東方鷹伝 (劉輝)
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プロローグ

フォレストページというところで公開していましたが、設定がめちゃめちゃになってしまい、ここで作り直そうと思いやってきました。
どうぞ、暖かい目で見てください。




 

━━━━2043年━━━━

 

そこには三人の少年がいた。

 

???「・・・・・・」

 

服を血で染め、その長い銀髪もまた血で彩られていた。手にはアサルトライフル AK‐47が握られており、腰には日本の侍の魂とも呼べる刀が刺されている。

 

???「・・・ここまでか・・・」

 

同じく血まみれの姿で膝を地面についている赤髪の少年が口を開く。

 

???「敵の数は数百人・・・こっちの兵力は40人と来た・・・もう勝ち目はねえよ・・・」

 

???『敵の攻撃は強くなる一方・・・これじゃあ、援軍が来る前に僕らは・・・』

 

銃弾により穴だらけの砦からスナイパーライフルを持った青髪の少年が無線越しに話をかけてくる。

二人の声はもう諦めかけている声だ。もう目の前には絶望しかない。希望の光さえ見ていない声だった。

 

???「・・・で?それがどうした」

 

砦の中で銃の銃弾をマガジンに詰める作業をしている長い銀髪の少年が口を開いた。

その声色には絶望という文字は存在していない。ただ希望を見ているような声だった。

 

???「『えっ?』」

 

???「俺たちは生きてるじゃねえか・・・まだ生きてる。希望は捨てちゃいけねえんだ。それが俺たちの戦い方だろ?」

 

???「そうは言っても佑介。お前は何か策を考えているのか?」

 

佑介「そうだな・・・逃げることしか考えてねえが?」

 

???「ダメじゃねえか!」

 

佑介「じゃあ、お前は何か考えてんのか?」

 

???「そ、それは・・・空翔ぁ~助けてくれよぉ~」

 

空翔『全く、普段使ってない頭を使おうとするからだよ。正志』

 

正志「う、うるせえ!俺は体で覚えるのが得意なんだよ!」

 

佑介「全く、弱音吐くくせに元気だけは有り余ってんだな・・・」

 

佑介は、さっきまで弾を詰め込んでいた弾倉を防弾チョッキのポケットに詰め込んでいく。

 

佑介「ほら」

 

と言い、作ったマガジンを正志に投げて渡す。

 

佑介「装備は整えておかねえと、後が怖いぜ」

 

正志「そうだがよぉ・・・こんな状況じゃ・・・」

 

周りは恐怖で怯え切った兵士たちばかり。足を抱え、ブルブルと震えていた。

完全に戦意喪失している。

 

佑介「だからって俺たちまで戦いを放棄する気か?どんなに相手が巨大だろうが戦い抜く。それが俺たち『自由の傭兵』じゃねえのか?」

 

正志「・・・そうだ・・・な。済まない。弱音を履きっぱなしで」

 

佑介「気にすんな。人間誰も死ぬのは怖いもんだ。問題は、死ぬことを恐れず戦うことだ」

 

二人はガシッと手を取り合い、硬い決意と共に銃を握る。

 

空翔『正面から敵接近してきてるよ!みんな、位置に付いて!!』

 

耳元から空翔の声が聞こえると佑介は砦の高台から顔を出して双眼鏡で辺りを見る。

前方からは馬で走ってくる兵士の姿が見えてくる。

 

佑介「アレは仕掛けたか!?」

 

正志「おう!数日前にしてあるぜ!」

 

佑介「よしっ!成功したら叩きのめすぞ!」

 

二人「『応!!』」

 

なんとか兵士たちを説得をして位置につかせる。

全員隠れて様子を見る。

佑介は壁に空いた除き穴から外を見る。

 

佑介「・・・いいぞ・・・来い・・・」

 

敵は少しずつだが、近づいている。馬が走ることにより、砂煙が大きく待ってくる。

 

佑介「よし・・・そのまま・・・そのままだ・・・」

 

そして、あるところに馬が足を踏み入れた瞬間、何かに反応したように馬の足元が大爆発した。

 

ズガァァーーン!!!!!

 

佑介「撃てェェェー!!」

 

大爆発により馬は取り乱し、敵は陣形を崩していく。

その隙を突くように佑介たちは銃を乱射させる。

混乱しきった敵に銃弾を浴びせるのは容易い。しかも相手には壁になるものがない。

 

正志「迫撃砲、撃てぇ!!」

 

迫撃砲兵が迫撃弾を入れるための筒の中に爆弾を投入すると、ポンという音を立てて爆弾が空高く飛んでいく。ドカン!ドカン!と敵に向かって爆弾が爆発していく。

 

撃ち込む銃弾の薬莢が足元に落ちる。

 

佑介「攻撃を続けろォォォ!!!」

 

正志「これこそ、まさに数撃ちゃ当たるって奴だな!!」

 

佑介「いいから撃て!!」

 

その後の戦いは早かった。なんとかその場の敵を退けることが出来、佑介たちは傭兵期間が切れて日本に帰還することになった。

 

なんとか生き残ることはできた・・・しかし、これはまだ始まりに過ぎない。

これは、物語の序章いや、登場人物紹介のページに過ぎない。




というわけで、プロローグですね。
世界観は世界各地にテロ組織が旗揚げをして、それを沈めようと国は各自戦いますが、数に押されてしまいまさに混沌状態で、まさに冷戦のような状態が続いてしまう。各国は自己防衛をしてもらうために武器許可証というものを持っていれば武器を所有して良いという法律ができた。というところです。

世界の戦闘は・・・一昔前の冷戦のようなものです。
銃を使い、弾が尽きたらマチェットなりナイフなり使って白兵戦みたいな感じです。

詳しいことは一話で書きます。ですから今日はここで終わります。

次をお楽しみに。


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第一話

今回は外の世界の人との生活編です。
少し長めに書きました。


━━━━日本━━━━

 

佑介「・・・はぁ・・・」

 

と小さなため息を吐きながら佑介は自分の家の鍵を開けて中に入る。

靴を脱ぎ、疲れきった体をソファに沈める。

 

佑介「・・・」

 

自分の首にかかっているドッグタグを弄りながら何やら考え込む。

 

佑介「・・・いつまで続くんだ・・・この戦いは・・・」

 

包帯だらけの手を見て言う。

なぜ佑介が戦っているのか、それは今現在世界を脅かしているテロ組織にあった。

 

それは、20年前、突如現れ、突如勢力を大きくしていった謎の武力勢力オリジンだ。元々は神を信仰しているだけの教団だったのだが、突如彼らは何かに駆られるように凶暴化していったのだ。その暴動は各地で起き、今回の任務もその暴徒を退治するための依頼だったのだ。

そんな戦いは佑介は8年にも及んで戦い抜いてきた。佑介だけじゃない。佑介と一緒に戦っていた望月正志と神楽坂空翔も同じだった。彼らはある人から意思を託され戦い抜いていたのだ。

 

『鷹川信介』 佑介実の父親であり、唯一の肉親。しかし、彼は数年前に戦死してしまい、佑介がその意思を受けづいだのだ。

 

佑介「・・・とりあえず、寝るか・・・」

 

ダランと腕を力ないように下げて目を閉じてしまう。そして、意識は深い深い闇へ溶けていった。

 

~次の日~

何も戦争だけをしているのが佑介じゃない。いつもの佑介はなんでも屋として生活金を稼いでいる。オリジンが現れてからいつ敵が現れるかわからないため、各国は銃許可証というものを所持していれば銃を持ち歩けるという法律もできた。

何せオリジンは神出鬼没。いつどこで爆弾テロがあってもおかしくない。政府も突然のことでは兵を出せない。自分の身は自分で守れということなのだろう。しかし、日本はそこまで物騒じゃないため、銃許可証を持っている者は銃が好きなだけの平和ボケか傭兵で、許可証を持たずに持っているのはヤクザやケチくさい強盗くらいだろう。もちろん許可証を持たずに所持していたらこれは逮捕ものだ。そのような輩がいては困るため、政府は銃所持のための試験をもさせている。

 

佑介「ああ。オリジンの動きも今は大人しい。体制を立て直すだろうし、当分は依頼は来ないと考えていいだろう」

 

コーヒーの入ったカップを片手に佑介は携帯を耳に当てて会話をする。

相手は佑介の戦友 正志だ。

 

正志『そうだな。久しぶりにのんびりできそうだ。依頼料も結構貰えたしな』

 

机の上にある茶封筒の中身を見ると、そこには日本円で万札の束が入っている。

 

佑介「金なんてどうでもいいが、確かに、最近ドタバタしすぎたな」

 

正志『どうだ?無人島にでも行ってバカンスとするか?ちょうど夏だしよ』

 

佑介「悪いが、俺は俺のすることがあるんでな」

 

正志『あ~・・・あのサークルの子か?』

 

佑介「まあな。あいつらに出会ってからロクなことがないぜ・・・」

 

正志『トラブルに愛されてるな。佑介は』

 

佑介「うるせえよ。じゃあな」

 

正志『おう。また今度な』

 

携帯のディスプレイを指で触り、画面を消す。

携帯をポケットに入れると頭をボリボリとかきながら銃弾や書類で散らかった机の上を片付ける。

 

手軽な朝食を作り、それを食べながら新聞に目を通す。そこには、アメリカがオリジンに大打撃を与えたものの、アメリカも打撃を受けたことが大きく取り上げられていた。

 

佑介「フン・・・」

 

新聞を投げ、朝食のパンを急いで食べ、食器を洗うとさっさと服を着替えて愛用の銃と刀を身に付けて家を出る。

鍵をかけると何時もより身軽な装備をガチャガチャ言わせながら、なんの宛もないようにブラブラと街を歩く。

時々目に付いた小物や珍しい物を見るために店に入り、その小物を買ったりする。

 

???「あっ!佑介だ」

 

と佑介の耳に聞きなれた声が入る。

 

佑介「蓮子・・・」

 

その人物は秘封倶楽部というオカルトサークルに所属している大学生 宇佐見蓮子だった。

 

佑介は本人には聞こえないくらいの声で「めんどくせえのに会ったぜ・・・」と小声で言う。

それもそのはず、何せその秘封倶楽部の活動拠点は佑介の家なのだから。しかも、本人に許可を取らずに蓮子が勝手に決めたのだ。佑介は実際迷惑に思っているものの、心の底では父親を亡くした虚しい気持ちが和らいで感謝している。

 

蓮子「こんなところで会うなんて奇遇だね。遠征に出てたって聞いたけど・・・」

 

佑介「ああ、昨日帰ったんだ。それより、お前だけか?メリーはどうしたんだ?」

 

佑介が口にしたメリーとは秘封倶楽部の一員である蓮子と同じ大学生。本名はマエリベリー・ハーンだが、言いにくいことからメリーと呼ばれることになったのだ。

そのメリーの姿が今はない。いつもは二人一緒であるから、佑介はおかしいと思ったのだ。

 

蓮子「メリーは今日来ないよ。暇だからこうして街に出たんだけど・・・何か面白いことない?」

 

佑介「(それを俺に言うのかよ・・・)」

 

などと心の中で突っ込みながら佑介は考える。

 

佑介「はっきり言ってねえよ。あったらこうして小物なんて買わねえよ」

 

その言葉が分かっていたのか、蓮子は「だろうね」と言う。

 

蓮子「あっ、これとかどう?最近ネットで知ったパワースポットなんだけど」

 

と蓮子は自分の携帯でそのパワースポットの載ったページを開いて佑介に見せる。

 

佑介「何だ?『神隠しの屋敷』?大きく古い屋敷があるのだが、一人で行くと神隠しに合う。しかし、二人や団体の場合、そのうちの一人に絶大な力を授けてくれる不思議な屋敷・・・嘘くせえな・・・しかも結構近い・・・ここから徒歩20分もかからねえんじゃねえか」

 

いかにも胡散臭い記事に佑介は眉間に皺を寄せて蓮子に言う。

心の中では「パワースポットじゃなくて心霊スポットじゃね?」と密かに思うのだった。

 

蓮子「いいじゃん。どうせ暇でしょ?」

 

佑介「まあ、『今』はな」

 

蓮子「じゃあ行こうよ」

 

そういうと、有無を言わせず蓮子は佑介の手を取る。

 

佑介「お、オイ!」

 

━━━━━━━━━━━━━━━━

 

そして、記事のマップを見ながら町外れの森の中にある人が長く使っていない草が生い茂っている一本道を通る。

それはまるでジャングルのようで、道を見失うとすぐに迷えるレベルだ。しかも所々にツルがあって前が見にくいのだ。

佑介は刀を手にしてツルを斬って落とす。

 

佑介「あ~チクショウ・・・結構疲れるじゃねえか・・・」

 

蓮子「うぅ~ん、ここら辺で合ってるハズなんだけどな~」

 

佑介「オイ、お前がさっきから指差してる場所、どう考えても森奥深くに向かってるようにしか見えねえんだが」

 

蓮子「き、気のせいだよぉ~やだな~佑ちゃんってばぁ~」

 

佑介「お前、もしかして・・・迷ったな」

 

