キーブレード使い――。
俺がその力に目覚めたとき、同時にユニオンという組織に入った。
この世界では五つのユニオン、ウニコルニス、アングイス、レオパルドス、ウルペウス、ウルススに別れてそれぞれ闇、ハートレスを打ち払い、光を回収している。
イラ様、インヴィ様、グウラ様、アヴァ様、アセッド様。ユニオンにはそれぞれマスターがいて、それぞれのやり方でユニオンを統治している。正直ユニオンなんてなんでもいいなとか思っていたが、今になって少し迷っている。イラ様はかっこいいし、アヴァ様はめっちゃかわいいし。そんなこんなで結局イラ様率いるウニコルニスに入ることにした。
とある日、自分に与えられた任務をこなし、いつも通り帰りがてらにデイブレイクタウンの噴水広場でのんびりしていた。そこで目の前にいきなりゲートが開いた。
「ちょっとステラ、またこんなとこにいた。報告には行ったの?」
中から女の子、ルナが出てきた。ルナとは同じ日に目覚め、同じユニオンに入った。いわゆる同級生的ななんかだ。たまにコンビで任務に行ったりもする。
「まだ行ってないよ。別にいいだろちょっとくらいのんびりしたってさ」
「別にダメとは言ってないけど、さっさと行きなさいよ」
そう言いながらルナが俺の隣に座る。
「へいへい」
ぶっきらぼうに返事をする。
ルナは優秀で真面目な性格だった。それに比べて俺は実力はあるけど不真面目。性格に関しては真反対だ。それ故に互いに興味があるのか、ルナとはすぐ仲良くなった。
「今日の任務はどうだったの?」
「アグラバーになんか中型ハートレスが出たらしくて、その偵察、出来たら倒せって任務。まあ簡単に倒せたな」
「ふーん、さすがだねぇ」
「そっちは?」
そんなたわいもない話を俺らは毎日していた。そこへもう一人、いや一匹か?
「そろそろ報告にかないとだめだよぉ」
キーブレード使いに目覚めたものには一人一匹チリシィがお供として与えられる。まあお目付け役的なものだ。
「おっと、じゃあ行かないとな。じゃあな、ルナ」
「うん、じゃあねまたあした」
次の日、イラ様に噴水広場に来いと呼び出しをくらった。俺なんかやらかしたっけ。とか思いながら向かったが特にそういうわけでもないらしい。
「例の中型ハートレスを倒してくれたようだな。それも単騎で。感謝するよ、ステラ」
「あ、ありがとうございます」
そんなことを褒めるためにわざわざ時間を割いて呼んでくださったのか? それともほかに何か用があるのだろうか。
「君の実力は確かだ、ほかのキーブレード使いより格段に強い。そこで君に頼みがある」
やっぱりそういう感じか、頼みってなんだろうか。大型ハートレスか?
「アレンデールのノースマウンテンにある人型のなにかが出現したようだ。ハートレスとは違う気がするがなにか禍々しいものを感じる。それを確認、出来れば討伐してきて欲しい。頼めるか?」
アレンデールに正体不明のなにか、か。興味はあるな。
「分かりました。偵察、あわよくば討伐してきます」
「ああ、頼んだ」
「うう、さぶ。アレンデールって雪すごすぎて寒いんだよなぁ。コート持ってくればよかったな」
ノースマウンテンに出た正体不明のなにか。少し嫌な予感がするが任務は任務、しっかりこなそう。
俺はそのままノースマウンテンに入り、しばらく黒い何かというやらを探していたが、なかなか見つからない。
「どこだー? 吹雪になるとほんとに寒すぎて死んじゃうから早く帰りたいんだけど」
そんな文句をボヤきながら探していると、なにかが見えた。伝えられていた通りの、黒い何か。
「あれは、なんだ? 人? いや、人じゃないな。一体なんだ」
少し黒い何かを観察していると――。
「あれぇ、思ったより早くバレちゃったんだねぇ。嬉しいよぉきてくれて」
突然背後から声がした。それも聞き覚えのある声だ。
振り返ると、そこには色は違うが見覚えのある姿があった。
「チリ…シィ? いや違う、なんだお前は」
「酷いなぁ、僕は間違いなくチリシィだよぉ。まあみんなとはちょっと違ってナイトメアの方だけどね」
「ナイトメア……?」
何の話か全く分からない。だがどこか闇を感じる。
「耳を貸さないで」
その声と一緒に俺のチリシィが出てきた。
「君は一体何者なんだ?」
明らかに色が違うが、見た目は瓜二つ。黒っぽいチリシィと白いチリシィ。イラ様になにか聞いたことあるような……。考えていると黒い方のチリシィが話し始めた。
「まあまあ、ちょっと話そうよ。僕から君に話すことがあるんだ」
黒いチリシィは俺たちの意思に関係なく、勝手に話し始めた。
「ある時から、君たちはストレングスバンクルを使ってこの世の''罪''を集め始めた」
そういえば、いつかにもらったなバングル。確か……闇をうち払えばさらに強くなれるよってチリシィがそれぞれのキーブレード使いに与えたんだっけ。
「罪という闇を力に変え始めたんだ」
罪? どういう事だ。
「君たちはギルトとその名を置き変えて闇の力を使っていたんだよ」
「そ、そんなはずない……!」
チリシィの顔色が悪くなっている。
「大丈夫、これも僕らを作ったマスターの意思、それはわかるでしょ?」
「違う、あのバングルは罪を集めて光へと浄化させるために……」
「じゃあ僕のこの姿はどう説明する? 何故僕は生まれたの? マスターは、そんなことも予測できてなかったの?」
「……っ」
よく分からないが、俺は知らない間に闇の力を利用していたのか? だとしたら、マスターはなにを考えて俺にこれを渡したんだ。
「ここまで言えば、僕が何者なのかわかったよね? そう、僕は君の闇から生まれた存在」
「嘘だ!」
「ここまで話して嘘をついてもしょうがないだろう? あ、でもそこのチリシィと違って君のそばにずっといるわけでもないし、僕は僕の意思で行動する。まあ、色々知ることができたご褒美に……」
黒いチリシィが合図すると、さっき見つけた黒い人型のなにかが襲ってきた。俺は咄嗟にキーブレードを出現させ攻撃を防ぐ。新型だけど攻撃は軽い。
俺は軽々と一撃を入れる。すると黒いなにかは後ろに下がる。
いける……!
