激しいスキンシップを受けてしまう娘に憑依してました…。…既に胃が痛いです…… (タク-F)
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過酷な運命を背負う娘に憑依してました
母親譲りの綺麗な銀髪……愛される顔立ち……背丈は小柄なわがままボディ……面倒見の良い性格……それが雪音 クリスの大まかな特徴だ。そして作中で最も人気の主要人物としても有名だ。何故そんな事を今言わなければならないのか……それは……
「あたしがそのクリスちゃんに憑依してたのがわかったからね……」
気付いたのは【バルベルデのテロから6年後】の国連による武力介入により日本への帰国が決定した時だ。
「でも……身寄りの無いあたしを保護してくれる人達なんているのだろうか……」
回想で見た当時のクリスちゃんの描写はかなり断片的だっただけに気付くのが遅れたが、国連による救出とその時の【聞き覚えのある名前】が自分の名前であるとは結び付けられなかった。
「自分の……名前……?」
「あぁ……君の名前は【雪音 クリス】……声楽家の【ソネット・M・ユキネ】さんとヴァイオリニストの【雪音 雅律】さんの実子だ。私は2人のファンでね……」
その兵士さんは【あたし】の身の上を語ってくれ、そこで【あたし】が
「そっか……ここは戦姫絶唱シンフォギアの世界だったのか……。そして後のイチイバルの適合者になるクリスちゃんに憑依していたのか……」
そして1つ思い出せば連想するように記憶が蘇る。バルベルデの悪夢……テロリストによる聖遺物起動の強制
強制……男性兵士の下卑たる視線……全てに合点がいった。
「そしてもう1つ……」
【あたし】の人格が表面化する前の人格と記憶……つまりは
「教えて欲しいよクリスちゃん……
記憶と人格が存在する以上クリスちゃんの人格は何処かには存在する筈だ。
国連による武力介入で救出されたあたしは6年ぶりの帰国を果たした。しかし……
「何者だお前は! 」
「貴様等に答える必要は無い」
突如襲って来たノイズと【謎の女性】は次々と護衛の黒服に手をかけていく。
「我々には彼女を送り届ける義務がある! 総員迎撃せよ!」
「っ……ハッ!」
ノイズに銃弾が通じないと解っていても黒服の人達は交戦の意思を捨てなかった。その結果が火を見るよりも明らかであろうと……
「愚かだな。この娘を大人しく差し出せば死ぬ事も無かっただろうに……」
迫りくる銃弾を【謎の障壁】が阻み、使役したノイズが1人……また1人と命を奪う。そんな光景を見せられれば人はどうなるか?
「やめてくれ……その人達は関係ない筈なのに……」
しかしあたしの言葉を謎の女性が素直に聞く必要性は皆無だ。だからあたしは
「もうやめてくれ……。あたしが……ついて行くから……」
「子供は下がりなさい! わざわざ危険をおかす必要などないのだ! 」
「そうだな……そこを退け小娘。せっかく助かった命を無に還すつもりか?」
怖い……ただひたすらに怖い。眼の前にいる不条理、躊躇いなく他人の命が奪われる現実……圧倒的な暴力……謎の力……全てが怖い。
「あたしがアンタに大人しくついて行けばこの場は丸く収めてくれるよな?」
「お前の態度次第だがな?」
あたしの覚悟を嘲笑うかのように……見下すように向けられる視線に……恐怖が止まらない。だけどあたしは土下座で精一杯頼んでみた。
「大人しくついて行きます! だからこれ以上この人達を殺さないでください! 」
自分の出せる限界の声を発して頼み込む。すると当然後ろからは……
「馬鹿な事を言うな! 君を送り届ける事が我々の仕事だ! それなのに君がむざむざさらわれる姿を我々は眼の前で見なければならないと言うのか! 」
「君は子供だろう! 何を考えている! 」
黒服の人達のあたしを想って止めてくれる言葉は胸が痛い。そして女性はあたしを見下しながら問いかけた。
「小娘……お前の願いを私が聞く必要性は無いのだぞ?」
「貴女がノイズを使役した以上……この場には遅かれ早かれ応援の人が来るでしょう。しかし貴女の目的は私です! ならば早々に連れて行ってください! お願いします!」
あたしは姿勢を崩さずに頼み続ける。怖い……気が変わって殺されてしまう恐怖も大きい……逃げ出したい。
「………………まぁ……良いだろう。お前が自暴自棄を起こしてこのままノイズに接触されてはここまでの手間をかけた意味が失せる。その代わり……」
カッ……カッ……カッ……ズドン!
「がっ……はっ……」
距離を詰め、腹部を蹴り飛ばされたあたしは壁に叩きつけられた。
「その生意気な口で喚かぬように黙らせるがな……」
「貴様ァ!」
「動くな!」
発射される銃弾はやはり障壁に阻まれ届かない。そして女性はあたしの首を腕でホールドする。
「この娘に感謝するのだな。本来ならば失くした命が繋がれた幸運を噛み締めておけ……」
あたしを目的の場所まで護送しようとしていた黒服の人達は
最初の目標は拗らせた巫女さんに【夢を伝えられる関係】を築く事です!
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巫女さんに攫われてますので交渉を始めます!
帰国直後の空港(政府保有の秘密裏)で拉致られたあたしはフィーネによって拉致されてしまった。
「ふん……手間取らせてくれたな……」
「う……あ……」
しかも巫女さんのご機嫌が非常に悪いので執拗にお腹を蹴られてる。正直痛くて悶絶してる。
「なんで……こんな……事を……?」
あたしは
「平和ボケした世界で過ごす小娘如きに私の計画……いや、夢を語る必要性があると思うか?」
視線が痛い。だからあたしは雪音クリスの夢を語る。
「じゃあ……あたしの夢を……聞いてよ。誰にも話してない……秘密の……夢なんだ……」
「興味が無いな。小娘の理想如き高がしれているだろう?」
全く気にも止めてくれない。まぁ……それを識っているから勝手に話すけどね?
「あたしは……平和な世界を作りたい。争うだけの
「………………ほぅ? 面白い事を言うな小娘。いや……雪音クリス!」
フィーネが初めてあたしを名前で呼んでくれた。必死さを強調する為に敢えて顔を伏せてるあたしはその表情を見てないが、恐らくは扱いやすい駒として認識した筈だ。実際にこの境遇でこの答えに行き着く人達は少なく無いと思うから。
「今……あたしの……名前を……?」
「あぁ呼んだとも。私はクリスに
残酷な言葉の中に混ぜられる甘い単語が凶悪だ。
「なら……さっきの質問に答えてよ。あたしを攫ったり……黒服の人達を殺した理由なんだけど……」
「調子に乗るなよ? 私はあくまでも【
良し! 少しだけどフィーネは
「それなら……頑張ったら……教えてくれる?」
「お前の働き次第だな。だが……やるべき事は伝えておこう!」
そう言ってフィーネはソロモンの杖を投げ渡して来た。
「何かの……杖? これって聖遺物なの?」
「そうだ。完全聖遺物ソロモンの杖だ。クリス……コレを起動するのがお前の価値だ。成功すれば
「っ!」
やっぱり……何の効力があるかは語られていない。流石はラスボスだなぁ……無知な少女に人殺しをさせるなんて。
「必ず起動させるから! だから……起動できたら
「…………まだ私の目的を知りたいとは驚いたな。しかし……お前自身が争いの種になると気づかないとは憐れだな……」
「フィーネ……? もしかしてこの聖遺物……」
「無駄口を叩く前に起動を始める事だな。起動出来ねばそもそも価値が無い事を忘れるなよ?」
フィーネはそれだけ告げて部屋を後にした。どうやらあたしを体よく利用して切り捨てるつもりなのだろう。だけど……
最初に【ソロモンの杖起動命令】(ソレを起動しろとしか言われ無かった……)をフィーネに言い渡されて1年が経過し、ようやく起動する事に成功した。こうして自分で聖遺物の起動を行うとフォニックゲインを高めるのが如何に大変かよくわかる。原作クリスちゃんマジで天才児。まぁ……原作と違う未来を掴む為に館の中を散策するけど、相変わらずフィーネの情報は記されていない。
「ひぃ……! コレ……ノイズ!?」
完全起動が成功した瞬間【バビロニアの宝物庫】からノイズが溢れ落ちた。そしてその際に急激なエネルギーが観測された。
「そうか……ようやく起動できたのだなクリス。安心しろ……その聖遺物の名は【ソロモンの杖】と言う。そしてその権能は……」
あたしから杖を奪ったフィーネはノイズを消した。
「このようにノイズを制御する聖遺物だ。まぁ……カ・ディンギル完成までに間に合っただけ良しとしておこう」
起動された杖を持ったフィーネはあたしに背を向けていた。
「ほんとに……コレで争いの無い世界を創る事が……」
「あぁ……
「ッ!」
その時見せたフィーネの笑みをあたしは忘れない。だけど今は……
「まぁ……
フィーネはそれを最後に部屋を出た。あぁ……確かにコレはキツイなぁ……。ふとした瞬間の優しさがあたしの精神を揺さぶって来る。
「だけど
まずはフィーネに
まずは【扱いやすい娘】と思わせないとイチイバルをくれないでしょうから必死に起動を試みたものの、原作クリスちゃん程才能が開花してない事に気付きました。
実はこの物語のポイントになります。
感想お待ちしています。
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ご褒美を貰いましたので本格的に行動します!
【ソロモンの杖】を完全起動させたあたしにフィーネは色々な飴をくれた。その中の1つが……
「フィーネ……コレは何だ?
「クリス……お前にはソレをくれてやる。まぁ……ソロモンの杖には遠く及ばないのでな」
とうとう手に入れた……第2号聖遺物 イチイバルのシンフォギアペンダント。あぁ……嬉しいなぁ……
「本当に良いのか? すごく機嫌が良いんだな……」
ようやく手に入れたぞイチイバル。なら……胸の詠を聞かないと。
「フィーネ……これ……
「そうか……ならば奏でろ。私の興味を損なわせるなよ?」
さぁ……詠うぜ?
「
身に纏うは赤いシンフォギアイチイバル。本来は弓の聖遺物だけど、[あたしのトラウマ】である銃火器のイメージがギアの構成を行った。するとフィーネは……驚愕していた。
「イチイバルは本来弓の聖遺物だが、クリスは別の形を構築した……か。良いぞ……興味が尽きない! なんと言う事だ!」
フィーネの興奮からもあたしの目論見は成功したと見て良いだろう。ようやくだ……
「フィーネはさ……
「あぁ……もちろん覚えているとも。あまりにも
「あの夢には……
「その先……だと? 争いを根絶した先に
「恋がしたい。平和な時間を過ごせるからこそ出来る……イチイバルみたいに熱い恋を……」
「…………驚いた。クリスは恋と無縁の人間では無かったか?」
「そうだよ。パパやママに連れられて活動してた時にあのテロであの様さ。だからあたしはソーニャに聞いた【恋】ってのをしてみたいんだ。きっとパパとママもお互いに恋をしてたと思うから……」
「………………まさかソレがお前の本当の夢とはな……。だが……
「もちろんソレも本気だよ。争いなんてしてたら恋なんて出来無いだろ? だからあたしは争いを無くしたい。その為の圧倒的な力を手に入れないといけないんのは忘れて無いさ。ただ……
「っ……ハハハハハハハハ! 面白いなクリス! 戦地や捕虜での生活を余儀なくされたお前がそんな事を願うとは想像すらしていなかったぞ! 」
ドクン……ドクン……ドクン……
今までで1番大きな笑い声……あたしの伝えた【夢】はフィーネの想像を外れる事になった。そして気の所為か……イチイバルからナニカが伝わって来る!
「なんだよ……コレは……?」
「ふむ……興味深いな。どうせ二課がアレの使用を目論むまでは時間がかかるだろうし……何よりも
「フィーネ……? さっきから何を言ってんだ?」
「気にするな。ただ計画の修整が必要になっただけだ。存外そのイチイバルのポテンシャルを見込めそうなのでな……」
「へぇ〜……【ソロモンの杖】は良いのか?」
「
「ん……わかった。ならさ……上機嫌ついでに教えてくれよ。あたしだって知りたい事はあるんだぜ?」
「内容次第……だな。クリスが有用な駒である事実を弁えない質問をすれば答える価値すら無いぞ?」
あ……意外と聞けそうかも。それだけ上機嫌なんだ。考えて見ればシンフォギアの未知の覚醒ってのは表の顔では重要性の高い事態だしな。
「
これは
「ふむ……そのくらいならば語ってやろう。最も……私の恋を理解出来るとは思えないがな?」
「マジかよ! じゃあ飯でも食べながら教えてくれよ! フィーネの人生ならきっとスゲェ恋をしたんだろ!?」
ここから1年かけて【ネフシュタン】と【ソロモンの杖】……そして【イチイバル】を頑張って使い熟す事になります。
さて……次回からは原作主人公が覚醒してからのお話です!
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館で過ごすあたしに……フィーネは新しい命令を持って来た。
「二課に新たな装者が加わった。その人物の名は
【立花 響】……成熟する前に捕獲しろ。その為に【ネフシュタン】と【ソロモンの杖】を貸してやるが……イチイバルは使うなよ? 」
「は……? なんだそりゃ?」
驚きと歓喜の命令があたしに告げられたが、今回は驚きが勝る。何せ……
「完全聖遺物は良くてシンフォギアは駄目なのか?」
「可能性の差だ。そのイチイバルの価値を忘れるなと言う事だ。だがお前にも準備が必要だろう? 1ヶ月で準備しろ。そうすれば直に
そうして要所を纏められた資料が手渡された。あ〜……当時の
「コイツに会ったら駄目か? 流石にこんなお人好しそうな表情をしてる奴でも簡単に攫わせてはくれねぇだろ?」
「心配される程賢くは無い筈だが……
「ん……それじゃあ纏まった資金が欲しいのと、コイツの行動ルートって判明してるか?」
「生憎趣味の人助けとやらで決まったルートは存在していない。必要ならば託す資金で調べるのだな……」
そう言ってフィーネは【1枚のカード】を投げ渡した。
「度が過ぎる散財はするなよ? 使用履歴は此方に届くと思え」
まぁ……当然の措置だよなぁ。
「カードの対応外の店……は流石に無いよな?」
「その時は諦めろ。まぁ……そんな店に行く必要性も皆無だがな?」
あ〜不安だ。件の【ふらわ〜】はどうだったか作中の描写は無かったし……
「とりあえず活動するかぁ……」
あたしは翌日から行動を始める事にした。とりあえず響の観察日記を付けるとしよう!
○調査初日……早速日課の【人助け】現場を尾行中に目撃した。どうやら老人の荷物持ちをしてるらしい。
「ごめんねぇ……若いのに偉いねぇ……」
「いえいえ! この程度なんでもありませんから!」
そんなやり取りが遠目でもわかる雰囲気だ。どうやら本当にお人好しなんだな。
○2日目……校舎から出て来るのが昨日よりも遅い。未だに出て来ない辺りどうやら学業が疎かなようだ。
「これも原作通り……か。安心したような残念なような……」
そして夕暮れ時にようやく出てきた。そしてその肩は明らかに重い。
○7日目……幼馴染みの【小日向 未来】と下校する姿を見せるもすぐに校舎へと引き返して行った。どうやら本部から
「近い内に小日向未来にも接触するか……」
ちなみにその日は風鳴翼が全てノイズを掃討した。
○15日目……小日向未来を置いて本部へと向かう。まぁ……この日はフィーネが直接見てるだろうから少し行動を変えるか……
「とりあえず【ふらわ〜】って店に行くか。どうせお世話になるかもしれねぇし……」
ちなみにカードが使えたので美味しいお好み焼きを食べる事が出来て、フィーネにも持ち帰ってやった。
○20日目……公園のベンチで待機していたあたしは小日向未来を見つける。
「街で噂の【人助けする女子高生】とお前はどんな関係なんだ? 最近この時間帯に散歩するとお前はどんよりしてるが……。それもアイツと別れた後にな?」
あまりにもどんよりする【小日向 未来】にうっかりと声をかけてしまった。すると未来は泣き出してしまい……
「最近……私の前からふっ……といなくなるの。前まではいつも一緒にいる親友だったのに……」
「へぇ〜……ノイズ発生の警報で逸れたとかじゃあねぇのか? 最近頻繁に出てるんだろ?」
【ソロモンの杖】を使ってノイズの出現場所をあたし自身が操作してるだけに、今回は
「ううん……ノイズの出ない日でもこんな感じなの……」
「そっか……原因がわからねぇんだな……」
「響……どうして……」
あれぇ〜……おかしいなぁ〜……ハイライトが消えて見えるぞぉ? ねぇ……コレはダメな奴じゃねぇか?