図星なのか、その言葉を発した瞬間、蓮子はビクッと肩を震わせた。

しかし、蓮子はあれだこれだと言って何とか佑介をごまかそうとするも、既に遅かった。

 

佑介「ったく、こんな森の中に迷い込むなんてよぉ~・・・」

 

携帯を開いても画面の右上には圏外という言葉が付いている。

 

佑介「ったく、熊でも出たらどうする気だよ・・・武器刀と拳銃しか持ってねえぞ。マガジンもこれ一本だし・・・」

 

蓮子「だ、大丈夫だよ~。オリジンが出てくるわけじゃないんだから・・・」

 

佑介「わからねえぞぉ~。結構そのパワースポットとやらも奴らの隠れ家だったりしてな・・・」

 

蓮子「え?」

 

佑介「一人で行くと神隠しに合うとか言ってたな。それって、オリジンに関する『何か』を見て亡き者にされたってことじゃねえか?一人でこんな森に来られたら索敵なんかしにくいが、団体なら索敵しやすくてすぐに見つかる。な、辻褄は合うだろ?」

 

などと口にした瞬間、佑介は蓮子を見る。そこには、冗談を間に受けてガクガクと身体を震わせる蓮子がいた。

佑介は「さすがにやりすぎたな・・・」と言いながら蓮子の肩に手を置いて揺らしてみる。

 

佑介「おい、おい蓮子。大丈夫か?蓮子さぁ~ん」

 

ハッ!と気がついた蓮子は佑介の冗談を本気で間に受けたようで、涙目になりながら

 

蓮子「佑介!今すぐ帰ろう!すぐ帰ろう!!早く帰ろう!!」

 

と佑介の腕を引っ張ってすぐに帰ろうと後ろを向いて通った道をまた歩くことになった。

 

佑介「いいのか?行かなくて」

 

蓮子「い、いいんだよ!それよりさ、今日佑介の家でご飯食べに行っていい!!?」

 

早く話題を変えたいらしい。すごいタイミングで話をそらしだした。

 

それから二人はそのまま森を出て町に戻り、食材を買い自宅に帰宅した。途中用事を終わらせたメリーとも会い、一緒に佑介の家で食事をすることになった。

 

正志「へぇ~そんなところにそんなのあったんだ・・・」

 

空翔「噂で聞いた程度だけど、なんか佑介の言ったこと一理あるかもね」

 

佑介「んなわけあるかよ。俺の妄想だ。それよりなんでお前らここにいるんだ?」

 

正志「いやぁ~・・・やることねえし、久しぶりにお前の手料理でもいただこうと・・・」

 

空翔「ごめん佑介。僕も手伝うから許してくれない?」

 

佑介「お前らと飯するのなんか今に始まったことじゃねえだろ。空翔、ここはいいから皿取ってくれ。あっメリー、そこにある中華麺取って」

 

メリー「はい。これ?」

 

佑介「サンキュー」

 

手馴れた手つきで料理をする佑介。それを見ているどうやら冷やし中華を作っているらしい。といっても、ダシは普通にスーパーで売ってあるもので、麺も袋で売ってあるものだが、しかし、その付け合せである玉子は焦げ目を一つも付けず綺麗に作られており、プロ顔負けの素早さで作っていく。

 

盛り付けられた人数分の冷やし中華を一人暮らしにはデカすぎる机の上に置いて席に着く。

 

佑介「それじゃあ・・・」

 

一同は手を合わせて口を同時に開ける。

 

一同「いただきます」

 

そして、各々冷やし中華を口にする。

 

正志「おっ、いつもながら佑介の作る料理はうめえな。いい嫁さんになれんじゃね?」

 

空翔「正志、嫁じゃなくて、婿だよ・・・」

 

佑介「・・いつも思うが、こいつが銃許可証の試験合格したのがホント不思議だよ・・・」

 

空翔「そうだね。筆記はボロボロだったけど、実技は天才だからね。正志は」

 

メリー「確か、佑介はどっちも良かったんだっけ?」

 

空翔「うん。佑介は筆記も実技も全て完璧だったから。僕は筆記だけで、実技はあまり優れてなかったけど」

 

佑介「あれ?お前確か全て射抜いたって聞いたけど」

 

空翔「的の大きな胴体の部分しか撃てなかったよ。それに比べて佑介はすごいよね。すべての的の頭を射抜くなんて」

 

蓮子「へぇ~。佑介ってそんなに腕がいいんだ」

 

佑介「一定の角度に合わせて撃っただけだ。そこまで難しくないぜ?」

 

佑介の言う一定の角度とは、結構難しく角度や位置などを変えているものの、そこまで角度を変えているわけじゃない。近づけたり遠ざけているだけでそこまで角度を変えているわけではないのだ。しかし、それでも実技が難しいと言われているのは単なる目の錯覚を使っただけのトリックなのだ。

 

佑介「そういえば、蓮子お前銃許可証取るって言ってたな。結果はどうなかったわけ?」

 

サッと顔を背ける蓮子はそのまま麺をチュルチュルと麺をすする。

それを見てメリーは「あははっ・・・」と苦笑いをする。

 

蓮子「・・・落ちた・・・」

 

一同「・・・」

 

ここだけの話、蓮子は一ヶ月の間佑介に銃許可証を取るために模擬試験を何度かしてもらっているのだ。

銃許可証があるということはそれは一つの資格扱いになる。しかし、就職に影響があるかと言われたら微妙でもある。

なぜ蓮子がそんなものを欲しがるかというと、せっかく専門の佑介たちがいるからついでに教えてもらおうと思ったからだ。

 

佑介「・・・まあ、わかってたことだからいいんだけど・・・」

 

蓮子「わかっていたこと!?」

 

佑介「当たり前だろうが・・・一番反動が小さい銃を貸してやったのに的に当てるのが精一杯で、筆記に至ってはお前・・・」

 

ハァ・・・とため息をつく佑介。

 

佑介「大体、お前は傭兵になるわけじゃねえんだ。それだったら大学を出て他の資格を取った方がいいんじゃねえ?オリジンはここを攻める気はないらしいし」

 

メリー「そういえば、オリジンってどういう意味なの?」

 

空翔「色々意味はあるんだけど、ラテン語で『始まり』っていう意味だよ」

 

蓮子「それってどういう意味?」

 

佑介「確か、旗を掲げた時は『我々は新しく昇る太陽の光。我らは始まりの人類の太陽の子ら』とかなんとか言ってたな。おかしな話だよなぁ。自分らは邪神を信仰してるくせに太陽の子らってよ、意味分かんねえよ」

 

正志「アメリカが大打撃を与えたし、半年くらいまで動けめえよ」

 

佑介「そうだな・・・だが、戦いは続くだろうな・・・」

 




次回は少し短めにして、幻想郷の住人を出したいと思います。
次回をお楽しみに。


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第二話

少し短めです。
やっぱ戦闘シーン書くのめんどくさ・・・じゃなかった。大変ですね!
無理やり感が半端ないです。


それは、みんなが寝静まった夜のことだった。机の上には空になった缶ビール。そして散らかったつまみの柿ピーと枝豆。

 

そして口を大きく開けてソファに寝ている正志。その横で小さな寝音を立てる佑介と空翔。

佑介の部屋では少女二人がスヤスヤと寝ている。

それは静かで、穏やかな時間だった。

 

しかし、そんな平穏は突如消え去る。

壁を背にして刀を持って寝ていた佑介の目が開く。そして、立ち上がり刀を持ったままその場を離れ、外に出る。

 

靴を履き替え、玄関を出て横に目をやる。

 

???「・・・」

 

そこにいたのは刀を構えた兵士だった。あまり騒ぎを起こしたくないらしく、銃器を持っていない。

 

佑介「すまんが、もう宴会は終わった。疲れたから眠りたいんだが・・・」

 

???「何を見た?」

 

佑介「あ?」

 

何を言っているのかわからず、聞き返そうとした瞬間、一人の兵士が有無を言わず刀を佑介に刃を向けた。

 

ガキィン!!

 

それを刀を抜いて斬撃を回避した佑介。

 

佑介「おいおい、ここは日本だぜ?こんな平和な国でちゃんばらなんざ・・・テメーら、オリジンだな・・・」

 

オリジン兵士A「昼間我らの隠れ家で彷徨いていただろう。何をしていた!」

 

とオリジンの兵士は夜中にもかかわらず大声で佑介に怒鳴りつける。

それを佑介はうるさそうな顔をする。

 

佑介「やはりあの記事の屋敷が関係しているのか・・・悪いが、俺らは何も見ずに引き返した。だが、帰す気はないんだろ」

 

オリジン兵士B「当たり前だァァァ!!」

 

兵士たちは一斉に佑介に向かって刀を突き立てて来ただが、

 

正志「オラァ!」

 

そこにやって来たのは寝ていたはずの正志と空翔だった。

正志が突っ込んでくる兵士を蹴り飛ばし、空翔も同じように突っ込んでくる兵士の手を取って地面にのした。

 

空翔「佑介!大丈夫かい!?」

 

佑介「おう。この通りピンピンしてるぜ」

 

正志「やっぱりお前の言ってた通りあの屋敷だったな。メリーちゃんたちが今政府に電話したからすぐに攻め入るだろう」

 

佑介「よし、俺らもこいつらさっさと倒して加勢するぞ!」

 

二人「応!」

 

オリジン兵士A「我々を無視して行くつもりか!?そうはさ「邪魔だ」グホッ!?」

 

敵兵士を蹴り飛ばし、バランスを崩した敵兵を斬り捨てる。

 

佑介「フン!」

 

オリジン兵士A「ぐああ!!」

 

大量の血しぶきを上げて兵士はドサッと倒れた。

 

三人は外にあるガレージのシャッターを開け、中から武器を取り出す。

 

正志「ったく、遠征に帰ってきたと思ったらこれだ・・・しんどいぜ・・・」

 

空翔「そうだね・・・お酒がまだ残ってるし・・・」

 

佑介「弱音いってんじゃねえよ。よし、空翔は俺と一緒にあの森に向かう。正志は二人を頼む。まだいるかもしれねえからな」

 

二人「了解」

 

P90 サブマシンガンを手に取り、弾倉を付けて準備を整えると先に空翔が辺りをドラグノフ スナイパーライフルのスコープで索敵をしている。

すぐに佑介もホログラフィックサイトで辺りを見渡す。敵がいないと思うとすぐに走り出す。

 

正志も手にM4A1 アサルトライフルで家の周りを見ながら警戒している。

 

蓮子「ま、正志・・・?」

 

メリー「佑介は?」

 

正志「二人共家の中にいろ。佑介たちならすぐ戻るさ」

 

正志の言葉に二人はうんと首を縦に振った。

 

町外れの森の中に入ると政府はまだ来ておらず、変わりに佑介たちが敵に攻撃を受けていた。

森の中には少人数だが、オリジンの兵士がいた。数はざっと50人と言ったところだ。

 

佑介「政府はまだか!?何分も持たねえぞ!」

 

木の陰に隠れながら体を少し出して銃を撃つ。しかし、敵の攻撃が激しいから、中々手出しできないでいた。

まさに手も足も出ない状態だ。

 

空翔「グレネードだ!伏せて!!」

 

佑介「あっ!?」

 

銃声で聞こえなかったのか、佑介は空翔の方に耳を傾けたその時、

 

ドガァァン!!

 

と佑介の少し前の辺りで爆発が起きた。距離が少し足りなかったため、怪我はしなかったが、キィィィンと耳鳴りが生じてしまう。

 

佑介「あ・・・ぁ・・・!」

 

空翔「佑介ぇぇ!!」

 

しかし、耳鳴りのせいで空翔の声が聞こえていない。

そこに突っ込んでくるオリジン兵士たち。

 

オリジン兵士C「死ねえ!!」

 

一人の兵士が佑介に斬りかかるが、佑介はなんとか意識を保ちその斬りかかってきた兵士を先に斬る。そしてそのまま兵士を盾にする形にして他に突っ込んでくる兵士たちを銃で撃ち抜く。

突っ込むことをやめたオリジン兵士たちは手に負えないと見て森の奥に撤退していく。

佑介は盾にしていた死体を地面に落とし、腰を落とした。

 

佑介「ハァ・・・ハァ・・・!」

 

空翔「佑介!大丈夫かい!?」

 

佑介「ああ・・・頭の中で鐘が鳴ってる以外問題はねえ・・・」

 

空翔「よかった・・・政府が来てくれたよ。後は彼らに任せよう」

 

政府軍兵士A「第一分隊進め!!」

 

とヘリから降りてきた兵士たちが森に進んでいく。

医療班らしき兵士たちが佑介たちに近づく。

 

政府軍衛生兵A「大丈夫ですか?」

 

佑介「こっちは大丈夫。それより、奴らを・・・」

 

政府軍衛生兵A「分かりました。ご協力、感謝します!」

 

それだけを言い残すと兵士はさっさと森の奥に行ってしまう。

 

空翔「僕たちの役目はここまでみたいだね・・・」

 

佑介「・・・すまんが先に戻っててくれるか?一服してから行くから・・・」

 

そう言い、佑介は懐からタバコを出し、それを口に咥えて火をつける。

 

空翔「わかった。先に戻ってるから」

 

何も疑うことなく空翔はその場を去った。そして、奥で鳴り響く銃声を音に佑介はタバコの煙を口いっぱいに吸う。

それから数分、佑介は夜空を仰ぎ見ていた。

 

佑介「星がよく見えていいな・・・そう思わねえか?」

 

まるで独り言を言うように佑介は誰かに問いかける。

だが、それはすぐにわかることだった。森の奥の闇から出てきた佑介と同じくらいの青年が目の前に現れたのだ。

彼の手には血塗られた刀が一つ。

 

佑介「・・・オリジン・・・にしては雰囲気が違う・・・傭兵か?」

 

???「フンッ!!!」

 

ガキィン!!

