愛玩少女 (虚弱職人)
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第1話

大半が初めましての方かと思われます。あるいは、お久しぶりの方もいるかもしれません。数年前にもデートの(その頃は全年齢向けしか書いてませんでしたが)二次創作を投稿していた、虚弱職人と申します。

本作のコンセプトは「女の子が女の子に調教されて淫らな身体に作り替えられる話」です。

琴線に触れましたなら幸いです。では、どうぞ。




 天宮市有数の名門校、私立竜胆寺女学院。

 赤煉瓦を基調とした造りは芸術とまで評される。学院へ入り、学院に通い、学院から巣立つ事そのものが名誉とさえ言われ、この学院の出である事は後の人生へ大きな影響を及ぼすほど。

品行方正、文武両道、その他学び舎としての模範の言葉をかき集めたような学校。

 

「…………っ………」

 

 そんな場所の最中にあって、私はおよそあるべきではない声を必死に抑えようとする。そんな努力は無駄だと言わんばかりに、()()()()()()()()()は動き続ける。堪えきれなくなって、わずかに喉を震わせながら息を吐いた。

 

「…………ふ、ぅぅぅっ…」

 

 吐息が熱い。温度は同じはずなのに、喉からこぼれ落ちるようにして漏らした息が唇に触れた瞬間、火傷しそうだと錯覚しそうなくらいの熱を感じた。身体の中が、それ程までに熱かった。

 意識もおよそ平静ではなくなって来ている。頭の奥がジリジリと焼かれるように痺れているし、視界も時折ぼやけて映る。準備運動をする運動部の掛け声や、練習に励む吹奏楽部の演奏もどこか遠くに聞こえる。

 

そして何より。

 

 

「────んぅぅっ………♡♡」

 

 

 微かな風が首筋や太腿をくすぐるだけで、全身に走る()()

 

 身体の内側で震える小さな機械が、私の体をすっかりおかしくしてしまっていた。

 

「はぁっ、はぁっ……ふぅぅっ」

 

 ふらつきそうになる足を叱咤し、伸ばした背筋を維持したまま歩みを止めないよう力を入れ直す。側から見れば異常はないはず。口数が少なくて、歩くスピードが遅くて、多少顔が赤くなった程度なら、風邪気味なんだよと誤魔化してしまえばいい。そう自分に言い聞かせながら、前へ視線を向けた。

 そこには、1人の少女を中心に学友達が列を作って、荘厳な装飾があしらわれた校門へ向かって歩いている。私もその中の一人ではあるけれど、歩みの遅さのせいで一歩引いた位置から見てしまう。

 なんだか軍隊みたいだなあとか、前に見た医療ドラマにもこんな感じで人を連れて歩くシーンあったなあとか、そんな意味のない感想が頭に浮かぶ。

 そんな事を考えているのはきっと私だけで、遠巻きに見ているであろう他の生徒達はきっと、憧れの目で彼女達を──特にその中心にいる『彼女』を──見ているんだろう。

 

「ふふ、今日もいい一日でしたぁ」

 

 門を手前で、どこか間延びしたような、優しげな声で少女が笑う。小さな花飾りをあしらった淡い紫の髪。日の光を浴び輝いてさえ見える白い肌。

 彼女の名前は、『誘宵美九』。才媛の集う竜胆寺にあって異彩を放つ少女。知る人ぞ知る幻のアイドル。『お姉様』と慕われる皆の憧れ。

 

 

 そして────私の身体をこうした張本人。

 

 

 赤煉瓦の石畳を軽やかに踏みながら、周囲を取り囲む少女たちへ目を向ける。彼女たちは皆、美九が選りすぐりした、お気に入りの女の子達。かく言う私もそのひとり。ただひとつだけ、他の子とは違う役割が与えられているけれど。

 

「それではみなさん、また明日ぁ」

『はい、お姉様。また明日』

 

 周囲にいる少女たちへ挨拶を送れば、息を合わせて挨拶が返される。

 にこやかな笑顔で小さく手を振りながら、少女達を見送り──くるりと踵を返し、1人だけ美九の元に残っていた私へ向けて、そっと身を寄せて来た。

 

 

【────やっと、ふたりっきりですねぇ】

 

 

 その『声』を聞いた瞬間。視界がぐにゃりと歪んだ。

 

「ひっ、い゙ぃっ…♡♡」

 

 全身がぞわりと粟立つ。身体の熱が一気に上がって、心臓が狂ったように暴れだす。周りの音が聞こえなくなる。それなのに『()()()』の声だけは、()()()()()()()()()()聞こえる。脳の芯に電気でも流されたみたいに、頭の中がばちばちと白くなる。

 意識して力を込めていたはずの足がくずおれて、ふらり体が傾いていき、『お姉様』の身体に倒れ込んでしまった。

 

「あらぁ、積極的ですねぇ」

 

 そんな私の様子をクスクスと小さく笑いながら、『お姉様』はさらに体を密着させて、その肢体を絡ませてくる。

 足を絡め取る様に股の間に片足を。支える様に腰に片腕を。そして、するりと衣擦れの音を立てながら、スカートの中をまさぐってくる。

 

 くちゅり。

 

「ひっ───♡♡♡」

 

 粘性を含んだ水音。

 混濁した意識の中でも、その音ははっきりと聞こえてしまって、思わず息を詰まらせる。そんな私の様子に構う事なく『お姉様』はスカートの下から……否、私の()()から、それを引っ張り出した。

 

「い゙っっ♡♡♡」

 