「うーんやっぱりまだ早かったかなぁ。」
「? どういう意味だ!」
「さあ、まあ頑張ってね。じゃねー」
そういうと黒いチリシィはどっかへ去ってしまった。
「クソっ、結局よくわかんないままかよ。とりあえずこいつ倒さねぇと」
攻撃は軽いがタフだな。全然倒せない。
「しょうがない。あれを使うか。くらえ……!」
〝ラグナロク〟
キーブレードの剣先から無数の玉が出てきて、黒い何かを襲った。黒い何かは動かなくなり、やがて消滅した。
「ふう、これ威力は高いけど、隙もでかいからあんまり使いたくないんだよな。まっ、とりあえず報告しに帰るか」
初投稿だからみんな優しくしてね(´›ω‹`)フエエ…
次回もお楽しみに!
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希望の一閃
ちなみに、チリシィはとても可愛らしい姿なので検索してみてね!
頑張っていい感じのお話作っていきたいと思うので初投稿です(?)
けっこう時間がかかったからさっさと報告しに行こうと思っていたのに、ついいつもの癖で噴水広場の方に足が向かっていた。
「さすがにルナはいないか」
当たり前だが噴水広場にルナの姿はない。ちょっとガッカリしたが、一息入れてチリシィに話しかけた。
「チリシィ、イラ様に報告したいから会わせてくれない?」
俺たちキーブレード使いは、マスターたちがいる時計塔には入ってはいけない決まりなのだ。だからチリシィを介さなければならない。
「じゃあちょっとまっててぇー」
そう言い残すと、チリシィは宙返りして消えてった。
今日はなんかどっと疲れたな。あの黒いチリシィは一体何を喋っていたのだろう。バングルで罪を集め、それを力に変えているとか穏やかじゃない話をしていたが……。思い返せば、確かにあのバングルはマスターから直接貰ったわけでもなければ、その話を聞いていた訳でもない。そしてチリシィが黒いチリシィの言っていたことを考えずに渡すとは思えない。
――では、誰が?
柄にもなく考え事をしていると、後ろでゲートが開いた。
「待たせたな、ステラ。ご苦労だった。それで、なにか分かったことはあったか?」
「はい。向こうには人型のなにかがいて、色は黒でした。黒装束のような」
「そうか、では分かりやすいよう仮に黒装束と呼ぶことにしよう。ほかになにか分かったことは?」
「あとは、そうだ。黒いチリシィに会いました」
あいつは、なにか危険なものを感じる。それに、自分の闇から生まれたとか言ったらイラ様に何されるか分からんしな……。
「黒いチリシィ……。まさか、ナイトメアか」
「あぁ、そういえばそんなこと言ってました」
「なるほど、わかった。ありがとう、今日はもう休め」
「分かりました、お疲れ様です」
ペコリと軽く頭を下げて、俺は帰路についた。
「……ナイトメア、か。やはりあのバングルを放置したのはまずかったか」
次の日、俺が任務を出されるのを待っていると、そこへチリシィがやってきて、
「今日は休みだってぇ、昨日頑張ってくれたからゆっくり体を休めろだってさぁ」
いきなりそんなことを告げられた。今日は休みか、急に暇になったな。ルナは任務があるはずだから、そっち手伝うか。
「チリシィ、ルナは今どこで任務やってるか分かるか?」
「うーん、たしか今日はトラヴァースタウンで大型ハートレスの討伐任務だったはずだよぉ」
「ありがとう、俺ちょっと手伝ってくるわ」
「え、ちょっ、マスターは休めって……。ああ、行っちゃったし。まあいっか、ステラの心がそう命じたなら。鍵が導く心のままに」
さてと、トラヴァースタウンの1番街か。ルナはどこだろうか。大型ハートレスの討伐任務だし、多分近くにいたらすぐ分かるだろうな。そう思った矢先。物凄い地響きと共に、ガシャンという鉄がぶつかり合う音が聞こえた。
「今のは……? 2番街の方でなにかあったのか。早く行こう」