青年は問いかけに答えず佑介に斬りかかるが、佑介はそれを受け止める。

 

佑介「ご挨拶だなぁ・・・いきなり斬りかかるこたぁねえだろうが・・・」

 

???「契約のため、貴様を殺す」

 

佑介「やはり雇われか・・・」

 

キン!!カン!!ガキィン!!

 

有無を言わずに青年は佑介に何度も斬りかかるも、佑介はそれを全て受け止める。

なんとか青年との距離を縮めるために懐に飛び込むも、青年は佑介を引き剥がすために蹴りを与える。

 

佑介「クッ・・・!」

 

刀を地面に刺してスピードを落とすが、その隙を突かんと次は青年が懐に飛び込む。

 

佑介「フンッ!」

 

だが、それは佑介にとっては絶好のタイミングだった。佑介はすべての力を込めて青年に向けて刀を振った。斬ったと思えた。

 

しかし、目の前に青年の姿はなかった。

 

ドスッ・・・

 

服を赤く染め、滴り落ちる血。

 

佑介「カハッ!」

 

口から吐き出される大量の血。下に視線をやると、腹には自分の血で染まっているのか?血塗れの刀が突き出ていた。

一瞬何が起きたのかわからず、痛みも遅くやってくる。痛みにより全身の力が抜けていく感じがする。

 

佑介「ぁ・・・」

 

刀が腹から抜かれると、立てる気力もない。佑介はドサッとその場に倒れ込んでしまう。

 

佑介「(何が起きた・・・?消えた・・・のか・・・?)」

 

ありえねえ・・・!と心の中で思いながら、意識をなんとか保とうとする。

しかし、彼の意識は無情にもどんどん闇に飲まれていく。

 

死にたくねえ・・・死ねねえ・・・

 

そう思っても視界は悪くなっていき、血だまりが地面を赤く染めていく。もう言葉を発する気力もない。

 

佑介「(ちく・・・しょう・・・)」

 

━━━━━━━━幻想郷━━━━━━━━

 

ここは幻想郷。外の世界から隔離された神の作り出した忘れ去られた者たちの最後の楽園。

そこに一人の少女がいた。

紫のドレスに身を包み、傘を差している一人の少女が。

 

彼女の名前は「八雲紫」この幻想郷の管理者であり、この幻想郷の賢者と呼ばれる女性だ。

 

紫「・・・?」

 

奇妙な気配を感じた紫に、となりにいた八雲紫の式、八雲藍が尋ねる。

 

蘭「紫様?どうなされたんですか?」

 

紫「・・・いえ。なんでもないわ」

 

蘭「そうですか。ならいいのですが」

 

紫「(今、変な気配を感じたわね・・・)」

 

その時、空に輝いていた一つの星の光が消えたのだった。




という訳で、こんな感じですかね。

次回は佑介幻想入りですね。


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第三話

今回は幻想郷のキャラを一人出します。
これは旧作と違うシナリオになっています。


次の日、正志たちは朝になっても佑介が帰ってこず、家でずっと寝ずに待っていた。

外はオリジンの出現により警備は厳戒態勢で見回っていた。

空翔は政府軍の兵士たちに佑介を見なかったかと聞き込みをするも、誰も見なかったと答えが帰ってくる。

森に戻って佑介と別れたところに戻るとそこには大量の出血の跡と佑介が持っていたと思われるP90が転がっているだけ。しかし、それだけ。町中の佑介に世話になった人たちに捜索を頼むも、姿はなかった。

血液を取って検査をするとそれは間違いなく佑介の血液だった。

 

空翔「・・・」

 

正志「で、どうだ。見つかったか?」

 

空翔「いや・・・あの多量の出血が佑介の物ならそう遠くにいけないと思って森の中を調べているんだけど・・・何も・・・」

 

蓮子「・・・佑介、どうしたんだろう・・・」

 

正志「心配すんなよ・・・何かあって他県にでも移ってるんだろう・・・」

 

メリー「でも、それなら正志か空翔に一言言うんじゃ・・・」

 

時間は過ぎていくなか、4人は静かに沈黙の空気に包み込まれていった。

 

━━━━━━━━幻想郷~妖怪の山~━━━━━━━━

 

妖怪の山。そこは自然が豊かで、人間は決して近づけない妖怪の縄張りのような場所だ。

ここにいる妖怪は主に天狗。烏天狗や白狼天狗といった者たちがいる。里にはたくさんの天狗がおり、組織としてちゃんと基盤ができている。とは言っても軍としての基盤は無く、あくまで警備としての力しかない。

そして、この妖怪の山には妖怪以外にも常識はずれの存在もいる。

それは神様。山の上にはある神社があり、そこには三人の神がいる。そんな人外だらけの山の中山辺りに流れている川に、一人の青年がいた。

青年は刀を握り締め、死んだように目を閉じてうつ伏せに倒れていた。

 

佑介「・・・ハッ!」

 

その青年は腹を刺された倒れた鷹川佑介だった。

目覚めた佑介はすぐに川から離れて木まで近づき、背を向けて座り込む。

 

佑介「ハァ・・・ハァ・・・」

 

懐をゴソゴソと漁るとタバコを取り出す。しかし、そのタバコは先程まで川の水に浸かっていたため濡れてしまっていた。

 

佑介「チッ・・・」

 

もう使えなくなったタバコを握りつぶして捨てる。そして、佑介はあることに気がつく。

 

佑介「・・・傷がねえ」

 

服の傷は残っているのだが、体自体には傷がなかった。だが、記憶にあるあの瞬間。そして刺されたあの感触、痛み。そして服に付いた血を見る限り刺されたのは確実だ。

 

佑介「うっ・・・!」

 

よく見るとくっきりと刺された痕もある。そして鈍い痛みが時折襲ってくる。まるで、外側に見えないように内側から貫かれたように。

 

佑介「・・・ここは・・・どこなんだ・・・?」

 

身体を起こして辺りを見る。

もう朝のため、辺りはよく見える。そこは今まで自分がいた森とは違う。まるで別世界にやってきたような感覚だ。

 

痛みがまだある身体に鞭打って木に登って広く周りを見る。

 

佑介「・・・オイオイ、嘘だろう・・・」

 

そこは完全に佑介の知ってる世界ではなかった。そこは町外れの森でもない。ましてや佑介の知っている所でもない。

そして、決定づけることが佑介の目の前に広がっていた。

 

翼の生えた人間が空を飛んでいたのだ。

 

佑介はすぐに状況を整理するために木から降りてとりあえず人がいそうな場所まで移動することにする。

 

佑介「ちくしょう・・・どこだよここ・・・」

 

携帯のGPS機能を使おうとしても、電波は例の如く圏外だ。

今所持している物は佑介の愛刀『菊一文字・零』と愛用の拳銃『オーガ』と『ファルコン』そしてコンバットナイフとワイヤーガンのみ。弾薬はさっきの戦いで多く持ってきているので困ることはないと思われる。

 

足を動かし、前に進んでも森、森、森ばかり。というか、迷ったかもしてない。

佑介はあちこちをウロウロしながら歩き続ける。

 

佑介「まいったな・・・迷ったか・・・?」

 

???「見つけたぁ!!」

 

佑介「・・・ん?」

 

どこからか人の声がした。そう思った矢先に、佑介の目の前に一人の少女が現れた。

その少女は結構な美少女にも関わらず、手に片手剣と盾のようなものを所持しており、頭に犬のような耳をつけており、お尻のあたりに白いしっぽを生やしているのだ。

 

佑介「(なんだ・・・?新手のコスプレか・・・?)」

 

佑介は少し戸惑いながら少女に話しかける。

 

佑介「済まない。キミはここの住人かい?」

 

???「ここは人間は立ち入り禁止です!今すぐ下山しなさいっ!!」

 

こちらの話なんぞ聞いていない。単刀直入だ。

 

佑介「そうなのか・・・?それは悪かった。知らなかったからさ・・・でも、少し話を・・・」

 

???「・・・あなた、その姿からして、外の人間ですか?」

 

佑介「あ?『外の世界』?なんだそれ」

 

少女はやったりなという顔をして佑介に近づく。

 

椛「さっきはいきなり言い出してすみません。私は白狼天狗の犬走椛と言います」

 

佑介「あ、ああ・・・俺は鷹川佑介。フリーの傭兵だ」

 

その時、椛という少女の顔が驚いたような顔をする。

 

椛「た、鷹川・・・?もしかして、あの鷹川一族の・・・あの鷹川信介様の・・・!」

 

突然少女の口から出た父の名前。

 

佑介「そうだが、親父を知ってるの━━━━」

 

佑介が言い終わる前に、椛という少女は佑介の胸にいきなり抱きついたのだ。

突然のことに何のことかわからない佑介。

 

佑介「━━━━え゛?」

 

と変な声を出しながら顔を赤くする佑介。

 

佑介「チョチョチョッ!いきなりなんなの君!?」

 

引き離そうとしたが、すぐ佑介はそれを止める。

 

椛「グスッ・・・う・・・うぅ」

 

なぜなら、椛は佑介の胸で泣いていたからだ。佑介にとってはわからない少女の涙。しかし、佑介は椛の頭を静かに撫でるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

椛の案内によって訪れたのは天狗の里と呼ばれる天狗たちの町だった。

椛の説明を聞くと、ここは佑介のいた世界じゃない。ここは幻想郷。外の世界と隔離した世界だった。そして、衝撃的な話を佑介は聞いてしまう。それは、実の父親のことだった。

 

佑介「親父はここに住んでいた妖怪!?」

 

椛「はい・・・正確には、人間と妖怪の間に生まれたハーフなんですけど、昔ここに住んでいて、私を娘のように育ててくれた人です」

 

彼女の両親は既にこの世を去った時、佑介の父信介はこの椛という子を育てることにしたのだという。

 

佑介「・・・そんなことが」

 

椛「あの人が亡くなり、本当に残念です・・・」

 

佑介「すまない・・俺があの時・・・」

 

椛「あ、あなたのせいじゃありませんよ!」

 

佑介「いや!俺のせいなんだ・・・!あの時・・・俺は・・・!」

 

佑介は握りこぶしを固く、もっとそれは血がにじみ出るほど拳を固く握っていた。佑介の親父が死んだのは、佑介が17歳になって間もない頃だった・・・。

 

 




次回は佑介の父親、信介の死に関することです。


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第四話

今回は佑介の父、信介に関してのお話です。


今から5年前の話だ。佑介たちフリーダム・マーセナリーは一人の男と共に志を同じくして戦っていた。

男の名前は鷹川信介。佑介の実の父親であり、佑介の師匠だ。

 

それは、依頼としてやってきたオリジン殲滅作戦だった。オリジンは多く数千もの兵士たちと共にアメリカのある街を制圧したのだ。信介たちはそこにオリジンの幹部の人間が来ていることを突き止め、共にその街に向かった。

 

街の潜入は至って簡単だった。オスプレイで近づき、そして四人は街の中心部で政府軍と共に降りる。

 

信介「行くぞお前ら!派手にかませ!!」

 

三人「「「了解!!」」」

 

敵はこちらに気づくなり装甲車についている機関銃で佑介たちを撃ってくる。

だが、佑介はその機関銃を撃っている兵士を攻撃。見事にその兵士の額に弾丸ぶち込んだ。そしてそのまま敵の装甲車に近づいて機関銃を使う時に使う穴の中にグレネードを入れる。

内側に入れたグレネードの爆発により、装甲車は大爆発を起こし、中にいる兵士ごとスクラップと化す。

 

正志「グットキル!」

 

しかし、四人にさらなる脅威が現れる。それは、戦車だ。戦車は佑介たちを見つけるや否や、すぐに砲身をこちらに向けてきた。

 

信介「伏せろ!!」

 

信介が叫んだと同時に砲弾が四人の後ろの壁に被弾する。後ろから耳が裂けんばかりの炸裂音と同時に壁の岩が落ちてくる。

しかし、四人は岩と物陰の隙間に挟まった状態で助かった。すぐに岩を退けて物陰に隠れておく。

 

信介「クソッ!航空支援はまだか!?」

 

空翔「あと3秒で支援が来ます!佑介ッ戦術スモークで敵の位置を!!」

 

佑介「ああ!さっきのお返しだぁ!!」

 

腰につけているスモークを取り出し、戦車の近くに投げる。

プシューと緑色の煙がモクモクと立ち始めると、戦車は空から降ってきた凶弾の雨により、その砲身は折られ、キャタピラはボロボロ。装甲もズタボロとなり、爆発した。

 

攻撃が止み、静かになる。

 

信介「全身!行くぞ佑介、正志、空翔!」

 

三人「「「応!」」」

 

戦車を始末して、政府軍が前に進みだすと、四人もともに進軍していく。

 

このの任務はオリジンを殲滅、そして幹部指揮官を捕らえるのが目的だ。だが政府軍のことだ、聞き出す前に殺しかねない。信介たちは急いで先に進むことにしたのだが、事件は起きた。それは、この街の山の上にはダムがあるのだ。もし、敵がダムを破壊したらこちらは大打撃を受けるだろう。その前に見つけ出そうと信介たちはあちこちを探し回った。

 

佑介「いたか!?」

 

空翔「いなかったよ」

 

正志「ダメだ・・・こっちは死体だけだ・・・信介さんは?」

 

佑介「親父は奥の会議室にいって━━━━」

 

パァン!パァン!

