電子掲示板怪異譚 (C'lore)
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【速報】近所で人魂を見たんだが
(1/5)【速報】近所で人魂を見たんだが


探した限り類似した作品は無かったので初投稿です。


1:夢見る名無しさん[sage]

どうしよう

 

2:夢見る名無しさん[sage]

どうしようじゃないが

 

3:夢見る名無しさん[sage]

お前何言ってんの?

 

4:夢見る名無しさん[sage]

クソスレ

さっさと落とせ

 

5:夢見る名無しさん[sage]

まず病院に行きます

 

6:>>1[sage]

まあ聞いてくれよ

深夜にコンビニ出かけた帰りにさ、近所の神社の前を通ったわけよ

そしたらなんかぼやーって光っててさ、何だ?と思って覗いたんだな

そしたらさ

 

7:夢見る名無しさん[sage]

はい嘘 ニートは外に出ない

ソースは俺

 

8:夢見る名無しさん[sage]

無駄に溜めんなカス殺すぞ

 

9:夢見る名無しさん[sage]

>>7

コンビニくらい行くだろ

ちなニート

 

10:夢見る名無しさん[sage]

時代考えろよ

この現代に人魂て

 

11:夢見る名無しさん[sage]

ニートが多すぎる

ちなニート

 

12:夢見る名無しさん[sage]

ニートわらわらで草

 

13:>>1[sage]

なんか人魂が浮かんでたんだよね

[画像]

 

14:夢見る名無しさん[sage]

は?

 

15:夢見る名無しさん[sage]

人魂だなぁ

 

16:夢見る名無しさん[sage]

合成乙

 

17:夢見る名無しさん[sage]

言うほど人魂か?

 

18:夢見る名無しさん[sage]

確かに

人魂というか幽霊みたいな感じだよな

 

19:夢見る名無しさん[sage]

どっちとも違くないか

強いて言えば人魂の中に幽霊がいるかんじ

 

20:夢見る名無しさん[sage]

それはただの燃えている人間なのでは…?

 

21:夢見る名無しさん[sage]

燃えている人間を「ただの」で片づけるのは強者が過ぎる

 

22:夢見る名無しさん[sage]

青白い炎に包まれた人型が浮遊していたら流石にただ燃えてるだけの人間じゃないだろ

 

23:夢見る名無しさん[sage]

一理ある

 

24:夢見る名無しさん[sage]

言うほど一理あるか?

 

25:夢見る名無しさん[sage]

無いことはないだろ

 

26:夢見る名無しさん[sage]

確かに

 

27:夢見る名無しさん[sage]

どうせ嘘なのに真面目に考える必要ある?

 

28:夢見る名無しさん[sage]

>>27

黙れよカス

わかってて楽しんでんだバーカ

一生ROMってろ

 

29:夢見る名無しさん[sage]

なんかめっちゃキレてて草

 

30:>>1[sage]

どうだろう、そんなに詳しく見たわけじゃないんだよ

ちらっと見て写真撮っただけだし

 

31:夢見る名無しさん[sage]

じゃあお前の見間違いかなんかだよ

 

32:夢見る名無しさん[sage]

で、それが本物の人魂だったとしてお前はどうしたの?

まさかそのまま帰ったとか言わないよな?

 

33:夢見る名無しさん[sage]

流石に無いだろ

 

34:>>1[sage]

え?帰ったけど

 

35:夢見る名無しさん[sage]

は?

 

36:夢見る名無しさん[sage]

は?

 

37:夢見る名無しさん[sage]

死ね

 

38:夢見る名無しさん[sage]

解散

 

39:夢見る名無しさん[sage]

無能すぎる

 

40:夢見る名無しさん[sage]

人魂見て写真撮って帰るだけなの草

 

41:>>1[sage]

いや考え事しててさ

おー人魂だ珍しいなって写真撮って帰ったけど

よく考えたら人魂とかおかしくねって思ってスレ建てた

 

42:夢見る名無しさん[sage]

最高のバカ

 

43:夢見る名無しさん[sage]

珍しいなじゃないんだよ

 

44:夢見る名無しさん[sage]

【悲報】現代日本で人魂を見て「珍しい」で済ませるバカがいるもよう

 

45:夢見る名無しさん[sage]

人魂とかおかしくね、でスレ建てる発想になるのニートって感じする

 

46:夢見る名無しさん[sage]

いやどう考えても見に行くべきだろ、人魂だぞ人魂

 

47:>>1[sage]

失礼な、俺は大学生だぞ

まあ見に行くべきかとも思ったんだけどさ

人魂が襲い掛かってきたら怖いじゃん

 

48:夢見る名無しさん[sage]

わからんでもない

 

49:夢見る名無しさん[sage]

確かにあんな炎の塊とか触ったら熱いもんな

 

50:夢見る名無しさん[sage]

なあ、今>>1の挙げた画像見てて気付いたんだけどさ

 

人魂に隠れて見えにくいけど、端の方に人の足みたいなの写ってね?

 

51:夢見る名無しさん[sage]

熱いなら仕方ないかぁ

 

52:夢見る名無しさん[sage]

>>50

 

53:夢見る名無しさん[sage]

>>50

あっ

 

54:夢見る名無しさん[sage]

>>50

マジじゃん

 

55:夢見る名無しさん[sage]

おい>>1、ヤバいぞ

既に襲われてる奴がいるかもしれん

 

56:夢見る名無しさん[sage]

まずいだろこれ、最悪死人が出るぞ

早く行け

 

57:夢見る名無しさん[sage]

>>1のこと殺そうとしてない?

死人が出るような事態なら大学生一人行ったところで死体が増えるだけだろ

 

58:>>1[sage]

ほんとじゃん

バカか俺、なんで気付かなかったんだ

とりあえず行ってみる、何かあったら携帯で書き込むわ

 

59:夢見る名無しさん[sage]

行くのか……

 

60:夢見る名無しさん[sage]

怖いとか言っといて本当に危険そうなとこには迷わず飛び込むなこいつ

 

61:夢見る名無しさん[sage]

善人なのかスリル狂いなのか野次馬根性なのかバカなのか

 

62:夢見る名無しさん[sage]

どう考えたって自作自演だろ

釣りでFA

 

63:夢見る名無しさん[sage]

釣りのためにわざわざあんな手の込んだ画像用意するか?

 

64:夢見る名無しさん[sage]

暇人ニートならやりかねんだろ

 

65:夢見る名無しさん[sage]

元々その手の仕事してたけど、あの画像をCGで作ろうとしたら相当な技術が必要だぞ

少なくともそんな気軽に作れるようなものじゃない

 

66:夢見る名無しさん[sage]

これマジ?じゃあガチじゃん

 

67:夢見る名無しさん[sage]

画像はともかく、これが本物だったら普通に事件だろ

警察に通報もせずにこんなスレ建ててる時点である程度察するよね

 

68:夢見る名無しさん[sage]

言うて「人魂見た」って通報してもまともに取り合ってもらえないだろ

せいぜい酒か頭の病気疑われて終わりだぞ

 

69:夢見る名無しさん[sage]

>>1のことだし案外ただ警察のこと忘れてるだけだったりしてな

 

70:夢見る名無しさん[sage]

流石に無いだろw

 

無いよな?

 

71:夢見る名無しさん[sage]

まさかそんなわけ

 

72:夢見る名無しさん[sage]

人魂見て珍しいなぁで片付けるような奴だぞ

可能性は無きにしも非ず

 

73:夢見る名無しさん[sage]

…………

 

74:夢見る名無しさん[sage]

否定できないのが悔しい

 

75:夢見る名無しさん[sage]

一気に真実味が増したな…

 

76:夢見る名無しさん[sage]

まあどっちにしろ経過待ちだろ

釣りにしろガチにしろ>>1の書き込みがないと

 

77:>>1[sage]

着いた

誰もいない

 

78:夢見る名無しさん[sage]

 

79:夢見る名無しさん[sage]

誰もいない?

 

80:夢見る名無しさん[sage]

誰もいないって人魂も死体も無いのか

いや人魂に燃やされたら死体も残らないのかもしれんが

 

81:>>1[sage]

うん、ほんとに誰もいない

まあまだ裏口の辺りだし、もう少し調べてm

 

82:夢見る名無しさん[sage]

ん?

 

83:夢見る名無しさん[sage]

おいどうした

死んだか>>1

 

84:夢見る名無しさん[sage]

惜しい人を亡くした…

 

85:夢見る名無しさん[sage]

言うほど惜しいか?

 

86:夢見る名無しさん[sage]

おかしい人を亡くした…

 

87:夢見る名無しさん[sage]

>>85 >>86

鬼かな?

 

88:夢見る名無しさん[sage]

そのくらいにしとけ

ほんとに死んでたらシャレにならんぞ

 

89:夢見る名無しさん[sage]

人として正しい姿だ…

 

90:夢見る名無しさん[sage]

>>88

人間の鑑

 

91:>>1[sage]

危なかった

なんだったんだアレ

 

92:夢見る名無しさん[sage]

お、生きてた

 

93:夢見る名無しさん[sage]

何があったん?

 

94:>>1[sage]

いや、スレに書き込みながら周りを調べようとしたらいきなり背後から何か飛び掛かってきてさ

咄嗟に反応できてなかったら危なかった

 

95:夢見る名無しさん[sage]

何かってなんだよ

 

96:夢見る名無しさん[sage]

野犬とかじゃね?

神社を寝床にしてたとか有り得るし

 

97:夢見る名無しさん[sage]

まあ獣か、あとは不良とか酔っ払いだな

そのくらいだろ

 

98:夢見る名無しさん[sage]

どっちにしろ危ないなぁ

悪いことは言わんから帰ったら?

 

99:>>1[sage]

こんなのだったんだけど

[画像]

 

100:夢見る名無しさん[sage]

!?!?!?

 

101:夢見る名無しさん[sage]

キッッッッショ

 

102:夢見る名無しさん[sage]

バケモンやんけ

 

103:夢見る名無しさん[sage]

お前らの反応見て咄嗟に画像開こうとした手を止めた

何が写ってるの???

 

104:夢見る名無しさん[sage]

>>103

逃げるな

 

105:夢見る名無しさん[sage]

>>103

餓鬼?みたいなの

薄紫色でガリガリに痩せ細ってるのに腹だけ異様に膨れた人型の化物

 

の、側頭部が不自然に凹んで倒れてる画像

 

106:夢見る名無しさん[sage]

>>105

?????????

 

107:夢見る名無しさん[sage]

えぇ……

 

108:夢見る名無しさん[sage]

>>105

最後のはなんだよ

 

109:夢見る名無しさん[sage]

いや、だってマジで凹んでるんだよ

まるで何か強い衝撃が叩き込まれたみたいに…………あっ

 

110:夢見る名無しさん[sage]

えっ

 

111:夢見る名無しさん[sage]

これマジ?

 

112:夢見る名無しさん[sage]

もしかして>>1って結構……強い?

 

113:>>1[sage]

咄嗟に身体捻って回し蹴り叩き込んだら動かなくなったんだけどさ

こいつ明らかに人間じゃないし俺捕まらないよね???????

 

114:夢見る名無しさん[sage]

ヒェッ……

 

115:夢見る名無しさん[sage]

こいつこわ

 

116:夢見る名無しさん[sage]

こんな奴が人魂怖いとかぬかしてたの?

 

117:夢見る名無しさん[sage]

まあ火は殴れないからな

仕方ないな

 

118:夢見る名無しさん[sage]

いや、それはそれとしてだよ

なんなんだこの化物、見た目的には餓鬼そのものだろ

 

119:夢見る名無しさん[sage]

確かに

>>1が衝撃的すぎて忘れてたがどう見ても怪物だよな

 

120:>>1[sage]

あれ?

 

121:夢見る名無しさん[sage]

今度はどうした

ドロップアイテムでも落としたか

 

122:>>1[sage]

消えた

 

123:夢見る名無しさん[sage]

は?

 

124:夢見る名無しさん[sage]

消えたって化物が?

 

125:>>1[sage]

うん

地面に溶けるようにして消えた

 

126:夢見る名無しさん[sage]

おいおい

こりゃあいよいよ怪奇現象ですなぁ

 

127:夢見る名無しさん[sage]

推定餓鬼が溶けた?場所になんか残ってたりしないの?

 

128:>>1[sage]

>>127

ない

ほんとに跡形も残らず消えた

 

129:夢見る名無しさん[sage]

どうなってんだよ

警察…に話してどうこうなるとも思えんしなあ

 

130:夢見る名無しさん[sage]

餓鬼も気になるけど、そもそも神社に戻ってきたのは人魂のためだろ?

とりあえず探してみれば?

 

131:夢見る名無しさん[sage]

>>131

しかしまた襲われないとも限らんしなぁ

一体だったからどうにかなったけど群れてたら流石に>>1でも危ないだろ

 

132:>>1[sage]

ん?なんか本殿の方が騒がしいな

ちょっと見に行ってくる

 

133:夢見る名無しさん[sage]

ノリノリだこいつ

 

134:夢見る名無しさん[sage]

どうしてこうも危険な方に惹かれるのか

 

135:夢見る名無しさん[sage]

ほんとにただのバカだった説濃厚だな

 

136:夢見る名無しさん[sage]

恐怖心が麻痺してるのかもしれない

 

137:>>1[sage]

人が襲われてる

助けに行ってくる

 

138:夢見る名無しさん[sage]

は?

 

139:夢見る名無しさん[sage]

おい待て

 

140:夢見る名無しさん[sage]

>>1ーっ!!

 



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(2/5) 非日常へのプロローグ

一度途中まで書いたデータが吹っ飛んだり副反応による腕の痛みに襲われたりしましたがめげずに初投稿です。


 

日常なんてものは、たぶん……ガムテープで塞がれた穴のように、醜いものを必死で覆い隠してできているのだろう。

そして、僕はそのテープを剝がしてしまった。好奇心のまま、それが何を、何故隠していたのかも知らずに。

 

そう。これは僕と、日常の裏に隠された世界の物語だ。

 

 

 

 

僕の名前は綾樫幸雄(あやかしゆきお)。ちょっとオカルトが好きなだけの、ごく普通の中学生だ。オカルト好きと言っても、別に本格的なオカルトグッズだとか怪しい骨董品だとかを買い集めているわけでもなく。眉唾物のオカルト雑誌を毎月買ったり休日に心霊スポット巡りをしているくらいで、本当に、ただのどこにでもいる中学生だったのだ。

昨日までは。

 

きっかけは、些細なことだった。

休日に、いつも通り心霊スポット巡り────「出る」と噂の、寂れた神社────に行ったとき、神主らしき人に話しかけられた。

まさかこんなボロボロの神社に人がいるとは思っていなくて、大袈裟に驚いてしまったのだけど、神主さんはにこやかに対応してくれた。

 

────ありがたいことに、このような寂れた場所にも、訪れてくださる方はいるのですよ

────あなたのようにお若い方は、少々珍しいですが

 

なんだか申し訳なくて、すみません、心霊スポット巡りなんです…と白状してしまうと、神主さんは少し驚いた様子で言った。

 

────なるほど、ここはそういう場所と噂されているのでしたか

────では、少し趣向は違いますが

────ひとつ、私の知っている話をいたしましょう

 

そうして聞かされたのは今までに聞いたことのない話だったが、今まで聞いたことも無いような現実味のある怪談だった。まるで現実で起こった事をそのまま話しているような、真に迫った話。僕は、夢中で聞き入った。

話が終わっても興奮冷めやらぬ僕に、神主さんは笑みを深めてこう言った。

 

────本当は、いけないのですが

────深夜に、もう一度お越しください

────面白いものをお見せしますよ

 

僕は食い気味に頷いた。

 

 

 

 

そして深夜。その頃にはいい加減冷静になっていた僕は、やはりこんな時間に出歩くのはまずいんじゃないかと考えた。けれど約束してしまった手前、行かないわけにもいかず……結局、こっそりと家を抜け出し、再び神社を訪れた。

 

「あれ……神主さん、いないのかな」

 

僕を呼んだはずの神主さんはおらず、辺りを見回したが影も形もなかった。

 

「…………あれ?」

 

騙されたのかな、と帰ろうとした時。あるものが目に留まった。

小さな祠だった。それだけなら特に気にならなかったが、その祠はどこかおかしかった。

 

昼間、神社に訪れた時。こんな祠は無かったはずなのだ。

見落としていた可能性がないわけではないが、あの時は何かないかと境内を調べて回っていた。こんなものがあれば気付かないことは考えにくい。

では、これは?

