仮面ライバーNewジオウ(二次王) (ぱんどら組長)
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プロローグ
《突飛な始まり》


時は202X年 俺は高校二年生のごく普通の学生だ。いや、だったと言うべきか…

毎日バーチャルYouTuber、通称「VTuber」やゲームに明け暮れる日々。あー、あと最近の仮面ライダーとかに興味を持ってる。ちっちゃい頃見てた仮面ライダーが平成10作品目だったのにもう20作品目だよ…ということで遅くも仮面ライダーマイブーム。

そろそろレンタルした仮面ライダージオウの円盤を見終わりそうだった。この日で最終話。推し活の合間に見てたから長く感じたなぁ。というわけで最終話を見る前に中古ショップでDXジクウドライバーを買ってみた。かなり状態が良かったので満足そうだ。きっとこの時は最終話を見終わった後感傷に浸るために買ったのだろう。

ん?そろそろ家の近くみたいだな。…始まりか。そろそろ俺の懐かしい景色を見れるのは終わりみたいだ。

 

さて、俺は一旦仕事に戻るとするかな。"君”はまだ見ていてくれ。その頃の記憶は強く覚えているからな。

あー、外が完全に囲まれてるようだな…これは面倒だな…ブツブツ…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「いやー!お買い得だった!」

左肩に学生カバン右手に箱らしき物が入ってるビニール袋を持ちながら僕はついつい嬉しくなって口に出してしまう。この時間帯にこの住宅街には人が外にいないので大声を出しても大丈夫、…ん。いや、いたな、人。通りかかった家の庭で遊んでいた幼い男の子に不思議そうに見られている。見るな見るな…恥ずかしいッスから…。

そんなこんなで家に着く。さてと、荷物置いてジクウドライバー用意して、円盤をパソコンに入れて、とよし見よう!ん~その前にライバーさん達の配信状況は…

 

「ん?」あれ?YouTubeの『あなたへのおすすめ』にライブ中のライバーさんいない?

 

身体から変な汗が出る。「登録チャンネルは?」

VTuber関連だけ奇妙に無くなっている。「けっ、検索は!?」

 

『検索されたワードは見つかりませんでした。』

 

…いや、嘘だろ?冗談なんじ…!

今気づいた。よく見たら部屋にある少なくとも結構高かったVTuber関連のグッズやアイテムが消えている。多分クローゼットに入ってる抱き枕とかもないんじゃないか…?

虚空に浸りつつまたパソコンの前に座る。とにかくなんでもいいから色々検索してみる。フォルダーも見てみる。

 

ない。

 

数分後、僕はデスクトップ画面をぼーっと見たままただ椅子に座っていた。

 

そしてソレは唐突に起こった。

ぼーっと画面を見ていて気づいた。いや、だからこそかもしれない。

デスクトップ画面の端に今にも消えそうな蛍光灯のように点滅してる不思議なアイコンが。

見てみるとそれにはソフト名が書いてなかったが見た瞬間身の毛がよだつような感覚になり思考の中に大きく

《ゲート》

、と映し出されている。

 

マウスを持つ手がカタカタと震える、このアイコンを見ていると自分の全てが吸い込まれそうになる。

気づいた時には手が震える中マウスでカーソルを合わせ

『カチッ』

押してしまった。

次の瞬間。いや、瞬間なんて例えられない。それほどの早さで

 

僕は奈落に落ちていた。

 

 

 

 

 




初めて書きまして小説の難しさを知りました…。
でも自分のしたいことを書いてるってとても楽しくて嬉しいと感じました。この回を読んで面白いと感じた人、続きが気になるという人、ぜひ応援よろしくお願いします。
感想コメントも随時募集しています!ではまた!


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聖者の誕生編
《謎がoverflow》


「ヌアルァ゙ァ゙ァ゙ーィ!」

絶賛奇声発声中の奈落落下中、僕は叫ぶことしか考えられなかった。もうね、やばいよね、中学の時の修学旅行先の某夢の国のアトラクションよりキツい。だって安全装置も何も無いもん。アニメとかではよく背中が下で落下する人達多いけど今更ながら羨ましいと感じてしまう。なぜならスカイダイビングのように大の字になりながら落下してるからね。ふ、風圧が…。あぁ、今のうちに目でも閉じて家族に向けて祈ろう。「母さん…父さん…ばあちゃん…じいちゃん…」

 

…もう祈り出してから何分たっただろう、近所の犬のレオにまで祈っちゃったよ…。あとは…って着地いつ?無限落下編なの?

そーっと目を開けてみると目の前には黄緑色のガラス板に〔ロード完了[OK]〕

と、書かれている。…なるほどね、この[OK]を押さないと永遠に落下するわけか。もうこの落下慣れちゃって無心でもいられるほどまでになっちゃった…。

 

奈落の先は地獄なのか深淵なのか…、やって見るしかないよね!

そうケツイをして僕は[OK]を押してみた。

 

 

「やっ〜と出れたぁ!シャバの空気は美味い!これホント!」なーんて言いながら目の前に広がる広大な草原を見る。

美しい。結構休日はインドア派だからこの景色はすごい!

まるでオープンワールドゲームのような感じだ~…ん?

さっきから妙にスースーするなと思ってたら、うわ、上半身裸!?下も異様にピッチリしてる水着!?なんか近未来的だな…。にしても下半身に違和感が無いと言うかなんというか…

ちょっと水着の素材やら伸縮性を確かめるため水着を伸ばしたりしてふと水着の下を見ると…。

アレが無い。男性ならついてるアレが。

え?まさか?と思い股を触ってみる。

ソレも無い。女性ならついてるソレも。

もう混乱して地面に膝を着き額に手を当てる。

手に硬い物が当たる。ダッシュで近くの小さな池に近ずいて池の鏡面を見る。顔全体を覆うのは凹凸の少ない水色の仮面。目の部分には「一バイラ」と黄緑色で書かれている。

なんだ?「いちばいら」って…ん?あ、そうか鏡面か、て事は…「ライバー」?でもこの変な柄どっかで見たような…

「あ!じ、ジオウ!」完全に混乱してて思い出せなかった。「え?でもライバー?」

 

『ティリン♪』

 

「うお!びっくりした!」奈落を出る時に見たあの黄緑色のガラス板?が突然現れた。

《二つのキーワードの詠唱確認。ライバー名「未定」に[ギフト:始まりへの一歩]を贈りました。機能が追加されました。インベントリに[ライブウォッチ:ブランク][キーアイテム:???]が追加されました。》

《30分後に警戒レベルが1上がります》

 

「…機能の使い方が自然にわかる…」僕は念じるように言った。「プロフィール!」

空中に文字が並ぶ。

〔種族:聖人 ライバー名:未定〕

わしゃ聖人でしたか。ならあの下半身事件にも納得だよ。

 

そしてとても気になっていたもう1つの機能。「インベントリ!」

 

白色のガラス板のような物、もとい特殊なモニター。

モニターの中に手を突っ込み入手したアイテムを見てみる。ひとつはブランクライドウォッチと特に見た目も変わらないブランクライブウォッチ。

そしてもうひとつはホワイトとブラックの色と変わってクリアブルーとホワイトの色をしたドライバー。その名も―

 

『ジゲンドライバー!!』

 

 

 

 




1番気合い入れるとこだから徹夜してしまった…
次回もよしなに!


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《こっちが回るんかーい》

「これが…ジゲンドライバー…!」

自分が着けている仮面とお揃いの色、これまた未知の素材の触り心地、見た目に反しての驚きの軽さ、少し透けて見える中は何も入っていなく文字が映る液晶画面も違う素材。まさにこれこそ想像上にしか存在出来ないドライバーだった。「そしてなんて言っても…」大人サイズ!CSM化したジクウドライバーもこんな大きさなのかな?とりあえずテンション上がる!!

「…っといけないいけないそれよりも大事なこともある。まず警戒レベル?ビルドのハザードレベルみたいなもん?それってヤベーイ!!(声真似)じゃん!」

 

「警戒レベルが上がる」その言葉対して心が無性に震える。武者震いなんかじゃないビビってんの、これ。

要するにこの世界にはこれから「警戒すべきナニカが出る」つまりグロンギやらオルフェノクやらインベスみたいな怪物が出るかもしれない。この歳になって特撮を見ると怪人とか怪物は少し特殊スーツ感がある。

だがどうだ、子供の時に初めてテレビで見たそれらには恐怖しか感情が湧かなかった。それをまた、しかもリアル感マシマシで見ることになる。

怖い。

体は完全に冷えきっていた。だけど―

片手に持ったジゲンドライバーは優しく暖かい感じがした。そうだよ、僕にはこれがあるじゃないか。

「まだ希望は捨てきれないな…」僕はそう言いながら残り少ない安全な時間を周りの捜索に使うことにした。

 

近くにあったほぼ全壊している家屋に来てみた。全壊している理由は火事(?)みたいだ。たくさん焦げていて見る影もない。どうやら作業小屋もあるみたいだ。こちらは半壊だが、石で作られていたのも多くあり少し物が残っているようだ「ホント何も無いなー」なんてつぶやきながら苔むした作業机についていた引き出しを半分開けると、「ゴトッ」と音が鳴った。なんかありそう。開けてみると見たことある黒いアイテムが。「ブランクライd…いやライブウォッチだ!」言い間違えてないからセーフ!

これで二個目だな、と見ていると『ティリティリン♪ⅹ2』

と、突然出たモニターから地震速報を思い浮かばせるような警告音がなった。見てみると

『残り安全時間、12、11、10…』と、カウントダウンが、できるだけ何も無い平坦な場所にダッシュする。カウントが1になる、0になる…。

『警戒レベルアップ。お気をつけ下さい。』

警戒レベルがアップしても特に異常はなかった。

目の前には。

後ろから足音がする。僕は後ろを見て相手から距離を取った。

そこに居たのはゴブリンと狼を足して二で割ったような怪物がいた。すかさずジゲンドライバーをとり腰につける。ベルトの帯が腰を巻く。初めて手に入れたブランクライブウォッチを取り出し…ん?

そこにはブランクではなく自分の仮面をちょっと変えたような絵が描いてあったライブウォッチだった。

最初は戸惑っていた狼ゴブリンが飛びかかって来そうだったのでやばいと思った。その時流れるように右手に持ったライブウォッチを素早くミスなく装填しドライバーのロックを解除する。

ピンチの時の人間ってすごいんだな…いや今は聖人か。

と思いながら「変身!!」と叫ぶ。

突如ベルトではなく自分が360度回転(何度も)してることに気づく。そしてドライバーから

『カメーンライバー ニュ~…ジオーウ!!』と変身音。その終わりとともにピタッと体の回転が止まる。

体には今までになかったサイバースーツが現れる。

自分のライバー名が考えていたのと同じだったのですごく感動。

変身した時に体の回転によって出た突風によって狼ゴブリンも少し吹き飛ばされている。

戦闘準備完了。だが、戦う前に言わせてほしい…

 

「こっちが回るんかーーい!!」

 




仮面ライバーNewジオウの配色はマゼンタ、ホワイト、ブラックからライトグリーン、ライトブルー、ホワイトとなっています唯一の変更点は頭の時計の針がVになっていることと頭の複眼文字のライダーがライバーとなっていることです。

次回、初戦闘!!



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《ライダーじゃなくてライバー、ね?》

変身完了した僕は先程自分の起こした突風で吹き飛んで体制を崩した狼ゴブリンを見据える。と、言うところで連絡が入った。『初変身完了。[ギフト:新人の心得]を入手しました。機能が一部追加されました。』

いいとこなのにー、と思いながら目の前の状況が理解出来てないような狼ゴブリンよりももっとインパクトのある物の存在を確認した。それは何度も見たことのあるもの…、V配信でよく見るコメント欄だった。Newジオウのカラーを元に作られたデカいモニターにデカく文字がゆっくりと追加されていく。内容は『お、誰さん?』『がんばえー』『今北産業』などよく見るコメントだった。まぁよくわかんないからここはスルーしよう。でもこれ誰からなんだ…?

まぁまず先に攻撃ふっかけよう。武器、武器…あれ?

そんなこと思っていると胸にすごい衝撃が入る。吹っ飛ぶ。痛い。

前を見ると狼ゴブリンが蹴りを入れたようなポーズをとってた。戸惑う僕を見て下品に喜んでいる。戸惑っているのはダメージだけじゃないんだけどね。なぜかって狼ゴブリンの頭の上には『8』と数字が書いてあった。なにこれ?レベル?だとしたらメチャ強じゃん。

『相手の世界から吸収したVTuberたちの「いいね」「高評価」「登録者数」です。』と、モニターさんが言う。なるほど少ないね。僕でも勝てそうな気がする!

『ちなみに[ライバー名:Newジオウ]の数値は0です。』

ワイ格下なのかよぉぉぉ(´;ω;`)

ちょっとテンションは下がるし気になるワードもあるけどまず戦闘や、やられてるばかりじゃダメだ!!

コメント欄には『おっおっ?』『よくわからんけど立てー!』などのコメントが。ちゃんと連動してるらしい。

体やインベントリの場所という場所探したけど武器がないのでとにかく素手でやろうか。

最初の戦闘は酷かった。殴り殴られ泥試合。でも相手の素早い動きも慣れてきたかな?と思う。ということを考えていたところで相手消滅。まぁ未知の硬い素材で作られたガントレットで殴ってるわけだから威力は高いよね〜。

コメント欄でも『もっと上手くできるでしょ』とか『回避って言葉知らないの?』と、なかなか辛辣だったが一部の格闘技好きからは結構高評だった。こんな泥試合でも喜んで見てくれてたのか…ちょっとジーンとしてしまった。

『ライブ終了まで数十秒。一言挨拶しましょう』

っえ?アイサツ?考えてないよそんなん!

で、迷った末。

「今回の配信見てくれてありがとうございます。またやるかもしれないのでま、また見てくだしゃいっ」

と、言うとライブが終わって変身解除された。

噛んだしなんの変哲もねぇことを言っちまったよ…

けれどコメント欄は高評でも不評でも最後まで0にはならなかった。ライブが終わったあと、僕はそんなコメント欄を見ながら不覚にも寂しさを感じてしまっていた。

ライバーか。ライバーなんだな。

僕が見てきたVTuberさん達の初配信もこんな感じだったんだろうか。

今度は盛り上げたい。

そんなことを考えていると夕方になってきた。さっきの作業部屋で休眠でもとるか…

 

その時の僕は知らなかった。狼ゴブリンの数値の低さの理由を、恐ろしい生態を。

 




週末なのでお昼に書いてみました。追加されたNewジオウの機能は次回説明します。


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《恐怖心、僕の心に、恐怖心》

夕日がかなり落ちてきた今、僕は体を休める準備をしていた。初めての戦闘でもあり、初めてのライブ配信。なかなかハードだった。

「これは骨が折れる仕事だ…」

誰もいないのでぽつんと口に独り言を放つ。

体を休める準備。これなんだけど初めてモンスター、いやしぇ、しぇ…

なんだっけ、モニターさん使って実績を振り返ろう。

(唯一会話?ができるからモニターさんって呼んじゃってるけどいいのかな?…)と、思いながら先程の戦いで得たギフトや機能を見るためモニターさんをスクロールする。

「あった…」『[ギフト:初シェイド討伐][ギフト:初配信終了]』あとはさっきの戦闘中の…『[ギフト:新人の心得]』。そうそう、「モンスター」じゃなくて「シェイド」ね。まず機能が追加された[ギフト:新人の心得]なんだけど『対象のVエネルギーの表示』『所持金の表示』が追加されたっぽい。Vエネルギーってのは狼ゴブリンの頭上にあった『8』とか僕の『0』とか。…今は『5』になったけどね。簡単に説明するとドラ○ンボールの戦闘力みたいなモノっぽい。所持金は視聴者さんがくれる『スーパーチャット』とかシェイド達の持っていたお金とか他にもあるけどそこから手に入るお金だね。ちなみに現在682円。…びみょい。んでシェイド討伐のギフトからは傷口回復ポーション3つ。飲もうとしたけど蓋をポキッと開けたらデフォルト仮面(変身前につけてるお面)に吸収された。まぁこの仮面もなぜか取れないし喉も乾かないからいいけどさ…。初配信終了のギフトは寝るための近未来式寝袋!これ嬉しい。寝心地も良さそうなのも何よりだけどなんと言っても防寒もしっかりしてるし寝てる間に体力や傷を回復してくれるバフが着くと言う!今回1番の収穫はこれかも!…思ったけどこの2つのギフト別々の瞬間に取る方法もあったのかな?まぁ終わったからいいけどね~。

さてとそろそろ寝ますかね…明日は何が起きるのやら…。

「Zzz」

 

その一方で草原を駆ける謎の人型の群れが1つ。深い緑の体毛に鋭い爪、凛々しい顔。狼の要素を取り入れたようなその者らの名は「ゴブルフ」。その群れが今目指しているのは同胞の仇。そんな彼らはついに獲物を遠くに捉えた。

 

「Zzz…」『トトトトト…』「Zzz…ん、ん?」『ドドドドド!』ん?なんかこっちに向かって来てない!?やたらと地面から音がうるさいんだけど!?