 

三人「ッ!?」

 

銃声だ。しかもその方向はさっき信介が探しに行くと言っていた会議室だ。

 

空翔「銃声!?」

 

佑介は手に持っている銃のマガジンを変えて走り出す。

 

佑介「行くぞ二人共!」

 

会議室まで一本道。佑介たちは駆け抜けるが如く走る。そして会議室前に着くとそのまま走りながらドアを蹴破った。

そこにいたのは、敵とつかみ合いになっている信介がいた。

 

佑介「ウルァ!!」

 

その状態を見て佑介は信介に掴みかかっている敵を蹴り飛ばす。

倒れた所を見て正志と空翔がそのまま押さえ込む。

 

佑介「親父!大丈夫か!?」

 

信介「ああ・・・助かった」

 

空翔「大人しくしろ!正志、ロープあるかい?」

 

正志「ロープはねえが、頑丈な鎖はあるぜ」

 

と言ってそこにあった鎖で敵兵をぐるぐる巻きにして縛り付ける。

 

捕まえた男は幹部指揮官だった。しかし、こいつはオリジンに入ったばかりで、その能力を認められて司令官になれたが、日が浅いことからあまりオリジンの真相を聞き出せなかった。

 

話終わる頃には敵兵の顔はボロボロ。足には数箇所の銃弾による穴が出来ていた。拷問にかけてもう男はダランと首を横にしている。

拷問が終わる頃に佑介の無線がかかり、佑介の耳に思わぬことが起こる。

 

佑介「親父、奴らダムを壊す気だ!」

 

正志「そんな!ここにはまだ逃げ遅れた民間人やオリジン兵士がいるんだぞ!?味方ごと道連れにする気か!?」

 

信介「奴らならやりそうなことだ。行くぞ!回収用にヘリを回してもらうように手配する。佑介、後始末頼んだ」

 

佑介「了解」

 

それを言い残し、信介たちは佑介を置いて走りその場を去る。

 

佑介「ということだ、溺れて苦しんで死ぬよりかマシだろう」

 

と言い、太もものホルスターから拳銃を抜き、男の額に銃口を向ける。

 

オリジン兵士A「ま、待ってくれ!死にたくない!俺も連れてってくれ!心を入れ替えるから!なあ!!」

 

佑介「そう言ってお前らは罪もない人を殺したんだろ・・・なんの罪もない子供も・・・済まないが、俺はそんな奴を生かそうとは思えなくてな。苦しまないように殺してやる俺の温情に感謝して欲しいぜ・・・」

 

トリガーにかかっている指に力が入る。

 

オリジン兵士A「待━━━━!!」

 

パァン!!

 

一発の銃声と共に辺りは静まり返り、薬莢がコロコロと足元に落ちる。そして、ジャラジャラと鎖も音を立てて落ちる。

佑介が撃ったのは男の頭じゃなかった。それは、男を縛っていた鎖だった。一部脆いところを見つけ、そこを撃ち抜いたのだろう。鎖は綺麗にちぎれていた。

 

佑介「その足で生き残れるか知らんが、あとは勝手にしろ」

 

そう言い、佑介は信介たちに追いつくために走り出した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夕日が沈み、夜になってしまい、蝋燭で灯りを灯しながら話す佑介。

 

佑介「・・・今思えば、あの男をあそこで殺していれば良かったよ・・・」

 

椛「・・・そのあと、何があったんですか?」

 

佑介「敵はダムを決壊させた。それにより街は一気に水に飲み込まれちまった。俺たちは救援ヘリを待つために建物の屋上に待機してた・・・だが、敵の残存兵が向かいの建物に待機してて、俺たちは貼り付け状態にされた」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

佑介「クロウズ!早くしてくれ!もう持たないぞ!」

 

クロウズ1『あと一分だ!もう少し待て!』

 

正志「一分も待てるか!早くしねえとやられちまうぞ!」

 

信介「クロウズ、30秒で来い!でないとお前のその粗末なものすりつぶすぞ!」

 

無線を切って銃を撃ち続ける。だが、敵の攻撃は強くなっていくばかり、ついには、奴らはRPG‐7で建物の柱を壊しだしたのだ。

 

空翔「RPG部隊です!佑介、あの部隊を排除してくれ!」

 

指示を受けた佑介は空翔と共に下にいるRPG部隊に向かって銃弾を浴びせる。

横では正志がこちらに攻撃して来ている兵士を攻撃している。カシュとマガジンを取り出し、ポケットを漁る。

 

正志「誰か!弾薬足りてねえか!?」

 

佑介「ホラ!大事に使えよ!!」

 

横にいた佑介がマガジンを正志に投げつける。早速正志はそれを付けてトリガーを引く。

しかし、そんな佑介たちに、またしても危機が訪れる。

ついに建物の柱は耐えられずに崩れだしたのだ。

 

佑介「うわぁっ!」

 

もちろん佑介たちがいるのは屋上。支えを失った建物は斜めに傾き出す。

信介と空翔が刀で持ちこたえ、そして正志と佑介はその二人に捕まる。

 

信介「しっかり捕まってろよ!崩れるぞ!!」

 

空翔「隣りに飛び移ろう!!」

 

ギギギギ!!と建物はゆっくりと隣りの建物へと傾いていく。

そして、ついにはその隣りの建物にぶつかったのだ。

三人はその衝撃で隣りの建物のガラス窓を割って入ることに成功した。しかし、信介は何とか三人が入っていった割った窓に掴むことはできたものの、中に入ることはできなかった。

 

佑介「親父!」

 

正志「敵も来やがったぞ!早く引っ張ってやれ!」

 

正志と空翔は敵に向かって攻撃を開始すると、佑介は信介を助けるために手を伸ばす。

 

佑介「親父!早く!!」

 

信介が手を伸ばし、佑介の手を取ったその時、パァン!!と一発の銃声が響き渡った。そして、信介の手から力がなくなるように窓を掴んでいた手が離れた。

 

佑介「うわっ!」

 

信介の全体重が佑介を引きずり込むように窓の外に出ていこうとする。しかし、なんとか止まる。

 

佑介「親父、どうしたんだ!おや・・・じ・・・?」

 

信介を見ると、なんと信介の腹に銃弾の跡があったのだ。佑介はさっき倒れかけた建物に視線をやると、そこにはさっき拷問にかけた兵士が銃をこちらに向けていた。

 

オリジン兵士A「に、逃がさねえ・・・!逃がしゃ━━━━「クソが!!」ぐああ!!」

 

怒りに任せて佑介は拳銃を抜いて兵士に乱射する。

乱射で飛んでいく弾丸は兵士の腹、兵士の胸、兵士の顔を貫いた。ドサッと倒れて二度と動かなくなった兵士。

佑介はなんとか信介を助けようと引き上げようとする。しかし、重い荷物が引っかかったのか、信介の身体は上がらなかった。

 

佑介「今助ける!待ってろ・・・なんだよこれ、上がらねえ・・・!!」

 

引っ張って上げようとするが、それでも上がらない。

 

信介「・・・佑介、もういい・・・その手を放せ」

 

佑介「っざけんな!!親父を置いて行けるか!!諦めねえぞ俺は・・・!!」

 

信介「いいんだ・・・それに、俺は助からねえよ・・・当たり所が悪かったらしい・・・」

 

信介の腹から流れる血は靴の先からポタポタと落ちていく。それも、尋常じゃない量の血だ。

この敵の中じゃあ信介はあまりにも足でまといになってしまう。運良くヘリまで連れていけたとしても出血多量で助かるかわからない。

 

佑介「嫌だ!絶対助ける・・・!見殺しにしてたまるか!!」

 

信介「・・・全く・・・お前はいつもいつも・・・いいか、戦場では甘ったれた感情を捨てろといつも言ってるだろう・・・大人の考えを、持て」

 

佑介「何度でも言え!仲間を見捨てて助かるのが大人なら俺は一生ガキでいい!」

 

信介「そうじゃない・・・いいか、大人はいつか重要な選択をしなくちゃいけなくなる・・・それで一人が死ぬか、全員が死ぬか、よく考えそして決断をくださなけれがならないんだ・・・俺の意思を受け継いでくれるのはお前だけなんだ・・・佑介」

 

佑介「親父ィ!!」

 

そして、信介は佑介の握っていた手を振り払った。

 

佑介「ッ・・・!親父!」

 

信介の身体はそのまま落ちていき、激流に飲まれ姿を消した。

 

正志「佑介!悲しんでいる暇はない、早く屋上に行くぞ!!」

 

佑介「・・・クソッ・・・クソォォォォォォ!!!!」

 

その後、ヘリは20秒後到着。部屋の中にいた敵はヘリにより殲滅され、佑介たち三人はその街を脱出することに成功するのだった。

 

しかし、佑介の心には悲しみ、虚しさだけしか残らなかった。そして、その日佑介は一日中涙を流し続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

椛「・・・」

 

佑介「・・・俺があのクソ野郎を殺してれば・・・親父は死ななかった・・・俺のせいで・・・俺の甘さのせいで親父を死なせた!俺が、殺したも同然だ・・・!!」

 

涙を流しながら血がにじみ出ている拳をさらに強く握り締める。そんな拳に、椛が手を置く。

前を向くと、椛は目に涙を溜めながら微笑んでいた。

 

椛「いますよ・・・。信介さんはここに」

 

そう言い、佑介の胸にその自分の手と重ねた血で染まった手を置いた。

その時、佑介は思った。"なんだろうか、この暖かい気持ちは"と。そして、何より椛の言葉が胸に染みる。まるで、乾ききった花壇に水を注いだかのように。

 

佑介「ありがとう・・・ありがとうな。椛・・・!」

 

 




グダグダだあ!!
今回出した戦場はコールオブディーティ ゴーストの戦場を参考にしました。
では、次回はどうしようかな・・・


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第五話

すみません。遅くなりました。
テストがあり、なかなか投稿できずにいました。

では、五話です。今回は短めです。


佑介が幻想郷に迷い込み、3日が経った。

 

佑介「フン!」

 

カランと斧で真っ二つにした薪を一つに纏めて椛の家の玄関前に置く。

 

佑介「さてっ」

 

大体の事を済ませると、次は外に出ていき、天狗の里の外れでジャケットを脱ぎ捨て、呼吸を整え始める。

 

佑介「はぁぁぁ・・・」

 

全神経を集中させ、一点に力を集結させていた。

 

佑介「かぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

体に集中させた力が一気に体外へ放出させ、薄い青白い輝きが佑介の体から放出していく。

それは木々を揺らめきだす。

 

佑介「くっ・・・!ぐぐっ・・・」

 

しかし、その薄い青白い輝きは少しずつ少しずつ小さくなっていく。そして、ついにはその体から出ていた輝きは無くなった。

力を使い切ってしまった佑介はその場にドサッと倒れる。

 

佑介「だ、ダメだ・・・霊力の扱いがまだ慣れてねえ・・・!」

 

2日前、佑介はあるここの下級天狗と模擬戦をすることとなった。その時彼らが使った技『弾幕』と『スペルカード』そして『霊力』その下級天狗は霊力使いであり、佑介は苦戦を強いられたのだ。

何とか長年の戦場で培われた経験から何とか勝利を収めることができたものの、ボロボロにされてしまった佑介。

聞けば、霊力とは人間にも内に秘めている力であることから、佑介でも使えるらしかった。

そして、佑介はここにいる間、少しの暇ができるとこうして霊力の修行をしているのだ。しかし、こうやって修行をしている中、まだ霊力を使い慣れていなかった。

 

佑介「チクショウ・・・」

 

なんとか霊力を使って宙に浮く程度のことはできるようになったものの、それでも戦いに使えるほどの力ではなかった。

 

佑介「霊力の使い勝手がわからねえな・・・」

 

掌を握ったり離したりしながら手を見る。

直実に成果は出ているが、まだまだ霊力を使って戦うとまではいかない。それだけ力が弱い。

 

佑介「・・・よしっ、もう一度だ・・・」

 

そう言い、再び立ち上がり、意識を集中させる。

 

佑介「ハァァァァ・・・」

 

意識を体の一点に霊力を溜めるように集中する。

みるみる佑介の体から青白い気が出てくる。

 

佑介「くっ・・・!」

 

 

 

 

 

 

 

 

日が暮れて月が出てくる頃には椛の家に戻り、食事を作る。今日の夕食は焼き魚と野菜たっぷりの味噌汁とたくあんだ。

 

佑介「ハァ~・・・」

 

椛「またやってたんですか?」

 

佑介「ん?あぁ・・・霊力を引き出すって、難しいんだな」

 

椛「まあ、佑介さんの場合元々使わない潜在能力を引き出すみたいなものですからね。」

 

佑介「そうだよな・・・20年以上も使ってない隠れた力を使おうなんてそんな簡単には行かねえよな・・・」

 

椛「ですが、たった2日ほどで宙に浮くというのは、大したものだと思いますよ」

 

佑介「それよりも、どうやったら向こうの世界に帰れんだ・・・あいつらは無事なのか、心配だ・・・」

 

椛「そういえば、佑介さんは外の世界の住人でしたね。どうやって来られたのか知らないんですか?」

 

佑介「知らない。斬られたと思ったらここにいたんだからな」

 

椛「それでしたら、博麗の巫女の所に行ってみてはどうでしょう?」

 

佑介「博麗の巫女?」

 

椛の言う博麗の巫女とは、この幻想郷で時々起こる異変と呼ばれる事件を解決してきた人間だ。

巫女と言うが、金に目がなく、いつも貧乏であることを嘆いているらしい。

 

佑介「そこに行けばいいのか?」

 

椛「私は仕事があるので、山を離れるわけにはいきませんが、地図を用意します」

 

佑介「すまんな。何から何まで」

 

椛「気にしないでくださいよ。同じ人に育てられた仲・・・言わば、兄妹みたいなものです」

 

酒が入った器に口を付けて酒を飲む。

 

佑介「フッ、兄妹ねえ・・・俺が兄貴か?似合わないな」

 

椛「佑介さんが兄様ですか、確かにこそばゆいですね」

 

二人は笑い合いながら、共に盃を交わす。

そんな平和な時間は長く続かなかった。

 

パンパン!