 一瞬、内臓が引き摺り出されたかと思った。短い悲鳴が引き攣った喉から搾り出される。

 『お姉様』の手で膣壁を擦りながら取り出されたのは、ピンク色をしたカプセル状の機械。ぶぶぶぶ、と振動しながらかすかな音を立てている。かちりとスイッチを切り振動を止めたそれを、『お姉様』は見せつけるように私の目の前に掲げて見せた。

 

【ほらぁ、見てくださぁい♡こんなにどろどろにしちゃってぇ…♡】

 

 『声』をかけられた瞬間、視覚だけが元に戻ったように、視界が一気にクリアになった。言われるがまま視線をやると、ぬめりのある液体で全体が濡れていた。

 私の身体をおかしくしていた機械。俗にローターなどと呼ばれるそれは、今日一日中この身体の中で快感を生み出し続けていた。

 こんなものを一日中膣内に入れて、一日中責められて、それを気持ち良いと感じて、挙句股を濡らしていた、そんな私は────。

 

【────へぇんたい♡】

「ひゔっ、んっ♡♡」

 

 耳の中を犯すように、吐息をぶつけながらその事実を囁きかけられた瞬間、震えが止まらなくなってしまった。

 囁きかけられた言葉の意味。鼓膜に息を吹きかけられ、脇腹や背中に走るぞわぞわっ、とした感覚。『彼女』の『声』を聞かされたという事実そのもの。それらが全てない混ぜになって、私の脳を犯してくる。ただでさえ身体がおかしくなっていたのに、そんな事をされてしまっては、到底我慢なんてできなくて。

 

「はっ、あ゙っ♡イっ、ぐっ、うぅっ♡♡」

 

 イく。

 

 自分が今どこにいるかなんて忘れて、自分を苛む快感に耐えようとしていた事も、周りに気づかれないよう誤魔化していた事も、何もかも忘れ去って、はしたなく股を濡らして、絶頂する。

 身体全体ががくがくと痙攣を起こして、背中に電気が走ったみたいに震えて、そして、そして────。

 

「…………ゔぅぅっ♡んぅぅぅぅぅ♡」

「ふふふっ♡」

 

 イけない。

 

 頭の真ん中にくさびを打ち込まれたみたいに、そこから先へイけくなった。苦しくて、もどかしくて、耐えがたくて悶える私に、『お姉様』は笑みを濃くする。

 

「お゙っ、おねっ、おねえさまっ♡♡あ゙あ゙っ♡♡」

「どうしましたかぁ?」

「いっ、い゙っ♡イかせてっ♡くださいっ♡♡い゙い゙ぃっ♡♡おねがい、しまっ♡あ゙はぁっ♡」

「ふふふっ♡はしたないですねぇー♡そんなにイきたいんですかぁ?♡」

 

 再びスカートの中をまさぐられ、今度は愛液でぐしょ濡れになったショーツ越しに膣口と陰核近くをくちゅくちゅと音を立てながら揉み込まれる。

 

「うっくぅぅっ♡♡ひあ゙っ♡い゙っ♡あ゙あ゙っ♡♡」

 

 ほんのわずかな時間の、かすかな指の動きではあっても、明確に快楽神経を弄られる形で叩き込まれた快感は強さが違う。濡れた下着が擦れる感触に、『お姉様』の指が水音を立てながら擦りつけられる感触が上乗せされて、弾けるように激しいのにどこか甘美とさえ思えるような、そんな気持ち良さが小さく爆発する。『お姉様』の制服に縋るようにしがみつきながら、狂ったように痙攣する身体に任せて果てようとする。

 

【だぁめ、ですよぉ♡】

「ひぎぃっっ♡♡」

 

 無理やり堰き止められたように、絶頂感がぴたりと止まる。

 楽器を操るように、こちらを責め立ててくる細い指はそのままで。身体を満たし同時に蝕んでくる快感は、一切衰えずに私を苛んでくるのに。

 

「学校で興奮しちゃうようなへんたいさんにはぁ」

「ああっ、あぁぁぁ……♡♡」

「おしおきしちゃいますぅー♡」

 

 ちゅっ、と小さな音が鼓膜のすぐ目の前で響く。『お姉様』が細めた舌を耳の中に入れながら、クリトリスをきゅっとつまむ。

 

「いあ゙あ゙あぁぁっ♡♡♡♡」

 

 人目も憚らずに強制を上げながら、ビクンッ、と身体を大きく震わせる。

 それでもやっぱり、絶頂することだけはできなかった。

 

 

【────続きは家で、いっぱい楽しみましょうね♡】

 

 

 拒むだけの力は、残されていなかった。

 

 

 




登場人物紹介

・『私』
本作オリジナルキャラクター。ヒロイン。美九にめちゃくちゃにされる女の子。名前はあるが、おそらく出てこない。
士織ちゃんではない。精霊にも全く関係ない一般人。ただ精霊でもおかしくないくらいには美少女。

・誘宵美九
ご存知百合っ娘。可愛い女の子が大好き。『私』をめちゃくちゃにする。



以下雑記。

原作の誘宵美九のパーソナル
・百合、レズ属性
・折紙や夕弦と並んで肉食系に分類
・霊力封印前は自分の欲求を叶えることに躊躇がない
→霊力封印前の美九なら確実に女の子の1人や2人性的に喰ってるんじゃね?