僕は即座にくるまっている寝袋をインベントリに入れて音源を見据える。きらりと黄土色に輝く瞳フサフサの深緑の体毛。間違いなく昼間に出会ったシェイドだった。(明日になる前に面倒なことが起こりそうだ…あれ?)

聖人になったからか暗い夜でも視界が明るい。だからそのシェイドの後面にいるおよそ10体程の同じシェイドも目に見えた。

『ライバー名:Newジオウに警告。シェイド「ゴブルフ」の群れです。』

モニターさんが無慈悲にそう伝えてきた。

あっという間に囲まれてしまっていた。逃げ道は、無いに等しい。

「どうしよう…ああ…終わった…かも?」

『シェイド「ゴブルフ」の死亡に伴い発動する[スキル:地の果てまで]が発動されています。』

僕は苦笑いを浮かべ、昼間よりも震えながら宣告された言葉を聞く。

 

こうして僕とゴブルフの真の戦いが始まりを迎えた。




説明ターンが長くてすいません!
ゴブルフの[スキル:地の果てまで]は死んだ時周囲750m以内にいる同種を10体程自分を消した相手にヘイトを集める効果です!
この世界のモンスター改め“シェイド”のスキルは作者が説明させていただきます。


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《―VTuberたる者―》

この状況はまずい。

僕を囲んでジリジリと責めよってくるゴブルフ達。これってヤンキーにやられることとまったく同じじゃないか…(体験したことないけど。)まずはここから脱出せねば!

うおおおおぉと掛け声を出し前に進みながら変身。この際変身ポーズなんてとってる暇はない。前進しながら変身するため、僕の前にいるヤツはいきなり僕が横に360度回転し出して突っ込んで来るため避ける。まず前進しながら変身完了、配信開始。多少群れとも離れることも出来た。ここからはこれに限る…

 

「ふぅ…逃~げるんだよぉ~ッ!」

敵前逃亡。これしか無かったしこのセリフが言いたかったのもある。僕は走り出した。だがその瞬間目の前に三体程のゴブルフ達が回り込みそのうちの一体が腹部に右ストレート。こっちが相手方向へ走っていたからダメージも増す。「なんだよその速度…」腹部を抑えながら背後にステップを取る。が、それを意味するのは他の八体程のゴブルフの元へ戻るということ。戦闘なんてここに来るまで、した事はあまり無かった。というかそれは戦闘とは言わない、ただの一方的な攻撃。中学生の時に虐められてたことを思い出す。

もうこの戦いは昔の事をフラッシュバックさせられる。

 

地面に仰向けにされて、蹴りをいれられながら昔の事を思い出していた。突如腹部を勢いよく踏まれ、現実へ戻る。

もう駄目なんだね…僕。

視界に入る満月を見ながらそう思う。満月に映る兎。こっちの世界にもあるんだなぁ。そう思いながら頭がボヤーっとしてくる。

『やっぱ雑魚だったなー』『なんの配信かわからんのだけど』『乙乙W』

脳内でコメント欄が表示されている。

配信終了か…

 

こっちの世界でも、僕は変われなかったようだ…

 

『VTuberたる者コメント欄の見逃しは厳禁ですよ。』

目を覚ますと、そこは黒い空間、大きく映るコメント欄。

ああぁ、ここ記憶の中的な?走馬灯かな?

コメント欄の近くに女の子がいる。女子高生かな?ぼやけて見えてよく分からないけど驚きはなかった。

『ほら、よくコメント欄見て。』

そう言われて素直にコメント欄を見る。何となく僕がリンチされてる時のだと感じた。

馬鹿にしているようなコメントが沢山並んでいる。でもよく見てみるとぽろぽろと応援の言葉もあった。『負けるな。』『勝手に終わるなよ』『ここで男見せてみろよ!』

 

ちゃんと応援してくれた人いたのか…

『しっかりと見えたでしょう?VTuberは皆さんの期待に応える仕事なんですよ。それがたった数人でも。』

女の子はそう言い何かを僕に手渡し言う。

『わたくしの力託しましたよ。さあ立って、皆さんの期待に応えてくださいよ?』

ぼやけていた顔が鮮明に映る。それは何度も僕を励ましてくれていた存在の一人だった。

「あ、あなたは―ッ」

 

目を覚ますとゴブルフ達にリンチされていたところだった。体力は無いに等しい。だが左手にある新しいウォッチから気力が送られてくる。

僕は思い切りウォッチのボタンを押した。

 

 

月ノ美兎(つきのみと)!!』




いやー、最初に出すVの方誰にしようかめちゃくちゃ悩みました。けどやっぱりこの方を前提に書いてみるととてもしっくりきますね。新人Vの主人公を頼もしく見送るのはやはり適任だとワテクシ思いました。


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《託された心、力となりて》

月ノ美兎(つきのみと)!!』

手に入れた月ノ美兎ライブウォッチをすかさずジゲンドライバーの左側にセットしてドライバーのロック解除ボタンを押す。

すると、いつもの回転とは違う現象が起きた。体が浮きはじめる。

『シェイカーターイム!!』(なんかいけるかも!)

浮いた体が今回は縦横無尽に360度(これも何度も)回転する。装着しているNewジオウスーツの内側、つまり僕の肉体が不思議な感覚に包まれる。

そして回転が終わり地に足をつける。『臨時スキルを追加しました。』あれ?なんにも変わってなくね?と、思っていた瞬間。

身につけているスーツが爆ぜた。

スーツが爆ぜた事によって変身解除したかと考えていたがどうやら変化があったのはスーツの内部のようだ。私の服装は色彩はNewジオウスーツが元となっているが格好は間違いなく女子高生だった。「ん?私?」

あれ?なんかわかんないけど自分の事私って言っちゃう。ウォッチの効果すごいですね。

じゃあ第2ラウンドを称して言わせていただきましょう。

私は傷薬ポーションを1つ消費してから言う。

 

「起立!気をつけ!!こんばんは、Newジオウです!」

 

回転とスーツ爆ぜで怯ませたゴブルフ達も体勢を整える。

「[武器:ツキノキネ]召喚!」そう言うと手元に黒い(きね)が召喚される。黒いがちゃんと委員長のデザインになっていてオシャレだ。

見とれていると三体ゴブルフ達が殴りに来る。

「遅いですね。」そう言いカウンターを放つ。

それを見た他のゴブルフ達は驚いた様だった。しかし原理は簡単。

「私のVエネルギーは臨時的に上がっています。私のVエネルギーは『47』です。」

ドヤ顔でどこかの軍団長みたいに言い放つ。

そんな言葉なぞ関係ないとばかりにまたゴブルフ達が来る。もしかしてVエネルギーが低い存在って知力も悪いのでしょうか。

杵を下から振り上げヒット、からのタックル。委員長の力の効果なのか洞察力が上がっている。一斉に来たので杵をぶん回す。できるだけ敵を一点に集め必殺技を放つ準備。ドライバーについているウォッチのボタンを押し、ドライバーのロックを解除し私は一回転。『《それゆけ!》ディメンションブレーイク!』

三日月のような弓から自身を矢のようにして放たれたキックは一点に集めたゴブルフ達を葬る。

こうしてゴブルフ達を倒せたのは日が昇る頃となっていた。

 

ドライバーを外したあと僕は草原に横たわっていた。あの頃の自分にはできなかったことが出来て少しばかり嬉しかった。空に向けて掲げた委員長のライブウォッチを手に、「ありがとうございます!!貴女のおかげで変われることが出来ました!!」ここにはいない彼女へそう言った。

僕の心を照らすようにウォッチに反射した太陽の光がやわらかく輝いていた。

 

 

 

 

 




戦闘シーンの表現が上手くなくてすいません!個性の無い攻撃しか出来ないゴブルフも許してやってください(笑)
主人公共々作者も成長していけるよう努力します!


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聖者の邁進編
《摩訶不思議ライバー生活(1)》


ん?どうかしたのかな?

…あぁ俺の記憶の一部、もう見終わってしまったのか?次に何があったか早く知りたい、かぁ。…?いや、続きはちゃんとあるよ。でもこんなに早く俺の始まりって終わったのかい?…なるほど寝る間も惜しんで見てくれてたのか。よっぽど気に入ったのかな?それとも“君”の仕事のため?

 

…まぁどちらにせよ、ん?…ごめん、急な通信が入ってきた。仕事じゃないけど少し急ぎの用事だよ。行ってくる。

…もうお菓子が無くなったのか…甘味は貴重なんだけどな…ブツブツ…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ライバーキーック!」『ギシッ』

うん。いい感じかも。コメント欄もちゃんと見て…と。

僕はゴブルフの群れを倒したあと少し休んでからちょっとしたライブ配信をしている。寝る必要が無い種族、聖人だから少しゆっくりするだけで体力は回復する。もちろん寝た方がいいんだろうけどちょっと昨日の夜のが怖くって…またゴブルフらが来るかどうか分からないからこうやって木に向かって蹴りを入れてるわけ。

「ライバー!キーック!」『ミシッ!』

もちろん変身もしてる。変身したら配信が開始。これが配信の始め方みたいなもんだし。コメント欄からの質問も答えて、指導コメントも貰ったりしてる。なにも戦闘だけが配信内容だなんてそんなバトルジャンキーなライバーって嫌でしょ?…お?そろそろ…!

「ライバー!!キーック!!」『メリメリメリメリ…ドダーン!』

木がついに折れましたー!いぇーい!

『すげぇ!』

『まさかの目標達成!』

『上達したな〜』

コメント欄も賑わう賑わう。

「出来ましたよ!みんなも応援ありがとう!」

ところでコメント欄の人達って地球人なのかな?やたらとこんな事象に順応しすぎじゃ…?

『まじで出来たのすごいな(¥900)』

お、スパチャだ!

「スパチャありがとう~」

『キーワードを確認。[スキル:スパチャへの礼儀]を獲得。』

うお、いきなりだなモニターさん…スパチャに感謝したのが獲得条件なのかな?それにしても効果は…?

『[スパチャへの礼儀:スーパーチャットに感謝すると筋力と精神力が小up気力微量回復 能力upの重複三回]』

コメントを返しながら確認しているが最初のスキルがこんなのなのかよ。ゴブルフのスキル名の方がかっこいいよ…

まぁそんな不満言える環境じゃないけどね…。

「それじゃあここら辺で配信終わろうかなぁ。じゃあね~。」

配信の終わりの挨拶諸々考えないとな…

「ふぅ…ところで折ったこの木どうしようかな~」

そんなこと言いながら触ってみる。

 

『[アイテム:少し柔らかめの木]』

 

はい?

 

 




自分の書いた文をサッと見てみると三点リーダー(…←これ)多いですね~。もっと精進して色んな表現方法見つけていきたいです。(三点リーダーは大好きですけどね笑)


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《摩訶不思議ライバー生活(2)》

前回のあらすじ
へし折った木がアイテム認定された。


え?アイテム?『少し柔らかめの木』ってなんか頭悪そうなネーミングセンスだな…。

まぁ確かに少し柔らかめの木なんだけれどもね?。アイテムって事はなにかに使えるのかな?というかインベントリに入るんだろうかこれ。

持ち上げてみるか…思った以上に持ち上がるが結構重い…いや、普通に考えて人間は普通の木って1人で持ち運べるか?さっきまで変身してたから感覚がこんがらがるなぁ…。かと言って変身したら変身したで配信始まるからなぁ。全身サイバースーツ野郎が木を持ち上げる動画って…ワンチャンあるかと思ったけどないわな、誰得やねんな。

「いやこれどうしよ…あ。」

アイテム触ってると[インベントリに入れる]っていう事出来るじゃん。アイテムなんか触ったことブランクライブウォッチ以来だからそんな知識なかった…というか覚えてなかった?あの時警報とか鳴ってたからな…。

「まぁ昔の話(昨日)の事はいいとして、これちょっと入れてみるか…」

これは脳内で[インベントリに入れる]って唱えればいいのかな?『シュッ』あれ、入った?

「今のも唱えた事になるのか」

手をかざしながら考え事してたからなのかもなー。

「んじゃあ、インベントリ!」

おお入ってる…けどライブウォッチとかが1マスなのに対して3×2マスか…存在感あるね、これ。

 

でもこうやって何気ない物すらもアイテムとして認定されてるのか…

「アイテムコレクター精神が疼くな…」

片っ端から取れそうなもの取ってみるしかないねこれは。

でも夜だからとりあえず明日で~。

敵の予感とかしないし、一夜たったし今度こそ寝たい。

寝なくていいとは言ったが寝たい欲望、つまり睡眠欲はありますのでね。さっさと寝袋準備して寝よっと。

 

「朝起きたら実は夢だった~とか…ないか。」

おはようございます。実は昨日眠る直前に軽いホームシックになっちゃった。やっぱり元の生活が恋しい…。

ってそうは言ってられないな。今日はアイテムをコレクティングするって決めたからね。まず朝の準備、は聖人だから特にやることないので出発。気になった草とか見つけたら取るって言う作業だから配信なんか出来ないから変身前状態の仮面と水着って言う格好で草むしりに挑む訳ですけど、誰にも見られたくないよこんな姿。

まぁそんな事情というかなんとやらがあったからシェイドにも見つからずにここまで来れたけど…結構草の種類ってちゃんとあるんだって思った。だってこの[アイテム:緑の草]と[アイテム:緑の草]って名前は同じだけど見た目も違うしちゃんとジャンルがある。

…葉っぱの部分食べてみようかな?

こっちに来てから何も食べてないし、(仮面越しに食べれるのか分からないけど)やってみる価値はあるかも。

モグモグ…モグモグ…

味は少しばかり苦味があるだけで特に…片方の方は…

ムシャムシャ…ムシャムシャ…

なんだこれハッカ飴みたいな清涼感だな。

「雑草に対してちょっと理解できたかもな…さてもう少『ピロンッ』ん?」

『[ギフト:草生える]を贈りました。それにより[スキル:雑草博士]とVエネルギー『1』を追加しました。』

勝手に草を生やさないで欲しい。というか名前と貰ったスズメの涙程のVエネルギーからして馬鹿にされてるような気がする。このスキルは…?

『[雑草博士:草系統のアイテムの名前、使い道が解る。]』

つまりは…?

苦味の方が[苦味草]。

ハッカっぽい方が[薬草]。

まんまでした。草生えるW。

 




委員長「なかなか素質ありますね…」
ニュジオ「!?」


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《摩訶不思議ライバー生活(3)》

「[スキル:雑草博士]ねぇ…」

名前はわかったけど使い道か。[苦味草]は何かな?

『[苦味草:料理などに使用]』

まぁ手に入れた気になった草ってだいたいこれだしな。珍しくないのかも。[薬草]は…?

『[薬草:薬剤の作成などに使用]』

薬剤の作成!?そんなこと出来るの?ってここは限られた二次元の世界じゃない事は目に見えてるしな。でもそれ故にほとんど説明とか無いのもきつい所あるなぁ、ホント。じゃあ次の草は…

『[毒草:薬剤の作成などに使用]』

危ねぇぇぇぇ!これ食べてたら僕どうなってたことか…じゃあ1本しか無かった最後!これ!

『[珍しい雑草:無い]』

いやいや、それはなくない?雑草だった上に使い道無いとか。かと言って綺麗な色してるからなー、コレクションとして持っとこ。

じゃあちょっとやりたい事できたから良さげな場所に行こうか…近くにある良さげな所って言ったらまぁ、半壊してる作業部屋かな…?

 

 

着いた着いた、まだここに来て二日目だからだいたい移動してきた場所はわかった。それじゃあ誰も見てないからポーズは無しで…

「変身!」

やりたい事はライブ配信、それも雑談配信だ。

「新世界に降り立った聖なる仮面ライバー!Newジオウでーす!」待っていたかのようにコメントが出てくるコメント欄に「こんジオ~」と言いながら雑談を始める。

「今回はねー、初めての雑談配信という事でね、まぁ木をへし折ったあとした事を聞いて欲しいんだけどね?」と続ける。もしかすると、という期待を持って話してみる。

「さっき草をとってて、薬草を見つけたんだけど…」

と、薬草について話してみる。ハッカ飴みたいな味がしたとか毒草を見つけたけど奇跡的に食べなかったって言う話題を出す。

ここからが本番だ。

「で、手に入れたのはいいんだけど使い方がよく分からないんだよねー」

今回の目的はズバリ『リスナーのみんなから情報を貰う』という事。

「有識者の方とかいたら教えて欲しいんだけど…」と言うと

『有識者~』『誰か知ってる人いる~?』

ってリスナーのみんなも探すようなコメントをくれる。優しいな…みんな…。と、1つコメントが、

『すり潰してみると傷薬になるよ~』

ありがとう有識者様…!