 

何かが遠くで破裂する音。それは、佑介にとっては聞き覚えのある音だった。

 

佑介「銃声?」

 

持っていた器を置き、刀に手を伸ばし、急いで外に出る。

外に出るとその音は大きく、激しさを増す。

 

パパパパパパン!!

 

サブマシンガンか何かが乱射する音。間違いなく銃声だ。しかも、一人ではない、複数だ。

村の住人はもう大慌てだ。山を下山できる道からボロボロの天狗が一人里に入ってくる。

 

白狼天狗A「敵だァァ!!謎の人間が攻めてきたぞ!!」

 

その言葉を聞き、佑介は拳銃に手を伸ばし、下山道を通る。

 

白狼天狗A「お、おい!アンタ!!」

 

椛「佑介さん!!」

 

夕日により照らされた道を辿り、下へ下へと下っていくと、銃声は徐々に大きくなっていく。

 

ヒュン!

 

佑介「うおっ!?」

 

銃弾が頬をかすめる。敵がすぐ近くにいることがわかると、近くの木の陰に隠れる。

 

敵A「木の陰に隠れたぞ!!撃てっ撃てぇ!!」

 

敵はターゲットを佑介に定めたらしく、佑介が隠れた木に向かって一斉射撃を始める。

 

ガリガリと削られる木。そう長くは持ちこたえらなそうだ。

 

佑介「フン!!」

 

腰に差していた刀を抜き、隠れていた木を斬り、蹴りを入れる。すると、木は敵の方向にゆっくりと傾き出す。

 

敵「「「おお!?」」」

 

その傾きだした木の上を走り出す佑介。ちょうど傾きがいい具合に敵の真上まで来た時、佑介はジャンプをして敵に向かって突撃していく。

 

佑介「ハァ!!」

 

一人を切り伏せ、もう片方に握っている拳銃で右にいた敵に鉛弾をぶつけ、左手に持っている刀で敵の腹を刺し、そのまま進む。味方の敵は佑介を撃とうとするが、弾丸はその刺さっている敵の背中に当たる。

その撃っている敵の前まで来ると、刺殺した敵の腰にある手榴弾のピンを取り、その刺殺した敵の死体を敵兵士に向かって蹴り飛ばす。

 

ドバン!!グチャッ!!

 

爆発音の後に聞こえた嫌な音。佑介の足元に何かの肉片が飛び散る。

 

敵B「テメー!!」

 

後ろからマチェットを構えて向かってくる兵士が一人。しかし、佑介はその男の気配を早く察知し、マチェットの斬撃を後ろを向いたまま刀で受け止め、そのままきびつを返し、敵のマチェットを振り払うと、敵を切り伏せる。

 

佑介「はぁぁ・・・!」

 

刀を構えて辺りを見渡す。

敵は佑介に恐怖しているのか、ジリジリと後ずさりしていく。

 

佑介「・・・テメーら・・・この世界の人間じゃねえな・・・オリジンか・・・どうやってこの世界に来た」

 

敵C「やれーッ!!」

 

佑介の問いかけに返事をせず、問答無用に襲いかかるオリジン兵たち。

しかし、佑介は軽やかな身のこなしで敵の斬撃を次々と避けていき、確実に一人一人を黙らせていく。

 

佑介「次はどいつだ!殺されたい奴は前に出ろ!!」

 

鬼神が如くその戦いぶりに、敵はもう恐怖で震えている。ついには、逃げ出す兵士たち。

 

敵兵隊長「ひ、怯むな!行けっ!行くんだ!!」

 

しかし、隊長らしき男の声を聞かずそのまま逃げていく下っ端たち。

ついに、その隊長一人となってしまう。

 

しかし、男にも恐らく任務がある。任務を遂行せずに帰ったら殺される。そう思ったのか。マチェットを抜いて佑介に向かってきた。

 

敵兵隊長「覚悟ォォォ!!」

 

しかし、へっぴり腰の剣術に佑介を倒せるはずもなく、佑介がひと振りすると、マチェットが手元から吹っ飛び、もうひと振り。

 

敵兵隊長「ブフッ!?」

 

口から血を吐き、腹から血を出しながらドサッと倒れると、佑介は刀を鞘に収める。

 

佑介「・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

椛たちの討伐隊が到着すること、佑介は死体を運び、荷物を調べていた。

財布、携帯やタブレット端末をいじり、情報がないか調べてみる。しかし、兵士たちの身元を示すものは一切なかった。あったのは、オリジンの刻印。太陽と月のマークだけだった。

 

佑介「・・・またしてもオリジン・・・」

 

椛「この人たち、いったいなんですか?」

 

佑介「説明すると結構長くなるんだよ・・・ただ、俺がここに来た意味は、こいつらが関わっていると思われる」

 

あの時の場所。ある一つの古い屋敷。あれが関係しているのではないか?と思っていた。

 

椛「それはどういう・・・?」

 

佑介「・・・俺にもわからん」

 

???「それについては、私が教えるわ」

 

突如声をかける一人の女性。紫色のドレスに身を包み、日傘をさし、綺麗な金色の長い髪をなびかせた美女がいた。

 

おかしいところは一つもない。だが、しいて言えば一つだけおかしい点があった。

それは、彼女は空間の隙間から身体半分だしており、下半身が見えていないのだ。隙間は目玉のようなものが無数に見える薄気味悪い空間。そこから上半身だけ出し、下半身は出していないのだ。

 

佑介「・・・あなたは?」

 

???「・・・そうね。初めて会うようなもの・・・なのかしらね」

 

女性はその空間から出ている隙間から下半身を出し、地面に足を付けた。

 

紫「私の名前は、八雲紫。あなたを産んだ母親よ」

 

 




旧作の鷹伝とは違い、八雲紫さんが本当の母親であります。
旧作では、名づけ親で、いつも見守ってくれていた理解者というポジでしたが、なんかこっちのほうがいいなと思いこうしてみました。

では、次回をお楽しみに。


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第六話

グダグダです。

最近恋姫無双にハマっており、次の小説作りをしている最中です。

ちなみに好きなキャラは凪です。


佑介「・・・あんたが・・・俺の・・・?」

 

紫「ふふっ・・・流石に小さい頃のことは覚えていないわよね・・・あなたをこの腕で抱きかかえたことも・・・」

 

紫はゆっくりと佑介に近づき、佑介の両頬に手を置いた。

 

紫「会いたかったわ・・・!」

 

そして、ギュッと腕を後ろに回されて抱きしめられる佑介。

その時、佑介の目から自然と涙が流れていった。

 

佑介「・・・一つ聞いていいか?」

 

紫「何・・・?」

 

佑介「・・・俺を産んだ時、どう思った・・・?」

 

紫「嬉しかったわ・・・一つの命が生まれたその瞬間、私は痛みなんか忘れたわ・・・『産まれて来てくれて、ありがとう』って思ったわ」

 

佑介「そうか・・・(まだ俺には、繋がりっていう物があったらしいな・・・)産んでくれて、ありがとう。〝母さん〝!」

 

 

 

 

 

 

 

一旦椛と別れ、佑介は八雲紫と、母親と名乗った女性の後を付いて行くように彼女が出したスキマに身を投げた。

そこにあったのは、『マヨヒガ』と看板が立たれた和風の家だった。

 

佑介「・・・」

 

茶の間に通され、正座をして出された緑茶をすする佑介。

 

紫「どうしたの?そんな礼儀正しくしちゃって」

 

佑介「いや、こういう『親子の交流』っていうの久しぶりだから・・・何か調子狂って・・・しかも母さんとは幼い頃に合ってても、ほとんど覚えてないし・・・」

 

紫「そうね・・・あの人が死んで5年ですものね」

 

佑介「あぁ・・・人との繋がりが切れるのは初めてじゃない・・・今までそんな場面は何度も味わった。親しかった仲間、あったばかりの俺と仲良くしてくれた兵士。だが、最も親しい人間が死んだ時、俺の中で何かが抜けていった気がした・・・だが、俺にはまだ仲間が、母さんがまだいた。ここに来て俺は救われた。ここにこれて良かったよ」

 

紫「そう・・・」

 

佑介「だけど、俺は帰らなきゃいけない。今世界中で起こってるこの馬鹿げた戦争を終わらせるまで・・・」

 

紫「そのことで話があるのよ。今の幻想郷の現状を見てもらいたくて」

 

パチンと指を鳴らし、ちゃぶ台の上に地図を出す。それは、幻想郷の地図だった。

そして、もう一つ、世界地図も出された。

 

紫「妖怪の山であったように、今この世界は異変が起きてるわ。あなたたちの世界でいう『オリジン』というテロリストがこの世界に謎の出現をしているの。人数が少ないおかげで今日みたいな大胆に襲撃をすることはなかったんだけど、それでもちょくちょく見かけるの。」

 

佑介「・・・奴らはどこでこの世界に来てんだ?椛の話じゃあ、俺のような外来人はこの世界に来ることは希にある程度だと聞いたが・・・」

 

紫「わからないわ。でも、何らかの力を使ってるのは確かよ」

 

佑介「わからない・・・か。遠征先でしらみつぶしに探すことにしよう。ついでに、こっちのオリジンもぶっ潰す」

 

紫「助かるわ。それで、あなたが使ってる装備品の弾は私が調達して上げるから、ここに来れば銃弾を補充できるわ」

 

佑介「できるわって言ってるが、俺はあんたみたいにスキマを開くことはできねえぞ?」

 

紫「ちょっとこっち来なさい」

 

佑介「あ、ああ・・・」

 

言われた通りにしようと佑介は紫に近づく。

スッ・・・と頭の上に置かれる紫の手。佑介は えっ・・・この歳で子供扱い? と思うが、その思いはすぐに消えていく。

 

何かが体の中から湧き上がる感覚がするのだ。それは次第に大きくなる。しかも、佑介はその感覚を覚えている。この世界に来て行ってきた修行を体が覚えていた。

 

身体から出てくる青白い薄い光。それが一気に身体から放出されていく。

 

佑介「これは・・・」

 

佑介は自分の手を見る。

 

紫「あなたの隠れた力を強制的に出しただけよ。後は慣れで力を出し方を覚えるわ。後、あなたの能力がわかったわ」

 

佑介「能力?」

 

これについては佑介も知っている。人にはそれぞれ能力というものがあるということを、因みに、椛の能力は千里先まで見通す程度の能力である。

 

佑介「俺にも能力が・・・ねえ・・・で、俺は何の能力なんだ?」

 

紫「ふふっやっぱり親子ね。能力まで同じなんだから・・・。あなたの能力は、『能力をコピーする程度の能力』よ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガチャガチャと大量の荷物を背負い、銃を太もものホルスターに、腰に刀を差す。

 

椛「本当に行くんですね」

 

佑介「ああ。オリジンが出現したところを見ていく。そうすれば奴らの手がかりや元の世界の情報も入る・・・まずは、人が多い人里に向かってみる」

 

椛「そうですか・・・短い間でしたが、寂しくなります」

 

佑介「何言ってんだ。今生の別れじゃあるいし・・・」

 

不安そうな顔をしている椛の頭に手を置く佑介。

 

佑介「安心しろよ。いつか遊びに来るよ」

 

椛「ええ、いつか、必ずです」

 

佑介「それじゃあ、俺は行くよ。じゃあな。椛」

 