「なんなら何処かで惚れられてハー「 ソレはどういう意味かな? 」ヒィィ!?」
怖え! めちゃくちゃ怖えよ393! 年下だよな!? 本当にコイツはあたしよりも年下なんだよな!?
「ほら……優しい奴はモテるって言うだろ……?」
恐る恐る393に尋ねたがその瞳が全く笑ってねぇ! 根幹世界から外れて尚恐ろしい世界かよ!
「ちなみにあたしもソイツの事を好ましく「 私のお日様は渡さないよ? 」言わせろよ! 最後まで言わせろよ!」
「でも……それが響らしい……」
…………決めた。あたしはなんとしても
「
そして公園のベンチで暫くお茶を飲みながら
「と言う訳だフィーネ。【立花響が杜撰な説明をしてる】か、【二課の隠蔽が下手なのか】……同室の親友とやらは奴の出動に疑いを始めてる。存外攫えば二課以外からも発覚するかもな……」
「チッ……確かに不意打ちで誘拐が発覚するのは面倒だな。二課側には私自ら対処する事も視野に入れよう……」
一応あたしは
「だから誘拐してからは時間との勝負だな。10日後に仕掛けるからな?」
「良いだろう。私も不本意な情報漏洩は避けるとするが……計画を前倒すとしよう」
そうしてあたしは初戦の夜を迎える為の準備を始めた。さぁて……勝負と行こうぜ特異災害対策機動部二課……負けるつもりはねぇけどな?
立花響の覚醒から凡そ40日後の夜……あたしは流れ星の夜に行動を開始した。
「さて……まずはノイズを出現させて装者をおびき寄せる」
最初の出現地点から更に1キロほど断続的にノイズをリディアンと反対方向に出現・移動を繰り返させる。
「なっ……待てぇ!」
ようやく歌声と怒鳴り声が聞こえて来た。ならそろそろか。
「駅構内のノイズは天井を壊して開けた場所へ誘導する。そうすると必ず……」
蒼ノ一閃!
上空から飛ばされた斬撃が葡萄ノイズを両断する。そして程なくして風鳴翼が現着し、立花響も遅れて合流を果たす。
「翼さん! 私にだって守りたいモノが……命があるんです! だから!」
風鳴翼はその言葉に答えない。時間を経る事に空気は重々しくなっていく。頃合いだな……そろそろ姿を現しておこう。
「つれねぇ先輩シンフォギア装者様だなぁ……後輩の言葉に耳を傾けねぇとは。まっ……それならやりやすいからそのまま大人しくしていてくれよ?」
「ッ! 何処だ!? お前は何者だ!?」
「何!? 誰なの!?」
謎の声に対して周囲を見渡す風鳴翼と、困惑している立花響。しかしその距離は縮まらない。故に
「隙だらけだ! 」
あたしは
「へ……うわあぁ!?」
恐らく奴等の本部ではこう聖遺物出現反応が表示されているのだろう。
ああ〜……防人の絶唱まで残り僅かだぁ……。憑依クリスちゃんは慢心してないけどジェノサイドな翼さんは厄介だからなぁ〜……
感想是非お待ちしています!
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戦闘開始です。内心めちゃくちゃ緊張してます……
突如として現れたあたしに立花響は拘束され、風鳴翼は刃を構える。
「何が……起こって……?」
【憧れの先輩】に未だ認められていない困惑状態から、追い打ちをかけるように現れたあたしへの情報処理が追いついていない立花響。しかし事態が待つことはあり得ない。
「来いよ……其処で色々教えてやるさ」
「あっ……」
腹部へと叩きつける拳に悶絶する響。あぁ……可愛いなぁ。
「良イな。立花響……
「へ……? ふえぇぇぇ!? そんなの私達にはまだ早いよ! 私達は初対面なんだよ!? 」
ッ! さっすが融合症例か……。呼吸が整うまでの回復力が想像以上だ。
「生憎お前は街で結構な有名人だぞ? 【お人好しの女子高生】ってな?」
「へ……? いや〜……それほどでもぉ〜」
戦場なのに表情がだらしないところもまた可愛い。あぁ……早く連れて行きてぇ。
「んじゃあ行こうぜ……ナニシテクレテルンダヨ先輩装者? 」
「そこの装者は
向けられた殺気はネフシュタンに対して……か。つくづく冷静では無いと見えるな。
「はぁ……
あぁ……ムカつくな。こんなにも愛おしい立花響の魅力がわからないなんて酷い先輩だな風鳴翼は。
「構えると良い。その鎧を力尽くで奪われたく無ければなあ!」
「悪ぃな響……
あたしは【かなりの粘液を操るノイズ】を召喚して響を拘束する。
「やめてよ! 私達がこんな理由で! 何よりも同じ人間同士で戦うなんて間違ってるよ!」
「戰場で何を馬鹿な事を! 」
「ソイツは聞けない言葉だな。あたしにも
「へ……?」
バイザー越しにウィンクをすると響は赤面していた。あぁ……今すぐにでもキスしてやりてぇなぁ。
「さて……それじゃあ勝負を受けてやるよ風鳴翼。あたしが勝てば
あたしは不意打ちのNIRVANA GEDONを叩きつけるが、まぁあっさりと回避される。しかし……
「
「なに!? チィイィ!」
召喚した葡萄ノイズの弾丸が下から風鳴翼を襲う。その回避の為に方向転換をする事となる。
「ノイズを……操っているのか?」
「御名答。まっ……そうじゃなくても負けねぇけどな?」
次にネフシュタンの鞭を操り剣を振らせないように弾き続ける。
「確か天羽々斬は機動性が売りだろ? 距離を詰めるのは定石だなぁ!」
「チッ……此方の情報は入手済と言う事か!」
舌打ち混じりにもじわりじわりと後退していく風鳴翼。あ〜
「戦意がねぇならズラかるぜ? 最初からテメェは眼中に無いんでね!」
展開した【NIRVANA GEDON】を
「逃がすつもりは無い!」
あたしの身体に一閃が刻まれるが、
「そらよぉ!」
ドガアァァン!!
叩きつけられたエネルギーによる砂埃が互いの視界を潰したが、あたしの目的と風鳴翼の目的は違う。だからきっと……
「隙だらけだな!」
「そう思うかい!」
連続で展開した2発の【NIRVANA GEDON】を風鳴翼へと直接叩きつけた。
「うぐ……ぅ……」
「翼さん! 」
「安心しろ響。この程度で天下の防人がくたばる訳ねぇだろ? まっ……くたばるならズラかるだけなんだがな?」
再びあたしは響の元へと移動を始めたが、やはり反撃の逆羅刹があたしを襲った。
「へぇ……直接叩きつける斬撃の効果が薄いと見た足技か……。意外と早くて見きれなかったぜ……」
「今のでも崩せないとなると厄介ね。流石はネフシュタンと言ったところかしら?」
「思い上がるなよ天下のアイドル? あたしの実力がいつ
とは言えやけっぱちでも絶唱を使われたら大ダメージは確実だ。ネフシュタンの侵食が始まれば此方側の体力が大きく削がれて任務遂行が困難になる。
「まっ……それなら本気で排除するだけなんだがな?」
あたしは大量のノイズを召喚した。一体一体のスペックでコイツの打倒は困難だ。だからこそこの召喚は……
「なるほど……確かに全てのノイズを私に向ければ迎撃の瞬間は訪れるだろうな。だが……その鞭の軌道は見きったぁ!」
「その程度お見通しだぜ!」
背後から鞭で切り裂こうとする動きに反応するのは明白だ。
「攻撃中は隙だらけだなぁ!」
「しまった! 召喚されたノイズが!」
葡萄ノイズの弾丸と人形ノイズの拳、そして球状ノイズの突撃に反応が遅れて連撃を浴びる。
「チッ……ノイズ如きにぃ!」
怒りが表情に現れる。どうやら相当頭に来ているようだ。
「そのままおネンネしてなぁ!」
あたしは奴の足を払い、腹部に拳を刳りこむ。ネフシュタンのプロテクターのおかげで全力で拳を振り抜ける。
「この戦い方……ネフシュタンのスペックだけでは無いだと!?」
「まぁな。確かにコイツの力は絶大だが……
「その……ようだな……。だが……
「何を言っ……まさかテメェ! 」
やられた……警戒していた【影縫い】をぶん殴った際にされたか……。不用意に距離を詰めたのが仇になったな……。
「月が覗いているうちに……決着をつけましょう?」
「させねぇ! 【ソレだけは】させねぇよ! あんなおぞましいモノは使わせねぇ!」
「翼さん! 何を!? 」
「防人の生き様……覚悟を見せてあげるわ……」
「間に合わないなら……せめてノイズを使ってえ!」
「Gatrandis babel ziggurat edenal〜」
風鳴翼が詠うは絶唱……
「Emustolronzen fine el baral zizzl〜」
強引に起動したシンフォギアの決戦機能であり……その威力は絶大。
「Gatrandis babel ziggurat edenal〜」
しかしその代償もまた大きく……
「Emustolronzen fine el zizzl〜」
ひとたび使えば使用者の身体には多大なダメージが残る諸刃の剣だ。
「クソっ! コイツはどこまで!」
あたしの焦りと共に蒼の光が戦場を包んだ。
「命じた事も出来なかったとは驚いたわよクリス……」
あの後想像以上に受けた絶唱のダメージが大きく、響を抱えたままアジトを抑えられるのは不味いと判断してあたしは撤退した。
「まさか二課の防人が絶唱を切るとは思わなかった。それに強行して攫えば組織のアタマが出てくるだろ?」
「風鳴弦十郎……確かに直接対決では面倒な相手だな。今アジトを抑えられるのは痛手な事を考えるとまだ英断か……」
流石のフィーネもあの
「
「あぁ……覚悟してるよ……」
拘束されているあたしは装置から電流が流れ始めた。
「が……は……うアァァァァァ!!!」
「あぁ……可愛そうなクリス……
「フ……ィーネも……う゛……少しな゛ん゛だよ……゛な……? 平和な゛゛世界を……゛本゛当゛に……゛作れ゛る……ん……゛だよ゛な……? ……」
必死に声を搾ってあたしは問いかける。するとフィーネは妖しく微笑んで……
「えぇ……
そう告げてフィーネは再び電流を流し始めた。
「が……は……うアァァァァァ!!!」
覚悟していても地獄のような痛みがあたしを襲う。やっぱりキツすぎる。
「覚えておきなさいクリス……
その後の記憶は……覚えていない。
ドロドロの依存ムーヴに墜とすまでシリアスが続きそう……
まぁ……ここから先は原作乖離を始めるのですが……
感想お待ちしています!作者は単純なので感想を貰えると凄く喜びます!
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デュランダルを狙います!
同性愛系の愛されガールとなったクリスちゃんはしれっとフィーネに仕返しを目論見ます……が、そもそも原作クリスちゃんは【櫻井 了子】という人物をどう認識していたのでしょう?
先日の鎧侵食に対する処置を終えてあたしに言い渡された次の命令は【デュランダルの強奪】だ。
「二課が護送するデュランダルを強奪しろ。護衛者は殺しても構わないぞ?」
「ヘェ~……調べたけどこの【櫻井了子】ってのを始末すれば二課に打撃も与えられねぇのか? フィーネの計画の邪魔になるかもしれねぇやつだろ?」
「……………………やめておけ。連中の掌で踊らされる可能性がある以上は……な?」
露骨に拒否されたってのを考えるとやっぱり、
【櫻井了子が表の顔】なんだなぁ……。
「わかったよ。だけどフィーネ……櫻井了子が計画の邪魔になりそうなのはあたしでもわかる事だからな?」
「……今は時期が悪い。頃合いで始末するから手は出すなよ?」
こうしてあたしはデュランダルを強奪するべく動き出した。
「そらそら護衛共はとっとと失せなぁ!」
下水道を使いマンホールから突撃させたノイズが護衛車両を破壊する。流石の黒服でもノイズとの戦闘は困難故に撤退を始めた。
「車も無しにノイズを含む戦闘をフォローする事はできねぇだろうからまぁ……妥当だな。そして本命の車は……」
視界に収めた
「オイオイ……ソイツは何の冗談だぁ?」
「フィーネ1人でノイズをやり過ごせるってのを装者に見せて良いモノなのか?」
とりあえず帰ったら詰め寄ろう。最低でも
【櫻井了子を提案した時に殺させなかった】事を、
そしてもしも可能ならば、
【何故装者の前で融合デュランダルを守ったのか】とな。
「まっ……原作通りデュランダルを起動させてやるけどな?」
「了子さん! 私……詠います! やろうと思える事を……やってみます! 」
そうして響は聖詠を告げてギアを纏う。だからあたしも眼の前に立った。
「貴女は……あの時の!」
「まぁな。主の命令でソレを貰いに来たが……まさかテメェがいるとは驚いた……」
真っ赤な嘘だがここは驚いた振りを続けて
「悪く思うなよ有名考古学者? テメェがあたしの主の障害になるのは目に見えてるからな。あたしの独断だがテメェには消えて貰うぜ?」
「あら……随分と買ってくれるのね。それにやっぱり貴女に命令する人物が存在するのね……」
余裕そうな表情をしているがその実冷や汗をかいているのがよくわかる。何せ……
「動くな! 櫻井さんから手を離せ!」
黒服の連中があたしへ銃を向けて来たんだ。
「まぁ待て。あたしの目的はデュランダルだ。別にコイツ自身の価値なんざどうでもいい……と言いてぇがそうもいかねぇ。だからあたしはコイツを殺す理由がある。いいな?」
「クソっ……櫻井さんを人質に!」
「テメェも下手に動くなよ融合症例?」
「ッ! なんで! この間は翼さんを! なんで今度は了子さんを!」
あぁ〜……やっぱり響は真っすぐだなぁ……。気を抜いたら頬がニヤけそうになるぜ……。
「悪いが主からの命令だし、そうで無くともコイツは脅威だ。シンフォギアを量産されたらあたしの主の目的も果たせねぇ。だからここで殺すんだよ。理由はわかるだろ?」
「それでも……私達が争うなんて間違ってるよ!」
「逃げなさい響ちゃん! デュランダルを渡す必要は無いわ!」
「うっせぇぞこのアマァ!」
「うあぁぁぁぁ!! 」
あたしはネフシュタンの鞭で
「了子さん!」
「ひび……き……ちゃん……逃げ……て……」
流石の
「とはいえ襲撃直後から応援が来るんだろ? ……それなら取り引きだ。融合症例……テメェがデュランダルをあたしに運べ。そうすれば今回は見逃してこのアマは返してやるぜ?」
「クソっ! ネフシュタンの防御力の前には我々の銃火器では焼け石に水か!」
「司令の到着はまだか!」
黒服の動揺と期待の声が高まっている。これはあまりにも悠長出来無いかもしれないな。
「さっさと運べ! それともこのアマを殺されてぇのか? アァ? それと制限時間は1分だ!」
「う……うぅぅぅ……!」
響が必死になって無力に対して抗っている事をあたしは識っている。だけど今回は予見出来る事故を利用するぜ?