 

今にして思えば、やはり来るべきではなかったのだ。もしくは、祠を気にしないで帰ればよかった。

けれど、僕はそうしなかった。こんな不思議なことが起こって、見ないふりなんてできるはずがなかったのだ。

 

祠に近付いてよく見てみると、こんな神社には似つかわしくない、西洋風の魔法陣が刻まれていた。他にも何か貼られていた紙のようなものが破られた形跡があったが、それにしたって気になるのは魔法陣だろう。何せ、それは不規則に淡い発光を繰り返していたのだから。

 

それを調べてみようと手を伸ばし、魔法陣に触れた時。どこからか、神主さんの笑い声が聞こえた気がして──────

 

 

 

 

 

──────そうして、僕の日常は終わりを告げた。

 

 

 

 

 

 

「うわっ……!?」

 

魔法陣に手を触れると、まるで鍵が開くように動き、消えてしまった。あ、何かまずいことしたな、と気付いた時にはもう遅く。

次の瞬間、祠は音を立てて崩れ去った。

 

「な、なんなんだ……!?」

 

まずいまずいどうしようどうしよう、これ事故だよな?ヤバいんじゃないかこれ怒られる、いや誰に?

混乱した思考はしかし、次の瞬間それを上回る衝撃で吹き飛ばされた。

 

「う……うわぁぁぁぁっ!?」

 

突如、崩れた祠から青白い炎が燃え上がり……その中に、人のような形が見えた。

驚きと恐怖に、思わず腰を抜かしてしまう。

そして、やがて"そいつ"を包む炎が消え、現れたのは……

 

 

 

『やぁ~……っと出られたのじゃあーーーーーっ!!』

 

「…………えぇ?」

 

 

 

予想外の外見と言葉に、思わず間抜けな声を出した。そこにいたのは、巫女装束のような衣装の、狐耳と尻尾が生えた金髪の女の子。

…………えぇ?

 

「……女の子?」

 

『失礼な。これでも神じゃぞ。お主なんぞより永いこと生きておるわ』

 

神。

宗教に熱心な人には怒られるだろうけど、ある意味ではオカルトの代名詞みたいな存在。

この女の子が?

 

いや、祠から急に出て来たし、炎を操っているみたいだし……この際、オカルト的な存在であることは間違いないんだろうけど。

ただのコスプレをした女の子にしか見えないこの存在が神であるとは、僕にはとても思えなかった。

 

『小童よ、お主が妾を出してくれたんじゃろ?礼を言うぞ。して、何が望みじゃ?わざわざこの妾の封印を解くなぞ、みみっちい願いではないじゃろ。しかし、こんな小童があの結界を破って妾を見つけるとはのう……。人は見かけによらず、凄腕の術者ということか』

 

「え……え?封印?結界……?」

 

『む……?なんじゃ、何も知らぬのか?』

 

「いや、その……」

 

僕はこれまでの経緯を話した。自分がオカルト趣味なこと、訪れた神社で神主さんに唆されてここにいること、昼には無かったはずの祠を見つけて調べようと触れたら崩れ去ったこと。話しているうち、なにしてるんだろう僕はと自分が情けなくなった。改めて考えて、自分が今相談しているのが正体はともかく見た目的にはコスプレした小さな女の子であることに思い至り、軽く泣きそうになった。

 

『……ふむ。なるほどのぉ。まあおおかたその神主とやらが下手人じゃろうな。目的まではわからんが。というかお主、警戒心無さすぎじゃろう』

 

「……今それを自覚して泣きそうになってたところだよ。仕方ないじゃないか、オカルト趣味に特効のエサをぶら下げられたんだから……」

 

ぶつぶつと言い訳を続ける僕に、女の子はひとつ溜息を吐く。

 

『で。その神主とやらはどんな人相じゃった?探して吐かせれば全部わかるじゃろ』

 

「ああ、あの人は…………あれ?」

 

おかしい。

あの人の顔が、思い出せない。

ただ一つ、笑っていたのは覚えている。

 

……笑っていた?

本当に?

いや、明確な表情は一切思い出せない。ただ、"笑っていた"という印象だけが脳裏にこびり付いている。

どうにもおかしい。

 

彼は笑っていた。

彼?

性別もわからないだろう。

 

『……い……おい』

 

あの人は笑っていた。笑っていた?笑っていた。

あの人は笑っていた。

どのように?

 

『おい……おい!小童!』

 

にこやかに笑っていた。

本当に?

あの人はにこやかに笑っていた?

 

あの人は笑っていた。

にこやかに?

違うだろう。

 

あの人は嘲笑っていた。

そう。

そうだ。

 

あの人は嘲笑っていた。僕を嘲笑っていた。世界を嘲笑っていた。

怪談の中の哀れな犠牲者を嘲笑っていた。恐ろしい怪物を嘲笑っていた。

自分自身を嘲笑っていた。全てを嘲笑っていた。

 

あの人は嘲笑っていた。

あの人の顔を思い出せない。

顔?

 

 

 

あの人に顔なんてあったか?

 

 

 

 

 

『おいッ!!小童ッ!!』

 

 

 

 

 

「……はっ!?」

 

意識が醒めていく。僕は何を考えていた?

 

『まったく……考え込んだと思ったら急に顔を青ざめさせおって。妾の声も届かぬほどにただならぬ様子じゃったぞ』

 

「いや……あの人の顔がどうしても思い出せないんだ。男だったのか、女だったのかも。ただ、嘲笑っていたことだけは確かなんだ」

 

『思い出せない?認識阻害の術でも掛けておったのか、それとも……む?』

 

 

 

背筋がぞっとする感覚。辺りの空気が、急激に冷え切ったような気がする。

 

『……妾の力に惹かれて来たか?いや、違う……妾の封印が、この地の守護結界に紐付けされておったのか。……これも神主とやらの細工か?』

 

女の子が何か言っているが、それを聞いている余裕はない。

底冷えするような恐怖感。辺りに満ちたこれは────邪気?

 

 

 

次の瞬間、"それ"らは現れた。

 

 

 

 

薄紫の肌。人間の子供くらいの体躯。ガリガリに痩せ細っているのに、腹部だけがぽっこりと膨れている。異様に伸びた、刃物のような爪。"餓鬼"、まさにそう呼ぶのが相応しいであろう化物が、地面から湧き上がるように出現した。それが、いくつも。

 

「ひっ…………!?」

 

その一体が、爪を振るう。

辛うじて飛び退くことができたが、僕がいた場所の地面の石畳が粉々になっていた。あと一瞬避けるのが遅ければ、僕は簡単に引き裂かれていただろう。

 

『チッ……!低級の妖魔如きだが、憑代もない今の妾では……ッ!』

 

神を名乗る女の子とは違う、一目で危険だとわかる異形の化物。逃げなければと脳が警鐘を鳴らすが、恐怖で強張った身体は言うことを聞かない。

 

「ひ、ああ……!!」

 

じりじりと詰め寄ってくる化物。無様に怯える僕を見て、耳障りな声で笑う。このままでは殺されてしまう。嫌だ、逃げないと。竦み上がって動けない。

 

 

 

『……おい、小童!聞け!助かりたいか!!』

 

 

 

助かる?

 

「あ……そうだ、たす、助け」

 

『今の妾は復活したばかりで力が無い!お主を助けることはできん!しかし、お主を憑代とすれば最低限の力は引き出せる!』

 

怖い。怖い。助けて。

 

『助かりたければ契約を結べ!そうすれば、助かるための力をくれてやる!』

 

……契約?

 

『そうじゃ、助かりたければそれしかない!命が惜しくば、早く契約を結ぶがいい!』

 

「ッ……わかった!結ぶ!だから、早く、早く助けてっ……!!」

 

『契約にはお主の名前が必要じゃ!お主、名は何という!』

 

名前。

 

僕は。

 

 

 

「僕は……ユキオ!綾樫幸雄!!」

 

『よかろう!妾は狐暁(こぎょう)、炎を操りし九尾の神なり!!ユキオよ、汝を妾の憑代と為さん!!』

 

そして、女の子は……狐暁は、青白い炎の塊となり、僕に吸い込まれるようにして消えた。

 

 

 

『契約は成された!ぶちかませ、ユキオッ!!』

 

「ッ……うわあああぁぁぁァッ!!」

 

"狐火"。

僕が闇雲に振るった腕から、狐暁のものであろう青白い炎が放たれ──────化物の一体を包み込み、耳障りな絶叫と共に燃やし尽くした。

 

『所詮、餓鬼なぞ低級の妖魔よ。妾の炎では過剰じゃろうな』

 

「はっ……!はぁっ……!これが、力……!?」

 

『そうじゃ。お主は今、妾の憑代となることで妾と同じ力の一部を使えるようになっておる。今は妾の力も弱くお主の術者としての能力も貧弱であるから、あの程度の炎しか出せんがな。しかしそれでも、餓鬼を屠るには十分じゃろう』

 

「う、くッ……!うおおおおおおおッ!!」

 

炎を撒き散らし、化物……"餓鬼"達を燃やす。

やれる。この力があれば。

やらなければ、やられる……!

やらなければ……ッ!!

 

『ッ……馬鹿者!!力を無駄に使い過ぎだ!敵に当たる分だけ放てばそれでいい!そのように撒き散らしていては、すぐに体力の限界が来るぞ!!』

 

「そうは言っても、僕は戦うなんて初めてなんだッ……!いきなりそんな効率のいい戦いなんか、くっ……!?」

 

頭痛に襲われ、足元がふらつく。

それを好機と見たのか、餓鬼の一体が飛び掛かってくる。

 

 

 

『ユキオッ……!避けろおおおぉォッ!!』

 

 

 

 

 

「させねえよ」

 

 

 

 

 

吹き飛ぶ。

 

何が?

 

今、僕に飛び掛かってきた餓鬼だ。

 

木の幹に叩きつけられ、動かなくなる。

 

 

 

どうして?

視界に現れた人物を見上げる。

 

 

 

「……よっと」

 

漆黒のライダースーツ。燃え盛る炎のような……しかし、狐暁のものとは対照的な、オレンジ色のヘルメット。

異形の存在、凶暴な怪異である餓鬼を()()()()()()()()現れたその男は、呆気に取られていた僕に対し、明るい調子で言った。

 

「大丈夫かい?ちょっと待ってな、こいつら全部ぶっ飛ばすからさ」

 



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(3/5) 双炎舞う

掲示板モノを謳いながら今のところ小説パートが過半数を占めてますが初投稿です。まあ今章はプロローグみたいなものだから多少はね?(予防線)
難産でした。


 

「…………えぇ?」

 

間抜けな声が出た。

というか、目を疑った。次に自分の頭を疑って、ああこれは死ぬ間際に見ている都合のいい夢なのかなと思い至って、頬をつねったりしてみた。現実だった。

 

ドカッ、バキッ、と漫画みたいな音が鳴るたび、これまた漫画みたいに餓鬼が次々と吹っ飛ばされていく。

それを引き起こしているのは、今しがた乱入してきたライダースーツの男。いや、ヘルメットを被っているから顔は見えないけど。でもまあ、体つきとか声からしてたぶん男性だろう。

 

「……ねえ、狐暁」

 

『……なんじゃ、ユキオ』

 

「……少ししか見てないからわからないんだけどさ。餓鬼って、普通の人間より身体能力高かったよね?」

 

『……そのはずじゃのう』

 

「…………あの人、明らかに餓鬼より強いよね?」

 

『…………そうじゃのう』

 

「僕にはもう人間がわからないよ…………」

 

 

 

 

ほどなくして、餓鬼達は全滅した。……いや、そこそこの数がいたはずなんだけど。死体は最初に出てきたときとは逆に、地面に溶けるようにして消えていった。

それらを蹂躙した当人は、あれだけ暴れまわっていたというのに息を切らしもせずに話しかけて来た。

 

「ふー。災難だったね少年。怪我とかしてない?」

 

「あ……はい、大丈夫です」

 

「そっかそっか。ダメだろー子供がこんな時間に出歩いたりしちゃ。今回はたまたま俺が気付いたからよかったけどね、そうでなきゃ危なかったぞ?」

 

「……すみません。えっと、あなたは……」

 

「んでね、俺ちょっと探してるものがあるんだけどさ。この写真に写ってる人魂みたいなの知らない?」

 

聞いてないし……ん、人魂?