という構想からこの小説が生まれました。
作中ではオリキャラちゃんの一人称で進むため描写していませんが、時系列は美九が精霊化した後かつ士道とのファーストコンタクトよりも前、要するに霊力封印前になります。なので他人を『声』で操り尽くすことに躊躇がありません。
そんな美九に見染められた『私』が、美九の手により淫らに調教されていきます。ここまで読んで下さった方ならお分かりかと思いますが、作者は女の子が女の子の手によってエッチにさせられるのが性癖です。

ここ数ヶ月の間でどこぞの「受け取ったリクエストを爆速で超クオリティで仕上げる」という化け物じみた執筆力を持つお方にリクエストを投げまくっていたところ、リクエストの文量が嵩み始め、最終的に執筆意欲が再燃してしまったがためにこんなものをしたためてしまいました。

誰かの性癖に刺さったならば、これ以上ない喜びです。

感想や評価、誤字報告は大歓迎でお待ちしています。特に誤字報告は容赦なく指摘してくださると非常に助かります。
では、また次回お会い致しましょう。


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第2話

7/27
R-18日刊ランキング
4位 愛玩少女

なん…………………だと……………………?





 

 

 美九が『彼女』と出会ったのは、気まぐれや小さな偶然が重なった結果だった。

 

 その日美九は、持って帰って洗濯をするつもりだった体操着を教室に忘れてしまった。放課後になってから時間も経ち、既に下校しているお気に入りの女の子たちにわざわざ『お願い』をするよりも、自分で取りに戻ったほうが早いと判断し、1人で取りに戻る事にした。選りすぐんだ可愛らしい少女達と一緒に歩く時間は美九にとって日常だが、たまには1人で校舎を歩くのも悪くはないだろう。そんな気紛れを起こしたのも理由のひとつだったけれど。

 

 何事もなく忘れ物を取った頃には日も傾き、夕日で空が染まりかけていた。そんな時に、美九の耳が奇妙な音を捉えた。

 

 全身ノイズまみれという奇怪な姿をした誰か────『神様』から特別な『声』と力を貰った事で精霊となった美九は、こと声や音に関して優れた感覚を持っていた。もとより素養があったのか、受け取った力がもたらした副次的なものなのかはわからないが、とにかく美九は、その些細な音を聞き分けた。聞き分けてしまった。

 

 

 

『……ふぅっ、ふぅ……ひぅぅっ……♡』

 

 

 

 ────少女の嬌声のような、その音を。

 

 聴覚と勘を頼りに音の方角へ足を進めれば、たどり着いたのは美九とは違うクラスの教室。声の発生源と思しき場所からは、よりはっきりと美九の耳に届いてくる。

 

『………はっ、はっ、はぁっ…ぁぁぁっ…♡』

 

 間違いなく、少女の喘ぎ声。それだけではなく、美九でなければ気付かない程の小ささではあるものの、微かに水音のようなものも聞こえ始めている。

 美九とてその手の知識はある。いや、むしろこの学院の生徒の中で見れば明るい側の人間だろう。音の様子から中で何が行われているか大方の察しをつけた美九は、あえて気付かれないように息を潜めて教室の様子を伺うことにした。教室の出入り口の引き戸には小窓がついており、中の様子を覗くことができる。

 そこには、美九の予想と違わない光景があった。

 

『……ふぅーっ♡……ふぅーっ♡』

 

 椅子の上で足を広げて座る少女。はしたなくスカートがまくり上がり、ずらされている下着から肌色が覗いている。夕日の中でもはっきりとわかるほど顔を赤らめ、息を乱しながら足の間をまさぐっている。指が動くたびに、くちゅくちゅと粘度を感じさせる水音がする。

 

『はぁっ……はぁっ……んんぅっ♡♡』

 

 教室の中にいたのは、夢中になって自分を慰める少女だった。

 

『ふっ♡ふっ♡ふぅっ♡うううっ♡♡イッッ♡♡』

 

 息を潜めてじっと様子を伺う。美九が見ていることなど気付きもせずに、一心不乱に秘部を擦る少女。いよいよ息を荒げて呼吸を始める。指の動きが早まっていく。

 

『あっ、はぁっ…♡イっっ…くぅ……♡』

 

 

 いよいよ果てようとする、まさにその瞬間。

 

 

『あらぁー?なにしてるんですかぁー?』

 

 

 その瞬間を見計らうように、美九は扉を開けて声をかけた。

 

 

『いっ……!?いやっ♡いやぁっ♡みないでっ、みないでっ、みないでぇ♡……んぅぅぅぅぅぅっっ♡♡♡』

 

 

 突然現れた美九に驚いた『彼女』だったが、絶頂し始めた自分の体を止めることなどできない。背中を丸めるように身を屈めながら、あっけなくイってしまった。

 

『はあっ、はあぁ、はぁぁぁぁ……♡♡』

 

 人に見られたという事実に対する絶望感か、はたまた激しい絶頂の余韻からか、『彼女』はあられもない姿を美九に晒しながら放心してしまっていた。

 

()()()を見て。絶頂に耽り、快楽に浸り、あまつさえそれを他人に見られた、『彼女』の顔を見て、

 

『────────ッッ♡♡♡♡』

 

 誘宵美九は、これまで他人に抱いた事のない感情が自分の中に生まれるのを感じながら、全身をゾクゾクと震わせながらある欲望を抱いた。

 

 もっと見たい。

 

 この顔を、もっと見てみたい。

 

 窓に映る美九の顔には──アイドルにはおよそ似つかわしくない、嗜虐的な笑みが浮かんでいた。

 

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

 

「今日の学校はいかがでしたかぁー?」

 

 シャワーから流れ出た温水から湯気が立ち上り、空間を白く濁らせている浴室。

 家主である美九は、『彼女』を後ろから抱きしめるようにしながら、もったいぶった手つきで石鹸を塗りたくり、わざとらしく明るい声音で尋ねた。

 