急いで2番街に向かうと、そこには大型ハートレス、ガードアーマーに壁際へ追い込まれているルナの姿があった。
「ルナッ!」
俺は足で力いっぱい壁を蹴り、ガードアーマーへ最速で、鋭い一撃を打ち込んだ。その一撃でガードアーマーの体は簡単にバラバラに崩れた。
「えっ、ステラ? なんでこんなとこにいんのよ」
「それは後で話す。早く回復しないと」
――癒しを。
〝ケアルラ〟
ケアル魔法を唱えると、ボロボロだったルナの体は瞬く間に治っていく。
「はぁ、良かった無事で」
「ありがとステラ。んで、なんでこっちにいるの? 今日休みだったはずでしょ?」
「暇だったから、チリシィにルナの居場所聞いて手伝いに来たんだよ。そしたらルナぼろぼろになってるし」
「まあ、何にしても助かったわ。にしても、さっきの攻撃凄かったね。あれなんて言う技?」
「あー……無我夢中でやったから、名前ないんだよな」
「ふぅーん、そうなんだ。雲の切れ間から差す光芒のような、希望をあたえる一閃……。ねえ、光一閃って名前はどう?」
「おっ、いいねその名前。ん……?」
なにか違和感を感じる。そういえば、ガードアーマーはバラバラになっただけで、まだ消滅していなかった。それはつまり――。
「おい、まだ戦いは終わってねぇよ」
「え? でもさっきバラバラに……」
「まだ消滅はしてない。すぐ戻るぞ」
急いで2番街の中心に戻ると、先程のガードアーマーが形を変えてその場に佇んでいた。
「やっぱり、こいつはまず手足を消してから、順番に頭か胴をやらないと倒せないタイプだ」
それに感じるこの気配は、コイツはさっきよりあきらかに強くなっている……!
「気をつけろ、こいつはさっきのより強いぞ」
「わ、わかった、でもさっきの姿でも私勝てなかったのに……」
「大丈夫だ、今度は俺もいる。二人で力を合わせれば必ず勝てる。……来るぞ!」
その掛け声と同時にガードアーマーの手がロケットパンチのように飛んできた。その威力は凄まじい。喰らったらひとたまりもないな。
「ルナ! 俺が手足を壊すから、お前は胴と頭をやれ!」
「了解!」
手足、全部合わせて四つの部位か。ヤツの見た目からして、おそらく装甲はかなり厚い。普通の攻撃じゃ埒が明かないだろう。さっき咄嗟に放った光一閃は威力は高いが複数の目標には向かない。どうする……。ラグナロク……あれは溜めもいるし、装甲を剥がせなかった時のリスクも高い。十秒ほど溜めることが出来れば剥せるか。
「ルナ、十秒くらい時間を稼いでくれ!」
「わかったっ!」
「いくぞ……!」
十秒、結構長いなクソッ。単純だがエネルギーは溜めれば溜めるほど強い。だが、撃った後の疲労も比例して凄まじくなる。黒装束の時はあまり溜めなかったから問題はなかったが。今は後先考えている場合じゃない。目の前のこいつを倒すことだけ考えるんだ!
――よし、十秒!
「ルナ、引いていいぞ!」
「……!」
俺の声と同時にルナが下がり、道が開く。
「目標は手足四本……!」
いけっ!
〝ラグナロク・改〟
十秒も溜めたラグナロクによって放たれた弾は夥しい数に分裂し、相手の手足に向かって飛んでいく。ヒットと同時に爆発が起き、ガードアーマーの手足は吹き飛んだ。俺は声を振り絞る。
「今だ!」
「ありがとうステラ、ここで決める!」
〝ブラスティングレイド〟
ルナのキーブレードから光が伸びて大剣となり、ストライクレイドと合わせた応用技でトドメをさす。
ルナの攻撃によって、ガードアーマー討伐は無事に終わった。それを見届け安堵したのもつかの間、俺は力を使いすぎた影響で気を失ってしまった。
「まったく、休めと言ったはずが、逆にボロボロになって帰ってくるとはな。私はもう戻る。ルナ、ステラの近くにいてやれ、お前もしばらく休みだ」
イラ様の声が聞こえる……。
「分かりました。ありがとうございます」
近くにルナもいるのか?