 

「この写真って……」

 

『妾じゃろうのぉ。この端に写っておる人間の足もユキオじゃろうな』

 

すると、僕の身体から小さな炎の塊が飛び出し、狐暁の姿になった。

 

「うわびっくりした。巫女服狐耳金髪ロリ?」

 

『なんじゃ失敬な。神様じゃぞ神様。まったく、最近の人間には敬意が足りん』

 

「あ、この娘は狐暁って言います。神様……かはわからないですけど、炎を操る力があるみたいで。僕と契約して憑代に……」

 

そこまで言いかけて気付いた。初対面の人にこんな話をするって、完全に痛い奴じゃん。

僕みたいなオカルト趣味だったり、()()()()人ならともかく……普通の人はまずドン引きだろう。

 

「へー、そうなんだ。じゃあさっき手から炎出してたように見えたのはそれかぁ」

 

「……あ、普通に受け入れるんですね」

 

「うーん、さっきの怪物みたいなのもいるわけだしさ。そういうこともあるのかなって」

 

『話が速くて良いが、変な奴じゃのう……』

 

なんというか、マイペースな人だ。どこかズレてるというか……

 

「今は出てきてるみたいだけど、それは?憑代ってことはその子に取り憑いてるんじゃないの?」

 

『うむ、今は一時的にユキオの身体を離れている状態じゃな。この状態ならば他人にも妾が視えるし、声も聞こえる。しかし、ユキオから遠く離れることはできんし、ユキオもこの状態では妾の力を使うことはできん。力を使えるのは妾がユキオに憑依している時のみだ。ただし、その状態では妾の声はユキオにしか聞こえん』

 

「ふーん。そこまで自由が利くわけじゃないのか」

 

なるほど……。状況が状況だったので深く考えずに契約してしまったが、よくよく考えればとんでもないことをしてしまったんじゃないかと今更ながらに思う。

 

『というかそう、なんなんじゃお主。餓鬼は低級の妖魔とはいえ、ただの人間が膂力で挑むような相手では無いはずなんじゃが。身体強化の術でも使っておるのか?』

 

「いんや、魔法とかは俺には使えないよ。そういう力とかああいう怪物が存在するっていうのも、今日初めて知ったしね。齧ってる程度だけど武術やっててさ、あの程度なら問題なく対処できるよ」

 

「あの程度って……」

 

『武術を齧った程度の動きではないじゃろう……』

 

……うん、無茶苦茶な人だ。ズレてるとかそういう次元じゃない。

 

「そう言われても、本当に何か特別なことをした覚えはないんだけどなぁ……。っと、うん?」

 

 

 

ふと、何かに気付いた様子で本殿を見つめる。

一体なんだろうと思った瞬間。また、()()()()に襲われる。

あの餓鬼が現れた時のような……いや、それ以上に強い寒気。

恐る恐る本殿に目を向けると、建物の中から湧き上がる影。

 

 

 

それは、餓鬼なんかより遥かに巨大な──────

 

 

 

 

「……参ったな。流石にアレをどうこうするのは厳しいかなぁ」

 

いや、なんでそんなに落ち着いてるんですか。

そう文句の一つでも言いたかったが、緊張のあまり言葉が出ない。

 

手足が異様に長く、獣のような四足歩行の、くすんだ緑色の肌をした異形。細身だが巨大で、体長5メートルはあるであろう体躯。餓鬼のものよりもさらに鋭く長い爪。

本来顔のあるべき部分には眼や耳といった器官が見られず、ただ、大きく裂けた口だけがあった。剣山のごとく鋭い歯が並び、だらりと垂れた長い舌からは絶えず唾液が滴っている。

感覚器官が無いにも拘らず、"それ"は真っ直ぐとこちらを捉えていた。

 

『……少しばかり厄介な妖魔じゃな。万全ならば、今のユキオでも何とかできる可能性はあるが……先の戦闘で消耗している。全力を用いても逃げられるかどうかじゃろうな』

 

「逃げ切ったところで、こんな奴を町中に放つわけにもいかないもんなぁ……。一か八か、やってみるしかないかな」

 

とんでもない事を言ってのける男。そういえばこの人の名前知らないな……と、何故か呑気な思考が浮かぶ。感覚が麻痺したのだろうか。

 

『……お主、正気か?アレは餓鬼どものような雑魚ではないぞ』

 

「それくらいはわかるさ。けど、こいつが町で暴れまわったらそれこそ大惨事だろ?なら、最悪刺し違えてでも……っと!」

 

振るわれた爪を既の所で避ける男。僕を庇うように前に立つ。

 

「ほら、早く逃げて。それくらいの時間は稼いでみせるからさ」

 

「えっ!?ぼ、僕も戦えます!あなた一人じゃ……!」

 

「いいから。こんなところで死んで親御さんを泣かせる気か?大丈夫、俺は死なないよ」

 

この人は、強いんだなあと思う。

マイペースだ変な人だと呆れたものの、それでも僕みたいな力も無いのに恐れず化物に立ち向かえる勇気ある人だ。

そして、命の危機を救ってくれた恩人だ。

 

対して、僕はなんだ?

さっきからずっと、怯えてばかりで……。

今だって、この人に守られているだけだ。

 

『おい、早まるな!お主らは知らんじゃろうが、怪異の処理を専門とする人間の組織はいつの時代にも存在する!アレはそ奴らに任せておけばよい!!』

 

「あ、そうなんだ。うーん……でも、今この場にいないような人たちはちょっと信用できないかなぁ。……危ねぇな!早く逃げてくれ!君を守りながら戦う自信はないよ!」

 

攻撃をいなしながら言う。その顔……はヘルメットのせいで見えないが、声色には焦りが含まれていた。

 

「こっちだ化物!出来損ないの犬みたいな造形しやがって、気色悪いんだよ!!」

 

気を引くためか、大声を出して叫びながら化物に石を投げつける男。化物の注意はそちらに向く。

…………僕は。

拳を強く握りしめて無理やり震えを止め、唾を飲み込む。

 

『く……仕方ない!ユキオ、妾達だけでも逃げるぞ!』

 

「いや……狐暁。やっぱり、僕も戦うよ」

 

そう言うと、狐暁は信じられないものを見たかのような顔で振り向いた。

 

『馬鹿者!!あの男が時間を稼ぐと言うのじゃから、甘んじて逃げればよいのじゃ!!アレを倒したいならば、一度逃げて機会を伺えばよい!憑代であるお主が死ねば、妾の存在にまで影響が出る!お主を殺させるわけにはいかんのじゃ!!』

 

「このままだと、いくらあの人でも危ない。……僕はまだ、あの人の顔も名前も知らないんだ。助けてもらった借りだって返してない。それに、これは元はと言えば僕の責任だ。あの人に騙されて、狐暁の封印を解いた僕の」

 

『ユキオ……』

 

「ここで逃げたら……僕は一生後悔する。そんなのは嫌なんだ!だから狐暁、もう一度僕に力を貸して!!」

 

 

 

『……ええい、仕方ない!どうせユキオから離れることはできんのじゃ、妾はどうなっても知らんぞ!!』

 

半ばヤケクソ気味に叫ぶと、狐暁は炎となって僕の身体に憑依する。これで力は使える、覚悟も既にできている。

後は行動に移すだけ。

 

「"狐火"ィッ!!」

 

放たれた炎は、空気を切り裂き……今まさに男へと振り下ろされる寸前の、化物の腕に命中する。

耳障りな絶叫。

 

「よし、狐暁の炎はこいつにも効くみたいだ!」

 

「ユキオくん……!?」

 

「今です!そいつが怯んだ隙に!!」

 

「ッ……おらァ!!」

 

何体もの餓鬼を打ち倒した、鋭い蹴りが化物の頭部を捉える。狐暁の炎ほどではないが、少なくとも効いてはいるようだ。

 

「おい、逃げろって言ったよな!?なんでまだここにいる!?」

 

「僕だって男なんだ、意地も責任もあるんですよ!それに、一人より二人の方が戦える!」

 

「死ぬかもしれないんだぞ!?」

 

「あなただってそうだ!」

 

僕に引く気がないと悟ったのか、何を言っても無駄だと諦めたのか……ひとつ舌打ちをして、化物に向き直る。

 

「ああわかった、もう勝手にしろ……!ただし、前には俺が出る!万が一の時には俺を見捨ててさっさと逃げろよ!」

 

「そうならないために、僕はここにいるんでしょう!」

 

「言ってろ!」

 

言うが早いか、男は化物に向かい走り出す。懐に入り込んで有利に立ち回る心算のようだ。軽やかな身のこなしで爪での攻撃を搔い潜りって接近し、連続で打撃を叩き込む。一発一発の効果は低くとも、何度も打ち続けることで確実にダメージを与えていき……

……あの人本当に人間か?

 

『最初からユキオを守ろうとしてなければ、あ奴一人でもどうにかなったんじゃないかのう……』

 

「まあ……いくらあの人でも、体力の限界はあるでしょ。……あるよね?」

 

『怪しいもんじゃのう……』

 

それでも、やはり危ういことはあるので。そういう時は、僕が"狐火"でフォローする。

まあ流石にあの人も人間であるので、次第に回避しきれないことが増えて……いや攻撃のペースは全く落ちてな……

……むしろ上がってる!?さてはあの人、どうせ僕が防ぐからって攻撃だけに集中してるな!?

いくら僕が無理を言って共闘してるとはいえ、人使いが荒……流石にこう連続で力を使わされると保たないんですけど……!!

 

『ふむ……しかしユキオ、無意識じゃろうがお主だんだんと力を効率よく使えるようになっておるぞ?無駄な消費はほとんど無くなっておるな』

 

「はぁ……はぁ……そりゃあ、そうもなるでしょ……!」

 

 

 

やがて。

男の拳により、化物は大きく体勢を崩す。

それはつまり、大きなチャンスを意味していた。

 

「ッ……"狐火"!!これで──────」

 

「──────終わりだッ!!」

 

僕の炎と、男の渾身の蹴りが同時に叩き込まれ……

化物は、ついに倒れ伏した。

 

 

 

 

「ぜぇ……はぁ……倒し、た……?」

 

『……そのようじゃな。よくやったぞ、ユキオ』

 

その言葉を聞いた瞬間、一気に全身の力が抜け……へなへなとその場に座り込む。

 

「はぁぁぁぁぁ……。僕、生きてるのか…………」

 

「お疲れ。いやぁ、一時はどうなることかと思ったけど。案外何とかなるもんだね」

 

『あれだけ大立ち回りを演じておきながら「何とかなる」で済ませるのはお主くらいじゃろうのう……』

 

憑依を解き、僕の隣に立つ狐暁が呆れた様子で言う。

 

「いやいや、援護してくれて助かったよ。俺一人じゃ流石にいつかやられてただろうからさ」

 

そんな言葉に、あははと乾いた笑いで返すことしかできない。

と、視界の端で何かが動く。

 

(…………ん?)

 

 

 

見れば、まだ息があったらしき化物が、男を狙い腕を振り上げていて。

 

「ッ、避け──────」

 

 

 

 

 

「"()(はら)え"」

 

 

 

 

 

瞬間、塵と化した。

 

「──────え?」

 

『ほぉ、高位の法術か。ようやく、怪異祓い様のご登場かのう』

 

 

 

「…………結界がぶち壊されたっつーからわざわざ来てみれば」

 

 

 

「妙なの宿した異能者のガキに、見るからに不審者ですって格好のバカ。手前ェら、何(モン)だ?」

 

時代錯誤の、狩衣の男が一人。

こちらに剣呑な視線を向けていた。

 



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(4/5) 一時の解決、名も無き乱入者夜に消え

お久しぶりです。今話で一章を終わらせようとしたら長くなり過ぎたので、ひとまず区切って初投稿です。今話は短めですが、次話はいつもより長くなります。


 

「……ああ、言っとくが逃げようなんざ考えんなよ?少しでも妙な動きをしてみろ、その瞬間に法術でぶち抜く。死にゃあしねェが、相当キツいぞ。比良坂一門の対人符術って言えばわかんだろ」

 

狩衣の男は、警戒した様子でこちらを見つめている。その手には何か……札のようなものが握られていた。比良坂一門、というのに聞き覚えは無いが。

 

『……厄介な相手じゃな。陰陽家の中でも戦闘に特化した一族じゃ』

 

男を視認した時点で憑依していた狐暁に補足される。陰陽師というのが現代に存在していたことに驚いたが、今はそんな場合ではない。

 

「さて、もう一度聞くぞ。手前らは何者だ?ここで何をしていた」

 

この状況をどうにか切り抜けようと、僕は口を開────

 

 

 

「あのさ、いい大人が子供に対してそんな殺気向けないで欲しいんだけど。彼、怯えちゃってるじゃん」

 

「あァ?」

 

 

 

────く前に、遮られた。

このシリアスな空気の中で呑気な発言をかましたのは、やはりあの人だった。狐暁も「マジかこいつ」と言っている。ていうか殺気?殺気って言ったこの人?あの強さといい、少なくとも一般人じゃないだろう。謎は深まるばかりだ……。

 

「手前、状況わかってんのか?守護結界が壊され怪異が出現、そんなとこにいた異能者と不審者。警戒して当然だろォが」

 

「俺が不審者に数えられてるのは納得いかないけど……少なくともこっちに敵対の意思は無いんだよ。なのにそんな睨まれちゃ怖くて話もできないね」

 

いや、あなた実際普通に話しかけて……。まあ、僕に気を遣ってくれているだろうことはわかるからありがたいんだけど。

あくまで自分のペースで話し続けるあの人に毒気を抜かれたのか、陰陽師の男は溜息を吐く。

 

「……チッ。釈明があるならさっさとしやがれ」

 

 

 

 

「つーことは、何だ?そこのガキがこの神社に封印されてた怪異を解放しやがったせいで……」

 

『何者かに細工され、妾の封印と紐付けられていた結界が破壊された。憶測に過ぎんがな』

 

「いや……当たってんだろォな。そもそもこの神社に結界を張ったのは俺の一族だが、資料にゃ紐付けなんぞ書いてなかった。クソガキが触れたっつー魔法陣も知らん。ったく、よくもまァ面倒なことしでかしてくれやがったな。あの祠に施された封印術式は相当に高位のモンだった。つまり、その女狐はそれほど危険な怪異ってこったよ」

 

「す、すみません……」

 

煙草の煙を吐き、じろりと僕を睨みつける陰陽師の男────比良坂(ひらさか)通路(かよいじ)というらしい。「変な名前とか言ったら殺す」と凄まれた────。僕が悪いし言い訳のしようもないのだが、陰陽師が煙草って……いいんだろうか?

 

『神じゃと言っておるじゃろうが!怪異呼ばわりするでないわ!』

 

「黙っとけ。ちゃんとした神なら祀られてんだよ。封印されるってこた悪行三昧したんじゃねェか。んなもん怪異で十分だボケ」

 

『むぐぐぐぐぐ』

 

狐暁が言い負かされている……。というか、悪行三昧って。ということは、僕は騙されて契約したことになる。泣きそうになった。

 

「はいはい、そこまで。話が進まないだろ」

 

『お主がまともなこと言うと腹立つな……』

 

手を叩き、言い合いを止めたライダースーツの男。…………この人結局名乗らないしヘルメットも取らないな。まあ、それはいいとして……これ幸いと、ずっと気になっていたことを聞く。

 

「あの……そもそも、封印ってそんなに簡単に解けるようなものなんですか?僕、そういう知識とかがあるわけじゃないんですが……」

 

『……ありえんじゃろう。妾が内部から干渉し続けても破れなかった封印じゃ、只人に解けるようなものでもない。ユキオの触れた魔法陣が何か悪さをしたんじゃろうが……陰陽師の、お主は本当に知らんのか?』

 

「あァ?知らねェよ。陰陽師だってわかってんなら、魔術が専門外だってこともわかるだろォが」

 

心底面倒そうに言う比良坂さん。いや、僕は陰陽師のことも初めて知ったし、その"魔術"というのは陰陽師が使うのとは別の力だというのも知らないのだが……。

 

「チッ、結局……その神主を騙ったっつーふざけた野郎に吐かせる必要があるか。となれば……」

 

「ストップ、そっちの話は今はいい。少なくとも今、この場で聞かなきゃならないことがある」

 

「え?それって……」

 

「手前らの処遇、か」

 

あ、と思った。

そうだ。僕は狐暁の封印を解いて、緊急時とはいえ契約まで結んだのだ。このままお咎め無しで帰れるはずもない。

 

「ま、そうだね。明らかに隠されてるだろうオカルト絡みで、しかも神サマと契約したって言うんだ。俺はともかく、ユキオくんは流石に何かしらあるんだろ?」

 

『お主も大概じゃと思うがの』

 

「ハァ……。ったく、これだから無駄に頭の回る奴は面倒臭ェ。適当に言いくるめる気だったのによ……。綾樫幸雄、手前には俺と来てもらう。端的に言やあ連行だ」

 

連行。

比良坂さんのような陰陽師が所属する組織がある、ということか。比良坂一門か、あるいは他の陰陽家も集まって一つの大きな組織になっているのか。

どっちにしろ、餓鬼やあの化物のような怪異から平和を守るような組織なんだろう。なら、ここで抵抗する理由はない。

 

たぶん僕は、もう平和な日常に戻ることはできないんだろうと思う。そう思うと、少しだけ逃げ出してしまいたくなるが……狐暁と契約した以上、ここで逃げたところでまたこういうことに関わらざるを得ないはずだ。それならば、少しでも信用できる人と、知識を増やしておいた方がいいと思う。

それに、やっぱりあの神主のことも気になる。あの人に騙され、あわや大惨事を引き起こしかけた僕は……あの人を見つける責任があると、そう感じる。

 

「……はい。そうなるだろうとは思っていました」

 

『十中八九、首輪を付けられることになるじゃろうがな。ユキオごと滅ぼされるよりは何倍もマシじゃ』

 

「素直でいいな、手間が掛からないところが実にいい。こっちとしちゃ野良の異能者、それも怪異との契約者を野放しにしておくわけにはいかねェんだ。……で、怪人ヘルメット」

 

「怪人ヘルメット!?」

 

この空気の中で急に変な言葉が聞こえたせいで、いろいろ考えていたことが全部吹き飛び、急に力が抜けてしまった。

言った張本人である比良坂さんは、さも当然のように煙草を踏み消していた。……いや、流石にダメだと思うんだけど。突っ込んじゃいけないのかな。

 

『怪人ヘルメット……』

 

「……それ、俺のこと言ってる?」

 

「手前しかいねェだろうが。で、手前の処遇だが。事情聴取は終わったからもう帰っていいぞ」

 

え。

てっきり、この人も一緒に行くことになると思っていたけど。

 

「俺は行かなくていいの?」

 

「あァ。話聞いた限りじゃ、俺個人としちゃお前のが即戦力になると思うんだが……面倒なことに、組織の規則ではそうもいかねェ」

 

『……そういう事か。こ奴は異能者ではないからの。信じ難いことに』

 

「基本的に、うちは陰陽師の集まりだ。何人か野良上がりの異能者もいるが……大抵は身内で固めてる。一応ちゃんとした後ろ盾のある組織だからな、適当にはやれねェ。で、そこに所属する以上、異能者じゃねェ手前は門前払いだ。ついでに連れてった俺までペナルティを食らう」

 

どうやらいろいろと面倒なことがあるらしく、新しい煙草に火を点けながら話す比良坂さん。この人何本吸う気なんだ?