「はぁー……はぁーっ♡……んぅっ…♡」

 

 柔らかい肌を美九の指が滑るたびに、たまらなそうに身を捩る『彼女』からの返答はない。

 

「ふぅっ、ふぅっ、ふぅっ………んぅぅぅぅぅっ♡♡♡」

 

 催促するように指先を肌に沈ませてつつつ…となぞってやると、嬌声と身体の震えが長くなった。

 

 肌荒れひとつない美しい肢体が淫らにくねる様子を愉しみながら、美九は今日一日の事を思い返す。

 美九が『彼女』へ『()()()』した事はふたつ。ひとつは、ローターを膣内に挿入したまま放課後まで過ごす事。ふたつ目はどれだけ気持ち良くなっても絶頂だけはしない事。

 美九の持つ特別な『声』──〈破軍歌姫(ガブリエル)〉を用いた『お願い』は絶対の強制力を持つ。特に絶頂を禁じた結果、『彼女』の身体は絶頂に近づけば近づくほどギリギリイけない程度まで勝手に我慢を始めるようになっている。達する事で解放される筈の快感が、青天井に積み重なっていく。そんな考えただけでも頭がおかしくなりそうな条件を、『彼女』は律儀にやり通して見せた。もっとも、美九が『声』を使って出した命令は必ず遵守されてしまうわけだけれど。

 身体を蝕む熱に必死に耐える姿があまりにも可愛らしくて、ついつい下校前に軽く責め立てて鳴かせてしまったが、それにも『彼女』は可愛らしい反応を見せてくれた。

 足取りもおぼつかない身体を抱きかかえるように横から支え、時折ローターの代わりに膣口を指で嬲り昂らせながら自宅へ連れ帰った。

こちらの指の動きに合わせて身体をびくつかせるのがおかしくて、ついつい秘所を激しくを擦り上げてしまうこともあった。美九が口を塞がなければ、人目も憚らずに叫んでいたかもしれない。それほど強烈に責め立てられてもなお、美九の『声』によって絶頂を封じられたままの身体は達する事が許されない。もどかしそうに腰をくねらせ、懇願するかのように潤んだ瞳でこちらを見上げるのがたまらなかった。

 

 だが、まだ足りない。

 

 もっと責めて、もっと弄って、もっと焦らして、もっと疼かせて、その上で────。

 

 逸る気持ちを抑えながら、ようやく美九の自宅にたどり着くと、手早く服を脱がせて浴室へ入った。洗濯は家政婦にでも任せておけば問題ないだろう。

 

「もう、どうだったんですかーって聞いてるのにぃ」

 

 身体を洗ってあげながら問いかけても答えてくれない『彼女』に、美九は拗ねたように唇を尖らせた。

 とはいえ、それも仕方のないことかもしれない。『彼女』にかけた絶頂封印はまだ解かれていない。長時間にわたって責め立てられ蓄積した快感は、そのまま発散することを許されないまま、美九に触られるたびに上乗せされ、『彼女』を生殺しにしている。

 まあ、『声』を使って問い質せば無条件で返答してくれるだろうが、あくまで『()()()()()()言わせるのが良いのであって、安易に聞き出すだけでは面白くない。

 

「…………えいっ♡」

「────んひゃぁぁぁっ♡♡♡」

 

 するりと股の間に片手を差し入れ、膣口の周りを揉みしだく。反射的に身を屈めようとした『彼女』の体をもう片方の腕でぐいっと引っ張り、後ろから腰を突き出して退け反らせるような体勢にする。快感に全く耐えられない姿勢を強制させられ、『彼女』はすぐに根を上げた。

 

「いうっ、いいますっ♡こたえますからっ♡おねがっ♡ゆびっ、とめっ、とめてっ────はあぁぁっっ♡♡」

「ほらほらぁ、早く答えないともっとぐちゃぐちゃにしちゃいますよぉー」

 

 小陰唇の右側と左側それぞれに、人差し指と中指をくにゅっと押し込み、ゆっくりと上へ下へと擦ってやる。ナカには触れない弱々しい責め方だが、責めの激しさと得られる快楽は必ずしも比例しない。指の動きに敏感に反応し、ひくひくと収縮を繰り返す秘裂の間から、どこかぬるりとした液体が湧き出て、絶頂しようと震えが強まり──いきむように力がこもり、絶頂に耐えようと強張ってしまう。

 美九の『お願い』は、快楽の発散を許さない。

 

「そのっ、ぉっ♡ずっと、おなかのなかに、ぃぃっ♡おもっ、おもちゃを────」

 

 答えない限りこの生殺し状態がずっと続くと察したのか、下腹部を犯してくる甘い感覚に悶え、途切れ途切れになりながらも、『彼女』は爛れた一日を詳らかにし始める。

 だが──。

 

「『おなかのなか』って、()()のことを言ってるんですかぁー?」

「ぁぃっ♡♡」

 

 どこかぼかしたような表現に、美九は容赦なく待ったをかけた。中指の腹を膣口の割れ目に触れさせるという直接的な罰も加えて。

 これまでローターでしか責められていなかった膣内へほんのわずかに食い込ませると、『彼女』の反応が劇的に変わる。特に、手首に触れている下腹部から伝わってくる膣内のうねりは顕著だった。

 

「わっ、わたしっ、のぉっ♡お゙っ♡そのっ、わたしのっ、あっ、()()()に……」

「………………」

「んひゃぁぁっ♡♡お゙っ♡おまんこですっ♡♡わたしのおまんこのナカですっ♡♡」

 

