうのはどうかな?」

 

……確かに今までもこうしたやり取りになったらこうした勝負事にはなってたけど、でもそれだと俺には特にメリットはなくないか?ミオとデートだって今でもたまにしてるし。

 

「………分かりました、ですがそれだと佐々木さんにはあまりメリットがありません。ですのでもし僕が負けたら今回建設するコンサート用大型ドームの費用の内一割は僕が負担します。それでどうでしょうか?」

 

「一割負担?!そ、そんな一割って言ったって数千万はしますよ?!」

 

「構いません!これが僕の覚悟です!なので佐々木さん、どうか僕と勝負してくださいッ!!」

 

……………ああもう!これが下心とか悪意ある奴ならキッパリ断れるのにこんな本気でミオの事を想っている人に土下座されたら断れないだろうが…………

 

「……ミオ、すまないけど」

 

「ううん、ウチも此処まで真っ直ぐお願いされたら断りづらいもん……その代わりレイさん、絶対に勝ってよね!?」

 

「ああ、それは勿論だ。井之上さん、あなたのその覚悟に免じてこの勝負お受けしましょう。但しやるからにはこちらも負けるつもりはありませんから」

 

「ッ!あ、有り難うございますッ!!」

 

「じゃあ勝負の内容はシロが決めるから明日のお昼に此処で集まるという事で、今日は此処で解散じゃ~♪」

 

シロはそう言って自分の部屋へと戻っていき、井之上さんも俺等に一礼した後ゲストルームへと戻っていった。勝負は明日の昼か……

 

「……ミオ、本当にすまなかった」

 

「もう大丈夫だってレイさん。それに井之上君には悪いけどウチが愛してるのはレイさんだけなんだから、例えどんな事があったってウチはずっとレイさんに着いていくから。だからレイさん、明日の勝負は絶対に勝ってね♪」

 

「ああ、必ず勝つさ。大切な妻を守る為にもな」

 

そう言って俺はミオにそっと口づけをする。確かに流される形で結婚したかもしれないけど今ではミオも、そして皆も俺にとって掛け替えのない大切な人達だ。例え幼馴染み相手だとしても絶対に負けはしない。

 

 

 

突如現れたミオの幼馴染み。果たして玲二は見事に勝利する事が出来るのか?後半へ続く……




はい、という事で次回ミオを賭けて玲二と井之上の勝負です!果たして玲二は勝つ事が出来るのか?!

次回もまっただ中待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第75話『対決!ガンプラクイズ』

現在コロナの療養期間なんですがガンプラと小説筆記以外本当にやる事がない……こんなにも早く仕事に復帰したいと思った事はないですね。まあ今は大人しく回復するのを待ちます。

今回はミオを賭けてのクイズ対決!果たして勝負の行方は……?今回も最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


俺がミオを賭けて井之上さんと勝負する事になった翌日、俺達佐々木一家全員はシロに呼ばれリビングへと集まっていた。一体どんな対決をさせられるんだろうな?

 

「ミオちゃんを賭けて真剣勝負!ガンプラクイズ9本勝負~♪」

 

―ドンドンドンッパフパフ~♪―

 

「……なんだこれ?」

 

ガンプラクイズ?随分久しぶりにやるけど何故にクイズ?それって俺はともかく井之上さんは大丈夫なのか?

 

「はい、という事で昨日の夜に井之上さんに得意な事を聞いたらなんと!井之上さんも普段からガンプラを作ってるという事で今回はシロがガンプラに関わるクイズを9問用意してきました~♪」

 

「シロさんからお話を聞いた時はまさかと思いましたが、同じガンプラを愛する者として、そしてミオちゃんを大切に思う者としてこの勝負は絶対に負けられませんッ!!」

 

成る程、井之上さんもガンプラ好きだったんだな。だったら同じガンプラ好きとしては尚更負けるわけにはいかないな。

 

「そして勝った方にはミオちゃんと1日デートの権利が与えられます!」

 

「頑張ってレイさん、絶対負けないでね!」

 

「ぱーぱ、がんば~♪」

 

そして今回の対決の賞品にされたミオは立派なソファーにマオと一緒に座らされ俺にエールを送ってくれる。他の皆も不安そうに見てるし、此処は絶対に負けられない!

 

「ルールは早押しクイズ、先に答えが分かった方がボタンを押して答えてもらい正解なら1ポイント、不正解だったら相手が答え終わるまで回答権がなくなる。二人ともこれで良いかな?」

 

「ああ、俺は構わない」

 

「僕も構いません」

 

「うん、二人とも納得してくれたみたいだからそれじゃあ早速クイズにいってみましょ~♪」

 

 

 

※此処からはガンプラクイズです。よろしければ皆さんもお考えください。

 

 

 

「それじゃあいくよ~、第一問!」

 

 

 

[このガンダムが登場する作品名は? ガンダムフェニーチェリベルタ]

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

よし、これなら分か―ピンポーンッ!―……え?

 

「おーっと井之上さんが早かった!では井之上さんお答えどうぞ!」

 

「ガンダムビルドファイターズGMの逆襲」

 

―ピンポーンッ♪―

 

「正解~♪答えはガンダムビルドファイターズのOVA作品のGMの逆襲でした~♪」

 

井之上 1ポイント

 

は、速い!?なんだ今の速さは?!シロが問題読み終えてから一秒もしないうちに早押ししたぞ!?

 

……ッ!そうか、井之上さんは獣人族、それも反射神経が高い狼族だから問題を聞いてからすぐにボタンを押すスピードが速いのか!?

 

「……佐々木さん、当たり前ですが僕は貴方には絶対に負けません。一点たりとも貴方には取らせません!」

 

ッ!……余裕を見せてたワケじゃねぇが、どうやらこの勝負、少しでも気を抜くと負けてしまうかもな。

 

「レイさん………」

 

「あぅ…ぱーぱ」

 

ダメだ、このままだとミオとマオに余計な心配をさせてしまう!もっと気を引き締めていかないと!

 

「それじゃ続いて第二問いっくよ~♪」

 

 

 

[HGUCシリーズでRX-78-2ガンダムが出たのは何番目?]

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クッ……!?えっと、何番だったっけ……?!」

 

ッ!よし、これは分かるッ!

 

―ピンポーンッ!―

 

「はい玲二が速かった!答えは?!」

 

「21番目!」

 

―ピンポーンッ♪―

 

「正解♪答えは21番目でした~♪」

 

「ヨシッ!」

 

玲二 1ポイント

 

「え?!ガンダムって一番最初じゃなかったの?!」

 

「ちげぇぺこ!一番最初に出たHGUCはガンキャノンでファーストガンダムは21番目!でその時に漸くV作戦のMSが揃ったんだぺこ!そしてリバイブ版が出た時もファーストガンダムよりもガンキャノンが先に出たんだぺこ!」

 

「流石ぺこら、生粋のファースト信者だね……」

 

外野でぺこらが誇らしげに説明してるがこれにはぺこらに本当に感謝だわ。ぺこらはよく新旧問わずファーストガンダム作るから自然と番号覚えれたからな。

 

「クッ!一番最初ではないのは覚えてたんですが……流石ですね佐々木さん」

 

「凄いね玲二♪因みに一番最初にHGUCで出たガンダムはGP01ゼフィランサスでこれでも出たのが13番目なんだって」

 

そうなのか?そう考えると初期の出た順番って本当に作品関係なくバラバラだったんだな?今リスト見せてもらったらファーストガンダムよりも先に百式やキュベレイが出てるし。

 

「それじゃ続いて第三問!」

 

 

 

[ノーベルガンダム、シビリアンアストレイ、ガンダムルブリス。これらのガンプラ達の共通点は?]

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さあお答えください!」

 

「……え?何この三機?」

 

「作品もコンセプトもバラバラ……こんな組み合わせに共通点なんてあるの?」

 

外野にいる皆もこの組み合わせに共通点なんてあるのかと疑問に思ってるが、確かにこの組み合わせは一体なんだ?井之上さんも分かってないのか頭を抱えてるし……どれも一度作ってるから構造は分かるけど共通点なんて…………………ッ!?

 

「分かったぁッ!」

 

―ピンポーンッ!―

 

「え?!そんな!?」

 

「おっと玲二が押したぁ!それじゃあ玲二、答えをどうぞ!」

 

「ああ、これ等は全てポリキャップレスのキットだ!」

 

―ピンポーンッ♪―

 

「正解~♪答えはこの三機にはポリキャップは使用されてないでした~♪」

 

「あぁッ!?そうだったぁッ!!」

 

玲二 2ポイント

 

「ポリキャップレス?!そんなキットがあるんですか?!」

 

「あぁ、これらのキットにはポリキャップは入ってなくて代わりに専用のジョイントが入ってるんだよ」

 

「そのおかげで細身の機体はそのプロポーションを生かす事が出来るのですがその代わりに間接部分が弛くなったり強度が脆くなるといった欠点もありますね」

 

クロとみしろの説明に皆も感心してるが、確かにHGでもポリキャップレスのキットは数が少ないから知らない人がいても仕方がないかもな。

 

ともあれこれで2ポイント、このまま順調にいけば勝てる!

 

「それじゃあどんどんいくよ~♪第四問!」

 

 

 

[HGの中にあるツインセット一般販売されているのはボールと何?]

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……………え?ボール以外にツインセットってあるのか?ネット限定だとユーゴーやグレイズがあるって聞いた事あるが……

 

―ピンポーンッ!―

 

「はい井之上さん速かった!さあお答えください!」

 

「はい、答えはロトです!」

 

―ピンポーンッ♪―

 

「正解~♪答えはロトでした~♪」

 

「ロトッ?!え、それどんな機体だ?!」

 

「あれ?佐々木さん知らないんですか?ユニコーンで出てきたじゃないですか、ほらあの戦車から変形するモビルスーツですよ」

 

……………ああッ!?確かにいたなそんなヤツ!?え?あれもツインセットだったのか?!

 

「……なー幹部、そもそもツインセットってなんなんだ?」

 

「ツインセットっていうのはその名前の通り同じキットが二個作れるセットの事ね。こういうのは一つだけだとかなりボリュームが少ないからニコイチで売ってたりするのよ」

 

「ふーん、要するにかさ増しって事か?」

 

「こらラプちゃん言い方悪いってば……」

 

確かに言い方悪いが、そうでもしないと内容としては薄っぺらくなってしまうし買う側としてもわりとニコイチって有難いんだよな。

 

……ってそんな事よりこれでまた同点になってしまった!最初はシロも忖度してくるかと思ったがやっぱり勝負事になると真面目なとこが出てしまってるな……だからと言って負けるつもりはないがな!

 

「それじゃあいよいよ折り返し、第五問!」

 

 

 

[SDガンダムWORLDHEROS、その作品内でのキャラ達は様々な偉人や空想上の人物と既存のモビルスーツのモチーフが合わさったキャラになってますが、その中でロビンフッドをモチーフにしたキャラのガンダムモチーフは?]

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ッ?!やばッ!?ド忘れしてしまった!な、なんだっけ……?!

 

―ピンポーンッ!―

 

「はい井之上さんッ!」

 

「ガンダムAGE-2です!」

 

―ピンポーンッ♪―

 

「正解~♪答えはロビンフッドガンダムAGE-2でした~♪」

 

ッ!?しまった抜かされてしまった!?

 

井之上 3ポイント

 

「うわぁーーーッ!これは兄ちゃんなら分かると思ったのに!?」

 

「……いや、逆ににーちゃだからこそパッと答えられなかったのら。にーちゃはSDガンダムは滅多に作らないし最近のは商品ページは見るけどアニメは見てないって言ってたから答えるのに時間が掛かってしまったんだと思うのら」

 

「確かにレイ兄ちゃんオールマイティーに作ってはいるけどSDは滅多に作る事ないもんね」

 

そうなんだよな、最近いろんなシリーズを見るようにはなってきたけどHEROSは全然見た事ないから未だにモチーフが曖昧な感じが多いし。

 

けどこれでクイズは半分が終了してしまった。今俺が2ポイントで井之上さんが3ポイント、これ以上はもう余裕がないぞ……!

 

「後半戦もどんどんいくよ~♪第六問!」

 

 

 

[初代HGガンダムが販売されたのは何年何月?]

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ッ!分かりましたッ!!」

 

―ピンポーンッ!―

 

しまったッ!?先を越された!?

 

「さあ井之上さんこれが答えられたら大分有利ですが果たして正解となるのでしょうか?!さあ答えをどうぞ!」

 

「はい!答えはズバリ!2001年5月ですッ!」

 

―ブブーーッ!―

 

「え?!そ、そんなバカな!?」

 

「はい残念でした~。井之上さんが間違えた事で回答権が玲二に移るよ~♪」

 

よしッ!一瞬焦ったが此処で当ててやる!

 

「さあ玲二、答えをどうぞ!」

 

「1990年3月だ!」

 

―ピンポーンッ♪―

 

「はい正解でーす♪」

 

「よっしゃあッ!!」

 

「そ、そんなッ?!絶対何かの間違いですよそれ!?だってHGUCのガンダムって出てそんなに経ってるワケないですし!?」

 

玲二 3ポイント

 

「確かにガンダムは結構経ってるとは思ったけど30年前は行き過ぎてるような気が……?」

 

「フッフッフッ……井之上さんや皆も何か勘違いしてるみたいだけど、シロはHGガンダムの発売した年月を聞いたのであってHGUCのガンダムの発売日を聞いたワケじゃないよ?」

 

「え……………………あ、ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!?そうか!旧HGかッ?!」

 

どうやら井之上さんも気づいたみたいだな?そう、今のHGガンプラの前にはかなり生産数も少ない旧HGというキットが存在してたんだよ。

 

「そ、そんなキットあったぺこなんだね……?」

 

「ぺこらも知らないなんて本当にレアなキットって事じゃん!?」

 

「るしあも一度だけ見た事あるけど、確かこのキットってガンプラの中では唯一絶版になった超貴重なお宝だった筈だよ?」

 

そう、今手に入れようとしたら間違いなく何万もするお宝キットだろう。もしかしたら数年後にはもっとヤバい値がついてるかもな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから七問目、八問目も終え俺も井之上さんもお互い計4ポイントと接戦を繰り返していた。これで残すのは後一問、これを取った方が勝ちだッ!

 

「レイさん………」

 

「ぱーぱ………」

 

ミオもマオも不安そうに俺を見てる……この最終問題、絶対に落とすワケにはいかないッ!!

 

「それじゃあ泣いても笑ってもこれが最後の問題だよ。二人とも、準備は良い?」

 

「ああ、いつでもこい!」

 

「僕も、いつでも答えられる準備は出来てますッ!」

 

「うん、じゃあ最後の問題!いっくよ~♪」

 

 

 

[ミオが一番好きな機体の名前は?]

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さあお答え下さい!」

 

「えぇッ?!み、ミオちゃんの一番好きな機体?!」

 

「おやおやぁ~?ミオちゃんの事が好きならこれぐらいすぐに分かると思うんだけどなぁ~?あ、因みに答えは予め聞いてるから玲二が言ったからじゃあそれでっていうのもないからね♪」

 

グッ……!?まさか最後の問題がミオの好きな機体だなんて……ミオはメイン機体よりも量産型が好みというのは知ってるが具体的に何が好きというのは聞いた事がないぞ?!

 

「さあ最終問題は当然ノーヒント!見事答える事が出来るのは果たしてどっちでしょうか!?」

 

「いやそんな事言われても……」

 

「ええと、ミオちゃんが好みそうな機体………」

 

……だ、ダメだ。どんなに考えてもミオが好きな機体なんて………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぱーぱ、がんばー!」

 

「ッ!マオ……」

 

悩んでる俺にマオが応援してくれてる。そうだ、此処で俺が負けたら一日だけとは言えミオが井之上さんのモノになってしまう。そんなのは絶対嫌だ!ミオやマオの為にも、そして俺自身の為にも絶対に答えないと!

 

……とはいえ答えが分かったワケじゃねぇからなんて答えれば………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、あうぅ~♪」

 

「マオもこのガンプラ気に入ったの?ママと一緒だね~♪」

 

「あきゃ♪」

 

「へぇ、ミオはその機体が好きなのか?」

 

「うん、この機体はガンダムとかと比べてあんまり活躍もしてないし地味だけど、他の皆をサポートするって感じが良いなって♪」

 

「確かにこいつは影の主役って感じはするよな」

 

「うん、だからウチこの機体が一番好きなんだよね♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……ッ!?い、今のって……まだマオが産まれてすぐの頃か?確かそんな会話してたような………そうか、思い出したッ!!

 

―ピンポーンッ!―

 

「おぉーッと此処で玲二が押した!」

 

「ッ!?そ、そんな?!」

 

「じゃあ玲二、答えをどうぞ!」

 

「あぁ……………答えはズバリ!ジムだッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―ピンポーンッ♪―

 

「正解でーす♪ミオちゃんの一番好きな機体はジムでした~♪」

 

「じ、ジム?!ガンダムとか主役機じゃなくてただの量産型のジム?!」

 

「う、うん。ウチ主役機よりもどっちかというと量産型の方が好きなんだよね」

 

そうだ、ミオは量産型の中でもその原点とも言える連邦の量産型、ジムが一番好きだって言ってたんだよ。どうやら影から皆を支えているって言うのが自分みたいで親近感が湧くらしい。

 

「という事でこの勝負、5対4で玲二の勝利~♪」

 

「う、ぐうぅ……ッ!」

 

そして俺の勝ちが確定すると井之上さんはその場で崩れ落ちてしまった。よっぽど悔しいのか今にも泣きそうな程目に涙が溜まっている。

 

「井之上さん……」

 

「井之上君……」

 

「……良いんです佐々木さん、僕も男ですから。一度言った事は素直に受け入れます。ミオちゃん、こんな事に付き合わせてごめんね……」

 

……そうは言うものの相変わらずその表情は暗い。なんとか立ち直らせたいが多分俺やミオが慰めても逆効果だろうし、どうしたら良いのやら……?

 

「……まーま、おろちて」

 

「?マオ、どうしかしたの?」

 

すると突然ミオに抱っこされていたマオが降りたいと言い出した。抱っこが大好きなマオが自分から降りたいだなんて珍しいな……そしてミオから離れるとマオはよちよちと井之上さんに向かって歩いていき……

 

「おいたん、よちよち」

 

「ッ!ま、マオちゃん……?」

 

マオは項垂れていた井之上さんの頭に手を当てて撫でていく。どうやらマオは井之上さんの事を慰めてあげてるようだ。マオに撫でられた井之上さんも最初は何事かとびっくりしていたが心配そうに頭を撫でてくれるマオに心が落ち着いたのか涙を拭きマオを抱っこする。

 

「……有り難うマオちゃん、おじさんはもう大丈夫だよ」

 

「あい♪」

 

「井之上君、大丈夫……?」

 

「うん、マオちゃんが慰めてくれたおかげで気持ちの整理が着いたよ。ミオちゃん、こんな下らない事にわざわざ付き合ってくれて有り難う、そしてこれからも佐々木さんと幸せにね」

 

立ち直った井之上さんはマオをミオに返すと今度は俺のところへとやってきて手を差し出してきた。

 

「佐々木さんも有り難うございました。こんな事僕が言えた義理はないのですが………ミオちゃんの事、よろしくお願いします」

 

「………ああ、勿論だ。ミオもマオも、そして俺の家族は何があっても幸せにしていく。約束するさ」

 

「はい、それを聞けて安心しました。これで僕も新しい道に進めそうです……では僕はこれで失礼します」

 

俺と井之上さんは固く握手を交わし、そして井之上さんはそのまま神羅城を後にしていく。なんだか最後までまっすぐな人だったな本当に……

 

「……レイさん、ウチの為に頑張ってくれて有り難うね♪」

 

「ぱーぱ、あいあと~♪」

 

「いや、ミオの為だけじゃないさ。これはミオの夫として、そしてガンプラ好きとしてのプライドもあったからな。兎に角勝てて良かったよ」

 

「うんうん♪シロも玲二なら絶対に勝てるって思ってたよ~♪」

 

「そのわりにはシロちゃん全然忖度してなかったよね……?」

 

全くだ。まあ皆も安心していつも通りに戻ったし、ともかくこれで丸く収まって良かったかな?

 

 

 

 

 

こうして井之上によって起きたミオ争奪戦は無事に幕を閉じた。そして井之上の手回しのおかげかホロライブタウンの再開発は順調に進み、数ヶ月後には島の端に立派なドームが建設されたのであった。




はい、という事でクイズ対決回でした!やっぱりクイズ考えるのも大変ですねw

次回はあくあとシオンの回です、メイドとしての自覚が薄れるあくあに対しシオンが……?!

次回もまったり待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第76話『メイドの心得』

漸く明日から復帰!最初はゆっくり休めると喜んでたのに10日間外に出ないと逆にキツイですね(汗)

今回はガンプラ関連なしのあくあ回です。最後まで楽しんで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


「ご主人様、おやつのスフレチーズケーキでございます」

 

「お、有り難うなみしろ」

 

「ご主人様、今回はチーズスフレに合うお紅茶もご用意致しました~♪」

 

「うん、エリーも有り難うな」

 

「…………………」

 

とある日の午後、この神羅城の主である玲二がメイドであり妻であるみしろと同じくメイドのエリーから給仕を受けのどかなティータイムを楽しんでいた……が、その様子をソファーの影からシオンが愛娘の『久遠』と一緒にジーッと見ていた。そしてその横では……

 

“有○さん判定をどうぞ”

 

“合格w”

 

“見事、壁クリアでーす♪”

 

「アッハッハwww」

 

「あぅぷぁ~」

 

テレビで○吉の壁の再放送を見ながらゲラゲラ笑ってるあくあとその膝元でガラガラで遊んでいるあくあの娘の『えりあ』の姿があった。そしてシオンは玲二達とあくあの姿を数回交互で見た後タメ息を吐きながらあくあに声をかける。

 

「………ねぇあくあちゃん、あくあちゃんって確か玲二のメイドなんだよね?」

 

「え?何言ってんのシオンちゃん、そんなの今更じゃんどうしたの急に?」

 

「いや……玲二のメイドって言う割にはあくあちゃんってさ、何にもしてなくない?」

 

「…………え?」

 

「だって玲二の身の回りのお世話だってみしろちゃんがやってるし紅茶や食事の用意とかだってエリーちゃんがよくしてるじゃん。けどあくあちゃんが玲二の世話してるところなんて一度も見た事ないんだけど?」

 

そう、シオンの言う通りあくあは玲二のメイドを自称しているわりに玲二の世話をしている姿を見た事がない。寧ろ逆に世話されてる事が多くどっちが主人でどっちがメイドなのか分かったもんじゃない。

 

「………ほ、ほら、あてぃしってゲーム出来るから?ご主人のゲーム環境をお世話するゲーマーメイドだから?」

 

「いや玲二言う程ゲームしないじゃん?最近じゃあ子供達の相手をするかガンプラ作るのが日課だし」

 

「……じ、じゃあそのガンプラのお手伝いを「それもどっちかって言えば玲二がやってるよね?道具用意したり塗装の手伝いとかも玲二があくあちゃんの為にわざわざやってる中あくあちゃん特に何もしてないよね?」スウゥーーーーッ………何さ!?一体何時からメイドはご主人のお世話しなきゃいけないって決まりが出来たのさ?!あてぃしはそんなのしなくたってご主人が愛してくれるから良いもん!ねーえりあ♪」

 

「あぅ?」

 

シオンに迫られ遂に開き直り愛娘であるえりあに肯定してもらおうとするあくあ。当然ながらえりあは何の事か分からずただガラガラを振って遊んでいる。

 

「いやえりあちゃんに言ったって分からないでしょ?それに特に玲二のお世話とかお手伝いとかしないならもうそのメイドキャラ止めたら?ねー久遠♪」

 

「ねー」

 

「キャラとかじゃないもん!これでも湊家も由緒正しきメイドの家系だもんッ!」

 

シオンと久遠に言われ悔しそうにするあくあ。確かに唯でさえ元より炊事洗濯家事が壊滅的なのに自分と同じメイドであるみしろとエリーが玲二の身の回りのお世話をしているせいで余計に肩身が狭くなってしまってるあくあにとってこれはかなりの死活問題である。

 

「うぅ~……其処まで言うならあてぃしだってご主人のお世話が出来るってところを見せてあげるよッ!シオンちゃん少しの間えりあの面倒見てて!」

 

「あ、あくあちゃん?!お世話するったってそんなすぐに出来るもんなの……?」

 

「むにー」

 

「びゃーーッ!」

 

散々言われて自分の中のメイド魂に火が着いたのかあくあはえりあをシオンに預け何処かへと向かってしまった。そして取り残されてポカンとするシオンの腕の中で久遠にほっぺをむにむにされ半泣きになるえりあであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「という事でお願いします!あてぃしに料理を教えて下さいッ!」

 

「……ど、どうしたのあくあ様?」

 

「いきなり来てという事でって言われても分からないんですが……?」

 

あれから数分後、あくあは皆のご飯を作るキッチンにてちょことルイの二人に料理を教わろうと土下座をしていた。いきなりの事でちょことルイも何の事か分からず困惑してしまっている。

 

「実はかくかくしかじかでして……」

 

「……成る程、メイドなのに玲二様に何一つ奉仕出来てないのが嫌で遂に自分で行動を起こしたのは良いけど当てがないからまずはちょこ達の所に来て料理を学ぼうというワケね?」

 

「……いやなんでかくかくしかじかで通じるんですか?」

 

あくあの簡易的な説明を聞き納得するちょこだがルイにはかくしかでは通じなかったようだ。これが2期生の絆なのか……?ともあれ料理を学ぶべくあくあはエプロンを着用しやる気満々で胸を張っている。

 

「まあ料理を教えるのは良いのだけれど……あくあ様って実際はどれくらい料理は出来るのかしら?」

 

「カップ麺にお湯入れて作るのは出来るよ!」

 

「……それ料理じゃないでしょ?」

 

思った以上に何も出来ないあくあにちょことルイも呆れてしまう。自分達の作る料理をカップ麺と同列にされてるようで腹立つが取り敢えず二人はあくあに料理の基本的な動作を教える事にするのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―一時間後―

 

「……ねぇあくたん?ちょこは卵焼きを教えてた筈よね?何この真っ黒な塊は?」

 

「ッスウゥゥゥゥゥゥーーーー……た、卵焼き?」

 

「いやこれ見て卵焼きだなんて誰も思わないでしょ?」

 

ちょことルイは目の前に出された真っ黒な物体を見て思わずタメ息を吐いてしまう。途中までは上手くいってた筈なのにほんの数秒目を離したら何故か卵が真っ黒に焦げてしまっていた。一体どうやったらこんな短時間で卵を焦がす事が出来るのだろうか?

 

「で、でもあてぃしちょこ先生とルイ姉の言う通りに作ったんだけど……」

 

「……それで此処まで焦がすなら多分あくたんはもう料理しない方が良いかもしれないわね?」

 

「そうね、これじゃあ料理出来るようになる前に食糧全部炭にされちゃうわ。あくあ先輩には悪いけど私達にはもう手に負えないから他の娘に家事を教えてもらう方が良いんじゃないかしら?」

 

「うぅ~……」

 

あまりの壊滅的料理レベルにちょことルイはもう教えるのを諦めて素直に他の家事を覚える事をオススメするとあくあは悔し涙を浮かべながらも仕方なく他の娘の所に向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……それで?ちょこ先生達に料理は無理だって言われたから今度は掃除の仕方をウチ等に聞きに来たって事?」

 

「う、うん……」

 

ちょこ達に料理は無理だと言われあくあが次にやって来たのはミオところねとおかゆの三人の元だった。今は丁度子供達を寝かしつけた後でゆっくりお茶をしている。

 

「それは別に良いけど、それならもう直接みしろちゃんとエリーちゃんにお願いしてメイドの心得を教えてもらった方が良くない?」

 

「それはやだ!あの二人に教わったらあてぃしの中のメイドとしてのプライドが許さないもん!」

 

「いやあぐあちゃん既にメイドとしてのプライドって無くない?普段からメイドらしい事何一つしてないじゃん?」

 

メイドのプライドとして本人達から直接心得を聞くのは許さないというがころねから大してメイドらしい事してないと言われ心にグサッと刺さるあくあ。

 

「うぅ~……で、でもこれで家事を完璧に覚えればご主人の前で胸張ってメイドだって言えるもんッ!その為ならあてぃし、頑張って家事覚えるッ!!」

 

「ま、まああくあがそう言うならウチ等も出来る限りは手伝うけど……じゃあ今丁度レイさんの部屋のベッドのシーツ取り替えようとしてたから一緒にやってみる?」

 

「うんッ!よろしくねミオちゃん♪」

 

こうしてあくあはミオ達からベッドメイキングのやり方をレクチャーしてもらう事に。果たして次こそは上手くいくのだろうか……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―30分後―

 

「………ねぇあくあ?ウチベッドメイキングのやり方教えてた筈だよね?それがなんでこんな事になるの?」

 

「え、えぇっと……な、なんでだろうね?」

 

「最早これ逆に才能を感じちゃうよね……」

 

「だとしたら物凄くいらない才能だけどね?」

 

そう言う四人の視線の先には先程までよりも悲惨な事になってる玲二のベッドであった。シーツはぐしゃぐしゃ、枕も中身が出てる状態、布団に至っては中の羽毛が飛び散ってしまっている。

 

「なんでシーツを取り替えるだけでこんな大惨事になるの?」

 

「シーツも力強く引っ張ったせいで破れてしまってるし……」

 

「これなら何もしなかった方がマシだよね」

 

結局ベッドメイキングはミオ達が直してくれる代わりにあくあはもう何もしないでと言われてしまい仕方なく部屋を出ていくあくあ。そしてこのままめげてもしょうがないので取り敢えず他の事が出来ないかを考えつつ別の場所へと向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………はあぁ~、もうどうすれば良いのさぁ?」

 

あれから色々な所で家事等の仕事をやってみたあくあだが、その結果は散々なものであった。洗濯すれば洗剤の入れ過ぎで部屋中泡だらけにしてしまうし風呂掃除をすれば逆に湯船を汚してしまう。ケーキを作ろうとしてスポンジを焼いたら爆発させてしまうし部屋の掃除をしようとしたら子供達のおもちゃをGと見間違えて発狂して暴れてしまいめちゃくちゃにしてしまう等本当に何をやっても裏目に出てしまう一日であった。

 

「はあぁ~……もうあてぃし、本当にメイドの素質なんてないのかなぁ?ママもお婆ちゃんも凄く立派なメイドだったって聞いたのに、これじゃあママ達にも申し訳ないよ……」

 

何も上手く出来ない自分が嫌になりタメ息を吐くあくあ。と其処に……

 

「はぁ、一体何をしているのですか貴方は?」

 

「え………み、みしろちゃん?!それにエリーちゃんも……!?」

 

落ち込んでいるあくあの後ろにいつの間にかみしろとエリーの二人が立っていた。その表情は何処か呆れた様子である。

 

「ちょこ先生やミオさんからあくあさんがいろんな家事やらを学んで失敗していると聞きましたが、まさか此処まで失態を繰り返すとは……」

 

「………何さ?あてぃしの事バカにしに来たの?どうせあてぃしは何も出来ない駄メイドだって」

 

「そ、そんな事ないですぅ!エリー達はあくあさんに協力出来ればと思って……」

 

「そんな事言ってあてぃしの事見下してるんでしょ?!ご主人に仕える処か迷惑かけてるあてぃしを影でずっと嘲笑って!良いよね二人は?ご主人に完璧な給仕や奉仕出来て、さぞかし気分が良いんだろうね!?」

 

最早自棄になり八つ当たり当然な感じでみしろ達に当たっていく。そんなあくあを見てみしろはタメ息を吐いた後目を鋭くさせあくあを睨んでいく。

 

「……そうですわね、この際だからはっきり言わせてもらいます。あくあさん、貴方はメイドとして失格です」

 

「え、えぇッ?!ちょ、ちょっとみしろさん!?」

 

「ほらやっぱり!みしろちゃんもあてぃしの事そんなふうに思って「勘違いなさらないで下さい。メイド失格というのはあくあさんが家事等が出来ないからではありません」………え?」

 

メイド失格と言われやはり家事が出来ない自分では駄目だと言われたと思いきや、そうではないと言われ一瞬ポカンとしてしまうあくあ。だがそんなあくあに対してみしろはお構い無く話を続けていく。

 

「あくあさん、貴方はミオさん達にこう言ったそうですね?みしろ達に教わるのはメイドとしてのプライドが許さないと。ではあくあさんの言うメイドのプライドとは一体何なのでしょうか?」

 

「え?そ、それは……ご主人の側にいるのに相応しいメイドであるという感じで「その時点で貴方はメイドというものを勘違いしているのですわ」え……?か、勘違いってどういう……?」

 

「……あくあさん、エリー達はご主人様に相応しいメイドでありたいという気持ちは確かに少しばかりはあります。でもそれよりもエリー達はご主人様を喜ばせたい、沢山おもてなしをして笑顔になってもらいたい。そういう想いを込めてご主人様にお給仕をしているんです。其処にあくあさんの言うようなメイドのプライドなんて物はないんです」

 

「ッ!?」

 

そう、それこそがあくあがみしろ達と決定的に違う所であった。あくあは今まで玲二の側にいるのに相応しい存在であるのがメイドだと思いそれに伴い完璧な給仕をするのが正しいメイドとしての姿だと思い込んでいた。

 

だがみしろとエリーは違う。確かに玲二に対して相応しいメイドという気持ちは少なからずあるかもしれないがそれ以前に自分達は主であり最愛の人である玲二に喜んでもらいたい。沢山奉仕して玲二に笑顔になってほしい。その想いで今まで玲二に仕えてきたのだ。故に二人にはあくあの言うようなメイドのプライドというのは最初からないのである。

 

それを理解した瞬間、あくあの中で何かが崩れ落ちていく。メイドのプライドなんて言ってた時点で自分はこの二人と立ってる土俵が違ってたのだと。今までのは全て自分の下らないメイド像をただ独りよがりに追いかけてただけなのだと。

 

「………アハハ、そうだよね?あてぃし、ご主人に相応しいメイドであろうとしてたばっかりでご主人を喜ばせたいなんて全然考えてなかった。一人で勝手に暴走して皆に迷惑をかけて……こんなんじゃあてぃし……ご主人の側にいる資格なんてないよね……?」

 

「……そうでもないですよ?」

 

「……え?」

 

「ご主人様が以前仰っておりました。あくあさんが皆さんと楽しくゲームをしている姿を見て……」

 

 

 

“あいつは確かに炊事洗濯家事は全然駄目だけど、それでも俺や皆をああやって楽しませてくれる。あいつが笑顔になれば周りの皆も笑顔になってくれる。他の皆は駄メイドとか茶化すけど、俺にとってはあいつは皆を笑顔に出来る最高のメイドだと思う”

 

 

 

「……ご主人、あてぃしの事そう思ってくれてたんだ」

 

玲二が自分の事を認めてくれていた。それを知ってあくあの目には嬉しさのあまり涙が溢れてくる。

 

「だからあくあさんは無理に家事等をやる必要はないんです。あくあさんはあくあさんのやり方で、ご主人様や皆さんを笑顔にしてあげれればそれだけで充分なんですから」

 

「それでももしご主人様にお給仕をしたいのであればエリー達がお手伝いします♪同じ愛するご主人様の為に、一緒にがんばりましょ~♪」

 

「うん、うん……ッ!」

 

二人から励まされ涙が溢れるあくあ。此処に同じ愛する者に仕えるメイドという新たな絆が生まれたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―翌日―

 

「……で?結局あくあはいつも通りと?」

 

「はい。ご不満でしたでしょうか?」

 

「……いや、あくあは変に家事とかしないで皆と遊んでいるのが一番だからな。それに子供達も喜んでるみたいだし」

 

現に今もあくあはシオンと一緒にえりあや他の子供達と一緒に遊んでるけど子供達は満足そうにキャッキャと笑ってる。やっぱりあいつは家事とかするよりああやって皆と楽しく遊ぶのが一番だな。

 

「ほらえりたん、ママの作ったガンプラだよ~♪」

 

「あ、あうぅ~♪」

 

「やっぱあくあちゃんはこうやって遊ぶ方が性に合ってるね」

 

「ねー」

 

まあシオンが変に挑発しなければ昨日のあくあの暴走はなかったんだけどな。ともかくこれで一安心かな?

 

「ねぇねぇご主人!一緒に新しく買ったリックドム作ろーよ♪」

 

「よー♪」

 

「はいはい、その前に……周りに散らかった子供達のおもちゃ片付けろよなー」

 

「あ、アハハ……」

 

「全くあくあちゃんは散らかしっぱなしなんだから~「お前もだぞシオン?」……はーい」

 

……まあそれくらいの片付けは出来るようになってくれな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―その頃―

 

「………此処が神羅城、で良いのかな?」

 

「うん、ksonさんからこの島一番の建物って言ってたから間違いない筈……」

 

「此処にあの人が……あの人ならきっと探してくれる筈……」

 

「うん、きっと見つけだしてくれるよ」

 

「「“アイちゃん”を……」」

 

突如神羅城に訪れた二人組。果たしてこの二人の目的とは……?

 

 

 

続く……?




はい、という事であくあのメイド修行?回でした!あくたんは家事とか出来なくても皆に笑顔を届けてくれるからそれで良い( ・`ω・´)

次回は只今休止中のあの方に関わるお話です。次回もまったり待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第77話『AIたい人はトップアイドル』

仕事復帰したのは良いんですが身体が思ったより鈍ってしまってました……やっぱり人間適度に動かないとダメですね( >Д<;)

今回は久々のシリアス回です、あのトップアイドルが何やら大変な事に……?今回も最後まで見て頂けたら有難いです、ではどうぞ!


「お願いします!どうかアイちゃんを探して頂けないでしょうか?」

 

「兎鞠からもお願い!もう佐々木さんしか頼れる人がいないの!」

 

「………いやどういう事だ?」

 

俺は突然訪問してきた二人から唐突なお願い事をされたのだが、本当にどういう事なんだ?少し状況を整理してみるか……

 

確か俺はあくあと一緒にガンプラを作ろうとした時に俺に来客が来たとフブキに言われたので客間へと向かうと其処には見た事がある二人がいて、そしていきなり冒頭のお願い事をされたんだよな?……改めて見ると本当にどういう事なんだ?

 

「……いきなり来て理解が追いつかないのだが?取り敢えず詳しい話を聞かせてもらってもいいか?“ラブ”、“兎鞠”」

 

「あ、ごめんなさい……えっと、何処から話したら良いかな?」

 

俺は取り敢えず訪問してきた二人、ピンクのロングヘアーが特徴のおっとりしているイメージの女の子『love(以降ラブ)』とウサミミが特徴の自称中身はオジサンのアイドル『兎鞠まり』の二人から話を聞く事にする。まあ最初の言葉を聞くと“あの人”に関する事だろうが……?

 

「……実は私達の友達でもあるアイちゃんが一ヶ月前から連絡がとれなくなってしまってるんだよね?」

 

「アイちゃん……“キズナアイ”の事だよな?」

 

「うん、少し前まではプライベートで仲良く遊んでたんだけど、一ヶ月前を境に連絡がとれなくなって、家にも戻っていないみたいで……」

 

成る程、そういう事か……

 

『キズナアイ』

日本だけではなく世界中の人達を魅了するトップに君臨するアイドル。その歌唱力、トーク力、企画力は他を寄せ付けない程の実力を誇る彼女だったが、今年の頭にとある理由で活動を無期限休止し今はあらゆるメディアから姿を消している。だがキズナは休止後に一度だけホロライブの企画に参加してもらってからは一度も会ってないし、そもそもプライベートでなんて会った事ないのになんでそんな俺にこんな頼み事をしてきたんだ?

 

「だがそれなら何で俺の所に来たんだ?そういうのは警察とか探偵とかに頼む方が良いんじゃないのか?」

 

「……最初はそうしようとしたんだけど、警察に言っても事件性がないから調べられないって言われてしまって……」

 

「探偵にも依頼したんだけど証拠や手がかりが無さすぎて調べようもないって……けどksonさんにそれを相談したら佐々木さんならきっと解決してくれるって言ってたから最後の頼みの綱で此処に来たの!」

 

「ケイが?……けど頼りにしてくれるのは嬉しいが、別に俺はそういった調査なんてした事ないしな……」

 

「ッ!?お願いします!アイちゃんは私達にとって大切な友達なの!警察や探偵でもダメってなるともう此処しか頼める場所がないから……!」

 

「佐々木さんにこんな事頼むなんてお門違いだってのは分かってる!けど兎鞠達には他に頼れる人がいないから……だからお願いします!兎鞠達に力を貸して下さいッ!!」

 

ッ?!いやいやそんな土下座までしなくたって……はぁ、仕方ないな。兎に角出来る限りの事はしてやるか。

 

「………分かった、だが念の為言うが俺は探偵とかじゃないから何も分からないかもしれない。それでも良いなら引き受けてやる」

 

「「ッ!よろしくお願いしますッ!!」」

 

全く、そんな笑顔でお願いされちゃこっちも頑張るしかないか。それじゃまずは二人から話を色々聞かないとな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それでラブちゃん達のお願いを聞く事にしたんですか?」

 

「ああ、と言ってもこんな探偵みたいな事は初めてだから力になれるか分からんけどな」

 

俺はひとまず二人をゲストルームに連れてった後皆を呼んで一緒に考えてもらう事にした。とはいえ情報が少ないからこの先どうすれば良いか分からんが……

 

「そうなんだ、じゃあこれがアイちゃんがいなくなった前後の資料って事?」

 

「そういう事、だがこれを見てもはっきり言って大した情報を得られてないのが現状だ」

 

ひとまず内容を確認すると……

 

 

 

・失踪する前日までキズナアイとは連絡は問題なく取れた。

・失踪した当日、ラブと兎鞠は都内のカフェで待ち合わせをしていた。

・時間になってもキズナアイは現れず、連絡をしても既読すらつかない。

・心配になって家に向かうも本人は留守であり、この一ヶ月間一度も帰宅した形跡がない。

・最後に連絡がついた内容は『明日は久しぶりに沢山遊ぼう♪』というありふれた内容。

 

 

 

「………こんな内容じゃそりゃ手がかりなんて掴めないよな?」

 

「ラブちゃん曰くアイちゃんはどんなに遅くても30分以内には既読を付けるって言ってたけど……」

 

「それにしたって不可解な点が多すぎじゃない?」

 

「そうなんだよな、ネットを見てもキズナアイが失踪したなんて話が全然載ってないし………ん?」

 

……なんだこの記事?今までキズナアイの失踪について調べていたが、その中で何か妙な記事を見つけてしまった。その内容は……

 

 

 

“消えたアイドル失踪事件”

 

 

 

「……消えたアイドル失踪事件?」

 

「え?一体どういう意味?消えたアイドルが更に消えたって事?」

 

「なんじゃそりゃ?えっと内容は……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

“数ヶ月程前からアイドル業界から卒業、引退、休止したアイドル達が次々と原因不明の失踪事件が相次いでいる。いずれも失踪する前に誰かと待ち合わせ等をしていたようだが結局待ち合わせ場所には現れずそのまま行方が分からなくなっているようだ。警察も何故かこの事件には事件性は無しと判断しているようだが、果たしてアイドル達は何処へ消えてしまったのだろうか?”

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「卒業や引退したアイドル達が次々と失踪?」

 

「それってもしかして……誰かに誘拐されたとか?!」

 

「えぇッ?!それって普通に事件じゃん!?なんでそれで警察は動かないの?!」

 

全くもってその通りだ。しかも何故これだけの事が起きてるにも関わらずこんな小さなネット記事だけしか載ってないんだ?これだけの事なら普通にニュースになってもおかしくない筈……?

 

「ッ!ねぇレイくん!この記事に分かってるだけだけど行方不明になってる娘の名前のリストがあるよ!」

 

「何ッ?!……輝夜月、童田明治、鈴原るる……」

 

「それにピンキーちゃんに御伽原江良ちゃん……どれも皆アイドル業界から去っていった娘達ばかりだよ!?」

 

マジか……もしかしてこれ、全部同一犯なのか?もしくはこのネット記事を見て模範した奴もいるかもしれないが……兎に角このいなくなった娘達の中には御伽原のようなにじさんじのメンバーもいる。なら咲達にそいつ等の事を聞いてみるか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「という訳なんだ、皆何か知らないか?」

 

「えぇー?そんな事言われても……」

 

「私達も江良さんとは卒業した後はたまに程度は連絡を取り合ってましたが、此処数ヶ月は別に連絡はしてませんし……」

 

「正直俺等も今玲二に言われて気づいたからな」

 

マジか……もしかしたらそれも犯人の狙いだったのかもな。誘拐したのが卒業や引退した奴等ばかりなのも失踪しても気づかれにくいからって事なのか?にしたってこの人数は………ッ?!

 

「……おい皆、これを見てくれ」

 

「?どうしたのレイくん……ッ!?こ、この娘って……!?」

 

俺が再び失踪者のリストを見ると、其処には一つ信じがたい名前が書かれていた。その名前は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

“魔乃アロエ”

 

「魔乃アロエ……こいつは……」

 

「……うん、間違いない。あたし等と同じ5期生としてデビューする筈だった魔乃ちゃんだよッ!」

 

そう、其処に書かれていたのはぼたんやラミィ、そしてポルカやねねと同じホロライブ5期生としてデビューする予定だった魔界出身の女の子『魔乃アロエ』の名前があった。予定だったというのは初配信の時にトラブルが起きてしまい、其処で精神を病んでしまい自主的にホロライブ5期生としての座を降りてしまったのだ。同じ5期生のぼたん達は引退後も何回かは会ってたみたいだが……

 

「まさか身内からも失踪者が出てたとはな……」

 

「これはもう、アイちゃんだけじゃなくて私達の問題にもなりましたね」

 

ああ、もしこれが全て同一犯だとしたら絶対に捕まえて皆を助けないと!……だが失踪者が多数いるのは分かったが、肝心な事は何一つ分からずじまいなんだよな。一体どうするべきか……

 

「………あれ?ねぇ玲二さん、ちょっとえぇか?」

 

「ん?どうした樋口、何か分かったのか?」

 

皆が考えてる中、にじさんじに所属する『樋口楓』が何か気づいたのかリストを再び俺に見せてきた。一体なんなんだ?

 

「ほら、これ見て下さい。リストに載ってる失踪者って全て女性アイドルだけなんですよね?」

 

「?ああ、確かに女性しかいなくなってないな………ッ!?という事は……ッ!!」

 

「せや……“あいつ”ならもしかして無事かもしれないって事ですわ」

 

成る程、確かに“あいつ”ならこの手の情報を手に入れられるかもしれない!ならば早速あいつに連絡してみるか、無事でいてくれれば良いんだが……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―プルルルル…プルルルル…ピッ―

 

〈……そろそろ連絡がくると思ったよ、玲二さん〉

 

「……良かった、お前は無事だったんだな……“灰”」

 

俺は電話の相手、元にじさんじである天才ハッカー『黛灰』の安否を確認出来一安心する。しかもあいつ、俺が連絡するのを待ってたかのように言ってる所をみると……

 

「……その様子じゃお前も今回の件を調べてたみたいだな?」

 

〈ああ、なんせかつての仲間達やあのキズナアイさんまで失踪したとなると俺としても黙ってられないからな。とはいえ、俺が調べられた内容もまだ其処まで多くはないが〉

 

「構わない、分かってる限りの情報を教えてくれ。この事件の被害者には俺達の仲間もいるんだ、事は一刻も争う以上お前の助けは必要不可欠なんだ」

 

〈……そう言ってくれると有難いな。なら俺が手に入れた情報を話そう〉

 

よし、これでまず少しでも進展してくれれば良いんだが……

 

〈ではまずは失踪者の共通点だ。これはそっちでも分かっているだろう?〉

 

「ああ、卒業や引退してアイドル業界から去っていった女性アイドル達って事だよな?」

 

〈そう、そしてもう一つの共通点……失踪したアイドル達はいずれも“誰かと待ち合わせをしていた”って事だ〉

 

誰かと待ち合わせをしていた?ああ、確かキズナアイもラブ達と待ち合わせをしていたって言ってたな。

 

〈つまり犯人は待ち合わせをしていた元アイドル達を狙っていた可能性がある。其処を重点的に調べた結果、ある映像をハッキングし手に入れる事が出来た。今そっちのパソコンに映像を送る〉

 

灰がそういった瞬間俺のパソコンに一通の動画ファイルが添付されたメールが送られてきた。ってかこのパソコン仕事用だぞ?どうやってアドレスを……まああいつのハッキング能力を使えばこんなの楽勝か?いやそれはともかく映像を見てみるか……

 

「………ッ!?これって……なとなと?!」

 

〈そう、元ドットライブのアイドル八重沢なとりが失踪する直前の映像だ。失踪したのは二ヶ月前、そしてこの日はヤマトイオリと待ち合わせをしていたらしい〉

 

映像には街中で誰かと待ち合わせをしているであろう元ドットライブのアイドル『八重沢なとり』の姿があった。相変わらずスカート短いなこいつ……ってそんな事どうでも良いんだよ、問題はこの後八重沢がどうなるかだよな?そう思い動画を見続けると……

 

「……あれ?誰かなとりちゃんに近づいてない?」

 

「あ、本当だ。イオリちゃん……では無さそうだけど……」

 

「それよりも何か話をしてない?」

 

「うん、流石に映像じゃ何話してるかまでは分からないけど……あ、どっかに行こうとしてるよ?」

 

突然現れた謎の人物に声をかけられたと思いきや、八重沢はその人物に着いていくかのように移動し、そして監視カメラの視点が何度か切り替わり気づけば路地裏のような所に入ったところで映像は終了してしまった。

 

〈この後から八重沢なとりの行方が分からなくなってしまったんだ〉

 

「そんなッ!?それじゃこいつがなとりちゃんや皆を拐った犯人って事?!」

 

〈おそらくはな。他にも同じような映像が幾つか入手したが、いずれも皆路地裏に入った以降の動向が掴めないでいる〉

 

成る程、犯人はアイドル達に何かを吹き込んで誘導しそのまま誘拐しているのか……

 

「「あぁーーーーーーーーーーッ!!?」」

 

「うぉッ?!な、なんだるしあ、ココ!?急に叫びだして「思い出したのです玲二さん!るしあこの男知ってるのですッ!」!?なんだと?!」

 

「ワタシも知ってます!こいついきなりワタシに近づいてきて変な事言ってきたんだよ!」

 

何?!一体どういう事なんだ?!なんで二人も……あ、そっか。二人もホロライブを辞めた身だったよな。だから犯人に目を付けられたのか……取り敢えず話を聞いてみるか。

 

「あれはるしあが引退してしばらく経った頃なのです。その日はぺこらと一緒に久しぶりに本土で買い物する予定だったのですが、ぺこらが急な打ち合わせが入って遅れてしまうって言われたので仕方なく待ち合わせ場所を決めて其処で待ってたのです。そしたら……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、るしあちゃんお待たせ~♪待った~?」

 

「?……誰ですか貴方?」

 

「え?いやぁ何言ってんの?僕達此処で待ち合わせしてたじゃないか~♪」

 

「……るしあは貴方みたいな怪しい人と待ち合わせした覚えなんてないのです。とっととどっかに行ってもらえます?」

 

「ッ!?あ、あれ?おかしいな~?確かに僕達此処で待ち合わせしてたよね?」

 

「だからるしあはお前の事なんて知らねぇしお前なんかと待ち合わせなんてしてねぇんだよッ!分かったらさっさとるしあの前から消えろッ!!」

 

「ッ?!チィッ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……って事があったのです」

 

「そんな事があったの?!るーちゃんなんでそれを早く言わねぇぺこか?!」

 

「いやだって実害もなかったしその時は兎に角気持ち悪かったからさっさと忘れようって思って……でもまさかこんな事件に関わってるなんて思いもしなかったんだもん」

 

成る程な、ココからも話を聞いたが同じような状況だったらしい。となると犯人は何らかの催眠能力があって、それで他のアイドル達を操って自分の隠れ家的な所へ連れていったというワケか。だがそうだとしたら犯人は一体誰なんだ?何を目的としてこんなふざけた真似を……

 

〈……話を戻すぞ?そしてこれが最後の一つ、犯人の目星とまではいかないが、気になる人物の居場所を突き止める事が出来た〉

 

「?気になる人物だと?」

 

〈ああ……玲二さん、妙だと思わないか?これだけのアイドル達が失踪している中、世間では騒ぎにはならず警察も動かない。そしてこの事件の事を示しているのはこのたった一つのネット記事だけだ〉

 

………確かに警察も動かないのは変だと思うが、それよりも何故世間はこの失踪事件について知らないんだろうか?あまりにもその点が不可解過ぎる。それにその事件について出ているネット記事はこの一つだけ……あれ?

 

「……このネット記事の情報、提供者は一体何処から入手したんだ?」

 

〈そう、其処だ。この事件に関する情報を通常のメディアや警察が掴んでない中、このネット記事だけはかなり詳しく公開されている。しかも失踪者達のリスト付きで………其処から導きだせるのは二つ、この記事を書いたのが誘拐犯本人か、犯人とまではいかないが何らかの関わりがある者だ〉

 

『ッ!?』

 

犯人が直接記事を?!なんでそんなふざけた真似を!?

 

〈おそらくこの犯人は相当の愉快犯だと思う。自分が拐ったアイドル達を誰かに自慢したい、けど直接そんな事を公表すれば世間が黙ってない。だからネット記事という形で失踪事件の事を自ら公開したんだ。この失踪者リストもおそらくは犯人の戦利品公開のようなものだ〉

 

「なんだよそれ……それじゃあこいつはアイドル達を拐って皆に見せつけてるゲス野郎じゃねぇか!?」

 

「私達の大切な仲間達を、そんなオモチャみたいな扱いするなんて許せませんッ!!」

 

「うち等もえらちゃんやるるちゃん達を拐ったこいつは絶対に許せへんッ!!」

 

皆も俺と同じで仲間達を拐ったこいつを許せないと憤怒している。警察も動かない以上最早これは俺達で解決するしかないッ!

 

「それで灰、その記事を書いた奴は何処にいるんだ?!」

 

〈それも今パソコンに送っておいたよ。だがさっきも言った通りそいつはあくまでも関係性が高いというだけで犯人とまではいってない。だから調査する際は慎重になってくれ、じゃないともし違った場合犯人に逃げる隙を与えてしまう事になりかねない〉

 

「ああ、それは分かってる。いろいろ有り難うな灰、また何か情報を掴んだら連絡してくれ」

 

〈ああ、気をつけてくれ……〉

 

灰との通話を終え俺達は早速ファイルをチェックすると其処にはこのネット記事を書いたであろう人物の居場所を特定した地図を確認する。

 

「場所は……どうやら青森の山中みたいだな?」

 

「そんな遠くに……レイくん、急いで其処に向かってみましょう!」

 

「そうだな……じゃあ今から調査メンバーを選抜する。残ったメンバーはこの失踪者リストの中で待ち合わせをしていた人物を調べて話を聞いてみてくれ。今回はかなり大きな事件かもしれないから、皆気を抜かずにいくぞッ!!」

 

『おぉーーーーーッ!!』

 

よし、そうと決まれば早速チーム分けだ!頼むから無事でいてくれよ、皆……ッ!

 

 

 

突然発覚した元アイドル失踪事件。果たして玲二達は犯人を突き止められるのだろうか?次回、調査開始!




はい、という事で元アイドル達の失踪事件スタートです!果たして元アイドル達は無事なのか……次回も気長に待って頂けたら幸いです、ではまた!


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第78話『調査開始』

書きたかった話だったお陰かわりとスラスラと書き進められました( ; ゚Д゚)

今回は捜査編です、果たして犯人に繋がる物は見つかるのか?最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


「…………此処がネット記事を投稿した奴がいるかもしれない場所か」

 

「なんというか、あんまりパッとしない一軒家だね?」

 

アイドル失踪事件の調査を開始した俺達は調査チームを編成し重要参考人であるネット記事の投稿者が住んでいるという青森県のとある山中にある村の一角にある一軒家へとやってきていた。見た目は築5,60年位の古い家だが、隠れ家とするなら確かに目立ちづらいしうってつけという感じだな。

 

「……そしてこの家に住んでいるのが坂倉利夫、元ジャーナリストで現在無職の37歳。六年前にこの村に移住して以来この村の人達の畑仕事や猟を手伝いそれで生計を立ててたようだな」

 

「けどさっき村の人達に聞いたら此処数ヶ月間村の手伝いをしなくなって家からも殆ど出てないらしいよ?」

 

らしいな、しかも外出した際帰る頃には大量の食糧を買ってきてるようだ。何故村に移住してから金銭が発生するような仕事をしてない筈の坂倉がそんな大量の食糧を買う金を持っているのか?貯金を使ったとも考えたがそれなら村に来た当初からそれをしてこなかったのはおかしい。だとすると、その金は何処からか手に入れたって事になるよな……

 

「何れにしろ奴が何かを知っている事は確かだ。まずは俺達の身元がばれないよう奴と接触し情報を掴むとしよう………で?フブキよ、何で俺達こんな格好なんだ?」

 

「いやぁやっぱり今の私達って探偵っぽいから服装もそれっぽくしたら良いかな~なんて♪」

 

なんだそりゃ?俺は今回の調査チームであるメンバーの格好を見て思わずタメ息が出てしまう。取り敢えず一人ずつ突っ込んでいくか。

 

「探偵っぽい服装って……フブキ、お前のその服装と髪型まんまフィリップじゃねぇか?しかも俺も左翔太郎だし?」

 

「やっぱり探偵って言ったらこれですよね~♪今もアニメが絶賛放映中ですし♪さぁ、お前の罪を教えろ……」

 

それを言うならお前の罪を数えろだろ?教えろだとそいつ等の力を受け継いだ魔王のセリフになるぞ。しかもご丁寧にアニメのフィリップ風のカツラ被ってるし……てか何で俺までこんな格好させられたんだよ?

 

「……で、次だ。おいかなた、お前も何ふざけてんだよ?」

 

「ふざけてなんかないよ!やっぱり僕の中で探偵って言ったらこれでしょ♪真実は、いつも一つ!」

 

だからといってなんで某子供探偵のコスプレなんだよ?!そしてそのスケボーとサッカーボールはどっから出した?!そんなの持ってきてなかっただろうが?!

 

「……まあ良い、いや良くないが問題はお前等だ……おいいろは、なんだお前のその格好は?」

 

「これでござるか?これはルイ姉が隠密行動するならこれが良いって言ってくれた隠密用の衣装でござる!」

 

いや隠密用の衣装って………それ確か対○忍の衣装じゃねぇのか?前にマリンとみこがやってたエ○ゲーのヤツ。だとしたらそれお前がいつも否定してる忍者衣装だし何よりそれ後で酷い目にあうフラグ立ってしまうぞ?

 

「………じゃあノエル、お前のその格好はなんだ?」

 

「これ?やっぱり人にバレないようにするには目立たない格好が一番だと思って♪」

 

いや……逆に黒子って目立つだろ?!歌舞伎とかでも見るけど結構目立つし、それで隠密が通用するのはコントだけだっての!そして最後だが……

 

「……お前が一番問題だ。おいアキ、何だその格好は?」

 

「フッフッフ……玲二君、よく言うじゃない?木を隠すなら森の中って。つまりはこの自然が多い中でアキロゼも木になりきれば絶対にバレないって事♪」

 

「んなワケあるか!!何でお前等皆してふざけてんだよ?!いや渡された衣装着た俺も悪いけど!?」

 

「いやぁ、前回ずっと終始シリアスだったからここいらでちょっとボケ挟んどこうかなって」

 

「なんだその芸人魂は?!もう良いからこんな仮装大賞みたいな格好だと逆に目立つだろさっさと着替えるぞ!」

 

『はーい……』

 

いや何で渋々なんだよ?!そういうボケしたいなら今度またコント作れば良いだろうが!もう話が脱線しそうだから着替えるまでカットだカットッ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……よし、取り敢えず当初の予定通り俺とフブキがジャーナリストとして坂倉に接触してくるからお前達はこのこよりが作った『すてるすくん』を使って奴の家を探索してくれ」

 

「了解です!」

 

「必ず証拠を見つけて見せるでござる!」

 

よし、さっきのボケが嘘のように皆シャキッとしてくれてるな。なら早速調査開始だ!

 

 

 

―ピンポーンッ―

 

〈……………はい?〉

 

「あ、すみません私週刊ライバーの記者なんですが、坂倉利夫さんのご自宅でお間違いないでしょうか?」

 

〈…………そうだけど?〉

 

「実は我々先日貴方の書いたネット記事を見て取材をしたく伺ったのですが、よろしければお話を聞かせてもらう事はよろしいでしょうか?」

 

〈……………ちょっと待ってろ〉

 

よし、なんとか話は出来そうだな。問題は奴の口からどれだけの情報を聞き出せるかだな。

 

―ガチャッ―

 

「…………さっさと入れ」

 

「あ、有り難うございます。それでは失礼します」

 

「失礼しまーす」

 

俺とフブキは坂倉に招かれ家の中へと入っていく。その隙にかなた達も家の中へと侵入しそれぞれ探索を始めていく。そしてソファーに座ると坂倉はダルそうにコーヒーを用意し自分も椅子に座り込んだ。

 

「…………で?おたくら俺が書いたネット記事を見たって?よく見つけたな、あんな三流記事なんて。そんでよく俺が書いたって分かったな?」

 

「いえ、あの記事には大変興味をそそられる物がありましたので、我々の独自のルートでこの情報を調べた結果貴方に辿り着いたのです……それでは幾つか質問をさせて頂いてもよろしいでしょうか?」

 

「…………手短に頼むぞ、俺だって暇じゃねぇんだ」

 

「分かりました。ではまずなんですが、この記事の内容は事実でお間違いないでしょうか?」

 

「…………いきなり失礼な奴だな?まあ無理もないか……………ああ、事実だ」

 

事実……そう言い切れるって事はやはり何かを知っているのか……?

 

「なるほど……ではこの記事が事実という事なんですが、坂倉さんは一体何処からこの情報を仕入れたのですか?失礼ですが世間ではこのような事件があったなんて警察やニュース等では公表されてませんよね?」

 

「……………それはとある情報屋からもらった情報だ。とはいえそいつの素性は俺も分からないがな」

 

「?分からないというのは?」

 

「……………ある日の事だ、俺のスマホに一通のメールがやって来たんだ。その内容を見ると元アイドル達が次々と失踪しているというワケの分からない内容とその証拠だという動画ファイルが送られてきたんだ。最初は無視したが気になって内容を見たらまあ面白そうな内容だったからそのままネット記事へと投稿したんだよ」

 

………情報屋ねぇ?

 

「成る程……では最後に質問です。何故坂倉さんはこの情報を警察に伝えなかったのでしょうか?このような事件が起きたのならネット記事に書き込むよりもまず警察に連絡するのが先決かと……?」

 

「……………そんな記事なんかで警察が動くと思うか?俺も昔はジャーナリストとして活動してきたがその程度の情報じゃ警察は動かないさ。その動画も合成とかって言われて門前払いくらうのがヲチさ」

 

「……そうですか。分かりました、ではお話はこれくらいにさせて頂きま(師匠!スマンでござるがもう少しだけ時間稼ぎしてほしいでござる!)ッ!?す、すみません!やっぱりもう二、三質問よろしいでしょうか?!」

 

いろはの奴、何か掴めたのか?だが時間稼ぎったって何を聞けば良いんだ?!

 

「あ?もうこの件に関して俺から言う事は何もねぇよ。もう話は終わったからとっとと帰ってくれ…………」

 

「ま、待って下さい!その……そうだ!坂倉さんってどうしてジャーナリストを辞められてしまったんでしょうか?!」

 

「…………あ?何だその質問は?それが今回の事件と何が関係あるっていうんだ?」

 

「い、いやぁこの件とは全然関係ないんですが、同じジャーナリストとして気になってしまいましてね?ちょーっと興味があって聞いただけなんですが……あ、アハハ……」

 

や、ヤバい!?フブキもテンパってワケの分からない質問をしてしまっている!このままじゃ俺達も偽者ジャーナリストだって事がバレてしまうかもしれない!?

 

「……………そんな興味程度なら聞くんじゃねぇよ。何でジャーナリスト辞めたかって、そんなのは俺の自由じゃねぇか?」

 

「そ、そうですよね、アハハ……失礼しました……」

 

(師匠!お待たせしたでござるよ!)

 

「ッ!そ、それじゃあ我々はそろそろ引き上げますので!本日はわざわざ貴重なお時間を頂き有り難うございました!」

 

「…………フン、とっとと帰ってくれ」

 

よし、いろはもなんとか情報を掴んでくれたみたいだな!それじゃあ早速戻って確認するとするか!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………ああ俺だ。今日ジャーナリストとか抜かす変な奴等が俺の元にやって来たぞ…………その辺は大丈夫だ、あんたに繋がる情報は一切喋っちゃいねぇよ。そんじゃまた依頼があれば連絡してくれ………………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―玲二達帰宅―

 

「………それじゃあ各々が調べた事について話し合うとしよう。まずはそら達に島に残って失踪者達と待ち合わせをしていたという人達に話を聞きに行ってもらったと思うがどうだった?」

 

「うん、それなんだけど………皆その待ち合わせをしていたって時の事が今一思い出せないでいるんだって。消えた娘達と待ち合わせをしていたって事も私達が言うまで忘れてたみたいで……」

 

思い出せない?どういう事だ?普通自分の親しい人が失踪したら不安に駆られる筈なのに、それを忘れてしまうなんて……

 

「………いや、もしかしたら犯人は待ち合わせをしていた相手にも催眠か何かをしたのかもしれない。そうでなければ早々に失踪した友人を忘れるワケがない」

 

「となると、犯人は相当の催眠の手練れって事?」

 

「そうなるな……では次に灰の話を聞かせてくれ」

 

〈分かった……あの後俺は坂倉利夫の過去を調べて見たんだが、これがとんでもない事実が発覚したんだ〉

 

とんでもない事実?それってもしかしてジャーナリストを辞めた理由とかに繋がるのか?

 

〈……奴がジャーナリストを辞めたのは懲戒解雇、つまり相当の悪質な事をやっていたんだ〉

 

「懲戒解雇?!一体何をしでかしたんだ?!」

 

〈ああ、それは……自分が書いた記事の事件の捏造だ〉

 

『捏造?!』

 

〈そう、奴はどうやら悪魔のハーフのようで催眠術を得意としていたらしい。其処で奴は催眠術を使って周りの人達を操り事件を起こさせそしてそれを記事に纏めていたようだ。それが上司にバレてしまい上司も操ろうとしたがその上司も悪魔だった為に操る事が出来ず結局そのまま仕事場から追い出される形で辞めていったようだ〉

 

周りの人達を使って無理やり事件を起こさせるなんて、そんなあくどい事を平気でやってたのかあいつ?!しかも催眠術の使い手って事は……!?

 

「じゃあそいつが今回の一連の犯人って事じゃん!?レイさん、もうそいつ早く捕まえようよッ!」

 

「ミオしゃの言う通りッス!兄ちゃん今すぐ青森にいってそいつ捕まえて警察に突き出すッス!」

 

「………いや、それじゃあダメだ」

 

「どうして?!もう犯人が分かってるなら捕まえて皆を助けないとッ!」

 

そうしたいが……どうも引っ掛かる点が多過ぎる。まず何度も触れているが何故この事件に警察が全くと言って良い程関与していないのか?普通ならこんな失踪事件が相次いで起きてたら捜査しててもおかしくない筈……

 

〈………玲二さん、あんたの考えてる事は大体分かるよ。大方何故この事件に警察が動かないのか、だろ?〉

 

「ああ、これ程の事件を何故警察が事件性無しと判断しているのかが分からないんだよ。まるでこの事件そのものが揉み消されているような……」

 

「揉み消されてる?!坂倉って人そんな事もしてるの?!」

 

〈いや、坂倉利夫がどんなに催眠術の使い手だとしても警察全てを操るなんて事はほぼ不可能だ。そうなると……別の誰かがこの件を揉み消してる可能性がある。例えば……警察の上層部、もしくは警察ですら手を出せない政界の大物とか〉

 

「……そうなると納得出来る部分もある。つまり坂倉はあくまで犯人に依頼され元アイドル達を拐っていた。そしてその依頼した犯人というのが警察でも簡単には手出し出来ない人間って事というワケか」

 

「え……そ、それじゃあ坂倉とその繋がりがある真犯人を見つけない限り手も足も出ないって事ですか?!」

 

「ああ……だがその証拠となる情報は掴んでいる、そうだろいろは?」

 

「もちろんでござる!このこよちゃんの作ってくれた『はっきんグットくん』で坂倉のパソコンからデータを手に入れて来たでござるよ!」

 

そう、あの時いろはが時間稼ぎを頼んでいたのはこのこよりの作ったハッキングツールを使って坂倉のパソコンからデータを手に入れていたという事だ……今更だが俺達も相当ヤバい所まで足を踏み入っているよな?

 

「有り難ういろはちゃん♪ちゃんとコピーしてきてくれたんだね♪」

 

「うん♪ちゃんと“データ転送”ってしといたでござる♪」

 

「…………え?ち、違うよいろはちゃん!やってほしかったのは“データをコピー”だよ!転送だったらそのパソコンのデータ全部そのメモリに移動する事になっちゃうから今その坂倉って人のパソコンの中データ空になっちゃってるよ!?」

 

「えッ?!」

 

なんだと?!まずいッ!それだとパソコンのデータが空になったのを坂倉が気づいたら……!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………ねぇ………ねぇ?!パソコンの中のデータが何もねぇ!?どうなってやがるんだ……ッ!あいつらかッ!?クソッ!この俺がこんな失態するなんて……ッ!?」

 

―ピリリリリ…ピリリリリ…ピッ―

 

「……ああ俺だ、今厄介な事になってしまった。例の偽記者どもにパソコンのデータを全て盗られてしまった。このままだとあんたとの繋がりもいずれバレてしま…………は?その心配はない?どういう事だそr……」

 

―ドゴオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォンッ!!―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………いや、もう取ってしまった物は仕方がない。こよりと灰はこのデータを解析してくれ。俺達は明日もう一度坂倉の所に向かう事にする」

 

「了解!ホロライブとにじさんじの天才による共同解析だ~♪」

 

〈……俺の方は元にじさんじだけどな〉

 

よし、取り敢えずデータは二人に任せるとして俺達はもう一度だけ坂倉と接触してみるとしよう。情報を取られたと分かったら向こうも何かしらの行動を取るかもしれないし、このチャンスを逃すワケにはいかない。

 

 

 

 

 

…………しかし、何だろうか?何か嫌な予感がするのは………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―翌日、青森―

 

「………な、何だよこれ……?!」

 

「坂倉の家が……燃え尽きてる?!」

 

俺とフブキは早朝から転移し再び青森の坂倉宅へとやって来たのだが……家の周りには何台もの消防車やパトカーが止まっており家は完全に燃え尽きていた。一体何が起きたというんだ?!

 

「す、すみません!此処って坂倉さんのお宅でしたよね?!一体何があったんでしょうか?!」

 

「ん?あああんた坂倉さんのお知り合いかい?実は昨日の夜坂倉さんのお家が突然爆発してねぇ。火もさっき消されたばっかなんだけど中にいた坂倉さんは助からなかったんだって」

 

「そ、そうだったんですか……」

 

家が突然爆発?そんな偶然みたいな事あるのか……?いや、これは……!

 

「レイくん、これってやっぱり……」

 

「ああ……おそらく坂倉は情報漏洩した事による口封じをされたんだ。だが口封じの為に家ごと爆発させるなんて、向こうは最初から坂倉を捨て駒にするつもりだったみたいだな」

 

しかも周りにいる警察の話だと古い家だった為に起きた自然発火という事故で片付けようとしてる。これではもう此処から真犯人の情報を手に入れるのは無理だな……仕方ない、一旦神羅城に戻るとするか―ピリリリリ…ピリリリリ…―ん?こよりからか?

 

―ピッ―

 

「もしもし、どうしたこより?」

 

〈玲二くん大変だよ!とんでもなく凄い事が分かったんだよ!〉

 

凄い事?一体どんな事が分かったんだ?

 

〈さっき全てのデータの解析が終わってその中にある坂倉とやり取りをしていた人物が分かったの!そしてそれがかなりの人物だって事!〉

 

「かなりの人物?それってどんな奴なんだ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈……やり取りをしていたのは大友和則(おおともかずのり)。警視庁長官の息子であり警視庁の捜査一課の刑事だよ〉

 

…………どうやら俺達はまたとんでもない奴を相手にしてしまったらしいな。

 

 

 

遂に見えた黒幕の正体。果たして玲二達は真実に辿り着けるのか?そして元アイドル達を助ける事が出来るのだろうか?

 

次回に続く……




はい、という事で捜査編でした!次回には真相を明らかにしたいですね。

次回もまったり待ってて頂ければ幸いです、ではまた!


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第79話『真相、そして救出』

つい先日ある評価を頂きました。この小説ガンプラ要素いる?って………はっきり言います、唯の自己満足だから良いんです!まあこうしたシリアス系統だとやっぱりガンプラ要素が出なくなるから仕方ないんですが日常ではプラモとかもっと作っていきたいですね。評価をしてくださった方、有り難うございました( ≧∀≦)ノ

今回は遂に真相へと迫ります!果たしてこの事件の結末は……?今回も最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


「………よし、皆集まったな?それでは今回の事件についてのこれまでに分かった事をおさらいするぞ」

 

俺は神羅城の会議室に俺の家族(子供達除く)とにじさんじのメンバー全員、更には今回から灰もこの場に同席してもらいこれまでの経緯を順を追って話していく。

 

「まず事の発端はラブと兎鞠が俺達に失踪したキズナアイの捜索を依頼してきた事が始まりだ。そしてその捜査をしている中、俺達は業界から去った女性アイドル達が連続で失踪している事件を見つけてしまった。其処にはかつて俺達の事務所に入ろうとした魔乃アロエやにじさんじを卒業したアイドル達もいる」

 

「そして私達は黛さんの協力を得て今回の事件に関わりがあるであろう人物、元ジャーナリストの坂倉利夫さんに接触し調べを進めました。その結果、この人が今までの事件を起こしていた実行犯である事は先日のいろはちゃんが入手したデータを見る限りほぼ間違いないと思われます」

 

「……しかしそんな坂倉もまるでとかげの尻尾切りと言わんばかりに何者かによって始末された。おそらく俺達に情報が渡ってしまった事による口封じの為にな……」

 

「そしてその坂倉と定期的に連絡を取っていたのが、警視庁捜査一課に所属する刑事『大友和則』という男です。父に警視庁長官である大友重則がおりその強い正義感と捜査能力を駆使して若くして捜査一課の刑事に叩き上げでなったというエリート刑事らしいです……表向きは、ですが」

 

そう、この大友和則という男は表向きでは誰にも誇れるようなエリートコースを進んだ優秀な男だが、灰やにじさんじに所属する探偵『シェリン・バーガンディ』が調べた内容によればこの大友という男はとんでもない奴だという事が分かった。この男、自分が出世する為に違法捜査に捏造、更には他の刑事の手柄を横取り等をしそれを金と親の権力を駆使して揉み消して今の地位に上り詰めたというとんでもない悪党だったんだ。しかもその事に父親である警視庁長官も関与しているようでこの親子は揃ってとんでもないクズという事だ。

 

「そんな大友だが一年程前から坂倉と何度も連絡を取り合っている形跡があった。今のところこいつ等の接点は不明だがおそらく何処かで知り合い今回の事件を起こしたのだと推測する」

 

「そして残る問題はそんな大友の目的と拐われた元アイドル達の安否だ。大友がなんの為に元アイドル達を拐ったのか、そして拐われた元アイドル達は今も無事なのか。本当に最悪な場合は……」

 

「灰、それ以上は止めてくれ。憶測で言っても皆を不安にさせるだけだ」

 

「……すまない、もう少し配慮をすべきだったな」

 

いや、取り敢えずはその点は良いとしよう。だが元アイドル達を救う為にも一刻を争う事には変わりはない。ならこれから一体どうするべきなのかを考えないとな……

 

「……まずは大友が真犯人だったとした場合拐った娘達が何処に連れていかれたかを考えないといけないな」

 

「そうですね、おそらくは自宅か大友家が保有している別荘辺りですかね?」

 

「それなら既に場所は調べている。そしてこれが大友が保有している自宅と別荘の所在地と外装の写真だ」

 

………成る程、自宅は一人暮らし用と実家の二つに別荘は三つか。随分とリッチな生活をしているんだな………ん?

 

「………なあシェリン、此処お前が調べてくれた別荘だよな?」

 

「え?ええ、其処は千葉にある別荘ですね。でも其処はどうやらもう何年も使われてない別荘のようです」

 

「…………の割には妙に整備されてないか?普通何年も放置してたらこんな綺麗には整えられてない筈だろ?」

 

「………確かにこれは変だよな?そもそも何年も放置しているのなら何故この別荘を手放してないんだ?」

 

………どうやらこの別荘には何かあるみたいだな?どうせ闇雲に調査するくらいならまず怪しい所から調べてみるか。

 

「よし、ならまずはこの別荘を調べてみるとするか」

 

「それなら玲二君、その調査私に任せてもらっても良いかな?」

 

そういうと俺の横にいつの間にか近づいてきた金髪の女性、にじさんじ所属の大怪盗『ルイス・キャミー』がこの別荘の調査を名乗り出た。

 

「私ならこれくらいの別荘に侵入して中を調べるくらい楽勝だからね♪」

 

「……ふーん、怪盗に調査なんて出来るんですかね?」

 

「あら?肝心な処で推理を外す探偵さんよりかは役に立つんじゃない?」

 

おいおい、シェリンもキャミーも喧嘩はしないでくれよ?だが確かにキャミーは普段はお調子者だが怪盗としてのスキルはかなり高い。此処はキャミーにまずこの別荘を調べてもらうとするか。

 

「よし、そうと決まれば早速行動開始だ。灰とこよりをはじめとする捜査班は引き続き大友の動向を探ってくれ。キャミーは先程言った通り大友の今は使われていない別荘の探索、残った者は坂倉以外にも大友と接点のありそうな人物がいないか調べてくれ」

 

『了解ッ!』

 

こうして俺達は役割を分担し行動を開始した。俺は万が一の事も考え義兄さんの所に行きロボ子の妹達の協力を得られるようにしないとな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―三日後―

 

「……これが大友の動向か」

 

「ああ、奴は明日の夜に警視庁主催で行われる一課長昇進パーティーに出席する。故にその間奴はそれまでは警視庁からの出入りはないようだ」

 

「それにしても一課長に昇進だなんて……どうせまともな成績で昇進したワケじゃなさそうだけどね?」

 

ああ、おそらくはこれも他人の手柄を横取りしたり不正捜査を行った結果で得た地位だろう。しかもこのパーティーは奴の婚約者との結婚の発表も兼ねているらしい、本当に何処まで外面だけ良くしようとしてんだか?

 

「つまりは奴は暫く警視庁から動く事はないって事なんだな……では次に俺の報告だ。俺からは良い報告と悪い報告があるが、まずは良い報告からだ。今回の件を義兄さんに相談した結果、ロボ子の妹達の協力を仰ぐ事が出来た」

 

「本当ですか!それなら凄く心強いですね♪」

 

ああ、とは言え確証がない限りはまだ動いてもらう事は出来ないがな。だが問題は……

 

「……次に悪い報告だ。キャミーとの連絡が昨日の夜から途絶えてしまった」

 

『ッ!?』

 

そう、大友の別荘に調査の為出向いたキャミーとの連絡が途絶えてしまい連絡が取れなくなってしまったのだ。あいつには定期的に報告を送ってもらうように頼んでいたのだが昨日の夕方に送られた報告を最後に連絡が途絶えてしまったのだ。

 

「……その最後の連絡がこれだ。“キッチンに地下へ続く秘密の通路を発見、これから中を調べてみる”……この連絡を最後にキャミーとの連絡が取れなくなってしまったんだ」

 

「そ、そんな!?」

 

「それじゃルイスさんってもしかして……!?」

 

「大友に見つかって、捕まってしまった?!」

 

その可能性が高いな……だがルイスの服に着けていた発信器は今尚大友の別荘から離れていない。おそらくはまだ別荘の中にいて監禁されているのかもしれない。

 

「……先程の灰の報告によれば大友は暫くは警視庁から動けない筈だ。だから俺はこれから大友の別荘にキャミーを助けに行く」

 

「そんな?!レイくん一人で!?」

 

「そんなの危険だよ!私達も一緒に……!」

 

「いや、もし全員で行って何もなかったら俺達の立場が危うくなる。だから此処は俺一人で向かうから、皆はもし俺の身に何かあった場合はすぐに動けるように待機しててくれ」

 

俺なら隠密行動が出来るし、それなりに戦えるからな。俺は後の事をフブキと灰に任せ転移能力を使い大友の別荘へと向かう。無事でいてくれ、キャミー……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………此処が奴の別荘か」

 

思ってたより大きくはないんだな?まあそんな事はどうでもいい、まずは中に潜入してキャミーを探さないとな。念の為にステルス能力も展開しておくか……

 

「……確かキャミーは地下へ続く通路を見つけたって言ってたな?ならキッチンの何処かに……ん?これは……」

 

キッチンの床にある扉……多分食料庫か?地下への通路ってもしかしてこれの事か?取り敢えず下に降りてみるか……うん、食料とかはやっぱりないが、この別荘何年も使われてないにしては綺麗だったが此処は特に綺麗だな。まるで誰かが頻繁に出入りをしているみたいだ。

 

……ん?奥に扉?なんでこんな食料庫にこんな厳重な扉が……どうやらパスワード式のロックが掛かっているが、俺にはそんなの無意味だ。俺はそのまま転移を使い扉の内側へと侵入すると、其処には更に地下に続く階段があった。

 

「……こんな明らかに怪しい階段、下に何か隠してますって言ってるようなもんだよな?さて鬼が出るか蛇が出るか、行ってみれば分かるよな」

 

意を決し俺は更に地下へと降りていく。果たしてこの先には何が隠されているのか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………随分深い所まで降りたな。けど、どうやら此処が終着点のようだ」

 

階段を降りて辿り着いた場所にはこれまた巨大な扉があった。こんな研究所とかでありそうな機械仕掛けの扉、普通の別荘にあるワケないし絶対此処に何かが隠されているのは間違いなさそうだ。

 

「さて、此処もやっぱりロックされているな。けどこれも転移すれば問題はない……よし、行くか!」

 

そして俺は再び転移を使い中へと侵入する。其処にあったのは………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「な……何だよこれ……?!」

 

……其処にあったのは、まるで美術館のような内装に何かを展示しているかのようなカプセルが無数に置かれていた。その中には……

 

「ッ!?キャミー!?それにキズナアイに八重沢……此処にいるのって、失踪した元アイドル達か!?」

 

そう、其処にはカプセルに閉じ込められ培養液の中で眠るキャミーやキズナアイ等の行方が分からなかったアイドル達がいた!どうやら死んではないみたいだが、これは一体どういう事だ?!いや、それはともかくまずは皆を助けないと!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おやおや、また客人か?しかも今度は招かれざる客とは」

 

「ッ!?」

 

皆を助けようとした瞬間、俺の後ろから声が聞こえ俺は慌てて振り向くと其処には俺と年齢が近そうな男……報告書にあったこの別荘の主の大友和則が妖しげな笑みを浮かべて立っていた。

 

ば、バカな?!こいつがなんで此処にいるんだ?!

 

「……ほう、確か君はホロライブの日本支部長の佐々木玲二だったかな?」

 

「……俺の事を知ってるのか?」

 

「勿論、何を隠そう俺もこう見えてアイドルが大好きなんだ。だからそれを支える関係者の事は一通り調べてはいるよ」

 

「そうかい……で?これは一体どういう事だ?なんでアイドル界から去った娘達がこんな酷い事されているんだ?!」

 

俺は怒りに震え大友を睨み付けるが、大友は尚も妖しく笑いキズナアイの入ったカプセルを愛おしそうに撫でていく。

 

「酷い事?何を言っているんだ?彼女達は素晴らしい芸術品じゃないか」

 

「………芸術品だと?」

 

「そうさ、アイドルを支える君にも分かると思うがアイドルとは皆を幸せにする力を秘めたまさに生きる芸術品!しかしそんな彼女達だってずっとアイドルを続けられる訳ではない。ある者は有終の美を飾り、またある者は不祥事を起こし引退する等してアイドル界から去っていく者が後を絶えない。そうしていつしか彼女達の輝きを忘れてしまう………そんなのはもったいないではないか!?其処で俺は考えた!ならば彼女達が輝いていた頃のまま彼女達を飾ってやれば良いと!そうすれば彼女達は永遠に美しく輝かしいアイドルのままでいられる真の芸術品になれると!」

 

…………こ、こいつ、狂ってやがる!?そんな下らない事でアイドル達を拐ってこんな酷い目にあわせていたのか?!だが此処でいきなり手をあげるワケにもいかない、こいつにはまだ聞きたい事が沢山あるんだ!

 

「……それはそうとあんた、なんで俺が此処にいるって分かったんだ?しかもあんたは今警視庁にいる筈なのにどうやってこの別荘に?」

 

「この地下の美術館にはセンサーが仕込まれていてね、誰かが侵入すれば俺の元に連絡が入るようになってるんだ。そして警視庁をはじめとする俺のよく行く場所には此処に通じるワープ装置を設置しているんでね。君の反応をキャッチしてすぐに駆けつけた訳だ」

 

「そういう事か………それと、卒業や引退したアイドルはともかく何故休止したアイドルまで拐った?彼女達はあくまで休止しているだけでいずれは戻る筈だったんだ。それにどうしてキャミーまで……?」

 

「ふふ、休止というがその殆どがそのままアイドル界を去っていくではないか?仮に戻ってきても全盛期のような勢いはなくなってしまっている。ならばいっその事輝いていた時のまま芸術品として飾ってあげるのが一番ではないか!ルイス君に至ってはこの場所を見られてしまったから仕方がないが早めに芸術品となってもらったがね」

 

「ふざけた事言うな!彼女達は今という一瞬を精一杯生きてるんだぞ!そんなテメェの私利私欲の為に彼女達を物みたいに扱いやがって!しかもその為に坂倉を利用して最後に始末したのか?!」

 

「坂倉?ああ、奴は俺が雇った奴等の中でも本当に良い働きをしてくれたよ。俺の発注通りに元アイドル達を連れてきてくれたのだからな。情報漏洩さえなければもう少しだけ生きられただろうにな」

 

こいつッ!しかもこいつの口振りからすると最初から坂倉を利用するだけして終わったら始末するつもりだったのか!?なんて野郎なんだ……ッ!

 

だがこれで奴が一連の事件の犯人だというのは分かった。後は此処を一度離れてこの事を皆に知らせないとッ!

 

…………ッ?!あれ、転移出来ない!?ど、どういう事だ?!さっきまで普通に力を使えてたのに!?

 

「………ククク、何やら驚いている様子だが、なら今君が考えている事を当ててやろうか?どうして転移出来ないんだ?と」

 

ッ!?な、なんでこいつ転移の事を知ってるんだ?!

 

「ククク、何故転移能力の事を知ってるんだ?って顔をしてるな。佐々木玲二、お前は俺の職業を忘れたのか?俺は警視庁の捜査一課の刑事、常日頃から様々な事件を担当している。その中にはかつてお前が潰したアークアイの事件もあったんだよ!そして其処でお前に転移能力やステルス能力があるのは既に把握してる!だからこの部屋には予めあらゆる種族の力を封じる電磁シールドが張ってあるんだよ!」

 

なんだとッ?!そんなバカな?!あの時俺が能力を使った際の映像とかは全て消した筈………ッ!?まさかゴーマンの奴が俺の事をこいつに話したのか?!

 

「唯の人間の筈のお前にどうしてそんな力があるかは知らんが、まさか防犯用の電磁シールドがこんな形で役に立つとは思わなかったぜ。力を使えないお前は最早何の脅威でもないんだよ!」

 

「グッ……!?……だが力が使えないなら、今すぐ此処でお前を捕まえれば良いだけだ!」

 

これ以上長引かせれば俺が不利だ……なら此処で奴を捕まえる!俺はそう決めて大友に掴みかかろうとする……しかし

 

―ガキィッ!ガチィンッ!―

 

「なッ?!こ、これは!?」

 

大友を捕まえようと伸ばした腕に何処からかワイヤー付きの手錠が現れ捕縛されてしまった!しかもそれは一つだけではなく、幾つもの手錠が俺の両腕両足を捕縛し身動きが取れなくなってしまったのだ!

 

「クハハハハ!まさか防犯システムが電磁シールドだけと思ったか?このワイヤー付きの手錠はどんな剛力な獣人族や鬼人族でさえ外す事が出来ない特殊な超合金で作られているのさ!」

 

「グッ……!?何処までも用意周到な奴だな?!」

 

「まあそう吠えるなって。さて、この場所を見られてしまったからには仕方がない。お前は此処で処分させてもらうとしよう」

 

「ッ!?ふざけるな!例え俺がやられようとも、俺の家族や仲間達もこの場所の事は知らされている!俺にもしもの事があればあいつ等は必ず―バキィッ!―ぐあぁッ!?」

 

「それがどうした?俺は警視庁捜査一課長に昇進して更には親父が警視庁長官だ。この程度の事、幾らでも揉み消す事が出来るんだよ!お前等がどんなに頑張って証拠を見つけようと、そんな物何の役にも立ちはしないッ!」

 

―ドガッ!ドゴォッ!バキィッ!―

 

「グッ!ガアァッ!?」

 

奴はまるでサンドバッグのように執拗に俺を殴り続けていく。クソッ!このまま何も出来ないのか……?!

 

「さて、お前には俺の家に不法侵入したとしてお前の家に家宅捜査をし其処で潤羽るしあと桐生ココを頂くとしよう。そしてお前はその捜査の最中行方を眩まし自殺をしたと後で報告すれば良い!」

 

―ドゴオォッ!!―

 

「グハアァッ!?ガッ…ハァ……」

 

勝ち誇った大友は俺の腹部をおもいっきり殴り、その一撃によって俺の意識は沈んでいった……

 

「………ふん、気絶したか?本当ならすぐに処分したいが、生憎これから大事なパーティーなんだ。お前の処分は帰ってきてからゆっくりするとしよう……ククク、クハハハハハハハハアァッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―大友和則一課長昇進パーティー―

 

「大友一課長!この度は昇進おめでとうございます!」

 

「ああ、有り難う皆。俺が此処までやってこられたのも皆が支えてくれたからだ」

 

「いやぁしかし素晴らしい息子さんを持って幸せですなぁ大友長官?」

 

「えぇ、あいつは本当に優秀な息子ですからな」

 

玲二を拘束した後、大友は自身の昇進パーティーへと出席する為に警視庁のすぐ近くにあるホテルの会場へと涼しい顔でやって来ていた。周りからは大友を尊敬する刑事や婦警達が彼を囲みお祝いの言葉を大友に伝えている。

 

「良かったじゃないみほ、愛しの旦那様がまた一つ立派になったわよ♪」

 

「ちょ、ちょっと優里!?まだ彼とは婚約しただけなんだからそんな……///」

 

「ハハ、そんな謙遜しなくて良いよみほ。俺達は来月には籍を入れるんだからな」

 

「う、うん……///」

 

近くにいた大友の婚約者も照れながらも嬉しそうに喜んでいた。そしてパーティーが始まり主役である大友が乾杯の音頭を取る為マイクの前に立つ。

 

「えー皆さん、本日は私の一課長昇進を祝いに来てくださり誠に有り難うございます。しかし!私はこれをゴールではなく新たなスタートとし、この日本から一日でも早く凶悪犯罪を無くしていきたいと思っております!そしてゆくゆくは父のような立派な警視長官となりこの日本の平和を支えていきたいと思いますのでこれからも皆さんのご協力よろしくお願いしますッ!!」

 

―パチパチパチパチパチパチパチパチ!―

 

(……そうさ、俺はこれからも権力と金を利用し欲しい物は全部手に入れてやる。そして逆らう奴は親父の権限を使い二度と表社会にいられなくしてやる!)

 

表面上は立派なスピーチをするも心の中では腹黒い事を考えている大友。最大の邪魔者だった玲二を捕まえられご満悦な大友はこれから乾杯し皆と共に気分良く酒を飲もうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「残念だがお前が警視長官になる日なんて一生来ねぇよ」

 

「…………………え?」

 

……がその時、会場の入り口付近から突然声が聞こえ、大友をはじめとするその場にいた全員が振り向くと其処には……大友の別荘の地下に監禁されている筈の玲二が立っていたのだった。

 

 

 

 

 

「なッ?!ななな……な、何故お前が此処に……?!」

 

「おうどうした大友?まるで狐に摘ままれたような顔して?そんなに自分が監禁した男が此処にいるのが不思議か?」

 

分かりやすく動揺してるな大友の奴。まああれだけ厳重に拘束してた奴が平然と現れたらそりゃ驚くか。

 

「か、監禁?!」

 

「なんで大友さんがあの男を……!?」

 

「というかあの男!ホロライブの佐々木玲二じゃないか?!」

 

「な、なんでアイドル事務所の人間が此処にいるんだ?!」

 

周りの警察官達も動揺してるな。まあ事情を知らなかったらなんで此処にアイドル事務所の人間がいるのか分からんもんな。

 

「……ハッ!?み、皆さん!報告が遅れて申し訳ありません!その男は私の別荘に侵入し宅内を荒らしたとして拘束していた男です!このパーティーが終わり次第警視庁へと連行しようとしていたのですが、どうやら脱走されてしまったようです!」

 

おーおー?大友がなんか言い訳してるな。まあ奴は表面はかなり優秀な刑事だからな、今の説明でも信用する奴はいそうだな。

 

「何?!ほ、本当なのか貴様!?」

 

「何が目的で一課長の別荘に侵入した!?」

 

「………確かにこいつの別荘には侵入したさ。俺の大切な仲間を助ける為にな」

 

「ッ?!な、ななな何を言って……?!」

 

動揺する大友を尻目に俺はこよりから預かってたツールを使い会場のスクリーンにある映像を映した。それは……

 

 

 

 

 

〈レイくーん!皆無事に救出しましたー!皆命に別状はないですって~♪〉

 

「なあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ?!!?」

 

そう、フブキをはじめとする俺の家族達がカプセルの中から拐われた元アイドル達を救出している映像だった。良かった、衰弱している娘もいるが全員無事みたいだな。

 

「ど、どういう事だ?!あれってホロライブのフブキちゃんだよな?!」

 

「それにキズナアイや輝夜月までいるぞ?!」

 

「大友一課長!これは一体どういう事なんですか?!」

 

「い、いやその……」

 

映像を見て周りの警察官達も動揺を隠しきれず大友に問い詰めていく。大友もまさかの事態に必死に言い訳を探そうと口をゴニョゴニョさせている。

 

「悪いな、あんたの別荘の地下に監禁されていた元アイドル達は全員解放させてもらったぜ」

 

「監禁?!大友一課長!貴方まさかそんな事をしていたのですか?!」

 

「ち、違うッ!?これはこの男の陰謀だ!自分が捕まりたくないからと俺に罪を着せようとしている罠だッ!!」

 

この期に及んで大友はまだ言い訳をしてくるのか、本当に見苦しい奴だな?

 

「そ、それにこれが私の別荘で撮られた物とは限らないだろうが!?大体貴様、あれだけ厳重に拘束していた筈なのに何故此処にいるんだ?!」

 

「……全く、テンパり過ぎて言ってる事めちゃくちゃになってねぇか?まあ良いや、何で此処にいるかって言うと……普通に彼処から脱出したからだよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前の処分は帰ってきてからゆっくりするとしよう……ククク、クハハハハハハハハアァッ!!」

 

―ガチャンッ―

 

「…………………………………………行ったみたいだな?」

 

高笑いしながら部屋を出ていく大友を確認した俺は再び起き上がった。そう、あの時俺は殴られて気絶したフリをしていたんだ。俺は普段から象も一撃で仕留める程のパンチ力がある兄貴とスパーリングしてるから以前みたいに頭から血を流してた時ならともかくあんなへなちょこパンチ程度で気絶なんかするワケがない。

 

「さて、奴からあらかた聞きたい事は聞けたが……問題はこいつだな」

 

俺は拘束されている自分の手足を見るがやはり取れそうな感じはしないな。怪力を発揮できれば壊せそうだが今はこの部屋の強力な電磁シールドのせいで能力が封じられてしまってる。一応神羅族の力を解放させればいけそうだがおそらく常に監視された状態だから出来れば神羅族の力は解放させたくないな……

 

………そういや拐われた娘の中に確か“あいつ”いたよな?あいつの力を借りればもしかしたら………い、いや呼んでも出てくるかどうか分からないし、何より出てきたら怖いというか……ま、まあ取り敢えずダメ元で呼んでみるか。それでダメだったら他の方法を考えるか最悪力を解放すれば良いし。スゥー …ハァー……よしッ!やるかッ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「スゥー……………鈴原あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!頼む、助けてくれえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!」

 

 

 

―………ピクッ……カッ!―

 

―ピシッ……ピシピシッ……パリイィィィィィィィィィィィンッ!!―

 

俺が叫ぶと同時に一つのカプセルに入ってた女の子が反応したかと思えば急に目を見開き、そして次の瞬間カプセルに罅が入りそのまま割れてその中に入ってた女の子が勢い良く飛び出し俺の目の前で着地した。

 

「こんるる~♪玲二君、鈴原が助けに来たよ~♪」

 

そう、其処から出てきたのは元にじさんじの美大生でありある意味俺が最も苦手な女の子『鈴原るる』である。

 

「あ、相変わらず規格外だな鈴は「玲二君?」……るる」

 

「うん♪玲二君の為なら鈴原どんな所にでも助けにいけるよ♪」

 

……やっぱなんか恐ろしいなこいつ。鈴はr……るるは普段は大人しい女の子なのに何故か俺の事になると超人染みたとんでもない力を発揮するんだよ。しかもこいつとんでもなく眼力が強くて不機嫌になるとかなり恐ろしい表情になるから本当に苦手なんだよな……

 

「ま、まあ良いや。取り敢えずるる、早速で悪いがこの手錠を「はい外したよ♪」いや速ぇなッ!?」

 

「玲二君の為ならこれくらい簡単に出来るよ♪」

 

簡単にってお前これかなり特殊で複雑な構造の手錠だぞ?!こいつ本当に人間か?!まだ俺と同じ神羅族と言ってくれた方が信じられるぞってくらいこいつどうして俺に対する時だけこんなにポテンシャル高いんだ?!これ他のメンバーに対して同じ状況だったら絶対どうしよどうしよとか言って慌てふためいてるのに!?

 

「……ま、まあそんなの今はどうでも良いや。るる、お前も変な男に操られて此処に連れてこられたのか?」

 

「?ううん、鈴原は新しい美容エステの一環って言われて来たんだよ。此処で少しの間エステ液に浸かって眠っていれば綺麗になって意中の相手を落とせるって♪どう玲二君、鈴原綺麗になった?結婚したくなった?」

 

な、なんだそりゃ?こいつはこいつでまた変な方法で連れてこられたんだな?まあこのまま騙されたままも可哀想だし本当の事伝えるか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………ふーんそうなんだ?鈴原騙されて連れてこられたんだね………………………ソイツアトデ○サナイト」

 

おい最後聞き取れなかったが絶対物騒な事言ってた気がするぞ?!と、兎に角これで身動き取れるようになったから早いところフブキ達にこの事を伝えて大友の所に向かわないと!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……という事があったんだよ。あの時俺を仕留めなかったのが仇となったな?」

 

「ウ、ウグググ………ッ!」

 

大友はそれまでの勝ち誇った表情は完全に消え失せ悔しそうな表情で俺を睨んでいる。だがお前に対する裁きはまだ終わってないけどな。

 

「た、大変ですッ!!」

 

「!?ど、どうしたんだ一体!?」

 

「お、大友一課長が元アイドル達を拐い培養液の中に閉じ込めた事を自白した映像がニュースに流れていて、警視庁にこれはどういう事だという苦情の電話が殺到しています!!」

 

「何ィッ?!」

 

そう、実はあの時の俺と大友とのやり取りは全て俺のジャケットの襟に仕込んでいた隠しカメラでバッチリ撮られてたんだ。その映像をこよりと灰に送信すると二人は直ぐ様事の事情を詳しく纏めた資料と共にその映像データを各メディアに送ってくれたのだ。そして緊急のスクープとしてすぐに緊急ニュースが流され大友が働いた悪事の自白動画を世に公開してもらったってワケだ。

 

「大友一課長!これはどういう事なんですか?!」

 

「そ、そんな……和則さんがそんな事してたなんて……?!」

 

「………これでお前の悪事は世間に知れ渡る事になる。もうお前のお得意の揉み消しも出来ないだろうな?」

 

「ウググ、ウギギギギギ……ウガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァーーーーーッ!!貴様ぁッ!よくも俺の華麗な出世街道を邪魔しやがってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇーーーーーッ!!」

 

うわ、追い詰められて頭おかしくなったのか拳銃抜いて俺に向けてきた!?けどそれは逆に悪手だったな。だって……

 

―バキュゥンッ!ガキィンッ!―

 

「がぁッ?!な、なんだ!?」

 

「……目標の戦力の無力化に成功」

 

俺の後ろで隠れて待機していたロボ子の妹である七奈美(第62話参照)が特殊なライフルを使い大友の銃を弾いてくれた。流石元傭兵、頼りになるな。

 

「助かった七奈美、有り難うな」

 

「……別に貴方に感謝されなくても良いですよ。全く、姉さんやロボがどうしてもって言うから仕方なく出向いたのに仕事がこれだけって……はぁ、早く帰ってS○Y×FAM○LY見ながらAP○Xしたい……」

 

……あ、あれ?こいつこんな性格だっけ?なんか知らぬ間に随分世間に馴染んでるような……?ま、まああれから結構経ってるしそれなりの心境があったんだろうな?

 

「グギギィ……このクソ野郎がアァッ!!」

 

ッ!こいつ、ナイフを取り出して突っ込んで来やがった!?……けどな?

 

「そんな程度の突進なんか………俺の兄貴の地獄の特訓でやった走るトラック止めに比べたら大した事ねぇんだよおぉッ!!」

 

―ドッゴオォォォォオンッ!!―

 

「ぶへらぁッ?!」

 

俺は突進する大友の顎に渾身のアッパーを放ち大友をおもいっきりぶっ飛ばし気絶させた。全く、散々イキってた割には最後はみっともなかったな。

 

「…………ハッ?!お、おい緊急逮捕だ!大友和則を誘拐と殺人未遂で逮捕するぞッ!」

 

「大友長官、貴方にも詳しくお話を聞かせてもらいますよ?」

 

「グッ……!?クソォッ!!」

 

「そ、そんな……和則さんがそんな酷い人だったなんて………キュウ」

 

「ちょ、ちょっとみほ?!しっかりしてみほぉッ!?」

 

……さて、大友達の事は後は警察に任せるとしよう。俺は近くにいた警察官に事情を話し大友が利用していたであろう転送装置を見つけそのまま別荘へと移動すると其処には衰弱している娘達を介抱しているフブキ達がいた。

 

「あ、レイくん!終わったんですね!?」

 

「ああ、大友達はこれで終わりだ。後は警察に任せるとしよう。ではそういう事でよろしくお願いします」

 

「わ、分かりました!おい、急いで救急車の手配をしろ!比較的軽症の娘は車で直接病院に連れていくぞ!」

 

『はいッ!!』

 

こうして元アイドル達はそれぞれ救急車やパトカーに乗り病院へと運ばれ精密検査を行う事になった。これにより大友が起こした元アイドル失踪事件は幕を閉じた。

 

その後大友は調べによると自分の美術館とやらを作る為に坂倉をはじめ五人もの催眠術師を雇い、そして用済みになった瞬間始末していたらしくその罪はかなり重い。おそらくはもう二度と日の目は見られないだろう。

 

そしてその父親である大友重則も今回の事で自分の息子を贔屓するような隠蔽工作を行っていた事が明るみになり警視庁長官の座を降りざるを得なくなってしまいそのまま定年を待たずして警視庁から去ってしまったようだ。幾ら自分の息子が大切だからと言って甘やかし過ぎた結果がこれとは、なんとも悲しい終わり方だな。

 

……そして一番辛いのは大友の婚約者だ。彼女は大友の表面だけを信じて惚れて婚約したのにそれがこんな形で裏切られてしまったせいで今は精神が崩壊してしまったらしい。ある意味一番の被害者は彼女だろうな……

 

そして元アイドル達は精密検査の結果、衰弱している以外は問題なしと判断され皆それぞれいるべき場所へと帰っていった。そして……

 

「うわあぁぁぁんッ!アイちゃんが無事で本当に良かったよおぉぉぉぉぉーーーッ!!」

 

「うん、心配かけてごめんねラブちゃん。佐々木さんも助けてくれて有り難う♪」

 

「いや、礼を言うのは俺達もだ。ラブ達が俺達に依頼してくれなかったら大友の事はずっと闇に埋もれてたままだったからな」

 

キズナアイはあれから少しの間のリハビリを経てすっかり回復し元気を取り戻した。これなら予定通り明後日には退院出来そうだな。最初はキズナアイを探すだけのつもりがまさかこんな大きな事件に巻き込まれるとは思わなかったけど、こいつ等のお陰で俺達も大切な仲間を助け出す事が出来て本当に良かった。

 

「魔乃ちゃんも無事で本当に良かったね~♪」

 

「うん、心配させてごめんね……ところでねねちゃん、もう語尾にアルって付けてないんだな?それにまさか佐々木さんと結婚して子供作ったとは……」

 

「もぉ~!それはデビューした時のキャラ作りだっただけでもうやってないってば~!今はレイ兄ちゃんのお嫁さんとしてアイドルと子育て頑張ってるもんね~“ねる”♪」

 

「うきゃ?」

 

魔乃もすっかり元気になり今ではすっかり5期生の皆と和気あいあいと話を楽しんでいる。今日はねねが娘の『ねる』と一緒に御見舞いに来て他愛のない話で盛り上がっていたが、最初ねぽらぼの子供達を見た時はかなり驚いてたよ。因みに魔乃は今はフリーターのようで今回の失踪事件のせいで働いてた所が無断欠勤という事で全部クビになってしまったって言ってたから退院したらホロライブタウンに住むアイドル達が働く店を紹介する事にしてあげた。

 

そして灰も今回の事件が終わった後何も言わずホロライブタウンを後にした。おそらくあの場所に居続けたら仲間達との未練が出来てしまうと思ったんだろう、相変わらずそういうところは不器用なままだったな。まあ一応また遊びに来いよとは連絡入れたけどな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………そして、肝心の“あいつ”はと言うと………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「玲二君お待たせ~♪」

 

「あ、ああ……」

 

「もう玲二君?今日は鈴原とのデートなんだから楽しもうよ♪」

 

「……そうだな」

 

……あれからるるは検査の結果何ともないと診断されすぐに退院したと思ったらその翌日にホロライブタウンへと引っ越して来たのだ。本人曰くもう美大は卒業して今はフリーのデザイナーをしているようで今はお金はそこそこあるが暇な時間が多いらしい。そして今回の件で協力したお礼としてデートをする事になったのだ。まあデートくらいならまだ良いんだが……

 

「………ねぇ玲二君?鈴原はまだ玲二君の事諦めてないからね?必ず玲二君を鈴原の旦那さんにしてみせるから♪」

 

「は、はい………」

 

………マジでこいつの眼力が怖い。やっぱり俺はこいつが苦手みたいだ……

 

 

 

 

こうして元アイドル失踪事件は完全に幕を閉じた。が、玲二の災難はまだまだ続くようだ………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―オマケ―

 

「もうななちゃん!幾ら今日お仕事休みだからってダラダラし過ぎだよ!」

 

「……なんですか姉さん?私はこの間佐々木玲二の護衛をしてたせいで見れなかったアニメ観賞したいんですからほっといてください」

 

「そんなの何時でも見れるじゃん!ほら今日は良い天気なんだからロボちゃん達と一緒に前から約束してたピクニック行くよ!」

 

「やぁ~だぁ~!」

 

人間らしさを手に入れるもすっかり半ヒキニートになってしまったRBK-773こと七奈美であった。




はい、という事で無事事件終了です!そして次回からまた日常に……ではなくまたあの世界に行きます!次回もまったり待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第80話『遅れたサマー』

明日はシェンロンガンダムの発売日、手に入れられれば良いんですが無理だったら大人しく再販待ちます。作らなきゃいけない積みプラも多いですし(-_-;)

今回はタイトル通り遅れながらも夏を満喫する回です!また幾つかに話は分かれると思いますが最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


「夏だッ!」

 

「海だッ!」

 

『ホロライブサマーだあぁッ!イエェェェェェェイッ!!』

 

「……………もう9月だけどな?」

 

季節は秋に差し掛かりこれから涼しくなる今日この頃、俺達は何故かとあるビーチにやって来ていた。何故もう夏も終わったのにビーチ?それはフブキ達のプライベートとしての夏休みが取れなかったからである。

 

今年はホロライブサマーが復活し大いに盛り上がったのは良いが肝心のプライベートでは一切海で遊んでなかったので折角だから海に行って泳ぎたいと言われたのだ。

 

しかしさっきも言ったが今はもう9月、何処のビーチも既に閉鎖されており更には開いてたとしてももう肌寒くなってきたのでとてもじゃないが泳ぐなんて出来ない。其処でフブキ達はとあるビーチなら大丈夫かもしれないと俺に頼んできたのだ。そのとあるビーチとは………

 

「れ、玲二さん大丈夫ですか?」

 

「……ああ、大丈夫だ……しかしリク、サラ、無理言って遊びに来て悪かったな……」

 

「そんな事ないよ、私達もまた皆と会えて嬉しい♪」

 

そう、此処は俺達の世界ではなく以前にも来たビルドダイバーズの世界でリク達の拠点であるフォースネストがあるビーチである。此処なら季節関係なく自由に海で遊ぶ事が出来るという事でリク達に連絡を入れてやって来たのは良いが……家族全員+αとお土産込みの荷物をまとめて転移させたせいでかなり疲労感が溜まってしまい動けずにいる。正直こうして頭の中で考えるのもしんどい……

 

『わぁーい♪』

 

「ほらみんなぁー!あんまりはしゃぎ過ぎないようにしなよー?」

 

「………この子達、本当に全員玲二さんの子なの?」

 

「す、凄い……ざっと見ただけでも40人近くいるわ……でも」

 

「「皆可愛いぃ~♪」」

 

……向こうではいつの間にか出来た赤ちゃん用のプールではしゃぐ子供達を見てデレデレな顔になってるモモとアヤメの姿がいる。てかそのカメラどっから取り出した?……ダメだ、やっぱり頭が働かない。

 

「本当に玲二さんの奥さんって沢山いたんだね………?」

 

「しかも皆かなりの美人……羨ましい」

 

「こら二人とも!鼻の下伸ばして見ないのッ!」

 

「「痛でででッ?!」」

 

そして海ではしゃぐ俺の妻達を見てるユッキーとコーイチさんの耳を引っ張るコーイチさんの妹の『ナミ』さんの姿が。まあ確かに皆綺麗だしイベントで着た水着とは違うセクシーな水着を着ている娘も多いから見惚れてしまうのも無理はない……手出したらキレるけどな?

 

「玲二様、まだ身体動きそうにない?」

 

「ぱーぱ、だいじょぶ~?」

 

「あー、まだ当分動きたくないな………それにしてもちょこ、お前その水着際ど過ぎないか?」

 

大の字で寝そべってる俺の元にちょこがしょこらを抱っこしながら見に来てくれたのは良いが……今ちょこが着ている水着はかなり大胆で肩から股までがVの字になってて最低限の所は隠せてるが殆ど裸に近い水着だった。お前、他にも人がいるのに何でそんな水着チョイスした?

 

「やっぱり玲二様にはちょこの全てを見てほしいから頑張ってみました~♪」

 

「いやだからと言って際ど過ぎるだろ?胸なんて殆ど見えちゃってるし」

 

「えーそうかしら?ねぇリク様、ちょこの水着セクシーだと思わない?」

 

「え?!あ、あの、その……//////」

 

「リク!じろじろ見ちゃダメッ!!」

 

おいちょこ、何リクを誘惑してんだよ?リクも困惑して顔真っ赤にしてるし、けどしっかり見てるからサラから手で目を覆い隠されてるし。

 

「……そういうのは二人っきりの時に着てくれ。普通の水着も持ってきてるなら早いとこ着替えろよ」

 

「はーい♪ヤキモチ妬いてる玲二様も可愛いんだから♪」

 

「うっさい……それとリク、手出したら怒るからな?」

 

「出しませんよッ?!」

 

ん、なら良い。ちょこも着替えに行ったみたいだし、俺は一眠りでもするかな―クイックイッ―ん?

 

「ぱぁぱ、みゆく~」

 

「ん?そうか、もうそんなタイミングだったか。ちょっと待っててなめぐみ」

 

ちょこ達と入れ替わりで今度はノエルの娘であるめぐみがやって来てミルクをねだってきた。俺は残ってる力を使ってバッグから“めぐみ用のミルク”を用意しセットしていく。

 

「え……………?」

 

「れ、玲二さんそれって……?」

 

「ほらめぐみ、たーんと飲むんだぞ~」

 

「あーい♪」

 

ミルクを飲もうとするめぐみの様子を見てリクとサラが驚いている。無理もない、だってめぐみが今飲もうとしているのは特製哺乳瓶に入った2リットルのミルクなのだから。専用スタンドに支えられた哺乳瓶からめぐみはそのままミルクを飲んでいく。

 

「んぐ……んぐ……」

 

「ッ?!」

 

「す、凄い勢いでミルクがなくなっている……?!」

 

「この子はミルクが大好きでな。普段は少食なんだがある一定の時期になるとこうして2リットルくらいのミルクを一気に飲み干すんだよ」

 

そう言ってる内にめぐみはもう殆ど飲んでいて後ちょっとで飲み干しそうだ。そして

 

「……ぷはぁ♪けぷっ」

 

「す、凄い……?!」

 

「本当に飲み干しちゃった……?!」

 

全部飲み干し最後にちゃんとゲップをしためぐみ。何時も思うがその量のミルクがそのちっちゃな身体の一体何処に入ってるんだ?

 

「うみゅう………」

 

そしてめぐみは満足したのか俺の傍に来てそのまま眠ってしまった。この子も結構自由だよなぁ……ヤバ、俺ももう限界っぽいからそろそろ一眠りしよう……おやすみ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………ん……………んぅ………ふあぁ……結構寝てたような気がする……」

 

「あ、レイくん起きたんですね?」

 

「ぱーぱ、おはよ~♪」

 

「よ~♪」

 

…………あれ?フブキにこゆきにふゆき?俺浜辺で寝てた筈だよな?いつの間にかビルドダイバーズのフォースネストのベッドで寝てるんだが……どんだけ寝てたんだ俺?

 

「おはよ……フブキ、俺どんだけ寝てたんだ?」

 

「昨日のお昼から寝てたので18時間くらい寝てましたね」

 

「マジか……やっぱり力使い過ぎて疲れてたみたいだな」

 

あやめの件で一度力を全解放した時に比べたら大分マシだがそれでもやっぱり50人以上を連れての異世界転移は相当疲れるもんだな?まあ寝たお陰で大分楽になったから良かったけど。

 

「………レイくんごめんなさい、私達が我が儘言ってしまったせいで……」

 

「いや、元より俺達は有給が貯まってたんだ。どうせなら家族皆でリゾートに行くのも悪くないし、何より俺もリク達とまた遊びたかったしな。それに普通の旅行でも車の運転とかでも疲れるんだから転移して疲れるのも大して変わんないから気にすんな」

 

大体本当に嫌なら提案された時点で断ってるし。俺もこの夏は井之上さんとの対決や大友の事件やらで忙しかったからちゃんとした休みが取れてなかったし、多少疲れてても此処に来たのは良かったと思う。

 

「処で皆は今何処にいるんだ?またビーチで泳いでるのか?」

 

「ううん、今日はこの世界で行われるイベントがあるからそれに参加しようって事になって皆先にそのエリアに向かいましたよ」

 

イベント?そういや前回はリク達との練習試合だけでイベントとかには参加してなかったな。イベント、面白そうだな……

 

「なあフブキ、そのイベントってまだエントリーとか間に合うのか?」

 

「そういうと思って既にレイくんの登録はリッくんがやってくれましたよ♪リッくんもレイくんと一緒にイベントやるのを楽しみにしてるって♪今から会場に向かっても全然余裕で間に合いますから朝ごはん食べてから早速向かいましょう♪」

 

「こーんふれーく~♪」

 

「く~♪」

 

そっか、それなら朝食を食べたら会場に向かうとするか。けど使うガンプラってどうなるんだ?前回だと直近で作ったヤツが反映されたからそうなると今回は“あれ”になるのか?まあ良いや、取り敢えずまずは飯を食うか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―イベント専用エリア―

 

「………遅いね玲二さん」

 

「フブキさんからはすぐに来るって連絡はあったからもう来るとは思うけど……?」

 

「もしかして迷子になってるとか?このエリア結構広いし」

 

「じゃあ探しに行ってみる?手分けして探せば多分すぐに見つかると思う」

 

「そうだね、それじゃ手分けして探して見つかったら連絡をしよう」

 

先にイベントエリアへとやって来ていたリク達は玲二の事を待っていたがなかなか到着しない玲二に不安になり手分けして探そうとする。しかし……

 

「お、おいなんだあれは?!」

 

「何かが降ってくるぞ!?」

 

「に、逃げろおぉぉぉッ!?」

 

「え?何かって…………えぇぇぇぇぇッ?!」

 

突然周りのプレイヤー達が騒ぎだし何事かと思いリクは空を見上げると、何やら巨大な物体が中央広場の中心に向かって急速に降下していた。その様子を見てリク達を含め他のプレイヤー達も急いで避難しようとその場を離れていく。そして……

 

 

 

 

 

―ドッシイィィィィィィィィィィィィィィィインッ!!―

 

巨大な物体はそのまま中央広場へと大きな音を立てながら着他し、その際の震動で近くにいたプレイヤー達が皆して転んでしまった。そしてその物体の正体は……

 

「え……………ご、“ゴッドガンダム”?!」

 

「これは、HGのゴッドガンダム……いや、この細かいディテールやあの自然な腕組みはHGじゃ再現出来ないよね?!」

 

「一体誰がこのゴッドガンダムを…………ま、まさか……?」

 

そう、其処に降りた巨大な物体の正体とは腕組みしながら凛々しく立つ洗礼された格闘家のような佇まいをしたガンダム、『起動武闘伝Gガンダム』に登場する主役機である『ゴッドガンダム』であった。そしてそれに乗っていたのは……

 

「……よし、動きも強度も文句無し。流石はRGだな」

 

「かんぷら~♪かっこいい~♪」

 

「キャッキャッ♪」

 

「いや悪目立ちし過ぎですよレイくん!?こゆきもふゆきも喜んじゃダメッ!」

 

そう、このゴッドガンダムに乗っていたのは玲二とフブキ親子であった。そしてこれが玲二が直近で作ったガンプラ『RG ゴッドガンダム』である。

 

 

『RG ゴッドガンダム』

『起動武闘伝Gガンダム』に登場する主人公ドモン・カッシュの機体。他のシリーズのガンダムと違いモビルトレースシステムという操縦者の動きをトレースして動かすモビルファイターという部類の機体である。故にこの機体にはまるで人間のような動きをさせたいとあらゆる可動を追求した結果出来たのがこのRGゴッドガンダムである。別名、B○ND○Iの変態技術という。

 

「玲二さん?!このゴッドガンダムってもしかして玲二さんが作ったガンプラですか!?」

 

「おおリク、すぐに合流出来て良かった。ああ、これはこの間俺が作ったRGのゴッドガンダムだ」

 

「RG!?ゴッドガンダムにRGがあるんですか?!」

 

「あれ?こっちの世界ではRGのゴッドガンダムって出てないんですか?」

 

「うん、最後に出たヤツだとフォースインパルスだね」

 

マジか、結構前だな?まあRe:Riseが終わった辺りって考えたらそうなるのか?やっぱりこの世界と俺達の世界では若干時間の進み方が違うみたいだな。

 

「それじゃRGでジオングやHi-νやアニメ版ウイングもないのか?」

 

「え?!ジオングもRGあるの?!」

 

「それにHi-νやウイングもあるなんて、凄く見てみたい!」

 

「なら今度は皆さんを私達の世界に招待しますね♪他にもこっちの世界にないガンプラが沢山ありますから♪」

 

「本当に!?またあの世界に行けるなんて夢みたいだよ!」

 

「まあそれは後で考えるとして、まずはイベント参加する為にエントリーを「こらあぁーーーッ!其処のプレイヤー、早くこのゴッドガンダムしまいなさぁーーーいッ!!」……その前にゴッドをしまわないとな」

 

そして俺達はイベントブースエリアでゴッドガンダムを出した事で運営側にこってり怒られてしまった。ゴッドのクオリティに興奮してしまったが流石にあの登場の仕方はまずかったな……

 

 

 

次回、イベント開始!!




はい、という事で再びビルドダイバーズの世界に来る回でした!
今回は短めですが冒頭という事でお許し下さい( >Д<;)

そして玲二の今回の機体はゴッドガンダム、果たしてイベントで活躍するのでしょうか?次回もまったり待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第81話『ホロライブのガンプラ+α』

台風が来て風が強いですね……皆さんも強風には気をつけて必要があれば安全な場所へと避難をしてください。

さて、今回はイベントに参加するホロメン達の機体チェックです。果たしてどんな機体が出るのか?最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


「はあ、かなり怒られてしまったな……」

 

「当たり前ですよ!こんな広場のど真ん中にゴッドガンダムを着地させるなんて、幾らGBNでもダメですって!」

 

「ぱーぱ、よちよち」

 

「ちー」

 

あの後俺達は運営側に怒られてしまい、気づけばイベント開始間近となってしまった。フブキにも怒られてしまったしもう悪ふざけな登場の仕方は止めよう。それとこゆきもふゆきもありがとな、でも今回はパパが悪いから大丈夫だよ。

 

「あ、玲二君戻って来たんだね?」

 

「ああ、心配させてすまなかったな……あれ?そら、かいりは何処にいるんだ?」

 

「あ、かいり達なら今彼処にいるよ♪」

 

そう言ってそらが指差した方を見るとかいり達が狼?みたいな姿をした獣人に遊んでもらってる姿が……ってあの人って

 

「あの人、確か虎舞龍のタイガーウルフじゃないか?」

 

「あ、やっぱり玲二さん達は知ってたんですね?」

 

「ああ、リク達の活躍をアニメって形だけど見てたからな。にしてもなんでかいり達がタイガーウルフに?」

 

「それがかいりがタイガさんを見つけた瞬間に駆け寄っちゃって、それで皆もタイガさんの所に集まっちゃったんだ」

 

成る程、確かにかいりは動物大好きだからよく皆が飼ってる猫達とももふもふしてるもんな。

 

「もふもふ~♪」

 

「お、おいこらそんなに群がれたら動けねぇって……!?」

 

「ほらかいり、この人も困ってるからそろそろ放してあげな」

 

俺はタイガーウルフことタイガさんの頭に乗っかってるかいりを抱き上げ抱っこした。かいりは俺の顔を見るなりキャッキャと笑いながら引っ付いてくる。

 

「すみません、うちの子供達が迷惑を」

 

「い、いやそれは大丈夫だ……それよりもしかしてあんたがリクの言ってた異世界からの来訪者って奴か?」

 

「まあそうですね、俺は佐々木玲二と言います。そしてこっちが妻のそらとフブキ、そしてこの子達が自分達の子です」

 

「「よろしくお願いします、タイガさん」」

 

『こんちゃー♪』

 

フブキとそらと子供達が挨拶するとタイガさんは驚いた様子で子供達とフブキ達を交互に見る。まあそりゃ一夫多妻な上にこんなに子供がいれば誰でも目を疑いたくなるわな?

 

「お、おう……リクから聞いてはいたがまさか本当に奥さんや子供が何人もいるんだな……?」

 

「まあ、そうですね……それより聞きたいんですが、タイガさんがいるって事はシャフリさんもいるんですか?」

 

シャフリさんとはビルドダイバーズの主要人物の一人で正式名称はシャフリヤールという。フォースSIMURGHのリーダーであり作中でも1,2を争うガンプラ愛に溢れた人だ。タイガさんもいるから多分近くにいると思ったんだが……?

 

「おいおい、あの野郎と俺をセットみてぇに言うな。あいつは今リアルが忙しくて来れないんだとよ」

 

「あ、そうだったんですね?あの人のガンプラを実際に見てみたかったから少し残念ですね」

 

「ま、それは別の機会に俺のいないとこでしてくれ。それよりさっき広場に現れたゴッドガンダム、あれもしかしてお前のか?」

 

「え?ああはいそうですが……」

 

「ごっと~♪」

 

やっぱあんな派手な登場したら目立つよな?現に今も周りのプレイヤー達が俺達の事をチラチラと見ているし。久しぶりにガンプラを動かしたからテンション上がってしまったけど次からは気をつけないとな。

 

「そうかそうか!俺も長い事ガンプラを作ったりバトルしてきたがあそこまで完成度の高いゴッドガンダムは初めて見たからな。お前、シャフリの野郎に負けねぇくらいの相当腕のあるモデラーみたいだな?」

 

「あ、アハハ、そうですか……」

 

………墨入れとヤスリがけしかしてないんだけどな?それで凄いのは俺じゃなくてB○ND○Iの変態技術だからあんまり素直に喜べはしないな……

 

「そ、それよりそら、もう皆はエントリーし終えたのか?」

 

「うん、皆と玲二君の分のエントリーはリク君とマギーさんが手続きしてくれたから後はイベント開始を待つだけだよ♪」

 

そうか、ならその間他の皆の所に行くか。フブキの話だと今回は各期生が一人ずつ代表で参加するみたいだから誰が参加するのかも確認したいしな。俺は取り敢えずかいりを抱っこしながらリクとタイガさんと一緒に回る事にした。

 

 

 

 

 

―0期生―

 

「0期生はロボ子が参加するのか」

 

「うん、ボクのとっておきのΞガンダムが火を吹くよ~♪」

 

ロボ子のはΞガンダムか。しかもガンメタブラックの重塗装Verか。まあこの機体はちょっと悪役っぽい見た目だからある意味似合ってるな。

 

「す、凄い!SDじゃないΞガンダムまであるなんて!?」

 

「すげぇな、話には聞いてたがまさかこんな物までそっちの世界にはあるのか……」

 

「あ、そっか。さっきの話だとこっちの世界じゃまだ発売されてないのか」

 

どうやらこの世界のガンプラは俺達の世界より二、三年ほどずれてるみたいだから去年発売したΞもこっちじゃまだ未発売みたいだな?他にもビルドファイターズのガンプラもないからやっぱりファイターズとダイバーズって世界線的には別の世界って事なのか?

 

「いっつもEXVSではマスターに負けてるけど今回は絶対に勝つから覚悟しててよね♪」

 

「お、言ったな?こっちだって負けるつもりはないからな。にしてもよくすんなりロボ子で決まったな?てっきりすいせいやみこが参加したがると思ったんだが……?」

 

「あー……実は他のメンバーは参加出来るような物じゃなかったというか……」

 

?どういう事だ?参加出来るような物じゃないって………ん?なんか奥の方で落ち込んでるすいせいとみことそれを慰めてるアズキの姿があるけど、その後ろは…………

 

「……なんでこんなエリアに名古屋城とおでんの屋台車があるんだ?全然世界観合ってないんだが……?」

 

「……それ、すいちゃんが作った名古屋城」

 

「そっちのおでんの屋台はみこが作ったにぇ……」

 

なんじゃそりゃ?確か俺達の使用する物はガンプラに関わらず直近で作った物が反映されるって感じだが、まさか唯の建造物まで反映されてしまうのか?確かにこれじゃあ参加なんて出来ないよな?すいせいに至っては本当に動けないし。

 

「という事はアズキもか?」

 

「うん、アズキのはメリー号だったよ」

 

メリー号?ああ、ONE PIECEか。確かに他の二人に比べたらマシかもしれないがそれも参加出来ねぇな。動ける範囲が水辺しかねぇし。

 

「でもこの城も屋台も作り込み凄いですね……」

 

「ああ、まるで本物そっくりだな……」

 

「最近配信してない時も夜更かししてると思ったけどこれの為だったのか?」

 

本当にムダにクオリティー高いんだよこの二つ。にしてもなんで名古屋城と屋台車だったんだ?他にもあっただろ?

 

まあ取り敢えず二人の事はアズキ達に慰めてもらうとして次は1期生の所に行くか。

 

 

 

 

 

 

―1期生―

 

「あ、玲二君!もう身体は大丈夫なの?」

 

「ああ、もうすっかり元気だ。それはそうと1期生はメルが参加するんだな?」

 

「うん、アキちゃんとジャンケンして決めたの♪」

 

あれ?アキだけか?フブキとはあととまつりは……ああそっか、この三人は前回バトルしたから今回はお預けって事か。

 

「それで?メルは一体どんな機体なんだ?」

 

「うん♪メルのパートナーはぁ~……この子でーす♪」

 

この子?……………………おいなんじゃこれ?

 

「……………お前、これ“インペリアルドラモン”じゃねーか?!しかもパラディンモードの!?」

 

「メルあれからデジモンの魅力に気づいてたまに作るようにしてるんだよね~♪」

 

いや確かにメルのショーケースには結構デジモンあったけどまさか此処でもそれが反映されたのか?!

 

 

『Figure-rise Standard Amplified インペリアルドラモン パラディンモード』

『劇場版デジモンアドベンチャー02 ディアボロモンの逆襲』に登場した究極体デジモン。黒いボディが純白へと変わり更にオメガモンから託されたオメガブレードの一振で敵のアーマゲモンを斬り裂いた。その雄々しき姿をAmplified造形でより繊細な姿へと変更されている。

 

「こ、これって、どうみてもガンプラではないですよね……?」

 

「こいつは、ドラゴン?竜人?よく分かんねぇな?」

 

「どら~♪」

 

「クッ……もしジャンケンで勝ってさえいればアキロゼのムゲンドラモンが火を吹いたのに……!?」

 

「ってお前のもデジモンだったんかい?!」

 

だったらある意味メルで良かったわ!ウィルス種の究極体デジモンなんて下手すりゃGBNに悪影響出そうだし!何となくだけど!

 

「ま、まあ兎に角これでも参加出来るなら問題ないから良いのか?」

 

「うん♪という事で玲二君、もしメルが勝ったら今夜は朝までかぷかぷさせてね♪」

 

はいはい、勝てたならな。因みにメルの言う朝までかぷかぷとはとある隠語である、何とは言わんが。

 

 

 

 

 

 

―2期生―

 

「さて、2期生はっと………?なんだ?なんか人集りが出来てるみたいだが……?」

 

「あ、玲二さんあれ!?」

 

あれ?……ッ?!あやめと玲菜がなんかゴツい鬼人に絡まれてる!?っていうかあの人、百鬼(ひゃっき)のフォースリーダーのオーガじゃないか!?なんでそんな人があやめに絡んでんだよ?!

 

「ちょちょちょッ?!ど、どうしたんだあやめ!?」

 

「あ、れ、玲二様……」

 

「ぷあ、ぱぱぁ……」

 

……二人ともすっかり怯えた様子だ。普段なかなか泣かない玲菜も涙目で俺に助けを求めているし、一体何があったんだ?

 

「……おいあんた、俺の大切な家族に何をしてんだ?」

 

「……フン、別に何もしてはいない。俺はただ、こいつを作ったっていう奴の顔を見に来ただけだ」

 

こいつ?そう言うとオーガは俺の後ろに向かって指を差し、其処にあったのは以前切菜さん達を助ける為に使用したアストレイパワードレッドがどっしりと構えていた。

 

「アストレイ?って事はあやめが今回参加する事になったのか?」

 

「う、うん……それで今メンテナンスの為に此処で出してみたらいつの間にかこの人が……」

 

「成る程……だがそれならそんな威圧感出す必要はないだろ?お前、一体どういうつもりなんだ?」

 

「フン、決まっているだろう?これだけの技量が詰まったこのアストレイを作れるこいつは間違いなく相当の手練れだ。お前がもしこのイベントに参加し俺の前に現れたなら……その時は遠慮なく戦わせてもらうぞ」

 

オーガはそう言ってその場から去っていくと、緊張の糸が切れたのかあやめはヘタンと座り込み玲菜もグジュグジュと鼻水を垂らしながら泣いてしまった。

 

「ふ、ふぇ……怖かった余ぉ~……」

 

「ぷあ、ふえぇ……」

 

「あいつ、子供もいるのになんて威圧感出しやがるんだ……ほらおいで玲菜」

 

泣いてる玲菜をあやめから受け取り抱っこすると玲菜はそのまま俺の胸に顔を埋めて泣き続ける。そんな玲菜をもう片方の腕に抱かれていたかいりが優しく頭を撫でてあげていた。

 

「れーな、よちよち」

 

「ぷえぇ~……」

 

「す、すみません玲二さん。オーガは別に悪気があってやったワケじゃないんで……」

 

「なら余計に質が悪い。こっちには子供もいたんだからあんな威圧感出したら子供が怖がるなんて普通に分かる筈だろ?あの野郎、次あったら絶対にあやめと玲菜に謝らせてやる」

 

幾らGBNに赤ちゃんがいないから仕方ないかもしれないとは言え俺の子を泣かせた事には変わりねぇんだ、その辺の落とし前はつけさせてもらうぞ。

 

「それはそうとあやめ、他の皆はどうしたんだ?」

 

「う、うん、今皆子供達と一緒に出店に行って遊んだりしてると思う余。このイベントも余がやりたいって言ったら皆余に任せるって言って行っちゃったし」

 

成る程な、確かに2期生は他の期生組に比べるとグループ全員で行動する事が極端に少ないからこういった点も仕方がないのかもしれない。だがせめて誰か一人ぐらいメンテ手伝ってやっても良かったんじゃねぇのか?

 

「全く、あいつ等もタイミングが悪いというかなんというか……」

 

「で、でも余はもう大丈夫だよ玲二様!アストレイも見た感じ何処も異常はないし玲菜も後は余があやすから玲二様は他の皆の所に行ってあげて!ほら玲菜、戻っておいで~♪」

 

「あぅ、あいぃ~……」

 

あやめはそう言って玲菜を受け取り頭を撫でてあやしていく。玲菜も大分落ち着いたみたいだし、あやめの言う通り他のメンバーの所に行ってみるか。

 

 

 

 

 

 

―3期生―

 

「…………おいマリン、お前これどういう事だ?」

 

「あ、あの、その……せ、船長も一体なんでこんな事になったのか……?」

 

「なんでってマリンが“これ”作ったからじゃん?」

 

「こんな事ならマリンがイベントに参加するのに賛成なんかしなきゃ良かったぺこだわ……」

 

「どうしよう……今から他と代わる?」

 

「でももうマリンで登録済ましちゃったから“これ”でやるしか……」

 

……本当になんてモン作ったんだマリンの奴。俺と3期生組は目の前に立ってるマリンの作ったプラモを見て頭を抱えていた。そのプラモというのが……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―マイティジャンプ!マイティキック!マイティーアクショーンX!―

 

《ヴェハハハハハハァッ!さぁ凡人共ぉッ!神の恵みをありがたく受け取れぇーーーーーーーーッ!!》

 

…………なんでよりによって『仮面ライダーゲンム』なんだよ?!しかもこいつ誰も操縦してない筈なのに勝手に動き出してるし喋ってるし?!

 

 

『Figure-rise Standard 仮面ライダーゲンム プロトアクションゲーマーレベル0』

『仮面ライダーエグゼイド』に登場したゲーム会社幻夢コーポレーションの社長檀黎斗が変身した姿。ストーリーを追う毎にどんどん狂っていき今現在は配信限定だが別作品にも登場する程製作サイドにも愛されてるクレイジーなキャラである。因みに本来のFigure-rise Standardではアクションゲーマーレベル2しかないが簡単な塗装を施す事で手軽にレベル0も再現出来る。

 

「おいどうなってるんだマリン?!こいつ意思持ってんじゃねぇか!?ていうか明らかにこいつ檀黎斗そのまんまじゃねぇか?!」

 

「し、知らないですって?!船長もさっき確認の為に出したら勝手に動き出して……!?」

 

なんじゃそりゃ?!……いや、そういや以前クロがディケイドを使った時もなんか門矢士が宿ったとか言ってたな?もしかしてこれの事を言ってたのか?!

 

《おい貴様等ぁッ!神である私を無視するとは何事だあぁッ!?》

 

「いやうるせぇよ?!大体此処はGBNの世界だぞ!何で仮面ライダーのキャラが平然といるんだよ?!」

 

《そんな物は私には関係ないッ!私は私の才能が導くままに動くまでだあぁッ!ヴェハァーハハハハァッ!!》

 

「な、なんか変な奴もいるんだな……?」

 

「というか誰も乗ってない筈なのになんで動けるんですか……?」

 

知るか!?兎に角此処にいたら同類と思われそうだしとっとと次の所に行くぞッ!

 

「あぁッ?!ちょっと玲二くん待ってくださいってばぁ~!?」

 

《ヴェハハハハハァーーーーーッ!!》

 

「こらあぁーーーーーッ!他のプレイヤーの迷惑になるから静かにしなさあぁーーーいッ!!」

 

 

 

 

 

 

―4期生―

 

「れ、玲二君どうしたの?なんか向こうが騒がしかったけど……?」

 

「………気にしない方が身の為だぞ?」

 

『?』

 

はぁ、疲れた……いつの間にかかいりも眠っちまったみたいだし、とっとと終わらしてイベント開始まで休もう。

 

「で?4期生からは誰が参加する事になったんだ?」

 

「はーい、ルーナなのらぁ~♪」

 

「のあ~♪」

 

お、4期生からはルーナか。腕にはキャッキャと笑うミーアが抱き抱えられている。参加するのがルーナという事は機体はSDか?いや、そういやこの間買ってたあれもあるからもしかしたら……

 

「ルーナの機体はこれ!スタービルドストライクガンダムなのら~♪」

 

「おお、やっぱりビルドストライクか。しかもスタービルドとはな」

 

 

『HG スタービルドストライクガンダム』

『ガンダムビルドファイターズ』に登場した主役機。三代目メイジンカワグチのガンプラとのバトルで大破したビルドストライクをイオリ・セイが更なる改造を施しより機動性を向上させた機体である。

 

「この間ネットショッピングしてたらたまたま見つけたから買ってみてすぐに作ったのら♪」

 

「おお、こいつはすげぇな。ストライクの改造機か?」

 

「それにこの完成度、一目見ただけでも凄い機体だってすぐに分かる……凄いよルーナさん!」

 

「おー!エヘヘ~、もっと褒めて褒めて~♪」

 

こら調子に乗るな。お前のソレも多少の改良はしてるが元はそのままだろ?それにしてもリクはスタービルドを見てすげぇ目を輝かせてる。やっぱり同じ主人公が使った機体という事で何かシンパシーでも感じるのか?

 

「本当はわため達も参加したかったけど皆乗り物系のプラモだったから仕方なくルーナたんになったんだよねぇ」

 

「まあそういう事だからワタシ達は皆して観客席からパパ達を応援すっからな♪」

 

「パパー、みんなー、がんばれ~♪」

 

そっか、他の皆は乗り物系だったのか。それなら仕方がないな。まあココやさくらも応援してくれてるし、より気合い入れて頑張らないとな。

 

 

 

 

 

 

―5期生―

 

「へぇ、5期生はねねが参加する事になったのか。それで一体どんな機体なんだ?」

 

「それがレイっちが来るまで内緒だって教えてくんなかったんだよね?」

 

「そーそー、代わりに皆此処で待っててくれって言われてさ」

 

「……というかなんで我輩まで?我輩もうホロライブではないんだが?」

 

5期生からはねねが参加する事になったらしいのだが肝心の本人が此処におらず代わりに他のメンバー、そして一緒に来てくれたアロエが集まっていた。一体どういう事なんだ?

 

「お待たせ~、ちょっといろいろ調べてたら遅くなっちゃった♪」

 

「まあそれは良いんだが……で、ねねの使う機体は何処にあるんだ?」

 

「んっふっふ~♪それはねレイ兄ちゃん……ねねの機体はなんと!ねね達全員なんだよ!」

 

…………はい?なんだそれ、どういう……っておいなんだそのオモチャみたいな銃は?なんか見覚えがあるんだが……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃあいっくよ~!大合体ッ!!」

 

―ドンッ!ドンッ!ドンッ!ドンブラコォッ!大合体!―

 

―ドッキュウゥンッ!―

 

な、なんだぁ?!ねねが急に銃を上に撃って変な音声が流れたと思ったら5期生全員が船に乗って上空へと上がっていってる?!こ、これってもしかしなくても……!?

 

―~♪大合体!大合体!―

 

「な、なんだこれ~!?」

 

「おいおい何が起こってんだぁッ?!」

 

いきなり船から飛び出したぼたんとポルカが慌てるも二人とも光に包まれぼたんが黒い犬のロボットに、ポルカは黄色い鬼のようなロボットに変身しそのまま二人とも足のような形へと変形していく。そしてその上にいつの間にかサングラスを掛けた赤い侍のようなロボットに変身したねねが待ち構えていた。

 

「お供ども、足となれぇッ!」

 

「誰がお供だぁーッ!?―ガシーンッ!―わおーんッ!」

 

「どうなってんだよこれぇッ?!―ガシーンッ!―ポルーッ!」

 

そしてそのままポルカは右足に、ぼたんは左足へと合体していき、更にその上にいつの間にか青い猿?ゴリラ?のロボットに変身したラミィとピンクの鳥のロボットに変身したアロエが飛来してきた。

 

「なんでラミィがゴリラなのさぁッ?!これはどっちかって言うとかなたんじゃ―バッキィンッ!―うわぁッ?!」

 

「えッ?えッ?まさか我輩も―バッキィンッ!―痛ぁッ?!……くはないのか?」

 

すると二人は身体が半分ずつに分かれ変形していく……え?あれで本当に痛くないのか?

 

「お供ども、腕となれぃッ!」

 

「いやその為のゴツい腕なのかぁーいッ!?―ガシーンッ!―ウホッホゥッ!」

 

「え?ラミィちゃんが両腕なら我輩は?―ガシーンッ!―……え?我輩肩だけ?―ガシーンッ!―あ、我輩のしっぽだ」

 

ねねの掛け声と共にラミィは両腕に、アロエは両肩に本体と背中にしっぽが旗のように突き刺さり最後にねねのお腹と頭に別パーツが装着されると着けていたサングラスが上に上がり厳つい目が現れた。

 

―完成ッ!ドンオニタイジンッ!!―

 

―ヨッ!銀河一ッ!!―

 

『なんじゃこりゃあーーーーーッ?!』

 

いやマジでなんじゃこりゃだよ?!まさかねねが作ってたのって『ドンオニタイジン』だったのかよッ?!

 

 

『ミニプラ ドンオニタイジン』

『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』に登場する合体ロボ。ロボットを召喚したり出撃するのではなくなんと本人達がロボ化して合体するという戦隊シリーズの中でも珍しい合体をするロボットである。尚、合体しただけでは通常の人とほぼ変わらない背丈だがドンオニタイジンのアバタロウギアを使う事で巨大化出来る。

 

「どぉレイ兄ちゃん、ねね凄いでしょ~♪」

 

「いやマジで何してんだよお前?!なんでお前ドンオニタイジンなんて作ってんだよ!?あれプラモったって食玩じゃねぇか!?」

 

「「…………………」」

 

ほらリクとタイガさんもいきなり過ぎて唖然としてしまってるし!?ってか仮面ライダーといいスーパー戦隊といいなんでこの世界でこいつ等のデータが反映されるんだよ?!

 

「ってかこれなんなのさ一体?!」

 

「なんでポルカが足なのさ!?せめて腕やらせてよ!」

 

「ラミィだってこんなゴツい腕なんてやだよ!」

 

「というかこれは一体なんなのだ?!」

 

「フッフッフ……文字通り、皆ねねの手足になったのさ!ハァーッハッハッハァッ!」

 

『ふざけんなコラァッ!!』

 

ぼたん達が怒りながら震えているが当のねねは高笑いするだけで全く反省していない。全く、これは後でお仕置きかな?というか他の四人はドンブラザーズを知らないのか?

 

「れ、玲二さんまた人集りが出来はじめたのでそろそろ離れたほうが……?」

 

「そ、そうだな……ったくねねの奴、帰ったら説教だからな」

 

俺は人集りがまだ少ない方を進み残りの皆がいる所へと向かう事にした「ハアァッハッハッハッハァーーーーーッ!!」……まだねねが高笑いしてるし……

 

 

 

 

 

 

 

―6期生―

 

「ん?おおパパ!吾輩のガンプラを見に来てくれたのか?」

 

「おーラプ。その言い方だと参加するのはラプなのか?」

 

「えぇ、ラプがどうしても参加したいって言うから仕方なく折れてあげたわ」

 

「うぅ、本当は沙花叉がお兄ちゃんと一緒に参加したかったのにぃ~!」

 

クロヱがなんか悔しそうに半泣きになってるが別に今日参加出来なくたって此処に来れば何時だって遊べるんだから別に良いだろ?それにチーム戦というワケではないんだし一緒に参加したところでどっかで戦う羽目になるだろうし。

 

「それで、ラプのガンプラは何処にあるんだ?」

 

「ふっふーん♪パパ、見てびっくりするなよ~?これが吾輩が頑張って一人で作ったガンプラ!『ターンエーガンダムシン』だッ!!」

 

 

『HG ターンエーガンダムシン』

『ガンダムビルドファイターズ炎』に登場したターンエーガンダムの改造機。ターンエーの象徴とも呼べる白ヒゲフェイスは通常のガンダムのようなフェイスになり肩アーマーや腰周り等が新規パーツとなっておりターンエーに本来のガンダムの要素を上手く合わせた機体である。尚、このガンプラはその分のシールはないものの普通のターンエーも作れたりする。

 

「ほぉ?こいつはなかなかおもしれぇガンプラだな」

 

「凄い……ターンエーがこんなに普通のガンダムに見えるなんて、玲二さんの娘さんも凄いんですね!」

 

「フフーン♪そうだろそうだろもっと吾輩の事褒めろ~♪」

 

「こらラプ殿、調子に乗らないでござるよ。このガンプラだって風真とこよちゃんが一緒に手伝って出来た機体でしょうが」

 

あ、やっぱりラプ一人で作ったワケではないのか。ラプって素組ぐらいまでは楽しそうに作るんだが塗装とかになると途端に面倒臭がるんだよなぁ……まあただ誰かが手伝ってやると一緒にやりたがるから実際は誰かに甘えたいんだろうな?

 

「ところでパパ、ママとこゆき達は何処にいるのだ?」

 

「ああ、フブキは今他の皆と一緒に屋台を回ってるみたいだ。まだイベント開始まで時間があるしラプも行ってみたらどうだ?」

 

「おお!なら吾輩さっきの所にあったりんご飴食べたいぞ!ほら幹部、皆!早く行くぞ~♪」

 

「はいはい、という事だから私達も言ってくるわ。それじゃレイレイ、また後でね♪」

 

ラプは目を輝かせながら出店が並ぶメインストリートへと駆け出していき、残りのメンバーもラプを追うように出店に向かって姿を消していった……ってターンエーしまってけよ!?

 

 

 

 

 

 

―ゲーマーズ―

 

「……………おいおかゆ、流石にこれはまずいんじゃないのか?」

 

「そ、そうだよねぇ?うーん、どうしよう……?」

 

「まあ事情は知らなかったとはいえ確かにこれは危ないかも……?」

 

ホロライブ組ではラストのゲーマーズ、どうやら参加するのはおかゆらしいのだが……まさか『アルスアースリィ』とはな……

 

 

『HG アルスアースリィガンダム(ロービジビリティVer)』

『ガンダムビルドダイバーズRe:Rise』に登場したラスボスアルスが使用したアースリィガンダムを模倣して作られた機体。ガンダムの名を持つがあくまでも元となったコアガンダムの名前をそのまま使用しているだけでありフェイスはガンダムとは全く違う物となっている。ロービジビリティVerだとアルスコアガンダムのカラーが黒から白に変更されている。

 

「これって、もしかしなくてもあのアルスって奴が使ってたガンプラですよね……?」

 

「おいおい、こんなモンまでそっちの世界にはあんのかよ?」

 

やっぱりリクやタイガさんも当事者だっただけにこの機体の事は知ってたか。それじゃ尚更この機体を出場させるのは危ないか?

 

「これ事件の当事者が見たら間違いなく質問責めにあうぞ?」

 

「そ、そうだよね……?うーん、しょうがないからやっぱり僕は棄権しようかな「あら、その心配はないわぁ♪」……え?」

 

え………あ、マギーさん!?こっちに来てからまだ見てなかったけど相変わらず元気そうだな。それにマギーさんの後ろにいるのは、まさか!?

 

「え、マギーさん!?それにその人達ってもしかして……?!」

 

「あら、やっぱり貴方達にはすぐに分かったみたいね?そう、この子達がリッくん達とは別のもう一つのビルドダイバーズよ♪」

 

やっぱり!いつかは会えるとは思ってたがまさか此処でもう一つのビルドダイバーズのメンバー達と会えるなんてな!

 

「おう!あんた等がマギーさんの言ってた異世界からの来訪者って奴か?俺の名はカザミ!人呼んでジャスティスナイトカザミだ!よろしくな!」

 

「あ、あの、は、はじめまして!僕パルヴィーズっていいます!パルって呼んでください!」

 

「あ、ああ……佐々木玲二だ、よろしくな。それと……」

 

「……ああ、すまない。私はメイ、姉さんがそっちの世界で世話になったらしいな?」

 

ああ、確かそんな事あったな?戻った時に何故かユッキーとサラが何故か一緒に着いてきた時はマジでびっくりしたけどあれはあれで楽しかったし全然良いんだけどな。そんで残るのは……

 

「……こっちの世界に来たら一度は会ってみたいと思ってた。君がヒロト君であってるかな?」

 

「……はい、俺もリクさんやマギーさん達から話を聞いて一度は会ってみたいと思ってました、玲二さん」

 

そう、この新生ビルドダイバーズのリーダー格であるRe:Riseの主人公、『ヒロト』だ。彼の作るコアガンダムシリーズはどれも魅力的であり、特に宇宙戦仕様のジュピターヴが一番のお気に入りで改造込みで何度も作ったのは良い思い出だ。俺達の世界ではコアガンダムは普通に商品として出てるがあれをフルスクラッチで作ったこいつはマジで凄いと思う。

 

「それと先程の広場で見たゴッドガンダム、あれを見た瞬間一度戦ってみたいと感じました。イベントの時はあれと戦えるのを楽しみにしています」

 

「ああ、俺も楽しみにしてる。必ず戦おう!」

 

「あ、その時は俺達も参加するから玲二さん、覚悟しててくださいね?」

 

望む所だ。誰が相手でもこの勝負、必ず勝ってみせる!

 

「ところでマギーさん、さっきのあれはどういう意味なんですか?」

 

「あれ?ああ、アルスの機体の事ね。あれは当事者の皆には私から連絡しておくし、それにあの一件をイベントの一種だと思ってたプレイヤーにはこの機体はあくまで珍しいガンプラってだけにしか思われないから心配ないって事よ♪」

 

成る程、それなら確かに安心だな。まあそれよりもっと不安な奴等もいるし……

 

《ヴェハハハハハハァーーーーーッ!!》

 

「ハアァッハッハッハァーーーーーッ!!」

 

……まだ高笑いしてるし、ってか声がデケェし……はぁ、仕方ないから一回黙らせに行くか。

 

 

 

こうしてもう一つのビルドダイバーズと対面したのは良いのだが先程からずっと喧しい二人?を黙らせる為仕方なく戻っていく玲二であった。

 

次回、いよいよイベント開始!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―オマケ―

 

「ねぇ何で僕達参加する事が出来ないのさぁ?!僕達だってガンプラちゃんとあるのに!?」

 

「ですからPGやメガサイズは規格外ですので参加は出来ません!なので申し訳ありませんが諦めてください!」

 

「はぁ、こんな事ならアカリもメガサイズのユニコーンなんて作らなきゃ良かったなぁ……」

 

「シロもPGのザクIIだから参加出来ないしね……皆良いなぁ~」

 

作ったのがまさかの全員大型キットだった為に参加すら許されなかったその他組であった。




はい、という事でガンプラチェック回でした!何名かはガンプラではないですが……(^^;

そして原作キャラ達も次々と登場し次回はイベント開始!まったり待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第82話『コンティニューしてでもクリアする!』

最近ガンプラの再販についてマナーのない客のせいで店側が迷惑しているという話をちらほら聞いて悲しく感じてしまいました……(;ω;)
仮に純粋に欲しい人だったとしても店に迷惑をかけるのは転売ヤーとやってる事が一緒なのでそういった行為は本当に止めてほしい限りです。

今回はタイトル通りあの神が戦います。最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


〈お待たせしました!只今より本日のメインイベント、空島の宝探しを開催致しますッ!!〉

 

遂に始まるか……あの後バカ騒ぎしてたあいつ等抑えるのに時間が掛かって全然休めなかったが、いざ始まるとなるとやっぱ楽しみで仕方がない!そして今回は宝探し、という事は探索系のイベントみたいだな?

 

〈ルールは簡単!この空島エリアに散らばる宝箱にあるポイントを集めていき、より多くのポイントをゲットしたプレイヤーの勝利です!またポイントを持ってるプレイヤーを撃破する事で相手の保有するポイントを奪う事も出来ます!そして撃破されたプレイヤーは一分間のクールタイム終了後に再びスタート地点から再出撃出来ます!〉

 

成る程、なら他のプレイヤーにわざと宝を見つけさせて其処を襲撃する手もあるのか。だがその場合失敗すれば全くポイントを得られないままゲームが終わってしまう事になりそうだな。

 

〈制限時間は一時間!宝箱は見つかりにくい場所程高得点なので皆さん頑張って探してください!それではまもなくゲームスタートです!〉

 

……いよいよ始まる。周りには多くのプレイヤーが既にスタート出来る準備を終えている。俺もゴッドガンダムのブースターを展開し何時でも出られるようにしている。後は、スタートの合図を待つだけだ……!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―GAME START―

 

よし、始まったッ!スタートと同時に俺はゴッドガンダムの機動力を活かし直ぐ様奥の森林へと向かった。目指すは空島の山岳地帯!おそらくだが遠い分ポイントとかも多くある筈だ!

 

 

 

〈……凄い、一瞬で山岳地帯の方に向かって消えて行った……!?〉

 

〈あれが異世界のビルダー、玲二さんのゴッドガンダム……俺も、負けてはいられないな〉

 

 

 

山岳地帯へと向かった玲二を見てリクとヒロトも自分の機体を出撃させゴッドガンダムを追うように山岳地帯へと向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―森林地帯 サラ視点―

 

「えっと……あ、また宝箱あったよ♪」

 

〈姉さん、こっちにも二つ見つけたぞ〉

 

森林地帯ではサラとメイのLダイバー組が二人で協力し宝箱を集めていた。この二人は其処まで上位を目指すつもりはなくただ楽しむように宝探しをやってるようだ。

 

〈……そういえば姉さんは別世界とはいえリアルの世界に行ったのだろう?その……どういう感じだったのだ?〉

 

「え?うーん……最初は戸惑ったりしたけど、ガンプラのボディじゃなくて人間のようにユッキーや玲二さん達と過ごせて、それで皆と美味しい物を食べたり可愛いお洋服を着れたりして凄く楽しかった♪」

 

〈………そうか〉

 

サラから別世界で生身の身体を得た感想を聞いたメイは何処か羨ましそうな顔をしていた。それを見たサラも何かを察したようで……

 

「………もしかして、メイも生身でリアルに行ってみたいの?」

 

〈ッ!?い、いや、少し羨ましく思っただけだ。それに幾ら生身の身体を得てリアルに行けてもそれは一時的な物に過ぎない。こちらの世界に戻ればまた元のLダイバーに戻ってしまうのだろう?それならエルドラに行くのとそう変わらないだろうし、だったら私はそちらでも構わないからな……〉

 

「メイ……」

 

サラは何となく気づいてしまった、メイも本当はリアルの世界に憧れている事を……

 

確かに自分達Lダイバーは普段はGBNの中で過ごしリアルに行く時はガンプラのボディに宿っている。しかしそれはあくまで作られたガンプラの身体であって本当の身体ではない。

 

故に食事も必要ないしリアルでの遊びや行動にも色々と制限が出来てしまう。だからたまに他のプレイヤーが話すリアルでの出来事に憧れを持ってしまう。

 

そしてそんなサラも一時的とはいえ別世界のリアルで普通の女の子として過ごしたという事実にメイは少なからず嫉妬心を抱いてしまってるようだ。幾らエルドラで似た体験が出来るとはいえ彼処はヒロトやリク達が過ごす世界とは全然違うのだから……

 

〈だからこの話はもう忘れてくれ。今は宝探しに集中しよ「ねぇメイ、もし私達が本当にリアルで人間として過ごせる方法があるとしたらどうする?」………え?〉

 

「……実は向こうの世界に行った時に玲二さんから聞いたんだ。戻る時にその気になれば私を人間としてリアルに送る事も出来るって」

 

〈人間として……!?それってどういう…………ッ?!姉さん伏せてッ!!〉

 

サラの言葉にメイが問おうとした瞬間何やら気配を感じたのかメイはサラに伏せるように指示をした。すると次の瞬間

 

―ズガガガガガァッ!―

 

「きゃあッ!?」

 

〈グッ……?!誰かいるのか!?〉

 

突然森の奥から銃撃が放たれサラを庇ったメイのウォドムポッドの一部に被弾し装甲が破損した為仕方なく残りの装甲も剥がしモビルドールの状態となり銃撃があった方に向かって武器を構えた。そしてその木の陰から現れたのは………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《楽しそうだな貴様等ぁ?ゲームマスターであるこの私を差し置いてぇッ!》

 

〈いやだからあんたこのゲームのマスターじゃないでしょうがッ!?〉

 

そう、仮面ライダーゲンムとその操縦者?のマリンであった。しかし案の定ゲンムはマリンの操縦を無視して勝手に動いているようだ。

 

〈お前は、確か佐々木玲二の仲間だったか?不意討ちとは随分卑怯なやり方をするんだな?〉

 

《ハッ!どんな手段を駆使してでもクリアする。それがゲームというモノだろうがぁッ!!》

 

〈いやだからってさっきから不意討ちし過ぎなんだって!もうお願いだから船長の言う事聞いてってばぁッ!?〉

 

「?……もしかしてあの機体、勝手に動いているの?」

 

操縦者であるマリンの悲鳴に似た声を聞き、二人はどうやらゲンムがマリンの操縦を受け付けず勝手に動いているという事に気づいたようだ。

 

〈……お前が何者かは分からないが、少なくとも邪悪な意思を感じる。もしお前がGBNの脅威となるのなら、此処で食い止めてみせる!〉

 

《ほぉ、神であるこの私を相手にするつもりか?良いだろう、コンティニューしてでもクリアする……ッ!》

 

〈だから言う事聞けってえぇぇぇぇぇーーーッ!!〉

 

こうして二人のLダイバーのモビルドールと仮面ライダーゲンムとの戦いの火蓋が切手落とされた。そんな中マリンも必死で操縦しようとするも全く受け付けずただ叫びが虚しく響くだけであった。

 

 

 

 

 

―視点変更 マリン―

 

〈はあぁッ!!〉

 

―ガキィンッ!―

 

《ぐうぅッ!?》

 

うわわわわ……ッ?!いきなり船長のゲンムがメイさんとサラさんに喧嘩売ってバトルが始まったんだけど、これ普通にヤバくない?!さっきからゲンムが幾ら攻撃してもサラさんのシールドで防がれるしその隙にメイさんが懐に入ってきてダメージを受けるし!もう残りのHPも僅かになってしまいましたよ!?

 

「ど、どうするんですか!?このままじゃ負けてしまいますよぉッ?!」

 

《黙れぇッ!神の才能を持つ私が負ける等あり得る筈がないいぃッ!!》

 

〈だったら思い知らせてやる、己の傲慢さを恥じるんだな!〉

 

―ドゴオォッ!―

 

《ぐおぉッ!?ガ……ハッ……》

 

ゲンムが体勢を立て直そうとする中でメイさんが容赦のない蹴りを放ちゲンムのHPゲージを0にしてしまった!それってつまり……!?

 

―GAME OVER―

 

―シュウゥゥゥ………―

 

やっぱりやられてしまったじゃん!?これじゃあさっきまで集めたポイントが全部無駄になるじゃん!?だから止めろって言ったのに………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………あれ?おかしいですね?何時まで経ってもスタート地点に戻らないし画面も暗いままですが……もしかしてバグった?

 

〈……取り敢えず退けたみたいだな〉

 

〈うん、これであの人のポイントも………あれ?さっきの人、500ポイントぐらいあった筈なのにメイのポイント全然変化してない?〉

 

〈何?一体どういう……〉

 

―ブオォンッ―

 

〈ッ!?姉さん後ろだ!〉

 

〈え………?―ドッゴオォンッ!―キャアァッ!?〉

 

………え?え?ど、どういう事ですか?何でゲンムがいつの間にサラさんを背後から蹴り飛ばしたんですか?!てかゲームオーバーになったのに何で………ってゲームオーバー!?って事は……!?

 

《ヴェハハハハァッ!残りライフ98ィッ!!》

 

―LIFE 99→98―

 

「やっぱりコンティニュー機能かぁーーーーーいッ!?」

 

そうだゲンムのレベル0は99もライフがあるから一回倒しただけじゃ意味ないんだわ!?

 

〈残りライフだと?!まさか、スタート地点に戻らずに即座にコンティニューしたという事なのか?!〉

 

〈しかもそれが後98もあるなんて……?!〉

 

《これが私が成せる神のゲームの力だあぁッ!ヴェハハハハァーーーッ!》

 

動揺する二人にゲンムは容赦なく再び攻撃を仕掛けていくけどやっぱり二人もすぐに対応して防いでいきますね……それにしてもなんか二人の動きが少し鈍いような気がするけど……?

 

〈クッ……!?さっきから機体の様子がおかしい……?!〉

 

〈う、うん、私も……まるで力がどんどん失われてるような……?〉

 

「力が失われてる?……ってまさか?!」

 

《フッフッフ……本来レベル0はバグスターウィルスを抑制する為の力だが、此処ではどうやらお前達にも有効なようだなぁッ!?》

 

やっぱりこいつの仕業かぁーーーッ!?今度はバグスターを抑制する為の力がこの世界だとガンプラの機体レベルを下げる力になっちゃってるみたい!?どどど、どうしよう!?このままじゃサラさんとメイさんが負けちゃう!?イベントだから本来だと勝ちたいけどこいつに好き勝手されるのは絶対に嫌なんですけど!?

 

―ガッチョーンッ!―

 

〈ッ!?させないッ!〉

 

《無駄だぁッ!!》

 

―ギュイィィィィッ!ズバアァッ!!―

 

サラさんがまたシールドを張ろうとしたけどそのエネルギーは既に少なく膜のような薄い物になっていて、そのシールドごとゲンムは容赦なく右手に装着してるバグヴァイザーツヴァイのチェーンソーで斬り裂いてしまった!

 

〈キャアァッ!?〉

 

〈姉さんッ!クッ!?よくも姉さんを……!〉

 

《ほお?まだ私と戦うつもりか?ならば、この私の本気を見せてやろうではないかぁッ!!》

 

え、本気の力?一体何を―シュウゥゥゥ……パアァァァンッ!―え?!な、なんか変な形のガシャットが出てきてるんですけど?!ってかゲンムって本来レベル2しかキット化してない筈じゃ……?!

 

《グレード無双……》

 

―無双ガシャットッ!ガッチャーンッ!無双Level up!―

 

―掴み取れ栄光のエンディング!漆黒の天才プレジデント!グレード無双ゲンム!―

 

―…バチッ……バチバチバチイィッ!―

 

ッ!?ぐあアァぁぁァあァアアァァァぁッ?!!?な、何、これ……?!あ、あた、しの中、に何か、がはいっ、てく、る……?!れ、れい、じ、く………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―視点変更 メイ―

 

《クククッ……ヴェハァーーーハハハァーーーーーッ!!これこそが、神の才能を持つ私が創りあげた究極の力……仮面ライダーゲンム、無双ゲーマーだあぁーーーッ!!》

 

「な、何がどうなっているというんだ……?!」

 

〈わ、分からない……けど、とても嫌な感じがする……!?〉

 

サラとメイはかつてない程に恐怖を感じていた。目の前にいた自分達モビルドールと同じような姿の漆黒の戦士が突如として神々しくも禍々しい姿へと変貌し、その放たれる恐ろしい程の威圧感から二人は全く動けなくなってしまう。

 

《ほぉ?どうやら本能は正直なようだな?勝てないと悟り動けなくなったか……なら神からのせめてもの慈悲だ、一瞬で終わらせてやろうではないかぁッ!!》

 

―ガッチョーンッ…ガッチャーンッ!GENM CRITICAL FINALE!!―

 

ゲンムはバックルの横にあるレバーを閉じ再び開くと両腕両足に高出力のエネルギーが集まっていき、そして……

 

―ブオォンッ……―

 

―ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガッ!!!―

 

―PERFECT―

 

「〈キャアアァァァァーーーーーッ?!〉」

 

―ドッゴオォーーーーーンッ!!―

 

次の瞬間、ゲンムは目にも止まらないスピードで二人に連続で攻撃していき最後にはなす術なく二人は上空に飛ばされ爆散してしまったのであった。

 

《……クククッこの力があればこの世界で私はまたやり直せる。この世界で今度こそ私は……私が望むままの新時代を築き上げるのだあぁッ!ヴェハーーーハハハァッ!!》

 

ゲンムは二人からポイントを手に入れるとすぐにその場から去ってしまうのであった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―スタート地点 サラ視点―

 

「……メイ、大丈夫?」

 

「あ、ああなんとか……だが、スタート地点に戻った筈なのに機体が全然修復されてない。これが奴の力だというのか……?!」

 

「……あのゲンムっていうのに乗ってたマリンって人もあの禍々しい姿になってから反応が消えてた……このままだとこのGBNがゲンムに支配されてしまうかも!?そうなる前に急いでリクや玲二さんにこの事を知らせないとッ!」

 

ゲンムの力によって機体がボロボロに大破されてしまったサラとメイ。果たしてゲンムの暴走を止め無事にマリンを助ける事は出来るのか……?

 

 

 

―To be continue―




はい、という事で神暴走です!果たして止められる者はいるのか……( ; ゚Д゚)

けど次回は別視点で他のメンバーが戦います。次回もまったり待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第83話『いざ尋常に勝負勝負!』

気づけば9月ももう終わり、そして気づけば自分の手にはアトラスガンダムが……積みプラが溜まってしまう中反省はすれどゲット出来た嬉しさの方が勝ってしまってます……(ー_ー;)

今回はねね達5期生組の戦いです。最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


―平原地帯 パル視点―

 

「えーと……あ、あった!今度は……やった!150ポイントだ!」

 

森林地帯でゲンムが暴走していたその頃、平原地帯ではパルが乗るSDエクスヴァルキランダーが着々とポイントを稼いでいた。かつては消極的だった彼も仲間達との戦いの影響で今ではすっかり積極的にGBNを楽しんでいるようだ。

 

「それにしても異世界から来たっていうあの人達は何処にいるんだろう?あの人達の作ったガンプラも見てみたかったんだけど、全然出会わないしなぁ……スタートしてからそれなりに時間が経ってるからそろそろ鉢合わせしてもおかしくなさそうだけど「ハァーッハッハッハァーーーッ!今ねね達の事を呼んだかーーーッ!?」ッ!?まさか!?」

 

パルが周りを警戒しながら進めていると突然後ろから高笑いが聞こえ、振り向くと其処にはねね達5期生が操縦?変身?したドンオニタイジンがずっしりと待ち構えていた。

 

「袖振り合うも多生の縁、躓く石も縁の端くれ、共に踊れば繋がる縁、この世は楽園!悩みなんざ吹っ飛ばせぇッ!ハァーッハッハッハァーーーッ!」

 

「いやそんなの良いから早く宝箱見つけなよ?!」

 

「そうだよ!ゲーム始まってから殆どこっから動いてないじゃん!?」

 

高笑いするねねに手足となった四人がギャーギャー文句を言っている。そんなドンオニタイジンに驚くもパルはすぐに珍しそうな感じで近くに寄って観察していく。

 

「す、凄い!全く見た事のない機体だ!?これは一体何をベースに作ったんですか?!それとももしかして全てフルスクラッチで組み立てたんですか?!」

 

「フッフッフ~♪其処は異世界の技術って事で秘密だよ♪それじゃ早速、いざ尋常に勝負勝負~!」

 

ねねはそう言うとドンオニタイジンを立ち上がらせエクスヴァルキランダーに対し拳を構えていく。それに対しエクスヴァルキランダーもすぐに離れ戦闘態勢に入る。

 

「異世界のガンプラビルダーとの戦い、緊張するけど……僕もビルドダイバーズの一人として負けるワケにはいきません!」

 

「うむ、その意気や良し!じゃあ皆、いっくよ~ッ!」

 

「もうこうなったらヤケクソだよ!いくよ、キジンソード!」

 

―ジャキィンッ!―

 

「あ、我輩のしっぽそんな名前なの?」

 

戦いが始まり両腕であるサルブラザーロボタロウことラミィが背中の旗のように立っているキジブラザーロボタロウことアロエのしっぽを取り二刀流の刀のようにして構えていく。そして互いに向かい合い間合いを徐々に詰めていき……

 

「……いきますッ!」

 

先にエクスヴァルキランダーが攻撃を仕掛けていった。ドンオニタイジンに向かいGNメガフレアーデバイスの砲撃を放っていく、がドンオニタイジンは見かけによらない俊足でその砲撃を避けて一瞬でエクスヴァルキランダーへと詰め寄っていった。

 

「ッ!?避けられた?!」

 

「ヘッ!そんなのあたしには止まって見えるわ~♪」

 

イヌブラザーロボタロウことぼたんの俊足により自分達の攻撃範囲に入り込んだドンオニタイジンはキジンソードの一撃を放っていく。エクスヴァルキランダーは急いでGNガンブレードで応戦しようとするが防御が間に合わず吹っ飛ばされてしまう。

 

―ガキイィンッ!―

 

「うわあぁぁぁぁッ!?」

 

「よぉーし!そんじゃもういっちょ〈させないッ!〉ッ!?」

 

倒れるエクスヴァルキランダーにドンオニタイジンが追撃をしようとしたその時、死角から別のSDガンダムに襲撃されバランスを崩して倒れてかけてしまう。そしてSDガンダムは吹っ飛ばされたエクスヴァルキランダーへと駆け寄り手を差し伸べていく。

 

〈……大丈夫?〉

 

「あ、アヤメさん!?有り難うございますッ!」

 

パルは駆け寄ってきたSDガンダム、RX-零丸の搭乗者であるアヤメにお礼をし差し伸べられた手を掴み立ち上がっていく。

 

〈あの機体、どうやら玲二さん達の仲間のガンプラ?のようね?あの人の仲間には一度やられた事があるからリベンジしたいと思ってたのよ〉

 

「アヤメさんが?!やっぱりあの人達、相当凄いビルダーだったんだ……!?」

 

……実際はその時に戦ったクロの使用した仮面ライダーディケイドに他の意思が宿りそのせいで負けたのだが、それでもアヤメにとっては脅威である事には変わらず、そしてパルもそんな強いガンプラ?を作る技術とそれを巧みに操縦する異世界のビルダー達により強い興味を示していく。

 

「うぐぐ、まさか助っ人がやってくるなんて……!?」

 

「ほら調子に乗ってるからそんなあっさりとやられるんだって!?」

 

「だって~!ドンモモタロウもこれぐらい余裕な感じで戦ってるんだもん~!」

 

ドンオニタイジンもなんとか態勢を立て直すもやはりねね達五人が上手く連携がとれてないせいか思ったような動きが出来てないようである。アヤメはそれを見て其処に勝機があると踏みパルに共闘を持ち掛ける。

 

〈……あの機体、どうやらあの二本の剣以外の武器がないみたいね?なら私が相手の動きを撹乱するからその好きに遠距離からの砲撃をお願い〉

 

「わ、分かりました、やってみますッ!」

 

アヤメの指示を受けエクスヴァルキランダーは後方へと移動し零丸もドンオニタイジンを撹乱する為に足元へと移動し高速でちょこまかと動き回る。

 

「うぐッ!?と、捉えきれない?!」

 

「ど、どうすんのこれ?!こんなすばしっこかったら攻撃が全然当たらないじゃん?!」

 

〈ほらほら、さっきまでの余裕はどうしたのかしら?〉

 

「あぁーもうッ!ちょこまか動き回られて逆にこっちが身動き出来ないよッ!?」

 

零丸の俊敏な動きにドンオニタイジンは追いかけるも全然捕まえられる気配がない。最早ねね達五人の目には動き回る零丸の姿しか写っていない。そうなれば……

 

〈………ッ!よし、今よッ!!〉

 

「はいッ!!」

 

―バキュウゥゥゥゥウンッ!―

 

「ッ?!し、しまっ……!?」

 

―ドゴオォォォォオンッ!―

 

『うわあぁぁぁぁーーーーーッ!?』

 

後方に待ち構えていたエクスヴァルキランダーに気づく事が出来ずGNメガフレアーデバイスから放たれる高エネルギーの砲撃をもろに受けてしまい、そのショックからかねね達五人はドンオニタイジンから弾かれてしまった。

 

「い、痛たたた……」

 

「ああ!?だ、大丈夫ですか?!」

 

〈今の砲撃でどうやら操縦席から飛ばされてしまったみたいね?それにしても、あの攻撃を受けて少ししかダメージを負ってないなんて……〉

 

「うぅ~……もぉ怒ったからッ!絶対ぼっこぼこに倒してやるぅ~!今また乗り込むから少しだけ待ってて!」

 

ねねは悔しがりながらもすぐにまたドンオニタイジンへと乗り込もうとし、他の四人も呆れながらもねねに着いていこうとする。しかし……

 

―……………ググッ……ゴゴゴッ……―

 

「?あ、あれ?なんか動き出してません?」

 

「え?で、でもまだねね達乗ってないよ?!」

 

〈どういう事?誰も操縦してないのに勝手に動くなんて事あるわけ……まさか!?〉

 

まだねね達が乗り込んでないのにドンオニタイジンが動き出したのだ。そしてアヤメは以前これに似た出来事を思い出した。そう、つまり…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《ハアァッハッハッハッハァーーーーッ!この俺を使って無様な姿を晒すとは良い度胸だなぁッ!!》

 

「え、え、えぇーーーッ?!」

 

「ど、どういう事?!なんで誰も乗ってないのに勝手に動き出してんのさ?!」

 

「こ、これってもしかして……さっきのマリン船長のゲンムってヤツと同じ現象?!」

 

なんとドンオニタイジンは勝手に動き出しただけではなく高らかに笑い出したのだ。そう、この現象は先程までのゲンム、そして以前アヤメが戦ったディケイドと同じモノである。しかも

 

《おい!一体何がどうなってやがる?!》

 

《僕達、さっきまでヒトツ鬼と戦ってた筈ですよね?!》

 

《ていうか何あのちっこいの?!また新しい敵?!》

 

《ふむ……どうやらまたややこしい事に巻き込まれたみたいだな?此処で一句、見知らぬ地 変わらぬ秋の 流れ雲》

 

「え、えぇ?!ま、まさか……ドンモモタロウだけじゃなくてドンブラザーズ全員が宿ってるの?!」

 

なんとその意思は一つだけではなく合体したロボタロウ全てに宿っていた。しかしメインのドンロボタロウ以外の四人は一体何が起こったのかが分かってないようである。

 

「な、なんだかよく分からない事になってませんか?」

 

〈この間のクロさんといい、そっちの世界のガンプラは不思議な事が多すぎじゃない……?〉

 

《ガタガタうるさい!お供達、まとめてあいつ等を退治するぞ!》

 

先程までとは明らかに雰囲気の違うドンオニタイジンに戸惑うもすぐにまた戦う態勢を取り構えていく。

 

〈別の意思が宿っているとはいえ戦い方自体は変わらない筈。パル、またさっきと同じようにいくわよ!〉

 

「は、はい!」

 

アヤメは再び零丸を動かし撹乱していきその間にパルが遠距離から砲撃を放つ作戦に出る。しかし、そんな作戦は先程のねね達ならともかく本家大元のドンブラザーズには意味を成さない。

 

《そんな攻撃でこの俺を止められるものか!お供達、目力ビームだ!》

 

《ハアァッ!!》

 

―キュピイィンッ!チュドオォーンッ!―

 

「うわあぁぁぁぁッ?!」

 

ドンロボタロウの合図と共に両肩両足のロボタロウ達のサングラス部分とドンオニタイジン本体の目からビームが放たれエクスヴァルキランダーへと直撃し大爆発を起こした。

 

〈そんな!?ビーム攻撃もあったなんて?!〉

 

《ちょこまかして鬱陶しい!鬼キックッ!!》

 

―ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガァッ!!―

 

〈キャアァーーーーーーッ!?〉

 

そして右足となってるオニシスターロボタロウが強烈な連続キックを撹乱していた零丸に放って吹っ飛ばしていき、そのまま倒れていたエクスヴァルキランダーに衝突していく。

 

「うわぁッ!?あ、アヤメさん大丈夫ですか?!」

 

「え、えぇなんとか……」

 

《今だッ!前人未桃ドンブラパラダイスッ!!》

 

―シュウゥゥゥ…ズバアァァァッ!―

 

倒れた二体のSDガンダムにドンオニタイジンはトドメの一撃を放つ為キジンソードを一つにし現れた五つの桃を串刺しにし一つにまとめその桃ごと二体のSDガンダムを真っ二つにしたのであった。

 

「〈うわあぁぁぁぁーーーッ!?〉」

 

―ドッゴオォォォォォォォンッ!―

 

ドンオニタイジンの必殺技を受け爆発した二体のSDガンダムはスタート地点に戻されてしまい、残ったドンオニタイジンはまた高らかに笑い出すのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―視点変更 ねね―

 

 

《ハアァッハッハッハッハァーーーーッ!鬼退治……あ、完了~!》

 

「………な、なんだか凄い事になっちゃったね?」

 

「というかこれラミィ達どうすれば良いの……?」

 

「と、取り敢えずなんとかして乗り込むしかないんじゃね?」

 

今ねね達は突然勝手に動き出したドンオニタイジンの戦いを高台から見ていたんだけど、これ普通にあり得ないよね………?と、取り敢えずまだイベントもあるしまたドンオニタイジンへと乗り込まないと……

 

 

 

 

―バキュウゥゥゥゥウンッ!―

 

《ッ!ハアァッ!》

 

―バキィンッ!―

 

「え?!な、なんなの今の!?」

 

「どっかから砲撃されたんだけど?!」

 

ドンオニタイジンに乗り込もうとした瞬間、突然死角から砲撃が放たれてそれに気づいたドンオニタイジンはキジンソードでその攻撃を払った。な、何今の攻撃?!一体誰が………?!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《ほぉ?今の攻撃を躱すとは、まだこの世界に私の邪魔をする者がいるというワケかぁ?!》

 

「え?!あ、あれって……マリン船長のゲンムだよね?!」

 

「でもなんか姿が違う!?一体どうなってんのこれ?!」

 

あ、あれって……ゲンム?!しかもあの姿、少し前の配信限定で出た無双ゲーマーじゃん?!な、なんでこの世界にあの姿のゲンムがいるの?!てかあれにはマリン先輩が乗ってる筈だよね?!マリン先輩一体どうしちゃったのさ?!

 

《ほぉ、また新手か?》

 

《ククク、この私を見ても随分余裕そうだな?……成る程、どうやらお前達も私と同じ異世界から来たようだな?それならどうだ、私と共にこの世界で新たな時代を作らないか?》

 

《ハアァッハッハッハッハァーーーーッ!寝言は寝てから言え!お前はお供にもならん!》

 

《そうか………なら、此処で私に倒されるがいいッ!ヴェハハハハハァーーーッ!!》

 

ドンオニタイジンとゲンムの言い分は交わる事はなく、そのまま戦いが幕を開いちゃった。こ、このままじゃねね達巻き込まれちゃう!?急いで物陰に隠れないと!!

 

「どどど、どうなったいるのだこれは?!」

 

「わ、分からないけど……ただ一つ分かるのは、あのゲンムが普通じゃないって事だよ!」

 

「このままじゃこのイベントが台無しになっちゃうかも……?!急いでレイっちにこの事を知らせないと!」

 

「う、うん!取り敢えず此処からならスタート地点までそう遠くないから急いで戻ろう!」

 

こうしてねね達はレイ兄ちゃんに助けを求める為に急いでスタート地点へと戻っていく事にした。お願いレイ兄ちゃん!早くこの異変に気づいてッ!

 

 

 

こうして始まってしまったスーパー戦隊ロボVS悪の仮面ライダーの戦いは果たしてどうなってしまうのか……?

 

 

 

 

 

―To be continue―




はい、という事でドンオニタイジンとSD組の対決、そしてゲンム襲来でした!果たしてこれを止めれる者は現れるのか……?

次回はガンプラ同士の戦いです、またまったり待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第84話『ぶつかり合うガンプラ』

……正直に言います、これを書いてる間にビルドダイバーズの後の話が二話程出来てしまいました。ゲンム攻略を考えてたら後日談の方が先に出来るという本当にスランプなのかどうか分からない状況です。まあそのお陰で書きたい内容が固まったのでなるべく次の話はすぐに出せるようにしたいです。

それでは今回も最後まで見て頂けたら有難いです、ではどうぞ!


「………えぇッ?!それ本当ですかメイさん!?」

 

「あぁ、お陰で私と姉さんの機体はボロボロだ……」

 

ドンオニタイジンと対峙し負けてしまったパルとアヤメ。戻った先で見たのはゲンムによってボロボロになってしまったメイとサラのモビルドールだった。

 

「あのゲンムって機体、乗っていた人すらも乗っ取って好き勝手に暴れているみたい。もしゲンムがこのまま暴走してしまったらイベントどころかこのGBNも危ないかも!?」

 

「そ、そんな事になったら大変です!?なら速いところヒロトさん達にこの事を伝えないとッ!」

 

「あぁ、リクや玲二さんにも!もうすぐ私達の機体も回復するから二人とも乗って!」

 

「うん!」

 

「あぁ!」

 

暴走するゲンムを止める為に、サラ達は零丸とヴァルキランダーに乗り込み玲二やリク達が向かったであろう山岳地帯へと向かう。果たして四人は間に合うのだろうか……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―山岳地帯麓 あやめ視点―

 

「……おぉッ!また宝箱ゲット~♪これで余のポイント2400まで貯まったぞ~♪」

 

〈おぉ~あやめるも貯まってきたね♪ボク達も負けてらんないね?〉

 

〈吾輩だって他のプレイヤー倒してポイントゲットしたから二人に追いつくのも時間の問題だな♪〉

 

余達ホロメンガンプラメンバーは今山岳地帯の麓で順調に宝探しを進めていたんだ。道中他のプレイヤーとも戦う事になったが問題なく倒せて、現在ではなかなかの高得点を集められたと思う。うん、順調だな♪

 

〈はいちゅどーん♪〉

 

―チュドオォーンッ!―

 

〈やーりぃ♪これでまたポイントゲット~♪〉

 

そしてその近くではおかゆもアルスアースリィを駆り襲ってきた他のプレイヤーを迎撃しつつポイントを稼いでいた。

 

「お?おかゆも順調にポイント集めているね?」

 

〈まーね、僕達のガンプラが珍しいのか向こうからやって来てくれるから結構楽にポイント稼げるよ♪〉

 

〈うん、これなら上位賞も楽勝かもね♪〉

 

そうこうしている内に皆のポイントはかなり貯まっており気づけば余達はランキング上位に上がっていた。とはいえ他にもまだ他にも高得点を出してるプレイヤーもいるし余達を狙ってる者も多いのでまだまだ油断は出来ないけどね。

 

「……うわ凄ッ!?ねぇ見て、マリン船長のポイントめっちゃ高いよ?」

 

〈え?あ、本当だ!船長も頑張って宝箱見つけてるみたいだね?〉

 

〈それか他のプレイヤーを倒してるとか?〉

 

〈えぇ~?あの船長がかぁ?〉

 

そしてまさかのマリン船長が上位に入っているのを見て余達は驚いちゃった。マリン船長はジャンルにもよるけどこうしたシミュレーションゲームはそんなに得意ではないからこの結果は意外だなぁ……?

 

※最も、これはゲンムが好き勝手に暴れているのが原因なのだが……

 

〈うーん……ちょっと吾輩他の所にも行ってみようかな?パパも多分今頃リクやヒロトと戦ってるかもしれないからその様子も見てみたいし〉

 

〈そうだね、ルーナちゃんもレイくんを追いかけていっちゃったし、僕達もそろそろ他の場所に行ってみようかな?〉

 

〈そうだね~……ところでメルメルはどうしたの?なんか全然見かけてないしランキング見ても全然ポイント稼いでないし……?〉

 

「なんかこっちにお宝ある気がするっていって一人で湖地帯に行っちゃったみたいだけど、あんな開けた場所に何かあるとは思えないんだけどなぁ……?」

 

取り敢えず此処等辺の宝箱は殆ど回収しちゃったし、此処ばっかりいても仕方ないから他の場所とかにでも向かおうかな……?

 

〈…………ッ!?皆、伏せて!〉

 

〈え?一体な……―ドゴオォォォォォォンッ!―

 

〈ッ?!ら、ラプちゃん!?〉

 

その時ロボ子さんが何かを察して皆に伏せるように言ったけど遅かった。突如放たれたビームにラプちゃんの乗るターンエーシンが吹き飛ばされてしまいあっけなく撃破されてしまったのだ。そして余達がビームが放たれた先を見ると、其処には深紅の装甲をしたまさに鬼と呼べる機体、『ガンダムGP-羅刹天』が待ち構えていた。

 

 

『ガンダムGP-羅刹天』

『ガンダムビルドダイバーズ』に登場する百鬼のリーダーオーガが駆る機体。宇宙世紀の機体であるGP-02サイサリスをベースにしているがOOのGNドライヴが搭載されておりトランザムを使用出来る。その戦う姿はまさに鬼神そのものと言えよう。

 

〈……チッ、なんだよこの程度の攻撃で吹っ飛ぶとか、とんだ薄味なヤツだな〉

 

〈……よく言うよ、後ろから不意打ちなんて、“獄炎のオーガ”らしくないやり方だね?〉

 

この声……?!羅刹天に乗ってる時点で察してたけどやっぱりさっき余と玲菜を威圧してきたあのオーガだった!ロボ子さんは砲撃してきた羅刹天を駆るオーガに向かいΞのビームライフルを向け威嚇するもオーガはそれをただ鼻で笑っていた。

 

〈フン、今のは只の挨拶代わりだ。俺の目的は最初っから一つ、其処のアストレイだけだッ!〉

 

「………え?!よ、余の事か?!」

 

どうやらオーガの目的は余のようで羅刹天はその刃をアストレイパワードレッドに向けてきた。い、一体どういう事なの……?

 

〈お前のその機体を見た瞬間に感じた、こいつは極上のご馳走だとな!だからこそ俺はお前と戦ってみたいと思ったんだよ!〉

 

「……成る程ね。そういやお前ってそういうヤツだったっけ?けど……だからといって余だけならともかく玲菜まで威圧する事なかったじゃん?」

 

〈……あぁ、お前が抱いてたガキか?なんでGBNにあんなガキがいるかは知らんが俺にとってはそんなのはどうだっていい。俺は只、お前とやり合えればそれでいいんだからなッ!!〉

 

……そんなの?今こいつ、玲菜の事そんなのって言ったか?玲二様と余の大切な娘に向かってそんなの……?

 

「…………皆、手出ししないで。余、久々に怒ったから……許さないから……余の大切な玲菜を泣かせたお前だけは、絶対に許さないかんなぁッ!!」

 

余は普段滅多な事では怒らないけど……流石にこれは余の逆鱗に触れたよ!余はアストレイの150ガーベラストレートを構え羅刹天に切っ先を向けて睨みつける。けどそんなオーガもまた嬉しそうに攻撃的な笑みを浮かべていた。

 

〈それでいい。この俺の心を動かしたんだ……薄味なバトルなんてしたら容赦しねぇからなぁッ!!〉

 

その言葉と共に羅刹天がアストレイに一気に詰め寄り互いに刃をぶつけていく。玲菜を泣かせたこいつだけは、絶対に許さないッ!!

 

 

こうしてあやめとオーガ、二人の鬼による戦いの火蓋が切って落とされたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―視点変更 おかゆ―

 

「す、凄い……あやめちゃん、あのオーガって人の動きについていってる……?!」

 

〈オーガはフォース百鬼のリーダーでこのGBNでもトップクラスの実力者なんだけど……あやめるもあの激しい動きに全く引けをとってないよ!?〉

 

本来パワードレッドはその豪腕のせいで機動性が落ちている筈なのに目の前のアストレイはそんな事微塵も感じさせない程の凄まじい剣撃を放っている。これには見てる僕達ですら身震いしてしまう程だった。あやめちゃん、相当怒ってるみたいだけど何があったんだろう……?

 

〈そ、それより此処にいたらボク達まで巻き込まれないかな?〉

 

「……そうだね、取り敢えず此処はあやめちゃんに任せて僕達は他の所に〈行かせはしないぜッ!〉ッ!?」

 

―ドッゴオォォォォォォンッ!―

 

ッ!?今の攻撃、上から?!一体誰が……ッ!あの人!確かさっきレイくん達と一緒にいたタイガーウルフって人だ!……でもこの人前から思ってたけど見た目狼なのになんでタイガーなの?

 

〈ほぉ?今の一撃を受け流すとは大した奴だな?〉

 

「まあね……といっても今の少し避けるのが遅かったらやられてたかも?」

 

あれは……確かアルトロンガンダムだったっけ?それの改造機みたいだけど、どうやら格闘戦に特化した機体みたいだね?

 

〈そのアルスとかいう奴が使ってたガンプラ、それに異世界からのバトラーとなりゃあ戦ってみたくない奴はいねぇだろッ!?だから俺と戦おうやぁッ!!〉

 

「……僕どうせなら熱血タイプは檜○修○さんボイスが良いんだけどなぁ……でもまあそんなに戦いたいんなら良いよ、相手になってあげる!」

 

僕はアルスアースリィのビームライフルを背中にしまい右手にエネルギーを纏いサーベル状にして構える。向こうも改造アルトロンを構え臨戦態勢に入っていた。

 

〈……フォース虎武龍のリーダータイガーウルフとその愛機ガンダムジーエンアルトロン〉

 

「……ホロライブゲーマーズ佐々木おかゆとアルスアースリィガンダムロービジビリティ」

 

 

 

「いくよッ!」

〈いくぞッ!〉

 

 

 

―ガキイィンッ!―

 

僕とタイガーウルフの合図と共にアルスアースリィのビームサーベルとジーエンアルトロンの拳がぶつかり合う。これでも僕は家族の中ではEXVSは一番強いんだ、簡単にはやられないよッ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―視点変更 ロボ子―

 

「………な、なんかボクだけ余っちゃったね?」

 

ラプちゃんはスタート地点に戻されちゃったしあやめるはオーガと、おかゆんがタイガーウルフと戦い始めちゃったせいでボクは今孤立しちゃった。一瞬一緒に戦おうかって思ったけどそれは無粋だから止めとこう……さて

 

「……そろそろボク達も戦う?カザミ」

 

〈うぉッ?!な、なんで俺が近くにいるって分かったんだ?!〉

 

「いやそんな岩の影に隠れてバレバレだって、シールド隠しきれてないし?というか隠れるなんて君らしくないんじゃない?」

 

〈い、いやぁ本当は俺もオーガやタイガさんと一緒に出ようと思ったんだが二人ともさっさと行っちゃったからタイミングが悪くなってな……〉

 

成る程、本当は三人同時に出るつもりが二人が真っ先に突っ走っちゃったからタイミング逃しちゃったんだね?まあ元々この三人は所属してるフォースも違うし息合わなくても仕方なさそうなメンバーだもんね?

 

〈……にしてもΞガンダムって、マギーさん達から聞いたけどマジでそっちの世界にはスゲェガンプラがあるんだな?しかもガンメタブラック仕様で悪役感出てるし〉

 

「確かにそうだね。ボクのイメージカラーで塗装したらちょっと悪役機みたいになっちゃったのは否めないけど、それでもボクはこれはこれで気に入ってるよ♪」

 

ってそんなのはどうでも良いや。ボクはカザミの機体、イージスガンダムの改造機であるイージスナイトにビームライフルの銃口を向ける。

 

「ボクも君達の活躍見て、そしてマスターからこの世界に連れて来てもらった時は何度も君達と戦いたいと思ってたんだ。だから出し惜しみなんてしないで全力でいくよ!」

 

〈うッ!?す、スゲェ迫力だが……俺だってもう昔の俺とは違うんだ!俺だってビルドダイバーズだってところを見せてやるさッ!〉

 

うん、向こうも乗り気になってくれたみたいで嬉しいよ。正直カザミはビルドダイバーズの中ではイマイチパッとしない感じはあったけど、その成長スピードは作中でも凄まじいものがあったから真っ先に戦ってみたかった相手だったんだよね。それじゃ、思う存分戦わせてもらうよ!

 

「いくよカザミッ!」

 

〈おっしゃあッ!全力でいくぞおぉッ!!〉

 

そして突っ込んできたイージスナイトのライテイショットランサー改とΞのシールドがぶつかり合い火花が散る。皆も楽しんでいるんだ、ボクも思う存分戦おうッ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―山岳地帯頂上付近 玲二視点―

 

……なんかやっと俺の視点になったような気がする。って俺は何を言ってんだ?……まあそんな事はどうでも良いか。それよりも今は……

 

―ガキイィンッ!!―

 

〈グッ!?流石玲二さんですね、あれから更に強くなってる……!〉

 

「まあな、別ゲーだけど似たようなゲームでシミュレーションしてたからな!」

 

俺は今絶賛リクのダブルオーの改造機、スカイメビウスと交戦中だ!迫り来るビーム攻撃をRG持ち前の機動性を駆使しかわしていき近づいては一撃を放っていく。しかしリクも攻撃を受ける直前で機体を少し後退させる事でダメージを最小限に抑えている辺りは流石と言ったところか。そしてもう一人、ヒロトもアースリィを駆り一緒に参戦してきたが、今はルーナのスタービルドストライクと交戦している。

 

〈んなあぁーーーッ!全然当たんねぇのらぁーーーッ!?〉

 

〈……やみくもに乱射するだけなら簡単に避ける事は出来る。それにその機体自体はかなり凄いが本人がそれを使いこなせてないようだな?〉

 

……流石ヒロトだな、冷静に物事を見て対処している。対してルーナは感情的になりやみくもにビームライフルを放ってるだけだ。このままではエネルギー切れを起こしてしまうぞ?

 

〈玲二さん、余所見してる場合ですか!?〉

 

「ッ!?―ガキイィンッ!―……そうだな、俺も目の前の相手に集中しないとな!」

 

俺もいささか機体のスペックに助けられてはいるもののやっぱリクのスカイメビウスには圧されてしまってる。油断は禁物だな……!

 

〈……玲二さん、あの時の勝負は正直不服でした。俺も本来のガンプラではなかったし決着をつけられないままゲームが終わってしまった……けど今回は違う!俺もスカイメビウスで戦えて、玲二さんもパワーアップしての戦いが出来ると思うだけでワクワクします!〉

 

「そうかい!それはこっちも同じだ!お互い望んでいた再戦、思う存分戦いあおうぜッ!」

 

〈勿論です!では玲二さん、いかせてもらいますッ!トランザムインフィニティーッ!!〉

 

ッ!やっぱ使ってくるかトランザム!ならこっちもハイパーモードでやらせてもらうぞッ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―戻って麓 あやめ視点―

 

「はぁ、はぁ……お、思ってたよりやるね?」

 

〈はぁ、はぁ……フッお前もな?こんな喰いごたえのある奴は久しぶりだ……ッ!〉

 

うぅ、オーガの羅刹天の攻撃を受け続けたせいで機体のダメージが凄い事になってるよ……でもそれは向こうも同じ事!このままごり押してでも勝って必ず玲菜に謝らせるんだからッ!

 

〈いくぜ小娘……俺を本気にさせたからには簡単にはくたばるんじゃねぇぞぉッ!?〉

 

「上等だ余ッ!余もお前倒してちゃんと玲菜にごめんなさいさせるからなぁーーーッ!!」

 

余も残る力を全て振り絞って、羅刹天に最後の一撃を放つ余ッ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈ちょっと待ってえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーッ!!〉

 

ッ!?え、ねねち?!一体何処から……ってあれラプちゃんのターンエーシン!?なんでラプちゃんの機体からねねちの声が?!

 

〈おいそんな中で動くな!ただでさえ六人乗っててキツいんだぞ!?〉

 

〈く、苦しいぃ~……〉

 

〈ちょっとラミィちゃん我輩の頭に胸乗せないでよ!?〉

 

〈ごめんて!でも狭いんだからしょうがないじゃん~!〉

 

え?な、何あれ?もしかしてねねちだけじゃなくて5期生全員乗ってるの?一体何があったんだ余?!

 

〈……おい貴様等、まさか俺とこいつのバトルを邪魔しにきたのか?〉

 

〈ち、違うって!?それより皆大変だよ!マリン船長とねね達のドンオニタイジンが大変な事になっちゃったんだよ!!〉

 

「え?大変な事って……?」

 

な、なんだろう?ねねちのあの慌てようを見たらただ事ではないのが分かるけど……取り敢えず不本意だけど戦いを止めてねねち達の話を聞かないとな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―視点変更 玲二―

 

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーッ!!」

 

「でやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーッ!!」

 

―ズガガガガガガガガガガガガガガガガガァッ!!―

 

リクのスカイメビウスのトランザムインフィニティーによる強化攻撃と俺のゴッドガンダムハイパーモードの攻撃が互いにぶつかり合う。その度にコックピットのコントローラーから振動が伝わる、俺とリク、ゴッドガンダムとスカイメビウスの激しい鬩ぎ合いがッ!

 

あの時決着をつけられず終わってしまった戦いがこうして再び出来て、俺の心は今熱くなっているのが分かる!出来る事ならこの勝負をいつまでも続けたい、もっと戦いあいたいッ!!

 

「楽しい、楽しいなぁリクッ!」

 

〈はい!俺も玲二さんとこうしてまた戦えるのが嬉しいですッ!あの時決着をつけられなかった分を今!全力で戦える事が何よりも楽しいんですッ!!〉

 

ハッ!嬉しい事言ってくれるな!?なら俺もその期待に応えて全力でぶつからせてもらうぞッ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―視点変更 ルーナ―

 

―バシュゥッ!バシュゥッ!―

 

「んなぁーーーッ!一発くらい当たれや~ッ!」

 

〈………其処だ!〉

 

―バシュゥッ!ドゴォンッ!―

 

「んなぁッ!?」

 

うぅ~ッ!さっきからルーナの攻撃全部かわされてるしヒロトのアースリィが的確にルーナのスタービルドを攻撃してくるからシールドで防ぐのが精一杯なのらぁ~ッ!?

 

〈……リクさんやマギーさんの話を聞いて期待はしていたが、思っていたよりはあっけないな……なら、そろそろ終わりにする〉

 

ヒロトがそう言うとアースリィがライフルからビームサーベルへと構えてルーナに向かって突っ込んできたのらッ!

 

 

 

 

 

………フッ、かかったのらね♪

 

―キュイィィィィィィィィィィィィンッ!―

 

〈ッ!?な、これは……!?〉

 

「もぉお芝居は終わりなのらッ!スタービルドストライク、ディスチャージなのらぁーーーッ!!」

 

ルーナはこの時を待ってたのら!スタービルドストライクのシールドには相手のビーム兵器のエネルギーを吸収するアブソーブシステムがあってそれをディスチャージモードで解放する事でルーナのスタービルドは更にパワーアップするのら!今回はその力をスピードモードに転換して光の翼を生やしたのら!こうなったルーナはもう止められねーのらぁ~ッ!

 

―キュインッ!キュインッ!キュインッ!―

 

〈ッ?!速いッ!?〉

 

「速いだけじゃねーのら!さっきまでのお返し、たっぷりくらいやがれなのらぁーーーッ!」

 

―シュウゥゥゥゥゥゥ……バシュウゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!―

 

〈ッ!?〉

 

ルーナはスピードモードからライフルモードに切り替えて残りのエネルギーを全てスタービームライフルへと注ぎ目の前にパワーゲートを展開してそのゲートを潜らせるように一気にエネルギーを解き放ったのら!

 

―ドッゴオォォォォォォォォンッ!!―

 

「おっしゃあッ!やったのらぁ~♪」

 

全出力のビーム攻撃をアースリィがモロに受けたのら!これでもうアースリィは撃破してポイントゲット~♪……あ、あれ?ポイント入ってねーのら?なんでぇ~?!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈コアチェンジ!ドッキング、ゴーッ!!〉

 

「んなッ?!」

 

―ギュイィィィィィィィインッ!ドゴオォォォンッ!―

 

んなぁーーーッ?!な、なんなのら?!急に目の前に違うガンダムが出てきたのら!?しかも肩に付いてるドリルでスタービルドのシールドが破壊されちまったのら!?

 

……そうだ!確かヒロトの使うコアガンダムってアーマーを変える事で戦い方を変えられるんだった!じゃあ今ルーナがやっつけたのは………ッ!?アースリィのアーマーだけ?!あの一瞬でアーマーを外して違うのに変えたって事ぉッ?!

 

〈………やっぱり、どうやらそのシールドはあくまでビーム兵器だけを吸収するようだな?なら、物理で攻撃するサタニクスの攻撃までは防げない〉

 

「ッ!?気づかれてたのら?!」

 

そんな!?シールドを破壊されたらもうアブソーブシステムも使えないし、そもそも今の一撃でスタービルドのエネルギーはもうすっからかんなのらッ!?

 

〈………さっきまではあんたは正直大した事のない奴だと思っていた。そのガンプラもあんたの実力も本物だ。だが、これで終わりだ〉

 

う……目の前にサタニクスのドリルが迫ってるのら。にーちゃが傍にいたから勝って褒めてほしかったのらぁ~……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈ヒロト、玲二ッ!!〉

 

〈?メイ、どうかしたのか?〉

 

……?あれ、ヒロトが攻撃する前に誰か来たのら?あれってもしかしてヒロトの仲間なのら?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―視点変更 玲二―

 

「?……あれは、ヴァルキランダーと零丸?一体どうしたんだ?」

 

〈リク!玲二さん!大変なの!ゲンムが……ゲンムが暴れてしまって……!〉

 

この声、サラか?なんで零丸にサラが?それにゲンムが暴れてる?ゲンムっていうとマリンか?あいつに何かあったのか?

 

そして俺達はバトルを中断しやって来たサラやアヤメから話を聞く事にした。するとどうやらゲンムがマリンを乗っ取って好き勝手に暴れているらしい。しかも改造とかもしてないのに無双ゲーマーにもなるなんて、やっぱあいつ正真正銘檀黎斗本人だったみたいだな?

 

「ど、どうするのらにーちゃ!?このままじゃマリン船長が危険なのら!?」

 

「それどころかこのGBNにも被害が及んでしまうかもしれない……!?」

 

「そんな……!?玲二さん、此処は皆でそのゲンムとかいう奴を倒しましょう!」

 

「ああ、だが………」

 

……果たしてゲンムを攻略出来るのか?奴は今無双ゲーマーとなっているのだとしたら時間停止の力、ポーズが使えてしまうかもしれないし何よりマリンはあれをレベル0の状態に改造してた。という事はおそらくコンティニュー機能も使えるかもしれない。そんな奴にまともに戦っても勝てんのか?…………こうなったら

 

「………すまないリク、皆。俺はちょっとやるべき事があるから一旦抜ける」

 

「ええッ!?ど、どうしてですか玲二さん?!」

 

「そうなのらよにーちゃ!?マリン船長とこの世界の一大事なのらよ!?」

 

「分かってる、だがこのままだともしかしたら勝てないかもしれない。だから奴を攻略する準備をしてくる、それまで皆なんとか持ちこたえてくれ」

 

そう言って俺は転移能力を使い“この世界から”一旦抜けた。やっぱゲンム攻略には、“あいつ”の力が必要だよな?それと、改造して作ったあれも試してみるか……

 

 

 

 

 

「……にーちゃ、行っちゃったのら」

 

「……でも玲二さんは無責任に逃げるような人じゃない!きっとゲンムって奴を倒す為の秘策を用意しに行ったに違いないさ!」

 

「だと良いんですが……」

 

「考えても仕方ない、今はそのゲンムとかいう奴を止めるのが先決だ」

 

「でもリク達の機体も今ボロボロね……この際イベントの事はもう諦めてポイントを消費してスタート地点に戻りましょう。そうすれば撃破された時より早く再開できるわ」

 

「そうするのら……皆、こんな事言うのも変かもしれないけど、マリン船長を……ルーナ達の家族を助けてあげてほしいのら!」

 

「勿論!必ずゲンムを倒して、マリンさんも助けよう!」

 

『おぉーーーッ!!』

 

遂に他のメンバーにもゲンムの脅威が伝わった。果たしてゲンムを攻略する事は出来るのか?そして玲二は何処へ向かったのか?次回、ゲンム攻略開始!




はい、という事でガンプラ同士の対決でした。とはいえほぼほぼハイライトでしたが……(ー_ー;)

次回はいよいよゲンムとの戦いです!果たしてホロメンやリク達はゲンムを倒せるのか?そして玲二は何処へ行ったのか?

次回もまったり待って頂けたら幸いです、ではまた!


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第85話『攻略開始』

最近スバルのガンダムトークを見たのですがマジで無知でしたね(^_^;)
やっぱり初見だとどれがガンダムでどれが違うのかも分からないんですかね?といいつつ自分も未だにガンダムなのかそうでないか曖昧な機体ありますが……(-_-;)

今回はいよいよゲンム攻略!果たしてリク達はゲンムに対抗出来るのか?そして玲二は間に合うのか?今回も最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


―ドゴオォンッ!ドゴオォンッ!ドゴオォーーーンッ!―

 

《ヴェハハハハァーーーッ!そんなものか貴様の力はぁッ!?》

 

《ぐぅッ!?こいつ、結構強いぞ!?》

 

《今まで戦ってきた敵の中でもかなり厄介な方じゃない!?》

 

《ガタガタうるさいッ!無駄口叩く前にさっさと奴を倒すぞッ!!》

 

現在平原地帯ではドンオニタイジンとゲンムが激しい攻防を繰り広げていた。辺りは既に荒れ果てた状態でそこら辺が地面等が抉れてしまっている。そして現在形勢は若干だがオニタイジンの方が優勢のようであり徐々にだがゲンムを押し返している。

 

《グッ!?おのれぇ、ちょこまかと!?》

 

《今だ!キジミサイル!》

 

―バシュウッ!バシュウッ!―

 

―ドゴオォンッ!ドゴオォンッ!―

 

《ぐあぁッ!?》

 

《これでトドメだ!天空猿連撃ッ!!ウホッホゥッ!》

 

―ドガガガガガガガガガガガガガガガガァッ!―

 

よろけたゲンムの隙を見てキジブラザーロボタロウの口からミサイルを発射し、更にミサイルが被弾後にサルブラザーロボタロウの連続パンチが炸裂しゲンムに大ダメージを与えた。

 

《ぐあッ……が!?ハァッ……》

 

―GAME OVER―

 

―シュウゥゥゥゥゥ……―

 

そしてゲンムは力尽きその場で塵のように消滅していき、ドンロボタロウ以外の四体は安心したのか一息をつく。

 

《はぁ、やっと倒れたよ……》

 

《全く、こんなワケの分からない場所に連れて来られてあんな変な奴と戦わせられるとはな?》

 

《でもこれでさっきの人も倒せたし一件落着ですね《いや、まだだッ!》え……?》

 

皆が安堵する中、ドンロボタロウだけは何かを察したのか未だに剣を下ろさず身構えている。そして……

 

 

 

―ティウティウティウティウゥンッ―

 

《ポウゥッ!!》

 

《ッ!?何今の?!》

 

《土管が現れて奴が復活した?!》

 

オニタイジンの目の前に紫の土管が現れ其処からゲンムが再び姿を現したのであった。

 

《残りライフ97……私の貴重なライフをよくもぉッ!》

 

《ライフ97?!という事は……!?》

 

《……奴を倒すには後97回倒さなければならないというワケか》

 

まさかの衝撃的な事実に驚くドンオニタイジン。そう、このゲンムは無双ゲーマーでありながらもレベル0の時のコンティニュー機能をそのまま引き継いでしまっているようだ。

 

《そ、そんな……こんなの後97回も倒さないといけないなんて?!》

 

《関係ない!ならば残りのライフを全て削るまでだッ!いくぞッ!》

 

弱気になるお供達に対してドンロボタロウは仲間を鼓舞し再びゲンムへと迫っていこうとする。しかし……

 

《ふ………………“ポーズ”》

 

―PAUSE―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―RESTART―

 

―ドッゴオォォォォォォォォォンッ!!―

 

《ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!?》

 

ゲンムが何かを呟いたと思いきや次の瞬間、ドンオニタイジンに謎のダメージが襲い掛かり吹っ飛ばされてしまったのである。

 

《な?!一体何が起きたんだ!?》

 

《分からない……奴は今何をしたんだ?!》

 

《フフフ、お前達では到底理解出来まい?これが私と父の愛の結晶……究極のゲンムの力だあぁぁぁぁッ!!》

 

―PAUSE―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―RESTART―

 

―ドゴオォンッ!ドゴオォンッ!―

 

《うぐあぁッ!?………そうか、そういう事か》

 

《え?!タロウ、何か分かったの?!》

 

再び謎の攻撃を受けたドンオニタイジンだが、どうやらドンロボタロウにはゲンムの攻撃のカラクリが分かったようだ。

 

《奴は時間を止めて俺達に攻撃を仕掛けていたんだ。だからこちらから仕掛けようとも全てが無意味に終わってしまう》

 

《えぇッ!?時間を止めて攻撃だなんて?!》

 

《そんな相手をどうやって倒せば良いのだ……?!》

 

時を止める力に驚愕するお供達だが、そうなるとかなり厄介である。例えカラクリが分かったところでその対抗手段がない今、ゲンムを倒す方法がないという事だ。

 

《ククク、この力に気づくとはな?だがそれが分かったところで貴様達には何も出来まい?己の無力さを感じながら散っていくがいいッ!》

 

ゲンムはそう言って再びベルトのガシャットに手を伸ばし時間を止めようとする。その時

 

 

 

―バシュウッ!ドゴオォンッ!―

 

《ぐあぁッ!?な、なんだぁ?!》

 

突如ゲンムに向かってビームが発射されゲンムはモロに攻撃を受けてしまった。

 

《え?!今の攻撃って……!?》

 

《まさか、新しい敵か?!》

 

《いや、あれは……!?》

 

ドンオニタイジンもその隙に体勢を立て直し立ち上がると砲撃が放たれた方を振り向くと、其処にはオーガの羅刹天やリクのスカイメビウスをはじめとする他のガンプラ達であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―視点変更 リク―

 

「あ、あれがゲンムって奴なのか?なんか最初見た時と姿が違う……!?」

 

「うん、あの姿になってからマリンさんの意識が感じられなくなっちゃったの」

 

なんて事だ……最初にマリンさんの機体を見た時から自我を持った変な機体だと思ってたけど、まさかマリンさんを乗っ取ってしまうなんて!?今はねねさん達が作ったドンオニタイジンっていう機体が戦ってるみたいだけど、状況はあまりよろしくないみたいだ……

 

※因みにねね達は機体がない為安全の為エリア外へと避難した。

 

〈リクさん、メイ達の話だと奴は98ものライフがあって倒してもすぐにコンティニューしてしまいます。なら……!〉

 

〈ボク達の力を全力でぶつけて全てのライフを削る、それしか勝ち目はないよ!〉

 

ヒロトやロボ子さんの言うとおり、そうでもしないと勝てないかもしれない。それとどうにかしてマリンさんを救う方法も考えないと!でもどうやって〈うおぉぉぉぉぉぉぉぉッ!〉ってオーガ!?

 

―ガキィンッ!―

 

《ほぉ?随分血の気が多い奴だな?》

 

〈うるせぇ……折角久々のご馳走を喰らってたって時にそんなクソマズいモン見せやがってぇッ!!〉

 

しまった!?オーガの奴、あやめさんとの折角のバトルを邪魔されてかなりイラついている!?

 

《何を言うか?このゲンムの素晴らしい力を君は理解してないようだな?》

 

〈黙れ三下!そんな下らないコンティニューなぞ使わなければまともに戦えんのか?!〉

 

《フハハハ!これはゲームマスターである私の特権だ。その特権を利用して戦って何が悪い?》

 

〈貴様あぁッ!!〉

 

不味い!?ゲンムの挑発のせいでオーガが怒り狂ってる?!このままじゃ連携も上手く出来ないぞ!?

 

「クッ!?皆、オーガに続いて俺達もいくぞ!」

 

〈リョーカイ!〉

 

〈任せな!〉

 

〈僕達もいこう!〉

 

〈絶対にマリンを救うんだ!〉

 

俺の合図と同時に皆もゲンムに攻撃をし始める。おそらくこれだけの戦力があればゲンムを倒す事が出来る筈!

 

《だ、駄目だ!そいつには……ッ!》

 

「……え?」

 

《バカめぇ!もう遅いッ!!》

 

―PAUSE―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―RESTART―

 

―ドッゴオォォォォォォォォォンッ!!―

 

『うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーッ!?』

 

な、なんだ?!いきなり俺達の機体が吹っ飛ばされてしまった!?しかも今のでオーガとタイガさんに俺とヒロト以外のビルドダイバーズもやられてしまった!?

 

《気をつけろ!そいつは時間を止めて俺達を攻撃してくるぞッ!》

 

「なんだって?!時間を止めるなんて……!?」

 

「そんな……それじゃあどんな攻撃をしても……!?」

 

《そうだぁ!貴様らが如何に足掻こうと私の前では無力なのだぁッ!!ヴェハハハハハハァーーーッ!!》

 

な、なんて奴なんだ……?!これじゃあ幾らやっても勝ち目なんて……!?

 

「……いや、玲二さんは自分が戻って来るまで耐えてくれって言ったんだ!玲二さんならきっとお前を倒す方法があるに違いないッ!」

 

《無駄だぁッ!例えどんな奴が来ようとこの私には勝てないぃッ!それを今一度思い知らせてやるッ!》

 

―PAUSE―

 

ッ!?しま………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《フン、所詮お前達では私を攻略する事は出来ない。ゲンム無双のエンディングは、私の新たな時代の幕開けだあぁぁぁぁッ!!》

 

時が止まった中でただ一人動くゲンムはリクの乗るスカイメビウスへと近づきトドメを刺そうとする。そしてその拳がスカイメビウスへと振り下ろされ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈やらせるかあぁぁぁぁぁぁぁぁぁいッ!!〉

 

―ズガガガガガガガガガガガガァッ!―

 

《なぁッ?!ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!?》

 

……る前に突如止まってる筈の時の中でゲンムの上空から無数な砲撃が放たれた。突然の事にゲンムは対応出来ずそのまま全て受けてしまいゲームオーバーとなり消滅したと同時に再び時間が動き出した。

 

「………あれ?!ゲンムの姿がない!?一体どうして……!?」

 

〈ふぃ~、なんとか間に合いましたねぇ~♪〉

 

「え?その声………もしかしてフブキさんですか!?」

 

ゲンムが時間を止めてもうダメだと思ったらいつの間にかゲンムの姿が消えて代わりに見た事のない機体が俺達の前に現れていた。しかも声からして乗ってるのはフブキさんみたいだけど、その機体は一体……?

 

〈ママ!来てくれたんだな!?〉

 

〈ラプちゃん、それに皆もお待たせしました!佐々木フブキと『ガンダムルブリス』只今到着です!〉

 

 

『HGガンダムルブリス』

『機動戦士ガンダム 水星の魔女PROLOGUE』に登場する機体。GUNDフォーマットと呼ばれる特殊な機体制御に用いられる機構が搭載されており、その恩恵でまるでファンネルのように遠隔操作出来る装備GUNDビットを扱う事が出来る。

 

「フブキさん!どうして此処に?!」

 

〈ついさっきレイくんに頼まれたんです、皆と一緒にゲンムを止めてほしいって。もぉびっくりしたんですから!?観客席のモニターが全然映んなくなったと思ったらレイくんが戻って来てゲンムを止めてくれって言われたんですから!〉

 

そうだったんだ!それじゃあ玲二さんのゲンムを倒す準備ってフブキさんの事だったんだ!?

 

―ティウティウティウティウゥンッ―

 

―LIFE97→96―

 

《ハァッ!……おのれぇ、何故だぁ?!何故貴様にはポーズの力が通用しないのだぁッ!?》

 

〈うわ、もう復活した?!けど残念でしたね!お前のポーズはレイくんの力を宿したこのツールをセットしていれば無力化出来るんですよ!〉

 

いつの間にそんなツールを!?玲二さん、ゲンムの特性を理解して其処まで対策してたんだ!

 

〈皆!これ皆の分のツールだから使って!〉

 

〈……これさえあればもう時を止められても動けるんだな?〉

 

〈よっしゃあッ!よくも散々好き勝手してくれたな!?〉

 

〈動きを止められなければまだ勝ち目はある!今度はボク達の番だよ!〉

 

《よぉーし!お供達、反撃開始だッ!》

 

フブキさんからツールを受け取りセットすると同時にダメージも回復した!これこんな効果もあったんだ!?でもこれでもうゲンムを倒す事が出来る!

 

《おのれぇ……ならばこれはどうだぁッ!?》

 

―LIFE96→89―

 

え?!ゲンムがいきなり自分のライフを減らした!?一体何を……ってあれは!?

 

―シュウゥゥゥゥゥ……バアァンッ!―

 

〈な、何あれ?!〉

 

〈ゲンムが……増えた?!〉

 

《ヴェハハハハハハァッ!残されたライフを削り私の分身を作ったのだぁッ!更にこれだけではないぞぉ!?》

 

なんだって?!しかも増えたゲンム達が何か変なアイテムを持ってる!?あれは一体……!?

 

―GEKITOTU ROBOTS!―

 

―DOREMIFA BEAT!―

 

―JET COMBAT!―

 

―SHAKARIKI SPORTS!―

 

―DRAGOKNIGHTHUNTER Z!―

 

―DANGEROUS ZOMBIE!―

 

―GOD MAXIMUM MYCHTY X!―

 

〈あ、あれはガシャット!?まずいですよ!?〉

 

フブキさんの慌てようが尋常じゃない!一体何が起こるっていうんだ?!

 

―ガシャット!ガッチャーン!Level up!―

 

―ガシャット!Bugru up!―

 

―マキシマムガシャット!ガッチャーン!フーメーツゥッ!―

 

―アガッチャッ!ぶっ叩け!突撃!モウレツパンチ!ゲキトツロボッツ!―

 

―アガッチャッ!ド・ド・ドシラソ・ファ・ミ・レ・ド!オーライ!ドレミファビート!―

 

―アガッチャッ!ぶっ飛びジェット!トゥ・ザ・スカイ!フライ!ハイ!スカイ!ジェットコンバット!―

 

―アガッチャッ!シャカリキメチャコギ!ホットホット!シャカシャカコギコギ!シャカリキスポーツ!―

 

―アガッチャッ!ド・ド・ドドド!黒龍剣!ドラ!ドラ!ドラゴナイトハンターZ!―

 

―デンジャー!デンジャー!デス・ザ・クライシス!デンジャラスゾンビ!―

 

―最上級の神の才能!クロトダーン!クロトダーン!ゴッドマキシマムX!―

 

「な……なんだよあれ……?!」

 

ゲンムの分身体達がそれぞれ違うアーマーを纏っていく。軽装の物もあれば重厚なアーマーを纏ったのもいる。中にはまるでゾンビみたいな姿になった奴もいるし、どうなってんだこれ?!

 

〈そんな……まさかプロトガシャットやデンジャラスゾンビにゴッドマキシマムまであるなんて?!〉

 

《ヴェハハハハハハァーーーッ!私の才能を持ってすればこの程度の事は容易いのだよ!更にこの分身体は私のライフを消費すれば幾らでも出せる!これでもまだ貴様らは私に勝つと言うのかぁ?!》

 

そんな?!それじゃああいつを倒すにはあの分身体も倒さなきゃいけないって事なのか!?しかもそれがライフが続く限り出せるだなんて?!

 

〈クッ!?リクさん、このままだと敵を倒す前に俺達のガンプラが持たない……!〉

 

〈そんなぁ~!?卑怯だぞコノヤロー!〉

 

《ガタガタ抜かすな!どのみち奴を倒す事には代わりない!ならばまとめて蹴散らせば良いだけだ!》

 

「……そうだ、此処で嘆いて立ち止まってたらこの世界はゲンムにめちゃくちゃにされてしまう!なら、片っ端から奴等を倒すだけだ!」

 

「うん、皆が大好きなこの世界を、あんな人の好きにさせたりしない!」

 

そうだ、俺達が皆と出会え、繋がる事が出来たこのGBNをこれ以上好き勝手にさせてたまるかッ!絶対に諦めたりするものかッ!!

 

「皆、いこう!必ずあいつを止めるんだ!」

 

『おぉーーーッ!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―視点変更 フブキ―

 

《フン、随分意気込んではいたが、もう殆ど力は残されてないようだな?》

 

「はぁ、はぁ……み、皆大丈夫?」

 

〈大丈夫……とは言いがたいね?ボクのΞのファンネルミサイルももう全部打ち尽くしちゃった……〉

 

〈僕も、もうアルスのアーマーは殆どボロボロだよ……〉

 

〈余ももうガーベラストレート折られてしまった余……〉

 

〈うぅ、ママ……吾輩ももう殆どダメだわ……〉

 

〈ルーナももうアブソーブシールド壊されてエネルギーもほぼ空なのら……〉

 

あれから私達はなんとか善戦したんだけど迫り来るゲンム軍団に圧されてしまって既にボロボロでした。残りライフをなんとか49まで減らせましたがそれでも何度も現れるゲンム分身体にやられてしまって私のルブリスのGUNDビットも全て破壊されてしまいました……

 

「……リッくん、ヒロトくん、ドンブラザーズの皆はどう?」

 

〈すみません、俺のスカイメビウスもそろそろ限界です……〉

 

〈俺も、サタニクスのアーマーが使い物にならなくなってしまった……〉

 

《……最早これまでか……》

 

リッくんのスカイメビウスもヒロトくんのコアガンダムIIも既に限界間近でドンオニタイジンもらしくなく諦めた状態です。はっきり言ってもう私達に対抗出来る手段がありません……

 

《……どうやらもう既に諦めたみたいだな?ならばせめて苦しまぬようにトドメを刺してやろう》

 

ボロボロのルブリスの前にプロトスポーツゲーマーのゲンムが近づいて来て肩アーマーの車輪を外して振りかざそうとしてきました。レイくん、皆を守れなくてごめんなさい…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―MYCHTY CRITICAL STRIKE!―

 

《ハアァーーーーーーッ!!》

 

《ッ!?》

 

―ドッゴオォォォォォォォォォンッ!!―

 

「……え?」

 

諦めてたその時、突如聞こえた音声と共にゲンムプロトスポーツゲーマーが何者かに吹っ飛ばされて爆惨しました。っていうか今のってもしかして……!?

 

 

 

 

 

《よッ、大丈夫かお前ら?》

 

「え……ええぇーーーッ!?え、エグゼイドォッ!?」

 

其処にいたのはゲンムと似た姿だけど黒のゲンムと違ってマゼンタカラーがメインとなってるライダー、『仮面ライダーエグゼイド』が立っていました!な、何で?何でエグゼイドが此処に?!

 

〈な……?!新しいゲンム?!〉

 

〈でも色が違う!?〉

 

〈まさか、新手か……?〉

 

「違います!彼は仮面ライダーエグゼイドって言ってゲンムと違って正義のライダーです!でもなんでエグゼイドが此処に?!」

 

《お前らの仲間から頼まれたんだ、この世界にやって来たゲンムを止めるのを手伝ってほしいってな》

 

え?それってもしかして……!?

 

〈フブキ!リク!ヒロト!皆!遅くなってすまなかった!〉

 

「ッ!レイくん!!」

 

〈玲二さん!!〉

 

そしてエグゼイドの後ろに遅れてレイくんの乗るゴッドガンダムが姿を現しました。やっぱり、レイくんがエグゼイドをこの世界に呼び寄せたんですね!?

 

 

『Figure-rise Standard 仮面ライダーエグゼイド アクションゲーマーレベル2』

『仮面ライダーエグゼイド』の主人公である宝生永夢がゲーマドライバーとマイティアクションXを用いて変身した姿。バグスターと呼ばれるウィルスと戦うアクションゲームがモチーフのライダーである。

 

 

 

―視点変更 玲二―

 

「あれから急いでエグゼイドの世界に行って永夢にお願いしたんだ。ゲンムを攻略するのを手伝ってくれってな」

 

《いきなり来てびっくりしたけどな?だけどゲンムがまた悪さをしてるなら、喜んで協力するぜ!とはいえこの世界じゃ玲二が作ってくれたこのプラモデルの身体だから元いた世界のガシャットは使えないけどな》

 

〈そ、そうだったんですか?それでレイくんこんなにも遅くなってしまったんですね?〉

 

ああ、すまない。何せ今まで行った事のない世界だったし永夢を探すのにも時間が掛かっちまったんだよ。けどこれでなんにせよ役者は揃ったな!

 

《宝生永夢ぅ……ッ!また貴様が私の前に立ちはだかるかぁッ!?》

 

《ああ、お前が皆を苦しめるつもりなら俺は必ずお前を止めてみせる!》

 

《笑わせるなぁッ!?バグスターとなって超越した私と違って貴様はこの世界ではそのレベル2でしか戦えない!ハイパームテキのないそんな貴様など、なんにも怖くはないぃッ!》

 

《いいや!ゲンム、お前を止める力は此処にある!》

 

―ガッチョーン、ガッシューンッ―

 

エグゼイドはそう言うとバックルのレバーを閉めマイティアクションXを取り出しホルダーから水色のガシャットを取り出し起動させる。そう、俺が用意した“新しいガシャット”を!

 

―hololive Bildlivers!―

 

《ッ!?なんだそのガシャットはぁッ?!》

 

《いくぜ!創造大変身ッ!!》

 

―ガシャット!ガッチャーン!創造Level up!―

 

エグゼイドはゲーマードライバーのスロットに起動したガシャットをセットし再びバックルのレバーを開くと、エグゼイドの周りに多くのランナーが現れパーツが切り離されていく。

 

―歌姫紡ぐ物語!(Lets make!)未来のモデラー!ホロライブビルドライバーズ!!―

 

エグゼイドの身体に様々なガンプラのパーツが装着されアーマーとなっていき、最後には頭部にνガンダムのV字アンテナが装着され周囲に爆風が巻き起こる。そう、これが俺がエグゼイド…永夢の為に作った新しい姿『仮面ライダーエグゼイド ライバーズゲーマー』だ!

 

 

『仮面ライダーエグゼイド ライバーズゲーマー』

『Figure-rise Standard 仮面ライダーエグゼイドアクションゲーマーレベル2』を改造したエグゼイドオリジナルフォーム。身体全体にガンプラや30mmのパーツで出来たアーマーを身に纏っている。指先から発生するプラフスキーエネルギーを変換する事で周囲にランナーオーラを発生させ、そのランナーのパーツを切り離し組み立てる事で瞬時に様々な武装や補助パーツを作成出来る。

 

《バカなぁッ?!私はそんなガシャットを作った覚えはないぞぉッ!?》

 

《当然だ!これは玲二がお前を止める為に俺に託してくれた新しい力だ!『hololive Bildlivers』はアイドル達と一緒にプラモデルを創るシュミレーションゲームだ!この力でゲンム!お前を攻略するぜ!》

 

《おのれぇ……ッ!私の許可なく勝手に新たなガシャットを作るとはぁ……許さんぞ貴様ぁッ!!》

 

うっせぇ!プラモは何処までも自由なんだ……お前の許可なんて必要ねぇんだよッ!

 

「フブキ、リク、ヒロト、皆!オマケに作った回復ツールだ!これさえあればまだまだまだまだやれるよな?!皆でゲンムを止めてマリンを助けるぞッ!!」

 

〈勿論です!玲二さん、必ずあいつを止めましょう!〉

 

〈皆の想いが詰まったこの世界を、あいつのような侵略者に奪わせはしない!〉

 

〈よーしッ!皆準備は良い?絶対にマリンを助け出すよぉーッ!!〉

 

『おぉーーーッ!!』

 

《ハアァッハッハッハッハァーーーーッ!よくぞ言った玲二とやら!これでお前達とも縁が出来た!ならば俺達も加勢するまで!いくぞお供達ッ!》

 

《応ッ!!》

 

《いくぜ皆!ノーコンティニューで、プラモを創るぜッ!!》

 

《おのれぇ……こうなれば貴様等全て私の神の力でひれ伏してくれるわぁッ!!》

 

こうして俺、リク、ヒロト、そしてホロライブの皆とドンオニタイジンとエグゼイドによるゲンム攻略が始まった!待ってろマリン、必ず助けるからな!

 

次回、決着の時!!




はい、という事で次回漸く決着がつきそうです!果たしてマリンは無事に救出出来るのでしょうか?次回もまったり待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第86話『勝負!分身体!』

少し長くなりそうなのでまずは分身体との戦いです。おそらく次回でビルドダイバーズの世界は完結かな?今回も最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


遂に始まったゲンム攻略、まずは回復ツールを使ったとはいえヒロトとおかゆのアーマーは破壊されたままだからそれをなんとかしないとな。

 

「永夢、おかゆとヒロトに新しいアーマーを創ってくれ!」

 

《おっしゃあ任せとけ!ハァッ!》

 

エグゼイドは手をかざし指先で線をなぞるようにしていくと目の前に光の粒子が現れプラモのランナーが現れていき、其処から瞬時にパーツを切り離し二つ分のアーマーを創りコアガンダム達へと装着させていった。

 

〈これは、ヴィートルーアーマー?!こんな事も出来るなんて……!?〉

 

〈おぉー、マーズフォーアーマーだぁ♪意外とアルスにも似合うね~♪でもこれなら存分に戦えそうだ!〉

 

《ヴェアァッ!》

 

二つがアーマーを装着すると同時にゲンム分身体プロトロボッツゲーマーとプロトビートゲーマーが二人に襲い掛かって来たが、

 

〈ハアァッ!〉

 

―バシュウゥンッ!―

 

〈やあぁーーーッ!〉

 

―ズバアァッ!―

 

《うがぁ……ッ?!》

 

―チュドオォォォンッ!―

 

ヴィートルーガンダムの射撃とアルスマーズフォーの大剣による斬撃により分身体を攻撃もろとも吹き飛ばしていった。

 

〈……凄い、何時も使っているアーマーよりも精度が高い!〉

 

〈うわ凄ッ!?たった一発で分身体を倒せちゃった!?これなら幾らでもいけるよ!〉

 

……いや凄ぇな?分身体とはいえたった一撃でゲンムを倒すなんてよっぽどエネルギー量が高い仕上がりになってるみたいだな?我ながら凄いオリジナルフォームを作ったモンだ。そんじゃ俺も戦い始めますか!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―フブキ&ラプラスVSゲンムプロトコンバットゲーマー―

 

―ヒュンッヒュンッヒュンッ!―

 

〈あーもう!ちょこまか動いて当たらないぞッ!?〉

 

「落ち着いてラプちゃん!ラプちゃんの機体はターンエーベースの機体だから月光蝶を使えば……!」

 

〈ごめんママ!月光蝶ユニットだけどプレ値付いてて買うの諦めたからこれには付いてないんだよ!〉

 

なんですとぉ?!そんな、月光蝶のないターンエーなんてルーがないカレーライスと一緒ですよ!?私も機体は回復したとはいえルブリスのGUNDビットは破壊されたままですし、このままじゃ結局ジリ損ですってばぁ?!

 

《ガアァッ!》

 

―ズガガガガガガガガガッ!―

 

やばッ!?いつの間にかプロトコンバットゲーマーが降りてきてこっちに向かって撃ってきました!?このままじゃ被弾しちゃいます!?

 

《させるか!ハアァッ!》

 

するとそれを見ていたエグゼイドがその力で私達の前にランナーを出現させプロトコンバットゲーマーのガトリング攻撃を防いでくれました!っていうかこのランナーって防御に使えたんですか?!結構隙間空いてるのにどうやって防いだの今?!

 

「あ、ありがとうございます!」

 

《気にすんな!それよりお前達もこれ使いな!》

 

エグゼイドはそういうと防御に使ったランナーからパーツを切り離し私にはウイングゼロのツインバスターライフルを、ラプちゃんにはデスティニーガンダムの特徴的な羽を創り装備させてくれました。本当に何でも創れるんですね……?

 

〈おぉーーーッ!?これなら自由に飛べるぞ!あのハエ野郎覚悟しとけぇッ!!〉

 

「いやハエ野郎って……でもこれならあいつを止められる!ラプちゃん、あいつを地上に落としてもらっていい?!」

 

〈りょーかいしたぞママッ!ハアァッ!〉

 

ラプちゃんはターンエーシン(デスティニー)の羽を広げて空高く飛翔してプロトコンバットゲーマーに突進していきました。っていうかなんか速くないですか?!

 

〈いくぞ必殺!鷹嶺式弾丸飛行!!うりゃりゃりゃりゃあぁーーーッ!!〉

 

―ビューンッ…ズガガガガガガガガガガガガガガァッ!!―

 

《ッ?!》

 

ええぇぇぇぇぇぇぇぇッ!?何そのスピードッ?!MSが出せる速度完全に越えてませんか?!で、でもお陰でプロトコンバットゲーマーのアーマーが壊されて只のゲンム分身体に戻りました!トドメは私がッ!!

 

「いきますよぉッ!最大出力、ツインバスターァライフル発射あぁーーーッ!!」

 

―カッ……!―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………あれ?なんで私吹っ飛ばされてるんですか?痛たた……確か今ゲンム分身体に向かってツインバスターライフルを撃ったんですが………って、えぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ?!

 

―シュウゥゥゥゥゥ~……―

 

〈……ママ、やり過ぎじゃね?〉

 

ななな、なんですかこれはぁッ?!ゲンム分身体どころか大地やその奥にある山も完全に抉れてるじゃないですかぁッ!?え、もしかしなくてもこれ私がやったんですか?!どんだけ出力高いんですかこのバスターライフルは?!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―ロボ子&あやめVSゲンムプロトハンターゲーマー―

 

「うわぁ何あの威力……?」

 

〈ゲンムどころか地形すら吹っ飛ばされた余……?〉

 

凄いなぁこの威力、これもマスターの作ったガシャットの力なのかな?

 

《ガアァッ!》

 

「おっと!?こっちも集中しないとね?」

 

さて、どうしたら良いかな?回復したとは言えボクのΞはもうファンネルミサイルが使えないしあやめるもガーベラストレートは半分折れてしまってるからまともに戦ったら結局ジリ損だよね?というかこのプロトハンターゲーマー強すぎじゃない?!

 

〈どうしよう!?このままじゃまたやられちゃう余!?〉

 

「そうだね……永夢さん!ボク等にも何か武器とかないかな!?」

 

《おう、任せとけッ!ハアァッ!》

 

エグゼイドが手を翳すとまたランナーが現れたけどなんか多いような気が……?きっとそれだけ強力な武器や武装を創ってくれるって事なのかな?………ってちょっと待って?なんか人型に組上がってない?ていうかこれって……!?

 

《ガアァッ!》

 

「ッ!?しま……?!」

 

ヤバい!組上がるプラモに気を取られてゲンムに気づかなかった!?このままじゃやられるッ!?

 

《でやあぁッ!!》

 

―ガキイィンッ!―

 

《ぐあ……ッ?!》

 

……え?今ゲンムが吹っ飛ばされた?一体何が……ってあれは!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《へへ……俺、参上ッ!!》

 

「〈で、電王ぉッ!?〉」

 

な、なんで電王が此処にいるの?!もしかして、さっきエグゼイドが創ってたのって電王だったの?!

 

 

『Figure-rise Standard 仮面ライダー電王 ソードフォーム』

『仮面ライダー電王』の主人公野上良太郎が契約したイマジンの一人、モモタロスを憑依させて変身する時を守護するライダー。デンガッシャーと呼ばれる可変武器をソードモードにして戦うがその戦い方は剣士というよりはヤンキーみたいな喧嘩戦法である。兎に角目立つのが大好きなライダーでもあり事ある毎にいろんな作品にも関わってたりする。

 

《あ、あれ?剣と銃を出そうとしたのになんでだ?》

 

《へッ!なぁに自分だけおいしい思いしてんだよ!?仮面ライダーっつったらこの俺がいてこそだろうが!!》

 

え?もしかしてこの電王、エグゼイドの力を介して勝手に出てきたの?!どんだけ自己主張激しいのさ?!

 

《ぐ、がぁ……!?》

 

《おーおー随分と派手にやってるみてぇだな?いいか、俺に前フリはねぇ……最初から最後まで徹底的にクライマックスだぜッ!いくぜいくぜいくぜぇーーーッ!!》

 

「え、ちょっとぉ?!」

 

うわ、電王が何も考えなしに突っ込んでいっちゃった!?普通に考えたらスペック的に不利なのに……?!

 

―ガキィンッ!ガキィンッ!ガキイィンッ!!―

 

《ぐあ、がぁ……?!》

 

《おらおらどうしたトカゲ野郎!?こんなんじゃあくびが出ちまうな?!ふぁ~あ~♪》

 

……あれ?電王がめちゃめちゃゲンムを圧してる?!スペック差結構ある筈なのに!?もしかしてこれもエグゼイドとマスターの影響なの?!

 

―ガッキイィンッ!!―

 

《ぐあぁ……ッ?!》

 

《ヘッ!今日の俺は調子が良いから特別に見せてやるぜ!今さっき考えた俺の新必殺技ッ!》

 

そう言うと電王は腰からライダーパスを取り出してバックルへとタッチしていく。何時も思うけどライダー達ってああいうアイテム何処にしまってんの?

 

―full charge―

 

《必殺……俺の必殺技ッ!》

 

デンガッシャーに赤いオーラエネルギーが集まり刃が分離してプロトハンターゲーマーに向かってまるで三角を描くように何度も斬りつけていく。

 

―ズガガガガガガガガガガガッ!―

 

《ガアァッ!?》

 

《ホロライブバージョンッ!!》

 

―ズバアァッ!!―

 

―チュドオォォォォンッ!!―

 

そしてトドメの一撃を受けてプロトハンターゲーマーは爆散し消滅した………でもなんでホロライブバージョン?もしかしてさっきの三角形を描いた攻撃ってそういう事なの?………にしても

 

《ヘッ!決まったぜ♪》

 

〈……ロボ子さん、余達の出番取られちゃったね?〉

 

「うん……まあ結果オーライって事で良かったんじゃない?」

 

それにまだゲンムのライフはあるから分身体が現れるだろうし……なんて言ってたらもう復活してるし、ボク等も改めて武器をもらって戦おう!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―ルーナ&リクVSゾンビゲーマー―

 

―ズバアァッ!ドカアァンッ!―

 

《ぐあ………うあぁ……ッ!》

 

「うなあぁーーーッ!?なんですぐに起き上がってくるのらぁッ?!こいつどんだけタフなんだよぉーーーッ!?」

 

〈確かに、こいつ何度も攻撃してそれなりにダメージを受けてる筈なのになんで立ち上がれるんだ!?〉

 

この白いゲンムにさっきから攻撃加えているのに少し経っただけでまたすぐに起き上がってくるのらぁ?!タフにも程があんだろぉッ!?

 

《気をつけろ!ゾンビゲーマーは最初からHPが0だ!普通の攻撃じゃ何やっても意味ないぞッ!》

 

「なんですとぉーーーッ?!そういうのはもっと先に言ってほしいのらぁーーーッ!?」

 

じゃあこいつもうとっくにHP0だから今までの攻撃は全部無意味だったって事なのら?!とんだチート野郎じゃねーかぁ!?もうアブソーブシステムもないのに無駄にエネルギー使っちまったのらッ!?

 

〈それじゃこのままじゃこっちばっかりがエネルギーを消耗するだけって事か……?!〉

 

〈うん……でも普通の攻撃ならって事は、他の方法なら倒せるって事だよね、エグゼイド?〉

 

《ああ!普通の攻撃で倒せないなら、跡形も無くなるくらいのでかい一撃を与えれば良いッ!ハアァッ!!》

 

おぉッ!またランナーが出てきたのら!そのランナーから切り離されたパーツが組み合わせっていくとなんかでっかいハンマーと巨大な拳が出来たのらッ!

 

―ガッシィーンッ!―

 

「おぉーーーッ!って重ッ?!これすっごく重てぇのらぁ~ッ!?」

 

〈る、ルーナさん大丈夫ですか?!〉

 

大丈夫じゃねーのらぁッ!?なんなのらこの重たいハンマーと腕はぁ~ッ?!

 

 

『RG ゴルディマーグ』

『勇者王ガオガイガー』に登場した可変型マルチロボ。その変形形態の一つがこの巨大な右腕のマーグハンドと巨大なハンマーであるゴルディオンハンマーである。 その威力は巨大な敵をも一瞬で光の粒子に変える程である。

 

《あぁッ?!悪い、強力な武器をイメージしたらそんなのが出てしまった!?》

 

「い、幾ら強力でもこんな重てぇと振れねぇのらぁ~ッ!?」

 

《ガアァッ!!》

 

〈ちょッ!?ルーナさん来てますよ!?〉

 

ちょおッ?!こ、このままじゃやられちまうのらッ!?もうこうなったらぁッ!!

 

「リッくん!ルーナの事支えてほしいのらぁッ!」

 

〈えぇッ!?で、でも……!?〉

 

「良いからさっさと支えろって言ってんだろーッ!?」

 

〈は、はいぃッ!?〉

 

もうこうなったら自棄なのらッ!リッくんに背中抑えてもらっておもいっきり振るッ!後の事なんてもう知らねぇのらぁーーーッ!!

 

「うおぉりゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!光になぁれえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーッ!!!」

 

―ドッゴオォォォォォォォォォォォォオンッ!!―

 

リッくんのスカイメビウスに支えられながらハンマーをおもいっきり振ってゲンムを押し潰したと思ったら光に包まれて、ルーナの意識は其処で途絶えてしまったのら………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―ドンオニタイジンVSゴッドマキシマムゲーマー―

 

―ドッゴオォォォォォォォンッ……!―

 

《ッ!?な、何今の?!》

 

《ちょッ!?見て下さいよあの光!?》

 

《なんだ!?一体何が起きたんだ?!》

 

《グルアァッ!》

 

《いや、それよりも今はこいつをなんとかせねば!?》

 

《その通りだ!お供達、目の前の敵に集中しろッ!》

 

ルーナの強力な一撃が放たれたと同じ頃、ドンオニタイジンは最凶のゲンムと呼べるゴッドマキシマムゲーマーと対峙していた。しかしゴッドマキシマムゲーマーはゲンムの持つガシャットの中でも脅威のレベル10億という規格外な強さの為に流石のドンブラザーズも苦戦を強いられていた。だが……

 

―バシュウッ!―

 

「…………ん?あれ?!此処は何処なんでしょうか!?」

 

「あぁん?さっきまで脳人の奴等と戦ってた筈だが……?」

 

其処に金色の鎧を纏い槍を持った戦士と銀色の鎧を纏い斧を持った戦士が突如現れ、それを見たドンロボタロウが声をかける。

 

《ほぉ、お前達もこの世界に来たか?丁度良い、来いドンドラゴクウ、ドントラボルト!俺達と合体するぞ!》

 

「え?タロウさん!?よく分かりませんが……了解しましたッ!」

 

「断るッ!そういつも都合よく合体してたまるかッ!?」

 

《ガタガタ抜かすなッ!纏めて呉越同舟合体だッ!!》

 

突然現れたドンドラゴクウとドントラボルトという戦士に更なる合体を要求し、トラボルトが拒否するも合体の準備が始まった。

 

―大合体ッ!―

 

―大合体!熱烈歓迎ッ!大合体!熱烈歓迎ッ!―

 

待機音が鳴り響くと同時にドンドラゴクウとドントラボルトはそれぞれロボゴクウとロボボルトへと変形しドンオニタイジンとの合体が始まった。

 

《グッ!?だから断ると言ってるだろうが!?》

 

《ほら逃げるなって!》

 

《そろそろいい加減腕とかになりたいなぁ~?》

 

《いや多分無理だろ?》

 

《ひらりと合体》

 

《うーん、やっぱり肩だよね~?》

 

《センターは僕ッ!》

 

《五月蝿い俺だッ!》

 

わちゃわちゃしながらもそれぞれ合体していき、最後に新たな面がオニタイジンの顔に装着された。

 

―完成ッ!トラドラオニタイジンッ!!―

 

《完成ッ!トラドラオニタイジンッ!!》

 

桃太郎、猿、犬、雉、鬼、そして龍と虎が合体したドンブラザーズ最強のロボ『トラドラオニタイジン』が完成しゴッドマキシマムゲーマーと対峙する。その身体から放たれるオーラは先程までの苦戦が嘘のような威圧感がある。

 

《おーいドンブラザーズ!これも使ってみな?ハアァッ!》

 

其処にエグゼイドが新しく創った武器、ガンダムエクシアのGNソードを渡すとそれをトラドラオニタイジンは右腕へと装着していく。

 

《ほぉ?ならば有り難く使わせてもらおう。いくぞお供達よッ!》

 

《応ッ!!》

 

トラドラオニタイジンは何処からか出現させたアバターホースと呼ばれる馬に乗りゴッドマキシマムゲーマーに向かっていく。

 

《ガアァッ!》

 

《やらせはせんッ!ハアァッ!!》

 

―ズバアァッ!!―

 

ゴッドマキシマムゲーマーは腕を伸ばして攻撃してくるがトラドラオニタイジンはその腕をGNソードで真っ二つに切り裂いていった。

 

《凄ッ!?一発で相手の腕切り裂きましたよ!?》

 

《フン、なかなか使い勝手が良い。ハアァッ!》

 

トラドラオニタイジンは次にGNソードをライフルモードに切り替えゴッドマキシマムゲーマーに向かって乱れ射ちをするとその攻撃に耐えきれなかったのかゴッドマキシマムゲーマーはその場で動かなくなってしまった。

 

《が、ガアァッ……?!》

 

《今だッ!天下桃一ッ!》

 

《ドンブラメタバースッ!!》

 

―シュウゥゥゥ……ズッバアァーーーッ!!―

 

―ドッカアァァァァァァァァァァァァァァァアンッ!!―

 

トラドラオニタイジンのGNソードに七色の光が宿り、そしてゴッドマキシマムゲーマーを桃型のオーラに閉じ込めた後そのまま真っ二つに切り裂く必殺技『ドンブラメタバース』が炸裂しゴッドマキシマムゲーマーはそのまま爆発し散っていったのであった。

 

《フン、口ほどにもない奴だったな!ハアァッハッハッハァーーーッ!》

 

《いやあいつ喋ってないけどね?》

 

分身体とはいえレベル10億のゴッドマキシマムゲーマーを倒してしまったトラドラオニタイジン。意気揚々に更に迫ってくる分身体に向かっていくのであった。

 

 

 

いよいよ残すはゲンム本体!果たして玲二とエグゼイドはゲンムを倒し、マリンを救えるのか?!




はい、という事で分身体との勝負でした!次回でいよいよ決着、そして元の世界に戻ると思います。次回もまったり待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第87話『決着!ビルドライバーズ』

休みを何回かもらえるのは有難いのですがどうせなら連休に欲しかった(*T^T)
今回はゲンムとの決着、そしてその後のイベント回です。今回初めて歌詞掲載するので使用楽曲情報というのを利用してみましたが、もし間違ってたら後で直します(^^;
今回も最後まで見て頂けたら有難いです、ではどうぞ!


他の皆が分身体と戦ってくれてる中、俺とエグゼイドはゲンム本体である無双ゲーマーと交戦していた。皆がエグゼイドの渡した武装を装備して分身体を撃破してくれたお陰で奴の残りライフも既に20を切ったし、後もう一踏ん張りだ!

 

「ハアァッ!」

 

―ドゴオォッ!―

 

《でやあぁッ!》

 

―ズバアァッ!―

 

《ぐあぁッ?!お、おのれぇ……ッ!》

 

ゴッドガンダムの打撃とエグゼイドのビームサーベルの斬撃がゲンムへとヒットし大ダメージを与えていく。やはりどんなに強くなろうと元は檀黎斗だ、純粋なゲームの腕なら永夢の方が上だしガムシャラな戦い方をするから攻撃の軌道が読みやすい。向こうの攻撃さえ当たらなければどうって事はない!

 

「いくぞッ!爆熱ッ!ゴッドフィンガァーッ!!」

 

―ゴオォォォォォォ……ドゴオォォォォォォォォォォォォォッ!!―

 

《ぐああぁぁーーーーーーッ!?》

 

ふらつくゲンムにゴッドガンダムの必殺技ゴッドフィンガーを打ち込むとゲンムは吹っ飛ばされそのままゲームオーバーになるがすぐにまた土管が現れてコンティニューをしようとする。だが

 

《させるかぁッ!ハアァッ!!》

 

エグゼイドは土管へと入っていき、復活しようとするゲンムを見つけるとそのままビームサーベルで切り裂いていった。

 

―ズバアァッ!―

 

《ガアァッ!?な、なん……だ……と……ッ?!》

 

《まだまだいくぜッ!うりゃあッ!!》

 

―ズバアァッ!ズバアァッ!ズバアァンッ!!―

 

エグゼイドは次々と復活しようとするゲンムを見つけ次第に切り裂いていき、そのライフを一気に削っていった!

 

―LIFE18→1―

 

《よっとッ!どうだゲンム!秘技、コンティニュー封じだッ!》

 

いや凄ぇな?まさかこんな方法でコンティニューを封じるなんて……お、ゲンムも既に限界なのか息を切らしながら復活してきたな?だがこれでもう復活は出来ないだろ。

 

《グハァッ!?そ、そんな……私のライフがぁッ!?》

 

《これでもうコンティニューも分身体を作る事も出来ないだろ?もうお前に勝ち目はないぜ!》

 

「観念しろゲンム、お前はもう此処でおしまいだ!」

 

俺達はゲンムに観念するように言うが、ゲンムはそれでも諦めてないのか鋭くこちらを睨んでいる。といってもマスクしてるから目線なんて分からんけどな?

 

〈レイくん!こっちも分身体は全て倒しましたよ!〉

 

〈俺の方もこれで全てだ〉

 

〈俺も……すみません、一回ルーナさんと一緒にスタート地点に戻されましたが大丈夫です!〉

 

《これで残るは奴一人か?》

 

《ほぉ?あれが敵の親玉ってワケか?ならトドメは俺が決めてやるぜッ!》

 

お、丁度フブキやリク達も分身体を全て片付けて駆けつけてくれたみたいだな。リクはどうやらさっきのルーナの一撃に巻き込まれてスタート地点に戻されたみたいだが無事で良かった。にしてもなんでいつの間に電王まで参戦してんだ?

 

《……………ククク……ハハハハ……ヴェハアァッハッハッハッハァーーーッ!!》

 

〈ッ!?な、なんだ?!〉

 

《あいつ、急に笑い出したぞ?!》

 

〈え?もしかしてやられ過ぎておかしくなった?!〉

 

〈いやゲンムがおかしいのは元からだけど……一体何を笑ってるんだろう?〉

 

突然狂ったように笑い出すゲンムに俺達は困惑するが、そんなのはお構い無しと言わんばかりにゲンムは立ち上がりエグゼイドに指差す。

 

《宝生永夢ぅ……貴様やそいつ等のせいで私のライフは既に一つしか残されていない。普通なら私にはもう勝ち目はないだろう……だがしかぁしッ!今の貴様等ではどうあがいてもこの私には勝つ事は不可能だぁッ!!》

 

勝つ事は不可能?何を言ってんだゲンムの奴?もしかしてまだ何か秘策でもあんのか?

 

《どういう意味だゲンム?!》

 

《ククク、忘れたか宝生永夢ぅッ?!私は今やバグスターとなっている!そして私は今私に乗っていたこの女に感染し取り込んでいる!つまりは私とこの女は一心同体の状態!この状態で私を倒すという事はつまりッ!この女も一緒に殺す事になるのさあぁッ!!》

 

「《な、なんだとッ?!》」

 

しまったッ!?そんな手があったのか?!もし奴の言う通りならマリンは今ゲンムと一体化してしまっている!感染者と同化したバグスターを分離する為にはレベル1の力が必要だが、プラモの身体である今のエグゼイドではレベル1のボディなんてないから分離させる事すら出来ない!?

 

《あぁん?つまりどういう事なんだよ?》

 

《よく分からんが……奴の中には人質が乗ってるという事か?!》

 

〈そんなッ!?それじゃあ今奴を倒してしまったら……!?〉

 

「……マリンは、確実に死ぬ」

 

〈そ、そんなぁッ?!やっとの事で此処まで追い詰めたのに!?〉

 

〈マスター!それって奴のハッタリとかじゃないの?!〉

 

………仮にハッタリだとしても、それを確かめる術がない。俺も全力の状態ならもしかしたら分離出来たかもしれないが、今の俺はエグゼイドを呼びに行ったのと対ゲンム用のツールを作ったせいでもう殆ど力が残されていない。正直こうしてゴッドガンダムを操縦してるのでも精一杯な程疲弊してしまってる……クソッ!このまま打つ手無しだと奴の思うツボだぞ!?

 

《そうだぁ、貴様等には私を倒す事は出来まいッ!?私はこのままこの女を依り代にし、新たな時代を築き上げるのだぁッ!ヴェハアァッハッハッハッハァーーーッ!!》

 

〈そ、そんな……!?〉

 

〈それじゃあもうこのままあいつが好き勝手するのをただ見てるしかないの?!〉

 

《だが、それだとバグスターウィルスに感染した人はこのままだといずれ命を落としてしまう……!》

 

《えぇッ?!それじゃあどっちにしろ人質の方は助からないって事じゃないですか?!だったら今此処で倒しても……!?》

 

《たわけッ!そうならない為にも何か策を考えろ!》

 

キジブラザーロボタロウが諦めてマリンを見捨てようとしているのに対しドンロボタロウが怒声を放つ……本当にこいつ、本編でも思ったが自分の妻さえ良ければ他はどうなったって良いって考えどうにかならんのか?とてもヒーローが持って良い思考ではないぞ?

 

ってそんな事よりもマリンをどうにかしないと!このままじゃ本当に打つ手無しになるぞ!?

 

《そうだぁ、最早貴様等ではこの私を止める事は出来ん!愛する仲間を失う悲しみを抱きながら散るがいいぃッ!!》

 

―ガッチョーン!キメワザ!―

 

ッ!?不味い!ゲンムの奴キメワザを放とうとしてる!だが反撃したらマリンが………クソッ!どうする事も出来ないのか……?!

 

《さぁ、これで終わりだあぁッ!!》

 

―ガッチャーン!―

 

―GENM CRITICAL FINALE!!―

 

ゲンムは高く飛翔しオーラエネルギーを纏った必殺のキックがゴッドガンダムに向けて放たれようとしている。ヤバい、かわせないッ!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈オメガッ!ブレードオォッ!!〉

 

―ズッバアァァンッ!!―

 

《グハァッ?!》

 

……………は?い、今何が起こったんだ?ゲンムの攻撃がくる直前に何かが上から降ってきてゲンムを吹っ飛ばしたようだけど……ってあれは?!

 

〈ふぅ~……玲二君、大丈夫!?〉

 

「メル!?お前どうして此処に?!」

 

なんと降ってきたのはメルが乗ってるインペリアルドラモンパラディンモードだった!そういえばメルも参加してたな!?すっかり忘れてたけど!

 

〈メルメル!一体今まで何処に行ってたの?!〉

 

〈え?ずっとあの湖付近で宝探しをしてたんだけど、なんかさっきから凄く激しい音とか揺れがあったから急いで戻ってきたんだけど……あれ?フブキちゃんって参加してたっけ?〉

 

そ、そうか、こいつは今の今までこの事態に気づかずイベントをこなしてたのか……?ってそれよりゲンムとマリンはッ!?

 

《グッ……ハァ……ハアァ……な、何が起きたというのだぁッ?!》

 

良かった……良かった?まあ兎に角まだ倒されてないか。案外タフなんだなゲンムって?

 

〈え、えーと、玲二君?これ一体どうなってるの?〉

 

「悪い、説明してる暇はないんだ。今は一刻も早くマリンを救わないと……!」

 

《グッ……ハアァッ!いきなりの攻撃は驚いたが、まだこの私を倒すまでは―バチッ…―?なんだ……―バチバチバチバチィッ!―ッ!?ガ、ハグアァアァッ!?》

 

?な、なんだ?ゲンムの奴いきなり苦しみだしたけど………って!?あいつの無双ゲーマーの姿がどんどん崩れて元のレベル0に戻ってないか?!

 

《ぐあッが、ががあぁッ?!そ、そんな……!?私の力が失われていく?!貴様ぁ……何をしたあぁぁぁぁぁッ!?》

 

〈えッ?!何をって言われてもメルただ普通に攻撃しただけだけど?!〉

 

どういう事だ?!なんでいきなりゲンムが弱体化なんて………ッ!?そ、そうかッ!!

 

「そうだ!インペリアルドラモンパラディンモードのオメガブレードには相手のデータを初期化させる力があるんだ!だからゲンムは無双の力を失って元の姿に戻されたんだ!」

 

《成る程、リプログラミングと同じような力か!》

 

《?なんだそのリプロなんとかって?》

 

そんな事は今どうでもいい!初期化されて元の姿に戻ったって事は、今ならゲンムの中にアクセス出来るかもしれない!頼むマリン、無事でいてくれッ!

 

 

 

―ヒュンッ…―

 

 

 

よし、取り敢えずゲンムの中には入れた!マリンは……なんかぐったりしてるが息はあるみたいだ。良かった……

 

「マリン、大丈夫かしっかりしろ!?」

 

「………う、うぅ~ん……ハッ!?此処は何処?!私は船長!!」

 

「……いや何を言ってんだお前?でも取り敢えず無事みたいだな?」

 

「え?れ、玲二くん!?あれ?どうして玲二くんが此処に……ハッ!?もしかして今から二人っきりでハッスルですか!?いやーんそんなこんな真っ昼間からだなんてマリンたん恥ずかちぃ~♡」

 

―ゴンッ!!―

 

……さて、馬鹿も助けた事だしさっさとこっから出るか。

 

 

 

―…ヒュンッ―

 

〈レイくん!船長を助けられ……あれ?なんで船長頭にたんこぶ出来て気絶してるの?〉

 

「ああ、この馬鹿の事はもう気にするな。それよりこれでもう心置きなくあいつを倒せるぞ!」

 

取り敢えず気絶してる馬鹿……マリンは操縦席の横に寝かせておいて再びゴッドガンダムを起動させる。

 

《ぐうぅ……ッ!おのれえぇぇッ!》

 

最早ゲンムも虫の息だ、此処で確実に倒すぞッ!

 

「皆!もうあいつを守る物は何もない!一気に決めるぞッ!」

 

〈わっかりました!ツインバスターライフル、ターゲットロックオンッ!〉

 

〈よく分かんないけど、メルもいくよッ!必殺、オメガブレードオォッ!〉

 

〈エグゼイドからもらったこの烈火大斬刀で決める余!百鬼流奥義、皇鬼電来ッ!!〉

 

〈ボクもやるよッ!ハイメガランチャー、目標捕捉ッ!〉

 

〈アルスの力を最大まで発揮したこの一撃をおみまいするよーッ!〉

 

〈いくぞターンエーシン!必殺奥義!ホロックスウイングッ!!〉

 

〈いくよスカイメビウスッ!トランザムインフィニティーッ!!〉

 

〈ターゲット捕捉……全弾、発射ッ!!〉

 

《ヘッ!よくわかんねーがもうやって良いって言うなら遠慮はしねぇぜッ!!》

 

―full charge―

 

《いくぞッ!天下桃一ッ!ドンブラメタバースッ!!》

 

《フィニッシュは必殺技で決まりだッ!!》

 

―ガシャット!キメワザ!―

 

―hololive CRITICAL NEVEREND!―

 

「いくぞッ!奥義!石破天驚……ゴッドフィンガアァァァァァァァァァァァァッ!!」

 

 

 

―ドッゴオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォオンッ!!!!―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺達の繰り出す必殺技が全てゲンムへと直撃し、その威力でフィールドの地形を抉る程であり、煙が止む頃にはゲンムもライフが削られて既に消滅しかけていた。流石にやり過ぎだったか?

 

《ば、馬鹿なぁ……神の才能を持つ私が、こんな……ところで……ッ!?》

 

《……ゲンム、これでもうお前のゲームは全て終わりだ。俺達の、ゲームクリアだ》

 

《………いや……まだだ……私は……必ず……復活する……ゲンムの……エンディングはま……だ終わ……らな………い…………》

 

―シュウゥゥゥゥゥゥゥ……―

 

ゲンムは……檀黎斗はそう言い残し消滅した。そして

 

 

 

―GAME CLEAR!―

 

 

 

ゲームクリアのアナウンスがなった。それを意味するのはゲンムが完全に倒されたっていう事だ。これでもうマリンもゲンムのウィルスから解放されるな。

 

《よっしゃあーーーッ!やっぱ俺が最強だぜぇーーーッ!!》

 

《大勝利~ッ!えい!えい!オーッ!!》

 

―めでたしめでたし!―

 

電王がはしゃぎトラドラオニタイジンも勝鬨をあげ、この一件は漸く幕を閉じるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………はぁ、疲れた」

 

「玲二君お疲れ様♪」

 

「ぱーぱ、おっかれ~♪」

 

あの後すぐにイベントも終了し俺達はイベントエリアへと戻っていた。俺は途中で抜け出したせいで失格になってたけど、マリンを助けられたから良しとしよう。けど流石に力を使い過ぎたせいで全身が痛いな……これはまだ暫くはこの世界に滞在して力を回復させないとな。

 

「はい玲二君、スポドリだけど飲める?」

 

「じぇり~♪」

 

「ん、ありがとなそら、かいり。処でマリンは今はどうしてる?」

 

「今永夢先生にゲーム病になってないか診てもらってるって。でもあの感じだと多分大丈夫だと思うよ♪」

 

そっか、なら良かった。俺はそらとかいりからもらったスポドリとゼリーを飲み食いしながらゆっくり……したい処だが、あいつ等をどうにかしないとな?

 

「………うん、もうバグスターの反応もありませんし身体の何処にも異常は見当たらないので大丈夫です、完治してますよ」

 

「え~?ほんとですかぁ~?もっとマリンの身体を隅々まで診てもらっても良いんですよぉ~♪」

 

「……マリン、何永夢さんの事誘惑してんのさ?」

 

「これは玲二君に報告せないかんな?」

 

「そうすれば玲二さんと離婚になるかも?まあその方が負担減って良いかもね」

 

「嘘ですすっかり治りましたからそれだけはご勘弁をおぉーーーッ!?」

 

……あっちでは変身を解き普通サイズに戻った永夢がマリンの診察を行いそれに対しマリンが調子に乗って誘惑してたらフレア達に止められていた。本当にあいつも学習しないよな?そんで……

 

「ハアァッハッハッハァーーーッ!!祭りだ祭りだあぁッ!踊れ!騒げぇッ!!」

 

「ハアァッハッハァーーーッ!皆も騒げや騒げぇーーーッ!!」

 

「ちょっとタロウ!?こんな事してないでそろそろ帰らないとッ!?」

 

「ねねちも何一緒になってやってんのさ!?」

 

…………あっちでもロボ形態を解除して普通の人間サイズになったドンブラザーズ……というよりドンモモタロウとねねが一緒に御輿に乗って騒いでいる。周りのプレイヤー達も最初は唖然としていたがいつの間にか一緒にはしゃいでるし……

 

「あぁーーーッ!?ちょっとモモ!それルーナのプリンなのらぁーーーッ!」

 

「うるせぇ!こういうのは早いもん勝ちだ♪」

 

「んなぁーーーッ!!」

 

「ちょ、ちょっとルーナ落ち着きなよッ!?」

 

……あっちのフードコートでは電王から変身を解いたイマジン、モモタロスがルーナと一緒にプリンを取り合いしてるし?ルーナもさっきまでの戦いでゴルディオンハンマーの衝撃を受けて気絶してたけどもうすっかり元気になってんな。ってか俺が連れてきた永夢は兎も角モモタロスとドンブラザーズは何時になったら帰るんだよ?

 

「玲二君、まだ身体怠い?」

 

「ぱーぱ、だいじょぶ~?」

 

「あぁ、メルもレミィも心配かけてすまないな。まだ怠いが、もう少ししたら動けそうだ」

 

今度はメルとレミィの母娘ペアが俺の所に様子を見に来てくれた。その手にはまたスポドリとゼリー……まあそんなに腹に貯まらないから良いんだけどさ?

 

「それにしてもメルちゃん何気に優勝してて凄かったね~♪」

 

「ありがとーそらちゃん♪あの時湖の畔で見つけた隠し宝箱に入ってたポイントのお陰だよ~♪」

 

そう、忘れてはいたがさっきまでのイベントはなんとメルが優勝したんだ。メル曰く、湖を探索していた時に畔の陰に光る隠し宝箱に気づいて開けたらなんと10万ポイントを見つけて見事トップに立ったんだとか。メルってこういう時の運が凄い事がたまにあるからな。

 

「玲二さん!もう身体は大丈夫ですか?」

 

お?今度はリクとヒロトがやって来たか。こいつ等にも協力してもらって感謝だったけど、こっちの事情に巻き込んで悪かったな……

 

「あぁリク、それにヒロトも。こっちはもう大丈夫だ。それよりもお前達も変な事に巻き込んでしまってすまなかったな」

 

「いえ、確かに大変だったけど、エルドラの戦いでそういうのは慣れてましたから」

 

「そうですよ!それにこのGBNを守る事が出来たのも玲二さん達のお陰なんですから気にしないで下さい!」

 

……いや、普通に考えてマリンを参加させなければ今回の事は起きなかった筈だからやっぱり申し訳ない。けど、二人とも気にしないと言ってくれてるから良しとするか。さてと……

 

「よっと……悪い皆、少し身体慣らす為に散歩してくるわ。かいりとレミィも来るか?」

 

「「いく~♪」」

 

「え、玲二君もう大丈夫なの?」

 

「ああ、動けるくらいにはな。ほらかいり、レミィおいで」

 

「「あーい♪」」

 

俺はかいりとレミィをまとめて抱っこして少し歩く事にした。ちょっとあいつ等の事も気になるしな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっとあいつは………お、いた」

 

かいり達を抱っこしながら散歩をしていると、エリアの端にあやめと玲菜がオーガと対峙しているのが見えた。やっぱり試合後に何処かでぶつかり合いになると思ってたが、大丈夫だろうか?

 

「………で、余をこんな所に呼んでなんのつもりさ?」

 

「ぷあー……」

 

「…………お前の強さは本物だった。あのゲンムって野郎が邪魔しなけりゃもっと味わいたい程にな」

 

……オーガの奴があやめの事を認めているみたいだが、あやめはその不満そうな表情が変わっていない。おそらくだがあやめにとってはそんな事よりも玲菜を泣かせた事を謝ってほしいんだろうな?

 

「……お前、名前はなんていうんだ?」

 

「……あやめ、佐々木あやめ。こっちは余の娘の玲菜だ余」

 

「ぷぅ……」

 

「そうか……悪かったな、お前のガキを驚かせてしまって」

 

「………ほんとだ余。次やったら許さないかんな?」

 

……ぶっきらぼうな謝り方だが、あやめも一応納得して許したみたいだな?取り敢えずこれで一件落着、か?

 

「……あやめ」

 

「ん?何、まだ何かあるの?」

 

「俺のフォースに来い。そして俺のモンになれ」

 

…………ハアァッ!?な、何を言ってんだあいつ?!なんでいきなりそんな事を……!?

 

「え……?な、何を急に……!?」

 

「お前とそのガンプラを見た瞬間、俺の心が心底震えた。今までそんな気持ちになった事はチャンピオンやリクくらいだったが、お前に対してはそれ以上の何かを感じた。だから俺はお前が欲しくなった、それだけの事だ」

 

「え、えぇー……?で、でも余には玲二様がおるし……」

 

「玲二?……あの時お前を庇った男か?そいつがお前の旦那というワケか。だがそんなのは関係ねぇ、俺は欲しいモンは最後まで食らう主義だからな。お前があいつのモンだって言うなら、俺はあいつからお前を奪うだけだ」

 

あ、あいつ……!気づいてはいないとはいえ何俺の前であやめを奪おうとしてんだよ?!そんなの絶対許さねぇぞッ!

 

「おいおま「良いぞ、奪えるモンなら奪ってみな余」ッ!?あ、あやめ!?」

 

「ほう?随分とあっさりした答えだな?」

 

「そりゃそうだ余、だって……余が玲二様以外と結ばれるなんて事は絶対にあり得ないもんね~♪」

 

「あっぷぅ♪ぱーぱ♪」

 

あやめはそう言って駆け寄った俺の所に来て引っ付いてきた。玲菜も俺の顔を見て嬉しそうにキャッキャと笑っている。

 

「………どうやら今は分が悪いみてぇだな?なら、今は一旦引いてやる。それと、玲二だったか?」

 

「?なんだよ?」

 

「……いつかお前からあやめを奪ってやるからな。せいぜい奪われないよう気をつけな?」

 

オーガはそう言うとそのまま何処かへと去っていった。あいつ、TV本編だと同じフォースのローズって奴とそういう仲だと思ってたがどうやらそうではなかったみたいだな?けど俺だってあやめの事は大切なんだ、お前になんて絶対渡さねぇからな?

 

「玲二様、もう大丈夫みたいで良かったぞ♪」

 

「ああ、お陰様でな。ってか俺に気づいてたんだな?」

 

「勿論!ずっとオーガとの話を聞いてたの気づいてたぞ♪」

 

「あっきゃ♪」

 

マジか?結構バレないようにしてたつもりだったんだがな?まあちょっとびっくりしたがあやめの素直な気持ちを聞けて嬉しかったわ。

 

「そんじゃ俺達もそろそろ皆と合流するか」

 

「うん!玲菜達も最後に何か食べたい物はあるかな~?」

 

「いちごあめ~♪」

 

「けーき~♪」

 

「じゅーしゅ~♪」

 

はいはい、分かりましたよ。そんじゃ屋台でそれらを買ってから皆と合流するか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「戻ったぞ~……ってフブキ?一体どうしたんだ?」

 

「あ、レイくん。実は運営の人達が困ってるみたいで……」

 

運営が?もしかしてあのゲンムとの戦いで何か不具合が発生してしまったか?

 

「実は今日この後にライブイベントがあるんですが、本来来る筈の人が急遽来れなくなってしまったみたいで……」

 

「それで今代わりになるアーティストを探しているみたいなんだけど、全然ブッキング出来ない状態なんだって」

 

マジか?確かにイベント欄を見るとこの後にアーティストのライブイベントが行われる予定だったな……ってかイベント時間三時間って、どんだけ歌うつもりだったんだよそいつ?

 

「うーん、確かにそれは大変だね?」

 

「もうこれは中止になっちゃうかもね?」

 

「そうね、でも楽しみにしていた人達には残念ではあるわ……」

 

確かに、せめて誰か代わりに出れるのがいれば…………………ッ!そうだ!!

 

「あの!ちょっと良いですか?」

 

「?は、はいなんでしょう?」

 

「実は今日来る筈だったアーティストの代わりについてなんですが………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………結局ライブイベントは中止にはなってないみたいだけど」

 

「一体誰が来るんだろうね?」

 

「さあ………あ、玲二さん!今まで何処に行ってたんですか?!」

 

「ん、ちょっとな。それよりもそろそろライブが始まるぞ」

 

辺りも薄暗くなってきた頃、予定されていたライブの時間になりステージの前の観客席には多くのプレイヤーが集まっていた。だが既に本来来る予定だったアーティストが来れなくなった事は告知されていたのでプレイヤー達は少し不安そうな表情を浮かべている。さて、あいつ等上手くやってくれるかな?

 

「あ、始まるみたいだよ!」

 

「一体誰が出るんだろう……?」

 

「…………あッ!ねぇあれ見て!」

 

明かりが一瞬消え、そして再びステージに光が灯り其処に立っていたのは………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「皆さんこんばんは!私達、異世界からやって来ましたアイドルグループ!」

 

『ホロライブです!!』

 

「え……………」

 

『ええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーッ?!』

 

そう、アイドル衣装に着替えた俺の妻達であるホロライブメンバー+αであった。実はあの後スタッフの人達に話をして実力確認の為のライブ映像を見せるとこれはイケる!と直ぐ様準備を進めてくれたのだ。たまきやアカリやシロ、それにヒメヒナ達も協力してくれて一夜限りのホロライブGBNライブが実現出来たのだ。

 

「れ、玲二さんどういう事ですか?!フブキさん達がアイドルだなんて……!?」

 

「あれ?言ってなかったか?俺達世界でもわりと有名なアイドル事務所に所属してるって」

 

『初耳ですよッ!?』

 

ありゃ?それはすまん、でもこのライブは皆もきっと気に入ってくれると思うから期待してくれても良いぞ?

 

「皆さんにも既に告知されていた通り、本来来る予定だったアーティストさんが来れなくなり急遽私達がステージに立つ事になりました」

 

「この世界で歌うのは初めてですが、きっと皆さんに満足してもらえるように精一杯頑張りますので最後まで楽しんでくださいね♪」

 

………やっぱりまだいまいち反応は良くないが、それも今のうちだ。歌が始まれば絶対に分かる、彼女達の良さがな。

 

「それでは早速聞いてください。“Shiny Smily Story”」

 

 

 

 

 

『同じ未来を見ていたい』

 

『あの夢手にしたい』

 

『それぞれ違ったココロで』

 

『走れ go!』

 

 

 

 

 

歌が始まると同時にライブ会場にいた観客達は一瞬にして引き込まれるかのように見入っていた。その高い歌唱力やダンス、そして楽しく歌う彼女達に誰もが心を奪われていた。

 

 

 

『だからもっと夢追いかけたい』

 

『ワクワク止まらない』

 

『想像越えてく』

 

『世界見せてあげる』

 

 

 

「………すげぇな」

 

「えぇ、普段も美しく可愛らしい彼女達がより一層輝いて見えるわ~♪」

 

タイガさんやマギーさんも皆の歌を聴き既に魅了されている。それに

 

 

 

『アクセスしてみたい』

 

『後悔なんてそうさせない』

 

『それぞれ違ったココロで』

 

『走れ go!』

 

 

 

「すげぇぜ!これが異世界のアイドル達の実力か!?」

 

「凄い……聴いてるだけで心が満たされるような感じです!」

 

「ああ、これは想像以上だ……」

 

「………凄いな」

 

ヒロト達新生ビルドダイバーズも歌を聴いて興奮してくれてるようだ。それに観客席の後ろ側にいたオーガも声こそ発してないがその様子は何処か満足そうだ。

 

 

 

それから皆は組んだセトリ通り進みソロ曲やユニット曲等を歌い、更にはオマケでガンダムの主題歌等も歌い三時間の予定がいつの間にか四時間にまで延びてこの日のライブは無事に幕を閉じたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数日後、すっかり回復した俺は永夢を元の世界に戻す為のゲートを開き、そして皆で見送りをする事にした。

 

「有り難う永夢、お陰で助かったよ」

 

「いえ、こちらこそ楽しい時間を有り難うございます」

 

「……今更ですがやっぱ天才ゲーマーの時と普段の時の性格ってかなり違いますね」

 

「あはは……それじゃあ玲二、また何かあったら何時でも駆けつけるよ」

 

「ああ、それじゃあまたな」

 

俺は最後に永夢と固く握手をし、そして永夢はそのまま笑顔でゲートをくぐり元の世界へと戻っていった。またいつか会えると良いな。

 

「そういえばレイくん、ドンブラザーズとモモタロスはいつの間に消えたんだろうね?」

 

「さあな?さて、俺達もそろそろ……」

 

「れ、玲二さぁーんッ!大変ですよぉーーーッ!」

 

?リクの奴どうしたんだそんなに慌てて?

 

「ど、どうしたんだよリク?」

 

「そ、それが……これを!」

 

?ネットニュース?これが一体どうしたって…………えぇッ!?

 

 

 

“異世界からやって来たアイドルグループ、爆発的人気!!”

 

 

 

「じ、実はあのライブが思った以上に反響があってGBNだけじゃなくて世界中で話題になっちゃってるんですよ!それで玲二さんがスタッフの方に渡したCDの販売権利を求めていろんなスタジオが今玲二さん達を必死に探してるんですよ!」

 

「ま、マジか………あの時スタッフや関係者達にCD配ったのまずかったか?」

 

「………玲二君、こうなったら」

 

「………そうだなそら」

 

『さっさと帰ろうッ!!』

 

このまま此処にいたらめんどくさい事になりかねないから急いでゲートを開きそのまま元の世界へと戻る事にした。

 

「リク、世話になったな!また近いうちに遊びに来るから!それともしCDの販売権利が欲しいって奴が来たら適当にはぐらかしておいてくれ!じゃあなッ!!」

 

「えぇッ!?ちょ、ちょっと玲二さぁーんッ!?」

 

リクがまだ何か言いたそうだったが暫くは勘弁してくれ!落ち着いたらまた戻ってそういう話も片付けるから!

 

 

こうしてゲンム暴走事件を終え、慌ただしい中元の世界へと戻っていった玲二達。後日玲二は再びリク達の元に戻りとあるスタジオと契約を結びCDを一般販売した結果、瞬く間にオリコンランキングの上位を総嘗めしたのであった。

 

 

 

 

 

 

―オマケ―

 

「いやぁすげぇよなホロライブ!俺は断然すいちゃんだな!」

 

「僕はわためさんの歌声が好きになりました!メイさんはどうですか?」

 

「私か?そうだな………フレアの歌声が気に入ったかな?」

 

「あーふーたんの声も良いよな~♪で、ヒロトは誰が気に入ったんだ?」

 

「い、いや俺はそういうのは……」カシャンッ

 

「?ヒロトさん何か落としましたよ?」

 

「ッ?!い、いやそれは……!?」

 

夜空メルのCD

 

「……へぇ~?成る程なぁ~?」

 

「ヒロトさんはメルさん推しなんですね♪」

 

「まあ歌声も良いし可愛らしかったもんな?」

 

「……………///」

 

柄にもないのにお気に入りのアイドルのCDを見られ珍しく照れるヒロトであった。

 




はい、という事でビルドダイバーズの世界はこれにて完結です!いやぁ慣れない事するもんじゃないですね(^o^;)

そして次回なんですが、また新たな展開が起こるかも……?小説自体は出来上がっているので明日投稿しようと思いますので待って頂けたら幸いです、ではまた!


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第88話『ウェディングパトラ?!』

さて、いきなり小説の方向性を戻してすみませんでした!( >Д<;)
なんか新章書いてたらこういう話も思い浮かんでこうなったら別々にしようと決めました!こんな小説ですがこれからもよろしくお願いします!
今回はずっと保留されていたパトラとの婚姻のお話です、最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


「玲二くぅーんッ!お願いだから今すぐパトラと結婚してぇ~ッ!!」

 

「…………は?」

 

……突然何を言い出すんだパトラの奴?こっちはリク達の世界から戻って来たばっかりでまだ疲れているってのに?

 

「パ、パトラちゃん?どうしたのいきなりそんな事言い出して……?」

 

「そうだよ!?大体結婚って言われてもアタシ達まだ認めてないんだから!」

 

「分かってるフレア!だけどこれはパトラにとって一大事なのッ!このままじゃパトラは、パトラは………ッ!」

 

な、なんだ?何時もはデートだったり皆と遊びに行ったりするだけだったのに何故か今日は必至に結婚を迫っている。もしかしてパトラの身に何かあったのか?

 

「兎に角落ち着けパトラ、一体何があったんだ?」

 

「…………………実は」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『結婚させられそうになってるってぇッ?!』

 

「う、うん……」

 

マジか……でもそろなら何で俺と結婚しようなんて言い出したんだ?って別に鈍感野郎ってワケではないから大体察しはつくが……

 

「ついこの間魔界にあるパトラの実家に一通の手紙が来たの。キョウモデウス4世がパトラの事を気に入ったみたいで是非嫁に欲しいって」

 

「「きょ、キョウモデウス?!」」

 

キョウモデウス?なんだそいつは?聞いた事も……いや、なんか似たような名前の奴は聞いた事ある気が……?