 

「ええと……どうしてですか?この人、僕より強いと思うんですけど……」

 

「今はな。異能ってのは、簡単に言やあ外付けのブースターだ。持ってる奴と持ってねェ奴じゃ、()()()()が違う」

 

「限界性能……?」

 

「ああ、なるほど。つまり身体能力が同じなら、それに加えて異能を持った人間の方が使()()()と」

 

「あァ。つーかそもそも、怪異ってのは異能で対処するもんだ。手前が異常なだけで、普通は怪異とステゴロでやり合ったりはしねェ。……一応、異能を組み合わせた格闘術で戦う筋肉ダルマもいるがな」

 

ただ、と一度言葉を切る。

 

「いくら手前が異常っつっても組織のしがらみってのは面倒臭ェ。一度例外を許しちまうとその後に影響があるんだよ」

 

「理解した。俺は別に異常じゃないんだけどね」

 

「異常だろ」

 

『異常じゃの』

 

「えっと……普通はあんなに動けないと思います」

 

全員から袋叩きにされ、流石に少し思うところがあったらしく。肩を竦めて、咳払いで誤魔化した。

 

「……まあ、ともかく。俺は力になれないってことだな」

 

「あァ。ま、心配すんな。結界も張り直しておくし、ほとんどの怪異は一般人(カタギ)の目に触れる前に処理される。……今回みてェな案件もあるっちゃあるが、普通に生きてりゃこの先怪異に巻き込まれることも無いだろうよ。間違っても自分から関わりに行くんじゃ無ェぞ」

 

カタギ…………?

 

『のうユキオ、こ奴本当に陰陽師かのう?さっきからヤクザにしか見えないんじゃが』

 

「うん。僕も本当について行っていいのか不安になってきた」

 

「誰がヤクザだコラ」

 

怖い。こういうところがヤクザっぽく見えるんだと思う。

 

「はは。結構打ち解けてるみたいだし、その分だと心配無さそうだね。じゃ、俺はそろそろ行くよ。忘れかけてたけど、一応人を待たせてる……うん、たぶん待たせてるんだ」

 

と、外へ歩いていく男。そういえばこの人、この服装ってことはバイクで来たんだろうか?

 

「あ……その、いろいろとありがとうございました!」

 

何にせよ、今僕が生きているのはこの人のおかげだ。

この人に助けてもらえていなければ僕は餓鬼に殺されていた、と思う。

その後に現れた異形だって、僕一人では太刀打ちできなかった。

去っていく男に頭を下げる。

 

「ま。縁があったら、いつかまた会おうよ」

 

そう言って、こちらを振り返らないままひらひらと手を振り、去って行った。

その後ろ姿は、やがて夜の闇へと消える。ただ、特徴的なオレンジのヘルメットだけが、まるで人魂のように最後まで浮かんでいた。

 

『本当に変な奴じゃったのう』

 

「うん。最後までヘルメット取らなかったしね」

 

「ケッ……俺としちゃ二度と会いたく無ェな」

 

 

 

 

 

あ。

結局あの人の名前聞いてない。

 



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(5/5)【速報】近所で人魂を見たんだが②

だいたい今までの3倍くらいの文字数ありますが初投稿です。途中で切るわけにもいかない内容だったので。

掲示板要素はありません。


 

206:夢見る名無しさん[sage]

結局>>1帰って来ないな

 

207:夢見る名無しさん[sage]

死んだんじゃないの?

 

208:夢見る名無しさん[sage]

釣り宣言忘れて寝たんだろ

こんなスレにずっと張り付いてるお前らが暇人なだけだぞ

そもそも200まで伸びたのがおかしい

 

209:夢見る名無しさん[sage]

だから釣り関連の話題は荒れるからやめろって

伸びたっていうかレスバで無駄にスレ消費しただけだし

 

210:>>1[sage]

ただいま

 

211:夢見る名無しさん[sage]

うわっ急に帰ってくるな!!

 

212:夢見る名無しさん[sage]

ほんとに>>1?

 

213:夢見る名無しさん[sage]

>>208

>>210

 

214:夢見る名無しさん[sage]

随分遅かったな

二時間くらい経ってるぞ

 

215:>>1[sage]

正真正銘>>1だぞ

ちょっといろいろあって遅くなった

 

216:夢見る名無しさん[sage]

で、結局何だったん

つまらん話だったら殺す

 

217:夢見る名無しさん[sage]

攻撃的すぎる

 

218:>>1[sage]

まあみんな気にしてるであろうことだけ先に言うと襲われてた子は無事だよ

今からまとめるからちょっと待ってね

 

219:夢見る名無しさん[sage]

無事だったのか

 

220:夢見る名無しさん[sage]

はいはいこの後釣り宣言でしょ知ってる知ってる

 

221:夢見る名無しさん[sage]

なんで無事だったの?

目の前の人を助けられなくて自分の無力さに打ちひしがれる>>1が見たかったのに

 

222:夢見る名無しさん[sage]

やべえのがいますね……

 

223:夢見る名無しさん[sage]

こわい

 

224:夢見る名無しさん[sage]

立って数時間のスレの>>1に対してどうしてここまで歪んだ感情を向けられるのか

 

225:>>1[sage]

よし

じゃあ今から詳細を話す

 

226:夢見る名無しさん[sage]

全く反応してなくて草

 

227:夢見る名無しさん[sage]

こいつもこいつでおかしいんだよな

 

228:夢見る名無しさん[sage]

わくわく

 

229:夢見る名無しさん[sage]

>>228

かわいい

 

 

 

 

 

253:>>1[sage]

と、まあこういうわけだな

 

254:夢見る名無しさん[sage]

 

 

255:夢見る名無しさん[sage]

 

 

256:夢見る名無しさん[sage]

えぇ……

 

257:夢見る名無しさん[sage]

ちょっと釣り針デカすぎない?

 

258:夢見る名無しさん[sage]

せめてのじゃロリ狐っ娘の画像があれば信じてた

 

259:夢見る名無しさん[sage]

確かに狐っ娘の画像があれば俺も信じる

 

260:夢見る名無しさん[sage]

欲望に忠実だな

 

261:夢見る名無しさん[sage]

まあ言ってることは正論ではあるんだが

せめて何かしら画像無いの?

 

262:>>1[sage]

あるよ

[画像]

 

263:夢見る名無しさん[sage]

有能

 

264:夢見る名無しさん[sage]

これは有能

 

265:夢見る名無しさん[sage]

うっひょおおおおおおおおおおおおおのじゃロリ狐っ娘だああああああああああああああああ

 

266:夢見る名無しさん[sage]

おい

 

おいふざけんな

 

267:夢見る名無しさん[sage]

>>262

お前絶対に許さないからな

 

268:夢見る名無しさん[sage]

なんてもん見せやがる

呪ってやるからな

 

269:夢見る名無しさん[sage]

狐っ娘の画像じゃないやん!!!!!!!!!!!!!!!

俺は狐っ娘の画像が見たかったの!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

270:夢見る名無しさん[sage]

まーたグロ画像か

で、今度は何だったの

 

271:夢見る名無しさん[sage]

>>270

さっきの話に出てきたクソデカ緑バケモン

 

272:夢見る名無しさん[sage]

きっっっっっっっっしょ

 

273:夢見る名無しさん[sage]

これマジ?キモすぎるだろ……

 

274:>>1[sage]

え?画像くれって言うから載せたんだけど……なんかまずかった?

 

275:夢見る名無しさん[sage]

>>274

ごめんなさいしないといけないよね

 

276:夢見る名無しさん[sage]

>>274

のじゃロリ狐っ娘は?

 

277:夢見る名無しさん[sage]

>>274

こいつほんと無能だな

 

278:>>1[sage]

いや狐暁は撮らないよ

盗撮じゃん

 

279:夢見る名無しさん[sage]

こいつからこんなまともな言葉出てくるとは思わなかった

 

280:夢見る名無しさん[sage]

おいバケモンだって生きてたんだぞ

盗撮するな

 

281:>>1[sage]

いやあいつらは害獣みたいなもんだし

 

282:夢見る名無しさん[sage]

感覚がドライすぎる

 

283:夢見る名無しさん[sage]

どっかおかしいとは思う

 

284:夢見る名無しさん[sage]

まあそれはそれとしてだ

画像がある以上さっきの話にも少しは信憑性出てきたけど

そうなるとその怪異とか異能ってのが実在することになるんだよな

実在してほしくはないんだが

 

285:夢見る名無しさん[sage]

そうか?俺は実在してほしい

 

286:夢見る名無しさん[sage]

ないない

全部ニートの妄想だろ

 

287:陰陽師の名無しさん[sage]

あん?

さっき比良坂の長男が連れてきた子供ってもしかしてこのスレ関係?

 

288:夢見る名無しさん[sage]

なんか知ってそうなのが来たぞ

 

289:夢見る名無しさん[sage]

陰陽師がこのスレ見てるってマジ?

>>1大丈夫?秘密を洩らしたとかで消されない?

 

290:夢見る名無しさん[sage]

ヤバそう

 

291:陰陽師の名無しさん[sage]

いや俺は別に密告とかしないけど

ていうか未だに怪異の存在を一般に隠そうとしてるのって老人ばっかの少数派だからな

若い陰陽師とかはむしろ一般に知識を共有して最低限身を守れるようにすべきだって意見のが多いし

まあ陰陽家の当主とか組織の幹部とか逆らえない立場の人間は老人ばっかだから未だに秘匿されたままなんだが

 

292:夢見る名無しさん[sage]

世知辛っ

 

293:夢見る名無しさん[sage]

急に陰陽師を名乗る奴が出てきたと思ったら夢も何もない内情暴露される方の気持ちも考えろよ

 

294:夢見る名無しさん[sage]

どうせ>>1に乗っかっただけのニートだろ

陰陽師だって証拠ぐらい出せ

 

295:陰陽師の名無しさん[sage]

やけに偉そうだなお前

証拠ったってこれで満足か?

[画像]

 

296:夢見る名無しさん[sage]

なんだこの画像

やけに古い服装の男と子供が写ってるだけじゃん

何が証拠だよ

 

297:夢見る名無しさん[sage]

>>295

これ狩衣じゃね?

今時着てる奴いるのかこんなの

コスプレ?

 

298:夢見る名無しさん[sage]

狩衣の男と子供…………?

 

299:>>1[sage]

>>295

あれ?比良坂さんとユキオくんじゃん

無事に着いたんだ

 

300:夢見る名無しさん[sage]

えっ

 

301:夢見る名無しさん[sage]

まさか……

 

302:陰陽師の名無しさん[sage]

>>299

やっぱこの子供か

比良坂のヤクザ息子が野良異能者連れてくるとか珍しいこともあるもんだと思ってたが

 

303:夢見る名無しさん[sage]

「本物」……ってコト!?

 

304:夢見る名無しさん[sage]

!!!!!

>>302!!!!!!!

のじゃロリ狐っ娘の画像はよ!!!!!!!!!

 

305:夢見る名無しさん[sage]

>>302

まだ証拠が足りない

狐っ娘の画像をだな

 

306:夢見る名無しさん[sage]

本物だとわかった瞬間欲望むき出しにするなあこいつら

それはそれとして画像くれ

 

307:夢見る名無しさん[sage]

人間って、愚かだ。

 

308:陰陽師の名無しさん[sage]

うるせえなこいつら

[画像]

 

309:夢見る名無しさん[sage]

>>308

有能

 

310:夢見る名無しさん[sage]

>>308

俺が保証するよ

こいつ本物の陰陽師だよ

 

311:夢見る名無しさん[sage]

>>308

俺はお前が本物だって最初から信じてたよ

 

312:夢見る名無しさん[sage]

手の平クルックルで草

 

313:>>1[sage]

まあどうやって撮ったとかは聞かないけどさ

陰陽師の人がいるならその組織のこととか怪異のこととか詳しく説明頼めない?

正直俺もよくわかってないままなんだけど

 

314:夢見る名無しさん[sage]

そうだな

本職なら詳しいだろうし

 

315:夢見る名無しさん[sage]

そんなことはどうでもいい!!!!!

もっと狐っ娘の画像を!!!!!!!!!!