「……ルナ?」
「……良かった。目が覚めたんだね。体調はどう?」
「少し体が重いかも」
「ごめんね、私の任務だったのに無理させて……」
「俺は自分からルナを手伝いに、助けに行ったんだ。ルナのせいじゃない」
「……。私たち、しばらく休みだってさ」
「あぁ、聞いてたよ。そうだ、体治ったらどこか遊びに行かないか?」
「そうだね。でも、まずは体治してね」
釘を刺すようにルナが言う。そういえば俺から誘ったけど、二人で出かけたことまだなかったな……。
はい、どうでしたか。
ちなみにナイトメアチリシィのことを解決するのはかなり先だよ( ˙꒳˙ )
あと、ステラとルナは15歳でもう1人前になってるけど、中身はちゃんと現実の高一と同じ心持ってるよ。なんかニコニコしちゃうね()
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約束と誓い
今回はお出かけ回ということで、初投稿です(安定)
あれから三日ほどの休養を挟んで、体は完全に回復した。今はルナと遊びに行く約束をしたので、二人でどこに行くかを決めていた。
「ルナはどっか行きたいとこあったりする?」
「んー、デイブレイクタウンでショップめぐりとか、噴水広場でのんびりしたりとか。あ、海行きたい海!」
「おぉ、色々あるなぁ。まあ休みはたっぷりあることだし、全部行こうぜ」
「ステラは行きたいとこないの?」
「俺はー……特にないかなぁ、あはは」
考えてもとくに思い浮かばなかったので、正直に答えた。するとルナにすごい睨まれる。
「し、強いて言うなら、噴水広場でのんびりしたいかなぁ……」
苦し紛れに絞り出したのはいつも通りの場所だった。色んな意味で俺が勝てないのは、ルナだけかもしれないな……。
「じゃあ私とほとんど同じだね。何から行く?」
「さっき言ってた、ショップめぐりしようか」
「よーし、そうと決まれば、今すぐしゅっぱーつ!」
なんかやけに元気だなぁ。まあルナ楽しそうだし、俺も楽しまなきゃ損か。
ルナについて行って着いたここは、洋服屋か。あんまりこういった店には寄らないから、ちょっと入るのに気が引ける。
「ねね、この服どう? 似合う?」
「ああ、似合ってるよ」
「ちょっと、ほんとに思ってるー? まいいや」
俺こういうとこ疎いから返し方がよく分からないな。
30分ほどルナに振り回され、買い物が終わる頃には既に俺はくたくたになっていた。
「やっぱりこういうとこは慣れないな」
「ステラはもっと服に興味持った方がいいよ?」
「いやいいよ……」
「じゃあまだ時間あるから、海行こ! 噴水広場は任務終わりにいつでも行けるし、海でのんびりお話しよ!」
「おっけー。じゃあとりあえずルナは荷物置いてこい。噴水広場で待ってるから」
海か、海ってどの辺にあるんだ? 俺行ったことないから分からないんだが。でもルナのことだから多分行先は決めてるんだろうな。
五分ほど経ってからルナが戻ってきた。
「お待たせ、それじゃあ行こっか。私、行きたい海あるんだよね」
ルナがわくわくした調子でキーブレード―スターライト―を取り出す。キーブレードは人それぞれ、という訳ではなく、皆最初は先端の突起の部分が星型の、スターライトを持たされる。もちろん俺もそうだ。ごく稀に、別のキーブレードを覚醒させる者もいるらしいが。
ルナはスターライトを突き出すような形で構え、ゲートを開いた。
「じゃ、いくよ」
ゲートをくぐるとその先には、紅い空、白い砂浜。そして、青い海が広がっていた。左の方には橋があり、渡った先には小さな島が見える。幹が座れるのではないかと思えるほどひん曲がっていた。
「ここは……」
「ディスティニーアイランド。この島自体はとても小さな島だけど、綺麗な場所でしょ?」
にこにこと微笑みながらルナが言う。
「そうだね、凄く綺麗な場所だ」
そう返事をする。
この場所はとても心地よい。目を閉じて、波の音をよく聞くと、心が安らぐ。
気付けば自然と顔が綻んでいた。
その様子を見ていたルナが、静かに口を開いた。
「こないだ、大型ハートレスの時は助けてくれてありがとう。私一人じゃ、きっと倒せなかった。ステラが助けに来てくれたから、今私はここにいる」
「礼なんかいらないよ。俺は、自分の意思でルナを助けたんだ。ルナは俺にとって、大事な人、守るべき人だからな」
「……そっか。でも、ステラも私にとって大事な人だし守りたい。だから無理はしないで欲しいし、私も強くなる。いつかは離れ離れになることもあるかもしれない。でもまたいつか、生きて逢えるように」
ルナはそう言って、ポケットからなにかを取り出し、俺に渡してくる。
「これは?」
「パオプの実を真似て作った、サラサ貝のお守り。パオプの実を食べさせあったふたりは何があっても、いつか巡り会える。そういう噂があるんだって」
「へぇ、そんな噂が」
「ほんとは実、食べさせ合い、したかったんだけどね。実がなってなかったから、前もって作ったお守り。じゃあ帰ろうか」
ルナは帰りの、デイブレイクタウンに繋がるゲートを開き、先にくぐっていく。
「ありがとう。何があっても、離れていても、必ずルナを守るから」
そう決意を決めた俺の右手には、―約束のお守り―が握られていた。
休みが明け、俺とルナはまた任務に励んでいた。任務前にイラ様には、一週間俺とルナでコンビを組んで任務にあたれと言われ、なぜ急にと疑問を抱いたが、ルナと一緒ならいいかと思って特に気にしなかった。