 卑猥な言葉を口にすることへの抵抗が特に強いのか、言い淀んだ末にまたもや曖昧な単語で誤魔化そうとしたのを、ぬるぬると割れ目を擦る指先で咎める。反射的に淫語を叫んだ声が、浴室中に大きく反響する。

 自分の耳にもしっかりと届いたのだろう、『彼女』の息がさらに荒くなっていった。

 

「はぁっ、はぁっ、い゙んっっ♡♡♡そっ、そのっ、おまんこのなかにっ♡えっちなおもちゃをっ♡いれてっ、ぇっ♡すごしててっ♡ずっとっ♡きもちよくされてましたぁっ♡」

「うんうん、学校の中なのにきもちよさそーにビクビク震えちゃってましたねえ……へんたいっ♡」

「────ッッ♡♡」

 

 下校前と同じように囁いてやると、再び身体全体が跳ねた。

 

「あははっ♡またビクってしたぁ…♡『へんたい』って囁かれるたびに興奮するなんてぇ……本当にどうしようもないドMさんなんですねぇ♡」

「うっ、ぅぅぅ……♡♡」

 

 嘲笑うように罵倒を添える。恥ずかしそうにうめきながらも、否定する素振りを見せないあたり、『彼女』自身ある程度の自覚があるのだろう。

 

「ひぁ、ぁぅ…♡♡」

「クラスメートさんやお友達の様子はどうでしたかー?気付かれませんでしたかぁー?」

「はぁっ、はぁっ……♡かおがあかいこと、かっ♡ふ、ぁぁっ♡♡いっ、いきがあらいこととかっ♡しんぱいされてっ♡♡」

「やさしいお友達ですねぇー♡そんなふうに心配してくれてたのにぃ……ねぇ、あなたはどんなふうになっちゃってたんですかぁ?♡」

「あ、わたっ、わたしは────♡」

 

 仔細に語るにつれて、より鮮明に思い出してしまったのか、背中越しでも伝わる『彼女』の心臓の鼓動が荒くなる。

 

 

「ともだち、にっ♡みられながらっ♡♡おまんこのなかっ♡♡ブルブルってふるわせてっ♡ずうっときもちよくてっ♡」

 

「でもイけないからつらくてっ♡でもイけないのがきもちいいってなってっ♡おかしくなりそうでしたぁっ♡♡♡」

 

 

 真っ赤になりながら話を終えた『彼女』に、美九は満足げな笑みを浮かべた。

 

「ふふふ、よくできまし……たっ♡」

「ひぁぁぁっっっ♡♡♡♡」

 

 最後の仕上げとばかりに股の間へ差し入れていた手を、秘部へ強く押し当てながら勢いよく引き抜いた。膣口とクリトリスが同時に強く擦れ、甲高い嬌声が浴室に反響し、一瞬弓なりに反り返った身体が一気に脱力する。腰が抜けてしまったのか、崩れ落ちそうになった身体を片膝に緩く腰掛けさせるような姿勢にすることで支えてやった。

 

「ゔぅぅっ、んううぅぅぅ……♡♡♡♡」

 

 イきたくてたまらないという自身の意思に反し、必死に耐えようとしてしまう身体。懇願するような切ない嬌声をあげる『彼女』を尻目に、互いの全身の泡を洗い流そうとシャワーの蛇口を捻る。適度な温度と勢いで流れ出る水流が、密着する2人へ降りかかっていく。

 

「ひぅぅぅ……ぁぁぁぁっ……♡」

 

 肌の上で雫が弾ける感触や、皮膚の上を水滴が流れていく感覚すら淡い快感になってしまうのか、身体を洗い流している間、『彼女』はずっと甘く悶えていた。

 

「ふふふ……♡」

 

 上半身と足をあらかた流し終わったあと美九は、一度蛇口を捻ってシャワーを止め、意味ありげに笑ってみせる。そして、唯一泡が残っている股の間へ、手に持ったシャワーヘッドを近づけていき──

 

「やだ、やだ、それはやだっ、だめ、だめ、だめぇ…っ♡♡」

 

 美九が何をするつもりか察したのか、『彼女』が怯えたような顔でこちらを見る。笑みを濃くしながらも、わざとらしく優しい声音で語りかける。

 

「いっぱい気持ち良くなって、いっぱい濡らしちゃいましたからねぇー♡()()はしっかりと洗い流さないとぉ♡」

「まっ────」

 

 静止しようとした『彼女』の声を遮るように、蛇口を一気に捻った。

 

「────〜〜〜〜〜ッッッ♡♡♡♡」

 

 秘部を強い水流で叩かれた『彼女』の身体が思い切りのけ反った。

 

「あ゙あ゙あ゙ぁぁぁぁぁっ♡♡♡い゙い゙っ♡♡♡はあ゙っ♡あ゙がっ♡♡い゙あ゙ぅっ♡♡い゙ぁああぁぁっっっ♡♡♡」

 

 美九の指での繊細な動きとはうって変わって、乱暴に膣口を刺激する。

 既に身体が限界に達していた『彼女』は、すぐに決壊してしまった。

 

「もっ、お゙っ♡がまんむりぃ♡むりですっ、ゔっ♡ゔゔうぅぅぅ♡♡♡」

 

 激しすぎる快感に反射的に足を閉じ、水流を閉じ込めたことで快感が増し、そこから逃れるために足を開き……と忙しなく足を開閉させる『彼女』。逃げることは許さない、と暗に示しすようにギュッと抱きつきを強くした。