 

316:夢見る名無しさん[sage]

>>315

黙ってろゴミ

 

317:夢見る名無しさん[sage]

>>315

うるさい

 

318:夢見る名無しさん[sage]

>>1の話だけじゃそういうのがあるってことしかわからないからなあ

もしそんなのが実在するなら、遭遇したときに戦うとまではいかなくともせめて身を守れるように知識が欲しい

肉弾戦ができるならまだいいが、どうにも>>1がおかしいだけのようだし

 

319:夢見る名無しさん[sage]

だな

さっきの口ぶりからして陰陽師名無しは情報公開に肯定的っぽいし、教えてくれるなら助かる

 

320:夢見る名無しさん[sage]

ニートの妄想にそんな付き合うなよ

調子乗るだろ

 

321:夢見る名無しさん[sage]

>>320

逆張りそろそろ寒いぞ

 

322:夢見る名無しさん[sage]

>>320

それしか言えんならさっさとスレ閉じて寝ろや

こっちは真剣に聞いてるんだわ

 

323:陰陽師の名無しさん[sage]

まあいいよ

流石に組織の重要機密とかまでは話せないけど怪異とか異能についてなら

 

324:夢見る名無しさん[sage]

>>323

助かる

 

325:>>1[sage]

>>323

ありがとう

 

326:陰陽師の名無しさん[sage]

じゃあそうだな、まず"怪異"から話した方がわかりやすいか

怪異ってのは、まあ言ってしまえばオカルト全般をひっくるめた総称だ

>>1が出くわしたみたいな餓鬼とか、UMAだの悪魔だの幽霊だのも全部指してるのが怪異。そこからいろいろと分類してくわけなんだが、流石に全部紹介してたら細かすぎてキリが無いんで大まかな分類だけな

 

327:夢見る名無しさん[sage]

さらっとUMA悪魔幽霊の存在を述べてますね……

 

328:陰陽師の名無しさん[sage]

まずは餓鬼とか、さっきの画像の緑のバケモン(獣鬼種)みたいな"妖魔"。人の思念、大概は怨念とかが集まって形を為したもの。ステレオタイプな幽霊だな。

>>1が襲われた餓鬼とか獣鬼種みたいのは実体を持ってるタイプだったから物理でどうにかなったけど、妖魔の多くはそれこそ幽霊みたいに実体を持ってない。

そうなると異能だとか、あとは霊的な加護を得た武器とかしか通じないわけだから、>>1はある意味幸運だったと思うぞ。

それでも普通、一般人が素手で餓鬼とやり合ったところでタイマンで勝てるかどうかってレベル。それを複数体無傷でボコボコにしたっていう>>1はどう考えても異常。

俺達陰陽師はもともと異能でしか対抗できない妖魔を処理する組織だったんだが、今じゃ日本の怪異事件全般の対処に働かされるようになった。

 

329:夢見る名無しさん[sage]

さらっと>>1が異常呼ばわりされてて草

 

330:夢見る名無しさん[sage]

諦めろ、>>1がおかしいのはわかってたことだ

にしても怨念か、>>1の話じゃいきなり湧き上がってきたってことだけど

 

331:>>1[sage]

俺は普通だって……

 

332:陰陽師の名無しさん[sage]

>>330

怨念っても餓鬼みたいな雑魚の場合そんな強いもんじゃなく、ちょっとしたイライラとか負の感情の集まりだな。そのくらいの思念は常にどこにでも漂ってる。

大概の町には結界が張られてるから普段は形を持てるほど集まれないようになってるんだが、何らかの要因で結界が破られたりした場合にはこれ幸いと集まり出すわけだ。

町全体じゃなくその神社にだけ妖魔が出たってのは、結界の一部にだけ穴を空ける魔術的な細工がされてたと推定される……って、さっき上の連中が話してたのを聞いた。

 

333:夢見る名無しさん[sage]

堂々と盗み聞きしててダメだった

 

334:夢見る名無しさん[sage]

結界かー。俺らも知らないうちに守られてたってことか

 

335:夢見る名無しさん[sage]

>>332

推定される、って?

確実じゃないの?

 

336:陰陽師の名無しさん[sage]

>>335

俺達陰陽師が使う法術とその細工に使われたっていう魔術ってのは別の技術なんよ

加えて、比良坂のヤクザが言うところには祠が崩れ去った影響か魔法陣も消失してたらしい。

専門外の技術を痕跡も無しに調べるってのは無理があるんだわ、魔術の特性上俺達みたいなまともな組織も無いし。その辺は後で詳しく話すけど

 

337:夢見る名無しさん[sage]

あー、そういうことか

確かに薬の知識も無いのに今飲んだ薬の効果を当てろって言われても困るわな

 

338:夢見る名無しさん[sage]

人を守る組織が専門外の技術だから~ってのは怠慢では?

 

339:陰陽師の名無しさん[sage]

>>338

大っぴらには言えんけど、そっちの案件に対応する奴らってのもいることはいるのよ。まともな奴らじゃないが。

暗黙の了解として俺達の手に負えない案件はそっちに任せてるってことだな。俺もどうかとは思うが、上の奴らが魔術を嫌ってるから仕方ない。

 

340:夢見る名無しさん[sage]

うわぁ生々しい

 

341:夢見る名無しさん[sage]

内情黒っ

 

342:夢見る名無しさん[sage]

組織のトップそんなんで大丈夫?

 

343:>>1[sage]

ユキオくんを行かせたの失敗だったかなぁ……

 

344:陰陽師の名無しさん[sage]

>>343

まあ比良坂は長男こそヤクザだが他はだいぶまともだし、悪いようにはせんだろ

さて話を戻すが、次に"魔物"って分類。UMAとかはこの分類であることが多く、要するに「ただそういう生物」ってだけの存在だ。

まあこいつらはただの動物って言ってもいいんだが、「生きている炎の塊」だとか「七色に光って浮かんでいるだけの正八面体」みたいなのもひっくるめてこれに入れるからってことで怪異扱いになってるわけだな

ちなみにこの例は両方実在するぞ

 

345:夢見る名無しさん[sage]

実在するのか……

 

346:夢見る名無しさん[sage]

魔物扱いされるツチノコくんかわいそう

 

347:夢見る名無しさん[sage]

さっきからずっと比良坂長男のことヤクザ呼ばわりで草

どんだけヤクザなんだよ

 

348:夢見る名無しさん[sage]

まあ>>1の話だと神社の境内で煙草吸ってたり踏み消したりしてたらしいし……

 

349:陰陽師の名無しさん[sage]

あいつマジでヤクザ面だもん、超こえーの

しかも比良坂の符術って対人拷問術とかそんなのあるんだぜ、もうヤクザじゃねーか完全に

 

で、それは置いといて。次に"都市伝説"。その名の通り、人間の噂話から生まれた存在。言霊くらいは聞いたことあるだろ?それと似たようなもんだ。

その話を語る者が増えることで概念としての力を得て、具現化する。都市伝説で厄介なのは、作られるのは必ずしも生物じゃないってとこだ。入ると呪われる「場所」だとか、特定の返事をしないと死ぬ「着信」が具現化することもある。

で、この手の怪異は人の認識に左右されやすく、広まってる話の内容によってその在り方も変化する。わかりやすいのがメリーさんだな。一昔前なら世にも恐ろしい怪異だったんだが、今じゃ道は間違えるわ壁に埋まって出れなくなるわすっかりポンコツ属性萌え怪異の地位が定着した。可哀想に。

 

350:夢見る名無しさん[sage]

 

351:夢見る名無しさん[sage]

 

352:夢見る名無しさん[sage]

 

353:夢見る名無しさん[sage]

不憫すぎて草

 

354:夢見る名無しさん[sage]

メリーさんは実在した……?

 

355:夢見る名無しさん[sage]

いや待て

メリーさんのインパクトが強すぎて流されてるが結構ヤバいこと言ってるだろ

 

356:夢見る名無しさん[sage]

だよな、特定の返事をしないと死ぬ着信とかその話を知らなきゃ対処できないじゃねえか

 

357:陰陽師の名無しさん[sage]

じゃあ最後、"呪物"。

これは人間が異能だのなんだのを用いて作った「道具」としての怪異だとか力を持った怪異の存在の一部だな。

異能者が自分で管理して使ってるようなこともあるが、持ち主が死んだり意図的に手放したりして暴走したようなもんは怪異として処理される。

なまじ道具として使えるぶん、下手にぶっ壊した瞬間とんでもない呪いを撒き散らすような代物もあったりする。これは都市伝説にも言えるが、適切な手段で対処しなきゃいけないから厄介なタイプだな。

 

358:夢見る名無しさん[sage]

>下手にぶっ壊した瞬間とんでもない呪いを撒き散らす

ヒエッ……

 

359:夢見る名無しさん[sage]

こうして並べられると、これに対処するのが如何に危険な仕事なのかよくわかるな

頭が下がる思いです

 

360:夢見る名無しさん[sage]

あの狐っ娘と契約した男の子、ユキオくんもその組織に入るっぽいんでしょ?大丈夫なの?

 

361:陰陽師の名無しさん[sage]

>>359

今まで認知されてなかったからアレだけど、こうして改めて感謝されるとなかなかむず痒いものがあるな

>>360

流石にいきなり実戦、ってことはない。ちゃんと訓練してからの実働任務だから、まあ少なくともすぐにどうこうなることはないはず。

 

362:>>1[sage]

ちょっと安心した

ユキオくん無事だといいなぁ

 

363:夢見る名無しさん[sage]

そういえば、契約って何なの?

今までの話だと、怪異って人間に害をなす奴らってイメージしか湧かないんだけど

 

364:夢見る名無しさん[sage]

>>363

俺も気になってた

あの狐っ娘は自称神みたいだけど、なんか関係あるんだろうか?

 

365:陰陽師の名無しさん[sage]

契約ね

つっても契約についてはよくわかってないことも多いんだよな。いかんせん実例が少ないし、あっても力に呑まれて怪異と変わらんような暴れ方するようなパターンが多いから。ちゃんと理性的に行動できる契約者は希少なのよ

今までにあったのは、強力な怪異が潜伏するために人間に憑依するとか、配下にするために力を与えるとか、あとはよく言われるような願いを叶えるために悪魔を召喚して~ってやつだな。今回のケースはどれも違うみたいだが

考えられるのは、そうだな……長い間封印されていて失われた力を取り戻すため、すぐに俺達や他の強力な怪異に狩られないように……ってとこじゃないか?

 

ああ、それと怪異は何も見境なく暴れるようなのばかりでもないぞ。普通に知性があってコミュニケーションの取れるようなのもいるし、ただ普通にこの世界で生きてるだけのもいるし、あとはそれこそ人間を守護するいわゆる"神様"ってやつもいる。全知全能の創造神……ってのとはまた違うけどな。地域の守り神とか、そんな感じの。

共存できる相手とは共存する。人間に敵対するものは処理する。少なくとも俺達の組織の大多数はそういうスタンスだな。一部には「怪異は存在するだけで害だから皆殺しだ!」なんて奴らもいるが。面倒なことに組織の幹部連中にもそういう派閥があるんだよなぁ……。そんなのいくらなんでも無理があるってのに。

 

あ、比良坂はそういう思想じゃないから大丈夫なはずだぞ。

 

366:夢見る名無しさん[sage]

…………

 

367:夢見る名無しさん[sage]

何と言うか……お疲れ様です

 

368:夢見る名無しさん[sage]

組織ってのは一枚岩じゃないんだなあと

 

369:>>1[sage]

うん、つーろくんはちゃんと話聴いてくれる人だったからね

そこは心配してなかった

 

370:夢見る名無しさん[sage]

しかし共存可能な相手も問答無用で殲滅かあ

テンプレ味方側の悪役って感じだけど

 

371:夢見る名無しさん[sage]

まあわかる気もする

実際俺が陰陽師だったとして、家族が怪異に殺されたりしたらそういう考えになるだろうし

 

372:夢見る名無しさん[sage]

だな

怪異に嫌悪感を抱く人だって当然いるだろうし、共存し得るからって今までのことは全部忘れて仲良くしましょう!ってのもダメだろ

そこは上手く棲み分けできるのがベストなんだろうが

 

373:夢見る名無しさん[sage]

難しい問題だよなぁ

 

374:陰陽師の名無しさん[sage]

だからって、共存の芽を自分から摘んでちゃそれこそ暴れてるだけの怪異と同じになっちまうと思うよ俺ぁ

 

さて、怪異の説明は一通り終わったし次は異能の説明だな

 

375:夢見る名無しさん[sage]

異能か

たしか陰陽師の使う術と魔術ってのは別の技術なんだっけ?

 

376:夢見る名無しさん[sage]

待ってた

俺にも隠された異能(チカラ)があるかもしれない……!

 

377:夢見る名無しさん[sage]

>>376

早くその力発揮して職に就こうな

 

378:陰陽師の名無しさん[sage]

異能ってのは、まあ超能力とか魔法とか、そういう特殊能力全部ひっくるめての総称だ。怪異と同様に、これもまたいくつか分類される。

ちなみに、異能として分類されるのはあくまで「通常、その種族が持っていないはずの力」だ。例えば雷を司る神がいたとして、そいつの持っている「雷を操る力」は異能に数えない。その種族が雷を操れるようにできているってだけの話だからな。

そういう事情で、異能と呼ばれるものを扱うのは主に人間だ。ま、中には人間が使うような異能を身に着けた動物や怪異なんてのもいるが。

あと、俺は法術以外についてはからきしだから簡単な概要しか解説できないが、そこは勘弁してくれ。

 

379:夢見る名無しさん[sage]

超能力!!

 

380:夢見る名無しさん[sage]

魔法!!!

 

381:陰陽師の名無しさん[sage]

言っとくけど、超能力はともかく魔法に関しちゃお前らがイメージしてるようなのとはたぶん違うぞ?

 

ともかく、まずは俺達陰陽師の使う"法術"からな。これはまあ、よくフィクションとかであるような陰陽師のイメージだいたいそのままだ。式神を操ったり、呪文とかそれを封じ込めた「符」で霊的な現象を発動させたり。俺みたいな下っ端は詳しい理屈は教えられてないんだが、聞くところによると人間の生命エネルギーを使ってるらしい。人の「負」の力の塊のような妖魔にとって生きた人間の活力ってのは天敵に等しく、故に実体を持たない妖魔に対しても高い効力を発揮する……ってことだそうだ。まあ簡単に言えば、妖魔の弱点は法術ってわけだな。一応他の異能も効きはするが、最も有効なのが法術。そういう事情で、陰陽師は長い間対妖魔のスペシャリストとされてきたってわけだな。ああ、妖魔以外の怪異に対しても法術は効くぞ。妖魔ほど有効じゃないが、それでも術者の力量さえ高ければ大抵の相手とは渡り合える。生命エネルギー、ゲーム的に言えばMPみたいなのを使ってる都合上、あまり使いすぎると気絶したりすることもあるけどな。

で、だ。法術は仕組みを理解すれば誰にでも扱えるってわけじゃなく、ある程度の才能が必要だ。さっき言った生命エネルギーみたいなのを操る才能だな。で、その才能を持った人間が修行を積むことで法術を身に着けていく。それと、法術にはいろいろ流派があってな。例えば比良坂のように戦闘に特化した術を扱う流派や、結界とか防護の術を得意とする流派、式神の行使に重きを置いた流派なんかがある。家元となる一つの家系と、その傘下にある家系が集まって一つの流派ができている感じだな。

ちなみに、俺は式神メインの流派の中のしょぼい家系の跡継ぎな。比良坂みたいなバケモン連中の足元にも及ばんレベルの。

 

382:夢見る名無しさん[sage]

式神使いかー。かっこいいじゃん

 

383:夢見る名無しさん[sage]

やっぱり人型の式神に家事してもらったりするんですか!!!!!かわいいおにゃのこ型の!!!!!!!

 

384:夢見る名無しさん[sage]

比良坂ってバケモンレベルなんか

>>1が会ったのって相当レアなんじゃないのか

 

385:夢見る名無しさん[sage]

>>384

それ。しょっぱい案件だったらわざわざそんな最高戦力みたいな奴を派遣する必要もないだろうし

 

386:>>1[sage]

確かにつーろくんはかなりの使い手みたいだったしなぁ

最高戦力かあ

 

387:夢見る名無しさん[sage]

そんなバケモンをつーろくん呼ばわりする>>1も大概だと思うけどな

 

388:陰陽師の名無しさん[sage]

>>383

本家の連中ならともかく、俺のレベルじゃそんなもんは無理

せいぜい高速で飛ばして遠距離攻撃に使う程度が関の山

 

>>384 >>385

そこら辺は俺もよくわからん

考えられるのはあの狐が全盛期の頃はそれほど危険な怪異だったとかそれぐらい

 

>>387

まあ俺だってここじゃヤクザとか散々言ってるけど、本人目の前にしたら怖すぎてそんなこと口が裂けても言えんな

力の差をわかってるからってのもあるが、そもそもとしてめっちゃ怖い。睨みつけて来たりするし

 

389:夢見る名無しさん[sage]

これ>>1もそうだけど多少萎縮しながらもわりと普通に話してたっていうユキオくんも相当精神強いな???