「なるほどね…ありがとう!明日配信でやってみようかな?」と言い、それについて応援をもらい話題を変え、雑談を続ける…

 

~配信終了後~

 

いやー、可能性がありそうだと思ってやってみたら有識者さんがいて驚いた。

朝やったライバーキックチャレンジ配信でもコメント欄に向き合ってたためリスナーさん(?)達が元の世界と今の世界の話題がどっちも通じることが確定していたからできた。まず薬を作ってみることを明日の予定に入れておいて…

まず夜になっちゃったし今日は寝ようとしますかね…

 

 



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《摩訶不思議ライバー生活(4)》

《摩訶不思議ライバー生活》は今回で終わりますよ~


今日もいい朝だ。もしかしてここは天候が晴れしか無いのかな?雲一つない訳でもないけどね。

今日はこの作業部屋の机を使って薬剤を作る配信をしよう。見栄えも良いだろうしなんにせよ地面にすり潰した薬草を落とさないで済むからね。せっかくだし完成した薬剤を置くために大きめの葉っぱを取ってこよう!いやはや仮面ライバーは大変だなぁ…でもまんざらでもない自分がいるんだよねぇ。やっぱりリスナーのみんなには楽しんでもらいたいしね、たとえどんな正体だとしても…とは言いきれないけど。

「それじゃあ配信準備しようかな…」

 

 

「みんな早い時間に来てくれてありがとう!新世界に降り立った聖なる仮面ライバー!Newジオウです!」

『おはジオ〜』『おはジオ~』『おはよ~』

「今日は昨日言った通り初めて薬を作ってみるぞ!という事で用意したのが[薬草]と[毒草]にその辺で拾った[平らな石]と[滑らかな石]を使うぞー。」

「まずは薬草の方から。平らな石に置いて滑らかな石ですり潰す…」

『茎は使わない方がいいぞ』『薬用成分は葉っぱの方にあるからね』『力加減気をつけて~』

あれ?意外と有識者さんいるな。今回の配信タイトルが『初めての薬剤作りに挑戦!』だったからかな?タイトルについては緊急時にシェイドと戦うとか『緊急事態』じゃなければ変身した後にに決めれるらしい。これ知ったのライバーキックチャレンジの時なんだけどね。

つまりはタイトルも大事って事なのか…なるほどなるほど。

茎を取って葉っぱを重ねてすり潰す。話をしながらそれを繰り返し…

ついに全部使い切り完成!「確かに湿布とかに成分とか似てそうだね…でも何とか成功!」

コメント欄も賑わっている。最初に配信した時とかは失敗ばかりで認めてくれた人は少なかったけど今は成功した分一緒に喜んでくれるからまた頑張ろうって思える。常連さんは少ないけれどね。

「次は毒草やるぞー!!」

こうして配信は成功した。

 

~配信終了後~

 

いやぁ…毒薬の臭い嗅いでみてって言うコメントの言う事聞いて酷い目にあった…独特で毒々しい臭いだった…。まだ鼻に臭いが残る~。でも面白かったな。またお薬配信してみるか…

『[ギフト:新人薬剤師]を贈りました。薬剤に関する理解をインストール出来ます。』

との事。もう驚かなくなったな、僕。インストールってなんだろうか、脳内にかな?じゃあ、

「インストールする。」

一瞬頭に大粒の雫が落ちたような感覚に包まれる。弾けた水も頭の中に入ってく。

「これがインストールかぁ」

なんか癖になるな、この感じ。でも変わった気がしないのは気のせいだろうか?

『続いて、《忘却の中にいる医療従事者》からライブウォッチの欠片が届いています。インベントリに[ライブウォッチの欠片:●●]が追加されました。』

え?誰それ?モニターさんに映る名前のところがバクってて見えない。うーん。リスナーさんの誰かからの贈り物なんだろうか。さっき有識者さんたくさんいたし。

『続いて―』

まだあるのかモニターさん…。

『配信回数が五回を超えたため配信の機能を意思操作出来るようになりました。』

ナニソレ神なんだけど…!

 




配信の機能を意思操作…現実の配信者さんからしたらライブ配信も撮影も編集もすごい楽になるかもしれませんね…

実際に撮影と編集やった事ある人だと喉から手が出るほど欲しいのでは無いでしょうか?
ちなみに作者は欲しいです(笑)


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《モニターさんの思考と僕の新しい決意》

配信の機能を意思操作…って何ができるんだ?配信の機能ってそもそも何?

『YouTube配信に関する事象全てです。』

ん?え、珍しくモニターさんが疑問に答えてくれた!って、それぐらい重要な能力なのかな?んじゃあ…こういう事かな?

「変身!(配信OFF!)」

いつものように変身したけど…コメント欄が無い、ライブ配信OFFで活動成功だ!そうだ、配信に関する事象を全てコントロール出来るなら、た~と~え~ば~

「雷落としてみて!」

(シーン…)

『配信者としての技能が未熟です。』

え?モニターさんなんでも出来るって言ったよね?ね?

『《要約》ライバー名:Newジオウの意思操作の力不足です。』

要約されてわかったけどさっきは「配信の機能」に着いて聞いた結果で「意思操作」については聞かれて無いから答えてねえぞえって事か。モニターさん頭硬すぎるよ…

頭の中でモニターさんにブツブツ文句を言っていると、

『…配信機能意思操作をスキルとして再構築させますか?』

なんか呆れられたように言ってきた。スキルにする意味が分からないけど、良い案があるって事なのかな?

「…じゃあ再構築お願いします。」

『リストラクション中…[オリジナルスキル:エディットコントロールLv1]を贈りました。エネルギー不足のためスリープモードに移行します。』

 

え?オリジナルスキル?全く訳が分からない。なんでスキルにレベルが着いたの?名前もカッコイイしレベルが着いたから分かりやすくなったけど!え、エネルギー不足!?

…この察しが合ってるかは分からないけどつまりモニターさんは僕の為に実在しないスキルを作り、エネルギーを使い果たしてスリープ状態になったと…言うことか。

今更考えたけどモニターさんにとっての僕ってどういう存在なんだ?

自分にとってはただの便利な説明係さんだと思ってたけど、モニターさんにも謎が増えたな…

「というかここ全体が謎なんだけどなぁ」

身近なものや慣れたモノってついつい理解してる気になってしまうけど案外そうじゃないのかもしれない。

此処に来てからまだ3日しか経ってないけどひとつも謎は解けてないしね。シェイドってなんなのかもわかんない、なんで配信しなくちゃいけないのかもなぜ仮面ライダーとVTuberの力があるのかも。見てないふりしてたのかもなぁ。

この世界の謎は知る価値もあるし目をそらさない訳にはいかない。行動の範囲を広げなくちゃな。

 

まぁとりあえずそんな未知の存在のモニターさんだけど起きたら一応感謝しとくか…。

さて、エディットコントロールについて知りたいなぁ…

「あ。」

モニターさんいないから説明聞けないじゃん…

これ実は“ちょっとした手助け”じゃなくて“ちょっとしたイタズラ”だったのかも…(苦笑)

 

 




謎が謎を呼ぶ回でしたね。謎しかない世界でこれから彼はどのような行動をとっていくのか応援して行きましょう!


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《ぼくのかんがえたかっこいい変身ぽーず》

変身ポーズを最大限の字で表現してみました。みんなもエアでNewジオウと一緒にやってみよう!作者は考える時鏡の前で何回もして恥ずかしくなったぞ!(変身待機音は皆さんの想像にお任せします。)


モニターさんからのプレゼント(?)で貰ったオリジナルスキル[エディットコントロール]。多分意味は「編集操作」っていう和訳したらダサい名前なスキルなんだけど、せっかく手に入れた訳だから試してみるしかない。GETしたら試す!それが最近、習慣になってるから試してみよう。今日は現在のVエネルギーと同等(らしい雰囲気をだしてる奴)のシェイドの相手をしてみよう。危なくなったら美兎委員長のライブウォッチがあるから選ぶ敵は慎重に見極めないとなぁまずプロフィールを開いて今のVエネルギーを確認しておこう。

「プロフィール!」

〔種族:聖人 ライバー名:Newジオウ

Vエネルギー:18〕

やっぱりプロフィールとインベントリはモニターさんと一体化した存在ではないみたい。…にしてもあの戦いの時の自分のVエネルギーは『5』だった。それから配信内容も気にして配信を三回行っていた為、劇的…ってほどではないけどしっかりVエネルギーは上昇してる。2匹くらいのゴブルフだったら戦えるけどあのスキルが邪魔だな…。というか『ゴブルフのVエネルギー8』×2<『僕のVエネルギー18』って言う計算で考えちゃいけないしな。…多分Vエネルギーにもバラつきがあるだろうし、なんにせよ科学的な考えもあまり通用しないと思うしね。

そうこうしてる間に良さげなシェイドはっけ~ん

獣型のシェイドだなぁ、今変身してるからよーく見てみよう。カエル頭のイノシシ?大きさも自分の胸あたりまでありそうだな…。というかシェイドってナニカとナニカを合体させてるような…いわゆるキメラ?っぽい感じだよな…

この理由もあるのだろうか?

ちょっと変身解いて近づいてみてそこから変身ポーズスタートで配信してみようかな。

そろーりそろーり…気づいたっぽいなここからは配信するか。

(配信スタート!)

待ってましたとばかりに動き出すコメント欄。カエルイノシシも戦闘態勢(?)をとっている。

「今回は戦闘頑張りますよ~!」

と、言いつつドライバーの準備とウォッチを取り付け変身ポーズの準備、左手を下から上へとゆっくりとあげ右手を右側からゆっくり移動させて某光の巨人の光線を出すポーズをとる。そして十字にした腕を素早く首あたりの前で罰点の様にして

「変身ッ!」

両手をサッと解除しつつ、かつ右手でロック解除ボタンを押す。

体がドライバーを軸として10回くらい360度回転する。

変身完了。

考えた中で1番しっくりくるポーズを取れた。満点だろう。

(…あ、変身後の決めゼリフ!!)

「君はもうブラウザバック(逃れることは)できない!」

 

決めゼリフ即興だったけど大丈夫かな?




次回!久しぶり戦闘会~!いくぜいくぜいくぜ~ッ!


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《編集操作やってみた。》

『変身ポーズきちゃああああ!』

『なかなか練習したっぽいね』

『決めゼリフも公認仮面ライダー達には劣るけどニュジオらしいな』

 

コメント欄にコメントがドバーッと流れる。何回みても配信者としてはかなり嬉しい。

でも今はコメント欄より「目の前の猪蛙だな…」

こっちもいつでも行けるぜ的な感じで前脚を動かしたり跳ねたりしている。あの脚はどんな構成で蹄のあるカエルの脚ができているのだろうか。ギョロっとした目でじっとこちらを見つめているが、こっちが動かない限り猪蛙は動かないらしい。まるで居合切りをする前の武士みたいだな…。

だけどもこっちも相手が動くまで待つ訳にはいかない。リスナーさんが待ってるからね。

「こっちから行かせて貰うよ!」

殴りに走り出す、相手も飛びかかりか突進攻撃をしてくる…はずだったが思ったよりも身軽な身のこなしで僕の背後に向かい高く跳ぶ。

「は!?」

重そうな見た目猪蛙だがその脚力はとんでもなかった。素早く後ろを向くが相手はもう突進して来ている。ここは守りに徹するのが得策かと普通なら思われるがここは希望にかけてみた。

両脚に重心を置き、右腕を構えて左腕で相手の眉間を捉える。そして―

「ハアッ!(エディットコントロール!)」

力を込めた拳を放つ。そして鳴る衝撃音。

「ッ!痛え~!」

痛みに堪えながら相手を見ると後退りしながら脚を震わせている。かなり効いたようだ。

これは単なる突きではなく、[エディットコントロール:エコー]を発動しながら出した突きだ。

推測によればエディットコントロールは配信にも戦闘にも特化したスキルだろう。コメント欄でも『すごい音がした』と言っている人も多いし、怪物相手に軽い脳震とうを起こさせているという事が戦闘面でも特化している理由になる。音と言うのは振動であり、それを増長させたため普段よりも高い衝撃の一撃を出せたというワケ。

「ヒュ〜♪これは打撃向けの効果だなぁ」

なんて言ってると腹にナニカが巻き付く。よく見てみるとそれは猪蛙の舌だった。こちらを飲み込まんとばかりに勢いよく引き寄せてきた。一瞬まずい、と思ったが1つ策を思いつく。相手は混乱しながら考え無しに引きずり込もうとしている。

「馬鹿め、この技で終わりだぁッ!」

あえて体の力を抜き大きく息を吸いエディットコントロールを発動する。

効果は[視聴者音量低下][声量上昇]そして[エコー]

飲み込まれる前に相手の頭にしがみつく。すごい舌の筋肉だ…チャンスは1回!

猪蛙の左耳に顔を近づけ、できるだけ大声で

「元気ですかあああぁぁぁ!!」と叫ぶ。

更に脳に負荷をかけていく特攻技である。

徐々に相手の舌の力が抜けていき、猪蛙はその場に倒れた。

コメント欄から歓声のコメントが流れ始める。

「猪蛙討伐完了!!」

大きくガッツポーズを決める!

仮面ライダーとしてはカッコよく決めたかったが、ここは配信者として面白可笑しく決めれたので嬉しかった。

 

今回の配信、成功である。

 

 




仮面ライダーなら使わないような技(?)が出せて書いてて楽しかったです。なんか、てれびくんの付録DVDに着いている仮面ライダーの面白フォームとか思い出してしまいました(笑)


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《これ食べる?》

猪蛙は倒したはいいけれど…なかなか塵にならないな…この間倒したゴブルフは倒したらじわじわと塵と化していくはずなんだけど…し、死んだフリとか無いよね!?

ちょっと脈測りますよ~

[ボアトード:気絶(重)]

「『ボアトード』?こいつの名前かなぁ。気絶(重)って事はまだ死んではいない…と。」

 

『え?気絶?』『ニュジオの技もすごいけどこっちのタフさもすごいなぁ』『まじツボ笑』

 

ん~困った、こういう時ってすぐ討伐以外にもなにか使い道無いかなぁ~!って事で有識者ァァァ~!

 

『捕獲やな』『手かざして捕獲って念じてみ~』『捕獲は普通に討伐とは違う報酬』

 

「捕獲…?そんな事ができるのか…」じゃあ試しに[捕獲]…

そう念じるとボアトードはスーッと青い光と共にどこかへ消えた。

「え?何が起きたの?」モニターさんがいないと何が起こったのか分からない。ゆ、有識者ァァァ~!

 

『討伐と捕獲ではドロップ品が違う場合があるらしいぞ。』

 

だそうです。はえ~じゃあ何落としたかみんなと見ないとね!

インベントリ…えーっと…え?、まじ?

 

[アイテム:ボアトードの肉(加工済み)]

 

『肉だね』『肉だぁ』『肉ゥ!』

「肉…うん。え?で?」

『今日の晩飯?』『食レポしてみて』『食べたら?』

 

肉…食べてみるしかないのかこれは…

 

 

~夜~

 

 

「はい、という事でレッツ、ニュジオクッキング~!」

『いえ~い』『待ってました!』『イヨッ』

「今回はですね、ボアトードの肉焼きを作りたいと思います!という事で…これを使わせていただきます!」

月ノ美兎(つきのみと)!!』

まずこれでシェイカータイムだ!

体が回る~

 

「こんばんワニノコ」

『委員長じゃん!』『清楚にね~』『イヨッ!』

「まず今回私が使うものは昼に集めた枝と[ツキノキネ]で取ってきた火打石と岩塩です。」

枝を囲んで、火打石近くに置いて…

「ゔらぁ!」『ボッ』

火がついたから鋭い石で食べやすく切ったというかちぎったというかまぁそんなボアトードの肉を串に刺して焼いて…

『おお…』『手際いいね』『すごいと思う』

いい感じに焼けてきたら岩塩の塊を…

「ゔらぁ!」『ガッ!』「お"らぁ!」『ギッ!』…

『ダイナミック調理w』『すげー!』『これが杵の使い方なのか…?』

「ふぅ…(息切れ)ここまで細かくしまして…焼いた肉にかけて…」

食べ…、と言おうとしたけどこれ食べてまずかったら嫌だし…猪肉、ましてやカエル肉なんてこの方生まれて食べたことないし…ええぃ!(今は体型女性だけど)男は度胸!!

 

「食べます!」

 

もぐ…もぐ…、?これは…、むぐ…むぐ…

「美味しいじゃないですか!これ!