「残り10秒……だが……結論は出たか?」
するとデュランダルが響の悲しみに共鳴を始めた。
「なんだ!? 何が起こって……まさか!? テメェの発するフォニックゲインによってデュランダルが起動したのか!?」
だとしても早すぎる。融合症例のフォニックゲインが高水準まぁ……想定していた事態の1つではあるけども。
「チィ……ここで起動するとは想定外だがまぁ良い。おいテメェ! デュランダルをさっさと寄越せ!」
「…………………………………………」
響はデュランダルを掴むと黙り……そして固まっていた。これは不味いかもしれねぇな。
「う……あぁ……うアァァァァァ!!」
「まさか……デュランダルの暴走か!? こんな場所で暴走はやべぇだろ!?」
あたしの動揺も虚しく響の暴走は激化する一方だ。ノイズに拘束させるべくいつぞやの粘液を放つもデュランダルのオーラに弾かれるし、質量による拘束も炭化して意味が無い。
「しかも……ソレをこんなところで振り抜けば!」
あたしに出来るのは響からデュランダルを取り上げる事。しかし……ノイズを介して行ったが失敗した。ならば残された手段は……
「ネフシュタンを用いた相打ち覚悟の……」
あたしは手元の
「とっとと……放り捨てろぉ!」
ネフシュタンの鞭をデュランダルへと飛ばそうとしたが……
「不味い! このままじゃあ!」
最悪のイメージが頭を過ぎったあたしは即座に撤退を開始した。あぁ……2回目の命令も失敗かぁ……
「何か言い訳はあるかしらクリス?」
「なんで始末をモタついたんだよフィーネ!」
部屋へ入った直後あたし達はすぐに言い合いが始まった。
「あたしは言ったよな? 櫻井了子は邪魔になるって!」
「そうね……今回の報告を聞く限り明らかに邪魔になっていたのは認めるわ。まさか
そりゃあそうだ。普通に考えれば異常な光景であり、
「だけどデュランダルの覚醒は完全にイレギュラーだ。流石のフィーネも想定外だろ? あたしが1人で起動するのに1年かかったのを識っているんだから!」
「えぇ……同じ時間で起動できたのは2年前の【あのライブ】だけね。確かに薬品工場で聖遺物の起動はどうあっても考えつかないわ……」
「それを進言したのが
「そうね……今回の撤退は明らかに私が
そう言ってフィーネは……櫻井了子の姿をした。
「あ〜……なるほどな。それなら始末が遅れたのも、融合症例を守ったのも納得だわ……」
「だが
「はっ! それならイチイバルも持ち出すぞ? あたしとしてはアレの方がやりやすいからな!」
ソロモンの杖をフィーネに返してイチイバルを受け取る。さぁて響……あたし達の本当の戦いを次はしようぜ?
「頃合い……ね。次は私自ら始末しなくては……」
フィーネの呟いた決定的な言葉を……
とりあえず強奪の為に主も平然と人質に取る暴走ガールのお通りだ!
そうは言っても切り捨てられるまで残り時間は少ないけど……
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3度目の正直
「さて……準備は終わった。待ってな響……必ず迎えに行くからさ!」
あたしにとって待ちに待った瞬間が訪れた。
「よぉ融合症例……遊ぼぅぜぇ?」
リディアンの側まで自力でやって来て正門で待ち構え、やって来た所にあたしは声を掛けた。
「っ! もしかして貴女が!」
「響……? それに貴女は!」
未来はあたしの姿を見て嘗てのやり取りを思い出したのだろう。まぁ……その為にこうして素顔を晒してる訳だが。
「小日向未来……いつかの疑問に答えてやるよ。コイツは……
「っ! どういう事!? ねぇ! 答えてよ「だが最後まで聞け!」へ……?」
動揺した未来が響に詰め寄ろうとしてあたしが静止した。そしてそのまま
「へ……? あ……キャアァァァ! 」
「え……? ……うわあぁぁ! 」
動揺して悲鳴をあげる2人。そこであたしはすかさず畳み掛ける。その為にまずは響の端末を奪った。
「この端末の接続先は【特異災害対策機動部二課】だな? あたしは先日のネフシュタンの使い手だ。今からテメェらの融合症例をいただく。民間人に避難勧告を出してやりな?」
『なんだと!? 君の目的はなんだ! 響君をどうするつもりだ!』
「必要な事はそれだけだ。人払いしねぇと死人が出るぞ?」
『ぐうぅ!』
二課が大慌てでリディアンとその付近一帯に避難指示を発令した。さぁて……大詰めと行こうぜ?
「小日向未来……テメェは
「ふぇ……え……ふぇええぇぇぇぇ!!!!? 」
素っ頓狂な悲鳴を上げる響をネフシュタンを纏まったあたしが近くの森まで引き摺った。そして残された小日向未来は……
「響が私に隠し事をしてて……リディアン一帯に避難指示が出てて……以前のあの娘が
原作と違いキスされた唇の温もりを感じながら……小日向未来は情報のオーバーヒートに耐えていた。
場所を変えたあたしは早速響へプロポーズをしてやった。
「さて……ムードもへったくれもねぇけど教えてやるぜ?
「ふぇ……え……ふぇ〜えぇぇ……」
赤面させた状態でオーバーヒートを続ける響にあたしはもう1度キスをするべく唇を近づける。すると先程の不意打ちを思い出したのか身体が強張っていた。
「可愛いなぁ……響。赤面するお前は本当に可愛いよ……」
今度はしっかりと舌まで入れたディープ・キスをしてやった。あぁ……移動に使ったとはいえネフシュタンの鎧が邪魔だなぁ……。
「なん……れぇ……こんにゃ……こひょほぉ……」
蕩けた表情の響が快楽に悶え苦しみながらあたしへと問いかける。だから教えてやった。
「あたしの名前は雪音クリスだ。出会い自体はこの前からだが……
今までと全く異なるアプローチに響は完全に主導権を失っていた。何とか蕩けた自分の身体に鞭を打とうとするが、
「人助けをする響は偉いなぁ……。街でも噂になってるぜ? それに……我が身を省みずにノイズと戦うなんて凄い事だよ……
「え……あ……うぁ……」
口をパクパクさせて必死に言葉にしようとしてるその仕草が愛おしい。だけど命令は命令だ。
「ギアを構えな。あたしは響が欲しい。だけど響は攫われる訳にはいかねぇ……。それは未来を守りたいからだろ?」
あたしはこれまでの甘い雰囲気から一転させて問いかけた。
「未来を……守らないと!」
響も蕩けた顔からようやく戦士の顔付きになった。まぁ……蕩けさせたあたしが言うのもアレだけど。
「ブッ飛ばすくらい全力で来い! 少なくともあたしは響を攫うつもりだからなぁ!」
「なんでこんな事をするのか……教えて貰うから!」
響はギアを纏うとあたしとの距離を直線上の最短距離で詰めて来た。
「イイぜぇ……かかってこいよ!」
繰り出される拳を何とかネフシュタンの力も込みで捌いていると響はあたしに問いかけた。
「ねぇ! なんで私達が戦うの!? 私達が戦う理由なんて! 」
「あぁ……
「ッ! どうしても……戦うの?」
「攫われるのが嫌なら……どうしても戦わないとな? もちろん大人しく来てくれたらあたしは嬉しいけど……」
名残惜しそう頬を赤らめてしまうのは最早仕方無いが、響は
「ついでだ。戦う前にあたしの事を教えてやるよ! あたしの名前は雪音クリスだ。誕生日は12月28日で血液型は A型。身長153cm で3サイズだが、バスト90・ウェスト57・ヒップ85……体重はそうだな……響が大人しく来てくれたら教えてやっても良いぜ?」
「ふぇ? ………………えぇぇぇ!? 」
「もちろん彼氏はいねぇが……響と未来をあたしの恋人にするつもりだぜ?」
さり気なくウィンクを混ぜると響は情報過多で頭がショートしてた。だからもう1度距離を詰め……響の柔らかい唇を奪う。
「あむ……んん……んぐ……」
でも……シンフォギアスーツで強調された身体を見て興奮が収まらねぇあたしはもう1度響の唇を堪能するが、
「嬉しいぜ響……絶対に酷い目に合わせないからな?」
うっすらとだが目の奥に♡が見えた気がした。フィーネ仕込みのテクやベェかも……なんて悠長な事を考えていたら
「壁か……いや、この輝きは!」
「あぁ……剣だ!」
「つばさ……しゃん……」
「よく耐えたわね立花……最も、
「ん〜可愛い響に傷を付けるのが嫌だったのが理由の1つだが……テメェはオネンネさせてやるよ! 」
ネフシュタンの鞭を構え、【NIRVANA GEDON】を発動させるもあっさりと避けられた。それどころか背後を簡単に取られてしまった。
「既にその手の内は見きったわ。ノイズの杖は使わないの?」
「生憎杖は要らねぇよ。何せコレを使うからな。吹っ飛べネフシュタン! アーマーパージだ! 」
ネフシュタンの鎧をパージしてあたしはイチイバルのペンダントを取り出した
「
「聖詠……イチイバルだと!?」
懐かしいなぁ……だけどこれで良い。
「あたしの覚悟を見せてやるよ。さぁて……本番を始めようぜぇ!」
ここからが大切な戦いだ!
覚醒したSAKIMORIは強かった……流石にネフシュタンを以てしても冷静なあの人には勝てねぇ……
それならイチイバルで吹き飛ばしてやる!
感想お待ちしています。
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表舞台に上がるフィーネ
さて……本編ではネフシュタンがさよならバイバイしてしまい……
イチイバルを抜いたあたしと天羽々斬を構える風鳴翼が相対する。響は……呆然と唇を触ってるな。
「あの娘を絆してどうするつもりかしら?」
「主の元へ連れて行くのがまず1つ。そして
「そうか……どちらの目的も私には理解が及ばない物だな。だが……その身柄は抑えさせて貰うわ! 」
飛んで来たのは蒼ノ一閃か……とはいえ精度がまるで違うな。
「速度で翻弄しないのかい? 高機動がソイツの売りだろ?」
「戦い方は1つでは無いわ。それは貴女も同じでしょう?」
「その通りだが……近寄るつもりはねぇぜ?」
BILLION MAIDENであたしも応戦を開始した。
「機関銃か! だがそれならば!」
木々を盾にして回避する冷静な風鳴翼は恐ろしい程の実力者だ。まずは1撃必殺の
【影縫い】に警戒しねぇと一気に終わるし、剣を巨大化してミサイルや銃弾を防ぐのは目に見えてる。
「ちょせえぞ人気者!」
だからあたしは
「コレは……私を包囲するつもりか!?」
「やっぱちょっせえな!」
「予想通り接近戦もお前の領分か!」
砲身をライフル状にして思いっきり殴打した事で体勢を崩した。はぁ……手間取らせやがって。
「あたしは響にプロポーズの答えを聞く理由がある。邪魔するなよ防人……」
睨みを利かせて風鳴翼を牽制するが、響の瞳はしっかりと見つめる。しかしその時
「ん?? 気恥ずかしくなったか? 安心しろよ……実はあたしもハジメテなんだ。だから経験は「逃げてクリスちゃん! 」なんだと!?」
響は咄嗟に
「何のつもりだよフィーネ……未だに失敗はしてない筈だが……? 」
「そうね……
「アァ? 」
あたしは咄嗟にフィーネへとマシンガンをぶっ放したが……まるで手応えを感じなかった。
「ついでだから教えてあげるわよクリス……貴女のやり方じゃあ争いが無くなる事は決して無いわ……」
「何が言いたい! 戦争の意思と力を潰せば効率的に戦火の拡大をさせる事無く!」
ここであたしの内面を見られるのは響の為にも良くは無い。だからこそ好きに言わせてやるよフィーネ!
「本当に愚かねクリス……そのやり方じゃあせいぜい争いを1つ消せても2つ……3つと増やすか
「貴様が黒幕か……話を聞かせて貰うわ!」
風鳴翼が斬りかかるも……フィーネの姿が霞のように消えてしまう。
「なっ……待てぇ!」
そして静止する声にフィーネが耳を傾ける必要は全く無かった。
「ふぃ……ー……ね……? 何処……へ……?」
本当は識っているけど知らないふりをしないと……。
「クリスちゃん……」
「貴女……」
あたしの背後から
「生憎だが……そりゃあ無しだ。それと響……
あたしはそれだけ告げてフィーネの消えた方角へと足を進める。
「小日向未来さんですね? すみませんがご同行を願えますか?」
同時刻……離れて放心していた未来もまた、二課との関わりが構築されてしまった。
フィーネに切り捨てられた当日の夜……繁華街をふらふらしていると子供の鳴き声が聞こえた。
「ふえぇぇ〜ん! もぅいやだよぉ〜!」
「泣くなよ! 泣いたってどうしようもないんだよ!」
およそ小学生……それも兄が低学年で妹はそれ以下の兄妹が彷徨っていた。
「お〜お〜どうしたこんな時間に……お前達家出か?」
「もぅいやだよぉ〜! 歩けないよぉ〜!」
「でもここにいたってぇ!」
聞いちゃいねぇ。どうやら相当興奮と悲しみに暮れているのだろう。だからあたしは……
「ちょっとごめんなぁ〜」
2人の兄妹を後ろのベンチに座らせる。
「キャア!」
「うわぁ!」
すると先程まで言い合いをしていた2人もベンチに尻もちをついたが、何とか此方の言葉が届くようになった。
「ここは公園だが今は夜だ。大声で泣いてたらそれこそ人の迷惑だ。ソレはわかるな?」
「何なんだよお前は! 俺達になんの用だよ!」
「こわいよぉ〜……」
まぁ……こうなるよな。あたしはやるべき事をやるだけだが。
「もう1度言うぞ……こんな時間に大声で喧嘩すれば周りに迷惑がかかる。話ぐらいは聞いてやるからまずは泣き止め。ジュースは奢ってやるからよ」
そう言ってあたしは事前にフィーネのカードからくすねた千円札を自販機へと突っ込みオレンジジュースを2本購入する。
「あ……ありがとう……」
「美味しい!」
「そりゃあ何よりだ」
しばらくはベンチで過ごすか? 所持金が心もとないから早めに次の行動に移らないとヤバいけど……
「で……もう1度聞くがお前達は家出か? こんな時間に……」
「違うよ! お父さんと逸れたんだ! でも……コイツがもう歩けないって!」
「足が痛いよぉ〜!」
よく見れば原作にいた兄妹か……となればこの先の展開は……
「じゃあ少し休んだら交番だな。あ〜……明日も学校なのに大変だぜ〜……」
真っ赤な嘘だが、男の子の方はやはり反応して来た。
「お姉ちゃんって【不良】って奴なの?」
「かもな。現に家出娘みたいなモンだが……まぁ気にするな!」
小生意気な小僧にはくすぐり攻撃を仕掛けてやった。
「う……アヒャヒャ! うひゃひゃヒィ〜!」
「あはは……お兄ちゃんくすぐられてる〜!」
「それならお前もくすぐってやる!」
2人がくすぐり合戦を始めようとしたが、ここで止めるか。
「元気が戻ったなら出発するぞ?」
「えぇ……何処に……?」
「お父さんを探さないと……」
「わかってるよ。その為の場所だからついて来い。歩けないならおぶってやるけど?」
「ひ……1人で歩けるから!」
「歩けるもん!」
少しからかうと兄妹はあたしの手を握って来た。さて……それじゃあ歌うか……
「〜♪ 〜♪ 〜♪」
「うわぁ〜! 綺麗な歌声!」
「すっげぇ! プリキュアみたい!」
「プリキュア……か。そう言えばそんなのもあったな……」
「もっと聞きたい!」
「すげぇ!」
こうしてあたしは兄妹を交番に連れて行ったが、これからどうするかなぁ〜………………いや、
「この気配……フィーネェ!」
本気……か。ソロモンの杖を起動させてあたしを炙り出そうとノイズを出現させやがって!