 

390:夢見る名無しさん[sage]

>>389

だろうな

>>1と一緒にバケモンと戦う選択とか俺らじゃ無理だし、元々そういう素質があったのかもな

 

391:夢見る名無しさん[sage]

まるで主人公みたいだぁ……

 

392:>>1[sage]

ユキオくんはいい子だよ

 

393:陰陽師の名無しさん[sage]

じゃあ次、さっき少し話した"魔術"な

これは簡単に言えば学問みたいなもんで、使い方さえ理解してれば誰でも使える。異能は異能なんだが、道具とか技術としての側面が強いな。法術とは違って、この世界に元から存在する理をそのまま当てはめてるだけ、らしい。このコマンドを入力するとこういう現象が起きます、ってプログラムを動かしてる感じか。知能を持った怪異が使ってくる異能はこれの場合が多いな。

で、まあそれだけなら使いやすい理想的な異能に聞こえるんだが。まともな異能者がこれを嫌ってるのには相応の理由があるんだな。

 

端的に言えば、デメリットがでかいんだよ。代償というか、魔術を使うためのコストだな。確認されてるものでも、大概の魔術は行使するのに正気をすり減らすのは当然。中には腕一本犠牲にしなきゃいけなかったり、大量の人間の血液を供物として呼び出した怪異に、さらに自分自身の命を捧げてやっと発動する魔術なんてのもある。そんな代物だから、多くの異能者は「魔術なんてのは人を捨てた外道が使う邪法だ」って吐き捨てるし、魔術師を忌み嫌う。俺は魔術師に対しては「よく使えるなそんなもの」ってドン引きしてるタイプだから、嫌ってるというよりは触れたくないみたいな気持ちの方が強いかな。

それと、単純に魔術の扱い方が記された文献が希少だってのもある。こんなもんについて書かれた本が表に出回ったりしたら当然即焚書だからな。現代でも存在してることはしてるんだろうが、コレクターが秘密裏に持ってたりどこかの団体で厳重に管理されてたりで、俺達もほとんど知らない。まあ、基本的に一般人の目に触れるようなところには無いだろうな。

そんなわけで、異能としての魔術は「存在は知られてるけど、実際に使ってる奴はほとんどいない」ってポジションだな。

 

394:夢見る名無しさん[sage]

うわぁ……

 

395:夢見る名無しさん[sage]

魔法に対して抱いていた夢が打ち砕かれた

 

396:夢見る名無しさん[sage]

こんなん嫌われて当然ですわ

 

397:夢見る名無しさん[sage]

誰でも使えるのは確かに魅力的だが、これを使うくらいならまだ他のに賭けた方がいいわな……

 

398:夢見る名無しさん[sage]

逆に言えば、こんな代償を払ってまで果たしたい目的があるような奴には喉から手が出るほど欲しい技術なんだろうな

まあ当然そんなの危険人物に決まってるからそういうのの手に渡らないように管理だったり処理されてるわけで

 

399:陰陽師の名無しさん[sage]

最後、怪異由来の異能。これについては決まった呼称はない。一応"妖術"って呼ぶ人もいるが、メジャーな呼び方ではないな。

これは件のユキオくんみたいに怪異と契約した影響で使えるようになった力とか、怪異関係の事件に巻き込まれた後遺症だとか、あとは例えば神に祈りを捧げたら授けられた力とか、そういう怪異由来の異能だな。

まあ当然のごとくその種類は膨大で、由来する怪異の性質に応じて様々だ。デメリットに関してもな。生命エネルギーを使う法術みたいなのもあれば、血を操るために実際に自分の血を使わなきゃいけないようなのもある。

ま、当然怪異の側も何かしらの目的があって力を与えてるわけだから、そこら辺の野良怪異に「力をくれ」なんて言っても殺されるのがオチだからな。もし怪異と遭遇してもやるなよ。

 

400:夢見る名無しさん[sage]

そそそそそそんなこと考えてないし

 

401:夢見る名無しさん[sage]

先読みされちまったな

 

402:夢見る名無しさん[sage]

そりゃそうだ

 

403:夢見る名無しさん[sage]

神社とか教会に通いつめればあるいは……

 

404:夢見る名無しさん[sage]

まあでも、今までで一番夢があると言えばそうだな

だからってそんな危険を冒してまで欲しいかと言われたら御免被るけど

 

405:夢見る名無しさん[sage]

手に入れたとして、代償がとんでもなかったら使えないもんなー

そんな力があったらまずまともな人生は送れないだろうし、却って一般人でよかったのかもな

 

406:夢見る名無しさん[sage]

いやいや、怪異に対抗可能ってだけでも価値はあるだろ

普通出会わないって言ったらそうなんだけど、出会ってしまったときのこと考えるとさ

取れる手段はあった方がいいじゃん?

 

407:夢見る名無しさん[sage]

そう考えると、一番安牌なのは法術かね

才能の問題とかそもそも法術学べるコネが無いとかはあるけど

 

408:夢見る名無しさん[sage]

だよなぁ

コストの安い魔術があれば……ってのは危険思想か

 

409:夢見る名無しさん[sage]

陰陽師名無しよ、簡単な気休め程度でもいいから何かない?こう、魔除けみたいな

 

410:陰陽師の名無しさん[sage]

すまんが法術の概要はともかく術式そのものを外部に漏らすのは禁じられてるんだわ

代わりと言っちゃなんだが、そこらの神社で売ってるような破魔矢にも多少の魔除けの効果はあるから、どうしてもと言うなら買ってみてもいいかもしれん

まあそんな物が必要にならないようにするために俺達がいるんだが……

 

411:夢見る名無しさん[sage]

それもそうか、結局一般人の俺らは下手にプロの邪魔になるようなことをしないのが一番なのかねぇ

 

412:夢見る名無しさん[sage]

怪異が実在するってわかった以上、怪奇スポットとか変な噂とか安易に試そうとしない方がいいだろうな

 

413:陰陽師の名無しさん[sage]

>>411 >>412

そうしてくれると助かる

上の方がきな臭かったり今回みたいなイレギュラーがあることは事実だが、それでも俺達"浦菊"が怪異から人を守るために存在してるってのも本当だ

だからまあ、こんな顔も見えない掲示板での下っ端の言葉だが、信じてほしい

 

414:夢見る名無しさん[sage]

俺バカだから難しいことはよくわかんねえけど、陰陽師名無しの真摯な気持ちは伝わったよ

 

415:夢見る名無しさん[sage]

浦菊か

頭状花序なんだっけ?多くの花が集まって一つの大きな花になるっていう

 

416:夢見る名無しさん[sage]

ちゃんとした後ろ盾のある組織なんだよな

で、菊って言ったら……え、国家機関?

 

417:夢見る名無しさん[sage]

国 家 公 務 員 ス レ 民

 

418:夢見る名無しさん[sage]

まあ陰陽師はもともと国家公務員だったって言うし、その頃から役割が変わってないんなら今もそうだろうな

 

419:陰陽師の名無しさん[sage]

あー、まあそうだな

一応国家機関だよ。つってもごくごく一部、本当に国の中枢部分の官僚しか浦菊の存在は知らないけど

意味としちゃ>>415が言ってた頭状花序ってのと、あとは菊=日本を裏(浦)から守る組織ってことで浦菊

存在を知ったからって黒服を送り込まれたりはしないから安心してくれ、そういう情報については意図的に省いたかそもそも俺も知らないかのどっちかだから

 

420:夢見る名無しさん[sage]

それは安心したけどさぁ

 

421:夢見る名無しさん[sage]

むしろ国家機関って知れてちゃんとした組織だとわかって安心した

 

422:夢見る名無しさん[sage]

まさか国家公務員がこんな掲示板見てるとは

 

423:夢見る名無しさん[sage]

つーか掲示板見てていいの?仕事中じゃね?

 

424:陰陽師の名無しさん[sage]

>>423

今は勤務中じゃないんで問題ない

 

425:夢見る名無しさん[sage]

ならよし

 

426:>>1[sage]

いろいろ解説してくれてありがとう

ところで身体を鍛えて武術をやれば最低限身を守れはするよ

 

427:夢見る名無しさん[sage]

>>426

申し訳ないが人間をやめるのはNG

 

428:夢見る名無しさん[sage]

>>426

自分を基準に考えるな

 

429:夢見る名無しさん[sage]

>>426

お前がおかしいだけ定期

 

430:>>1[sage]

だから俺は普通なんだって……誰も信じてくれない……

 

431:夢見る名無しさん[sage]

真面目にさ、>>1がやってる武術ってどんなのだよ

少し空手習っただけとかでそんな化物じみた強さは手に入らないだろ

 

432:夢見る名無しさん[sage]

確かに

蹴りが得意みたいだしキックボクシングとか?

 

433:>>1[sage]

いや自分でもよくわからない

小さいころから父親に手ほどきされてただけだからさ、正確な武術の名前とかはわからないんだよね

トレーニング自体は本当に普通の筋トレの範疇のはずなんだけど

今度連絡ついたら聞いてみるか

 

434:夢見る名無しさん[sage]

>>433

えぇ……

 

435:夢見る名無しさん[sage]

>>433

父親が人外説出て来たな

 

436:陰陽師の名無しさん[sage]

あ、そうだ

俺も>>1に聞きたいことがあったんだけどさ

 

437:>>1[sage]

ん?

 

438:陰陽師の名無しさん[sage]

話によると>>1は最後まで顔も見せなかったし名乗りもしなかったんだろ?

何か理由があるのかなって

 

439:夢見る名無しさん[sage]

そういえばそうだな

 

440:夢見る名無しさん[sage]

なるほど確かに

 

441:>>1[sage]

あー……

 

442:陰陽師の名無しさん[sage]

言いたくなかったら別に構わんぞ

ただ気になっただけだから無理に聞こうとまではしない

 

443:夢見る名無しさん[sage]

実は名の知れてる人間で身バレ防止とか?

 

444:夢見る名無しさん[sage]

なんだろ、単純に恥ずかしがりってのもあるかもしれん

 

445:>>1[sage]

別に言うこと自体は大丈夫かな

昔火事に遭ってさ、顔っていうか身体のいろんなところに火傷の痕がね

あんまり怖がらせるのもアレだし、一部の親しい人以外には顔や肌見せないようにしてるんだよね

 

446:夢見る名無しさん[sage]

Oh……

 

447:夢見る名無しさん[sage]

想像以上に重い理由だった

 

448:陰陽師の名無しさん[sage]

……すまん

気を悪くしたなら謝る

 

449:夢見る名無しさん[sage]

これは下手に弄れんわ

 

450:>>1[sage]

いや特に気にしてはないよ、コンプレックスってわけでもないし

あと名前の方は普通に忘れてた

 

451:夢見る名無しさん[sage]

普通に忘れてた

 

452:夢見る名無しさん[sage]

この>>1である

 

453:夢見る名無しさん[sage]

やっぱこいつどっかおかしいわ

 

454:>>1[sage]

これでも怪異のこととかいろいろあって冷静じゃなかったからね

名乗るのを忘れることくらいあるよ

 

455:夢見る名無しさん[sage]

あー、まあそれなら仕方ない……のか?

 

456:夢見る名無しさん[sage]

こいつ終始冷静に立ち回ってた気もするけどな

 

457:>>1[sage]

ま、ともかく俺は疲れたからそろそろ休むよ

大学もあるし

陰陽師の人に貴重な話を聞けて良かった

 

458:夢見る名無しさん[sage]

>>1乙

確かにいろいろあったからな、ゆっくり休め

 

459:夢見る名無しさん[sage]

乙ー

もう変な事件に巻き込まれないようにな

 

460:夢見る名無しさん[sage]

ま、大丈夫だろ。浦菊が守ってくれてるみたいだし

俺達は陰陽師名無し達に感謝しながら、面倒かけないように生きてこうぜ

 

461:陰陽師の名無しさん[sage]

お疲れさん

ま、安心してくれな。そうそう一般人に手出しはさせんよ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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【速報】近所で吸血鬼が出たんだが

 

1:夢見る名無しさん[sage]

どうしよう

 

2:夢見る名無しさん[sage]

どうしようじゃないが

 

3:夢見る名無しさん[sage]

お前何言ってんの?

 




【NEXT→】
 吸血鬼


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(ex) 幕間、その後何かが変わったか

高熱で寝込んだりしていたので初投稿です。副反応には気を付けよう!(2敗)

遅ればせながら、誤字報告ありがとうございます。


1."浦菊"上層部は難儀する

 

 

「……以上が、昨晩の結界破損及び妖魔型怪異出現の詳細です。昨晩不在でいらっしゃった方のため、再度説明させていただきました」

 

とある施設の、会議室。沈黙に包まれたその部屋にいる人物は、全員の注目を浴びながら説明を終えたスーツの男以外、全員が時代錯誤な狩衣に身を包んでいた。その数は四人。

国家機関たる異能者組織"浦菊"。陰陽寮を起源とし、所属する異能者の大半が陰陽師であるその組織の幹部は当然の如く良家の陰陽師で埋められている。伝統を重んじる彼らにとって、古来から続くように陰陽師の装いとは狩衣であるとされている。……実際、浦菊には特に服装規定は無い。幹部が狩衣を着ているというだけで、一般の構成員はスーツ等の洋装を着ていることがほとんどである。

現在この場に集まっているのは陰陽家でも最高位に位置する、"家元"たる家系の当主達。……厳密に言えば、比良坂家だけは現当主の代理として長男が列席しているが。

 

「……なるほど。封印の解かれた妖魔が野放しである、という事実は気にかかるが……契約した人間に首輪を着けた以上、簡単に処理するわけにもいかん、か」

 

沈黙を破ったのは、年季の入った皺と白い髭を貯えた、歴戦の戦士の風格を纏う強面の男。その鋭い視線は、対面に座る比良坂通路に向けられていた。

常人なら竦み上がるほどの眼光。しかし、対する通路はあくまで自然体で口を開く。

 

「あァ。そっちとしても、"使える"怪異をわざわざ処理する為に一般人を殺す意味は無ェだろ。アイツを浦菊で管理してる間は、少なくとも好き勝手はできねェよ」

 

男……式神の行使を得意とする流派・幽谷(ゆうこく)家の当主は、内部で『怪異殲滅派』と呼ばれる派閥の実質的なトップである。共存可能な怪異であろうが、怪異という存在には変わりない為に処理しようという、過激派。しかし、そのトップである男自身は、そこまでの過激思想は持ち合わせてはいなかった。そもそも、浦菊の最高幹部という立場上、そのような過激な思想を実現することは不可能であるということを理解し、あくまで組織……ひいては日本の利の為に行動している。

むしろ、真に過激派と呼べるのは彼の部下達である。男は、部下達の行き過ぎた行動を監視・抑制する目的で派閥のトップの座にいるに過ぎなかった。

 

「ふむ。まあ、妥当なところか。……では、本命の問題に移ろうか」

 

そう言うと、ちらと別の人間に視線を移した。この場にいる唯一の女性、結界術を得意とする黄泉(よもつ)家の当主と、先程から何か考えこんでいる"加護"を得意とする常世(とこよ)家の当主。

黄泉家の女は、一つ頷いて話し始める。

 

「ご存じの通り、結界は我々黄泉一門が責任を持って作り、定期的に整備も行っています。少なくとも、高位の怪異であっても簡単に破れるものではありません。ましてや、一部にだけ穴を空けるなどと。尋常なものでは無いでしょう」

 

あなたはどうお考えですか、と常世家の男に尋ねる女。常世家の男は、難しい顔のまま話す。

 