 

「キョウモデウス?誰ですかそれ?」

 

「ちょこも聞いた事ないわね?」

 

「えぇッ!?ちょこ先生悪魔なのに知らないの?!魔界ではちょっとした有名な伯爵の一族だよ!」

 

「そんな事言ったってちょこはこの地上界出身だし、魔界には玲二様とスバル達と一緒に観光でしか行った事ないわ」

 

そっか、ちょこはメルやトワと違って生まれも育ちもこの地上界だったな?俺達の世界は地上界、天界、魔界と別れて昔はそれぞれの種族のテリトリーがあったみたいだが今では殆どごちゃ混ぜ状態だ。普通に天界出身の悪魔もいるみたいだしな。

 

「で?そのキョウモデウスって凄い一族なの?」

 

「そうだよ!キョウモデウスは魔界でも有数の強い魔力を持つ一族でなんと!あのアスモデウス8世の奥さんの弟の嫁のおじいちゃんの介護してる介護士の息子さんが通ってるプール教室があるジムの隣に住んでるんだよ!」

 

「……トワ様、繋がりがあるように言ってるけどそれ全然他人じゃない?」

 

確かに、そのアスモデウスって言うのは魔界の事に疎い俺でも知ってるくらいの有名な悪魔だけどそのキョウモデウスって別にそいつとなんの繋がりもねーじゃねぇか。しかもなんだよジムの横って?伯爵家なのに何で家の横にジムがあるんだよ?

 

「それで?パトラはそのキョウモデウスって奴と結婚したくないから玲二さんに結婚を求めて来たって事?」

 

「うん……パトラはずっと結婚するなら玲二君が良いって思ってたし、それなのに名前しか知らない相手と結婚させられるなんて真っ平ごめんだよッ!だからお願い玲二君!パトラの事を貰って下さい!」

 

「いや貰って下さいって言われてもな……?」

 

いやまあ確かにパトラとはもう結構デートや食事も一緒にしたしそれなりに一緒にいて楽しい気持ちにはなってきてるけど、だからといってそんな勢いで結婚なんてして良いのか?というより他の皆が許可しないとダメだって言われてるしな。

 

「……ねぇどうする皆?」

 

「うーん……でも確かに知らない相手と結婚させられるのはちょっと可哀想だけど……」

 

「それになんだかんだでパトラちゃんも玲二さんに献身的だしね?」

 

「そうですね………分かりました。じゃあレイくんが良いって思っているんだったら私達は素直にパトラちゃんを迎えようと思います。レイくん、どうですか?」

 

フブキ、それに皆も……はぁ、此処まで言われて断ったら普通に最低だよな?また忙しくなるかも知れないが、それでもちゃんと向かい合わないとな。

 

「……分かった。こんな俺で良ければ結婚しよう、パトラ」

 

「ッ!うん!有り難う玲二君ッ!じゃあ早速だけど今から役所に―ピリリリリッ―ってちょっと待って、電話来ちゃった」

 

パトラは喜んで役所に婚姻届を提出しに行こうとしたタイミングでスマホが鳴り、一旦話を止めてパトラは電話に出る。

 

「……もしもし、お母さん?どうしたのいきなり……うん、うん……えッ!?そ、そんな急に言われたって!?それにパトラはもう……ってお母さん?!ど、どうしよう……?!」

 

「?どうしたパトラ、そんなに慌てて?」

 

「……今お母さんから連絡があって……キョウモデウスが……」

 

?キョウモデウスがどうしたんだ?

 

「キョウモデウスが……パトラを迎えに全速力でこっちに向かってるってッ!!」

 

『なんだってえぇぇぇぇぇぇぇぇッ!?』

 

マジか?!まだパトラと婚姻を結んでないのに今来られたら……い、いや落ち着け!?流石に魔界からこのホロライブタウンに来るには時間があるだろうし、今のうちに早く提出しに行けば……

 

 

 

―ドッゴオォォォォォォォォォォォォォォオンッ!!―

 

 

 

ッ!?な、なんだ?!部屋の中なのにいきなり雷が降ってきたんだが?!ま、まさか……もうやって来たのか?!

 

「………迎えに来たぞ、周防パトラよ。さあ、我と共に魔界へと帰るぞ」

 

「う、ウソ………?こんなに早く来るなんて………?」

 

煙の中から聞きなれない声がパトラを迎えに来たと言い出した。まさかキョウモデウスとかいう奴がこんなにも早く来るとは……………………

 

 

 

………………………………………え?

 

 

 

『え…………………………?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さあ周防パトラ、我と一緒に此処から帰ろうぞ!」

 

 

…………煙が晴れて其処にいたのは………明らかに小学校低学年くらいの子供であった。な、なんだこの子?まさかと思うが、こいつがパトラと結婚しようとしてるキョウモデウス4世って奴なのか?

 

「あ、あの、失礼だけど僕、お名前は………?」

 

「ふん!決まっておろう!我こそが魔界でも指折りの伯爵、キョウモデウス4世だぞ!さあ崇め奉るが良いッ!」

 

ま、マジか……?まさかパトラと結婚を申し込んだ奴がこんな子供だなんてな……?

 

「まあそんな事より周防パトラよ、我はずっとお前を求めていた……さあ!共に二人の愛の巣へと行こうではないかッ!!」

 

「…………あの、メルはパトラちゃんじゃないんだけど?」

 

………こいつ、紳士的に手を取り連れて帰ろうとしてるがそれはパトラではなくてメルだ。何人の妻と間違えてるんだよ?(怒)

 

「あ、あれ?!え、えーと、コホン……失礼、我とした事が少し手違いをしてしまった。さあ今度こそ周防パトラよ!我と共に……!」

 

「悪いけどちょこもパトラ様ではないわよ?」

 

「え?!あ、あれ、おかしいな……?」

 

おいコラ何がおかしいだこのクソガキ?二度も間違えて人の妻の手を取るんじゃねぇよ(怒)

 

「………あの?もしかして君、パトラちゃんの顔を知らないの?」

 

「え?!そ、そんな事はないぞ!?我が周防パトラを見間違える筈がなかろう?!さあ周防パトラよ!今度こそ共に魔界へ「うん、アタシパトラじゃなくてフレアなんだけど?」へぁ?!」

 

おいガキコラ(怒)何度人の妻に触れば気が済むんだ?(怒)

 

「え、えと、えーとじゃあ―ガシッ―え?」

 

「おいクソガキ、テメェパトラが誰かわかんねぇからって人の妻の手に何度も気安く触ってんじゃねぇよ(怒)」

 

―ミシミシミシィッ!!―

 

「いだだだだだだだッ!?あ、頭が割れるうぅぅぅぅぅぅぅぅぅッ!?」

 

「ちょっとレイくん気持ちは分かりますけど子供相手に大人げないですよぉーーーッ!?」

 

フブキがなんか言ってるけど知るか。こういうガキは小さいうちからちゃんと躾ないとなぁ?(怒)

 

「いだいよおぉママあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もう玲二さんってば子供相手にそんな事したらダメだってば!?」

 

「……すまん、つい怒りが抑えきれなくて……」

 

「ヒッグ……エッグ……」

 

「あい、あめちゃどーぞ♪」

 

あれからあのクソガ……いや、キョウモデウスにアイアンクローをかけた事をフレア達に咎められてしまった。いや悪いとは思ってるが怒りが勝ってしまったんだよ……

 

その目の前で痛さで泣きじゃくるキョウモデウスにかいりがペロペロキャンディーをあげて慰めていた。幼児に慰められる子供ってなかなかシュールだな?

 

「………で?お前、なんでパトラと結婚するなんて抜かしたクセにパトラの顔を知らねぇんだよ?」

 

「ヒッグ……だ、だってママが周防パトラなら僕のお嫁さんにぴったりだって言うから結婚するって決めたんだけど、ママからは周防パトラは魔力が高くておっぱい大きい女の子としか言ってなかったから……」

 

「あー、だからメル様やちょこの事をパトラ様と勘違いしたのね?」

 

「フレアもハーフエルフだけど魔力が宿ってたから間違えたんだね?」

 

成る程、親の言葉しか情報がなかったワケか。てかよくそれで結婚しようと思ったな?にしても母親よ、子供に対してそんな情報だけ教えるとはどういう事なんだ?

 

「というより君さ、パトラと結婚するとか言ってたけど君の年齢じゃまだ無理だよね?」

 

「そんな事ないもん!僕はこれでももう当主だからその権限で早く結婚出来るもんッ!」

 

いや幾ら魔界でもそんな権限ねぇだろ?兎に角話にならんなこいつの言い分は。

 

「……あのねキョウモデウス君、悪いんだけどパトラはこれから玲二君と婚姻を結ぶ為に役所に行こうとしてたの。だから悪いけど君の結婚の申し出は受けられないの、ごめんね」

 

「え………だ、だって周防パトラは恋人はいないってママが……」

 

「うん、玲二君とは特殊な付き合いをしてたの。玲二君には他にも奥さんがいるから結構秘密裏に付き合ってたからね」

 

「そ、そんな………」

 

あ、キョウモデウスがショックで膝から崩れ落ちた。でもまあまだ子供だし、こいつにはこれから他にも出会いがあるだろ。それにこいつもパトラの事を母親の薄っぺらい情報しか知らなかったんだし諦めてくれるだろ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うぅ………やだやだやだやだあぁーーーーーッ!!パトラちゃんは僕と結婚するんだもんーーーーーーッ!!」

 

「って駄々こね始めた?!」

 

な、なんだこいつ?!なんで今日初めてあったパトラに其処まで執着してんだよ?!

 

「あ、あのねキョウモデウス君?だからパトラは玲二君と結婚するから君とは無理なんだって」

 

「そんなのヤダぁーーーッ!!やっとパパとママ以外に僕と一緒になってくれる人が見つかったんだもん!絶対に結婚するんだもんッ!!」

 

うわ、泣きじゃくってもう顔が涙と鼻水でぐしゃぐしゃじゃねぇか。本当に伯爵なのかってくらい今まさにガキっぽい見た目なんだが?

 

「グスッ……こうなったら玲二とかいうお前!僕と勝負しろ!僕が勝ったらお前はパトラちゃんを諦めろッ!」

 

「いや勝負も何もこれは「うるさいうるさいうるさぁーーーいッ!勝負するったらするんだぁーーーッ!!」………ヤバい、久々にマジでめんどくさいって思ってしまった」

 

正直めんどくさいのは嫌なんだが……けどこれ以上駄々こねられても余計に面倒だし、しょうがない……

 

「はぁ………なら特別に相手してやるよ。但し!もしお前が負けても絶対に文句を言うなよ?分かったな?!」

 

「ふん!お前こそ負けて泣いても知らないからなッ!!」

 

いや泣いてるのお前の方だろ?まあ取り敢えず“あれ”も試してみたかったし、その試運転と思えばいいか。

 

「……すまないなパトラ、勝手に決めてしまって」

 

「ううん、玲二君なら絶対に大丈夫だって信じてるから♪それに……子供相手だけど嫉妬する玲二君を見れてパトラは嬉しかったよ♪」

 

「…………うわぁそういや俺何子供相手に嫉妬してんだよぉ~……?」

 

思い返したらとんでもなく恥ずかしいわ……まあ取り敢えずキョウモデウスと勝負する事になったし、今のうちに“あれ”の準備もするか。

 

 

 

ひょんな事から始まってしまったパトラを賭けた勝負。果たして玲二は勝てるのか?というより玲二の言う“あれ”とは一体何なのか?次回に続く。




はい、という事でパトラを賭けたバトル前の話でした!果たして玲二は一体何で戦おうというのか?次回もまったり待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第89話『ガンプラレーシング』

今回はタイトルを見て頂いたら分かると思いますがガンプラを使った対決です。でもGBNもないのにどうやって?答えは見て頂いたら分かりますので今回も最後まで見て頂けたら有難いです♪ではどうぞ!


パトラを賭けて魔界の伯爵キョウモデウスと勝負する事になった俺。その準備をする為もあって一日要したが準備は出来たみたいので早速始める為にリビングへと集まっていた。

 

「フフフ……さあ勝負の時は来た!さあ玲二とやら、一体何で勝負するのだ?大富豪か?七並べか?それともババ抜きか?」

 

「なんで全部トランプなんだよ?しかも二人だけのババ抜きなんて何が面白いんだ?そうじゃなくて今回はこれで勝負しようと思う」

 

「え?これって………ッ!?れ、レイくんこれってまさか?!」

 

俺がリビングの片隅に勝負の為に用意した物を見てフブキ達が驚いている。そう、それは大型モニターにコントロールパネル、更にその中央にはある物を置く為の台が設置されていた。そう、これは俺が前々から義兄さんに協力してもらって作った新型ゲーム、その名も

 

「今回の勝負はこの新型ゲーム、『ガンプラウォーズ』で戦おうと思う」

 

「やっぱり!これGBNの操縦席に似てたと思いました!」

 

「レイっち、いつの間にこんなの作ってたんだよ?」

 

「この間のGBNの時にこういうゲームがこの世界にもあったら面白いと思ってな。義兄さんと協力してGBNを参考に作ってみたんだよ」

 

とはいえまだ複雑な改造なんかは読み込めないし、オンラインにはまだ対応してないから今のところはこの城の中でしか遊べないけどな?今回は試運転も兼ねて勝負の内容にこれを選んだが、果たしてキョウモデウスは乗ってくれるか……?

 

「お、おおぉ~……ッ!?凄い!これガンダムのゲームか?!ねぇねぇ!これってAGEも使えるの!?」

 

「え?まあ複雑な改造されてないなら対応出来るが、なんだAGEが好きなのか?」

 

「うん!僕AGEのパーツが変わるあの感じが好き!」

 

成る程、どうやらお気に召してくれたようで何よりだ。それじゃ今回のルールを説明するか。

 

「今回は試運転もあるからあんまりガチなバトルは出来ないと思うから勝負の内容はレースで勝負しよう。フィールドはこの街をデータ化した疑似ホロライブタウン。ルートは何処を通っても構わないから港からこの神羅城に先に着いた方が勝ちだ。途中には簡易的だが妨害NPCのザクを配置する。これでどうだ?」

 

「うん!それで良いぞ!早くやろうやろう!」

 

おぉ、よっぽど早くやりたいみたいだな?けど最早威厳の欠片もないぞ?

 

「それじゃ今回はこっちが用意したガンプラで勝負しようと思う。さあどれでも好きなの選びな」

 

「ほあぁ~ッ!ガンプラがいっぱい……あ!これが良い!これにする!」

 

キョウモデウスは並べられたガンプラから迷わず『AGE-2ノーマル』を取り出した。まあさっきAGEが好きって言ってたし当然か。

 

 

『HG ガンダムAGE-2ノーマル』

『機動戦士ガンダムAGE』に登場する二代目主人公アセム・アセノの機体。AGEシステムという戦闘データを収集、蓄積する事でシステムが自動で新たな装備を設計する事であらゆる戦況に対応する事が出来るようになった。更に単体で高速飛行が可能なスライダー形態も存在する。

 

「フフン!レース勝負ならスピード重視のAGE-2が一番だ!」

 

「ほお?好きな作品を選びつつ勝負に適した機体を選んだか。なら俺は……これでいくか」

 

俺はAGE-2に対抗する機体として新しく出たガンダム、『エアリアル』で対抗する事にした。この間のフブキがルブリスを使ってるのを見て使ってみたかったんだよな。

 

 

『HG ガンダムエアリアル』

『機動戦士ガンダム 水星の魔女』に登場する主人公スレッタ・マーキュリーの機体。次世代群体遠隔操作兵器システムガンビットで構成されたシールドを装備しておりそれを分離させファンネルのように遠隔操作したり装甲に装着させる事も出来る。因みに水星の魔女は歴代でも珍しい女性が主人公の作品でもある。

 

「ふん!そんな新しい機体だからといってこのAGE-2のスピードに着いて来れるのかぁ?」

 

「言ってろ、ただ速いだけじゃこのレースは勝てないってところを見せてやる」

 

こうして互いに使用する機体を選択しそれをモニター前のスキャナーにセットするとロード画面に移り、そしてそれが完了すると大きな画面いっぱいにホロライブタウンの港風景が映り出した。へぇ、ガンプラサイズの目線で見るとこんな感じなんだな?

 

「おおぉーーーッ!本当にGBNみたいですよレイくんッ!」

 

「すごーい♪こんなゲームがこっちでも出来るようになるなんて♪」

 

フブキやそらも別に用意したモニターから俺達のいるフィールドの様子を見て興奮している。まあ実装はまだ大分先だけどテストプレイという意味でこれから皆には沢山遊んでもらうとするか。

 

それから一時間を掛けてキョウモデウスに操作方法を覚えてもらい、いよいよ勝負を始める時が来た。

 

「じゃあ改めてルール説明だ。舞台はこのバーチャルホロライブタウン、勝負の内容はレースで基本的にどのルートを通っても構わない。だが途中でNPCであるザク集団がランダムで待ち構えていて遭遇したらバトルゾーンが展開、そのエリアにいるザクを全て倒さないと次へ進めない。そして最後にこの神羅城へ辿り着いた方が勝者となる、これで良いか?」

 

「うむ!全然構わないぞ!」

 

……なんかキョウモデウスの目がキラキラ輝いているな?もう勝負云々じゃなくて早く遊びたいんじゃないのか?まあ良いけど。

 

「それじゃあそろそろ始まるからスタート地点に立つぞ」

 

「うむ!絶対に負けないからな!」

 

はいはい、それじゃあ準備も出来たしそろそろ始めるとするか。ではカウントダウン、スタート!

 

 

 

―3―

 

 

 

―2―

 

 

 

―1―

 

 

 

―START!!―

 

よし、始まった!いくぞエアリアルッ!

 

「よぉーしいくぞぉーーーッ!」

 

―ゴオォッ!―

 

「って速ッ!?」

 

しまったいきなり距離を取られてしまった!?ってかスライダー形態速くねぇか?!

 

「へへーん!どーだぁッ!?やっぱりAGE-2のスピードは速いぞーーーッ!―BATTLE ZONE―……へ?」

 

―ゴンッ!―

 

「ふぎゃ?!な、なんだぁ?!」

 

あ、キョウモデウスが調子に乗ってたらバトルゾーンに入ってフィールドの壁に激突して変形が解けたな?こうやってバトルゾーンが展開されるのは完全ランダムだからむやみに突っ込んだら大変な事になるのか。

 

「い、痛たた……け、けどザクがなんだ!そんなのこのAGE-2がまとめて蹴散らして……」

 

旧ザク×10

ザクII×15

シャアザク×3

 

「って多くない?!」

 

うわ、俺ザクIIしか設定してないつもりだったがミスったか?どうやらザク全般的に出てくるみたいだな?

 

「よし、この隙に俺も急いで―BATTLE ZONE―って俺もかよ?!」

 

公平にはしてあるとはいえまさかこんなすぐに出るとは……ま、まあ最初だしそんな大軍は来ないだろ……

 

ザクII×50

 

「多すぎだろッ!?」

 

なんだこの数?!ホワイトベース墜としに行くレベルじゃねぇか!?これ完全に俺調整ミスっちまったみたいだな畜生ッ!

 

「あーもうこうなったら仕方ねぇッ!ガンビット展開ッ!」

 

―ガコンッ……バシュウッ!バシュウンッ!―

 

エアリアルのシールドを分離させガンビットを展開しザクIIの大軍に向かってビームを乱れ撃ちし撃破していく。こういう時にはやっぱまとめて倒せるファンネル系の武器は助かるな。

 

―BATTLE CLEAR―

 

よし!少し時間が掛かったけどなんとか全て撃破した!向こうはまだ手こずってるみたいだから今のうちに距離を稼ぐぞ!

 

「れ、レイくん大丈夫ですかね?」

 

「なんか異様に敵の数多くない?」

 

「まるでガンダム無双を見てるみたいですね……?」

 

仕方ないだろ調整ミスってしまったんだから!?ってまたバトルゾーンに入ってしまっ………ちょお?!黒い三連星仕様が30機って頭おかしいだろ?!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ、はぁ、はぁ………や、やっと着いた……」

 

あれから20分くらいして漸く神羅城の前に辿り着いた。此処まで通算200体くらいザクを倒した気がする……ま、まあ次回やる時はもう少し難易度下げないとな?さて、そんじゃそろそろゴールに……

 

「ちょっと待ったあぁーーーッ!!」

 

「ってもう追いついたのか?!」

 

嘘だろ?!幾ら今回敵のレベル低めだったとはいえあれだけの敵を相手によく生き延びれたな?!くそ、このままじゃ追いつかれてしまう!?急いで神羅城に向かわないとッ!

 

―BATTLE ZONE―

 

「ってこんな時に?!しかも二人まとめて?!」

 

突然またバトルゾーンが展開し俺達二人はまた閉じ込められてしまった。おそらくこれが最後のバトルだがまたザクの大軍が来るのか?!

 

 

 

―ヒュウゥゥゥゥゥ……ドッシイィィィインッ!!―

 

「うわッ!?なんか降ってきた?!」

 

「え、一体だけか?………ってあれは?!」

 

嘘だろ?!確かにあれもザクだけど出てくるとは思わなかったぞ!?マジで最悪な状況じゃねぇか!?

 

「あ、あれって!?」

 

「さ……“サイコ・ザク”ゥッ!?」

 

「なんなのあのゴツいザクは?!」

 

 

『MG サイコ・ザクVer.ka』

『機動戦士ガンダム サンダーボルト』に登場した史上最も最悪なザク。リユース・サイコ・デバイスというパイロットの思考と直感で機体を操作する事が可能だが、その為には両腕と両足を全て切断して専用の義肢にしコックピットに接続しなければならないというパイロットすら生体ユニットとして扱う非人道的なMSである。

 

最悪じゃねぇか!?ザクはザクでもサイコ・ザクだなんて?!劇中でもこいつとんでもない火力だったぞ!?しかもこのデカさ絶対にMGだろ?!幾らレベル低めの設定でも無茶だろこれ!?

 

―ギロッ!―

 

「う、うぅ……こ、このぉッ!」

 

―バキュウゥンッ!!―

 

―バシュウ……―

 

はぁ?!ビームライフルモロに受けたのに全然ダメージ入ってねぇぞ!?な、なら!

 

「こいつでどうだ!?ガンビットォッ!!」

 

―バシュウッ!バシュウッ!バシュウンッ!!―

 

―バシュウ、バシュウ、シュウゥ~……―

 

全然効いてねぇ!?どんだけ装甲堅ぇんだよこいつ?!これがHGとMGの差だと言うのか?!……けど

 

「………良いねぇ、こういうの嫌いじゃねぇぞッ!!」

 

「え?えぇ?!い、一体何を……!?」

 

「おいキョウモデウス!ボーッとしてねぇでお前も手伝え!二人であのデカブツ倒すぞ!」

 

こういう強い敵倒すのは大好きなんでな!久々に燃えて来たぜぇッ!!

 

「あーあ、レイくんのスイッチ入っちゃった……」

 

「レイっちゲームとかで相手が強いと熱くなるというか……」

 

「玲二君ってこうなると他の事に目がいかなくなるよね?」

 

なんかギャラリーが騒いでるけど関係ねぇッ!兎に角あのデカブツに一泡吹かせてやるぜッ!

 

―ブォンッ……ギュイィィィ……―

 

―ズガガガガガガガガッ!!―

 

「よっとぉッ!そんなの当たるか!」

 

「ひ、ひいぃぃぃぃぃぃッ!?」

 

デカブツがマシンガンをぶっぱなしてきたがそんな大振りな攻撃なんざ当たるかよ!

 

「おいキョウモデウス!お前は左膝の関節を集中的に狙え!俺は右膝の関節を狙うから!」

 

「えぇ?!で、でもそんなんでアイツを倒せるの?!」

 

「こういう大型のガンプラはその図体がデカイせいで関節部に負担が掛かるんだ!だから其処を重点的に攻撃すればいつか必ず倒れる!分かったらさっさと攻撃しろッ!!」

 

「は、はいッ!!」

 

―バキュウゥンッ!バキュウゥンッ!―

 

―ドゴォンッ!―

 

よし、まずはそれぞれ両足の関節を砕く!サイコ・ザクはその重量からおそらくは地上の重力下ではそんなに激しい動きは出来ないと踏んだが、やっぱりか旋回するのにも一苦労みたいだな!?向こうも反撃しようとバズーカを構えているが、そんなスピードなら簡単に避けられるッ!

 

―ドゴオォォンッ!!―

 

「うわわわわ……!?」

 

「落ち着け!こんなのしっかり避ければ当たりはしない!兎に角避けながら膝関節部に攻撃を続けろッ!」

 

「は、はいッ!」

 

俺等がちょこまか動いているせいでサイコ・ザクも全然動きに着いていけてない。デカイってのは何も良い事ばっかじゃねぇって事だな!

 

―ギギギッ……バキィッ!―

 

「ッ!よし、両膝の関節が逝った!倒れるから離れろ!」

 

「う、うん!」

 

何重ものダメージを与えたお陰で漸くサイコ・ザクの膝関節が損傷し倒壊しだした!取り敢えず此処にいたら巻き込まれるからさっさと離れないと!

 

―ドッシイィィィインッ!!―

 

「よっしゃあッ!後はトドメだッ!!」

 

倒れたサイコ・ザクの頭部へと近づきビームライフルを構える。狙うはただ一点!奴のモノアイ部分だッ!

 

「いっけえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!」

 

―バキュウゥンッ!……チュドオォォォォオンッ!!―

 

「ッ!やったぁッ!!」

 

「よっしゃあッ!倒してやったぜぇッ!!」

 

―BATTLE CLEAR―

 

よし!サイコ・ザクも倒したし後はゴールするだけ―ジジッジッジジッジーーーーッ……―?なんだこの音……

 

―プッツン―

 

『あ………』

 

あ、あれ?なんで勝手に電源が切れた?……もしかして、今のでサーバーがダウンしてしまったのか?

 

けどまあそうか、敵の数も設定してなかったからわらわら出てきたしザクの種類も多かったからまだプロトタイプのこのマシンじゃこれが限界か。まあそれが分かっただけでも良しとするか。けど問題は……

 

「……………………」

 

「ね、ねぇこれってもしかして引き分けになっちゃうのかな……?」

 

「確かに決着つかないまま終わっちゃったもんね……?」

 

そう、サイコ・ザクと戦ってる時は気にしてなかったけどこれ普通に勝負だったんだよな?キョウモデウスもうつ向いたままで黙っちゃってるし、どうしたものか………?

 

「…………ねぇ?これってもう出来ないの?」

 

「へ?い、いや今オートメンテナンスが入ってるから後一時間すればまた出来る筈だが……?」

 

「……ならそれが終わったらもっとやろう!僕こんなに楽しい遊びしたの産まれて初めてだもん!もっともっとこれで遊びたい!」

 

な、なんだ?落ち込んでるかと思ったらなんだかめっちゃ楽しそうにしてるんだが?そんなにこのゲームを気に入ってくれたのならそれは有難いんだが勝負はどうしたんだよ?

 

「よーし!次はどんなのでやろうかな?ウイングも良いしエクシアも良いなぁ~♪」

 

「あ!だったら私達もやってみたい!ねぇレイくん良いですよね!?」

 

「あ、あぁ別に構わないが……」

 

「よぉーし!それならパトラもバルバタウロスでやってみたーい♪」

 

「私もフリーダムで遊んでみたいな~♪」

 

…………ま、良いか。皆が楽しんでくれてるみたいで何よりだ。

 

それからメンテナンスが終わり再度調整を施した後皆でお気に入りのガンプラを使って思い思いにガンプラウォーズを楽しんでいた。複雑な改造ならともかく一部パーツを差し替えるとかなら簡易的な互換が出来たりするから結構皆パーツを組み換えて遊んでたな。

 

そして夕方頃、キョウ(長いのでそう呼ぶ事になった)のご両親が迎えに来てくれて今回のパトラとの結婚騒動についての事の経緯を教えてもらった。なんでもキョウは伯爵家に産まれたのと生まれつきの高い魔力のせいで周囲に馴染めず孤立していたらしい。其処にキョウの母親がキョウに冗談で魔界の女王であるパトラにお嫁さんになってくれたら良いのにって言ったらそれを真に受けて話を勝手に進めてしまったらしい。だから母親からの情報が適当っぽい感じだったんだな?

 

つまりはキョウは結婚どうこうというのは建前で本当は一緒に遊んでくれる友達が欲しかったんだな?それなら最初からそう言えば良いのにな?

 

「佐々木さん、それにパトラ様もこの度は息子がご迷惑をお掛けしてしまい大変申し訳ございません」

 

「別に良いですって♪パトラもキョウ君と沢山遊んで楽しかったもんね~♪」

 

「俺も、弟が出来たみたいで楽しかったので大丈夫ですよ。キョウ、もしまた遊びに来たかったらいつでも来いよ?但し、ちゃんと連絡はしてくれよな?俺達も仕事とかもあるし」

 

「うん!お兄ちゃん、それにお姉ちゃん達ありがとう!また遊ぼうね~♪」

 

うん、いろいろとあったが兎に角楽しかったし、これにて一件落着だな。

 

「玲二君、今日は本当に楽しかったね~♪それじゃあ今日はもう遅いから明日朝一で役所に「それなんだけどパトラ。もうキョウとの結婚はなくなったんだから玲二さんと結婚する必要ないよね?という事でこの話はなかった事にしよ♪」やだあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!皆も一度は認めてくれたし玲二君もOKしたんだからパトラも玲二君と結婚するもんーーーーーーッ!!」

 

「うわぁ必死ですねパトラちゃん……?」

 

「まあやっと許してもらったのに結局無しって言われたらそうなるよね?」

 

こうして初めてのガンプラウォーズの試運転はトラブルが有りつつも成功で終わった。これからはこのゲームをもっと改良しないとな?

 

あ、それと翌日パトラとは籍を入れました。フレアのあれはちょっとした意地悪だったらしい、なんじゃそりゃ?

 

「えへへ~♪玲二君これからもよろしくね~♡」

 

「ああ、よろしくなパトラ」

 

 

 

新たに玲二の嫁に加わった周防パトラ改め佐々木パトラ。しかし、この一件で他のアイドル達の抑えきれない欲望が解放されてしまうとは、この時の佐々木一家はまだ知るよしもなかった………




はい、という事で新たなゲーム『ガンプラウォーズ』登場です!次回からもこれでいろんな対決や遊びをすると思いますのでちょっと期待して頂けたらなって思ってます(^^;

次回はにじさんじよりあの皇女と鬼が……?次回もまったり待って頂ければ幸いです、ではまた!


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新都市ホロライトシティ編
第90話『玲二の政略結婚?』


ガンプラウォーズを導入した事でガンプラを本格的に扱えるのでいろいろとやっていきたいと思いつつも、あまり激しい事をしたらAnotherみたいな事になるのでなるべく遊びや対決程度にしないと( >Д<;)

今回はにじさんじより新たなメンバーが迫ってくる?な話です。最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


「えーそれでは皆さん、レイくんとパトラちゃんの結婚と新しく生まれ変わった『ホロライトシティ』を祝して!」

 

『かんぱーい♪』

 

パトラとの結婚をしてから二週間後、俺達は新しく出来たホテルの最上階でパーティーを楽しんでいた。実は俺達の住むこのホロライブタウンが幾度の拡張、そして都市化が進みこの度名前もホロライトシティへと変わったのだった。名付け親はフブキとそらでホロライブや他のアイドル達でこの街を照らしていきたいという意味を込めたらしい。うん、良いと思うぞその名前。そしてその市長として俺が就任する事になったが、今までもこの島の都市開発には関わってたからやる事は特にそんなに変わらない。

 

「それにしてもパトラがご主人様と結婚するなんて………ハッ!これはもしかして僕にもチャンスが!?」

 

「あるわけないから諦めてくださいこの愚兄。というよりなんでまだ諦めてないんですか?」

 

「やだあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーッ!!僕だってご主人様と一緒になりたいぃぃぃぃぃぃぃぃーーーッ!!」

 

いや仮に俺にまだ結婚する意志があってもお前は無理だろたまき?だってお前男だし。

 

「玲二君、パトラちゃんとの結婚おめでとう♪」

 

「あ、有り難うございますういさん」

 

「それでこれ、私からの結婚祝いなんだけど良かったら受け取って「母ちゃん、それもしかしなくても婚姻届だろ?」……勘の良いスバルは嫌いだよ」

 

いやあんたもかい?ういさんも前々から隙があれば婚姻届を俺に差し出してくるけどいい加減諦めてくれないですかね?

 

「あ、それとレイさん!ガンプラウォーズの開発も順調なんだよね?」

 

「ん?ああ、皆が遊んでくれたお陰で調整も早く済みそうだし、それにクロもガンプラのデータを提供してくれたお陰である程度の改造にも対応出来るようになったしな」

 

「フフン、ゲームでは弱いかもしれないがこういう処で私も協力してるんだ♪」

 

とはいえまだまだテストプレイや改良はしていかないといけないし、暫くはこの街でのみの稼働になるだろうな。おめシスの二人が経営してるゲームセンターに設置してもらったし、これからはもっといろんな奴の遊んだデータも取っていかないと。

 

「ま、今回は新たな節目という感じだがまだまだ俺達にはやらないといけない事は沢山ある。これからも気を緩めず頑張っていこう!」

 

『おーッ!』

 

こうして俺達はこれからも頑張っていく事を誓いつつ今日のパーティーを楽しむのだった。まだまだやる事いっぱいだが、今日くらいは楽しまないとな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―数日後―

 

「うーん………」

 

「あれ?どうしたの玲二くん、そんな頭を抱えて?」

 

「ぷゆぅ~?」

 

「ん?ああ、すいに“きらり”か。いやちょっとな……」

 

俺は今仕事の最中で今度行うにじさんじとの合同ライブの企画書を見てたんだが、その書類に紛れて入ってた二通の妙な手紙をやって来たすいせいに見せてみる。因みにきらりは俺とすいせいの子供で普段は愛嬌があって可愛らしい女の子だ。

 

「………何この手紙?“ヘルエスタ王国”と“鬼人の集落”から?」

 

「ああ……その内容がちょっとな?」

 

そう言って俺は手紙の内容をすいに伝える。それは天界にある人間達が中心の国のヘルエスタ王国と魔界にある鬼人族達が暮らす鬼人の集落からのもので、簡単に訳すとこのホロライトシティと友好関係を結びたく、その証としてヘルエスタからは第二皇女を、鬼人の集落からは女王を俺に嫁がせるといったものだった。

 

「はあぁッ!?何このふざけた内容は?!」

 

「あっぷぁ?」

 

「そうなんだよなぁ?友好関係って、国同士なら兎も角なんでこんな一街と結ぼうとしてんだか?」

 

「そんな事より玲二くんこれどうするのさ?!まさかこんな何処の馬の骨だか知らない女達と結婚するつもりじゃないよね?!」

 

いや流石に結婚するつもりはねぇよ。それとだけど……

 

「いやすい、言っとくがこいつ等知らない奴ではないぞ?寧ろすいもよく知ってる奴等だ」

 

「え?そ、そうなの?」

 

「ああ、ってか肩書きで分かるだろ?“ヘルエスタ第二皇女”と“鬼人の女王”だぞ?」

 

「ッ!?ま、まさか……?!」

 

「う?」

 

そう、そのまさかだ。しかもそいつ等、なんだったら今この神羅城に住んでるしな。

 

「……兎に角そいつ等今部屋にいるみたいだから今から話をしに行く。すいも一緒に来るか?」

 

「当たり前だよ!この間のパトラちゃんとの結婚だってかなりの妥協点だったのにこれ以上玲二くんの妻が増えてたまるか!」

 

「たやぁーッ!」

 

うん、そう言うと思ったわ。じゃあ取り敢えずあいつ等をリビングに呼び出すとするか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………で?これは一体どういう事なんだ?ヘルエスタ、竜胆」

 

「あ、アハハ、きっと父上がこのホロライトシティと繋がりがほしくて私を差し出したんでしょうね~……?」

 

「わ、わらわの処もきっと同じ理由かのぉ~……?」

 

俺が目の前にいる二人、にじさんじに所属してる『リゼ・ヘルエスタ』と『竜胆尊』を軽く睨むと分かりやすく動揺している。やっぱりこいつ等何かやったな?

 

「いやお前等何かやっただろ?大体何が友好関係だよ?国同士で結ぶならまだしもなんでこんな開発されて間もない島街と結ばないといけないんだよ?」

 

「そ、それはですねぇ~……ほ、ほら、ヘルエスタ王国は昔から国同士の友好関係よりもこういった都市との交流をしていたので……」

 

「わ、わらわも自分が住んでる街とは友好関係を結んでおいた方が良いかと……」

 

「だとしても開発されたばっかでまだ世間に公表していないこの街をなんでヘルエスタ王国が知ってるんだ?それに竜胆ももし自分の住んでる所と友好関係を結ぶというなら何故今までそれをしてこなかった?」

 

「「うぐッ……?!」」

 

案の定二人して言い訳してきたがすぐに問い詰めると言葉に詰まってしまっていた。もう大体予測は付いてるが此処は更に問い詰めるか。

 

「……分かった、取り敢えずこの事をヘルエスタ王国と鬼人の集落にも確認を取る」

 

「「えッ!?」」

 

「そりゃそうだろ?これは謂わば国際的な問題だ。更に言えばヘルエスタ王国は天界、鬼の集落は魔界にあるんだ。もしこれでこの友好関係を結ぶ誓約に偽りがあったら三界を巻き込んだ大問題に発展するんだから確認はしっかりしないといけないだろ?それとも……本当はこの友好関係誓約もお前等が勝手に結ぼうとしたんじゃないよな?」

 

「「………すみませんでしたあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」」

 

ほらやっぱり、あの手紙お前等が勝手に出したヤツだったか。そりゃにじさんじとの合同ライブの資料の中に混じってた時点で大体は察してたけどまさか此処まで捻りもない事するとは思わなかったわ。

 

「だ、だって玲二さんもう結婚しないとか言ってたのにパトラさんと結婚したから私達も迫れば結婚出来ると思って……」

 

「わらわもこういう形式で迫れば玲二が断らないと思ったから……」

 

「その前にすいちゃん達がそんなの許すワケないの分かるじゃん?」

 

「……あぅ」

 

うわぁすいが物凄いくらい恐ろしい無表情で二人を睨んでるな……?膝に乗っかってるきらりも全く愛嬌のない顔で二人を見てるし。まあきらりの場合は俺とすい以外には基本的に愛嬌がなくなるんだけど……なんでこの子は俺達以外にはなんの興味も示そうとしないんだろうな?

 

「そもそもリゼさんや尊様もなんで其処まで玲二くんと結婚したがるのさ!?玲二くんにはもうすいちゃん達がいるんだから諦めてよ!」

 

「嫌じゃ嫌じゃあぁッ!玲二は何時だってわらわの事を鬼人族の女王だからと特別扱いせず普通の女の子として扱って優しくしてくれたのが嬉しかった!だからわらわはこの男となら一緒に歩んで行けると思ったのじゃッ!だからこんな事で諦めとうないッ!!」

 

「私だって!皇女という身分であるせいで拐われそうになった私を玲二さんは危険を省みずに助けてくれたんです!そんな私にとって玲二さん以上の男の人なんていないんですッ!!」

 

………なんかこうして見ると俺って余計な事して変に繋がりを増やしてしまってるような気がする。けどあの時竜胆を放っておいたら病んでそうだったしヘルエスタも誘拐されてるのに見捨てるなんて絶対に出来ないし……なんで俺の周りにはそんな状況が多いんだよ?

 

「だから玲二さんお願いします!私と結婚してくださいッ!もし私の持つ財産が欲しいのであれば全部あげますし、必要であればヘルエスタ王国ごと差し上げますからッ!!」

 

「わらわも頼む玲二!もしわらわが鬼人の女王だから無理と言うなら今すぐにでも女王辞めるからッ!!」

 

「い、いやそんな迫られても困るっての!?」

 

「そうだよ!それにそんな簡単に自分の身分を捨てるようなマネしたら上に立つ者として失格でしょ!?」

 

俺とすいが必死に止めるも二人も食い下がる気は全くないのか全然離れてくれない!?鬼人族の竜胆は兎も角普段体力ない筈のヘルエスタはどっからそんな力出てんだよ?!

 

 

 

 

―ガチャッ―

 

「おぉーい婿殿ぉ!一緒に酒でも飲まぬかぁ~?!」

 

「ちょっと母上!?玲二様酒弱いんだから母上と飲んだりしたら倒れちゃう余!……あれ?玲二様、もしかして取り込み中だった?」

 

「ぱぱ~♪」

 

そんな中切菜さんとあやめと玲菜の親子三代がやって来た。ってか切菜さん俺は酒弱いんだから勘弁してって言ってるのになんで毎回来るんだ?!もう取り敢えず一旦こいつ等落ち着かせる為にあやめにも協力してもらわないと!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんじゃそんな事だったんか?それならば貰えるモンは貰えば良かろうが!ハッハッハッ!」

 

「ちょっと母上何無責任な事言ってんのさ!?」

 

いや全くだわ。なんとか二人を説得して諦めさせてほしいって言ったのになんでこの人肯定しちゃってんの?ってかこの人なんか最初の頃より豪快になってないか?いや、多分これが元の性格なんだろうな……

 

「どうしたあやめ?強い雄に惹かれるのは雌の本能じゃろう?ならその雌を満足させるのも雄の役目というもの!お主等もそんな事で一々騒がずドンと構えてれば良かろう?」

 

「おぉ……あやめさんのお母さん流石です!」

 

「うむ!流石鬼人族は考えが寛大じゃのう♪」

 

いやいや切菜さん、あんたの考えは1500年前の男女の営みでしょうが?!それとさっきから一升瓶空にするスピードが速ぇよ!?それもう五本目だろ!?

 

「大体婿殿は考えが堅いのじゃ、堅いのは○○○だけで良いってのに?」

 

「ちょっと母上!?玲菜やきらりちゃんがいる前で下ネタ止めて余!!」

 

「知らん、それより婿殿。お主にはもう既に多くの嫁がおるんじゃろう?なら今更十人二十人増えた処で変わらんじゃろ?だったらお主の事を好いてる奴等纏めて面倒見るくらいの度胸見せんかい!?そんであやめ達も婿殿を信じているなら妻としてドンと構えておれッ!そうすれば婿殿もどっか行く事もなかろう!」

 

う……言ってる事無茶苦茶だが謎の威圧感のせいで言い返せない。まさか義母にあたる切菜さんから嫁を増やせなんて言われるとは思わなかったが、この状況をどうすれば良いか……?

 

「……とまあ此処まで勢いで言ったがそれだと婿殿もまだ納得せんだろう?だから此処は勝負といこうではないか」

 

「え?勝負ですか……?」

 

「うむ、お主確か最近ゲームを開発しとるみたいだったのう?お主達の趣味であるガンプラを実際に動かして戦うゲームと聞いたが、それで其処の二人とあやめとすいちゃんの四人で対決して勝った者の言い分を聞く、これでどうじゃ?」

 

ま、マジか……でも勝負ったってすいとあやめがそれに乗るワケが……

 

「……良いよそれで。その勝負ですいちゃんかあやめが勝てば良いだけの話だし」

 

「余もそれで良い余!玲二様、余達必ず勝つから心配しないで!」

 

「いや受けるんかい!?なんでそんな簡単に引き受けるんだよ?!」

 

ってそうだよこの二人かなりの負けず嫌いだったわ!?勝負と聞いて変に闘争心が燃えてしまったのかよ!?

 

「良いでしょう!ヘルエスタの誇りに賭けて、必ず勝って玲二さんと結ばれて見せます!」

 

「わらわだって絶対に負けないからね!」

 

「うむ、その意気じゃ!なら勝負は一週間後、それまでにお互いに勝負に使うガンプラを作るが良い!婿殿もそれまでには腹を括っておけ!では解散じゃッ!!」

 

切菜さんはそう言って部屋から出ていってしまった……のは良いけど空の一升瓶片付けていけよ!しかも増えてるし!?

 

しかもいつの間にかすい達も部屋に戻っちまったみたいだし……はぁ、マジでしんどい……

 

 

ひょんな事から決まってしまったリゼと尊との結婚を賭けた勝負。果たして玲二の行く末はどうなっていくのだろうか?続く……




はい、という事で静お…ヘルエスタ王国の皇女リゼと鬼の女王尊様の登場でした!そして次回はすいちゃんとあやめも交えた対決にしようと思いますので……あ、ドロドロな展開にはしません(^^;
なので次回もまったり待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第91話『見つけろ、リーダー機』

まずは最初に……すみません!新しく書いた小説なんですが構想を再構成する為に一旦非公開にさせて頂きました!話が纏まり次第再投稿します!

今回はガンプラバトル回です!果たして勝つのはすいせいとあやめか?それともリゼと尊か?最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


「さあ始まりましたガンプラウォーズ!実況は私社築と!」

 

「解説は私加賀美ハヤトがお送りします」

 

「……いやなんでいるんだよ?」

 

ひょんな事からすい達とリゼ達が勝負をする事になってから一週間が経ち、それぞれのガンプラを用意してきたのは良いんだが……なんでこんな大広間でやるんだよ?しかも実況席に築とハヤトもいるし。

 

※前回までの間に玲二はリゼ達の事を名前で呼ぶ事になった。

 

「いやぁ加賀美さん、遂に本格的にガンプラウォーズでの対決を見れる事になりましたが如何でしょうか?」

 

「もう私これずっとやりたかったんですよ!おめシスさんの所のゲームセンターで体験版をやろうとしましたがあまりにも人気で長蛇の列が出来てて全然遊べなかったんで悔しかったですし!何せ自分が作ったガンプラを操縦して戦う事が出来るんですよ!?こんなのファンからしたら夢のようなゲームじゃないですか!!そんなのガンダムファンなら誰だってやりたいに決まってますし私もこの勝負が終わり次第やらせてもらえたらと……!!」

 

「いや長過ぎるわ!?どんだけ興奮してんだよハヤト!?」

 

えらく巻き舌になってるしどんだけ楽しみにしてたんだよ!?まあ開発に関わっている身としては有難い話だけど?

 

「えーではそろそろ今回戦う選手のご紹介といきましょう!まずはホロライブチームからは佐々木すいせいさんと佐々木あやめさんです!使用するのはすいせいさんが『ルナゲイザーガンダム』、そしてあやめさんが『シェンロンガンダム』です!」

 

 

『HG ルナゲイザーガンダム』

『ガンダムビルドファイターズAR』に登場するガンプラ。宇宙世紀の機体の百式をベースにコズミックイラの機体のスターゲイザーの推進機であるヴォワチュール・リュミエールを搭載した事で高スペック且つ高い推進力を得た機体となっている。今回はすいせい専用機という事で深水色に塗装されている。

 

 

『HG シェンロンガンダム』

『新機動戦記ガンダムW』に登場する張五飛が搭乗した機体。オペレーションメテオを遂行する為に作られた五機のガンダムの内の一体で主に薙刀を駆使した近距離での戦闘とドラゴンファングという伸縮する右腕を使った中距離戦を得意としている。今回あやめは左腕にもドラゴンファングを装備させダブルファングに改造を行っている。

 

「フフーン♪このすいちゃんの自慢のルナゲイザーでボッコボコにしてやんよぉッ!」

 

「余もこのダブルファングシェンロンで噛み砕いてやるかんなぁッ!」

 

いや二人ともかなり熱くなってんなぁ、完全に相手を○る気だろ?

 

「頑張ってすいちゃん!あやめ!」

 

「絶対に勝ってこれ以上玲二さんの嫁増やさないようにしてッ!」

 

当然ホロライブサイドの観客席からはすいとあやめを応援する声が聞こえてくる。対するリゼ達はどうなんだ?

 

「そしてにじさんじチームからは天界の静岡ことヘルエスタ王国の第二皇女リゼ・ヘルエスタと鬼人の集落のアル中女王竜胆尊の登場です!使用するのは『スターウイニングガンダム』と『悟空インパルスガンダム』です!」

 

 

『SD スターウイニングガンダム』

『ガンダムビルドファイターズトライ』に登場したガンプラ。今回はリゼ仕様という事で青と水色で塗装されている。

※簡易説明は以前したので省略

 

 

『SD 悟空インパルスガンダム』

『SD GUNDAM WORLD HEROS』に登場する主人公の一人。西遊記の孫悟空とSEED Destinyのインパルスガンダムをモチーフにしており劇中ではスピード重視の青いの沙悟浄やパワー重視の赤い猪八戒等にも変身している。今回はその両方の装甲も合わせた三位一体の渾然猴王態の状態に仕上げている。

 

「だから静岡は関係ありませんって!?と、ともかくこの戦いだけは絶対に負けられません!必ず勝って私達の要望を聞いてもらいますッ!」

 

「アル中じゃないもんッ!?それとわらわも鬼人の長として負けるワケにはいかんのじゃッ!」

 

おぉ、こっちも燃えてるな……それと築よ、なんだその不名誉の二つ名は?

 

「リゼさん頑張ってください!」

 

「二人が勝てばワイらもチャンスがあるんやから絶対負けんなよッ!?」

 

こっちはこっちで自分達の為にもとリゼと尊を応援してるし……さてこの勝負、果たしてどんなふうな決着がつくんだろうか?

 

「さて、今回の対決ですが開発者である玲二から説明してもらいたいと思います!では玲二、お願いします」

 

「ん……では勝負の内容の説明をする。今回の勝負は『エース機撃墜ゲーム』だ」

 

『エース機撃墜ゲーム?』

 

「ああ、今回行われる舞台は月面エリア。其処には最大で500機のリーオーが至るところに配置されている。その中にたった一機だけいるリーダー機を探し当てて先に撃墜したチームが勝者となる。但しリーダー機が撃墜されない限りその他のリーオーはどんどん出現してしまうから注意だ。それと途中で撃墜されてもスタート地点から1分後にやり直せる、以上だ」

 

「えぇ?!そ、それってリーダー機って他の何かと違いはあるんですか……?」

 

「ない、見た目も装備も普通のリーオーと同じにしてある。唯一違うのは他のリーオー達のレベルが2でリーダー機はレベル7だ(最大レベルは10)」

 

『えぇ~ッ?!』

 

そう、この勝負では相手より如何に早くリーダー機を探し当てて撃破する事が目的だ。故にすぐに決着がつかないようにリーダー機も他とは強さのレベルを変更したのみで見た目では判断しにくいように設定したのだ。

 

「いやぁこれはかなりの難易度ではないでしょうか加賀美さん?」

 

「そうですね、見た目も一緒という事は普通なら一体ずつ倒せば良いのですがそうしているうちにまた新たなリーオーが出撃してしまいますので如何にリーダー機を素早く捉えて撃破するかがポイントとなるでしょう」

 

「うぐぐ……?!い、良いよ!要は敵を纏めて倒していけばいずれ倒せるんでしょ!?ならやってやんよぉッ!!」

 

「私達だって此処で逃げるワケにはいきませんのでやってやりますよッ!!」

 

ん、どうやら四人とも準備が出来たみたいだし、早速ゲームを始めるとするか。ガンプラデータを読み込みしてエリア展開開始、ポチっとな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわぁ、これがガンプラウォーズのゲーム画面かぁ……!」

 

「凄い……まるで本当に宇宙に出たみたいじゃ!」

 

ゲーム画面が表示されて四人はそれぞれスタート地点となる隕石の上に機体が出現され待機している。観客席の皆も大型モニターに写し出されている映像を見て興奮しているみたいだ。

 

「さて、今から30秒後にスタート開始のアラームが鳴る。それと言い忘れていたが今回もし相手チームを攻撃したら妨害したと見なされ15秒間機体が動かなくなるから注意してくれ」

 

「えぇ~?妨害なしかぁ……?」

 

「まあ妨害有りにしたら余計に勝負が長引くもんね?」

 

その通りだ。それじゃそろそろスタートするな?カウントダウンを開始するか……

 

 

 

3………

 

 

 

2………

 

 

1………

 

―GAME START―

 

「よっしゃ一番乗りぃッ!!」

 

「「「速ッ?!」」」

 

お、スタートと同時にすいのルナゲイザーが真っ先に月面へと向かって行ったな?流石四機の中でも一番推進力がある機体だ。他の三人も急いで月面へと向かっているがルナゲイザーに比べたら倍近くスピードが違うし。

 

「ッ!見つけた!まずはあいつら片っ端からやっつけようかッ!」

 

―バキュウゥンッ!バキュウゥンッ!―

 

―チュドオォォォンッ!―

 

お、早速すいがリーオー達を見つけて交戦を始めたな?取り敢えず見つけたリーオーに片っ端からビームライフルで撃ってるみたいだが、それだと……

 

―ヒュンッ―

 

―ヒュンッ―

 

「ああもう次から次へと!?こうなったら纏めて撃ち落として……!」

 

―カチッカチッ……―

 

「……あ、あれ?なんで急に弾が……もしかして、弾切れ?!」

 

そう、今回から他のガンダムのゲーム同様に弾数もちゃんと設定したので一度弾切れになると少ししないと回復しないように設定したのだ。だから闇雲に撃ってたら逆に不利になりかねないという緊張感が追加されたんだよ。

 

「すいちゃん!多分こいつらの中にはリーダー機はいない余!というか再出撃されたリーオーの中にリーダー機なんているワケないし!」

 

「そ、そうかそうだよね……?兎に角こいつらの相手は止めて次の所に行くわ!」

 

あやめに言われてすいも落ち着いたのかその場を離れて違う場所へと向かっていく。しかし……

 

「……ってさっきのリーオー達が追っかけて来るんだけど?!」

 

「えぇッ?!ってすいちゃんその状態でこっちに来ないで余!?」

 

喧嘩売られたリーオー達がまるで怒ってるかのようにルナゲイザーを追いかけていき、それに直線上にいたあやめのシェンロンも巻き込まれてしまう。あれはもうある程度距離を取んないと振り切れないだろうな?さて、リゼ達は今どうなってるかな?

 

―バキュウゥンッ!ドゴオォッ!―

 

「うぅ、これじゃあキリがないぞ?!」

 

「分かってますって!ともかく今は一体ずつでも調べて倒すしかありませんよ!」

 

……こっちもリーダー機を見つけられなくて一体ずつ倒してるみたいだな?だがそれだとかなりの時間が掛かりそうだが大丈夫か?

 

「くッ……このぉッ!」

 

―バキュウゥンッ!バキュウゥンッ!バキュウゥンッ!―

 

―チュドオォォォンッ!―

 

―チュドオォォォンッ!―

 

―ヒョイッ……―

 

「……あれ?今のって……」

 

……お?どうやら思った以上に早く見つかったか?後はあいつ等がそれに気づくかどうかだな。

 

(……今のあのリーオー、こっちの攻撃を避けたような………ッ!もしかしてッ!?)

 

「みこつさん!彼処のリーオーの軍団に向かって全体攻撃って出来ますか?!」

 

「え?!で、出来るっちゃ出来るが……「ではお願いします!」??わ、分かったのじゃ……?」

 

お?どうやらリゼは気づいたみたいだな。さて、上手くいくかどうか……?

 

「いくぞぉッ!最勇機奥義!爆裂インパクトオォッ!!」

 

―シュウゥゥゥ……ドッゴオォォォォォォォォンッ!!―

 

尊の悟空インパルスが放った全体攻撃がリーオー達を次々と呑み込んで消し炭にしていく……が、“一機のリーオー”だけがその攻撃を寸前で避けてしまった。

 

「あぁッ!一機だけ逃してしまったのじゃぁッ!?「いえ、これで良いんです!」?どういう意味じゃ?」

 

「これではっきり分かりました……今みこつさんの全体攻撃を避けたあのリーオーこそがリーダー機ですッ!」

 

「「「な………なんだってえぇぇぇぇぇぇッ?!」」」

 

……どうやら完全に見つけたようだな?俺が他の奴等とテストプレイをした時はもう少し時間が掛かったもんだが、まさかこんなに早く見つけ出せるとはな?

 

「今までのリーオー達はこちらが攻撃を仕掛けても避ける事はしなかったのにあのリーオーだけは私達の攻撃をしっかり避けてました!つまりはあの回避行動をするリーオーこそが私達の探していたリーダー機に間違いありません!」

 

そう、通常のリーオー達はレベルの低さもあり更に倒れても復活する点から回避行動がインプットされていない。しかしリーダー機は自身がやられたらゲームエンドになる事が分かっているので危なくなったら回避行動を取るように設定してあったのだ。それをあの一瞬で気づくとは……凄いなリゼ、見直したよ。

 

「おぉ、成る程!よく見つけたのじゃリゼ!ならば後はあいつを倒すだけじゃ!」

 

「えぇッ!向こうのチームがこちらに来る前にさっさと倒しましょう!!」

 

漸く敵の攻略法を見つけたリゼ達はリーダー機へと向かっていくが流石のリーダー機と言ったところか、スターウイニングと悟空インパルスを狙撃しつつ退避していっている。見つかりはしたものの簡単には倒されてたまるかって感じがするな?

 

「ど、どうしようすいちゃん!?このままじゃ向こうに先に倒されちゃう余?!」

 

「だ、大丈夫だって!?今ポイントを確認したけどそんなに遠くないから今から行けば間に合う!あやめ、ルナゲイザーにしっかり掴まってて!」

 

「う、うん!」

 

そしてすいとあやめも負けてたまるかと言わんばかりに猛スピードでリゼ達がいる場所へと向かっていく。さて、これはまだまだ分からなくなってきたな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぜ、全然攻撃が当たらない……?」

 

「か、回避能力高すぎませんか……?」

 

あれから数分したがリーダー機は未だに一度も被弾していない。テストプレイの時は見つけたらあっさり倒せたから回避レベルを上げてみたんだが、少し上げ過ぎたか?

 

「うりゃあぁーーーッ!」

 

―バシュウゥッ!―

 

「たあぁーーーッ!」

 

―ズバアァッ!―

 

―ヒョイッヒョイッ―

 

「なあぁぁぁぁぁッ!!全然当たんねえぇーーーッ!?」

 

「なんでリーオーでこんなにヒョイヒョイ回避出来るのさッ?!」

 

後からやって来たすいとあやめもリーダー機に必死で攻撃してるが全然当たらずストレスが貯まっている。にしてもあのリーオーの回避すげぇな?絶対乗ってるの一般兵ではないだろ?

 

ってそんな事言ってる場合ではないか?さっきからこのリーオー回避しつつ他のリーオー達に紛れようとしてるし、油断してたらまた見失ってしまうかもしれないぞ?

 

「うぅ……このままだとジリ損じゃよ……」

 

「えぇ……せめて相手の動きの法則性とかがあれば良いのですが………?」

 

法則性……確かにそれがあればなんとか倒せるかもしれないが、そんなのが本当にあるのか?

 

「さあ此処まで両者共にリーダー機にダメージを与えられていない状況ですが加賀美さん如何でしょうか?」

 

「そうですね、相手が避けきれないような広範囲の攻撃が出来れば良いのですがお互いの機体にはそのような武装はないようなのでなんとか動きを封じない限りは難しいでしょうね?」

 

確かにハヤトの言う通り動きを封じ込めれば楽なんだろうが、果たしてそう上手くいくのだろうか?

 

(けどこのままじゃ本当にただ時間だけが無駄に過ぎてしまいます。一体どうすれば……?)

 

「でやあッ!」

 

―ヒョイッヒョイッ―

 

「やあぁッ!」

 

―ヒョイッヒョイッヒョイッ―

 

(…………あれ?あの避け方って……もしかしたら!?)

 

ん?なんかリゼが何かに気づいたみたいだが、もしかして糸口が見つかったかのか?

 

(……もし私の仮説が正しければ、次に避ける場所は……)

 

「でやああぁッ!」

 

「ッ!其処ぉッ!!」

 

―バキュウゥンッ!―

 

―ヒョイッ……チュドオォォォンッ!―

 

『えッ?!』

 

な、なんだ?!今すいのルナゲイザーの攻撃を避けた場所にリゼのスターウイニングの攻撃が当たった!?

 

「おぉッ!?漸くヒットしたのじゃ!」

 

「た、偶々だよそんなの!?それだったら余だって!やああぁぁーーーッ!!」

 

「次は……其処ッ!!」

 

―ヒョイッ……ドゴオォッ!―

 

またヒットした!?さっきからすいやあやめの攻撃を仕掛けた瞬間に攻撃をしているが、それが避けたリーダー機にモロにヒットしている!?まるでリゼにはリーダー機の動きが読めてるみたいだ!?

 

「な、なんで?!なんで相手にはリーダー機の動きが分かってるの?!」

 

「で、でもこれで相手も弱ってるから攻めるなら今のうちだッ!!」

 

スターウイニングの攻撃を受けて弱ってるリーオーにルナゲイザーが攻撃を仕掛けていく。しかしリーオーもまだまだ戦えるようでビームサーベルを取り出し応戦している。そしてシェンロンも参戦し徐々に追い詰めていこうとしているが……

 

「ど、どうするんじゃリゼ!?このままだとあいつらにリーダー機がやられてしまうぞ?!」

 

「大丈夫ですよみこつさん……既に私達のウイニングランは見えてますッ!!スターウイニング、リアルモードッ!!」

 

リゼはスターウイニングをSDモードからリアルモードへと変形させ、そして全エネルギーをビームライフルへと集中させていく。

 

「みこつさん!タイミングを合わせて一気に全エネルギーをリーオーに向けて放ってください!」

 

「えぇッ?!で、でもそんな事したらあの二人も巻き込んでペナルティに……!?」

 

「大丈夫です、ペナルティになってもリーダー機を倒せば問題ありません!なのでお願いしますッ!!」

 

「わ、分かったのじゃッ!」

 

リゼに言われて尊も悟空インパルスにエネルギーを集中させていき、そして二機のSDガンダムのエネルギーはMAXまで充填された。そして……

 

 

 

「いきますッ!ダブルSD奥義!」

 

 

 

「「最勇ウイニングブラストオォッ!!」」

 

 

 

―シュウゥゥゥ……チュドオォォォォォォォォォォォォォォオンッ!!―

 

 

 

「「え……えぇぇぇぇぇぇーーーッ!?」」

 

 

 

―ドッゴオォォォォォォォォンッ!!―

 

 

 

スターウイニングと悟空インパルスから放たれた超巨大なエネルギー攻撃によって敵のリーダー機はルナゲイザーとシェンロンを巻き込んで消滅していった。つまりこの勝負は……

 

 

 

―WINNER! NIJISANJITEAM!―

 

リゼと尊のにじさんじチームの勝ちだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「悔しいぃ~ッ!!あんな負け方するなんてぇ~ッ!?」

 

「あのままいってたら余達が勝ってたのにぃ~ッ!むかちきぃ~ッ!!」

 

バトルが終わってめっちゃ悔しそうにしてるすいとあやめだったがこれはもう仕方ない。それとなんか久々に聞いたなあやめのむかちき。

 

「いやぁまさかの決着でしたね加賀美さん!」

 

「えぇ、これは見事な勝利でした。勝敗のキーとなったのはやはりリゼさんの攻撃が通ったところからですね。彼処で攻撃を通らせたのは凄いと思いました」

 

あ、そうだ。あの攻撃なんだが何でリゼにはリーダー機の動きが分かってたんだ?ちょっと聞いてみるか。

 

「玲二さん!私達勝てました!」

 

「玲二ぃ~ッ!わらわ達見事勝てたのじゃ~ッ♪」

 

「ああおめでとう二人とも。だけどリゼ、お前どうしてあのリーダー機に攻撃を当てられたんだ?」

 

「え?あぁそれはですね、あのリーダー機の避け方に規則性があったんです。一回目が右に避けた後に二回は左に、それを交互に繰り返していたのでもしかしたらと思って相手が避けるタイミングでビームライフルを放ったら見事にヒットしました♪」

 

「えぇッ?!そ、そんな規則性があったの!?」

 

「それ気づいてたら余達も出来てたのにぃ~!?」

 

成る程、確かに思い返せばあのリーオーの動きはジグザグしながら避けてたな?あやめはああ言ってるがあの時攻撃を避けられ続けたせいで正常な判断を鈍らされてしまってたようだし、あのままではクリアは難しかっただろうな。

 

「という事はこの勝負。私達の勝ちという事で」

 

「わらわ達の願いを聞いてくれるかの?」

 

あ、そういやそうだったな?でも願いって言っても二人とも俺との婚姻を望んでるんじゃ……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……佐々木玲二さん、お願いします。私を……いえ、私達にじさんじで貴方を想っている娘達を全てもらってくれませんか?」

 

「………………………は?」

 

『はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ?!!?』

 

な、なんだその願いは?!リゼと尊だけでなくにじさんじで俺の事想っている娘まで!?いやいやいやいや!?自惚れてるワケではないがそれって何人いるんだよ!?

 

「随分勝手な願いだとは承知しています。ですがホロライブの皆さんが貴方に救われたように、私達も貴方に心を救われたんです。だからお願いします、どうか私達の想いを受け取ってもらえませんか?」

 

「わらわ達もおかしな事を言っとるのは分かっとる。じゃがそれでもわらわ達だけでなく皆にも幸せになってほしいんじゃ!だから玲二、わらわ達と共に未来を歩んでくれぬか?」

 

…………リゼと尊だけでなく、おそらく俺の事を慕ってくれてる娘達も不安そうにこちらを見てくる。とはいえ、どう返事を返したら……

 

「……レイくん、これはもう私達の完敗です。私達は素直にリゼさん達を迎えようと思います」

 

「え?!ふ、フブキ、それに皆もどうして……!?」

 

「……今のリゼちゃん達の話を聞いて思ったの。確かに彼女達も確かに玲二君の事が好きなのは知ってた。それなのに同じ事務所だからと言って私達が独占してしまったから……」

 

「あたし等もレイっちと一緒になれたのが同じ事務所だからなんて言ったら確かに不公平だしね……」

 

「だからレイくん、レイくんがもし良いって言うならリゼさん達皆をもらってあげてください。けど!レイくん忘れないでくださいね!?レイくんの正妻はこの私なんですから!引き受ける以上は絶対に私や皆をしっかり愛してくださいねッ!!」

 

………はぁ、やっぱり俺って押しに弱いんだな?確かに彼女達の事は寧ろ好意的だし、自分の妻達にこう言われたらもう断わる理由がなくなってしまったよ……よし、俺も腹を括るとするか!

 

「……分かった、だけど流石にそれなりに面識のある娘だけな?こっちがあんまり知らないのに結婚したら互いに後悔しかねないからな」

 

『ッ!やったあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!』

 

っておいそんなに一気に来んなって!?お、押し潰される……!?

 

「ちょっとぉッ!?そんな一気に行ったらレイくん潰れてしまいますよぉーーーッ!?」

 

や、ヤバい……なんかいろんな所に柔らかい感触が……く、苦し……ッ!?

 

 

 

 

 

そして数日後、にじさんじの中で玲二とそれなりに長い付き合いがあり好意を抱いている娘が纏めて玲二の嫁になった。そしてこれにより玲二の嫁が60人を越えたので今後はもう本当に増やさないようにしないといけないと決意する玲二の嫁達であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―オマケ―

 

「うおぉぉぉぉぉぉッ!すっごい珍しい魚が沢山泳いどるッ!あッ!あっちにはでかいサメもおるやん~♪」

 

「お客様!他のお客様の迷惑なのでそんなに騒がないでください!!」

 

にじさんじの一部の娘が玲二と婚姻を結んでる中、笹木咲は一人世界の水族館巡りのロケを行っていた。当初は楽しんではいたが帰国して皆が玲二の嫁になったのともう定員オーバーになった事を知って暫く荒れ狂う笹木であった。




はい、という事で勝者はリゼと尊チーム、そして玲二の嫁が増えました!(^^;
次回からはにじさんじ組も今以上に頻繁に出ると思いますのでよろしくお願いします(^o^;)
次回は久々に登場の保育園の話です、次回もまったり待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第92話『スナップストーカー』

うーん、仕事がある内は華だとよく聞きますが、急に入り時間早まるとかは勘弁してほしい……(*T^T)

今回はにじほろ保育園での出来事です。最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


にじさんじの一部の娘と婚姻を結んでから早1ヶ月が経った今日この頃、俺はとある用事でこゆき達が通うにじほろ保育園に足を運んでいた。

 

「……成る程、最近こゆき達が保育園に行きたがらないのはそういう事だったのか?」

 

「えぇ、他の子供達もすっかり怯えてしまって困ってるんです……」

 

「うゆぅ……」

 

そう、此処最近こゆきや子供達が保育園に行きたがらないという事態が発生しておりその事をにじほろ保育園の園長をしているクレアに確認してみたのだが、その理由がまさかのものでびっくりした。その理由というのが……

 

「まさか保育園に不審者が現れるなんてな……?」

 

「えぇ、この街は比較的に安全だったので今までそんな事はなかったのですが……」

 

そう、保育園に不審者が現れたというのだ。一週間程前からか突然園内に謎の気配を感じ、時にはシャッター音等も聞こえてきてそのせいで子供達が怯えてしまい困っていたんだとか。まさかこの街でそんな変質者が現れるだなんてな?

 

「なので今日から保育園は臨時で休園する事になって、今ケイさんがいろいろと調べてくれてるのですがなかなか情報が得られなくて……」

 

「そういう事か……にしても犯人は一体誰なんだ?」

 

「うゆぅ……ぱーぱ、こゆこわいぃ~……」

 

こゆきもかなり怯えてしまってるのか俺にしがみついて離れようとしない。俺の子供達をこんなに怯えさせるなんて、そいつ見つけたら絶対に許さねぇぞ?

 

「えぇ……ですがこの事を笹木さん達にお伝えした所犯人に心当たりがあると言って飛び出してしまいました」

 

「心当たり?…………おいそれってまさか……」

 

咲の奴、心当たりってまさか“あいつ”の事じゃねぇよな?だとしたら多分違うから止めないと……

 

「……多分咲の言う心当たりって違う奴だと思うから止めてくる。クレアはどうする?」

 

「そうですね、私も暫くは保育園もお休みしますし一緒に着いて行っても良いですか?」

 

「ああ構わないぞ。それじゃさっさと行くとするか」

 

「はい、旦那様♪」

 

クレアはそう言いながら俺の腕に自分の腕を組んで一緒に歩いていく。実は前回の件でクレアとも婚姻したんだよな俺。クレアは最初は自分が聖職者という立場だから我慢しようとしてたけど他のメンバーに背中を押されて俺と一緒になる事を決めてくれたらしい。さて、そんな事は今は良いとして早く咲のいる場所へ向かうとするか。多分神羅城にいると思うんだが……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいま~……ってやっぱりこうなってたか……」

 

「おぅら剣持ぃッ!お前が犯人なんやろさっさと吐けやぁーーーッ!!」

 

「痛ッ!?ちょっと待てって!?だからそれは僕じゃ―パシィンッ!―イッテェーーーッ!?」

 

あーあやっぱり。帰って早々にリビングで咲が犯人と決めつけてる奴を宙吊りにして鞭でおもいっきりひっぱたいている。そいつが懸命に否定してるが咲は全く持って聞く耳もたずだ。

 

「おーい刀也ぁ~、無事か~?」

 

「この状況見てなんで無事だと思うんだよ?!―パシィンッ!―ってだから違うから止めてくれぇ!?」

 

「うっさいこのロリコンッ!お前が前から玲二さんの子供達を厭らしい目で見てんの知ってんだからなぁッ!おらさっさと吐けやぁ!?そしてその罰とうちが玲二さんと結婚出来なかった腹いせをくらええぇぇぇぇぇぇッ!!」

 

―パシパシパシィンッ!!―

 

「イッテエェェェェェェェェェッ!?」

 

いやそれ殆ど自分の憂さ晴らしじゃねぇか?まあお前の気持ちを前々から知ってたのにそれに応えられなかったのは悪いと思うがそろそろ刀也を下ろしてやれって。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すまなかったな刀也、咲の暴走を止められずにいて」

 

「いやマジで何だったんだよ?!めっちゃ本気で鞭打たれたし!?痛たた……」

 

あーあマジで痕残っちまってるな……なんとか怒れる咲を宥めて俺は刀也を下ろしてやった。ちなみに先程から刀也と呼んでるのは咲やクレアと同じくにじさんじに所属している男性アイドルの『剣持刀也』と言って昔通ってた剣道教室にいた弟分でもある。事ある毎にファンから弄られており、その顔の輪郭から『あご』というあだ名が付けられたりしていた。

 

「咲、確かに刀也は自分でも認めてるロリコンだが流石にそんな犯罪行為をするような奴じゃないって」

 

「うぅ~……だ、だって玲二さんの子供達が怯えてるって言うからいてもたってもいられなかったんやよ~……ってクレアさんいつまで玲二さんと腕を組んでんねん?!」

 

「ごめんなさい咲ちゃん、でも玲二さんとこうしてると気持ちが落ち着くんだ~♪」

 

「あい~……♪」

 

そういやさっきからずっとクレアが俺の腕を抱いて頭を肩に寄せてたな?こゆきもクレアの膝の上でおねんねモードに入りそうだし、よっぽどクレアの雰囲気が気に入ってるんだろうな?

 

「きいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃッ!!嫌がらせか!?玲二さんと結婚出来なかったうちに対する嫌がらせかあぁぁぁぁぁぁッ?!」

 

―パシンッパシィンッ!―

 

「だから痛いって!?悔しいからって僕に八つ当たりしないでッ?!」

 

おいさっき取り上げたのにまだ持ってたのかよ鞭?よく見たら腰にまだ何本かあるし。どんだけ誰かに八つ当たりする気なんだよ?

 

「大体何が定員オーバーや!?うち一人ぐらい追加してくれてもええやん!?しかもしれっとるるちゃんやういママまで混じっとるし!こんなん世界が許してもうちが許さへんよおぉーーーッ!!」

 

まあ確かに定員オーバーっていうのももう他の娘が来ないようにする為の皆の考慮らしいから俺としては咲も迎えても良いんだが、他の皆が許さないからなぁ……?

 

「ってそんな事は今は置いといて……今は保育園での不審者について何か対策をしないとな。咲、それと刀也も手伝ってもらえないか?」

 

「玲二さんのお願いとあらばうちは何時だって受けるやよ~♪それで報酬はうちとの結婚で「それはフブキや他の皆に頼んでくれ」はーい……」

 

「痛た……僕も別に良いけど、レイ兄さん何か策でもあんの?」

 

「ああ、その為に今協力者を呼んだから多分そろそろ……」

 

―ガチャッ―

 

「こんこよ~♪玲二君、頼まれた物を持ってきた……よ……」

 

お、来たかこより……ん?どうしたんだこよりの奴、こっちを見て固まってるけど……?

 

「そ、そんな……だ、ダメだよ咲ちゃんに剣持君!?こんな真っ昼間でしかもひよりやこゆきちゃんが見てる前でそんなSMプレイだなんて……!?///」

 

「た、たやぁ~……///」

 

「「いや違ぇしッ!?」」

 

あー、そういや咲鞭持ったまんまだし刀也も下ろしたけどまだ縛られたままだったな?だからといってその発想はどうかと思うぞ?そしておんぶ紐に括られたひよりも恥ずかしそうにちっちゃいおててで顔隠してるけど指の隙間からばっちり見てるし……ってかなんで理解出来てるんだよ?

 

「はぁ……そんな事よりこより、頼んだ物は出来たか?」

 

「あ、うん勿論だよ。元々前にイベントの為に作った物でそれを調整するだけだったからすぐに出来たけど、本当にこんなんで犯人を捕まえられるの?」

 

「ああ、多分な。それとクレア、休園だが今日までにして明日からまた保育園を再開してもらえないか?」

 

「え?!で、ですがそんな事したら子供達が……!?」

 

「大丈夫、子供達は保育園には行かせないから」

 

『?』

 

まあ今の言葉だけじゃ流石に意味が分からないか。取り敢えず皆には詳しい説明をして明日の作戦の準備をしていく。さて、これで引っ掛かってくれれば良いんだが……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その翌日、にじほろ保育園は再開して今は広場で子供達が無邪気にはしゃいでいた。

 

「しぇんしぇ~、どんぐり~♪」

 

「あら、可愛いね~♪」

 

いつものように子供達がクレアや他の先生達と遊んでいる他愛ない風景、しかし……

 

(……フヒヒ、やっぱり可愛いなぁ……)

 

その端の草むらで何やら不審な男がカメラを構えて園児達を撮影しようとしていた。

 

(うーんその表情、すっごく可愛いよぉ~♪)

 

男は園児にフォーカスを向けてシャッターを押そうとする。だが……

 

 

 

 

 

―ジジッ……ブォンッ……プツッ―

 

(えッ!?な、なんだ?!)

 

突然園児達と先生達が全て一瞬で消えてしまったのであった。突然の事に驚き思わず立ち上がってしまう男だったが

 

「な、なんだ?!さっきまで此処に子供達がいた筈なのに―ヒュウゥゥゥ~……―へ……?」

 

―ガッシャアァンッ!―

 

突然上から降ってきた鉄檻によって閉じ込められてしまったのであった。

 

「なあッ?!こ、これは一体……!?「残念だったな、今日この保育園には最初から子供達は来てないんだよ」え?!」

 

そして園内に隠れていた玲二やクレア達が現れ男の周りを囲んでいったのであった。

 

 

 

よし、少し不安だったが見事成功してくれたな。実は今其処で子供達が遊んでたように見えたのはこよりが作ってくれたホログラムシステムによって映し出された映像だったんだ。本当の子供達は今は他の先生達と一緒に神羅城で遊んでいるから此処には待ち伏せしていた俺達しかいなかったというワケだ。そして犯人はまんまとその策に乗せられこうして捕まったという事だ。

 

「さあてよくもお前玲二さん達の子供達怖がらせてくれたなぁ?」

 

「お前のせいで僕はあらぬ疑いかけられたんだから覚悟しろよぉ?」

 

「いや落ち着けって二人とも……ってあれ?貴方は確か……ばら組の薫ちゃんのお父さん?」

 

「え………あ、あぁ!もしかしてこゆきちゃん達のお父さん!?こ、これはどういう事なんですか!?」

 

いやそれはこっちのセリフだけど?なんでこゆき達と同じ園児の保護者がこんな事してたんだよ!?

 

「あの、取り敢えず詳しいお話を聞きたいので中に入ってもらって良いですか?」

 

「あ、はい……」

 

と、取り敢えずクレアが捕まえた男を保育園の中に入れて事情を確認する事に。一体なんでこうなったんだ……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……成る程、つまりは貴方は他の園児達や先生ではなく自分の娘を撮影してたと?」

 

「は、はい……」

 

俺達の目の前で落ち込んでいるこゆきのお友達の薫ちゃんのお父さんである里山さんに事情を聞いたが……いやマジで何してんだよ?自分の子供が可愛いからって不審者みたいな真似すんなよ?

 

「大体貴方今までそんな事するような人ではなかったでしょ?保護者会で会った時も普通だったし、なんでこんな真似なんかしたんだ?」

 

「そ、それが……つい先日、本土のフリーマーケットに行った時の事でした……私が其処で家族と共に買い物を楽しんでいたらこのカメラを見つけてそれに惹かれてしまって購入したのですが……」

 

カメラ?それって今其処に置いてるカメラか?確かに汚れてはいるが、そんなに古そうには見えないな……けどそのカメラが一体どうかしたのか?

 

「……このカメラを手にしてから無性に愛する家族を撮りたいという衝動に駆られてしまい、気づいたらいつもカメラを持って保育園や妻の職場先に行って写真を撮ってしまうんです。もっと撮りたい、もっと撮らないと。そんなふうに何時も何かに囁かれてるかのように……」

 

「はぁ?そんなおんぼろカメラの何処にそんな力があんねん?」

 

そう言って咲は何も気にせずヒョイとカメラを手にする、が……なんかカメラを持った瞬間咲の動きが止まったけどどうしたんだ?

 

「さ、咲ちゃん?一体どうかしたの……?」

 

「…………………………撮らなきゃ」

 

は?何を言ってんだ咲―パシャッ!―え……?

 

―パシャッ!パシャッ!パシャパシャパシャパシャパシャッ!―

 

「さ、咲ちゃん?!どうしたの急に!?」

 

「撮らなきゃ……撮らなきゃ……」

 

「お、落ち着いてよ咲ちゃん!?」

 

「お、おいこれどうなってるんだ?!」

 

な、なんか咲の奴何かに取り憑かれたかのように俺の事何枚も撮り始めたんだが!?これってもしかして……さっき里山さんが言ってた写真を撮りたいって衝動か?!

 

「撮らなきゃ……撮らなきゃ……」

 

「お、落ち着いてってば咲ちゃん!うぅ…えぇいッ!!」

 

あ、こよりが咲からカメラを無理矢理取り上げた。するとさっきまで無表情だった咲もみるみる内に元に戻っていく。

 

「……はれ?うちどないしてたんや?」

 

「よ、良かった、咲ちゃんが元に戻って………あれ?こよりさん?」

 

「………撮らなきゃ……」

 

―パシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャッ!―

 

って咲が戻ったと思ったら今度はこよりが俺の事を激写しだした!?やっぱり間違いない、このカメラ何かに呪われてるぞ!?

 

「刀也!クレア!咲!こよりの事を抑えてくれ!但しカメラには絶対に触れるなよ!?」

 

「あ、あぁッ!」

 

「分かりました!」

 

「な、なんかよく分からんけど分かった!」

 

そして刀也達に激写するこよりをなんとか抑えてもらい、俺はこよりからカメラを奪い取る事に成功する。だが……

 

 

 

―撮りたい……好きなものを撮りたい……―

 

 

 

ッ!?何かが頭の中に入ってくる?!どうやらこの思念が皆をおかしくしてたのか?それなら……

 

 

 

 

 

……おいコラテメェ、人の身体乗っ取って何しようとしてんだ?もしこれ以上ふざけた真似するっていうなら………………潰すぞ?

 

―ッ?!!?―

 

 

 

 

 

……よし、試しに俺の中の霊力を解放して思念体を脅してみたら簡単に黙ってくれたな?取り敢えずこれで一先ず安心かな?

 

「れ、玲二さん?そのカメラに触っても大丈夫なんですか……?」

 

「ああ、どうやらこのカメラに思念体が宿ってたみたいだが、ちょっと脅しを掛けたら黙ってくれたよ」

 

「れ、レイ兄さんって本当に人間辞めてたんだな……?」

 

「流石玲二さん!思念体すら抑え込むなんて凄すぎるわ~♪」

 

……いや考えてみたらこんなの普通の人間には出来ないか?刀也の言う通りもう俺人間じゃなくて神羅族なんだな……ってそんな事は良いから兎に角今はこのカメラについて調べてみるか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……どうだるしあ、何か分かったか?」

 

「………はいなのです玲二さん、このカメラに宿っていた思念体にいろいろとお話を聞けたのです」

 

「そんで、その思念体って一体なんやったんや?」

 

「うん………どうやらこのカメラの持ち主さんはかなりのガノタだったみたいなのです」

 

『ガノタ?』

 

ガノタってガンダムオタクの事でガンオタが更に縮まったのがガノタだ。だがそんなガノタの思念体がなんでカメラになんて宿っていたんだ?

 

「はい……どうやらこの思念体は生前は高校生で学校でかなり虐められていたみたいなのです。それで唯一の趣味がガンダムだったようで、その時お台場にガンダムの立像が建てられてそれを修学旅行の時にそのカメラで写真を撮ろうとしたみたいなのですが……その時に同級生がいたずらで彼を道路に突き飛ばした際に運悪くやって来た大型トラックに跳ねられて……」

 

「…………成る程な、そういう事だったのか」

 

「なんか、とても悲しい気持ちになってしまいました……」

 

「うあぁぁぁぁぁッ!その虐めておった奴等最ッ低やなッ!?」

 

全くだ、何があったかは知らんが虐めている奴等は自分達が明確に犯罪行為をしているという自覚が無さ過ぎる。度が過ぎればこいつみたいに奪われてしまう命もあるかもしれないのに、一時のイキりかストレス発散かは知らないがその後の人生を台無しにするような真似すんなよな?

 

ってそんなのは今は良いとして、問題はこの思念体だな。きっとこいつは大好きだったガンダムの立像をこのカメラに収めたかったんだろう。それがきっと好きなものを撮りたいという欲求を発生させて持ち主をあんなふうにさせてしまってたんだな……なら、やるべき事は一つだ。

 

「里山さん、申し訳ありませんがこのカメラを一時的に預からせてもらっても良いですか?必ず思念体を供養してお返ししますので」

 

「あ、ああそれは構いませんが……」

 

よし、そうと決まれば早速準備をしないとな?丁度明日と明後日は休みだったし、久々に行くとしますか!

 

 

こうして玲二による思念体を供養する為の準備が始まった。果たして玲二は一体何をしようと言うのだろうか?続く……




はい、という事で盗撮魔と思いきや呪われたカメラの回でした。実際こういう物には持ち主の魂が宿るって言われてますがこういう呪いとかは勘弁ですね(^^;

次回はこのカメラに宿った思念体を供養する為に玲二達がある場所へと向かいます。次回もまったり待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第93話『供養、ガンダム撮影』

ガンプラって不思議なもんですよね?この間偶々新品でレイダーガンダムが売っててそれを見て最初は買う気のなかったカラミティが欲しくなってしまいました……そんなんだからどんどん積んでしまうんですよね(*T^T)

今回は前回の思念体を供養する為の回です。予め言うと今回出てくる物は実物を見た事がないので動画とかを参考にしてますので少し現実とは違うかもしれませんが其処は二次創作という事でご了承ください。今回も最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


にじほろ保育園に通う園児の保護者である里山さんが持っていたカメラに宿っていた思念体を供養する事にした俺達。そして今回はその為にある場所へとやって来ていたのだ。

 

「おぉーーーッ!此処がお台場のガンダムベースなんスね兄ちゃん!」

 

「あう、たやぁ~♪」

 

「そうだけどあまりはしゃぐなよスバル?俺達それなりに知名度あるから騒いだら人が集まって来るかもしれないし」

 

そう、やって来たのはお台場にあるガンダムベース。俺達は此処で思念体がやり残した未練であるガンダムの立像を写真に納める為にスバルとカケルと共にやって来たのだ。そして着いてきたのは他にもいて……

 

「るしあも本土の方にはあまり行きたくないって言ってたのに無理言ってすまなかったな?」

 

「良いのです。もう前よりかは慣れたし、玲二さんの頼み事ならるしあは喜んで協力するのです♪」

 

「あっぷぅ♪ぱーぱ♪」

 

まずは今回の思念体を供養する手伝いの為についてきてもらったるしあだ。その腕の中にはデフォルメされた幽霊みたいな姿で具現化された思念体が抱かれていた。因みにりあらは俺が抱っこしている。

 

「それと……ほら唯華、いい加減起きてくれないか?」

 

「ん~……あと10日ぁ~……」

 

どんだけ寝るんだ!?冬眠でもするつもりか?!俺は今俺の背中でおんぶされながら眠ってる『椎名唯華』を起こしている。この子はにじさんじに所属しているアイドルでこの娘とも籍を入れてるので今は佐々木唯華だな。

 

「ほらもう起きろって!………もう此処に置いてくか「すんません起きるから勘弁してッ!?」だったら早く降りて自分で歩けよ~?」

 

全く、りあらも抱っこしてたし正直しんどかったんだよ。面白そうだから着いてくとか言ってた癖に出発早々俺におぶさって寝るってどういう事だよ?

 

「もぉしぃしぃ玲二君に迷惑かけちゃダメだかんね?」

 

「は~い……」

 

そして最後にスバルの母親であるういさんである。実はこの間の一件でういさんとも籍を入れていている。というよりは入れていたというのが正しい。この間の一件でリゼ達を初めとする他の皆の婚姻届をまとめて出されたので書いていたのだがその時にしれっとういさんの婚姻届も混じっていて気づいた時には既にういさんが役所に提出してしまったのだ。

 

「……てかなんで母ちゃんまで着いてきたし?」

 

「えー?だって愛しの旦那様が困ってるんだもん、妻としてはお手伝いしないとな~♡」

 

「言っとくけどスバル認めてないかんな!?あんな他の娘の婚姻届に紛れ込ませるなんて卑怯な手使いやがって!?」

 

「あーあーきーこーえーまーせーん」

 

……とまああれ以来スバルとういさんの間でこうしたプチ喧嘩が絶えないでいる。まあ暫くしたら何時もの仲の良い親子に戻るだろうし。それとなんで勝手に出された婚姻届を無効にしなかったかというと、ういさんの気持ち自体は以前から知ってたし何より前の旦那さんに早く先立たれてしまって少し可哀想に思ってしまったからだ……なんか情に流されやすいのか俺って?まあういさんの事は普通に好意を持てる人だったから良いけど。

 

「それよりも玲二さん、この子を供養するって言ってたけどどうするのです?」

 

「ああ、こいつのこのカメラに残した未練、つまりは撮りたかったガンダムの立像を撮ってあげる事だ。それさえ叶えばおそらく満足して成仏出来る筈だ」

 

俺がそういうと思念体はうんうんと頷いている。そう、その為に俺達はわざわざ本土のガンダムベースへと足を運んだのだ。と言っても転移して来たからそんなに時間は掛かってないが。

 

「おおッ!それならきっとこの子も喜んでくれるッスね兄ちゃん♪」

 

「ああ……だがただ一つだけ問題がある」

 

「問題?何やそれ?」

 

「……思念体、お前に伝えなければならない事がある。お前が写真に納めたかったガンダムの立像は、残念だが今はもうないんだ」

 

(?!)

 

そう、昨日るしあから聞いた思念体の撮りたかったガンダムの立像について調べたんだが、やはりというかもう存在してはいなかったのだ。

 

「ど、どういう事なのです玲二さん?!ガンダムの立像がもうないなんて……!?」

 

「ああ、お台場に初めて建造されていたRX-78-2ガンダムの立像は2012年の物だ。おそらくこいつが修学旅行に行って撮ろうとしたのはその時だと思うが……そのガンダムの立像はそれから五年後の2017年に撤去されてしまってる」

 

「そ、そんな?!それじゃあこの子が撮りたい物はもうないって事なの?!」

 

「ああ……だが安心しな。代わりと言ったら変かもしれないが、今現在公式が建てたガンダムの立像は全部で4体ある。今日と明日でそれ等を全部撮影してやる、最高の状態でな。それでも良いか?」

 

(ッ!!)

 

俺がそう言うと思念体はさっきの落ち込んだ表情から嬉しそうな表情へと変わっていく。どうやらそれで良いみたいだな?なら早速行くとしますか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まずはお台場の立像、此処にはユニコーンガンダムの立像が建っている」

 

(~ッ!)

 

「あ、玲二さん見て、この子も喜んでいるみたいなのです♪」

 

お、それは良かった。という事でまずやって来たのはお台場のユニコーンガンダムだ。此処にはかつて思念体が見たかったRX-78-2ガンダムが建っていたが、それが撤去された約半年後に建設された立像だ。やっぱりまずは此処から見せないと始まらないからな。

 

※実際のユニコーンガンダムの立像は現在メンテナンス中の為に11月24日まで通常の立像の姿は見れません。

 

「でも玲二君、なんでこんな夕方から来たんや?もっと明るい時間から来ても良かったんじゃ……?」

 

「ん?ああそれにはちゃんと理由があるんだよ唯華。さて、そろそろだな……」

 

とその前にまずは一枚撮らないとな?俺がまず一枚パシャリと撮ると思念体が嬉しそうに笑っている。だが凄いのは此処からだぞ?

 

―キュイィィンッ!―

 

「……え?な、なんかユニコーン光り始めたんだけど何?」

 

「あ、そろそろ始まるのです!」

 

「え、始まるって何が?!」

 

突然流れる効果音と光に周りの観光客も反応しカメラを構える人達が集まって来た。そして……

 

 

 

《バナージ・リンクス!ユニコーン、行きますッ!!》

 

―~♪―

 

ユニコーンのパイロットであるバナージの出撃音声と共に例のBGMが流れ始める。そしてそのBGMが最高潮になると同時に……

 

―カシュウゥンッ!ギュイィンッ!ギュイィィィィィィンッ!―

 

「えぇッ?!ゆ、ユニコーンが変形していく!?」

 

「凄えぇぇぇぇッ!?デストロイモードだあぁッ!」

 

「あうやぁ~♪」

 

(ッ!ッ!!)

 

そう、このユニコーンガンダムの立像は設定通りにユニコーンモードからデストロイモードへと変形するのだ。とはいえ立像という点から一部は省略されてしまってるけど、それでもやっぱり凄いなこの技術。変形したユニコーンは赤い光を点滅しながら発光していて格好良い……と、写真もしっかり撮らないとな。

 

―カシャッ―

 

「……よし、これでどうだ?」

 

(ッ!~ッ♪)

 

どうやら満足してくれたみたいだな?皆も楽しんでくれたみたいだし良かったわ。そうしてユニコーンの光は収まりそのままユニコーンモードへと戻っていった。やっぱり発光の事を考えると薄暗くなった頃に行くのが良いな。

 

「いやぁ凄かったッス兄ちゃん!」

 

「あぷぅ♪」

 

「るしあも久しぶりに見たけどやっぱり何度見ても格好良いのです♪ねーりあら♪」

 

「あっきゃ♪」

 

うん、スバル達や子供達も喜んでくれたみたいだし、そろそろ人目につかない所に行って次の目的地へと転移するか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「という事で次は上海だ」

 

『まさかの海外ッ?!』

 

そう、次にやって来たのは上海にあるガンダムベースだ。此処には此処でしか買えないガンプラもあるので後で少し買い物もしていこうと思う。でもまずは目的の立像撮影からだな。

 

「此処にあるのはフリーダムガンダムの立像だ。お台場のユニコーンみたいな変形はないが、これはこれで格好良いだろ?」

 

「せやな、特にユニコーンにはなかったこの羽が格好えぇわ~♪」

 

「……あれ?でも玲二君、このフリーダムってなんだか少し違うような気もするんだけど?」

 

お、ういさんもそれには気づいたみたいだな?

 

「そうですね、フリーダムをはじめ残りの立像達はオリジナルの姿とは少し違うように設計されてるんです。設定ではいろいろと説明されてますが、メタい事を言うと立像する際の安全面を考慮した結果ですね」

 

「安全面を考慮?」

 

「ああ、例えばフリーダムだと背中の羽をそのままで再現したらその重量で倒壊する恐れがあるんだ。だからよりシャープな感じにして、更には羽の先に設置用のスタンドが付いてるんだよ」

 

「へぇ~よく考えられとるなぁ?」

 

まあ今はそんなのは良いとして、まずは目的の撮影を済ますとしますか。この夜にライトアップされたフリーダムもまた格好良いな。

 

―カシャッ―

 

「よし、これで二枚目も完了だな」

 

(~♪)

 

「さて、折角上海にまで来たし、此処でしか買えない限定ガンプラを買った後に何か美味しい物食べてから帰るか」

 

『さんせーい♪』

 

「「あっきゃぁ♪」」

 

こうして初日の撮影は終了し、俺達は買い物と食事を楽しんだ後に一度神羅城へと帰宅したのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―翌日―

 

「さて今日最初は此処、福岡ららぽーとだ。此処には特別仕様のνガンダムの立像が展示されている」

 

「うわぁ、これはまた凄く格好良いッス!」

 

「きゃうぅ~♪」

 

(ッ!~♪)

 

まずやって来たのは福岡にあるららぽーと。此処に建ってるνガンダムはかなりの迫力があり、ガンダムを知らない人でも目を引く程だ。

 

「あれ?このνガンダムってフィン・ファンネルが一つしかないやん?しかもかなりおっきいし」

 

「これは昨日言った安全面の考慮ってヤツだな。だけどそれだけではなくてその条件を逆に利用して出来た新しい兵器ロングレンジ・フィン・ファンネルが目玉となってる。これはこれでなかなか格好良いだろ?」

 

「はいなのです♪るしあもエントリーグレードで作りましたが最高に良かったのです♪」

 

うん、この立像はガンプラでも再現されてそれもまた良いんだよな。さて、此処では撮影だけして次に向かうとするか……

 

 

 

 

 

「なんだと?!この仕事辞めるだって!?ふざけんなよテメェ等ッ!!」

 

ッ?!な、なんだあの男?!いきなり近くにいる学生達のうちの一人の胸ぐらを掴んで何を騒いで……ってその横には大量のガンプラ?!普通購入制限がかけられているからあんなに買えるワケないのに……まさかあいつ等、転売ヤーグループか!?

 

(ッ!?ッ!ッ!!)

 

「え、ど、どうしたのです急に暴れて……えッ!?ほ、本当なのです?!」

 

「?どうしたんだるしあ?思念体が何か怒ってるみたいだが……?」

 

「はい……今この子に聞いたらあの男、昔自分を虐めていた主犯格で、しかも大型トラックに引かれる時背中を押した奴らしいのです!」

 

『なんだって!?』

 

マジか!?なんでそんな奴がこんな所に?!しかも一体何を揉めあってるんだ?!

 

「だ、だってあんた俺達に儲かるからって手伝いさせてるクセにプラモ買うのは自腹だし給料だって全然支払ってくれないじゃないか!?」

 

「だからそれは商品が売れたら払うって言ってんだろうが!?それともなんだ?俺の言う事が聞けねぇって言うのか?あぁんッ!?」

 

な、なんだあの男!?無理矢理学生達にガンプラを買うように強要して……もしかして以前から問題視されてるガンプラ転売を利用して荒稼ぎしてるっていう詐欺グループなのか?!

 

「大体テメェ等もこういう事してるって学校にバレたらタダじゃ済まねぇだろうが?!分かったら黙って俺に従ってれば良いんだよッ!おら、さっさと此処の限定プラモを買ってこいやッ!!」

 

男がそう言うと学生達は急いで店に向かって走っていく。にしてもあいつ、白昼堂々とよくあんな真似出来るな……?

 

「ケッ!何がガンプラだよ?!こんなクソつまんねぇオモチャに金払って買う奴の神経がわかんねぇぜ?まあそのバカ共のお陰で俺はガッポリ儲けさせてもらってるんだがな♪ヒャーハッハッハァッ!」

 

「ッ!あいつ、なんて卑劣なの……ッ!?」

 

「それにスバル達みたいにガンプラが好きな人達をバカにするなんて……絶対に許せないッ!!」

 

「ああ……俺も久しぶりにキレそうだわ……ッ!」

 

こうなったら今すぐにあいつを捕まえて一発―クイックイッ―?どうしたんだ結華、るしあ?

 

「………玲二君、あんな奴の為に玲二君が手を汚す必要ないわ」

 

「此処はるしあ達に任せてほしいのです。この子の為にもあの男には……………永遠の絶望を味わわせてやる」

 

唯華とるしあがそう言うと辺りの空気が一辺する。すると……

 

―フワァ……ユラァ……―

 

るしあと唯華の周りに多くの人魂が集まっていく。あれって……もしかして怨霊か?!しかもあの数って!?

 

「……皆、あの男なら幾らでも取り憑いてえぇよ」

 

「皆の心を踏みにじったあの男を、絶対に許さないで」

 

二人の言葉に怨霊達はまるで従うかのように次々とあの男に憑依していく。男はまるで気づいてはいないようで相変わらずムカつく笑い声をあげてるが……

 

―ピリリリリッ…ピリリリリッ…―

 

「あぁ?なんだよ今度は……んだよ会社からかよ?―ピッ―はいお疲れ様です。どうしたんですか急に……………ハァッ?!俺がクビ?!懲戒解雇?!どうしてですか社長!?ってもしもし!?社長?!………クソがぁッ!なんだよいきなりクビだなんて!?」

 

―ピリリリリッ……―

 

「あぁ?なんだよ今度は……もしもしマユミ?どうしたんだよ……ハァッ?!別れるってなんだよ!?別の男が出来た?!ふざけんな!俺がお前に幾ら貢いだと思って……おいもしもしッ!?」

 

な、なんだ?!急にあいつに信じられないくらいの不幸が訪れだしたんだが!?

 

……って思ってたら今度は四人くらいの男達が男に近づいている。今度は一体何が起こるんだ?

 

「鷺野一夫だな?」

 

「あぁ?なんだよあんたら?」

 

「お前に詐欺恐喝、並びに暴行等の容疑で逮捕状が出ている。おとなしく着いてきてもらおうか?」

 

「ッ!?く、クソォッ!」

 

鷺野と呼ばれた男は抵抗するも他の男達によって取り押さえられてしまいそのまま車へと連行されていった。どうやらさっきの人達は警察だったみたいだな。でも急にあんな事になるとは、一体何が起きたんだ?

 

「……うん、これであいつにはこの先一切の幸運は訪れないのです」

 

「他人の命を奪っているのにも関わらずあんな人の気持ちを踏みにじる奴なんか、絶対に許したらアカンで」

 

……成る程、どうやらるしあと唯華が怨霊達に頼んであの男に不幸を降り注いでもらってたのか。流石一流のネクロマンサーと霊に好かれやすい体質の霊媒師だ。しかもあれだけの数の怨霊だ、奴はもうこの先まともに生活すら出来ないかもな?

 

「……これで、少しは気が晴れたか?」

 

―……コクコクッ―

 

そっか、なら良かった。ならさっきの学生達に説明して買ったガンプラは俺達で買い取らせてもらおう、勿論交通費込みで。転売ヤーの片棒を担がされてたとは言え殆ど騙されてた被害者だし、二度とこういう事はしないように注意もしないとな。

 

それじゃあ気を取り直して最後の立像を撮りにいきますか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「最後は此処、横浜のガンダムベースにある動くガンダムの立像だ」

 

「おぉ、これが噂の……!?」

 

「今回の撮影の一番の目玉なのです♪」

 

(ッ!ッ!~♪)

 

うん、思念体も喜んでいるな。さて、今回は流石に近くで見る為のチケットは用意出来なかったけど、目の前で動く所は見る事が出来る。もうすぐその時間だししっかり見てから撮影しよう。

 

そして……

 

―ギュイィンッ!ギュイィィィィィィンッ!―

 

「おおぉぉーーーッ!本当に動いてるッスよ兄ちゃん♪」

 

「あぃやぁ~♪」

 

「えぇやん!凄く格好えぇやん♪」

 

「私もこの動く所を生で見られて良かった~♪」

 

「るしあも見る事が出来て嬉しいのです♪」

 

「たやぁ♪」

 

(~♪~ッ♪)

 

うん、やっぱり実際に見ると迫力が違うな。それじゃあこれで最後の一枚だ。

 

―カシャッ―

 

「……これで、全ての撮影は終了だ。満足してくれたか?」

 

(…………コクコクッ)

 

―パアァァ……―

 

俺がそう言うと思念体は頷き、そして淡い光を放ちながら俺の手を離れ天へと昇っていく。どうやらこれで未練はなくなったみたいだな?

 

 

 

(……………ありがとう♪)

 

 

 

思念体は最後にそう言うと完全に消えてしまった。ほんの少しだけしか一緒じゃなかったが、俺も皆も少し寂しい気持ちになっちまったな……

 

「あの子、逝っちゃったね……」

 

「……次に生まれ変わる時は幸せになってほしいね」

 

「……ううん、きっと幸せになってくれるやろ♪」

 

「そうなのです、ネクロマンサーであるるしあが保証するのです♪」

 

「そうだな……じゃあこれで俺達の役目も終わったし、帰るとするか」

 

『はーい♪』

 

「「あーい♪」」

 

こうして俺達の思念体を供養する撮影の旅は終わったのであった。後日、供養を終えたカメラを里山さんに返した際に聞いたのだが、なんと里山さんに第二子が出来たのだとか。里山さん夫婦に娘の薫ちゃんは喜んでいるが………まさかな?




はい、という事で供養の為の立像撮影回でした!これで思念体も未練を残さず安心して転生するでしょう♪

次回は玲二が作った○○に異変が……?次回もまったり待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第94話『ニューヒロイン登場!?』

本日はセブンイレブンで限定のガンプラが発売されました。自分も購入しようと思いましたがどれか一つのみと言われたのでルブリスを購入しました。今各地で品切れが相次いでいるようですが再販の予定はあるようなので悪質な転売ヤーからは絶対に買わないようにしましょう。

さて今回は玲二にまさかのニューヒロインが!?果たしてその正体とは……?今回も最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


「………ふう、これで完成だな」

 

すっかり寒くなってきた今日この頃、俺は久々の休みを取る事が出来たので一人でゆっくりとプラモを作っていた。といっても今回はガンプラではなく以前ゲーマーズの皆と組んでいた30MSシリーズの『リシェッタ』を今回は一人で組んでいた。

 

 

『30MINUTES SISTERS リシェッタ』

時間を忘れて挑む30分をコンセプトに作られた30MINUTES MISSIONの派生作品の第一弾として登場した美少女プラモ。簡単に作れて改造の幅も広く、尚且つお手頃な値段で買えるという事で爆発的な人気が出てしまい現在もこのシリーズは殆ど品薄状態である。

 

「さて、合わせ目も消して軽い塗装も済ませたし、今回は我ながら良い出来に仕上がったな」

 

「レイく~ん、そろそろおやつにしませんか~?」

 

「ほっとけーき~♪」

 

「き~♪」

 

お?もうそんな時間か。ならさっさと片付けてリビングにいきますか。すまないリシェッタ、後で他のと一緒に飾ってやるからな。さ、早く行ってフブキのホットケーキを頂くとするか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(…………あぁ、ブレイン♡私のブレイン♡なんて格好良い人なんだろう……あんな素敵な人に創ってもらえて、私はなんて幸せ者なんだろう♡ああもう我慢出来ません!待っててくださいねブレイン♡今すぐにあなたの元に行きますから♡)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ、少し食い過ぎたか?でもまあ美味しかったからいっか……ってあれ?リシェッタがない?何処にやったんだ?」

 

パンケーキを食べ終えて部屋に戻ってリシェッタを飾ろうとしたら、肝心のリシェッタが何処にもなかった。確かにテーブルの上に置いてた筈なんだが……もしかして誰かのいたずらか?

 

その後暫くリシェッタを探す玲二だったが、結局その日は何処を探しても見つかる事はなかったのであった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―翌日―

 

……あれから部屋中くまなく探したが何処にもリシェッタが見当たらなかった。一体何処に行ったんだよ?折角定価で揃えられて久々にじっくり作れたってのに……

 

「……玲二君なんか今日は元気ないね?」

 

「大丈夫?サラ達が慰めてあげよっか?」

 

「いや、それは大丈夫だ。心配してくれてありがとなまつり、サラ」

 

俺は仕事で一緒にいたまつりとその親友でにじさんじのアイドルであるサラから心配されてしまう。ってダメだな俺、プラモ一つ行方不明になったからってこんな落ち込んでたら皆に笑われてしまう。仕方ないからこの後帰ったらもう一度探して、それでも見つからなかったら能力使って見つけるか……

 

「それにしても星川今日はかなり好調だったね♪」

 

「まあね♪ってそれとまつりちゃん、サラもう星川ではないからね?」

 

「まつりにとっては星川は星川のままなの!」

 

……また始まったよまつりのドルオタ根性。まつりにとってサラは親友であり推しのアイドルでもあるのでサラが出したグッズはサラがあげると幾ら言っても自分の金で買うというオタク魂を見せている。なんか歪んだアイドル愛見てる気分だ……

 

それとサラに関してだが、この子とも既に籍は入れていてもう星川ではないので周りの皆もたまに癖で星川と言ってしまう事はあるが、意図的にずっと星川と呼んでるのはまつりだけである。もう同じ家族なんだからいい加減名前で呼んでやれって感じだがな……

 

「ほらまつり、あんまりサラを困らせるなよ?それと、今日はもう仕事は終わったからこれから飯でも行くか?」

 

「うん、行く~♪」

 

「それならこの近くに美味しいパスタやピッツァを出してるお店があるから其処に行こうよ♪」

 

お、良いなそれ。じゃあ早速其処に向かうとするか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ブレイン♪」

 

 

 

 

 

「………ん?まつり、今何か言ったか?」

 

「え?ううん、何も言ってないよ?」

 

「……じゃあサラか?」

 

「ううん、サラも何も言ってないよ?」

 

あれ?今誰か喋ったような気がするんだが……気のせいか?

 

「こっちですよブレイン♪」

 

「え……………って誰だあんた?」

 

気のせいと思ってたがまた声が聞こえ、後ろを振り向くと其処には胸元が開いた際どいプラグスーツみたいなのを着た女性がニコニコと笑いながら立っていた。あれ?でもこいつどっかで……?

 

「……漸く貴方の元にやってこれました、ブレイン♪」

 

―ギュッ!―

 

「は……?」

 

「「なあぁッ?!」」

 

な、なんだ?!なんで俺いきなり見ず知らずの女の子に抱きつかれてんだ?!もしかしてこの娘、どっかであった事があんのか!?

 

「ちょ、ちょっと待ってよ!?いきなり現れてお前なんなのさ?!」

 

「……貴方達には関係ありません。私はブレインに会いに来たんですから貴方達はさっさとどっか行ってください」

 

「はあ?!何さブレインって!?玲二君この子一体なんなの?!」

 

「い、いや俺にも何がなんだか……なあお前一体誰なんだ?」

 

今必死に記憶を探り寄せたがやっぱりこんな娘とあった記憶がない。もしかして誰かと間違えてないか?

 

「もうイヤですよブレインってば、昨日私の事を創ってくれたじゃないですか♪」

 

「……………………は?創った?」

 

え?昨日創ったって……………ッ?!ま、まさかこいつ……!?

 

「ほら私ですよブレイン、昨日貴方が創ったリシェッタです♪」

 

「……………………はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ?!」

 

リシェッタ!?一体どういう事なんだよ?!なんで昨日作ったプラモが動けてしかも人間サイズになってんだよ!?

 

「え?どういう事?作ったって、玲二君が?」

 

「それにリシェッタって確か30MSシリーズの美プラじゃなかったっけ……?」

 

「ま、マジでどうなってんだよ……?!」

 

唐突な事過ぎて全く理解が追いつかない……マジでどうなってるんだこの状況はッ!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………それでレイくん、これは一体どういう事なんでしょうか?」

 

「さ、さあ俺にもさっぱりで……?」

 

「~♪」

 

あれから一度神羅城に戻って来たんだが……フブキ達皆の視線が痛い。でもそれは仕方がない、だって俺の横でリシェッタが笑顔で俺の腕に組みながら引っ付いているんだから。

 

「……それで?さっきからレイくんにくっついてる其処の貴方?貴方は一体誰なんですか?レイくんの話だと貴方はレイくんが昨日作ったリシェッタだとふざけた事言ってるみたいですが?」

 

「……はぁ、だからそうだと言ってるじゃない白上フブキ?貴方そんな事何回も説明しないと分からない程お馬鹿なの?」

 

「あ゛?」

 

「おい落ち着けフブキ!?お前もなんでそう煽るような事を言うんだよ?!」

 

……ってあれ?なんでこいつフブキの名前を知ってるんだ?しかも旧姓まで……

 

「お、おいお前?お前が仮に俺が作ったリシェッタだとしたらなんで人間サイズになって動けるようになってんだよ?それにフブキの名前もなんで知って……?」

 

「簡単ですよブレイン♪私は貴方の神羅の力を注がれて創られたからです♪それと私は神羅の力を通じて貴方の事ならなんでも知ってます♪どうでもいいけどこの女達の事も貴方の記憶を通じて知ってますし……」

 

はあぁッ?!俺の力を注がれてって、俺はそんなのした覚えは……!?

 

「ブレインは何時もプラモを造る時に真剣に取り組んでくれてますよね?その想いがプラモへと注がれて私達はこうして動けるようになったんですよ♪まあブレインは私達のような美プラは殆ど創りませんからね。ロボットだと意思はないから自分では動けないですが、ブレインが指示すれば彼等もそれに応えて動いてくれますよ?」

 

「マジでか?!そんなふうになってたのか俺のプラモ達って?!」

 

「ちょ、ちょっと待ってよ!?それだったらなんで前にウチ等がレイさんと一緒に30MSを作った時には何もなかったの?!貴方の言う通りなら前の時点でもう出来てなきゃおかしくない?!」

 

あ、確かに以前ゲーマーズと一緒にリシェッタを作ってたな?じゃあなんでそん時には何もなかったんだ?

 

「そんなの簡単ですよ大神ミオ、あの時ブレインは私の事を簡易的にしか創ってませんでしたから。一応あの時には既に私の意思はうっすらと構成されてましたがその時点ではまだ動ける程にはなってませんでした。しかし、今回ブレインが改めて私を丁寧に創ってくれたのでそれを依り代にこうして動けるようになったという事です」

 

な、成る程?つまりはこういう事か?

 

・俺の作ったプラモには特別な力が宿る。

・そのプラモ達には俺の持つ記憶が反映される。

・ガンプラ等のロボット系には意思は宿らないが俺の指示があれば動ける。

・有機物モチーフには意志が宿り自由に動ける。但し素組程度では動く事は出来ない。

・同じタイプのプラモなら意思を移動する事が出来る。

 

……こう考えると今後プラモ作るの結構躊躇ってしまうぞ?なんとかこの能力もオンオフ出来るようにしないとな……

 

「さあブレイン、これから私と二人っきりで静かに過ごせる場所に向かいましょう♪」

 

「はあぁッ?!ちょっと待ちなよ!?なんでいきなり玲二君を連れてこうとしてんのさ?!」

 

「そんなの決まってるじゃないですか?ブレインが本当に安らげる場所へと招待するためです」

 

は?安らげる場所?別に俺そんな所に行かないといけない程疲れてはないぞ?

 

「貴方達は何時も何時もブレインを振り回して困らせてますよね?特に夜なんて少ない時には5人、多い時には20人をブレインは相手してるじゃないですか?幾ら神羅族とはいえそんなほぼ毎晩やってたらブレインの身体が疲れるばかりです」

 

「なんで私達の夜の営み事情まで知ってるんですか!?///」

 

「さっき言ったじゃないですか、私はブレインの記憶を通じて貴方達を知ってるって。だから貴方達がどういうプレイが好みかも全部知ってますよ。例えば白上フブキ、貴方は「言わなくても良いわそんな事ッ!?///」

 

……なんかこっちも恥ずかしくなってくるわ。なんだよこの公開処刑?まだそういう事してないにじさんじサイドの妻達が顔真っ赤にしてるし。

 

「兎に角!今のブレインにはゆっくりと癒せる安らぎの場所が必要なんです!だから私が昨日のうちに探した秘湯へと招待します!勿論私とブレインの二人っきりで……♡」

 

『そんなの許すかあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!』

 

うん、まあそりゃそうなるわな?というかリシェッタ、お前人間サイズになってるけど風呂に入れるのか?関節とかも人間と同じになってるみたいだけど……いやそういう問題じゃねぇな?

 

「なんですか?貴方達に何かとやかく言われる筋合いはないんですが?」

 

「あるわそんなの!レイくんが安らぎの為に温泉行くのは百歩譲ってもなんでお前が一緒に行くのさ?!」

 

「そうだよ!それならまつり達だって一緒に行きたいよッ!」

 

「ハッ!何を言ってるのですか夏色まつり?先程も言いましたがこれはブレインを癒す為の温泉なんです!それに貴方みたいなぺったんよりも私の豊満なボディの方がブレインも喜びます!」

 

「玲二君は胸で人を判断しないんだよ畜生ッ!オプションボディで豊満になったくらいで偉そうにすんなクソがぁッ!!」

 

「ちょ!?ちょっと落ち着きなってまつりちゃん!アイドルがしちゃいけない顔になっちゃってるから!?」

 

「てかまつり、なんかお前血の涙流してないか?」

 

ってよく見たらスレンダー組が同じように血の涙流してるし。確かに今のリシェッタはオプションボディ01を使用してるから胸部が大きくなっていて、しかも人間サイズになった際に人体の柔らかさも再現されているようでさっきから腕に柔らかい感触が当たってる。そりゃまつり達からしたらパーツ一つで胸囲が変われるから羨ましいんだろうな?

 

「兎に角私達はそんなの断じて認めませんからね!分かったらさっさとレイくんから離れてくださいよッ!」

 

「だから嫌だと言ってるじゃないですか?……まあでもそうですね、このままではお互いに折れない限りは話は進みませんし、此処はブレインを賭けて勝負といきましょうか?」

 

……毎度の事ながらなんでいっつも俺の周りでこうした勝負が勃発しようとするんだよ?

 

「勝負はブレインが開発したガンプラウォーズを使って行いましょう。内容は……貴方達が決めてくれて構いません。別に私はどのジャンルの勝負でも負けるつもりはありませんから」

 

「……へぇ?随分余裕じゃないですか?まあ良いですよ、其処まで言うなら相手してやりますよッ!!」

 

あれ?珍しくフブキが素直に応じたな?何時もこうした勝負には受ける理由がないって言って断ろうとすんのに?

 

「おや、意外とすんなり受けましたね?てっきり受ける筋合いはないとか言って拒否すると思ったのに?」

 

「ふふん、これでも私はガンプラウォーズの開発にはかなり関わってきたんです!テストプレイも何度もしましたので負ける要素はありません!それに此処で拒否したらどうせ貴方は強行突破に出そうですから止めれるうちに抑えるのが一番と思っただけです!」

 

成る程な、確かにゲームの腕前も考慮してフブキの方が有利か。それに後々の事を考えて今のうちに勝負して勝とうという事か。

 

「では決まりですね?ならば勝負は二時間後に行いましょう。それまでに使用するガンプラの選択と勝負の内容を決めてください。ではブレイン、私はそれまでにいろいろと準備をしますので一度失礼します♪」

 

リシェッタはそう言って俺から離れて部屋を出ていってしまった。そういやあいつガンプラとかどうするつもりなんだ?いやそれよりも……

 

「お、おいフブキ?良かったのかあんな勝負に乗って?」

 

「当たり前ですよ!あの娘がどんな戦い方するかは知りませんが此処で逃げたらあの娘の思うつぼですし、何よりレイくんの妻として負けるワケにはいかないんじゃいッ!という事で私も自分のガンプラ用意してくるので失礼しますッ!!」

 

うわぁフブキの奴久々に燃えてるな?でもああいう時のフブキって冷静な判断が出来なくなるし、何よりリシェッタがどういう手で来るか分からないからこの勝負、本当に予測が着かないな……?

 

 

 

 

意思を持ち人間サイズとなったリシェッタと玲二を賭けて戦う事になったフブキ。果たしてこの勝負、どちらが勝つのだろうか?続く………




はい、という事でニューヒロインの正体は30MSのリシェッタでした!そして次回はフブキとの対決!果たしてフブキはリシェッタに勝てるのだろうか?次回もまったり待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第95話『見透かされる弱点』

昨夜、母が入院したと聞かされ焦ってしまいました……( ; ゚Д゚)
という事で今回の投稿から数日間が空いてしまうかもしれません。ですが出来るだけ無理なく更新出来るようにします。

今回はリシェッタとの対決!果たしてフブキはリシェッタに勝てるのか……?今回も最後まで見て頂けたら有難いです、ではどうぞ!


俺の力で人間サイズになって動けるようになったリシェッタと対決する事になったフブキ。時間になりお互いがバチバチに睨み合っている。

 

「……さて、お互いに準備は出来たようなので早速始めますか」

 

「良いよ、レイくんの為にもこの勝負、絶対に負けないから!」

 

どうやらお互いに準備が整ったようだな。一体どんな対決をするのだろうか?

 

「それで白上フブキ、今回は一体どんな勝負をするんですか?」

 

「だから私はもう白上じゃ……もういいや、勝負は普通に一対一のバトル。勝利条件は先に相手を三回撃破した方が勝ち、それでいいですか?」

 

成る程、今回はシンプルに普通のバトルというワケか。だがフブキは普通にガンプラを用意出来たがリシェッタは大丈夫なのか?何やら積みプラを少し使わせてほしいと言ってたから使っていいヤツを選ばせたけど……

 

「えぇ良いでしょう。では私はこれでやらせてもらいます」

 

「えッ!?そ、それって……」

 

「普通のガンダム!?でも色が真っ白だよ?!」

 

あれは……ペインティングモデルのガンダム!?なんでまたあんなガンプラをチョイスしたんだ?!

 

 

『ペインティングモデル』

ガンダムベース限定で販売しているガンプラ。以前紹介したエコプラが真っ黒に対しこちらは真っ白な機体となっている。その名の通り、自分の思い描いたカラーにペインティングしやすいようになっている。

 

 

しかもオプションパーツや標準パーツを装備してるが基本の機体の色はそのまま?まあ時間がなかったからか?いや、それにしては武器を白く塗装している辺り何か狙いがあるのか……?

 

「おいおいおいそんな真っ白な機体逆に目立って的になっちゃいませんかぁ~?私はこの機体!グラハム専用ユニオンフラッグカスタムですッ!」

 

 

『HG グラハム専用ユニオンフラッグカスタム』

『機動戦士ガンダムOO』に登場したグラハム・エーカーのカスタム機体。通常のフラッグとは二倍ものスピードを誇りながらも軽量は通常のフラッグよりも軽いという、まさにスピードに特化した機体と言えよう。今回フブキはガンメタブラック塗装を施し対ビーム兵器コーティングを表現している。

 

 

「へぇ、ユニオンフラッグカスタムとはまた面白いチョイスだな」

 

「エヘヘェ、やっぱりガンダム以外の機体だとユニオンフラッグが最高に格好良いですからねぇ~♪」

 

「………………」

 

……なんだ?リシェッタが一瞬フブキの機体を見てニヤリと笑った気がするが……?

 

「さあお互いに機体の準備も済ませましたし早速始めましょう。ステージは“ランダム”で良いですよね?」

 

「まあ私はどのステージもやった事ありますからそれで良いですよ♪」

 

「分かりました……では、始めましょう!」

 

いよいよ始まるな……だがなんだこの妙な違和感は……?

 

 

 

―3―

 

 

 

―2―

 

 

―1―

 

―GAME START―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よっしゃあッ!それじゃあパッパと倒してやりますよ………ってええぇぇッ!?」

 

うわ、よりにもよって“雪原エリア”かよ?辺り一面が雪景色、しかも今吹雪いているから視界も良くない。これはかなり長引く戦いになりそうだな……?

 

「ま、まさか雪原エリアだなんて……でも相手の居場所を特定出来ればそんなに苦労しませ―ドゴオォンッ!―にゃあぁぁッ?!」

 

ッ!?な、なんだ?!いきなりフブキの機体が攻撃された!?しかも一体何処から?!

 

「おやおや白上フブキ、そんなボーッと立ってたら良い的になりますよ?」

 

「う、うるさい!それならこっちも反撃……ってあれ?ど、何処にいるの?!」

 

フブキが攻撃されたであろう方角に武器を構えるがその姿が見えない。どういう事だ?確かに視界が悪いにしろ機影くらいは見える筈だが……?

 

「あ、相手の姿が見えない!?一体何処にいるんですかッ?!」

 

「あらら、どうやらこの雪原エリアでは私のホワイトガンダムの姿を捕らえるのは難しいみたいですね?これは“偶然このエリアが選ばれて”私が有利になっちゃいましたね♪」

 

「くうぅぅぅぅッ!!」

 

成る程、確かにこの雪原エリアでは白いガンダムだと保護色になって識別しづらくなってしまうのか。なんて偶然が起きたもん……………ッ!?

 

「……いや違う!これは偶然なんかじゃないッ!」

 

「え?ど、どうしたの玲二君?」

 

「そ、それに偶然じゃないって……一体どういう事なの?」

 

そうだ、なんですぐに気づかなかったんだよ!?もし偶然だとしたら不審な点が多くあったじゃないか!

 

「リシェッタの奴、ランダムで選んだフリして最初からこの雪原エリアを選んでたんだよ!でなきゃ武器まで白く塗装した説明がつかない!」

 

「えぇッ?!で、でもリシェッタちゃん確かにステージセレクトでランダムを選んでなかった?!」

 

「ッ!そうか、あのリシェッタって美プラ、玲二さんの力によって生まれた存在だから多少なりとも玲二さんの力を駆使する事が出来たんです!それでセレクト画面でランダムを選んだフリをして雪原エリアに繋がるように細工したんですね!?」

 

そう、美兎の言う通りこれは最初から仕組まれていたんだ!例えどんなバトルになろうと大抵の事なら自分が有利に立てるようにわざと無塗装のペインティングモデルを用意して、しかもわざわざ武器まで白く塗装して!全てはリシェッタが仕組んだ罠だったんだッ!

 

「あ、やっぱりブレインには分かってしまいましたか♪」

 

「何ぃッ?!そんなのインチキじゃないですか!?やり直しを要求しますッ!!」

 

「残念ですが一度決めたバトルを放棄する事は出来ません。さあどうします?この雪の中そのガンメタブラックボディは目立ちますし、何よりこの吹雪の中スピード特化の機体ではバランスを取るのでさえ難しいんじゃないですか?」

 

……確かにこれはヤバイな、この雪原エリアは何もかもフブキに不利過ぎる状況だ。こんな最初から仕組まれた勝負を認めるワケにはいかないし、この勝負は無効にさせないと!

 

「おいリシェ……」

 

「まあでも、不利だからと言ってゲームを棄権するなんてゲーマーズとして、更にブレインの妻としてどうかと思いますがね?」

 

「ッ!?上等だぁッ!其処まで言うならお望み通りやってやんよぉッ!!」

 

「お、おいフブキ!?」

 

ヤバい!?フブキの奴挑発されてまともな判断が出来てないぞ!?

 

「お、おいフブキ落ち着けって!此処は一度勝負をやり直して……!」

 

「レイくんは黙ってください!これは私とこいつとの真剣勝負なんですからッ!!」

 

だ、ダメだ全く聞く耳持たない。これではリシェッタの思うつぼ……いや、もしかしたらそれすらもリシェッタの作戦だったのかもしれない。あいつは俺の記憶を読み取ってたって言ってたからフブキの負けず嫌いな性格を逆手に取ればこうなるというのを予測してたに違いない。

 

「さあ話は纏まったようなので続けましょうか。後でやっぱ無しって言うのはダメですよ?」

 

「言わんわそんな事!もう良いから早く続きをしましょうッ!」

 

……これは本当にヤバい、完全にリシェッタの掌で踊らされてしまってる。このままではフブキに勝ち目は薄いぞ……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―ドゴオォンッ!ドゴオォンッ!―

 

「うぐぅ……ッ!?」

 

「ほらほらどうしました白上フブキ?そんな闇雲に攻撃しても私には当たりませんよ?」

 

……やっぱりフブキの不利には変わらないか。フブキが手探りで攻撃しても当たるワケがないし、リシェッタは的確にユニオンフラッグを攻撃している。これじゃあ完全な出来レースだ。

 

「うぅ……こんな全体が真っ白な場所じゃ狙いが定まらない……ッ!?」

 

「ふふ、やはり貴方は愚かですね?エネミーサーチを使えばある程度の場所は把握出来るのに自分の視覚だけで対応しようとしているから私を捉えられないんですよ」

 

……やっぱりリシェッタはフブキの弱点を理解してる。フブキはエネミーサーチに頼らず自分の視覚だけで対応する癖がある。そのせいで奇襲攻撃とかが苦手なんだがリシェッタはそれを上手くついてきてる。

 

「さて、そろそろ一機目を撃破させて頂きますか。恨むなら自分の傲慢さを恨んでくださいね?」

 

「…………………」

 

―バキュウゥンッ!―

 

―ドッゴオォォォンッ!―

 

ああ、フブキのユニオンフラッグがとうとう撃破されてしまった。これでフブキは残り二機だけ、だがリシェッタはまだ三機全て残ってしかもほぼノーダメだ。このままではフブキの敗北は確実だな……

 

「……………」

 

「おや?どうしました白上フブキ、もう再出撃できますよ?もしかして圧倒的な差を見せつけられて意気消沈してしまいましたか?」

 

……?フブキの奴、もうリスタート地点に戻ったのに全然動こうとしてない?一体どうしたんだ?

 

「…………………………う」

 

『う?』

 

「うがあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーッ!!!!」

 

―ゴオォォォォォォォォォォォォォッ!!―

 

ッ?!ユニオンフラッグが真っ赤になって周りに炎が噴き出してる!?こ、これは……オーバーフローモード!?機体の能力を限界を超えて発揮させる代わりに使い続けるとHPがどんどん削られてしまうまさに諸刃の剣だ!まさかフブキ、追い詰められて自棄になってしまったのか!?

 

「うがあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーッ!!」

 

―ゴオォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!―

 

ユニオンフラッグがフィールド中を無差別に駆け巡っていく。本当に何をしてるんだフブキ?!そんな事してたら無駄にエネルギーを消費するだけだぞ?!

 

「やれやれ、まるでバーサーカーですね?そんな闇雲な突進なんて―ドゴオォンッ!―キャアァッ!?」

 

「ッ!其処かあぁッ!!」

 

フブキが初めてホワイトガンダムにダメージを与えた!?しかもそのままホワイトガンダムを捕えるとそのまま引きずり回すかのようにフィールドを駆け巡っていき、そして……

 

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーッ!!」

 

―ドッゴオォォォンッ!!―

 

空中へと登ってそのままホワイトガンダムごとユニオンフラッグを自爆させた!?なんて荒い戦い方だよ?!こんなのフブキらしくないぞ!?

 

「くっ!?一機やられてしまいましたか……ですが、本当に愚かな人ですね?今ので確かに私の機体は倒せましたが、それと同時に貴方も残り一機になってしまいましたよ?もうそんな子供染みた戦法は通じませんよ?」

 

そうだ、確かにホワイトガンダムを倒す事には成功したがまだリシェッタは二機残っている。対するフブキはもう一機しか残っていない。これが撃破されたら終わるぞ?

 

「……………ふふ♪」

 

「?何がおかしいんですか?とうとう気でも狂いましたか?」

 

「ふふふ……残念だけど戦法が通じないのはそっちだよッ!」

 

「は?一体何を…………ッ!?こ、これは?!」

 

ッ!よく見るとフィールドの雪が殆ど解かされている!?しかも天気もさっきまで吹雪いてたのにすっかり晴れている!?一体これは…………ッ!!

 

「そうか!さっきのオーバーフローは攻撃の為なんかじゃない!リシェッタのホワイトガンダムの隠れ蓑になってる雪を排除する為だったんだッ!」

 

「ッ!そうか、機体から出ていた高熱で周りの雪を解かして、更に二体分の爆発を利用して雪雲も吹っ飛ばしたんだ!」

 

「それだけの事をあの短期間で思いつくなんて……!?」

 

全く、かなり無茶な作戦を思いついたなフブキ?けど凄いぞ!

 

「ま、まさかあの一瞬でこんな作戦を思いつくなんて「一瞬じゃないですよ」……え?」

 

「……実は貴方がこの雪原エリアを選ぶ事はそのペインティングモデルのガンダムを見た瞬間に予想出来ました」

 

なッ!?ガンプラを見た時点で予測を!?それってどういう……?!

 

「……貴方はレイくんの記憶を頼りに私達の事を知ってました。だから考えてみたんです、もし私だったらレイくんの記憶を持ってレイくんの力を少し使えるならどうするのかって……そう考えた時に私が奇襲攻撃に弱いというのを利用してくるんじゃないかって。そして貴方は案の定無塗装のペインティングモデルを持ってきて尚且つ雪原エリアを選びました。その時点で私はこの作戦を思いついたんです!」

 

「なッ!?そ、それじゃあさっきまでの追い詰められてたあの感じは……!?」

 

「エヘヘ~、乗せられちゃいました?」

 

成る程、さっきまでのあれは全てリシェッタを欺く為の芝居だったって事か。つまり掌で踊らされていたのはフブキではなくリシェッタだったというワケだな?

 

「うぐぐ……け、けど!それでも私が有利なのは代わりありません!奇襲が出来ないのなら、普通に倒すだけですッ!」

 

「残念だけどそれならこっちの方が有利だよッ!」

 

こうしてフブキの反撃が始まった。吹雪というデメリットがなくなった今ユニオンフラッグの高機動な動きにホワイトガンダムが徐々に追い詰められていく。

 

だがそれもそうだ、リシェッタのホワイトガンダムはオプションの武装はあるものの本体は無塗装無改造の素組ガンプラだ。しっかりと改造や処理を施されたフブキのユニオンフラッグとはスペックが桁違い過ぎる。

 

しかもリシェッタはこれが初めてのガンプラバトルだ。例え知識はあってもゲームの腕前は素人同然、ゲーマーズとして様々なゲームをしてきたフブキとは力量も違う。これはもう、リシェッタの勝ち目は薄くなってしまったか?

 

「くうぅッ!?こ、こんな筈では……ッ!?」

 

「レイくんの記憶だけで私を判断した……それが貴方の敗北だよッ!これで……トドメッ!!」

 

―ドキュウゥンッ!―

 

―ドッゴオォォォンッ!―

 

ユニオンフラッグのビームライフルを受けホワイトガンダムは無惨にも爆散していった。これでお互いに残り一機か……

 

「くっ……でもまだ残り一機!これで貴方を倒せれば………ッ?!」

 

?どうしたんだ?リシェッタが急にその場にへたりと座りこんでしまったぞ?一体何があったんだ?

 

「え?ど、どうしたんですか急に?」

 

「………はぁ、どうやら、此処までのようですね……」

 

此処まで?一体何が………ッ!?こ、これは!?

 

「リシェッタ!お前、身体の関節が……!?」

 

「これって……元のプラモの時の関節?!でもどうして!?」

 

そう、リシェッタの関節がいつの間にかプラモの時のような関節になっていた。それだけではない、髪の毛も先程までサラサラだったのが硬いプラスチックのようなモノに変化している。これは一体……!?

 

「……私のこの身体は、ブレインの力を使って人間のモノへと変化させてました。ですが、その力を使いきってしまったせいで元のプラモの身体へと戻ってしまったみたいです……もう、まともに動かす事すら出来ません……」

 

そう言いながらリシェッタはその場に倒れこんでしまった。それはまるで糸が切れてしまったマリオネットのように儚かった。

 

「リシェッタ!おい大丈夫かリシェッタ!?」

 

「……ブレイン……申し訳ありません……貴方に創ってもらえて……少し……調子に乗って……しまったみたい……です……元々……そんなに……長く……動けるワケ……では……なかった……みたいです……ね……」

 

俺は慌ててリシェッタに近づき抱き寄せたが、その身体には人間の温もりはなく無機質なプラスチックの質感しか感じられなかった。

 

「……フブキ、さん……この勝負……私の……負け……です……約束……通り……私は……ブレインから……引きま……す………」

 

「リシェッタ、ちゃん……」

 

「……こんな……素敵な……ブレイン……に……創って……もらえ……て……幸……せ……でし……た……あり……が……と……ブレ……イ……ン……………」

 

リシェッタはそう言いながら光に包まれ、その光が止むと俺の手には元のサイズのリシェッタが握られていた。もう、完全なプラモに戻ってしまったみたいだな……

 

「………きっとこの子はレイくんに作ってくれたお礼をしたかったのかも知れませんね?」

 

「……そうかもな」

 

少し回りくどくなってしまったが、きっとリシェッタは俺に感謝したかったのかもな?俺は一つ一つのプラモを大事に作ってるが、みんなあんな風に感謝してくれてたのだとしたら作った身としてはこれ程嬉しい事はない。

 

「……リシェッタ、わざわざやって来てくれて有り難うな。後で手直しした後で他のガンプラと一緒に飾ってやるからな」

 

こうしてリシェッタによるフブキとの対決は幕を閉じた。リシェッタはあの後手直しをして俺のお気に入りのガンプラ達と一緒に飾った。その表情は正規品のフェイスでありながら何処か嬉しそうな感じがした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………っていう綺麗な感じで終わったと思ったのに……なんでまた動いてるんですかリシェッタちゃん!?」

 

「え~?そりゃまた力が回復したからに決まってるじゃないですか、ねーブレイン♪」

 

……そう、実はあの後暫くしてからまたリシェッタが動くようになったのだ。どうやら力を使い果たしても暫くすればまた回復するらしい。今は省エネモードという事でプラモサイズの状態で俺の肩に乗っかって頬擦りしてきてる。

 

「あんな永遠の別れみたいな感じ出されたら誰だってもう動かないと思うじゃないですか!?なにしれっと戻ってしかもレイくんの肩に乗っかってるんですか!?」

 

「それは勿論私がブレインのプラモだからに決まってるじゃないですか?それと、勝手にもう動かないなんて勘違いしてたのはそっちでしょう?」

 

「いやあれは誰だって勘違いするだろ?」

 

「すみませんブレイン、でも貴方にお礼をしたかったのは本当ですよ?だからこれからも私の事、よろしくお願いしますね♪」

 

―chu♡―

 

「なあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!?」

 

リシェッタは立ち上がり俺の頬にキスをするとフブキが発狂してしまった。はぁ、これはまた騒がしくなりそうだな……?

 

 

 

新たに加わったヒロイン?のリシェッタ。これにより佐々木家はまた賑やかになりそうな予感がする玲二であった。




はい、という事でリシェッタ回でした!これからもリシェッタは玲二の相棒としてちょくちょく出てくるかもしれませんのでよろしくお願いします!

次回はビルドダイバーズのメンバーがホロライトシティに!?次回もまったり待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第96話『繋がるガンプラワールド』

前回の前書きにも言ってましたが母が入院したという事なんですが手術は決まりましたが思っている程の事ではないので今年中には戻れるみたいです。それまでに部屋のガンプラを整理しないと……( >Д<;)

今回はリク達が遂に玲二達の世界に!しかしそれだけではないようで……?今回も最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


「ほあぁ……これが玲二さん達の住む世界ッ!」

 

「凄い!前に来た時よりも街が発展してるよッ!」

 

最近益々発展しているホロライトシティ。様々なアイドル達やガンプラマニア達の聖地となりつつあるこの場所に珍しい来訪者達がやって来た。そう、リク達ビルドダイバーズの世界の住人達だ。彼等は今回玲二達から招待されて一週間このホロライトシティの高級ホテルに宿泊する事になったのだ。

 

「見てみてサラちゃん!あの大きなホテルの最上階のスイートルームに私達泊まれるんだよ!」

 

「うん、凄く楽しみ♪」

 

「うわぁ、こんな豪華なホテルに無料で宿泊だなんて本当に大丈夫かな……?」

 

「もうお兄ちゃん、折角招待してもらったんだからもっとシャキッとしないと!」

 

「でもやっぱりリアルでこういう所に泊まるのは緊張しちゃうわね……」

 

そしてリク達は今自分達が宿泊するホテルを目の前にして緊張しつつもかなり興奮していた。因みにサラ以外は皆リアルの姿である。更に……

 

「ホント、こんな素敵なホテルにタダで宿泊させてくれるだなんて玲二くんってば太っ腹ねぇ~♪」

 

「あぁ、本当に凄ぇ奴だったんだなあいつ……?」

 

「僕も話はリク君達から聞いてたけど、その玲二って人もなかなかのやり手みたいだね」

 

マギーさんをはじめタイガーウルフとフォース『SIMURGH』のリーダーである『シャフリヤール』もいた。シャフリヤールことシャフリとはこれが初対面になるが、タイガと同じビルドダイバーズの主要人物という事で玲二が招待したようだ。そして……

 

「な、なあ、本当に俺達此処に来て良かったのか?」

 

「た、確かに緊張してしまいますね……」

 

「ああ、こんなに凄い場所に泊まるのは初めてだな……」

 

「これをタダで泊まらせてくれるなんて、その玲二さんって人凄いんだね?」

 

もう一つのビルドダイバーズであるヒロト達もやって来ていた。ヒロトの横にはヒロトの幼馴染みである『ムカイ・ヒナタ』も一緒に来ていて、一同は初めて訪れる世界に大興奮していた。

 

「それにしてもメイさんがGBNと同じ姿で一緒にいるのは不思議ですね」

 

「あぁ、私も皆が何時もと違うリアルの姿だから少し新鮮だな」

 

「メイ、来て良かったでしょ?」

 

「……そうだな、姉さん」

 

普段リアルの世界ではガンプラのボディであるサラとメイの二人もGBNの姿のままこの世界にやって来ている。メイはこの今まで味わった事のない体験に少し嬉しそうである。

 

「さあ皆~!まずはチェックインしてからそれぞれの部屋に行きましょう♪その後玲二くんの使いの人がこの街を案内してくれるそうよ~♪」

 

「わぁ~!すっごく楽しみ♪ねぇねぇ皆、早く行こうよ~♪」

 

「うん、行こう!」

 

そして一行は街を回る前に部屋に荷物を置く為にホテルへチェックインしに行く事に。はてさて、何やら楽しい事が起こりそうな予感がする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………一方その頃

 

 

「……………う、うぅ、ん………ん、あれ?此処は一体……?」

 

ホロライトシティの中央公園、其処のベンチの上で一人の赤髪の少年が目を覚ました。その近くの別のベンチには他にもポニーテールの女の子とメガネを掛けた少年が眠っている。

 

「……ていうか本当に何処だ此処?俺達確か次の大会に向けて合宿に来てきた筈なのに……そうだ、先輩!ユウマ!起きてくれ!」

 

「……う、うぅん……セカイ、くん?……あれ?此処は一体……」

 

「……なんで俺達、こんな所で寝ているんだ?確か俺達合宿先の部屋にいた筈……?」

 

セカイと呼ばれる少年に起こされ先輩と呼ばれた女の子とユウマと呼ばれた少年が目を覚ます。しかし二人も唐突な出来事に混乱してしまっているようだ。

 

「……うん、荷物とかは全部あるみたい。それにしても、此処って本当に何処なの?」

 

「全然見慣れない街みたいだが……そもそもなんで俺達こんな場所に寝ていたんだ?」

 

「わかんねぇ……兎に角この公園から出てみようぜ。そしたら何か分かるかも?」

 

「そうね、まずは街の方に出て何かないか調べてみましょう」

 

こうして三人は現状を調べる為に街へと足を運んでいくのであった。これが後に新たな出会いが起こる事を、この時は誰も知るよしもなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわぁ~………スッゴいよこれ!前に来た時よりもずっと多くのガンプラが置いてあるよ!」

 

「本当に凄いわぁ。それにユッキーやサラちゃんの言う通り私達のガンプラまで製品化されてるのね♪」

 

「ふふん!今やこのホロプラにないガンプラは殆どないのです♪」

 

一方その頃、リク達はホテルから出て街を回っており、最初にリニューアルして大型化されたホロプラへとやって来ていた。其処には新旧様々なプラモがずらりと並んでおり、此処で買えないプラモは殆どないと言われる程品揃えが豊富なのが売りである。

 

「スゲェな、チャンピオンや俺等のガンプラまであるぞ」

 

「それだけじゃない。サラちゃんやメイちゃんのモビルドールもキット化されているね」

 

「うん、私も自分の分身が出来たみたいで嬉しい♪ね、メイ♪」

 

「あ、あぁ……だがなんだか少し恥ずかしい気もするな……///」

 

サラとメイも自分のガンプラを手に取り楽しそうに笑いあってる。こうした事はリアルでは出来なかったから余計に嬉しそうだ。

 

「それにしてもこんなにガンプラがあるなんて……玲二さんの話だとこの世界では転売ヤーが買い占めして高額転売しているって聞いてたんだけど……?」

 

「あ、それなんですが先月に新たな法律で『高額転売禁止法』というのが出来たのです」

 

皆を案内していたるしあがリク達に説明する。高額転売禁止法とは古物商許可証か商業許可証を持たない者がメーカーが定めた定価、小売価格を越える金額での販売を禁止する法案である。これによりメ○カリ等のフリマサイトで転売を行っていた転売ヤーは軒並み検挙されていき、更に許可証を持つ者も上乗せ出来るのは三割までと決められているので高額転売はなくなっていったのである。

 

「これのお陰でバカな転売ヤーは一気にお縄になったのです♪最も海外に売り飛ばそうとする輩もいたけど手数料とかを考えたらマイナスにしかならないからすぐにいなくなったけどね」

 

「へぇ、そうなんだ……あれ?ねぇるしあさん、この上のポップは何ですか?『ガンプラウォーズ対応します』って……?」

 

るしあの説明を聞きながら商品棚を見ているとリクは棚の上に貼られていた『ガンプラウォーズ対応します』というポップが気になりるしあに尋ねた。

 

「あ、それは今日から新しく稼働したゲーム『ガンプラウォーズ』の宣伝ポップなのです。玲二さんがGBNを参考にして作ったガンプラバトルが楽しめるゲームなのです♪」

 

「ガンプラバトル!?この世界でもガンプラバトルが出来るようになったの!?」

 

「はい♪あ、良かったら皆もやってみる?今だとサービス開始記念のイベント開催中なのです♪」

 

「本当に!?よし、皆やってみようよ!」

 

「お、良いなそれ!ヒロト、俺達も参加しようぜ♪」

 

「ん?あぁそうだな」

 

一同はるしあの提案で店の奥に設置してあるガンプラウォーズの筐体を見に行く事に。其処には20台程の筐体が設置されており、大人から子供まで老若男女問わず盛り上がりを見せていた。

 

「おぉ……凄い!これがガンプラウォーズなんだ!?」

 

「GBNみたいなコックピット……かなり本格的なゲームですね!」

 

「はいなのです♪パル君のような車イスの人でも参加出来るようにコックピットの高さも変えれるので安心してほしいのです♪それと今は三種類のイベントが行われていて、なんと!どのイベントもクリア出来れば此処でしかもらえない限定ガンプラが手に入るのです!」

 

「マジか!?それはテンション上がるなっ!」

 

「うん、これは是非参加してみたいもんだね♪」

 

限定ガンプラと聞き一同は一気に参加する意欲を見せていた。そしてるしあからそれぞれのイベントについて説明がされる。

 

「まず一つ目は『プロジェクトZ』。舞台はスペースコロニー、此処では秘密裏に製造されたZシリーズが配備されているのです。プレイヤーはコロニー内部に侵入しZシリーズを製造している軍事施設を破壊する事が出来ればクリアなのです。但し、当然の事ながらZシリーズの機体も攻めてくるので要注意なのです」

 

「成る程、敵勢力の制圧がこのイベントのミッションか」

 

「二つ目は『見つけてベアッガイ』。舞台はベアッガイ達が住む草原、その中に困った様子のベアッガイがいるのです。どうやら子供達とはぐれてしまったので特徴を聞き制限時間内に子供ベアッガイを見つけてあげればクリアなのです。但しこのイベントでは武器の使用は禁止、更にベアッガイ達に危害を加えた時点で失格となるのです」

 

「げッ!?武器の使用禁止なのかよ?!」

 

「これは完全な捜索ミッションって感じですね」

 

「最後は『セレモニーを防衛せよ』です。舞台は此処ホロライトシティ、此処ではガンプラウォーズ稼働開始の記念セレモニーが行われようとしているのですが、其処に他の世界から敵勢力が押し寄せて来てセレモニー会場を襲撃しようとしているのでこれ等を全て撃破してほしいのです。但し、セレモニー会場が攻められた時点で失格となるので注意なのです」

 

「最後は防衛ミッションか」

 

「どれだけの敵か分からないけど、これも殲滅力が問われるミッションだね」

 

三つのイベント内容を聞き、リク達はそれぞれどのイベントに参加するかを話し合っていく。そして参加するメンバーは以下の通りになった。

 

 

プロジェクトZ

リク

ユッキー

アヤメ

タイガーウルフ

マギー

 

見つけてベアッガイ

サラ

モモ

ナミ

パル

ヒナタ

 

セレモニーを防衛せよ

ヒロト

カザミ

メイ

コーイチ

シャフリ

 

 

「それではこちらでエントリーを受け付けたのです。因みに難易度はビギナー、ノーマル、エースと三段階に別れていてエースは一番難しいですがその分景品も豪華になってるから頑張ってくださいなのです♪」

 

「よぉーし!皆、頑張ってイベントクリアしよう!」

 

『おぉーーーッ!!』

 

こうして一同はそれぞれのイベントを楽しむ事になった。さて、一体どうなる事やら?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「思ったよりガンプラウォーズが盛況で良かったな」

 

「うん♪ヒナ達もイベントのテーマソングが歌えて嬉しいし♪」

 

「今度これでホロライブとにじさんじで実況出来るから楽しみだわぁ~♪」

 

「「たやぁ~♪」」

 

うん、開発に携わっただけにこうやって皆が楽しんでくれるのは有難い事だ。俺は今ヒナとシオン、そしてユメと久遠と一緒にホロプラへと足を運んでいた。と言うのも遊びに行くワケではなくおめシスの所のガンプラウォーズのイベント景品が少し減ってきていたので在庫を取りに行く為だ。思ったより皆景品をゲットしてくれてるみたいだな?これは追加発注をメーカーに頼んで良かったわ。

 

このホロライトシティでのリリースによりわざわざ本土からやって来る人も多いのは有難い。来年には本土にもどんどん設置していくから宣伝してくれるならこちらも嬉しいからな。

 

「それにしてもヒメ、こんな一大イベントの日に一人収録だなんてツイてないよね?」

 

「まあリリース日を早めてしまったから仕方ないさ。フブキ達も今頃本土で仕事中だし」

 

「でもそれだけ皆ガンプラウォーズを楽しみにしてくれてたって事でしょ?ならフブキちゃん達には悪いけど皆が楽しんでくれてるって事で良いんじゃね?」

 

「ね~」

 

そうだな、フブキ達には悪いが今日は来てくれた皆におもいっきり楽しんでもらおう。今頃リク達も来てるだろうし、皆もガンプラウォーズを楽しんでくれてれば良いんだがな?

 

「まんまぁ、ぱいぱい」

 

「ん?どうしたのユメ、お腹空いちゃった?じゃあ向こう着いたらおっぱいあげるからもう少し待っててね?」

 

「あい♪」

 

「久遠も後であげるから待っててな~♪」

 

「あっぷぅ♪」

 

うん、二人ともすっかり母親だな。最初に会った頃はまさかこんな光景を見るとは夢にも思わなかったが、こうして見るとなんだか幸せな気分になってくる。

 

「それじゃユメ達の為にも早くホロプラに行かないとな。多分リク達もいるからついでに其処で少し顔出しておくか」

 

「「はーい♪」」

 

「「あーい♪」」

 

よし、そうと決まればさっさとホロプラへ……………ん?彼処にいる三人、何か困ってるのか辺りをキョロキョロしてるな?もしかして本土から来た奴等か?だとしたら道に迷ってもおかしくはないが……けどあの三人、どっかで見たような気が……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ダメね、やっぱり此処って私達の知らない場所だわ」

 

「みたいですね先輩。俺も今までいろんな場所を回って修行して来ましたけど、ホロライトシティなんて街は聞いた事もないですし」

 

「それにさっき広告の看板にあったガンプラウォーズというゲームだが、そんなの聞いた事もない……にわかには信じがたいが、此処はもしかすると……」

 

「俺達のいた世界とは別の世界……って事か?」

 

先程公園で目覚めたセカイと呼ばれる少年は他の二人と共に街を探索していたが、見慣れない風景に見た事のないガンプラのゲームを見てもしかすると此処は自分達のいた世界とは別の世界ではないかという憶測が出てきていた。そうなれば自分達はどうやったら元の世界に戻れるのか?そう不安になっていると……

 

「あー、ちょっとすまない其処の三人。もしかして道に迷ったか?」

 

「「「………え?」」」

 

其処に近くにいた玲二達が話しかけてきた。しかしいきなり知らない相手に話しかけられたセカイという少年達は少し警戒してしまう。

 

 

「あ、あの、貴方は……?」

 

「ん?ああ、いきなり声を掛けてすまない。俺は佐々木玲二、このホロライトシティの市長だ」

 

「ッ!この街の市長!?」

 

お、市長って名乗ったら驚きはするものの警戒心は少し解けたか?それにしてもこの三人、やっぱり……

 

「ああ、それでなんだが……もしかして君達、トライファイターズっていうガンプラバトルのチームじゃないか?」

 

「なッ!?あんた、なんで俺達のチームの名前を知っているんだ!?」

 

……あぁそうか、こいつ等やっぱりあの『ガンダムビルドファイターズトライ』の主人公チームじゃねぇか。はぁ、これはまた面倒な事が起きたな……?

 

 

 

リク達ビルドダイバーズとは違うガンプラの世界『ビルドファイターズ』からまさかの来訪者。これはまた一波乱の予感が起こりそうである。続く………




はい、という事でビルドダイバーズだけでなくビルドファイターズトライからもチームトライファイターズが参戦しました!セカイ達がリク達とどう絡むのか?次回もまったり待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第97話『プロジェクトZ』

とある事情でスマホを変えたせいで書きづらいのなんのって……( ´ㅁ` ; )

今回はイベントの一つ、プロジェクトZの前編になります。果たしてリク達を待ち受けているのは一体何なのか……?最後まで見て頂けたら有難いです、ではどうぞ!


「………成る程、つまりお前達は気がついたらこのホロライトシティの中央公園で寝てたって事か」

 

「は、はい……」

 

……これはまたおかしな事になったな?俺は今別世界である『ビルドファイターズトライ』から来たであろうトライファイターズの三人から事情を聞いていた。リーダーの女の子『ホシノ・フミナ』の話によると昨日まで次の大会に向けてガンプラバトルの特訓をする為の合宿先の旅館にいたみたいだが、今朝目が覚めたらいつの間にかこの街の中央公園のベンチの上で寝てたという事だ。そして今さっきまで赤髪の少年『カミキ・セカイ』と眼鏡を掛けた少年『コウサカ・ユウマ』の二人と一緒にこの街を探索してはみたものの、やはり知らない街という事で困り果ててしまっていたところで俺が声を掛けたワケだ。

 

………もしかしてこれ、リク達ビルドダイバーズの世界の住人がこの世界に来たのと何か関係があるのか?

 

「それにしてもまさかビルドファイターズトライのキャラ達まで出会うなんてね?」

 

「ねー」

 

「それはこっちの台詞です。まさか俺達の事がこの世界ではアニメになってただなんて……」

 

「まあそりゃそういう反応にもなるわな?さて、問題はこれからどうするかだが……」

 

取り敢えずこいつ等を元の世界に戻すのはリク達の世界みたいに場所さえ特定出来れば行き来は出来るから良いとして、後はそれが見つかるまでこいつ等をどうするかだな……仕方ない、リク達と同じホテルに宿泊させてやるか。

 

「取り敢えずお前達が帰る方法はこっちで探しておいてやる。それまではこっちが手配するホテルで寝泊まりしてくれ」

 

「え、良いんですか?」

 

「ああ、このまま野宿させるのも可哀想だしな。それじゃ今からホテルを手配するから少し待っててくれ」

 

「「「あ、ありがとうございます!」」」

 

うん、そうと決まればさっさと手配してやらないとな。一応フミナは女の子だから部屋は別にしてあげないとな。

 

「あ、そうだ。それとお前達、今ガンプラは持ってきてるか?」

 

「え?あぁ、あるけど……?」

 

「良かった、なら俺達これからホロプラっていうガンプラを売ってる店に行くんだが一緒に来るか?其処には今日から稼働したガンプラウォーズっていうゲームがあるから是非遊んでみてくれ、きっと気に入ると思うからさ」

 

「本当ですか!?セカイ君ユウ君!折角だからそのゲームやってみない!?」

 

「おお!良いですね先輩、やりましょう!」

 

「異世界のガンプラバトルか……面白い」

 

お、どうやら乗り気になってくれたみたいだな。それじゃ早速行くとするか。

 

「………ところで佐々木さん、さっきから気になってはいたんだけど、後ろの二人は……?」

 

「ん?ああ、俺の妻と娘だ」

 

「「よろしく~♪」」

 

「「あやぁ♪」」

 

「あ、やっぱりそうだったんですね!赤ちゃん可愛い~♪“お母さんとお姉ちゃん”に抱っこされて嬉しそうだね~♪」

 

……ん?お母さんとお姉ちゃん?

 

「え?あ、あのさ……ちょっと聞きたいんだけどお姉ちゃんって、一体どっちの事で……?」

 

「え?そっちの子がお姉ちゃんじゃないんですか?」

 

フミナはそう言って迷わずシオンの方を見た。あー……確かに事情を知らないとどっちかが娘に見えるのか?

 

「……あの、シオンも玲二の妻なんだけど?」

 

「「「えッ?!」」」

 

「あー、俺達の世界は一夫多妻なんだ。だからヒナもシオンも俺の妻なんだよ」

 

そう言うと三人は更に驚いていた。まあ感覚的にマヒしてたけどやっぱ普通だとあり得ないもんな?

 

「そ、そうだったんですね!?勘違いしてすみませんでした!」

 

「アハハ♪まあ普通だったらどっちかが娘だって思っちゃうよね?」

 

「まぁそうかもしれないけど……それとさ、なんでシオンの方が娘だと思ったの?」

 

あ、そういや確かに何でフミナは迷わずシオンを娘だと思ったんだ?セカイとユウマもどうやら同じ考えみたいだったようだが……?

 

「え、えーと……」

 

「それは、その……」

 

「なんて言うか、その……」

 

?なんだか三人とも気まずそうにシオンを見ているけど……まさか、そういう事か?

 

 

 

 

 

シオンボディ

|| ストーン…

 

ヒナボディ

| )ポヨンッ♪

 

 

「お前ら絶対ヒナちゃんとシオンの胸比べて言っただろぉッ!?」

 

「い、いえそんな事は無いですって!?」

 

「そ、そうだって!寧ろ胸無い分身体も動かしやすいから良いと思うぞ?」

 

「フォローになってねーんだよおッ!?大体なんなのさヒナちゃんの胸の成長の仕方!?妊娠する前はシオンとそんなに変わらなかったのにユメちゃん産まれた頃にはEカップってなんなのさこの格差はあぁーーーッ!?」

 

「え〜?でもおっきくなっても重たいだけだよ?」

 

「ぱいぱい♪」

 

そうなんだよなぁ、理由は分からんがヒナは何故かスレンダー組の中でただ一人胸が成長してんだよな?ヒメも成長したヒナの胸見て

 

「ヒナの裏切り者ぉ〜!」

 

って泣きながら叫んでたし。お陰で女児(ヒメヒナリスナー)達からは『小のヒメ、大のヒナ』なんて呼ばれてるし、なんなんだろうなこの落差は?

 

「ほら落ち着けってシオン?別に胸があろうがなかろうがお前はお前らしくいてくれれば良いって」

 

「フーッ!フーッ!」

 

「あらら、シオンちゃん野生に戻りそうな勢いだね?」

 

「あぅあ〜」

 

結局それなら俺達はシオンを宥めるのに暫く掛かり、漸く落ち着いたところでホロプラへと向かっていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、此処がこの街一番の模型屋ホロプラだ」

 

「おぉスゲェーーッ!コレがこの街一番のガンプラの店なのか!?」

 

「凄い……此処まで品揃えの良い店はなかなかないぞ?」

 

「ねぇ見てみて二人とも!こっちに私達のガンプラもあるわ!」

 

ホロプラに到着した瞬間セカイ達が珍しそうに店の中を見て回っていく。此処には今やないガンプラを探す方が難しい程種類が豊富である。当然ビルドファイターズのガンプラも充実している。

 

「あ、玲二さんお疲れ様なのです♪」

 

「ああお疲れるしあ。頼んでいた追加分は用意してくれたか?」

 

「はいなのです♪後はもう運ぶだけなのです♪……処で玲二さん、彼処にいる人達って……」

 

「ん?あぁ、ちょっとまた面倒な事になってしまってな、後で説明するよ。それよりリク達は今何しているんだ?」

 

「はい、今リク君達はイベントミッションを楽しんでいるのです♪」

 

お、やっぱり楽しんでくれてたか。それじゃこの追加分の景品は転移でおめシスの所に送って俺達はリク達のバトルを見てみるか。

 

「おーいセカイ!これからガンプラウォーズのイベントを見るんだがお前等も一緒にどうだ?」

 

「おぉッ!今行きます!先輩、ユウマ!早く行こうぜ!」

 

「え!?ちょ、ちょっと待って!?今これだけ買っちゃいたいから!」

 

「俺もこのキットだけ買わせてくれ」

 

お?どうやら二人とも欲しいキットがあったみたいだな?一体何を……あぁ、フミナが零丸でユウマがガンダムリヴランスヘブンか。なんか二人ともらしいチョイスだな。さて、ヒナ達もユメ達に授乳しに行ってるみたいだし皆集まったら行くとするか。

 

 

 

 

 

 

 

 

「えーと……お、やってるやってる」

 

「スゲェッ!これがガンプラウォーズッ!!」

 

「ガンプラバトルと同じくらい……いや、これはそれ以上の迫力だッ!」

 

「何時見ても凄い迫力だねユメ〜♪」

 

「あきゃあ♪」

 

フミナ達の買い物とヒナ達の授乳を終えて俺達はイベントの様子が見れる大型モニターの前にやってきた。今はどうやらリク達がプロジェクトZのイベントをやってるみたいだな?それを見てセカイ達も興奮しているようだ。

 

「あれは……ZガンダムにZII!それにZZガンダムも!?まるで量産型ってくらいにいるんだけど!?」

 

「あぁ、このミッションはあの大量のZシリーズを掻い潜りながら大元の設備を破壊するのが目的だ。今リク達がやってるのはエースクラスだからマジで量産型レベルの数でエース級の機体がバンバン出てくるぞ」

 

「それをまるで物ともしないで撃破しているなんて……あの人達、相当の手練だな?」

 

 

『HG Zガンダム』

『機動戦士Zガンダム』の主人公カミーユ・ビダンが乗る機体。Z計画によって製造されたこの機体の最大の特徴は ウェブライダーという飛行形態への変形であり、これは後のZ系譜の機体にも受け継がれている。

 

 

『HG ZII』

『機動戦士ガンダムMSV』に登場した機体。Zガンダムの後継機として発案されたものの後に登場したZZガンダムとの競合に負けてしまい開発が一次凍結してしまった機体である。Zの後継機でありながら可変構造は別のMSを参考にしている。

 

 

『HG ZZガンダム』

『機動戦士ガンダムZZ』に登場したジュドー・アーシタが乗る機体。今までのZシリーズとは違いコア・ファイター、コア・トップ、コア・ベースの三機が合体して変形する機体でありその見た目はZとは違いかなりマッシブになっている高出力のMSである。

 

 

「お、そうこうしている内にそろそろコロニー内に入りそうだな?」

 

それにしてもあれだけのZ達を最小限の被ダメで済ますとは、やっぱりGBNでもトップクラスのフォースというのは伊達じゃねぇな。ただ、この後に出てくるボス機体達はそうは上手くいかないかもな?

 

 

 

 

 

 

 

 

「リッくん!もうすぐで目標地点に到達するよ!」

 

「けどこの先にも敵の反応が多数あるわ、油断は禁物よ?」

 

「あぁ、だがまさかSガンダムとかまではいねぇよな?あれもZシリーズの派生だからいそうでめんどくさいんだが……?」

 

「例えいたとしても片っ端から撃破すればいい。兎に角目的である施設を撃破した時点でゲームはクリアなんだから」

 

「アヤメさんの言う通りだ!皆、最後まで気を抜かずに行こうッ!!」

 

『応ッ!!』

 

此処まで来るのに少し手こずった所もあるけど皆と協力しあって此処までこれたんだ、この先に何が待ち受けていようと皆と、スカイメビウスと一緒に突っ走るだけだ!

 

「ッ!見えたよ皆!あれが目的の軍事施設だよッ!」

 

ッ!あれがZシリーズの軍事施設!思ったよりも広いけど、敵が押し寄せて来る前に破壊しないとッ!

 

「よし!敵が押し寄せて来る前に手分けして施設を「待ちなさいリッくん!上から二体の熱源反応!何か来るわッ!?」えッ!?」

 

―バキュウゥンッ!バキュウゥンッ!―

 

だけどマギーさんが知らせてくれたと同時に上空からいきなり何かが射撃してきた!

 

「ッ!このぉッ!!」

 

俺はその攻撃を何とか避けて撃ってきた方向へ武器を構えると、そこには二機のZ系の機体が待ち構えていた。

 

「あ、あれは……ZとZII?」

 

「でも何かが違うッ?!」

 

「あれってまさか……改造機?!」

 

そう、見た目はZガンダムとZIIなんだけど明らかに改造された機体だった!まさかあれが此処のボスなのか?!

 

 

 

 

 

 

 

 

「ッ!?ねぇユウくんあれって!?」

 

「あぁ、間違いない……あれは俺が作った『ライトニングZガンダム』とサカイ・ミナトが作った『ZZII』だッ!」

 

「あーやっぱり作った本人だから分かるか。そう、あの二機がこのミッション最大の敵だ」

 

 

『HG ライトニングZガンダム』

『ガンダムビルドファイターズトライ』に登場したコウサカ・ユウマがZガンダムをベースに作ったオリジナルガンプラ。その殆どのパーツはフルスクラッチで作り上げられたこの機体は変形機構はオミットされたがそれを補う程の機動性と高火力を誇る。

 

 

『HG ZZII』

『ガンダムビルドファイターズトライアイランドウォーズ』に登場したサカイ・ミナトがZIIをベースに作ったオリジナルガンプラ。ZZガンダムを彷彿させるその装甲はかなり強度が高く武器の火力も増し、まさにZIIとZZの融合機とも呼べる至高の機体に仕上がっている。

 

 

「玲二さんこのミッションを考えた時に絶対にこの子達をラスボスにしたいって言ってたもんね?」

 

「ああ、これは俺のお気に入りの機体でもあったからな。特に最終話での皆交えてのどんちゃん騒ぎは面白かったし。それとユウマ、ついでに言うと“後一機”いるから」

 

「え、後一機って…………ま、まさか……?!」

 

そう、後一機……ある意味男のロマンが詰まったあの機体が残ってるんだよなぁッ!

 

 

 

 

 

 

 

 

「ま、まさか此処に来て改造機だなんて……!?」

 

「それもどっちも作り込みが凄い……これを作った人は相当の技術を持った人だよ!」

 

「感心している場合じゃないわよ?どうやらあの二機を倒さないと先に進ませてくれないみたいね」

 

「ならさっさとあいつらをぶっ倒せば良いだけだろ?やる事は変わらねぇッ!いくぞリクッ!!」

 

「ああ!まずはこいつらを倒して施設を「ッ!待ってリク!今度は奥から“三機”何かがくる!?」えッ?!また!?」

 

まだやってくるのか!?しかも三機って、一体何が出てくるんだ…………え?あ、あれって………

 

 

 

 

 

 

 

 

〈ソラトライオンッ!〉

 

 

〈ウミトライオンッ!〉

 

 

〈リクトライオンッ!〉

 

 

「と、鳥と虎と……エイッ?!」

 

なんと現れたのはZシリーズとは思えない動物型のロボット達だった!?なんでそんなロボットが?!

 

 

〈〈〈合体フォーメーションッ!レッツ、コンバイィンオォォォンッ!!〉〉〉

 

 

が、合体!?一体何が……!?

 

 

―ガッシィンッ!―

 

 

―ガッシィンッ!―

 

 

―ウイィーンッガッチャァンッ!―

 

 

―キュピイィンッ!―

 

 

〈〈〈トライオオォォォンッ3イィッ!!〉〉〉

 

 

あ、あれは、 ZZ!?まさかZZの改造機まであったなんて!?しかもあれってガンダムというよりスーパーロボットみたいだけどそれって良いの?!

 

 

 

 

 

 

 

 

「おおぉぉぉッ!トライオン3まであるのかッ!?」

 

「ああ、やっぱライトニングZとZZIIがいるのにトライオンがいないのは変だろ?それにやっぱ合体ロボは男のロマンだしなッ!!」

 

「あ、あはは……」

 

「……この人もサカイと同じ類の人間か……」

 

なんかユウマにバカにされた気もするが良いじゃねぇか。本当は後継機のドライオンIIIも出したかったけどそれは出し過ぎだと思って止めたけど、こうやって見るとやっぱり圧巻だな。ヒナとシオンもセカイと一緒になってモニターの前で興奮してるし。

 

 

『HG ガンダムトライオン3』

『ガンダムビルドファイターズトライ』に登場したサカイ・ミナトがZZをベースに作ったオリジナルガンプラ。鳥型、虎型、エイ型の三機のトライマシンを合体させたその姿はガンダムでありながら勇者シリーズのような見た目や戦い方に仕上がっている。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ま、まさかZZの改造機まであるなんて……!?」

 

「しかもスーパーロボットみたいな見た目……これを作った子は相当ロマンに溢れてるみたいね♪」

 

「感心してる場合じゃねぇぞ!?奴等こっちに向かってきやがったッ!」

 

「クッ……!?けどこいつらを倒さないと施設に手出し出来ない!ならやる事は変わらないさッ!いくよ皆ッ!!」

 

『応ッ!!』

 

予想外な事が立て続けに起きたけど、折角此処まで来れたんだ!必ず皆と協力してクリアしてみせるッ!!

 

 

 

待ち構えていたのはまさかのビルドファイターズトライのZ系改造機だった。果たしてリク達はこの三機の改造機を相手に勝てるのだろうか?続く……




はい、という事でまさかのビルドファイターズトライからの三機参戦でした!まあセカイ達が来た時点で予想してた人もいたかも知れませんがやっぱりあの三機は出したかったなと思ったので思わずやっちゃいました(^^;)

次回はプロジェクトZ後半戦!リク達はライトニングZ達の猛攻を避け見事イベントクリアとなるか?!次回もまったり待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第98話『強襲!ビルドZ!』

か、かなり寒い……朝からずっと雪で寒いです(⁠ ⁠≧⁠Д⁠≦⁠)
これだから雪国に生まれたくなかったんてすよね(-_-;)

それはそうと今回は最初のイベントの決着!果たしてリク達は無事にクリアする事が出来るのか?今回も最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


イベント『プロジェクトZ』のクリア条件である軍事施設の破壊を目の前にするも、其処で待ち構えていたのはビルド系譜のZ三機だった。リク達はそれぞれ別々に分かれ相手をする事となった。

 

 

 

―ユッキー&マギー&アヤメVSトライオン3―

 

《アームドッ!ブースタアァァァァッ!!》

 

―ゴオォォッ!ドッゴオォォォンッ!―

 

「ええぇッ!?ロケットパンチだなんて!?」

 

「本当にガンダムっぽくない機体ね……でも、面白い発想で良いわぁ♪」

 

「そんな事言ってる場合じゃないでしょう!?この腕、私達をずっと追いかけてくるよ!」

 

トライオン3から発射されたアームドブースターに追いかけ回されるアヤメの零丸とユッキーのジェガンブラストマスター。執拗に追いかけてくる腕に二機とも避けるのに手一杯であった。

 

「でもこれって本体は丸腰状態って事よね?じゃあ今のうちに私がッ!」

 

その隙にマギーが駆るラヴファントムがトライオン3の本体を狙って攻撃を仕掛けようとする。しかし

 

《ライガアァァッ!グレアァァァァァッ!!》

 

―キュピイィンッ!チュッドオォォォンッ!―

 

「ええぇぇーーーッ?!そんな所からビームだなんてぇッ!?」

 

本体の胴体部分であるリクトライオンの目からビームが発射されラヴファントムはモロに攻撃を受けてしまい吹っ飛ばされてしまった。

 

「マギーさん大丈夫ですかッ!?」

 

「え、えぇ何とか……流石に何かあるとは思ってはいたけどまさかあんな所からビームが出るとは思わなかったわぁ……」

 

なんとか耐えるラヴファントム。アームドブースターもジェガンブラストマスター達を追いかけるのを諦めたのか本体へと戻っていく。しかし、トライオン3が攻撃を緩める事はなかった。

 

《ブーメランッ!スタッガアァッ!!》

 

―ブオォンッ!―

 

「ッ!今度はV字アンテナを飛ばしてきたッ!?」

 

「あぁもう!ガンダムならガンダムらしくビームライフルやサーベルで戦いなさいよッ!?」

 

「あら?アヤメちゃんの零丸だって似たようなものじゃない?「私のはSDだから良いのッ!」……まあそういう事にしておくわね」

 

軽い茶番を入れつつも三人はブーメランのように回転しながら迫ってくるV字アンテナを避けていく。しかしこれもホーミング性能が付いてるのか?というくらいに執拗く追っかけてきている。

 

「あぁもう執拗いッ!」

 

―ドゴオォンッ!―

 

痺れを切らしたアヤメが種子島雷威銃で反撃しV字アンテナを弾き返すとそのままトライオン3へと戻っていった。

 

「……このままだとこっちが追い詰められるばかりね。ユッキー、アヤメちゃん、此処は三人纏めて必殺技で決めましょう!」

 

「分かりました!」

 

「えぇッ!零丸、いくわよッ!!」

 

アヤメはそう言うとサポートメカである武装装甲八鳥を召喚し零丸と合体させリアル形態へと変形させていく。そしてすぐさまNT-Dを発動させ炎を纏わせたビーム斬馬刀を構えてトライオン3に斬りかかっていった。

 

「忍法!火炎烈風ッ!!」

 

「フルバーストッ!ファイヤアァーーーッ!!」

 

「必殺!ラアァヴアタアァックッ!!」

 

ーシュウゥゥゥゥゥゥゥゥ………ゴオォォォォォォォォォォッ!!ー

 

三人の必殺攻撃が同時に放たれ、それが一つに纏まりトライオン3へと向かって襲いかかっていく。

 

《ッ!ハアァァァァ…………ハイパアァァァミノフスキイィィィ・トライザアァァァァァァンッ!!》

 

対するトライオン3も武装の一部を集結させて作った必殺剣『超砲剣ハイパーミノフスキー』を手に最強の必殺技『ハイパーミノフスキー・トライザン』を放ちG状の衝撃波をユッキー達の必殺技へとぶつけていく。そして……

 

 

 

ードッゴオォォォォォォォォォォォォォオンッ!!ー

 

 

 

その場で大爆発を起こし辺り一面を飲み込んでいった。そして……

 

「い、痛た……二人とも大丈夫かしら?」

 

「え、えぇなんとか……」

 

「けど機体のダメージレベルが85%を超えてしまった……もう戦うのは難しいかも?」

 

爆発に巻き込まれながらもなんとか耐えた三機だが、機体のダメージレベルは危険域一歩手前でありまともな戦闘はほぼ不可能になってしまった。だがそれでもトライオン3を撃破したであろうと思い三人は安堵していた。しかし……

 

ーガッシイィンッ!ー

 

「ッ!?」

 

「そ、そんな……?!」

 

「……驚いたわ、あれだけの爆発に巻き込まれて無傷だなんてね……?」

 

トライオン3は全くの無傷で立っており、そして再びアームドブースターを放とうと腕を構えていく。最早絶体絶命、三人は此処までかと諦めかけてしまう……

 

 

 

ーギギギギィッ……プシュウゥゥゥ〜……ー

 

「え?あ、あれ……?」

 

「あら?急に動きが止まっちゃった……一体どうしちゃったのかしら?」

 

「わ、分からない……でも取り敢えずもう大丈夫、かしら?」

 

が、トライオン3は何故か急に動きが止まりその場から全く動かなくなってしまった。突然の出来事に何が起こったかは分からないが取り敢えず今度こそ安堵する三人であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ?なんでトライオン3が動かなくなっちゃったの?」

 

「もしかしてさっきの爆発で何処か故障したのかな?」

 

「……いや、あれは単純にエネルギー切れを起こしてしまったみたいだ。元々トライオン3は放つ技一つ一つがかなり強力な分エネルギー消費が激しいから長期戦には向かない機体なんだ。それなのにあれだけ全力で攻撃し続ければそうなるのは目に見えてただろうにな」

 

あちゃー、やっぱトライオン3は設定通り長期戦には向かなかったか?でもまあド派手な攻撃も見れたし良しとするか。

 

「おーい親ぶーん♪」

 

「玲二さーん♪」

 

「ぱぁぷぁ♪」

 

「あきゃあ♪」

 

「ん?お、わためにアズキか。お前等も来てたのか」

 

観戦に夢中になっていると其処にわためとアズキがらいむとあんずを連れてやって来た。そういや今日暇なホロメンやにじさんじメンバーも遊びに行くって言ってたな、ハヤトが仕事があって参加出来ないって嘆いてたけど。

 

「あ、あの佐々木さん?この人達ってもしかして……?」

 

「ん?あぁ二人も俺の妻だ」

 

「「よろしく〜♪」」

 

「「あっぷゃ♪」」

 

「ま、まさかまだ奥さんがいたなんてな……ところでそっちの奥さんの頭に付いてる角って……?」

 

ん?ああわための事か。確かにビルドファイターズの世界には獣人族なんていないから珍しいのか。

 

「あこれ?本物だよぉ、わためは羊の獣人なんだよねぇ〜♪」

 

「獣人?!そんなのもいるのかこの世界!?」

 

「うん、この世界には獣人や天使や悪魔、鬼も住んでいるんだよ」

 

「シオンもこう見えて高等な魔法使いだしねッ!」

 

ヒナやシオンが説明するとセカイの目がキラキラ輝いている。おそらくだが格闘家としてまだまだ強そうな相手がいると思って血が騒いでいるんだろうな?

 

「……ところで玲二さん、この人達ってもしかして……?」

 

「ああ、詳しい事は後で説明するが大体アズキの思ってる通りだ。ところで二人もイベントに参加してたのか?」

 

「うん、アズキ達は見つけてベアッガイのエースクラスに挑んでクリアしてきたよ。ほら見て玲二さん、ゴールドメッキのベアッガイIII♪」

 

おお凄いな、見つけてベアッガイは他のイベントより難易度が低いとはいえあっさりとクリアするとは、流石にβ版を沢山遊んでただけはあるな。

 

さて、そんな中リク達はどうだろうか?どれどれ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーリク&タイガーウルフVSライトニングZ&ZZIIー

 

ーバキュウゥンッ!バキュウゥンッ!ー

 

ーヒュンッヒュンッヒュンッ!ー

 

「くぅッ!全然当たらないッ!?」

 

「機動性が他のZと比べ物にならねぇ!?いや機動性処かほぼ全てのスペックが元の機体を大幅に超えてやがる!これ作った奴かなりのビルダーみてぇだな!?」

 

迫りくる二機のビルドZの攻撃にリクのスカイメビウスとタイガーウルフのジーエンアルトロンは攻撃をかわすので精一杯であった。

 

実はこの元となったガンプラはクロとみしろが拘り抜いて作り上げたライトニングZとZZIIであり、細かい所にもかなり繊細な改造を施している為に素組の時よりも約3.6倍もの性能向上を実現していた。更に今回はエース級の難易度という事でこの二機も最高レベルの強さを誇っている。

 

「クッ!おいリク!お前は施設の破壊に専念しろ!こいつ等の相手は俺がするッ!」

 

「えぇッ!?でもそれだとタイガさんが……!?」

 

「馬鹿野郎ッ!このイベントのクリア条件はこの軍事施設の破壊だ!つまりこいつ等相手にしなくても誰かが此処を破壊すれば良いんだ!なら機動性に優れたお前のスカイメビウスが適任だろうが!?」

 

タイガーウルフの言う通り、このイベントでの最終目的はあくまでもこの軍事施設の破壊でありZシリーズの機体を破壊する事ではない。寧ろこいつ等を相手にするのはただダメージと疲労感を蓄積させるだけの無駄な労力でしかない。ならば此処で二機とも敵を倒す意味は全くないのである。

 

「分かったらお前はさっさと中枢区へと向かえ!おそらく其処を叩けばこの施設は機能しなくなる筈だ!」

 

「わ、分かりましたッ!」

 

リクはこの場をタイガーウルフに任せる事にしスカイメビウスを軍事施設の中枢区へと向かわせていく。しかし

 

《ッ!》

 

ーウィーンッ!ガッシャンッ!ゴオォォォッ!ー

 

「ッ!しまった!?おいリク!そっちに一機向かったぞッ!」

 

それを見たZZIIはウェブスライダーへと変形しジーエンアルトロンを掻い潜りスカイメビウスを追いかけていく。そのスピードは尋常ではなく機動性に優れたスカイメビウスにあっという間に追いついてしまった。

 

「ッ!?も、もう追いついた?!クッ、やっぱやるしかないかッ!」

 

意を決してリクはZZIIを迎撃する事にしスカイメビウスの動きを止めないようにしつつZZIIに攻撃を仕掛けていく。

 

ーバシュウゥッ!バシュウゥッ!ー

 

ーヒュンッ!ヒュンッ!ー

 

「やっぱり当たらないか……ならこれはどうだ!?トランザム・インフィニティッ!!」

 

ーTRANS-AM INFINITYー

 

リクはスカイメビウスをトランザムモードにするとスカイメビウスは赤く発光し機動性を含む全てのステータスを一気に上昇させZZIIに向かって突っ込んでいく。ZZIIも迎え撃つかのようにMS形態になり互いにぶつかり合っていく。

 

ーガキィンッ!ー

 

ーガアァンッ!ー

 

ーガッキイィィィンッ!!ー

 

互いの武器や装甲がぶつかりあい激しい火花が散っていき、二機のMSは閃光のような軌道を描きながら施設内をぶつかり合っていく。一瞬も気が抜けないこの状況にリクの手は汗ばんでいく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《……流石、ビルドダイバーズのリーダーなだけありますね?ゲームとはいえコントローラーから伝わるこの威圧感は寧ろ心地良さすら感じます》

 

「……え?ZZから声が……まさかこのZZ、誰か操縦しているのか?!」

 

そんなぶつかり合う中、突然ZZから突然声が聞こえ驚くリク。今まで目の前のZZIIはAIで動いていると思っていたが、どうやら誰かが操縦しているようだ。するとZZII側から通信が入りモニターが表示された。

 

「えッ!?あ、貴方は玲二さんの奥さんの一人で……そうだ!確かみしろさんでしたよね!?」

 

《えぇ、お久しぶりですねリクさん。以前の世界以来でしたね?今回は貴方達ビルドダイバーズが参加されるとお聞きしましたのでご主人様にお願いして貴方達のお相手を務めさせてもらいました》

 

そう、今までAIが操るCPUと思っていたZZIIは実はみしろが別室から操縦していたのであった。どうやら前回GBNでイベントに参加したかったが参加出来る機体ではなかった為に不参加だったので今回はそのリベンジをしたくて玲二に頼んでラスボスとしてバトルに参加したようだ。

 

「何ッ?!そのZZ操縦者いたのか?!という事はまさかこのZも《ピンポーン♪久しぶりだねタイガくん〜♪》ってお前は!?」

 

するとライトニングZ側からの方から通信が入りモニターが表示された。其処にはニヨニヨ笑ってるおかゆの姿があった。

 

《僕も面白そうだったからレイくんにお願いして参加したんだ〜♪奇しくもあの時のリベンジマッチになったね〜?》

 

「マ、マジかよ?……けど、それなら話は変わるな!俺もあの時のリベンジをしたいと思ってたんだからなぁッ!」

 

タイガーウルフはそう言うとジーエンアルトロンをライトニングZに向かって突進させ、ライトニングZもそれに応えるかのようにジーエンアルトロンにぶつかり合っていく。

 

《それは僕も同じだよ~?だから今日は……本気でやらせてもらうよ?》

 

おかゆものんびりとした雰囲気から一変、まるで獲物を狙う狩人のような鋭い眼光でタイガーウルフを睨んだ。そして二機はそのまま辺りの事など気にせず思いっきり戦い始めるのであった。

 

《……ではリクさん、私達もそろそろ本気でやり合いましょう。ビルドダイバーズのリーダーとしてのその実力、このみしろに見せてくださいましッ!!》

 

「ああ、望むところだッ!いくぞスカイメビウスッ!!」

 

リクのスカイメビウスとみしろのZZIIも再び激しいぶつかり合いを始めていた。どうやらリク達の頭には最早イベントミッションの事はなくなっているようであった。

 

それから数分が経ち、四機は互いに力をぶつけ合いフィールド全体が既に崩壊しかけていた。だがそれでもお構いなしとスカイメビウスとZZIIは激しく衝突し火花を散らしあっている。

 

「成る程、ご主人様が貴方とのバトルに本気になるのも頷けますね!」

 

「それはこっちもだ!貴方も玲二さんと同じくらい強い……だからこそその高く分厚い壁を超えたくなるんだッ!」

 

リクの叫びに呼応するかのようにスカイメビウスに纏う光の色が赤から青くなっていく。それを見たみしろも対抗するかのようにZZIIをオーバーフローモードにし最後の攻撃をしかけようとする。

 

「いきますよみしろさんッ!!」

 

「良いでしょう、返り討ちにして差し上げますッ!!」

 

そして二機は互いに全てのエネルギーを放出しその力を相手へとぶつけていく。

 

 

 

「ハイヤーザンメビウスフェイスッ!!」

 

「ストライクインパクトォッ!!」

 

 

 

ーシュウゥゥゥ……ドッゴオォォォォォォォォォオンッ!!ー

 

二機のMSの必殺技が激突し、辺り一面が白い光に包まれていくのであった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「負けちゃったぁーッ!悔しいよぉ〜!レイくぅ〜ん!」

 

「はいはい、でもバトル自体はほぼ勝ってたから良いじゃないか?」

 

バトルが終わり観戦ルームに戻ってきたリク達。終わって早々半泣きのおかゆが俺に引っ付いて来たので取り敢えず頭を撫でてやる。結局スカイメビウスとZZIIの必殺技がぶつかり合ってその衝撃で施設が吹っ飛んでしまい結果としてリク達がミッションクリアとなったが、なんともまあ変わった終わり方だな?

 

「はい、イベントクリアの報酬のHGΞガンダムのチタニウムフィニッシュなのです♪」

 

「あ、有り難うございます!」

 

「凄いよリッくん!Ξは僕達の世界でもまだ発売されてないのに更にそのチタニウムフィニッシュを手に入れるなんて!」

 

「まあこのイベントのMVPは間違いなくリクだったからな」

 

まあリクもるしあからイベント報酬をもらってご満悦みたいだからいっか。俺もサンプルでもらって作ったがやっぱチタニウムフィニッシュは格好良いしましてやまだ作った事のないキットって考えるとそりゃ嬉しいだろうからな。

 

「それにしても玲二さんの奥さん達があのガンプラを操縦してたなんてね?」

 

「という事は私達が戦ったあのトライオン3ってガンプラも誰か操縦してたのかしら?」

 

「ああ、そういや其処は分からないな?みしろ、もしかしてトライオンにも誰か乗ってたのか?」

 

「はい、多分そろそろこちらに来ると思います」

 

みしろはそう言って奥の方を向くと其処からマリンとフレアとノエルの三人がやって来た。え?もしかしてトライオンに乗ってたのあの三人だったのか?確かにアニメでも三人がそれぞれのメカに乗ってたけど。

 

「もう!マリンがあんなに馬鹿みたいに技出しまくったせいですぐにエネルギー切れになっちゃったじゃん!?」

 

「なぁに言ってんのさフレア!?豪快な必殺技はスーパーロボットの醍醐味でしょうがぁッ?!」

 

「いやこれスパロボじゃなくてガンダムだかんね?」

 

どうやらさっきの戦いで技を乱発してたのはマリンだったみたいだな?そりゃあんだけ派手に乱発しまくってたらエネルギー切れ起こすだろうに……まあ其処ら辺何にも知らなさそうだったから仕方ないか。

 

「……で、どうだセカイ。お前等もやりたくなったか?」

 

「ああッ!皆が戦っているのを見たらウズウズしてきた!玲二さん、俺達にもバトルさせてくださいッ!」

 

「私も!あんなに楽しそうなバトルを見たらバトラーだったら誰だってやりたくなっちゃうよッ!」

 

「俺も、今の自分のガンプラが何処まで通用するかやってみたい……ッ!」

 

お、やっぱり戦いたくなってたか。途中から戦いたそうにウズウズしてたしな。

 

「おーいリク、るしあ。ちょっと良いか〜?」

 

「あ、はーいなのです♪」

 

「どうしました玲二さんってあれ?玲二さん、その人達は……?」

 

俺が呼ぶと二人ともすぐにやって来たがリクは俺の後ろにいるセカイ達に気づき俺に尋ねてきた。

 

「あぁ、こいつ等もリク達と同じガンプラバトラーだ。しかも、お前達とはまた違った世界からのな」

 

「違う世界のガンプラバトラー!?この人達がですか?!」

 

「ああ、よろしくな!」

 

セカイはそう言いながらリクに手を差し出すとリクも一瞬戸惑うがすぐに笑顔で握手に応じた。ダイバーズとファイターズの主人公がこうして相まみえるのを見るとなんだか不思議な気分になってくるな。

 

「それで折角だからこのイベントが終わったらそれぞれのチームでのエキシビションマッチをやりたいと思うんだが、どうだリク?」

 

「勿論やりたいです!玲二さんとも違う世界のバトラーとのバトルなんて楽しみです!それで、えっと……?」

 

「セカイ、カミキ・セカイだ。皆とのバトル、楽しみにしてるぜ!」

 

「セカイか。俺はミカミ・リク、こちらこそよろしくな!」

 

うん、取り敢えずファーストコンタクトは無事に済んだみたいだな。そんじゃエキシビションマッチの前にまずは他のイベントも見ていきますか。

 

 

 

遂に対面した二つの物語の主人公達。そしてこの後に行われる事となったエキシビションマッチの行方は?けどその前に、残る二つのイベントも見ていこう。続く……




はい、という事でリク達は無事(?)勝利しました!因みに賞品のΞのチタニウムフィニッシュは自分の願望であって実際には存在しませんのであしからず!そして主人公同士の対面からのエキシビションマッチの開催決定!はたしてどんなバトルになるのか?

その前に次回は二つ目のイベントです!次回もまったり待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第99話『見つけてベアッガイ』

この小説でガンプラウォーズを出すようになってからいろんなミッションを考えてますが、皆さんだとどんなミッションやバトル形式が考えられますか?参考までに聞かせてほしいです!m(_ _;)m

今回は二つ目のイベント、見つけてベアッガイです!皆で楽しく探索しクリアなるか?!最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


「それじゃあ次はサラ達のイベントの番だな」

 

「確か指定されたベアッガイを探すイベントなんだよね?」

 

「うん、エース級だと少し細かい特徴とかもあるけどしっかり探せば簡単に見つかるよ♪」

 

まあ子供でも楽しめるように他のイベントに比べて難易度下げたからな。寧ろ他二つがエース級が難易度高いから中々クリア出来る人も少ないしな。まあリク達の時はみしろ達がこっそり操縦してたけど他の人達の時はそんなのはないから安心してほしい。

 

「あ、そういやフレア。子供達はどうしたんだ?今日は保育園が休みだから一緒に来てた筈だろ?」

 

「うん、今はちょこ先がキッズルームで面倒見てくれてるよ……って話をしてたら来たみたいだね?」

 

「玲二様ぁ〜♪皆ぁ〜♪」

 

『ぱーぱぁ♪』

 

お、どうやらちょこも子供達と一緒に観戦しに来たみたいだな?歩ける子供達が俺を見つけると少し小走りで駆け寄って来る。

 

「こらこら皆、パパは何処にも行かないからそんな小走りしたらダメだぞー?」

 

『あーい♪』

 

全く、返事だけは良いな?取り敢えず俺はこゆきとマオを抱っこしてリク達の所へと近づいていく。

 

「ほら皆、リクお兄ちゃん達にご挨拶しな」

 

「あい!こんちゃー♪」

 

『こんちゃー♪』

 

「わぁ、皆久しぶりだね♪」

 

「相変わらず皆可愛いわね〜♪」

 

「……か、可愛いぃ〜///」

 

子供達が元気よく挨拶をするとリク達も嬉しそうに挨拶を返す。アヤメは小声で言ってるつもりだろうがバッチリ聞こえてるぞ?

 

「す、凄い……この子達もしかして、皆玲二さんの子……?」

 

「い、いや流石に全員ではないでしょう?おそらく殆どは知人の子とか……」

 

「いや、皆俺の子だが?」

 

『あーい♪』

 

……あれ?フミナとユウマ、二人して口あんぐりしてどうしたんだ?って普通に考えたらこんなに沢山いる子供が全員俺の子って言ったらそりゃびっくりするか。

 

「あら?玲二様、そっちにいる子達って……?」

 

「ああ、原因は不明だがビルドファイターズの世界から来たトライファイターズの三人だ。道路で困ってた処を保護したんだ」

 

「まあ、そうだったのね?ならちょこも名乗っておこうかしら♪ Good evening!My Cute students.ちょっこーん♪ホロライブ2期生悪魔の元保険医佐々木ちょこでーす♪」

 

「「ど、どうも……?」」

 

「…………///」

 

ちょこが挨拶するとセカイとフミナは戸惑いながらも挨拶するがユウマは何やら恥ずかしいのか顔を赤くして視線を反らしていた。そういやユウマってこういう女性に弱いんだっけ?

 

「……ところで玲二さん、今ちょこさんの言ってたホロライブっていうのは?」

 

「ああ、ちょこが所属しているアイドル事務所の事だ。これでも世界で有数のトップアイドルグループなんだぜ?」

 

「アイドル!?そんな人も奥さんにいるなんて……?!」

 

「寧ろ殆どアイドルよね?そうじゃない娘って逆に数える程しかいないもの」

 

「「「…………………」」」

 

あ、ちょこが説明すると今度は三人揃って口あんぐりしてる。まあそりゃ奥さんの殆どがアイドルって普通に考えたら有り得なさ過ぎるか。よく俺今までファンに刺されずに済んでるよな?

 

「ところでちょこ達も皆のバトル見に来たのか?」

 

「えぇ、皆遊ぶのに飽きちゃったみたいだから皆でリク様達の応援しようってなったの♪」

 

「成る程な。ならこゆき達も一緒に見るか?」

 

『みりゅ〜♪』

 

ん、なら皆と一緒にテーブル席に移動するか。ほらセカイ、そんな所で突っ立ってたら他の人達の邪魔になるから避けろよ〜?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リク達がプロジェクトZをクリアした頃、続いてのイベントである見つけてベアッガイがスタートしていた。サラ達がフィールドに辿り着くと其処には沢山のベアッガイ達が楽しそうに遊んでいた。

 

「わあぁ〜可愛いぃ〜♪」

 

「凄い……こんなに沢山のベアッガイが遊んでいるなんて、まるでテーマパークみたいですね!」

 

「うん、皆凄く楽しそう♪」

 

じゃれ合っているベアッガイ達を見てモモは目を輝かせパルとサラも思わず楽しそうに笑っている。

 

「どうヒナタさん、お兄ちゃんが作ったキュベレイは動かしやすいかしら?」

 

「はい、見た目よりも思っていた以上に動かしやすいです。ナミさん有り難うございます♪」

 

そして今回ガンプラ初心者のヒナタはコーイチから『キュベレイ』を借りて参戦する事となり、動きを確認する為にあちこち飛び回っているが特に問題ないようである。

 

 

『HG キュベレイ』

『機動戦士Zガンダム』に登場するハマーン・カーンが搭乗する機体。巨大な羽のような両肩からは小型の遠隔兵器ファンネルを搭載しているしているが、今回は武器使用禁止のイベントの為に全て外されている。

 

 

そう、キュベレイもそうだが他の皆も武装類は全て外されている為に今回は何時もよりスッキリした感じだ。

 

「……あ、皆見て、彼処に困ってるベアッガイさんがいるよ」

 

「本当だ、多分あれが困ってるベアッガイなのかな?」

 

辺りを見回しながら歩いていると丘の上で何やら困った様子なベアッガイIIIを見つけたサラ達。どうやらあれが今回のイベントミッションのベアッガイIIIらしい。

 

 

『HG ベアッガイIII』

『ガンダムビルドファイターズ』に登場したオリジナルガンプラ。元となったMSアッガイの面影は薄れ可愛らしい見た目となっている。因みにIIIは“スリー”ではなく“さん”と読む。

 

 

《あ!其処の皆様方、どうかお願いを聞いてはもらえませんか!?うちの子が何処かに行ってしまったんです!おそらくはこの辺りにいる筈なんですが……?》

 

「あ、やっぱりこのベアッガイがイベントミッションを出してくれるみたいですね」

 

「子供がいなくなって可哀想……その子の特徴教えてくれる?」

 

《探してくれるのですね!?ありがとうございます!それで特徴なんですが、ピンクの頭に水色の胴体、手足が黄色で手にはリコーダーを持っています。もし見つけたら此処まで連れてきてください!》

 

ーGAME STARTー

 

ー15:00ー

 

ベアッガイIIIが特徴を言い終えるとゲーム開始のアナウンスがされ、それと同時にタイマーが起動された。今回のタイムリミットは15分、それまでに子供ベアッガイことプチッガイを探さないとミッション失敗となる。

 

「よぉーし!それじゃあ皆で手分けして探そう!」

 

『おぉーーーッ!』

 

モモの合図と共に5人はそれぞれ別々に捜索を開始する。はたしてこの大量にいるプチッガイの中から目的の子だけを見つける事が出来るのだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー12:41ー

 

「えーとこれは……腕の色が違う。じゃあこの子は……頭の色が違う。だったらこの子は……もう全部が違う!もおぉーーーッ!?一体何処に隠れているのさぁーーーッ?!」

 

あれから2分が経過しモモは自分が駆るモモカプルを操作し広場にいるプチッガイを隈なく探しているが、似たようなプチッガイは見つかるものの肝心の本物を見つける事が出来ずにいた。すると其処に他の所に行ってたサラも合流する。

 

「モモ、見つかった?」

 

「あ、サラちゃん。ううん、似たような子はいるんだけど条件が全部合う子が見つからない……もしかしたら他の所にいるのかも?」

 

「そうなんだ……?ねぇモモ、彼処見て?」

 

「え?」

 

モモはサラが指差した方を見ると、其処には切株の上で頭はピンクで胴体は水色、手足が黄色のプチッガイが笛を振り回して遊んでいる姿があった。

 

「あ………ああぁーーーーーッ!?あれって私達が探してたプチッガイだよね!?」

 

「うん、すぐに見つかったね♪」

 

「よぉーし!後はこの子を親のベアッガイIIIの所に送り届ければミッションクリアだぁ〜♪」

 

思いの外早く見つかったプチッガイを急いでベアッガイIIIの所に送り届ける為にモモカプルとサラはゆっくりと近づこうとする。

 

 

 

 

 

だが……

 

 

 

 

 

ーヒュウゥゥゥゥゥゥ……ガッシャアァァァンッ!ー

 

《ッ!?》

 

「え!?な、何?!」

 

「モモ、大変だよ!あの子が捕まっちゃった!?」

 

突然上から鉄檻が降ってきてプチッガイが囚われてしまった。一体何が起きたのか?二人が困惑していると更に上空から別の何かが降って来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《ぺーこぺこぺこぺこ!残念だったねあんた達ぃ〜?このプチッガイはぺこーらが頂いたぺこだよ〜♪》

 

「え?!あ、あの人は……!?」

 

「確か玲二さんの奥さんの一人で名前は……ごりーら!」

 

《ちげぇよッ!?ぺこーらそんなかなたんのあだ名みてぇな名前じゃねぇぺこ!ぺこーらはホロライブ3期生で師匠の可愛いお嫁さん♡の佐々木ぺこらぺこッ!》

 

そう、降って来たのはいつの間にかこのゲームに乱入してきたぺこらであった。そしてぺこらの駆る『ベアッガイ』はプチッガイの入った檻を持ちそのまま背中に背負っていく。

 

 

『HG ベアッガイ』

『模型戦士ガンプラビルダーズG』に登場したオリジナルガンプラ。ベアッガイの元祖であるこの機体は元のキットであるアッガイの印象が色濃く残っている為後機のベアッガイIIIに比べると可愛らしさが薄れている。

 

 

《ぺーこぺこぺこ!このプチッガイがいないとあんた達ミッションクリア出来ねぇぺこ!返してほしかったらこっちまで来るぺこだよ〜?ファッファッファwww》

 

《ッ!〜ッ!》

 

「あぁッ!?あいつプチッガイ持って逃げたぁッ!?」

 

「た、大変!?早く取り戻さないとッ!」

 

突如乱入してきたぺこらによってプチッガイが連れ去られてしまい、モモ達は急いで他のメンバーに伝えぺこらを追いかけるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……あのバカ何考えてんだよ?」

 

「ぺこら、一緒にいた筈なのにいつの間に消えたと思ってたらこんなバカな事を……」

 

「多分船長達がサプライズで参加してたのが羨ましかったんでしょうね?」

 

マジで何考えてんだよぺこらの奴?遊びたいのは分かるがこんな妨害するような真似したらダメだろうが……はぁ

 

「……るしあ、ミッションの結果関係なしにサラ達には後で賞品渡しといてくれ。流石にこんな妨害されたら可哀想だしな」

 

「はいなのです……ぺこら、後で覚えとけよ……?」

 

おぉ、るしあも若干怒ってるな?まあそりゃ許可もなく乱入して妨害したら誰だって怒るわな。取り敢えずモモ達はイベントの一環だと思って気にしてないみたいだからひとまず様子を見てみるか。あまりに理不尽な妨害だったらやり直しも考えないとな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー10:25ー

 

「うーん、確かこっちに逃げた筈なんだけど……?」

 

「でもまさか玲二さんの奥さんが乱入してくるなんて、これもイベントの仕様なんでしょうか?」

 

ゲーム開始からそろそろ5分が経過しそうな頃、モモとサラはパルとナミとヒナタと合流しぺこらのベアッガイが逃げた先を追いかけていた。おそらく其処まで遠くまで逃げていない筈だがはたして何処に逃げたのだろうか?そう思いながら進んでいると一同は何やら開けた場所に到着した。

 

「此処って……一体何だろう?」

 

「分からない、なんだか切り株が沢山あるけど……?」

 

《ぺーこぺこぺこ!よく此処まで辿り着いたぺこだね?しかぁーしッ!このプチッガイを助けたければこの上まで上がってくるぺこッ!》

 

「え?!この声……上から!?」

 

その上空から独特な笑い声が聞こえ、モモ達が見上げると其処にはぺこらの乗るベアッガイがツリーハウスの屋根から高らかに笑っていた。横には囚われて泣きじゃくるプチッガイの姿もあった。

 

「あぁッ!?あんな所にいたぁッ!?」

 

「だったら彼処まで飛んでいけばすぐに辿り着けます!行くよモルジアーナッ!」

 

目的のプチッガイを見つけ取り返す為にとパルがエクスヴァルキランダーを飛ばそうとする。だが……

 

 

 

ーシーーーーン……ー

 

 

 

「あ、あれ?どうしたのモルジアーナ?!」

 

《ぺーこぺこぺこ!あんた達其処の看板見なかったぺこかぁ?此処は浮遊禁止エリアだから飛ぶ事は出来ねぇぺこ!ちゃんと自分の足で此処まで来るぺこだね〜♪》

 

「え?自分の足でって……?」

 

エクスヴァルキランダーが飛べずぺこらから此処等一帯が浮遊禁止エリアだと知らされるが、だとしたらどうやってあのツリーハウスまで登るのか?そう考えてるとよく見たら切り株の高さは不揃いだが場所によってはツリーハウスまで道のように繋がっている。という事はつまり……

 

「え?これってもしかして……あのツリーハウスまで切り株を飛び移りながら行かなきゃならないって事?!」

 

「えぇッ!?此処に来てパルクールアクションですか?!」

 

「ウソォッ!?私こういうの苦手なのにぃ〜!?」

 

プチッガイを探すイベントでまさかのパルクールアクションをさせられる事になったモモ達。しかしこのままでは時間もなくなっていくばかり、悩んでいる時間等なかった。

 

「もぉ〜!こうなったらやってやるわよ!こんなのチョチョイと飛び越えていけば簡単にーツルッーってうわぁッ!?」

 

ドッシーン!という音と共に顔からおもいっきり着地してしまうモモカプル。どうやら細い切り株で足を踏み外してしまったようだ。高さもそうだが切り株の太さもまちまちなのでバランス感覚も要求されている為に思っている以上に難易度は高いようだ。

 

「痛た、おもいっきり顔面打った……(泣)」

 

「だ、大丈夫ですかモモさん?!だったら僕が!」

 

今度はエクスヴァルキランダーが挑戦する。元々身軽なエクスヴァルキランダーはモモカプルの失敗した場所も軽々とクリアし既に半分近くまで登り詰めていた。

 

「よし、このまま慎重にいけば……!」

 

《そう簡単にクリアさせるワケねぇぺこだろうがぁ!?これでも喰らえぺこぉーーーッ!》

 

順調に登るエクスヴァルキランダーに向かってベアッガイが何処からかバズーカを取り出してすぐさまエクスヴァルキランダーに向かって乱射しだした。

 

ードオォンッ!ドオォンッ!ドオォンッ!ー

 

「ええぇーーーッ!?武器の使用は禁止の筈じゃーベチャッ!ーうわぁッ!?」

 

そのまま被弾したエクスヴァルキランダー。しかし爆発するワケではなく赤や青や黄色等カラフルなインクが大量に付着し、バランスを崩したエクスヴァルキランダーはそのまま地面へと落下してしまう。

 

《ファッファッファッwwwこれは武器じゃなくてユニークアイテムのペイント弾ぺこだよ〜♪》

 

「だ、大丈夫パル君?!」

 

「だ、大丈夫です……でもあんなのがあるなんて、一体どうしたら……?」

 

「……私、やってみる」

 

「え?サラちゃん?」

 

エクスヴァルキランダーが落ち、次はサラがパルクールにチャレンジしていく。まるで優雅に踊るバレリーナの如くスイスイと登りあっという間に中間地点を超えていった。

 

「おぉーーーッ!凄いよサラちゃん♪」

 

「はい!これならきっと……ってあれ?そう言えばヒナタさんは何処に……?」

 

「え?あ、あれ?さっきまで此処にいた筈なんだけど……?」

 

サラの動きに感心する一同。しかし一緒にいた筈のヒナタがいつの間にかいなくなっている事に気づいた。一体何処に行ったのだろうか……?

 

《うぐぐ、やるぺこだね……けどぺこーらには必殺のペイント弾があるぺこ!喰らえぇーーーッ!》

 

ードオォンッ!ー

 

「ッ!?サラちゃん危ない!」

 

ベアッガイがペイント弾をジャンプしている無防備なサラに向かって放っていく。しかし

 

「……玲二さんに教わった技!空円舞ッ!」

 

ーピョンッ!ー

 

《ええぇぇぇぇぇ?!二段ジャンプウゥゥゥゥゥッ!?》

 

なんとサラはペイント弾が当たる直前で二段ジャンプをして躱したのである。更に

 

「其処からの……飛燕脚ッ!」

 

ーダッ!ー

 

《今度は空中ダッシュッ!?ってこれって両方ともロックマンXのゼロの技じゃねーぺこか!?師匠サラちゃんに何教えてるぺこなんだよぉーーーッ?!》

 

其処から空中ダッシュで一気にツリーハウスまで辿り着きプチッガイが囚われてる檻を奪取しすぐに地上へと戻っていく。

 

《あぁッ!?ぺこーらの捕まえたプチッガイがぁ〜!?》

 

「やったねサラちゃん♪」

 

「凄いですサラさん!」

 

「うん、これで無事にミッションクリアだね♪」

 

「うん♪……あれ?」

 

無事にプチッガイを救出したサラ。しかし、そのプチッガイを見てサラはある事に気づいてしまった。

 

「ッ!?違う!皆、この子じゃないよ!?」

 

「え、どしたのサラちゃん?」

 

「この子じゃないってどういう………ッ!?こ、この子の持ってるのリコーダーじゃない?!」

 

そう、助け出したプチッガイは本体の見た目はあってるが唯一つ、手に持っている物が同じ笛でもリコーダーではなくフルートだったのだ。つまりはこのプチッガイは指定されたベアッガイと似てるだけの別個体であったのだ。

 

《え、えぇ〜?違ったぺこか?………ハッ!?ぺ、ぺーこぺこぺこ!ま、まんまとぺこーらの罠に引っ掛かったぺこだねぇ〜ッ!》

 

「いやぺこらさんも気づいてなかったじゃないですか!?」

 

「それじゃあ本物は別にいるって事?!」

 

「そんなぁッ!?もう探しに行く時間なんてないわよ!?」

 

ぺこらにパルクールをやらされた所為でタイムリミットは残り1分を切ってしまった。最早このミッションのクリアはほぼ不可能となってしまい落胆してしまうモモ達だった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーGAME CLEAR!ー

 

『…………え?』

 

が、突如ゲームクリアを告げるアナウンスがされ、空に花火が打ち上がった。モモ達は一体何が起こったのか分からず呆然としてしまっているが、実は……

 

「皆〜!さっき其処でこの子が遊んでたから連れて行ったらクリア出来たよ〜♪」

 

「え、ヒ、ヒナタさん?!」

 

「途中から姿が見えないと思ってたけど、まさか本物を見つけてたんだ!?」

 

《そ、そんなぁ〜!?ぺこーら勝ったと思ったのにぃ〜!?》

 

先程皆がパルクールをしている最中にヒナタが木陰に隠れて遊んでいた本当の子供であるプチッガイを見つけ、それを親であるベアッガイIIIに届けてクリアしたというワケである。先程のパルクール含むぺこらとのやり取りが全部無駄であったと知り一気に脱力してしまうモモ達であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はい、景品のゴールドメッキのベアッガイIIIなのです♪今回はぺこらの妨害もあったので特別に全員差し上げるのです♪」

 

「わぁ〜ありがとう♪」

 

「この子、凄くキラキラしてる♪」

 

「ありがとうございまするしあさん♪」

 

見つけてベアッガイのイベントが終わりモモやサラ達がるしあから景品を受け取り喜んでいる。にしても途中ぺこらの妨害はあったがまさか捕まったのが似ているだけの別物だったとはな?まあ無事にクリアしたとは言えそれでも妨害した事には変わりないから今はフレア達がしっかり罰を与えている。その内容とは……

 

「ほーらみんな〜、どんどんぺこらママに乗っかって良いからね〜♪」

 

『あーい♪』

 

「お、重てぇぺこぉ〜……」

 

現在うつ伏せに寝そべってるぺこらの上に子供達が代わる代わる乗っかるというプチ拷問を受けている。一人一人は軽くても総勢45人もの赤ちゃんに代わる代わる乗っかられたらそりゃしんどいわな……まぁ勝手にイベントに乱入した罰だと思って素直に受けておけよぺこら?

 

「さて、次は最後のイベントだったな?」

 

「ヒロト、大丈夫かな……?」

 

「まあヒロト君もGBNやエルドラを救ったヒーローだからそう簡単に負けたりしないんじゃないかな?」

 

……さて、それはどうかなおかゆ?今回の三つのイベントの中でこの防衛ミッションはかなり厄介だからな。なんせ……おっと、これ以上は始まってからのお楽しみにしとくか。

 

 

 

ぺこらの妨害が有りつつも無事にクリアしたモモ達。次なるイベントではどんな仕掛けが待っているのだろうか?続く……




はい、という事でぺこらの妨害が有りつつも無事にクリアです!ぺこらは反省するまで子供達に弄られると思いますが、まぁ自業自得でしょうね?(^_^;)

次回はいよいよ最後のイベント!はたしてヒロト達もクリアして見事限定ガンプラを手に入れられるのだろうか?!次回もまったり待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第100話『セレモニーを防衛せよ』

気づけば100話、よく此処まで書いてこれたなぁ……(゚д゚;)
まあこれからも自由気ままにのんびりと書いていきますのでよろしくお願いします(≧∇≦)/
今回は最後のイベント!ヒロト達に襲い掛かる勢力とは一体……!?今回も最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


三つ開催されたイベントもいよいよ大詰め、最後のミッションは擬似空間で出来たホロライトシティで行われるセレモニーを防衛するというミッションを防衛するという一見シンプルなミッションだが、果たしてどんなバトルが待ち構えているのだろうか?

 

「……ホロライトシティって空から見上げたらこんなにでかいんだな?」

 

「あぁ、本当に大きな都市島だったんだな……」

 

「これからこの島を防衛しないといけないなんて、骨が折れそうだね……」

 

上空からホロライトシティを眺めるカザミとメイとコーイチはその大きさに圧巻されている。防衛するべき会場はこの島の北部にあるホロライトドームで行われており、一応簡易的なバリアで守られているがそれでも数発攻撃を受ければ破壊される程度の物なのでなんとしてでもこの会場を敵の侵攻から守らなければならない。

 

「それにしてもこうして君達と共に戦えるなんて光栄だね。特にヒロト君、君の事はチャンピオンやリク君達からよく話を聞いていたからね、期待しているよ♪」

 

「俺も、貴方のようなトップフォースのリーダーと共に戦えて光栄です。シャフリさん、よろしくお願いします」

 

「あぁ、こちらこそ♪ところでヒロト君、さっきあの玲二君って人から何かを受け取ってたみたいだけど一体何を受け取ってたんだい?」

 

「……それが、よく分からないパーツだったんです。玲二さん曰くコアチェンジする時に使えば良いと言われただけなので……」

 

そう、実はヒロトはイベントが始まる前に玲二から謎のパーツを渡されたのである。小型チップサイズの物だったのでコアガンダムIIの内部に設置する程度に済む物だったがこれが一体何なのかは分かっていない。

 

「まぁ玲二さんが渡してきた物だから変な物ではないとは思うが……?」

 

「いやぁ分かんねぇぞ?もしかしたら妨害電波を発する危ないモンかも……?」

 

「……玲二がそんな事するワケがないだろう?それに運営に関わる者がそんな妨害行為をするなんてくだらない事あってはならないだろう?」

 

「……どっちにしろこれはコアチェンジをする時に使う物らしいからその時に分かるだろう。それよりももうすぐ敵が押し寄せてくるから準備を済ませよう」

 

玲二から渡されたパーツの事はひとまず置きヒロト達は敵が何処から来ても良いように会場を中心に散開し待ち構える。すると

 

ーWARNING!WARNING!ー

 

「ッ!どうやら来たみたいだね?」

 

「おっしゃあッ!このジャスティスカザミ様がまとめて撃破してや……って……ええぇぇぇッ!?」

 

敵襲を告げるアラートが鳴ったと同時に海辺から敵MSがぞろぞろと上陸してくる。しかしその動きは機械の動きというよりはまるでゾンビのような動きをしている。そう、今回やって来た敵襲とは……

 

「で、“デスアーミー”ィッ?!」

 

「ま、まさかのチョイスだね……?」

 

「しかしあのダメージ加工……劇中のよりもよりゾンビ感を増しているね?これは造り手の拘りが感じられる機体だね♪」

 

 

『HG デスアーミー』

『機動武闘伝Gガンダム』に登場した量産型MS。その実態はデビル細胞に侵されゾンビ兵と化した人間を生体ユニットとして動く歴代でもトップクラスの最悪量産機である。本能のままに全てのモノに襲い掛かるそれはまさにバイオハザードのゾンビを彷彿させる。

 

 

そんなデスアーミーは次々と上陸しゆっくりと会場へと侵攻し始めていた。因みに今回このデスアーミー達はあやめやぼたんが計20体のキットを一つ一つ違うダメージ加工を施して作り上げたという拘りがある。

 

「……思ってた以上に数が多いな?」

 

「あぁ、だがこいつ等の侵攻スピードはかなり遅い。それぞれ散開して撃破すれば問題ない」

 

「そうだね。なら、お先に行かせてもらうよ!」

 

先陣を切ったのは意外にもシャフリであった。シャフリの駆るセラヴィーガンダムシェヘラザードのGNフィジカルバズーカを構え先制攻撃を仕掛けていく。

 

ーシュウゥゥ……ドオォォンッ!ー

 

ードッゴオォォォォォォオンッ!!ー

 

一撃で多数のデスアーミー達が吹き飛ばされていく。しかしそれを補うかのように海辺からは次々とデスアーミー達が襲来してくる。

 

「よし、僕達も行こう!敵はあの海辺からしか来てないみたいだから彼処さえ抑えて置けば大丈夫な筈!」

 

「分かった。行くぞヒロト、カザミ!」

 

「あぁッ!」

 

「よっしゃあッ!いっくぜぇーーーッ!」

 

ヒロト達も自分達の機体を動かしデスアーミーの大群へと突っ込んで戦闘を開始していく。だが幾ら量産機とはいえ数も多く、しかもエース級の難易度なので一体一体の実力もそれなりにある。加えて……

 

ーギギッ…ギギギギギィッ……ー

 

「うおッ!?こいつ等起き上がってきやがった!?」

 

「……どうやらこいつ等はおそらく核となるコックピットを潰さない限りは何度でも立ち上がってくるみたいだね?」

 

「これは、かなり骨が折れそうな戦いになるかもね?」

 

デスアーミー達はコックピットさえ無事なら何度でも立ち上がってくる。そのせいで中途半端に残ってたデスアーミー達も次々と立ち上がり再び襲い掛かってくる。ヒロトも自分の駆るアースリィガンダムのビームライフルやビームサーベルを駆使して潰していくが数は減るどころか増える一方だった。

 

「クッ!?……こうなったら、玲二さんからもらったあのパーツを試してみるか。確か、コアチェンジのコマンドを開けば良いって言っていたが……?」

 

此処でヒロトは玲二からもらったパーツを試そうとコアチェンジのコマンドを開きアーマーを選択しようとした。しかし……

 

「……え?こ、これは……?!」

 

其処にあったアーマーの名前は一種類だけではなく、なんと複数のアーマーがセレクト可能になっていた。しかもそのアーマーの名前も何処かで見た事のある名前ばかりであった。ヒロトは少し悩んだがその中の一つを選び決定キーを押した。

 

 

 

 

 

「コアチェンジ、アースtoストライクフリーダム!」

 

 

 

ヒロトのその言葉と同時に何時もならサポートメカとして現れるアーマーが今回はアースリィの右横に半透明のアーマーとして現れ、アースリィの背部から現れたアームに掴まれそのままアースリィへと引き寄せられドッキング。アースリィのアーマーは吹き飛ばされ代わりに半透明だったアーマーが実態となってコアガンダムIIへと装着された。

 

 

ーSTRIKE FREEDOM!ー

 

ーReady…Fight!ー

 

 

「え……ええぇぇぇぇッ!?なんじゃそりゃあぁぁぁぁぁぁッ?!」

 

「あれは……ストライクフリーダム!?」

 

「驚いたね……まさか他の作品の機体をアーマー化するなんて……?」

 

突然ヒロトのコアガンダムIIがまるでストライクフリーダムのようなアーマーに変化した事に驚くメンバー達。メイも声には出していないが突然の出来事に驚いていた。

 

 

『HG コアガンダムIIストライクフリーダムアーマー』

コアガンダムにストライクフリーダムの装甲をアーマー化させ装備したオリジナルガンプラ。基本装備はストライクフリーダムと何も変わらないのでその出力は桁外れに高い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おおぉッ!あれってストライクフリーダム!あれもこっちではアーマー化してたんですか!?」

 

「いや、あれは完全に俺が改造したアーマーだ。とある動画投稿者の改造アーマーを参考に作ったんだ」

 

「すごいわぁ、まるで本当にストライクフリーダムに変身したみたいね♪」

 

あぁ、俺も作って満足した機体だしな。あの動画、改造センスも良いし面白いからついつい参考にさせてもらってるんだよな。

 

「……ねぇ玲二さん、確かにあのアーマー格好良いのは良いんだけどさ、なんで演出が仮面ライダーギーツなの?」

 

「知らん、設定したのはフブキだから本人が戻ってきたら聞いてくれ」

 

フブキの奴、わざわざ制作元に許可もらってこの演出にしたみたいだが、そんなに気に入ったのかね?確かにあのライダーもモチーフ狐だけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……凄い、普段のアーマーとは違って完全にストライクフリーダムの武装に切り替わっている。これなら……ッ!」

 

アーマーチェンジしたコアガンダムは両腰にマウントしてある二丁のビームライフルを装備すると同時に翼のドラグーンを展開、デスアーミー達に向かって狙いを定め……

 

「……其処だッ!」

 

ーシュウゥゥゥ……バシュウゥゥゥゥンッ!ー

 

ードッゴオォォォォォンッ!ー

 

ストライクフリーダムのフルバーストのような一斉射撃を放ち、次々とデスアーミーのコックピットを撃ち抜いて撃破していき、ものの数分でデスアーミー達を全て倒したのであった。

 

「す、スゲェ……!?」

 

「これが玲二さんの改造アーマーの力なのか……?」

 

「うん、これはまさに愛の溢れたロマンアーマーだね♪」

 

コアガンダムIIの活躍に驚きつつも感心するカザミ達。これにてこの防衛ミッションはクリアしたと思われていた。しかし……

 

 

 

 

 

ーWARNING!WARNING!ー

 

「ッ!?まだ敵が来るのか?!」

 

「けど数は多くてもデスアーミー程度なら立ち回り方も分かってきたから問題ない筈!」

 

「だと良いけどね……?」

 

「ッ!来るぞ!」

 

再び敵襲を告げるアラートが鳴り身構えるヒロト達。またデスアーミーが来るのか?そう思っていると地面から何やら黒い靄が現れ其処から一機の黒い巨大な機体が姿を現した。その機体とは……

 

「ッ!?な……あれは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

黒い、デビルガンダム!?」

 

そう、現れたのは漆黒の装甲に身を包んだガンダム史上最悪のガンダム、その名も『デビルガンダム』であった。しかも所々が改造されている改造機であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なッ!?デビルガンダムだと!?」

 

「スゲェ!あんなガンプラもあるのか!?」

 

「ああ、面白いだろ?このイベントの為に俺がクロとフブキと一緒に作ったラスボス用の機体……その名も『デビルガンダム・ファントム』だ」

 

 

『デビルガンダム・ファントム』

『機動武闘伝Gガンダム』に登場する悪魔のMFデビルガンダムを改造したオリジナルガンプラ。SDのデビルガンダムにHGのネオジオングとサイコガンダムをミキシングしたその巨体は漆黒に染まっており見る者全てを圧巻させるまさに悪魔の名に相応しい機体に仕上がっている。

 

 

俺達の作ったデビルガンダム・ファントムを見てセカイ達も興奮してくれてるな。喜んでくれたなら作った甲斐があるってもんだ。

 

「れ、玲二さん?もしかしてさっき言ってた特別な仕掛けって……?」

 

「ああ、このデビルガンダム・ファントムの事だ。どうだ?ラスボスっぽくて良いだろう?」

 

「た、確かに凄いけど……?」

 

「ヒロト、大丈夫かな……?」

 

うーん、どうだろうな?けどまあ今のあいつ等ならこれくらいの敵でも難なくイケると思うけど、確かに少しは苦戦するかもな?だって“まだあの機体には仕掛けもあるし”。さあて、ヒロト達はどう攻略するかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おいおいマジかよ……?!」

 

「確かにデスアーミーが出てきた時点で薄々は勘づいてはいたけど……まさかの改造機が出てくるなんて!?」

 

「しかもこれはネオジオングやサイコガンダムのパーツも使用されているみたいだ……少し厄介だね?」

 

「怖気づいてもしょうがない、兎に角まずはこちらから仕掛けるのみだ!」

 

現れたデビルガンダム・ファントムにモビルドールメイは二丁のライフルを構え発泡していく。しかし

 

 

 

ーバシュウッバシュウッ……シュウゥゥゥゥ……ー

 

 

 

「ッ!?元に戻っただと!?」

 

弾は確かにデビル・ファントムに着弾しその部分が霧のように散布されたが、その霧は直ぐ様集まり元の状態へと戻ってしまった。

 

「なら、これはどうだ!?」

 

続いてヒロトもコアガンダムIIで再びフルバーストを発射しデビル・ファントムの装甲を何ヶ所も撃ち抜いていく。だが

 

ーシュウゥゥゥゥゥゥ……ー

 

やはりというか、再び霧状になるもすぐに元に戻ってしまう。そしてデビル・ファントムはセレモニー会場であるホロライトドームに向かいゆっくりと侵攻を始めるのであった。

 

「ヤベェ!?あいつ俺達を無視して会場へと向かってくぞ!」

 

「このままだと奴が会場に辿り着いてしまう。そうなればもうミッション失敗だ……!」

 

「だけどどうするんだい?奴にはこちらの攻撃は一切当たらないみたいだけど?」

 

「どうする、ヒロト?」

 

「……………………」

 

セレモニー会場へと侵攻を始めるデビル・ファントム。しかしこちらの攻撃は一切通用しない。打つ手無しと思われるこの状況……しかし、ヒロトだけは何か違和感を感じていた。

 

(……あのデビルガンダム、何故あんな霧状の身体をしているんだ?それに元のデビルガンダムにも確かに再生機能があるが、それとは全く違う再生の仕方もしている……あの霧状の身体、まるで何かをカモフラージュしているかのようにも見えたが…………………ッ!そうか、そういう事か!)

 

ヒロトは何かに気づき、すぐにコマンドで別のアーマーをセレクトし決定キーを押すと先程のストライクフリーダムアーマーのような半透明のアーマーがコアガンダムIIの右横に現れた。

 

「コアチェンジ、ストライクフリーダムtoOO!」

 

ーOO!ー

 

ーReady…Fight!ー

 

そして今度は機動戦士ガンダムOOの主人公機であるダブルオーガンダムのようなアーマーに切り替わり、そのままデビル・ファントムの真上に飛翔する。

 

「お、おいヒロト!?どうしたんだよいきなり?!」

 

「皆、各自散開してこのデビルガンダムをフルパワーで同時に攻撃してくれ!」

 

「え!?でもこいつにはどんな攻撃も通用しないんじゃ……?!」

 

「おそらくこいつのこの姿は本体を隠す為に黒い霧を纏ったカモフラージュだ!ならその霧を全て吹き飛ばせば本体が出てくる筈だ!」

 

「……成る程、確かにそれならこちらの攻撃が通用しないワケだ?ならその作戦、乗ってあげようじゃないか!」

 

そしてシャフリもビルの上に登りセラヴィーガンダムシェヘラザードのバックパックにあるプトレマイオスアームズを分離展開しGNトレミーキャノンにしデビル・ファントムに標準を合わせ構えていく。そしてカザミとコーイチも半信半疑だがそれぞれ持ち場に付き、メイもウォドムポッドを用意して搭乗。それぞれがフルパワーを放つ準備をしていく。

 

 

 

 

 

「いくぞ皆!タイミングを合わせて……3…2…1…!」

 

 

『ハアァァァァァァァッ!』

 

 

ーシュウゥゥゥゥ……バシュウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!ー

 

 

ヒロトのコアガンダムIIのGNダブルソード、カザミのイージスナイトのケラウノスハイパービームソード、メイのウォドム・ポッドのラージビームキャノン、コーイチのロードアストレイダブルリベイクのローブバスターライフル、そしてシャフリのセラヴィーガンダムシェヘラザードのGNトレミーキャノンからフルパワーの攻撃が放たれ、デビル・ファントムはその攻撃に為す術もないまま呑まれていくだけであった。

 

そして攻撃が止むとデビル・ファントムがいた場所には煙が立っているだけでデビル・ファントムの姿は跡形もなく消え去っていた。

 

「……やった、のかな?」

 

「ああ、みてぇだな……?という事はこのミッション、俺達の勝利って事だよな!よっしゃ「いや、まだだ!」……へ?」

 

ーシュンッ……ドゴオォッ!ー

 

「ぐあぁッ!?な、なんだ!?」

 

倒したと思い油断していたカザミのイージスナイトだったが、その瞬間煙の中から一機の機体が現れ瞬く間にイージスナイトへと詰め寄りそのまま蹴り飛ばしてしまった。そしてその機体は別のビルの上に上がると腕組をしながらヒロト達を見下ろしていた。

 

「あ、あれは……!?」

 

「マスターガンダム……?いや、両腕にゴッドの装甲も使われている!?」

 

「それにあの足の装甲、前にまつりさんが使ってたブレイジングガンダムにも似ている!?」

 

そう、現れたのはマスターガンダムにゴッドやブレイジングガンダムのようなパーツが装着された機体だった。これこそこのミッションの真のボス、『グランドマスターガンダム』である。

 

 

『HG グランドマスターガンダム』

『機動武闘伝Gガンダム』に登場したマスターアジアこと東方不敗が使用したMFをゴッドガンダムのアームやブレイジングガンダムの脚部を改造し取り付けたオリジナルガンプラ。コンセプトはあらゆる武術を取得しマスターした究極の格闘特化のガンダムである。

 

 

「ま、まさかあんな機体まで用意してたなんてな……?」

 

「だけどきっとこれが本当のラスボスの筈、こいつを倒せばミッションクリアだ!」

 

「コーイチ君の言う通りだ。此処が正念場だよ皆!」

 

「あぁ、これが最後の戦いだ。いくぞ皆!」

 

『応ッ!』

 

 

 

 

デビル・ファントムを倒したと思いきやその中から出てきた真のラスボス、グランドマスターガンダム。果たしてヒロト達はこの究極の武闘家を倒す事が出来るのか?続く……




はい、という事でデスアーミーとデビルガンダムの改造機との対決でした!裏設定的には難易度によって迫ってくる敵勢力が代わる仕様になってますが個人的にはやっぱりエース級ならデビルガンダムかなって思って出しました(^o^)

そして今回出てきたヒロトのアーマーですが、これはYouTubeにあるコアガンダムの改造を参考に出して見ました!実際に自分もこれでオリジナルアーマーを作る練習をしています!

そして次回はマスターガンダムの改造機との対決です!次回もまったりと待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第101話『武術の達人』

今年のクリスマスも当然の如く仕事。まあそうじゃなくても多分ガンプラ作って小説書いてただけでしょうね(´;ω;`)

今回はいよいよグランドマスターガンダム攻略!果たしてヒロト達はどう倒すのか?今回も最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


遂に姿を現した真のラスボス、グランドマスターガンダム。圧倒的オーラを放つ相手にヒロト達の戦いの火蓋が切って落とされた。

 

「ヘッ!さっきの霧みてぇなヤツじゃなきゃどうって事ねぇぜッ!」

 

ーバシュウッ!バシュウッ!ー

 

先陣を切ったのはカザミのイージスナイトであった。イージスナイトはグランドマスターに向かってライテイショットランサー改から砲撃を放っていく。しかし

 

ーヒョイッヒョイッー

 

「なッ!?躱しただとぉッ!?」

 

「なら……ッ!」

 

グランドマスターガンダムは寸前のところで躱し、続いてメイがウォドム・ポッドから降りて二丁拳銃で乱射していく。しかし、これもまたグランドガンダムは腕組をしたままいとも容易く躱してしまうのであった。

 

「あのマスターガンダム、なんて回避能力が高いんだ……ッ!?」

 

「しかも唯回避しているんじゃない。あの機体、二人の攻撃をギリギリのところで、しかも最小限の動きで躱しているようだね?」

 

そう、先程からグランドマスターは全て最小限の動きだけで二体の攻撃を躱しているのだ。躱すその動きには一切の無駄がなく、それでいて一撃たりともヒットしていないのである。そして

 

ースッ……ダッ!ー

 

「ッ!?こっちに来たぞ!」

 

「野郎ッ!なら接近戦で……ッ!」

 

ある程度躱したグランドマスターはそのままイージスナイトに向かって急速に接近し、イージスナイトも応戦する為に武器を構えようとする。しかし……

 

ードスドスッ!ドゴオォンッ!ー

 

「ぐああぁぁッ!?」

 

「カザミ!?」

 

イージスナイトが構える前よりも速くグランドマスターが目の前に着き高速の連続パンチを繰り出しイージスナイトを吹き飛ばしてしまった。

 

「カザミ君、大丈夫かい!?」

 

「は、はいなんとか……てかなんだ今の攻撃は?!」

 

「今の攻撃……間違いない、あれはボクシングのジャブからのストレートパンチだ」

 

「ボクシング!?なんでガンプラバトルでボクシングの技を!?」

 

グランドマスターがまさかのボクシング戦法を使用してきた事に驚くカザミ達。しかしそんな隙すらグランドマスターは見逃さず今度はメイのウォドム・ポッドへと接近していく。

 

「ッ!舐めるな!」

 

ーバンッ!バンッ!ー

 

ウォドム・ポッドも二丁拳銃でグランドマスターを狙うがグランドマスターはいきなりロンダードをしながら銃撃を躱し、そして

 

ーブゥンッ!ー

 

ードカッ!ドゴオォッ!ー

 

「ぐあぁぁぁぁぁッ!」

 

「メイッ!」

 

ウォドム・ポッドの目の前にまで接近したグランドマスターはそのまま逆立ちの状態で足を広げ回転蹴りを放ちウォドム・ポッドの装甲をおもいっきり凹ませ吹っ飛ばしてしまった。その衝撃の所為でウォドム・ポッドの装甲が剥がされモビルドールメイの姿が露わになる。

 

「大丈夫かメイ!?」

 

「あ、あぁ、ウォドム・ポッドはやられたが問題ない。それよりも今のは……?!」

 

「分からない、僕も其処まで詳しくないけど、あれも何かの格闘技なのか……?」

 

「うん、あれはカポエイラだね。かつてブラジルの奴隷達が権力者に対抗する為に編み出されたと言われている。格闘技とダンスを混ぜた主に足技が主流の格闘術だよ」

 

「えぇッ!?そんな格闘技もあんのか?!」

 

「ボクシングだけでなくそんな技まで、一体どれだけの技を持っているんだ……!?」

 

ボクシングだけと思いきやまさかのカポエイラまで。グランドマスターが繰り出す技にヒロト達は今までにない威圧感を感じていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「メイさん!カザミさん!」

 

「あれは、かなり手強い感じがするわね……」

 

「ヒロト……」

 

パルやマギーさん、そしてヒナタが心配そうに見てるが無理もないか。あのグランドマスターガンダムの戦い方はGBNでは殆ど体感しないだろうからな。けど……

 

「あ、あれって……!?」

 

「……セカイ、お前には分かるか?」

 

「ああ、あれはボクシングにカポエイラだ。それもかなり洗礼されて無駄のない熟練者の動きだ!」

 

やっぱ格闘家でもあるセカイには分かるみたいだな。そう、あのグランドマスターガンダムにはボクシング、プロレス、中国拳法、ムエタイ、カポエイラ等のあらゆる格闘術のデータをインプットしているんだ。しかもただインプットしたワケではない、全てその筋の達人達の動きを実際にトレースしAIに学習させた事で動きに一切の無駄を無くしたまさにあらゆる武術を極めた格闘特化のガンダムなのだ。その為アニメのような派手な戦い方はしないものの戦闘スキルは確実に高くなっている。それはそうと……

 

「……セカイ、お前あのグランドマスターと戦ってみたいんだろ?」

 

「あぁ!あの洗礼された技、俺の次元覇王流が通じるかやってみてぇッ!玲二さん!後で俺にもやらせてもらっても良いか!?」

 

「はいはい、分かってるよ。ま、兎に角今はヒロト達のバトルに集中しないとな」

 

さて、そんな強力なガンダムにヒロト達はどう立ち向かうんだろうな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はあぁッ!」

 

ーヒョイッ、ガシッ!ブオォン……ドッシイィィインッ!ー

 

「グハァッ!?」

 

「シャフリさん!?」

 

シャフリのセラヴィーガンダムシェヘラザードをイフリートモードへと変型させ攻めるがあっさりと避けられそのまま柔道の一本背負いを受け地面に叩きつけられプトレマイオスアームズが全て破壊されてしまう。

 

しかしこれは好機と捉えたコーイチのロードアストレイダブルリベイクがグランドマスターに狙いを定めて連続射撃をしていく。が、グランドガンダムはそれすらも避けてダブルリベイクへと接近、そして

 

ーガッ!ガッ!ドゴオォッ!ー

 

「うわあぁぁぁぁぁぁぁッ!?」

 

今度は中国拳法の連続打撃からのアッパーを受けダブルリベイクは頭部を破壊されその場で倒れてしまうのであった。

 

「つ、強過ぎる……!?」

 

「こいつの動きには無駄がない……まともに戦えば私達に勝ち目はないぞ……!?」

 

「確かに一対一で戦えばな。だがこれはチーム全体でのミッションだ。一人ではクリア出来なくても、皆と一緒なら必ずクリア出来るッ!」

 

ヒロトはそう言うとコマンドセレクトでコアチェンジを選択、そしてリストからあるアーマーを見つけると直ぐ様そのアーマーへとカーソルを合わせ決定キーを押した。

 

「コアチェンジ!OOtoゴッド!」

 

ーGod!ー

 

ーReady…Fight!ー

 

すると今度はゴッドガンダムを模したアーマーが現れOOアーマーと入れ替わる形でコアガンダムとドッキングされた。これが今回ヒロトがフィニッシャーとして選んだアーマー『ゴッドアーマー』である。

 

 

『コアガンダムIIゴッドアーマー』

ヒロトのコアガンダムIIに玲二がゴッドガンダムを元に作ったアーマーを纏ったオリジナルガンプラ。武器は己の拳のみというある意味潔いこの機体にも劇中のゴッドガンダムのような戦い方のデータがインプットされている。

 

 

「カザミ、メイ!二人ともあのマスターガンダムの注意を引いてくれ!」

 

「あ、ああ分かった!」

 

「了解した!」

 

ヒロトに指示されイージスナイトは右側から、モビルドールメイは左側からグランドマスターへと攻め込んで行くが案の定グランドマスターはあっさりと二人の攻撃を避けてしまう。しかし二人はそれでも接近し攻撃を繰り出しグランドマスターの動きを制限させていく。その間にコアガンダムゴッドはグランドマスターを倒す為にエネルギーを溜めていく。

 

(奴の動きはかなり素早く、それでいて技を繰り出す動きに隙はない……なら、その動きさえ封じてやれば……ッ!)

 

そしてエネルギーを溜めつつグランドマスターのある一部分に狙いを定めていく。チャンスは一度、外せばミッション失敗は濃厚。そんな緊張を抑えヒロトはチャンスを伺っていく……

 

 

 

 

 

そして……

 

 

 

 

 

ーグググググッ……ー

 

「ッ!其処だあぁッ!!」

 

ーゴオォォォォォ……ドッゴオォォォォォォォォオンッ!!ー

 

コアガンダムゴッドは一気に加速しグランドマスターへと詰め寄り、そしてエネルギーを溜めた拳をグランドマスターの左足の膝関節に向けて放ったのである。それによりグランドマスターの左足は大破しバランスを崩しそのままなす術なく倒れていった。

 

「おっしゃあッ!やったなヒロト!」

 

「ああ、二人が抑えてくれたお陰だ」

 

「だが奴はまだ左足を失っただけだ。すぐに追撃が来るかもしれないから「それに関しては大丈夫みたいだよ」……何?」

 

グランドマスターの反撃を恐れるメイだったがシャフリはその心配はないと告げる。その証拠にグランドマスターガンダムはなんとか立ち上がるも身体がふらつき構えが全然取れておらず、再びその場で転倒してしまっていた。

 

「お、おいこれどうなってるんだ……?」

 

「……そうか!格闘家に取って関節部は構えや技を放つ為の大事な生命線!その場所の損傷は他の機体と違って戦う術を失ったも同然なんだ!」

 

コーイチの言う通り、格闘術を操る者にとって関節部の損傷は致命的なダメージとなってしまう。しかもこのグランドマスターガンダムはアニメキャラではなく実際にいる武闘家達をトレースしているリアル重視な為にアニメのような片足がなくても戦える!なんて状態にはならないのだ。実際片足を無くしたグランドマスターは先程までの勇ましさは消えてしまい今では立つ事すらままならない状態になってしまった。これではもうまともに戦う事は出来ないであろう。

 

 

 

ーGAME CLEAR!ー

 

 

 

そしてシステムが続行不可能と判断したのか、ゲームクリアのアナウンスがされグランドマスターはそのまま機能を停止していった。厳しかったがこの勝負、ヒロト達の勝利で終わったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はい、クリア報酬のMGEXストライクフリーダムのディアクティブモードなのです♪そしてヒロトさんには玲二さんからこのアーマーシリーズもプレゼントとの事なので受け取ってほしいのです♪」

 

「うおおぉッ!?これめっちゃ格好良いじゃねぇか!ヒロト、本当に俺が貰って良いのか!?」

 

「ああ、俺はこっちを貰えたからな」

 

イベントが終わりるしあから報酬のストライクフリーダムを貰いテンションが上がってるカザミと俺の作ったアーマー一式を受け取り満足しているヒロト。にしてもまさか関節部を狙っての攻撃とは、ヒロトもなかなかやるな。けどこのミッションは他の二つ以上に大変だったから報酬も豪華なんだけど、それにしたってMGEXはやり過ぎじゃねぇか?

 

「玲二さん、賞品とは違うのにアーマーまで貰ってしまって、なんだか申し訳ないというか……」

 

「いや良いって別に。そのアーマーはそのまま使っても良いし改造するのに利用しても構わないから好きに使いな」

 

「……はい、有り難うございます」

 

うん、そう言ってくれるとこっちも有難いわ。さてと……

 

「よし、それじゃあ後は俺達と君達のバトルだね?」

 

「ああ、あんた達のバトルを見て俺もワクワクしてるんだ!俺のガンプラとあんた達のガンプラ、どっちが強いか勝負しようぜ!」

 

リクとセカイが互いのガンプラを取り出し睨み合う。ガンプラアニメの主人公同士のバトルというまさに夢の勝負にヒナやシオン達もテンションが上がっている……しかし

 

「あー……すまない二人とも、提案した俺も悪いんだが……今日はもう皆出来そうにないんだよ」

 

「えぇッ!?な、なんでだよ玲二さん?!折角バトル出来ると思ったのに!?」

 

「そうですよ!もしかして何か不備があったんですか?!」

 

「いやそうじゃなくてな……単純に順番待ちになっちまうんだ。今他にもこのガンダムウォーズをやりに来ている人達がまだまだ沢山いるから暫くは出来ないんだ。他の皆も楽しみに来てくれてるから割り込みなんて事はさせれないしな」

 

「因みに今はホロプラでは予約が一週間先まで埋まってるのです。おめシスの所も二週間は予約でいっぱいですね」

 

「「そ、そんなぁ〜……」」

 

うん、すまない。他のお客さんの事をすっかり忘れていたわ。今日の分のイベントはリク達なら絶対参加してくれると思って予め枠を用意していたが、このエキシビションマッチに関しては枠が空いてないからな。閉店後にやる事も出来るっちゃ出来るがそれをやってしまうと他の皆もやらせろって言ってくるかもしれないし、神羅城にあった筐体もバージョンアップさせる為という名目のメンテナンスで今義兄さんの会社に預けてしまってるからすぐには無理になってしまったんだよ。あの筐体はあくまでテストプレイ用の物だったしな。すまない二人とも。

 

「まあ落ち込むなって。リク達も二週間は滞在するつもりだったんだし、セカイも元の世界に戻るのにまだ少し時間が掛かるからエキシビションマッチは一週間後に行うとしよう。それまでに皆もこの世界で自分のガンプラを強化すれば良いんじゃないか?」

 

「あ、それ良いですね!よぉーし!なら早速改造する為にガンプラを探しに行こう!」

 

「ああ!?ちょっと待ってよリッくん〜!?」

 

「俺も自分のカミキバーニングガンダムをパワーアップさせてみたい!先輩、ユウマ、手伝ってくれるか?」

 

「ああ、勿論だ」

 

「折角だからセカイ君のだけでなくて私達の新しいガンプラもこの世界で作ってみようよ♪」

 

俺の提案にリクもセカイも納得してくれ二人はそれぞれ仲間達と一緒にガンプラを強化する為に販売コーナーへと向かって行ったのであった。全く、元気な奴等だな。

 

「それじゃあ私達もお買い物しちゃおうかしら?この世界にはまだまだ沢山魅力的なガンプラもあるから楽しみだわ〜♪」

 

「俺も、さっき見つけたHGのシェンロンが気になってたから買ってくるか」

 

「なら僕は展示ルームに行って作品を見ていこうかな?こちらにも愛に溢れた作品が沢山飾られていたしね♪」

 

「あ、それなら俺も見に行きたいぜ!な、パル♪」

 

「は、はい!」

 

うん、他の皆もそれぞれ思い思いにホロプラで楽しむみたいだな。他のお客さんも喜んでいるみたいだし、今日は本当に大盛況で良かった。

 

「良かったなるしあ、お前が頑張ってくれたお陰でこのホロプラは立派に大きくなれたんだ」

 

「……ううん、るしあだけの力ではないのです。玲二さんやりあら、それに皆が支えて手伝ってくれたからるしあは此処までやってこれたのです。だから玲二さん、るしあはこれからもこのお店で頑張っていくから、るしあの事ずっと見守っててね?」

 

「当たり前だ、お前と俺はこれからもずっと家族なんだからな。必要な時は遠慮なく頼ってくれよ?」

 

「はいなのです♪それじゃあ皆、ちょっと忙しくなってきたから手伝ってね!ほらぺこら!何時までも寝っ転がってないで暇なら手伝ってよね!?」

 

「ちょ、ちょっと待ってぺこ。ずっと子供達に乗っかられてたから身体が痺れて動けねぇぺこぉ……」

 

こうしてるしあは仕事に戻っていき、他のメンバーも忙しくなったホロプラのお手伝いをしたお陰でこの日の売上は過去最高額になったんだとか。ガンプラウォーズ稼働初日は間違いなく大成功で無事に終える事が出来たな。

 

 

 

こうしてガンプラウォーズの初日稼働は大成功で幕を閉じた。これからもいろんなイベントがあると思うが、皆で楽しく出来れば良いなと願う玲二であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーオマケー

 

「うわあぁぁぁんッ!レイくんなんでよりによって私が仕事の日にガンプラウォーズを稼働させたんですかあぁぁぁぁぁぁッ!?」

 

「ヒナもヒメを差し置いて遊ぶなんてズルいいぃぃぃぃぃぃぃッ!ヒメも遊びたかったよおぉぉぉぉぉぉぉぉーーーッ!!」

 

「いや二人とも散々テストプレイしてたんだから別に良いだろうが!?」

 

ホロプラが閉店し帰宅するとフブキとヒメ、そして今日仕事が入ってたメンバーが駄々を捏ねていた。稼働日を早めてしまって申し訳ないと思いつつ面倒くさいとため息を吐く玲二であった。結局その日は一緒に寝る事でなんとかなったが、翌日暫くは予約が埋まってるから出来ないと知るとまた駄々を捏ねるフブキ達であった。




はい、という事で見事グランドマスターガンダムを撃破!これにて予定していたイベントは全て終了です!ダイバーズVSファイターズの戦いは後日という事になりましたが、お互いにガンプラを強化するという期間が必要かなって思って間を開ける事にしました。なので次回はエキシビションマッチか、もしくは別のお話になるかもです。という事で次回もまったり待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第102話『新たな来訪者!何者なんじゃ?』

今年も残すところ後数日。一部のVtuberが体調を崩されてますが早く元気になってほしいと思うこの頃です(^_^;)

さて今回はまたもや異世界からの来訪者が!?一体何者……って多分タイトルを見れば分かりますがそう、あのVtuber等の配信者と何かと因縁のあるあの人が登場です!今回も最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


リク達とセカイ達のバトルが一週間後となり、その間皆はそれぞれ思い思いに過ごしていた。リクやユウマのように機体を改造したりセカイのように修行したり他の皆のようにこの世界で買い物やレジャーを楽しんだりと過ごす中……何やら海岸沿いでは怪しげな女性がふらつきながら歩いていた。

 

「うぅ〜……周りを見てもポケモンが一匹もいないし看板に書いてる文字がちっとも分かんない……ああもうッ!此処って一体何処なのさぁ〜ッ?!」

 

辺りを見回しても女性にとって見慣れない物ばかりのようで、行く宛もない彼女は唯悲痛な叫びを上げつつも何か手掛かりがないかと街の中心部へと向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………よし、これでもう大丈夫な筈だ。どうだパトリック、動けそうか?」

 

「は、はい。んん……ッ!ハァ、ハァ……た、立てた……?僕、自分の足で立てた!」

 

よし、どうやら上手くいったみたいだな。俺は今新生ビルドダイバーズの一人であるパルヴィールこと『パトリック・アレクサンドル・レオナール・アルジェ』の足の治療を行っていたんだが無事に立てるようになったみたいだ。この子はアニメでもリアルでは電動車椅子での移動だったから可哀想だったし、アニメ後の世界線という事なら歴史改竄にもならないだろうからこうして治療する事にしたワケだが、喜んでくれて何よりだ。

 

「まあ治ったとは言え流石にリハビリの必要はあるからそんなに無茶するなよ?けどその様子だとリハビリもそんなに掛からなそうだけどな」

 

「は、はい!玲二さん、有り難うございます……僕、なんてお礼をすれば……グスッ」

 

「泣くなって、折角治ったんだし。それにこれは俺にとって完全な自己満足なんだから気にしなくても良いって。お前はもう何も気にする必要なんてないんだから頑張ってまた元気に歩けるようにしろよ?」

 

「グスッ……はい!」

 

再び車椅子に座り込み嬉し泣きするパトリックに俺は頭を撫でて落ち着かせる。兎に角少しずつで良いからしっかりリハビリしろよな。

 

「玲二君、僕からもお礼を言わせてほしい。弟の足を治してくれて、感謝する」

 

そして付き添いで来たパトリックの兄であるシャフリヤールこと『リュック・アルジェ』さんも俺に向かって頭を下げてくる。別にそんなお礼なんていらねぇのにな?

 

「あーだからもう良いって。良いか?これは俺の自己満足なんだ。だからお前達に礼を言われたくてやったワケじゃねぇからお礼なんてしなくても良いんだよ。それよりリュックさん、あんたがやるべきなのは一日でも早くパトリックが何不自由なく歩けるようにサポートしてやる事だろ?」

 

「……そうだね、でも僕らが君に感謝している事には変わりないさ。本当に有り難う」

 

「……そう言われるとなんか恥ずいな……」

 

まあ喜んでくれたならこっちも嬉しいから良いんだけどな?よし、じゃあ次は……

 

「じゃあ次はお前等の要件だったな?そんで、俺に聞きたい事ってなんなんだ?サラ、メイ」

 

治療を終えて次はリビングのテーブルに座っているサラとメイに話を聞く。と言ってもこの二人の話は大体予想はつくけどな?

 

「……前に姉さんから聞いたんだ。その、私達を普通の人間と同じに出来るって……そんな事が可能なのか?」

 

「あぁ、やっぱその話か。ああ、はっきり言って可能だ。現に今のお前等がその状態に近しいからな」

 

やっぱり二人の頼み事はそういう事だったな。まあLダイバーの二人を人間にする事は簡単だ。種族変更の能力を二人に付与、それによって二人を人間にした後帰る時に戻る世界をGBNではなくリアルワールドに移せば簡単に普通の人間として生活する事は出来る。戸籍も作ろうと思えば作れるし生活するには問題ないだろう。けど……

 

「……ただ二人に言っておくがこの方法は一度しか使えない。つまり一度人間になってしまえば二度とLダイバーには戻れない。人間はLダイバーと違って食事の必要性もあるし病気や怪我をしてもすぐに回復出来る訳では無い。しかも生活をするに至って働かなくてはならない。普通に生きていくならLダイバーの方が良いと思うが、それでも良いのか?」

 

「うん、それでも良い。確かに人間になったら大変かもしれないけど……それでも私、リクやユッキーやモモ達とずっと一緒にいたい!だから玲二さん、お願いします!」

 

「私も姉さんと同じ気持ちだ。ヒロト達が見ているリアルの世界を、私も生きてみたいんだ。だから玲二、私と姉さんの事を頼む」

 

……二人の意志を聞く限り、どうやら覚悟は出来ているみたいだな?なら……

 

「…………分かった。なら、いくぞ」

 

ーパチィンッ!ー

 

俺が指を鳴らすとサラとメイの身体が一瞬光に包まれていく。光が止み、見た目こそは変わらないがこれで二人は正真正銘人間になった。

 

「……これで二人は晴れて人間になった。どうだ?何か変な処はあるか?」

 

「ううん、特にはーグギュウゥ〜…ー……な、なんかお腹が急に鳴ったけど……?」

 

「わ、私もお腹の様子が……何故かは分からないが何か食べ物が欲しくなってきたんだが……?」

 

あー、それは腹が減ってんだな?こっちの世界に来た時も食事とかはしてたみたいだけどLダイバーの二人には本来食事をする必要性はないから腹が減るなんて事もなかったもんな。

 

「どうやら人間の身体になった所為で腹が減ってきたみたいだな?なら今から皆で飯を食いに行くか。パトリックとリュックさんも一緒にどうだ?」

 

「いえ、僕達は既に食事は終えてますのでこれからお兄さんと一緒にこの島を見て回ろうと思います」

 

「食事は君達だけでゆっくりすると良いさ。それじゃあ僕達はこれで失礼するよ」

 

二人はそう言うと頭を下げてリビングから出ていった。本当は食べながらでもガンプラの制作話をしたかったんだが食事を終えてたなら仕方ないか。んじゃ二人を連れて飯を食いに行くとするか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、二人はなんでも良いとは言ってたがどうしようか?フレアとポルカは何処が良い?」

 

「ん〜、アタシはファミレスが良いかな?いろんなメニューがあるし、カガリの好きなお子様ランチもあるもんな〜♪」

 

「おこしゃまらんち〜♪」

 

「あ、良いねそれ♪今ならおもちゃで手品セット貰えるもんなエレオ〜♪」

 

「あい!エレのてじにゃ〜♪」

 

一緒に誘ったフレアとポルカはファミレスならいろんなメニューがあるから其処が良いんじゃないかと提案してくる。確かに最近ファミレスなんて行ってなかったな?なら其処に行くとするか。にしてもエレオ、相変わらず手品が好きなんだな?今も何処からかトランプ出して喜んでいるし……というかこの子は一体どうやって手品を習得してるんだ?別に何か能力を使ってるわけでもないし、マジで謎なんだが……?

 

「よし、じゃあ何時ものファミレスに行くとするか。二人もそれで良いな?」

 

「あぁ、私は構わない」

 

「私も大丈夫♪」

 

「うん、なら早速……ってあれは……?」

 

ファミレスへと向かおうとした時、向かいの歩道橋でホロライトシティ警備隊の人達が何やら困っている様子が見えた。他にも誰か一緒にいるみたいだがあれは……あの派手な格好の女の子、なんかどっかで見た事あるような気もするが誰なんだ?取り敢えず近づいて話を聞くとするか。

 

「お疲れ様です、何かあったんですか?」

 

「あ、市長!お疲れ様です!実は……」

 

「この子が道に迷ってしまったと言ってたので話を聞いてたのですが、場所がパルデア地方のハッコウシティと聞いた事ない地名でして……」

 

「なんで聞いた事ないのさあぁーーーーーッ!?そっちこそニホンのホロライトシティだなんてボク知らないんだけどおぉーーーーーッ!?」

 

はぁ?パルデア地方?ハッコウシティ?確かに聞いた事のない地名……いや、なんかその名前どっかで聞いた事あるような……?

 

「……ね、ねぇ?ちょっと確認したいんだけどさ、もしかして貴方って……“ナンジャモ”さん?」

 

「へ?ナンジャモ?」

 

フレアが何かを知ってるのか目の前の女の子に名前を訪ねていた。てかナンジャモって……ま、まさか……?!

 

「え?!君ボクの事知ってるの!?良かったあぁ〜、ボクの事知ってる人がいてくれたぁ〜♪なら早速……皆の者ー!準備はいーい?あなたの目玉にエレキネット!エレクトリカルストリーマー☆何者なんじゃ?ナンジャモでーす♪おはこんハロチャオ〜♪」

 

ま、マジかよ……?今俺達の目の前で独特な挨拶をしたのは派手な淡いパステルカラーの服や髪にコイルのような髪飾りを着け更にギザギザ歯が特徴の女の子、最近発売されたポケットモンスタースカーレット&バイオレットに出てくるジムリーダーの一人『ナンジャモ』であった。な、なんでポケモンの世界の住人であるこいつがこの世界にいるんだよ?!

 

「でも良かった〜♪ボクの事を知ってるって事はぁ〜?ボクのファンって事で良いんだよね!?それで早速聞きたいんだけど、此処って一体何処なの?目が覚めたらこの島の海岸にいたんだけど……」

 

「あ、え、えーと……?」

 

「ま、まぁある意味有名ではあるけど……れ、玲二さんどうしようか?」

 

「……取り敢えずまずはいろいろと説明しないとな」

 

此処だといろいろ悪目立ちしてしまうし、ひとまず目的のファミレスに行って話を聞くとするか……また面倒くさい事になりそうな予感しかしないな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え…………此処ってボクのいた世界じゃ、ない………?」

 

「あぁ、簡単に言えばそうなるな」

 

ファミレスに着いて一通りの注文を済ませて食事を始めた頃にナンジャモに今の現状を伝えると真顔で驚きオムライスを食べていたスプーンを落としていた。そりゃ当然の反応だよな?目が覚めたら海岸で寝ててしかも自分の常識が通用しない世界に飛ばされたなんて普通じゃあり得ないからな。

 

「まずこの世界ではポケモンはゲームやアニメとかに出てくる架空の存在だし、それにこの世界には公式の企画としてはあるものの個人チャンネルでドンナモンジャTVなんてチャンネルは存在しないんだよ」

 

「そ、そんな、此処が異世界で、しかもポケモンがいないだなんて……?」

 

「あ〜、そりゃショックだよね……?」

 

「自分のチャンネルも無くてしかも頼れる相手もいないだなんてツラいもんね……?」

 

「私もユッキーと一緒に初めてこの世界に来た時も不安だったから気持ちはよく分かるな……」

 

まぁ確かに、こんな分からない世界に飛ばされて不安な気持ちに押し潰されそうになるのは仕方ないよな?もうショックで顔も伏せてしまってるし……

 

「そんな……こんなのって……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チョーシビルドン的体験じゃん!?ナンジャモがまさかの異世界進出!これはバズりが見込めそう……じゃなくて皆に楽しい動画を届けられそうだね☆」

 

あれ?なんか思ってた反応と違うんだが?ショック受けてるかと思ったら顔を上げたらめっちゃ目がキラキラしてるし?ってかこの状況でも動画の事考えてるってどんだけプロ意識高いんだよこいつ?

 

「というワケでレイジ氏!ご飯食べ終わったらボクと一緒にこの街を案内してくれる?この街でボクの知らない事をいっぱい体験すればきっと動画を見てくれる皆も喜んでくれるよ♪」

 

「そ、それは良いけど……皆、どうする?」

 

「い、良いんじゃないかな?折角来て楽しみたいって言ってくれてるんだから一緒に街を回ろうよ♪」

 

「私も姉さんも構わない。それに私達もまだいろいろと見てみたいからな」

 

どうやら皆もOKみたいだな?なら皆で一緒に街を回って行くとするか。

 

「分かった、取り敢えず飯を食ったら一緒に街を観光するとしよう」

 

「本当に!?有り難うレイジ氏〜♪いやぁ〜、最近ショックだった事もあったけどまさかその後にこんな楽しい事が起こるなんてね☆」

 

「?ショックだった事って?」

 

「……いや実はね?知っての通りボクってハッコウシティのジムリーダーを務めてるんだけど最近ジムに挑戦してきた子にボコボコにやられちゃってさぁ〜、しかもたった一匹に」

 

へぇ、そっちの世界ではそんな凄い奴がいるんだな?案外そっちの世界の主人公的な奴だろうか?

 

「へぇ〜、因みにどんなポケモンで負けちゃったの?」

 

「それがね、なんとコイキングだったんだよ!しかも色違いの金色のコイキング!その相手の子ただでさえレベル高いコイキングをめちゃアイテム使って強くして、ボクのポケモン全部ボコボコにしちゃったんだよ!もうボクショックでその日の夜ベッドで啜り泣きしちゃったモン!」

 

……あれ?なんかどっかで聞いた事あるなそれ?フレアとポルカも何かを察して苦笑いしてるが、まさかな……?

 

「ま、まあ兎に角飯食ったら早速街を案内してやるか。まずはその格好だと目立つから洋服とか見に行くか」

 

「おぉ!?異世界のコーディネート!良いね良いね☆ナンジャモの異世界コーデ!これはスクショタイム間違いないね♪フレア氏達も一緒に着替えて皆でファッションショーしよーよ♪」

 

「え、アタシ等も!?」

 

「でも面白そう♪私もいろんな服着てみたい♪」

 

「ポルカも賛成!それにそろそろエレオのお洋服も小さくなってきたから一緒に新しいのを買わないとな♪」

 

「およーふく〜♪」

 

ん、皆も賛成みたいだし、食べ終わったら早速洋服屋へと行くとするか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フッフッフッ……ナンジャモのスペシャルコーデ!inホロライトシティ☆どーよこのボクの姿!これは新衣装にしても良さそうだね♪」

 

洋服屋に着いて早速皆服を選んで試着しているのだが、ナンジャモはパステルピンクのカラーニットに白のキルティングジャケット、更に足はロングブーツとまさに冬を意識した感じの服装になっていた。髪型も前髪の結びを解いて後ろで束ねた状態になっており、コイル型の髪飾りは腰に移動していた。というかそのコイル普通に動いてるけど本当に髪飾りなのか?

 

「どーよレイジ氏!?ボクのこのコーデ、なかなかイケてるでしょー☆」

 

「ああ、ゲームとかで見たさっきの姿と違って少し大人っぽく見せてる感じがして良いと思うぞ」

 

「お、おぅ……なんだか面と向かって言われると恥ずかしーね///」

 

あれ?てっきりそうだろー☆とか言うと思ったんだが意外と照れたりするんだな?さて、他の皆は……

 

「ど、どうかな玲二さん?カガリと同じ感じにしてみたんだけど……///」

 

「まーま、おそろ〜♪」

 

「ポルカもエレオとお揃いにしてみたけど、どうかな……?///」

 

「もこもこ〜♪」

 

お、フレアとカガリは黒のセーターに茶色の肩掛けケープか。おとなしい感じがして良いな。ポルカとエレオの少し厚めのポンチョコートも可愛らしくて似合ってるな。

 

「あぁ、二人とも似合ってるよ。カガリとエレオも可愛らしくて良いぞ」

 

「「あい♪」」

 

「「……///」」

 

あらら、二人とも照れてるな?でも似合ってるんだから良いと思うんだが……問題は残りの二人だ。

 

「……で?なんで二人はそんな服をチョイスしたんだ?」

 

「え?でもリクが前に冬といえばこれだって」

 

「私も冬ならこれがぴったしだって前に雑誌で見たぞ?」

 

「あぁそうかい?けどな……冬だからって別に皆サンタ服や晴れ着なんて常に着たりしないぞ」

 

というかなんで洋服屋にサンタ服と晴れ着が売ってるんだよ?!サラのサンタ姿可愛いけどもう今年のクリスマスは終わってるし、メイが晴れ着着るとこれから成人式に行こうとする新成人にしか見えねぇよ!?

 

「はぁ……フレア、ポルカ。二人とも悪いけどサラ達の服を見繕ってやってくれ」

 

「う、うんそうだね……」

 

「えー?けどこれはこれで面白いけどね〜♪」

 

「ちょっとナンちゃん黙っててくれる?」

 

「酷ッ!?なんか辛辣過ぎない?!」

 

いやナンジャモ、幾ら面白くてもそんな時期外れな格好で彷徨いてみろ?悪い意味で注目の的だわ。まあフレアとポルカがいればまともに似合う服を見繕ってくれるだろ。

 

こうしてサラ達の服も似合うのが見つかり、俺達は会計を済ませ店を後にした。え、支払い?そんなの全部俺持ちに決まってるだろ?まあそんな事よりこの後は……まあまだ予約で埋まってるからガンプラウォーズは出来ないけどホロプラを紹介しておくか。ゲームは出来なくてもプレイ画面は見れるし、それに彼処にはポケモンのプラモもあるから楽しめるしな。というワケで早速向かうとするか。

 

 

 

突如異世界からやって来たナンジャモ。彼女を連れて玲二達は次なる目的地、ホロプラへと向かうのであった。続く……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーオマケー

 

「フンフフンフフーン♪久々にハッコウシティに到ちゃーく♪ってあれ?なんかジムの前のキャラ達の立ち位置が変わってますね?どれどれ……」

 

❲ねえ聞いた?ナンジャモちゃんが行方不明って話❳

 

❲聞いた聞いた!なんでも前に挑戦者にやられてから行方が分からないんだって?❳

 

「……え?何これ?こんなイベントあったっけ?」

 

ポケモン配信でクリア後のハッコウジムでナンジャモに再挑戦しようとするも、その肝心のナンジャモが行方不明という謎の事態に混乱するフブキ。その後いろいろ調べてもそんなイベントは存在しないと分かりフブキはますます混乱してしまうのであった。




はい、という事でポケモンの世界からナンジャモ登場!の回でした!この子はVtuberの配信でリスナーが面白いくらいチャンネル主を裏切るのが面白いですね(^o^;)

さて、という事で今年の投稿はこれで最後になります。次回は年明け辺りに今回の話の後編、そしてその次辺りにエキシビションマッチを投稿したいと思います。今年も紆余曲折等ありましたがこのような小説にお付き合い頂き誠に有り難うございました。来年も自分のペースでのんびりと更新していきたいのでよろしくお願いします、ではまた!良いお年を!!(≧∇≦)/


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第103話『ドンナモンジャTVinホロライト』

1月7日23:00

さーて、明日は休みだからゆっくりガンプラ作ろうかな〜?そんじゃおやすみ〜……Zzz


……ふあぁ〜良く寝た♪さぁーて、朝飯食べてガンプラ作るか。さて今何時だ〜、と……

1月9日7:45

( ゚д゚;)

久々に一日以上爆睡してしまいました(-_-;)
今回はナンジャモ回後編です、最後まで楽しんで頂ければ有難いです、ではどうぞ!


「皆の者ー!準備はいーい?あなたの目玉にエレキネット!何者なんじゃ?ナンジャモでーす♪おはこんハロチャオ〜♪ナンジャモのドンナモンジャTVの時っ間だぞー!今日ボクはなんと!ボク達のいる世界とは別世界にあるホロライトシティに遊びに来たよー♪」

 

……いきなり何か始めだしたんだが?前回このホロライトシティに迷い込んだナンジャモにこのホロライトシティを案内していたんだが、ホロプラに到着したタイミングで何故か動画を撮り始めたんだが?

 

「今回は此処ホロライトシティ仕様のスペシャルコーデでお送りしてるよ~♪そして本日のスペシャルゲストはぁ〜、このホロライトシティの市長を勤めてるレイジ氏ダァー!イェイイェイ♪」

 

「いやイェイイェイじゃねぇよ?いきなりなんだよこれ?」

 

「え?やっぱ異世界に来たからには一本は動画撮りたいなーって思ってね♪本当なら配信したかったんだけどボクの世界までは流石に電波届かないから仕方なく、ね?」

 

いや大丈夫かそれ?元の世界で何かしらの影響出たら困るんだが……取り敢えず可哀想だが様子を見て必要そうなら帰らす時に記憶を消さないとな?

 

「それでレイジ氏〜?今日はこのホロプラって所に連れてきてくれたけど、此処って一体どんなお店なのかな〜?」

 

「あ、ああ、此処はプラモデル等を扱ってる模型屋だ。そして今はまだ予約で埋まってるから出来ないがそのプラモデルを使って戦わせるシミュレーションゲームとかも体感出来るんだ」

 

「おぉーーーーーッ!?それは楽しみだねー♪それじゃあ早速中に入って見よー!」

 

おぉ、こっちが紹介する前に真っ先に中に入っていったな?随分とアグレッシブな事で……

 

「あ、玲二さんごめんね。アタシ達この後しら建コラボ配信の時間だからそろそろ戻らないと」

 

「お、そうか?なら早く行かないとな。カガリとエレオもまた後でな」

 

「「ぶぅ〜……」」

 

「ほらエレオ、パパもナンちゃんの案内とかしないといけないんだから今は我慢してママと帰ろうな〜♪」

 

フレアとポルカはこれから配信があるからカガリをエレオを抱っこして神羅城へと戻って行く。カガリ達が不満そうだったが一緒にいると案内しきれないかもしれないからそのままフレア達に連れていってもらった。

 

「さて、俺達もホロプラに入るとするか」

 

「うん、私もいろんなガンプラ見たい♪」

 

「ああ、私もこれを機にガンプラを作ってみたいしな」

 

よし、ならサラとメイにも何か買ってやるとするか。でもひとまずの目的はガンプラではないが……取り敢えず早いとこナンジャモを追いかけないとな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おっそーい!レイジ氏何処で道草食ってたんだー?!ってあれ?フレア氏とポルカ氏は?」

 

「ああ、あの二人ならコラボ配信があるから家に戻ったよ」

 

「コラボ配信?って事はもしかしてフレア氏達も配信者だったって事!?うわぁ、それならナンジャモも一緒にコラボ配信したかったなぁ〜ッ!?」

 

流石にそれは勘弁してくれ、こっちの世界でフレア達がナンジャモとコラボしたら本家が何事かと大騒ぎしてしまう。今回はこの動画だけにしてくれ……いや、それもどうなんだ?まあ何か向こうの世界に戻って異変が起きたならすぐに対応しないとな。

 

「あ、そだそだレイジ氏!さっきこのお店に見た時に凄いのを見つけたんだ〜♪ほらこれ!」

 

「ん?これって……おいおいこれまたデカいの持ってきたな?」

 

ナンジャモが持ってきたのはやはりポケモンのプラモだったが……まさかその中でも『コイキング』とはな、意外というかなんというか……?

 

 

『ポケモンプラモコレクション BIG 01 コイキング』

大人気ゲームコンテンツ『ポケットモンスター』に登場するさかなポケモンのプラモデル。ゲーム内では最弱の部類に入るが様々な理由で長年愛されているポケモンの一体である。そんなコイキングをなんと全長約200mmの特大サイズで再現されている。

 

 

「前回はボクこのコイキングにやられたからね!だからこのコイキングを作ってリベンジ達成祈願にするのだー!」

 

「成る程、そういう事か。ならナンジャモも初めてだろうから俺も作るのを手伝ってークイックイッーん?どうしたサラ?」

 

「ねぇ玲二さん、ずっと気になっていたんだけど……ポケモンって何?」

 

「私も聞きそびれていたが、そのポケモンっていうのは一体どういう物なんだ?」

 

ああ、そういえばそれに関して全然話してなかったな?一応説明しとくか。

 

「ポケモンっていうのは俺達の世界で流行っているゲームコンテンツの一つだ。アニメやグッズとかも人気で、ナンジャモはそんなポケモンの世界から来たんだよ」

 

「そーそー♪そしてボクはそんなポケモントレーナー達の中でも一際強いジムリーダーなんた〜♪」

 

「ジムリーダー?なんだか分からないけど凄そう」

 

うん、やっぱりあんま分かってないか。それなら後で他の皆がやってるポケモン実況見せてやるか。え、俺?俺は偶にやるけどガッツリとはやらないな。やっぱ俺はガンプラの方が性に合うし。

 

「それじゃあ早速これ買って作ってみようよ!」

 

「おう、なら会計は俺がしといてやる。ついでにサラ達も何か買ってやるよ」

 

「え、良いの?」

 

「ああ、偶にはガンプラではなくこういうポケモンのプラモを作るのも悪くないだろ?少し待ってやるから二人とも好きなの買ってきな」

 

「そうか、ならお言葉に甘えるとしよう」

 

そうして二人はポケモンコーナーに行きそれぞれプラモを物色していく。さて、一体どんなのを選んでくるんだろうか「レイく〜んッ!」……ん?あれは、フブキか?

 

「おいおいどうしたんだフブキ?お前確か今配信してたんじゃないのか?」

 

「そ、それが実は……私のポケモンが変なバグが起こって、ナンジャモが行方不明になってるっていう謎の現象が出てしまってるんですよぉ〜ッ!?イベントだと思ってたけどすこん部の皆に聞いてもそんなイベント無いって……!?」

 

はぁ?なんだそりゃ?ナンジャモが行方不明になってるバグ?…………ってちょっと待て、それってもしかして……?

 

「あ、レイジ氏!工作ルームの撮影許可もらってきたよ〜♪ってあれ?また新しい子がいるね?」

 

「え……あ、あれ?ナンジャモにそっくりな娘……?あ、アハハ、まさかね〜?ゲームがバグって配信お流れになった所為かそう見えるだけですよね〜?」

 

ダメだ、フブキがナンジャモを見て混乱してやがるな……早くなんとか落ち着かせないと。

 

「……あれ?もしかして君って……FBK氏?うん間違いない!君FBK氏だよね!?」

 

「へ?そ、そうだけど……?」

 

「あーやっぱり!君の金色のコイキングに負けてからずっと悔しくてずっとリベンジしたいと思ってたんだよ!でも君までこの世界に来てたなんてね!?でもその耳としっぽどうしちゃったの?!」

 

「え?え?……れ、レイく〜ん!?これ一体どういう事なんですかぁ〜?!」

 

いやそれはこっちの台詞なんだが?え?もしかして此処にいるナンジャモって……と、取り敢えず確認する為にも一旦落ち着いてもらわないとな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……つまり、此処にいるナンジャモは私がプレイしていたポケモンの世界からやって来たって事なんですか?」

 

「うーん、レイジ氏の話によるとそういう事になるみたいだね?でもまさかFBK氏がこの世界の人だったとはね〜?」

 

「おそらくセカイ達と同じで何らかの形で次元の歪みが生じてしまってこのホロライトシティに迷い込んでしまったのかもな?」

 

これってやっぱりリク達のいるビルドダイバーズの世界と繋がるゲートを作ってしまった所為なのか?だとしたらもしかすると他の世界からも迷い込んでしまった奴もいたりするのか?……これ終わったらすぐにでも調べないとな。

 

「あ、そだそだFBK氏ー!折角だからボクと一緒にこのコイキング作ろうよ〜♪こういうのは皆で作った方が面白いし、ね♪」

 

「え?う、うんそれは良いけど……?」

 

ああダメだ、フブキの奴まだ若干混乱して脳内処理が追いついてないな?そりゃ悩みの原因が目の前ではしゃいでいたらそりゃ戸惑うわな。まあいざ作るとなれば何時もの調子に戻るだろ?

 

「玲二さん、見つけてきたよ♪」

 

「お、二人も作りたいの決まったか……っておぉ、これはまたデカいの見つけたな?」

 

タイミング良く戻ってきたサラが持ってきたのはナンジャモのコイキングと同じポケプラBIGの『イーブイ』だった。これもまた良いキットなんだよな。

 

 

『ポケモンプラモコレクション BIG 02 イーブイ』

ポケモン界でも屈指の人気を誇るイーブイの特大プラモデル。その作りやすさと肉球や舌には柔らかな軟質素材を使用されておりプニプニしているので子供から大人まで幅広く人気のあるキットでもある。

 

 

「この子見て凄く可愛かったから決めたの♪」

 

「私も姉さんと同じのにしたよ」

 

「おぉーイーブイ!この子も可愛くてバエる……じゃなくて人気のあるポケモンだよね♪」

 

「このシリーズは大きいけど作りやすくて初心者でもオススメのキットだから良いと思いますよ♪」

 

「そうだな、それじゃあ会計済ませて来るからフブキ達は工作ルームで場所を取っといてくれ」

 

『はーい♪』

 

さて、ついでに俺も何か一緒に買うとするかな……お、これ良いな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さあレイくん早速作りましょう♪ってあれ?レイくんその箱って……?」

 

「ああ、俺も一緒に作ろうと思ってな」

 

「おぉー!?それもポケモン?でも見た事のない姿だね……もしかして伝説のポケモンだったりするの!?」

 

「いや、これはポケモンではなくてデジモンっていう別のコンテンツのプラモだな」

 

そう、俺が一緒に買ったのはデジモンのプラモであり、その中でもお気に入りトップ5に入るデジモン『マグナモン』を選んだのだ。これマジで格好良いデジモンなんだよなぁ。

 

 

『Figure-rise Standard マグナモン』

『デジモンアドベンチャー02』に登場した主人公大輔のパートナーデジモンのブイモンが奇跡のデジメンタルを使ってアーマー進化したデジモン。作中での活躍は少ないが後の設定によりロイヤルナイツというネットワークを守護するデジモンの一体という貴重な役割が与えられた。

 

 

「Amplifiedの盛った姿も好きだがやっぱり本来の姿も格好良いよな」

 

「よく分からないけど、この子も凄く凛々しくて良い♪」

 

「確かにポケモンとはまた違うがこれはこれで良いな」

 

「よぉーし!それじゃあ早速作っていこー♪それでこれってどうすれば良いのかな?」

 

「それじゃあまずは箱を開けて中にある説明書通りにパーツを探して切り取ってね。このキットはタッチゲート式だから手で簡単にパーツが取れます、優しく取ってみてください」

 

「んしょ……あ、取れた♪」

 

お、順調に制作を始めたみたいだな。フブキもにじほろの子供達に簡易プラモを教えてるだけあって教えるのもだいぶこなれてきたようだ。さて、俺もちゃっちゃと作るか。今回は後でしっかりと組み立てるなら此処では仮組だけで済ますとしよう。

 

「あ……どうしよう、目のクリアパーツ填める前に頭をくっつけちゃった……」

 

「あ、大丈夫ですよサラちゃん。そういう時は……」

 

そう言いながらフブキは内ポケットから小型のヘラのような物でくっついてしまったイーブイの頭の合わせ目の目立たない所に差し込みテコの原理で開いていく。これはオープナーという道具でこのように間違って填めたパーツや仮組したパーツを分解するのに役に立つ道具である。ていうかなんでそんなの内ポケットに入れてんだよ?もしかして常に工具持ち歩いているのか?

 

「あ、取れた」

 

「では後はクリアパーツを填めてから再度頭をくっつけてみてね♪」

 

「うん♪」

 

こうしてサラも何事もなかったかのように再びイーブイの頭部を組み立てていく。さて、俺もちゃっちゃと組み立てていくとするか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「出来たーーーーーッ!ボクのコイキング完成〜♪」

 

「私達もイーブイ出来たよ♪」

 

「ああ、意外と簡単に出来る物なんだな?」

 

お、三人とも完成出来たみたいだな。フブキが少し手伝ってあげたのもあって目立ったランナー跡もないキレイな状態に仕上がっている。これはなかなか良いキットだな、俺も今度買ってみるか。

 

「それにしてもレイくんも作るの速いですよね?ポケプラよりもパーツ数多いのにサラちゃん達より速く作っちゃいましたし」

 

「まあマグナモン自体は前に作った事あったしな。それでどうだった三人とも、初めてのポケプラ制作は?」

 

「うん!ポケモンバトル以外でこんなに楽しくなったの久々だよー♪このコイキング、持って帰ってジムに飾ろーっと♪」

 

「私もGBN以外でこうやってプラモを作って楽しかった♪この子達も可愛く出来たし♪」

 

お、そうか。ならそんなサラにサプライズをしてやるか。それ!

 

ーキュイィィンッ!ー

 

「え?れ、玲二さん、一体何をしたの……?」

 

「まあ見てなって」

 

ー…………ピク、ピクピクッー

 

「……ブイ?イブイッ!」

 

「え!?い、イーブイが動いた!?」

 

そう、俺はサラとメイが作ったイーブイ達に力を注いでリシェッタと同じように自立出来るようにしてやったのだ。動けるようになったイーブイ達はサラ達に近づくと手のひらに乗っかり匂いを嗅いでいく。

 

「イッブイィ〜♪」

 

「可愛い……それにプラモデルとは思えない程柔らかくてフワフワしてる♪」

 

「あぁ、命を宿した際に形状変化もさせといたから本物となんも差異はないな。強いて言えば進化しないってだけか」

 

「スゴイスゴイーーーーーッ!レイジ氏そんな事も出来たんだ!?ねーねー、それならボクのコイキングも動かして見せてよ!」

 

「ん?ああ良いけど……」

 

ナンジャモに言われて取り敢えずコイキングも動かす事にしたが、けどコイキングって確か……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「コイコイコイコイコイコイコイコイッ!」

 

ービチビチビチビチビチビチビチビチッ!ー

 

「……これで満足かナンジャモ?」

 

「……ごめん、戻して良いよ」

 

やっぱり、コイキングってピチピチハネるしか動作がないからテーブルの上でハネてうるせぇ。流石のナンジャモもこれには敵わなかったようで結局コイキングは元のプラモに戻したのであった。

 

「それにしてもこのイーブイ達、プラモとしては大きかったですけど動物としてはちっちゃくて可愛いですね〜♪」

 

「うん、モルちゃん達にもお友達が増えて嬉しい♪よろしくねブイちゃん♪」

 

「イッブイ♪」

 

「ブイ〜?」

 

「……こ、これからよろしくな、“マイ”///」

 

「プイィ〜♪」

 

どうやらサラはブイちゃんと、メイはマイと名付けたみたいだな。メイはこういうのに慣れてないからか少し照れてるようだがすぐに慣れるだろ?

 

「もぉーーーーー!こういう事ならボクもイーブイにすれば良かったぁーーーーーッ!」

 

「まあまあナンジャモも落ち着いて……」

 

「ほら、あんまり店の中で騒ぐと他の人の迷惑になるからそろそろ落ち着こうな?」

 

ほら唯でさえ目立つメンツなのに騒ぐと余計に悪目立ちしてしまうだろ?まあお前等に関しては傍からはコスプレイヤーだと思われてるみたいだから其処まで騒ぎは大きくならないと思うが、それでもモラル的にはおとなしくしてくれよな?