そういえば、今もつけているが、結局このバングルのことは気にしなくていいのかな。黒チリシィに闇を利用してると言われたが。チリシィに聞いてみるか、いや今はルナが近くにいるんだ。下手に話を聞かれればルナが巻き込まれかねない。
「ちょっとステラ? 何難しい顔してんの、ちょっとは手伝ってよ」
「ああごめん。でもこれくらいならルナでも楽勝だろ?」
今日の任務は小型ハートレスの討伐。今回は黄昏の街―トワイライトタウン―での任務だ。
「まあこいつらは弱いから問題は無いけど。そういえば、そのキーブレードどうしたの?」
「ん? ああ、これ? なんか気付いたら持ってたんだよね」
「ふーん、名前はあるの? 見たことないやつだけど、白くて綺麗な色してるね」
「たしかに、いい色してるよな。名前は……」
名前なんだったっけな。
「―約束のお守り―だよ」
え? 今俺が言ったのか? 口が勝手に動いたんだけど。こわっ。しかも、無意識で喋った割にやけに発音がしっかりしていた。
「へぇ〜、いい名前だね」
「にしてもここすごい綺麗な街だよね。夕焼けで空が紅く染まってる。まるでこないだ行った島みたいだね」
「たしかに、ちょっとにてるよな、雰囲気は」
「近くに凄いでかい時計台もあるみたいだよ、後で行ってみよー」
「全く、任務終わってからだからなー」
そんな他愛のない会話をしていると、突然物凄い地響きがした。
「これは、まさか。……ルナ!」
「うん、これは大型ハートレスかもしれない。時計台の方から聞こえたよ!」
「急いでいくぞ!」
時計台は他より高い位置にある。坂を上って間に合うか? 近くに人が居なければいいが。少し離れたところで街の人の悲鳴が聞こえてくる。
「これじゃ間に合わないな。ルナ! 俺は屋根を伝っていく! ルナは住人をなるべく早く避難させてくれ!」
「わかった! こっちが終わったらすぐ行くから!」
ルナと別れてからしばらく、ようやく騒動の中心にたどり着いた。時計台の近くは広場のようになっているのか。
人気のない広場には、一体の異様な気配を纏った大型ハートレスが佇んでいた。
執筆裏話
今回の話を書いている時、少しにやにやしながら書いてたよ。ただのヤバいやつだね!( ・∇・)
第四話は書き途中なので、完成したら投稿します。予定は夜です
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シーソルトアイス
短時間で二話も投稿しちゃってるから、多分少しずつ誤字報告も来るかもしれないので初投稿です()
休み明けの任務でいきなりの大型ハートレス。全身真っ黒で胸にハートマークの貫通穴。こいつは、ダークサイドか。前に一度だけ戦ったことがある。その時はあまり強くないと感じたが、どうやら今回は違うらしい。ピリピリとプレッシャーが肌を鋭利に撫でる。前とは威圧感が桁違いだ。
攻撃が来る。右手を振り上げたな、パンチ攻撃か。前と同じならただのパンチ攻撃だったが、拳にエネルギーが溜まっている。ちょっと距離を取るか。
ダークサイドの振りかぶった拳が自分目掛けて、ではなく地面に向かって放たれる。地面に拳を打つのと同時に溜められていたエネルギーが放出され、辺りに衝撃波が走り抜ける。
「チッ……! あのエネルギーは衝撃波攻撃か……!」
しかも、それだけじゃない。
ダークサイドが殴った地面を中心に闇が広がり、小型ハートレスのシャドウが出てくる。単体であればかなり弱いが、数が多ければ話は別だ。
「クソっ! 量が多すぎる……!」
全部で二十体ほどはいる。恐らくラグナロクじゃあ倒しきれない。仮に倒せたとしても、その後の隙にダークサイドにやられてしまう。
どうする、今練習している未完成の技が上手く決まれば何とかなるかもしれないが。いや、迷ってる場合じゃない、必ず成功させる。
体の捻れによって生まれる力を利用した超広範囲技……!
いくぞっ!
「光よ!」
〝ホーリーライズ〟
掛け声と共に体を勢いよく回転させ、力を放出させる。俺を中心に光の輪が生まれ、天へと昇る光芒が数多のシャドウを消滅させる。この技の利点は高威力、広範囲攻撃で、ハートレス消滅時にエネルギーを発生させ自身を小回復させる大技。だが反対に使いにくい点として、溜めるのに時間がかかりすぎることが挙げられる。今回は相手が雑魚で、溜め時に発生した僅かな光に怯んでくれたから成功した。
「よし! なんとか上手くいった!」
雑魚シャドウが大方消滅したのを確認して、ダークサイドを見据える。ダークサイドの気配からして、恐らく装甲はかなり硬いだろうな。
「それなら、前に出来たあの技で決める!」
俺はその辺の壁を足で力いっぱい蹴る。弾かれたように体は前に、瞬く間にダークサイドとの距離が詰まる。
〝光一閃〟
ダークサイドを光のような速さで貫き、倒すことが出来た。と、俺は思っていた。
俺が貫いた場所は急所を少し外して、ダークサイドはすぐに立ち上がり既に攻撃態勢に入っていた。
「っ、まずい……! 技を短時間で二つも使ったから、反動で体が……」
ホーリーライズも光一閃も大技であるが故に、連続して使った反動は割とでかい。ダークサイドの攻撃を避けようにも、俺の体は金縛りにあったかのように動かないでいた。
クソっ、ここまでか……!