いい食感のもも肉!意外とサッパリしている味で岩塩の塩味が引きだたされて…美味い!」

『あれ?なんかこれ…?』『飯テロ?飯テロか?』『肉食べたいぃ~』

 

かなり美味しい!もう一本…いや、できるだけ雑談しながら…あ、でも…

 

美味しく頂きました( ^∀^)

 




ご飯パートでした。
ボアトードのスキルは[跳躍力上昇]と[突進]です。説明するほどのスキルでは無いので効果は名前のまんまです。


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《モニターさん復活》

「ん…ふぅ、もう朝か…」

昨日の配信は食べ物を食べながらの雑談配信を長々とやってしまったので疲れて寝ていた。久々の食事に少しテンションが上がってしまっていたのかもしれない。

ん〜、なんか目の前に黄緑のモニターがあるな…ていうかモニターさんはスリープ状態だから居るはずないしいたとしてもなにか報告がある時だし…まだ疲れてんのかな…もう1回寝るか…

 

なんて思ってたら頭に優しくストンッ、と手刀が入る。

「ん〜何…え"?」

黄緑色のモニターの底辺りから不思議な黄緑色の腕が生えてた。そしてそこから、

『[ライバー名:Newジオウ]、起きるのが遅いです。』

と、文字と共に聞いた事がない男性とも女性ともとれる声が聞こえる。まぁ黄緑色のモニターという事で既視感がすごいあったので一応確認してみる。

「も、モニター、さん?」

『[ライバー名:Newジオウ]からはそう呼ばれていた記録があります。』

え、てことは復活したの?モニターさんが?まじで?

『本当です。』

うぉ!いきなり思考読まないでよ…

『…前からそうでしたが?』

いやそうなんだけど、声が有るのと無いのじゃなんか違うじゃん…

『安心してください、今はシェイドには聞こえていない特殊な信号で話しています。』

いやそっちの心配じゃないんだけどな…

『何の心配でしょうか?』

いや別になにも…、いや、とにかくプライバシーってのがあるじゃん!

『ありますが?』

ん~!聞いて欲しくない思考の時と聞いて欲しい思考の時ってのがあるでしょ!ていうかあるんです!人間には!『種族は聖人ですが、』いや!そんな事はいいからちょっととりあえずオンオフつけるから『[ライバー名:Newジオウ]にはそのような機能は持ち合わせていません。』うん~!じゃあそちらでできますぅ!?『それに類似している機能ならこちらにインストール可能です。』じゃあそれでお願いしますぅ!『わかりました。インストールしますのでそちらからの思考は読み取れません。Now Download…』

いやこちらから結構で…、ってもう聞いてないのか…。なんだろう、復活して音声つくだけでこんなに非常識感がでるのか…。

にしてもあの音声とあの謎の腕、どう見てもグレードが上がってる…。一体なにがあったんだろうか。ダウンロードが終わったら聞いてみるか。

 

 

『ダウンロード完了致しました。』

(あ、終わった?マイクテス…マイクテス…これでOKな訳?)

『大丈夫です。』

(ところで、なんでスリープ状態から復活しただけなのに音声機能と腕機能が付いてるの?)

『私の製作者と思われる方からアップデートのデータを書き加えて貰いました。』

 

え?『私の製作者』からアップデート?

 

 




文が賑やかな回になりましたね(笑)。


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《聖者の邁進》

『私の製作者と思われる方からアップデートのデータを書き加えて貰いました。』

(いや、待って。…製作者?だ、誰だよそいつ、ちょっと心の整理をさせてくれ。)

どうぞ、と言われたので心を一旦無にする。だがどうも心が落ち着かない。まぁこれに関しては聞いてみるしかないか。

(質問なんだけど製作者って誰なの?)

『単なるシステムに過ぎない私は到底知り得ません。』

 

前も思ってたモニターさんの目的についても聞いてみる。

 

(モニターさんの目的って…なんなの?)

『目的。生命体にとってはそう取れるかもしれませんが私の場合は使命です。それは…』

それは…?

『[ライバー名:Newジオウ]の協力と補助です。』

ん?それだけ?

『思っている通りだと思います』

(え?今、思考読んだ?)

『いいえ、表情から取れる感情を考察しました。読心術です。』

(いやもうあんたには適わねぇよ…って表情?僕の変身前の顔も一応お面で隠されてるけど?)

『その仮面もおそらく私の製作者が作ったものかと。』

(いや、なんでわかるのさ)

『私と仮面のソースコードが類似している点があるからです。私はその仮面の内側を見る権限があります。』

(は、はぁ…つまりこのすごいテクノロジーのパンツも?)

『はい、仮面と同じです。』

(そうなのか…ん?まさか…《内側を見る権限》とかありませんよね?)

『衣服の下の傷を確認するため、もちろんあります。』

(いや怖っ!この人の前では僕全裸!?全裸なの?)

『人ではなくシステムです。』

(いやそれはわかってるってー!

とにかくその製作者とやらは僕をどうしたいの?)

『それは知り得ませんが、…これは単なる推測ですがなにか行動して欲しいのでは?』

(いや、『では?』って…ほんとになにも製作者の事は知らなくて、ほんとに僕の協力をしてくれるって事?)

『本当です。私のプログラムには嘘という2文字はありません。』

(…ホントだな?じゃあ聞いてみたいんだけど、[ギフト]って何?)

『[ギフト]とは送られてくるものの総称です。』

(んじゃあ[スキル]は?)

『[スキル]とは開花した才能や元からある特徴に名前がついたものです。』

([オリジナルスキル]は?)

『簡単に言えば、私と同じ製作者から作られた《スキルシステム》が作った物が[スキル]。私が真似して作り上げた模作が文字通り[オリジナルスキル]です。』

(…なんでくれたの?)

『困っていたため補助しただけですが?』

困ってたからって、ほぼ全エネルギーを注いでスリープしてまで助けるのか…さっきまでちょくちょく疑ってたが実は怪しいヤツじゃ無いのかも。

(まぁ、質問は以上だよ。これから配信活動以外になぜ自分をここに連れてきたのか知ってそうな「製作者」を探すことにする。)

『[ライバー名:Newジオウ]の意思ならばそうしましょう。』

(…あ、そうそう。)

『なんでしょう。』

(その呼び方長いからNewジオウって普通に呼んで。)

これからは真の旅のお供として連れていくわけだからこっちの方がいい、という意味もあるけどね。

『文字数で言うならば「ニュジオ」でよろしいのでは?』

(いや、まぁそれはそうだけどそれはリスナーさんからの僕の呼び名で…いや、まぁいっか。)

『分かりました。ニュジオ様。』

(その代わりリスナーさんのようにちゃんと見ててくれよ?)

『私のプログラムには無視という2文字はありません。』

 

そう会話をしながら聖者は歩き出す。

聖者はこれからも邁進し続けて行くであろう。

聖者よ、真実に向かって突き進め。

 

 

 




聖者の邁進編は今回で終了です。次回もよしなに!


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聖者の探検編
《ぼりぼり山登り》


唐突だが現在、僕は岩山を登ってクライミング配信をしていた。理由はそこに山があるから、では無く単純に探索と配信を同時に行っているからである。

 

始まりは草原から出てみるかそれとも留まるか考えていた時である。

(…ねぇねぇモニターさん、この草原じゃなくてほかの所に行きたいんだけど、行ったとしてここにまた戻ってこれるかな?)

『はい、ニュジオ様、私にはマッピング機能があるので此処に戻ってくる事は容易です。』

 

との事で近くの岩山に登ってみてるワケ。クライミング、と言っても安定した足場があればライダー…いや、ライバージャンプして登っているのでかなり素早く登っている。よいこはマネしないでね。道中狭い足場ながらシェイドが襲ってくるが小さめの岩のモンスターなのでツキノキネを使ったり下に転がしたりして難を逃れている。なので月ノ美兎シェイク(シェイクというのはモニターさんいわくフォームの事らしい)となって登ってる時もある訳だがリスナーさんからの視線が何となく下半身に集まってる気がする…。まぁ安心しろ、スパッツだ。

 

そんなわけで順調に登っている。でも道中見かけるシェイドが一種類しかいないのが気になるのでモニターさんに聞いてみる。

(モニターさん、あのちっちゃい岩のシェイドってなんなの?)

『あれは[シェイド名:ミニマムロックガーディアン]です。』

長い名前だな。

『おそらくガーディアンと名前がついている事から此処は彼らの守護地、言わば何かを守っているのでしょう。』

(なるほど、いつものキメラ系シェイドとは異なっているのはそういう事か、ガーディアン系シェイドと呼ぶか。)

 

そんなことを話していると、崖を登り終えた時、何者からかの投石攻撃を受ける。が、回避できた。

「危なっ!」

投げられた大きな石を見てみると、岩でできた足をパタパタと動かしている。

「これは…ミニマムロックガーディアン!?」

そんなの投げられるなんてどんな奴だ…と相手を見てみるとそこに居たのは岩。数秒目(?)があってしまう。

「モニターさん、なにあれ?」

と聞くとリスナーさんにも聞こえる信号で、

『あれは[スモールロックガーディアン]。ミニマムの上位種です。』

腰くらいまでの高さがミニマムならスモールは自分と同じ高さくらいだ。横幅は何倍も大きいけどね。

ともかくこいつを倒さなければ先へは進めない。

コメント欄から応援のコメントが流れる。

僕は月ノ美兎ライブウォッチを左手に、戦いを挑むのであった。



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《岩砕き》

いつもより狭い足場でどう戦うか。それがネックだなぁと思っていると投石(まぁ石じゃなくミニマムだけど)してきた。これは避けずに月ノ美兎ライブウォッチを使いシェイカータイム。

「起立!気をつけ!こんにちは!Newジオウです!」

安定の決めゼリフを放ち、Newジオウ 月ノ美兎シェイクへと変身する。

回転してる時は実質無敵みたいな感じなので投げられてきたミニマムも吹き飛ばしただろう。変身待機中ってすげー

とにかく手持ちのツキノキネを使い攻撃。『ガッ』っと音はなるがミニマムのように一~三撃では倒せない気がする。これは[エディットコントロール]を使いながら行動しなくちゃ倒せないかもしれない。スモールロックガーディアン、通称、「石守護野郎」は腕を振り下ろして攻撃してくる。それはバック回避で何とかなる。と思っていたら少し砕けた石の欠片が勢いよく飛んでくる。どうやらその剛腕と岩の地面が衝突により砕けたのだろう。って事はかなりの威力だな!今度もツキノキネで攻撃するが、今回は[エコー]を追加してみる。相手もこれはまずいと思ったのだろうか、今回は腕でガードしてくる。よって、腕1本は砕くことができた。

『気をつけてください。相手は怒り心頭です。』

モニターさんがそう言うならそんなんだろう。顔のない岩の表情なんてこっちからは分からないからね。

 

そして相手は近くに呼び寄せた(?)ミニマムを投げつけてくる。あまり射的精度はないが今の自分に当たるとかなりの威力となるだろう。何回か避けるがその度に相手が近寄ってくるのがわかった。なので相手を飛び越えて相手の後ろに逃げる。相手は自分の作戦が上手くいかなかったことに対してまた怒っている。今度はこっちでも怒っているとわかるほど体を震わせている。

『あれは怒りに体を震わせているようにも見えますが、あれは体の再生です。』

「え?それ本当ですか!?」

『もちろん怒り具合もさっきより酷くなってますが』

相手を見ると無くなった腕の付け根部分から、新しい岩の腕が生えてきていることに気がついた。

「モニターさん!あいつの弱点は!?」

『解析した結果、本体の奥深くまで大きなダメージを与えると消滅するでしょう。』

「なるほ…『ですがそれにダメージを与えるのならまず腕の破壊をしなければなりません。』

ちょっと石守護野郎の面倒くささにイライラしてきた。

「…ならこうするしかないですよね!」

私はツキノキネを相手に思い切り投げつける。それは両手でガードすることは理解出来ていた。相手の行動はパターン化しているのを見破ったからだ。

私は飛び上がり両腕に力を限りあるだけ込める。そして…

「ライバーダイパンクラーッシュ!」

腕を相手の頭上から振り下ろした。

相手の体にヒビが入り砕け、腕と脚は崩れる。

 

「…無理ゲーならば怒りを込めて台パンするまでだ…」

 

こうして怒りと怒りのぶつかり合いは幕を閉じた。

 



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《謎のノートパソコン》

ちょっと長い休暇をいただきました。


スモールロックガーディアン…かなりの強敵だったな…こいつはなにかアイテムをドロップしてないだろうか。ん?この変な鉱石…いや、宝石?これはなんだろう。

[ガーディアン核石(微小)] なるほど、わからん。

「モニターさん、この石ころって何?」

『簡単に言えばガーディアン達の核、つまり命の源です。』

「いやでもミニマムにはなかったじゃん」

『ありましたよ。』

え?

『ただしミニマム程度なら砂鉄ほどのサイズなので無いも同然です。』

モニターさんはさらに続ける

『正しい加工をすればゴーレムコアという宝珠を作れたりします。ゴーレムはガーディアンの上位互換であり知能面がかなり優れています。』

「なるほど、つまりこの石を使えば自分のガーディアンや加工次第ならゴーレムも作れるってことか。」

『まぁ今のニュジオ様にはそんな技能ないのでできませんが。』

「夢壊さんといてくれよ…」

 

なんて会話しながら頂上を目指す。どうやらさっきの石守護野郎が頂上に行くのを阻止するボスだったらしい。

頂上に着くと不思議な光景だった。

まず頂上にはちょっとした穴ぐらがありその中に謎の板が置いてあった。

「誰か住んでいた…訳でもなさそうだし、…モニターさん、このアイテムの製作者は?君と同じ?」

『いえ、ソースコードは類似してますが…興味深いマテリアルですね、我々製作物とこの世界の物質を混ぜ合わせて作り出されたモノ、と推測できます。』

おお…やっぱアップデートのせいもあってなのか雄弁だな…。

『ですが我々製作物が作り出されたのは最近のことである事からこのマテリアルはいつ作り出された…いや創られたものなのか…』

モニターさんがすごい速さでブツブツ喋ってる。肝心のモニター画面に映る文字も読ませる気ないかのように難しい単語が出てくる。こりゃモニターさん、マイワールドに入っちゃったな…

 

『…という事で私の力では到底理解不能でした…。』

「う?あ、うん、おつかれー」

途中からウトウトしてたなんて言えないな…これ。にしてもモニターさんどんよりしてるな、ここはフォロー入れなければ。

「いや、まぁまだこういうアイテムあるかもしれないし、最悪わかんなかったら君の製作者にでも聞いてみよ?ね?」

『そうですね。進まない事を考えてたってしょうがないですからね…』

「そうそう!じゃあ進む事をしよう!じゃあこの板開くみたいだし開いてみよう!なにかの手記かもしれないしね!」

というわけで開けてみた。一面には色々な文字や記号が書いてあるキーボードが、もう一面には今にも吸い込まれそうな黒い画面がある。

「これってノートパソコン…だね。」

起動ボタンを押してみる。

「いやー、パソコンって言ったらここに来る前に吸い込まれてモニターさんにあったんだよなぁー、懐かしい…ん?《パソコン》?」

嫌な予感がして画面を見ると奈落のような真っ暗な画面がぐにゃあと渦をまく。そして僕達はノートパソコンの画面に吸い込まれた。

 

…うーん、体が痛い…なにかに下半身がすっぽりハマってるな…なんだこれ?壺?…抜けない。というかさっきから近くに置いてあるけどこの長柄のハンマーは何…?

ん?壺?ハンマー?何かを察して辺りを見渡す。変な形をした天まで届くほどの物の山。

これって…

「《壺おじ》じゃねーか!!」

 

どうやら異次元に飛んでしまったようである。




次回壺おじ回!壺おじ知らない人に説明しときますと「ゲッティングオーバーイット」というゲームの主人公の愛称です。どんなゲームかはニュジオが次回言ってくれると思います。


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《つぼ ツボ 壺》

壺おじ…それは1人のおじさんが壺にハマって登場し、ハンマーを手に、てこの原理や物理法則を使い不思議な山の頂上を目指すゲームである。パッと見てネタゲーと思うかもしれないが頂上まで登るのは至難の業でありいくつもの挑戦者達がその難しさに心を折られたかそれは数しれない…

 

で、それがリアルにある訳だ。嘘やろ。

「モニターさんは大丈夫?」

『無事です。』

「なにか説明とかは…?」

『ここは私の知識の範囲外です。』

「いやいや、お得意の推測でもいいからさ」

『まず、ここは先程までとは違う次元である異次元空間であることは簡単に予想できます。』

『簡単に』って言うとこ強調されて言われたな…次元の知恵とか僕にはないよ…

「んじゃあ僕からも推測だけど、このリアルなゲームをクリアすればいいの…かな?」

『じゃあ、やってみて下さい。』

やってみて下さい…だと…?どうやって?まぁ変身してるからコメント欄からヒントを…

『やったれニュジオ!』『頑張れ(笑)』『いけるか?』

いや、何もヒントがない…

これはまず有無を言わさずやれって事なのかな?