「……話によれば、祠に刻まれた魔法陣に触れたことで封印が解かれ、さらに結界に穴を空けた。その話が正しいのならば、魔術が用いられたということになるが……。そんな魔術が記された魔導書は見つかっとらんであろう?それに、顔が思い出せんといったな。となれば……未知の魔術を用いる、極めて高い知能を持つ魔術師。或いは怪異よな。どちらにしろ、最優先で処理しなければならぬ手合いよ。それに、相手の目的もわからぬ。わざわざ子供を唆して妖魔の封印を解かせる理由とは何だ?自分でやればよいだけの話ではないか」

 

それに続き、通路が補足する。

 

「魔術絡みだってんで"例の連中"にも調べさせたが、成果はゼロだ。連中、痕跡も無いのにどうやって調べろってんだとキレてたよ」

 

それを聞き、室内の空気はより一層重苦しいものになる。

 

「……そうか。手段も不明、目的も不明、正体も不明……完全にしてやられたな、我々は」

 

「しかし、それほどの力を持ったものを放置しておくわけにはいきません。とにかく、まずは情報がなくては……。後手に回らざるを得ませんが、少しでも関係のありそうな情報は全て集めさせるように手配しましょう」

 

「それしかあるまいな、今は」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2.綾樫幸雄は修行する

 

 

あの夜を境に、僕の日常はまるきり変わった。

比良坂さんに連れてこられた先……対異常存在特別機関"浦菊"で、僕は厳しい尋問を受けた。

神主と話したこと、狐暁の封印を解いたこと、あの人と協力して怪異と戦ったこと。神社であったこと全てを洗いざらい話した。

その結果として、僕は浦菊の管理下に置かれ、実働部隊として働くことになった。

比良坂さんに聞いたところによると、これはかなり甘い処置で。本来、僕は危険因子として狐暁ごと殺されてもおかしくなかったそうだ。

では、なぜ今回はそうならなかったのか。それは、狐暁と僕が最初から浦菊に協力する姿勢を見せていたことが大きい。ちゃんと言う事を聞くならまぁ……ということだ。

それでいいのだろうかと若干心配になってくるが、狐暁は『妾は神じゃからの、この力が惜しいんじゃろ』と言っていた。なんであんなに気楽なんだろう。

 

両親や周囲には、国が主催するボーイスカウトのような団体に所属することになった────と説明している。自分でもかなり無理のある設定なんじゃ、とは思ったが。その時付き添っていた人が実際に国家公務員としての名刺を出したので、両親をなんとか納得させられた。というか、これ僕も国家公務員って扱いになるんだろうか?まだ中学生なんだけど、児童労働とか大丈夫なのかな。

それにしてもあの付き添いの人、狐暁に「頼む、比良坂のヤクザに写真のこと言わないでくれ。マジで殺される」とか言ってたけど……何のことだろう?狐暁に聞いても、面白そうにしてるだけで教えてくれなかった。

 

まあそんなこんなで、僕は浦菊の一員となったのだ。

しかし、いきなり実戦というわけもなく。しばらくは訓練として、怪異や異能についての知識を深める座学であったり、基礎体力や狐暁の力の使い方を鍛える日々が始まった……のだが。

 

 

 

「聞いてンすかァ?さっさと立てっつってンですよォ」

 

 

 

なぜ、僕は同じくらいの歳の子供にボコボコにされてるんだろう?

 

 

 

 

思い返してみる。たしか僕は、いつも通りトレーニングをしていたはずだ。

その時に訓練室に誰か入ってきたのが見えたので、挨拶しようとしたら……()が飛んできた。

咄嗟に腕で防御したものの。それは目の前で爆発し、僕は衝撃で吹き飛ばされた。

当然痛いし、何がなんだかわからない。倒れたまま混乱していると、いつの間にか再び飛んできていた札の爆発をもろに受けた。再度吹き飛ばされ、壁に激突する。

 

『ユキオ!大丈夫か!?』

 

大丈夫じゃない。

かき乱される思考の中で、なんとかそれだけははっきりと答える。

いったい何が……?少しだけ思考が追い付いてきたところで、今まさに僕を襲った人物のものだろう声が投げかけられた。

 

「何寝っ転がってンすかァ?さっさと立ってくださいよ」

 

そんなこと言われても。僕をこうしたのは君だし、そもそも君は誰なんだ。なんでいきなりこんなことを。

いろいろ言いたいことはあったが、激痛でうまく声が出せない。

何とか顔だけをそちらに向けると、そこにいたのは僕と同じくらいの年齢だろう、ニット帽の少女。もちろん初めて見る顔だけど、なぜか僕に敵意に満ちた目を向けている。

 

「聞いてンすかァ?さっさと立てっつってンですよォ」

 

……と、冒頭に戻る。ダメだ、本当に何が起こっているのかわからない。

 

 

 

 

「立てるでしょうよ?威力は弱めてあるンすから。馬鹿にしてンすか?」

 

なおも僕に催促を続ける少女。なんでこんなに怒ってるんだろうか?僕、ほんとに何もしてないよね?

 

「……だ、誰……きみ」

 

「ア?」

 

なんとか声を絞り出す。……けど、焦って内容を間違えたかもしれない。少女の声色に含まれる敵意が濃くなった気がした。

 

「アタシみたいな木っ端は眼中にないってンすかァ?さすがエリート様は違うンすねェ」

 

ほんとに何を言ってるんだ、この娘?もしかして何か勘違いしてるんじゃないか?

いや、勘違いでこんな目に遭わされるのはたまったものじゃないんだけど。

 

「何、言ってるんだよ……?なんで、こんな……」

 

「はー。なンで、アタシがこンな奴を……。通路さんは何考えてンだか」

 

通路さん……?比良坂さんのことだろうか?

 

「比良坂、さんが……何かした、の……?」

 

「…………ア?アンタまさか、何も聞かされてないンすか……?」

 

必死で何度も頷く。僕は完全な被害者であるはずなのだが、なぜか気まずい沈黙が流れる。

 

「……チッ。そういうことすか」

 

そう呟くと、少女は僕に数枚の札を飛ばしてきた。

また爆発するのかと目を瞑ったが……それらが四肢に貼りつくと、途端に痛みが和らいだ。まだ身体が痛みこそするが、動くこと自体はできそうだ。

ゆっくりと立ち上がり、腕についた札を見る。

 

「これは……?」

 

『治癒の法術か。簡単なものじゃが、まあ気休めにはなるじゃろうな』

 

「治癒?そういうのもあるんだ」

 

「流石に知ってンすか。応急処置程度しか使えませンけど、十分でしょ?」

 

あ、そうか。狐暁が僕に憑依している間は、僕にしか声が聞こえないんだった。

 

「それで、君はいったい……?」

 

「マジで何も聞いてないンすか。……師匠役ですよ、アンタの。異能を用いた戦闘術のね」

 

「へ?」

 

師匠……?それって、いわゆる教師と生徒みたいな──────

 

「いや、というか僕、いきなり攻撃されたんだけど。師匠とかって、そういうものじゃないよね」

 

「そうしろって指示されてたンすよ、通路さんに。偶然異能を手に入れただけで自分を選ばれた人間だと勘違いしてイキりまくってるガキがいるから、力の差をわからせてやれって」

 

「えぇ……?」

 

『完全にデマ流されとるのぉ……。ユキオ、お主あ奴に嫌われておるのか?』

 

いや、そんなことは……無いとは言い切れないけど。それでも、こんなことをされる謂れはない、と思う。

それに、比良坂さんとまともに話したのはあの夜くらいだけど……。それでも、あの人が意味もなく新人いびりみたいなことをする人じゃないことくらいはわかった。

ということは、僕は何か理由があって襲撃されたことになる。理由があってもいきなり襲われるのは勘弁してほしいが。

 

「……まァ、通路さんのやり方、雑っつーかヤクザのそれですからね。アタシも疑うべきだったっすわ。すいませンね」

 

……この子もヤクザって言ってるな。やっぱり、比良坂さんについては「ヤクザ」が共通認識なのかもしれない。

どうでもいいけど、あれだけボコボコにしておいてすいませんで済むのはこの子が図太いのか、浦菊ではよくあることなのか。後者だとちょっとこの先不安を感じるので、前者であることを願いたい。

どっちにしろ、この子が僕の師匠、というのは確定事項のようだ。自分と同じくらいの歳、それもいきなり攻撃された相手に師事するというのに思うところが無いではないが、まあ、なんとかなるだろう。少なくとも、この子が僕よりも強いのははっきりしている。

 

『うむ。妾の力があるとはいえ、今のお主は弱っちいからな。戦闘慣れした者に師事するのも良いじゃろう』

 

狐暁もこう言っているし、あとは僕がどれだけついていけるかだ。

 

 

 

と、少女は一つ咳払いをした。つられて、僕もなんとなく姿勢を正す。真面目っぽい雰囲気になり、少し緊張してしまう。

 

「つーわけで……通路さんの部下、比良坂一門・境界(さかい)彩里(あいり)。これからアンタの師匠役を務めますわ。どーぞヨロシク」

 

「ええと……浦菊の戦闘員見習い、綾樫幸雄です。……よろしくお願いします?」

 

『ユキオ、いまいち締まらんぞ……』

 

自分でもわかってるから言わないでほしい。

 

 

 

 

 

 

後日。

 

「比良坂さん、なんでアイリちゃんにあんなこと言ったんです!?死ぬかと思ったんですけど!?」

 

「あァ?……あー、アレか。そりゃ手前、異能を手に入れたガキってのはイキるモンだろ。俺とかアイツみてェに。じゃあ早いとこ鼻っ柱叩き折るべきだろォが。イキらなかった手前がおかしいんだ」

 

「実体験による思い込みから責任転嫁された……!?」

 

『本当に大したこと考えてなかったようじゃのう…………』

 

という具合に、今回のオチ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3.或る大学生は思案する

 

 

「……ってことがあってさ」

 

目の前の男が、まるで世間話でもするかのように軽い調子で語っていたこと。

それは怪異だの異能だの陰陽師だの……。少なくとも、現代の科学社会に真っ向から喧嘩を売るようなオカルトじみた話だった。

 

「……はぁ。で、なんだ?そんな話、私が信じると思ったのか?君は」

 

バカバカしい、と吐き捨ててコーヒーに口をつける。美味い。淹れたのは彼だ。腹立たしいことに、好みは完璧に把握されている。

件の男は、私が睨みつけるのにも構わず、あっけらかんと答えた。

 

 

 

「え、うん。信じてくれてるんでしょ?」

 

「──────……」

 

 

 

溜息を吐く。

こういうところだ。

この男は、ごく自然にこういうことを言ってくるから……困る。

 

まあ、言い当てられた通り、信じてはいる。

わざわざこんな意味のない作り話をする奴ではない、というのが一つ。彼が考えた設定にしては()()()()()()()というのが一つ。

何にせよ、少なくとも嘘をついているわけではないだろう。

 

「ま……君が嘘をついていないのはわかっているが。だからって、君がその名も知らぬ誰かに騙されている可能性が無いわけではない。……君は、変なところで抜けているからな」

 

えー、そんなこと無いと思うけどなぁ……などと言っているが。君のその性格のせいで、私がどんな思いをしたことか。私は、君よりも君に詳しいのだ。

 

「まったく……。わかっているだろうが、君。もう関わらないでくれよ?そんなモノには」

 

下手に興味本位だの、正義感だので関わってしまっては……最悪、命を落としかねない。嫌な想像が頭を過ぎる。

それを振り払うように、忠告も含めて釘を刺しておく、のだが。

 

「大丈夫だよ。俺は死なない」

 

当然のようにそう言い放ち、やっぱ君の家に置いてあるコーヒー美味いよね、などと続ける様を見て額に手を当てる。どうせこうなるだろうと思ってはいたが。

つまるところ、こういう男なのだ。

こちらの言葉の意味を汲み取ることはできるのに、自分の意思は曲げない。他人を気遣いはするくせに、自分の危険を顧みない。たぶん、万が一再び怪物に遭遇しても、他の誰かの為に立ち向かうのだろう。

そんなだから……と考え、目の前で呑気にコーヒーを飲む男を改めて見る。

私が小柄な方であることを考慮しても高めな身長。癖のある黒髪に、まあ悪くはないであろう顔立ち。特段目立つものでもない服装。どこにでもいるような男の姿だ。

……痛々しい火傷の痕と、左右で色の違う瞳さえ無ければ。

 

彼が他人に素顔を晒すことは、殆どない。常にフルフェイスのヘルメットを被っているし、そうでない時でも仮面や包帯で顔を隠す。

10年前の"あの事件"で身体の大部分に火傷を負って以降、ずっとそうやって生きてきた。周囲から恐れられたり、不気味がられたり。そのように見られている内に辛くなって……ではなく、「周囲に気を遣って」顔を隠すようになったのだ。

彼が素顔でいるのは、それこそ一人の時か家族の前か……それか、私といる時だけだ。「私を信頼してくれているから」、などと言えれば良かったし、今はもうその通りなのだろうが。しかし、元は私が頼み込み、外してもらうようにした。

そうした理由は、親しい私にすら気を遣う彼の姿が痛々しかったから、というのもあるが。また別の理由に依るところが大きい。

 

また、その瞳。火傷痕の無い右眼は黒。彼の元々の瞳の色だ。対して、左眼は金────私の瞳と同じ色。そして、私の左眼は眼帯に覆われている。……左眼のあった場所、と言うべきか。

 

そう。彼が本来持っていた左眼は、10年前に失われた。今その位置にあるのは、元々私の左眼であったモノだ。

勿論、彼がそんなことを望んだわけではない。全ては私の我儘で、事件直後、彼が意識を失っている間に処置をした。……せめて、それくらいはしてやれなければ。私は罪悪感に押し潰されそうだった。

 

 

 

彼は、私のせいであの事件に巻き込まれたのだから。

 

 

 

と。私が見つめているのに気付き、マグカップを置く。

 

「まーた変なこと考えてるな?何度も言ったけど、アレは君のせいじゃないよ。ただの事故だ」

 

ただの事故。彼は心の底からそう思っている。

 

「……君にとってはそうなのだろうが」

 

私にとっては、と言いかけて、やめる。わざわざ過去を掘り返すよりも、もっと有意義に時間を使うべきだ。

 

「それはそうと、君、一限来なかっただろう。そんな事があって疲れていたのはわかるが、学業を疎かにするのは感心しないな」

 

意趣返しのつもりで少し意地悪くそう言うと、彼はわかりやすく気まずげな顔をした。

……彼の身を案じた時よりもしおらしくされるのは、まあ、気に入らないが。

 

「それを言われると。……ノート貸してくれない?」

 

もう慣れてしまったし、なんだかんだ私は彼に甘い。こんなものかと流してしまう。

 

「鞄に入っているから好きに使うといい。私はコーヒーを淹れてくる……ほら、君の分も淹れてやるから。マグカップ」

 

「ありがとう。ほんと助かる」

 

そうして、いつも通りのくだらない日常に彼を引き戻すのだ。

 

 

 

 

 

 

コーヒーを淹れながら、考える。

彼の話に出てきた、少年を怪異に触れさせた神主を名乗る男。

その人相は思い出せず、ただ笑っていたように思えたらしい……という話だ。

 

又聞きにも程がある為に定かではないが。私の思い浮かべている通りのモノならば、非常にまずい。

浦菊もアレを追っているのだろうが、あの組織のやり方では期待するだけ無駄だろう。人であることに拘っている連中に、アレをどうこうすることなどできはしない。

アレは……文字通り、世界の全てを嘲笑うような。"悪意"そのものの化身だ。そして、私の──────彼の人生を歪めた存在。

マグカップを握る手に力が籠る。

 

ちらり、と彼を見る。私は自然に振舞えていただろうか。疑念を持たれてはいないだろうか。

彼にあの事件の記憶を取り戻させてはならない。ただの事故だと、そう思わせ続けなければ。

彼の存在が私を繋ぎ留めているように、私が彼を、日常に繋ぎ留めておかなければならない。

 

 

 

もう二度と、君が怪異に魅入られないよう。私が君を守るから。

他の全てを犠牲にしようと、君だけは幸せにしてみせる。

10年前のあの日から────────────私は、君の為だけに在るのだから。

 



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【速報】近所で吸血鬼が出たんだが
(1/n)【速報】近所で吸血鬼が出たんだが


生きてるので初投稿です
更新激遅太郎


1:夢見る名無しさん[sage]

どうしよう

 

2:夢見る名無しさん[sage]

どうしようじゃないが

 

3:夢見る名無しさん[sage]

お前何言ってんの?