 

「ダメですよぉ……♡……だって……学校でエッチな気分になっちゃうようなへんたいさんは……躾けが必要じゃないですかぁ♡♡♡」

 

「んはあ゙っ♡♡はっ、いやっ、いやあ゙ぁぁあぁぁあぁあぁぁぁっ♡♡♡♡」

 

 

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

 

 

 

 あの後。気が済むまで『彼女』の膣口を虐め抜いた美九は、浴室から上がり、濡れた身体をタオルで乱雑に拭い寝室へ入った。

 美九に嬲られながらとはいえ、学校から家まで徒歩で向かった事で少しは鎮まっていた身体が、浴室で散々責め立てられたせいかすっかりと出来上がっていた。頬だけではなく、全身が茹だったように火照り赤みを帯びているのは、湯によって温められたからだけではなく、激しい快楽に身を焼かれた証拠。

 

 そんな『彼女』の両手を上げさせ、両手首をまとめて縛り、ヘッドボードの装飾と繋げ手を下ろせなくさせた。『声』を使えば動けなくさせる方法はいくらでもあるが、こちらの方がいろいろと()()ものがある。

 準備を終えた『彼女』の姿を見下ろし、満足気に頷いた美九は、ゆっくりと身体を重ねるように覆い被さった。

 

「ひっ、ぁ……♡」

 

 柔肌同士が擦れる感触に小さな喘ぎ声が上がる。反応こそは細いものだが、焦らしに焦らし抜いた身体はもはや全身が性感帯に等しい。身体全体に快楽が滞留し、甘い疼きとなって『彼女』を責め立てている。

 ずっと震えが止まっていない『彼女』の耳に、美九はそっと口を寄せた。

 

「…………そろそろ、イかせてあげようと思うんですぅ♡」

「────ッ♡♡はっ、あ゙っ♡♡」

 

 その言葉を聞いた瞬間、『彼女』の身体がピクリと跳ねる。顔に拭きかかる息の荒さと熱さが、期待の大きさを知らせてくる。

 

「ふっ、ゔぅっ♡♡い゙っ♡イきたい゙っ♡♡イきだい゙ですっ♡♡♡」

「ふふっ、そうですよねぇ……♡…いっぱい我慢して……こんなにエッチなっちゃった身体で……イっちゃったりしたら……とぉっても気持ちよさそうですねぇ……♡♡」

 

 叫び続けたせいか少し掠れてしまった声と、潤んだ瞳で懇願してくる『彼女』。

 イかせてもらえるという期待だけで、綺麗に拭き取ったはずの股座が水気を帯びている。

 期待をさらに煽るように膣口に人差し指と中指で緩く触れながら、新しい『お願い』──否、『()()』を加えようと、喉を震わせる。

 

 

【────今からあなたは、私にキスされている間だけ、イくことができます】

 

 

「ふ、ぇ…?」

「あはっ、ただイかせるだけじゃつまらないじゃないですかぁ♡」

 

 困惑する『彼女』に笑いかけながら、膣口に触れさせていた指を、一気に中へ沈み込ませる。

 

「ひぎい゙っ♡♡」

 

 ぐちゅっ、と濡れた音を立てて美九の指を2本飲み込んだ膣内はぐずぐずに溶けており、万力のような力で美九の指を締め付けようとしながらも、柔らかくふやけてしまった膣内では緩く絡みつき吸い付くことしかできなくなっている。

 そんな『彼女』の反応に気を良くした美九は、上側の膣壁にあるざらりとした部分──Gスポットに指を触れさせた。

 

「あ゙っ────ッッッッ♡♡♡♡」

 

 締め付けがさらにきつくなって、ごぽ、と耳にはっきり聞こえてしまうほどの音を立てながら、どろりとした愛液が溢れてくる。身を捩らせた表紙に縛られた両腕が動き、ぎち、と音鈍いを立てる。

 最後に合図をするように、『彼女』の頬に片手を添えた。

 

 

「いっぱいキスしながら……たっくさんイかせてあげますね…♡」

 

 

 そう言って美九は、柔らかい唇をそっと合わせて──Gスポットに突き立てた指を一気に動かして、小さく、それでいて強く擦り上げた。

 

 

「んぅ……♡」

「ふ、んぅ……♡」

 

 ささくれひとつないしっとりとした唇は、溶けて無くなってしまいそうだと思ってしまうほど、酷く熱くて、何より柔らかい。思わず美九の方もうっとりと息を漏らしてしまう。

 それは『彼女』も同じのようで、視界いっぱいに映る瞳がふっと緩んだ。

 

 そして、次の瞬間、

 

 

「────ん゙んゔゔぅぅううぅ〜〜〜〜ッッ♡♡♡♡♡♡♡♡」

 

 

 両目を力一杯開いて、塞がれた口の中でくぐもった叫び声を上げながら、待ち焦がれた絶頂を迎えた。

 

「ん゙っ♡ん゙ん゙っ♡んぐゔぅぅっ♡♡んうぅぅぅううぅうぅっ♡♡♡」

 

 電気を流されたように痙攣しながら暴れる身体を抑えながら、美九はキスを続けながら膣壁を擦るのをやめない。

 

────にちっ♡にちゅっ♡にぢゅっ♡にちっ♡

「ん゙っ♡ん゙ん゙っ♡んっ♡ゔうぅぅぅっ♡♡」

 