壺の中で体の向きは変えれるし…よし!

「うっ!とりゃっ!はっ!」

おお…意外と上手く行く…異次元だから世界の法則とか色々変わってるのかな…ってうぉぉ!落ちた!怖ぇ!

「もういっちょ!ぬっ!えいっ!…」

 

―2日後―

 

「やっとここまで来れた…ムズすぎるっていうかクリアさせる気があるかこれ!?」

だけど確実に上手くなってきた。理由はこの修練によって会得したスキル!

[スキル:遠心力の勘][スキル:ハンマーの勘][スキル:根性]

「いやー、ここに来てからスキル手に入れまくりだね〜、いいね~、だが!もう心折れそう!」

『ですがたったの2日で3つのスキルはかなりいい収穫ですよ。…もしやここはスキルを得る為に作られた物なのかも知れないですね。』

「うん、あとは…この鉄塔をミス無しで上手く上がれるかだなぁ」

よし!行くか!

「みんな…行くよ!」

「っせいッハッハッヤッぐぅぅぅう!」

あと少し、あと少し…

『[スキル:ハンマーの勘]が[スキル:ハンマーの使い手]に変化しました。』

ここだァ!うらァ!行ったァ!

『『『「おおおおお!」』』』

みんなで成功を喜ぶ。宇宙(?)を漂いながら感傷に浸る。その時だった。自分のところに向けて小さな流星がゆっくりと近づいてくる。

『《とある魔の研究者》からギフトが贈られて来ます。』

このエメラルドグリーンのライブウォッチは…!

 

甲斐田晴(かいだはる)!!』

 

 

 




仮面ライダーリバイス第1話おめでとうございます(^ω^)


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《アイアンなヤツ》

これが新しいライブウォッチか…キレイな色だな~。

 

『ニュジオ様。どうやらここから出られるようになったようです。早く脱出することをおすすめします。』

 

「いやいや宇宙に浮かんでふわふわしてるのちょっと楽しいしもっと楽しませてよ~」

 

『…どうやらこの空間、少しづつ無に還っているようですよ。我々が無に飲み込まれる可能性が大いにあります。』

 

「そ、それ早く言ってよ!えっと出るためには…この浮いてる脱出マークを押せばいいのかな?えいっ!」

 

脱出マークを押した瞬間、それは黒い渦をまき、また僕らはそれに吸い込まれていった…

 

 

「では、ここで配信終わります。まったね~」

 

配信をOFFにした。

 

「うぉ~、大変な場所だった~。あっ、脱出した途端睡眠欲が…」

 

『相当お疲れのようですね』

 

「睡眠も取らずに聖人の特性だけで頂上まで乗り切ったからね、早く寝たいし汗はかかないけど水浴びしたい…」

 

『兎にも角にも下山しましょう。話はそれからです』

 

「わかってるけど少し!少しでいいから寝させて欲しい!」

 

『飛行型のシェイドに襲われても私の所為にしないでくださいね。』

 

「それはちょっと嫌かも…。下りるかぁ。」

 

とりあえず、下山してみると何やら面白いモノを見つけた。それは全身鉄でできたミニマムロックガーディアンだった。

 

「…モニターさん、あれは?なんなのさ?」

 

『あれは[シェイド名:ミニマムアイアンガーディアン]ですね。』

 

いきなりロックガーディアンの変種、それも鉱石らしいものを見つけられてなんか嬉しい。

 

「メタルメタルしい体してるねぇ~」

 

『[メタル]という単語は和訳で[金属]ですよ?』

 

「いや…なんと言うか我々日本人は鉄でも金属でもそう言う名前や体している生物を見つけるとテンション上がる性質があるんだよ…」

 

『なるほど。ニュジオ様の元の種族は変人だらけなのですね。』

 

今の僕の発言でモニターさんからの日本人全体の評価が下がってしまったかもしれない…。

 

「とにかく戦ってみるか…ちょっと配信のタイトルとかいじるからモニターさん様子見といてー。」

 

『私は便利屋ではないのですが…』

 

って言いながらちゃんと様子を見てくれているのでエディットコントロールで配信のサムネイル写真やタイトルを作っておく。写真は自分の記憶から取り出したメタルス●イムの写真にしとく。タイトルも、メタルスラ●ムに似てるようなのを見つけた!、としておく。

これで上手く視聴者さんを呼べるかな…?

さて、戦ってみるとしよう!



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《これが修行(壺おじ)で得た力!》前編

「はい、みんな~こんジオ~!ってさっきまで配信してたんですけどね~」

軽く笑いながら配信を始める。

「てことで音量大丈夫?…あ、大丈夫ね。って事で今回は下山してる途中でレアなシェイド見つけたんでちょっと討伐して見ようと思います!

と、いうことで今見張っててくれているモニターさん!あのシェイドについて皆さんに解説お願いします!」

 

『(私は便利屋ではないと言ったのに…)はい、解説のモニターです。

…そうです、いつもニュジオ様の近くに居るモニター、はい、あってます。

と、言う事でアレは地下から地上に掘り上がって来て守護地を護るシェイド、[ミニマムアイアンガーディアン]です。』

 

モニターさんもちゃんとコメント欄を見れているようだ。結構言葉を選んで話してる感じあるからシステムながら緊張してる?

 

『鉱物が多い場所に生息するガーディアンでありその誕生はとても興味深く…あ、いえ、まぁ簡単に言えば鉱石から生まれ鉱石や山岳を護る、そう…タマゴや巣を守る親鳥みたいなものです。以上。』

 

うーん、なんかライバーさんの家族が特別出演したような気分だな…。いつもの雄弁さがリスナーさん達のために抑えられ気味になっててなんかおもろい。あ、そろそろこっちの番だな。

 

「というわけで新しいライブウォッチ試しますか!いざ開戦!」

 

相手の近くに立ち甲斐田晴(かいだはる)ライブウォッチをセットし全方位360度回転。そして…

 

「はろはる~!にじさんじ所属バーチャルライバーNewジオウです!よろしく~!」

成功!これが僕の新しい力…甲斐田って「魔」の研究者だから魔法とか使えるのかな?

『臨時スキルを追加しました。』

スキルシステムさんから通達来たけど何が追加されたのかな…?

 

「まずはこれ![法器:研究本]召喚!」

1冊の本が召喚される。…これは甲斐田がいつも持ってる本と同じデザインだな…。なんて思ってると突如相手が突進してくる。

「うおっと!回避できた!じゃあこの研究本で…あれ?ん、おい、なんかでてこい!」

何度も念じるが魔法らしきものは出てこない。

 

『…それはどうやら相手の魔力を測定したりする言わば便利アイテムみたいですね。』

 

「え?」

 

確かに相手に向かって念じたことで相手の魔力の流れとかが図や文字で浮かんできたのでわかる。いやいやそんなの読んでても今は意味無いって!

 

「甲斐田の力ってこれだけ!?いや!もう一個武器があった気がする!今度はこれだ!」

 

「[魔法武器:オブスタクルギター]召喚!」

 




ミニマムアイアンガーディアンのスキルはミニマムロックガーディアンと同じです。
[パワーナックル]と[微加速]です。イメージ図はただの石や鉱石にその物質と同じの腕や脚がくっついています。
スモールはさすがにデカいですがミニマムは可愛いサイズで地面に足が着いていないと脚をパタパタさせます。とあるゲームから着想を得ました。


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《これが修行(壺おじ)で得た力!》後編

「[魔法武器:オブスタクルギター]召喚!」

うおっ!これがギターか、初めて持った…。不思議な形だし意外とデカいな、これ。さてと、1回弾いてみますか!

「みんな、良く聴いとけよ!」

弦を抑える指が勝手に動く。そこから流れてくるのはキレイな優しい音。それを聞いていたミニマムアイアンガーディアン、もといミニマム鉄守護の動きがゆっくりしてきた。弾きながらモニターさんに聞いてみる

 

(モニターさん、これはどういう仕組み?)

『そのエレクトリックアコースティックギターには…』

(長いからエレアコでいいよ)

『そのエレアコには精神を鎮める音の力があるそうです。』

(これも攻撃じゃないのか…)

『観察したところそのギターには3つのモードがある様ですが?そこのボタンを…』

モニターさんが不思議な指で指してくる所を見ると3つのボタンがあった。

 

(じゃあ押してみるか!)

 

押した瞬間別のギターに変わった。今度はエレキギターみたいだ。

 

「よし!もう1曲行くぞ〜!」

 

アンプもないのにちゃんと音が鳴るなぁ…と、思いながら相手の様子を見てみると今度は後退りしている。もう1回モニターさんに聞いてみる。

 

(これはどういう仕組み?)

『相手の魔力や精神に乱れを生じさせてるようですね。この武器の名前の通りの効果ですね。』

(え?このオブスタクルって言う単語?意味はなんなのさ?)

『《邪魔》ですね。』

(あー、うん、なるほど。)

カッコイイ単語だと思ってたけど意味知った途端少し冷めたな…。

 

「じゃあ最後のモード変形だッ!」

 

ボタンを押した瞬間エレキギターの形から、エレキギター似の斧の形に変わる。なんかシェイクで手に入った武器って今の所ゴツイ武器しかないのな…。

 

まぁ斧って言ったらこれをやるしかないな…首をコキッと鳴らしながらセリフを言う。

「俺の強さにお前が泣いた!」

『相手はガーディアンなので泣きませんよ?』

「あ。あぁ、これは仮面ライダー電王のキンタロスってのが言うセリフで…って、のわっ!」

 

お邪魔効果が無くなって元のように動ける様になったミニマム鉄守護が襲ってくる。だがしかし![スキル:遠心力の勘]で長柄武器を使いやすくなったワシをなめるのではない!

斧でガードした体勢から流れるように回転して斜め横から一撃を喰らわせる。相手に攻撃が当たるとエレキギターの音が鳴り相手の動きも鈍る。お邪魔効果は斧の斬撃にもあるのか。

 

「よっしゃ!アンコール行くぞ!」

 

突進されたらカウンターで切りつける。それを繰り返していた時、相手が大きくふらついた瞬間を見極め、ここぞという様にジャンプして股を広げる、そして相手に強烈な縦斬りを喰らわせ相手を砕く。そして戦闘が終わったのを確認して一言セリフを言う。

 

「―ダイナミックチョップ…」

 

『後から言うんですね…』

 




ライバーだけじゃなくライダーのセリフも導入できたので良かったです。泣けるでぇ。


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《山岳からの帰宅》

「ふぅ、ダイナミックチョップ再現ってすごいやるのに体力いるなこれ…カットを入れなきゃ普通できないよ…」

と愚痴を言いつつコメント返信する。

みんなからは新しいシェイク見れて良かった。だとか、月ノ美兎シェイクだったら簡単だったのでは?だとか、甲斐田(かいだ)みたいな格好でダイナミックチョップは意外とイイぞ。とか、たくさんの評価を頂いた。

 

「と、言う事でここで配信切ろうかな~、帰って寝支度しないと。」

おやすみと言って配信をOFFにする。さて帰るか、いやまだとある作業が待っている。なんなのかと言うとそれはミニマムアイアンガーディアンの死体?まぁ鉄の塊数個とビーズほどの大きさのガーディアン核石だ。

手をかざして見たところ情報は[鉄塊(小)]と[ガーディアン核石(極微小)]らしい。鉄塊はなにかに使えるかもしれないし核石も後で使うだろうから全部インベントリに入れる。

さて今度こそ帰ろう。このまま甲斐田晴シェイクで帰った方が体力も持つだろう。女子高生の体じゃなくて成人男性の体だしね。

 

~帰宅(?)後~

 

あぁ…疲れた。そうだった…今更思い出したけど甲斐田って屋敷に引きこもって作業してるんだった…。体がガクガクだぜ…。とりあえず、変身解除と傷の確認をして寝ようかな…。しかしいつまでたってもここの焦げ臭さは慣れないな…おやすみ…

 

 

「よし!今日から家を作るぞ!!」

そろそろちゃんとした場所で休息を取りたいぃ~!

『今日のご予定はそちらですか?』

「うん、甲斐田晴シェイクのおかげで斧が手に入ったからね!」

『…体力は大丈夫なのですか?』

「それに関しては僕のスキルには[根性]があるからね!山下りのような不規則な道を行く作業よりも、同じ作業をやり続ける地道な木こり作業の方が根性使うからね!」

『確かにそうですね…』

でも無理すんなよ、的な感じを漂わせるモニターさん。

「まぁそんなに心配しないでよ、だいじょぶだからさ…。ってな訳でちょっと近くの森林地帯に行くか!」

 

 

さてと、ライバーキック配信をしてた森林に着いた訳だが。とりあえず配信しよう、木こり配信だ!木こりなんて主にどう●つの森でしかしたことないけどうまくいくのだろうか?あ、配信始まってたわ。

とりあえず挨拶!

「どもども!新世界に降り立った聖なる仮面ライバー!Newジオウでーす!というわけで早速…」

いつもやってる変身ポーズを取り、早速変身してからさらに甲斐田晴ライブウォッチでシェイカータイム!

回る~!

 

「はろはる!

ふぅ、朝イチから回転はやっぱキツイな…、まぁそんなことはいいとして[魔法武器:オブスタクルギター]召喚!」

召喚してちょっとだけエレキギターモードでギュイーンと音を鳴らす。

「よっしゃ高まる!そしたらアックスモード!」

エレキギターから斧に変形したところで木に向かい振りかぶり切りつけると…なんと振動し始めた。少しづつ木が切れていってる。

 

「うぉぉ凄い細かい振動だなこれ!…振動?あ、それなら…」

エディットコントロールで[エコー]を使う。

すると木はさらに早く切れていく。

 

なんかいける気がする!

 

 



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聖者の建築編
《ニュジオ不動産 木を切る》


遅くなってすみません!


ジュイーーーーン…

「―それでねー、やっぱこの世界から出られたら何したいかって言うと―」

ジュイーーーーーン…

「―やっぱり親の作った料理とか食べたいねぇ、まぁメンチカツとか…お店とかではカレーパンとか…あ、枝切るねぇ―」

ズッ…ズッ…ズッ…

「―あとはインベントリに入れて…と、それならみんなのオススメ料理ってある?―」

 

絶賛木こり配信中。切断してる時の音をリスナーのみんなに聞こえないようにできるだけエディットしながら雑談を楽しむ。朝からの作業はきつかったけれども時間が経つとコツも掴めるし何よりみんなから応援されてるから頑張れる。夕方までやってるからはっきり言って腕の筋肉がつりそうだ。ここまでやれたのはやっぱりスキル[根性]のおかげかな?それにこの魔法武器のおかげなのは間違いない。

あ、そろそろ夜っぽいかなぁ?

 

「夜になりそうだから次の話題で終わりにするよー、んーそれじゃあねー…」

 

 

「いや~!疲れたわー。もうこれ明日になったら筋肉痛確定だなぁ絶対。」

『お疲れ様です。あまり気にならないと思いますがお身体の傷の確認と手当てを推奨します。切り傷がかなり有ります。』

「んー、確かに多いな…こんなに薬草使うんならあの時もっと取って来た方が良かったなぁ」

 

薬草で作った傷薬を塗りながら昔の出来事に後悔する。こんなに使っちゃうならいっその事インベントリに残してある最後の1本の傷口回復ポーション使っちゃおうかな…?

いやいやこれは結構高価なものかもしれないからとっておこうって決めたじゃないか!

…でもいくらたってもお金使う機会は無いし、スーパーチャットとかでどんどんお金は増えてく…。お金って使い道ないのかな…?

こういう時は…

『…なぜ、こちらを見ているのですか?』

「あ、気づいた?あのさ、お金について聞きたいんだけど…」

『金銭については私はあまり知りません。』

唯一知ってそうなのに知らないのかよ…

『ですが、金銭に詳しい方なら知っています。』

まじですか。

『システム同士と言うだけの仲ですが…《マネーシステム》という方です。』

「え?そんなのいんの?いつから?」

『ニュジオ様の補助に着任する前から存在は確認してました。』

「は!?って事は最初からいたの?そんなヤツ?

ってか教えてくれよぉそんなんだったらさ~…」

『マニュアルにはニュジオ様から金銭について聞かれた時に紹介する、と言う流れでしたので。』

「マジかよ…あ、今からソレ使えるの?」

『お呼びします。』

 

こうして《マネーシステム》とやらに会う事になった。システムと会うのはモニターさんを除いて初めてかもしれない。

…ちゃんと空気が読めるヤツだろうか??