 

「あ、そだ!レイジ氏も折角だからそのマグナモンっていうのを動かしてみてよ!」

 

「そうしたいのは山々だが、これは本格的に塗装しようと思ってたから仮組の為にパーツを緩くしてしまったんだよ。だから動かすとパーツが外れやすくなってるから動かす事が出来ないんだ」

 

「えぇ〜!?そんなぁ、動いたら絶対格好良いのにぃ〜ッ!」

 

確かにマグナモンは動いたら格好良いんだろうけど、それなら本格的に塗装してから動かしたいんだよ。だからマグナモンに関しては今回はお預けだな。

 

「あ、そだそだ!そろそろ締めないと!皆の者ー、今日はどうだったかな?ナンジャモの不思議異世界観光はこれにて終了!また機会があったらぜひぜひ遊びに来たいと思うよ〜♪それじゃあこの動画が面白かったと思ったらチャンネル登録と高評価、ヨッロシクね〜!あなたの目玉にエレキネット!エレクトリカルストリーマー!何者なんじゃ?ナンジャモでしたー!まったね〜♪……ヨシ、これで動画もバッチリ!異世界動画なんてバエにバエる、じゃなくて皆も楽しんでくれるよね♪」

 

動画を締めても雰囲気は変わらない、ある意味裏表がないんだろうなこの子は?ウチだとそらやアズキも裏表がないけどそれとはまたベクトルが違うからな……もしこの子がポケモンの世界から来た子じゃなかったら間違いなくスカウトしていただろうな?全く惜しい人材だよ。

 

「じゃあ動画も締めたしレイジ氏!早く帰ってそのマグナモン完成させよ!早くその格好良い姿が動くところを見てみたいんだ〜♪」

 

「いや今からかい?全く……仕方ないな。フブキ、手伝ってくれるか?」

 

「うん、まだミオ達が帰ってくるまで時間もありますし良いですよ♪それじゃあ神羅城へと戻りましょうかね」

 

「我々もヒロトや皆のところに戻るとしよう」

 

「じゃあ此処でお別れだね。ブイちゃん、一緒に行こう♪」

 

「「ブイ〜♪」」

 

俺達が家に戻ろうとするタイミングでサラ達もリク達の元へと帰り、俺達もナンジャモを連れて神羅城へと帰宅していった。家に着いてナンジャモの姿を見て皆びっくりしたけど予定通り俺達はそのままマグナモンの塗装に入り能力を駆使して約二時間程で完成させたのであった。

 

 

 

 

 

それから二日後、ナンジャモの住んでいる世界への道を見つけゲートを開きナンジャモを元の世界へと送り返した。一応位置は把握したから何時でもあの世界に行けるが、まだこの先どんな展開になるのか分からない世界だからなるべく干渉はしないようにしないとな……っと、そろそろフブキのポケモン配信でも見るとするか。お、丁度今ナンジャモとのリベンジバトルか。けどこのナンジャモがつい最近まで俺達と一緒にいたナンジャモと思うとなんか不思議な気分になるな……

 

❲いっくよーFBK氏!レイジ氏との絆の力見せちゃるぞい!❳

 

《へ?な、何これ?なんでレイジなんて名前が出てくるの……?そんなキャラ今作にはいない筈……?》

 

ーナンジャモはマグナモンを繰り出したー

 

《うえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ?!な、なんでデジモンが出てくるんですかあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!?》

 

ブウゥゥゥゥゥゥゥーーーーーッ!?ゲホッゲホッ、びっくりしてお茶吹いてしまった……あの馬鹿何してくれてんだよ!?この間完成させたマグナモン確かに力を注いで動けるようにしたけどまさかそのまま連れてったのかよ?!

 

ーマグナモンのエクストリーム・ジハード!ー

 

ー急所に当たった!キングカザマは倒れてしまったー

 

《キングカザマあぁぁぁぁぁぁーーーーーッ!?》

 

うわぁ一撃かよ?流石ロイヤルナイツの一体……じゃなくてヤバいぞこれ!?コメント欄も困惑してるし、急いで対処しねぇと!?あぁもうあのバカ野郎!余計な仕事増やしやがってえぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!

 

 

 

その後ナンジャモのいる世界に飛んだ玲二はナンジャモに説教した後にマグナモンを回収、その後元の世界に戻ってすぐにフブキの配信を非公開にした後ネットを通じて配信を見ていたであろう者達の記憶を消すという何とも面倒くさい対応に追われてしまい、力を使い過ぎた玲二はその後丸一日眠りについてしまうのであった。

 




はい、という事でナンジャモとサラとメイでポケプラ作りの回でした!ポケプラBIGはパーツ数が少ない割にクオリティーが高いので初心者にもオススメなので是非これからプラモを作ろうと考えている方やポケモン好きな方は是非買って作ってみてください!

次回はいよいよダイバーズVSファイターズの対決となります!時間もまったり待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第104話『ダイバーズVSファイターズ 前編』

いよいよ始まるリクとセカイのバトル!一体どんなバトルになるのだろうか?( ・`д・´)

今回はまだ出てきた事のないキャラも登場しますが最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


前回のイベントからエキシビションマッチを決めてから一週間、この間にパトリックの足を治したりサラとメイを人間にしたりこの世界に迷い込んだナンジャモの相手をしたりといろいろあり過ぎて大変だったな……

 

ともあれこれで漸くリク達のバトルが見れるな。さて、一体どんなバトルになるのやら……?

 

「おまたせしました!それでは只今よりガンプラウォーズinホロプラ!ダイバーズVSファイターズのエキシビションマッチを行いたいと思います!」

 

『うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーッ!!』

 

司会進行役のるしあが宣言すると同時に観客達も一斉に盛り上がりを見せてくれる。皆よっぽどこのバトルを楽しみにしてくれてたんだな?最も今回は特殊なバトルだからいるのはホロライブとにじさんじの関係者だけだが。

 

「では早速選手の紹介なのです!まずはチームファイターズから!その拳に宿るは熱き炎!立ち向かう強者は全て倒す!次元覇王流の格闘家!カミキ・セカイッ!」

 

「おうッ!別世界のバトル、全力で挑ませてもらうぜッ!」

 

お、セカイもかなり気合が入ってるな……あれ?でもこの勝負3VS3の筈なのにフミナとユウマが観客席側にいるがどういう事だ?

 

「続いてはこの方!この日の為にずっとガンプラを作ってました!社長の財力見せてやるッ!にじさんじ兼加賀美インダストリアル社社長!加賀美ハヤトォッ!」

 

「おっしゃあぁッ!漸くこのゲームに参加出来るぞぉーーーッ!」

 

ってお前かい!?もしかしてこのゲームやりたいが為に交代してもらったのか?!という事はもう一人も……!?

 

「そして最後の一人は!女に見えるが実は男!世の不可思議ホラーを網羅したい!漆黒の狂気!ましろ爻ェッ!」

 

「よっしゃあッ!この勝負勝って玲二君に僕の○貞もらってもらうぞぉッ!」

 

いやガチでヤバい奴じゃねーか!?ましろ爻(メメ)はにじさんじに所属するライバーの一人で女のような見た目だが実際は男である。こいつもたまきと同じく俺に執拗に迫ってるんだが俺にそんな趣味はねぇッ!しかも○貞もらってもらうってそれ俺がヤラれる側じゃねーか!?

 

「以上がチームニューファイターズの三人です!そしてましろさん、終わったらちょっと事務所に来い……では続いてはダイバーズより!その蒼き空に写るは勝利の輝き!異界の仮想世界を幾度となく救ったヒーロー!ミカミ・リクゥッ!」

 

「い、いやぁヒーローだなんてそんな……///」

 

っと、そんな事思ってたら次はリクの番か。そしてこっちもリク以外のメンバーが観客席にいるから多分こっちも誰かが代わりに参加してんだろうな?

 

「続いてはこちらの方!一度引き受けたからには必ず守り抜く!愛する者には手出しさせない!鮫を愛する真紅のボディーガード!レイン・P・佐々木ィッ!」

 

「こんパター!今日はパタちが玲二君に代わってリッくんを護衛するよ〜♪」

 

あ、リクの方に着くのはレインか。レインはにじさんじに所属するエデン組と呼ばれるメンバーの一人で副業としてボディーガードも営んでいた。因みに実はルイと同じく中学時代の同級生で当時レインは俺に告白してきたがその時ルイが妨害した所為で告白はお流れになってしまった。現在はその想いに応え婚姻を結んだのだが中学時代の同級生というのを利用して他のにじさんじ組にマウントを取ってるらしい。あんまり意味ないんだけどな?

 

「そして最後!ほぼお情けで結婚させてもらったと言っても過言じゃない!未だに玲二さんから夜の相手をされた事がない!このままでは離婚か!?アンジュ・K・佐々木ィッ!」

 

「お情けちゃうし!?確かにまだ相手してもらってないけど離婚せんし!?てかなんでアタシだけこんな変な紹介なん?!」

 

最後はアンジュか。まあ、確かにアンジュとはまだそうした事してなかったな?……この話はもう止めとくか。

 

「以上でチームネオダイバーズの紹介は終了!これで両チームが全て揃いました!それでは今回の対決内容を玲二さんから発表してもらいます!それでは玲二さん、お願いするのです!」

 

「あぁ、今回はズバリ『ハンティング対決』だ。舞台は広大な木々に囲まれた密林エリア。此処には既にホロメン達が予め用意された機体を使用し各自身を隠している。それらを見つけ撃破していき、先に五機撃墜した方が勝ちというものだ」

 

「ハンティング対決か……これは如何に玲二さんの奥さん達を見つけて倒すかがポイントになってきそうだな?」

 

そうだな、ホロメンの中にはマジで隠密行動が得意な奴もいるから多分そういう奴を見つけるのは難しいかもしれない。反面そういうのが苦手だったり寧ろ目立つ行動をする奴もいるからそういう奴等をすぐに倒す事が出来ればかなりリードするかもしれないかもな?

 

「そして!前回このエキシビションマッチが決まった際に予めセカイ君にクジを引いてもらい決めましたがこのミッションには出撃時の制限があるのです!リーダー以外の二人は必ずガンダムタイプ以外の宇宙世紀仕様のガンプラで出撃してもらうのです!」

 

成る程、だからユウマとフミナが参加出来なかったのか。リク達の方もユッキーが一応ジェガンタイプを使ってるけどそれ以外は全部参加出来ない機体だしな。ホロメンもるしあを除いて全員参加してる為に頼れないからにじさんじ組に頼んだというワケか。

 

「それではルール説明も終わったので早速始めるのです!両チームは各筐体の前でスタンバイお願いします!」

 

「セカイ、楽しいバトルにしような?」

 

「ああ!俺の生まれ変わったバーニングガンダムの力、見せてやるッ!」

 

おぉ……二つの物語の主人公がこうしてぶつかり合うのを実際に見れるとは、なんとも不思議な気分だな……なんて思ってたらそろそろ始まるな。はたしてこの勝負、一体どんな対決になるんだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おぉ……こ、これがガンプラウォーズ!こんなにもリアリティ溢れる画面とは予想以上なんだが!?」

 

ゲームが始まってすぐにハヤトがはしゃいでいる。あいつ今の今までこのゲーム出来ずにずっと不満そうにしてたけど喜んでくれたならこっちも普通に嬉しいわ。

 

「さあここからは実況は私佐々木美兎、そして解説にはクガ・ヒロトさんでお送り致します。ヒロトさん宜しくお願いしますね♪」

 

「あ、あぁ……?」

 

ほお?実況は美兎で解説はヒロトか。でもヒロトの奴なんかあまり状況が呑み込めてないな?多分だが美兎が誘導して彼処に座らせたんだろうなきっと。

 

「それではまずチームニューファイターズのガンプラから紹介します!リーダーのセカイ君はカミキバーニングガンダム!そして加賀美社長の機体は……ヒロトさん、これはなんて機体でしょうか?」

 

「これはリゼルだな。カラーリングは違うがおそらくはユニコーンに出ていたタイプC型だ。そしてましろさんの機体はアッシマー……いや、これも同じユニコーンに出ていたアンクシャだ」

 

へぇ、ハヤトがリゼルで爻がアンクシャか。これは面白いチョイスだな。

 

 

『HG リゼルC型(ディフェンサーbユニット/ゼネラル・レビル配備機)』

『機動戦士ガンダムUC』に登場した地球連邦軍の機体。Zガンダムの量産型を目的に開発されたリファイン・ガンダム・ゼータシリーズの機体である。バックパックには高火力のメガビームランチャーが装備され更に機動性に優れたウェイブライダーの変形ギミックもある。今回は加賀美ハヤト機という事でシルバーとブロンズの2カラーとなっている。

 

 

『HG アンクシャ』

『機動戦士ガンダムUC』に登場した地球連邦軍の機体。アッシマーというモビルスーツの後継機で姿も酷似しているがこちらはジェガンのようなフェイスになっておりパーツも完全新規の物となっている。こちらもMA形態への変形が可能なMSである。ましろ爻機としてこの機体は黒い装甲に赤い模様が描かれている。

 

 

「そしてチームネオダイバーズの機体ですがリクさんの機体が勿論ガンダムダブルオースカイメビウスでパタちは以前のイベントでも見たZZIIでアンジュさんのは……これは、戦車でしょうか?」

 

「いや、これはロトというこれもまたユニコーンに出てきた機体だ。にしても珍しいチョイスだな……?」

 

 

『HG ロト』

『機動戦士ガンダムUC』に登場する地球連邦軍の特殊部隊エコーズの専用機体。他の機体に比べかなり小型で戦車のような形態に変形出来る。因みにガンプラではこれがニコイチのツインセットとして出ている。

 

因みにレインのZZIIは赤く塗装されておりアンジュのロトは機体の一部に何故かハ○太郎のデカールが貼られている。

 

 

「ちょっとアンジュさん!?なんでそんな機動性の低いドマイナーな機体チョイスしたんですか?!」

 

「しゃーないやん!戌亥が参加するならこれが良いって言うからこれにしたんだしッ!」

 

成る程、アンジュの奴戌亥に唆されたか。確かに普通ならこういう密林地帯なら小型の方が小回り効いて良いがロトの戦車形態は此処ではなんの役にも立ちそうにない。これは戦力としてリク達の方が危ういか?出来れば爻の事もあるからリク達には是非とも勝ってほしいんだが……考えただけでも寒気がしてきたわ。

 

「さあ互いのチームの機体説明も済みましたのでいよいよゲームスタートです!それではぁ、よーい……ドンッ!」

 

 

ーGAME STARTー

 

 

ゲーム開始のアナウンスと共に各自散開し森に隠れたホロメン達を探しに向かっていく。しかし、セカイのカミキバーニングが木の上の飛びながら移動して他の皆は飛行して空から探しているのにアンジュのロトだけはMS形態で地上をぎこちなく駆け回っている。まあこの中でセカイのカミキバーニングは別としてアンジュのロトには飛行能力ないから仕方ないが、なんかロトが走ってるってシュールだよな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーセカイSideー

 

「そう言えばまだちゃんと言ってなかったな?二人とも、今日はよろしく頼みます」

 

「勿論です!今日このゲームやるのにどれだけ我慢した事か……ッ!」

 

「僕もこの勝負に勝って玲二君を……フヒヒ♪」

 

な、なんか加賀美さんはともかくこのましろって人怖いな……?取り敢えずまずは敵を見つけないと……

 

ー……ガサッー

 

「ッ!二人とも、彼処に何かいるぞ!?」

 

「何ですと!?ならばまずは私から行かせてもらいましょう!」

 

加賀美さんはそう言うとリゼルとかいうガンプラを旋回させて地上へと降りていった。そして何かが動いた辺りを狙ってビームで攻撃していく。すると……

 

ーバッ!ー

 

《あらら、すぐに見つかっちゃったか?結構上手く隠れてたつもりだったんだけどなぁ?》

 

「ッ!やっぱりいた!」

 

「この声は……トワさんだね?それとその機体は……一体なんだろうか?」

 

「これは……私もガンダムはそれなりに見てはいますがこれは見た事のない機体ですね?」

 

確かにこのトワって奴が乗ってるガンプラ、今まで戦ってきた奴等とは何かが違うな?一体なんてガンプラなんだ?

 

《あー、言っとくけどトワ達が今回使ってるのはガンプラじゃなくて30MMの“スピナティオ”だから》

 

「30MM!?それってガンプラとは違うロボットシリーズじゃないですか?!」

 

「えぇッ!?なんでガンプラじゃないキットがこのゲームに参戦してるのさ?!」

 

30MM?よく分からないけどガンプラとは違うのか?確かに見た目もなんか今までのガンプラ達とは少し違うけど……?

 

 

『30MINUTES MISSIONS スピナティオ』

ガンプラと同じメーカーが出しているお手軽に改造が出来る30MMシリーズの中でも特に人気の機体。その大きな特徴として素体となる本体にカスタムパーツを着ける事で戦国仕様やナイト仕様等の様々なタイプに変化する事が出来る。

 

 

《いやね?玲二さんが同じメーカーから出てるならこういうのもありだなって言ってわざわざメーカーに許可もらってこの30MMシリーズが参戦出来るようにしてもらったんだって。まあ流石に特撮ヒーローやデジモンがいるフィギュアライズは無理だけど、ねッ!》

 

ーバキュゥンッ!バキュゥンッ!ー

 

「うおッ!?危なッ!?」

 

ッ!いきなり撃ってきた!?加賀美さんはなんとか避けたみたいだけどあいつ、かなり正確に加賀美さんを狙っている!このままじゃ加賀美さんが危ない!急いで加勢しないと!?

 

「いくぞッ!次元覇王流!正拳突きィッ!!」

 

ーゴオォォォォッ!ー

 

ーヒュンッ……ガキイィンッ!ー

 

「なぁッ!?」

 

な、なんだ!?正拳突きで攻めようとしたらいきなり違う奴が現れて盾で攻撃を防いだ!?しかもさっきの奴と装甲が違う!?

 

《こんまっする〜♪トワちん助けに来たよ〜♪》

 

《おーノエル先輩ナイスタイミング♪》

 

「ノエルさん!?しかもその機体まんま騎士じゃないですか!?」

 

「へーそんなのもあるんだね30MMって?フレンさんとかめっちゃ好きそう」

 

現れた騎士っぽい頑丈な奴に最初にいた兵士っぽい射撃が得意な奴、こういうのがまだ他にもいるのか……!?けど、おもしれぇ!こうなったら全員倒す勢いでやってやるッ!

 

 

 

遂に始まったリクとセカイの対決withにじさんじ。はたして勝つのはどちらなのか?続く……




はい、という事でハンティング対決スタートです!今回は前編中編後編と分けてお送りします!因みにスピナティオにしたのは単純に好きだったからです!簡単に作れて格好良いので皆さんも是非見つけたら買って作ってみてください♪

それでは次回もまったり待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第105話『ダイバーズVSファイターズ 中編』

昨日ヨドバシでMGSDフリーダムを買いに行きました、無事ゲットです♪ただ雪国なのでこの時期朝から並ぶのキツ過ぎます……(ToT)

今回は中編!リク達の方は一体誰が出てくるのか?今回も最後まで見て頂ければ幸いです、ではどうぞ!


セカイ達ニューファイターズがトワとノエルと交戦を始めた頃、リク達ネオダイバーズは現在拓けた場所へと降下し辺りを探索していた。と言ってもアンジュが駆るロトはまだ到着してないが……

 

「そういえばお二人も玲二さんの奥さんなんですよね?前回GBNに遊びに来た時はいなかったみたいですが、何か用事があったんですか?」

 

「あー、その話は玲二君から聞いてはいたけどその時はまだ私達にじさんじ組は結婚してなかったんだよね。リゼ先輩と竜胆先輩が頑張ってくれたお陰でパタち達も玲二君のお嫁さんになれたって事♪」

 

「そ、そうだったんですか!?因みにそのにじさんじっていう所から玲二さんの奥さんになったのってどれくらいいるんですか?」

 

「え?えーと、美兎先輩に楓先輩にひま先輩、他は咲先輩に夜見先輩にフミ先輩。それと他にも何人かいたけど数までは覚えてないな~?でもパタち達が入って玲二君のお嫁さんは60人は超えたね♪」

 

60人を超える玲二の嫁。そう聞いてリクは只々呆気に取られるのであった。

 

「そ、そうなんですね?ところでもう一つ気になってたんですが……その状態でこのゲームやっても大丈夫なんですか?」

 

「え?あー大丈夫大丈夫♪寧ろ今激しく動く事出来ないからせめてゲームだけでもはっちゃけないとなーって♪」

 

レインはそう言ってぽっこり膨らんだ自分のお腹を撫でる。そう、実はレインは今玲二の子供を身篭っているのだ。しかもなんと、にじさんじ組で最初に玲二の子供を身篭ったのはレインなのである。玲二との初夜を迎えた時、レインの無尽蔵な体力と玲二の底知れない精力の所為か二人とも朝までどころか昼過ぎまでハッスルしてたようでどうやらその時に見事ヒットしたようである。因みに現在四ヶ月目との事。

 

「いやぁ玲二君との子供ってだけで本当に嬉しいなぁ♪」

 

「そ、そうですか……?(あの人どんだけ子供作る気なんだろう……?)」

 

今現在ですら40人以上いるのにまだ子供を作っている玲二にリクは若干呆れてしまう。その内100人超えるのではないだろうか……?

 

「ちょっと待ってよぉ〜ッ!?」

 

「あ、アンジュ先輩!一体何処ほっつき歩いてたんですか!?」

 

「しょーがないじゃん!?このガンプラこの地形じゃ身動き取りづらいんだもん!」

 

そして少し遅れてアンジュも合流し三体が揃う。しかし此処までまだホロメンが駆る機体は一機すら見つかっていない以上油断は出来ない状況である。

 

「どうする?このまま闇雲に探しても見つからないかもしれないよ?」

 

「そうですね……なら此処からは分散して探してみましょう。俺はこっちの方を探してみます」

 

「あ、なら私はこっちの方にーパキッーえ?今何か踏んだようなーバサアァッ!ーうわあぁぁぁッ!?」

 

「あ、アンジュ先輩!?」

 

分かれて行動しようとした瞬間、アンジュが駆るロトが突如網に捕獲され木の上に吊るされてしまった。ロトがジタバタするも縄が頑丈なのかびくともしない。そして……

 

《ぺーこぺこぺこ!まずは一人確保ぺこ〜♪》

 

「ッ!?この声、ぺこらさん!?でも一体何処から?!」

 

「わ、分からない!?辺り全体から声が響いてる……どうやら拡声機を使ってるみたいだ!?」

 

突如ホロメンの一人であるぺこらの声が響き渡ってきた。しかし声が反響している所為で何処から声がするのか分からない。

 

《ファッファッファ♪この勝負はぺこーら達を倒すハンティングゲーム!ならぺこーら達がやすやすと姿を見せるワケねーぺこだよ!》

 

「クッ!?確かに理に適ってるけど……兎に角今はアンジュさんを助けないと!」

 

姿を見せないぺこらを探すよりもリクはまず捕まったアンジュを助け出そうと網へと近づこうとする。しかし

 

ーヒュンッ……ガッシャアァンッ!ー

 

「な!?アンカートラップ?!」

 

《あ、言い忘れてたけど其処ら辺一帯はぺこーらの仕掛けた罠で埋め尽くされてるぺこ〜♪》

 

アンカートラップによりスカイメビウスの両足が拘束され身動きが取れなくなってしまった。リクは急いでビームサーベルで切断しようとするもこちらも縄が頑丈で切断出来ずにいた。

 

「クソッ!これじゃあ抜け出せない!?」

 

《ファッファッファ〜♪これで残るはレインちゃん唯一人ぺこだね〜♪》

 

「……そうだね、少し面倒になっちゃったかな?」

 

二人が捕まり残すはレイン唯一人となってしまう。が、レインは面倒とは言うものの何処か余裕な様子を見せ、そんな態度にぺこらは少しムッときていた。

 

《……なんか余裕ぺこだね?幾らやられてもスタート地点に戻されるだけからって……大体あんた達みたいなぽっと出が師匠と結婚したのが気に食わねーぺこだよ!師匠のお嫁さんはぺこーら達だけで充分だってのに……!だからせめてあんた達には此処で敗れてもらってどっちが師匠のお嫁さんとして立場が上か分からせてやるぺこぉッ!》

 

「へぇ〜そうなの?それは大変だね〜……で、言いたい事はそれだけ?」

 

ーピシッ…!ー

 

突如レインが背筋が凍る程のドスの利いた声を出すとぺこらは、いや近くにいたリクとアンジュですらその謎の恐怖感に襲われていく。

 

「あのさ、ぽっと出って言うけど私から言わせてもらえばあんたの方がぽっと出なんだけど?こっちは玲二君とは中学生からの顔馴染だし、なんだったら私一度玲二君に告白したし。まあルイちゃんに邪魔されたけど……つまり私より付き合いの浅いあんたなんかに玲二君との関係とやかく言われる筋合いなんかないし、しかも玲二君はそういう事で順列付けるような真似が嫌いなのにそれを理解しないでどっちが上かなんてくだらない事言ってるのがムカつく。だからまずはお前を……狩る」

 

ハイライトが消えた目で密林を睨みそう言うと、ぺこらは直接睨まれたワケではないのに恐怖で身震いを起こしていた。しかしまだ見つかってはいないと気持ちを落ち着かせ更に徴発を続けていく。

 

《け、けどまだ此処ら辺にはぺこーらの仕掛けた罠がたっぷりとあるぺこ!これを掻い潜ってぺこーらの元に辿り着くなんて「そうそう一つ言い忘れてたんだけど?」ぺこ?》

 

「パタちはね、毎年ある時期になると大体一ヶ月くらい必ず有給取るんだ〜。何でだと思う?」

 

《そ、そんなの知らねーぺこ?!唯の休暇じゃねーぺこか!?》

 

「ううん、そんなんじゃないよ。まあ実際に見てもらった方が早いか……なッ!」

 

ーバキュウゥンッ!バキュウゥンッ!ー

 

ードゴオォンッ!ドゴオォンッ!ー

 

「「《ッ!?》」」

 

レインの駆るZZIIが突然辺りに向かってビームライフルを発砲しだし辺りに爆風が巻き起こっていく。しかしそれは唯闇雲に撃っているワケではなかった。それは……

 

《なぁッ!?ぺこーらの仕掛けた罠の場所をピンポイントに狙ってやがるぺこ!?ど、どういう事なんだよこれはぁッ?!》

 

「パタちはね、毎年玲二君のお兄さんに頼んで地獄の修行をやってるんだ。玲二君の事を何時でも護衛出来るようにね。そのお陰かこうした小細工程度の罠なら簡単に見破る事が出来るんだよ!」

 

《はあぁーーーッ!?あんたあの地獄の修行を自分から進んでやってるぺこかあぁぁぁぁぁぁッ?!》

 

地獄の修行、それは玲二の兄である浩一が行う怠けた者への粛清特訓の事でありそれは並の人間が行うと三日待たずとギブアップしてしまう程のモノだ。勿論ギブアップなど許されはしないが。

 

レインはそんな地獄の修行を自ら志願して毎年一ヶ月程みっちり鍛えられ、その成果として単純な体力と戦闘力、そして観察力は玲二よりも優れているのだ。故にぺこらの仕掛けた罠程度ならば簡単に見破る事が出来るし、仮に掛かったとしても対処法も心得ているのでこの程度では全く動じはしないのである。

 

因みに現在レインを除いて地獄の修行を自ら志願した事があるのは玲二と拓哉とにじさんじに所属するベルモンドの計四人である。

 

「……よっと。これで粗方の罠は駆除出来たかな?」

 

《ぺこおぉぉぉぉぉぉッ!?ぺこーらが一生懸命仕掛けた罠があぁぁぁぁぁッ!?》

 

「す、スゲェ……!?」

 

「パタちってこんなにスペック高かったんや……?!」

 

あっという間に全ての罠を解除したレインにリクとアンジュも只々凄いと称賛するしかなかった。因みにリクはその間になんとかスカイメビウスの足に付いたアンカーを外して脱出したがロトは未だに脱出出来ずジタバタしているだけであった。

 

「よし!これで後はぺこらさんを見つけて倒すだけ「待って」え?どうしてですかレインさん?」

 

「……幾ら事前に準備出来たとはいえこれだけの量の罠を一人で仕掛けたとは思えない。多分だけど……ぺこらさん、貴方以外に最低でもあと二人は隠れてますよね?」

 

《ギクッ!?な、なんの事ぺこかね〜?》

 

「うわ、分かり易い動揺の仕方?まあ良いや……」

 

ーピンッヒョイッー

 

レインはそう言うとZZIIの腰に隠してあった手榴弾を三つ取り出して安全ピンを外してそれぞれ茂みや木の影に向かって放り投げていく。そして

 

ードゴオォンッ!ドゴオォンッ!ドゴオォンッ!ー

 

《どわあぁぁぁぁぁぁぁぁーーーッ!?》

 

爆風が舞うと同時に影に隠れていた三機がふっ飛ばされ姿を現した。一つは白装甲にピンクの外装を装着した機体、もう一つは黒と白の装甲に紫の外装を装着した機体、そして最後に小型で丸っこい機体だった。

 

《もおぉーッ!ぺこらがこの作戦上手くいくって言ってたから協力したのに全然失敗してんじゃねーかぁッ!?》

 

《う、うっさいぺこ!大体なんでZZIIに手榴弾なんて装備されてるぺこだよ!?》

 

「ボディーガードの嗜みです♪」

 

《いやボディーガードは手榴弾なんか使わんやろ!?》

 

どうやらピンクの外装の機体がまつり、紫の外装の機体がラミィ、そして小型の機体がぺこらのようである。しかもこれ等の機体もセカイ達と戦ってるトワ達と同じ30MMシリーズの機体だった。

 

 

『30MINUTES MISSIONS スピナティア』

30MMシリーズでも人気のスピナティオの姉妹機であり、攻撃等に特化したスピナティオに対しスピナティアは機動性に特化している。こちらもスピナティオ同様に外装を変える事で様々なタイプに仕様変更する事が出来る。

 

 

『30MINUTES MISSIONS エグザビークル(装甲突撃メカVer)』

30MMシリーズの小型メカロイロイを搭載した小型兵装。通常運転の他にも頭部を分離しロイロイとしても行動出来る。

 

 

「あれって確か前にユッキーがお土産で買ってきていた30MMシリーズ!玲二さんあんなのも実装してたのか!?」

 

「そうみたいだね?さてと……敵も炙り出した事だしさっさと倒すよ!」

 

《うわこっち来るよ!?》

 

《もぉこうなったらヤケクソぺこ!あんた達ぃ、やっておしまいぺこぉッ!》

 

《それ完全にやられ役の台詞だってぇッ!?》

 

もう逃げられないと察したのか二機のスピナティアとエグザビークルは半ば自棄になりZZIIへと突っ込んでいく。そして結果は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ま、突っ込んでくるだけの相手を倒すなんてボディーガードからしてみれば朝飯前だよ♪」

 

《こ、この扱い酷過ぎじゃない……?》

 

《ラミィ達なんの活躍もしないまま負けちゃった……》

 

「す、凄い、あっという間に倒しちゃった……?」

 

言わずもがなボディーガードとしてのスキルをフル活用しているレインに三人は手も足も出ないまま簡単に敗れていった。これには流石のリクも啞然とするしかなかった。

 

《うぅ〜悔しいぃ~!大体なんでガンダムタイプ禁止のルールなのにZZII使ってるのさぁ?!レギュレーション違反だぁーーーッ!》

 

「残念、元となったZIIも公式のどの設定でもガンダムの名が付いてないからこの機体はガンダムタイプではないって判断されたんですよ。大体本当にレギュレーション違反ならそもそも参加出来ませんし」

 

「ま、まあ昔からZII含めてガンダム論争は頻繁にあるからこういうのは割りとグレーな気が……ってあれ?レインさん!全部撃破した筈なのに倒した数が二機しかカウントされてないですよ!?」

 

「え?でも三機とも此処にあるんだけど……ッ!?こ、これは……!?」

 

レインが横たわる三機の残骸を見ると、なんとぺこらの乗っていたエグザビークルの頭部がすっぽりとなくなっていたのだ。先程機体説明をした通りエグザビークルは頭部を分離しロイロイという小型ビークルへと単独での行動が可能なのである。つまりはぺこらはZZIIにやられる直前にエグザビークルからロイロイを分離し逃げていたのだ。

 

「しまった!?本体の頭部を破壊しないと撃破した扱いにならないんだ!」

 

「まだそう遠くへは逃げてない筈だから急いで探そう!」

 

レインとリクは急いで逃亡したぺこらを見つけようと辺りを見回していく。その木の影から分離したロイロイが現れ二人に気づかれないように静かにその場を離れようとしていた。

 

《ぺーこぺこぺこ♪もしも倒された時の為にこのロイロイに分離出来るエグザビークルにしといて正解だったぺこ♪さぁて、早いとここんな場所から逃げて後は隠れ続けてやるぺこーブチッ!ー……ブチ?》

 

「うわあぁぁぁ〜ッ!?」

 

《ぺ、ぺこおぉぉぉぉぉぉッ?!》

 

ーグシャッ!ー

 

逃げようとするロイロイの真上からロトが網に絡まりながら落ちてきてそのままロイロイはロトの下敷きとなり撃破されてしまった。実はアンジュは縄が切れないかとロトのキャタピラ部分をフル回転させ摩擦で切断しようとしていたようで、それが上手くいったは良いが着地する時の事を考えておらずそのまま落下してしまったようだ。まあ結果としてぺこらの駆るロイロイを撃破したので良しと言えよう。

 

「アンジュ先輩大丈夫ですか!?」

 

「痛たた……あれ?今なんか踏み潰したような気がしたんだけど……?」

 

「あ、撃破数が3になってる。どうやら今アンジュさんが踏んだのってぺこらさんだったみたいですね?これでまず俺達が先制を取れたな」

 

アンジュのファインプレー?によって相手チームより先に三機撃墜に成功したチームネオダイバーズ。次なるターゲットを目指してこの場を離れようとする。しかし……

 

 

 

ーバキュウゥンッ!ー

 

「うぉッ!?な、なんだ!?」

 

「銃撃!?でも一体何処から……!?」

 

突如何処からか銃弾が放たれスカイメビウスの足元直前の地面に撃ち込まれていった。そしてなんとその発砲者は隠れるといった事はせず堂々と姿を現したのである。

 

「こ、今度は迷彩柄の機体……!?」

 

「……この堂々とした感じ、おそらくだけどぼたんさんかな?」

 

《お?よく分かったな〜?まあ他の奴等じゃこんな装備や塗装なんてしないか》

 

そう、現れたのは迷彩柄に塗装されスナイパーライフルをはじめとする幾つもの銃を装備したコマンド仕様のスピナティアであった。スピナティアはスナイパーライフルを投げ捨てると今度は腰にマウントしていたマグナムを取り出しZZIIへと銃口を向けていく。

 

《悪いけどあたしはさっきの三人みたいにこそこそしたりはしないけど容赦もしないよ?それに今他の仲間にも連絡したからもう少ししたら何人かは来ると思うけど……それでもやるって言うなら掛かってきな♪ 》

 

「あわわわわ……!?」

 

「す、凄い威圧感だ……!?」

 

「……これは、少し骨が折れそうかも……?」

 

まさに眠れる獅子目覚めると言った所か?鋭い眼光で睨むぼたんにリクとアンジュはおろかレインですら威圧されてしまう。はたしてリク達はぼたんを倒す事が出来るのか……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

所変わって今度はセカイSide

 

 

 

「はあぁッ!」

 

ードゴオォッ!ー

 

《ぐうぅッ!?なかなか重たい拳だけど、そんな程度じゃこのナイトの盾は破れないかんね!》

 

戦いが始まって約三分が経過するもカミキバーニングの拳を幾度と受けてもノエルの駆るスピナティオの盾を破れずにいた。ノエルのスピナティオの装甲はメタリック塗装を何重にも重ねて重厚感が表現されており、その影響か機動性を下げるも防御力が格段と上がったようだ。これでは時間が掛かり過ぎて向こうのチームとの点差が開くばかりである。

 

(だからといってユウマが新しく付けてくれた“あの力”を解放するには早過ぎるか……いや、此処で出し渋っても点差が開きっぱなしで負けてしまう!なら、出し惜しみは無しだッ!)

 

セカイは何かを決心したのかコマンドを開き其処からSPと表記されたコマンドを選択し決定キーを押す。すると突然カミキバーニングのボディから灼熱の炎が噴き出しその炎がカミキバーニングの右腕へと集まって巨大な拳へと姿を変えていく。

 

《え?え?な、なんかめっちゃデカくない……?!》

 

「いくぜ!これが俺の、カミキバーニングガンダムの新しい力ッ!」

 

逆巻く炎を纏い右拳に力を集めセカイは、カミキバーニングガンダムはスピナティオに向かってその拳をぶつけていく。スピナティオは咄嗟に盾で防ごうとするが……

 

ーゴオォォォォォォォォッ!ー

 

《ッ!?た、盾が溶けちょる!?》

 

「うおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!煉獄ぅッ!紅蓮けえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえんッ!!」

 

ーゴオォォォォォォォォォォォォッ!ドッゴオォォォォォォォォォォオンッ!!ー

 

カミキバーニングから放たれた巨大な炎の拳がスピナティオを盾ごと貫き、そしてノエルは悲鳴をあげる間もなく爆発を起こし散っていくのであった。

 

「え!?な、なんですか今の爆発?!」

 

《嘘!?ノエちゃんやられちゃったの?!》

 

一方少し離れた場所で戦っていた加賀美とましろとトワだったが、突然鳴り響く爆音に思わずその手が止まってしまった。

 

「おぉ〜!あの子やるね〜♪なら僕だって!」

 

そんな中ましろはアンクシャをMA形態に変形させ飛行……ではなくその機体を横にし自身の身体を回転させていく。それはまるで車のタイヤのようである。

 

「いっくよぉーッ!ブラッティスピニングッ!!」

 

ーギュイィィィィィィィィィンッ!ー

 

《いやそれカービィのホイールじゃねーかぁッ!?ードッゴオォンッ!ーどっひゃあぁぁぁぁ〜ツ!?》

 

タイヤに見立てたアンクシャが爆走してトワのスピナティオに向かって突進し、スピナティオはそのまま上空にふっ飛ばされた後空中で爆発を起こし撃破されていくのであった。

 

「ま、まさかこのゲームで轢き逃げするとは……」

 

「よっしゃあッ!これで玲二くんに一歩近づいた!」

 

「おーい二人とも大丈夫か?」

 

トワ、そしてノエルを撃破し合流するセカイ達。これで二体撃破で相手チームとの差を埋める事には成功したがまだ負け越している状態なので三人は急いで他のホロメンを探しに向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その影で……

 

《……あのカミキバーニングガンダム、見た目こそはあまり変わってないけど確実に何か違うわね?》

 

《でもあの技動きが大振りだからこの機体なら絶対に勝てるのら》

 

《よーしこの勝負、絶対に勝ってみせるぞ!しゅーばしゅばしゅば♪》

 

カミキバーニング達の歩く横の岩山の上で三つ首の巨獣のような機体が獲物を狙うかのような目つきでセカイ達を見ていた。はたして次はどんな戦いが待っているのだろうか?続く……




はい、という事でパタちの実力発揮回でした!多分このパタちなら素の玲二より強そうですね(;・∀・)

次回はセカイ達に新たな刺客が迫ってくる!?次回もまったり待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第106話『ダイバーズVSファイターズ 中編2』

最初に変更点が一つあります。今回のハンティング対決は本当は10機撃墜としていましたがあまりにも尺が長くなりそうなので五機撃墜に変更しました。まあダラダラ延ばすよりかは良いかなって事でよろしくお願いしますm(_ _)m

今回の最後に久々にアンケートを取ろうと思いますので良かったらお答えください。という事で今回も最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


現在チームネオダイバーズが3点、チームニューファイターズが2点とややリク達が優位に進んでいるこの勝負。そろそろ中盤戦に差し掛かろうとする中、セカイ達は密林の中にある細い道を真っ直ぐに進んでいた。

 

「……そう言えばずっと聞きたかったんですが、ましろさんってなんで其処まで玲二に固執しているんですか?こう言ったらあれですが、玲二にはそっちの気はないのに……?」

 

「あーそれね?ほら僕って子供の時から凄く嫌な事が多く起きてさ、それで一時期病んで死にたくなる程追い詰められてた時があったんだ。そんな時、玲二くんが僕の事を支えてくれたんだ。辛い事があったら遠慮なく俺や仲間を頼ってくれって……其処からかな?僕が玲二くんの事が好きになったのは。まあ性別の所為で全然上手くいってないけどね……」

 

「そうだったんだ……玲二さんってなんか聞いてるだけでも凄い人なんだな?」

 

「そうだよ!なんたって玲二くんは仕事は出来るし力強いし何よりも格好良い!その上時折見せるあの綺麗な笑顔!あれ見てときめかないなんておかしいくらいだよ!それに誰にでも優しくてだけど間違った事したらちゃんと正してくれるしそんな大人らしい雰囲気がありながらも子供みたいに純粋にゲームやガンプラを楽しむのも素敵だし!後体格も良い!あの細身ながらもしっかりとした筋肉も凛々しいし前に一緒にお風呂に入った時に見たあのおっきなお「それ以上は止めましょう!いろんな方面から怒られてしまいますからッ!?」えぇ〜?」

 

玲二の事でスイッチが入ったましろは早口で玲二の事を褒めだしてそして危ない発言をしそうになったので加賀美が急いで止めに入る。あのままましろが続けていれば18禁発言を連発しかねない勢いだったので当然である。

 

「そ、そんな事よりも早く次の敵を探しにいきましょう!まだ私達が負け越している事には変わりないのですから急がないと「いや、その必要はないみたいだぜ?」え?セカイさん、それってどういう……?」

 

「……何かがこっちに近づいて来てる。それもかなり速いスピードで!」

 

何かを感じたのかセカイはカミキバーニングの腰にある刀を抜き構えていく。そしてセカイの言葉通り木々の葉を揺らしながら何かが三人へと近づいていた。そして……

 

ーガサガサッ……バッ!ー

 

「なっ!?こ、これは……!?」

 

「三つ首の犬……地獄の番犬ケルベロスか!?」

 

《グルアァァァァッ!》

 

「!?危ないッ!」

 

ーガキィンッ!ー

 

木々の隙間から突如現れた三つ首の猟犬型の機体は加賀美のリゼルに襲い掛かっていったが咄嗟にカミキバーニングが刀でそれを防ぎ助けた。だが

 

ーグググ……バキィッ!ー

 

「グッ……加賀美さん大丈夫か!?」

 

「は、はい、助かりました!ですが刀が……!?」

 

「いや、それくらいなら大丈夫だ!それよりこいつは……?」

 

刀を噛み砕き三体から一度距離を離す猟犬型の機体。強度を上げた筈の武器をいとも簡単に噛み砕いた得体の知れない機体に三人は警戒しながら武器を構えていく。

 

《しゅーばしゅばしゅばッ!どーよスバルのこのメカケルベロスの噛み砕き攻撃の威力は!?》

 

「えッ!?この声、スバルさんか!?」

 

「……驚いたな、SDが好きなスバルさんがそんな機体を用意してきたなんてね?」

 

なんとその猟犬型の機体に乗っていたのはスバルであった。スバルは噛み砕き攻撃が上手くいったのが満足なのか何時もの独特な笑い方をしている。

 

 

『メカケルベロス』

スバルが作った機体?これも30MMシリーズの機体を組み合わせた物らしいが、三つの首を持つケルベロスのような機体という以外は詳細は不明である。

 

 

《さぁーて、お次は誰が噛み砕き攻撃の餌食になるしゅばかなぁ〜?んじゃ、いくしゅばよぉッ!》

 

「!二人とも、左右に回って横から攻撃を仕掛けてください!私は真正面から仕掛けます!」

 

「りょーかい!」

 

「あぁ分かった!」

 

再び襲い掛かってくるメカケルベロスにカミキバーニングは右から、アンクシャは左から接近戦を仕掛けていきリゼルは真正面からビームサーベルで攻撃を仕掛けていく。だがその攻撃は全てそれぞれの首の頭部に装備されたシールドによって防がれてしまった。

 

「グッ!?こいつ、思った以上に堅いぞ!?」

 

《ギャハハ!そんなんじゃこのメカケルベロスに傷なんて付けられないっての!》

 

「へぇ?でもそんな調子に乗ってると痛い目見るかもよ!?」

 

三体は攻撃を防がれるも再び連続攻撃を仕掛けていく。しかしどれもシールドで防がれてしまい、アンクシャやリゼルがビームライフルで攻撃仕掛けるも避けられたり防がれたりして、更に時折メカケルベロスから口からのバルカン攻撃で反撃される等死角がない状態で戦いが長引いてしまっていた。

 

《どーよ!?これがスバルのメカケルベロスの力よッ!》

 

「つ、強過ぎないあの犬……!?」

 

「確かに、あの三つ首を自在に操るなんて、スバルさん相当このゲームをやり込んでいるみたいですね?一体どうすれば……」

 

メカケルベロスの三つ首を自在に操るスバルに弱腰気味になってしまう加賀美とましろ。しかし、そんな中セカイだけは別の事を考えていた。

 

(……あの機体、前に似たような戦い方してた奴等がいたよな……そうだ、SD-Rの三人の合体ガンプラに戦い方が似ているんだ!あいつらも三つのガンプラを合体して巨大な竜みたいな奴になってたな…………“合体して”?ッ!まさかあの機体は!?)

 

「だけど、もう大体戦い方は分かった!後は敵を叩くだけだ!」

 

「ッ!?待ってくれ!もしかしたらそいつは……!」

 

セカイは何かに気づくもその前にましろがその前にメカケルベロスへと接近し攻撃をしようとする。しかし

 

ーガキィッ!ー

 

「ぐぅッ!?肩アーマーが……でも、それを噛んでいる間は左側は無防備だ!だから今のうちに!」

 

アンクシャは右肩アーマーを噛まれるもその隙にビームサーベルを取りメカケルベロスに攻撃を仕掛けようとする。ビームサーベルを振り下ろし撃破を狙うましろ。しかし

 

 

 

 

 

ーガシャンッ!ー

 

「…………え?」

 

突然メカケルベロスの左側が分離してしまいアンクシャのビームサーベルはその間に振り下ろされ空を斬ってしまった。更にはそのままバランスを崩しアンクシャは右肩アーマーを噛み砕かれて転がり落ちてしまった。

 

「ましろさん大丈夫ですか?!」

 

「痛た、取り敢えずは大丈夫だけど……今ので肩がやられてしまったみたいだ。もう変形は出来ないね?でも今のは……」

 

《あらあら?油断していたらすぐにやられてしまうわよましろ様》

 

「ッ!?この声って、スバルさんじゃない?!」

 

分離したメカケルベロスからは先程までのスバルの声ではなくスバルと同期のちょこの声が聞こえていた。いや、正確には分離した左サイドが一機の犬型機体となって其処からちょこの声が聞こえていたのだった。

 

「こ、これは一体……!?」

 

「やっぱりそうか!最初から一体だけじゃなかったんだ!こいつ等三体の犬型ロボットが合体して戦っていたんだ!」

 

《ピンポーン♪其処に気づくなんてやるわねセカイ様♪そう、これはちょこ達スバちょこルーナが三体のメカドッグを合体させて出来たメカケルベロスよ!》

 

 

『30MM エグザビークル(メカドッグVer)』

30MMシリーズのカテゴリーの一つ、エグザビークルの犬型機体。戦闘から支援等幅広く運用出来る他、パーツを分割すれば他の30MMシリーズとの合体も可能である。

 

 

そう、先程までスバルが一人で動かしてたと思われたメカケルベロスは実は三機のエグザビークルが合体して出来た機体だったのだ。三つの首が自在に動いてたのもスバルとちょこ、そしてルーナがそれぞれ独立して動かしていたからである。

 

《ねえぇちょこ先!ネタばらしすんの早いってぇッ!》

 

《あら、でもあのままだとスバルのメカドッグがやられてたじゃない?それに遅かれ早かれバレるんだから別に問題ないでしょ?》

 

《そーなのら!それに何がスバルのメカケルベロスだよ!?これ作ったのしゅばだけじゃなくてルーナ達も作ってるのに何一人の手柄みてーに言ってんだよ〜?!》

 

「ルーナさんまで……だからさっきのメカケルベロスの首がそれぞれ独立して可動してたのか!ならそれが分かれば一体ずつ倒すだけだッ!」

 

加賀美は分離したちょこのエグザビークルに狙いを定めブーストで加速を付けながら接近しビームサーベルを振り下ろしていく。しかし、その寸前でちょこのエグザビークルが機敏に躱し逆に接近したリゼルの右腕に噛みついたのである。

 

ーガッキイィッ!ー

 

「な?!は、速い!?」

 

《あらあら、焦りは禁物よ加賀美様?まだ勝負は始まったばかりなんだからもっと楽しみましょう♪》

 

《おーちょこてんてーやるのら!ならルーナもやっちゃるかぁー!》

 

ーガコンッ!ー

 

リゼルに噛みつくちょこ機を見てルーナもスバル機から自分の機体を切り離してアンクシャへと襲い掛かっていく。切り離されたルーナ機は俊敏な動きでアンクシャを翻弄し撹乱させたところを容赦なく噛みつき攻撃をしていく。

 

「チイィッ!ホイール攻撃が出来れば……!」

 

《ハッハッハァッ!さっきのちょこてんてーの攻撃でもうMA形態になれないからその攻撃は出来ねーだろー?さあ、覚悟しておとなしくルーナに倒されるのらぁ〜!》

 

「ましろさん!なら俺が一緒に……!」

 

《やらせるワケねーだろーが!?スバルの事も忘れちゃ困るってーの!》

 

アンクシャを援護しようとするカミキバーニングだったが残っていたスバル機が背後から奇襲攻撃してきた。セカイはなんとか気づき間一髪で躱すがその所為でバランスを崩し地面に倒れてしまう。

 

「うぐぁッ!そ、そういやまだ一人残ってたな……?」

 

《残ってたかじゃねーよ!?寧ろスバルが一番最初にいたんだからスバルこそがメインだろーが!はいもー怒った!スバルをナメた事絶対に後悔させてやるから覚悟しろしゅばぁーーーッ!!》

 

「クッ!だったらこっちも遠慮なく戦わせてもらうぜ!」

 

蔑ろにされたスバルが怒りながらカミキバーニングへと襲い掛かっていき、カミキバーニングも向かってくるスバル機を相手にする為に拳を構えるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、ネオダイバーズは……

 

ードゴオォンッ!ドゴオォンッ!ー

 

《おらおらぁ!どうしたどうした!?そんなへっぴり腰じゃあたしのスピナティアには攻撃当たんねーぞ!》

 

「クッ!?な、なんて激しい攻撃なんだ!?」

 

「いやマジでなんなのさあの火力!?どう考えても量産型テーマの30MMシリーズが出せる火力じゃないよね?!」

 

「……多分だけどあれは武器とかにもかなり細工を施してるみたいですね?銃口をピンバイスで穴を開けて内部をメタリック塗装を施したりしてよりリアルな武器に仕上げた事で威力が底上げされているんですよ」

 

そう、ぼたんの駆るスピナティアコマンド仕様には機体だけではなくその使用している武器にも様々な細工を施す事で威力が増しているのだ。これはリク達の世界のGBNも同じ仕様となっているのでこうする事で量産型仕様の30MMシリーズでもかなり強化する事が出来るのだ。

 

《ほーらもう周りの木も大分無くなってきたぞ〜?このまま逃げ続けても隠れる場所無くなってどのみち終わっちまうぞ〜?》

 

障害物となる密林の木々すら高火力の銃撃で粉々に粉砕しジリジリと迫ってくるぼたんのスピナティア。このままだとぼたんの言う通りジリ損になってしまう。それならばとレインはビームサーベルを構える。

 

「……リッくん、アンジュ先輩、私が先行して攻撃を仕掛けるので二人は後方から支援攻撃を仕掛けてください」

 

「えぇ!?そんな大丈夫なのパタち!?今出たってぼたんさんにハチの巣にされるだけじゃ……!?」

 

「いえ、レインさんの言う通りにしましょう!このまま逃げていたって勝てるモノも勝てなくなってしまいます!」

 

アンジュは不安で怯えるもリクはビームライフルを構えてレインを援護する体制に入る。それを確認したレインもZZIIを動かしスピナティアに向かって突っ込んでいく!

 

「でやあぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」

 

《おー潔く突っ込んで来たね〜?でも……》

 

ーガッキイィンッ!ー

 

「ッ!?」

 

ZZIIのビームサーベルの刃はスピナティアに当たる前に突如現れた謎の機体のハルバートのような武器に受け止められてしまった。これには流石のレインも驚きひとまず後退してしまった。

 

「もう一機現れるなんて、次は一体誰《さぁて問題、私は一体誰でしょう〜?》ッ!この声……ルイちゃんか?」

 

《正かーい♪レインちゃんまったかね〜?ぼたんちゃんに呼ばれて佐々木ルイ只今参上〜♪》

 

現れたのはホロックスの女幹部、そしてレインと同じ中学の時の同級生であるルイであった。ルイはスピナティアのカスタム機(アサシンベースにハルバートと飛行ユニット装備型)の武器を構えZZIIに刃先を向けながら鋭い眼光でレインを睨んでいた。

 

「……まさかルイちゃんとこうして戦う事になるなんてね?確か中学卒業間近以来かな?」

 

《あーそうだね?あの頃は二人でレイレイに近づく女共を片っ端からシャットアウトしてたわよね♪でもそんなレインちゃんがまさか私に抜け駆けしてレイレイに告白するなんて……あの時私思わずレインちゃんを○しそうになっちゃったもんね~♪》

 

「まぁね、パタちもあの時邪魔されて思わず○意が湧いちゃったもん。でもそんなやりとりしてたパタち達も今では同じ玲二君のお嫁さんになれたから良かったよね♪」

 

《確かに、今となったら良い思い出だったわね♪でも…………だからといってあの時の事を許したつもりはないから》

 

途中までは楽しそうに会話していたルイも最後だけは恐ろしい程に低い声でレインを威嚇する。その絶対零度と言えるような声に一緒に聞いていたリクとアンジュは思わず固まってしまう程であった。

 

「…………………それはこっちのセリフだよ。私が決心して玲二君に告白しようとしたのを邪魔した事、その身をもって償ってもらうか……らッ!」

 

ーガッキイィィィンッ!ー

 

レインも高圧的に言い返しながらZZIIのビームサーベルを構え直しルイ機へと突っ込んでいき、ルイ機とZZIIの武器が激しくぶつかり合いそのまま飛翔し激しい空中戦を繰り広げるのであった。

 

「す、凄い気迫だ……!?」

 

「怖えぇ、一体あの二人に何があったんだよ……?」

 

《おーなかなか激しくぶつかり合ってんね〜?なら、あたし等もそろそろ……本気でやるとしますか!》

 

激しい戦闘を繰り広げるレイン達に唖然とするリク達だがぼたんはそんなのお構いなしと言わんばかりにマグナムをぶっ放していく。慌てて物陰に隠れようとするが既に障害物は殆ど破壊されてしまい身を潜める場所がなくなっており、逃げ場が無くなったリクは意を決して反撃する事を決めた。

 

「アンジュさん、俺がぼたんさんの相手をしますから後ろから援護お願いします!」

 

「えぇッ!?ちょっと待ってよぉ〜!?」

 

リクはスカイメビウスの出力を上げ更にとっておきであるトランザムインフィニティを発動させぼたん機へと向かいGNソードで斬り掛かっていく。

 

ーガキィンッ!ー

 

《へぇ、漸くやる気になったか?なら、遠慮なくやらせてもらうから簡単には倒れないでくれよなぁッ!》

 

ぼたん機もそんなスカイメビウスの攻撃をアーミーナイフで防ぎトランザム状態のスカイメビウスに引けを取らない動きで斬撃を繰り出していく。地上ではぼたんのスピナティアコマンド仕様とリクのガンダムダブルオースカイメビウスが、空中ではルイのスピナティアアサシン仕様飛行型とレインのZZIIが激しくぶつかり合う中……

 

「ひ、ヒエェ〜皆怖いのだぁ〜……クシクシッ……」

 

近くの岩陰からその様子を見ながらどうすれば良いか分からず取り敢えず某ハムスターのモノマネをするアンジュであった。

 

 

 

 

 

 

両局面で激しくぶつかり合う中、はたして勝つのはどちらだろうか?続く……




はい、という事でこの対決も次回で終了となります。けどその後についてはまだ何も話が思いついてないので幾つかある候補の中からアンケートで決めたいと思いますのでよろしくお願いしますm(_ _)m

それでは次回もまったりと書いて行くので気長に待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第107話『ダイバーズVSファイターズ 後編』

最近一部の店で新品なのに中古並の値段をつけているという話を聞いたのですが、まさかのそんな店を見つけてしまいました。まあ小売価格だから仕方ないのですが、流石にこれは足元を見るような感じでショックでした。何時かこんな事が無くなるよう願うばかりです。

今回でダイバーズとファイターズの勝負に決着がつきます!最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


襲い掛かる猟犬達の猛攻に押され気味のセカイ率いるニューファイターズ、そして別の場所では戦闘のプロフェッショナルと言っても過言ではないぼたんとルイに圧倒されるリクとレイン(とアンジュ)のネオダイバーズが今も激しく戦い合っていた。

 

ーガキンッ!ガキンッ!ガキィンッ!ー

 

「ぐうぅッ!やっぱやるねルイちゃん!とても放課後に玲二君のリコーダー舐めてた変態とは思えない強さだよ!」

 

《はあぁッ!?なんであんたがそれを知って…ってそんなの今関係ないでしょ!?それ言ったらあんただって体育の授業中こっそり抜け出してレイレイのシャツの匂いを嗅いでた変質者だったでしょうが!》

 

「え、ウソ!?なんでバレてんの!?というか変態に変質者呼ばわりされたくないんだけど!?この元ヤン変態鷹女ッ!!」

 

《それはこっちのセリフよこのドスケベ鮫好き変質者ッ!!》

 

《……あいつ等レイっちにそんな事してたのか?》

 

「……今更になって組む相手間違えた気がする」

 

凄まじい勢いでぶつかり合うがあまりにもしょーもない言い争いをするルイとレインを見てぼたんは呆れてリクは組む相手を間違えたと頭を抱えたくなっていた。(実際はくじ引きで選ばれたので選ぶも何もなかったのだが)

 

《まあそんなのはほっといてあたし等は思う存分殺り合おうじゃねーか!》

 

ーバキュウゥンッ!ー

 

「ぐッ!?やっぱり威力が凄過ぎる……!」

 

そんな中でもぼたん機は構わずフルスクラッチで作ったあたおか威力のリボルバー式マグナムを容赦なくぶっ放していきスカイメビウスはその攻撃を避けながらなんとか応戦しているが徐々に後退気味になってしまっていた。

 

(どうする!?此処であれを発動すべきか?でも仮に倒せたとしてもまだルイさんもいるし、もしかしたら他のメンバーがやってきてしまうかもしれない!一体どうしたら良いんだ?!)

 

どうやらリクには何やら奥の手があるようだが、この状況下ではまだ使う事が出来ないようでどうすれば良いのか必死で考えていた。そんな中……

 

「ヒエェ〜!?リ、リク君に援護任されたけどこんな激しい銃撃戦の中でどうやって援護すれば良いのだ〜!?」

 

残された岩の影で隠れながら未だに似てない某ハムスターのモノマネをしながら震えているアンジュの姿があった。だが無理もない、アンジュは普段この手のゲームをしないのとガンダムに関する知識は名前程度しか知らない為にどうやって援護すれば良いのか分からずに困り果てていた。だがそんな時……

 

「……あ。そういや戌亥が……」

 

 

 

もし戦いに困ったらこのロトに改造で付けたスーパーBって技があるから使ってみるとえぇよ〜♪

 

 

 

「なんて言ってたな?スーパーB……これか?」

 

アンジュは戦う前に戌亥とこからロトを受け取った際にそのような事を言われたのを思い出し、慣れない手つきでカーソルをスーパーBに合わせて決定キーを押す。すると

 

ービーッ!ビーッ!ビーッ!ー

 

「へ!?な、なになになに?!もしかして押しちゃいけなかった!?」

 

ーターゲットケンサク ターゲットケンサク …… ターゲットロックオンー

 

突然鳴り出した警告音にアンジュはパニックになるもロトはお構いなしに自動で行動、何かを探すように辺りを見た後ぼたんの駆るスピナティアを見つけるとタンク形態に変形し信じられないスピードでぼたん機へと突っ込んでいく。

 

《ん?んお!?なんだあれ!?》

 

「あ、アンジュさん!?なんで突っ込んで来てるんですか!?」

 

「知らんねんってぇ!変なコマンド押したら勝手に動き出したんだよおぉぉぉぉぉぉ!?」

 

ーターゲットロックオン ターゲットロックオンー

 

普通のロトではあり得ないスピードにリクもぼたんも驚き思わず手を止めてしまう。そしてその隙きにロトはぼたん機の前まで接近しMS形態に変形するとぼたん機にガッチリとしがみついた。

 

ーターゲットホバク ターゲットホバクー

 

《な、なんだいきなり!?けど、こんなのすぐに振り解いてージバクシマスー……は?ーカッ!ー

 

 

 

ーチュドオォォォォォォォォォォォンッ!ー

 

 

 

そしてぼたん機にしがみついたロトはそのまま自爆しぼたん機共々大爆発の中散ったのであった。これぞ戌亥とこの改造ロトの必殺技『スーパーB(ボム)』である。

 

「じ、自爆!?アンジュさんなんて思い切った事したんだ……!?でもこれでッ!」

 

咄嗟の判断ですぐに避けるも突然味方が目の前で自爆し困惑するリク。しかし、これでぼたんを退ける事には成功したので続いてレインの援護へと向かう為に空へと飛び出すのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃……

 

「……加賀美さん、ましろさん、大丈夫か?」

 

「正直大丈夫とは言えませんね?装甲が大分やられてもう変形出来なくなってしまいましたし……」

 

「僕も右腕もがれてバランス悪くなっちゃったよ……」

 

三機のメカドッグと交戦していたセカイ達だったが、戦い慣れてるセカイはともかく加賀美のリゼルは装甲の至る所が傷つき変形出来なくなってしまい、ましろのアンクシャも右腕を噛み砕かれてしまいバランスを取るので精一杯な状況まで追い詰められてしまっていた。

 

《しゅーばしゅばしゅば!これがスバちょこルーナの絆の強さだぁーッ!》

 

《いやスバルだけセカイ様に殆どダメージ与えられてないじゃない?》

 

《殆どルーナとちょこてんてーのお陰なのら》

 

《うるッせえぇぇぇぇぇぇぇ!スバルだって頑張って戦ってるんだから良いじゃねーか!?》

 

圧倒的有利で余裕を見せるすばちょこるーなの三人。その状況を見てセカイは最後の手段を取る事を決めた。

 

「……二人とも、後ろに下がっててくれ。後は俺がやる!」

 

「えぇ!?で、ですが私達はまだ戦えますよ!」

 

「そうだよ!それに幾らダメージ量が少ないからってセカイ君のカミキバーニングだけじゃあんなすばしっこい奴等三体相手なんて無理だって!?」

 

「大丈夫、この新しいカミキバーニングは俺の……いや、俺とフミナ先輩とユウマの想いが籠もった最高のガンプラだ!だから俺はこのカミキバーニングと、加賀美さんとましろさんの想いと一緒に勝つッ!!」

 

ーゴオォォォォォォォォォォォォォォォッ!ー

 

《え!?一体何がってうわあっちぃッ!?》

 

《あっちゅ!あっちゅ!な、なんなのらこの炎?!》

 

《これって……蒼い、炎!?》

 

セカイの熱い心に呼応するかのようにカミキバーニングから炎が噴き出し、その色は赤から蒼へと変わり周りの密林をも巻き込み巨大な蒼炎の円を描いていく。

 

「これが俺の新しい力!カミキバーニングガンダム!利亜流愚零怒だッ!!」

 

 

『RG カミキバーニングガンダム(利亜流愚零怒)』

HGカミキバーニングガンダムを参考にしゴッドガンダムの内部フレームを利用して装甲をほぼフルスクラッチして装着させたプロレベルの改造が出来るユウマとそれを形にするだけの構想力を持つフミナだからこそ作り上げられた機体。それをセカイが駆る事で従来よりもよりセカイの次元覇王流を充分過ぎる程に発揮出来るようになった。まさにトライファイターズの集大成と呼べる機体である。

 

 

《リ、リアルグレードォッ!?もしかしてそのカミキバーニングって内部フレーム入ってんのか!?》

 

《成る程、ノエル様のスピナティオを盾ごと粉砕出来たのはそういう事だったのね……?》

 

《け、けどだからってルーナ達の機体が負けるワケねーのらぁッ!》

 

カミキバーニングの新たな力に驚きつつもスバちょこルーナはメカドッグの俊敏性を活かしカミキバーニングへと一斉に噛み掛かろうとする。しかし

 

ーガシッ!ガシッ!ドゴォッ!ー

 

《なッ!?》

 

《はぁッ?!》

 

《ぶへらッ!?》

 

襲い掛かる三機のメカドッグのうちちょことルーナの機体の首を掴みスバル機を蹴り飛ばした。更に

 

「ハアァァァッ!」

 

ーブォンッ!ー

 

《きゃあぁッ!?》

 

そのまま二体のメカドッグをぶん投げ次にルーナ機に狙いを定めて右拳に風と雷を纏わせ突進していく。

 

「ハアァァァァァァァッ!次元覇王流!疾風迅雷撃イィッ!!」

 

ードゴオォッ!ズガガガガガガガガガガガガァッ!ー

 

《んなあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあーーーーーーッ!?》

 

ードッゴオォォォォォォォォォォォンッ!ー

 

カミキバーニングの拳を受けルーナ機は空へと吹っ飛ばされそのまま追撃の風圧と雷撃を受け最後は悲鳴をあげながら爆散するのであった。

 

《あぁッ!?ルーナがやられたぁ!?》

 

《これはマズいわね……スバル、此処はまた合体して一気に倒すわよッ!》

 

ルーナがやられて焦るスバルとちょこは互いのメカドッグを合体してメカオルトロスモードとなり全ての武器の砲台を展開していく。

 

《こうなったらフルバーストでぶっ飛ばしてやんよぉッ!さあ覚悟しろードゴォンッ!ーしゅばぁッ?!》

 

「私達を忘れてもらっては困りますねぇッ!?」

 

「こっちだってボロボロだけどまだ戦えるんだからねッ!」

 

メカオルトロスがフルバースト攻撃を仕掛けようとエネルギーを貯めてる最中に加賀美のリゼルとましろのアンクシャがビームライフルで攻撃しカミキバーニングを援護していく。フルバースト攻撃をする為にエネルギーを貯めてるメカオルトロスは動きが鈍くなっており急な攻撃に対応しきれずまともにダメージを負ってしまう。

 

「セカイ!此処は僕達が止めておくから!」

 

「貴方は最後のドデカイ技を放つ為の力を貯めてくださいッ!」

 

「二人とも……あぁ、任せてくれッ!」

 

二人の援護を受けセカイはカミキバーニングにエネルギーを集中させていく。周りの蒼炎がカミキバーニングに集まり吸収されていき、その輝きは蒼から白光の神炎へと昇華し右手に膨大なエネルギーが集まっていく。

 

「先輩とユウマ、そして加賀美さんとましろの想いをこの拳にッ!!」

 

そして神炎は巨大な拳となりメカオルトロスへと狙いを定めていく。

 

《ね、ねぇちょこ先?これかなりヤバくない……?》

 

《えぇ、確実にヤバいわね……》

 

その燃え盛る神炎の拳を構えるカミキバーニングを見てスバルとちょこは完全に戦意が削がれてしまうが、此処でエネルギーが貯まりカミキバーニング全ての砲台を向けていく。

 

《こうなったらヤケだぁッ!メカオルトロスフルバーストだあぁーーーッ!!》

 

ーシュウゥゥ……ドゴオォォォォォォォォンッ!ー

 

「これが今の俺の最高の技ッ!次元覇王派生流ッ!神炎覇王けえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーんッ!!」

 

ーゴオォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!ー

 

メカオルトロスからフルバーストが放たれたタイミングでカミキバーニングも神炎を纏わせた拳を構え突っ込んでいく。その白き炎の拳はメカオルトロスのフルバーストなどものともせず、寧ろそれすら自身のエネルギーへと変換させより拳を巨大な物へと変化させている。

 

「いっけえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーッ!!!」

 

《あぁぁぁぁぁぁもおぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!?こんなの勝てるワケねーだろがあぁぁーーーーーーッ!?》

 

燃え上がる拳はそのままメカオルトロスを飲み込み爆散する事なく全てを溶かし尽くして撃破したのであった。その攻撃を終えたカミキバーニングから炎が鎮火しその場で倒れてしまい、機体からはいろんな箇所から煙が上がっていた。

 

「え?!セカイさん大丈夫ですか!?」

 

「あ、あぁ……久々にスゲェ技使ったから身体に無茶させてしまったみたいだな、ハハ……」

 

「本当にガンプラとシンクロしてるんだね……?でもこれで五機倒せたからこの勝負は!」

 

ーGAME ENDー

 

ましろの言葉を遮るように上空に試合終了を知らせるアナウンスが表示される。これは間違いなく自分達の勝利を告げるモノだと確信する三人、だったが……

 

 

 

「「「…………え!?」」」

 

 

 

その後に表示された結果に三人は思わず唖然としてしまった。一体何が……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その少し前……

 

「どおぉぉぉぉぉぉりゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!」

 

《うおぉぉぉぉぉぉりゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!》

 

ードゴオォッ!ドゴオォッ!ドゴオォォォンッ!ー

 

互いに激しくぶつかり合い外装が削られ凹んでボロボロになりながらも互いに抑えられない気持ちをぶつけ戦う二人。最早武器も全て失い拳で殴り合うボクシング状態になっており互いに腕に掴み掛かり頭でぶつかり合い睨み合うその様子には誰も寄せ付けないオーラが漂っていた。

 

「フーッ!フーッ!ほらルイちゃんもう武装ないんだからとっとと降参すれば!?」

 

「はあぁッ?!バカ言ってんじゃねーよッ!寧ろテメェこそもうボロボロなんだからおとなしくやられとけッ!!」

 

お互いに口調が荒くなりアイドルらしさなど微塵も感じられないが、二人はお構いなしに戦いを繰り広げていく。そして一度体制を取り直す為にお互い相手から離れ地上へと降り立った。すると

 

《ッ!これ、ぼたんちゃんの……どうやら運は私の方に味方してくれたみたいねッ!》

 

ルイのスピナティアの足元に先程やられたぼたんの置土産であるマグナムが落ちていた。ルイはすかさずそれを拾いレインのZZIIにその銃口を向けていく。

 

「ッ!?あれはぼたんさんのマグナム!?そんな、こっちには手持ち武器はもうないのに……「レインさんッ!」え?り、リッくん!?」

 

そんなピンチなZZIIの元にリクが駆けつけてきた。

 

「リッくん来ないで!これは私とルイちゃんの勝負なんだから手出しなんてしてほしくないッ!」

 

だがレインはルイとの勝負は自分で着けたいとリクの援護を拒否しようとする。しかし

 

「分かってます!でも今のレインさんには武器は残されてないんですよね?なら、“俺を使ってくださいッ!”」

 

「…………え?俺を使ってって……?」

 

「いくぞ!ダブルオースカイメビウス!キャリバーモードッ!」

 

ーキュピィーンッ!ウイィィィンガシャンッ!ジャキイィンッ!ー

 

突如リクのダブルオースカイメビウスが変形を始めその姿はまさに巨大な大剣へと変化していく。そう、これがリクの隠し玉である『ダブルオースカイメビウスGNキャリバー』である。

 

 

『ダブルオースカイメビウスGNキャリバー』

リクがこの世界で見た仮面ライダーセイバーに出てくるキングエクスカリバーにインスピレーションを受けそれをスカイメビウスへと取り込んだ巨大な大剣モード。その刀身にはGNドライブによるエネルギーを纏う事でどんな敵も一撃で粉砕する事が出来、更にトランザムインフィニティを発動すれば使い手となる機体にもそのエネルギーの恩恵を受ける事が出来る。因みに自律行動も可能である。

 

 

「ウソォッ!?デッカイ剣になっちゃったぁッ?!」

 

剣へと変形したスカイメビウスはZZIIの手に渡り、その刀身から高出力のエネルギー刃が形成されていく。

 

「いきますよレインさん!トランザムインフィニティッ!!」

 

更にリクはスカイメビウスのトランザムインフィニティを発動させるとスカイメビウスだけではなくZZIIも赤い輝きを纏い力が増幅していく。

 

「凄い……これならまだやれるッ!ありがとうリッくん!」

 

「はい!思いっきりぶった切ってくださいッ!」

 

《チィッ!まだあんな隠し玉があったなんて!?けどそんなバカデカい武器を振る隙きを与える程私は甘くないよッ!》

 

ルイは少し驚くも大剣ではまともに戦う事は出来ないと判断し咄嗟にマグナムの引き金を引く。だが……

 

ードキュウゥンッ!ドゴオォンッ!ー

 

《きゃあぁぁッ!?な、何今の?!》

 

マグナムの弾が発射されると同時にスピナティアの右腕が吹っ飛びそのままもげて地面に落ちてしまう。それもその筈、ぼたんの作ったマグナムは威力を極限にまで高める改造を施し、更にぼたんのスピナティアにはそれに耐えられるように腕の強度を上げていたので扱う事が出来たのだ。スピード重視の改造をしていて一部装甲を削った上に既にボロボロのルイのスピナティアではぼたんの作ったマグナムの威力に付いていけずその反動で腕を持っていかれたのであった。

 

 

 

「いくよルイちゃんッ!これで……終わりだあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」

 

 

 

ーズッバアァァァァァァァァァァァァァァァァッ!ー

 

 

 

《そ、そんな…………はぁ、勝てると思ったんだけどなぁ……?》

 

ーチュドオォォォォォォォォォォォォンッ!ー

 

ZZIIとスカイメビウスキャリバーのトランザムGNスラッシュを受け最後は悔しそうに一言言うとあっけなく爆発し散っていくルイであった。そして撃破したのを確認するとリクはスカイメビウスを元のMS形態へと戻していく。

 

「やった!これで五機倒せたッ!」

 

「え?ルイちゃんが最後だったの?ってかぼたんさんもいないし、それにアンジュ先輩何処に行ったの?」

 

「あ、アハハ……」

 

ーGAME ENDー

 

まあ何はともあれこれで無事に五機を撃破する事に成功したリク達。そのタイミングで上空に試合終了を知らせるアナウンスが表示される。リクもレインも勝てたと確信し結果を見る。

 

「「…………え?」」

 

しかし、其処に書かれていた結果は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーDRAWー

 

DRAW、つまり引き分けを意味する文字が表示されていた。そう、実は先程のリクとレインの合体攻撃とセカイの必殺技によって相手が撃破されたタイミングはほぼ同じであり、マシンでも正確な結果を出すのが難しかったらしく結果として引き分けとなってしまったらしい。

 

《試合終了!この勝負、両者同じタイミングで五機撃墜した為に引き分けとする!》

 

そして玲二からの試合終了の合図があり両チームのモニターは消されてしまい不完全ながらも全員会場へと戻されるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はあぁ〜疲れた〜!」

 

「リク、お疲れ様♪」

 

「ブイ〜♪」

 

バトルが終わりリク達は皆の元に戻ってきてブイちゃんを抱っこしているサラからスポドリを渡され一息ついている。にしても大剣への変形とかよく思いついたな?かなり面白い改造だから今度俺も真似するか。

 

「……レインちゃん、今回は私の負けだけど、次は絶対に私が勝つから」

 

「うん、何度だって戦ってあげるよ。だってやっぱりルイちゃんと遊んでいる時が一番楽しいしね♪」

 

その近くではルイとレインが仲良さそうに互いに拳を合わせて笑っている。試合中に何があったかはしらんが、やっぱりこの二人は何時も全力でやり合う程に仲は良いんだよな。

 

※観客席側からはゲーム中のプレイヤー同士の会話は聞こえません。

 

「戌亥いぃぃぃぃぃぃ!お前何自爆装置なんて仕込んだガンプラ渡してくれたんだよおぉぉぉーーーッ!?」

 

「え〜?でも自爆はロボットの浪漫やろ♪」

 

「そーだそーだ〜!戌亥の言う通り自爆は浪漫だ〜!」

 

「いや流石に技の説明くらいしたら良かっただろうがぁッ!リゼも戌亥の肩を持つなぁーーーッ!!」

 

……あっちではアンジュがロトを作った戌亥に詰め寄って文句を言ってるが当の本人はケラケラと笑うだけで悪びれる様子は無く、リゼも戌亥の味方をしておちょくってる。けど機体のスペック確認しないでバトルに挑んだアンジュも悪いからなんとも言えんがな?

 

「先輩!ユウマ!二人が作ってくれた新しいカミキバーニングスゲェぜッ!」

 

「うん!まさかこっちにRGのゴッドがあったから試しにユウくんに作ってもらったけど思った以上の性能が見れたね♪」

 

「ああ、だがやはりまだ問題点もあるみたいだ。此処から改良するにはまずあれを……」

 

向こうにいるセカイ達は新しくRGとして生まれ変わったカミキバーニングに興奮してはしゃいでいる。ユウマも改良点を考えながらもやはり嬉しいのか口角が上がってるのが目に見えて分かるな。

 

「玲二くーん!今日僕頑張ったからご褒美として今晩僕と一緒に「させると思ってんのかこの野郎?」……ハーイ」

 

そんな俺の元に爻が猫なで声を出しながら近づいて俺にご褒美を求めて来たが後ろから包丁を構えたるしあに背中を取られ命の危機を感じた爻はおとなしく引いていった。いやるしあ、守ってくれるのは有難いが包丁はダメだろ。

 

「……セカイ、今回は引き分けという形になってしまったけど、何時かまた勝負しよう!その時はヒロトも一緒に!」

 

「あぁ!俺も次に戦う時までにもっと強くなってみせる!その時は必ず俺達が勝つッ!」

 

「ああ。俺も、二人と戦える日が来るのを楽しみにしてる」

 

そして最後にリクとセカイ、そして今回参加出来なかったヒロトがそれぞれの想いをぶつけながら交互に握手を交しこのバトルは幕を閉じた。また何時か、戦える日が来ると信じて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして数日後、リク達ビルドダイバーズのメンバー達のこちらでの旅行は終わり自分達の世界へと戻っていき、セカイ達も俺の力によって元の世界へと無事に帰還する事が出来てホロライトシティは久しぶりに落ち着いた日々を送っていた。しかし、そんな中俺は義兄である藤枝劉斗さんに呼び出され彼の経営する藤枝コーポレーションの会長室へとやってきていた。

 

「義兄さん、わざわざ此処に呼び出したって事は分かったのか?セカイ達やナンジャモがこの世界に迷い込んだ理由が」

 

「うん、漸くその理由が明らかになったよ。これを見てくれ」

 

義兄さんがそう言うと壁の一面にあるモニターに俺達の住むホロライトシティの上空からの映像が映し出された。だがその映像には所々に謎の歪みが発生しており、その数はざっと数える限り十はありそうだ。これは、もしかして……!?

 

「この映像から様々なデータを観測し、あらゆる分野のエキスパートにこの映像にある歪みを調べてもらったんだ。そしたらやはり玲二君の言う通り、これは時空の歪みだ。それも過去や未来だけでなくセカイ君やナンジャモさんのいた別世界へとも繋がるゲートになっている」

 

「やっぱりそうか……これってもしかして俺がリク達の世界とこの世界を繋いでしまったからなのか?」

 

「いや、どうやらそれとはまた違う理由だ。詳しい事はまだ不明だけど、どうやらホロライトシティ……いや、僕がこの人工島を計画していた段階でこの歪みは生じていた可能性があるんだ。そしてその後にこの島が君達の住むホロライブタウン、そしてホロライトシティへと成長していったんだけど、どうやらそれと同じようにこの時空の歪みが数を増やしたらしい」

 

なんだそりゃ?つまり此処は元々そういう時空間の捻じれみたいなのが生じやすい場所だったって事か?

 

「今の所この歪みを解消する手段は分かっていない。もしかしたら君の神羅族の力を使えば消す事も可能かもしれないが、まだ75%程までしか覚醒していない今の状態では逆に玲二君の身体に負担が掛かるかもしれないから止めた方が良いと思う」

 

「成る程な……取り敢えずこの時空の歪みも向こうからの一方通行みたいだし、今の所は特に害もないからひとまずは放置で良いのか?」

 

「取り敢えずはね?但し気をつけてくれ、今までは運良く君や家族や仲間達に対して友好的な者達ばかり集まって来たが、今後もしかすると君達に敵意を向けてくる相手が出てくるかもしれない。もしそうなった場合は勿論手助けするようにはなっているが、玲二君も例えヤバい奴が現れて暴れたとしても決して無茶だけはしないようにしてくれ」

 

まあ確かに流石に俺にも限度はあるからな?それに万が一無茶して動けなくなったら皆に危険がせまってしまうだろう。そうならないように変な連中だけは来ない事を祈るしかないな。

 

 

 

新たに発覚した時空の歪み問題。今後ももしかしたら違う世界の住人が迷い込んでしまうかも?だがそれはまた別の機会に…………




はい、という事で今回でビルドダイバーズとビルドファイターズの話は終わりです!次回からは投票の上位の話を書いていこうと思います(≧∇≦)/

次回もまったり待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第108話『地獄の修業再来』

もう結構この小説ホロライブだけでなくにじさんじもがっつり関わっているからタイトルをにじホロビルドライバーズに改名しようと思いましたがなんかしっくり来ないので止めました(;´∀`)

今回はにじさんじを巻き込んでの地獄の修業回です。けど以前とは一味違うようで……?今回も最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


「こらあぁーーーッ!あんた達ダラダラ走ってるんじゃないわよ!玲二やベルちゃん達はとっくに走り終わってるんだから休まずさっさと走るッ!!」

 

『は、はいぃーーーッ!?』

 

…………どうも、佐々木玲二です。え?今何をしているかって?今はホロライブとにじさんじのメンバー総出で俺の兄貴である浩一による地獄の修業の一環である重りを着けた状態での無人島五周の真っ最中である。なんでこんな事をしているのかって言うと、最近仕事やガンプラウォーズの調整などが多く身体が鈍っていたので兄貴に頼んで一週間のトレーニングを行う事にしたのだ。

 

その時に話を聞いてた拓哉も俺と一緒にトレーニングをする事にしたのだがそれで火が着いてしまったのか、俺の家族とにじさんじのメンバーを全員集めてトレーニングをすると言い出しそして今こうして皆でホロライトシティの近くにある無人島でランニングを行っているのである。とは言え俺と拓哉とにじさんじに所属する『ベルモンド・バンデラス』さんは既に走り終え今はそれぞれ一息入れているけどな。

 

「それにしても拓哉、お前もう一つ五キロの計20キロ着けても大分余裕になってきたな?」

 

「いやぁ先輩にはまだまだ勝てませんよ。だって先輩のそれ倍の10キロの計40キロな上に皆より二周多く走ってるじゃないですか。まだ俺は其処まで出来ませんからね」

 

「まあ俺や玲二は偶に師匠から修業をつけてもらってたからな。お前も師匠に修業をつけてもらい続ければいずれ出来るようになるだろ」

 

いやベルさん、あんたのそれはヤバいだろ?だって両腕合わせて30キロと両足合わせて40キロの計70キロって、人一人分の重さ加わってるじゃねぇか。それでいて俺と同じペースで七周走ってるし、流石にじさんじでも随一の屈強な男だわ。今も休憩中なのに関わらず一人で重り着けたまま片手腕立て伏せしてるし。

 

「あーでも久々に身体動かしたから結構キテるなこれークイックイッーん?」

 

「おとーしゃま、おちゅかれしゃまでしゅ。めあり、おこーちゃいれてきまちた♪」

 

「お、有り難うな“メアリー”。頂くわ」

 

俺が休んでいると後ろから五歳くらいの女の子『メアリー』が紅茶を持ってやって来た。実はなんとこの子、先月エリーが産んだ子なのだ。エリー曰く妖精族は幼少期の成長が他の種族に比べかなり早く、一年で他の種族だと八歳くらいまで成長するらしい。つまりは五歳くらいに見えるがメアリーはまだ生後一ヶ月の赤ちゃんなのだ。そして俺の神羅族の遺伝子がその成長に拍車を掛けているのか、メアリーは産まれた翌日には歩けるようになり一週間もしないうちに喋れるようになっていた。このペースで行けば一歳になる頃には他種族でいう14歳くらいまで成長する見込みらしい。神羅の遺伝子ヤバくないか?

 

まあ今はそんなの良いとして、折角メアリーが紅茶を淹れてくれたんだ。有り難く頂くとしよう、どれ………………

 

「……………………」

 

「どぉでしゅかおとーしゃま?めありのおこーちゃおいちい?」

 

…………メアリーがすっごくキラキラした目で俺に感想を求めているが、はっきり言うと……

 

 

メ ッ チ ャ ク チ ャ マ ズ い ッ ! !

 

 

なんだこの紅茶!?いやそもそも紅茶にすらなってねぇぞ!?多分かなりの熱湯で長時間茶葉を淹れてたんだろうがその所為で苦味と渋味だけが抽出された 只々マズいお湯に成り果ててしまってる!とてもじゃないが飲めたもんじゃないぞこれ!?

 

「……あぁ、旨いよメアリー。わざわざ有難うな」

 

「!わーいおとーしゃまにほめられまちた〜♪」

 

……まあ本当の事言ったら可哀想だし折角メアリーが淹れてくれたのだからちゃんと飲むけどな?メアリーも嬉しそうにぴょんぴょんはねて喜んでいるから良しとしよう。そしてこうしてこういうのを飲むとエリーの淹れてくれる紅茶って本当に凄かったんだなって実感するわ。

 

「……プハァ。ところでメアリー、お前は今楓達や他の子達と一緒に遊んでたんじゃないのか?」

 

「はい、かえでおかーしゃまやこゆきちゃんたちといっしょにあしょんでまちた!でもみんなおひるねのじかんになってねちゃって、めありも……ふあぁ〜」

 

「そっか、ならそろそろメアリーもおねんねするか。ほらおいで」

 

「ふぁ~い、ふみゅぅ……」

 

うん、抱っこしてやるとすぐに寝てしまった。成長が早いとは言えこの子もまだまだ赤ちゃんという事だな。

 

「よっと……そんじゃあそろそろ皆も戻ってくるだろうし、俺達もそろそろ戻るとするか」

 

「そうですね。ベルモンドさんもそろそろ行きましょうよ」

 

「ん?あぁ、俺は後1セットやったら行くから先に行っててくれ」

 

……相変わらず自主トレが好きだなこの人は?取り敢えず先に行けって言うならさっさと向かうとするか。さーて皆は大丈夫だろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーチーン……ー

 

「あーあやっぱりこうなってるか?」

 

「皆死んだみたいに横たわってますね……」

 

まあホロメンは以前五日間程は体験したがやはりキツいもんはキツいし、にじさんじメンバーなんてベルさんとレイン以外はこれが初めてだから余計に辛いだろう。

 

「玲二やパタちから話は聞いとったがまさかこれ程までに厳しいとはのう……?」

 

「いやいやパタちはこれ以上の事してるんで今回の師匠はまだ優しい方だと思いますよ?」

 

「うわぁあてぃし妊娠中で良かったわ……」

 

「私もこんなんしてたら確実に死んでまうわ……」

 

今回も妊娠中のメンバーは当然外されておりレインと尊と楓は参加しておらずヘトヘトの皆を見てホッとしている様子だ。レインだけはちょっと残念そうにはしてたけどな。そして

 

「もぉーーーッ!なんでメルメルだけ不参加なのさぁーーーッ!?こんなの不公平だーーーッ!」

 

「しょうがないじゃん、よっさん今お腹に赤ちゃんいるんだから」

 

「アハハ、ごめんね皆♪」

 

「ていうかメル先輩何気にこの地獄の修業一回もやってないよね?なんかズルいなぁ……」

 

ホロライブ+α側のメンバーでは今回はメルだけが不参加である。というのも先程のスバルの言う通りメルは今身篭っている状態で現在四ヶ月目となっている。にじさんじ以外の妻とはなるべく子供は作らないようにしようと皆で話し合ってたんだが、まさか他種族同士だと妊娠しづらい吸血鬼のメルが妊娠してしまうとはな……

 

「れ、玲二やベルさん達何時もこんな無茶苦茶な内容のトレーニングしてんのかよ……?」

 

「いや今日はまだ全然楽だぞ?昔軽トラロープで引っ張りながら北海道横断とかやらされたからな」

 

「そ、それ出来る時点で最早人辞めてるって……神羅族のレイ兄さんは兎も角ベルさんが出来るってどうなってんだよ……?」

 

いや刀也、その頃まだ俺神羅族として覚醒してないし何ならその時まともに出来たの兄貴とベルさんだけだからな?俺とレインは函館着く目前でぶっ倒れてしまったし。あの頃は俺とレインもまだまだひよっ子だったからなぁ……

 

「ほら皆ぁーッ!もう充分休んだんだからそろそろ次のトレーニング始めるわよーーーッ!」

 

「こ、浩一さ「Non!麗閃と呼びなさいッ!」れ、麗閃さんもう少しだけ休ませて……」

 

「なぁに甘ったれた事言ってんのよ!?そんなんじゃいざという時に大切な人を守る事なんて出来やしないわよ!ほら泣き言言う暇あるならさっさと立つッ!!」

 

美兎がヘトヘトで休憩を懇願しているが兄貴はそういうのは軟弱と言って次のトレーニングを始めようとする。でもまあ運が良かったな美兎、何時もなら泣き言言うと罰としてトレーニング内容追加されるけど今回は其処まではしないでくれたみたいだ。

 

「アッハハ♪美兎ちゃん頑張れ〜♪」

 

「わらわ達は参加出来んが応援しとるぞ〜♪」

 

「何言ってるの!?次のトレーニングは貴方達も参加させるわよッ!」

 

『え!?』

 

え!?お、おい兄貴?!流石にそれはマズいって!?

 

「おい兄貴!尊や楓は妊婦だぞ!?そんな重たい身体でこんなキツいトレーニングなんてさせられるワケねぇだろ!?幾ら兄貴でもそんな事させるなら……!」

 

「何を言ってるの玲二?次のトレーニングは身体を動かす必要がないからこの娘達も参加させるのよ」

 

は?身体を動かす必要がない?なんだよそれ……って兄貴の奴さっさと無人島の奥に進んで行きやがったけど、一体何をさせるつもりなんだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあアテクシは次のトレーニングの準備をするから、あんた達はそれを一時間以内に作っておきなさい」

 

「え?これって……ガンプラ?」

 

兄貴に連れられやって来たのは無人島の中心部にあった謎の建物。その地下へと案内されると其処はかなり広い空間が広がっており、中央部分には大きなテーブルの上に大量のガンプラとニッパーとヤスリが置かれていた。だが其処に置いてあるガンプラは大量にあるも種類はたったの一つだった。

 

「な、なんでジムなの……?」

 

「まあ確かにこれなら一時間以内には作れそうだけど……?」

 

「だとしてもなんでガンプラ?それもこんな古いジムだなんて?」

 

そう、其処に置かれていたのは全てHGのジムだったのだ。でもなんでジム?というかなんでトレーニングの最中にガンプラを作らないといけないんだ?おい兄貴ってもういねぇし!?はぁ…仕方ない、取り敢えず作るしかないか……

 

 

『HG ジム』

『機動戦士ガンダム』に登場した地球連邦軍の量産型MS。ガンダムをベースに高価な機能やパーツは撤廃され安価なパーツで作られ量産された機体である。基本スペックは低めだがジオンの量産型とも引けを取らない性能を有しており、更に後の連邦の量産型MSのベースとして大いに貢献している。

 

 

「にしてもなんでこんな古いガンプラなんて作らないといけないんだ?」

 

「まあでももしかしたら浩一さんが息抜きにって用意してくれたのかも?」

 

「え〜?でも師匠がそんな事するかなぁ?」

 

……確かに兄貴が息抜きにガンプラを作れなんて今までそんな事した事がない。これは絶対に何かあるに決まってるよな?一体何をやらせるつもりなんだ兄貴は……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おーい兄貴、こっちは全員組み終えたぞー?」

 

「あら、思ったより早かったわね?なら今からシミュレーショントレーニングを始めたいと思うわ!」

 

「え?シミュレーショントレーニングって…………え!?」

 

完成したジムを持って部屋の奥に来てみると、其処にはなんとガンプラウォーズの筐体が、それも100台以上ズラッと並んでいた!な、なんでこんなにガンプラウォーズがあるんだよ?!

 

「これは劉斗ちゃんに頼んでアテクシがこの島に設置したシミュレーション特化型のガンプラウォーズよ!なかなか素敵だと思わない?」

 

「し、シミュレーション特化型?!」

 

なんじゃそりゃ?!……いや、確か聞いた事あるな?軍の中にはこうしたシミュレーション機を使い戦闘機での戦闘を想定した訓練があるって。でもなんでガンプラウォーズでシミュレーショントレーニングなんだ?!

 

「今からあんた達には自分達が作ったジムを使って訓練を行ってもらうわ!訓練内容は指定されたターゲットを捕獲する事!それが出来た者から今日のトレーニングは終了にしてあげるわ!」

 

「え?たったそれだけ……?」

 

「なーんだ、それってつまりこの間の見つけてベアッガイとおんなじでしょ?それなら簡単に終わりそうじゃん♪」

 

「……いやちょっと待って?それって逆に言ったらその目的のターゲットを見つけられない限りこのトレーニングを終われないって事じゃ……」

 

魔使みたいに余裕を見せる者もいるがれなみたいに不安になる者もいる。いやでもれなの不安も最もだ。兄貴がそんな簡単な探索ミッションを用意するワケがない。絶対このミッション、かなり厳しいモノになりそうだ……

 

「さあ分かったらさっさと何処でも良いからシミュレーションボックスに入りなさい!それと今回は探索ミッションだから武装は全部外しなさいよ!」

 

やっぱり武装は外されるか……だったら最初のうちにそれらは作らなくて良いって言っといてくれよ兄貴……って他の皆もボックスに入っていってるし俺もさっさと入らないと。まあ目の前の此処で良いか……ん?なんでモニターに“らいむの写真”が貼ってあるんだ?意味が全く分からんのだが……?

 

ーGAME STARTー

 

っとそんな事考えてたらいきなりゲームスタートの合図が入って画面が表示されたな。さて今回の舞台は………………は?

 

「な、なんじゃこりゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!?」

 

表示されたステージは今まで俺達がやって来た宇宙や密林や荒野などではなく、なんと広い“子供部屋”だったのだ!周りにはおもちゃが散乱しており、そのフィールドを小さな機体がウロウロと動き回っていた。あれは……“ボール”か!?

 

 

『HG ボール』

『機動戦士ガンダム』に登場する地球連邦軍の量産型モビルポッド。戦闘機としても使用される事があるが元々は支援機として開発された簡易的な構造なので大した強さは無く、これに乗って戦闘すればほぼ確実にやられる事から別名『動く棺桶』と呼ばれている。

 

 

《今からあんた達にはこのエリアで動き回っているボールを捕獲してもらうわ!制限時間は一時間!それ以内に捕まえられなかった者は追加のトレーニング決定だからそのつもりでいなさい!》

 

「へ?ボールを捕まえるだけ?なんか思っていたより簡単なミッションの気がするんだが……?」

 

《勿論ボールならなんでも良いワケではないわよ?あんた達がボックスに入った際に画面に写真が貼られていたわよね?》

 

え?ああ確かにらいむの写真が貼られていたな……ってちょっと待て?それってまさか……!?

 

《そう!あのボールを操縦しているのは全部玲二の子供達よ!まあ操縦と言ってもハイハイやよちよち歩きで連動するだけの簡易的な物だけどね?さぁみんな〜!パパやママやそのお友だちがみんなを捕まえにくるからいっぱい逃げ回りなさ〜い!もし頑張ったらアテクシから特製スイーツをプレゼントしてあげるわよ〜♪》

 

《わーい♪》

 

なんてこった!?トレーニングの前日に子供達も連れて来いって言ったのはそういう事だったのかよ?!それにこの見た目がまんま一緒のボールかららいむを見つけろだって!?なんだその激ムズミッションは!?

 

《因みにもし指定された子が乗ってるボールじゃないのを捕獲してしまったらその場で罰が執行されるからそのつもりでいなさい!それじゃあミッション開始ッ!》

 

ービーッ!ー

 

ヤバい!?ミッションが始まって上にカウントダウンのタイマーが表示された!兎に角急いでらいむの乗ってるボールを探さないと!らいむの特徴を考えたら……あまり目立った場所にいたがらないから多分端の方にいる筈だ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーフブキー

 

「クリスちゃーん!一体何処にいるんですか〜!?ってあ痛ぁッ?!痛た、また転んじゃった……」

 

もぉなんでこんな迅速な行動が求められる探索ミッションでこんな機動性が悪いジムで行動しなきゃなんないのさぁ!?動きづらいったらありゃしないよ!?

 

……とまぁフブキが愚痴るのも無理はない。このジムはHGUCシリーズでも初期の方に販売されていた物でその作りは簡単な分関節等は今のキットに比べて大分動かない部分が多い。加えて何時もなら改造とかを施したガンプラを使用するが今回は素組の状態なので大した力を発揮出来ない状態なのだ。更に……

 

ーフワフワッー

 

「そーっとそーっと……今だぁッ!」

 

ーヒョイッー

 

「え?!ーゴンッ!ーにゃあッ!?」

 

ボールを動かしているのは玲二の子供達であるのも難易度を上げている理由の一つだ。AIとかの自動行動する機体ならある程度慣れれば行動パターンが読めるのだが、子供は気まぐれで動く事が多々あるので動きが読みづらいのである。現に今のボールも真っ直ぐに進んでいたのに何もない所で急に右に曲がったと思いきやまた戻ってきて真っ直ぐ進んで行ったのである。

 

「う、動きが読めない……こゆきとかふゆきだったらまだ分かりやすいのに〜……」

 

確かに自分の娘の動きならまだ分かりやすいだろうが、とはいえこの子供達の選択は完全にランダムで選ばれているので愚痴っても仕方がない。フブキは気合いを入れ直しすぐさまクリスを探しにいくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー夢追翔ー

 

「まさかゆめおのターゲットがカケルくんとは、なんか縁を感じてしまうなぁ〜」

 

その頃、にじさんじのアイドルの夢を追いかけ続ける男『夢追翔』は自分のターゲットである自分と同じ名前のカケルを探しにボールの群れが出来てるおもちゃ箱の前までやって来ていた。とはいえどれがどの子か全然把握出来てない夢追は取り敢えず片っ端から探そうとまず手始めに目の前のボールを捕まえようとする。

 

「そーっと、そーっと……よし、捕まえた!さーて、これはカケルくんかな〜?」

 

ーブォンッー

 

《うゅ?》

 

夢追はあっさりと捕まえる事には成功……しかし、其処に乗っていたのはカケルではなくあんずであった。あんずは不思議そうにモニターに映った夢追を見て首を傾げている。

 

「あれ?違ったか……よし次を探すとしよー夢追翔、間違えた為に罰を執行しますーえ!?」

 

間違えたら罰が執行される事をすっかり忘れていた様子の夢追。しかし罰とはいえこんな狭い場所では大したモノは来ないだろうと高を括っていた。しかし……

 

 

 

ーバッカモーンッ!恥を知りなさーいッ!!ー

 

「……え?一体なーヒュウゥゥゥゥ〜……ゴオォォォンッ!ーうごおぉッ?!」

 

ーネバ〜ギ〜ブア〜ップ!ー

 

突然頭上から金ダライが降ってきて夢追の頭を直撃し夢追はそのまま目を回しながら気絶してしまうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー楓ー

 

「えーとえりあちゃんは何処におるかな〜?あの子極度の恥ずかしがりやだから多分端の方にいそうなんやけど……?」

 

お次はにじさんじ一二を争う圧の強い女である楓。彼女は玲二の嫁になった後早い段階で妊娠し暇さえあれば子供達の面倒を見ているのである程度の子の特徴は把握しているようだ。しかもその中でも比較的特徴が分かりやすいえりあが当たったので楓は沢山いるボールから殆ど動いてないボールを探し出している。すると

 

「……お、あのボール全く動いてないな?多分あれがえりあちゃんやろ?なんや楽勝やん♪ほーらえりあちゃん捕まえたで〜♪」

 

全く動かないボールを見つけて楓は楽々とそのボールを捕獲し持ち上げる。だが……

 

ーヒョイッ……ブォンー

 

《あ、あうぅ〜……》

 

画面に映し出されたのはえりあではなくフィルであった。この子も極度の恥ずかしがりやなのでえりあと同じように動かない事が多く、その為に楓はこの子をえりあと間違えてしまったのである。

 

「しまった!?フィルちゃんがいる事すっかり忘れとった!?」

 

ー佐々木楓、間違えた為に罰を執行しますー

 

罰執行のアナウンスが鳴ると同時に楓のボックスのモニターが左右に開き、其処から小型の筒が現れ楓の顔に標準を合わせていく。

 

「な、なんやこれーブシュウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!ー……ぶぇっくしょいッ!なんやねんこれぇッ?!」

 

そしてその筒から大量の粉が噴出され楓の顔は真っ白に染まってしまい、その怒りが頂点に達し思わず台パンをかましてしまうのであった。どうやら罰はその時その時によって変わるようだ。いや、もしかしたらこれは妊娠している楓達に対する考慮なのかもしれないが……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーマリンー

 

「ほーら玲牙くん出ておいで〜♪何も怖くないでちゅよ〜♪」

 

楓がキレ散らかしてる頃、玲牙を探してぬいぐるみコーナーへとやって来たマリン。玲牙はぬいぐるみが大好きでよく母親であるぼたんのぬいぐるみを抱っこして喜んでいるのでそれなら此処にいてもおかしくないと思い辺りを隈なく探していた。そして

 

「あ、彼処にぬいぐるみで遊んでるボールがいますね?ヌッフッフ〜……玲牙くん見ーっけ♪」

 

マリンは玲牙を見つけたと思い目の前にいるボールを持ち上げていく。

 

ーブォンー

 

《わぅ?》

 

しかしぬいぐるみで遊んでいたのは玲牙ではなくまかろんだったのだ。まかろんはいきなり持ち上げられ何事かと首を傾げている。

 

「げッ!?まかろんちゃん?!絶対玲牙くんだと思ったのにいぃーーーッ!」

 

ー罰を執行しますー

 

間違えたマリンに間髪入れず罰が執行される。今度はマリンの足元の中央部分が少し開き、これから一体何をされるのかを思っていると……

 

ーブゥンッ!パッシイィィンッ!ー

 

「んほおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーッ!?」

 

なんと其処から棒状で少し固めのスポンジがフルスイングで振られマリンの股間を思いっきり叩きながら通過したのである。

 

「い、いやこれチ○コマシーン……女には無いからってちゃんと痛いってば……ガクッ」

 

まさかのチ○コマシーンを喰らいマリンは股間を抑え悶えながら泡を吹いて気絶してしまった。どうやら女の人でもあれはかなり痛いようだ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……クソッ、皆見た目が一緒で分かんねぇ……」

 

あれから既に40分が経過し残り時間もどんどん少なくなっている。にも関わらず未だに誰もクリア出来ていない。このままじゃ全員揃ってペナルティの追加トレーニングをやらされてしまう!一体どうすれば良いんだ!?こんな沢山いる見た目が一緒のボールからどうやって…………

 

 

 

…………いや、見た目に惑わされるな!俺はこれまで皆の事をずっと見てきたんだ!見た目で判断出来ないなら……特徴で判断するまで!

 

 

 

あれは……いや違う、あの動きからしておそらくねるだ。じゃあ彼処にいるのは……おそらく玲菜だろう。あの子は最近でんぐり返しをするのが好きみたいだからあの転がり方はおそらく玲菜が転がっているのだろう。なら彼処にいるのは……あの別のボールにくっついてて下のボールが嫌そうに逃げようとしているのを見るとおそらくつばきと玲牙だな?うん、特徴で見ていけば大体分かってきた!

 

 

 

だとしたららいむは……あッ!彼処にいる毛布の端の部分を引っ張ってるヤツ!あれはらいむが毛布をあむあむしている時の動作と全く同じだ!漸く見つけたぞッ!

 

ーガシィッ!ー

 

「らいむ、見つけたぞ!」

 

多分……いやこれは絶対にらいむだ!けどこれで外してたらどうしようか……いやいや親である自分が信じないでどうする?!大丈夫、この子は絶対にらいむだ!

 

 

 

ーブォンー

 

 

 

《ぷぁーぱ、あっきゃ♪》

 

…………ホッ。良かったあぁぁぁ!ちゃんとらいむだったぁ!これでなんとか父親の威厳は保てた……って事はこれで俺はミッションクリアだ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふーん、やっぱり一番乗りは玲二だったわね?そして全体のクリア率は七割……ま、初めてにしてはなかなかの成績ね。今回はこの成績に免じて全員追加トレーニングは勘弁してあげるわ」

 

『あ、有り難うございますぅ〜……』

 

うわぁ皆目が死んでるな?まぁここにいる大半が罰執行されてめちゃくちゃ辛い思いしたみたいだしな?なんかマリンと力一が股間抑えた状態で気絶してるけど何されたんだ?

 

まぁ意外にも残り10分切った辺りで皆が次々とクリアしたのは凄かった。中には片っ端から捕まえるという荒業をした奴もいたがなんかいろんな罰を受けたようですっかりボロボロになってて凄かったわ。

 

「まあ今回は子供達に見事に翻弄されてしまったな?」

 

「まあな。皆も沢山楽しめたか?」

 

『あーい♪』

 

シミュレーションが終わって戻ってきた子供達は兄貴が用意してくれたベビー用ドーナツを食べてご満悦だ。最初は兄貴に対して勝手に子供達をシミュレーションの一環として参加させた事に怒りそうになったが、まあこの子達にとってはただ遊んでおやつもらえて大満足だろうから良しとするか。

 

「いやぁそれにしても今回のトレーニングキツかったなぁ〜」

 

「でも最後のシミュレーションもワリと楽しかったし、それにこれでトレーニングも終わったから良かったやん♪」

 

「なぁにを言ってるのかしらあんた達?!今日のトレーニングは確かにこれで終わりだけど、玲二やあんた達にじさんじ組は後六日間残ってるんだから覚悟しておきなさいッ!」

 

『え?!』

 

突然言い渡される衝撃的な内容にベルさんとレイン以外のにじさんじメンバーは驚き唖然としている。まあ元々一週間の予定は俺と拓哉だけのつもりだったが兄貴は一度言い出すと聞かないからなぁ。

 

「え!?なんでひま達だけ?!フブキちゃん達は!?」

 

「ごめんね~、私達ホロライブは明日からツアーがあるから♪」

 

「みしろも本土で収録がありますので」

 

「ヒナは喉の治療受けに行くのとヒメはその付き添いで♪」

 

「アカリも明日から少しの間海外で仕事があるんだ」

 

「シロもドラマの撮影があるからこの後すぐに行かなきゃ」

 

そう、皆それぞれ外せない用事があるので暫く本土の方に行ってしまう為トレーニングは残るにじさんじ組だけとなってしまうのだ。因みにパトラとクロは元々別件の仕事があり最初から不参加だった。

 

「さぁーて、明日からはもっとキツいトレーニングメニューを用意してあげるから覚悟しなさいッ!!」

 

『ひいぃぃぃーーーッ!?』

 

「あー、なんか悪い事しちゃったかな……?」

 

「良いんじゃないか?それに俺もまだまだこれくらいじゃ不完全燃焼だったしな」

 

「良いな〜、パタちも参加したかったな〜?」

 

………本当にこの二人は根っからの筋トレマニアだな?けどまあ今回は短めの一週間だし、それに何時もに比べて軽めの内容だから大丈夫だろ?そんじゃあそろそろ飯食ってシャワー浴びて明日に備えて寝るとしますか。

 

 

 

その後一週間経過した頃には殆どのメンバーが全身バッキバキの状態になってしまい約一週間の筋肉痛に襲われる事になるのであった。




はい、という事でシミュレーションによるトレーニング回でした!こうしたトレーニング内容もあると何かで聞いた事があったのでそれをガンプラウォーズに落とし込んで見ました(≧∇≦)/

そして次回はアンケートで二番目だったあおぎり高校のメンバーを出そうと思います!次回もまったりと待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第109話『あおぎり襲来』

まず初めに言わせて頂きます。この小説に関して作者である私の実力が不足している事もあり上手く表現出来なかったり配慮が足りない点も多々あるのは事実なのでそういう事に関する評価は致し方ないと自負しています。しかし、それとは別にこの小説とは関係のない作品の感想を求めたり他の作品と比較するのは筋違いなのでそういった内容の感想はお控え頂ければと思っております。

前置きから失礼しましたが、今回はあおぎり高校のメンバーが再び玲二の元にやって来る話です。最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


「……諸君、今日は忙しい中集まってもらい感謝する」

 

とある薄暗い部屋の中、一つのテーブルに七人の女の子が集まり何やら重苦しい雰囲気の中話し合いを始めていた。彼女達の正体はそう、最近アイドルあるある等のネタで人気を博してるアイドルグループであるあおぎり高校のメンバーだ。そして最初に口を開いたのは彼女達のリーダー格である音霊魂子である。

 

「さて、皆には今日集まってもらったのには理由がある。それが何か分かる人はいるか?」

 

「はい!我らが玲二さんがハニストのパトラちゃんやにじさんじの一部アイドルと結婚した事であります!」

 

魂子の問に答えたのは現在あおぎり高校二年生の『栗駒こまる』、清楚系として売り出したのにも関わらず平気でド下ネタを連発する事から通称歩く下ネタと言われるようになったアイドルである。本人は至って気にしてないようだがそれで良いのか?

 

「その通り!玲二さんは以前私達や他のアイドル達にはもうこれ以上は結婚するつもりはないと明言していた……にも関わらず!あの人はパトラちゃんや他のアイドル達としれっと結婚したんだ!しかも!既に中には玲二さんとの子供を身籠った娘までいる始末だッ!!」

 

「許せねぇよなぁッ!?あたし等があれだけ迫ってもきっぱり断ってたクセになんでしれっと他のアイドルと結婚してんだよあの人はぁッ!?」

 

「あれか?!付き合いの長さの所為なのか?!だったら私は中学時代の同級生だったぞ!?」

 

玲二が新たに結婚した事に以前から好意を寄せていた石狩あかり、そして玲二の中学時代の同級生であり現在あおぎり高校の教育実習生である堕天使『我部りえる』が怒りを露わにしていた。因みにこの世界の堕天使とは天使が堕落したというワケではなく、悪魔の血が少し入っているというだけの単なる種族名である。

 

「落ち着きなって皆。逆を言えばだよ、これって僕達にもまだチャンスが残ってるって事じゃないの?」

 

しかし、そんな中こまると同じく二年生である山黒音玄がこれは逆にチャンスと冷静に分析する。にじさんじの面々が許されたのであれば、自分達もその輪に入れるのではないか?と。

 

「そう、音玄っちの言う通りだ!これはある意味我々にとっても最大のチャンスなんだ!ハニストやにじさんじが許されるのであれば!私達あおぎり高校も玲二さんのお嫁さんになる資格は充分にあるというワケである!なので今回は玲二さんを手に入れるべく、皆にも協力してもらいたいと思うッ!」

 

『おぉーーーーーッ!!』

 

魂子の熱い想いにあかり達も呼応するかのように熱く燃え上がっていく。しかし、そんな5人を冷めた目で見ている2人。それはあおぎり高校三年生の大代真白とこまると同じく二年生の『千代浦蝶美』であった。

 

「……なあ蝶美、これどうしたら良いと思う?」

 

「ほっとけば良いんじゃないんですか?別に私ら佐々木さんには其処まで執着心ないし、先輩やこまるん達だけで勝手にやらせとけば良いっしょ?」

 

そう、二人にとって玲二はあくまでも同業者という立ち位置であり別に彼と結婚どうこうなんてこれっぽっちも考えていない。蝶美は確かにガノタだが別にそれで玲二と接点があるわけでもないので二人ともこの話には興味等微塵も持っていないのである。寧ろ面倒くさいのでさっさと終わらせてほしいまである。

 

「……で、一体どうやって佐々木さんにアプローチするつもりですか?確か佐々木さんはもう現在婚約している娘以外とはもう婚姻を結ばないと名言してますよね?」

 

「フフン、そんなの決まっているさ!直接勝負を仕掛けて玲二さんを私達のモノにするんだ!実は一週間程前に果たし状を神羅城に送っているから玲二さんと直接対決をしてそして勝って玲二さんとの結婚を認めてもらうって寸法だ!」

 

『おぉ〜ッ!』

 

どうやら魂子はまた玲二の元に果たし状を送ったようであり、その勝負に勝って玲二との婚姻を認めてもらおうという考えのようであり、他のメンバーも魂子のアイディアを称賛し歓喜する。だが……

 

「……ねぇ、その果たし状送ったのって一週間前だよね?ならなんで向こうからの連絡が何も無いワケ?」

 

『え……?』

 

蝶美の言う通り、果たし状を送ってから既に一週間経っているのに向こうからの返事が一切返って来ていない。以前は玲二がすいせいとるしあを連れて直接やって来てくれたのだが今回はそれすらない。それを意味するのは……

 

「……これ、魂子先輩の果たし状完全に無視されてません?」

 

「というかそれしかなくない?魂子先輩前回とおんなじ手で来てるから向こうも受ける必要がないって思って捨てたとか?」

 

「そ、そんな……?!」

 

魂子はショックで膝から崩れてしまうがこれは仕方がない。当の本人である玲二はもうこれ以上は結婚も婚約もするつもりはないと名言しており尚且つ妻や婚約者達もそれには賛同しているのでこの手の内容の手紙は来ても確認後すぐに処分されてしまうのだ。今頃魂子の出した果たし状はシュレッダーに掛けられ燃えるゴミの日に出された事であろう。

 

「ぐぬぬ、まさか私の渾身の果たし状が無視されるだなんて……!?」

 

「はぁ、やっぱ魂子先輩のやる事は上手くいくワケなかったんだよ?」

 

「うん、魂ちゃんに頼ったのがそもそも間違いだったね」

 

「お前等手のひら返してんじゃねーよッ!?だったら今度はパトラちゃんのように公式サイトに玲二さんとの婚約発表してその勢いで……!」

 

「それやったらホロライブから正式に告訴するって通達あったよ?」

 

仲間に手のひら返しされた魂子は次にパトラのやった公式サイトに婚約発表を掲示しようとするもそれも既に対策され今後そういった事をした事務所や個人アイドルに対しては告訴して徹底的に争う事になっている。現にどこぞの小規模アイドル事務所のアイドルが公式サイトに玲二との婚約という嘘の発表をしてそのまま訴えられてかなりの損害賠償を請求された事例がある。

 

「うぐぐぅ……ッ!公式サイトでの発表もダメ。となれば残された道は一つしかない……!」

 

「やっぱりもうこれしか方法はないよね?」

 

「うん、僕達が直接神羅城へと乗り込んで求婚する!これしか玲二さんと結ばれる方法はないよッ!」

 

「よっしゃあ!そうと決まれば早速神羅城へと乗り込むぞぉッ!行くぞお前等ぁーーーッ!」

 

『おぉーーーッ!!』

 

最早最後の手段である神羅城に行き直接玲二に求婚するという強引な作戦を決行する魂子達。その勢いに任せ五人は部屋を飛び出し神羅城へと向かうのであった。

 

「…………さーて、ラーメン食いに行こっかな〜?」

 

「私もガンプラ買いにホロプラ行こーっと」

 

そして残された真白と蝶美は最早興味無しと言わんばかりにさっさと部屋から出てそれぞれラーメン屋とホロプラへと向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ?あおぎりの奴等が俺に求婚しに来てるって?」

 

「うん、ずっと神羅城の門前で玲二君を出せーッ!騒いどるんよ」

 

「私達が幾ら玲二さんには会わせられないって言っても聞く耳もたないんですよ……」

 

なんじゃそりゃ?仕事をしてる最中にノエルと新たに嫁に加わった一人であるにじさんじの脳筋女騎士こと『フレン』が困った様子で俺に伝えにきたんだが、一体どういう事なんだよ?

 

「うーん、多分この間来た手紙に関する事だと思いますけど……」

 

「もぉあの手の手紙とか来ても返信はしないで処分するって公式で声明出した筈なんだけどなぁ〜?」

 

「まあな。けどこのまま騒がれても困るしフレン、取り敢えず応接間に通しておいてもらっても良いか?」

 

「わっかりました〜♪えーと……応接間って何処でしたっけ?」

 

「……ノエル、一緒に付いていってやってくれ」

 

「はーい♪」

 

フレンってこの神羅城に住んで結構経つのに未だに内部構造把握してないんだな?この間も自分の部屋の場所が分からなくなって一時間彷徨ってたみたいだし……ってそんなのは良いとして俺もこの資料見終わったら行くとするか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「というワケで玲二さん!私達と結婚してくださいッ!!」

 

『お願いしますッ!!』

 

「……会っていきなり土下座かよ?」

 

資料を見終え応接間に到着するといきなり音霊達が綺麗なスライディング土下座をしながら俺に求婚をしてきた。いや唐突過ぎるだろ?

 

「はぁ……あのな?俺は明言した通り今いる婚約者以外とはもうこれ以上は誰とも婚約する事はない。お前達が俺に好意を抱いてくれるのは嬉しいが、もうきっぱりと諦めてくれ」

 

「なんでですか!?パトラちゃんやういさんやにじさんじの娘達は良くてなんで私達はダメなんですか?!そんなの不公平じゃないですかッ!」

 

「そうですよ!それに前回だってこれ以上は嫁は増やさないとか言って結局増やしてるじゃないですか!その理屈で言えば私達もその輪に入る事だって良いじゃないですか?!」

 

「それとも何!?玲二さんには僕達と結婚出来ない理由とかでもあんの?!」

 

理由ねぇ……まあはっきり言えばあるんだよなこれが。

 

「…………じゃあこの際はっきり言うけどさ、俺とお前等ってそんなに接点ねぇだろ?」

 

『…………え?』

 

「いやいやえ?じゃなくてさ、音霊とあかりと音玄は直接あったのはこれで四回くらいで栗駒、お前に関してはこれが初対面だろうが?そんな良くて殆ど顔見知り程度の関係で結婚なんて出来るワケないだろ?」

 

そう、これが最大の理由だ。にじさんじメンバーやパトラやういさんは大なり小なりそれなりに長い付き合いがあったり一緒にいる期間が長い。だからあいつ等の人としての内面もよく知ってるし俺の事を真剣に慕ってくれてるのが伝わってきたから婚姻を結んだんだ。だがあおぎりのメンバーに関しては殆ど顔見知り程度、それもその半分以上が仕事関係だったからそんな相手にいきなり求婚されても応じれるワケがない。

 

「ち、ちょっと待って!なら私は!?私は玲二君とは中学時代の同級生だったんだよ?!これだったらそれなりに付き合いが長いから……!」

 

「あー……悪いな我部、俺中学時代はルイとレインと一緒か他の男友達といる事が多かったし、正直お前に関してはあーそういやそんな同級生いたな〜?くらいの感覚なんだよ」

 

俺がそう言うと我部はショックで真っ白になりそのまま灰になって風に飛ばされていった。いや毎回思うがどういう仕組みでそうなるんだよ?

 

※因みに玲二が我部リエルの事をあんまり知らないのは当時玲二に告白しようとした我部がルイとレインによって妨害されていたからである。そしてそんな我部にとってあの時見たルイとレインの鋭い眼光は未だに恐怖として脳裏に焼き付いているようだ。

 

「あーだったら玲二さんとは結婚なんて許せませんね?」

 

「団長もそんな知り合い程度の娘が玲二君の嫁になるなんて許せんわなぁ?」

 

「うぐぐぅ……だ、だったら貴方達はどうなんですか!?そんなに言うなら貴方達は玲二さんとそれなりに深い仲なんでしょうねぇ?!」

 

「いや団長ホロライブでずっと一緒に働いとったし。それに玲二君には迷惑なスタッフから助けてもらった事もあるし」

 

「私はコーヴァス帝国と同盟結んでいるお菓子の国との親睦会で知り合って其処から毎年のように剣の稽古をする仲だけど?」

 

「ぐはぁッ!?」

 

いや二人と張り合ったって勝てるワケないだろ?ノエルとは言わずもがなホロライブでずっと一緒にいたしフレンは昔ルーナの故郷であるお菓子の国が同盟結んでいるコーヴァス帝国との親睦会に何故か参加させられた時に知り合って其処でなんか意気投合して毎年のように剣の稽古するようになったんだよな。だから当然ながら音霊達とは付き合いの長さは雲泥の差である。

 

「それに貴方達ってなんでそんなに玲二さんと結婚したがっているんですか?なんか玲二さんの話を聞く限りだと悪い連中から助けてもらったとか何か困った事があって助けてもらったとかでもなさそうですよね?」

 

「そうなると玲二君と結婚というステータスが欲しいか単に一目惚れしただけって事じゃろ?」

 

『ぐうぅぅ……ッ!?』

 

……まあ正直ノエルの言う通りなんだよな?今俺に迫ってくる奴ってホロライブやにじさんじと強い繋がりがほしい奴か金目当ての奴が多いようで、フブキやシロやるるが圧をかけるとすぐにボロが出てしまう。それですぐに去ってくれるならまだマシなのだが偶に開き直って迫ってくる奴がいるがそういう奴はフブキ達が何処かに連れて行くんだがその後の行方は俺は知らない。まあ後日死んだ魚のような目をしてるが普通に活動してる姿を見るからにちゃんと返してもらえてるんだろう。

 

「う、うぅぅ~……ッ!あぁもう一目惚れで何が悪いんだよ!?それ言ったらあんたらの中にもそういう娘だっていたんでしょう?!なら私等だって玲二さんと付き合ったって良いじゃねーかあぁーーーッ!?」

 

「そーだそーだ!好きになった人と結ばれたいと思うのは当たり前の事だろうがあぁーーーッ!?」

 

「いやそんな大した関わりのない状態から結婚は流石に無理な気が……?」

 

確かにそうだよな?まあクロとかいきなり求婚してきたが結局はお互いを知る為に何度かデートとかしたから結局はそういう積み重ねが大事なのにこいつ等に関してはそんな積み重ねすらない状態での求婚だから無茶にも程があるだろ?かと言ってこんな音霊達を追い返してもまたしつこくやって来そうだし、ああもうどうしたら良いものかねぇ……?

 

「…………!分かりました!そんなに言うなら特別に私とノエルさんに勝てたら玲二さんとの結婚を認めてあげますよ!」

 

『え!?』

 

ハァッ?!いきなり何を言い出すんだフレン!?なんで俺の許可なくそんな事言い出したんだよ?!流石にそんなの認められないぞ!?

 

「お、おいフレ「本当ですか!?本当に勝てば玲二さんとの結婚を認めてくれるんですね?!」いやそんなの「勿論!女騎士に二言はないですよ!」いや勝手に決めるなよ!?」

 

俺の事などそっちのけで話をどんどん進めているがフレンの所為で音霊達がかなりノリノリな状態になってしまってるし!?一体何考えてんだよこいつは?!

 

「ちょっとフレンさん?!そんなの団長も他の皆も許すなんて出来んよ!?」

 

「大丈夫ですって♪あ、でも勝負する前に今から誓約書作るんでそれにサインお願いしますね?内容は勝負に負けた場合は例えどんな理由でも文句は言わず玲二さんとの結婚を諦める事!その誓約書にサインをしてもらえるなら勝負してあげます。良いですね?」

 

「それくらいなら全然良いですよ!なら早く誓約書作ってくださいよ!サインしてあげますから!」

 

うわぁもう完全にやる気満々になっちまってるし、フレンも既にパソコン使って誓約書作ってやがるし……これで負けたらどうするつもりなんだよフレン?!

 

そしてフレンの作った誓約書に音霊達はサインと拇印を押してしまいこの勝負は決まってしまった。はぁ、もう最悪だ……

 

「さーてこれで準備完了!じゃあ一体何で勝負するのさ?やっぱ玲二さんにちなんでガンプラ関連の勝負とか?」

 

「いやいや、そんな時間を掛ける必要ないですって。寧ろパパッと終わる勝負ですよ♪」

 

……ん?どういう事だ?何時もの流れ的にガンプラ関連のバトルかと思ってたけど、すぐ終わるって事はそうじゃないのか?

 

「実は私やノエルさんは毎年夏になると騎士団代表としてある大会に参加してるんですよ。だから今回はその大会と同じ内容で勝負しようと思いまして♪」

 

…………あ、そういう事か。フレンが終始絶対的な自信があったのはそういう事だったのか?ノエルもそれに気づいて思わず顔がニヤけてるし。

 

「え?な、なんですかその大会って?」

 

「フッフッフッ……その名もズバリ!『脳筋腕相撲』だッ!!」

 

『脳筋腕相撲!?』

 

そう、ノエルやフレンの出身地である天界では各国に騎士団や自衛団が存在し、毎年夏になるとそれぞれの国の代表の脳筋騎士を選抜し腕相撲で勝負する脳筋腕相撲大会というのが開かれるのだ。何故腕相撲なのかと言うと発案者である初代ヘルエスタ王が

 

「腕相撲なら腕っぷしの強さを簡単に測れる」

 

という一言を放った事で始まったようである。なんともストロングな思考の持ち主だったみたいだな?

 

「あー成る程太郎じゃね〜♪そんじゃあ時間も惜しいしさっさと始めよっか♪」

 

「い、いやちょっと待って!?そ、そんな勝負じゃなくてほら、玲二さんに因んでガンプラ関連の勝負とか……?!」

 

「えー?でも貴方達さっきこの誓約書にサインしましたよね?これにはしっかりとこう書いてますよ」

 

勝負内容を変えようとするあかりにフレンはすかさず先程の誓約書を見せる。其処には

 

 

『私達は()()()()()()()()()()()()()()()、佐々木玲二の事は諦め二度と求婚や愛人等を求めない事を誓います。』

 

 

と記されている。

 

「はあぁーーーッ!?」

 

「なので勝負はこの脳筋腕相撲以外認めませ〜ん♪」

 

「あちゃ〜、誓約書に書いてる事だからこれは仕方がない事だね?」

 

いやスゲェなフレン?普段フレンは知能を捨てた女騎士とかノエルと並ぶ二大脳筋騎士とか言われてるけどこういう事にはフルで頭が回るようだ。

 

「そんな難しい事じゃないですよ。唯皆さんが私とノエルさんにそれぞれ一回ずつ勝負して誰か一人でも勝てれば勝利で良いですから♪」

 

「そーそー♪計10回もチャンスがあるから勝てる可能性だってあるっしょ♪」

 

「うぅ……あーもうこうなったらヤケだ!お前等、絶対に勝つぞぉッ!」

 

『おぉーーーッ!』

 

最早逃げ場を無くした音霊達は半ば自棄になりノエルとフレンに腕相撲対決を仕掛けていく。その結果は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーチーン……ー

 

「まあそうなるわな?」

 

見事にあおぎり高校全敗で終わった。そりゃそうだ、先程言ってた脳筋腕相撲大会でノエルは去年まで負けなしの三連覇を成し遂げフレンも毎年上位三名の中に必ず入る程の腕っ節の強さを誇っている。それに対しあおぎりのメンバーは基本インドア派で身体を鍛えるような事はしてないようなので勝てる可能性なんて殆どなかったのである。

 

「んー、皆結構頑張った方だと思うよ?」

 

「まあでも負けは負けですし、これで約束通り玲二さんの事はきっぱりと諦めてくださいね♪」

 

「う、うぐぐぅ……クソォッ!これで勝ったと思うなぁ!?絶対にその誓約書の穴見つけて次こそは必ず玲二さんと結ばれてやるからなぁーーーッ!」

 

「あぁッ!?ちょっと待ってよ魂子先輩〜!?」

 

そして負けた音霊達は腕を抑えながらフラフラと応接間から出ていったのだった。なんか本当に嵐みたいな連中だったな?

 

「ってそれよりフレン、お前勝手にあんな勝負仕掛けるんじゃねぇよ?もし負けたらどうするつもりだったんだよ?」

 

「す、すみません……でも私とノエルさんだったら絶対に大丈夫だと思ってたんで!ほら、私って腕っ節だけは強いから!」

 

「そういう問題じゃねぇって。全く……まあお前なりに俺の事考えてやってくれた事だもんな?その点は感謝してるよ、有難うな」

 

勝負を勝手に決めた時は少し怒ったがこいつなりに俺の事を守ろうとしてくれたのは伝わってきたしな。まあやり方がかなりストロング過ぎたが?取り敢えず俺はフレンを抱き寄せ頭を撫でてやるとフレンは気持ちよさそうに目を細めて擦り寄ってくる。

 

「あぁーーーッ!玲二さんズルい!団長も頑張ったんだからいっぱい撫でてほしいな〜♪」

 

「はいはい、分かりましたよお姫様」

 

ノエルもフレンと反対の席に座って俺に寄りかかってきたので優しく頭を撫でてやった。二人とも普段は脳筋とか言われてるけど、やっぱり女の子らしく可愛い処もあるんだよなぁ。

 

 

 

こうしてあおぎり高校のメンバーによる求婚問題はフレンとノエルによって阻止されたのであった。今回はガンプラバトルはなかったが、偶にはこういうのも有りかな?




はい、という事であおぎりメンバーの求婚、そしてダブル脳筋騎士達との対決でした!ガンプラバトルを期待していた方がいましたら申し訳ありません!(ToT)
最初はガンプラバトルを考えていましたがこの二人ならこうしそうと思ってなんかギャグ的になってしまいました……(-_-;)

次回は久々にガンプラ制作をしようと思います!それに関するアンケートも出したいと思うので良ければお答えください(^o^)
次回もまったり待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第110話『貴方と出会って5』

えー今HGのサザビー組んでたんですが……このキットマジでスゲェ( ゚д゚;)何が凄いってこれ13年位前のキットなのに合わせ目らしい合わせ目が見当たらないんですよね。プロポーションも最高ですし、そりゃHGνに並ぶ神キットなワケですわ……(;・∀・)

今回はガンプラ制作回……の前にやっと出来た貴方と出会ってにじさんじ編です!ガンプラ制作回はアンケートを反映させるので少しお待ちを……m(_ _)m

今回も最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


ホロライブの娘達が玲二を好きになった切っ掛けがあるように、にじさんじの彼女達もまた玲二の事を好きになった切っ掛けがある。今回はその中から二人の少女の玲二との出会いを見ていこうと思う。

 

 

 

 

 

ー笹木咲ー

 

玲二さんを好きになった切っ掛け?んなの聞いてどうすんねん……え、ホロライブの娘にも聞いてるって?えぇ〜?あんまし答えたくもないんやけどなぁ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー数年前ー

 

「……お世話になりました」

 

はぁ、まさかこんな早くにアイドルを引退する事になるなんてなぁ……うちはゲームが出来てしかもお金稼ぎが出来るって聞いたから入ったんやけど、いざやってみたらあれもダメこれもダメ……終いには厳しいレッスンに自由の聞かない禁則事項。幾ら発足したてのアイドル事務所やからってこんなんやっててもなんも面白くもないやん……

 

「はぁ、アイドルやってればまだ引き籠もってても親に怒られずに済む思ったんやけどなぁ……まあでもやっと自由にゲーム出来るし、帰ってやりたかったゲームやりまくるかぁーッ!」

 

もぉ終わった事気にしてもしゃーないし、これまで出来なくて溜まってたゲーム消化するぞー♪ワーハッハッハ……はぁ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数日が経った。結局うちは学校もロクに行かず引き籠もってゲーム、そして親から怒られて渋々学校に行くという前と変わらない生活に戻ってたんやけど……なんやろ?ゲームやっててもなんか虚しいだけなんやけど……?

 

「……なんやねん?何やっても面白くもなんともない。ゲームしても全然気が晴れへんし……」

 

……そういや今頃椎名さんや本間さん達はどうしとるんやろ?まだあの事務所でアイドルやっとんのかな?皆が頑張っとるのにうち、こんなとこで何しとるんやろ……ってそんなのもう考えたってしゃーないやん!うちはもうアイドルやないし、こんな事考えるだけムダやん!もうこんな事で何時までも悩んでても時間のムダやし、もう今日は帰ってゲームやって忘れよ!それが一番や!

 

……ホンマにそれでえぇんかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ?確かお前、月ノや樋口のところのアイドルじゃないか?こんな所で何してんだ?」

 

「…………え?」

 

家に帰ろうと公園のベンチから起き上がった瞬間に近くにいた男の人に声を掛けられた。何やこいつ?いきなり馴れ馴れしく話し掛けてきて……ってこいつ、どっかで見た事あるような気が……?

 

「……誰やお前?何馴れ馴れしく話し掛けてくんねん?」

 

「ん?ああすまないな、見知った顔だったからつい声を掛けてしまってな。ほら覚えてないか?以前うちの事務所とコラボするって時に一度だけ顔合わせしただろ?」

 

は?うちの事務所とコラボ?何やそれ……あ、そういや前に先輩達がイベントやる時に一緒にやる事務所のスタッフがうちの事務所に来とったな?確か……そうだ、ホロライブとかいうアイドル事務所や。という事はこいつはその時いたスタッフって事やな?

 

「あー、そういやそんな奴おったな?で、そのホロライブのスタッフさんがうちになんの用や?」

 

「いや、単純に知ってる顔がいたから声をかけただけだ。けどお前、今はまだ学校の時間じゃないのか?あ、もしかしてアイドルの仕事の合間とかか?」

 

「……別に、うちは元々引き篭もりやし気分転換に外に出ただけや。それにアイドルなんてとっくのとうに辞めたわ」

 

うちがそう言うとこいつは一瞬驚いた様子を見せたけどすぐに落ち着いた表情に戻っていた。

 

「……そっか。まあそれがお前が選んだ道なら良いんじゃないか?」

 

「……ふん、あんたに言われなくたって自分で選んだ事や、後悔なんてしてるワケないやろ?」

 

「……そのワリには顔が全然スッキリしてないように見えるけどな?」

 

ッ!?な、なんやそれ?!うちがスッキリしてないように見える!?なんでそんな事ほぼ初対面のこいつに言われなアカンねん?!

 

「俺もホロライブのスタッフになってから今まで以上にいろんな奴と接する事が多くなったんだが、お前のその表情がまるで舞台稽古で納得の出来る演技が出来てないそらと同じだったからさ。だからお前も何か納得出来ない事があったんじゃないかってな?」

 

「……なんやねんお前!?いきなり話しかけてきてうちの事分かったみたいにズケズケと言ってきおって!お前にうちの気持ちが分かるワケないくせに分かった気で喋んなやッ!!」

 

「……ならお前、どうして泣いているんだ?」

 

「え…………?」

 

な、泣いてる?うちがなんで……?なんでや!?うちはやっと規制だらけのアイドル辞めて自由な生活に戻れた筈やのに!?なんで……なんで涙が止まらんのや?!

 

「……お前、本当はアイドルを辞めたくなかったんじゃないのか?今までの自分から変わりたい。そう思ってアイドルになった筈なのにちょっと上手くいかなくて周りと衝突してしまって、そしてアイドルの道から逃げてしまった。その事をお前はずっと後悔しているんじゃないのか?」

 

ッ!?そ、それは……?!

 

…………そうや、こいつの言う通りや。うちはこのままずっと変わらない日常を過ごす事に嫌気が差してしまったから、そんな自分を変えたいからにじさんじのオーディションを受けて入ったんだ。規制が多かったのは確かだけどそれでも同期の椎名さん達と一緒にレッスンしたり雑談するのは凄く楽しかった。それなのにうちはやりたかったゲームが配信で出来ないって言われ続けたってだけで嫌になってアイドルを辞めてしまったんや。

 

そして変えたかった筈の元の生活に戻ってしまって、うちの心はずっとくすぶったままになってしまったんだ……

 

「……やからって、どうすれば良かったんや?!皆と一緒にいる事も楽しかったけど大好きなゲームの配信もしたかった!その片方しか出来ないなんて言われてうちはどうすれば良かったのさ?!ずっとこの先ゲームを我慢すればえぇんか!?「我慢する必要なんてないだろ?」……は?」

 

「確かに発足したてのアイドル事務所だから規制は多いのは当たり前だ。けど、それでも少しずついろんな事が解禁されていく。それにどうしてもやりたい企画がある場合は社長さんに真剣に取り合ってみな?あの人はそういう事ならしっかりと考え行動してくれる人だからな」

 

社長に取り合ってみる?確かに仕事の話は基本的にマネージャーを通してしかしてなかったからそんな事考えた事もなかったな……

 

「俺達ホロライブも発足したばかりだからまだまだやれる事は少ないけど、それでも俺達スタッフが少しずつでも出来る事を増やしていけるように努力している。そしてそれはお前達にじさんじのスタッフも同じ想いで仕事をしている筈だ。だからお前も頑張ってもう一度アイドルを目指してみろよ。そうすればきっと今の自分より良くなる筈だから……って長話してすまなかったな?兎に角ほら、これ飲んで一旦気持ち落ち着かせな」

 

そう言うとこいつ……いや、この人はレジ袋からスポドリを出してうちに渡してくれた。そしてそのまま何事もなかったかのように何処かへ去ろうとしていた。

 

「ま、待ってや!なぁ、あんたはなんでうちに其処まで優しくしてくれるんや!?こんなアイドルから逃げたうちを……!?」

 

「…………数ヶ月前、俺達の事務所で1期生のデビューがあったんだ。その時デビューする予定だったのが()()だった」

 

ホロライブ1期生のデビュー?あ、そんなの確かに聞いとったな……あれ?()()?ホロライブの1期生って確か五人やなかったか?

 

「その内の一人がデビュー前にうちのスタッフとトラブルを起こしてしまったんだ。その所為でそいつのデビューはなかった事になってしまい、そのトラブルの原因になったスタッフも解雇になってしまった……その時思ったんだ。もし俺達スタッフがもっとしっかりしていたらあの娘も辞めずに済んだんじゃないのかって。だから俺はアイドル達が活動しやすいように全力でサポートするって決めたんだ。例えそれが他の事務所のアイドルだとしても、その気持ちが出てしまったんだ……すまなかったな、こんな別事務所の一スタッフが余計なお世話してしまったみたいで?」

 

「……ううん、そんな事あらへん。寧ろ感謝します。貴方のお陰でうち、もう一度頑張ろうと思えました!もう一度社長に頼んでアイドル頑張ってみます!」

 

「……そっか、それなら良かった」

 

うちがもう一度頑張ると決めるとその人はうちの頭を優しく撫でてくれた。暖かくて、優しい手……撫でられる程にうちの気持ちが満たされていくみたいや。

 

「んじゃ俺はそろそろ行くな。もしアイドル復帰が難しそうなら俺に連絡してくれ。出来る限り力になってやるから」

 

そしてその人はうちに名刺をくれてそのまま去っていってしまった。名刺にはホロライブプロダクションスタッフ『佐々木玲二』という名前が書いてあった。佐々木……漢字は違うけどうちと同じ苗字でなんか親近感が湧くなぁ♪

 

 

 

 

 

それからうちはにじさんじの事務所に戻って社長に頭を下げてアイドルとして再活動する事を認めてもらえた。そしてあの人……佐々木さんに言われた通りやりたい事を社長にぶつけると社長は出来る限り要望に応えてくれるようになってうちのやりたかった事が出来るようになったんや。それに他のアイドルの皆とも仲良くなる事も出来て、うちは今最高に楽しく活動出来ていたんや。それもこれもあの時佐々木さんがうちの背中を押してくれたお陰なんだ!だから……

 

「あ、あの〜、佐々木さん?///」

 

「ん?どうしたんだ笹木?」

 

「え、えーと……これから佐々木さんの事、玲二さんって呼んでえぇか?ほ、ほらうち等苗字の読み方が一緒だから……そ、それとうちの事は咲って呼んでくれへん?///」

 

「あー成る程な。良いぜ咲、事務所は違えどこれからもよろしくな」

 

「!うん、よろしくな玲二さん♪」

 

うちはそんな玲二さんが好きになったんや。そして話を聞くとうちの社長も玲二さんの事を気に入っていてうちに引き抜きたいと考えてるみたいやから、何時か玲二さんをうちと一緒に仕事出来る日が来るようになるとえぇな♪

 

 

 

ー笹木咲編 完ー

 

 

 

 

 

 

ーリゼ・ヘルエスター

 

玲二さんとの出会いですか?これ、言って良いんですかね?……まあ公にしないのでしたら良いですけど。あれはまだ私が10歳になったばかりの事ですね……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……はぁ、早く終わんないかなぁ〜?」

 

この日、私の一族が治めているヘルエスタ王国は開国記念日を迎えていて、私は国王と王妃である両親に連れられてパレードの中の馬車に乗せられたのだけど、やる事と言えば民衆に向かって偶に手を振るだけというつまらないものだった。去年まではまだ幼かったから参加する必要がなかったのだが今年になってからは毎年参加する事になり、こんなつまらない事を毎年やらなけらればならないのかと思うと憂鬱で仕方がなかった。

 

「お父様もお母様もお兄様も別の馬車に乗ってるし、ホントにつまんないッ!ねぇ、何時になったらパレード終わるのさ!?」

 

「大丈夫ですよ皇女様、もうじき終わりますゆえ……」

 

馬車に一緒に乗ってる護衛はさっきから同じ事ばっかり言ってるし、もう全然面白くもない!もういっその事寝ちゃおうかな?

 

(…………やれ)

 

(…………コクッ)

 

ーパシイィィンッ!ー

 

「ッ!?ヒヒイィィィィンッ!!」

 

え!?な、何?!急に馬車が揺れて……え!?馬車がパレードの通路とは違う裏路を爆走してる!?

 

「ど、どうなってるのこれーバッ!ームグウッ!?」

 

「おっと騒がないでくださいね皇女様、騒ぐと余計に酷い目にあいますよ?」

 

護衛の男が私の口を塞いで騒げないようにしてきた!?な、なんで護衛の人が私を……もしかしてこの人、私の事を拐うのが目的だったの!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……よーし、此処までくればもう追ってはこれまい?」

 

「やりましたねアニキ!まさかこうも簡単にヘルエスタ皇女を捕まえる事が出来るなんて!」

 

「ムウゥーーーッ!?」

 

馬車から降ろされ路地裏の目立たないボロ屋に連れられて椅子に括り付けられてしまった。何度も叫んでみようとはしたけど口に縄を括り付けられていて叫ぶどころかまともに喋る事も出来ないでいた。

 

「さぁーて、後はお前の父親である国王から身代金を要求するだけだ。へへ、そんな怯えた顔しなくても金さえ手に入れば無事に返してやるよ♪ただ、ちょっとでも妙な真似したら痛い目見るかもしれないがなぁ?」

 

ヒッ!?私の喉元にナイフの先が当てられてる……!?こ、怖い……今まで味わった事のない恐怖に私は思わず涙が溢れて震えてしまっていた。

 

「アニキ!言われた通りに奴等に1000万ギル(日本円で一億)を要求したらあっさりと呑みやがったぜ!これで俺達は大金持ちだ!」

 

「そうか……なら指定された場所に金を置いてもらうとしよう。お前も人質として着いてきてもらうからな?」

 

「ムウゥ~……!」

 

そ、そんな、私の為にお父様とお母様が……申し訳ありませんお父様、お母様。私がもっとしっかりしていればこんな事にはならなかったのに…………

 

 

 

ーガッシャアァンッ!ー

 

「ッ!?な、なんだ今の音は?!」

 

「狼狽えるな!今確かめてくるからお前はそいつを見張っておけ!」

 

「へ、へいッ!」

 

突然聞こえた物音に兄貴分の男が様子を見に下の階に行き弟分の男はビクビクしながら私の見張りをする。けど今の音って……?

 

「ま、まぁこの建物自体古いからな?へ、ヘヘ、多分何か崩れて落ちたんだろ?あ、アニキも臆病だな「はいざんねーん」へ?ードスッ!ーう!?ぐぇ……」

 

え?!だ、誰!?弟分の男の後ろからいきなり男の人、多分お兄様くらいの人が現れて手刀で弟分を倒しちゃった!?

 

「む、むぅ……!?」

 

「シッ!静かに……取り敢えずこっから逃げるぞ」

 

男性は椅子に括り付けられていた縄を切ってそのまま私を抱えて窓の外から跳び出し隣のビルの階段に跳び移っていった。す、凄い身体能力!?というか私今抱き寄せられてる!?これっていわゆるお姫様抱っこだよね?!

 

「……よし、まだ気づかれてないな?取り敢えず人気の多い場所に移動するぞ」

 

「は、はい……///」

 

口を抑えていた縄も外してくれて男性は私を抱きかかえたまま人通りの多い場所まで運んでくれました。や、ヤバい、この人の顔凄く凛々しい。まるでおとぎ話に出てくる騎士様みたいで格好良い……///

 

 

 

 

 

「チッ、下のリビングにあった額縁が落ちた音だったわ。全くびっくりさせやがっ……て…………っておい!?お前何寝てやがんだ?!それにあのガキは何処に行きやがったんだ?!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「リゼ!あぁもう貴方が拐われて本当に心配したのよ!」

 

「うわあぁん!お母様ごめんなさあぁいッ!」

 

あれから私を助けてくれた男性に私がヘルエスタ皇女である事を伝えると一瞬びっくりしてたけどすぐに宮殿まで送り届けてくれると言ってくれ、そして今私は心配していたお母様に抱き寄せられ恐怖から解放されたからか思わず泣いてしまいました。

 

「いや、リゼが悪いワケではない。悪いのは護衛に紛れ込んで誘拐しようとした不届き者だ。そして君はそんな不届き者からリゼを救ってくれた命の恩人だ」

 

「あ、いやそんなつもりじゃ……ただ観光中に爆走する変な馬車が通り過ぎて後を付けてたらこんな事になっていたというか……出しゃばった事してすみませんでした」

 

そう、この方は私がヘルエスタ皇女だからではなく事件に巻き込まれた女の子という事で助けてくれたのだ。その危険を顧みない姿勢に私の心はいつの間にかこの方に釘付けになってしまってました///

 

「あ、そろそろ集合時間なんで俺はそろそろこの辺で失礼します」

 

「ま、待ちたまえ!君にはヘルエスタ皇女であるリゼを救ってくれたんだ!それ相応の勲章と報酬を……!」

 

「そんなつもりで助けたワケじゃないんでいらないです。俺は唯このヘルエスタ王国を観光しに来た唯の一般日本人ですから」

 

そうしてあの方はそそくさとこの場を去ろうとしました。このまま返したら二度と会えないかもしれない……だったらせめて!

 

「あ、あの!せめてお名前教えてください!私を助けてくれた貴方の名前を知りたいんです!」

 

「え?まあそれくらいなら……佐々木玲二だ。また機会があれば何処かで、それじゃ」

 

あの方……玲二さんはそう言って王室を後にし去ってしまいました。その後騎士団から私を誘拐した男達を捕まえたという報告がありこの事件は幕を下ろしました。

 

その後私はずっと玲二さんの事が頭から離れませんでした。けどあの方は既にヘルエスタ王国を後にしてしまっているし、玲二さんが暮らしているのは地上界の日本という国。皇女という身分の所為で気軽に会いに行く事が出来ずずっとモヤモヤした気持ちが続いてました……

 

それから七年後、ヘルエスタ王国の皇子お皇女は17歳になった時独り立ちをする為に国を出て他世界を学ぶという掟があり、其処で私は決心したんです。今世界ではアイドルという身分も国籍も関係なくなれて皆を魅了するという職業があると聞き、私はその中でもにじさんじというアイドル事務所へと所属しアイドルになりました。こうすれば玲二さんの住む国で彼を探す事が出来ると信じて。

 

まあその後あっさりと見つかったのは良いんですが、まさか玲二さんが別のアイドル事務所であるホロライブのスタッフリーダーになってただなんて……(泣)

 

ま、まあでもこうして玲二さんとまた再会する事が出来ましたし、なんかライバルがかなりいるみたいですが何時か必ず玲二さんを私の旦那様にしてみせます!待っててくださいね、玲二さん♪

 

 

 

ーリゼ・ヘルエスタ編 完ー




はい、という事で今回は笹木咲とリゼ・ヘルエスタの二人でした!因みに咲の方に出ていたホロライブ一期生の六人目は実際にもいましたが本家とは引退理由は別のものという設定です。まあ本家通りだと少し問題があるので……(-_-;)

という事で次回こそガンプラ制作回を書きますので次回もまったり待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第111話『偶にはのんびりと』

今回は前回のアンケートでもらった作品の上位四つの中から自分がそれぞれ好きな機体を選んで登場します!久々のガンプラ制作、一体どんなのが出来るのやら?今回も最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


ーザアァァァァァァァァ……ー

 

「…………暇だなぁ」

 

「だな〜」

 

雨が降って薄暗い天気の中、俺はリビングのソファーの上で退屈を感じながら寝そべっていた。その上にはねねの娘であるねるが同じようにだらーっと寝そべっている。というのも俺は既に今月分の仕事は全て終えてしまい、後は緊急で入ってくる事がなければ特にやる事が無くなってしまったのだ。

 

じゃあ他の皆と遊べば良いだろうと思われるかもしれないが、今この神羅城には俺以外には数人程しか残っていない。皆ライブや大きなイベントを終えて少し長めの休暇をあげたので今は本土の方に旅行に行ったり里帰りしたりとしているので何時もは騒がしい神羅城も今日ばかりは静かな雰囲気が流れている……

 

ーバアァンッ!ー

 

「レイ兄ちゃーん!スコーン焼けたから一緒に食べよ〜♪」

 

……なんて事はなくホロメンの中で神羅城に残ったねねによってその静寂は幕を下ろした。まあねるがいる時点で大体察してた奴もいただろうがな……俺は誰に向かって言ってるんだ?

 

「……ねね、びっくりしちまうから頼むからもっと静かに扉を開けてくれ」

 

「アハハ、ごめんなさーい♪ほらねるにも大好きなみかん入りのスコーン作ったからね〜♪」

 

「わーいすこーんすこすこ〜♪」

 

ねねは謝るも悪びれもなさそうにねるにみかん入りのスコーンをあげるとねるは嬉しそうにパクパクと食べ始める。って流石に俺の上で食べるなよ?スコーンが少しボロボロ落ちてきてるって。

 

「こらねる、パパの上でスコーン食べないでくれ。ボロボロ零してるだろ?」

 

「う?ぱーぱ、いっしょにすこーん♪」

 

ねるはそんな俺に気にせずスコーンを俺の口に入れようとする。いやそんな押し付けなくてもムグッ……普通に旨いな、ねねもお菓子作りのスキル上がってきたよな?

 

「ほーらねるちゃん、パパも困ってるから一旦降りよ?」

 

「ぶぅ〜!」

 

「そんな不貞腐れるなって。よっと……ほらねる、もっかい乗って良いぞ」

 

ねねに抱っこされてねるは不機嫌そうにジタバタするも俺が体勢を替えて膝に乗せると再び上機嫌でスコーンを食べ始める。相変わらずポロポロと零してはいるけどな。

 

「あー良い汗かいた〜♪あら?玲二君とねねちとねるちゃんスコーン食べてたんだ。アキロゼも一つもらっても良い?」

 

「シアもたべたーい♪」

 

そんなスコーンを食べている俺達の元にねねと同じく神羅城に残ったアキとシアが汗を拭きながらやって来た。何か自主トレでもしてたのか?

 

「アキ、随分汗かいてるな。なんかトレーニングでもしてたのか?」

 

「ううん、リシェッタがアキロゼのベリーダンスに興味があるって言って一緒にダンスのレッスンしてたの。それで思った以上に熱が入っちゃってね♪」

 

「……ブレイン、腰が痛いです」

 

成る程、確かにアキのベリーダンスはプロレベルに凄いからな。リシェッタも興味を持ってやってみたは良いけどかなりキツいレッスンだったみたいだな?アキの頭の上でぐてーってなってるし。

 

「シアも大分動けるようになったもんね〜♪」

 

「あい!シアのだんす〜♪」

 

お、シアもまだぎこちないけど動きが様になってるな。流石アキの娘だ。

 

そしてアキとシア、それからリシェッタもねねの作ったスコーンを食べ一息ついているとねねがリシェッタにある事を問い始めた。

 

「……そういやずっと気になってたんだけど、リシェッタってなんでそんな性格になってるの?」

 

「?そんな性格とはどういう意味です桃鈴ねね?」

 

「ねねもう桃鈴じゃないんだけど……ほら、リシェッタって設定だと天真爛漫な性格の女の子ってなってるけど、なんかリシェッタの性格ってそれとは真逆な気がしたから」

 

言われてみれば確かにリシェッタって本来の設定とは全然違う性格だよな?これって一体どうしてなんだ?

 

「あーそれですか?簡単な事ですよ、ブレインが本来の私、つまりリシェッタの性格を掴めていなかったからです。そしてブレインが私を作った時に考えた事が反映されたのも原因の一つですね」

 

「俺の考えた事?」

 

「はい。ブレイン、貴方は私を作った時にこう考えましたよね?『なんか見た感じフブキやみしろっぽいな』って。だから私の性格はその二人に反映された形となって形成されたんです」

 

そういえば確かにそんな事を考えながら作ったな?という事はリシェッタのクールな部分はみしろの、強かさと負けず嫌いはフブキの性格が反映されたワケなんだな。

 

「なのでブレインが美プラを作ればおそらくはそういったイメージに合わせた性格が形成されると思います。まあ私がいれば他の美プラなんていりませんけどね!」

 

「わー今の感じ最初の頃のフブキちゃんみたいね?」

 

「確かにあの頃のフブキは俺に対して何時も自分以外はいらないよね?とか言ってたしな」

 

とはいえ美プラはまだ何個かあるんだよな。リシェッタはああ言ってるが積みっぱなしも良くないからそのうち作らないとな?これに関してはまだ制御出来てそうにないからおそらくはまた自我が芽生えるのかもしれないけど、一体どうなる事やら……

 

「さーて、そんじゃ今日はもう特にやる事がないから皆で何かするか?」

 

「あ、なら久しぶりに玲二君とガンプラでも作ろうかしら?アキロゼこの間買ってきてまだ作ってないのがあったから♪」

 

「あ!ならねねも買ってきたのあるから一緒に作る!」

 

ガンプラ製作か、それも良いな。ならシアとねるは……確かケイがいるから預かってもらうとするか。それじゃあ俺も前から作りたかったキットを持ってくるか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そんじゃ早速始めるとするか……ってるる、お前もいたんだな?」

 

「うん、るるは帰省しても皆旅行に出てて誰もいないから♪」

 

そう言ってるるはニコニコと微笑みながらガンプラの箱を持って俺の横に座っている。まあガンプラ作るんだったら皆でワイワイしながらやるのも楽しいから良いんだどさ。

 

「それにしてもるるさん、『フェニーチェリベルタ』なんてレアキット持ってたのね?」

 

「うん、この間本土の駿○屋に行ったら思ってたより安く売ってたから思わず買っちゃったの♪」

 

 

『HG ガンダムフェニーチェリベルタ』

『ガンダムビルドファイターズ GMの逆襲』に登場したイタリアのファイター『リカルド・フェリーニ』が作り上げたオリジナルガンプラ。ウイングガンダムをベースにしているが変形すると飛行形態ではなくバイク形態になる地上での戦闘をメインにした機体へと改造されている。

 

 

「ウイングガンダムの改造機なのにバイク形態に変形って結構攻めた設定だよな?」

 

「玲二君ならこういうガンプラも好きだと思って♪」

 

「まあ確かに好きだけどな。で、アキは『アスモデウス』か?」

 

「えぇ、この間オルフェンズのアプリやってたらなんだか作ってみたくなっちゃった♪」

 

 

『HG ガンダムアスモデウス』

『機動戦士ガンダム鉄血のオルフェンズ ウルズハント』に登場する機体。72機あるガンダムフレームを使用した一機であり厄災戦当時の戦闘記録はなく侵入困難なデブリ帯で偶然発見された。ほぼ完璧な状態で発見された為におそらく実戦投入はされなかった機体のようである。

 

 

「こいつは発売された後も店の在庫で数日残ってたって所も多かったよな?」

 

「あの時はアプリの配信開始が遅れたのと在庫がかなりあったみたいだからね。でもその後やっぱり姿を見なくなってしまったわ」

 

「まあそれがガンプラの宿命みたいなとこがあったもんね?それとねねはこのキットにしたよ〜♪」

 

「へぇ、『デスティニーガンダム』か。しかもハイネVerとはなかなかのチョイスだな」

 

 

『HG デスティニーガンダム ハイネ機』

『機動戦士ガンダムSEED Destiny』に登場したザフト製の機体。劇中ではシン・アスカが搭乗した機体だがそれとは別にザフトのエースパイロットであるハイネ・ヴェステンフルスの専用機として開発された物である。しかし劇中の途中でハイネが戦死してしまった為にこの機体が日の目を見る事なく戦争は終結してしまった。

 

 

「これねねのイメージカラーにピッタリだったから思わず買っちゃった♪」

 

「確かにねねちのイメージカラーはオレンジだからハイネ機とも相性ぴったしね♪それで玲二君は何を作るのかしら?」

 

「ああ、俺はこれを作ろうと思う」

 

そう言って俺が出したのはるると同じような色味が少なくシンプルなデザインの箱を取り出した。そう、これはネット販売限定のキット『ガンダムプルトーネ』だ。

 

 

『HG ガンダムプルトーネ』

『機動戦士ガンダムOOP』に登場したソレスタルビーイング第二世代のガンダム。ガンダムヴァーチェ/ナドレの前身に当たるこの機体だがある作戦行動中に動作不良を起こし二人の死亡と一人重傷という事故が引き起こしてしまった。これが所謂『プルトーネの悲劇/惨劇』と言われている。

 

 

「玲二君ってやっぱりOO好きだよね?」

 

「まあな、デザインでは断トツでトップクラスで好きな機体が多い作品だし、特に第二世代のアストレアとこのプルトーネはかなり好きな機体に入るくらいだ」

 

「でもこのガンプラの箱、なんだか色がなくて寂しいね。手抜き?」

 

「これはプレ○ンっていうオンラインショップ限定のキットだから箱絵はモノクロになってるのが多いの。偶にちゃんとした物も出てるけど大体はみんなこんな感じだね」

 

「偶に箱絵がしっかりしているのがあるけど正直どんなふうに差別されているのかは分かんねぇんだよな?ま、そんなのはさておき早速作るとしますか」

 

『おー♪』

 

さて、皆それぞれ箱からランナーを取り出して作り始めたから俺もやってくか。あ、因みにリシェッタはレッスンで疲れて今プラモモードになって休んでいる。これが俺達で言うところの睡眠に当たるらしい、なんか変わってるよな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、仮組みは済んだけどこっからどうしようかね……?」

 

「うーん、やっぱりオルフェンズ系はダメージ加工が似合いそうだけど……」

 

「ねねはもう決めてるから筋彫りしてくるね〜!」

 

「るるはどうしようかな~……あ、この改造面白そう♪」

 

仮組みを終えて俺とアキはまだどうするかを考えていたが、ねねとるるはそれぞれ改造案を思いついたらみたいで早速実行に移していた。俺も早く改造案を考えないとな……よし、これでやってみるか。

 

「うーん…………あ!良い事思いついちゃった♪まずはあれを用意しないと♪」

 

?アキの奴部屋から出ていったけどどうしたんだ?まあ俺は俺で塗装の準備をしていくか。まずは仮組みしたプルトーネを解体しないとな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………よし、塗装も終えたし今日は此処までにするか」

 

「うん、明日トップコートを噴いて組み立てれば完成だね♪でも玲二君のその力本当に便利だよね?塗装も一瞬で乾いちゃうし」

 

「でもレイ兄ちゃん緊急事態じゃなければこういう事にしか力使わないからなんか勿体ないよね?もっとこう、世界を支配するぞーッ!ってならないの?」

 

「んな馬鹿な事するつもりないっての。俺は忙しくて騒がしくも今の生活で充分満たされてるんだからさ」

 

「まあ玲二君がそんな事考えるような人じゃないっていうのはアキロゼ達がよく分かってるけどね?そんな玲二君だからきっと皆惹かれてると思うし♪」

 

そんなもんか?大体世界を支配って、そんなの敵ばっかり作るだけだろ?そんなの絶対に息苦しいに決まってるしそもそも面倒くさい。

 

「さて、そんじゃあ今日はこれで終わりにしてねるとシアを迎えに行くとするか」

 

「あ、じゃあ折角だし皆でレストランに行かない?今日はアキロゼ達しかいないし、丁度外も晴れてきたし良いと思わないかしら?」

 

「良いね〜!ねね久しぶりにハンバーグ食べたーい!」

 

「うん、るるも玲二君が良いなら良いよ♪」

 

「そうだな、今日は久々にびっ○りド○キーに行くとするか」

 

『わーい♪』

 

こうして俺達は今日のガンプラ作りを終えてねるとシアを連れてハンバーグを食べに出かけた。勿論面倒見てくれたケイと寝ていたリシェッタも連れてな。ってかリシェッタって普通に食ってるけどどうやって消化してんだ……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日……

 

「……よし、全ての工程終了。後は組み立てて……これで完成だ」

 

「ねねも完成!レイ兄ちゃんどうかな?ねねのデスティニーガンダム!」

 

「ですてに〜♪」

 

お、ねねも完成させたか。どれどれ……成る程、筋彫りを使って自分のアイドル衣装に見立てた塗装を施したのか。ねるも気に入ってるのかご満悦だな。

 

 

『デスティニーガンダム ねね機』

デスティニーガンダムを筋彫りして装飾を加えた事によりねねの衣装っぽいデザインに仕上がった機体。武装もオミットしておりコンセプト的には劇中のミーア・キャンベルのライブに使用されたザクウォーリアーのようである。

 

 

「ねねちはライブ衣装を模した改造にしたのね?アキロゼは少し違った感じのダメージ加工を施してみたわ♪」

 

「うゆ?ぼろぼろ〜?」

 

ほう、アスモデウスのダメージ加工か。やっぱりオルフェンズ系の機体はこういうのが似合うな……ってなんかこれ少し違和感があるような気がするんだが?

 

 

『ガンダムアスモデウス ダメージ加工Ver』

ガンダムアスモデウスにダメージ加工が施した物であるが、それは切り傷とかではなくまるで爆風に巻き込まれたかのような機体に仕上がっている。

 

 

「……あれ?アキちゃん、もしかしてこれって本当に焦げてない?」

 

「あ、分かっちゃった?実はこれを使ってみたの♪」

 

「え?これって……爆竹!?もしかしてアキ、これでアスモデウスを爆破させたのか!?」

 

「うん、前に動画で見たウェザリング方法だったから少し真似してみたの。少し脆くなっちゃったけどそういう所は接着剤とかで固定して後は軽い塗装で仕上げてみました〜♪」

 

スゲェな?これある程度の度胸と覚悟なきゃ出来ない改造だぞ?格好良いけど俺はこの改造する勇気はないな。

 

「それで、るるは一体どんな改造を施したんだ?」

 

「るるは改造というより少しパーツ足して塗装した後前に咲ちゃんからもらったシールを使っただけだよ♪」

 

へぇ、結構シンプルな感じに仕上げたんだな……おいなんだこの鈴原団って?しかも反対のウイングには夜露死苦って、これ完全に暴走族イメージじゃねぇか?

 

 

『ガンダムフェニーチェリベルタ(鈴原団Ver)』

フェニーチェリベルタをるるのイメージカラーであるパステルピンクで塗装したゆるフワ系……と見せかけてリアスカートにバイクのマフラーを装備し右翼に鈴原団、左翼に夜露死苦と書かれたデカールが貼られている。変形したらまるで暴走族のバイクである。

 

「いやなんだよこのデカール?全然るるのイメージに合ってないような気がするんだが?」

 

「これまだるるがにじさんじにいた頃に企画してた暴走族コントがなくなっちゃって、その時使う予定だったロゴを咲ちゃんがシールにしてくれたんだぁ♪」

 

「なんだその暴走族コントって?アイドルがやるような事じゃ……いや、うちやにじさんじを見てるとないって言い切れねぇんだよなぁ……」

 

「まあアイドル事務所の中でもこの二つはかなりクレイジーな事務所ですからね?」

 

おいリシェッタ、流石にそれは思ってても口に出すなって?まあ否定出来ないけど。

 

「それでレイ兄ちゃんはどんな改造したの?」

 

「ん?ああ、俺は今回塗装だけで済ませたよ。やっぱOO系って言ったらこれだろ」

 

俺はそう言って自分の塗装したプルトーネを皆に見せていく。今回の俺の塗装はズバリ、トランザムだ。

 

 

『ガンダムプルトーネ トランザムVer』

プルトーネをガンダムマーカーのトランザムホロレッドをマーカー用エアブラシをメインに使って塗装。見える角度によって色が少し変化し輝いているように見える。

 

 

「本来の話ではトランザムは行ってないんだが、GNドライブを使用している機体だから出来るかもっていう完全想像の状態だな」

 

「でも凄く綺麗、本当にこんなふうに戦ってたように思えるね♪」

 

「えぇ、これぞOO系のガンダムって感じがするわ♪」

 

「流石ブレイン、塗装の仕方が丁寧ですね♪」

 

「ぱぱのかんぷら、きれ〜♪」

 

良かった、なかなか喜んでもらえたみたいだ。取り敢えず今回の制作は皆大成功って事で良いみたいだな。

 

「さて、これらもショーケースに飾ってと……よし、そんじゃ午後には何人か帰ってくるみたいだし、その前に昼飯でも食うか」

 

『はーい♪』

 

こうして久々のガンプラ制作を終えて俺達は皆で昼飯を食べる事にした。今回は終始のんびりした感じだったが、偶にはこういう日も良いよな?




はい、という事でのんびりガンプラ制作回でした!この四つの中ではアスモデウスが一番のお気に入りです♪

因みに爆竹を使ったウェザリングはとある動画投稿者さんを参考にしましたが初心者の方は真似をしないようにしましょう。どうやっても取り返しのつかない事になるので……(-_-;)

次回玲二と同い年組の話を書こうと思います。次回もまったり待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第112話『同い年のママ友会』

最近はゆっくり出来る時間が取れるようになり暇があればガンプラを作る日々が続いております。やっぱガンプラは積むんじゃなくて作らないとですね!(まだ200以上残ってますが……)

今回は玲二と同い年のメンバーのママ友会です。ガンプラ関連ではありませんが最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


「…………はぁ」

 

「?どうしたのさちょこ先生?そんなため息なんて吐いて」

 

とある昼下り、ホロライトシティにあるお洒落なオープンカフェの一角ではちょことぼたんとルイ、そしてレインと同じにじさんじでありとある神社に祀られている神の末裔である『フミ』の五人が一緒になってお茶会をしていたのだが、先程からちょこがずっとため息ばかり吐いておりルイは気になってどうしたのかと聞いていたのだった。

 

「……いやね、此処にいる五人って玲二様と同い年じゃない?」

 

「あー確かにそうだね?パタちとルイちゃんは玲二君と中学校の同級生だったし」

 

「我も玲二とは小学校でずっと同じクラスだったな♪」

 

「あたしも高校と大学はレイっちと一緒だったし。で、それがどうしたのさちょこ先?」

 

「それよッ!フミ様は小学校、レイン様とルイ様は中学校、そしてぼたん様は高校と大学が玲二様と一緒……なのにちょこだけ玲二様とは学校も一緒じゃなかったし!なんだったら此処にいる皆よりも玲二様と出会ったのはずっと後だし!そんなの全然不公平じゃないのぉ〜ッ!?」

 

そう、此処にいる五人の共通点として皆夫である玲二と同い年であるのだが、その中でちょこだけは他の四人と違い学生時代の玲二を知らないのである。加えて言えばちょこが玲二と出会ったのは玲二がホロライブに就職した辺りなので付き合いで言えば玲二との仲は一番浅い。その事にちょこは悔しそうにサンドイッチを頬張りながら文句を言うが他の四人にしたらどうしようも出来ない事なので困ってしまうだけであった。

 

「そんな事言われてもねぇ?」

 

「そもそもレイレイと出会えたのは“あくま”でも偶然だもの。まあちょこ先生は“悪魔”なのにそんな偶然起きなかっただけですって♪」

 

「おいルイ姐そんなクソ寒いギャグで誤魔化すなや?」

 

久々に出たルイのギャグにちょこは辛辣な感じで返しながら睨む。

 

「でもそう言われてもな〜?」

 

「どう足掻いても我達が玲二と同級生だったのは変わらぬ事実だからなぁ〜?」

 

「だとしてもちょこも玲二様と学生生活を送りたかったのぉ〜ッ!」

 

((め、めんどくさい……))

 

そんな事を言われても自分達にはどうする事も出来ないというのにちょこはまるで子供のように駄々をこね、他の四人は面倒くさそうに思わずため息を吐いてしまう。

 

「という事で今日は玲二様の昔をたっぷり味わいたいという事で!今から皆の持っている玲二様との写真を見せてもらうわ!じゃあ早速だけどまずはフミ様からお願い!」

 

「あー玲二との写真を持って来いとはそういう意味だったのか?まあ良いけど……ほれ、これが小学生の頃の我と玲二だ」

 

フミはカバンから出した一冊の小さなアルバムを取り出し皆に見せる。其処には幼少期の玲二とフミが様々な様子で写し出された写真でいっぱいだった。

 

「うわぁ〜レイレイちっちゃいわね〜♪」

 

「レイっちにもこんな時期があったんだな〜?」

 

「えぇ、でも玲二様ってこの頃からもう凛々しい顔つきだったのね♪……あら?けどこの写真、どれもフミ様べったりとくっつき過ぎじゃない?」

 

「あーそれは……昔我は神社で引き篭もりみたいな生活しておってな。その時に神主が我の友達候補として玲二を寄越してきて、それからというもの何かある度に我は玲二と行動する事が多くなったんだ。これはその時の様子を撮った物だな」

 

そう、アルバムに貼られている写真はどれもフミが玲二にべったりとくっついている写真ばかりであり中には玲二の頬にキスしてる写真なんかもあった。

 

「うわぁフミ先輩大胆ですね〜?でもなんでフミ先輩って玲二君の事好きになったんですか?ただ引き篭もっていた時に一緒に遊んでもらっただけでこんなにはならないような気が……?」

 

「…………我はな、昔玲二に命を救ってもらったんだ。あれは雨の降る森の中の出来事だった……当時の我は玲二の事は引き篭もりの我と遊ぶ唯のお節介な同級生くらいの印象でな。途中から遊ぶのがめんどくさくなった我は玲二が遊びに来る前に森に隠れてやり過ごそうとした。けど途中から雨が降ってきて、川沿いを歩いている時に足を滑らしてそのまま川に落ちてしまったのだ……」

 

その時の事をフミは今も尚鮮明に覚えている。溺れそうになりながらも枯れ木にしがみつきなんとか必死に川沿いに戻ろうとするも子供の力じゃどうする事も出来ず、冷たい雨と川の所為で体温がどんどん奪われて意識が朦朧としてくる中フミは子供ながらに死を悟ってしまった。

 

「そんな時だった。我の事を探しに来てくれた玲二が危険を顧みず川に飛び込み我を助けてくれたのだ。その後我は気絶してしまったが一命を取り留める事が出来、そして二人して神主に怒られてしまったな……それからだな、玲二の事を好きになったのは。この人ならずっと我の傍にいてくれるんだとな」

 

「はぁ~、レイレイってもうその頃から結構な無茶する人だったのね?」

 

「流石とんでも集団佐々木家の息子って感じだな?」

 

小学生の時点でそのような救命行為を行っている事に一瞬驚くもまあ玲二ならやってもおかしくないと妙に納得してしまう一同であった。

 

「でも其処から玲二様にべったりするようになったのね?……あら、でも小学生って事はフブキ様とも面識があるのよね?フミ様よくフブキ様に噛みつかれなかったわね?」

 

「……………………」

 

(あ、噛みつかれたんだな?)

 

ちょこに言われてフミはそっぽを向いてしまい他の四人は察しがついた。というのも玲二と学生時代を過ごした一同は少なからず何処かでフブキとも対面しておりその度にフブキから噛みつかれているのだ。因みに噛みつかれるというのは比喩表現ではなく物理的にである。なのでフミの気持ちはよく分かるのである。

 

「……まあ我の事は良いとして次はパタちとルイさんのを見せてもらおうか」

 

「あ、話をすり替えた。まあ良いけど……はい、これが私達とレイレイの中学時代の写真よ」

 

ルイは胸元から写真の入った封筒を取り出しテーブルの上に広げていく。決してどっから出したんだというツッコミはナシで。

 

「へぇ、レイっちってもうこの頃から身体つきが良かったんだ?」

 

「うん、玲二君は運動神経も学力も学年トップだったんだ♪」

 

「我は中学は別の所に行ったから偶にしか見た事なかったけど、やっぱり中学に上がってから玲二はもっと逞しくなってるなぁ♪……あれ?ねぇパタち、この写真の玲二ってなんで頬に傷が出来てるの?」

 

そう言ってフミが手にした写真には頬に切り傷のような跡ががっつり残っている玲二の姿があった。その横には少し申し訳なさそうな表情をしているルイとレインもいた。

 

「あーこれね?これは私が教頭に襲われそうになった時にレイレイが庇って出来た傷だね」

 

「襲われた!?しかも教頭に!?何それどういう状況?!」

 

「えーとね……まだ私達が中学に入りたての頃だったかな?当時の私は自分で言うのもなんだけど結構なヤンキーでさ、そんな私を気に食わなかったのか教頭が何時も突っかかって来たのよね。しかもその教頭、時代に合わない程の獣人族差別主義でさ、特に鳥の獣人を毛嫌いしてたのか私に対して事ある毎に……」

 

 

 

『フン!社会の何にも役に立たない鳥の獣人のクセに!大人しく養鶏場にでも行って卵でも産んでろ!』

 

 

 

「何それ!?その教頭めっちゃ最悪じゃん?!」

 

「ちょこのいた学校の教頭もかなり酷かったけど、ルイ姐とレイン様のいた教頭も大概酷いわね……」

 

今時そんな種族差別なんてする奴がいるのかとぼたんは憤怒しちょこも呆れてものが言えなかった。それだけこの教頭の考えは時代にそぐわないという事である。

 

「最初の頃はある程度無視してたんだけど、その内皆がいる前で堂々と言うようになってきてそろそろ嫌気がさしたその時だった。私に対して嫌味を言う教頭に一人の男子生徒がこう言い返したの……」

 

 

 

『先生、養鶏場にいるのは鷹ではなく鶏ですよ?そんな事も分からないくらいボケてるんですか?それとも鷹と鶏の区別もつかないくらいに無知なんですか?まあ獣人と普通の鳥の区別もつかないくらいだからどっちにしろヤベェけど』

 

 

 

「ってね」

 

「それが玲二様だったのね」

 

「そう、玲二君が皆に聞こえるようにそう言ったらあの教頭顔真っ赤にして面白かったな〜♪」

 

「じゃあ玲二はその時にその教頭に頰をやられたのか?」

 

「ううん、その時は逃げるようにそそくさと去って行ったわ。問題はその後だったのよ……」

 

そしてルイとレインは更に当時の事を話していった。玲二の指摘に対して怒りに満ちた教頭はルイに対してより八つ当たりのような言いがかりをつけるようになり、更には玲二に対しても逆恨みをしだし成績改ざんや見に覚えのない悪い噂等を流したりと好き勝手にやり始めたのだ。校長や他の教師達が注意するも教頭は何も間違った事はしていないと聞く耳持たずだった。そしてそんな態度に対して玲二が遂にキレたのだ。

 

「それから玲二君は教頭の悪事を暴く為に知り合いの探偵や興信所に頼んだり自分自身で教頭の身の回りを探り始めたの。その時パタちもルイちゃんや他の獣人の子達にされた事が許せなかったから玲二君の手伝いをしたんだ。そしたらまあ叩けば叩くほど埃が沢山出たんだよ。横領に脱税、更には既婚者のクセに浮気に当時のパタち達と変わらないくらいの年齢の娘との援助交際とか数えるのもめんどくさくなるくらいの悪事がね」

 

「うわぁ完全にやってる事が小悪党じゃない……?」

 

「でしょ?それで集まった証拠を校長に提出した事で教頭の懲戒免職処分が決定すると教頭は発狂しながらナイフを持って私に襲い掛かったの、お前を捌いて精肉店に売りつけてやるって。その時にレイレイが私を庇って頰を切られてしまったんだけどそのままカウンターをかまして教頭に向かってこう言い放ったのよ」

 

 

 

『テメェは紛いなりにも教頭だろ!?生徒を見守り導く立場のテメェが鷹嶺や獣人族の皆を差別してくだらねぇ嫌がらせしてんじゃねぇよッ!!もし差別されるような人種がいるとしたらそれはテメェみたいな偏見で他者を見下し、あまつさえ犯罪行為に手を染めた奴だッ!!』

 

 

 

「その後その教頭……いえ、元教頭は警察に逮捕されていったわ。風の噂ではもう出所はしてるけど当然教職には就けるワケがないから知り合いが経営してる農家で奥さんや学校に慰謝料払う為に朝から晩までみっちり働いているみたいよ」

 

「しかも後で聞いて分かったんだけど其処の農家で働いているのが鷲の獣人であの元教頭は汚れながら働くその人を見て其処からあの変な偏見を持つようになったらしいよ。ま、そんなのはもうどうでもいいけどね」

 

「そんな事があったのね……」

 

思った以上に壮絶な出来事にちょこ達は玲二は絶対に敵に回したらダメな類だと改めて再認識するのであった。

 

「けどあの頃我は偶に玲二に会ってたけどそんな傷なかった気がするんだけど?」

 

「あー実はその頃の玲二君別の事故にあって通院していて、その時についでにその頬の傷を消してもらったみたい」

 

「別の事故……あ、確か玲二様がシロ様を庇った時の事ね?その事故が起こった事でスバルとも出会ったって聞いたわ」

 

「どうでもいいけどレイっちなんかいろんな事に巻き込まれ過ぎじゃない?」

 

幼い頃から何かしらの事に巻き込まれる玲二。最早何かに取り憑かれてるのではないかと疑いたくなるレベルである。まあそんな事は兎も角ぼたんもポケットから写真を取り出し皆に見せていく。

 

「やっぱり高校や大学ってなるとレイレイも大分成長してるわね」

 

「けどまだ少しだけ幼さも残ってて可愛い感じもあるわね~♪じゃあ玲二様との思い出エピソードを「いやそれ前にも言った事あるだろ?同じ話をするつもりはないから」あ、そうだったわね……?」

 

※『第20話貴方と出会って』参照

 

「うぅ〜……皆と玲二様との出会いを聞いたら少しは気が晴れると思ったのに逆に余計に羨ましくなっちゃったあぁ〜ッ!!」

 

「えぇ〜?でもだからと言って人生やり直す事は出来ないし……」

 

「そうですよ、それに結果はどうあれ皆こうして玲二君の妻になれたんだからそれで良いじゃないですか♪」

 

「うぅ〜……!」

 

レインがちょこを諭すがそれでもちょこは納得が出来ずに項垂れていた。しかしこれ以上どうする事も出来ない四人はただ呆れてため息を吐くだけしか出来なかった。

 

「あれ?ちょこ達じゃねぇか、それにフミやレインまでってなんか珍しい組み合わせだな?」

 

「え……?れ、玲二様?どうして此処に?」

 

と其処に保育園とかで使うような多人数乳母車を押しながら玲二がやって来た。乳母車の中にはしょこらとつばさとつばきと玲牙が乗っており、相変わらず玲牙はつばきに耳をあむあむされている。

 

「いやそろそろ子供達の服も小さくなってきたから新しい服を買いに行ってたんだよ。沢山良いの買ったもんな?」

 

「しょこのおよーふく〜♪まーま、どぉ〜?」

 

「ふりふり〜♪」

 

「あむむ〜♪」

 

「やぁーあぁーッ!」

 

子供達は乳母車から降りてそれぞれ自分の母親の元に行き買ったばかりの服をお披露目する。玲牙以外の三人はふりふりのお洋服で玲牙は仮面ライダーがプリントされたパーカーである。子供達の微笑ましい姿を見て五人とも思わず笑みを浮かべるのであった。

 

「あ、そうだ。なぁちょこ、ぼたん、ちょっと見てもらいたいモンがあるんだけど良いか?」

 

「え?見てもらいたい物って?」

 

「何々?なんか面白そうな物か?」

 

「いや其処までのモンじゃねぇけど……ほらこれだよ」

 

そう言って玲二が内ポケットから出したのは一枚の写真だった。其処には黒髪の赤ちゃんを中心に()()()()()()()()()()()()()()()()()()が抱きついている写真だった。

 

「え?これってしょこらちゃんとつばきちゃん?」

 

「……ではないわね?しょこらには角は生えてないし、つばきちゃんも獅子族の耳と尻尾はないもの」

 

「それにこの真ん中の赤ちゃんって……え?これってもしかして、玲二君?」

 

「あぁ、俺の赤ん坊の頃の写真だ。この間実家に行った時に母さんが渡してきたんだよ」

 

そう、玲二が持ってきた写真は自身がまだ赤子だった頃の写真だった。そんな赤子の玲二が二人の赤ちゃんに抱きつかれているのだが……

 

「それでなんだが……なぁちょこ、ぼたん、これってもしかしてお前達じゃないか?」

 

「え!?これがあたしとちょこ先?!」

 

「ち、ちょっと待って!?……た、確かにこれ、実家にあるアルバムに貼ってあった赤ちゃんの頃のちょこにそっくりだけど……!?」

 

「えぇ!?って事は……!?」

 

「玲二とちょこ先生とぼたんさんって、赤ちゃんの頃にはもう出会ってたって事なの!?」

 

なんという衝撃的な事実!実はちょことぼたんは玲二の妻達の中で最も早く出会っていたのだ!これには本人達も驚きを隠せないでいる。

 

「ちょちょちょ、ちょっと待って!?でも前にシオン様の失敗魔法でちょこ達玲二様と出会った頃に戻る魔法受けてたじゃない!その時ちょこは少しくらいしか変化してないわよ?!」

 

「あたしも高校生の頃には戻ったけどこんな赤ちゃんにはなってないぞ!?」

 

「あーそれなんだけどな?これは憶測なんだけどあの時の魔法、俺と出会った頃に戻る魔法ってシオンは言ってたんだけどそれって俺がまだ赤ん坊だったその頃だとまだ他人を認識する力が弱かったから反映されなかったんじゃないのか?」

 

玲二の言う通り、産まれたばかりの赤ん坊にとって周りの人や動物はただ動く物というくらいの認識しかない。更には赤ん坊の記憶は日々塗り変えられてしまう為この時期に会ってたと言っても脳が大体の事を記憶出来てないので覚えていないのだ。なので以前のシオンの失敗魔法では赤ん坊の頃に出会った場合はカウントされないのでは?という事である。

 

「そ、そういう事だったのね……ウフフ♡もしそうだとしたらちょこが誰よりも早く玲二様と出会ってただなんてぇ〜♡」

 

「そっかそっか〜♪あたしとちょこ先がレイっちと初めて出会ってたなんてな〜♪」

 

(((うわチョロ……)))

 

先程まで嘆いていたクセにいざ自分が玲二と初めて出会ってたと知ると嬉しそうに惚けるちょこと一緒にデレデレしているぼたんを見てこの二人調子良いなと思うルイ達であった。

 

「こっちに戻って機会があれば見せようと思ってたから丁度良かったわ。ところでお前達はお茶会中だったか?だとしたら邪魔してすまなかった」

 

「ううん、寧ろ良いタイミングで来てくれたわ。あのままだとちょこ先生ずっと駄々こねてたもん」

 

「そーそー、それに折角だから玲二も一緒にお話しよう♪」

 

「?」

 

こうして同い年五人組は玲二と子供達も交え楽しい時間を過ごすのであった。余談だがあの写真に写っていたのはちょことぼたんで間違いないようで、どうやら産まれて数ヶ月後に健康チェックも兼ねた交流会の時に撮った写真らしい。その事をちょことぼたんは暫くの間他の妻や婚約者達に嬉しそうに自慢気に話すのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数日後……

 

ーシュウゥゥゥ……バッ!ー

 

「おわっと!?あ、あれ?此処って一体……?」

 

ホロライトシティの市街地から少し離れた森の中で何者かが時空の歪みから飛び出てきた。これはまた、新たな波乱の予感……?




はい、という事でママ友会という名の玲二との出会いの切っ掛け回でした!本当はこっからガンプラ関連のネタに走ろうと思いましたが尺的に止めました(^o^;)

そして次回は最近にじさんじで公式番組としてリニューアルされた番組のMC三人組が登場します!

そしてその次の話なんですが、以前ネタで書いたアナザーホロライブをヒントに平行世界のホロメン登場の回にします!勿論シリアス展開はしません!それで誰が来るかと言うと……アンケートで決めたいと思います!毎度の事ながらよろしくお願いします!

次回もまったり待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第113話『私達とゲームる?』

昨日の朝ルブリスウルを買いに行ったのですがヨドバシにはかなりの列が並んでました。もしかしてこれ全部ガンプラ!?と思いきやギーツの新アイテムの列でした(^o^;)ルブリスウルは普通に買えましたけどギーツのアイテムは即売り切れ、人気ヤベェ……(;´Д`)

今回はタイトル通りあの三人組が登場します。今回も最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!



「わ~い♪」

 

「こーらマオ、あんまり走り回っちゃ危ないよ〜?」

 

「んちょ……あい、できちゃ♪」

 

「お、こころもでんぐり返し出来るようになってきたな。凄いぞ〜♪」

 

とある日曜日、俺は久々に子供達の遊び場であるキッズルームでマオとこころと遊んでいる。今日は保育園もお休みだし、こうして此処で遊んであげるのも久々だからミオとはあと、それからラプも一緒にうんと遊んであげる事にしたんだ。今はマオが元気にはしゃぎ回り、こころは最近覚えたでんぐり返しをお披露目してくれている。

 

「それとれなもわざわざ付き合ってくれて有難うな。れなも久々の休みなのにマオ達と遊んでくれて」

 

「うぅん、私も子供達のお世話するの結構好きだし♪それに、この子が産まれた時の予行練習にもなるもん♪」

 

そして俺の横にはにじさんじのマジシャンアイドルである『れな(旧姓:夜見)』が俺達と一緒にマオ達の相手をしている。この娘も俺と結婚した一人で現在妊娠四ヶ月目になるお腹を擦りながらにこやかに笑っている。

 

「よるみんも結構お腹目立つようになったよね?」

 

「でも少しお腹大っきいわよね?もしかしてぼたんちゃんと同じ双子だったりして?」

 

「うーん、まだ調べてもらってないから分からないけどそうなのかなぁ?」

 

確かにれなのお腹は他の娘よりも大きくなってるからはあとの言う通り双子なのかもな?まあそれは明日の健診で分かる事だし、どっちにしろ俺の大切な子に変わりはない。無事に産まれてくれて母子共に健康体でいてくれれば父親としてこれ以上嬉しい事はないさ。

 

「そう言えばれなちゃん最近エレオちゃんに弟子入りしたんだってね?」

 

「うん、最近は師匠からスプレッドとダブルリフトを教わってるよ♪」

 

「いやお前幼児に何教わってるんだよ?」

 

そしてエレオはなんでそんな技術持ってる?一応あいつ物をカラクリ化させる能力があるけどそれとは関係なく手品の技術を会得してるし。あの子もある意味将来が末恐ろしいんだよなぁ……?

 

「ぱーぱ、どちたの?」

 

「ん?ああなんでもないよ。ほらマオ、こころ、こっちおいで」

 

「「わーいぱぱ〜♪」」

 

「「ぱぱ〜♪」」

 

「いやお前等の事じゃねぇよ魔使、天宮」

 

俺がマオとこころを呼ぶと二人とも嬉しそうに俺に寄ってくるがどさくさ紛れに違う奴が俺に寄ってくるので俺はそいつ等を軽くあしらってマオとこころを抱き寄せた。

 

「えぇ〜!?だって今主人僕とあみゃの事呼んでたじゃん〜!」

 

「呼んだのは俺の娘達だ、お前達の事ではない」

 

「えぇ~!?玲二さんのイケズぅ〜!」

 

何がイケズだ?しかも俺はお前等の父親ではない。こいつ等はれなと同じくにじさんじに所属する自称俺の使い魔の『魔使マオ』と古来より龍と対話をしてきた一族の巫女『天宮こころ』である。今日はれなと一緒に子供達のお世話を手伝ってもらっているんだが、確かに今思えばこいつ等の名前も『マオ』と『こころ』だもんな?一応こいつ等とも婚約という形をしているがまだ籍もいれてない。その理由は後に分かるけど。

 

「なんでそんな冷たいのさ主人〜!?僕だって構ってほしいのに、マオちゃんやこころちゃんばっかり構ってるし!」

 

「そうだよぉ〜!あみゃも玲二さんといっぱいイチャイチャしたいもん〜!」

 

「いやイチャイチャって何言ってんだお前等?今は子供達と遊んでるだけだろうが」

 

全く、こいつ等に限った事じゃねぇが婚約組はなんでこうも隙きあらば俺に引っ付こうとするんだろうか?

 

「ほらまちゅかい、あみゃみゃ、玲二さんが困ってるからもうそこら辺にしときなよ?」

 

「うがぁ〜!なんだいよるみんばっかり!僕達まだ14歳だから結婚出来ないってのによるみんはそんな僕達を置き去りにして主人との子孕んでズルいじゃん!」

 

「そーだそーだー!あみゃ達だって玲二さんとイチャコラしたいのに出来ないんだもん!だったらもう玲二さんの娘になって甘えるしかないんじゃ〜!」

 

なんだその謎理論は?確かにまだ魔使と天宮は中学生だからまだ結婚出来る年齢じゃないから婚約で済ませているけどそれじゃ我慢出来ないから俺の娘になるって意味が分からん。後魔使、アイドルが気安く孕むとか言うな。

 

「そんな事は絶対に許さんぞ!パパに甘えるのは娘である吾輩や妹や弟達の特権だ!お前達には絶対にパパはやらんからなぁッ!」

 

「なんだよぉ!?いーじゃん別に!結婚出来る年齢になったら僕達主人のお嫁さんになるんだからそれまでは娘として甘えるんだ〜!」

 

「いや娘になって甘えるってなんだよ?」

 

大体養子縁組するって言うんなら婚約は破棄しなきゃいけないって毎回言ってるだろうが?

 

「ほらあみゃちゃんもまちゅかいちゃんもあんまりダーリンに迷惑掛けちゃだめだからな〜?」

 

「「うぅ〜!」」

 

「はいはい唸んないの。それに養子縁組なんてしたらレイさんとの婚約破棄になるけどそれでも良いの?」

 

「「それはやだぁ〜!」」

 

「だったら二人とも玲二さんを困らせないの、良いね?」

 

はあととミオ、そしてれなに宥められ二人とも不満ながらも漸く大人しくなってくれた。二人とも母親になってから年下の子に対して落ち着いた対応をするようになってくれてるからこういう時は本当に助かってるんだよな。れなも妊娠してから母性が出てきたのか度々暴走する魔使達を止めてくれるその姿はまるで我儘な娘を叱る母親のようでもある。

 

「さて、そろそろ良い時間だし昼飯にするか。確か今日はちょこが野菜カレーを作ってくれてたな」

 

「「わーいかれ〜♪」」

 

「えぇ〜?僕バターチキンカレーとかが良かった〜!」

 

「ほらマオちゃん、文句言ってるとお昼ごはん抜きにしちゃうからね?」

 

「ごめんなさぁ〜い!それだけはご勘弁をぉ〜!?」

 

全く調子が良いよな魔使も?ま、其処がこいつの良いとこなんだけどな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁー食った食った。マオとこころも満足したか?」

 

「あーい♪」

 

「けっぷぅ♪……ふあぁ〜」

 

あらら、お子様野菜カレー食べてお腹いっぱいになって眠くなったみたいだな?この子達の成長スピードは早いとは言えまだ二歳だからまだまだお昼寝タイムは必要だもんな?

 

「ほらマオ、こころ、こっちに毛布あるから少しおねんねしちゃいな」

 

「あ~ぃ……ふみゅぅ……」

 

「すぅ……すぅ……」

 

よし、寝てくれたみたいだな?そんじゃあ気持ちよく寝てもらえるように二人の周りに音波遮断のバリアを張ってと……これで良しっと、ゆっくり寝るんだぞ〜。

 

「あ、マオ達寝かしつけてくれたんだ?」

 

「あぁ、音波遮断もしといたから暫くはゆっくり寝てるだろ?そんじゃあ俺達も食べ終えた事だし、もし皆この後時間があるなら協力してほしい事があるんだけど良いか?」

 

「え、何?もしかして子づくり?」

 

「んなワケあるか!?これだよコレ!」

 

魔使の奴音波遮断しているとはいえ子供が近くにいるのに何言ってんだよ?!ま、まあそれは兎も角俺は皆の前に一冊の資料を出して広げていく。

 

「?ダーリン、これって……あ、もしかして前に言ってたガンプラウォーズの新しいイベントの企画書?」

 

「ああ、今回新たにやるイベントの内容を纏めた物だ。今までのイベントは全てプレイヤー同士のバトルがなかったから今回は思い切って純粋なガンプラバトルをしようと思ってな」

 

「おぉ〜良いねそれ♪あみゃも使いたかったガンプラあったからやりたい♪」

 

「ウチも新しいガンプラ出来たばっかりだからそれでバトルしたいな♪」

 

「パパ、吾輩は最近ガンプラは作ってなかったから今回はマオ達のおもりをするね」

 

うん、ラプ以外の皆も乗り気みたいだから早速準備するとしますか。という事で俺達はラプがマオ達を見ていてくれると言ってくれたのでラプにマオ達の事を頼みテスト用の筐体が置いてある部屋へと向かう事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから俺は部屋に入るとガンプラウォーズの筐体の電源を起動させ新しいイベントのデータが入ったUSBメモリをセットしダウンロードを開始させる。時間的には……うん、後五分程度だな。

 

「へ〜こんな所にガンプラウォーズの筐体置いてたんだね?」

 

「て事はこれからは毎日此処でガンプラウォーズやり放題ってコト!?」

 

「んなワケあるか、此処の筐体はあくまでテストプレイ用だ。普段みたいに自分のIDカードが使えるワケではないし、そもそもテスト用のステージをプレイ出来るだけで通常モードでは遊べないからな?」

 

この筐体はあくまでデータ取りの為の物だからそんな普段から好き勝手には遊ばせたりはしないぞ?まあ元よりこの部屋を開ける権限は俺とそれからぼたんや築みたいにデータを取る為に協力してもらってる奴だけだからそれ以外の奴は入る事自体無理なんだがな。

 

「えぇ~!?折角タダで遊べると思ったのにぃ〜!」

 

「まあ開発に関わってる人がタダで遊んでたら問題じゃん?それでレイさん、今回はどんなイベントを行うの?」

 

「ああ、今回はシンプルに三対三のチームバトルだ。お互いにリーダー機を設定して先に相手のリーダー機を倒した方が勝ちだ。勿論、お互い相手チームのどれがリーダー機なのかは分からない状態でな」

 

「へぇ、面白そうだねそれ♪誰をリーダー機にするかで戦略や連携も変わってきそう♪」

 

そう、今回のチームバトルの要点はズバリ、如何に相手チームのリーダー機を見極めつつ自軍のリーダー機を悟られないようにするかがポイントだ。これは編成時からも作戦を練る必要もあるから中々面白くなりそうだな。

 

「という事で今回はテストプレイという事でチーム分けは俺とミオとはあとの三人、そしてそっちはゲームるチームで良いか?」

 

「ウチらはそれで良いよ。れなちゃん達もそれで良いかな?」

 

「うん、本当は私達も玲二さんとチームしたかったけどやっぱりチームワークを考えたらそれが良いもんね♪」

 

「よぉーし!公式番組として生まれ変わったゲームる?ゲームる!の力を見せてやるー!」

 

「よし、ならお互いリーダー機を決めてらスタートしよう。そっちも決まったら声をかけてくれ」

 

こうして俺達はチームも決めてそれぞれ筐体の中に入っていき準備を進めていった。さて、ガンプラウォーズは兄貴のトレーニングの時以来だな……よし、久々に頑張るとしますか!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………って意気込んだは良いけど、まずは敵の動きを見ないとな?それと、ミオとはあとの機体もチェックしないと」

 

ゲームが始まり画面には今回のステージであるスペースデブリが散らばる宇宙空間が表示されている中、まず仲間であるミオ達の機体をチェックする事にした。というのも今回は敵味方関係なく全ての機体がランダム地点でのスタートとなっているのでまずはエリアサーチをして敵と味方の居場所の把握と味方が使用している機体をチェックしないといけないのだ。それでミオとはあとは……はあとは割と近くにいるがミオが少し離れているな?そして機体はミオが『ダガーL』ではあとが『サザビー』か。二人ともらしいと言えばらしいチョイスだ。

 

 

『HG ダガーL』

『機動戦士ガンダムSEEDDestiny』に登場する地球連合軍の量産型MS。前作であるSEEDに登場したストライクダガーをベースに装甲面のコストダウンがされた機体だがその性能はストライクダガーと匹敵する程である。またこちらもストライクガンダムと同じくストライカーパックを装備する事が可能であり、戦況に応じて戦い方を変える事が出来る。

 

 

『HG サザビー』

『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』に登場したシャア・アズナブルが駆る最後のMS。その性能はシャア最後の機体と言うに相応しいスペックを持ち、最大の特徴はバックパックに装備されている六機のファンネルによる遠隔攻撃である。またこの機体は他のMSと違い胴体ではなく頭部にコックピットが存在する。

 

 

「さて、二人の機体もチェック出来たしまずは近くにいるはあとと合流しないと……ッ!後ろか!」

 

ーズガガガガガガガガッ!ー

 

危なッ!?いきなり後ろから撃ってきやがった!?あれは……『ヘビーアームズ』か!

 

 

『HG ガンダムヘビーアームズ』

『新機動戦記ガンダムW』に登場するトロワ・バートンの機体。重火器による遠距離からの砲撃がメインでありその火力は多数のMSを相手にしても圧倒する力を誇っている。但しその反面接近戦用の武器は右腕に装備されたナイフのみである。因みにヘビーアームズはその名前に反し他作品の重火器系MSと比べても7.7tとかなり軽量である。

 

 

《もぉーーーッ!なんで避けるのさぁ!?今の絶対に当たったと思ったのにぃ〜!》

 

「その声、魔使か!?いきなりガトリング弾ぶっ放して危ねえだろうが?!」

 

《あ、なんだ主人だったんだ?でも奇襲は戦闘での基本戦術でしょ?》

 

グッ……!?確かに戦術としては何も間違ってないから何とも言えんわ……

 

《それにしても主人の機体はフリーダムなんだ?しかもSDだなんてあんま主人っぽくないね?》

 

「ん?ああ、だけどこいつは確かにSDはSDだが最新の技術が詰まったMGSDだ。ナメて掛かると痛い目見るぜ?」

 

 

『MGSD フリーダムガンダム』

SDのスタイルに最新の技術によってMGの要素を組み込んだSDガンダムの集大成とも言える新ブランドである。その第一弾として登場したフリーダムはSDにデフォルメされつつも元の格好良さと動かしやすさを損なっていないかなり素晴らしい仕上がりとなっている。

 

 

《ふーん?まあよく分かんないけど、多分そっちのリーダーって主人でしょ?なら主人さえ倒せば僕達の勝ちっしょ♪》

 

「……さあ、どうかな?」

 

どうやらマオはこのまま俺とやるつもりみたいだな?なら俺は取り敢えず相手しつつはあとと合流するか。そんじゃ、行動開始だ!

 

 

 

新たなイベントのテストプレイである3on3は玲二とマオの勝負によって始まった。果たしてリーダーは誰なのか?そしてどちらが先に相手リーダーを撃破し勝利するのだろうか?続く……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーオマケー

 

「えっと、此処は本当に何処なのでしょうか?多分お屋敷のお外だと思うのですが……?」

 

その頃、市街地の端の方では前回時空の歪みから現れた娘が此処が何処だか分からず辺りをキョロキョロしながら歩いていた。しかし、自分がいる場所すら理解出来ていない為かかなり困り果てた様子である。

 

「はぁ、困りました……産まれてこの方お屋敷から出た事がなかったのでお外での勝手が分からないです。一体どうすれば良いのでしょう……?」

 

「あれ、ラミィじゃん?今日配信あるって言ってたのにこんな所で何してんの?」

 

「……え?」

 

と其処にやって来たかなたに声を掛けられ困り果てた娘は更に困惑した様子でかなたに問い返していく。

 

「あ、あの……貴方様はどちら様でしょうか?ラミィの事をご存知なのですか?」

 

「へ?何寝ぼけた事言ってんのさラミィ、僕だよかなたんだよ」

 

「かなたん…さん?すみません、ラミィは知人と呼べる方が少ないので何処かでお会いしているのなら覚えている筈なのですが……?」

 

「は?いやいや何を言ってんのさラミィ?僕達ずっとホロライブで活動してきた家族じゃん?」

 

「?あの、申し訳ないのですが、ホロライブとは何の事でしょうか?ラミィ、産まれてこの方お屋敷の敷地から出た事がなかったので俗世の事には少し疎くて……」

 

「……え?え?ど、どういう事これ?」

 

目の前にいる娘……ラミィと噛み合わない会話に困惑してしまうかなたなのであった。




はい、という事でにじさんじのゲームる?ゲームる!の三人組とのバトル開幕回でした!後半ではもう少しバトルを盛り上げれればなと思います(^^;)

あ、それと今更ですがこの世界のホロメン並びににじライバーの年齢は公式設定とは違う事が多々あるので其処はご了承くださいませ(;´∀`)

近日中に後編もあげますので次回もまったり待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第114話『リーダーを見極めろ!』

最近何かと天気が荒れてる所為か体調を崩しやすいです(-_-;)皆さんも体調管理だけは気をつけてくださいませ。

さて今回はゲームるチームとのバトル回!はたしてリーダーは誰なのだろうか?今回も最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


バトルがスタートし玲二とマオがぶつかり合い始めたその頃、その近くのデブリ帯でははあとの駆るサザビーが隕石やデブリを躱しつつ玲二の戦っている場所へと向かっていた。

 

「ダーリン大丈夫かしら?多分向こうはダーリンがリーダー機だと思ってるから見つかったら真っ先に狙われちゃうかも……?なら早く合流して掩護しないと!」

 

玲二を心配するはあとは一刻も早く合流しようとサザビーのバーニアをフルブーストし全速力でデブリ帯を抜けようとする。しかし……

 

ーバシュウゥッ!バシュウゥッ!ー

 

「ッ!上から!?」

 

上空から突然複数のビームが襲い掛かりサザビーは機体を回転させながら避けビームが撃たれた方へとビームライフルで反撃をしていく。

 

ーバシュウゥッ!ドゴオォンッ!ー

 

《あぅッ!?うぅ〜撃ち返されたぁ〜……》

 

「その声、あみゃちゃん?それにその機体って……青い、『ナイチンゲール』!?」

 

 

『HG ナイチンゲール』

『機動戦士ガンダム 逆襲のシャアベルトーチカ・チルドレン』に登場したシャアの駆るMS。劇場版ではサザビーに乗っていたがこの作品ではサザビーの代わりにこの機体が登場している。サザビーよりもゴツく巨体なその姿は見る物を圧倒する程のインパクトがある。普通はシャアの専用機という事で赤色だが今回は天宮こころの専用機という事で青色に塗装されている。

 

 

そう、今回天宮が選択した機体はまさかのはあとの駆るサザビーとある種同一機と言っても過言ではないナイチンゲールだったのだ。しかもその巨体をしっかりと青色に塗装している辺りかなり気合いが入っているのが伺える。

 

《あ、そのサザビーってはあちゃまの機体だったんだ?まあ玲二さんがガンダムタイプ以外使うイメージはないもんね?でも、それならそれはそれであみゃみゃにとっては好都合だぁー!》

 

「?好都合って、どういう事?」

 

《フッフッフッ……このバトルはズバリ!あみゃがはあちゃまに復讐をする為の物でもあるのだぁーーーッ!!》

 

復讐、そう言われてはあとは一瞬なんの事と首を傾げてしまう。別に自分は天宮に対して何か酷い仕打ちをしたつもりもない。それなのにどうして復讐されないといけないのかはあとには分からなかった。

 

「復讐って……え?はあちゃま、あみゃちゃんになんかしちゃったっけ?」

 

《なんかしちゃっただとぉ〜?そうだよ!しちゃったんだよはあちゃまは!はあちゃま、なんで…………なんで自分の娘の名前を“こころ”なんて名前にしちゃったのさぁ?!》

 

「…………え?」

 

天宮の叫びにも似た声から放たられた問いにはあとは思わずポカンとしてしまう。そりゃそうだ、復讐というから何事かと思いきや愛娘であるこころの名前についての文句だったからだ。

 

《はあちゃまがこころって名付けた所為であみゃが未だに玲二さんから名前で呼んでもらえない事が多いんだよ!?それってずるくない?!》

 

「え、えぇ〜?でもあみゃちゃん、こころがいない時はちゃんと名前で呼んでもらえてるんでしょ?ならそれで良いじゃないの?」

 

《そんなのやだぁ〜!玲二さんからは常に名前で呼ばれたいぃ〜!天宮なんて他人行儀やだぁ〜!!》

 

な、なんという事だろうか?復讐とは大層な事を言っていたが実際は愛娘と名前が被っている所為で偶に玲二から名前で呼ばれないから駄々を捏ねてるだけであった。これにははあとも呆れて物が言えずにいた。

 

「で、でもそれはダーリンとはあちゃまが真剣に考えた名前だからはあちゃまだけに言われてもしょーがないんだけど?」

 

《それでもあみゃにとっては許しがたい事実なんだぁ〜!》

 

ーバキュウゥンッ!ー

 

「うわ危なッ!?」

 

ただの八つ当たりで容赦なく撃ってくる天宮のナイチンゲール。はあとはサザビーを上手くコントロールしてビームを避けてナイチンゲールから距離を取っていく。

 

《あ、こら逃げるなぁ〜!》

 

天宮もナイチンゲールのエンジンを噴かせてサザビーを追いかけて行こうとする。しかし、その距離は縮まるどころかどんどん引き離されていく。

 

《あ、あれ?なんで全然追いつけないのぉ?!》

 

「?……あー成る程ね?多分だけどそのナイチンゲールのバーニア、何処か足りないんじゃないの?」

 

《え?えーと…………あー!?右側のバーニアが二個無くなってるーーーッ?!》

 

まさかの事態、天宮のナイチンゲールのバーニアが一部欠損していたのである。これでは満足に推進する事が出来ずに差が開くのも仕方がない。

 

「じ、じゃあはあちゃまはもう行くからまた後でね〜」

 

《あー!待ってぇ!あみゃの事置いてかないで〜!?こうなったらぁ、いけぇファンネルッ!》

 

バーニアの欠損により大した推進力がないと分かったはあとはそのまま玲二のいる宙域へと向かっていき、こころはそんな去ってくサザビーを墜とそうとファンネルを飛ばそうとするが………

 

 

 

シーン……

 

 

 

「…………あ、あれ?なんでファンネルが飛ばないの?え?え?」

 

幾らファンネルを飛ばそうとしてもナイチンゲールのファンネルバインダーからファンネルは射出される事はなかった。それもその筈、実は天宮は塗装する際に時短だからとファンネルを装備したままファンネルバインダーを塗装しトップコートまで仕上げてしまった所為でファンネルがそのまま固定化してしまったのである。つまり今の天宮のナイチンゲールは機動性の欠けたただ図体がデカいだけの機体なのだ。そうとは知らず天宮は涙目になりながら必死にファンネルを出そうとして只々時間が過ぎていくのであった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてその頃……

 

ーズガガガガガガガァッ!ー

 

ーバシュゥ!バシュゥ!ー

 

「チィッ!やっぱ宙域戦闘は慣れねぇな!?」

 

《もぉーーー!いい加減に当たってよぉーーーッ!?》

 

あれからそれなりの時間が経っているが、俺も魔使も先程から撃って躱しての繰り返しをするばかりだ。どうも俺はこういう宇宙空間での戦闘は苦手みたいで何発かは当てれてはいるものの殆どは躱されてしまっている。けどそれは向こうも同じでお互い中々決定打に欠けてる状態が続いている。

 

……というか俺は成り行きで魔使、いやマオと戦っているがそもそもこいつがリーダーなのか?もしこいつがリーダーならこうして真正面から突っ込んでくるなんてあり得るか?…………こいつなら有り得そうだが、他のメンバーがそれを良しとするワケがないよな?もしこいつがリーダーでないとすればこのままこいつと戦う意味は薄いが……

 

……いや、此処で下手に引いてもどうせこいつは追いかけてくるに違いない。ならどっちにしろ此処で撃破しといた方が得策か……ん?これは……それなら!

 

《?どしたの主人、急に立ち止まったりして?あ、もしかして遂に観念したのかな〜?》

 

「…………」

 

《あれ?もしかして本当に観念した?じゃあこれでトドメだぁーーーッ!》

 

マオは俺が観念したと思いヘビーアームズのガトリングをフリーダムに向けてトドメを刺そうとする。だが……

 

 

 

 

 

ーバキュウゥンッ!ドゴオオォンッ!ー

 

《キャアァッ!?な、何今の?!》

 

ヘビーアームズの攻撃が放たれる直前に俺の後方からビームが放たれヘビーアームズのガトリング砲を打ち抜き左腕を大破させた。マオも何が起こったのか分からず困惑しているが、これは……

 

「ダーリン!なんとか間に合ったかしら?!」

 

「ああ、寧ろベストタイミングだはあと」

 

そう、はあとのサザビーだ。俺は後方からサザビーの反応をキャッチし敢えて無防備になる事でマオを油断させてトドメを刺そうとしたところをサザビーのファンネルのビームをおみまいしたというワケだ。まあ一か八かだったが上手くいって良かったわ。

 

「これで二対一になったな。そっちはもうメインウェポンを失ったしこっちが優勢だな?」

 

《うぐぐぅ、こんな事って……ちっくしょおぉーーーッ!………なぁーんちゃって♪》

 

は?なんだマオの奴、この不利な状況でなんでそんな笑って……

ッ!まさか?!

 

ースゥ……ガシイィッ!ー

 

「キャアァッ!?な、何これ?!」

 

「はあと!?これは……巨大な手?!」

 

なんと油断していたサザビーの背後から突如巨大な手が現れサザビーが鷲掴みされてしまった!こいつは……『ディキトゥス』か!

 

 

『HG ディキトゥス 光のカリスト専用機』

『機動戦士クロスボーンガンダム 鋼鉄の7人』に登場した光のカリスト専用機。宇宙世紀のMSの中でも特に異質な造形をしておりそのスペックはオーバーテクノロジーレベルである。変形する事でまるで左手のような姿になりその握力は重量級MSですら握り潰す程の力がある。

 

 

「また珍しいチョイスだな!?乗ってるのはれなか、こころか?!」

 

「ううん!あみゃちゃんはさっきナイチンゲールに乗ってたからこれはよるみんだよ!」

 

《ピンポーン♪どう玲二さん?私のガンプラ凄いでしょ〜♪そぉれ!》

 

ーギギギギギィ…ッ!ー

 

「キャアァーーーッ!?」

 

マズい!?はあとのサザビーがディキトゥスに絞め上げられて身動きが取れなくなってしまってる!このままじゃサザビーが破壊されるのも時間の問題だ!ならまずはヘビーアームズよりもあのディキトゥスをなんとかしねぇと!

 

「待ってろはあと!今助けてやるからな!」

 

《……うん、やっぱり仲間想いな玲二さんならそうするよね?けど……それは無理な話だよ!》

 

何?一体どういうードゴオォッ!ーグアァッ!?な、なんだ?!いきなり何かに殴られた……って!?そ、そんなまさか!?

 

「な、なんで……なんでディキトゥスが()()もいるんだよ?!」

 

そう、俺のフリーダムをいきなり殴ってきたのは今サザビーを捕縛しているディキトゥスと姿が酷似しているディキトゥスだった!だがサザビーを捕縛しているのが左手に対してこいつは右手、という事はこいつは影の方か!?

 

 

『HG ディキトゥス 影のカリスト専用機』

『機動戦士クロスボーンガンダム 鋼鉄の7人』に登場した影のカリスト専用機。光のカリスト専用機と対を成すこの機体も例に漏れずオーバーテクノロジーレベルのスペックを有している。光のカリストと対を成す機体なだけに見た目を反転しておりこちらは右手型の形態に変形出来る。

 

 

「馬鹿な!?ガンプラウォーズで使用出来るのはプレイヤー一人につき一体だけだぞ!?なんでディキトゥス二体も操る事が出来てるんだよ?!」

 

《さあなんででしょ〜?でもそんな簡単に種明かししたらつまらないでしょ?さぁこの佐々木れなの華麗なマジックバトルショーをご覧あれ!》

 

《おぉ〜!さっすがよるみん♪よぉーし!僕もまだまだいくぞぉーーーッ!》

 

クッ!?メインウェポンが無くなったとは言えまだ健在のヘビーアームズに二体のディキトゥス、実質的に三対二のバトルじゃねぇか!?いや今サザビーが囚われてるから最早三対一になってしまってるし、兎に角まずははあとのサザビーを救出してからだ!

 

《おっとぉ?そうは問屋が卸さないぞっとぉ!》

 

ーバシュウッ!ドゴオォンッ!ー

 

「クッ!?」

 

《更にオマケでもういっちょう!》

 

ーブウゥンッ!ー

 

「うわっと!?」

 

だ、ダメだ!?ヘビーアームズや影ディキトゥスの妨害の所為で近づく事すら出来ない!ならまずはヘビーアームズから倒すか?いや、そんな事してたらサザビーが撃破されてしまう!これは、万事休すか……!?

 

「うぐぐぐぅ……このぉッ!調子に乗ってんじゃないわよッ!」

 

ーガコンッ!バシュウッ!ー

 

《ッ!?ファンネル!?》

 

おぉ!はあとの奴、ファンネルを使って光ディキトゥスを攻撃して抜け出した!だがやはりダメージは大きそうでシールドとライフルは破壊されて装甲もかなり凹んでしまってるな……

 

「もぉあったまきた!どうやって二体も動かしてるか知らないけど覚悟しなさい!この私を怒らせた事後悔させてあげるんだからぁッ!!」

 

あ、はあとがはあちゃまモードじゃなくなってるな?こうなった時のはあとってマジで強いから味方だと良いが敵に回すと厄介この上ないだろう。

 

《な、なんかヤバそうな雰囲気だね……?》

 

《た、唯の虚仮威しだよ!もうはあちゃまのサザビーはボロボロなんだからこれで!》

 

「させるかぁーーーッ!」

 

ーバシュバシュバシュバシュウゥッ!!ー

 

嫌な予感を察したマオがヘビーアームズの残りの弾を全て放とうとする前にサザビーのファンネルがヘビーアームズに向かって集中砲火しそして

 

ーチュドオォォォォオンッ!ー

 

マオの断末魔すら聞く事なくヘビーアームズが爆散していった。そしてこれでゲームが終わらないという事はやっぱりあいつはリーダーではなかったんだな?

 

《あぁッ!マオマオがやられた!?》

 

「さあ、邪魔者がいなくなったしこれで心置きなくそっちもぶっ倒せるわ!覚悟しなさいよね!」

 

《くうぅ~ッ!?でもこっちだってまだ全然やられてないんだから!》

 

そして今度はディキトゥス達とサザビーが交戦し始めだした。とはいえサザビーは既にボロボロな状態だから援護しないとすぐにやられてしまう。俺もサザビーの盾になるようにフリーダムを配備しそのままディキトゥス達に向かって攻撃していく、がやはりビーム兵器を無力化してしまうIフィールドは厄介で殆どの攻撃が遮られてしまってる。

 

…………それにしてもれなの奴、このディキトゥス達をどうやって操縦してるんだ?さっきも言ったがこのゲームにおいて一人のプレイヤーが操縦出来るガンプラは一体だけ。例えガンプラスキャナーに二体をセットしてもどちらか一つが選ばれるだけでそれを同時に動かすなんて出来ない筈だ。つまりれなは何かしらの方法でディキトゥス達を一体として扱えるようにしているという事だが……それをどうやってやっているんだ?

 

《せーの!どーんッ!》

 

ードゴォッ!ー

 

「ぐあッ!?」

 

「玲二!こんのぉッ!」

 

クッ!考え事しながら戦ってたら一発喰らっちまった!それに対してはあとが再びファンネル攻撃を仕掛けるけど、光ディキトゥスはすぐに後退して攻撃を躱してしまった。

 

 

 

ーバシュウッ!バシュウッ!…………ビリッー

 

 

 

…………ビリ?なんだ今の音?まるで何かが破れたような音だったが……?

 

「ッ!玲二、見て彼処!彼処に何かいるわ!?」

 

彼処?……ッ!?なんだあれは?!はあとの言う通りディキトゥス達の間辺りに少しだが何か小さな物が見えてる!?あれは…………ッ!そういう事かッ!

 

「分かったぜれな!お前のガンプラの正体は……これだッ!」

 

ーバキュゥンッ!ドゴオォンッ!ー

 

《キャアァッ!?》

 

俺がその小さな物が見えた辺りに向かってビームライフルで攻撃すると本来なら宇宙空間を通り過ぎていくだけの筈が何もない筈の場所でヒットし爆発を起こした。そしてその場が燃えだしその炎の中から()()()()()()()が姿を現したのだ。

 

「あ、あれって……!?」

 

「あれがディキトゥス達を操ってたれなの本機……成る程、やはり『ガンダムジエンド』か!」

 

 

『HG ガンダムジエンド』

『ガンダムビルドファイターズトライ』に登場したアドウ・サガの使用するオリジナルガンプラ。その異質な姿はデザイナー曰く歴代の悪役ガンダムを贅沢且つ下品に詰め込んだ機体であり、最大の特徴は両肩にあるフィストジエンドという巨大な手を模した装備である。

 

《あーあ、バレちゃったかぁ?折角バトルが終わった後に種明かししたかったのになぁ〜?》

 

「いや、それでもかなり驚かされたけどな?まさか両肩のフィストジエンドの代わりにディキトゥスを改造させて装備してるとはな?オマケにそれをあたかも一人で二体のディキトゥスを操っているように見せる為に腕の接続部分と自身を覆い隠すマントを黒色無双で塗装してカモフラージュするっていう隠蔽工作は見事だったぜ」

 

つまり先程まで俺達が相手にしていたディキトゥス達はあくまでも本体であるジエンドが操作していたサブアームだったのだ。道理でMA形態から変化しないと思ったら最初からサブアーム扱いで付いてただけだったなんてな。

 

《まぁでも姿は見られたけど玲二さん達が不利な状況は変わらないよ!はあちゃまのサザビーもあれだけファンネルを撃ちまくってたらそろそろエネルギーも切れかかってると思うし!》

 

「うッ!?確かにもうエネルギーが殆ど残ってないわ……」

 

れなの言う通り、向こうのガンプラの正体は分かったがそれでも俺達が不利な状況なのは変わらない。寧ろはあとのサザビーが既に戦闘不能レベルにまで追い詰められ残るは俺だけになってしまった。これはかなりマズい状況だ……

 

「……確かに、今のこの状況は圧倒的に不利な状況だな。そっちは()()()()()()()ビーム兵器を無力化出来るディキトゥスの手がある以上俺のフリーダムの攻撃はほぼ止められてしまう。それにはあとがこれ以上戦えないし、このままじゃ実質俺一人で三機分の相手をしなければならない……だがれな、お前何か忘れてないか?」

 

《え?何かって……?》

 

ーバキュウゥンッ!バキュウゥンッ!ー

 

ードゴオォンッ!ドゴオォンッ!ー

 

《うわあぁぁぁぁッ!?な、何今の?!》

 

油断していたれなの後方から巨大なビームが二発放たれそれが見事にディキトゥスの手を撃ち抜き爆散させた。ディキトゥスは四股から発生するIフィールドを展開する事でビームを無力化出来るのだが、これは真正面だけの事で実は背後はワリとがら空き状態なのだ。そしてそんなビームを放ったのは……

 

「レイさーん!はあちゃまー!大丈夫ー!?」

 

「ああ、助かったぞミオ、ナイスタイミング……っておい、お前なんでダガーLにパーフェクトストライカーなんて着けてんだよ!?」

 

そう、やって来たのは俺達のチームの三人目であるミオだった。ミオは俺達とは離れた場所からのスタートだったから此処まで来るのに時間が掛かったみたいだが、こいつまさかダガーLにパーフェクトストライカーパックなんて装備させてたとはな?量産型にはあまり似合わない気もすんだが……?

 

 

『HG ダガーLパーフェクトストライカー装備』

量産型MSのダガーLに初期ストライカーパックであるエール、ソード、ランチャーの三つのストライカーパックを装備させた超火力武装形態。但し三つのストライカーパックを同時に使用するという事で燃費がかなり悪く専用のバッテリーパックが四個装着されている。

 

 

「もぉーやっとこっちにこれたよ〜!フブキからもらったこのストライカーパックすっごく燃費悪いからここ来るだけでも二個バッテリー消費しちゃったしさっきこころちゃんのナイチンゲールを倒すのに一個消費しちゃったよ〜!」

 

「いやどんだけ燃費悪いんだよその装備?!しかもお前しれっとこころ倒したのか!?」

 

……あれ?という事は残っているのはれなだけ、つまりこいつがリーダー機だったって事か!まぁこのガンプラの気合の入れ方見たら当然か。なら後はこいつを倒すだけだ!

 

《うぐぐ、まさかディキトゥスアームが破壊されるなんて……!?》

 

「これでお前を守る壁は無くなったって事だ!後はこのまま押し切る!」

 

俺はフリーダムのビームライフルを捨て新たにビームサーベルを構えジエンドに向かって突っ込んでいった。今のジエンドは無防備状態、これで決めてやるッ!

 

《うぅ、まさか此処まで追い詰められるなんて……でも、詰めが甘いね玲二さん!》

 

「何?!ーグサァッ!ーぐあぁッ!?」

 

「レイさん!?」

 

「ダーリン!?」

 

な、なんだ!?これは……フィストジエンド!?まさかれなの奴、フィストジエンドをオミットしたんじゃなくて隠しアームとして装備してたのか?!俺のフリーダムの胴体が貫かれエネルギーがどんどん減少していく!

 

《ふふーん♪どう玲二さん、私のジエンドのマジックアーム戦法は?これで玲二さんはおしまい、という事でこの勝負は私達ゲームるチームの勝利だぁーッ!》

 

「……あぁそうだな。この勝負……俺達の勝ちだ!」

 

ーチュドオォォォォオンッ!ー

 

俺が言い切ると同時に俺のフリーダムは爆発し画面に撃破アラームが表示されてしまう。これで俺は終わりだが……

 

《え?ゲームが終わらない……って事はーズバアァッ!ーうわあぁぁッ!?》

 

「残念だったね、ウチらのチームのリーダー機はレイさんのフリーダムじゃなくて、ウチのダガーLだったのさ!」

 

ミオはソードストライカーのメイン武装である対艦刀シュベルトゲベールで完全に油断していたジエンドを中央から真っ二つに切り裂き撃破していった。これによりゲームは終了、よってこの勝負は俺達の勝ちだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あぁーーーもう悔しいいぃぃぃーーーッ!!絶対に玲二さんがリーダーだと思ってたのにぃ〜!?」

 

「まあそう思い込むと思ってミオをリーダーにしたんだけどな」

 

ゲームを終えてリビングに戻るとソファーの上でれな達が悔しそうに駄々を捏ねていた。俺は最初かられな達が俺をリーダーだと思い込むと思ってこの三人の中なら主に量産型をよく使っているミオにリーダーを任せたのだ。まさか相手も量産型にリーダー機を任せるとは思ってもいなかったようでその思惑通り俺が分かりやすい突撃をして撃破されたのを見て油断した所に他のメンバーが敵にトドメを刺すという作戦が見事に成功した。まあリーダー機であるミオのダガーLのスタート地点がかなり遠かったのは予想外だったけどな?

 

「うぅ〜!絶対によるみんがやったと思ったのにぃ〜!?」

 

「あみゃなんて殆ど何も出来ずに終わったよぉ〜!?」

 

「まぁまぁ、でもこれで次のイベントのデータ取りは出来たから良いんじゃない?」

 

「まあね。でもダーリン、スタート地点はやっぱりランダムじゃなくてある程度出撃可能の場所を選べるように選択式にしたほうが良いんじゃないかしら?」

 

「確かに今回はそれの所為で連携プレーが出来なかった場面もあったし、これは少しプログラムを変える必要があるな」

 

取り敢えずこのプログラムの変更をしたら今度は別の奴にもテスターとして参加してもらうか。後は宇宙空間だけでなく密林や水中ステージとかもそれ専用のステージを作らないと。まだまだやる事が多いなぁ……

 

ーウィーンッー

 

「ただいま〜、玲二君いる〜?」

 

「とーちゃぁ♪」

 

「ん?ああかなたか、どうした……ってラミィ?お前確か今配信中じゃないのか?」

 

考え事をしているとリビングにかなたがミカを連れて戻ってきたんだが、何故かその横には今配信中の筈のラミィが立っていた。なんでラミィが此処に?それにその服装、何時もと違ってなんか凄いお嬢様感を感じるな……まぁラミィは元々お嬢様なんだが?

 

「あ、あのね玲二君、実はこの娘の事でちょっと相談があって……」

 

「?この娘ってラミィの事か?なんだよ相談って?」

 

「そ、それが……」

 

「はじめまして佐々木さん、かなたさんからお話をお伺いしてお邪魔させて頂きました」

 

……………………はい?はじめまして?何を言ってるんだラミィは?え?もしかしてどっか頭でもぶつけて記憶喪失とかになっちまったとかか?一体何が「あー配信おーわりっとぉ!」……は?

 

「あー疲れた疲れた〜!ちょっと一息入れよーっと♪ってあれ……?」

 

「え、嘘……?」

 

「ラミィが……二人?!」

 

「ど、どうなってるのこれ!?」

 

リビングに配信を終えたであろうラミィが一升瓶を持ちながらやって来て目の前にいるもう一人のラミィを見て身体が固まってしまい、他の皆もラミィが二人いるという謎現象に驚きを隠せずにいた。これは……また面倒な事が起こりそうだな……




はい、という事で3on3バトル回でした!今回のバトルの中に出てきたジエンドの元ネタは以前サイトで見た改造案を参考にさせて頂きました!作るとなると元のキット買うだけでもかなりの額になっちゃいますが……(;´Д`)

そして遂に異世界ラミィとのご対面!はたして一体どうなる事やら?次回もまったり待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第115話『鏡合わせ』

積みプラっていざ作ろうと思って箱を開けてもパーツ数を見たらまたそっと箱を閉じて棚に戻してしまう。これってあるあるですよね?一度袋から出せば作ろう!ってなるんですがそれもなかなか出来ずに今日まで溜め込み過ぎてます……(-_-;)

今回は異世界ラミィの物語!はたしてこの世界のラミィとはどんなふうに絡むのだろうか?最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


「……つまり此処にいるラミィはホロライブに加入するどころか屋敷の敷地内から出た事がない世界線のラミィって事か?」

 

「はい、そのようですね。まさかラミィもこのような事になるとは思いもしませんでした……」

 

…………いやそれにしたってなんか落ち着き過ぎじゃねぇかこのラミィは?いや、混合しないようにこっちのラミィは雪花さんと呼ぶべきか?どうやら雪花さんはかなりご両親から大切に育てられたようで本当に屋敷の敷地から一歩も外に出た事がなかったようだ。その所為か俗世の事は完全に疎く見る物聞く物全てに興味を示しているのだ。まるで子供みたいだな?

 

「まあでも雪花さん「?ラミィで良いですよ?」いやそれはこっちにもラミィがいるから名前が混合してしまうし……」

 

「あ、そうでした、こちらにもラミィがいますものね?では……ラミィの事は『雪原 冬花』とお呼びください。これはラミィの書道や華道をする際の雅号ですので」

 

雅号……確か文筆家とかが使うペンネーム的な物だったな?にしても雪原冬花って、それってホロライブERRORでラミィが演じた役の名前じゃねぇか?まさかこんな形で繋がりがあるとはな……

 

「……ねぇ、あれって本当にラミィちゃんなの?」

 

「なんかこっちのラミィからヨゴレを全部抜いた感じがするよね?」

 

「あー成る程、じゃあ冬花ちゃんが綺麗なラミィちゃんでこっちのがヨゴレたラミィちゃんって事だ」

 

「ヨゴレとらんわ!?ラミィだってちゃんと由緒正しき雪花家のお嬢様だかんな!」

 

……いやラミィ、すまんがねねの言う通り冬花が風格あり過ぎてとても同じとは思えないんだよなぁ?同じ存在でも育ち方でこうも雰囲気が違うもんなんだな?

 

「それとなんでそっちのラミィが雅号なんてもらえてるのさ?!雪花家の雅号ってあらゆる分野でそれ相当の実力がないと与えられないし勝手に名乗る事だって許されないのに!」

 

「はい、ラミィは……いえ、冬花は確かにまだまだ未熟者です。この雅号もつい先日先生方に付けて頂いたばかりのモノです。そして冬花にはこの雅号は勿体無い程素晴らしい名だとも感じてはおります。ですから冬花は先生方が付けてくださったこの名に恥じぬようこれからも精進していく心構えでございます」

 

「…………うん、この娘ラミィじゃないわ。ラミィの皮被ったガチお嬢様だ」

 

「いっその事この娘残してラミィちゃんを異世界に送り返す?」

 

「なんでだよおぉぉぉぉーーーッ!?」

 

まあ皆の気持ちはほんの少し分かるが流石にそれはダメだろ?それに例えどんなに良くても俺の嫁はラミィであって冬花ではない。そんな交換するような事は絶対にしないからな。

 

「うぅ〜!玲二さぁ〜ん!」

 

「大丈夫だって、お前を見捨てるなんて事はしないから。それでこれから冬花の世界を見つけるんだがそれまで時間が掛かると思う。それまではこの神羅城で過ごしてもらうが冬花はそれで良いか?」

 

「はい、寧ろそのようなお気遣いをして頂き感謝します。ですが、冬花にはお返し出来るような事は何もないのですが……」

 

「そんなの気にするな、お前はただ巻き込まれて此処に来ただけなんだから。ま、初めての外出だと思ってゆっくりすれば良いさ」

 

「…………誠のお心遣い、有難うございます玲二さん。こちらの世界のラミィが貴方様をお慕いするのも分かりますね」

 

…………なんかやっぱこのラミィ、もとい冬花を見てると違和感バリバリだな?さて、取り敢えずかなたから聞いてた場所付近の歪みを見つけて其処から冬花の世界を探すとしますか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから……

 

「うゅ?まーま、ふたり〜?」

 

「え、えーとキララ?その人はママのお友達で……」

 

「……はじめましてキララちゃん。ラミィママのお友達の冬花おばちゃんです♪」

 

「とーかおばちゃん〜?」

 

「えぇ、よろしくねキララちゃん♪」

 

「スゲェ、おばちゃんと言われる事に躊躇いがないどころか自分からおばちゃん呼びさせるなんて……!?」

 

ラミィの愛娘であるキララと遊んだり……

 

 

 

「そういや冬花さんはゲームとかってやんないの?」

 

「ゲーム?そうですね、何時もは使用人やお兄様と囲碁や将棋やオセロ、後最近はチェスも嗜んでおります」

 

「い、いやそういうのじゃなくてほら、テレビゲームとか……?」

 

「?テレビはニュース等を見る為の物ですよね?」

 

「ま、マジか……!?」

 

ゲームに誘うも古典的なボードゲームしかした事がないと言われたり……

 

 

 

「?すみません尾丸さん、それは一体何でしょうか?」

 

「へ?何って……スマホだけど?」

 

「すまほ?……あ、携帯電話の事ですね?確か遠くの方と連絡をする道具ですよね?」

 

「え!?スマホ知らないの?!じゃあ普段どうやって他の人と連絡取り合ってるの?!」

 

「はい、必要があれば部屋にあるベルを鳴らせば使用人の方がやって来てくれますので」

 

「お、お嬢様過ぎる……!?」

 

スマホすら知らず連絡手段がお嬢様らしかったり……

 

 

 

「ねーねー冬花ちゃん、一緒にお酒飲まない?今日凄く良いお酒が手に入ったの〜♪」

 

「お酒ですか?申し訳ありません、お酒は其処まで強くないのと基本的には祝い事以外では飲まないようにしているのでお断りさせていただきます」

 

「そ、そうなのね……?」

 

お酒を拒否されて皆びっくりしたりしていた。関われば関わる程ラミィと冬花の違いに皆ますます混乱するばかりであった。

 

 

 

「やっぱあれラミィちゃんとは違って本当にお嬢様だよ!?」

 

「けどそれにしたって育ち方違うだけで此処まで差が出るものかしら?」

 

「最新どころかTVゲームも知らない、ケータイも触った事がない、それどころかお酒もそんなに飲まないだなんて……!?」

 

……なんか俺が外に出ている間にいろいろとあったみたいだな?けどぼたんの言う通り育ち方が違うとこうも性格や仕草も変わってくるもんなんだな?今だって冬花は精神集中させる為にと下の階にある和室で書道をしているみたいだし。

 

「それでレイくん、冬花ちゃんのいた世界は見つかったんですか?」

 

「あぁ、ある程度の検討はついたんだが如何せんパラレルワールドっていう複雑な世界線の所為か思ったより探すのに時間が掛かってしまってるな」

 

どうやらパラレルワールドはほんの少しの変化でも発生する世界線のようで探そうと思うと中々見つからないんだよなぁ?まあその間にいろんな世界の皆も見れたけどな。例えばアームレスリングの世界王者になってるかなたとか、フレアと同性婚していたけど最近スバルに浮気して裁判沙汰になってるノエルとか。瓶底眼鏡にみつ編みヘアーのそらがOLをしていたのにはびっくりしたけど。

 

「そういやラミィはどうしたんだ?さっきから姿が見えないんだが……?」

 

「あー、ラミィちゃんなら彼処ですね……」

 

彼処?……なんかリビングの端で壁に向かって三角座りしながらイジケてるんだが?しかも日本酒ラッパ飲みしてるし……一体どうしたんだよ?

 

「おーいラミィ、一体どうしたんだ?」

 

「…………プハァー、ラミィだってお嬢様なのに、皆して冬花ちゃん完全清楚お嬢様とか綺麗なラミィとか好き勝手言って。だぁれがヨゴレたラミィだよ!?誰がお嬢様(笑)だよ!?ラミィだってれっきとした由緒正しき雪花家のお嬢様なのにぃ〜!」

 

あー皆に散々言われたのと冬花のお嬢様ぶりを見てイジケてしまったのか?全く……

 

「ほらラミィ、皆もちゃんとラミィと冬花は違うって分かってるんだし、俺にとって大切な妻であるラミィはお前だけなんだからそう落ち込まないでくれ、な?」

 

「うぅ〜、玲二さぁ〜ん!」

 

俺は駆け寄ってきたラミィを抱きしめ優しく頭を撫でてやるとラミィは少し落ち着いたのか俺の胸元で頬擦りをしてくる。やれやれ、困ったお嬢様だな?

 

「あの、玲二さん少しよろしいでしょうか?」

 

「ん?どうかしたのか冬花?」

 

「はい。大変おこがましいとは存じておりますがその、お風呂に入らせて頂きたいのですが……」

 

風呂?そんなの聞かなくても此処にいる間は好きにして良いんだが……?

 

「それでお願いがありまして、付き人の方をお付けして頂いてもよろしいでしょうか?お恥ずかしながら冬花は付き人がいないと入れないので……」

 

「はぁッ!?あんたその歳になって一人で風呂入れないの?!ラミィだって小学生の頃にはもう一人で入ってるのに!?」

 

スゲェな、箱入りお嬢様となると風呂ですら付き人がいるのか?まあでも付き人が必要と言うなら誰か付けといてやるか。

 

「分かった、ならみしろかエリーを付き人に「玲二さんそんなのしなくて良いです!冬花の風呂はラミィが付き添いますから!」お、おぅ?」

 

な、なんかラミィの奴そのまま冬花を連れて大浴場に向かったけどどうしたんだ?それにさっきまで日本酒ラッパ飲みしてたのに大丈夫なのかよ?……もしかして異世界のとはいえ自分が風呂に付き人を付けなきゃ入れないっていうのが恥ずかしかったのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全く!なんでラミィが自分で自分の背中を洗わないといけないのさ!?」

 

「申し訳ありませんラミィさん、お手数をおかけします」

 

それからラミィは冬花を大浴場に連れ脱衣を手伝った後二人で風呂に入る前に身体を洗っていた。と言ってもラミィが冬花の身体を洗ってあげているのだが。

 

「もう、幾ら箱入りお嬢様だからってお風呂まで付き人がいないと入れないって……」

 

「…………すみませんラミィさん、実は冬花、嘘をついてました」

 

「へ?嘘って何が?」

 

「……実は冬花は普通にお風呂は一人で入れます。お風呂で付き人なんて幼少期の頃までしかおりませんでした」

 

「……はあぁーーーッ!?何さそれ?!なんでそんな恥かくような嘘なんてついたのさ?!」

 

実は風呂には一人で入れたという冬花のまさかの嘘にラミィは怒りゲージが振り切れそうな勢いで捲し立てる。

 

「本当にごめんなさい、こうでもしないと貴方と二人だけでお話出来ないと思いまして」

 

「はぁ?!じゃああんたラミィと話をする為にあんな嘘ついたの!?」

 

「はい……ラミィさん、貴方は今幸せですか?」

 

「…………は?」

 

今幸せか?まるで宗教の誘い文句みたいな冬花の問いにラミィはこいつ何言ってんだ?といった感じで怒りを忘れポカンとしてしまう。

 

「……この世界の貴方やその周りの皆さんを見て感じたんです。此処には冬花の……ラミィの知らない事が沢山ありました。そして、ラミィの知らなかった家族の形がありました。ラミィはお屋敷の敷地からは産まれてから一度も出た事がありませんでしたが、それでもお父様やお母様、そして多くの使用人に大切に育てられてそれで充分に幸せだと思ってました。ですが……こちらの世界のラミィがあの方と家族になり子供が出来て、そして沢山の仲間や家族に囲まれている。そんなラミィの知らない幸せを見て初めて羨ましく思えてしまったんです」

 

冬花にとって……否、異世界のラミィにとってこの世界にいるラミィは自分と違い自由に生きている。まるで籠の中の鳥のように育ったラミィにとって自由に大空を羽ばたく鳥のように生きてるこの世界のラミィが輝いて見えたのだ。そしてそんな異世界の自分を見てラミィは、冬花は今まで自分の感じてきた何不自由なく過ごしていた生活というのに疑問を抱いたのである。

 

「もしかしたらラミィも貴方みたいな幸せを手にしていたのかもしれない。そうだとしたらラミィのこれまでの人生は何だったんだろう?そう思うとあの世界に戻るのが少し怖くなってしまって「は?そんなの知らんし?」……え?」

 

自分の生きてきた人生は何だったのか?そんな疑問を口にするもラミィから知らんと言われ戸惑う冬花。

 

「だってそっちのラミィが今までどう生きてきたなんてラミィには関係ないもん。ラミィは子供の頃からずっと自分のしたいままに生きてきたんだから。だから玲二さんがいてキララがいて、そして沢山の仲間や家族が出来た幸せはラミィだけの物だもん。もしラミィの今が羨ましくて貴方もそういう幸せが欲しいんだったら自分で行動してみなよ?」

 

「で、ですがラミィは今まで屋敷から「そんなのは唯の言い訳じゃん?本当に自分が望んでいるんだったら自分から行動しないと何も変わらないんだから」……自分から行動しないと……?」

 

自分から行動、そう言われて冬花は今まで自分は誰かに言われるがままに生きてきたという事に気づいた。そしてそれはこれからの自分を変える為に必要な事でもあると……

 

「……そうですよね。与えられるだけではダメ、本当に欲しい物は自分で手に入れないといけない。貴方を見ていてそれがよく分かりました。だからこれからはラミィも貴方みたいな幸せを手に出来るように頑張ってみたいと思います」

 

「うん、良いんじゃない?取り敢えず玲二さんもまだそっちのラミィの世界を見つけられてないみたいだし、それまでは此処でやりたい事を見つけるのも有りだと思うよ」

 

「はい、それまでよろしくお願いしま「もぉー堅苦しいってば!少しとはいえど一緒に暮らすんだからそんな他人行儀なんてしなくて良いから!」……フフ、そうだね。じゃあよろしくねラミィ♪」

 

こうしてラミィと冬花はお互いの気持ちを知り少しずつ打ち解けていくのであった。尚この後熱気で酔が回ってしまったラミィが湯船でミオってしまい冬花はドン引きしてしまうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後……

 

「へぇ、なんだかんだで冬花もこの世界に馴染んできたな?」

 

「はい、皆様のお陰で楽しい日々を過ごす事が出来ました♪」

 

「でももう冬花ちゃんの世界も見つかったから帰んなきゃいけないもんね?なんだか寂しくなるなぁ〜」

 

まあそんな事を言っても冬花にも戻るべき世界があるからな。それに冬花にはこの世界とまた行き来出来るゲートを開く腕輪も渡したからまた会おうと思えば何時でも会えるからそんな寂しがる必要もないだろ?

 

「それじゃあこのゲートを潜ればお前の世界に戻れる。そんで騒ぎにならないようにこの世界に飛ばされた少し後の時間で戻れるようになってるから安心してくれ。あ、それとその腕輪があるからって頻繁には来るなよ?」

 

「はい、承知しております。何から何まで本当に有難うございました。落ち着いたらまた遊びに来たいと思います。キララちゃんもまた遊ぼうね♪」

 

「とーかおばちゃん、またね〜♪」

 

こうして冬花は最後にお辞儀をしてからゲートを潜り自分の世界へと帰っていった。少しは馴染んでたけどやっぱり最後まで礼儀正しい奴だったな。

 

「あーあ、でも折角綺麗なラミィがいてくれたのに残念だな〜?」

 

「おいトワちんどういう意味さそれ?」

 

「まあまあ、皆こうして茶化してるけどやっぱり普段のラミィちゃんが一番よね♪」

 

そうだな、俺達にとって此処にいるラミィこそが家族なんだ。例えこの先他に異世界の皆が来たとしても変わらない。俺達佐々木家は此処にいる皆なんだからな。

 

「それじゃあ玲二さん、この後暇なら一緒にお出かけ行きましょうよ♪」

 

「あーラミィちゃんズルい!ねねもレイ兄ちゃんと一緒にお出かけしたいよ〜!」

 

「はいはい、じゃあ皆で何か食べに行くとするか」

 

『賛成〜♪』

 

こうして異世界のラミィとの日常を終えて俺達はまた元の日常へと戻っていった。もしかしたらまたこういった事もあるかもしれないが、その時も今回のラミィみたいな感じで済めば良いんだが……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして……

 

「…………ん、此処は……お屋敷のお庭。ラミィ、戻ってこれたみたいですね……?」

 

ゲートを潜り目を開くと其処はラミィが異世界に飛ばされる前にいたお屋敷のお庭に面してあるテラスにいました。あれば夢だったのでしょうか?一瞬そう思ってしまいましたが右腕に着いている腕輪を見てあれは現実だったんだと認識出来ました。

 

「?お嬢様、どうかされましたか?」

 

「……いえ、なんでもありません。それよりも、今お父様とお母様はどちらにいらっしゃいますか?」

 

近くにいた使用人が心配して声をかけてくれましたが、ラミィはお父様とお母様にお話をする為にお屋敷へと戻りました。これからのラミィの未来の為に、まずはお二人に話してみよう。外の世界に出てみたい、と!

 

異世界で出会ったもう一人の自分やその家族を見て自分も変わろうと決心するラミィ。彼女のこの先の物語は、また別の話……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーオマケー

 

「…………ん?なんだこれは……ほう、これはまた面白そうな奴を見つけたな♪おい、今すぐ幹部を此処に呼べ、三分以内だ!」

 

「Yes My Dark!」

 

「……クク、異世界に強大な力のを持つ男か。吾輩達の世界征服にこの男の力を利用するのもまた一興だな……フフフ、ハァーッハッハッハッハァーーー!」

 

薄暗い部屋の中で不敵に笑う一人の女性。その目の前のモニターには玲二の姿が映し出されていた。これはまた、一波乱が起きそうな予感がする………




はい、という事で異世界ラミィとの交流でした!自分でも異世界ラミィ書いてて誰だこいつ!?ってなりました!(;´∀`)

そして次回もまた異世界からの来訪…いや、これは侵攻…?!次回もまったり待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第116話『侵略!秘密結社holoX!』

今回のエアリアル改修型やルブリスソーン、そして30MSのトウカイテイオー等の新作プラモはかなりの争奪戦だったようで何処もかしくもすぐに完売したみたいですね。自分も朝早くからヨドバシに並んで何とか手に入れられました……(;´Д`)

今回は前回のラミィに続き異世界のホロメンが登場!しかし何やら不穏な感じが……?今回も最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


これは、前回のオマケからの続きである……

 

ーコンコンッー

 

「……入れ」

 

ーウィーンッー

 

「…………失礼します。総帥、かねてより秘密裏に侵攻していた天界の主要都市五国の内三つの侵略が完了。残る二つも侵略完了まで時間の問題との事です」

 

「……そうか、報告ご苦労。クク、これで魔界に引き続き天界も吾輩達の物になるな」

 

此処は玲二達の住む世界とは違う世界。その天界の上空には今Xを象った巨大な飛行船が浮かんでおりその一室では鳥の羽根のような髪型をした女性が大きな角が生えた女性に何かを報告していた。どうやら彼女達は現在天界に対して侵略行為を行っているようだ。

 

「それで、急な呼び出しとは一体何事でしょうか?」

 

「おぉそうだったな?幹部、まずはこれを見ろ」

 

「はい総帥……なんでしょうかこれは?」

 

「今退屈しのぎに他世界を覗き見ていたのだが、その中にあるこの世界にいるこの男……何やら妙な力を感じるのだ」

 

そう言って総帥と呼ばれた大きい角の女性がモニターに写し見せたのは一人の男が子供達と遊んでいる姿だった。

 

「この男が、ですか?すみません、私にはこの男にそんな力があるとはとても思えませんが……?」

 

「フン、まあお前等では見た目でしか判断出来ないから仕方あるまい。だが吾輩には感じるぞ、この男から溢れ出る途方もない力を……幹部、今から博士と掃除屋と侍を呼べ!侵攻作戦の変更を伝える!」

 

「え?!か、畏まりました!」

 

総帥に言われ幹部である女性は急いで指示された三人を集めに向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし、集まったようだな?ではこれより我々holoXは天界の侵攻を一時中断しこの男がいる異世界へと侵攻する。目的はこの男の確保、逆らうようであればある程度痛めつけてでも連れ出すのだ」

 

「えー?なんでわざわざこんな男を捕まえるのさぁ?そんな無駄な事してないでさっさと天界侵略しようよ〜?」

 

集められた三人は総帥から作戦内容の変更を聞かされるがその内の一人であるフードを被り目元をマスクで隠した女性、掃除屋が面倒くさそうにしさっさと天界を侵略しようと言い出した。

 

「沙花叉、ラプ殿の命令は絶対でござるよ。それにラプ殿が今まで我々に指示してきた命令に無意味だった事は一度もござらん、今回のこの男の捕獲も必ず何か意味があるに違いないであろう」

 

それに対して黄緑と白を基調とした袴を纏った女性、侍が掃除屋に対して大人しく指示を受けるようになだめていく。

 

「うむ、侍の言う通り、今回我々が狙うこの男には今後の我等の世界征服に大きく関わってくる。吾輩の力でこの男を観察したが、この男は人間であるにも関わらず魔力、霊力、神力全てが高水準で兼ね備えられているのだ」

 

「へぇーそうなんだぁ〜?これはボクも興味が湧いてきたなぁ〜♪その力の源、解剖して頭からつま先まで隅々まで調べてみたいなぁ〜♪」

 

総帥の言葉で白衣を纏ったピンクヘアーの獣耳の女性もうっとりとした表情でモニターの男を眺めている。その目は完全に狂気に染まっていた。

 

「それについてはこいつを捕らえてから考えるとしよう。奴は現在ワールドコードH20191202の世界にあるこの島にいるようだ。よって我々は今から異世界ワープを行いこの世界へと侵攻する!資源を調達出来次第すぐに出るぞ!」

 

『Yes My Dark!』

 

「いえすまいだーく……かったりぃ〜」

 

総帥の指示によって幹部達は急いで準備をし始め、掃除屋はめんどくさそうにしながらも武器庫に向かい武器の手入れを始めるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃……

 

「……………………」

 

……何か嫌な予感を感じて調べてみたら、またとんでもない事が起こりそうだ。しかも、これまでとは規模も桁違いだ。これは、すぐにでも手を打たないとな……

 

「あれ?どうしたんですかレイくん、なんだか神妙な顔になってますよ?」

 

「……フブキ、今すぐ義兄さんに連絡を入れてくれ。ホロライトシティの警戒レベルを最高レベルの5にすると」

 

俺は横にやって来たフブキにホロライトシティの警戒レベルを最大にする事を伝える。フブキも驚いているが、これはかなりの緊急事態なんだ。

 

「け、警戒レベルMAXって……!?一体何があったんですかレイくん?!そんな事今までする必要がなかったのに……!?」

 

「……先程ある時空の歪みから強大なエネルギーを観測した。これは明らかに巨大な何かがこの島に向かって来ている証拠だ。この強大なエネルギー反応からしてこれが異世界からの侵略者の可能性もある以上この島の警戒レベルを最大まで上げて防衛する必要がある。だから手遅れになる前に早く準備をするぞ!」

 

「は、はいッ!」

 

よし、義兄さんへの連絡はフブキに任せて急いで警戒レベル5モードへの準備を済ませないとな!それと栄ちゃんにお願いして住民に避難の準備をさせないと!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーピンポンパンポーンー

 

《ホロライトシティにいる全ての方に緊急の連絡です。只今よりホロライトシティは緊急レベル5に移行します。現在外に出ている方は安全の為速やかに近隣の建物に避難してください。繰り返します、現在……》

 

「あれ?これって栄ちゃんの声だよね?」

 

「うん、でも警戒レベル5って一体どういう事なんだろう……?」

 

突然島中に鳴り響く警戒レベル引き上げのアナウンスに神羅城にいる皆も何事かと驚いていた。ホロライトシティ設立以来初の緊急事態に皆それぞれ不安になっていく、そんな時……

 

 

 

ーガコンッ!ウイィーーーンッ!ー

 

 

 

「え?え?な、何が起きてるの!?」

 

「ッ!ねぇ皆外見てよ!?」

 

「こ、これって……!?」

 

スバルに言われて皆が外を見ると、なんと神羅城から見える景色がどんどん低くなっていってたのだ。よく見ると街の建物とかもどんどん沈んでいっている、という事は現在この神羅城は地下へと降りているという事である。

 

「スッゲェーーーッ!こんなアニメみたいなシェルターがあったなんて!?」

 

「う、うん凄いけど……」

 

「……つまり此処までしないといけない程今危険な状況って事……?」

 

『あ…………』

 

皆アニメみたいなシェルターへの降下に興奮していたが、そらとアズキの言葉で今自分達が置かれている状況に危険を悟ってしまった。確かに此処までするなんて普通ならあり得ない。つまりそうでもしなければ防衛出来ないような事が今起ころうとしているのだ。そう考えると一部のメンバーが恐怖に狩られ震えてしまう。

 

「だ、大丈夫だよね?このシェルターが役に立たなかったりするとかないよね……?」

 

「ちょっとあくあちゃん!?急に怖い事とか言わないでよ?!」

 

『あうぅ〜……』

 

「だ、大丈夫だよ皆!きっとパパには考えがある筈だから!?だからそんな怖がらなくても良いから安心して、ね?」

 

あくあや子供達のように不安になってる者を他のメンバーがなんとか慰めるが、内心皆も不安でいっぱいだった。無理もない、こんな事は今まで起こった事もないのだから。そんな時……

 

 

 

《緊急招集、緊急招集。今から呼ばれた者は五階のテストルームへ集合せよ。みしろ、ぼたん、おかゆ、シロ、社築、フミ……》

 

「え?緊急招集?」

 

「こんな時に招集だなんて、一体何だろう?」

 

「さあ?でも緊急事態だし急いで行った方が良さそうだね?じゃあ玲牙、つばき、大人しく此処で待ってるんだぞ?終わったら沢山遊んでやるからな♪」

 

「あい!」

 

「うゆぅ……」

 

神羅城に設置されたスピーカーから緊急招集が下されぼたんを始めとする呼ばれたメンバーは急いで五階にあるガンプラウォーズのテスト筐体があるテストルームへと向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……お、皆来てくれたか」

 

「いやこれどういう事なんだよ玲二!?この緊急招集もそうだが一体何が起こってるんだ?!」

 

あーやっぱり急な呼び出しの所為で皆混乱してるな?けどまずは落ち着いてもらって話を聞いてもらわんとな。

 

「落ち着け築、今からそれを説明するから。まず単刀直入に言うと、現在ホロライトシティの上空に発生した時空の歪みから強大なエネルギーが観測されたんだ。これは今までの来訪者とは違いかなり巨大な物、おそらくは大型の戦艦クラスの物であると推定される」

 

「戦艦!?なんでそんな物が……?!」

 

「それはまだ分からない。これが俺の杞憂で済めば良いんだが、万が一にもこいつがこの世界を侵略しに来たとするなら俺達は全力で阻止する必要がある」

 

本当に唯の迷い込んだ来訪者だったら良いのだが、このエネルギー反応を考えたらその可能性は限りなく低い。なら俺達は皆の安全を守る為にも此処でこいつを抑え込む必要がある。

 

「ちょ、ちょっと待ってよレイくん!?もしこれが本当に戦艦だったとしたら流石に僕達でもこれをどうこうするのは無理じゃないの?!」

 

「分かってる、だからお前達を呼んだんだ。これで戦ってもらう為にな」

 

そう言って俺はガンプラウォーズの筐体の電源を入れて特別プログラムのコードを入力していく。

 

「ガンプラウォーズ!?こんな時に遊んでる場合じゃないでしょ?!」

 

「あぁ勿論これは遊びじゃない。兎に角説明は後だ、このエネルギー反応からして後一時間程で奴等が来るからそれまで皆自分の持ってるガンプラを持って来い!」

 

俺の指示に皆は首を傾げながらもガンプラを取りに出ていく。さて、俺も他の準備を済ませないとな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして……

 

 

 

ーシュウゥゥゥゥゥ……バアァァァァァンッ!ー

 

「……総帥、ワープ完了し目的地に着いたようです」

 

「そうか、なら早速……おや?」

 

ホロライトシティの上空、其処に発生した時空の歪みから巨大な戦艦が出現し、総帥は目的である男のいる島を確認しようと窓から覗き込む。しかし……

 

「……あれ?ねぇラプちゃん、映像にあった街なんて何処にもないよ〜?周りは無人島しかないし〜」

 

「はぁ?何それ?もしかして座標間違えたとかなの?かったりぃ〜……」

 

「総帥、これは……」

 

「…………フン、どうやら奴等も吾輩達の事を察してたようだな?全く、くだらん小細工をした物だ……」

 

総帥はそういうとモニターを操作し一番大きな島を映すとサーチモードに切り替える。すると無人島と思われた島の地下にかなり発展した街が映し出された。

 

「これは……!?」

 

「……成る程、地下へと逃げ込んでたのでござるか」

 

「そういう事だ、吾輩達に感づいた奴等が街ごと地下シェルターへと逃げ込んだというワケだ。にしても吾輩達の事を察知出来るとは……クク、やはりあの男は何としてでも吾輩達の手に納めなければ!」

 

総帥は歓喜に満ちた笑みを浮かべながらマイクを手にし島に向かって宣戦布告を開始する。

 

「異世界の住人達よ、ごきげんよう。吾輩達は異世界の秘密結社holoX、そして吾輩はその総帥であるラプラス・ダークネスだ。吾輩達の目的はただ一つ、お前達の中にいる強大な力を秘めた男を吾輩達に渡してほしい。おとなしく引き渡してくれれば何もせずに去ってやろう。だが抵抗するようなら……容赦なく貴様等を痛めつけてやる」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……やはり友好的な感じはなかったか。しかし、ラミィに続いて今度はラプとはな?」

 

「しかも目的は人攫い、それもあの言い方だと標的はレイっちで間違いなさそうだね?」

 

「この様子だと多分ルイ姉とかもいるかもね~?で、どうするレイくん?」

 

どうする?決まってるだろおかゆ、向こうが宣戦布告してきた以上こっちもそれに対抗させてもらうだけだ!

 

「それじゃあ皆、いくぞッ!」

 

『応ッ!!』

 

俺達も向こうに対抗する為にガンプラウォーズに自分達のガンプラをセットし起動させていく。さあ、バトル開始だ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………何も反応はありませんね?」

 

「もしかしてバレてないとでも思ってるんじゃないの?」

 

「もしくは既にこの街を捨てた可能性は……?」

 

「いや、吾輩達の事を察知出来たとしてもそんな事を短時間で出来るワケがない。それに吾輩には分かる……あの街にはまだ人の気配が多く残っている。連中がこのままやり過ごそうとしているなら、まずは挨拶代わりに一発おみまいしてやろうじゃないかッ!」

 

総帥はそう言うと操縦員に指示を下し戦艦にある砲身を全てホロライトシティが隠れた島へと向けエネルギーを充填させていく。どうやら力づくでシェルターを破壊し内部を制圧するようだ。だが……

 

 

 

ーバキュウゥンッ!ドゴオォォンッ!ー

 

 

 

「ッ!?な、何事だ?!」

 

「総帥!島の方から複数の熱源を察知!こちらに向かっております!」

 

「何?……ッ!あれは……!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おいテメェ等、俺達の島に何しようとしてくれてんだ?この落とし前は絶対につけてもらうぞ!」

 

どうやら向こうも攻撃して俺達の街を襲撃しようとしていたが、奴等の戦艦の砲身が全てこの島に向いてるのを確認し俺達は攻撃をしながら森の茂みから次々と出現していく。そう、()()()()()()()()()()()()()

 

「おぉーーーッ!俺のターンエーが本当に動いてるぞ!?」

 

「まさかガンプラウォーズの技術をレイくんの力で具現化するとはね?」

 

そう、俺はガンプラウォーズのシステムと俺の具現化能力を駆使してこの世界にガンプラを実際のMSとして呼び寄せたのだ。しかも実際の俺達はこの筐体のモニター前にいるからやられたとしても死ぬ事はないしコンティニューすればまた再出撃出来る。これで奴等が幾ら攻めてこようと返り討ちに出来る!

 

そして俺達の使用機は……

 

「皆!狙うは奴等の砲台だ!其処を潰せば向こうも下手に攻めてはこれまい!」

 

玲二 ガンダムエアリアル改修型

 

「りょーかい、狙撃なら任せな〜♪」

 

ぼたん ガンダムデュナメス

 

「初めて使うガンプラだけど、イッキに攻め落としてみせるよ〜!」

 

おかゆ ガンダムルブリスウル

 

「何時もはゲームエリアの画面なのに今はリアルの、しかも今時点での真上の情景って思うとなんか恐ろしいな……?」

 

築 ターンエーガンダム

 

「ご主人様を拐おうなど不届きな真似、このみしろが許しません!」

 

みしろ アトラスガンダム

 

「アハッ♪シロから玲二を奪おうなんて命知らずもいたもんだね~?」

 

シロ サイコザク

 

「我も久々に頭にキテるから容赦しないからな〜!」

 

フミ Ξガンダム

 

となっている。これだけあれば奴等の戦艦の砲台も全て潰す事が出来る!それとちゃんと非殺傷設定してるから向こうを殺すような事はないから思う存分やるぞ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ードゴオォンッ!ドゴオォンッ!ー

 

「右舷第二砲台大破!第三から第五ももう持ちません!」

 

「左舷の砲台もほぼ全て使用不能!このままでは飛行エンジンもやられてしまいます!」

 

「…………フン、思ったよりやるではないか。なあ幹部?」

 

「ハッ!まさか此処まで()()()()()()()()()()()()……」

 

玲二達のガンプラ達による反撃を喰らい次々と戦火を上げるholnxの戦艦。しかし、そんな戦艦の砲台をやられても総帥達は余裕を見せていた。

 

「ラプちゃ〜ん!そろそろ準備が出来るから何時でもいけるよ〜♪」

 

「ふむ、ならばさっさと奴等の本丸に行くとするか」

 

「でも、本当にこの艦を捨てるのでござるか?」

 

「いーじゃん別にぃ?元よりこいつはこの作戦の為だけに引っ張ってきた旧式の戦艦だし、それに沙花叉達にはこよちゃんが作ってくれたワープ装置があるんだからこんな旧戦艦無くなったって困りやしないよ」

 

「そういう事だ。よし!これより作戦パターン2に移行する!戦艦の操縦をオートモードに切り替え総員博士の用意したワープ装置に乗れ!」

 

そして博士が何やら用意した装置の上に総帥と団員全員が乗り、博士が操作すると全員の身体が光の粒子となりその場から消えてしまったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………そして…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー……ブオォンッ!ー

 

「……どうやら侵入出来たようだな?」

 

「ハッ!おそらくこの屋敷の何処かにターゲットはいる筈です!」

 

地下に避難した神羅城の一階大広間に先程消えた総帥達の姿が現れた。そう、先程の装置は博士が作ったワープ装置だったのだ。

 

「それにしてもラプ殿も古い戦艦を囮に敵の拠点に侵入するなんて作戦をよく思いついたでござるな?」

 

「フン、奴等が吾輩達に楯突くのは最初から分かっていたからな。奴等にはせいぜい囮の戦艦相手に必死になってくれれば良い。その間に目的の男を捕まえるのだ!」

 

「ヒュ~、さっすが総帥♪んじゃさっさと目的の男捕まえてとっとと帰ろっと」

 

「ああ、そうだな……ふむ、どうやら奴はこの建物の五階にいるようだ。おそらくは其処であのロボット達を動かしてるのだろう。ならば総員五階へと向かうぞ!道中に邪魔が入るのであれば容赦なく潰せ!」

 

『Yes My Dark!』

 

総帥の指示によって幹部達と団員達は一斉に玲二のいる五階へと侵攻を開始する。もうすぐ目的が果たせる、そう思っている総帥の顔は不敵な笑みを浮かべるのであった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ービーッ!ビーッ!ビーッ!ー

 

ー侵入者発見!侵入者発見!ー

 

「えッ!?侵入者!?」

 

「ウソ、このタイミングで?!」

 

「ちょっと待って!今モニターに映してみる!」

 

リビングに避難していたフブキ達だったが、突然鳴り響く侵入者発見のアラートに驚きすぐにテレビのモニターを防犯カメラとリンクさせ映し出すと、其処には侵入してきたholoXの面々が上に向かって侵攻する姿があった。

 

「こ、これが異世界のラプラスやholoX……!?」

 

「ていうかラプラスが子供じゃない!?何このグラマーなラプラス?!」

 

「どうやったらこのちんちくりんがあんなグラドルみたいな体型になるの……?」

 

「おい誰がちんちくりんだ?!」

 

そう、実は此処まで具体的な容姿には触れてなかったが実は異世界のラプラスこと総帥はこちらのラプラスと違い大人でその身体つきはまるでグラビアアイドルのような美しいフォルムをしている。胸もおそらくGカップはあるようでこれを見たまつりやシオンやその他一部の面々が思念にまみれた形相で睨んでいた。因みに容姿が違うのは総帥だけではなく、他には

 

幹部……ロングヘアーにメガネ

博士……セミロングのボサボサヘアーに目の下に隈

掃除屋……身体に無数の傷

侍……右腕が義手

 

となっている。

 

「こ、これが異世界のこよなの……?!」

 

「なんだか本当に秘密結社してる感じがするでござるな……?」

 

「ってそんな事言ってる場合じゃないよ!?このままじゃレイくんが危ないんだよ?!」

 

「そ、そうだよね?じゃあ戦える人を今すぐ玲二さんの元に向かわせないと!」

 

玲二に危機が迫っている。そう思うとフブキ達は居ても立っても居られない様子になり急いで戦えるメンバーは準備をし始めていく。

 

 

 

「うゅ、ぱーぱぁ………………むんッ!」

 

そんな母親達を見て父親である玲二の危機を察したこゆき達は不安になるも何かを決心した様子だった。

 

 

 

「あ、そうだ。一応此処も危ないかもしれないから子供達を安全な部屋に避難させないと」

 

「うん、もしかしたら此処も襲われるかもしれないし……ってあれ?かいり、何処に行ったの?」

 

「え?!かいりちゃんいないの……って子供達全員いなくなってる?!しかも腕輪だけが残されてる!?」

 

「そんな?!一体何処に…………ッ!?ま、まさか……!?」

 

子供達を避難させようとするがその肝心の子供達の姿がいつの間にか消えてしまっていた。しかも先程までいた場所には子供達の力を抑えているリミッターの腕輪が落ちていた。そして母親達の目を盗み部屋を抜け出した子供達は玲二のいる五階のテストルームへと向かおうとしていた。

 

「みんなー!いくよ〜!」

 

『あーいッ!!』

 

大好きな父親を助ける為にと子供達は危険を顧みず急いで下の階を目指すのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ードゴオォンッ!ドゴオォンッ!ー

 

「よっしゃあッ!これで奴等の砲台は殆ど壊せたぞ!」

 

「けど油断しないで!まだ小型のメカが襲撃してきてるよ!」

 

「けど主力兵器を潰したからあいつ等もそろそろ諦めてくれるんじゃない?」

 

「だと良いのですが…………?ご主人様、どうかされたのですか?」

 

「…………妙だな?あいつ等、これだけやられているのにどうして此処までノーリアクションでいられるんだ?」

 

既にあいつ等の戦艦はボロボロの状態、にも関わらず何故か向こうのラプラスは最初の宣戦布告以降何も反応もない。向こうの動きもなんだかワンパターンだし……ッ!しまった!もしかしてこれは!?

 

ービーッ!ビーッ!ー

 

「?フブキからの通信?まさか……ーピッーどうしたんだフブキ?」

 

《レイくん大変!異世界のラプちゃん達が神羅城に侵入してきちゃった!オマケに子供達も勝手にいなくなって……!》

 

「なんだって!?」

 

しまった!やはりあの戦艦は囮だったのか!?最初から俺達を油断させる為にこんな手の込んだ事をしていたのか!?しかも子供達までいなくなったって……?!こうしちゃいられねえ!

 

「ぼたん!此処の指揮はお前に任せる!俺は侵入してきたラプラス達の相手をしてくる!」

 

「え!?ちょっとレイっち!?」

 

俺はすぐに筐体から出て部屋を飛び出しラプラス達を迎え討つ為に下の階へと向かっていく。その前にテストルームの防御レベルを上げておいて、これで此処に襲撃されても安全な筈だ。それじゃあ急いでラプラス達を食い止め子供達も見つけないと!皆、無事でいてくれよ……!

 

 

 

異世界から侵攻してきた秘密結社holoX。彼女達の策略に踊らされた玲二ははたして追い返す事は出来るのか?そして子供達の運命や如何に……?次回に続く……




はい、という事で異世界holoXに侵攻回でした!はたして玲二は無事に済むのでしょうか?次回もまったり待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第117『ベイビーズVSholoX』

この間従姉が来て自分のガンプラが並んでるケースを見て一言

「どれも一緒じゃね?」

(゚Д゚;)

興味ない人からすれば全部一緒のようで少しショックでした(T_T)

それはさておき今回はベイビーズが異世界holoXと戦います!はたしてこゆき達は無事で済むのだろうか?最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


神羅城へと侵入した異世界の秘密結社holoX。彼女達は玲二を捕まえる為に侵攻し現在三階のエントランスホールまで到達していた。

 

「フン、無駄に広いなこの建物は?やはりこんな無駄な建物を作る必要性が吾輩には分からんな……」

 

「上に立つ者や金に物を言わせる権力者は自分の財力を誇示する為にこういう無駄な事に金を使いますからね」

 

「ホント、こんな無駄なモン作る必要性がボクには分かんないよ?やっぱ作るならボクの知的好奇心な脳を満たしてくれるラボとかが欲しいなぁ〜♪」

 

「こよちゃんは相変わらずだね〜?まあ沙花叉も武器庫さえあればそれで充分だけどねぇ?」

 

「…………こういう無駄な事に金を使っている者はその所為で下々が辛い思いをしている事に気づいてはおらぬ。いや、気づこうともしておらん。やはり風間はこういう輩は好きになれんでござる」

 

神羅城の広い内部に対して先程から総帥達は無駄に広い等と批判的な事ばかり言っている。どうやら彼女達はこういった施設は不必要な物と思っているようでそういった建物を立てる権力者が気に食わないらしい。

 

「よし、此処までは特に何もなかったな?ならばこのまま一気に五階まで行くぞ!」

 

『Yes My Dark!』

 

それは兎も角総帥達は当初の目的である玲二を捕まえる為に四階へと上がっていこうとする。だが……

 

 

 

「まてぇ〜!」

 

「?なんだ今の声は……?」

 

「そ、総帥!あれを!」

 

何者かの声によって総帥達は階段を登る足を止め声がした上の方を見上げる。其処にいたのは……

 

「……は?こ、子供?」

 

「な、なんでこんな所に子供がいるのでござるか?それもかなり沢山……?」

 

「むんッ!」

 

そう、父親である玲二を助けようと立ち上がったこゆき達佐々木ベイビーズであった。ベイビーズは異世界のholoXに対し怯える事なく果敢に立ち向かうつもりなのか皆して勇ましい表情をしていた。

 

勇ましいベイビーズの表情

(๑•̀ω•́๑)

 

「……このガキ共、確かあの男が一緒に遊んでやっていたガキ共か?そんなちっぽけな貴様等が吾輩達に何の用だ?」

 

「エレ、おねがい!」

 

「あい!むんッ!」

 

ーピカァーッ!ー

 

こゆきに言われエレオが階段を触ると一瞬光り出し、そして……

 

ーガコンッ!ー

 

「へ……?」

 

『どわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!?』

 

ードサアァァァァァァァァァァァァッ!ー

 

突然階段が斜めの坂になり、唐突な出来事に対処出来なかったholoXの面々はそのまま滑り落ちてしまったのである。

 

「痛たた……な、何今の?!」

 

「なんで階段にこんな新喜劇みたいな仕掛けがされてるのさぁ〜?!」

 

「き、貴様等、どうでも良いから早く退けぇ……!」

 

「あぁッ!?申し訳ございません総帥!お怪我はございませんか?!」

 

急な出来事で全員滑り落ちてしまい真ん中等辺にいた総帥は他の団員達によって下敷きになってしまい幹部が慌てて救出していく。

 

「ぱぱはぜったいわたさないもん!みんな、にげろ〜!」

 

『あーい!』

 

こゆきが総帥に対して玲二は渡さないと言い、そしてそのままベイビーズはholoXを撹乱するかのように散り散りに逃げ回り始めた。そんな逃げるベイビーズに対し、総帥は顔を真っ赤にして怒りで震えていた。

 

「こ、このガキ共があぁぁぁぁぁぁぁぁッ!このラプラス・ダークネスを此処まで虚仮にするとは良い度胸だ!おいお前等!あの男を捕まえる前にまずはガキ共を捕まえろ!一人残らずだッ!!」

 

『い、Yes My Dark!』

 

怒り狂う総帥の指示に幹部達や団員達もビビりながらベイビーズを追いかけて行く。どうやらこの総帥、意外にも沸点が低いようである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フッフッフ、所詮は赤子だな?簡単に追い詰められたぜ!」

 

「うゅ……」

 

とある部屋の一室、この部屋にあんずとヒカリとめぐみが逃げ込んだのだがすぐにやって来た団員達に囲まれ絶体絶命のピンチに陥っていた。

 

「クククッこのまま捕まえて総帥に献上すれば俺達の株価も上がる事間違いなしだぜ!」

 

「あうぅ〜ッ!?ひーちゃん!おきて!」

 

ーペチペチッ!ー

 

囲まれるあんずはめぐみにおんぶされてすやすやと眠っているヒカリの頬をペチペチと叩いて起こそうとする。そして……

 

ー……パチッー

 

「…………ふみゅ、ふぇ、ふえぇ……」

 

「あ?なんだこのガキ?よくこんな状況で寝れたもんだ「びゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーッ!!!!」

 

ヒカリが目を冷ました刹那、部屋中に恐ろしい程の壮大な爆音の泣き声が響き渡る。ヒカリは寝るのが大好きな子なのだが無理に起こされると機嫌が悪くなりまるで至近距離で爆撃されたかのような爆音レベルで大泣きしてしまうのだ。その泣き声を至近距離で聞いてしまった団員達は次々と鼓膜が破れ白目を剝き泡吹いて気絶していった。因みにあんずとめぐみはあんずの能力である音波遮断によって難を逃れている。

 

「  」ピクピクッ

 

「やった〜♪」

 

「ひーちゃんごめんね、よちよーち」

 

「ふえぇ〜……」

 

一部の団員を倒しためぐみとあんずはグズっているヒカリをあやして落ち着かせるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いたぞ!こっちだ!」

 

「あうぅ〜!?」

 

四階の渡り廊下、其処では団員達が逃げ回るエレオときらりを追いかけて回していた。幾らすばしっこいとはいえやはり子供では大人にスピードでは敵わず徐々に追い詰められてしまう。

 

「うぅ〜……やあぁッ!」

 

ーフワァッ……ー

 

「ッ!?な、なんだこれはービュンッ!ーどわあぁッ?!」

 

しかし捕まる寸前にきらりが引力操作を行い団員達を渡り廊下の奥へとふっ飛ばしていき、更に……

 

「やぁッ!」

 

ーピカァーッ!……ガコンッ!ウイィーンッ!ー

 

「痛てて……このガキよくも……ってなんじゃこりゃあ?!」

 

エレオの力によって廊下がベルトコンベアーのように動き出しその上に乗っていた団員達はエレオ達を追いかけようとするも高速で逆走する床についていけずどんどんと転び廊下の向こう側へと戻されていった。

 

「わーい♪」

 

「……あぅ♪」

 

団員を追い返しエレオは勿論普段愛想のないきらりも嬉しそうにハイタッチをするのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やあぁぁーーーッ!?」

 

「このガキィッ!ちょこまかと逃げ回るんじゃねぇッ!!」

 

四階のエントランスでは玲牙が泣きながら必死に団員から逃げ回っていた。必死に逃げ回るもこのままでは捕まってしまう、そんな兄のピンチにつばきが立ち上がった!

 

「にーちゃをいじめるなぁ!ガオォォォォッ!」

 

ーボオォンッ!ー

 

「なぁッ!?な、なんだぁ?!」

 

「ら、ライオンに変身しやがったぁーーーッ?!」

 

「グルアァッ!」

 

つばきはライオンへと変身し玲牙を追いかけ回す団員達を次々と蹴散らしていく。

 

「ひ、怯むな!所詮はガキが変身しただけだ!全員で取り押さえればどうという事はない!」

 

『お、応!』

 

団員達はつばきを取り押さえる為にジリジリと迫っていく。今度はつばきがピンチになりそうになり泣きそうになりながらも玲牙が立ち上がる!

 

「うゆぅ〜……!ちゅばいじめちゃめーッ!」

 

ーヒュンッ!ヒュンッ!ヒュンッ!ヒュンッ!ー

 

 

 

 

 

 

「……あら?なんでアテクシこんな所にいるのかしら?」

 

「んあ?誰じゃ、人が酒飲んどる最中に?」

 

「おいおいなんだこの状況?喧嘩か?」

 

「はぁ〜、また爆死……あれ?」

 

玲牙が叫ぶと玲牙の後ろに突然玲二の兄である浩一とあやめの母の刹菜、そしてにじほろ保育園で先生してるksonとロボ子の姉妹である七奈美の四人が召喚され四人は一瞬戸惑うも襲われている玲牙とつばきを見て状況が理解出来たようだ。

 

「な、なんだこいつ等!?どっから現れたんだ?!」

 

「あら?何があったのかと思えばあんた達……何人の甥っ子や姪っ子を虐めてくれてるワケ?」

 

「玲牙達も玲菜と同じくらい儂の大切な孫達じゃ、そんな大切な子達を虐めるとはお主等……よっぽど死にたいようじゃのう?」

 

「旦那の大切な子供達に手ぇ出すとは、テメェ等ぶっ飛ばされても文句は言えねぇよなぁ?」

 

「私もさっきモ○ストの転スラコラボで三万爆死した腹いせ……じゃなくてロボ子の仲間の子供達を虐めるお前達を許しません」

 

それぞれ何処から出したかは分からないが浩一は棘の付いた二対の鉄剣、刹菜は自身と同じくらいの大きさの巨斧、ケイは金色の龍が彫られた漆黒の木刀、七奈美は特注で作ったマグナムを取り出し団員達に躙り寄って行く。というか七奈美だけ動機がおかしいような気もするが?