二人は硬い握手をして別れを告げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

妖怪の山を下山している佑介の隣で、スキマを開いた紫が佑介と肩を並べるようにしているが、そんなことはお構いなしに佑介はせっせと歩いていく。

 

紫「随分と仲が良いようね。あの子と」

 

佑介「同じ人に育てられた兄弟みたいなもんだ。また会えるのを楽しみにするさ。さて、まずは人里だな」

 

腕についたタッチパネルディスプレイを触り、人里までの最短ルートを確認する。

 

ここから歩いていくと丸々一日かかる程度。

 

紫「じゃあ人里に生きて着いたら連絡頂戴ね。佑介」

 

佑介「生きて?馬鹿言え、俺は生き残るさ。なんせ、俺は、伝説の傭兵の子にして、八雲紫の息子・・・『八雲佑介』だからな・・・」

 

手をヒラヒラと振りながら佑介は足を前に、もう片方の足を前に、一歩一歩確実にこの先の戦いに向けて歩いて行った。

そして、ここから、佑介とその仲間たちの運命の歯車が狂いだし、幻想郷と外の世界の運命もまた、壊れた時計のように狂い出すのだった。

 

 



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主役紹介

今回は佑介、正志、空翔のオリキャラ説明です。


※ランクパラメーター説明

強い━━━━━━━━━━弱い

S←A←B←C←D←E←F

 

 

 

外の世界:鷹川佑介(たかがわゆうすけ) 幻想郷:八雲佑介(やくもゆうすけ)

二つ名:二つの性を持つ男 賢者の息子

能力名:能力をコピーする程度の能力

統率力:B+(大人数を動かせるには十分のレベル)

武力:A++(鬼とやっていけるレベル)

学力:A(一流大学を卒業できるレベル)

生年月日:2021年4月20日

年齢:22歳

性別:男

血液型:A型

身長:180cm

体重:63kg

髪色:銀髪

瞳:右目深い紫色 左目 浅い紫色

特徴:長いポニーテール

所属:自由の傭兵(フリーダム・マーセナリー)

職業:フリーの傭兵。副業として何でも屋を営んでいる。

趣味:読書 武器の手入れ 古い音楽鑑賞

大切なもの:家族 仲間

武器:日本刀『菊一文字・零(新選組一番隊隊長・沖田総司の愛刀を現代に蘇らせたもの)』

   拳銃『オーガ+ファルコン(普通のハンドガン ベレッタを威力などを改造した物』

   時によりトマホーク、ナイフ、アサルトライフルなどを装備。

 

本作の主人公。フリーの傭兵グループ『自由の傭兵(フリーダム・マーセナリー)』の一員。

 

父親から戦術や銃の使い方を習うが、元々戦闘の素質がある天性の持ち主。剣術は我流。学も我流だが、一流大学を卒業できる頭はある。生まれたのは戦場のど真ん中だったが、国籍は日本になっている。

 

幼少期に外の世界で生まれ、戦場で育ったが性格は優しい。そのため、彼は幻想郷という存在を知らずに生きてきた。母親は佑介が生まれて行方不明とされているが、実は母親は幻想郷の賢者八雲紫。父親の鷹川信介は佑介が17歳の頃に戦死。

その後は意志を継ぐべく正志たちと共に戦い続ける。

よく女に見間違えられるという悩みを持っている。結構な甘党であり辛党でもあるため、周りからは味覚が宇宙人じゃないのか?と言われることもある。(実際は普通の味覚をしている)

 

望月正志(もちずきまさし)

統率力:B(数十人の部隊を動かせる)

武力:A(複数の人数と同時にやれるレベル)

学力:D++(勉強が苦手。戦いに関しての知識は豊富。一応英語、ロシア語、日本語を話せる)

生年月日:2021年10月28日

年齢:21歳

性別:男

血液型:O型

身長:180cm

体重:71kg

髪色:赤髪

瞳:淡いグリーン

特徴:右目に小さな切り傷

所属:自由の傭兵(フリーダム・マーセナリー)

職業:フリーの傭兵。

趣味:武器の手入れ スイーツ作り

大切なもの:仲間 妹

武器:日本刀 銃(主にアサルトライフル:M4A1 AKシリーズ 軽機関銃:M60シリーズ)

 

フリーの傭兵グループ『自由の傭兵(フリーダム・マーセナリー)』の一員。

 

戦争孤児。佑介とは幼少の頃からの知り合い。ロシアにある孤児院にいたが、あることがきっかけで佑介と共に修行を行った。実の妹がいる模様。日本人の名前だが、ロシア生まれ。国籍もロシア。

 

幼い頃から戦闘の素質があり、佑介と同じ天性の持ち主。しかし、佑介とは違い、本能のまま戦い、培われた野生の勘で戦場を生き残ってきた。年を重ねるとごとに戦いの知識を得ていき、その野生の勘も磨きかけられる。

嫌いなことは勉強で、学校には一切通っていない。スイーツ作りという趣味を持っており、その腕前は一流パティシエも驚く程。さらに妹のことになると目の前が見えなくなるほどのシスコン。ライバルである佑介にだったら嫁にしてもいいと言っている。

 

神楽坂空翔(かぐらざかつばさ) 本名:ヴィクトル・クルノフ

統率力:B(数十人の部隊を動かせる)

武力C++(数人同時にやりあえるが、数十人では少し不利になる)

学力:S(三人の中で一番の頭脳派。ほとんどの言語(多少鈍っているが)を話せる)

生年月日:2021年8月3日

年齢:21歳

性別:男

血液型:AB型

身長:178cm

体重:61kg

髪色:青色

瞳:金色

特徴:さらりとした綺麗な髪

所属:自由の傭兵(フリーダム・マーセナリー)

職業:フリーの傭兵。

趣味:武器の手入れ コーヒーと酒

大切なもの:仲間 自分の居場所

武器:日本刀 銃(主に使っているのはスナイパーライフルとサブマシンガン)ボウガン、弓

 

 

フリーの傭兵グループ『自由の傭兵(フリーダム・マーセナリー)』の一員。

 

ドイツ人と日本人のハーフ。日本の血が強く、顔つきも日本人。幼くして両親を失い、ドイツのギャングとして日々を過ごしていた。ある事件で佑介と正志に知り合い、共に歩んでいきたいと決意し組織を脱退。傭兵として戦っていく。(この時、名前を変えた模様)

 

三人の中で一番経験が浅いものの、日々ギャング同士の小競り合いに巻き込まれたりして度胸はある。普段は大人しく、至って普通の青年で紳士的だが、仲間のこととなるとカッとなることも多々ある。佑介と正志をうまく止めてあげられるブレーキ役でもある。

喧嘩をしてきたこともあり腕には自信があるが、その中でもずば抜けた才能を持っていたのがスナイパー。以後、スナイパーとしての腕を磨き上げた。

勉強が好きで、家庭教師のバイトをしていた経験がある。一番好きな勉強は科学。

 

 




旧作では、正志は妹はおらず、またロシア生まれではなく、空翔もハーフでもなく、ギャングにいませんでした。
何かインパクトを与えようとしたらこうなりました。


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第七話

何か面白いゲームはないですかねえ~・・・

えっ?そんなことより続きかけ?


古来から旅をして来たものはどうやって寝る場所を確保してきたか、大まかに二つ。目的地の少し前にある村や町で宿を取ればいいだけのだ。そうすれば次の日の朝に出れば目的地に着くことが多い。

もう一つは単純。野宿だ。火を灯し、何もないところでひっそりと寝る。そして、次の町まで行くのだ。

 

今回の場合はその話の後者。

佑介はこの世界を甘く見ていた。妖怪の山を降りたまでは良かった。しかし、この世界には未知なる者たちが多く、佑介を見るなり悪戯をしでかす悪妖精。そして、人間を食する妖怪だ。それを相手していくとキリがない。相手をしていた結果、一日目は野宿をする羽目になった。

 

佑介「・・・」

 

ゆらゆらと揺らめく火を見つめながら佑介は無言で非常食を食べる。

 

野宿で一番怖いことは敵の夜襲。佑介も傭兵をしている時に幾度と無く夜襲にあったこともある。時には寝ている隙に喉元にナイフを突きつけられているなんてこともあった。そんなことがあれば野宿なんて早々寝れるものでもないし、寝ようと思っても寝れないものだ。

しかし、この世界で寝るとき、不思議にグッスリと睡眠を取ることが出来たのだ。目を覚ますと太陽の光が視界に入り、焚き火をしていた跡が黒々と残っている。

急いで人里に行きたい。それだけの思いで佑介は足を急がせた。

 

 

 

 

 

 

 

~人里~

 

ここは人里。この幻想郷で一番人間が多い場所である。妖怪なんてものは滅多に見かけない。町というよりか大きな村みたいなものだ。流石にみんな佑介のような格好が珍しいらしい。佑介が通るとジロジロと見る。

そして、佑介はそんな中で手帳に書いたオリジンのマークを人里の人たちに見せて何か情報を持っていないか訪ねるが、「さあ、知らないなぁ」「初めて見たよ」という人が大半だ。

 

民A「さあねえ、見たことないよ」

 

佑介「そうか・・・」

 

民A「悪いな兄ちゃん。力になれんで」

 

佑介「いや、ありがとう」

 

と言い、またしても有益な情報は入ってこなかった。

 

佑介「(これだけ人がいれば、それだけ情報が集まると思ったんだが・・・)」

 

腕時計に視線を落とすと、短い針が1時を指している。昼だ。

丁度お腹が鳴り出した佑介は目の前の蕎麦屋で一杯蕎麦を食べることにした。

店の中は昼時ということもあり、客が多く、空いてる席を一つだけ見つける。

 

店主「いらっしゃい」

 

佑介「店主。こんなマーク見なかったか?」

 

食事をする前に手帳に書いているオリジンマークを蕎麦屋の店主に見せる。

 

店主「さあ、見たことねえなそんなマーク」

 

佑介「そうか・・・ざる蕎麦一つ。二人前で」

 

店長「へいっ!」

 

いい返事をした店主は早速佑介が注文した蕎麦を作りに入る。

 

待っている間に佑介は銃の弾薬を数える。

持っているのは今持っている佑介の愛銃『オーガ』と『ファルコン』に使う9mmパラベラム弾と今回佑介の背中に背負っているレミントンM870MCSいわゆるショットガンの弾12ゲージ弾を数える。

それぞれ9mmはマガジン数本分。一方の12ゲージ弾は40発以上持っている。そしてもう一つ、八雲紫からもらった弾幕用銃弾。マガジンに入っている魔法石が壊れない限り撃ち続けれる代物だ。これではまるで戦争しに来たように見えるが、それは違う。佑介は戦争に来たのではなく、賊の討伐に来たのだ。

荷物をリュックに入れていくと、丁度佑介が頼んだざる蕎麦が来た。

 

割り箸を取り、パチッと丁度真ん中から箸を割り、蕎麦を少し箸でつまみ、つゆに少しつけてそのままズズッと吸い上げる。

 

佑介「うめえ」

 

つゆが入った器の端っこに付け合せのわさびを付けてそれを蕎麦と一緒にかきこむ。

 

佑介「おっ、これまたいいわさびで」

 

などと言いながら蕎麦を黙々と食べていく佑介。

 

???「隣、いいですか?」

 

佑介「ん?ああ、いいですよ」

 

佑介の隣に座った女性。綺麗な銀髪ショート、おさげに小さなリボンを両サイドにしており、頭の上にはメイドキャップらしきものを付け、メイド服に身を包んだ女性。腰には鎖で繋がれた懐中時計。そして太ももにはナイフを収めるホルスターが付いていた。

 

女性は佑介の背負っていたショットガンを見る。

 

???「あなた、外来人ね」

 

佑介「そうだけど?」

 

ズズズズッと最後の一口。ゴクンと飲み込み、お冷を飲み、口の中をさっぱりさせる。

 

佑介「外来人っていうのはそんなに珍しい訳?」

 

???「いえ、そういうわけじゃないんだけど・・・」

 

先ほど注文したのであろう、店主が女性の前にかけ蕎麦を出す。

 

佑介「すまんな。俺は急いでんでこれで・・・。店主、勘定ここに置いとくよ」

 

さっきまで佑介が座っていたところの机の上にお金を置いて店の中を出る佑介。

外に出ると夏の太陽の熱気が襲ってくる。

 

佑介「あつぅ~・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

それからいろんな所でオリジンのことを聴きまくったが、何一つ有益な情報は出てこなかった。辺りは既に日が落ち、辺りは暗くなる。

町中から灯される小さな火の光で辺りが照らされる程度だ。

 

佑介「ハァ・・・何一ついい情報が手に入らなかった・・・」

 

紫「敵も馬鹿じゃないってことでしょ」

 

佑介「うわあ!!?」

 

いきなり横に現れたのは佑介の母八雲紫。

驚いてしまい、尻餅をつく佑介。

 

紫「失礼しちゃうわね。母親に向かって「うわあ!!?」って」

 

佑介「いきなり現れたら誰だって驚くわ!もう少し普通に登場できないのかよ!?」

 

タバコをふかしながら佑介は紫の横に並ぶ。

 