 




モニターさん『空気に文字は書かれてませんよ?』
ニュジオ「いや、そういう意味じゃなくてね?」


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《ニュジオ不動産 取引相手に出会う》

『連絡したので1分後には使える様になるかと。』

「システム同士なのに結構アナログなんだなー」

『マネーシステム側からこのような紹介をして欲しいと通達が入ってたので。』

「…変わったヤツなんだな。」

『通達文からしても彼の思考は理解不能です。…来たようですね。』

モニターさんでも理解不能なヤツなのか、と言おうとした時、それは突如現れた。ゴージャス感あふれるフレームに金色の画面をしているモニター。ナニコレ明らかに怪しすぎるんですケド。

 

FOO~WA-HHAHHAHHA(フゥ~ワッーハッハッハ)!HELLO!Newジオウ!そして我~がキョ~ウダーイ!HA-HHAHHAHHA!』

 

なんだコイツ?横文字ばっかだな…そして五月蝿い。

 

『おや?おやおやおや?ン〜♪Congratulation(コングラッチュレイション)我がキョウダイ!まさかボクの見てなかったうちにバ~ジョンアップしてたなんて!

美しい手だねぇ!まさか声も出せたりするのかい?』

 

『まぁ…一応出せますが。』

 

『Oh…Yeah!な~んて美しい声なんだい!?その声でボクのために1曲歌ってくれないかな??』

 

『…私に歌を歌う機能はありません。』

 

『ン〜フフフ、まぁ、まだ気づいて無いみたいだね…。

ま~あ、それはともかくNewジオウ…あ、いや!君はスターだからね…配信通りニュジオ、と呼んだ方がいいのかい?HAHAHA!』

 

「…まぁ…どっちでもいいけど…?」

なんだこのオッサン、と思い思わず怒ったような口調で言ってしまった。

 

『NONONONO!わっ、わ~るかったよ!さっき君の、いや、君の為だけの補助システムに失礼な事を言ってしまったのは謝るよ!君とはいい関係で商売したいんだよ!ね?いいカナ?ニュジオ君?』

 

いやモニターさんの話じゃなくてあまりの胡散臭さに対して少し怪しんでしまっただけなんだけど?意外とデカい口たたいて話してるのに根はビビりなのか…?

 

「あ、いやごめん、少し怖い顔しちゃった?別に怒ってないよ?」

マネーシステムの様にハハハと笑いながら言う。

 

『そ、そうかい?じゃあボクのできる事を話すよ?大事だから聴き逃しは御免だよ~?』

 

「アンタのモニター部分にも文字は写るからそりゃ大丈夫だろ?」

 

『HAHAHA!1本取られちゃったね!じゃあ…ン〜、何から話そうかな?それじゃあ―』

 

 

 

Newジオウとマネーシステムが話している時、補助システムはとあることを思考していた。なぜマネーシステムは自分と同じような存在なのに自分とは全く違うのか。そしてNewジオウに対して湧いた自分にとって感じたことの無い小さい暖かみはなんなのか。

 

補助システムは絶えず思考を続ける―

 

 




書いてて思ったが新キャラのクセがすごすぎる…


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《ニュジオ不動産 取引内容を知る》

『それじゃあ、まず最初はなんと言ってもこれこそメイン!!ン〜、The ショッピ~ング!!』

 

「ほう、買い物か。ちょっと何売ってるか見せてくれよ。」

 

『ノンノン!まーずは人の話を聞きなっさ〜い!

ショッピングの方法はなんと二つありまーす!と、言うのもまずコレ!ネーットショッピーング!…に介入して作ったもので…名前は…ディメンショッピング!』

 

「おぉ…って介入!?大丈夫なのか?僕の元の世界のネットショッピングに何かしら変な事してないだろうね!?」

 

『そこはご安心を、ミスターニュジオ!名前の通りこれは《次元の買い物》。ボクの権限でちょこ~っとだけ次元を歪ませてコピーしてるんだよ~。ちなみに、これひと~つだけやるのにフツーの人間じゃ出来ないほどのプログラムだよ!』

 

「まぁ…そうだろうね。まぁコピーなんて僕もできないしね。」

 

『いやいや!ちゃんと自信を持って!ニュジオ君だって強くなればそれくらいお茶の子サイサイじゃないの~?』

 

「そんなもんかなぁ?」

 

『いつかは出来るのを楽しみにしてるよ!HAHAHA!っと、話題が逸れたね。まぁこれは安心安全の普通のネットショッピングだよ!~って言ってもほとんどが配送料だけどネ!!』

 

「…?ふーん、それでもう1つのは…?」

 

『マネーシステムプレミアムショッピング!通称MSPS!どこぞの有名実況グループと名前似てるけど間違えないでほしいね!!』

 

「…??で、内容はなんなのよ?」

 

『こっちはお客様の欲しいものを作ってそれを翌日に届ける!言わばボク限定ショップ的な?売ってるものはこっちの世界のモノだったりデータだったり…こっちはお値段もオサイフに優しい!こっちではそっちからモノを売ってくれても構わないよ!あ、あとボクのプロデュースした商品もあるから見ていってね!』

 

そんなものまであるとは…

 

『あとは貯金機能かな?盗むことが得意なシェイドは何をしてくるのか分からないからね!あ・と、ここは利子がほぼゼロに近い日本とは違うから貯めれば貯めるほど金額も増えてくよ~!』

 

『そして次はお金を借りることが出来ちゃうよ!買いたいのにあと少しお金が足りない…なーんてこと、イヤだよねぇ?さすがに限度額はあるけどある程度なら自由に借りれるよ!借りたお金は配信とかで得たお金を少しづつ頂いて返済してく形だね!コワーイお兄さんに言い寄られる心配は無いから安心ネ!』

 

「でも借金はしたくないな…」

 

『で、これが最後!投資機能!投資するほどジャンジャンいいことが!?…って言うけどこれは製作者が作ったプログラムだからボクには何がなんだか…でも、ボクの機能として付いてるからには必ずいいモノだって事はマネーシステムの名に誓って言わせてもらうよ!お金は信頼と助け合い!これがボクのモットーさ!HAHAHA!』

 

ふーん…

って事はまとめると4つの機能があって、[売買][貯金][借金][投資]か…まさにThe・マネーだな…

 

『じゃあニュジオ君!イキナリだけど何か使いたい機能はあるかい?』

 

「もちろんあるよ。」

 

さて、取引開始だ!

 

 




長ったらしい説明終わり!長くてすいません!


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《ニュジオ不動産 取引をする 前編》

「僕が取引したいのは…そうだな、建築について学べる物が欲しいんだけど…ある?」

まずは在庫があるかどうか確かめてみよう。

 

『そりゃたーくさんあるよ!エート…[在庫検索:建築関連]…本とかもあるし、なんなら作業道具、資材も豊富だよ!』

 

「ちょっと見せて」と言って確かめる。確かに沢山ある。あれ?外国の本もある?けどこれって…

 

「こういうのって試し読みできるの?」

 

『目次とかそういう内容のないページは省くから10ページならいいよ!』

 

「意外と親切だな…おっ?これって英語の本でも翻訳されてる?商品画像で何となく気づいたけどマジなのか…」

 

『これもサービスの1つだよ!ボクくらいになるともう、色んな言語が分かるからね!万国の言葉なんてカンタンカンタン!』

 

んじゃあそのアメリカかぶれみたいなのはなんなんだ…?

 

「木造で、えーと、あれは…あーうん。丸太小屋?って言うのかな?その書籍は?」

 

『わかったわかった…[種類:丸太小屋]追加…でたよ!』

 

「(検索楽だな…)沢山あるね…選べないな…オススメは?」

 

『ウーン…ボク的にオススメ出来るのは…これかな?[ジョン エレナス著 基礎から応用まで 自作ログハウスのロマン]かな?』

 

「なかなかいいタイトルだね。試し読み…ふーん…」

 

『どうかなどうかな?』「いいかも!で、お値段は?」

 

『これは豪華版だから二万三千円で…』

 

「まぁまぁするな…でも所持金はまだ三十万近くあるからね!じゃあ買いま…」

 

『ん?イヤイヤ待って待って?まだ色々測ってるから。』

 

この時僕の頭には、「こっちのスパチャってYouTube介さないからめっちゃお金貯まるなー」としか考えてなかった。だがそこで僕に1つの事件が起こる。

 

『OK!本体価格二万三千と送料が百六十万だからサービスで三千引いて百六十二万だn「いやいやいや、ちょっと待ったーーー!」え?』

 

「なんでそんなに送料高いのさ!?え!?ぼったくり?え!?おかしいでしょ!!」

 

『マーマー、落ち着いて!なんで送料がこの値段か分かるかい?ミスターニュジオ!

《送料》ってのはここまで運ぶための値段だよ!ここは君が元々いた世界で言うと地域から地域へ送ってる訳じゃ無いんだよ?

1つの世界からコピーして!さらに次元を超えて!こっちの世界へ送っているんだよ?

ボクはコピーは簡単だ、とは言ったけど次元の歪みを使うってのは簡単にできるけど高リスクなんだよ。そのリスク分が《送料》ってモノなのさ…。』

 

「脳が理解出来ないよ…なら、例えるとしたら?」

 

『ン〜、た・と・え・ば…とある話にある《5億年ボタン》って知ってる?ボタンがあって、押せば百万円貰えるけど代わりにな~んにもない空間で5億年間過ごさなきゃいけなくて、しかも出れたら5億年の記憶を消されるってハナシ。』

 

「聞いたことあるけど…と、言うことは…」

 

『…ボタンを押すのは簡単だし、何度も出来ちゃうけど、隠れたリスクはヤバいってワケ!』

 

「確かに似てるけど、話のチョイス…」

 

『HAHAHA!色んな話の中でもユーモアあるでしょ!?』

 

「まぁそうだけど…これじゃお金が足りない…」

 

『Ah~。でもいい方法なら有るよ!』

 

「まさか…借金!?」

 

『ノンノン!ダイジョブだよ!こういうトキこそ!我らの~!』

 

 

『M・S・P・S~!』

 




ワタクシの幼稚な頭ではこんな例えしか浮かばんかった…
皆さんすいません…
後編に続きます!


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《ニュジオ不動産 取引をする 後編》

シルバーウィーク祭りじゃ~!


「MSPS…?なんか言ってたね…アンタのプロデュースしたのが何たらかんたらって…」

 

『oh!ニュジオ君!そこを覚えててくれたのは嬉しいけど内容を覚えてくれたら満点だったのに~!』

 

いや、送料の話で記憶ぶっ飛んだわ。

 

『正式名称は、マネーシステムプレミアムショッピング!ン〜、さっきも説明したけど今度は掘り下げて、注目ポイントを説明するよ!』

 

「よろしく頼む。」

 

『ここではこの世界のモノやデータを売っているんだよ。で、君にとってもいい値段で販売されてるものが多いかもね。理由は次元の歪みを全然使わないからなんだ!

元の世界で作ったモノじゃなくて、こっちで作ったモノだから莫大なお金、つまり《送料》が全くかからないってワケ!あっても数百円程度だからサービスで帳消しにするよ!』

 

「送料がない…か。」

 

『しかもこれはお客様の欲しいものなら、この世界のモノやデータ限定で翌日までに作ってお届けするよ!』

 

「じゃあこの世界には建築の本は有るってこと?」

 

『HAHAHA!違う違う!ボクが言いたいのは[データ]についてさ!』

 

データ…?

 

『[インストール]って、知ってるかい?』

 

「あ、あ〜!僕が薬剤について色々してた時、薬剤についてちょこっと知れたやつとモニターさんが僕の思考を読まないように機能を追加したやつか!」

 

『おっと!!知ってたみたいだね!さすがニュジオ君だ!

知ってる通り、あれは知識を自分に追加する時に使う御業だよ!』

 

つまりデータ…知識を買える!?

 

『ようやく分かったようだね!顔にそう書いてあるよ~!』

 

「買わせて下さい!!」

 

『いや…どうしたの急に敬語になっちゃって…でも高度なデータは高いからね。買える程度のデータにしようネ!

これまでの会話で欲しいもの、持っているお金はもう知ってるから調整しようか!じゃあ機能を整理して見積もろうかな?じゃあ―』

 

 

その後30分程かけて欲しいデータと代金を見積もって、代金を払った。なんとなくマネーシステムと話してて分かったが、コイツはちょっとふざけてる時もあるけど、意外とお金や商売に対しては真面目なヤツって事が分かった。まぁ強いて言うなら少し通常のテンションは下げて欲しいが…。

 

 

『と、言うことでボク達システムで明日までには作ってくるよ!see you again Tomorrow(また明日ね)!』

 

「よろしく頼むよ!」

 

『ビュン』、と音がなりマネーシステムは消えていった。夜はかなり深けている。

 

「ふぅ、おまたせモニターさん!終わったよ!」

 

『…終わりましたか。もう遅い時間です、睡眠を摂る事を推奨します。』

 

「そーだね、うーん疲れたぁ。さっさと寝るかね。」

寝袋を用意して寝る準備をして明日に備えて睡眠を摂る。明日が楽しみだ。

 

 

 

 

『……私は、システム…。…私は、補助システム…。』

 

『…でも、(・・)は一体何…?』

 

 



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《ニュジオ不動産 知恵を得る》

「いや〜ここが良いかな~、あっちも良かったんだけどなぁ…」

 

今日は朝からヘビーな作業はやめておいて、今は土地探しをしている。平原である程度平らな土地を探すのは簡単だけど、見つける土地から見える景色はどこも同じ。何も無いからね。

でもって今、自分が重んじているのは、如何に色んな地域に赴きやすいか。と、なっている。

 

「やっぱりここかなぁ…?」

 

近くに池が有り、ここはなかなかいい場所だ。一応ここにしよう。

 

「モニターさん。一応忘れないうちにここマッピング機能で印立てといて。」

 

『分かりました。…他にしたい事はございませんか?』

 

ん?いつもと違って気が利くな…

 

「んー、それじゃあ、少し寝たいな…マネーシステムが来そうになったら起こしてくれるかな?…あのテンションの声で起こされたくないし…」

 

『起こし方はどのようにしますか?』

 

「アラームじゃなくて揺さぶりで。」

 

『分かりました。』

 

実はいつも寝すぎてる自分を起こしてくれる時、いつもアラームで起こしてくれるんだけど、音量が大き過ぎて心臓に悪いんだよね…。さて、寝袋…寝袋…

 

ここに家が建つのが楽しみだなぁ…寝よっと。

 

 

ユサユサ…

「んー…」

ユサユサユサ…

「あと少し…Zzz」

ユサ……ユサユサユサユサユサユサ…!!

「わ、分かったから!起きた!起きました!」

 

『起きましたか。』

「お、起きました!」

 

「ふぁぁあ…ねm『FOO~WA-HHAHHAHHA(フゥ~ワッーハッハッハ)!Good morning、ニュジオ君!』…いや、この声で完全に目覚めたわ。」

 

『商品をお持ちしたよ!じゃあインストールの準備は出来たかな!?』

 

「あいよ。」

 

『そうかい!それじゃあイッツ インストォ~ル!』

 

 

『マネーシステムからデータが届きました。[建築の学びパック]のインストールを始めます。』

 

おぉぉ…これこれ、この落ちてきた雫が頭に浸透する感じ…ちょっと前回よりも雫が大きいような?

 

『大丈夫だったカナ?脳が耐えきれない量の情報量だと頭痛がする場合もあるらしいけど…ニュジオ君ならダイジョブそうだネ!』

 

「まぁ大丈夫だけど…これでホントに家作れんの?」

 

『そこはご安心を!じゃあまた用があったらステータスから呼べるからね!じゃあ―』

 

「ちょっと待ちなよ。」

 

『何かあったかい?』

 

「アンタさ…《製作者》についてどこまで知ってるの?」

 

『それは…』

 

僕は少しマネーシステムに歩み寄る。

 

「購入サービスとして教えてくれないかな?