 

「な、なんだよこいつ等……?!」

 

「ひ、怯むんじゃねぇ!俺達は総帥に認められたholoXの戦闘員だぞ!こんな奴等に臆する必要なんかねぇ!いくぞぉッ!」

 

「あら、随分と威勢がいい事ねぇ?ならその巫山戯た根性叩きのめしてあげる♪さぁ始めますわよ!破壊と暴力のパジェントを!」

 

「最初に言っておく。儂はかーなーり、強いぞ!」

 

「さぁ、タイマン張らせてもらうぜ!」

 

「お願いですから、命乞いだけはしないでください。時間の無駄ですから」

 

迫りくる団員達に四人は何処かで聞いた事のあるような決め台詞を放ち戦闘を開始する。その五分後、エントランスに屍の山が築き上げられたのは言うまでもない……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふーん、面白いなぁこの子達♪まだ幼児なのに変身したり雷や炎を出したりして……その力、解剖したら原理が分かるかなぁ〜?」

 

「ひぅ……ッ?!」

 

皆が奮闘する中、ねるとレヴィとこころの前に狂気の笑みを浮かべる博士。博士はジリジリと近づいていき徐々にねる達を追い詰めていく。

 

「さぁて、まずはどの子から解剖してあげようかなぁ〜?ピンクのうさぎちゃんかぁ、金髪の子かぁ〜、それともぉ〜……そこのくまさんの格好した子かなぁ〜♪ 」

 

「は、博士?!総帥からは生け捕りにしろとのご命令ですよ!?」

 

「分かってるって〜♪ちゃんと調べ尽くしたら元に戻してあげるって~♪まあ……ちゃんと元に戻るかは保証出来ないけどねぇ〜?」

 

「あ、あうぅ〜!?」

 

この女に捕まったら確実に終わる……ねる達は子供ながらもそう察してしまった。こうなったらこの女を追い払う他に自分達が助かる道はない。そう思ったねる達は即座に行動に移した。

 

「うぅ〜……あいッ!」

 

ーパッ!ー

 

「……およ?」

 

「は、博士?!博士の服が……!?///」

 

ねるは自身の能力で博士の服を転移させ全裸にさせた。これで少しは足止め出来る、と思われたのだが……

 

「……ふーん、服を脱がす能力かぁ?なんか思ってたよりも地味な能力だねぇ?」

 

「は、博士!?そんな事よりいろいろ見えてしまってますから早く隠してください!!///」

 

「?なんでそんなに慌ててるのさ?たかが服が無くなっただけで大袈裟じゃん?」

 

なんと博士には羞恥心なんてモノはないのか、全裸にされても何事もなかったかのように平然としていた。どうやら研究に没頭し過ぎた所為でそういった感性が欠如してしまっているようだ。これには一緒にいる団員達も目のやり場に困ってしまう。

 

「うーん、くまさんの子はもう興味なくなっちゃったなぁ〜?じゃあ……其処のピンクのうさぎちゃんにしよ〜っと♪」

 

「や、やあぁぁッ!?」

 

ねるに対して興味がなくなった博士は今度はレヴィに向かって近づいていく。全裸で狂気の笑みを浮かべる女というかなり恐ろしいヤツが迫ってくる恐怖の所為で能力をまともに使えず三人とも涙が止まらずにいた。まさに絶体絶命のピンチ!だが……

 

ードゴオォンッ!ー

 

「ぶへぇッ!?」

 

「は、博士?!」

 

迫りくる博士の横から何かが突進し博士をそのままふっ飛ばしていった。唐突な出来事で何があったのか分からずキョトンとしてしまうが……

 

「みんな〜!だいじょぶ〜?!」

 

「!あうぅ〜!ねーちゃ♪」

 

其処にやって来たのはこゆきとふゆき、そしてぴりかとミナの四人だった。そしてねる達を助けたのはまるで番長のような風貌で木刀を構えているガンダム『黒龍頑駄無』であった。

 

 

『SD 黒龍頑駄無』

『SDガンダム 武者番長風雲録』に登場する主人公。普段はプリンが好きな幼い子供のような見た目をしているが一度怒らせるとガタイの良い武者番長へと変身する。

 

 

この黒龍頑駄無、実はこゆきが団員達の目を盗んで組み立てぴりかの力で巨大化、更にミナの力で硬化させふゆきの念力で動かしているのだ。

 

「い、痛た……や、やってくれたねキミ達……ッ!?」

 

「にゃあぁ〜!いっけぇ〜!」

 

ーゴオォォォォォ……ドゴオォォォォォンッ!ー

 

「ぶへらあぁッ!?」

 

ードゴオォッ!ー

 

『は、博士えぇぇぇーーーッ!?』

 

ふらつきながらも立ち上がった博士に向かって黒龍が拳を握り渾身の一撃を喰らわせ、そのまま博士は吹っ飛ばされ壁に叩きつけられ気絶していった。これにより残された団員達も困惑してしまい数分もしないうちに黒龍によって拘束されるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まったく、子供相手にこんなに手こずらせられるなんて……」

 

「ホントかったりぃんだよぉ?頼むからおとなしくしてくれっつーの」

 

「おとなしくしてくれれば我々とて酷い目にはあわせないでござるよ」

 

『うゆぅ……』

 

一階の大広間では幹部と掃除屋と侍が一部のベイビーズを追い詰めていた。如何に神羅族である玲二の血を引いているとはいえ所詮は幼児であるベイビーズは逃げ回り過ぎて既にヘトヘトの状態になっておりこれ以上は逃げられずにいた。

 

「さぁーて、さっさとこのガキ共捕まえてラプラスの元に連れて行こうよ?」

 

「そうね、それじゃ君達にはおとなしくこのカプセルに入ってもらうからね〜♪」

 

「逃げようとしたって無駄でござるから、良い子にしてるのだぞ〜?」

 

「あうぅ〜!?」

 

幹部が何処からか巨大なカプセルを取り出しスイッチを入れるとカプセルの入口が開きベイビーズを入れる準備を済ませる。そしてカプセルに入れる為に幹部達がベイビーズに近づいていく。しかし……

 

「ふ、ふぇ、ふえぇ……びゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーッ!!」

 

その中にいたマリアが幹部達に恐れてしまい泣き出してしまった。もうお気づきの人もいるであろうがマリアが泣く、それ即ち……

 

「あーもう泣いたって誰も助けになんて来ないってのーBIG! Please!ーは?何今のードゴオォンッ!ーぐぇあッ!?」

 

掃除屋が泣いてるマリアに近づこうとしたその瞬間、横から巨大な手が現れ掃除屋をふっ飛ばしていった。その手の正体は……

 

 

 

ーヒー!ヒー!ヒーヒーヒー!ー

 

「泣いてるちっちゃな子を襲うなんて、趣味が悪いぜお嬢さん?」

 

黒いローブを纏う赤い宝石のような仮面の戦士、人々を絶望から救い希望を与えるライダー『仮面ライダーウィザード フレイムスタイル』である。

 

「うゅぅ〜……」

 

「安心しなお嬢ちゃん達。君達が助けを求めるなら俺が守ってやる。俺が君達の、最後の希望だ。さ、危ないから早く下がってな」

 

『ッ!あーい!』

 

ウィザードが自分達の味方と分かるとベイビーズは喜び安全な所へと避難していく。

 

「痛た……テメェ、いきなり現れて何様だコラァッ!?」

 

「お前こそ、子供を襲うなんて悪趣味にも程があるぞ?見た感じファントムではなさそうだが、子供達に危害を加えるなら阻止させてもらうぜ。さぁ、ショータイムだ!」

 

吹き飛ばされた掃除屋が怒り狂い腰に装着していたマシンガンを取り出し、ウィザードも魔法剣銃ウィザーソードガンを構え戦闘を開始するのであった。

 

 

 

 

 

「な、なんでござるかあの宝石頭は!?沙花叉!一人では危ないから風真も加勢してードンッ!ドンッ!ドンッ!ー?!な、なんでござるか!?」

 

怒り狂う掃除屋を見て侍も加勢しようとするが、その侍の周りに何故か黒子が現れ陣容やのぼり旗を設置し始めていく。そしてその陣容の奥から何やらカラフルなスーツを纏った六人が姿を現した。

 

 

 

「シンケンレッド、志波丈瑠!」

 

「同じくブルー、池波流ノ介!」

 

「同じくピンク、白石茉子!」

 

「同じくグリーン、谷千明!」

 

「同じくイエロー、花織ことは!」

 

「同じくゴールド、梅盛源太!」

 

それぞれ漢字の火、水、天、木、土、光を彷彿させるマスクを被った六人の戦士はそれぞれ名乗り侍の周りを囲っていく。

 

「な、なんなんでござるかお主等は!?」

 

「……天下御免の侍戦隊!」

 

『シンケンジャー、参る!』

 

戸惑う侍に対し六人が纏めて名乗りを上げる。彼等こそ、古の時代より妖と戦い続ける侍達の末裔。文字を力に変えて戦う戦士、『侍戦隊シンケンジャー』である。

 

「未来ある幼き命を狙う不届き者……侍としての道を踏み外したお前を此処で討つッ!」

 

「なんだと……?貴様等が何者かは知らぬが、風真の侍としての誇りを侮辱するなら容赦はしないでござるッ!」

 

己の誇りを侮辱されたと感じた侍は刀を抜きシンケンジャーと対峙する。シンケンジャーも腰に掛けていた刀『シンケンマル』(シンケンゴールドはサカナマル)を抜き構えていく。今此処に、侍対侍の対決が幕を開けようとしていたのであった。

 

 

 

 

 

 

「クッ!?まさか子供だけど思ってたらこんな奴等が隠れてたなんて!?こうなったら私が子供達を「そんな事はさせないぜ」ッ!?だ、誰だ?!」

 

残された幹部はせめて自分だけでもとベイビーズ達を捕まえようとするが、その目の前にいつの間にか銀の鎧を纏った金髪の男が立ち塞がっていた。

 

「久々に戻って来てみれば、まさかこんな事をしようとしてる奴等がいたとはな?悪いが、この子達には指一本触れさせねぇぜ」

 

ーカチドキ!ー

 

ーフルーツバスケット!ー

 

男はそう言うと腰にベルトを出現させ両手に持っていた錠前と鍵のような物を起動させると頭上がチャックのような物が現れそれが開くと幾つもの果実を模した鎧が出現していく。そして……

 

「変身ッ!」

 

ーLOCK OPEN!ー

 

ー極アームズ!大・大・大・大・大将軍!ー

 

男がベルトに錠前と鍵をセットし展開すると果実の鎧達が男の周りに集まり、そしてぶつかっていったと思いきや男の姿が白く輝く鎧武者へと変わっていたのであった。そう、この男はかつて自分達の世界を救う為に神へと進化し新たな世界を築き上げた戦士。その名も『仮面ライダー鎧武 極アームズ』である。

 

「な、なんだこの溢れる力は?!こんな力、今まで感じた事がないわ……!?」

 

「いくぞ、此処からは俺のステージだ……!」

 

ー無双セイバー!ー

 

鎧武はベルト……戦国ドライバーにセットされた鍵、極ロックシードを捻ると何もない所から剣が現れ幹部に向かって剣を構えていく。それを見た幹部も腰に装備しているダガーナイフを取り出し間合いを取っていく。

 

「チィッ!ナメんじゃないわよ!?私はholoXの女幹部鷹嶺ルイ!偉大なる総帥の右腕である私がお前みたいなワケの分からない奴に負ける筈がないッ!」

 

世界征服を狙う組織の幹部と世界を救う為に神となった男。互いに相容れぬ二人の戦いの火蓋が今切って落とされたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベイビーズが逃げ回る中一人五階へとやってきていた総帥。その表情から見るにして先程の怒りは少しは収まっているようだが未だに若干苛ついているのには変わらなかった。

 

「クソッ、あのガキ共ちょこまかと逃げ回りおって……まあいい、ガキ共の事は幹部達に任せて吾輩はあの男を探すとするか「誰を探すって?」ッ!?貴様……!?」

 

そんな総帥の前に一人の男……総帥達異世界のholoXの目的の男である玲二が待ち構えていた。口調こそは物静かだがその表情はかなり怒りが滲み出ている。

 

「ほう?まさか目的の男が自分から吾輩の前に現れてくれるとはな?探す手間が省けたわ」

 

「……余裕そうにしてるところ悪いがお前の部下達は俺の仲間達が抑えている、全員拘束されるのも時間の問題だ。それにお前達の戦艦ももうじき沈むだろうからお前達に勝ち目はもうないぞ?」

 

「ハッ!それがどうした?吾輩にとって貴様さえ捕まえれれば勝ちなのだ!貴様さえ手に入れば部下やあの旧式の戦艦など安い代償なのだからな!」

 

…………やっぱお前、俺の知ってるラプラスとは全くの別モンだな?

 

「あ?何をボゾボソ喋っておるのだ貴様は?」

 

自分を捕まえる為なら部下達の犠牲すら厭わないと言い放ち鼻で笑う総帥を見て玲二は自分の娘であるラプと目の前のこの女は全く違う存在だと再認識すると自身の能力を使い右手にGNソードIIを、左腕にガンビットシールドを展開する。

 

「なんでもねぇよ。それと、俺は何があってもお前のモノになんかなんねぇ。此処でお前を倒させてもらう」

 

「ほぅ、面白い冗談を言うな貴様?良いだろう、このholoX総帥にして宇宙全てを見透かす悪魔ラプラス・ダークネスが直々に相手になってやろう!さあ、我が力を思い知り我の軍門に下れぇッ!!」

 

総帥も何処からか血塗られた巨大な鎌を取り出し羽織っていた脱ぎ捨て戦闘態勢に入る。家族を守る男と世界を支配しようと目論む女の戦いが、今始まるのであった……

 

続く……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーオマケー

 

「ねぇ咲ちゃん離してよ玲二君を拐うとか寝言言ってるあの女を捕まえておつるるしてあげないと」

 

「だ、ダメやよるるちゃん!?るるちゃん今お腹に赤ちゃんいるんやから今暴れたら流産しちゃうって!?」

 

「うぅ〜、パタち達も戦えたら良かったのにぃ〜!?」

 

「仕方ないですって、私達今戦える状況じゃないんですから……」

 

「まぁベルさんやチャイカもいるしなんとかなるとは思うけど……?」

 

現在ホロメンやにじライバーの皆が部屋の外に押し寄せて来た団員達を蹴散らしているのだが、玲二の嫁になったにじライバーの殆どが身籠っている為に戦う事が出来ない状態になっていた。普段ならめでたいのだが今に限っては本当にタイミングが悪過ぎであった。

 




はい、という事で次回は幹部達VS特撮ヒーローと玲二VS総帥の戦いです!異世界holoX回、思ったよりも長くなりそう……(-_-;)

次回もまったり待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第118話『何の為の征服?前編』

異世界holoX編もいよいよ佳境、ですが長くなりそうなので前後編に分ける事にしました。

そしてこれが終わった後なんですが、実は一話分はもう考えてはいるんですがそれ以降は全く思いついてません( TДT)
なので今回リクエストを募集したいと思います!詳細は自分の活動報告からお願いしますm(_ _)m

前置きはこれくらいにして今回は異世界holoXとの決着前編です!最後まで見て頂けたら有難いです、ではどうぞ!


ーバキィンッ!バコオォンッ!キュィンキュインッ!チュドオォンッ!ー

 

「チィッ!思ってたよりもやるな!?」

 

「フハハハァッ!貴様こそ吾輩の攻撃を此処まで遮るとは!やはり貴様は吾輩の物にしたいぞッ!」

 

誰がなるか!?しかしこいつ、異世界とはいえ同じラプラスと思って最初は油断していたがまさか此処まで強いとは……やはり本物の秘密結社の総帥というのは伊達ではないか!?

 

「お前!どうして其処まで俺に拘る?!それにお前はどうして世界を征服しようなんて巫山戯た事を……!?」

 

「巫山戯ただと?!巫山戯ているのは世界中にいるくだらない富裕層だろうが!貧しい者は奴等から採取され続け、富と名声に目が眩んだ奴等は自分の地位を上げる為に更に貧しい者を絞り上げ苦しめていく!更には隣国が気に喰わないからと国民を騙して戦争をおっ始める馬鹿な首相や自分の国の力を誇示する為にミサイルを撃ちまくる連中も多くいる!そんな弱者を平気で踏みにじる奴等が吾輩は気に喰わないのだ!だから吾輩はこの手で世界征服を果たす!富裕層の奴等を地に落とし、貧しい奴等を救う為になッ!」

 

ーガキィンッ!ー

 

クッ!?こいつ、的確に人体の致命傷になるような所ばかり狙ってきやがる!このままじゃ何れやられてしまう!?早く子供達の所に向かわないといけねぇのに!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃ホロメンとにじライバー達は……

 

「うらぁッ!」

 

ードゴォッ!ー

 

「ぐぇッ!?」

 

「怯むなぁ!一人残らず取り押さえろぉッ!」

 

ワラワラ……

 

「あーもうキリがないよ!?」

 

「こいつ等一体どんだけいるんだよ?!」

 

倒しても倒しても次々と湧いて出てくる団員達に流石の戦闘慣れしているメンバーも疲れが見え始めていた。倒しても倒しても湧き出てくる姿はまるでゾンビのようでもある。

 

「…………あーもうやってらんね。なあ皆、少し危ないから後ろに下がっててくんね?」

 

「え?コ、ココ……?」

 

それに業を煮やしたのかココが皆に下がれと言うと自身の身体に力を溜めていく。すると……

 

 

 

「ハアァァァァァァ………ッ!」

 

 

 

ーゴゴゴゴゴゴゴゴッ……!ー

 

 

 

その身体はみるみる内に膨張していき身体付きも骨格レベルで変わっていき瞬く間にココは巨大なドラゴンへと変貌を遂げて言ったのだった。

 

「なぁ!?ど、ドラゴン?!」

 

「馬鹿な!?なんで太古に滅んだ筈のドラゴンが此処にいるんだよ?!」

 

「ほう?そっちの世界じゃワタシ等滅んでるのか?まあンナモンどうでも良いけどな?さあ、お前達に選ばせてやるこのまま大人しく引き下がるか、それとも…………このワタシの腹ン中に納まるか?あぁッ!?」

 

『ひ、ヒイィィィィィィィィィィィィィィィィッ!?』

 

ドラゴン化したココの恐ろしいまでの威圧感に団員達は耐えきれなくなりその場で続々と泡を吹いて倒れていく。そして全員が倒れたのを確認するとココは元の人型へと戻っていくが……

 

「あー久々に変身したからあちこち痛てぇ〜……」

 

「凄ーい!ココちやっぱ強いね……ってココち?!服が無くなってるよ!?」

 

「ン?あーさっきのドラゴン化で服が破けちまったんだな?取り敢えず着替えてこねぇとな。それと男共、ワタシの裸を見ていい男はパパだけだから見んじゃねーぞ?」

 

元に戻ったココは服が無くなり全裸になっており、取り敢えず一緒に戦ってたにじさんじの男達に釘を刺して着替えに行くのであった。とはいえ突然の事だったから見てしまっても不可抗力のような気もするが……?

 

「と、兎に角此処は一先ず安全になったよね?」

 

「そうだと良いんだけど……それにラプちゃん達も無茶してないか不安だな……」

 

自分達の居住スペースはココのドラゴン化によって少し歪んだものの無事に済んだがフブキは先程の戦いの中で下の階に向かったラプラスの心配をしていた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃……

 

「ねぇラプ!本当に異世界の私達と戦うつもりなの!?」

 

「当たり前だ!あいつは吾輩の大切なパパを拐おうとしているんだぞ!?例え異世界の吾輩だとしてもそんな巫山戯た奴等を許すワケがないだろうッ!このラプラス・D・佐々木に喧嘩を売る事が如何に愚かな事か身をもって思い知らせてやるッ!」

 

「でも本当に勝てるのでござるか?!あっちの風真達はこちらと違って本当に世界征服を企む秘密結社でござるよ!?」

 

「だからってひより達も向かっちゃった以上こよも黙って見てるなんて出来ないよ!」

 

「うぅ〜、いつもは恥ずかしがって動けないフィルがなんでこんな時ばっかりぃ〜!?」

 

異世界のholoXに立ち向かう為にこちらの世界のholoXであるラプラス達が玲二や子供達がいるであろう下の階へとやってきていた。一応それぞれの武器を構えてはいるものの全てモデルガンや模造刀なので心許ないが、別世界の自分達によって自分達の大切な人に危機が迫ってる以上黙って見ている事が出来なかったのである。

 

「にしてもさっきからいろんな所から戦ってる音が聞こえてるけどこゆき達は無事なのか「ねーちゃ!」ッ!その声、こゆきか!?其処にいるのか……ってなんだそれは?!///」

 

玲二達を探す中突如こゆきの声が聞こえその方向を振り向くと、其処にいたのはこゆきとふゆき達、そしてこゆき達に黒龍頑駄無に取り押さえられた全裸の博士の姿があった。

 

「ねーちゃ!こゆ、みなとわるいやちゅつかまえた!」

 

「うぅ〜、このボクがこんな子供達に捕まるなんてぇ〜……?」

 

「いやそれよりなんでそいつ裸なんだよ?!///まさかねる、お前がやったのか?!」

 

「あい!」

 

こゆき達が無事で良かったのだが、まさか敵の一人の身包みを剥いで捕まえたとは予想もしていなかったので五人とも頭の中がパニック状態になってしまっていた。

 

「てかなんでそっちのこよはこの状態で平気なのさ?!せめて大事な部分くらい隠してよ!?///」

 

「?だからなんで皆たかが服着てないだけでそんなに慌ててるのさ?生き物全ては裸で産まれてるんだから別に珍しい事でもないでしょ?」

 

「え……?そ、それ本気で言ってるの……?」

 

「……もしかしてこのこよちゃん、研究のし過ぎでそういった羞恥心が欠けてしまったのではないでござるか?」

 

「あー、家に長い事引き籠もってた所為で服とかに無頓着なるみたいなあの感じ?」

 

服を着てない事にまるで無関心な博士を見てこよりは顔を真っ赤にするも博士はなんで異世界の自分がこうも慌てているのかが理解出来ず首を傾げていた。まあこよりも異世界とはいえ自分の裸を見られて良い気分ではないだろうから仕方ない。

 

「そ、それより!おい異世界の博士!お前の仲間は今何処にいるんだ!?」

 

「ん?ちっちゃいラプちゃん?……ああ、もしかしてこの世界のラプちゃんか。それによく見たらそっちにもルイ姐やこの世界のボクもいるみたいだね。それでボクの仲間だっけ?多分他の子供達追っかけてる最中じゃないの?さっきラプちゃん以外は下に行ったみたいだし」

 

目の前にいるこの世界のラプラス達を見ても全く驚く様子のない博士は最早興味なさそうな感じで答えていく。

 

「な、なんだか随分あっさりしてるわね?てっきり仲間の居場所は絶対に言わない!とか言うと思ったのに?」

 

「だってボクはholoXに雇われて研究してただけだし。ボクにとって研究さえ出来れば仕事先の相手が誰だろうとどうでもいいもん」

 

「な、なんだか何から何までこよちゃんとは考え方が違うのでござるな……?」

 

どうやら博士は総帥に対しての忠誠心というのはなかったようであっさりと他のメンバーを見限っているようだ。やはり世界が違えば同じ存在でも考え方が変わってくるみたいだ。

 

「と、取り敢えず異世界の幹部達もマオ達を追いかけてる筈だから急いで止めないとードゴオオォォォォォォォオンッ!ーッ!?な、なんだ?!」

 

「わ、分からない……音からして上の階だと思うけど……?!」

 

突然上の階から爆音が聞こえ何事かと驚く一同。だがその中でラプラスはそれが何を意味するのかが分かってしまった。

 

「この上って事は五階……ッ!それってパパがいる場所だ!まさか、異世界の吾輩とパパが戦ってるのか!?幹部!お前達は下に行ってマオ達を助けてこい!吾輩はパパの所に行くッ!」

 

「あ!?ちょっとラプラス!一人で勝手に行ったら危ないわよ……ってもういなくなってるし!?ハァ、あの子はレイレイの事になると後先考えないんだから……」

 

「でもそれは風真達も同じでござるよ。本当なら旦那様の元に向かいたいけど、にほ達も心配だから急いで下に行かないと!」

 

「うん、早くフィルを探してあげないと……ってこの異世界のこよちゃんはどうする?このまま置いてたら危なくない?」

 

爆音が聞こえた上の階へと姿を消すラプラスに対しルイ達も下の階に下りて子供達を探そうとするが此処にいる博士をどうするかを考えてしまう。今は黒龍頑駄無に抑えられているとはいえ何時抜け出すか分からない以上置いてくワケにもいかないであろう。

 

「あ、だったらこよが此処に残ってこの娘を抑えとくね。それに異世界とはいえこれ以上他の誰かにこよの裸見られたくないし……」

 

「そ、そう?ならお願いするわね。必ずひよりちゃんも連れて帰ってくるから安心して。こゆきちゃん達もこよりママと一緒にいてね?」

 

「あい!」

 

ルイ達は此処をこよりに任せて子供達を助けに下の階へと下りて行くのであった。

 

「…………ふーん?あの子達の中にこの世界のボク達の子がいたんだ?でも子供なんて作る理由がボクには分かんないなぁ?そんな子供作るなんて面倒するくらいなら研究してた方がよっぽど良いじゃん?」

 

「……研究ばっかしてるキミには一生分かんないだろうね?こよも研究とかは今でもしてるけど、それよりも今は玲二君やひよりがいるこの日常を楽しく過ごす方がこよにとって何よりも幸せなんだから。ねぇみんな〜♪」

 

『あーい♪』

 

「…………ふーん、そうなんだ?やっぱこの世界のボクの考える事なんて分かんないや」

 

「こよだって全裸になっても平然としてるキミの思考なんて分かんないよ……」

 

残された二人のこよりは互いの価値観に相容れられないながらも他愛のない話をするのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてその頃、一階では各陣営が激しい戦いを繰り広げていた。此処からはそれぞれの様子を見ていこう。

 

 

 

ウィザードVS掃除屋

 

ーバキュンッ!バキュゥンッ!ー

 

「アッハハハ♪ほらほらそんな逃げ腰じゃ沙花叉は倒せないよ〜?」

 

「クッ!?こいつ、思ってた以上にやるな……なら!」

 

掃除屋から放たれる強力な銃撃の雨にウィザードは押され気味になり、直ぐ様右手に填めていた指輪を別の物に変えウィザードライバーのレバーを展開しバックルのハンドオーサーに右手をかざしていく。

 

ーteleport!please!ー

 

「これで、どうだ!?」

 

ーシュンッ!ー

 

テレポートの魔法でウィザードはその場から消え掃除屋の背後へと瞬間移動し攻撃を仕掛けていく。しかし……

 

ークルッー

 

「はいざんねーん♪」

 

ーバキュゥンッ!ー

 

「ぐあぁッ!?」

 

なんと掃除屋はウィザードの方に振り向き至近距離でマグナムの弾を撃ち込んだのであった。

 

「何……!?だったらこれで!」

 

ーright!please!ー

 

ービカアァーーーッ!ー

 

奇襲に失敗したウィザードは続いて別の指輪を填め再びハンドオーサーに右手を翳していくと、今度は辺り一面が光に包まれこれで目眩まし出来たと感じたウィザードは再び掃除屋へと奇襲を仕掛けていく。

 

「だぁーかぁーらぁー、無駄だって言ってるでしょお?」

 

ーガキィンッ!ー

 

「何ッ!?ードゴオォッ!ーぐぁッ!?」

 

しかし目眩ましも通用しなかったのか、掃除屋はウィザードの剣撃すら銃で防ぎ反撃の蹴りをウィザードの腹に叩き込んできたのであった。

 

「グッ……!生身なのに此処まで強いとはな……!?」

 

「全く、今何したのか分かんないけどどんな小細工したって沙花叉には通用しないって。もうかったりぃからさっさとやられてくんない?」

 

二度の奇襲に失敗したウィザードは一度物陰に隠れ何か良い手はないかと模索していく。それにしても異世界の掃除屋、生身で仮面ライダーと渡り合うとはかなりの力があるようだ。

 

(……どうする?テレポートの奇襲もライトの目眩ましも奴には通用しなかった。こうなったらドラゴンの力を使うしか……ちょっと待て?今あいつなんて言った?()()()()()()()()()()()?幾らマスクをしていたとしてもあんな強い光を受けても何されたか分かんないなんて…………ッ!そういう事か!)

 

ウィザードは何かに気づいたのかまた新しい指輪を二個取り出し一つは自分の右手の指に填めてハンドオーサーへと翳していく。

 

ーcopy!please!ー

 

コピーの魔法を使いウィザードの隣にもう一人のウィザードが現れ、二人は全く同じ動きをしながら掃除屋へと突っ込んでいった。

 

「はぁ?なんか二人に増えたみたいだけど、そんな見え見えの動きなんて沙花叉には通用しないっての!」

 

ーバキュウゥンッ!バコオォンッ!ー

 

「「ぐあ……!?」」

 

ウィザード達が掃除屋の銃撃を受けて倒れてしまい、そしてそのまま光となって消滅してしまった。これにより掃除屋は自分が勝ったと確信する。

 

「アッハハハ♪なぁにが最後の希望だよ?全然強くなかったじゃんざぁーこーガシッ!ー……は?」

 

「……残念だったな?コピーは二回使ってたんだよ!」

 

だがなんと勝ちを確信し笑ってる掃除屋の右手を倒された筈のウィザードががっしりと掴んでいた。実は先程のコピーの魔法の際にウィザードはしれっと二回発動しており分身を二体生み出していたのだ。そして分身に気を取られている隙に掃除屋へと近づきその右手の指に用意していた指輪を填めてハンドオーサーへと手を翳させていく。その指輪の魔法は……

 

ーsmell!please!ー

 

「おいテメェ!一体何をーブシュウゥゥゥゥゥ〜ッ!ーッ?!?!く……クッセエェェェェェェェェェェェェェェェェェェェッ!?」

 

「うわ臭ッ!?相変わらず凄い臭いだな……?」

 

魔法が発動すると同時に掃除屋からとてつもなくキツい臭いが発せられたのだ。そう、スメルの魔法は使用すれば使用者の身体をとてつもなく臭くするという一見役に立ちそうもないような魔法なのだが……

 

「グッ!オエェ……畜生ッ!何処に行きやがった!?出てきやがれ宝石野郎ッ!」

 

ーバキュンッ!バキュンッ!バキュゥンッ!ー

 

何故か掃除屋は目の前にウィザードがいるのにも関わらず見当外れな場所へとマグナムの弾を撃ちまくっているのであった。これは一体どういう事なのか?

 

「……やっぱりな。お前、本当は目が見えてないんだろ?さっきライトの魔法で強い光を放ったのにそれでいて何をされたのかが分からないなんておかしいと思ったんだ。其処で考えたんだ、もしかしたらお前が視覚以外で俺を察知してるならそれは音か、もしくは臭いで探ってるんじゃないかってな?だからまずはこのスメルの魔法でお前の嗅覚を封じさせてもらったぜ。そしたらものの見事にビンゴだったな?」

 

そう、実はこの掃除屋……異世界の沙花叉クロヱは過去にあった戦闘が切っ掛けで目が見えなくなってしまったようでそれからは他の五感を頼りに戦っていたのだ。特に戦場で血の臭いを嗅ぎ続けた結果嗅覚が異常に発達したようで掃除屋はそれを頼りに今まで敵を探っていたのである。つまりスメルの魔法を使われた今、掃除屋は臭いを嗅ぎ分ける事が出来ずウィザードの場所を上手く捉える事が出来ないのだ。

 

「クソがぁッ!くだらねぇ小細工なんかしやがってぇッ!?」

 

「悪いが魔法使いは小細工が得意なんでね?さぁ、フィナーレだ!」

 

そしてウィザードはトドメを刺す為に最後の指輪を右手の指に填めウィザードライバーを展開しハンドオーサーへと翳していく。

 

ーチョーイイネ!kick strike!サイコーッ!ー

 

魔法が発動すると同時にウィザードの足元に魔法陣が展開され、右足には炎が燃え盛りウィザードはロンダートをしながら空中へ飛翔していく。

 

「ハアァァ……デヤアァァァァァァァッ!」

 

ーゴオォォォォォ……ドゴオォォォォォォンッ!ー

 

「ウギャアァァァァァァァァァァァーーーーーーッ!?」

 

ウィザードの必殺の蹴り技、ストライクウィザードが炸裂し掃除屋は壁に吹き飛ばされそのまま気絶、持っていた武器も全て粉々に砕かれたのであった。

 

「ふぃ〜……ん?どうやら時間切れのようだな?」

 

ウィザードはそう言うと光に包まれその場から姿を消していき、残されたのは気絶し倒れた掃除屋だけとなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シンケンジャーVS侍

 

ーガキィンッ!ー

 

「クッ!なかなかやるな?それ程までの実力がありながら何故子供達を襲うなんて卑劣な事をする?!」

 

別の場所ではシンケンジャーの六人が侍と激闘を繰り広げていた。シンケンレッドは相当の実力があるのにも関わらず何故侍がこのような事をやっているのかが理解出来ず問いかけた。

 

「決まっておろう?!あの子達の力はいずれラプ殿の世界征服に役に立つ!だから風真達は必ず手に入れるのでござる!ラプ殿の目指す、弱き者が虐げられない世界の為に!」

 

「はぁ?!なんだよそれ?!それってどっちかって言えばテメェ等が弱い奴を虐げてる側になってるじゃねぇか!?」

 

「千晶の言う通り!弱き者を守るとか言っておきながら力を手にする為に子供達を追い詰めるなど本末転倒にも程があるぞ!?」

 

グリーンとブルーの言う通り、侍の目指す弱き者が虐げられない世界というのは寧ろ立派な心掛けと言える。だがその為に他者を犠牲にしようなど義を重んじる侍道に反する行為に他ならない。だがそれでも侍には止める気など毛頭ないようで……

 

「五月蠅いッ!貴様等のような力に恵まれた者達に何が分かる?!弱者だからと言うだけで強者から弾圧され、あまつさえ腕を斬り落とされた風真の気持ちが!貴様等のような連中に分かってたまるかあぁーーーーーーッ!!」

 

ーガコンッ!ガシャッ!ジャキィンッ!ー

 

「なッ!?右腕が……?!」

 

侍が叫ぶと同時に右腕が突如変形しだし、徐々に裂け伸びていくそれはまるでヤマタノオロチを彷彿させるかのような八又の大鎌へと姿を変えたのだった。

 

「風真は此処で負けるワケにはいかない!全ての弱者を守る為に!弱者を虐げる愚かな強者を全て根絶やしにする為にぃッ!!」

 

ーブオォンッ!ズババババァッ!ー

 

『グアァァァァァァァァァァァァァァァッ!?』

 

まるで意思があるかのように大鎌がシンケンジャーに襲い掛かり鋭い斬撃を放っていき、レッドを除く全員がその場から吹き飛ばされてしまった。

 

「つ、強過ぎる……!?」

 

「こんな奴相手にどう戦ったらええんや……?!」

 

ピンクとイエローも狂ったように大鎌を振り回す侍に対し弱気になってしまう。だがそんな中、レッドだけは武器を構えなおし侍に向かって歩み始めた。

 

「と、殿!?」

 

「丈ちゃん!?一人じゃ危ねぇぞ!?」

 

「…………」

 

「フン、まだ風真に刃向かうつもりでござるか?ならお望み通り斬り裂いてくれるわッ!」

 

ービュンッ!ビュンッ!ビュンッ!ー

 

無言で向かってくるレッドに向かって侍は再び大鎌を振り回し襲い掛かっていく。しかし……

 

ーズバァッ!ザシュッ!ー

 

「…………」

 

レッドは何度も斬りつけられても何事もないかのようにただ突き進んでいく。普通なら倒れてもおかしくはない程の攻撃を、レッドはただ受けながらも侍へと向かっていく。

 

「な……!?何でそんな平気な感じで近づいて来るのでござるか?!この風真の鎌鼬を受けて平然としているなんて「当たり前だ。お前のその刃には、何の覚悟も宿ってないからな」ッ!?な、何を言ってる!?風真にはラプ殿の目指す世界を共に進む覚悟が……!?」

 

「……侍とは、己の信念を以て義を貫く存在。俺はかつて志波家当主の影武者だった俺を迎え入れ、真の当主として認めてくれた先代の意志を継ぎ、人々を外道衆から守るという覚悟がある。だが貴様はどうだ?主の意志に賛同し共にその世界を目指すと言っておきながら、やっている事は貴様が嫌っていた力で相手を無理矢理従わせようとしているだけだろう!?お前がやっている事は弱者を守る事なんかじゃない……強者となって弱き者達を踏みにじっている!自分が毛嫌いしていた奴等と同じ事を繰り返しているだけだッ!」

 

「ッ!?ち、違う!風真はそんなつもりで戦っているのでは……!?」

 

「ならあれはどう説明する!?弱者を守るとか言っておきながら襲っていたあの子達の目はなんだ!?」

 

「え…………!?」

 

シンケンレッドに、丈瑠に言われ侍は部屋の端で黒子達に守られている子供達の怯える目を見て自分が今何をしでかしてしまってるのかを理解してしまう。ブルーやグリーンに言われた時は自分は違うと否定したが、レッドに指摘され子供達の怯える目を見てしまった事で自分のやっている事がかつて自分を苦しめた連中と何一つ違わない事に気づかされてしまったのだ。

 

「か、風真は……風真は弱い皆を守る為に戦っていた筈……なのに風真は今何をしてるのでござるか……?!」

 

「……お前の目指す世界は確かに悪くない。だがそれは一歩間違えれば力によって他者を抑えつけるだけの支配でしかない。その外道に堕ちる前に、俺が此処でお前を討つ!」

 

レッドはそう言うと秘伝ディスクと呼ばれる物をシンケンマルにセットして回転させると、シンケンマルが炎に包まれレッド専用の武器『烈火大斬刀』へと姿を変えていく。それを見た侍も錯乱しつつも対処する為に大鎌を全てレッドに向けて振り放つ。

 

「そ、それでも!それでも風真は引くワケにはいかないんだあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」

 

「…………成敗ッ!」

 

ーガキィンッ!ー

 

大鎌と烈火大斬刀、互いの刃がぶつかり合い拮抗していく。そして……

 

ーギギギィッ……バキイィッ!ー

 

「なぁ……ッ!?」

 

「ハアァァァッ!」

 

ードゴオォォォォォンッ!ー

 

大鎌が押し負け全ての刃が砕け、そしてそのまま侍は吹っ飛ばされ右腕の義手は完全に砕かれそのまま気絶していった。レッドは烈火大斬刀をシンケンマルに戻し腰に納めて

 

「これにて、一件落着……」

 

と言うと流石にダメージを追っていた所為かその場で膝を付いてしまい、他のメンバーが急いで駆けつけてくる。

 

「殿ぉッ!無茶が過ぎますぞ!?」

 

「あぁ、すまなかったな……」

 

「ホンマですよ!でも、お殿様が無事で良かったわぁ〜♪」

 

「そうね。それじゃあ早く帰って治療しないと」

 

「ほら丈ちゃん、肩貸してやるから掴まりな」

 

「全く、世話の焼ける殿様だぜ……」

 

仲間達に支えられレッドは立ち上がり、そしてシンケンジャー達もウィザードと同じように光に包まれ元の世界へと戻っていくのであった。

 

 

 

後編へ続く……




はい、という事でまずは異世界こよりとクロヱといろはとの決着!そして後編ではルイとラプラスとの対決、そして全ての決着となります。次回もまったり待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第119話『何の為の征服?後編』

えー前回話の内容を募集したところ幾つか案を頂き誠に感謝しております!お陰で少しずつですが話の内容が纏りつつありますのでこれを参考に書いていこうと思います!

そして今回でholoX編は最後となります!はたして玲二の運命や如何に……?!最後まで見て頂けたら有難いです、ではどうぞ!


鎧武VS幹部

 

ーバナスピアー!ー

 

「はあぁッ!」

 

ーガキィンッ!ー

 

「くぅッ!?」

 

ウィザードとシンケンジャーが戦っている最中、鎧武と幹部が互いに激しくぶつかり合っていた。しかし先程のウィザード達と違い最初から最強フォームである鎧武が繰り出す連続アームズウェポンの攻撃に幹部は反撃すら許されず次第に圧されていた。

 

「……もうこれ以上は止めておけ。どうあがいたってお前に勝ち目はない」

 

「五月蠅いッ!例え負けると分かっていても!この鷹嶺ルイの命は常に総帥の為にある!総帥の為にならばこの命、惜しくはないッ!!」

 

鎧武に降伏を促されるも幹部は尚も立ち上がっていく。既にボロボロで武器も刃が欠けたサバイバルナイフしか残されていなかった、それでも幹部の目には諦めというモノは一切感じられなかった。

 

「我が総帥の理想の世界の為にこの命が役立てるのであれば!喜んでこの命散らしてくれるわあぁぁぁぁぁぁぁッ!!」

 

「ッ!この…………馬鹿野郎があぁッ!」

 

ー火縄大橙DJ銃!ー

 

ーRock On!ー

 

命を投げ出す覚悟で突っ込んでくる幹部に鎧武は最強武器である火縄大橙DJ銃を召喚し装填口にオレンジロックシードをセットしそれを幹部に向かって構え

 

ーオレンジチャージッ!ー

 

ードゴオォォォンッ!ー

 

いくつものフルーツのようなオーラを纏ったエネルギーを発砲した。そして……

 

 

 

ーバキイィンッ!ー

 

 

 

その弾は幹部本人ではなく持っていたサバイバルナイフへと当たり、その反動で幹部も吹っ飛ばされ壁に叩きつけられていった。

 

「グハァッ!く、くうぅ……ま、まだだ……まだ私は……総帥の為なら……この命なんて……!」

 

だが幹部はボロボロになってもふらつきながらも立ち上がりヨロヨロと鎧武に向かっていく。右腕は折れたのかブランと垂れ下がっており武器も全て失っているにも関わらず尚も突き進んでいくその姿は最早何かに取り憑かれているようにも見えてしまう。

 

「…………もう止めよう」

 

ーバシュウゥゥンッ……!ー

 

「な……ッ?!」

 

そんなボロボロな幹部を見て鎧武は変身を解いてしまった。しかもその姿は最初に見た金髪に神々しい鎧姿ではなく何処にでもいそうな好青年のような見た目になっていた。これこそが鎧武の本来の姿である『葛葉紘汰』なのである。

 

「き、貴様!何故変身を解いた!?私はまだ……!」

 

「その身体で何無茶なこと言ってるんだ?もうとっくに勝負は着いているだろ」

 

「まだだ!私が動ける限り、私が負ける事は……キャッ!?」

 

ふらつき歩く幹部は足元にあった瓦礫に躓き倒れそうになる。だが……

 

ーポスッー

 

「……え?」

 

「もう無茶すんな。お前にだって仲間や大切な人がいるんだろ?そいつの為にもこれ以上自分を傷つけるのは止めておけ」

 

駆けつけた紘汰に支えられ幹部は近くにあったソファーに座らされ、紘汰は偶々近くにあった救急箱から包帯等を取り出し幹部を応急処置しようとする。

 

「止めろ……!敵に情けを受けるくらいなら……此処でいっそ殺してくれ……」

 

「俺は絶対にそんな事はしない。どんな奴だって命は一つだ。その命を自分から投げ捨てようとする奴をほっとくなんて俺には出来ない。ほら、腕を見せな?」

 

紘汰は幹部の折れた右腕を近くに落ちてた添え木で抑え包帯を巻いていく。そして少し不格好だが取り敢えずは応急処置は終わったようで紘汰も近くにあった椅子に座って一息つく。

 

「ふぅ〜……なあ、どうしてあんたは彼処まで頑なに戦おうとしてたんだ?なんか総帥の為とかいろいろ言ってたみたいだけど、総帥ってどんな奴なんだ?」

 

「……総帥は私の命の恩人よ。あれはまだ私がとある軍に所属していた時の事よ……その頃私達の軍は敵に圧されてしまって最早勝ち目なんてなかった。其処で指揮官は私達が足止めしている間に援軍を呼んでくるという流れになったの、けど……」

 

敵の侵攻が激しくなっていく中待てども待てども一向に援軍がくる気配なんてなかった。それでも幹部は指揮官を信じ戦い続けていた。しかし、その後通信兵から届いた通達は……軍の敵前逃亡であった。

 

「援軍を呼ぶなんて嘘、指揮官は……あの男は仲間を呼ぶフリをして私達を見捨てたのよ。そうなってしまえば前衛にいた私達のチームも士気が下がり、次第に次々とやられていったわ。そうして最後まで生き残ったのが私だったの」

 

最後まで必死に抵抗するも次第に弾薬も食料も尽きてしまい、一人、また一人と仲間が倒れてしまい残されたのは幹部唯一人だけとなってしまった。その幹部も敵兵の銃を頭に押し付けられ殺される寸前のところだったという。

 

「だがその時私の前に現れ敵を一網打尽にしたのが総帥だった。彼女は殺されそうになった私を受け入れ、そして自分が目指す世界を話してくれたの」

 

 

 

『吾輩は弱者が虐げられない為の世界を作る。誰かを虐げるだけの力を求めず、皆が笑いあい平和に暮らせる世界を。その為に今この世界で我が物顔で好き勝手している連中を全て潰す。だから、お前もその世界を作る為に吾輩に協力しろ』

 

 

 

「……その言葉で私は救われた。この方の目指す為なら、もう私やかつての仲間達のようなツラい思いをする者はいなくなるって!だから私は総帥に忠誠を誓ったのよ!だから総帥の願いである世界が叶うのであれば、私の命なんて「くだらないな」ッ!?な、なんだと……!?」

 

くだらない、幹部の語る信念を聞いて紘汰の口から出た言葉はその一言だった。それを聞いて幹部は激昂し紘汰に掴みかかろうと立ち上がるがまだ回復しきってない所為かバランスを崩しソファーに倒れ込んでしまう。

 

「お、おい!?まだ身体が治ってないんだ、あんまり動かない方が「そんな事はどうだっていい!それよりも貴様!今のくだらないとはどういう意味だ!?」……そのままの意味だ。俺からしてみれば、あんたの言ってる事はくだらない以外の何物でもない」

 

「な、なんだと……!?」

 

「あんたの総帥って奴が掲げている理想は立派だ。そしてそれを支えようとするあんたの想いも大したモンだと思う。けどその理想を叶える為に命を投げ捨てるような事をするのは絶対に間違ってる。どんな奴だって命は一つ、死んだら終わりなんだ。だから命を簡単に投げ捨てようとするなんて絶対にしちゃいけないんだ。簡単に死んじゃったら、そいつを想ってた奴等も絶対に悲しむからな」

 

「…………死んだら悲しむ人……そんなの私には…………」

 

「本当にそうか?少なくとも危険を顧みずあんたを助けた総帥って奴はあんたには死んでほしくないんじゃないか?」

 

死んだら悲しむ人がいる、そして総帥が自分が死んだら悲しむのか?紘汰に言われ少し考えると、幹部はある事を思い出す。それは二人が世界を征服する為の組織holoXを立ち上げた時の事だ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『いよいよですね、ラプラス総帥』

 

『ああ、これから吾輩達は秘密結社として世界に喧嘩を売る。そして必ずや世界をこの手に掴んでやる』

 

『はい、私も総帥となら何処までも着いていく覚悟です!』

 

『そうか…………なぁルイ』

 

『?なんでしょうか?』

 

『もし世界を征したとしても、或いは心半ばで朽ち果てたとしても……お前だけは、ずっと最後まで吾輩の傍にいてくれよな?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………そうだ、総帥はずっと私の事を……」

 

「良かったじゃないか、ちゃんといただろ?あんたの事を想ってくれる奴が。だからそいつの為にも命を簡単に投げ出したらダメだ」

 

総帥が自分の事を考えていてくれた。その事に気づいた幹部の眼から涙が溢れ顔がグシャグシャになっていく。こんな自分でも一緒にいてほしいと想ってくれる人がいたんだと思うと涙が止まらなかった。

 

「…………あんたの総帥は、昔俺と一緒に戦った仲間と同じだ。力を持つ者を憎むあまりに強さを求めていた。弱い奴等を守る為に、全人類の敵になった……けど、人は必ず強くなれる。例えどんな困難が待ち受けていても、人にはそれを乗り越えられる強さがある。だからこそあんたの総帥は止めないといけない。これ以上同じ思いを誰かにさせない為にもな」

 

「グスッ……ああ、そうだな」

 

紘汰によって目が覚めた幹部は紘汰に肩を貸してもらい総帥の所へと向かっていく。これ以上自分達と同じツラい思いをする者を出さない為に……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして……

 

ーガキィンッ!バキィッ!ー

 

「グアッ!」

 

「ゴフゥッ!」

 

互いにぶつかり合い既に武器もボロボロになりつつも俺も異世界のラプラスも二人して一歩も引く事はなかった。だがやはり強いな、このラプラスは。一体何処にそんな力があるんだよ……?

 

「ハァ、ハァ……クク、やはり強いな貴様は……我が世界征服には貴様のような強さを持った者が必要だ!」

 

「……教えてくれ、お前はその世界征服を果たして一体何をするつもりだ?全ての富を得るつもりか?それとも全てを支配して自分の思うがままの世界にするのか?」

 

「……さっきも言っただろう?吾輩は自分達の世界中にいる弱者を救う為に戦っている。吾輩が望む世界征服は、豪遊し乏しい思いをしている奴等を踏みにじる富裕層や自分の力を誇示する為に戦争を仕掛ける国のトップを蹴散らし、弱き者達が安心して暮らせる理想の世界を築き上げるのだ!」

 

弱者を救う為の世界征服。その為なら例えどんな汚名を着せられようとラプラスは戦い続けているのか。そしてそれを信じて共に歩んできた仲間も……だが

 

「……お前の言い分はよく分かった。だがそれで何故俺達の世界を侵略した?お前のやってる事はお前が嫌う連中と何が違う!?」

 

「分かっているさ!自分が何をしているのかも!これが許されざる事だという事も!だが、吾輩はもう引く事は出来ない!心半ばで散っていた仲間達、そして吾輩を助ける為に戦争に赴き命を落とした両親の為にも!」

 

ーシュウゥゥゥゥゥ……ッ!ー

 

ッ!?マズイ!ラプラスの奴自分の大鎌にエネルギーを溜めてやがる!こうなったら俺もガンビットで「パパッ!」ッ!?な、ラプ!?

 

「お前か!異世界の吾輩というのは!?吾輩のパパを拐おうなんてくだらない真似はさせんぞ!」

 

「何……?なる程、この世界にも吾輩がいたとはな?それもまだ幼き頃の吾輩か……だが、例え吾輩自身が立ち塞がろうとも!我が野望は止める事は出来んわぁッ!!」

 

ーブオォォォォンッ!ー

 

ッ!?あいつ、俺ごとラプを巻き込む気か?!クッ、間に合えッ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーズバアァァァッ!ー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………え?パ、パパ……?」

 

「……大丈夫か、ラプ?」

 

……良かった、なんとかラプを守れたみたいだな痛ッ!?ヤベェ、背中がおもいっきり痛てぇ……

 

「パ、パパァッ!?吾輩を庇って……それに傷口が……!?」

 

「だ、大丈夫だ……こんなの治癒の力を使えばすぐに……」

 

だ、ダメだ……ラプを安心させようと気丈に振る舞おうにも身体が言う事を聞いてくれない……

 

「クク、これで終わりだな?なぁに、すぐに吾輩の世界に連れて治療してやるから安心しろ」

 

異世界のラプラスが勝ちを確信しこちらに近づいて来る。クソ、此処までが……

 

ーバッ!ー

 

「………なんのつもりだ、異世界の吾輩よ?」

 

「パ、パパは……パパは吾輩が守る!」

 

ラ、ラプ?!お前、何をしてるんだ?!守るったってお前には武器も何もないだろう!?しかも分かりやすいくらいに震えているし!

 

「どけ、異世界の吾輩。吾輩にはこの男の力が必要なのだ。退かぬというなら力づくで……」

 

「やだ!どかない!パパは吾輩の……私の大切な人だもん!孤児院で育てられて、ずっと一人ぼっちだった私を、パパは父親になってくれた!私に沢山の家族をくれた!パパは私にとって大切な、この世でたった一人のパパだもん!」

 

……ラプ、お前……俺の事そう思っていてくれてたのか……

 

「お前は私なんだろう?!だったら頼むから私の大切なパパを、家族を私から奪わないでよ!」

 

「……………………」

 

ラプの悲痛な叫びを聞きラプラスの腕が止まる。その表情は苦悶に満ちており、大鎌を握る手も緩まっていく。そして………

 

「……総帥、もう止めましょう。これ以上は私達の主義から大きく離れてしまいます」

 

「ッ!幹部、無事だったのか?!」

 

異世界のルイらしき女が男に支えられながらこの場にやって来た……え?あの男、もしかして葛葉紘汰か?なんでこの世界に……あー、もしかしてマリアの力で呼ばれたのか?

 

「総帥、私もこの男と戦って気づかされました。これ以上続ければ、私達もかつて自分達を虐げていた者達と何も変わりません。ですので、此処はもうこの世界から身を引きましょう」

 

「…………そうだな。それに異世界の吾輩に此処まで懇願されて無下にするなど総帥としてあるまじき行為だからな……異世界の吾輩よ、お前はこの男を父親と呼んでいたな?この男は本当に信用出来る男か?」

 

「当たり前だ!パパは私が、いや吾輩が世界で一番信用出来る最高の父親だ!」

 

「……そうか、ならその父親を大切にしろよ?」

 

ラプラスはそう言うと俺に近づき右手を光らせ何やら力を注いでくる。これは……治癒魔法か?身体がどんどん軽くなっていくぞ。

 

「お前、名前はなんていうんだ?」

 

「……玲二、佐々木玲二だ」

 

「そうか……玲二よ、此度の事はすまなかった。そして吾輩が言えた義理ではないが、異世界の吾輩をこれからもよろしく頼む」

 

ラプラスは俺に深々と頭を下げ、俺にラプの事を任せてきた。これにて俺達と異世界のラプラスとの戦いは幕を閉じたのであった…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから二日後、異世界holoXの団員達の協力もあり神羅城はすっかり復興し、そして治療を終えたラプラス達も元気を取り戻し元いた世界へと帰る時がきた。

 

「それじゃあ皆、向こうでもあんま悪い事すんなよ?」

 

「フン、貴様に言われる筋合いはないわ!だ、だがまあ掃除屋の眼と侍の右腕を治してくれた貴様に免じて少しは控えてやるとしようか……」

 

「佐々木さん、この度は本当に申し訳ございませんでした。もし貴方達に何かあったら我々holoXは何時でも力になりますので」

 

「あーあ、佐々木さんの身体、一回で良いから解剖してみたかったな〜?」

 

「まだ言ってるし……ま、まぁ沙花叉も眼を治してくれたお礼くらいはしてあげても良いかな〜?///」

 

「……玲二殿、風真の腕を治してくれた此度のご恩は一生忘れはせぬ。必ずやこのお礼はさせて頂くでござる」

 

異世界のクロヱといろはは元に戻った眼や右腕に関してはお礼をするとは言ってるが別に気にする必要なんてないんだけどな?けど沙花叉から何な熱おびた視線を感じるが気づかぬフリしとこ。それと異世界こより、一回解剖って発想がサイコ過ぎるだろ?

 

「それじゃあ吾輩達はそろそろ帰るとしよう。この世界の吾輩よ、縁があったらまた会おう」

 

「良いけど、今度来る時はそんな大掛かりな戦艦に乗ってくんなよ?」

 

ラプとラプラスが最後に挨拶を交わし、そしてラプラス達が修理された戦艦に乗っていくとそのまま浮上し次元ホールへと飛び込み元の世界へと帰っていったのであった。

 

「ふぅ、久々にハチャメチャな出来事だったな?」

 

「全くだぞ!でも異世界の吾輩達、格好良かったな!そうだ幹部!吾輩達も本当に世界征服を「寝言は寝てから言いなさいこのちんちくりん」なんだとぉ〜!?貴様ぁ!それが総帥にする態度かぁ〜!?」

 

はは、こっちのholoX達はやっぱりこうワチャワチャしているのが一番似合うな……それにしても

 

「で?お前は何時になったら帰るんだ?紘汰」

 

「いや、帰りたいのはやまやまなんだけどどうやったら俺の世界に戻れるか分かんねぇんだよなぁ?」

 

なんじゃそりゃ?どうやらこの紘汰はマリアの能力で呼び出されたのではなく、久しぶりに地球に帰ろうとした際に異世界holoXが大掛かりな時空移動をした所為で時空間に歪みが発生してしまいこの世界に引きずり込まれてしまったらしい。一応俺も鎧武の世界を探しているのだが一向に見つかってない。

 

「ま、その内帰る方法が分かると思うし、それまではこっちでアルバイトでもしながら暮らしてくから平気だって♪」

 

「いやそんなんで良いのか神様……?」

 

結局それから数日後に鎧武の世界を発見し紘汰を送り届けて行ったが、それから紘汰は時空移動を会得したのかちょくちょくこの世界に遊びにくるようになるのであった。本当にそんなんで良いのか神様?

 

 

 

こうして異世界holoXとの戦いは終わり、ホロライトシティに再び平穏が訪れるのであった。




はい、という事で異世界holoX編はこれにて終了です!いやぁ疲れた〜(;´Д`)

そして次回なんですが、次の話が今現在自分で書いた最後の話となります。その次からはリクエストに沿って書いていこうと思います。

次回『たまきの………○○?!』


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第120話『たまきの…………子供?!』

はい、全話で問題形式で去勢と性転換が多かったですが、正解は子供でした〜♪

…………え?どういう意味だって?それは是非本編を御覧くださいませm(_ _)m

という事で今回は久々のたまきのメイン回です!今回も最後まで見て頂けたら有難いです、ではどうぞ!


「れ、玲二…………ッ!?」

 

「う、嘘だよね?こんなのって嘘だよね…………?!」

 

薄暗い空間の中、その部屋に入ってきたアカリとシロは絶望の表情を浮かべ涙を流している。その理由は……

 

「ヒィッヒッヒ……遅かったですねぇお二人共、貴方達の旦那さんならほれ、この通りですぞぉ?」

 

妖しく笑う男が見せたテーブルの上……其処には明らかに解体された生物、それも人体の物が広げられていた。骨、筋肉、内蔵、脳とあらゆる物が並べられており先程解体されたばかりなのかまだ血生臭さが残っていた。

 

「そんな……そんなの嘘だよ……玲二がこんな、こんな事になるなんて……!?」

 

「嫌だぁッ!ねぇ玲二!?嘘だよね?!これが玲二だなんて嘘だよね!?ねぇ答えてよ玲二いぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃッ!!」

 

自分達の夫らしき者の変わり果てた姿を見てアカリとシロはショックを受けただ泣きじゃくる事しか出来なかったのであった…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いや勝手に人の事殺すなよ?」

 

俺は目の前で泣いているフリをしているアカリとシロを止めさせる。なんだこのくだらない茶番は?

 

「えへへ、なんかこんな状況になってたらやってみたくなっちゃって♪」

 

「ごめんね玲二、でもシロの演技凄かったでしょ?」

 

「んなくだらない茶番に女優魂見せんなよ?博士もこんなアホな事に付き合わないでいいですから」

 

「アハハ、すまないね玲二君?なんか振ってこられたから思わず乗ってしまったよ♪」

 

いやノリ良いな?!しかもノッてる時はマッドサイエンティストみたいな感じ出してたのに今は普通に戻ってるし!?ってそんな事より多分見ている人達はこの状況見て何が起こってるか分からんだろうから今の状況を説明しないとな……

 

つい先日異世界のラプ達が来た時に向こうのこよりが俺の事解剖すれば俺の秘密を知る事が出来るかもと言ってたのを思い出し、確かにそうすればもしかすると神羅族について何か少しでも分かるかと思い俺は藤枝コーポレーションの生物学研究部にお願いして俺の解剖を行ってもらう事にしたのだ。

 

だけど当然俺本人が解剖されるワケにはいかないので能力を使って分身体を生み出しそれを解剖してもらったワケだ。なので目の前にある解体された人体は俺の分身なんだが……やっぱ分身とはいえ自分の身体が解剖されるのは複雑な気分だわ……

 

「それで博士、解剖してみて何か分かった事はありましたか?」

 

「ああ、それはもうかなりの事が分かってきたよ。流石に分身体だったから100%ではないけどね?まずはこの筋肉構造なんだけど上半身は猿人系の獣人に近いようなしなやかさと力強さを誇っていて下半身は象やサイのような屈強さがありながらチーター等のネコ科に近い瞬発力やスピードに長けた構造をしている」

 

「へぇ、要するに玲二の身体って強くて頑丈でその上素早いって事?」

 

「分かりやすく言えばそうだね。しかも普通なら人間の数倍には膨張されていないとおかしい程の筋肉質なのにそれが通常の人間サイズに収まっているのが不思議なんだ。まだ此処は少し調べないといけないね」

 

成る程、そうなってたのか俺の筋肉……なんか兄貴もそんな筋肉質な気がしてきたが流石にないよな?

 

「それと臓器に関してなんだが……これは正直見て凄かったよ。なんせ全ての臓器にかなり高度な自己修復能力が備わっていたんだからね。分身体でこの自己修復能力だ、本人である玲二君の場合だとあらゆる病原や怪我等はすぐに自己治療されるだろうね?」

 

「自己修復能力……そんなモノまで備わってるなんてな?」

 

「でも確かに玲二って神羅族の力が強くなってから一度も病気なんてしてないし怪我だってすぐに癒えるもんね?」

 

「それってつまりその臓器を他の人に移植したらその人も高い治癒能力を得られるって事?」

 

「いや、それは無理だね。この治癒能力はかなり高すぎて通常の生物に移植してしまうと体内の細胞が暴走を起こし逆に壊死を起こしてしまいかねないんだ。だから玲二君の臓器を移植するのははっきり言って死を助長させるだけだ」

 

成る程、強過ぎる再生能力は返って身体が耐えられなくなるのか。もし移植なんかに使えるなら俺の家族に何かあった時ドナーになって臓器をコピーしてって思ったが、これはかなり危険な行為だから止めた方が良いな。

 

「そして最後に心臓なんだけど……これが一番驚いたね。この心臓からはかなり高水準の魔力と霊力と神力が検出されたんだ。分身である君の心臓だけでも高度な魔導師や霊能力者の数十倍の濃度があるね」

 

「そんなに高いんですか!?」

 

「あぁ、これはまさに生きた魔力回路と言っても過言ではない。最も、これもまた通常の生物に移植すれば恐ろしい事になりかねないけどね?」

 

「あー、やっぱ玲二じゃないと耐えられないんだね?」

 

「そう考えるとやっぱり玲二って凄いよね♪」

 

まあ凄いとかはさておいて、うーん……分身体でこれ程って事は俺自身はどんだけの力を持ってるんだろうか?それに関しては引き続き博士に調べてもらうしかないか。

 

「では博士、このまま引き続き俺の分身体を調べてもらってもいいですか?」

 

「ああ勿論だ。これは会長も許諾してくれてるから責任を持って研究させてもらうよ。あ、それとなんだけどこの心臓を少し使わせてもらっても良いかな?」

 

?心臓を使うってどういう事だ?さっきも言ってたけど移植とかは無理な筈だし……ん?博士が奥にあるベッドの布を剥いだけど……!?こ、これは!?

 

「ひ、人?!」

 

「こ、これって人体ですか?!」

 

「うん、正確に言えばある人物が提供してくれた細胞から作り出したホムンクルスだね。将来的に医療に貢献する為に生み出したんだけど、やはり人体そのものの錬成は難しくて今のところは此処までしか出来てないんだけどね」

 

ベッドの上にはまるで成人女性の人間そのものだが全く動かない人造人間、ホムンクルスが寝ていた。今まで医療の為にホムンクルスを作る企業は多かったがそれでもまだ成功した試しがないのに、まだ生きてはいないとはいえ此処までしっかりとしたホムンクルスを作れるなんて、やはり義兄さんの古い友人である博士は只者ではないな……?

 

「其処で玲二君、君の分身体の心臓をこのホムンクルスに移植させてもらえないだろうか?今までのホムンクルスの研究も主に心臓の欠陥が理由で上手くいかなかったケースが殆どだったんだ。だから試しに玲二君の心臓を移植して様子を見てみたいんだけど、どうかな?」

 

「え?でも玲二の心臓を移植したら身体が耐えられないんじゃないの?」

 

「通常の生物なら確かに耐えられないだろう。けどこのホムンクルスの場合は通常の人体よりもかなり強固に作られているからおそらくだが玲二君のコピーの心臓なら理論上は可能な筈なんだ。だから玲二君、今後の医療の発展の為にこの心臓を移植させてもらえないだろうか?」

 

……確かにこれが上手くいけば身体が不自由になった人とかに対する移植医療に大きく貢献出来るだろうけど、はたしてそんな上手くいくのか?まあこの博士は義兄さんとの付き合いでそれなりに知ってるし悪い人ではないのは分かってるから良いんだけど……

 

「……分かりました、でも例え失敗してもこれで最後にしてくださいね?俺もそんな人体のコピーなんて安々と出来ないですし、ましてやそんな人権を損害されるような事もされたくないですし」

 

「勿論、其処は必ず約束は守るよ。それじゃあ早速移植しよう。」

 

博士はそう言うと早速ホムンクルスに俺の心臓のコピーを移植する準備を進めだした。外科医でもある博士はかなり手際よく移植手術を進めていき、僅か一時間という脅威のスピードで移植手術を終えてしまった。

 

「……よし、これで大丈夫な筈だ」

 

「?でも全然動かないね?」

 

「まだ生命活動を開始してないからね。それじゃあこれから少し電流を流して心肺を動かしてみるよ」

 

博士はホムンクルスに心臓マッサージとかに使われているような器具を付けて近くにあった装置で電流を流し始めていく。これで本当に上手くいくのか?なんか嫌な予感がするんだけど……?

 

 

 

ー…………バチッ……バチバチバチバチィッ!ー

 

「え!?な、なんだこれは?!」

 

「は、博士!?どうなってるんですかこれ?!」

 

「わ、分かんない!?だが電流を流した途端にホムンクルスから膨大なエネルギー量が……!?」

 

突然ホムンクルスに繋がれた機械のメーターが急上昇し電気が溢れ始めた。こ、これってかなりマズくないか?!

 

ーバチ、バチバチバチ、バチ……ビカアァーーーッ!ー

 

「ッ!?マズい!皆俺の後ろに隠れろぉッ!!」

 

「え!?う、うん!」

 

電流を流され続けホムンクルスの身体が光り危険を感じた俺は急いでアカリとシロと博士を集めてバリアを張った。その瞬間………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーチュドオォォォォォォォォォォォオンッ!ー

 

 

 

 

 

突然ホムンクルスが大爆発を起こし辺りに強烈な光と爆音が響き渡っていく。こ、これはかなりヤバい事になってねぇか?取り敢えずそろそろ大丈夫そうだからバリアを解くか……

 

「…………ふぅ、助かった。アカリ、シロ、大丈夫か?」

 

「う、うん大丈夫………シロちゃんは?」

 

「シロも大丈夫………って玲二!あのホムンクルスがいなくなってるよ!?」

 

何!?そんな馬鹿な……本当にいなくなってる!?今の爆発で散ったか?!いや、それならグロテスクだが身体の破片が散らばっててもおかしくないだろうし、ってか研究室の壁も一部崩壊して外から丸見えになっちまったな……ッ!?ま、まさか……?!

 

「博士!もしかしてホムンクルスは……!?」

 

「……うん、おそらく今の爆発で何処かに飛ばされてしまったのかもしれない。これは、かなり大変な事になってしまった!急いで会長に連絡してホムンクルスの行方を追わないと!」

 

博士は慌てて義兄さんに連絡してホムンクルスの行方を追う為に七奈美達RBKチームを派遣してもらうように要請を出していく。俺達も一緒に探していかないと!まずはこのホロライトシティを全体的に探さないと!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから少し経った頃……

 

「うーん、次の企画はどうしようかな〜?そろそろ今までと違った事務所とコラボしてもいい気が……ってあれ?今何か聞こえたような……?」

 

玲二達やRBKチームがホムンクルスを捜索しているその頃、たまきが河川敷を散歩しながら次の配信の企画を考えていると一瞬何かが聞こえたように感じ足を止めていた。小さい音だったので気のせいか?そう思っていたが……

 

ーフェ…フギャア…フギャア…ー

 

「ッ!やっぱり気のせいなんかじゃない!えっと……こっちからだ!」

 

はっきりと何かが泣くような声が聞こえたまきはその声が聞こえた川沿いの方に向い草が生い茂った場所を探し出す。すると……

 

 

 

「ふぎゃあ!ふぎゃあぁ〜!」

 

「あ、赤ちゃん!?なんでこんな所に赤ちゃんが?!」

 

なんと其処には必死に泣きじゃくる赤ん坊の姿が!?突然の事に驚き動揺してしまうたまきだったが……

 

「ふぎゅ……ふぇ?」

 

「え、えーと……こ、こんにちは~?」

 

「…………まんまぁ♪」

 

ズッキューンッ!!

 

赤ん坊が近づいてきたたまきを見て笑顔になりママと呼び、それを見たたまきの頭の中に莫大な思考が巡っていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………え?ママ?この子今ママって言った?誰が?……僕が?え、でも他に人はいないから僕に言ったって事?つまり僕がママって事だよね?あれ?でも僕は一応男だからママじゃないよ?……いや、もしかしたら僕は性別を越えて母親になったって事?という事は父親は……ご主人様!?そうだきっと、いや絶対にそうだ!これはきっと神様が僕にご主人様との子を授けてくれたんだ!という事はご主人様と僕は事実上の夫婦って事だよね!?僕とご主人様とこの子、僕が今まで夢にまで描いてた理想の結婚生活!それがいつの間にか叶えられたんだ!そんな、そんなのって、嬉し過ぎて僕○ッちゃいそうだよおぉ〜ッ♡

 

 

「まんまぁ?」

 

「ハッ!?ご、ごめんね!?ママ嬉しくて思わず舞い上がっちゃってたよ♪よしよーし、それじゃあママと一緒に帰ろうね〜♪」

 

「あぅ♪」

 

あまりの嬉しい出来事に思考がオーバーヒートしそうになるも赤ん坊の声を聞いたたまきはその子を抱っこして神羅城へと帰っていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だ、ダメだ、全然見つからない……!?」

 

「もしかしてホロライトシティの外にまで飛んでいっちゃったのかなぁ?」

 

「だとしたらもうこれ以上この島を探すのは無理じゃない?」

 

あれからホムンクルスの捜索を皆で行っていたが、何処を探してもそれらしいモノは一切見つからなかった。それはRBKチームも同じで近くの海域も調べてくれたみたいだが見つからず、もう暗くなってしまったので捜索は一時中断となってしまったんだ。俺も自分の心臓のコピーを頼りに探したが全然反応がなく見つける事が出来なかった……

 

「一体何処に消えたんだ?もしホムンクルスが無事だったとしても他の誰かに見つかって最悪悪用なんてされたらとんでもない事だぞ……?」

 

「こうなったら明日早くにでも捜索を拡大しないと……」

 

そうだな、幸い明日は皆休みだったから本土の方も視野に入れて捜索を再開するしかないな……

 

「ごー主人様♪」

 

「ん?なんだたまき、悪いけど俺達今大変なんだ。用事があるなら後に……ってどうしたんだその子?」

 

そんな中たまきがニコニコと笑顔で俺の元にやって来たんだが……なんでこいつ赤ん坊なんて抱っこしてんだ?ってか誰の子なんだその子?心なしかたまきに似てるが……?

 

「えへへ〜、皆にも紹介するね♪この子は僕とご主人様の赤ちゃんのみたまちゃんでーす♪」

 

「あっきゃ♪」

 

 

…………

 

 

 

……………………

 

 

 

 

 

………………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『はああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!??』

 

ど、どど、どどど、ど、どういう事だ?!俺とたまきの子供!?んなワケあるか!たまきは男だぞ!どうやって男同士で子供なんて出来るんだよ?!ってか俺はたまきとそんな関係になった事なんて一度たりともねぇよッ!?

 

「ど、どういう事なんですかご主人様?!この子がご主人様とたまきちゃんとの子なんて!?」

 

「というかいつの間にたまき君子供産んだのさ?!」

 

「ていうか男が子供産めるワケないじゃん!?ねぇレイさん!これって一体どういう事なの?!」

 

「いや俺だって分かんねぇよ?!おいたまき!冗談でも質が悪いからんな変な嘘つくの止めろよ!?」

 

「嘘じゃないもーん♪この子は間違いなく僕の子だもーん♪ねぇみたまちゃ〜ん♪」

 

「あうぅ〜♪まんまぁ〜♪」

 

みたまと呼ばれる赤ん坊もたまきの事をママと呼んでいる……ま、マジで一体どうなってるんだ………………ん?

 

「?レイくん、一体どうしたんですか?」

 

「…………この子、なんでか分からないが俺と同じ力を感じる……おいたまき、本当の事を言え。この子は一体何処で出会ったんだ?」

 

「え〜?うーんと……一時間くらい前に河原を歩いてたら河川敷の所に泣いてるこの子を見つけて、それでこの子が僕の事ママって呼んでくれたからそのまま連れて来ちゃった♪」

 

おいそれ完全に事案じゃねぇか!?というか河川敷で拾った?!このホロライトシティで捨て子か?!…………いや、この子から僅かだが感じる俺と同じ力……まさかこれって!?

 

「…………おいたまき、ちょっと悪いが明日この子を連れて着いて来てほしいとこがある」

 

「え?もしかして役所とか?そっかそっか〜♪ご主人様も漸く僕と結婚する気に「なってないし良いから黙って着いて来い」……はーい」

 

たまきはなんかしょんぼりしているが、俺の勘が間違ってなければこの子はおそらく…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日……

 

「…………それで博士、この子について何か分かりましたか?」

 

「あ、あぁ……信じられない事だが、この子は間違いなく昨日行方が分からなくなったホムンクルスだね」

 

「うみゅ?」

 

「え!?この子があのホムンクルス?!」

 

やっぱりか……俺も最初はまさかと思ったがこの子から感じる力、神羅族の力は本来なら俺とその血を引く子供達以外からは感じるワケがない。それなのにこの子からその力を感じるという事は、この子は昨日俺の心臓のコピーを移植されたホムンクルスに間違いない。でもなんで赤ん坊になってんだ?

 

「どうやら玲二君の心臓のコピーを移植した際に心臓に宿っていた神羅族の力がホムンクルスの身体を再構築してしまったみたいなんだ。その結果、ホムンクルスの身体が本物の人間と同じように生まれ変わってしまったみたいなんだよね。赤ん坊になってしまったのはその時の再構築の影響だろう。けどその所為かこの子からは神羅族の力は殆ど失われてしまったみたいだけどね?」

 

「そ、そうだったんだ……それを偶々河川敷に飛ばされて其処にいたたまきくんが見つけて……」

 

「で、みたまちゃんにママって呼ばれた事でたまきくんの妄想が膨らんで舞い上がって神羅城へ連れ帰っちゃったって事?」

 

「そういう事だね……」

 

いやマジで頭が痛くなってくる。しかも力が微弱だったのも身体の再構築の所為で殆ど力を使い果たしてしまったからだったのか……にしても今回は偶然にも探していたホムンクルスだったから良かったけどたまきもそんな身元の分からない赤ん坊を連れて来んなよな?普通に誘拐犯と言われても文句言えねぇぞ?

 

「そ、そんな……?みたまちゃんが僕とご主人様の子じゃないなんて……?」

 

「いや妄想と現実をごっちゃにすんなよ?大体男同士で子供なんて「いや、それがあながち間違いでもないんだ」……は?」

 

間違いじゃない?どういう事だ?一応俺の心臓のコピーを移植しているから百歩譲って俺の子供だっていうのは分かるけど……?

 

「ほら、昨日ホムンクルスを見せた時に言ったでしょ?このホムンクルスは()()()()()()()()()()()()()()から作られたって」

 

「…………え?ま、まさかそれって……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そう、そのホムンクルスの素体は其処にいる犬山たまきさんの細胞から作られたんだよ」

 

『はああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーッ??!!』

 

な、なんだそりゃあ?!なんでたまきの細胞がこのホムンクルスに使われているんだ!?ていうかいつの間にたまき自分の細胞なんて提供したんだよ?!

 

「実は以前彼が僕の募集していた治験のバイトに参加していてね。その時に同時にホムンクルスの研究をしていたからついでに彼の血液と唾液を提供してもらったんだよ」

 

「え?……あーあの時の豊胸薬の治験のヤツか」

 

「そんな事してたのたまきくん?!というかその胸その薬で大きくしてたの!?」

 

いやマジで何してんだよこいつ?!本当にこいつが俺絡みでする事にロクな事がなさ過ぎるだろ?!ていうか博士も何男に豊胸薬の治験なんてさせてんだよ?!普通女性に頼むだろそういう薬は!?

 

「…………て事は、みたまちゃんは本当に玲二とたまきくんの子供って事?」

 

「まぁ玲二の心臓のコピーとたまきくんの細胞から作られたホムンクルスから産まれたって意味ではそういう事になっちゃうよね?道理でみたまちゃんがたまきくんに似てるワケだね……」

 

「そ、そんな事って……?!」

 

アカリとシロの言葉に俺の中にある何かが崩れる音がするような気がする……そんな俺の服をみたまはくいっと引っ張ってくる。

 

「むふ〜♪これってつまりぃ、僕とご主人様はもう夫婦って事で良いよね?これから僕とみたまちゃんをよろしくね、パーパ♪」

 

「あぅ~♪ぱーぱ♪」

 

ーピシッ!フラァ…バタンッ!ー

 

「あぁッ!?玲二しっかりしてぇ〜?!」

 

「玲二!ショックなのは分かるけどしっかり……ッ!?大変!玲二息してないよ?!」

 

「えぇ?!ちょっとご主人様!?僕とみたまを置いて逝かないで〜!?」

 

「あぅ?」

 

たまきとみたまからパパと呼ばれたショックで俺は一時的に心肺停止を起こしてしまい、そのまま博士に蘇生治療をしてもらうがショックのあまり一週間寝込んでしまうのであった……

 

そしてイレギュラーとは言え子供が出来てしまった以上責任を取らないといけないという事で超特別な異例処置としてたまきが俺の籍に入ってしまった。どうしてこんな事に……拝啓父さん母さん、致し方ないとはいえ俺に男の嫁が出来てしまいました。こんな俺を許してください……

 

 

 

ひょんな事で佐々木一家に加わったたまきと元ホムンクルスのみたま。はたしてこれからどんな事が起こるのやら……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーオマケー

 

「こ、これは……!?」

 

「?どうしたんだましろ、そんな驚いて?」

 

「や、社さん!これ見てよ!?」

 

「ん?どれどれ……?」

 

 

『犬山たまき、異例の同性婚!?お相手はあの佐々木玲二!?』

 

 

「……なんだこれ?!あいつたまきとも結婚したっていうのか?!」

 

「そうなんだよ!つまりこれは……僕にもそのチャンスがあるって事だよねぇ?グヘヘ……♪」

 

「あ、あぁ……(どうしてあいつの身の回りにはこんな面倒事が次々と起こるんだ……?)」

 

新聞の一面を飾っているたまきの結婚報道を見て自分にもチャンスが巡ってきたとテンションの上がるましろ爻であった。尚この後玲二に迫るも当然のこのながら追い返されたのは言うまでもない。




はい、というワケでまさかのたまきが佐々木一家に参戦、そして新たなベイビーみたまの登場回でした!偶にはこんくらいぶっ飛んだ方が良いよね?ってなって書いてたらあっという間に出来てました!因みにこの話を書いたのは全話よりも前です!(^o^;)

そして次回からはネタが切れたのでリクエストで頂いた内容を元に書いていこうと思ってますのでまったり待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第121話『あくありうむ』

最近MGでFAZZが定価並の値段で売ってる所があって買おうか迷いましたが流石に場所がもう限界なんで諦めました……( TДT)
皆さんも自分の生活スペースに合った購入をしましょうね。

さて今回はリクエストにあった中からまずはあの三人組が登場です!今回も最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


たまきとの同性婚というショッキングな事件から早一ヶ月、いろいろとごった返す事はありつつも俺達は平穏に暮らしていた。最近では異世界からの来訪者も来ないから落ち着いて自分の仕事が出来るから良いんだが……

 

「うーん……」

 

「あれ?ご主人様、どうかしたの?ずっと画面みてしかめっ面してるけど……」

 

「うゆぅ?」

 

「ん、たまきか……いやな、最近森側に発生した時空の歪みが何やら活発化してるみたいでな。もしかしたら何かがこの世界にやってきているかもしれないんだ」

 

そう、此処最近は大人しかった時空の歪みだったがつい数日前から森側にある歪みが活発化しだし、何時何かがこの世界に迷い込んでも不思議ではない状態なのだ。おそらくは異世界のholoXの時空転移が原因で時空間が荒れてしまって今や荒波状態になっているようだと義兄さんは推測してたが、確かに以前この世界に迷い込んだ鎧武こと紘汰を元に戻す際も何時もより時間が掛かってしまった気がしていたんだ。あれはそういう事だったんだな?

 

「さーて、おそらく近い内にまたこの世界に誰かが迷い込んでくるかもしれないな?異世界の俺達か、別の世界の住人か……何れにしてもこちらの世界に敵意がなければ良いんだがな?」

 

正直異世界holoXの時のようなゴタゴタは勘弁してほしいしな。さて、今ある仕事も終わらせたし、何かあるまでは休憩でもするか……

 

ーウィーンッー

 

「ご主人様大変です!また異世界から来訪者が現れたした!」

 

「って早すぎだろ?!」

 

みしろが慌てた様子で俺の事務所に入って来たけど、なんてタイミングが良過ぎるんだよ?!折角休憩出来ると思ってたのに!?

 

「ま、まぁそれは良いとして……で、そいつは一体どんな奴等だ?まさかこの間のholoXみたいな侵略者とかじゃないだろうな?」

 

「い、いえ、そうではないのですが何やら扱いに困りそうな方々というか……?」

 

扱いに困りそうな方々?なんだ?もしかして異世界の王族とかじゃないだろうな?まあ誰が来ようと対処しないといけないから厄介な奴等じゃないと良いが……

 

「分かった、取り敢えずすぐにそいつ等の元に行くとするか」

 

「はい、かしこまりました……処でたまきちゃん?貴方は何で此処にいるのですか?確か貴方は今新しい企画の為の準備をしている筈では?」

 

「いやぁ~、それが少し手詰まりになってたから気晴らしに旦那様の所に遊びに来てたんだよ♪ね~みたまちゃん、みたまちゃんもパパに会いたかったもんね〜♪」

 

「あぅやぁ〜♪ぱーぱ♪」

 

…………あぁ、そういえばこいつとは異例中の異例で結婚してしまったんだっけか?もう脳があの時の事を忘れようとしていたのか時々忘れそうになっている。本当、なんであんな事になってしまったんだろうか…………?それに

 

「アハハ、オモシロイ冗談ヲ言イマスネタマキチャンハ?コノ国ジャマダ男ガ男ト結婚出来ルワケナイジャナイデスカ?」

 

「あ、またみしろが現実逃避モードになっちゃった」

 

「いやそりゃこんな状況になったら誰だって現実逃避したくなるって」

 

あれからみしろはたまきとの結婚を頑なに認めずたまきが幾ら言っても現実逃避モードになってカタコトになってしまっている。無理もない、俺自身が夢で済んだらどれだけ良かったかと思ってるしな。けどなんだかんだ言ってみたまは可愛いんだよなぁ……

 

それとたまきとの異例の同性婚についてのりプロの社長でありたまきの母親であるのりおさんはたまきの幸せを願うのとホロライブとにじさんじに強力なパイプを繋げた喜びよりも相手が男だったのと特殊な産まれ方をした子供がいると聞いた所為でショックで今も偶に寝込んでいるらしい。お陰でやっと治った脱毛症がまた再発、それどころか以前より多く髪が抜けてしまったらしい。のりおさん、他人事みたいで申し訳ないんですが……ご愁傷様です。

 

「と、兎に角その時空の歪みから現れた連中を探しに行くとするか。みしろ、案内は……出来そうにもないか?」

 

「タマキチャンハ男、ゴ主人様モ男、結婚出来ルワケナイナイミタマチャンハゴ主人様ガ養子デ引キ取ッタ子供ナンダカラ」

 

「だぁーから!そんな現実逃避したって僕がご主人様と結ばれた事には変わらないんだからね?みたまちゃんもご主人様と僕の遺伝子が合わさった子供なんだからーガシッ!グググッ……!ー痛だだだだだだだだだあぁーーーーーーッ!?」

 

「ソンナワケナイナイナイナイナイナイナイナイ…………」

 

「……みたま、一緒に来るか?」

 

「あい♪」

 

あーあ、たまきの奴現実逃避モードのみしろに迫った所為で思いっきりアイアンクロー喰らってるよ。みしろは普段非力だが現実逃避してる所為か本能覚醒していて普通の成人男性相手でも簡単にひねり潰せる力を発揮出来るからそんな今のみしろを徴発するような事したらそうなるだろ?俺はみたまを連れてそそくさと部屋から出ていく。まぁある程度したらみしろも正気に戻るだろ。それまでたまきが持てば良いんだがな……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……成る程、情報によればフブキとあくあとマリンによく似た三人組か」

 

「その内私がお嬢様っぽい格好であくたんと船長がメイドっぽい格好をしてると……」

 

「……なぁ玲二さん、これってもしかしなくても()()()()()が来たんちゃうか?」

 

あぁ、もうこの特徴聞いただけでも大体どんな人物が来たかが想像出来てしまった。俺は今目的の来訪者を探しに街へと出ている最中で、街の住民に聞き込みをしていると既にこの街にそれらしき三人組がやってきていたそうだ。現在はフブキと楓、そしてにじさんじ所属で作家もしている『夏芽(旧姓:来栖)』と一緒に最も目撃情報が多かった此処噴水広場にやって来ていた。

 

「夏芽もすまないな、新しい小説の筆記中なのにこんな事にわざわざ付き合わせてしまって」

 

「ううん、小説自体はもう書き終えて後は編集部の人に渡すだけだったから良いの。それに私も偶にはお外に出て散歩しないとね〜みたまちゃん♪」

 

「あっぷぁ♪」

 

そう言って夏芽は抱っこしているみたまに頬擦りをするとみたまも嬉しそうにキャッキャと笑っている。夏芽も後二ヶ月もすれば本当に母親になるからその予行練習みたいになってて良いな。

 

「そういや玲二さん、少し気になっとったんやけど……みたまちゃんって性別的にどっちなんや?」

 

「……一応生物学的には男の子らしいけど、実際はどっちなんだろうな?」

 

「うゅ?」

 

そう、実はまだ言ってなかったがみたまは実は生殖器官がどちらも付いているのだ。

 

これには理由があって、博士は元は女性をベースにホムンクルスを製造したのだが俺の心臓が合わさった際に身体が再構築してしまい、おそらくその時に元の素材になった遺伝子がどちらも男だった為に男の生殖器官も付いてしまったようだ。

 

通常性別を決める遺伝子情報は男性はXYで女性はXXなのだが、みたまはなんとXYXなんだとか?その為一応男性要素のY染色体があるという事で男の子扱いになっているが……実際どういう扱いにしたら良いかが分からず困っている。まあみたまが将来男か女、どちらかで生きていくと決めたならその時に考えてやれば良いか。

 

「まあそれは将来的に決めれば良いと思いますし、それよりも今は来訪者達を見つけないと!」

 

「あぁ、フブキの言う通りだ。もし俺達の予想通りの連中なら其処まで心配ない……いや、充分に心配だわ。さっさと見つけて大人しくさせないと」

 

ま、まぁでもまずやって来た奴等が俺等の想像している奴等とも限らないし、それに何方にしても早く見つけてやらないと「だから誤解ですってえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!」…………あー、やな予感的中か。俺の目の前にある食べ放題やってる焼肉店の中から何処かで聞いた事のある叫び声が聞こえてきた。と、取り敢えず中に入って確認しないと……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何が違うって言うんですか?!あなた達こんな変な偽札使って誤魔化せると思ってたんですか!?もう埒があかないから警察に通報しますからね!」

 

「だからそれは本当にちゃんとしたお金なんですってぇ!?寧ろなんでこのお金使えないんですかぁ?!」

 

「ど、どうしましょうフブキお嬢様……?!」

 

「どうするって言われても、困りましたね……」

 

…………やっぱり、予想通り来ていたのは異世界のフブキとあくあとマリンの三人か。しかもあの格好からして、これまた予想通り『あくありうむ』の世界観の三人みたいだな?どうやら此処で飯を食べてたようだが持ってたお金がこの世界の物と違ってる所為で食い逃げを企んでると勘違いされてるみたいだな?全く、仕方ないな……

 

「すみません店長さん、そちらの三人は自分達の関係者なのでお代はこちらでお支払いしますので許してやってくれませんか?」

 

『え……?』

 

「え?あ、市長!?わ、分かりました!それでは、えーと……44500円ですね」

 

高ッ!?え、焼肉三人分で四万超え?!一体何食ったんだ……って国産和牛ステーキ食べ比べセット一人前一万超えって馬鹿だろ!?

 

「わ、分かりました……はいこれ、カードでお願いします」

 

「畏まりました。ではこちら領収書発行しますのでお待ち下さいませ。それと、幾ら市長の関係者とはいえこういった事はもう止めてくださいね?」

 

「はい、注意しておきます……」

 

うわぁ余計な出費したし理不尽な注意喚起されたしでかなりキツい……取り敢えず領収書も貰ったし、さっさとこの三人を連れて外に出るとするか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……すみません、どなたか存じませんが助けて頂き感謝します。ほら、二人も頭を下げて?」

 

「あ、あの……あ、ありがとうございます……///

 

「アッハハハ♪いやぁ~まさかお金が使えないとは思いもしなかったので助かりましたぁ〜♪」

 

なぁにが助かりましたぁ〜♪だ?お陰でこっちは余計な出費だってのに。まぁ大した損害ではないから良いけどな?

 

「それにしても本当にフブキさん達そっくりなんですね?」

 

「ま、まぁそっくりと言うかは別世界の私達ですからね?」

 

「でもこの間来とったラミィちゃんやラプちゃんと違って其処まで性格に違いはないんやな?」

 

まぁやって来た世界が世界だからな。今俺達の目の前にいるフブキとあくあとマリンがやって来たであろう『あくありうむ』とは少し前にあくあが自ら監修して作り出した恋愛シミュレーションゲームだ。主人公がメイドであるあくあと物語を進めていきやがて恋に発展するというホロライブ初の試みである。

 

因みにだがこのゲーム、あくあ監修と言ったが実際はシオンとの対決で負けたあくあに罰ゲームで用意されたこの企画を俺が面白いからとGOサインを出して出来たゲームである。(この世界の設定です)

 

まさかこんな形のパラレルワールドも存在するなんてな?取り敢えずややこしくなる前に目の前の三人にも事情を説明しないとな。

 

 

事情説明中……

 

 

「……成る程、つまり掻い摘んで言うと此処が異世界で目の前にいる私がこの世界の私だという事ですね?」

 

「まあそんなところだ」

 

「ほへぇ〜、でもお嬢様が二人いるなんてなんか新鮮な感じですね?」

 

「う、うん……」

 

うん、取り敢えずは三人とも事情は把握してくれたから良しとして問題はこれからだな?まずは三人を神羅城へ連れてって暫くの衣食住を保証しないと。それと同時にあくありうむの世界を探して……あれ?そういえば……

 

「……なぁ異世界のフブキ。お前って確か弟的な奴がいなかったか?」

 

「え…………ああぁーーーーーーッ!?そうでした!テオも確か白上達と一緒にあの時空の渦に巻き込まれたんでした!?」

 

やっぱりか!?というか何故忘れてたんだよこいつ等?!さっきも言ったがあくありうむは恋愛シミュレーションゲーム、つまりはあくあと恋愛する主人公の男がいる。それが『テオ=フランソワ』だ。この三人が時空の歪みに巻き込まれたんだったらその世界の主役たるテオも巻き込まれててもおかしくはないとは思ったが、まさに案の定だったな。

 

「ど、どうしようマリン!?テオが何処かに行っちゃったよぉ〜?!」

 

「おおおおお落ち着いてあくたん!?こういう時は素数を数えるのよ!3.141592……!」

 

いやそれ円周率だろ?兎に角これはまた面倒な事になってしまったな?まあこうなったら仕方ないな……

 

「フブキ、取り敢えず俺はテオって奴を探すからお前等はこの三人を神羅城に連れていってやってくれ。おい異世界のフブキ、そのテオって奴を探す為に何かそいつが持ってた物はないか?」

 

「あ、はいあります!これ、テオのハンカチですがこれで良いですかね?」

 

「ん、サンキュ。じゃあフブキ、後は頼んだぞ」

 

「はいレイくん!このフブキにお任せあれ!」

 

よし、ならさっさとテオを探しに行くとしますか。反応は……いまいち感じ取れないが、取り敢えず島周辺を探すとするか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はい、此処が私達のお家です!」

 

「す、凄い……私達のお屋敷の数倍デカいです……!?」

 

あくありうむの三人を連れて神羅城に戻ってきたフブキ達。三人はフブキ達の住む神羅城を見て自分達のお屋敷よりも立派なお城に住んでいる事に驚きを隠せずにいた。因みにあくありうむの三人に関しては同一人物がいる為それぞれ名字で呼ぶ事にしたようだ。

 

「それじゃあ早速案内しますね。ただいま〜」

 

「まーま、おかえり〜♪」

 

「り〜♪」

 

『………え?』

 

扉が開きエントランスホールに入ると同時に奥の方からこゆきとふゆきがトテトテとこちらへとやって来た。

 

「こゆき、ふゆき、もう保育園は終わったの?」

 

「あい!あくたんまま、おむかえきてくれちゃ!」

 

「おゆーぎたのち〜♪」

 

「皆でキラメキライダー☆踊ってたもんね〜えりあちゃん♪」

 

「あ、あい〜♪///」

 

どうやら保育園が終わって帰ってきたところだったようで、一緒にいたあくあの腕に抱っこされてるえりあも恥ずかしながらも嬉しそうに笑っていた。

 

「……あ、あの、この世界のフブキさんや?この子達は一体……?」

 

「え?あーそっか、そっちの世界じゃいないもんね?この子達は私の子でこっちの黒髪混じりの子が姉のこゆきでこっちの尻尾のない子が妹のふゆき。それで今こっちの世界のあくたんが抱っこしてるのはあくたんの子のえりあちゃんだよ」

 

『子供ぉッ?!』

 

まさか異世界の自分達が子持ちという事に驚いてしまうあくありうむ組。そんな三人を見てこちらの世界のあくあも驚いてしまう。

 

「え、あてぃし!?それにフブキちゃんも二人?!」

 

「あぅ?」

 

「アハハ、今度は異世界の私達が来ちゃったみたいなんだよね〜♪」

 

「もうなんだかんだでこれで九人は異世界のホロメン来とるもんな?」

 

「もしかしたらその内異世界のにじさんじライバーも現れたりするかもですね♪」

 

驚くあくあを尻目に既になれ始めたフブキと楓と夏芽はそんな他愛のない事を話し出す。確かにその内にじさんじライバーが来てもおかしくはないが、それはまた別の話という事で……

 

「へ、へぇ〜?この子達が異世界の私の子供達なんですね〜?」

 

「あい!こゆき、にさい!こんにちゃー!」

 

「ふーゆ、いっちゃい!こんちゃー!」

 

最初は驚くもこゆき達の元気な挨拶を聞いた白上は嬉しそうにニヘラと笑いながらこゆき達の頭を撫で撫でしていく。そしてあくあ達は……

 

「あ、あの、その…………」

 

「えと、その、あ、あ、あ…………」

 

「あ、あうぅ〜…………」

 

『スウゥーーーーーー…………』

 

何を喋って良いのか分からずお互いに言葉が詰まってしまい、そんな母親達を見てえりあも困ってしまい三人揃って蕎麦を啜るように息を呑んでいる。

 

「へぇ〜異世界のお嬢様とあくたんにまさか子供がいるなんて……ハッ!これはまさか、マリンにも子供が「おう、おるよ」え!?本当にいるの?!」

 

「まあちょっと繊細な子やけどな。なーあくたん、船長って今何処におるか分かるか?」

 

「え?じ、実はさっきマリアちゃんが大泣きしちゃってそれで……」

 

「あーマリアちゃん大泣きしちゃったんだ……」

 

『?』

 

船長の娘が大泣きしてしまったと聞いて一同はまたかと頭を抱えていたがあくありうむ組には一体なんの事か分からず首を傾げる。

 

「え?船長っていうのがマリンの事でそのマリンの子がマリアっていうんだよね?なんでその子が大泣きしただけでそんなに暗くなっちゃうの?」

 

「えーと、実は私達の子供達って少し特殊でして、その中でもマリアちゃんは「たあぁすけてえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!」って話をしてたら早速……」

 

フブキが三人に説明しようとする中、奥の扉からマリンがマリアを抱えて助けを求めながらこちらへと駆け寄ってきた。一体何があったかというと……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「子供を泣かし、あまつさえ誘拐するとは言語道断!その命、神に返しなさい!」

 

「だからマリアはマリンの子供だって言っとるだろうがあぁぁぁぁーーーーーーッ!?」

 

「ふぎゅ、ふえぇ〜………」

 

「な、なんですかあれ!?マリンが子供を抱っこしながら白い鎧の戦士に追っかけ回されてる?!」

 

「マリアちゃんは大泣きしてしまうと異世界のヒーローを呼んでしまうんですよ。今回はどうやらイクサを呼んじゃったみたいですね?」

 

どうやらマリアが呼んでしまった仮面ライダーイクサに追いかけ回されてる最中のようだ。作中でも結構な頑固者だったが故かマリンの主張には聞く耳持たずイクサカリバーを構えながら逃げるマリンに迫っていく。

 

「ま、その内消えるから放っといても大丈夫やろ?」

 

「え!?ほっとくんですか?!」

 

「まあなんだかんだで呼ばれたヒーロー達は私達に本気で襲い掛かって来ることはないですもんね」

 

「まあ例外もあるけどイクサなら大丈夫ですよ、きっと。それじゃあ早速部屋に案内するので着いてきてください♪」

 

『は、はぁ……?』

 

結局マリンの事は放っといてあくありうむ組を客室へと案内するフブキ達。その十分後、佐々木家用リビングでケツにイクサカリバー(DX版)が突き刺さって悶絶してるマリンをフレア達が見つけて暫くの間白い目で見られる事になったとか?

 

 

 

続く……




はい、という事であくありうむの三人登場回でした!因みに自分はSwitch持ってないので動画を参考に書いてみました(;´∀`)

次回はあくありうむの三人と一緒にガンプラ制作回にしようと思いますので次回もまったり待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第122話『伝説の巨神?』

いよいよフルメカニクスのエアリアル発売日目前。はたして買えるのだろうか……?出来れば素組用と塗装用で二つはほしいですね。

今回はあくありうむ組の話後編です!最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


「…………で、これは一体どういう事なんだ?」

 

「あ、アハハ……どういう事なんでしょうねぇ?」

 

『わーい♪』

 

「あ、あの……これは私達何されてるんですかぁ!?」

 

いや本当に何してんだこれ?テオの捜索を終えて戻ってみればこゆき達が皆集まってあくありうむ組を囲んでキラメキライダー☆流しながら踊ってるんだが?まるで獲物や侵入者を捕らえた時の蛮族の舞いみたいになってねぇか?

 

「た、多分今日やったお遊戯会での踊りが楽しくてお客さんに見せたがってるのかも?」

 

「そんなに楽しかったの?」

 

「う、うん、チャイカさんや舞元さんが一緒に振り付け教えてたみたいで皆それが気に入っちゃったらしくて……」

 

何じゃそりゃ?しかもなんでその二人が振り付け教えてんだよ?なんか動きがキタキタ踊りみたいになってるし……いや今時キタキタ踊りなんて知ってる奴はいねぇか?兎も角なんか非常にシュールな光景だ。

 

 

※気になる方は『魔法陣グルグル キタキタおやじ』で検索。

 

 

「ほーらみんな〜、そろそろおやつの時間だから踊るの一旦止めような〜?」

 

『あーい!』

 

「ほな玲二さん、ワイは子供達におやつあげて来るからまた後でな?あくたんも手伝ってくれるか?」

 

「う、うん」

 

楓が子供達を呼んであくあと一緒に子供達におやつを食べさせる為にリビングへと向かっていき、残された俺とフブキと夏芽、そしてあくありうむ組は一旦落ち着く為に中庭へと向かう事にした。さて、取り敢えずまずはテオについて報告しないとな。

 

「それでなんだが……すまない、結論から言えばテオを見つける事は出来なかった」

 

「えぇ?!見つからなかったって、どうして?!」

 

「え、でもそのテオって人も一緒に時空の歪みに飲まれてしまったんだよね?」

 

そう、夏芽の言う通りあくありうむ組と一緒に時空の歪みに飛ばされた筈のテオなんだが、Aフブキ(あくありうむ組は今後名前の前にAを付けます)から渡されたテオのハンカチを頼りに探ってはみたものの、全くといって反応が感知されなかったんだ。それはつまり……

 

「……つまり、テオはこの世界ではなく別の世界に流れ着いた可能性があるかもしれないって事だ」

 

「ええぇぇぇぇーーーッ!?そ、それじゃあテオは今頃一人で別世界を彷徨ってるって事ですかあぁーーーッ?!」

 

「ど、どうしましょうお嬢様!?テオが、テオがあぁーーーッ!?」

 

「お、落ち着いてくださいあくあ!?こういう時は素数を数えるのです!4192作ろう鎌倉幕府……!」

 

いやそれ年号の覚え方だろ?最早数学要素ないし、てか年号の覚え方間違えてねぇか?4192年って、今から2169年後じゃねぇか……と、そんなのは良いとして

 

「落ち着け三人とも、全く手がないワケじゃねぇんだから」

 

「ほ、本当ですか!?」

 

「あぁ、ちょっとある奴に手を借りる事になるけどな。少し待っててくれ」

 

俺は持ってきたパソコンを起動させてその中にある通信システムを起動させある奴に連絡を取っていく。その相手とは……

 

《……誰かと思えば、我が同士玲二か》

 

「いや同士になった覚えはないぞ。けど急に連絡して悪かったな?ラプラス」

 

そう、以前俺達の世界に侵略してきた異世界のholoX総帥ラプラスである。以前異世界holoXと和解して別れた際に異世界間でも使える通信システムをラプラスから渡され、何か困った事があれば連絡してくれと言われていたので今回お言葉に甘えて連絡させてもらったワケだ。というかこの件に関してはこいつ等じゃなきゃ対処出来そうにもないからな。

 

《別に構わんさ、我が同士からの連絡なら吾輩は喜んで聞き入れるからな》

 

「だから同士じゃ……まあそんな事は良いとして、今日はお前に頼みたい事があるんだ」

 

《ほぅ、頼み事か?聞こうではないか》

 

うん、話が早くて助かるわ。俺は今回の異世界の来訪者についてとその内の一人が別世界に飛ばされた可能性がある事をラプラスに伝えていく。

 

《ふむ、異世界から迷い込んだ者達か?ふぅむ……吾輩達みたいに意図的に異空間を移動しているならまだしも迷い込んだとなると探すのは普通なら難しいな?》

 

「やっぱりそんなに難しいのか?」

 

《当たり前だ、貴様も異空間を移動出来るなら分かるであろう?異空間とは言わば無限に広がり続ける大宇宙のような物だ。貴様は其処から無くしたアクセサリーを探せと言われて探せるのか?》

 

そうなんだよなぁ?異空間というのは世界の数だけ無限に広がり続けている。パラレルワールドを始めとするアニメやドラマ、更には二次創作でも世界はどんどん増え続けている為にそんな広大にある世界の中からたった一人の人間を探すのは砂漠に蒔いた米粒や大海原で一度見た魚を探すのと同じレベルだ。普通に考えたら無理ゲーにも程がある。

 

「そ、それじゃあテオはもう二度と見つからないの……?」

 

「いや、そうとは限らないさ。じゃなきゃそんな大変なのを分かりきってるのにわざわざ助けなんて呼ばないって。なぁラプラス、お前等のその異空間を移動する能力を駆使すれば人探しをする事だって可能なんだろ?」

 

《フン、当たり前だ!そもそも吾輩だって何も考えなしで貴様を見つけたワケではないからな。吾輩の力と博士の技術力さえあれば異世界に迷い込んだ奴一人を探す事など容易いわ!》

 

おお頼もしいな。ならこの件に関しては異世界holoXに任せるとするか。それじゃあ早速テオの情報を伝えて……

 

《あれぇ?ラプちゃん誰と話してんの?あ、佐々木さんだ》

 

《え!?玲二!?玲二が映ってるの?!あ、玲二〜♪沙花叉の事見えてる〜?》

 

と思ってたら向こうのこよりとクロヱがラプラスに割って入りモニターに映り込んできた。クロヱは目が見えるようになってからはこっちのクロヱと同じように生き生きとした感じになってて何よりだ。こよりは相変わらずマッドな感じが拭いきれないが……

 

「あぁ見えてるよクロヱ、目の調子は良さそうだな?」

 

《うんうん!そっちの沙花叉からコピーした目を移植してくれたお陰でバッチリ見えてるよ〜♪》

 

《あ、そういえば佐々木さんって自分のコピーを解剖させたんでしょ?それをボクにもやらせてほしいなぁ〜♪》

 

《えぇい貴様等!今は吾輩が喋っている最中だぞ!?おい玲二!さっさと探してほしい奴の情報を寄越せ!》

 

………なんだか前より賑やかになってる気がするな?まぁラプラスも自分の使命に追われた所為で少し気張り過ぎてたみたいだからあの一件以来少し気が楽になったのかもな?

 

《おい玲二!お前何笑ってるんだ!?良いから早く探してる奴の情報を寄越せッ!》

 

「あ、あぁすまなかったな。ほら、今そいつの写真と持ち物送ったからよろしく頼む」

 

《あぁ、分かってるわそんな事!……ふむ、案外普通の男だな?まぁ取り敢えず見つかったらまた連絡するから少し待っとけ、ではな》

 

能力を使ってテオの情報をラプラスに渡すとラプラスはさっさと通信を切ってしまった。まあ後の事は異世界holoXに任せるとするとして、俺達はそろそろ晩御飯にするか。

 

「それじゃあそろそろちょこ達ご飯が出来上がる頃だからリビングに向かうとするか。白上達も口に合うか分からないが食べてってくれ」

 

「はい、ではお言葉に甘えて頂きますね♪」

 

「では早速リビングへ案内しますね「ままぁ〜」ん?こゆき、どうかしたの?」

 

あくありうむ組を連れてリビングに向かおうとしたその時、中庭にこゆきが何かを持ちながらフブキの元にやって来た。あれは……エアリアルか?

 

「ままぁ〜、がんぷらできたぁ〜♪」

 

「おーこれはエアリアルだね?キレイに作れて良かったね〜♪「ちょ、ちょっと待ってください!?」え?」

 

ん?白上の奴、こゆきからエアリアルを取ってまじまじと見てるけどどうしたんだ?

 

「…………ま、間違いない!これはまさしく…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

伝説の巨神、古代兵器ガンターンですッ!!」

 

『…………ガンターン?』

 

な、なんだガンターンって?しかもなんだよ伝説の巨神って?

 

「ガンターン!?これがあの伝説の?!」

 

「そんな……この世界にも伝説の巨神がいたんですね?!」

 

なんか宝鐘と湊も驚いてるんだが?伝説って、これ普通にアニメのロボットなんだが?

 

「えぇ、かつて私達の世界にはこの古代兵器を用いて国同士の争いを鎮めたという言い伝えがあります!その中でもガンターンはこれまでに様々なパターンがその存在を確認されているのです!これはおそらく、近年発見された水を司る魔女が使役していたというガンターンアクエリアですね!?」

 

「な、なんですかそのパチモンみたいな設定は……?」

 

「水を司る魔女って、確かにエアリアルの登場作品は水星の魔女だけど……というかガンターンアクエリアって、ガンダムエアリアルのパチモン感が半端ないな?」

 

けどどうやらあくありうむの世界ではガンダムはガンターンという古代兵器として存在してたみたいだな?にしてもガンターンって、なんかまだ規制が緩かった昔やお隣の国のパチモンとかにありそうな名前だな?

 

「へぇ、異世界だとガンダムってそんな名前のもあるんだね?これは話のネタになるかも♪」

 

「いや話のネタって……まぁいいや、そのガンターンっていうのについては飯食ってから聞くから兎に角今はリビングに行くぞ」

 

夏芽の小説の考案も良いが取り敢えず話は飯を食い終わってから聞くとしよう。

 

その後俺達はちょこ達がハンバーグカレーを食べたのだが、その時白上が辛さが足りないと言ってデーモンソースとかいうモンをかけてちょことルイにめっちゃ怒られていた。なんでそんなモン持ち歩いてんだよ……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして食事を終えた俺達はあくありうむ組に俺達のガンプラを見せる為に保管している展示室へと連れて行くと、早速白上が目を輝かせながらショーケースに並んでいるガンプラを見始めていく。

 

「お、おおぉ〜……!これは、初代ガンターン!それにこちらは二代目ガンターンにゼットンガンターン!あ!こちらにはバードガンターンにグレイトガンターンまで!凄い……言い伝えに残された古代兵器がこんなにも沢山あるなんて!?」

 

「いやファーストにMk-IIにZだから」

 

「それにそっちだとウイングとゴッドはバードとグレイトなんですね?」

 

なんかもう此処まで来ると本当にそんなパチモンあったんじゃね?って思えてくる……まあ世界が変われば名前や生い立ちも変わるように、ガンダムも別世界ではそういったモンに変わってるのかもな?

 

「凄い、凄過ぎます!古代に失われし兵器の像がまさかこんな綺麗な形で残されているなんて……!」

 

「いやだから古代兵器じゃ……あーもういいや。それでなんだがこれから俺達新しいガンプラを作ろうと思ってたんだけど良かったら一緒に作ってみるか?」

 

「本当ですか!?是非お願いします!マリンとあくあも良いですよね!?」

 

「え、あ、は、はい……」

 

「えぇ〜?!マリンこういう作る作業とか苦手なんですけど〜!?」

 

なんか宝鐘が苦手だと騒いでいるな?なら別にやんなくて良いぞと言ったら「仲間はずれはやだぁ〜!」と半泣きでよって来た。いや泣くほどの事じゃねぇだろ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして工作ルームにやって来た俺達は早速今回作成するガンプラの準備を始めていく。今回は夏芽が作りたがってたキットと俺の簡単なキットの二つをやっていくつもりだ。

 

「それで夏芽、お前は今回何を作るんだ?」

 

「うん、私はこれ!『レイダーガンダム』だよ♪」

 

「おーレイダー!これはまた面白いチョイスですなぁ〜♪」

 

「こ、これはレーザーガンターン!?対フリーブレードガンターンに造られた兵器で、その強大な力を操る為に薬物で無理矢理強化した人間をコアにしていたと言い伝えられてます!」

 

いやあながち間違っちゃいねぇけど、フリーブレードってもしかしてフリーダムの事か?それなら射撃がメインのフリーダムになんでブレード……ああ、舞い降りる剣から来てんのか?

 

 

『FULL MECHANICS1/100 レイダーガンダム』

『機動戦士ガンダムSEED』に登場した地球連邦軍の強化パイロットブーステッドマンの一人、クロト・ブエルが搭乗する機体。本機のずば抜けた性能と薬物投与による自己強化によりナチュラルでありながらコーディネーターと互角以上に渡り合える力を有しているが、薬物が切れるとクロトの自我が崩壊し暴走する危険性がある。

 

 

「前にましろくんから勧められて買っちゃったんだ〜♪」

 

「へぇ、爻からか。あいつも最近ガンプラ作ってるみたいだから仲間として嬉しい限りだな。今回は改造とかするのか?」

 

「ううん、私はみんなみたいな改造とかは特にしないから今回も素組で軽い部分塗装だけにしようかなって」

 

成る程、それなら1/100とはいえパパッと作れそうだな。なら俺も作るやつ出すとしますか。よっと

 

ードスンッ!ー

 

「え……れ、レイくんこれって……?」

 

「ん?どうかしたのか?」

 

「い、いや玲二くん、なんかその箱大きくないかな?」

 

「まあMGの中でもデカい部類に入るからな、この『サザビー』は」

 

 

『MG サザビー Vr.Ka』

『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』に登場したシャア・アズナブルが駆る最後の機体。その機体デザインをデザイナーであるカトキハジメ氏が監修したキットである。その値段は定価で約一万円もする高級ガンプラである。

 

 

「こ、これはザ・ビー!?かつて地球に巨大隕石を墜とそうとしたジーオン教団の最終兵器!まさかこんな物まであるとは……!?」

 

まだなんか言ってるし?所々名前が似てるのが余計にパチモン感感じるから止めてほしいが、そっちの世界の歴史に関する事だからもう何も言うまい。

 

「さて、そんじゃこんだけメンバーもいるしさっさと作るとするか。と言ってもこっちはもう既に塗装も済んでるから後は組み立てるだけだけどな」

 

「じゃあ夏芽さんのは最初は私が手伝いますね。そっちの私達はレイくんの作業を手伝ってあげてください♪」

 

「分かりました♪ではマリン、あくあ!模型とはいえ古代兵器製造という歴史的偉業を成し遂げましょう!」

 

「は、はい!」

 

「よーし、やっちゃいますよ〜♪」

 

こうして夏芽とフブキはレイダーを、俺とあくありうむ組はサザビーの組み立てを開始していく事になった。けど……頼むから手順を聞きながらやってくれ!おい宝鐘!ハマんないからって無理矢理押し込もうとすんな!?湊!それ填める場所違ぇって!?そして白上!頭部だけ持ってうっとりしてんじゃねぇよ!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ、漸く完成したか……」

 

「す、凄いです……!伝説の古代兵器が私の手の上にッ!」

 

「お疲れ様ですお嬢様♪」

 

「いやぁ思ってたより簡単に作れましたね♪」

 

何が簡単にだ?お前等がちゃんと説明聞いてくれてたらもっと早く出来てたっての。まあこれで俺の差サザビーは完成したし、後は夏芽のレイダーを手伝ってやるか。

 

「夏芽、どうだ進捗具合は?」

 

「あ、玲二くん。うん、フブキちゃんも手伝ってくれてたからパーツの切り分けは終わってるから、後は軽くヤスリがけしてから組み立てるだけだよ」

 

「そっか。ならこっからは俺達も手伝うよ。白上達もやるか?」

 

「勿論です!では再び古代兵器製造やっていきましょ「今度はちゃんと説明聞けよな?」はーい……」

 

よし、それじゃあちゃっちゃと組み立てていくか。今度は一から作るからしっかり説明書を見ながらやってもらわないとな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「後は少し墨入れして、そしてマーカーで軽く塗れば……」

 

「うん、レイダーガンダムの完成だね♪」

 

「おぉーーーッ!これがレーザーガンターンですね!?この漆黒の装甲が恐ろしくも格好良いですね〜♪」

 

「だからレイダーガンダムだって……まあ喜んでいるみたいだし、これはこれで良いんですかね?」

 

まあ其処はもう直す気がないみたいだから良いんだけどさ?けどフルメカニクスって前にバルバトスルプスを作った事あるけど簡単ながらもクオリティーが高いからやっぱり手に入る機会があれば他のも買っておきたいな。……ん?

 

「どうしたんだ湊?なんだが雰囲気が暗いけど……?」

 

「あ、だ、大丈夫です。ただ……折角ならテオとも一緒に作りたかったなって……」

 

「「あ…………」」

 

成る程、自分達だけ楽しんで今頃何処かで彷徨ってるテオの事が心配になってしまったのか。てかその反応だと白上と宝鐘はすっかり忘れてたみたいだな?

 

「大丈夫だ、今頃別世界のラプラス達がテオの事を探してくれてる筈だ。あいつ等も根は真面目だからきっとすぐに見つけてくれる筈さ。だから今はあいつ等を信じて待ってやろうぜ、な?」

 

「玲二さん……ありがとうございます」

 

「そうですよ!今は皆でテオの無事を祈りましょう!」

 

「そうそう!それにテオくんならきっと大丈夫だって♪」

 

よく言うよ、今さっきまで忘れてたクセに?兎に角俺も早くこいつ等の世界を探してやらないとな。

 

こうして俺達のガンターン……じゃなかった、ガンプラ制作は無事に終了したのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後……

 

「そうか、テオも無事に見つかったんだな?」

 

《ああ、だがあのゾンビみたいな奴等に襲われてたのにはびっくりしたがな?》

 

《うむ、あのクリスとかいう男がいなければテオ殿もやられてたでござるな》

 

いやどんな世界に飛ばされてんだよ?けど無事に見つかったならそれで良いか。

 

《既にこのテオとやらは元の世界に戻している。後はお前の方にいる奴等も元の世界に戻せばそれで解決だ》

 

「ああ、いろいろとありがとうなラプラス」

 

《フン、これは以前お前等に迷惑をかけた謝罪のようなもんだから気にするな。では玲二、また何かあれば連絡してくれよな?》

 

《それじゃあ玲二、まったね〜♪》

 

ラプラス達異世界holoXとの通信が切れ、俺もパソコンを閉じて一息つく。さて、俺もあくありうむの世界を見つけたからそろそろあいつ等を元の世界に返してやるか。

 

「それじゃあこのゲートを潜ればお前等の元の世界に帰れるぞ」

 

「はい、いろいろとお世話になりました♪」

 

「あーあ、でもこれでこっちのマリン達ともお別れなんですよね?」

 

「大丈夫ですって♪また機会があればその時に会いましょう♪」

 

「う、うん!それじゃあ玲二さん、それにこの世界のあてぃしにえりあちゃん、またね♪」

 

最後の別れを済ませ、あくありうむ組はゲートを潜り元の世界へと帰っていった。騒がしかったけど、まぁまぁ楽しい時間は過ごせたな。

 

「それじゃあレイくん、そろそろお仕事に戻りましょう♪」

 

「そうだな、もう一仕事頑張りますか!」

 

こうしてあくありうむ組との交流を終えて俺達はまた何時もの日常へと戻っていくのであった。さて、次はどんな事が起こるのやら…………?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーオマケー

 

「あ、そういやレイくん、確か今日でしたよね?レインちゃんと尊ちゃんが帰ってくるのは」

 

「ああ、多分そろそろだな」

 

ーガチャッ!ー

 

「ただいまだゾ〜♪」

 

「今帰ったのじゃ〜♪」

 

お、噂をすればなんとやら。レインと尊が神羅城に戻ってきたな。そしてその腕の中にはちっちゃい命が抱きかかえられている。

 

「ほら“ライン”、此処がお前のお家だゾ〜♪」

 

「おお“玲斗”、パパがお出迎えしてくれとるぞ〜♪」

 

「「あ、あぅあ〜」」

 

そう、二人は先日無事出産を終えて今日退院して戻ってきたのだ。レインの子供は赤毛混じりの茶髪が特徴の子『ライン』、そして尊の子は角が短めの子『玲斗』だ。二人とも元気な男の子だ。

 

「二人ともおかえり、そしてお疲れ様」

 

「うん、ただいま玲二君♪」

 

「ほら玲二、玲斗達を抱っこしてあげるのじゃ♪」

 

「「あぅ〜」」

 

レインと尊からラインと玲斗を一人ずつ受け取り抱っこしてあげると、二人とも俺の指をギュッと掴んでくれた。この感覚、久しぶりだな。しかも男の子なんてカケル以来だからなんか嬉しいな。

 

ともあれこれでまた神羅城が賑やかになってくるな。来月にはまた何人か出産するし、これからももっと頑張らないとな?

 

 

レイン、尊、無事出産。

 

命名

『ライン』

『玲斗』




はい、という事であくありうむ組とのガンターン……ではなくガンプラ制作回でした!今回何気に初めて出たフルメカニクスですが、組みやすいのに質が良いので是非皆さんも組んでみてくださいませ(≧∇≦)/

そして次回なんですが、リクエストに銀魂とありましたが生憎自分は銀魂を全然知らないので書く事が出来ません。リクエストして頂いた方申し訳ありません( TДT)

ですがそれが切っ掛けでネタが思いついたので次回はまた新しい作品が出てくるかも……?それでは次回もまたまったりと待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第123話『まさかの来訪者だゾ』

フルメカニクスのエアリアル、めちゃくちゃ完成度が高くて感動しました……( ;∀;)これは是非とも改修型も出して欲しいですね(^o^)

今回は異世界より新たな来訪者が登場です、最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


此処は玲二達が住むホロライトシティ。多くの種族が賑わい合う何時もと変わらないのどかな風景…………おや?街の片隅にある路地裏、何やら怪しげな空間が広がってます。一体何がどうなってるんでしょうか?すると……

 

「……………お?どこだろここ?」

 

「おいしんのすけ!勝手に進むな!って………な、なんだ此処はぁッ?!」

 

「ちょっとあなた、一体どうしたのって………わぁ、すっごく綺麗な場所~♪」

 

「たやぁ♪」

 

「アンッアンッ!」

 

なんと怪しげな空間から『クレヨンしんちゃん』の野原一家が飛び出してきました!どうやらしんちゃん達、この空間を通ってホロライトシティへと迷い込んでしまったみたい。一体どうなっちゃうの?

 

「お、おい?俺達さっきまで家にいた筈だよな……?」

 

「え、えぇ……でも凄く素敵な所ね♪目の前に綺麗な街並みとその奥には青く輝く海!まるでリゾート地みたい♪」

 

「オラ、粉チーズたっぷりのが食べたいゾ!」

 

「それはリゾット!」

 

どうやらしんちゃんは何時もと変わらずマイペースのようです。すると其処に……

 

「……あら?見慣れない人達がいるわね?」

 

「お?おぉ~♪キレイなおねいさ~ん♪ねぇねぇピーマン好き?納豆にネギ入れるタイプ~?」

 

「こらしんのすけ!お姉さんをナンパするんじゃないの!」

 

其処に偶々通りかかった美人なお姉さんに声をかけられ、しんちゃんは何時ものようにナンパします。相変わらずお姉さんには目がないしんちゃんですね。

 

「アッハハ♪君なかなか面白いわね……あら?もしかして……あの、間違ってたらごめんなさい。貴方達ってもしかして野原一家かしら?」

 

「おお!?オラたちのこと知ってる!?あはぁ、もしかしてオラって有名人~?」

 

「そんなワケねぇだろ!すみませんこいつおバカなもんで……でも、どうして俺達の事を?」

 

「ええ、だって……しんちゃんの言う通り貴方達はこの世界では有名人だもの♪」

 

『え?』

 

なんとびっくり!お姉さんが言うにはしんちゃん達は有名人になっているようです。一体どういう事なんでしょう?

 

「あ、あの〜?俺達が有名人ってどういう……?」

 

「それについては私達のお家で話すわ。それじゃあこっちに着いてきて♪」

 

お姉さんはそう言うとしんちゃん達を案内しに街を歩いていきます。道歩く人には角があったり動物の耳が生えている人もいてしんちゃん達は興味津々です。

 

「おぉ〜!シロみたいな耳してる男の子もいるゾ〜!」

 

「アンッ!」

 

「ど、どうなってるんだこれ……!?」

 

「あぁ、そう言えばそちらの世界には獣人族とかはいないものね?それについてもまた説明するから今は着いてきてね」

 

道歩く人達に驚くもしんちゃん達はお姉さんに着いていきます。その途中、とんでもない物が見えました!

 

「おぉ〜!カンタムロボ〜♪」

 

「うぉッ!?デッケェ〜!」

 

「何あれ!?巨大ロボット!?」

 

なんと其処には巨大なカンタムロボみたいなロボットが立っていたのです!これには皆びっくり!

 

「フフ♪これはカンタムロボじゃなくてガンダムエアリアルね。今やっているアニメのロボットの立像よ。これも後で説明してあげるわ」

 

そしてお姉さんの案内によってしんちゃん達はどんどん街の奥へと進んでいきます。そして辿り着いた所は……

 

「で……デッケェ〜!?」

 

「何これ!?お城!?」

 

「「おぉ〜」」

 

「此処が私達のお家よ。さ、早速入りましょ♪」

 

お姉さんは門を開けるとしんちゃん達を中に招き入れます。中は一体どうなってるんでしょうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーコンコンッー

 

「ん?誰だ?」

 

「レイレイ、私よ。ちょっとまたお客さんが来たから連れて来たわ」

 

「…………はぁ、またか?分かった、入ってくれ」

 

やれやれ、また来訪者か?此処の所頻繁に異世界から迷い込んだ奴が来て一々対応するのが大変なんだよなぁ……ま、嘆いていても仕方ないし、取り敢えず中に入ってもらうとするか。

 

ーウィーンッー

 

「ぶりぶり〜!ぶりぶり〜!ぶりぶり〜!」

 

「こらしんのすけ!」

 

「このおバカ!何考えてるのやめなさい!」

 

…………これはまた予想の斜め上な来訪者達だな?まさか『クレヨンしんちゃん』の野原家がまとめてやって来るとは……もう此処まで来たら何来ても驚きはしないがな。

 

「すみませんうちのおバカがとんだご無礼を……!」

 

「まあ本人もこうして謝ってるので許してやってくださいな」

 

「お前が言うなッ!」

 

おー昔アニメで見たやり取りが目の前で行われてる。やっぱり面白いなこの家族は。

 

「いえ、気にしないでください。それよりもそちらのソファーにお掛けください」

 

「そ、そうですか?ではお構いなく……うお!?スゲェふかふかなソファーだ……!」

 

「おぉ〜!座り心地最高ですなぁ〜♪」

 

「たやぁ〜♪」

 

よし、しんのすけ達も座ってくれたみたいだし話を始めるとするか。

 

「では改めて自己紹介を、俺はこの神羅城の主でこのホロライトシティの市長を勤めてます佐々木玲二です。こちらは俺の妻のルイです」

 

「はーいよろしくね〜♪」

 

「市長!?」

 

「オラは白いのよりビーフのが好きだゾ!」

 

「それはシチュー!市長っていうのはこの街で一番偉い人の事よ」

 

うん、やはりしんのすけは話を脱線させてくるな?けど意図してやってるワケじゃないから取り敢えずはそのまま話を続けるとしよう。

 

「あ、えーと私達は「野原一家ですよね?貴方がひろしで奥さんがみさえ、そして息子さんがしんのすけで娘さんがひまわり、最後に愛犬のシロ」ッ!?な、なんで俺達の事を……!?」

 

まあそりゃいきなり自分達の名前を当てられたらそりゃびっくりするか。兎に角一から全部説明してやらんとな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「な、成る程?此処が別世界でこの世界では俺達の生活がアニメや漫画で登場してると……?」

 

「そういう事です。この国では長年続く国民的アニメでおそらく日本一有名な家族と言っても過言ではないでしょうね?」

 

「おぉ〜!オラ達本当に有名人ダゾ〜♪」

 

「うんそうだな。それで今後についてですが、早急に貴方達の世界を探して送り返しますので安心してください。唯、少し時間が掛かるかもしれないのでそれまではこの神羅城のゲストルームで過ごして頂きます」

 

これは何時も通りの流れだが、しかし今回の世界探しはかなり大変かもしれない。何せホロライブやにじさんじとも、ましてやガンダムとも関係のない世界だから今までとは違うルートで探さないといけないから時間が掛かりそうだ。また異世界holoXの力を借りようかと思ったがこんな事で一々あいつ等の力を借りてたらキリがないのでよっぽどの事がない限りは極力頼らないようにしたいので今回は素直に探すとしますか。

 

「じゃあルイ、野原さん達をゲストルームへと案内してやってくれ」

 

「はーい、では野原さん御一行ゲストルームへいっこ〜う♪」

 

「「は、はぁ……」」

 

「それでは!野原一家、お泊りするお部屋にしゅっぱつおしんこー!」

 

ふぅ、面白い人達だけどやっぱり少し疲れるな?ま、そんな事はさておき今ある仕事を終えたらクレヨンしんちゃんの世界を探すとしますか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわぁ~!こんな高級ホテルみたいな所に泊まれるなんて夢みた〜い♪」

 

「きゃ〜い♪」

 

「はぁ、お前等は呑気で良いよな本当に……」

 

「まぁまぁ、今はレイレイが貴方達の世界を探してくれてますからそれまで気長に待ちましょう。此処で暮らしてる間は必要な物があれば遠慮なく言って構いませんので♪」

 

「おぉ〜!オラ、チョコビが食べたいゾ〜♪」

 

「アンッアンッ!」

 

当面の間神羅城で過ごす事になった野原家。ひろしは呑気に喜んでいる妻や子供達にため息を吐くがルイが此処での衣食住をサポートすると伝えると少し安心したのかホッとする。

 

「あれ?ルイ姉お客さん?」

 

「あ、トワ様にかなたん。こちら異世界からやって来た野原家の皆さんよ♪」

 

「え!?野原家!?そっちでも!?」

 

と其処にトワとかなたがやって来て野原家と対面する。かなたは何やら驚いている様子だが……?

 

「あの、この子達は……?」

 

「あ、紹介しますね。こちらはかなたさんとトワさん、二人もレイレイの奥さんよ」

 

「こんやっぴ〜トワ様だよ♪」

 

「ヘイこんかなた〜、よろしくね♪」

 

「奥さん!?え、あの人三人も奥さんがいるの?!」

 

今やって来た二人も玲二の奥さんと聞かされひろしとみさえは驚きを隠せず開いた口が塞がらなかった。

 

「まあ私達の世界では条件を満たせれば一夫多妻が可能だからね。それでかなたん、さっきそっちでもって言ってたけどどういう事なの?」

 

「あ、そうそう!それなんだけど……」

 

「ままぁ〜♪」

 

かなたが何かを伝えようとするが其処につばさがとことこと小走りでやって来てルイに抱っこを求めてきた。

 

「あら、お子さんですか?」

 

「えぇ、つばさっていうの。つばさ、散歩は終わったのかしら?」

 

「あい!まーま、おにぎりつかまえた〜♪」

 

「そっか〜良かったわね……え?おにぎり捕まえた?」

 

愛娘の口から出た言葉にルイは困惑する。おにぎりを食べたとか作ったとかではなく捕まえた?一体どういう事なのだろうかと考えていたら……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おにぎり〜、とったど〜♪」

 

「ひいぃぃぃ〜!?おろしてぇ〜!?」

 

「す、凄いわねこの子、マサオくんを軽々と持ち上げてる……?」

 

「凄く、力持ち」

 

「というか僕たち何処に連れてかれるのかな……?」

 

『わーい♪』

 

「あ、あはは……」

 

奥の方から散歩を終えたベイビーズ達と同伴していたエリーがやって来ており、その中心部分ではおにぎりみたいな頭の子が玲菜に持ち上げられながら泣いておりその近くにはそのおにぎりみたいな子の友達らしき子達が一緒にルイ達の元にやって来ていた。

 

「お?マサオくん何やってるんだゾ?」

 

「うえぇぇん!しんちゃん助けてぇぇぇぇ〜!」

 

「ってしんのすけ!?それにおばさん達も!?」

 

「あ、しんちゃん達も此処にやって来てたんだ?」

 

「風間くんにネネちゃん!ボーちゃんまで!?」

 

「あらら、どうやらかすかべ防衛隊までやって来たみたいね?」

 

なんと野原家だけではなくしんちゃんの友達のかすかべ防衛隊までこの世界へと迷い込んでしまったようだ。これはまた賑やかな事になりそうである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おぉ〜!スィートマッシュルームだゾ〜」

 

「それを言うならスィートルームだろ!」

 

「わぁ〜素敵♪お姫様になったみた〜い♪」

 

あれからかすかべ防衛隊の子達にも事情を話し、その後案内された部屋に入るとその豪華な内装にしんちゃん達もテンションが爆上がりしベッドの上ではしゃいでいく。

 

「こらこら!お前等客室とはいえ人の家なんだから暴れるなって!?」

 

「フフ、構いませんよ。それでは今日はもう遅いから明日この街をゆっくり案内してあげるわね。お腹が空いたら其処の電話でUberござるに繋がるから好きな物を注文してね。勿論お代はタダから気にしないで、それじゃあ」

 

そしてルイはルームサービスを伝えてそのまま部屋を後にする。その後野原家とかすかべ防衛隊は本当に遠慮せず大量のご飯を食べまくり食事担当のちょこやフレア達が頭を抱えてしまうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……やはり前より時空の狭間が歪みまくっているな?これだとしんのすけ達の世界を見つけたとしてもすぐには出発出来ないぞ?」

 

「そうなんですか?それじゃあしんちゃん達が元の世界に戻れるのは……?」

 

「安定するのを待つからなんとも言えんが……少なくとも二週間は掛かりそうだ」

 

どうも最近時空の狭間が荒れてるのか先程時空移動しようとしたらかなりの揺れに襲われて仕方なく戻ってきてしまった。しかしあのまま行けば俺が時空の彼方に飛ばされてしまうかもしれないから無闇に進めないんだよなぁ……

 

「まあこれは時空間が安定したらまた捜索を再開するさ。エリーはその間のあいつ等の面倒を見てやってくれ」

 

「はい、かしこましましたご主人様♪」

 

よし、これで当面の心配はなさそうだな……いや、あのしんのすけ達が大人しくするワケがないよな?ま、問題さえ起こさなければそれで良いが……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………そういえば、マサオくんは?」

 

「きっとトイレに行って迷ってるんじゃない?此処すっごく広いし」

 

「はぁ〜やれやれ、まったくこまったおにぎりボウヤですなぁ〜?」

 

「しょっちゅう勝手に消える奴がよく言うよな?でもマサオくん本当に何処に行ったんだろ?」

 

部屋で寛いでいる中、友達であるマサオくんがいつの間にか姿を消している事に気づくかすかべ防衛隊。しかしトイレにでも行ったんだろと勝手に解釈しそれ以降は気に留めた様子もなくだらーんと寛ぐのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、そんなマサオくんは……

 

ーゴオォォォォォォォォッ!ー

 

「わーいやきおにぎり〜♪」

 

『ごはんごはーん♪』

 

「うわぁはあぁぁぁぁんッ!僕なんて食べても美味しくないよおぉぉ〜!?」

 

「ちょっとみんな何してるの!?マサオくん可哀想だからやめなさい!」

 

ベイビーズに捕まり焼きおにぎりごっこで遊ばれていた(棒に括り付けてモンハンのお肉を焼く要領で。因みに火は音と光が出るだけのおもちゃ)。そしてこの遊びを教えたであろうにじさんじのおじさん達はくだらない遊びを教えるなとフブキ達にめっちゃ怒られていた。そしてこれによりマサオくんはベイビーズが苦手になってしまうのであった。

 

続く……




はい、という事でクレヨンしんちゃんより野原家とかすかべ防衛隊が登場です!次回はしんちゃん達とガンプラウォーズをやろうと思っています!

それと近い内にですがとある方とコラボした番外編も出す予定なので次回も気長に待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第124話『ホロプラにいくゾ』

久々に一日二話更新!前回はガンプラウォーズをやると言いましたが今回はその導入部分となります。今回も最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


「あい、るぶりすできた〜♪」

 

「るぶ〜♪」

 

「おぉ〜!新しいカンタムロボカッコイイゾ〜♪」

 

「だからガンダムだって……」

 

野原家とかすかべ防衛隊がやって来て早三日、相変わらず時空の狭間は荒れてて入る事は出来ないがしんのすけ達もすっかり馴染んでるから取り敢えずは大丈夫みたいだな?今もしんのすけがこゆきの念力ガンプラ制作を見て楽しんでるし、他にも……

 

 

 

「はいひろしさんみさえさん、本物のひまわりちゃんはどっちでしょ〜?」

 

「たぁーい」

 

「あっきゃあ」

 

「うぐぐ、さっきは右だったから……左と見せかけてこっちがひまだ!」

 

ーポンッ!ー

 

「はずれ〜♪」

 

「ゲッ!?また外した……!?」

 

「あなた何してんの!?もう五回連続で外してるじゃない!?」

 

向こうでひろしさんとみさえさんがかなたと一緒にミカの変身能力を使った本物当てゲームやってるし

 

 

 

「じゃあ問題でーす。114514✕11081は?」

 

「え、えーと……」

 

「あい!1268929634!」

 

「はいメルト正かーい♪」

 

「わーい♪」

 

「そ、そんな……一歳児に負けた……しかも当たり前のように暗算だし……」

 

風間くんがメルトと数式対決してるし。というかこれを暗算で解けるって我が子ながら恐ろしいな……?

 

 

 

「ボー……」

 

「…………あぅ」

 

あっちではボーちゃんときらりがお互いにジーッと見つめ合ってるし

 

 

 

ー〜♪〜♪ー

 

「わーいたのち〜ねみんな〜♪」

 

「わーい♪」

 

「すごーい!みんなで音楽奏でてて素敵〜♪」

 

あちらではユメとリナが音楽を奏でてネネちゃんや子供達が楽しんでるし

 

 

 

『まて〜おにぎり〜!』

 

「ガオォ〜♪」

 

「アンアンッ!」

 

「ひいぃぃぃーーーッ!?大量の赤ちゃんとライオンとシロが襲ってくるうぅーーーッ!?」

 

「こらにほ!つばきちゃん!マサオくん追いかけ回したらダメでござるよ!?シロもなんで追いかけてるの?!」

 

……中庭では何故か分身したにほとライオンに変身したつばきがマサオくんを追いかけ回している。これにはマサオくんも泣いて良いと思う。後でにほ達には注意しとかないとな?というかなんでシロまで追っかけてるんだよ?

 

とまあ皆それぞれ思い思いに過ごしているが、正直今のこの状況ははっきり言ってあまりよろしくない。というのも時空間の歪みが改善されるどころか余計に荒れている一方なのだ。流石の俺も一度入ったらこの世界に戻ってくる事が難しいレベルに今は荒れに荒れている状況なので下手したら二週間どころか一ヶ月以上はこちらにいなければならない事になるのだ。まあそうなったら時空移動でこの世界に迷い込んだ日に戻せば良いから其処は良いんだが、問題は皆が其処までの滞在に納得してくれるかどうかだな……

 

「…………まあ考えても何も始まらないし、気分転換も兼ねてホロプラにでも行くか。しんのすけ、お前等も来るか?」

 

「お〜!いくいく〜♪」

 

「よし、んじゃ準備が出来次第行くとするか。おーいにほ、つばき、それ以上マサオくんを追いかけ回したら今日は抱っこしてやんないぞ?」

 

「「やぁーーーッ!」」

 

俺が中庭に向かって注意するとにほとつばきはマサオくんを追いかけ回すのを止めて能力を解いて俺の所に駆け寄ってくる。全く、なんとなく楽しいのは分かるがお客さん怖がらせたら駄目だからな?

 

「うわぁ~ん!怖かったよぉ〜!「泣くなおにぎり!」ネネちゃんヒドいよぉ〜!?」

 

「いやこればっかりは本当に申し訳ない。何時もはこんなんじゃないんだが何故か子供達がマサオくんを気に入ってしまったみたいなんだ。後でちゃんと叱っておくから許してやってくれ」

 

流石に人の嫌がる事をするような子にはなってほしくないからこういうのはちゃんとビシッと注意しておかないとな。さて、それは兎も角子供達を乳母車に乗せて皆でホロプラへと向かうとするか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おぉ〜ッ!おもちゃがいっぱいだゾ〜!」

 

「すっごーい!サトーココノカドーやアクションデパートよりもおもちゃが沢山あるわよ〜♪」

 

「まぁ此処にあるのは殆どプラモだけどな?」

 

『わ~い♪』

 

しんのすけ達を連れてホロプラへと到着した俺達。ホロプラはあれから順調に事業を拡大し今はプラモ以外の玩具も販売するようになりまさにおもちゃのデパートになりつつある。最近ではホロライトシティの一番の名所と言われるようになってるらしい。他にもいろんな場所あるんだけどな?

 

「あ、玲二さん♪それにしんちゃん達もいらっしゃいなのです♪」

 

「おーるーちゃんおひさしぶりぶり〜♪」

 

「おう、遊びに来たぜ。相変わらず盛況みたいだな?」

 

「はいなのです♪最近だとアカリちゃんやアロエちゃんも入ってくれて大助かりなのです♪二人ともー、来てもらって良いー?」

 

「「はーい♪」」

 

店に入るとるしあが出迎えてくれ、奥の方からホロプラのエプロンを着けたアカリと魔乃の二人がやって来た。アカリは聞いていたが魔乃も此処で働いてたんだな?

 

「どぉ玲二?アカリのエプロン姿♪」

 

「ああ似合ってるよアカリ。それと魔乃も此処で働いてたんだな?」

 

「まぁ我輩はホロライトシティのいろんなバイト掛け持ちしてるから何時もいるワケではないけどね」

 

「そっか、それでも元気そうで何よりだ。よし、じゃあ折角だからしんのすけ達に此処の中を案内してやってくれ」

 

「「はーい♪」」

 

よし、なら後は……うん、これで良いか。

 

「ほらしんのすけ、それに皆もお小遣いやるからこれで好きな物買ってきな」

 

「おぉ〜!玲二さん太もも〜♪」

 

「それを言うなら太っ腹でしょ!というか一万円だなんてそんな大金……!?」

 

「良いんですよ、元の世界に戻るまで何も娯楽がないのは辛いでしょうし。ひろしさんとみさえさんも良ければこれで好きに過ごしてください」

 

そう言って俺はひろしさん達にも一万円ずつ渡してあげた。まだ暫くはこの世界に留まらないといけないんだからこれくらいはしてあげないとな。

 

「い、良いんですかこんなにしてもらって……?」

 

「良いんですよ、これも保護した者の務めでもありますので。それじゃあしんのすけ、皆と一緒にホロプラで買い物を楽しみな。俺は子供達と一緒に見て回るからアカリ、魔乃、後はよろしくな」

 

「はーい♪それじゃあ早速お店の中を見て回ろ〜♪」

 

『はーい♪』

 

「ほほーい♪」

 

よしよし、皆それぞれ思い思いに買い物を楽しむようだし俺も子供達と一緒に散歩を楽しむとするか。本当は俺も一緒にいてやりたかったが何故か子供達がマサオくんをおもちゃみたいにして遊びたがるからな。アニメだとイキった感じを見せる事もあるがそれでもマサオくんが可哀想になってくるから子供達は暫くマサオくんからは離さないと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おぉ〜!赤いぶりぶりざえもんとげんちゃんだ〜!」

 

「あー『仮面ライダー電王』と『仮面ライダーフォーゼ』だね。そういやしんちゃんこの二人と面識あったんだっけ?」

 

「うわぁ~!アクション仮面みたいなヒーローがいっぱーい♪」

 

「此処にはいろんな特撮ヒーローのグッズが置いてあるコーナーだね。仮面ライダーやスーパー戦隊が主に多いかもね」

 

店の一角にズラリと並ぶ仮面ライダーやスーパー戦隊等の特撮ヒーローのグッズを見て興奮するしんのすけとマサオくん。やはり男の子はこういうのが好きなようだ。

 

 

 

「ボー……恐竜、沢山……♪」

 

「此処にはプラモサウルスという恐竜のプラモデルが沢山並んでいるのです♪」

 

 

『プラモサウルス』

ガンプラと同じメーカーから販売されている恐竜のプラモデル。その最大のギミックが内部に骨のパーツがありその骨だけでも標本のように飾る事が出来る。

 

 

ボーちゃんがプラモサウルスに興味津々のようで既に三つ程買い物カゴに入れている。どうやらボーちゃんは石の他にもこういうのが好きなようだ。

 

 

 

「…………」

 

「あれ?風間くん此処で止まってどうしたの?」

 

「ッ!?な、なんでもないさネネちゃん!別にこれを見てたワケじゃ……!///」

 

「これ……へー、風間くんってばこんなのが好きなんだ〜?」

 

「これはメガミデバイスのマジカルバーゼラルドだな。魔法少女をイメージした美少女キットだ」

 

 

『メガミデバイス マジカルバーゼラルド』

美プラの中でも豊富な種類とクオリティーの高さで名高いメガミデバイスシリーズの一つ。魔法少女をイメージしたこのキットは元は同じメーカーから出ているフレームアームズ・ガールのバーゼラルドをメガミデバイス仕様を使用されている。

 

 

「そういえば風間くんってもえPとか好きだったもんね〜♪もしかしてそのプラモデル買いたいとかかしら?」

 

「ち、ちちち違うよ!///ぼ、僕がこんなの買うワケ「でも此処で買わないと元の世界にないと思うから二度と手に入らないんじゃない?」うッ!?」

 

ニヤニヤ笑うネネちゃんに必死で否定しようとするもアロエに言われ心が揺らぐ風間くん。そして散々悩んだ後この後結局購入する風間くんであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おーいっぱい買ったゾ〜♪」

 

「全く、本当にぎりぎりまで買いやがって……佐々木さん、本当に此処までしてもらってすみません」

 

「いや良いですって。何度も言いますがこれも保護した者の務めなんで。皆もいっぱい買って楽しんでくれたならそれで充分だしな」

 

『はーい!』

 

うん、皆も買い物を楽しんだみたいで良かった。なんか風間くんが買った物を恥ずかしそうに持ってるけど何買ったんだ?

 

「よし、それじゃあそろそろ今日のメインイベントといきますか」

 

「お?メイン弁当?」

 

「メインイベントな?まあ取り敢えずこっちに来てくれれば良いさ」

 

俺は皆が買った物をアカリ達に預けしんのすけ達をガンプラウォーズエリアへと案内していく。其処には何時もはいろんな年齢層がいるのだが今日はしんのすけ達と然程変わらない子供達が集まっていた。

 

「何これ!?ゲーム機?!」

 

「そう、此処はガンプラウォーズといって自分の作ったガンプラを使っていろんなイベントを楽しめるゲームです。今日はキッズイベントという事で無料で楽しめるイベントをやってるんです。しんのすけ、良かったら皆も参加してみるか?ガンプラならレンタル品があるからすぐに遊べるぞ」

 

「おぉ〜!オラやってみたいゾ〜♪」

 

「僕も!」

 

「ネネも!」

 

「ボー……!」

 

「あ、じゃあ僕も……」

 

うん、それなら皆にイベント用のレンタルガンプラを貸さないとな。俺はしんのすけ達に一機ずつ機体を渡していく。今回のイベントの使用可能機体はSDなのでそれぞれ違うSDガンダムをしんのすけ達は受け取っていく。

 

「おぉ〜カッコイイゾ〜♪」

 

「なんかしんのすけのやつだけ黒くてカッコイイんだけど?」

 

「しんのすけのそれは『トルネードガンダム』だな。最近発売されたSDガンダムだ」

 

 

『SDCS トルネードガンダム』

ガンダムの名を冠しているが詳細が不明な機体。主にゲーム出典の機体である。SDCSにはSDフレームとCSフレームがあり等身や稼働を変える事が出来るキットとなっている。

 

 

「いえーい黒いカンタムロボだゾ〜♪」

 

「しんちゃん、カンタムじゃなくてガンダムだってば」

 

「まあしんのすけが良ければそれで良いけど「ぱぱ〜♪」お、こゆきも準備出来たか?」

 

「あい!」

 

しんのすけ達に機体説明をしているとこゆきがトテトテとこちらへとやってきた。その手にはSDMGのフリーダムを持っていた……え、いつの間に作ったんだそれ?

 

「え!?もしかして、こゆきちゃんも参加するんですか?!」

 

「えぇ、こゆきだけではなくマオやかいりも参加しますよ。因みにこれが初めての参加ですね。な、こゆき?」

 

「あい!こゆ、がんばりましゅ!」

 

こゆき達は以前兄貴のトレーニングでぷち参加はしてたけど今回はちゃんとしたプレイヤーとして初参加する事になった。とはいえ今回はバトルではないから武器の使用はないけどな。

 

「それじゃあそろそろ始まるから皆それぞれの筐体に移動するのです♪」

 

「今日は皆でガンプラウォーズを楽しも〜♪」

 

『はーい♪』

 

うん、皆もそれぞれ入っていったし、俺達は観客席から見守るとしますかね。

 

 

 

かくして急遽ガンプラウォーズのイベントに参加する事になったしんのすけ。果たしてどんなゲームが繰り広げられるのだろうか?続く……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーオマケー

 

「そういえば魔乃っちって今どれだけアルバイト掛け持ちしてるの?」

 

「え?えーと今我輩がやってるのは此処と……おめシスさんのゲーセンと葵さんの本屋とししろんのラーメン屋、後はにじほろ保育園に週一で手伝いに行ってるな」

 

「多くない?!どんだけ掛け持ちしてんの!?」

 

「いやぁ~我輩暇が一番嫌いだから色々掛け持ちしてたらこんなんなっちゃって……でも楽しいから全然良いんだけどね♪」

 

「アロエちゃんよく身体壊さないよね……?」

 

意外とアグレッシブに逞しく生きている魔乃アロエであった。




はい、という事でしんちゃん達がホロプラでお買い物回でした!次回はガンプラウォーズでイベント、そしてクレヨンしんちゃん編は最後になります。次回もまったり待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第125話『ガンプラバトルで大盛り上り!だゾ』

地域的な事だからでしょうか、発売日の翌日に行っても普通にガンプラが買える機会が増えてきました。やっぱりもうガンプラの市場も安定し転売ヤーも撤退しているのがよく分かりますね。これで漸くゆっくりと買い物が出来そうです(^o^)

今回はしんのすけ達のイベント回!はたしてしんのすけはお宝をゲット出来るのか?!今回も最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


ホロプラで始まったキッズ専用のガンプラウォーズイベントに参加する事になったしんのすけやこゆき達。係員達に席に誘導されガンプラをセットしてもらいいよいよイベントが始まろうとしていた。

 

「それじゃあ今回のイベントのルールを説明するのです。今回はズバリ!宝探しゲームなのです♪エリア内には沢山の宝箱がありますのでそれを見つけてゲットするという簡単なゲームです!ただ、エリア内にはオジャマキャラもいるのでそのオジャマキャラ達のいじわるを回避しつつ頑張ってお宝をゲットしてほしいのです♪」

 

「おぉ〜!お宝さがしだゾ〜♪」

 

「それって何個も取って良いんですか?」

 

「はい、何個も取って大丈夫なのです♪もし取れなかった子もちゃんと景品があるので安心してね♪それじゃあ早速、ゲームスタートォーッ!」

 

るしあから説明され遂に始まるゲーム。そして画面が表示されると其処は一面野原が広がる平原地帯が映し出されていた。

 

「うわぁ~!凄い綺麗〜♪」

 

「ボー、川も、綺麗……♪」

 

「す、凄い技術力だ……!?」

 

「あ!皆見て!宝箱が沢山置いてある!」

 

「おぉ〜!んじゃまぁちゃっちゃとゲットするとしますか〜」

 

目の前に広がる平原に幾つも置いてある宝箱を見て興奮するしんのすけ達。そして周りの子供達も喜びながら宝箱を開けに動き出していく。

 

「よーし!僕たちも宝箱を見つけに行こう!こういうのは見つけづらい所にあるのが良い物が入ってる確率が高そうだからそれを中心に探そう!」

 

「トオルちゃん、あんまり遠くに行ったらママ怒りますからね!」

 

「そんな僕のママのモノマネしなくて良いから行くぞしんのすけ!」

 

「ほほ〜い」

 

風間くんのSDダブルオーガンダムとしんのすけのSDトルネードガンダムは山の方へと宝箱を探しに向かっていった。

 

「私達も早速探しにいきましょ」

 

「ボー……」

 

「あぁ〜!ちょっと待ってよぉ〜!?」

 

残るネネちゃん達も別の場所へと宝箱を探しに行くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よーし、此処なら宝箱沢山ありそうだな」

 

「おぉ~、おたからどんどんとるゾ〜!」

 

「あ、しんのすけ!彼処に早速宝箱があるぞ!」

 

山の方へとやって来たしんのすけ達は宝箱を探してると目の前に少し大きめの宝箱を発見する。やはり難しい所にはそれなりのお宝があるようだ。風間くんはそのまま宝箱へと近づきゲットしようとするが……

 

 

 

ー……ビュンッ!ー

 

「え!?な、なんだぁ?!」

 

「おたから〜、げっと〜♪」

 

「おぉ〜、ハネの生えたカンタムロボだゾ〜!」

 

なんと風間くんがゲットする直前に空から滑空してきたこゆきのMGSDフリーダムに奪われたのであった。

 

ー激レア! 高級お菓子詰め合わせセット!ー

 

「わ~いおかし〜♪」

 

「あぁ!?僕が見つけたのにぃ〜!?」

 

「お?でもこっちにもおたからあったゾ」

 

こゆきにお宝を取られてショックを受ける風間くんだがその横でしんのすけが別の宝箱を見つけゲットしていく。

 

ーゲット! チョコビ!ー

 

「わ~いチョコビゲット〜♪」

 

「う!?しんのすけにまで先越されたなんて……ま、まだ宝箱はあるんだ!絶対にゲットしてみせるぞ!」

 

出遅れた風間くんも急いで他の宝箱を探しに向かい奥の方へと進んで行くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んちょ……とったど〜♪」

 

ーレア! ぬいぐるみ!ー

 

「かいりもみつけたの〜♪」

 

ーレア! プレミアムプリン!ー

 

「れーなもみつけた〜♪」

 

ー激レア! シル○ニアファミリーおうちセット!ー

 

一方その頃河原付近ではSDジムに乗ったマオとかいりと玲菜が次々とお宝をゲットしていた。その周りにいる子達もわいわいと楽しみながら宝箱をゲットしている。

 

「ボー……キレイな石セット、手に入れた……♪」

 

「わぁ〜♪ネネもリアルおままごとセットゲットしたわ〜♪」

 

SDZZに乗ったボーちゃんとSDシャアザクに乗ったネネちゃんもそれぞれ宝箱から良い物が出て嬉しそうだ。手に入れた物がピンポイント過ぎる気もするが……?

 

「……そういえば、マサオくんは?」

 

「あれ?さっきまで一緒にいた筈なのに?まったくあのおにぎり何処にいったんだか?」

 

いつの間にかマサオが消えていた事に気づき辺りを見回すネネちゃんとボーちゃん。すると……

 

「うわぁ~ん助けてぇぇぇぇ……!」

 

「ボ?マサオくんの声……?」

 

「なーんだ、近くにいたんじゃない?まったく人騒がせなんだか…ら……?」

 

少し離れた所からマサオくんの泣き声が聞こえ二人が泣き声が聞こえた方を振り向いてみると……

 

 

 

 

 

『ザックザックザックザック!』

 

「うわぁ~ん!宝箱開けたら変なの出てきたぁ〜!?」

 

「な、何あの変な奴等?!」

 

「ネネちゃんの乗ってるのと、同じ……?!」

 

なんと大量のSDザク達に追われているマサオくんの乗るSDZガンダムであった。どうやらハズレの宝箱を開けてしまいその中からザク達が飛び出してきてしまったようだ。

 

「ザーックザクザク!お宝は我々の物ザック!さぁお前等、やぁーっておしまいザク!」

 

『ハイザーック!』

 

リーダー格のザクの命令を受けザク達はバズーカを構え子供達の乗るSDガンダム達に標準を合わせていく。

 

「打てぇーッ!」

 

ードーンッ!ボンッ!ー

 

「うゆぅ!?」

 

「やぁー!?」

 

「たしゅけてぇ〜!?」

 

「あぁ!マオちゃん達が!?」

 

バズーカから発射された弾がボンッと爆発し捕縛用ネットが開くとマオ達を含む子供達が次々と捕縛されてしまう。なんとか逃げ出そうとするもネットが絡まって抜け出せずにジタバタするしか出来ずにいた。

 

「ザークザクザク!これで残りのお宝は我々の物ザック!だがまだ三人程残ってるザクな?お前等、残りの奴等も捕まえるザック!」

 

『ハイザーック!』

 

「ひいぃぃぃッ!?もうやだぁーーーッ!」

 

皆が捕まりまたも狙われてしまい怯えたマサオくんはZガンダムをウェブライダーへと変形させ逃げようとするが上手く操縦出来ず変な方向へと飛んでしまう。だが……

 

ードゴォッ!ー

 

「ザクゥッ!?」

 

ーチュドーンッ!ー

 

「……え?」

 

偶々其処にいたザク一体にぶつかりそのまま撃破してしまったのだった。それを見たマサオくんは泣き止んで自分がザクを倒したと理解すると……

 

「おぉー……………………飛ばすぜベイベー!!」

 

途端に強気になり他のザク達に突っ込んでいく。そう、クレヨンしんちゃんをご覧になってる方ならお分かりだと思うが、マサオくんは普段は弱虫だが自分が優位に立つと強気になりイキリ散らすという厄介な性格をしているのだ。

 

「オラァッ!」

 

ードコォッ!ー

 

「ザクゥッ?!」

 

ーチュドーンッ!ー

 

だがこの状態になったマサオくんは怖いもの知らずなのか先程まで怖がっていたザク達を次々とZの突進攻撃で蹴散らしていく。なんとも調子の良い性格である。そして

 

ーSecret Mission CLEAR!

敵を5体倒すー

 

ー超激レア! DXキングオージャー!ー

 

「おぉ!お宝ゲットだぜイェーイッ!」

 

なんとザク達を撃破した事で隠し要素であったシークレットミッションをクリアーし、超激レアのお宝をゲットしたマサオくんは更に調子に乗りザク達を次々と蹴散らしていく。

 

「……相変わらず調子良いおにぎりだわ」

 

「マサオくん、凄い……」

 

「おにぎり、すごーい♪」

 

「ってもうすぐ取れそうだわ……ヨシ!取れたわ!」

 

『わ~い♪』

 

マサオくんが健闘する中ネネちゃんとボーちゃんは捕らえられていたベイビーズ達を救出していく。しかし、そんなネネちゃん達にザク達がどんどん迫っていく。

 

「あぁッ!?まだいたのこいつ等!あぁーもうしつこいってぇのッ!オラオラオラァーーー ッ!!」

 

「ボー!」

 

近づいてくるザク達にネネちゃんのシャアザクは何処から取り出したのか分からないが巨大なウサギのぬいぐるみを取り出してまるで棍棒のように振り回しザク達を次々と蹴散らしていく。ボーちゃんのZZもフェイス部分のスリット部分から鼻水のようなモノが伸びそれを鞭のように振り回しザク達を次々と倒して行くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………なんだあれ?」

 

「た、多分ネネちゃん達の性質をデータ化しちゃったのかもしれないのです……?」

 

「それにしてもウサちゃん振り回すシャアザクと鼻水垂らしてるZZって……?」

 

俺達はフードコートにある観客用パネルから皆の様子を観戦していたのだが、なんか想像していた宝探しとちょっと違うんだが?なんでプチバトルみたいな事が始まってんだよ?

 

「ご、ごめんなさい玲二さん。今回のイベント内容はぺこらとマリンにお願いしてたんだけど、どうやら変な隠し要素まで入れていたみたいなのです……」

 

「やっぱそういう事か、まぁ子供達も楽しんでいるみたいだから良いんだが……あ、マサオくんが捕まった」

 

モニターを見るとマサオくんがリーダー格のザクの捕縛ネットに捕まり墜落してしまった。あれだけイキリ散らしてたのに墜落する時はまた元の泣き虫に戻る辺りやっぱマサオくんはマサオくんなんだなぁ?

 

「あ、見てあなた!しんのすけと風間くんが何か見つけたみたいよ!」

 

「おぉ!また新しいお宝か!?」

 

お、どうやらしんのすけ達にも何か進展があったみたいだな?あちらにはこゆきもいるが、一体何があったのか……な、なんだこれはッ?!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「随分深い洞窟だな……?」

 

「おぉ〜、お宝の匂いがプンプンしますなぁ〜」

 

「しますな〜♪」

 

どうやらしんのすけ達は洞窟を発見したようでどんどん奥へと進んでいるようだがかなりのかまだ道は続いてるようである。

 

「でも確かにこういう洞窟にお宝があるのは鉄則だな」

 

「うんうん、そしてそれを守るでっかいゴンドラがいたりして?」

 

「ドラ〜?」

 

「それを言うならドラゴンだろ?流石に子供用のイベントでそんなのはいないだろ?ってなんか広い所に出そうな雰囲気だけど……」

 

雑談しながら進むと奥から光が差し、そのまま進むと開けた場所へと出たようだ。其処には……

 

「こ、これは!?」

 

「おぉー!お宝がたくさんだゾ〜!」

 

「おたから〜♪」

 

なんと其処には激レア以上確定の宝箱が沢山敷き詰められていたのであった。数にしてざっと30個はあるだろう。

 

「やったぁ!これ全部僕たちの物だぁー!」

 

「あはぁ♪お宝ザックザクですな〜♪」

 

「わ~い♪」

 

大量のお宝に興奮して三人は宝箱が置いてある場所へと降りようとする。しかし……

 

ーガッシャーンッ!ー

 

「お?」

 

「え?!な、何これ?!」

 

「あうぅ!?あれみちぇ!」

 

なんと宝箱が敷き詰められていた場所がバリアで覆われ通れなくなり、入ってきた場所も鉄格子が降りて出られなくなってしまったのである。更にこゆきが何かを見つけ上空を指差すと其処から何かが落ちてきたのであった。その正体は……

 

 

 

 

ードッシイィィィィィンッ!!ー

 

『グルアァァァァァァァァァッ!!』

 

「ひいぃぃぃッ!?で、でっかいドラゴン?!」

 

「おぉ~!敵のロボットのお出ましですな〜!」

 

「あーい!」

 

なんとしんのすけ達のSDよりも遥かに巨大な龍のような機体『スナイバル・ドラゴ・ギラ』であった。その圧倒的なデカさに風間くんは腰を抜かしてしまうがしんのすけとこゆきは何故かヤル気マンマンであった。

 

 

『SD スナイバル・ドラゴ・ギラ』

『ガンダム ビルドファイターズトライ』に登場したチームSD-Rのオリジナル合体ガンプラ。スナイバルガンダム、ドラゴナーゲルガンダム、ギラカノンガンダムの三機のSDガンダムが合体する事で凄まじいパワーを発揮する事が出来、その力はセカイ達チームトライファイターズを圧倒する実力を誇っている。

 

 

ー武器使用解放ー

 

ーSecret Mission

巨大龍を討伐せよ!ー

 

「えぇぇぇぇッ!?なんか始まったんだけど?!」

 

「あい!こゆ、がんばりゅ!」

 

「おぉ!オラもガンバるゾ!」

 

唐突に始まったスナイバル・ドラゴ・ギラ討伐ミッション。こゆきとしんのすけは勇敢なのかただ無謀なのかは分からないが二人してそのままスナイバルへと突っ込んでいく。

 

「いくゾォー!カンタムパーンチ!」

 

しんのすけはトルネードガンダムの腕を上げてロケットパンチを放とうとするが当然そんな機能はなく腕は飛ばないが……

 

ーガコンッ!ズガガガガガガガガガッ!ー

 

『ッ!?グルァッ?!』

 

「お?なんか出たゾ?」

 

ロケットパンチの代わりに腕に仕込まれていたガトリング砲がスナイバルを撃ち抜きダメージを与えていった。これは意外にも効果があったのかスナイバルは怯み藻掻いているようだ。

 

「むん!やあぁーーーッ!」

 

ーシュウゥゥゥゥゥッ………バキュウゥゥゥゥゥンッ!!ー

 

ードゴオォォォォンッ!!ー

 

『グアァァァァァァァァァァァッ!?』

 

続いてこゆきのフリーダムのフルバースト攻撃が炸裂しスナイバルに大ダメージを与えていく。どうやらこのスナイバル・ドラゴ・ギラは見た目程其処まで強くない設定にされているようだ。

 

「よ、よーし!しんのすけやこゆきちゃんにだって出来たんだ!僕だって!」

 

風間くんも決心したのかダブルオーガンダムで果敢にスナイバルへと突っ込んでいく。

 

「やあぁーーーッーベシッ!ーあぶぁッ?!」

 

ービッターン!ー

 

しかしスナイバルの尾に払われてダブルオーは洞窟の壁に叩きつけられあっさりやられてしまった。なんとも情けない感じで終わる風間くんであった。

 

「おーし!こゆちゃん、一緒にトドメいくゾォーッ!」

 

「おぉーッ!」

 

そんな風間くんに気を取られる事もなくしんのすけとこゆきは最後の攻撃を放とうと両腕を前に構えていく。するとトルネードとフリーダムの両腕にエネルギーがどんどん蓄積されていく。そう、クレヨンしんちゃんを知ってる方なら分かるであろうしんのすけの大好きなヒーローの必殺技!

 

「いくゾ!アクショーンビーム!」

 

「びーむ!」

 

ービビビビビビビビビビィッ!!ー

 

『グルアァァァァァァァァァァァァァァァーーーーーーッ!!』

 

ーチュドーンッ!!ー

 

なんとトルネード達の腕からビームが放たれそれを受けたスナイバルは断末魔をあげながら爆散し撃破されたのであった。そして

 

ーSecret Mission CLEAR!ー

 

「おぉ~!オラ達の勝ちだゾ〜♪」

 

「わーいおたから〜♪」

 

スナイバルを倒した事で大量の宝箱をゲットしたしんのすけとこゆき。そしてこれによりゲームは終了を迎えるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぱーぱ!こゆのおたからたくしゃん!」

 

「あぁ、よく頑張ったなこゆき」

 

「あい♪」

 

いやはや、まさかスナイバル・ドラゴ・ギラなんて隠しボスを用意とは思ってなかったが無事に終われて良かったわ。どうやらこの隠しボスに関してはぺこらは関与してなくてマリンが勝手に仕込んだらしい。お宝もかなり豪華な物を用意してたらしく内容を見たるしあが怒りでぷるぷると震えていた。そりゃこれ全部経費で用意したとなると無料イベントにしてはかなり痛手の出費だからな。

 

「ほほーい♪おたからゲットだゾ〜」

 

「スゲェ量のおもちゃとお菓子だな……?」

 

「見てあなた!高級焼肉セットですって!」

 

「たやぁ〜♪」

 

「アンッアンッ!」

 

おーしんのすけの方もかなりのお宝をゲットしたみたいだな。しかし高級焼肉セットに宝石のおもちゃに超強力脱臭靴下にプレミアムドッグフード……なんでこうもピンポイントなお宝ばっかなんだ?

 

「見てみて!僕カッコイイロボット貰えたよ!」

 

「ネネだってリアルおままごとセットもらったから次からはもっと本格的なおままごとが出来るわ♪」

 

「僕も、キレイな石、沢山……♪」

 

「……僕、結局なんにもゲットしてない……」

 

マサオくん達も自分達がゲットしたお宝を見せあって喜んでいるな。風間くんはチャンスは幾らでもあったのに結局何もゲットせずに終わってしまったが?まあそういう子にはちゃんと参加賞があるから大丈夫だろ。

 

「それじゃあみんな、今日のお宝探しは楽しかったかな〜?」

 

『はーい♪』

 

他の子達も皆楽しめていたみたいで取り敢えずイベントは成功って事で良さそうだな。マリンはおそらく後でるしあからお仕置きがあると思うが、それは仕方ない事だから甘んじて受けてもらわんとな。

 

「ねーねー玲二さん」

 

「ん?どうしたんだしんのすけ?」

 

「オラ、この()()()()気に入ったゾ!またこれで皆と一緒に遊びたいモンですな〜♪」

 

「…………そうか、それは良かったよ」

 

しんのすけもどうやらガンダムを気に入ってくれたみたいだな。それなら今度皆でSDでも作ってみるか。

 

 

 

こうしてしんのすけ達のガンプラウォーズイベントは無事幕を閉じた。そしてその二週間後、時空間が安定したと同時にしんのすけ達の世界を見つけた事で無事に送り届けお互い元の日常へと戻っていくのであった。

 

「ふぅ、取り敢えずまた暫くは何時もの日常を過ごせそうだな。みしろとエリーもお疲れ様」

 

「えぇ、本当に疲れました。まさかたまきちゃん以上に振り回される事があるなんて……」

 

「でも皆楽しそうで良かったです♪メアリーもお手伝い有難うね♪」

 

「はい!メアリーもいっしょーけんめーがんばりました!」

 

まぁあの家族と過ごすのは楽しいが確かに大変だろうな?それとメアリーも気づけば既に八歳くらいまで成長してるな。これでまだ0歳児とは誰が信じるだろうか?

 

「兎に角三人ともお疲れ様。暫くは暇をやるから他の皆とゆっくりと過ごすと良いさ」

 

「有難うございます、ではお言葉に甘えてのりプロの皆とお出かけでもさせて頂きますわ」

 

「エリーもメアリーと一緒にピクニックに行こうと思います♪」

 

「おとーさまにもおしゃしんいっぱいとってきますね♪」

 

そう言うとみしろ達は一礼をした後俺の部屋を後にする。俺も時空間移動の所為で疲れたから少し寝て身体を休めるとするか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃……

 

「…………う、うぅん……あ、あれ?此処は……何処?」

 

ホロライトシティの海岸沿いの砂浜で一人、三つ編みヘアーで瓶底眼鏡を掛けた少女が目を覚ました。これはまた一波乱ありそうだが、はたしてどうなる事やら……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーオマケー

 

「なぁんで船長がタダ働きしなきゃなんないのさぁッ!?」

 

「当たり前でしょ!勝手な隠し要素加えたり予算以上の景品を経費で落とそうとしたんだからその分稼ぐまで許さないからねッ!!」

 

「うわぁぁぁぁんッ!るしあが虐めてくるうぅぅぅッ!!」

 

宝探しイベントで余計な事をしたマリンは結局るしあに怒られ暫くの間ホロプラでタダ働きをさせられるのであった。




はい、という事でクレヨンしんちゃん編はこれにて終了です!最近は仕事やガンプラの合間に書くようにしてるせいか筆記スピードが遅くなってますがこれからもマイペースでやっていこうと思います!

そして最後に現れた謎の女性の正体は……の前に次回はアンジュのガンプラウォーズ特訓回です!次回もまったり待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第126話『アンジュ猛特訓!前編』

最近ムーナを出してみたいと思いつつタイミングが掴めない今日此の頃……(-_-;)
後は他にもベイビーズの短編とかも書きたいですね~……ネタはないけど(;´Д`)
とまあ筆記のモチベが上がってはいるので暇があればどんどん書いていきたいです!

今回はアンジュの特訓回前編!はたしてアンジュは強くなれるのか?!今回も最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


「お願いします兎鞠先生!私にガンプラの指導をしてください!」

 

「え、えぇ〜……?」

 

しんのすけ達野原家とかすかべ防衛隊の帰還から翌日、玲二の嫁の一人であるアンジュは自分の親友である兎鞠まりの所にやって来たと思えばいきなり土下座をしガンプラの指導を懇願しだした。これには兎鞠も困惑し思わずラーメンを食べてた箸を止めてしまう。

 

「ど、どうしたのアンジュ?急にやって来たと思ったらそんなガンプラを教えろだなんて……?」

 

「もうイヤやねん!皆がガンプラ制作やガンプラウォーズの技術がどんどん上がっているのに私だけ未だにブロンズの2止まり!仲間だと思ってたはかちぇとかも気づいたらシルバーランクに上がってるし、もう佐々木家やにじさんじでブロンズランクなの私だけなんだってえぇぇぇぇッ!!」

 

そう、アンジュはガンプラウォーズが本格稼働してから何度かは挑戦しているが通常初心者でも一週間あればブロンズの5まで上げれる筈なのにアンジュは未だに2で止まったままなのである。それだけならまだしも現在佐々木家では皆ガンプラの技術がメキメキと成長しているのにアンジュだけは何故か未だにエントリーグレードを作るのもやっとなレベルである。

 

そんな事もあってか別に誰も何も言ってないがアンジュは他の皆に対し肩身が狭く感じてしまっているのだ。

 

「だ、だったらそれは兎鞠じゃなくて佐々木さんとかにお願いすれば良いんじゃないの?佐々木さんってホロメンで言ったらフブキちゃんと同じくらいの実力者でしょ?」

 

「そ、そうなんだけど…………玲二さん、今楓さんや他の娘達が産気づいて病院に一緒に行っちゃったんだよね…………」

 

「あらまぁ〜……」

 

まさかの玲二、新しい命との対面の為に現在家にいないのであった。まあこれに関しては仕方がないのだが、此処で兎鞠はある事に気づいてしまう。

 

「……あれ?そういやアンジュってなんでまだ子供作ってないの?他の婚約者以外の皆はもう妊娠や出産してるんだよね?」

 

「ヴッ!?」

 

兎鞠にそう言われ言葉に詰まるアンジュ。実は自分と同じタイミングで結婚したメンバーは既に皆妊娠しており出遅れた咲でさえ既に身籠って現在三ヶ月目に突入している。にも関わらずアンジュは未だにそういった話は一切出ていないのだ。

 

「…………もしかしてだけどアンジュって佐々木さんとそういった事してないとか?」

 

「…………しゃーないやん!玲二さん一回も私の事求めて来ないしこっちから行こうとしたら既に他の娘が先約取っとるし気づいたらもう周りの娘身籠ってるし!あの後に入ってきた笹木でさえ先越されて悔しいねんッ!なんで玲二さん私の事求めてくれないのさあぁぁぁぁぁぁぁッ!?」

 

「わーやっぱり……」

 

どうやらアンジュは玲二とは未だに夜の営みはしていないようでその事でアンジュの不満が大爆発してしまったようだ。まあ玲二は基本的にそういう事は自分からは殆ど求めず、仮に求める時は大体フブキやそらが相手になってるので仕方のない事なのだが。

 

「ま、まあその話は後で玲二さんにしてもらうとして、それだったら他の人は?リゼさんや戌亥さんとか」

 

「リゼは今楓さん達と一緒に入院中だし戌亥に関しては大体自爆装置付けたガンプラばっかり使わせて笑ってくるだけだからアテにならないんだってぇッ!」

 

入院中で退院後も子供のお世話をするリゼには頼れず、更には戌亥はいっつも面白可笑しい機体ばかりを渡してアンジュが自爆する度に「あはーw」と笑うばかりでアテにならずアンジュにはもう身近に頼れる相手がいない状態であった。

 

「だからもう兎鞠しか頼れる相手がいないんだって!兎鞠は今ゴールド2までランク上げてるんだからきっとガンプラウォーズについても教えてくれるって思って来たんよ!だからお願いします兎鞠大先生!このアンジュにガンプラの極意を教えてくださいッ!!」

 

「え、えぇ〜……?」

 

最早プライドを全捨てしたかのような見事な土下座をするアンジュに兎鞠はただただ呆然とするしかなかった。だが此処で断れば暫くだる絡みされそうだし今は特に急ぎの用事もないし、何より今は特に何かをやろうとしてたワケでもないのでまあ暇つぶしには丁度良いかなと思い取り敢えずは引き受けようかなと思うのであった。

 

「まぁ兎鞠も今特にやる事ないから良いけど……取り敢えず今ラーメン食べてるから一時間後くらいにホロプラで落ち合お?それまでに兎鞠も他のメンバー集めてみるから」

 

「ホンマ!?ありがと兎鞠ん!それじゃあ早速先に行って待ってるから!」

 

アンジュは先程までの余裕の無さが嘘のように嬉しそうに兎鞠宅から出ていき、兎鞠も呆れながら取り敢えず伸びかけのラーメンを啜り準備を始めるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー一時間後、ホロプラー

 

「という事でアンジュのガンプラ強化教室と題して!今日はスペシャルゲストに集まってもらいましたー!どうぞー!」

 

「「どもども、おめシスでーす!」」

 

「ご機嫌ようです!地球人類さん!侵略宇宙人の銀河アリスです!」

 

「皆さーん、富士ぃ〜葵です!」

 

「よぅブラザー!キクノジョーです!」

 

「こんにちニンニン!ぽんぽこだよ〜!」

 

「こんにちナッツ!ピーナッツくんデッス!」

 

待ち合わせの時間になりホロプラにやって来た兎鞠はなんと総勢たるメンバーを集めて来てくれたのである。双子アイドルのおめがシスターズのおめがレイとおめがリオ、遠い銀河からやって来た自称侵略宇宙人アイドルの『銀河アリス』、君の心の応援団長アイドルの富士葵とその仲間のキクノジョー、そして忍者の末裔である狸の獣人『ぽんぽこ』とお洒落になりたい永遠の五歳児『ピーナッツくん』。どれも新生アイドル界の黎明期から共に切磋琢磨してきた者達ばかりだ。

 

「今回はアンジュの強化教室という事で皆に声を掛けたらすぐに集まってくれましたー!」

 

「おおぉぉーーーッ!皆さん有難うございます!因みに皆さんのランクってなんぼなんですか?」

 

「レイちゃんはね〜、この間やっとゴールドの4まで登りつめましたー!」

 

「リオはねぇ、シルバーの3でえぇすッ!」

 

「葵はキクノジョーに誘われてちょっと出遅れたけど今ゴールドの2だね♪」

 

「ブラザーに勧めたの俺やのにいつの間にか抜かされた……あ、僕はシルバーの5です」

 

「ぽんぽこはねぇ、確かこの間ピーナッツくんと一緒にシルバーの4まで上がったんだっけ?」

 

「いや4に上がったの僕だけであんたはまだ3でしょ?」

 

「アリスはねー……実はまだやった事がありません!ガンダムのお話も全然分かりません!」

 

皆それぞれのランクを発表する中アリスだけはどうやら完全に初心者らしい。じゃあなんで来たんだ?

 

「アリスちゃんはおめシスに声を掛けた時に丁度一緒にいたみたいで折角だから一緒にやろうって事になったの♪」

 

「おぉ!私と同じ初心者!よろしくお願い致しますアリスさん!」

 

「はいアンジュさん!よろしくおね銀致しやす!」

 

「という事で早速中へと入っていきましょう!」

 

そして一行はホロプラへと入っていく。まず最初にする事は……?

 

「はい、ではまずはアンジュさんとアリスさんには自分のガンプラを制作して頂きたいと思いまーす!」

 

「え!?ガンプラ制作って、ガンプラウォーズはやらないの?!」

 

まずはガンプラを作れと言われアンジュは戸惑ってしまう。というのもアンジュは今までガンプラは作った事はなく何時もレンタルか戌亥が作ったガンプラでのみ参戦していたのである。

 

「アンジュ、ガンプラウォーズっていうのは本来自分の作ったガンプラで遊ぶのが醍醐味なんだよ。それなのに何時までも他人が作ったガンプラだけで遊んでたらガンプラウォーズの楽しさも半減しちゃうよ。それに、自分で作った機体なら能力値も分かり易いし、何より愛着も湧くからね♪」

 

「で、でも私エントリーグレードでもやっとだったのに……!?」

 

「大丈夫だって、今日は兎鞠や他の皆も手伝ってあげるから♪アリスちゃんも何か気に入ったのがあれば遠慮なく言ってね」

 

「はーい♪」

 

こうしてアンジュとアリスはゲームに参加する為にまず自分のガンプラを作る事になった。さて、二人はどんなチョイスをするのだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はい、それじゃあ二人ともガンプラを選び終えたみたいだからそれぞれ発表お願いします!」

 

「はい銀河!アリスはこのおガンプラさんにしました♪」

 

アリスが元気良く出したガンプラ。それはなんとHGの中でもまぁまぁデカい部類の『クシャトリヤ』であった。

 

 

『HG クシャトリヤ』

『機動戦士ガンダムUC』に登場したマリーダ・クルスが搭乗した機体。前機とも言えるクイン・マンサと同等の火力を備えつつそれよりも小型化する事に成功したと言われているがそれでもその全高は22mもあるサイコミュ搭載機である。

 

 

「え?!アリスちゃんなんでそんな機体チョイスしたの?!」

 

「え?……デカくてカッコイイから」

 

なんとアリスはデカくてカッコイイという理由だけでクシャトリヤを選んだようだ。まあガンダム作品を知らないのであれば仕方ないのだが、それにしたって初心者がするようなチョイスではない。だがアリスの目がキラキラ輝いているので止める事は出来ないであろう。

 

「そ、それじゃあアンジュはどんな機体を選んだの?」

 

「あ、えーと……私のはこれです」

 

続いてアンジュが出したのはなんとRX-78-2ガンダム、所謂初代ガンダムだった。しかも40周年を記念して作られた『BEYOND GLOBAL』の物である。

 

 

『HG 1/144 RX-78-2 ガンダム [BEYOND GLOBAL]』

『機動戦士ガンダム』に登場する言わずもがな知れたエースパイロットアムロ・レイが搭乗した機体。これまで様々なバージョンで登場したHGガンダムだがこの40周年で作られたBEYOND GLOBALは美しいポージングと可動域とプロポーションを追求し作られた今までの技術の集大成と言われるキットである。

 

 

「あれ?アンジュってば初代ガンダムを選んだの?」

 

「う、うん。やっぱ私そんなにガンダム詳しくないし、それに前にぺこらさんが物凄くこのガンダム勧めてくれてからちょっと良いなって思いはじめてね……」

 

どうやらアンジュは其処まで詳しくないから比較的に知ってる初代をチョイスしたようだ。まあファースト信者であるぺこらに勧められたというのもあるみたいだが?

 

「よーし、それじゃあ二手に分かれてアンジュとアリスちゃんのガンプラを作っていこう〜♪」

 

『オーッ♪』

 

ともあれガンプラを選び終えたので此処からは二人のガンプラ制作がスタート。兎鞠達も二手に分かれてアンジュ達のサポートをする事になった。此処からはその様子をダイジェストでどうぞ。

 

 

 

 

 

「わぁ、最初こうなってるんですね〜?」

 

「それじゃあまずパーツを取る為にランナーから切ってこうか」

 

「え?ランナー?えっと……走ってる人を斬れば良いの?」

 

「違うって!?なんでプラモ作る最中にいきなりランナー(走者)を斬ろうとすんの?!」

 

「えぇ〜?!何どういう事なの〜?!」

 

「いやランナーってこのプラモのパーツを繋いでいる此処の部分の事を言うんだって!」

 

「あ、そうなんだ?もぉそれ言ってくれないと分かんない〜!」

 

 

 

 

 

「えっと、此処はこうで……あ!?関節仕込むの忘れた!?」

 

「あーアンジュさんまたやっちゃった?」

 

「うぅ〜、エントリーグレードの時は基本的に後ハメ構造だったのにぃ〜……?」

 

「そりゃ同じ機体でも770円のキットと2200円のキットじゃ構造も違うからねぇ」

 

「リオちゃんも最初結構やらかしてたもんね?」

 

「あー今でも結構やらかしますね〜♪」

 

「威張って言う事じゃないねぇッ!?」

 

 

 

 

 

「えーとこれがこうで……やったー!出来た〜♪」

 

「おめでとうアリスちゃん!」

 

「えっへん!アリスだって頑張れば出来るんです!」

 

「うん、しっかり出来上がってるね〜。それじゃ……次は両腕作ってこうか?」

 

「は~い……」

 

※まだ胴体しか出来てません。

 

 

 

 

 

「後は此処と此処をくっつけて……あれ?このパーツなんだろ?」

 

「え……あれ?こんなのガンダムのパーツにあったっけ?」

 

「えーと………………ねぇキクノジョー、これガンダムのパーツだっけ?」

 

「え?んー……いやガンダムにこんなパーツなかった筈だけど……?」

 

「あれ?此処に置いてたパーツ何処にいったんだろ?」

 

※クシャトリヤの関節部分のパーツが紛れてたようです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして……

 

「「かんせーい!」」

 

「二人ともお疲れ様〜♪手伝ってもらったとはいえ初めてでもちゃんと作れたね〜♪」

 

時間は掛かってしまったがアンジュ達は見事自分のガンプラを完成させたのであった。若干ゲート処理が甘い所も見受けられるが、それでも二人が頑張って作った事には変わりはない。

 

「それじゃあ早速対戦!……と言いたかったんだけど今日はもうそろそろ閉店だし兎鞠達も自分のガンプラを持ってきてなかったから対戦はまた明日にしようよ」

 

「え?!もうこんな時間なの!?」

 

ガンプラ作りに夢中になり過ぎて気づかなかったが現在は夜の八時半、閉店三十分前まで二人はずっとワチャワチャとガンプラを作ってたとなるとそれだけ真剣に取り組んでいた事がよく分かる。

 

「もう今日はゲームも出来ないし遅いから続きはまた明日という事で。この後まだ時間があるなら皆でご飯食べに行こうよ♪今日は兎鞠が焼肉奢ってあげるよ〜!」

 

『イエェェェーイッ!!』

 

兎鞠から焼肉を奢ってもらえると聞いてテンションが上がる一同。その後アンジュ達は兎鞠に連れてってもらった焼肉食べ放題の店で満足するまで食べるのであった。

 

明日はいよいよ、アンジュとアリスの本格バトルスタート!

 

続く……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーオマケー

 

「スゥ…スゥ…」

 

「うわぁ、可愛いなぁ〜……♪」

 

「ほら美兎ちゃん、あんまり近くで見たらアカンで?」

 

「リゼも元気な女の子産まれて良かったな〜♪」

 

「有難う戌亥……はあぁ、やっぱ可愛いぃ〜♪」

 

ホロライト総合病院の一室、其処には出産を終えて産まれてきた新たな命を抱き抱える楓とリゼがいた。二人に抱き抱えられている小さな命は可愛らしく寝息を立てて眠っている。

 

「楓、リゼ、二人ともお疲れ様。よく頑張ってくれたな」

 

「ううん、玲二さんが近くでずっと見守ってくれたから私もリゼも頑張れたんよ……♪」

 

「それよりも玲二さんはそろそろメルさん達の所に戻ってあげてください。皆もきっと玲二さんの事を待ってる筈ですから……」

 

「……分かった、けど産後なんだから何かあったらすぐに知らせるんだぞ?」

 

玲二は心配しながらもまだ頑張っているメル達の元へと戻っていく。まだ四人程出産を控えているので玲二もあっちへこっちへと大変そうであるが、そんな事も感じられない程嬉しそうな表情をしている。

 

「まったく忙しないパパやなぁ?なぁ“椛”〜♪」

 

「でもそれだけ皆の事を大切に想ってくれてるって事ですよ♪ね、“ロゼリア”♪」

 

二人は産まれてきた我が子の頭をそっと優しく撫でると心なしかうっすらと笑ったような表情を見せた。この子達も父親と多くの母親、そして沢山の兄弟達から愛されすくすくと育つ事だろう。

 

楓、リゼ、無事出産。

 

命名

『椛』

『ロゼリア』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーオマケ その二ー

 

「うーん、此処って何処だろう?もう休憩時間とっくに過ぎちゃってるし、早く戻らないと部長にまた怒鳴られちゃう……」

 

先程砂浜で倒れていた女性が何やら慌てて走っているが、どうやら道に迷ったようで時折足を止めて辺りをキョロキョロと見回していた。口ぶりからして何処かの会社に勤めているOLのようだが、その表情は何処か余裕がなさそうだ。

 

「……それにしても私、なんであんな砂浜で寝てたんだろう?もしかしてこれって……夢、とか?最近資料作り押し付けられて残業ばっかりだったから疲れてるのかな「ちょっと其処のお嬢さん」え……?」

 

何かブツブツと呟きながらあるくその女性に目の前から何やら異様なまでの風格を漂わせる老婆が声を掛けてきた。年齢はおそらく7,80歳程であろうその老婆は杖をつきながら女性へと近づいていく。

 

「突然すまないねぇお嬢さん。ちょっと尋ねたいのじゃが此処は一体何処かのう?私はついさっきまで一味達と盃を交わしてたんじゃが、気がつけばこの街にいてのう」

 

「え、えーと……すみません、実は私も気がついたら此処にいて、此処が何処だか分からないんです……」

 

「ほぅ、そうかい……フム、やはり一味達と連絡は捕れんようじゃな?ならばこの街の役場へと向かうとしようかい、そうすれば此処が何処かくらいは分かるじゃろう。お前さんも現状が分からないのなら一緒に来たらどうじゃ?」

 

「は、はぁ……?」

 

なんとも落ち着いた雰囲気の老婆を見て女性も落ち着いたのか一緒に役場へと目指す事となった。はたしてこの後一体どうなる事やら……?




はい、という事でアンジュとアリスのガンプラ制作回でした!銀河アリスは最近知ったのですがこの子もぶっ飛んでて面白い娘だと思いました!(^o^)

次回はいよいよアンジュ達の特訓バトル!一体どんなバトルになるのだろうか?次回もまったり待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第127話『アンジュ猛特訓!中編』

もう転売ヤーも諦めたのか、店にいけば偏りはありますがコロナ前のようにガンプラが並んできてます。嬉しい限りですね♪

今回はアンジュの特訓開始!はたしてどんなゲームが行われるのでしょうか?今回も最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


親友である兎鞠まりや他のアイドル達の協力を得て遂に自分のガンプラを完成させたアンジュとアリス。その翌日、アンジュ達はガンプラウォーズで特訓する為再びホロプラへと集まっていた。

 

「それじゃあアリスちゃんの登録も済んだし早速ガンプラウォーズを始めていこっか♪」

 

「おー!で、今日はどんな勝負をする予定なの?」

 

「うーんそうだね〜……あ、これ良いかも!『ボム・ドッジボール』ってバトルだけどこれ面白いし初心者にオススメだよ♪」

 

兎鞠が見せてきたのはガンダムとザクがボールのような物をぶつけ合いをするイラストが描かれた説明欄だった。

 

「うわぁ、それブラザーがめっちゃ得意なヤツやん?」

 

「リオちゃんもこれめちゃくちゃ得意なゲームだったよね?」

 

「そう!リオはねぇ、このボム・ドッジボールがいっちばん好きッ!」

 

「へぇ、そうなんだ?因みにこれどんなゲームなの?」

 

「基本的には普通のドッジボールだよ。ただ少しガンプラバトルの要素を追加してあるから絶対に面白いと思うよ♪それじゃあ今からくじでアンジュチームとアリスチームに分かれよう」

 

こうして兎鞠はくじを取り出しアンジュとアリス以外の他のメンバーがくじを引いていき、その結果以下の通りのチームとなった。

 

 

アンジュチーム

レイ

リオ

キクノジョー

 

 

アリスチーム

ぽんぽこ

ピーナッツくん

兎鞠

 

 

「ってちょっと待って?!これ私のチーム一人少ないやん!?これ絶対私のチーム不利じゃん!?」

 

「ふふん、其処は問題ないよアンジュ!実はもう一人、スペシャルゲストをお招きしているんです!それでは早速お呼びしましょうどうぞ〜!」

 

アンジュのチームメンバーが一人足りないという事態にも兎鞠はすぐに対応し新たなゲストを呼んでいた。それがこちら!

 

「……あ、どうも社です、よろしくお願いします」

 

「って社さんかい!?なんで此処におるねん?!」

 

「いや再販したエアリアル改修型とルブリスウル買いにきたらなんか兎鞠に呼ばれて参加する事になったんだよ、何するか全く聞いてないけど?」

 

なんと参戦してきたのはにじさんじ屈指のオタクライバー社築だった。どうやら買い物に来たところをそのまま連行されたようである。そして社は兎鞠から事情を聞き、若干渋りながらもアンジュの特訓に協力する事となった。

 

「いやまぁこっちももう買い物は済んだから別に良いんだけどさぁ?」

 

「有難うございます!因みに社さんって今ランクはどんくらいなんですか?」

 

「俺?ダイヤの2だけど」

 

『うえぇッ!?』

 

まさかのやしきず、プラチナを通り越して既にダイヤランクまで上り詰めていた。この男、どんだけやり込んでいるんだ?

 

「ちょっと待ってよ!?そんな強い人いたらアリス達めっちゃ不利じゃん?!」

 

「葵達ゴールドとかシルバーなのにそれよりもっと上のランクのやしきずさん入ったらゲームバランス崩壊するって!?」

 

「だ、大丈夫だって!ほら社さんも今日は買い物に来ただけだから自分のガンプラだって持ってきてない筈「あるぞ?」あるの?!」

 

「そりゃバトラーたるもの何時でもガンプラウォーズ出来るようにマイガンプラは常備してるぞ。最近じゃ玲二が自宅や外出先とかでも出来るようPC版を開発中だっていうし、それが出来ればホントに何処でも出来るしな」

 

なんと常にマイガンプラを持ち歩いているというやしきず、流石はオタクライバーの称号を得ただけの事はある。

 

「安心しろ、流石に手加減はしてやるから。それにやるのはボム・ドッジボールなんだろ?正直それ少し苦手だから皆でも頑張れば勝てるって」

 

「そ、それなら多分大丈夫かな?それじゃあ早速エントリーしてやっていこぉーッ!」

 

『オーッ!』

 

こうして急遽やしきずも参加する事になり兎鞠はボム・ドッジボールのイベントをエントリーし一行はゲームエリアへと向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゲームエリアに到着した一行は早速筐体に入りそれぞれのガンプラをセッティングし今回はより臨場感を出す為にVRゴーグルを装備しゲームを起動する。今回の舞台はなんと体育館!その中央部には今回の対決のフィールドであるドッジボールコートがセッティングされていた。

 

「おぉ〜、ガンプラウォーズってこんなフィールドまであるんだ?」

 

「これはガンプラだから出来るステージでもあるよね〜?それじゃあまずは互いのガンプラを見ていこっか♪」

 

という事で此処で皆のガンプラを紹介していこう。まずはアンジュチームのガンプラはアンジュが昨日作ったガンダム、おめがレイがユニコーンガンダムデストロイモード、おめがリオがガンダムヴァーチェの改造ガンプラ『ガンダムグランドリオン』、キクノジョーがジムの改造ガンプラ『ジムヘビーアームズ』、そしてやしきずがオリジナル改造ガンプラ『プロトダブルオー』である。

 

 

『ガンダムグランドリオン』

『機動戦士ガンダムOO』に登場したガンダムヴァーチェを改造した超重量級ガンプラ。唯でさえ重量級のヴァーチェに更にプラ板でガチガチに装甲を増強しバックアップや装甲の一部に機動性を損なわせない為のバーニアが装備されているので圧倒的防御力を誇りながらも動ける機体である。コンセプトは絶対に突破出来ない要塞である。

 

 

『ジムヘビーアームズ』

『機動戦士ガンダム』に登場したジムと『新機動戦記ガンダムW』に登場したガンダムヘビーアームズと30MMシリーズのウェポンズをミキシングした機体。コンセプトはコスパの悪い量産型MSという事らしく、ミキシングやプラ板増強を繰り返した結果エース機以上の高火力と防御力を確保したが明らかに量産型でやる事ではないロマン改造である。

 

 

『プロトダブルオー』

『機動戦士ガンダムOO』に登場したダブルオーガンダムの改造ガンプラ。ただベースにした機体はなんと30MMのアルトでありそこからダブルオーのパーツや指揮官用オプションパーツとエネルギー武装のカスタマイズウェポンズを使用して作られた。コンセプトは機体名の通りダブルオーのテスト機である。

 

 

「あれ?レイちゃん唯のユニコーンガンダム?何時も使ってるガンプラはどうしたの?」

 

「改修が間に合わなかったんだよぉ〜ッ!?仕方ないから今朝目の前にあったユニコーン急いで作ったんだよ〜!」

 

「にしたってなんでユニコーンにしたんだよ?それパーツが緩くて結構部品外れやすいキットじゃん?」

 

「残ってたキットですぐ作れそうなのこれしかなかったんだもぉーん!」

 

まさかのおめがレイ、自分のガンプラの改修が間に合わず急遽作った素組のユニコーンで参戦する事に。それにしてもまさかあのおめがリオが改造ガンプラを使ってるのが意外である。

 

 

「それじゃあ次は兎鞠達のガンプラを紹介するね!どぉどぉ?兎鞠の『ガンダムバルバタウロスルプスレクスマークX』!」

 

『名前長ッ!?』

 

続いてアリスチームのガンプラ紹介。リーダーであるアリスのクシャトリヤをはじめ兎鞠の『ガンダムバルバタウロスルプスレクスマークX』、葵がガンダムMk-IIをベースに改造した『ガンダムヘビーシールダー』、ぽんぽこがガンダムグシオンを改造した『ぽんぽこグシオン』、そしてピーナッツくんのは……

 

「どーだぁ!これが僕のリーサルウェポン!『ガンダムシェルフォートレス』だぁーーーッ!」

 

「いやデカくない?!コートの半分くらい占拠してるし!?」

 

なんと自軍エリアの半分くらいを余裕で占拠している巨大な改造ガンプラ『ガンダムシェルフォートレス』であった。

 

 

『ガンダムバルバタウロスルプスレクスマークX』

『ガンダムブレイカーバトローグ』に登場したガンダムバルバタウロスを更に改造した機体。ルプスレクスの装甲を足し更に代名詞とも言えるメイスも棘や刃を加えた事でより凶暴な見た目へと変化している。コンセプトは限界を越えた真の獣である。因みにマークXというのはこれが10回目の改修だからだとか。

 

 

『ぽんぽこグシオン』

『機動戦士ガンダム鉄血のオルフェンズ』に登場したガンダムグシオンを改造した機体。装甲にベアッガイ等のパーツを加えて狸のような見た目をしている。メイン武器であったグシオンハンマーの代わりにスクラッチして作った『妖刀 打怒気』を腰に構えている。コンセプトは忍ばない忍びである。

 

 

『ガンダムヘビーシールダー』

『機動戦士Zガンダム』に登場したガンダムMk-IIを改造した機体。メインウエポンはビームサーベル一本とコアガンダムのコアスプレーガンのみで装甲はプラ板やガンダムのシールドをスクラッチしてアーマー化させた物でガッチガチに強化している。コンセプトは仲間を支援する防御全振りのガンダムである。

 

 

『ガンダムシェルフォートレス』

『機動戦士Zガンダム』に登場したサイコガンダムをベースに改造された機体。宇宙世紀のあらゆるMSの装甲の一部分ずつを取り込みその名の通り巨大な要塞のような機体へと仕上がった。その圧倒的火力と防御力を引き換えにその場から身動きが出来なくなるという弱点を抱えてしまっている。コンセプトはラスボスになりきれなかったガンダムである。

 

 

「なんでピーナッツくんそのガンプラ持ってきたのさ!?クッソ邪魔なんだけど?!」

 

「しょーがないじゃん!僕だってボム・ドッジボールって分かってたらこれじゃないの持ってきてたっての!?」

 

「うえぇ〜!これじゃ身動き出来ないよぉ〜!?」

 

「うわぁ、あっちデカい機体ばっかで身動きしづらそう……?」

 

「確かにこのゲーム防御面も重要だけど彼処までガチガチだと逆にムズくね?」

 

ほぼ全員増強された装甲だったり元のサイズだったりの所為でアリスチームのコートはほぼスペースが埋まってしまっている。こんなんで大丈夫なのか?

 

「と、兎に角改めてルールの説明をするね!とは言っても基本は普通のドッジボールと同じでこのボールを相手にぶつけていくゲームだよ」

 

「え、それだけ?それじゃあ普通のドッジボールと変わらんやん?」

 

「ちぃーっちっちっちぃ〜。ところがどっこいこのゲームで使うのはこのボムボールっていう時限爆弾なのさぁ!」

 

そういっておめがレイが取り出したのは赤いコアのような物が埋め込まれた黒いボールだった。普通のドッジボールは相手に球をぶつけていきぶつけられた者はコートの外に出るというルールなのだが、このボム・ドッジボールはボムボールという時限爆弾をぶつけ合って戦うゲームなのだ。

 

「このボムボールはぶつけられるか一定時間が経つと爆発しちゃうからその爆発を受けて撃破されたプレイヤーは失格ってワケ。けど普通のドッジボールと違って爆発を受けても耐えられたらそのまま続行する事が出来るから最終的にこのボムボールで相手チームを全滅させた方が勝ちって事。二人とも分かったかな?」

 

「なるほど!要は相手にバンバンボールをぶつけていけば良いって事ですね!?」

 

「おっしゃあ!そんじゃ早速やってやんぜぇ!」

 

ルールを聞いてヤル気を上げてく二人。そして互いのコートにそれぞれ陣営を配置しいよいよゲームが始まるのであった!

 

 

ーGAME STARTー

 

 

「よっしゃあ!先攻はこっちだぁ!まずは目の前にいる葵さんからだぁッ!」

 

「あちょっと待てアンジュッ!?」

 

ーブウゥンッ!ー

 

やしきずが何かを言い掛けたがアンジュはお構いなしに葵のヘビーシールダーへとボムボールを投げつけていく。だが

 

「甘いよアンジュさん!フンッ!」

 

ーガキィンッ!ー

 

「!?ウソ、防がれた!?」

 

なんとヘビーシールダーがその両腕に装備されたシールドでボムボールを弾き返し、その球は兎鞠のマークXへと渡ってしまった。

 

「そんじゃ反撃!狙いは……レイちゃんのユニコーン!イッケエェーーーッ!」

 

ーブオォンッ!ー

 

そしてマークXはボムボールに力を注ぎおめがレイのユニコーンに向かって勢いよく投げつけていく。そのスピードは先程のアンジュのガンダムとは比べ物にならないくらいの速さで飛んでいき

 

ーバキィンッ!ドッゴオォォォォォォォォンッ!ー

 

「ノオォォォォォォッ!?」

 

「レイちゃーーーん!?」

 

そのままユニコーンに命中するとボムボールが大爆発を起こしその攻撃をモロに受けたユニコーンはあっさりと爆散しリタイアとなってしまった。

 

おめがレイ リタイア

 

アンジュチーム 4ー5 アリスチーム

 

「わぁ〜、兎鞠ちゃんすごーい♪」

 

「へへん!兎鞠の剛速球の前に相手は為す術もないのだぁ〜♪」

 

「おいアンジュ!なんでいきなり防御重視の機体に向かって投げたんだよ?!こういうのは攻撃タイプを潰してから防御タイプを攻めるのがセオリーなんだよ!」

 

「ご、ごめんってぇ!でも知らなかったからしゃーないやん!?」

 

おめがレイが撃破されいきなり戦力がダウンしてしまったアンジュチーム。まぁおめがレイの機体は素組のユニコーンなので仕方ないと言えば仕方ないであろう。

 

「さぁどうするアンジュ?こっちの防御タイプが多いこの鉄壁スタイルの陣営を突破出来るかな〜?」

 

「う、うぅ〜、初心者相手に厳しすぎるのだぁ〜……」

 

いきなりアンジュの不利な状況で始まったボム・ドッジボール。はたしてアンジュはこの特訓でゲームスキルを上げられるのだろうか?続く……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーオマケー

 

「わぁ〜!レミのいもーとぉ♪」

 

「うん、レミィもこれでお姉ちゃんだね♪ほら“フラン”、お姉ちゃんだよ〜♪」

 

楓達の出産が終わってから数時間後、残った娘達の出産も無事に終わり病室に戻って安静にしていた。メルは産まれた第二子『フラン』をレミィに見せるとレミィは嬉しそうに目を輝かせている。

 

「……なんか不思議な感じやなぁ?この子がさっきまであてぃしのお腹の中におったなんて」

 

「本当にそうだね、まさに生命の神秘って感じがするなぁ♪」

 

「だね♪るるもこうして玲二君との子供が授かれるなんて夢みたい♪」

 

そしてほぼ同時に出産した唯華と夏芽とるるも産まれたばかりの自分の子供を抱き抱え嬉しそうに微笑んでいる。

 

「皆、本当にお疲れ様。そしてこの子達を産んでくれて有難うな」

 

「うん、玲二君もこれからあてぃしと『蓮華』の事、大事にしたってな〜♪」

 

「これから一緒にいろんな物語を考えていこうね『つぼみ』♪」

 

「パパみたいな格好良い男の子になってね『優二』♪」

 

三人は我が子に願いを込めた名前を授け優しく頭を撫でてあげる。そして楓とリゼ、メルも嬉しそうに我が子を撫でていてその様子を見ていた玲二はこれからもより一層頑張っていこうと誓うのであった。

 

 

新たな命、無事誕生。

 

メル

命名『フラン』女の子

 

唯華

命名『蓮華』女の子

 

夏芽

命名『つぼみ』女の子

 

るる

命名『優二』 男の子

 

※尚、前回の子供達はどちらも女の子です。

 

 

 

 

 

ーブーッブーッブーッー

 

「?なんだ、役所から?一体どうしたんだ?」

 

そんな和んでいた中突然玲二のスマホが震え確認すると役所からの着信だった。一体何事かと思いながら玲二は一旦病室から出て電話に出る。

 

ーピッー

 

「はい佐々木です……え?変な()()()が役所にやって来てる?話が微妙に噛み合わない?なんだそりゃ?まぁ取り敢えず今から向かうから少し待っててくださいーピッー……はぁ、喜びに浸る暇もないのかよ……?」

 

急な事態が起こり玲二はひとまず病室に戻り皆に事情を説明した後すぐに転移し役所へと向かっていくのであった。




はい、という事でボム・ドッジボール開幕です!早速おめがレイがやられてアンジュはピンチですがはたして逆転出来るのか?今回長くなりそうだったので後編ではなく中編にしました、次回でこの特訓回は終わります!次回もまったり待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第128話『アンジュ猛特訓!後編』

最近は大雨に地震と各地でいろいろと災害が起きているようなので皆さんも気をつけてお過ごしください。

さて、今回は短めですがアンジュの特訓最終回です!はたしてボム・ドッジボールの勝敗は如何に!?今回も最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


ボム・ドッジボールが始まってすぐにおめがレイがやられいきなり不利なスタートを迎えたアンジュ。アリスチームの防御タイプが多い鉄壁の布陣を突破する手段はあるのだろうか?

 

「は、はわわ、ど、どうしたらいいのだ〜?! 」

 

「落ち着けアンジュ!まずは敵の主戦力を潰すんだ!そうすれば後は防御タイプを一機ずつ倒していけば必ず勝てる!」

 

仲間がやられてテンパるアンジュにやしきずはなんとか落ち着かせようとするがそうこうしている内にアリスチームのターンが始まる。ボールはアリスのクシャトリヤが持っている。

 

「よーし、アリスもいっくよぉーーーッ!せぇーーー……のッ!」

 

ーブオォンッ!ゴオォォォォォォッ!ー

 

「ひえぇぇぇぇーーーッ!?こっちにきたぁーーーッ?!」

 

クシャトリヤから放たれた剛速球がアンジュのガンダムに一直線に向かっていく。当然アンジュはテンパってあたふたしてしまうが

 

「させないってーの!おりゃぁ!」

 

ーズガガガガガガガガガガガガガッ!ー

 

キクノジョーのジムヘビーアームズがガトリング砲でボムボールを撃ちその速度を抑えていく。その隙にやしきずのプロトダブルオーがボールを確保し兎鞠のマークXに狙いを定める。

 

「おっしゃあ!もらったあぁーーーッ!」

 

ーヒョイッカッキィィィンッ!ー

 

プロトダブルオーは肩に背負ってたプロトGNセイバーを振り回し野球のバッティングの如くボールを飛ばしマークXに直撃させていく。

 

ードゴオォォォォォォンッ!ー

 

「キャアァァァッ!?」

 

「兎鞠ちゃーん!?」

 

直撃と共にボールが爆発し兎鞠が脱落……と思いきや当たった部分がバルバタウロスの後ろ足部分だった為かその部分だけは壊れたが本体はまだ無事のようだ。

 

「あたたた……やっぱやしきずさんは厄介だなぁ?」

 

「兎鞠ちゃん大丈夫!?もぉ~お武器さん使うなんてズルいよぉ〜!?」

 

「あー!?ごめん良い忘れてた!相手に直接当てさえしなければ武器の使用は許可されてるんだよ!」

 

「「そうなの?!」」

 

まさかのルールに驚くアンジュとアリス。実はこのボム・ドッジボールは武器の使用は自由でありその武器の使い方でボムボールの威力を底上げする事が出来るのだ。最も武器で相手に攻撃する事は禁止であり故意で攻撃した場合はペナルティで退場させられるし、そもそもこのバトルではボムボール以外のダメージは0に設定されている為武器の使用はあくまでボムボールをコントロールする用の仕様と言えるだろう。

 

とまあ説明はこのくらいにして次はアンジュチームのターン。投者はおめがリオだ。

 

「よっしゃあ!こっからはリオのターン!さあぽんぽこ覚悟ぉ〜!」

 

「え、なんであたし?!」

 

どうやらおめがリオはぽんぽこに狙いを定めたのか後ろに背負ってたGNリオンバズーカを取り出し発射口にボムボールをセットしぽんぽこグシオンに向けて構えていく。

 

「いっくぞぉッ!ハイパーリオンバスター!シューーーートッ!!」

 

ーシュウゥゥゥ……ドッゴオォォォォンッ!!ー

 

「ゔぇえぇーーーッ!?」

 

まさかのバズーカからの砲弾にぽんぽこグシオンは仰天し身動きが取れず

 

ードッゴオォォッ!ー

 

「ぐぬぉッ!?」

 

ードッカアァァァァァァンッ!!ー

 

『うわあぁぁぁぁッ!?』

 

そのまま直撃し大爆発。更にはその威力が凄まじかったのかアリスチームは疎かアンジュ達の陣営にもその爆発の被害が発生してしまった。

 

「ゲホッゲホッ……ヤバ、やり過ぎたかな?」

 

「やり過ぎだってリオちゃーん!お陰で俺の機体の装甲少し剥がれたじゃんかぁ!?」

 

「な、なんちゅー威力なんだよ……?!」

 

「うえぇ、シールドが壊れちゃったぁ〜……」

 

爆発の威力によってアンジュ達の陣営も被害を受けアンジュのガンダムのシールドとやしきずのプロトダブルオーのプロトGNセイバー、そしてキクノジョーのジムヘビーアームズの装甲の一部が剥がされてしまった。だがアリスチームの方はもっと被害は甚大だったようで……

 

「痛た……ってあれ?!葵ちゃんまで脱落しちゃってる?!」

 

「た、多分今の爆発にモロに巻き込まれちゃったんだと思う……うわぁ、僕のシェルフォートレスの足に付けてたGP02のシールド壊れちゃってるよ……」

 

「ふえぇ〜、アリスの羽もげちゃったぁ〜……」

 

まさかの葵のヘビーシールダーがぽんぽこグシオンの爆発する際に一緒にぶつかって巻き込まれたらしく今の一撃で共倒れ。更にアリスのクシャトリヤの右側の羽がもげピーナッツくんのシェルフォートレスの両足のシールドが破壊されていた。兎鞠のマークXはどうやら回避出来たようで然程ダメージはないようだがそれでも被害は甚大な事には変わりはない。

 

「うぅ〜!もうこれ以上好き勝手なんてさせないんだからね!今度はこっちの番だよ!」

 

「よ、よよよよーし!私だってやれば出来るってところ見せてやるんだからなぁーーーッ!」

 

そして再びアリスチームのターンとなりボム・ドッジボールは更に熱気を増していくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数分後……

 

アンジュチーム 1ー1 アリスチーム

 

「「はぁ、はぁ……」」

 

あれから怒涛のやり合いが続き遂にはアンジュとアリスの二人だけになっていた。おめがリオのグランドリオンがアリスのファンネルの力で押し出された剛球に押されて爆散、その後アンジュのガンダムが投げたボムボールがピーナッツくんのシェルフォートレスの装甲に挟まって取れずそのまま時限爆弾が作動し爆散、キクノジョーのジムヘビーアームズも善戦していたが兎鞠のマークXに押され敢え無く撃沈その後やしきずのプロトダブルオーとマークXが激しいぶつけ合いを見せたが、その途中で

 

「ふぅ、じゃあこっから先は二人に任せよっか?」

 

「だな。んじゃ俺達は抜けるから後は二人で頑張ってみな?」

 

と二人してそのままリタイアしてしまったのだ。まあこのバトルはあくまでも二人の特訓なので上級者の二人がやり合っても意味はないからある意味お膳立てされたようなものである。

 

(うぅ、アリスさんのクシャトリヤは羽がもげたとはいえまだ健在。対して私のガンダムはもうシールドがないから防ぐ手段がない。機体の装甲レベルだけで言えば間違いなく向こうが有利だしどうしたら……?)

 

とはいえ現状はアンジュがやや不利な状況、しかも次の攻撃はアリスからとなっている。このままではアンジュは負けてしまうかもしれない。だがアンジュは大してないガンダムやガンプラの知識を思い返しなんとか逆転出来ないかを考えていく。

 

 

 

そして……

 

 

 

(……ッ!そうだ、確か玲二さんが言っていた!ガンプラウォーズで素組の相手と戦う時は合わせ目やそのキットの弱点になる脆い部分を狙うのが良いって!けどあのキットの脆い部分なんて知らないから狙うなら合わせ目!あのキットの合わせ目は……)

 

「?アンジュさん何か考えているみたいだけど、そんなボーッとしてたらこの一撃で終わっちゃうよ!せぇーーーッの!!」

 

ーブウゥンッ!!ー

 

「ッ!?」

 

アンジュが考えている中アリスは容赦なくゲームを再開しガンダムに向かって最大威力の剛球をぶん投げた。おそらくこの一撃で終わらすつもりなのか今まで以上に速くガンダムへと迫っていく。

 

(クッ!もう考えているヒマなんてない!一か八か、これで決めるッ!)

 

それに対しアンジュは腰にマウントしていたバズーカを取り出しボムボールへとぶっ放していく。流石に止まりはしないが三発ほどぶつけると威力は弱まり、すかさずアンジュはバズーカを捨てボールをキャッチし反撃に出る!

 

「狙うは…………ッ!其処だぁッ!!」

 

ーブオォンッ!!ー

 

ガンダムの投げた剛球はクシャトリヤにめがけて勢いよく飛んでいく。更に

 

「オマケだぁ!取っとけぇッ!」

 

ードキュウゥンッ!ー

 

「ウソぉッ!?」

 

飛んでくボムボールに向かってガンダムのビームライフルがヒットし勢いが増しクシャトリヤへと向かっていく。そして……

 

ードゴオォッ!!ー

 

「はわぁッ!?」

 

その球はクシャトリヤのお腹部分にぶつかり

 

ードッカアァァァァァァァァァァァァァァァァァンッ!!ー

 

盛大に大爆発を起こしたのであった。その爆発を受けたクシャトリヤは腹部が爆発により散り上半身と下半身が分かれてそのまま倒れ込んでしまったのだった。つまり

 

 

ーWINNER アンジュチーム!ー

 

 

この勝負、アンジュ達の勝利である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「悔じいぃぃぃぃぃぃぃーーーッ!絶対アリスが勝ったとおもったのにぃぃぃぃぃぃぃぃーーーッ!?」

 

「いやぁまさか最後にビームライフル攻撃で威力を上げるなんて、やるねぇアンジュ♪」

 

「あ、アハハ……」

 

バトルが終わりフードコートに戻った一同。アリスは負けて悔しそうにハンバーガーを頬張っていた。戦いに勝ったアンジュもまだ実感がないのか照れながら紅茶をちびちび飲んでいる。因みにやしきずは既に帰宅したようで既にこの場にはいなくなっている。

 

「それにしてもアンジュさん、よくクシャトリヤの弱点部分が腹部だって分かったね?」

 

「え?クシャトリヤって腹部が弱点なの?」

 

「うん、確かあのキットってそれなりの大きさがあるのにも関わらず腹部と腰部を繋ぐ軸が浅いんだよ。それを作った事もないアンジュが分かってたのが意外だったなぁ」

 

「い、いやぁ偶々だってアハハ……(本当は合わせ目を狙ったつもりだったんだけどそんな弱点があったなんて……けど上手くいって良かったぁ〜)」

 

狙いとは違いまさかのラッキーだったようだがそれでも勝ちは勝ちなのでホッとするアンジュであった。

 

「それで二人とも、今回のバトルはどうだったかな?」

 

「すっごく面白かったぁ!今度は猫さん達も連れて皆で遊びたいと思います♪」

 

「私も、今まで以上に皆と一緒に遊べた気がして楽しかったわ♪今回のお陰でランクも上がったし、これからももっとやってみたいと思えたしね♪」

 

「良かったぁ〜♪それじゃあまだまだ時間もある事だし、休憩が終わったら違うジャンルのミッションで遊ぼう〜!」

 

『おぉーーーッ!』

 

こうしてアンジュとアリスの特訓という名のコラボゲームはまだまだ続くのであった。そしてこの特訓のお陰が終わる頃にはアンジュは念願のシルバーランクまで上げる事が出来たとさ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーオマケー

 

「……で、彼処にいる二人が電話で言ってた人達ですか?」

 

「は、はい。この街の事も知らないようだったのとご年配の方は自分は海賊の船長と言ったり女性の方に勤め先を聞いたら数年前に倒産したブラック企業だったりと話が噛み合わなくて……」

 

マジか、電話で聞いた時からなんとなくそうかとは思ってたが……やはり来訪者か。しかも見た感じ一人は年老いてはいるが間違いなくマリンだよな?もう一人は……誰かに似てるけど誰だ?どっかで見た事あるような気もするが……?

 

「あ、あの!あなたがこの街の市長さんですよね?!私、気づいたらこの街にいて……此処って一体何処なんですか?!私早く戻らないと部長にまた叱られてしまいます……」

 

「あ、あぁそれは……」

 

「こらこらお嬢さん、慌てる気持ちも分かるが落ち着きなさい。お相手さんも困っとるじゃろ?それに向こうもちゃんと説明してくれるみたいじゃしそんな慌てる必要はなかろう?」

 

「は、はい……」

 

おぉスゲェ、めちゃくちゃ物事を冷静に判断している。やっぱり歳を重ねると落ち着きが出るのかこのマリンは一切微動だにしてない。取り敢えず自分でも言ってたようだからこのマリンは船長と呼ぶ事にするか。さて……

 

「それで、電話では三人組と聞いてたんだが後の一人は何処に行ったんだ?」

 

「そ、それが市長がくるまで外の風を吸ってくるとか言って出て言って「おう、そろそろ市長はやって来たか?!」ッ!あ、あの人です!」

 

あの人?…………なんだあれ!?サングラスを掛けた筋肉マッチョな男!?しかもなんで女装みたいな格好してんだこの人は?!

 

「お?あんたが此処の市長か?急に知らん街に飛ばされてびっくりしたがなかなか良い街じゃねぇか!ガァーハッハッハッ!」

 

「は、はぁ……」

 

だ、ダメだ、情報が追いつかん!?今回もしかしたら過去一濃い奴等が来てしまったかもしれねぇ!?うわぁもう頭が痛い……

 

 

 

瓶底眼鏡に三つ編みヘアーの女性、凡そ7,80くらいの年齢のマリン、そして女装してる筋肉マッチョ。はたしてこの三人は一体どんな事態を起こすのだろうか?次回へ続く……




はい、という事でアンジュの特訓回これにて終了です!そして次回はいよいよ新たな来訪者達との交流回です!一体どうなる事やら……?次回もまったり待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第129話『異世界イレギュラーズ』

そういえば前回言い忘れましたが最近pixivでもこの小説を投稿し始めました。とはいえ手直しは加えただけで内容は大して変わらないのと向こうは気まぐれで更新します。

今回は異世界組との交流回です!はたして筋肉マッチョの正体や如何に……?今回も最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


「…………ね、ねぇレイくん?これは一体……?」

 

「…………俺に聞かないでくれ」

 

「「うゅ?」」

 

役所へと行き異世界からの来訪者と対面し一先ず保護の為に神羅城へと連れてきたは良いが……俺はこゆきとふゆきを抱っこしながら頭を抱えていた。というのも……

 

 

 

 

 

「あぁどうしよう明日の会議の資料今日中に纏めないとクビにされちゃう……折角部長も最近は少しだけ認めてくれるようになったのにこれじゃあまた怒鳴られちゃうよぉ……」

 

「お、落ち着いてください!?その点に関してはレイさんがなんとかしてくれるから!」

 

 

 

 

 

「ほぉ?お前さんがこの世界の私か?しかしまぁなんというか、なんとも腑抜けた感じがするのう?」

 

「そ、そんな事言われたってぇ〜!?」

 

「………っていうかこのおばあちゃんマリン威厳あり過ぎじゃないぺこか?」

 

「それに年老いてはいるけど凄い覇気……このマリン、相当な手練だと思うよ?」

 

 

 

 

 

「フンッ!貴様、なかなか良い身体つきをしてるではないか!?」

 

「あら?そういうアナタもなかなかのビューティフルボディじゃない?でもアテクシのパーフェクトボディだって負けてないわよ!ベルちゃん!チャイちゃん!アナタ達も見せつけてやりなさい!」

 

「「押忍ッ!!」」

 

 

 

 

 

…………なんだこれ?ソファーに座ってる瓶底眼鏡の女性は半泣き状態で落ち込んでるし、マリン達が船長を見て怖気付いてるし、そして筋肉マッチョの女装男性は偶々遊びに来ていた兄貴とベルさんとチャイカと一緒になってボディービル大会みたいな事してるし?もうめちゃくちゃ過ぎて頭が痛い……そんな俺を見てこゆきとふゆきがちっちゃい手で俺の頭を撫でてくる。

 

「ぱーぱ、よちよち」

 

「ちー」

 

「あ、あぁありがとなこゆき、ふゆき……コホン、取り敢えずまずは三人の素性を聞かないとな?まぁあの威厳がある老婆がマリンで間違いないだろうが……」

 

「なんだかんだで異世界マリンってこれで二回目ですよね?それと残りの二人ですが……?」

 

俺とフブキは残る二人の内肉体美を披露している女装男性を見るが、あの格好はどうみても……

 

「や、やっぱりあれってアキちゃ「そんなワケない」え?!で、でもどうみてもあの服装はアキち「絶対違う」あ、アキちゃん?」

 

「あんな筋肉ムキムキマッチョな人がアキロゼなワケないじゃないそりゃ前にムキロゼとかいうネタはやったけどあんな某ヒーロー達の学校の英雄教師みたいな屈強筋骨隆々までいってないもん」

 

「あ、これアキちゃん完全に現実逃避しちゃってるわね?」

 

あーやっぱりアキが否定しちゃってるな?でもあの男が着ている服はどうみても普段のアキと同じ服なんだよなぁ?取り敢えず名前だけ聞いてみるか。

 

「あーちょっと?ボディービル大会やってるとこ悪いけど、あんた名前は?」

 

「ん?おーそういやまだ名乗ってなかったな?こりゃ失敬、俺は“アキ・ローゼンタール”っていうんだ、よろしくなブラザーッ!」

 

「ッ!?……キュウ」

 

ーバタンッー

 

「あぁ!?アキちゃんがショックで気絶しちゃった!?」

 

「まーま!ちっかりちてぇ〜!?」

 

あーあ、やっぱりこの男異世界のアキだったか?にしても今まで年齢や性格が違うのはあったがまさか性別すら逆転している世界線もあるのか。アキには申し訳ないがそれはそれで面白いな……ってそんな事は良いとしてアキの介抱はまつりとはあとに任せて次はあの瓶底眼鏡の女性だな……やっぱりこの娘どっかで見た事あるような気がするんだよなぁ?

 

「おーいあんた、ちょっと良いか?」

 

「ブツブツ…………え?あ、はい!なな、なんでしょうか一体?!」

 

「いやびっくりし過ぎじゃね?まぁそれは兎も角、あんた名前はなんていうんだ?」

 

「わ、私ですか?えと、“ときのそら”ですけど……?」

 

 

 

…………

 

 

……………………

 

 

 

………………………………は?

 

『えぇぇぇぇーーーーーーッ!?ときのそらぁーーーッ?!』

 

「は、はい。えっと、何か変でした?」

 

いやそうじゃねぇけど!?この娘がそら?!言っちゃ悪いが瓶底眼鏡に三つ編みヘアーなんて地味な感じがして全然分からなかったぞ!?

 

「ね、ねぇ貴方本当にそらちゃんなの?!」

 

「は、はいそうですけど………?」

 

「そ、そんなまさか……ッ!なら申し訳ないけどその眼鏡取って三つ編み解いてもらっても良い!?」

 

「は、はぁ……?」

 

すいとロボ子に言われそらと名乗る女性は眼鏡を外し三つ編みを解いていく。するとその素顔は目の下に隈があるものの間違いなくそらと瓜二つであった。

 

「ほ、本当に私だったんだね……?」

 

「え?……え!?わ、私がもう一人いる?!どういう事!?やっぱりこれって夢?!」

 

そんな異世界そらはこっちのそらを見て余計に混乱してしまっている。にしてもこの娘が本当にそらだったなんて…………ッ!そうだ今思い出した!この娘異世界のラミィこと冬花がやって来た時に異世界を覗き見してた時にチラッと見た社畜そらだ!インパクトあった筈なのにすっかり忘れてた!?

 

と、兎に角これ以上混乱させない為にも早めに現状について説明しないとな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こ、此処が異世界?じゃあ私仕事の最中に異世界に飛ばされてしまったの?そ、そんな……まだ資料も纏めてなかったのに……」

 

「ふむ、やはり此処は私のいた世界とは違う世界じゃったか?」

 

「成る程!異世界とは実に面白い!しかし俺の異世界の姿がその華奢な女の子だったとは、なんとも面白い事もあるものだ!ガァーハッハッハッ!」

 

……なんかリアクションは三者三様だな?社畜そらは仕事をほっぽり出してしまった事で慌ててしまってるが船長は全然落ち着いているし寧ろ納得しているようだ。異世界アキことムキロゼ兄貴もただ面白いと笑うだけだし、この二人メンタル強過ぎないか?

 

「それでだが取り敢えず当面はあんた達の世界を見つけるまではこちらで保護しようと思うんだが、それでも構わないか?」

 

「お願いします!私、早く会社に戻らないと部長にまた怒鳴られてしまいます……!」

 

「私は別に急いじゃおらんから別に急かしはせんが、このお嬢さんの為にも早めに探してもらえると助かるかのう」

 

「俺は別に何時でも構わねぇぜ。元々この肉体美を更に鍛える為の旅をしていた最中だし、なんなら此処に永住するのもアリかもな!ガァーハッハッハッ!」

 

いやそれは困る。例え性別が違えど同存在が同じ世界で長い間一緒にいるともしかしたら変な悪影響が起きかねないから永住だけは勘弁してくれ。船長の方は急いではいないみたいだがやはり社畜そらの為にも早いとこそれぞれの世界を探さないとな。

 

「取り敢えずあんた達の世界を探すのにも時間が掛かるから暫くの間はゲストルームで過ごしていてくれ。フブキ、美兎、三人を案内してやってくれ」

 

「「はーい♪」」

 

俺の指示でフブキ達に三人を案内してもらったし、俺も急いであいつ等の世界を探さないとな。社畜そらの世界は前に一度見た事があるからそんなに時間は掛からなそうだが、残りの二人の世界は探すのは大変そうだな……ハァ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから暫くして……

 

「…………グスッ」

 

「え!?ど、どうかしましたときのさん!?もしかして口に合わなかったとか?!」

 

「ち、違うの。こんなに美味しいご飯食べたの久しぶりで………此処半年くらいカ○リーメ○トとウ○ダーinゼリーしか口にしてなかったから………」

 

「え!?どんな食生活してるんですかそれ?!」

 

ルイのご飯を食べて感動している社畜そら。どうやらまともな食生活を送ってなかったようで終始ボロボロと泣きながらご飯を食べていた。

 

 

 

 

 

「ほれ、これでチェックメイトじゃ」

 

「うぇ!?また負けたぁ!?」

 

「おばあちゃんつよーい♪」

 

「普段から暇な時には一味達とやっとるからのう。ほれ、次は誰が相手になってくれるんだい?」

 

「ま、まだやるの……?」

 

「これで通算15戦15勝なのです……!?」

 

船長が三期生を始めとするいろんな娘とチェスをやって連勝している。どうやらかなりの手練らしくその後も連勝を重ねていくのであった。

 

 

 

 

 

「さあ今日は異世界のアキちゃんの為に特別なメニューを用意したわ!このアテクシ特製のパワードギブスを付けた状態でホロライトシティトライアスロンよ!」

 

「おぉッ!?これはかなり効くなぁ!気に入ったぁッ!」

 

「師匠!言われた通り通常より五倍ギアが重い自転車用意してきました!」

 

「あらベルちゃんご苦労さま♪それじゃあ早速特別特訓を始めるわよッ!」

 

「ってなんで俺達までやんなきゃなんねぇんだよ!?」

 

「私この後配信あったんですが!?」

 

「皆、もうこの人に何言っても無駄だから大人しく受けてさっさと終わらそ?」

 

「も、モチさんの目が死んでる……!?」

 

ムキロゼ兄貴を気に入った浩一が張り切って特別特訓を開き愛弟子であるベルモンドとチャイカと共に何故か近くにいたという理由だけで参加させられたロフマオも加えて超鬼畜なトライアスロンに挑んでいた。因みに浩一やムキロゼ兄貴達は当然のように余裕でクリアしていたが加賀美と甲斐田は最初の自転車で、不破は水泳で脱落し剣持はなんとかクリアするもののゴールした時には白目剝いて気絶してまっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数日後……

 

「ふぅ、取り敢えず場所は分かったが少し次元間が歪んでいるな?送り返すのはもう少し後になりそうだな」

 

「本当に?良かったぁ、これでもうあんな筋肉ダルマ見なくて済むのね……」

 

「あ、アキちゃん相当嫌だったんだね……?」

 

「うゅ?」

 

あれから数日間仕事の合間に探し続けて漸く三人のそれぞれの世界を見つける事が出来たので後は次元間が落ち着けばそのまま送り返す事が出来るな。それにしてもアキは完全にムキロゼ兄貴を否定してるのかずっと筋肉ダルマと呼んで毛嫌ってるし、相当ショックだったんだろうな?今は退院して戻ってきたメルに慰めてもらってる状態だ。さてと……

 

「……その前にやらなきゃいけない事があるな?アキ、メル、ときのをこの部屋に呼んでもらえるか?それと拓哉と栄ちゃんも呼んでくれ」

 

「え?今すぐに?」

 

「あぁ、頼んだぞ」

 

二人に社畜そらと栄ちゃん達を呼んでもらうように頼み俺は今回見つけた世界についての情報を纏めた資料を再確認していく。本当なら社畜そらのいた世界はすぐに見つかったから真っ先にお繰り返しても良かったんだが……あのまま送り返したら社畜そらは、ときのは間違いなく不幸になってしまうからな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、あの、私に話ってなんでしょうか……?」

 

アキに連れられ社畜そら……もうこれ以上は失礼だからときのと呼ぼう。ときのはオドオドしながらも俺に訪ねてくるので俺も本題を話す事にしよう。

 

「あぁ、単刀直入に言う。お前の世界が見つかった。後は次元間が安定すれば何時でも送り返す事が出来る」

 

「ほ、本当ですか!?良かったぁ、これで部長に怒られずに済む……」

 

俺の話を聞いてときのが安心したのかホッと胸を撫で下ろす。だが……

 

「……だが悪いが、お前をあの世界に送る事は出来ない」

 

「ッ?!ど、どうしてですか!?だって佐々木さん私の世界が見つかったら真っ先に返してくれるって言ってたじゃないですか!?もしかして私を騙したんですか?!」

 

「いやそうじゃない」

 

「ならどうして!?」

 

……どうして、か。やっぱりときのはずっと働き詰めの所為で思考が正常ではなくなってしまってるみたいだな?ならはっきりと理由を告げてやるか。

 

「俺がお前をあの世界に送り返せない理由、それは……このままお前を返したら間違いなくお前がダメになってしまうからだ」

 

「わ、私がダメに……!?それってどういう……?」

 

「……ときの、お前が働いている会社の名前は確か“黒鷺商社”だったな?」

 

「へ?は、はいそうですけど……?」

 

「その会社は俺達の世界でもあったんだ。今はもう倒産してしまっているがな。拓哉、栄ちゃん、説明してやってくれ」

 

「「はい」」

 

俺の指示と共に前もってやって来ていた拓哉と栄ちゃんが準備を始めモニターにある画像を表示させる。其処にはとある新聞の一面の画像が出ておりその内容が……

 

 

 

『日本最大のブラック企業黒鷺商社、倒産』

 

 

 

「え!?黒鷺商社が倒産?!それに日本最大のブラック企業って一体……!?」

 

「……その様子じゃ自覚してなかったみたいね?この黒鷺商社は下で働く社員達を完全違法の低賃金で、それもかなり劣悪な環境でまるで奴隷のように働かせてたのよ。家に帰れるのは月に二回ほど、一日の労働時間は十二時間は当たり前。更に給料はいろいろと差し引かれて月給十一万円でミスをすれば罰金と称して減給、その他にもパワハラやセクハラは当たり前と兎に角酷い会社だったのよ」

 

「そしてときのさん、貴方の世界の方も先輩に頼まれて調べた所俺達の世界にあった黒鷺商社と変わらない、いやそれ以上悪化しているみたいだ。現にときのさん、貴方の先月の給料は五万だったでしょ?それどころか貴方の給料が十万を越えたのだって殆どないみたいですね?」

 

「そ、それは……でもそれは私がミスをしてしまったから……」

 

拓哉達の説明を聞いてもときのは納得出来ず自分が悪いからと責めている。全くもってそんな事はないんだけどな?

 

「あのなときの、普通の会社はよっぽどのデカい損害がなければ減給なんてしないし、ましてや社員に社会保険とかも一切付けないなんてのは絶対にあり得ないんだよ。お前が働いている黒鷺商社は紛れもなく労働基準法を無視して社員を働かせている違法ブラック企業だ。現に調べたらお前、この数ヶ月間まともな飯も食ってなかったようだし寝るのも会社のソファーの上とかだったんだろ?そんなの労基にバレたら一発でアウトだ」

 

「そ、そんな……!?」

 

「それと、お前がミスをしたからといって差し引かれた給料分、いやそれだけじゃなく通常支払われなければいけない分なんだがこれは殆ど部長やその上の奴等の懐に入ってるみたいだ。つまりはときの、お前は完全に良いように使われてるんだよ。まさに社員としてではなく、完全な社畜という名の道具扱いとしてな」

 

「そ、そんな……私が働いてた会社って、そんな酷い会社だったの……?」

 

俺達の説明を聞きときのは膝から崩れ床に座り込んでしまった。そりゃ今まで会社の為に働いていたのにその会社が悪の権化みたいなとこだってしればショックはデカいだろうな。けど……

 

「……だからこそお前を戻す前にお前をこき使い追い詰めていた黒鷺商社に制裁を加える。お前や他の良いように使われてる社員を救ってやらないとな」

 

「え…………そ、そんな事が出来るんですか?」

 

「出来るさ。それに同じ働く者として仲間である社員を道具みたいに扱う奴等は俺も許せないからな」

 

だから俺達は準備が出来次第ときのの世界に行き黒鷺商社に制裁を与える。そうと決まれば準備を「ちょっと待ちな」え?

 

ーウィーンッー

 

「話は聞かせてもらったよ。こんな健気なお嬢さんを苦しめてるなんて全く酷い連中じゃのう?その制裁、私も参加させてもらおうじゃないか。ついでに私の世界から一味達も連れてきて盛大に暴れてやろうかのう」

 

「ガァーハッハッハッ!同じ境遇のブラザーが困っていると聞いてこのアキ・ローゼンタールは黙っちゃいられねぇぜ!俺もその喧嘩買わせてもらうとするか!」

 

うわマジか?まさか船長とムキロゼ兄貴も話を聞いてたとは……でも二人ともそれだけときのの事を心配してくれてるみたいだな。でも

 

「…………気持ちは有難いが今回は社会的制裁を加えるつもりだから暴力沙汰はNGだ。でも気持ちだけは受け取っておくよ、二人ともときのの事心配してくれてありがとな」

 

「ほぅ?意外と冷静に判断出来る男なんじゃな?なら、お前さんの力とやらを見せてもらうとするかのう」

 

「ふむ、そういった事なら俺も出番はなさそうだな?けどもし何かあれば俺達を頼ってくれよなブラザー!」

 

「あぁ、その時があったらよろしく頼むな」

 

まぁそんな事は無い事を願うしかないな。兎に角準備が出来たら向かうとするか。

 

「…………だ、大丈夫なのかな?」

 

なんかときのが不安がってるが心配すんな。ちょっと悪い奴等にお灸を据えるだけだからな。

 

 

 

こうして異世界のそらが働く悪徳な会社に対する制裁を下す事になった玲二達。はたして一体どうするつもりなのだろうか?

 

続く……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーオマケー

 

「おや?お嬢ちゃん一体何を作っとるんじゃ?」

 

「あい!がんぷら〜♪」

 

「ガンプラ?ほう、これはロボットのような物のプラモデルか。私も昔は趣味でよく船のプラモデルを作っとったなぁ、懐かしいわい」

 

「ばーちゃ、いっしょにやろ〜♪」

 

「おぉそうかい、なら一緒に遊ばせてもらうとするかのう♪」

 

『あーい♪』

 

「おぉ、マリンおばあちゃん大人気だねぇ……?」

 

「良かったじゃんマリン、あんた年とったら人気者になれるよ♪」

 

「なーんか複雑なんですけどぉ〜!?」

 

ベイビーズから慕われている船長を見てめちゃくちゃ複雑な気持ちになるマリンであった。




はい、という事で異世界のそら、マリン、そしてアキロゼ到来回でした!最後の一人分かりづらかったですかね?(^^;)

そして次回は異世界そらの会社へ制裁!……はオマケ程度にガンプラでも作ろうかと思います。次回もまったり待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第130話『新たな人生の為に』

最近買ったガンヴォルヴァなんですが、これトリコロールカラーに塗装して少し手を加えれば立派なガンダムになるんじゃね?って思い現在改造プランを考え中です。それくらいこのキット良い出来なんですよね(^o^)

さて今回は異世界そらの為に玲二が一肌脱ぎます!最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


異世界からやって来たそらとマリンとアキ。その内の一人であるそらの過酷過ぎる労働環境に怒りを覚えた玲二達による異世界そらの働く黒鷺商社への制裁がいよいよ始まろうとしていた。

 

 

 

 

 

ー異世界 黒鷺商社社長室ー

 

「……申し訳ございません社長。あれから一週間は経ちましたがやはりときのの消息が途絶えたままとなっております。おそらくは我々に悟られないように逃げ出したと思われます」

 

「フンッ!そんな事はもうどうでも良い!代わりの道具ならまだ幾らでもいるのだからな!それより今月の徴収はどうなってる?」

 

「ハッ!今月は以前言われた通りミスの指摘レベルを上げた結果約500万の収益を得る事が出来ました。ですがその結果数名の社員の給料が0になった為に抗議を申し立ててる連中もいますが如何がなさいますか?」

 

「構わん、何時も通り再教育をしてやれ。二度と口答え出来なくしてやるんだ」

 

「畏まりました、ではそのように致します。それとお客の相談センターに以前販売した国産フグの干物に対してこれは本当に国産なのかという問い合わせが来てますが?」

 

「またか?味も大して分からん連中のクセにいちゃもんつける事だけは立派だな?まぁ確かに中国産の安もんだがそんなの下々の連中が本物かどうかなど分かる訳なかろう、適当に本物だと言ってあしらっておけ!」

 

「ハッ!では失礼しました」

 

重役らしき男が話を終え社長室から出ていき、残された社長は椅子に座り如何にも高そうな葉巻を咥え一服をする。

 

「ふぅ~……全くどいつもこいつも使いもんにならんな?だがそんな連中でも奴隷くらいの価値はあるからな、せいぜいワシの資産を増やす糧くらいには役立ってもらわんとなぁ。ハァーッハッハッハッ!」

 

社長は悪どい顔つきで高笑いしながら社長机の上にある札束を数えていく。その様子には自分が悪い事をしているとは微塵も思ってないようだ。

 

 

 

 

 

 

しかし……

 

 

 

 

 

 

「はい、良い絵頂きました〜♪」

 

「…………へ?」

 

 

 

悪い事をすれば、当然報いは受ける物である。

 

「な、なんだ!?誰かいるのか?!何処に隠れている!?さっさと出てこい!」

 

「そうギャーギャー騒ぐなって、今出てやるやら」

 

……さて、向こうからご指名が入ったし姿を見せてやるとするか。俺はそのまま透明化を解除し姿を現すと社長は驚き腰を抜かした。そりゃいきなりカメラ持った男が姿を現したら驚くか。

 

「な、ななな!?誰だ貴様は?!どうやってこの部屋に入ってきた?!」

 

「俺が誰か?どうやって入ってきた?そんなのはどうでもいいんだよ。俺は唯お前の薄汚い悪事を暴く為にやって来たんだからな」

 

そう言って俺は手に持ってるカメラを社長へと見せつける。そう、実は俺は転移とステルスを使用しこの会社へと侵入、そして証拠をある程度集めて最後にこの社長室でずっと待機していたんだ。流石に三時間微動だにせず待ってるのは辛かったけどな?

 

「な、なんだとぉッ!?貴様ぁ、何処かの記者か?!そのカメラを寄越せぇッ!!」

 

「あ、このカメラ欲しいのか?ならやるよ、ホレ」

 

なんか寄越せとか言ってきたからお望み通りカメラを社長へと投げ渡した。ぶっちゃけもうそれは役目を終えてるから別に構わないしな。

 

「な、なんだ?ヤケにあっさりと渡したな……?」

 

「あぁ、だってそれ生放送だし」

 

「は……?はあぁッ!?」

 

そう、実は今までのやり取りは全てライブ配信しておりいろいろと告知していたお陰で現在数万人の人達がこの状況を閲覧している。当然のようにネットでは黒鷺商社に対する炎上祭り騒動が勃発している。

 

「こ、この野郎ッ!?誰だか知らんがくだらんマネしよってぇーーーッ!」

 

「そんなに叫ぶなって、血圧上がるぞ?それにお前、まさかこれで終わると思ってるのか?」

 

「何!?一体どういうーピリリリリッピリリリリッーええいなんだこんな時に!?ーピッーどうした!?ワシは今忙しいんだから手短に話せ!」

 

《しゃ、社長大変です!我が社の商品の仕入先のリストがSNSで拡散されております!》

 

「何ぃッ!?」

 

お、どうやら美兎達上手くやってくれたみたいだな?まずはこいつ等の売ってる商品の仕入先を載せたリストを余すことなくSNSで拡散。国産と偽ってた物が全て海外産の安物ばかりを使用しているとバレて今なお拡散が止まらない状態である。

 

《これの所為でお客様相談センターにクレームの電話が鳴り止まない状態です!更に厚生労働省からも我々の労働環境が明るみになってしまい直ちに調査が入る事に!このままでは我々の立場が危うくなってしまいます!如何が致しましょう!?》

 

「うぐぐ……!い、今すぐ資料やデータを隠蔽しろ!奴等が来る前に早くッ!!」

 

よし、皆が情報をばら撒いてくれたお陰でかなり早く厚生労働省が動いてくれたな。社長が慌てて隠蔽しようとしているが最早手遅れだろう。後は……

 

ーピリリリリッピリリリリッー

 

「ええい今度は何だ!?ーピッー何だ!?今ワシは忙し……何ぃッ?!嫁が離婚と慰謝料を要求してる!?ワシの浮気していた証拠が全て出されているだとぉッ!?」

 

おーおー今度は浮気情報が拡散されたか。今回はシェリンとアメリアが頑張ってくれたみたいで大量の情報が出回っているみたいだ。にしてもスゲェな、中学生にまで手を出してたのかこのおっさん?

 

「グッ……クソォッ!これも全部貴様の仕業かぁーーーッ!?ハァ、ハァ……!」

 

「おいおいそんなに興奮すんなって。もしかしてあれか?()()()使()()()()()が切れてきたんじゃないか?」

 

「ウグッ!?な、何を言って……まさか!?」

 

俺の言葉を聞いて社長は自分の机の引き出しを開けて何かを探し始める。だがどれだけ探してもお目当ての物は見つからないようだ。まぁそりゃそうだ、其処にはもう入ってないんだから。

 

「ない、ない!?貴様ぁ!ワシの大事なアレを一体何処にやったぁ!?」

 

「うわ目が血走ってるし……そんなに慌てなくてもお目当ての物は此処にあるよ」

 

そう言って俺は持っていた白い粉が入った袋を社長に見せつける。そう、これは所謂気持ち良くなる薬だ。このクズ社長、これだけの大罪を重ねていたのにも関わらず更に薬物にまで手を染めてたようだ。ぼたんとちょこがこいつの自宅を調べたら部屋から危ない薬がわんさか出てきたみたいでおそらくは自分だけではなく浮気相手と一緒に使っていたんだろうな?

 

「はぁ、此処まで来ると逆に立派だな?産地偽装に労働基準法違反に横領に脱税、更には浮気と薬物使用とは、お前もう本当に救えない奴だよな?」

 

「ウギギギキィ…………ッ!?こうなれば貴様も地獄に堕としてやるッ!ーピッ!ーおいお前等ッ!今すぐワシの所に来てこの男を始末しろぉッ!!」

 

うわ、こいつ自棄になって社員けしかけようとしてやがるし?まぁこれは想定内だからちゃっちゃとやっけるとするか。

 

 

 

 

 

シーン…………

 

 

 

 

「な……なんで誰も来んのだ?!おい!誰かおらんのか!?」

 

あれ?待てどもちっとも誰も来ないな?何があったんだ?

 

ーガチャッー

 

「残念じゃったのう?あんたのご自慢の社員達なら私と一味達とで既に蹴散らせてもらったわい」

 

「フンッ!奴等もそこそこ鍛えてたみたいだが、この俺に比べたら圧倒的!に筋肉が足らんッ!ガァーハッハッハッ!」

 

「な、ななななんだ貴様等ぁッ?!」

 

あれ!?なんでこの二人がこの世界にいるんだ?!俺達の世界で待機させてた筈なのに!?

 

「やっぱり私等もあのお嬢さんにされた事が許せんかったからのう。お前さん方が利用していた時空船を借りて一味を連れてやって来たんじゃよ」

 

「俺もソウルブラザーを苦しめたこのクソジジイが許せねぇからな!」

 

「はぁ、全く……けど有難な、お陰で助かったよ。さて社長さん?あんたの悪行が全て世間にバレた今もうあんたを守るモノは何もない。大人しく自分のした愚かな行為を反省するんだな」

 

「ウグ、ウググググ……な、何故だ?何故貴様は其処までワシを追い詰める!?」

 

「何故?決まってるだろ、お前がときのの事を追い詰めてたからだ」

 

「と、ときの?誰だそいつは?!」

 

「…………お前、さっき自分の部下が名前を出したのにもう忘れてんのかよ?ときのは此処で働いていた社員だよ。いやときのだけじゃない、あんたは今まで自分の私腹を肥やす為に多くの人からいろんな物を奪ってきたんだ!その報いは必ず受けてもらうから覚悟しやがれッ!!」

 

俺達の圧に押されたのと最早逃げ場がないと分かったのか社長はその場から崩れ膝を付き項垂れていく。これでこの会社も終わりだな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、あの、これは一体何でしょうか……?」

 

「ん?あぁあのクズ社長が懐に隠し持っていた金だよ。そん中からお前に払われるべき給料分とこれまでされてきた仕打ちに対する慰謝料を纏めて大体5000万ってとこだな」

 

あの後俺達はクズ社長からときのに対する慰謝料等を取るだけ取って警察に突き出し戻ってときのにその金を渡した。流石にこんな大金を見た事がない為かときのはずっと唖然としているけどな。

 

「そんな!?こんな大金受け取れませんよぉ!?」

 

「いんやお嬢さん、これは本来あんたが受け取らなきゃいけない分だったんじゃ。それをあの会社の連中はあんた達下で働く者達を騙して自分達の私腹を肥やしてたんじゃからこれはお前さんがもらって当然のお金じゃよ」

 

「それに安心しな!あんたの同僚達にもちゃんと支払れるべきモンは行き渡るようになってるからよ!」

 

「という事だ。これは間違いなくお前が受け取るべき正当な物だ。これで今までの辛かった日々を忘れて新しい道に進んでほしい」

 

もうあの会社は終わるし、ときのにはこれからはまともな道を進んでもらいたい。だからこのお金で今後の人生を再スタート出来ればと思ってる。だが……

 

「…………でも私、今までずっと会社で働くしかしてこなかったし、今更新しい道に進めって言われても……」

 

「……そっか、そりゃずっと働き詰めだったらそうなるか」

 

ときのにとっては此処数年間はあのブラック企業で働いてた所為で自分の時間というのが持てなかった。だからいきなり自由になったといっても何をすれば良いのか分からないのか。それは困ったな……

 

ーウィーンッー

 

「ぱーぱ♪」

 

「ほらかいり、そんなに急がなくても大丈夫だよ?」

 

「ん?そらにかいりか、一体どうしたんだ?」

 

ときのの今後を考えようとしたタイミングでそらとかいりがやって来た。かいりの格好はそらのアイドル衣装のようなデザインの子供服を着ているがもしかして作ってもらったのか?

 

「かいりがお遊戯会でやったおうたが気に入ってパパや皆に見せたいんだって。ねーかいり♪」

 

「あい!ぱーぱ、かいりのおうたみてて〜♪おなじみーらいをみーていたーい♪あーのゆーめてーにちたーい♪」

 

かいりはそう言うとおもちゃのマイクを持ってその場で歌い始めた。

 

「ほぉ〜可愛らしいのう」

 

「うむ!ちっちゃくて見ているだけで癒やされるなぁ!」

 

船長とムキロゼ兄貴も気に入ってくれてるみたいだ。かいりの楽しそうに歌って踊る姿はまるでちっちゃなそらみたいで可愛らしいなぁ……ん?

 

「……………………」

 

「どうしたんだときの?かいりをじっと見て……」

 

「…………実は私も昔はああやって歌を歌いたいって思ってたんです。こんな私でも好きな歌を通してきっと変わる事が出来るかもって。それで昔とある事務所に入ろうとしたんですが、初出勤日に痴漢にあってしまって、それに誰も助けてくれなくて……結局そのまま心が折れてしまって仕方なく別の仕事に就く事になったんです」

 

…………マジか?そういやこっちのそらも初出勤日に痴漢にあってたな?もしかしてこのときのってあの時俺が現れず痴漢を撃退しなかった世界線のそらだったって事か?まぁ()()()()()()俺の存在はいなかったから代わりに助けてくれる奴もいなかったワケか。

 

「……もしあの時逃げずに進んでいたら今頃違う未来になってたのかな?」

 

「……さあな?でも、今からでも遅くはないんじゃないか?これまでの犠牲にしてしまった日々を取り返す意味でももう一度夢を追いかけてみるのも悪くないぞ」

 

「で、でも……ークイックイッーえ?」

 

「いっしょにおうたうたお〜♪」

 

俯いて暗い表情をしているときのを見てかいりが元気づけるつもりなのか一緒に歌おうと誘う。かいりのキラキラした目を見てときのは一瞬戸惑うもすぐにニコッと笑いかいりを抱っこする。

 

「……ありがとかいりちゃん、じゃあ一緒に歌おっか♪」

 

「わーい♪」

 

そしてときのとかいりは一緒に歌い始める。やはり異世界とはいえこいつはそらなんだな、とても綺麗で良い歌声で歌っている。

 

それからかいりと一緒におうたを歌ったりおもちゃで遊んであげたりする内にときのの表情もどんどん明るくなっていき、最終的にはこちらの世界のそらと同じくらいに明るい笑顔を見せるようになってくれていた。そして……

 

「ねーちゃ、いっしょにつくろ〜♪」

 

「え?これって……プラモデル?」

 

「あぁ、これはフリーダムだな。そらとかいりのお気に入りの機体だな」

 

「あい!」

 

かいりが何処からか小さい箱に入ってるフリーダムのガンプラを持ってきてときのに一緒に作ろうとおねだりしていた。これは……うわ懐かし、一番最初に発売された1/144のヤツだ。そういや懐かしいからって買ってそのまま積んでたヤツあったな?

 

 

『1/144 フリーダムガンダム』

『機動戦士ガンダムSEED』に登場する主人公キラ・ヤマトが搭乗する機体。今尚人気のあるこの機体の最初期のガンプラであり当時の定価は約400円ほどであったが時代が古い為か関節や羽等は全然稼働せず塗り分けも甘いキットである。

 

 

「そういやこれ買ったまんまで今まで積んでしまってたな?すっかり忘れてたわ」

 

「つくろ〜♪」

 

「え、でもこれは佐々木さんのじゃ……?」

 

「いや、これは懐かしいって理由と塗装の練習の為と思って買ってきただけだから別に作っても構わないさ。折角だからかいりと一緒に作ってあげてくれ」

 

「は、はぁ……?」

 

さて、俺は二人の邪魔にならないように別のヤツでも作るか。さて何を作ろうか……お、久々にスターゲイザーでも作るか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっと、此処を切り離して……うん、これで全部パーツが取れたね♪」

 

「んちょ、んちょ……」

 

あれから数分が経ったがパーツが少ないとはいえ初めてガンプラを作り始めたときのとまだちっちゃいかいりではやはり苦戦しているようだ。因みに俺は安全面を考慮して隣で作ってる、物を口に入れるとかはしないとはいえちゃんと父親として見てやらないとな。

 

「ぱーぱ、これつけて〜」

 

「ん?あぁパーツが填んないのか。まぁまだちっちゃいかいりには難しいからなーパチッーほら、填まったぞ」

 

「わーいぱぱありがとぉ〜♪」

 

うん、やっぱりこの子達が喜んでくれるのは父親として嬉しい限りだな。それにときのも真剣に羽根を作ってるし、後は単純な組み立て部分だけだから暖かく見守るとするか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーそして更に一時間後……ー

 

「「できたぁ〜♪」」

 

「お、出来たか?」

 

あれから一時間くらい経って漸く二人がフリーダムを完成させていた。少しシールの位置が不格好な部分があるがそれはご愛嬌だな。それと俺の方は流石にあの短時間で全部を組み立てるのは無理だった。改造するつもりもあったからダボ穴カットしてたから仕方ない、これは後でゆっくり作るとするか。

 

「どうだときの、少しは良い気分転換になったか?」

 

「はい、かいりちゃんと触れ合ってたら何時の間にか今までの事が吹っ切れました!かいりちゃん、私の為にありがとね♪」

 

「あい♪」

 

うん、ときのもすっかり良い顔になったな。これなら元の世界に戻しても大丈夫そうだし、明日準備が出来次第に送り届けるとするか。

 

こうしてときののメンタルケアも無事に終え、その後ときのとかいりは仲良くハンバーグを食べたりお風呂に入ったりして眠りにつくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日

 

「よし、一通りのお土産とかも積んだし、他にはもう何もないよな?」

 

「あぁ、私の方は大丈夫じゃ。本音を言えばもう少しこの世界でバカンスを楽しんでも良かったんじゃがのう?」

 

それは勘弁してくれ、同存在が同じ世界で長く存在しあえば必ず世界に綻びが生まれてしまいかねないからな。

 

「アキちゃん、アナタのそのパーフェクトボディは決して忘れないわ。何時の日かまたアテクシ達と一緒にトレーニングしましょう!」

 

「おう!その時はもっと逞しいボディを手に入れて戻って来るぜ!」

 

「戻って来なくていいからッ!そして頼むからお義兄さんも意気投合しないでッ!?」

 

向こうではすっかり仲良くなった兄貴とムキロゼ兄貴が男同士の熱い握手を交わしていた。それに対してアキが物凄く嫌そうな顔をしていたがムキロゼ兄貴自体は全然良い人だから其処は許してやってくれ。

 

「かいりちゃん、昨日まで本当にありがとね。また何時か出会えたらもう一度一緒におうた歌おうね♪」

 

「あい!やくしょく!」

 

「うん、約束♪それとこの世界の私も、かいりちゃんと出会わせてくれてありがとう」

 

「どういたしまして♪それよりも……別の世界の私、もう決して夢を諦めたりしないでね?これからの人生、貴方が諦めて失いかけた夢を絶対に取り戻してね♪」

 

「ッ!うん、必ず守ってみせるね♪」

 

最後にときのがそらとかいりと対面しお互いに約束を交わし、三人は自分達の世界に帰る為に時空船へと乗り込んでいく。さてと、それじゃあ出発しますか。

 

「それじゃあ出発するぞ、ちゃんとシートベルトしてくれよな?」

 

「はい、お願いします」

 

「ふむ、玲二さんよろしく頼むぞ」

 

「名残惜しいが、何時かまたブラザー達とトレーニングに励みたいぜ!ガァーハッハッハッ!」

 

はいはい、機会があればな?兎に角今は大人しく帰ってくれ。んじゃまぁとっとと行きますか!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数週間後……

 

「へぇときのそらさん、あの黒鷺商社にいたんですね?そんな元OLの貴方がどうしてうちの事務所に?」

 

「は、はい!私は一度アーティストになる夢を諦めてしまい普通の社会人として働いてました。ですがある人達に背中を押されてもう一度アーティストになる夢を目指そうと決めたんです!」

 

「成る程、そうでしたか……」

 

ときのは元の世界に戻った後すぐにアーティストを目指す為にとある事務所へと応募をし、そして現在面接官と対面し自分の夢に対する想いをぶつけていた。そんな面接官はときのから輝く何かを感じたのか意外と好印象な様子を見せていた。

 

「事前に送られてきた歌ってみた動画もかなりクオリティがありましたし、何よりその生き生きとした表情が良いですね……分かりました、では一通りのレッスンを体験してみてそれで問題がなければ採用したいと思いますが如何でしょうか?」

 

「ッ!はい、よろしくお願いします!」

 

最初幾つかの事務所に当たっていこうと意気込んでいたがなんと一発目でいきなり採用が決まった。その事にときの自身も驚いていたがそれよりもこれから先のアーティストとしての道を進む第一歩を歩めた事に喜びを感じるのであった。

 

「あ、あの!まだ若輩者ですがよろしくお願いします!」

 

「はい、こちらこそよろしく。そしてときのさん、ようこそ“ホロライブ”へ♪」

 

しかも偶然か必然か、なんとときのが入った事務所は玲二の世界のそらと同じホロライブだったのだ。これからときのはこの世界のホロライブできっと素敵なアイドルになっていくのだろうが、それはまた別の話である……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーオマケー

 

「ただいま〜、はぁ疲れた……」

 

「あ、レイくん大変ですよ!また新しい来訪者が来て……!」

 

「はぁ?!また来訪者かよ……まぁ良いや、一体誰が来たんだ?」

 

「そ、それがその……」

 

ん?なんだ、フブキの奴随分と歯切れが悪いな?そんなに扱いが難しい奴なのか?まぁ取り敢えず会ってみるか。

 

ーウィーンッー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハハッ!やぁ、僕ミッーシュンッ!ー

 

「えぇ!?レイくんどうしていきなり飛ばしちゃったんですか!?まだ向こうの話全然聞いてないですよ?!」

 

「あれはダメだ!絶対に関わっちゃいけない奴だッ!!」

 

危ねぇ!?扱いが難しいどころか扱っちゃダメな奴だろアレは!?なんか分からんが危うくこの世界が消滅しかねない事案が発生しかけたぞ?!もうこういうのは勘弁してくれよなぁ……?

 

まさかの世界一有名なネズミがやって来て慌てて今までにない程の迅速な対応で送り返した玲二なのであった。




はい、という事で異世界そらの救済、そしてかいりとの和み回でした!異世界そらにはこれから新たな人生を歩んでほしい物ですね(^^)

そしてオマケですがアレはあくまで思いつきのネタなんで続きとかはありません!というか続きなんて書いたら多方面を敵に回してしまいかねないので(;´Д`)

次回は久々に番外編、それもコラボを書こうと思ってますので次回もまったり待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第131話『新イベントの準備』

最近真夜中で爆音鳴らしながらバイクを走らせてる奴等がいますが本当に迷惑なので止めてほしいですね(T_T)

今回は久々に玲二の妹登場です!はたして一体何が起こるのか?今回も最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


「……うーん、やっぱ次のライブイベントはホロライブとにじさんじだけでなくあおぎりやのりプロにも参加してもらえないか交渉してみるか?」

 

快晴が続き日に日に暑くなっていく夏真っ盛りな今日、俺は遂に完成したホロライトシティのライブドームでの初ライブを秋に行う為の準備を進めていた。

 

最初はホロライブだけで行う予定だったのだがにじさんじの一部が俺と家族になったのを切っ掛けに合同ライブにする事になり、其処からゲスト枠にシロやヒメヒナ達も入れる事になって、それなら他の事務所にも声を掛けて一大ビッグイベントにするのもありかなと思ったが……三日間のライブとはいえ流石に多過ぎるか?

 

「そうなるとさらなるグッズ展開にライブ衣装の受注、他にも他事務所との連携……やはり無理して参加人数を増やす必要はないか?」

 

それに家族としての繋がりがあるのりプロは兎も角あおぎりの面々はあの一件以来少し疎遠になってるし、何より音霊が今活動休止しているからな……やはりあおぎりの参加は諦めるとして、のりプロは……一応声を掛けて乗ってくれたら参加してもらうとするか。

 

「さて、まずは拓哉にのりプロとの合同ライブの交渉をしてもらって、それで可能なら衣装とグッズの準備をしないとなーダダダダダダダダ……ーん?」

 

ーウィーンッー

 

「絶対レースッ!」

 

「違う!バトルが良いに決まってるッ!」

 

な、なんだ?なんかいきなりまつりともう一人、にじさんじに所属している俺の高校時代の後輩の走(旧姓:早瀬)が啀み合いながら入って来たんだが?一体何があったんだよ?

 

「玲二君!次のイベントは絶対にレースだよね!?」

 

「なんでや!?ガンダムって言えばバトルあってなんぼやろ!?先輩!次のイベントは絶対にバトルにしましょ!?」

 

「……いやいきなり入って来て何を言ってるんだ二人とも?」

 

まぁ察するにおそらく二人に任せていたガンプラウォーズの新イベントの企画についてなんだろうがなんで二人はそんなに対立してんだよ?

 

「だってまつりが次のイベントはレースゲームが良いって言ったらランねーちゃんがそんなのつまんないって言うんだよ!それって酷くない!?」

 

「当たり前じゃん!ガンダムと言えばど迫力のバトルが醍醐味なのにそんなレースゲームなんてやってもおもろくないやんッ!」

 

「けどこれはガンプラウォーズの新イベントだよ!そんなバトルばっかじゃユーザーも飽きちゃうじゃん!?そんなにレースが嫌なの?!そんなんだから一流のB級レーサーなんて言われるんだよ!」

 

「それマ○カ杯の時の二つ名じゃん!?しかも古めのだし!?いやそうじゃなくてレースなんて他のゲームでも出来るやん!?ならガンプラウォーズでしか出来ないド派手なバトルやったほうがユーザーも喜ぶやん!」

 

成る程、まつりは次のイベントはレースゲームにしたいけど走がそれを反対してんのか?けど確かに走の言ってる事は一理あるが、だからといってバトル以外のイベントを蔑ろにはしてはいけないんじゃないか?

 

「ねぇ玲二君!次のイベントは絶対にレースが良いよね!?」

 

「先輩!次のイベントは絶対バトルにしましょう!?」

 

「あーもう騒がしい!そんなに言うなら両方ともやれば良いだろ?!別にイベントは一つじゃないとダメだなんて言ってないんだからさ!?」

 

確かに大量にイベント案持ってこられても困るが二つくらいなら同時に進められるからそんな事でいちいち揉めないでほしい。全く、こっちはライブの企画纏めるのに大変だってのに……

 

「むぅ〜……まあ玲二君がそう言うならそうする……」

 

「まあ先輩がそう言うならそうさせてもらいますわ……」

 

「あぁ、それぞれ資料がまとまったらもう一度来てくれ。ところでまつり、祭華はどうしたんだ?一緒にいないのか?」

 

「え?あれ、さっきまで一緒にいた筈なんだけどなぁ?」

 

おいおいまつり、幾らヒートアップしてたからって娘の事放ったらかすなよ?けど今尚増築してる神羅城はかなり広いからもしかしたら迷子になってるのかもしれなーガタガタッー……ん?なんだいったーバァンッ!ーうぉ?!

 

「ここだよぱぱ〜♪」

 

「……祭華、頼むから机の引き出しから飛び出さないでくれ。普通に心臓に悪いぞ……」

 

「あーい♪」

 

はぁ、本当に分かってるのかこの子は?この子はまつりとの間に産まれた子なんだが母親譲りのアグレッシブさを持ち、時折俺から継承された四次元空間生成能力でいろんな場所を繋ぎ移動してくるので結構びっくりさせられるのだ。

 

「もう祭華、パパをびっくりさせたらダメだぞ〜?」

 

「ぶぅ〜!」

 

「ぶーたれてもダーメ!」

 

まつりが祭華を抱っこして注意するが祭華は足をパタパタさせて抵抗している。まつりも母親らしくちゃんと叱ってくれるのは良いんだが、問題は……

 

「むぅ〜!はなしぇ〜、このぺちゃぱい!」

 

「……あ?お前今なんつった?それがママに向かっていう事か?」

 

「いやまつりちゃん落ち着けって!?んな子供の言う事にキレたらアカンって!」

 

そう、これもお決まりになってるが最近祭華は母親であるまつりに対してえらく反抗的で怒られたりするとまつりに向かってペチャパイと言ってまつりを怒らせるのだ。まつり、お前祭華になんかしたか?

 

「こら祭華、ママに向かってそんな事言ったらダメだからな?」

 

「ぷぅ〜……あい」

 

「まつりもそんな事言われたからっていちいち怒ったりすんなよ?祭華はまだ子供なんだからちゃんと注意するくらいで良いだろ」

 

「うぅ~……!」

 

ほらそんなに唸るなって、取り敢えず二人とも宥める為に今ある仕事パッと終わらせて飯でも連れてくとするか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それからレストランでお食事中……

 

「……うん、レースゲームもバトルゲームもコンセプトとしては問題ないから後は微調整しながら進めて行けば大丈夫だな」

 

「本当?良かったぁ〜、頑張って考えた甲斐があったよ〜♪」

 

「アタシも久々にめっちゃ気合い入れて考えたから皆にも楽しんで貰えたらえぇな♪」

 

「たのしも〜♪」

 

レストランに来て食事しながら二人が考えた企画を見たが、どちらも問題はなさそうだしこのまま採用する事にしよう。後はこのイベントでの賞品も考えておかないとな……それにしても

 

「……で、なんでお前まで一緒に来てんだ彩夏?」

 

「へへ〜、さっきおにぃ達がこのレストランに入るとこ見かけたから一緒にご飯食べようかなって思って♪あ、でもちゃんとあたしの分は自分で払うから安心して♪」

 

「なんか彩夏ちゃんと会うのもめっちゃ久しぶりだよね〜?」

 

そういやまつり達も彩夏と会うのは久しぶりか。彩夏は俺の妹で以前俺の家族が集合した際に一緒に来ていてそっからこのホロライトシティに住むようになったんだが、如何せん大学が忙しい為かなかなか俺達と絡む事がなかったんだよな。

 

「でもおにぃも見ない内にすっかり大物になっちゃったね〜?今やこの街の市長でホロライブとにじさんじの大御所になって、しかも奥さんも子供も沢山いて……はぁ、あたしまだ大学生なのにめちゃくちゃ甥っ子姪っ子が沢山出来ちゃったなぁ……」

 

「何いきなり耽ってるんだよ?しかも母さんみたいな事言ってるし」

 

「だぁってぇ〜!春香ねぇやおにぃばっかそういう良縁話聞くのにあたしには全然そういうのがないもん〜!」

 

「確かに彩ちゃんが好きになった相手って大抵既婚者か恋人持ちばっかやもんなぁ?」

 

そう、彩夏のこれまで好きになった相手は全員もれなく良い人なんだがそれと同時に既婚者か恋人持ちばっかりなのだ。好きになっていざ告白するもそれが理由でお付き合いすら出来ず撃沈している。本当にこいつは人を見る目があるんだがないんだか?

 

「そ、そんなのはもうどうでも良いんだって!それよりもおにぃ!さっきの話を聞いてたらガンプラウォーズの新しいイベントやるんだって!?」

 

「あ、あぁそうだが?って彩夏、お前ガンプラウォーズに興味あんのか?」

 

「もっちろん!これでもあたしは大学のガンプラウォーズサークルの部長だからね!ランクだって今プラチナの4なんだから♪」

 

マジか?こいつ昔から『東洋の魔女の再来』とか『一人なでしこジャパン』とか呼ばれるくらいアグレッシブで運動神経抜群なのにまさかのガンプラウォーズのサークル作ってたとはな?これも俺や兄貴の影響なのか?

 

「それでなんだけどおにぃ、もし良かったらあたしのサークルとおにぃのにじほろメンバーでそのイベントでの交流試合をしたいと思ってるんだけどどうかな?」

 

「へぇ交流試合か、面白そうだな」

 

「良いね〜、やろうやろう!」

 

「やろ〜♪」

 

お、どうやらまつりも乗り気みたいだな?なら早速セッティングを……待てよ、どうせなら

 

「なぁ彩夏、折角だからイベント前に俺達何時もテストプレイをするんだが、もし良かったらそれでやってみるか?」

 

「え!?テストプレイさせてくれるの?!」

 

「あぁ、何時もはホロメンかにじさんじの皆に頼んでいるが今回はそれ以外のプレイヤーの意見も聞きたいしな。一応来週末迄にはプログラムは組めそうだからそうだな……10日後の夕方頃でも良いか?」

 

「うん、絶対に予定空けておくね!きっと皆も喜んでくれるよ!それじゃあ帰って早速新しいガンプラを準備しよーっと♪」

 

そう言って彩夏は自分の頼んでた物を一瞬で平らげ、俺の前に二千円置いた後直ぐ様店を飛び出していった。ってあいつ頼んだの2800円分じゃねーか!?まぁ別に良いんだけど、あいつ昔からこういうとこあるんだよなぁ……?

 

「それじゃ玲二君、まつり達も帰ったら早速メンバーを決めようよ♪」

 

「そうだな。ならまつりはレースゲームの方を、走はバトルゲームの方でメンバーを選んでくれ」

 

「任せてください先輩!じゃあ取り敢えずBバラメンバーにでも声掛けよっかな〜?」

 

よし、俺も戻ったらすぐにでもプログラムを組まないとな。それにしても交流試合か、彩夏の奴どんなメンバーを連れてくるんだろうな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

10日後……

 

「さて、そろそろ彩夏達も来る頃だな?」

 

「彩夏ちゃん一体どんなメンバー連れてくるのかなぁ?」

 

交流試合の日になり俺とまつりは船の停留所へと迎えに来ていた。時間的には今来た船に乗ってる筈なんだが……お、いたな。そして彩夏の後ろにいるのがサークルのメンバーか?向こうも俺達を見つけてこちらに近づいてきた。

 

「おにぃお待たせ!今日は交流試合を受けてくれてありがとね♪」

 

「あぁ、こちらこそよろしく頼む。それで、後ろにいるのがサークルのメンバーか?」

 

「うん、じゃあ皆にも紹介するね!この人があたしの兄の玲二おにぃだよ!皆も自己紹介してあげて♪」

 

「飛鳥 新(あすか あらた)です。先輩からはよくお話を聞かせてもらってます。今日はよろしくお願いします」

 

「飛鳥 優(あすか ゆう)でーす!新お兄ちゃんの妹です!今日はテストプレイが出来るって聞いてワクワクしてますのでよろしくお願いしまーす♪」

 

へぇ、二人は兄妹なのか……ちょっと待て、どう見てもこの二人大学生には見えないんだが?

 

「あれ?彩夏ちゃん、サークルのメンバー連れてくるって言ってたけど、この子達どう見ても大学生には見えないんだけど……?」

 

「うん、うちのサークルは近隣の高校とも連携してるから其処から参加してもらったの♪他のサークルメンバーは今日どうしても外せない用事があるからって断られたから急遽皆を呼んだの。でもこの子達もかなりランクが高いから油断してるとやられちゃうかもよ〜?」

 

成る程、そういう事か。にしてもこの二人、なんか何処かで見た事がある気がするんだが……?

 

「……来栖 怜(くるす れい)だ。貴方の作り上げたガンプラウォーズ、大変楽しませてもらっている。その上今回のテストプレイをさせてもらえる事に感謝する」

 

「はいはーい!私鷹月 真理愛(たかつき まりあ)っていいます!今日はめっちゃハマってるガンプラウォーズの開発者でもありホロライブやにじさんじのトップに君臨するあの玲二さんと出会えて光栄です!」

 

お次の子達は来栖と鷹月っていうのか。なんかこの子達もどっかで見た気が…………あぁそうか!

 

「あぁよろしくな皆。それでなんだが……なんか君達、SEED Destinyのシン達にそっくりだな?」

 

「アハハ、よく言われますね……」

 

「うちの両親、ガンダムのアニメが大好きで私達の名前も其処から由来してるんですよね〜」

 

「私のパパも大のルナマリア・ホーク好きなのか私の名前真理愛なんて付けて、お陰で小学校の頃男子にめちゃくちゃからかわれましたね……」

 

やっぱりか。しかも名前もそっちに寄せてるとは、この子達の親は本当にガンダムが好きなんだな?

 

「まぁまぁ積もる話は後にして、早速おにぃの家に向かおうよ♪」

 

「ん?おい彩夏、お前今回の交流試合は10人でやるって言ってなかったか?」

 

「あーそれなんだけど……実は残りのメンバーが遅れているから今日の便には乗れないから明日の朝一でこっちに来る事になったの。だから今日はまずこのメンバーだけでやりたいと思ったんだけど……」

 

そういう事か、ならそれは仕方ないな。じゃあ取り敢えずはこのメンバーだけ連れて神羅城へと戻るとするか。

 

「分かった、なら今日は船に乗った疲れもあるだろうし調整も兼ねて俺達の家に泊まっていくといい」

 

「本当ですか!?うわぁ〜、憧れの人達が暮らす家に泊まれるなんて〜♪」

 

「おい真理愛落ち着けって!?全くこいつは……すみません玲二さん、お世話になります」

 

「構わないさ、それじゃ早速神羅城へと向かうとするか」

 

『おぉーッ!』

 

こうして俺達は彩夏率いるサークルメンバーを引き連れ神羅城へと戻っていった。はてさて、一体どんなバトルが繰り広げられるんだろうな?そして残りのメンバーはどんな奴等なのだろうか…………まさか新達みたいなアニメキャラのそっくりさんなワケないよな?

 

 

 

続く……




はい、という事で次回は玲二の妹彩夏率いるサークルメンバーとの交流試合です!因みに今回の登場したメンバーは実は自分の小説を読んで頂いている波音四季様からご提供して頂きました!本当に感謝です!(≧∇≦)/

そして次回はレースゲーム!一体どんな展開になるのか?次回もまったり待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第132話『目指せウイニングラン!前編』

最近プラモを作る気になれない……いや、なんにもやる気がおきない……これが、夏バテか……夏なんて大ッ嫌いだぁーーーッ!(ToT)

とまあそんなのはさておき今回は交流試合レースゲーム編です!今回も前後編で分けておりますので最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


新イベントのテストプレイを兼ねて玲二の妹である彩夏が率いるガンプラウォーズサークルとの交流試合をする事になった。だが彩夏が連れてきたその後輩達はなんとSEED Destinyのキャラ達そっくりな子達だった!?はたしてこの交流試合、一体どうなるのだろうか?

 

 

 

 

 

「……皆様、大変お待たせ致しました。それではこれよりホロライブ&にじさんじチームと創星大学&風音高校ガンプラウォーズサークルによる交流試合を始めますッ!」

 

『うおぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーッ!!』

 

「まずは第一試合『ハイスピードウイニングラン』に参加するメンバーはステージへ登ってください!」

 

今回彩夏達とバトルを行う事になったというワケで折角だからつい先日完成した新型ドーム『ホロライトドーム』で機材を設置しての大々的なステージを用意してやった。それだけではなく今回はホロライトシティに住む住人達も無料で観戦出来るようにし更に幾つかのSNSで生配信する事にした。

 

勿論これは宣伝の為なのだが現在同接数が20万を超えていてびっくりしたな……それとまつり達は場慣れしてるから普通に観客に笑顔で手を振ってるが彩夏達はガチガチに緊張しているようだ。動きが分かりやすいくらい固いが大丈夫か?

 

「まずはホロライブチーム!今回のリーダーを務めるのは1期生の自称清楚担当佐々木まつり!そしてチームメンバーはスバル、ノエル、わため、いろはの四人だぁ!」

 

「こんにちわっしょーい!今日はまつりの考えた新イベントで皆と一緒に盛り上げていくよぉーーーッ!」

 

まつり

ランク ゴールド 4

 

「ちわーッス!今日はレースゲームと聞いてスバルの渾身のガンプラ用意したから見とけよなぁ!?」

 

スバル

ランク ゴールド 5

 

「こんまっする〜!何時もパワー系のガンプラばかりと思われとる団長じゃけど今日は何時もと違うつよつよスピードガンプラ見せちゃるかんなぁ〜!」

 

ノエル

ランク ゴールド 4

 

「こんばんドドドーッ!わためはまだ他の皆よりランクは低いけど舐めてたら痛い目みるで〜!」

 

わため

ランク ゴールド 1

 

「皆殿〜!今日は風真のつよつよあるてぃめっとござるガンプラの凄さを見せてやるでござるよ〜!」

 

いろは

ランク ゴールド 2

 

今回参加する事になったホロメンは企画担当をしたまつりをはじめスバル、ノエル、わため、いろはの五人だ。にしてもまつりとスバルは兎も角ノエル達は意外だな?どちらかと言うと重量系のガンプラを好んで作る事が多いようなメンツなのに?っとそんなのは良いとして次は彩夏達の番だな。

 

「続いてガンプラウォーズサークルチームからはリーダーはなんと!ホロライトシティの市長でありホロライブの日本支部支部長兼にじさんじトップマネージャーである佐々木玲二さんの妹、佐々木彩夏さん!そしてチームメイトには彼女の後輩である飛鳥新さんとその妹の優さん、鷹月真理愛さんと来栖怜さん!彼等も地元では有名な程のガンプラウォーズの実力者だぁッ!」

 

「うぅ~、おにぃ何でたかが交流試合でこんな派手な事してんのさぁ!?生配信だなんて聞いてないってばぁ〜!?」

 

佐々木彩夏

ランク プラチナ 4

 

「ねぇねぇお兄ちゃん!お客さんいっぱいだしテレビのカメラも沢山あるよ!イェ~イ♪」

 

飛鳥優

ランク ゴールド 4

 

「お、お前よく緊張しねぇな?うぅ、大丈夫かな……?」

 

飛鳥新

ランク プラチナ4

 

「ど、どどどどうしよう!?こんなに沢山の人達に見てもらえるなんて……あぁ〜!こんな事ならもっと気合い入れて服装選べば良かったぁ〜ッ!?」

 

鷹月真理愛

ランク プラチナ2

 

「……例えどんな相手や状況だろうと何時も通りのバトルをすれば良いだろう」

 

来栖怜

ランク プラチナ5

 

あーやっぱり彩夏達ガチガチに緊張しているな?そんな中で優と怜は意外にも平然としている……いや、怜の奴よく見たら足が少し震えてるな?流石にこうしたステージ慣れしてないと普通はそうなるよな?

 

さて、両者のそれぞれのランクを見てみるがまつり達は皆揃ってゴールドランク、対して彩夏達は優を除き全員がプラチナランク。

 

ランクだけで見ればまつり達が不利だが今回のレースゲームはまつりが企画したもの、つまりはまつり達はその地の利を活かしたカスタマイズを最初から出来るワケだ。

 

更に言えば彩夏達は緊張の所為で少し取り乱してる感じがする。これがプレイに影響する可能性もあるからこの勝負、何方が勝ってもおかしくはないかもな。

 

「それでは今回の勝負内容である新イベント『ハイスピードウイニングラン』についてのルールをご説明致します!舞台は地球圏の某国大陸、この場所をスタート地点から速くゴールへ辿り着くのが目的です!但し、コース上には五ヶ所のチェックポイントがありそのゲートを潜らないとクリアタイムからマイナス30秒されてしまいます!」

 

そう、つまりは五ヶ所全てのゲートを潜らなかったら150秒ものロスタイムが発生してしまうワケだ。これはなかなか考えたな?

 

「更にコース上には行く手を阻む妨害キャラも多数配置されておりますのでプレイヤーの皆さんはそれらも上手く躱しいち早くゴールを目指してください!尚妨害キャラへの攻撃は可能ですが他のプレイヤーに攻撃した場合はクリアタイムからマイナス20秒されますので気をつけてくださいね!」

 

「ムッ……つまり敵の攻撃を避けつつチェックポイントを通過して誰よりも速くゴールしなきゃいけないって事だね?」

 

「意外とやらなきゃいけない事が多そうだな……」

 

確かにこの勝負、単純にスピードが速いだけの機体では勝つのは難しそうだ。迫りくる敵機を躱しながらチェックポイントを通過するとなるとそれなりの攻撃もしくは防御が必要になってくるだろう。さて、彩夏達はどう立ち回っていくんだろうな?

 

「そしてこのゲームの勝敗は上位三名の内多くのメンバーが入ったチームが勝利となります!それではこれにてルール説明を終了致しますので早速両チーム共に筐体の中へと入りガンプラをセットしてください!」

 

「よぉーし!彩夏ちゃん、絶対に負けないからね!」

 

「は、はい!こちらこそよろしくお願いします!」

 

お互いに握手を交わした後それぞれの筐体へと入っていきゲームスタートの準備を始めていく。さて、彩夏達のガンプラの腕前、とくと見させてもらうとするか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーBATTLE STANDBYー

 

ーMS LOADINGー

 

 

まつり機

『HG フルストームガンダム』

『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』に登場した『リ・ガズィ』を改造したまつりのオリジナルガンプラ。両足とバックパックに大型ブースターを装備し武器をビームライフルとビームサーベル一本のみとスピードに特化させた機体となっている。

特殊スキル:ハイメガブースト

全てのブースターをフルブーストさせスピードを200%上昇出来るスキル。但し、一度使えば自分では切れず、15秒経つと空中分解してしまう。

 

 

スバル機

『SD トールギス昴』

『新機動戦記ガンダムW』に登場した『トールギス』を改造したスバルのオリジナルガンプラ。元のキットは『SD三国創傑伝』で登場した夏侯淵トールギスでそれを元のトールギスのように改修しつつバックパックに過去にでた1/144トールギスのバックパックを改造して装備させている。

特殊スキル:使用後20秒間スピードを上昇し射撃命中率を30%上昇させる。

 

 

ノエル機

『HG パーフェクトヅダノワール』

『機動戦士ガンダム MS IGLOO』に登場した『ヅダ』を改造したノエルのオリジナルガンプラ。本来ヅダはバックパックにある土星エンジンをフルに稼働すると空中分解してしまうという欠点をプラ板で装甲を強化する事で補っており、更に小回りが効くように各部位に小型ブースターが搭載されている。

特殊スキル:まっするぶれいく

ブースターを全て破棄する代わりに攻撃力を140%上昇させる。

 

 

わため機

『SD 綿雌○秘将軍』

『SD頑駄無武者○伝』に登場した『武者○秘将軍』を改造したわためのオリジナルガンプラ。因みに○は伏せ字ではなくまると読む。元の武者◯秘将軍を分解しCSのガンダムをベースに改造しており、更に頭部にはわための特徴である角がある。

特殊スキル:角魔気雀剣

バックパックにある運知大と呼ばれる二対の剣を一本増やした三対の剣。どれかランダムで使用出来るが何が起こるかは抜くまで分からない。

 

 

いろは機

『HG スサノオ/サムライ』

『機動戦士ガンダムOO』に登場した『スサノオ』を改造したいろはのオリジナルガンプラ。とはいうものの基本的には改造実体剣『名刀チャキ丸』を装備させただけの機体である。だがこのチャキ丸、恐ろしい程に切れ味がよく雑魚敵なら纏めて斬り裂く程の威力がある。

特殊スキル:斬り捨て御免

三秒ほど硬直するがその後目の前一直線に向かって自身の攻撃力380%の斬撃波を放つ。使用回数は一回のみ。

 

 

彩夏機

『HG ガンダムスプラッシュ』

彩夏のオリジナルガンプラ。メインにはファーストガンダムを使用しているがなんとほぼフルスクラッチの装甲を纏っている。スピード重視の期待で武器もコアスプレーガン等の威力の低いものばかりだが、その分小回りが効き援護タイプとしての役割を主としている。

スキル:クイックチャージ

15秒間スピードを240%上昇させる。但しその間は移動以外の行動は行えない。

 

 

※此処からは頂いた設定を記載しております。

 

 

新機

『HG デスティニーガンダムオーバーロード』

『機動戦士ガンダムSEED Destiny』に登場した『デスティニーガンダム』の改造機。「オーバーロード」は「Over Road」で「運命(さだめ)られた道を超えて往く」という意味。また、後述のシステム「ロキ」発動時の「Overload(過負荷)モード」とも掛かっている。デスティニーの欠点である「腕がないと武器が使えない」点を克服するため、長距離ビーム砲を2門にして肩から前面に展開可能にして「レヴァテイン」と名付けられた。その他にも腰部ヴェスバー、足底ヒートダガーといった手を使わない武装を追加している。

特殊スキル:システム「ロキ」

ガンプラの全エネルギーをオーバーロードさせて機体スペックを無理やり極限まで高める。翼からエネルギーを逃がす際に青い光の翼が生成される。最大稼働時間は91秒、それを超えると機体が崩壊する。

 

 

優機

『HG ベアッガイSUNSUN』

『ガンダムビルドファイターズ』に登場した『ベアッガイⅢ』にRGゴッドガンダムのバックパックを背負わせるように新が改造した。SUNSUNは光輪が太陽のようだったので「太陽サンサン」から。可愛い見た目から想像できない柔道ベースの格闘技で戦う。

特殊スキル:必殺熊殺法

敵のステータス関係なく一撃で倒す。但し成功確率は3%であり、HPが33%まで減少すると成功確率が33%まで上昇する。

 

 

怜機

『HG ミスィガンダム』

プロヴィデンスガンダムとレジェンドガンダムのミキシング機。名前は「神話(myth)」から。胴体・両腕・背中のドラグーンをレジェンドの物にして、他はプロヴィデンスの物。

特殊スキル:絶対神話

自身にランダムにバフがかかり、相手にランダムにデバフがかかる。使用回数は二回。

 

 

真理愛機

『SDCS シスクード・ニーベルング』

『SDCS シスクード』の改造機。ニーベルングは「ニーベルングの指環」に登場する小人族から。カラーを赤色に変更している。真理愛が射撃が苦手な為、ランチャーを廃し、Iフィールドジェネレーターは左腕に移植している。

特殊スキル:オフェンスモード

シスクードに備わっている機能。リミッターを解除し、高速軌道により連続攻撃を仕掛ける。

 

 

ロードが終わりバトルフィールドのスタート地点に10機のガンプラがずらりと並んでいる。おぉ、皆気合いの入った改造してんなぁ。このガンプラウォーズが稼働してから皆それぞれ思い思いの改造をするようになったからバリエーションがかなり豊富になってきたし、俺もそろそろ本気で何か作ってみようかな?