 

4:夢見る名無しさん[sage]

クソスレ

さっさと落とせ

 

5:夢見る名無しさん[sage]

まず病院に行きます

 

6:夢見る名無しさん[sage]

いや待て

この流れ前にも見たぞ

 

7:夢見る名無しさん[sage]

もしかして人魂の時の>>1?

 

8:夢見る名無しさん[sage]

前にもってなんだよ

こんな頭湧いたスレ建てる奴がそう何人もいてたまるか

 

9:夢見る名無しさん[sage]

まあ吸血鬼がガチだと仮定して、それに対してこんな呑気なスレ建てる奴が何人もいても困るな

じゃあやっぱ人魂スレの>>1か?

 

10:夢見る名無しさん[sage]

まずその人魂って何?

 

11:夢見る名無しさん[sage]

>>10

【速報】近所で人魂を見たんだが

[URL]

ちょっと長いけど

 

12:>>1[sage]

人魂のスレなら俺が建てたやつだよ

今度は直接見たわけじゃないけど、吸血鬼が出たって噂になってる

 

13:夢見る名無しさん[sage]

また近所?

>>1の町どうなってんの?

 

14:夢見る名無しさん[sage]

ていうか結界あるんじゃなかったのか

流石に破られてそのままなわけは無いと思うが

 

15:夢見る名無しさん[sage]

また破られたかどうにかしてすり抜けられたか、どっちにしろガバガバすぎるなこれだと

ただの噂ならいいけど

 

16:夢見る名無しさん[sage]

お前らマジでこんなの信じてるの?正気かよ

釣りじゃなきゃキチの妄想だろ

 

17:夢見る名無しさん[sage]

>>16

実際どっちだろうと信じた方が面白いやん

本当だった場合解決するべきだし

 

18:夢見る名無しさん[sage]

釣りなら釣りでいいんだよな、別に

ほっといて犠牲者が出たりしたら寝覚めが悪いってだけで

 

19:夢見る名無しさん[sage]

で、>>1はなんでまたスレ建てたの?

 

20:>>1[sage]

俺もこの噂については半信半疑だけど、実際に血を抜かれて殺されたっていう死体は見つかってるんだよね

だから本当に吸血鬼かどうかはともかくそういう事件が起こってるのは事実のはずなんだけど、なぜか報道もされないし警察が捜査してる様子もない

こうなると流石におかしいじゃん?浦菊が認知してるかもわからないから、調べるだけ調べてみようかと

 

21:夢見る名無しさん[sage]

うわ黒っ

 

22:夢見る名無しさん[sage]

予想以上にアレだったな

確かにそりゃ自分で調べたくもなるわ

 

23:夢見る名無しさん[sage]

待て

そもそも>>1はなんでそんな死体のこと知ってるんだよ

それも噂だってんなら情報が不確かすぎるぞ

 

24:>>1[sage]

死体に関しては確実だよ

見つけたの俺だし

 

25:夢見る名無しさん[sage]

 

26:夢見る名無しさん[sage]

えぇ……

 

27:夢見る名無しさん[sage]

それ先に言えや

 

28:夢見る名無しさん[sage]

変死体見つけたのを些末事みたいに言ってるあたり>>1はサイコなのかもしれない

 

29:夢見る名無しさん[sage]

推定生物を躊躇なく蹴り殺すような奴だぞ

兆候はあった

 

30:夢見る名無しさん[sage]

それもそうだ

 

31:>>1[sage]

いや言うタイミングが無かっただけだって

俺だって人間の死体見たら驚く

 

32:夢見る名無しさん[sage]

驚く

 

33:夢見る名無しさん[sage]

驚くだけ

 

34:夢見る名無しさん[sage]

まあ真面目な話、>>1が調べようとしてる理由はわかった

ただそこでスレ建てるって思考に至るのがほんとにわからん、友達とかじゃ駄目だったのか

 

35:夢見る名無しさん[sage]

この>>1には友達いなさそう

 

36:夢見る名無しさん[sage]

性格とか抜きにしても、人魂スレで言ってた事情からして友達作りにくいんじゃないかとは思う

 

37:>>1[sage]

流石に友達くらいいるけど、あいつには秘密にしときたいんだよね

前回のこと話したらめちゃくちゃ心配されたし、今回の噂もわざわざ関わろうとするなって釘刺されたし

あと単純にあいつを巻き込みたくない。危険なのは俺もわかってるから

 

38:夢見る名無しさん[sage]

あー、まあそうか

死人出てる事件だからな

 

39:夢見る名無しさん[sage]

>>1はまあこいつだし平気か……ってなるけど

普通の人間が調べるようなものでもなし

 

40:夢見る名無しさん[sage]

こいつにすら友達いるのか

死にたくなってきたな

 

41:夢見る名無しさん[sage]

>>40

涙拭けよ

 

42:夢見る名無しさん[sage]

>>1が調べたいのと俺らに頼る理由はわかった

じゃあそうだな、とりあえず噂のこととか死体のこととか詳しく情報頼む

あとできればコテも付けてくれ

 

43:夢見る名無しさん[sage]

コテか

まあ呼びやすく判別しやすい方がいい

 

44:>>1[sage]

わかった

まとめるからちょっと待って

その間コテでも適当に考えといてくれ

 

45:夢見る名無しさん[sage]

オッケー

 

46:夢見る名無しさん[sage]

さて

あの>>1を端的に表す名前か

 

47:夢見る名無しさん[sage]

サイコヘルメット

 

48:夢見る名無しさん[sage]

>>47

 

49:夢見る名無しさん[sage]

>>47

これ

 

50:夢見る名無しさん[sage]

まあ待て

この>>1はイカれちゃいるが、サイコとはまた違うだろ。むしろ善人寄りだ

 

51:夢見る名無しさん[sage]

一理ある

 

52:夢見る名無しさん[sage]

それもそうだ、そうなるとヘルメットしか無くなるわけだが

 

53:夢見る名無しさん[sage]

ヘルメットは固定なのか……

 

54:夢見る名無しさん[sage]

それくらいしかわかりやすい特徴になるものがないからな

 

55:夢見る名無しさん[sage]

一スレしか見てないのにここまで浸透するヘルメットの印象が強すぎる

 

56:夢見る名無しさん[sage]

逆に一スレ分しか>>1のこと知らないからこそともいう

 

57:夢見る名無しさん[sage]

「やたら強くて常にヘルメット被ってる変なの」くらいの情報量だからな

 

58:夢見る名無しさん[sage]

ヘルメット探偵とか

 

59:夢見る名無しさん[sage]

絶妙にダサい

 

60:夢見る名無しさん[sage]

それだとなんかヘルメットの専門家みたいになるな、どっちかというと探偵ヘルメット

 

61:夢見る名無しさん[sage]

地獄(ヘル)メット

 

62:夢見る名無しさん[sage]

急にぶち込んでくるな

 

63:夢見る名無しさん[sage]

ちょっと笑った

 

64:夢見る名無しさん[sage]

嫌いじゃない

 

65:夢見る名無しさん[sage]

わかりました、じゃあ組み合わせて地獄探偵でどうでしょう

 

66:夢見る名無しさん[sage]

やべーやつすぎる

 

67:夢見る名無しさん[sage]

どうでしょうじゃないんだよな

 

68:夢見る名無しさん[sage]

あんまりにもあんまりで草

 

69:夢見る名無しさん[sage]

でも実際>>1はやべーやつなんだよね……

 

70:夢見る名無しさん[sage]

妙にしっくりくるのはある

 

71:夢見る名無しさん[sage]

面白いしいいんじゃない?

 

72:>>1[sage]

まとめた、コテ決まった?

 

73:夢見る名無しさん[sage]

お、来たぞ

 

74:夢見る名無しさん[sage]

>>72

地獄探偵

 

75:>>1[sage]

>>74

なんで??????????

 

76:夢見る名無しさん[sage]

 

77:夢見る名無しさん[sage]

そらそうよ

 

78:夢見る名無しさん[sage]

 

79:地獄探偵[sage]

まあいいや、とりあえず貼る

【吸血鬼の噂】

・最近、町に怪物が出ると言われている

・夜な夜な人や動物を襲っているらしい

・見つかった死体は血を抜かれているため、怪物の正体は吸血鬼であると言われている

・警察や報道機関はなぜか死体について何も言わない

 

【見つけた死体】

・夜、大学から帰宅中に見つけた

・一緒にいた友達が「血の臭いがする」と言って、向かった先の路地裏で若い女の死体を発見。

・首に十円玉くらいの穴が空いており、友達曰く失血死。しかし周囲に血痕が無く、死体からも出血していなかった。明らかに異常な死体

・通報したものの、「調べておくから帰れ」とだけ言われた

・それ以降一切の捜査や事情聴取なし

 

80:夢見る名無しさん[sage]

地獄探偵受け入れててワロタ

 

81:夢見る名無しさん[sage]

おいおい

情報の内容ヤバくないか

 

82:夢見る名無しさん[sage]

これがマジなら相当だろ、警察の怠慢とかそういう次元じゃない

 

83:夢見る名無しさん[sage]

もう陰謀を疑うレベルなんだよな

お前の町本当にどうなってんの?

 

84:夢見る名無しさん[sage]

流石に釣りだろ

というか釣りであってくれ

 

85:夢見る名無しさん[sage]

何気にその友達もおかしいぞ

血痕も出血も無かったのに血の臭いってなんだよ。死因も判断してたりするし

 

86:夢見る名無しさん[sage]

友達ってさっき言ってたのと同じ人?

それならまあそんな明らかに異常なモン関わろうとしてたら止めるわな。実際見てるわけだし

 

87:地獄探偵[sage]

釣りじゃないから困ってる。警察とか頼れそうにないってことがわかったし

友達はなんか、昔からそういう「死の気配」とかに敏感だった。あと頭もいいし、まああいつが言うならそうなんだろうなって

だから今回も大人しくしてろって言うあいつが正しいのはわかってるんだけどね

 

88:夢見る名無しさん[sage]

友達への信頼が厚すぎる

 

89:夢見る名無しさん[sage]

ほんとにいい友達なんやなって

 

90:夢見る名無しさん[sage]

で、この噂を調べるわけね

つっても手がかりとかが無いんじゃなあ

とりあえず地道に聞き込みするとか危険覚悟で夜に出歩いてみるしかないんじゃないの

 

91:夢見る名無しさん[sage]

だな

何にせよ噂自体の情報が少ない。怪物の目撃情報とかが複数あればそこからある程度出現場所絞り込めたりするんだが

 

92:地獄探偵[sage]

やっぱそうなるかぁ

とりあえず今大学にいるし聞き込みでもしてみる

 

93:夢見る名無しさん[sage]

地獄探偵(地道な調査)

 

94:夢見る名無しさん[sage]

おー

何かわかったら報告してくれ

 

95:夢見る名無しさん[sage]

大丈夫?怪奇ヘルメット男だけど人と話せる?

 

96:夢見る名無しさん[sage]

流石に大学内じゃ慣れられてるんじゃない?知らんけど

 

97:夢見る名無しさん[sage]

変人奇人として有名そう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

119:夢見る名無しさん[sage]

だから釣りなら釣りで面白いから構わないって言ってんだろ

何回目だこの話

 

120:夢見る名無しさん[sage]

つまらない釣りが嫌われるのであって、結局のところ話が面白けりゃ釣りでもガチでもいいんだよな

 

121:地獄探偵[sage]

戻った

ここからすぐに解決に繋がるような情報は無かったけど

 

122:夢見る名無しさん[sage]

お、来たぞ

 

123:夢見る名無しさん[sage]

元が噂だから情報の質はしゃーない

ある程度絞り込めたら御の字

 

124:地獄探偵[sage]

・吸血鬼は夜にしか出ない

・人気の少ない場所に一人でいると襲われる。複数人でいると出ない

・吸血鬼が出没し始めたのはつい最近で、人間の犠牲者はまだ少ない

・見つかった死体は俺が見つけたのと同じようなもの。首に穴、血痕も出血も無い

・死体を見つけて通報した人が捜査されないことを疑問に思って再度警察に行ったところ、そんな通報は受けていないと門前払いされた

 

こんなもん

 

125:夢見る名無しさん[sage]

夜に一人か

いかにもだな

 

126:夢見る名無しさん[sage]

とりあえず警察はほんとに頼れないってのはわかったな

変に目付けられても困るし、行かない方が良さそう

 

127:夢見る名無しさん[sage]

まあ実物見たことないし実物見る=死ぬだからわかりやすい情報が無いのは仕方ない

噂通りに夜一人で出歩くしかないんじゃないかね

 

128:夢見る名無しさん[sage]

死体見つけたって場所を覚えてるならもう一回そこに行ってみるのもいいんじゃないか

少なくともそこで襲われた人がいるのは事実

 

129:地獄探偵[sage]

なるほどなぁ

じゃあ今夜行ってみるか

 

130:夢見る名無しさん[sage]

軽いノリで死地に向かうな

 

131:夢見る名無しさん[sage]

ほんとに行くの?

やっぱり危ないでしょ

 

132:夢見る名無しさん[sage]

なんだかんだ俺達傍観者だしなあ

いくら止めても実際行動するのは>>1だし、調べたいっていうなら知恵貸すしかできん

 

133:夢見る名無しさん[sage]

>>131

この>>1なら大丈夫でしょってのはある

なんか謎に強いし……あとどうせヘルメット被ってるから普通より防御力ありそう

 

134:夢見る名無しさん[sage]

理由が雑で笑う

 

135:夢見る名無しさん[sage]

でも正直わかる

 

136:夢見る名無しさん[sage]

まあ死地かどうかは行ってみて、別に必ず出るって確証も無いし

そこまで悲観するものでもないかと

 

137:夢見る名無しさん[sage]

あ、そうだ

せっかくだし>>1さえ良ければ配信とかしてもらえると嬉しい

もしほんとに吸血鬼が出れば証拠映像にもなる

 

138:夢見る名無しさん[sage]

ついでに俺らも楽しめる、一石二鳥だな!

 

139:夢見る名無しさん[sage]

どうせ危ない目に遭うのは自分じゃないからと私欲に走る

これが人間である

 

140:地獄探偵[sage]

配信かぁ

一応準備しておくか

 

141:夢見る名無しさん[sage]

お、やってくれるのか

 

142:夢見る名無しさん[sage]

いいの?もし襲われたときにカメラ持ったままどうにかできる?

 

143:地獄探偵[sage]

そこは問題ないはず

じゃ、夜にまだこのスレ残ってたらここにリンク貼る

 

144:夢見る名無しさん[sage]

うーい

 

 



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