まぁ…そうだな、これからも良い商売相手にしたいし…《お金は信頼と助け合い》、なんでしょ?」

 

『ハ…ハハハ…君はいつかすごい大物になりそうだね…まぁボクが言った言葉だしネ。怒られないくらいなら話せるよ。』

 

「じゃあ聞かせてもらおうかな?」

 

 



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《マネーシステム》

ボクが記録してあるボクの始まり。

 

 

始まりはまさに虚無だったよ。ボクには目なんて無いから目を閉じてたわけじゃない。

気づいたら、いや、今思うと気づきなんて無かったかもネ。

ただボクはそこにいたんだ。何も無い空間で、音も無く、光も無く、ただただ僕はそんな所にいた。

 

当時は自分の名前しか分からなかったよ。でもそんな時、ボクに話かけてくる存在がいたんだ。そのヒトが多分ボクの製作者なんだろうね。その時のボクは少し考える事はできても、何も喋れないし、何も表現出来ない状況だったよ。

そんなボクにイロイロな事、そうだね…例えばボクの役目とかかな?そんなコトを教えてくれた。今思うと、その声は寂しいって言うカンジがしたかな。

 

それからはずっと色んな書物やらのデータや記録を読み漁る作業だったな。最初は色んな国の言葉かな?それから色んな数学のコトとかね。幸いボクはその記録を1つも忘れなかったよ。…まぁ、システムだからなんだろうけどね、 HAHAHA…。

 

色々覚えてきた時に渡されたのが…渡されたって言うのカナ?入れられた…って表現でもいいかもネ。とにかくそれが『モニター』だったよ。黄色くて、地味なモノだったケド嬉しかったね。

そこからは自分の意志の表現…つまり文を出せるようになったんだ。これまで記録してきた言葉を繋げて1つの文に出来るのはとても面白かったよ。

 

それからまた、色々な記録を読んでたら、突然声が聞こえたよ。ボクが最初に聞いた声と同じ声。で、今度はアップデートしてくれるって言ってくれたんだ!アップデート…当然意味は知ってたからとても嬉しかったよ。スリープモードに移行してアップデートして貰ったんだ。

その時に貰ったのがこのボクの声と少し装飾されたこのフレーム。…その時からだったかな、僕が商売について自分から学びたいと思ったのは。

 

それからは学んではアップデートの繰り返し。商売人としての機能も追加されたし、他のシステムと文通が出来るようになったり、実際に喋れたり。で、気づいたらこ~んなに豪華な見た目になってたってワケ。

 

これがボクの始まりの話。

 

 

 

『…って言うワケさ!』

 

「なるほど…って!ちがぁう!僕が聞きたかったのは製作者の話だよ!アンタの自分語りじゃん!」

 

『ウンウン、言いたいことはわかるよ。でもこれがボクに関する製作者の話カナ。ン〜、なら補助システムにも聞いてみてよ!』

 

「それしか無いんだね…モニターさん、これ本当?」

 

『わかりません。』

 

え?

 

『…記憶が無いのです。私には。』

 

「記憶が無い…?」

 

『マ、そんなコトだと思ったけどね!補助システムが記憶が無いのは何となく感じてたよ。

―だってシステムにしては未熟すぎるからネ!』

 

『…』

 

「そんなに言う必要無いんじゃないか!僕だっていつも助かってる!それに―」

 

『大丈夫です。マネーシステム、話は終わりですか?私はこの事について自分でも考えています。だから今は…』

 

『…ゴメンねキョウダイ。こっちも同じシステムとしてお互い知っておきたかっただけなんだ。…もう帰るからサ。(ミスターニュジオ?聞こえるかい?―)』

 

 

「…!

…じゃあ…次もよろしく。」

 

『分かったよ、理解してくれてありがとうニュジオ君!それではマタネ!』

 

そう言ってマネーシステムは消えていった。

 

 

「モニターさん、今から僕は家作るから少し休みな。

…それと、いつもありがと。」

 

『はい…分かりました。』

 

 

―――――――――――――――――――――――

 

 

『(ミスターニュジオ…これは補助システムには聞こえてない信号だけから言うケドね…あのコ最近自我がはっきりしてきたんじゃないの?)』

 

(確かに…そうかも。)

 

『(それはイツ?)』

 

いつ…?えーと、たしか…

 

(…あっ!アップデートの後…)

 

『(つまりあのコはまだ生まれたてなんだよ…)』

 

(なるほどね…)

 

『(コッチから言うのもジブンカッテだけどあのコの事ヨロシクね…!)』

 

(オーケー。)

 

 




マネーシステムの回でした。次回は建築します。


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《ニュジオ不動産 家を建てる》

よし、とにかく家を建てなくちゃな…、まずは設計図を書き始める事から始めるんだろうけど、今の僕にはそんなの必要ない。さすが建築データパック、サバイバルゲームみたいな感じでどの場所にどんな物を置くのかうっすら見える様になってる!

 

何故かと言うと

設計図を作る為には紙とか筆類が必要な訳である。当然そんなものはここには無いし、ディメンショッピングで買ったとしても送料がとんでもない額になる。と、言うことで僕が買ったデータには《本来書かなくちゃならない物が書かなくとも見える。》と、言ったまさにプレミアムなデータを買わさせて頂いた。…値段もプレミアムだったけどね。

 

更に今回の家は木材以外使えないので釘を使わない日本式の構成の家を作ることにしてる。幸いにも電動ノコギリのような使い方ができる魔法の斧[オブスタクルギター]があるし、ハンマーの代わりとして使える杵の[ツキノキネ]があるから何とか道具に関しては安心だ。…めっちゃ作り辛いけどね。

 

途中、木が足りなくなったので木を切りに行ったらシェイドがいて驚いた。相手は群れたボアトードだったので今の僕には余裕すぎる戦いだった。

全員ツキノキネで気絶させて捕獲。美味しそうなお肉を頂きました。家が出来たら食べようかな…?それでも食べきれないくらいあるな…。

 

 

 

―何とか苦難苦節を乗り越えて6日で立派な1階建てのログハウスが作れた。でも内装は無いんだけどね?

ここまで来れたのはかなり嬉しい。僕とモニターさんの個別の部屋も作ったのだがモニターさん言わく『私には勿体無い』、との事。

ベットもまだ作れない為、寝袋で寝るしか無いのだが、寝袋は寝袋で超寝やすいのでベット要らないんじゃないか疑惑がある…けど、久しぶりにベットでも寝たいので頑張って素材集めをしなくては、後は作る為のデータ…、でももうお金が無い…。

 

 

「と、言うことでね、1週間くらいたったけど無事家が出来ました!自分で言うのもあれだけど、まじで頑張りましたわ!」

家の完成記念の配信もいい感じに撮れてて嬉しい。

「なので!今回が初お家配信なんだよね~、これは進化と言えるよね!

家の明かりもボアトードの脂で作ったロウソクだし、結構いい雰囲気だわ〜。

拠点も出来たし次は何処に行こうかな~。…と、言うことで配信終わりますかね。じゃあおつジオ~!」

 

 

―――――――――――――――――――――――

どうだった?山登りや家を建てるって事に興味は出たかい?

え?その家はまだあるのかって?

…大丈夫。ちゃんと敷地内に記念館として残してあるからいつでも行けるよ。

うーん、またその家で寝たい気もするな。懐かしい…三人(・・)でまたゆっくりしに行きたくなるなぁ…。

おや、失敬、少し先の話をしてしまったかな?まぁそろそろソイツも出てくるだろうし、俺の記憶がもっと賑やかになるはず。

 

気になってきたかい?じゃあこれが続きの記憶だよ。

 

…俺は街に行ってくるかな…何を食べに行こうか…ブツブツ…




聖者の建築編はここで終わりですね〜
次回からもキバっていくぜ!


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聖者の同類編
《雪原探検!》


「うぉ~、さ、寒ぅ…」

はい、今回の遠出先は雪原地帯です。この地帯に来て30秒であまりの寒さに後悔しました。

 

「モニターさん…この防具ぜんぜん寒さ和らがないんだけど…」

 

『ご安心ください。何れにしても長時間滞在によってスキルで耐性が得られるはずです。』

 

「んなぁ!?ボアトードの毛皮の装備作ったら大丈夫って言ってたじゃないかぁ…」

 

『…いや、あまりにもニュジオ様に裁縫のセンスが無かったのは想定外でした。』

 

支えないと防具が外れるこの状況。まじやばい。

 

「言わなかったけどやっぱりモニターさんが作ってくれたら良かったんじゃ!?」

 

『何を言うんですかニュジオ様…私の腕は1本しかないですよ?流石に作れません。』

 

そう言ってモニターさんは画面の下の空間から出してきた腕を横に振る。その腕って寒く無いんだろうか。

 

「その腕寒く無いの?」

 

歩きながら聞いてみる

 

『いえ、実物の腕と間違われるかも知れませんが一応中身は球体関節ですよ。』

 

「えっ、そんなにキレイなのに本物じゃないの!?」

 

『…機械に本物の腕が付いてたら流石に嫌ですよね?』

 

「うーん、まぁ確かにそうかもしれないけど…」

 

でも、モニターさんってある意味機械って言う概念超えてるからなぁ…、と思いながらモニターさんと話し合い、寒さを忘れようとする。

 

「…でさ、流石にこんな所にライブウォッチなんてあるのかなぁ?」

 

何しに寒い雪原まで遠出をしに来たかと言うと、この世界のオーパーツ的なアイテムである、ライブウォッチを探しに来たからだ。

 

『今手元にあるライブウォッチはニュジオ様のウォッチも含めて3つ。

ニュジオ様のウォッチと他の2つのウォッチは変身用と強化用で明らかに違う内部構造とエネルギーですが、他の2つである、月ノ美兎ウォッチと甲斐田晴ウォッチ同士の内部構造とエネルギーは似ています。

それにより、ニュジオ様のウォッチと他の2つのウォッチと似ているものがないかサーチをかけたところ、この雪原に反応がありました。』

 

「なるほどね…で、ここにはどっちがあったの?」

 

『それなんですが実は―「まって」』

 

(何かいるぞ…)

 

『(私の熱源探知では察知出来ませんでした)』

 

(え、てことは…オバk「ダレだ!?」!?)

 

「言葉を喋った…?」

 

「そこにいるのか!」

 

僕は自分には危険が無いことを分かって貰うため両手を上げ岩陰から出る。その途端、急いでいたため防寒具が全部スルスルと取れる。

 

こうして雪原で2人―

 

いや、雪原で高技術のパンツ一張の男と全身高技術のサイバースーツのイケメンの2人が出会った。

 

 



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《出会う2人 前編》

やべ、防寒具全部脱げた。まぁここは一言目が大事だよな…

「…怪しい者ではありません!!」

 

「いやどうみてもフシンシャだろ!!」

 

「…いや、これは何も武器とか無いって言う表現で…」

 

「フム…なるほど。だが、怪しいのには変わりない。オレの拠点にこい。」

 

「(何とか通じた…?)わ、分かった…」

 

「あと、途中で取れた服も持ってきな。」

 

「あ、バレてた?」

 

「バレバレだ。」

 

―――――――――――――――――――――――

 

あれから数分後、ちょっと狭い穴蔵に着いた。どうやらここが彼の言う拠点らしい。

 

「ココで人と会うのは初めてだ」

 

いや君、頭に三本ツノ生えてるけど人なの?、という言葉はしまって置いて…

「…いや、僕もだけど。」

 

「…オイ、その防寒具貸せ。」

 

「え…あ、うん。」

 

「…針代わりになるものと糸代わりになるもの持ってっか?」

 

あ、直してくれんのね。ありがてぇ。

「一応、骨で作った針と繊維の糸なら。」

 

「縫もんには自信がある。あと、縫ってる間、オレの質問に答えて貰う。」

 

「なるほど…分かった。話せる事なら話すよ。」

 

「じゃあまず…オマエ何処のヤツだ?」

 

いや何処の中学校か聞くヤンキーみたいに聞かれても…

「草原地帯から来た。」

 

「いや、それもそうだがオマエはどういう世界から来た?」

 

「…地球の日本、東京だよ。」

 

「おお、オレと同じ世界で同じ国か…俺は北海道だ。」

 

「え?外人さんじゃないの?金髪だし。」

 

「バカ。親がヨーロッパ人なだけだ。コレのせいでオレのコト見たヤツ、勝手にヤンキーとか思うヤツ多いんだよ、マジで。」

 

いやそれ言動にも関係あるだろ絶対。

 

「あとそこの物陰から見てくる黄緑のモニターはなんだ?」

 

隠してたのバレたかー。

「(バレたみたいだしモニターさん来ていいよ~)

あ、彼?…いや、彼女?はモニターさん。本名は補助システムって言う僕の事を助けてくれるシステムの方で…」

 

「システムってなんだ?」

 

「え?知らない?んじゃ、わかる事なら教えるよ。まず―」

かくかくしかじか

 

 

「なるほど、スキルくれたりモノくれたりしてくれんのがシステムなのか。」

 

「…うちのモニターさんみたいに教えてくれる存在はいなかったの?」

 

「いや、一応この世界に来た時、案内の本を貰ったんだが…」

 

なんか難しい顔してるな

 

「実は…オレって本が苦手でな…漢字も全然読めねぇ」

 

「なるほど本苦手?」

 

「いや…ヨーロッパで生まれて北海道に引っ越して来たからあんまり日本語が苦手でな…あー、アニメとかで日本語を知った事も多い…」

 

「アニメ好きなのか…ってなんかフラフラしてるけど大丈夫!?ちょっと!」

 

「実は…うぅ…ぐっ」

 

 

彼はそう言い残し、いきなり倒れこんでしまった。

 



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《出会う2人 後編》

「いや~すまんすまん!腹が減ってしまっていて迷惑かけたな!」

嬉しそうにボアトードの肉を食べる少年。

 

実は彼が倒れた時、即座に僕とモニターさんは颯爽と行動にでた。モニターさんはスキャン機能で彼の体の様子を見たところ、かなりの空腹状態だったようだ。

そこからは僕の仕事。とにかく肉を焼く。焼きまくる。モニターさんの活躍に負けない様に上手に焼く。

 

で、こういう事になったってワケ。…でも腹が減るだなんて腹が減らない僕にとってはちょっと懐かしい思い出だな。聖人になってから食欲はあるけど腹は減らなくなったし。

まぁそんなことは今はいい。こっちも1個貸しが出来た。

「じゃあお肉代としてギブアンドテイクで次はこっちの話に答えて貰おうかな?」

 

「ああ、これが一飯の恩ってヤツか…なるほど、オレに話せる事なら。」

 

「じゃあ聞かせて貰うけど、君は僕と出会った時何をしてたんだ?」

 

「ん?狩りに決まってるだろう?」

 

「狩り?」

 

「ああ、言うのが遅れたがオレも大食らいでな、オマエも大食らいのクセによくオレに獲物をくれたな!」

 

「え?僕が大食らい?僕の種族は聖人で腹が減らない身体だよ?」

 

「聖人?オマエってオレと同じ破人じゃないのか?」

 

「いや、そもそもそんな3つもツノ持ってないし、どう見ても種族違うでしょ。で、破人ってなんなの?」

 

「…破人は一言で言うと、とにかく戦闘に特化した存在!戦えば戦うほど強くなる…だがその代わり、とにかく腹が減る!って説明書の最初辺りに書いてた!」

 

「は、はぁ。なんかサ●ヤ人みたいだな…」

 

「あと感覚も鋭いぞ!例えば!この洞の近くにいる敵の数は2体…は!?なんでいる!?」

 

『!!微力ながら敵の存在を感知。敵は1…いや、2体です!』

 

モニターさんよりも彼の方が探知力が強い!?

「なんで気づかなかったの!?」

 

「肉が美味くて気づかんかった…」

 

えぇ…アホやん…

「とにかく!これ!持ってる!?」

 

僕は咄嗟にジゲンドライバーとNewジオウウォッチを取り出し見せる。

 

「似たようなモンだが…ある。」

 

そう言って彼も藍色と黒色のジゲンドライバーと藍色のライブウォッチを取り出す。

 

『相手はかなりの強さです!』

 

「こっちに向かって来てるぞ…。ところでオマエ、ライバー名は?」

 

「…Newジオウだ。」

 

「ジオウを名乗るとはかなりの阿呆か?」

 

「うっさいうっさい!ニュジオって呼んで!そっちは?」

 

「シュバルツだ。」

 

「オーケイ、シュバルツ。洞穴から出たら配信開始と変身だよ!」

 

「行くか!」

 

「(配信開始!)」

 

 

『ジゲンドライバー!!』

『ジゲンドライバー ニュクス!!』

 

『Newジオウ!!』 『シュバルツ!!』

 

僕はいつものように変身ポーズをとる。シュバルツは武芸の様に力強い変身ポーズをとる。

 

「「変身!!」」

 

僕は横に体を回転。シュバルツは縦に体を回転。

 

両者変身完了!

 

「「さあ!コラボ配信開始だよ(だぜ)!!」」

 




2号ライバー登場!


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《凄まじき天賦》

さて、変身してみたが、シュバルツの格好を見ると仮面ライダーゲイツのツノが生えている藍色バージョンみたいな格好してるな…

あと、近くにいるだけで凄い危険な迫力をを感じる。殺気って言うんだろうか。頼もしい。

 

「オレの相手は右のヤツにする。オマエは左を抑えてろ。」

 

そう言われ相手を見ると、左は氷の鎧を纏った様な亀と悪魔が融合した二足歩行型シェイド、右は氷の鉤爪を装備した、熊と悪魔の融合した二足歩行型シェイドだ。

さて、どう戦おうか、相手は全身の防御力が強い。とにかく氷の鎧を壊す事に専念しよう。

―――

 

アイツに左を抑えて貰っている間に右の敵を倒してしまおう。Newジオウと言ったか…アイツはまだ弱い。戦闘経験が少ないのがひと目でわかる。コイツを早々に倒し、アイツに加勢しに行くか。

 

転がりながら相手の懐に入り込む。そして相手の脇腹に向かって拳で一撃をいれる。この攻撃で相手は一瞬怯む。その隙に一瞬、溜めをいれて胸に二撃。そこから続けて回し蹴り。1度距離を取り首に向かい膝蹴り。そこから腕に腕力を込めてアイアンクローを浴びせ、そのまま首の骨を折る。一撃も攻撃を受けずに1人を闇に葬った。

―――

 

この鎧硬すぎる!殴っても殴っても壊れん!こうなったら…

月ノ美兎(つきのみと)!!』

「起立!気をつけ![武器:ツキノキネ]召喚!さあ、行きますよ!」

 

砕く、砕く!砕け散る!!