 

「それでは間もなくスタートとなります!用意は良いですか?」

 

『はい!』

 

「では、参りましょう!レディー……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴーッ!!」

 

ーゴオォォォォォォッ!!ー

 

栄ちゃんの合図と共に皆一斉にスタートを切った。最初の出だしはやはりこの競技特化に改造したまつりとスバルとノエルがトップに躍り出ているがそれに負けずと彩夏と新も追いついている。後は他の奴等がその後ろに食らいついてる感じだな?

 

「よぉーし、このまま一気に飛ばしてい……って何アレ!?」

 

お、トップのまつりが早速妨害キャラと出くわしたか?今回用意したのはお馴染みザクIIだ。但し皆高ランカーという事で少し強めに設定させてもらったからもしかしたら少し苦戦するかもな?

 

ーズガガガガッ!ー

 

「うわ撃ってきた!?」

 

「どーすんのまつり先輩!?このまま突っ込んだら確実に被弾しちゃうってばぁ?!」

 

「だけどまともに相手しとったら団長達遅れちゃうじゃん!?」

 

いきなりの攻撃に三人とも上手く躱すが軌道が外れて変な方向に進み始め出してる。このままじゃ遠回りになってしまうがそれは彩夏達も同じだ。

 

「もぉ〜!しつこいってばぁッ!?」

 

「どうします先輩!?いっそ纏めてこいつ等を「お兄ちゃんどいてぇーーーッ!」!?ゆ、優!?」

 

ん?なんか後ろから追いかけてきた優のベアッガイが右拳を燃やしながら突っ込んで来てねぇか?

 

「ハアァァァァッ!飛鳥神拳奥義!熊盛十拳ッ!!」

 

ーゴオォォォォォォォ……バッコオォォォォンッ!ー

 

《ッ!?》

 

ードッカアァァァァアンッ!ー

 

おぉスゲェ!?燃える拳が十個に別れたように見えてそのまま複数のザクIIをふっ飛ばしたぞ!?にしても技名が熊本県もじっただけだけど良いのかそれ?

 

「サンキュー優!後何時も言ってるけど飛鳥神拳なんてそんな変なの勝手に作るな!?」

 

「えー別に変じゃないじゃん?それに格好良いし役に立つから別に良いでしょ♪」

 

おー仲の良い事で?だが今の攻撃はあくまでほんの一部を倒しただけでまだザクIIは沢山構えている。まだまだ油断は出来ないな。

 

「おー優ちゃんやるねぇ?だったらわためもやっちゃりますか〜♪角魔気雀剣〜、スタートォ〜!」

 

ーツノマキツノマキツノマキツノマキ♪ー

 

な、なんだ!?なんかいきなり懐かしいメロディーが流れながらわための綿雌◯秘将軍の後の剣が回転しだした!?一体何が起こるんだ?

 

ーツーノーマーキジャンケンポンッ♪ー

 

ージャキィンッ!ー

 

「でた〜!波亜剣波理扇!……ってこれハズレだぁーーーッ!?」

 

回転が止まってその内の一本が抜けたと思ったらなんと剣先が刃ではなくハリセンになってるなんとも情けない武器が出てきた。成る程、グーチョキパーでそれぞれ剣先が違う武器が出てくるのか。ユーモアあるがなんでそんな変な武器チョイスしたんだ?

 

「うわぁ~ん!こっち来ないでぇ〜!?」

 

あーあー案の定ザクII達から狙われているし。ギャグ要素ある武者◯伝ならまだしも普通のバトルだったらどう頑張ってもハリセンじゃ敵を倒せないだろうしな?

 

「わため先輩!今風真が助けるでござるよ!でやあぁぁッ!」

 

ージャキンッジャキンッ!ー

 

追いかけ回されるわためを見かねていろはのスサノオが追っかけてくるザクII達を切り裂いていく。いろはも武器以外はほぼ無改造なのに上手く立ち回っているな。

 

っとそうこうしている内にそろそろ第一のチェックポイントへと到達しているな?現在はまつり達が遠回りをしてしまった所為で彩夏達が若干リードしているってところか。怜と真理愛もスピードこそは他の機体よりも遅めだがその分武装も安定しているからザクII達を蹴散らしながらスムーズに進めている。

 

これは思ってたよりも番狂わせがありそうだな?さて、最初にゴールするのは誰だろうか?

 

 

第一チェックポイント通過時点

1.彩夏 2:16

2.新 2:18

3.まつり 2:28

4.ノエル 2:31

5.スバル 2:32

6.怜 2:49

7.真理愛 2:56

8.いろは 3:02

8.優 3:02

10. わため 3:16

 

 

 

後編へ続く……




はい、という事で今回は第一チェックポイントまでとなりました!因みに彩夏チームの彩夏以外のガンプラは前回に引き続き波音四季様から頂きました、有難うございます!m(_ _)m

さて次回はレースゲーム後編、はたして最初にゴールするのは誰でしょうか!?よろしければ予想してみてください♪
それではまた次回までまったりと待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第133話『目指せウイニングラン!後編』

シュバルゼッテ、そしてキャリバーンを組みましたがこれはかなり良いキットですね♪キャリバーンはもう一つ購入してるのでパール塗装とかもやってみたいです(≧∇≦)/

さて今回はレースゲーム後半戦です!さて、勝つのは一体誰なのか?最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


序盤から激しい首位争いを見せるレースゲーム。一行は続いての第二チェックポイントへと向かってフルスピードで駆け抜けていた。

 

「さぁ第二チェックポイントまでのルートは二手に別れています!右サイドは最短ルートですがその分敵が沢山待ち構えており左サイドは遠回りですが敵は殆ど配置されておりません!どちらを進むかはプレイヤー次第です!」

 

成る程、敵を振り切る自信があるなら右サイドを、安全に進むなら左サイドに進むべきというワケか。これは各々の性格が出そうな選択肢だな?

 

「え、コレどっちに進めば良いの?!」

 

「先輩、今俺達は若干ですが有利です!此処は無茶をせず安全な方を選びましょう!」

 

「オッケー!それじゃあ左に進むよ!」

 

彩夏と新は左に向かったか。まぁ幾ら最短とは言っても敵の数によっては逆に足止めされてしまう可能性があるから妥当な判断と言えるな。

 

「あーもうこのままじゃ絶対に出遅れっぱなしになっちゃうじゃん!?スバル!まつり達は右行くよ!」

 

「えぇ!?ちょっとまつり先輩正気かよ?!絶対安全なルート進んだ方が良いって!?」

 

「うっさい!要は敵がいても避けて進めば良いだけだぁ!いくぞオラァーーーッ!!」

 

まつりとスバルは逆に右サイドへと進んだか。そっちの敵の数がどれほどかは分からないが確かに躱し続ける事が出来れば一気にタイムを縮める事が出来るが、はたしてそれが吉と出るか凶と出るか……?

 

 

その後……

 

 

「あ、スバちゃん達右サイドに行っとる!なら団長も右に!」

 

ノエル 右サイド

 

「…………此処は無難に左だな。幾ら最短でも敵に妨害されては意味がない」

 

怜 左サイド

 

「あれ、皆どっちに進んだんだろ?ん〜……よし!なら最短距離を目指して右行こう!」

 

真理愛 右サイド

 

「右か左か……いや幾らまつり先輩達でも敵が沢山いる方には行かないでござるよな?なら風真は左に進むでござる!」

 

いろは 左サイド

 

「いろはさんは左に行ったみたいだから、じゃあ私は右に!」

 

優 右サイド

 

「うわぁ~やっと着いた……あれ?どっちがどっちだっけ?まぁ分かんない時は取り敢えず右に進めば良いよねぇ〜?」

 

わため 右サイド

 

 

現在

右サイド(最短・敵大量ルート)

まつり

スバル

ノエル

真理愛

わため

 

左サイド(遠回り・安全ルート)

彩夏

いろは

 

ルート分岐を見ると彩夏チームは半々で分かれてまつり達はいろはを除いて全員最短ルートに向かったか。なんというかやっぱりこういうのは性格がそのまま出てくるな……わためは話聞かずに行っちゃったみたいだが?さて、取り敢えずまずは左サイドの方を見ていくか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

左サイド

 

ーバキュゥンッ!バキュゥンッ!ー

 

ードゴオォォンッ!ー

 

「よしッ!」

 

「やっぱりこっちにして正解だったな。ザクも一定間隔で一、二体配置されているだけだ」

 

安全なルートを選んだ彩夏達の進んだ先は思ってた以上に敵が配置されておらずスピードを落とさずとも敵を蹴散らしながら進めていた。これはこっちが正解だったか?

 

「よーし!このまま一気に進んで形勢逆転だぁ「させぬでござるよぉーーーッ!」え!?」

 

え!?な、なんだ!?いろはのスサノオがスゲェ勢いで追い上げている!?合わせ目処理と塗装をしているけどほぼ無改造のスサノオがどうして……いや、スサノオは元々スピードが速い機体、しかもほぼ無改造という事は逆に余計な手を加えられてないからスサノオ本来のスピードが出せてるのか!

 

「確実に堅実に!風真はこのまま突っ走るでござるよぉーーーッ!」

 

「は、速い!?」

 

「塗装と合わせ目処理だけでこのスペック……どうやら相手を甘く見てしまってたようだな?」

 

「うわぁ、さっすがおにぃのお嫁さんなだけあって凄いガンプラ作ってるねぇ?でも、私達だって負けてないんだからね!」

 

いろはのスサノオを見て彩夏達も火が着いたのか更に加速しいろはとのデッドヒートを繰り広げていく。全く、ああやってすぐに熱くなるのは誰に似たんだが?

 

さて、今度は右サイドに向かったまつり達の方を見てみるか。どれどれ……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

右サイド

 

ーズガガガガガガガガガガガガガガガガガガァッ!ー

 

「もおぉーーーッ!流石に多過ぎるってばあぁーーーーーーッ!?」

 

「どーすんだよこれぇ!?思ってたよりも数倍敵いるんだけどーーーッ?!」

 

あらら、敵の数が多いとは言ってたがこれは多過ぎじゃねぇか?ざっと五十はいるぞ?しかも隙間なくザクマシンガン撃たれてるから避けるので精一杯になってるし、こりゃ間違いなくこっちはハズレだったな。

 

「うわわわ!?こっちにも撃ってきたぁ?!」

 

「はわわわ!?ど、どうしましょ真理愛さーん?!」

 

真理愛と優も翻弄されまくって全然前に進めていない。こっちのコースは左サイドに比べて距離は三分の一ほどしかないが、その分敵の数が尋常じゃない。もしこの道を通るなら方法は二つ、敵の隙間を見つけ其処を掻い潜るか目の前の敵を一掃するかだがどちらにしても骨が折れそうだな。

 

「うぅおりゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」

 

ーバッコオォォォォンッ!ー

 

「え、ノエル!?」

 

「大丈夫ですかぁスバル先輩!でやあぁぁーーーッ!」

 

ードゴッ!バコオォォォンッ!ー

 

うぉッ!?ノエルの奴ヅダの腰にマウントしていたメイスを振り回しながらザクII達を薙ぎ払っていってる!?

 

「おぉん?おめーらか団長のスバル先輩をイジメる不届きモンは!?」

 

「おい!スバル別にノエルのモンじゃねーよ?!」

 

「流石団長、生粋のアヒージョなだけあるね……?」

 

まつりの言う通り、スバルを守ろうと戦うノエルは何処となくイキイキとしている。ノエルは俺とフレアとスバルが絡むと時々暴走しがちになるんだよな?最近だとフレアに関しては落ち着いてはいるがスバルに関しては全然抑えられてないし。本人は否定してるけどやっぱりあれどう見たってアヒージョ(スバルのガチ恋勢)じゃね?

 

「うわぁノエるんやるねぇ〜?よーしわためだってぇ〜!角魔気雀剣〜スタートォ!」

 

ってわためも追いついたと思ったらまた角魔気雀剣か?またパー出たらさっきの二の舞いだが大丈夫か?

 

ーツーノーマーキージャンケンポンッ!ー

 

ージャキィンッ!ガッシャァンッ!ー

 

「出たー!愚武剣判魔亜(グーケンハンマー)!どりゃあぁぁぁーーーッ!」

 

ーバッコオォォォォォンッ!ー

 

な、なんだありゃ?!抜いた瞬間剣先が展開してでっかいハンマーになったぞ!?見た感じグシオンハンマーの改造だろうがどうやって収納してんだ!?

 

※通常のプラモの時は当然差し替えです。

 

「おらおらぁ〜!綿雌◯秘将軍様のお通りだぁ〜!」

 

ーバコンッバコンッバッコオォンッ!ー

 

うわぁ敵がバッコンバッコンやられていくなぁ……それにしてもあんなちゃんとした武器があるなら何故ハリセンなんて取り入れたんだ?

 

 

 

後のわためのコメント

 

「え〜?でも元の武者◯秘将軍だってハズレがあったから角魔気雀剣にもハズレがあった方が面白いって思ったんだもん。わためは悪くないよねぇ〜?」

 

なんともわためらしい理由であった。

 

 

 

「スバル先輩!此処は団長達に任せて先に進んでください!」

 

「ノエるんとわためでザク達みんなやっつけてやるかんな〜!」

 

「あ、うん、二人とも無茶だけはすんなよーッ!?」

 

「…………あれ?ノエル、まつりの事忘れてない?」

 

ノエルとわための活躍で切り開かれた道をスバルとまつりが突き進んでいく。これは思っていた以上に早く突破出来そうだな。さて、残る真理愛と優は……?

 

「あーーーッ!?向こう二人も突破しちゃってる!?」

 

「そんな!?むぅ〜…………こうなったら私も真理愛さんの道を切り開きますッ!」

 

お?優もどうやらノエル達と同じく敵を一掃するみたいだが一体どうするつもりなんだ?

 

「ハアァァァァ……ッ!いきます!飛鳥神拳究極奥義!熊殺法ッ!!」

 

ーゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!ー

 

な、なんだ!?優のベアッガイが真っ赤に燃え上がって大地が揺れている!?これはもしやかなり凄い特殊スキルなんじゃないのか……!?

 

 

 

 

 

「ハアァァァァッ!どりゃあぁぁぁーーーッ!!」

 

 

 

 

 

ーゴオォォォォォォォォーーーッ!

 

 

 

 

 

 

 

 

……パコンッー

 

 

…………あれ?ベアッガイの燃える拳がザクIIに当たったけどまるでペットボトルが凹んだような軽い音がしただけで特に何も起きてないぞ?あれだけ激しく燃えてた炎も何時の間にか消えてるし、一体どうしたんだ?

 

「あー…………ごめんなさい、失敗しちゃいました♪」

 

「えぇーーーッ!?なんだったの今の時間?!」

 

いや失敗かよ?!ってか今スキル確認したがこのスキル一撃必殺の代わりに成功確率3%じゃねーか!?よくそんな確率でやろうとしたな?!

 

ーギロッ!ー

 

ーガシッ!ー

 

「え?あ、あの〜、いきなり掴んできて一体どうするつもーブオォォンッ!ーやあぁぁぁぁぁぁーーーッ!?」

 

「優ちゃーんッ!?」

 

うわ、優のベアッガイがザクIIに捕まったと思いきやそのまま何処かにふっ飛ばされていったぞ?そのままどっかにふっ飛ばされて……って何処まで吹っ飛んでんだ!?しかもそっちは……!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーヒュウゥゥゥゥゥゥ〜……ドッシーーンッ!ー

 

「痛ぁッ!?痛ったた……あれ?此処って……」

 

優の目の前

GOAL

 

「ご…………ゴールだぁーーーッ!?」

 

うわマジか!?ぶん投げられて吹っ飛んだと思ったらまさかのゴール間近まで飛ばされたのか?!これって不幸中の幸いどころのラッキーじゃないぞ!?

 

「やったぁ〜!こんだけ早いとチェックポイント通過してないペナルティ受けても全然ぶっちぎりの優勝だよ〜♪よぉーし!それじゃあゴールっと………………あれ?」

 

?どうしたんだ優の奴、全然動かないぞ?まさかさっきの不時着で何処かやられたのか?……いや、あの感じはもしかして……

 

「あ、あれ?全然操縦出来ない……なんで!?別に何処か壊れたワケじゃないのに?!ーピンポンパンポーンー……え?」

 

ー大変申し訳ありません、飛鳥優さんのベアッガイSUNSUNは本来想定されているルートとは異なる移動をしてしまった為にデータ処理が追いつかずフリーズしてしまいました。従って一度リセットしスタート地点から再開して頂く為暫くお待ちくださいませー

 

「え…………ちょ、ちょんなぁ〜!?」

 

あーやっぱり処理が追いつかずフリーズしてしまったのか。そりゃ本来通過出来ないルート突き破っていったからそうなるか。そうこうしている内に優のベアッガイも初期スタート地点に飛ばされたし、しかも元々スピード系の機体ではないからこりゃ優の入賞は無理かもな?

 

にしてもまさかの早々にこんなバグが発見出来るとはな?終わったらすぐにでもプログラムを更新しないといけないな。さて、残りのメンバーの様子はと……お、今丁度残りのメンバーが第二チェックポイントを通過したみたいだな。どれどれ……

 

 

第二チェックポイント通過時点

1.まつり3:48

2.スバル 3:49

3.新 4:09

4.彩夏 4:12

5.いろは 4:16

6.怜 4:17

7.ノエル 4:45

8.わため 4:50

9.真理愛 4:56

10. 優 No Time

 

 

おぉ、結構順位が変動しているな?なんだかんだでまつり達もショートカット成功したお陰で彩夏達を出し抜いた感じもするし、これは最後までどうなるか全然分からんな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それからもお互いの激しいデッドヒートが繰り広げられた。第三コース、木々が生い茂る森林を掻き分けながら進むエリアでは怜のミスティガンダムの一斉射撃で木々を薙ぎ払い更にスキルで自身にスピードアップのバフとノエルにスピードダウンのデバフを付け一気に上位に躍り出た。

 

第四コースではセキュリティがガッチガチにされている軍事施設を通って行かないといけないが案の定施設のセキュリティ用機関銃や警備用のザクIIが大量に配備されており激しい銃弾の雨が降り注いできたがノエルが自身のスキルでブースターを全て破棄した代わりに攻撃力を底上げしてザクII達を一掃し、狙われた彩夏達を怜が身を挺して守ったお陰でなんとか此処を突破する事が出来た。しかしこのコースでノエルは足止めされてしまっていろはも墜落してしまったし、残るはお互い三人ずつという事になるな。

 

そして迎えた第五コース。さて最終コースは一体どんなものが用意されているのか?

 

「さぁいよいよ最終コース!此処は至って超シンプル!ゴールまで妨害無しの一直線コースです!最後は己のスピードを信じて進むだけです!」

 

え、一直線?まさか最後に純粋なスピード勝負に持ち込むとは、栄ちゃんも粋な計らいをしたな?今残っているのはまつりとスバルとわため、そして彩夏と新と真理愛の六人だ。他の四人はスタート地点からリスタート出来るがこの局面になると最早追いつくのは無理だろう。はたしてどっちが勝利を掴むのだろうか?

 

「くぅ~!まさか最後にどシンプルな一直線コースだなんてぇ〜!?」

 

「はっはぁーッ!これならスピード特化の改造をしたまつりとスバルの方が有利だぁーーーッ!」

 

「スバル達の最速ガンプラの実力見せてやるしゅばぁーーーッ!」

 

やはり単純なスピードならそれ用に特化させたまつり達のガンプラが有利っぽいが、それでも彩夏と新のガンプラも食らいついてる。それに此処まであいつ等は特殊スキルを使用していないからまだまだどうなるかは分からんな。

 

「先輩!此処はもう出し惜しみ無しでスキルを使って一気にいきましょうッ!」

 

「そ、そうだね、よーしッ!いくよ新君!」

 

「「ブーストスキルイグニッションッ!!」」

 

ーキュイィンッ!ゴオォォォォォォォッ!!ー

 

お、早速彩夏達がスキルを発動して加速しだしたか。彩夏のガンプラのスキルは確か移動以外の行動が出来なくなる代わりにスピードが格段に上がるもので新のは……全体的なステータス強化か。スピード上昇率は彩夏のガンプラに比べたら低いがそれでもかなりの強スキルだ。流石プラチナランクに上り詰めるだけの実力はあるみたいだな?

 

「おっしゃあ!イッケェーーーッ!!」

 

「うおりゃあぁぁぁーーーッ!全速前進ーーーッ!!」

 

ーゴオォォォォォォォォォォォォォォッ!ー

 

「ウソ、速ッ!?」

 

「このままじゃ負けちゃう!?スバル、うち等もスキルで追っかけるよ!」

 

お、まつり達も負けじとスキルを発動するみたいだな。スキルの詳細は……やはりお互いスピード上昇のスキルか。だがまつりのスピード上昇率は脅威だが使用時間は15秒、これってゴールまで間に合うのか?

 

ーギュオォォォォォォォォォォォォォォッ!!ー

 

「うおりゃあぁぁぁーーーッ!」

 

「負けるモンかあぁーーーーーーッ!」

 

「勝つのはまつりだぁーーーーーーッ!」

 

「どりゃあぁぁぁーーーーーーッ!」

 

四人は激しいデッドヒートを繰り広げまっすぐ突き進んでいく。ゴールはもう目の前、はたして……?

 

 

ーゴオォォォォォ……プスンッガタ、ガタガタガタ……ー

 

「…………あ、ヤバ。時間足りなかったかも?」

 

『……え?ーカッ!ー

 

ードッゴオォォォォォォォォォォォンッ!!ー

 

うわ!?突然まつりの機体が爆発した!?やはり時間が足りなかったみたいでゴール目前でオーバーヒートを起こして爆発してしまったみたいだな。しかしあの爆発で近くにいたスバル達も巻き込まれてしまったみたいだし、これはもう仕切り直しか…………ん?

 

ーシュウゥゥ……バアァンッ!ー

 

「うおぉぉぉぉーーーッ!なんのこれしきぃーーーッ!!」

 

なんと!?まさかの新の機体がほぼ無傷で突破した!?そうか、あいつのスキルは全体的なステータス上昇だから防御力も上がってたのか!

 

ーGOAL!!ー

 

「よっしゃあぁぁぁぁぁッ!!」

 

そしてそのままゴールし見事に一着。更に

 

「あーやっと追いついた〜……あれ、皆は?」

 

「よっしゃー完走したぁーーーッ!」

 

遅れてわためと真理愛も無事にゴールし、これによりこの勝負は彩夏達の勝利で終わったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「悔しいぃ〜!折角まつりの新しいガンプラお披露目出来たと思ったのにぃ〜!?」

 

「まーあんな最後迎えちゃ誰だって悔しいよね?」

 

レースが終わりステージに戻ったまつりが悔しそうに地団駄を踏んでいる。まぁあのスキルを発動するタイミングをもう少し待っていれば勝てたかもしれなかったからしょうがないよな?

 

「さっすが新君!うちのサークルのエースなだけあるね♪皆もご苦労さま♪」

 

「いや本当に最後はびっくりしたけど楽しかったな」

 

「うぅ〜、あのバグさえなければ私が優勝してたのにぃ〜!?」

 

「いや多分それ誰も納得しないから逆に良かったと思うよ?」

 

「……次のイベントの為にももう少し改造を施さなければな」

 

彩夏達もそれぞれ悔しそうだったり反省したりとあるがなんだかんだで楽しんでいるようで何よりだ。さて、次のバトルが終わったらバグの修正もしないとな。

 

「それではこれにてレースゲームを終了!続いて一時間の休憩を挟んだ後にバトルゲームに移りますので今のうちに食事お手洗い等を済ませてください!それでは一度失礼しまーす!」

 

次のバトルは一時間後か。次は走が率いるにじさんじ組だが、一体誰が参加するんだろうな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、港では……

 

「……此処がホロライトシティか」

 

「へぇ、なかなか良い街だね♪」

 

「はぁ、やっと着いた……眠む……」

 

「此処がガンプラウォーズの聖地か……此処なら思いっきり楽しめそうだな、“大和”」

 

「うん、そうだね“蘭”」

 

ホロライトシティへと上陸した謎の五人。彼等は一体何者なのだろうか?

 

続く……




はい、という事でレースゲーム終了です!次回はにじさんじチームのバトルゲームとなります!その相手とは一体誰でしょうか?次回も気長に待って頂ければ幸いです、ではまた!

あ、このイベントが終わったらまた久しぶりに貴方と出会ってを書こうと思いますのでアンケート取ろうと思います。


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第134話『陣取りゲーム前編』

暑くて寝苦しい夜が続きます……(T_T)本気でクールマット買おうか検討しますがあれって効果あるのか心配で買うのを躊躇してしまいます(-_-;)

そんな事はさておき今回は陣取りゲーム!対する相手は一体どんな奴等なのか?今回も最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


「お待たせしました!それでは只今より第二ゲーム、陣取りゲームを始めたいと思います!」

 

『うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーッ!!』

 

一時間の休憩を終えて次はいよいよ第二ゲームである陣取りゲームが始まろうとしていた。先程は惜しくもまつり達が負けてしまったが次は一体誰が出てくるんだろうか?それと今回はにじさんじメンバーがメインという事だからか司会が栄ちゃんから刀也に代わったようだ。

 

「それでは早速選手紹介です!佐々木一家からはレイ兄さんさんの高校時代の後輩!その勢いは名前の如く何処までも駆け抜けていく!永遠のB級バラエティーレーサー、佐々木走!」

 

「いや此処でもマ○カ杯みたいな口上されるんかい!?」

 

佐々木走

ランク ゴールド5

 

おぉ、まさかの刀也の司会口上を此処で聞けるとは。という事は残りのメンバーもこういった感じなのか?

 

「にじさんじのガンプラウォーズと言えばこの人は絶対に外せない!その熱きガノタ魂を燃やし今日も彼は戦場を駆け抜ける!バトルオブデスティニー、社築!」

 

「えぇ〜……なんで俺まで参加させられてんの?」

 

社築

ランク ダイヤ4

 

お、やっぱ築も参加させられたか。にじさんじ、というよりかは俺達の中でぶっちぎりでダイヤランクまで上り詰めてるのあいつしかいないからな。

 

「せーの、でかぁーーい!説明不要!その顔の大きさは銀河全てを飲み込む程の測定不能のデカさ!そのデカさで敵を圧し潰す!ビッグバン、ARS!」

 

「おいこらぁ!いっつもいっつも顔イジりすんのやめろよぉーッ!?」

 

ARS?

ランク シルバー3

 

おぉ、まさかの選出だな?ステージの上で刀也に向かって怒っているのはにじさんじに所属する魔法使い『アルス・アルマル』だ。まさかシルバーランクのメンバーを選ぶとは思わなかったな?あ、因みにこの娘とは特に深い関わりはなく普通に仕事を通す以外の接点はない。

 

「にじさんじのダイヤランクは社築一人?いいやこの男もいる事を忘れてもらっては困る!戦闘の腕前なら誰にも負けない!今こそ王者の覇道を見せる時!漆黒の断罪者、葛葉!」

 

「よっしゃあッ!久々に暴れてやるとしますかぁーーーッ!」

 

葛葉

ランク ダイヤ4

 

やっぱり葛葉も参加したか。そりゃ身内にダイヤランクのプレイヤーがいるとなれば参加してほしいって頼むよな?本人も楽しそうだしな。

 

「最近子供が産まれて丸くなった?そんな事はない!皆、頼むから彼女を怒らせるな!怒らせたらどんな恐怖があるか分からないぞ?!バーサーカー新兵、佐々木楓!」

 

「おいけんもちぃぃぃぃぃーーーッ!?だぁれがバーサーカーやねんお前後で覚えとけよなぁッ?!」

 

佐々木楓

ランク プラチナ2

 

最後はまさかの楓か。てっきり走の事だからイブラヒム辺りを呼ぶと思ったら意外だな?それと刀也、楓は最近椛のお世話しっかりしてて良い母親やってんだからそんな事言うなよなー?

 

「以上、にじさんじメンバーのご紹介でした!続いてガンプラウォーズサークルチームのご紹介です!彩夏さんお願いします!」

 

「はい、では此処からはガンプラウォーズサークル部長佐々木彩夏がご紹介します!まずはリーダー、狙った敵は逃しはしない!どんな弾もヒラリと躱す!まさに最強の名に相応しい!リアルスーパーコーディネイター、“響大 和(ひびき やまと)”!」

 

「あ、ど、どうも……」

 

響 大和

ランク ガンダリウム2

 

ッ!?あ、あいつって確か……そうだ!この間本土で行われたガンプラウォーズのバトルロワイヤル大会で見事に優勝したっていう子だ!今まで多くのプレイヤーのデータを見てきたが最速で最高ランクのガンダリウムまで上り詰めたまさに最強のバトラーがまさか彩夏の後輩だったのか!?

 

……それにしても、新がシンに似てたからもしやと思ってたが今度は『キラ・ヤマト』かよ?この世界どんだけそっくりさんいるんだ?

 

「SEEDのキラにアスランがいるように響大和にも相棒はいる!あ、言っとくけど彼女は女の子だから其処は間違えないでね?赤き閃光の使徒、“明日香 蘭(あすか らん)”!」

 

「そんな紹介しなくたって名前と見た目で分かるでしょうが!?」

 

明日香 蘭

ランク ダイヤ3

 

………今度は『アスラン・ザラ』かよ?けど女の子なんだな?確かに面影はあるけどちゃんと女の子だというのはすぐに分かる。それとこの子もダイヤランクなのか、これはもしや凄いチームなんじゃないのか?

 

「最強のバトラー大和、彼には双子の姉がいる!その負けん気な姿勢は見る者全てを圧巻させる!あたしの前に立ってたらぶっ飛ばすぞ!猪突猛進、“響 焔(ひびき ほむら)”!」

 

「よ、よよよよろしくな……!」

 

響 焔

ランク ダイヤ1

 

へぇ、あの響大和に双子の姉がいたんだな?見た目的には……うん、間違いなく『カガリ・ユラ・アスハ』だな。それと場慣れしてないのか分かりやすいくらい緊張しているな?

 

「侍、それは現在までに残る日本の文化!その身に侍の魂を宿し、彼は今日も敵を斬り裂く!SAMURAISPIRITS、“流星 実(りゅうせい みのる)”!」

 

「……推して参る」

 

流星 実

ランク ダイヤ2

 

……え?な、なんだあいつ?なんで剣道着なんて着てるんだ?しかもあの見た目……OOの『グラハム・エーカー』か?さっきまでSEED系だったのに此処でOOとは……もしかして探せばもっとそっくりさんとかいるのか?

 

「何時もは気怠そうにやる気ナシに見えるけどそれは間違い!一度戦場に出れば彼を止めれる者はいない!この荒くれ者を止めれるもんなら止めてみな!フィールドブレイカー、“火電 愛斗(ひでん あいと)”!」

 

「ふぁ〜……眠……」

 

火電 愛斗

ランク ダイヤ3

 

な、なんだ?最後にめちゃくちゃやる気が感じられない奴が来たんだが?これからバトルが始まるというのに欠伸しながら頭掻いてて大丈夫なのか?

 

それにしても最後の火電愛斗って奴、どっかで見た感じがあるんだが誰だっけ?名前的には仮面ライダーゼロワンの主人公に似てるが見た目全然違うしな……?

 

「以上、ガンプラウォーズサークルチームのバトルメンバーの紹介でした!では剣持さん、此処からゲームのルールの説明をお願いします!」

 

「はい了解です!では今回の陣取りゲーム『OPERATION SUPPRESSION』のルールをご説明します!舞台は広大な自然が広がる森林エリア!そのフィールドにはにじさんじチームの赤陣営とサークルチームの青陣営がそれぞれ七ヶ所ずつ分断されています」

 

中央モニターには今回のフィールドが表示され左側が走達の赤陣営、右側が大和達の青陣営に分かれており更にその陣営が七分割になっていてそれぞれの中央部分に何やら旗のようなマークが表示されている。

 

「各陣営のそれぞれのエリアにはフラッグドローンが設置されており、このドローンを攻撃された場合旗の色が相手のチームの色に変化しそのエリアは相手の陣地へと変わります。ドローンは攻撃されてから三十秒は攻撃しても旗の色は変化されません。そして相手のチームの旗の色を全て自分のチームの色にして陣地を全て制したチームが勝利です!」

 

そう、このゲームは文字通り相手の陣地を落とし自分の陣地へと変えていくゲーム。非常にシンプルながらも戦略次第で相手に意表を突く事も出来る勝負となっている。そしてやられた場合はスタート地点からコンティニュー出来るので何度でも攻める事が出来るようになっている。

 

問題は機体をどう配備するかだが、此処も戦略次第で大きく配置が変わってきそうだから其処も見ものだな。

 

「尚試合時間は三十分!それまでに決着がつかなかった場合はその時点での確保している陣営の数で勝敗が決まります!という事でルール説明は以上となります!それでは各チーム準備が出来次第筐体の方へお入りください!」

 

「おっしゃあ!そんじゃ皆で力を合わせて勝つぞぉーーーッ!」

 

『おぉーーーッ!』

 

「皆、相手はこのゲームの開発に関わってる人達だから油断せずに挑もう!」

 

『あぁ!』

 

「ふぁ〜、ダリぃ……」

 

全員が気合い入れて筐体へと向かう中愛斗は相変わらず怠そうに欠伸をしながら筐体へと入っていく。あいつ本当に大丈夫か?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーBATTLE STANDBYー

 

ーMS LOADINGー

 

 

 

走機

『HG ガンダムフェニーチェGP』

『ガンダムビルドファイターズ逆襲のGM』に登場した『ガンダムフェニーチェリベルタ』を改造したオリジナルガンプラ。飛行能力を完全にオミットした代わりにバイク形態へと変形した際はどんな荒い道でも難なく進めるような改造を施している。またバスターライフルもツインバスターライフルへと換装しており、ライトバスターライフルはヒットした相手や障害物に追撃のプラズマショットが発動しレフトバスターライフルは威力は低くなるが最大10発のチャージショットを貯めておけるようになってる。

特殊スキル:グランドバースト

HPが50%を切った際に自動で発動し機体性能を50%上昇させる。但しバイク形態へと変形が不可能になる。

 

 

 

築機

『HG ダブルオーバークアンタム』

『劇場版 機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer-』に登場した『ダブルオークアンタ』を改造したオリジナルガンプラ。プロのモデラー監修の元で作られたこの機体は両肩にGNソードIVフルセイバーを改造したGNオーバーソードOOを一本ずつ装備されておりGNドライブも各部位に計七個装備した高出力の機体に仕上がっている。ただその反面出力が高過ぎる為に並の操縦技術では到底扱えきれず持ち主の社築でさえ油断するとすぐに制御不能になる。

特殊スキル:リミットオーバートランザム

七個のGNドライブを全てフル稼働させ起こす最強のトランザム。その出力は通常時の777%も上昇するが、使用時間は10秒間しかなく手動で切る事は出来ない為時間が過ぎればそのまま自爆してしまう。

 

 

 

アルス機

『ガンプラくんぶらっく』

ガンプラ販売促進の為に生まれたキャラ『ガンプラくん』のプラモを黒色無双で塗装した機体。ステータス自体はさほど高くはないが黒色無双で塗装したお陰かセンサーには引っ掛からないというメリットが出来ている。

特殊スキル:???

この機体の特殊スキルはアルスがランダムで選んだ為に発動するまで何が起こるか分かりません。

 

 

 

葛葉機

『ファントムゴースト』

エントリーグレードのストライクをベースにしているがその殆どがフルスクラッチで作られた葛葉のオリジナルガンプラ。各部位にはダガーやトンファー等の近接武器を仕込んでおりその上からボロボロの布を包帯のように粗く巻き更にその上からボロボロのフードを被っているまさに幽霊のような機体となっている。

特殊スキル:幽霊の影

機体の攻撃力を90%ダウンさせる代わりにその身体を霧状に変化させる。使用回数は一回のみで使用時間は20秒間である。

 

 

 

『HG 爆龍ガンダム・楓』

『機動武闘伝Gガンダム』に登場する『ゴッドガンダム』を改造したオリジナルガンプラ。格闘メインというところは変わらないがゴッドガンダム特有のゴッドフィンガー等の必殺技は全てオミットされており代わりに天下上等と彫られた木刀『怒涛剣樋口』という武器一分のみで戦う。格闘術を駆使して戦う本家に対しこちらは喧嘩殺法で戦うスタイルとなっている。

特殊スキル:怒髪天・豪圧

自身から放たれる威圧感でその場にいる敵味方関係なく身動きを十秒間封じる。使用回数は三回で成功確率95%

 

 

 

※此処からは頂いた設定を記載しております。

 

 

 

大和機

『HG アルティメットフリーダムガンダム』

フリーダム、ストフリ、アメイジングストフリ、パーフェクトストフリをミキシングしたオリジナルガンプラ。全ての機体の良い所を余す事なく取り入れる事に成功したこの機体はまさに究極のフリーダムの名に恥じない性能となっている。

特殊スキル:システム「オーディン」

機体のエネルギーの流れを加速させ、スペックを通常時の200%と極限まで底上げしている。発動時にストフリの翼から白い光の翼が形成される。ハイマットフルバーストの威力も向上する。使用回数に制限はないが、使う度に機体への負荷が掛かりショートする恐れがある。

 

 

 

蘭機

『HG イージスジャスティスガンダム』

『機動戦士ガンダムSEED Destiny』に登場する『インフィニットジャスティスガンダム』をベースにバックパックのファトゥムを廃してイージスのを模したバックパックをフルスクラッチしたものを装備している。

特殊スキル:フルセイバーアップ

攻撃する度にビームサーベル等の接近戦用武器の威力を上昇させる。最大で120%まで上昇するが一定の被弾を受けると上昇率はリセットされる。

 

 

 

焔機

『HG ストライクルージュエクステンション』

『機動戦士ガンダムSEED STARGAZER〜星の扉〜』に登場した『ストライクノワールガンダム』を改造しストライクルージュのカラーリングに変更されたオリジナルガンプラ。両肩にはヴェルデバスターのようなライフルとガンランチャーを装備しバックパックはブルデュエルの物を移植している。

特殊スキル:ブーストタックル

全身が赤く発光し敵に強烈なタックル攻撃を放つ。元ネタはカスタムロボのアタックである。そんなに強力なスキルでない為使用回数に制限はない。

 

 

 

実機

『HG リ・ヴァイスシナンジュ・スタイン ブルーコメット』

『ガンダムビルドファイターズバトローグ』に登場した『ヴァイスシナンジュ』を改造したオリジナルガンプラ。青色にリペイントして頭部と武装をスタインの物に変えている。実はこの機体は彼が推している「彗星の如く現れたスターの原石」を意識しており、「スタイン(原石)」をミキシングしたのもそのため。

特殊スキル:STELLASYSTEM

EXAMSYSTEMを応用したシステム。EXAMが赤く発光するのに対しこちらは青白く発光する。

 

 

 

愛斗機

『HG ガンダムアストレアTypeーQ』

『機動戦士ガンダムOOF』に登場した『ガンダムアストレアType-F』を改造したオリジナルガンプラ。両腕をダブルオークアンタに変更し、クアンタのGNシールドを装備。機体色は赤のまま。出撃時は射撃武装を装備し、会敵前に制圧射撃と準備砲撃を行う。その後は射撃武装をパージし、近接戦を仕掛ける。

特殊スキル:パージアップ

武装をパージすればする程ステータスが15%ずつ上昇する。

 

 

 

ロードしている間に各チームの機体データを見たがどれも完成度の高い機体に仕上がっている。アルスのガンプラくんというチョイスは若干不安要素があるがそれでも良いバトルが出来そうだな。

 

そしてお互いに配置が完了、走達は前衛の陣地に固まっていて大和達は二機だけ前衛にいて後は全てそれぞれの陣地に配置されている。この配置が勝敗にどう影響するかがポイントだな。

 

「それでは各チーム準備が整ったという事で早速始めていきましょう!」

 

「それじゃあいっくよ~!レディー……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴーッ!!」

 

 

 

 

 

ゲームが始まりまずは走達のチーム。どうやら動くのは走と築の二人で残りは各陣営を防衛する構えのようだ。

 

「それじゃあ作戦通り社さんは手前の陣営を、私は奥の陣営を攻めていきましょ!」

 

「おう、だけどあくまでフラッグを攻撃するだけだから深追いはすんなよ?」

 

「分かってますって、んじゃちゃっちゃと相手のフラッグを「ッ!?早瀬、危ないぞ!」え?!」

 

ードゴオォンッ!ドゴオォンッ!ー

 

「うひゃあッ!?」

 

な、なんだ!?走の目の前から爆撃?!一体誰が……?

 

 

 

 

 

ーガサガサ……バッ!ー

 

「あげゃげゃげゃあーーー!見つけたぜぇ、俺様の獲物ぉッ!!」

 

「はぇ?!あ、アストレアぁ!?」

 

「という事は……こいつ、あのやる気なさそうな奴か!?」

 

なんだと!?これがあの怠そうにしていた奴?!さっきまでと性格全然違うだろ?!というかあの赤いアストレアといいあの笑い方といい完全に『フォン・スパーク』じゃねぇか!?

 

「おらおら逃がすかよぉッ!」

 

ーズガガガガガガガガガガァッ!!ー

 

「うわわわわわぁーーーッ!?」

 

「早瀬!?チィッ!」

 

アストレアから放たれる銃撃を走はフェニーチェのバイク形態でなんとか躱すも執拗に狙われ、見かねた築が援護に向かう。

 

ーガキィンッ!ー

 

「おっとぉ!?不意打ちとはやるなぁ!?」

 

「そりゃどうも!ってかお前性格変わり過ぎだろ?!」

 

「おーよく言われるぜぇ?あげゃげゃげゃげゃ!」

 

アストレアは今度は築のダブルオーバーに狙いを変えてGNハンマーを振り回していく。というよりなんで操縦したら性格変わるんだよ?……そういや知り合いの警官にもバイクに乗ったら性格変わる人いたけどそんな感じか?

 

「早瀬!此処は俺がなんとかすっからお前は早くフラッグを!」

 

「は、はいぃーーーッ!」

 

「へぇ?あんたが俺様の相手してくれんのかぁ?だったら思う存分楽しませてもらわねぇとなぁ!?あげゃげゃげゃげゃぁッ!」

 

フォン……じゃなかった、愛斗は標的を築へと変えGNハンマー投げ捨てプロトGNソードIIを構えて突っ込んでいく。その隙に走は急いで別の陣営へと向かっていった。さて、相手は同じダイヤランク……築の奴はどう出るつもりだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ードゴオォンッ!ズガガガガガガガガッ!ガッシャアァァンッ!!ー

 

「ひゃう!?な、何この爆音?!」

 

「落ち着けアルスちゃん、多分社さんか早瀬辺りが敵に遭遇したんやろ?」

 

「えぇ!?じゃあ早く助けに行かないと……!?」

 

「だから落ち着けって。相手は皆ダイヤランク以上、元の戦力差がある以上バラバラに動いたら相手の良い的になるだけだ」

 

築のダブルオーバーと愛斗のアストレアの激しい激闘による爆音を聞いてアルスが慌てるも楓と葛葉は至って冷静に対応している。流石あらゆるゲームをしてきただけあって葛葉はこの程度では全然動じてないし、楓もずっと俺達と一緒にガンプラウォーズの開発に携わっているからか冷静に物事を見る事が出来ている。

 

「兎に角俺達は作戦通り前衛で待ち構えてやって来た敵に対処する。もしやられても今回はすぐにスタート地点からやり直せるから徹底的に守備に回ってフラッグを死守すんだ、分かったな?」

 

「は、はい……」

 

どうやら今回この三人は完全に防衛に回るようだな?だが相手は全員ダイヤランク以上の実力者揃い、そう簡単に死守出来るのだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………ッ!二人とも伏せろ!」

 

「ッ!」

 

「え、一体な「はよ伏せろ!」ぶへッ!?」

 

ーバキュゥンッ!バキュゥンッ!ー

 

ビーム射撃!?葛葉の指示で間一髪で避けたが一体誰が撃ってきたんだ?!

 

「…………まさか俺の攻撃が読まれるとはな?」

 

「ッ!シナンジュ!?」

 

「チィ、思ったより早く来たな?」

 

シナンジュ、て事はあのグラハム・エーカーに似た実って奴か!

 

「だがこれは好都合、まさかあの“ソニックヴァンパイア”と名高い葛葉氏と相まみえる事が出来るとは」

 

「お?俺の事知ってんのか?そりゃ嬉しいねぇ♪」

 

は?ソニックヴァンパイア?なんだその中二臭い二つ名は?確かにこのゲーム自分で二つ名とか付けれるけど葛葉の奴そんな名前付けてたのか?

 

「へッ!ならあんたの相手はこの俺がしてやるよ!簡単にはやられないでくれよな!?」

 

「それはこちらの台詞だ……いくぞ!」

 

ーガキィンッ!ー

 

二人はそれぞれビームサーベルを抜き激しい鍔迫り合いをし、そのまま目にも止まらぬ速さで斬り合っていく。その斬撃の演武を見てアルスは慌てふためき楓は関心しているようだ。

 

「あ、あわわわわわわわ……!?」

 

「おー、こりゃ思ってた以上やな…………ん?レーダーにもう一つ反応しとる……ッ!?ヤバいッ!?」

 

?楓の奴、レーダーを見て慌て出したが一体何が……まさか!?

 

 

 

ーバキュゥンッ!ドッカァンッ!!ー

 

NSTEAMS VS GWSTEAMS

6ー8

 

「え!?」

 

「俺達の陣営が減った!?」

 

「しまった!やっぱりこのシナンジュは囮やったか!?」

 

銃撃音と共に何かが爆発した音が聞こえ、それと同時に上空に表示されていたスコアボードのにじさんじチームの得点が一つ減り代わりにサークルチームの得点が一つ増えた。つまりは誰かが走達のフラッグを攻撃したという事だ。一体誰が……?

 

「……甘いね、このゲームはフラッグを取り合う陣取りゲームなんだからそんな真正面から攻めるワケないでしょ?」

 

「ッ!ジャスティス!?て事はあの女版アスランか?!」

 

「アスランゆーな!昔からイジられて結構気にしてるんだからッ!」

 

あればイージスジャスティス!そうか、実のシナンジュを葛葉にぶつけてその隙にアスラ……じゃなくて蘭が上空からフラッグを狙撃したのか!

 

「それじゃ此処は実に任せて、私は他の所に行かせてもらうよ!」

 

「いやそんなの許すワケないやろ!?こうなったらアルスちゃん、ワイ等の合体攻撃や!」

 

「え?合体攻撃?何それボク聞いてなーガシッ!ー……え?」

 

ん?楓の奴アルスのガンプラくんの頭を掴みだしたが……まさか?

 

「うおりゃあぁぁぁーーー!巨顔豪速球ッ!!」

 

ーブオォンッ!ー

 

「いぃぃぃぃぃやあぁぁぁぁぁぁぁーーーッ!?」

 

やっぱりこいつアルスをぶん投げやがった!?真っ黒なガンプラくんが轟音と共にイージスジャスティスへと向かっていく、が……

 

「うわっ危な!?」

 

ーヒョイッー

 

「あぁぁぁぁぁぁれぇぇぇぇぇぇぇぇ〜……」

 

ーピュウゥゥゥ〜……キランッ☆ー

 

あっさり躱されアルスはそのまま飛んでいきお空のお星さまとなってしまった。そりゃあんな大振りな攻撃躱されるよな?

 

「アルスちゃーーーんッ!?ごめーんッ!!」

 

「いやいやおかしいって!?何あの豪速球!?」

 

「クゥッ!こうなったらアタシだけでもあんたを止めてやるから覚悟しとけやぁッ!!」

 

「うえぇッ!?なんか圧が半端ないんだけどおぉぉぉッ!?」

 

うわぁ、変な意味で燃えてしまってるな?普段だと何時もは割りと優しいのにあの圧の所為で少し残念な感じになってしまってる。俺や子供達と一緒にいる時はあんな凶暴にならないんだけどなぁ?

 

ともあれサークルチームによって早くもリードされてしまった。しかも向こうはまだ大和と焔が動いていない。さて、この先一体どんな決着がまってるんだろうか…………?

 

 

 

続く……




はい、という事で陣取りゲームスタートでした!今回も以前と同じく波音四季様にキャラを提供して頂きました!本当に有難うございます!

次回は後半戦、にじさんじチームは押され気味だがはたして勝てるのか?次回までまったりと待って頂ければ幸いです、ではまた!


あ、それとアンケートですが次回の投稿まで受け付けております。


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第135話『陣取りゲーム中編』

HGのマクロス『YF-19』を手に入れて作ってみましたがこれは良い……!思わず三形態分欲しくなっちゃいました!でも沢山買っても置く場所がないので断念しました(T_T)

今回は陣取りゲーム中編!本当は後編にするつもりが長くなりそうなので取り敢えず一区切り出来そうなところまで書きました!な今回も最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


サークルチームの先制で一歩リードを取られたにじさんじチーム。その各地でそれぞれのメンバーが交戦を始める中サークルチームの主将とも言える大和は一番奥の陣営で戦況を確認していた。

 

「……どうやら蘭が相手の陣地を一つ奪ったみたいだね」

 

「なぁ大和、やっぱりアタシ等も出撃しないか?そうすればもっと早くこのゲームを終わらす事だって……」

 

「甘いよ焔、このゲームは仲間同士の連携が勝敗の鍵を握る。例え個々のランクが高いからってバラバラに動いてしまったらそれこそ相手の思う壺だ。加えて相手はこのガンプラウォーズの開発に携わっているあのにじさんじチームだ。このゲームの特徴は向こうは僕等以上に熟知しているだろうからまずはしっかりと様子見をしないと」

 

流石は最速でガンダリウムランクまで上り詰めただけあって冷静に判断してるな。一方で焔の方は出撃したいのかずっとウズウズしているみたいだ。彩夏も彼女の事を猪突猛進って言ってたし、本当は前線で戦いたかったんだろうな?

 

「……それにそろそろこっちに一人向かってくるみたいだから、敢えて陣地を一箇所取らせて油断している隙に撃破しよう」

 

「え?陣地を取らせるのかよ?!」

 

「元々パーフェクトゲームを狙ってるワケじゃないから問題ないよ。兎に角相手が陣地を取った瞬間攻撃を開始しよう」

 

どうやら今向かってる走を迎撃するつもりか。あいつ等の作戦だと築が前線の、走が後方の陣地を取るつもりらしいから走一人だとこれは厳しいんじゃないか?

 

 

 

そして……

 

 

 

ードゴオォンッ!ドゴオォンッ!ー

 

NSTEAMS VS GWSTEAMS

7ー7

 

「ッ!ヨシ、今だッ!」

 

陣地を取られたのを確認し焔のストライクルージュはその場を飛び出しフラッグの元へと着地する…………が、其処には走のフェニーチェの姿が何処にもなかった。

 

「え、あれ!?いないぞ大和!?」

 

「そんな!?フラッグの色は変わってるからさっきまで此処にいた筈……ん?」

 

大和がフラッグを確認すると、その近くに何やら地面が抉られている部分があった。まるで何かに撃ち抜かれたような感じだが……?

 

「……そう言えばさっきの銃撃音は二発だった……しまったッ!?」

 

大和は何かに気づいてバッと上空を見上げた。其処には……

 

 

 

 

 

「おっしゃ取ったどぉーーーッ!!」

 

「「なぁッ!?」」

 

なんと走のフェニーチェが“空を走っていた”!地上戦用に改造されたフェニーチェがまさか空を駆けるとは!?

 

「やっぱり!さっきの二発目の銃撃音は地面を撃ったものだったんだ!その反動で上空に飛んだのか!」

 

「そんな!?ウイング系列のフェニーチェのバスターでそんな素早い連続射撃なんて出来る筈が……!?」

 

「ところがどっこい!このフェニーチェGPのレフトバスターならそれが可能になっとるんや!」

 

そう言うと走はフェニーチェで飛行、というよりは滑空しながら別の陣地のフラッグを捉え右側のバスターライフルのエネルギーを充填し始める。

 

「ほぅらもう一丁ぉッ!」

 

ーシュウゥゥ……ドゴオォォォォォォンッ!!ー

 

ードッカァァァァンッ!ー

 

NSTEAMS VS GWSTEAMS

8ー6

 

「なんと此処でにじさんじチームが逆転リード!これはかなり上手いぞぉ!」

 

「ですがサークルチームの方は大和君と焔ちゃんの二人が立ち塞がっている!このままでは走さんはピンチのままです!」

 

確かに彩夏の言う通り例え此処でリードしても結果的に走が不利なのは変わりない。一体どうするつもりなんだ?

 

「ピンチがなんや!?それならさっさとこっからおさらばするだけや!」

 

ーブオォォォォンッ!!ー

 

「あ、逃げた!?」

 

「焔、君は此処に残って陣地を取り戻して!あの人は僕が倒すから!」

 

大和はフリーダムのエンジンをフル稼働させ逃げたフェニーチェを追いかけてその場から離れていく。残された焔は不満そうにしつつも大和の指示通り陣地の奪還をする為に待機をするようだ。

 

「ったく大和ったら、本当ならアタシが戦いたかったんだが……まぁ取り敢えずフラッグの色元に戻したらアタシも追いかけよ「あ〜れぇ〜……」……ん?今なんか上から聞こえたような……?」

 

ん?焔の奴、急に上の方を見上げたが一体何が……え?

 

 

 

 

 

「いぃぃやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーッ!?」

 

「えぇぇぇぇぇぇぇぇッ!?」

 

ーヒュウゥゥゥゥ……ドッシイィィィィィンッ!!ー

 

なッ!?いきなりストライクルージュに向かって巨大な何かが降って来た!?なんだ、隕石か!?

 

「ふえぇぇ〜、誰が起こしてぇ〜!!」

 

「お、重たくて身動きが取れない……!?」

 

……いや違う!これアルスのガンプラくんの頭だぁッ!?なんで急にこの場所に落ちて来たんだ!?というかなんだその巨大な頭は!?軽く30Mはあるぞ!?いやもしかしてこれは……!

 

 

 

アルス機

『ガンプラくんぶらっく』

特殊スキル:ビッグフェイス

ガンプラくんの巨大な頭を更に巨大化させるスキル。防御力が1500%アップするが身動きが取れなくなり自分で解除不可能。

 

やっぱり特殊スキルか!?しかも任意で解く事が出来ないって欠陥スキルにも程があるぞ!?今も尚起き上がろうとするが上下がサカサマになってしまって手足をパタパタさせるも全く起き上がる事が出来ないでいる。まるで忍たま乱太郎の稗田八方斎みたいになってるぞ?

 

まあ多分空に打ち上げられたアルスが地上に戻る為に一か八かで特殊スキルを発動したけどそれがビッグフェイスだった所為でそのまま隕石みたいに落下してその落下地点に偶々焔のストライクルージュがいたって事なんだろうが見事に偶然が重なって、しかも押し潰されたけど辛うじて撃破されてないストライクルージュはリスタートする事も出来ずにいる。

 

だがこの偶然によりにじさんじチームが有利になったな。まぁアルスにしてみれば不服だろうけど?

 

「起こしてえぇぇぇぇ~……!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あげゃげゃげゃげゃあーーーッ!!」

 

ーガキンッ!ガキンッ!ガッキィィンッ!ー

 

「ぐうぅッ!?」

 

一方その頃築はまだ愛斗のアストレアと対峙していた。しかもかなり押されてるのかにじさんじチームの陣地まで押し戻されていた。だが愛斗はフラッグが近くにあるのにも関わらずそれには目もくれずダブルオーバーを攻撃し続けていた。

 

「おい!なんで其処にフラッグがあんのに俺ばっか攻撃してきてんだよ!?」

 

「あぁん?んなもんどーだっていいんだよ!俺様はただ目の前の獲物を狩りまくる!それこそが俺様のバトルスタイル!ルールがどうだろうと知ったこっちゃねぇッ!!」

 

「くッ!こいつ根っからのバトルジャンキーかよ!?」

 

どうやら愛斗に取っては敵を倒すこそが目的であり他の事は眼中にないようだ。しかも今手元にある情報を確認したがこいつバトル系のイベントばっかりやってその他の防衛系や探索系のイベントは殆ど行っていない。やってたとしてもかなりのペナルティを受けて途中でリタイアしている事が多々あったみたいだ。先程の怠そうにしていた姿からは想像出来ないくらいこいつは根っからのバトルジャンキーみたいだな?

 

「おらおらおらおらぁッ!開発に携わってるって聞いたからどんなモンかと思ったけどこの程度かぁッ!?」

 

「ぐぅッ!コントローラー越しでも分かるくらい攻撃が重てぇッ!?」

 

現在アストレアの武装はほぼパージされてプロトGNソードIIのみとなっているが奴のスキルによってその火力が最大限に発揮されている。クアンタの両腕、そしてGNドライブを使用している為に出力も強化されているからただの斬撃でも恐ろしい程の威力が出ている。

 

ーガキィィンッ!ー

 

「グッ、ぐおぉ……ッ!?」

 

築のダブルオーバーも決して出力負けしているワケではないが防戦に回ってしまった所為で攻勢に出れずアストレアの斬撃を防ぐので精一杯だった。だが築も実力でダイヤランクの4まで上り詰めた男だ、必ず何か策がある筈だ。

 

「はぁ、はぁ……」

 

「さぁさぁ追い詰めたぜぇ?最後は盛大に爆ぜやがりなぁッ!!」

 

ーブォンッ!カッ!ー

 

周りが断崖絶壁に囲まれた場所まで追い詰められた築のダブルオーバー。そして愛斗のアストレアはトドメを刺す為にプロトGNソードIIを展開しそのまま突っ込んでいく。このままでは築がやられてしまう……!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………フッ、掛かったな?」

 

「何ッ!?」

 

ーシュバッ!ガキィンッ!ー

 

ッ!?こ、これは……!

 

「あぁーーっと愛斗くんのアストレアの攻撃を社さんが寸前のところで躱したぁッ!?」

 

なんと築の奴、ギリギリのところでジャンプしてアストレアの突進攻撃を躱した!しかもそれだけじゃない!今の突進の勢いが凄かったのかプロトGNソードIIが岩壁に深く突き刺さってしまってる!

 

「グッ!ぬ、抜けねぇ!?」

 

「悪いな、さっき早瀬と進んだ時に偶然この場所を見つけて利用させてもらったぜ。まさかこうも上手くいくとはな?」

 

「ッ!?テメェ、最初から俺様をこの場所に誘導してたのか?!」

 

「あぁ、こういうフラッグ戦において必要なのは相手を撃破するんじゃなくて如何に相手の動きを封じるかがポイントだ。単に闇雲に敵を倒せば良いってもんじゃねぇから、な!」

 

ーバシュンッ!ドゴオォンッ!ー

 

「なぁッ!?」

 

ードガガガガガガガガガッシャアーーンッ!!ー

 

築はそう言ってビームライフルで岩壁の上を攻撃すると岩が崩れアストレアを下敷きにしていった。成る程、これなら撃破する事なく身動きを封じる事が出来るワケか。

 

「…………よし、これでこいつはもう大丈夫だろ?早いとこ早瀬と合流しねぇとな」

 

アストレアの相手を終えた築は急いでその場を後にし急いで走がいるであろう敵陣地へと向かっていった。これで実質5対3、サークルチームがやや不利だがこっからの巻き返しにも期待だな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………あげゃげゃげゃ、社築ぅ。その名前覚えたぜぇ?このまま終わらせやしねぇから覚悟しろよなぁ……ッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「でやあぁぁーーーッ!!」

 

「うりゃりゃりゃりゃあぁーーーッ!!」

 

ーガガガガガガガガガガガガガガガガガガァッ!!ー

 

一方にじさんじチームの前線では楓と蘭の爆龍とイージスジャスティスが激しい斬り合いを繰り広げていた。荒々しく斬りかかる爆龍の木刀をイージスジャスティスが躱し反撃のサーベル攻撃を繰り出すも爆龍に避けられそのまま頭突きをされ怯んでしまう。まるで剣士と輩の対決みたいだ。

 

ーガンッ!ー

 

「〜ッ!痛ったぁ〜!コントローラー越しでもめっちゃ痺れるし……!?」

 

「クゥッ!?こんなん続けたら手ぇ痺れてまうわ!?」

 

お互い激しい鍔迫り合いをしている所為か画面に映る表情がかなり汗ばんでいるのが分かる。

 

「ハァ、ハァ……こうなったら私の全力、此処で見せたるわ!」

 

「ッ!なら私だって!ハアァァァァ……ッ!」

 

ーゴオォォォォォ……ッ!ー

 

な、なんだ!?二人からとてつもない覇気が溢れ出てる!?しかも爆龍の木刀が炎に包まれてるしイージスジャスティスのビームサーベルが青白く輝いている!これはまさか、お互いに必殺技をぶつけるつもりか!?

 

 

 

 

 

 

「いくぞおぉッ!唐突奥義鞘炎刀ッ!!」

 

 

「フルスロットル!インフィニット・インパクトオォッ!!」

 

 

ーゴオォォォォォ……ドッカアァァァァァァァァァァァァァァンッ!!ー

 

 

二人のガンダムの必殺技がぶつかり合い画面全体が強い光に包まれていく。思わず目を閉じ少ししてから目を開くと光が止んでおり、其処にはクレーターが出来た代わりに二体の姿はなかった。つまり、お互い共倒れになりリスタート地点に戻されたようだ。

 

「あーっとまさかの相討ち!両者リスタート地点に逆戻りです!」

 

「これは痛い!リスタートには一分間のチャージタイムがあるのですぐには再出撃出来ません!」

 

成る程、これは両者かなりの痛手になるな?まぁまだ時間もあるし、あの二人が活躍するチャンスはまだまだあるかもな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーガキィンッ!ー

 

「……やはりやるな、ソニックヴァンパイア」

 

「へッ!オメェもなかなかやるじゃねーか!?」

 

そして残っていた最後の二人、葛葉のファントムゴーストと実のシナンジュスタインはお互いに紙一重の対決を繰り広げていた。先程の楓達とは違い静かに、だが時に大胆に攻めて防いでの繰り返しをしていた。

 

「正直にじさんじの中でも手応えあんの社さんしかいなかったから久々に楽しめて嬉しいぜ♪」

 

「あぁ、俺もこんなに本気になれたのは仲間以外でお前が初めてだ。だからこそ、全力で倒させてもらう……!」

 

お互いに睨み合い緊張が走る状況。これはかなりの激戦が起こる予感がするな……!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーすいちゃんは今日も、可愛い〜♪すいちゃんは今日も、か・わ・いい〜♪ー

 

ーズザァーーーッ!ー

 

……え?な、なんだ今の?これってすいのエイプリルフールネタで作った『スイちゃんのメンテナンスソング』だよな?いきなり流れてきて思わず皆コケたけど、なんで今これが急に流れ出したんだ?ってか一体これ何処から流れて……?

 

ー……ピッー

 

「…………すまない、マナーモードにするのを忘れてた……///」

 

『ってお前かい!?』

 

まさか今の歌、実のスマホの着信音だったのか!?あんなに真面目で堅そうな雰囲気なのに意外過ぎるぞ!?

 

「あ、彩夏さん?今のは……?」

 

「あー……実は実くん、大のドルオタで特にすいちゃんの大ファンなんだって。メンバーシップは勿論、出たCDやDVDは必ず初回限定版と通常版両方を買うしグッズは必ず三つは買うんだって。そしてライブは必ず最前列を確保するくらい熱狂的なんだよねぇ。本人は恥ずかしがってあまり表立って言わないけどね?」

 

マジか!?あの真面目そうな奴がドルオタ!?彩夏、お前のサークルメンバーなんでこうも濃い奴ばっかなんだ!?

 

「あー、いや……だ、大丈夫だって!この街にいる皆だって基本的に誰かしらのファンだし!」

 

「……///」

 

あー、実の奴恥ずかしがって俯いてしまってるな。でもあれは不可抗力だからなんとも言えんな?

 

「でも良かったなすい、あんなに熱狂的に応援してくれるファンがいてくれて」

 

「ま、まぁ応援されて嫌な気分はしないからね。でもそれだったら折角来てくれたんだし終わったら何かファンサービスでもしてあげようかな?」

 

 

ー……ピクッー

 

 

「お、だったら今度出す新曲のCDをサイン付きで上げたらどうだ?」

 

「あ、それ良いかも♪じゃあ後で用意しておかないとね♪」

 

…………この時俺達はまだ知らなかった。

 

この後まさかあんな事になるなんて…………

 

 

 

「さ、さぁもう気を取り直して続きを始めよ「んのサイン……」え?」

 

「すいちゃんのサインすいちゃんのサインすいちゃんのサイン……」

 

ーゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴコゴッ……!ー

 

ッ!?な、なんだ!?実の奴さっきまでと違ってとてつもない覇気を放ってるんだが?!しかもそれに呼応するかのようにシナンジュスタインから青色のオーラが吹き出してるし!?

 

「すいちゃんのサインすいちゃんのサインすいちゃんのサイン……!!」

 

「な、なんだ?急にどうしたんーバキィッ!ーぐぁッ!?」

 

はぁ!?なんかシナンジュスタインがあり得ない程の素早い動きでファントムゴーストをぶっ飛ばしたんだが?!

 

「すいちゃんのサインすいちゃんのサインすいちゃんのサイン……!!」

 

ードガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガカッ!!ー

 

「あばばばばばばばばばばばばばッ!?」

 

いやエグ過ぎるって!?どうやったらそんな化け物じみたパワー出てるんだよ?!しかもさっきからすいちゃんのサインって言ってるけど……まさかさっきの俺達の会話が聞こえてたのか!?いやあり得ねぇだろ!?あの筐体の中にいて、しかもそっからこの観客席まで数十メートルは離れてるんだぞ!なんで俺達の会話が聞こえてんだよ?!

 

「あ、彩夏さんこれは一体……?」

 

「うーん、多分おにぃ辺りがすいちゃんのサインをプレゼントするって言っちゃったんじゃないかな?実くん、かなり聴力が良くて神経研ぎ澄ませたら百メートルくらいの範囲なら音を聞き分けられるんだって」

 

なんだそのチート聴力!?もしかして獣人かなんかなのかあいつは!?

 

「ハアァァァァ……すいちゃんのぉ、サイィィィィィィィィンッ!!」

 

ーバッコオォォォォォォォォォォォォォオンッ!!ー

 

「うぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……!

 

ーキランッ☆ー

 

そしてトドメのアッパーが炸裂しファントムゴーストはそのまま上空へとふっ飛ばされていった。先程のアルスのガンプラくんと違いちゃんと撃破されたようで葛葉はそのままリスタート地点へと戻されてしまった。

 

「…………ハッ!?お、俺は今何を……?」

 

って無意識にやってたんかい!?あいつある意味愛斗より恐ろしいぞ!?だが落ち着きを取り戻したお陰が目の前にあるフラッグに気づいて攻撃し陣地を奪った。

 

NSTEAMS VS GWSTEAMS

7ー7

 

これでまた点数は同点に戻った。これはまだまだ勝敗は分からなくなってきたな……

 

 

 

激しい攻防が繰り広げられる陣取りゲーム。はたして勝つのはどちらのチームか?

 

続く……




はい、という事で陣取りゲーム各それぞれの状況でした!次回こそ決着!はたしてどちらが勝つのだろうか……?

次回もまったり待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第136話『陣取りゲーム後編』

昨日のサロメ嬢の3Dお披露目、すっごく良かったですよね♪まさかMRI検査するとは予想外でしたが(^o^;)

今回でいよいよゲームは終了!果たして勝つのはどちらだ!?今回も最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


各チーム激しいバトルが繰り広げられている陣取りゲームもいよいよ終盤。現在は同点にもつれ込んでいるがはたして勝つのはどちらだろうか?

 

ーバシュウッ!バシュウッ!ー

 

「危なッ!?めっちゃ的確に撃ってくるんやけど!?」

 

「………やっぱり攻撃と機動性に特化した機体だけあって素早い。けど、必ず動きにブレが生じるタイミングがある筈だ」

 

大和のアルティメットフリーダムが放つビーム射撃に走のフェニーチェが辛うじて躱している。だが本当に辛うじてのレベルであり、その証拠にフェニーチェの装甲の所々にビームが掠ったであろう焼け焦げた痕が出来ている。これだけ精密な射撃を出来る大和も凄いがそれをギリギリ躱す走も凄いよな?

 

「うぎぎ、フラッグを狙いたいけど今狙ったら間違いなく撃墜されてまう……!」

 

「…………そこぉッ!!」

 

ーバキュウゥンッ!ドガァンッ!ー

 

「うあぁッ!?」

 

走るフェニーチェのタイヤにアルティメットフリーダムの射撃がヒットし爆散。走行不可になり吹き飛ばされたフェニーチェはバイク形態からMS形態へと変形し直ぐ様近くの木々に隠れていく。

 

「くうぅ……!これじゃもうバイク形態になれない……!」

 

「動きが止まった!今ならやれるッ!」

 

木の陰に隠れたフェニーチェを見てアルティメットフリーダムが其処に向かってビームライフルを構えていく。走も最早万事休すか…………?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「させるかぁッ!!」

 

ーバキュウゥンッ!ー

 

「ッ!?横から?!」

 

その瞬間アルティメットフリーダムの横からビームが飛んできて大和はすかさず攻撃を躱した。あれは、築か!愛斗を倒してこっちに急いでやって来たんだな!

 

「社さーん!もぅギリギリじゃないっすかぁーーーッ!?」

 

「スマン!あのバトルジャンキーを振り切るのに時間が掛かってしまったんだよ!」

 

「くッ!どうやら愛斗の猛攻を退けて来たみたいだね?流石開発に関わってる中でも最強格のバトラーだ……!」

 

やって来た築のダブルオーバーに対し大和のアルティメットフリーダムはビームライフルを向けつつ走のフェニーチェにももう一丁のライフルを向け牽制する。やはり現在唯一のガンダリウムランクに上り詰めただけあって油断などはせずしっかりと相手を捉えているな。

 

「今この場で俺達でまともに残っているのは俺と走だけ。対するそっちはお前だけだ。幾らガンダリウムランクとはいえ一対二は分が悪いんじゃないか?」

 

「…………そうですね。でも、そういう油断をしていると足下をすくわれますよ?」

 

「何だと?ードゴオォンッ!ーうおぉッ!?」

 

「社さん!?」

 

な!?いきなりダブルオーバーが狙撃された!?一体誰が……?!

 

「……すまない、遅くなってしまった」

 

「ううん、ナイスタイミングだよ実さん」

 

実!?そうか、さっき葛葉のファントムゴーストを撃破してすぐにこっちに駆けつけたのか!

 

「シナンジュ!?という事はさっき葛葉を倒した奴か「あげゃげゃげゃあぁッ!俺もいるぞ社築うぅぅぅッ!!」ッ!この声はッ!?」

 

ッ!今度はアストレア!?という事は愛斗か!あいつ、あの岩石の山から抜け出したのか?!けどその姿は左腕を失っていてまるでエクシアリペアみたいになってるな?

 

「……お前、また一人で突っ走って無茶な戦いをしていたのか?」

 

「うっせぇドルオタ!それよりもあのダブルオーは俺様の獲物だ、手ぇ出すんじゃねぇよ!」

 

「クソッ!まさかあの岩山から抜け出してくるなんて、どんだけ執着心が強ぇんだよ!?」

 

「てか社さんどうします!?これじゃあもううち等圧倒的に不利ですよ?!」

 

確かに今のこの状況、ランク的にも機体数的にも築達が圧倒的に不利だ。仮にこの場から退避してフラッグを狙うにしてもバイク形態になれないフェニーチェではすぐに追いつかれてしまうし築一人であの三人を相手にするのは無茶過ぎる。一体どうするつもりだ、築……?

 

「…………早瀬!此処は俺に任せてお前は他のフラッグを狙え!残り時間があと僅かな以上それしか俺達に勝ち目はねぇッ!」

 

「え!?でも「良いから早く行けッ!」は、はいぃーーーッ!」

 

築は走に他のフラッグを奪取するように指示して走もそれに従ってすぐにフラッグがある方向へと向かっていく。確かにゲームの残り時間は三分弱、ならば今からフラッグを奪取すれば相手も奪還するのは厳しいだろう。だが当然そんなのを相手も許すワケない。

 

「実さん!あのフェニーチェを追ってください!愛斗はそのダブルオーの相手を!僕は他のフラッグを!」

 

「了解した!」

 

「言われなくてもやってやるよぉッ!!」

 

やはり許しはしないか。しかも向こうの方が数が多いから築達を足止めしつつ大和がフラッグを狙いに行ける。これは状況的に厳しいか……?

 

「……さて、これも勝負だ。悪く思うな「させるかよおぉぉッ!」ッ!?」

 

ーガキィンッ!ー

 

あ、あれは……葛葉のファントムゴースト!という事はもう復活したんだな!?

 

「……ソニックヴァンパイア、もう復活したのか?」

 

「へッ!こちとら不死身の吸血鬼なんでな!さっきは油断したがこっから反撃させてもらうぜ!」

 

再び始まる葛葉と実の対決。先程は俺達のいらぬ一言で実がパワーアップ?してしまったが今度はどうなるのか?

 

「思ったより向こうの戦力が戻ってきてる、一体どうしたら良いか……「おぉーい大和ぉーッ!」ッ!蘭、君も復活したんだね!」

 

そんな中サークルチームも先程やられた蘭のイージスジャスティスが復活し大和達と合流を果たした。これでまた大和達の戦力が戻っていく。

 

「ヨシッ!さっきは油断して相討ちしてしまったが今度こそ「今度こそ何やってぇ?」え……?」

 

ーバッコオォンッ!ー

 

……と思ってたらその近くの木影から一機のガンダムが飛び出しイージスジャスティスを思いっきり殴り飛ばした。あれは、楓の爆龍ガンダム!そっか、相討ちだったから復活するタイミングもそりゃおんなじだよな?

 

「おぅおぅ、さっきは相討ちになってもうたけど、今度はきっちり倒させてもらうからなぁ!」

 

「チィッ!やっぱ一筋縄ではいかないか……!?」

 

楓と蘭も集まり、これでお互いの戦力が総集まりした状態になった。これはかなり熱い展開だ!

 

…………あれ?けど何か忘れてる気がするんだが………?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃……

 

「ふえぇ〜、誰か起こしてえぇぇぇぇ〜……」

 

「うぎぎぎぃ……!だ、ダメだ、抜け出せないぃ〜……!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………なんか引っ掛かるけど多分大した事じゃないだろ?それよりも残り時間が僅かな中でこの総力戦!これは一体どうなるか見ものだな!

 

(……向こうは僕達よりもランクこそは低いけど、ゲーム開発に関わってるお陰でゲーム自体の仕様はこちら以上に熟知している。まともにやりあったら間違いなく苦戦してしまうだろう)

 

(……まずいな、今奴等は殆ど戦力が集まっている。ランク差は向こうの方が上な分このまままともに立ち向かったら他のフラッグを奪取するなんて出来やしない)

 

(なら僕達がやるべき事は……!)

 

(だったら俺達がやるべき事は……!)

 

((相手を出し抜き一つでもフラッグを奪取する!それしか勝ち目はないッ!!))

 

お互いに睨み合いながら間合いを取り合っている。だが時間が迫っている以上もうそろそろ動きがある筈、一体どうなるんだろうか?

 

「……とはいえさっき私と相討ちした女アスランと葛葉を簡単に倒したあいつをどう突破するかやな?」

 

「フフフ……それに対してはもう既に対策済みだ!あいつの弱点は既に見切った!」

 

弱点?そんなのあったか?

 

「……何を言うかと思えば、俺はまだ手の内を全て晒したワケではない。弱点など見破られる筈がない」

 

「どうかな?さっきのあれでお前が生粋の星詠み(すいせいのファン総称)だってのは分かってる。そしてそれが場合によってお前の力を底上げすると同時に、お前の動きを封じるキーになってる事をなッ!」

 

動きを封じる?そんな事が出来るのか?葛葉の奴、一体何をするつもりなんだ……?

 

「何を馬鹿な、そんな虚勢を張ったところで「それはどうかな?星詠みであるお前なら知ってるだろ?この間すいせいさんがコラボ企画した際に戌亥さんと行ったあの時のやり取りをッ!」……すいちゃんと戌亥とこのやり取り?…………ッ!?」

 

?この間のすいと戌亥のやり取り?それって確か…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ今度はこっちから聞きたいんやけど、すいちゃんは今日どんなパンツ履いとるん?」

 

「え!?なんで私までそんな事言わなきゃいけないのさヤダよそんなの?!」

 

「だってこちとらブラの色まで答えたんだから教えてくれたってえぇやん?」

 

「ブラの色はオメェが勝手に言ったんだろうが!?」

 

「ほらほら、星詠みの皆も知りたがってるし答えなよ〜?今すいせいさんはどんなパンツを履いとるんですかぁ〜?」

 

「うぐぐ…………黒と青のTバックだよッ!!///」

 

「アハー!w何、それってもしかして勝負下着?まさか今夜佐々木さんとお楽しみとか?w」

 

「そうだよ悪いかぁッ?!!///」

 

「アハーwww」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……どうやら思い出したみてぇだな?すいせいさんの勝負下着の事をッ!」

 

「…………すいちゃんの勝負下着……黒と青のTバック…………ブフォーーーッ!!//////」

 

ーブウゥゥゥゥゥゥゥーーーッ!……バタンッー

 

えぇ!?なんか実の奴いきなり大量の鼻血出して倒れたんだが?!大丈夫かあれ?!

 

「な!?あ、彩夏さんこれは一体……!?」

 

「うーん、実くんって実はかなりウブでちょっとしたセンシティブな事でも興奮して鼻血出しちゃうんだよね。多分葛葉さんの言ってたすいせいさんの配信の時に話した今言った勝負下着があって、その話を思い出してしまって鼻血出しちゃって倒れちゃったのかも?」

 

なんだそりゃ?!推しの下着聞いて鼻血出すってどんだけ免疫ねぇんだよ?!しかも

 

「…………〜ッ!!//////」

 

近くに座ってるすいもあの時の事思い出して顔真っ赤にしてプルプル震えてるし!?これは葛葉の奴、終わったら間違いなくすいに○されるかもしれないな……ってか流石にこれはゲームとしてやっちゃいけない行為だから……

 

「よっしゃあ!まずはこれで一人脱落『葛葉!お前流石に公の場でそれはモラルに反する行為だから失格にする!強制ログアウトだッ!』えぇッ!?」

 

「いやまあ、そらそうなるやろ?」

 

当たり前だ、仲間内での配信とかの弄りとかならまだしもこんな公の場でそれやったら唯のマナーの悪い輩だ。俺の緊急アナウンスと共に葛葉は強制ログアウト、そして気を失った実も救護班に運ばれステージから降りていった。

 

 

 

その後一旦ゲームを中断しゲームを継続させるかを議論するが、大和達と築達が継続する意志を示したのと現在得点は同点だったという事なので此処からは残り時間五分で三対三のバトルに持ち込む事になった。尚現在葛葉は裏ですいによる鼻からニンニクチューブ注入の刑を受けている。

 

「さて、サドンデスみたいになってしまったが……俺達の仲間が馬鹿やってしまって申し訳ない……」

 

「い、いえ、実さんも不可抗力とはいえ筐体に鼻血をかけてしまったので……」

 

いやそれは完全にこちらの落ち度だから気にしなくて良いぞ?けどこれでもう心置きなくバトルに集中出来るな。さて、いよいよ決着の時だ……!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あげゃげゃげゃあぁッ!さぁ社築ぅッ!こっからは俺ととことんやり合おうぜぇッ!!」

 

「グッ!?やっぱこいつが先陣を切ったか!?」

 

開始早々アストレアがダブルオーバーに向かって執拗に攻めていく。機体自体は回復していないので武器もプロトGNソードIIのみで左腕も失っているがそれでも特殊スキルのお陰でパワーが底上げされた状態になっている。これはなかなか厳しい状況だな……

 

「おぅら墜ちろぉッ!!」

 

ーバシュウッ!バシュウッ!ー

 

「させないッ!」

 

そしてこちらでは走のフェニーチェが大和のアルティメットフリーダムを狙って撃つが、やはり地上からの狙撃、それもチャージストックが出来るとはいえ発射に多少の時間が掛かるレフトバスターライフルでは機動性に優れたアルティメットフリーダムは突破出来ずにいる。

 

ーガキィッ!グググッ……!ー

 

「うぐぐぐぐぅ……ッ!」

 

「うぎぎぎぎぃ……ッ!」

 

更に他の場所では楓の爆龍と蘭のイージスジャスティスがまるでプロレスのような掴み合いを行っていた。いや二人とも武器使えよ?

 

 

 

……それにしても築と大和、さっきから一度も攻撃を行ってないな。多分だが、あの二人の狙いはおそらく……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(……フラッグは奪取した後は三十秒は奪還出来ない。つまりはゲーム時間が残り三十秒を切った後に奪ったフラッグは完全に俺達の得点になる!)

 

(となればまずは残り一分間を切った時点で今迫っている相手を撃破する。そしてその後にフラッグを一つでも多く奪取する事が出来れば、僕達の勝ちだ!)

 

……おそらく二人の狙いは残り僅かな時間になってからのフラッグ奪取。相手に奪還されない為にはそれしか方法はないんだが、その為には築は愛斗を、大和は走をなんとかしないといけない。一体どうするつもりなんだ?

 

「おいおい逃げ腰になってんじゃねぇよ!それともまたなんか小細工でも企んでやがんのかぁッ!?」

 

(……ッ!残り時間三十秒目前!今だッ!!)

 

「あぁ、だが悪いがもうお前の相手をするつもりはないッ!リミットオーバートランザム!起動ッ!!」

 

ーLIMIT OVER TRANS-AMー

 

ーキュイィィィンッ……ゴオォォォォォッ!!ー

 

ッ!これは、トランザム!?いや、それにしては出力が高過ぎる!?これは…………ッ!最大出力777%!?明らかなスペックオーバーだろ?!

 

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!」

 

ーゴオォォォォォーーーーーッ!!ー

 

「なッ!?は、速えぇッ!?」

 

ダブルオーバーは濃い赤色に輝いたと同時に一瞬でその場から消え、気づいた頃には大和達の陣地のフラッグがある場所に接近していた。そして

 

ージャキィンッ!ジャキィンッ!ー

 

NSTEAMS VS GWSTEAMS

9ー5

 

高速移動しながら二つのフラッグを奪取しこれで形勢は逆転した。このまま一気にいくのか?

 

「……そろそろタイムオーバーか。二人とも、後は任せた!」

 

ージジッ……ドゴオォォォォォォォォォォォォオンッ!!ー

 

「「や、社さあぁぁぁぁぁぁぁぁんッ!?」」

 

えッ!爆発した?!なんで…………うわ、あのリミットオーバートランザムって自分でオフに出来ないし十秒で爆発してしまうのか。だが築のお陰でにじさんじチームはリードした。このままいけばにじさんじチームの勝利だな。

 

「しまった!フラッグが奪われた!?」

 

「チィ!あの野郎、俺様との戦いを逃げやがってぇッ!「愛斗!だったら今僕の事を狙ってるフェニーチェをなんとかして!」……あ?チッしゃあねぇなぁッ!!」

 

フラッグを奪われ焦る蘭と築が自爆した事に苛つく愛斗。だが大和はそんな愛斗に走の相手を任せてアルティメットフリーダムを上空へと飛翔させる。一体何をするつもりなんだ?

 

「うん?一体何を考えてんのか分からんけど、このまま撃墜させてもら「やらせねぇよぉッ!」え!?」

 

飛翔するアルティメットフリーダムを狙うフェニーチェだが其処にアストレアが乱入し注意を逸らされてしまう。その隙にアルティメットフリーダムは全ての武器を展開、そしてエネルギーを充填させ…………

 

 

 

 

「……いっけえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!」

 

ーシュウゥゥ……ドッゴオォォォォォォォォォォォォォオンッ!!ー

 

フィールドに向かって一直線に一斉攻撃を放っていった。

 

ーTIME UPー

 

それと同時にタイムオーバーとなりゲームが終了。最後に大和が攻撃したって事はあの何処かにフラッグがあったんだろうが流石に一つ取っただけじゃ…………えッ?!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

NSTEAMS VS GWSTEAMS

6ー8

 

WINNER GWSTEAMS

 

ぎゃ、逆転してる!?という事は、あの一直線の所にフラッグが三ヶ所もあったのか?!大和の奴、それを見越してあの一斉攻撃をやったのか!最後の最後でとんでもない実力を見せつけられたな……とはいえ今回のゲームは彩夏達の完全勝利で終わったな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その夜、俺達は彩夏達サークルメンバーを神羅城に招き打ち上げパーティーを開いていた。部屋の片隅では鼻にニンニクチューブが刺さったままの葛葉がすいによってぐるぐる巻きの状態で逆さ吊りにされていたが、これは自業自得なので致し方ない。

 

「それにしても彩夏ちゃんのサークルメンバー皆凄かったね!」

 

「うんうん、団長達も見ててすっごく興奮したし♪」

 

「いやぁ〜、部長としてはそう言ってもらえると有難いですよぉ〜♪」

 

彩夏も部長として嬉しいのかでれでれした表情でオレンジジュースを飲んでいる。にしても本当に凄いメンバーだったな。そんな彼等の様子も見てみるか。

 

 

 

「はい実くん!これすいちゃんの新曲のCDサイン付きだよ♪今回はあの吸血鬼が迷惑かけたお詫びにライブのDVDもサイン付きであげるね♪」

 

「お、おぉ……すいちゃんのサイン付きCDとDVD……い、一生家宝にします……!///」

 

実はすいからサイン付きのCDとかをプレゼントされ顔を真っ赤にしながらも嬉しそうに眺めていた。推しからの生でプレゼントなんて普通にないからこれは実にとっては最高の一日になっただろうな。

 

「スバルさんわためさん!今度私達ともう一度イベントで遊びましょう!」

 

「お、おい優!?そんな唐突に失礼だろ……?!」

 

「え?スバルは別に良いよ!どうせなら皆で協力出来るイベントとかやりたいよな♪」

 

「あ、だったら偶にやるレイドバトルとか今度皆でやろーよ〜♪」

 

「お、それなら私も参加させてもらうとするか♪」

 

優と蘭もスバル達とすっかり打ち解けた様子で凄く楽しそうに話しているな。新が少し馴れ馴れしいんじゃないかって心配そうに見てるが、まぁスバル達も其処は気にしてないから良いと思うぞ?

 

「…………アタシ、全然活躍出来なかった…………」

 

「ボクも、唯顔がデカいのをイジられて終わっただけだった…………」

 

「ま、まぁまぁ焔先輩そんな気にしないでくださいってば?」

 

「あ、アルスもなかなか良かったと思うよ?あ、アハハハ……」

 

…………部屋の片隅では焔とアルスがいじけておりそれを真理愛と咲が慰めている。そういや途中からすっかり忘れていたな……?

 

「……おい社築」

 

「ん?ってお前か。やっぱバトルの時と雰囲気全然違うな?」

 

「別に良いだろ…………それよりもまた俺と勝負しろ。今度はぜってぇ決着がつくまで戦わせてもらうからな?」

 

「お、全然良いぞ?なんなら明日にでもホロプラにでも行くか?」

 

……なんか築と愛斗、すっかり仲が良くなったみたいだな?こうした交流が深まるのは良い事だ。

 

「へぇ、じゃああんた等は別に親がガンダム好きってワケじゃないんや?」

 

「えぇ、寧ろ僕達もガンダム弄りされるまではガンダムの事は殆ど知りませんでしたから」

 

「俺も、初めてプラモ買った時にその事に気づいたからな」

 

「あ、あうぅ〜」

 

そして最後に楓が大和と怜と雑談していたが、どうやら大和達がキラやレイに似ているのは偶然だったらしい。それはそれで凄いな?それと楓に抱っこされている椛がテーブルの上に飾られているアルティメットフリーダムが気になるのかずっと手を伸ばしている。やっぱこの子も俺の趣味を立派に引き継いでるんだな。

 

「「ねぇ玲二君(先輩)」」

 

「ん?どうしたまつり、走」

 

「今回ちょっとトラブルあったけど、皆と盛り上がって楽しかったね♪」

 

「私も、久々に皆と遊べて嬉しかったです♪今度は先輩も一緒に遊びましょうよ♪」

 

「あぁそうだな、その時は全力で楽しませてもらうか」

 

その前にバグの修正とかもしっかり行わないとな。とまあちょっとしたトラブルはあったが何はともあれこれで次のイベントも順調に進めそうだな?

 

こうして無事に交流バトルを終えた玲二達。その後サークルメンバー達は数日間ホロライトシティで楽しんだ後本土へと帰宅するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーオマケー

 

葛葉失格後、ステージ裏にて

 

「さぁて、最高位の吸血鬼様は一体どんだけ鼻にニンニク注入したら効くのかなぁ?」

 

「むぅーーーッ!むぐぅーーーッ!?」

 

簀巻き状態にされ口を封じられた葛葉はニンニクチューブを持ちながら鬼の形相で近づくすいせいに恐怖を感じ大粒の涙を流す。そしてこれを機に葛葉は二度とすいせいには逆らわないと心に誓うのであった。

 

※良い子の皆は間違っても鼻にニンニクチューブを注入しないようにしましょう。




はい、という事でこれにて交流バトル回は終了です!何度も言うようでしつこいかもしれませんが、この度はキャラ提供をして頂いた波音四季様、本当に有難うございました!

次回は久しぶりの貴方と出会って回!…………なんですがその前に思いついた話があるのでそちらを挟んでから貴方と出会ってを投稿します。

次回は神羅族の新たな謎が分かる?な回です。これは明日投稿しようと思ってますので次回もまったり待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第137話『衝撃的な事実』

本当は明日投稿しようと思いましたが思いの外早く出来たので投稿します。というのも明日だと少し忙しそうだったので……(T_T)

今回はベイビーズ番外編でも使用したあのマシンで衝撃的な事実が明らかに……!?今回も最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


彩夏達ガンプラウォーズサークルとの交流バトルがあってから暫く経ったある日、俺はリビングでとある物のセッティングを行っていた。

 

「……あれ?レイくん、それって未来の自分を呼び出すマシンですよね?また子供達の未来を見るんですか?」

 

「ん?いや、実はちょっと気になる事があるのと、それとマリンからの直々の頼みがあってな」

 

俺はそう言いながらリビングに未来の自分を呼び出すマシンを用意し起動の準備をしている。何時もはこれで未来の子供達を呼び出して観察するという使い方をしていたのだが、今回はそれとは違うある事を検証する為に取り出したんだ。

 

「…………よし、起動確認と設定準備完了。マリン、本当に五十年後で良いんだよな?」

 

「……えぇ、大丈夫です。玲二くんわざわざ用意してくれてありがとうね」

 

「?なんでマリンが装置の前に……ッ!?ま、まさか……?!」

 

「まさかマリン!これ使って未来の自分を呼び出すつもり!?それも五十年後の!?」

 

そう、なんとマリン、自ら五十年後の自分の姿を見たいからと俺にこのマシンを使わせてほしいと頼んできたのだ。まさかのお願いに俺も最初は驚いたが、その本気なくらい真っ直ぐな瞳で見られると断れなくなりこうして用意したというワケだ。

 

「ど、どうしてさ船長!?何時もピチピチとか若さとかに人一倍敏感な船長がなんでいきなり五十年後の年老いた自分を見たいだなんて……!?」

 

「…………いやね、実は最近船長ちょっと思ってたんですよ」

 

「え?な、何を?」

 

「ほら、ついこの間異世界から本物の海賊になった船長が来てたじゃないですか?あの時は年老いてても格好良い威厳のある感じで凄く素敵で良いなとは思ってたんですよ。けどこの間リリースされたつぐのひコラボのマリン、めちゃくちゃ結婚に執着している気狂いババアになってたじゃん?まぁ実際は玲二くんと結婚してるからあーはならないと思うけど、あれ見たらマリンってこのまま年とったら一体どうなっちゃうんだろうって気になって最近の配信にも身が入らなくて……」

 

『な、成る程……?』

 

確かに同じ老婆でも異世界の船長とつぐのひコラボのマリンは天と地程の差があるからな。どうやらマリンはそのギャップの所為で将来の自分に不安を感じてしまったようだ。だからといって自分の未来の姿を見てみようってなったのは凄い度胸があると思うぞ?俺なら絶対に未来の自分なんて見たくないし。

 

「で、でも本当にやるの船長!?めっちゃ身体震えてんじゃん?!」

 

「ダイジョウブ、ダイジョウブ……スゥー、ハァー、スゥー、ハァー……よしッ!もう覚悟は決まった!それじゃあいきますよぉーッ!出航ーーーーーーッ!!」

 

そしてマリンは覚悟を決めて決め台詞と共に装置の上に手を乗せると今までと同じように辺りが光に包まれていく。さて、五十年後と言えばマリンは81歳(この世界での設定)。普通に生活しているか、あるいは寝たきりになってしまってるか、もしくは最悪既に……まあ、兎に角何があっても良いように身構えておかねぇとな。

 

そしてだんだん光が弱まっていくと装置の上に誰かが乗っているのが見えてきた。さて一体どうなって…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『……………………え?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………あ、あれ?此処は何処ですか!?さっきまでマリン配信してた筈なのに?!」

 

は…………?な、なんだ?装置の上にいるのは確かにマリンだったが、()()()()姿()()()()()()()()()()()んだが?え、俺確かに五十年後に設定していた筈だよな?なんでマリン全く年とってないんだ!?

 

「あれ?!玲二くんにアタシ!?それに皆も…………あぁそっか、今日が()()()だったんだ?」

 

「え?な、なんでマリンの姿全然変わってねぇんだぺこ?!」

 

「玲二さん!まさか操作間違えて五年後とかに設定したんじゃないんですか?!」

 

「そ、そんな筈は……いや、間違いなくマシンのメモリは五十年後に設定されている。でもまさかそんな……なぁ、お前本当に五十年後のマリンなのか?」

 

「え?うーん、まぁあんまり堂々と年齢とかは言いたくないけど、確かに船長はこの時代から五十年後の船長で間違いないですよ。あ、取り敢えず何時ものをしときますか……Ahoy〜♪ホロライブレジェンド3期生、宝鐘大海賊団名誉船長の佐々木マリンですぅ〜♪」

 

「な、なんか肩書き多くなってない?」

 

確かにホロライブレジェンドって、五十年経ってもホロライブ引退してないのかよ?ってそんな事よりなんで未来のマリンがそんな若い姿のままでいるのかが気になって仕方がない。

 

「そ、それより未来のマリンって今80歳越えてるんだよね?なんでそんな今と変わらない姿でいられてるの?」

 

「え〜?やっぱ普段からお肌のお手入れとかマッサージを欠かさずやってるからですかねぇ〜♪」

 

「そんなんで抗えるようなレベルじゃないじゃん!?まさかつぐのひみたいに変な力で若く見せてるとか……?!」

 

「違いますぅ〜。そんな事しなくたってマリンはずっとピチピチのままですぅ〜。それに言っときますけどマリンだけじゃなくて玲二くんも、そして未来のホロメン……というよりは玲二くんの妻は誰一人として年老いてなんていませんから♪」

 

『嘘ぉッ!?』

 

え、マジで?俺等全く年老いてないのか?だとしたら五十年後の未来で一体何があったんだ?!

 

「んーでも口で説明するのも面倒だなぁ…………あ、そうだそうだ。ねぇちょこ先生、確かこの家に医療用の注射器と試験管ありましたよね?少し貸してもらっても良い?」

 

「え?え、えぇ確かに持ってるけど……ちょっと待っててもらっていいかしら?」

 

?なんで注射器と試験管?確かにもしもの時の為に医療器具とかも置いているけどなんでそれが必要なんだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ん、これでよしと。はい玲二くん」

 

「え?なんだこれ?」

 

あれからちょこが言われたように試験管と注射器を持ってきたんだがなんと未来のマリンはいきなり採血を始めだし、そしてその採った血を試験管に移して何故か俺に渡してきた。一体どういう事なんだ?

 

「昔マリンもこの時代で未来の自分が来た時にこうやって自分の血を採血してったんですよ。これをお義兄さんのお友達の博士に診てもらってください、そうしたら船長が若いままでいられてる理由が分かりますから♪」

 

「若いままでいられてる理由?それとこの採血になんの関係が……?」

 

「まーそれは後のお楽しみって事で♪でももしマリンだけじゃ信じられないんだったら他の娘も呼んでみたら良いんじゃないですか?例えばフブちゃんとか♪」

 

「え゛!?」

 

え、なんでフブキなんだ?わざわざ指名してきたって事はきっと何かあるって事なのか?

 

「それじゃマリンはそろそろ時間になるし戻らないと。じゃあこの時代のアタシ、船長が若いままでいるって分かったからってアンチエイジングは怠らないようにしなさいよ〜?それじゃあ、出航〜♪」

 

ーシュンッ!ー

 

そう言って未来のマリンはタイムリミットがきてそのまま元の時代へと帰っていった。さて……

 

「……で、どうするフブキ?お前指名されていたけど?」

 

「え、えぇ〜……?こ、これやった方がいいんですかね〜……?」

 

「でも未来のマリンがあぁやって名指ししていたって事は未来からフブちゃんもこの時代に来るのは決定事項って事じゃないかな?」

 

確かに、でなければあぁやってわざわざ指名してきた意味が分からない。此処でもしフブキを呼ばなかったら未来が変わってさっきのマリンがいる未来が消えてしまうかもしれない。

 

「う、うぅ〜……わ、分かりました。でもレイくん、もし私が年老いてヨボヨボだったとしても絶対に笑わないでくださいね?」

 

「当たり前だ、例え年をとったとしてもお前が俺の妻な事に変わりはないんだ。自分の大切な家族を嘲笑う程俺は腐っちゃいねぇよ」

 

「レイくん……分かりました!ならこの佐々木フブキ!覚悟を決めていかせてもらいますッ!」

 

俺の返事に安心したのかフブキは覚悟を決めて装置に手を乗せていく。そしてまた辺りが光に包まれて、その光が止んでいくと…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふ、ふぇ、ふぎゃあぁ〜……」

 

「おーよちよち、しらゆきちゃん良い子でちゅね〜♪ってあら?」

 

其処にいたのは今と全く変わらないフブキ、いや正確には背中に赤ちゃんを背負ってあやしているフブキがいた。

 

「ほ、本当にフブちゃんも年老いてない……!?」

 

「というかなんか知らない赤ちゃんおぶってるんだけど……!?」

 

「え?え?な、なんで?今皆仕事とかしてた筈じゃ……?」

 

「お、落ち着いて未来の私!?此処は過去の世界だから!例のマシンで貴方をこの時代に呼び寄せたの!」

 

「え?!って事は……今日あの日だったの?!うわぁ〜!そうと分かってたらもっと綺麗な格好しとけば良かったぁ〜!!」

 

未来から来たフブキは恥ずかしいのか顔を真っ赤にしてしゃがみ込んでしまった。まぁ確かに今の未来のフブキの格好は割烹着だけどそれでも普通に似合ってるぞ?

 

「え、えっと……ちょっと聞きたいんだけど、この装置で未来から呼んだんだから、そっちのフブキって今何歳なんだっけ……?」

 

「え?今ですか?私は確か……今年で73歳ですけど?」

 

「いやいやいやいや!?さっきの船長もそうだけどやっぱそうは見えないって?!」

 

まぁクロヱの言う通り、さっきのマリンといいこのフブキといい全く年をとった感じがしない。顔にはシワもなく、肌もスベスベの状態だ。一応さっきのマリンの時も確認したが何かの能力で維持してるかと思ったが特に何かされてるワケではなかったから素でこの状態なんだろう。本当にどうなっているんだ?

 

「……ところでフブちゃん、その背負ってる子ってもしかして未来のこゆきちゃんかふゆきちゃんの子供とか孫とか?ちっちゃくて可愛いね〜♪」

 

「へ?……あーいや、この子は孫とかじゃなくてですね〜……」

 

「え?孫とかじゃない?じゃあ他の子の子供?」

 

「……でもないですね〜」

 

「へ…………ッ!?って事はまさか!?」

 

「ま、まぁうん……この子は今年産まれたばかりの私とレイくんの子供なんですよ〜♪」

 

「ふぎゅぅ〜……」

 

『嘘おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!?』

 

ま、マジか!?今年産まれたって事は、フブキの奴73歳で子供を産んだのか?!高齢出産にも程があるぞ!?

 

「ご、五十年後でも子供を産むなんて………!?」

 

「というかフブキちゃん、もしかしてその子とふゆきちゃんの間でも何人か産んでるんじゃ…………?!」

 

「…………未来が変わってしまう可能性があるので其処は黙秘します」

 

いや顔を真っ赤にしてそっぽ向いたら半ば肯定しているようなもんじゃねぇか?そうなると未来の俺達の子供って一体何人いるんだよ?

 

「そ、そんな事より!私が此処に呼ばれたって事はあれをしないといけないって事ですよね!?ちょこちゃん!私にも注射器と試験管を!」

 

「ちょこちゃん!?フブちゃんからそんな呼ばれ方された事ないんだけど?!」

 

そして未来のフブキもちょこから注射器を受け取ると採血を始め、採った血を試験管に移すとそれを俺に渡してきた。どうでも良いけどなんで二人とも一人でスムーズに採血出来るんだ?

 

「じゃあこれ、私の分の採血です。これをお義兄さん達に調べてもらってください」

 

「お、おぅ?でも一体なんでこんな事を……?」

 

「…………それは私達の、そしてレイくんのこれからについてを向き合ってほしい為です。この事実を知っても尚、皆がレイくんに付いていく覚悟があるかを」

 

事実?一体なんの事だ?

 

「……それじゃあそろそろ時間なので私は元の時代に戻りますね。しらゆきちゃんも、昔のパパにバイバイしてね〜♪」

 

「あ、あぅ、あぅあ〜」

 

ーシュンッ!ー

 

そして未来のフブキとその子供は時間切れによって元の世界へと帰っていった。それにしてもこの血を調べれば俺達の将来が分かるって、一体どういう事なのだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから一週間後…………

 

「義兄さん、博士、いきなり連絡もなしに来るなんて珍しいな?もしかして例の件の結果が出たのか?」

 

「…………それについてなんだが、これは我々の想像を遥かに超越した事が発覚したんだ。だから僕達は急遽君にこの事実を伝えにやって来たんだ」

 

超越した事?一体何が……

 

「まずあの採血の結果で幾つか分かった事がある。その一つだが…………まず未来のマリンさんとフブキさんは既に人間でも獣人でもなくなっている」

 

「……………………え?」

 

「わ、私が獣人じゃ、ない……?!それってどういう……!?」

 

「………簡単に言えば採血された血を調べてその遺伝子構造が現在のお二人よりもかなりの情報量があったんだ。そしてそれを細かく調べた結果、未来のお二人は限りなく玲二君に近い存在になっている事が分かった」

 

俺に限りなく近い…………って事はまさか!?

 

「そ、それってつまり……!?」

 

「そう、未来の君達は玲二君と同じ、つまりは神羅族になっているという事だ」

 

『な、なんだってえぇぇぇぇーーーッ!?』

 

フブキとマリンが神羅族に!?どういう事だよそれ?!なんで二人が神羅族に……!?

 

「これはあくまで仮説だけど、おそらく君達は夫婦となり彼と多く交わっただろう?その際に彼の膨大な神羅のエネルギーが体内に蓄積されていき、身体の構造が大きく変化してしまったと考えられるんだ」

 

「そしてこの時代の二人の採血もしてもらい、現段階でもその兆しが出ているのが分かったんだ。二人の血は本来の人間や獣人と比べても異常なくらいの遺伝子情報が確認されている」

 

「そ、そうなんですか……?」

 

「うん、特に驚いたのはその治癒能力だ。常人なら数日間は残るであろう傷もおそらくだが君達は僅か数分で癒えるであろうくらいの治癒能力を保持している」

 

治癒能力?確かに俺も神羅族に覚醒してからは怪我なんてすぐに回復するようになってるけど、それって二人も……いや、皆も同じようになるって事か?

 

「……あ、そういやこの間ラミィが指切っちゃった時も気づいたら治ってたよね?」

 

「そ、そういやそうかも……?」

 

「それに此処最近皆病気らしい病気はしてないし……」

 

「やはりか……おそらくそれは皆の身体が神羅族に近づいている証拠だろう。このまま神羅化が進めば君達は玲二君と同じようにあらゆる怪我や病気とは無縁の存在になるだろう」

 

ま、まさか俺の所為で皆の身体がそんな事になってるなんて……!?そういや未来のフブキが

 

「この事実を知っても尚、皆がレイくんに付いていく覚悟があるかを」

 

って言ってたな?それはこの事を言ってたのか!?

 

「で、でもお義兄さん!その治癒能力は分かったけどそれとマリンやフブちゃんが年老いてないのとは一体どういう関係があるの?!」

 

「そう、それがこの血を調べて分かった二つ目の事実。君達は不老長寿、それも我々が想像出来ない程の生命力を身につけているという事だ」

 

『不老長寿!?』

 

「…………ってなんだ?」

 

ーズコォーーーッ!ー

 

……おいラプ、お前知らないで驚いたのか?皆して盛大にずっこけてしまってるし……じゃなくて!?

 

「ラプ、不老長寿って言うのは決して老いる事もなく長く生きられるという事よ」

 

「おぉ、そういう事か!だから未来のママ達、全然おばあちゃんとかになってなかったワケだな?!」

 

「そういう事になるね。でも博士、不老長寿って言うけどそれってどれくらい寿命が伸びてるの?」

 

「うん、これはあくまで推測の範囲だが…………この採血で得られた情報通りで考えるならば君達の寿命はおおよそ1500年、長ければ2000年は生きてられる程の生命力があるね」

 

『2000年!?』

 

に、2000年生きてられるって、それってかつて神界にいたっていう伝説の種族ハイエルフや魔界の幻の種族グレートオーガみたいなものじゃないか!?そんなの伝説上なだけで実際にはそんな長生き出来る種族なんていないぞ!?

 

※この世界の種族の寿命は基本的にどの種族だろうと人間と大差変わりない。

 

「そう、この寿命の長さは明らかに異常だ。なんせ伝説と呼ばれるかつての種族のような寿命が得られているのだからね。という事はこの事がもし部外者に知られれば、各世界各国の権力者達はこぞって玲二君の事を欲するに違いないだろう」

 

「うん、だから今回のこの件は我々のトップシークレットにする事になったんだ。そして玲二君や君達には今後定期的な検査をしてもらう事になるかもしれないから、その時はよろしく頼むね?」

 

『は、はぁ……?』

 

な、なんだかいろんな事が発覚して理解が追いつかない……!?でももしこれが事実なら、皆にも俺と同じ苦労を味あわせてしまうのか……?

 

「…………フブキ、皆、まだいきなりの事で理解が追いつかないかもしれてないが、もし「レイくん、もし私達から神羅の力を取り除くとか言ったら私達怒りますからね?」ッ!?」

 

フブキの奴、俺が皆から神羅の力を消そうとしてるのに気づいた!?それに皆もフブキと同じように鋭い目つきで俺を見てくる。けどそれで神羅族になってしまったら……!

 

「お前等、それが何を意味しているのか分かってるのか!?神羅族になるって事は、不老長寿になって長い間生きていかなきゃいけなくなるんだぞ!?もしかしたらそれが原因で迫害されるかもしれないっていうのに、どうして……!?」

 

「どうして?そんなの当たり前じゃん。ポルカ達は玲二さんの事が本当に好きで、だからこの先何があってもずっと一緒に付いていくって決めてるんだよ?」

 

「それで玲二さんがその神羅族になった所為で不老長寿で生きていかなきゃいけないっていうなら、るしあ達も一緒に神羅族になって生きていくつもりなのです!」

 

「だ、だがそれはお前等に過酷な人生を「レイっち、あたし等はもうあんたの妻、あんたの家族なんだ。そんなあたし等を置いて一人寂しく生きていくなんて事、絶対にさせるつもりなんかないからな?」ぼ、ぼたん……?」

 

「というかもし神羅族の力を取り上げられても幽霊になってでも兄ちゃんに取り憑いてやるッス!」

 

み、皆……!?

 

「レイくん、私達は皆レイくんに助けられ、そして貴方の事を愛して一緒になる事を誓ったんです。だから私達は例え自分が神羅族になったとしても、最後までレイくんと一緒に生きていきたいんです!だからレイくん、私達からこの神羅の力を、貴方と一緒に生きる道を奪わないでくださいッ!!」

 

『お願いしますッ!!』

 

フブキが、そして皆が俺に向かって頭を下げてく。皆、俺の為に其処まで…………!?

 

「フブキ、皆…………本当に良いんだな?不老長寿になったこの先はきっと苦労する事の方が多くなる。それでも……こんな俺について来てくれるんだな?」

 

「あったり前よぉ!この佐々木フブキ、例え嫌と言われても最後までレイくんに引っ付いてやりますからねぇッ!!」

 

フブキの覚悟はどうやら本物で、その瞳は真っ直ぐに俺を見つめている。いや、フブキだけでなく他の皆も同じように覚悟を決めた表情で俺を見ている。皆……本当に有難う…………

 

「……うん、やっぱり君達が玲二君の奥さんになってくれて正解だったね」

 

「だな。という事で僕達はそろそろお暇させてもらうよ。それと検査の日が決まったら連絡するからよろしくね」

 

そう言って義兄さんと博士は帰っていった。さて、いろいろと衝撃的だったが、それを含めてこれからの事を真剣に考えないとな。

 

「ねぇレイくん」

 

「ん?どうしたフブキ?」

 

「えへへ〜、これからもよろしくお願いしますね、旦那様♪」

 

「……あぁ、よろしくな」

 

こうしてマリンの突発的な検証から始まった衝撃的な事件はひとまず落ち着いたのであった。尚、この後この事をにじさんじやその他の妻達に伝えると皆も同じように俺と共に生きる道を選んでくれた。なんだが嬉しくて泣けてくるな…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(…………あれ?僕もご主人様と夫婦だけど、一度も交わった事がない……つまり僕は神羅族になれないって事?)

 

(パパだけじゃなくてママ達も神羅族に…………でも吾輩はパパやママ達の本当の娘じゃないから神羅族になれなくて、吾輩だけ先にいなくなってしまうって事?…………そんなのイヤだ……)

 

佐々木一家でありながら神羅族になれない二人。はたしてこの二人の未来はどうなってしまうのか…………?




はい、という事で佐々木家神羅族化進行発覚回でした!でも書いてて思ったのがこれある意味感染に近いですね(;´∀`)

ともあれ神羅族になる事を受け入れたフブキ達は果たしてこれからどうなるのだろうか?といいつつこの小説では基本的には今までと大して変わらないと思います(^^;)

さて次回こそ貴方と出会って回です!取り敢えず今回は投票数が10超えた娘の話を何話かに分けてお送りしたいと思いますので次回もまったりと待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第138話『貴方と出会って6』

久々に貴方と出会って書いたら意外と文字数多くなってしまいました(゚Д゚;)

今回はアンケートで取った貴方と出会って回です!因みにアンケートの投票が多い順ではなく思いついた順で書いているのでご了承くださいませm(_ _)m

今回も最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


ー尾丸ポルカー

 

玲二さんを好きになったきっかけ?……別に隠したいワケじゃないけどまずお前誰なの?え、雇われて聞いてるって?誰に?ま、まぁ変な事に使わないなら良いけど……あれはまだポルカがホロライブに入る前の話なんだけど……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「レディースエーンドジェントルメーン!只今より尾丸サーカスの特別公演を開催しまーす!」

 

ーワーパチパチッー

 

とある晴れた日の事、私尾丸ポルカは近くの河川敷で尾丸サーカスの特別公演を開いていた。とは言ってもまだ見習いなポルカが勝手に開いているだけで観客も近くにいた子供達数人しかいなかったけどね。それでもポルカは見てくれる人達に笑顔になってもらいたいから皆の前で習ったばかりの玉乗りや一輪車とかの曲芸を披露していく。

 

「よっ!ほっ!はっ!ってうわわぁッ!?」

 

ーズッテーンッ!!ー

 

ーアッハハハ!オネーチャンヘタクソー!ガンバッテー!ー

 

やっぱりまだ練習中の身だからなかなか上手くいかず結構失敗しちゃってる。中には下手くそと言ってくる人もいたけど応援してくれる子もいたからポルカは最後まで一生懸命やりきった。そして終わった時に皆から拍手をしてもらうとポルカの心の中が暖かくなっていって、やっぱり皆を笑顔に出来るこのサーカスの道に進んで良かったと思ったんだ。

 

「ふぅ〜、楽しかったぁ〜!……ってヤバ!?今日座長に呼ばれていたんだった!?急いで事務所に行かないとッ!」

 

今日はポルカが所属してるサーカスの座長から直接呼ばれてたから早く行かないと!でも話ってなんだろうな?もしかして、ようやく正式な座員にしてくれるとかかな!?だとしたら嬉しいなぁ〜♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………え?クビ?」

 

「あぁ、君には本当に申し訳ないんだかね……」

 

…………え?なんで?事務所に入って座長から言われたのはまさかの解雇通達だったんだけど?どうして!?もしかしてポルカなんかやっちゃった?!

 

「ど、どうしてですか座長!?そりゃポルカはまだ見習いだけど、それでも何時かこのサーカスで皆と一緒に……!」

 

「…………そのサーカスだが、今月いっぱいで閉園する事になったんだ」

 

……え?閉園?このサーカスが?な、なんで?!

 

「君も知ってると思うが近年うちのサーカスの入客数はどんどん減っている。それでも今まではなんとか皆で頑張って来たんだが……従業員の給料、そして動物達の餌代を考えたらこれ以上はもう無理なんだ」

 

「そ、そんな……!?じゃあポルカ以外の座員達は?!動物達は一体どうするのさ?!」

 

「うちの優秀な座員達は既に他のサーカスやパフォーマンスチームに移籍が決まっている。動物達は私の知り合いの動物園に引き取ってもらう予定だ。だが君みたいな見習いは他の所では引き取ってもらえなかった。だから君には申し訳ないんだが解雇という判断に至ったんだ」

 

「そ、そんな……そんなのって……!?」

 

「……本当に申し訳ない、それとこれは少ないが今月分の給料だ。けど君はまだ若い、別にサーカスじゃなくても他にも進める道があるんだからそう悲観する事はないだろう」

 

ポルカは座長にそう言われ今月分の給料が入った封筒を渡されて事務所から出ていった。あれだけ好きで目指していたサーカスの夢が、ポルカの中で一気に崩れ落ちた感じがした…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……あれから一ヶ月経ったけど、ポルカの心の中はぽっかりと穴が空いてしまったような感じだった。大学の授業にも身が入らず、これまで曲芸の練習をしていた時間も今じゃ河原で水面をボーッと眺めるだけの毎日と化していた。あれだけ好きで毎日手入れしていた曲芸道具も物置きの片隅にしまっているし、もうポルカの心からサーカスの夢がどんどん薄れてしまっているのが分かる。もういっその事サーカスの事なんて忘れた方が良いように思えてもくる…………けど

 

「…………なんでだろうなぁ?もうサーカスなんて夢見るのは止めようって思ってる筈なのに、なんでまだサーカスの事なんて考えてしまうんだろう……?」

 

どんなにもう諦めよう、忘れようと思ってもサーカスの夢を諦める事が出来なかった。無理矢理心の中に抑え込もうとしても、その度に幼い頃に見たあの空中ブランコや火の輪潜りを華麗にこなすサーカスの人達のキラキラした姿が頭の中に出てきてしまう。いつか自分もあんなステージに立って皆を笑顔に……

 

「…………そんなの、もう絶対に叶わないのに…………ん?」

 

……彼処にいるの、何時もポルカの練習を見に来てくれる子供達だ。でも練習を止めてからずっと避けてたからなんだか久々にあの子達を見た気がする…………あれ、でも誰かと一緒にいる?もしかして保護者?……にしてはスーツを着ててビシッとしてるし、もしかして道案内してるのかな?

 

…………いや、もしかしたらあいつ、あの子達を拐おうとしている誘拐犯とかじゃないよね?だったらあの子達が危ない!?た、助けるべきだよね?!でもポルカの力じゃ男の人に勝てない……なんて言ってる場合じゃない!は、早くあの男から子供達を助けないと……!

 

「んーと……あ!お兄ちゃんいたよ!彼処に座ってるのがサーカスのお姉ちゃんだよ〜♪」

 

「本当?わざわざ有難うね君達」

 

「…………へ?」

 

え?サーカスのお姉ちゃんって……もしかしてポルカの事?ってそんな事考えてたら何時の間にかさっきの男の人が目の前にやって来たんだけど!?

 

「えーっと、君だよね?此処で偶に子供達に曲芸を見せてあげてる女の子って」

 

「へ?は、はいそうですけど……?」

 

え?え?も、もしかしてこの人の目的ってポルカなの?!ひょっとしてどっかの芸能事務所の人でポルカをスカウトしにきたとか!?いやいや流石にそれはないでしょこんな失敗ばっかりする見習い曲芸師をスカウトだなんて!?

 

「?あぁそっか、いきなり名乗らずに訪ねたら失礼だよな。えっと……俺はこういう者なんだけど」

 

男の人はそう言ってポルカに一枚の紙切れを渡してきた。これは、名刺かな?えーと……“ホロライブスタッフリーダー 佐々木玲二”…………ってホロライブゥッ!?

 

「ほ、ほほ、ホロライブってあの有名なアイドル事務所のホロライブ!?」

 

「まぁ有名かはまだ分からないけど、今頑張って成長し続けてるホロライブには間違いないな 」

 

うえぇぇぇぇぇぇぇぇぇーーーッ!?な、なんで?!なんでそんな凄いとこのスタッフさんがポルカに声掛けてきたのさ?!

 

「実は以前から君の噂を聞いててな。この河川敷で子供達に曲芸を見せて喜ばせてる女の子がいるって。君についていろいろと話を聞こうと思ってたらんだけど最近全然話を聞かなかったからいなくなったんじゃないかって心配してたんだよ」

 

「は、はぁ……?そ、それで、そのホロライブのスタッフさんがポル……私になんの用があって来たんですか?」

 

「あぁそうだったな。実は今ホロライブではこういうのを行ってたんだが……」

 

?何これ?チラシか何かかな?えっと、『ホロライブ5期生募集中!』?ホロライブ5期生……って!?

 

「今ホロライブではそのポスターに載ってる通り5期生を募集中なんだ。今のところ三人は候補に上がってるんだが、残り二人の枠がなかなか決まらなくてな。そうしたら此処である女の子がサーカスの練習をしているって噂があったからもし素質がありそうならスカウトしようと思ってたんだよ」

 

スカウトッ!?ポルカがホロライブに?!それってつまりときのそらさんや不知火フレアさんにも会えるって事!?そんな、良いの?!ポルカなんかがアイドルに……私、なんかが…………

 

「…………そういう事だったらお断りします。私なんかよりもきっと素質があって可愛い娘がいると思いますからそういう娘をスカウトしてあげてください」

 

「え…………?」

 

そうだ、私なんかがアイドルになれるワケがない。座員見習いの時だって大した成果も出せてないし、サーカスもクビになった私なんかにアイドルなんてきらびやかなステージに立つ資格なんてないんだから……

 

「……それじゃあ他に用がないなら私はこれで失礼しまーガシッー……え?」

 

もうさっさと帰ろう、そう思って振り返り去ろうとしたんだけど、そんなポルカの腕を男の人は掴んで引き止めてきた。な、なんでポルカ腕掴まれてるの?

 

「な、なんですか急に!もしかして私の事騙して「すまない、けど流石にそんな暗い顔されたらほっとけなくなってな?もしかしてだけど、何かあったんじゃないのか?」ッ!?そ、そんな事…………」

 

「………実はさっき君の事を子供達に聞いた時にあの子達が言ってたんだ。此処最近サーカスのお姉ちゃんが全然練習しなくなったって。あの子達、君の事を凄く心配してたんだよ。だからもし良ければ聞かせてくれ、此処最近君に一体何があったんだ?」

 

…………そっか、あの子達ポルカの事心配してくれてたんだ。そういや何時も曲芸を見てくれてるあの子達に何も言わずに止めちゃったからなぁ………

 

そして気づいたらポルカは男の人に全てを話していた。サーカス見習いをクビにされた事、そしてその所為で自分に自信がなくなって練習をしなくなった事を………

 

「…………成る程な、好きだったサーカスをクビにされて自分に自信が持てなくなったからさっきのスカウトも断ろうとしてたんだな?」

 

「はい……でも今考えたら当たり前ですもんね?他の皆は私と違って歴が長かったり才能があるから他の所に行けたけど、私にはそんなのなかったから何処も私の事を引き取ってもらえなかっただけの話ですもん。そんな才能の欠片もない私がアイドルだなんておこがまし「そんな事ねぇよ」……え?」

 

「もし君に才能がないなんて言うなら、さっきの子供達だって君の曲芸に興味なんて持たずに通り過ぎて行ってると思うぞ?つまり見てくれてた皆には少なくとも君から光る何かを感じていたから君の事を見てくれてたって事だ。それにあの子達は君の事をこう言ってたよ」

 

 

 

「お姉ちゃんは失敗とかもするけど、でも私達の事楽しませてくれようとしてたの。だから私達、お姉ちゃんのサーカス大好きなんだぁ♪最近全然やらなくなっちゃったけど、また皆で一緒に見たいなぁ〜」

 

 

 

…………そっか、あの子達ポルカの曲芸を楽しみにしてくれてたんだ?こんな失敗ばっかりするポルカのサーカスを…………

 

「失敗なんて誰だってするし、挫折しそうになる時なんか幾らでもあるかもしれない。けど、それをバネに何度でも立ち上がれば良い。それに君のサーカスに対するその想い、まだ消えてないなら俺達と一緒に叶えてみないか?」

 

「え?一緒にって、ホロライブでって事ですか?で、でもアイドルとサーカスって全然違う気が……?」

 

「そんな事はないさ。アイドルもサーカスも、皆を笑顔にする存在に変わりはない。煌びやかなステージで歌って踊って、更にド派手な曲芸を繰り広げるなんて今までになくて面白そうだろ?だから君と俺達とで実現してみようぜ、多少の失敗なんて動じない“ちょっとくらいのドジなんてご愛嬌”なアイドルサーカスを!」

 

「……ちょっとくらいのドジなんてご愛嬌なアイドルサーカス……」

 

…………なんだろう、この人が言うとなんだかやれそうな気がしてきた。今まで失敗しないように気をつけてたけど、それすらも愛嬌に変えて皆を喜ばせる。そう考えたらポルカでも出来そうな気がしてきた……ううん、ポルカはそんなアイドルサーカスで皆を笑顔にしてみたいッ!

 

「まぁ勢いで言ってしまったけど、それでもし君がそんなアイドルになってみたいなら来てみないか?俺達とホロライブに」

 

「………はい、こんな私……ううん、まだまだ未熟な曲芸師ポルカだけどよろしくお願いしますッ!」

 

「あぁ、よろしくな。それじゃあまずは最初のお仕事、あの子達を笑顔にしてあげないとな?」

 

男の人がそう言って見た視線の方を向くと、其処には何時もポルカの曲芸を見てくれてた子供達が小走りで駆け寄ってきていた。

 

「お姉ちゃん!まだお姉ちゃんのサーカスやらないの?」

 

「ぼく、お姉ちゃんのサーカスもっと見たい!」

 

「ねーちゃんまた玉乗りとかお手玉とか見せてよ〜♪」

 

「皆…………よぉーし!今日は久々に尾丸サーカス開催しちゃうぞぉ〜!でも今道具とか持ってきてないからちょっと取りに行くから待っててね〜♪」

 

皆、本当にあの人の言う通りポルカの事ずっと待っててくれたんだ。それが嬉しくて少し溢れた涙を拭きながら急いで曲芸道具を取りに戻った。

 

それからその日は日が暮れるまでポルカは尾丸サーカスを開催した。相変わらず多少失敗しちゃったけど、それでも皆喜んで見てくれた。そんな今日の尾丸サーカスは今までで一番楽しい時間だったんだ。

 

それがポルカとあの人、玲二さんとの出会い。そして今思い返せばあの時ポルカに新しい道を示してくれた玲二さんに恋心を抱いた瞬間だった。玲二さんと一緒にならポルカは何処までも進んで行けるんだって。だから玲二さん、こんなちょっとめんどくさいところもあるポルカだけど、これからもずっと見守っててね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………なんだか久々にあの頃の思い出したなぁ」

 

「うゅ?まーま、どーちたの?」

 

「んー?ちょっとママがパパと出会った時の事を思い出してたんだよ〜♪」

 

今ポルカは愛娘エレオと一緒にホロライト中央公園に散歩してたんだけど、ふと昔の事を思い出しちゃってたな。久々にあれをやるからつい思い出しちゃったのかな?

 

「んー……よし!それじゃいっちょやりますか!」

 

「おー♪」

 

そしてポルカは事前に用意したステージに登り、周りの皆に聞こえるように高らかに大声を出す。

 

「レディースエーンドジェントルメーンッ!今日はポルカの伝説特別編!尾丸大サーカスのステージショーを開演するよ〜!ステージの中ではポルカの娘のエレオのびっくり手品もあるから見逃さないでね〜♪」

 

「あーい!みんな〜、エレのてじにゃみてみて〜♪」

 

そう、今日は久々に皆の前でサーカスを開く事になったの!今日は此処に集まってくれた皆を、絶対に笑顔にしてみせるからね!

 

「それじゃあ皆、準備は良いですか〜?アーユーレディ?」

 

「ご〜♪」

 

 

 

ー尾丸ポルカ編 完ー

 

 

 

 

 

 

ー博衣こよりー

 

あ、助手くん〜!皆と玲二君の出会いの話、集まってきたかな〜?……うんうん、やっぱり皆玲二君に救われて好きになるパターンが多いね〜♪やっぱり玲二君は優しくて素敵だなぁ〜♡

 

…………え?ボクが玲二君を好きになった理由?そ、それは別に話さなくても良くない?

 

え、それは不公平だって?うぅ〜……あーもう分かったってばぁ!だけど聞いたからには他の娘の出会いもしっかり聞いてきてね!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー十数年前ー

 

「…………はぁ、もうこの本も読み終わっちゃったなぁ」

 

皆が次々と学校から去っていく時間帯にボク、博衣こよりは図書室でずっと本を読んでいた。でも読んでいたのは皆が読むような児童向けの漫画や童話ではなくて先生ですら滅多に読まなさそうな難しい数式や科学の本とかをずっと読んでいたの。

 

ボクは幼い頃から他の子に比べて頭が良かったみたいで学校の授業は全部理解しちゃってたし、それに好奇心が強いのかそれ以上の事を知りたくてずっと本を読むようになったんだ。でも周りの皆にも覚えた事を話そうとしても

 

「こよりちゃんの言ってることむずかしくてぜんぜんわかんないよ〜!」

 

「そんなむずかしいはなしつまんないよ!それよりみんなでお外であそぼうよ♪」

 

……って言われてまともに話すら聞いてもらえなかったの。そこで気づいちゃったんだ……ボクは他の子に比べて学力も理解力も上なんだって。そう考えたら周りの子達の会話が全部中身のないつまらない話にしか聞こえなくなってしまったんだ……

 

だからと言って皆を見下すような事はなかったけど、それでもボクの話を理解出来ない皆と一緒にいてもつまんなくなっちゃって、いつしかボクは学校の殆ど誰とも関わらずなってママのお迎えが来るまでずっと図書室で本にのめり込んでたんだ。

 

そんなボクを周りももう関わってこなくなったけど、読書の邪魔をされなくなったから別に良いんだけどね?

 

「うーん、もうちょっとだけ時間があるからあと一冊は読みたいなぁーガララララッーん?」

 

「あれ、まだ本読んでた子がいたのか?」

 

新しい本を読もうとしたタイミングで誰かが図書室に入ってきた。最初は先生かな?って思ったけどどうやら高学年の男の子みたいだけど……?

 

「えっと、君ってもしかして低学年の子かな?もう結構遅いけどまだ帰らなくても大丈夫なのか?」

 

「…………別に、まだママが迎えに来るまで時間があるから此処で待ってるんだもん」

 

……まぁ他の子が珍しく図書室に来た事にちょっとびっくりしたけどボクには関係ないからすぐに新しい本を取る事にした。

 

……ん、んん〜!よ、読みたい本が上にあって取れない……わわッ!?

 

ーポスッー

 

「おっと、大丈夫か?」

 

「ふぇ?…………ッ!?///」

 

え?え?な、何?ボク今どうなってるの?今本を取ろうとして台に乗ったけど届かないから背伸びしたらバランス崩して……あれ?でも倒れてないって事は……さ、さっきの男の子がボクを助けてくれたの?っていうかボク今男の子に背中支えられてる?!

 

「え、えと、えっと……あ、ありがと……///」

 

「いや、取り敢えず君に怪我がなくて良かった。ほら、もう立てるか?」

 

あ…………ボクが大丈夫って分かったら男の子が離れちゃった……ってボク一体何考えてんの?!なんでボク今ちょっと残念そうにしちゃってたの!?

 

「?そういや君、この本が読みたかったんだよな?ほいこれ」

 

「あ、ありがと……」

 

男の子はそう言ってこよが読みたかった本、『偉人伝アイザック・ニュートン』を取ってくれた。と言っても多分この子も他の子と一緒でつまらないとかよく分かんないとか思ってるんだろうな…………

 

「それにしてもニュートンかぁ。君、まだ一年か二年生なのによくそんな難しいの読むんだな?」

 

「……別に難しくないよ。まぁ皆からしたらこの人が一体どんな人かなんて分からないもんね「ん?知ってるぞ、万有引力の法則を発見したイングランドの学者だろ?」……え?」

 

……え?この子、ニュートンが何をした人なのか答えれた?もしかして高学年だから?でもニュートンって小学校じゃ習わないって前に先生が言ってた筈……?

 

「……君、なんでニュートンの事知ってるの?ニュートンって小学校じゃ習わないって先生が言ってたのに……?」

 

「あー、実は俺の姉貴が学者志望でな。昔から難しい本ばっかり読んでいたから俺も妹も興味本位でずっと一緒に読んでたんだよ。まぁ兄貴は全然興味なくてずっと筋トレしてるけどな?」

 

お姉ちゃんが学者志望……それでずっと一緒に本を読んでたんだ?

 

「けどニュートンって結構面白い逸話もある偉人だよな?りんごが木から落ちるのを見て万有引力の法則を発見したって話だけど、ニュートン自身が記した記録とかにはそういうのは書かれていなかったっていうしな」

 

「え!?じゃあニュートンのりんごが落ちて万有引力がって話はどっから出たの?!」

 

「それはニュートンの友人であるウィリアム・ステュークリって人の書籍に書かれているニュートンとのやりとりの中でその話が出てたってところからそう言われるようになったらしいな。だからニュートンが実際にりんごが木から落ちたところを見て万有引力の法則発見!ってなったのかどうかは定かじゃないらしい」

 

そ、そうだったんだ……!?何時も読んでた本には其処まで書かれていなかったから分かんなかった…………

 

「ってごめんな、読書の邪魔しちゃって。俺は端の方で勉強するからゆっくり読んでて良いよ」

 

「う、うん…………ねぇ、それって宿題?じゃあお家でやったりしたら良いんじゃないの?」

 

「ん?いや、宿題はもう授業中に終わらした。今は姉貴から友愛数を調べろっていう課題出されたからそれをやろうと思ってな」

 

………友愛数?なんだろう、聞いた事もない。友愛数っていうからきっと何かしらの相性的な数字だと思うんだけど……?

 

「ねぇ、友愛数って何なの?」

 

「んー、友愛数っていうのは……約数って分かるかな?自身の数字を割り切れる整数っていう意味なんだけど……」

 

「知ってるよ、簡単に言えば割り算でちゃんと割り切れる数字の事でしょ?」

 

「そうそう、それで友愛数というのは互いの数字が自身を除いた約数を足すともう片方の数字になるっていうものだ」

 

?互いの数字が自身の約数を足すともう片方の数字なる?どういう事?

 

「例えば220と284って数字があるだろ?まず220の約数は小さい順から1,2,4,5,10,11,20,22,44,55,110,220となっている。これを自身以外、つまり220を除いて残りの数字を全部足すと284になるんだ」

 

「えっと…………あ、本当だ!?」

 

「逆に284の約数は小さい順に1,2,4,71,142,284となる。これもさっきと同じように自身以外の約数を足すと220になるんだ。こんなふうにお互いの自身以外の約数を足した数がもう片方の数字と同じになるもの同士を友愛数っていうんだ。いわゆる完全数と言われる物と似た括りの一つだな」

 

…………凄い。この子、今まで見てきた他の子達と明らかに違う。ボクの中に眠ってたさらなる好奇心がどんどん湧き上がってくるのが分かるくらい今ボクは興奮している!

 

「ねぇねぇ、それボクも一緒にやっても良いかな!?ボクもその数式に凄く興味が湧いてきちゃった!」

 

「え?いや別に良いけど……?」

 

「本当!?じゃあ早速やろうよ!あ、ボクの名前は博衣こより、一年生だよ!こよりって呼んでね♪」

 

「あ、あぁ分かった。俺は六年の佐々木玲二だ、呼び方は好きにして良いぞ」

 

「うん、よろしくね玲二君♪」

 

それからボクと玲二君はその日はママが迎えに来てくれるまでずっと一緒に友愛数を調べてた。今まで本だけを読んでいた日々と違って初めてボクの心が満たされた気分になったんだ。その日を境にボク達は放課後になると一緒に本を読んだり難しい問題を解きあったりしてとても楽しい一時を過ごしていってとても楽しかった。

 

 

 

………そして季節は巡って冬、其処でボクが玲二君に固執するきっかけとなる出来事が起きた。

 

 

 

「あー寒ッ!やっぱり冬は寒いね〜……ってあれ?」

 

何時ものように放課後図書室に行くと其処には既に玲二君がいたんだけど、部屋の暖房が効いてて暖かったからかテーブルにうつ伏せながらすやすやと眠ってた。玲二君が寝てるとこ、なんだか初めて見たなぁ……

 

「……玲二君の寝顔、なんだか可愛いなぁ♪何時もと違って新鮮な感じ……あれ?」

 

その時、ボクの目の前に椅子に一着のパーカー掛けられているのが写った。今この場にはボクと玲二君しかいない……という事はこれは玲二君のパーカー?多分暖房が効いてて暑かったから脱いじゃったのかな?

 

「……………………」

 

ー……ガシッー

 

…………ッ!?な、何してるのボク?!玲二君のパーカーなんて持ってどうするつもり?!///

 

頭ではパーカーを戻さないと、そう思ってても身体が言う事を聞かずパーカーは徐々にボクの顔に近づいていく。そして……

 

ーポスンッ……スーハー……ー

 

「ッ!??!//////」

 

ービクンッ!ビクンッ!ー

 

顔を埋め深呼吸をした瞬間、ボクの脳内がスパークした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(な……なにこれぇ♡パーカーかられいじくんのにおいがはなからはいってボクのあたまのなかをしんしょくしてくりゅうぅ♡ボクののうないかいろがショートししょうだよぉ〜……♡///)

 

玲二君のパーカーの匂いが一瞬でボクの脳内を支配していく。これは後に理解したんだけど、これがボクの小学一年生にして初めての絶頂だった。

 

(はぁ、はぁ……玲二君の匂い、最ッ高ぉ〜♡パーカーでこれだったら、直に嗅いだらどうなっちゃうんだろぉ……?///)

 

ボクは気づいたらパーカーを椅子に掛けてフラフラと玲二君に近づいていた。最早頭の中も本能に従順になっていて、そのまま玲二君の背中に抱きつき玲二君の髪の毛に顔を埋めていった。

 

ースンスン、スンスン、スーハースーハー……〜ッ♡♡♡ー

 

(はぅわぁ〜ッ♡玲二君の匂い、とても強くて濃い匂いッ♡ボクの心を掴んで放さない魅惑的な匂いッ♡はうぅ〜ん♡このまま玲二君にずっとくっついていたい♡玲二の事が欲しくなっちゃうよぉ〜ッ♡♡♡)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………こより、お前一体何してんだ?」

 

 

 

「……………………え?」

 

 

 

…………こよりは馬鹿だ。こんなの少し冷静になって考えたら分かる事じゃん?こんな至近距離で抱きついて匂い嗅がれたらそりゃ大体の人が起きるに決まってる。けど冷静さが欠けた今のボクには現状を理解出来ず、数秒経ってからやっと玲二君が起きてた事に気づいてしまった。

 

「……………………ッ!?!?い、いいい…………いやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!?//////」

 

「えぇ!?お、おいこより?!おいちょっとぉッ!?」

 

そしてボクはあまりの恥ずかしさに顔を真っ赤にしながら図書室を飛び出してしまった…………なぁんで玲二君あのタイミングで起きちゃうのさぁーーーーーーーーーッ!!?//////

 

 

 

それからこよりは玲二と会う度に顔が真っ赤になってしまいまともに顔を合わせる事が出来ないまま玲二は小学校を卒業してしまった。だが其処で終わらないのが後のholoXの頭脳となる博衣こよりであった。

 

「…………うん、完成!世界初ステルス機能アーンド光学迷彩搭載のドローン!これで玲二君の事を影から見守る事が出来るよぉ〜♡」

 

なんと小学生ながらに自前でドローンを作成し其処から得た映像で玲二を見守るというのだった。このピンクコヨーテ、小学生にして最早完全なるストーカーである。

 

「はうぅ〜ん♡これで玲二君の隅から隅まで見守ってあげるからねぇ〜♡」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

っていうのがこよと玲二君の出会いだよ♪どうだったかな助手く…………あれ?なんでなんにも言わずに立ち去ろうとしてんの?!聞いてきたのそっちでしょぉ!?

 

こよりと玲二のエピソードを聞いてドン引きした助手くんは無言で部屋から出て次の娘に話を聞く事にしたのであった。

 

 

 

ー博衣こより編 完ー

 

 

 

 

 

ールイス・キャミーー

 

え?玲二君との出会い?それを聞いてどうするの?……え、皆も話してくれてる?うぅ〜、職業上あまり話したくないんだけど、皆も話してるなら話さないといけないよね?あれは、とある富豪の家にあった黄金像を盗んでた時の事ね……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いたぞ!彼処にいるぞ!」

 

「怪盗LC!今日こそは貴様を捕まえてやるッ!」

 

「フフ、そんな簡単には捕まったりしないわ♪」

 

今私はとある依頼人に頼まれこの街を牛耳ってる悪徳な富豪から盗まれた時価数億円の黄金像を取り返し屋敷から抜け出している最中だった。思ってたよりも警備が手薄で楽に仕事が終えられて助かるわ〜♪さ、早いとこ帰って依頼人に報告しないと。

 

「待てぇーーー!今日こそは捕まえて見せますよ怪盗LC!」

 

「げ!?なんであのへっぽこ探偵までいるの?!ま、まぁあいつに関しては放っといても別に問題はないから良いけど単純に嫌なのよね……」

 

そんな私を追い掛ける追手の中には何時も私の事を追い掛け回すへっぽこ探偵の姿もあった。あいつ、私が仕事する度に現れて邪魔してきてウザいんだよなぁ……ま、大して邪魔にもなってないから別に良いんだけどね?さて、この塀を越えれば後は近くに用意した私の車で逃げて……

 

「クソオォッ!これでも喰らいなさいッ!!」

 

ーブンッ!ヒュウゥゥ〜………ガコンッ!ー

 

「…………え?」

 

な、何?あのへっぽこ探偵、私に向かって石投げてきたけどガコンって……ってえぇ!?

 

ージジジッ……ボンッ!ー

 

「あぁ!?私のルパンアームが!?」

 

あのへっぽこ探偵が投げた石がまさか私の右腕に装着しているルパンアームに直撃して、しかもそれが壊れてしまった!?

 

……突然だけど私、ルイス・キャミーには弱点がある。それは自分でもびっくりする程腕力がないのだ。普段でも重たい荷物は持てないので買い物で重たい物を買う時はネットを利用する程なの。だから私は怪盗の仕事をする際にこのルパンアームと呼ばれる強化装置を装備して腕の力を飛躍的にアップさせている。そんなルパンアームが壊れたという事は……

 

ーズンッ!ー

 

「ッ!?お、重いぃぃ〜…………!?」

 

右腕に抱えていた黄金像が先程まで雲のように軽く感じたのに急に元の重量が掛かり身体のバランスを崩しそうになってしまう。そもそもこの黄金像、片手で持てるサイズだけどその重量はなんと24kgもあって非力どうこう以前に並の女の子が片手で持てるような代物じゃなかったの。そして……

 

ーツルッ……ー

 

「あ…………!?」

 

そのままバランスを崩してしまった私は足を滑らせてしまい塀の外側に落下してしまった。

 

ードッシィーンッ!ー

 

「うぉ!?な、なんだぁ?!」

 

うぐ……ッ!?い、今ので頭打っちゃった…………ち、近くに誰かいるみ、たいだけ、ど…………ヤバ……いし、き……が…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………う、うぅ〜ん……ハッ!?こ、此処は……?!」

 

あ、あれ?私は一体…………そうだ!確かさっきあのへっぽこ探偵の所為で私のルパンアームズが壊されて、それで確かバランス崩して落ちて頭打っちゃって……え?じゃあ此処って一体何処?どうみても牢屋ではないけど……?

 

ーガチャッー

 

「お、漸く目が覚めたか?」

 

「え……あ、貴方は?」

 

「あぁ、驚かせてしまったならすまない。あんたが急に目の前で降ってきた時はびっくりしてな。しかもその後塀の中から慌ただしい声が聞こえてきて多分あんたが彼処から逃げ出そうとしたんだと思って思わず連れて来てしまったんだ」

 

つ、連れてきた!?え、この人気絶していた私を此処まで運んだって事?!

 

「え、な、なんで?!普通塀の上から来てしかも逃げ出そうとしてるなら普通相手に引き渡すとこじゃないの?!」

 

「あー普通ならな。だが彼処は悪名高い毒蝮の屋敷だったからな。彼処は借金している相手に若くて綺麗な女性がいたらその借金の肩代わりに女性を連れ去っていくって話だ。先月も女性が逃げそうになった所を黒服の連中に取り抑えられてしまったって聞いてたし、あんたももしかしたら同じ目に合ってると思って連れてきたんだが………その口ぶりだと違うみたいだな?」

 

そんな事までしてたのあの富豪!?いやそれよりもこの男、私が人攫いされたんじゃないって分かった瞬間物凄く鋭く睨んできてんですけど!?ま、まさか私このまま警察に突き出されるんじゃ…………!?

 

「……なんてな。まあ一緒に落ちてきたこの黄金像を見ればあんたがこれを盗りに侵入したのは容易に想像出来るさ。しかもあの毒蝮の屋敷から盗ってきたって事は大方どっかから依頼されてこの黄金像を取り返しに来た怪盗ってとこだろ?」

 

ッ!?!?こ、この男、私が持ってた黄金像を見て其処まで判断出来たの?!あのへっぽこ探偵よりも全然冴えてるじゃない!?

 

「そ、其処まで分かるなんて……それで、貴方は私の事どうするつもりなの?まさかこのまま警察に「別にどうもしない、このまま帰るなら好きにしな」……え?!」

 

「ん?どうしたそんな驚いて?まさか本当に警察に突き出されると思ってたのか?」

 

「あ、いや、その……な、なんで私を警察に突き出さないの?自分で言うのも変だけど普通ならこんな怪しい怪盗なんて匿う必要なんて……」

 

そう、怪盗なんてどんな綺麗事を掲げようが所詮は泥棒。相手が如何に悪人であろうとそいつから盗みを働いている事には変わりないのだ。そんな犯罪者を匿うなんて普通ならしないはずなのにこの男はなんで……?

 

「まぁ普通なら確かに匿うなんて事しねぇよな?けどあんたがあの怪盗LCだって言うなら話は別だから」

 

「ッ!?な、なんで………貴方なんで私が怪盗LCだって分かったの?!」

 

「いや認めるんかい?まあ良いんだが……俺の知り合いの探偵やってるシェリンって奴がいるんだが、そいつがよく怪盗LCの事を話してたからな。その時聞いた話に出てきた特徴とあんたが一致する点が多かったのとあの毒蝮の屋敷から黄金像持って出てきたのを見てほぼ間違いないと思ったんだよ」

 

えぇぇぇぇーーーッ?!こ、この男あのへっぽこ探偵の知り合いだったの!?しかもこの洞察力間違いなくあのへっぽこよりも上じゃない!?

 

「怪盗LCが悪人からお宝を取り返したり貧しい人達に支援をしているのは知ってるからな。あんたを目の敵にしているのは悪徳な金持ち達だけだろ。シェリンもあんたを追いかけてるのは怪盗としてではなくて自分と同じ探偵として悪い奴等を捕まえてほしいって言ってたしな」

 

「そ、そうだったの……?」

 

あのへっぽこ探偵、そんな考えで私の事追いかけ回してたの?!初めて知ったんだけど!?けどあいつはあいつなりに私の事を心配してたって事よね………

 

「…………ま、でもあいつと一緒に探偵やってたら面倒事の方が多くなりそうだけどな?あいつ推理力はそこそこあるけど肝心なところで結構やらかすからなぁ」

 

「あ、それ分かるかも。この間だって清掃員に変装した私に気づかずに普通にスルーしてたしw」

 

「あーやっぱりか。あいつこの前だって猫探しの依頼受けたのに捕まえる目前で顔引っ掻かれてそのまま逃げられてたしな。結局その後手伝わされて俺が捕まえたけど」

 

あ、なんか今日のへっぽこ探偵顔に引っ掻き傷があったと思ってたけどそれだったのね?それにしてもあの探偵、私相手じゃなくても結構失敗してるなんてねw

 

 

 

 

 

それから私と彼は話が盛り上がってしまい気づけば明け方までお話しちゃってたんだけど、なんだか久々に楽しい時間を過ごせた感じがする。そう言えば先代から引き継いで怪盗になってからこうして誰かとお話なんて殆どしてなかったような気がするわ…………

 

「……ねぇ、ちょっと聞いても良い?貴方はどうして私を警察に突き出さないって言ったの?さっきは私の事を恨んでいるのは悪徳な富豪だけだって言ってたけど、それでも私がやってる事は……」

 

「……まぁ確かにお前のしてる事は紛れもなく泥棒だからな。でもお前を捕まえたってそれで喜ぶのは悪徳富豪の連中と名誉ばかりを気にする一部の警察上層部だけだ。そんな奴等の為にお前を捕まえる気なんてサラサラないさ」

 

「そ、そう?じゃあ「あ、でもな」え?」

 

「余計なお節介かもしれないが、もう無茶な事だけはしないでくれ。今回も偶々俺が近くにいたから良かったものの、そうじゃなきゃお前今頃牢屋の中だったんだからな?」

 

「…………心配してくれてるんだ?ありがと♪けど、やっぱり私は怪盗である事に誇りを持ってるから。先代であるお母さんもそうだったけど、世の中にいる金と権力で支配しようとする奴等から苦しめられている人達の大切な物を取り返したい。だから私はこれからも怪盗を辞めるつもりはないよ」

 

そう、私のこの気持ちは昔から変わらない。澄ました顔して貧しい人達の大切な物を奪う奴等から奪い返す。これは歴代から続く怪盗LCの、そして私自身の信条だから。

 

「そっか、なら俺からはもう止めはしないさ」

 

「そう?なら私はそろそろ「けど、だったら俺も協力するよ」ッ?!な、何を言ってるの!?私のやってる事は危険な行為なんだよ!?それを協力するだなんて……?!」

 

「それ言ったらお前一人でやらせるのはもっと危険だろ?大丈夫、俺自身身体能力にはちょっとばかし自信があるし、俺の仲間には優秀なハッカーとかもいるから情報収集も今以上にやりやすくなると思うぞ?」

 

「で、でも「でもも何もない。これは俺がやりたいと思ったからやるんだ。それに仲間のハッカーもこういう情報収集は好きだから必ず協力してくれるさ」……どうして?どうして貴方は其処まで危険な事をしてる私に協力しようとしてくれようとするの?」

 

「……俺も、昔から理不尽に周りを苦しめる奴等が気に入らなかった。人を見た目や種族で馬鹿にしてくる奴、相手を騙して奴隷のように監禁しようとする奴、そんな酷い連中を俺は沢山見てきた。だからそんな奴等が好き勝手しているのは我慢出来ないんだよ」

 

…………そっか、この人も平気で人を苦しめる奴等が許せないんだ。それも今の言い方だと私よりも身近にそういう奴等を見てきたんだろう……なんだか彼、少しだけ私に似てる気がしてきたな。

 

「だからお前がまだ怪盗を続けると言うなら俺はお前に協力したいと思ってる。そして、何があっても必ずお前を守ってみせるよ」

 

「…………アハハ♪何それ?まるでプロポーズみたいになってるよ?」

 

「…………あぁ、言われてみたらそうだな?」

 

「フフ、本当に変わった人だね?…………ルイス・キャミー、それが私の名前よ。それで、私の相棒になってくれる貴方の名前は?」

 

「佐々木玲二だ、よろしくな」

 

こうして私と彼、玲二君は固く握手を交わしパートナーとなった。その後玲二君の紹介でハッカーの黛君を紹介されて怪盗稼業を再開したけど……玲二君、お宝を取り返すだけじゃなくて相手の悪事を全て公表して徹底的に潰していて私以上に容赦なかったわ…………

 

そしてその後に玲二君の紹介で表立って仕事出来る場所としてにじさんじって所を紹介してもらったんだけど、まさかあのへっぽこ探偵もいるとは思ってもいなかったわ……まぁ向こうが私の正体に気づいたのはデビューして一年経った頃だけどね?

 

それからアイドル業、怪盗業を玲二君と一緒にこなしている内に何時の間にか彼の事が好きになっていたの。きっと彼となら何処までもやれる気がする、そう思える程に…………だから玲二君、何時の日か貴方の心を盗んであげるからね♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………ん、んん……まだ二時かぁ……」

 

「スゥ、スゥ……」

 

現在私は玲二君と同じベッドで寝ている。私のお腹は今新しい命が宿っていて大きく膨らんでいる所為で怪盗の仕事は出来ないけど、それでも私の心はとても満ちているわ。

 

「……玲二君、貴方がいてくれたから今の私がいるの。だから本当に有難う、そしてこれからもよろしくねマイダーリン♡」

 

ーchu♡ー

 

眠ってる玲二君の頬に軽くキスをして私はもう一度眠りにつく。来月には産まれてくる私達の子供“達”、楽しみだなぁ〜♪

 

 

 

ールイス・キャミー編 完ー




はい、という事で今回はポルカ、こより、ルイスの三人との出会い回でした!結構スラスラと書けて自分でもびっくりしてます(;´∀`)
次回は残り五人の内三人ほど書いてその次に残りの二人を書きたいと思いますので次回もまったりと待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第139話『貴方と出会って7』

気づけばこの小説のお気に入り登録も1500件を超えていました。こんな趣味や妄想前回の小説をお気に入り登録して頂き感謝です!

これからも変わらずこの小説を続けて行こうと思っておりますのでどうぞよろしくお願いします!!m(_ _)m

今回は貴方と出会っての続きです!前回三人で15000文字超えてしまったので今回は二人にしましたがそれでも10000文字に……(-_-;)
今回も最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


ーフレン・E・ルスタリオー

 

はい?玲二さんの事を好きになったきっかけ?そう言えばそんな事を聞いて回ってる人がいるって聞いた事があるけど貴方がそうなんですか?

 

まぁ特に隠す必要もないから答えますけど!あれは私がまだコーヴァス帝国にいた頃の話ですね…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー十数年前ー

 

「フレン、そろそろ支度は済んだか?」

 

「はいお父様!もう準備万端です!」

 

コーヴァス帝国……天界にある国家の中でも騎士の家系が多いこの国に産まれた私も当然のように騎士の家系の娘として育ち、小さい頃からあらゆる武術を師匠である父から叩き込まれていた。

 

そして今日はこの国の同盟国であるお菓子の国との合同訓練に初めて参加させてもらえる事になって私はウキウキしながら今年買ってもらった防具を装備し、いよいよお菓子の国へと向かう準備を終えていた。

 

「うむ、では早速お菓子の国へと向かうとするか。シャルル、我々が留守の間家の事は頼むぞ」

 

「えぇ、貴方こそ無理をなさらずに。フレン、相手の方々にはくれぐれも無礼な真似はしてはいけませんからね?」

 

「はい!では母上、行ってまいります!」

 

こうして私は初めての遠征に興奮を抑えきれず急いで家を飛び出していった。一体どんな訓練が待ってるのか、楽しみだなぁ♪

 

「こらフレン、そっちは空港とは違う道だぞ!全くあの子は本当に世話の掛かるのぅ」

 

「……そういう貴方こそ、そっちの道は空港とは真逆ですわよ?」

 

結局私はお父様譲りの方向音痴の所為で少し遠回りをしてから空港に辿り着いた。お父様と一緒に騎士団長に怒られたけど、これからの事を考えたらへっちゃらだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数時間後、私達は隣国であるお菓子の国の宮殿に招かれ私達は演習前に向こうの騎士団達との交流会を行っていた。周りの騎士達はそれぞれお喋りしてるけど、やっぱり私と同じくらいの子なんていないなぁ……

 

「ほぅ、そちらが新しく入隊したという子ですか?」

 

「あぁ、我が娘のフレンだ。フレン、お前もご挨拶しなさい」

 

「は、はい!フレン・E・ルスタリオともうします!よろしくお願いします!」

 

「おぉ元気な子ですね。それでしたらこちらも彼を紹介しましょう。佐々木くん、こっちに来てくれるかな?」

 

「あ、はーい」

 

向こうの騎士団長の人が呼ぶと向こうから赤ちゃんをおぶった男の子がやって来た。お菓子の国にも私みたいな子供の騎士がいたんだ?でもなんで赤ちゃんをおぶってるんだろ?

 

「どうかしたんですか騎士団長?」

 

「いやね、君ならこちらのお嬢さんと歳が近いから彼女のお話相手になってもらえないかと思ったんだがどうかな?」

 

「話相手に?別に良いですけど……佐々木玲二です、よろしく」

 

「は、はい!フレンです!よろしくお願いします!」

 

私は目の前にいる男の子、玲二さんに握手を求められたのでそれに応じた。うわぁ、男の子の手ってこんなにもしっかりしてるんだぁ……///

 

「むぅ〜……んなぁ〜!」

 

「うぉ?!る、ルーナ!急に暴れるなって!?」

 

そんな私達が握手をしていたら彼がおぶってた赤ちゃんが急にバタバタと暴れ始めた。え、急に一体どうしたの?

 

「いやすまない、ルーナは何故か俺が他の女の子と一緒にいると不機嫌になるんだよ」

 

「なぁ〜!」

 

「そ、そうなんですか……あれ?ルーナってたしかこの国のお姫様の名前だった気が……?」

 

「ん?あぁ、そうだ。この子がこのお菓子の国のお姫様、姫森ルーナだ」

 

「んな!」

 

な、なんと!?この赤ちゃんがルーナ姫!?一国のお姫様がどうして新兵の子におぶさってるの?!

 

「ご、ごめんなさい!まさかルーナ姫が此処にいると知らなかったからつい呼び捨てしちゃって……!?」

 

「まぁ知らなかったなら仕方がないんじゃないか?そりゃこんな一般人の背中に一国のお姫様がおぶさってるなんて誰も思わないだろ?」

 

「んなぁ!」

 

ま、まさかこの国のお姫様がこんな所にいるなんて思わなかった……あれ?一般人?

 

「あ、あの、あなたってお菓子の国の騎士じゃないんですか?」

 

「ん?いや、俺は地上界から来たルーナの遠い親戚だ。今日はルーナが俺に会いたいって駄々をこねたみたいでこうして呼ばれたんだよ。な、ルーナ?」

 

「んなぁ〜♪」

 

?えっと、つまり……玲二さんはルーナ姫の遠い親戚って事は、玲二さんも王族の人って事!?ど、どうしよう!?さっき軽々しく握手しちゃったぁッ!?

 

「…………なんか勘違いしてるみたいだが俺は別に王族ではないぞ?俺の曾祖母さんが双子でその妹がルーナの曾祖母さんってだけだから」

 

「え?そ、そうなんですか?」

 

よ、よく分からないけどつまり玲二さんは王族ではないって事で良いんだよね?良かったぁ〜、もし玲二さんが王族の人だったら私なんかが安々と話して良い相手じゃなかったし。

 

 

 

 

それから数分後……

 

「へぇ、ルスタリオってまだ十歳なのにもうコーヴァス帝国の騎士団に入隊したのか?」

 

「はい!とは言ってもまだ実戦とかは参加出来ないんですが、いつか私もお父様みたいな立派な騎士になるのが目標なんです!」

 

あれから私は玲二さんとすっかり打ち解け今ではすっかり会話を楽しでいる。ルーナ姫はすっかりおねむなのか玲二さんの背中におぶさったままぐっすりと眠っているけど、私が玲二さんに触れそうになると寝てる筈なのに唸ってくるのはなんで?

 

「おーし!それじゃあそろそろ演習を始めるぞ!各自自分の訓練用の武器を準備して訓練場に向かうように!」

 

『はいッ!』

 

あ、もうそんな時間になったんだ?じゃあ私も早く行って支度しないと。

 

「それじゃあ呼ばれたので行きますね。玲二さん、また後で」

 

「おう、またな」

 

さーて、ホントはまだまだお話とかしたかったけど演習だから仕方ないよね。それじゃあ武器を持って訓練場に行かないと!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………ってなんでこんな事になってるんだろう?」

 

「それではまずは先方試合としてコーヴァス帝国よりフレン・E・ルスタリオとお菓子の国より特別参加の佐々木玲二の対決を行う!」

 

「…………いやなんで俺まで参加させられるんだよ?」

 

いや本当になんで?!訓練場に着いて早々に呼ばれたと思ったらさっき別れたばっかの玲二さんがいたんだけど!?え、玲二さんって別に騎士団に所属してるワケじゃないんだよね?なのになんで?!

 

「実は最初はフレンちゃんの相手はちゃんとした騎士団のメンバーにしようと思ってたんだが、こちらにはどうしても君と歳が近い者がいないから急遽玲二君に参加してもらう事にしたんだよ。でも安心してくれ!彼はこう見えて実力は騎士団の新兵レベルはあるぞ!」

 

「いやいや、一般中学生の俺が新兵レベルとかって言い過ぎでしょ?」

 

そ、そんなに強いの玲二さんって!?わ、私は本格的な演習はこれが初めてだけど、ちゃんと戦えるのか不安になってきちゃった………?!

 

「勝敗は相手に一撃を与えるか参ったと言わせた方が勝ちとする。それでは、はじめぇッ!!」

 

ッ!と、兎に角考えるのは後!まずは目の前の相手に全力で挑む!玲二さんには悪いけど、速攻で倒させてもらいますッ!

 

「でりゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」

 

ーバッシイィィィィィンッ!ー

 

「……ってえぇぇぇぇッ!?」

 

な、何で!?なんか玲二さん私の振り下ろした木刀を指二本で止めちゃったんだけど?!そんなの出来るのってマンガやアニメの世界だけじゃないの?!

 

「……イッテェーーーッ!?思ってた数倍痛ぇーーーッ!!」

 

って痛いんかい!?じゃあ出来るって確信あってやったワケじゃないの?!

 

「イテテ、父さんの真似事なんてするんじゃなかったわ。普通に痛いなコレ……?」

 

「…………え、玲二さんのお父様って普通にそれ出来るの?!えっと、玲二さんの家系って本当に一般人なんですか……?」

 

「ん?まぁ普通に一般人といえば一般人だな。割りと昔からトレーニングとかはしてるけどそれ以外は特に何もしてないからな」

 

そ、そうなんだ……?ま、まぁちょっと驚いてしまったけど、それなら遠慮なく全力でいかせてもらいますッ!

 

「ハァァァァーーーッ!」

 

「よっ!ほっ!はっ!」

 

ーガキィンッ!ガキィンッ!ガッキィンッ!ー

 

だ、ダメだ、全部防がれてしまう!?まるで私の動きを読んでるみたいに……!?

 

「おーし、今度はこっちの番だな。いくぞルスタリオ!魔神剣(真似)!」

 

ーブオォンッ!ー

 

「ッ?!危なッ!?」

 

な、何今の?!玲二さんの振った木刀から衝撃波が飛んで来たんだけど!?

 

「からのぉ……風神剣(真似)!」

 

ービュウゥンッ!ー

 

「キャアッ!?」

 

こ、今度は何?!なんか風まとった突きをされたんだけど?!これ絶対に玲二さん一般人なんかじゃないでしょ!?

 

「ちょ、ちょっと待ってくださいよ!?なんですか玲二さんのその技は?!」

 

「ん、これか?これは俺のやってたゲームの技を見様見真似でやってみたんだよ。案外イケるもんなんだな?」

 

えぇぇぇぇッ!?そんな技が覚えられるだなんて、ゲームって凄い……!?

 

※普通は見様見真似では出来ません。

 

「さぁて、そろそろトドメといきますか!ハァァァァ……ッ!」

 

ッ!す、凄い気迫……これは間違いなくまともに受けたらやられてしまうッ!?そう思って私はとっさに木刀を構えて防御態勢をとった。そして玲二さんはそのまま高くジャンプして……

 

「ハァァァァッ!轟絶・魔神ケェェェェェェェンッ!!」

 

ードッカアァァァァァァァァァァァァァァァンッ!!ー

 

「キャアァァァァァァーーーッ!?」

 

そのまま私の目の前で木刀を振り下ろし凄まじい衝撃波を放ち、その衝撃で私達の木刀は砕け私もふっ飛ばされてしまった。

 

「其処までッ!両者の武器が同時に損壊!よってこの勝負引き分けとする!」

 

……お互いの木刀が壊れた事で試合は引き分け。でもこの勝負は誰が見ても私の完敗だ。悔しいなぁ………

 

「大丈夫かルスタリオ!?すまない、つい本気になってしまった……」

 

「…………いえ、確かに悔しいですけど、此処まで一方的に負けると逆に清々しいです。でも、次やる時は絶対に負けたりしませんからね!」

 

確かに負けて悔しいけど、でもそのお陰で私には明確な目標が出来た。この人を、玲二さんを超える強い騎士になってみせるって目標が!

 

「そっか、なら俺もそう簡単に負けるワケにはいかないな。ほら、立てるか?」

 

「あ、ありがとうございまーガシャーンッ!ー……え?」

 

…………あれ?今立ち上がった瞬間に何かが落ちたような……それになんだか胸元がスースーするような…………ツ!?//////

 

「き……キャアァァァーーーーーーッ!!」

 

ーバッゴォォォンッ!!ー

 

「ブヘラァッ?!」

 

……さっきの衝撃波でどうやら私の防具が壊れ、更にインナーも破れて私の成長中の胸が露わになってしまいあまりの恥ずかしさに思わず玲二さんにフルパワーのアッパーをしてしまった。だって女の子だったら胸見られたら誰だって恥ずかしいじゃんッ!!//////

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………なぁルスタリオ?その、胸を見てしまったのは悪かったと思うけどそろそろ機嫌直してくれないか?」

 

「……………………」

 

あれから訓練が終わってみんなで打ち上げに参加していたんだけど、私は玲二さんと目を合わせられずにいた。けれど確かに胸を見られてしまったのは恥ずかしかったけど私が目を合わせられずにいたのはそうではなく玲二さんにアッパーをくらわせてしまった事に罪悪感を感じて目を合わせられずにいたのだ。

 

「……別に玲二さんは悪くないですよ。戦場ではこういった事はよくあるみたいですから」

 

「いやでも見てしまった事には変わらないから……せめて何かお詫びをさせてくれないか?じゃないと俺自身が許せないからさ」

 

お詫びだなんて、玲二さんは本当に悪くないんだからそんな事しなくたって………でもそれなら

 

「……フレン」

 

「え?」

 

「私の事はルスタリオじゃなくてちゃんとフレンって呼んでください。それと、明日一緒にこの街で有名なパフェのお店に行きましょう。それでこの話はチャラにしてあげます」

 

「あ、あぁ……分かったよフレン。是非奢らせてもらうよ」

 

……別に奢って貰わなくてもいいんですけどね?でもこれで玲二さんとお出かけが出来る!楽しみだなぁ〜♪

 

 

 

……出会った時からなんとなく玲二さんに惹かれていた。正直この気持ちの正体はこの時はまだ分からなかったけど、それでも玲二さんと一緒にいられるこの一時は本当に暖かい気持ちになれたんだ。だから玲二さん、こんなドジな私だけどこれからもよろしくね♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃……

 

「うなぁーーーーーーッ!!」

 

「た、大変だ!ルーナ姫がご乱心になってるぞ!?」

 

「お、落ち着いてくださいルーナ姫!?今新しいおやつをお持ちしまーバコーンッ!ーあ痛ぁッ!?」

 

玲二とフレンが良い感じになってるその頃、何かを察したのかルーナの機嫌が大層悪くなり周りにある哺乳瓶やガラガラ等のおもちゃを周りに投げながら暴れ出したのであった。

 

 

 

ーフレン・E・ルスタリオ編 完ー

 

 

 

 

 

 

 

ー樋口楓ー

 

あ?玲二さんとの出会いやって?なんであんたに話さなきゃアカンのや?ってかお前誰や?場合によっちゃお前の事……は?こよちゃんとこの助手?こよちゃんの命令で皆に聞いて回ってる?なんじゃそりゃ?…………まぁそれなら少しくらい話したるわ。あれはまだワイが高校に入学したての頃やな…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー数年前ー

 

ーバキッ!ドゴォッ!ー

 

「ぶへぇッ!?」

 

「つ、強ぇッ!?この女マジでヤベェぞッ!?」

 

「チクショウッ!覚えてやがれクソ女ぁッ!!」

 

「…………ケッ、んな三下みたいなセリフ吐くヤツ誰が覚えとくか」

 

……あーあ、またやってもうた。あいつら性懲りもなく私に喧嘩売ってきよってからに………

 

「ニャ~……」

 

「おーよしよし、怖がらせて悪かったなぁ〜。怪我とかしてへんかぁ〜?」

 

そんな私の足下に小さな子猫が擦り寄ってきた。この子は前からこの場所に住み着いていたみたいやけど、親猫はいないらしく見つけた時は酷く衰弱しとった。私の家は動物が飼えない環境だったから仕方なく其処で育てる事にして必死の介護の結果、多少歩ける程にまでは回復出来たんや。

 

「ほれ、ごはん持ってきたで、ゆっくり食べな〜♪」

 

「ニャ~」

 

私の用意したごはんを子猫は嬉しそうにあむあむと食べとる。今の私にはこんくらいの事しか出来へんけど、この子が回復するまではちゃんと面倒みとかんとなぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー翌日ー

 

「おい聞いたか?また樋口が他の学校の不良共と揉めたんだってよ……」

 

「また?この間だって二人病院送りにしたって話じゃん……?」

 

「先生達にも注意されてるのに全く聞く耳を持たないって言うし……」

 

「流石鬼神の樋口様ってところか?おぉ怖い怖い……」

 

「……………………」

 

……あいつ等、人が大人しくしておったら好き勝手言いやがって……まぁえぇわ、元々誰かとつるむのは好きやないし、弁解すんのもめんどいから向こうから何もしてこないなら好きなだけ言わせておけばえぇ。

 

……それよりも心配なんはあの子猫や。あの子、今頃どうしとるんかな?最近だと結構動けるようになってるから簡単なおもちゃでも持っててあげよっかな♪なら放課後はまずペットショップに寄ってからあの子の所にいこっか。

 

 

 

 

 

…………そん時はまだ私は知らんかったんや。この後あの子猫にあんな事が起きるだなんて…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おーし、今日は奮発してちゅ〜るも買ってあげたからな、あの子もきっと喜んでくれるやろ♪」

 

放課後になって私は子猫の為にごはんとおやつ、そしておもちゃを買って急いで何時もの路地裏に向かってた。少し遅くなったからあの子も寂しがってるかもしれんしはよ行かんとな。

 

「おーい猫ちゃーん!今日も来てあげたで〜♪今日は特別におやつ、も…………」

 

ーバサッ………ー

 

…………何時もの場所に着いて、その光景を見て持っていた袋を落としてしまった。

 

……なんやこれ?なんであの子が血まみれで倒れとんのや?一体何があったんや?なんで……誰がこんな事しよったんや?

 

「おい!お前どうしたんや?!一体何があったん?!」

 

「…………ミィ」

 

ッ!良かった、まだ息はある!けどかなり衰弱しとるから早く病院に連れてかんとッ!?

 

「おぅ、テメェが鬼神の樋口か?俺の子分どもを随分可愛がってくれたみたいだなぁ?」

 

「…………あ?」

 

子猫を病院に連れていこうとする私の目の前に巨体で坊主の男が現れた。なんやこいつ?

 

「おい、誰か知らんけどとっとと退けや!はよしないとこの子が……!」

 

「あぁん?チッ、まだそいつ生きてやがんのか?チビのクセにしぶといヤツだな」

 

…………あ?こいつ今何言った?まだ生きてやがんのかって、まさかこいつ……ッ!?

 

「………あんたか?この子をこんな目に合わせたんは?なんでこんな事したんやッ!?」

 

「ケッ、うるせぇ女だなぁ?俺はなぁ、大の猫嫌いなんだよッ!それなのにこいつ俺の足に擦り寄りやがったんだ、これは当然の報いなんだよッ!!」

 

「巫山戯んなッ!何が報いや!?この子は衰弱しとって、やっと回復してきたとこやったのに!お前には人の心はないんか?!」

 

「あーもうホントにギャーギャーウルセェ女だなぁッ!?いいか、俺はこの街で一番強いんだ!強いヤツは弱いヤツに何をすんのも勝手、それが弱肉強食の世界なんだよッ!!」

 

ッ!こいつ、なんて自分勝手な奴なんや?!けどこんな奴の相手なんかしてられん、さっさとこの子を動物病院に連れて行かんと!

 

「お前のくだらない戯言なんてどーでもえぇわ!はよこの子を病院に「おっと、行かせるかよ?テメェには俺の子分を可愛がってくれたお礼をたっぷりしねぇとな?おいお前等!こいつにやられた分しっかり仕返ししてやんな!」な……ッ!?」

 

気づけば私の周りに四、五人の不良共が出てきて囲まれてしまった。こいつ等、最初から私に仕返しする為に此処で待ち伏せしとったんか?!何時もならこんな奴等なんて簡単にやり返すんやが、今は子猫を抱き抱えてるから手ぇ出すが出来へん……此処はなんとかしてこの場所から逃げないとアカン!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー数分後ー

 

「ケッ、散々偉そうにしていた鬼神様もこんなもんなんだなw」

 

「しかもこいつ、こんな薄汚い猫守る為に俺達に反撃してこねぇし良いサンドバッグだぜ♪」

 

「ぐ、うぅ…………」

 

……あれから暫くはなんとか向こうの攻撃を躱してたけど背後から不意打ちをくらい其処から集団リンチを受けてしまった。なんとか子猫に被害を受けないようにはしとったけど、その所為でもう身体はボロボロの状態になって倒れてしまっていた…………

 

「…………ミィ」

 

「ぐ……大、丈夫や……わた、しが必ず、お前を助け、てあげ……るから……」

 

「フン、鬼神の樋口と呼ばれてるからどんな奴かと思えば、そんなきったねぇ猫を庇うのに必死になるなんて馬鹿な奴だぜ!そんなにその猫が大事ならお望み通り纏めてあの世に送ってやるよぉッ!!」

 

そして男は私達にトドメを刺すために足を上げそのまま私達に向かって踏みつけようとしてきた。もう私はダメかもしれん、けれどもせめてこの子だけでも守らないと…………ッ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーガシッ!ガッ!ー

 

「へ?うぉッ!?」

 

ーズッシイィィンッ!ー

 

…………?な、なんや今の音?まるで何かが倒れたような音やったけど……ってなんかなあの男倒れとるんやけど!?一体何があったん?!

 

「痛っててて……おいテメェ!一体何しやがるんだ?!」

 

「…………おいお前等、この娘に一体何してたんだ?」

 

?な、なんやこの男?いきなり現れてリーダーの男を倒したんやけど何者なん……?

 

「あぁん?んなのテメェに関係ねぇだろ!?それともテメェもこいつみてぇにボコられてぇのか?!」

 

「…………どうやらお前等が一方的にその娘を殴ったりしてるようだな?なんでそんな事をした?」

 

「ウルセェよッ!こいつは俺の可愛い子分達を傷つけたから当然の報いなんだよッ!それにこの世は弱肉強食!弱いヤツ等は俺みたいな強いヤツに蹂躙される!それがルールなんだよぉ!」

 

「……そっか、ならそんなくだらない弱肉強食がお前等のルールだって言うからには…………こっからテメェ等自身が何されても文句は言えねぇよなぁ?」

 

ッ!?な、なんや?!この男、突然雰囲気が変わったんやけど!?今までに感じたこともないくらい、なんちゅう気迫や?!

 

「な、なんだこいつ……!?おいお前等!この女始末する前になんかヤバそうなこいつを先に殺るぞッ!」

 

『お、オッスッ!!』

 

「ハァ、兄貴ではないけど、馬鹿な奴の相手をすんのはしんどいな……まぁいいや、さっさと終わらすか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー数分後ー

 

「が、がはッ!?ハァー、ハァー……!」

 

「おいおい、あれだけ息巻いていた癖にもう終わりかよ?」

 

す、凄い……!?この男、たった数十秒で周りの子分達全員やっつけたし、リーダーの男も全く何も出来ないままふっ飛ばされた……!?

 

「ぐ、うぐぐぐぐぅ……!あ、あり得ねぇ、この街で一番強ぇ俺がこんなヒョロい奴にヤられるなんて……?!」

 

「ハッ!何がこの街一番で強いだ?お前なんか兄貴のとこの隊員の足下にも及ばねぇよ」

 

「黙れぇッ!こうなったら……まずはこの女から潰すだけだあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」

 

「ッ!?」

 

こいつ、逆上して私の方に向かって来た!?マズい、せめてこの子は守らんと……ッ!?

 

ーガシィッ!ー

 

「ぬおぉッ!?」

 

「……おいテメェ、一番強いとか吐かしたクセに倒れてる女の子を狙うなんてどういう神経してんだよ?」

 

え!?は、速い!?何時の間にかさっきの男が私の前に立ってリーダーの男の腕を掴んで止めよった!

 

「……テメェに最後に一言言わせてもらうぜ?テメェは自分のやってきた事を武勇伝みたいに自慢げに喋ってたけどな…………テメェのは武勇伝でもなんでもねぇ、唯の犯罪者の戯言だあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」

 

ーバッコオォォォォォォォォォォォォォオンッ!!ー

 

「ブヘラァッ!?」

 

そして男の最後の一発を顔面に受けてリーダーの男はぶっ飛ばされて壁にめり込んでそのまま気絶してしまった。ど、どんだけパワーあんねんこいつ……?!

 

「……ふぅ、まぁこんなとこだろうな」

 

「お、終わった…良か…た……」

 

「ん?お、おいお前、大丈夫か?!しっかりしろ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………………ん、んん………ハッ!?こ、此処は……?」

 

あ、あれ?私は……せや、あの不良共から子猫を守って、それで其処にやって来た別の男に助けられて……そっか、多分気が抜けて気ぃ失ってたんやな?せやったら此処は何処なんや?

 

ーガチャッー

 

「あ、どうやら目が覚めたみたいだね?」

 

「へ?あ、あんたは……?」

 

「あぁ、急に現れてびっくりさせちゃったかな?俺はカズマ、修理屋の店主兼なんでも屋さ」

 

しゅ、修理屋?なんでそんな奴のとこに私が……ってそれよりもあの子猫は?!

 

「スゥ…スゥ…」

 

「あ…………お前、大丈夫やったんか?」

 

「あぁその子かい?本当に危なかったな、普通の動物病院じゃ絶対に手遅れなレベルだったから治すのも一苦労だったよ」

 

「え?な、治したって、修理屋のあんたが……?」

 

「いやいや、今言ったでしょ兼なんでも屋だって。これでも日本で得られる国家資格は全て修得してんだぜ?まぁ半数近くが人には言えない方法だけどなw」

 

なんやそれ!?ま、まぁ取り敢えずこの子は無事だった事が分かっただけでも良かったわ……

 

「あ、あの、助けて頂いてありがとです……」

 

「ん?あーお礼なら俺じゃなくて佐々木に言ってくれ。あいつが君とその子を俺の所にまで運んで来たんだから」

 

佐々木?それってもしかしてさっき私等を助けてくれたあの男か?あの人、気絶しとった私を此処まで運んでくれたんか……?

 

ーガチャッー

 

「はぁー、やっと終わったぁ」

 

「おー丁度良いとこに来たな佐々木。ほら、この子目が覚めたみたいだぜ」

 

「お、本当か?そりゃ良かった」

 

そんな話をしていたらさっきの男が部屋に入ってきた。それにしてもあんだけ戦ってたのに怪我一つしてへんなんて、よっぽど強いんやろな………ってそんな事よりもちゃんとお礼言わんと!

 

「あ、あの!助けて頂いてありがとございます!あん時あんたが助けてくれなかったらこの子も危なかったし……」

 

「あーまぁほぼ偶然だけどな?偶々隣のラーメン屋で飯食って外に出たら路地裏側からなんか変な音がしたから見てみたらあの馬鹿共にお前が殴られててびっくりしたぞ」

 

そ、そうやったんや?なら本当にあの時偶然この人が来てくれなかったたら私達危なかったんやな……?

 

「……で、そんなお前はなんであんな場所で殴られたりしてたんだ?」

 

「え、えと……この子に餌をあげに行って、それであいつ等にこの子が襲われて、それで思わず……」

 

「ほぉ、成る程な……ん?という事はその子野良なのか?まさかお前、野良猫を守る為にあんなに必死で……?」

 

「ッ!野良だからなんや!?この子は私が見つけるまで酷く衰弱しとったんや!それを助けようとして何が悪いんやッ!?」

 

例え野良だろうと、家で飼えないからといってこの子を見捨てるなんて出来るワケがない!それを否定しようと言うなら例え恩人やったとしても……ッ!

 

ーギュッ……ー

 

「…………え?」

 

「……すまない、そういう意味で言ったワケじゃないんだ。例え野良だったとしてもお前はこの子を守ってくれたんだ。お前のあの時の行動は少し無茶だったが、それでも小さな命を救った立派な事だ。偉かったな」

 

……佐々木という男が私を抱きしめ頭を優しく撫で、そして私の事を褒めてくれた……なんやろう、昔父親から頭を撫でられた時みたいな安心感がある。それにこの人は私が子猫を守った事を立派だと言ってくれた。それを聞いて思わず涙が溢れそうになってしまう。

 

「…………なんでわざわざ抱きしめとるんですか?」

 

「え?あ、あぁすまない、妹とかが怒った時にこうしてやると落ち着いてくれたからつい。いきなりこんな事されて嫌だったよな?」

 

「いえ、少し驚いてびっくりしただけです……すんません、出来ればもう少しだけこのままでいさせてください」

 

「……あぁ、分かったよ」

 

そして私は暫くの間佐々木さんに抱きしめてもらい、その胸の中で少しだけ涙を流した。これが私と佐々木さん、いや玲二さんとの出会いや。そして私達の命を救ってくれた玲二さんに一生ついて行こうと決めた日でもあったな。この人に助けられた分、絶対にこの人に恩返しをしていこうってな♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「スゥ……スゥ……」

 

「ふぅ、やっと寝ついたなぁ。ほな少しだけ一息いれよかな」

 

「ミィ〜」

 

「ん?ミィちゃんどないしたん?もしかして椛とお昼寝してくれるんか♪」

 

「ミィ〜♪」

 

あの時助けた子猫は玲二さんの説得で飼うことが許されてた。ミィって鳴くからミィちゃんって名前にしたんや、可愛いやろ?そんでミィちゃんは椛の横にくっつくと丸くなってそのままねんねしていった。

 

「フフ、やっぱミィが一番椛が好きなんやな〜♪他の猫達よりもぴったりくっついとるし♪なんだか見てるだけで幸せやわぁ〜♪」

 

玲二さんがいて、椛がいて、猫達がいて、そしてにじさんじの仲間達がいるこの幸せ。こんな幸せがずっと続けばえぇなぁ〜♪

 

 

 

ー樋口楓編 完ー




はい、という事で今回はにじさんじよりフレンと楓の二人でした!フレン編でルーナがチラッと出てきましたがルーナはちゃんと別の話で書きますのでお待ち下さいませm(_ _)m

それでは次回も貴方と出会ってとなります!次回もまったりと待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第140話『貴方と出会って8』

最近HGのジェミナスを新旧一緒に買って組み立てたんですが、やはりガンプラの進化ってヤバいくらいに進んでいるんだなって感じてしまいました。まだ新HGで出てないのもあるので残りのG-UNITの機体も早く出てほしいです(^^)

今回は貴方と出会って第8弾!今回も長くなってしまいましたが最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


ー月ノ美兎ー

 

え、玲二さんとの出会い?誰だが知らんけどいきなり来て何を聞いてきてるんですか?

 

……ふーん、こよりさんに頼まれて皆さんに聞いているんですか?まぁ別に隠す程ではないので良いですが……まぁ思えばあの人がいなかったら今の私も、そしてにじさんじもなかったかもしれませんからね…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー数年前ー

 

「……はぁ、また不合格か……これで何回目なんだろ……?」

 

私は手元にあるもう何度目か分からない不合格通知を見て深い溜息を吐く。それはアイドルオーディションの物であり、私はかれこれ難度も受けてはいるものの全てが上手くいかずにオーディションに受けた回数と同じ数の不合格通知が届いてしまう。

 

「……やっぱり私のやりたい事ではアイドルって難しいんでしょうか……?」

 

私はアイドルを目指していましたが、それは今までのアイドルとは違うものだった。かつて突如動画投稿サイトに現れた伝説とも言える新生アイドル、キズナアイ。彼女は今までのアイドルとは違って動画投稿サイトでの活動を中心に歌や雑談、そしてゲーム等でファンと一緒に盛り上げていくというそのスタイルに私は心を奪われていました。

 

だから私もキズナアイさんのような新しいスタイルのアイドルになりたい!そう思って何度もオーディションを受けてみました。ですが世間ではまだキズナアイさんのようなアイドルは浸透しておらず、私のなりたいアイドル像を伝えると

 

「それアイドルじゃなくて唯の配信者でしょ?アイドルのやる事じゃないじゃん」

 

なんて言われる始末……その言葉を聞く度に私の夢を、そして今活躍しているキズナアイさんを否定されたようで胸が苦しくなっていきました。

 

「……やっぱり、キズナアイさんみたいなアイドルはそんな上手くいかないのかな……?」

 

受けては落ち、そしてまた受けてはまた落ちる。それを繰り返す内に自分の目指すものは不可能な事じゃないのか?そんなふうに感じてしまう。

 

「……最後に一つ、此処を受けても駄目だったら諦めよう。えっと……ホロライブ?聞いた事もない事務所だけど大丈夫かな?」

 

なんか説明を見る限りキズナアイさんのような配信をメインに活動するアイドルグループみたいだけど……でも此処で駄目だったらもう他にはないから受けるだけ受けてみよう。事務所も此処から近いみたいだし、直接行ってみようかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え、定員オーバー……?」

 

「あぁ、ついさっき今回募集した定員の六名が全部埋まったから申し訳ないけど今回の募集は締め切らせてもらったんだ」

 

そ、そんな……!?折角見つけた理想の事務所なのに一歩遅かったなんて……?!

 

「あ、あの!もし次のオーディションがあるとしたら何時とか分かりますか?!」

 

「次の?うーん……社長も初めての試みだって言ってたから取り敢えずは現状のメンバーだけでやっていくつもりだろうから次回が何時になるかは完全に未定だな。結果次第だがもしかしたらこのメンバーで終わる可能性だってあるし」

 

「そ、そんなぁ……」

 

でも言われてみれば確かに今までにないアイドルとしての活動を方針としている以上無闇にメンバーを増やすなんて出来ないのは当たり前か……やっぱり私にはアイさんのようなアイドルは出来ないって事なんですね……

 

「……分かりました、急に来たのにわざわざ対応して頂き有難うございます。失礼致しました……」

 

もう此処にいても仕方ない。此処で駄目だった以上私は潔く諦めてちゃんと元の生活に戻らないと……そう思って事務所を後にしようと思ってました。けど……

 

「…………なぁ、君はどうしてこの事務所のオーディションを受けようと思ったんだ?正直この事務所の方針はアイドルというよりも配信者に近いのに、なんで君はこの事務所を選んだんだ?」

 

「ッ!?…………別に、この事務所が初めてではないですよ。他の事務所のオーディションも受けましたが、何処も駄目だったら最後に此処を選んだだけです……でも」

 

「でも?」

 

「…………私の憧れたアイドルの、キズナアイさんのやっているのと同じような活動方針を目指しているこの事務所なら、私もアイさんのようなアイドルになれるんじゃないかなって、そう思ってたんです」

 

……でももうそれもどうでも良くなってしまいましたけど。もうこんな話をしても意味ないからさっさと帰らないと……

 

「……なぁ、もしこの後君に時間があるならちょっと付き合ってもらっても良いかな?」

 

「?……なんですか、ナンパなら受けるつもりはありませんが?」

 

「いやそんなつもりじゃないって。君がキズナアイのようなアイドルを目指しているなら、俺にちょっと心当たりがあるから。すぐ準備するからちょっと待っててくれないか?」

 

「あちょっと……!?」

 

……なんなんですかあの人?いきなり付き合ってほしいだなんて、私を一体どうするつもりなんですか?まさか邪な店に売るとかしませんよね……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……お、着いた着いた。此処だ」

 

「……なんですか此処は?」

 

……結局ホロライブのスタッフさんに連れられて来たんですが、其処は町外れにある小さなビルでした。なんでこんな所に?まさか本当に○Vとかの事務所じゃないですよね……?

 

「……あ、社長さん。今到着したんでそのまま入って大丈夫ですか?あ、はい分かりました……よし、大丈夫みたいだから早速入るとするか」

 

「あ、あの、本当に此処ってなんなんですか?まさか私にいかがわしい事させるつもりじゃないですよね……?」

 

「まさか、寧ろ君の夢を叶える為の手助けさ」

 

夢を叶える?それって一体……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やぁ佐々木君久しぶりだね。今日はどういった要件かな?」

 

「はい、社長さん以前お話していた新しいアイドル事業についてなんですが、まだアイドルの募集とかは……?」

 

「あぁそれね?実は漸く事業開始の準備が整ったからこれからオーディションを始めようと思ってたんだけど、それがどうかしたのかな?」

 

「そうでしたか!それならそのアイドル第一号としてこの娘とかどうでしょうか?」

 

「…………え?」

 

……え?え?な、何が起こってるんですか?ホロライブの事務所を訪れたら何時の間にか別の事務所に売り込みされてるんですけど?ど、どういう状況ですかこれ?!

 

「この娘?へぇ、ホロライブの新人スタッフがわざわざ自分の所じゃなくて僕の所に連れてくるなんてね?」

 

「えぇ、実はうちの事務所は既に一期生のオーディションが終わってしまったんですが、そのタイミングでこの娘が来たんですよ。けどこの娘から感じる熱意と輝きを見たらこのまま返すのは勿体ないと思いまして。それで社長さんが新しいアイドル事業を展開しようとしているのを思い出しまして」

 

ッ!?こ、この人、私の事をそんなふうに評価してくれてたんですか……!?

 

「成る程ね……君、名前は?」

 

「は、ひゃい!?つ、月ノ美兎といいます!あの、その、わ、私キズナアイさんのようなアイドルに憧れてこの業界に入りたいと思いました!よ、よよよろしくお願いしますッ!」

 

「キズナアイさんか……うん!それは僕等の目指す新しいアイドルの理想像だ!そんなアイさんのようなアイドルを目指す君ならうちできっと、いや絶対にトップアイドルになってくれそうだ!けどアイドルになる以上歌やダンスなんかの厳しいレッスンもあるけど、それでもやっていく覚悟はあるかい?」

 

「はい!それは覚悟の上です!」

 

「…………うん、それなら僕等も君を受け入れるとしよう。ようこそ美兎さん!僕等の……えっと……」

 

?どうしたんだろう?社長さんが何か言おうとしてるけど言葉に詰まってしまってるみたいですが……?

 

「……社長さん、もしかして事務所の名前まだ決めてないんですか?」

 

「あ、アハハ……はい、実はまだです。新事業を立ち上げるまでは良かったんですが肝心の名前は後回しにしてしまいまして……佐々木君、何か良い案とかありますかね?」

 

「いやいきなり良い案って言われても…………」

 

そうですよね、いきなりそんな事を言われてもそんなすぐには……あれ?彼処にあるのって……

 

「あの、彼処にある虹の絵は一体……?」

 

「え?あぁ、あれは僕が昔海外に旅行に行った時に思わず買っちゃった絵なんだ。ほら、虹の絵ってなんだか心が晴れやかになるでしょ♪」

 

成る程、そういう事だったんですね。それにしても虹ですか……

 

「…………“にじさんじ”」

 

「え……?」

 

「社長さん、事務所の名前なんですがにじさんじっていうのはどうでしょうか?」

 

「にじさんじ?一体どういう意味ですか?」

 

「あの絵を見てピンと思いついたんです。空に輝く虹のように、いやその虹を上回るような輝きを目指していく。2を超えて3へ、だからにじさんじって思ったんですが……どうですかね?」

 

にじさんじ……なんだか凄くしっくりくる名前ですね。輝く虹を越えたその先に、憧れたキズナアイさんを超える勢いでその先を目指す。それってなんだか凄く素敵だと思いました。

 

「にじさんじか……うん、凄く良い名前だね♪では改めて月ノ美兎さん、ようこそにじさんじへ!一緒にこの事務所を大きくしていきましょう!」

 

「はい!よろしくお願いしますッ!」

 

こうして私はホロライブのスタッフさんによって新しく設立したアイドル事務所、にじさんじに所属する事になりました。後に楓ちゃんや凛ちゃんも入り本格的に新生アイドルへの道を進める事が出来ました。

 

 

 

それから暫くの時が経ち……

 

 

 

「あの、佐々木さん。あの時は本当に有難うございました」

 

「ん?あぁあれか、別に気にしなくて良いって。単純に俺の自己満足だったんだから」

 

偶然街中で再会したホロライブのスタッフさん、佐々木さんと一緒にカフェでお茶をしてました。あれから私達はお互いに忙しくなってしまったのでこうして街中で再会出来たのはラッキーでした。

 

「…………佐々木さん、少しお聞きしたいんですが、どうしてあの時私をにじさんじに紹介してくれたんですか?正直彼処で佐々木さんがあんな事をする筋合いなんてなかったのに……?」

 

「あー……確かにそうかもな?けど月ノは本気でアイドルになりたいと思って俺達ホロライブに入ろうとしたんだろ?でもあの時タイミングが悪くてうちでは入れなかったし、かと言って新人スタッフの俺の意見じゃ月ノを途中加入させる事は出来なかったからな」

 

「そ、そうだったんですね?でも、それならそのまま帰せば良かったのにどうして……?」

 

「…………月ノが引き返そうとした時、俺は君にこう質問したよな?君はどうしてうちの事務所に入ろうと思ったのかって。その時に単純に有名になりたいとかちやほやされたいとかなら確かにそのまま帰してたと思う。けど月ノは違った。本気でキズナアイに憧れ、そして同じようなアイドルを目指そうとしていた。そしてあの時若干諦めかけてたけど、その目の奥に宿る輝きは失われてなかった。だから俺は君に夢を諦めてほしくないから社長さんにわざわざお願いしたんだよ」

 

…………この人、あの時の私を見てそんなふうに感じてたんだ。確かにあの時の私はアイドルになる事を諦めかけてたけど、本当は諦めきれなかった。未練がましいと言われるかもしれないけど、それでも私はアイドルになる夢を捨てきれなかったんです。あの時佐々木さんが私を連れ出してくれなければ、この先きっと後悔したまま生きてく事になってたと思います。

 

「……本当にお節介な人ですね、佐々木さんって」

 

「まぁそうかもな?けど……夢を諦めそうになってる奴を見捨てるなんて俺が絶対に後悔するからな。それに、月ノみたいな美人は暗い顔より笑顔の方が似合うだろ♪」

 

「ッ!?//////」

 

え……!?な、何今の?!佐々木さんの笑顔を見た瞬間に胸の鼓動が昂ってる……!?それに佐々木さん、私の事美人って……!?//////

 

「?どうしたんだ月ノ?」

 

「な、なんでもありませんッ!そそ、それでは私レッスンがあるのでこの辺で失礼しますッ!///」

 

「?」

 

あまりの恥ずかしさに私はコーヒー代を置いて急いで店を飛び出していきました。さ、佐々木さんが私の事を美人って……あぁーもう恥ずかしくてレッスンに集中出来ないよおぉぉぉぉーーーッ!!?//////

 

 

これが私と玲二さんとの出会い、そして私が玲二さんの事を意識し始めた切っ掛けですね。あの時玲二さんが私を社長に紹介してくれなかったら、もしかしたらにじさんじも出来なかったかもしれません。だから玲二さんは私にとって初恋の相手であり、かけがえのない恩人でもあります。

 

なので玲二さん、これから先何があっても、私は絶対に貴方と一緒に歩んでいきます。私を本気にさせた事、後悔しないでくださいね♪

 

 

 

ー月ノ美兎編 完ー

 

 

 

 

 

 

 

 

ー夜空メルー

 

玲二君の事を好きになった切っ掛け?えっと……そんなの聞いてどうするつもり?そもそも貴方一体誰なの?

 

え?こよりちゃんのとこの助手くん?こよりちゃんの命令で皆に聞いて回ってるって?うーん……それならまぁ変な事に使わなきゃ話しても良いよ。あれはホロライブに入ってすぐの事だね…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー数年前ー

 

「ハァ、ハァ……あぁ〜疲れたぁ〜!」

 

新しく設立したアイドル事務所、ホロライブ。その1期生のオーディションにメルは見事合格して新生アイドルの第一歩を踏み出した!のは良いけど……ハァーーー!レッスン厳し過ぎるよおぉぉぉぉッ!?

 

「はい、それではメルさんは本日のレッスンは全て終了しましたのでこのまま帰宅して構いませんよ」

 

「わ、分かりましたぁ〜……」

 

今日のレッスンが全て終わって漸く帰る事が出来る。今日はいつも以上に頑張っちゃったし、今日は帰りにクレープ買ってこうかな〜♪

 

「あ、メルさん良かったらこれ飲みますか?知り合いから頂いた新鮮な血液パックなんですけど♪」

 

「え?……うぇ、え、遠慮します…………」

 

「え〜?美味しいんですけどね〜?」

 

そう言いながらトレーナーさんはスポドリみたいな感じで血液が入ったパックを美味しそうに飲んでいる。トレーナーさんもメルと同じ吸血鬼だから血を好んで飲んでるけど……メルにとっては血は別に好物でもないし、何なら苦手まである。なんで皆普通に血なんて飲めるんだろうなぁ~?

 

…………メルは魔界にある吸血鬼の里、其処にある夜空の一族の娘として産まれた。夜空の一族は吸血鬼の中でも最高位の力を誇る一族でパパとママも周りが恐れる程の権力と力を持っていたの。

 

それなのにメルは……産まれながらにかなりの魔力を持っていたけど他は全然吸血鬼らしくなかった。太陽の光も全然平気だしニンニクも苦手程度、鏡にも普通に写るし水の中も全然平気で入れた。そう、メルは吸血鬼が弱点とする物は全て最初から克服していたんだ。

 

けどその代わりなのか分からないけど……メルは吸血鬼なら好物とも言える血が大の苦手だった。五歳になった時に初めて吸血をしたんだけど、その時に口の中で広がった生臭く鉄っぽい味が気持ち悪くて思わず吐いちゃったの。パパ達は最初は合わない血を飲んでしまったから吐いてしまったと思ってその後いろんな血を飲ませたんだけど、どれも気持ち悪くなるだけで全然飲めもしなかった。そして次第にメルは吸血行為自体を止めてしまった。

 

パパとママはそういう体質だと言って特に気にせずメルを大切に育ててくれたんだけど、その時使用人の一人がボソッと言った一言がメルの心に深く刺さった。

 

「……この子、本当に吸血鬼なの?」

 

その一言の所為でメルは深く傷ついてしまった。最高位の吸血鬼である夜空の一族として産まれたのに魔力が高いだけで吸血鬼らしいところが他にない。そんなふうに産まれてしまった事にメルは酷く悩んでしまった。次第にこの家にはメルの居場所がないんじゃないかって思い込むようにまでなってしまって……

 

だからメルは高校はパパ達の反対を押し切って人間界の普通の高校に通う事にしたの。それを機に一人暮らしを始めて、夜空の一族から離れて生きる事を決めたの。それから暫くして昔からひっそりと憧れていたアイドルのオーディションを受けたら合格して、今はこうしてアイドルとしての第一歩を踏み出した。少しでも夜空の一族を、吸血鬼である自分を忘れる為に……

 

「お、夜空、もうレッスンは終わったのか?」

 

「あ、お疲れ様です佐々木さん……」

 

そんな昔の事を少し思い出してたらスタッフの佐々木さんがスポドリを持ってやって来た。この人はメルが変わった吸血鬼だって聞いても特に変わりなく接してくれる数少ない人だからある程度は信用してる人だ。

 

「お疲れさん、ほらスポドリ」

 

「あ、ありがとうございます……あ、コレメルの好きなアセロラ入りだ♪」

 

「あぁ、前にアセロラジュースが好きって聞いたからな。偶々売ってたから買ってみたんだ」

 

……この人は本当にメルの事を考えてくれてるんだ。前にもメルが吸血鬼である事をイジってきた他のスタッフに向かって注意してたし、この人ならメルの事をちゃんと守ってくれるんだなって思えちゃう、けど……もし心の中では他の人みたいにメルの事を吸血鬼らしくないとか馬鹿にしてたらどうしよう?そう思うとメルはまだ完全に心を開く事は出来なかった。

 

「あ、そうだ。急で悪いんだが今度出る新しいスポドリのイメージガールとして夜空を出そうと思ってるんだ。今から先方とその商談しに行くんだが、本人もいた方が話もしやすいと思うから着いてきてもらっても良いか?」

 

「え、今から?わ、分かりました……」

 

「よし、じゃあシャワーと着替えが終わったらすぐに来てくれ。といっても商談はニ時間後だから急がなくて大丈夫だからな」

 

佐々木さんはそう言ってトレーニングルームを出ていってしまった。けどイメージガールかぁ、初めての大きな仕事だから頑張って勝ち取らないと!まずはシャワー浴びて着替えないとね!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二時間後……

 

「本日はお忙しい中有難うございます」

 

「いやいや、私達も新しい商品の宣伝になるから全然オッケーだよ♪」

 

あれから準備を終えて今メルは佐々木さんと一緒に新しい商品を売りたいっていう会社の専務っていう人とお話をしている。最初は緊張したけど、なんだか優しそうな雰囲気で安心したなぁ〜。

 

「それで、君がイメージガールを務めてくれる娘かい?」

 

「は、はい!夜空メルっていいます!よろしくお願いします!」

 

「お〜、これは元気の良い……ん?夜空?君ってもしかして……あの夜空の一族の娘さんかい?」

 

「え……あ、あの、メルの事知ってるんですか?」

 

「えぇ、私も昔夜空の一族には大変お世話になりましてな。噂は兼ね兼ね聞いております、とても心優しく素晴らしい娘さんだと」

 

そ、そうだったんだ……でもこう言ってくれてるけどもしかしたらこの人も心の中では吸血鬼っぽくないメルを馬鹿にしているのかも……?そんな事を考えてた時だった……

 

ーガチャッー

 

「失礼しま〜す。専務〜、これこの間の資料で〜す」

 

「……おい相良、今は大事な商談中だぞ。いきなり入ってくるな」

 

「あ、すいやせ〜ん」

 

な、なんか凄くやる気のなさそうでチャラそうな人が入って来たんだけど?もしかしてこの人、専務さんの部下なのかな?

 

「……あれ?専務、この人達誰っすか〜?」

 

「コラ相良!この方達は新商品のイメージガールを務めてくださる夜空メルさんとそのスタッフさんだ!」

 

「あ、そだったんですね〜?……ん?あれ、あんたもしかしてあの夜空の一族の夜空さんっすか〜?」

 

「は、はい、そうですけど……?」

 

こ、この人も夜空の一族を知ってるの?!メルが思ってた以上に有名なんだなぁ……?

 

「マジで!?いやぁ噂はいろいろと聞いてたけど意外と美人だったんだなぁ〜♪」

 

「う、噂ですか……?」

 

「そーそー、君って最高位の吸血鬼の一族に産まれたクセに吸血鬼らしくない出来損ないなんだって?」

 

ッ!!?こ、この人、メルがずっと気にしている事をなんの躊躇いもなく……やっぱり皆メルの事そんなふうに思ってたんだ……

 

「あ、いっけね!俺思った事つい口に出る性格なんだよね〜、ごめんごめ「おい、今すぐそのクソみたいな喋り方する口を閉じれ」……は?」

 

「え…………?」

 

目の前の男が悪びれない謝り方をしていたら佐々木さんが凄く怒った表情で男を睨んでいた。こ、こんな怒った佐々木さんの顔、初めて見た……

 

「な、なんすか〜?ちょっと思った事がつい口に出ただけで「だからその五月蝿いだけの品のない口を閉じれって言ってんのが分かんねぇのかこのドクズ野郎」ッ!?な、なんだよ?!なんでお前みたいな奴に俺がそんな事言われなきゃなんねぇんだよ?!」

 

「なんで?テメェこそさっき夜空に向かって失礼な事を言ってたじゃねぇか。思った事つい口に出た?だったらこっちも言わせてもらうよ、こっちは商談中だったのにも関わらず、いやそれ以前に上司の仕事部屋に入るのにノックもしないでしかも明らかにやる気のない喋り方するとかどういう神経したらそんなふうになるんだよ?しかもうちの大切なアイドルに向かって失礼な事を悪びれなく言うとか社会人としてなってなさすぎる。あんた、一体何処で教養を落として来たんだよ?」

 

「な、ななな……ッ!?」

 

す、凄い……佐々木さん相手に向かって一切臆する事なくズバズバと言っている……!?向こうも何も顔を真っ赤にしてぷるぷる震えていてまるで大人に怒られてる子供みたいになってる。

 

「な、なんだこいつ!?専務!こんな失礼な奴等と契約する必要なんてないですよ!とっとと追い返しましょう!」

 

「……あぁ、そうだな。失礼な奴はさっさと出ていってもらわないとな」

 

あぁ!?せ、専務さんも怒ってる……!?ど、どうしよう?!折角初めての大きな仕事だったのに、これじゃあもう……

 

「ヘヘ!ほら専務も怒ってるんだからテメェ等さっさと出ていけ「何を勘違いしている?出ていくのはお前だ相良」へッ!?な、なんでですか?!なんでこんな失礼な奴等じゃなくて俺が……!?」

 

……あれ?てっきりメル達が追い出されるのかと思ったらそうじゃなくて向こうの相良って男に向かって出ていけって言ってる。どういう事なの……?

 

「……私は魔界出身でね。かつて魔物に襲われて重傷を負った私をメルさんのお父上、つまり現夜空の当主に助けて頂いたんだ。そんな命の恩人とも呼べる方の大切な愛娘であるメルさんを侮辱する事は決して許せはしないんだよ」

 

「な……!?」

 

そうだったの!?さっき夜空の一族にお世話になったって言ってたけどまさかパパがこの人の命を救ってただなんて!?

 

「そしてそれ以前にお前は社会人として、人としてやってはいけない事をしたんだ。大切な仕事を共にする相手の事を馬鹿にするような発現なんぞ言語道断!そのような事が許させるワケがなかろうッ!?」

 

「い、いやその……で、でもやっぱり吸血鬼なのに血が苦手とかってあり得な「いい加減にしやがれこの脳内クソガキ野郎ッ!」ヒィッ!?」

 

「テメェの言ってる事はメルだけじゃねぇ!吸血鬼全体を侮辱する最低な事だ!吸血鬼でも血が苦手な奴だっているし陽の光や水を克服した奴だっている!その中には生まれつきの体質もある人だっているんだ!テメェの言った事はそういう人達全てを否定する事なんだよッ!」

 

さ、佐々木さん……佐々木さんがメルの為に相手を叱りつけてくれている。メルの事を、本気で守ってくれてるんだ……

 

「相良、お前の素性はよく分かった。最近お前の仕事態度も悪いと報告を受けていたから厳重注意で済ませようかと思ったが、こんな他人を平気で見下すような輩をこの会社に置いとくワケにはいかん」

 

「へ?あ、あの、それってどういう……?」

 

「まだ分からんか?つまり貴様は解雇だ!自分の荷物を纏めてさっさとこの会社から出ていけッ!!」

 

「そ、そんなぁ!?お願いします専務、それだけはぁッ!?」

 

相良という男は必死になって土下座しながら謝ってたけど、専務さんが「謝る相手が違うだろうが!」って余計に怒ってそのまま部屋から摘み出しちゃった。最初は温厚そうな人だと思ったけど怒ると怖い人だったんだ……?

 

「……すまない夜空さん、私の部下が貴方に不快な思いをさせてしまいました。深くお詫びさせて頂きたい」

 

「い、いえ!?それよりもこちらもスタッフが失礼な事を言ってしまってごめんなさい!」

 

「……専務さん、大変申し訳ありませんでした。自分の所属アイドルがあんなふうに言われてついカッとなってしまいました」

 

「いやいや、君達は何も失礼な事はしてませんよ。寧ろあんな周りの者を不快にさせるような奴を今まで部下として置いてた私に落ち度があります」

 

専務さんは本当に申し訳なさそうにメル達に頭を下げてきて、メルももう気にしてないと言ってこの話は此処で終わる事になった。そしてその帰り道で……

 

「……佐々木さん、今日のあれは本当に反省してくださいね?いくらメルが悪く言われたからって相手にあんな事言ったらお仕事がなくなってもおかしくないんだから」

 

「……あぁ、本当にすまない」

 

メルは佐々木さんに説教をしながら事務所へと戻っていた。メルの事を守ろうと言ってくれたのは嬉しいけど、それで折角のお仕事がなくなったらダメなんだから!…………でも

 

「…………でも、ありがとう。メルの事を守ってくれて♪」

 

「ん?あぁ、スタッフとしてアイドルを守るのは当然だからな 、気にすんな」

 

「それでもメルは嬉しかったよ。本当にありがとう♪」

 

メルの事を守ろうとしてくれた佐々木さん、ちょっと格好良かったなぁ♪まるでメルの事をお守りしてくれる騎士様みたいで「おい待ちやがれッ!」……え?

 

「テメェ等ぁ……さっきはよくも俺をコケにしてくれたなぁ!?」

 

「あ、貴方はさっきの……!?」

 

いきなり怒鳴られ後ろを振り向くと其処にはさっき専務さんにクビを言われた相良という男が凄く怒った顔をしながら立っていた。しかもその手には包丁を持っていた……包丁!?

 

「……お前、さっき専務に追い出された奴だったか?そんな物騒なモン持って穏やかじゃないな?」

 

「ウルセェッ!テメェ等が俺を陥れなけりゃクビにされる事なんかなかったんだよぉ!」

 

「何を言ってるんだ?お前がいきなり夜空の事を馬鹿にするような事を言わなきゃ良かっただけだろ、完全にお前の自業自得だ」

 

「黙れぇ!そもそもこいつが悪いんだ……吸血鬼のクセに、夜空の一族のクセに何一つ吸血鬼らしくないこいつが全部悪いんだあぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」

 

「え……?」

 

相良はまるで狂ったかのようにメルに向かって包丁を構えながら突進してきた。突然の事でメルは全然反応出来なくて、そして……

 

 

 

 

 

ーザシュッ!ー

 

 

 

 

 

「…………え!?」

 

「な…………!?」

 

その包丁がメルに刺さる前に佐々木さんが刃先を掴み止めてしまった。さ、佐々木さんの手から血が……!?

 

「…………おい、テメェ何夜空に向かってそんなモンぶっ刺そうとしてんだよ?」

 

「ぐ、ぐうぅぅぅ!?ぬ、抜けねぇ……?!は、離しやがれ!この吸血鬼もどきをぶっ刺さないと気がすまねぇんだよぉッ!」

 

「巫山戯んなッ!夜空は……メルは吸血鬼とか夜空の一族とかそんなの関係なく一生懸命頑張って前に進んでいるんだ!相手の欠点しか見てねぇお前に、メルは絶対に傷つけさせはしねぇッ!!」

 

ーグググッ……バキィッ!ー

 

ッ!?ウソ、包丁を折っちゃった!?その反動で相良は倒れてそのまま佐々木さんに取り押さえられていく。

 

「ぐあぁッ!?は、離せぇッ!?」

 

「誰が離すか!メル、急いで警察に通報しろ!」

 

「は、はい!」

 

佐々木さんに言われてメルは急いで警察を呼んで、その数分後に駆けつけたお巡りさんに相良はそのまま連れてかれてこの事件は終わったんだけど……

 

「佐々木さん!手は大丈夫なの?!」

 

「ん?あー、これくらいならな。多分百均で買った包丁だったから其処まで切れ味も良くなかったから全然平気だ」

 

全然平気には見えないよ?!持ってたタオルで抑えてるけど結構血が滲んで……うぇ

 

「それにしてもすまないな夜空、血が苦手なのに見せてしまって」

 

「そ、それは別に良いんだけど……それよりもごめんなさい、メルがもう少し吸血鬼らしくしていたらこんな事には……」

 

「そんなのさっきも言ったけど今時血が苦手な吸血鬼なんて結構いるし、それに吸血鬼らしくあろうがなかろうが夜空は夜空だ。一生懸命アイドルとして頑張る一人の女の子、夜空メルに変わりはない。だからもうそんな事でいちいち気にしなくても良いさ。それで周りがまたとやかく言ってくるならちゃんと俺が助けてやるから」

 

ッ!……そっか、佐々木さんはメルの事を吸血鬼とか夜空の一族とかじゃなくて、ちゃんと一人の女の子として見てくれてたんだ。そんなふうに見てくれる人、この人が初めてだな…………

 

「…………うん、ありがとう。これからもよろしくね“玲二君”♪」

 

「え?どうしたんだ夜空、急に俺の事名前で呼んだりして?」

 

「えー?だって玲二君だってさっきメルの事名前で呼んでくれたでしょ?だからメルも呼び方を佐々木さんから玲二君に変えようかな〜って♪」

 

「あ、あー、そういやさっきつい勢いで名前で呼んでしまってたな?そりゃ申し訳ないな……」

 

「ううん、あの時の玲二君格好良かったし、今日の出来事でお互いの距離が縮まった記念として名前で呼び合おうよ♪」

 

「そんなもんか?……まぁお前がそう言うなら、これからもよろしくなメル」

 

こうしてメルと佐々木さん……玲二君との距離が縮まったのと同時にメルが玲二君の事を好きになった瞬間だった。メルの事を吸血鬼とか関係なく一人の女の子として見てくれる玲二君となら、メルは何処までも真っ直ぐに進められるんだって思ったの。

 

それから数年経ってアイドルとしても成功して、そして他の娘も一緒だけど玲二君と結婚出来て、しかもレミィとフランっていう可愛い子宝にも恵まれた。今でも充分幸せだけど、これからももっと幸せな毎日を過ごそうね、玲二君♪

 

 

 

ー夜空メル編 完ー




はい、という事で今回は美兎&メルの回でした!そして次回最後の一人ルーナ!

…………と言いたいところだったんですが次回は通常回とします。何でかと言うと……まぁ新しい娘達が出たのでね(^^;)

ですので次回の通常回を終えた後にルーナと、そしてもう一人オマケでアンケートに載せ忘れた娘の出会いを出したいと思いますので今しばらくお待ち下さいませm(_ _)m

それでは次回までまったりとお待ち下さいませ、ではまた!


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第141話『ReGLOSS始動』

仮面ライダーガッチャード、もう既に二話が終わりましたが未だにギーツロスが治まらない……(T_T)という事で最近はギーツを一話から見返してます。けどガッチャードも面白いですしまだ始まったばかりですからこれからに期待したいです(^o^)

さぁ期待という事で今回はホロライブより新メンバー達が登場します!今回も最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


hololive ReGLOSS。ホロライブの新たなアイドル事業の一環として設立された傘下グループ『hololive DEV_IS』に所属する新たなアイドルチームだ。

 

その新たな体制の元に集められたメンバーは本元のホロライブメンバーにも負けず劣らずの個性的なメンバーで集められていた。

 

そして今日はそのReGLOSSのメンバーが初めてホロライトシティの神羅城へとやって来る事になっていた。

 

 

 

 

 

 

「おぉ……此処がアイドル達の聖地、ホロライトシティか」

 

「凄ーい!まるで高級リゾートにやって来たみたいだね♪」

 

「だ、大丈夫かなぁ?はじめ達場違いとか言われたりしないかな……?」

 

「いやいや、流石にそれはない……と言いたいけど確かに周りが凄すぎて此処にいて良いんか分からんのじゃけんねぇ……」

 

「いやだったららでんちゃんその能面取ったら良いんじゃないの……?」

 

ホロライトシティの港、本土と結んでいる旅客船から五人の女の子達が上陸してきた。中性的な顔立ちに青のメッシュが入った娘、金髪でふわふわした印象の娘、少し派手な格好をしたギャルっぽい娘、ショートヘアーに両側をちょこんと結んだ髪型の娘、そして極めつけは何故か能面を着けた変わった娘となかなかにしてクセの強そうな娘が勢揃いしていた。

 

「あ、そう言えば確か此処に青くんの()()()()()がいるんだよね?」

 

「あ、あぁ、そうだね……///」

 

「へぇ~?青くんの初恋の相手かぁ。一体どんな娘なのかな♪」

 

「…………言っとくけど相手は普通に男だからな?」

 

その中で青と呼ばれた中性的な顔立ちの娘は頬を赤らめながら神羅城の方を眺めていく。どうやら此処に彼女の初恋の相手がいるようなのだが、はたしてどんな人物なのだろうか?

 

「じゃあ早速先輩方が住んでいるっていう神羅城という場所に向かうとしようかの♪」

 

「そうだね!確かあの丘にある凄い建物がそうなんだよね?此処からでも凄い存在感を感じるね〜?」

 

「うんうん!これから彼処で暮らせるんだもんね!楽しみだなぁ〜♪」

 

こうして五人は期待を胸に膨らませながら神羅城へと向かって行くのであった。

 

 

 

 

 

(…………もうすぐ会えるよ。待っててね……///)

 

 

その中で青と呼ばれた娘は首から掛けているロケットを握りしめながら皆の後を追いかけて行くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えー、ReGLOSSの皆さん!」

 

『ようこそ!ホロライブへッ!!』

 

『わーい♪』

 

「お、おぉ〜……!?」

 

「これは……予想以上だね?」

 

あれからすぐに神羅城へと辿り着いた五人は出迎えてくれたメイド二人に招かれ中に入っていき、一階の奥にある部屋に入ると其処にはホロライブの面々と子供達が歓迎してくれ、そして目の前には大量の御馳走がズラリと並んでいた。

 

「今回は傘下グループとはいえ私達に新しい仲間が増えるという事で、我々が腕によりをかけて御馳走を用意させて頂きました〜♪」

 

「…………ママ、吾輩達の時とはエライ違いだな?」

 

「そーね?私等の頃は熱した油の中に入れようとしてたものね?」

 

「あ、アハハ……まぁレイくんに次やったら本気で怒るって言われちゃったからね……」

 

どうやらフブキ達は玲二から次holoXにした手荒い歓迎と同じような事をしたら説教どころでは済まさないと注意されたようで、ラプラス達から冷ややかな視線を受けながら乾いた笑いをするしか出来ないフブキだった。

 

「お、おぉ〜……これが配信で出てたショコラリッチの手料理……!」

 

「フフ、ちょこやルイ姐以外にも料理上手なメンバーで沢山作ったから遠慮なく食べて良いわよ♪それとショコラリッチじゃなくてりっちしょこらね?」

 

「うわぁ~♪それじゃあ遠慮なく頂くとしようけん♪」

 

「そうだね、それじゃあ……」

 

『戴きまーすッ!』

 

ちょこに言われReGLOSSのメンバーは目の前の御馳走を食べ始めていく。その表情は美味しいのか凄く幸せそうだ。

 

 

 

 

 

「ふあぁ〜おいひぃ〜♪」

 

「そういやオメー初配信めちゃくちゃフニャフニャだったよな〜?」

 

「正直みこちよりも滑舌赤ちゃんな娘が来るとは思わなかったわ〜」

 

「んぐ!?うぅ〜、ちょっと恥ずかしいなぁ……///」

 

ショートヘアーの娘、轟はじめがみコメットの二人に弄られ少し恥ずかしそうにしていたり

 

 

 

「そう言えば莉々果ちゃんって社長なんだよね?その年で会社起ち上げるなんて凄いね〜♪」

 

「ま、まぁまだそんなに大きな会社じゃないから大した事はないんですけど……///」

 

「それでも凄いと思うよ?因みになんの会社を経営しているの?」

 

「はい、アパレル経営を中心に他にもいろいろやってます!」

 

「え、一つだけじゃないの?!凄いね〜!」

 

ギャルっぽい娘、一条莉々華がねぽらぼの四人と一緒に自身が経営する会社の話をしたり

 

 

 

「そういやオメー初配信めちゃくちゃ好き放題やってたな〜?」

 

「い、いや〜、ちょっとしたトラブルで上手く出来なくて、それならいっそのことインパクトある事して印象に残そうかな〜なんて思ったじゃけんファッファッファ〜♪……すんません」

 

「それにしても酒カスにヤニカスにスロカスって自分で公言するのってなかなかに凄いよね……?」

 

「オマケにその独特な能面……あれ?なんか沙花叉にキャラ似てない?」

 

「いや沙花叉スロカスのイメージしかないじゃん!?それにアイマスクだって最近はフィルしか着けてないよ!」

 

「わーい♪」

 

能面の娘、儒烏風亭らでんがころねに怒られそのイメージがクロヱと似てると言われ反論するクロヱだったり。因みにフィルは最近アイマスクを着ける事であがり症が克服されているようだ。

 

 

 

「わあぁ~!憧れのそら先輩とアズキ先輩に会えるなんて感激です〜♪」

 

「ホントに?そう言ってもらえると嬉しいなぁ〜♪」

 

「それならいつか一緒に歌ってみたとかやりたいね♪」

 

「そ、そそそそんな!?私みたいな新人が大先輩と歌えるなんて恐れ多いですよぉ〜!?」

 

金髪でふわふわした印象の娘、音乃瀬奏が大先輩のそらとアズキに会えて興奮していたりと歓迎会は大いに盛り上がっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……あ、そう言えば皆さんの旦那さん……支部長は此処にはいないんですか?」

 

そしてひとしきり楽しんでいた中、中性的な娘、火威青が玲二はいないのかと訊ねてくる。そう、もう気づいている人もいるかもしれないが今現在玲二はこの場にいないのであった。

 

「え?あー、レイくんは今スタッフリーダーの人と今システムメンテナンスをしてる最中だから終わったら来ると思いますね」

 

「システムメンテナンス?一体なんのードゴオォォォォォォォォンッ!!ーッ!?な、何今の音?!」

 

青がなんのメンテナンスをしているのかを聞こうとした瞬間、突如爆音が鳴り響き五人が思わず外を見ると……

 

 

 

 

 

ーガキィンッ!ガンッ!ドゴオォンッ!!ー

 

『え…………えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーッ!!?』

 

なんとホロライトシティの上空で二機のMSが激しい戦闘を繰り広げていたのだった。

 

「な、なにあれ?!」

 

「なんかどデカいロボット同士が戦っちょるんやけど?!」

 

「……もしかして、これが噂のガンプラウォーズ?」

 

「あー!それ私知ってる!確か一定のランクを超えたら出来るリアルフィールドバトルだよね!生で見るの初めてだなぁ〜♪」

 

「そ、それって確かかなり高品質な立体映像なんだよね?まるで本当に其処で戦ってるみたいで凄く格好良いなぁ〜♪」

 

激しくぶつかり合う二機の機体を見て驚くも何人かはこれがガンプラウォーズだと気づき思わずその戦闘に魅入っていた。そして……

 

ーズバアァッ!ー

 

ードゴオォォォォォンッ!ー

 

黒いガンダムタイプの機体が銀色のアッガイみたいな姿の機体を真っ二つにし大爆発を起こし、それと同時に映像が消え元のホロライトシティの情景に戻っていった。

 

 

 

その数分後……

 

 

 

「もぉーーーッ!先輩もう少し手加減してくれたって良いじゃないですかぁッ!?」

 

「何言ってんだ、手加減なんてされて勝ったって嬉しくもないだろう?勝負は基本全力でやらねぇとな」

 

メンテナンスを終えて玲二と部下の拓哉がパーティーホールへとやって来た。というわけで此処からは何時も通り玲二視点へと戻しましょう。

 

「レイくん、メンテナンスの方はもう終わったんですか?」

 

「あぁ、ユーザーから言われてたラグも解消出来たから明日からは普通通りに再開出来るぞ。っと、それよりも君達が新しく設立されたReGLOSSの娘達だな?まずは自己紹介だな、ホロライブ日本支部支部長兼ホロライトシティ市長を勤めてる佐々木玲二だ。そして」

 

「ホロライブスタッフリーダーの神代拓哉です。皆さんとは先輩より俺の方が関わる事が多いと思うけどよろしくな♪」

 

フブキ達にメンテナンスを終えた事を伝え俺と拓哉は新しく入ったメンバー達に自己紹介をした。そして今回このReGLOSSは俺ではなく拓哉が全面的にマネジメントする事になっているから基本的にはこの娘達は俺よりも拓哉と接する事が多くなりそうだな。

 

「は、はじめまして!音乃瀬奏といいます!まだ入って間もないですがこれからよろしくお願いします!」

 

「やっほー、一条莉々華でーす♪アイドルもそうだけど、経営者としていろいろと学ばせてもらいまーす♪」

 

「押忍ッ!宇宙一の番長目指す轟はじめです!まだまだみじゅじゅものですがよろしくお願いしましゅ!」

 

「儒烏風亭一門は前座見習い、儒烏風亭らでんといいます。どうぞよろしくじゃけん拓哉殿、玲…二殿」

 

それぞれ緊張してたり興味津々で俺等を見てきたりとしながら自己紹介をしてくれた。そして残るはリーダーの娘だけか。

 

「………火威青です、これからよろしくお願いします。それと……」

 

?火威がなんか前に出てきたんだがどうしたんだ?

 

「……久しぶりだね、ずっと会いたかったよ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

“拓にぃ”///」

 

「…………え?」

 

「…………は?」

 

『え…………

 

えぇぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーッ!!?』

 

え、今火威の奴なんて言った!?拓哉に向かって拓にぃ?!何、もしかしてこの二人知り合いだったのか?!

 

「え?ちょ、ちょい待って!?君、俺の事知ってるのか?!」

 

「…………やっぱりその反応、忘れてたんだね?ほら僕だよ、昔よく遊んでもらった幼馴染みの青くんだよ」

 

「へ?……………………は、えぇぇぇぇ!?お前、本当にあの青なのか?!」

 

マジか、やっぱり拓哉と火威って知り合いだったのか!?けど確か拓哉って転生者だよな?!

 

(おい拓哉!お前転生してこの世界に来たんだよな?ならなんでこの世界に幼馴染みなんているんだよ?!)

 

(いやいや先輩、転生してるんですから子供からリスタートしてるに決まってるじゃないですか?確かに前世での姿でそのまま異世界に行くパターンもありますが基本的には生まれ変わって異世界に行くんですよ。それでその子供の時に一緒に遊んでいた子がこの子だったんです)

 

そうだったのか!?それで幼い頃に火威と出会ってたのか……人の事言えねぇけど拓哉も結構そういう縁があるんだな?

 

「そ、それじゃあ青くんの言ってた初恋の相手って、スタッフリーダーの事だったの!?」

 

「ま、まぁそうだね……///」

 

「ほあぁーーーッ!これはまさかの運命の再会じゃけんなぁ♪」

 

確かに昔の初恋の相手と再会するなんて運命的な出会いかもな……ってこれもあんま人の事言えねぇか?

 

「ま、まさか青がホロライブにやって来るなんてな……?」

 

「まあね。拓にぃがホロライブに入社するって聞いてから僕は何度もオーディションを受けてやっと合格したんだ。これからはずっと一緒にいられるね///」

 

「あー、まぁそうだな……ところで青?」

 

「ん?なんだい拓にぃ?」

 

「…………お前って、女の子だったんだな「フンッ!」ードゴォッ!ーぐほぉッ!?」

 

おー見事な正拳突き。火威の渾身の一撃が拓哉の鳩尾に思いっきりヒットしてそのまま倒れてしまったな。というか拓哉、お前火威が女の子だって知らなかったのか?

 

「……まぁ僕昔から女の子らしい格好なんて全然してなかったしー?拓にぃが多分僕の事女の子だって気づいてないかもって薄々思ってたから全ッ然!気にしてないけどー?」

 

「あ、青ちゃんが拗ねちゃった」

 

「スタッフリーダーひどーい」

 

「だ、だって……本当に弟分みたいな子だって思ってたんだもードゴォッ!ーぐはぁッ!?」

 

あーあ、拓哉また余計な事言った所為で無言の追撃受けてんじゃねーか?こんなんでReGLOSSのマネジメントなんて大丈夫なのか?

 

こうしてドタバタはあったもののReGLOSSの歓迎会はそのままお開きとなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その夜……

 

「……で?その娘がたっくんの幼馴染みって事なのね?」

 

「……はい、そうです」

 

「…………///」

 

歓迎会を終えて自分の家へと帰宅した拓哉(神代家は神羅城住みではなく普通に一軒家)。その横には青がくっついておりそれを見ている栄ちゃんは分かるくらいの作り笑いをしながら見ていた。

 

「……それで、貴方はたっくんに私や子供達がいる事を分かった上でたっくんと一緒になろうとしてるんですか?」

 

「そうだよ。最初は拓にぃが貴方と結婚したと聞いた時は素直に諦めようとしたけど、一夫多妻となった今ではそんな事を気にする必要はないからね。だから僕も拓にぃと一緒になりたい。もうこの恋を諦めたくないから」

 

青の強い想いを聞き栄ちゃんは一瞬鋭い目つきになる。

 

「………………はぁ〜、まったくこの人はなんで佐々木さんみたいに何処でも構わず女の子を引っ掛けてくるんだろうか?」

 

しかしすぐにデカい溜息を吐き呆れるように拓哉を見る。

 

「い、いやぁ、そんな先輩じゃないんだから其処まで引っ掛けては……」

 

「あーら?()()()()()()()と結婚した男が何かほざいてますね〜?」

 

「…………すんません」

 

反論しようとするもジト目のまま指摘され綺麗な土下座をする拓哉。

 

「え、拓にぃって今五人も奥さんいるの……?」

 

「そーなんですよ。この人も気がついたら他の娘惚れさせてそのまま結婚しちゃったんですよ。今は皆仕事に出てていませんが……なので正直に言えば私ももう今更一人増えたところで気にしませんから。という事でたっくん、ちゃんと責任を持って青くんを幸せにしてあげなさいよ♪」

 

「え!?で、でもそれは栄ちゃんに申し訳ないっていうか「なーに今更そんな事言ってるの?それに良かったじゃない念願のホロメンと結婚出来て♪」ぐはぁッ!?え、栄ちゃん、それ俺の黒歴史だから掘り下げないで…………」

 

栄ちゃんにからかわれ黒歴史を掘り返された拓哉は心にダメージを負ってしまいそのままフローリングの上でダウンしてしまうのであった。

 

「フフ、という事で拓にぃ、これから僕の事もよろしくね♪」

 

「は、はい…………ガクッ」

 

ともあれこうしてReGLOSS結成早々にリーダーであり幼馴染みの青と付き合う事になった拓哉。さて、これから一体どんなふうな出来事が待っているのだろうか……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃……

 

「………………ふぅ」

 

「……まーたタバコ吸ってんのか?()()()

 

子供達が寝静まった頃、俺がバルコニーに出ると一人の女の子、新人メンバーの一人の儒烏風亭らでんがタバコを吸いながら夜風に当たっていた。

 

「ん?あーもしかしてこの城禁煙じゃった?それならもう消すから待っとくれんかの?」

 

「いや、子供達の前で吸わなければ問題ないさ。それにしてもまさかお前がホロライブに入ってくるとはな?」

 

「ファッファッファ〜♪びっくりしたじゃろ()()()♪」

 

そう言いながら悪戯っぽく笑うらでん。もうこの会話を聞いて気づいたかもしれないが俺とらでんは顔なじみなのだ。らでんは俺の母親の姉、つまり俺の伯母さんの娘なのだ。とはいえ実際は向こうの旦那さんがバツイチでその時の連れ子がらでんなのだ。だから俺とらでんには実質の血の繋がりは全くない。

 

「あぁ、まさか噺家を目指してたお前がアイドルになるなんて夢にも思わなかったぞ」

 

「まぁ其処は時代の移り変わりでそういう噺家アイドルを目指して行こうとなったワケでして♪それに、久しぶりに玲にぃとも沢山お話したかったけんね♪」

 

「そっか。まぁ俺がReGLOSSと関わる事は少ないかもしれないが、話し相手がほしいならいつでも遊びに来い。皆と一緒だけど話し相手になってやるよ」

 

「お、それじゃあ毎日玲にぃに凸するとしようかの♪」

 

「それは流石に止めてくれ」

 

「ファッファッファッ〜♪冗談じゃよ〜♪」

 

まるで悪戯好きな子供のようにケラケラと笑うらでん。全く、暫く会ってなかったがちっとも変わってないなこいつは?

 

(…………玲にぃは相変わらず優しいなぁ〜♪頑張ってホロライブに入った甲斐があったわ♪何時からでんも玲にぃの家族に仲間入りさせてもらえるように頑張らんといけんのぉ♪)

 

悪戯っぽく笑っているが心の中では意中の相手である玲二と結ばれる為に頑張ると誓うらでんであった。

 

「…………それと、初配信のあれについて後で説教あるからな?」

 

「うげッ!?あ、あれは事故だったからご勘弁して頂けないだろうか「ダメに決まってるだろ」デスヨネー」

 

その後初配信の事故について真夜中まで説教をくらうらでんであった。

 

 

 

こうして新たなチームReGLOSSが加わったホロライブ。これからも益々の発展と物語が繰り広げられる事だろう。




はい、という事で今回はReGLOSS初登場回でした!そして今回はらでんが玲二の、青が拓哉のヒロイン枠として参入します!残りの三人についてはこれから次第ですかね?

さて次回は貴方と出会っての続きです!それが終わったらまた別の話でも書こうと思いますので次回もまったりとお待ち頂ければ幸いです、ではまた!


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第142話『貴方と出会って9』

最近ですが自分の小説を呼んで頂いているお覇王様がビルドライバーズの三次創作を書いて頂ける事になりました!

https://syosetu.org/novel/326165/

こちらでは玲二以外の視点からホロライトシティの日常を描いてくれるとの事なのでよろしければ是非ご覧くださいませ!
こうしたビルドライバーズの小説もホロライブラバーズみたいな感じで増えてくれたら嬉しいです!……高望みし過ぎですかね?(-_-;)

今回は貴方と出会っての第9弾!今回も最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


ー姫森ルーナー

 

は?にーちゃとの出会い?そんなのおめーに言う必要なんてねーのら。おらとっとと帰んな……え?こよりちゃんから頼まれてる?皆の出会いを記録に纏めてほしいって?んー……じゃーたこ焼き一週間分で手を打ってやるのら。そんでにーちゃとの出会いなのらけど……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー十数年前ー

 

「フギャア!フギャアッ!」

 

「おぉッ!無事に産まれたぞ!」

 

「新たなお菓子の国の皇女の誕生だぁッ!」

 

天界の一国であるお菓子の国。その王宮の一室で新たなる生命が誕生した。産まれたばかりの赤子は力強く産声をあげ、周りからは歓喜の声が上がっていた。

 

「お、おぉ……良くぞ、良くぞ無事に産まれて来てくれた!」

 

「えぇ、私達の大切な赤ちゃん……♪」

 

そしてその赤ん坊の両親、お菓子の国の国王と王妃が産まれたばかりの我が子を優しく抱きしめ感激の涙を流す。その後その赤ん坊はルーナと名付けられ国中から沢山の祝福を受けるのであった。

 

 

 

その翌日……

 

「んなー、う~」

 

「おールーナよ〜♪無事に産まれて来てくれてパパは嬉しいぞ〜♪」

 

「えぇ、本当にこの子が元気に産まれてくれて嬉しいわ♪」

 

王宮らしく豪華なベビーベッドで横になってるルーナを国王と王妃がデレデレになりながら眺めている。産まれたばかりなのに既に親バカ状態のようだ。それに対しルーナは……

 

(う~、キラキラ〜)

 

ニコニコ笑う両親を見てキラキラしていると感じていた。というのも実はルーナの眼には特殊な力が宿っており相手のオーラを見る事が出来るのだ。ルーナの目には父親である国王からは温かいオレンジ色のオーラ、母親である王妃からは優しい緑色のオーラが見えてるようでそのちっちゃい手をぱたぱたさせながら両親に触ろうとしている。

 

「おぉ!ルーナが私達に手を伸ばしてくれてるぞ!」

 

「えぇ、きっと私達の事が分かっているのかも知らないわ♪」

 

そんなルーナに両親はニコニコと笑いながら大層な愛情を注いでいくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数週間後……

 

「え?佐々木さん達が?」

 

「あぁ、遅くなったがルーナの出生祝いに来てくれたそうだ。今日の午後には王宮に着くみたいだ」

 

「そうなのね?良かったわねルーナ、貴方の為に遠くからお祝いしに来てくれるんですって♪」

 

「んなぁ?」

 

ルーナの出生祝いをする為に何処からか誰かがやって来るそうだ。だがルーナは何の事か分からずただ手足をぱたぱたさせている。

 

「そう言えば彼処の子って四人兄弟だったわよね?その子達もくるのかしら?」

 

「いや、来るのは次男の玲二君だけみたいだ。丁度開校記念日で休みだったらしい。折角だからルーナにも玲二君と触れ合わせてみようと思うんだがどうかな?」

 

「あら、良いわねそれ♪ルーナ、貴方に初めてのお友達が出来るわよ〜♪」

 

「う〜」

 

こうしてルーナにとって家族と使用人以外で初めて他の人と会う事になった。それがまさかあのような事になるとは、この時の姫森家は誰一人思いもしなかった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おぉ遠路はるばるよく来てくださったな」

 

「お久しぶりです、国王陛下」

 

「お久しぶりね聖愛、わざわざ遠いところご苦労さま♪」

 

「えぇ、お久しぶりねルミナ♪」

 

それから午後になり客人である佐々木夫妻がやって来て国王達に挨拶をしていた。

 

「ほぉ、この子が産まれたばかりの皇女ですか?」

 

「あぁ、姫森家の新しい姫、ルーナだ。ほれルーナ、お前のおじさんとおばさんだぞ〜♪」

 

「ぷゆ?う、う~」

 

佐々木夫妻を紹介されたルーナは物珍しそうに見つめるが、二人から出ている温かいオーラを見て安心したのか手をぱたぱたさせていく。

 

「おー、やはりルーナにはその人の良さが分かるみたいだな」

 

「そうね……あら?そう言えば今日は息子さんもやって来るんじゃなかったかしら?」

 

「あー、今あいつはトイレに行ってますね。なにせ初めての王宮だからきっと緊張してしまってるんでしょう」

 

ーガチャッー

 

「失礼します。すみません、少し場所が分からなくて迷ってました」

 

そんな中一人の男の子が謁見の間へと入ってきた。ルーナは扉が開いた音に反応して男の子の方を見ると……

 

(ッ!うゅ〜!キラキラ、キラキラ〜!)

 

なんとその男の子からは今まで見た他の人達と違う七色に強く輝くオーラが放たれていたのだった。ルーナはその輝くオーラを見て自分の目も輝かせていた。

 

「おい玲二、遅いぞ。すみません、うちの息子が遅くなってしまいまして」

 

「いやいや、この王宮も広いから最初だと迷っても仕方ないだろ「んなぁ〜!なあぁ〜!」ッ!?る、ルーナ!?一体どうしたんだ?!」

 

するとルーナは今まで見せた事も無い程の声をあげ入ってきた少年に向かって手を伸ばしていた。それはまるで少年の事を求めているかのようだった。

 

「え?も、もしかしてルーナ、あの子に近づきたいのか?」

 

「うな!」

 

「え?な、なんでいきなり?俺今来たばっかりなのに?」

 

「さ、さぁ?……と、取り敢えず君、ルーナの事抱っこしてもらっても良いかしら?」

 

「は、はぁ……」

 

いきなりの事でよく分からないが少年は言われた通り王妃からルーナを受け取り優しく抱っこする。するとルーナは男の子の頬に触れ、今まで以上に温かくそして輝かしいオーラを感じ……

 

「…………うなぁ♪」

 

「え!?」

 

「る、ルーナが……笑った!?」

 

「なんと!?ルーナが初めて笑ったぞ!!」

 

「……え?何これ、どうなってんだよ?」

 

「なぁ♪」

 

なんと少年の事を気に入ったのか、ルーナは産まれて初めて笑ったのであった。これには国王や王妃、そして使用人や佐々木夫妻もびっくりし抱っこしている少年は一体どうしたのか分からず唖然とするしかなかった。

 

それからルーナは少年、玲二にずっと抱っこされながら一緒に王宮内を散歩したりミルクをもらったりとルーナは産まれてから一番満たされた時間を過ごしていた。しかし……

 

「うなぁーーー!うぅーーーッ!!」

 

「こらルーナ!いい加減に玲二君から離れなさい!」

 

「え、えーと……ルーナちゃん、そろそろ離してくれないと俺帰れな「んなぁーーーッ!」……困ったなぁ」

 

夕方になり佐々木一家が帰宅する頃になり、玲二がルーナを王妃に返そうとするとルーナは玲二から離れたくないのか引っ付いて離れようとしなかった。そしねその後なんとか引き離して佐々木一家が地上界へと帰って行くが、その後……

 

「びゃああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーッ!!」

 

「だ、ダメだ!何やってもルーナが泣き止んでくれんぞ!?」

 

「そ、そんなに玲二君と離れたくなかったのかしら……!?」

 

玲二から引き離されたルーナはずっと大泣きし続けていた。何度もあやしてもルーナは泣き止む事はなく、お菓子の国では数日間ルーナの泣き声が響いたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数日後……

 

「レイくーん!きょうもいっしょにあそぼ〜……あれ?レイくん、その赤ちゃんどうしたの?」

 

「あー、いやその……ホントにどうしたもんだろうか?」

 

「うなぁ〜♪」

 

玲二がいないと機嫌が悪くなるという事で一週間に一度はルーナを預かる事になったようで、こうして玲二の負担が増える事になったがルーナの機嫌は良くなるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから十数年後……

 

「なのら、なのら、なのなのら〜♪」

 

ふんふ〜ん♪今日は久々にレイちゃが遊びに来てくれる日なのら〜♪今日は一緒に何して遊ぼっかな〜?……あれ?パッパの部屋からレイちゃの声が聞こえるのら?なんかお話でもしてるのらか?

 

「そうか、ホロライブの新しいアイドルをスカウトする事になったのか」

 

「えぇ、でもスカウトなんて初めてなものなんで上手くいくかどうかは不安でしたが……」

 

「けれど既に四人もスカウトしたのだろう?大丈夫、君なら後一人もすぐには見つけられるさ」

 

「そうだと良いんですが……」

 

……ホロライブ?それって確か地上界のアイドルグループなのら。その名前は天界でもかなり有名に成る程ビッグな事務所だけど……そう言えばレイちゃがそのホロライブで働いているって言ってたのら。という事は、ルーナもそのホロライブに入ればレイちゃといられる時間が増えるって事なのらね!?それならこーしちゃいられねーのら!

 

「レイちゃ!」

 

「ん?あぁルーナか、ごめんな、少し伯父さんとの話が長くなってしまったな」

 

「そんな事はどーでも良いのら!それよりレイちゃ、さっきホロライブの新しいアイドルをスカウトしてるっていうのは本当なのら!?」

 

「え?あ、あぁ、確かに今ホロライブ4期生のスカウトを任されてはいるけど「だったらルーナもホロライブに入りたいのら!」えぇ!?る、ルーナがホロライブに!?」

 

「こらルーナ!お前いきなり何を言い出すんだ?!お前はこの国の姫なのだからそんな事は許されるワケがなかろう!?」

 

パッパがなんか怒ってるけど関係ねーのら!大体姫様なんて殆ど王宮で過ごさないといけないなんてつまんねー人生送りたくもねーのら!ルーナはこれからレイちゃと一緒にアイドルとして世界にその名を轟かせてやるのらぁーーーッ!

 

こうしてルーナは半ば強引に4期生へと加入する事となり、そして話題性もあって瞬く間に人気を博したのであった。その後スバルが玲二の事を兄ちゃんと呼び慕っているのを見て羨ましくなり自分もにーちゃと呼ぶようになるが、それはまた別の話である……

 

 

 

ー姫森ルーナ編 完ー

 

 

 

 

 

 

ー竜胆尊ー

 

おぉ!お主じゃな、玲二との出会いを聞いて回ってるという奴は?どれ、わらわも玲二との出会いを語るとするかの…………ってなんでどっか行こうとするのじゃ!?

 

え?今回アンケートに入ってなかったから対象外?なんじゃアンケートって?!そんなのしなくてもわらわが語るくらい別に良いじゃろうが!?兎に角ちゃんと聞くが良い!あれはわらわがにじさんじに入りたての頃じゃった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー数年前ー

 

「…………はぁ、漸く仕事が終わったのじゃ…………」

 

にじさんじに入って早二ヶ月、わらわはCMのちょい役の仕事が終わってわらわは漸く事務所へと戻ってきた。

 

入ってすぐに仕事がもらえて凄いという者もおるが殆ど通行人のような役なので正直誰でも良かったのだが、偶々他の先輩の仕事を見にいったついでにプロデューサーの目に止まったようでその場で出された急な仕事じゃった。

 

そのお陰で本来よりも帰ってくる時間が遅くなり、しかも何度もダメ出しされた所為でわらわもいつも以上にヘトヘトの状態で帰って来たのだ。さ、流石に今日はこれで終わりーピリリリリッー……なんじゃ?

 

ーピッー

 

「……もしもし?」

 

〈あ、女王!これから緊急の会議を開きたいので至急魔界までお戻りくださいませ!〉

 

「え!?ちょ、そんな事いきなり言われたってープツップー、プー、プー……ー……はぁ、またかの?」

 

突然魔界からの呼び出しがあり、わらわは仕方なく転移装置を使って魔界へと向かうのじゃった。

 

 

わらわは魔界にある鬼人族の里で生まれ育った。その里では鬼人族のリーダーとなる王がいるのじゃが、先代の王が魔龍との戦いで命を落としてしまった所為で新たな王を決める為の選抜の儀が執り行われたのじゃが、当時十歳だったわらわも何故か選抜対象になってしまい、気づいたら鬼人族の女王に選ばれていたのじゃ。なんでもわらわは先代の王をも超える妖力を持ってたらしく、そして幹部クラスの者達も満場一致でわらわを推薦してくれたからじゃとか?

 

けれども女王になったからといって何も良い事はなかった。朝から夜まで雑務をやらされ面倒事になればそれが大した事ではなくとも必ずわらわを通してくる。そんな辛い日々にわらわもどんどんストレスが溜まってしまい、幹部の一人に仕事を任せ地上界へと逃げるように向かったのじゃ。

 

其処でにじさんじというアイドルグループにスカウトされて入ったは良いものの……其処でもレッスンやら仕事やらで今まで以上に疲れる日々が増えてしまった。お陰で毎晩飲む酒の量が日に日に増えてしまっとる気がするのじゃ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………はぁ、もう里になんのコンビニ建てるのかなんて女王がいなくたって進められる話じゃろうが……ングッングッ」

 

会議を終えて地上界に戻ったわらわは家の近くにある公園で一升瓶でラッパ飲みをしておった。まったく!たかがコンビニ建てる話なんかでわざわざわらわを呼ぶ必要なんてないじゃろ!?どーせわらわはそんなに行かないんじゃから!

 

「ングッングッ……ぷはぁ~♪……おりょ?もぉ空になっちったのじゃ?確か近くにスーパーがあったから其処で……はにゃ?」

 

な、なんじゃ?立ち上がったら急に目眩が……あれ?わらわ今どうなっとるんじゃ?な、なんだかきゅうにねむ……く…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………………ん、んん……ハッ!?こ、此処は……?」

 

あ、あれ?此処は一体……?確かわらわは仕事のストレス発散の為に公園で飲んでて……ダメじゃ、其処からの記憶が全然ない。それにしても此処は一体何処なんじゃ?何処かの家のリビングみたいじゃが……

 

ーガチャッー

 

「あ、漸く起きたみたいね。具合はどうかしら?」

 

「へ?あ、貴方は……?」

 

そんな中部屋の扉が開き一人の女性が入ってきた。とても容姿が整って綺麗な女性じゃが、もしかして此奴がわらわを此処まで運んだのか?

 

「あー、いきなりでびっくりしちゃったかしら?此処は私の家よ。酔いつぶれていた貴方をうちの弟が此処まで運んできたのよ」

 

「よ、酔いつぶれていた……?」

 

「そうよ、弟から聞いたけど倒れてた貴方の近くに一升瓶が三本転がってたんですってね?そりゃ鬼人族とはいえど酔いつぶれて当然よね」

 

へ!?さ、三本も?!わらわ自分でも気づかないうちにそんなに飲んどったのか?!

 

「……その顔を見る限り自分でも自覚はなかったみたいね?幾ら鬼人族とはいえ貴方は若いみたいだからあんなに飲んだらそりゃ倒れて当然よ。弟が運んで来た時は病院に運ぼうか考えたくらいなんだから」

 

「ヴッ!?め、面目ない……」

 

うあぁーーーッ!やってしまったのじゃぁーーーッ!?まさかわらわがお酒をセーブ出来ずにそんなに飲んどったなんて、今までそんな失態した事なんてなかったのにぃ〜!?

 

ーガチャッー

 

「お?姉貴、その娘起きたのか?」

 

「あぁ玲二、今起きたみたいよ」

 

すると今度は一人の男が部屋に入ってきた。此奴がわらわを此処まで運んでくれたのか……ん?でもこの男、何処かで見た事がある気が……?

 

「さて、気分はどうだ?竜胆」

 

「え!?な、なんでわらわの名前を……?!」

 

「おいおい、ついこの間仕事先で一緒にいたじゃねぇか?ほら、月ノや樋口達と一緒にいた」

 

美兎先輩と楓先輩と一緒に…………あ、そうじゃ。此奴は確かホロライブとかいう事務所のスタッフじゃったな?なんでも美兎先輩達とも知り合いみたいじゃが……そうか、この男がわらわを助けてくれたのか。

 

「あ、ありがとう、なのじゃ」

 

「あぁ、気にすんな……それよりお前、何か嫌な事でもあったのか?」

 

「ッ!?な、何がじゃ?わらわは別に嫌な事なんて……」

 

「父さんが言ってたんだよ。人が許容量を超える程の酒を飲む時は決まって過度なストレスを感じている時だって。幾ら鬼人族といったって一升瓶三本は流石に許容量を超えているだろ?そんなに飲む程だからよっぽどのストレスを感じているんじゃないかって思ってな。だから良ければ教えてくれ、一体お前に何があったんだ?」

 

こ、この男、わらわのあの状況を見て一瞬でストレスを感じている事に気づいたのか!?なんという観察力じゃ……けど美兎先輩の知り合いという事はそれなりに信用出来そうじゃし、少しだけでも話してみようかの……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………成る程、鬼人族の女王とアイドルとの両立でその忙しさで酒を飲む機会が多くなってしまったのか」

 

「うむ……正直わらわ自身も其処まで飲んでたつもりはなかったんじゃが、まさかあんなに酔いつぶれてしまう程じゃったとは………」

 

「それだけ気づかぬ内に溜め込んでしまってたんだろう。多分竜胆は根が優しいから他人に当たる事も出来ずに自分の中で処理しようとして身近にあるお酒に走ってしまったんだな」

 

うぅ……確かにわらわは昔から他人に向かって怒るなんてした事もなかったのじゃ。まさかそれも原因じゃったなんて……

 

「私も同僚でお酒でストレス発散する人がいたけど、その人もこの間急性アルコール中毒で亡くなってしまったわ……お酒は適度に飲むのは良いけど度が過ぎれば唯の毒にしかならないから決してストレスの捌け口にしてはならないのよ」

 

「そ、そうじゃな……でもそれならわらわはどうすれば良いのじゃ?アイドルとして、女王としての悩みなんてそう安々と他人に話せないし「なら今日は俺達にその悩み、全部打ち明けてみな?」……え?」

 

「これでも俺はホロライブのスタッフだからな。アイドル達のメンタルケアとして結構悩みとか聞いてるし、それに他人に話す事で少しは気分が良くなるっていうしな」

 

「私も後輩からよくお悩み相談とかされているから、良かったら私達に話してみない?あ、もちろん話したくないなら無理に話さなくて大丈夫だから♪」

 

…………この二人、わらわの事を助けてくれただけじゃなく話まで聞いてくれるなんて……う、うぅ……

 

「うぅ……う、うわあぁぁん……!」

 

「え!?ど、どうした!?もしかして話したくなかったとかか?!」

 

「ち、違うのじゃ……そんなふうに今までわらわの事を気にかけてくれる者がおらんかったから……わらわの話なんて誰も聞いてくれんと思ってたから……!」

 

「……そっか、なら今は泣きたいだけ泣きな。涙は隠してやっからよ」

 

ーギュッナデナデー

 

男はそう言うとわらわを抱き寄せ頭を撫でてくれた。暖かい……人肌に触れるなんて何時ぶりじゃろうか。そしてわらわは少しの間男の、玲二の胸の中で泣きじゃくり、そしてその後に玲二とお姉さんに悩みを打ち明けた。

 

……今思い返せば男の胸で泣くなんて、わらわとんでもなく恥ずかしい事しとったんじゃな……///でも、そのお陰でわらわの心の中にあったモヤモヤはすっかり消えてすっきりした気分になったのじゃ。その後もわらわにご飯を御馳走してくれたりして、玲二達には本当に感謝してもしきれないくらいの恩を受けた。そしてわらわはそれからも玲二と話をしていく内に、いつの間にかわらわは玲二の事が好きになっていたのじゃ。

 

 

 

それから数日後……

 

「女王!以前報告していたコンビニ建設の件ですが……」

 

「じゃからそれはお主らだけでも出来る話じゃろう?わらわはそんなに里には帰らないのじゃからその程度の事で何度も呼び出すのは止めてくれんか?」

 

「は、はぁ……あ、それとこの間来ました女王へのお見合い写真の一覧なのですが「いらん、わらわには既に心に決めた男がいるからの」え!?そ、そんな、女王!それは一体誰なんですか?!まさかアイドルの誰かとかですか?!」

 

幹部の一人がわらわに対してピーピー何か言っとるがそろそろ配信の時間になるからそんな事は気にせず地上界へと戻っていった。さて、今夜は配信が終われば久々に玲二と食事の約束をしとったからのぉ、今から楽しみなのじゃ♪

 

………玲二にはわらわ以外にも沢山のおなごが慕っておる。だからといってはいそうですかと簡単に諦めるわらわではない。何時か必ず、玲二をわらわの夫として迎える為に今日も頑張るのじゃ!

 

 

 

ー竜胆尊編 完ー




はい、という事で今回はルーナ姫と尊様の出会い回でした!尊様は本当はアンケートに入れるつもりが忘れてしまってたので今回一緒に書かせて頂きました!

次回は……少し構想を考えるのでちょっと間が開くかもしれませんがまったりと待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第143話『チーター』

最近肌寒くなってきて少し風邪気味です……(T_T)皆さんも風邪やコロナ等には気をつけてくださいね。

今回はガンプラウォーズにある異変が……!?一体何が起こったのか、今回も最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


ガンプラウォーズが軌道に乗り、年内には天界と魔界にも稼働開始を予定している程の大盛況を果たしていた。そんな中、開発考案者である玲二は今ある問題を抱えていたのであった……

 

 

 

「……やはりこいつ等、かなり怪しいな」

 

「あれ?レイっち、もしかしてまだ仕事中だった?」

 

「ぱぱぁ、だいじょぶ〜?」

 

「とーちゃ、あそぼ〜♪」

 

俺がとある事で悩んでいると部屋にぼたんと玲牙とつばきがやって来た。どうやら気づいたらもう夕方になってたみたいだな……それだけこの件について深く調べてたみたいだな?

 

「ん、いやもうそろそろ終わる頃だったし問題ないさ。ほら二人とも、こっちにおいで」

 

「「わーい♪」」

 

俺は玲牙とつばきを呼んで俺の座ってるソファーに上げると玲牙は俺の膝下でごろんとなりつばきは俺の耳をあむあむしようとよじ登ってくる。つばきは本当に相変わらず変な甘え方をしてくるよな……?

 

「よっと……それでなんだがぼたん、ちょっとこれを見てもらえないか?」

 

「え?これって……あー、ガンプラウォーズのランク上位者リストだね。これが一体どうしたっていうのさ?」

 

俺はぼたんにガンプラウォーズの現在のランク上位者のリストを見せ、そして更に部屋の壁にあるモニターでその中にいる三人のプレイヤーの情報を表示していく。

 

「此処最近上位に上がってきた者は結構いるが、その中でこの三人から妙なデータが見つかってな」

 

「妙なデータ?例えばどんなのが見つかったのさ?」

 

「まずこのリザルト画面を見てほしい。これはボム・ドッジボールのクリア後のリザルト画面なんだが、このゲームはどんなに頑張っても得られるEXPは最大で1200なんだ。だがこいつ等の獲得EXPは1500、通常では決して出す事が出来ない経験値を得てやがるんだ」

 

「え?あ、ホントだ!?それに他のリザルトでも僅かだけど想定経験値より多く獲得してない?!」

 

そう、この三人はいろんなゲームで本来ゲーム得られるEXPポイントの想定分を超えてのポイントを獲得している。勿論イベント期間によっては経験値アップなんかのサービスもやってはいるが、この三人はそれとは関係ないタイミングでも多くの経験値を得ているのはどう考えてもおかしい。更に

 

「他にもこれはバトルの時の映像だ。まず一人目なんだが……」

 

「えっと……なんかお世辞にも上手いとは言えないね?寧ろ相手に武器を弾かれて無防備状態だし」

 

まず最初に見せたのは一機のジムが相手のジェガンと一対一で対決している映像だ。ぼたんの言う通りこのジムの動きはお世辞にも上手いとは言えず、寧ろ下手くその領域までいってる程だ。現にジムはジェガンの猛攻に耐えきれず武器を落としてしまい追い詰められていた。しかし……

 

ー……シュッ!バキュゥンッ!ー

 

「え!?」

 

なんと丸腰になってた筈のジムが何故かビームスプレーガンを取り出しそのままジェガンのコックピット部分を打ち抜きゲームが終了したのだ。

 

「ちょ、ちょっと待ってよ!?なんで落とした筈のビームスプレーガンが復活してんのさ?!まさか二丁持ってたとか!?」

 

「いや、こいつのデータを見る限り装備していたビームスプレーガンは一丁だけだ。それに仮に二丁あったとしてもガンプラをスキャンする際にそのデータが反映されたら最初から二丁持ってなきゃおかしいのにこいつはずっと一丁しか所持していない。つまりはこいつ、落としたビームスプレーガンを一瞬にして回収したという事だ。勿論そんなスキルはガンプラウォーズには存在しない」

 

更に俺は他の二人のバトル映像をぼたんに見せる。片方は相手の斬撃を受け機体に無数の傷が出来ていたが、数秒するとその傷は徐々に修復しダメージもMAXまで回復し、もう片方ではHPが尽きた筈なのに直ぐ様全回復してその後相手の隙をついて敵を撃破していた。どちらも通常のプレイなら絶対にあり得ない事である。

 

「な、なんなのさこの変なスキル?!こんなの許されるワケがないじゃん!?」

 

「あぁ、だがぼたん、お前はこいつ等のスキルのような物、何処かで見た事はないか?」

 

「え?えっと………………ッ!そうだ、こいつ等の動き、トレーニングモードでのNPCと同じ動きじゃん!?」

 

そう、この三人が使用したスキルのような物はガンプラの調整を行う事が出来るトレーニングモードでのNPCの仕様と全く同じなのだ。プレイヤーが納得するまで調整出来るように相手となるNPCには自動回復とHP0になった時のリセット、更に武器を紛失してもすぐにリカバリーする機能が備わっているのだが、そのトレーニングNPCのと同じ仕様を何故こいつ等は扱う事が出来るのか?その答えはただ一つ。

 

「つまりこいつ等は何らかの形で自身のガンプラデータに経験値増加やトレーニングNPCと同じ仕様を組み込んだ……所謂チーターだな」

 

「チーター!?そんな事してる奴等がいたの?!」

 

「「ちーた?」」

 

チーター、ネトゲ等で自分が有利になるような違法な強化やキャラの開放等をする不正行為を行うプレイヤーの事だ。これらの行為はゲームバランスを著しく崩壊させるだけでなくシステムにもバグを生み出す原因にもなる為一般ユーザーや運営からしてみれば害悪でしかない存在なのだ。

 

「かーちゃ、ちーたってなに〜?」

 

「えっと、チーターっていうのはな、皆のガンプラウォーズで悪い事してる奴等の事だよ」

 

「うぅ〜……わるいことしちゃしぇんしぇにめっ!されちゃうのぉ……」

 

「そうだな、悪い事したらダメだから二人とも良い子にしてくれな?」

 

「「はーい♪」」

 

「うん、よろしい。で、そんなチーターだが本来ガンプラウォーズは不正行為を防止する為に様々なプロテクトをかけている筈だ。にも関わらずこいつ等は一体どうやってこんなチート行為を働いているんだろうか?」

 

「確かに……ゲームをする為のIDにもそういう仕掛けは出来ないように念入りにプロテクトをかけているから無理だし、そんなチート行為なんていったら筐体を弄るくらいしか方法はないような気もするけど……?」

 

うーん、そうなるとこいつ等は現地のスタッフとグルになって不正行為をしているって事になってしまうが、一箇所ならまだしもこんな複数の場所で、それもほぼ同じタイミングで起こるなんてあり得るのか?

 

ーピピピッピピピッー

 

「ん?電話か……灰から?どうしたんだ急に……ーピッーもしもし?」

 

〈久しぶりだな玲二さん、今少し大丈夫かな?〉

 

「あぁ、大丈夫だが灰から連絡してくるなんて珍しいな。何かあったのか?」

 

〈あぁ……玲二さん、最近ガンプラウォーズで変なプレイヤーとかが増えてはいないか?〉

 

ッ!?なんで灰がそんな事知ってるんだ?!いや、おそらくこいつの事だ、何か調べ事をしている内に何かしらの情報を手に入れたんだろう。なんにしろベストタイミングだ。

 

「……本当に何時も良いタイミングで調べてくれるな。で、それについて何か知ってるのか?」

 

〈まあね。取り敢えず今そっちのパソコンにあるサイトのURLを送ったから少し見てみてくれないか?〉

 

そう言うとパソコンに一通のメールが受信され、開くととあるサイトのURLが載せられていたので俺は灰の言う通りそのサイトを開くと……

 

「…………なんだこれ?」

 

「え、何々?一体どうしたの……え、何これ?!」

 

 

 

ー最強のガンプラが君の手に!

これで君もガンプラウォーズの頂点に!ー

 

 

 

其処にあったのはとある通販サイト、しかもガンプラウォーズ専門のガンプラを売っているという奇妙なサイトだった。そのサイトをスクロールすると『このサイトのガンプラ限定のスキルが手に入る!』だとか『これさえあれば初心者でも楽々攻略!』とかまるで通販番組みたいな謳い文句ばかりが載っている。

 

〈どうやらこのサイトではガンプラを売っているみたいだがそのガンプラが唯のガンプラではなくゲームシステムに害を成す違法な改造がされている物みたいなんだ。一体どうやっているかは不明だけどね?〉

 

「そういう事か……なぁ灰、このサイトの発信源は何処かお前には分かるか?」

 

〈…………申し訳ない、どうやら相手はかなり用心深いようで何十もの通信回線を経由しているみたいだ。解析にはもう少し時間が掛かりそうだ〉

 

そうか、元にじさんじ最強のハッカーでも手こずるとは、相手は相当腕のあるクラッカーのようだな?

 

※ハッカーは正確には二種類存在し黛灰のような知識と技術を善良な事に利用するのをホワイトハットハッカーと呼び、逆にそうした技術で悪用する奴等の事をブラックハットハッカー、通称クラッカーと呼ぶ。

 

「成る程な……灰、そのまま引き続きそのサイトの発信源を探ってくれないか?俺は今から違法プレイヤーらしき奴等の内一人に会ってくる」

 

〈あぁ、任せてくれ〉

 

「という事だからぼたん、俺は何人か連れて現場に行ってくる。留守の間は任せたぞ」

 

「オーケー、任せときな♪」

 

「ぱーぱ、いってらっしゃ〜♪」

 

「とーちゃ、がんばれ〜♪」

 

よし、それじゃあ早速何人か連れて違法プレイヤーの内の一人に接触するとしよう。けど、なんだが凄く嫌な予感がするな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……さて、此処が例のプレイヤーがいる店か」

 

調査の為にやって来たのは岡山にあるとあるゲームセンターだ。此処は県内で唯一稼働している場所なので探すのには苦労はしなかったが、やはり結構人混みが凄いな?

 

「ねぇレイくん、本当に此処にチート行為しているプレイヤーがいるの?」

 

「あぁ、IDの記録を見る限りは間違いない……ってかおかゆ、どうしたんだその姿?」

 

俺は一緒に着いてきたおかゆの方を見ると、おかゆの姿が何時もと違い猫の獣人の象徴とも呼べる猫耳と尻尾が無くなっており代わりにエルフのような耳がぴょこんと出ている。髪の毛も紫から薄水色に変わっていて、言われなきゃおかゆだと気づかないレベルの変化をしている。

 

「あーこれ?これは神羅族の力をコントロールして種族変化してみたんだよ。ほら、僕達って結構有名人だからこういうのは変装に使えるでしょ♪」

 

「へぇ、そんな事も出来たんだな神羅族って?」

 

「そーいえば玲二って種族変化なんて使った事なかったもんな〜?」

 

そう言って近づいてきたころねも何時もの犬耳と尻尾が無くなっており、代わりに銀髪とちょこのような悪魔の角が生えていた。最近皆して神羅族の能力を練習してたみたいだったけど、なんかこういうのも似合うな二人とも。

 

「……あれ?そういやフブキとミオはどうしたんだ?さっきまで此処にいたよな?」

 

「あ、そう言えばいつの間にかいなくなってるね?ころさん知ってる?」

 

「さぁ?トイレとかに行ったんじゃない?」

 

マジか、あの二人一体何処にークイックイッー……ん?

 

「こーん!」

 

「わぅ!」

 

……なんだ?白い猫と黒い犬?なんでこんな所に……ってよく見ると猫と犬じゃなくて狐と狼か?…………ってこいつ等まさか!?

 

「こんこーん!」

(えへへ〜♪どうですかレイくん、私達の変化は!)

 

「わぉ~ん!」

(ウチ等の妖力と神羅族の力を合わせたら出来たんだよ〜♪)

 

「やっぱお前等かい!?」

 

「え!?まさかこの子達ってもしかしてフブちゃんとミオしゃ?!」

 

「へぇ〜、二人とも動物に変化したんだぁ?」

 

いや感心すんなよ!?なんでこれから調査するっていうのにわざわざ動物の姿に変身したんだこいつ等は?!

 

「こんこんこーん!」

(この愛くるしい姿なら違法プレイヤーも油断して隙を見せるに違いないですよー!)

 

「わぅ、わぉ~わん!」

(それに仮に逃げ出そうとしたらウチが噛みついて逃さないんだから!)

 

「あぁ、そういう事か……因みに二人とも」

 

「「?」」

 

「此処普通にペット入れないぞ?」

 

「にゃあ!?」「わぅ!?」

(えぇッ!?)

 

いや普通に考えたらゲーセンにペットなんて入れないだろ?多分入ってもすぐに門前払いされて終わりだ。多分こいつ等は漸く使いこなせた能力を使いたくてやったみたいだが、その後の事まではなんも考えてはなかったみたいだな。

 

「はぁ……で、その変化はすぐに戻れるのか?」

 

「こ、こーん……」

(そ、それは……)

 

「わうぅ〜……」

(実は変化するのに力を使い切っちゃって……)

 

成る程、つまりはすぐには戻れないと…………ふむ、ならば

 

ーシュンッ!バッ!ガチッ!ー

 

「こ、こん!?」

(れ、レイくん!?)

 

「わ、わうぅ〜!?」

(な、何これ〜!?)

 

俺はすかさず転移で家にある動物達用の首輪とリードを取り素早くフブキとミオの首に装着しリードを近くの邪魔にならない場所にくくりつけた。すぐに戻れないなら仕方がない、二人には悪いが此処でお留守番してもらおう。

 

「よし、んじゃさっさと行くぞおかゆ、ころね」

 

「「う、うん……(汗)」」

 

「こーーーーん!?」

(ちょっとぉーーー!?)

 

「わぉーーーん!?」

(なんでぇーーー!?)

 

二人、いや二匹がなんか叫んでいるが気にせずゲーセンの中へと入っていった。流石に変化能力は使った事がないから解除するのに時間が掛かりそうだから諦めてくれよ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……さて、まずは例の違法プレイヤーが今いるかどうかを確認しないとな」

 

「それならまずは受付でリストを確認してもらおうよ。ころさん、お願いしても良ーい?」

 

「りょーかい!早速受付に行くでな〜!」

 

おかゆに言われころねが受付に確認してくれてるからその間に俺はついでにガンプラウォーズの市場調査も行おうとゲームコーナーを見て回る事にした。ふむ、どの筐体も満席だしユーザーも満足そうにしてくれている。楽しそうにする人、悔しそうにするもまた挑戦しようとしてくれている人、こうして見るとこのガンプラウォーズを始めたのは正解だったと感じられる。そんな俺達が作り上げたガンプラウォーズで不正行為を働く奴がいるなんて、絶対に許すわけには行かないな……

 

「レイくーん!ころさんが受付で聞いたら今B-6でプレイしている子が例のプレイヤーだって!」

 

「B-6か、それは……あの筐体だな。なら早速話しかけてみるか。二人は万が一相手が逃げようとした時の為に此処で待機してくれ」

 

「オッケー!任せるでな〜♪」

 

さて、それじゃあさっさと確認しますか。

 

ーコンコンッー

 

ーウィーンッー

 

「はい?」

 

「突然ですみません、貴方がGWネーム『とむとるーぱー』さんですよね?」

 

「は、はぁ、そうですけど……?」

 

うん、どうやらこの子が例の違法プレイヤーに間違いなさそうだ。おそらく中学生くらいか?そんなプレイヤーが不正行為を働いていたなんてな……

 

「君にどうしても聞きたい事がある。今すぐゲームを終えて一緒に事務所に来てもらおうか」

 

「え!?じ、事務所!?な、なんで?!」

 

「それについては其処で詳しく話すから、兎に角すぐにゲームを止めて出てきてくれ」

 

「は、はぁ……?」

 

…………この反応、なんで自分が事務所に呼び出されたのかが分かってないようだな?もしかしてこいつ……兎に角この子を事務所に連れて詳しく話を聞かないとな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えぇッ!?ぼ、僕がチート行為を?!そんな事した事ないですって!?」

 

「うーん、そう言われてもね〜?」

 

「現に君のプレイデータから不正なデータが幾つか見つかってるからね〜?」

 

ゲーセンの店長に事情を話し少年を事務所に通して話を聞いてみたけれど、やはりというかこの子、自分が不正行為を行っていたという自覚が全くないようだ。

 

「君、ゲームをプレイしている時に変な事は起きてなかったか?例えば多少のダメージが勝手に修復されたりHPが0になっても瞬時に全回したりとか」

 

「え?た、確かにありましたけど、それってこの機体のスキルなんじゃ……?」

 

「それはトレーニングNPCの自己修復機能が勝手に組み込まれているんだ。それは通常のプレイなら絶対に発生しないシステムなんだよ」

 

「そ、そんな!?」

 

ふむ、どうやらこの子は自己修復機能をこのガンプラ特有のスキルだと思って使ってたみたいだな?けどそれにしたってすぐに変だとは思わなかったのか?

 

「玲二、この子のIDを調べてみたけどこれ自体には不正なパッチとかは見つからなかったよ」

 

「従業員さんに頼んで所持していた物も確認してもらったけど、特にハッキングとかに使えそうな物もなかったみたい」

 

「成る程……となればやはり怪しいのはこのガンプラか。君、このガンプラ少し拝見させてもらうよ」

 

「は、はい」

 

…………うーん、普通のリバイブ版のザクIIみたいだけど完全な素組み、それどころか作り込みが酷い。ゲート処理とかも荒いしシールとかも剥がれ掛けてる。如何にも普段プラモを作った事が無いような子が作りそうな出来栄えだな…………ん?けどなんだこの違和感は?なんか普通のザクIIよりも少しだけ重く感じるのは……まさか?

 

「ごめんな、少しこのガンプラバラさせてもらうよ?」

 

「え?ば、バラすんですか?」

 

「大丈夫、すぐに戻せるから……よっと」

 

俺は持ってたオープナーを使ってザクIIのパーツをバラしていく。すると……

 

「…………なんだこのチップ?」

 

「え、なんでガンプラの中にこんなチップが入ってるの?」

 

「ねぇ、これ君が仕込んだ物なの?」

 

「い、いえ、僕は全く知りませんよ!?」

 

バラしたザクIIの胴体と右足から黒いチップのような物が出てきたのだ。もしかして、これが原因なのか?

 

「なぁ君、正直に答えてくれ。君はこのガンプラを何処で手に入れたんだ?」

 

「え、えっと……実は僕、最初は友達から借りたガンプラでガンプラウォーズを始めたんですがそれからハマってしまって……でも僕自身不器用なので自分で作る事が出来なくて、それでネットにあるガンプラウォーズ専門ガンプラを販売しているサイトを見つけて其処からこのザクIIを購入したんです」

 

ガンプラウォーズ専門ガンプラ販売!?それってまさか!?

 

「……君、もしかして君が買ったというのはこのサイトか?」

 

「え?あ、はいそうです!このサイトでガンプラを買ったんです!」

 

やはりか……この子がガンプラを買ったというサイトは灰が見せてくれた怪しい販売サイトだった。つまりこの一連の不正行為は灰が言ってた通りこのガンプラに仕組まれた黒いチップが原因という事になるのか!

 

「まさかこんな仕組みになってたとはな……」

 

「ご、ごめんなさい!知らなかったとはいえ不正行為なんてしてしまって……!」

 

「まぁ仕方がないと言えば仕方がないんだけど……」

 

「それでも不正行為をしていた事は事実だから罰則としてこのIDは凍結する事になるね?」

 

「はい、それはもう素直に受けます……」

 

まぁ規則が規則だからこればっかりは仕方がない。俺達は少年からこのガンプラに仕組まれた黒いチップを受け取りこよりに調べてもらう為に急いでホロライトシティへと戻る事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………あれ?なんか忘れてるような気がするが……あ!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「わぁ〜、猫ちゃん可愛い〜♪」

 

「こっちのわんちゃんももふもふしてるよ〜♪」

 

「に、にゃあ!?にゃうあぁーーー!」

(や、やめろォ!私は狐じゃーーーい!)

 

「わふ、わおぉぉーーーん!?」

(やめ、やめてよぉーーー!?)

 

フブキとミオの事を忘れて急いで戻ってみると、二人、いや二匹は子供達にめいいっぱいもふもふされていた。終わった頃には毛並みがボサボサになり帰った後もずっと俺に引っ付いた状態だった。

 

 

 

ガンプラウォーズで発生した謎の不正行為に関わっている可能性がある黒いチップを入手した玲二達。はたしてこのチップは一体何なのだろうか?そしてこのチートアイテムをばら撒いているのは一体誰なのだろうか?

 

続く……




はい、という事でガンプラウォーズにチーター現るの回でした!使用者は自覚はなかったみたいですがリアルでも知らずに違法行為をしたら罰せられる可能性があるので気をつけましょう。

次回は違法ガンプラの売るバイヤーとの対決!?次回もまったりと待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第144話『黒幕を暴け!』

今回なんと新たに波音四季様がビルドライバーズの三次創作を書いて頂く事になりました!本当に感謝感激雨あられです!(≧∇≦)/
波音様の方は以前出てきたオリキャラである飛鳥新達がホロメン等とガンプラウォーズを通じて交流を深めるといった内容となってますので是非ご覧くださいませ!

https://syosetu.org/novel/327058/

今回は前回のチーターから手に入れた黒いチップの出処を探る回です!はたして犯人は一体……!?今回も最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


ガンプラウォーズのプレイヤーの中で不正行為を働いた者がいた事が発覚した。その内の一人で知らずに使用していた少年から謎の黒いチップを入手し俺達は緊急でこよりや灰を呼んで調べてもらう事にしたんだが……

 

「玲二くーん!漸くこのチップについていろいろと分かったよ〜♪」

 

「本当か?ナイスだこより。灰も急に呼んですまなかったな」

 

「それについては別に良い。だが問題はこのチップについてだ。これは俺達が思っていた以上にヤバいデータが仕組まれていたんだ」

 

ヤバいデータ?なんか聞く限り穏やかじゃないな、一体どんなシステムなんだ?

 

「まずこのチップはガンプラウォーズの筐体にセットされた瞬間に特殊な電波を発生させプログラムをジャミングしデータを書き換えていたんだ。これなら筐体そのものを弄らなくても外部からデータを改ざんする事が出来るようになる」

 

「成る程、これを利用してガンプラにチートスキルを与えていたワケか」

 

「うん、でもそれだけじゃないの……実はこのチップを組み込んだガンプラが使用されていると思われる時間帯にガンプラウォーズのメインサーバーに不正なアクセスが検知されたの」

 

不正アクセス!?どういう事だ?!

 

「どういう事だこより!?ガンプラウォーズのメインサーバーには厳重なファイアウォールが張られている!そんなメインサーバーにアクセス出来るのは俺以外には権限の与えた数人しかいない筈だ!それなのになんで……!?」

 

「……これを見て。あの不正ガンプラが使用されていた時の記録なんだけど、そのタイミングでファイアウォールの極一部に小さな穴が発生しているの。そしてこの穴が発生している間で誰かが不正にアクセスしようとしている形跡があったんだ」

 

「おそらく犯人の狙いは不正ガンプラを売って儲けるんじゃなくて、その不正ガンプラを使用させる事でファイアウォールに穴を開けさせて其処からメインサーバーにアクセスする事だったようだ」

 

なんという事だ!?もしそれが本当なら不正ガンプラが出回り続けたらファイアウォールの穴が更に広がって犯人にメインサーバーのアクセスを許してしまう可能性があるぞ!?

 

「くッ……仕方がない、ユーザーには申し訳ないが一度ガンプラウォーズを緊急メンテナンスと称して一時稼働を停止させる!こよりはその間にこのチップに対するジャマープログラムを作れるか?」

 

「もっちろん!こよの頭脳があればこんなプログラム余裕で止めてみせるよ!」

 

「なら俺も手伝おう、そうすればもっと早くプログラムを完成出来る筈だ。それと玲二さん」

 

ん?なんか灰がUSBメモリを渡してきたけど……!これってまさか!?

 

「漸く敵の居場所を探る事が出来たよ。其処に行けばおそらく犯人のアジトに辿り着く筈だ」

 

「流石だ、灰。これで犯人を捕まえる事が出来るな」

 

「まぁあくまで発信源が分かっただけで本当にいるかは定かじゃないけどな?けど気をつけてくれ玲二さん、今回の事件はおそらく単なる金儲けやメインサーバーの乗っ取りなんてモノじゃ済まされない、何か途轍もない目的があるかもしれない」

 

そう言って灰はこよりと共にジャマープログラムを作りに部屋を出ていった。途轍もない目的?一体何なんだ?兎に角メモリに入っているデータで犯人の座標を……………………ッ!?こ、これは!?まさか灰の言ってた事はこれの事か!こうしちゃいられない!急いで全員を集めて緊急会議だ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………よし、全員集まったな?ではこれよりガンプラウォーズチーター事件に関する緊急会議を始める」

 

「えっと……玲二さん?ガンプラウォーズにチーターが出たっていうのはぼたんちゃんから聞いとったけど……」

 

「それにしてはホロライブとにじさんじをほぼ全員集めるなんて、そんなに大事なんですか?」

 

急に呼ばれ緊急会議が始められたが咲や美兎達はあくまで唯のチーターが現れたという事しか聞いていない為にまだ事の重大さに気づいていない。まあ普通なら唯のチーターの為に全員が集まる必要なんてないからな。

 

「確かに唯のチーターってだけなら此処までの事はしない。だがまずはこれを見てくれ、これは昨日とあるユーザーが使用していたガンプラの中から出てきたチップだ」

 

俺がモニターに例の黒いチップを映し出すと皆が一体なんだとざわつきだす。

 

「これはガンプラウォーズのスキャナーにジャミングしデータを改ざんさせ自分の有利なチートスキルを与えるという物だ。だがこのチップにはそれ以外のある仕掛けが施されていた事が分かったんだ」

 

「ある仕掛け……ですか?」

 

「あぁ……これにはガンプラウォーズのメインサーバーを守るファイアウォールに一時的だが穴を開けるという仕掛けが仕組まれていたんだ」

 

『えぇぇぇぇッ!?』

 

俺の説明に皆が驚いているが無理もない。ガンプラウォーズのメインサーバーを守るファイアウォールは政府の機密情報を守っている物と同等以上のプログラムが施されている。そんなファイアウォールに穴を開けるなんて普通なら考えられないのだ。

 

「おい玲二!それって本当なのかよ?!」

 

「あぁ、現にこの違法ガンプラを使用されていたとされる時間帯に何者かがメインサーバーに不正アクセスをした形跡がある」

 

「不正アクセス!?それじゃあ犯人の目的って……!?」

 

「あぁ、この違法ガンプラを利用してガンプラウォーズのメインサーバーにアクセスするつもりだ」

 

犯人の真の目的を知り更にざわつきだす一同。だが事はそれだけでは納まらないのだ。

 

「このガンプラウォーズのメインサーバーはホロライブ、そして協力関係にあるにじさんじとのりプロのサーバーにも直結している。もしメインサーバーに侵入されればそれはつまり……」

 

「ホロライブとにじさんじとのりプロの乗っ取りにも繋がってしまうって事!?」

 

「その通りだ。犯人が其処まで理解しているかはまだ分からないが、そうじゃなかったとしてもこれ以上不正アクセスをさせるワケにはいかない。なのでこれから一時的にガンプラウォーズを緊急メンテナンスと称して一時封鎖、並びに犯人を特定し確保する!」

 

「え?確保って、もしかしてもう犯人の居場所が特定出来たの?!」

 

「あぁ、灰のお陰でな。犯人はこの黒いチップを内蔵した違法ガンプラをある通販サイトで販売し世間にばら撒いていた。そのサイトは海外の通信回線も利用され何十にも経由されて解析には時間が掛かったみたいだが遂に特定する事が出来たんだ。それが…………此処だ」

 

俺はモニターの映像を切り替え灰が調べてくれたサイトの詳しい発信源を表示した。それを見た一同は驚きを隠せないでいた。

 

「こ、此処って確か……!?」

 

「前にキズナアイさんとかを捕まえてカプセルに閉じ込めていた奴の別荘?!」

 

「あぁ!?そうだよ!確か大友とかいう最低な刑事の秘密基地みたいなとこがあった場所だ!」

 

そう、発信源はなんとかつてキズナアイ等の引退、卒業、休止したアイドル達を拐い監禁していた元警察官大友の秘密の地下室がある別荘だった。まさかかつて俺達が潰した相手の拠点が利用されているとは誰も夢にも思わなかっただろう。

 

「じ、じゃあ犯人は大友だったって事?!」

 

「けどあのクズ刑事って今刑務所にいるんじゃないの?!」

 

「そうだよ!確か無期懲役の実刑判決くらって日本でも厳しい刑務所に送られた筈だよ!?」

 

「……それについてだが、俺もこの拠点を知って嫌な予感がして急いで調べてみたんだ。そしたら…………一ヶ月程前に大友が刑務所を脱獄し今現在も逃亡中だそうだ」

 

「脱獄!?いつの間にそんな事してたのあいつ?!」

 

そう、大友はあろう事か刑務所から脱獄し行方を眩ませている事が判明したのだ。あの野郎、反省するどころか更に罪を重ねてやがったんだ。

 

「つまり脱獄した大友が此処を拠点にして違法ガンプラを販売してたって事!?」

 

「ちょっと待って!だとしても大友にそんなチートチップを作るだけの技術なんてあるの?!」

 

「いや、大友にはおそらくそんな技術は持ち合わせてないだろう。地下室にあった培養カプセルも奴が特別に発注した物だって聞いたからな。つまり……仮に犯人が大友だった場合、奴に協力している共犯者がいる可能性がある」

 

「共犯者!?一体誰が……?!」

 

「其処までは分からない。だがどっちにしろ犯人にこれ以上好きにさせるワケにはいかない。だからこれから俺は何人か連れて犯人のアジトに向かおうと思っている。拓哉、ベルさん、一緒に来てもらっても良いか?」

 

「勿論です!先輩が俺達や皆の為に作った大切なガンプラウォーズを貶す奴は絶対に許さねぇッ!」

 

「あぁ、俺もそんな卑怯な奴をほっとくワケにはいかねぇな」

 

よし、拓哉とベルさんは普段から俺と同じように兄貴の訓練を受けているから並大抵の相手なら簡単にあしらう事が出来る。よっぽどの事がない限りはこれで大丈夫な筈だ。

 

「待ってよ玲二君!それならパタちも……!」

 

「レイン、お前にはまだ産まれたばかりのラインがいるだろ。それにもし犯人が大友ならあいつは必ず卑怯な手段で俺達を追い込もうとする筈だ、だから今回は俺達三人で行くよ。フブキ、俺が留守の間は皆の事をよろしく頼むぞ」

 

「分かりました!けどレイくん、絶対に無理だけはしないでくださいね?」

 

あぁ、もとよりそのつもりだ。まずは敵の本丸に攻め込む前にいろいろと準備をしてから向かうとしよう。決行は今日の日が落ちる頃だ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数時間後……

 

「…………此処に来るのも久しぶりだな」

 

「此処が大友って奴のアジトですか……」

 

「何と言うか……随分寂れているようだな?」

 

俺達は闇夜に紛れながら転移で大友の元別荘にやって来たが……ベルさんの言う通り以前はシンプルながらも豪華だった別荘が今じゃいろいろと荒らされており最早廃墟同然の状態だった。

 

「大友が逮捕されてからこの別荘は事件があった場所だと知れ渡ってしまってそれからいろんな奴等がやって来ては好き勝手に荒らしまくっていたらしい。その所為でこの別荘に新しい買い手がつかず取り壊す事すらままならない状態だそうだ」

 

「けれどそんな場所なら仮に大友が戻ってきてもまさかこんな所にいるわけがないって思わせる事が出来るって事ですよね?」

 

「成る程、思い込みを逆手に取ったって事か」

 

「そういう事になるな。よし、取り敢えずまずは中に入って地下室へと向かうとしよう。こっちだ」

 

この別荘には以前潜入した事もあって中の構造はある程度把握しているから俺達はそのまま地下室がある秘密の通路へと向かっていった。しかし……

 

「あ、あれ……?」

 

「?どうしたんだ玲二?」

 

「いや、此処の食料庫にあった地下室への通路があったんだが……それが既に封鎖されているんだ」

 

「え!?封鎖ですか?!」

 

そう、以前見つけた地下室への通路があった場所は既に埋め立てられてしまい通る事が出来ない状況だったのだ。一体どうなっているんだ?!