「しゃあねぇ! やってやらぁ!」
あたしはノイズとの戦闘を単身で行う破目になった。
空に光が溢れる。だけど連戦は……それも後ろ盾の無い戦いは辛い。あたしは……
単独で終わりないノイズとの戦闘が待ち構えており、覚悟して臨んでも限界は必ず訪れる。その時に差し伸べてくれる手は……
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DEAD OR LOVE ?
未来を【識っていても】避けられない事は存在する。別れた道もいつかは交わりて……
フィーネからパクった紙幣も底が見えて来た。まぁ……最初から大分限られていたけども。
「今夜の宿は個室付の漫喫……やめとくか……」
残り少ない所持金を宿代に使うのも厳しくなってきたあたしは活動を再開した。あぁ……【正義の味方】はこんなにもギリギリの戦いをしながらも報われないんだからなぁ……。
「負けねぇ……あたしは負けねぇ! もうフィーネに縛られる理由はねぇんだ!」
【ネフシュタンの鎧】・【ソロモンの杖】はもう回収されてイチイバルはあたしの手元へ来た。【カ・ディンギル計画】の全容は把握してあるし、あたしのやる事は変わらない。
「今度のノイズは彼処か! させねぇ! 無関係な人間は巻き込ませねぇぞフィーネェ!」
あたしの孤独な戦いを
「だから今は……ぜってぇにノイズを殲滅してやる!」
孤独の戦いに耐えられる時間はあと僅かだと……あたしは識っている。だから響……
響と喧嘩した……響は私に【隠し事】をしてた。そして黒服の人達が私を謎の場所に連れて行って……響が戦う理由を聞かされた。
「本当に……あの娘の言う通りになったなぁ……」
響と森の方へ消えたあの娘の言葉通り私や家族を守る為に響は抱え込んでいたらしい。その予兆はあったけど……こんなにも大きな事だとは思わなかった。
「それでも嘘をついた事は許さない。どうしても話せなかったのはわかるけど……この怒りは理屈じゃあ止められない!」
だけど同時にあの娘の言葉が頭をよぎる。
「【ソレはお前を守る為の嘘】……か。響が……嘘をつけない響があんなにも必死に……律儀にその言葉を守ってた。その理由が……私達の為だから……」
私の頭はもうぐるぐるになってしまう。そして響は昨日……
「もぅ……私達は親友じゃあいられなぃよぉ……」
涙が溢れて止まらない。裏切られてはいない……だけど
「でも……それならあの娘はなんで教えてくれたの?」
私達の仲を引き裂く為なら教えてくれない方が良かった。そうすれば私は
「でも……その真意を知ったとしても私は響を許せない。響の口からその言葉の続きを聞けないと……」
だけど今はその時じゃない……そんな気がする。だけど響の顔も見たく無くなる事があるなんて……自分でも思わなかったなぁ……
「朝も早くからいないのはこの為だったんだね……」
私はそんな響と少しでも距離を取るべく学校へと向かった。響の遅刻以外で私との登校が無いのは随分久しぶりな気もするけど……
「今は……これしか出来無いよぉ……」
私は涙を止められないまま登校した。だけど今日は真っ直ぐ学校に行く気になれないから周り道をしよう。
「少しでも身体を動かせば気は紛れるよね?」
そんな時に私はあの娘を見つけた
「なんであの娘が……路地裏に?」
響を攫おうとしたあの娘がなんでここにいるかはわからない。でも……識っている事は教えて貰いたいから……この近くなら……確か【ふらわー】があったよね?
服はドロドロだから着替えが必要だけど……私の体操着でとりあえずは大丈夫だよね?
「目が覚めたら……色々教えて貰うから……」
私は打算的な目的も含めてその娘を助ける事にした。
夢を……見てるのかな……?
『よぉあたし……随分好き勝手してるみてぇだなぁ?』
「なるほど……納得したよ……」
あたし……いや、【私】を招いたんだね……雪音クリスさん?
『テメェの行動は……見させて貰った。イチイバルの使い方もぎこちねぇ……装者に遅れを取りやがる体たらくだなぁ?』
「否定しないよ。間違い無く私は紛い物だしね。だけど……それでも私は雪音クリスだからね。その夢を忘れた事は1度も無いよ? もちろん……その夢を叶える為に必要な事もね?」
『だな……あたしがフィーネに利用されてたらしい記憶を見たが……確かにテメェの夢はあたしの先を見据えているのかもな。だが……それだけだろ?』
「否定しないよ? それでも私自身で求めた夢だけどね? だって響ちゃんも未来ちゃんも可愛いから……」
『ハッ! 同性婚でも願うつもりか? 変な奴だ!』
「もちろんクリスちゃんもプロポーズしたいくらい可愛いよ? なんなら今だけでも恋人になってくれない?」
『断るぜ? あたしはそういう趣味は持ち合わせてないからな?』
「残念だよ……」
冗談も本気もそれぞれ半々のやり取りだけど……言いたい事はお互い嘘じゃない。そしてクリスちゃんが現れた理由はきっと……
『テメェは……これから苦難が待ち受けるんだぞ? それでも良いのか?』
「もちろん。それを覚悟したよ……君の未来を奪った瞬間からね?」
『それは別に構わねぇよ。この世界はテメェの見た【パラレルワールドの1つ】みてぇなモンだろ?』
「かもしれないね。だけど……ここは私にとっても現実だよ?」
『そっか……ならもう1つ聞いてやるよ。テメェの恋……
「報われる事がわかる恋なんてつまらないよ? それに……ね?」
私はクリスちゃんをジッと見つめた。するとクリスちゃんは悟ってくれた。
『はぁ……わかったよ。なら……やり切れ! 中途半端にして投げ出したら……テメェの事を悪霊として呪ってやるからな?』
「幽霊みたいな状況でそんな事を言われたら恐ろしく思うよ……」
『でも……あたしも見てみたいのかもな……情熱的な恋って奴を……』
「特等席で見せてあげるからね!」
『約束……守れよ?』
あたし……いや、雪音クリスからの言葉は【私】の覚悟を一層強める事になった。なら……クリスちゃんに恥じない生き方を……【私は】必ず果たしてみせるからね!
クリスちゃんに檄を飛ばされました。こうなれば【私】は一層強い覚悟を求められるでしょう。
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告白
クリスちゃんとの話が終わった【私】の意識は現実へと引き戻された。そしてその場所には……
「お前は……確か……」
「うん。貴女が引き裂いた親友の片割れだよ?」
罪悪感の強い言葉を選んでぶつけてくる所を見るに小日向 未来の怒りは相当に複雑なモノと化していた。
「そっか……だがあたしに言えた事はアレだけだ。少なくとも……
ング〜〜〜
「…………済まねぇ。空腹には勝てねぇみてぇだ……」
「なら……おばちゃんがお粥を作ってくれてるからそれを食べながら教えてくれるよね?」
「あぁ……もう隠す事はねぇから存分に話してやれそうだ」
「そう。それならお粥が来るまで身体を拭いてあげる。アレだけドロドロになるほどの事があったんでしょ?」
「わりぃな。頼んでも良いか?」
そう言って未来はあたしの身体を拭いてくれた。あぁ……久しぶりにスッキリする。
「あら未来ちゃん……お友達は目を覚ましたのね。ここにお粥は置いて行くわ……」
「ごめんなさいおばちゃん……」
「ありがとうございます……」
あたし達は御礼を告げると、おばちゃんは続けてこう教えてくれた。
「あんた……後2時間弱で乾燥が終わるからそれまではゆっくりしなさいね?」
「重ね重ねすみません……。今度御礼に来ますから……」
「それじゃあ……今度は
おばちゃんはそれだけ言い残して部屋を後にした。
「まずはお粥を食べて良いか? せっかく作ってくれたみたいだし……」
「良いよ。その代わり食べ終わるまでに言葉は纏めてよね?」
「ソレは大丈夫だ。なら……あたしが食べてる間に未来がどこまで識っているか教えてくれよ。そしたら説明の手間が省けるから……」
「それなら……貴女とあった後には……」
そうして未来はあの戦いの直後に二課に保護された事、響がノイズと戦っていた事、響が未来に隠れて戦っていた事を聞かされた。
「なるほどな……。ならまずはあたしの名前だが雪音クリスだ。響を狙った理由は主の命令であり、最初に響と接触したのは凡そ10日前だ」
「それじゃあ……私と出会った時にはまだ……」
「そうなるな。まっ……あの時点で調査してたから識っているんだけどな?」
「なら……なんで私に優しくしたの? あんな事が無かったら……あの時の言葉に……」
「それでも思う所あって響とは致命的な亀裂は入って無いんだろ? 自分を守ってた事を識ったから……」
「ッ! なんでソレを!?」
未来の動揺から見て……どうやら
「なら当ててやるよ。未来が響と距離を取る理由……それは響の負担を減らしたいからだろ? 具体的には
「なんで……そこまで……?」
「答え無かったか? 調べたって。響の調査に1月も使えば未来の事なんて簡単にわかる程度には2人共大親友の間柄だよ。尾行も続けたあたしが言うから間違い無いぜ?」
「尾行!? 私達尾行されてたの!?」
「してたよ。最初は校舎から出てきた所。街に出たら建物の上階から見てた。もちろんあたしの兵器を用いてな?」
「ストーカー……」
「耳が痛い。だけどあたしは響と未来を好きだから連れて行きたかった。少なくともあたしの主には頼み込むぐらいのつもりでな?」
「だけど私に接触したのは2回だけ。その話通りなら機会は……それこそ響のいない時に……」
「あたしな……響に正面から挑んで勝てたならその時に告白したかった。でもな……
精神も肉体も本当に強い。気を抜けば絆され……気を抜かなくても側に居たい存在が響だ。
「あたしな……
「響が私の為に戦って……私が響の強さの秘密? 訳が……わからない……」
「今はわからなくて良いんだ。ただ……響にとって守りたいモノは何処までいっても未来なんだろうな。あたしじゃないのは解ってるし、嫉妬したいくらいに真っ直ぐだよ……」
響の1番になれたなら……きっと胸の中からポカポカするのだろう。あたしの最終目標は響の照らす陽だまりで未来と共に響の帰る場所になる事。もちろんあたしは前線で
「ま……長々と話したけど用はアレだよ。どんな事があっても響は響のままだからな?」
あたしは未来の手を握る。すると未来の瞳から涙が溢れ出して……
「うん……あの響がナニカにひたむきな姿を見て少しだけ寂しかった。でも……クリスの言葉で少しだけ元気が出たよ?」
「そりゃあよか……【〜♪ 〜♪ 〜♪ 】ノイズかよ!」
あたしは急いで元の服装に着替えて外に出た。
「どうしたの!? そっちはノイズの!」
「あぁ……あたしの倒れてた理由は簡単だよ。フィーネが……
「それじゃあ! クリスが!」
「死なねぇよ……一宿一飯の恩は必ず返す。だから二課の人間にあったらこう伝えてくれ……
【カ・ディンギルは既に完成してよく知る所に隠されてる】
ってな! そうすれば響の助けになるから!」
あたしはそれだけ告げて未来の元を離れた。さて……
「落とし前をつけるぞノイズ共ぉ!」
あたしはここで終われねぇ! 負けられねぇ!
フィーネさんへの反逆が本格的になりました。いやぁ……手切れにした憑依クリスちゃんの反逆は洒落になりませんなぁ……(白目)
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呼び止められるけど……
「このノイズはあたしを狙って出されたノイズだ。元主があたしを始末する為にな。だから……あたしがケリをつけなきゃならねぇ!」
あたしは速攻でイチイバルを纏いノイズを殲滅しようと試みた……が、
「貴女にはまだ聞きたい事が!」
「わかってる。だけどコレはあたしを始末する為のノイズだから……
「ッ! …………約束だよ!」
未来にそれだけ告げるとあたしはノイズとの戦闘の為に被害の激しい地点へと急行した。
「こんなにもあったけぇ街を戦火には包ませねえ! だってこの街は! 」
そこから先の言葉を口にする必要は無いだろう。だってあたしは……
未来に助けられた翌日……あたしは廃ビルに忍び込み拠点としていたが、ママ譲りの綺麗な銀髪はどうやら相当目立つらしい。何せ簡単に……
「オイオイ……二課のアタマがなんでわざわざここに出向く? あたしがイチイバルで吹き飛ばすかもしれねぇんだぞ?」
「ハッハッハッ! 見事な威嚇だな。それはアレか? 自分といたら黒幕が俺達や周囲を狙う事を識っているからか? だが安心しろ。俺以外誰もいない。何せ俺は
コンビニのレジ袋を携えてやって来た二課の司令【風鳴 弦十郎】は人類最強との呼び声も高い男だ。まぁ……その背後の爺の方が実際には強いのだろうけど。
「未来から聞いてないのか? カ・ディンギルの捜索を進めないとやベェんじゃねぇのか?」
「うむ……未来君からの言葉には俺達も驚いた。何せクリス君が未来君に伝言を頼むとは……」
「正確には未来を通じて響に、そしてアンタに伝える予定だったがな。予想外に話が早いんで驚いたよ……」
差し出された牛乳とアンパンをかじりつつも自ら横流しした情報の意図を語ってみた。するとオッサンはあたしの素性を語り出した。
「天才ヴァイオリニストの【雪音 雅律】……そして声楽家【ソネット・M・ユキネ】の1人娘クリス君……過去に俺達は君のことを……」
「あぁ。空港まで護衛されてたけどフィーネに拉致された。だけどその事は識っている話だよ。だけど用済みとばかりに切り捨てられた。だからこのザマさ……」
「
「そうか……。やはりクリス君はそれを知ってて敢えて1人で……」
「そういう事だ。わりぃけど二課に所属はできねぇ。でも……
それが今言える精一杯だ。本当にオッサンの提案は嬉しいけど、櫻井了子のいる二課は危険だ。だから
「そうか……そういう理由ならば強制は出来無いし、何よりも俺達自身の対処が迫られるな……。ならコレを持って行け!」
「おわっとぉ!? オッサン! なんだよコレは! 」
「クリス君が以前響君から一時強奪した端末の同型機だが?」
「そうじゃねぇよ! 未だにあたしはフィーネのスパイかもしれねぇんだぞ!? 流石に甘過ぎじゃねぇのか!? 」
はぁ……有り難いけどお人好しが過ぎるよオッサン……
「性分だ! だが……そうで無くとも俺はクリス君を救いたいのさ!」
「なら……
そう言い残してあたしはオッサンの元から離れる為に、廃ビル街を後にした。
「
……か。クリス君は黒幕のフィーネの正体を知っているからこそ俺達の所には来ないと言っていたな。
「やはり了子君が黒幕だと……クリス君は識っているのだろう。ならば俺達の成すべき事は……」
『司令……とある山奥にある洋館に聖遺物が運び込まれているという情報を調査部より……』
「そうか……此方側は振られたよ。ただ……完全に脈無しでは無い事がわかってはいるがな?」
『雪音クリスさんですね? 現在は彼女もフィーネと対立していると確認していますが……』
「了子君が……とは行き着いていないかもしれないが、それでも二課にフィーネがいると彼女は識っていて、それでな。逆にフィーネが倒れたなら……とも言い残した。つまり俺達のするべき事は……」
『了子さんの計画を止める事……ですね。調査部でもある程度の情報は獲得していましたが、クリスさんの情報で確信を得ました。やはり二課の……』
「エレベーターシャフトがカ・ディンギル……か。やれやれ……次のターゲットは覚醒したデュランダルだろうな」
『ひとまず仮宿は発見したので抑えに行きましょう。もしもそのフィーネとしての情報が残されているのならば……』
「あぁ……俺も向かうとする。捜索は明朝の……」
クリス君……今は俺達の元に来れないと言っていたが、俺達の事を
オッサンの言葉は正直胸に刺さるし、今すぐにでも二課に行きてぇ。だって彼処のメンバーは心底お人好しなのがわかってるから……。だけど……
「フィーネが……櫻井了子がいる内はダメだ。そしてその計画が大詰めになるまでは……」
次にあたしがやる事は響との共闘だ。まぁ……命をすり減らす戦場なんだけど……
「まだしばらくは水面下に潜まないとな……」
だけどこの時のあたしは……【ルナ・アタック】終了後にあんな事が起こるなんて想像もしていなかった
さて……司令に情報を垂れ込んだので次の山場はスカイタワー……ですがそれでも古巣が気になるクリスちゃんは……
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古巣での想い出も……
本来の時系列では翼さんの復帰ライブの方が先ですが、原作時系列通りでは無い事を先に謝罪します。
二課の司令である風鳴弦十郎と直接の話し合いの翌日……あたしは
「彼処に目ぼしい情報は残されて無い。せいぜいあたしが生活していた程度の情報しか……」
とはいえ実家のような想い出も少なからず存在している。何せあの館は……
「曲がりなりにもフィーネがあたしを引き取ってくれた場所だからな……」
それが打算的であれ、一時の気の迷いであれ……恩を受けたのは事実だ。だからこそ融合症例となった響の連行は真摯に取り組んだし、フィーネ自身の妨害や風鳴翼の意地に押し退けられてしまった。
「まっ……自爆覚悟のあの行動が二課にとって致命的なのにして来た事が今でも軽いトラウマだけどな?」
装者の少ない二課で躊躇い無く絶唱を放つとかあり得ねぇ。しかもそれが筆頭戦力なのに……。
「この戦いのケリをつけたらちゃんと風鳴翼先輩に謝ろう。まっ……私生活ポンコツ防人としてからかってみるのも面白いかもな♪」
新しい楽しみに思いをはぜつつもあたしは着実に屋敷へと近づいて行く。さて……例のトラップを考えるとギアを纏う方が得策か?