 美九が指を動かすたびに、粘着質な水音と呻き声のような喘ぎが同じリズムを刻む。

 溜めに溜めた快楽は一度の絶頂程度では到底解消できるものではなく、そのまま二度、三度と連続でイキ狂い始めてしまった。

 Gスポットを責め立てる美九の指先の動きに合わせるように、ぷしゃ、ぷしゃ、ぷしゃぁぁっ、と断続的に潮を吹く。美九の手のひらや手首は一瞬でぐしょ濡れになってしまった。膣内が狂ったように収縮し美九の指を食い締めてくる。

 

「んっ、んぐうぅっ、んんっ、ぷはぁっ♡♡」

「ふ、ぅ…はっ……あれぇ…?♡」

「はひゅっ、はひゅっ、はぁっ、はぁっ……♡」

 

 本当に気持ちよさそう、などと美九が思ったのも束の間、突然『彼女』の顔が横に暴れて、口付けが途中で離れてしまった。

 必死に息を吸う様子から、どうやら口を塞ぎながら果てさせられたせいで息苦しくなったらしい。

 だが──

 

「ふぅっ、ふぅっ、ぅぅ………んっ、あ゙っ、ゔっ、うぅぅぅぅっ………♡♡♡」

 

 息を整えている途中で、先ほどと同じようにもどかしさに悶えるような喘ぎ声を上げ始めてしまう。唇を離した事で、【キスをしている間だけ】という条件が外れてしまい、再びイくことができなくなってしまったのだ。

 

「もう、キスしている間だけって言ったのに…はむっ♡」

「んゅっ…♡♡ん゙ゔっ♡♡♡ゔゔぅぅぅっっ♡♡」

 

 呆れたように言った美九がもう一度唇を重ねると、再び絶頂が始まる。けれど、また息苦しくなってしまうのか、すぐに口が離れていってしまう。

 

「はっ、はっ、はぁーっ、はあ゙っ♡♡」

 

 美九にとって、キスの合間に呼吸をすることはそれほど苦ではない。だが、膣内を責め立てられて呼吸を乱される『彼女』はそうもいかないらしい、と何となく理解はした。

 とはいえ、『声』を使って静止させようとすれば本当に石のようになってしまう。さりとて、このままでは埒があかないのも事実。

 

「…………もう、仕方ないですねえ」

「はあ゙んっ♡♡」

 

 ほとんど自分のせいである事を思いきり棚に上げた美九は、大きく開けて乱れた呼吸をする『彼女』の口へ、もう1度自分の口を寄せる。しかし、今度はただ口付けるだけではなく──

 

「んっ、れぉぉ…♡」

「んむっ────んぅうぅっ…!?♡♡」

 

 にゅるり、と一気に舌を入れた。

 戸惑うように喘ぐ『彼女』の舌を、美九の舌で絡め取って、そのままくちゅくちゅと擦り合わせる。

 

「んゔっ♡ん゙っ♡ちゅるっ♡ん゙ぅぅっ♡」

 

 次いで、首の後ろに回した手に力を込めてしっかりと掴み、ねじ込んだ舌をさらに奥へ奥へと進ませて、泣きそうな顔で痙攣しながら再び顔を離そうとする『彼女』を抑えつける。

 

「んむふぅ……んちゅるっ、んっ♡♡ふぅん……んんっ♡♡」

「んっ、んっく、ん゙んんっ♡♡んちゅっ♡んんっ、じゅるっ♡♡んぅぅっ♡♡」

 

 息苦しさはそのまま。だが、奥深くまで口付けられ、首根を抑えつけ顔を背ける事を許さない。

 苦しそうに呻きながらも、粘膜同士を擦り合わせる快感にどこか酔いしれるような嬌声が混ざる。

 

「んっ、ぐちゅるっ、んぅ……ちぅぅぅぅぅっ♡♡♡」

「ん゙ゔぅっ、ぅぅぅぅぅっ♡♡♡」

 

 ひくひくと快楽に慄くように震える舌を唇で食み、舌の裏を扱きながら強く吸い上げつつ、Gスポットを抉る指にひときわ大きな力を込める。美九の身体の下で大きく反り返った身体が、二度、三度と大きく跳ねる。

 

「ぐちゅっ、くちゅっ、ちゅるっ、ちゅうっ♡♡」

「ん゙っ♡ん゙ぐぅっ♡むゔぅぅっ♡♡ゔっ♡♡」

 

 舌の裏と下顎の間を丹念に舐めるように擦りながら、Gスポットを数十秒擦り続ける。指の動きに合わせるように、がくがくと身体が痙攣して、潮が勢いよく噴き出ていく。

 

 苦しそうな声も全部無視して、舌を絡ませたまま絶頂させて、口を塞いだまま果てさせて。

 キスをしたまま、呼吸もままならない『彼女』を、イかせて、イかせて、イかせ続けて──ふと、限界が訪れる。

 

 

「────ん゙っっっ♡♡♡♡♡」

 

 

 これまでにないほど大きく身体が跳ね、次いで限界まで強張っていた身体が一気に脱力して、ベッドに背中が落ちた。

 指で感じる膣内の蠢動や、肌に伝わる身体の痙攣は絶えずそのまま。しかし、肢体が完全に弛緩し快楽に身を任せてきっている。

 

 ランナーズハイ。継続的な息苦しさを我慢し続けると、その息苦しさを気持ちの良い事だと誤認し、多幸感や恍惚感を得てしまう状態。

 『彼女』は今、膣内で得た快感と、()()()()()()()から生まれた快感がないまぜになって、脳を甘く犯されている事だろう。

 

 満足げに目を細めた美九はちゅっ、と文字通りのリップ音を立てながら唇を離し、『彼女』の顔を覗き込んだ。

 