 

「え?じゃあ犯人はこの地下室を利用していないって事ですか?」

 

「けどそれだったら一体何処に隠れているんだ?念の為に此処以外の場所も見たけど他に隠れられそうな場所なんてなかったぞ?」

 

「あぁ、だから隠れるとしたら此処の地下室だけだと思ったんだが…………ん?」

 

…………なんだ、この違和感は?そもそもこの壁、一体誰が埋め立てたんだ?警察なら中を調べる為に残しておく筈だし、他にこの別荘に出入りしているのは事件を知ってやって来た野次馬くらい、そんな奴等がわざわざ地下室を埋め立てるなんて到底あり得ない。だとしたら……

 

ー……コンコンッコンコンッー

 

「?先輩、一体何をしてるんですか?」

 

「いや、少し気になる事があってな………」

 

俺は埋め立てられている壁の方を軽く叩いてみる。すると……

 

ーコンコンッコンコンッ…トントンッー

 

「!此処だけ音が違う……だとしたら!」

 

一箇所だけ音が違う場所を見つけ、俺はその近くに何かないかを確認していく。すると近くに謎の窪みを見つけ、其処を軽く踏むと……

 

ーカチッ……クルッー

 

「ッ!か、壁が!?」

 

「……成る程、カモフラージュしていたって事か」

 

「そういう事だ。おそらく犯人が警察とかの目を誤魔化す為の仕組みだろう。こっからは何があるか分からないからステルス化して地下に潜入するぞ」

 

俺は自分と拓哉とベルさんをステルス化させ地下へと続く通路を降りていった。相変わらず長い階段だが、此処は以前と変わらず綺麗なままだ。おそらく此処には野次馬達も入っては来れなかったんだろうな……っと、そうこうしていたら以前奴が美術館と称していた地下室まで辿り着いたな。

 

「……鍵は開いている。以前は能力を封じる特殊なバリアが張られていたから其処だけ注意して入るぞ」

 

「はい」

 

「おぅ」

 

よし、なら早速入って行くぞ!

 

ーガチャッ……ー

 

……どうやらバリアは張られていないようだな?にしても中はワリと悲惨な事になっているな、辺りは割れた培養カプセルが転がってガラスの破片なんかも散らばっている。こんな所に本当に誰か隠れているのか?

 

(!先輩、これを見てください!例の黒いチップがこんなにも沢山!)

 

(おい、こっちにはガンプラの山が沢山あるぞ!)

 

何!という事はやはり此処が犯人のアジトという事か!他にもコンビニ弁当やカップ麺とかも転がっている事からして此処を居住スペースにも利用していたんだな。それにしてもこの量……単独犯じゃ絶対に処理しきれない量だ。やはり犯人は複数いるようだ…………ん?なんかこっちから話し声が聞こえるな…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい見ろよこれ!今月だけでガンプラが200個も売れたぜ!一個一万で売ってるからこれで200万の儲けだぜ!」

 

「焦るな、俺達の目的はあくまでこのハッキングチップを使ってのメインサーバーの乗っ取りだ。これを占拠出来れば奴の地位は地に落ちたも同然だ」

 

「その通り!しかも噂ではこのメインサーバーには奴の女達が所属する事務所の重要なサーバーとも直結しているらしい!それらも落とせば最早我々に怖い物は何もない!」

 

ッ!?あ、あの三人は……!そうか、今回の事件は全てあいつ等が仕組んだ事だったんだな!?

 

「けどよぉ、このタイミングでガンプラウォーズが緊急メンテナンスなんて面倒な事してくれてるよなぁ?」

 

「全くだ!奴等め、普段からしっかりメンテナンスとかしていればこんな苦労はしないで済むというのに!」

 

「ふむ……だがタイミングとしては些かドンピシャ過ぎではないか?もしや我々の計画がバレたとか……?」

 

「いやいや、博士が作ったハッキングチップが入ったガンプラだって世間じゃ唯の特殊なスキルだって思われているだけだし、それにこれ売ってるサイトだって博士が組んだこの多重回線のパソコンを利用してるんだから早々にバレやしないでしょ?」

 

「それもそうか!あいつ等如きが私の作ったハッキングチップに気づくワケもないか!ハァーッハッハッハーガッシャアァンッ!ーッ!?だ、誰だ!?」

 

「…………俺達の大切なガンプラウォーズをこんなふうに汚す奴等がどんな奴等かと思えば、まさかお前等だったとはな?」

 

俺は湧き上がる怒りをなんとか抑えながらステルス化を解き犯人であろう三人の前に姿を現した。まさかこいつ等が一連の事件の黒幕だったとはな?

 

「き、貴様は佐々木!?な、なんでお前が此処にいるんだ?!」

 

「なんで?そんなのお前等の悪巧みを止める為だ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

“只野、大友、ゴーマン”ッ!!」

 

俺は目の前にいる三人……かつての同僚だった只野と元刑事の大友、そしてロボ子の生みの親にして世界征服を企んでいる科学者Dr.ゴーマンを睨みつける。こいつ等が何故手を組んでいるかは知らねぇが、皆の大切なガンプラウォーズを貶した事は許さねぇからなッ!!

 

 

 

遂に違法ガンプラを売り捌いている犯人を追い詰めた玲二。その正体はかつて玲二と敵対していたヴィラン達だった。はたしてこの後一体どうなってしまうのだろうか?続く……




はい、という事で玲二、遂に黒幕を追い詰める回でした!まさかの只野達が再び玲二の前に現れましたが、はたして次回はどうなるのでしょうか?!次回もまったりと待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第145話『全てを護れ!神羅覚醒!!』

最近はガンプラも結構売り場に残っている事が多くて良いのですが………今月発売のシャニマスコラボの30MSははたして買えるのか不安です(-_-;)

今回は遂に只野達との決着!はたして玲二は迫る悪意に勝てるのか……!?今回も最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


ガンプラウォーズを利用してメインサーバーをハッキングしようとした犯人。それはまさかのかつて玲二と対立していた只野と大友とゴーマンの三人であったのだ。

 

「お前等、久しぶりに見たと思ったらまさか性懲りもなくこんなくだらねぇ事をしてたとはな!?」

 

「ぶ、ぶぐぐ……ま、まさかこんなにも早く佐々木が此処を嗅ぎつけるとは……!?」

 

「ふ、フン!だがそれはそれで好都合!お陰で我々の目的も此処で果たせるというモノだ!」

 

目的?どういう事だ?こいつ等はガンプラウォーズのメインサーバーを乗っ取るのが目的ではないのか?だがそんな事はどうでもいい!

 

「……大友、ゴーマン、お前達に聞きたい事がある。お前達は現在服役中の筈だ。それもかなり厳しい刑務所に……なのにお前等は一体どうやって脱獄した?そしてなんで只野なんかと手を組んでこんな事をしたんだ?」

 

「は!そんな事か!それはな、俺達に協力してくれた奴がいたんだよ!」

 

「協力だと!? 」

 

「そうだ!あの方は我々が佐々木玲二を倒せばその報酬として我々が望む世界へと移住させてくれると仰ったのだ!だから我々はお前の地位を落とし失脚させる事でそれを成し遂げようとしたが、貴様からこちらに出向いてくれたなら話は別だ!」

 

ま、まさか協力者がいただと!?それも俺を倒せば自分が望む世界に移動!?そんな事、この世界じゃ神羅族の力がなければ出来ない筈……!?

 

「ブフフ、本当はもう少し金儲けしてからこの世界とはおさらばして夢のホロメンハーレムの世界へ行くつもりだったが、こうなったら先にお前を倒してやるよ!」

 

「巫山戯るな!お前等なんて今すぐ此処で捕まえて刑務所に戻してやる!」

 

「まぁまぁそんなかっかするな、貴様がもし此処に来た場合の戦いの舞台は既に用意してあるんだよ」

 

ーパチイィンッ!ー

 

ーウイィーン……ガシャンッ!ー

 

「ッ!こ、これは……ガンプラウォーズの筐体!?」

 

「なんでこんな物が此処にあるんだよ!?」

 

大友が指を鳴らすと同時に床から現れたのはなんとガンプラウォーズの筐体、しかも白を基調とする本来の物とは違う真っ黒な筐体だった。こいつ等、一体これを何処で……!?

 

「ハァーッハッハッハァッ!これもあの方が我々に提供してくれた物だ!さぁ佐々木玲二!貴様にはこれから我々とガンプラバトルを行ってもらう!もし貴様が勝てば我々は大人しく刑務所へと戻ってやる!だが貴様が負ければ貴様がこれまで築き上げてきた物を全て奪ってやるッ!!」

 

「な!?巫山戯んじゃねぇッ!先輩、こんなガンプラバトルなんかやらずにさっさとこいつ等を捕まえましょ「おっと、残念だがそれは不可能だぜ?」な、なんだと?!」

 

「これはあの方との契約でな、我々がこのガンプラバトルで負ける以外で捕まった場合は即座にまた脱獄出来るようにしてもらっているのだ!つまり、此処で貴様等が我々を力づくで取り押さえても結局我々は何度でも脱獄し貴様等の妨害が出来るという事だッ!!」

 

なんだと!?そんな事になれば唯のイタチごっこじゃねぇか?!クッ!奴等の協力者がぉんな奴か分からない以上こいつ等を力づくで捕まえるのは得策じゃない!仕方がないが此処は奴等の徴発に乗るしかねぇ!

 

「…………分かった、その徴発乗ってやるぜ!」

 

「先輩!?」

 

「本気か玲二!?こいつ等の事だからきっとまともな戦い方なんてするワケねぇぞ?!」

 

「分かっている。だが向こうの協力者が分からない以上被害を抑えるにはこの手しか方法がない!だから此処であいつ等を倒す!」

 

俺はこの後の事も考え奴等と戦う事を決め、転移能力で自分のガンプラを取り出す。ついこの間完成させた俺の『アサルトジェミナスバースト』で奴等を止めてやる!

 

 

『HG アサルトジェミナスバースト』

『新機動戦記ガンダムW DUALSTORY G-UNIT』に登場した主人公機であるガンダムジェミナス01にオプションパーツであるアサルトブースター&高機動ユニットを装備させ、更に一部装甲をプラ板やパテで補強し黒く塗装した機体。ユニットと補強により高機動且つ防御面にも優れた機体となっている。因みに前回の拓哉とのテストプレイで使用されたのはこの機体である。

 

 

「フン、やる気満々のようだな?だが俺達もとっておきの兵器を用意している。準備が出来たら筐体の中に入るがいい!」

 

「言われなくてもやってやるさ!拓哉、ベルさん!俺が奴と戦っている間他の二人が何かしないか見張っててくれ!」

 

「あ、ちょっと先輩!?」

 

「お、おい、玲二の奴なんか熱くなってないか……?」

 

二人が何か言ってるが今はそれどころじゃない!こいつ等にこれ以上俺達が作り上げたガンプラウォーズを貶させるワケにはいかない!必ず此処でぶっ倒すッ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーBATTLE STARTー

 

 

…………どうやら舞台は荒野か。周りに遮蔽物は一切ないが、奴等は一体どんな手で来るんだ?

 

「フン!それが貴様のガンプラか!?なんともチンケな機体だなぁッ!」

 

「なんだと?そういう貴様のガンプラは一体どんな……の……!?」

 

……な、なんだあのガンプラは……?い、いや、あれは……ガンプラなんかじゃない!?だとしたらこれは……!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クックックッ……これぞ貴様を倒す為に作られたゴーマン特製の兵器!その名も『TOGノヴァ』だぁッ!!」

 

 

『TOGノヴァ』

ゴーマンが作り上げたオリジナルガンプラ……否、それはガンプラとは呼べない代物であった。サイズはHGサイコガンダムの倍はあり元となった機体はなく装甲は全てステンレスに覆われており武装も恐ろしい程の重火器を搭載している。まさに全てを壊す為の兵器そのものである。

 

 

「な、なんだありゃあ!?あれってガンプラなのか?!」

 

「いや、あんなガンプラなんて存在しない!まさかこれは、違法改造か!?」

 

「その通り!これは佐々木玲二を倒す為だけに作られた最強の兵器だ!幾ら改造したとはいえ所詮は唯のプラモデルであるガンプラにこのTOGノヴァは撃ち落とす事など不可能だぁッ!!」

 

チィッ!やはり最初っからまともに戦う気なんてなかったか!だがこいつを倒さない限りはどの道奴等を止めるなんて事は出来ない!無理難題なクエストだがやるしかねぇッ!

 

「いくぞ、先手必勝だッ!」

 

ーバキュウゥンッ!バシュ……ー

 

「なッ!?」

 

「おやおやぁ?今なにかしたのかい佐々木くぅ~ん?」

 

クッ!今高出力でビームを撃ったのにダメージどころかかすり傷すらないだと?!

 

「な、なんだよあれ!?先輩のアサルトジェミナスはかなり技術が組まれた先輩最高傑作の改造ガンプラなのに?!」

 

「当たり前だ!私の作ったTOGノヴァは貴様等のガンプラのようなプラスチックではなくステンレスで作られているのだからな!」

 

「なんだと!?そんなの規格外で読み込みなんて出来ない筈だぞ!?」

 

「ブッフッフ、ところがどっこいこの筐体は特別製でねぇ?ゴーマン博士が作った最強兵器も問題なく読み込む事が出来るんだよぉ!」

 

ステンレス製だと!?奴等め、データを改ざんしてとんでもないモン作りやがってッ!

 

「さぁ~て、今度はこっちから攻めさせてもらうとするかぁ?」

 

ーガコンッ!シュウゥゥゥゥ……ー

 

ッ!?マズい!奴の機体の武装が全部開いて射撃体勢に入った!急いで退避を……!

 

「さぁ、これで消し炭になりやがれえぇぇぇぇぇぇぇッ!!」

 

 

 

 

ーシュウゥゥゥゥ……キュイィンッ!ドゴオォォォォォォォォォォォォォンッ!!ー

 

 

 

 

「グッ……ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!?」

 

「先輩!?」

 

「玲二!?」

 

奴等の機体から大量のレーザーがフィールド全体に放出され俺は直撃しないよう躱したがその直後にフィールド全体が爆発を起こしその爆風に俺のアサルトジェミナスが巻き込まれてしまった。な、なんて破壊力だ……!?

 

「……ほぅ?あの攻撃を受けても尚動けるとはな?だが……」

 

「ブフフ〜!どうやら貴様の機体はもうスクラップ同然だなぁ佐々木ぃ〜?」

 

ージジッ…バチッバチバチッ……ー

 

「ハァ、ハァ……クソ……!」

 

「あぁ!先輩の機体が……!?」

 

「爆風だけであのダメージ……一体どんだけの威力があるんだよ!?」

 

く、クソ……今の一撃で直撃こそは避けられたが爆風のダメージで既にデッドゾーンまでHPが減らされてしまった……だが、まだ動けはする!俺のアサルトジェミナスはまだ戦える!!

 

「おやおやぁ?そんなボロボロになりながらもまだ戦う気なのかぁ?大人しくやられていれば楽になれるっていうのになぁ?」

 

「ハァ、ハァ……黙れ下道が……例えボロボロになったとしても、俺とアサルトジェミナスが動ける限りは負けてねぇ……例えコックピットだけになったとしても、最後の最後まで俺は決して諦めたりはしないッ!!」

 

「ブッハハハハァ!こんなくだらない遊びにマジで熱くなるとか、やはり貴様のようなガキは俺のホロメン達には相応しくないぜ!」

 

「全くだ!こんなガキに私の野望が阻止されたと思うと腸が煮えくり返るわい!おい大友!さっさとそいつを叩きのめせ!」

 

「言われなくてもやってやるさ!さぁ佐々木ぃ、そんなにボロクソに負けたければお望み通り潰してやるよぉッ!」

 

……すまないアサルトジェミナス、もう既に限界かもしれないが最後まで俺と一緒に戦ってくれ…………よし、いくぞッ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃……

 

「…………ねぇ皆、なんだがさっきから変な胸騒ぎがして仕方がないんだけど……?」

 

「……うん、実は私も……」

 

「まつりも……なんだが玲二君が大変な目にあってるような気がして……」

 

「そ、そんな事ないって!兄ちゃんに限ってそんな……事……」

 

神羅城で玲二の帰りを待つフブキ達は何やら嫌な予感に襲われていた。自分の大切な旦那に何か悪い事が起きている気がする……そんな気持ちが先程から押し寄せて仕方がないようだ。

 

「ふみゅ、ぱぱぁ……」

 

「だ、大丈夫だよカガリ、パパはきっと悪い奴等を捕まえて帰ってくるって♪」

 

「ふぇ、ふえぇん……」

 

「ど、どうしたんだ椛?さっきからぐずって……」

 

「……きっと子供達も何か感じ取ってるのかもしれません。もしかしたらご主人様の身に何か良くない事が「そんなの冗談でも言わないでよみしろちゃん!子供達だって余計に不安になっちゃうって!」……申し訳ありません、少し配慮が足りませんでした……」

 

玲二の嫁達、そして子供達は押し寄せてくる不安に呑まれ気が気でない状態だった。そんな光景をただ一人、リシェッタが辛そうな表情で眺めていた。

 

(…………皆さんもブレインの影響で神羅族になりつつある所為でブレインの危機を無意識に感じ取ってしまっている。そしてそれはブレインの半身とも呼べる子供達にも影響が出ている……今ブレインはかなりの危機に瀕しているのが、自然と分かってしまっているんでしょうね)

 

リシェッタは玲二が作った美プラ、故に彼女にも神羅の力は宿っており玲二が現在どうしているのかも感じる事が出来る。故に今玲二が只野達と戦い追い詰められている事も感じ取ってしまっているのだ。そして不安になっている玲二の家族を見て、リシェッタはある覚悟を決めるのだった。

 

(……白上フブキ、そして皆さん、ブレインの事をこれからもよろしくお願いします)

 

そしてリシェッタはフブキ達に気づかれないよう頭を下げリビングから出ていった。そして向かった先は玲二がこれまで作ってきたプラモが保管されている展示室である。一体何をする気なのだろうか?

 

「……皆さん、もう既に気づいているかもしれませんが、現在ブレインと私達の仲間であるアサルトジェミナスが危機に瀕しています。このままではブレインは負けてしまい、ブレインの大切な物が全て奪われてしまいます。なのでなのでどうか皆さん、ブレインを助ける為に力を貸してください」

 

ー……ウイィーンッガシャンッ!ー

 

リシェッタがショーケースに向かって声掛けをすると、なんと中に入っていたガンプラを始めとしたプラモ達が一斉に動き出し、そしてその姿を光の球体へと変化させそのまま何処かへと飛んで行き出した。

 

「…………待っててくださいブレイン、必ずお助けに参ります!」

 

そしてリシェッタも自身を光の球体へと姿を変え、他のプラモ達と同様に何処かへと姿を消したのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハァ……ハァ……」

 

「せ、先輩……!?」

 

「クッ……こんな事ってありかよ……!?」

 

…………あれから少しは粘ったが、結局奴等の機体の猛攻には勝てずアサルトジェミナスは既に両手両足を失い地面に横たわった状態だった。こちらがどんな攻撃をしようとヤツには何も効力はなく、結局弾切れも起こしなす術なく撃沈してしまったのだ。

 

「ブフフ、無様だなぁ佐々木ぃ〜♪そうだよ、俺が見たかったのはこういう無様な姿のお前だよ!」

 

「あれだけ息巻いていったクセに結局は無駄骨だったようだな?貴様に特殊な力があろうと所詮は唯のアイドル事務所の人間!やはり世界最高峰の頭脳を持つ私には勝てなかったようだなぁ!?」

 

「さぁ佐々木玲二ぃ、お前の最後の時間がやって来たぞぉ?最後は敗者に相応しく蟻のように踏み潰してくれるわッ!」

 

大友は俺にトドメを刺す為機体の足を上げアサルトジェミナスを踏み潰そうとする。

 

……どうやら此処までみたいだな?すまない皆、俺が不甲斐ないばっかりに…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーブレインッ!!ー

 

 

 

…………え?ど、どうしたんだ?奴等の機体が足を上げたまま止まってる……?いや、それだけじゃない!大友達も、そして拓哉とベルさんもまるで時が止まったかのように動かなくなっている!?ど、どうなってるんだ一体!?

 

「………ブレイン、なんとか間に合いましたね?」

 

「え…………り、リシェッタ?」

 

突然リシェッタの声が聞こえたと同時にあたりが光に包まれ、そして俺の目の前には人間サイズになったリシェッタ、そして俺が今まで作ってきたプラモ達が集まっていた。こ、これは……?!

 

「ブレイン、私の能力で一時的にですが時間を停止させました。今世界で動いているのはブレインと私達だけです」

 

「そ、そうだったのか……それにしても一体どういう事だこれ?なんで俺のプラモ達が……?」

 

「それは私達がブレインの危機を感じ取ったからです。そしてその危機を救う為に、私達は此処までやって来ました」

 

危機を救う?いやそうは言ってもどうやって……?

 

「私達にはブレインに神羅の力を注がれて作られた存在。即ち私達にも神羅の力はあります。それをブレイン、貴方に全てお返しします」

 

「お返しって……それじゃあリシェッタ達はどうなるんだ?!唯のプラモに戻ってしまうって事か?!」

 

「いえ、私達も最後までブレインと共に戦うつもりです。なので今戦っているアサルトジェミナスと私達を融合させ神羅族であるブレイン専用の新たなガンプラとして生まれ変わります」

 

「な!?そんな事したらお前達は……!」

 

「えぇ、私達は消滅します」

 

そ、そんな……そんな事出来るワケないだろ!?リシェッタも皆も、俺が今まで大切に作ってきた家族同然の存在なのに、そんな自分達から消滅させるなんて……!

 

「…………大丈夫ですよブレイン、例えこの身体が無くなってもの魂までは消えません。私の、私達の魂はブレインと共にあります。だから、何時かまた会えますから」

 

「リシェッタ、皆………」

 

「………皆さん、もう時間停止の力もそんなに長くは持ちません!予定通りブレインとアサルトジェミナスに力を分け与えてください!」

 

ーキュイィンッ!シュンッ!ー

 

ーバシュッ!バシュッ!バシュウッ!ー

 

リシェッタの合図と共に俺のプラモ達は光に包まれ分裂していき、一つは俺に、もう一つはアサルトジェミナスへと光が注がれていく。光が注がれていく内に俺の中にある何かが呼び覚まされるような感じがする……!

 

「……これで残すは私だけです。最後にブレイン、貴方にお伝えしたい事があります」

 

「伝えたい事?」

 

「はい…………私はブレインを、佐々木玲二様の事をお慕いしてました。そしてこれからもその気持ちは変わりありません。なので、何時か必ずまたお会いしましょう♪」

 

リシェッタは俺にそう伝えると他のプラモ達と同様に光へと姿を変え俺とアサルトジェミナスと一つになっていった。

 

 

 

 

 

そしてそれと同時に俺の中から何かが開放された…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーキイィィィンッ……ゴオォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!ー

 

「ッ!?な、なんだ?!」

 

「ブブゥ!?一体何が起きたんだ?!」

 

「こ、これは………!?」

 

「せ、先輩のアサルトジェミナスが……!?」

 

時間停止が解除されると同時にアサルトジェミナスが強い光に包まれ巨大な光の柱を生み出す。そしてその光が止むと、其処には()()()()()()()が神々しく輝きながら仁王立ちをしていた。

 

 

『シンラガンダム』

システムの想定を超えたエネルギーを感知。

データ量、測定不能。

ステータス、測定不能。

81個の異常を感知。

Error Error Erroーキュイィィィンッ!ー……SYSTEM ALLGREEN

CHORD SNR-XXX シンラガンダム、起動に成功しました。

 

 

「な、なんだあのガンプラ……?!」

 

「あれってもしかして先輩のガンプラ……?でもあんなガンダム見た事もないぞ!?」

 

…………どうやら上手くいったようだな?これが新しく生まれ変わった俺のガンプラ……俺のプラモ達が一つになった『シンラガンダム』か。

 

「な、なんだあのガンプラはぁ!?なんであいつ復活してんだよぉ?!」

 

「お、落ち着け只野!こんなの唯の虚仮威しだぁッ!」

 

ーガコンッシュウゥゥゥゥ……ー

 

「ッ!先輩、また来ますよ!早く避けないと……!?」

 

「……心配すんな拓哉、()()()()()()()()()()()()()()()

 

ーキュイィィンッ!ー

 

ーシュウゥゥゥゥ……バシュッ!ボンッ……ー

 

「なッ!?なんだこれは?!」

 

()()()()()()、奴等の機体からは先程までとは全然違う程に弱々しいビームが放たれ、それを受けたシンラガンダムも何事もなかったかのように普通に立ったままだった。

 

「おいゴーマン!どうなっているんだこれはぁ!?」

 

「そ、そんな馬鹿な!?私のTOGノヴァの出力が落ちるワケが……!?」

 

「……その程度か?なら今度はこっちからいかせてもらうぜ」

 

俺はシンラガンダムを動かし射撃の構えをするとシンラガンダムの手に光が集まりその光はビームライフルのような形へと変化していく。

 

「ハッ!馬鹿か貴様!?さっきからビーム撃っても効いてないのを分かってんのにまだ撃つ気かよ!?」

 

「あぁ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

ーキュイィィンッ!ー

 

ーバキュウゥンッ!チュドオォォォォォンッ!!ー

 

『なぁッ!?』

 

そしてまた()()()()()()奴等の機体はシンラガンダムのビームライフルの攻撃によって貫かれ、そして撃たれた場所から火が立ち上がり瞬く間に炎上し始めていく。

 

「す、すげぇ……!?」

 

「な、なんなんだあのガンダムは……あんな戦い方をするガンダムなんて見た事ないぞ!?」

 

ベルさんの言う通り、俺のシンラガンダムは今までのどの作品のガンダムとも違う異質な力を持っている。まるで、俺が望んだ通りになる理想のガンダムとも言える。

 

「クッソォ!?なんなんだそのガンプラはぁ?!貴様ぁ、まさか開発者だからってイカサマを「()()()()()()()()()()()()()

 

ーキュイィィンッ!ー

 

「ーーーーー?ーーーーーッ!?ーーーーーー!!」

 

「ーーーーー!ーーーーーーッ!?」

 

「ーーーーーー?!ーーー!ーーーーーーー!!」

 

そしてまた()()()()()()奴等はそれ以上は何も喋る事はなくなった。

 

「こ、これは一体……!?」

 

「さっきからまるで玲二が言った事がそのまま現実になっているみたいだ……!?」

 

そう、これは俺の新たな力……いや、厳密に言えば神羅族の本来の力。今だからこそ理解出来る。神羅族は元々自分の思い描いた事を実現する存在。そして俺は…………その神羅族へと真に覚醒する事が出来たのだッ!

 

「さぁ、これでトドメだ!いくぜ、シンラガンダム!」

 

ーキュイィィィンッ!ゴオォォォォォォォ……!ー

 

俺は奴等にトドメを刺す為に再び射撃の構えを取り、そしてシンラガンダムの後ろから歴代ガンダム達のビーム兵器を全て出現させエネルギーを充填させていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これでキメる……オールブラストキャノン!ファイヤァッ!!」

 

ーチュドオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォオンッ!!ー

 

エネルギーをフルチャージさせたビーム兵器を全て一斉射撃し、奴等のご自慢の兵器とやらはビームに呑まれ跡形もなく消滅していった。この勝負、俺達の勝ちだッ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さぁお前等、約束通り刑務所へと戻ってもらおうか?」

 

「……何の事だ?俺達がいつそんな事を言った?」

 

「テメェ!さっき自分達で負けたら刑務所に戻るって言ったじゃねぇか!」

 

「フン!そんなの忘れたね!それに此処で貴様等を倒せば全て問題な「()()()()()()()()()」……………………」

 

俺はまた力を使ってこの馬鹿三人の動きを封じた。やっぱりこいつ等最初から約束なんて守る気なかったみたいだな?なら……

 

「……お前等、確か俺を倒したら協力者とやらに望んだ世界に転移させてもらえるとか言ってたな?そんなに行きたけりゃ連れてってやるよ。但し、行き先は既に人類が滅んだ世界だけどな?」

 

ーキュイィィンッ!バシュウッ!ー

 

俺の言葉と共に奴等は俺の指定した世界、人類が滅び荒廃した世界へと飛ばしてやった。これでもう奴等は俺達にちょっかいかける事はないだろう。

 

「せ、先輩!?良いんですかあいつ等飛ばしちゃって!?あいつ等消えたら警察とか刑務所が困るんじゃ……?!」

 

「大丈夫だ拓哉、元より奴等はこの世界にはいなかった事にするから。勿論ロボ子とかの辻褄は合わせるけどな」

 

「……最早なんでもありな存在だなお前?」

 

まぁ確かに今の俺はなんでも有りな存在になっちまったな?けどこの力は絶対に悪用するつもりなんてないし、何かあった時以外は力を使うつもりはないから結局は普段通りになりそうだな。このシンラガンダムももしもの時以外は封印しておこう。

 

「さ、全てが終わったし、皆も待ってるから早く帰るとするか」

 

「そうですね。でもあいつ等が言ってた協力者って結局誰だったんですかね?」

 

「さぁな?だがもし玲二に敵対するつもりならその内また現れるんじゃないか?」

 

「あぁ、そうなったらその時対処すれば良いさ。さて、そんじゃ帰りますか」

 

「はい!」「おう!」

 

……結局のところ只野達が言ってた協力者が何者かは分からなかったが、もし俺や家族に手を出して来るならその時は容赦なく叩きのめすだけだ。だが今は皆を安心させる為にも早く帰らないと。それと、またリシェッタも作ってあげないとな。

 

 

こうして玲二は完全なる神羅族へと覚醒し、只野達の野望は打ち砕かれ再び平和な日々が戻って来たのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃……

 

「ぐうぅ……おのれぇ佐々木玲二めぇ!」

 

「我々をこんな世界に飛ばしおってぇ!」

 

「ブググゥ……!俺達はこんなところで終わるつもりはないぞぉ!必ず奴に復讐してやるぅ……!」

 

玲二によって荒れ果てた世界へ飛ばされた三人は性懲りもなく玲二に対する復讐心に燃えていた。だが……

 

 

 

「あーあ、あんなに息巻いていたのにあっさり負けて随分みっともない状態になっちゃったねぇ〜?」

 

「ッ!あ、貴方は……!?」

 

既に人類が滅んでいる世界の筈なのにフードを深く被ったコートを着た一人の人物が只野達の目の前に現れた。どうやら只野達はその人物を知っているようですぐにそいつの足元にしがみついていく。

 

「な、なんで貴方が此処に……いやそんな事はどうでもいい!貴方が此処にいるという事は、我々を助けに来てくれたんだな!?」

 

「いやぁ良かった良かった!貴方が来てくれればまた奴に復讐する事が出来るぞぉ!」

 

「ブフフゥ!これでまたホロメンハーレムの夢を叶えるチャンスがある!さぁ早速俺達を元の世界に「は?ゴミの分際で何いってんの?」……え?」

 

どうやら三人はコートの人物に助けてもらえると思ったようだが、コートの人物はまるで冷めきった目と声で三人を見下していた。

 

「君達は彼を真の神羅族にする為だけに利用させてもらっただけ。その目的が果たされた以上君達にはもう利用価値なんてないんだよ」

 

「な、何を言ってるんだ?貴方は我々を助けに来てくれたんじゃ……?」

 

「はぁ?なんでそんな事しなきゃいけないのさ?ボクが此処に来たのはあくまで()()()()しに来ただけだよ」

 

そう言うとコートの人物は何処からかタブレットを取り出し何かを検索し始めていく。三人は未だに何をされるか分からずポカーンとしている。

 

「うーんとね〜……あ、この人面白いコメント残してくれてるなぁ♪じゃあこれにしよっと♪」

 

ーピッ……ブオォンッ!ー

 

そして何かを見つけタブレットを操作すると、只野達の後ろに何かが現れた。それは……

 

 

『グルルルルルルルゥ…………!』

 

「ひ、ヒイィィィ!?」

 

「な、なんだこいつはぁ?!」

 

「クスクス……さぁ、『ディアボロモン』、遠慮なくそいつ等食べちゃって良いよ♪」

 

『グルアァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!』

 

『ギャアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!?』

 

ーガブゥッ!グヂャッ!クッチャクッチャクッチャ……ゲップゥー!ー

 

突如召喚された巨大な化け物、ディアボロモンに三人はそのまま喰われてしまい、そして満足したのかディアボロモンも霧のようにその場から姿を消したのであった。

 

「……フフフ、これで彼はボク達と同じ神羅族になった♪漸く彼をボクに相応しい男にする事が出来たよぉ〜♪」

 

「……相変わらずやな性格してるわねアンタ?」

 

ゴミ処理を終えてうっとりしているコートの人物の所にもう一人のコートの人物が呆れた様子で近づいてきた。

 

「あ?なんの用さ『ラミィ』?まさか君、ボクの邪魔するつもりなの?」

 

「そんな事は言ってないわよ?けどあまり他の世界の神羅族にちょっかい掛けたら『ソラ』に怒られるわよ、『カナタ』」

 

「分かってるってそんなの。でも彼を見た瞬間にボクの心が久しぶりに燃えてきちゃってさぁ〜♪何としてでも彼をボクのモノにしたいって思っちゃったんだもん!それにボク以外にも『ポルカ』や『フレア』も彼を狙ってるんだから動ける内にいろいろと手を打っとかないと!」

 

「はぁ、さいですか?けどそんなノリノリになっているところ悪いけどまたソラから呼び出しよ。あの慌ただしい感じからして暫くは自由な時間はなさそうね」

 

「えぇ〜!?折角彼が覚醒したっていうのにぃ〜!?……まぁでもソラの呼び出し放っといたら後が怖いもんね?しょうがないからさっさと行ってさっさと終わらせちゃおっか」

 

ラミィ、そしてカナタと呼び合ってたコートの人物達はゲートのような物を出現させ其処を潜りその場から消え去ったのだった。はたして二人は一体何者なのだろうか?それを知るのはまだ先の話である…………




はい!という事で玲二の神羅族完全覚醒!そして玲二の新ガンプラであるシンラガンダム無双回でした!書いてみて思った事はまず一つ、玲二普通にチートキャラになってしまったなぁ……(-_-;)

そして只野達は悲惨な最後を遂げ、何やら聞き覚えのある謎の人物達も登場し今後はどうなってしまうのか……?
それについては一旦保留で次回は日常回!すいせいとみことのWデートをやりたいと思います!次回もまったりと待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第146話『久し振りのデート』

なんだかんだでこの小説も200話になりました。意外にも続けられて自分が一番ビックリしてます( ゚д゚;)

そして先日ビルドメタバースのラーガンダムとビルドストライクエクシードギャラクシーが発売されましたがやはりビルドストライクの方が人気でラーガンダムは余りがちですね(-_-;)皆さんも見かけましたら是非買ってみてください(≧∇≦)/

今回はすいせいとみこのWデート!一体どんな展開が待ち受けているのか!?今回も最後まで見て頂ければ有難いです、ではとうぞ!


只野達との戦いによって真の神羅族へと覚醒し見事にガンプラウォーズを守った玲二。それから数日後、玲二はホロライトシティの中央公園噴水広場の前にいた。今日は一体何をするのだろうか?

 

「………そろそろ時間になるな。さて、あいつ等はっと……」

 

ーピトッー

 

「だーれだ?」

 

「……その声、すいだろ?」

 

「フフ、やっぱり玲二くんは分かってくれるね♪」

 

当たり前だろ、大切な家族を間違えるなんて事あるワケがないし。そもそも気配で後ろから来てたの分かってたしな。

 

ーピトッー

 

「だーれだ♪」

 

「…………すみません、どなたか知りませんが変ないたずら止めてもらえません?」

 

「おいおかしいだろぉ!?なんで星街は分かってみこの事は分かんねぇんだよぉ〜ッ!?」

 

「冗談だ、そんなに怒るなよみこ」

 

流石にちょっと意地悪だったか?俺はプンプンと怒っているみこの頭を優しく撫でてやるとみこはにへらと笑いながら脱力していく。こんな事言ったら失礼かもしれないがチョロいな。

 

「それはそうと二人とも種族変化してんだな?」

 

「うん!今日は久し振りに本土でのデートだからね♪幾ら私達の仲が公認だからって流石に普段通りの姿だったらファンが集まって来ちゃいそうだし。どぉどぉ玲二くん、天使のすいちゃんだよぉ〜♪」

 

「オメーどっちかって言うと悪魔の方が似合ってんじゃない?「あ?」いや怖ぇーよ!?その斧危ねぇから降ろせよ?!」

 

全くみこはすぐすいを怒らせるよな?そして今回すいは金髪の天使に、みこは茶髪の猫の獣人に姿を変えていた。けどでっかい斧抱えてる天使のすいって威圧感半端ないな……っと、二人とも変化しているなら俺も一応変化しとくか。

 

ーキュイィィンッ!ー

 

「……よし、こんなもんか?」

 

「あ、玲二くんも変化したんだ?」

 

「おー!玲二、まるで会長みたいでカッコイイで!」

 

「そうか?一応ココをイメージして変化してみたけど、意外と尻尾って重くないんだな?」

 

俺はココをイメージしてオレンジ髪の龍人へと変化してみたが、これは確かに正体を隠すのに良いかもな。

 

「それにしても玲二くんの変化って一瞬で出来るんだね?私達なんて変化するのに数分は掛かるのに」

 

「それはお前達がまだ神羅族に成りかけの状態だからな。俺は既に完全な神羅族になったから力を使うスピードも一瞬だし制限もなくなったから速く変化出来るんだよ」

 

「ほぇ〜、玲二ってやっぱ本当に完全覚醒したんだにぇ〜?」

 

まあな。これのお陰で前回も只野達を異世界に飛ばした後も世界を書き換えて只野達が元々存在しなかった事にも出来たし。因みにゴーマンが消えた影響かは分からんがロボ子は普通の人間になっていた。

 

どうやら世界が変わった事で上山家は三姉妹という事になっていて長女の杏奈、三女の七奈美、そしてロボ子はその間の次女の『零奈』という名前になったようだ。

 

けどロボ子や他の妻達は元の世界の記憶はあるのとあやめの子供も漢字は違えど玲菜なのでそのままロボ子と名乗る事にしたらしい。まぁ本人が良ければ全然良いんだけどな?それと今義兄さんの所で働いている元RBKシリーズの子達も普通の人間として生きているらしいから良かった。

 

「さて、準備も出来たしそろそろ行くとするか」

 

「「はーい♪」」

 

そんな内部事情は置いといて俺達は本土に向かって転移した。久し振りの休日デート、二人の為にも思いっきり楽しまないとな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………あれがカナタの言ってた新しい神羅族?なーんか思ってたのと違うけど……面白そうだからついていこうかな~♪」

 

………そんな玲二達を上空から眺めていた少女がいたが、それに気づく者は誰もいなかった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、やって来たな北海道!」

 

「「イエーイ♪」」

 

転移して僅か数秒で俺達は北海道の主要都市札幌へとやって来た。北海道には旅行やロケで何度も訪れているからある意味東京よりも関わりがあるかもしれない。今回そんな北海道に来た理由はみこが北海道のラーメンが食べたいという事で俺とすいも賛成しこうしてやって来たという事だ。

 

「さて、早速だけどまずは何処に行こうか?」

 

「えーっとね〜……あ、此処の観覧車があるビルに○蘭があるで!」

 

「いや北海道に来てまで一○かい?」

 

確かになんで北海道に来てまで博多系のラーメン食わなきゃならんのだ?流石にそんな所じゃなくて違うラーメン屋探せよ。

 

「ほら、確かこの通りに美味い味噌ラーメンが食べれる店があったから其処に行こうぜ」

 

「おー!玲二が美味いって言うなら絶対良い店じゃん!おっしゃー早速いくでぇ〜♪」

 

「おー!すいちゃんは野菜全抜きチャーシューマシで!」

 

「いや○郎じゃねぇんだから。それと野菜もちゃんと食べろよな」

 

こうして俺達は近くにあるラーメン屋へと足を運ぶ事になった。さて、久々のラーメンを堪能しますかね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………って思ってたのになんでこうなったんだ?」

 

「おいみこち、お前どうするつもりなんだよこれ?」

 

「そ、そんな事言ったって〜!?」

 

行った先のラーメン屋が定休日だったから仕方なく近くにあった別のラーメン屋に入ったのは良いが……目の前にあるこれ、どうすれば良いんだよ……?

 

 

 

「ではこの爆盛味噌チャーシューメン!制限時間は一時間、それまでに食べきればお代無料と賞金五千円!但し残せば罰金八千円となります!」

 

……俺達の目の前にはあり得ないデカさの器に盛られた巨大なラーメンが出されていた。そう、俺達はいつの間にか大食いチャレンジをするハメになってしまったのだ。というのも店に入ってすぐの所にこの大食いチャレンジのポスターが貼られていて、それを見たみこが

 

「おぉ〜!ねぇ玲二、すいちゃん!このラーメン食べきったらタダだし賞金もらえるって!ねぇ折角だからこれにしよーよ!すみませ〜ん、この大食いチャレンジ三人分で!」

 

「「ちょ、おい!?」」

 

みこがポスターをちゃんと確認しないままこの巨大ラーメンを注文してしまい、そして現在こんな事になってしまっている。

 

「はぁ、折角玲二くんとのデートなのになんでこんな事になっちゃったんだろ……?」

 

「ご、ごめんってぇ〜……」

 

「……まぁうだうだ言ったって出された以上食べなきゃ失礼だよな。よし、そんじゃ食べるとするか!」

 

「お、兄ちゃんいさぎ良いねぇ!それじゃあちゃっちゃと始めるとしよう!ヨーイ……ドンッ!」

 

店員の合図と共にタイマーのカウントのスイッチが押され大食いチャレンジがスタートする。さて、食べ始めるとするか……

 

(……まぁでも)

 

(なんだろう………)

 

(さっきは見た目で少しビビっちゃったけど………)

 

(普通に食べられるな)

 

((普通に食べ切れそうな気がする……? ))

 

まずは上にあるチャーシューから……うん、しっかり味が染みてて柔らかい。それに麺ももちもちしててスープともよく合うな。そしてそのスープは豚骨系、しかも全体的に背脂が掛かっていてより濃厚になっている。普段はアッサリ系のラーメンが好みなんだが、これはこれで美味いな。

 

「あ、このチャーシュー美味しい♪」

 

「ん〜!麺がもちもちしてて美味いにぇ〜♪」

 

「お、おい、あの三人食べるペース速くないか……?」

 

「い、いやきっと序盤で飛ばしてるだけだって!?」

 

周りの客がなんかいろいろと言ってるが俺達は気にせずラーメンを啜り続ける。うん、美味い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数十分後……

 

「「ごちそーさまでした♪」」

 

「す、すげぇ!彼女達も食べきったぞ!?」

 

「あり得ねぇ!?チャーシューだけでも1kgはあるんだぞ?!」

 

「しかもあの男と天使の娘なんかライス頼んでチャーシュー丼にして食ってたし!?」

 

ふぅ、思ってたよりも時間掛かってしまったな?それにしてもすいとみこもまさか完食するとは意外だったな。

 

「へッ!兄ちゃん達良い食べっぷりだったぜ!この店始まって以来誰も食べきる事が出来なかった爆盛チャーシューメンを食べきるとは感服だ!約束通り料金無料と賞金だ、受け取れ!」

 

爆盛ラーメンを食べきられて悔しがるかと思いきや店長は感動した様子で俺達に賞金の入った封筒を渡してくれた。案外気さくな店長だったしラーメンも美味かったから機会があったらまた来よう。

 

「それじゃあ二人とも、そろそろ次の場所に行くとするか」

 

「「はーい♪」」

 

それから玲二達が店を出た後、自分達ももしかしたら食べ切れるんじゃないかと思った他の客が同じようにチャレンジラーメンを注文するが、結果は全員見事に惨敗したとか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ~満腹だにぇ〜♪」

 

「それにしてもあのラーメン、三キロはあるって聞いたけど思ってたより全然食べれたよね?以前だったら絶対に食べきれなかったと思うのにどうしてだろ?」

 

「あぁ、神羅族は取り込んだ物を瞬時にエネルギーに変換出来るからな。だから体内にエネルギーとして貯蓄する事が出来るんだよ。しかもこのエネルギー貯蓄は食べる以外にも自然界のエネルギーや魔力や霊力からも蓄えられるんだ」

 

「そんな事になってるの私達の身体!?」

 

自分達の身体がいつの間にか膨大なエネルギータンクと化している事に驚くすいだがみこはいまいちピンとこないようで頭の上に?が出ている。まぁ簡単に言えばどんだけ食べてもすぐにエネルギーに変換出来るから食べようと思えば幾らでも食べられるし食べなくても周りからエネルギーを吸収すれば空腹になる事もないというワケだ。本当に便利な身体だよな。

 

「さて、それじゃあ次は何処に行こうか?」

 

「そうだね〜……あ、玲二!彼処にゲーセンがあるよ!もしかしたらガンプラウォーズ置いてるかもしれないよ!」

 

「おいおい、北海道に来てまでガンプラバトルする気か?」

 

「でも良いんじゃない?私達って基本的にホロプラでしかガンプラバトルしないから視察も兼ねて見てみようよ♪」

 

まぁ確かにホロライトシティに住んでたら大体はホロプラかおめシスのゲーセンでしかやらないもんな?じゃあすいの言う通り視察も兼ねて見に行くとするか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おぉ、此処も結構賑わっているな」

 

「うん!ホロプラに負けず劣らずの大盛況だね♪」

 

「おわぁ〜、彼処なんて特に人集りが凄いで♪」

 

店に入ってみるとガンプラウォーズのスペースが思ってたよりも大盛況で現在多くのプレイヤーで賑わっている。中には改造案のやり方をレクチャーしてたりパーツ交換をしている人達もいるみたいだ。こうしてみるとガンプラウォーズは大成功とも言える人気コンテンツになってくれてるみたいで開発者としては嬉しく思えるな。

 

「それにしてもみこの言う通り彼処だけ特に人集りが多いな。何かあったのか?」

 

「あれ、あんた知らないのか?今北海道地区最強のバトラーである雪奈さんが来てるんだぜ!」

 

せつな?確かそれって……俺は持っていたタブレットでガンプラウォーズの上位プレイヤーのリストを確認してみた。えっと……あ、このプレイヤーか?

 

「えっと、GWネーム『雪奈』北海道地区のプレイヤーで現在唯一のダイヤ3ランク。その実力はあの社築さんも一目を置いてる程の凄腕バトラーだって!」

 

「スゲェ〜!そんな凄いバトラーが今此処に来てるの?!」

 

「あぁ!なんたって此処は雪奈さんのホームベースのようなものだからな!今も他のバトラーとのバトルロイヤルで戦ってるんだが未だに被弾なしで30機倒してるんだ!」

 

30機!?それは凄いな……そう言えば前に大和が北海道に凄腕のバトラーがいるって言ってたけどそれってあの雪奈って奴の事だったんだな。

 

ーWINNER SETUNA!ー

 

『うおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!』

 

あ、どうやら終わったみたいだな?どれ、一体どんな……ってえぇ!?

 

「う、嘘……!?」

 

「しょ……小学生ぃーーーッ!?」

 

「驚いたな、まさか子供だったとは……!?」

 

なんと筐体から出てきたのはおそらく小学四、五年生程の小柄な女の子だった。しかもその見た目は幼少期の『刹那・F・セイエイ』が女の子になったような見た目をしている。まさか大和達以外にもこういう子がいたのか……?

 

「………次、オフラインでやるけど誰かやる?」

 

「おぉ!なら俺が相手になるぜ!」

 

「馬鹿!お前まだシルバーだろうが!?雪奈ちゃん、俺が相手になってやるよ!」

 

「絶賛連敗中は黙ってな!雪奈たんの相手はボクが相応しいんだから!」

 

「「いやガンプラすら持ってない奴が出てくんな!」」

 

…………凄い人気だな?けど北海道で一番とされるガンプラバトラー、少し戦ってみたい気はするな…………ん?あの子、なんか俺達の方に近づいて来てるけどどうしたんだ?

 

「………貴方、私の相手をしてくれる?」

 

「…………え?」

 

『何いぃぃぃぃぃぃッ!?』

 

え、なんで俺が?他にもやりたいって奴がいっぱいいるのに?

 

「貴方から感じるの、貴方がこの中にいるどのバトラーよりも強いって……だからお願い、私と戦って?」

 

こ、この子、もしかして所謂不思議ちゃんってヤツか?相手の強さを感じれるだなんて……ま、まぁでも指名されたんならやるしかないか?

 

「おぉ〜!玲二に挑むなんてなかなか見る目がある子やで♪」

 

「よぉーし玲二くん!此処は一発バシッとキメて格好良いところ見せちゃおうよ♪」

 

「はいはい、わかりましたよっと……なら、さっさと始めるとするか」

 

二人にも押され俺は自分のガンプラであるエクシアの改造機を取り出し筐体へと向かう。さて、相手はどう出るのやら……?

 

(……あのエクシア、凄い完成度だった。やっぱり私の判断は間違ってなかった!)

 

そして雪奈も筐体に入りそれぞれガンプラをセットしゲームを開始する。舞台は宇宙空間で周りに足場となる場所が少ない。俺の苦手なステージだけど少しは健闘しないとな?対する相手は……やはりイメージ通りダブルオータイプの機体か。

 

「……それじゃあ始めるか。『ガンダムエクシアブレイブ』、いくぜッ!」

 

「……雪奈、『ダブルオースノーホワイトリリィ』、目標を駆逐する」

 

そうして俺達はバトルを開始しお互いに激しくぶつかり合う死闘を繰り広げていったのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ〜、結局引き分けかぁ……」

 

「でも凄いよ玲二くん!ツインドライヴのダブルオーのトランザムに対等に渡り合うなんて格好良かったよ♪」

 

「うんうん、流石みこ達の旦那だにぇ〜♪」

 

まぁそう言ってくれると有難いな。けどまさか最後に互いにビームサーベルで刺し違えてしまうとは、あの子の正確な動作はやはり天性の賜物だな。

 

「それにしてもすまなかったな、折角のデートだったのに殆んどゲームに夢中になっちまって」

 

「ううん、すいちゃん達も楽しかったから全然大丈夫だよ♪それに見てみて玲二くん!さっきのバトルですいちゃんも遂にプラチナランクに昇格したよ〜♪」

 

「うぇ!?星街いつの間にそんなにランク上がってんの?!みこまだシルバーの4なのに!?」

 

「フフン、これがすいちゃんとみこちとの圧倒的差というもんだよ♪」

 

「うがぁーーー!星街のドヤ顔ムカつくうぅぅぅぅぅぅーーーッ!!」

 

こらこら喧嘩すんなって。それにしても最後ら辺で二人の変化が解けて元の姿に戻った時は焦ったな、お陰で店内はちょっとしたお祭りムードになったし。まぁちょっとしたファンミーティングだと思えば良いし、予定とは違うけど楽しいデートにはなったかな?

 

「ねぇ玲二くん、明日は旭山動物園に行って動物達見ようよ」

 

「お、良いねぇ〜♪じゃあ今日はホテルに行って温泉に入ろ〜♪」

 

「こらこら、そんなに慌てなくてもすぐ近くだから走るなって」

 

全く、この二人の自由気ままな感じにもすっかり慣れてきたな。さて、まだまだデートは続いてるし、二人のお姫様を充分に満足させてあげないとな?

 

こうしてWデート初日は楽しく幕を閉じ、翌日も二人に引っ張られながらも動物園を満喫する玲二であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーオマケー

 

「…………やっぱりあの人、強かった」

 

「それにしても雪奈ちゃん、なんであの男にバトルの申込みなんてしたんだ?他にも雪奈ちゃんとやりたいって言ってた奴は沢山いたのに」

 

「……あの人、お姉ちゃんの旦那さんにそっくりだったから」

 

「お姉ちゃん?へぇそうなんだ、だからバトルを申し込んだんだ?」

 

「うん……」

 

(………けど途中で一緒にいた女の人達がホロライブのすいせいさんとみこさんって分かって気づいた……あの人、やっぱりお姉ちゃんの旦那さんだったんだ。フフ、またいつかバトルしたいな……♪)

 

「……じゃあそろそろ帰る」

 

「お、そうか、それじゃあ気をつけて帰るんだぞ」

 

「ん……」

 

雪奈は帰宅する時間になり荷物をまとめてそのままゲーセンを後にした。

 

「いやぁ今日も凄かったですね雪奈さん。あの見慣れない男、めっちゃ強かったのに普通に渡り合う程だったんですから」

 

「あぁ、流石『白き雪の皇女』()()雪奈だけはあるな」

 

ゲーセンを出た後、店長と常連客はそんな他愛もない話をするのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーオマケその2ー

 

「うーん、確かにこの街に転移したとは思ったけどどこ行っちゃったんだろ?ホントに私って相手の位置情報把握するのが苦手だなぁ〜?あ、店員さーん!特上カルビ後十人前追加ね〜♪」

 

「お、お客様!もうご勘弁ください!もう既に店の在庫が殆んど尽きてしまってますので!?」

 

「えぇ〜?んじゃまぁ仕方ないなぁ、まだ腹三分目くらいなのに……」

 

「は、はぁ……ではお会計は「何言ってんの?()()()()()()()()」………はい、お代は結構です。有難うございました」

 

少女がそう言うと店長らしき人はお会計する事なく少女を店から出してしまった。

 

「うーん……ハァ!さて、次はラーメンでも食べようかな〜っと「何してるの?『マツリ』」ゲッ!?ハ、『ハアト』!?どうして此処に?!」

 

「ソラに言われて来たのよ、緊急招集したのにも関わらずに勝手に新しい神羅族に接触しようとする馬鹿を連れ戻せって」

 

「そ、そんなぁ!?まだ彼の事詳しく見てないっていうのにぃ〜!?」

 

「知らないわよそんなの?それより早く戻らないと『アキ』からお仕置きされるわよ?」

 

「うげぇ!?そ、それはヤダからさっさと帰りまーーーすッ!!」

 

マツリと呼ばれた少女はそう言うとすぐにゲートを開きその場から消え去っていった。

 

「……ハァ、全く皆して新しい神羅族が誕生したからってはしゃぎ過ぎよ。それと、あいつ店に迷惑を掛けてんじゃないわよ、ったく……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()っと……」

 

そしてハアトと呼ばれる少女も面倒くさそうに溜息を吐きながらその場を後にするのであった。その後マツリが食べてた焼き肉店の在庫は元に戻っており何事もなく通常通り営業していったのだった。




はい、という事でみコメットデート回でした!そしてしれっと出てきた新キャラ達は今後も活躍があるかもなので期待しない程度にお待ち下さい!

次回はリクエスト消化!の前に一つネタが出来たのでそちらをやりたいと思います。次回はお嬢様に憧れる一般庶民なあの娘の回です。まったりと待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第147話『姫雛鳥(ヒバリ)の道』

最近ガンダムチャンネルの実写ドラマ『ガンダム ビルドリアル』を見返してみましたがやっぱり面白い作品だなと思います(^o^)好みが別れる作品ではあると思いますが是非一度見てほしいと思います(≧∇≦)/

今回は久々のガンプラ製作回!しかし何時もとは何やら様子が……?今回も最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


「……お待たせしましたお嬢様。本日のハーブティーでございます」

 

「あら、有り難うですわセバス」

 

………ハァ、神羅城のバルコニーで朝の陽射しを浴びながら優雅におハーブティーを飲む私。玲二様の妻の一人として私は今はもうあの頃のようなお嬢様に憧れる一般庶民ではなく!気品溢れまくる真のお嬢様に登り詰める事が出来ましたわぁ〜!はぁ~、こんな素敵な庭で朝からこんな優雅な一時を過ごせるなんて……

 

ードドドドドドドドドドドド……!ー

 

?な、なんですのこの音は……?まるで何かが大量に近づいて来てるような……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『わぁーーーい♪』

 

「待つにゃあーーーッ♪」

 

「ブゥーーーーーーッ!?」

 

ゲホッゲホッ!?な、なんですのこれは?!玲二様のお子様達がでっかくなったぴりかちゃんと追いかけっこしてるんですけど!?っていうかデッケェなぁぴりかちゃん!?

 

「こらぁーーーッ!皆朝からそんなにはしゃぎ過ぎだって!そろそろパパも降りてくるから戻りなさーーーい!」

 

『はーーーい!』

 

ードドドドドドドド……!ー

 

な、なんだったんでしょうか?ミオ様が子供達を呼んだらすぐに部屋に戻って行きましたわ……?

 

「あれ、サロメは知らなかった?朝はあぁやって子供達が運動の為に追いかけっこしてるのよ」

 

「え、あ、リオン様!?そ、そうだったのですね……?」

 

ぽかんとしている私の元に同じにじさんじの先輩である『リオン』様(旧姓:鷹宮)が朝食を持ってやって来ました。偶にバルコニーで朝食を摂る方もいるとは聞いてましたがリオン様もそうなのですね?

 

「それにしてもあんた、朝っぱらから何リゼのセバスに紅茶なんて淹れさせてんのよ?」

 

「そ、それは、少しお嬢様っぽく執事にお紅茶を淹れてもらいたいなぁ〜なんて思って……すみませんセバス様、もう戻って頂いて結構ですわ」

 

「あ、はーいお疲れ様でーす」

 

私の後ろに待機していたセバス様は変化を解き鳥の姿になって飛んでいってしまいました。あぁ、折角リゼ様に頼んでお借りしたのにぃ〜……

 

「まったく、わざわざリゼに頼んでまでそんな事しなくても良かったんじゃないの?」

 

「うぅ〜……で、ですが私も玲二様の妻となったからにはやはり真のお嬢様としての振る舞いをした方が良いかと思いまして……」

 

「はぁ~……あのね、あの玲二がそんな馬鹿な事を強いるとでも思ってんの?玲二ならきっと「そんな事しなくたって、サロメはサロメらしくしていれば良いさ」って絶対に言うでしょ?」

 

「そ、そうですけど……それだと私、本当に玲二様の傍にいて良いのか分からなくなってしまって……私のようなお嬢様に憧れるだけの一般庶民が神羅族である玲二様に相応しいのかどうかも分からないのに……」

 

「…………それ、デビュー一ヶ月もしない内にうちの事務所一の登録者数を叩き出した奴が言う?」

 

ウッ!?そ、そんなジト目で見ないでくださいまし……けれど不安な事には変わりないんですから仕方がないじゃないですかぁ……

 

「………ま、大丈夫だって。玲二は本当に着飾らない私達が一番だって言ってたし。それに私達に何があったってよっぽどの悪い事とかしない限りあいつが私達の事を見捨てるなんて事は絶対にしないでしょ」

 

「………リオン様、本当に玲二様の事を信頼していらっしゃるのですわね?」

 

「当たり前じゃない。これでも鷹宮財閥と佐々木家は昔からそれなりの付き合いをしてるんだから。玲二の事なら幼い頃からずっと見てきたんだし、にじさんじの中なら間違いなく私が玲二の事を一番理解してるわよ」

 

……そうでしたわね。リオン様は子供の頃から玲二様とのお付き合いがあったって言ってましたし。なんでも昔鷹宮財閥の経営状況が窮地に陥った時に玲二様の曾お祖父様が助けてくださりそれまで以上の巨大財閥になったとか。そう考えると玲二様の一族って本当に普通ではない程凄い方々なのですわね……?

 

「……ふぅ、ごちそうさま。さーてと、この後少ししたら玲二と一緒にホロプラに行く約束してるんだけど、良かったらサロメも来ない?」

 

「え、よろしいのですか?」

 

「えぇ、人数は多い方が楽しいし、それにお互いお腹の子の為にも少しは動いた方が良いでしょ?」

 

……確かに私もリオン様も大分お腹が大きくなりましたものね?確かリオン様も私と同じ六ヶ月だったかしら?それに言われてみれば此処最近あんまり神羅城から出ていませんでしたし、気分転換の意味も込めて行ってみるのもありですわね。

 

「分かりました、それでしたら是非お供させて頂きますわ」

 

「ん、それじゃあ九時半には出るからそれまでに正門に集まりましょ」

 

リオン様はそう言って食べ終わった後の食器をトレーに乗せて室内へと戻って行きました。なら私も片付けて準備をしないと……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一時間後……

 

「へぇ、サロメも一緒に着いてくるのか?」

 

「えぇ、リオン様にお誘いを受けましてご一緒させて頂く事になりましたの。ですがヒメ様とヒナ様もご一緒でしたのは知りませんでしたわ」

 

「うん、今日は玲二くんがヒナ達の気分転換の為に遊ぼうって言ってくれたんだよねーユメ♪」

 

「あい!みんなでがんぷらすりゅの〜♪」

 

時間になり正門に集まった俺達はホロプラへと向かっているがサロメとも遊ぶのは久々だな?けどサロメも最近忙しくてなかなか遊べなかったみたいだから今日は思いっきり楽しませてやらないとな。

 

「そう言えば今ヒナさん気分転換にって言ってたけどもしかして最近忙しかったりするの?」

 

「あーうん……それよりもメンタル的にちょっとね……」

 

「メンタル的に……ですか?」

 

「うん……ほら、ヒメ達って今後のアーティストとしての活動の為に今までのバラエティー動画について改定したんだけど、その所為で一部のファンから反感を買っちゃったんだよね……」

 

そう、ヒメヒナは二ヶ月ほど前からアーティストとしての活動を重点する為にそれまでに出してきたバラエティー動画は全て動画リストから消し再生リストでのみの公開にし、更に今後のバラエティー動画は全てメン限公開にする事を発表したのだ。勿論これに対しヒメヒナのアーティストとして応援していた人達は変わらずに暖かい声援を送ってくれたのだが、問題はバラエティー動画を楽しみにしていた一部のファン達から幾つもの苦言を言われているのだ。

 

「バラエティー動画を消されて楽しみがなくなった」

 

「歌も頑張ってもらいたいけど、それ以外ももっと見たかったな……」

 

といったやんわりとした言い方をしてくるファンが殆んどだが、中には

 

「バラエティー見たけりゃ金払えってふざけんな!」

 

「結局金か、ファンを馬鹿にすんのも大概にしろや」

 

と、不満が爆発して過激な言葉をぶつけてくる一部のファンが抗議をする程だった。アーティストとしての活動を重点にするったってなんでそれまでのバラエティーを非公開にする必要があるんだ?って声も多かったし、中には暴言を吐いている奴もいたくらいだ。ただでさえアーティスト活動と子育てもあるのにその所為で二人は徐々に疲弊してしまっていたんだ。

 

「本当はメン限じゃなくてサブチャンネルを作って其処に移そうって話もあったんだけど、今まで作ってきたチャンネル一本でやっていきたいって思ったからこういう形式にしたんだけど、それが完全に裏目に出ちゃったのかな………?」

 

「そんな事はない。今はまだ突然の方針変更にファンが馴染めてないから本当のファン達なら何時かきっと分かってくれるさ……まぁこんな感じで二人とも落ち込んでしまってたからそれで少しでも気分転換になればと思ってな、リオンにも協力してもらってこうして出掛けようって事になったんだよ」

 

「ふーん、玲二に言われた時は二人ともどうしたんだろって思ったけどそういう事だったのね?」

 

「うみゅ……まーま、よちよち」

 

「あ、アハハ……ありがとねリナちゃん」

 

……ヒメもヒナも子供達の前では明るく振る舞おうとしているがやっぱり気が滅入ってしまってるな?このお出掛けで少しでも気分転換出来れば良いんだけど……

 

「よぉーし!最近全然ガンプラも作れてなかったし今日は思いっきり格好良いの作っちゃうぞぉーーー!」

 

「おぉ〜♪」

 

「それでしたら私も技術を上げる為に新しいガンプラを作りたいですわ〜♪」

 

「さろめまま、ユメといっしょにちゅくろ〜♪」

 

「……うん、大丈夫そうだな?なら早いとこホロプラへと向かうとするか」

 

『おぉ〜♪』

 

……まぁ心配し過ぎも良くないか。それじゃあさっさとホロプラへと向かうとするか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして俺達は開店時間丁度になるようホロプラに到着し店内へと入っていった。平日にも関わらず相変わらず大盛況だな。

 

「久し振りだな、玲二」

 

「え?……って矢島さん!?」

 

だけど俺達を出迎えてくれたのはるしあ達ではなくホロプラでは見慣れない男性店員だった。リオンを除く他の三人も誰なのか分からずぽかんとしてしまっている。

 

「え、えーっと……誰ですのこの方?」

 

「ホロプラにこんな人働いてたっけ……?」

 

「いや、この人はホロプラの人じゃなくて俺が本土にいた頃よくお世話になってた模型屋『矢島模型店』の店主さんだ。リオンも一緒に行った事があるから知ってるよな?」

 

「え、えぇまぁ……でもなんでやっさんが此処に……?」

 

「あぁ、実はこのホロプラの店主であるるしあに頼まれて数日間代理の店主をする事になったのだ。なんでも本土にホロプラの二号店を出すからその視察の為に出張に行くからその為俺が呼ばれたという事だ」

 

……あ、そういやそんな話あったな?るしあは昨日からホロプラを本土にも建てる計画を立てていてその為に条件に合う場所を探しに視察に出ていったんだっけ?そんでるしあだけだと不安だからってあかりとるるも一緒に行ったから代わりに昔から馴染みのある模型屋の店主である『矢島一』さんにお願いしてたというワケか。

 

「そういやそんな話がありましたね……けど矢島さん、自分のお店の方は大丈夫なんですか?」

 

「大丈夫だ、店の方は元々改装する為に臨時休業している最中だったからな。それで、今日は一体何を探しに来たんだ?」

 

「あ、えっと、そうですわね……せ、折角なので新しいガンプラに挑戦したいなって思いまして……」

 

「新しいガンプラか、ならこれが良いだろう」

 

そう言って矢島さんは一旦その場を離れ二つのガンプラの箱を持って戻ってきた。成る程、『ラーガンダム』と『ビルドストライクエクシードギャラクシー』か。確かに最新のキットではあるな。

 

「『ガンダムビルドメタバース』に登場する主人公ホウジョウ・リオがエントリーグレードのガンダムを改造し作り上げたガンダム。その特徴として本来のガンダムの良さは残しつつ日本の心をイメージとしたカスタムが施されている、正に太陽の名を持つに相応しいキットに仕上がっている。そしてビルドシリーズは今年で十周年を迎え過去に登場したキャラクター達も多数登場、その中でも初代『ビルドファイターズ』の主人公の一人イオリ・セイがエントリーグレードのストライクガンダムを改修したこのキットはエントリーグレードとは思えない程の情報量を備えた、正に十年の時の進化を体現したガンプラと言えるだろう」

 

『は、はぁ…………?』

 

あー、皆矢島さんの気迫に圧されてしまってるな……矢島さん、普段は口数が少ないのにプラモの事になると凄く早口になって熱く語るから初めての人は大体びっくりしてしまうんだ。そんな中でもユメとリナはキャッキャと笑いながらラーガンダムとエクシードギャラクシーに手を伸ばしている。

 

「私はこっちのビルドストライクは作ったけどこれ本当に凄いキットなのよね。ジョイント部分が多くて改造前提の構造をしている感じがして自分だけのオリジナルビルドストライクが作れるみたいで結構楽しかったわ♪」

 

「流石だ、リオン。そしてお前達、名前は?」

 

「え?えっと……壱、拾、百、千、満点サロメ〜♪皆様に百萬点の笑顔をお送りします佐々木サロメでございますわ〜♪」

 

「はおー!佐々木ヒメでーす♪」

 

「はおー!佐々木ヒナでーす♪そしてこの子達はヒナ達の子供のユメとリナでーす♪」

 

「「はお〜♪」」

 

「サロメとヒメとヒナ、そしてユメとリナか……良い名だ。なら、早速新しい世界の扉を開けてこい!」

 

矢島さんはそう言って俺達にそれぞれガンプラを渡してきた。まだこれ作るとは言ってないんだが……まぁ矢島さんが選んだ物に外れはないから全然良いんだけどな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして工作スペースで製作開始。

 

「おぉ、エクシードギャラクシーって外装は殆んど新規なんだな?」

 

「えっと……このラーガンダムって新規のランナーが一枚しかないのですね?」

 

「ラーガンダムは新規ランナーを使わなければ通常のガンダムとしても作る事が出来る。更に主人公ホウジョウ・リオが初心者という事もあり一からガンダムを改修しているのでアニメ第一話のようにバックパックを元のガンダムの物に付け替える事で原作再現も可能だ。つまりは、自分の好みにカスタマイズする事が出来るという事だ」

 

………なんか矢島さんがいると説明する必要がなくなるな?さて、今回俺達はそれぞれサロメとリオンがラーガンダム、俺とヒメとヒナはエクシードギャラクシーを作る事にしたんだがこのキット、確かにいろいろと改造してみたいな。他に使えそうなビルダーパーツがないか後で探してみるか。

 

「エントリーグレードはタッチゲート式だ。ニッパー等の工具は使う必要はない、手で簡単に外す事が出来る」

 

「へぇ〜、SDと一緒なんだね?」

 

「あれ?ヒメってエントリーグレード作った事なかったっけ?」

 

「うん、ヒメは何時もHGばっかりだったからね。ヒナみたいにはそんなに作ってもないし」

 

そういえばヒメってヒナと違って主人公機ばっかり作ってるよな?対してヒナはジャンル問わずいろんなキットを組んでるイメージがある。他にもサロメは水星の魔女のキットを好んで作ってたりする。リオンは母親が生粋のガノタだった所為で敷居を高く感じてしまい懸念していたが仲間達との交流もあってか今ではすっかりビルド系にハマっている。こうしてみると同じガンプラでも皆それぞれ違う好みが分かれて面白いな。

 

「んちょ、んちょ……あい、できちゃの〜♪」

 

「お、ユメも上手くパーツをくっつけられたな」

 

「うむ、幼いながらもしっかりと組み立てられている。この子達の将来は有望だな」

 

「ゆーぼー♪」

 

流石矢島さん、ユメとリナに対してもプラモ愛を持って接してるな。けど今改めて見ると幼児がガンプラを組み立ててるのって結構凄い光景だな……

 

「では次はスミ入れだ。モールドにスミ入れを施す事でより陰影がはっきりしリアル感が増す。そしてエクシードギャラクシーの一部にはクリアパーツの裏側にスミ入れを入れられる部分がある」

 

「スミ入れ……そう言えば私やった事がありませんわ」

 

「でもやっさんの言う通りこれをやるのとやらないとではかなり印象が変わるのよね」

 

「……そう言えばリオンちゃんって矢島さんの事やっさんって呼んでるけど何でなの?」

 

「え?あー、矢島模型店に通う常連の人達は皆そう呼んでるのよ。其処で働いている女の子が矢島さんの事をやっさんって呼ぶから自然にそうなっちゃったのかしらね?」

 

「へぇ〜、じゃあヒナ達もやっさんって呼んでも良い?」

 

「あぁ、好きに呼ぶがいい。さぁ、スミ入れをして組み立てをしたら、後はお前達の好きに改造すると良い」

 

そう言うと矢島さんは予め用意していたビルドカスタムパーツを出し自由に改造するように言ってきた。そして皆それぞれ好きなパーツを選び思い思いに改造を始めていく。それなら俺は……よし、これを使ってみるか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから一時間程経ち、俺達はそれぞれのガンプラを完成させた。それぞれ五機のガンプラがズラッと並び皆達成感で気が抜けてしまっている。

 

「ラーガンダム、ビルドストライクエクシードギャラクシー、ギブバースッ!」

 

「ぎ、ギブバース?」

 

「やっさんがプラモを完成させたら言う言葉よ。命が吹き込まれたって意味らしいわ」

 

「命が吹き込まれた、ですか……?」

 

「まぁ俺達はガンプラを作る時は常に想いを込めて作るから間違いではないな」

 

そうして俺達はそれぞれ完成した自分達のガンプラを見る。簡易的に作ったが、これもまた俺達が組み立てた物には変わりはない、大切な機体だ。

 

 

『ラーガンダム サロメカスタム』

バックパックは初期型の物を採用しシールドにジャイアントガトリングを装備させたヘビーアームズ形式を採用、更に肩パーツのノの字部分にはメタリックパープルで塗装をしている。

 

 

『ラーガンダム リオンカスタム』

サロメが使わなかったバックパックのビームナギナタを貰い両刃仕様に変更。更に紅ウェポンのガンブレイド(ロング)とハンドガンを合わせたガンブレードを装備している。

 

 

『ビルドストライクエクシードギャラクシー ヒメカスタム』

エクシードギャラクシーの背部にスカイハイウイングスを装備させた形態。他は特にカスタマイズされてはいないが、一つのパーツだけでヒメヒナらしさを表現している。

 

 

『ビルドストライクエクシードギャラクシー ヒナカスタム』

ダイバーエースのカスタムパーツを装備し接近戦特化の機体に仕上げてある。本来ジョイントが合わない部分はランナーと瞬間接着剤を使いジョイント出来るように改造してある。

 

 

『ビルドストライクエクシードギャラクシースタードライヴ』

バックパックにユニバースブースターとギャラクシーブースターをミキシングしたブースターを装備。イオリ・セイがビルドストライクエクシードギャラクシーを極限まで進化させたらというIFをイメージして作られている。

 

 

「わぁ〜、みんなかっこいぃ〜♪」

 

「ままのがんぷら、とりさんみたい〜♪」

 

「お、ユメとリナも気に入ってくれたみたいだな」

 

「ホントにこの子達ってガンプラ好きだもんね〜♪」

 

並んでいるガンプラを見てユメとリナはキャッキャと笑いながら手にとって喜んでいる。普通なら赤子にこういった物は誤飲の危険性があるならダメなんだがこの子達ってガンプラとかは絶対に口に含もうとはしないんだよな。まぁでも分かっていても触る時はちゃんと一緒についている時だけだけどな。

 

「けれどこれだけ作り込んだらこのラーガンダムをもっと作り込んでみたくなりましたわ♪」

 

「確かに、久々に愛着が湧くガンプラに出会えたかもね♪」

 

「それで良い。プラモは何処までも自由だ、制限や決まり事等は存在しない。例え何度失敗しようと、自分の納得のいく自分だけのオリジナルを見つければ良い」

 

「………何度失敗しても」

 

「自分の納得のいくように………」

 

……どうやら矢島さんの言葉に感銘を受けているのかヒメとヒナは自分のエクシードギャラクシーを手に取りじっと見つめている。

 

「………確かにガンプラ然りアーティスト活動然り、失敗する事も周りから揶揄される事もある。けど其処で折れたら自分が納得する物は決して作れない。なら周りの言葉に惑わされず自分達のやりたいようにやれば良いと思うぞ」

 

「…………うん、そうだね!よぉーし!目指すは世界最高峰のトップアーティスト!ヒメとヒナなら絶対になれるよ!」

 

「うん!周りの言葉がなんぼのもんじゃい!ヒナはヒナらしく歌で世界を獲るぞぉーーーッ!」

 

「まーま、がんばれ〜♪」

 

「りなもおーえんしゅる〜♪」

 

「私達も精一杯ヒメヒナ様方を応援しますわ〜♪」

 

「まぁ何か困った事があったら相談してよね、私達は家族なんだから♪」

 

うん、ヒメもヒナも元気を取り戻したし、今回のガンプラ製作は無事大成功に終わったな。

 

「矢島さん、今日は本当に有り難うございました」

 

「気にするな。プラモを愛する者同士、時に切磋琢磨し時に支え合うのは当然だ。それより玲二、偶にはこっちの店に顔を出してこい。リコ達もまたお前とプラモを作りたがってるからな」

 

「はい、必ず近いうちに顔を出します」

 

こうして矢島さんによるガンプラ製作回は終わり、俺達は神羅城へと帰宅していった。その帰り道、ヒメとヒナは機嫌良く笑顔で歌を歌っているのを見て改めて二人のファンでいて良かったと思い返したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーオマケー

 

「………それで、貴方は緊急招集がかかったのにも関わらずに例の神羅族と接触しようとしたのですか?」

 

「う……はい、仰る通りでございます………」

 

薄暗い空間の中、其処には二人の女性がいた。一人は以前玲二達の世界に現れたマツリ。もう一人は仮面で素顔を隠しているロングヘアーの女性だった。

 

「で、でも『ソラ』、神羅族の誕生なんて数百万年に一度あるかないかのビッグイベントなんだよ?これで騒がない奴の方がおかしージャキィンッ!ーヒッ!?」

 

マツリはソラと呼んだ女性に言い訳をするがソラは刀を出し次の瞬間マツリの喉元に切っ先を当て黙らせた。

 

「ビッグイベント?巫山戯るのも大概にしなさい。貴方、私達神羅族の使命を忘れましたか?」

 

「わ、忘れてないって〜。“世界の歪みを消し理を正す”、でしょ?そんなの言われなくたって分かってるからその刀下ろしてよ!?幾ら私達に死の概念がないからってヤラれたら普通に痛いんだから!?」

 

「………分かっているならさっさと自分の世界に戻りなさい。必要があったら追って連絡をします」

 

「あれ?緊急招集の件は?」

 

「その件は既に『オカユ』と『コロネ』が動いてくれているので問題ありません。もう貴方の出る幕はありませんので早く戻りなさい」

 

「ちぇ、分かりましたよ〜っと」

 

マツリは渋々ながらもその場から消え元の世界へと戻っていった。一方ソラは……

 

「………『アキ』、『ボタン』、いらっしゃいますか?」

 

「「は!此処に……」 」

 

誰かの名前を呼んだかと思うとそのソラの背後に二人の女性が現れ片膝を付き頭を下げていた。

 

「今のやり取りを見ていれば分かる通り、最近誕生した神羅族の男についてですが私の見てない所でその男を我が物にしようとしている不届き者がいます。お二人には今後その男に接触しようとする輩を見つけ次第身柄を拘束し連れてきなさい」

 

「御意に……」

 

「必ず不届き者の首根っこを押さえソラ様の元に引きずりだしてみせましょう……」

 

アキとボタンと呼ばれる女性達は指令を受けたと同時にその場から一瞬で消え去っていった。

 

「………新たな神羅族、それもかなりイリーガルな存在……事と次第によっては私が直接出なければならないかもしれませんね……」

 

そして最後にソラもその場から消え去り、その直後にその空間は初めから何もなかったかのように綺麗さっぱり消えてしまったのであった………




はい、という事で今回はサロメ、リオン、そしてヒメヒナ達とのエントリーグレード製作回でした!最初はサロメとリオンのコンビでやろうと思ったのですが急にネタが降ってきて内容を変更しました。そしてゲストにドラマ『量産型リコ』よりやっさんこと矢島一さんを出してみました!結構お気に入りのキャラだったの
で何時か出そうと思ってたので出せて良かったです(^o^)

ヒメヒナのバラエティーの件に関してですが、これはバラエティーの方を楽しみにしていた方々には残念なお知らせでした。事実自分の友人もそれまでは普通にヒメヒナのファンだったんですがバラエティーが今後メン限のみと知ると結局は金かよと言ってチャンネル登録を解除してしまいました。バラエティーに関しては本当にいろいろ考えた結果こうなってしまいましたが、ヒメヒナの一番の魅力はその歌声と歌唱力だと思っていますのでこれからも変わらず歌で皆を元気にしてほしいと思います。

さて、長々となってしまいましたがまた次回までまったりと待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第148話『あおぎり騒動』

明日はいよいよMGSDガンダムバルバトスとアイマスコラボの30MSの発売日!絶対にゲットしたい!……けど全部買ったらお金がとんでもない事になりますね……(T_T)

今回は久々にあおぎりメンバーのお話!何やらあおぎり高校ではとんでもない事が起こってるようで……?今回も最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


「「スゥ、スゥ……」」

 

「はわわぁ、やっぱり可愛いなぁ〜♪」

 

「「あ、あぅ、あうぅ〜」」

 

「うわぁ~、この子達のおててちっちゃいなぁ〜♪」

 

ホロライトシティ総合病院、その病室の一角で俺は出産を終えたれなとルイスと一緒に新しい生命と対面していた。しかも驚いた事になんと二人とも双子の女の子を出産したのだ。れなの子供はお姉ちゃんが黒髪、妹が白髮とれなの髪色が別れたような感じでルイスの子供はお姉ちゃんが赤目、妹が青目になっている。どの子も可愛らしく元気に産まれてくれて本当に良かったよ。一緒に来てくれたマオとこころ(にじさんじの方)も新しい子供達を見て目をキラキラさせている。

 

「わぁ〜、本当に可愛いねぇ〜♪ねーよるみん、この子達の名前はもう決めてるの?」

 

「え?うーん……実はまだ決めてないんだよね。玲二さんとも話し合ってるけどなかなか良い名前が思い浮かばなくて……」

 

「そうなの?じゃあルイスの方は決まってるの?」

 

「ううん、実は私の方もまだなんだ。玲二君も案は出してくれてるけどなかなかね……」

 

そう、実はれなとルイスの子供達にはまだ名前が決まってないんだ。まぁこれは本当にしょうがないんだよ、だって既に俺の子供は五十人を超えている。そんなにいる中で被らないように名前をつけるのは本当に大変な事なんだよ。だからって適当な名前を付けるワケにもいかないし、本当に早めに決めてあげないとな……

 

「じゃあだったらボクがよるみん達の為に子供達の名前付けてあげる♪「いや変な名前付けられそうだから遠慮しとくわ」なぁーんでだよぉーーーッ!?」

 

「まぁまぁ、名前は後で俺達がゆっくり考えて付けるからその件は保留にしとこう。それより二人とももうすぐ退院出来るんだよな?」

 

「うん、先生も明日には家に戻っても大丈夫だって♪」

 

「でも配信自体はまだ一ヶ月程は休もうって事になってるけどね」

 

そりゃまだ子育てとかやらなきゃいけない事は沢山あるからな。これは俺達佐々木家が皆で話し合った共通のルールだ。ある程度慣れたら他の皆にも協力してもらいながら配信を再開する。こうすれば無理なく子育てと配信を両立出来ると思ったからだ。

 

「さて、それじゃあ俺はそろそろ行くとするか」

 

「あれ?主人もしかしてこれから仕事なの?」

 

「いや、実は大代と千代浦に呼ばれたんだよ。なんか大変な事になってるから今すぐ来てくれって」

 

「大代と千代浦って、確かあおぎり高校の真白ちゃんと蝶美ちゃんだよね?」

 

そうそう、実はそのあおぎり高校から大代と千代浦が今朝突然俺に連絡してきて音霊達が大変な事になってるから来てあげてくれませんか?って言われて仕方なく行く事にしたんだ。大変な事って一体なんだろうな?

 

「そういう事だからすまないがこれからあおぎり高校に行ってくるからマオとこころは二人と一緒にいてあげてくれ」

 

「オッケー任せて主人♪」

 

「じゃあその間で皆で子供達の名前決めてあげよ〜♪」

 

ん、そうしてくれると助かるな。んじゃちゃっちゃと音霊達の様子を見に行くとするか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………って様子を見に来たのは良いが、これは一体どうなってるんだ?大代」

 

「あーいやーその………」

 

あおぎり高校に到着し校門前で待っていた大代に連れられてあおぎりメンバーの溜り場となってる空き教室へと案内されたんだが、其処にいた音霊達の異様さに若干引いてしまっていた。何でかって言われたら……

 

『………………………………』

 

其処にいる千代浦以外のメンバーが全員死んだように項垂れて倒れているからだ。なんだ?此処は殺人現場かなんかか?

 

「お、おい、一体どうしちまったんだ音霊達は……?」

 

「えっと……実は少し前までは魂子先輩達が佐々木さんとどうやったら付き合えるかって話をしていたんですが……」

 

はぁ?どうやったら付き合えるって、それは前にフレン達との対決でもう俺とはそういう関係性にはならないって話し合った筈だろ?取り敢えず気になるからそのまま大代の話を聞いてみる事にするか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間前……

 

「良いかお前等!今日こそは玲二さんと付き合える方法をなんとしても見つけ出すぞぉーーーッ!」

 

『おぉーーーッ!!』

 

数時間前、音霊魂子をはじめとするあおぎりメンバー達は何度目か分からない玲二と結ばれる為の会議を始めていた。と言っても前回のフレン達との対決の際に交わした誓約書の所為で突破口が見つからず、結局話しが纏まらず終わってしまう事が続き一緒にいる他のあおぎりメンバーは何時も呆れた様子でいるようだった。

 

「………ねぇ、魂子先輩達ももう諦めたらどうなの?どうせ誓約書書いた時点でもう無理ですって言われてるようなもんなんだから」

 

「何言ってんだ大代ぉ!?玲二さんを諦めるって事はつまり私達に今後の人生お先真っ暗で過ごせって言ってるのと同意義だぞ!?」

 

「いや言い過ぎじゃないそれ?」

 

真白や蝶美が幾ら諦めるように言ってもワケの分からない事を言って諦めようともしない。何故顔見知り程度なのに其処まで玲二に執着出来るのかが真白達には理解出来ずにいた。

 

「大体真白達はなんで玲二さんの事好きになんないんだよ?!あんな素敵な男性なんて他にはいねぇだろ?!」

 

「いや、それは言い過ぎじゃね?佐々木さんは仕事仲間としては良い人だけど別に付き合いたいとは思った事ないし」

 

「ちよも佐々木さんにはいろいろお世話になってるけど恋愛感情なんてないですし」

 

「私も仕事仲間としてしか玲二さんの事は考えてませんね」

 

「っていうか私に至っては佐々木の事嫌いだし」

 

魂子が他のメンバーに玲二の事好きじゃないかと聞くと真白と蝶美、そしてあおぎり高校に一時的に所属している『エトラ』はあくまで仕事仲間としてしか見ておらず、あおぎりの新人である自称クレイジーサイコレズの『春雨麗女』に至っては玲二の事を嫌っていた。

 

「はぁッ!?なんでオメェあんな素敵な玲二さんの事が嫌いなんだよ?!」

 

「いやだから前にも言ったじゃないですか?私高校時代に付き合ってた彼女をあいつに盗られたって」

 

麗女曰く、中学時代付き合ってた彼女がいたのだが高校に上がると同時に一つ上の先輩だった玲二に彼女が惚れて麗女から離れてしまったという。実際は玲二はその娘にアタックされたが丁重にお断りした為盗ったと言うのは語弊がある。それと麗女は玲二の事を一方的に恨んでいるが玲二としては麗女の事は面識もないようなのでこれは完全な逆恨みである。

 

「うぎぎぎぃ……オメェ等それで良いのか!?これを逃せば間違いなくこれ以上素敵な人なんて現れないぞ?!」

 

「いやそんなの人それぞれじゃないっすか?」

 

「そうですよ、それにそんな心配されなくても私は平気ですから」

 

「え?平気ってどういう事なの?」

 

「だって私()()()いますし」

 

ーピキッ……!ー

 

『……………………は?』

 

突如蝶美の口から放たれた言葉に他のメンバーは一瞬ワケが分からず固まってしまった。

 

「こ、こここ、婚約者……?」

 

「えぇ、婚約者です」

 

「あ、アハハ、まっさかぁ?どーせ前に石狩や音玄っちみたいに私達を出し抜く為の嘘とかでしょ?」

 

「そんなんじゃないし、私には本当に以前から結婚を前提にお付き合いしている人がいますから」

 

「…………え、まさか本当に?」

 

「本当に」

 

『…………ハァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァっ!!?』

 

まさかの衝撃的な事実、なんと蝶美には将来結婚を誓い合った相手がいたのだった。その事実を知った魂子をはじめとする玲二ラブなメンバーはショックで倒れ込んでしまったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして現在に戻る……

 

「成る程、千代浦が婚約者がいるって言った所為でこいつ等ショックで倒れてしまったワケか」

 

「えぇまぁ……でも蝶美、あんた何時の間に婚約者なんて出来たのさ?そんな話し今まで聞いた事もないんだけど?」

 

「まぁあおぎりのメンバーには誰にも話ししてなかったんで……」

 

事の顛末を聞いたけどなんか凄い事になってしまったみたいだな?俺が来ても音霊達は反応こそするが虚ろな目をしてるし、事の原因である千代浦はまるで何事もなかったかのようにお茶を啜っている。それと俺が来る前にエトラは仕事があるからって言ってスタジオに向かい春雨は俺が来るって聞いて会いたくないからと言ってさっさと帰ったらしい。俺、春雨と面識はないんだけど何かしたか?

 

「はぁ……で、俺は呼び出されたワケだが一体何をすりゃ良いんだ?」

 

「えっと……まぁ無理だとは分かっているんですが佐々木さん、どうか魂子先輩達を受け入れてもらえないですかね?このままだと本当にあおぎりが崩壊しかねない状況なんで」

 

「やっぱりそういう事だよな……けど申し訳ないがそれは本当に無理だ。此処で唯の情けで付き合うなんて言っても音霊達が一時的に復活するかもしれないが今までそういった付き合いが薄い以上俺も上辺だけの付き合いしか出来ない。そうなったらその先にあるのは破局しかないから結局誰も喜ばないだろう」

 

「……まーそりゃそうでしょうね?」

 

大代もその辺の事は理解してくれてるからあっさりと引き下がってはくれる。それにこれ以上付き合うとなればフブキや皆にも悪いしな。けど、だからといって音霊達をこのまま放置するのワケにはいかないだろうし、どうしたもんかな……?

 

ーピリリリリッピリリリリッー

 

「あ、すみませんちょっと失礼します……ーピッーあ、もしもし()()()()?」

 

ーピクッ!ー

 

俺がどうしようか考えてたら千代浦のスマホが鳴りそのまま通話に出た。どうやら相手は拓哉みたいだな………って音霊達、なんか急にユラァっと立ち上がったんだがどうしたんだ?

 

「うん、うん………分かった、じゃあ今日の収録終わったら家にお邪魔するね、それじゃ♪ーピッーふぅ……ってえ?な、何ですか魂子先輩?」

 

「…………蝶美ぃ〜?今の電話、もしかしてオメェの婚約者かぁ?」

 

「は、はいそうですが……?」

 

電話を終えた千代浦の真横にまるでゾンビのように音霊が這い寄っていた。普通に怖いんだが?

 

「そーかそーか、ふーん……私等がどうやったら玲二さんと結ばれるか必死に考えてる中オメェは一人何処ぞの馬の骨か分からねぇ奴とイチャコラしてたってかぁ?」

 

「せ、先輩目が怖いですって……?」

 

「そんなのどーでも良いんだよ。それよりその拓哉だっけ?そいつとは何処で知り合ったんだ?まさか出会系とかそういうのじゃねーよなぁ?」

 

「違いますって!?それに拓哉くんなら皆さんも会った事あるじゃないですか!?」

 

「は?ボク達そんな人知らないんだけど「いや会った事あるでしょ!この間のホロライブとにじさんじとの合同イベントの時にいたスタッフさんだよ!」……え?」

 

千代浦に説明され頭の中で思い返す音霊達。そして何かを思い出したのか一同は俺の方に振り向く。

 

「……あ、あの〜玲二さん?拓哉さんってもしかしてこの間のイベントで一緒に来てた玲二さんの部下の方ですか?」

 

「あぁ、拓哉は俺の部下でホロライブの現スタッフリーダー兼ホロライブDEV_ISの責任者だ」

 

「え……って事はひょっとして玲二さん、その拓哉さんとちよちゃんの関係って……?」

 

「あぁ、勿論知ってたよ。拓哉から千代浦が高校を卒業したら籍を入れるのも聞いてたし」

 

『ハアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァーーーーーーッ!!?』

 

うわうるさッ!?いきなり近くで叫ぶなよ?!

 

「そ、そんな……私等の知らないとこで玲二さんの部下と蝶美が付き合ってただなんて……!?」

 

「蝶美ぃ!なんでその事私達に言わなかったんだよぉッ!?」

 

「いやだってまだ婚約だから良いかなって思って。報告するなら結婚の時にしようかな〜って思ってたから」

 

「うぐぐぐぅ……!まさか私達の身近にこんな特大級のリア充がいただなんてぇ〜!?」

 

あーもう音霊達が嫉妬やら嘆きやらの感情がごちゃ混ぜになって顔がスゲェ事になってんな?さて、このカオスな状況をどうすればーピリリリリッピリリリリッーん?電話?一体誰が……

 

ーピッー

 

「はい佐々木です」

 

《あ、玲二さんお久しぶりです!フミナです!》

 

「フミナ?お前またこの世界に来たのか?」

 

なんと電話の相手は以前俺達の世界に迷い込んだチームトライファイターズのリーダーフミナだった。そういやこいつ等の世界ともゲートを繋いでたっけ?

 

《はい!実はセカイ君が玲二さん達とまた戦いたいって言ってて、それで私もまた遊びに行きたいなって思ってたので来ちゃいました♪急に来てすみませんが今大丈夫でしたか?》

 

「あー今ちょっと立て込んでて……いや、丁度良いや。なら俺達もすぐに向かうからホロプラで落ち合おう。場所は分かるよな?」

 

《はい、島の構造は前回来た時に把握してますから大丈夫です!》

 

「OK、なら三十分後にホロプラで合流な。そんじゃなーピッー……という事でお前等、今からホロプラに行くぞ」

 

俺はフミナとの電話を切り音霊達にホロプラへと付いて来るように指示する。

 

「え……な、なんで急にホロプラに?」

 

「今のお前等は頭ン中がいろいろとごちゃごちゃしてる所為でワケ分かんなくなってる状態だろ?なら気分転換に皆で遊べば少しは気が晴れるだろ」

 

「は、はぁ……?」

 

音霊達はまだポカーンとしているがフミナ達が来た事は好都合だからな。今回はあいつ等にも協力してもらって皆で気の済むまで遊び倒すとしよう。それに俺も前回作ったガンプラの再調整版を試したかったから良い機会だしな。

 

 

 

身内の婚約事情を知りショックを受けた魂子達を元気づける為にホロプラへと連れてく事になった玲二。セカイやフミナも交え、一体どんなバトルを繰り広げるのだろうか?続く………




はい、という事で次回あおぎりメンバーとセカイ達が思いっきり遊び倒します!今やってるビルドメタバースを見て久々に出したくなりました♪

そして今回冒頭ではれなとルイスがそれぞれ双子の女の子を産みましたが、記述の通りまだ名前が決まってません……この名前が良いと言うのがあればコメントに書いて頂けると嬉しいです(;´∀`)
それでは次回までまったりと待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第149話『プラモバトラーズ』

自分の働いている職場にお局的な人がいるんですが、その人がノルマを皆に強いてきて出来なかったらグループラインで晒すという事をしてますがこれ普通にモラハラじゃね?って感じてる今日この頃……仕事が出来る人だから誰も逆らえないんですが、ワリと依怙贔屓も酷くその所為で職場の人達もその人に対する不満が言えずにいますので本当にその点を改善してほしいです(T_T)

今回はあおぎりの面々と一緒にホロプラへ!けど何時もと何かが違う気が……?今回も最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


千代浦蝶美の婚約事情を知りショックを受けた音霊魂子達。そんな魂子達を元気づける為に玲二はセカイ達が待つホロプラへと遊びに連れて行く事となったのだった。

 

「さて、ホロプラに到着したけどフミナとセカイは何処にいるんだろうな?」

 

「ほへぇ、ホロプラって久々に来たけどめちゃくちゃデカくなってるね?」

 

「まぁ魂子先輩あんまりガンプラやんないから知らなくても仕方がないですよね?今じゃ世界からも注目されている程のガンプラバトルの聖地でもありますからニーズに合わせてどんどんバージョンアップしてるんですよ」

 

まぁそれにしては模型店とは思えない程の進化を遂げているけどな?今じゃガンプラは勿論様々なプラモやフィギュア、更には玩具やゲーム機まで販売しているし目玉であるガンプラウォーズの他にも今俺達が開発している新たな新ゲームももうじきに稼働開始する予定だ。さらに気軽にプラモを作れる工作ルームや他にもかなり豊富なメニューがあるフードコートや幼い子供達にも楽しめるキッズルームまでもが充実している。広さもちょっとした大型スーパー並みにあるし、プラモ好きなら毎日でも来たいと言う程の大型アミューズメントパークと化している。

 

「あ、玲二さんいらっしゃいなのです♪」

 

「ぱぱぁ〜♪」

 

「おうるしあ、遊びに来たぜ。りあらも出迎えてくれてありがとな」

 

「あい♪」

 

そんな俺達の元にるしあとりあらが出迎えてくれた。前回るしあは本土に視察に行ってたからいなかったけど一昨日戻ってきてそれと同時に矢島さんも自分の店に戻っていったらしい。矢島さんも良かったがやっぱりホロプラにはるしあがいないとな。

 

「それでるしあ、今日此処にセカイ達が来てるんだが何処にいるか知らないか?」

 

「セカイさんですか?それなら玲二さんが来るまでガンプラウォーズをやろうとしてたみたいだったので丁度良い機会なので今社さんやアカリちゃん達と一緒に()()()()()のテストプレイをしてもらってるのです」

 

「あぁ、あれか。というかもうテストプレイが可能なレベルにまで進んでたんだな?予定では後二週間は掛かると思ってたんだが?」

 

「はい、黛君やお義兄さんが協力してくれたお陰でかなり早くプレイする事が出来るようになったのです♪このテストプレイが上手くいけばガンプラウォーズに続く新たな人気コンテンツになる事間違いなしなのです♪」

 

そうか、それは楽しみだな。それなら俺達もそれで遊んでみるか。

 

「よし、本当は皆でガンプラウォーズをやろうとしたけど今日はお前達に特別に新ゲームの体験をさせてやるよ」

 

「新ゲーム!?え、玲二さんってガンプラウォーズ以外にも何か作ってたんですか?!」

 

「あぁ、とびきりエキサイティングなバトルゲームだ。という事でるしあ、音霊達にもこのゲームを体験させてやっても良いよな?」

 

「はいなのです。人数が多ければそれだけデータも多く録れるのでるしあ達としても願ったり叶ったりなのです♪では案内するのでこちらにどうぞ〜♪」

 

「おぉ~!新作ゲームを遊べるなんて、これはかなりテンション上がってくるぞぉーーーッ!」

 

『オォーーーッ!!』

 

さっきまで死んだような顔してたクセに新作ゲームが出来ると知りテンションが上がる音霊達。まったく現金な奴等だな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

るしあに連れられて俺達はガンプラウォーズの筐体が設置されているスペースとは二つ隣にある工事中のテナントスペースへとやって来て中に入っていった。其処は既に新作ゲームの為の準備が着々と進んでおり既に八割方は終わっているようだ。

 

「えっと、此処が新作ゲームの会場……?」

 

「あぁ、これが俺達の新たなゲーム『プラモバトラーズ』の最初の会場さ」

 

「プラモバトラーズ……?」

 

「一体どんなゲームなんだろ……?」

 

お、音霊達も興味津々みたいだな?さて、今は誰がテストプレイしてるのかードガァッ!ーお?

 

ーガキィンッ!ドゴォッ!ドカァッ!ー

 

ーズガガガガガガガガガガガガガッ!バッコオォンッ!ー

 

「な、何アレ!?」

 

「あれって……悟空とバーニングガンダム!?え、なんでガンダムとサイヤ人が戦ってんの?!」

 

目の間のモニターにはドラゴンボールの主人公である『孫悟空』とセカイのガンプラであるカミキバーニングガンダムが激しく戦い合っていた。しかもその大きさが互いに同じくらいになっている。本来ならMSであるバーニングガンダムが人間サイズの悟空とほぼ変わらない大きさで互いに戦い合っているのだ。

 

『ハアァァァァッ!次元覇王流!疾風突きいぃぃぃぃぃぃッ!!』

 

ービュウゥゥゥッ!ドゴオォォォンッ!ー

 

『ぐあぁぁぁぁぁーーーッ!?』

 

バーニングガンダムから放たれた疾風突きが悟空の腹を射抜き悟空はそのままふっ飛ばされ岩に激突していく。しかし、煙が晴れると悟空は両手を腰元に構えエネルギーを溜めていた。

 

『かあぁめえぇはあぁめえぇ…………波あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!』

 

ードゴオォォォォォォォォォォォォォォォオンッ!!ー

 

悟空から放たれた必殺技、かめはめ波がバーニングガンダムに向かって飛んでいき、バーニングガンダムもそれに応じるかのように拳に炎を纏わせていく。

 

『カミキガンプラ流奥義!烈波轟炎ケェェェェェェェェェェェェェェンッ!』

 

ーゴォォォ……ドッカアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアンッ!!ー

 

「うわ眩しッ!?」

 

悟空のかめはめ波とバーニングガンダムの炎の鉄拳烈波轟炎拳がぶつかり合い画面が強く光り皆思わず目を閉じてしまう。そして光が止み皆目を開けると……

 

ーTIME UPー

 

ーDRAWー

 

画面には時間切れと引き分けと表示されゲームは其処で終了された。それと同時に奥のゲーム筐体二機の扉が開き、其処から築とセカイの二人が出てきた。

 

「だぁーーーもう引き分けかよぉ!?結構自信あったんだけどなぁ……」

 

「でもスゲェぜ社さん!俺も本気だったのに少しでも気を抜くと負けそうになっちまった!」

 

「おう、二人ともお疲れさん。ほらこれ差し入れだ」

 

「あ、玲二さん来てたのか!?わざわざありがとうな!」

 

ゲームを終えて少し疲れ気味の二人に俺はさっきコンビニで買ったスポドリを差し入れしてやる。けどさっきの感じを見る限りもうほぼ完全に稼働出来そうだな。

 

「れ、玲二さん?もしかして今のが新しいゲームなんですか?」

 

「あぁそうだ。これが俺達がガンプラウォーズに続いて開発した次世代型クリエイティブ格闘ゲーム『プラモバトラーズ』だ。自分だけのプラモを作りそのプラモのデータを読み取って3Dバトルエリアで思う存分戦い合うゲームさ」

 

「そんな凄いゲーム作ってたんですか!?」

 

そう、俺達は少し前からこういうプラモを使った格闘ゲームを開発していたんだ。というのも事のきっかけは築が

 

「ガンプラ以外のプラモでもこういう遊びが出来たら面白そうだよな?」

 

と言ったのが始まりでそれならガンプラウォーズとは違う方式のゲーム、人型プラモ同士の格闘ゲームをやってみようとなって今日まで秘密裏に開発を進めていたんだ。今回はガンプラウォーズの時以上にいろんな人達に協力してもらったお陰でかなり早く実働化出来そうだな。

 

「あ、玲二さんこんにちは!」

 

「おぉフミナ、久し振りだな……あれ?ユウマは一緒じゃないのか?」

 

「あ、ユウ君は今回は来てないんです。なんでも新しいガンプラの改造案が浮かんだからそれを形にしたいらしくて今も自分の部屋に籠もって製作してるみたいなので今日は私とセカイ君の二人だけで来ました!」

 

成る程、それなら仕方がないな。出来ればプロレベルの製作技術を持つユウマにも意見を聞きたかったがそれはまた今度にするか。それよりも

 

「それじゃあこれから早速ゲームをプレイしてもらうけど音霊、この中にあるテストプレイ用のプラモから好きな物を選んでくれ。それと次は二対二のバトルのデータを取りたいからパートナーと一緒に戦ってもらうから」

 

「え!良いんですか最初が私で!?」

 

「えー魂子先輩ズルい!だったらこまるがパートナーで参加したい!」

 

「いーやそれだったら大代も参加してぇよ!」

 

最初のプレイを音霊に任せると他のメンバーもやりたいとワイワイ騒ぎ出す。そんなに騒がなくても普通にやらせてやるんだからもう少し大人しくしてほしいんだが?

 

「落ち着けってお前等。そんなに慌てなくても順番に遊ばせてやるから。それにパートナーは既に実戦済みの奴がなってくれるから」

 

「え、そうなの?もしかしてやしきずさんとか?」

 

「いや、築はこれから配信があるからこれで終わりだ。だから……お前の出番だ、()()()()()

 

ーモゾモゾ……ピョコッー

 

「……ふぅ、漸く出番ですか?ブレイン」

 

俺が声を掛けると共に俺の持ってたバッグから小さな女の子、リシェッタが顔を出した。

 

「え!?こ、これって確か30MSの美プラですよね!?なんで普通に動いてるんですか?!」

 

「あぁ、こいつは俺が作ったリシェッタだ。俺の力で命が吹き込まれているんだよ」

 

「命を!?玲二さんってそんな事も出来るんですか?!」

 

まぁこれくらいの事は今の俺には簡単に出来るからな。リシェッタは以前俺が神羅族として完全に覚醒する際に魂は俺に、身体はシンラガンダムへと受け継がれてしまったがあの後にすぐに新しく作ったリシェッタに魂を与えて復活させたんだ。やっぱりリシェッタも俺達の大切な家族だから一緒にいないとしっくりとこないからな。

 

「という事でリシェッタ、今から音霊とパートナーを組んでセカイ達と戦ってもらうけど良いか?」

 

「勿論ですブレイン。ブレインが創ってくれたこの新しいボディを試す良い機会ですので♪というワケでよろしくお願いします音霊魂子」

 

「お、おぉ……?じゃあ私はどれにしようか「はいはーい!それならワタシを使ってくださーい!」……え?」

 

音霊も使うプラモを選ぼうとするがその瞬間、並んでいるプラモの中から一体が突然動き出し音霊の手の上に乗りだした。

 

「え、えぇ!?れ、玲二さんこれは一体……!?」

 

「あぁ、そいつも俺が作ったヤツだな……おい()()()()()、お前勝手に動き出すなよ?」

 

「えへへ~、だって折角マスターに命を宿してもらったんですもん。どうせならワタシもバトルしたいです!あ、申し遅れました!ワタシはルミティアって言います、気軽にルミア様と呼んでくださいね♪」

 

「初対面でいきなり様付け強要!?」

 

あーそういやこいつ何故か俺以外にはナチュラルに相手を下に見る性格なんだよな。元のキャラ設定は温厚で優しい性格の筈なのになんでこうなったんだ?

 

 

『アルカナディア ルミティア』

30MSシリーズとは違うメーカーが出した美プラシリーズ。見習い天使という名が表す通り背中には大きく広がる純白の羽根が特徴的である。可愛らしい見た目とは裏腹に羽根や装飾等の至る所が恐ろしい程尖っており組み立て時に怪我をする人がいたとかいないとか?

 

 

「へぇ〜、こんな美プラもあるんだ?」

 

「でもこの子なんだかこまるんに似てるよね?」

 

「えぇ〜?このワタシをこんな常に頭の中エロしか詰まってないド変態と一緒にしないでほしいんですけど〜?」

 

「あ?オメェ今すぐ地面に叩きつけてぶっ壊してやろうか?」

 

「キャ〜、マスターこの女怖いですぅ〜♪」

 

おいコラそんなふうに徴発すんなって。兎に角皆プレイするなら時間が足りなくなるからさっさと筐体に入ってもらうか。

 

「ほら音霊、時間も押してしまってるからそろそろ筐体の中に入ってくれ。セカイとフミナもそろそろ準備を始めてくれ」

 

「分かりました!それじゃあいくわよセカイ君!」

 

「あぁ!全力で挑ませてもらうぜ!」

 

おぉ、やっぱりセカイはバトルにおいては一切妥協しない性格だな。さて音霊とリシェッタも筐体に入ったみたいだし説明するか。

 

「まずは筐体に入ったら目の前のボックスを開いてその中にプラモをセットしてくれ」

 

「分かりました。えっと、これかな?」

 

「入れる時は優しく入れてくださいね?貴方見るからにガサツそうだからーバァンッ!ーちょっとぉ!?」

 

おいそんな力込めて扉閉めるな、ムカついたのは分かるけど。

 

「音霊、扉はちゃんと静かに閉めろよ?それと扉が閉まったら自動でロックが掛かるから次は横にあるバイザーを頭に被せてくれ。そうすれば自動でバトル画面を表示してくれるから」

 

「は、はい。えっとこれを被って……あれ?玲二さん、このゲームのコントローラーとかはないんですか?」

 

「あぁ、コントローラーの必要はないんだ。なんせこれは脳波と身体の動きを読み取って動かすフルアクションゲームだからな」

 

「へ?フルアクションゲーム……?」

 

「まぁ取り敢えずやってみれば分かるさ。それじゃあ……ダイブスタート!」

 

全員がプラモをセットしたのを確認しゲーム開始のスイッチを押す。するとゲーム画面が代わり舞台はとあるドームの中になり其処に四人のプラモが出現した。

 

セカイは引き続き自身のガンプラであるカミキバーニングガンダム、フミナは……『アスラ タマモノマエ』か。てっきり自分のフィギュアライズスタンダードのを使うかと思ったんだけどな?そしてリシェッタは俺が作った新しいバトル用ボディになっていて、音霊はルミティアだが先程勢い良く扉を閉められた所為かルミティアが少し怒ってるようにも見えるな?

 

 

『メガミデバイス アスラ タマモノマエ』

美プラの王道とも言えるメガミデバイスの中でもバリエーションの多いアスラシリーズの一体。九尾をモチーフとしており黒い装甲には狐の顔や尾をイメージされた装飾が施されている。

 

 

『30MS リシェッタ バトルアームズ』

リシェッタのボディにプラ板で仮面ライダーギーツのマグナムフォームのようなアーマーを創って装着させ、更に武器にはオプションウェポンを組み合わせて改造した銃剣『リシェットブラスター』を装備している。

 

 

「お、おぉ〜!何これ、なんか本当にゲームの中にいるみたいにリアルなんだけど!?」

 

「このゲームはガンプラウォーズと違って実際にゲームにダイブしてまるでその場にいるかのような体感を楽しめます。なので実際に動けばルミティアも同じように動きますよ」

 

「へぇ~そうなんだ?あ、確かに腕を上げたらおんなじように上がった。という事は……こーんなポーズとかも出来るのかなぁ〜♪」

 

《ちょっとぉ!?ワタシの身体使って変な事しないでくださいよぉーーーッ!?》

 

いやあいつ何お尻つき出しポーズなんてしてんだよ?ルミティアがかなり恥ずかしそうに顔を真っ赤にして怒ってるし他の三人は呆れた様子で見てるし。

 

《おい音霊、そんな変な事してないでまずはチュートリアルだ。このゲームは基本的には実際に身体を使って動かすパターンと脳波を感知して動かすパターンがある。例えば腕を前に突き出せばパンチのモーションになるし、敵に向かって走るようにイメージすれば敵に向かって接近する事も出来るぞ》

 

「えっと……キック!パンチ!からのぉ、斬撃!」

 

ーブンッ!ブンッ!ズバァッ!ー

 

「おぉーー!これ凄いなぁ!」

 

《そんなの当たり前です!なんてたってマスターが丁寧に作ってくれた最高の身体なんですから♪》

 

《そう、その調子だ。後は他の格闘ゲーム同様にコンボを決めたり各プラモによって固有の必殺技とかもあるからそれを駆使して戦ってみてくれ。それじゃあいよいよ始まるぞ!》

 

 

ーROUND1 FIGHT!ー

 

 

「おっしゃあ!そんじゃいくぞルミアーーーッ!」

 

《だからルミア様って言ってるでしょうがぁーーー!?》

 

「そんなくだらない喧嘩は後でしてください。油断してたら一瞬でやられますよ」

 

「よし!いくぜ先輩!」

 

「えぇ、任せてセカイ君!」

 

 

 

ついに始まった初のプラモバトラーズ。一体どんなバトルが繰り広げられるのだろうか?続く……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーオマケー

 

「うーん……あ!そうだよるみん!この子達の名前、こんなのはどうかな?ぽちとたま「おい魔使、巫山戯てるんだったら追い出すぞ?」じょ、冗談だって〜」

 

玲二が出ていった後もれなとルイスの子供の名前を考えていた四人だったが、やはりなかなか良い名前が思い浮かばずマオが巫山戯だす程だった。

 

「うーん、本当に困ったわね?この子達に早く名前を付けてあげたいのに「あ、だったらこれとかどうかな〜?」え、これって?」

 

「今SNSで赤ちゃんの名前を募集してみたんだけど結構良い名前あったんだ〜♪ほら、これとかどうかな?」

 

そう言ってこころが他の三人に自分のスマホの画面を見せる。其処にはSNSの画面が表示されていてその一部分に子供達の名前候補が書かれていた。それが

 

 

れなさんの子供

姉 澄玲(すみれ)

妹 亜衣奈(あいな)

 

ルイスさんの子供

姉 ルネ

妹 コレット

 

 

「澄玲と亜衣奈……うん、確かに良いかも♪おーし、これから二人の名前は澄玲と亜衣奈だぞ〜♪」

 

「そうね、それにこのルネとコレットって名前も素敵ね♪それじゃあこれからよろしくね、ルネ、コレット♪」

 

『あうぅ〜』

 

こうしてこころによって募集された案かられなとルイスの子供達の名前が決定したのであった。

 

れな

姉 澄玲

妹 亜衣奈

 

ルイス

姉 ルネ

妹 コレット




はい、という事で新ゲーム『プラモバトラーズ』始動です!そしてしれっと復活してるリシェッタと新しく追加されたルミティアがどう活躍するかはお楽しみという事で、次回もまったりと待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第150話『激突勝負!』

今回で本編150話、本当によく続いてんなこの小説……(-_-;)
さて、今回はプラモバトラーズの決着!そして今回終盤ではあるお知らせが……?今回も最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


「ハアァァァァッ!!」

 

ードガッ!バキッ!ドゴオォッ!!ー

 

「きゃあぁッ!?」

 

《ちょっと何やってるんですか!?ワタシの可愛い顔に傷がついたらどうするつもりなんです!?》

 

「う、うるさいなぁ!そもそもこんなほぼリアルファイトなバトルで本物の格闘家相手にまともにに戦えるワケねーだろがぁ!?」

 

ゲームが始まってから僅か数十秒、音霊とルミティアは最初こそ勢い良く突っ込んでいったが今はセカイのカミキバーニングに押されっぱなしになってしまっている。まぁ実際に身体を動かして戦う分格闘家としての技量があるセカイと普段そんなに身体を動かさない音霊じゃ動きの差が出て当然だけどな。

 

「さぁどうした!?このままじゃ一方的に終わっちまうぜ?!」

 

「そんな事言われたってこんな実際に動かなきゃいけないゲームで格闘家に勝てるワケ《飛んでください!》ってえ!?と、飛ぶってそんな事出来ないでしょうが!?」

 

《このゲームは自分の身体で再現出来ない事もイメージすれば再現出来ます!ワタシには翼があるので飛んで斬撃で空中戦を仕掛けられます!だからそんなアホヅラ下げてないでさっさと飛びやがれですこのスカポンタヌキッ!》

 

「おいしれっと悪口言うなや!?あぁもう飛べば良いんだろ飛べば!とぉッ!!」

 

ーバサァッ!ー

 

おぉ!翼が広がってルミティアが上空に飛翔した!それにしてもルミティアって何で時々口が悪くなるんだ?

 

「ほ、ホントに飛べたぁ!?よぉーし、これなら充分に戦える!反撃開始だぁッ!」

 

「おぉ!?そんな事も出来るんだなこのゲーム!?なら俺も、もう少し本気出すとするか!」

 

お、音霊のやる気を見てセカイも本気出してきたか。てかやっぱり少しは手加減してたんだな?セカイのバーニングガンダムが腰にマウントしていた刀を抜きルミティア目掛けてそのまま高く跳び上がっていった。

 

そんな中、リシェッタとフミナは……

 

ーヒュンッヒュンッヒュンッ!ー

 

「フッ!ハァッ!」

 

ーバキュンッ!バキュンッ!ー

 

「くぅッ!やるわね、リシェッタさん!」

 

フミナの玉藻の前が飛ばした狐型の追尾兵器をリシェッタがリシェットブラストで撃ち落としその隙を狙い接近戦を仕掛けていく。だが玉藻の前も錫杖を駆使し激しい鍔迫り合いを繰り広げていた。流石リシェッタ、動きも機敏で隙が一切ないな。それに対抗して拮抗出来るフミナもなかなかだ。

 

「あわわわ、なんて凄い迫力なんだろ……!?」

 

「てか魂子先輩が彼処まで動けるのも意外だわ……」

 

「このゲームは身体を動かすのは勿論、脳波を読み取ってプラモ特有の能力を自在に発揮する事が出来るんだ。だから身体を動かすのが苦手な奴でも結構動けるんだよ」

 

元々は小さい子供や普段から身体を動かさない人達の為のシミュレーションゲームを想定して開発された技術だが、それを応用して格闘ゲームにした事でこういう人間離れした動きも出来るようになったんだ。流石天下の藤枝コーポレーションの技術だ。

 

「な、なんだか複雑で難しいなぁ……?」

 

「けどこの技術、下手したら軍事利用されてもおかしくなさそうな技術だよね……?」

 

「あぁ、だからこそ義兄さんはこの技術を完全社外秘にしてるんだよ。これを軍事利用なんかにしたら独裁国家のトップ達しか喜ばないからな。それに……」

 

『それに?』

 

「こういうのは皆が笑顔になれる事の為に使う方が最高に楽しめる、だろ♪」

 

『ッ!?//////』

 

?なんかあかり達の顔が真っ赤になってるけど……いやまさかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(な、何今の玲二さんの笑顔!?玲二さんってあんなふうに子供っぽく笑う事もあるんだ……!?///)

 

(ヤバいヤバいヤバい……あんな眩しい笑顔見せられたら僕、ドキドキが止まんないよぉ……///)

 

(はうぅん!あの笑顔、昔私が落としたハンカチ拾ってくれた時に見せてくれた笑顔とおんなじ笑顔!やっぱり玲二君の笑顔って素敵だわぁ〜♡///)

 

(い、いやいや待って!?大代にとって佐々木さんは仕事仲間ってだけだよ?!で、でもあんな笑顔見せられたら……///)

 

(うわうわうわうわぁーーーッ!あんな素敵な笑顔見てしまったら普段から下ネタばっかり言ってる自分が恥ずかしくなっちゃうってばぁーーーッ!!///)

 

(うわぁ…………これ完全に皆堕ちたんじゃね?真白先輩も顔真っ赤にして照れてるし……これが拓哉くんが言ってた通称『女堕とし』か)

 

そう、蝶美の言う通り今の玲二の笑顔によって今まで上辺だけの好意だったあかり達メンバーの心が完全に玲二に握られてしまったようである。しかもこれまで唯の仕事仲間と称していた真白も玲二の笑顔に見惚れて顔を真っ赤にしていた。それを見てこの男は一体どれだけの女を堕とせば気が済むんだ?と若干呆れてしまう蝶美なのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハアァァァァッ!セリャアァァァァッ!!」

 

「フッ!ハッ!ドリャアッ!」

 

ーバキッ!ドゴッ!ガキィンッ!ー

 

セカイのバーニングガンダムの打撃と音霊のルミティアの剣撃が激しくぶつかり合っていく。お陰でフィールドであるドームがあちこち崩壊してしまっている。どんだけドンパチしたらそうなるんだよ?

 

「ハァ、ハァ……ぜ、全然ダメージが与えられないんだけど……?」

 

《こ、この人どんだけタフなんですか……?》

 

「いや、お前達もなかなかスゲェぜ!俺の拳をギリギリのところで躱してるし、少し気を抜いたら逆にやられそうだしな!」

 

確かに音霊とルミティアはバーニングガンダムの攻撃を避けつつ隙があれば反撃に転じている。身体の動きはセカイに劣るもののそれを脳波のコントロールで補っているようだ。セカイも手加減こそしているみたいだが若干焦りが見えてるし、結構良い勝負してんじゃないか?

 

「けどこれで、俺も遠慮なく本気で奥義を出す事が出来るぜッ!利亜流愚零怒、発動ッ!!」

 

ージャキィンッ!ー

 

ッ!バーニングガンダムが刀を抜いた!利亜流愚零怒モードも発動させてるし、セカイの奴本気で音霊達を倒すつもりか!?

 

「ちょおッ!?なんかヤバそうな雰囲気なんですけどぉ?!」

 

《だったらこっちも必殺技で対抗ですッ!》

 

「必殺技!?そんな事言われたってどうすれば良いのさ?!」

 

《既に必殺ゲージが溜まってるのでそのエネルギーを解放すればそれが必殺技になります!後は貴方のセンスで格好良くズバッと決めちゃってくださいッ!》

 

お、ルミティアも必殺技で対抗するみたいだな。ルミティアの身体が青く光ってその光が剣に集約されていく。バーニングガンダムも自分から放たれる白い炎を刀に纏わせ振り上げていく。

 

「ハアァァァァッ!カミキガンプラ流奥義ッ!!紅蓮覇王ザアァァァァァァァンッ!!」

 

「えっと、必殺技、えーと……天使斬りぃッ!!」

 

《えぇぇぇぇぇーーーッ!?センスねぇですーーーーーーッ!!?》

 

ーゴオォォォォ……ドッカアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアンッ!!ー

 

バーニングガンダムが放った奥義、紅蓮覇王斬とルミティアが放った必殺技、天使斬りが同時にぶつかり合い激しい爆音と共に画面が光に包まれていく。てか音霊、その必殺技名マジでセンスねぇな?

 

そして光が徐々に弱まっていくとフィールドはすっかり荒れ果てており砂埃が酷く舞っていた。どんだけの威力だったんだよあれ?で、肝心のあいつ等はどうなったんだ……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うぐ、くぅ……ッ!」

 

「ッ!せ、先輩!?」

 

おぉッ!?バーニングガンダムが結界で守られている!?そうか、フミナの玉藻の前が直前でバーニングガンダムに結界を張って守ったのか!だがフミナの方は間に合わなかったのか玉藻の前は装甲が全て剥がされボロボロの状態になってしまってる。あれじゃもうバトル続行は無理だろうな?

 

「先輩、俺の為に……!?」

 

「良いってセカイ君、このキットは元々護衛用の装備がメインなんだから。でも流石にこれ以上は戦えないかもね……」

 

「……有り難うございます、先輩。俺、先輩の分まで戦うぜッ!」

 

お、セカイがまたやる気を出して再びバーニングガンダムが立ち上がった。対する音霊達は……?

 

「…………まったく、どんだけ派手にぶつかり合ったらこうなるんですか?後技名ダサ過ぎです」

 

「う、うっさいなぁ!いきなり必殺技って言われたからそれっぽい感じに言ったんだから別に良いだろ!?」

 

《いや普通にセンスなくて笑えもしなかったです……》

 

お、こっちはリシェッタがシールドを展開して防いだみたいだな?だが完全に防いだワケじゃないから結構なダメージを負ってしまったようだ。

 

「お互いボロボロの状態か。なら、こっからは一気に決めてやるぜ!」

 

「えぇ、望むところです……と言いたいところでしたが、それは無理みたいですね」

 

「え?無理ってどうしてージジッジジジジッ……!ーって何この音……?」

 

……あちゃあ、どうやら此処までのようだな?さっきの必殺技のぶつかり合い、そして連続しての試運転の所為でサーバーが落ちそうになってしまってる。やっぱ試運転用のβ版だとこれが限界か。

 

『すまない皆、サーバーの方が限界みたいだから今日のテストプレイは此処までにする 』

 

「えぇぇぇぇぇ!?これからが良いとこだって言うのにぃ〜!?」

 

《いやあのままやってたって多分負けてましたよワタシ達?》

 

「兎に角一度ログアウトしましょう。カミキセカイ達も良いですね?」

 

「あぁ、少し不完全燃焼だけど仕方がないな」

 

「えぇ、でもまた完成した時にもう一度楽しめば良いし、まだ時間もあるからこの後はガンプラウォーズで楽しもう♪」

 

ゲーム続行不可能になった事で全員ログアウトし今回のプラモバトラーズの試運転はこれにて終了となった。その後は皆で日が暮れるまでガンプラウォーズを楽しんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、これで気分転換は出来たか音霊?」

 

「まぁそうですね。蝶美に婚約者が出来たのはショックだったけど、ゲームやってたら気になんなくなりました!」

 

「そっか。それと今日はプラモバトラーズの試運転に付き合ってくれたお礼もしたいんだが何か希望があるか?」

 

「え、良いんですか!?じゃあ玲二さんと「結婚以外でな?」ちぇ、ダメか……」

 

うん、絶対に言うと思ったからすぐに返答出来たわ。流石にいい加減諦めてくれよ?

 

「あ、だったら私達とそれぞれ一日デートっていうのはどうです?」

 

「一日デート?うーん……まぁ、フブキ達の許可があればだが多分いけそうかもな?」

 

実際に唯のデート、というよりお出掛けくらいならケイや富士とかとした事もあるからな。勿論これは唐突な仕事を依頼した際にお礼として買い物に付き合うといった感じだったがフブキ達もその点に関しては理解してくれてはいるからそれくらいなら問題はないだろう。勿論、あくまで一緒に出掛けるだけだけどな?

 

「やったー!じゃあまずは私からお願いしますね♪」

 

「ちょっと!なんで石狩が出しゃばるんだよ!?テストプレイしたの私だろ!?」

 

「あ、じゃあ僕もデートしたーい♪」

 

「玲二さん、こまるともデートしてくれますよね♪」

 

「フフ、念願の玲二君との初デート……♡///」

 

「あ、あの〜、出来れば大代も……///」

 

おいおい全員かよ?てかなんで大代まで乗っかってくるんだ?こいつは別に俺の事仕事仲間くらいしか思ってないって言ってなかったか?

 

結局その後ゴネられても仕方がないので千代浦を除くメンバーとはそれぞれ日替わりで一緒に出掛ける事を約束した。千代浦には代わりに麺屋ぼたんのラーメン無料券を拓哉の分と合わせて二枚渡してあげたら喜んでくれた。取り敢えずこれにて音霊達の機嫌取りは完了したし、そろそろ帰るとするか。

 

こうしてあおぎりメンバーの機嫌が直り一同はそれぞれ自分達の家へと帰宅していくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その夜……

 

「……で、なんでお前私に着いてきたんだよ?」

 

「え〜?そりゃ面白そうだからに決まってるからじゃないですか♪マスターと一緒にいるのも素敵ですけど、こうして面白そうな人とパートナーになったら凄く刺激的な毎日が送れそうですし♪」

 

ベッドで寝転ぶ魂子の横には先程ホロプラで一緒に戦っていたルミティアがラフな格好で座っていた。どうやらあの後魂子のポケットに入ってそのまま着いてきたらしい。

 

「まぁ一緒にいる以上私も家のお手伝いとかしてあげますから♪」

 

「え〜?お前みたいなチビに手伝いとか出来んのかぁ?」

 

「馬鹿にしないでください!これでも私は力を使えば人間サイズになれるんですから!それに私がいればマスターとの距離をグッと近づくヒントとかもあげますよ♪」

 

「む〜……ま、いっか。じゃこれからよろしくな、ルミア♪」

 

「だからルミア様って言ってるでしょうが!ま、まぁそれよりも、確かマスターが今日の夜にガンプラウォーズのチャンネルから緊急連絡するって告知がありましたよ?」

 

ルミティアことルミアが居候する事にあっさりと了承した魂子。そしてルミアは玲二がガンプラウォーズチャンネルにてある緊急連絡をする事を魂子に伝えスマホを勝手に操作してチャンネルを開いていった。

 

「緊急連絡?一体なんだろ?」

 

「さぁ?兎に角見てみましょう」

 

 

 

そして数分後……

 

 

 

《……皆さん、お久しぶりです。ホロライブプロダクション日本支部支部長兼にじさんじ日本支部総合マネージャー兼ホロライトシティ市長、並びにガンプラウォーズ開発責任者の佐々木玲二です》

 

「あ、始まった!」

 

「マスター、一体何を言うつもりなんでしょうね?」

 

《この度私達が様々な企業と共同開発し展開したガンプラウォーズがなんと、ユーザー数が一億を超えました。皆様の日頃からのご愛好、誠に感謝しております》

 

そう、実はガンプラウォーズは現在地上界だけでなく天界、魔界と展開しており、そのユーザー数が遂に一億を突破したのだ。これを聞いたユーザー達はスゲェと沸き立っていき、ネットの掲示板では凄い量の書き込みが書かれていた。

 

《そして今回は多くのバトラーにご愛好して頂いておりますガンプラウォーズにて皆様への感謝をお伝えすると同時に、皆様にある重大発表をさせて頂く事となりました》

 

「重大発表?」

 

「何それ?フブキ知ってる?」

 

「う、ううん、私も全然聞いてないんだけど……?」

 

神羅城にて玲二の配信を見ていたフブキ達も突然の発表は聞いてなかったようで皆して何事かと驚いていた。そして、その内容とは……

 

《それでは、発表させて頂きます…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この度、藤枝コーポレーションが主催となる初のガンプラウォーズの超大型大会、『ガンプラウォーズディメンショナルワールドチャンピオンシップ』の開催を宣言しますッ!!》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………え?」

 

 

 

『えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえぇぇぇぇぇーーーーーーーーーッ!!!?』

 

なんという事だろうか、まさかの大型大会の開催宣言に多くのバトラー達が驚愕してしまうのであった。

 

《今大会には地上界、天界、魔界、そして異次元から多くのバトラーを招き、真の最強バトラーを決めるまさにガンプラウォーズ初の特大イベントとなるでしょう!》

 

「ガンプラウォーズ最強のバトラー!?」

 

「おぉーーーッ!これは絶対に参加したいッ!!」

 

社築をはじめとするにじさんじ組も初めての大型大会に歓喜の声が上がり、次々と参加を決意していく。

 

《そして最強のバトラーとなった優勝者には初代GWDWCチャンピオンの称号とトロフィー、そして世界で一つだけの豪華なガンプラと賞金一億円を贈呈します!》

 

「一億!?そんなに賞金出るの!?」

 

「それに世界で一つだけのガンプラに最強の称号……これは参加しない理由はないでしょ!?」

 

まさかの豪華賞品に多くのバトラー達のやる気がどんどん上がっていく。

 

《GWDWCの本戦開催は2024年夏!そして予選は2024年一月より行っていきます!予選参加資格は2023年十二月末までにゴールドランクに達していれば誰でも参加可能です!更にガンダリウムランクのバトラー達には予選を免除し本戦への参加資格が与えられます!》

 

「ガンダリウムランクは予選免除!?て事は……!」

 

「大和さん、いきなり本戦に進出って事ですね!」

 

「う、うん………ガンプラウォーズ最大イベント、か……!」

 

これを見ていた彩夏達ガンプラサークルの面々もチャットで盛り上がっていた。

 

《詳しい大会の詳細はガンプラウォーズ公式サイトにて随時更新して参ります。最強のバトラーの座を賭けて、皆様のご参加をお待ちしております。以上を以て発表を終わらせて頂きます、本日は有り難うございました》

 

そして配信が終わり画面が暗くなるが、配信を見ていた多くのバトラー、そして配信を見なかったがネットで情報を知った多くのバトラー達が興奮しお祭り状態であった。

 

「ガンプラウォーズ初の超大型大会……!」

 

「これは……参加しない理由はないね?」

 

「当たり前だよ!よぉーし!皆で優勝目指して参加だぁーーーッ!」

 

『おぉーーーッ!!』

 

大会の情報を知りフブキ達ホロメンも盛り上がっていく。こうして多くのバトラーはGWDWCへの参加を目指し大会参加への準備を備えるのであった。

 

余談だがこの後日、ゴールドランクを目指そうと多くのバトラーがランク上げに勤しむ姿が見られたとか。

 

 

2024年より、GWDWC編スタート!




はい、という事でプラモバトラーズのテストプレイ完了です!とはいえまだまだやる事があるのでしばらくは改良していくと思います。そして遂にガンプラウォーズ初の超大型大会開催決定!来年はGWDWC編という事で進んでいくと思いますが年内は普段通りの話となっていきます。GWDWC編も昔書いたアナザーみたいな事にはならないよう楽しくバトルしていくつもりなので其処は安心してください(^^;)

次回はReGLOSS回!何やら莉々華には悩みがあるようで……?次回もまったりと待って頂ければ幸いです、ではまた!



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第151話『ReGLOSSの恋愛感情』

最近有難い事に仕事が忙しいです。給料が期待できる分休みが遠のく……(T_T)

今回はReGLOSSのとあるメンバーの恋愛感情についてです。今回も最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


「…………はぁ~」

 

「……どうしたのさリリー?さっきから溜め息ばっかり吐いてるけど」

 

ホロライトシティ中心街にあるフルーツパーラー『SUIKA』、その店内の端側の席に今絶賛急成長中のReGLOSSの面々が集まってパフェを食べていたのだが……その中で何故か一条莉々華だけは先程から何故かデカい溜め息を何度も吐いていた。

 

「あ、ごめん、ちょっと悩みというかなんというか………」

 

「悩み?リリーが悩みだなんて珍しいね、何かあったの?」

 

「もしかしてこの間発表されたガンプラウォーズの大会の事かい?」

 

「ううん、そうじゃないんだけど……」

 

「?じゃあ一体何に悩んどるん?」

 

どうやら何か悩みがあるようなのだが何故か肝心の内容を話す事に躊躇いがあるのかモジモジしながら唸っているだけだった。少ししてから漸く話す気になったのかゆっくりと他のメンバーに悩みを打ち明けていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、あのさ……どうやったら玲二くんとお付き合い出来るかな〜、なーんて……///」

 

『…………はい!?』

 

莉々華の口から出た悩み。それはなんとホロライブ支部長である玲二とどうやったら付き合えるかというものだった。そのとんでもない質問に対して他のメンバーは驚き思わず持ってたスプーンを落としてしまった。

 

「お、お付き合いってその……支部長とって事だよね?え、なんで!?」

 

「奏達其処まで支部長と関わりなんてないのにどうして!?」

 

「あー、えっとね……///」

 

「…………リリー、もしかしてだけど一目惚れとか?だとしたら流石にお付き合いとかは無理だと思うけど?」

 

「…………ううん、一目惚れじゃないよ。実は皆にはまだ言ってなかった事があるんだ」

 

「言ってなかった事?それってなんなのさ?」

 

一目惚れではない。それを聞いて玲二の従兄妹であるらでん(この事はまだ他の人には伏せている)が莉々華を睨むように聞いていく。莉々華は一体何を皆に言ってなかったのだろうか?

 

「…………実はね、莉々華は昔玲二くんに助けられてるんだよね。それも三回」

 

『はいぃッ!?』

 

まさかの事実!なんという事か、莉々華は過去に玲二と出会ってて三度も救われているというのだ。これは歴代の玲二に救われた事のある娘達の中でもトップクラスの遭遇率である。

 

「さ、三回も!?それって本当に佐々木さんだったの?!他の似たような人じゃなくて!?」

 

「うん、まぁ玲二くんは莉々華の事覚えてるか分からないけどね?でも、昔莉々華の事助けてくれたのは間違いなく玲二くんだったよ。神羅城で対面した時にそれは確信になったし」

 

「そ、そんな………リリー!一体玲に……玲二殿とは何処で出会ったんじゃけん!?」

 

「え、えと……最初は小学校の時だね。昔莉々華はある事でクラスメイトに馬鹿にされて、皆と遊びたくても一人で遊んでろよって言われて誰も遊んでくれなかったんだ」

 

莉々華は幼い頃小学校に通ってた時イジメられていた子を庇った所為で今度は莉々華がその標的となってしまいイジメられてしまったのだ。助けられた子もまた自分がイジメられてしまうと危惧したのか、莉々華の事を遠ざけてしまっていた。

 

「そんな寂しい思いをしてた時、一人の男の子が声をかけてくれたの。その子は他の学校から合同授業の為に来た子だったんだけど、校庭のブランコで一人で遊んでた私の所にやって来て一緒に遊ぶか?って聞いてくれたの。その時の莉々華はそう言ってくれた事が嬉しかったんだけど、運悪くイジメっ子達がその子に絡んできて……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちょっとあんた、そいつと遊ぶ気なの?」

 

「?あぁそうだけど?」

 

「ふざけるんじゃないわよ、そいつはこの私を侮辱したおバカさんなんだからそいつと遊ぶんだったらあんたもそのおバカさんの仲間入りって事になるわよ。それでも良いのかしら?」

 

「ふーん、お前に逆らったらおバカさん扱いなのか?意味が分かんねぇな」

 

「はぁ!?あのねぇ、私のパパは大企業の社長なの!つまり私に逆らうっていう事は私のパパに逆らうのと同意義なのよ!パパがその気になればあんたなんてこの街にいられなくしてやるんだから!」

 

「へぇ、そうなのか……だから?」

 

「へ……?」

 

「だからそれがどうしたんだって聞いたんだよ。お前の父親が大企業の社長っていうのは確かに凄いけど、それはお前の父親の功績であってお前のモンじゃねぇよな?父親の事を誇るのは良いが、それを理由に気に食わない奴を陥れようとするのはお門違いだし、お前のそれは逆に父親の顔に泥を塗る行為だってのが分からねぇのか?」

 

「な、ななな……!?」

 

なんとその子はイジメっ子に対して怯むどころか逆に反論したのであった。イジメっ子は顔を真っ赤にして震えていたが、それでキレたのか男の子に対し更に圧を掛けようとしていた。

 

「ふ、ふざけんじゃないわよ!?私のパパはあのグラッチェカンパニーの社長なのよ!パパに頼めばあんたなんて家族ごと路頭に迷う事になるんだからッ!」

 

「はぁ、言っても分かんねぇみたいだなこいつ……ん?グラッチェカンパニーって確か……おーいリオン!」

 

「?どうしたの玲二?」

 

「あのさ、グラッチェカンパニーって確かお前の財閥の傘下だったよな?」

 

「え……!?」

 

「グラッチェカンパニー?あー確かに鷹宮財閥の傘下に入ってる会社ね。お父様が最近頑張ってくれてる会社だって言ってたし。それがどうかしたの?」

 

「た、鷹宮財閥!?」

 

なんと男の子が呼んだ女の子はイジメっ子の父親が勤める会社のトップでもある鷹宮財閥のお嬢様だったのだ。その事を知りイジメっ子は急にガクガクと震えだし、男の子はその女の子に事情を説明すると

 

「……はーんなるほどね?まぁ言いたいなら勝手に言えば?けどその後あんたがどうなるかだなんて知らないけど。まぁでも私はあんたと違って親や家系を盾に脅すようなマネはするつもりはないから今回の事は見逃してあげるけど、もし玲二を陥れようとするなら私もお父様に進言させてもらうから」

 

女の子がそう言うとイジメっ子は半泣きになりながらその場から去っていき、その後莉々華は助けてくれた男の子と女の子と一緒に時間いっぱいまで遊んで過ごしたのであった。

 

 

 

 

 

「その後からそのイジメっ子が自分のパパを出しに他の子を脅すなんて事はしなくなったわ。あの時莉々華達のやりとりを見ていた他の子達が一緒にいた女の子も財閥のお嬢様なのにそういった脅しなんてしないのを見てそのイジメっ子を軽蔑するようになったし、何よりそんな脅しをしていた事がパパにバレて思いっきり怒られてしまったみたいですっかり大人しくなっちゃったの」

 

「そ、そんな事があったんだ……?」

 

「ていうか鷹宮財閥のお嬢様のリオンって……」

 

「間違いなく支部長の奥さんの一人のリオンさんの事だよね?」

 

「という事はやっぱりその男の子って支部長の事だったんだ……?」

 

莉々華の話を聞き、その中で出てきた男の子が自分達の所属するグループの支部長だと知り唖然とするReGLOSSの面々。らでんに関しては何やら面白くないのか話の最中ずっと莉々華を睨んでいた。

 

「……で、次は一体いつ玲二殿と出会ったん?」

 

「え?えっとね、二回目は少し経って大学に通ってた時だね。その頃の莉々華は自分で言うのもあれだけどマドンナ的な扱いをされてたの。けどその中で一人、厄介な男に絡まれてね。その男、所謂ストーカーだったんだけど……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あーもう遅くなっちゃったなぁ。今日はもうおかずはウインナーだけで良いや……」

 

その日の莉々華は大学での講義で自身の目指す会社経営を学ぶ為の経済学を受けていたのだが、その講義が思いの外長くなってしまい終わった頃には日が沈みすっかり暗くなってしまっていた。莉々華は疲れもあってさっさと帰って簡単な食事を済ませようと早足で自宅へと向かっていたのだったが……

 

 

 

―バチィッ!―

 

「ウグッ!?ぐ、うぅ……!?」

 

―ドサァッ!―

 

突然背後から何かを当てられたと同時に強い刺激を受け莉々華はその場に倒れてしまったのだ。一体何が起こったのか一瞬理解が出来なかった莉々華だったが、倒れた拍子で自分の背後にいた男と目があってしまった。

 

「クヒヒ、漸く莉々華ちゃんが僕のモノに……♪」

 

「あ、あんた……確かこの間私の近くでウロウロしてた奴……!?」

 

「クヒヒ、ま、まだ喋れるの?結構強めの電流を流した筈なんだけどなぁ……?」

 

其処にいた男に莉々華は見覚えがあった。何しろその男は此処最近莉々華の周りをウロウロしていた同じ学年の男だったのだ。何時も自分の事をジロジロと怪しい目つきで見てくるその男に莉々華は不気味さを感じて関わらないようにしていたが、まさかその男がこんな事をしてくるとは思いもしてなかった。

 

「ヒヒ、で、でもこれで漸く君を僕のモノに出来る♪今まで他の男に色目を使ってたみたいだけど、これからは僕だけを見てもらうよ……ヒヒ♪」

 

「ヒッ……!?」

 

明らかにヤバい目をしている男のニヤけた表情に莉々華は恐怖を感じてしまう。だが逃げたくても男が持ってたスタンガンの所為で身体が痺れて上手く動く事が出来ずにいた。

 

「さ、さぁて、取り敢えずまずは僕の家に連れてって、そ、その後にお楽しみタイムだぁ♪莉々華ちゃん、これからは毎日僕と愛し合おうねぇ……♪」

 

男は倒れている莉々華を自宅に連れ去ろうとしている。こんな男に自分の純潔が奪われてしまう。そう思った莉々華の目には涙が溢れていた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おいあんた」

 

「クヒ?……な、何だよお前!?い、いつの間に僕の後ろに……!?」

 

「え……?」

 

そんな時、一人の青年が男の背後から現れた。青年はどうやら倒れている莉々華と男が手に持ってたスタンガンを見て状況を把握したらしく男に向かって鋭い目つきで睨んでいた。

 

「泣いて倒れている女の子にスタンガン持った不審者……どう考えても合意じゃねぇのは丸わかりだよな?」

 

「う、うるさいッ!莉々華ちゃんは僕の女だ!お前も莉々華ちゃんを狙ってるんだったら容赦しないぞぉッ!!」

 

「ッ!あ、危ない!?」

 

男は青年に向かってスタンガンを最大出力にして襲いかかっていく。だが青年はそれを避けようともせずそのまま腹部にスタンガンを当てられ

 

―バチィッ!―

 

思いっきり電流を流されてしまった。

 

「く、クヒヒ!ざまぁ見ろ!これで莉々華ちゃんは僕の「はい正当防衛成立」え―ブォンッ!―ウグオォッ!?」

 

―ドッシーンッ!―

 

だがなんと青年は電流を浴びたのにも関わらず何事もなかったかのように男の腕を掴み巴投げをして地面に叩きつけたのだった。

 

「な、なんで……?!」

 

「悪いな、兄貴との特訓でそれ以上の電流浴びた事があるからスタンガン程度なら痺れもしねぇんだよ。おいあんた、動けそうなら早く警察に連絡しな。こいつは俺が取り押さえておくから」

 

「は、はい!」

 

青年に促され莉々華は身体の痺れが治まっているのを確認し急いで警察へと通報した。十分後、警察がやって来て男はぐったりしながらパトカーに乗せられ連行されていった。

 

「あ、あの!有り難うございました……///」

 

「ん?いや礼なんて良いって。それよりこんなくらい夜道に女の子一人で出歩くのは危険だからさっさと家に帰りな。それとも家まで送ってくか?」

 

「は、はい……///」

 

こうして事件は終わり莉々華は青年に自宅まで送ってもらった。その後その青年とは会う事はなかったが、莉々華の心にはその時の青年の顔が今でもしっかりと刻まれていたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「って事があったの」

 

「うわぁ、そりゃ恐ろしい体験だったんだね?」

 

「……でもさ、その時リリーを助けてくれた人がなんで玲二殿って分かるけん?偶々雰囲気が似てるだけの人だったんちゃうん?」

 

「ううん、あれは間違いなく玲二くんだったよ。だってReGLOSSに入って初めて見た彼の顔は間違いなく莉々華の事助けてくれた人と一緒だったもん」

 

「だとしたら支部長の身体ってどうなってるんだ……?」

 

二度目の出会いを聞いてまたも驚く面々。自分を襲ってきたストーカーから身を挺して守ってくれるなどまるでドラマのような展開が本当にあるんだなと思っていた。

 

青に関しては玲二の身体の頑丈さに驚いているが、それは彼が幼い頃から兄である浩一の特訓を受けていたのと彼が神羅族だという事を知らないので其処は仕方がない。

 

 

「じゃあじゃあ、三回目は一体どうやって佐々木さんと出会ったの?」

 

「……三回目は割と最近だね。そして、それが莉々華がホロライブに入ろうとした切っ掛けでもあるかな。あれは莉々華が社長として外回りをしていた時なんだけど……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よぉネーチャン、俺達と一緒に遊びにいかね〜♪」

 

「今ならメッチャ楽しくて気持ちよくなれるとこ教えてあげるからさ〜♪」

 

(うわ、メッチャヤバい連中に目つけられちゃった……)

 

その日外回りを終えて秘書と一緒に会社に戻ろうとした時にヤバめのチャラ男に絡まれてしまった。今時こんな絵に書いたようなチャラ男がいる事にもびっくりだが、それよりもそんなチャラ男達に絡まれてしまい莉々華も嫌気が刺していた。

 

「こ、困ります!社長はこれから会社に戻って資料を作らないといけないんです!」

 

「あ?テメェに用はねぇんだよ!すっこんでろチビッ!」

 

―バキィッ!―

 

「ウグッ……!?」

 

「秘書くん!?」

 

莉々華の事を庇おうとした秘書はチャラ男に殴られふっ飛ばされてしまい、莉々華も秘書を助けようとするももう一人のチャラ男に腕を掴まれてしまった。

 

「は、離して!?」

 

「へへ、そんなに嫌がる事ねぇじゃん♪あんなチビより俺達とこれから楽しくて気持ちよーくなれるとこに行こーぜ♪」

 

チャラ男達の厭らしい笑みに莉々華は恐怖を感じてしまう。周りの人達もチャラ男達の厳つさを見て助けようともしてくれず、ただ目を反らしてその場から離れていってしまう。誰も助けてはくれず、絶望してしまう莉々華……だったが

 

「ヒヒヒ、それじゃ早速行こーぜ―ガシッ!―……は?なんだテメ―ブオォンッ!―うぉッ!?」

 

―ドッゴォンッ!―

 

「ガヘァッ!?」

 

突如チャラ男達の背後からやって来た一人の男がチャラ男の一人の首根っこを掴んだと思いきや思いっきり振り上げチャラ男の顔面を地面に叩きつけたのだった。これには莉々華を含む周りにいた人達は皆驚いていた。

 

「な、なんだテメェはぁ!?」

 

「は?それはこっちのセリフだ。テメェ等、嫌がってる女の子無理矢理連れ去ろうとか普通に犯罪だろうが」

 

男はチャラ男達に一切怯む事なく、それどころか鋭い眼光でチャラ男達を睨みつけていた。

 

「おうおうにーちゃん、俺等に楯突こうなんざいい度胸してんじゃねぇか?」

 

「別に。それより周りの迷惑にもなるからさっさとどっかに消えてくれないか?」

 

「んだとゴルァッ!?上等だ、おいお前等!この命知らずな奴を叩きのめすぞッ!!」

 

『オォーーーッ!!』

 

「…………ハァ、本当に面倒な事はしたくねぇんだけど?ま、仕方ねぇか……」

 

怒り狂うチャラ男達に男は呆れながらも相手にする事にした。そして数十秒後……

 

 

 

 

―チーンッ……―

 

「う、ウソ……?」

 

「全員倒しちゃった……!?」

 

なんと男はなんも苦戦する事なく七、八人はいただろうチャラ男達を全員纏めて倒してしまったのであった。

 

「ふぅ、やっぱこういう奴等は何も考えてねぇから全然歯ごたえがなぇな……ってそんな事より早くホロライトシティに戻らないと!」

 

「あ、ちょっと……!?」

 

莉々華は助けてくれたお礼を言おうとするも男はそのまま急いで何処かへと向かって行ってしまい追い掛けるもあっという間に姿が見えなくなってしまった。

 

「行っちゃった……でもあの人、何処かで会った事があるような……?」

 

「ホロライトシティ…………ッ!ひょっとしてあの人って!?」

 

「?秘書くん、何か知ってるの?」

 

「は、はい!多分ですがさっきの人、ホロライトシティの市長でホロライブの支部長でもある佐々木玲二かと思われます」

 

「佐々木、玲二……?」

 

秘書に言われ莉々華は急いでその名を検索すると、トップページの一番上にホロライブの公式ページが表記され其処には先程自分を助けてくれた男と同じ写真が載せられていた。そしてその時莉々華はある事に気づく。

 

(……ッ!この人、前に莉々華がストーカーに襲われた時に助けてくれた人に似てる……それだけじゃない!面影くらいしか特徴がないけど、昔莉々華をイジメっ子から庇ってくれた男の子にもそっくり!?まさか、そんな事ってあるの?!)

 

まさかのまさか、なんと過去に起こった出来事に関わっていた男がもしかしたら全員同じこの佐々木玲二という人物かもしれないという事が分かったのだ。それに気づいた莉々華は……

 

「…………秘書くん、莉々華決めたから」

 

「え?決めたって何を……?」

 

「莉々華、ホロライブに入る。ホロライブに入って、直接この人に会って確かめてやるんだから!」

 

「は、えぇッ!?ちょ、ちょっと社長!?」

 

自分を助けてくれた人が本当にこの佐々木玲二という人物なのか?それを確かめる為に莉々華はこの日からホロライブに入る事を決めたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……というのが全部かな」

 

「ま、まさかそんなに支部長と出会ってただなんて……!?」

 

「しかもそれが全部自分を助けてくれたとなると、そりゃ惚れてしまうのも無理はないよなぁ?」

 

莉々華の過去を聞いて青と奏とはじめは驚きつつもまるでドラマのような展開に若干興奮しており、らでんは終始面白くなさそうな表情で莉々華の話を聞いていた。

 

「……で、リリーはこれからどうすんの?佐々木さんに告白でもするの?」

 

「……うん、実は今日の夜に玲二くんとお話しさせてもらえるようにフブキ先輩に頼んでるんだ。其処で玲二くんに告白するつもりだよ」

 

「ッ!…………ふーん

 

今日の夜に玲二に告白する。莉々華のその言葉を聞いてらでんも何かを決めたかのような顔つきになっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜……

 

「……という事で玲二くんの事が好きですッ!だから莉々華も佐々木家の輪に入れてくださいッ!!///」

 

「えぇ、良いですよ♪」

 

「そ、そうですよね、良いって言ってくれるワケない…………ってえぇ!?き、気のせいかな?今良いって……?」

 

「はい、だから良いって言いましたよ♪」

 

玲二とフブキに過去に起こった事を全部打ち明け告白するとその応えはまさかのOKであった。しかもそれを正妻であるフブキが許可したのである。

 

「いやなんでお前が許可してるんだよフブキ?」

 

「えぇ〜?でもレイくんもどうせオッケー出すつもりだったんですよね?」

 

「………まぁな」

 

「え、で、でもなんで?どうして莉々華の事を受け入れてくれるの?正直莉々華が過去に会った人達だって玲二くんだって保証はないかもしれないのに……?」

 

莉々華の言う通り、過去に莉々華の事を助けてくれた人達は本当に玲二である確証はない。それなのにどうしてフブキはすんなりと莉々華を受け入れたのかが理解出来ずにいた。

 

「あー実はですね〜、此処最近莉々華ちゃんのレイくんを見る目が明らかに恋する目だったので気になってレイくんと一緒に過去を覗き見してみたんですよ。そしたら莉々華ちゃん、過去に三回もレイくんに助けられていてびっくりしましたもん。そりゃ惚れてしまうのも当然ですよ。全くこの人は本当に美女を引っ掛けるのが上手い人ですよね〜?(怒)」

 

「……それふぁふぁるいふぉおふぉっふぇるふぇど、ふぁのふふぁらふぉふぉをふねるな(それは悪いとは思ってるけど、頼むから頬を抓るな)」

 

どうやら玲二とフブキは莉々華の視線が気になり過去に何かあったのか時空透視の力を使って過去を覗き見していて、其処で莉々華が過去に何度も玲二に助けられていた事を知り、それで莉々華が玲二に告白してきたら彼女を受け入れる事にしたらしい。まぁフブキ的には天性の女誑しな旦那にちょっと腹が立ってるのか玲二の頬を抓っている。

 

「痛てて……まぁそういう事だ。お前の事はこの数ヶ月間で大体分かっている。けど流石にまだお互いの事は其処まで理解してないからな。ひとまずは婚約という形でお付き合いして、それでも俺で良いって言ってくれるなら籍を入れよう」

 

「…………うん、うん!ありがとう、玲二くん……♪///」

 

玲二の受け入れてくれるという言葉に莉々華は嬉し涙を流しながら笑顔で喜んでいた。こうしてReGLOSSより一条莉々華が佐々木家の仲間入りを果たしめでたしめでたし……

 

 

―バアァンッ!―

 

 

「ちょっと待てぇいッ!!」

 

 

……なんて事はなく玲二の部屋に突如らでんが扉をぶち破りながら現れた。

 

「ら、らでんちゃん!?どうして此処に?!」

 

「そんな事はどーだって良いけん!それよりも……!」

 

―バァンッ―

 

「玲にぃ!莉々華だけじゃなくてらでんの事も貰っておくれッ!!」

 

「……ハァ!?ちょ、ちょっとらでんちゃん?!」

 

なんと今度はらでんまでもが玲二に対し告白してきたのであった。それに対し莉々華は驚いているが玲二とフブキに関してはあーやっぱりみたいな感じの顔をしていた。

 

「あー、やっぱりらでんちゃんもそうなっちゃいますかぁ?」

 

「こいつ本当におっきくなっても俺に引っ付いてくるからもしかしてと思ってたけどな……」

 

「え!?も、もしかしてらでんちゃんって、玲二くんと知り合いだったの……?」

 

「知り合いも何も、らでんは玲にぃの従兄妹じゃけん!」

 

「ハアァァーーーッ!?」

 

玲二とらでんが従兄妹同士という関係に驚く莉々華。まぁ玲二は兎も角フブキ達は既に玲二からその事を聞いていたのでもしかしたらと思っていたので大して驚いてはいない。

 

「いやいやいや!?従兄妹同士なら結婚出来るワケないじゃない?!」

 

「らでんは父ちゃんの連れ子だから玲にぃとは血が繋がっとらんねん!だから玲にぃ!らでんの事もお嫁さんにしておくれ!このとーりッ!」

 

玲二に向かって頭を下げるらでんを見て、フブキは少し困った顔をしながらも軽く溜め息を吐いてらでんに告げていく。

 

「……はぁ~、本当になんで毎度こんな事になるんですかねぇ?まぁReGLOSS全員じゃないだけマシですか……本当にモテる男は辛いですねぇこの女誑しめ♪(怒)」

 

「ふぁからいふぁいっへ(だから痛いって)……ハァ、という事だ。お前達が良いって言ってくれるなら俺はお前達を受け入れる。こんな俺だけど、この先もずっとついて来てくれるか?」

 

「あったりまえでしょ。莉々華の事を惚れさせた責任、しっかりと取ってもらうからね♪」

 

「玲にぃが嫌って言ってもらでんは何処までも着いてってやるけんね♪」

 

こうして莉々華とらでんが玲二の婚約者になる事が決まった。その後二人は玲二が現在に生きる神羅族であり、玲二と交わった妻達も神羅族化しつつあると知り驚くも、自分達も玲二と生きる為にその覚悟はあると伝えると皆から受け入れてもらえたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―オマケ―

 

「…………ふーん、此処が新しい神羅族が誕生した世界かぁ。けど案外普通だなぁ?もっと『ロボコ』のようなメカメカしい世界や『スバル』のような監獄だらけの世界を想像したのに」

 

深夜の東京スカイツリー。その天辺に黒のコートを纏った一人の女性がこの世界を眺めていた。

 

「けどあの新米が作ったガンプラウォーズだっけ?これはなかなか面白そうだなぁ♪……うん、ちょっと()()()()しちゃお♪」

 

その一言と共に女性はその場から消えてしまった。また何やらとんでもない事が起こる予感……?




はい、という事でReGLOSSの限界飯社長こと莉々華と自称ネタ枠のらでんが佐々木家に加わりました!これからストーリーに絡ませるのは大変だぁ……(;´∀`)

そして次回はまた何やら不穏な感じが……?次回もまったりと待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第152話『世界を渡って』

なんだかかなりスムーズに書けました!今回は玲二達が何やら不思議なガンプラを見つけたようで……?

今回のお話はこの小説の三次創作を書いてくださっている波音四季様の小説とリンクしておりますのでそちらをご覧になっていただければと思ってます。というワケで今回も最後まで見ていただければ有難いです、ではどうぞ!


深夜二時、とある住宅街であるこの辺りはすっかり暗く殆んどの家から電気は消えていた。そんな住宅街のマンションの上に一人の黒コートの女性が街並みを眺めるように佇んでいた。

 

「うーん、確か此処ら辺に『フレア』が転生させた子がいる筈なんだけどなぁ?んー……あ、いた♪」

 

―シュンッ!―

 

どうやら女性は誰かを探していたようで、目的の相手を見つけたのかニヤリと笑ったかと思いきや一瞬でその場から消え去ってしまった。そして……

 

 

 

―シュンッ!―

 

「……うん、正解だね♪にしてもまさか『外界』から転生させるなんて、フレアも面白い事考えるねぇ♪と、それよりも……」

 

女性は寝息を立ててる少年を見て面白そうに笑うがすぐに目的の物を探し始める。とは言えそれはすぐに見つかり、机の上に広がっている設計図のような紙から一枚を手にとって眺めていく。

 

「ふーん、これがガンプラってヤツかぁ。えーっと……こうかな?」

 

―シュウゥゥゥ……!―

 

女性は設計図を見ながら手を前に翳すと、なんと何もない空間から徐々にパーツが現れ、数秒もしないうちに設計図に書かれていたガンプラと全く同じ物が出来上がってしまった。

 

「うん、良い感じ♪でもなーんか物足りないなぁ……よし、これにこうしてっと……」

 

女性は完成したガンプラに不満があったのか其処からいろいろと手を加えていき、最終的には先程までのガンプラとは違い幾つかの武装が装備された機体が出来上がっていった。

 

「うんうん、これぐらいしないと面白くないよねぇ〜♪さぁーて、これを誰にあげよっかなぁ〜?」

 

女性は完成したガンプラを見て満足しその場から去ろうとしていた。

 

(…………う、うーん…………あれ?()()()……さん?)

 

しかしそのタイミングで部屋の主である少年が目を覚ましてしまい。女性は消える直前でその姿を目撃されてしまった。しかし、そのまま姿を消した事で少年は寝ぼけていると思い込みそのまま再び眠りについてしまうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ……やっぱり勝てないなぁ……」

 

その翌日、ホロライトシティの一角でとある女の子がガンプラを持ちながら大きな溜め息を吐いていた。どうやらガンプラウォーズで遊んでいたようだが、何やら思い詰めた様子で自分のガンプラを眺めている。

 

「GWDWCの予選まで後一ヶ月くらいしかないのに、これじゃ何時までたってもゴールドランクになんてなれないよ……」

 

どうやらガンプラウォーズの大型大会であるGWDWCへの参加を目指しているようだが、その予選参加資格はゴールドランク以上でなければならない。女の子は現在シルバーランク4で留まってしまっている所為で余計に焦って思うようにプレイ出来ずに困っているようだ。

 

「折角初めて夢中になれる物が出来たのに、これじゃGWDWCなんて夢のまた夢だよ「其処のお嬢ちゃん♪」……え?」

 

そんな女の子の目の前にいつの間にかコートの女性が現れていた。女性はフードを被っていて素顔は見えないが、口元はニコニコと笑っているのが分かった。

 

「お嬢ちゃん、もしかしてガンプラウォーズで勝てなくて悩んでいるのかなぁ?」

 

「は、はい、そうですけど……?」

 

「うんうん、勝てないとやる気なんてどんどん下がっちゃうもんね〜。そんな君に特別プレゼント〜♪このガンプラと一緒に目指せGWDWC優勝だぁ〜!」

 

「え?え?」

 

突然女性から一体のガンプラを渡され、女の子は戸惑いすぐに返そうとするも女性はいつの間にか姿を消してしまっていた。

 

「え、えぇ〜?ど、どうしようこれ…………でもこの機体、なんだか凄い力を感じる。もしかしたら、このガンプラなら……!」

 

突然の事で戸惑っていた女の子だったが、手渡されたそのガンプラを見ると何やら不思議な力に取り憑かれたかのようにホロプラへと向かって行くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へぇ、新たな天才バトラー現る、か……」

 

「?にーちゃ、何読んでるのら?」

 

「ぱーぱ、おはなのら〜♪」

 

日曜の朝、俺はリビングでコーヒーを飲みながら新聞を読んでいるとルーナがミーアを連れてやって来る。どうやら俺の独り言が聞こえてしまったみたいだな?

 

「ん?いや、つい最近になって急激に成長しているバトラーがいてな。なんでもこの間までシルバーランクだったのにいきなりプラチナランク4まで成長したというとんでもない成長を見せてるバトラーらしい」

 

俺はそう言ってルーナにホロライト新聞の一面を見せた。其処には現在急成長中の新人バトラー現る!という見出しと共に一人の女の子が笑顔で自分のガンプラを掲げている姿が写っていた。

 

「へぇ~、凄いのらねこの子……あれ?」

 

「ん?どうしたんだルーナ、そんな記事をじーっと見て?」

 

「…………なんだろ?このガンプラ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「何処かで?誰かの改造機に似てるとかか?」

 

「ううん、そうじゃなくて……なんか大分前にルーナ達がにーちゃを取り合ってバトルしてた時に誰かが使ってた気がするのら」

 

俺を取り合って?確かに皆が偶に俺とのデートだったり外食する時にそれを賭けてバトルしたりする時があるけど、その時誰かがこれを使ってたって事なのか?

 

「うーんと、うーんと……あ、そうなのら!確かフブちゃんがこれを使ってた気がするのら!」

 

「フブキが?けど俺もフブキのバトルはよく見てるけどこんな機体使ってた覚えはないぞ?それって一体何時の事だ?」

 

「えっとね~……フブちゃんがみしろちゃんとバトルしてた時に使ってたのら」

 

フブキがみしろと?それなら尚更そんなワケない。何故ならフブキは個人でのバトルではみしろと戦った事がないし、仮にチーム戦やサバイバルだったとしてもバトルの記録は何時もフブキから見せてもらっている。その中にフブキがこれと似たような機体を使ってたなんて事は記憶にない。

 

「んー……いや、考えても仕方がない。これは直接本人に聞くしかないよな。ルーナ、フブキは今何処にいるか分かるか?」

 

「フブちゃんなら今みしろちゃんと一緒に子供達を遊ばせる為に中庭にいるのら」

 

お、ならみしろにも話を聞けるから丁度良いな。取り敢えずコーヒーを飲み終えたら中庭に向かってみるか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……という事なんだけど、フブキはこれに似たガンプラを作った事あるのか?」

 

「えっと……これ、多分コアガンダムがベースの機体ですよね?私はレイくんに初めてガンプラを教わった時にジュピターヴを作っただけでそれ以外は作った事はないですね」

 

「みしろもフブキさんと直接バトルはした事ありませんし、フブキさんがこのような機体を使っている所は見た事ありません」

 

そっか、やはり二人とも知らないみたいだな。という事はルーナの思い違いだったというワケか。

 

「え〜?でも確かにフブちゃんだったと思ったのにぃ〜?」

 

「まぁ記憶違いなんて誰にでもあるから仕方がないさ」

 

「…………でも」

 

ん?フブキもみしろも記事の写真をじっと見てどうしたんだ?

 

「…………言われてみれば確かに私、遠い昔にこの機体を使ってみしろちゃんとバトルしてた気がする」

 

「みしろも……この機体のトリッキーな戦い方に翻弄されて負けてしまったような気がします……」

 

は?どういう事だ?二人ともさっきまでそんな心当たりなんてなさそうにしていたのに…………いや待てよ?言われてみれば確かに、()()()()()()()()()使()()()()()()()()()()()()()()()()()。けど実際にはそんなバトルなんてあった覚えはない。一体何なんだこの感覚は……?

 

―ピリリリリッピリリリリッ―

 

「ん?電話か……―ピッ―はい佐々木です」

 

《玲二さんですか?僕です、レイラです》

 

「レイラ?一体どうしたんだ?」

 

電話の相手はついこの間会ったばかりの六人目のガンダリウムランカーである『安室レイラ』だった。*1そう言えばこいつは俺達の事を詳しく知ってるって言ってたな?もしかしたらこの件について何か知ってるのか?

 

《玲二さん、今朝のホロライト新聞を見ましたか?》

 

「あ、あぁ見たけど……え?お前確か本土にいるんだよな?わざわざホロライト新聞取ってるのか?」

 

《はい、ガンプラウォーズ等のニュースもチェックする為に。それよりもその一面に載ってる女の子が持ってるガンプラについてですが》

 

「女の子のガンプラ?もしかしてこれについて何か知ってるのか?」

 

《はい……以前お会いした時に玲二さんが主人公のネット小説があって、それにはアナザーストーリーがあったというのを伝えましたよね?》

 

あぁ、あの時はその話を聞いてびっくりしたな。なんせ自分達の出来事が小説になってるだなんて夢にも思わないし。

 

《……実は写真に載ってる女の子が持ってる機体は、そのアナザーストーリーでフブキさんが使っていた機体『ラビットラッパーガンダム』とそっくりなんです》

 

「ラビットラッパーガンダム?」

 

なんだその変わった名前は?取り敢えずレイラの説明を聞き纏めるとこんな感じか。

 

 

『ラビットラッパーガンダム』

『ガンダムビルドダイバーズReRISE』に登場するコアガンダムの改造機。専用のアーマー『ラビットラッパーアーマー』には装備はビーム・ガンのみだがアーマーの至る所に地雷等のトラップが仕込まれている。

 

 

「……なんかすっごくピーキーな機体だな?」

 

「うん、アナザーストーリーの私、一体何でこんな機体作ったんだろ?」

 

《……これはフブキさんがぺこらさんをモチーフにして作ったんです。あの世界のホロライブは玲二さんを失っていて、その所為で皆さんの絆が崩壊しかけていたんです。それを取り戻す為にフブキさんが皆さんをモチーフにしたアーマーを使って玲二さんを、そして皆さんの絆を繋ぎ直そうとしていたんです》

 

…………成る程、そっちの世界線では俺が何かしらの理由でホロライブを離れていて、その所為でホロメン達が崩壊の危機に陥っていたという事か。そう考えるとこのラビットラッパーって機体もぺこらをモチーフにしているだけあって妙にしっくりくるな。

 

《そしてその時のガンプラを僕なりに再設計し、それを図に纏めて保管していました。以前フブキさんにお渡ししたフォクシードガンダムファンファーレもその内の一つです》

 

「成る程、そういう事だったんだな?つまりこの写真の女の子はお前からその設計図を盗み出したって事なのか?」

 

《いえ、設計図自体は僕の手元にありますし、僕はこの人に会った事がないのでそれはないと思いますが……実は少し気になってる事がありまして》

 

気になってる事?何なんだそれは?

 

《……実は数日前、真夜中にふと目を覚ました時に……僕の部屋におかゆさんがいたような気がしたんです》

 

『おかゆ(さん)(ちゃ先輩)が!?』

 

な、何でおかゆがレイラの部屋に!?いやいやいや!そんなワケねぇだろ!?確かにレイラについては皆にも話したが居場所までは教えた事もないし、というかレイラの自宅自体俺達も知らないし!?

 

「おいレイラ、流石にそれはねぇよ。おかゆはお前と面識はないし、何よりおかゆはそんな事をするような奴じゃねぇ」

 

《えぇ、それは知っています。ですが……その写真の人が僕の設計したラビットラッパーガンダムを使い始めた時期も考えるとあの時のおかゆさんが夢だとは思えなくて………》

 

「…………分かった。だったらそれについて俺達が調べてみる。何か他に分かったら連絡してくれ」

 

俺はレイラとの電話を切り頭を抱える。まさかおかゆがそんな事をするワケもねぇ。なら考えられるのは異世界のおかゆが迷い込んできたとかだ。けどそれだとしてもこいつは一体何の為にそんな事をしたんだ?

 

「…………あぁもう考えても仕方がねぇ!フブキ、ルーナ!今からホロプラに行ってこの子に会いにいくぞ!みしろはおかゆに何か知らないか聞きに行ってくれ!」

 

『は、はい(なのら)!』

 

この場所で幾ら考えても考えが纏まるワケがないので俺達は取り敢えずホロプラに行ってこの女の子に話を聞く事にした。レイラが言ってたおかゆの事も気になるが、それもこの子に聞けば分かる筈だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……という事なんだるしあ。その子が今バトルしているかどうか分かるか?」

 

「は、はいなのです。えーと……あ、この子なのです。GWネームが……『シズク』って言いますね」

 

『シズク』だな?なら名前も分かった事だし早くこの子の居場所を聞かないと。

 

「それでるしあちゃん、その子は今何処でバトルしているの?」

 

「はいなのです。この子は今D-4の筐体でプレイしているのです」

 

「D-4だな?よし、それじゃあ早速行くぞ」

 

「「はーい」」

 

『お〜!』

 

例の子の居場所が分かり俺とフブキとルーナ、そして一緒に着いてきたこゆき達と一緒にその子の元へと向かっていった。すると其処には何時ものように沢山の人集りが出来ておりモニターにも白熱したバトルが繰り広げられていた。

 

「……この筐体だな?よし」

 

―コンコンッ―

 

「すみません、シズクさんですよね?申し訳ないのですが一度プレイを止めて出てきてもらって良いですか?」

 

―……ウィーンッ―

 

「は、はい……すみません、何かご用ですか?」

 

「突然の事ですみません。私はホロライトシティの市長の佐々木です。少しお時間を頂いてもよろしいでしょうか?」

 

「え!?し、市長!?は、ははははい!今すぐ出ましゅッ!!」

 

シズクという女の子は俺が市長だと分かると慌てて片付けを始めて外に出ようとする。けどその途中なんかゴンッ!って音が聞こえたけど大丈夫か?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………それで、君のそのガンプラについていろいろと聞きたいんだけど大丈夫かな?」

 

「は、はい、大丈夫ですけど……」

 

場所をフードコートに移して俺達はシズクこと『兎美山雫』ちゃんに話を聞き始めた。さっき慌てて出ようとした際にぶつけてしまったのかずっと頭を擦っているが、それは置いといていろいろと聞かないとな。

 

「えっと、まず最初に聞きたいのらけど、そのラビットラッパーガンダムは雫ちゃんが作ったガンプラなの?」

 

「ふぇ?ラビットラッパー?これそんな名前だったんですか?私ずっと『バーニットガンダム』って呼んでました」

 

バーニットガンダム?あぁ、もしかしてウサギ型の機体だからバニーとラビットを掛け合わせてバーニットって事か。というか……

 

「……君、今の言い方だとその機体がどんな物か知らずに使ってたのか?」

 

「は、はい。実はこれ、ある人からもらったガンプラなんです」

 

「もらった?一体誰にもらったのかな?」

 

「それが……よく分かんないんです。ガンプラウォーズでの戦績に伸び悩んでいた時にいきなりコートを着た女性が現れてこれを渡してきて、すぐに返そうと思ったんですがその時には既に姿が見えなくなってしまって……」

 

……つまりこういう事か。レイラの描いた設計図の中から何者かがラビットラッパーガンダムの設計図を盗み見してそれを作って、そして完成したその機体をこの子に渡したって事か。だとしたらそいつは一体何が目的でそんな事をしたんだ?……ん?

 

「ふあぁ〜……♪」

 

「?どうしたのこゆき?それにふゆきもずっとそのガンプラ見てるけど……?」

 

「ミーアもずっと雫ちゃんのガンプラ見てるのら」

 

「う〜♪このガンプラ、ぱぱとおんなじキラキラしてるの〜♪」

 

「このガンプラ、しゅき〜♪」

 

「俺と同じ?…………ッ!まさか!?」

 

俺は急いでバーニットガンダムを神眼を使って見てみた。

 

…………ッ!やっぱりこれはッ!?

 

「……このガンプラ、俺のシンラガンダムと同じオーラを感じる!?」

 

「え!?レイくんのシンラガンダムと同じ……って事は!?」

 

「このバーニットガンダムって、にーちゃのシンラガンダムと同じ神羅族の力で出来てるのらか?!」

 

にわかには信じがたいが、そういう事になるな。だが当然だが俺はこんなガンプラを作った覚えはない。それに皆も徐々に神羅族の力を使えるようにはなってきたけど此処までの物は作れはしない。つまりは……俺達以外に神羅族がいるという事になる!

 

「あ、あの、もしかしてこのガンプラって何か不正があるとかですか……?」

 

「……いや、このガンプラ自体はおそらく特殊な経緯で誕生したんだろうが不正な点は何もない。それよりもこのガンプラを使って一気にプラチナランクまで上り詰めるなんて凄いな?」

 

「はい………実はこのバーニットを手にした時に不思議といけそうって思えたんです。私、元々後方支援やトラップの設置が得意だったのもあってこの機体との相性はとても良かったみたいなんです。それに……」

 

「それに?」

 

「この子が私の事を応援してくれてるみたいに思えたんです。シズク、頑張れ!シズクなら出来るよ!って……だから私、バーニットと一緒に此処までやって来れたんです!」

 

………成る程、どうやらこのガンプラを作った奴は方法はどうであれこの機体を使って悪巧みをしようとしたんじゃなくて誰かに使ってほしくてこの子に手渡したみたいだな。こゆき達がこのガンプラを気に入っているところを見て危ない力は宿ってなさそうだし、ひとまずはこの子の手元に置いといても良さそうだな。

 

「よし、これで聞きたい事も全て聞けたし、今日のところはこれでお開きにするか。雫ちゃん、今日はいきなり来てすまなかったな」

 

「い、いえ!こちらこそ疑わしい事をしてすみません!」

 

「いやいや、それは雫ちゃんの所為じゃないから良いんですよ♪それよりもこの後時間があったら私達とバトルしません?」

 

「え、良いんですか!?」

 

「おーそれ良いね〜♪このんなたんの新しいガンプラで華麗に勝利してやるのら〜!」

 

「まーま、がんばるのら〜♪」

 

フブキとルーナに誘われ雫ちゃんは喜びながら再びガンプラウォーズをプレイしに向かっていった。取り敢えず本当に何事もなくて良かったが……あのラビットラッパー改めバーニットガンダムを渡した奴は一体誰だったんだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フフ、知りたい?」

 

「ッ!?」

 

な、なんだ!?いきなり後ろから気配がしたと思って振り向いたらいつの間にかコートを着た女性が立っていた!?ま、まさかこいつが……!?

 

「もぉ〜そんなに驚かないでよね〜?私とっても傷ついちゃうよぉ〜、うえ~ん」

 

「……お前、何者だ?まさか雫ちゃんが言ってたガンプラを渡した奴というのはお前か?」

 

「ピンポーン♪そのとーり!どぉどぉ私の作ったガンプラは?初めてにしては上出来でしょ〜♪」

 

「あぁ、確かに腕はあるな。だが……あの機体は元々レイラが設計していたガンプラの一つだった筈だ。お前、もしかしてその設計図からあのガンプラを作ったのか?」

 

「レイラ?…………あー、『フレア』が転生させたあの子ね!いやぁ~、彼の事を聞いたらガンプラに詳しそうだったからちょーっとその中の一つを見せてもらって作らせてもらったよ〜♪」

 

……フレア?こいつ今フレアって言ったか?だがおそらくこいつの言ってるフレアは俺達の知ってるフレアではない事は確かだ。つまりはこいつはレイラを転生させた奴を知ってる程にそれに近い存在という事か!

 

「お前は一体何者なんだ!?何故お前が作ったガンプラから神羅族の力が感じられるんだ!?」

 

「え〜?其処まで分かってるならもう大体分かるんじゃない?でもまぁ名乗らないのも失礼だし、一応名乗っておこうかな♪」

 

そう言うと女性はフードを取り素顔を見せる。そして……

 

 

 

 

 

 

 

 

「ッ!?ま、まさか……そんな馬鹿な?!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「フフフ♪改めまして、私は『オカユ』、君と同じ神羅族だよ♪」

 

其処にいたのはおかゆとうり二つの顔をしている銀髪銀眼の女性だった。こいつは一体、何者なんだ……!?

 

 

 

 

玲二の前に現れたおかゆと同じ名を名乗る女性。はたして彼女は敵か、味方か……?

 

続く……

*1
【三次創作】ホロライブ ビルドライバーズ with リ・イマジネーションズ『六人目のガンダリウム』参照




はい、という事で遂に玲二、他の神羅族と接触回でした!波音様は自分がかつて書いていたアナザールートの方も取り上げて頂いておりましたので自分も便乗してしまいました(^o^;)

ちなみにかつて自分が書いていたアナザールートについてはチラシの裏に残っているので良かったら見てみてください、かなり迷走してるのがわかるので(;´∀`)

次回はオカユと共に神羅族の全てが明かされます。次回もまったりと待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第153話『神羅の事実』

「やったー!明日から漸く三連休だぁー!」

「神楽、悪いんだけど明日と明後日入ってくんない?」

「はーい……(⁠´⁠;⁠ω⁠;⁠`⁠)」

出勤する筈の人がインフルになった所為で休みが潰れてしまいました。インフル許すまじ……(T_T)

今回は前回の続きです!突如現れた神羅族のオカユ、はたして彼女が語る神羅族の事実とは……?今回も最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


「……ね、ねぇ、あれがレイさんと同じ神羅族の娘なの?」

 

「そ、そうみたいだけど……?」

 

「まさか、おかゆにそっくりな娘だったなんて……!?」

 

「〜♪」

 

……俺の目の前に神羅族を自称する女性、オカユが現れてから数時間後。俺はフブキ達と合流してオカユと一先ず神羅城へと連れ帰ってきた。当然の事ながら皆かなり驚いているが当の本人は子供達と一緒にショーケースに並んだガンプラを楽しそうに眺めていた。

 

「……で、実際のところお前は何者なんだ?まさか本当に俺と同じ神羅族だというのか?」

 

「んー?だからそうだって言ってるじゃん。それよりも一応私の方が神羅族としての歴は長いんだからもう少し敬ってほしいなぁ〜?」

 

「え?歴は長いって、神羅族の僕はレイくんより前からその力を持ってるの?」

 

「うん、こう見えて私6751241歳だからね〜♪」

 

『675万歳ッ!?』

 

嘘だろ!?最早長寿なんて言葉で収まらないくらいの悠久の時を生きてるのかこいつ!?

 

「これでも君が誕生するまでは他の神羅族の中では一番若かったんだけどね〜?」

 

「嘘でしょ!?神羅族ってそんな長く生きてられるの?!」

 

「んー、生きてられるというか私達には死の概念がないからね〜。一番長く生きてる『ソラ』さんだって15億越えてからはもう自分の歳なんて覚えてないし意味のないものだって言ってたしね〜」

 

死の概念がない!?つまりこの先何があっても死ぬ事が出来ないって事か?!っていうか今こいつ……!?

 

「おい、今お前『ソラ』って言ったか?さっき会った時もフレアの名前も出してたが、そいつ等が他の神羅族なのか!?」

 

「んーそうだよ〜♪でもびっくりしちゃったよ〜、だって私もそうだけど君の奥さん達がまさか私達神羅族の面々と同じ名前に似た姿をしてるんだもん。まぁ性格は全然違うけどね〜」

 

「そ、そうなの?」

 

「まさか神羅族がアタシ達にそっくりだったなんて……?」

 

確かにそれは本当にびっくりしたな……だがこれは逆にいい機会だ、こいつは俺より長く生きているって事は俺達以上に神羅族について知ってる筈だから詳しく聞けそうだ。

 

「なぁ、お前が本当に神羅族だって言うのならお前が知ってる神羅族の事を全て教えてくれ。そしてお前がこの世界にやって来た理由も」

 

「ん〜、良いよ〜♪でもその前にお腹が空いてきちゃったからご飯にしよっか?今日は私がご馳走しちゃうよ〜♪」

 

オカユはそう言いながらリビングにあるテーブルに向かって指パッチンをするとテーブルの上に大量の食料が現れていく。皆一瞬おぉー、と驚いていたが……

 

「……え?か、缶詰?」

 

「しかもこれ、全部サバ味噌缶だよ?」

 

「え、なんでこんなにサバ味噌缶ばっかなの……?」

 

「え〜?だってサバ味噌缶美味しいじゃん〜♪」

 

なんとテーブルに出されたのは大量のサバ味噌缶だった。しかもご丁寧にいろんなメーカーのサバ味噌缶がズラリと並んでいる。いや確かに美味いけどこんなにはいらんだろ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それからオカユから出されたサバ味噌缶を少し食べた後漸く本題に入る事となった。さて、まずは何を聞くべきか?

 

「それじゃあ聞きたい事があったらなんでも聞いてね〜♪」

 

「あぁ、じゃあまず……そもそもお前達神羅族というのは一体どういう存在なんだ?俺達の世界ではあらゆる種族の祖と呼べる種族だという伝承しかないんだが、実際はどうなんだ?」

 

「まぁ概ね合ってるけど、私達神羅族の本質は世界の調和と管理だね」

 

「調和と管理、ですか……?」

 

「そーそー、神羅族はその使命を担った時から世界を与えられてその世界を管理するのが主な役割なんだ〜。言ってしまえば君達の言う神様みたいなモンだね」

 

神様……やはりそういう存在なのか。つまりはその世界を統治している当主のようなものだな。

 

「え、じゃあオカユさんも自分が管理している世界があるんですか?」

 

「勿論あるよ〜♪私は今三つの世界を管理してるんだ〜。その一つがネコ科の動物が進化した世界でもう一つがこの世界で言う中世ヨーロッパのような世界。後はこの世界そっくりな世界だね。その中でも一番最後の世界がお気に入りなんだ〜♪なんてったってサバ味噌缶が沢山あるんだもん〜♪」

 

「そ、そうなんですね……?」

 

いやどんだけサバ味噌缶好きなんだよ?ってそんな事は良いとして他にも聞いてかないとな。

 

「それで、そんな世界を三つも管理しているお前がなんでこの世界にやってきたんだ?自分の世界放ったらかしにしても良いのかよ?」

 

「んー、それは別に大丈夫だよ。だって真面目に自分の世界に留まっている神羅族なんて『スバル』さんや『ルシア』くらいなもんだし。まぁルシアに関しては他の世界に行く事が出来ないってだけだけど……ってそんな事は良いとして、私がこの世界に来たのはソラさんに頼まれて君を護衛する為だよ〜」

 

「え、玲二さんを護衛、ですか?」

 

どういう事だ?なんで他の世界の神羅族が俺の事を護衛しようとしてるんだ?もしかして誕生したばかりの新米だからか?

 

「……実はね、私達神羅族って世界の調和と管理を目的にしてるんだけど、全員が全員同じような目的で動いているわけじゃないんだよ。中には自分の目的の為に動いている奴もいる。その中でも何人かが玲二君、君の事を狙ってる連中がいるんだよ」

 

「レイくんを狙ってる神羅族!?」

 

「な、なんで!?自分達にも神羅の力があるならわざわざ玲二君を狙う必要なんてないんじゃないの!?」

 

確かに神羅族の力はあらゆる事を実現する力だ。それを既に有している筈の者が何故わざわざ俺の事を狙ってるんだ?

 

「普通ならそうかもね。でも問題なのは玲二君、君の誕生の経緯なんだよ」

 

「?俺の誕生の経緯?それが一体どうしたんだ?」

 

「…………じゃあ一つ聞くけどさ、君は一体()()()()()()()()()()()()()

 

「…………え?」

 

継承?一体何の事だ?俺はいつの間にか神羅力が覚醒して神羅族になったのであって誰かからこの力をもらったワケじゃないぞ?

 

「……その様子じゃやっぱり継承の儀を行ってないんだね?」

 

「継承の儀?なんですかそれは?」

 

「継承の儀は文字通り、私達神羅族が継承するに相応しい相手を見つけてその人に神羅の力を授ける儀式だよ。本来私達はそれを行って神羅族へと昇華する……にも関わらず君は誰からもその力を継承せずにその力を覚醒させた。それは本来絶対にあり得ない事なんだよ」

 

継承の儀……そんなのがあるんだな?だが俺はさっきも言った通りそんなものは行っていない。俺は神羅族はいつの間にか身体が進化して変化すると思っていたが、それは普通ならあり得ない事だったのか……?

 

「それに君が妻であるその子達を神羅族へと変化させ、あまつさえ子供も作っている。これも本来は絶対にあり得ないんだ。何故なら私達は子供を作る必要はない。だってそんな事しなくても私達は人間を生成するくらいわけないからね。他者を神羅族へと変化させその力を受け継いだ子供を作る……はっきり言って君は他の神羅族にはないイレギュラーな存在なんだよ」

 

イレギュラー……そう聞いて皆は俺を心配そうに見てくる。俺は今まで先祖返りでこの神羅の力を手にしたと思ってたけど、実際には他の神羅族とは違う経緯でそうなってたのか。

 

「それで君の事を察知したとある神羅族が君を真の神羅族に覚醒させようとしていろいろと手回しをしてたみたいなんだよ。君の周りで起こってた大きな事件、あれはどうやらその神羅族が裏で糸を引いてたようなんだ」

 

「裏で糸引きを!?それって……!?」

 

「ボクのオリジナルの杏奈を拐ったゴーマンや、引退したアイドル達を拐った大友とかが起こした事件の事!?」

 

「そういう事。実際誰がそんな事をしたのか今のところ分からないけど、おそらくそいつの狙いはイレギュラーな君を覚醒させて自分の手駒にするつもりなんだと思う」

 

……なんて事だ。まさかかつて起こってたゴーマンや大友を裏で操っていたのが他の神羅族だったとは……そう言えば前に大友達が自分達には協力者がいるような事を言っていたが、まさかそいつがそうだったのか?!

 

「……まさか、俺達の知らないところでそんな事が起こってたとはな?」

 

「まぁそれだけ皆君に注目してるんだよ♪まぁでも其処は私が守ってあげるから安心して良いよ〜♪」

 

「……あれ?でもそんな事しなくてもレイ兄ちゃんが襲ってくる神羅族を蹴散らせば良いんじゃない?レイ兄ちゃんめちゃくちゃ強いし」

 

「うーん、それは難しいかも?相手が一人ならまだしも複数人だと不利になるし、それにもしそいつ等が玲二君じゃなくて他の仲間や家族に手を出してきたらマズいからね」

 

「だったらその時はアズキ達も戦うよ!アズキ達だってまだ半端だけど神羅族の力を使えるようにはなってきたし「神羅の理」え……?」

 

「神羅の力は他の神羅の力に干渉出来ない」

 

神羅の力は他の神羅の力に干渉出来ない?どういう事なんだそれ?

 

「んー、分かりやすく言うと私が神羅の力を使って何かをしたら他の神羅族は関与する事が出来ないんだ。試しに玲二君、私がさっき出したサバ味噌缶を消してみてよ」

 

「あ、あぁ分かった」

 

まぁ取り敢えず言われた通りにしてみるか……

 

―シュウゥゥゥ……パリィンッ!―

 

「ッ!?け、消せない……?!」

 

「え、嘘でしょ!?レイくん何時もゴミとか普通に消したりしてるのになんで……?!」

 

「これが神羅の理。私の力で生み出したこのサバ味噌缶は私にしか消したり変化させる事は出来ない。つまり向こうが何かしらの力を行使してきた場合はもうどうする事も出来ないんだよ」

 

そういう事か!つまり神羅族の力を持ってる俺達家族には効果はないが他の皆には神羅族の力を使われてしまったら手出し出来ないというワケか!?

 

「そ、それってもし皆を消してしまったらもうレイさんでも元に戻せないって事?!」

 

「あ、其処は安心して。神羅の理、神羅族は他の神羅族の世界に悪しき影響を与えてはならない。つまり他の神羅族がこの世界に来て侵略行為をしたらその瞬間にアウトって事さ」

 

成る程、その理がある限りは他の神羅族は下手にこの世界で好き勝手出来ないって事か……ん?ちょっと待てよ?

 

「なぁ、もしそういう悪影響を及ぼす事をした場合、その神羅族ってどうなるんだ?」

 

「んーとね、其処は私も聞いた事がある程度だけど……もし他世界に悪影響を及ぼした際はその神羅族は消滅してしまうんだって。力も、存在も、そして管理している世界そのものもね」

 

「し、消滅……!?」

 

「で、でも神羅族って死の概念が存在しないんじゃ……!?」

 

「うん、だからこの理が唯一神羅族を消し去る手段とも呼べるね。実際昔ソラさんの管理している世界を乗っ取ろうとした奴がいたみたいだけど、そいつはその力を使おうとした瞬間に全てが消えてしまったって聞いたし」

 

そ、そうだったのか?じゃあ俺もリク達の世界に行った際に変な事をしてたらもしかしたら消されていた可能性もあったのか?流石にそんな侵略行為とかするつもりはないが、これからは他世界に行く時はもう少し考えて行動しよう……

 

「……とまぁ取り敢えずはこんなものかな?それじゃあ話す事はもうないし、私はそろそろお暇するね♪」

 

「え、お暇って、あなたはレイくんを護衛する為に来たんですよね?」

 

「まぁ護衛っていっても何かあれば対処するよってだけだからね。だからそれまでは私もこの世界を観光させてもらおうかなって♪」

 

「な、なんだか自由な人だなぁ……?」

 

確かに護衛を名乗り出た割には観光って、結構自由な性格だな?

 

「それじゃあまた何か分かったら教えてあげるね。あ、それとなんだけど」

 

「どうした?まだ何かあるのか?」

 

「そーそー、実はこの世界にもう一人神羅族が来てるみたいなんだよね。この反応からして多分……『アクア』かな?」

 

アクア?またホロメンと同じ名前の奴が出てきたな……

 

「彼女なら人懐っこいからきっと君の助けになってくれるかもね♪もし会ったらその時はよろしくしてあげてね♪それじゃ〜ね〜♪」

 

―シュンッ!―

 

オカユはそう言い残してその場から消え去ってしまった。それにしても俺を狙う神羅族か……

 

「まさか兄ちゃんの事を狙ってる奴等がいたなんて……」

 

「けどあの神羅族のオカユも護衛してくれるって言ってくれたし、一先ずは安心だね♪」

 

「…………いや、あいつは確かにいろんな事を話してくれたがそれが真実かどうかまでは分からない。素性が分からない以上下手に信用するのも危ないし、暫くは様子を見てみるしかないな」

 

オカユの事を完全には信用しきれない以上、俺も自分で家族や仲間を護れるようにはしないといけないな………精神と時の部屋でも作って兄貴と特訓でもするか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、神羅城を後にしたオカユはホロライトシティにあるリゾートホテルの屋上から島を眺めていた。

 

「…………うん、やっぱり彼に接触して正解だったな〜♪彼ならきっと全ての世界を良くしてくれる。そう思わない?アキさん、ボタンさん」

 

そんなオカユの後ろにはオカユと同じようなコートに身を包んだ女性が二人立っていた。フードで顔が隠れているが、うっすら見えるその表情はかなり険しい。

 

「………貴様、何故この世界にいるのだ?そして何のつもりであの男に近づいた?」

 

「え〜?そりゃソラさんが彼の事を気にかけてたし、そんな彼を狙う悪い奴等から護ってあげようって思ったんだよ♪」

 

「よく言うな、護衛を任された等と嘘つきやがって……だが正直我には奴にそれ程の力を感じるとは思えん。ソラ様や他の連中が気にかける理由が全く分からん」

 

「そりゃボタンさんは相手の気を察するのが苦手だしね〜?……でも分かるんだよ、彼にはきっと世界を変える力があるって。私達神羅族が決して実現する事が出来ずにいた『エンドレスユートピア』を実現出来るかもしれないってね。だからこそ彼を狙ってる奴等から彼を、そしてその家族や仲間を護らないといけないんだ」

 

「エンドレスユートピアか……もしそれが叶うのであれば、確かにあやつを護る価値はあるな」

 

「フン、エンドレスユートピアだかなんだか知らんが、ソラ様に命じられた以上は納得はいかんが奴を他の連中から護る事にしよう」

 

オカユの言葉にアキは興味を持ち、ボタンはどうでもいいが自分の主の命令なら仕方ないといった様子で島を眺めていく。新たに現れた他世界の神羅族、彼女達はこの先何をもたらすのだろうか……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―オマケ―

 

「うわぁ〜♪このお菓子おいしそうなの♪私これ食べたいの〜♪」

 

「おぉそうかいお嬢ちゃん♪でも食べるのにはお金がいるからパパかママが来てから買ってもらいな「お金!お金払えば食べられるの!ならはいなの!」ってえぇ!?こ、こんな大金どっから……?!」

 

「これで食べて良いんだよね!?此処にあるお菓子全部ちょうだいなの〜♪」

 

オカユが玲二達と対話しているその頃、本土のとある洋菓子店で黒いコートを羽織った水色髪の女の子が何処からか札束を出してケーキを食べまくる姿が目撃された。その姿から『佐々木あくあではないか?』と言われたがあくあの性格を考えたらそれはないと一蹴されたのであった。




はい、という事で神羅族の事実が判明回でした!とは言えまだまだ明かされてないところはありますのでこれからどんどん分かってくると思います!

次回はたまきとラプラスの回!神羅族になる為に二人が何かをしようとして……?次回もまったりと待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第154話『神羅変覚醒!?ラプラスとダークネス?!』

モンスト、ぺこらが始めて現在ランク726。自分、モンストやり始めて約八年で現在ランク713……たった数日で自分の八年間を超えやがって……(⁠ ⁠;⁠ω⁠;⁠)
まぁそんなに頻繁にプレイ出来なかったのもありますがあっさり超えられると悔しいですね(T_T)

今回はラプラスのメイン回!ラプとたまきが何やらコソコソと企ててるようで……?今回も最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


「……漸く手に入ったね、ラプちゃん」

 

「あぁ、これで漸く吾輩達も……!」

 

神羅城のとある一室。増築を行ったばかりでまだ利用されていないその部屋ではたまきとラプラスが何かを企んでいた。そんな二人の目の前には試験管に入った赤い液体が二本置かれていた。

 

「……これが以前未来から来たママとマリン船長の血なんだな?」

 

「うん、博士の治験の一環でラボに行った時になんとか持ってこれたけど、あれから大分経ってる筈なのに全然劣化してないね……」

 

そう、試験管の中身は以前未来から呼んだフブキとマリンが採取した血液だった。どうやらたまきが豊胸の治験でお世話になってる博士のラボに行った際にこっそり持ってきたようだ。そしてその血液は採取してから既にかなりの時間が経っているのに全然劣化せず鮮やかな赤い色をしている。だがそんな血液なんて持ち出して一体何をするつもりなのだろうか?

 

「でもラプちゃん、ホントにこれ飲む気なの……?」

 

「あぁ、これを飲めばその力で吾輩達も神羅族になれる筈だ。パパの養子である吾輩やパパと交わる事の出来ないたまきさんにとってこれはまたとないチャンスなんだ!」

 

なんとラプラスとたまきは試験管に入ってる血を飲もうとしていたのだ。二人は佐々木家の一員だがラプラスは養子、たまきは妻とはいえ性別は男、どちらもこのままでは神羅族になる事は出来ず皆より先に亡くなってしまう……そう考えた結果、未来のフブキとマリンが採った血を接種する事で神羅族の力を得ようと決めたようだ。

 

「で、でも幾ら僕でも人の血飲むなんてなぁ……」

 

「ふん、こんなのすっぽんの血を飲む感覚でいれば大丈夫だ!それじゃあ……いくぞ!」

 

「わ、分かったよもう!それじゃあ……せーのッ!」

 

渋るたまきに覚悟を決めるように言うラプラス。そしてたまきも腹を括りラプラスはフブキの、たまきはマリンの血を一気に飲み干した。

 

「…………意外となんともないな?」

 

「うえぇ、流石に変な感じぃ〜……でも確かにそれ以外はなんともないね?」

 

血を飲み干してはみたが二人とも特に何も変化がない。もしや失敗か?と思ったその矢先……

 

―……ドックンッ!―

 

「ッ!?な、なんだこれ……アガァッ!?」

 

「か、身体が灼けるように熱い……骨が、軋む……ウグアァァァァァァァァァーーーーーーッ!?」

 

突然二人の身体に異変が起こり、そのまま光に包まれていき……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―ドッゴオォォォォォォォォォォォォォォォォオンッ!!―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ッ!?な、なんだ今の爆発音は?!」

 

「わ、分かりませんが、おそらく下の方から聞こえたと思います!?」

 

夕食を終えて子供達と遊んでいたら突如下の階から物凄い爆発音が響き渡ってきた。この下って確か増築したばっかでまだ誰も住んでない筈だよな?

 

「ふぇ、ぱぱぁ………」

 

「大丈夫だヒカリ、パパが付いているから安心しな」

 

「ふみゅ……」

 

今の爆発音で子供達も驚いて怯えてしまってるが俺とみしろがあやしていきなんとか落ち着かせていく。しかし、一体何があったんだ……?

 

―ウィーンッ―

 

「レイくん大変です!ラプちゃんとたまきくんが……ッ!」

 

「フブキ?ラプとたまきがどうかしたのか?」

 

「そ、それがですね……とにかく急いでついて来てください!」

 

フブキは何やら慌てた様子で俺の手を取り何処かへと連れて行こうとする。もしかして今の爆発音はラプとたまきの仕業か?一体何したんだよあいつ等……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………こりゃまた派手にやってくれたな?」

 

「さっき私がこの階の入居希望者の部屋を確認していたら目の前で突然ドアが吹き飛んで……」

 

俺とフブキが目にしたのはドアが吹き飛び煙を上げてる部屋だった。なんでこんな事になってるんだ?

 

「それで一体何事かと思ってたら中からラプちゃんとたまきくんのうめき声が聞こえて来たんです」

 

「成る程な……おいラプ!たまき!二人とも大丈夫か!?」

 

「……ぱ、パパ?」

 

ッ!ラプの声が聞こえた!フブキの言った通りラプがこの中にいるんだな?ならさっさと煙を払って助けないと!

 

―ブォンッ!―

 

「よし、これで煙はなくなったな?おいラプ!大丈……夫……か?」

 

 

 

……俺は目の前に起こっている状況が飲み込めず呆然としてしまった。何故なら其処には……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う、うぅ……」

 

床に倒れ込んだ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、そして……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ククク……ハアァッハッハッハッハァーーーーーーッ!苦節数十億年!漸くこの世界に復活したぞぉーーーッ!!」

 

以前この世界に来た異世界のラプラスと同じ姿をした女性が高笑いをしながら仁王立ちをしていた。な、なんなんだこの状況は……!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから一時間後……

 

「……つまり二人は未来の私とマリンの血を飲んでそうなってしまったと?」

 

「「は、はい……」」

 

「お前等馬鹿か!?神羅族の血は下手すれば肉体を崩壊しかねない程の劇薬みたいな物だぞ!そんな物を直接飲み干すなんて自殺行為でしかないって前にも言ったよな!?」

 

「ご、ごめんなさい!でも()、パパと同じ神羅族になりたくて……」

 

「ごめんなさぁい!()()()もご主人様とずっと一緒にいたかったからぁ〜……」

 

全く、それについては皆と一緒に考えていたのにこいつ等はこんな強硬手段取りやがって…………ん?今こいつ等なんか変じゃなかったか?

 

「?どうしたのパパ、()の顔に何か付いてた?」

 

「……いや、角がなくなったのもそうだけどさ?ラプ、お前一人称変わってないか?」

 

「あ、確かにラプちゃん吾輩じゃなくて私って言ってる!?」

 

「……そう言えばたまきちゃんの一人称も僕じゃなくてあたしになってましたね?」

 

「え〜そうなのぉ?あたし全然意識してなかったわぁ」

 

いや意識してないでその喋り方なのかよ?ラプもそうだがたまきもかなり変化して大分グラマーな体型にねっとりとした喋り方してて違和感が凄いぞ……?そして

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハァッハッハッハァーーーッ!さぁ祝え!この最強の悪魔ラプラス・ダークネスの復活をッ!!」

 

「……なんで私達こんな事させられてるの?」

 

「うぅ~、こよもう腕疲れてきたよぉ……」

 

「ってかなんで沙花叉が椅子にされてんだよぉ!?」

 

「あぁ、旦那様用に焼いた風真のクッキーがぁ〜……(泣)」

 

突如現れた()()()()()()()()()がクロヱを跪かせてその上に座り、その横でこよりが羽団扇で仰いでルイがワインを注いでいる。いろはは俺の為に焼いたクッキーを奪われショックで膝をついていた。一体何しんてんだあいつは?

 

「おいお前、一体何者なんだ?何故ラプと同じ姿をしている?」

 

「フン、何者かだと?貴様、吾輩の事を知らぬというのか?この全宇宙を支配する最強の悪魔、ラプラス・ダークネスの存在をッ!!」

 

全宇宙を支配する最強の悪魔?なんじゃそりゃ?

 

「おいふざけるな!私は知ってるぞ!私達の身体が光った時に私の身体から何かが抜けてお前が出てきたんだろうが!?一体なんなんだよお前は?!」

 

「全くビービーうるさい小娘だ。それでも吾輩の依代に選ばれた器か?」

 

……依代?こいつ今ラプの事を器って言ってたがどういう事なんだ?

 

「おいラプラス……いや、ラプと混合してしまうからお前の事はダークネスと呼ばせてもらう。お前、ラプの事を依代とか器と呼んだがどういう意味なんだ?」

 

「フフン!良いだろう、今の吾輩は復活して気分が良いから全部話してやろう!あれは今から数十億年前の事だ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから俺達はダークネスからいろいろと聞く事が出来た。ダークネスは数十億年前に初めて誕生した悪魔であり、その強大な力で多くの星を支配してきたそうだ。だがその時その時代にいた神羅族と対面しダークネスは勝負を挑んだが、結果は惨敗。肉体は滅び魂は絶対零度の牢獄コキュートスに送り込まれてしまったそうだ。

 

しかしそれから数億の年月が経ちダークネスの魂はコキュートスから抜け出し宇宙を彷徨っていた。どうやら自分の復活の為に器となる依代を求めて永い時をずっと探していたようだ。

 

そしてその器に相応しい者としてかつて孤児院前で捨てられていた自分の名と同じ赤ん坊、つまりラプが選ばれそのまま憑依したという事だ。ラプの一人称や角はこのダークネスの力の影響だったみたいだ。

 

「だがそんな吾輩もまさか忌々しい神羅族の血によって復活させられたとは夢にも思わなかったぞ。だがこれでまたこの宇宙全てを支配出来る!まずは手始めにこの城を吾輩の物にしてやろうッ!」

 

「そんな事させるか!此処はパパがママ達や私達の為に作ってくれた大事な家だ!お前なんかに渡してたまるか!」

 

一通り話し終えたダークネスは再び世界を支配しようと目論み、最初にこの神羅城を支配しようと企てる。ラプもそうはさせないとダークネスの前に立ち塞がっていく。

 

「フン!貴様みたいなちび助に何が出来るというのだ!?神羅族の力を手にし復活した吾輩を止められる者などこの世には存在しまいッ!フハハハハハァーーーーーーッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………で、最強の悪魔がどうしたって?」

 

「シロ達の大切なお家を奪うとかフザけた事言うからどんだけのものかと思ったけど、その程度の力でシロ達を倒せると思ったの?」

 

「るる達の大切な旦那様の家を奪おうなんておかしな事言ってたのはどの口かなぁ?」

 

「ご、ごべんなざい……(泣)」

 

あれから数十秒後、先程まで勇ましかったダークネスはすいとシロとるるの三人にボコボコにされてしまい土下座して謝っていた。いやなんというか……なんか申し訳ない。

 

「ぐうぅ……ッ!な、何故こんな小娘共に吾輩が負けるのだ!?というか何故力が思うように使えん!?まさか、神羅族の力を得た所為で吾輩の力が弱まったのか?!」

 

「いや、そういうワケじゃなくてな……実はさっきたまきとラプとダークネスの力をこっそり測ってたんだけど、どうやらお前の力は殆んどラプに残ったままになってしまってるみたいなんだよ」

 

「何ぃッ!?」

 

そう、俺はさっきのやりとりの中密かにラプ達の状態を確認したんだけど、現在ラプの中には神羅族の力と高純度の魔力が95%程確認されたが対するダークネスはそれが5%しか感知されなかった。つまりダークネスは分離した際にラプの身体にその力を殆んど置いてってしまったみたいだな。

 

「あーだからレイくん全然慌ててなかったんですね?」

 

「という事はこのダークネスって見た目だけ偉そうだけど中身スカスカ状態って事?」

 

「な、な、な…………ッ!?」

 

あまりにも予想外な出来事にダークネスは絶句し震えるしか出来なかった。けどそれ以外にも問題があるからなぁ……

 

「おうこのボケナス、よくもさっきは沙花叉の事椅子にしてくれたなぁ?」

 

「風真が旦那様の為に丹精込めて焼いたクッキーをバクバク食べたのも許せないでござるよ……!」

 

「ヒィッ!?」

 

「もういっその事どっか島流しにして二度と帰って来れないようにしよっか?「いや、それは無理だ」え?どうしてなのレイレイ?」

 

holoXの面々が先程された仕打ちに腹を立ててるが島流しされたらラプが危険に晒されてしまう。何故なら……

 

「ラプとダークネスの今の状態はラプラス・D・佐々木が二人に分離した状態、所謂半人半魂の状態なんだ。つまり存在が安定しない状態の二人がこのまま元に戻らずそのままでいた場合……いずれ二人とも消滅してしまうかもしれない」

 

「消滅!?」

 

「そ、そんな!?私、消えちゃうの……?!」

 

「あぁ、実際に今観測したらラプもダークネスもかなり不安定な状態だ。今は神羅の力で保ってるが二人が今のままでいられるのも長くて三日が限界だろうな?」

 

つまりそれまでにラプとダークネスを再び一人に戻すしか方法はない。だがそれを伝えると……

 

「ふ、巫山戯るなッ!吾輩にまたこんなちんちくりんの依代の中に戻れと言うのか!?冗談ではない!寧ろ器の貴様が吾輩に取り込まれ全宇宙を我が物にする為の礎となれッ!!」

 

「フザケてるのはお前だろ!?私の大切なパパや皆に危害を加えようとするお前を外に出すワケにはいかないだろうがッ!」

 

やはりダークネスはラプを取り込んで自分の野望を叶えようとしているようだ。当然それを良しとしないラプ。一応ダークネスを無理矢理圧えてその隙にラプに取り込ませるという事も出来るけど、それだと何時かまた勝手に出てきそうだしな……

 

「グググ……ならこうしようではないか?貴様等が常日頃から遊んでいるガンプラウォーズ、それで吾輩と依代が戦い負けた方が勝った方に取り込まれるというルールだ!」

 

「はぁ?!お前いい加減にしろよ!そんなの私はやらな「おやおやぁ?そんな事言ってて良いのかぁ?このままお互い譲らないままではいずれ消滅してしまうのだぞ?なら吾輩達で勝負をしてどちらか優れた方が残る、これなら文句等あるまい」ウグッ!?……良いだろう、だったらお前を倒して私がパパ達を守ってみせる!」

 

ってそれで良いのかラプ?けどまあどっちにしろこのままではお互い納得しないまま消滅してしまうからな。そうなるとダークネスに勝たれるとめんどくさい事になってしまうから何か対策しないといけないか……いや、バトルに手出しするのは野暮な話だ。そうなった時はこちらでどうにかするよう考えてみるとしよう。

 

「フン、決まったな!ならガンプラは貴様がこれまで作ってきた物からランダムで選び、そしてバトル方法もランダムで選ぶとしよう!」

 

「良いだろう!というワケでパパ、悪いけど少しテスト機借りるね!」

 

「あ、あぁ……本当に大丈夫か?」

 

依代であったラプと古の悪魔ダークネス。己の存在を賭けた一大勝負が今行われようとしていた。はたして勝つのはどちらなのか?

 

続く……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃……

 

「博士、この度はみしろの愚兄が本当に愚かな事をしてしまい申し訳ありません」

 

「いや、僕達も検査の為にと出しっぱなしにしてたのが悪かったんだ。しかし計算上身体の細胞が異常を起こして全身壊死してもおかしくはなかったのに、寧ろ適合するとは思わなかったな……」

 

みしろは玲二の指示でたまきの首根っこを掴んで博士の所へと謝罪しに来ていた。博士も変化したたまきを興味深そうにまじまじと観察している。

 

「そ、それで博士、あたしって今どうなってるんですかぁ?それに皆から喋り方も変になってるって言われてましたし……」

 

「おそらくそれはマリンさんの血を飲んだ所為で彼女の影響が少し反映されてしまったみたいだ。所謂副作用だね」

 

「ですがたまきちゃんがその喋り方だと余計にオカマ感が否めないのですが……?」

 

「オカマじゃないってぇ!あたしはご主人様の為にピチピチの女の子っぽくなった男の娘なんだからぁ〜♪」

 

「………まぁ元々玲二君の許可を得て希釈した物を動物に接種させる実験をしようとしてたから丁度良い。これも玲二君に許可を得てるし、彼の事を詳しく調べるとしよう」

 

「え゛ッ!?」

 

詳しく調べると言いながら妖しく笑う博士。その後ろには同じく妖しく笑う元RBKシリーズの医療スタッフの娘達がズラリと並んでいた。

 

「あ、あのぉ〜、それって勿論任意ですよねぇ……?」

 

「そんなワケないでしょう。兎に角今回の事は自業自得なので大人しく隅々まで検査されてください」

 

「い、い、 い…………イヤアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!?」

 

その後たまきは博士監修の元医療スタッフ達に丸一日掛けて隅々と調べられるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―オマケ―

 

「ん〜!ケーキに団子にクレープ♪この世界も美味しいお菓子が沢山なのぉ〜♪」

 

神羅城で一悶着があったその頃、あくあに似た女の子がいろんなお菓子を食べ歩きしながら満面の笑みを浮かべていた。幸せそうにお菓子をはむはむ食べるその姿に周りの人達もほっこりとした表情になってしまう。

 

「まーたお菓子ばっか食べてるの?『アクア』ちゃん」

 

「ふぇ?あ、『ペコラ』しゃん!ペコラしゃんもこの世界に来てたの!?」

 

「まあね。今ちょっとこの世界に生まれた神羅族を調べてたんだけど、少し厄介でね……」

 

「?厄介なの?何がなの?」

 

「……実はそいつ、その神羅の力でこの世界を支配しようと目論んでいるとんでもない奴だったの。神羅の理で私達は世界を支配してはならないってあるけど、奴はそれを完全に無視して世界を自分の物にしようとしてるのよ」

 

「えぇ!?そ、そんなのダメなの!神羅族の力は世界を良くする為にあるの!」

 

「そう、だから奴を止めないといけないんだけど、生憎私はソラさんに呼び戻されているからもう戻らないといけないの。だからアクアちゃん、私の代わりにそいつを捕まえてスバルさんの世界に送り込んでくれないかな?」

 

「分かったの!神羅族の誇りにかけて、必ずこいつを捕まえてみせるの!」

 

ペコラと呼ばれる女性に頼まれてアクアは食べていたお菓子を異空間にしまった後急いでホロライトシティのある方向へとかっ飛んでいった。

 

「…………全く、オカユやアキ達がいる所為で下手にイタズラ出来なかったからどうしようかと思ってたけど、丁度良くアクアがいてくれて良かったわ。ホント、純粋なバカは扱いやすくて助かるわ」

 

ペコラは先程までの優しい笑みから呆れた表情に代わりその場から消え去っていった。イタズラと称していたが、アクアをけしかけて何をするつもりなのだろうか……?




はい、という事でラプが分裂!そしてその存在を賭けて次回バトルです!はたして勝つのはラプか、それともダークネスか?
次回もまったりと待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第155話『ラプラスVSダークネス!トレジャーバトル!』

今年も残すとこ後一ヶ月弱、まだまだ山積みになってるプラモはありますのでそろそろ作っていきたいと思う今日この頃。まぁ仕事が忙しいので難しいんですけどね(T_T)

今回はラプとダークネスの対決!はたして勝負の行方は……?!今回も最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


己の存在を賭けて戦う事になったラプとダークネス。お互いに準備を終え二人は神羅城にあるテスト機の前でスタンバイをしていた。

 

「じゃあ改めて勝負の勝ち負けについてだ。この勝負で負けた方が勝った方に取り込まれる。それで良いな?」

 

「あぁ、それで良い。これで漸く吾輩も完全なる力を取り戻す事が出来るぞ!」

 

「そんな事させるか!パパやこの世界をお前なんかの好きにはさせないからな!」

 

「よし、ならばそれぞれの機体を筐体にセットしてくれ」

 

俺の指示に従い二人はテスト機にそれぞれ選ばれた機体をセットしていく。今回二人の選ばれた機体は奇しくも同じ30MSシリーズの新作である『アチェルビー』のようだ。色を見る限りラプがTYPE-AでダークネスがTYPE-Bか。

 

 

『30MINUTESMISSIONS アチェルビー』

量産型がテーマの30MSシリーズの最新機体。その造形は機体というよりも女性の身体に近く、同じ軍に所属するスピナティオやスピナティアよりも人型に近しい。またコクピットらしき部分が存在しないという謎の多い機体である。

 

 

「フン、まさかお互いに同じ機体とはな?だがこれで機体性能の差で負けたとかいう言い訳は通用しなくなったな!」

 

「そっちこそ、私に勝負を挑んだ事を後悔するなよ!」

 

 

「二人とも準備は良いな?じゃあバトルルールをランダムで選ばせてもらうぞ」

 

二人の機体データの読み込みを確認しゲームとステージをランダムモードにして選択開始。選ばれたのは……成る程、これはなかなか面白そうなバトルになるな。

 

「ゲームとエリアのセレクトが確定した。今回のゲームは『トレジャーハンティング』、ステージは荒廃した都市だ。エリア内に散らばる宝箱の中から金のハロをいち早く見つけた者が勝ちというシンプルなゲームだ。だがこのゲームは探索型のゲームでは珍しく妨害行為が認められているので如何に相手を妨害しつつ探索をスムーズに進められるかが鍵となる。これで良いな?」

 

「ほう?つまりは相手を倒しつつお宝を手にした方が勝つという事か。クク、実に分かりやすくて良いぞ♪」

 

「よし、これなら私でも勝てそうだ!」

 

「ん、二人とも了承したという事で早速始めるぞ。ゲーム、スタートだ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゲーム開始と共にラプとダークネスのアチェルビーがそれぞれ別々の場所に転送されて探索を開始する。辺りの崩れた建物の影や路上の片隅等に宝箱が設置されており、お互いはそれぞれ違ったアプローチで宝箱を開けにいった。

 

(こういう宝箱はより見つけづらく奥深い所に本物が隠されているというのが相場だ!故にこんな見え透いた場所に本物があるワケがない!こんな場所探すだけ無駄だ!)

 

(このゲームの宝箱の配置は完全ランダム。だから目に見えた宝箱は手当たり次第開けて行くのがベストだ!どうせ開けるのにタイムロスなんてないんだからな!)

 

どうやらラプは手当たり次第開けていきダークネスは奥側にある宝箱を重点に探すようだ。はたしてこれが吉と出るか凶と出るか……?

 

(……ん?彼処にいるのは依代か?フン、あんな見え透いた場所にある宝箱をちまちま開けるとは……クク、ならば)

 

「……クソ、此処にもなかったか。じゃあ次に―バキュゥンッ!―なッ!?」

 

次の宝箱を探そうとするラプの後ろからダークネスが容赦なく射撃していく。ラプは間一髪のところで気づきすぐに避けたが、やはりダークネスは妨害しにきたな。

 

「クッ!やっぱり妨害しにきたか!?」

 

「当然だ!目の前に敵がいるなら容赦なく倒す!それがラプラス・ダークネスのモットーだからな!」

 

―バキュゥンッ!バキュゥンッ!―

 

ダークネスは更に連続射撃でラプを追い詰めていく。ラプは急いで近くの瓦礫に避難するが、それでもダークネスは執拗にラプを攻撃し続けていく。

 

「あぁもうしつこいってのッ!?(……ん?此処にも宝箱が…………ッ!よし、これなら!)」

 

「フン、どうやら諦めたようだな?ならばこれで決めてやるッ!」

 

―シュウゥゥゥ……バキュウゥゥンッ!―

 

―ドゴオォォォォォオンッ!!―

 

何も反応しないラプに対しダークネスはトドメと言わんばかりにフルチャージ攻撃を放ち、ラプが隠れていた場所の瓦礫を一気に粉砕していった。砂埃が晴れると其処にはラプのアチェルビーの姿はなかった。

 

「あぁ!ラプちゃんがやられちゃった!?」

 

「そんな!?それじゃあまたスタート地点からやり直し!?」

 

「でもリスタートするには三十秒のロスタイムがあるよ!?」

 

ラプがやられたと思い焦るフブキ達。このままではラプが出遅れている間にダークネスが金のハロを見つけて勝ってしまうのではないかと……だがな

 

「ククク、では貴様が復帰するまでに吾輩はゆっくりと探し出すとするか…………は?な、なんだ!?」

 

お、漸くダークネスも気づいたか?自分がやっつけたと思ったラプが今、()()()()()()()()()()()()()()()

 

「な、何故だ!?今確かに吾輩は奴を仕留めた筈……?!」

 

「ハッ!あまいなお前!私はお前に攻撃される前にこれを発動してたんだよ!」

 

―ステルス!―

 

そういってラプが見せたのはガンダムが半透明になっている絵が書かれていたカード、つまり透明化になれるステルスカードだった。やっぱりあの時それを見つけていたか。

 

「な、なんだそのカードは!?そんなカード何時手に入れたのだ?!」

 

「お前がさっき私を追いやった瓦礫の影にこれが入っていた宝箱があったんだよ!このゲームの宝箱には目的の宝が入っている宝箱以外は基本的にハズレだけど、中にはこうしたゲームを有利にするアイテムも入っているんだ!」

 

そう、ラプはダークネスのフルチャージ攻撃を受ける前にステルスを発動し、その隙にその場から離れて近くの宝箱を開けながら遠くまで逃げていたのだ。

 

「よ、良かったぁ〜……!」

 

「ていうかラプラスってアイテムの存在を知ってたんだな……!?」

 

「あぁ、なんたってラプは現状のイベントステージに関する情報は全て頭の中に入ってるからな」

 

ラプは基本的に作る専だからガンプラウォーズを積極的にはやってなくランクもシルバーの3だ。だがその代わり開発等には俺と一緒にいる事も多い為ゲームのあらゆる仕様が頭の中に叩き込まれているんだ。バトルのセンスで言えばかつて宇宙を荒らしていたダークネスに軍配は上がるが、ゲームの仕様に関しては俺達とずっと一緒に見てきたラプの方が熟知しているんだ。

 

「ウギギィ、小癪なぁッ!」

 

「お前が調子に乗ってボケっとしてくれたお陰でこっちはこんなにカードが手に入った!こっから一気にいかせてもらうぞ!」

 

―ダッシュ!―

 

―ツインズ!―

 

ラプは手元にあるカードを二枚使うと二体に分身し目にも止まらない速さで辺りの探索を開始していく。ダッシュは文字通り素早さを上げ、ツインズは自身の分身であるオートビットを召喚するカードだ。因みにこれらはエグゼイドのメダルから発想を得ている。

 

「おのれぇ!そんなくだらない小細工などしよって、それでも吾輩の依代か!?」

 

「フン、お前が勝手に私に取り憑いただけだろ!?それにそんなに言うならお前にも使わせてやるよ!」

 

文句を垂れるダークネスにラプは二枚のカードを投げつけていく。

 

―コンフュージョン!―

 

―グラビティ!―

 

―ググググッ……!―

 

「ッ!?な、なんだ!?機体が重くなってる?!―グラァッ……バキッ!ドカッ!―って何をしている?!何故勝手に動いとるのだ?!」

 

するとダークネスのアチェルビーの周りの重力が増し動きが鈍くなり、更に近くにある壁を無意味に殴り始めた。ラプが使用したコンフュージョンは使うと混乱状態になって一時的に操作が不可能になりグラビティは自分の周りに強力な重力波を発生させるというどちらもデメリットでしかない能力である。

 

「よっしゃー!これでダークネスはまともに動けないぞー♪」

 

「残りの宝箱も後僅か、これはもうラプの勝ち確ね」

 

……確かにこのままいけばラプの勝ちは堅い。だがダークネスがこのまま大人しく負けを認めるのか……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………ざけるな」

 

「え…………?」

 

「巫山戯るな……この吾輩がこんなくだらない小細工で負けるものか……!吾輩は宇宙を統べる始祖たる悪魔ラプラス・ダークネス!器如きに遅れをとるモノかあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」

 

―グググッ……バキィンッ!―

 

「なぁ……ッ!?」

 

なんだと!?まさかダークネスの奴、重力波と混乱のデバフを無理矢理引き剥がしたのか?!確かにレバガチャ等で理論上は可能だが、それにしたって早すぎるぞ!?

 

「器如きがこの吾輩に逆らった罪!その身に焼き付けてくれるわぁッ!!」

 

―バキュウゥンッ!!―

 

「ッ!?しま……―ドゴオォォォンッ!!―グアァッ!!」

 

「あぁ!ラプちゃんのアチェルビーが……!?」

 

ヤバい!ラプの奴油断してたのかダークネスのアチェルビーの砲撃をモロに受けてしまった!今の一撃でラプのアチェルビーが右腕と両足が破損して動けなくなってしまった!

 

「う、うぅ……!」

 

「ククク、こうなると不様なもんだな?如何に知識はあろうと所詮は我が依代に過ぎん。そんな器でしかない貴様が吾輩に勝てる要素など、最初からなかったのだ」

 

「…………フン、そう思うならさっさと一思いにやればいいだろ?それとも宇宙最強の悪魔様は依代すら倒せない軟弱なのか?だとしたらとんだお笑い者だな……」

 

「…………貴様、この期に及んで減らず口とは随分生意気なガキだな?」

 

「当たり前だ、私はお前の依代だったんだからお前の口の悪さが移ったんだろうな?」

 

「…………良いだろう、貴様のその態度に免じてさっさと倒してやるぞこのクソガキ。そしてその後この勝負を終えて貴様を取り込み吾輩は完全たる姿でこの世界に復活するのだ!」

 

ラプの徴発に乗ったダークネスは少しキレ気味になりそのまま持ってたライフルでラプのアチェルビーの頭に銃口を当て……

 

 

 

 

 

―パァンッ!―

 

 

 

 

 

トドメの一撃を放った…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そ、そんな……!?」

 

「ら、ラプちゃんがやられた……!?」

 

「で、でも三十秒もあればリスタート出来るんだからまだ逆転は「無理よ」ッ!?なんでさルイ姐!?そんなのやってみなきゃ……!?」

 

「……ラプが復活するのは三十秒後、けど残ってる宝箱は調べたら後四つ。しかもどれも近くにあるからラプが復活する前にダークネスが全てを開けてしまう方が先よ」

 

「そ、それじゃあ……!?」

 

「このままじゃラプが負けて……」

 

「ダークネスに取り込まれてしまうって事………?」

 

………ラプがやられて完全にダークネスの有利になってしまい皆も表情が曇っている。このままではラプが消えてしまいダークネスの好き勝手にさせてしまう。クソ!今のうちに何か対抗手段を考えないと……!

 

「クク、あっけない終わり方だったな?まぁ貴様はもう成す術がないだろうから大人しく指を咥えて吾輩の勝利を見届けるが良い!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………………誰が、諦めるもんかあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」

 

―ブォンッ……バッ!―

 

「なッ!?」

 

ッ!?な、なんだ!?倒れた筈のラプのアチェルビーがその場で復活した!?どうなってるんだこれは?!

 

「ば、馬鹿な!?何故動ける?!貴様の機体はさっき確かに……!?」

 

「あぁ、お前にやられてHPがゼロになったよ……そのお陰で最後のこれが発揮出来たんだ!」

 

―リバイブ!―

 

ッ!そうかリバイブか!あれは本来撃破されるとスタート地点に戻され三十秒のロスタイムが発生するところをその場で復活出来てロスタイムをなくせるカードだ!

 

「なぁッ!?そ、そんな馬鹿な!?」

 

「これで……終わりだあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!」

 

ダークネスが呆気にとられる隙にラプが近くにあった宝箱を開ける。そしてその中には……

 

 

 

 

 

 

 

《ミツカッタ!ミツカッタ!》

 

金色に輝くハロが入っていた。つまりこの勝負、ラプの完全勝利だ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ば、馬鹿な……この吾輩がこんな器如きに負けるなど……!?」

 

「……正直、お前があの時私の挑発に乗らずにあのまま放置していたら私は間違いなく負けてた。お前が挑発に乗ってくれたお陰で勝てたんだ」

 

あぁ、あの時ダークネスがラプを倒さず瀕死状態のままにしていたら勝っていたのは間違いなくダークネスだ。ラプはダークネスが挑発に乗ると信じてあの時わざと煽るような事を言ったんだな。

 

「………まさか、器に其処まで見透かされていたとはな?」

 

「当たり前だ、お前は私で、私はお前だ。ずっと一緒にいたからなんとなく分かるんだよ」

 

「…………フン、いけ好かない依代だ。まぁ良い、負けは負けだ。今回は大人しく取り込まれてやる。だが忘れるな、貴様がまた腑抜けた時に吾輩はまたお前の身体を乗っ取りに出てくるからな。精々吾輩に支配されないように気をつけろよ………♪」

 

―シュウゥゥゥ……―

 

そう言い残すとダークネスは光に包まれラプの中へと吸収されラプの身体も一瞬光っていき、光が止むとラプの姿は元の状態に戻っていた。

 

「……吾輩、完全復活!」

 

「お、元のラプラスに戻ったわね♪」

 

「やっぱラプ殿はこの状態がしっくりくるでござるな〜♪」

 

「あぁそうだな。それよりもラプ、もう今後はあぁいう無茶な事はするなよ?」

 

「はーい♪でもこれで吾輩もパパ達と同じ神羅族になれたんだよね♪」

 

まぁ実際にはまだ皆と同じ完全な神羅族ではないみたいだけどな?それに関しては今後もいろいろと対策していかないとな?とはいえこれにて一件落着、だな。

 

一悶着はあったもののダークネスを抑え神羅族の力を手に入れたラプラス。まだまだ問題はありそうだが取り敢えず無事だった事を喜ぶ玲二達であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃……

 

「…………これはかなり驚いたね。まさか男性でもあり女性でもあるとは……?」

 

「つまりは、その……どっちも付いてるって事ですよね……?///」

 

「そういう事になるかな?おそらくこれも女性であるマリンさんの血を飲んだ影響なのかもしれないね」

 

医療スタッフに身体を隅々まで調べられたたまきは現在ぐったりとした状態でベッドに寝そべっていた。どうやら身体の変化の所為で男であり女でもある状態になってしまったようだ。

 

「うぅ~……あんなに身体弄る事ないじゃんかよぉ〜……」

 

「でも良かったじゃないですか、一応喋り方元に戻ってますし」

 

「うん、多分それは一時的なものだったのかもね?兎に角今後も調べたい事があるからこれからは毎週この研究所には通ってもらうからそのつもりで♪」

 

「うげぇッ!?もうやだよぉ〜!?助けてご主人様ぁーーーッ!!」

 

結局たまきは博士によって今後もいろいろと調べられる事になってしまった。まぁ自業自得なので致し方ないのだが、その夜玲二に泣きついたたまきはそのままの勢いでハッスルする事になったとかなってないとか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―オマケ―

 

「はぁ、取り敢えずこれでラプとたまきの件は解決かな……?」

 

「まぁ二人も不安になってたところもあったみたいですし、今回の事は無事で済んだって事で多目に見てあげましょうよ♪」

 

「まぁそうだな。さて、そろそろGWDWCの運営と会議しに「見つけたの!」……え?」

 

「お前なの!この世界を支配しようとしてる悪い神羅族!このアクアがお前を倒してスバルしゃんの所に送り届けてやるなの!」

 

「「…………はい?」」

 

事件が終わりフブキとバルコニーで休んでいたのも束の間、何やらあくあにそっくりな子が俺達の前に現れてワケの分からない事を言い出した。多分こいつも神羅族なんだろうが、一体なんなんだこいつは……?




はい、という事で無事ラプの勝利!そしてたまきもなんだかんだありましたが二人して神羅族になりました!まだまだ問題はありますがこれからちょっとずつ解決していくと思います(^o^;)

次回はいよいよ現れたアクアとの一騎打ち!?はたしてどうなってしまうのか……?次回もまったりと待って頂ければ幸いです、ではまた!

あ、今回も簡単なアンケートを取りたいと思います。


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第156『神羅族の対立』

最近ホビージャパンの付録にあったカスタムパーツでフリーダムのカスタムパーツを安く手に入れられたので組んで見ましたが……個人的には普通のフリーダムの方が格好良いかなって思ってしまいました……(-_-;)
こういうのはやっぱ好みに合わないと損した気分になってしまいますよね(^^;)

今回は前回のオマケに引き続きアクアの接触回!敵意を見せるアクアに玲二は対抗出来るのか……!?今回も最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!



ラプラスとたまきの神羅族化による騒動が収まり一安心した直後、オカユに続く新たな神羅族『アクア』が俺達の前に現れた。アクアは俺の事を世界を支配する悪い神羅族と言っているが、一体どういう事なんだ……?

 

「お前がこの世界を支配して自分の好きにしようとしてるのは分かってるの!だから私がお前を倒してスバルしゃんの所に送ってやるなの!」

 

「……いやいやいや、ちょっと待てよ?俺が世界を支配?んな事一度も考えた事ねぇよ」

 

「うるさいの!悪人の言う事なんて信じないの!この私の一撃で倒してやるなのーーーッ!」

 

そう言いながらアクアは俺に向かって突っ込んできた。だが俺の傍にはフブキもいる。相手も神羅族なら此処で下手にドンパチしたらフブキにも危害が加わってしまうぞ……!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃーーーーーーッ!!」

 

―ポカポカポカポカポカポカポカポカポカポカポカポカッ!―

 

「……はい?」

 

…………何してんだこいつ?なんか能力使って拘束してくるのかと思ったらまさかのぐるぐるパンチって………喋り方もそうだがこいつ子供っぽ過ぎないか?

 

―ガシッ―

 

「はーい、そんな事しちゃだめですよ〜」

 

「うにゃあッ!?は、離すの!私はこいつを倒さないといけないのーーーッ!!」

 

しかも後ろに回ったフブキに捕まってジタバタ暴れてるし……本当にこいつ神羅族なのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから……

 

「はむはむ…………クレープおいひいの〜♪」

 

『おいち〜♪』

 

『あぁ、可愛いなぁ〜♪』

 

「……なんだこれ?」

 

…………あれからジタバタ暴れるアクアを大人しくさせる為にちょこがクレープを焼いてくれたんだが子供達と一緒にモッキュモッキュと食べるその姿を見て皆メロメロ状態になっている。まさかの状況に俺はただ呆れるしかなかった。

 

「ま、まぁそれは良いとして……お前、アクアとか言ったな?お前はなんで俺の事を世界を支配する悪い奴だって思ったんだ?」

 

「んぐ、んぐ……ぷはぁ♪んーとね、ペコラしゃんがお前がこの世界を自分の好き勝手にする悪い神羅族だって言ってたの。神羅族の力は世界を良くする為にあるからそんな事しちゃダメなの!」

 

ペコラ?また俺達の身内と同じ名前の奴が出てきたな。もしかしてだが、こいつはそのペコラの言う事を全部鵜呑みにして俺を悪人だって決めつけてるのか?

 

「レイさんが世界を支配って……」

 

「そんな事するワケないじゃん。玲二様は何時だって余達の事を守ってくれる素敵な旦那様だ余」

 

「そんな玲二さんを陥れようとするなんて、ぺこらサイテー」

 

「フレアなんでこっち見て言うぺこ!?ぺこーらが師匠を陥れるワケねーぺこだろうが!?嘘ついたのは神羅族のペコラでしょうが!」

 

「……まぁそれは良いとして、お前がそのペコラって奴に何を吹き込まれたかは知らねぇが俺は自分の家族や仲間に危害を加えようとする奴には容赦しねぇが、この世界を自分の物にしようとなんて微塵にも思った事はねぇよ」

 

「え?そ、そうなの……?」

 

俺や周りの皆の言葉にアクアは思ってた感じと違ったのか少し困惑した様子を見せる。それだけこいつの中では俺は極悪人ってイメージだったんだろうな?

 

―シュンッ!―

 

「……ペコラがアクアと接触してたから嫌な予感はして戻って来てみたけど、どうやら大丈夫そうだね?」

 

「ん、オカユか?」

 

「あ、オカユしゃん!」

 

そんな中アクアの気を察したのかオカユが転移して現れ、仲間を見つけたアクアは嬉しそうにオカユの元へと向かっていく。

 

「オカユしゃんもこの世界に来てたの!?」

 

「まあね。私はソラさんに頼まれて彼の護衛をしてるのよ」

 

「ソラしゃんの!?で、でもこいつって神羅族の力を悪い事に使う奴だって……!?」

 

「…………アクア、君は一体何回ペコラに騙されれば学習するの?あいつは彼を捕まえる為に君を利用しただけだよ」

 

「ふえぇッ!?そ、そうなの?!私、また騙されたの?!」

 

あぁ、どうやらやはりペコラがこいつに言った事は嘘八百だったって事か。にしてもアクア、お前騙されるのこれが初めてじゃないんかい?

 

「全く、君が純粋で無邪気なのは知ってるけど、もう少し人を疑う事を覚えた方が良いと思うよ?」

 

「うぅ~……だってソラしゃんや『ココ』しゃまが人を疑う事はよくないって……」

 

「……ま、そんな純粋無垢な所が君の良い所でもあるんだけどね?」

 

騙されて落ち込むアクアにオカユは頭を撫でて落ち着かせる。というか今また新しい名前が出てきたけど、今度はココかよ?ってそんな事よりもまたいろいろと聞かなきゃいけない事が増えたな。

 

「なぁオカユ、お前はペコラって奴がなんでこいつを騙して俺にけしかけて来たか分かるか?」

 

「うん、大体は想像つくよ。彼女はね、明確にソラさんと敵対している神羅族の一人なんだよ」

 

「敵対!?神羅族のソラちゃんに?!」

 

「うん、正確には彼女はソラさんに対立している神羅族の集まり、『マリン』が率いる革命派の派閥に属しているんだよ」

 

……また新しい名前が出てきたな?今度はマリンか。けど革命派って一体どういう意味なんだ?

 

「私達神羅族は今は三つの派閥に分かれているの。一つは私達が属するソラさんが率いる穏健派。もう一つはマリンが率いる神羅族による新たな世界を作ろうとしている革命派。そして最後にそのどちらにも属さない中立派がいるんだよ。前に君の事を狙ってる奴等がいるって言ってたのは殆んどがその革命派の連中だね」

 

「へぇ、神羅族って全員がソラって人に従ってるワケじゃないんだね?」

 

「あれ?でも革命派が殆んどって言ってたけど、穏健派とかも玲二さんを狙ってたりすんの?」

 

「うん、とはいえ穏健派が彼を狙ってるというかは彼に興味があって近づこうとする人が殆んどだね。私もその内の一人だし♪」

 

そういう事か。だがこれで俺を狙ってるのがその革命派というのが分かったな。肝心の目的なんかは分かんないままだが……

 

「それで、お前達の仲間である穏健派と対立している革命派、そして残りの中立派では一体どういう奴等がいるんだ?」

 

「んーとね、私の知る限りだとソラさん率いる穏健派はココさんとアキさんとボタンさん、それにコロネさんにそれとフレアとアクアだね。そして革命派はマリンとペコラとネネが確認取れたけどそれ以外にもまだいるみたい。中立派は今のところスバルさんとルシアの二人かな?」

 

「あれ?意外とメンバー少ないんだね?」

 

「まぁあくまで私が知っている限りのメンバーだけどね。私達は集まる時は基本的にフード被ってお互いの顔が隠れて見えなくなってるし、他にもメンバーはいるけど話した事もないから名前くらいしか知らない人もいっぱいいるよ」

 

「多分全ての神羅族を把握してるのはソラしゃんとソラしゃんから継承の儀を受けたココしゃまだけなの」

 

成る程な……つまりはこの二人ではまだ今いる神羅族を全てまでは確認出来ないワケか。なら神羅族のソラに直接会って確かめる必要があるか。

 

「なぁオカユ、お前達のリーダーであるソラに会わせてもらう事は出来るか?」

 

「無理。ソラさんは基本的に次元観測門って場所にいて其処にはソラ様から呼び出しを受けた者しか入れないようになってるの」

 

「次元観測門?なんなのそれ?」

 

「私達神羅族が管理している世界を全て見る事が出来る門なの。私達が何か問題起こした場合はその門がソラしゃんに伝えてくれるの」

 

成る程、つまりは見張り窓みたいな物か。という事はソラから呼び出しがない限りは其処にはいけないという事か。もう少し詳しく聞きたかったんだがな……

 

「それにしてもあのペコラに何度も騙されるなんて、ウーパールーパーから進化したからこんな純粋無垢になっちゃったのかな?」

 

「うぅ~!馬鹿にしないでなの!」

 

「…………え?ウーパールーパーから進化したって、どういう事なの?」

 

「ん?あー、アクアはココさんから継承の儀を受けたんだけどそれまでは唯のウーパールーパーだったんだよね〜」

 

『ウーパールーパァーッ!?』

 

「むぅ〜!オカユしゃんだってボタンしゃんから継承されるまでは唯の子猫だったクセになの!」

 

「子猫ぉッ!?」

 

ど、どういう事だ一体!?こいつ等元は人間じゃなかったのか?!

 

「ね、ねぇ、もしかして二人とも元々人型じゃなかったの……?!」

 

「うん、私もアクアも元は何処にでもいる子猫とウーパールーパーだったんだ〜♪それぞれココさんとボタンさんと出会って継承の儀を受けてこの姿になったんだよね〜♪まぁ神羅族には別に珍しい事ではないみたいだけどね」

 

そうなのか!?つまり継承の儀は別に人間、もしくは人型じゃなくても継承する事が出来るのか!つまりぽよ余とかに力を継承したら……いや止めとこ。絶対に面倒な事にしかならん。

 

「…………ッ!そうだ、ねー私そっくりの君〜」

 

「え、僕?」

 

「そーそー、ちょっとこっち来てきて〜♪」

 

「?」

 

?オカユの奴、おかゆを呼んで何するつもりなんだ……?

 

「えっと、何するつも「えい♪」―ビカァーッ!―うえぇ!?」

 

な、なんだ!?オカユがおかゆの額に指を当てたと思ったら急に光った!?ま、まさかこれって……!?

 

「…………はい、これで君も私達の仲間入り〜♪」

 

「え、えぇぇぇぇ!?な、なんかめちゃくちゃ力が湧いてくるんだけど……!?」

 

「オカユ!お前まさか……!?」

 

「うん、彼女に継承の儀をしたんだ〜♪これで彼女も私達と同じ完全な神羅族、しかも君の力と私の力が合わさったハイブリッドな神羅族だよ〜♪」

 

やっぱりか!?ていうか継承の儀ってそんな簡単なモノなのか!?もっと厳しい段階とか試練があるかと思ったんだが!?というか何しれっとおかゆを神羅族にしてんだよこいつは?!

 

「オ、オカユしゃん!?そんな簡単に継承の儀をしたらダメだってココしゃまが……!?」

 

「良いんだって、それに彼が狙われている以上彼の力になる存在が増えるのは問題ないでしょ?だからアクアも誰かに力を与えてあげなよ♪」

 

「う、うぅ~……わ、分かったの。じゃあ其処にいる私そっくりな娘にするの」

 

「うぇ!?あ、あてぃし!?い、いいい良いよあてぃしは別に「えいなの♪」ちょっとぉーーー!?」

 

―ビカァーッ!―

 

あくあの抵抗も虚しくアクアが額に指を当ててあっさりと継承の儀を終わらしてしまう。これでおかゆに続きあくあも完全な神羅族になってしまったのか……

 

「う、うおぉぉぉぉ〜!?なんかあてぃし、今なら不眠不休でAP○X出来そう……!?」

 

「いや神羅族になってやる事それってショボくない?」

 

「神羅族になってもゲームって流石あくたんだね?」

 

「いやそうだけど……けど継承って事は二人に力を与えたって事だがそれでお前達はどうなってしまうんだ?」

 

「ん〜?どうもしないよ。神羅族は元々無限のエネルギーを持ってるから力を与えたところで結局また力が溜まるし」

 

あぁ、じゃあ結局継承した方も引き続き神羅族でいられるんだな?なら俺が継承しても問題ないならフブキに継承しておくか。

 

「じゃあじゃあ!次はねね達も神羅族に「それは無理だよ」えぇッ!?なんでさぁ〜?!」

 

「神羅の理、神羅族が継承の儀を行う事が出来るのは五百万年に一度だけ。一度誰かに継承すると次に出来るのは最低でも五百万年は待たないといけないんだよね」

 

「そうなのか?じゃあ俺はまだ誰にも継承する事は出来ないという事か……」

 

「ん〜、まぁそうだけど君の場合は特殊なんだよね?だって君と交わった事のある娘が神羅族の力を得るなんて、今までそんな事例なんて一度たりともなかったからね。いやぁ~それにしても結構前から見てたけど、君のアレって結構凄いんだね〜♪」

 

…………そう言われたらなんか恥ずかしいんだが?皆も顔真っ赤にして伏せてるし。アクアは何の事言ってるのか分かってなさそうな顔してるけど。

 

「………とまぁ今日はこんなところかな?じゃあ私達はそろそろ失礼するね♪ほらアクアもそろそろ帰るよ」

 

「うぅ~、クレープもっと食べたかったのぉ……玲二しゃん!またお菓子食べに来るからね!またねなの〜♪」

 

二人はそう言うと転移して何処かへと消えていってしまった。まだ聞きたい事があったが、取り敢えずある程度の事は聞けたから良しとしよう。それよりも……

 

「なぁおかゆ、あくあ、身体の方は大丈夫なのか?」

 

「んー……なんか全然大丈夫。というか今まで溜まってた疲れとかが一気に吹き飛んで逆に元気な感じだよ〜♪」

 

「あてぃしも!今なら一週間耐久配信しても余裕なくらい!」

 

「いやそれは倫理的にアウトだから止めてくれ……まぁ取り敢えず一応博士の所に行って検査を受けてもらおうな」

 

「「はーい♪」」

 

こうしてオカユとアクアの継承の儀によって完全な神羅族になってしまったおかゆとあくあ。後の検査でも俺と同じく無限の力が安定して扱えているので取り敢えずは問題ないらしい。何はともあれ一先ずは安心かな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………そうですか、彼の妻達に継承の儀を」

 

「うん、これで一先ずは革命派も下手に手出しは出来ないと思うよ」

 

「そうですね。それとアクア、人を疑うのは良くないとは言いましたがあれ等は例外です。それに敵対しているペコラが私に会うなどあり得ないでしょう?」

 

「うぅ~、ごめんなさいなの……」

 

時は少し経って次元観測門、其処ではソラがオカユとアクアを呼び出し状況報告を受けていた。ソラに怒られアクアは少し悄気げていたが、ソラは続けて話をしていく。

 

「…………オカユ、時が来たら彼をスバルの世界に連れて行ってください」

 

「え!?あの監獄世界に!?どうして?!」

 

「…………彼なら彼女を開放してくれるかもしれません。私の親友である『スイセイ』を………」

 

「ス、スイセイ!?スイセイってあの、自分の管理世界を含めて18の世界を滅ぼした破滅の神羅族って言われてる……!?」

 

「う、噂には聞いていたけど本当にいたなんてびっくりなの……!?」

 

「えぇ……彼女はその罪を償うと言ってこの三億年間ずっと監獄世界の最下層に自ら収容されています。そんな彼女を、彼ならもしかしたら……」

 

「で、でもそれってあの頭が固いスバルさんが許すと思えないんだけど……?」

 

「……スバルには私が伝えておきます。ですが彼も自分の世界でやる事があるようなので少し間を置いてから頼むとしましょう」

 

新たな神羅族、スイセイ。18の世界を滅ぼしたとされる破滅の神羅族は玲二とどう関わってくるのだろうか?それはまだ少し先の話である……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃……

 

「…………チッ!やっぱ頭空っぽのウーパールーパーじゃ役に立たないわね。これだから穏健派の奴等は嫌なのよ」

 

「そう怒るなってペコラ、怒るとまた髪の毛白くなるぜ♪」

 

「これは元から白いの!巫山戯るのも大概にしなさい『ネネ』!」

 

「そんな事言ってる場合じゃなくね?オカユとアクアの奴、あのイレギュラーの身内にいた自分に似た奴等に継承の儀をした所為で余計に手出し出来なくなったんじゃね?」

 

「『トワ』の言う通りだわ。あの子猫上がりの若輩者がこんな面倒な事をしなければスムーズにイレギュラーを捕まえる事が出来たかもしれないのに……!」

 

「落ち着きなさい。穏健派の奴等が何をしようと我々がやるべき事には変わりはないわ……次はカナタ、貴方が行きなさい。表向きは穏健派の貴方ならソラも怪しむ事はないと思うわ。そして奴は今自分の世界で大々的な催し物を行うつもりだから、それに潜入して奴を引きずり出すのよ」

 

「はーい♪ふふ、やっと彼に直接会える♪新しい世界の為にも、まずは彼を僕の色に染めてあげないとね……♡」

 

薄暗い空間に浮かぶ複数の席に座り怪しげな話し合いをする謎の集団。どうやら彼女達がオカユのいう革命派のようだが、一体何をするつもりなのだろうか…………?




はい、という事で神羅族の対抗図についての説明回でした!現状では玲二を本格的に狙ってるのが革命派で玲二を守ってくれてるのが穏健派といった感じです。そしてしれっと完全な神羅族にされたおかゆとあくあ、はたして今後どうなってしまうのか……?

次回はいよいよGWDWCの予選についての内容を発表したいと思います!次回もまったりと待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第156.5話『GWDWC詳細発表』

知り合い「このホロライブとガンプラの組み合わせってジャンル、漫画で読めたら良いよな〜……描かない?」

自分「描けるワケねーだろ」

自分には絵心ないからそういうのは脳内補完してくれと思いました。自分はこうやって文字をポチポチ打ってる方が性に合います(^_^;)

今回はGWDWCの詳細発表!はたしてどんな内容が待っているのだろうか?今回も最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


「遂に今日はGWDWC予選と本戦の内容が公表される日だね」

 

「うん、この日を待ち望んでいたバトラーは沢山いるからね。玲二君曰く参加希望者は5000万人以上いるみたいだけど、その中で本戦には一体どれだけのバトラーが残れるのかな?」

 

「それに使用出来るキットも重要になってくるよね?多分殆んどは大丈夫だとは思うけど……」

 

大会開催まで残り三週間。フブキ達はこれから発表される大会の詳細発表に内心興奮しながらその時を待っていた。

 

「確か公式ページ以外にもメルマガとかでも配信されるんだよね?」

 

「うん、その予定だった筈だよ。それにしても玲二さんやるしあちゃんは既に知ってるんだから教えてくれたって良かったのに?」

 

「それしたら不平等になっちゃうからって事でしょ?あたし等はレイっちに近い分そういうのは余計に気を遣わないといけない立場なんだからさ」

 

「まぁそれも後数分すれば皆分かる事なんだし別に良いじゃん♪」

 

大会に関わる者に近いからといって安易に情報を漏らすわけにはいかない。そう分かってはいるもののやはり一足先に情報を知りたかった者もいるようだ。だがそれも後数分で詳細が明らかになるので問題ない。

 

「それにしてもおかゆ、本当に運営サイドに回って良かったの?おかゆだってこの大会楽しみにしてたのに」

 

「うん、だって今の僕が出ちゃうと神羅族の力で勝ち進んだって思われちゃうからね。そう思われても嫌だから今回は運営側に回る事にしたよ。あくあちゃんも裏方に回るって言ってたし、僕達は陰ながら皆を応援するね♪」

 

どうやらおかゆとあくあは前回完全な神羅族になった影響で今回の大会を辞退する事にしたようだ。はっきり言えば玲二と同じ力を持った今のおかゆとあくあならその力で最強のガンプラを作り上げ優勝するなんて容易である。勿論そんな事はしないが、そう思われても仕方ない状況な為、故におかゆとあくあは大会参加を辞退したのだ。

 

(…………それに僕はもう皆にあんな思いをさせるワケにはいかないからね)

 

………そして、おかゆにはもう一つ辞退した理由があった。それはかつて別の世界線で起きた戦い。今でこそ最愛の夫となった玲二を取り合う戦いがあった世界線の記憶が蘇ったのである。その世界線で彼女は玲二に対するあまりにも強い独占欲に支配され今まで共にしてきた仲間達と敵対していた。

 

勿論この世界で行われる大会とは内容も状況も違うし、今でこそ皆と一緒に愛する人と結ばれた事もありあのような状態にはならないと分かっている。しかしおかゆにとってあの世界線で仲間達にした事は決して許される事ではない。だから自分はもうこうした大会には参加しない、そう強く決めたのだ。

 

「…………ほら、そんな事よりもうそろそろ大会の詳細が出たんじゃない?」

 

「え?あ、ホントだ!早速見なきゃ!」

 

おかゆに言われ大会の詳細が発表される時刻になった事に気づく一同。慌てて公式ページを開いたり届いたメルマガを開き大会の内容を確認していく。その詳細が、これだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガンプラウォーズディメンショナルワールドチャンピオンシップ

詳細一覧

 

一次予選会開催日

2024年1月7日〜2024年3月31日

予選内容

セブンズミッション

指定された七つのミッションを全てクリアした者に二次予選への進出を認めます。ミッションの内容は以下の通りです。

 

・ストーリーミッション『目覚めし厄祭』

火星のハーフメタル鉱山で見つかった厄祭戦の遺物『ハシュマル』が突然再起動した。直ちに現場に向かいこれを沈静化せよ!

※出撃制限:ビーム兵器使用不可

 

・ストーリーミッション『この世の果てへ』

ラプラスの箱を強奪しようと企むフル・フロンタル。彼の駆る『ネオ・ジオング』を速やかに撃破せよ!

※出撃制限:宇宙世紀仕様の機体のみ

 

・エクストラミッション『極限の更なる彼方へ』

全てのガンダムのデータを吸収し誕生した『エクストリームノヴァガンダム』が突如暴走を起こした。データを保護する為に撃破せず暴走を止めよ!

 

・探索ミッション『プチッガイのおたからさがし』

ベアッガイIIIの子供のプチッガイが自分のおたからを何処に隠したか忘れてしまった。千個ある宝箱の中から制限時間内におたからを見つけてあげよう!

※出撃制限:武器使用禁止

 

・レースミッション『飛ばせ!爆走暴走族!』

市街に突如現れた暴走族『殺駆ローダーズ』。そのヘッドである『抹覇殺駆』との一騎打ちレースに勝利せよ!

 

・クイズミッション『ガンダムグランドクエスチョン』

ガンダムに関する一万通りの問題からランダムに出題。制限時間内に十問答えよ!

※ガンプラ不要

 

・フォーカスミッション『未確認の機体……?』

最近ガンプラウォーズのエリア内に謎の白い影が現れるとの噂が……?その姿をスクリーンショットに納めよ!

 

 

 

 

二次予選会開催日

2024年4月1日〜2024年6月30日

予選内容

ランキングバトル!

一次予選を突破したバトラーのみ参加可能。期間内にポイントを貯めてランキング上位を目指せ!

ポイント割当

イベントクリア 10P

対人戦バトルクリア

ゴールド 5P

プラチナ 10P

ダイヤ 20P

ガンダリウム 100P

※同じ相手からポイントを得られるのは一週間に一度である。

 

 

 

 

本戦

開催日

2024年8月

開催予定地:ホロライトシティドーム

参加人数:予選会上位者+ガンダリウムランカー 計256名

本戦参加可能機体

1/144サイズ、またはSDタイプがベースの機体で本戦では三機まで使用可能。

本戦は全てトーナメント形式で行われる。ガンダリウムランカーはこの時点から参戦する。最後まで勝ち進み見事に優勝した者が初代GWDWCチャンピオンの称号を得る!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……な、なんだか凄いミッションが多いですね……?」

 

「ハシュマルにネオ・ジオング……どっちもガンダムの物語の中でも厳しい戦いだった災厄級のミッションだね」

 

「それ以外のミッションもかなり厳しいものばかり……此処である程度の振るいに掛けるつもりみたいね?」

 

一次予選の内容を見て驚愕する一同。今までいろんなミッションを行ってきたから分かるのだが用意されたものがどれも一筋縄ではいかないものばかりである。並のバトラーではまず突破は難しいとされるハシュマルやネオ・ジオングは勿論、知識が問われるクイズや集中力が問われるフォーカスミッションまであるので生半可では全てのミッションのクリアは困難であろう。

 

「更には二次予選、こっちがかなり厄介だわ。ポイント制によるランキングバトル……これはどう効率良くポイントを稼ぐかでランキングの上位に入れるかが決まるでしょうね」

 

「え〜、でもスバル達の身内には三人もガンダリウムランカーがいるんだからその人達とバトルすれば「それは現実的に無理だよスバル」え、ミオしゃなんで?」

 

「忘れたの?ガンダリウムランカーは予選を免除されているんだよ。つまりみしろちゃんや社さんがウチ等と戦う理由がないんだよ。そうでなかったとしてもガンダリウムランカーはずば抜けた強さを誇る最強のバトラー。そんな人達相手に簡単に勝てると思う?」

 

「そ、そっか、そうだよね……」

 

予選を免除されているガンダリウムランカーが本戦前に戦うのは手の内を晒すのと同意義。なので予選会期間で彼等が一般のバトラーと戦う意味は殆んどないだろう。仮にあったとしてもガンダリウムランカーを倒すにはそれなりの技量とプラモの制作技術が求められている。高得点を取れるからとガンダリウムランカーに固執してはランキング上位に入るなど夢のまた夢である。

 

「そして本戦に使用出来るのはやっぱHGやRGクラスの機体みたいだね。それも三機まで使用出来るみたいだけど……」

 

「これも本戦に向けて機体を新調すべきだね。どんなフィールドで対戦する事になっても良いようにしないと、フィールドとマッチせずに負けてしまう可能性もあるよね?」

 

そして本戦に進んだ場合も強豪ばかりが集まる以上機体を新調する必要がある。予選終了から本戦まで一ヶ月の猶予はあるのでそれまでに機体を仕上げる者が大半だろう。

 

「……でもそれもこれもまずは予選をクリアしないと。後の事は後で考える!来年は皆で悔いのないように全力で駆け抜けよう!」

 

「うん!きっと私達なら出来る!目指せ、GWDWC優勝!」

 

『オォーーーーーーッ!!』

 

何はともあれ本戦を目指す為にもまずは目の前の予選をクリアする事が大事だ。フブキ達は本戦に参加出来るよう今から準備を始めるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇリッくん、玲二さんから手紙が届いてるんだけど」

 

「玲二さんから?なんだろう…………ッ!GWDWC!?ガンプラウォーズ最強を決める大会に招待だって!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「GWDWC、玲二さんの世界の強豪達と戦えるのか!」

 

「フミちゃん、これは……」

 

「うん!私達に招待状をくれたなら参加しない理由はないよ!セカイ君、ユウ君!皆で一緒に優勝を目指しましょう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………GWDWC。最強のバトラーを決める祭典とは、あの人もかなり本気みたいだな?」

 

「よっしゃあ!これは俺達も参加するしかねぇな!」

 

「はい!僕も新しくなったモルジアーナと一緒に出たいです!」

 

「あぁ、私達ならきっと良いところまでいけるだろうな」

 

 

玲二によって異世界のバトラー達に招待状が送られていき、受け取った多くのバトラー達が優勝を目指し参加を決意し世界を渡ってくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ、これって……?」

 

「リオ、どうかしたのか?」

 

「あ、師匠!なんかこんな手紙が来て……」

 

 

そして招待状は期待のニューウェーブにも届き、更に……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……フッ、異世界のガンプラバトルか。面白い」

 

「お、参加してくれるか?それなら、これを渡しとくよ。ガンダリウムランクのIDだ。あんたクラスなら本戦進出は当然だからな、『メイジン』」

 

「良いだろう。メイジン・カワグチの名にかけて、そのGWDWCという大会に参加しようではないか!」

 

ビルドワールドで最強バトラーの一角とされる男にも玲二直々にガンダリウムランクのIDが渡された。

 

異世界を巻き込み最強を決めるGWDWC!はたして強豪達を退け勝ち上がり優勝するのは、誰だ!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……まぁ船長はどーせ参加出来ませんけどねー?」シルバー3

 

「……アンちゃんには予選すら無縁だからねー?」シルバー2

 

「あ、マリンとアンジュが端っこで拗ねてる」

 

「まぁ二人ともランク低いからな〜」

 

そもそも参加資格がないからと拗ねてるマリンとアンジュ。まだ期間はあるのだからもう少し頑張ってもらいたいものだ。




はい、という事で以上がGWDWCの内容となります!来年からはこのスケジュールに沿って書いていこうと思います!そして異世界からも参加者が集まっていき誰が優勝するのだろうか?

次回はプチ旅行回!玲二と拓哉、そしてそれぞれの奥さん数名と温泉に行きます!次回もまったりと待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第157話『大会前の一時』

久しぶりにスターゲイザー見たんですが……やはり人の○に方がエグすぎる……(;´Д`)そしてそれを見てストライクノワールを作りたくなったのですが……MGもHGも何処にも見当たらない(T_T)

今回は大会前の休息回!玲二達が温泉街に行くようで……今回も最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


「ん~~……ハァッ!久しぶりに数日間の休暇が得られたな」

 

「そうッスね。特に先輩なんてGWDWCの運営しながら他にも仕事してますからね」

 

「それににじさんじの面々のケアとかもしてくれてるし、ホント玲二には感謝しかねぇな」

 

まぁな。けど年末に向けてやる仕事はこれで全部終わったから漸くゆっくり出来る。

 

俺と拓哉、そして築と共に草津の温泉街へとやって来ていた。年末に向けての仕事が一段落し、こうして疲れた身体を癒やす為の旅行としてやって来たんだ。一応神羅の力を使えばリフレッシュなんてすぐ出来るけどそれだと風情がないからな。やっぱ疲れを癒やすなら温泉だろ。それに

 

「いやぁ~温泉なんて久々だね〜♪」

 

「ひまも此処来てみたかったから嬉しいな〜♪」

 

「せやな〜♪ほんま拓哉や佐々木さんには感謝やな♪」

 

「えぇ、レイジもダーリンも頑張ってくれてるからこうしてゆっくりとオンセンに入れるしね♪」

 

「これこれ、今回は築も頑張って払ってくれたんだからちゃんと感謝せんと」

 

今回は俺の妻からはひまわりと魔界の魔女『ニュイ(旧姓:ソシエール)』が、拓哉の妻からはとことアメリアが、そして築の妻であるファイアードレイクの『ドーラ』が一緒に来てくれた。皆大っきくなったお腹を優しく撫でながら嬉しそうに談笑している。

 

「そう言えばひまちゃんもニュイニュイもGWDWCには参加せんのやな?」

 

「うん、ひまもニュイニュイも作る専やし、ひま達は来月にはこの子達が産まれるしね♪」

 

「そっか〜。でもホント意外よな?ひまちゃんは兎も角あのニュイが玲二と結婚するなんて」

 

「ま、まぁそれは玲二さんの優しさに惹かれたって感じだからね〜。あ、アハハ……///」

 

……よく言うよ、最初にあった時なんて……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、はじめまして、佐々木といいます」

 

「あ、はじめまして〜ニュイ・ソシエールでーす(へぇ、この人が皆が夢中になってる佐々木さんか……そうだ、社さんの時みたいにちょっとからかってやろ♪)……あ、あの、あんまりジロジロ見ないでもらえます?///」

 

初めて事務所で対面した時、ニュイはかつてやしきずに対してやったスケベな目で見ないでくださいという感じで胸を隠すポーズをとった。これで大概の男はムキになって見てないと主張するが……

 

「……すみません、そんなつもりではなかったのですが気に障ったのなら謝ります。気を悪くしてしまい申し訳ありません」

 

「えッ!?」

 

流石というか其処は玲二、ニュイが気を悪くしたと思い頭を下げて謝罪したのだ。思いもしなかった態度にニュイは……

 

(え?え?なんでこの人謝ったの?え、私おフザケのつもりだったのに普通に大人の対応されたんですけど?!これ私恥ずかしいじゃん!?というか今思ったけどこの人めちゃくちゃイケメンじゃん!///私こんな大人なイケメンにあんな事してめっちゃ恥ずかし過ぎるんですけど!?えと、えーと……!?///)

 

「あ、あの、その、すみません!……あ、ああ、あの……良かったら揉みます?///」

 

「何がッ!?」

 

あまりにもテンパってしまいワケの分からない事を言ってしまい玲二を困惑させてしまうニュイであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………まぁこれは本人の名誉の為に黙っておくか。

※実際にはその場にいたフレンによってにじさんじの皆に知れ渡ってます。

 

「それよりもとこちゃんやドーラも結構お腹大っきくなったよね〜?」

 

「まぁファイアードレイクも龍人族の一種だから卵として産まれてくるみたいだからどうしても少しは大きくなってしまうんじゃ」

 

「ココ会長もさくらちゃん産んだ時は股が裂けるかと思ったって言っとったし、やっぱり龍人族の出産って大変なんやなぁ?」

 

「だからこそ出産までのメンタルケアとかもしっかりしないといけないんだが、その辺はちゃんとしてやってあげてるか?築」

 

「当たり前だ、これでも家事とかは殆んど俺がやってるしな」

 

ん、ならいい。それに拓哉も漸く他の嫁さんと子供を作る気になったみたいだし、社家も神代家もこれからもっと賑やかになりそうだな……まぁ今は取り敢えず温泉でしっかり癒やされて来年に向けて頑張るとするか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………ふーん、あの転生者くん一号は例の新米神羅族くんと仲良さげだね?wまぁ転生者くん二号は失敗作だったし三号はガンプラとかいうおもちゃに夢中だしで役に立たないから、彼には新米くんの事をしっかり見張ってもらわないとね〜www」

 

玲二達から少し離れた場所の上空から玲二達を観察するかのように眺めている黒コートの女性。彼女はケラケラと笑いながらその場から静かに消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―ザバァーーー……カポンッ―

 

「はあぁ〜、良い湯だなぁ〜♪」

 

「いやおっさんかお前は?俺等の中で一番若いくせに」

 

「いやいや先輩、久しぶりの露天風呂付きの大浴場ですよ?これは否応にもテンション上がりますって♪」

 

「確かに、神羅城にも大浴場があるけど向こうには露天風呂がないからな」

 

まぁ露天風呂なんて作ったらどっかの盗撮魔とかが写真を撮ってく心配があるからな。にしても……

 

「拓哉、お前また体格が良くなってきたな?また兄貴にしごかれたのか?」

 

「ま、まぁそうッスね。師匠には本当に感謝してますよ。お陰でそこら辺のチンピラ程度なら軽くねじ伏せられますから」

 

「そっか。ところでお前には武器生成の能力があったよな?今はどれだけの物を生成出来るようになったんだ?」

 

「うーん……ビームサーベルやビームライフルなら生成出来ますが、スーパーヒーローが扱う武器とかはまだ無理ですね。あれはそもそもどういう感じで出来てるのかが分からないんで」

 

確かに武器生成と言ってもその本質を理解しないと作ろうにも作れないか。けどこの世界でそんな物作る必要はないからあくまで護身用の武器さえ作れれば問題ないだろう。

 

「そういや玲二、来年になったらホロライブのメンバー殆んどが神羅城から出ていくって聞いたんだけどどうしてなんだ?」

 

「ん?あぁ、それはGWDWCの本戦を目指す為なんだと。ホロライトシティには多くのバトラーがいるがその中だけで戦うっていうのは効率的に悪いからいろんな地域にいっていろんなバトラーと戦うって事さ」

 

実際に世界中にはまだまだ強いバトラーが沢山いる。中にはランクを上げてないだけで実力ではガンダリウムランクに等しい奴だっているだろう。ランキング上位に上がる為もあるが、いろんな場所にいる強豪達とのバトルをするのも経験を積む意味でも良いしな。

 

「へぇ、つまり六月末までは戻らないって事か?」

 

「いや、定期的に戻っては来るらしい。けど殆んどは実家だったり地方で泊まったりしてくるから大半は殆んどいないってところか」

 

いるとしたら辞退したおかゆとあくあ、それから予選に参加出来ないメンバーくらいだな。今のところ残りそうなのはホロメンだとマリンとみことはあと、後はラプラスくらいか?はあとは実力だけで言えばプラチナクラスだが先月まで長い療養期間があった所為で殆んど遊べてなかったから仕方がないが、マリンとみこに至っては……まぁ人には得意不得意があるから仕方がないってとこだな。

 

それ以外ならういとたまき、後はにじさんじでは今年出産した娘や今絶賛子育て中の娘達だな。レインも出たそうにしてたが産まれたばかりのラインを放ったらかすワケにはいかないので泣く泣く辞退したしな。

 

「そういう築はどうするんだ?ガンダリウムランカーだから皆みたいに遠征する必要はないとは思うが」

 

「まぁ俺はホロプラで特訓しつつそれ以外はドーラと一緒にいるさ。子供が産まれる瞬間に近くにいてやれないなんて可哀想だしな」

 

「言えてるな。で、拓哉のところはどうなんだ?」

 

「俺のところは青と蝶美ちゃんが参加する予定です。それとハコスが参加したがってましたが最近始めたばかりなので多分間にあわないと思います……」

 

あー、あいつは他の皆みたいにガンプラに対する興味は薄かったからな。というかあいつが参加したかった理由って多分賞金目当てだろうし……今更だが賞金一億円はやりすぎたか?

 

「ハコスについては仕方ないって事で諦めてもらうしかないな。さて、そろそろ上がるとするか」

 

「そうだな、少し長湯した所為かちょっとのぼせたかもな……」

 

「気づけば結構長く入ってましたからね……」

 

結構長く話をしてた所為か少しのぼせてしまって三人とも顔が真っ赤になってしまった。少し夜風に当たってから中に戻るとするか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、女湯では……

 

「ふぃ〜……神羅城の大浴場もえぇけど、やっぱ露天風呂も最高やな〜♪」

 

「こらひまちゃん、恥ずかしいからお風呂で浮かぶんじゃないって」

 

夜空に浮かぶ星を眺めながら湯船で浮かぶひまわり。たわわに実った胸とぽっこり膨らんだお腹で三つの島が浮かんでいるようにも見えるが、当然はしたないとドーラに怒られてしまう。

 

「それにしても今日てっきり栄ちゃんも来ると思ってたのにどうして来なかったの?」

 

「あー、栄ちゃんなら今頃社長に押し付けられた仕事に追われてるわね」

 

「なんか最近佐々木さんと拓哉に任せっきりだったんだから皆も頑張るぞ!って事で年末までの仕事を一気に終わらせとるんやと」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃……

 

「あぁ今頃たっくんととことアメリアが温泉にゆっくり浸かってるだろうけどなんで私はこんなところでこんな事してなきゃならないのかしらね〜……?」

 

(こ、怖いですぅ〜!?支部長助けてくださいよぉーーーッ!!)

 

社長に仕事を押し付けられ鬼の形相で仕事を淡々と行う栄ちゃんに恐怖するのどかであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あー、なんか想像したら恐ろしいわね……」

 

「まぁでもそれはにじさんじも同じようなもんじゃし、此処は時期が悪かったって事で諦めるしかないな」

 

今頃恨み辛みを垂れながら仕事をする栄ちゃんを想像して苦笑いするしかない一同だった。

 

「そう言えばホロライブでは殆どの娘が本戦出場に向けてホロライトシティを離れて修行するみたいだけど、にじさんじにもそういう人はいるのかしら?」

 

「ん〜、多分いないかな?ひま達玲二さんのお嫁さん組は殆んど妊婦だったり出産して間もないから殆んど子育てとかで大変になっちゃうし」

 

「築や葛葉はガンダリウムランカーだから本戦出場は決まっとるから築は本戦まではわしと一緒にいてくれると言ってくれたし、葛葉や他の皆も殆んど島に残る事になりそうじゃのう」

 

実際に玲二の嫁になったにじさんじ組は婚約者とアンジュを除けばみんな妊娠中か産後間もなくな状態なのでとてもではないが参加は出来ず、それ以外の娘や男性陣も特に本土に出るつもりはないようなのでそのままホロライトシティに残る人の方が多そうではある。勿論何人かは修行の為に出ていくかもしれないが、それも今の所は未定である。

 

「そっか、暫くの間神羅城が寂しくなると思ってたけどそんな事はないわね。私達EN組や今度くるID組も今回は参加しないから自分達の家にいるつもりだしね」

 

「そうね。それにホロメンが多く離れている間に私達にじさんじ組が玲二さんに沢山甘えるから淋しい思いはさせないだろうしね♪」

 

「……ニュイ、意外としたたかじゃのう?」

 

大会には参加出来ない分しっかりと玲二に甘えようとするニュイやひまわりを見てちゃっかりしてるなと苦笑するドーラであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから皆で風呂を出て食事を終えて部屋で休んでいると……

 

「……………………」

 

「?先輩、一体どうしたんですか?ずっと外を眺めていて……」

 

「いや、ちょっとな…………おい、さっきからずっと見ているの分かってるぞ。そろそろ姿を現したらどうだ?」

 

『…………え?』

 

俺は部屋の窓から外を眺めていたんだが、外にいる()()に向かって声をかけた。拓哉達はいきなりの事でポカンとしているが……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―……シュンッ―

 

「アッハハ〜wやっぱ気づいてたか〜?w結構上手く隠れてたつもりなんだけどな〜w」

 

『え!?』

 

突然部屋の中に黒コートの女性がケラケラ笑いながら姿を現し、突然の登場に俺以外の皆がびっくりしてしまっていた。

 

「な、なんだこいつ!?」

 

「も、もしかしてこの人、前にフブキちゃん達が言ってた玲二さん以外の神羅族!?」

 

「あぁ、多分な。で、お前は一体何者だ?なんで俺達を監視するかのように遠巻きで見ていたんだ?」

 

「あーゴメンゴメンw別に不快な思いをさせるつもりはなかったんだよwあ、そうそう名乗り忘れてたwボクは『フレア』って言うんだ、よろしくね〜www」

 

フレアと名乗る女性はフードを下ろすと、確かにその顔はフレアそのものだった。髪の色はくすんだ黄色っぽくて瞳は赤く輝いているという違いはあるがそれ以外はフレアと殆んど違いはなかった。

 

「ほ、ホンマにフレアそっくりやな……?!」

 

「先輩からは聞いてましたがまさか本当に神羅族がホロメンにそっくりだなんて……!?」

 

「アッハッハwそんなにアタシがその娘に似てるんだ〜?wけどそんな事より〜……久しぶりだね〜転生者くん一号♪w」

 

『え!?』

 

ッ!?こいつ、今拓哉を見ながら転生者って言ったか!?何故こいつは拓哉が転生者だって……まさか!?

 

「な、なんであんた、俺が転生者だって……!?」

 

「ん〜?覚えてないのかな〜?wならこう言えば思い出すかな………今日から君の名は神代拓哉だ!w」

 

「ッ!?それ、俺をこの世界に転生してくれた神様が言った言葉……って事は!?」

 

「そ、俺が君をこの世界に転生させてあげたんだよ〜w思い出したかな〜www」

 

やっぱり!こいつが拓哉をこの世界に呼んだ張本人だったのか!しかも前にオカユからレイラを転生させたのもこいつって言ってたし、一体何が目的でそんな事をしてるんだ!?

 

「こ、この人がダーリンをこの世界に呼んだ神様だったのね?」

 

「そーそーw某が転生者くん一号をこの世界に呼んであげたんだよ〜wだからそんな彼と結婚出来た君達はホントにラッキーなんだからこの我に感謝したまえ〜w」

 

「そ、そうなんか……?」

 

「というよりなんでさっきから一人称がころころ変わってるの?」

 

「ん〜?wワシにも分からんwオイラにとって一人称なんてどーでも良いしw」

 

いやだからと言ってころころと一人称変えるなよ?それにさっきからずっとケラケラと笑ってるし、オカユはこいつも穏健派とは言ってたがもしかして相当ヤバい奴じゃねぇのか?

 

「いやぁ~それにしても君を転生させて本当に良かったわ〜w転生者くん二号はあっさりやられて役立たずだったし、三号は相変わらずガンプラとかいうおもちゃに夢中だからね〜w彼と積極的に一緒にいてくれる君はホントに優秀であちきは嬉しいよ〜w」

 

「…………ちょっと待て?二号に三号?おそらく話の流れで三号というのはレイラの事だろうけど二号って………まさか、樋山の事か!?」

 

「あ、そうそうそんな名前だったよね〜wあの失敗作、そこそこ強い洗脳能力与えてあげたのにあっさりと君に敗れて元の世界に戻されたんだもんwもうちょっと頑張ってくれても良かったと思っちゃったよ〜w」

 

やっぱりか!?以前俺達の事務所にやって来て女性スタッフ達を洗脳してホロライブを支配しようとした最悪の転生者!まさかそれもこいつが転生させてたのか!?

 

「…………ふざけんな。何がもうちょっと頑張ってくれても良かっただ?あいつの所為で俺と栄ちゃん達がどれだけ苦しんだのか、あんた分かって言ってるのか!?」

 

樋山を転生させたのがまさか自分と同じ神羅族のフレアと知り怒りのあまりにビームサーベルを取り出しフレアに向かって斬りかかろうとする拓哉。だが……

 

 

 

―バシィッ!―

 

「なッ!?」

 

「落ち着きなって〜wあれはあの失敗作が勝手にやった事だし、それをワイの所為にするのは筋違いってモンじゃね?wそれに結果的には彼の力でそいつこの世界から飛ばされたんだから結果オーライでしょwww」

 

拓哉のビームサーベルを素手で受け止め尚も悪びれもなくケラケラと笑うフレア。こいつ、さっきの口ぶりからしておそらくだが転生者をこの世界に送っていたのは俺を監視する為みたいだな?そしてそれさえ出来るなら例え転生させるのが善人だろうが悪人だろうが知ったこっちゃないというワケか…………やっぱりこいつ、イカれてやがる!

 

「ま、今日は君の事間近で見れたから良しとしますかwそれじゃあ私はこれで失礼するよwまた何時か会おうね新米くん♪www」

 

そう言いながらフレアはその場から一瞬で消えてしまった。最後まで嘲笑うかのように笑いやがって……!

 

「ダーリン!大丈夫!?」

 

「拓哉!しっかりするんや!」

 

「あ、あぁすまない…………先輩、俺悔しいです。俺を転生させてくれた神様が、まさかあんな奴だったなんて……!」

 

「…………確かにあいつは拓哉をこの世界に呼んでくれた。それに関しては俺も皆も感謝する……だがあんな転生者達を駒のように扱うあいつを許すワケにはいかない!次にあった時は絶対に拓哉や栄ちゃんに謝らせてやるッ!」

 

 

 

楽しかった温泉旅行。それは突如現れた新たな神羅族フレアによって空気を悪くされてしまった。その後三日間温泉街等で楽しんだ玲二達だが、拓哉の心は曇ったままだった…………




はい!という事で温泉での休息……からの神羅族のフレアとの接触回でした!フレアの目的は今のところ不明ですが、まさにトリックスターのような存在ですね……(-_-;)

次回はおそらく本編は今年最後になると思います。遂にずっとだしたかったあの娘が登場します!次回もまったりと待って頂ければ幸いです、ではまた!


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第158話『月の使者』

ヤバい、GWDWC編をやるにあたって変なネタが思い浮かんでしまった………多分これは次回番外編とかで回すと思います(-_-;)

今回は遂にあの娘達が神羅城にやってくる!?な回です!今回も最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


温泉旅行から戻ってきてから数日後、久しぶりに一人で寝てた筈の玲二。そんな穏やかな朝からまさかあんな事になるとはこの時はまだ誰も知る由もなかった…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チュンチュン……

 

…………朝か。昨日は珍しく酒を飲んで酔っ払ってしまってそのまま寝てしまったな。今日は一日中フリーとはいえ早く起きないとな………ん?