「守りよ!」
〝リフレク〟
凛とした声が突然響いた。何らかの力で俺に向けられたダークサイドの攻撃が跳ね返させる。
「雷よ!」
〝サンダガン〟
再び声が響いたと思うと、雷鳴が轟く。霆が空気を裂き、ダークサイドを穿ち抜いた。
「い、一体なにが……?」
「大丈夫? 危機一髪だったね、ステラ」
振り返ると、そこには肩で息をしているルナの姿があった。
「まったく、またこんなボロボロになって。今治すから」
呆れながらルナは俺に向けてキーブレードを掲げる。
「癒しを」
〝ケアル〟
「あ、ありがとう。助かったよルナ」
「無理しすぎ。ダークサイド、私も戦ったことあるけど、あれ亜種でしょ。普通のよりもかなり強いって噂の」
「え、なにそれしらないわ」
「イラ様からチリシィ通して連絡来てたはずだけどな」
「すいません……。そういえばさっきの魔法すごい威力だったけど」
「ああ、あれは防御魔法と強化魔法。強くなるために密かに練習してたんだよねぇ」
「そうだったのか。とりあえず助かったよ」
ルナは軽くため息をついてから、避難させた住民の元に一緒に向かった。
住民たちに魔物を倒したことを報告すると、物凄く感謝され、この街のアイス屋さんをやっているおばあさんからお礼にあるアイスをもらった。
「それじゃあアイス貰ったし、食べてから帰りましょ」
「そうだな」
俺とルナはアイスを食べに時計に向かった。
時計塔の下に着いたあたりでルナが口を開く。
「ここの時計台って、ただの時計台じゃなくて上に登れるやつらしいんだよね」
「へぇ、でも登ってどうするんだ? 外には出れないだろ?」
「実は、この街の私たちと同じくらいの子から聞いたんだよね。本来はダメだけど、外に出れる場所。そこから見える景色がすごい綺麗なんだって」
そうこう説明を聞いてるうちに、上にたどり着いた。だが、辺りをどう見ても外に出れる場所はない。
「どこから出るんだこれ」
「まあちょっと待ってなって。聞いた話によれば多分この辺の壁を……」
ルナが手探りに壁の木の板を押していると、突然壁が扉のように開き、外への道が現れた。
「おお、すげぇ。まるでからくり屋敷だな」
「さ、早く出てアイス食べよ」
ルナについて行き、出た先はオレンジ色に染まる世界。時計台の上から見える夕日とその色に染った空とトワイライトタウンはとても幻想的だった。
「すごい綺麗だな」
「ほんとに、すごくいい景色」
景色に見とれていたルナは我に返ったかのように続ける。
「その辺に座って食べよう。危ないからほんとはだめだけど、せっかくだからね」
時計台の辺に座り、俺とルナは一口齧り、同じ言葉を口にする。
「「しょっぱい、でも甘い」」
ルナと互いに顔を見合わせながらクスッと笑う。しょっぱくて甘い、でも美味しいアイス。恐らく生まれて初めて食べた味で、ここ以外ではこの味は味わえない気がする。
「このアイスなんて名前なんだ?」
「えーと、たしかシーソルトアイスって言ってたかな。あ、あと当たりが出たらもう一本って言ってた」
「当たり?」
当たりかぁ、多分あんまり当たらないだろうなぁ。とか言ってたら当たったりして。
「あ、当たった」
「えぇ!?」
まさかのルナが当たった。そして俺はと言うと、ハズレ。コントかよ。
「当たり出たならまた貰いに行くか?」
「いや、しばらくとっておくよ。それじゃあ帰ろうか」
「そうだな」
そう言ってゲートを開き、二人でデイブレイクタウンにもどる。
報告は戻ってからチリシィに頼んでイラ様にしてもらった。
「……以上が報告になります。」
「そうか。ご苦労だったなチリシィ」
「いえいえ、ステラたちもすごく強くなってて、僕も誇らしいです!」
「そうだな、私としても我がユニオンのキーブレード使いの代表と言ってもいいくらいだ。……今我がユニオンで一番の実力者はステラとルナだ。近いうちに大きな任務を任せるかもしれないから、そのうち私が稽古をつける。ステラとルナのチリシィにそう伝えてくれるか」
「分かりました、それじゃあ失礼します」
チリシィにイラ様からの伝言を聞いた。
「大きな任務ってなんだろうな。しかもイラ様直々の稽古だなんて。珍しすぎるな」
「まあたしかに、ちょっと気になるね。でも稽古してくれるなら、その機会無駄にする訳にはいかないよね。頑張らなきゃ」
ルナはとてもやる気があった。俺もイラ様直々の稽古となれば、やる気を出さないわけにはいかない、大きな任務に向けても。
大きな任務。これによって二人の運命が大きく変わることを、俺たちはまだ知る由もなかった。
はい、どうだったかな