「フィーネに後悔させてやるよ。
「なっ……! お前は雪音クリスか!? 何故ここへ!?」
全ての準備を整えてあたしは屋敷の裏口へと回り込んだが……少々運が悪かった。
「二課の捜査員か……ここにカ・ディンギルの情報は残されていないぞ? ある意味では無駄足だが……」
「確かにそれは我々が目下最速で対応しなければならない事案だが……それでも君の事を野放しには出来無い!」
ピッ……ピピイイィ!
銃を構える黒服達にあたしは屋敷のセキュリティを一部解除した。
「屋敷のセキュリティを一部とはいえ解除した。どうせ捜索するなら現場の保存状況は綺麗な方が良いだろ?」
「…………何のつもりだ? それをして君は何のメリットが……」
「そうだなぁ……強いて言うなら想い出の場所だから……か?」
「想い出……だと?」
黒服達も困惑してる。だけどあたしのやる事は何一つ変わらない。
「アンタ達の眼の前から拉致された後はしばらくこの場所で過ごしてた。テロリストに囚われてた時期はただ怯えるだけの日々だったからな……」
「………………その件は我々も聞いている。我々があの時にむざむざ君の事を奪われていなければ……」
「構わねぇよ。おかげでイチイバルを手に入れる事になったし、何よりもあたしは恋を識った。奇しくもこれはフィーネの命令によって出きた縁だけどな?」
「………………同性愛なのに? 」
「ッ! 聞こえてるぞぉ! そうだよ! あたしは響に惚れたのさ! 片想いだよ! なんならその陽だまりの小日向未来にも好意を……LOVEを抱いている! それをあたしは後ろめたいとは思わねぇ! 」
この世界で自分の心に蓋をするのは簡単だ。だけど……それだけで解決出来る問題は数少ないし、寧ろ拗れた事さえ珍しくも無い。だからあたしは堂々と胸を張る。
「チッ……ギアの展開が出来ている内に捜索を終えてくれ。フィーネが一網打尽にするべくノイズをブッパしたら全滅だからな……」
「…………済まない。司令にも報告を……」
「構わねぇよ。寧ろオッサンがこっちに来たらあたしは捕まるレベルだけどな?」
いやいやいやいや無理ゲーです。司令に単独勝負で勝てるのは人間を辞めた人達だけです。この時点の
「司令がすぐに此方と合流する。しかし……明らかに我々に有利過ぎる取り引きじゃないか? もう少し要求してくるのが交渉のセオリーだと思うが……」
「そうだな。だけどあたしの家で残っている場所はここだけだからさ。せめてノイズに壊される事無く残せるなら……ってな。それに取り引きは相手側が少し得をするぐらいが丁度いいって言うだろ?」
「いや……クリス君のメリットよりも俺達のメリットの方が遥かに大きいぞ? 彼らが疑うレベルの……な?」
「遅ぇぞオッサン。あたしのギアが保つ内に片付けてくれよ?」
「やれやれ……手厳しいなぁクリス君は。ならば俺達もやってみせんとな……」
そう言って司令は手際よく調査を開始した。そして件の部屋へと入り……
「司令……この痕跡は!」
「うげ……」
アメリカ兵の死体が無造作に放置されており、その腐臭に吐き気を催してしまった。
「……無理をするな。クリス君はあくまでも
「なんだよオッサン……人の事をわかったように言いやがって……」
とはいえあたしを支えるその腕に安心感を覚えるのもまた事実。だけど
「ッ! 何をする!」
慌てた黒服があたしに銃を向けるが……あたしを支えるオッサンはしばらく死体を凝視した。そして黒服にハンドサインを出した。
「やめろお前達! 今クリス君が止めなければこの建物は!」
オッサンの叫びで黒服達は銃を下ろした。そしてその真意を語り始めた。
「どういう事ですか司令!」
「まさかオッサン……何が起こるかわかったのか?」
「あぁ……。ソレを説明するからまずは銃をおろせ。最初にその死体だが……
「っ……確かに司令のおっしゃる通り……」
「続けてよく目を凝らせばわかるがあのワイヤー線……恐らく爆薬が仕掛けられている。恐らくは俺達を生き埋めに出来る程度にはな?」
「スゲェな……ここで暮らしてたあたしにもそこまではわからなかった。あたしはせいぜい
実際ワイヤーの位置は把握できなかった。だからこそオッサンの把握能力の高さと対応力がスゲェ訳だが……。
「ともあれクリス君の静止がなければこの建物の崩落は不可避だった。俺達を生き埋めにするならばわざわざ自分が巻き込まれる理由にはならんからな……」
「イチイバルの身体強化を盾にやり過ごすかもしれねぇぞ?」
「それも無いさ。何せクリス君は俺に身体を預けていただろ?」
チッ……本当にお節介な程の善人だよ全く。
「ありがとうな……あたしの想い出を守ってくれて……」
あの後オッサン達は館の捜索を徹底的に行いネフシュタンの使用痕跡を発見した。
「ふむ……カ・ディンギル計画の資料は無し……か。しかし……」
「ありがとうなオッサン……あたしの想い出を守ってくれて……」
「気にするな……とは言わないが、クリス君が今俺達の仲間になってくれればどれほど心強いか……」
「ソレは無理だが……
「あぁ! 約束だぞ! 」
こうしてあたしとオッサンの約束が結ばれた。
次回に復帰ライブを行い、同時刻にビッキーとの共闘を行います。
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歌姫の復帰ライブ
さて……オッサンとのやり取りを経てフィーネの館の捜索も終えたあたしが次にやる事は明白だ。
「風鳴翼の復帰ライブ……その時間帯に現れるフィーネの放ったノイズを掃討する……か。はぁ〜……これじゃあアイツとの関係は険悪なまま……か」
それだけは避けたいけど、現状風鳴翼との再会が出来るのはスカイタワーの攻防戦だからな。ボヤいてもしゃあないか……。
「でも良いか……今度は響を独り占めにしてしまえば……」
ウブなあの時のキスに対する反応や蕩けた表情が可愛かった。もう少し時間があればなぁ……
「はは……気づいたらあたしも相当なまでに名残り惜しかったのか……」
まっ……良いか。ひとまずは端末にチャージされてるお金で食料や宿を確保して身体を休めよう。にしても……コレのおかげで随分助かるなぁ……。資金が確保される安心感がやベェ。
「その代わりフィーネとの縁を精算したらしっかりと恩返ししないとな……」
現状が本当に二課の世話になってるしな。カ・ディンギルの情報の対価だとしてもありがたすぎるし。
ネカフェで調べた結果風鳴翼の復帰ライブは2日後だと判明した。少し雲隠れの期間が長かったあたしだが……どうやら間に合ったみたいだ。
「はぁ〜……本当は雲隠れを続けるつもりだったけど、オッサンには結構な恩があるしな……」
見方によってはあたしとオッサンのやり取りは十分な恩返しをしてると思うんだが、これからを考えるとこの時点での恩返しにはまだ遠く及ばはい。
「まっ……今の響の様子も見たいからこのイベントはしっかりと利用させて貰うぜ?」
果たして響はあたしの事を意識してくれてるのか……ってな?
「チッ! 今日のノイズの数は今までの比じゃねぇ! フィーネの野郎……何処までも本気じゃねぇか!」
襲撃されたのが湾岸地帯の火薬保管庫なのも地味に最悪だ。デュランダル輸送時の薬品工場のトラウマをしっかりと刺激してるのも相まってるなんてな!
「ミサイルを封じたからって調子に乗ってんじゃねぇぞおぉぉ!! 」
あたしはマシンガン形態を使う事すら躊躇われる地の不利に苦しみながら戦闘を余儀なくされるが、
「ッ! やベェ!?」
ズドン!
小型ノイズの体当たりがあたしの腹部を直撃して集団の中心へと吹き飛ばされた。こうなったらイチかバチかミサイルで……
「させない! 絶対に
「へ?」
素っ頓狂に情けない声をあたしが出したその直後……
「ひび……き……?」
やベェ……スゲェ泣きそうだ。涙が溢れて止まらねぇ……。
「助けに来たよクリスちゃん! 大丈夫! もう私が来たから一緒に戦おう! 」
涙が溢れて立てなかったあたしを響は優しく起こしてくれた。なんだよ……イケメンな行動しやがって……
『よく聞け響君! そこには薬品が保管されている! 下手をすればデュランダル護送の際に起きた爆発の再来ともなりかねんぞ! 』
通信機からオッサンの声が聞こえた。どうやらよっぽど早くあたしを助ける為に行動したらしい。あぁ……嬉しいなぁ……。
「助かったよ響……だけどオッサンの言う通りここに薬品が保管されてる。下手に高威力な攻撃は出来無いんだ……」
「うん! 師匠からちゃんと聞いたよ! だけどクリスちゃんが1人で戦ってると思ったら居ても立っても居られなかったの!」
そう言ってあたしを励まそうとするが……その背後には!
「せっかく響がかっこいい事言ってるのに水を差すんじゃねぇ! 」
あたしはアームドギアを弓状にして背後のノイズを撃ち抜いた。
「ありがとうクリスちゃん! 助かったよ!」
「油断するなよ! 嬉しいのはあたしも同じだがここは戦場だ!」
本当ならお礼になる事はなんでもしたいし、聞きたい事も山程ある。だけども今はノイズを片付けないとそれどころじゃねぇ!
「耐久性の高いデカブツを頼めるか? その代わりチョロチョロする小型は絶対に撃ち抜くからよ!」
「それなら背中合わせで行こうよ! そうすれば死角は無いよ!」
「ッ! 最高のアイディアじゃねぇか! 嬉しいぞ響!」
響の提案を聞いてすぐにあたし達は背中合わせでノイズと対峙する。死角を埋めてくれるなら……
「本格的にマシンガンをぶっ放す! なぁに……爆発なんてヘマをして響を危険に晒すなんて有り得ねぇよ!」
「わかった! その代わり絶対に大型をクリスちゃんに近づけさせないから!」
言うが早いか響はデカブツへ強力な一撃……我流・撃槍衝打を叩き込んでいた。
「スゲェな……あの技をもう自然体で放てる程コントロールができてるなんて……」
流石は主人公と言うべきかその動きは惚れ惚れする程鮮やかだった。
「まっ……あたしも負けてられないな!」
誘爆を恐れて使わなかったミサイルだが……背中をこうも守ってくれる存在がいるなら話は変わる。
「へっ……空に散開して一気に潰そうってか! 舐めるなよノイズ共ぉ!」
MEGA DETH PARTY!
「へ……良い花火だ!」
あまりにも気分爽快になりあたしは少し気を抜いてしまった。その為に背後の置き土産に気づかなかったが……
「クリスちゃんに……触るなあぁぁ!! 」
あたしの背を横切るように突撃するノイズを炭へと変えた響かそこにいた。
「ありがとうな響……今のは完全に助けられたよ……」
頬を掻きながら赤面した顔を必死に隠そうとしたが……あたしのニヤケが止まらない。すると響は抱きついて来た。
「良かった! クリスちゃんが無事で本当に良かった! うわあぁぁん! 」
あたしの赤面がどうでもいい程に無事で終わったら事を泣いてくれた。本当に……申し訳無い。
「響……話したい事がたくさんある。だから通信機を起動させてくれ……」
さぁ……あたしの最後の仕込みを始めようぜぇ! フィーネ……ふんぞり返ってられるのも今の内だぞ!!
【転生者のアドバンテージ】を最大限に活用する為の仕込みがどう転ぶか……それはクリスちゃん自身もわかってはいない。
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激闘の後に……
さて……本編では憑依クリスちゃんが何かを企んでいるようで……?
フィーネの仕向けたノイズを何とか撃退したあたし達だが、バッチリと響に出会ってしまった。まぁ……原作と違ってあたしは響に会いたかった訳だが……
「それじゃあ教えてやるよ響……」
「うん……二課への通信機を起動させたら良いんだよね……?」
「あぁ。正確に言えば風鳴翼と話がしたい。繋げられるか?」
「ごめんクリスちゃん……翼さんは今ライブ中で……」
「ん……別に構わねぇよ。天下のアイドル様だからな。それなら話の通せる奴……マネージャーとかいないのか?」
「えぇ〜っとぉ〜……緒川さん……で良いのかな?」
「話が早けりゃ誰でも良い。さっさと繋いでくれ!」
「ご……ごめん!」
響は急いで二課との通信機を起動させ、作中でも大活躍を見せるNINJAへと通信がつながる。
『響さんですか? どうしました?』
「緒川さんごめんなさい! クリスちゃんが緒川さんと話したいって!」
『…………? 構いませんが、このまま繋げて貰えますか?』
「はい! あぁ〜スピーカーでも良いですか?」
『構いませんよ?』
そうして響はあたしに促して来た。おっちょこちょいめ……最初からスピーカーボタンに手が当たってたから聞こえてんだけども。まぁ話が早いのは良い事だ。
「あんたがマネージャーで良いんだよな? あたしが雪音クリスだ。本人に話が繋がらないなら代わりに確認するぜ?」
『司令から貴女の話は聞いています。ですが翼さんに何の用がありますか?』
警戒心が高いな。当然と言えば当然だが……
「なぁに……そろそろ話し合う必要があるだろ? まっ……ソロモンの杖の無いあたしは詰め寄られたら負けちまうけどな?」
『確かに前回の戦闘記録からそう読み解くのは可能です。しかし……
やっぱめちゃくちゃ警戒されてるし、ここで退く訳にもいかないんだけどな?