紫「で、どう」

 

佑介「全然ダメだ・・・オリジンのオの字も出てこねえ・・・ある程度だったらここで情報が入ると思ったんだが・・・空振りみたいだ・・・フゥ~・・・」

 

白い煙を口から吐き、灰をポケット灰皿に入れる。

 

佑介「無駄足だったか・・・」

 

吸殻を灰皿の中に入れてその場を立つ。

 

もうすでに日は沈んでいる。となるともう今日は情報は集まらないことは明白だ。じゃあこれからやる行動、それは宿探しだ。

こんな大きな町だ、宿場の一つや二つあるだろうと考え、佑介は紫と別れて宿場を探すことにした。

 

と言っても、佑介はこの町に初めて来。町の形を一日で覚えれるわけない。

宿探し5分で途方にくれてしまう佑介。

 

???「あら、さっきぶりかしら?」

 

佑介「・・・うん?」

 

どこかで聞いた声が佑介の耳に入る。後ろを振り向くと、そこにいたのはメイド服を着た蕎麦屋で出会った女性だった。

 

佑介「・・・あんたは確か」

 

咲夜「自己紹介がまだだったわね・・・私は十六夜咲夜。紅魔館でメイド長をしているものよ」

 

スカートを少しつまみ、お辞儀をする女性。恐らく佑介より年下だ。それなのに落ち着いていて、それでいて可憐だと思っていしまう。

 

佑介「俺は鷹川佑介。君たちのところで言う外来人だ」

 

咲夜「そうですか・・・それでは、あって間もありませんが・・・あなたには死んでいただきます」

 

・・・は? と佑介は声に出ない思いが頭の中に駆け巡った。それもそのはずだ。なぜなら佑介の目の前には、銀色に輝くナイフが飛んできたのだから。

 

佑介「ッ!!?」

 

なんとか体の状態を後ろに反らすことによってナイフを避けることに成功する。

しかし、彼女が何をしたいのか佑介には分からない。ましてや佑介とこの咲夜という女性とは会ったばかり、命を狙われるようなことは一切していないのだ。

 

佑介「いきなり何しやがる!当たったらどうするんだ!」

 

咲夜「当てるためにやってるんじゃないの!!」

 

ジャンプして手にいっぱい持ったそのナイフを佑介に向かって放つ咲夜。

しかし、佑介は当たらないように避けていくが、なにぶん民家が多く、人に当たるのではないのか?と思ってしまう。

佑介は一旦体制を立て直すために走る。

 

咲夜「逃がさないわ!」

 

 

 

 

 

 

 

佑介「ハァ!ハァ!(ここまで来たらいいだろう!)」

 

全力疾走で走る佑介。何とか町からそれなりと離れてきびつを返して刀を手にして鞘から抜く。

 

咲夜「やっと止まったのね・・・」

 

全力疾走で走っていたのにも関わらず息を切らすどころか汗一つかいていない咲夜。

 

佑介「全く、戦場で走り回ってる俺に追いつくなんざ、並みの人間じゃねえな・・・ましてやメイドに劣るとは・・・ホントにメイドか?」

 

咲夜「メイドよ。間違いなくね」

 

しかし、普通のメイドでもないのも確か、その全身からにじみ出るような殺気か殺意に似たオーラ。只者ではないことは確かである。

だが、佑介もここで殺される訳にはいかない。その為には、彼女を気絶させて情報を聞き出すしかないのだ。

 

刀をカチャッと構える。

 

佑介「行くぞ・・・」

 

間を広めてナイフを投げられると厄介だと思った佑介は咲夜との間を縮めようと一気に突進する。

しかし、距離を置こうと咲夜は後ろにバックステップをしながらナイフを投げてくる。

 

佑介「・・・ッ?」

 

走りながら刀を振るい、ナイフを落とす。

 

佑介「(見える・・・ナイフがスローモーションのようにはっきり見える・・・!)

 

ギン!ギン!

ナイフを弾きながら佑介は確実に咲夜に近づく。ついに文字通り目と花の先まで追い詰める。

 

佑介「オラァ!!」

 

振りかぶった刀を逆刃にして咲夜に向かって振り下ろす。しかし、

 

佑介「なにっ!?」

 

咲夜は目の前には居なかった。いや、いなかったというよりいなくなった。消えたのだ。

再び刀を構え直して辺りを見渡す。

 

佑介「クソッ・・・!どこに・・・」

 

月夜が照らす道に一人だけいる佑介。はたして、佑介はこの戦いに勝てるのだろうか?




今回は紅魔館の完璧で瀟洒なメイドさん咲夜さんとの戦いですね。
佑介に取っては幻想郷での初めての一騎打ちですね。

次回は期末テストがあるので遅れそうです。まあ、いつものことなので気長に待ってくれたら幸いです。


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第八話

L4Dおもしろすぎるw
誰か一緒にやってくれませんか?(始めたばっかの初心者です)

さて、期末試験が終わったので無事再開しましょう。
えっ?勉強しろ受験生?やってますよ一応。


佑介「クソッ!どこだ!?」

 

背負ったショットガンを構えて辺りを見渡す。右、左、上、後ろ、全方向を見る。しかし、そこには咲夜の姿どころか人の気配がない。

いや、気配がないのではない。

 

佑介「そこかぁ!」

 

ドォン!カシュッ!

ショットガンで木の影を撃ち、ポンプアクションをして次弾を装填させる。しかし、そこにいたはずの人の気配が一瞬でなくなった。確かにそこにいたのにだ。

 

佑介「クソッ!(なんだ、さっきからあの女の気配が所々に移動している。まるで、瞬間移動をしているように・・・)」

 

月夜の光に輝いて見えた数本のナイフが佑介に向かって降り注ぐ。

佑介はショットガンの散弾を利用して一発をその飛んでくるナイフに向かって撃った。すると、ナイフはものの見事に周囲に散蒔かれた散弾により、全て弾き飛ばした。

空弾をポンプアクションで取り出し、撃った分弾を入れていく。

 

しかし、相手はそんなことを簡単にさせてくれることもなく、ナイフを投げ続けてくる。

弾を入れる余裕も無くなり、ショットガンを手放し回避する。

 

太ももに付けているホルスターから拳銃を抜いてマガジンを弾幕用に変える。

弾の威力は落ちるものの、速度は同じだ。

拳銃を両手に持って構える。

 

咲夜の姿は全く見えないものの、何処からナイフが飛んでくるか、それは一瞬の隙をつかなければならない。しかし、その一瞬が掴めないでいた。

 

佑介「クソッ、瞬間移動しつづけやがって」

 

咲夜「瞬間移動?ちょっと違うわね!」

 

後ろから声が聞こえる。即座に振り向こうとしたが、振り向いた瞬間、顎下から鈍い痛みが走る。それは、咲夜が振り向き様の佑介に放ったサマーソルトが佑介の顎下に当たったのだ。

 

佑介「グブッ!」

 

佑介の体が宙を舞う。しかし、こんな簡単にやられるほど佑介は柔ではない。地面にドサンと倒れるが、すぐに立ち上がって見せた。

 

佑介「ペッ・・・」

 

口から血を吐き出す。

 

佑介「その口ぶりからして、やはり能力を使っていると見た」

 

咲夜「ご名答。私の能力を前にして、あなたは何が起こるかわかる前に死ぬわ」

 

咲夜が腰に付けている懐中時計を触り何かを唱える。

 

佑介「ッ!!」

 

佑介はなにかが起きると思い、銃を構えるが、そこで、動きが止まった。いや、正確に言うと、全ての動きが止まったのだ。

辺りはまるで時が止まったように静かになり、さっきまで吹いていた風も全てが止まった。

 

そんな中で、咲夜だけは動いていた。まるで彼女が時を操っているように。

 

咲夜「これが、私の能力。『時を操る程度の能力』よ。もっとも、あなたはそれがわかる前に死んでしまうでしょうけど・・・」

 

手に持った無数にナイフ。それを佑介に向かって投げると、そのナイフたちは佑介の目の前で止まったのだ。

 

ーパチンー

 

指を鳴らすと、再び時が動きだし、風が吹き始め、虫も鳴き出す。

そして、ナイフも。

ナイフは一直線に佑介の方向に向かって飛んでいく。回避も不可能そう思った。咲夜は、恐らく勝ったと思ったであろう。

しかし、佑介はここで腕を前に出したのだ。

 

咲夜「ま、まさか腕で!?」

 

しかし、飛んできているのは数本のナイフではない。数十ものナイフだ。そんな数を腕一本で食い止めるなんて不可能。ましてや、普通の人間に。

しかし、佑介は普通じゃない。

 

佑介「ハッ!!」

 

なんと、目の前に空間の亀裂のような物を作り、その目玉がいっぱい映っている空間にナイフが吸い込まれていったのだ。

 

そう、それは紛れもなく、母八雲紫の能力の一部だった。

 

咲夜「そ、その技・・・!」

 

佑介「やれやれ、ぶっつけ本番でやった割りにはうまくいったぜ。しっかし、疲れるな。この技」

 

地面に投げていったショットガンを拾い、ガチャリとポンプを引っ張る。

 

咲夜「な、なぜあなたがスキマ妖怪と同じ能力を・・・!」

 

佑介「まあ、色々あるんだが、取り合えず、息子とだけ言っておこう」

 

咲夜「む、息子・・・?八雲紫の・・・?」

 

佑介「なあ、あんたはなんで俺を狙う?はっきり言って俺とあんたは無関係だ。なのになぜ俺を狙うんだ」

 

手に持っているショットガンを背負い、交戦意思が無いことを伝える為に拳銃も刀も収めて両手をあげる。

それが伝わったのか、咲夜はナイフを太もものホルスターに収める。

 

いや、伝わったというより母である紫の名前が効果的だったのであろう。

八雲紫はこの幻想郷の管理人。彼女がこの幻想郷を愛しているのは幻想郷中誰でも知っている。この幻想郷が破壊されるようなことは彼女が許さないハズだ。ましてや、その息子なら尚更だ。

 

そう考えた咲夜はナイフを全て収めたのだろう。

 

咲夜「どうやら私の勘違いみたいね。ごめんなさい。私は十六夜咲夜。紅魔館でメイド長をしているわ。あなたのその武器を見て、あいつらの仲間だと勘違いしちゃったの。本当にごめんなさい」

 

佑介「もういいさ。俺は八雲佑介。外の世界では鷹川佑介って名乗ってる。それより聞かせてくれるか?どうやらアンタは銃を見て俺を襲ってきたが・・・何か関係するのか?」

 

咲夜「ええ、実は前に私が住んでいる屋敷にあなたに似た人たちが来たの」

 

佑介「俺に似た奴?それはこんなマークをしてたか?」

 

佑介はポケットから手帳を出してオリジンのマークを咲夜に見せる。それを見ると咲夜は首を縦に振る。

 

咲夜「ええ、このマークを肩につけていたわ」

 

佑介「ビンゴだ・・・!」

 

 

 

 

 

 

 

 

夜も更けて行き、時計の針は既に夜の11時を回っていた。佑介は宿を取る途中であることを思い出すが、咲夜がお詫びに紅魔館という館に泊めてくれると申し出てくれた。既に結構街から離れてしまい、今から戻っていたらみんな寝てしまうような時間になるかもしれない。しかも、今は夜で辺りは月光で照らされていても暗い。こんなところをウロウロしていたら妖怪と出くわす可能性もあった。それに戻ったとしても頼る人も、行く宛てもない佑介はお言葉に甘えるため、こうして咲夜についていくことにした。

 

佑介は咲夜にこの世界に留まっている理由を話し、今外の世界での戦争と妖怪の山で何が起こったか話した。そして今回佑介が探している一味の説明もする。

 

佑介「まあ、こんな感じだ」

 

咲夜「へえ、外の世界も大変なのね。でも、あなたここでこんな事してていいの?向こうの世界が心配じゃあ・・・」

 

佑介「その点なら大丈夫だと思うよ。あいつらがここを狙ってきたということは兵力が十分じゃないってことだ。だが、奴らの誤算はそこだ。ここは数十人の兵士で占領できるような場所じゃないからな・・・それに、向こうには俺の相棒たちがいるしな」

 

咲夜「そ、そうなの・・・。って、そんなこと言ってたら着いたわ」

 

咲夜が足を止めると、佑介も同様に足を止める。二人の目の前にある禍々しい館があったからだ。それは月光によりよく見えなかったが、館全体が紅色だった。まさに文字通り『紅』魔館と言う名にふさわしい館だった。

まだ誰かが起きているのか、館にチラホラと灯りがまだ灯っていた。

一見するとただのお化け屋敷のようにしか見えないあたり、佑介は少し背筋がぞわっとした。

 

佑介「ここが・・・」

 

咲夜「そうよ。ここが私たちの館。ようこそ、『紅魔館』に」




今回は短めです。
どうぞ感想等をしてやってください。
修正や説明、その他もろもろを返事します。ただ、罵倒はやめてくださいお願いします(´;ω;`)

あと、L4D持っている人一緒にやってくれる人もよろしくお願いします。まだXBOX買って間がない初心者ですがどうぞ遊んでやってください(*´▽`*)