 

「おはよ、ダーリン♡」

 

……そして目が覚めた俺の目の前には綺麗な紫色の髪が特徴の娘が産まれたままの姿で俺に笑顔を向けていた。なんでこの子が俺のベッドで一緒に寝てるんだ?まぁそんな事はさておき、俺はそんな彼女に…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―ゴンッ!―

 

「いったあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!?」

 

容赦なくチョップをかました。

 

「…………何人のベッドに入ってきてんだ?『ムーナ』」

 

「うぅ~……だって久しぶりにレイジに会えたからつい……」

 

何がついだよ?俺は目の前で頭を抑えながらシクシクと泣く女性『ムーナ・ホシノヴァ』に能力で服を着させて取り敢えず頭を撫でて落ち着かせる。

 

「〜♪やっぱりレイジの手って暖かいなぁ〜♪」

 

「あぁそうかい?ところでお前、何時神羅城にやって来たんだ?予定じゃもう少し先のだったと思うんだが……」

 

「あーそれね。実はシャチョーに言ったらID組の為にテレポート装置を用意してくれたの♪」

 

シャチョー?あぁぺこらの事か。以前マイ○ラの中で兎田建設っていうのをやっててぺこらが社長をやってた時の名残りだな。

 

「という事はお前以外のID組ももう到着してるんだな?」

 

「うん、皆もレイジに会いたがってたよ♪今はまだ一期生だけだけどね」

 

そっか。なら今日はID組と久しぶりに会うとするか。

 

―ウィーンッ―

 

「レイジィ〜♪今日は久々にぐらと遊ぼ……ってえ?」

 

そう思ってたらいきなりぐらが入ってきて俺の横にいるムーナの顔を見て固まってしまった。あー……なんか嫌な予感がするな…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うぅ〜…………!」

 

「〜♪」

 

「……ねぇ、これって今どういう状況なの?」

 

「さ、さぁ……?」

 

…………あれから移動してリビングにやって来て今はフブキとEN組、それと新しく来たID組と一緒に朝食を食べてたんだが……さっきからムーナが俺の腕に抱きつきご機嫌状態とその向かいの席でぐらが機嫌悪そうにムーナを睨んでいた。

 

「まさかムーナがレイジの事好きだったなんてね?」

 

「その所為でぐらのメンタルがとんでもない事になってるみたいだけど?」

 

「はいレイジ、あ~ん♪」

 

「いや一人で食えるって」

 

「うぅ~!ううぅ~ッ!」

 

ほらムーナがそういう事するからぐらが顔真っ赤にして余計に怒ってしまってるじゃないか。

 

「ムーナのあんなデレデレしたとこ初めて見たわ……」

 

「普段は凛々しかったりシャイだったりしてるからかなり新鮮ね……?」

 

今のムーナの状態に同じID組であるリスの獣人『アユンダ・リス』と地球が好きな宇宙人『アイラニ・イオフィフティーン』の二人もびっくりしている。まぁムーナの事情を知らないぐら達だとそういう反応しててもおかしくはないか。

 

「おいお前!良い加減にレイジから離れろよこのアバズレ女!」

 

「はぁ?なんで私がダーリンから離れなきゃならないのよ?」

 

「何がダーリンだ!お前別にレイジの嫁でもなんでもないだろーが!?そんなのレイジの婚約者であるこのがうる・ぐらが許さねーからな!」

 

ムーナの言葉にぐらが余計に苛立ちヒートアップしてしまう。けどムーナもぐらの言葉にカチンときたのか俺から離れぐらの前に立つ。

 

「はぁ?なんで貴方にそんな事言われなきゃならないの?それに私がレイジのお嫁さんじゃないなんて勝手に決めつけないでくれない?」

 

「はぁ!?なんだよそれ!?まるで自分はもうレイジのお嫁さんになってるみたいな言い方……!」

 

「“みたいな”じゃなくて私本当にレイジのお嫁さんなんだけど?」

 

『………………………………は?』

 

ムーナの言葉にぐらをはじめとしたEN組がまるで時が止まったかのように固まってしまった。まぁいきなりそう言われたらそうなるよな?

 

「は?お前がレイジのお嫁さん?そんなワケねーじゃん?お前がレイジと会ってるとこなんて見た事ねーぞ?」

 

「そりゃそうよ。だって私とレイジが結婚したのはもうかなり前なんだから」

 

「かなり前?……………………ひょっとしてだけどフブキ先輩、ムーナがレイジと結婚したのって……」

 

「うん、私達がレイくんと結ばれた時だね」

 

「……………………ハアァァァァァァァァァァァァッ!?」

 

うん、まぁそんな反応にはなるよな?だがこれにはちゃんと理由がある。あれはまだ俺達が本土のホロライブマンションに住んでた頃の事だ。

 

あの頃ココの力でこの国の一夫多妻が認められ俺とホロメン達+αが婚姻届を役所に提出しに行こうとした時に突如ムーナが来日して

 

「レイジ!私とも結婚してほしいッ!!」

 

と言ってきたのだ。突然の事で皆困惑していたがムーナと俺との関係を知ると皆あっさりと了承したのだった。それでその時一緒にムーナも俺の籍に入ったのだが、その頃ID組は忙しさを増しててこちらに引っ越すのが難しい状況下だったんだ。だから落ち着いて引っ越しが出来るようになった時にムーナを迎えようと皆で話し合っていたんだ。それが思ったより長引いてたが今回漸く合流出来たってワケだな。

 

「ホントびっくりしたよ〜?あの時ムーナがいきなり日本に飛び立って戻ってきたら結婚しました〜♪って言ってきたんだから」

 

「イオフィも思わず飲んでたお茶吹き出しそうになっちゃったし」

 

そりゃそうだろうな?アユンダとアイラニにしてみたら同期がいきなり国外に出て戻ってきたら結婚してるというワケの分からない現象が起きてんだから…………なんか他人事みたいに言ってて申し訳ない。

 

「そ、そんな……ぐらもまだ結婚出来てないのに後から来たIDに先越させるなんて……!?」

 

「あーあ、こんな事ならぐらの為に婚約だけで済ませてるのがバカらしくなるじゃん?」

 

「いっその事私達ももうレイジと籍入れちゃう?」

 

「オイフザケンナ!二人ともぐらを裏切る気かぁーーーッ!?」

 

まぁ確かにカリオペとキアラもなんだかんだ俺と添い遂げてくれると言ってくれてたけどぐらが可哀想と思ってぐらが籍入れられる年齢になるまでは婚約だけで済ませるって言ってたんだよな。

 

「っていうかフブキ先輩、ムーナの事知ってたからそんなに落ち着いてたのね?」

 

「うん、何時もなら他の女がレイジさんにくっついてたら「皆殺しじゃーい!」とか言って襲ってただろうし」

 

「二人とも私の事何だと思ってるんですか!?」

 

いやフブキ、割とアメリアとイナニスの言ってる事大体合ってると思うぞ?お前昔から俺が女性と一緒にいるだけで相手を威嚇してたし。フミだって昔俺と一緒に遊んだだけで何度も噛みつかれたって言ってたしな。

 

「ウギギィ……!」

 

「ほらぐら、そんなに嫉妬しなくたってお前が18歳になった時にまだ俺の事を好きでいてくれるなら籍を入れようって言っただろ?そんなにムキにならなくても心配すんなって」

 

「そういう事じゃない!Japanの皆に先を越されたからせめて海外勢ではレイジの一番になろうと思ってたのに、ぐらの知らないところでこいつが先にレイジと結婚してたのがムカつくんだ!」

 

「いやそんな事言われてもねぇ……?」

 

「うるさーーーい!もうこうなったらムーナ!ぐらとガンプラウォーズで勝負だ!レイジが作ったこのゲームでお前に勝ってぐらの方が上だって証明してやる!」

 

「…………へぇ?面白そうじゃない♪」

 

っておいおい大丈夫かぐら?なんか流れでムーナとバトルする事になったけどムーナは………

 

「おいぐら、お前本気か?ムーナは「レイジ!ぐら絶対に勝ってみせるからちゃんと見ててね!」…………分かったよ」

 

「フフ、それじゃあ早速準備が出来次第始めましょうか♪ダーリン、ムーナの華麗なバトルをしっかり見てて♡」

 

…………なんか凄い事になってしまったな?けどぐら、残念だがこの勝負、()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間後……

 

「ぜ、全然勝てない……!?」

 

「あらあら、もう終わりかしら?」

 

あれからテスト機がある部屋に移動しぐらがムーナに対して何度も勝負を仕掛けた。だがどのジャンルの勝負もぐらがムーナに勝つ事が出来なかった。それも拮抗した勝負など無く、全てムーナの圧勝で終わっているんだ。

 

「す、凄すぎる……!?」

 

「ぐらも一応プラチナ3まで行ってるのにそれを圧倒する程の実力があるなんて……!?」

 

「れ、レイくん?ムーナちゃんってそんなに強かったんですか?」

 

「あぁ、そりゃそうさ。なんてったって…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ムーナは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

……………………

 

 

 

………………………………

 

 

 

 

 

……………………………………………………

 

 

 

 

 

 

 

「………………………………え?」

 

『えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーーッ!!?』

 

やっぱ皆も驚いたか。そりゃそうだ、まさか自分達の知らないガンダリウムランカーが自分達の身内にいるとは思わないよな?俺も知った時びっくりしたし。

 

「が、ガンダリウムランカー!?ムーナってそんなに凄かったの?!」

 

「ちょちょちょちょっと待ってレイくん!?女性のガンダリウムランカーってみしろちゃんが初めてじゃなかったんですか?!」

 

「あぁ、みしろが初めてだよ。()()()()()()()()()()()()()()()ではな」

 

そう、ムーナは以前俺達が会ったレイラと同じく自分の情報は非公開にしていたので他の皆にこの情報が知れ渡る事はなかったのだ。俺は重要関係者という事で内容を見る事が出来るから知ってたけどな。

 

「そ、そんな……レイジとの結婚も先越されただけじゃくてガンプラウォーズも負けるだなんて……!?」

 

「そんなに気を落とさないで、貴方もなかなかセンスが良かったわ♪これならすぐにでもダイヤランクに」

 

「うるさいうるさいうるさーーーいッ!!こうなったらGWDWC本戦でお前に勝ってやる!ぐらを怒らせた事後悔させてやるからなぁーーーッ!!」

 

あ、ぐらが泣きながら出ていってしまった。そりゃあれだけボコボコにされたら悔しいだろうな?にしてもやっぱり凄いな、ムーナの『ムーンゲイザーガンダム』は。

 

 

『HG ムーンゲイザーガンダム』

『ガンダムビルドファイターズA-R』に登場するレディ・カワグチの愛機『ルナゲイザーガンダム』を改造したオリジナルガンプラ。ルナゲイザーとムーンガンダムをミキシングしヴォアチュール・リュミエールとサイコプレートを併せ持った高出力と機動性を兼ね備えた機体に仕上がっている。

 

「へぇ、これがムーナのオリジナルガンプラなのね?」

 

「私達もいろんな機体を組んできましたけど、これほど完成度の高い機体はなかなかお目にかかれないよ」

 

「フフ、アリガト♪ダーリン、私の戦いしっかり見てくれた?」

 

「あぁ、あれだけの高出力の機体をまるで手足のように操るなんて流石としか言いようがないな」

 

「うん、これもレイジがくれたルナゲイザーガンダムのお陰ね♪レイジ、私このムーンゲイザーと一緒にGWDWC優勝を目指すから応援してね♡」

 

あー、まぁ一人だけ応援してたら依怙贔屓になってしまうから皆と一緒に頑張ってくれな。

 

遂に玲二達と合流したID組。そしてその内の一人ムーナのGWDWC本戦参加が判明し、来年の大会もますます楽しみになりそうだと感じる玲二であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―オマケ―

 

「うぅ~!絶対に許さないからなぁーーーッ!ぐらも新しいガンプラ組んであの女にギャフンって言わせてやるんだからぁーーーッ!!」

 

「あらら、かなり荒れてるわね?」

 

「まぁ最近ランクも上がって調子に乗ってたから良い薬になったんじゃない?」

 

ムーナに敗れたぐらは悔しさのあまり夜通しで新しいガンプラを組み上げるのだが、結局上手くいかず皆に泣きついてアドバイスをもらうのだがそれはまだ先の話である………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―オマケ2―

 

「さーて、漸く彼のいる世界に来たけどどうやって彼に近づこうかな〜?……お、良いもの発け〜ん♪」

 

ホロライトシティの一角に現れた黒コートの女性。以前玲二を神羅族に覚醒させようと企んでいたカナタは近くにいた女の子を見つけると妖しい笑みを浮かべながらその子に近づいていった。

 

「うん、漸くバトルも上手くいくようになってきた。これもみんな君のお陰だよ、ありがとうねバーニットガンダム♪」

 

「ねぇちょっと其処の君〜、少し良いかな〜?」

 

「え?は、はい何でしょう?」

 

突然知らない人物に声を掛けられた少女。彼女は以前オカユからガンプラを受け取りその機体でランクをぐんぐん上げていたシズクという娘だった。そんなシズクにカナタはニヤニヤ笑いながらどんどん近づいていき、シズクはいきなりやって来たカナタに恐怖を感じていた。

 

「あ、あの、一体何の御用でしょうか?」

 

「んー?実は君に大事なお願いがあるんだよね〜♪」

 

「お、お願い、ですか?」

 

「そうそう、実はね〜…………少しの間君のその身体、ボクにくれない?」

 

「…………え?い、一体どういう―バシュウゥゥゥッ!―むぐぅッ!?」

 

刹那、カナタの身体が黒い霧と化し唖然とするシズクの口に入っていく。突然の事でシズクはもがき苦しむが、少し経つとシズクの眼が紅く光りニヤリと妖しい笑みを浮かべる。

 

「…………フフフ、乗っ取り成功♪後はこの子を利用してこの世界を観察、そして機を見て彼と接触してボクのモノにしてあげる♪」

 

なんとシズクの身体を乗っ取ってしまったカナタ。その身体からは常人でも分かるくらい恐ろしい程の狂気を放っていた。

 

「待っててね愛しい君♡必ず君はボクのモノにしてあげる♡フフフ、アハハハハハハッ♡」

 

シズクの身体を乗っ取ったカナタは狂気の笑みを浮かべながらその場から去っていった。はたして彼女は一体何をするつもりなのだろうか…………?




はい、という事でムーナを含めID一期生登場回でした!そしてまさかのムーナが既に玲二と籍を入れてる&ガンダリウムランカーというのが発覚!はたしてぐらはムーナに勝てる日が来るのだろうか……?

本当はこの話で今年の本編分は終了するつもりでしたが多分後一本は書けそうですので何か書きたいと思います。次回もまったりと待って頂ければ有難いです、ではまた!

あ、そろそろあの娘の相手も決めたいと思うのでまた軽くアンケートします(^o^)


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第159話『それぞれの旅立ち』

今年も残すところ後11日、年月が進むのはあっという間ですね〜……いかん、年寄り臭くなっちゃいました(;´Д`)

今回で今年度最後の本編更新となります!今回は各メンバーの旅立ちの準備をする回です!最後まで見て頂ければ有り難いです、ではどうぞ!


「………うん、これで荷物は全部かな?」

 

「フブちゃん、工具もガンプラも全部キャリーバッグに詰め終えたでな〜♪」

 

「まーま、こゆのおやつは〜?」

 

「こゆとふゆのおやつなら自分達のバッグに入れたでしょ?」

 

「まま〜、マオのおともだちつれてっていーい?」

 

「んー、ぬいぐるみは一個までにしておきなさい。持ってってなくしたら大変なんだから」

 

……現在神羅城ではフブキ達ホロメンが何やら出掛ける準備を進めていた。それも日帰りや数日程度ではなくかなりの長期を見越した大々的な準備である。

 

実は来年に行われるGWDWCの予選に向けてフブキ達はホロプラだけでは予選突破する為の条件を満たすのは難しいかもしれないという事と、今の自分達のスキルを磨く為武者修行の意味を込めて長期間の遠出を決意したのだ。

 

勿論子供達もいるから定期的には戻って来るようだが基本的にはほぼそれぞれの遠方先に留まる方針でいるようだ。まぁいざとなれば俺も転移で様子を見にいけるから特に問題はなさそうだけどな。

 

「こゆき、ふゆき、マオ、マカロン、向こうに行ってもママ達の言う事はしっかり聞くんだぞ。パパも偶に様子を見にいって行ってあげるからちゃんと良い子にしてる事、良いな?」

 

「はーい!こゆ、ぱぱとのおやくそくまもります!」

 

「マオもやくそく、まもります!」

 

「ふゆも〜♪」

 

「わう〜!おやくそしょく、まもるの〜♪」

 

「ん、良い子だ。それでフブキ、今回は一体どういう振り分けで何処に行くかは決めてるのか?」

 

「はい、私とミオところねは東京のガンダムベースを中心にいろいろと巡る予定です。他の皆もそれぞれ拠点となる場所は決めているみたいですよ」

 

成る程な。多分本当ならおかゆも一緒にゲーマーズ皆で行く予定だったんだろうが、おかゆが辞退したから三人(+子供達)で行く事にしたんだな。それは仕方がないが、おかゆも神羅族の力を継承してたとしても参加して良かったんだけどな?それと、後で他の皆にも行き先を確認するか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そっか、メルとシオンとクロヱとトワの四人は魔界に行くのか」

 

「うん、メルの実家に暫く泊まって皆で魔界にあるガンプラウォーズを巡る予定なの♪」

 

「メルちゃんもシオンも久しぶりに魔界に帰るから軽く旅行も兼ねて楽しんでくるわ♪」

 

そっか、確かに今は皆こういう機会じゃなけりゃなかなか地元には戻れないからな。けど魔界や天界のガンプラウォーズ市場の様子を見てくれるなら視察という意味でもありがたい。

 

「けど魔界に強いバトラーっているの〜?玲二さんもちらっとだけど魔界と天界からはガンダリウムランカーはまだ出てないって言ってたし」

 

「あぁ、だが出てないってだけでそれ相応の実力者はいると思うぞ。なんせ噂ではあの葛葉に勝てはしなかったものの勝利寸前まで追い詰めていった魔界のバトラーがいるって聞いたからな」

 

「そんなに強い人がいんの!?うぅ、沙花叉達そんな奴に勝てるかな……?」

 

まぁ葛葉も実力者だけなら間違いなくダイヤ4以上はあるって言ってたし、今の皆のランクを見たら多分対等に戦えるのはトワくらいじゃないか?

 

「まぁそいつに勝てるかどうかは別として、お前等も頑張って本戦に参加出来るように頑張れよ」

 

「うん!メル、絶対に優勝して玲二君の最強つよつよヴァンパイアって言う事を証明してあげるんだから♪」

 

「ニシシ、玲二しっかり見ておきなよ〜?シオンがGWDWC本戦出場を決める瞬間をね!」

 

「トワも絶対に勝って本戦に出るから、玲二さんもトワの事応援しててよね♪」

 

「沙花叉も!お兄ちゃんの為に絶対勝って優勝トロフィーを持ち帰ってあげるからね♪」

 

うん、やっぱり皆も本戦出場を目指して本気みたいだな。

 

「レミィ、フラン、久遠、クリス、フィル。偶に会いに行くからその間はちゃんとママ達の言う事を聞くんだぞ」

 

「はーい!レミィ、ママのいうことおまもりします♪」

 

「あ、あぅ〜、ぱーぱ♪」

 

「くおんも、いいこにしてりゅ♪」

 

「うぅ~、ぱーぱ、いっしょじゃなきゃやだぁ〜……」

 

「くりねーちゃ、みんないるからだいじょぶなにょ〜♪」

 

んー、クリスだけは俺と一緒じゃなきゃやだって駄々捏ねてるな?フィルは逆にクリスを慰めてるけど、この子もアイマスク外すとたちまち緊張で動けなくなるから不安だな………少し頻繁に定期的に様子を見に行くか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フレア達しらけんは九州地方に行くんだな」

 

「まぁみこちは間に合わなかったから代わりにそらちゃんがついて来てくれる事になったんだけどね」

 

「うん、みこちの代わりに私がしらけんと一緒に頑張るね♪」

 

あー、確かにみこはなんとか頑張ってたけど他の配信やらイベントとかの所為でなかなかバトルが出来ずに結局期限までに間に合わないから諦めたんだったな?皆と特訓したのは良いけど、それでゴールドに上がったのはアンジュだけだったみたいだからな。

 

「それにしてもそらが一緒について行くなんて意外だな?」

 

「うん、みこちに頼まれたんだ。『みこの代わりにフレアとすいちゃんの面倒見てあげて〜!』って」

 

「はぁ?どっちかってーとあいつの方がいつも面倒見てもらってる側じゃねーか?」

 

「まーまー、そんな事どーでも良いじゃん?折角そら先輩も着いてきてくれるって言ってくれてるし♪」

 

「うん、団長もそら先輩と旅行出来て嬉しいな〜♪」

 

すいがなんか納得してないがポルカとノエルはそらと旅行出来て嬉しそうだ。まぁ折角の遠征だし予選突破を目指すついでに九州旅行楽しんでくれれば良いか…………ん?

 

「…………」

 

……なんかきらりが俺の足にしがみついて離れないんだけど、どうかしたのか?

 

「きらり、どうかしたのか?怖い夢でも見たか?」

 

「んーん……ぱぱ、いっしょじゃなきゃやー……」

 

「きらりったらすいちゃん達が半年くらいホロライトシティを離れるって言ったら行きたくないって駄々捏ねちゃってるんだよね〜……」

 

そっか、きらりは俺とすいじゃなきゃ懐かないのと知らない場所に行くのを極端に嫌がるから今回の遠征はきらりにとっては凄く行きたくない旅って事か。

 

「んー……ならすい、きらりは俺が面倒見るよ。きらりも行きたくないのに無理に連れてったらストレスで体調を崩すかもしれないからな」

 

「うーん……そうだね。きらり、ママ達がお出かけしている間はパパとこの街でお留守番する?」

 

「……うん」

 

よし、それなら暫くは俺がすいの保育園の送り迎えしてやらないとな。それともしクリスや他の子も嫌がるようなら家に残しておく事も考えないと。

 

「皆もママ達の言う事ちゃんと聞いてくれな?パパとの約束だ」

 

「はーい!かいり、おやくそくします♪」

 

「カガリもままのいうことききまーす♪」

 

「エレもエレも〜♪」

 

「めぐみも〜♪」

 

まぁ此処ら辺は皆素直で良い子達だから特に問題はないだろう。さて、次に行ってみるとするか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……で、お前等はなんでまた天界に行く事にしたんだ?」

 

「うん、やっぱ天界は僕の故郷でもあるし、地元のゲーセンはある程度把握してるから行動しやすいからね」

 

「ルーナも自分のお家に戻って其処を拠点に行動するのら」

 

成る程な。かなたとアズキと、わため、それとスバルとルーナとちょことぼたんは天界に行くみたいだがそれぞれかなたとルーナの地元に戻って其処からいろいろと巡るみたいだ。だが天界のバトラーは見る限りガチ勢よりもエンジョイ勢が多いのか全体的にランクは低いんだよな。その分プレイヤー数はかなり多いから対戦数ではかなり稼げそうだが、はたしてそれが吉と出るか凶と出るか……?

 

「あむむ〜♪」

 

「やぁ〜だぁ〜」

 

「って玲牙、またつばきに耳あむあむされてるのか?」

 

「つばきも久々の旅行でテンション上がってるみたいだな♪」

 

「でも玲牙くんもあんまり嫌がらなくなったわよね?」

 

「寧ろ満更でもないみたいだよね」

 

確かに昔はめっちゃ泣いて嫌がってたのに最近は口ではやだと言ってるが全然振りほどこうとはしなくなってるしな。これは成長したというべきなのか?まぁ二人が楽しそうなら良いか。

 

「ミーアもカケルくんと一緒で嬉しそうなのら♪」

 

「カケルもミーアちゃんと遊ぶの好きだもんな〜♪」

 

「あっぷぅ〜♪かーくん♪」

 

「みーちゃんくしゅぐったい〜♪」

 

お、こっちも仲良し二人組が嬉しそうにひっついているな。やっぱ子供達が仲良くしてくれるのは親として嬉しいものだ。

 

「もぐもぐ……♪」

 

「もぉらいむってばそんなに食べてたらおデブちゃんになっちゃうぞ〜?」

 

「でもらいむちゃんってびっくりするくらい食べるのに全然体型変わらないよね?」

 

「ミカもたべりゅ〜♪」

 

らいむは相変わらず幸せそうにおやつを食べている。ずっと思うがこの子は人一倍食べてる筈なのになんで全然太んないんだ?寧ろ食べるの控えさせたらすぐ体調不良になるし。

 

「ま、それは良いとして、ちょこ、アズキ、皆の事よろしくな」

 

「えぇ、任せて玲二様♪」

 

「アズキ達も頑張って本戦に行くから期待しててね♪」

 

「しょこ、みんなのおせわするの〜♪」

 

「あんずも〜♪」

 

「あぁ、二人ともよろしくな」

 

よし、それじゃあ次の所に行くとするか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それでラミィは地元の北海道に戻る事にしたんだな?」

 

「うん、お母様達もキララに会いたがってたし、向こうには分家の子でダイヤランクのバトラーがいるからその子にもトレーニングしてもらおうと思ってね♪」

 

「本当はねぽらぼの四人で行こうと思ってたけどおまるんはしらけんと一緒でししろんはスバちょこルーナと一緒だから代わりにぐらちゃんとルイ姐とこよちゃんが来てくれる事になったんだ〜♪」

 

成る程……うーん、あんまりシナジーを感じないメンツだな?でもルイがいるから取り敢えず纏め役は大丈夫そうだ……よな?

 

「ルイ、このメンツ基本的に自由奔放な奴等ばっかだから気を抜かずに面倒見てやってくれ」

 

「えぇ、其処はしっかりと見張っておくわ」

 

「ちょっと玲二さん!?ラミィもどっちかって言うと面倒見る側だよ!?」

 

よく言うよ、酔っ払って一升瓶抱えて寝る事多々あるクセに。

 

「キララ、ママが昼間からお酒を飲もうとしたら遠慮なく凍らせて良いからな」

 

「はーい♪」

 

「ちょっとぉ!?ラミィそんなに信用ないんかぁ?!」

 

「気にすんな、半分冗談だからさ「半分は!?て事はもう半分は本気って事!?」……まぁそれはさておき皆もママ達の言う事ちゃんと聞くんだぞ?」

 

『はーい!』

 

うん、相変わらず返事は良いようで。

 

「……それよりぐらはどうしてるんだ?もう皆準備は済ませてるみたいだが……」

 

「うーん……ぐらちゃんは今多分OMEGAにいると思うわ。此処最近殆んどガンプラ作るかガンプラウォーズをやりに行ってるかのどっちかだから」

 

あぁ、やっぱそうか。ぐらの奴、ムーナに負けた事がよっぽどショックだったのかずっと狂ったかのように武者修行するようになっちまったからな。無茶だけはしてほしくはないんだが、あれは多分誰が何を言おうと聞きはしないだろうし、取り敢えず周りに迷惑をかけない範囲で気の済むまでやらせておくか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……取り敢えず一通り見て回ったけど、皆の遠征先はこんな感じか。

 

フブキ ミオ ころね

東京

 

メル シオン トワ クロヱ

魔界 メルティブラッド(メルの故郷の国)

 

フレア ノエル ポルカ そら すいせい

九州

 

かなた アズキ わため

天界 セブンティア(かなたの故郷の国)

 

スバル ちょこ ルーナ ぼたん

天界 お菓子の国

 

ラミィ ねね ぐら ルイ こより

北海道

 

まつり アキ ロボ子 カリオペ

大阪

 

あやめ ぺこら いろは キアラ

魔界 鬼人族の里

 

シロ ヒメ ヒナ クロ

東京(ドットライブ東京支部)

 

不参加の為の残留組

おかゆ あくあ マリン みこ はあと ココ るしあ アカリ ラプラス たまき うい パトラ その他にじさんじサイドの玲二の嫁

 

本戦確定の為残留

みしろ ムーナ

 

こうして見ると美兎や楓達の不参加は残念だったな。まぁ子供達がこれから産まれたりまだ幼すぎるのもあるからこの不参加は致し方ない。メルもフランはいるが二人目という事で慣れてるのもあるから参加する事を決めたが、他の娘は皆初めての子育てだから参加は控える事にしたみたいだから致し方ない。咲とレインはずっと参加したいと駄々捏ねてたけど。それよりも……

 

「……来年からはまた皆旧姓に戻るけど、それで離婚したなんて噂されたらどうすっかな……?」

 

実は来年度からホロメンとにじライバーの妻達の芸能活動時の苗字を旧姓に戻す事が決まったんだ。というのも全員佐々木だと苗字呼ばれた時に誰の事か分からなくなるという弊害が多々あった為だ。以前バラエティに何人か出演した際にMCから佐々木と名指しされた際に皆反応してしまいもう一人のMCから「佐々木ばっかやん!」ってツッコまれたからな。

 

勿論あくまで芸名という事で実名は佐々木のままだし皆も納得はしてくれてるが……問題はファン達の反応だな。一応注意喚起はするが絶対弄ってくる奴はいるだろうし、中にはこれを誇張して離婚騒ぎなんてしてくる輩もいるからな。そういう奴等はちゃんと徹底的に対応しないと……あ、勿論神羅の力は使わず法律的にな。

 

「まぁそれはそうなった時にちゃんと対応するか―コンコンッ―ん?開いてるぞー」

 

―ウィーンッ―

 

「失礼します、ご主人様」

 

「エリーか、どうかしたのか?」

 

「はい、実は大至急ご主人様にお会いしたいという団体様がいらっしゃいまして……物凄く切羽詰まられた様でしたので一応応接間で待たせてはおりますが、如何致しますか?」

 

団体客?一体何処の誰で何の用だ?けど今は手も空いてるし、取り敢えず会うだけ会って何用か確認するか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お願いします!三番目のガンダリウムランカーの出場を取り下げてくださいッ!」

 

『お願いしますッ!!』

 

…………なんだこれ?応接間に入るやいなやいきなり十人近くの男女から頭を下げられてるんだが?一体何があったんだ?

 

「お、落ち着いてください!?三番目のガンダリウムランカーの出場停止って、一体何の事ですか?!」

 

「あ、すみません、いきなりで困惑してしまいますよね?実は……僕達皆、三番目ガンダリウムランカーの被害者なんです」

 

……被害者?一体どういう事なんだ?

 

「……あれは二人目のガンダリウムランカーが現れたという噂が立ってからすぐの事でした。あいつはいきなり僕達の通ってるゲーセンに現れて、突然僕達にバトルを挑んできたんです。通常のシングルバトルは勿論、レースや探索等のミッションも戦ったのですが全く歯が立たなかったんです」

 

「成る程、けど幾ら強い相手に負けたからってそれが三番目を出場停止にする理由には出来ませんが……?」

 

「えぇ、分かってます。問題はその後なんです……そいつ、バトルが終わった後に僕達からガンプラを取り上げて、そのまま地面に叩きつけて足で踏み潰したんです!」

 

なんだとッ!?それが本当ならそいつとんでもないマナー違反じゃねぇか?!

 

「それでそいつが店を出る時に言ってたんです。悔しかったら俺と同じガンダリウムランカーになるんだなって……最初はそいつが二番目のガンダリウムランカーだと思ってたんですが、情報だと二番目はルナゲイザーとムーンのミキシング機を使っていると聞いたのですぐに違うと分かったんです。それで各地で同じような被害にあってる人達がいて、その特徴が全て一緒だったのでそいつが三番目だと思ったんです」

 

「そういう事か……ですがそれだけではそいつが三番目のガンダリウムランカーを陥れる為にやってる偽物かもしれないし、詳しく調査しない限りはこちらから出場停止の処分は下せないです。なので少しでも早くそいつを取り押さえれるように分かる範囲で特徴を教えてくれませんか?」

 

「は、はい。分かっているのはいつも黒いパーカーに黒い帽子を被って灰色のマスクをしているのと、GWネームが『あああああ』というランクの低いIDを使っているという事です」

 

あああああ?…………今調べてみたがその名前のIDが何十件かある。これは自分の素性を隠す時に使う所謂捨てIDだな。普通ガンプラウォーズのIDはスマホ等と連携出来るんだがこういう捨てIDはそういう連携などはしてないだろうからこっから素性を割り当てるのは難しいだろう。

 

「……分かりました。では後の事はこちらで調べておきます。何か分かり次第対応させて頂きますので本日のところはこれでお引き取りくださいませ」

 

「わ、分かりました、ではよろしくお願いします……」

 

そう言って団体客は大人しく帰っていった。にしてもガンダリウムランカーを名乗る悪質バトラーか……もしこれが本当なら許されない行為だ。

 

「…………三番目といったらこいつか……『トール』、本名『佐々木透』か」

 

よりによって俺と同じ苗字か……にしてもこの名前、どっかで聞き覚えがあるんだが……いや、そんな事はさておきいろいろと調べていきますか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃……

 

「…………漸くだ、漸く俺がお前に勝つ日がくる……!」

 

薄暗く散らかった部屋の中、一人の男がパソコンに向かってブツブツと呟きながらネット記事を漁っていた。その横には玲二の写真が貼られており、玲二の顔にはサバイバルナイフが突き刺さっていた。

 

「待ってろぉ玲二ぃ……俺が受けてきた屈辱、何十倍にして返してやるからなぁ……!」

 

狂気の笑みを浮かべながらホロライブの公式ページに載ってる玲二の顔を黒ペンで塗りつぶす男。何やらまた、波乱の予感がしそうである……!?

 

 

 

 

それぞれの思いや目標を胸に、次回GWDWC編開幕!




はい、という事でホロメン達旅立ち準備回でした!前書きにも書いた通り今年の本編更新はこれで終了です!次回はいよいよGWDWC編に突入します!

次回はフブキ達が最初のミッションに挑戦!という事で次回をまったりと待って頂ければ幸いです、ではまた!そして良いお年を!(≧∇≦)/


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GWDWC編
EP01『開幕!GWDWC予選!』


新年明けましておめでとうございます。今年も皆様には良きVTuberライフとガンプラライフを送れますように(^^)

さぁという事で新年一発目はフブキ達視点からお送りします!いよいよ始まるGWDWC、最初はどのミッションに挑むのか?

今回も最後まで見て頂ければ有り難いです、ではどうぞ!


―ピピピピッピピピピッピピッ!―

 

「ん、ん~~……ふぁ〜、良く寝た〜」

 

「ふわぁ〜……おはよ……」

 

「よ〜……」

 

目覚ましの音に起こされ、フブキはこゆきとふゆきと一緒に起き上がる。まだ若干眠そうなのか少しぽけ〜っとしているようだ。

 

「おはよフブキ、朝ご飯出来てるよ〜」

 

「わ~いありがとミオ〜♪」

 

「こゆ、ふゆ、いっしょにたべよ〜♪」

 

「わ~い……♪」

 

「わ~い……うにゅ……」

 

2024年一月、無事に新年を迎え新たなスタートを切ったフブキ達。今彼女達がいるのは神羅城ではなく東京にあるフブキの実家である。彼女達は来たるGWDWCの本戦出場を目指す為にそれぞれ各地に出向き予選突破を目指す事になったのだ。

 

そして新年を迎え皆でおせちやお雑煮を堪能した後、十時から発表される本戦参加決定しているガンダリウムランカーの紹介動画を見てからガンダムベースに向かうようだ。

 

「それにしても八人目まではウチ等も知ってるけど、あれから何人かは増えたのかな?」

 

「それも含めての発表もあると思うけど、一体どんな人達が参戦するんだろね〜?」

 

「まぁそれももうすぐ分かると思うよ?あ、ほら始まった!」

 

そして十時になりガンプラウォーズチャンネルのプレミアム動画が公開され始めた。ポップなBGMと共にナレーター役ののどかが進行し始める。

 

《ガンダリウムランカー、それはガンプラウォーズにおいて頂点に君臨する最強のバトラー達。故に彼等には今年から始まるガンプラウォーズの祭典、GWDWCへの本戦出場へのチケットが手渡されました。今此処に、GWDWC出場が確定した名誉あるバトラー達の詳細を発表させて頂きます!》

 

「あ、のどかさんが紹介してくれるんだ?」

 

「のどかさんってガンダムとかには疎いけどこういうゲームを見るのが好きって言ってたもんね」

 

のどかの前置きが続き、そしていよいよGWDWC出場決定したガンダリウムランカー達の紹介が始まっていく。

 

《最初のガンダリウムランカーはこちら!ガンプラウォーズを始めてからの勝率は脅威の99.8%!今まで撃墜してきた相手は数知れず!その恐るべき操作技術はまさにリアルに現れたコーディネイター!リアルスーパーコーディネイター、響大和!》

 

No.1 響大和

 

《ガンダリウムランカー初の女性は白雪みしろ……しかしそれは公開されていたメンバーの中での話!真の初女性ランカーはまるで月のような輝きで相手を魅了し惑わす!煌めく月の使者!ムーナ・ホシノヴァ!》

 

No.2 ムーナ・ホシノヴァ

 

《破壊、破壊、破壊……彼が歩んだ後には相手の残骸しか残らない!その姿を見てしまった者はなす術なく蹂躙され破壊されるのみ!命が惜しけりゃ目の前に立つな!デッドブレイカー!トール!》

 

No.3 トール

 

《実は二番目の女性ランカーだった?そんな事は彼女には関係ない!彼女はどんな時でも愛する主の為にその勝利を届けるのみ!主に仇なす者は誰だろうと許さない!白銀の絶対メイド!白雪みしろ!》

 

No.4 白雪みしろ

 

《ゲームの知識、腕前、そしてガンプラの技術、いずれをとってもトップクラス!しかしそんな事で満足はしない!目指すは愛する妻の為に送る優勝のみ!にじさんじが生んだ奇跡!社築!》

 

No.5 社築

 

《幻の六人目……運営が用意した刺客、超大物有名人、現在に蘇った神羅族など様々の憶測がありましたが……その正体はまさかの小学二年生!?だがその実力は大人も顔負けレベル!彼の力、その目に焼き付けろ!幼きニュータイプ!安室レイラ!》

 

No.6 安室レイラ

 

《数日前まで白雪みしろが所属していたのりプロに彼女の弟子がいた!その金色に輝く毛並みと鮮やかな射撃が全ての者の心を射抜く!さぁ、僕の銃撃に酔いしれろ!鋭き眼光の獅子!レグルシュ・ライオンハート!》

 

No.7 レグルシュ・ライオンハート

 

《漆黒に染まりし闇夜に現るは最上位の吸血鬼!戦う相手は彼を見る間もなく瞬殺されるとの事!音速で忍び寄るその斬撃に恐怖し戦け!ソニックヴァンパイア!葛葉!》

 

No.8 葛葉

 

「…………こうしてみると錚々たるメンバーだね?」

 

「というか本当に六人目って子供だったんだ……!?」

 

「うん、それもびっくりだったけど……この三人目、黒いパーカー着てるのとサングラスとマスクをしてる以外は他の詳細不明みたいで不気味だね……?」

 

既に公開されている八人の紹介が終わり、今まで非公開だったメンバーも紹介されSNSでは大盛りあがりを見せていた。中でも非公開だったムーナやレイラには多くのバトラーが驚きトレンドに載る程であった。

 

「……あれ?ねぇフブちゃん、ミオしゃ、まだ紹介が続いてるみたいだよ?」

 

「「え?」」

 

ころねに言われ動画を見直すと確かにのどかがまだ紹介を続けていた。という事はまだ本戦出場が決定しているガンダリウムランカーは存在するという事になる。

 

《え!?な、なんでお巡りさんが此処に?!聞けば賞金が出ると聞きつけ僅か十日でゴールドからガンダリウムランクへと上げたとの事!それで良いんですか警察は?!お騒がせ巡査長!両津勘吉!》

 

No.9 両津勘吉

 

「あぁーーーッ!?この人、前にレイくんに自作のプラモブランドをカンプラウォーズに参加出来るようにしろって押し売りしてきた人だ!」

 

「ウソ!?あの人警察官だったの?!」

 

「なんで警察官がこの大会に出るのさ?!しかも賞金目当てって……!?」

 

なんと九番目に躍り出たのは葛飾区の交番勤務の巡査長両津勘吉であった。どうやらこの男、一度金儲けの為に玲二の元に自分が手掛けたオリジナルプラモデルを売り込みに行ってたようだがあまりのしつこさに玲二にホロライトシティから追い出された事があったようで、そのあまりの強烈なインパクトにフブキとミオも記憶に残っていた。

 

《強さとはただ一点に集中し高みを目指すもの……それを成し遂げた者にだけ与えられるは戦乙女の称号!昨年設立されたガンプラウォーズ専門学校『インフィニット・ストラトス学園』、通称IS学園から最強の教師が参戦だ!ブリュンヒルデ!織斑千冬!》

 

No.10 織斑千冬

 

「ガンプラウォーズの専門学校!?そんなのいつの間に出来てたの?!」

 

「うん、玲二も気づいたら勝手に作られてたんだって」

 

「レイさんも別に許可取りはいらないとは言ってたけど、まさか本当にそんな学校作るなんて思わなかったって半ば呆れてたしね……」

 

まさかの一ゲームの為の専門学校が作られるだなんて思ってもいなかった一同。しかしこのIS学園はかなりの人気ぶりでわざわざ転入手続きまでして入ってくる生徒もいるようで開校一年目なのにも関わらず二年生も存在し現在400人が在学する異例の人気っぷりを見せていた。しかし、何故かその殆んどが女子生徒だそう。因みに教科書の提供は藤枝コーポレーションが出しているようで意外にもしっかりとした授業を行っているようである。

 

《異世界から現れた最強のバトラー!ガンプラを愛する者ならこの名を知らない者はいない!その圧倒的な力は見る者全てを魅了し圧巻させる!さぁ、今こそ戦いの時だ!三代目メイジン・カワグチ!ユウキ・タツヤ!》

 

No.11 ユウキ・タツヤ

 

「メイジン・カワグチ!?」

 

「これってあれだよね?!レイくんやってくれましたよね?!」

 

「玲二わざわざ異世界からメイジン呼んじゃったの?!」

 

なんと十一番目のガンダリウムランカーは玲二が異世界からわざわざ呼んできた最強バトラー、三代目メイジン・カワグチこと『ユウキ・タツヤ』であった。まさかの意外過ぎる人物にネットでもかなり騒ぎ立っているようだ。

 

《ビルドワールドにはもう一人、チャンピオンの称号を持つ者がいる!彼のカリスマ力に人々は憧れ目標にする!例えどんな相手でも真っ向勝負で立ち向かうその姿勢はまさに騎士そのもの!熱き闘志の騎士!クジョウ・キョウヤ!》

 

No.12 クジョウ・キョウヤ

 

「えぇぇぇぇーーーッ!?この人も参加するの?!」

 

「レイさんいつの間にこの人とコンタクト取ってたの?!」

 

そして最後に紹介されたのはリク達の世界にいる最強のチャンピオン、『クジョウ・キョウヤ』であった。リク達とは何度も交流を深めてはいたが、いつの間にか玲二がキョウヤともコンタクトを取ってた事に驚きを隠せずにいた。

 

《以上!本戦出場が決定された12名のご紹介でした!そして此処に予選から勝ち抜いた244を合わせた計256名で本戦トーナメントが行われ、見事勝ち抜いた唯一人のバトラーが栄えあるGWDWC初代チャンピオンの栄光を掴む事が出来ます!最強であり最高の称号を掴む為、全てのバトラーよ!今こそ立ち上がれ!これよりGWDWC第一次予選を開催致しますッ!!》

 

のどかの宣言と共に動画が締められ、そしてこの時をもってGWDWC第一次予選が始まった。SNSでは相変わらずお祭り状態でサーバーがダウンしてしまう程であり、そして多くのバトラーが正月にも関わらずガンプラウォーズが置いてあるゲーセンや模型屋へと急いで向かい始めていた。

 

「いよいよ始まったね」

 

「うん、そうだね。よぉーし!それじゃあ私達も準備をして早速ガンダムベースに向かおう!」

 

『おぉーーーッ!』

 

こうしてフブキ達はフブキの母であるミユキに子供達を預けガンダムベースへと向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………予想はしてたけど、やっぱり思ってた以上に人数多いね……?」

 

「今整理券もらってきたけど後三時間は待たないといけないみたいだね……」

 

ガンダムベースに着くやいなやいきなり長蛇の列に巻き込まれるフブキ達。正月という事もあっていろんな人達が集まっているのもそうだが、やはり一番の目的であるガンダムベースのガンプラウォーズをプレイしにきたバトラーで盛り上がっているようだ。

 

「うーん、一応この時間に戻ってさえくれば大丈夫みたいだけど……」

 

「その間何処かで時間潰す?」

 

「うーん、どうしようかな~?」

 

思いの外待ち時間が長いので何処かで時間を潰そうかと考えるフブキ達。と其処に……

 

「お?こんな所にいたんだなフブキ、それにミオところねも」

 

「…………ぷぅ」

 

「え?あ、レイくん!それにきらりちゃんも来てくれたんですね♪」

 

なんと本土にいる筈の玲二がきらりを抱っこしながら現れたのだった。どうやら心配で様子を見に来てくれたようだ。

 

「にしてもやっぱ凄い人集りだな?お前等入場券もらえたのか?」

 

「はい、でも三時間くらい待たないと入れないみたいで……」

 

「そっか。なら折角だし今からガンプラ巡りでもするか?此処にはホロプラでは売られてない限定品もあるからな」

 

「お、良いね〜♪それじゃあ早速行くでな〜♪」

 

「あ、ちょっところね!?そんなに急いだら危ないってば〜!?」

 

玲二の提案でベース内で買い物をする事にしたフブキ達。久しぶりのガンプラ購入に皆楽しみにしながらウキウキと店内にはいっていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へぇ、結構再販品が多いな……お、クシャトリヤか。折角だから作ってみるか」

 

「あれ?そう言えばレイくんクシャトリヤ持ってませんでしたっけ?」

 

「……………………」

 

「目を逸らさないでください。また積む気ですか?」

 

そ、そんな目で見ないでくれ。作りたくてもなかなか時間が合わないんだし、こういうのは何個でも欲しくなっちゃうんだよ……

 

「まったく!これ以上積みプラ増やすんだったら今あるやつ全部イベントとかに回しちゃいますよ!」

 

「そ、それだけは勘弁してくれ……分かった、今回は素直に諦め…………うぉッ!?こ、これは…………!?」

 

ま、まさか………これは伝説の、『デンドロビウム』!?再販されたとは聞いてたが定価の値段で売ってるとこ初めて見たぞ!?

 

 

『HG ガンダムGP03デンドロビウム』

『機動戦士ガンダム0083』に登場したガンダム試作3号機ステイメンが搭乗する超巨大兵装。発売されてから二十年以上経っているがその圧倒的ボリュームとギミックにより現在でも人気のあるキットでありその全長はなんと脅威の96.5cmである。価格も定価で三万とまさにガンプラ界の高級品とも呼べる機体なのである。

 

「…………フブキ、これ買っても良いか「ダメです。どうせすぐ作らないで積むんでしょ?」グッ……!?頼む!デンドロビウムを定価で買えるなんて機会滅多にないんだ!ちゃんとすぐに組み立てるから頼む!この通りだ!」

 

「…………はぁ、分かりました。でも私達が神羅城に戻るまでに積んでたら問答無用でイベントに使わせてもらいますからね!」

 

よしッ!漸く念願のデンドロビウムゲットだ!にしてもよく残ってたなこれ?やっぱり値段も高いし何よりでか過ぎるから買う人も限られてしまうのかもな。

 

「おぉ〜……♪」

 

「お、きらりもこのガンプラ気に入ったみたいだな?」

 

「うん……きらり、これすき〜……♪」

 

お、きらりが珍しく嬉しそうな顔してるな。普段は俺とすいせいしかいないときしか笑わないんだが、この子も少しずつ変化しているみたいで父親として嬉しい限りだよ。それじゃあ早速会計しに……

 

 

「何ぃ!?デンドロビウムが後僅かだとぉッ!?」

 

…………ん?なんか今どっかで聞いた事がある声が聞こえたんだが?それもあんまり関わりたくないタイプの声が………

 

「あぁーーーッ!?デンドロビウムがないぞぉ?!クソォッ!ワシが買おうとしてたデンドロビウムをぉーーーッ!……っておぉッ!?あったぁーーーッ!へへへ、其処のキミィ〜、その手に持ってるデンドロビウムをワシに譲ってくれないかなぁ〜?」

 

「…………いやなんであんたが此処にいるんだ?両さん」

 

「ん?ワシの事知ってるのか……ってお前は玲二!?なんでお前が此処にいるんだ?!」

 

いやだからそれは俺が聞いてんだが?俺は目の前にいる警官の両さんこと両津勘吉に対し呆れた感じで見る。この人警官のクセにやってる事がゲスいんだよなぁ……

 

「いやそんな事よりもあんた、仕事はどうしたんだよ?正月だって警官は普通にパトロールとかあるだろ?」

 

「フン!ワシは今長期休暇中なんだ!なんたってGWDWCの優勝を目指して本気で準備しとるからな!」

 

…………そう言えばこの人、大会発表した時はゴールド帯だったのにその十日後にはガンダリウムまで上がってたんだよな?以前中川さんが金が絡むとこの人とんでもない力を発揮するって言ってたけど、まさか本当に上がるなんて恐ろしい人だな………?

 

「れ、レイくん?この人がガンダリウムランカーの一人なんですね?」

 

「あぁ、けど知り合いの警官に聞いたらかなりヤバい人みたいだけどな?」

 

「むぅ………」

 

「おい!お前等人を化け物みるような目で見るなッ!?」

 

いやあんたのやってきた事中川さんや秋本さんからいろいろと聞いてたけどかなり化け物地味てるだろ?あの兄貴ですらこの人と出来れば関わりたくないって言ってたくらいだから相当ヤバい人種なんだろうし。

 

「ってそんな事より玲二くぅ〜ん♪ワシにそのデンドロビウムを譲ってくれないかなぁ〜?」

 

「はぁ?これは俺が買う予定んだからダメに決まってんだろ」

 

「其処をなんとかしてくれないかなぁ〜?キミ結構金持ちなんだから何時だって買えるんでしょ〜?」

 

いや確かに稼いではいるけどそれとこれとは別だろ。大体転売品なんて普通に買いたくな…………あ。

 

「だからさ〜、ワシの為にそれ譲って………ってどうしたんだ?そんな目を丸くして?」

 

「…………両さん、後ろ」

 

「あ?後ろがどうし………ゲェッ!?ぶ、部長ぉッ?!」

 

「コラ両津!仕事サボって何をやっとるんだ貴様は?!」

 

なんといつの間にか両さんの上司である大原部長が鬼の形相をしながら現れ、両さんの首根っこを掴んできた。

 

「ぶ、部長!ワシは今長期休暇をもらってまして……!」

 

「なぁにが長期休暇だ!?貴様、此処最近麗子や中川に仕事を押しつけてゲームばっかりやっとるそうじゃないか!?大体貴様はもう有給使い切っとるではないか!つまりお前は今無断欠勤扱いだから給料なんか出んぞッ!」

 

「うげぇ!?そ、そんなぁーーー!?」

 

ってやっぱ仕事サボってたのかこの人!?しかも有給使い果たしてるって普段どんだけ休んでんだよ?!

 

「それが嫌ならさっさと派出所に戻れ!お前がほっぽりだした仕事が山積みになってるんだからな!」

 

「ま、待ってください部長ぉ〜!せめてデンドロビウムだけは買わせてくださいよぉーーーッ!?」

 

「いらん!そんなヘンテコビームだかなんだか知らんがそんな物買うくらいなら少しは貯金でもしろッ!ほら行くぞ!」

 

「そんなぁーーーーーーーーーッ!!?」

 

こうして両さんは大原部長に首根っこ掴まれたまま派出所へと連行されていった。普通は連行する側の職種の筈なのにな?

 

「な、なんか凄い人でしたね……?」

 

「あぁ、本当に凄かったな……」

 

「ぱぱ〜、はやくかお〜」

 

「お、そうだったな?それじゃちょっと会計してくるな」

 

連行されていく両さんに呆気にとられたが無事にデンドロビウムを購入出来たし、これを神羅城に転移させてミオ達と合流したら残りの時間までなんか軽く食べに行くとするか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数十分後、ミオ達とも合流した後俺達は近くのお洒落なレストランでパスタやリゾット等を食べていた。値段は張る分やっぱ美味いな、ちょこやルイが作ってくれたヤツに比べたら見劣りしてしまうけど。

 

「それで、三人は一体何のミッションに挑戦するんだ?」

 

「ん〜、私はまずは簡単そうなヤツから狙ってみようかなって事で探索ミッションからやっていこうかと思ってます」

 

「ウチはハシュマル討伐かな。丁度今実弾兵器しか積んでないガンプラ持ってきてるし」

 

「こおねはネオジオング討伐ミッションにしようかなって思ってるよ」

 

ほう、皆違うミッションを選ぶんだな?だが難易度的にはどれもプラチナ3からダイヤ3くらいのレベルの物だから三人ともよっぽどの事がない限りは多分大丈夫だろう。

 

―ピピピピッピピピピッ―

 

「あ、入場三十分前になったみたいだね」

 

スマホに設定したアラームが鳴り、フブキ達は支度を始めベースへと戻ろうとする。

 

「今回は参加者が多いという事で一人が出来るのは一ゲームセンターにつき二回までだから、三人共頑張ってこいよ」

 

「はい!白上フブキ、絶対に本戦出場決めてみせます!」

 

「ウチも必ず本戦に出てレイさんやミオふぁの皆に良いところ見せてあげるから♪」

 

「こおねも頑張って優勝目指すでな〜♪」

 

お、三人共気合が入ってるな。ならその有り余る元気をイベントにぶつけてこい!頑張って本戦に進むんだぞ!

 

気合を入れてベースのガンプラウォーズコーナーへと向かっていくフブキ達を見送る玲二ときらり。最初のイベント、はたして彼女達は上手くいくのだろうか?続く……

 

 

 

 

 

出典元と設定

 

両津勘吉

こちら葛飾区亀有公園前派出所

言わずと知れた日本一有名な警察官。金目の物が大好きで欲に溺れて金儲けに走ったりするが大体は失敗して何時も痛い目をみている。ガメつい性格だが義理人情精神が強く、人が誤った道を進もうとすれば止めて説教したりもする。この世界ではその見た目からゴリラの獣人と勘違いされがちだがれっきとした人間である……多分。GWDWCに多額の賞金と豪華な賞品が出ると知り僅か十日でガンダリウムランカーに成る程の実力を持ち合わせている。

 

 

大原部長

こちら葛飾区亀有公園前派出所

両津の勤める派出所の巡査部長。かなり頭が固く真面目な性格であるが、時折両津すら引く程の変な行動を起こす事もある。両津とは長い付き合いの為に大体の行動は把握しており彼がサボって遊んでいた場合は鬼の形相でとっ捕まえにいく。ガンダムに関してはガの字も知らない程興味がない。

 

織斑千冬

インフィニット・ストラトス

女性しか扱えないマルチフォームスーツ『インフィニット・ストラトス』を扱う学園『IS学園』の教師。但しそれは原作の話でありこの世界ではガンプラウォーズを専門に扱う学園の教師を勤めている。幼少期から幼馴染であり親友である少女の影響でガンプラを作っているがかなり不器用であり素組が精一杯である。しかしガンプラウォーズの操縦技術とガンダムの知識量はかなり高く、それを買われてIS学園の教師に任命された。実は玲二と剣持とも面識があるらしい。

 

IS学園

ガンプラウォーズを専門に扱う為に発足された学園。近い将来ガンプラウォーズが国際的なeスポーツになると考えた政府が藤枝コーポレーションの協力の元で開校された。狙いはヒットし稼働から僅か二ヶ月で大型イベントや大会等が各地で行われていき、学園には大会優勝実績のあるブリュンヒルデこと織斑千冬が教師を勤めていると聞きつけ数多くのバトラーが入学と転入をしてきている。理由は分からないが何故か生徒の男女比が2:8である。

 




はい、という事で今回は全てのガンダリウムランカーの発表、そしてフブキ達の予選ミッションスタート回でした!まさかのキャラも参戦していてフブキ達もびっくりしてたと思います(^_^;)

これからもアニメキャラはちょくちょく出そうと思ってますのでこのキャラ出してほしいというのがあれば是非活動報告にコメント残して頂ければ有り難いです(^o^)

次回はフブキが最初のミッションに挑戦!はたしてそのミッションの難易度は……?次回もまったりと待って頂ければ有り難いです、ではまた!

あ、その前に20時くらいに番外編出します。


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EP02『プチッガイのおたからさがし』

年始早々嫌な出来事が多発して大変な状況ですが、少しでも早く元の日常に戻れる事を願っております。

今回は最初のミッションにフブキが挑みます!バトルに比べて簡単そうなイメージですが、はたしてクリア出来るのか?今回も最後まで見て頂ければ有り難いです、ではどうぞ!


指定された入場時間となりガンプラウォーズスペースへと戻ってきたフブキ達。従業員にそれぞれの筐体へと案内され準備を開始していく。

 

「それでは最初にご説明した通りお一人様二プレイまでとなっておりますので終わり次第退出の方お願いいたします」

 

「はーい分かりました〜♪」

 

筐体に入りフブキはまず今回行うミッションを設定し使用するガンプラをしていく。今回やるミッションは探索ミッション『プチッガイのおたからさがし』という以前行われた見つけてベアッガイと同じ武器使用不可の完全探索ミッションであり機体の持つ探査能力が問われるミッションとなっている。

 

そしてそんなミッションにフブキが使うのはなんとボール、それも探査能力特化型の『オールマルチ型サーチボール』である。

 

『HG オールマルチ型サーチボール』

『機動戦士ガンダム』に登場する通称動く棺桶と呼ばれてるボールを探索特化に仕上げた機体。武器等は一切廃した代わりに機体の八ヶ所に小型バーニアを設置し小回りが効くようにし、更にフィールド全域に効力を及ぼす強化型探知レーザー『WRDL(wide range detection laser:広範囲探知レーザーの略)』を内蔵しておりどんな小さな物も探知出来る。

スキル:絶対探知(常時)

宝箱や補給物資に近づくだけで中身の種類を確認出来る。危険物が入っていた場合はアラートで知らせてくれる。

 

(多分殆んどの人は自分の使っている機体から武装を取って参加すると思うけど、やっぱり探索ミッションの場合はこういう特化型の機体を使った方が楽だよね♪)

 

そう、フブキの言う通りこのガンプラウォーズで探索ミッションを行う人はその方がが自分の機体から武装を取り除いただけの状態で挑むケースが多い。というのも探索ミッションは他のミッションに比べて数が少ない為わざわざ探索特化の機体を作るなんて考えが出てこないのである。しかしこうした改造も戦闘面での探査機能を向上させる為のヒントにもなったりするのでこういう改造が出来るのもガンプラウォーズには必要不可欠だったりする。

 

「ん、機体の不備なし、能力も問題なし……では、白上フブキ!オールマルチ型サーチボール、いきまーす!」

 

―GWDWC QualifyingMission4

『ベアッガイのおたからさがし』START―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゲームが始まり舞台であるベアッガイの里に飛ばされたフブキのボール。其処には沢山のベアッガイやプチッガイ達が楽しそうに暮らしている風景が広がっていた。

 

「わあ~、やっぱりベアッガイエリアは可愛くて癒やされますなぁ〜♪さて、ミッションの為のプチッガイは……あ、いました!」

 

すると丘の上に何やら困った様子のプチッガイを発見しフブキが声をかけて話を聞く事に。

 

《うーん、うーん、困ったなぁ〜……僕の大切なおたから、何処に隠したんだっけ……?》

 

「あ、やっぱりこの子が困ってるプチッガイみたいだね?ねぇキミ、もし良かったら私がキミのおたから見つけてあげるよ♪」

 

《ホントに?ありがと〜♪えっとね、僕のおたからは『ブロンズのリコーダー』と『おひさまが描かれたランドセル』と『水色の水鉄砲』、後は『ズゴックプリン』と『ドムのぬいぐるみ』だよ》

 

「…………え!?ご、五個もあるの?!」

 

《うん、よろしくね〜♪》

 

―Mission START!―

 

―15:00―

 

「って時間も短ッ!?」

 

なんという事か、まさかのおたからの数が五個もありしかもタイムリミットが十五分しかない。つまり一つにつき約三分で見つけなければならないのだ。このエリアには宝箱が千個あるのでこれはなかなか厳しそうな予感がする。

 

「う〜……あーもう考えたって仕方がない!もうこうなったら片っ端から探してやるんじゃい!」

 

タイムリミットまで僅かしかない。考えても仕方がないと思ったフブキは急いで近くの泉へと向かい宝箱を探していく。宝箱は野ざらしになってる物もあれば探知レーザーを使用しなければ分からないだろう場所にも隠されており、フブキはスキルを駆使しながら宝箱を開けていく事にした。

 

「えーとこれは……子物系のアイテム!という事は水鉄砲の可能性も!」

 

―パカッ!―

 

―プラスチックの子供バット―

 

「って違うんかい!?じゃあこっちは……食べ物系!じゃあこれにプリンが……!」

 

―パカッ!―

 

―カ○ビーポテトチップスのりしお味―

 

「ってちゃうやんけ!?」

 

探知レーザーを駆使して探すも全然違うアイテムばかり出てしまってるフブキ。というのもボールのスキルである絶対探知はあくまで中身の種類を探知するだけで中身そのものの詳細までは分からないのである。故に同じ系統のアイテムが複数あった場合どれが当たりかまでは分からないのだ。まぁ区別出来る時点で他より有利ではあるが、それでもこの数は骨が折れる作業である。

 

「うぅ~……こうなったら数撃ちゃ当たる戦法じゃーーーいッ!!うにゃにゃにゃにゃーーーーーーッ!!」

 

この時点で既に二分が経過し残りは十三分、開けた宝箱の数はまだ二十個程度。ハズレが分かっている分数は絞れるがこのペースのままではおそらく全てを見つける前に終わってしまうだろう。故に……

 

(まずは一つのカテゴリーから探す!そのカテゴリーから当たりを見つけられれば他はもう探す必要がなくなる!このミッションのアイテムのカテゴリーではハズレを除けば楽器系、ファッション系、食べ物系、そして小物系の四つに分かれているからその中で二個ある小物系以外を一つずつ潰していこう!)

 

数撃ちゃ当たる戦法と言いつつフブキはそれぞれのカテゴリーに分かれている物を識別しそれ等毎に探索し始め当たりを見つけていく作戦に出る。このミッションに求められているのは高い探索能力と如何に上手く立ち回る事が出来るかの判断力であり、それ等のどちらかが掛けてはこのミッションはクリアする事は困難であろう。

 

「…………ッ!彼処ら辺には食べ物系が入った宝箱が多い!もしかしたら……!」

 

お花畑エリアに入りサーチ機能を駆使し其処にある宝箱からは食べ物系のおたからが多い事を確認したフブキは急いで宝箱を開封していく。そして

 

―パカッ!―

 

―ズゴックプリン―

 

―おたから 1/5個!―

 

「おっしゃあーーーッ!まず一つ目ゲットォーーーッ!!」

 

漸く一つ目のおたからを見つけ出したフブキ。これにより食べ物系はもう探す必要がない為急いで他のおたからを探しに向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うん、やっぱフブキは上手く立ち回っているみたいだな」

 

「ぷゆぅ……」

 

ゲームが始まって三分、残り十二分のところで漸く一つ目のおたからをゲットしたフブキ。立ち回り方も大丈夫そうだし、これなら余程の事がない限りは大丈夫そうだな。けどミオところねはかなり苦戦しているみたいだが、これはもしかしたら今日は無理かもな?

 

「おぉーーーッ!スッゲェぞあの娘!」

 

「僅か三分でハシュマルを撃破したぞ?!」

 

「嘘だろ?!三分ってガンダリウムランカーレベルのスピードじゃね!?」

 

……ん?なんか向こうの筐体が騒がしいな?一体誰が……あ、あいつは確か……

 

「………ふぅ、こんなものか」

 

「よ、久しぶりだな『篠ノ之』」

 

「え…………あ、玲二さん!お久しぶりです!」

 

やっぱり篠ノ之だったか。俺はかつて刀也と一緒に通ってた剣道道場の門下生だった娘の『篠ノ之箒』と再会し思わず声を掛けてしまったが向こうも俺の事忘れずにいてくれたみたいだな。

 

「へぇ、お前もGWDWCに参加してたのか?」

 

「はい、この大会には千冬さんも参加するという事だったので私達IS学園からも多くのバトラーが参戦する事になったんです」

 

千冬か……あいつも同じ門下生だったけど、そんなあいつがまさかガンプラウォーズをやってて、しかもそれ専門の学校の教師になったなんて以外だったけどな?

 

「成る程な。しかしびっくりだな、今チラッと聞いたがハシュマルを三分で蹴散らしたんだろ?結構難易度高めに設定してたんだがあっさりクリアされるとは、本当に凄いな。もしかしてもうダイヤランクとかか?」

 

「いえ、まだゴールドの5です。ですが純粋なバトルなら立ち回り方を熟知しているのでスムーズに出来ました」

 

「成る程、確かにお前は昔から相手の間合いを見極めるのに長けてたしな。あ、そういや『一夏』はどうしたんだ?一緒じゃないのか?」

 

「…………なんで此処で『織斑』の名前が出てくるんですか?」

 

「いや、お前等昔から一緒にいる事が多かったし、あいつもIS学園に入ったからもしかしてと思ったんだが……」

 

「……フン、知りませんよあんな口だけの奴なんか」

 

…………あれ?なんか篠ノ之怒ってないか?もしかして一夏となんかあったのか?あ、因みに一夏というのは先程出た千冬の弟でこいつも同じ道場の門下生だったんだが……篠ノ之の奴、一夏の名前を出した瞬間物凄く嫌そうな顔になったんだが何かあったのか?

 

「………でもまぁ一応参加はするんじゃないですか?あいつも紛いなりにもゴールド1ですから」

 

「そ、そうか………なぁ篠ノ之、もしかして一夏と喧嘩でもしたのか?」

 

「喧嘩なんてしてませんよ、ただ軽蔑してるだけです」

 

「な、成る程な………?」

 

ほ、本当に何があったんだ……?

 

「それでは私は今日はこれで失礼します。兄弟子である玲二さんに恥じぬように本戦へ出れるようにしますので待っていてください」

 

「お、おぅ。まぁ俺は主催者側だから出場はしないけど頑張れよな、応援してるから」

 

「はい、ではこれで……」

 

…………なんか意外な奴と再会したけど、あいつも参加するんだな。という事は()()()も参加してんのか?まぁ後で一応確認だけしてみるか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃……

 

「ハァ、ハァ……あ、後一つが見つからない……!?」

 

ゲーム時間残り三分、フブキは順調におたからを捜し出し残すはドムのぬいぐるみだけとなったのだが、その肝心の残り一つが見つからず焦り始めていた。

 

残る宝箱は約六百、内半分はハズレで残り二百は別カテゴリーなので実質残り百個なのだがその宝箱自体がかなり散らばった場所にあるのでそれを残り三分弱、いやプチッガイに届ける時間も考えたらそれよりも早い時間で探すのはかなり厳しい。もし当てが外れてしまった場合間に合わず失敗になる可能性もある。

 

「うぅ~……もうこうなったら感に頼って一箇所に集中して探すしかないよね……?」

 

フブキも半ば諦め状態で一箇所に集中して探して見つからなければ今回は諦めるしかないと考えていた……そんな中、フブキの駆るボールのいる近くにある木の上から黒いコートを羽織った何者かが呆れた様子でフブキの事を観察していた。

 

「…………全く、この程度のミッションで手こずってどうするんですかね〜?仮にも世界を担う神羅族になる身であればこれくらいさっさと終わらせてほしいんですけどね〜…………はぁ〜しょうがないなぁ、今回だけ手を貸してあげますよっと」

 

―キュイィンッ!―

 

「……ん?今何か光ったような……あれ?」

 

フブキが動こうとした瞬間に黒いコートの人物が手を翳すとフブキのボールの近くに突如宝箱が出現しだした。

 

「あれ?こんな所に宝箱なんてなかった気がするんだけど…………ッ!これ、中身が小物系!という事は……!?」

 

―パカッ!―

 

―ドムのぬいぐるみ―

 

―おたから コンプリート!急いでプチッガイに届けよう!―

 

「ッ!やっぱり入ってた!でもどうして……ってそんな事より早くしないと!?」

 

なんと宝箱の中身は残りのおたからであり、これにて全てのおたからが集まった。しかし残り時間は一分を切っている。フブキはボールのバーニアをフル稼働し急いでプチッガイの元へと向かっていった。

 

そして残り十秒というところで無事にプチッガイの元へ到着、フブキは急いでおたからを全てプチッガイへと返してあげた。

 

《わあ~僕のおたからだぁ〜♪キミ、ありがとうね♪》

 

 

 

―Mission Clear!―

 

「やたぁーーーーーーッ!!」

 

タイムリミットギリギリまで掛かってしまったがこのミッション、なんとか無事にクリアしたフブキであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お疲れ様、三人共頑張ったな」

 

「うぅ~……でも負けて悔しいぃーーーッ!!」

 

「ウチも全然歯が立たなかった……」

 

ミッションを終えて最初にフブキが戻ってきて、それから暫くしてからミオところねも戻ってきた。だが案の定ミオところねはミッション失敗してしまったみたいでかなりショックを受けているようだ。

 

「てかあのハシュマル強過ぎるってぇーーーッ!?全然まともにウチの攻撃が通んなかったし〜……」

 

「こおねも持ってた武器が尽く使い物にならなくなって結局に握り潰されて負けちゃった……」

 

「そ、そんなにヤバいのそのミッションって……?」

 

うーん、二人とも実力ではかなり上位だがやはり難しいみたいだな。そんな難しいハシュマルのミッションを僅か三分でクリアしたって、やはり篠ノ之はかなりの腕前だったんだな?

 

「まぁチャンスはまだあるんだし、三人とも今日のミッションを活かして次に繋げれば良いさ」

 

「……ままたち、がんば」

 

「うぅ~、ありがとねきらりちゃん……」

 

「きらりちゃんが慰めてくれてママ達嬉しいよ〜」

 

きらりに慰めてもらってミオところねもある程度元気を取り戻したのか今日の反省を次に活かせるように頑張ろうと気持ちを切り替えていく。まだまだ他の皆には笑顔はなかなか見せないけど、きらりも少しずつ皆に接してくれるようになってくれてるな。

 

「それじゃあ俺はそろそろ戻るよ。フブキ達はどうするんだ?」

 

「私達は今日はもう挑戦出来ないからもう帰って次のミッションに向けて新しいガンプラを制作しようと思います。こゆき達もお母さんに預けっぱなしだしね」

 

「そっか、それじゃあ頑張れよ。じゃあきらりもフブキママ達にバイバイしような」

 

「……ばいちゃ」

 

こうしてフブキ達のミッションを見届けた俺ときらりは人目のつかない場所に移動した後転移で神羅城に戻っていった。さて、他の皆からも続々と結果報告が届いているみたいだし後でじっくりと見させてもらうとするか。

 

 

 

初日でなんとか一つミッションをクリアしたフブキ。残るミッションをクリアする為にもまだまだ頑張っていく事を誓うのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―オマケ―

 

玲二と会話している時は普通だった篠ノ之箒。だがその裏では……

 

「頑張れよな、応援してるから」

 

「はい、ではこれで……」

 

何気ない感じでお辞儀をして去っていく箒。その表情は凛々しく強者の風格が滲み出ているようにも見える……が、実際は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(はあぁ〜しゅき♡玲二お兄ちゃんめっちゃしゅき♡あの優しい雰囲気、逞しい体つき、そして凛々しく格好良い顔、全部大しゅき♡それに私の事忘れずにいてくれてたどころか成長したのにも関わらず私だと気づいてくれたのも素敵♡あの大した努力もしないクセに皆を守るだの女の子は助けるものだの口先ばっかの織斑なんかとは全然比べ物にならないくらい本当に格好良くて素敵で完璧で究極な玲二お兄ちゃんマジしゅきしゅき♡今日はそんな玲二お兄ちゃんに会えただけじゃなくて褒めてもらえたし、もう私の人生の中で玲二お兄ちゃんとの思い出ランキング第一位をぶっちぎりで記録しちゃったよぉ〜♡はうぅ~ん♡今日は玲二お兄ちゃんの顔を思い出しながら沢山○○○○して寝よ〜っと♡)

 

……等ととんでもない事を考えていた。そう、何を隠そうこの世界の篠ノ之箒は玲二に完全に惚れ込んでおり幼馴染の織斑一夏に対しては眼中にもないのである。これは原作のインフィニット・ストラトスを知っている者ならびっくりする程の崩壊っぷりである。余談だが箒自身は玲二と結ばれようとは思ってはおらず、寧ろ遠くから眺めて自分で一人ハッスルするのが良いらしい。

 

(はぁ~、早く帰ってベッドでハッスルしないと―ピリリリリッピリリリリッ―ん?電話か……なんだ織斑か、どうせ暇なら遊ぼうとかだろ。生憎私は暇ではないんだ!早く帰って玲二お兄ちゃんを想いながらハッスルしないと!)

 

掛かってきた電話を出る事なく切り電源をオフにして帰宅する箒。しかも此処までの流れでその表情は凛々しいまま保っているのが逆に恐怖であった。

 

 

 

 

 

 

 

―オマケ2―

 

「うーん、手助けしてあげてギリギリクリアか……これは私から力の継承してあげるのはもう少し先かな〜?」

 

「……お前は一体何してるのだ?『フブキ』よ」

 

玲二が帰った後フブキ達を遠目で見ていた黒いコートの人物。その後ろから同じ格好をしたもう一人の黒コートに声を掛けられフブキと呼ばれた方はパッと振り返ってニコニコと笑顔で接していく。

 

「あ、アキロゼ♪いやね、私にそっくりな娘がどんな感じかな〜って興味が湧いてね。こうして様子を見に来てみたワケ♪」

 

「あの女をか?てっきり新しく誕生した男の方を見に来たんだと思ってたけどな」

 

「アハハ、まっさか〜♪……そんな事しなくたって()()()()()()()()()()()()()()()()()………」

 

「ん?何か言ったか?」

 

「いーえ、なーんにも。それじゃあそろそろ私は帰りますね♪という事で〜、おつこーん♪」

 

フブキはニコニコと笑顔のままその場から消えていき、残ったアキは不思議そうにこの世界のフブキを見ていた。

 

「…………この世界には我々神羅族と同じ名と容姿をした者が多くいるが性格はまるで違う。にも関わらずあいつだけはこの世界の似てる奴と何ら変わらない様子だった……フブキ、お前は我々神羅族の中でも何故か誰も出所が分からない存在、一体何者なんだ……?」

 

どうやら同じ神羅族でもフブキは何処か違う存在のようであり、アキは答えが帰ってくる事はないと知りつつも空に向かってボソッと呟いた。新たに現れた神羅族、フブキ。はたして彼女は敵か、味方か……?

 

 

 

 

 

出典元と設定

 

篠ノ之箒

インフィニット・ストラトス

かつて玲二と剣持刀也が通ってた剣道道場の師範の娘。幼き頃から玲二達と切磋琢磨に剣術の腕を研いてきた。原作では幼馴染の織斑一夏にイジメっ子から守ってもらったという経緯があったがその辺の事は代わりに玲二が対処してしまい、更に有言実行する玲二と口先だけは立派な一夏をずっと見てきた所為で玲二に対して親愛的な、一夏に対しては軽蔑の目で見るようになってしまった。但し玲二とは結婚したいとは考えておらず、遠巻きに眺めて自己満足するタイプである。因みに剣持に対しては顎の尖った幼馴染という認識である。




はい、という事でフブキ無事に一つ目のミッションをクリアしました!しかしミオところねは失敗してしまいました……(T_T)

そして何気に登場した篠ノ之箒ですが、原作を知ってる人からすれば完全に別人レベルですが其処はパラレルワールドという事でご了承してくださいませm(_ _;)m

そして遂に現れた神羅族のフブキ、しかし他の神羅族とは何かが違うようで……?

次回は魔界に行ったメル達の視点からお送りします!次回もまったりと待って頂ければ幸いです、ではまた!


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EP03『正月明けの魔界』

最近他のアニメキャラが登場してますが中には別人じゃねーか!?ってレベルのキャラもいます。これは神羅族のホロメンのようにパラレルワールドによってはこうなってるんじゃね?っていう解釈でやってますのでもしかしたら箒よりも凄いキャラ崩壊をしているキャラも出るかもです(-_-;)
まぁ基本的にはちゃんとそのキャラの性格を準拠しますがもしかしたらという事もありますのでご了承くださいませm(_ _)m

今回は魔界に行ったメル達のお話です!メル達は魔界に戻りどんな修行をしているのか……?今回も最後まで見て頂ければ有り難いです、ではどうぞ!


フブキが一つ目のミッションをクリアして数日。GWDWCの第一次予選突破を目指して各地で続々と各ミッションのクリア報告がなされる中、魔界の吸血鬼達の国メルティブラッドのとある屋敷では……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふわぁ〜……やっぱり冬はこたつでミカンに限るよね〜♪」

 

「みかんおいちぃの〜♪」

 

「ぷゆっぷぅ〜♪」

 

洋風の屋敷に似合わない程の立派な和室のど真ん中にあるこたつにメルとレミィとフランの夜空母娘がまるでたれパンダのようにだら~とだらけていた。

 

「なんだかぽかぽかして眠くなるね〜……♪」

 

「クー、クー……」

 

「シオンもな~んにもやる気しないわ〜……」

 

「くおんもだらだら~……」

 

しかもそれはメル達だけでなく他のメンバーも同じであり誰もこたつから出ようともしない。

 

「ってダメじゃんこんなダラダラしてたら!?ほら皆早く起きてッ!」

 

「みんなー、だらだらしたらだめー!」

 

そんな中トワとクリスの常闇母娘だけは既に外出する準備を終えて皆に起きるように呼びかける。だがそんなトワ達の声も皆には響かずあいも変わらずダラダラしてるばかりである。

 

「うへぇ、外出たくないよぉ〜……」

 

「んな事言ってる場合か!?もうこうしている間にも他のバトラーは一次予選のミッションを次々とクリアされていってるんだよ!トワ達も早く一次予選突破する為にも急いでミッションをクリアしにいかないと!」

 

「え〜?でも結局三月いっぱいまで全てのミッションクリア出来れば良いんでしょ〜?だったらまだこたつでぬくぬくしてたいよ〜……♪」

 

「ぬくぬく〜……♪」

 

「……だぁかぁらぁ…………起きろっつってんだろこのバカタレ共ぉーーーッ!!」

 

―ブチィッ!ガッシャアァンッ!―

 

『うわぁッ!?』

 

だらけて一向に出る気のない一同に対しトワは遂にキレてしまいデビルズランスを召喚してこたつの電源コードをぶった斬りこたつを蹴り飛ばして皆を強制的に起こしていった。

 

「うえぇ、トワちゃん強引過ぎるってぇ……?」

 

「こーでもしないと皆起きないでしょうが!?大体GWDWCの予選が始まって一週間経とうとしているのにトワ達は未だに二つしかミッションをクリアしてないんだよ!沙花叉に関してはまだ一つもクリアしてないし!」

 

「えぇ〜?でもさっき言ったけど二次予選開始まで後三ヶ月もあるんだからそんな慌てなくたって……」

 

「その二次予選勝ち進む為のガンプラ制作の時間も必要でしょうが!何?あの時玲二さんに本戦に進むとか優勝目指すとか言ってたあれは嘘だったの?!」

 

「そ、それは嘘じゃないけど……」

 

玲二に本戦出場や優勝する等と言ってたワリにこのだらけ具合。玲二が見たら怒りこそはしないが確実に呆れられてしまうであろう。そんな事になればもう立ち直る事は出来ないのでメル達は急いで出掛ける準備を始めだすのであった。

 

「ほら早く支度して今日もゲーセン行くよ!今日は他のバトラー仲間とも待ち合わせしてるんだから!」

 

「え、トワ様って魔界にバトラー仲間がいたの?」

 

「まあね。というか一人は皆も会った事があるし♪」

 

『?』

 

どうやらトワはバトラー仲間を待たせているようで、しかもその内一人はメル達も知ってる人物らしくその人に会う為にも一同は急いで着替えてゲームセンターへと向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

支度を終えて魔界でも有数のゲームセンター『SAGA』に到着したメル達。此処にトワのバトラー仲間が待っているようなのだが、人混みが多過ぎて探すのにも一苦労だ。

 

「うぅ~、寒いよぉ〜……」

 

「メルティブラッドはこの時期平均マイナス15℃の極寒地帯になるからね〜。これでも他の地域に比べてマシな方だけど、地上界の気温になれちゃうとやっぱり寒いよね〜……ヘックチ!」

 

「しゃむしゃむぅ〜……」

 

防寒具をバッチリ着込んではいるがそれでもこの極寒はキツいようでメル達も思わずクシャミが出てしまい子供達も鼻水を垂らしながら震えていた。

 

「で、トワちゃんのバトラー仲間って何処にいるのさ?」

 

「ん~~、確か此処ら辺で待っているって言ってたんだけど……?」

 

「あ、トワお姉ちゃん!それに皆さんも!」

 

と、其処に以前パトラとの結婚騒動を起こした少年キョウモデウス四世(以下キョウ)が手を振りながらトワ達の元へとやって来た。

 

「おぉキョウ!やっと見つけたぞ!」

 

「ごめんなさい、人混みが凄くてなかなか進めなくて……」

 

「あ、トワ様の待ち合わせしてたバトラー仲間ってキョウ君の事だったんだ?」

 

「そーそー、あれからちょくちょくと一緒にバトルしたりしてたんだよね」

 

なんとトワはガンプラウォーズが本格稼働してから玲二を通じてキョウとちょくちょく遊んでおり、今日はそんなキョウと一緒に予選ミッションを行っていこうという事になったのだ。

 

「……あれ?そういやキョウ、あんたの友達はどうしたのさ?一緒に来るって言ってなかったっけ?」

 

「あ、それなんだけど……実はエヴァちゃん、この寒い中水風呂に入った所為で風邪引いちゃって来れなくなっちゃったんだ……」

 

「水風呂!?なんでこんな極寒の中で水風呂なんて入ってたのその子?! 」

 

「それがエヴァちゃんの家、すっごく貧乏で今ガスが止められてるの。だから今日は僕の家に泊めてて今は僕のママと従者の茶々丸さんに看病してもらってるんだ」

 

なんと今日一緒に来る予定だった子は風邪を引いてしまった為に同行する事が出来ず今はキョウの屋敷で看病を受けていた。それにしても極寒の冬場で水風呂に入るとはどういう事なのだろうか……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃……

 

「うぅ~、キョウ〜、私も行くぞぉ〜…………ゲホッゲホッ!」

 

「そんな体調で行けるわけないでしょう?全く、エヴァちゃんなんで水風呂になんて入っちゃったの?」

 

「申し訳ございませんお母様、お嬢様はキョウモデウス様とお出かけになられる事が楽しみで少しでも身だしなみを整えようとしたのですが生憎我々の屋敷のガスが止められてしまってたもので……」

 

「ちゃ、茶々丸ぅ〜、それは言うなって言っただろゴホッゲホッ!?」

 

「はいはい、女の子が身だしなみを気にするのは分かるけどそれで体調崩したら元も子もないでしょ?出稼ぎに出ているご両親も心配してたし、いっその事暫くは私達の屋敷に住みなさい。そうすればキョウも喜ぶから♪」

 

「誠に有り難うございますお母様。ではその見返りとして私がキョウモデウス様の夜のお相手を……///」

 

「だからそんなの許すかぁッ!ゴホッゴホッ!ヘーックショイッ!」

 

身だしなみの為に風呂に入ったは良いがガスを止められていた事をすっかり忘れておりその所為で風邪を引いてしまったエヴァ。従者の変態発言に咳をしながらもツッコミをいれるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃあ早速中に入ろっか♪」

 

「そうね、このままだとシオン達も風邪引きそうだし……クチュンッ!」

 

「ちゃむい〜……」

 

「よーし、それじゃあ早速入っちゃおうよ♪」

 

余りにも寒いので一先ず店内に入っていく一同。と其処に……

 

「メルねーちゃ〜♪」

 

「え?あ、苺ちゃん!久しぶりだね〜♪」

 

なんと玲二の姪っ子である苺がメルの元にとことことやって来たのだった。偶にちょこちょこと会ってはいたが、現在は四歳ですっかり元気に走り回るヤンチャな子に成長していた。

 

「この子、トワお姉ちゃん達のお知り合いなの?」

 

「うん、玲二さんのお姉さんの子なんだ。それにしても苺ちゃん、なんで此処にいるの?」

 

「ママといっしょにきたの〜。いちごもガンプラバトルするんだ〜♪」

 

「え、ガンプラバトル?って事は苺ちゃんももしかしてGWDWCに参加してんの……!?」

 

「アッハハ♪違う違う、苺はGWDWC連動のキッズイベントに参加してるだけよ♪」

 

「あ、お義姉さん!お久しぶりです!」

 

其処に玲二の姉であり苺の母親である春香がやって来て苺を抱っこする。どうやら二人とも何かしらのようがあって魔界にやって来ていたようだ。

 

「しっかし玲二から聞いた時はびっくりしたわ。まさかあいつがGWDWCなんて大会開くし皆がその大会の為に武者修行の旅に出るなんてね?」

 

「あ、アハハ、まぁ殆んど帰省や旅行に近いですけどね?」

 

「それでも皆立派よ、なんでも真剣に取り組む事が出来るのは良い事だもの。ね、ココちゃん♪」

 

「オゥ、そうデスね姉御♪」

 

「え!?ココちゃん!?」

 

なんと其処に更にココが娘のももかと一緒に現れた。ももかは初めての場所に興味津々なのか目を輝かせながら大きな翼をパタパタとはためかせていた。

 

「ココちも魔界に来てたんだね?」

 

「まぁな、パパから皆の様子を見に行ってやってくれって頼まれたからな♪さくらはパパと一緒が良いって言ってたからお留守番してるからももかだけしか連れてきてないけどな」

 

「そうなんだ。でもももかちゃん、かなり薄着だけど大丈夫なの?此処は室内だから比較的暖かいけど外すっごく寒いのに」

 

「あぁ、こいつは冷気を操る力がある所為か寒いのにはめっちゃ耐性あるんだよ。逆に厚着させると具合悪くなっちまうもんな」

 

「うん、ももか、さむいのすき〜♪」

 

どうやらももかは寒さには強い耐性を持ってるようで他の子が寒さで震えているのに対し一人だけ薄着で喜んでいた。因みにさくらはその逆で熱いのには強いらしい。

 

「そんな事より今日は皆どんなミッションに挑むんだ?ワタシ的にはやっぱりレースミッションが一番デスけど!」

 

「う、ううん、今日はストーリーミッションをやるつもりだよ。確か、この世の果てへってミッションだったかな?」

 

「それってネオジオングとのバトルだよね?確か宇宙世紀仕様の機体しか使えない筈だけど、メルちゃん機体は大丈夫なの?」

 

「うん、この日の為にメルも新しい機体を新調したもん!絶対に勝って玲二君に褒めてもらうんだ〜♪」

 

「レミィもてつだったの〜♪」

 

「あぅあ〜♪」

 

どうやらメルには対ネオジオング戦用に作った新機体があるようだ。レミィも少し手伝ったのか誇らしげに胸を張っていた。

 

「あ、メル先輩ズルい!だったら沙花叉もこの新しいオルカガンダムで挑む!」

 

「まーま、それアビスガンダムべーすだからつかえないにょ」

 

「あ、そうだった……シュン」

 

「いやなんで沙花叉よりフィルちゃんの方が詳しいの……?」

 

「なんかお兄ちゃんの子供達の成長スピード凄いね?」

 

クロヱも同じくネオジオングと戦おうとするがフィルに仕様外だから無理と言われて落ち込んでしまう。しかしまだ二歳くらいなのに理解力が高いのは流石佐々木チルドレンと言うべきか?

 

「それじゃあそろそろ皆ミッションやりに行ってくる?子供達なら私とココちゃんで面倒見てあげるわ」

 

「本当ですか?お義姉さん、ココちゃん、ありがとうございます♪」

 

「良いって事よ、そんじゃいっちょかましたれッ!」

 

「「ガンバレ~♪」」

 

「うん、ありがと苺ちゃん、ももかちゃん♪よぉーし!今日も頑張ってミッションクリアするぞーーーッ!」

 

『おぉーーーッ!』

 

子供達の応援を受け、メル達は気合を入れ直しミッションの為にガンプラウォーズの筐体へと向かおうとした。しかし………

 

 

 

 

 

『うおおおおおおおおおおおおおぉーーーーーーッ!!』

 

「ッ!?な、何この歓声!?」

 

「な、なんかモニターの所で盛り上がってるみたいだけど……!?」

 

「ふゅ、ふえぇ…………」

 

「あぁ!?フラン大丈夫?!びっくりしちゃったね〜、よしよーし……」

 

突如ガンプラウォーズのプレイ画面が映し出されている大型スクリーンの前で大歓声が響き渡りメル達はびっくりしてしまい、フランもいきなりの事で驚いてしまってぐずりそうになっていた。一体何があったのだろうか?

 

「スゲェ!あのネオジオングに対して無傷で勝利したぞ?!」

 

「流石は『閃光のアスナ』だぜ!裏ガンダリウムランカーと言われるだけの実力はあるな!」

 

「うおぉぉぉぉぉぉぉッ!アスナたんマジ天使ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃッ!!」

 

『ア・ス・ナ!ア・ス・ナ!ア・ス・ナ!』

 

なんと、どうやらメルが今から挑もうとしていたミッションのボスであるネオジオングを無傷で攻略したプレイヤーが現れたそうだ。そしてスクリーンに映されたオレンジ髪の少女を見てココが何かに気づいたような表情を見せる。

 

「あ、あいつは確か、閃光のアスナ!?まさかこんな所にいたとは?!」

 

「閃光のアスナ?有名なバトラーなの?」

 

「あぁ……閃光のアスナ、本名は『結城明日奈』って言うんだが、ガンプラウォーズが始まってから特別な指定ミッション以外は全て蝶の装飾がされた実体剣、それもかなり細身の剣だけでダイヤランク5まで上り詰めた正に最強のバトラーなんだ」

 

「細身の実体剣だけで!?そんな事可能なの?!」

 

「僕も聞いた事あるよ。なんでもガンダリウムランクに到達するだけの実力は充分にあって後一人ダイヤ4以上のバトラーを倒せばガンダリウムランクになれたのにGWDWCの内容を聞いてからはその条件のバトラーとは一切バトルしなくなったんだって」

 

「はぁ!?ガンダリウムランクに上がれば本戦確定なのになんで?!」

 

「うん、本人曰く「それだと面白くないからやるからには予選から」って言って敢えてガンダリウムランクにはならなかったらしいよ。だから巷では裏ガンダリウムランカーなんて呼ばれてるんだって」

 

「因みに人妻で今は一児の母親らしいぞ」

 

「いや最後の情報要らなくね?」

 

まさかのダークホースの登場に思わず震えが走るメル達。しかし、スクリーンに映るアスナの清々しい表情を見て自分達も負けてられないと改めて気合を入れ直しミッションに挑もうと誓ったのだった。

 

(多分今のメルじゃ本戦に進めても勝つ事は難しい……でも、絶対に玲二君やレミィ達の為にももっと強くなって予選を勝ち抜いてみせるよ!だから玲二君、メルの事見守っててね?)

 

(まだ三ヶ月あるとかそんな余裕かましてる場合じゃない!あんな強そうな人がごろごろいるようなら、シオン達も今から少しでも強くならないと絶対に負けてしまう!玲二の前でそんな無様な姿なんて見せたくない!)

 

(お兄ちゃんに優勝するって言った手前無様に予選落ちなんて絶対に出来ない!沙花叉も本気出して絶対に優勝してみせるんだから!)

 

(GWDWC優勝を目指すならガンダリウムランカーだけじゃなく多くの強豪達とも戦わないといけない。トワも今で満足しないで玲二さんに誇れるような戦績を残さないと!)

 

それぞれの決意を胸にメル達はそれぞれ筐体の中へ入っていきガンプラをセットしミッションを選択していく。はたしてメル達は無事にクリアする事が出来るのだろうか……?続く……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

出典元と設定

 

エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル

魔法先生ネギま!

魔界に住まう吸血鬼一族の中でも強い魔力を誇るマクダウェル家の末裔……だったのだが現在はとある理由で没落貴族となってしまい極貧生活を送っている。両親が出稼ぎに出ている間はメイドの茶々丸に面倒見てもらったりガンプラウォーズを通じて知り合ったキョウモデウスの家にお世話になっている。実力はそこそこあるのだが見栄張ってしまうのが欠点である。

 

絡繰茶々丸

魔法先生ネギま!

マクダウェル家に仕えるメイド……というよりは派遣でやって来たハウスキーパーのような存在。原作ではロボットだったがこの世界では普通の人間である。普段は無表情なのだが可愛い物が大好きで特にキョウモデウスのようなショタが大好物であり、故に隙あらばキョウモデウスとハッスルしようと企むのでその度にエヴァから怒られている。

 

結城明日奈

ソードアート・オンライン

かつてゲーム内で死ねば実際に命を落とすデスゲームに参加し生き延びた少女……というのは原作の話でありこの世界では魔界出身の妖精族の女性である。出稼ぎに出た際に知り合った男性と恋仲になりそのまま結婚し、現在可愛らしい女の子の子育てに勤しんでいる。妖精族の中では珍しく好戦的で、ガンプラウォーズで面白そうなバトラーを見つけるとすぐに挑む程の生粋のバトラー脳である。

 




はい、という事でメル達のミッション開始前でした!次回はいよいよメルがネオジオングに挑む!メルは強敵を打ち倒し見事ミッションをクリア出来るのか!?

次回もまったりと待って頂ければ幸いです、ではまた!


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EP04『行くぞ!IS学園!』

本当はメルのネオジオング戦を先に書こうと思いましたがこちらが先に思いついたので先に載せたいと思います。今回は玲二がとある用事で例の学園に向かいます!今回も最後まで見て頂ければ有り難いです、ではどうぞ!


これは、メル達が魔界でミッションを始めようとしていたその頃の地上界の出来事である。

 

 

 

新年を迎えて早数日。現在俺は家族と仲間を連れてフェリーに乗ってとある場所へと向かっていた。

 

「いやぁ〜潮風が気持ちいいね〜ヒカリ♪」

 

「うみゅ〜、すずしくてきもちい〜の〜……♪」

 

「にゃうぅ〜、うみこわいにゃぁ〜……」

 

「大丈夫だよぴりか、甲板に乗り出さなきゃ落っこちたりしないからね」

 

一緒に着いて来ているアカリとおかゆが子供達と海を眺めていた。ヒカリは潮風の涼しさに気持ちいいのかおねむモードになりぴりかは海が怖いのかおかゆにしがみついて離れずにいた。そして俺の腕に抱っこされてるきらりも無表情ながらも海を見てキラキラと目を輝かせている。皆大きくなるにつれて個性がはっきりしてきたな。

 

「…………で、レイ兄さんなんで僕達まで一緒に来なきゃならなかったのさ?」

 

「私も早くミッションをクリアしないといけないんですが………?」

 

「まぁそう言うなって?今日行く所は間違いなくお前達の為にもなるしな」

 

そして出掛ける際に偶々近くにいたから連れてきたハヤトと刀也も連れてきたのだ。ハヤトはなんだか気分が悪そうだが、もしかして船酔いしてしまったか?そして更に

 

「それと君達も急に呼んじゃってごめんな、岡、尾形」

 

「い、いえ!あの有名な佐々木さんから直々にお誘いを受けたのなら喜んで飛んで来ますよ!な、ミカ!?」

 

「う、うん……」

 

今日はゲストとして以前ホロプラにやって来た轟の後輩である『岡一華』と『尾形三日月』を連れてきた。本当にオルフェンズの『オルガ』と『三日月』に雰囲気が似てるな?

 

「…………それにしても佐々木さん、なんで俺達が今回呼ばれたんでしょうか?もしかしてこの間のミカの言動についてですか……?」

 

「ん?いやそんな事気にしちゃいねぇよ。実は前にみしろからお前達、特に尾形の事を聞いてたからな。今回はそんな尾形に見せたい物があったから着いて来てもらったワケだ」

 

「?見せたい物って……?」

 

まぁそれは後でのお楽しみって事で……お、漸く着きそうだな。

 

「え、えっと……?玲二、此処って一体何なの?」

 

「まるでホロライブタウンの頃みたいな人工島みたいだけど……あ、レイくん、もしかして此処って……?」

 

「そうだ、政府がガンプラウォーズの技術に目をつけて設立したガンプラウォーズの専門学校、『インフィニット・ストラトス学園』だ」

 

俺は到着した人工島に設立した巨大な学校インフィニット・ストラトス学園、通称IS学園を皆に紹介する。にしてもまだ設立してから一年も経ってないのに凄いデカい学校だな?

 

「こ、此処が噂に聞くガンプラウォーズを授業に取り組んだ学校……?!」

 

「あぁ、なんでも政府がガンプラウォーズの急成長ぶりを見て将来確実に国際的なeスポーツに進展すると睨んでたみたいでな。わざわざ俺と義兄さんの所に来て専門学校の設立の許可を取りに来たんだよ。まぁ俺は許可しただけで後は何も触れてないからな」

 

「我々の知らないところでそんな事になってたんですか?!」

 

まぁそういう事だ。最初俺は専門学校って言っても都内に小さな学校を作るだけと思ったのにまさか海上にこんな立派な学校を作るとは夢にも思わなかったわ。しかもかなりの人気校になってるみたいで倍率がかなりエグい事になってるんだとか?

 

「まぁそんな事より早く上陸するぞ。あんまり時間を掛けたらあいつ等の機嫌が悪くなっちまうからな」

 

「あいつ等?レイくんもしかして誰かと待ち合わせしてるの?」

 

「あぁ、寧ろ今日はその為に来たようなもんだからな。ほら、さっさと行くぞ」

 

こうして俺達は初のIS学園へと上陸し本校へと向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ず、随分大きな学校なんだな……?」

 

「私達の学校よりもかなり大きい……」

 

「IS学園は全寮制だからその寮も多いし、何より小規模だがショッピングモールも存在するから敷地面積だけでもちょっとした町よりは大きいだろうな」

 

その広さ故に各場所にはマップが貼られているし、それでも迷子になってしまうのも珍しい話ではないらしい。にしても校長室に行ったら今度はバトルルームに行ってくれって言われたが、本当に広すぎるぞ此処……と言ってたら漸く着いたな。もらったカードキーを使ってと

 

―ピピッウィーンッ―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―バッキイィィィィィィンッ!―

 

『ッ!?』

 

「な!?こ、これは……?!」

 

お、やってるな。扉を開けて早々俺達の目の前では二体のモビルスーツが激しい激突を見せていた。いや、正確には片方のガンダムがもう片方のドムに一方的な攻撃を繰り広げていた。

 

「あれって、バルバトス……!?」

 

「あぁそうだ。あれが俺が尾形に見せたかった物だ」

 

そのガンダム、バルバトスは本来な姿とは違い純白、いや純銀のような輝きを放ちその手には同じく純銀に輝く鋭い大太刀が握られていた。そしてバルバトスは倒れているドムのコックピットに向かってその大太刀を

 

 

―ドスッ!―

 

 

正に無慈悲な如くコックピットに向かって大太刀を突き刺し、それと同時に勝利画面が上空に表示され二機のモビルスーツはそのまま粒子となって消えてしまった。しかし最新鋭のリアルバトルシステムを当たり前のように使えるなんて凄いな此処は?

 

「さて、終わったって事はそろそろ出てくる頃だと思うが「れっくうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅんッ!」……やっぱ来たか」

 

バトルが終わり目的の相手を探そうとしていたら突如何処からか声が聞こえ、その声に聞き覚えがある俺はその声が聞こえた方に向かって手を構える。が……

 

―バァンッ!―

 

「え!?」

 

「ゆ、床からぁッ?!」

 

「ハァーッハッハァーーーッ!隙ありだよれっくん!さぁ大人しく愛しの束さんの熱いハグを受けるのだぁーーーッ!」

 

……やっぱりさっきの声はフェイクか。だが俺はそんなの読んでいたので……

 

―ヒョイッガシッ!グググググッ……!―

 

「あ痛だだだだだだだだだだだだあぁーーーーーーッ!?れっくんのちーちゃん並みの愛アンクローがあぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーッ!?」

 

「……なにやってるんですか『束』さん?」

 

襲い掛かる相手を避けて渾身のアイアンクローをかましたがそれでも相変わらずこの人は減らず口だな?取り敢えず俺はアイアンクローを解くと目の前にいた紫髪にうさ耳をつけた変人『篠ノ之束』は俺にハグしだした。

 

「あぁーーーッ!?ちょっとあんた!何玲二にいきなり抱きついてんのさ?!」

 

「そんなの知りませーん。えへへ〜♪れっくんに久々のハグだ〜♪」

 

「いやそんな事しなくて良いですから。それよりも千冬さんはまだ来ないんですか?」

 

「ん〜?ちーちゃんなら今片付けしてる最中だからもう少しで来ると思うよ〜♪って言ってたらほら来たほら来た♪ちーちゃ〜ん♪」

 

束さんはそう言いながら指を指すとその先には黒いスーツをビシッと着こなした女性、現在12人いるガンダリウムランカーの一人『織斑千冬』がやって来た。やっぱり普段は凛々しくて格好良い人だなこの人は。

 

「まったく、一人で勝手に突っ走るな束。それと久しぶりだな玲二、後刀也も」

 

「はい、お久しぶりです千冬さん」

 

「お久しぶりです姐さん!」

 

「え!?玲二と剣持さんってこの方とお知り合いなんですか?!」

 

「あぁ、俺と刀也は昔束さんの父親が師範をしている篠ノ之剣道場に通ってたんだよ。千冬さんもその時の門下生で俺達の姉弟子なんだ」

 

「そ、そうだったんだ……?」

 

昔はよく千冬さんと兄貴にしごかれてかなり筋肉痛になってしまった日が連日続いていたけど、それも今となっては良い思い出だ。あの頃は本当に楽しかったな。

 

「まぁ兎に角まずは自己紹介だな。私は織斑千冬、このIS学園で国語と社会とバトル技術担当の教師だ」

 

「はいはーい!束さんは篠ノ之束って言いまーす!IS学園の数学と化学と製作技術担当の教師だよ〜♪」

 

『よ、よろしくお願いします……』

 

そんな二人が自己紹介をするとガンダリウムランカーの前だからなのか皆少し緊張した様子で挨拶をした。同じガンダリウムランカーでも両さんの何倍も威厳があるからな、この人は。

 

「あ、あの!ちょっと聞きたいんですが、さっきのバルバトスって……?」

 

「お、さっきのバルバトスが気になってるの?ンッフッフ〜♪良い所に目をつけたねキミィ〜♪あれこそがちーちゃんと束さんの愛と血と涙の結晶!『ガンダムバルバトス・白騎士』だぁーーーッ!」

 

 

『HG ガンダムバルバトス・白騎士』

『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』に登場する主人公機。本来のバルバトスは鈍器をメインに扱うがこの機体の主武装は大太刀であり他の武器も太刀や小太刀等の実体剣のみとなっている。全身をフレームごと純銀風の塗装を施した事により生成された『ネオラミネートコート』によりビーム兵器からのダメージを完全にシャットダウンし防御力の向上に成功した。更にバーニアやスラスターの増設によりバルバトスの持てるポテンシャルを常に240%以上発揮出来る正に白騎士の名に相応しい見た目と実力を兼ね揃えた機体である。

 

 

「これは凄い……外装だけでなくフレームにまで塗装が施されているなんて……!?」

 

「しかもこれ、バーニアやスラスターを増設してるけどただ安易に増やしてるんじゃない。機体バランスを緻密に考えてベストな場所に増設してるよ」

 

「これが、ガンダリウムランカーが手掛けたバルバトス……!?」

 

「いや、このバルバトスを作ったのは束だ。私は昔から不器用だから素組でも苦労してしまうんだ。だから束の作ってくれた機体で何時も挑んではいたんだが、それがかなりしっくりきてな」

 

「ウンウン♪逆に束さんはガンプラバトルが下手くそだったからね。だから製作技術担当の束さんとバトル担当のちーちゃん!この二人の活躍によって最強のガンダリウムランカーとなったと言っても過言ではないのだぁ〜!ブイブイ♪」

 

成る程、まるでビルドファイターズのイオリ・セイとレイジのような関係だな。とそれは兎も角……

 

「……………………」

 

「どうだ尾形、ガンダリウムランカーの最高のパートナーが手掛けたバルバトスは?」

 

「…………凄い、このバルバトス。塗装もそうだけど細かな所まで改造がしっかり施されている。それにこの武装の太刀もかなり鋭くなるまで研ぎ澄まされてる。こんなの本当に拘んないと作れないよ」

 

「お?キミィ〜、分かってるじゃん♪ちーちゃんの為に束さんが寝る暇も惜しんで……ってえぇッ!?」

 

ん?束さん何驚いて……って尾形が泣いてる!?ど、どうしたんだ?!

 

「うぅ、グスッ……」

 

「どどど、どうしちゃったの?!まさか気に食わないとことかあった?!」

 

「ち、違うんです……前に鉄オルやバルバトスの事をネタアニメだとかガンダリウムランカーが使うような機体じゃないとか言われて……でもこうしてバルバトスを使ってもガンダリウムになれるって証明出来て、それが嬉しくて………」

 

……そっか、みしろからは聞いてたが尾形は前にバルバトスやオルフェンズの事を馬鹿にするような発言を聞いてバルバトスの強さを証明する為に我武者羅に強くなろうとしてたらしいからな。そんな尾形にとって束と千冬の絆とも言える白騎士はまさに自分の信じたバルバトスの可能性を証明してくれた存在とも言えるんだろう。

 

「……成る程な。おそらくそういう事言ったその連中はオルフェンズの事もバルバトスの事も大して知りもしないクセにネタ動画だけで知った気でいる愚か者だろう。真にあの作品を知る者ならそのような言葉は絶対に出てこんからな。まるでうちの愚弟のようだ………」

 

「ホント、ちゃんと見てない奴に限って全部知った気でいるのがムカつく。そいつ等三日月やオルガがどんな気持ちで鉄華団の皆と一緒に戦ってきたのかなんて一ミリも理解してないクセに何を知った気でそんなくだらない妄言吐いてんだよ?マジで一回オルフェンズの世界行って三日月達に千回くらい殺られてこいって感じだよ」

 

うん、やはり千冬さんと束さんも凄い嫌悪感を見せてるな。特に束さんは普段は人懐っこい性格なんだけど毛嫌いした相手にはとことん冷たく、そして雑に扱うから今回もそんなダークな面が出てきたな……

 

「…………!ねぇねぇキミ、名前はなんていうのかな〜?」

 

「え?お、尾形三日月ですけど………?」

 

「おぉーーー!凄いね!あの三日月・オーガスと名前がすっごく似てるね♪じゃあ〜……みーちゃんで♪」

 

「み、みーちゃん?!」

 

「あー、束さんは人にあだ名を付けて呼ぶクセがあるんだよ。それも癖のある事が多いんだよ」

 

実際に姉貴の事をはるるん、彩夏の事をあーやん、そして兄貴の事をコーリキーと呼んでるしな。多分束さんがまともに名前を呼ぶのは妹の箒だけじゃないか?

 

「もぉ〜、そんなのはどーでも良いじゃん!それよりみーちゃん、実はちーちゃんの白騎士のカスタム案として作ったパーツがあるから試してみない?」

 

「え?い、良いんですか?そんな大切なパーツを使っても……」

 

「うん、だってちーちゃんいっつも束さんがカスタムパーツを持ってきてもこれで充分とか言って全然使ってくれないもん!だから折角だからみーちゃんに使ってもらえたら束さんも嬉しいな〜って♪ね、良いでしょちーちゃん?」

 

「あぁ、元より私はこの白騎士があれば充分だからな」

 

「よぉーし!それじゃあ早速……と、その前にれっくん、今日は例の件で来たんだよね?」

 

「ん?あぁ、そうですね。良かった、すっかり忘れてるのかと思ってしまいましたよ」

 

「もぉ〜!これでも束さんはやる時はやるんだからね!」

 

いやあんた結構脱線して当初の目的忘れる事多々あるじゃねーか。まぁ今回は忘れずにいてくれて良かったけど。

 

「……ねぇ玲二、そろそろ今日アカリ達を此処に連れてきた理由を教えてくれても良いんじゃない?」

 

「そーだよレイくん、ずっと勿体振ってたら気になっちゃうじゃん」

 

「いや勿体振ったつもりはないさ……実は束さんに少し前からある事の調査を頼んでたんだよ」

 

「ある調査?一体何なんです?」

 

「……今巷で騒がれてるガンダリウムランカーを名乗るクラッシャーの事さ」

 

クラッシャー……それは以前俺の元にやって来たバトラー達が被害にあったという悪質なバトラーの事だ。彼等はクラッシャーの事を三番目のガンダリウムランカーであるデッドブレイカーことトールだと思い出場停止を求めてきたのだが……いかんせん不審な点も多かったので束さんに連絡して調査してもらったのだ。彼女は普段こそはおちゃらけているが、実は世界屈指の情報収集家であり彼女に調べられない情報はないと言われる程である。

 

本来なら灰に調べて貰おうとしたが、あいつは今別の件で海外に行ってしまっているので今回は束さんにお願いしたという事だ。そして束さんの自信満々な態度を見る限り、かなりの情報が手に入ったようだな。

 

「んー、まず単刀直入に言うけど…………このクラッシャーとガンダリウムランカーのトールって奴、全くの別人だよ」

 

『え!?』

 

「……やはりか」

 

束さんから告げられた内容は俺の予想通りの結果、このクラッシャーとデッドブレイカーは別人だったという事だ。

 

「まずこのクラッシャーとデッドブレイカーが使ってる機体。どっちもRGのエピオンを使ってるけど機体クオリティーが違い過ぎる。クラッシャーの使ってる方もそれなりに良いけどデッドブレイカーの使ってるエピオンに比べたらかなりお粗末な点が多過ぎて話にならないんだよ」

 

「け、けど束さん、それってそいつが機体を使い分けてるだけなんじゃ「黙って聞けアゴとう」は、はい……」

 

刀也の意見を一掃し話を続ける。そういや刀也のあだ名アゴとうだったな?束さんが名前からだけであだ名をつけないのは珍しいが、特に刀也を嫌ってるワケではないし今の話には関係ないから一旦置いとこう。

 

※人の見た目であだ名を付けるのは普通に失礼なので絶対に止めましょう。

 

「で、さっきアゴとうが言ってた使い分けてるかもって話だけどそれでもこれは酷過ぎる。だってクラッシャーの使ってるエピオンはそこそこの出来ってだけでデッドブレイカーの高クオリティー且つ緻密に設計されたエピオンとは比べ物にならない。しかもこのエピオン、おそらくだけどネットでデッドブレイカーの噂になった部分を真似てるかのような改造をされてる。つまりは……」

 

「……デッドブレイカーを模倣して好き勝手している悪質なバトラーって事か」

 

「そのとーり!そして次にガンプラウォーズのデータベースをハッキングしてクラッシャーとデッドブレイカーのプレイ履歴を見せてもらったけど、これも決定的な違いがあったよ」

 

…………今さらっととんでもない事言わなかったか?あの何重にもプロテクトを掛けたデータベースにアクセスしたって、この人どんだけハッキング能力に長けてるんだよ?まぁ束さんがそういう悪用はしないのは知ってるけど、次からはちゃんと資料渡すからハッキングは止めてほしい。

 

「これ見て、上のデータがデッドブレイカーの。そして下のデータがクラッシャーのプレイ履歴なんだけど、これ見てどう思うかな?」

 

「えっと…………ッ!デッドブレイカーは東北地方を拠点にしているけど、クラッシャーは関東地方を拠点にしている!?」

 

「それにバトルしている相手も、デッドブレイカーがランク関係なく多くのバトラーと戦っているのに対してクラッシャーは高くてもゴールド3までしか戦ってないですよ!?」

 

「そ、クラッシャーの被害にあってるバトラーは少なくともそんなにランクの高くない者達ばっかりなんだよね。つまりクラッシャーは低ランクのバトラーに狙いを絞ってそういう最低行為を繰り返していたって事になるね」

 

束さんの見せてくれたデータを見て分かるがクラッシャーとデッドブレイカーの活動拠点も対戦相手の実力も全然違う。クラッシャーは意図的にランクが低い相手しか選ばず戦っていたようだ。

 

「で、でもだとしたらなんでクラッシャーはそんなランクの低い奴ばっか狙ってんだよ?」

 

「そんなの簡単だよ一華、クラッシャーは自分の事をガンダリウムランカーと偽っている。けど高ランクのバトラーと戦えば絶対にボロが出るし勝てない可能性も出てしまう。だから其処まで実力の高くないバトラーだけを狙ってバトラー狩りをしてるんだよ」

 

「尾形の言う通りだ。私も束からこいつ等二人のバトルの記録を見させてもらったが、どちらも相手を徹底的に破壊するバトルスタイルだが考えて行動するデッドブレイカーに対しクラッシャーはただ闇雲に突っ込んで相手を攻撃するというお粗末な戦い方をしている。どう見ても同一人物の戦い方ではない」

 

ふむ、戦闘のスペシャリストである千冬さんが言うからにはもうこれは確定だろう。つまりこいつはデッドブレイカーの情報が非公開だった事をいい事に好き勝手している最低最悪な悪質バトラーという事だ。

 

「で、でもじゃあなんでクラッシャーはそんな事をしてるの?わざわざデッドブレイカーの模倣までして……」

 

「……これは私の考えなんですが、デッドブレイカーの模倣をしていたのはおそらく情報を得られるのが其処しかなかったからじゃないでしょうか?あの時点でガンダリウムランカーになっていたのは八人、そしてその中で非公開だったのは三人でした。しかし二番目のバトラーであるムーナさんは非公開の時点でも女性かもしれないという情報がありましたし、六番目は実在するが情報が全くないという事から成りすます事が出来ずにいたんだと思います」

 

「そっか、そんな中でデッドブレイカーの相手を徹底的に破壊するというバトルスタイルとエピオンを使っているっていう情報がクラッシャーにとっては都合が良かったんだ」

 

ハヤトの見解通り、クラッシャーの目的はおそらくガンダリウムランカーに成りすましてイメージを悪くする事だ。何故そんな事をするかまでは分からないが、このまま奴を野放しにするワケにはいかないし、どうにか対策を考えないとな……

 

《……ねぇレイくん》

 

……ん?おかゆ?わざわざ念話で話しかけてきてどうしたんだ?

 

《ねぇレイくん、どうしてわざわざこの人に調査を依頼したの?レイくんや僕なら神羅族の力を使えばすぐにでも犯人を見つけ出せたんじゃ……?》

 

《いやそれじゃダメだ。もしこのクラッシャーが他の神羅族、それも革命派が手引している奴だった場合そいつを利用して俺達を誘き寄せるつもりかもしれない。更に俺達が力を使い続ける事でオカユやアクア達も知らない神羅族を呼び寄せてしまう可能性だってある。そうした懸念がある内は無闇矢鱈と神羅族の力を使うワケにはいかないんだ》

 

《そ、そっか、そうだよね。ごめんレイくん、なんか出しゃばっちゃったみたいで……》

 

いや、おかゆも皆の事を考えて提案してくれたんだから別に問題ないさ。けどさっき言った通り俺達の事を他の神羅族に感知されない為にも転移や念話程度の弱い力以外は使わないようにしないとな。

 

「……それで束さん、このクラッシャーがデッドブレイカーとは別人というのは分かったけど、こいつが今何処にいるかまでは分かりますか?」

 

「うーん……一応履歴を調べているけどこいつのIDは捨て垢だから情報が全く出てこないんだよね。唯一出てるのがバトル履歴だけどこいつ、一応念を入れてるのか一度訪れた店には絶対に再来店してないからまだ履歴がない所を探せば良いと思うんだけど……」

 

「現在都内にでガンプラウォーズを取り扱っているゲームセンターや模型店は約五百店舗。その中でクラッシャーが訪れた事があるのは四十店舗程だ。残りの店舗を探すとなればかなり時間が掛かってしまうな」

 

「やっぱりそうなってしまうか……仕方がない、これ以上好き勝手させるワケにはいかないからな。アカリ、今すぐ都内にあるガンプラウォーズ取り扱い店舗全店に緊急連絡を入れてくれ。素顔を隠して入店してきたバトラーには必ず身元を明かすように徹底してくれって」

 

「うん、りょーかいだよ玲二!ヒカリ、ちょっとパパに抱っこしてもらっても良い?」

 

「あーい♪」

 

アカリは俺にヒカリを預けるとカバンからノートパソコンを取り出して緊急通達用のメールを作成してすぐに送信を開始する。ヒカリは横にいるきらりの手を握ってキャッキャと笑っているがきらりは相変わらず無表情のままだ。やっぱりまだ全ての相手に心を開いてるワケではないんだな?

 

「へぇ〜、この子達が噂のれっくんの子供達なんだ?お名前はなんていうのかな〜?」

 

「あーい!ヒカリ、にしゃいです!こんにちゃー!」

 

「にゃう〜♪ぴりかにゃ〜♪」

 

「……………………きらり

 

「そっかそっか〜♪それじゃあ〜……ひーちゃんにぴーにゃんにきらりんだね♪皆よろしくね~♪」

 

「あーい♪」

 

「にゃうぅ〜♪」

 

「……あぅ」

 

うん、やっぱり人懐っこい束さんだから子供達もすぐに懐いてくれたか。きらりも何時も通りに見えるがちゃんと名前を言ったからな。

 

「玲二、通達送り終えたよ」

 

「そっか、なら用も済んだし俺達はそろそろ「その前に良いか?」……なんですか千冬さん?」

 

「お前達、もしこの後時間があるならうちの生徒とバトルしてみないか?今日は本土に出ていた奴等も戻ってきてるから丁度良いしな」

 

「IS学園の生徒とですか!?噂ではかなりの実力者揃いというあの生徒達とバトル出来るんですか?!」

 

「あぁ、とはいえまだまだ荒削りだかな。それに、あの愚弟にもそろそろ現実を見せておかないとな……」

 

……成る程、確かにこのIS学園の生徒と戦うのはハヤトや刀也、それに尾形達にも良い経験になりそうだしな。だがおそらく千冬さんのあの口ぶりからすると本当の狙いは……まぁ取り敢えず本人達にあってからその辺は考えるとするか。

 

「分かりました、そういう事なら是非お願いします。皆も良いよな?」

 

……俺の問いかけをするとそれに反対する者はいないみたいだな。ならこのバトル、受けさせてもらうとするか。

 

「よし、ならこれが今戻ってきているGWDWC参加者の一覧だ」

 

お、リストもあるのか。どれどれ……

 

 

織斑一夏

篠ノ之箒

鳳鈴音

セシリア・オルコット

シャルル・デュノア

シャルロット・デュノア

ラウラ・ボーデヴィッヒ

 

 

へぇ、箒も戻ってきてたんだな?これは面白そうなバトルが期待出来そうだな。それじゃあ箒達を呼んでもらって皆とバトルしようか。

 

ひょんな事からIS学園の生徒達とバトルする事になった玲二達。はたして一体どんなバトルが繰り広げられるのだろうか?

 

続く……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

出典元と設定

 

篠ノ之束

インフィニット・ストラトス

IS学園の数学と化学とガンプラ製作担当教師。原作では天災と呼ばれており自分の気に入った者だけにしか心を開かずそれ以外は有象無象の凡人程度にしか考えていないが、この世界では人懐っこく誰にでもフレンドリーである。但し怒らせると相手を二度と外を歩けなくなる程まで個人情報を全世界にばら撒くという鬼畜な事を平気でする。ガンプラの製作技術は世界トップレベルだがバトルはからっきしダメであり、レベルで言えばアンジュにも劣る。




はい、という事でIS学園の一幕でした!そしてそのIS学園の生徒とバトルをする事になった玲二達ははたしてどんなバトルを繰り広げるのだろうか?

次回はこの続きの前に戻ってメルのミッションになります!次回もまったりと待って頂ければ幸いです、ではまた!


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EP05『この世の果てへ』

最近再販したドムトルーパー、何処に行ってもない……一個ぐらい欲しかった……(ToT)

まぁ過ぎた事は悔やんでもしかたないので取り敢えず明日発売のパーフェクトストライクフリーダムルージュは絶対にゲットしたいものです。

今回はメルがミッションに挑戦!はたしてクリアなるか!?今回も最後まで見て頂ければ有り難いです、ではどうぞ!


―GWDWC QualifyingMission2

『この世の果てへ』START―

 

…………いよいよ始まる。メルにとって難所とも呼べるミッションが。スタート地点はスペースデブリが散乱しているボロボロのコロニー。そしてメルの前にいるのは……今回のターゲットであるガンダムシリーズの中でも屈指の最強機『ネオジオング』がその圧倒的な巨体を見せつけるかのように立ち塞がっていた。

 

 

『HG ネオジオング』

『機動戦士ガンダムUC』に登場したフル・フロンタルが駆るシナンジュがコアユニットとなり誕生した超巨大モビルアーマー。その圧倒的な出力とサイコシャードをはじめとするサイコミュ兵装を多数備えており、更に操縦者であるフル・フロンタルの実力が合わさればその脅威は計り知れないであろう。

 

 

[ガンダムが私に楯突くか……人の総意の器であるこの私に!]

 

「…………手の震えが止まらない……これはゲームだって分かっている筈なのに、このプレッシャーはまるで……本物のMSの戦争みたいだよ……」

 

ゲームが始まってすぐに感じた威圧感。それは今まで多くのミッションやイベントをやってきたメルでも一度も感じた事のない恐怖。ゲームの筐体の中の筈がまるで本当にMSのコックピットに乗ってるかのようなリアル感。もしこのミッションに失敗したら本当に死んじゃうかもしれない……そんな錯覚をしてしまう程に目の前のネオジオングから出ている覇気が強過ぎる……!

 

「……それでも、メルは勝つよ。勝って他のミッションもクリアして、絶対に本戦に進むんだから!」

 

だからその為にもメルに力を貸して!『ガンダムV2ブラッドムーン』!

 

 

『HG ガンダムV2ブラッドムーン』

『機動戦士Vガンダム』に登場する『V2ガンダム』を改造したオリジナルガンプラ。クロスボーンガンダムとのミキシングにより小型ながらも高出力のビーム兵装を多数装備している。カラーリングも赤と金色をベースにし紅い月を彷彿とさせる。

特殊スキル:『???』

 

 

すぅー……はぁー……よしッ!行くよ!

 

―バシュウッ!ドゴォンッ!―

 

[ッ!]

 

よし!まずは先制成功!ブラッドムーンのビームライフルの射撃がヒットした……けどやっぱりダメージはほぼないみたいだね。なら!

 

「まずはその推進力を奪う!行くよ、ブラッドムーン!」

 

―ブゥンッ!ゴオォォォォォォォッ!!―

 

メルに応えるようにブラッドムーンの目が光りそのままネオジオングの真下へと飛んでいく。

 

[ッ!させぬ!]

 

―ガコンッ!―

 

だけどネオジオングも許さないと言わんばかりに両腕を外し遠隔操作でメルのブラッドムーンを捕まえようとする。あれ?ネオジオングの両腕って外せたっけ?でもそんなのは関係ない!ブラッドムーンは宇宙世紀後期のMSがベースのガンダム。その機動力と推進力ならネオジオングの攻撃を躱す事くらい余裕だよ!

 

[ッ!ーーーッ!]

 

―キュインッ……ビイィィィィィィッ!―

 

ッ!?メガ粒子砲!?そう言えばそんなのあったっけ!?でも!

 

―ヒュンッ!ヒュンッ!ヒュンッ!―

 

「そんなの、当たらなきゃ意味ないよ!」

 

―バシュウッ!バシュウッ!ドゴオォォォンッ!―

 

迫ってくるメガ粒子砲を旋回しながら避けて真下にあるバーニアに向かってビームライフルを乱射し二個の破壊に成功、そしてそのままプロペラントタンクに接近してビームサーベルを構え

 

―ズバアァッ!バチチッ……ドゴオォォォンッ!!―

 

右側のプロペラントタンクを一刀両断し爆破させ、これでかなりの推進力を奪う事が出来た筈!後は厄介な武装を躱して本体のシナンジュを倒せば―ガキィッ!―え!?

 

「ッ!しまった、サブアームの事忘れてた!? 」

 

[ご退場願おうか!]

 

ネオジオングの腕ばかり気を取られてしまいいつの間にか展開していたサブアームに足を掴まれてしまった。そして身動きが取れなくなったブラッドムーンにネオジオングの腕が忍び寄ってくる。このままじゃやられちゃう……こうなったら!

 

―ブォンッズバァッ!ドッカアァァァンッ!!―

 

「クッ!ごめんね、ブラッドムーン……!」

 

[何?自らの脚を破壊して難を逃れたか……]

 

メルはビームサーベルでブラッドムーンの掴まれた右足を切断してその場から脱出する事に成功した。お陰で機体バランスが悪くなっちゃったけど、まだ充分に戦えるよ!

 

「メルとブラッドムーンの力を、ナメちゃいけないんだからぁッ!!」

 

―バシュウッ!バシュウッ!―

 

再びブラッドムーンのビームライフルを展開してネオジオングの腕を集中的に狙っていく。地味だけど着実にダメージを与えていく。これで追い詰めていくしかない!

 

[これ程の力をまだ隠して持っていたとは……だが!]

 

 

―ブォンッ……キュイィィィィィンッ!―

 

 

ッ!ネオジオングの後ろに巨大な光の輪が……!まさか、もうサイコシャードを発動してきたの!?だとしたらマズいッ!

 

―ゴオォォ……ボオォンッ!―

 

「クッ……サーベルが!?」

 

ネオジオングのサイコシャードが発生したと同時に手に持ってたビームサーベルに異常が出てしまい、すぐに手放したけどそのまま爆発してしまった。そして右サイドスカートにマウントしていたビームライフルにも異常が起きてしまったので慌ててネオジオングに向かってライフルを投げ爆発させた。これがネオジオングの一番厄介な能力、サイコシャード発生器。これを発動されると持っている武器の電気系統が乗っ取られ破壊されてしまうんだ。

 

「これでビームサーベルもライフルも使い物にならない……でも!」

 

―ジャキィンッ!―

 

メルは腰にマウントさせていたもう一本のサーベル、クロスボーンのサーベルの刃を別で自作した実体剣仕様のサーベルを取り出した。ネオジオングのサイコシャードは敵兵装の装備をジャックして自壊に追い込むけど、それはビーム系統の武器の電子機器が搭載されているものに限るので実体剣等の武器はその影響下を受けない。それは予め玲二君とユニコーンを見ていたから対策済みだよ!

 

[ほぉ、まだ抗うというのか?だが、その剣一本ではたして何処まで耐えられるかな?]

 

―ガコンッ!ギュイィィィィンッ……!―

 

ッ!ネオジオングの両肩のハッチが開いた!それに腹部のハイメガ粒子砲も展開している!?向こうも一気に倒しに掛かってるみたい……急いで射程圏外から抜けないと!

 

 

 

 

[さぁ、これで終わらせよう]

 

 

 

 

―キュイィィィィィン……ドッゴオォォォォォォォォォォォォォオンッ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………まだ、終わらせない。終わりになんて、絶対にさせないんだからあぁーーーッ!!

 

―グググッ…ゴォォォォォッ!!―

 

[何!?]

 

迫ってくるメガ粒子砲を寸前で避け、ブラッドムーンのバーニアを全てフル稼働してネオジオングへと向かう!メルは誓ったんだ……絶対に玲二君に本戦で戦うメルを見てもらうって!だからッ!

 

「いくよ、ブラッドムーン!スキル、[エンドレス・ブラッドナイト]発動ッ!」

 

[Endless Blood Night]

 

―キュインッ……パアァァァァァァァァァァッ!―

 

[ッ!この輝きは……!?]

 

「こんなところで……負けてなんていられないッ!!」

 

ブラッドムーンのスラスターを全て開き赤い粒子が噴出し始めブラッドムーンの赤いボディが更に紅く輝きサーベルの刃もまた血のように赤黒く発光していく。これがメルのブラッドムーンのスキル、『エンドレス・ブラッドナイト』だよ!

 

 

スキル『エンドレス・ブラッドナイト』

機体内に貯蔵されたミノフスキー粒子を一気に開放し機体性能を限界以上に底上げする。但し無理なエネルギー開放の為機体の強度は著しくダウンしエネルギーを放出し尽くすと機能を停止してしまう。

 

 

[……このエネルギー量、かなりの出力があると見た。しかし、そんな無理な開放の仕方をすれば機体は持たないと思うが?]

 

「そんなの分かってる!だから、すぐに決着をつけるよ!」

 

―キュインッ……ゴオォォォォォォォォォォッ!!―

 

バーニアをフルスロットルで稼働しネオジオングに向かって一気に加速しながら進む。ブラッドムーンからずっと機体が軋むような音が聞こえるけど、もう少しだけ耐えて!

 

[これ以上はやらせんよ!]

 

―ガコンッ!ドッゴオォォォォォォォンッ!―

 

ネオジオングも胴体であるシナンジュが立ち上がり後ろからバズーカを取り出した発射してきた。それでもメルは止まらない!

 

―ドゴオォォォンッ!―

 

「くうぅ……!?左腕くらいなんて事ないよ!」

 

ブラッドムーンの左腕に砲撃がヒットして左腕が吹き飛ばされてしまったけど、それでも関係ない!メルはもう止まったりしない!

 

[なんと……これが、ガンダムの力なのか……?!]

 

「違うよ!これはブラッドムーンの力だけじゃない。これは……玲二君の事を想うメルの気持ちの力だよ!」

 

―ギギ、ギギギギギィッ……!―

 

バーニアが悲鳴をあげてる……ブラッドムーンのツインアイからオイルが漏れて血の涙のように流れている……ごめんねブラッドムーン、でも後一撃……後一撃だけだから!

 

そしてブラッドムーンはネオジオングの本体であるシナンジュの目前まで辿り着いた!

 

 

 

 

「これで…………終わりだあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」

 

 

―ブンッ!ザシュウゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!―

 

 

ブラッドムーンのサーベルがシナンジュの胴体を一気に貫いていく。けど……

 

―グググッ…パキイィィンッ!ボオォォンッ!!―

 

サーベルの刃が折れてブラッドムーンの右腕も爆散してしまった。それと同時にブラッドムーンからミノフスキー粒子が切れたのか光りが収まって動かなくなっちゃった……ごめんね、ブラッドムーン。もうこれで勝ち目はなくなっちゃった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―……シュウゥゥゥゥゥゥゥ……ボロッボロボロボロッ……!―

 

……え?ネオジオングのサイコシャードが消えて灰色になって崩れていく……これってもしかして……!?

 

 

 

[君に、託す……成すべきと思った事を…………]

 

 

―Mission Clear!―

 

「や、やった…………やったぁーーーッ!!」

 

ネオジオングが崩れ去りミッションクリアのアナウンスが流れた!という事はメル、勝ったんだぁーーーッ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まーま、すごーい!」

 

「きゃうぅ〜♪まーま♪」

 

「ありがとうレミィ、フラン!ママとっても嬉しいよぉ〜♪」

 

メルがバトルが終わって春香とココのいる所に戻ると他の皆ももう既に集まっていた。その表情からするに他の皆もミッションをクリア出来たようである。

 

「はぁーーー!もうあの鬼畜レース二度とやりたくないんだけど!?」

 

「確かにあの最終面での連続S字カーブは地獄だったね………」

 

「うあぁ〜、クイズのし過ぎで沙花叉の頭パンクしそぉ〜……」

 

「僕もハシュマル相手にするのに気合い入れ過ぎて指が痛い……」

 

「トワは相性が良かったお陰ですんなりクリア出来たけど、皆はかなり苦戦したみたいだね?」

 

「トワち全然苦戦しないでエクストリーム捕縛したもんな?」

 

どうやらトワ以外はかなり苦戦を強いられたようでクリアした喜びよりも疲労困憊が目立っていた。ともあれクリア出来たのだから一先ずはゆっくり出来そうだ。

 

(……ブラッドムーン、無茶させて本当にごめんね。でも、メルはもっと強くなるから!だからこれからも、一緒に戦ってね……)

 

大切な愛機に無茶をさせたメルはもっと強くなる事を誓い、皆と一緒に自分の屋敷に戻るのであった。

 

 

 

クリア進捗状況

 

メル

02 04 05

 

シオン

01 05 06

 

クロヱ

06

 

トワ

01 02 03

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―オマケ―

 

「おい聞いたか!?あっちのゲーセンでクラッシャーが現れたってよ!」

 

「マジか、またなのかよ!?」

 

「しかも今相手にしてるのはあの黒上フブキさんらしいぞ!」

 

「マジで!?これは見に行くしかねぇ!」

 

道行くバトラーがクラッシャーの噂を聞きつけ急いでゲームセンターへと向かっていく。そんな中……

 

「…………へぇ、探す手間が省けたぜ。俺のフリしてフザけた事してる野郎に、本物の破壊を見せてやるか……」

 

ボサボサヘアーに目の下に酷い隈が目立つ青年は薄っすらと笑みを浮かべながら他のバトラーが向かったゲームセンターへと向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―オマケ2―

 

「ふぇ、フギャア!フギャアー!」

 

「うんうん、元気に泣いてるね〜♪」

 

「あ、あぅ、あぅあ〜」

 

「こらこら、ママの髪の毛引っ張ったらダメだぞ〜♪」

 

ホロライト病院の一室。其処で産まれた新たな生命の誕生を俺達は喜んでいた。皆が破水したと聞いた時に分身体を待機させておいて良かった。仕事も大事だけど子供達の誕生も大切だからな。

 

「ねぇ玲二さん!ひま達の赤ちゃん可愛いでしょ〜♪ねー『サニィ』♪」

 

「あぅぷぅ」

 

「それだったらパトの赤ちゃんも可愛いよ〜♪ほら『玲華』、パパでちゅよ〜♪」

 

「あぅ?」

 

「全く、皆デレデレし過ぎじゃない?」

 

「あら、そんなリオン様も『レオン』くんにデレデレですわよ。ねー『サリナ』♪」

 

「「あぅ、あっぷぅ」」

 

「いやぁまさかこの歳でスバルの妹産むなんて昔じゃ考えられなかったなぁ?これからよろしくな〜『イノリ』♪」

 

「クー、クー……」

 

皆それぞれ産まれた子供達の事を大事そうに抱っこしている。そんな中……

 

「…………はぁ~……」

 

何故か一緒に出産していたニュイが暗い表情しながらデカいため息を吐いていた。まぁでも、無理はないか。だって……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇママ、どうしたの?大丈夫?『ミュウ』が相談に乗るよ?」

 

彼女の抱っこしている赤ん坊に何故か慰められているからである。というかなんで赤ん坊が普通に喋ってるんだ!?しかも名前付ける前に自分の事『ミュウ』って名乗ってるし!?

 

「いやなんで私の子普通に喋れんの?しかも滑舌も良いし?」

 

「んー?……パパの子だから♪」

 

いや答えになってねぇ!?それが通るなら全員普通に喋ってる筈だろうが!?しかも産まれた瞬間産声じゃなくて

 

「ぷはぁ!苦しかったぁ〜!もぉ〜ママ、もうちょっと力抜いてよ〜!」

 

だったし!赤ん坊がいきなり喋るって、こんなのココの時しかなかったぞ!?しかもあっちは産まれたては片言だったけどこの子は普通に喋ってるし!?

 

「まーまーそんな事より、これからミュウ達の事もよろしくねパパ〜♪」

 

『あうぁ~』

 

「はぁ~、なんでこんないきなり喋れる赤ちゃんなんて……?」

 

『あ、アハハ……』

 

嘆くニュイに皆乾いた笑いしか出ないが……まぁそれでも元気に産まれて来てくれた事には変わりはない。これからますます賑やかになると思うし、俺も父親として頑張らないとな。

 

 

新たな生命、誕生。

 

ひまわり

命名『サニィ』女の子

 

ニュイ

命名『ミュウ』女の子

 

パトラ

命名『玲華』女の子

 

リオン

命名『レオン』男の子

 

サロメ

命名『サリナ』女の子

 

うい

命名『イノリ』女の子




はい、という事でメルのVSネオジオング戦でした!やっぱり戦闘描写は難しい……(-_-;)

そして最後にまたベイビーズが誕生しましたがちょっとクセのある子も産まれましたね(^_^;)

次回は再びIS学園!玲二と一夏達のバトルが繰り広げられます!次回もまったりと待って頂ければ幸いです、ではまた!


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EP06『IS学園の生徒達』

うーん、原作見たのが如何せん大分前だからキャラが合ってるか分からない……まぁ箒の時点でそんな心配必要ないですかね?(^_^;)

今回はIS学園の生徒達が登場!はたしてどんな出会いが待っているのか?今回も最後まで見て頂ければ有り難いです、ではどうぞ!


IS学園にやって来た玲二達は千冬の提案で生徒達とバトルする事となった。その頃、千冬によって呼ばれていた生徒達は教室で待機をしていた。

 

「………一体何故私達は教室に呼ばれたのだ?」

 

「さぁ?特に何かやったワケじゃないし……」

 

「もしかして僕達が皆纏まって戻って来たから進捗状況の確認とかじゃないかな?」

 

「あ、それかもね。因みに皆は何処まで進んだ?」

 

「私は一応バトル系以外は全て終わらせましたわ。後はそれぞれのミッションに合わせた機体をラウラさんにアドバイスを受けながら作って挑戦する予定です」

 

「私はセシリアの逆でバトル系は全て終わらせた。後は後は私にとって探索系とクイズが一番の難関だからそれを突破出来ればほぼ一次予選突破だな」

 

生徒達はこれまでの互いの進捗状況を報告しあい対策等の情報交換等を行っていた。しかし、そんな中で……

 

「…………はぁ~」

 

「……どうしたの織斑の奴?」

 

「大方未だにどのミッションもクリア出来てないから嘆いてるんだろ?」

 

「あー、確か友人の弾さんが既に二つミッションをクリアしているのに自分は未だに一つもクリア出来てないんでしたわよね?」

 

「うぐ……!?お、お前等そんな事言うなよ!しょうがねぇじゃねぇか!クイズとか出されても全然分かんねぇしレースも向こうが速すぎるし、そもそもミッション自体に参加出来ない事だってあったんだから!」

 

「ミッションに参加出来ない……?一夏、それってもしかしてミッションに参加条件を満たしてない機体で行こうとしてない?例えばネオジオング戦の宇宙世紀仕様のみとか」

 

「いや、んな事言ったってその宇宙世紀?っていうのがどんなのか分かんねぇし……」

 

織斑と呼ばれた男子生徒のあまりにもお粗末な状況に他の生徒達は呆れたり苦笑いしか出来なかった。

 

「……はぁ、だから千冬さんからあれだけガンダムの事をしっかり勉強しろって言われただろうに……」

 

「そんな事しなくたってガンダムの事はバッチリ理解している!ガンダムは皆を守る為のロボットだろ!」

 

「…………なんでそんな解釈になってしまうんだろ?」

 

「シャロ、こいつに何言ったって無駄よ。こいつは自分がこうだと決めつけたモン以外は絶対に認めない意固地なとこがあるんだから」

 

女子生徒から勉強しろと言われてもガンダムの事は理解していると突っぱねてしまう。それならばクイズとかも普通にクリアしてるのでは?と内心呆れてものが言えない一同であった。と其処に……

 

―ウィーンッ―

 

「皆、集まっているな?」

 

「あ、千冬姉―バシィンッ!―イッテェッ!?」

 

教室にやって来た千冬と束。しかし織斑が近づくと千冬は容赦なく持ってた出席簿で頭を叩いた。

 

「織斑先生だ馬鹿者。さて、戻って来たばかりで悪いと思うが、今からお前達にはバトルを行ってもらう」

 

「バトル……ですか?それは私達で模擬戦を行うという事でしょうか?」

 

「んーん、違うよ〜。皆にはなんと!これからやって来る特別ゲストと一緒に熱いバトルを行ってもらうのだぁーーー!」

 

『特別ゲスト……?』

 

束の言う特別ゲストとは一体誰なのか?生徒達が考えていると

 

―ウィーンッ―

 

「失礼します」

 

『……え!?』

 

其処に一人の男性、ガンプラウォーズの提案者である佐々木玲二が入ってきた。突然の有名人の登場に生徒達は二人を除き目を見開き驚いていた。

 

 

視点変更

 

 

へぇ、この子達が千冬さん達の教え子か。けど突然やって来た所為で皆ポカンとしてしまってるな。

 

「改めて紹介しよう。こちらはガンプラウォーズの提案者であり今回のGWDWCの最高責任者の佐々木玲二だ」

 

「はじめまして、只今ご紹介頂きました佐々木です。本日は私が連れてきた仲間達とバトルして頂けるという事でよろしくお願いします」

 

『……………………』

 

………?なんか皆ポカンとしたまま動かないな?一体どうした……って今度はいきなり集まってヒソヒソしだしたけど本当にどうしたんだ?

 

 

 

(な、ななな、なんで此処に佐々木玲二さんがいらっしゃるんですか!?)

 

(し、知らないよぉ!?というかGWDWCの最高責任者が僕達とバトルってどういう事?!)

 

(おおお落ち着けけけけみみ皆ななな……!?)

 

(いやラウラが一番落ち着きなよ!?)

 

(と、兎に角今は冷静になって対処しないと……って織斑!?)

 

 

 

 

 

「レイ兄!レイ兄じゃんか!?久しぶりだな!」

 

「おぉ一夏。久しぶり、元気そうだな?」

 

「あぁ!それにしても今まで何してたんだよ!?レイ兄が剣道止めてからずっと音沙汰なかったし!」

 

「…………あ、そっか。一夏とは連絡先交換してなかったっけ?」

 

そういや千冬さんと束さんと箒とは連絡先交換してたけどあの頃の一夏はケータイ持ってなかったから連絡先教えてなかったんだっけ。それなら俺の今の状況知らなくて当然か……ん?

 

―ガシッ!―

 

「うぉ!?な、なんだ!?」

 

「織斑さん!貴方何この方に気安く話しかけてるんですか!?無礼にも程があります!」

 

「そうよ!この人は織斑なんかが馴れ馴れしく話しかけれるような人じゃないのよ!」

 

……なんか一夏が金髪の女の子と小柄な女の子に引っ張られて怒られているんだが、そんなに怒る事か?

 

「な、ど、どうしたんだよセシリア!?それに鈴もなんでそんなに怒ってんだ?!」

 

「なんでって、一夏この人の事知らないの!?この人は世界で最も有名なアイドルグループホロライブの日本支部支部長でありそのホロライブと肩を並べる芸能事務所にじさんじの総合マネージャーでもあり今急成長中の人口都市ホロライトシティの市長を勤めている佐々木玲二さんだよ!」

 

「そうだよ!僕達が気安く話しかけて良い相手じゃないんだよ!」

 

「…………え?よ、よく分かんねぇけど、もしかしてレイ兄ってスゲェ人なのか?」

 

……やっぱり一夏は姉である千冬さんと妙な正義感以外の興味が薄いのか全然ピンときてないみたいだな?まぁそんなのは昔から知ってたし、それに気軽に話しかける事に関しては別に問題ないんだけどな?

 

「いや、そんな変に畏まらなくても大丈夫だぞ?それと箒、数日ぶりだな」

 

「はい、玲二さんもお元気そうで何よりです!」(ひゃあぁ〜♡まさか玲二お兄ちゃんとこんなに早く再会出来るなんてぇ〜♡)

 

「え!?ま、まさか箒さん、貴方も玲二さんとお知り合いなのですか?!」

 

「ん?あぁ、玲二さんと私と、ついでに織斑は昔同じ道場で剣道を学んだ仲だ」(そして私にとっての永遠のヒーローであり想い人だ!)

 

「剣道道場の!?アタシ、道場にはいかなかったから知らなかった……!?」

 

うーん、なんか一夏と箒が慌ただしくて話が進まないな?取り敢えず一旦落ち着いてもらうとするか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……で、皆落ち着いてくれたか?」

 

『は、はい……』

 

ん、なら良かった。あのまま慌ただしいままだったら話が進まないまま日が暮れそうだったしな。

 

「と、取り敢えずまずは自己紹介を……コホン、お初にお目にかかります佐々木さん、イギリスから来ました『セシリア・オルコット』と申します。ランクはプラチナの3です。以後お見知りおきを」

 

「ちゅ、中国出身の『鳳鈴音』です。ランクはセシリアと同じくプラチナの3です。織斑と箒とは幼馴染です。よ、よろしくお願いします!」

 

「えっと、『シャルル・デュノア』といいます。フランスからやって来ました。ランクはプラチナの5です。こちらは僕の妹のシャルロットです」

 

「しゃ、『シャルロット・デュノア』です!ランクはプラチナの2です!兄ともどもよろしくお願いします!」

 

「ら、ららら、らら……!?「ラウラ、大丈夫だから落ち着いてゆっくり自己紹介しよ」う、うむ……ら、『ラウラ・ボーデヴィッヒ』です。よ、よろしくお願いします……あ!ら、ランクはダイヤの1でしゅ!あぅ……!?」

 

へぇ、皆それなりに高いランクを有しているんだな?箒のあの後プラチナに昇格したって聞いたし、これはこの後のバトルが楽しみだな。けど約一名未だに緊張してるみたいだけど大丈夫か?

 

「さて、それではこれからお前達には玲二が連れてきた仲間達とバトルを行ってもらう。そしてバトルには玲二が組んだ新たなシステムを使用して行う事になるからそのつもりでな」

 

「新たなシステム?それってもしかして機体制限とかあるんですか?」

 

「いや、機体制限とかはないが……まぁ其処は着いてから話そう。それよりも俺の仲間達を待たせてしまってるから早速バトルルームに行くとしよう」

 

「よぉーし!それじゃあ皆でバトルルームにゴーゴー!」

 

束さんの掛け声と共に俺達は先程までいたバトルルームへと向かう事となった。さて、箒達は特に大丈夫そうだが、問題は……一夏だな。こいつはさっきも言ったが千冬さんと妙な正義感以外の興味が大分薄い。一応ゴールド1みたいだがおそらくその実力は……まぁ実際に戦って見れば分かるか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「という事で今回お前達と戦う俺の仲間だ。皆、頼むぞ」

 

「ハロー、佐々木アカリだよ♪今日は皆よろしくね♪」

 

「もぐもぐ〜、おかゆ〜。猫又おかゆでーす♪」

 

「にじさんじ所属タレント兼加賀美インダストリアル代表取締役の加賀美ハヤトです。よろしくお願い致します」

 

「はいどうもー、剣持刀也でございます。本日はどうぞよろしくお願いしますね〜」

 

「……尾形三日月です。よろしく」

 

「岡一華だ。ミカの姉貴分をしている。よろしくな」

 

俺の妻と仲間達が一夏達に挨拶するとまたオルコット達がざわつき始めた。まぁそれなりに有名な奴が揃ってるから驚いてもしょうがないか。

 

「ほ、本物の加賀美ハヤト様……!?///」

 

「それにレジェンドアイドルのアカリちゃんにホロライブの猫又おかゆさんもいる!?」

 

「それにあの子、今話題のダイヤランカーの三日月の悪魔じゃない!?」

 

「す、凄い、こんなに有名どころばかりが集まってるだなんて……!?」

 

「あ、あわわ……!?///」

 

おー、やっぱり皆も世界的に知れ渡ってるからか皆知ってくれてるんだな。それとなんかボーデヴィッヒがかなりテンパってるけど大丈夫か?

 

「お、久しぶりだな刀也!」

 

「久々だな刀也。最近自主練サボったりしてないか?」

 

「おぉ久しぶりだな二人とも。それといい加減呼び捨て止めろよ!?僕一応お前達の先輩なんだぞ!」

 

「だったら少しくらい先輩らしい事したらどうなの?最近アイドル活動ばっかで弛んでるんじゃないの?」

 

「アイドルじゃねぇよ!歌って踊るけどアイドルじゃねぇから!」

 

「え!?刀也ってアイドルだったのか?!」

 

「だから違ぇし!」

 

あっちでは刀也が一夏と箒と鳳の三人と談笑してる。刀也も一夏達と同じ学校に通ってたから鳳の事も知ってたんだな。

 

「あ、あああ、あの!」

 

「ん?どーかしたのかな?」

 

「あの、えと、その……わ、私おかゆんのファンです!おにぎりゃーです!だ、だからその……さ、ささささ、ささ……サインくださいッ!///」

 

「え、良いよ〜♪よいしょっと……はいこれ。それとぴりか、オマケに手形付けてあげよっか♪」

 

「にゃあ~、ぴりかのおてて〜♪」

 

「あ、ああ、ありがとうございます!一生の宝物にします!はわぁ……♪///」

 

あぁ成る程、ボーデヴィッヒはおかゆのファンだったのか。それもあの感じだとかなりのガチ勢みたいだな?

 

「あ、あの!加賀美様!お初にお目にかかります!私セシリア・オルコットと申します!いつも加賀美インダストリアルから出ているオプションパーツを買わせて頂いております!」

 

「え、そうなんですか!?私の所のオプションパーツなんてバトル向きじゃないのにですか!?」

 

「は、はい!加賀美インダストリアルから出されているオプションパーツはジオラマを作る際にとても重宝しておりますのでその手の方々からとても人気がありますもの!私も必ず新商品を押さえております!」

 

「そうだったんですか!?いやぁそれは嬉しいですね♪あ、なら今度我が社で作った新しいユニーク装備ブランドの試作品があるんですが良ければ送りましょうか?」

 

「良いんですか!?是非お願いします!」

 

へぇ、オルコットはハヤトの所のオプションパーツの愛好家だったのか?加賀美インダストリアルから出ているパーツはバトルには向かないもののジオラマ等を作る際に使えるユニークアイテムとして人気を博しているから品薄が続いてるって聞くが、そんな中でオルコットにプレゼントするなんてハヤトと気前が良いな、流石社長。

 

「ま、まさかこんな場所で伝説のアイドルミライアカリさんに出会えるだなんて……!?」

 

「もぉ〜アカリは大分前にアイドル辞めたって。今は玲二のお嫁さんとして頑張ってるもんね〜ヒカリ、きらりちゃん♪」

 

「まま、がんばってる〜♪」

 

「……うゅ」

 

「うわぁ子供達も可愛い〜♪」

 

あっちではデュノア兄妹がアカリと楽しそうに会話している。妹の方は子供達にデレデレになってるが、よっぽど子供好きなんだろうな?

 

「………スマンな玲二、落ち着きのない連中で」

 

「いえ、それは良いんですが……まぁ何時までもワイワイ喋られても困るし、そろそろバトルを始めるとするか。今回はそれぞれ一対一でバトルする予定だが、誰から参加する?」

 

「それなら私から行かせてください。IS学園の生徒の実力、一度試してみたかったから」

 

お、最初は尾形がいくか。さて、向こうは誰が「ならこっちは俺がいくぜ!」……やっぱり一夏が名乗り出たか。

 

「ちょ!織斑さん何考えてるんですか!?」

 

「相手はあの三日月の悪魔と呼ばれるくらい強いバトラーなのよ!あんたなんかが敵う相手じゃないわよ!」

 

「大丈夫だって!俺だって頑張ってゴールドランクまで上がれたんだ!それに俺には千冬姉からもらったこいつがあるからな!絶対に負けるワケねぇよ!」

 

……一夏の奴、三日月がダイヤ3の強豪だっていう事を知らないみたいだな?それと一夏の手にあるガンプラ……あれは、『インフィニットジャスティス』か?

 

 

『HG インフィニットジャスティスガンダム』

『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』に登場した機体。ジャスティスガンダムの後継機として開発されたこの機体は近接戦闘の武器が多いがシャイニングエッジブーメランやグラップルスティンガー等の遠くにいる敵にも攻撃出来る武装も備わっている。

 

 

…………あのインジャ、かなり作り込みが荒いな?一応白と青に塗装されているが合わせ目やゲート跡が全く処理されていない。オマケに塗装してある部分もはみ出し部分が多過ぎる。とてもじゃないがゴールドランクの使うガンプラとは思えない。

 

(……千冬さん、もしかして一夏のゴールドランクっていうのは……)

 

(……流石に気づくか。あぁその通りだ、あいつのランクがゴールドなのは他の生徒から手厚くサポートしてもらってやっと上がったようなものだ。実力だけで言えばシルバーの2…いや1くらいしかない)

 

(やっぱり……因みに一夏ってガンプラやガンダムの知識は……?)

 

(全くない。あいつは今までアニメも漫画も、なんなら説明書に書かれている設定すら全く見ないで此処まできたんだ。それどころか昔のロボットアニメの偏見からかガンダムを悪の組織と戦う正義のロボットだと思い込んでいる。私達が幾ら言っても理解しようともしないんだ)

 

やっぱりそうか……しつこいようだが一夏は昔から千冬さんや妙な正義感以外の興味が薄く、それでいて変な偏見で思考が固まっている。家族は守るもの、女性は守るもの、困ってる人は助けるもの……どれも聞けば良い心がけなんだが実際は家計を助ける為と言って中学時代年齢を偽ってバイトしてたり女性を守るとか言ってる割には女性を見下すような発言をしたり、更には相手が結構と言っているのにしつこく助けようとして周りから不審者として通報されたりとやる事成す事全てがマイナス方面に行ってしまってるのだ。昔から千冬さんや束さんや俺が何度も注意してもその場では分かったとか言うが結局また同じ事を繰り返してしまう。なんでこんな性格になっちまったんだ?

 

「という事で、えーと、三日月だったっけ?よろしくな三日月!」

 

「…………なんで初対面で馴れ馴れしく呼び捨てにしてんのさ?」

 

「え?その方が親しみやすくて良いだろ?俺は織斑一夏だ、よろしくな!」

 

一夏は尾形に向かって握手の為に手を差し出す。だが……

 

―パシィンッ!―

 

「え……!?」

 

「…………親しみやすくするのと馴れ馴れしくするのは全く別物。私、あんたみたいな馴れ馴れしい奴嫌い。二度と私の事名前で呼ぶな」

 

「な、なんだよ……?」

 

……やっぱり尾形からは嫌われたか。一夏は誰に対してもフレンドリーに接しようとするが如何せんその態度が馴れ馴れしい感じがするので尾形みたいにそういうのが嫌な人には本当に受け入れられないのだ。加えて一夏は超が付くほどの鈍感であり良くも悪くも人の気持ちを察するのが苦手なのだ。だから相手がなんで嫌そうにしているのかも分かってないんだよな……本当になんでこんなふうに成長してしまったんだ?

 

「え、えーと……と、取り敢えず最初はいっくんとみーちゃんのバトルから始めよっか!それじゃあ二人とも、早速筐体の中に入ってちょーだいな!」

 

「分かりました」

 

「あ、あぁ……」

 

淡々と筐体の中に入っていく尾形に対して一夏はまだ何か言いたげだったが渋々筐体へと入っていった。さてこのバトル、正直結果は目に見えてはいるがどうなる事やら……?

 

 

 

遂に始まるIS学園の生徒とのバトル。はたしてどんなバトルが繰り広げられるのだろうか?

 

続く……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

出典元と設定

 

セシリア・オルコット

インフィニット・ストラトス

IS学園に通うイギリス出身のご令嬢。原作とは違い両親は存命しており男性を見下したりはしていない。ガンプラバトルの腕もさる事ながらジオラマ作りも嗜んでおり加賀美インダストリアルから発売しているジオラマキットやユニークアイテム等を愛用している。

 

鳳鈴音

インフィニット・ストラトス

IS学園に通う中国出身の女の子。原作と性格はそんなに変わらず天真爛漫である。一夏と箒、そして剣持と幼馴染であるが一夏達が通ってた道場には行った事はなかった為一夏達と玲二が知り合いというのを知らずにいた。

 

シャルル・デュノア

インフィニット・ストラトス

IS学園に通うフランスの大企業デュノア社の御曹司。原作では後述するシャルロットと同一人物でIS学園に男子として入った際の偽名だったがこの世界では双子の兄として存在している。会社がホロライブのスポンサーをしておりその際知り合ったアズキに一目惚れしたのだが後にアズキが玲二と結婚した際はショックで数週間寝込んでいた。

 

シャルロット・デュノア

インフィニット・ストラトス

IS学園に通うフランスの大企業デュノア社のご令嬢。原作では前述のシャルルと同一人物だったがこの世界では双子の妹となっている。兄であるシャルルの影響でアズキのファンになったがアズキが玲二と結婚した際は兄共々ショックで寝込んでいた。

 

ラウラ・ボーデヴィッヒ

インフィニット・ストラトス

IS学園に通うドイツ出身の軍人の家系の女の子。原作当初は千冬を崇拝し誰も寄せ付けない棘のある性格だったがこの世界では根っからのドルオタになっている。しかしかなりの上がり性であり推しが近くにいるだけでかなりテンパってしまう。因みにおにぎりゃーでもありそらともでもあり開拓者でもあり星詠みでありetc……用はホロライブ箱推しである。

 

織斑一夏

インフィニット・ストラトス

言わずもがな知れた原作の主人公。基本的には原作とほぼ変わらないが玲二が関与してしまった所為か少し残念な感じになってしまっている。幼き頃に玲二と千冬の強さを見て憧れ、其処から自分も二人のように皆を守れるような人間になりたいと考え出す。しかしその為の努力とかは特にしておらず人助けも基本的に空回りして失敗している。




はい、という事でIS学園の生徒達でした!そして次回は三日月と一夏の対決!三日月が若干苛立ってましたがはたしてどうなるのやら……?次回もまったりと待って頂ければ幸いです、ではまた!


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EP07『無知への怒り』

夜空メルさんがいなくなり悲しい気持ちでいっぱいですが、何時までも暗い気持ちでいては彼女もまた辛くなるだけなので今は兎に角この小説を書き続けようと思います。そしてこの小説では引き続き夜空メルさんを出し続けていきますのでどうかよろしくお願いします。

さて、暗い感じは此処までで今回は一夏と三日月のバトルです!はたしてどうなる事やら……?今回も最後まで見て頂ければ有り難いです、ではどうぞ!


「な…………何も出来なかった………」

 

「……弱すぎ。それでよくゴールドなんかになれたもんだね?私が前に戦ったインジャ使いはもっと強かったよ?」

 

……一夏と尾形のバトルが終わり、負けて項垂れる一夏と勝ったのに全然満足していない様子の尾形。一体何があったのか?それは少し前まで時は遡る……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―BATTLE START―

 

ゲームが始まり舞台は荒野。其処には一夏の駆るインフィニットジャスティスと尾形の駆る『ガンダムバルバトス・クレセント』、そして辺りには無数に散らばる武器の残骸があった。

 

 

『HGガンダムバルバトス・クレセント』

『HGガンダムバルバトス第4形態』に『バルバトルルプス』をミキシングし、黒く塗装した機体。両肘部にナノラミネートカッターという四半月状の刃を装備しており、取り外して連結することで、ナノラミネート・クレセントブレードとなる。阿頼耶識システムも使用でき、使用時のステータスはルプスレクスに匹敵する。『クレセント』は『三日月』を意味し、機体の各所にも黄色い三日月のエンブレムが施されている。

 

 

「では今回のルールを説明する。今回のゲームは『戦場の記憶』だ。舞台は武器の残骸が散らばる荒れた大地。そして二人の初期武装は全て外した状態でのバトルだ」

 

「はぁ!?武器を外したって、それじゃあどうやって戦えって言うんだよレイ兄!?」

 

「…………成る程、周りにある武器か」

 

そう、今回のバトルでは自分の武器が使えない代わりに周りにある武器の残骸がポイントとなってくる。確かにその殆んどは残骸ではあるが中にはまだ使用可能な武器も幾つか残されている。なのでその中から武器を調達しバトルするというのが今回の形式だ。

 

「よし、バトルのルールを理解してもらったみたいだからそろそろ始めてくれ」

 

説明を終えてバトルを初めるよつに伝える。だが次の瞬間……

 

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!」

 

「なッ!?」

 

な、一夏!?あいついきなり尾形のクレセントに向かって突っ込んでいきやがった!?何考えてるんだあいつは?!だが当然ながらその突進をクレセントはいとも容易く避けてしまう。

 

「…………お前、何考えてんの?いきなり馬鹿みたいに突進なんかして」

 

「し、仕方ねぇだろ!?武器が使えねぇんだから!」

 

いや一夏!?俺さっき説明したよな?!もしかしてこいつ、また説明禄に聞かずにいたのか?!

 

「……呆れた。さっき佐々木さん言ってたじゃん、武器はこの周りにある残骸から調達するって。こんな感じに……ね!」

 

―ガシッ!ブオォンッ!―

 

「うおッ!?」

 

―ガッシャアァァァンッ!!―

 

おぉ、尾形のクレセントが近くにあったスローネツヴァイのGNバスターソードを拾って一夏のインジャに向かって振りかざした。そしてインジャの左腕を破壊したが、その衝撃でバスターソードは壊れてしまった。まぁ壊れかけの武器だったから仕方がないな。

 

「ぐうぅ……!?ひ、卑怯だぞ!落ちてる武器を使うなんて!?」

 

「何言ってるの?お前、本当に話聞いてないんだね?この勝負はこういう残骸から使える武器を探して戦うのがコンセプトなんだから、私はそのルールに則って戦ってるだけ」

 

「だ、だからと言ってそんな武器を雑に扱うなんて……!?」

 

「壊れかけの武器だから其処はどうしようもない。だからこそこのバトルでは如何に使える武器が何処にあるかを見極めるのが重要になってくる。もっとも、お前程度なら多少壊れた武器で充分そうだけどね」

 

「な、なんだとぉッ!?」

 

あー、一夏の奴挑発に乗ってしまったな。あいつ本当に昔から徴発されるとすぐに乗ってしまうとこがあるから今回も例に漏れず尾形の徴発に乗ってしまい顔が真っ赤になっている。

 

「ほら、悔しかったら掛かってきなよ?それとも、たかが左腕壊されたくらいで日和る臆病者なの?」

 

「な!?そんなワケねぇだろぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!」

 

―ガシッ!ブオォンツ!―

 

完全に怒りで周りが見えなくなっているのか一夏は近くに落ちていたビームサーベルを拾ってクレセントへと斬り掛かっていく。ビームサーベルは壊れておらず普通に刃が出たが、やはり一夏はガンダムの知識はないみたいだな?

 

―バシュウゥッ!―

 

「へ!どうだ!これでお前も「やっぱお前馬鹿だね」何!?―ドゴオォンッ!―ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁッ!?」

 

ビームサーベルで斬りつけられたクレセントだが何事もなかったかのように足元にあるタクティカルアームズソードフォーム(半壊)を拾って振り払いインジャの両足を叩き折っていった。これはもう一夏に勝ち目はないな……

 

「全く、本当にガンダムの知識がないんだね?ナノラミネートアーマーが施されているオルフェンズ系の機体相手にビーム兵器を使うなんて論外過ぎる」

 

「う……煩ぇ!攻撃が効かないなんて、そんなインチキな機体認められるワケが……!?」

 

「オルフェンズの世界線ではビーム兵器は殆んど出てこない。MSの戦闘は基本的に実弾兵装や鈍器等の実体兵器のみ。如何に相手の機体を壊し、敵の命を奪うかを重要視した戦いをする。それが私やお前の姉である千冬さんが使うオルフェンズのガンダム、バルバトスの戦い方だ」

 

「う、嘘だ!?ガンダムは正義のロボットなんだろ!?そんな兵器みたいなのが千冬姉の使うガンダムなワケ……!?」

 

「…………織斑、これだけは言っておく。ガンダムは決して正義のロボットなんかじゃない。世界線によって立場は違えど、ガンダムは……戦争の兵器だ」

 

―ドスッ!!―

 

怒りが混じった声で尾形はそう言いながら尾形のクレセントが一夏のインジャのコックピットをタクティカルアームズで貫いた。これは最早勝負なんかじゃない、一方的なサンドバッグにされたまま一夏は完全な敗北を喫したのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして現在は冒頭部分へと戻る。

 

「……クソッ!クソオォッ!!あんな一方的に攻撃するなんて、こんなのバトルじゃねぇ!」

 

「……何が一方的なのさ?私はこのゲームのルールに従って、そして適切な動きをしただけ。お前は何も考えずただ相手に突っ込んで自滅した、唯それだけの話だよ」

 

「グッ……!?」

 

尾形の言う通りだ。尾形はこの戦場の記憶のルールに則り周りに散らばっていた武器から使える物を選びそれを使って攻撃しただけ。対する一夏は相手の機体の特性を知らなかった為に不適切な武器を拾って攻撃し失敗した。

 

そしてあの半端な出来のインジャも速攻で負けた要因だ。塗装も中途半端な所為で装甲の強度が逆に悪くなり、更には合わせ目処理もせずゲート跡の処理もしていなかったから動く度に機体に負担が掛かってしまい動きにキレがなくなってしまっていた。

 

そう、全ては一夏の知識不足と半端な出来上がりのインジャが招いた結果である。

 

「……バトルが始まる前に篠ノ之達から聞いたけど、お前ってガンダムの事を理解しているって言って禄に物語も見ずにガンダムを正義のロボットとか言ってたんでしょ?そもそもそれが間違ってる。少なくとも私の、そしてお前の姉である千冬さんの使ってる元となったバルバトスのパイロットはそんな理由で戦ってなんかいない」

 

「え……?じ、じゃあそいつはなんの為に戦ってたんだよ?」

 

「……バルバトスのパイロットは、三日月・オーガスは自分の命は兄貴分であるオルガの為にある。だから自分はオルガの為にこの命を使わないといけない、そう思って生きてきたんだ。それが相手を殺す事になろうと、三日月はそれを躊躇いなく遂行する。全てはオルガの目指す思想の為にね」

 

「な……!?そ、そんなの、間違ってる!誰かの為に人を殺すなんて……!?」

 

「……お前、やたらと正義に拘ってるみたいだけど、三日月にとってはそれが正義、己の信じた信念だよ。劇中でも三日月は周りから敵対され、そしてオルガや仲間達、最後に自分の命を奪われても……命尽きる最後までそれを貫いて戦ったんだ」

 

尾形の言う通り、オルフェンズの主人公三日月が属する鉄華団は決して一夏の想像する正義の組織なんかではない。寧ろ周りから危険分子として扱われ、最後には三日月を含め多くの命が奪われた。だがそれでも彼等は前に進み続けた。自分の信じた道を、決して止まることなく……

 

「……一夏、俺は昔お前に言ったよな?正義っていうのは自分が信じた正しいと思う信念、だから正義は人の数だけある。そしてそれは決して他人に押し付けるものでも、否定出来るものでもないって。ガンダムのパイロット達もそうだ。ある者は国を、ある者は愛する者を、ある者は仲間を守る為に戦った。争いを止める為、自由を得る為、自分の生き様を証明する為、多くのパイロットがその命の炎を燃やして戦ったんだ」

 

「……皆、違う思いで戦っていたのか?」

 

「そうだ。それ故にガンダムの世界で多くのパイロットが戦ってきた物語を、正義なんて言葉で片付けてはいけないんだ。だから一夏、今からでも遅くないからお前もガンダムについて学んでみな。そうすればお前は今よりもっと強くなれる」

 

実際ガンダムの知識を増やす事で戦術の幅は大きく広がる。作品を知る事でその機体の弱点や長所も理解出来て戦う事が出来るようになるからな。一夏にはそれをしっかり学んでほしい。

 

「…………レイ兄、本当にガンダムの知識を付けたら強くなれるのか?」

 

「あぁ、少なくとも今のお前よりもな」

 

「……だったら俺、もっと強くなりてぇ!強くなって、三日月や箒達に、そして千冬姉を超えるようになりてぇッ!だから頼むレイ兄!俺にガンダムの事を教えてくれッ!」

 

ッ!?…………驚いたな、まさか一夏から土下座して頼み込んでくるなんて。それ程尾形に負けた事が悔しかったんだろうな?だがそれなら手間が省けて良い。

 

「おう、そう言うからには絶対に途中で投げ出すんじゃねぇぞ?」

 

「当たり前だ!俺は絶対に投げ出さねぇ!強くなってGWDWCの予選なんてすぐに突破してやる!」

 

「そっか、ならしっかりやれよ。という事で………二人共、よろしく頼む」

 

「……え?」

 

―ガシッ!―

 

「ほぉ〜、君かぁ?ガンダムを正義のロボットとか変な事抜かした奴はぁ?」

 

「ん〜、どうやら君は変な思考に囚われてしまってるようだね〜?これは我々が粛清せねばいかんなぁ〜」

 

俺の合図と共に一夏を取り押さえる二人組。今此処にはいない筈の築とのりプロ所属の獅子族の女の子『レグルシュ・ライオンハート』が明らかな作り笑いをしながら一夏の腕を拘束していた。

 

「な!?社築にレグルシュ・ライオンハート!?」

 

「ガンプラウォーズ最強格のガンダリウムランカー二人が何故此処に……!?」

 

「あぁ、俺が呼んだんだよ。千冬さんの話を聞いて一夏には少し荒治療をした方が良いと思ってな。という事で二人共、こいつにガンダムが何かというのをみっちりと叩き込んでやってくれ」

 

「りょーかいでーす!それじゃあまずは宇宙世紀を一通り見てもらってからアナザーを一通り見てもらおっか♪」

 

「それとSDを使うならヒーローズだけでなく武者シリーズや騎士シリーズも網羅しないとなぁ〜♪その後はガンプラ技術を一から徹底的に教え込むからな〜?」

 

「あ、あの?なんか怖いからやっぱり遠慮しま「「許す訳ねぇよなぁ〜?」」ヒィッ!?」

 

あー、やっぱり二人共生粋のガノタだから一夏みたいな偏見は絶対に許さないよな?顔は笑ってるが目が完全に笑ってねぇ……

 

「という事で千冬さん、一夏は築とライオンハートに暫く預かってもらいますが良いですか?」

 

「あぁ、寧ろ有り難い。これで少しでもガンダムの知識が身に沁みてくれたら助かる」

 

「アッハハ〜♪それじゃいっくん頑張ってきてね〜♪」

 

「そ、そんなぁーーーーーーッ!?」

 

嘆く一夏を築とライオンハートがズルズルと引摺りながらバトルルームから出ていった。流石の一夏もあの二人からみっちり教わればちゃんとした知識を付けるだろ。という事で後の事はあの二人に任せよう。

 

「ま、まさか織斑さんがガンダリウムランカーから直接ご教示頂けるなんて……!?」

 

「というよりあの二人ってどっから来たの!?」

 

「あぁ、それはこよりが作ってくれたてれぽーとくんを使って此処までワープしてもらったんだ。これはホロライブとにじさんじが保有する特殊なテレポート装置さ」

 

「さ、流石世界一のアイドル事務所。そんな物まであるのね……?」

 

「おぉ~、これは束さんの次くらいに凄い発明だね〜♪」

 

まぁ確かに普通なら必要以上のオーバーテクノロジーだよな?まぁそんな事は置いといて、続いてどんどんバトルしていくとするか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数時間後……

 

「玲二、今日は態々無理を言ってすまなかったな」

 

「いえ、こちらこそ皆にとって良い経験になったので寧ろ有り難かったです。束さんも有り難うございました」

 

「良いって良いって〜♪また束さんの力が必要なら何時でも言ってね〜♪」

 

バトルが終わり、今回の件についてお礼を述べた後俺達は本土へ帰宅するフェリーに乗り始める。フェリーの前には箒達も見送りに来てそれぞれ別れの挨拶を交わしていた。

 

 

 

「加賀美様!今度私の作ったジオラマをお送りさせて頂きますので楽しみににしていてくださいまし♪」

 

「ホントですか!?それは嬉しいですねぇ♪それなら折角ですし私からも何か送らせて頂きますね」

 

「良いんですか!?有り難うございます!」

 

 

 

「お、おお、おかゆん!ま、また何時かバトルを……!?///」

 

「うん、今日は負けちゃったけど次は勝たせてもらうからね〜♪」

 

「は……はい!///」

 

 

 

「驚いたな、刀也ってあんなに強かったのか……?」

 

「当たり前だろ、これでも僕だってプラチナ4だぞ!」

 

「ふーん、刀也の割には結構やるじゃん?」

 

「お前等どんだけ僕の事下だと思ってるんだよ!?」

 

「「…………織斑以上私達未満?」」

 

「ずっとそう思ってたのかよ!?しかもしれっと一夏をディスるなよ?!」

 

 

 

「アカリさんのフォーチュンガンダム、凄かったです!あんな凄い改造出来るなんて流石ですね!」

 

「そんな事ないよ〜。これはアカリの事を応援してくれた子が送ってくれたガンプラだし、シャルル君のG-セルフベースのガンプラも中々凄かったよ♪」

 

「そ、そうですか?そう言ってもらえると嬉しいですね……///」

 

 

 

「そう言えば一華さんって今回参加してなかったけど普段はどんな機体使ってるの?」

 

「あー……普段は結構いろんな機体を使っては改修しての繰り返しをしてるけどまだしっくりくる機体がなくてな……」

 

「一華はどちらかと言えばサポートの方が性に合ってるって言ってたしね」

 

 

 

それぞれ交流を深めたのか最初の頃の緊張感は薄まりハヤト達と普通に談笑するようになってるな。ボーデヴィッヒは相変わらずだが。さて、子供達もおねんねしてるし、俺達もそろそろ―ピリリリリッピリリリリッ―?電話か、誰からだ?

 

―ピッ―

 

「もしもし……あぁ……うん…………分かった、すぐに向かう。みしろは引き続き奴の動向を調べてくれ。じゃあ切るぞ」

 

―ピッ―

 

「……おかゆ、悪いが先に皆と一緒にホロライトシティに戻ってくれ」

 

「え?レイくん、何か問題でもあったの?」

 

「あぁ…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

()()()()()()()()()()

 

また、一波乱が起きそうな予感がするな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―オマケ―

 

「……メル先輩、GWDWC辞退しちゃったね?」

 

「そりゃあんな事があったんだし、何よりメルちゃん自身が許せないんだと思うよ。不祥事を起こして契約解除したのに自分がGWDWCをそのまま参加するなんて許せないって……そんな事、全然気にする事ないのに……」

 

自分のした事が許せず、GWDWCを辞退し神羅城へと戻ってしまったメル。今まで彼女の実家を拠点にしていたシオンとトワとクロヱはメルがいなくなった事でその拠点をトワの実家に移す事となった。だが……

 

―ヒュウゥゥゥゥゥゥ……―

 

「は、は……ハーックショイ!うぅ〜!隙間風が寒いぃ〜!」

 

『しゃむしゃむぅ〜……ヘックチ!』

 

「隙間風どころか壁崩壊してるじゃん!?なんでこの家こんなボロボロなのさぁーーーッ!?」

 

「しょーがないじゃん!?この間ドラゴンが突っ込んで来て壁が崩落しちゃったんだからぁーーー!」

 

壁が崩落しており外の寒い風がモロに室内に入っていた。なんでもこの間ドラゴンに乗って通勤していた人が酔っ払い運転をしていたようで運悪くトワの家の壁に突っ込んでしまったらしい。お陰で風通し抜群の最悪な状態であり、更にはこの大雪の所為で業者もなかなか来れないらしい。因みにトワの両親は現在地上界のハワイにある別荘に避難している。

 

「こんなんじゃ皆風邪引くってぇーーーッ!」

 

「だからトワは止めとけって言ったじゃん!?シオンちゃんの家とかにすれば良かったのにさぁ!?」

 

「そんな事言ったってシオンの実家遠いしド田舎だからガンプラウォーズ扱ってる店なんか近くにないよ!もう素直に地上界に戻ろうってぇ!?」

 

シオンの言う通り、このままだと子供達も風邪引いてしまうので仕方なく地上界に戻る事になったのであった。




はい、という事で案の定一夏やられてしまいました!しかしこの敗北が一夏を後々成長させるきっかけになればと思います(^o^)

そして次回はいよいよクラッシャーとの対面!はたしてその正体と目的は……!?次回もまったりと待って頂ければ幸いです、ではまた!


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EP08『破壊の申し子』

ついこの間駿河屋に行ったらなんと、リンドブルムとエクスインパルスが売ってあったので即買いしてしまいました!けど合計15000円はなかなか痛手でしたね……(^o^;)

今回はシロ達の拠点であるドットライブからです!予選ミッション用のガンプラを制作する中、何やら怪しげな雰囲気が……?今回も最後まで見て頂ければ有り難いです、ではどうぞ!


玲二達がIS学園に出向いていた その頃、地上界にあるドットライブの事務所ではシロとヒメとヒナがミッションに向けての新しい機体を組み立てていた。

 

「うーん……やっぱりハシュマルと戦うならオルフェンズのガンダムタイプが良いのかな?シロ、あんまりガンダムタイプ作った事ないからどういうのが良いんだろ?」

 

「ネオジオングとの戦いだと普通の武装だと簡単に壊されちゃうから格闘特化にした方が良さそうだけど、そうなると宇宙世紀仕様縛りなのがネックだよね……?」

 

「えーとえーと…………うわぁーん!どうしてもスピード特化の機体バランスが上手くいかないよぉーーーッ!?」

 

三人ともそれぞれ既に別々のミッションを二つずつクリアしているのだが此処で困った事があり、シロはハシュマルとのバトルで攻撃が通らず連敗しておりヒナはネオジオングとのバトルで武装を壊されあっけなくやられてしまっていた。更にヒメはレースミッションに何度も挑んではいるがスピード特化にも関わらず絶妙なバランスを維持している敵機に連敗を重ねていたのであった。

 

「でもそもそもシロ、ガンダムタイプのガンプラそんなに持ってないからな〜……ねぇ馬P、オルフェンズのガンプラって何か良いのないかな?」

 

「はいはいはいはい、それならこのアスモデウスやバルバトスルプスとかはどーだろうかな?」

 

シロは近くにいた頭がまんま馬な男、ドットライブの担当プロデューサーである馬Pこと『ばぁちゃる』にオルフェンズのガンプラがないかと聞くとすぐに何体か見繕ってくれたがシロの表情は曇ったままであった。やはりガンダムタイプよりザク等のジオン系を好むシロにはあまり気が進まないようである。

 

「おやおや?あんまり気乗りしませんかな?」

 

「うーん、やっぱりガンダムタイプってどうしても好きになれないんだよねぇ……」

 

「みるくもザクがいい〜」

 

傍で眺めていたシロの娘のみるくもあまりお気に召さないようで箱絵を見ただけでプイッと首を反らしていた。

 

「うーん……ではこれらをザクとミキシングするのはどうですかな?そうすればオルフェンズ仕様のザクが作れるかもしれませんし、上手くいけばネオジオングのミッションもそれで参加出来ますよ♪」

 

「ザクとのミキシング……そっか、ガンダムが気に入らないならザクに変えちゃえば良いんだ♪よーし!」

 

ばぁちゃるのアイディアにシロの創作意欲が湧いたのかシロはすぐにザクIIとバルバトスルプスとアスモデウスの箱を全部開けて全てのパーツを説明書を見ずにカットしていく。どうやら頭の中で既にある程度の改造案が浮かんでいるようだ。

 

「うーん、サイコシャード発生器を発生させられたら武装はほぼ破壊されてしまう。ならサイコシャードを発生させる前に倒せる程の出力を底上げした機体にするべきなのかな……ううん、それじゃあサイコシャードを発生させられたらもう打つ手がない。やっぱりサイコシャードの影響を受けないように格闘戦特化型に振り当てる?でもそれじゃあネオジオング本体に近づくのが難しくなっちゃうし……」

 

ネオジオングとの戦いにおいて一番の難点であるサイコシャード発生器。これを発動されたら武装の電子機器に干渉されて自壊に追い込まれてしまう。そうなれば大概の機体は戦う術を失ってしまう。つまりはサイコシャードを発生される前にネオジオングを叩くか、サイコシャードを発生されても影響のない実体剣等の武装で対抗するべきなのだが、何れにしても難しい話である。

 

「いけーふぁんねる〜!ぴゅーん♪」

 

「あ、ユメちゃんνガンダムで遊んでるの〜?良いね〜♪……ん?ファンネル……」

 

横でνガンダムのファンネルで遊んでる娘のユメを見てヒナは何か閃いたのか持ってきたプラモから何かを探し始める。

 

「……ッ!あった!これなら勝てるかも!ありがとねユメ〜♪」

 

「?あーい♪」

 

ユメにヒントをもらえて嬉しくなり抱っこするヒナ。ユメは何の事か分からずポカンとしてたが母親が嬉しそうに笑ってるのを見て同じように笑顔になっていくのであった。

 

「えっと、バーニアを増やしてよりスピードを上げる?でもそんな事したら制御できなくなっちゃうし機体が持たずに爆散しちゃうかもしれない。じゃあそれを補う為に装甲を増やす?いやけどそれじゃ結局スピードを落としてしまってバーニアを増やす意味がなくなっちゃう……うわぁーん!もうどーすれば良いんだぁーーーーーーッ!?」

 

一方ヒメはレースミッションの為の機体を何度も改造していたが、スピード特化型の機体はバランスを保つのが本当に難しいのである。安易にバーニアを増やしてしまえば瞬発的なスピードは出るだろうが操縦するのが難しくなってしまい急カーブで曲がれず壁に激突してしまう事もある。それ以前に高出力のバーニアを一気にブーストすれば当然機体がそれに追いつけず走行中に崩壊してしまうだろう。『MS IGLOO』に登場したヅダが良い例である。かと言ってそのバーニアに耐えられるだけの装甲を確保したらそれはそれでスピードを殺す原因になってしまう。実質プラマイゼロ、いや下手すればマイナスになってしまうかもしれない。

 

そしてその困難さを更に高めてしまっているのがヒメ自身である。ヒメはシロやヒナ、そして今此処にいないがクロと違ってガンダムの知識が乏しくヒナから教えてもらってる状態なのだ。それ故に設定を度外視し過ぎた改造ばかりをしてしまい機体がそれに追いつけていない状態なのである。だが今から機体性能について一から学ぶのは時間的に猶予がない。仕方なくヒメは今ある知識だけを頼りに改造を進めていくのであった。

 

「めめ!もっとはやくはやくぅ〜!」

 

「も、もぉ無理、身体が持たない……」

 

「どーしためめちゃん、体力落ちたか〜?」

 

「だ、だってもぉ二時間もおうまさんやってるんだよぉ……馬P代わってよぉ〜……」

 

「あーすいませんが私はこれから恒例の愛包ダンスを踊らないといけないので」

 

「そんなのPV以外でやった事ねーだろぉーーーッ!?」

 

ヒメが悩む中部屋の角ではシロと同じドットライブに所属する羊とアルパカと人間の混合種である『もこ田めめめ』がヒメの愛娘リナを背中におうまさんをやっていたが、流石に二時間ぶっ通しでやっていたのかヘロヘロになっていた。それを近くにいた和服の女の子『ヤマトイオリ』はケラケラ笑いながら見ていた。

 

「めめ!つぎはばいくがいい!ぶーんぶーん!」

 

「も、もぉ勘弁してぇ〜……」

 

「こらリナちゃん、めめめちゃんを困らせたらダメだぞ〜……ん?」

 

その時、ヒメの脳裏に何かが閃いた。

 

「………馬の次はバイクに……馬からバイク…………そっか!それなら!」

 

ヒメはスマホで何かを検索し始め、そして画面に映る画像を見ながら部屋にあるプラモから幾つかのパーツをピックアップして構想を練り始める。

 

「……うん!これなら絶対にいける!リナちゃん、ありがとね~♪」

 

「うゅ?」

 

ミッションクリアの糸口が見え嬉しさのあまりリナを抱っこして喜ぶヒメ。当の本人はなんの事か分からずキョトンとしており、やっと解放されためめめはその場でぐてーと横たわるのであった。

 

これで三人共それぞれのミッションクリアを目指す為の機体を作ろうとした、その時……

 

―ピリリリリッピリリリリッ―

 

「あれ、電話だ?誰からだろ……あ、すずちゃんからだ。どうしたんだろ?」

 

突如シロのスマホに着信音が鳴り画面を確認すると、其処には同じドットライブのメンバーの一人『神楽すず』の名前があった。何事かと思いつつシロはすぐに電話に出る。

 

―ピッ―

 

「もしもし、すずちゃ《シロさん!大変なんですッ!!》……い、いきなりどうしたのすずちゃん?」

 

電話に出るやいなやいきなりスピーカーから大声が鳴り響きシロは耳がキーンとなってしまったが、すずのこの感じからしてただ事ではないと悟り何があったかを確認する。

 

《今私、事務所の近くのゲームセンターに来てるんですけど、現れたんですよ!あいつがッ!》

 

「あいつ?あいつって一体…………ッ!まさか!?」

 

「そうです…………クラッシャーが現れたんですッ!!

 

クラッシャー、今ガンプラウォーズで自身をガンダリウムランカーの一人、デッドブレイカーであると名乗り各地で他のバトラーに勝負を仕掛けては倒し、そして戦った相手のガンプラを破壊するという害悪行為を繰り返すバトラーである。

 

「クラッシャーが!?……あれ?でも確かそのゲームセンターには……?」

 

《そうなんです!今クロさんがトレーニングをしていたんですが、その最中にクラッシャーが乱入してきて絡まれてしまったんです!しかもいきなりの事で一方的にやられてしまって、なんとか抵抗こそはしてますがこのままだと負けるのも時間の問題です!》

 

なんという事か、今トレーニングの為に出ていたクロが事務所近くのゲームセンターでプレイしていたのだが、其処に運悪くクラッシャーが現れて乱入されてしまったようだ。このままではクロのガンプラが壊されてしまう。そう感じたシロは電話を切り自分のガンプラを持って事務所を出ようとする。

 

「シロちゃん!?まさかクラッシャーと戦いにいくつもりなの?!」

 

「ダメだよシロちゃん!クラッシャーに負けたら大事なガンプラが壊されちゃうんだよ!?」

 

「でも!このままじゃクロちゃんのガンプラが壊されてしまうんだよ!?そんなのシロ、絶対に許さないんだからッ!馬P!悪いけど少しの間みるくの面倒見てあげて!」

 

「はぇ!?ちょ、ちょっとシロちゃん!?」

 

めめめとイオリが止めるもシロはばぁちゃるにみるくを預け急いでクラッシャーの現れたゲームセンターへと向かって行く。

 

「待ってよシロちゃん!ヒメ達も行くよぉ!」

 

「ヒナも!ばぁちゃるさん、悪いけどユメとリナの面倒見てて!」

 

「え!?」

 

そしてヒメヒナの二人も子供達をばぁちゃるに預けシロの後を追うように事務所を出ていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分後……

 

ゲームセンターへと到着したシロ達。急いで来た所為で息が切れているが、そんなのは気にせずクロを探し始める。

 

「ハァ、ハァ……つ、着いたけど、クロちゃんは何処に……?」

 

「あ、シロさん!こっちですよ!」

 

と其処にいたすずに手招きされシロ達はガンプラウォーズの筐体が置かれている場所まで移動する。すると他のバトラーが巨大スクリーンの前に集まっていて、其処には……

 

 

 

―バキィンッ!ドゴォッ!―

 

「くうぅ……ッ!?」

 

「オラオラオラァッ!その程度かよぉッ!?」

 

スペースデブリが犇めく宇宙空間で一機のインパルスガンダムが赤黒いエピオンに蹂躙されている場面が映し出されていた。

 

「あれって、クロちゃんのマグナムフォックス!それじゃああのエピオンが……!?」

 

「はい、あれがクラッシャーの機体の『エピオンクラッシャー』です!」

 

 

『HG インパルスガンダム マグナムフォックス』

『HGCE ブラストインパルスガンダム』をベースに新が改造した機体。全体を黒、一部パーツを赤色で塗装することで、クロっぽさを出している。近接特化の『カタナ』と異なり、こちらは射撃特化となっている。ケルベロスとデリュージーはオミットされ、新がスクラッチした狙撃銃『黒狐』と散弾銃『金狐』、リボルマグナムが設置されている。こちらにもバディシステムが搭載されており、『カタナフォックス』がいると性能を最大限まで引き出すことができる。

 

 

『RG エピオンクラッシャー』

『新機動戦記ガンダムW』に登場した本編のラスボス的位置に属するガンダム。この機体には近接戦闘用武器しか備わっていないが本機は其処から更に相手の装甲を破壊する為の鋭利さを増したヒートロッドやRGゴッドガンダムのアームを改造して装着した拳により相手を徹底的に叩きのめす為の機体に仕上がっている。またフェイスもガンダムタイプからシナンジュをミキシングしたモノアイタイプに変更されている。

 

 

「あれが、クラッシャーのガンプラ……!?」

 

「酷い……こんなのバトルじゃなくて唯の虐殺だよ……!?」

 

遅れて到着したヒメヒナもスクリーンに映る悲惨な光景に思わず目を背けそうになってしまった。クロのマグナムフォックスは既に半壊状態でエネルギー残量も後僅かなところまで追い詰められてしまっていた。

 

「ままぁ……」

 

「グッ……大丈夫だ黒子、ママは負けたりしないからな」

 

「キシャシャシャ!そんな事よくほざけるなぁ?お前のその機体は既に限界じゃねぇか!このバトルが終わったらそのガンプラを今みたいに粉々に砕いてやるよぉッ!」

 

―ガキィンッ!バキッ!ドガァッ!―

 

「む、惨い……」

 

「お、おい誰か助けてやれよ……?」

 

「い、いやだって、あいつに負けたら俺達のガンプラだって……」

 

クロが一方的にやられているのに他のバトラー達は日和ってしまい助ける事も出来ない。そんな光景を見てシロは覚悟を決めて筐体へと向かっていく。

 

「シロちゃん!?まさか、乱入するつもりなの?!」

 

「ダメですよそんなの!?そんな事したらシロさんのガンプラだって「でもこのままじゃクロちゃんの大切なガンプラだって壊されちゃうじゃん!それに誰も助けようともしないし、だったらシロがクロちゃんを助けるもん!」シ、シロさん……!?」

 

ヒメヒナとすずに引き止められるもそれを振り払いシロは筐体へと入り持ってきたガンプラをセットして乱入モードを選択してクロ達のバトルに介入していく。

 

(正直ガンダムタイプは苦手だけど、今そんな事言ってる場合じゃない!お願い、もう一つの世界のシロ、今だけでもシロに力を貸してッ!)

 

「シロ・デンノール!『ホワイトルインガンダムリンカネーション』、行くよ!」

 

 

『HG ホワイトルインガンダムリンカーネイション』

Anotherに登場したシロの機体『ホワイトルインガンダム』を再設計する予定だったが、ルインを設計する段階で頓挫してしまったため1から設計し直している。本来ルインは外部装甲である『ディマイス』との運用を想定しているが、再設計後は単体で戦うようにしている。ベースとなったエクストリームに20の近接武器を装備しているとされていたが、当初想定していた武装の9割を廃案とし、ライフル・サーベル・フィンガービームを主兵装としている。また、パーツの一部にターンエーの物を使用することでナノスキン装甲を獲得、耐久値の回復が可能となった。エクストリームの後頭部にも顔があることを利用し、腕部をリボーンズにすることで後方にも攻撃できるようになっている。これにより死角は実質皆無。

武装をオミットしたのは、こんなにあっても扱いきれない・極端に近接に振りすぎてバランスが悪い・そもそも選択肢が多すぎて即座に適切な判断が出来ないという弊害が発覚したため。

『ルイン』は『破滅』、『リンカーネイション』は『輪廻』を意味する。

 

 

かつて別世界線で玲二を独り占めする為に作った破滅のガンダム。それをガンダリウムランカーであり転々生者であるレイラが友を、家族を守る為の力として再設計したガンダムである。シロはこのガンダムでクロを助けに向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ギシャシャ、これでもう貴様のガンプラはおしまいだなぁ?」

 

「……最早此処までか……」

 

「ままぁ、ふえぇ……」

 

筐体内のコクピット内で泣きそうになってる黒子をなんとか撫でて落ち着かせようとするクロ。しかし、そんなクロの手も震えていた。

 

(……GWDWCが発表されてから死にものぐるいでゴールドランクに上がって、それなりに上手くなったと自負していたが……やはり私には荷が重過ぎたのか?玲二、黒子、新、それに皆……こんな不甲斐ない戦いしか出来なくて本当にすまない……)

 

「さぁて、そろそろお前で遊ぶのも飽きたし、さっさと終わらせてお前のガンプラぶっ壊してやるかぁ!」

 

最早成す術なく諦めかけているクロにクラッシャーはトドメの一撃を放とうとする。

 

しかし……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―バキュウゥンッ!―

 

―ドカアァッ!―

 

「ぐおぉッ!?」

 

「……え!?」

 

突如としてクラッシャーのエピオンクラッシャーにビーム弾が被弾し吹っ飛んだ。突然の事で何事かと困惑するクロだが、これが他の乱入者の攻撃というのはすぐに分かった。でも一体誰が?と考えていると、其処に一体のガンダムがクロのマグナムフォックスに近づいてきた。

 

「クロちゃん!助けに来たよ!」

 

「ッ!その声、シロか!?」

 

そう突如現れたガンダムの正体はシロのルインガンダムリンカネーションだった。リンカネーションは持っていたビームライフルを手放し半壊したマグナムフォックスを抱きかかえ安全圏まで避難させていく。

 

「す、すまない、助かった。だがその機体は……?」

 

「これ?これは前にレイラ君がシロの為に作ってくれたガンプラだよ。本当はガンダムタイプは苦手だけど、今はそんな事言ってられないからね!」

 

そう言いながらマグナムフォックスをデブリの一角に隠すとシロのリンカネーションはふっ飛ばしたエピオンクラッシャーをロックオンしながらビームサーベルを抜刀していく。

 

「くうぅ……!?な、なんだテメェ!いきなり攻撃しやがって!テメェ、俺が誰だか分かってんのか!?最強格のガンダリウムランカーの一人、デッドブレイカー様だぞッ!!」

 

「何が最強格のガンダリウムランカーさ!?皆の大切なガンプラを平気で踏み躙るお前なんか、ガンダリウムランカーに相応しくないよッ!」

 

「グギギギィ……!テメェ、どうやら俺を本気で怒らせたみてぇだな……だったらまずはテメェをぶちのめしてやるよおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!」

 

乱入してきたシロにクラッシャーは怒り狂い緑だったモノアイを赤く光らせ襲い掛かっていく。

 

「ッ!EXAMシステム!?そんなの搭載しているなんて!?」

 

「くたばりやがれえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!」

 

まさにバーサーカー。そんな言葉が似合うくらいに周りが見えなくなっているクラッシャーにシロは一瞬怯むもすぐに気合いを入れ直しエピオンクラッシャーに突っ込んでいくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そんな、まさか!?EXAMシステムまで搭載してるだなんて!?」

 

「え、エグザムシステム?それってどんなシステムなのヒナ?」

 

「…………対ニュータイプ用に開発されたシステムだよ。敵の動きに対して人の脳波を感知して機体性能以上の動きを発揮出来るようになるけど、パイロットにかなりの精神と肉体に負担が掛かるし暴走する危険性もある恐ろしいシステムなの」

 

EXAMシステム……それは対ニュータイプ用に開発されたソフト、ハードの総称を差す。作動時には人間の脳波を電磁波として捉え、その中から「殺気」を察知する事によって敵の位置の特定や攻撃の回避といったニュータイプに近い戦闘能力を発揮する。その性質上、特に乱戦に於いて高い効果を発揮し、その能力を持ってすればモビルスーツ単機での敵基地制圧を成し遂げる事も可能である。

 

しかし、EXAMは機体の損耗を抑えるために設定しているハード性能を限界まで引き出すため、稼働部や動力部に多大な負荷を掛け、機体のオーバーヒートを誘発してしまう欠点を有する。またシステムに取り込まれているマリオンの意識による救済祈願やシステムの破壊衝動など、パイロットへの精神的影響も図り知れない。

 

そして、本システムの最大の特徴として、ニュータイプが戦場に現れていると判断した際にリミッターが解除され、パイロットの制御を離れて暴走する事が挙げられるという極めて危険なシステムなのである。

 

勿論これはゲームなのでそんな危険な事はないのだが、EXAMシステムを使用した場合は相手をより効率的に倒す為の半自動操縦に切り替わり機体制御がかなり困難になるという、玄人でなければあまり使用する者はいないシステムなのだ。

 

「そんなEXAMシステムを使うなんて、やはりクラッシャーはガンダリウムランカーのデッドブレイカーなんでしょうか……?」

 

「…………うーん?」

 

「あれ?ヒナ、どうかしたの?」

 

EXAMシステムを使うクラッシャーにすずはやはり奴がデッドブレイカーなのかと疑うが、その横にいたヒナは何故か眉をひそめ首を傾げていた。まるで何か納得してないかのようである。

 

「うーん……ねぇ、あの人本当にガンダリウムランカーなのかな?なんか動きが社さんやみしろちゃんと全然違ってただ闇雲に突進してるだけな気がするんだけど?」

 

「え!?……た、確かになんか他のガンダリウムランカーの戦い方と違ってなんかガムシャラに突っ込んでいるだけに見えるけど……?」

 

「うん、それにこのクラッシャーの声……うーん、なんかどっかで聞いた事ある気がするんだよね〜?」

 

「「え……!?」」

 

クラッシャーに対し妙な違和感を感じるヒナ。その違和感の正体が何なのかは後になって分かる事となる………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ウオォラァッ!」

 

―ブンッ!ブンッ!ガキィッ!―

 

「うぅッ!……なんのこれしきぃッ!!」

 

シロは迫りくるクラッシャーの猛攻を回避したり防御したりしてやり過ごし反撃の機会を伺っていた。そしてシロはクラッシャーに対し以下の考察をする。

 

(……やっぱりこいつ、ガンダリウムランカーを名乗ってるけど実際はそんなレベルまでいってない。現に今EXAMシステムの半自動操縦に振り回されているし、何より攻撃の軌道が読みやすい。多分だけどEXAMシステムの事も自動で敵を倒してくれるとかそんな認識しかないんだと思う。なら、EXAMシステムの弱点を攻めればシロにも正気はある!)

 

シロは今の攻撃だけでクラッシャーが偽ガンダリウムランカーというのを見抜いていた。それだけでなくEXAMシステムの弱点を突く為のタイミングを狙っていたのだ。EXAMシステムは発動すると同時にその主導権がシステムに移ってしまう。それ故に防御する際はコックピットを守るようにではなくシステムが搭載されている頭部等を保護しようとしてしまうので、コックピットに対する防御が薄くなってしまう。つまり

 

(攻撃出来るタイミングになった瞬間にコックピットを狙って撃墜させる!そうすればシロの勝ちだよ!)

 

そう考えシロはリンカネーションのその腕に搭載されたフィンガービームのエネルギーをクラッシャーに気づかれないようにチャージしていく。チャンスは敵が大振りの攻撃を仕掛けてくる一瞬のみ。そのタイミングを狙ってシロはジッと耐えていく。そして……

 

「チィッ!いい加減くたばりやがれやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」

 

「ッ!今だよッ!!」

 

エピオンクラッシャーが腕を振り上げたそのタイミングをシロは逃さずリンカネーションのフィンガービームを展開し

 

―バシュウゥゥゥゥゥゥゥッ!!―

 

クラッシャーのコックピットに向かってその刃を突きつけていった。MSの心臓部とも呼べるコックピットを貫いた事で誰もがクラッシャーの敗北が決まったと喜びの笑みを浮かべていた。だが……

 

―バチッ!バチバチバチバチィッ!!―

 

「…………ッ!?な、なんで………!?ビームが、届いてない!?」

 

「ハッ!やっぱりコックピットを狙ってきたか!だが残念だったなぁ?」

 

なんとリンカネーションのフィンガービームはエピオンクラッシャーのコックピットを貫いてはおらず、それどころかコックピット部分の装甲にすらビームが通っていなかったのである。

 

「これは、ナノラミネート!?……いや違う、これはッ!!」

 

「オゥラぶっ飛びなぁッ!!」

 

―キュイィィンッ……ドゴオォォォンッ!―

 

「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁッ!?」

 

なんとフィンガービームのエネルギーが反射しリンカネーションの右腕がぶっ飛んでしまった。あまりの唐突な事に観客達は何事かと慌てるが、その中ですずがエピオンクラッシャーの腹部が()()()()()()()()()()()事に気がついた。

 

「あれはまさか、ヤタノカガミ!?そんなのまで搭載してたなんて?!」

 

「や、ヤタノカガミ?」

 

「SEEDの世界に出てきたビーム兵器に対抗する為の装甲の一種だよ!ビーム兵器からの攻撃を文字通り鏡のように反射させる装甲なんだよ!」

 

そう、エピオンクラッシャーの腹部は相手の機体が映り込む程の光沢感を放っており、これにより腹部にヤタノカガミ装甲の判定が加わりビーム兵器に対しての対策を施していたのだ。それによりシロのリンカネーションは右腕を失い攻撃手段が大幅に失ってしまった。

 

「ま、まさかヤタノカガミまで仕込んでたなんて……!?」

 

「キシャシャ、これでもう終わりかぁ?そんじゃあ……後はそのガンプラを粉々になるまで砕いてやるかぁッ!!」

 

エピオンクラッシャーが近づきヒートロッドを構えてリンカネーションにトドメを刺そうとする。最早打つ手はないのか?誰しもが諦め顔を伏せてしまっていた…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―バキィッ!―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………………え?」

 

何かが破壊されたような音が聞こえた。しかし、シロのリンカネーションにはダメージ判定は出ていない。なら何が……そう考えていたら

 

―バチッバチバチバチバチィッ!―

 

「グアァッ!?な、なんだとぉ……ッ!?」

 

なんとエピオンクラッシャーの左腕が吹き飛ばされており、ヒートロッドが上空に飛ばされ何処かへと流れていってしまった。そしてそのエピオンクラッシャーの後ろには

 

 

《……………………》

 

 

灰色の配色をした()()()()()()()()()がまるで獲物を狙うかのようにエピオンクラッシャーを見つめていたのだった。はたしてこいつは何者なのだろうか……?

 

 

続く……




はい、という事で遂にクラッシャーとの対決回でした!それにしてもクラッシャーのエピオン、自分でやっといてなんですが詰め込み過ぎましたね(-_-;)

そして次回はそんなクラッシャーに遂に制裁が……?次回もまったりと待って頂ければ幸いです、ではまた!


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EP09『デッドブレイカー』

映画行きてぇーーーーーーッ!!でも仕事でまだ見れてねぇーーーーーーッ!!そんな中でふと見た記事でネタバレ食らったあぁーーーーーーッ!!かなりショックです……(T_T)

まぁもう少ししたら休みなんでその時に見ようかと思います。

今回は前回に引き続きクラッシャーとデッドブレイカーのバトルからです。今回も最後まで見て頂ければ有り難いです、ではどうぞ!


クラッシャーに襲われたクロを助ける為に乱入したシロだったが、クラッシャーの駆るエピオンクラッシャーに追い詰められてしまう。しかし、そんな時現れたのは灰色の配色をしたもう一機のエピオンだった。

 

《……………………》

 

「な、なんだテメェは!?まさかテメェもこのガンダリウムランカーである俺に歯向かう気かぁ?!」

 

《…………ガンダリウムランカー?貴様がか?ハッ!だとしたらとんだ笑いもんだな》

 

「な、なんだとぉッ!?」

 

《いきなりとは言え左腕を簡単に吹っ飛ばされるようなガンプラしか作れねぇような奴がガンダリウムランカーなワケねぇだろ?それにそのエピオン、顔を無理矢理モノアイタイプに替えた所為でフェイスマスクの部分が歪んでるし、作り込みが甘過ぎる》

 

「え?……あ、本当だ!?マスクの部分が微妙にズレてる!」

 

シロが乱入者がクラッシャーに指摘してきた部分を見ると、確かにフェイスマスク部分が無理なはめ方をした影響か少し歪んでるのが確認された。対面して僅かの時間で其処まで分かるとは、乱入者はかなりの観察力を有しているようだ。

 

「て、テメェ!この俺のエピオンクラッシャーに難癖つける気かぁッ!?」

 

《難癖じゃねぇ、本当の事だ》

 

「ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!テメェ、ゼッテェ許さねぇッ!その減らず口叩けなくなるまでその機体ぶっ壊してやるよおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!」

 

乱入者の挑発に怒り狂うクラッシャーはビームサーベルを構え乱入者のエピオンに突っ込んでいく。幾ら左腕を吹き飛ばされヒートロッドが使えなくなったとはいえEXAMシステムを搭載したエピオンクラッシャー相手はかなり苦戦を強いられる。誰もがそう思っていた……だが

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―バキィッ!―

 

「…………は?」

 

「え……!?」

 

「う、ウソ……!?」

 

乱入者のエピオンはいつの間にかエピオンクラッシャーの背後に立っており、そしてエピオンクラッシャーの右腕がふっ飛ばされ上空で爆散していた。あまりにも一瞬の出来事にその場にいる全員が何が起こったのか理解出来ずにポカンとしてしまっている。そして

 

―バキィッ!ガキィンッ!ドゴオォッ!ズバアァッ!―

 

乱入者エピオンが両腕に装備されているヒートロッドをまるで鞭のように振り回すとエピオンクラッシャーの脚が、肩が、そして頭部が壊されていき、最終的にコックピット部分のみが残された状態になっていった。

 

「な、なんだよ……なんで俺がこんな目に……一体なんなんだよテメェはあぁッ!?」

 

《……それはテメェもよく知ってるんじゃねぇか?散々その名を騙って好き勝手してやがったんだろ?》

 

「へ………………ッ!?ま、まさか…………ほ、ほほほ、本物の、『デッドブレイカー』ッ!?」

 

《あぁ、周りの連中は俺の事を勝手にそう呼んでいるな。そんな事より……テメェ、よくも俺に成りすまして散々好き勝手してくれたなぁ?そんなテメェに、本物の破壊を見せてやるよぉ……ッ!》

 

「ヒィッ!?」

 

乱入者……その正体がまさかの本物のガンダリウムランカー、デッドブレイカーであると知り恐怖するクラッシャー。そんなデッドブレイカーのエピオンはビームサーベルを取り出しエピオンクラッシャーのコックピット部分を貫こうとする。

 

「ッ!だ、ダメだよ!そのエピオンの腹部にはヤタノカガミが仕込まれて《それがどうした?》え……!?」

 

シロがデッドブレイカーに忠告するもそれがどうしたと突っぱね

 

―ズバアァッ!―

 

そのままエピオンクラッシャーのコックピットを貫くようにビームサーベルを突き刺した。しかし、やはりヤタノカガミの力でビームサーベルが通らず寸前で止まってしまっている。

 

「ハ、ハハハァッ!馬鹿かテメェ!?其処の女が態々忠告してたのに知っててビーム兵器を使ってくるとは!このまま反射してテメェの機体を―パキッ……―……え?」

 

―パキッピシッ……バキバキバキィッ!―

 

「な、なんだ!?俺のヤタノカガミの装甲が割れてる!?」

 

《……俺の名前で好き勝手してたクセにこの程度の不様な戦い方しか出来ねぇ、半端な改造しか出来ねぇ。そんなテメェの何もかも半端なエピオンが、俺の『デスクライシスエピオン』の足元にも及ぶワケねぇだろう?だからよぉ……サ ッ サ ト キ エ ロ ヤ

 

―ビキッビキビキビキィッ……パリイィィィィィィンッ!!―

 

デッドブレイカーのドスの効いた声と共にエピオンクラッシャーのコックピットの装甲が砕け、そのまま内部を貫かれ機能が完全停止していった。これによりデッドブレイカーのエピオンが勝利判定を受けゲームは幕を閉じるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「す、凄い……!?」

 

「あれが、本物のデッドブレイカーの力……!?」

 

バトルが終わり騒然とする観客達。そして筐体から出てきたシロ達もすずやヒメヒナ達と合流していくのだが、その表情は何処かモヤモヤした様子だった。

 

「シロさん、クロさん!大丈夫ですか!?」

 

「う、うん、シロは大丈夫……でも」

 

「……あいつが、本物のデッドブレイカー、トールか……」

 

シロ達の視線の先には同じく筐体から出てきた白髪の男。背は高めだが猫背で髪もボサボサ、着ている服も少しヨレヨレの状態でだらしなさを感じる風貌である。そんなデッドブレイカーにシロは近づいて頭を下げていく。

 

「あ、あの!さっきは助けてくれてありがとうございます……」

 

「?……あぁ、さっきの奴か。あの程度の野郎に意気揚々と突っ込んであっさり返り討ちにあったマヌケは」

 

―ピキッ……!―

 

「…………ふーん?君はシロの事そんなふうに思ってたんだ〜?」

 

「ちょ、ちょっとシロちゃん落ち着いて!?」

 

「気持ちは分かるけどこんな公の場でそんな斧取り出さないで!?」

 

デッドブレイカーに小馬鹿にされたシロがキレて神羅の力で斧を取り出し斬りかかろうとするがすずやヒメヒナ達から抑えられてしまう。そんなシロに対しデッドブレイカーは特に怖がりもせず、代わりにシロとクロの持っていたリンカーネーションとマグナムフォックスをじっと見ていた。

 

「…………それ、お前等が作ったガンプラか?」

 

「え?い、いや、これは私達の知り合いから受け取ったガンプラだ。それがどうしたんだ?」

 

「いや…………ならそれ作った奴に言っとけ。白いのは右肩の塗装と左足の合わせ目消しが甘い。黒いのは全体的に塗装のムラが目立つってな」

 

『…………え?』

 

デッドブレイカーに指摘されシロは斧をしまってリンカーネーションを見る。すると今までは全く気にしてなかったが確かに右肩の白い塗装部分の塗りが若干甘く下地が浮き出てしまっており、左足の合わせ目部分もよく見るとうっすらと線が出ていた。クロも今まで気にしてなかったがマグナムフォックスの塗装もほんの僅かだが色ムラが出てしまっている。

 

だが驚くのは其処ではない、これらの事を遠目で見ただけで見抜いたデッドブレイカーの観察力の高さである。 普通の人なら気にならない程度の事も、デッドブレイカーには気づかれる程の視力を有しているのだ。これが三番目にガンダリウムランカーになった男の実力なのか……一同がそう驚愕していると

 

「シロ、クロ、ヒメ、ヒナ!皆大丈夫か!?」

 

「え?あ、玲二!」

 

其処にIS学園に出向いていた筈の玲二が駆けつけてきたのであった。

 

 

 

視点変更

 

 

 

「玲二くん!どうして此処に……!?」

 

「みしろから連絡があったんだ。クラッシャーがこの店に現れたっていう通報が入ったってな。それで……あいつがそうなのか?」

 

「う、ううん、あの人はシロちゃん達を助けてくれた本物のデッドブレイカーだよ」

 

デッドブレイカー!?まさか本物のガンダリウムランカーがこんな所に!?でも東北地方にいる筈のこいつがなんで此処に……?いや、それよりもまずは礼を言わなきゃな。

 

「君がデッドブレイカーか。クラッシャーの事を止めてくれた事と、シロ達を助けてくれた事に感謝す―パシィッ!―……え?」

 

「…………調子に乗んなよ、()()

 

ッ!?こ、こいつ、どうして俺の名前を……いや、こいつの顔、それに声、何処かで…………ッ!もしかして、こいつは!?

 

「……お前、もしかして『透』なのか?」

 

「ハッ!漸く思い出したか?相変わらず女に囲まれて良いご身分みたいで羨ましいなぁ?」

 

…………なんだ、この嫌な態度は?こいつは、俺に対して明確な敵意を示している。でも一体なんで……?

 

「……まぁ良いさ、今はテメェと戦うつもりはねぇ。だがGWDWCの決勝の舞台で、俺はテメェを引きずり出してやる。そして……俺がお前より優れている事を証明してやるよ……!」

 

デッドブレイカーこと透はそう言うと観客の隙間を通ってこの場から去っていった。透、一体何があったんだ……?

 

「……なぁ玲二、もしかしてデッドブレイカーって玲二の知り合いなのか?」

 

「あぁ……あいつは『佐々木透』、俺の小学校と中学時代の同級生だ」

 

「同級生!?しかも佐々木って……!?」

 

「玲二くんと同じ苗字だなんて……?」

 

「いや、佐々木自体は別に珍しい苗字ではないからな。それで小中の時は皆からW佐々木ってからかわれてたけど、あの頃のあいつはあんなトゲトゲした感じじゃなかった筈なんだけどな……?」

 

昔は結構おとなしい奴に見えたんだが、本当にあいつに何があったんだ……?ってそんな事より今はクラッシャーだ!あいつは……あ、いた!

 

「く、クソォッ!まさか此処に本物のデッドブレイカーが現れるだなんて……だ、だが此処で逃げればまだ「おい、何処行くつもりなんだ?」え……ゲッ!?さ、佐々木玲二ィッ!?な、なんでお前が此処にぃ……?!」

 

コソコソと逃げようとするクラッシャーを先回りして皆で囲んで逃げられないようにする。さて、こいつは一体何者だろうな?多分何処かであった事ある奴なんだろうが……

 

「さて、今までコソコソしながら随分と好き勝手してくれたな?いい加減正体を表せッ!」

 

「なッ!?ちょ、おいやめろおぉッ!?」

 

―バッ!バッ!―

 

俺は奴のマスクと帽子とサングラスを取り上げその素顔を露わにさせていく。…………こ、こいつは!?

 

「くっ、バレてしまったか……デッドブレイカーに成りすましてガンプラバトルをしていたのがまさかこの俺だって事が…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『……………………いや誰ッ!?』

 

クラッシャーの素顔を見て俺達は思わず叫んでしまった。いや本当に誰だこいつ!?おそらく三十代くらいで頭も寂しくなっている痩せ気味の男だったが、そんな奴あんまり記憶にないんだが?!

 

「へ?誰って、あんた俺の事覚えてないのか……?」

 

「あ、あぁ、悪いが……あんた、俺とどっかで会った事あったか?」

 

こいつのこの様子だと俺とどっかで会った事ある筈なのに覚えてないなんて、うーん……ダメだ、思い出せん。

 

「ん?んー……………………アァーーーーーーッ!思い出した!玲二くん、この人あれだよ!去年のホロライブとにじさんじの総合入社面接の時にいた人だよ!」

 

総合入社面接?………………………………あぁ!そういややったなそんな事!あの時俺が両社の新入社希望者の最終面接をやっててヒナが俺の補佐で横にいてくれてたっけ。って事はこいつもその時に……あ、そういえば…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

去年の春前頃……

 

俺はこの春から入社する新入社員となる入社希望者の最終面接を行う為にとあるスタジオを借りて次々と面接を行っていた。ヒナも俺の補佐という形で参加してくれていて何時もと違いスーツに眼鏡とビシッとした格好で入社希望者達の回答内容をメモしてくれていた。だがその面接で最後の一人まできたんだが、そいつがいろいろな意味で頭が痛くなるような奴だったんだ……

 

「ではこれより最終面接を行います。山下大輔さん、よろしくお願いします」

 

「はい!よろしくお願いします!」

 

…………うーん、元気な挨拶をしてくれてるし身だしなみもちゃんと整っている。受け答えも良さそうで此処までは好印象……なんだが

 

「…………あの、すみませんが山下さん、お年は37歳なんですよね?」

 

「はい、そうです!」

 

「…………あのですね、ちょっとお聞きしたいのですが、大学を卒業されてから一度有名企業に就職されてますが、これは何故一年も経たない内に解雇になってしまったのでしょうか?」

 

「はい!大量の誤発注をして会社に損害を与えてしまったからです!」

 

誤発注!?会社に損害与える程の誤発注って、一体何発注したんだよ?!

 

「あ、あの、失礼ですが一体何を誤発注してしまったんでしょうか……?」

 

ヒナも気になったのか恐る恐る聞いたが、その返答は余計に混乱しそうなものだった。

 

「はい!ジェット機の部品を発注したつもりが間違えてジェット機本体を百台発注しちゃいました!」

 

「「いや何してんのあんたッ!?」」

 

まさかの予想の斜め上どころか上に突き抜けるくらい予想外な誤発注してんじゃねぇか!?てかよく通ったなその発注!?

 

「そのお陰で社長からお叱りを受けてそのまま解雇されてしまいました!ですが過ぎた事を何時までも悔やんではいられませんので過去の事には囚われず忘れて今を生きようというのが私のモットーです!」

 

「いや反省しなよ!?そんなの普通に忘れちゃいけないじゃん!?」

 

あー、ヒナもあまりの衝撃的な出来事に普段の喋り方に戻ってしまってるな……ま、まぁ取り敢えずまだ聞きたい事があるから取り敢えず聞いてみるか……

 

「え、えっと、それでその後の事についてですが、貴方が会社を解雇されてから現在に至るまでの事が記入されてませんが、この間一体何をされてましたか?」

 

「はい!自分は解雇されてから今までNot in Education, Employment, or Trainingをしてました!」

 

…………?なんだ、そのNot in Education, Employment, or Trainingって?

 

「え、えっと……コホン、その、ノットなんとかというのは具体的にどのような事でしょうか?」

 

「はい!Not in Education, Employment, or Trainingとは、学校に通わず、働きもせず、職業訓練も受けないという意味です!別の言い方だと自宅警備員とも言われてます!」

 

「「いやそれニートじゃねぇかッ!?」」

 

何ちょっと格好つけて言ってんだよこいつ!?しかもよく考えたらNot in Education, Employment, or Trainingって略したらNEET(ニート)じゃねぇか!

 

「っていうか貴方!今までずっと働いた事もないのにホロライブかにじさんじのスタッフになろうとしてんの!?見た所特殊な資格とかも持ってないし、そんなんでよく入ろうと思ったね!?」

 

「はい!確かに私は今までNot in Education, Employment, or Trainingを極めそれ以外の事は何もしてきませんでした!」

 

「「威張って言うなッ!」」

 

「しかし!私のこのホロライブやにじさんじに対する情熱!熱意!この熱意に関しては誰にも負けるつもりはありません!ホロライブやにじさんじの配信は欠かさず見てますし、見れなかった子のアーカイブも全て追ってます!そしてメンバーシップも全員分入ってました!しかし支援してくれた両親から何故か出てけと言われてしまったのでメンバーシップ代を稼ぐという意味も込めてこうして御社に入社希望を出しました!ですのでどうかよろしくお願い致します!」

 

「「出来るかぁッ!!」」

 

そんな親のスネかじってまでメンバーシップに入るな!そして親御さんも面倒見きれなくて見捨ててるじゃねぇか!?少しは親御さんを労れよ!というか全員分ってありえねぇだろ!?月額幾らになるんだよ?!

 

そうして結局付き合いきれなくなった俺達は警備員を呼んでこの山下という男を摘み出したのだった。全く、なんでこんな奴が最終面接まで残ったんだよ……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………そういやいたな、そんな奴。けどそんなお前がどうしてこんな馬鹿な真似をしたんだ?」

 

「…………悔しかったんです」

 

『…………はい?』

 

「悔しかったんです!俺は本当にホロライブやにじさんじにかける情熱や熱意は誰にも負けないつもりだった!しかし!あの時面接した者で他の皆は受かってホロライブやにじさんじのスタッフになったというのに俺だけは不採用!そんなの不公平だ!だから俺は決めたんだ!グレてやるって!!」

 

『いや子供かッ!?』

 

なんだそのしょーもない理由は!?恨みを晴らすとかガンプラウォーズの評判を落とすとかじゃなくグレる!?思春期の子供かよ?!

 

「じ、じゃあ貴方がデッドブレイカーを名乗ってたのって……?」

 

「え?普通にネットで情報見て格好良いと思ったから真似してただけだけど?」

 

「…………え、それだけ?」

 

「それだけ」

 

…………

 

 

……………………

 

 

 

………………………………

 

 

 

 

『んなくだらない事で人の大事なガンプラ壊すなッ!!』

 

「ヒイィィィッ!?だ、だってデッドブレイカーってガンプラを完膚なきまでに壊すっていうからそういう悪役チックな感じだと思ったんですよぉ〜!」

 

なぁにが悪役チックだ!こいつそんなくだらない理由でこんな馬鹿げた事してたのか!?はあぁもう情けない………もう良いや。

 

「……取り敢えずお前がした事はかなり悪質な行為だ。よってお前にはこれからとある国で一年間暮らしてもらう。それがお前に対する罰だ」

 

「え!?玲二何言ってんの!?今までいろんな人のガンプラを壊したこいつを一年間しか拘束しないだなんて……!」

 

「落ち着けシロ、これはGWDWC委員会で決定した事だ。それじゃあ山下、その国で一年間しっかり反省しろよ?」

 

「う……は、はい……」

 

そう言って俺は山下の腕に転送装置を着けさせそのまま指定された場所へと山下を転送させた。まぁ今までやらかしてきた奴等に比べて聞き分け良くて素直に罰を受け入れてくれたからこれで一件落着―バアァンッ!―……ではないか。

 

「何処だクラッシャー!?よくもうちらのシマを荒らしてくれたな!この落とし前はきっちり付けさせてもらうぞッ!」

 

「うぇ!?な、何なのいきなり?!」

 

「え!?あれって、『ねる』ちゃん!?なんでねるちゃんが此処に?!」

 

あー、どうやらこいつ等もクラッシャーの情報を聞きつけてやって来たみたいだな?俺は入口を蹴破って入ってきた兎族の獣人『因幡はねる』とその部下である因幡組構成員達に近づき事情を説明する事にした。

 

「おう因幡、久しぶりだな」

 

「あ、佐々木さん!佐々木さん達も此処に来てたんですね?!それでクラッシャーは何処に行ったんですか!?あの野郎うちらのシマを散々荒らしてくれたんでその落とし前をきっちり付けさせてやらないと!」

 

「あーそれなんだが、ついさっきそいつ捕まえてもう然るべき場所へと送ったよ」

 

「え!?そ、そんなぁーーーッ!?なんで勝手にそんな事したんですか佐々木さん!?」

 

「いやこれはGWDWC委員会と警察組織であるGCPD*1で決めた事だからな。やり返したい気持ちは分かるが、其処は割り切ってくれないか?」

 

「うぅ~…………!」

 

そんなに唸るな、こればっかりは本当に決まった事だから仕方がないんだよ。

 

「…………なぁ玲二、やっぱり甘くないか?あれだけ多くの被害を出した奴をたった一年間しか拘束しないなんて……」

 

「あぁ、それに関しては大丈夫だ。その一年間で、あいつは間違いなく地獄を見る事になるんだから」

 

「え?地獄を見るって……れ、玲二くん?あの人一体何処に送ったの……?」

 

「…………天界一ある意味ヤバい国」

 

『……………………あ』

 

どうやら皆も分かったのか顔が青ざめているな。まぁ無理もない、あの国は俺も本当に必要な用がない限りは絶対に行きたくないからな。奴には其処でしっかりと反省してもらうとしよう。

 

こうしてクラッシャーによる偽ガンダリウムランカー事件は幕を閉じた。被害者達のガンプラに関しては俺とおかゆとあくあでそれぞれ修復作業を行い見事に完全再生をし皆から喜んでもらえた。さて、クラッシャーこと山下にはこれからしっかりとあの国で反省してもらわないとな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、天界のとある国の海辺の砂浜では山下が何かに追いかけられていた。まるで麗らかな女性のような人達に追いかけられてる山下だったが、その表情はまるで化け物を見てしまったかのような様子であった。

 

「キャー♡」

 

「待ってぇ〜♡」

 

「ハァ、ハァ、ハァ……!」

 

呼び止められても山下は足を止めなかった。足を止めたら終わる……そんな恐怖から逃げるかのように限界を超えた全速力で逃げ回っていく。そんな山下がやって来た国の名は…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ようこそ!カマバッカ王国へ!!』

 

「ウオォォォォォォォォォォォォォォォォォーーーーーーッ!!!」

 

迫りくる()()()の大群から逃げ続ける山下。捕まったら何されるか分かったもんじゃないのだが、それでもこれは罰の為彼はこの地獄のような場所で一年間を過ごすことになるのであった……

*1
『Gunpla Crime Prevention Division(ガンプラ犯罪対策課)』の略称。詳しくはリ・イマジネーションPHASE01にて




はい、という事でデッドブレイカーが無事に成敗!な回でした!そしてクラッシャーに関してはまぁ、もう出てくる事はないでしょう(^o^;)

次回は久しぶりに玲二の視点からお送りします。玲二に忍び寄る新たな存在が……?次回もまったりと待って頂ければ幸いです、ではまた!


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EP10『現れる新たな神羅族』

この間ライジングフリーダム作りましたがマジでシール地獄でした……これ本当に令和のガンプラか?ってくらい羽部分のシール貼りが面倒くさかったです(-_-;)

今回はまた新たな神羅族が登場!しかし、何やら不穏な空気が漂って……?今回も最後まで見て頂ければ有り難いです、ではどうぞ!


クラッシャーの事件が終わり漸く神羅城へと戻ってきた玲二。だがそんな彼にまた、新たな存在が近づこうとしていた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………此奴が例の新たな神羅族か。今まで散々いろんな事をしてたようだが……このオレ様が来たからにはもう世界の秩序を乱すような真似はさせんぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うぅ……た、確かこの街に新しい神羅族がいるんだよね?だ、大丈夫かな?私なんかがその新しい神羅族に会うなんておこがましいかな……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………成る程、今回は『スバル』と『メル』ちゃんかぁ。二人共ベクトルは違えど面倒くさい性格してるから結構骨が折れるかも?でもまぁ、()()()()だったらこれくらい対処出来ると思うし、私は遠目で観察させてもらおっと♪」

 

……どうやら三者ともそれぞれ別の思惑があるようだが、はたして玲二は一体どうなってしまうのだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……あ、玲二さん、今この子がお腹を蹴りましたよ♪」

 

「お、そうか。この子も元気そうだな。きっとクレアに似て優しい子になってくれるだろうな」

 

「もしくは玲二さんのように逞しい子になってくれるかも?どっちにしても無事に産まれてさえくれれば嬉しいです♪」

 

そう言ってクレアは嬉しそうにポッコリと膨らんだお腹を擦る。来月には産まれてくる新しい子供にクレアも母親としての喜びを感じているようだ。

 

「お父様、クレアお母様、お紅茶のご用意が出来ました♪」

 

「お、有り難うなメアリー」

 

そんな俺達の元にメアリーが紅茶とお茶菓子を持ってやって来た。背中にはすやすやと眠ってる椛がおぶさっていてしっかりしたお姉さんみたいだが、これでまだこの子が一歳とは誰も思わないだろうな?

 

「それにしてもメアリーちゃん本当に成長早いですよね?普通妖精族の一歳って他種族だと八歳くらいまでだって聞きますけど、明らかに十五歳くらいまで成長してますよね?」

 

「はい、これもご主人様の神羅族のお力だと思います♪」

 

「今じゃラプちゃんよりも大っきくなっとるもんな。そう考えると神羅族の力って本当に凄いんやな?」

 

「まぁその辺に関してはまだ分からない事だらけだよな。なんたってイレギュラーなワケだし」

 

一緒にいたエリーと楓も子供達の成長速度に関心しつつ夕ご飯の準備を進めていた。楓も本当に母親になってから大分丸くなったよな……まぁ実際は普段にじさんじにいる時は前と変わってないみたいだけど。

 

「あ、あうぁ〜、ぱーぱぁ」

 

「ぱーぱ、あぶ、ぷぅ〜」

 

そんな事考えているとラインと玲斗がハイハイしながら俺の膝によじ登ろうとしていた。そのまま二人を抱っこしてやると二人共キャッキャと笑いながら喜んでくれる。本当に赤ん坊は可愛いなぁ。

 

「もぉライン、まだお乳あげてないんだからあっちこっち行ったらダメだぞ〜」

 

「ほら玲斗、そろそろおっぱいの時間だからママの所においで〜♪」

 

「「あうぅ〜♪」」

 

そんなラインと玲斗を母親であるレインと尊が抱っこしその場で授乳をしていく。にしても……レイン、唯でさえ大きかったが更に大きくなってるな、尊も結構大っきくなってるし。

 

「それにしてもパタちのおっぱいかなりデカくなっとるよな?」

 

「ん〜……でもあんまり大っきくなっても動きづらいし肩凝っちゃうからなぁ。もう少し神羅族の力が馴染んだら矯正しようと思ってるんだよね」

 

「そっか、神羅族って種族とかも変化出来るからその応用で身体も変化出来たりするんや?ならうちもひまちゃんみたいにばいんばいんになる事も……グヘヘ♪」

 

おい咲、頼むからそんな気安く体型変えようとすんなよ?前にかなたがそれやって母親であるおしおさんが本気で怒ってたんだから。マジで事務所のスタジオ破壊しそうで大変だったんだからな?てかそうでなくともファン達が困惑するからマジで止めてほしい。

 

「それより玲二さん、皆の予選の進捗はどうなっとるんや?」

 

「あぁ、皆大体三つくらいはクリアしているようだな。中にはもう残り一つというところまで来ている娘もいるようだ」

 

実際ぼたんはフォーカスミッション、ルイはクイズミッションを終わらせればもう予選突破だって言ってたし、他の皆も頑張っているからきっとすぐに突破出来るだろ。ただメルは……今は気持ちを整える為に実家に戻っていて、来週にはこっちに戻って来るみたいだからそれまで待ってあげないとな。

 

「さて、それじゃあそろそろ皆で夕ご飯食べるとするか」

 

「そうですね。では私もお手伝いしに…………………」

 

……?クレアの奴、急に黙ってどうしたん……ッ!?違う、黙ってるんじゃなくて全く動いてない?!それにレインや楓達もまるで時が止まったかのように動かなくなってる!?これは一体……!?

 

「…………成る程、貴様が新たに誕生したイレギュラーな神羅族か」

 

「ッ!?お前は………!?」

 

そんな中、突如として俺の目の前に黒いコートを羽織った人物が姿を現した。この感じ、まさかこいつは神羅族か!?

 

「あまりグダグダと話すつもりはないから手短に済ませる。オレ様は『スバル』。監獄世界『シュバルカトラズ』の監獄長にて最高裁判長を勤めている」

 

「……今度はスバルかよ?確かオカユの話だとお前は穏健派でも革命派でもない中立の立場なんだよな?ならなんでそんなお前が態々俺の元にやってきたんだ?」

 

「オレ様に質問する権利は貴様にはない。貴様、世界を担う神羅族という立場でありながらその力を世界を歪める事に利用しているな?」

 

世界を歪める?いや、確かに神羅族の力は偶に使ってるがそれはあくまで利便性のあるものだけで別に悪用なんかしてないんだが?

 

「貴様が『メル』の管理する世界とこの世界を繋ぎ合わせ行き来出来るようにしたな?それは本来世界の調和を乱す行為。だが貴様はそれを大した理由もなく無理矢理繋いだ!貴様、世界の調和を乱して一体何を企んでいる!?」

 

な!?そ、そんなつもりはないんだが!?……い、いや、確かにオカユは前に神羅族は世界を管理する存在って言っていたな?つまり俺の繋いだ世界、おそらくリク達の世界が神羅族のメルの管理する世界というワケだから、それを繋ぐという事は世界のバランスを崩す原因にもなってしまうのか………?

 

「い、いや、それはあくまでリク達とも一緒に皆でガンプラバトルを楽しもうと」

 

「言い訳をするな!どう言おうが貴様が世界を繋ぎ合わせた事には変わりはない!現にその影響で本来この世界にいる筈のない者達がどんどん浸透し始めているのが証拠だ!」

 

この世界にいる筈のない存在?それって拓哉とかレイラの事か?けどその二人は神羅族のフレアが転生させたんだから関係ないような気が……?

 

「だから貴様にはこれからオレ様が管理する監獄世界シュバルカトラズに収容する事を決めた!貴様の世界を繋ぎ合わせたその罪、ざっと三億年は幽閉するから覚悟しろッ!」

 

三億年!?そんなに収容されたら皆ともう会えなくなるかもしれないぞ!?おかゆとあくあ以外はまだ半端な状態でしか神羅族化してないから何処まで生きられるか分からねぇし、何より子供達とも離れ離れになるなんてそんなの絶対に行くものかッ!

 

「悪いがそんな所に行くなんざごめんだ!世界を繋ぐゲートについては何か対策を練るからそれでなんとか―ジャラララララッ!ガキィッ!―なッ!?」

 

「黙れ!貴様の意見など聞かん!貴様は黙って自分に架せられた刑罰を受け入れろ!では行くぞッ!」

 

グッ!?いきなり鎖で全身縛られて身動きが……!?クソ、こうなったら隙を見て逃げるタイミングを伺うしかないか……

 

そして俺はスバルに首根っこを掴まれそのまま転移し何処かへと連れ去られてしまうのであった…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………行きますね、ってあら?玲二さん………?」

 

「あ、あれ?玲二君、何処に行っちゃったの?」

 

玲二がスバルに連れ去られたと同時に皆の時間がまた動き出し、そして突然と姿を消した玲二を一同はキョロキョロと探しだす。

 

「お、お父様、一体何処に消えてしまわれたんでしょうか……?」

 

「わ、わからん……?けどなんで玲二が急に消えたりなんか「皆!」え、おかゆん?」

 

玲二が消えた事に一同が困惑する中、其処におかゆとあくあが何やら慌てた様子で駆けつけてきた。

 

「ど、どうしたの二人共?そんなに慌てて「大変なんだよ!レイくんが、多分他の神羅族に拐われた!」……えッ!?ど、どどどどういう事なの!?なんで玲二君が……?!」

 

「さ、さっきおかゆと一緒に街で買い物してたら急に周りの皆が凍ったように動かなくなったからまさかと思って急いで戻って来たの!こんな事出来るなんて多分神羅族しかいない筈だからもしかしてって思ったんだけど……」

 

「僕達が此処に戻ってくる前に僕達が感じた神羅族の反応と一緒にレイくんも消えちゃって……ごめん、僕達がちゃんと付いていればこんな事には……!」

 

他の神羅族による玲二の誘拐というまさかの事態に一同はショックを受けてしまう。

 

「…………でも安心して!僕達が必ずレイくんを見つけ出して連れ戻すから!あくあちゃん、レイくんの気配を追える?」

 

「任せておかゆ!ご主人の事ならずっと近くにいたあてぃし達なら絶対に見つけ出せるから!」

 

だが悲しんでいる暇はないとおかゆとあくあは消えた玲二達の反応を追って転移ゲートを開こうと試みる。

 

「……………………ッ!おかゆ、見つけたよ!多分この先にご主人がいる筈だよ!」

 

「本当に!?なら早速行こう!皆は此処で待ってて!相手が神羅族である以上まともにやりあえるのは僕達しかいないから!」

 

「で、でも……いや、確かにパタち達が一緒に行っても足手まといか。じゃあ二人共、玲二君の事頼むね?」

 

レインの頼みに二人は頷き、そしてゲートを開いてその中へと入っていった。だがレインや他の皆が不安そうに見守る中、神羅城の屋上では……

 

「………まさかイレギュラーを連行するとは、スバルも相変わらず頭が固いな」

 

「あぁ、全くだ。奴はこれまで一度下した罰は必ず執行してきた。それも唯の一度も例外なく、な……だがこれはある意味都合が良い。お陰で我等もあいつの護衛などしなくて済むからな」

 

「あぁ、ソラ様には申し訳ないが、こればかりはもうどうしようもない。それにあの男が投獄される事で革命派の神羅族も手出しは出来ぬだろう。そういった意味でも、これは寧ろ都合が良いのかもな」

 

玲二を監視していたアキとボタンの二人が若干呆れながら自分達の世界に帰ろうとしていた。自分達の使命を考えれば玲二の投獄は寧ろ都合の良い事しかない。そう思った二人はこれ以上此処にいるのは無意味と判断しその場から去ろうとしていた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれれ〜?アキロゼもししろんもそんな事言って良いんですかね〜?」

 

「「ッ!?」」

 

しかし、そんな二人の背後にいつの間にか別の黒いコートを羽織った人物が現れた。突然の事に二人は武器を取り出し警戒するが、その人物を見てすぐに武器をしまった。

 

「……フブキか。相変わらず神出鬼没な奴だな?」

 

「まぁ()()にだってやる事いっぱいありますからね〜♪それより良いんですか二人とも?ソラちゃんは彼の事を必要としているのに黙って投獄なんてさせたら後々面倒くさいんじゃないかな〜?」

 

「……だがどうすれば良いと言うんだ?スバルは一度下した刑罰は必ず執行する。それは我々にも止める事は出来んぞ?」

 

「分かってますよ〜♪だから今回は白上が彼を助けに行くので戻ってきたら引き続き彼の警護をお願いしますね♪」

 

そう言ってフブキはニコニコと笑いながらゲートを開きその場から去っていった。そして終始ニコニコしていたフブキと違いアキとボタンはかなり不信感を抱いていた。

 

「……あいつ、一体どうするつもりなのだ?監獄世界はスバルの力で出来た世界、他の神羅族ではどうこう出来ない筈だぞ?」

 

「あぁ……それよりアキよ、少し気になった事があるんだが良いか?」

 

「?なんだ、ボタンよ」

 

「…………あいつは何故何時も我の事を『ししろん』と呼ぶのだ?それにアキ、貴様に対してもあいつは『アキロゼ』と呼んでいる。極めつけにはあいつは自分の事を時偶『白上』と呼称している。これは一体どういう意図があるというのだ?」

 

「…………さぁ?私にも何の事だか分からん。そもそもあいつに関しては誰も関与していないからあいつが何者なのかなんて誰にも分からないしな…………」

 

謎に包まれたフブキの言動。そしてその見えない目的に怪しむも二人は特にこれ以上何も出来ないと悟り、一度ソラにこの事を報告する為ソラのいる次元観察門へと飛ぶのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―監獄世界 シュバルカトラズ―

 

「此処が貴様の牢だ、入れ!」

 

「グッ……!」

 

……ヤバいな、何の対策も出来ないまま牢屋に入れられてしまった……にしても本当に凄いなこの世界?見渡す限り牢獄しかない。そしてその牢獄には暴れている者や絶望し嘆いている者もいる。そしてこの牢屋……というよりもこの監獄自体があのスバルの力によって生み出された物だから他の神羅族でも干渉出来ない。よって此処から出る方法は……今のところないって事か。ならチャンスは何かしらでこの牢から出されたときという事だ。

 

「……貴様、まさかこの牢から出たタイミングで脱走するとか考えてないか?生憎貴様をこの牢から出すつもりはない。大人しく三億年の時を此処で過ごすんだな」

 

……マジか?この牢屋の中で三億年も?普通の監獄でも刑務作業とかあるのにか?いやどちらにしてもこのままでは本当に長い事投獄される事になってしまう……最悪三億年経った後に過去に戻る事も視野に入れとかないとな。

 

「ではオレ様はこれから別件の裁判に行く。妙な事は考えず大人しくするんだな」

 

……どうやら行ったらしいな?さて、この間に此処から出る策を考えておくか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃……

 

「……此処の何処かにレイくんがいる筈なんだけど……」

 

「な、なんかこの中にいる人達皆怖いんだけど―ガシャアァッ!―ヒィッ!?」

 

「出せぇ!此処から今すぐ出せぇーーーッ!!」

 

玲二の反応を追いかけてシュバルカトラズへとやって来たおかゆとあくあは刑務官の変装をして玲二が収容された牢屋を探していた。しかし、中にいる囚人達はどれも凶悪な見た目が多く中には檻を掴み暴れている者もおり二人はびくびくしながら牢屋を一つ一つ探していくが、無数にある牢屋を探すのは無理がある。

 

「うーん……やっぱレイくんを拐った神羅族を見つけ出して居場所を聞き出すしか「貴様等!其処で一体何をしている!?」ひゃい!?」

 

そんな二人の後ろから本来の刑務官がやって来て槍を突きつけられた二人にはびっくりして立ち止まってしまう。

 

「貴様等!現在此処の持ち場を担当しているのは私だ!貴様等の持ち場は何処だ!?何をしに此処にいる!?」

 

「あ、あの、その……!?」

 

「ご、ごごごめんなさあぁいッ!!ちょっと探している人がいて……!」

 

槍を突きつけられびっくりした二人は振り向き刑務官に向かって謝る。しかし、二人の顔を見た刑務官は……

 

「ん?ん〜……………………ッ!?こ、これはオカユ様!アクア様!大変失礼致しましたッ!!」

 

「「…………へ?」」

 

刑務官は何やら慌てた様子で二人に対し敬礼をしだした。突然の事で何の事か分からず二人はポカンとしてしまう。

 

(お、おかゆ、これどういう事なの……?)

 

(えっと、うーん…………あ、もしかしてこの人、僕達を元々いた神羅族の僕達と間違えているんじゃない?ほら、僕達も今は同じ神羅族なワケだし、見た目も殆んど一緒だからぱっと見じゃ気づかれてないのかも?)

 

どうやらおかゆの言う通り、この刑務官は二人の事を神羅族のオカユとアクアと間違えているようだ。まぁ性格は違えど見た目は殆んど一緒だから見間違いをしてもおかしくはないのだろう。

 

「そ、それで、お二人は本日はどのようなご要件で?……あ、もしかして以前お話されていた『スイセイ』様とのご面会でしょうか?」

 

「へ?すいちゃんとの面会って……?」

 

「え、えっと………………あッ!そ、そうなんだよね〜。僕……じゃなかった私達、今日はソラさんに頼まれてスイセイに会いに来たんだよね〜」

 

スイセイ、自分達の仲間であり家族である娘と同じ名前の人物との面会かと聞かれおかゆは何故かそれに乗っかるかのように返答しだした。

 

(え!?おかゆ何言ってるの?!今はご主人を探しに来てるんだよ!)

 

(分かってるよ。だけどレイくんが何処にいるか分からない今闇雲に探してたらキリがないし、それにさっきこの人が言ってたスイセイって人も今までの傾向だと間違いなく神羅族だと思うから会えば何か手掛かりが掴めるかも!)

 

現状玲二を拐った神羅族が何者か分からない以上、兎に角手掛かりとなるような物ならなんでも良いから探す。現状のおかゆとあくあにはそれ以外の方法はないのだ。

 

「分かりました、ではご案内しますので着いてきてください」

 

「「は、はーい」」

 

兎に角情報が欲しい二人は刑務官に案内されるままスイセイという人物に面会する事となったのだった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから一時間後……

 

「…………ダメか、やっぱり俺の力は全部弾かれてしまう」

 

あれから幾つか能力を使って脱出を図ったが、やはりスバルの力で作られたこの牢からは出られないでいる。神羅の力は他の神羅の力では干渉出来ない……今になると厄介な制約だな……

 

「……だけど此処で黙って過ごすワケにはいかない。なんとかこの牢の穴を見つけて此処から出ないとな………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうですね〜。私的にも貴方には此処に長くはいてほしくないですからね♪」

 

「ッ!?」

 

な、なんだ!?俺の背後に誰かがいる?!バッと振り向くと其処にはベッドの上に座って足をパタパタさせている黒いコートの人物がいた。まさか、新しい神羅族か?!だが……!?

 

「…………お前、一体何者だ?それにどうやってこの牢に入ってきたんだ?この牢はスバルの力で作られているから出入りはやすやすと出来ない筈じゃ……?」

 

「はいストップ、まずは一つずつ説明しますね。私は『フブキ』、貴方と同じ神羅族です♪」

 

そう言って目の前の人物はコートのフードを下ろすと白い髪の毛に狐のような耳が特徴的な素顔が露わになる。これが、神羅族のフブキか?だが……なんだこの()()()は?

 

「本当なら白か……私はもう少し後になってから接触しようと思ってたんですが、まさかスバルがこんな暴挙に出るとは予想外でした。だから仕方なく私がこうやって貴方を迎えに来たんですよ♪」

 

「迎えにって……だがどうやって此処から出るつもりなんだ?この牢は……」

 

「どうやってですか?そんなの」

 

―キュイィィンッ……バキィィンッ!―

 

「な……!?」

 

「普通に檻を壊して出れば良いだけです♪」

 

な、なんだと……そんな馬鹿な!?この牢はさっきも言ったがスバルが作った物、それを他の神羅族が干渉して壊すなんて本来出来ない筈なのにどうして……?!

 

「ほら()()()()、そんな所でボーっとしてないで早く此処から脱出しますよ〜」

 

「え?あ、あぁ……」

 

な、なんだかよく分からないが取り敢えずこの牢から出れたし、それにこいつにも聞きたい事があるからさっさとこの世界から抜け出せないとな!

 

 

 

謎を神羅族フブキによって牢獄から脱出した玲二。はたして無事に元の世界へと帰ること事が出来るのか?そしておかゆとあくあは無事玲二と合流出来るのか?

 

続く……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―オマケ―

 

「…………玲二君、大丈夫かな?」

 

「まぁ私等が心配しててもしゃーないし、此処はおかゆとあくたんに任せるしかないな」

 

「そうじゃの……うぅ~、わらわ達も神羅族の力が覚醒していれば一緒に行けたのにぃ~!」

 

拐われた玲二の安否を心配するレイン達。しかし自分達に出来る事がない以上、彼女達は玲二の無事を祈る他なかった。そんな時……

 

―ガサガサッ……―

 

「?今なんか茂みが動いたような……?」

 

「あら、もしかして猫達でしょうか?」

 

「…………違う、気配からして間違いなく人だ。それもかなり強い力を持ってる」

 

「なんやと!?まさか玲二さんを拐った神羅族か?!オラァッ!隠れとらんでさっさと出てこんかいッ!!」

 

茂みが動き人の気配を感じ、楓が近づいて隠れているであろう何者かの首根っこを掴んだ。その正体は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ひ、ヒイィィィッ!?ごごごごめんなさいごめんなさいッ!?私なんかが新しく誕生した神羅族に会おうなんておこがましい事を考えて申し訳ありませえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇんッ!!」

 

「…………え?」

 

「め……()()()()()?」

 

黒いコートを羽織り涙目で必死に謝ってくるメルそっくりの女の子であった。はたしてこの子の目的はなんなのだろうか?




はい、という事で玲二投獄!しかし神羅フブキによって脱出!な回でした!そして次回は二人でこのシュバルカトラズからの脱出となります!そして別行動しているおかゆ達はどうなってしまうのか……?次回もまったりと待って頂ければ幸いです、ではまた!


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EP11『深まる神羅族の謎』

劇場公開されてから一週間経ちますがライフリとイモジャがまだ店に山のようにある……!?(; ・`ω・´)

これはガンプラの品薄が少しずつ解消されていく兆しなのではないでしょうか?だとしたらまだ僅かに残る転売ヤー達もそろそろ終わりですかね?

今回は前回の続きです!はたして玲二達は無事にシュバルカトラズから脱出出来るのか?今回も最後まで見て頂ければ有り難いです、ではどうぞ!


神羅族のフブキに助けられ牢獄を出た俺は神羅族のスバルが創り出したこの世界から脱出しようとしたが、神羅フブキは何故か俺がいた牢よりも更に下へと向かっていた。

 

「おい、何処に向かってるんだよ?!早くしないとスバルが追いかけてくるかもしれないだろ?!」

 

「えぇ、そうなんですが……どうやらおかゆとあくたんが貴方を助ける為なのかこの世界に来てるみたいなんですよね。あ、今言った二人は貴方の世界のおかゆとあくたんだよ」

 

え!?おかゆとあくあが!?まさか二人とも、俺に何かあったって察して助けに来てくれてたのか……

 

「だからあの二人も連れ戻さないと。神羅族のスバルは()()()()()()()()()頭も固くて融通が聞かないので「いたぞ!脱獄者だ!」……もぉ〜、次から次へと面倒が起きてやんなっちゃうなぁ~」

 

ッ!しまった、見つかったか!?脱走した俺達を刑務官達が追いかけて来て俺達を再び捕らえようとしている。仕方ない、此処は時間が掛かるがなんとか蹴散らして……!

 

「……仕方ないですね、此処はこの子達に任せましょう」

 

?フブキの奴、懐から何かを出して……ッ!?それって、ガンプラ!?なんでそんなの持ってるんだ?!ていうかそれでどうやって……!?

 

―キュイィィンッ……!―

 

―ドッシイィィィィィンッ!―

 

「な……!?ガンプラが、巨大化した?!」

 

フブキが何か力を込めたかと思えば手に持ってたガンプラ二機が俺と同じ位まで大きくなり刑務官達の前に立ちはだかっていった。これは一体……!?

 

「な、なんだこのロボットは!?」

 

「さぁ『ドグレイト』、『ウルフェイト』、此処は任せたよ!」

 

―キュイィィンッ……ガッ!―

 

フブキの指示を受けた二機はそのまま刑務官達に突っ込んでいき次々と蹴散らしていく。な、なんなんだこの二機は?!……けどこのガンプラ達、なんだか懐かしい感じがする……?

 

「さ、此処はあの子達に任せてさっさと行きましょう!」

 

「あ、あぁ……」

 

と、取り敢えず考えるのはまた後でだ!今はおかゆ達と合流しないと!待っててくれ、二人共!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃……

 

「到着しました!こちらがスイセイ様の独房となっております!」

 

「え……?ど、独房……?」

 

神羅族のスイセイと謁見する為に刑務官に着いて来た二人が辿り着いたのは監獄世界シュバルカトラズの最下層にあるこれまで以上に厳重に封鎖された牢獄だった。二人はてっきりスイセイがこの世界を管理している神羅族と思っていたのでまさか囚人側だったとは予想外であった。

 

「それでは私は此処で待機しております。用が終わりましたらまた私にお声がけくださいませ」

 

「あ、ありがと……」

 

ともあれもしかしたら玲二について何か分かるかもしれないと思った二人は意を決して独房の面会用の扉を開けて中へと入っていった。そしてその中にいたのは…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………568194年8ヶ月19日14時間36分56秒ぶりの来訪者か……私に一体何の用だ?」

 

くすんだ水色の髪にハイライトを失った深い緑色の瞳をした女性が無数の鎖で束縛されていた。そのあまりにも異様な光景に二人は思わず息を呑んでしまった。

 

「あ、貴方がスイセイ、さん……?」

 

「…………そういう貴様等は、新たな神羅族か。それもかなり最近誕生した……フフ、私が投獄される前は私含めて五人しかいなかったのに、近年はどんどん増えていってるようだな?」

 

牢獄の住人『スイセイ』はまるで覇気のないような感じで淡々と話をしていく。自分達の知っているすいせいとはかなり違う雰囲気に二人は困惑しながらもひとまず玲二について何か知らないかを聞いてみる事にする。

 

「あ、あの、それでですね……実は僕達この世界に連れてこられた夫を探しに来たんです。何か知らないでしょうか?」

 

「はぁ?知る訳がないだろう。私はもうこの牢獄に三億年間ずっと閉じ籠もっているのだ、外の事なんて知れる訳がなかろう」

 

「そ、そうですか……って三億年!?そんなに長くこの監獄に……!?」

 

まさかの三億年という長い年月をこの牢獄で過ごしている事に二人は驚愕する。一体何をしたらそんなに投獄されてしまうのだろうか……?

 

「あ、あの、つかぬ事をお聞きしますが、その……な、なんでスイセイさんはそんな長い間此処に囚われているんですか……?」

 

「ん?ソラから聞いてないのか……まぁ良い、折角だから教えてやろう。私はな……かつて自分の管理していた世界をはじめ18の世界を滅ぼしたのだ」

 

「「世界を滅ぼした!?」」

 

18もの世界を滅ぼしたというまさかの大罪に二人は驚き開いた口が塞がらなかった。

 

「な、なんでまたそんな事をしちゃったの……!?」

 

「…………元よりそうする他手はなかったのだ。()()に侵食された世界を放置すれば、やがて他の世界も侵食されてしまうからな」

 

「………奴等?奴等って一体……?」

 

「なんだ、それもまだ知らないのか?…………まぁその辺はその内ソラが教えてくれるだろう。兎に角私はその罪を償う為に500億年間投獄される事になったんだ。幾ら他の世界に被害を出さない為とはいえ、多くの世界を潰してしまった事には変わりはないからな……」

 

500億……想像も絶する程の長い年月をこの冷たい牢獄で過ごすなんて普通なら絶対に耐えられない。だが目の前のスイセイはそれを受け入れ罪を償おうとしている事に二人は絶句してしまっていた。

 

「……さ、もう良いだろう。これ以上話す事もないからとっとと帰ってくれ」

 

「あ、ちょっと待って!さっきスイセイさん、自分が幽閉される前は自分を含めて五人神羅族がいたって言ってたけど、残りの四人って誰なの?一人はソラさんだと思うけど……?」

 

「なんだ、そんな事か……確かに一人はソラだ。後はソラが継承させたココと私、それと私が継承させたスバル、そして……フブキの五人だ」

 

「そ、そうなんだ……あれ?じゃあそのフブキって神羅族は一体誰が継承の儀をしたの?」

 

「知らん、奴は気づいたらいつの間にかいた神羅族だ。他の皆も奴について聞いてきたりするがそれ以外に言いようがない。だがひょっとすると……あいつこそがソラより前に誕生した神羅族なのかもな?さぁもうこれ以上は本当に出ていってくれ。もう話す事は何もないからな」

 

そう言うとスイセイは俯きそれ以上は何も喋ろうともしなくなった。これ以上はもう何も聞き出せないと思った二人は仕方なく独房から出ていくしかなかった。

 

「うぅ~、結局ご主人の事なんも聞き出せなかったぁ……」

 

「うん……でも代わりに神羅族について分かった事があるね。神羅族はやっぱり僕達ホロメンとそっくりな姿をしている事、そしてその神羅族には敵がいるって事だね」

 

「え……敵って、そんな話出てたっけ?」

 

「忘れたのあくあちゃん?あのスイセイって人が言ってた事、18もの世界を滅ぼした理由を」

 

“元よりそうする他手はなかったのだ。()()に侵食された世界を放置すれば、やがて他の世界も侵食されてしまうからな”

 

「あ、そういやそんな事言ってたね?」

 

「その奴等っていうのが分からないけど、少なくとも神羅族が世界を滅ぼしてまでも食い止めなきゃいけない何かがいるって事だよ。それが何かは分からないけど、少なくとも警戒するに越した事はないと思う……まぁ今はそんな事よりレイくんを探さないとね」

 

まだ解決してない部分が多いが、二人はひとまずこの件は置いといて再び玲二を探す為に動き出そうとした。そんな時……

 

「グァ……ッ!?」

 

「え……な、何今の声?」

 

「多分僕達を案内してくれた刑務官だと思うけど、一体何が「おかゆ!あくあ!二人とも無事か!?」ッ!レイくん!?」

 

なんと其処に探していた玲二が刑務官を倒し現れたのだった。

 

 

 

―視点変更―

 

 

 

「良がっだあぁぁぁぁぁぁぁ!ご主人無事だったんだあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!」

 

「うわあくあ!?お前抱きつくのは良いけど鼻水拭けよ汚ぇッ!?」

 

「よ、良かったあぁ〜!本当に僕達皆心配したんだからねレイくん!」

 

「あ、あぁそれは悪かった……けど二人とも、有り難うな。俺を助ける為に危険を顧みずに来てくれて」

 

そう言って俺が二人の頭を撫でると二人とも嬉しそうに惚けた顔になっていく。本来ならこんな危険な目には合わせたくなかったのに、本当に申し訳なく感じてしまうな……

 

「お?どうやらお仲間に会えたみたいですね〜♪」

 

「え?……ふ、フブキちゃん!?なんで此処にフブキちゃんがいるの?!」

 

そんな俺達を茶化すように神羅フブキが間に割って入ってくる。当然の事ながらあくあ達もかなり驚いているな。

 

「あ、そう言えば二人とはこれがはじめましてだね。私はフブキ、よろしくきーつね♪」

 

「え?も、もしかして神羅族のフブキちゃんなの……?」

 

「…………でもなんだろ?前に神羅族の僕やアクアと会った時とは何か違う感じがするんだけど……?」

 

……確かにおかゆの言う通りだ。俺がこれまで出会った神羅族はこいつを除けばオカユ、アクア、フレア、スバルの四人。だがこいつ等は俺達の家族である四人とは全く性格が異なっていた。オカユに関しては割とおかゆに近いがそれでも分かるくらいの違いはあったが……このフブキに関しては何故かそれがない。まるで、俺達のよく知るフブキのようだ。

 

「まぁまぁそんな事は今は置いといて、早くこの世界から脱出「させると思っているのか?」……やっぱり、すぐに見つかっちゃったね〜」

 

な……スバルッ!?まさかもうやってくるなんて!?

 

「え!?す、スバル!?」

 

「……成る程、こいつがレイくんを拐った神羅族って事か」

 

「拐う?馬鹿な事を言うな。オレ様は世界の理を乱す其処の男を連行しただけに過ぎん。そしてフブキ、それにオカユとアクア……ではないな?なら新たな神羅族か……何れにせよどうやったかは知らんが貴様等はその男の脱獄に加担したのだろう。よって、貴様等もその男と共に懲役十億年の刑に処すッ!」

 

―ジャラララララッ!ガキィッ!―

 

『な……!?』

 

しまった!また鎖で縛られてしまった!?クソッこのままだとおかゆとあくあまで牢に入れられてしまう!何か手はないのか……?!

 

「……もぉ落ち着きなよスバル?そもそも彼は別に世界を支配しようとかしてないし、寧ろ彼がメルメルの管理してる『ビルドワールド』を繋げたお陰で世界は安定し始めている。これって世界の調和を目指す神羅族の掟になんにも反してないんじゃないかな?」

 

「黙れフブキ!結果がどうあれこいつが掟を破った事には変わりはない!掟を破りし者には罰を!それがオレ様の使命だッ!」

 

「…………ホント、()()()()()()()()()頭が固すぎるよ、スバル」

 

―グググッ……バキィンッ!―

 

『えぇッ!?』

 

嘘だろ!?フブキの奴、スバルの鎖をいとも簡単に壊しやがった!?さっきの牢の件といい、なんでこいつは他の神羅族の力に干渉出来るんだ!?

 

「……悪いけどこれ以上お前のくだらない看守ごっこに付き合うつもりはないよ」

 

―キュイィィンッ……ドッシイィィィンッ!―

 

なッ!?また新しいガンプラか!?しかもこいつは……!

 

「チィッ!フブキお得意のガジェットか!?」

 

「さぁ『ラビットラッパー』!スバルの足止めお願いね!」

 

―ウィィンッ……ガシャアァンッ!―

 

フブキが出したガンプラ、『ラビットラッパー』がスバルに向かって突っ込んでいく。だがラビットラッパーって確かレイラが言ってたアナザーのフブキが使ってたガンプラ……まさか、このフブキって……!?

 

「さ、ぼんやりしてる暇はないですよ!早く此処から逃げましょう!」

 

「あ、あぁ……おかゆ、あくあ!此処はフブキのガンプラに任せて逃げるぞ!」

 

「「う、うん……!」」

 

……正直このフブキには聞きたい事が山程あるが、それは後にして今はこの世界から抜け出そう!

 

「クッ……待て!絶対に逃さんぞぉッ!!」

 

―シュンッ!―

 

そして俺達は転移能力でこの世界から脱出する事に成功したのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―……シュンッ!―

 

「……どうやら戻ってこれたみたいだな」

 

「あぁッ!玲二君無事に帰って来れたんだね!?良かったあぁーーーッ!!」

 

俺達が元の世界に戻って来るとレインが涙を流しながら俺に抱きついてきた。他にも皆が俺を見て泣きながらも安心したような表情になっていた。皆にも心配掛けさせてしまったな……

 

「……皆、心配させて悪かったな」

 

「ホンマや、私等がどんだけ心配しとったか……あ、そうや!玲二さんが連れ去られた後にまた新しい神羅族がやって来たんや!ほれ、この子や」

 

そう言って楓が後ろに隠れていた奴の首根っこを掴んで俺の前に出してきた……ん?この感じ、髪はブロンズだけど多分メルか?さっきまで話に出てきてはいたが、まさかこんなに早く出会えるとはな……?

 

「うぅ~、ごめんなさいごめんなさい私が余計な事した所為で迷惑かけてごめんなさいぃ〜……」

 

「あ、メルメルもこの世界に来てたんですね〜?」

 

「けどこのメルちゃん、なんだか自虐的な感じがするね?」

 

「うん、あてぃし達の知ってる明るいメルちゃんとは真逆だね……?」

 

確かにこのメルも俺達の知るメルとは全然性格が違うな?何と言うか、何があったらそんなに卑屈になってしまうんだ?

 

「ほらメルメル、そんなに自分を責めなくて良いからそろそろ自己紹介してあげたら?」

 

「え……あ、ふ、フブキ様!?ご、ごめんなさい!私全然気づかなくて「だぁーかぁーらぁー!そんなの良いから早くレイくんに挨拶してあげて」は、はいぃーーーッ!?あ、あの!私、メルっていいます!フブキ様から継承の儀を受けた元コウモリです!こ、こんな駄目な私ですが知っていただければと……」

 

へぇ、このメルは元はコウモリだったのか?やはり神羅族は皆元の存在とは違う姿をしていたんだろうか?……いや、そんな事よりも今は聞きたい事があるんだった。

 

「……じゃあ漸く落ち着けるようになったからフブキ、そろそろお前の事を教えてもらえるか?」

 

「?私の事ですか?いやぁ私なんて他の神羅族と何も変わりませんって〜♪」

 

「惚けるな、オカユが言っていた。神羅族の力は他の神羅族の力に干渉出来ないって。だがお前はスバルの力に対し明らかに干渉するような力を発揮していた」

 

「……………………」

 

「それにお前の性格と姿もだ。ずっと違和感があった……今まで出会った神羅族は確かに俺の家族であるホロメンと同じ見た目と名前をしていたが髪や目の色、それに性格なんかは全然違っていた。なのにお前は見た目も性格も、俺達の知るフブキと何もかも一緒だ」

 

「…………さぁ?偶々そういった神羅族もいてもおかしくはないんじゃないですか?」

 

「確かにそれだけならな……だがお前がスバルの世界で出していたガンプラ。あれは神羅族のフレアが転生させたレイラから聞いた俺達の世界のもう一つの世界線でフブキが使っていたガンプラだ。何故お前がそんな物を持っていたのか?そして、お前がスバルに対して言ってたあの言葉……」

 

“ホント、()()()()()()()()()頭が固すぎるよ”

 

「あの言葉をそのまま受け取るならあの神羅族のスバルはまるで偽者かコピーかのような言い方だ。オリジナルが一体何を指すのかは実際まだ分かってはいないが、今までのお前の言動や行動を纏めると、ある一つの仮説が生まれたんだ」

 

そう、おそらくだがこのフブキは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………お前、もしかしてこの世界とは別の世界線の白上フブキなんじゃないのか?」

 

 

続く……




はい、というかワケで玲二無事に脱出!そして次回、神羅族についてまた新たな謎が判明する……?次回もまったりと待って頂ければ幸いです、ではまた!


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EP12『明かされる神羅族の秘密』

ヤバい、なんか勢いのまま書いたらすんなり出来た……まぁ書く事は決まってたのですがまさかその日の内に出来るとは思いませんでした。という事で今回は神羅フブキから語られる神羅族の秘密についてです!神羅族とは一体何なのか……今回も最後まで見て頂ければ有り難いです、ではどうぞ!


「お前、もしかしてこの世界とは別の世界線の白上フブキなんじゃないのか?」

 

そう、それこそが俺が導き出した答え。此処にいるフブキはオカユ達のように別の存在が神羅族になったんじゃなく別の世界線の白上フブキが神羅族として覚醒したんじゃないかと。そうであればこのフブキに対する違和感も全て納得出来る。

 

「…………流石ですね、レイくん。やっぱりレイくんは世界が変わっても本質的にはレイくんのままみたいですね♪」

 

「……そう言うという事は認めるって事なんだな?」

 

「……はい。私は……白上はこの世界とは別の世界線、皆がレイくんを奪い合う為に戦った世界線の白上です」

 

「レイくんを奪い合う……それって!?」

 

「あてぃし達がご主人を求めて戦っていたあの世界のフブキちゃんって事!?」

 

やっぱりそうか。だからこのフブキはラビットラッパーとかのガンプラをガジェットとして使う事が出来たんだな?けどそんなフブキがなんで神羅族に……?

 

「い、良いんですかフブキ様?その事は他の皆には秘密にすると……」

 

「ううん、良いんだよメルメル。どうせ何時かは話さなきゃいけなかった。それが早まっただけに過ぎないからね……それじゃあ本当ならもう少し後に話すつもりだったけど、私達神羅族の秘密を教えてあげる。とは言ってもまだ全部は語れないけどね」

 

そしてフブキは自身に起きた事、そして神羅族の秘密についてを語り始めた。それは俺達にとって衝撃的な事であった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………白上達はかつて起きた事件、一部のホロメンがレイくんと関係を持った所為で仲間同士の絆に亀裂が入ってしまった。そしてそのタイミングでレイくんを賭けたガンプラバトルの大会が開かれて、その所為でそれまで仲間だった皆が敵対するようになってしまったんです」

 

「…………うん、知ってる。僕達もその時の記憶が蘇ったから」

 

「今思えばあの世界のあてぃし達、本当に身勝手だったよね……」

 

フブキの話にその世界線の記憶があるおかゆとあくあも暗い表情になっていく。特におかゆはその時他の皆に対して酷い態度を取っていたって言ってたから余計に辛いんだろうな……

 

「………それでも白上達は戦い続けました。そして崩れてしまった絆も元に戻して、その後白上はアカリちゃんとの最後の戦いを終えてレイくんを無事に取り戻したんです。まぁその時の記録は消されてますけどね……そしてその後白上達はレイくんと何時までもずっといられるようにある事を決めたんです」

 

「ある事?それは一体……」

 

「……白上達の遺伝子全てとレイくんの遺伝子を掛け合わせた新たな力を創り、そしてその力で二度と断ち切れない絆を共に作り上げようって。そうして生まれた奇跡の力が()()()()()()()()()()()()……『神羅の力』です」

 

『なッ!?』

 

なんだと!?じゃあ神羅族の力って、別の世界線の俺達が創った力だったって事なのか!?そんな馬鹿な?!

 

「本来想定していた神羅の力は白上達の願いを具現化するという物でした。けど、其処で白上達も想定してなかった出来事が起きてしまったんです……その力がレイくんや白上達と予想以上に適合してしまい、その影響で白上達の身体からは死の概念が消えてしまったんです」

 

「死の概念が消えた……って事は絶対に死ぬ事がないって事ですよね?」

 

「えぇ、最初こそはこの不老不死になってしまった事を嘆く娘もいました……けれど白上達はそれでもレイくんと共に過ごし、守る事が出来るならと受け入れ、それからはずっと平和に暮らしてました……あいつ等が現れるまでは」

 

あいつ等?なんだあいつ等って?

 

「……今はまだそれについては説明出来ないけど、あいつ等は私達の世界を瞬く間に侵食してしまいました。そして仲間も次々と消されて……残されたのは白上とレイくんの二人だけになってしまったんです」

 

「世界を侵食って……それって神羅族の力でも防げなかったの!?」

 

「うん、残念だけど……そして残されたレイくんも既に息絶える寸前でした。白上はなんとかしてレイくんを復活させようと思いましたが、それも叶わず……そしてレイくんは自分の神羅の力を白上に託してこう言ったんです」

 

 

 

「フブキ……お前だけでも、新しい世界に逃げろ……俺達の分まで……生き…てく…れ……」

 

 

 

「…………それから白上はレイくんの力をもらい別の世界を生み出し、其処で暫く暮らしていました。でも、やっぱり一人は寂しかったんですよね。白上は神羅の力を使ってその世界にいた鳥に力を与えて新たな仲間にしたんです。それが、『ソラ』ちゃんでした」

 

「……そういう事だったのか」

 

つまり今の神羅族を創り出したのはこのフブキだったって事か。神羅族がホロメンにそっくりだったのは、全てフブキがかつての仲間達とまた過ごしたいという想いからだったんだな。

 

「それから数十億の時を掛けて神羅の力が継承され、新たな種族『神羅族』として確立していきました……けれど、はっきり言ってそれは失敗でした。白上の力でかつての仲間達をどれだけ模しても所詮は別物、オリジナルである皆とは似ても似つかない紛い物でしかない。しかも誕生した神羅族はいつの間にか個々の意思を持って他の神羅族と対立をしたり自分勝手に行動する者まで現れました」

 

「そっか。フブキちゃんの言っていたオリジナルって、別の世界線にいたかつての僕達の事を指してたんだね?」

 

「うん……そして白上がもう諦めて遠くの世界を創り出して其処で一人過ごそうと思ってた時、奇跡が起きたんです。それがこの世界、レイくんや皆がいるもう一つの世界でした。この世界はかつて白上達が共に笑い合えてた世界、そして争う事なくレイくんと結ばれた世界でした。こんなに嬉しい事はありませんでした。だから私は急いでその世界の過去に飛び幼い頃のレイくんにかつて白上の世界にいたレイくんから預かっていた神羅の力を埋め込んだんです」

 

そうだったのか!?つまり俺の神羅族の力は、かつての並行世界の俺の力だったって事なのか!?

 

「それからいろいろと手回しをしました。過去に戻り神羅族の伝承を伝えたり、レイくんを皆と巡り合わせるきっかけを作ったりと、全てはまたあの時のように皆と幸せに暮らせる世界を夢見て…………ですが此処でも弊害がありました。白上が今までとは違う方法でレイくんに力をあげた所為で他の神羅族が興味を持ってしまい、中にはレイくんを自分の支配下に置こうとする子まで現れました」

 

成る程、それが革命派という事か……けれどやっぱり不可解な点はある。ただ珍しいというだけでなんで奴等は俺を狙うんだ?

 

「……なぁ神羅フブちゃん、あんたの言ってる事は大体分かったけれど、それとその革命派の連中がなんで玲二さんを狙う事に繋がるんや?自分達もおんなじ力があるんだったら別に玲二さんに固執する必要ないやんか」

 

「楓の言う通りだ。それに神羅族の力は他の神羅族では干渉出来ないんだろ?なら一緒にいれば返って不都合な事になりかねないんじゃ……?」

 

「……レイくん、なんで私がスバルの力に干渉出来たか分かりますか?」

 

……そういやこいつ、スバルの作った牢獄をいとも簡単に壊したり鎖を引き千切ったりしていたな?確かになんでなんだ?

 

「今いる神羅族達は言ってしまえば私の架した誓約によって力をセーブされている状態なんです。その力を解放すれば、例え相手が神羅族だろうと干渉する事が出来ます」

 

「力をセーブ?なんでまたそんな面倒な事したんだ?」

 

「単純な話です。神羅の力は言ってしまえば神の奇跡とも言うべき力。そんな力を無制限に使えてしまえば世界のバランスが大きく揺らいでしまうも当然です。現に今いる神羅族も全員癖者揃い、そんな奴等に制限を架さないととんでもない事になるのは目に見えてますからね。まぁ一部の神羅族はそれを利用して何か企んではいるみたいですが、現状は特に問題ないので様子見だけにしています」

 

成る程な。けどだからといってなんでそれが俺が狙われている事に繋がるんだ?

 

「……けれどその制限を架している事にマリンは気づいてしまったんです。だからこそマリンはその枷を外す為に自分と同じ意思を示した神羅族を集めてソラちゃんから離脱して革命派となったんです。そしてそんな中オリジナルとも呼べる神羅の力を宿したレイくんが誕生した……マリンにとっては自分達の力を完全解放する為のきっかけになり得ると思いレイくんを狙うようになったんです」

 

そういう事だったのか。俺の中には別世界の俺の神羅の力があるから、奴等はその力を欲してたというワケだったんだな。

 

「…………全ては白上の立ち回り方が悪かったんです。仲間を失って寂しいからってかつての仲間達を模した神羅族を作ってしまい、そしてその所為でこの世界のレイくんにまで迷惑を掛けてしまいました。レイくん、本当にごめんなさい………」

 

「………確かにお前の所為で面倒事が起きてしまったのかもしれない。けどそれと同時にお前のお陰で俺には沢山の仲間や家族が出来たんだ。だから俺はお前に感謝する事はあっても恨む事はしねぇよ」

 

「そうそう、それに僕達もレイくんとずっと一緒にいられるなら全然良いしね♪」

 

「うん!パタち達も玲二君やライン、それに皆と一緒にいられて幸せだぞ♪」

 

「貴方は別世界の仲間達を想って行動していた、唯それだけです。その事を責めるなんて事はご主人様は絶対にしませんから♪」

 

「み、みんな…………ありがとう」

 

「……良かったですね、フブキ様♪」

 

俺達が許すと神羅フブキは涙を流してお礼を述べる。神羅メルも嬉しそうに神羅フブキの肩に手を差し伸べにこやかに笑うのであった。

 

「…………私から話せるのは今は此処までです。まだ本当は話さなきゃいけない事があると思うけど、一度に話しても混乱してしまうのでそれはまた別の機会にします」

 

「あぁ分かった、話してくれて有り難うな。それと最後に聞かせてくれ。神羅族のスバルが俺と其処のメルの世界を繋いだ所為で本来存在しない筈の者が現れたと言っていたが、あれはどういう事だ?」

 

「あー、それについてはメルメルに直接聞いた方が良いですね。メルメル、話してくれて良いかな?」

 

「は、はいぃ!じ、実は私の管理している世界は貴方達の言うガンダムのビルドシリーズの世界なんです。私はフブキ様からガンダムについて教えて頂き、それで私の世界もそんなガンダムと関わりのある世界にしたかったんです。けど本当にガンダムで戦うのは怖いのでガンプラバトルという形でそれぞれ『ファイターワールド』『ダイバーワールド』『メタバースワールド』と世界を作ったんです」

 

そうだったのか。つまりはあの世界はメルがビルドシリーズの世界を模して作ったパラレルワールドみたいなものだったんだな。

 

「それでフブキ様からこの世界の事を教えてもらい、この世界でのオリジナルの私や皆が楽しそうにガンプラで遊んでいるのを見ていて嬉しくなって、なんとかこの世界と繋がれないかなって思って貴方をダイバーワールドに飛ばしたんです」

 

「え、あれお前の仕業だったのか!?」*1

 

「はい……それで私の考えてた通りに貴方は私の世界とこの世界を結んでくれました。でも……その所為で本来存在しない人達も誕生してしまったのも事実なんです」

 

「え?それって一体誰なの?」

 

「えっと、その……み、皆さんのお知り合いにガンダムの登場人物にそっくりな子達がいますよね?」

 

…………え、まさか?

 

「えと、フレアさんが転生させたレイラって子が名付けた名前で呼べばリ・イマジネーションと呼ばれる人達ですね。その人達は本来この世界にはいなかったんですが、私達の世界が繋がった影響で歴史が歪み他のガンダム世界にいた人達の魂が生まれ変わってこの世界にやって来たんです」

 

『え……………………えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!?』

 

そういう事だったのか!?だからやたらとガンダム世界の住人そっくりな奴等が頻繁にいたワケか!?

 

「じゃ、じゃあ新君や大和君の前世って、別世界での本物のシン・アスカとキラ・ヤマトって事!?」

 

「そ、そういう事ですね。だからその原因を作ってしまったのは私なんです……本当にごめんなさいごめんなさいごめんなさいいぃーーーーーーッ!」

 

「い、いや謝られても仕方がないんだが……?」

 

しかしまぁ、あの新達がかつては本当のシン・アスカだったとはな?一度別世界のシンとは会ってるからこれも所謂パラレルワールドのシン達って事か。

 

「だからお詫びにスバルさんには私が言って私が代わりに投獄されてきますうぅぅぅぅぅッ!」

 

「いやそんな事しなくて良いって。スバルにはあの世界から出られないようにしてあるし、後でソラちゃんと一緒に事情説明しに行くから大丈夫だって♪」

 

「で、でも……分かりました。ではせめて、私が管理している三つの世界を貴方に譲渡します」

 

「え!?な、なんでそんな話になるんだよ?!別にそれはお前が創った世界なんだからお前がそのまま管理すれば良いだろ?!」

 

「いえ、先程も言いましたがあのリ・イマジネーションの人達は私と貴方の世界が繋がった影響で誕生した存在です。もし私達の世界が何らかの形で断ち切られてしまったら、あの人達ももしかしたら消滅してしまうかもしれません。なので私の世界を貴方に譲渡する事であの人達も消える事なくずっと平和に暮らせる筈です」

 

……成る程な、確かにそう言われてしまうと断りにくくなってしまうな……

 

「それに貴方にあの世界を託せば、もっとあの世界は楽しくなりそうですし。だからあの世界を、皆の事をよろしくお願いします」

 

「…………分かった。新たな神羅族の初仕事として、お前の世界を引き継ぐ事を誓うよ」

 

「ッ!あ、ありがとうございます!じゃ、じゃあお礼をしますので少しお待ち下さい……」

 

―シュンッ!―

 

?神羅メルの奴、どっかに転移したみたいだが何をするつもりなんだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、魔界にて……

 

「………うん、これで荷物も纏めたし、そろそろホロライトシティに帰ろっか」

 

「うゅ、ままだいじょぶ〜?」

 

「ぷゆぅ……」

 

「うん、もう気持ちの整理がついたから大丈夫だよ。これからは玲二君の奥さんとして頑張っていかないとね―シュンッ!―……え?」

 

魔界の実家にいたメルが子供達と一緒にホロライトシティに戻ろうとしたその時、突如目の前に自分そっくりな子、神羅メルが現れて驚きのあまり固まってしまった。

 

「い、いいいきなり現れてごめんなさい!えと、その……え、えい!」

 

―ビカアァーッ!!―

 

「え!?」

 

そんなメルの額に神羅メルはすかさず指を当て力を与えていく。

 

「え、え!?な、何この感じ!?メル今何されたの?!」

 

いきなり継承の儀をされメルは何をされたのか分からず混乱してしまう。そんなメルに神羅メルは更にある事を伝えていく。

 

「あ、あの!大丈夫ですから!貴方はまた皆と一緒にいられますから!」

 

―シュンッ!―

 

「え!?い、一体何だったの……?」

 

「「あう?」」

 

あまりにも唐突過ぎる出来事にメルも子供達も理解が追いつかずポカンとしてしまうのであった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―シュンッ!―

 

あ、戻ってきた。一体何をしにいったんだこいつ?

 

「え、えと、今この世界のオリジナルの私に継承の儀をしてきました!これであの子も神羅族の力を使う事が出来ます!」

 

「え!?わざわざ継承の儀をしに行ったの?!」

 

「い、意外と積極的なんだね神羅族のメルちゃんって?」

 

ま、全くだな……これで俺達の中で完全な神羅族になったのは四人か―ピリリリッピリリリッ―ん?電話か、誰から……拓哉から?

 

―ピッ―

 

「あぁ拓哉、どうかしたのか?」

 

《あ、先輩。この間のスポーツ飲料水のCMについてメーカーさんからお話をしたいとの事だったんですが》

 

「CM?そんな話あったか?それって誰が出るんだ?」

 

《何言ってるんですか先輩、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

……………………は?

 

「いや拓哉、お前何言ってるんだよ?その三人はもうホロライブを辞めただろ?」

 

《はい?先輩何寝惚けてるんですか?三人とも普通に活動しているじゃないですか》

 

え…………そ、そんな馬鹿な?ま、まさか……………………ッ!?公式プロフィールが復活している?!それにるしあの引退もココの卒業もメルの契約解除も全部なかった事になってる?!こ、これってまさか!?

 

「あ、あの!良かれと思ってその三人もホロライブで活動出来るように卒業やら引退やらの過去を消しちゃいました!」

 

やっぱりお前の仕業か!?いや何してんだよお前!?メルの契約解除の事実ならまだしもココは桐生会の関係で、るしあは精神的ストレスで辞めたんだぞ!それを本人達の断りなしで何してくれてんだよ!?

 

「え、えと……や、やっぱり皆と一緒に楽しくいられるのが一番だと思って………も、もしかして余計な事しちゃいましたか……?」

 

「…………いや、それに関しては後で本人達と話し合って決めるから取り敢えずはそのままで良いさ」

 

取り敢えず俺は拓哉にCMの件は保留という事にしてもらい電話を切った。なんだか忙しい一日だったな………

 

「それじゃあ白上達もそろそろ戻るとしますね。レイくんも新しく開催したGWDWCの事もありますし、革命派については白上達に任せて安心して運営してくださいね♪それじゃあメルメル、帰ろっか」

 

「は、はい!で、では玲二様!ビルドワールドとリ・イマジネーションの皆をよろしくお願いします!」

 

そして神羅フブキ達もその場から去っていき、こうしてスバルの一件から始まった騒動は幕を閉じたのであった。

 

「それにしても神羅族がまさかの別世界の僕達が創った力だったなんてね?」

 

「ホントびっくりだよね?でも神羅フブキちゃんが言ってたあいつ等って一体何の事なんだろうねご主人?」

 

「それについてはまだ分からないが、取り敢えず今俺達がすべきなのはGWDWCを無事に運営しきる事だ。革命派や謎の存在については後々考えれば良いさ。さ、それじゃあ日が暮れてきたし、飯でも食べるか」

 

『はーい♪』

 

まだまだ分からない事も多いが、それでも俺達は自分達のやれる事をやるしかない。これからはもっと忙しくなるし、皆と一緒に頑張ってGWDWCを盛り上げていきますか!

 

こうしてまた一つ、神羅族についての謎が解けた玲二達。そしてメル達のホロライブを辞めたという事実は玲二とその嫁(玲二と結ばれた事のある)以外ではなかった事になっており、メルとるしあとココはそれに対し再びホロライブで活動する事を決めたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[…………ギギッシンラノチカラ、ミツケタ、ミツケタ]

 

[コレツカウ?ツカウ?]

 

[ヤロウ、アソボウ、コワソウ]

 

薄暗い路地裏の隙間から見える怪しげな瞳。その空間からドス黒い靄を放つ漆黒のガンプラが現れたのだった……

*1
第57話『ホロライブ ビルドダイバーズ』より




はい、という事で神羅族誕生の秘密、そしてリ・イマジネーションの秘密についてでした!そして何気にホロライブを再開するメル達ですが、それについてのご説明です。今まで自分の小説では卒業や引退したホロメン達についてはリアル同様に表舞台から外してきました。しかし他のホロライブの小説を書かれている方の中では卒業せずにそのままホロライブに所属するケースが多く見られました。なので自分もホロライブにこの娘達がいた。そんな素晴らしい存在を風化させない為にもと復活する事を決めました。今後はまたホロメンとしての三人をどうかよろしくお願いしますm(_ _)m

さぁそんな事はさておき次回は大阪に行ったまつり達がクイズに挑戦します!はたしてまつりはクイズミッションをクリア出来るのか?次回もまったりと待って頂ければ幸いです、ではまた!