「だったらそっちから場所の指定をしても構わねぇよ。なんなら黒服連中を同行させてもな。別に聞かれて困る話をしたい訳じゃねぇし」
『…………そうですか。それならば此方側も相応の対応をします。クリスさんの端末番号は把握しているので日時・場所の指定は此方側でしますがよろしいですね?』
「もちろんさ。聡明な判断に感謝するぜ?」
あたしは通話を終了させて響に端末を返す。
「クリスちゃん……本当に良かったの?」
「あぁ。
響の不安そうな視線を感じながらもあたしは態度を変えない。
「もちろん響に聞かれても構わねぇ話だ。だから同行して来ても構わねぇぜ?」
「う〜ん……私にはちんぷんかんぷんだよぉ……」
「その時になればきっとわかるさ。だからまぁ……待ってろよ?」
あたしはそれだけ言い残すと夜の街に姿を消した。
そしてその3日後に端末が鳴り響く。
『明日の正午にスカイタワーでお待ちしています。構いませんね?』
「意外とスケジュール調整が早かったな。もっと難航すると思ったが……」
『えぇ。急ピッチで予定をねじ込みましたから』
「助かるよ。あたしも退屈な時間は短い方が好ましいからな……」
さて……そうなれば残す要素は……
「忌々しいなクリスめ……」
私が手を切る事を想定していたかの如き立ち回りだ。二課がカ・ディンギルの情報を入手するのが早すぎる。
「確かにクリスにカ・ディンギルの完成の瞬間を
二課が既にエレベーターシャフトへの偽装に疑惑を抱き始めている。本格的に捜索される前にケリをつけなくてはな。
「しかし……
拭えない違和感に目障りな装者。ここで掃討しなければ意味は無いな。しかし……好都合な事も舞い降りた物だ。
「装者の対談……か。クリスが
ならば共倒れ可能なように少し工夫を凝らすとしよう。
「召喚するノイズに
クリス……お前が何を考えてるかは些末な事だ。私の計画に支障をきたしたお前は信じようとした相手に殺される事がお似合いだな。
「私の逆さ鱗に触れた事を後悔するべきだ」
そして残る装者はスカイタワーで足止めをしておこう。そうすれば後はソロモンの杖で事足りるだろうな。
「強いて挙げれば鼠だが……カ・ディンギルの起動を止める事は不可能だな」
まぁ……それは時間次第と言える事だ。
「それと
私の計画は止められない。小娘の泡沫な恋心如き踏みにじってくれる。何せ……
そうして対談の日程が調整された。そして全ての思惑が重なり合う日が訪れる。
翼さんからの好感度最悪は現在最悪そのものですが、原作スカイタワーイベントを作り出す口実として動くクリスちゃん。そしてその思惑を知ってか知らずか利用するOTONA……そして全員を纏め始末したいフィーネ……3組の思惑が重なります。
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スカイタワーでの対談
「さて……それじゃあとっとと行くか! どうせフィーネに襲撃されるけど……」
なんなら今回の襲撃で
「心中を察せるのはテメェだけじゃねぇんだよフィーネ。あたしの逆襲は結構効くぜ?」
まぁ……そうなれば再会後にブチギレるだろうな。カ・ディンギルの狙撃とかしてみるか?
午前9時……スカイタワーレストルームの仕切られた部分に二課のメンバーがいた。
「早かったのね。てっきり時間ギリギリまで来ないと思ったわ……」
「クリスちゃん……」
不安そうにあたしを見つめる響と敵意剥き出しの風鳴翼。まぁ……想像通りで安心したよ。
「そりゃあ対談を持ちかけたのはあたしだ。とはいえそちらも随分早い到着だな?」
「貴女が罠を仕掛けない理由が無いもの。だって貴女は私達の敵でしょう?」
「ッ! 翼さん! あんまりです! 今のクリスちゃんがそんな事を!」
「良いよ響。それがわかってあたしはここにいる。その防人の言う通りさ……」
銃を構える黒服達も同様の心情なのだろう。だから今のあたしがやるべき事は……
「そこの黒服に尋ねるが……この防人のバイクは何処にある? 別に言えなきゃそれでも構わねぇしキーも要らねぇけど」
「…………意図を汲み取りかねるがこの建物にあるいずれかの駐車場にあるが……」
「充分だよ。それなら
「理由を聞いても良いのかしら?」
「あぁ……結論から言えばフィーネの正体は二課の人間だからだな。装者が3人揃った今の状況なら纏めて始末するのに適している。高機動が売りのアンタならバイクの回収が出来れば戦場からの移動は可能だろ?」
「ッ! あの人物は二課の人間なの!?」
「ちなみにその事をあのオッサン達は
「ッ! 至急緒川さんに確認急げ! 翼さんのバイクの手配もだ! 」
黒服の数人が確認と手配に入り出した。とりあえずは間に合ったな。
「ソレをさせる意図が本当にわからないわ。何故そこまでして私達に肩入れをするのかしら?」
「1言……単純な利害による共闘だよ。フィーネに始末されたくねぇあたしは、同じくフィーネと対立するアンタ達に狙われたくもねぇ。そのぐらい単純な動機じゃあだめか?」
「………………なる程。わかりました。翼さんに急ぎ伝えます……」
黒服の1人が翼さんに耳打ちをしていた。恐らくは司令からのメッセージなのだろう。
「…………不承不承ながら了承しました。それが叔父様の指示ならば……」
そして黒服連中と翼が小声で打ち合わせる中……あたしは響へと語りかける。
「もしもフィーネとの決着がつけられたらさ……
「えぇ!? 確かに私
「冗談だよ。流石に宿は自力で探すさ。それに「その必要は無いわ。貴女の部屋は此方側で手配させて貰うもの……」へぇ〜……随分話が早くて有り難いが……アンタにしては意外だな。てっきりそういう類の決定に異議を唱える人間だと思っていたが……」
「そうね……
「別に御大層な対価は求めねぇよ。ただ……
「ッ〜〜! あぅ……」
赤面した響が倒れて黒服に抱えられた。
「…………そうね。貴女の立花への行動は一貫しているわ。初戦の時は明確に誘拐の意思を示すも私に阻まれた。続くデュランダル戦は暴走により撤退。立花の言う
通常ならばスルーしてしまう展開だが、曲がりなりにも
「しれっと流してる櫻井了子の不思議な力にアンタ達は疑問を抱かねぇのか? あたしなら抱くぜ? 何せ眼の前でノイズを防ぐ障壁の展開をしたんだからな。確かにあの研究者は稀代の天才だがよ?」
「…………何が言いたいのかしら? 非戦闘員の櫻井女史にそのような芸当が「出来る理由があれば納得するのか?」なんだと?」
「クリスちゃん……私も二課で確認したんだけどやっぱり……」
響の視線からはフィーネの情報は伝えられて無いと判断出来る。だけど……
「まぁ……さっきも挙げたフィーネの正体……それが櫻井了子なんだよ。まぁ……それを知ってて司令のオッサンが情報を止めてた。それなら
「それじゃあ緒川さんも!」
「無関係じゃねぇ……としか言えねぇよ。何処までの指示かはわからねぇけど。ただ……それでも
「ッ! 叔父様は! それ程までに私達の事を!」
翼さんの怒りの矛先が司令達やフィーネへと向き始めた。しかし……
ドガアァン!
このスカイタワーをノイズが襲撃して来た。その数何と6体
「なっ……! 襲撃だと!?」
「本部より入電! このスカイタワーを包囲するかの如く6体のノイズが出現!」
「避難誘導の開始だ!」
黒服連中が誘導を開始したその時……翼さんは本部へと向かおうとした。
「止めとけ……確かにフィーネの本命はデュランダルだよ。だけど……
「でも! どうやって!」
「幸いここはタワーだ。高層階に程近いこの場所からなら2体は響とテメェでも落とせるだろ? そしたら残りは4体だ。それはあたしが仕留めるよ。監視に黒服を残しても構わねぇよ。まぁ……その方法は頭数を減らしたら教えるけどな?」
「ッ! 皆さんは避難誘導を! 立花は私と共に!」
「ッ……! はい! 翼さん!」
響と翼さんはノイズを叩き落とすべく上へと上がる。さて……それならあたしの役割は……
次回は超大型ノイズとの戦いが行なわます!
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スカイタワーでの攻防戦
あの後飛び降りるようにあたしは地上へと飛んだ。しかし……
「…………納得だよ。どうせこの襲撃であたしだけ露骨に狙われない状況を見せるつもりなんだろうフィーネ。でも残念だが……そりゃあ悪手じゃねぇか?」
そうと決まればフルチャージで大型ノイズをぶっ飛ばす事は容易だ。そしてそうなれば……
「ここを抑えて本部にも行けるな。良し……やるかぁ!」
MEGA DETH PARTY!
「よぉし! 避けねぇってか! それなら狙い放題だなぁ!」
派手にブチかますミサイルが空のノイズを撃破する。しかし……
「フィーネのノイズ展開には意図がある筈だ。あたしを貶めるのはあくまでも次善の策な筈だし……」
そんなあたしの背後から気配を察知した。
「ッ! そこかぁ!」
BILLION MAIDEN!
何とか察知して撃破するも、空中のノイズ掃討中にこうやって不意打ちを受けるのは結構キツイ。今のはあくまでも
「チッ! やりにくい事この上ねぇぜ! 明らかにフィーネの悪意を感じやがる!」
さて……どうするべきか……
「次のノイズを……っあぁ!? なんでテメェがここにいるんだよ風鳴翼ァ! 」
「最初の展開から大きくそれ始めているの。貴女こそ未だに大型を始末出来ていないけど算段はあるのかしら?」
険悪な雰囲気だ。明らかにあたしを疑ってる。まぁ……そういう間柄だったから過剰に傷つく事は無いが……
「あるぜ? 敵の数が4体なら始末するのに充分な火力は保証するよ。ただ……
「クリスちゃん! 助けに……あれ? 翼さんまで!?」
「なら教えて貰えるかしら? 実用性の無い案は信じる価値すら無いもの……」
疑いを強める翼さんにどれほど理解して貰えるかは……正直賭けだな。
「風鳴翼……アンタは
「…………中・長距離射程を軸とした聖遺物である事のみ。貴女が銃火器の展開を望んだ事くらいね……」
「充分だ。より正確な補足をするならエネルギーの扱いに長けた聖遺物だよ。あたしはわかりやすくミサイル・マシンガンみたいに貯めの少ない装備を好むけどな?」
「逆に言えばチャージ出来れば相応の威力は保証する……と?」
「そういう事だ」
すると響があたしの手を掴んで来て……
「お願いクリスちゃん! あの大型ノイズを倒す為に私達に力を貸して! 」
「わかってるよ……ただアレだけの数と耐久力をブチ抜くには相応のチャージを要するんだ。あの大きさで4体なら5分貰えれば恐らくは……」
すると翼さんは疑いの眼を向けて……
「この戦況で5分……ね。随分贅沢な相談じゃないかしら? しかも……それで撃破出来る保証はあるのかしら?」
「翼さん! 何もそこま「良いんだよ響! 」……でも!」
相当疑われてるのは覚悟の上だ。だけど……何とかして撃破するにはやっぱり……絶唱しか……
「なら……やっぱり
プラン変更は確定するなぁ……。でも仕方が無い。
「Gatrand「駄目! クリスちゃん! 」っ……ガハッ!」
絶唱の1フレーズも唄えてないから反動こそほぼ無いが……響は
「クリスちゃんが命を捨てるなんておかしいよ! 絶唱は……あの歌を私はもう聞きたくないの! だって奏さんが死んでしまって! この間は翼さんまで! 」
「…………立花……貴女そこまで……」
翼さんも響の叫びに動揺していた。正直……絶唱で大型を撃ち抜いてからは確かにノープランだった。だけど……
「翼さん! 翼さんがクリスちゃんを信用していないのはわかりました。でも……
「立花なら……? どういう意味かしら?」
響が翼さんの手を取っている。どうやら……説得してくれてるみたいだ。
「私……
「ッ〜〜!」
最後の言葉にあたしは思わず赤面してしまった。どうやら響は相当あたしを想ってくれている。嬉しい! 響にここまで言われて嬉しく無い訳が無い!
「だから翼さん!
「ッ! 立花……!」
響の圧力に……そして信じる気持ちに翼さんは動揺していた。そして響はその隙に
「大丈夫だよクリスちゃん! 私がクリスちゃんを信じてるから! だからお願い!
「ッ…………! どうやら今の立花の覚悟は余程のモノね。それに……叔父様の行動に意味があるのならば私も変わらなければならないわね……」
そう告げると翼さんは空いている手をあたしへと向けて来た。そしてそのまま問いかけて来た。
「貴女が先程要求した5分……私達で稼いで見せるわ。少なくとも……絶唱を使おうとした時点で貴女の覚悟は軽く無いもの……。だから約束しなさい……必ずあのノイズ達を撃破すると!」
「もちろんだ。そこまで言わせたからにはしくじれねぇよ。
そしてあたしは力強く返し向けられた手を握りしめる。
「貰う5分でイチイバルのエネルギーを限界までチャージする。それを暴発させずに集約して放てば確実に倒せるさ! 仮に倒し損ねたらそのまま止めまで責任を持って請け負うぜ!」
「任せたよクリスちゃん!」
「約束……果たしなさいね?」
「おぅよ! 」
そして響と翼さんは言われた通り5分稼いでくれた。それならあたしだって……
「吹き飛ばしてやるよノイズ共ぉ! 」
MEGA DETH QUARTET!
そして展開されたミサイル6機が4体のノイズを撃ち抜いた。1撃の純度が高いミサイルはそのまま1体を撃破し、1撃で仕留め切れなかった奴には2発目がそのまま追い打ちをかけた。その結果あたし達はこの局面に勝利した。
「勝った……勝ったよクリスちゃん! 私達勝ったんだよぉ! 」
ビー! ビー! ビー!
響があたしに抱きついて来た。あぁ……響が愛おしくてそのまま唇を奪いたい……だけどそんなタイミングで響の端末が鳴り響く。
「響! 学校に……リディアンにノイズが! 」
未来の通信はそう言い残して消えて通話を終了させた……
残るは本丸のリディアンにそびえ立つカ・ディンギルのみ。憑依クリスちゃん最大の反逆が始まります!