 快感のあまり涙を滲ませる両の瞳。赤く染まり緩んだ頬。舌を垂らしながら細く喘ぐ口。

 

 他の女の子が相手では決して見ることのできない、『彼女』だけの、快楽に漬け込まれた()の表情。

 

──『いっ……!?いやっ♡いやぁっ♡みないでっ、みないでっ、みないでぇ♡……んぅぅぅぅぅぅっっ♡♡♡』

 

──『はあっ、はあぁ、はぁぁぁぁ……♡♡』

 

 初めて会ったあの時と同じ。いや、それ以上に快楽に蕩けきった『彼女』の顔。

 美九の見たかった『顔』が、そこにはあった。

 

「────はあぁぁぁぁぁ……♡♡♡♡」

 

 下腹部の奥が熱くなるのをはっきりと感じる。己の秘部に触れてすらいないにも関わらず、美九は確かに絶頂を覚えていた。

 

 もっと。

 

 もっと。

 

 もっとぐちゃぐちゃにして。

 

 もっととろとろに蕩けさせて。

 

 もっと可愛い顔が見たい。

 

「────もっといっぱい……気持ち良くしてあげますねぇ♡♡」

 

 蕩然としている頭で言葉の意味が理解できたかは定かではない。だが、『彼女』がイく姿を見たい美九にとっては、どちらでも良い事だった。

 ぺろり、と自分の唇を湿らせて、美九はさらにもう一度顔を寄せた。

 

 

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

 

 どれほど時間が経って、どれほど『彼女』が絶頂したのか、見当もつかなくなるくらい、熱く爛れた至福のひとときに夢中になった後。

 ゆるゆると絡ませていた舌を離し口付けを止め、ずっと膣内を責め立てていた指をずりゅっ、引き抜く。

 

「………っっっ♡♡♡♡」

「……ふふふっ♡」

 

 何度見ても愛らしく、可愛らしい顔。

 美九に嬲られた舌を垂らし、あられもないトロ顔を晒して、もはや声すら出せないままただ震えるだけになった『彼女』に、美九は笑いかけたあと、愛液に浸され続けた自分の指を見る。

 

「…………すごぉい……どろっどろ……♡♡」

 

 本来なら無色透明なはずの膣液は、あまりの快感と興奮からか真っ白に白濁し、一向に滴る気配がないほどとろりとしていた。

 

「んっ……れろぉぉ……♡♡」

 

 指を浸す本気汁をゆっくりと舐め取る。

 味はしない。しかし、舌に絡みつくような感覚と、生々しい匂いが美九の興奮をかりたてる。

 ふと魔がさして、『彼女』の両頬に手を添える。すっかり火照って熱くなった顔は、あまりの絶頂に溢れた涙の跡がうっすらとついていた。

 

「うふふっ、お裾分けですぅ♡」

 

 舌の上の愛液を飲み込まないようにしたまま、『彼女』に自分自身の愛液を飲ませるように、何度目とも知れないキスをする。口移しした本気汁を互いの唾液で混ぜあって、『彼女』の舌へ塗り込むように絡ませて、さらに深く深くへと口付けて、『彼女』の口腔内を愛でていく。

 

「………………ぅっっっ♡♡♡」

 

 すると突然、『彼女』の腰がくんっ、と浮いて、腰のあたりに温かい感触が触れた。

 

「ぇ……?」

 

 いきなり身体を暴れさせた『彼女』に驚いて、キスをやめて足元を見やる。するとそこには、ぐしょ濡れになった美九の太ももと、ピクピクと震える『彼女』の秘部があった。

 ひょっとして、これは──。

 

「もしかしてぇ……キスだけでイっちゃったんですかぁー?」

「…………ひゅーっ♡……ひゅーっ♡」

 

 問いかけたところで、掠れた様な呼吸音がするだけで返答はない。

 しかし、確かめるようにまた唇を触れさせた瞬間、またも身体を震わせ潮を迸らせた。

 ここまでされては、疑う余地もないだろう。

 おそらく『彼女』は、美九の手でキスされながらイかされ続けた事で、その記憶が強烈に頭に刻み込まれている。そして、【キスしている間だけ絶頂できる】という『命令』が相まり、キスと絶頂が頭の中で強く結びつき──キスされた瞬間、絶頂の記憶がフラッシュバックし、条件反射の様に、イく。

 

「わぁ……♡♡」

 

 キスひとつで潮を吹くほど深イキしてしまう少女。

 その甘美で背徳的であまりに淫靡な事実を理解して、美九は心の底からぶるりと震えた。

 

『彼女』はどこまで、美九を愉しませてくれるのだろう。

 

「うふっ、ふふっ、ふふふふふっ……また明日が、楽しみですねぇ……♡」

 

 期待に胸を膨らませながら、もう一度、『彼女』をイキ狂わせるキスを落とした。

 

 

 

 

 




登場人物紹介

・『彼女』
実は学校でオナニーする類の変態だった『私』。美九視点での呼称は『彼女』。キスされると反射的に潮を吹いて深イキするようになった。

・誘宵美九
ご存知百合っ娘。可愛い女の子が大好き。学校で自慰行為をしてトロ顔晒しながらイった『彼女』に性癖を歪められている。



ランキングはいつか乗ったら嬉しいなぁ…とか思ってました。1話からとかそんなん予想できるわけn
何はともあれとてつもなく嬉しいです!お気に入り登録、感想、評価等を下さった方々、何より閲覧してくださった方、本当にありがとうございます!

次回は乳首調教回。お楽しみに!


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