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EP13『答えろ!ガンダムクイズ!』

ルブリス量産試作モデル、無事にゲット出来ました!いやぁ到着が待ち遠しいですね~(^_^)

今回は久方ぶりのミッション!まつりがガンダムグランドクエスチョンに挑みます!はたしてまつりはクリア出来るのか?!今回も最後まで見て頂ければ有り難いです、ではどうぞ!


神羅族の秘密が分かり、そしてメル達がホロライブに復活してから数日後、大阪のとある場所では遠征に出ているまつり達が今日もGWDWCの予選突破を目指し奮闘していた………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふあぁ〜♪お好み焼きうんめぇ〜♪」

 

「たこやきまいう〜♪」

 

……と思いきやどうやら食べ歩きを楽しんでいるようだった。まつりと祭華が食事をしているテーブルの上には既に八人前程のご飯が平らげられている。神羅族になりつつある所為かどんだけ食べても太らずエネルギーとして貯蓄出来るのを良い事に好き放題食べているようだ。

 

「もぉまつりちゃんも祭華ちゃんも、そんなに食べてたらお腹壊すわよ〜?」

 

「大丈夫だってアキロゼ〜、神羅族化したまつりならそんなのも一瞬で治せるからさ〜♪」

 

「いやそんなくだらない事でいちいち力使ってたらダメだってマスターに言われてるじゃん?」

 

そんなまつり達母娘を呆れた様子で見るアキとロボ子。だがそんな二人の手にはフランクフルトとホットドッグが握られており二人もさっきまで食べ歩きをしていたようであまり人の事を言えない気がする。

 

「ほら先輩方、そろそろ予約していたミッションの時間なんですから何時までも食べてないで行きますよ」

 

「ままぁ〜、はやくいこ〜」

 

「みんなのがんぷらみたい〜」

 

其処にカリオペがシアとメルトを抱っこしながらやって来て予約していた時間になったからと皆を迎えに来た。どうやらまつり達はミッション前の腹ごしらえをしていたようだ。

 

「んぐ……よし!いっぱい食べて準備OK!そんじゃ早速ミッションをクリアしにいきますか!」

 

「いこ〜♪」

 

まつりも食べ終え、祭華を抱っこして皆と一緒に予約しているゲームセンターへと向かう。その道中……

 

「あ、見てください先輩方。メルさん達が映ってますよ♪」

 

「え?あ、そ、そうだね……」

 

カリオペが指差した先にある巨大スクリーンでは()()()()()()()()()()()()が出ている新商品のスポーツ飲料水のCMだった。スクリーンに映る眩しい笑顔の三人に道行く人達は足を止めて眺めているが、まつりとアキとロボ子だけは複雑な気持ちになっていた。

 

「それにしてもるしあ先輩、長い事休止してたけどやっぱり凄いわね♪」

 

「う、うん……ねぇカリ、本当に何も覚えて……」

 

「え?何がですか?」

 

「う、ううん、なんでもない……」

 

まつり達の複雑そうな表情にカリオペは何事かと首を傾げる。というのも無理はない。何故なら今スクリーンに映ってた三人は本来ならホロライブを去った筈なのだから……

 

というのも数日前、神羅族のメルが現れこの世界のメルに神羅の力を継承したと同時に過去に飛び、其処で三人の卒業と引退に関する記憶と記録を全て消しなかった事にしたのだ。それにより三人は今もホロライブで活動する事が出来、るしあも長期休止という事になって今年から活動を再開した事になっている。

 

それは確かに喜ばしいのだが、問題はまつり達佐々木家以外の皆の記憶も書き換わっていた事だ。玲二と交わり神羅族化しているまつり達はその影響を受けなかったがそれ以外の皆からは三人の卒業、引退の記憶が全て消された……というよりなかった事になっている。あの拓哉達ですらその事実に気づいてないのだ。

 

カリオペも玲二の婚約者になっているとはいえまだ玲二と交わった事がない為記憶が書き換えられているのだが当然そんな事は知る由もない。

 

(……ねぇ、やっぱりカリやキアラとかには本当の事話した方が良いんじゃないのかな?)

 

(いや、マスターが必要になれば話すって言ってたし、それに変に話をして皆を混乱させるワケにはいかないからまだそっとしておいて良いと思うよ)

 

(でもやっぱり変な気持ちになっちゃうわよね?アキロゼなんてフブキちゃんのお知らせ枠の後普通に泣いちゃったのが恥ずかしいもん……)

 

仲間であるカリオペ達に隠し事をしているようでいたたまれないまつりは二人だけでも本当の事を伝えようとするがそれは記憶の混乱に繋がるから駄目だとロボ子に止められてしまう。アキロゼはまた五人で活動出来る喜び半分、お知らせの後に泣いてしまって恥ずかしい気持ち半分と複雑な気持ちになっていた。

 

そんなこんなで予約していたゲームセンターに到着した一同。取り敢えずメル達の事は一旦置いといて今はミッションに集中する事に決めたのだった。

 

「それで、先輩方はなんのミッションに挑むんですか?」

 

「まつりはクイズ!今日こそは絶対に十問答えてクリアしてやるんだから!」

 

「ボクは探索かな?それが終われば後はフォーカスミッションだけだからね」

 

「うーん、ならアキロゼはハシュマルのミッションをやろうかな。それじゃあカリ、子供達の事よろしくね♪」

 

「OK,皆頑張ってきてね♪はい、皆もママ達を応援してね〜」

 

『まま〜、がんばれ〜♪』

 

子供達に応援され、まつり達は気合を入れてそれぞれ筐体の中に入っていく。まつりは今日やるミッションにはガンプラは不要なのでそのままクイズミッションを選びゲームをスタートさせていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―GWDWC QualifyingMission6

『ガンダムグランドクエスチョン』START―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[ようこそ、ガンダムグランドクエスチョンへ!今からこのミッションのルールを説明するよ!このミッションではガンダムに関する一万通りの問題からランダムに出題し、合計十問答えられたら見事ミッションクリア!問題は何度でも答えられますが答えが出ない限りは次の問題は出ません!パスは二回まで使えます!]

 

…………もう何回も聞いた説明だからスキップさせてほしいんだけどなぁ?でもこのクイズミッション、本当に鬼畜なんてレベルじゃ済まない程のとんでもない問題もあるからそういう問題にさえ当たらなければなんとかいけると思う。一度のプレイで出来る回数は二回まで。これでクリア出来ないならまた次の日まで待たなきゃいけなくなる。もう一週間はクリア出来ずにいるし、今日こそは絶対にクリアしてみせるんだから!

 

[それでは準備は良いかな〜?ガンダムグランドクエスチョン、スタートォ!]

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※此処からガンダムクイズが始まります。よろしければご一緒にお考えくださいませ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[第一問!ガンダムはガンダニュウム合金を使用しているMSを指す。この説明に当てはまる作品は?]

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ッ!これは分かる!答えはこれだぁッ!」

 

 

 

[新機動戦記ガンダムW]

 

 

 

―ピンポーン!―

 

「よっし!」

 

まずは一問取った!しかも悩む事なくスムーズに!これは幸先良いかも!

 

 

 

[第二問!この型式番号はどの機体? GFAS-X1]

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっと……あれ?これなんだろ?型式の感じからして宇宙世紀っぽくはないけど……」

 

うわぁーーー!此処でまさかの型式問題だなんて!?えっと、この感じは確か宇宙世紀にはないからアナザーかビルド系で絞って……あれ?本当にどれだろ?うわうわうわぁーーーッ!?

 

「うぅ~…………あぁーーーッ!もう分からないからパス!」

 

―パス発動、次の問題に移ります―

 

うぅ~、まさか二問目でパス使う羽目になるなんてぇ……しかもこれ答え出てこないし、後で自分で調べよ……

 

 

 

※正解は『デストロイガンダム』

 

 

 

[第三問!現在上映中の映画『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』に登場するマイティーストライクフリーダムガンダムに装備されている実体剣の名前は?]

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ッ!これは分かる!この間ホロライトに戻って玲二君と一緒に見たし!」

 

これはラッキー問題!さっき答えられなかった分を此処で答えないと!よし、これだ!

 

 

 

[フタノミタマ]

 

 

 

―ブーッ!―

 

「え!?違うのこれ?!」

 

そんな!?確かこれで合ってる筈なんだけど……あぁ!?打ち間違えた!これだ!

 

 

 

[フツノミタマ]

 

 

 

―ピンポーン!―

 

「よっしゃあ!」

 

これで二問!後は八分あるからさっさと答えられる問題は答えていこう!

 

 

 

[第四問!以下の特徴の機体は?

 

・宇宙世紀の機体

・可変機

・モノアイタイプ

・二機に分割する]

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………あれ?これなんだっけ?これを元にして作られたビルド系の機体なら知ってるけど……うわぁーーー!ど忘れしたぁーーーッ!?」

 

な、なんだっけ?確かこの機体を元にリンドブルムってガンダムが出来たんだよね?前に玲二君が作ってたけど……あ、思い出した!これだ!

 

 

 

[バウ]

 

 

 

―ピンポーン!―

 

やったぁーーー!でも少し時間が経っちゃった!?急いで次の問題答えないと!

 

 

 

[第五問!ガンプラを一番最初に販売していた会社は何処?]

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………………あれ?これ何処だっけ?確かぺこらとポルカがめっちゃ詳しかったんだよな……けど確かこんな名前だったよね?」

 

確か昔ポルカとねねのコントでも出てきたからこれで間違いない筈……よし!

 

 

 

[株式会社クローバー]

 

 

 

―ピンポーン!―

 

「よっしゃあ!」

 

これで四問クリア!この調子でどんどんクリアしていくぞー!

 

※尚この会社は既に倒産しており、現在は同じ名前だが全く違う会社が存在するのであしからず。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それからまつりは四苦八苦しながらもなんとか問題を解いていった。パスも使い切ってもう後がない状態だけど、次の問題がラスト!残り一分半もあるし、いける!漸くクリア出来るよ!

 

[ではラスト問だ……ジジッ……ジッ……]

 

……あれ?どうしたんだろ?なんで急にノイズが走ってんの?こんな事今までなかったのに……

 

 

 

[…………ラストモンダイ アナタガカツテベツノセカイデツカッテイタアイキハ?]

 

 

……………………

 

 

 

………………………………

 

 

 

 

…………………………………………はぁ!?

 

「な、何この問題!?なんでこんなワケの分からない問題が出てくるの?!てかまつりの別世界のかつての愛機って、何の事なのさ?!」

 

[オコタエクダサイ。アナタノカツテノアイキノナヲ]

 

だから知らないってそんなの?!なんなのまつりの別世界って!?そんなの答えられるワケ……………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

“くっそぉーー!それでもまだまつりの方がHPが勝ってるもん!これでも喰らえ!”

 

 

 

“よっしゃあ!それじゃいっくよぉーー!!音撃打・爆裂強打の型!わっしょーーーーーいッ!!”

 

 

 

“フッフッフ♪そう、これがまつりの専用機『――――――――――』だよ!”

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ッ!?い、今のって……?」

 

な、何だったの今の記憶?まつり、あんな機体使った覚えないのに、なんだか凄く懐かしくて、それと同時に切ない気持ちになってくる…………

 

[ノコリ30ビョウデス]

 

ッ!もう時間はない!まつりは……この直感を信じる!まつりのかつての愛機、その名前は!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[ガンダムフェスティバル]

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―ピンポンピンポンピンポーンッ!!―

 

―Mission Clear!―

 

「や……やったあぁーーーーーーッ!!」

 

やった!やったよ玲二君!まつり、漸くクイズミッションクリア出来たんだぁーーーッ!!

 

―……ジジッ―

 

……え?またノイズが走って……え?!な、なんでモニターにまつりが映ってんの?!

 

[…………ありがと、この子の事思い出してくれて……この世界でもこの子の事、よろしくね♪]

 

……画面に写ったまつりはそう言うとそのまま消えてしまって、気づけばいつのもデモ画面に戻っていた。あれって、何だったんだろう……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よっしゃーーー!漸くクイズミッション終わったぁーーー!」

 

「まーま、おつかれ♪」

 

「これで一応皆今日の目標を達成したワケだね♪」

 

「じゃあ後はカリオペちゃんのミッション終わるのを待つだけね♪」

 

「えぇ、それじゃあ行ってくるわ」

 

まつり達がミッションを終えて広場に戻って子供達を引き取ると、今度はカリオペがミッションを行いに筐体へと向かっていった。ミッションをクリアした事で一安心するアキとロボ子だったが、まつりは祭華を抱っこしたまま何処かへと行こうとしていた。

 

「あれ?まつりちゃん何処に行くの?」

 

「うん、ちょっと新しい機体案が浮かんだからそれを作ろうと思ってね♪」

 

そう言ってまつりはガンプラ売り場へと向かっていく。目的はさっきのミッション中に脳裏に浮かんだあの機体の素体となるガンプラである。しかし、この店は品薄なのか目的のガンプラが見当たらなかった。

 

「うーん、あの記憶通りなら多分素体はシャイニングなんだろうけど、やっぱりないか……仕方ないから一度ホロライトに戻った時にでも「まーま!」ん?どうしたの祭華?…………あ」

 

目的のガンプラが見つからず諦めそうになった時、祭華が指差した方を見ると其処には一つのガンプラがポツンと置かれていた。

 

「………確かにこれもシャイニングと同じ格闘戦主体の機体だ。よし!ならこれで新しいガンダムフェスティバルを作ってみせるよ!祭華、ありがとね~♪」

 

「あーい♪」

 

新たなガンプラの制作プランが思いつき、まつりはそれを購入しカリオペがミッションを終えるのをアキ達と共に待つのであった。

 

 

クリア進捗状況

 

まつり

01 02 04 05 06

 

ロボ子

01 02 03 04 05 06

 

アキ

01 02 03 04 06

 

カリオペ

03 04 05 06 07

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―オマケ―

 

「よぉーし!それじゃ行きますよ真理愛さん!」

 

「うん、何時でも掛かってきて良いよ!」

 

某ガンプラショップの一角にあるガンプラウォーズで風音高校の面々がガンプラバトルのトレーニングを行っていた。今は真理愛と優が共に激しいバトルを繰り広げ、周りの観客達もその熱気に当てられ盛り上がりを見せていた。だが……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[ギギッミツケタミツケタ……]

 

[エモノ、ミツケタ]

 

[タオソウ、コワソウ……]

 

その影から一機の黒いガンプラが真理愛と優のガンプラに狙いを定めていたのであった……




はい、という事でまつり、見事ミッションクリアの回でした!皆着々とミッションをクリアしていて今後は一体どうなるのやら?

そして最後にまた不穏な雰囲気……優と真理愛はどうなってしまうのだろうか?次回もまったりと待って頂ければ幸いですではまた!


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EP14『迫りくる破滅』

突然身近な人の変わり果てた姿を見た時、貴方はどう思いますか?自分は最近そんな経験をしてしまいました……

この間帰ったら姪っ子がママ、つまり自分の姉の口紅とかを勝手に使ってメイクしてオバQみたいになってました……( ゚д゚;)

そんな話はさておき、今回は少しシリアスなお話となっております。今回も最後まで見て頂ければ有り難いです、ではどうぞ!


「…………なんだって?優と真理愛が意識不明?」

 

「はい、先程新さんからご連絡があって、優さんと真理愛さんがガンプラウォーズをプレイ中に突然倒れてしまったらしいのです」

 

……どういう事だ?ガンプラウォーズをプレイ中に意識不明になるなんて、そんな事今までなかった。プレイに熱中し過ぎでの疲労か?いやそれにしても意識不明になるまでなんて……

 

「現在おかゆさんとあくあさんが病院まで行って状況を調べてくれてはいますので間もなく連絡が来る筈―ピリリリッピリリリッ―と言ってたら来ましたね。―ピッ―はい、みしろです。それで状況は…………え?」

 

?どうしたんだみしろ?そんな信じられないような顔して……

 

「…………分かりました、ではご主人様にもお伝えします。また何か分かれば…………ご主人様、おかゆさんからのご報告なんですが、おかゆさんとあくあさんが治癒能力を使って回復を試みましたが、能力が全く効かないらしいのです……」

 

なんだって!?そんな馬鹿な?!

 

「まさか、そんな!?おかゆとあくあは既に俺と同じ完全な神羅族だぞ!その二人の治癒能力が効かないなんて……もしかしてこれは、革命派の神羅族の仕業か?!」

 

「分かりません。ですが、神羅族の力が通用しないという事はおそらく何かしらの原因があるのだと思われます。みしろは引き続き調査の為に一度現場に向かおうと思います」

 

「……あぁ分かった、なら付き人として戻ってきたメルとレインに着いてってもらおう。俺はオカユに接触して何か知らないか探ってみる」

 

「はい、よろしくお願いします」

 

みしろは俺に一礼をしてすぐに身支度の準備をする為部屋へと戻っていった。にしても一体何が起こっているんだ……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、本土にて……

 

「……此処が優ちゃん達が意識不明になったっていうゲームセンター?」

 

「うん、新くん達の話だとあの筐体でプレイ中に突然意識不明になったんだって。しかもこれ……」

 

そう言ったメルの手にはかなりボロボロにされたガンプラの残骸……優と真理愛の愛機の変わり果ててしまった姿があった。曰く、新達が筐体の中に入った時には既に破損していたらしいが、もちろんガンプラウォーズにそんな野蛮な機能なんて存在しない。しかも

 

「……ダメ、幾ら力を注いでも元に戻せないよ……」

 

「そんな、完全に神羅族になったメルちゃんでも戻せないだなんて……!?」

 

「やはり、これは他の神羅族の仕業なんでしょうか……おや?」

 

メルが幾ら力を注いでも破損したガンプラを元には戻せなかった。やっぱりこれは他の神羅族の仕業なのか……そう考えていた時、みしろはある事に気づいたようで封鎖されている筐体の中に入っていく。

 

「?どうしたのみしろちゃん?其処は封鎖されているから今はゲーム出来ないよ?」

 

「いえ……ただこの筐体から何やら異様な力を感じるんです。もしかしたらそれが優さん達を―ガシャンッ!―え!?」

 

何やら怪しげな力を感じ、みしろが原因を探る為に筐体の中に入った瞬間、突然筐体の扉が閉まりみしろが閉じ込められてしまった。更に

 

―キュイィィンッ……ピピッ、ウィィンッ―

 

「ッ!?筐体が勝手に作動している?!どうして!?この筐体は今は封鎖して電源が落とされている筈なのに……!?」

 

電源が落とされて使用不可能な状態の筈の筐体が何故か電源が入り画面が表示され、そして勝手にバトルセレクト画面まで進んでいく。突然の事で混乱するみしろだったが、これは何かあると踏み持ってきた氷護を取り出し筐体にセットしていく。

 

「もしや、これが優さん達を意識不明にした相手からの挑戦状という事でしょうか……ならば良いでしょう。この白雪みしろ、ガンダリウムランカーの名にかけて、貴方を倒しその正体を暴きます!」

 

機体をセットしバトルスタート画面をタッチしステージへとダイブするみしろ。しかしそのエリアは今まで体験してきたバトルフィールドとは何もかもが違っていた。

 

「…………此処は、溶岩エリア?いえ、それにしては何かが変ですわ」

 

そのエリアは溶岩エリアのようだったが、吹き出る溶岩はドス黒く、更には周りの背景の一部はバグっているのか怪しげな緑色の光を放っていた。そしてその奥には黒いオーラを放ち、みしろの駆る氷護をまるで獲物を狙う野獣のようにじっと見ている機体がいた。

 

「あれは……みしろの氷護と似ている?けど明らかに異質な感じがします。兎に角相手の機体データを……」

 

みしろは急いで相手の機体データを確認する。だが其処に映っていたのは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガンダム氷牙“Я”

主に仇なす者に牙を……主を狙う愚か者に裁きを……全ては愛しい主の為に、その牙は容赦なく敵を噛み千切る……

 

 

「な、なんですか、このデータは……こんなの、今まで見た事がありませんわ!?」

 

今まで見てきた機体データとはまるで違う異質な存在。そんな怪しげな機体に恐怖を感じながらもみしろはそれを振り払いグリップを握り気合いを入れて目の前の敵に狙いを定める。

 

「……貴方が何者かは知りませんが、レイラくんがくれたこの機体に似せた紛い物で悪さを働くなら容赦は致しません!白雪みしろ!ガンダム氷護、参りますッ!」

 

―ググッ……ダッ!―

 

―ガキイィンッ!―

 

みしろの氷護が駆けると同時に相手の氷牙も動き互いの武器がぶつかり合っていく。そして一度離れたと同時に二体はフィールドを駆け巡り激しくぶつかり合っていく。

 

(クッ……速い!?まさかこの氷護のスピードについてこられるなんて!?いえ、それだけじゃない!この動き、まるで野獣のような荒々しい動きです!)

 

通常、ガンプラウォーズで反映される動きはガンプラの可動域やMSの動きを参考にしている為にやはりどんなに人体の動きに近づけても機械的な動きになる。だがこの氷牙はまるで獣のような生物的な動きを見せている。いや、それだけではない。その漆黒のボディの至る所には生物的な血管のようなものが浮き出ているし、そのフェイス部分はまるで獣のような生物的な単眼が存在する。これははたして本当にガンプラなのだろうか……?

 

(……ですが弱点がないワケではありません。おそらく相手はあの機体に慣れていないのか速い動きを上手く活用出来てません。狙うなら動きにムラが出来た一瞬です!)

 

だがみしろはこんな時でも冷静に相手の弱点を分析し反撃の機会を伺っていた。流石はガンダリウムランカー、どんな時でも冷静に物事を見極める観察力は凄まじいものである。そして……

 

―ガキィンッ!ググ……ッ!―

 

「ッ!其処です!」

 

―ズバァッ!―

 

みしろは氷牙の一瞬の隙をつき間合いを詰め、右手に持った短剣で氷牙の左腕を切り落としたのだった。

 

「油断大敵ですよ?そのような後先考えない動きではこの氷護には勝てな―ザシュッ!―……え?」

 

相手に対し油断大敵と指摘した刹那、みしろは()()()()()が何かに刺された感覚に襲われた。そしてよく見ると氷護の左腕には先程切り落とした筈の氷牙の腕が持ってた短剣が突き刺さっていたのだった。

 

「ウグッ!アッガアァァァーーーーーーッ!?」

 

あまりにも唐突な出来事に一瞬頭が回らなかったが、突如襲ってきた激痛にみしろは思わず左腕を抑えてしまう。しかも

 

―ドロッ……グチャッグチュグチュッ……ガッチィンッ!―

 

「なッ…………!?」

 

なんと氷牙の切り落とされた腕の付け根から黒い泥のような物が吹き出し、それが形を変えていくと先程切り落とした筈の腕が再生されたのだった。

 

(な、なんで……?なんで切り落とした筈の腕が再生したの?それにこの痛みは何?なんで氷護がやられた部分と同じ所が痛むの……………………ッ!?)

 

そんな事を考えていた時、ふと自分の左腕を抑えていた右手を見ると、其処にはべっとりと赤い血が付着していた。そしてそれは抑えられていた左腕の袖部分にも赤い染みとしてジワッと広がっていたのであった……

 

「い、いや…………いやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!?」

 

あまりにもあり得ない状況にみしろは錯乱しその場で座り込んでしまった。普段はどんな事でも冷静に対処する事を心掛けているみしろだったが恐怖と痛みの所為で思わず失禁してしまう程であった。だがそんなみしろに対し氷牙はお構いなしに短剣を構えジリジリと詰め寄っていき、無慈悲に氷護に向かって振り下ろそうとしていた。

 

[…………ギギッシンラノチカラ、コワソウ、コワソウ]

 

―ザシュッ……!―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………………え?」

 

「ウギギ……!な、なんとか間に合ったみたいだね?ドリャアァーーーッ!!」

 

―ガキィンッ!―

 

迫りくる氷牙の短剣が氷護に刺さる直前に一機のガンプラ?のシールドがそれを防ぎ弾き返した。声からしておそらくレインのようだが、その機体はガンプラとは少し違っていた。

 

「れ、レインさん?それって……『ドラグナー』ですか?」

 

「うん!この間見つけたんだけど格好良いからパタち用に改造したんだ!名付けて『ハンタードラグナー』だぞ!」

 

 

『HG ハンタードラグナー』

『機甲戦記ドラグナー』に登場する主人公機。それをレインが強襲タイプに改造した機体である。機体色は赤と黒のカラーリングに変更され、背中のリフター1はインフィニットジャスティスのファトゥムをミキシングし機動性と強襲性を増し、シールド裏には30MMシリーズのオプションパーツから作ったツインガトリングを装備している。

 

 

「ってそんな事よりみしろちゃん大丈夫!?左腕から血が出てるよ?!」

 

「は、はい……み、みしろにも何が何だか分からないのですが、氷護があの機体に左腕を攻撃されたと同時に、みしろの左腕にも激痛が……あ、あぁ、あ……!?」

 

みしろはまだ少しパニック状態なのか、未だ錯乱した状態でこのまま戦える状況でないのは明白だった。レインはそれ以上は聞かずグリップを握り氷牙と対峙していく。

 

「……嫌な予感がしてメルちゃんは残しておいたけど正解だったね。さて…………おいお前?私の大切な仲間であり家族でもあるみしろちゃんをよくも傷つけてくれたな?言っとくけどこちとらそんじょそこらの痛み程度じゃ怯まないからさぁ……玲二君の代わりにお前を完膚なきまでボコボコにしてやるから覚悟しろよ……?」

 

仲間であり、家族であるみしろを傷つけられ静かにキレるレイン。完全な戦闘モードに入りドラグナーもライフルを腰にマウントし足に収納されていたコンバットナイフを取り出し氷牙と対峙していく。

 

[ギキッマタシンラノチカラ、アソボウ、コワソウ]

 

「……お前、神羅族の事知ってるって事はやっぱ普通のバトラーじゃないみたいだな?なら、遠慮する理由は一切消えたから……サァ、地獄ニ堕チル覚悟決メロヨ?

 

もはや戦闘モードを通り越して虐殺モードに切り替わったレインはコンバットナイフを構え背中のファトゥムリフターのブースターをフル稼働させ氷牙へと突っ込んで行くのであった……

 

―ガキィンッ!ガキィンッ!ガキイィンッ!!―

 

「チィッ!見かけによらずしぶといね!?」

 

あれから十分程が経過し、レインはヒットアンドアウェイを繰り返しながら氷牙へと攻撃し続けていたが、どんなに攻撃がヒットしても氷牙が倒れる気配はなかった。おかしいと思ったレインは玲二から予め許可を得て相手のステータスを確認するツール(本来は点検用、もしくは審判用のツールなので一般バトラーは使用不可)を使い氷牙のステータスをチェックする。すると

 

ガンダム氷牙“Я”

HP:4@:9

 

というふうに数値がバグっていたのだった。

 

「やっぱりまともな機体じゃなかったか……しかもご丁寧にリタイアボタンまで機能しないし、これ完全に私達を殺りにきてるね……!」

 

普段と違い余裕のない様子を見せるレイン。これは間違いなく何時ものようなゲームではなく完全な殺し合い、こっちが殺らなきゃこちらが殺られる。ボディーガードという生業をしているレインにとってそんな状況は日常茶飯事なので大丈夫なのだが、問題はみしろの方である。もしかしたら殺させる……そんな恐怖の所為で半狂乱に陥ってしまいずっと蹲ってしまっている。そんなみしろの氷護に近づけさせないようレインのドラグナーは出来る限りフィールドの端で氷牙と戦っているのだ。

 

(これ以上は流石の私でも面倒になってくる。しかも何時あいつがみしろちゃんにターゲットを切り替えるか分からない。此処はもう一か八か一撃で相手を倒すッ!)

 

そしてレインは覚悟を決めてサイドスカートに装備されたレーザーソードを取り出し連結させ、背中のファトゥムリフターをフルパワーでブーストし始め、噴出する炎が赤から徐々に青へと変化していく。

 

「フルブースト、臨界点到達まで、3,2,1……ファイアッ!」

 

 

 

―キュイィィンッ……カッ……!―

 

 

 

―ズガガガガガガガガガガガガガガガガァッ!!―

 

レインの合図と共にドラグナーは一瞬消え、何かが壊されるような音が聞こえたかと思えばいつの間にかドラグナーは氷牙を通り過ぎていた。そして次の瞬間

 

―ググク……ドゴオォォォォォォオンッ!!―

 

氷牙の上半身が爆散し辺りには黒い泥のような物が飛び散っていった。上半身を破壊し本来であればこれで勝利……なのだが

 

―グチュッ……グチャッグジュジュジュ……ッ!―

 

なんと上半身を吹き飛ばされても氷牙はまた黒い泥を吹き出し再生しようとしていたのだった。

 

「ハァ、ハァ……やっぱり手応えなかったからもしかしてと思ったけど、上半身吹き飛んでも再生するなんてね……ん?」

 

だがレインは気づいた。再生していく氷牙の中心辺りに黒い宝石のような物がある事を。

 

「もしかして、あれが核?だったら……!」

 

―ガチャッバッ!―

 

ドラグナーは腰にマウントしていたライフルをレーザーモードに切り替え氷牙の黒い宝石に狙いを定めていく。

 

「これで……終わりだぁッ!!」

 

―バキュウゥゥゥンッ!!―

 

―バキイィィィンッ!―

 

[ッ!?]

 

ドラグナーのレーザーが宝石にヒットし、宝石はそのまま砕け消滅していった。そして

 

―ドロッ……グチャアァ……―

 

氷牙はまるで本体を失ったかのように泥のように溶けていき、そのまま跡形もなく消滅していくと同時にフィールドも元の溶岩エリアへと戻っていったのであった。

 

「…………ハァッ!ハァ、ハァ……た、倒した、のか?……そうだ、みしろちゃん!」

 

レインは扉のロックが解除されているのを確認するとすぐに外に出てみしろが入っている筐体へと向かい扉を開ける。其処には目を見開きながら左腕を抑えてしゃがみこんでいるみしろの姿があった。顔は涙と鼻水でぐちゃぐちゃになっており床も失禁した所為で水浸しになっていた。

 

「みしろちゃん!大丈夫!?」

 

「あ、あぁ……!?」

 

「だ、ダメだ、まだ錯乱しちゃってる……メルちゃん!急いで救急車を呼んで!」

 

「え!?う、うん!」

 

レインはメルに急いで救急車に電話をするよう指示すると先程血が溢れていた左腕を止血しようとみしろの手を退けて腕を確認する。だが……

 

「ッ!?血が、出てない……!?」

 

なんと先程あれだけべっとりと付いてた筈の血の跡は全くなく、まさかと思いみしろの左袖を破き腕を見ても何処にも損傷したような場所は見当たらなかった。

 

「ど、どうなってるんだ?……ん?これって……」

 

そんな中レインは筐体にセットされている氷護を見ると、その左腕はまるで何かに刺されたかのような損傷があった。これは一体どういう事なのだろうか……?

 

その後、救急車が到着し都内の病院に搬送されたみしろだったが命に別状はなく、寧ろ何処にも怪我もしていなかったという事でみしろはその日の内にホロライトシティへと戻っていったのだった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………そうか、そういう事があったのか……すまない、俺が安易にお前達に頼んだ所為でお前達に怖い思いをさせてしまって……」

 

「ううん、玲二君は何も悪くないよ。あんなの誰にだって想像なんてつかないもん。それよりも後の調査はパタち達がやるから今はみしろちゃんを慰めてあげて」

 

「あぁ、分かった。すまないがよろしく頼む」

 

取り敢えずこの件の後々の調査はレインとGCPDに頼むとして俺は今は俺の膝の上で顔を埋めているみしろを慰める事にしよう。だがまさかガンダリウムランカーのみしろが其処まで追い詰められてしまうとはな……?

 

「うゅ、まましゃま、だいじょぶでしゅか……?」

 

「あぁ、ママは今混乱しているだけだから心配しなくても大丈夫だ、ミナ」

 

「…………ご主人様、本当に申し訳ありません。このような不甲斐ない姿をお見せしてしまって……それにミナちゃんも心配させてごめんね……」

 

「そんな事はない!あんな状態になれば誰だって錯乱してしまうのは仕方がない。それよりも暫くは俺が傍にいるからゆっくり休むんだ」

 

「はい……ご主人様、わがままを言うようで申し訳ありませんが、少しの間、みしろと一緒にいてくださいまし……」

 

あぁ、それくらいお安い御用だ。俺はみしろを落ち着かせる為に頭を撫でてやり、ミナもみしろの肩をポンポンと優しく叩いてあげるとみしろは安心したのか静かな寝息を立てながら眠りについていった。

 

……しかし、レインとメルの報告にあった謎の存在、一体何者なんだろうか?また面倒事が始まったかもしれないな……

 

その後、おかゆとあくあから優と真理愛が回復したという報告を受けた。二人共どうやら何があったかは覚えてないようで、意識不明になってた事よりも自分達のガンプラが壊れていた事にショックを受けていた。まぁすぐに新しいのを作ると意気込んでいるようだけど、取り敢えずは何事もなくて良かったよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[ギギッ、オモチャ、コワサレタ]

 

[ツギ、イツヤル?]

 

[モウスコシマツ、オモシロイヤツ、マツ]

 

薄暗い空間、其処には幾つかの黒い影が蠢いていた。どうやらまだこの異変は終わっていないようである……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

所変わって次元観察門……

 

「…………これは……!?」

 

「ソラ様、どうかされたのでしょうか?」

 

「……アキ、今すぐ例のイレギュラーに救援をお願いしてください。緊急事態が発生しました」

 

「緊急事態?一体何が……?」

 

「……恐れていた敵が現れました。三億年前、私の親友であるスイセイが己の力を使ってまで滅ぼした筈の私達神羅族の共通の敵が!」

 

「な!?そんな、まさか……まさか『Я』がまた現れたのですか!?」

 

「えぇ、ですので急いでアキは例のイレギュラーにこの事を伝えてください!早く対処しなければ、とんでもない事になりかねません!」

 

突如不穏な気配を感じたソラは側近であるアキにイレギュラー、玲二に急いで救援を求めるよう指示する。ソラの今まで見た事のない慌てようにアキは言われるまますぐに玲二の元へ向かうのであった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてまた別の場所では……

 

「…………チィッ、また面倒な事が起きたわね……トワ、今すぐあの世界に行ってカナタと合流しなさい」

 

「は?いきなり何言ってんの?例のイレギュラーの事はカナタ一人で充分じゃね?私が行く必要ないんじゃね?」

 

「確かにイレギュラー一人ならね。けど…………それよりも厄介なあいつ等が蘇ったみたいよ」

 

「……それ、マジで言ってんならヤバいんじゃね?」

 

「えぇそうよ。だからイレギュラーを守るという意味でもあいつ等を……『Я』を蹴散らす必要があるのよ。分かったなら早く行ってカナタと合流してあいつ等を消しなさい」

 

「うへぇ、マジ最悪じゃね〜……?」

 

マリン達革命派も何かを察したのか対処の為にメンバーの一人を向かわせた。彼女達の言う『Я』とは一体何なのだろうか……?

 

 




はい、という事で謎の敵襲来回でした!イレギュラーな事が起きてしまったとはいえガンダリウムランカーを追い詰めてられてしまうというまさかの事態に……はたして敵の正体と目的は何なのだろうか?それはまた後々……

次回はしらけん組がガンプラバトル!その相手とは一体……?次回もまったりと待って頂ければ幸いです、ではまた!


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EP15『唯のガンプラには興味ありません!』

牛スジ煮込みを食べながら飲むビール、最高だねぇ〜(≧∇≦)/
なーんて思ってたら後輩にジジくさいと言われました……(T_T)
別に良いじゃん!美味いんだから!

という前置きはさておき今回はしらけん+そらがいる九州地方!はたしてどんな出会いが待ってるのやら?(ってタイトルでバレバレな気が……(-_-;))
今回も最後まで見て頂ければ有り難いです、ではどうぞ!


「…………やはり、何度見ても不気味なガンプラだな。いや、これは本当にガンプラなのか?」

 

優と真理愛が意識不明になり、そしてその後みしろが謎のガンプラに襲われた事件から既に二週間が経った。その間にトラウマ状態に陥っていたみしろはなんとか克服をする事には成功したが*1、結局の所犯人の正体自体は何も分からずじまいだ。

 

俺はあれからガンプラウォーズのバトル履歴を調べみしろの戦ったバトルログを見ようとしたが……映像がノイズだらけで全く内容が確認出来ず、どうやらこれはGCPDの解析でもノイズを除去出来ない謎の現象のようだ。

 

其処で俺は神羅の力を使いこのデータを確認してみたが……なんなんだこの黒いガンプラは?まるでガンプラが生物的な変化を遂げたかのような不気味な姿をしている。こいつは一体どうなってるんだ……?

 

―ピリリリッピリリリッ―

 

「ん?おかゆか……―ピッ―どうしたおかゆ、何か分かったのか?」

 

《ううん、それが今妙な事が起きてて困ってるんだよね……》

 

妙な事?一体何が起きたっていうんだ?

 

《実はあれから少しして優ちゃん達と同じような被害者がいないか確認してみたら何人かいてその人達に何度か会ってはみたんだけど……その中で『竜方正』って人がいたんだけど……》

 

「いたんだけど?」

 

《その……今朝また様子を見に病院に行ったら病室にいなくて、看護師の人達に竜方正さんが退院したのか聞いてみたら「そんな人知りません」とか「あの病室は最近は使ってない」って言われて……》

 

何……どういう事だ?被害者が急に消えるだなんて……

 

《それで変だと思って被害届を出していた竜さんのご家族に会ってみたんだけど……そしたらうちの家族にはそんな人いないし被害届なんて出してないって突っぱねられちゃったんだ》

 

なんだと?本当にどういう事だ?それじゃあまるで、『竜方正』という人間が最初から存在しなかったみたいじゃないか?

 

「……つまりその竜方正という男からはもう事件の足取りを追えそうにないって事か?」

 

《うん、役所にこっそり忍び込んで戸籍も調べてみたけどそっちもなくなってたし……ねぇレイくん、これって本当に神羅族の仕業なのかな?》

 

「……どういう意味だ?」

 

《今まで出会った神羅族は皆癖者揃いとはいえ他の人を巻き込むような真似はしなかった。それに神羅族の僕も言ってたけどそれは侵略行為に該当するからそんな事をすれば消滅してしまうかもしれないって。そんなリスクしかないような事を他の神羅族がやるとは到底思えないんだよね》

 

…………確かにそうだ。あれから他の神羅族に接触しようとしたけど未だ反応がないから確認は取れないが仮にも世界を管理する存在の神羅族がそんな世界を滅ぼすような、それもこんな回りくどい事をするとは考えにくい。つまりおかゆの言う通り、何か別の……そう言えば

 

 

 

“けれど白上達はそれでもレイくんと共に過ごし、守る事が出来るならと受け入れ、それからはずっと平和に暮らしてました……()()()()()()()()()()()

 

 

 

…………あの時神羅フブキがそんな事を言っていた。もしかして、そいつ等が今回の敵なのか?

 

「……おかゆ、おそらく今回の敵は今までの奴等とは全く違う存在かもしれない。下手すればこの世界そのものの存在を脅かす脅威になりかねない。もし怪しげな存在が現れた時は無茶をせずにすぐに引き返せ、良いな?」

 

《う、うん……じゃあ僕は新くん達の様子を見てから戻るよ。優ちゃん達が襲われてからなんだか荒れているみたいだって聞いたから》

 

「そっか、ならよろしく頼む」

 

俺はおかゆとの通話を終えると一息つく為にリビングへと向かう事にした。流石に神羅族とはいえ此処数日間寝てないとシンドいな……ん?

 

「あ、ご主人様……」

 

「どうしたんだエリー?今はにじさんじの皆と収録中じゃなかったのか?」

 

「は、はい。今は休憩中なのでお茶を取りに戻ってきたんですが、そしたらあの方がいらっしゃいまして……」

 

あの方?そういやソファーに誰か座ってるな。あれはアキか……いや、おそらくこの流れだと……

 

「……漸く来たか、待ちくたびれたぞイレギュラー」

 

「……やっぱり神羅族か。その姿で察するにお前は『アキ』か?」

 

「ほぉ?私の名を知ってるとは、やはりこの世界には我々と同じ姿の連中がいるようだな?」

 

ソファーから立ち上がり振り返ったそいつの顔は確かにアキそのものだった。ただその髪色は赤く瞳も黒だし、初対面ながらもかなり気が強いというのが分かる程に高圧的な雰囲気を感じる。

 

「なら自己紹介する手間が省けた。さっさと要件だけ伝えるぞ。イレギュラー、お前には我々と協力して奴等を殲滅してもらう」

 

「奴等?なんだ奴等って?」

 

「フン、貴様の仲間も襲われたのだろう?あの黒い化け物の事だ」

 

黒い化け物…………それってまさか、みしろ達を襲ったあのガンプラもどきか!?やっぱりあれは神羅族に関わる何かだったのか………?!

 

「おいあんた、あの黒い奴の正体を知っているのか?」

 

「あぁ、とはいえ我々もソラ様から聞いただけの話だかな……奴等は『Я(リバース)』、我々はそう呼んでいる」

 

Я(リバース)……反転って意味か?

 

「奴等はかつて他の世界にも現れ、そして多くの世界を侵略し滅ぼしていった事がある。まるで伝染病のように広がってな……三億年前、奴等が現れて世界を侵食し始めた時にソラ様の親友であるスイセイが自分の身を呈して侵食世界全てを滅ぼし奴等の侵略を食い止めたんだが、まさかまた奴等が再び現れるとは……」

 

そんな昔から存在するのか!?しかも神羅族が世界を滅ぼしてまで食い止めなければならない存在だなんて……!?

 

「奴等には我々の力も受けつけないし、奴等にやられた者は例え神羅族だろうと消滅してしまう。更に厄介な事にこのЯにやられた奴は暫くしたら黒い泥のように溶けて消滅し、最初から存在しなかったかのように完全に世界から消えてしまう。本人の身体はもちろん、人々の記憶からもな……」

 

「まさか……そんな奴等が存在するなんて……!?」

 

「現にこの世界でも既に何人かが犠牲になっているだろう。だが恐ろしいのは奴等にやられた者達は存在していた事実さえ消滅してしまう事だ。故に、例えどんなに大事になろうと消滅してしまえばその事件すらなかった事になってしまうから周りにも認知されない。これは私がソラ様から聞いたЯの特徴とはまた違う性質を持っているという事だ。ソラ様曰く、奴等は元々破壊行為しかしなかったらしいからな」

 

……つまりЯはかつては神羅族や他の世界に対して破壊行為を繰り返す存在だったのが此処ではガンプラウォーズに侵入してバトラー達を襲っているという事か。だが何故そんな回りくどい事をしているんだ?

 

「………何か目的があってそうしているか、それとも今はそうする事しか出来ないか……どちらにしてもこのまま奴等を野放しには出来ないのは間違いないな」

 

「あぁ、だがそのガンプラとか言うのを介している以上我々ではどうする事も出来ん。だからこちらでも対処する手立てがつくまでこの件はお前達に任せる」

 

「あぁ、元よりガンプラウォーズに関しては俺達の方が詳しいからな。一応お前達も戦えるよう使えるような機体も用意しておくとしよう」

 

「助かる。それとこれがソラ様が纏めてくださった今いるお前達以外の神羅族のリストだ。派閥別に分かれているから確認してくれ。じゃあ後は任せたぞ」

 

そう言って神羅アキはリストを渡してそのまま姿を消していった。これが神羅族のメンバーが載ってるリストか…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、福岡県にあるとある焼肉店にて……

 

「それでは!そらちゃんとすいちゃんの一次予選突破を祝して!」

 

『カンパーイ♪』

 

GWDWC第一次予選、七つある高難易度ミッションを全てクリアし突破したそらとすいせいを祝い豪華な焼き肉パーティーで盛り上がっていた。

 

「まーま、おめでと〜♪」

 

「ありがとかいり~♪かいりが応援してくれたお陰だよ〜♪」

 

「すいちゃんも最後のレースの大逆転凄かったね〜♪」

 

「フッフーン!まぁすいちゃんの手に掛かればちょちょいのちょいだからね〜♪」

 

「まーた調子に乗ってるよすいちゃん……」

 

「まーまー、何はともあれ予選突破したんだから今日は飲んで食べて騒ご〜♪」

 

『わ~い♪』

 

テーブルに敷き詰められたお肉や野菜をどんどん焼き食べて飲んでを楽しむ一同。現在は昼間なのでお酒は飲んでないがそれでも皆各々に食事を堪能している。

 

「そーいやポルカ、本当に一次予選辞退しちゃうの?折角四つもミッションクリアしたのに」

 

「だってクイズミッション難し過ぎるんだもん!何さキャラの生年月日答えろって!?んなもん分かるかぁーーーッ!!」

 

「あー、確かに偶に本当にマニアしか分からないような問題とかあったりしたもんね?」

 

「すいちゃんも三回やって漸くクリアしたもん。あれ一発でクリアする人って相当の変態じゃない?」

 

どうやらポルカは何十回とクイズミッションに挑んだが毎回超難問にぶち当たってしまい遂に心が折れて辞退してしまった。因みに巷ではこのクイズミッションこそ一番の難所と言うバトラーが多いらしい。

 

「えー?でも団長は一発でクリアしたんだけどな〜?」

 

「いやノエルのあれはラッキー過ぎるんだって。全部鉄血の、それも殆ど分かり易い問題ばっかりだったじゃん?」

 

「でもそういう時もあるって事はポルカちゃんもその内簡単な部類の問題ばっか出る時があるかも」

 

「そんなの無理に決まってんじゃん!?問題一万通りもあるんだよ!?しかも間違えてもパスしても答え一切教えてくれないし!あんなん素でクリア出来る方がおかしいんじゃあぁーーーーーーッ!!」

 

「ままぁ、おちついて〜」

 

とまぁこんなふうにポルカは辞退してしまったがこれはポルカがあまりストーリーを重視しないでガンプラを作っていた所為でもあるので致し方ないといえば致し方ない。

 

「それで午後からまたガンダムベースに行ってフリーバトルやるつもりだけど、相手はどうする?」

 

「うーん、やっぱり総当たり戦で良いんじゃないかな?全員機体特性がバラバラだから本戦での戦いでもいろいろな想定が出来るし」

 

「それじゃあ食べ終わって少し休んだらガンダムベースに行こっか」

 

『おー!』

 

こうして目的が決まり再び食事を楽しむ五人と子供達であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二時間後……

 

「やっぱり此処は何時でも人混みが凄いよね〜」

 

「なんたってガンダムベースには他の店よりも倍以上のガンプラウォーズの筐体があるからね。それに此処には超人気の福岡νガンダムと福岡サザビーも置いてあるし、此処はガンプラ好きなら朝から晩までいても飽きないくらいの大型施設だから沢山人がいて当然だよ」

 

「それに今はGWDWCの予選で何時も以上に人が沢山いるしね。まぁ半数近くが予選突破を諦めて辞退しちゃってるみたいだけど」

 

フレアの言う通り、現在GWDWCの予選突破を目指して日々奮闘するバトラーは多いがその中で既に予選突破を諦めてしまっている者も沢山いる。というのもこの一次予選の達成条件である七つのミッションは全て高難易度に設定しており、どれも専用のガンプラが必要だったり知識が求められている。だから単純な実力不足だったりただ賞金を目的に参加していた奴等は此処で挫折し辞退してしまっているのだ。

 

「とはいえ既にクリアしている人達の報告もあるし、二次予選はかなり厳しい戦いが待ってるだろうね」

 

「そだね。アタシも早く突破して二次予選用のガンプラを組まないと「だぁかぁらぁ!良いからあたしも参加させなさいって言ってんのよ!」え!?な、何?!」

 

そら達が雑談していると突如受付カウンター側から大きな声が聞こえ一同が何事かと様子を見ると、其処には高校生らしき五人組の男女がいて、その内の一人が受付嬢に対し文句をつけていた。

 

「で、ですからGWDWCの予選ミッションは参加資格のあるバトラーのみが挑戦出来るものなので一般のバトラーは参加出来ないんですよ」

 

「そんなの不公平じゃない!あたしが参加したいって言ってんだから大人しく参加させなさいよ!」

 

「お、おいハルヒ。もういい加減諦めろよ?他の人の迷惑になるだろ「キョンは黙ってなさいッ!」……ハァ」

 

「どどど、どうしましょう……!?このままだとまた警備員につまみ出されてしまいますよぉ〜!?」

 

「まぁだからといってはい分かりましたと素直に従う涼宮さんではないですからね〜」

 

「……………………」

 

……どうやら叫んでいる女の子がリーダー格のようで、その目的はGWDWCの予選ミッションをやらせろとの事のようだ。だが予選ミッションはGWDWCの参加資格がある者、つまり去年末までにゴールド帯に入った者しか参加出来ないのだ。そして受付嬢があの女の子の申し出を拒否しているという事は、あの子には参加資格がないという事だ。そんな困っている受付嬢にそら達は近づき声をかける。

 

「あの、どうかしたんですか?」

 

「え?あ、と、ときのそらさん!?い、いえなんでもありません!こちら側の問題ですので「ちょっとあんた!今はあたしが話しているのに何割り込んできてんのよ!?」ちょッ!?」

 

受付嬢がそらになんでもないと言うが其処に先程の女の子が割り込んで入りそらに文句を言い出してきた。

 

「いやそっちこそ一体何騒いでんのさ!?さっきの話聞いてたら参加資格がないのにGWDWCの予選ミッションをやらせろって言ってたみたいだけど!?」

 

「そうよ!このあたしがそのGWなんとかって大会に参加するって言ってんだから参加させるのは当然じゃない!」

 

「いやいや!?君GWDWCの参加条件知っとる?!GWDWCに参加するには去年末までにゴールドランク以上になってないと参加出来ないんだってば!」

 

「ハァ!?そんな不公平な事なんて認められるわけないじゃない!世界中を巻き込む程のこのビッグイベントにこのあたしが参加出来ないなんてケチくさいわよ!」

 

「いやケチくさいも何も……」

 

すいせいやフレアが指摘するも女の子は全く折れる事なく自分の我儘を突き通している。これは何言っても無駄なパターンだと皆して呆れてしまう。

 

「こらハルヒ、子供達も見てるんだからそんな我儘言うの止めろって」

 

「何言ってんのキョン!?これはあたし達『SOS団』が世界にその名を広める為の他にないチャンスじゃない!」

 

「……SOS団?」

 

「『世界を大いに盛り上げる涼宮ハルヒの団』、略してSOS団という事です。そして彼女がそのリーダーの『涼宮ハルヒ』さんなんです」

 

近くにいた仲間の一人である物腰の柔らかい男の子が説明すると女の子、ハルヒは誇らしげに胸を張る。

 

「……なんていうか、その、大層な目標をお持ちのようで?」

 

「フフン、そうよ!あたしは凄いんだから!」

 

「……それで涼宮ハルヒさん、だっけ?あんたガンプラウォーズのIDとか自分のガンプラは持ってるの?」

 

「え?何それ?」

 

『…………は?』

 

……なんという事か。このハルヒという女、ガンプラウォーズに必要な物すら知らずにGWDWCに参加させろと言ってきたのだ。これには皆呆れて物が言えなくなってしまう。

 

「…………ハァ、あんたさぁ、そんなガンプラウォーズに必要な物すら分かってないクセに参加させろなんて図々し過ぎるじゃん!?」

 

「そうだよ!そんな事いうくらいならせめて自分のガンプラを持ってきてから言いなよッ!」

 

「な、何よ!?今日知ったばっかなんだからしょうがないじゃない!」

 

「ハァ!?今日知ったって、それでよく参加しようとしたモンだなぁ!?」

 

ガンプラウォーズについて殆ど知識のないハルヒにすいせいとポルカとフレアが説教し、ハルヒは怒られたのが面白くないのか不貞腐れていく。

 

「ほらハルヒ、だから言っただろ?こういうのは俺達には向かないって」

 

「うぐぐぅ……折角SOS団の名前を世界に広めるチャンスだったのにぃ〜!」

 

「あ、アハハ……ん?」

 

「……………………」

 

ハルヒが悔しそうに叫びそらが渇いた笑いをしていると、眼鏡を掛けた女の子がそらの事をじっと見ていた。

 

「あ、あの、どうかしたのかな?」

 

「…………貴方、ときのそら?」

 

「え?そ、そうだけど……?」

 

名前を聞かれ素直に答えるそら。すると女の子はカバンを開けて中から一機のガンプラを取り出しそらの前に突きつけてきた。

 

「…………貴方に勝負を挑む」

 

「え!?し、勝負って……?」

 

「お、おい長門!?お前いきなり何言い出すんだよ?!」

 

「そうよ有希!というかあんたガンプラなんて持ってたの!?」

 

「ガンプラウォーズについては既に熟知している。ランク上げも順当に進んでいる」

 

そう言って長門と呼ばれた女の子は胸ポケットから一枚のIDカードを取り出し見せる。其処に書かれていたランクは、なんとダイヤの5だった。

 

「ダイヤランカー!?しかもガンダリウム一歩手前の5だなんて!?」

 

「それに長門って名前……もしかして最近巷で有名になってきた『ヒューマノイド・インターフェース』の『長門有希』!?」

 

「ぶい」

 

なんという事か。リーダー格であるハルヒがガンプラウォーズに対し無知だったのにも関わらずこの眼鏡の少女『長門有希』は他のバトラーからも注目を集めているダイヤランカーだった。自分の事を知ってもらって嬉しいのか長門は無表情ながらもVサインをする。

 

「な、長門さんってそんなに凄い人だったんですね……?」

 

「僕達もガンプラウォーズはやった事はありますが、まさか長門さんがそんなにやり込んでいたとは……」

 

「さっすが有希!SOS団の有能宇宙人ね!」

 

「いやそれは関係なくね?」

 

どうやら仲間達も長門の実力を知らなかったようで先程まで悔しそうにしていたハルヒも上機嫌になり長門に抱きつき頭を撫でる。

 

「というワケであんた!うちの有希と勝負しなさい!そして負けたらあんたもSOS団に入れてやるんだから!」

 

「え、えーと、それは困るけど……うん、そのバトル受けるよ!」

 

「え!?そらちゃん、本気でやるの?!」

 

「うん、私も久々にホロメン以外ともバトルしてみたかったし♪かいり、ちょっとの間すいちゃんママと一緒にいてね?」

 

「はーい♪」

 

長門からの挑戦を受ける事にしたそらはすいせいにかいりを預け長門と共にゲームエリアへと向かいそれぞれ筐体へと入っていく。

 

「うーん、バトル形式はどうしよっか?」

 

「『音速シューティング』の最高難易度のSSで」

 

「ッ!……良いよ、それでいこう」

 

バトル形式も決め互いにガンプラをセットしゲームを開始する。舞台は海上エリア、その海岸沿いに互いの機体が着地する。

 

「改めてルール説明。このエリアでは互いの陣地が存在する。水上の奥から大量のMSが襲来するのでこれらを全て撃破するのが目的。使用可能武器は射撃系のみ、タイムリミットはなし。どちらかが敵を撃破し損ね陣地に侵入された方が負け」

 

「うん、私もよくやるゲームだからルールはよく知ってるよ」

 

「そう……なら、遠慮はしない」

 

お互いにルールの確認をすると同じタイミングで飛行をし待機する。

 

「……ときのそら、『ライジングフリーダムガンダムスカイ』」

 

「長門有希、『レジェンドガンダムコスモ』」

 

「行きますッ!」

 

「出る」

 

―BATTLE START!―

 

ゲーム開始のアナウンスと共に海上の奥から無数のウィンダムがこちらに向かって飛来してくる。はたしてこの勝負、勝つのはどちらなのか……?

 

 

続く……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

出典元と設定

 

涼宮ハルヒ

涼宮ハルヒの憂鬱

世界を大いに盛り上げる涼宮ハルヒの団、略してSOS団のリーダー。唯我独尊、傍若無人、猪突猛進等の言葉が相応しい程の傲慢かつ自己中な性格である。一度思いたったらすぐに行動に移す事がしばしばなのでメンバーをよく振り回しているが、仲間が困っていたら必ず助ける等の優しい一面もある。原作では世界を自分の思い通りに歪めて空想を現実にする能力があったが今作にはそんな能力はなく、仲間達が普通の人間ではないのも普通に理解している。

 

 

長門有希

涼宮ハルヒの憂鬱

SOS団メンバーの一人。情報統合思念体によって造られた対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェースであり端的に言うと宇宙人。感情を表に出さないのだが興味の持った事には熱中しとことん極める一面もある。実は同じ宇宙人であるホロライブIDのイオフィとは面識があり、地球に来たのは地球の文化を知る為である。

 

*1
三次創作『みしろの試練』より




はい、という事で前半は敵の詳細について、後半はそら達とSOS団との対面でした!最近YouTubeのオススメでチラッと出てきたのでこれだ!って思い出しました(^o^)
次回はそらと長門の対決!はたして勝つのはどっちだ!?次回もまったりと待って頂ければ幸いです、ではまた!


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EP16『時空ノ青空(トキノソラ)』

なんだか気怠さが続いてやる気が起きない……けど仕事はそんな事で休めない……そして仕事が終わってまた気怠さが増す……これが、悪循環ってヤツか……

まぁこの気怠さはその内治るでしょうって事で今回は短めですが前回の続きからです!はたして勝つのはどっちだ!?今回も最後まで見て頂ければ有り難いです、ではどうぞ!


ガンダムベースにて突如SOS団と名乗るメンバー。そのリーダーであるハルヒに絡まれたそらだったがその時、メンバーの一人である長門有希が勝負を挑んできた。はたしてこの勝負の行方や如何に……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―ズガガガガガガガッ!―

 

―バキュゥンッ!バキュゥンッ!バキュゥンッ!―

 

―ドゴオォンッ!ドカッシャアァンッ!!―

 

……ゲームが始まってから三十分が経過した頃、ステージである海上はまさに地獄絵図と化していた。始まった頃は美しい青色だった海は撃墜されたウィンダム達の残骸やオイルによって無惨にも変色しており、浜辺付近にもウィンダムの残骸が散らばっている状態である。そしてそんな二人の現在の撃墜数はおよそ1850機程に達している。これはかのガンダリウムランカーNo.1の響大和が出した記録に迫る程の好成績である(大和の記録:2157機)。

 

「す、スゲェ……!?」

 

「あの音速シューティングって開始一分もしない内にゲームオーバーになる人が続出する程の難易度なのに、それを最高難易度のSSでやってしかも三十分も続けられるなんて……!?」

 

「確かこのゲームってあの『幼きニュータイプ』も二十分が限界で、三十分超えたのってガンダリウムランカーでも『リアルスーパーコーディネーター』だけだったんだろ?それに続くってあの二人どんだけ集中力高ぇんだよ!?」

 

周りにいた観客やプレイ中のバトラーも思わず足や手を止めて魅入ってしまう程に二人の操作技術は凄まじかった。それもその筈、実はこの二人はこの音速シューティングを周りが引くほどまでやり込んでいたのだ。プレイ時間だけで言えばあの響大和の軽く倍以上はこの音速シューティングをやり込んでいる程だ。

 

(……流石ときのそら、これだけの敵機相手に一機も撃ち洩らしをしていない。普通ならもうとっくに集中力が切れてゲームオーバーになっている所なのに、この人は集中力が切れるどころかより洗練された動きを見せている)

 

(……この子、一切の無駄がない。射撃の正確さ、リロードのタイミング、敵が襲来する位置把握、全てに置いて迷いが全くない。まるで大和君のような射撃技術を持ってる!)

 

お互いに相手の分析をしつつも目の前から襲来するウィンダムを迷う事なく撃ち続ける二人。そんな二人の戦いを仲間達もただ啞然と見るしか出来なかった。

 

「す、凄い……!?」

 

「もう三十分経つのにあの二人全然衰えてないよ……!?」

 

「そらちゃんもあの子もなんであんなに集中力続くの……?」

 

「凄いじゃない有希!皆が驚いてるわよ!」

 

「そ、そりゃそうだろ?こんなん初心者の俺達ですらおかしいと思えるぐらい凄い事だぞ……!?」

 

「……ねぇすいちゃん、すいちゃんはこれと同じ事って出来る?」

 

「はっきり言って無理。すいちゃんはどっちかって言うとオールマイティータイプだからこんな射撃特化のミッションで、それもこんな長い時間集中出来ないし。同じ射撃特化のぼたんちゃんやトワ様もそれぞれ乱射型とスナイパータイプの精密射撃型だから長く持っても十分くらいだろうしね」

 

すいせいの言う通り、このゲームはただ単に射撃特化であればクリア出来る程軟なゲームではない。敵の出現場所を瞬時に確認出来る空間把握能力、その敵に対してすぐに反応出来る瞬発力、そして正確に、尚且つ迅速に狙い撃つ射撃性能が求められるのだ。

 

そしてこの二人はこれらの条件を全て高水準でクリアしている。おそらく此処までの力を持っているのはガンダリウムランカーでも響大和唯一人だけであろう。

 

(…………もうすぐ2000機に到達する。私のこれまでの最高記録の1734機から大幅な向上。やはりときのそらとの対決は、私の操作技術を更に向上させる切っ掛けになった!)

 

(もうちょっとで2000機撃破……思えば何時の間にか私の最高記録を大幅に超えていた!此処まできたら記録更新もそうだけど、この子にも勝ってみたい!)

 

激しい銃撃の中、二人は互いに記録更新と勝つ為にその手を緩める事なく更に集中していく。そして……

 

 

 

―EXTRA ENEMY!―

 

「ッ!エクストラエネミー……!」

 

「遂に、此処まできたんだ……!」

 

1999機を撃墜した瞬間、画面に突如現れるEXTRA ENEMYの表記。それと同時に他のウィンダムが一斉に撤退し、代わりにそれぞれのフィールドに金色に輝くウィンダムが一機ずつ現れた。

 

 

『HG ウィンダム神風特攻仕様』

『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』に登場するウィンダムの改造機。機体色は金色になっており身体の至る所にブースターと大量の爆薬が仕込まれている。それ以外の武装はなく、完全に自爆前提の機体となっている。機体名の神風特攻とは第二次世界大戦時の日本の『神風特別攻撃隊』から(補足すると別に神風特別攻撃隊が自爆前提の部隊という訳では無い)。

 

 

「あれが、2000機目のターゲット……」

 

「あれを倒せば、大台の2000機に到達出来る……!」

 

新たなターゲットの登場に気合いを入れる二人。だが神風ウィンダムはそんなの知った事ではないと言わんばかりにブースターのエンジンをフル稼働させ二人の後ろにある陣地に向かって飛来し始めた。

 

「ッ!速い!?」

 

「今までのウィンダムのスピードより推定二倍……いや、三倍の速度……!」

 

まるで高速の弾丸のように二人の陣地に突っ込んでいく二機の神風ウィンダム。そのあまりにも速過ぎるスピードに一瞬驚くも二人はすぐにそれぞれの対応を開始する。

 

(あれが此処に到達するのはおそらく8.25秒後。それまでに撃ち落とさなければ確実にゲームオーバーになってしまう。ならば精密に、尚且つ正確な射撃で仕留める!)

 

(このままだとあっという間に陣地に侵入されちゃう……だったら、此処はスキルを使って一気に撃ち落とす!)

 

尚、この二人の思考時間は僅か0.1秒である。

 

そして長門はレジェンドコスモのドラグーンを展開しビームライフルと連結しスナイパーモードに、そらはライジングフリーダムスカイをハイマットフルバーストモードにしそれぞれの神風ウィンダムに狙いを定めていく。

 

「スキル、オーバーチャージ・FREEDOM!」

 

「スキル、一点集中」

 

スキル『オーバーチャージ・FREEDOM』

自身の機体エネルギーの99%を消費して射撃武器の出力を150%上昇。砲撃後、強制的にディアクティブモードになる。

 

スキル『一点集中』

射撃威力と命中率を75%上昇。スキル発動中は他の行動が取れない。

 

どうやらそらは高出力射撃、長門は精密射撃による一撃撃破で神風ウィンダムを倒そうとしているようだ。尚この間僅か二秒しか経ってない。

 

 

 

 

………………………………

 

 

 

 

その僅かな時間、一瞬だけだがそらが、長門が、そしてその戦いを見ていた観客達もが静寂に包まれていく。まるでこの静寂がずっと続いているかのように…………そして

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………其処ぉッ!!」

 

「………発射ッ!」

 

―チュドオォォォォォォォォォォォォォオンッ!!―

 

―バキュウゥゥゥンッ!!―

 

ライジングフリーダムスカイの一斉射撃とレジェンドコスモの精密射撃が同時に放たれ神風ウィンダムに向かっていく。お互いの攻撃が、それぞれの神風ウィンダムに直撃し二人して2000機撃破達成。誰もがそう思っていた…………しかし

 

 

 

 

―ギギギィッ……ボオォンッ!―

 

「な……!?」

 

長門側の神風ウィンダムのバーニアが突如爆発を起こし機体のバランスが崩れたのかレジェンドコスモの射撃を直前で避けてしまった。

 

「……しまった。スキルの所為で動けない……」

 

スキルの所為で射撃後もすぐに対応出来ずに硬直しているレジェンドコスモを尻目に神風ウィンダムはその横を通り過ぎ長門の陣地に侵入。

 

―ドゴオォォォォォォォォォォォォォオンッ!!―

 

そのまま盛大な爆発を起こし、長門は記録1999機で終了してしまった。そしてそらは……

 

「ハァ、ハァ…………や、やったぁ〜……」

 

先程の一斉射撃によって神風ウィンダムを撃破し、大台の記録2000機を達成したのであった。だがこの後やって来たウィンダムには対応出来ずそのまま陣地に侵入されそらもゲームオーバーとなってしまった。しかし記録はそらの方が一機多く撃破したので、この勝負はそらの勝ちで幕を閉じたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あぁーーーもう!悔しいぃーーーッ!!」

 

「いやなんでお前が悔しがってんだよ?」

 

「……悔しい」

 

「で、でも長門さんもかなり健闘してましたし!」

 

「そうですね、周りの皆さんも長門さんの事褒めてますし」

 

戦いが終わるとハルヒに抱きつかれ少し鬱陶しそうにする長門。長門自身は負けたというよりかは最後の射撃を外した事が悔しいようだ。実はあの神風ウィンダムはバーニアの出力を限界無視して無理な加速を出している為にランダムで何処かのバーニアが爆発し機体バランスが崩れる仕様になっていたのだ。それが偶々あの場面でその現象が起きてしまい、長門のレジェンドコスモの攻撃を避けてしまったのだ。つまり、あれは誰も予期せぬトラブルであり長門自身の腕前には問題はなかった、それ故にこれは悔しく感じて当然である。

 

「まま、すごーい♪」

 

「ありがとかいり〜♪」

 

「さっすがそらちゃん!このままやり込めばあの大和君だって超えられるかも!」

 

「うーん、流石にそれは難しいんじゃ……?」

 

「え〜?でもそら先輩ならきっと出来ると思うけどな〜?ねーみんな〜♪」

 

『はーい♪』

 

「うん、きっとすぐに超えられるよ。アタシ達も頑張んなきゃだね」

 

そらの見事な活躍にかいりをはじめ皆が喜んでいた。フレアもそらの活躍を見て自分も頑張らないとと闘志を燃やしていく。

 

「……今回は負けた、けど次は負けない。GWDWC、その本戦での再戦を望む」

 

「そうよ!今回あんたは偶々運良く勝てただけなんだから、次は絶対に有希が勝って見せるんだからね!」

 

「うん、私も負けないつもりだから!次はGWDWCの会場で会おうね♪」

 

「…………約束」

 

互いの健闘を讃え握手を交わすそらと長門。その後ハルヒがまだ何か言いたげだったがそのまま他のメンバーに連行されガンダムベースを後にしたのであった。

 

「それじゃ今度は皆でバトルしよっか?」

 

「そだね、じゃあ皆でガンプラの準備を―ピリリリッピリリリッ―ってあれ、電話だ……玲二さんから?どうしたんだろ?」

 

長門とのバトルを終えて改めてガンプラウォーズで遊ぼうとした際にフレアのスマホに玲二からの着信が入る。フレアは一旦カガリをすいせいに預け人の少ない場所に移り電話に出る。

 

「もしもし、玲二さん?どうしたの急に……うん……うん……分かった」

 

―ピッ―

 

「どうしたのフレア?玲二さん、何だって?」

 

「…………皆、急いでホロライトシティに戻って来てくれだって」

 

「へ?ホロライトシティにって、なんでまた急に……?」

 

「ううん、其処までは………けどあの感じ、多分只事じゃないんだと思う」

 

突然ホロライトシティに帰還するように言われたフレア達。いきなりの事で困惑するが、玲二が変な事で呼び出すような事はしないので何か一大事だと思い一度本土に帰省する事にした。はたして、一体何が起こっているのだろうか……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―オマケ―

 

「……そろそろ皆戻って来るみたいです、ご主人様」

 

「そうか、有り難うなみしろ」

 

俺達は戦うべき相手について皆と共有する為に皆を一度ホロライトシティに呼び戻す事にした。その翌日に皆が島に戻るフェリーに乗り、今頃は港に到着した頃だろう。さて、まずはどう説明するべきか……?

 

 

 

―ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!―

 

 

 

「……?な、なんだこの地響き?」

 

「え?も、もしかして地震でしょうか?」

 

「いや、ホロライトシティは地震が来る直前に観測した時点で揺れに対する対策がされる筈だからそれはない……筈……?」

 

……な、なんだ?なんか向こうの道路から砂煙が舞ってるんだが?一体何が…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―ドドドドドドドドドドドドドドドドッ!―

 

『ぱぁーぱぁーーーーーーッ!!』

 

「なぁーーーッ!?」

 

―ドッシーーーンッ!!―

 

………どうやら今の揺れや砂煙の正体は俺の子供達だったようだ。そういや偶に皆と会うけど子供達とはタイミング的に会えなかったからその所為で子供達が寂しがって突っ込んできたって事か………だけど一遍に突っ込んで来るなって……ガクッ

 

 

これが後にホロライトシティの歴史における『佐々木チルドレン突撃豆タンク事件』である。




はい、という事で僅差でそらの勝利でした!長門はおそらくGWDWC本戦にも参戦しそうなのでもしかしたら二人の再戦があるかも……?

次回は神羅族の敵、Яについて佐々木一家が話し合いをします。謎多き敵に、彼等はどう動くのか……?次回もまったりと待って頂ければ幸いです、ではまた!


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EP17『これからの方針』

30MSのツキルナ、仕事の所為で出遅れてしまい何時も行くお店は全滅。ダメ元でドンキに行ってみたら……なんと何個か残ってました!ドンキは入荷時間が遅いからもしかしたらと思ってましたが本当に残ってて嬉しかったです!(≧∇≦)/

そんなテンションが上がった状態ですが今回は玲二達が皆を集めてこれからの方針を話し合います。今回も最後まで見て頂ければ有り難いです、ではどうぞ!


玲二によって神羅城に呼び戻されたホロメン達。新達に起こった出来事を聞き、にじさんじの一部メンバーを交えこれからについてを話し合う事となったのであった。

 

「まさか私達がホロライトを離れている間にそんな事があっただなんて……」

 

「あぁ、それについてはこれから対策を取ろうと思っている。その為にも皆にも今分かっている事を振り返らないといけないんだ」

 

「神羅族の敵……そんなのがまさかいるなんて……」

 

突如現れた謎の敵。その存在に怖がる者もいるが、それでも俺達で対処するしかない以上皆にも知ってもらわないといけない。

 

「じゃあまずは俺達の知る限りの情報だ。今から二週間半程前に俺達もよく知る風音に住む飛鳥優と鷹月真理愛の二人がガンプラウォーズプレイ中に突如謎の意識不明に陥ってしまった。その二人を意識不明に追いやった存在が、このЯ(リバース)だ」

 

「これが、Я……」

 

「なんか不気味なガンプラだね?」

 

「っていうかこれ本当にガンプラなのら?血管とかも浮き出てて気持ち悪いのら……」

 

確かにルーナの言う通りスクリーンに映るこれはガンプラのようでガンプラじゃない。そんな印象を受ける程に不気味で生々しい姿をしている。

 

「こいつは優達のバトル中に突然乱入して二人を襲い出した。その特徴として例えどんなに破壊されようともすぐに再生してしまうのと、このЯにやられたガンプラは現実でも同じように破損してしまうんだ」

 

「ガンプラが破損!?そんな事があり得るの!?」

 

「普通ならあり得ない。だがこのЯはそれすらも平然と行ってしまうようだ。そしてこのЯにやられたバトラーはまるで心が砕かれたかのように意識不明に陥ってしまう」

 

「そ、そんな……玲二さん!それってどうにかならないの?!バトルを中断したりリタイアしたりとかは……?!」

 

「無理だよ。それは僕が新君を助ける時に試してみたけど、それらのコマンドは全てバグらされて使用不可能になってた。しかも筐体の外からもロックが掛けられて非常用の開閉スイッチすら作動しなかったんだ」

 

「つまりЯを対面した時点で助かる術はそのЯを倒さないといけないって事だ。だが、それにも厄介な点が幾つかある」

 

そう言って俺はモニターに映る画像を切り替えると、今度は半壊したЯの中にある黒い宝石のような物を皆に見せる。

 

「奴等の機体にはどうやらこの黒い宝石のような核が存在して、おそらくこれが本体でこの核を壊す事でЯを倒す事が出来るんだ」

 

「え?なーんだ、じゃあそのЯを追い詰めて核を攻撃すれば倒せるって事じゃん」

 

「あぁ…………だがこの核こそが最も厄介な性質を持っているんだ。少し前におかゆが新の様子を見に行った際に新がЯに襲われていたんだが、新がどんなに攻撃しようとこの核だけは一切傷つく事はなかったんだ。だがЯと対立したレインとおかゆの機体の攻撃は何故か効いて相手を撃破出来た」

 

「え?なんで新くんの機体じゃ倒せなくてパタちゃんやおかゆの機体なら倒せたの?」

 

「…………これはまだ仮説の域だが、おそらくこのЯの核は神羅族の力が宿ったガンプラでないと破壊出来ないんだと思う。つまりこの仮説が正しければ現状で奴等に対抗出来るのは俺達しかいない事になってしまう」

 

実際に今までЯを撃破したという報告はレインとおかゆの二人だけだ。この二人に共通するのは俺と同じ神羅族の力を有している事、つまり俺の仮説が正しけれは奴等の核を破壊するには神羅の力をぶつける必要があるって事だ。

 

「つまり、そのЯって奴等を倒せるのは神羅族の力が必要って事?」

 

「あぁ、おそらく神羅族の力が宿ったガンプラなら、このЯのコアを破壊する事が出来る。そしてこのЯを倒せば、意識不明になった奴等も回復し意識も戻るみたいだ」

 

「成る程!じゃあ他の皆にもねね達の作ったガンプラを渡してあげれば「それはダメです!」え?みしろちゃん……?」

 

「……そんな事をすれば、きっと皆さんも……」

 

「え?み、みしろちゃんどうしちゃったのいきなり……?」

 

「…………さっきも言ったが、確かに神羅の力が宿ったガンプラなら奴等を倒せる。だが、それと同時にそのガンプラを使う者に多大な被害が被る場合があるんだ」

 

「被害?それってなんなんですか?」

 

「…………神羅の力を宿したガンプラを使った場合、その弊害かどうかは分からないがЯから受けたダメージがそのまま自分にフィードバックしてくるみたいなんだ。しかも、ただダメージを受けるだけでなく幻覚で出血や火傷等のダメージを見せられてしまうらしい」

 

『ダメージが自分に!?』

 

「うん、実際にみしろちゃんはЯと戦った時に左腕を刺されて、その激痛と大量出血の幻覚を見せられて錯乱しちゃったんだ」

 

おかゆの説明に対しみしろはその時の事を思い出したのか若干震えている。ライオンハートとの特訓である程度克服したとはいえ、やはりそう簡単には恐怖を拭いきれないか……

 

「僕ら神羅族の力を宿したガンプラなら確かにЯを倒せる。だけどそれは同時に苦痛と恐怖を味わう事になってしまうかもしれないんだ。ビームを受ければ焼けるような痛みが、実弾を撃ち込まれたら無数の鋭い棘に刺されたような苦しみがね……」

 

「そ、そんな……そんな怖い思いをしなきゃいけないなんて……!?」

 

「……確かにЯに対抗出来るのは神羅族の力だけだ。だがそれは同時に神羅族だけがЯの攻撃をモロに受けてしまう事にも繋がるという事だ。勿論俺だってお前達にそんな危険な思いをさせたくない。だからもしЯとの戦いを避けたいという奴は今此処で辞退してくれ」

 

 

 

………………………………

 

 

 

………何人かが俯いているが、それでも誰も辞退しようとはしない。おそらく自分が傷つく恐怖はあるものの仲間が大変な思いをしているのに自分だけ逃げられないという気持ちなんだろう。そんな皆に俺は一緒に戦ってくれるという嬉しさの反面、こんな危険な戦いに巻き込んでしまった事に対する不甲斐なさで押し潰されそうになってしまう。

 

「……取り敢えずは皆辞退はしないという事で話を進める。だがもしこれ以上戦えないという場合は遠慮なく言ってくれ。それでこれからの方針だが、一先ずは今まで通りに遠征してくれて構わない。寧ろЯが何処でどのタイミングで出てくるかが分からない以上、各地に分散した方が奴等に対応出来るからな」

 

「う、うん……ねぇレイくん、こんな事言うのもあれなんですが、そのЯって奴等に対抗するなら一度ガンプラウォーズのシステムを切るっていうのはダメなんですか?流石に此処まで被害者が出てるんだったらメンテナンスとかの理由をつけて電源を落とせばそのЯって奴等も手出し出来ないんじゃ……?」

 

「…………それは無理だ。神羅族のアキが言ってたが、奴等は元々突然世界に現れて無差別な破壊を繰り返してきたそうだ。もし今此処でガンプラウォーズを切ったとしたら、奴等はその活動拠点をデータ内からリアルに出てくるかもしれない。そうなれば、被害は今以上に拡大してしまうのは間違いないだろう」

 

「……どっちにしろそのЯって奴が暴れるのには変わりないって事か……」

 

その通り、安易にガンプラウォーズを止めてしまえばЯの行動範囲が現実に移る可能性があるし、何よりガンプラウォーズは俺達の想像を遥かに超える程の人気コンテンツになってしまっている。そんなガンプラウォーズを今此処で止めれば多くのユーザーから非難の声があがるだろう。俺自身が責任を負うのは良いが他の皆をそんな事に巻き込みたくはないしな。

 

「だから暫くは俺達で対処する以外他に手はない。神羅族が関わる以上GCPD等の連中にも協力してもらう事は出来ないからな」

 

現在神羅族の事を知っているのは俺の家族とホロライブとにじさんじのメンバーとスタッフ、そして藤枝コーポレーションの上層部だけだ。それ以外の皆からは既に記憶から消去しているから俺達の力を知られてはいない。神羅族という強い力を知れば、必ずそれを悪用しようとする奴等が現れるからな。

 

「……でもレイレイ、やっぱりGCPDの人達にも事情を説明して一緒にЯに対抗してもらった方が良いんじゃないかしら?もしЯが大量に現れたら幾らなんでも私達だけじゃとても対処しきれないと思うわ……」

 

「…………そうなると一つ懸念がある。正直、警察に関しては大友の一件があってから信用出来ない部分がある。それにスミレから聞いたが、どうやら上層部で何か不穏な動きが見られるらしい。その不安がある以上は安易に話す事は出来ない」

 

「だったらホロライトシティにいるGCPDの皆だけでも協力してもらおうよ!あの人達なら絶対に信用出来るし、きっと力になってくれるよ!」

 

………まぁ確かにスミレ達なら信用は出来る。だが、それでも無関係な人達を巻き込むのは…………いや、最早そんな事を言ってはいられない段階まで来てしまっている。本当は無関係な奴等を巻き込みたくはなかったが、この世界を守る為には致し方ないか……

 

「……分かった、ならスミレ達には俺が後から伝えるとしよう。ではこれからはЯが現れても一人で挑もうとはせず仲間達と連携を取って撃破してくれ。そして相手はまだまだ不明な点が多い敵だ。何か分かった事があればすぐに報告してくれ」

 

『はいッ!』

 

よし、取り敢えず皆に今後の流れは伝えたし、後はGCPDのメンバー用に神羅の力を宿したガンプラを用意しないとな。だがそれ以外にもやらないといけない事がある……

 

「それとあくあ、るしあ、お前達に頼みがある。今からある世界に行って其処にいる神羅族に会ってくれ」

 

「え?なんであてぃし達が?」

 

「実は前に神羅族のアキが来た時に頼まれたんだ。其処の世界にいる神羅族が最近困っている様子だから手助けしてほしいんだと」

 

「そ、それは分かったのですが、なんでるしあまで……?」

 

「あぁ、るしあを選んだ理由はその世界の特徴と其処にいる神羅族に関係しているからだ」

 

「え?ご、ご主人、それってもしかして……?」

 

「あぁ…………死霊世界『ヨミノトバリ』。其処にいる神羅族は、『ルシア』だ」

 

死霊世界『ヨミノトバリ』。それは神羅アキ曰く、生命が一切存在しない死霊達の世界らしい。各世界に存在する人々の中で特別な存在が死んだ後に流れ着く世界らしく、其処では死霊達が次の輪廻転生を待っているという話だ。そしてその世界を管理しているのが『ルシア』という事だ。

 

「やだやだやだやだッ!あてぃしそんなおっかない世界になんて行きたくない!あてぃしじゃなくておかゆかメルちゃんが行けば良いじゃん!?」

 

「それは出来ない。二人には別の要件を頼んでいるからな。今手の空いている完全な神羅族はあくあ、お前しかいないんだ。大丈夫、一応神羅族のアクアも着いてきてくれるらしいから。じゃあ頼んだぞ二人共」

 

「はいなのです!ほらあくあちゃん行くよ!」

 

「やぁーーーだぁーーーーーッ!!!」

 

るしあに引き摺られリビングを後にするあくあ。まぁ申し訳ないとは思うが、頑張ってくれ……

 

「…………それともう一つ、フブキとおかゆは俺と一緒に来てくれ」

 

「え?来てくれって、もしかして何かあったんですか?」

 

「あぁ……実は本土の方で一週間前に意識不明になった子がいるんだ。その子もおそらくЯにやられたようで未だに意識が回復していない。そしてその子が戦ったとされるゲームセンターからЯと思われる機体データが観測された。それがこれだ」

 

 

ガンダムアストレアTypeーQ”Я“

壊せ、壊せ、壊せ………目に映るモノは全て壊れる定め………戦いから背を向けたモノは皆壊れてしまえ………

 

 

「えっと、これってエクシア?………違う、アストレアかな?」

 

「あ、もしかしてこれ、前に社さんが戦った愛斗くんのアストレアじゃないですか!?」

 

「その通りだ。おかゆやみしろの報告ではЯはかつての俺達の世界に存在したガンプラを模していたと言ってたが、どうやらこの世界のガンプラをも模しているようだ。だがそれはどうでもいい、今はまずこのЯを撃破する事が先決だ」

 

そう言って俺は自分の手の上にシンラガンダムを具現化させる。神羅族の力の象徴とも言えるこいつは今まで封印してきたが、相手がこの世界を脅かす存在なら容赦なく使わせてもらう!

 

「それじゃあ話は以上だ。また各自に分かれて行動してくれ。念押しして言うが、何かあったら絶対に連絡する事を忘れるなよ?」

 

『はい!』

 

よし、なら今度こそ解散だ。まずはさっきも言った通り本土にあるЯが現れたとされるゲームセンターに向かうとするか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一時間後、本土のゲームセンター『バンバン』

 

「……此処が例のゲーセンか」

 

「なんだか雰囲気が暗いね……?」

 

「一応営業してるみたいだけど、なんだか凄くシーンとしてる……」

 

……一体どういう事だ?普通ゲーセンといえば皆でわいわいしているような声が聞こえてきてもおかしくないんだが……取り敢えず中に入ってみるか。

 

―ガチャッ―

 

「すみませーん、誰かいないんです……か……?」

 

「え……な、何これ……!?」

 

ゲーセンの中に入ると、其処は信じられない光景が広がっていた。ガンプラウォーズの筐体の扉は全て開いていて中には意識がないのかぐったりした人達がいる。いや、それだけでなく周りにいる他の客や従業員達すらも何故か糸の切れたマリオネットのように倒れてしまっている。これは、どうなってやがるんだ……!?

 

[ギギッアラタナエモノ、キタ]

 

[シンラノチカラ、ヤッテキタ]

 

[ヤロウ、アソボウ、コワシチャオウ]

 

「ッ!あれは……報告にあったアストレアか!?」

 

ゲーセンの奥の音ゲーの筐体の前に一機のガンプラが禍々しいオーラを放ちながら浮かんでいた。あれがЯか!だがまさかリアルに現れるなんて……!?

 

「……お前が此処の皆をやったのか?」

 

[ギギッソウダヨソウダヨ]

 

[ミンナトアソンダ、ミンナコワシタ]

 

[ツギダレアソブ?ツギダレコワス?]

 

巫山戯た事抜かしやがって…………だがこいつ、今まで戦ってきた奴等とは違う。禍々しいオーラこそ放っているが、奴からは『悪意』というものを微塵も感じない。まるで()()()()()()()()()()()のようだ。

 

「レイくん!急いであいつを倒さないと皆が……!」

 

「あぁ分かってる。おいテメェ、そんなに遊んでほしいなら遊んでやるよ。但し……こっちは情け容赦なんかしねぇから覚悟しろよなッ!!」

 

[ギギッアソボウアソボウ]

 

[アザディスタンオウコクデマッテルヨ]

 

そう言うとЯは泥のように溶けて筐体の中へと入っていった。アザディスタン王国っていうと……OOの舞台か!アストレアに合わせたつもりかよ、ナメた真似しやがって!

 

「フブキ!おかゆ!奴を此処で絶対に倒すぞ!」

 

「う、うん!」

 

「分かったよレイくん!」

 

俺達も筐体へと入り中で気を失ってる奴を近くに寝かせてゲームを起動させる。やはりというべきか画面がバグって対戦しか選べなくなっているな……だがそんなのは関係ない!此処で奴を倒してその目的を吐かせてやる!

 

「佐々木玲二!シンラガンダム、出る!」

 

「白上フブキ!フォクシードガンダムファンファーレ、行きます!」

 

「猫又おかゆ!アンナイトメアアルスユートピア、行くよ!」

 

ゲームを起動させると同時に出撃ゲートからシンラガンダム達を出撃させ、奴が待っていると言ったアザディスタン王国へと向かう。フィールドはバグだらけで元の景観等が台無しになっている……俺達の大切なガンプラウォーズをこんなふうにしてくれた事、後悔させてやるからなッ!!

 

 

 

遂にЯと激突する玲二。無事にЯを倒し、皆を救う事が出来るのか?続く……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

神羅file01

Яに倒された者は意識を失い、やがて消滅する。例外は存在しない

 

 

file02

Яにとって、遊ぶ事と壊す事は同意義である




はい、という事でこれからについての話し合い、そして新たに現れたЯとの対面回でした!次回はЯと玲二達との対決となります!

それと今回から新しく神羅fileというのを出していこうと思います。具体的には神羅族やЯについてを書いていきます。

それでは次回までまったりと待って頂ければ幸いです、ではまた!


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EP18『Яの目的』

昨日コンビニ寄ったら遊戯王カードが売られてて懐かしいと思って一人3パックまでのヤツを買ってみたらめっちゃギラギラ光ってるブラックマジシャンガールが出てきました。調べたらどうやら二万前後で取引されてるみたいでびっくりしました……(;・Д・)

という事で今回はЯとの対決、そしてるしあ達が神羅族のルシアと接触する話です!はたして玲二は無事に勝つ事が出来るのか……?今回も最後まで見て頂ければ有り難いです、ではどうぞ!


玲二達がЯとのバトルを始め出した丁度その頃、あくあとるしあは玲二に頼まれた通り神羅族のルシアが管理する世界『ヨミノトバリ』へとやって来ていた……のだが

 

「あわわわ……ま、全く生き物が見当たらないんだけど?ずっと暗いままだし周りの木も枯れてるし空気が重いし……もぉ最悪なんだけどぉーーーッ!?」

 

「それにものすごい死霊の数……昔魔界にある冥府の扉の先に一度だけ行った事があるけど、其処とは比べ物にならないくらいに強い怨念に溢れてるね……」

 

全く日が昇る事のない暗闇、周りにある枯れて白化している木々、明らかに栄養素を含んでいない灰色の地面、そして周りの空気をどんよりと重くしている白く冷たい霧。どう考えても生命が存在する事が出来ない環境が広がっていた。更には怨霊までもがそこかしこに浮遊しており、気を抜いたら身体を乗っ取られそうである。

 

(うあぁああぁ……)

 

(生きてる身体ぁ……よこせぇぇぇぇ……)

 

「やだやだこっち来んな幽霊どもがあぁーーーッ!!」

 

「もぉあくあちゃんってば、そんな慌てなくてもるしあに着いてれば怨霊達は襲ってこれないから大丈夫だって」

 

泣きじゃくりながらるしあの腕にしがみつき怨霊を追い払おうとするあくあ。一方るしあは慣れてるのか自分達の周りに霊力を籠めたバリアを張り迫ってくる怨霊達を追い払っていた。やはり輪廻転生を繰り返してきた死霊使いはこの程度ではびくともしないようだ。

 

「…………あ、彼処にいるのってもしかして、神羅族のアクアちゃん?」

 

「え?……あ、ホントだ。それじゃあその横にいるのが、神羅族のルシアちゃん?」

 

「あ、るしあしゃんにもう一人の私!やっと来てくれたの!」

 

アクアはるしあ達に気づくとトテトテと小走りしながら近づいてきた。前回もそうだったがこのアクア、あくあと違って人懐っこく誰にでもフレンドリーに話しかけてきて本当に神羅族は見た目以外は別人なんだなと思うるしあだった。

 

「久しぶり、アクアちゃん。それで、彼処にいるのが……?」

 

「はいなの!この世界の管理者の『ルシア』しゃんなの!」

 

「…………アクア…………うるさい…………大声…………出すな…………」

 

アクアが紹介すると同時に白髪で白眼の少女『ルシア』はその場から幽霊のように浮遊しながらるしあ達に近づいてきた。全くの無表情で何を考えているのか全然読めない雰囲気を醸し出している。

 

「こ、これが神羅族のルシアちゃん……?」

 

「あ、あの、はじめまして、るしあ達は……」

 

「知ってる…………あくあ…………るしあ…………私達…………オリジナル…………」

 

「…………え?ど、どういう事?そっちがオリジナルって……?」

 

「あ、違うの。ルシアしゃんは単語でしか喋れないから聞き慣れないと上手く相手に伝わらない事が多いの。だから今のは「知ってるよ、あくあとるしあでしょ?私達のオリジナルの」って意味なの。でもオリジナルってどういう意味なの?」

 

どうやらこのルシアは単語だけで文章としては喋れないようで一瞬何を言ってるのか分からなかったがアクアの通訳で理解する。

 

「ってちょっと待って!?オリジナルって、それって神羅族のフブキちゃんが言ってた事だよね!?」

 

「そう…………私達…………神羅族…………貴方達…………模造…………誕生…………私達…………紛い物…………貴方達…………本物…………」

 

「えっと……「うん、私達神羅族は貴方達を模造して産まれた。だから私達は紛い物、貴方達こそ本物」なの。ってえぇ!?そ、そうなのルシアしゃん?!」

 

「え、えっと、ど、どうして貴方がその事を知ってるの?その事実を知ってるのはフブキちゃんとその側近のメルちゃんの二人だけの筈……?」

 

「…………私…………フブキ…………継承…………骸…………話…………フブキ…………全部…………聞いた…………」

 

「え、えっと……「私はフブキから継承の儀を受けた元骸。だから話はフブキから全部聞いてる」なの」

 

「「骸!?」」

 

ルシアがフブキから継承を受けたから事実を知っていた……が、二人はそれよりも目の前のルシアが元々骸、つまり遺体から神羅族になったという事実に驚きを隠せないでいた。

 

「え、ちょ、待って!?確かに今いる神羅族が他の生き物から神羅族になったのは知ってるけど、骸ってつまり死体だよね!?なんで死体が神羅族になれるの?!」

 

「…………神羅族…………継承…………条件…………ない…………生き物…………死人…………無機物…………継承…………神羅族…………なれる…………」

 

「「神羅族の継承の儀の条件は特にない。生き物でも死んでる者でも、なんだったら無機物でも継承すれば神羅族になれる」なの」

 

「そ、そうなの?!」

 

「そうなの。実際『ロボコ』しゃんも元々は機械の歯車だったって聞いてるの」

 

まさかの事実、神羅族の継承の儀の相手に対する条件に元々の生命の有無はないという。つまりその辺の石ころでもその気になってやろうと思えば継承出来るという事だ。というか歯車に継承とはどういうつもりでその神羅族は継承したのだろうか?

 

「…………本題…………私…………今…………困ってる…………最近…………うるさい…………怨霊…………三人…………いる…………喧しい…………貴方達…………対処…………頼む…………」

 

「えーっと、「本題何だけど、私今とても困ってるの。最近かなりうるさい怨霊が三人いて喧しくて、それで貴方達に対処をお願いしたい」って言ってるの」

 

「へ?でもそんなのこの世界の管理者のルシアならそれくらい対処出来るんじゃないの?」

 

「…………私…………輪廻…………管理…………不必要…………魂…………処分…………出来ない…………三人…………言ってる…………佐々木…………玲二…………」

 

「「私は輪廻を管理しているのであって不必要に魂を処分する事は出来ない。それに三人は言っていた、佐々木玲二って」って言ってるの」

 

「そ、そうなんだ?それにしても神羅族のあてぃし、よくルシアちゃんが言ってる事が分かるね?」

 

「えっへんなの!」

 

「それにしても玲二さんの事を知ってるって、そいつ等一体何者なの………?」

 

「知らない…………私…………規則…………魂…………浄化…………転生…………出来ない…………三人…………うるさい…………喧しい…………気持ち悪い…………対処…………頼む…………」

 

「「知らない。私は規則によって魂は浄化させないと転生出来ない。けど三人共うるさいし喧しいし気持ち悪いからさっさと対処してほしい」だそうなの」

 

最近現れたという変な怨霊三人の所為で困っているルシア。そんなルシアの頼みにるしあとあくあは一先ず引き受けアクアと共にその怨霊達がいる場所へと向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてその頃………

 

 

 

―ガキィンッ!ドゴオォッ!ドカアァァンッ!!―

 

「チィッ!本当に厄介な奴だな!?」

 

[ギギッオモシロイ、オモシロイ]

 

[オマエ、イチバン、オモシロイ]

 

[モットアソボウ、モットコワソウ]

 

バグまみれになったフィールド『アザディスタン王国』、其処で俺達はЯのアストレアもどきと激闘を繰り広げていた。だがこいつ、報告にあった通りただ攻撃するだけじゃすぐに再生してしまう。こいつは本当に厄介だな……

 

「レイくん!危ないから少し離れててください!ハアァッ!」

 

―バキュゥンッ!バキュゥンッ!―

 

フブキのフォクシードが俺を援護するようにライフルでアストレアもどきを攻撃する。アストレアもどきは直前で避け四つん這いになり、まるで獣のようにフォクシードへと襲いかかっていく。

 

―ガキィッ!―

 

「あぐぅッ!?」

 

「フブキ!」

 

「フブキちゃん!」

 

アストレアもどきの右手の指が鋭く尖りフォクシードの右腕を斬り裂いていく。寸前のところで躱したようだが僅かに喰らってしまったようでフブキは思わず右肩を抑えてしまった。

 

「フブキ!大丈夫か!?」

 

「う、うん、なんとか……これが、みしろちゃんやおかゆが受けたダメージ……!?」

 

右肩から手を離すと赤い血がべっとりと付いている。これが本当に幻覚?説明されてたとはいえまるで本当に出血しているとしか思えないこの状況にフブキは一瞬震えてしまう、が……

 

(これがみしろちゃん達が受けた痛み…………怖い、本当は今すぐにでも逃げ出したい……でも!此処で私が逃げたら、倒れた皆もも戻ってこれない!怖がるな、白上フブキ!恐れるな、佐々木フブキ!)

 

フブキが自分を鼓舞するかのように強く念じると血は瞬く間に消えていく。それを見てやはりこれは幻覚だと分かりフブキはコントローラーを握る力を強めていく。

 

「レイくん!おかゆ!私なら大丈夫だから!」

 

「フブキちゃん!?本当に大丈夫なの?!」

 

「うん!やっぱりこいつ等の攻撃は幻覚!痛みは流石に感じるけど、心を強く持っていれば幻覚までは見る事はないよ!」

 

[ギ……ゲンカク、ミナイ?]

 

[オマエ、ツマンナイ、ツマンナイ]

 

恐怖を乗り越えたフブキに対しЯは面白くないのかアストレアもどきをフォクシードに向かってけしかけていく。

 

―バキュウゥンッ!ドゴオォンッ!―

 

[ギギッ?]

 

「何処見てんだ?お前の相手はフブキだけじゃねぇぞ!」

 

俺はシンラガンダムの力を開放し背後から大量のビーム兵器を取り出しアストレアもどきに向かって標準を合わせていく。

 

「さぁ覚悟しなガンプラもどき…………オーバードライブシュート、ファイアァッ!!」

 

 

 

―シュウゥゥゥゥ……ドッゴオォォォォォォォォンッ!!―

 

 

 

[????]

 

―ドッカアァァァァァァァァァァァァァァアンッ!!―

 

シンラガンダムのオーバードライブシュートをアストレアもどきは避ける事なくまともに受け、そのまま爆散してしまった。ハァ、これで漸くこのゲーセンの皆は助かったか………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[ギギッマダオワラナイ、オワラナイ]

 

『…………え?』

 

―ドロッグチャアァ……―

 

なッ!?そんな、馬鹿な!?俺は確かに跡形もなく吹き飛ばした!そうすれば当然核も破壊出来た筈、なのになんで……?!

 

[ギギッオドロイテルオドロイテル]

 

[ザンネンザンネン]

 

[ココニカクナイ、コレニカクナイ]

 

な、なんだと!?核がないなんて、どうなってるんだ?!レインやおかゆの報告にはそんなのなかった筈だぞ!?

 

「そんな……核がないなら、じゃああいつはどうやってあの姿を保ってるの?!」

 

[ギギッコノアイダマナンダ]

 

[カクナイナラタオサレナイ]

 

……まさか、このЯは核がなくても動ける機体なのか?!そんな、ならどうやって倒せば良いんだ……?!

 

「だったら!この間の新くんのようにお前が再生出来ないまで倒すだけだよ!」

 

[ムダダヨ、ムダダヨ]

 

[ソンナノイミナイ、ソンナノムダ]

 

「やってみないと分からないッ!!」

 

「お、おいおかゆ!?」

 

ダメだ、おかゆの奴焦って一人で突っ込んでいきやがった!だが奴の言う通り核がないなら、幾ら攻撃しようが無駄に終わってしまう…………

 

…………いや、そもそも本当に核はないのか?どんな物にだって核となる物がなければ動く事は出来ない。つまりあれも核がある筈、ならそれは何処に…………………ッ!そうか!

 

「フブキ、おかゆ!そいつに幾ら攻撃しても無駄だ!このフィールドを隈なく探せ!」

 

「え?ど、どういう事ですかレイくん?」

 

「おそらくそいつはこのフィールドの何処かに核を隠しているんだ!その核さえ見つけて破壊すればそいつを倒せる筈だ!」

 

「そういう事か……ならレイくん、フブキちゃん!此処は僕に任せて、二人はこいつの核を探して!」

 

おかゆは俺達が核を探している間にアストレアもどきを引き付けておくと言い再び戦闘を始めだした。ならおかゆがやられる前に早く核を探さねぇと!

 

……だが肝心の核は何処にある?普通に考えたら絶対に見つけられないような場所に隠すのが定石だ。だがこいつはアストレアを使っているからといってわざわざアザディスタン王国を戦いのフィールドに選んできた。少しズレた感じはするが、こいつは何かしらの拘りがあるように感じる……なら、核の隠し場所も何かしらの拘りがある可能性がある。OOのアザディスタン王国……確か物語ではエクシアが…………ッ!そうか!

 

「分かったぞ!お前の核の隠し場所が!」

 

俺は思いついた心当たりの場所へと急いで向かう。其処は物語ではエクシアが全ての武装を外し保守派のマスード・ラフマディーを送り届けた場所、すなわち……アザディスタン王国の王宮!

 

「今度こそこれで……終わりだあぁぁぁぁッ

!!」

 

 

 

―バキュウゥンッ!!―

 

 

 

シンラガンダムの手にビームマグナムを出現させ一撃を放つ。そして

 

 

 

―ドッゴオォォォォォォォオンッ!!―

 

王宮の壁をぶち抜き

 

―ピシッ……パリイィィィンッ!!―

 

その奥にあったЯの核を撃ち抜き砕いた。やはり、此処に核が隠されていたか!

 

―ドロッ……グチャアァ……―

 

核を破壊されアストレアもどきも身体を維持出来なくなり泥のように溶けてそのまま消滅していく。それと同時にフィールドのバグは全て解消され元の景観を取り戻した。

 

「アザディスタンが、元に戻っていく……」

 

「これで、あのゲームセンターの皆も元に戻るんですよね?」

 

「あぁ、おそらくな……」

 

何はともあれ、これで意識不明者達が元に戻る筈だ。取り敢えず、一度ログアウトしねぇとな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[ギギッヤラレタヤラレタ]

 

『ッ!?』

 

な……!?ログアウトしようとしたら目の前に黒い靄が現れだした!まさか、まだやろうとしてるのか?!

 

[マタオモチャコワサレタ]

 

[ツヨイツヨイ]

 

[アソビガイアル、コワシガイアル]

 

……いや、どうやら今は戦う気はないようだ。相変わらず物騒な事言ってるが、向こうに接触出来ない以上こちらからは今は何も出来ない。だが、せめて奴等の目的を聞かないとな……

 

「……お前、一体何でこんな事をする?今まで多くの世界を滅ぼして、俺達の世界でガンプラウォーズを使って皆を襲って、一体何が目的なんだ?」

 

[モクテキ、ナニソレ?]

 

[タダアソブダケ、タダコワスダケ]

 

[ソレイガイリユウナイ]

 

「なんだと……巫山戯るな!散々皆を傷つけて、それが全部遊びだと?!」

 

[ソウソウ、シンラガツクリ、ソレヲコワス]

 

[ダカラココニソンザイスル]

 

[ソウゾウスルカラハカイスル]

 

クッ……こいつ、全く持って意図が読めない。だがこいつにとって破壊と遊びは同意義って事か……やっぱイカれてやがるッ!

 

[ギギッマタアソボウ、マタコワソウ]

 

[モットツヨイヤツモッテクル]

 

[ツギコソコワス、ツギコソタオス]

 

そう言うと黒い靄は薄れていきЯは姿を消した。結局あいつ等の狙いは分からずじまいか…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから三十分後、ゲーセン内で倒れていた人達は全員意識不明から回復し、念の為全員病院に送った後俺達はホロライトシティへと戻ってきた。意識不明だった子も元に戻ってたみたいだし、これで一応解決だな。

 

「それにしてもЯが彼処まで進化してるなんて……」

 

「おそらく奴等は戦う度に学んで対抗策を用意しているんだろう。もしかしたら、今以上に面倒な事になりかねないかもな……」

 

「うん……でも、それでも私達はやらないといけない。そうですよね、レイくん」

 

「あぁ、どんな理由があれど、これ以上奴等の好き勝手になんかさせてたまるか。必ずЯを全て倒して、皆のガンプラウォーズを取り戻すぞ!」

 

「はい!」「うん!」

 

皆の大切な遊び場であるガンプラウォーズを弄ぶЯ打倒を掲げて、俺達はまたそれぞれのやるべき事へと進む決意をするのであった。

 

……それはそうと、今頃るしあ達はどうなってるんだろうな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、ヨミノトバリでは……

 

「…………三人…………うるさい…………対処…………」

 

「えっと……「この三人なんだけどとってもうるさいでしょ?だから対処して」って言ってるの」

 

「え、この三人って……?」

 

「…………なんだか嫌な予感がすると思ってたけど、まさかこいつ等だったなんて………」

 

ルシアに案内されて少し開けた場所へとやって来たるしあ達。其処には明らかに他の怨霊達とは違う変な三人がいた。しかもその三人にるしあとあくあは見覚えがあった。その三人とは………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ブヒィ!るしあちゃんとあくあちゃんじゃないか〜♪まさかこの俺に会いに来てくれたのかなぁ〜?ブヒヒィ〜♪」

 

「何!?潤羽るしあと湊あくあだと!?丁度良い、貴様らの身体を寄越せ!貴様らの身体を使って俺は再び復活するのだぁ!」

 

「グフフ、貴様らに散々コケにされたこの怒り、今此処で晴らしてくれるわぁーーーッ!」

 

「…………なんでこの三人がこの世界にいるのさ?」

 

「というかなんでこの三人死んでるの………?」

 

 

其処にいた怨霊三人とはかつて玲二と敵対し異世界に飛ばされたはずの只野と大友とゴーマンの三人だった。まさかの面倒な奴等との再会に頭が痛くなるるしあ達であった………

 

 

 

 

神羅file03

Яに目的などない。奴等は常に遊び、破壊する事しかない




はい、という事で玲二達の勝利!しかし肝心なЯの行動理由までは分からずじまいでした……そしてるしあ達もまた面倒な事になってしまいましたが、一体どうなってしまうのか……?

とはいえ何はともあれ次回は通常回!天界のお菓子の国に行っているすばちょこるなたん達のお話です!次回もまったりと待って頂ければ幸いです、ではまた!


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EP19『地獄、地獄、今日も地獄♪』

前回までシリアスな感じが続いていた中、今回タイトルを見て頂ければ分かる通りすばちょこるなたんらしい回です(^^;)

天界のお菓子の国でGWDWCを目指すスバル達。しかしそんな中、何やら何時もと違う状況が起きてしまい……?今回も最後まで見て頂ければ有り難いです、ではどうぞ!


Яについての話し合いを終え天界にあるお菓子の国に戻ってきたスバルとちょことルーナとぼたん。GWDWC一次予選も後一ヶ月を切った中、四人はЯの件も含めてこれからの対策を考えていた、のだが…………

 

「Я……玲二様も言ってたけどとんでもない進化を遂げてるみたいね……」

 

「でもにーちゃも皆のガンプラウォーズを守る為に頑張ってるのら。だったらルーナ達もにーちゃの為に頑張ってガンプラウォーズを守ってみせるのらよ」

 

「まぁ、そうだな……………………で、それよりもスバル達は今この状況をどうにかしないといけないんじゃねーか?」

 

真面目な雰囲気でこれからの事を話し合いをするちょことルーナとスバル。だがその姿は何時もと違っていた…………なんと、その身体は何故か五歳くらいまで幼くなっており、子供達に良いようにイジられているのだった。

 

「かーちゃ、かわい〜♪」

 

「ちょ、カケル!?かーちゃんに寄り掛かってくんな重てぇーーーッ!」

 

「ままちっちゃーい♪」

 

「ちょっとしょこら、ママのほっぺもにゅもにゅしないでってば〜……」

 

「まーま、よちよーち♪」

 

「ミーア!ママを赤ちゃん扱いすんなーーーッ!」

 

自分の子供達に好き放題イジられているが何時もと違って自分も子供に戻ってる所為でなかなか振りほどけない三人。何故こんな事になってしまったのだろうか?

 

「うーん、やっぱりぼたん様があーなってしまった所為かしら?」

 

「というかそれ以外理由なんて思いつかねーのら」

 

「いやそもそもなんでこんな事になっとるん……?」

 

そんな三人はこの原因と思われる人物に目を向ける。其処にいるのは………

 

「かーちゃ、あむむ〜♪」

 

「まーま、よしよーし♪」

 

「あうぅ〜……(やめろ〜!おめぇー等かーちゃんが弱ってるからって好き勝手し過ぎだろーーーッ!?)」

 

何故か()()()()()()()()()()()()がつばきに耳をあむあむされ玲牙に撫で回されていた。ご丁寧におしゃぶりまで咥えているが、一体何があったのだろうか?

 

「朝起きたらぼたんちゃんが赤ちゃんになってて……」

 

「そのぼたんちゃんがくしゃみしたと思ったらスバル達も子供になっちゃって……」

 

「で、今はこんな状況って事よね?本当にどうなってるのよこれ……?」

 

今起きてる現状に理解が追いつかず困り果てるスバル達。

 

「いや〜、久々に皆の様子を見に来たらなんかとんでもない事になってるね〜?」

 

「でもちっちゃくなった皆可愛らしいなぁ〜♪」

 

『あ、あぅ、あうぅ〜』

 

其処に偶々遊びにやって来たれなと唯華も唐突な異常事態に驚きつつもちっちゃくなったスバル達を見て可愛らしいと頬を緩ませていた。二人の娘の蓮華と澄玲と亜衣奈も興味があるのかスバル達に向かって手をぱたぱたさせている。

 

「というかぼたんちゃん本当にどうしちゃったんだろうね?」

 

「せやな〜、なんや顔も赤いし、風邪引いたんちゃう?」

 

「えぇ〜?でもスバル達神羅族になり始めてから病気らしい病気なんてしてなかったんだけどな〜?」

 

スバルの言う通り、神羅族化してから佐々木家の嫁達は病気らしい病気は殆どしてこなかった。しかし今、ぼたんは明らかに熱っぽそうな感じで顔が赤くなっているしなんだか凄く怠そうに見える。これは本当にどうなってるのだろう……?

 

―シュンッ!―

 

「よっと………あちゃ〜、力の乱れを感じたから来てみたけど、やっぱり神羅風邪に掛かっちゃってたみたいね?」

 

「え、おかゆ!?ってよく見たら神羅族のオカユか……」

 

其処に突如オカユが転移して現れぼたんを見るなり何かを察したのか悩ましそうに頭を抱えた。どうやら何か知っているようだが………?

 

「えっと、オカユ様?今神羅風邪って言ってたけど、それって一体何なの?」

 

「ん~、知ってると思うけど私達神羅族って本来はどんな病気にもかからず怪我しても一瞬で癒える程の治癒能力が備わってるんだけど、極稀に人間達でいう風邪のような症状が出るの。その間は力が不安定になって暴走しちゃうのよね」

 

「え、何その面倒な症状!?」

 

オカユ曰く、この神羅風邪を引いてる間は力のコントロールが出来なくなり下手すれば大災害を引き起こす危険もあるらしい。その危険な風邪を今、ぼたんが引いてしまっているという事だ。

 

「だからルーナ達ぼたんちゃんにちっちゃくされたのらね?」

 

「でも神羅族って互いに干渉出来ない筈でしょ?なんでスバル達ぼたんちゃんの力普通に受けてるの?」

 

「うーん……君達もまたイレギュラーな彼から継承、というかは与えられてなってる状態だからね。だからお互い同じ力って事で干渉出来るんじゃない?」

 

「ふーん、そういうモノなのね?」

 

「多分だけどね?それにしても……ぼたんちゃん、もうほぼほぼ完全に近い神羅族になってるね?一体どんだけ彼と交わったのかしら〜♪」

 

「うあぁーーーッ!///(んなの知るかぁーーーッ!?///)」

 

ニヨニヨと笑うオカユに煽られ珍しく顔を真っ赤にするぼたん。しかし、いきなり大声をあげた所為か……

 

「……ふぁ……ふぁ……ふぁーーーっくしょいッ!!」

 

―ボフゥッ!!―

 

『キャアァーーーッ!?』

 

ぼたんが思わずくしゃみをしてしまい、その時口から出た光線をれなと唯華がモロに受けてしまった。

 

「れなぁーーーッ!?」

 

「ちょ、れな様と唯華様大丈夫!?」

 

「こ、今度はどうなってしまうのら……?」

 

ぼたんの光線を受けてしまった二人は煙に包まれており、やがてその煙が晴れて姿が確認出来るようになっていく。其処には……

 

「「痛た………もぉ〜何が起きてんのぉ〜?」」

 

『…………え?』

 

なんとれなの横に()()()()()()()が現れていた。いや、正確には片方は黒髪でもう片方は白髪のれなが二人に分裂していた。これはれなの元々の髪色をキレイに半分分かれたかのようになっている。

 

「…………ん?ってえぇーーーッ!?な、なんで私が目の前にいんの?!」

 

「いやそれはこっちのセリフだって!?あんた一体誰なんだよ?!」

 

「誰って私はれなだよ!」

 

「それ言ったら私だってれなだよ!」

 

「「うみゅ?」」

 

なんと二人のれなは互いに自分がれなだと主張し揉めている。これには娘の澄玲と亜衣奈もキョトンとしてしまっている。

 

「ま、まさかれなが二人に分裂するなんて……?」

 

「まるでエグゼイドのマイティブラザーズXXみたいね」

 

「じゃあよるみんだからよるみんシスターズXXなのら」

 

―お前が私で〜♪私がお前〜♪(We are!)よるみんシスターズXX!―

 

分裂したれなを見てしょーもない感想をいうルーナ。ご丁寧に脳内でマイティブラザーズXXの替歌を流している。

 

「あれ?そういやしぃしぃはどうしたんだ?」

 

「…………此処におるよ〜」

 

「あ、しぃしぃ。そっちは大丈……夫……?」

 

唯華の声が聞こえた方を向いたスバル達、だったがその唯華の姿を見て言葉を失ってしまった。

 

「…………なんや?笑いたけりゃ笑えばえぇやん?」

 

「い、いや……な、なんでそんな腕ゴツくなってんだ?」

 

「まるでゴリラの腕なのら」

 

「キャッキャ♪」

 

そう、唯華の身体は何故か腕だけがゴツく、マッシブになっていた。そのふくよかな身体とはかなりミスマッチであり、娘の蓮華は面白いのかキャッキャと笑っている。

 

「いやや〜!こんな姿玲二さんに見られたくないわ〜!」

 

「た、確かにこれは酷い……w」

 

「わ、笑っちゃいけないのは分かるけど笑ってしまうわ……w」

 

「よるみんがエグゼイドならしぃしぃはバルカンのパンチングコングなのらw」

 

―パンチングコング!Enough power to annihilate a mountain.―

 

笑ってはいけないとは思いつつもあまりにもギャグっぽいアンバランスな唯華を見て笑ってしまうスバル達。だがそんな中……

 

「…………ふぁ……ふぁ……ファークッショイッ!!」

 

―バシュウッ!!―

 

なんとぼたんが再びくしゃみをして光線を放ってしまった。しかも今度はスバル達にではなく外に向かって放たれてしまった。

 

「ちょ!?ぼたん何しちゃってんのさ?!」

 

「あぅあ〜……(んな事言ったってしょーがないだろ〜……)」

 

「てか外に思いっきり飛んでっちゃったのらけど?」

 

「あちゃ〜、これはもしかしたら他の人に当たっちゃうかもね〜?」

 

「いやそれ一大事じゃん!?あてぃしやよるみんみたいに変な事になっちゃうんちゃうの?!」

 

「ん~、こればっかりは受けてみないと分かんないからね〜」

 

何が起こるか分からない光線が外に放たれてしまい慌てる一同。次は一体何が起こるのだろうか……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、地上界では……

 

「今日は久々にReGLOSS皆での収録だね〜♪」

 

「だね〜、最近は皆それぞれ色々と忙しかったからね〜」

 

「青なんかこの間ゲーセンでギャーギャー騒いどったしな〜♪」

 

「おいぃッ!?今それ掘り返さなくたって良いじゃんかぁーーーッ!?」

 

「まぁまぁ、今日は折角新しいイベントの案件もらったんだから皆で楽しまないと♪」

 

ホロライトシティのスタジオにReGLOSSのメンバーが仕事の為に向かっていた。最近は家庭やら仕事やらで一緒にいる時間が少なくなっていたが、今日は久しぶりに皆で収録出来ると五人とも嬉しそうである。

 

「そう言えばリリーとらでんちゃん結婚決まったんだって?おめでと〜♪」

 

「ありがと奏〜♪漸く玲二くんの奥さんになれるよ〜♪」

 

「そういうきゃなでぃも怜君とお付き合い始めたんじゃろ?まさかとは思っとったがこんなに早くお付き合い始めるなんてな〜♪」

 

「えへへ〜♪///」

 

「皆結婚やらお付き合いやらでめでたいな〜。はじめにはまだ恋愛とか分かんね〜けど」

 

「まぁばんちょーにもそのうち良い人が見つかるよ♪ってあれ……?」

 

それぞれの恋愛トークをしている中、青が上空を翔ける一筋の光線に気づく。しかもその光線は明らかにこちらに向かっていた。

 

「ちょッ!?な、何あれ!?」

 

「えぇッ!?こ、こっちに向かって飛んできてない?!」

 

「どどどどうしよう!?逃げないとッ!?」

 

「ダメだぁ!もう間に合わんけんーーーッ!?」

 

飛んでくる光線に気づくも時すでに遅し。光線は目と鼻の先まで来ていた。だがその光線はReGLOSSの皆の前で五つの光に分裂し、それぞれ何かの形に変化し再び五人に向かって突っ込んでいく。

 

『ぶ、ぶつかるーーーーーッ!?』

 

唐突な事で頭の処理が追いつかず動きが止まってしまう五人。そんな五人に何時の間にか琥珀のようなオーラが現れ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―You are the KING! You are the,you are the KING!―

 

 

 

謎の音声が鳴り響くと同時に五つの光は昆虫の姿になって五人に取り込まれていき、光が晴れると五人の姿が別の物に変わっていた。

 

「…………え?な、何これ!?莉々華どうなっちゃったの?!」

 

―クワガタオージャー!―

 

「え?え?何この鎧?!めっちゃカッコイイんだけど!」

 

―トンボオージャー!―

 

「えぇーーーッ!?なんでこんな姿になっちゃったのぉ?!」

 

―カマキリオージャー!―

 

「おぉ〜、はじめなんだか強くなった気がするでゃ♪」

 

―パピヨンオージャー!―

 

「おぉ〜!なんか妙にしっくりくるのぉ〜♪」

 

―ハチオージャー!―

 

それぞれ姿が変わった自分を見て各々の反応を示すReGLOSS。言わずもがな先程の光線はぼたんのくしゃみから出た光線で、その光を受けたReGLOSSは今年二月に無事放送を終えたスーパー戦隊『王様戦隊キングオージャー』になってしまったようである。

 

「あー!キングオージャーだ〜♪」

 

「すごーい!かっこいい〜♪」

 

「うちゅーおーたおしにきたの〜?」

 

「え!?えっと、何?キングオージャー?」

 

「もしかしてこれ、何かのヒーローだったりすんの?」

 

そんな変身したReGLOSSに近くにいた子供達が嬉しそうに集まり出してしまい、キングオージャーの事をよく知らない五人はどうすれば良いか困ってしまう。そして当然収録に遅れてしまい先方に怒られてしまったのは言うまでもない………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うーん、調べに行きたいけどスバル達のこの状態じゃあ……」

 

「じゃあ私が見てきてあげるわ。まぁ強いエネルギーも感じないから其処まで大した事じゃないと思うけど」

 

「そ、そう?それじゃあお願いするわオカユ様」

 

「ほいほーい♪」

 

動けないスバル達の代わりにオカユが調べにそのまま転移し消えていった。それにしても今のぼたんは本当に厄介である。

 

「あうぅ〜……(みんなぁ、ホントにゴメンなぁ〜……)」

 

「かーちゃ、げんきだして〜」

 

「まーま、よしよーし」

 

自分の所為で皆に迷惑を掛けてしまって申し訳無さそうになるぼたん。子供達もそんなぼたんの頭を撫でて慰めている。

 

「それにしてもぼたんちゃんのこの風邪どうやったら治るのら?」

 

「やっぱりお薬飲んで安静にするのが一番だと思うんだけど……これで本当に治るのかしら?」

 

「でもそれしか方法ないんちゃう?あてぃしも早くこの腕直してほしいし……」

 

「「私だってこのまま二人に分裂したままなんてやだよ!」」

 

「ま、まぁそれはぼたんが元に戻ってから考えないと……ってぼたん?」

 

「…………ふぁ……ふぁ……」

 

今この現状のぼたんをどうするか話し合いをしてる最中にぼたんがまたくしゃみが出そうになっている。このままではまた何かが起こってしまう。そう思ったスバルは慌てて止めようとするが……

 

「ちょ、ぼたんちゃん待っ……!?」

 

「フアァーーーックショイッ!!」

 

―バシュウゥッ!!―

 

スバルが止める前にぼたんがそれまでよりも大きなくしゃみをしてしまい、それと同時にぶっとい光線が外に向かって飛んでいってしまった。

 

「うわまた外に行っちゃった!?」

 

「しかも今度は近くに……!?」

 

「ど、どうなっちゃうんや……?!」

 

光線はお菓子の国の城下街に向かって落ちていき……

 

―ゴゴゴゴゴゴ……―

 

「……な、何この揺れ?」

 

「え、じ、地震?」

 

「んなわけねーのら。天界は地震なんてモンねーのらよ」

 

「え、じゃあこの揺れって……?」

 

天界では地震というモノはないので本来揺れるなんて事はない。ならこの揺れは一体?そう思いながら恐る恐る外を見ると……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「コォーーーーンッ!!」

 

「「コーーーンッ!!」」

 

『フブラだぁーーーッ!?』

 

なんとお菓子の国のど真ん中に巨大なフブラが現れた。しかも、一匹ではなく三匹も。

 

「ちょちょちょ、ちょっと待って!?なんでフブラが現れてんの?!しかも三匹も!?」

 

「……あ、よく見たらちっこい方のフブラ、一匹がオデコ黒くてもう一匹は尻尾がないわね?」

 

「え、って事はあれって……こゆきちゃんとふゆきちゃん!?」

 

「て事はあの二匹はこゆらとふゆらって事?」

 

「い、いやいやそんな事ないでしょ!?そもそもあれがフブちゃん達とは限らんし……?」

 

「レイくーーーん……ッ!」

 

「「ぱぁーーーぱぁーーー……ッ!!」」

 

『本人だぁーーーーーーッ!?』

 

なんと暴れまわってるフブラ達はフブキ母娘本人達であった。というか地上界にいる筈のフブキ達がなんで天界にいるのだろうか?

 

「あ、そういやフブちゃんが一次予選終わったから天界に遊びにくるって言っとったな?」

 

「マジかよ!?最悪のタイミングじゃねーか!?誰かあのフブラを止める方法はねーのかよ?!」

 

「あ、そういや前にトワ様がフブラの戻し方が載ってる『イタコ100 怪獣の降ろしかた』って本をくれたよ」

 

「なんだその本!?けどでかしたれな!えっと、フブラの戻し方は……?」

 

 

 

フブラの戻し方

魔術が施された違法マイクを使って『おっお兄ちゃんのことなんか全然好きじゃないんだから……でも、ほんとはちょっとだけ……ううんっ何でもないの!何でも……何でもないってば!うるさい!ばか!嫌い!あっまた嫌いって言っちゃった……こんなことほんとは言いたくないのに……(感情を込めて!)』と唱える。

 

 

 

……………………

 

 

………………………………

 

 

 

…………………………………………

 

 

 

 

「おやすみッス」

 

「諦めた!?」

 

れなからもらった本を投げ捨て布団に潜り込むスバル。

 

「ちょっとスバル!?この呪文はフブちゃん達を元に戻す為には必要な事なのよ!お願いだから頑張って唱えて!」

 

「ヤダよこんなクソみたいな呪文!ちょこ先が言えば良いじゃんか!?」

 

「……ほ、ほら、ちょこはその、妹キャラって感じじゃないから……」

 

「じゃあルーナだって兄ちゃんの妹分だろうが!?もうルーナが唱えろよ!」

 

「あ?ルーナだってこんな鳥肌立つようなクソ詠唱したくねぇよ!」

 

「ちょ!?ルーナちゃん語尾取れてるって!?」

 

誰も呪文を詠唱したくない為に皆して押し付け合いをするスバル達。結局その後ある程度街を破壊されたが連絡を受けてやって来た玲二によってフブキ達と街は無事に元に戻ったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ~、なんだこの地獄企画並の疲労感……?」

 

「まぁまぁ、それでもちょこ達も元に戻れたんだから良いじゃない♪」

 

「みんなぁ〜、ホントにゴメンなぁ〜……」

 

「大丈夫だって。私達も元に戻れたんだし♪」

 

「せやな〜。あのままゴリラみたいな腕のまんまやったらどうしようかと思っとったけどな……」

 

「けどホントに疲れたのら〜……」

 

玲二のお陰で元に戻れたスバル達。ぼたんは相変わらず熱っぽそうな感じでベッドで横になっているが、取り敢えず一先ずは大丈夫だろう。

 

「はぁ~、結局ちょこ達も神羅族としてはまだまだって事ね……」

 

「でもこればっかりは仕方がなかった事だし、兎に角皆無事だったから良かったって事で良いんじゃない?」

 

「ん~、そだね。取り敢えず今日はもう疲れたから寝るとすっか。子供達も眠たそうにしてるしな」

 

「うみゅ……」

 

スバルに抱っこされてウトウトしてるカケル。他の子も眠たそうにしているので取り敢えずスバル達はそのまま眠りにつくのであった。

 

 

 

 

 

神羅file04

神羅族は唯一神羅風邪という病気に掛かる事がある。その間は力のコントロールが効かなくなる




はい、という事でぼたんが神羅風邪を引いてしまい暴走する回でした!まだまだ風邪とか引きやすい時期なので皆さんも体調管理はしっかりしましょう(^^;)

次回もまたGWDWCやЯから離れてEN回!あの双子が玲二の元にやってきます!次回もまったりと待って頂ければ幸いです、ではまた!


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EP20『愛しのご主人』

デストロイゲットォーーーッ!だけどデケェーーーッ!?MGサザビーVer.Ka並みの箱のデカさ、持って帰るの大変でした。しかも作る時間もなかなかない……(T_T)

今回はEN組よりあの二人が登場!リアルでも来日が決まった二人ですが、はたしてどんなドタバタを繰り広げられるのか?今回も最後まで見て頂ければ有り難いです、ではどうぞ!



三月上旬、季節的には春に差し掛かった今日此の頃、俺は今もЯについていろいろと調べていた。だが……

 

「…………あれから驚く程に何も起こっていない。Яの被害にあった人達は今は普通に回復して日常に戻っているが、それ以降何の反応も示さないでいる……奴等は一体何を考えているんだ?」

 

奴等は前に言っていた、目的なんてモノはないって。奴等にとって破壊こそ自分達の遊び、それ以外の理由なんて本当にないんだろう。なのにそんな奴等が何故あれ以来何もしてこない?

 

「…………何か行動に移せない理由があるのか?それとも、何かの準備をしているとかか……何れにせよ警戒するに越した事はない。皆にも引き続き奴等の動向を探ってもらわないとな」

 

取り敢えず今は警戒する以外は特に何も出来ないな。一応他の神羅族の為のガンプラは用意したし、GCPDの皆にも全部ではないが事情を話して協力してもらう事は出来たから一先ずは様子見といくか。

 

―コンコンッ―

 

「ブレイン、ちょっと良いでしょうか?」

 

「ん?リシェッタか、開いてるから入って良いぞ」

 

―ウィーンッ―

 

「失礼します、ブレイン。本日到着予定のEN組がたった今神羅城に到着しました」

 

「ほらダーリン、皆待ってるんだから早く行きましょ♪」

 

扉が開きリシェッタとはあとがEN組が到着した事を報告してくれる。そういや今日だったか、一部のEN組が移住するのは。

 

「そっか、有り難うなリシェッタ、はあと。それにしても二人とも、またイメチェンしたのか?」

 

「えぇ、ブレインが完全な神羅族になったお陰で眷属である私も自由に力を使えますからね。30MSのオプションパーツは幅広く使えてお洒落に便利です♪」

 

「良いわよね〜そのイメチェンの仕方。でもダーリン、はあちゃまのポニテも可愛いでしょ〜♪」

 

そう言ってリシェッタは茶髪のロングヘアーを手で靡かせはあとはくるっと回ってポニーテールにした後ろ髪をみせる。はあとは簡単なイメチェンだが、リシェッタの場合は以前と違い無限とも言える力を俺から常に受けているお陰でほぼほぼ人間サイズになり、更には自分の意志でヘアースタイルやボディを替える事が出来るようになっている。改めて聞くと随分便利な能力だよな?

 

「そっか、それは良かったな。それじゃあ早速新しく来たEN組に会いに行くとするか」

 

「はい、では早速参りましょう」

 

「ほらダーリン、急がないと新しい娘達が待ちくたびれちゃうわよ♪」

 

そう言いながらリシェッタとはあとはそれぞれ俺の腕に抱きつき肩に寄り掛かってくる。幾ら妻と眷属とはいえやり過ぎるとフブキに怒られるから程々にしてほしいんだがな……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから十数分後のリビングにて……

 

「それじゃあ皆!この人がホロライブ日本支部支部長でぐら達の婚約者、レイジだぞ!」

 

『おぉ〜……!』

 

「いや婚約者とかの説明はいらんだろ?」

 

リビングに到着すると其処にはEN組を迎える為に一時戻ってきたぐらとキアラとカリオペ、そして今回ENからこのホロライトシティに移住を決めた四人の姿があった。成る程、やっぱりまだ全員は来ないみたいだな?

 

「えっと、直接会うのははじめましてですね佐々木支部長。改めて、天使と悪魔のハーフのIRyS(アイリス)です♪」

 

「あぁ、久しぶりだなアイリス。リモートでは何度も話した事はあるが、よろしくな」

 

まずは天使と悪魔のハーフという割と珍しい混合種のIRyS(以降はアイリス)だ。彼女は何度か日本支部にやって来た事はあったがその時はタイミングが合わず会えなかったんだよな。

 

「次はワタシね。はじめまして支部長さん、クロにちは〜♪完全無欠、またの名を『オーロ・クロニー』でーす♪ハコスがお世話になってるみたいですが、ワタシの事もよろしくお願いしまーす♪」

 

「あぁ、けどハコスは俺じゃなくて拓哉が面倒見てやってるけどな」

 

次は時を司る監視者『オーロ・クロニー』だ。こいつは拓哉の嫁の一人である『ハコス・ベールズ』と同期であり、所謂EN2期生に当たるメンバーだ。2期生はハコスが先にこの街にやって来たけどそのまま拓哉と交際して嫁いだもんだから他のメンバーもかなりびっくりしたらしいな……さて、残るは二人か。

 

「「〜♡」」

 

…………な、なんだこの二人?なんで俺を見ながら顔を赤らめて尻尾振ってるんだ?確かこいつ等は自称『魔界乃番犬』の『フワワ・アビスガード』と『モココ・アビスガード』だよな?俺、こいつ等と初対面の筈だよな?

 

「あ、あの、二人も自己紹介してもらってもいい「「BAUBA〜U!ご主人〜♡」」ってうぉッ!?」

 

なッ!?なんだいきなり?!なんかアビスガード達がいきなり抱きついてきたんだが!?それにご主人!?誰が?!俺が!?

 

「やっと会えたねご主人♡フワワ、ずっとご主人に会うために頑張ったよ!褒めて褒めて〜♪」

 

「モココも!ご主人に会うために人の姿手に入れたんだ〜♪」

 

「ちょ、ちょっと待て!?いきなりご主人ってなんの事だ?!俺とお前達は今日が初対面だろ?!」

 

「「……………………え?」」

 

……え?な、なんだ?いきなりアビスガード達が真顔になって振ってた尻尾もピタッと止まった。ほ、本当になんなんだ?

 

「……ご主人、それ本気で言ってるの?本当にモココの事忘れたの?あんなにいっぱいモココの身体触ってくれたのに?」

 

「ご主人、フワワの事忘れちゃった?フワワはご主人の事一度も忘れた事なかったのに……?」

 

「い、いや忘れるも何も俺が君達と会うのはこれが最初……ってか身体触ったってどういう事だよ?!」

 

「……レイジ、ぐら達の知らないとこでそんな事してたんだ?」

 

「だ、ダーリン、はあちゃまという最愛の嫁がいるのに他の娘にそんな事してたなんて……!?」

 

「ブレイン、最低です」

 

ウッ!?ぐ、ぐらとはあととリシェッタからの冷たい視線が痛い……アイリスとクロニーもオロオロしちゃってるしどうすんだよこれ……ってキアラ、カリオペ、なんでちょっと笑いを堪えてんだ?

 

「……おい二人とも、なんでそんなクスクス笑いを堪えてんだよ?」

 

「クッククク……ご、ごめんなさいレイジ、まぁ貴方が覚えてなくてもしょうがないわよね?」

 

「そうね、あの時とはこの子達の姿変わっちゃってるモノね。それだとこの子達の事を気づかないのも無理ないわ」

 

「姿が変わってる?一体どういう………………あ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キアラとカリオペに言われて俺はある事を思い出した。それは俺がまだスタッフリーダーをしていてEN支部に出張に言った時の事だ。その二日目、天気は生憎の大雨で急いで仕事場に向かう途中、ふと見た路地裏で段ボールの中で震える二匹の子犬を見つけたんだ。俺はそいつ等が可愛そうでそのまま仕事場に連れてって面倒見てあげたんだ。

 

最初こそ怯えたり警戒されたりしたが、その後すぐに警戒心を解いてくれてめっちゃ懐いてくれた二匹を俺は出張中は面倒見る事にした。それにEN組もこの子達を気に入ってくれて事務所で飼ってくれると言ってくれたし、取り敢えずはこの子達はもう安心だな。そう思ってたんだが予定よりも帰国する日が早くなりそのまま帰国しようとするが、子犬達が俺と離れたくないのかずっとズボンに噛みついて離れようとしてくれなかった。

 

だが流石に帰らないといけない為に俺は二匹を抱き寄せ頭を撫でて落ち着かせ、最後に一言声を掛けてやった。

 

「大丈夫、またすぐに会えるから。その時は俺の故郷でいっぱい遊ぼうな」

 

そう言ってやると二匹は理解してくれたのか悲しそうな鳴き声を上げるも俺から離れてくれた。こうして俺は二匹に約束して日本に帰国したのだ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……お前等、まさかあの時の子犬達なのか?」

 

「ッ!ご主人、思い出してくれたの!?」

 

「BAUBAU!ご主人思い出してくれた〜♪」

 

「い、いやまぁ……っていうかなんで二人とも人型になってんだよ!?お前等まさか獣人だったのか?!」

 

獣人族の中では一部だけだが人型と獣型に変化する事が出来る者がいるのは知ってる。現に龍人族だがココがドラゴンに変身出来るからな。だが変化ったって長時間は出来ないし、何よりあの頃の二匹は雨に濡れて弱ってたからそういう時は変化出来ない筈だろ!?どういう事なんだ一体!?

 

「ううん、フワ達獣人族じゃないよ。でもこより先輩がくれた薬のお陰でフワ達獣人族になれたの!」

 

「だからモコ達ご主人に会いに来たの!」

 

「こよりがくれた薬……?!あいつ何また変なモン作ってんだよ!?」

 

そういやあいつ自分の神羅の血を採取していろんな薬作ってたな!?もしやその時作った奴をEN組に渡したのか?!何考えてんだあのバカコヨーテッ!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へっくち!」

 

「あれ、こよちゃん風邪引いちゃったの?」

 

「ほら、雪解けしてきたとはいえまだ寒いんだからちゃんと温かい格好しないと」

 

「ズズッ……うーん、でも神羅族になってから風邪とかも引かなくなったのになぁ……?」

 

「あ、もしかして誰かこよりの噂してたりすんじゃない?」

 

「そうなのかなぁ?あ、もしかして玲二君だったりして〜♪」

 

『ぱっぱ〜♪』

 

その頃、玲二の怒りを察知したのかくしゃみをするこより。呑気に子供達とはしゃいでいるが、この後帰宅した際に玲二からこっぴどく叱られるのは言うまでもない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「BAUBAU〜♪ご主人〜♡」」

 

「………どうしたもんかなぁこれ?」

 

あれから三十分程経ったがアビスガード達の二人はずっと俺に引っ付いて離れようとしない。ずっと俺の胸元に頬を擦り付けてくるし千切れるんじゃないかって程に尻尾振ってるし。はあとやリシェッタにアイコンタクト送っても苦笑いされるだけだし、本当に勘弁してくれよ………

 

「うぅ~……おいお前等!いい加減レイジから離れろよッ!」

 

「「?なんで?」」

 

「なんでじゃない!レイジはぐらの婚約者だ!お前等なんかに大切なレイジは絶対に渡さないんだからなぁーーーッ!!」

 

「いやそれ言ったらはあちゃまはダーリンの奥さんなんだけど?」

 

「私もブレインの眷属ですし」

 

いやややこしくなるから張り合うな。しかもぐらの婚約者という言葉にアビスガード達がムッと顔を顰めてぐらを睨み返す。

 

「そんなの関係ないもん!ご主人はフワワ達の番になるんだもん!」

 

「そうだよ!モココ、ご主人と番になって可愛い赤ちゃん沢山産むもん!」

 

「お、おいお前等そんなに引っ付くなって!?」

 

てか番って、お前等まで俺に迫ってくるのかよ!?最近莉々華とらでんとも籍を入れたがそん時フブキに

 

「ホント、この人は何処まで嫁作る気なんですかね〜?(怒)」

 

って小言言われたばっかなのに!?本当に今更だがなんで皆俺に執拗に迫ってくるんだよ?!

 

 

 

※此処で彼の周りにいる知人達から何故玲二がモテるのかを聞いてみた。

 

 

社築の場合

 

「玲二がモテる理由?まぁあいつは昔から筋が通ってない事は嫌う奴だからな。どんな事でもまっすぐに取り組むその姿勢が皆を引き寄せてるんだと思うぞ。それにトップマネージャーをやってもらってから改めて感じたけど気遣いがもの凄く出来てんだよ。毎回差し入れしてくれる時皆の分纏めてじゃなくてそれぞれの好きな物を個別に用意してくれるしな」

 

剣持刀也の場合

 

「レイ兄さんは逆にモテようなんてこれっぽっちも思ってないからモテるんじゃない?ほら、変にモテようなんて考える奴って大体空回りして失敗ばっかしてるし。レイ兄さんの場合はあくまで自分がそうしたいからそうしてるってだけだろうし、そんなレイ兄さんに皆惚れてんじゃないかな?」

 

中川圭一の場合

 

「彼は何度か中川グループの会合や派出所で会ってるけど、とても真面目で一度決めた事は何があっても成功させるという意気込みを感じるよ。しかも一人でなんとかしようとは思わず必要があれば周りの手助けをお願いしたりして、決して独りよがりじゃなく皆で良いものを作ろうとしているんだ。此処だけの話ですが彼、うちの署内でもかなり人気があるんですよ」

 

飛鳥新の場合

 

「やっぱり何時も真剣に物事を取り組んでいる姿勢の反面、時々子供っぽい感じがするのが理由じゃないですか?あの人意外にも負けず嫌いらしいですし、勝負に勝った時は子供のようにはしゃぐってフブキさんが楽しそうに言ってましたしね。多分モテる男ってそういう人を言うんじゃ………なんで俺の顔じっと見てるんですか?」

 

ましろ爻の場合

 

「やっぱりあの大きくて太くて立派なおち―以下、不適切な発言が続いたので省略します―

 

 

 

…………なんか今変なインタビューが流れた気がするが?ま、まぁそんなのは良いとして、本当にこの状況をどうにかしないとな……

 

「ブレイン、もうこのままだと埒が明かないので例の如く何かで勝負を決めたら良いんじゃないですか?」

 

「おぉ、それだ!よーしお前等!今からぐらと勝負してぐらが勝ったら潔くレイジの事を諦めろ!もしぐらに勝てたらレイジとの交際を()()()()()!」

 

「ッ!それホント!?」

 

「アァ、ぐらハウソツカナイ」

 

「よっしゃー!なら早速やろうよ勝負!」

 

…………おいぐら、お前完全に悪い顔してるぞ?しかも今の勝負の条件、仮にぐらが負けたとしてもあくまで考えるだけだから意味なくねぇか?って最初からそれが狙いか……もしかして、どっちにしろ俺との交際を認めさせないという俺への気遣いのつもりなのか?

 

「それじゃあ早速勝負事を決めよう!内容はぐらが決めるから待ってろよ!」

 

「BAUBAU!絶対に負けないから!」

 

「勝ってモココ達はご主人の番になってやる!」

 

そして何時もの如く俺の意志を無視して話が進められていく。はぁ、なんで何時もこうなるんだろうか……?

 

「まぁ元気出してダーリン、例えどんな結果になってもはあちゃま達はダーリンの決断についてくから♪」

 

「えぇ、ブレインが決めた事なら私達はそれに従いますから」

 

「……二人とも、すまないな」

 

そんなはあととリシェッタはどんな結果だろうと俺に従ってくれると言ってくれた。本当、俺には勿体ないくらいに良い娘達だよ。

 

「まさか日本に来てこんな恋愛模様を見る事になるなんて……」

 

「噂には聞いてたけど、流石ササキ日本支部長だね……」

 

「えぇ、なんたって私達が惚れた男だからね♪」

 

「普段はなかなか面と向かって言えないけど、私達もぐらと同じくらい彼の事が大切だもの。こんな死神の私ですら受け入れてくれるんだから♪」

 

そんなやり取りを見ていた他のEN組も玲二の恋愛模様にそれぞれ感想を述べていく。こうして決まったぐら対フワモコの対決、はたして勝つのはどっちだ?

 

 

続く………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オマケ

 

[ギギッモウスグウマレル]

 

[アラタナチカラ、シンラノチカラノタイコウサク]

 

[メザメル、ウマレル]

 

とある廃屋の地下、其処はかつて大友がこの世界にいた時に使用していた別荘だったが、世界が変わった際に唯の廃屋となり誰も寄り付かずにいた。しかし、そんな地下室の天井に()()()()がぶら下がっており、少し経つとそのうちの二つに亀裂が入り……

 

―パキッピキピキッ……―

 

―ズルゥ……ドチャッ!―

 

その中から二人の女性が裸の状態で現れ床に落とされた。繭から産まれた二人は少し経つと目が覚め、虚ろな瞳のまま目の前の黒い靄をじっと見つめていた。

 

[ギギッオハヨウ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ラプラス、ルイ]

 

 

 

 

神羅file05

Яは常に学習し成長する。但し、その行動思考はあくまで破壊である




はい、という事でフワモコ登場!そして一緒にアイリスとクロニーも登場です(^o^)
次回はフワモコとぐらが対決!ぐらはフワモコをレイジと結ばせまいと自分に有利なバトルを仕掛ける……が、フワモコのまさかな戦い方に戦況は一変し……!?

次回もまったりと待って頂ければ幸いです、ではまた!


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EP21『二人で一人』

昨日は休みだったのでMGのνガンダムVer.Kaを組んだり新しく買った棚に積みプラを移したりして有意義な一日を過ごせました。やっぱり休みは素晴らしい!さて、今日も元気に仕事にいくか!

今回は前回に引き続きフワモコとぐらの対決!ぐらは一体どんなミッションを仕掛けるのか?今回も最後まで見て頂ければ有り難いです、ではどうぞ!


日本に移住する事になったEN組の中で玲二を主人と慕うフワモコ。しかしその二人を俺から引き離そうとぐらが立ち塞がり対決をする事になった。また面倒な事になってしまったが、一体どうなってしまうのやら……

 

「じゃあバトルの内容を発表するぞ!バトルは『目覚めし厄災』、GWDWCの予選ミッションと同じ内容だ!今からぐら達三人でこのミッションのターゲットのハシュマルと戦って、最初に撃破した奴が勝利だ!」

 

「BAUBAU!望むところだよ!」

 

「要はこのでっかい奴を倒せば良いって事でしょ?ならモココこういうの得意だよ!」

 

成る程、まさかのGWDWCのミッションを引っ張ってきたか。だがこれは明らかにぐらが優勢じゃないか?ぐらは既に一次予選を突破している。つまりこのハシュマルのミッションも当然クリアしてるわけだ。

 

それに対しアビスガード達はランクはブロンズの3、ガンプラウォーズは最近始めた程度だし、なんならGWDWCという大会がある事すら知らなかったレベルだ。そんな二人がぐら相手にまともに戦えるのか?

 

「それじゃあお互いにガンプラをセット!」

 

「「セット!BAUBAU!」」

 

ぐらの合図と共に三人がそれぞれのガンプラをセットする。ぐらは自分の愛機『シャーグラトニーガンダム』か。対するアビスガード達は……あれは、『ガイアガンダム』と『ラゴゥ』の改造機か?

 

 

『HG シャーグラトニーガンダム』

『機動戦士ガンダム鉄血のオルフェンズウルズハント』に登場したガンダムアスモデウスを改造したぐらのオリジナルガンプラ。バックパックに30MSのシアナ=アマルシアのヴィヴァーチェフォームのアームを改造したシャークアームズを装備しており近距離でのサブアームとして利用する他、アームの口内にある錨型のフックショットで敵を捕縛する事が出来る。

 

 

『HG フワワガンダム』

『機動戦士ガンダムSEEDDestiny』に登場したガイアガンダムを改造したフワワのオリジナルガンプラ。カラーリングはフワワをイメージした薄い青色に変更されている他、各部位にある仕掛けが施されており……?

 

 

『HG モコゴゥ』

『機動戦士ガンダムSEED』に登場したラゴゥを改造したモココのオリジナルガンプラ。カラーリングをモココをイメージしたピンク色に変更されている他、各部位にある仕掛けが施されており……?

 

 

…………これは、明らかにアビスガード達が不利じゃないか?あの二機はSEED製のMS、しかもどちらもビーム兵器が主流の機体だ。このハシュマル戦においてはそもそもビーム兵器の使用は不可能、もしかして二人はその事を知らないのか?

 

そんな事を考えてたら三人ともゲームエリアに到着し、目の前には今回の討伐対象のハシュマルが三人を睨みつけるかのようにビームの発射口が赤く光っている。

 

 

『HG モビルアーマーハシュマル』

『機動戦士ガンダム鉄血のオルフェンズ』に登場した無人のモビルアーマー。300年前の厄祭戦の発端となったモビルアーマーであり、「敵を倒す事」をコンセプトに開発されていたが機械化が進み過ぎた故にその思想は「人を殺す事」がコンセプトに変貌を遂げ暴虐の限りを尽くす殺戮兵器へと変貌してしまった。オルフェンズにおいては珍しくビーム兵器を内蔵しており、更にモビルワーカーに似た無人随伴機『プルーマ』を引き連れての物量戦も可能である。

 

 

―BATTLE START!―

 

 

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!」

 

戦闘開始のアラームが鳴り、まずはアビスガード妹……いや、呼びづらいからモココで良いか。モココのラゴゥが勢いよくハシュマルに突っ込んでいく。だがラゴゥにはハシュマルに有効的な実体兵器なんてあったか?

 

「BAUBAU!モココの牙で斬り裂くぞーーーッ!」

 

―ジャキィンッ!―

 

なッ!?ラゴゥの口元にあるサーベルからビームじゃなくて実体剣が伸びた!?

 

「どりゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」

 

―バキィンッ!―

 

『――――――――――――ッ!?』

 

おぉ!モココの先制攻撃がハシュマルの右腕にヒットした!流石に斬り落とす事はなかったが、それでもダメージを与えて怯ませたとは凄いぞ!

 

「な!?そんな、SEED系のガンプラでなんで実体剣なんて使ってんだよ!?」

 

「別にいーじゃん!モココ、ビーム兵器とかあんまり好きじゃないからそういうの全部外して実体兵器に変えたの!」

 

成る程、モココは実体兵器派なのか。なんか最近は予選ミッションの影響か実体兵器派が多くなっているみたいだけど、あいつの場合はそれとは関係なくビーム兵器が合わないんだろうな?それとぐら、別にSEED=ビーム兵器ってワケじゃないだろ。最新映画でもフリーダムが実体剣使ってたし。

 

「モコちゃんナイス!フワワも一気にいくよぉ〜!」

 

続いてフワワが左腰にマウントしてあるサーベルを取り出してハシュマルに斬り掛かっていく。あれは、30MSのオプションパーツのエネルギー武装に入ってる実体刃の剣か。あれビーム兵器と実体兵器と使い分け出来るから人気なんだよな。

 

「BAUBAUBAUBAUーーーッ!」

 

―ガキィンッ!ガキィンッ!ガキイィンッ!!―

 

『――――――――ッ!!』

 

おぉ効いてるな。ガイアの身軽な動きにハシュマルが翻弄されている。これはかなり意外な展開だな。

 

「うぐぐ、まさかあの二人が此処までやるなんて…………お?フッフッフ……♪」

 

?なんだ、ぐらの奴何かに気づいてニヤけてるが……ッ!あれは、プルーマか!あれはハシュマルが一定のダメージを受けたら出撃される設定にしているが、ぐらは一体何をしようってんだ……?

 

「クッククク……ハーッハッハッハァーーーッ!新米の二人にこれ以上好き勝手させるもんか!ぐらの力を思い知れーーーッ!」

 

―ガコンッ!バシュウッ!―

 

ッ!ぐらのシャーグラトニーのバックパックのシャークアームズからフックショットを放ってプルーマを捕縛した?一体何を……まさか

 

「どおぉりゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあッ!!」

 

―ブオォンッ!ガッシャアァンッ!!―

 

「「キャアァァァァッ!?」」

 

やっぱり!ぐらの奴フックに繋がったプルーマ二機を振り回してアビスガード達にぶつけやがった!

 

「わぁ、これはかなり大胆な妨害ですね……」

 

「てかダーリン、これってルール的にありなの?」

 

「あぁ、予選ミッション版では個人で行うから関係ないがこうしたレイド式の場合は普通にありだ」

 

そもそもガンプラウォーズのレイドバトルにはフィニッシュボーナスはなく、与えたダメージ数で評価が決まる仕組みになってる。だから今回のように最初に撃破した奴が勝利というのを想定してないのでそういう妨害不可の設定はされていないのだ。これはシステムの穴をついたぐらの作戦勝ちだな。

 

しかもプルーマはただ投げられただけなのでほぼ無傷、つまりすぐに再起してしまう。そうして目の前にいるアビスガード達を標的と認識し襲いかかっていく。

 

『―――――――――ッ!』

 

「わわッ!?なんかちっこいのが来た!?」

 

「モコちゃん!こいつ等倒しても意味はないから動きを封じて本体を叩こう!」

 

フワワがモココに指示を出すが、プルーマはすばしっこく二人の周りを旋回しながら尾のようなドリルで二人に少しずつダメージを与えていく。これはかなり面倒な敵だな……対するぐらは

 

「うおぉぉりゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあーーーッ!!」

 

―ガキィンッ!ズカアァッ!―

 

三又の槍『アトランチス』を振り回してハシュマルの関節部を集中的に攻撃していく。流石に一次予選を突破しただけあって効率良くハシュマルを攻撃しているな。だが……

 

 

 

『―――――――――――――――ッ!!!』

 

 

 

―キュイィィィンッ……!―

 

 

 

「ッ!ヤバ……ッ!?」

 

 

 

―ビュオォォォォォォォォォォォォォォォオンッ!!―

 

 

 

「「…………え?」」

 

 

 

―チュドオォォォォォォォォォォォォォオンッ!!―

 

 

 

ハシュマルの頭部が口のように開き、其処から極太のビームが発射された。ハシュマルはオルフェンズの機体の中では珍しいビーム兵器を搭載している。これはナノラミネートアーマーを施されたMSには抗力はないが、原作では人を効率良く殺す為の兵器として使用されていた。そしてそのビームが三人を貫くかのように発射されたのだが、ぐらのシャーグラトニーはオルフェンズベースの機体だからダメージは薄いか殆ど効いてないだろう。けどアビスガード達はSEED系のMS、ビーム兵器は普通にダメージが通るから今のをもしまともに喰らったのなら……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「痛た…………も、モコちゃん大丈夫?」

 

「な、なんとか〜……」

 

あ、どうやら無事みたいだな?だが流石に躱したとしても多少のダメージが入っているようで少しふらついてしまってるな。

 

「あ、危な……直前で軌道をずらさなかったら幾らナノラミネートでも危なかったかも……?けど、ビーム撃ってきたって事はもう後僅かだ!」

 

成る程、ぐらが直前でハシュマルの発射口を攻撃して軌道をずらしていたのか。お陰で皆掠った程度のダメージで済んだが、アビスガード達が少しふらついてしまっているからこのままだとぐらが一方的にハシュマルを倒してしまうかもな?

 

「グググ、このままじゃご主人が……仕方ない、モコちゃん!()()やるよ!」

 

「お、()()だな!BAUBAーU!」

 

?二人共、一体何をするつもりなんだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いくよモコちゃん!」

 

「OK,フワちゃん!」

 

「「フワワがモココで、モココがフワワ!」」

 

「「私達は、二人で一人!いざ、魔犬合体ッ!!」」

 

 

―キュイィンッ!―

 

 

―ガコンッ!ガッシャアァンッ!―

 

な、なんだ!?いきなりモココのラゴゥが分解したと思ったらフワワのガイアと合体していく!?こ、これは……!?

 

 

―ガシャッ!ガシャッ!ガッシャーンッ!!―

 

 

「「完成!フワモコガンダムッ!!」」

 

 

『HG フワモコガンダム』

フワワのフワワガンダムにモココのモコゴゥがアーマーとなって合体した機体。スピードは若干遅くなるが、攻撃と防御が数倍に跳ね上がる。また、この時のメイン操縦はフワワになる。

 

 

「なぁ!?合体ガンプラだとぉーーーッ!?」

 

「「見せてやる!フワモコの真の力をッ!」」

 

―キイィィィィィィィンッ!―

 

ッ!?な、なんだこれは?アビスガード達のガンプラが蒼白いオーラに包まれている!?これはスキルなのか?……いや、何かが違う。これは、一体なんなんだ!?

 

―グググッ……ダッ!!―

 

『なッ!?』

 

―ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガッ!!―

 

は、速い!?アビスガード達のガンプラが一瞬でハシュマルとの距離を詰めて右腕に装備されたラゴゥの頭部に装備された剣で圧倒していく!なんだこのスピードは!?

 

「な、なんなんだそのスピードは?!ガンプラが出せるスピードを遥かに超えてないか?!」

 

「「そんなの、このフワモコガンダムには関係ないッ!」」

 

いや関係あるわ!普通に考えたら二体分の重量があるガンプラがあんなに素早く動ける筈がないのに、どういう原理で速くなってんだよ?!

 

「うぐぐ……これ以上はやらせないんだからなぁーーーッ!!」

 

だがぐらもただ指を咥えて見てるだけではない。アビスガード達を妨害しようとフックショットを二人のガンプラに向けて発射する。

 

「「そんなの、当たりっこしないよッ!魔犬変形ッ!!」」

 

―ガッシャアァンッ!―

 

「何ィーーーッ!?」

 

だがフックショットが当たる直前で二体が分離してこれを回避、しかも今度はフワワのガイアがMA形態に変形し、その状態でモココのラゴゥがアーマーとなって合体していく。

 

 

「「完成!フワモコゴゥッ!!」」

 

 

『HG フワモコゴゥ』

MA形態に変形したフワワガンダムとモコゴゥが合体した機体。機動性が増し、装甲面も充分な防御力を誇る。この形態の時はモココがメインで操縦する。

 

 

「「これで決めるッ!ガルルルルルルルルルウゥ………ッ!」」

 

―ブオォォォォォォォォォオンッ!!―

 

合体するやいなやアビスガード達のガンプラがドリルのように凄まじく回転し始めた。こ、これは、とんでもないエネルギー量だ……ッ!?

 

 

 

 

「「天元突破!フワモコゴゥッ!魔犬螺旋インパクトオォッ!!」」

 

 

―ギュイィィィィィィィィィィィィィインッ!!―

 

 

『―――――――――――――――――ッ!!?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―カッ……ドゴオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォオンッ!!―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………な、何がどうなったんだ?アビスガード達の機体がハシュマルに突っ込んだと思ったら画面が強く光って凄まじい爆音が鳴り響いたんだが?それで勝敗は………

 

 

 

 

 

―WINNER FUWAWA&MOKOKO―

 

 

画面にはアビスガード達の勝利を示すリザルト画面が表示されていた。これはつまり、アビスガード達の勝利で終わったという事だ。

 

「うがぁーーーーーッ!負けたぁーーーーーッ!!」

 

「あらら、ぐらちゃんがすっかり荒れちゃってるわ」

 

「まぁ一度クリアした事のあるミッションで負けたとなると悔しいですもんね」

 

「まぁこればっかりは仕方がない。アビスガード達が一枚上手だったという事だ―ドサッ……―え……?」

 

な、なんだ?アビスガード達が突然倒れてしまったぞ!?大丈夫かおい?!

 

「お、おいアビスガード!大丈夫か?!」

 

「BAUBA〜U……ご主人、モココ達疲れちゃった〜……」

 

「ご主人、フワワ達勝ったよ……だからこれで、ずっと……一緒に……いら……れ…………」

 

?…………寝てしまったみたいだな。それにしても、たった一回プレイしただけでこんなに疲労が溜まってしまうなんて……もしかして、あのスキルみたいな不思議な力の所為か?

 

「……この子達、よっぽどダーリンと一緒にいたかったみたいね」

 

「えぇ、ブレインを想う強い気持ちが、あのような不思議な力を発揮させたのかもしれません。これは、否応にも認めるしかないんじゃないですか?がうる・ぐら」

 

「…………まぁ、フブキ先輩達が良いって言うなら考えなくはないさ」

 

二人の頑張りを見てはあとやリシェッタも認め、ぐらも素直ではないが二人を認めてくれたみたいだな。なら、俺も拾った責任として二人を大切にしてやらないとな。

 

「……よく頑張ったな。偉いぞフワワ、モココ」

 

「「……BAUBA〜U、エヘヘ〜♪」」

 

寝ている二人の頭を撫でてやると二人して嬉しそうに笑っている。これからよろしくな、フワワ、モココ。

 

こうしてEN同士の対決はフワワとモココの勝利で終わった。そして後にフワモコの事をフブキ達に連絡すると、最初は何時もの如く小言を言われてしまったが、二人の経緯を聞くと溜め息混じりながらも二人を家族として迎え入れる事を決めてくれた。まぁ、あくまで婚約者“候補”としてだけどな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その夜……

 

「……………………なッ!?こ、これは…………ッ!?」

 

俺は昼間のバトルで見せたフワモコ達の力がやはり気になってあのバトルのデータを解析していた。すると、其処には驚くべき数値が示されていた。

 

「バトラーとガンプラの同調率……114%!?なんなんだこの数値は?!」

 

今までガンプラをまるで自分の手足のように扱っていたバトラーは数多くいたが、これは最早そんなレベルではない!これはまるで………()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「今まで見てきたバトラー達のガンプラとの同調率を遥かに超越している。これは……少し調べる必要があるな」

 

フワモコが見せた同調率100%超え……一先ずはこの現象を『フルシンクロ』と名付けるか。兎に角このフルシンクロについて明日にでも二人に聞いてみるか。

 

 

 

 

 

 

神羅file06

人の思いが高まる時、ガンプラは想定を超えた力を発揮する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―オマケ―

 

薄暗い地下室。其処で産まれた二人は黒いローブを身に纏い自身の姿を鏡で確認していた。

 

「……へぇ、これが我等の新しい身体か」

 

「あぁ、なんでもあの神羅の男の家族を模した姿らしい。全く、奴等と遊ぶ為とは言え神羅族を模すとは、苛立たしいぜ」

 

そう、二人の姿は玲二の家族であるラプラスとルイに酷似していた。そしてルイそっくりな者の言葉からしてこの姿は二人をコピーして作られたもののようだ。そんな姿にラプラスそっくりな者はニヤリと笑い、ルイそっくりな者は苛立ちを見せながら一升瓶をラッパ飲みしていた。

 

「…………プハァッ!マズイ!なんで人間共はこんなマズイモン平気で飲んでんだ?苛立たしい!で、これからどうすんだよラプラス?」

 

「ラプラス?……あぁ、この身体のオリジナルの名前か。その名も良いが、もっと我に相応しい名が欲しいな。お前もそうだろ?」

 

「あぁ?まぁ確かにオリジナルと同じ名前なんて苛立たしいな。じゃあなんて名前にすんだよ?」

 

そう言われてラプラスそっくりな者は少し考える。そして天井に張り付いている自分達が産まれたのと同じ繭を眺めて何か閃いたようにニヤリと笑う。

 

「クククッ……我等は七人、この数字は確か、この世界の人間共が自分達の罪とか言って勝手に付けてる七つの大罪とかいうのがあったな?よーし、我等もそれに肖って我は強欲の『グリード』、そしてお前は憤怒の『ラース』だ!どうだ、良い名であろう♪」

 

「憤怒だぁ?ケッ!苛立たしいぜ……まぁだが名前は気に入った。オッシャアッ!なら今日からオレは憤怒のラース様だ!フフフ……ヒャアァーッハッハッハァッ!」

 

―ブォンッ!パリイィンッ!―

 

ルイそっくりな者、改めラースは空になった一升瓶を思いっきり壁に叩きつけ高笑いをする。そしてラプラスそっくりな者、改めグリードは再び繭に目をやり手を大きく広げていく。

 

「クククッ……さぁ、早く産まれてこい。そしてこの我と共に神羅と心ゆくまで壊し合い遊ぼう。全ては我等()()()の為に……♪」

 

新たに誕生したグリードとラース。そして未だに目覚めぬ繭。無呪羅と名乗る彼女等が、物語を更に歪めてゆく…………

 

 

 

 

 

神羅file07

Яは神羅族同様、新たな生命を作り出す事が出来る。




はい、という事でフワモコの勝利でした!ですがフワモコが見せた力とは一体何なのか?これは後々に判明していくと思います。

そしてЯ達によって生み出されたグリードとラース。彼女達がこの物語にどう絡んでくるのか……?

次回はいよいよ一次予選突破のメンバー発表!そしてマリンの前に現れる謎のバトラーが……?次回もまったりと待って頂ければ幸いです、ではまた!


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EP22『ガンダリウムハンター』

23日の日にガンプラを買いに行って予算的にとあばたーふみなとブラックナイトだけにしてゲルググメナーズは諦めたんですが……今となっては間違いだったと後悔してます(T_T)

今回は久しぶりのホロプラで何やら事件が……?今回も最後まで見て頂ければ有り難いです、ではどうぞ!


「…………ふむ、これでGWDWC一次予選を突破したホロメンは全てか」

 

「はいご主人様、それにしても結構な人数が残りましたね」

 

フワモコの一件が落着してから数日後。あれからGWDWCの予選もかなり進み、今俺達は確定で予選突破したメンバーを確認していた。現在はこのようになっている。

 

 

一次予選突破

 

そら

すいせい

ロボ子

フブキ

まつり

あやめ

シオン

スバル

ミオ

ころね

フレア

ノエル

トワ

かなた

ラミィ

ぼたん

ねね

ルイ

いろは

ぐら

カリオペ

シロ

ヒメ

ヒナ

 

「大凡三分の二ってところか」

 

「はい。まだ諦めてない娘もいますが、やはり高難易度のミッションばかりなのでなかなか思うように進まないらしいです。特にポルカさんのようにクイズミッションに苦戦する人が多数いるようで」

 

うーん、これは流石に難易度を上げすぎたか?……いや、それでも既に参加者の内一万人近くはクリアしている。あの新や伶、それにIS学園の生徒や閃光のアスナなんかの実力派のバトラー達もクリアしたという報告が上がっている。そういう意味では真の実力者を振るいに掛けられてこの難易度は正解だったという事だ。

 

「本戦に進む為の下準備は着々と進んでおります。しかし、それとは別に少し問題が……」

 

「分かっている。この難易度に難癖をつけてくる奴等がいるんだろ?」

 

「えぇ、それもあるのですが……実は最近、ガンダリウムハンターと名乗る輩が現れたんです」

 

「ガンダリウムハンター?なんだそりゃ?」

 

「はい、そのガンダリウムハンターはみしろ達ガンダリウムランカーに対し異常な執着心を見せているんです。どうやらみしろ達の実力を疑っているみたいで、化けの皮を剥がすと意気込んでいるようなのです」

 

……成る程な。確かに現在ガンダリウムランカーは12人……いや、この間ランクが上がった蘭達を含めて1()5()()か。その内の一部が新生アイドルな事もあってか実力を疑う者も少なくはない。現に、ムーナとみしろに至っては俺の妻というのもあってか依怙贔屓でガンダリウムランカーになったって思い込んでる奴もいるらしいからな。それだったら俺の妻全員に当て嵌まる筈だろうが、そいつ等はそんなとこまでは考えてないんだろうな。

 

「それでそのガンダリウムハンターなのですが、どうやらこの街にやって来てるようなのです」

 

「ガンダリウムハンターが?なんでまた……いや、そりゃそうか。今この街には五人のガンダリウムランカーがいるもんな」

 

現在この街にいるガンダリウムランカーはみしろ、ムーナ、築、葛葉、ライオンハートの五人。現状いるガンダリウムランカーの三分の一がこの島に、しかもこの主要都市部に住んでいる。ガンダリウムランカーを狙うなら一番効率が良いって事か。

 

「……よし、取り敢えず今いるガンダリウムランカー達にはそのような奴が来てもまともに相手をしないように注意喚起をしておこう。幸い挑発されても流せる奴等が多いからな。みしろもそういう奴等が来ても相手にしなくて良いからな」

 

「フフ、分かってますご主人様♪では他のガンダリウムランカーへの通達はみしろが行っておきます」

 

「ん、助かる……ところでヨミノトバリに行ってるるしあ達は今頃どうしてるんだ?もう出向いてから結構経つが……」

 

「さぁ……もしかして、Яが現れた、とか?」

 

…………確かに、こちらの世界ではЯがあれからなんの音沙汰もない状態になっている……もしかしたら、るしあ達の身に何かあったのか!?だとしたらすぐにでも向かわないと……!

 

―ウィーンッ―

 

「ただいまなのです」

 

「ただいまぁ~……」

 

………なんて考えてたらタイミングを狙ったかのようにるしあとあくあが戻ってきた。良かった、無事に戻って来れたんだな……ん?

 

「………るしあ、もしかしてお前、完全に神羅化してるのか?」

 

「あ、分かっちゃいました?実は神羅族のルシアからある頼み事を引き受けてしまって、そのお礼にって事でるしあに継承の儀をしてくれたのです。まぁ、その頼み事がかなり厄介なのですが………」

 

厄介な頼み事?そういやるしあとあくあの目の前になんか変な瓶が浮かんでるな?なんだこれ…………?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(あぁーーーッ!?貴様は佐々木ィッ!貴様ぁ!よくも俺をこんな目にぃーーーッ!!)

 

「うぉッ!?」

 

な、なんだ!?瓶の中にある白い靄みたいなのが急に顔みたいになって………ってこの顔、どっかで見覚えが…………あぁッ!?

 

「お、おいるしあ?この瓶に入ってるのってまさか………?」

 

「はいなのです……この瓶にはあの只野達馬鹿三人衆の魂が入ってるのです」

 

な……なんだってえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!?なんで只野の魂がこの瓶に入ってるんだよ?!というか今るしあが馬鹿三人衆って言ってたよな?という事は……!?

 

(何ィッ!?佐々木だとぉッ!?おのれ佐々木ィーーーッ!貴様よくもワシ等をこんな目に合わせてくれたなぁーーーッ!)

 

(佐々木玲二ィッ!貴様の身体を寄越せぇッ!貴様に取り憑き俺は再びこの地に復活するのだぁーーーッ!)

 

「やっぱりお前等もか!?」

 

なんでこいつ等揃いも揃ってこんな所にいるんだよ!?ていうかなんで死んでるんだこの三人は?!

 

「……実は、神羅族のルシアによればこいつ等、玲二さんに異世界に飛ばされた後別の神羅族に始末されて死んでしまったみたいなのです。その後にヨミノトバリに流れ着いたみたいなのですが、あまりにも煩くて魂も穢れきってて全く浄化されないからってるしあ達に押しつけられたのです」

 

「途中で何度か次元の彼方にぶっ飛ばそうと思ったけど、それだと他の世界に迷惑かけそうだから仕方なく此処に連れて帰ってきたの……」

 

な、成る程な……にしても他の神羅族に始末されたって、おそらくは革命派の誰かだとは思うが、なんともまぁとんでもない末路を辿ったもんだ。

 

「……で、こいつ等を一体どうするかだよな?」

 

「多分どの世界に送っても迷惑しか掛からないと思うのです……」

 

「ならばいっそ消滅させたら如何でしょうか?」

 

(な!?お、おいよせ!そんな事したら化けて出てやるからなぁッ!)

 

いやもう化けて出てるだろ?だが確か神羅の理の中に魂を消滅させてはならないっていうのもあったな。この所為でこいつ等を消す事は出来ない。でも本来浄化させてから転生させるところがこいつ等が穢れきってる所為で浄化も出来ないから転生させれない……うん、本当に迷惑極まりないな。じゃあ一体どうするか…………あ。

 

「……よーしお前等、そんなに蘇りたいなら俺がお前等に相応しい身体をプレゼントしてやるよ」

 

(何ッ!?ほ、本当か!?)

 

「え!?な、何言ってるのご主人!?こんな奴等生き返らせたらまたとんでもない事になっちゃうよ?!」

 

「あぁ分かってる。だがこいつ等をこれ以上野放しにするワケにはいかないからな」

 

(クックックッ貴様にしては良い判断だな佐々木玲二!さぁ、早く我々に新しい身体を寄越すのだぁッ!)

 

まぁそう焦るなよ。一応準備をしないといけないからな。えっとそれじゃあ……よし、これで良いな。

 

「……ん、これで準備OKだ。一応転生させるという形で赤子からのやり直しになってしまうから其処は我慢してくれよな?」

 

(ムッ仕方がないな……まぁ良い!早速我等を転生させろッ!)

 

「はいはい、それじゃあ……ほいッ!」

 

―ビカアァーーーーッ!!―

 

俺が軽く力を込めると三人の魂が瓶から解放され何処かへと飛んでいった。これであいつ等もまた生まれ変われる筈だ。

 

「……ご主人様、本当に良かったのでしょうか?幾ら赤ちゃんからの転生とはいえあのような不届き者達を世に放ってしまって……」

 

「ん?なぁに、どうせ転生させてもあいつ等はもう何も出来ないさ」

 

「………玲二さん、まさかとは思うけど何かしたのですか?」

 

まあな。そりゃ転生とはいえあんな奴等を普通に生き返らせたらまたとんでもない事をしでかすのは目に見えてるからな。あいつ等には新しい姿で今度こそ真っ当に生きてもらわないとな。

 

「さて、あいつ等の事はこれで良いとして、さっきみしろが言っていたガンダリウムハンターという奴を探しに行くとするか」

 

「そうですね、では今すぐ支度を「まましゃま〜」あら?ミナちゃん、どうかしたの?」

 

俺達が出掛けようとした時、部屋にミナが入って来てみしろに向かってトテトテと駆け寄ってきた。

 

「まましゃま、たままましゃまがよんでましゅ」

 

「たまきちゃんが?一体何が……あ、そういえば今日はコラボ配信の日でしたね。ご主人様、申し訳ありませんがみしろはこれから配信に行って参ります」

 

「そっか、分かった。ならこの件は俺とるしあで調べてみるよ。るしあ、一緒に来てくれるか?」

 

「はいなのです。るしあも久しぶりにホロプラに顔を出したかったので丁度良かったのです♪」

 

ん、なら早速ホロプラへと行ってみるか。それと……

 

「あくあ、戻ってきて早々に悪いが、拓哉を連れてまた別の世界に行ってくれないか?」

 

「え!?またぁ?!今度は何処の世界に行けば良いの?!」

 

「あぁ、それは……此処だ」

 

俺はそう言って一枚の紙をあくあに見せる。

 

「…………あの、ご主人?この世界って……」

 

「あぁ……『ドラゴンボール超』の世界。その世界で拓哉を破壊神と創造神に会わせてやってくれ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―一時間後、ホロプラ―

 

「さて、ホロプラに着いたのは良いが……特に騒がれている様子はなさそうだな」

 

「うん……ねぇ玲二さん、なんで神代をドラゴンボールの世界に連れてったのです?るしあ達の世界には特に関わりはない筈だけど……?」

 

「あぁそれか。何、今後襲い来るЯ達に対抗する為の力を付けてもらう為さ。奴等は今はガンプラウォーズの中でのみ活動しているが、それが何時現実世界に襲い掛かって来てもおかしくはない。だから何時でも戦えるように強くなってもらおうと思って送ったのさ」

 

最も、それがどれくらい通用するかは分からない。幾らドラゴンボールという世界が戦闘力がずば抜けて高い世界とはいえ元は物語の世界、それが神羅族やЯとどれくらい対抗出来るのかまでは不明だ。けど、やらないよりかは全然マシだ。

 

「まぁ拓哉なら絶対に強くなって戻って来るさ。なんだったら超サイヤ人になって戻って来たりしてな?」

 

「そ、それは、幾ら拓哉さんが転生者だからって無理があるのです……あ、玲二さん、彼処にいるのってムーナちゃんじゃないですか?」

 

ん?あ、本当だ。何やら皆が集まっている中でムーナが誰かと揉めてるな。もしかして、あれがガンダリウムハンターか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ハァ、だから私は貴方とは戦わないって言ってるでしょ?」

 

「グヌヌ……ハッ!やっぱガンダリウムランカーなんてそんなモンか!本当は俺みたいな強い奴と戦って負けるのが嫌だから逃げてるんだろ!?やっぱりガンダリウムランカーはそういう連中ばっかだな!」

 

「……何度も言わせないで。私とバトルしたいっていうバトラーは他にもいるの。そして皆順番を守ってバトルしてる。いきなりやって来て今すぐ戦えなんて言う非常識なバトラーとは戦わないって言ってんのよ。そんなに私と戦いたいなら、順番を守ってから挑みなさい」

 

「ウグッ……じゅ、順番って、どれくらい待てば良いんだよ?」

 

「えっとね〜……ムーナちゃんと戦いたいって人は二週間先まで埋まっちゃってるから、戦うならそれ以降じゃないとダメだね」

 

「そんなに待てるかぁーーーーーーッ!!」

 

………成る程、やはりあいつがガンダリウムハンターって奴みたいだな?にしてもムーナに戦いを挑んでいるが、ムーナと戦いたいって奴がそんなにもいるのか?流石ガンダリウムランカーの一人だな。

 

「だ、だったら他のガンダリウムランカーは!?白雪みしろや社築や葛葉とかもいるだろうが?!そいつ等でも良いから戦わせろッ!」

 

「生憎だけど、やしきずさんは最近は子育てもあるから自宅のオンラインでプレイ、葛葉さんは修行の一環で東京の方に、みしろさんは玲二さんの身の回りのお世話をしてるしレグさんも今他のガンダリウムランカーと一緒にいる事が多いから逆に皆最近は此処には来てないね」

 

「なんてこったあぁーーーーーーッ!?」

 

おい、店の中で騒ぐなよ恥ずかしい。にしてもこいつ、ガンダリウムハンターとか名乗ってるクセにそういった情報とか全然リサーチしてないんだな?周りの迷惑にもなってるし、最近では減ったと思ってたがまだこんなマナーの悪いバトラーがいたのか。仕方ない、注意して追い出すとするか。

 

「おいお前、周りのお客さんの迷惑になるからさっさと帰ってくれないか?」

 

「あ?…………あぁーーーッ!?お前は、佐々木玲二ッ!丁度良い、お前からもこの女に俺と戦うように言ってくれ!」

 

はぁ?何を言い出すんだこいつは?

 

「いや、お前のやっている事は普通に迷惑行為だろ。そんな奴をこれ以上好き勝手させるワケにはいかねぇよ」

 

「其処をなんとかッ!俺はなんとしてでも!ガンダリウムランカー達の化けの皮を剥がさないと気がすまないんだッ!」

 

いや化けの皮を剥がすって……そもそも何を思ってそんな行動に出てんだよ?

 

「俺はこのゲームでは自分こそ天才的な腕前を誇ると自負している!だがそんな俺ですら辿り着けないガンダリウムランカーという称号をこの女達は手にしている!そんなの絶対におかしいッ!だからこいつ等を倒して、俺こそが真のガンダリウムランカーに相応しいという事を証明するんだ!!」

 

「はぁ?んな事言ったって、ムーナ達は自分の力でその地位まで登り詰めたんだ、化けの皮も何もねぇよ」

 

「いいや!絶対に違うね!どうせ男共は金払って、女共はあんたに身体売ってその地位を手に入れたんだろ?!じゃなきゃこいつ等が上位に食い込むなんてあり得ねぇッ!」

 

ッ!こいつ、バトラーとして一番言ってはならない事を……ッ!ムーナやみしろ、そして築達が一体どれだけ頑張ってその地位に登り詰めたのか、こいつはまるでそれを理解してねぇ!ムーナも今の発現に怒りが湧いてるし、こんな奴がガンダリウムランカー達を侮辱するなんて許せねぇッ!

 

「おいテメ「ちょおぉーーーっと待ったあぁーーーーーーッ!!」ッ!?」

 

な、なんだ?何処からかいきなり叫び声が聞こえたが……この声、上からか?しかもこの声は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ガンダリウムランカー達を狙う不届き者め!この最強の海賊船長、宝鐘マリンが黙って見過ごすなんて出来ませんッ!!」

 

「ってやっぱお前かよ!?」

 

何してんだあの馬鹿!?いつの間に柱の上に乗っかってるんだよ?!しかもバランス悪いから足プルプル震えてるし!?

 

「な、なんだお前は?!」

 

「フッ船長ですか?船長こそ、真の九番目ガンダリウムランカー、偉大なる航路の宝鐘マリンですッ!」

 

おい何シレッと嘘ついてんだよ!?お前ガンダリウムどころかついこの間やっとゴールドに上がったばっかりじゃねぇか!また尾形の時みたいな嘘ついて、そんなの信用するワケ……!?

 

「な!?真の九番目だと!?馬鹿な、この俺が知らないガンダリウムランカーだと?!」

 

って信用すんのかよ?!誰がどう見たって嘘だって分かるだろ?!

 

「フッフッフッ、貴方が知らないのも無理はありません。船長はガンダリウムランカーの中でも最強格、故にGWDWCに参加しても圧倒的優勝は目に見えてるので大会を辞退しましたからね!」

 

「なんと!?そんなバトラーがいたなんて……!?」

 

おいマリン、何調子に乗ってんだ!?お前幾らムーナやレイラから修行してもらったとはいえ実力では俺達佐々木家では下から数えた方が早いくらい弱いだろ!

 

「そんなにガンダリウムランカーと戦いたいというなら!この船長が貴方のお相手をして差し上げましょう!さぁ、楽しいバトルの始まりだぁッ!」

 

「フッ面白い!ならばまずは貴様から叩き潰してやる!先に行って待ってるぞッ!」

 

ガンダリウムハンターはかなりやる気になってるのか、かなり興奮した様子で筐体へと向かっていった。おいおい、また面倒な事になっちまったぞ……ん?そういやマリンはどうしたんだ?

 

「………れ、玲二くぅ~ん、すみませんが下ろしてもらうの手伝ってもらえませんかぁ〜……?」

 

「いや降りられなくなってんじゃねぇか!?」

 

全く何やってんだこのバカは!?その後マリンを降ろした後先程の事を注意するが、マリンは

 

「大丈夫です!船長だって強くなったんですから、あんな奴けちょんけちょんにしてやりますよ〜!」

 

と言って筐体へと向かってしまった。まぁあいつなりにムーナ達を気遣っての行為なんだろうが……大丈夫なのか?

 

「………るしあ、戻って来て早々に面倒事になってすまない」

 

「い、良いんです玲二さん。悪いのはあの馬鹿二人なんですから………ホントにマリン出禁にしてやろっかな……?

 

あぁ、るしあもマリンに対して怒り心頭みたいだな?そりゃ帰って早々にこんな馬鹿げた事をされたら誰だって怒るか……まぁそれは兎も角、このバトルは一体どうなるんだろうな……?

 

 

 

突如として始まった自称ガンダリウムランカーマリンと自称ガンダリウムハンターの男とのバトル。はたしてこのバトルの行方は如何に……?

 

続く……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―オマケ―

 

…………ブヒ?此処は……オォッ!身体が動くぞ!これはもしや、本当に生まれ変わったのかッ!

 

クククッ佐々木の奴、ちゃんと転生させてくれたみたいだな?これでまた俺は世界を牛耳るのだぁーーーッ!

 

フフフ、見ていろ佐々木玲二ィッ!我々を復活させた事を後悔させてやるからなぁッ!……しかしなんだ?赤子にしては身体の様子が変というか……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あんらぁ、おとっつぁん!たまこがこげな元気な子豚産んだべさぁ!」

 

「おぉーー!こりゃ立派な豚だんべぇ!たまこぉ、おめさ頑張ったなぁ!」

 

「ブヒィ〜」

 

『ブゥーーーーッ!?(何ぃーーーッ!?)』

 

とある田舎の養豚場。其処で只野達は玲二によって見事に生まれ変わった……豚として。

 

『ブゥーーーーーーーッ!?(なんでじゃあぁーーーーーーッ!?)』

 

その後、只野達はどうなっていくのか?それは誰にも分からない…………

 

 

 

神羅file08

神羅族が魂を消す事は許されない




はい、という事でガンダリウムハンターVSマリンの戦い前の一幕でした!いやぁなんかいろんな事を詰め込んだ所為でワチャワチャしちゃいましたね(^_^;)

次回はマリンとガンダリウムハンターとの対決!そして其処に14番目のガンダリウムランカーが乱入し……?次回もまったりと待って頂ければ幸いです、ではまた!


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EP23『紅蓮の火竜』

最近とあるスーパーで売ってる0kcalのマスカットゼリーにハマってます。ナタデココが入ってて食感がよくほぼ毎日食べてます(^_^)

さて今回は新たなガンダリウムランカーの登場!自称ガンダリウムランカーと自称ガンダリウムハンターに襲いかかる……!
今回も最後まで見て頂ければ有り難いです、ではどうぞ!


―ドゴォンッ!ドゴォンッ!ドッゴオォンッ!!―

 

「クッ!やりますね、流石はガンダリウムハンターと名乗るだけの実力はあるという事ですか……!」

 

「フッ、それはお互い様だ。まさか、この俺を此処まで追い詰めるとは……これが、ガンダリウムランカーの力というものかッ!」

 

荒れ果てた荒野、其処ではマリンの駆る『パイレーツAGE2』とガンダリウムハンターの駆る『武者ターンエー頑駄無』が互いに激しいぶつかり合いをしていく。

 

 

『HG パイレーツAGE2』

『機動戦士ガンダムAGE』に登場する『ガンダムAGE2ダークハウンド』を改造したマリンのオリジナル機体。改造というが合わせ目処理をしてマリンのイメージカラーである赤に塗装しただけである。

 

 

『HG 武者ターンエー頑駄無』

『機動戦士ガンダム∀』に登場する『ターンエーガンダム』を改造したオリジナル機体。但し改造というが……?

 

 

そしてこんな激しいぶつかり合いを見せる二人に観客席で見ていた玲二達も……

 

「す、凄い……!?」

 

「ま、まさかこんなバトルを見る事になるなんて……!?」

 

「あ、あぁ、なんて………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんて酷い泥試合なんだ……!?」

 

そう、今目の前で繰り広げられているマリンとガンダリウムハンターとの戦いは、とてもじゃないがあまりにもお粗末なバトルだった。さっきから互いの銃撃が鳴り響いてはいるが、その殆どが相手が避けてるワケでもないのにヒットせず変な方向に向かってしまっている。接近戦でもサーベルや刀を思いっきり振り回しているが二人共大振りしてる所為で全然当たってないし、これは本当に見てて恥ずかしい状況だ。

 

「……ムーナ、お前あの二人のバトル見てどう思う?」

 

「はっきり言って酷いわ。マリン先輩は自分をガンダリウムランカーっぽく見せようとしてるのか今まで特訓していた基礎を全て無視した戦い方してるし、あの自称ガンダリウムハンターに至っては論外よ。ターンエーを武者化させる発想は良いけど、あの機体ターンエーにSD武者頑駄無の鎧を強引に接着剤か何かでくっつけてるだけだし……これが子供同士のバトルならまだしも大の大人がやるようなバトルとは思えないわ」

 

だよなぁ?もう正直見てて呆れる程にこの二人のバトルはレベルが低過ぎる。マリンは自分のやりたいようなド派手な乱射、ガンダリウムハンターは今時の小学生ですらやらないお粗末改造。けどお互いガチでやってるつもりでいる……これならこゆき達の方がまだマシなバトルするぞ?周りの観客達も呆れて興味が失せたのかもう殆ど誰も見ていないし。

 

「それにしてもあの自称ガンダリウムハンターとか言ってた男、よくあの程度でガンダリウムランカーを倒すなんて言ったのです……」

 

「多分だけど、あの男の周りには強いバトラーがいなかったんじゃない?其処で自分が一番強かったから自分こそ最強バトラーだと思い込んでるとか。確か日本のコトワザで……井戸の中のカエル、だったかしら?」

 

「正確には井の中の蛙な。にしてもよくあんな腕前でムーナに挑もうとしたよな…………よし」

 

これ以上こんなバトル見てられないし、此処は一つ発破をかけるか。そう思い俺はとある人物に電話を掛け始める。

 

「……あぁもしもし、俺だ。いきなり電話してすまない、今大丈夫か?……そっか、なら今からホロプラに来てガンプラウォーズのD-2のバトルに乱入してくれ……あぁ、其処にいる二人共倒してくれて構わない。じゃあ頼んだぞ」

 

「?ダーリン、一体誰と電話してたの?」

 

「ん?いやこのバトルに発破をかけようと思ってな。奴の要望通り、1()4()()()()()()()()()()()()()()を呼んでやったよ」

 

「14番目の?……という事は、あの人を呼んだのです?」

 

「あぁ、取り敢えずあの馬鹿二人には丁度良いお仕置きにはなるだろ」

 

さて、あいつが来るのにもう少し時間は掛かるが……それでもこの様子じゃ決着なんかつかないだろうからのんびり待つとするか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―三十分後……―

 

「「ハァ、ハァ、ハァ……」」

 

あれから三十分が経過したが、やはりというか全然進展してない。いや、周りのオブジェクトとかが無駄に壊されているだけだな。にしてもマリン、派手さを捨てて基礎に徹していれば普通に倒せるのに自分の型のないバトルスタイルを取ってる所為で全くと言ってもいい程無駄な動きをしまくっている。これはまた基礎から叩き込まないとな……

 

(クッ、やりますねこの男!流石ガンダリウムハンターを名乗るだけはあります……けど!マリンは絶対に負けない!勝って玲二くんに良いとこ見せてやるんだからッ!)

 

(この俺の武者ターンエーに此処まで迫ってくるとは、これがガンダリウムランカーの実力か……だが!それでこそ倒し甲斐があるというもの!村の皆の為にも、俺は此処で奴を討つッ!)

 

……当人達は互いに熱くなってるみたいだが、僅かばかり残っている観客達の視線はすっかり冷めきってしまってる。何人か戻って来て「まだやってんの?」とか言って呆れてるし、これはそろそろ本格的にあいつが来ないと怠くなってしまうぞ……?

 

「……嬉しいですよ、ガンダリウムハンター。その名に相応しい程に、この船長を追い詰めてくれるんですから!」

 

「あぁ、俺もだ。今までガンダリウムランカーとは名ばかりとは思っていたが、貴様のような強者と戦えて俺は今最高に熱くなっているぞ!」

 

なんか二人してそれっぽく言ってるが、お互いレベルが低過ぎる所為で全然格好良くないぞ………ん?お、漸く来たみたいだな……

 

「次の一撃で船長の全てを出し尽くします。この一撃、貴様に受け止められるかあぁーーーッ!」

 

「フッ、良いだろう!俺もこの一撃で全てを決めるッ!うおぉーーーーーーッ!」

 

そんな中マリンとガンダリウムハンターが互いにサーベルと刀を振り翳し相手に突っ込んでいく。因みにこのやり取りはこの試合で三度目である。その時…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―ドッシイィィィィィィィィィィィインッ!!―

 

「「え!?」」

 

突如として二機の間に割り込むような形で何かが落下してきた。それは……

 

 

 

『グルアァァァァァァァァァァァァァァアーーーーーッ!!!』

 

 

 

二頭を持つ一匹の巨大な火竜だった。火竜は天に向かって咆哮すると地面が揺れ、マリン達の機体はバランスを崩しその場で尻餅をついてしまう。

 

「な、なんですかぁこのドラゴンはぁ?!」

 

「ムッ!もしや乱入者か?!おのれぇ、折角のバトルに水を差すとは、とんだ恥知らずめぇッ!!」

 

いきなり現れた火竜に二人はびっくりするもガンダリウムハンターは果敢にも刀を構えて火竜に突っ込んでいく。だが……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―バキィッ!!―

 

「…………え?」

 

―ブゥンッ……ガッシャアァァァァァァァァンッ!!―

 

火竜は左の頭部で武者ターンエーに噛みつき、そのままフルスイングで地面に叩きつけバラバラに粉砕してしまった。これによりガンダリウムハンターの敗北が確定してしまい、それを見ていたマリンも唐突な事で理解が追いつかずただ立ち尽くしていた。

 

「な……な、なんなんですかこいつは……ハッ!?まさかこいつ、玲二くんが言ってたЯって奴じゃ……!?」

 

『グルルルルゥ……グルアァッ!!』

 

「ッ!ヤバ……!?」

 

―ドゴオォォォォォォォォォォォォォォオンッ!!―

 

ガンダリウムハンターを撃破した後火竜は次にマリンのパイレーツAGE2に狙いを定めて襲い掛かっていく。だがマリンは寸前のところでギリギリ躱し、すぐに火竜から距離を取っていく。

 

(こ、この火竜強い!?下手したらムーナやみしろちゃんと同等レベルかもしんない……これは、巫山戯てたら絶対にヤラれるッ!)

 

……どうやらマリンはあれがЯだと勘違いしてるのか先程までとは違いクロスボーンのビームサーベルを改造したカリビアンサーベルを取り出し構えていく。全く、漸く真面目に戦う気になったか。

 

(あれ程の巨体、おそらく首以外の動きはかなり大振りな筈。なら、高速で動いて翻弄しつつあの首を落とすッ!)

 

「スゥー、ハァー……ムンッ!いきますよぉ~ッ!スキル!『スピニング・パイレーツ』ッ!」

 

―キュイィンッ!ブンッブンッブンブンブンブンブンブンブン………ギュイィィィィィィィィィィンッ!―

 

スキルが発動すると同時にパイレーツAGE2の瞳が金色に発光し、そしてそのままカリビアンサーベルを構えながら回転し始め次第にコマのように高速回転していく。あれがマリンが得た新しいスキルか。

 

 

スキル:スピニング・パイレーツ

自身を高速回転させ攻撃、防御、スピードを200%上昇させる代わりに操作性が著しく低下する。

 

 

(このスキルを使ってる間はコントローラーが重くなって操作性が悪くなる……でも!今のマリンにはこれしか打つ手がない!大丈夫、自信を持て!佐々木マリンッ!)

 

重くなっているコントローラーのレバーを強く握り締め、マリンは火竜に向かって突っ込んでいく。

 

『グルアァァァァァァァァァァッ!!』

 

「ハアァァァァァァァァァァァッ!!」

 

火竜も迫ってくるパイレーツAGE2を迎撃しようと二頭の口を開き噛み砕こうとする。だが

 

「ッ!此処ォッ!」

 

―キキィーーーッ!ブォンッ!―

 

『ッ!?』

 

火竜の牙が迫る寸前でマリンはスキルを切りそのまま高くジャンプし、攻撃を躱された火竜はその反動で一瞬動きが鈍くなってしまった。

 

「これでぇ……終わりだあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」

 

―ズバアァッ!!―

 

『グワアァァァァァァァァァァァァァァッ!!?』

 

おぉ!パイレーツAGE2のカリビアンサーベルが火竜の首を斬りつけた!そして火竜はそのままバランスを崩して倒れ込んでいった。なんだよマリンの奴、ちゃんと戦えば強いじゃないか。

 

「ハァ、ハァ、ハァ……こ、これで一先ずは安心―グググッ……―……え?」

 

……が、火竜は直ぐ様立ち上がりマリンを睨むかのように眼を赤く光らせていた。というかあの一撃喰らってもほぼ無傷とか、どんだけ装甲厚いんだよ?

 

「え、えーと……これかなりピンチじゃ「全く、ちゃんと戦えばそれだけの事が出来るんじゃから最初からそうすれば良いのに」え?こ、この声って……?」

 

マリンが青ざめていると、突如火竜から女性の声がした。そして火竜の身体が縮んでいくとそのまま変形し一機のガンダムへと姿を変えたのだった。

 

「えぇーーーッ!?こ、これってガンダムだったんですかぁ!?」

 

「当たり前じゃろ、只の火竜がシングルバトルで乱入するワケないだろうが?」

 

「い、いやそうですけど……っていうかこの声って、もしかして『ドーラ』!?」

 

お、漸く気づいたか。そう、今回俺が呼んだ14番目のガンダリウムランカーとは築の妻となったドーラだったんだ。彼女は子育ての関係上GWDWCに参加こそはしてないものの築のレクチャーのお陰でガンダリウムランカーへと見事昇格したんだ。そしてそんな彼女の愛機こそ今使っている『サラマンダーガンダム』というワケだ。

 

 

『HG サラマンダーガンダム』

『新機動戦記ガンダムW』に登場する『シェンロンガンダム』をベースに改造されたドーラのオリジナル機体。シェンロンの可変式の腕を両腕に装備した他、デスサイズヘル(EW版)の羽やウイングのシールド、エピオンのヒートロッド等をミキシングした機体で、変形すると二頭の火竜がモチーフのサラマンドラ形態となる。

 

特殊スキル:巨大化

サラマンドラ形態の時に巨大化し、攻撃と防御が250%上昇する。その代わりエネルギー消費が激しくなる為HPが徐々に減少する。

 

 

「ちょおッ!?なんでドーラが此処にいるのさ?!今神羅城の自分達の部屋で育児休暇中じゃないの?!」

 

「なんでって、玲二から馬鹿二人にお灸を据えてくれって頼まれたから来たんじゃよ。それにわしもずっと部屋にいて身体が鈍ってたから散歩がてら丁度良かったんじゃ、なぁ『希』〜♪」

 

「お!」

 

そう言いながらドーラは自分の膝の上に座らせている愛娘『希』の頭を撫でている。この子は築との間に産まれた女の子で、ファイヤードレイク特有の鱗があるが髪色や目なんかは築にそっくりである。

 

「さぁ~て、そんじゃ実力に見合ってないのにガンダリウムを名乗っとる馬鹿にはきっつぅ〜いお仕置きせんとなぁ?」

 

「へ?い、いやその、せ、船長これからマリアたんを迎えに行かないと……」

 

「安心せぇ、今リゼがロゼちゃん迎えに行ってるから一緒に連れて来るよう言っとるから。おーいるーちゃん!バトルモードを通常からヘルズ(残機99バトルモード)に変更してくれー!」

 

「はいなのです♪ポチッとな」

 

「おぉいるしああぁーーーッ!?」

 

ドーラとるしあの無慈悲によってバトルモードが残機99のヘルズモードへと変更されていきマリンは絶望していく。このヘルズモード、普段は時間が掛かるって事でやる奴あんまいないんだけどな?

 

「さぁマリン、楽しい楽しいバトルを始めようではないか?せめて五機くらいは落として見ろよなぁ?」

 

「なぁ〜」

 

「うわあぁぁぁんッ!ドーラが物凄く悪い顔してるぅーーーッ!?」

 

こうしてマリンはヤケクソになりドーラに挑むが、結局ドーラの機体を五機どころか一機しか落とせずに終わってしまった。尚、バトルが終わってマリンが解放されたのは約三時間後であった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………………」

 

「あ、マリンが死んでる」

 

「まぁ調子に乗った罰だと思って大人しく反省してもらいたいもんだな?」

 

「そうね……ところでレイジ、あのガンダリウムハンターとか名乗ってた男はどうしたの?」

 

「ん?あー、あいつならログアウトしてからドーラの戦いを見てすっかり意気消沈してとっくに帰ってったよ」

 

最初こそ不意打ちしてきたドーラに怒りを見せていたが、玲二が男にマリンは本当はガンダリウムランカーではない事、ドーラこそ14番目のガンダリウムランカーである事を知らされ、そしてそのドーラの戦いを見て自分の実力がドーラの足元にも及ばないという事を理解してしまいショックでホロプラを後にしていった。本当は出禁を言い渡そうと思ったが、あの様子じゃ当面は来ないだろう。

 

「しかしあの男、ガンダリウムハンターとか名乗っときながらシルバーランクだったとはな……」

 

「ホント、自分の実力を見極めてから来てほしいもんだわ……」

 

まぁどうせもう会う事はないだろうから別に良いけどな。

 

「おぉーい玲二〜!」

 

「おぉドーラ、今日は急に呼んですまなかったな」

 

「良いんじゃよ、最近じゃ築も家事とかしてくれて暇持て余してたところじゃったしな。希も初めてのホロプラ楽しかったか〜?」

 

「お!」

 

バトルを終えたドーラもドリンクを持って俺達の元へやって来た。抱っこ紐に包まった希もリンゴジュースをチューチューしながらご満悦のようだ。

 

「それにしても貴方、あのサラマンダーガンダムって機体、とても凄かったわ。GWDWCに参加してないのが惜しいくらいね」

 

「まぁわしは今はこの子の子育てで手一杯じゃからな。また今度落ち着いたら、そん時は是非とも手合わせ願いたいもんじゃ♪」

 

「フフ、何時でも相手になるわ♪」

 

お、やっぱムーナも同じガンダリウムという事でドーラと戦ってみたいんだな?けど今日は俺が無理言って来てもらっただけで普段は忙しいから戦いはもう少し後だな。

 

「さて、馬鹿二人の騒ぎも終わったし、そろそろ帰ると―ピリリリリッピリリリリッ―ん?電話?誰から……レイラから?」

 

問題も解決し神羅城へと帰ろうとするとレイラから着信が入る。一体何の用だ?

 

―ピッ―

 

「もしもし、どうしたんだレイラ?……………………………………………………………………………………なん、だと?」

 

「?玲二さん、どうかしたのです?」

 

「…………るしあ、ムーナ、すまない。マリンを連れて先に神羅城に帰宅してくれ」

 

「え?レイジ、何かあったの?」

 

「あぁ…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フブキが、意識を失って倒れた」

 

 

 

突然の悲報に困惑する玲二。一体フブキの身に何が起きてしまったのか?

 

リ・イマジネーションへと、続く……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―オマケ―

 

[ギギッシラカミフブキ、ヤミニソマッタ]

 

[ケドヤラレタ、ツマンナイ]

 

[ギギッツギハダレネラウ「おいテメェ等」ギギッ?]

 

暗闇に浮かぶ黒い靄が何やら不穏な会話をしている中、其処にラースが苛立ちを見せながら近づいてきていた。

 

「……テメェ等、神羅の連中にちょっかいかけてるらしいな?」

 

[ギギッシンラノヤツラ、ヤミニオトス]

 

[タガイニアソブ、タガイニコワス]

 

[シンラヲコワシテタノシイ、タノシ―グチャアァッ!―

 

全てを言い終わる前にラースが指先からレーザーを放ち黒い靄を一つ落とすと、靄はドロドロに溶けて地面へと消えてしまった。

 

「……テメェ等、たかがプログラムの分際でオレサマ達の獲物に余計な事してんじゃねぇよ!?苛立たしいッ!!」

 

[ギギッ!?]

 

苛立ちを見せるラースに靄達は本来感じる筈のない恐怖を感じてしまう。そんな中、ラースの後ろからグリードがケラケラと笑いながら降りてきた。

 

「相変わらず荒れてるな、ラース」

 

「あぁ!?こいつ等がオレサマ達の獲物に余計な事してたんだよ!たかが先代の連中に作られたプログラムの分際で、苛立たしいッ!」

 

「はぁ、やれやれ……だがこの件には正直我も腹が立ってる。貴様らЯは我々無呪羅が再誕するまでの自動プログラム、つまり本来なら我等が復活した今、貴様らは用済みなんだ。それを温情で残しておいてやってるというのに……イマスグココデケシテヤッテモイインダゾ?」

 

[ギギッ……]

 

[ゴメン、ナサイ……]

 

グリードの威圧感に圧されたのか黒い靄、Я達はそのまま何処かへと消えてしまった。

 

「フン、あんなポンコツ共さっさと消せば良いのによぉ?」

 

「そう言うな、今の神羅達は我々でも手を焼きそうな連中だ。使える駒は多いに越した事はない」

 

「ケッ!そうかよ、苛立たしい……つーか!『グラトニー』と『ラスト』はどうしたんだよ!?あいつ等、目覚めたと思ったらどっか行きやがってッ!」

 

「さぁな?今頃どっかで好き勝手してるんだろ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、都内某焼肉店……

 

―ガツガツックッチャクッチャモグモグズズズズズ……ッ!―

 

「す、スゲェ……!?」

 

「あんな華奢な身体の何処にあんな量入るんだよ……?!」

 

「てか途中から生肉食ってねぇかあの子……?」

 

周りの客が全員見入ってしまう程の爆食いをする黒いローブを羽織った女性。その周りには既に100人前程の食べ終わった皿が並べられていた。

 

「グッチャグッチャ……ぷはぁ!おーい、おかわりまだかぁ?」

 

「あ、あの、お客様?申し訳ありませんが本日の食材が全て切らしてしまいまして……」

 

「あ?そんなワケねーじゃん、まだいっぱいあるじゃんかよぉ?」

 

「え、で、ですが本当にもう食材が……」

 

「だぁかぁらぁ、あるって言ってんじゃん……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「続いてのニュースです。本日未明、都内某所にある焼肉店で大量の変死体が発見されました。遺体はどれも骨だけとなっており、発見された当初、店内には食料が一つも残されてなかったとの事です……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、別の場所では……

 

「ヒック、ったく最近良い事なんかちっともありゃしねぇ。部長はうるせぇし、部下共はアホばっかだし……あーあ、どっかに良い女いねぇかなぁ「其処のお兄さん♡」……あ?」

 

路地裏で酔っ払った男が声をかけられ振り向くと、其処にはかなり際どい格好をした女性が妖しげな笑みを浮かべて手招きをしていた。

 

「お兄さん、ツラい事があったんでしょお?そんな事は忘れてぇ、ワタシとイ・イ・コ・ト♡しちゃおうよぉ♡」

 

「お、おぉ!へ、へへ、良いのか姉ちゃん?」

 

「えぇ、良いわよぉ♡貴方の()()を、ワタシにちょうだぁい♡」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「次のニュースです。今度は都内各地で相次いで男性の変死体が発見されました。遺体はどれもミイラのように干からびており、まるで精気を全て吸われたかのような変わり果てた姿で発見されております……」

 

 

神羅file10

Яは、あくまで自動で動く破壊プログラムである。マスターは、別に存在する




はい、という事で14番目のガンダリウムランカーはドーラでした!まぁ基本的にやしきずと一緒にいるから必然的に強くなるかなと思いガンダリウムにしました。とはいえGWDWCには参加しませんが、これからもしかしたらちょこちょこ他のメンバーと戦うかもです。

そしてフブキが意識不明の重体に……!?玲二、どう動く!?
更には敵陣営にも新たな動きが……?

次回もまったりと待って頂ければ幸いです、ではまた!


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EP24『ビルドワールド参戦!』

遂に横浜の動くガンダム立像の公開が終わってしまった……一度だけでも見に行きたかったんですが、まぁ仕方がないですね(T_T)
そんなこんなで今はその横浜ガンダム1/100を組んで気を紛らわせてます(笑)

今回は二次予選スタート回です。前回の最後にフブキに不穏な感じがあったがはたして……今回も最後まで見て頂ければ有り難いです、ではどうぞ!


ホロライトシティ総合病院

 

「……本当にもう大丈夫なのか?フブキ」

 

「うん、大丈夫だよ。レイくん、心配掛けてごめんなさい。ほらこゆきもふゆきも、ママはもう大丈夫だから泣かないで〜♪」

 

「うみゅ、ままぁ……」

 

「うえぇぇ〜ん……」

 

レイラからフブキが倒れたという報告を受けて急いで病院へと来てみたが、俺が着いた頃にはフブキはすっかり回復して子供達を癒やしていた。Яが現れてフブキが暴走させられたと聞いた時は驚いたが、どうやらもう大丈夫そうだな?

 

「お医者さんが言うには二日間は検査の為に入院してくださいって言われちゃいました、タハハ〜……」

 

「そっか、そういう事なら今はゆっくり休みな。もうすぐGWDWCの二次予選が始まるし、休めるうちに休まないと」

 

「うん、ありがとレイくん♪それじゃこゆもふゆも今日はパパと一緒にいてね?」

 

「「はーい!」」

 

フブキに言われこゆきとふゆきは俺の足にしがみつき抱っこを要求してくる。今すぐ抱っこしてやっても良いが、その前にあれを渡さないとな。

 

「そういやフブキ、これおかゆから預かっていた白夜のアーマーだ。フブキが目覚めたら渡しておいてくれって」

 

「お〜、ありがとござまーす♪」

 

俺はおかゆから預かっていたレイラが作った白夜ガンダムのアーマー一式が入ったケースをフブキに手渡した。これが別次元でフブキが作ったアーマーと思うと不思議と懐かしさを感じるな。

 

「それじゃ俺はリク達を迎えに行くとするわ」

 

「え、リク君達ですか?そう言えばリク君達、一次予選の時は全然見かけなかったですよね?」

 

「あぁ、ビルドワールドのメンバーは一次予選を免除してたからな。あいつ等なら一次予選くらい簡単に突破出来て当然だろうし、何よりメンバーがそこそこ多いから一気に呼ぶのが大変だからな」

 

「そうだったんですね。それにしてもリク君達もこれから参戦するのか……私も頑張らないと!」

 

「あぁ、その為にも今はしっかり療養しておけな。じゃあこゆき、ふゆき、そろそろ行くぞ」

 

「「はーい!」」

 

俺は足に引っ付いてたこゆき達を抱き抱えフブキの病室を後にした。けど…………フブキの奴、何か思い詰めてた様子だったな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……これからЯとの戦いも激しくなるかもしれない。そうでなくてもリク君達ビルドワールドの世界の皆や世界各地の強豪達が二次予選や本戦で襲い掛かってくる。そうなった時、今の私で立ち向かえるのかな…………このままじゃダメだ。私も新しい自分の機体を作らないと!」

 

玲二が去った後、フブキは受け取ったケースを開きアーマーを見つめながら考え込んでいた。Яや世界各地の強豪と戦う以上、別世界の自分が使ってた機体の改良機とはいえ他人が作った機体をそのまま使い続けるワケにはいかない。そう思ったフブキは紙とペンを取り出し新しい機体の改造案を書けるだけ書き始めた。

 

「……レイラ君、ごめんなさい。折角頂いた機体ですが、今は封印させてもらいます」

 

ある程度改造案を書いた後、フブキは白夜ガンダムとフォクシードユニットをケースの中にしまい鍵をかけた。新たな決意を見せるフブキ、一体どんな機体を作り上げるのか……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ホロライトシティ次元空港

 

「さて、そろそろリク達がやってくる時間だな」

 

「でもなーんか納得出来ないにぇ。幾らリク達でも一次予選を免除だなんてズルいんじゃね?」

 

「しゃーないんじゃね?リッくん達は元の世界でもかなりの強者だし、それにポルカ達なんかじゃ勝てないくらいの実力者揃いなんだから当然だと思うよ」

 

ホロライトシティにある特別区域、其処にある一般人は入れない次元空港にて俺はみこと戻ってきたポルカと一緒にリク達を待っていた。みこはリク達の待遇に不満そうにしているが、リク達の実力を考えたら一次予選免除は妥当なんだよな。下手すりゃ今大会の優勝候補でもあるしな。

 

 

 

―キュイィィィン……バシュウゥッ!!―

 

 

 

……お、そうこうしてたら次元シップが到着したみたいだな。

 

「おぉ〜!これが玲二が作った次元シップかぁ!」

 

「へぇ〜、案外小さいんだね?」

 

「まぁ中は四次元空間になってるからな。見た目は数人しか乗れなさそうに見えるが、実際は数千人は乗れるぞ」

 

「うわぁドラえもんもびっくりな時空艇だにぇ……」

 

確かにドラえもんでもこんな時空艇は映画くらいにしか出てこなさそうだしな。と、そんな事は良いとして、早くリク達を降ろさないとな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「玲二さん!この度は招待して頂きありがとうございます!」

 

「いや良いって、今更そんな畏まらなくたって。それより今回はかなりのメンバーが参戦してくれるんだな?」

 

「うん!皆最強のバトラーを決める大会って聞いて居ても立っても居られなかったみたいだよ♪」

 

「そりゃあ次元を越えていろんなバトラーと戦える夢のような祭典ですもの。こんな一大イベントを逃すなんて、リッくん達じゃなくたって参戦待ったなしだわぁ♪」

 

「うん、皆のガンプラも凄く嬉しそう♪」

 

「ブイ〜♪」

 

「モル〜♪」

 

ん、そう言ってくれると主催した身としては有り難い限りだ。しかもリク達も相当気合が入ってるのかGBNの姿でやって来たみたいだな。(ダイバーズのメンバーは個人の意志でリアルの姿と選択する事が出来る)

 

「久しぶりだな、玲二さん!」

 

「玲二さん、お久しぶりです!」

 

「おぉセカイ、フミナ、久しぶりだな。ユウマに至っては前のイベント以来だな」

 

「えぇ、あの時は本当にお世話になりました」

 

「だから畏まらなくたって良いって……ところでセカイ?お前の腕に引っ付いてる二人はなんだ?そいつ等は招待した覚えはないんだが……」

 

「あ、あぁそれは、その「お初にお目にかかりますわ佐々木玲二様!私『サザキ・カオルコ』と申します!セカイくん達が何やら面白い大会に出場するとお聞きして思わず着いて来てしまいました!」っておいギャン子!?」

 

「はじめまして、『キジマ・シア』といいます。セカイがこの世界に行くって聞いたから着いてきました」

 

…………まさかセカイ達だけでなく『サザキ・カオルコ』こと『ギャン子』と『キジマ・シア』が着いてくるとはな?まぁ二人の実力は原作でも理解しているから申し分ないのは分かってるが、それなら前もって連絡してほしかったわ。しかも……

 

「おいユウマァ、お前こんなオモロそうな事ワイに黙っとくなんてズルいやんか!」

 

「………こうなると思ったから言わなかったのに………」

 

………何故か同じビルドファイターズの世界の住人である『サカイ・ミナト』がユウマに絡んでいた。セカイは兎も角ユウマは口が固いから周りに言わない筈、という事はこいつ、どっからか聞き耳立てて着いてきたのか……まぁ面白そうだから良いんだけどな。

 

さて、次なんだが……この二人ははじめましてだな。

 

「はじめまして、そしてようこそ。俺が今大会GWDWCの主催者の佐々木玲二だ。よろしくな」

 

「は、はい!ほ、『ホウジョウ・リオ』です!こ、こんな凄い大会にお招きして頂きありがとうございます!」

 

「はじめまして、『ウルツキ・セリア』だ。このような素敵な体験をさせて頂き、感謝するよ」

 

最後はビルドメタバースの世界から来た『ホウジョウ・リオ』と『ウルツキ・セリア』の二人だ。二人とはこれが初対面だが、来てくれて本当に良かったよ。

 

「それにしても、彼処にいるのは私達の知るフミナ達とは違うんだな?」

 

「まぁな。厳密に言えばビルドメタバースの世界と他の二つの世界は繋がってない、所謂パラレルワールドみたいなもんだからあくまで似た存在ってだけだ」

 

実際メタバースのリクやセカイも呼ぼうと考えたが、流石に同存在が同じ世界にいるのはおかしな事になってしまいかねないしややこしくなってしまうからな。今回は馴染みのあるオリジナルの方のメンバーに来てもらったというワケだ。

 

「あれ?そういえば玲二さん、ヒロト達は来てないんですか?てっきり一緒に呼んだかと思ってたんですが……」

 

「ん?あぁ、ヒロト達ならもう一ヶ月程前からこの世界に来てるぞ」

 

「え!?そ、そうなんですか?!」

 

「あぁ、チャンピオンやメイジンを連れて来る際に一緒にな。そん時にオーガやタイガさんも一緒に来てるぞ」

 

多分今頃ヒロト達も各地に出向いていろいろと楽しんでいるだろうな。特にパルは自由に歩けるようになったから思う存分はしゃいでそうだし。

 

「それじゃあ立ち話もあれだし、そろそろホテルに移るとするか。みこ、ポルカ、皆の荷物を持ってやってくれ」

 

「「はーい♪」」

 

「え?皆の荷物って、俺達の荷物結構ありますよ―フワッ……―……え?」

 

リクが何か言おうとする前にポルカとみこは念力で皆の荷物を浮かせて運んでいく。

 

「え、え、え……えぇーーーーーーッ!?」

 

「に、荷物が宙に浮いてる……!?」

 

「これは、びっくりだわぁ。まさか貴方達がこんな事出来たなんて……?」

 

「まぁポルカ達も玲二さんから力を貰ってるからね♪」

 

「そーそー、こーんな事だって出来るんやで♪」

 

そう言いながらみこは皆の荷物でジャグリングを始めだす。おい、そんな事したら……

 

―……グラッ―

 

「え、あ、ちょ―ドササササァッ!―にぇーーーッ!?」

 

「みこちぃーーーッ!?」

 

「ちょおッ!?みこさん大丈夫ですか?!」

 

ほら案の定バランス崩して自分に向かって落としてるじゃないか。力の調整が出来るようになってきたからってすぐ調子に乗るからこんな事になるんだって、全く……

 

「……うみゅ、おとーたんどーちたの?」

 

「ん?あぁかぐら、なんでもないよ。今ママがまたポンしただけだからな〜」

 

「あーい……ふあぁ〜」

 

あらら、さっきの物音で乳母車で寝てた皆が起きてしまったか。けどこの子達は意外とこういう物音ではびっくりして泣いたりとかはしないんだよな。此処にマリアがいたらびっくりして泣いて面倒な事になってただろうけど……

 

「あ、こゆきちゃん達もいたんだ。みんな少しおっきくなったね〜♪」

 

「うん!こゆ、おっきくなった!」

 

「ふゆも〜♪」

 

「ふあぁ〜……この子、猫のキグルミ着てて可愛ぃ〜♡」

 

「にぇ〜♪」

 

起きたこゆき達にフミナ達が近づき抱っこしてあげると皆キャッキャと笑っている。ふゆきは俺とフブキ以外の抱っこは嫌がるから俺が抱っこしてるけどな。それにしてもアヤメ、相変わらず可愛らしいものが好きなんだな?金時(先輩35P名前)のキグルミを着たかぐらを抱っこして顔が緩んでいるぞ。

 

「さて、それじゃあそろそろホテルに向かうとするか。ほらみこ、お前も調子に乗らないでちゃんと運びな」

 

「うぅ〜、ごめんなさ~い……」

 

「おかーたんかっこわるーい♪プークスクス〜♪」

 

「でぇまれかぐらぁッ!オメーママに向かってナマイキだぞぉッ!」

 

こらこら、そんなんでいちいち怒るなって。にしてもやっぱこの子はみこの子だな。煽り方がみこそっくりだ。まぁ流石にこれ以上はみこも本気で怒るから止めさせないとな。

 

「こらかぐら、お前もママの事そうやって馬鹿にしちゃダメだからな?そのプークスクスも禁止だ、良いな?」

 

「う〜……あい」

 

ん、よろしい。ならさっさと行くとしますか。俺はそう思いながらみこの代わりに念力で皆の荷物を持ちリク達をホテルまで案内していくのだった。

 

ビルドワールドのメンバーも参戦し、いよいよ二次予選が開始された。はたして本戦に進めるのは誰だ!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃……

 

薄暗い地下の一室、其処では黒いローブを纏った()()の女性達が円卓を囲みながら何やら話し合っていた。

 

「…………で?テメェ等は後先考えずに外に出て好き勝手してたワケか?」

 

「え〜?だってお腹空いちゃったんだもん、飯食いに行くくらいよくね?」

 

「私もムラムラが止まらなかったからぁ、ちょーっと精気吸いにイッちゃった♡」

 

―ドゴオォンッ!!―

 

「何が飯食いにだ!?何が精気吸いにだ!?苛立たしいッ!!貴様らが余計な事した所為で神羅の連中に感づかれたらどうするつもりなんだッ!?」

 

勝手な事をした二人、グラトニーとラストにラースは苛立ち円卓の一部を壊しながら怒鳴る。そんな怒りを見せるラースに対し他のメンバーは怯えるどころか涼しい顔をしている。

 

「クククッ流石グラトニー(暴食)とラスト(色欲)だな。自分の欲に忠実で実に良い♪」

 

「んな事言ってる場合か!?まだオレサマ達は五人しかいねぇのに神羅の奴等に眼をつけられたらどうするつもりなんだよ!?苛立たしいにも程があるぞッ!おい『エンヴィー』!テメェもさっきからブツブツ言ってねぇでなんか言ってみろや!?」

 

「あぁ羨ましい妬ましい、わたしだって自由に外に出たいのになんで二人だけ外に出れてわたしはダメなの?あぁ羨ましい妬ましいぃ…………!」

 

ラースが怒りの矛先を新たに産まれた存在『エンヴィー』に向かってぶつけるが、そのエンヴィーは先程から何やらブツブツと言うだけで話しを禄に聞いてなかった。

 

「…………チィッ!なんだよこいつ、さっきから羨ましいだの妬ましいだの、気持ち悪いったらありゃしねぇよ!?」

 

「フフ、だからこそこいつはエンヴィー(嫉妬)という名にしたのだろう?だが、グラトニーとラストの勝手な行動については流石に許しはしないぞ。我々はまだこの世界を消すべきか否かを見定めている段階だ。それを無視して人間共に手をかけた事は許されんぞ」

 

「えぇ~?でも見定めるったってどうするつもりさ?もう面倒だからЯ達に纏めてこの世界消してもらっちゃえばいいんじゃない?」

 

「だからそれはダメだと言ってるだろうが…………そういえばЯ達が神羅達が作ったゲームでいろいろと遊んでたようだな?どれどれ…………クククッ成る程、これは面白い!」

 

グリードはЯが興味を示したゲーム、ガンプラウォーズを調べると自身も興味を持ったのか楽しそうに笑い出す。すると今度は左手を円卓に翳すと、其処に五体のガンプラと五枚の黒いIDカードが出現した。

 

「あ?なんだよそれ?」

 

「フフ、この世界の連中の大半はこのガンプラという遊びに熱中しているようだ。そして今その頂点を決める大会が行われてるらしい。ならその大会に我等も参加しようではないか!そして我等の内誰かが優勝したのなら、その世界の連中はその程度だという事で……コノセカイヲ、ケス

 

グリードの提案に一瞬他のメンバーはポカンとするが、すぐに笑みを浮かべ高笑いを仕出す。

 

「……クククッヒャアーッハッハッハァッ!おもしれぇじゃねぇか!神羅と無呪羅、世界を賭けた最大のお遊び!最高に苛立たしくておもしれぇッ!」

 

「キキキッアタイも強い奴等と遊びたいもんだね♪そして勝った暁には相手の骨の髄まで喰らってやるよぉ♪」

 

「あらぁ♡きっとその大会には素敵な精気に溢れた子達がい~っぱいいるわよねぇ?なんだか私、ゾクゾクしてきたわぁ〜♡」

 

「あぁ羨ましい妬ましい……神羅の連中が作ったゲームでわたしも遊びたい……!」

 

「フッ決まりだな。なら奴等にも宣戦布告をしに行こうではないか!」

 

全員意見が満場一致し、グリードは改めて神羅達に宣戦布告をしに地上へと出ていく。

 

遂に動きだしたグリード達。その力の脅威に、玲二達はまだ知らない……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―オマケ―

 

「…………ふーん、Яが動き出したんだ?」

 

「そうそう、だからマリンがЯを消し去る事を優先しろだってさ。だから今はあの新人よりもЯを優先してくれた方が有り難いんじゃね?」

 

二次予選が始まる少し前、シズクの身体を乗っ取ったカナタが神羅族のトワと合流しマリンからの指示を受けていた。しかし……

 

「へぇ、そっかそっか成る程ね………なら、そろそろボクも戻るとするか

 

「ん?なんか言ったんじゃね?」

 

「ん〜別に、何も言ってないよ〜。取り敢えずЯが出たら消しとくからトワも他の所よろしくね〜♪」

 

「そっか、そんじゃ此処は頼むんじゃね」

 

神羅トワは要件を伝えるとその場から消え去っていき、それを見届けたカナタの表情は笑顔から真顔へと切り替わっていった。

 

「…………フン、穏健派と革命派、紛い物同士勝手にすれば良いさ。ボクはボクのやり方で彼を手に入れてやるんだから。ねぇ…………玲二君♡」

 

何やら妖しげな事を呟き街へと戻るカナタ。一体、何が起ころうとしているのか……?




はい、という事で二次予選開幕、そしてビルドワールドからの参戦開始回でした!そしてしれっと敵も参戦する模様、はたしてこの大会の行く末は……?

次回は遂に、グリード達が玲二と接触!?新たな敵に、玲二はどう立ち向かうのか……?次回もまったりと待って頂ければ幸いです、ではまた!


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EP25『宣戦布告』

先程メールで小説を投稿しようと思ったんですが、何故かメールが届かず仕方なく書いたのをコピーしての投稿です。

今回は前半に新たなベイビー誕生、そしてその後玲二が謎の手紙に呼び出され……?今回も最後まで見て頂ければ有り難いです、ではどうぞ!


「びゃあぁぁぁぁぁぁぁーーーッ!」

 

「おぉ〜、元気に泣いとるなぁ〜我が子よ♪」

 

「んく、んく……」

 

「ん、授乳ってなんかくすぐったいなぁ……」

 

四月某日、この日俺達にまた新しい家族が誕生した。病室からは元気に泣いたり一生懸命授乳を受ける可愛らしい赤ん坊達が母親に抱かれている。

 

「す、凄いですね玲二さん。この子達も玲二さんの子供なんですよね?」

 

「あぁ、今回は四人産まれて来てくれたな」

 

「え、えっと……失礼ですが、玲二さんって今お子さん何人いるんですか?」

 

一緒にお見舞いに来てくれたリクとリオも新しい赤ん坊を見て唖然としている。そういや子供達って全員で何人だ?一人一人はちゃんと認知してるが数となると…………

 

「うーん…………確か、今回で67人かな?」

 

「ろくじゅうな……ッ!?お、多くないですか……?!」

 

「ま、前に聞いた時よりも20人近く増えてる……!?」

 

「まぁ嫁が多いから必然的にそうなるんだよな……それよりもクレア、身体の方は大丈夫か?」

 

「は、はい……出産直後に比べたら大分落ち着きました……でも、やっぱり力み過ぎて疲れちゃいましたね……」

 

今回出産した娘は四人、その中でもクレアはかなりの難産で赤ん坊が産まれるのに時間がかなり掛かってしまった。その所為で体力がかなり消耗してしまい今もぐったりした状態が続いている。一応神羅の力の影響で体力は徐々に回復しているが、完全に元に戻るまで時間が掛かりそうだ。

 

「……それでも、この子が無事に産まれてきてくれて嬉しいです。ね、『イリア』♪」

 

「うみゅぅ……」

 

クレアはぐったりしながらも産まれた我が子『イリア』を優しく撫でる。イリアはクレアそっくりで俺の要素は殆どないが、強いて言えば鼻が俺に似てるって感じだな。そんなイリアも頭を撫でられて気持ちいいのかスヤスヤと眠っている。

 

「サラ、走、フレン、お前達もよく頑張ったな」

 

「うん、クレアさん程じゃないけど痛かったし疲れちゃったぁ。でもこーんな可愛い子供が産まれて嬉しいなぁ♪ねー『ミラ』♪」

 

「きゃうぅ〜」

 

「皆の出産の話し聞いてて案外楽そうやと思っとったけど、かなり大変やったわ〜。でも、『豪』が無事に産まれてくれて良かったわ♪」

 

「ひぐ、えっぐ……」

 

「いや〜、まさか私もこんな可愛い赤ちゃん授かれるなんて思ってなかったから嬉しいですね♪ほら『フレイヤ』、パパが見てくれてるよ〜♪」

 

「あ、あうぁ〜」

 

クレアと同じく出産を終えた三人が我が子を抱えながら優しい笑みを浮かべている。サラの子供である『ミラ』は黒髪でオッドアイな女の子で、走の子供である『豪』は赤ん坊の頃の俺に似ている男の子だ。そしてフレンの子供である『フレイヤ』は見た目はちっちゃいフレンだが目の色は俺と同じ黒目だ。三人ともそれぞれ産まれたばかりで泣いたり周りの物に興味を持ったりしていて実に可愛らしい。

 

―ガチャッ―

 

「パパ〜♪」

 

「ん?あれ、ミュウ?なんだお前も来たのか?」

 

「うん、ミュウも新しい赤ちゃん見にきたよ〜♪」

 

そんな中先日ニュイが産んだ娘であるミュウがちっちゃいほうきに乗ってフワフワと飛びながら入ってきた……この子本当に0歳児か?なんで赤ん坊がほうきに乗って普通に飛んでるんだよ?

 

「おー会いたかったぞ〜マイブラザー、マイシスター♪」

 

「あ、あう、あぅあ〜」

 

新しい家族に出会えて喜ぶミュウと、そんなほうきに乗ってるミュウを不思議そうに見る子供達。なんというかまぁ、なんとも不思議な光景だな?

 

「もぉミュウったら!勝手に一人で行ったら危ないでしょうが!?」

 

「だってママ遅いんだもーん。ママもほうきに乗って来れば良かったのに」

 

「大の大人が病院内でそんな事出来るワケないでしょうが!そもそもあんたまだハイハイも出来ないクセになんでほうきには乗れるのさ?!」

 

「パパの子だから!」

 

「だから理由になっとんわッ!」

 

おいおい、こんなところで親子喧嘩すんなって……それにしてもミュウは本当になんでハイハイ出来ないのにほうきには乗れるんだろうな?

 

※玲二から受け継いだ神羅の力とニュイから受け継いだ魔力の賜物です。

 

「ところでニュイも皆のお見舞いに来たのか?」

 

「え?あー、それもあるんだけど、実は神羅城に玲二さん宛の手紙が来たから届けに来たんです」

 

手紙?一体誰からだ?見た感じ差出人の名前とかは書かれてないが、どれどれ……

 

 

 

 

『請求書 ニュイ・S・佐々木様

特注ブラジャー代 200万円』

 

「……は?なんだこの請求書は?」

 

「あ、間違えた。これ私の下着の請求書だったわ」

 

いや何と間違えてんだ?!しかも下着代高くねぇか?!自分で稼いだ金ならとやかく言わねぇけど、流石に奮発し過ぎだろ?!

 

「ごめんなさーい、これが本当の手紙でーす」

 

「全く、もう少し節約というのをしろよな?さて、手紙の内容はっと……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『新たな神羅の者よ

この島の街のない側の浜辺にてお前を待つ。』

 

 

 

「ッ!?神羅族を知ってる……!?まさか、また新たな神羅族か?!」

 

「え!?まさか、またホロメンのそっくりさんが来てるって事?!」

 

「あぁ、おそらくな……ニュイ、俺は今すぐ出掛ける。悪いが皆の事は任せたぞ」

 

「あ、うん、分かりました」

 

「ん、頼む。リクとリオも今日は着いてきてくれて有り難うな」

 

「いえ、こっちこそ新しい赤ちゃんを見られて良かったです」

 

「それじゃあ僕達もそろそろホロプラに向かいます」

 

そう言うとリク達は病室を出てホロプラに向かっていった。さて、俺もこの手紙の差出人に会いに行くとするか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ホロライトシティ 自然エリア海岸

 

あれから一度神羅城に戻り念の為の護衛としてレインとみしろを連れて自然エリアの海岸に来てみたが、まだ海水浴シーズンでもないから全く誰も見当たらない。本当に此処に手紙の差出人がいるのか?

 

「……場所的には此処ら辺であってる筈なんだが?」

 

「うーん、誰もいないね?やっぱりあの手紙ってイタズラだったんじゃない?」

 

「いえ、みしろ達以外でご主人様やみしろ達が神羅族である事を知る中でそんなくだらない悪戯を仕掛ける者はいない筈です。ならば相手は神羅族の誰か、もしくは何処からかご主人様が神羅族という情報を得て脅しに来た不届き者の可能性があります」

 

みしろの言う通り、あの手紙には神羅の者と書かれていた。最初こそ神羅族の誰かかと思ったが、それならこんな回りくどい事なんてしないで直接会いに来る筈だ。ならもしかすると何処かで俺達の事がバレて何かしらの脅しをしようとしている奴がいるのかもしれない。そうならば早めに対処しないといけないからな。さて、そんな手紙の主なんだが一体どんな奴なんだろうか……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あらぁ、思っていた以上に素敵なイケメンさんねぇ♡」

 

『ッ!?』

 

な……ッ!?いつの間に俺の背後に?!というかこいつ、必要最低限の箇所をベルトで隠しているだけで後はほぼ裸じゃねぇか!?一体どんな奴……え?

 

「え!?こ、こよりちゃん?!」

 

「……いえ、こよりさんは今はまだ北海道にいる筈です。それにこの溢れ出る力を察するに普通の人間ではありません!」

 

「あらあらぁ、そんなに睨んじゃダァメ♡折角の可愛らしいお顔が台無しよぉ♡ねぇエンヴィー?」

 

エンヴィー?一体何を言って……ッ!?あのこよりもどきの後ろに誰かいる!?あれは……いろはか?!

 

「あぁ羨ましい妬ましい……わたし達が地下ぐらししてるのにこいつ等がこんな綺麗な島で暮らしているなんて………!」

 

「ハッ!全くだぜ、こいつ等オレサマ達と違って随分とリッチな生活してるようだな?苛立たしいッ!」

 

ッ!今度はルイそっくりな奴か!?まさかこの三人が俺を此処に呼んだのか?

 

「クッチャクッチャ……ゴックン!プハァー!なんだ、思ってたより早く来たんだね〜?」

 

「えッ!?こ、今度はクロヱちゃん?!ってか生魚そのまま食ってるんだけど?!」

 

其処に更にクロヱそっくりな奴まで現れた。しかもこいつ、生きた魚を骨ごと食ってやがる!?いやそれよりも、この四人が揃ってるという事はもしや……!?

 

「クククッ漸く現れたな、新たな神羅よ」

 

「…………やっぱり、ラプそっくりな奴もいたか」

 

そしてやはりと言うべきか、目の前に突如としてラプにそっくりな女の子が妖しげな笑みを浮かべながら現れた。まさかのholoXそっくりな奴等が現れるとはな……?

 

「……この方達、何やらとてつもなく異様な力を感じます。やはり、革命派の神羅族なのでしょうか?」

 

「……いや、それはないと思う。少なくともこいつ等は神羅族ではない筈だ」

 

「え?ど、どうしてそんなのが分かるのさ玲二君?」

 

「以前神羅族のアキから現在いる神羅族のリストをもらった。その中に、こいつ等holoXのメンバーの名前はなかった。それに最初のこよりそっくりな奴はいろはそっくりな奴をエンヴィーと呼んでいたが、そんな名前もリストには乗っていなかった。しかもあの手紙にはわざわざ新たな神羅と書かれていた。もし俺達以降に誕生した神羅族ならそんな書き方はしない筈だろう?つまりこいつ等は少なくとも神羅族ではない、別の何かだって事だ」

 

「ほぉ?貴様、随分と賢いようだな?その通り、我々『無呪羅』は貴様ら神羅とは違う」

 

『無呪羅』?なんなんだそれは?そんな種族、聞いた事ないぞ?

 

「……おい、その無呪羅って言うのは一体なんなんだ?そしてそんなお前等は何故俺を此処に呼び出したんだ?」

 

「はぁ?お前神羅のくせに我々を知らないのか?今の神羅は一体どうなっているんだ……?まぁ良い、教えてやろう。我々無呪羅は貴様ら創造を担う神羅とは対を成す存在、つまり破壊を担う者だ」

 

「破壊!?そんな事する種族がいるの?!」

 

「…………ちょっと待ってください。もしや、あのЯ達も?!」

 

「あぁ、あのポンコツ共か?あれは先代の無呪羅が作った失敗作だけどな。オレサマ達の命令もまともに聞けなくて苛立たしい奴等だよ!」

 

な……ッ!?つまり、こいつ等はみしろや皆に襲い掛かってきたあのЯ達の親玉って事か!?

 

「巫山戯んな……お前等がみしろを、皆をあんな目にあわせたのか!?」

 

「フン、落ち着け神羅よ。あれはЯどもが勝手に行動して暴れ回っただけに過ぎん。元よりあいつ等の行動には我々もかなり問題視していたからな」

 

「問題視だって?お前等の目的は世界の破壊じゃないの?Яはその為の先鋭でしょ?」

 

「モグモグ……ゴクンッ。ハァ、お前等何か勘違いしてない?アタイ等は別に無闇矢鱈に世界を破壊してるワケじゃないんだよ」

 

「……それは、どういう意味ですか?」

 

「アタイ等の役割は神羅の連中が生み出した物の中で世界のバランスを崩すようなヤツを消し去る事。何でもかんでも生み出し続けたら世界の理が崩壊しちゃうのは当然じゃん?」

 

……どういう事だ?こいつ等はЯみたいに好き勝手に世界を滅ぼそうとしているんじゃないのか?しかもそれを役割と言っている。神羅と無呪羅、創造と破壊……正に対を成す存在という事なのか?

 

「……そしてわたし達は新生無呪羅として生まれ、お前達の世界を破壊するかどうかを検討している。この羨ましく妬ましい世界を……」

 

「パタち達の世界を破壊!?」

 

「……それはどうしてだ?この世界がイレギュラーな俺が存在する世界だからか?」

 

「それもあるが、それだけではない。貴様が交わった者達も徐々に神羅化し、そしてその間に神羅の力を宿した子も産まれた。これによりこの世界、いや……全ての世界のバランスが大きく揺らいでしまいかねないのだ。そんな不穏分子が存在するこの世界を、放っておくワケにはいかんからな」

 

……成る程、確かに言われれば俺というイレギュラーな存在、そしてそのイレギュラーによって増えつつある神羅族。そう考えれば無呪羅達が俺達の世界を消すには充分過ぎる理由になる。だが……

 

「……お前達の言いたい事は分かった。だが、だからといってはいそうですかと素直に消されるつもりはないぞ」

 

俺だってこの世界を、大切な仲間や家族を消させるワケにはいかない。俺は神羅の力を解放し無呪羅達に向かって威嚇をする。

 

「おーおー、威勢が良いねぇ?だが安心しろ、我々とてすぐに消すつもりなどない。先程エンヴィーが言ってたであろう、この世界を消すかを検討していると」

 

「何?どういう意味だそれは?」

 

「クククッ簡単な話だ。貴様、確かガンプラとかいう物を使った大会を開いているんだったな?その大会に、我々も参加させてもらう」

 

「GWDWCに?しかしその大会は既に予選が始まっております。貴方達がいきなり参戦するなど……」

 

「フン、テメェ等オレサマ達をナメすぎじゃねぇか?苛立たしい!そんな事くらいオレサマ達が対策してねぇと思ってんのか?その予選のランキング表を見てみろよ」

 

ランキング表?それがどうし……ッ!?な、なんだこれは?!

 

 

 

GWDWC第二次予選ランキング

 

1.グリード 2500P

2.ラース 2400P

3.グラトニー 2360P

4.ラスト 2300P

5.エンヴィー 2280P

6.明日香 蘭 320P

……………………

 

 

「ランキング上位者に見た事のないバトラー名が……まさか、これがお前達なのか?!」

 

「クククッその通りだ。そういやまだ名を名乗ってなかったな?我はグリード、現在の無呪羅のリーダーだ。そして先程からずっと苛立っているのがラース、生魚を食ってるのがグラトニー、痴女のような格好をしているのがラスト、そして妬ましそうにしているそいつがエンヴィーだ」

 

ラプそっくりな奴は自身をグリードと名乗り高らかに笑う。そしてルイそっくりな奴がラース、クロヱそっくりな奴がグラトニー、こよりそっくりな痴女がラスト、いろはそっくりな奴がエンヴィーか…………全て七つの大罪から名前を取ってるのか?だとしたら……

 

「……おい、お前達の名前は七つの大罪からきているようだが、それなら後傲慢(プライド)と怠惰(スロウス)もいるのか?」

 

「ほぉ、察しが良いな?その通り、そいつ等はまだ目覚めてはいないが目覚め次第この大会に参加してもらう。そしてこの大会にて我等無呪羅の誰かが優勝した場合……この世界を、消させてもらう」

 

「ッ!?…………もし、拒否した場合はどうなる?」

 

「その時は試合放棄とみなしすぐにでもこの世界を消す。つまりこの世界を生き残らせる為にはただ一つ、我々全員を倒す他ない」

 

拒否権無しかよ……つまり奴等は神羅族との対決というかはこの世界のバトラー全てと対決するつもりでいるという事か……なら

 

「…………分かった、その勝負受けて立つ。だが二つだけ条件がある。このGWDWCは多くのバトラーが皆真剣に取り組んでいる。だからお前達も無呪羅の力とかナシに挑んでこい!そして大会中はЯを含め破壊行為を一切止めろ!それがGWDWCに参加させる条件だ!」

 

「フン、言われなくとも我々はそのつもりだ。だが、少なくとも機体は我々が作り上げた物を使わせてもらうがな。クククッこれからますます面白くなりそうだ♪ではまた会おう、新たな神羅達よ……」

 

グリードはそう言うとゲートを開き、無呪羅達はその中へと入って消えていった。

 

「無呪羅……まさかЯ達の親玉が現れるだなんて……」

 

「えぇ、それにЯのような無差別破壊はしてないようでしたが、あの者達からは膨大な力を感じました……」

 

「あぁ……だがこれでЯ達も活動する事はないだろう。この世界の為にも、俺達はGWDWCに集中すべきだ」

 

「えぇ、みしろもあのような者達に負けるつもりはありません。必ず無呪羅を倒し、ご主人様に勝利をお届けいたします」

 

「パタちも大会には参加出来ないけど、皆のサポートは徹底してやるぞ〜!」

 

あぁ、二人共とても頼りにしているぞ。取り敢えずこの件は他の皆にも報告しておこう。必ず無呪羅を倒して、この世界を救うんだ!

 

 

 

遂に対峙した神羅と無呪羅。創造と破壊を担う両勢力の戦いの行方や如何に……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―オマケ―

 

[……ギギッムジュラノヤツラ、ハカイヲスルナッテイッテキタ]

 

[フザケルナ、フザケルナ]

 

[ワレワレニツクラレタブンザイノクセニ、ナゼヤツラニシタガワナイトイケナイ?]

 

薄暗い空間の中、無呪羅達に破壊行為を禁止されたЯ達は感情がない筈なのに苛立ちのようなモノをみせていた。Яにとって破壊こそが目的そのもの、それを封じられた今奴等の存在意義がなくなってしまうからだ。

 

[ドウスル?メイレイムシスル?]

 

[ソンナコトシタラケサレル]

 

[ギギッドウスレバイイ?ドウスレバ「あらら、なんかお困りのようだね〜?」ッ!?]

 

これからどうするかを考えていた時、その空間にいない筈の一人の少女がニコニコと笑いながら現れた。突然の来訪者に当然Я達は警戒する。

 

[ギギッオマエ、ダレ?]

 

[ココハワレワレシカハイレナイハズ……?]

 

「えー?ボクの事分かんないの?あ、そっか。今は借り物の身体だったんだっけ?……ンブッ!」

 

―ズルッ……ドボボボボッ!ベチャッ!―

 

少女はそう言うと口から黒い液体が吐き出されて倒れてしまい、そして黒い液体は少女の形になり妖しげな笑みを浮かべていく。

 

[ギギッ!?コイツ、シンラカ?!]

 

[ワレワレノテキ、シンラノチカラ!]

 

[マサカワレワレノマエニスガアヲアラワストハ……ッ!?マテ、コイツ、イヤ、コノカタハ……ッ!?]

 

いきなり現れた少女に警戒心を強くするも、一体のЯが何かに気づくと他のЯ達も何かを察し少女の前に跪いていく。

 

「アハッ♪どうやら思い出したみたいだね?」

 

[ハッ!オマチシテオリマシタ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

()()()()()()]

 

 

 

神羅file11

神羅と無呪羅は、創造と破壊を担う関係である。どちらが正義というのはない




はい、という事でニューベイビー誕生からの新たな敵、無呪羅からの宣戦布告回でした!子供達に関してはこれで67人目とか……かなり現実離れしてますね(^_^;)

そして現れた無呪羅はЯに比べればまだ大人しそうに見えるが、今後どう関わって来るのだろうか……?

次回は魔界の鬼人族の里より、あやめがオーガと再会!再び相まみえるかと思いきや、其処に尊が現れ……?次回もまったりと待って頂ければ幸いです、ではまた!


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EP26『鬼神覚醒』

最近本当にSEED系のキットが手に入らない……ドムトルーパーやストフリは一体何処に?(T_T)

今回はにじさんじの鬼の女王尊が管理する鬼人族の里からです!里にやって来たオーガとあやめが対決、と思いきや……?今回も最後まで見て頂ければ有り難いです、ではどうぞ!


魔界にある鬼人族の里。此処は魔界でも異質で鬼人族のみで構成された町である。町並みは昭和を彷彿とさせるレトロ感があり、娯楽といえば酒場か古い映画館等のような場所しか存在しない。

 

そんな鬼人族の里に現女王の尊が地上界で流行っているゲーム、ガンプラウォーズを導入すると住人達は新しくエキサイティングなゲームに夢中になり日々行列が絶えない程の盛況ぶりを見せた。

 

しかし、そんな状況を良しとしない鬼人族もまた存在した。鬼人族の里は本来他世界との交流を拒んできたのに、此処近年は尊の意向によって里は少しずつ他世界の文化を取り入れ始めている。その事に一部の鬼人族達の不満が爆発しそうになっていたのであった…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「女王!前回も申した通り、あのガンプラウォーズとかいう物を即刻破棄して頂きたいッ!」

 

「はぁ、またか……そんな事は出来んと毎回言っとるではないか。何を今更そんな事を……?」

 

「今更!?何を言っているんですか女王ッ!そもそも貴方が女王の職務をほっぽりだして地上界に出たかと思えば!時偶戻って来ては地上界の文化をこの里に取り入れていく!そりゃコンビニとかスーパーは良いですよ!ですが里のど真ん中にあんな外観を損なうようなゲームセンター等を作る意味が分かりません!」

 

「はぁ、お前も馬鹿じゃのう補佐よ。良いか?わらわ達が住む鬼人族の里ははっきり言うて他の町並みに比べればあまりにも発展しとらん。娯楽も少なく、一日の内にやる事と言えば畑仕事や家畜の世話、それが終れば酒飲むか飯食って寝るだけ。そのようなつまらん人生送って何が楽しいのじゃ?じゃからわらわはそんな里を盛り上げる為に今もこうして積極的に動いとると言うのに」

 

補佐の男が尊に里を元に戻すように志願するも、尊は里を良くする為と考えを変える気はなかった。現に尊が女王になるまでは里は外交など殆ど拒んでいた所為で衰退の一途を辿っていたのだ。娯楽など殆どなく、三大欲求を満たす為だけの日々。そんな退屈な里が嫌で出ていく者も後を絶たなかった。そんな里の現状を打破する為に尊はこうして少しずつ里を改革しているのだ。だがそれに対し補佐の男は里の外観を損なうような真似をする尊に不満が爆発していた。

 

「良いですか女王!我々鬼人族は本来他種族から虐げられ、そしてこの地に我等だけの安住の里を築き上げたんです!それなのにそんな他種族の文化を取り入れるなど、先代に申し訳が立ちませんッ!」

 

「……ハァ、お主は一体何時の時代の話をしとるのじゃ?鬼人族が虐げられていたのは千年以上も前の話じゃろう?今は他種族同士の交流など当たり前に行われてるというのに、そんな大昔に虐げられたからと何時までも意固地になっとる方がおかしいじゃろ?」

 

「なッ!?女王!貴方は里の長という身でありながら何という事を言うのですか!?そのような発言を先代の王が聞いたら嘆き悲しみます!大体地上界に出るのも反対だったのに何処の馬の骨だか分からぬ人間の男などと契を交わすなど……」

 

―ピクッ……!―

 

「…………おい、お主今何と言った?」

 

「だから何処の馬の骨かも分からぬ人間の男と契を交わしたのがおかしいと言ったんです!あまつさえその男に股を開き人間との間に子を成すなど鬼人族としてあるまじき―バッコオォォォンッ!!―…………へ?」

 

補佐が尊の夫である玲二、そしてその玲二との間に玲斗を授かった事に嘆げいていると、尊は何処から出したか分からないが自身の三倍程の大きさを誇る棍棒を補佐の真横ギリギリに振り下ろし其処にあったテーブルを粉々に砕いていった。

 

「………貴様、()に対し文句を言うのはまだ良い。しかし!妾が愛する旦那である玲二と息子の玲斗を貶す発言、断じて許す事は出来んぞッ!!」

 

「ヒ、ヒイィィィィィッ!?」

 

普段の尊からは想像つかない程の威圧感に、補佐は腰を抜かし倒れ込んでしまう。目の前にいる尊は130cmしかない筈なのに赤黒く光る眼に部屋中を支配する程の圧倒的霊力と妖力、そして身体から溢れる気迫に補佐は最早何も言えずただ震えるしか出来なかった。

 

「……まぁ良い、今日のところは一先ず許してやる。じゃが……次に玲二と玲斗を侮辱するような事を言えば、貴様の首と身体が別れる事を覚悟しておけッ!!」

 

「は、はいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃッ!!」

 

あまりの気迫に圧された補佐は思わず号泣しながら部屋から出ていってしまった。補佐の姿が見えなくなると尊は気迫を抑え持っていた棍棒も消滅させソファーに座り込んでいく。

 

「…………はぁ、あんな連中がいるから女王なんて嫌なんじゃ。あんな考えのままじゃこの里はいずれ滅びるだけじゃのに……まぁ良い、此処での仕事も終わったし、あやめちゃん達も待っとるからそろそろ行くとするかの」

 

そんな尊は気持ちを切り替えあやめ達と待ち合わせしているゲームセンターへと向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鬼人族の里ゲームセンター『鬼火』

 

鬼人族の里唯一のゲームセンターである此処鬼火は今日も大盛況だ。このゲームセンターは尊が娯楽の少ない里で楽しめる場所を作ろうと前々から考えていて、其処に玲二がガンプラウォーズを稼働させた事で里の住人達からは今までにない娯楽という事で大いに盛況を見せている。そんな鬼火のガンプラウォーズ特設ステージに尊はあやめ達と待ち合わせをしていて探すのだが……

 

「んーと……およ?なんか彼処が騒がしいのう?」

 

ガンプラウォーズ特設ステージ前、其処には何故か沢山の人集りが出来ており尊は何事かと近づいてみると、その中央であやめが誰かと対峙していた。

 

「……フン、あの時よりも随分と強くなったみたいだな?あやめ」

 

「………まあね。これでも余はダイヤ2だし」

 

「ダイヤランク……確かチャンピオンやメイジン達がガンダリウムランクで、ダイヤはその一つ下のランクだったな?それ程の力を付けているとは、ますますお前が欲しくなったぞ、あやめ」

 

「やーだ余!前にも言ったけど余は玲二様のものだもん!お前のものになんかならないもんね〜!べ〜だ!」

 

「べーだ!」

 

「べー」

 

かつてビルドダイバーズの世界に行った際にあやめに惚れ込んだ鬼神の如く屈強な男、オーガはまたあやめに迫っていた。対するあやめは真正面から突っぱねてアカンベーをし、足元にいた玲菜も真似してアカンベーをし、あやめに抱っこされている玲斗も口だけべーと言ってオーガを拒絶していた。

 

「フン、相変わらずナマイキな女だ。だが、それでこそ喰らい甲斐があるってモンだ」

 

「ナマイキで結構、余が素直になる殿方は玲二様ただ一人だ余。それに、あんまりしつこいと女の子に嫌われるかんね?」

 

そう言いなから二人はそれぞれのガンプラを取り出し睨み合う。ビルドダイバーズ最強格の鬼神オーガと戦国の鬼姫と呼ばれているあやめ、二人のバトラーが互いの信念を賭けて戦い合おうとしていた。

 

 

 

「ちょーっと待つのじゃあーーーッ!」

 

 

 

……と其処に尊が二人の間に割り込んできた。

 

「え?あ、みこっちゃんだ」

 

「まんまぁ〜♪」

 

突然現れた尊にあやめもポカンとしてしまい、あやめに抱っこされていた玲斗もママが戻ってきて嬉しいのか手をパタパタさせながら笑っている。反面オーガはこれから戦おうとしていたところに見ず知らずの女が来て明らかに不機嫌な顔をしていた。

 

「……あ?なんだこのチビは?こっちは今からこいつとやり合うんだ、すっこんでろ」

 

「なッ!?チビとはなんじゃチビとは!わらわはこの鬼人族の里の女王、竜胆尊じゃ!それよりお主、確か玲二が繋いだビルドワールドから来たオーガとかいう男じゃな?ならばこの勝負、わらわに預からせてもらおうか!」

 

尊はそう言いながら自分のガンプラを取り出しオーガに突きつける。

 

「…………おいあやめ、こいつは一体何言ってんだ?」

 

「え、えーと……みこっちゃん、それってみこっちゃんが審判とかをするって事?」

 

「ンッフッフ〜♪そうではない。そのバトル、わらわも参戦させてもらうという事じゃッ!わらわとてあやめちゃんと同じく玲二の嫁!そしてガンプラバトルの腕もそこそこと自負しておる!じゃからあやめちゃんと戦いたければわらわを倒してからにするんじゃッ!」

 

「…………何を言い出すかと思えば、下らん。貴様なんぞと戦うつもりはない。分かったらさっさと「おやおやぁ〜?獄炎のオーガと呼ばれる程のお主がよもや鬼人族の女王と戦うのが怖いのかのう〜?どうやらビルドワールドの連中も大した事はないという事かの〜?」………テメェ、調子に乗るのも大概にしろよ?良いぜ、そんなに言うならテメェから喰らってやるよ!」

 

オーガは尊とのバトルをバカバカしいと拒否しようとするが、尊の分かりやすい挑発に乗ってしまいそのまま筐体へと向かっていった。

 

「……ねぇみこっちゃん、あんな挑発なんてして本当に大丈夫なの?」

 

「なぁに、わらわだってこれでもプラチナ2じゃ。それにあのオーガが使ってるのだってアニメと同じで『ガンダムGP-羅刹天』じゃったし、わらわはあの機体とは戦った事があるから大丈夫じゃって♪……おりょ?そう言えばぺこらちゃんといろはちゃんは何処におるんじゃ?てっきり一緒だと思っとったんじゃが?」

 

「え?あー、あの二人は………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、ぺこら達はというと……

 

「おっしゃあ!止まれ止まれ止まれ止まれ……きtらぁ!スリー7激アツぺこぉーーーッ!」

 

「ママしゅごーい♪き~てぃら、きてぃらき~てぃらふっふ〜♪」

 

「……あぁ、これはもう旦那様に通報した方が良いでござるな。にほ、お前はあんなふうになったらダメでござるからな〜」

 

「はーい♪」

 

一次予選に落ちてキアラも帰ってしまった為にやる事なくなったぺこらは娘のレヴィと一緒にメダルゲームのスロットコーナーですっかり遊び呆けていた。そんなぺこらをいろはは娘のにほを諭しながら冷めた目で見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「とまあこんな感じですっかり自棄になってスロカス状態になっちゃってる余」

 

「………こりゃ玲二が知ったらお叱りモンじゃな?」

 

ぺこらの現状を聞き呆れる尊。ぺこらも折角ミッションを六つクリアしてたのに残るクイズミッションも余裕だとギリギリまで放ったらかしにしてたら結局クリア出来ず期限が過ぎてしまい脱落してしまったのだから余計にダメさが際立ってしまっている。

 

「ってそんな事よりそろそろ行かんと向こうも待たされて苛ついてしまうかもしれんの。玲斗、もう少しあやめママと一緒にいとくれなぁ〜♪」

 

「あぅ〜♪」

 

愛息子の頭を優しく撫で、尊はオーガが入っていったのと隣の筐体に入りガンプラとIDカードをセットし対戦モードを選びオーガとの対戦を設定しゲームを開始した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バトルエリア―GWDWC 公式エリア―

 

「……フン、漸く来たか。てっきり臆病風に吹かれて逃げたと思ったぞ」

 

「そんなワケないじゃろ。お主のような男には分からんと思うが、おなごにはいろいろと準備が必要なのじゃよ」

 

互いの機体がフィールドに転送され、両者とも軽く挑発しながら武器を構え対峙する。このエリアはGWDWCの公式戦用に作られた特別エリアであり、周りの風景はネットワーク内をモチーフとしたサイバー空間となっており空中には半透明の足場が幾つか存在する。またこのエリアでは宇宙戦仕様と地上戦仕様、どちらも使用する事が可能である。

 

(……奴の機体はSDの『神武兜頑駄無』か。見た感じパワー重視の改造みてぇだな?)

 

(あやつのはアニメと同じく羅刹天。この機体はこの間別のバトラーが使っていたから戦い方は分かっとる。じゃが使い手はオリジナルとも呼べるオーガ。油断は出来んかもな……?)

 

 

『SD 竜胆頑駄無』

『SD頑駄無武者○伝II』に登場する主人公若丸の進化した姿。それを尊が自分専用にチューンナップした機体。カブト虫をモチーフにした角は鬼のようにより鋭くし、武器も自身の頭身の倍程の大きさがある棍棒『豪傑怒ッ貫棒』を備えている。この棍棒はビームマグナムとしても使え、中には長身の刀も仕込まれている。

スキル『鬼神絶大』

バトル中一度しか使えない代わりに15秒間全ステータスを200%上昇させ、発動時相手を三秒間スタンさせる。

 

 

『HG ガンダムGP-羅刹天』

『ガンダムビルドダイバーズ』に登場するオーガの機体。ガンダムGP02サイサリスを改造したこの機体は宇宙世紀仕様の機体でありながらトランザムを使用出来る一風変わった機体である。一見すると一般販売されている羅刹天と同じようだが……?

スキル『鬼トランザム』

擬似太陽炉をフル稼働し通常の三倍以上の機動力を発揮する。通常のトランザムよりも性能が良く、セーフティータイムも倍程の長さを誇る。

 

 

「さぁて、この俺のあやめとのバトルを邪魔したんだ。不味い戦いしたら容赦しねぇぞ」

 

「ご心配なく、わらわはこれでも何度かあやめちゃんと張り合っとるからな」

 

「へッそうかい?なら……」

 

―…………バッ!―

 

「へ……?」

 

「少しは楽しませろよなぁッ!?」

 

―バキイィィィィッ!!―

 

「グッ!?」

 

まず先手を打ったのはオーガだった。オーガの羅刹天が一瞬で尊の竜胆頑駄無との距離を詰めGNオーガソードを振りかざす。尊も少し反応が遅れたがとっさに怒ッ貫棒を構えて防ぐが、その衝撃は想定していたものよりも遥かに重く強かった。そして

 

―グググ……ドゴオォンッ!!―

 

「キャアァッ!?」

 

竜胆頑駄無は衝撃を受け入れずエリア端まで思いっきりふっ飛ばされてしまった。これを見ていた観客もまさかの結果に動揺を隠しきれずにいた。

 

「嘘だろ!?女王の頑駄無がふっ飛ばされた?!」

 

「なんでだ!?相手の機体は唯の羅刹天だろ?!幾らビルドワールドから来た刺客だからといってあんな無改造の機体で彼処までの火力が出るのか?!」

 

「……いや、あれは無改造なんかじゃない余」

 

『…………え?』

 

皆は無改造の羅刹天が尊を圧したと思っているが、あやめだけはオーガの使う羅刹天が無改造ではないと言い出す。

 

「あ、あやめさん?無改造じゃないって一体どういう……?」

 

「……確かに余達の世界には羅刹天をはじめとする多くのビルドシリーズのキットが存在する。けど、オーガ達の世界は違う。自分達のキットなんて当然販売なんかされてるワケがないんだ」

 

「へ?それってつまり……」

 

「うん、あの機体は余達の世界の羅刹天と違って、ちゃんとGP02をベースに改造された機体なんだ!」

 

そう、あやめの言う通りオーガ達が元いた世界では当たり前だがビルドシリーズの機体なんて発売なんてされていない。故に彼等が使ってる機体は全て元の世界でベースとなるキットを使用して作られたオリジナル機体なのだ。当然市販されている同タイプのキットとは天と地程の大きな差がある。つまり尊が以前戦った相手の素組の羅刹天と違いオーガの羅刹天とは比べ物にならない程のスペックを有しているのだ。

 

「痛た……そうじゃった、お主達の機体はこの世界の市販されてる物とは別物じゃったの……」

 

そんな中、ふっ飛ばされた竜胆頑駄無は少しふらつくも直ぐ様立ち上がり怒ッ貫棒を構え直す。

 

「……ほぉ?あの一撃を受けてダメージがほぼないとは、大したモンだな」

 

「まぁ、頑丈さは武者頑駄無の取り柄でもあるからのぅ。さて……無改造の羅刹天と思い込んだ所為で油断してしまったが、此処からは()も本気でヤラせてもらうとしようか!」

 

先程までの緩い雰囲気とは打って変わり尊の目は赤黒くなりまるで羅刹天を狩りの獲物を見るような目で睨みつける。その気迫からオーガは一瞬圧されるも、すぐに嬉しそうにニヤリと笑みを見せる。

 

「成る程なぁ?最初は唯のガキと思っていたが、まさかこれ程の覇気を隠していたとはな。コレなら、存分に満足出来そうだなあぁッ!!」

 

「ハッ!満足どころかもう無理と言っても味あわせてやるから覚悟しとけぇぇぇぇぇッ!!」

 

―バキィッ!!―ドッゴオォォォォォォォオンッ!!

 

互いの手持ち武器がぶつかり合い、その衝撃で地面が抉れ二機とも上空へと吹っ飛ぶ。その間も互いに激しい鍔迫り合いが繰り広げられていく。

 

「行くぞ尊ぉッ!!」

 

「来い、オーガァッ!!」

 

その後も互いに限界が来るまで激しいバトルを続けていき、二人のバトルが終わるのは閉店五分前の事であった…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後……

 

「ハァ~……疲れたけど楽しかったのじゃあ〜♪」

 

「きゃうぅ〜♪」

 

「いや閉店間近までバトルするなんてみこっちゃん、案外タフなんだな……?」

 

「みことまますごーい♪」

 

閉店間近までバトルしていたのにも関わらず尊は少し疲れた程度でピンピンしており玲斗に頬擦りしながら親子でキャッキャと笑っていた。あやめと途中で合流したいろはも尊のタフさに半分呆れながら苦笑いしている。

 

「それにしてもぺこら、いつの間にか玲二さんに連行されとったな?」

 

「だってあのままぺこちゃん放っといたらレヴィちゃんの教育に良くないから風真が通報しといたでござるよ」

 

「まぁそりゃ予選敗退したからって自棄でスロカスになっとったら誰だって怒るわな?」

 

どうやらぺこらは途中いろはから通報を受けた玲二によって連行されたようである。幾らメダルゲームとはいえ子供連れてスロットするなんて怒られて当然である。きっと今頃お仕置きを受けてるに違いないであろう。

 

「ん~~……ヨシッ!久々に熱くなって身体も火照っとるし、今日は早く神羅城に戻って玲二とハッスルするとしようかのう♪」

 

「あ、みこっちゃんズルい!だったら余も一旦帰る!」

 

「ま、まぁハッスルは兎も角そろそろ一度帰った方が良さそうだったから良いと思うでござるよ。みんな〜、もうすぐでパパに会えるからね〜♪」

 

「「わーいパパ〜♪」」

 

「あぅぷぅ、ぱーぱ♪」

 

こうして尊達は一度ホロライトシティへと戻る事を決め地上界へと続くバス停へと向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、オーガは……

 

(…………あやめといい尊といい、この世界には喰いごたえのある連中がゴロゴロいやがる。こんなに熱くなったのはリクとのバトル以来か……オモシレェ、次は絶対に完膚なきまでに叩き潰す!そしてあやめ、尊!お前等は必ず俺のモノにしてやるからな!)

 

新たなターゲットを見つけたオーガは嬉しそうに酒を飲み干し、その後は暫く鬼人族の里で己の強さを磨いていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―オマケ―

 

「し、師匠〜、も、もぅ足が限界、ぺこぉ〜…………!」

 

「お兄、ちゃぁ〜ん……沙花叉も、もぅ足が痺れ、て、きた……!」

 

「だからなんだ?お前等予選敗退したからって子供抱えながらスロット打つとか何考えてんだ!?罰として今日はもうずっとそうしてろ!」

 

「「まーま、がんばれ〜」」

 

「「そ、そんなぁ〜……!?」」

 

いろはに通報されて玲二に連行されたぺこらと、何と奇しくも別の場所で同じような事をしていてトワに通報されたクロヱは二人揃って浩一特製ギブスを着けた状態で空気椅子三時間の刑を受けてしまうのであった。

 

 

 

神羅file12

神羅の力を得た者は元から持っていた力を数十倍にして解放出来る。




はい、という事で尊の女王としての仕事、後にオーガとの対決回でした!ビルドワールドの面々が使うキットはこちらで流通しているキットとは違って一からの改造キットなのでその力は計り知れない程だろうと思い、それを体現した回にしてみました。今後は一体どんなバトルを繰り広げて行くのだろうか?

次回は……

予選落ちして暇を持て余しているぺこらとクロヱ。其処にクロヱそっくりな無呪羅、グラトニーが現れる!だがグラトニーは戦おうという意志は見せず……?
次回、『暴食VS掃除屋!仁義なきガンプラ大食い対決!?』

次回もまったりと待って頂ければ幸いです、ではまた!


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EP27『暴食VS掃除屋!仁義なきガンプラ大食い対決!?前編』

私事ですが、先日姉が第二子を出産しました!可愛らしい女の子です!新しい姪っ子の可愛さを糧に、これから暫くは頑張れそうです!

今回はホロプラでの一幕!無呪羅の一人がホロプラにやって来てとんでもない事件を起こす!?今回も最後まで見て頂ければ有り難いです、ではどうぞ!


二次予選が始まり既に三週間が経過。現在ではフブキも復活し各バトラー達がしのぎを削りあっていた、のだが…………

 

「…………やはりトップは依然としてグリード達無呪羅か。しかもこいつ等、他の連中の記憶や情報を操作しているのかこの異常な点差でも誰も疑問に思わないなんてな」

 

現在トップは変わらず無呪羅の連中で固められている。それもその後に続いている蘭とのポイント差は2000近く離れている。これはガンダリウム相手だと20回、ダイヤランク相手だと100回勝たないといけない。それを開始僅か二週間弱で到達するなんて、普通ならチートとか疑われていてもおかしくはないんだが……

 

「……チーム『セブンズSin』、ガンプラウォーズ始まってから活躍し続ける謎の覆面集団。その実力はランクに縛られる事なく多くのバトラー達を払い除けてきた……奴等め、自分達に疑いの目がいかないようにこんな小細工しやがって」

 

最新のガンプラウォーズ関連の雑誌の記事、どれを見てもこのセブンズSinというチームの事ばかり書かれている。しかも俺達神羅族や神羅の力を受けたレイラは影響を受けてないが、他の連中は皆このセブンズSinが最初からいたというふうに記憶を改ざんされている。

 

「…………Яとは違って無闇矢鱈な破壊行為をしてこないが、実際のところ奴等が何を考えて行動しているのか分からない以上やはり目が離せないな」

 

その為にも他の皆と連携して無呪羅達の動きを観測しないとな。けど今は取り敢えず大会運営に集中しないといけないし、本当にやる事が多過ぎる……

 

「……ダメだ、ずっとパソコンとにらめっこしてたら疲れてきた。一先ず休憩がてら飯でも食うか」

 

幾ら神羅族といえど普段は普通の人間と変わらない生活を送っているから普通に疲れるし腹が減る。オカユからはその気になれば普通に自己回復出来るし食事や睡眠の必要はないと言われてるが、流石にそんな人間らしさを捨てるつもりは毛頭ない。そんな事を考えながら俺はリビングへと向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―ウィーンッ―

 

「さて、確かカップ麺がまだ残ってた筈……え?」

 

「マミ〜♪だっこしてだっこ♪」

 

「はいはい、レヴィちゃんはとっても甘えん坊さんね〜♪」

 

「マミ〜、フィルもだっこ〜」

 

「うん、フィルちゃんもおいで〜♪」

 

「わ~い♪」

 

…………なんだこれ?リビングに入ったらレヴィとフィルがおっとりとしたウサ耳の女性に抱っこされてるんだが?いや、誰かは知ってるんだがなんで此処にいるんだ?

 

「あら?久しぶりね玲二君♪元気にしてたかしら?」

 

「……お久しぶりです、お義母さん。まぁいつも通り元気ですよ」

 

俺が来た事に気づいたのか目の前にいる女性、ぺこらの母親である『兎田月代(つきよ)』(本作内のオリジナル名)さんがニコニコと笑顔で出迎えてくれた。この人ぺこらの他に二人産んでる筈なのにぺこらの姉と言ってもおかしくない程に若々しい。それでいてかなり母性の強い人であり、その容姿と雰囲気で野うさぎ(ぺこらのファン名)以外にも多くのリスナーから絶大な支持を受けている。

 

「もぉ玲二君ってば、お義母さんなんて堅苦しいからマミーって呼んで良いって言ったでしょ?」

 

「いや、流石にその呼び方はちょっと遠慮しておきます……というより何故此処に?今は実家で暮らしていると聞いてましたが……?」

 

「あら、ぺこちゃんから聞いてなかったの?私達もこの街に引っ越して来たのよ♪今日はぺこちゃん達が戻ってきたって聞いたから久しぶりにレヴィちゃん達に会いに来たの。ね〜二人とも〜♪」

 

「「きゃうぅ〜♪」」

 

成る程、そういう事か。確かに俺の家族や白上家や夏色家もこの街に引っ越しているから兎田家も一緒に引っ越してきたって事か。

 

「それは分かったんですが、ところでそのぺこらは一体何処にいるんですか?」

 

「ぺこちゃんならクロヱちゃんと一緒に今は大浴場の掃除をやってもらってるわ。母親という立場になったのに子供抱えてスロットなんて打ってるからその罰としてね」

 

あー、やっぱりお義母さんにもその情報は行ってたか。お義母さんはおっとりとしているものの実際は子育てに関しては真面目で子供に悪影響になりそうな事は絶対に許さない性格をしているからな。まぁぺこら達のあれは自業自得だから仕方がない。

 

―ウィーンッ―

 

「「お、終わりましたぁ〜……」」

 

「はい、ご苦労さま♪」

 

っとそう思ってたら二人ともぐったりとした状態でリビングに入ってきた。まぁこの城の大浴場はかなりデカいから普段はオートロボットによる清掃に任せているから人力だとかなり時間が掛かりそうだしな。疲れてしまうのも無理はない。

 

「ま、マミ〜、もぉスロットなんてしないから許してくださいぺこぉ〜……」

 

「沙花叉も反省しますから、何卒お慈悲をぉ〜……」

 

「う~ん、そうねぇ……ま、今日のところはこれで勘弁してあげるわ。貴方達はもう立派な母親なんだから、子供達に悪い影響与えるような事はしちゃダメよ」

 

「「はいぃ、以後気をつけますぅ〜……」」

 

「ん、よろしい♪それじゃあそろそろお昼だし、皆でご飯食べましょうか♪」

 

「「わ~い♪」」

 

どうやらお義母さんも二人を許したようでこの件はこれで終わりに出来そうだ。まぁまたやったら今度こそ兄貴の地獄のブートキャンプ行き確定だけどな?それじゃあ俺達もそろそろ飯に―ピリリリリッピリリリリッ―ん?電話?またなんか嫌な予感が……相手は、るしあか。

 

―ピッ―

 

「はいもしも《玲二さん、助けてくださいなのですッ!!》……ど、どうしたんだるしあ?そんな大きな声出して……?」

 

電話に出るやいなやるしあのデカい声が響き耳がキーンとなってしまった。本当に何が起きたんだ?

 

《ご、ごめんなさいなのです……じゃなくて!今ホロプラが大変な事になってるのです!》

 

「ホロプラが?なんだ、またマナーの悪いバトラーが現れたのか?」

 

《違うのです!今ホロプラのフードコートでクロヱちゃんそっくりな子が料理を食べ尽くす勢いで食べているんです!》

 

は?クロヱそっくりな奴がフードコートで飯を……ってそいつってまさか!?

 

「るしあ!そいつはまだ飯を食ってるのか!?」

 

《え?は、はいなのです!幸いホロプラの食料はるしあの力で無限に補充出来るけど、早くしないと先に従業員の皆が疲労で倒れちゃうかもです!》

 

「分かった、今すぐ向かう!待っていろ!―ピッ―というワケでぺこら、クロヱ!疲れているところ悪いが今すぐホロプラに向かうぞ!」

 

「「えぇ〜!?」」

 

俺は電話を切り直ぐ様ぺこらとクロヱを掴みホロプラへと向かっていった。最近大人しいと思ってたのにまさかこんな事してくるなんて、全く面倒な連中だ!

 

「……あらあら、玲二君ったらどうしちゃったのかしらね?」

 

「「ね〜」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分後、ホロプラフードコート……

 

「……な、なんだこれ?」

 

「こ、こんな光景見た事ねぇぺこ……?!」

 

「てかあれがお兄ちゃんが言ってた無呪羅ってヤツなの?!な、なんかあいつ沙花叉に似てて凄くやな感じ……」

 

ホロプラに到着しすぐにフードコートへと駆けつけたんだが……其処には大量の食べ終わった食器が積み重なった席で未だにがっつきながら食べ続けているクロヱそっくりな奴、確か……グラトニーだったか?がいた。

 

「ガッツガッツクッチャクッチャモグモグ……ゴックン!プハァー!おーいこのエビフライとハンバーグ、もっと沢山持ってきてよ〜!」

 

「は、はいただいまーーーッ!!」

 

デカいステーキを頬張り平らげるもまだ満足してないのかグラトニーは更に注文をし続けている。既に百人前以上は食ってるのにまだ食うのかこいつ!?

 

「あ、玲二さん!来てくれたのですね!?」

 

「あ、あぁ。というかるしあ、これは一体どういう事なんだ?なんで無呪羅が此処で飯なんて食ってんだよ?」

 

「無呪羅?……あぁ!前に玲二さんが言ってたЯの親玉達の事だよね!?こいつがそうなのですか?!今朝いきなりやってきてメニューに載ってるもの全部出せって言ってきて、もうスタッフ総出で対処してるけど間に合わないのですーーーッ!?」

 

るしあは俺にしがみついてわんわんと泣いている。よっぽどこいつが常識離れした食べ方してたのがよく分かる。取り敢えず一旦奴を止めないとな。

 

「……おいお前、確かグラトニーだったか?お前こんな所で一体何をしてんだ?」

 

「ング?……ゴックンッ!プハァー!あ?なんだ神羅の男か。何って、見て分かんだろ飯食ってんだよ」

 

「いやそうじゃなくて、どんだけの量食ってんだって事だよッ!?というかなんでお前が此処にいるんだ?!」

 

「モグモグ……ゴックンッ!ハァ~、そんなの、アタイが何処で飯食おうがアタイの勝手でしょ?それに金ならちゃんと払うし、これで問題ないでしょ?」

 

そう言いながらグラトニーは胸元からブラックカードを取り出し見せびらかす。いやどっから出してんだよ?しかもそのカード絶対に能力使って作ったヤツだろ?ってそんな事は今はどうでもいいんだって!

 

「いやそうじゃなくて、お前が此処でどか食いしている所為でホロプラの業務に支障をきたしているんだよ!だから頼むからこれ以上は此処で飯食うのを止めてくれ!」

 

「えぇ〜?そんなのアタイの勝手だし〜。それにそっちにだって金入るんだから別にWIN-WINの関係だからいーじゃん」

 

「なぁにがWIN-WINぺこか!?オメェが此処で飯食いまくってる所為でスタッフ全員駆り出されて他の仕事が出来ねぇぺこだよ!」

 

「そうだよ!それに沙花叉と同じ姿でそんな爆食なんかしないでよ!今SNS見たら暴食沙花叉ってトレンドに載っちゃってるじゃん!?」

 

あ、本当だ。今見たらグラトニーがどか食いしているところが撮られてSNSで拡散されている。まぁグラトニーは目の色が青色な所以外は後は全てクロヱそっくりだからな。見ていた連中もクロヱと勘違いしてしまったんだろう。

 

「あー?姿が似てるのはしょーがねぇじゃんか、アタイはЯどもがお前をコピーして生まれたんだから」

 

「Яが?Яはお前等を補佐するプログラムじゃないのか?」

 

「ん〜、というよりはЯは先代の無呪羅が作り出したプログラムだからね。どういうワケかこの時代に無呪羅がいないからあいつ等がアタイ等を作ったみたいだけど、それ以外は本当にポンコツだから今は待機させてるよ……ハムッ」

 

ってまだ食うのを止めねぇし……にしてもこの時代に無呪羅はいなかったからこいつ等が生まれた?だとしたら先代の無呪羅達は一体何処に消えたんだ?何故Яなんて危険なプログラムをそのまま放置していたんだ?

 

……………………いや、待てよ?そういやあの時……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『アタイ等の役割は神羅の連中が生み出した物の中で世界のバランスを崩すようなヤツを消し去る事。何でもかんでも生み出し続けたら世界の理が崩壊しちゃうのは当然じゃん?』

 

…………つまりこいつ等は神羅が創造した物の所為でバランスが崩れてしまった物を破壊するのが目的という事だ。だがそれなら何故先代の無呪羅はЯなんて恐ろしい無差別破壊プログラムを作ったんだ…………?そういや前に神羅族のフブキ、もとい別次元のフブキが……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『白上達はそれでもレイくんと共に過ごし、守る事が出来るならと受け入れ、それからはずっと平和に暮らしてました……あいつ等が現れるまでは』

 

あいつ等……最初はЯの事だと思っていたが、それは先代の無呪羅によって生み出された存在。だが無呪羅の役割を考えたらそんな無差別な破壊プログラムなんて作る筈がない、つまり…………

 

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

おそらく先代の無呪羅の中に、何らかの企みを持った奴がいた。元々は無呪羅の補佐をする為に作られたプログラムを、その裏切り者が意図して書き換え無差別破壊プログラムであるЯに変化させた。それが先代の神羅と無呪羅を、別次元の俺達を滅ぼしたんだ。そしてもしこの仮説が正しいなら……()()()()()()()()()()()()()()()。もしそんな奴がいるなら、Яを使って何かをしてくるかもしれない………

 

 

「?お兄ちゃん、どうしたの?そんなに考え込んで」

 

「………え?あ、いやすまないクロヱ、何でもない」

 

いや、こんな憶測は今はよそう。それよりも今は目の前にいるこいつをどうにかしないとな。

 

「おいグラトニー。頼むからこれ以上のどか食いは止めてくれ。幾ら食材はるしあが確保してくれるとはいえ調理はスタッフがやってるんだ。これ以上負担を掛けたら皆倒れてしまう」

 

「え〜?でもアタイまだ全然満足してないんだけどぉ「あらあら、そんな事言って皆に迷惑掛けたらダメですよ〜」へ?」

 

え……って月代お義母さん!?な、なんでお義母さんが此処に来ているんだ?!しかも子供達を乳母車に入れて連れてきてるし!?

 

「玲二君達が慌てて出ていったから気になって皆一緒に来たんだけど、まさかこんなによく食べる子がいたなんてね〜。でもダメですよ〜、こんなに食べ過ぎたらお腹壊しちゃいますよ〜」

 

『よ〜♪』

 

「な、何こいつ?なんでいつの間にアタイの後ろにいたの?ってそれアタイのラーメン!?何勝手に取ってんのさぁ?!」

 

お義母さんはいつの間にかグラトニーの背後に立っていて、しかもグラトニーが食べてたラーメンの器を持っていた。一体どんなステルス能力してんだ?

 

「えーと、クロヱちゃんにそっくりな貴方。沢山食べるのも良いけど、周りの皆の迷惑をかけたらダメですよ〜。食事は皆で楽しむものですからね〜♪」

 

「う、だ、だってアタイ、食べるのが好きなんだもん。好きな時に好きなだけ食べたいんだもん……」

 

「うんうん、食べる事はとーっても良い事よ。でも食べ過ぎたりすると身体を壊しやすくしちゃうからちゃーんと考えて食べなきゃダメ。貴方とってもスタイルが良いんだからバランス良く食べないと、ね♪」

 

「う、うぅ〜……」

 

おいおい嘘だろ?さっきまで俺達が何言っても食べるのを止めなかったのにお義母さんが咎めたらタジタジになってるんだが?やっぱこの人本当にスゲェな……?

 

「あ、そうだ!折角だから貴方も食事だけじゃなくガンプラバトルをしてみない?此処はいろんな人達がいるからきっと面白いわよ〜♪」

 

「へ?い、いや別にアタイは「良いから良いから、さぁレッツゴ〜♪」ちょ……!?」

 

乗り気じゃないグラトニーをお義母さんは背中を押してGWコーナーへと連れて行く。相手は未知の存在の無呪羅なのに、知らぬとはいえスゲェなあの人……

 

「……ぺこら、お前の母親ってスゲェな」

 

「ぺこーらもそう思うぺこ……」

 

「……お兄ちゃん、取り敢えず沙花叉達もついて行かない?」

 

「そうだな。という事でるしあ、すまないがこっちの事は任せるぞ」

 

「は、はいなのです。はぁ、これ本当にどうしよ……?」

 

目の前にそびえる食器の山にるしあは深くため息を吐き、俺達はそんなるしあに任せて子供達を連れてお義母さんの後を追うのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……で、来たのは良いけど結局何をすんのさ?」

 

「そうねぇ〜、何時もぺこちゃん達がやってるのを見てるけど、やっぱりガンダムって難しくて分からないわね〜」

 

「って分からずに此処に連れてきたの!?」

 

「マミーはホントにアニメとか無頓着ぺこだからね〜」

 

まぁ月代お義母さんだけに限らず殆どの親が世代じゃない人が多いからそれは仕方がないんだけどな?けど勝負ったって一体何をするんだ?

 

「…………あ。じゃあ其処のアタイのオリジナル、これで勝負とかどうだい?」

 

「え、これで勝負って……『爆食!ガンプラフードバトル!』って何これ?」

 

ん?確かそれって………あー、前に新イベントを決める企画で出たネタ系のイベントだな。あまりにもくだらないから一度はボツになったけど、その後にスタッフ同士の話し合いで超短期のイベントとして開催する事にしたヤツだったな。

 

「ルールは至ってシンプル、ゲームエリア内に出現するパネルを攻撃するとパネルに料理とポイントが表示される。そしてプレイヤーの目の前にその料理が出されて完食出来ればポイントゲット。但し完食しないと次の料理にはいけない。最終的にポイントが多い方が勝ち、どうよ?」

 

「………何そのガンプラとは関係なさそうなバトル?後沙花叉今ダイエットしてんだけど?」

 

「は?そんなのあんた等神羅なんだから自由に体重とか体系変化させれるだろ?兎に角勝負はこれで決まり!分かったならさっさとやるよ!」

 

そう言ってグラトニーは専用の筐体の中に入っていく。このイベントはやってもGWDWCのポイントにもなんないからやる奴殆どいないからほぼガラガラだからすんなり入ったな。まぁこのイベントやる奴なんて食費浮かせたい奴くらいしかやらんしな。

 

「うぅ〜、沙花叉まだ神羅の力上手く使いこなせてないのにぃ〜!」

 

「あー、まぁ終わったらその分のカロリーをエネルギーに変換してやるよ。流石にこんなイベントで太らされたら可哀想だしな」

 

「ホント?お兄ちゃんありがと〜♪そんじゃ沙花叉、行ってまいります!」

 

そしてクロヱもグラトニーの横の筐体に入っていきゲームをセレクトしバトルを開始する。さて、この勝負は一体どうなるのやら……?

 

 

続く……

 

 

 

神羅file13

無呪羅の身体は、Яが神羅族の中から一部コピーした姿をしている。




はい、という事でグラトニー登場!そしてクロヱとの一騎打ちまでの冒頭でした!今回はゲストとしてぺこーらママを登場させてみました!あの人一日限りとはいえ同接18万人はやば過ぎでしたよね……自分もリアルタイムで見ててとても楽しい配信でした!また機会があればやってほしいくらいです!

次回はグラトニーとクロヱの一騎打ち!次々と押し寄せる料理に苦戦するクロヱと余裕で平らげるグラトニー。はたしてクロヱに勝機はあるのか!?次回もまったりと待って頂ければ幸いです、ではまた!


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