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通信機からのSOSに……
勝利の余韻に浸ろうとしたあたし達を襲ったのは未来からのSOS信号だった。
「そんな……リディアンが……」
激しく動揺する響だが……ここで避難誘導に当たっていた黒服の1人が此方側に駆けて来た。
「超大型ノイズ撃破を確認しました! そして翼さんのバイク……いつでも動かせます!」
この手回し……恐らく緒川さんの指示だな。司令の策に乗るに当たり翼さんのバイクはあたしの提案の有無に関わらず保管していたのだろう。しかし…………
「悪いがリディアンへの突撃はオススメしないぜ? 限界までエネルギーをチャージしたあたしは言わずもがな響も……そしてアンタ自身も限界が近い筈だ。違うか?」
「うん……流石の私もヘロヘロだよぉ……でも……未来が……」
「立花や貴女の言う通り疲労の自覚はあるわ。だけど防人としての信念は常在戦場……連戦でも退く訳にはいかないのよ?」
1人バイクを用いてそのままリディアンに突撃をかまそうとした翼さんだけど、
「黒服さん……アンタ達の車は全滅か? 」
「いや……幸運にも1台だけ被害を免れた車が存在する。しかし……それがどうした?」
「いやな? このまま疲労抜かずの移動をして連戦にすれば勝率は下がる一方だ。だけど
「確かにね……バイク無しでこのまま移動すればギア展開で時間短縮を図っても早くて日暮れね。でもバイクがあれば確実に日没前には辿り着けるでしょうけど……」
「もしもだがフィーネがリディアンで待ち構えていたら詰みだ。それもわかってるだろ?」
「なら……私達はどうすれば……?」
響は混乱していた。やっぱり考える事も多いからな……。
「黒服さん……悪いが食料の調達を頼めるか? この際ツケでも何でも良いから頼む。それと…………を教えて欲しい。1時間でお願いできるか?」
「ッ! 任せてくれ。幸いにも比較的被害の少ないコンビニが存在しているので我々の指示の元物資を調達しよう!」
「ありがとうよ。それとあと何人動かせるかわかるか?」
「この状況であれば3人程しか持ち場を離れるのは困難だろうが……」
「充分だ。それならあたしはその1時間で休ませて貰う。響と……テメェはどうする?」
「私……これからどうすれば……」
「今私達が急がなければいけないのがわからないの!?」
翼さんはともかく響も休憩に対して消極的な状態だった。しかし……あたしの策は尽きてない。
「同じような時間で最高のコンディションを整えるのも戦士の義務だとあたしは思うがな? 少なくともあたしは寝る。突撃するなら別行動でも構わねぇよ……」
あたしはそのまま1時間の仮眠を開始した。
「時間だ……起きて欲しい……」
身体を揺らされた事であたしは眼を覚ました。
「あぁ……時間か。助かったよ。どうやら熟睡していたらしい。それと頼んだ事はどうなってる?」
「的確なポイントは存在し無かった。しかし……恐らく人払いは済んでいると思われる」
「そりゃあ何よりだ。この短時間で無理を言って悪いな……」
「それが我々の職務だ。それに……これが我々のケジメなのさ……」
「どういう意味だ?」
「全てが終わったら語ってやる。それまでは私の口からは語れないな……」
そう告げてあたしを起こした黒服は持ち場へと戻って行った。そして響と翼さんは……
「申し訳ありません……私達の分まで……」
「ありがとうございます! おかげで助かりました!」
調達してもらった食料を受け取っていた。
「突撃……しなかったんだな……」
「勝算の問題よ。あのまま疲労抜かずでネフシュタンを取り戻す事は出来無いと判断したまでの事だから……」
「未来……」
しかし次第に冷静さを取り戻した翼さんとは対照的に今度は響が不安を募らせていた。だからあたしはその手を握って……
「ありがとうな響……あたしの言葉を信じてくれて……」
「うん……クリスちゃんが私達を信じてるって知ってるから……」
不安で下を向く響を……あたしは抱きしめた。
「わわわ……! クリスちゃん! 溺れる! 息が! 息がぁ〜!」
「落ち着けよ響。今ここに響がいるなら出来る事はいくらでもある。それに……もちろん未来を助ける事だってな?」
「っ……! うん!」
そしてあたしも黒服から食料を受け取る。
「食べながらいくつか確認したい。風鳴翼……テメェはカ・ディンギルの事をどれほど聞かされた?」
「天を貫く程の巨大な塔と櫻井女史が語っていた程度よ? それに……立花もこの話は聞いている筈だけど……」
「響のおバカは愛おしいけど今はタイミングが悪い。とりあえずは食べながら聞いて欲しい……」
正直食べながら話すのはクリスちゃんだと最悪なんだよなぁ〜……そもそも食べ方汚いし……。
「それじゃあ本題の作戦だが……その前に確認したい。テメェのバイクに二人乗りは可能か? 法規制とかそんな事は放って答えてくれるか?」
「乗せるだけなら……可能ね。安全面もギアを展開すれば最悪は無いと思うけど……」
「えぇ!? 良いんですか翼さん! 私が翼さんと二人乗りをしても!」
「今回だけよ。普通なら絶対にあり得ないわ……」
「充分だ。それなら響と2人でリディアンに向かってくれ。恐らくその頃には……」
「立花は……大丈夫かしら?」
「っ……! はい! お願いします翼さん!」
響は翼さんと合流してリディアンへ行く事を了承してくれた。残るあたしは……
「それで……貴女はどうするつもりなのかしら?」
「黒服の手配した車で移動するよ。リディアンの場所は解ってるから安心しろ……」
「そうね……貴女の事は未だ信用出来無いけど冷静に判断出来る事はわかってるわ。だから
「お〜お〜怖ぇ怖ぇ……」
どうやらあたしの企みは翼さんにバレてると見ても良いのかもな。まっ……それでも困らねぇけどよ?
「それじゃあ……
「クリスちゃん……」
不安そうに見つめる響に対してあたしは……響の身体を抱きしめて
「はにゃ……へにゃあ〜……」
だけどこれでは終わらせない。今度は響の手を握り、今度は舌を絡めたディープキスを行った。
「あ……は……へにゃあ〜……」
完全に蕩けた響だが……もう1度頭を撫でながらあたしは耳元で囁いた。
「大丈夫……あたしは響を愛してる。絶対に駆けつけるから……待っていてくれ……」
「ッ〜〜〜〜!」
顔を赤面させた響はショート寸前だった。そしてあたしは
「…………行くのね?」
「まぁな。生きてこの戦いを終えられたら……改めてテメェの名前を呼んでやるよ……」
「そう……期待せずに待ってるわ……」
あたしはそのまま翼さんに背を向けて黒服の手配した車でカ・ディンギルを狙撃できるポイントへと移動を開始した。
「絶対にカ・ディンギルは壊す。それだけは……翼さんにも譲れないからな……」
最後の戦いが……もうすぐ始まろうとしていた。
クリスちゃんの作戦が通じるのかは……天のみぞ識る世界。ギリギリまで隠した作戦が実を結ぶかは……次回のお楽しみにお願いします。
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カ・ディンギル?もちろんぶっ壊すそ?
ある程度の休憩をしてその間に下準備も整えて貰った。
「響と翼さんは突撃を始めてくれたから……」
あたしも黒服の手配した車でリディアンより
「翼さん! 響ちゃん交戦開始しました! 」
「司令達の様子は!」
残った黒服さん達は構えていたとはいえこの状況の対応に追われていた。その中であたしがやるべき事は1つだ。
「カ・ディンギルをぶっ壊す……その為に絶唱を使わないといけない……。だけど下手に破壊すればリディアンは……」
その為の確認はして来た。幸いまだ長話は始まっていないから……今なら吹き飛ばせば……
「だけどもしもチャージを始めていたなら……」
ふと考える最悪の場合と言うイメージ……だけどあたしに課せられた役割も……
「カ・ディンギルから月を守らないとそれこそ人類は終わるしな。だからあたしは揺れる訳にはいかねぇのさ……」
原作のように砲撃を押し留めるだけなら宇宙で構えれば良かったが、それでは意味が無い。だから……
「被害の無い内にケリをつけてやるよ……」
あたしはギアを纏うとすぐさま絶唱を口ずさむ
「Gatrandis babel ziggurat edenal〜」
でもコレは1つの賭けだ。
「Emustolronzen fine el baral zizzl〜」
無事で終わる可能性は最初から考えていない。
「Gatrandis babel ziggurat edenal〜」
カ・ディンギルを粉々にするだけの火力を今このタイミングで揃えるにはリスクは付き物だ。
「Emustolronzen fine el zizzl〜」
だからあたしは迷わずに絶唱を詠えるのさ……
「やってやるさ! あたしの夢の……響達との幸せな生活を手に入れる為にもここで終わる訳には行かねぇんだよぉ! 」
ギアの負担を度外視した運用により発生したエネルギーがカ・ディンギルへと放たれた。まずは土台を吹き飛ばし……そのまま砲撃の角度を上へと上げる。これにより砲塔を瓦礫に変えて破壊してやった。最後に限界以上に展開されたミサイルが瓦礫を撃ち抜いてカ・ディンギルは破壊された。
「ガハッ…………。やベェ……血が……止まらねぇ……」
その代償に押し寄せるギアのバッグファイアにより……あたしのダメージは限界を超えた。
「ご……め……ん……な……ひび……き……。……た……す……け……に……い……く……のは……む……り……そ……うだ……」
あたしは自身の視界が暗転するのを自覚しながらも止める事が出来なかった。
クリスちゃんと別れた私と翼さんはリディアンへと向かい……そして私達の眼の前には了子さんがいた。
「存外早かったな……クリスとお前達は潰し合うと思っていたが……?」
「確かにそうね……立花がいなければ確実にあの娘を殺しにかかっていたわ……。何せ疑い始めたらキリがないもの……」
「翼さんはやっぱりクリスちゃんの「最後まで聞きなさい立花」え……?」
「ほぅ? その言い回しでは別の意図があるのだな?」
翼さんの言葉の意図がわからない。クリスちゃんも一緒にいてくれたら心強いのに……
「冷静に考えただけの事よ。彼女は怪しいわ。それもかなりね? でも……全てその塔を止める為ならば結論が繋がるわ……。
翼さんが悲痛な表情を見せ……そして私に耳打ちをした。
「理由は後で語るから、今は私に話を合わせなさい。それがあの娘の目的達成に繋がるわ……」
「翼さん……?」
私にはさっぱりとわからない。翼さんが
「貴様の放ったノイズを撃破した彼女は私達に休憩を持ち掛けたわ。でも……リディアンを襲われた私達にとってその提案は度し難い判断だった。でも……その理由がコレの出現なら合点が行くわ……」
カ・ディンギル……そう呼ばれたナニカを見上げる翼さん。そして私は堪らず了子さんに問いかけていた。
「了子さん! これは一体何なんですか! こんなにも高い塔を作って貴女は何を! 」
「バラルの呪詛を破壊するのさ。古代だが人は
「どういう事ですか! ノイズが争いの為に生み出されたなんて! そして了子さんは何故その事実を! 」
私の疑問は止まらない。しかし了子さんは私達の意図も介さずに語り続ける。
「そもそもノイズとは……
「どういう……意味ですか……?」
「何……簡単な事さ。
私は……了子さんのその表情に
「その表情……お前の根底にある感情は……言うまでも無いのね……」
ドガアァン! ……ビシピシ……ズガガガガガガ……ドドドドド
翼さんがその確信を得ようと踏み込もうとしたその時……
「何が……起きている……?」
了子さんの動揺と同時に……私は妙な胸騒ぎに包まれた。だけど……
「ッ……! まさかこの火力! クリスが放ったと言うのか! 何処だ! 何処にいるクリス! よくもカ・ディンギルを! よくも私の悲願をおぉぉぉ! 」
了子さんの叫びがこの一帯を包む。だけど翼さんは
「もしかして彼女は……その為に……私は……なんの為に……」
「翼さん! どういう意味なんですか!? クリスちゃんに一体何が!?」
私には翼さんが泣いている理由がわからない。そして了子さんが放ったエネルギー弾が……
「はぁ……はぁ……クリスめ……余計な事を! よくも! だが……カ・ディンギルの破壊にお前が絶唱を使ったのは明白だ。今放った攻撃もどうせ避けられまい……」
そうして遠くの山中にエネルギー弾が辿り着き……
「クリス……ちゃん……? クリスちゃあぁぁぁん! 」
だけど私の叫びもまた……虚しく木霊するだけだった。
【カ・ディンギルを破壊した】
…………翼さん救済フラグなのかどうかは次回の更新にて……
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失意の果てに見据えた光景
カ・ディンギルを絶唱で吹き飛ばしたあたし様だが……反動は想像を超えていた。いや……
「や……べぇ……な……アレ……避けられねぇ……わ……」
そしてフィーネから放たれたエネルギーを回避できずにその身に浴びて意識を手放した。
クリスちゃんが……了子さんの放った光に呑まれた。その意味がわからない今の私じゃあ無いけど……
「あ……あぁ……クリスちゃん……なんで……? もっとお話したかった。私に……未来にしてくれたプロポーズの返事もしてないのに……どうして……」
「愚かだなクリス。カ・ディンギルに手を出さねば死なずに済んだ命だと言うのにな。そして反逆の結果が相手を救うために身を張っても、時間の問題だと言うのにな」
了子さんは嗤ってる。クリスちゃんのあんなにも眩しい想いを嗤って吐き捨てる。なんでですか了子さん……どうしてそんなにも嗤っていられるのですか?
「会いたいよぉクリスちゃん……私……もうむねがぐるじいよおぉ」
誰か……助けて……
涙の落ちる音が聞こえる。
「ひびきの……なみだじゃねぇか」
許せねぇ。響を泣かせたのは誰だ?
「悪意と憎悪を向けた風鳴翼か? 蔓延って平和な世界を乱すノイズか? シンフォギアと言う自作自演な兵器をチラつかせるフィーネか?」
いや違う。
「他の誰でもねぇよ。響に死に様を見せまいと勝手に2人の元を離れて不安にさせ……
なら言うべき事も簡単さ。
「立ち上がらねぇとな。響が……泣いてるんだから。風鳴翼が響の暴走を止めてから……その次の悲しみが襲う前に……」
身体の苦痛が何だ! フィーネの強さが何だ! その程度で諦めるあたし様ならとっくの昔に心折れてるだろ! 思い出せよあたしの目的を!
「原作クリスちゃんみたいに皆に愛される存在になりたい! だけど……後輩共に舐められる訳にはいかない! そして響を恋に堕とす! 」
なんだよ……やるべき事は簡単じゃねぇか。それならすぐにでも動かねぇとな……。
「休憩時間は終わりだよ。さぁて……派手に吹き飛ばしてやるぜぇ! 」
真の反逆開始の時間だ!
カ・ディンギルと言われた塔が崩壊し……あの娘がいたと思われる場所へ制裁のエネルギー弾が飛んで行った。速度と反応の問題で私にはその行動を止める事も知らせる事も出来なかった。ならば私が成すべき事は1つだ。
「あの娘の為にもお前を止めよう。立花の分までな!」
天羽々斬を構えて私はフィーネに斬りかかるも……奴は避ける素振りを一切見せなかった。
「フ……やはりこの程度だなシンフォギア! 」
首筋を裂いた筈なのにこうも平然としているのはやはりネフシュタンの再生力による恩恵だな。
「やはりお前は人ならざるモノと言う事か。これ以上立花を泣かせない為にも……私がお前を斬る! 」
逆羅刹で一息に距離を詰めて至近距離で蒼ノ一閃を叩き込み……距離を取られたら炎鳥極翔斬で確実に仕留めなくては!
「フフ……私ばかりにかまけていても平気なのか?」
「愚問だな! あの娘は世界を救った! ならばお前と対峙している私がこの局面を切り抜けなくて何が防人だ! あの娘の想いを引き継ぐ為にも……私がお前を倒す! 」
しかし私とフィーネの間を……
「っ! 何が起こっている!? 立花は!? 立花ば無事なのか!?」
私は後方にいる筈の立花の姿を探す。しかし……
「立花! よせ! あの娘は復讐など望んでいないぞ! 」
「オマエガクリスチャンヲ……! マチヲ! カナデサンヲ! ミンナヲ! 」
フィーネに向かう様はまさしく
「ウオオアァァァァ!!!」
咆哮と呼べるソレがこの空間に木霊する。そしてフィーネへと距離を詰めては
「オマエサエ! オマエサエイナケレバミンナハアァァ!」
「フフ……」
再生力故の余裕かフィーネは一切の反撃をしない。そして私は立花を止める決心をした。
影縫い
「ア……ァァ!」
「もう止めなさい立花。復讐なんてあの娘が本当に望む事なの? 私達には私達のやるべきことが確かに存在するし、フィーネを討つという事も
私は拘束した後方から立花を抱きしめる。いつかの奏が私にしてくれたように。奏……私にもあの時の言葉の意味が少し解った気がするよ?
「だから私が引き継ぐわ。いえ、
私が立花に最後の言葉を告げた直後……
「ガハッ!」
出血が止まらない。この形状は識っている……何故ならばコレはネフシュタンの鞭だから。
「戦場で呆けてどうする防人……戦いはまだ始まってもいなかっただろう?」
「そう……だった……な。だが……コレを聞いて行け……私の唄だ……」
Gatrandis babel ziggurat edenal
Emustolronzen fine el baral zizzl
Gatrandis babel ziggurat edenal
Emustolronzen fine el zizzl
私の覚悟は……この程度では折れないさ……
「翼さ〜ん!」
済まないな立花……私自身もお前のトラウマにしてしまうかもしれないなんて……
絶唱を以て相打ちを狙った翼さんですが、この後ネフシュタンと完全融合を果たしたフィーネさんを超える事はできずに倒れました。
……………ビッキーのトラウマ指数が原作超えな件
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光と闇と……
響が……泣いている。
『おいおいどうしたよあたし……まさかこの程度でくたばったのか?』
あはは……手厳しいねクリスちゃん……ここで終わる私じゃないよ?