戦闘描写って難しすぎて、結構下手な文章かもしれないけど頑張ったよ。このシリーズもあと二話ほどで完結です。
完結だけど、話自体はまだまだ続くよ。きっと
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二人の想い
今回でかなり終盤に近づいてきてるから初投稿(何も言わないで)
イラ様に大きな任務があるから稽古をつけると告げられ、どんなものかと思っていたが、これがかなりキツい。内容は単純で、イラ様と一対二をするだけ。
ただし、イラ様の攻撃はほとんど飛んでこない。油断した時に強力な一撃を打ってくる。頻繁に攻撃を入れてくるならガードや受け身をとる余地はあるけど、油断した時にだけ来るからずっと気が抜けない。
イラ様との稽古は約一時間続く。その間ほぼずっと全力戦闘を続ける。集中力が続かない俺はもちろん、ルナでさえ疲れて気が抜けてしまう。
「よし、そろそろ休憩だ」
「あぁ〜! キツいー死ぬー!」
「はぁ、はぁ、はぁ……」
「だが二人とも、始めた頃に比べればかなり良くなってきているぞ」
「ホ、ホントすか、はぁ、はぁ」
「ああ、ステラは集中力はまだ少し足りてないが、体力はついた。ルナはステラに力で劣る部分を身につけた集中力で補っている。二人の相性はかなりいい。そろそろ任務を任せても大丈夫そうだな」
少し気になっていた。任務は急ぎのものではないのだろうか、と。稽古が始まって、もう二週間経つが、特に急いでいる様子もない。恐らく、出来れば早めがいいということなのだろう。だが、稽古をしっかり受けることが出来たおかげで俺もルナも大分上達した。
任務に向けて、更なる準備をしなければ。
稽古終わりにイラ様に話があると呼び出しをされ、マスターのいる塔へ足を運んだ。
「イラ様、お話とは一体なんでしょうか」
「ああ、今回の任務についてすこし、話をしようと思ったんだ。実は今回の任務、ナイトメアチリシィと黒装束が関わっているのだ」
「えっ……と、それは一体どういう」
「大分前にお前が戦った黒装束、その時はさほど強くなかったと聞いた。だが今回、少し様子がおかしいのだ」
「と、いいますと?」
「黒装束が、街の人々を襲っている。私が少し偵察してきたのだが、数は三体。裏でナイトメアチリシィが操っていると考えられる。それに、物凄く嫌な気配を感じた。私から見てもあれはかなり手強い敵だ」
「なるほど、それで今回稽古を?」
「そうだ。この任務、下手をしたら生きて帰れない可能性がある。恐らくステラ、お前は大丈夫だろうが、ルナには少し厳しい任務になる。だが、二人が組めばあるいは、と思ったのだが」
「そう、ですか」
ルナが死ぬかもしれない。でもその任務、俺が一人で行ってこなすことで、倒すことが出来るのか? イラ様が行くのではダメなのか?
「失礼ですが、それだけ危険な任務なら、なぜイラ様は戦いに参加されないのですか?」
「すまない。私は、別のことでやらなければならない事があるのだ。戦いには参加出来ない」
「そうですか。分かりました」
イラ様にはやるべき事があるのか、それならば仕方ないが。
任務のこと、ルナに伝えて任務には俺一人で行くと言おう。
「それと、最後にステラには一つ、最悪な場合の救済処置を伝える」
昨日は全然眠ることが出来なかった。昨日聞いた、最悪の場合の救済処置。
それは、消えそうな心を自分の心に保存する。もしくは自分のキーブレードに保存する。そうすることで、体が消えた本人の存在は物理的にも消えたことにはならない。
だが、元の体に戻る確証もない。そんな事態にはならないことを願うか。任務は二日後。その前に、ルナに今回の任務に参加しないよう伝えるか。言うこと聞くか分からんが。
そんなことを考えていると、後ろから声がした。
「あれ? ステラこんなとこにいたんだ」
振り返ると、しっかり休んで顔色が良くなったルナがいた。
「おう、ちょうどルナに話があったんだ」
「話って?」
「でもその前に、ちょっと組手やらないか? 任務は二日後だし」
「いいね、じゃあ場所変えようか」
ルナと向かった先は、見通しのいい開けた公園だった。遮るものは何もない、遊具すらない。
「ここなら邪魔するものはなにもないね。それじゃあ、全力でいくよ!」
掛け声を合図に、ルナが全力で突進してきた。いきなり向かって来たもんだから驚いたが、即座に体を動かしルナの攻撃を回避する。
「この程度かルナ。今度はこっちから行くぞ!」
恐らく同じ攻撃なら危なげなく避けられるな。それなら……!