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第九話

期待の夏休みが始まったのですが、どうもいつもと生活が変わってないように思えます。
皆さん。熱中症にならないように健康的な生活を送りましょう。

僕?心配ありません。もう熱中症になりました!今もダルいです☆彡


‐あらすじ‐

ひょんなことから幻想郷に入ってしまった鷹川佑介こと八雲佑介。オリジンとの戦いが一旦収まった外の世界だったが、その隙を狙うように数十人のオリジン兵が妖怪の山を奇襲をするものの、外の戦いに慣れている佑介により何とか退けることに成功する。オリジンの情報を手に入れるために人里で情報を得るため聞き込みをするも、そこで咲夜と名乗るメイドに攻撃を受ける。なんとか誤解を解くことに成功する。

 

そして、現在紅魔館に来ている。

 

全体紅色の館とは裏腹に中は紅色じゃないと思っていた佑介。しかし、そんな佑介の思いは打ち破られた。中も紅く目が痛い。

 

佑介「あ~・・・その名の通りだな・・・目に悪いな・・・十六夜は大丈夫なのか?」

 

咲夜「ええ。というか、慣れたわ」

 

佑介「慣れたって・・・どうやって慣れんだよ・・・この壁」

 

目をパチパチさせながら佑介はガチャガチャと装備品を揺らしながら咲夜の後について行く。

長く持っていたからか、肩を回す。

 

咲夜「先にお部屋に荷物を置きに行きましょうか?それと、お風呂の方も・・・」

 

佑介を見て気を利かせたのか、咲夜がそう言う。

しかし、館の主に一応挨拶しなければ失礼だろう。しかし、拳銃や刀を所持したままで挨拶するのも失礼極まりないだろう。

事前に話を聞いた限り、ここの主は吸血鬼。佑介のイメージだと吸血鬼とは高貴であり、誇り高くマナーとかにうるさそうなイメージしかない。そんなお方にこんな格好は如何なものか・・・しかも今の佑介の姿は普通だが、さっきの咲夜との戦いでボロボロである。

 

佑介「・・・そうさせてもらおうかな・・・」

 

ひとまず佑介は一つの空き部屋に案内される。そこで拳銃以外の装備を全て置いていき、風呂場まで案内してもらう。

流石に時間も遅い時間なので、誰もいない。

 

咲夜「衣服はお風呂から出てくる頃には乾かしておくわ」

 

佑介「・・・君の能力でか?」

 

咲夜「そうよ。私の能力『時間を操る程度の能力』で」

 

佑介「なるほど、だから目の前にいきなりナイフが飛んできたりしてたのか・・・やはり慣れない力は馴染めねえな」

 

腕時計を外しながらそんなことを言う佑介。

 

咲夜「どういうこと?」

 

佑介「君の能力をコピーさせてもらったんだ。俺の能力『能力をコピーする程度の能力』でな」

 

咲夜「能力のコピー・・・?だからあなたスキマ妖怪の能力を・・・?」

 

佑介「まあ、母さんみたいに物質の境界をいじったりできないがな。俺ができるのは移動程度だ。君の能力なら数秒しか動けないだろうな」

 

咲夜「じゃあ、あなたは誰でも能力をコピーできるの?」

 

佑介「いや、物を使ってでの能力はコピー不可能だ。例えば、この世界の地下にいる地底の妖怪。確か古明地だったか?そいつの『心の中を覗く』ためのアイテムがなければ無理だ。君の場合なら懐中時計がそうだな。俺はこれで代用した」

 

と言い、さっき外した腕時計を指差す。

拳銃を持ってきておいたが、それも外して衣服入れに入れる。上半身裸になると、小さな傷が体中にあった。それでも戦場を何年も駆け回った者とは思えないほどの綺麗な体をしていた。

 

佑介「十六夜・・・。」

 

咲夜「えっ?」

 

佑介がズボンのベルトを外そうとしたのを気がつき、咲夜はそれをすぐに察し後ろを向く。

 

咲夜「ご、ごめんなさい・・・!」

 

佑介「いや、悪気はねえんだし・・・」

 

カチャカチャとベルトを外して下を全て脱ぐ。タオルを腰に巻いて隠す物を隠して風呂場に入ると、外から咲夜の声がする。

 

咲夜「お風呂を出ることには服は乾かせておくわ。それまでゆっくりどうぞ」

 

佑介「わかった。何から何までありがとうな」

 

その感謝の礼を言うと、咲夜の気配はスッと消えていった。おそらく能力で瞬間移動のようなことをしたのだろう。

 

身体を洗うためにまず桶でお湯をすくい、それを身体にかける。お湯は適度の温度で、いい感じだった。身体をお湯でながしたら、そのまま湯船に身体を浸す。

日頃の溜まっていた疲れが吹っ飛ぶような気持ちよさが佑介の身体を包み込む。

 

髪は湯に浸からないようにまとめて結んでいる。

 

佑介「ふぅ~」

 

あまりの気持ちよさに息が溢れるように吐き出される。

 

佑介「(最近はこんな風にのんびりする時間なかったもんな・・・)」

 

ポタッと前髪の先端から落ちていく一粒の水。

それはお湯の中に合わさり、波紋を起す。

 

佑介「(あいつら、今頃どうしてるかな・・・まあ、こんな時期だから蓮子辺りは夏休みの宿題を手伝えとか言うんだろうな・・・)」

 

ガラガラガラ。

 

佑介「ん?」

 

考え事にふけていると、突如戸が開く音がする。

そして、ヒタヒタと裸足で歩く足音も聞こえる。それも二人分。

 

???「お姉さま!早く入ろうよ!」

 

???「待ちなさいフラン。自分で歩けるから引っ張らないで頂戴」

 

佑介「(ど、どういうことだ!?女の子の声だぞ!?俺が入ってるのに気がつかないのか!?っていうかここ混浴なの!?)」

 

足音は徐々に近づいてくる。もう逃げられない。っというか逃げ場がない。

そして、悶々と立ってる湯気の中から姿を現す二人の少女。身長は小学生くらい。先ほどお姉さまがどうとか言っていたのは金髪の少女。そして、その金髪の少女に引っ張られている銀髪の少女。だが、人間とは違う部分があった。それは背中の羽だ。金髪の少女は七色の宝石のような羽をしていて、それはまさに幻想的と言っていい羽を付けていた。一方の銀髪の少女はコウモリのような漆黒のような黒い羽を付けていた。つまり、この子達は人間ではない。妖怪なのだと認識した佑介。

 

そして、金髪の少女が佑介に気づく。

 

???「・・・あなた・・・だれ?」

 

佑介「・・・」

 

???「フラン。どうしたって・・・いう・・・の・・・?」

 

そして、さらに銀髪の少女も佑介に気がつく。あわあわと口を開けたまま顔を真っ赤にする少女。

こんな時に限って佑介の頭の中での逃走経路を作るための作戦を考えるも、それは思いつかず、思わず

 

佑介「どうも・・・」

 

と挨拶をしてしまった。

銀髪の少女は手から禍々しい紅い槍を出してくる。

 

???「うわああああああ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

風呂から上がったのはボロボロになった状態の賢者の息子。何故かリフレッシュするどころかストレスを溜めてしまう始末。

咲夜が戻った頃にはお湯の色が赤く染まり、必死に抵抗を続けていた佑介。なんとか咲夜の仲裁で事は収まった。

 

佑介「・・・いてて」

 

頭に包帯を巻いている佑介。どうやら傷を負ったらしく、腕に至っては擦り傷だらけだ。

しかし、幸い佑介の身体は特殊で、軽傷でほとんど済んでいる。というのも、妖怪と半妖の息子であるからだが・・・。

 

咲夜「すみません。私が早くに伝えていれば・・・」

 

佑介「いやいや、ミスは誰にでもある。ただ、風呂場で弾幕を張るのはどうかなと思うんだよ。俺は。なあ、レミリア嬢」

 

レミリア「う・・・」

 

ここの主だったレミリア・スカーレットに問いかけると、レミリアは下を向いたまま何も言わない。

 

佑介「まあもういいんだが・・・それより、このマークを付けた連中に会ったと聞いたのだが・・・」

 

と佑介は例のマークが描かれた手帳をレミリアに見せる。すると、レミリアの横にいるフランドール・スカーレットが覗き込む。

 

フラン「あれ?このマーク確か一昨日の・・・」

 

レミリア「ええ、確かに来たわ。でもそれがどうしたの?」

 

佑介「単刀直入に言うと、俺は奴らの敵だ。世界のバランスを崩そうとしている奴らを止めるために傭兵をしている」

 

レミリア「その傭兵が私に何の用なのかしら?」

 

佑介「このマークの連中だ・・・人数、武器、どこに行ったかも全て話してくれ。俺は八雲の人間だ。ここに来てまだ数日だが、俺はこの世界が好きだ。好きだからこそ俺はこの世界を守りたい・・・。親父の愛したこの世界を・・・『家族』を」

 

レミリア「・・・家族・・・か。あなた、ハデスって名前に聞き覚えない?」

 

佑介「ハデス・・・親父の戦友にそんな名前あったな・・・写真も見せてもらった。だが、俺がまだ幼い頃に死んだって・・・」

 

レミリア「・・・そう」

 

レミリアは佑介の言葉を聞き、小さく呟くと席を立つ。

 

レミリア「部屋は好きに使って頂戴。私は少し外に出るわ」

 

そう言い残し、部屋から出ていってしまった。

まるで残り香のように重い空気が残ってしまった中、佑介は手帳をそっと手にしてポケットに戻した。

 

佑介「なあ、まさかハデスって・・・」

 

フラン「うん・・・。フランたちのお父様」

 

佑介「やはり・・・か」

 

手帳を入れたポケットから出した一枚の写真。それは佑介の父である信介と、まだ幼い佑介を抱きかかえている金髪の男性。写真の裏には英語で信介とハデス。そして佑介の名前が刻まれていた。

 

咲夜「私は先代のことは良く知りません。レミリアお嬢様の代からですので」

 

テーブルの上に写真を置き、頭にを抱える。

 

佑介「・・・20年前くらいだ俺はまだガキだったから覚えてないし、話で聞いた程度だった・・・。親父とその人は親友で、幾つもの戦いに参加してた・・・。吸血鬼は太陽が弱いんだよな?」

 

フラン「・・・うん。太陽と流水を浴びちゃダメなんだって」

 

佑介「親父の話だといつも薬を飲んでいた。恐らく太陽の紫外線をどうにかする薬だろう。それはどうでもいいか・・・。ある戦場で二人は政府軍の傭兵として戦ってたが、戦況は最悪だった。反政府軍のゲリラ戦にあって釘付け状態に陥った。ハデスさんは、囮になるから逃げろと言ったらしい。なんとか親父は逃げたが・・・ハデスさんは戻ってこなかったと・・・」

 

フラン「・・・」

 

咲夜「・・・佑介さん。悪いのですがお嬢様を・・・」

 

佑介「・・・わかった」

 

写真を仕舞わずに部屋を出る。外に出ると言っていたので、佑介は一目散に外に出る。

 

夏とはいえ、少し肌寒くある。タバコを一本咥え、ライターで火をつけようとした時、どこからかすすり泣く声が聞こえる。

タバコを箱に戻すと、その泣き声を辿る様に探す。

 

門の方から声をしてすぐに向かうと、そこには門前で泣いていたレミリアがいた。

 

佑介「・・・ここにいたか・・・」

 

レミリア「う・・・うぐっ」

 

寄り添うように横に座り、空を仰ぎ見る佑介。

 

佑介「わかるよ・・・俺も親父を死なせてしまった。俺は助けようとしたが・・・叶わなかった」

 

レミリア「私のお父様と、おじさんの死は違うわ・・・」

 

佑介「そう、違う。君のお父さんはゲリラの手による戦死。俺の親父は激流に飲まれて死んだ。だが、俺はこの数年考えた。『ここで立ち止まったらいけねえ。そいつと同じ想いなら、そいつの想いを受け継がなければならない』と」

 

レミリア「・・・」

 

佑介「ま、どうするかお前さんが決めることだな・・・明日の朝にはここを出ていこう。俺が居ると、親父さんの顔がチラつくだろうし」

 

ポンポンとレミリアの頭を撫でるとそのまま佑介は館に入り、部屋に戻った。

 

机に武器が置いているのを見て、太ももにつけている拳銃も机に置き、ジャケットから何かを取り出し脱ぎ捨ててベットに身を沈める。

 

佑介「ふぅ・・・」

 

手に持ったのは二つのドッグタグだった。一つはハデスの名が刻んてあり、もう一つは信介のだ。二人共遺体は見当たらなかった代わりにこのドッグタグが落ちていた。

二人は死亡扱いとされているが、佑介はそうは思ってなかった。

 

遺体が見当たらないということは生きている可能性が微妙にあるということだった。

 

時計を見ると既に日が変わる時間になっていた。明日も早いと思い、佑介は灯りを全て消し、意識を眠りの世界に誘った。




最近海外ドラマのウォーキングデッドが面白くてレンタルしようと思ったらシーズン1がなく、シーズン2だけしかありませんでした。
今は訳のわからない状態で見ています。

何か面白いアニメかドラマはありませんかね?


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