「冗談……と言いたいけど
『わかるよ。絶唱の反動が温い訳ねぇからな。そこに追い打ちのエネルギー弾だ。まぁ辛くて身体が悲鳴をあげてるってか?』
「かもね。まぁそれでも動くけどね? ここからの展開は未知の領域だよ。カ・ディンギルの崩壊分だけ平和にした代償がどうなっているかはわからない。でも……
『はぁ。わかってるならさっさと行きやがれ! テメェの愛しい相手が
なるほど……既に展開は暴走を経て響の心が折れた所になったのか。ここから一晩中痛ぶられるとわかってるなら話は簡単だ。
「行ってくるよクリスちゃん……今度こそ終わらせるからね!」
『ったりめぇだ! 終われなかったら化けて出るぞこのすっとこどっこい! 』
「そんなちょせぇこと言われる前に終わらせるよ!」
さぁて……派手にぶっ飛バすぞ!
「終わりだな立花響。クリスも、風鳴翼も……頼れる仲間や友人さえも立っていないこの地に貴様を助けられる者など皆無だがな?」
「皆……いなくなっちゃった……翼さんが倒れて……学校が崩れて……師匠も……緒川さんも……創世ちゃん達も……未来も……せっかく仲良くなれたと思ったクリスちゃんまで……」
「そうだ。緒川慎次も……弦十郎やリディアンの教師・生徒問わず生死不明。更に戦力足り得た軍人はノイズの前にはあまりにも無力であり風鳴翼とクリスは最早虫の息。まぁ……クリスは死んでいるかもしれないがな?」
やっぱり皆いなくなった。残された私も心が折れた。あぁ……もうお終いだなぁ私達。
「最後の言葉……気まぐれに聞いてやるが言い残す事はあるか?」
「……………………………………」
何もない。呪われた私に残せる物は……何もない…………
「そうか……ではさらばだな融合症例第一号」
「アァ? 誰が死んだって決まったんだ? フィーネ?」
バシュゥゥン!
了子さんの鞭が私を貫こうとしたその時
「クリス……ちゃん……? どうして……? 死んだ……筈じゃあ……?」
「勝手に殺すな。あたしが生きて隣にいる……それだけで理由なんざいらないだろ?」
私の救世主が……そこに立っていた。
「よぉフィーネ……遊ぼうぜぇ?」
「生きていたのかクリス。絶唱のバッグファイアとネフシュタンの追撃に耐えられたのなら大人しく寝ておけば一命は取り留めた筈だが?」
「かもしれねぇな。だが……それだけだよ。手の届く範囲を見捨ててまで叶えたい夢なんてあたしは持ち合わせてねぇんだわ。ま……そういう訳だからテメェを吹き飛ばすのはあたし自らってな?」
「クリス……ちゃん……? 本当に……クリスちゃん……なの?」
不安そうにあたしの腕を掴む響、苛立ちを隠さないフィーネ……周囲を覆い尽くす瓦礫……全てが緊張状態を作り出していた。空元気で虚勢を張ってるが、実際はボロボロだ。さて……あまり宛にするのは気が引けるがそろそろ明け方に差し掛かる。本当に奇跡が起きるならば……頼むぜ未来?
『ざ……ザザ……』
ッ! スピーカーに電気が通ったのか! 良し! フィーネは
「フィーネ……嘗てあたしがフィーネに伝えた夢だけどよぉ……
あたしはそのまま響を
「く……クリスちゃん!?」
「あたしが好きなのは立花響の笑顔だからな! その為にはあたしは頑張れる! テメェを倒せと言われりゃ
長話も大人しく聞いてくれた事で時間は稼いだ。さぁて……
(響……私達はここにいるよ! 響の事を見守ってるよ! だからお願い! 私達のもとに生きて帰って来て!)
「未来……師匠……緒川さん……」
心の折れていた響に一筋の光が差した。さぁ……始まるぜ?
「まだ詠える! 立ち上がれる! 戦える! 未来が! 皆が! クリスちゃんが私達の勝利を信じてる! それなら……私も挫けてはいられない!」
響が立ち上がる。そしてあたしの身体も光が包む。
「何故だ! お前達の希望は全て砕いた筈だ! おのれクリス! お前か! お前が全てのイレギュラーなのか!?」
「黙れよフィーネ……恋するテメェならわかるだろ? あたしの胸の内の感情がよぉ! 」
「お前達の纏うソレは私が作ったモノなのか!? 何が……一体何を纏って力に替えている!?」
「繋ぐこの手が紡いだ奇跡!」
「行こうぜ響!
「「シンフォギアだあぁぁ!! 」」
周囲を漂うフォニックゲインがギアを包み溢れる力が光に変わる。あたしに赤の光が、響に黄色の光が、そして少し離れた場所で翼さんに蒼の光があたし達の真の力を呼び覚ました!
フィーネの眼の前で起こる現象が愛に起因してるとは受け入れ難いモノですよねぇ……だってクリスちゃん原作入りまでビッキーと接点ほぼ無いし……
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奇跡の光
エクスドライブの光に包まれたあたし達は今までに無い暖かさを感じていた。
『この……光は……?』
『あったかい……』
『優しい唄だな……』
胸に灯る希望が体現した奇跡……フィーネがシンフォギアに組み込んだ決戦機能の1つだ。
『私……クリスちゃんにもう会えないってぇ……』
『私が倒れた後……立花を守ってくれた事に感謝するわ。そして願わくば……』
「おいおい勘違いするなよ風鳴翼ァ……あたしは響を恋に堕とす。その為にここにいる。必要なら馴れ合う事も辞さねぇぜ?」
あたしはそっと響を抱き寄せた。そして初めて穏やかな笑顔を翼さんに見せる事ができた気がする。
「えへへ……恥ずかしいよぉクリスちゃん……」
そして響も満更でもなさそうに笑顔を見せてくれる。あぁもう可愛いなぁ……
「ねぇクリスちゃん……心の声が聞こえてるよ?」
「っ〜! このドンパチが終わったら二課にあたし様を入れろよ! 絶対に響と一緒に過ごすんだからな! 」
あたしはうっかりエクスドライブの仕様を忘れていたせいで心の声を聞かれてしまった。まぁ……いつもと言ってる事は変わらねぇけど。
『随分と余裕だな小娘共……』
「ッ! なんで了子さんが!?」
「シンフォギアはフィーネの作品……故に念話に割り込む事も可能……そうなのだろうな……」
「話が早いな……説明の手間が省けるのは良い事だ。ついでに教えてやろう。そもそもノイズとは
「ッ! 了子さん何を!? 」
響の動揺を無視してフィーネはノイズ共を周囲の風景が変わる程夥しく召喚した。もちろんその中には圧倒的巨体のノイズから小型の面倒なノイズまでレパートリー豊富な訳で……
「ノイズが……ここまで……」
「早く倒さないと街が!」
響と翼さんは血相を変えてノイズと交戦を始めた。あたしもノイズを駆逐しないといけないが……正直フィーネから目を離したく無いのも本音だ。まっ……欲張るならやる事は一つだな。
「おっしゃあ! 派手にブチのめしてくれるぜぇ! 」
翼さんは天羽々斬を大剣と化してノイズを切り裂き、響も撃槍を以てノイズを打ち砕いている。ならあたしが倒すべきノイズは……
「搦め手で動くノイズはあたしが撃ち抜く! 響や風鳴翼はそれ以外の奴を頼む! 」
「わりぃな……殲滅に躍起になってたみたいだ。すぐに行くよ……」
次のポイントに潜むノイズを撃ち抜く為に移動を試みたあたしの
「待ちなさい」
「なんだよ……」
正直気まずい。一刻も早く離れたい……
「
「ッ! それってどういう意味だよ!」
「さっきの念話の時に
それだけ告げると翼さんは戦場のノイズを斬り伏せに行った。どうやら……
「へへ……これじゃあ死ねない理由が増えたじゃねぇかよ……」
口からそう言いつつも満更でもないあたしはそのままノイズ殲滅を行いながらフィーネへの警戒を始めた。するとフィーネは……
「フィーネ!? 何をしてやがる! 」
原作同様に
「チィ! さっきまでの夥しいノイズはただの囮かよ! 動きが妙だと思った予感を信じれば良かったぜ!」
自身の予感を信じなかった事に悪態をつくも、残ったノイズがフィーネへと集まっていく。
「了子さんがノイズに取り込まれてる……?」
「いや……
「みてぇだ。ついでに確認するが
「えぇっとぉ……デュランダルは確か……」
「カ・ディンギルの炉心とフィーネは言っていたが……」
「……………………了解だよ。て事は
あたしの視線の先には
「あの姿は……龍……か?」
「赤い。そして……怖い……」
「黙示録の赤龍……フィーネが巫女だった事を考えれば滅びの聖母って訳か……」
「雪音……フィーネが語った【バラルの呪詛】の真実を貴女は……」
「まぁな。二課のオッサンから貰った端末でインターネットにアクセスして
「凄いねクリスちゃん……一人でそこまで……」
感心してる響を他所にフィーネは完全に準備を終えていた。
「さて……
「バーカ! こっちが待ってやったんだよ。テメェを完璧にブチのめす為に……な?」
最終決戦の火蓋が切って落とされた。
3つの完全聖遺物を携えた巫女と装者の最終決戦が始まろうとしています!次回からは戦闘回となります!
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滅びの聖母
久しぶりですがVSフィーネ戦……黙示録の赤い龍との戦いでございます!
黙示録の獣【赤い龍】……確か旧約聖書を読んだ時の記憶が正しければ【七つの頭と十の角を持つ獣】とも解釈されてた化け物に間違い無いな。
「さて……響達に確認するが旧約聖書に関する知識はあるか?」
「何が何やらさっぱり……」
「申し訳無いがそこまで込み入った話は櫻井女史……いや、フィーネの領分だと判断していた。済まない……」
「謝んなよ。大方予想通りの解答だ。まぁ端的に言えば禁断の果実をアダムとイヴに食べるように唆した大悪魔……ある意味では人類の罪そのものって言えばわかるかもな。それとこれは捕虜・難民の時に聞いた話だが
「ほぅ? クリスが誘拐された組織は結社に縁ある人物か。噂好きと言う人種は困ったモノだ……」
「了子さん? それってどういう……?」
「その辺りはブチのめした後からでも間に合う話だ。さて……始めるぜぇ! 」
MEGA DETH PARTY!
「続くぞ雪音!」
蒼ノ一閃!
あたしのイチイバルお得意のミサイル攻撃に翼さんの斬撃がフィーネへと叩きつけられる。しかしその結果は火を見るよりも明らかになっていた。
「ノイズを物理的に障壁として機能する程召喚……だと?」
「了子さん……本当に……」
『気は済んだか小娘共。お前達がいくら限定解除を果たした所で所詮は欠片……ハンドガンが大砲に火力で勝ると思ったか?』
「余裕綽々ってか? それならコイツをくらいなぁ!」
あたしは
『チャンネルをオフにしろ。とっておきの作戦をくれてやる。勝算は5割程度は保証するさ』
「了解クリスちゃん!」
「了承するわ!」
翼さんと響もあたしの作戦に興味を抱いてくれた。どうやら度重なる作戦も意味を成して来たかもしれないな!
「チッ! クリスめ小癪な真似を……エクスドライブの出力で煙幕とは賢しいな……ッ!」
フィーネも視界を取り戻してすぐにあたし達を補足する。やっぱ不意打ちでも出力差は痛いか……
「頼むぞ響……お前が皆の希望だからな? でも……それと同時に響は1人の女の子だよ。ぜってぇあたしが恋に墜とすと決めた……な?」
自身の好意を証明する為にあたしは
「行くぞ響……そろそろ終わりこの戦いも終わりにしないと
「未来…………うん! そうだねクリスちゃん! 」
「露払いは私と雪音で果たす。立花ならきっと出来るさ……」
「翼さん……はい! 」
「もちろんあたしは
「私の中の未来とクリスちゃん……どんどん大きくなってる。もう2人がいないと……ううん違うよね! 私には帰るべき場所がある!
響が小声で
「さっき翼さんの斬撃を受けて損傷したよなぁフィーネェ! それならコイツをくれてやるよ!」
ETERNAL SABBATH!
『ほう? 小癪にも特性を見たか……流石に玩具と言えども適合者は適合者。そろそろ戦うとするか……』
実体を持つミサイルを透過するノイズの特性を加味すればこっちの方が都合いいが
「雪音1人ならばそれで終わりだろうな! しかしそれは
蒼ノ一閃・滅破!
『チィ……目障りな速度で移動するな。流石に天羽々斬は鬱陶しい!』
あたしの明けた風穴を先輩が広げ、更には囮まで買ってくれた。とことん期待に答えてやらねぇとな……
「おらおらフィーネ! テメェの相手はここにもいるぜぇ!」
ETERNAL SABBATH!
赤い龍の内側に侵入して内部からエネルギーを放てば逃げ場を制限されたエネルギーが荒れ狂う。そしてその力を管理するフィーネへの影響は計り知れないだろう。
『やってくれるなクリス……流石は2つの完全聖遺物を扱った私の手駒と言えるだろう。その特性を良く理解している……だが詰めが甘い! 』
「そうかもな。ネフシュタンの堅牢な鎧に無尽蔵のエネルギー炉心、更には無数の手駒をその身に吸収したテメェはさぞ強いだろうな。だけどテメェも完璧じゃねぇ! 綻びが見えるぞフィーネェ! 」
ネフシュタンで回復するフィーネに対して実質的にダメージを与えるのは不可能だが無駄じゃない。いくら回復するとはいえ
「確かにテメェを正面からブチのめすは厳しいかもな。でも……テメェの肉体強度もそれは同じだ! 」
『チッ! デュランダルを零したか。しかしここは我が領域……すぐに回収してそれで終わりだ!』
フィーネがデュランダルを握る腕をこの至近距離で撃ち抜き腕を分断……そして手の内を離れたデュランダルを響へと銃弾を用いて運搬すれば……
「受け取れ響! コイツが切り札だ! 」
「勝機を零すな! 掴み取れ!」
『しまった! デュランダルを狙っていたのか!』
忌々しい声色でその手を離れたデュランダルを見送るフィーネ、あたしの逃げ道を確保してくれる翼さん、響を守りたいあたし、作戦の要であり最も愛しい響、あたし達の帰りを待つ皆……所属する組織・目的・戦場は違えどもこの戦いを知る全ての人物は次の瞬間を待ちわびる。
「受け取ったよクリスちゃん! ありが………………」
途中で言葉を止めた響……つまりはデュランダルの侵食が始まった。そしてこの戦いを見守る未来達もその光景を把握して立ち上がる
「出やがったな……デュランダルの暴走だ」
『フン……矮小な小娘には荷が勝ちすぎたな……』
「さてと……そいつはどうかなぁ?」
あたしはとっとと退散して響の側へと寄り添う。
「響……お前は1人じゃねぇよ。この戦いに参加してるのはあたしも翼さんも同じだ。いや……
「正念場だ! 踏ん張れ響君!」
「自分を強く保って下さい!」
「昨日までの自分を!」
「これからなりたい自分を!」
「貴女のお節介を!」
「あんたの人助けを!」
「今日は私達も共に!」
司令……緒川さん……友里さん……藤尭さん……安藤・寺島・板場……そして……
「負けないで! 響いぃぃぃ!! 」
「ぐ……うぅっ……」
「大丈夫だ。あたし達が響を守るさ……」
響の手を握りその心へと訴えかける。すると闇が集約を始め……
「わたし……は……私が立ち上がるのは! 」
正気へと戻った響がデュランダルへと力を込める。そしてその手をあたしと翼さんも握る。
「「「これが私(あたし)達の答えだあぁぁぁ!!」」」
3人の戦姫が握った剣が……赤い龍へと振り下ろされた。
意外とクリスちゃん視点で書くのが楽しいからこそ僕自身ものろまでも完結まで頑張ろうと思うのでよろしくお願いします!
感想お待ちしています!
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