俺はキーブレードの連撃をルナに叩き込む。しかしルナは辛うじてそれをガードした。だが、この攻撃はただの連撃ではない。
そこからの勝負は一瞬だった。
「はい、ここまでだな」
「……! どういうこといつの間に後ろにまわったの。さっきまで目の前に……」
「まあ、ルナも強くなったけど、俺だって強くなってるってこった」
さっき、何をしたか。種明かしをすると、スピードに緩急を付けることでルナを惑わし、一気にトップスピードを出すことで自分の残像を残した。その刹那の一瞬で、ルナの背後を取ったというわけだ。
「全然わからなかった……」
「まあ、俺も少しスイッチ入れてたし。ま、とりあえずその辺のベンチに座って休憩しようぜ。さっき言った話ってのもしたいし」
俺とルナは五分ほど歩いて、やっと見つけた木陰のベンチに座った。
「ここ、ちょうど木の影に入ってて気持ちがいいね。それで、話ってなんなの?」
「二日後の任務のことなんだけど。イラ様の話によれば、相手はかなり強い」
「……それで?」
俺が何を言いたいのか察したのか、ルナの声が少しだけ低くなった気がした。
「だから、その、ルナには任務に参加しないでほしいんだ」
「……」
ルナはずっと押し黙っている。その沈黙が気まずくて、俺は言い訳のような言葉をつらつらと並べた。
「この際だから正直に言うけど、今回の任務は俺はともかく、ルナにとっては物凄く難度が高い。下手すれば、消えてしまう可能性だってあるんだ」
「……だから、危険だから、家にこもってステラが帰ってくるのを一人で待ってろって……? そんなの、嫌に決まってるでしょ」
口を噤んでいたルナが、堰を切ったように話し出す。瞳に涙を溜めて、我慢していた感情を吐き出すかのように語気が強くなる。
「危険だから何? もしステラが一人で行って帰ってこなかったら、私だって後を追う! 私は、ステラのことが好きだから頑張れるのっ! だから……だから、待ってるだけなんて、嫌……」
言葉は尻すぼみになり、最後の方は消え入りそうなくらい弱々しい声だった。俺はそんな、今にも泣き出しそうなルナの姿を見て、ハッとする。
「ルナ……、分かった」
俺は覚悟を決めた。
「俺は、ルナがもし消えてしまったらって考えると、耐えられない。そう思っていたから、きっと弱気になってたんだ。でも、自分勝手にルナを守ることばかり考えて、お前の気持ちを考えていなかった。
俺だって、ルナが好きだ。だから……これだけは約束してくれ。絶対に死なないと」
「うん、約束する」
約束を交わした俺たちは、その後も組手を続け、己を鍛え合った。
「それでは、行ってきます」
「頼んだぞ、ステラ、ルナ」
「「はい!」」
二人で元気に返事をした後、イラ様はキーブレードを使い、ゲートを開いた。
「ここから先の世界は、お前たち二人が行ったことのない世界だ。必ず帰ってこい」
俺たちは頷いて、ゲートに飛び込んだ。
ゲートの先の世界は、縦に長い建物。ビルが沢山並んだ街だった。
「ここは、ほんとに今まで行ったことの無いような世界みたいだ」
「ここ、すごい世界だね。とりあえず探してみよう」
そう言って二人で探索を始めようとすると、背後から声がした。聞き覚えのある、甘ったるい声だ。
「やあ、また来てくれたんだね。僕はね、ステラ、君が来るのをずっと待っていたんだよ。街の人を適当に襲っていれば、来ないわけないからね」
ナイトメアチリシィ……。やはりこいつが。
「やっぱりお前だったのか。俺が来るのなんて待たずにこっちに来れば良かったじゃないか。わざわざ関係ない人を襲う必要ないだろ」
「まあ、それもそうなんだけどね。アレ、君たちの言う黒装束、だっけ? そいつらをちょっと強くして待ってようと思ってね。ステラと戦うに値するくらいの強さに、ね」
「ふざけんな! それが人を襲っていい理由にはならないだろっ!」
「ステラ! 少し落ち着いて。亡くなった人はもう戻らないけど、今いる人たちを守ることは出来るよ。怒りに任せて動けばなにも守れない」
「あ、あぁ。ごめん、そうだな」
そうだ、怒りに身を任せていては何も解決しない。それこそ、闇の力を利用することになってしまう。
「ふーん。こないだよりさらに成長したねぇ。嬉しいよ。それじゃあ、君が前に倒したこの子達が、どのくらい強くなったか、確かめさせてあげるよ」
ナイトメアチリシィが号令をかけると、あちこちにいた三体の黒装束が、一箇所に集まってくる。俺とルナはキーブレードを構えて、真っ直ぐに黒装束を見据えた。
これが、最後の勝負だ――。
さあさあなんか凄いとこで終わっちゃったねぇ。
ステラとルナの会話、ほんとに書きながら筆者にやにやしております(。-∀-)
多分次回で最後くらいになるかなぁ。イラ様との会話とその後のステラの考えで、この後の展開結構予想できちゃうかもしれないけど、次もお楽しみにね。
ちなみに主は暫く書けない状況になってしまうので、すこし投稿期間が空くかもしれません
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