「楽なもんですね!」

 

「オマエもシェイクするためのライブウォッチ持ってたのか。」

 

「え?シュバルツ!?もう終わったの?」

 

「後はコッチがトドメを刺す!」

 

兎田(うさだ)ぺこら!!』

《シェイカーターイム!!》

 

「こんぺこ!こんぺこ!こんぺこー!シュバルツだぺこ~!どうもどうも~」

 

うわ。なんだろ、出会った時から粗野や言動ばっかりとってたシュバルツが衣装とキレイな声、そして中性的なイケメン顔も相まってすごく可愛い…。これがギャップ萌えか!?

 

「…なんだぺこ。なんでそんな変な顔するぺこ!?」

 

いや、顔赤らめてるし。てか兎田(うさだ)ぺこらライブウォッチ!?そんなの持ってたのか…そして語尾も変わるとは…まぁとにかく眼福だから…

「シュバルツ似合ってるじゃん!」

 

「うるせーぺこ!好きでこんなふうになった訳じゃねーぺこ!さっさと終わらせるぺこ![防具:キャロケットブーツ]装着ぺこ!」

 

うぉ!シュバルツの足に金属のブーツが出てきた!ってなんかニンジンついてね?

 

「行~く~ぞ~ぺ~こ~!!ファッファッファッ!」

 

笑い声も変わるんかい。って、ん?ニンジンから音が…?

 

その瞬間ブーツにくっついているニンジンのへたから強い風が吹きシュバルツの蹴りを高速にする。

 

シュバルツは何度か回し蹴りをおこなった後必殺技を繰り出す。

 

『《ぺこっと!》ディメンションバースト!』

 

高速で飛び蹴りして当たる瞬間に十何発もの蹴りを追加でいれている。

 

「おぉりゃァ!!ぺこ!」

 

…なんてデタラメな強さなんだろうか。あ、ていうかそっちは…

 

シュバルツが蹴り飛ばしたシェイドは勢いのまま洞穴に入り、洞穴は衝撃で崩れ去った。

 

なんて声掛ければいいんだろうか…

 

 



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《やらかした豪傑》

前回の補足
ライバー同士は仮面をつけてても、機能の力でお互い顔の表情がわかる。



「やぁっちまったぺこ~!」

シュバルツは頭を抱える。凄いオーバーキルを叩き込んだな…

「ま、まぁ、撮れ高は良かったんじゃないですか?」

やばい、フォローになってない。コメント欄見てみよっと。

『さすがシュバ様。』『ニュジオも頑張ったな。』『これがシュバルツの強さか!』

おお、盛り上がってる、ちょっとシュバルツをこっちに誘導するか。

「シュバルツ…コメ欄コメ欄!」

 

「盛り上がってる…でもこれからしゅばーらは何処に住めば…」

 

凄い女々しくなってるやん。てか一人称まで変わるのかよ。凄いなライブウォッチ。

「…んー、分かった、(こうなったのは私のせいかもしれないし…)いい案あるからまず変身解こうか?」

 

「うぅ…分かったぺこ…」

 

~変身解除~

「(ほら!配信終わるまであっちの方行ってて!)まぁ、という事で…シュバルツのお家が壊れてしまいましたが、強いシェイドを2体倒せたので良かったです!

あと、シュバルツはちょっと放っておいてあげてください…という事でおつジオ!」

 

「シュバルツ…大丈夫?」

 

「大丈夫なわけないじゃん…もう…」

 

ん?口調がいつもと違うぞ…?

 

『(ニュジオ様、今の彼女は精神的ダメージを受けすぎています。なにか食糧を持ってきましょう。)』

 

「(まて、今なんて?)」

 

『(食糧を持ってきましょう、と言いました。)』

 

「(いや、その、アイツの性別は?)」

 

『(…女性ですが?)』

 

『(え?どゆこと?ニュジオ君わかんない…)』

 

『(彼女は完全に見た目からして男になりきってますが、出会った直後、スキャンしたところ性別は女性でした。)』

 

マジすか(;・∀・)

「え?ねぇ、シュバルツってさ―」

 

直後腕に激痛が走る。

腕を見てみるとそこにはモニターさんの手でホールドされていた。

「(何すんのさ!?せっかくはっきりさせようと思ったのに!)」

 

『(いけませんよニュジオ様)』

 

いてっ、デコピン食らった。

 

『(彼女は必死に性別を隠しています。それが今バレたら精神的ダメージが倍増する事は確定です。まず今もこの先もこの話題はタブーとしましょう。)』

 

「(つまり…アイツの嘘に乗れって事か。《キメ顔》)」

 

『(?なぜキメ顔をしたかは分かりませんが…ワタシのサーチによると、この地域には甘くて美味しい果実があるそうです。それを探して彼j…いえ、《彼》に渡しましょう。)』

 

「(OK、そのクエスト受注させてもらおうか。)おーい、シュバルツ~!」

 

彼女を呼ぶと泣き腫らした目でこちらに近ずいてきた。

 

「ちょっと見てろよ~、(インベントリ…)行くぜ![スキル:大工の勘]!」

 

ログハウス建築の時に余った資材と得た新スキルで寒さをしのげそうな空間を数分で作る。

 

「な、何それ…?」

 

「シュバルツ、人は戦闘が全てじゃないのさ。というわけで僕はちょっとヤボ用済ませてくるからそこで待ってな。

…あと、防寒具。使わせて貰うよ!」

 

ちょっとした決めポーズをとって、甘くて美味しい果実、とやらを探しに走る。

 

「絶対そこから離れるなよ~!」

そう言いシュバルツに手を大きく振る。それに続きモニターさんも手を振る。

 

さてオタカラを取りに行きますか!

 




仮面ライダーエグゼイドの九条貴利矢さんのネタを入れました。そこを書いてる時、ちょっとニヤッとした自分がいました(笑)


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《努力した天才》

「さてと…で、モニターさん。カッコよく飛び出して来たのはいいけど件の果物ってどこにあるのさ?」

 

『…確か雪山の雪の浅い所に生えているらしいです。』

 

「うん…ちなみに聞くけどそれ、どこ情報?」

 

『私のスキルです。』

 

「え!?モニターさんスキル持ってたの?」

 

『言い返してみると《機能》とも呼べますが…』

 

「マッピング機能とかレーダー機能とかも?」

 

『その通りです。今回私が使ったスキルはニュジオ様が家を作っている間にスキルシステムにも秘密裏に残量エネルギーに注意しながら作り上げた、そう、おr「オリジナルスキル!?」…それです。』

 

「すごいじゃん!オリジナルスキルまた作ったのか!…まぁ1週間くらいモニターさんにお休みあげてたからか…」

 

『と、言うわけで作ったスキルの名前は[ゲッシングトゥルーLv1]です。』

 

「ほうほう、(モニターさんが作るスキルは全部横文字なんだな…)意味と能力お願いしやす!」

 

『意味は《真実の推測》。このスキルを使えば私の様々なスキルの効能を高めたり新たな機能を見いだせることができます。…まぁまだLv1なのでそんなに万能ではないですが…』

 

でもそんなスキル作れるなんて…シュバルツも凄いけどモニターさんも凄いな…そしたら僕の価値は…

 

『ニュジオ様、もしかして自分のことを卑下してますか?』

 

「…心を読んだの?」

 

『いえいえ、ただの《推測》ですよ。ネガティブなオーラが出ていましたので。』

 

うーん…やっぱりモニターさんには敵わないなぁ…

 

『…と、言うことでここからは正式にニュジオ様の出番ですよ。』

 

え?何の話?

 

『ニュジオ様からのデータが欲しいんです。』

 

「なんのデータ?」

 

『ニュジオ様のお得意のスキルの中に[雑草博士]というスキルがあるのをこの間偶然見つけたのですけど…』

 

「ほう?うん、あるよ?[雑草博士]でしょ?」

 

『そのスキルと私の[ゲッシングトゥルー]の波長を合わせたらより植物の詳しいデータが手に入るはずです。』

 

「なるほど…で?どうやんのさ?」

 

『地面に生えている雑草に手をかざしながらもう片方の手と私の手を繋いでください。』

 

「な、なるほど…(初めての手を繋ぐ相手がモニターさんになるとは…!)まっ、まぁ、うん!よろしく!」

 

『じゃあそこら辺の草を対象にしてみましょう。』

 

「わかった。えーと、手をかざして…で!モニターさんと手を繋ぐ…と…」

 

え?なんで僕システム相手にドキドキしてんの?

 

『はい、繋ぎましょう(ギュッ)あとは集中して[雑草博士]を使いましょう。』

 

なるほどなるほど…集中ー……モニターさんの手って意外と華奢でスベスベしてるなぁ…紛い物であるのに少し暖かいっていうのもいい…って痛たたたた!

 

『なんか別のことに集中してませんか?』

 

「あ…はい、今度はちゃんと集中頑張ります…」

 

よし、今度こそ集中して…[雑草博士]を意識して…ん?

これは!?凄い!凄いぞ!!

 

 

 




業のニュジオ、 力のシュバルツ、 知恵のモニター

…みんな頑張れ~!


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《閃いた凡才》

こ、これはスゲー!

まるで地面の中で成長する根みたいに感覚を伸ばせて地中の状況が分かる!

 

『上手くいったようですね。』

 

「なんか感動するわー、で?ここから何をすれば?」

 

『一旦地上を見渡して山を探しましょうか。』

 

そう言われてぐるっと辺りを見渡す。少し遠くに高そうな山を発見した。

 

「あったあった、そしたら…あの山に向かってこの《感覚の根》を伸ばせばいいのか!」

 

正解です。と、言われたので早速もう一度トライ。かなりの速さで地中を駆け巡る《感覚の根》はついに山へ到達し、目的の植物かもしれない根っこを見つける。

 

「この根だけなんか違うな…よし、[雑草博士]の草の名前が分かる効果をここで…」

 

『それは危ないです!』

 

え?、と思った瞬間、一気に沢山の草の情報が入って来てかなりの頭痛に襲われた。

 

頭痛の痛さで言葉にならないような声を出して、その場で転げ回り、何度も吐きそうになった。すると、モニターさんが慌てたように説明をする。

 

『ニュジオ様!貴方が出した《感覚の根》は長い腕じゃなく長い手なのです!

そこで名前等を鑑定してしまったら、目当ての植物に到達するまでに触れてきた植物の根の全ての名前と使い道が分かってしまい、その膨大なデータに脳が耐えきれません!』

 

な、なるほど…つまり普通と違う植物だということが分かったら鑑定しないでそっちに赴け…という事だったのか…

でも…

 

「モニターさん、…もう1回やらせてくれないかな?」

 

『? どういう訳ですか?』

 

「まぁ理由は聞かないでもう1回やらせてよ。」

 

『まぁ、それなら』

 

差し伸ばされた手を繋ぎもう一度《感覚の根》を目当ての植物に近ずける。

…1度あの痛みが来ると分かればもう大丈夫だ…よし!

 

「鑑定!うぉぉおおおお!」『!?』

 

「あ"あ"あ"あ"あ"!」『WARNING!今すぐやめてください!』

 

「い"、や"、なれでぎだ!」『WARNING!WARNING!危ないです!』

 

「よし、もっと根を伸ばすz…あ"あ"あ"あ"あ"!」

 

『何がしたいのですか!?推測不能!』

 

―――――――――――――――――――――――

 

「…ふぅこんくらいで良いだろう。果実の場所も分かったし、あとは…来い!」

 

《[ギフト:マジで草生える]を贈りました。[スキル:植物博士]とVエネルギー『1』を追加しました。》

 

『!?スキルシステムからのギフト?何故?』

 

「モニターさんさぁ、[寒さへの耐性]って、確か寒いところに長時間滞在してゲットできるんだよね?」

 

『確かにそうですが…!まさか!?』

 

「その『まさか』さ!あの状態に長〜く耐える事によって植物に対する熟練度を一気に上げたんだよ。」

 

『そんな、無茶苦茶な…』

 

「むちゃくちゃだとしてもどうせ苦難の先に成功があるのは変わらないよっ!」

 

そう言って僕はモニターさんにぎこちなくウインクした。

 

 




スキルシステムからの送られてくる文の『』を《》に変えました。


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《努力の賜物》

コロナワクチン(2回目)の熱からついに解放されました!
迷惑や心配をおかけしてすいませんでした!


「いやはやこんな雪山に登るなんて人生初かもなー。シュバルツだったら登ったことがあるのかな?」

 

『さすがにこのサイズの雪山に登る機会はそうそう無いでしょう。』

 

「あーでも、スキー場の山とかってこんくらいかなぁ…?」

 

『…《すきーじょう》とは?』

 

「え?知らない?んじゃあここはひとつ、僕がモニターさんに教える番だね!」

 

 

僕達2人…いや、1人と1システムは、お目当ての果実を探す為に、その果実がある雪山を登っていた。しかし道中は何も無いのでちょうど暇を持て余していたところだった。

 

 

『なるほど、ニュジオ様がいた世界にはそのような遊びと場所があるのですね。』

 

「モニターさんって意外と僕のいた世界の知識って、実はあんまりないの?」

 

『ニュジオ様との日常の会話で苦にならない程度の知識はありますが…』

 

「そうかー。ん?でもマネーシステムのおっちゃんは凄い知識持ってるよなぁ…。マネーシステムの昔の話とかされた時、ずっと書物読んでたよHAHAHA~みたいな事言ってたからな~。」

 

そんな事を言って、ちょっとだけあのうるさいのを思い出す。

 

『…マネーシステムで思い出しましたが、あのシステムは《この世界にあるもの》も売ってるとか小耳に挟んだのですけど…』

 

「…それで?」

 

『それを使えばすぐ果実が手に入るのでは?』

 

いいとこついてるね~モニターさん…でも

 

「ん~甘い!キャラメルくらい甘い!ちょっと効率的に考えちゃってない?

まず、よく考えて!お店で買った野菜と自分で育てた野菜ってどっちが美味しいと思う!?」

 

『…お店の方が格も高くて安全でいいのでは…』

 

「ッスゥーーー…ま、まぁ確かにそうかもしれないけど僕からしたら愛着が湧いてる物ほど美味しいと思う!

じゃあ対象を変えるとしたら…ログハウス!

売ってるログハウスと自分で作ったログハウス!どっちが良い?」

 

『…要は人間と言うモノは自分の手で作った物の方が愛着が湧き、そして素晴らしく感じる…という事でよろしいですか?』

 

む、モニターさんには分かって貰えなかったか。でも…

 

「まぁ、これは1つの理由(・・・・・)にすぎないよ!もう1つ理由あるからさ、モニターさんも分かってくれるはずの理由だよ。

つまり…」

 

『つまり?』

 

「果実が成っている場所の土壌などを調べ!土を持って帰り!そして栽培する事だぁ!」

 

『なるほど、それなら理にかなっています。いくらなんでもあのマネーシステムと言えど、その土壌の細かい部分まで再現した物は無いはずです。』

 

有ったらあのおっさんのこと崇拝するわ…

 

「ま、何事にも今は努力。天才にはなれなくても秀才にはなりたいからね…ってあれ?」『おや?』

 

目の前にあるのは白く綺麗な果実が実っている細木。これは…

 

「[植物博士]!」

 

[白恋(びゃくれん)の実:甘味をとても多く含む、美味で少し珍しい果実。※詳細]

 

「ついに努力が実になった!」

 

『…それは…かなりサムいですね。』

 

「?雪山だから寒いんじゃない?」

 

とにかく上手くいったぞ!

 



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《崩れる!流れる!雪崩出る!》

心臓炎症中!プチ入院してても小説頑張るぞ!


「これが白恋の実…って白イチゴじゃない?これ。」

そう言って僕は少し訝しげに果実を見る。どう見ても種が赤い白イチゴにしか見えないな…。

 

『確かにそう言われると《いちご》という果実に似てますね…』

モニターさんはあまりイチゴについても知らないらしい。国民的果物なんだけどなぁ…

 

「実は数えて…5個か。シュバルツ用に二つ…栽培用に二つ…そして試食用に1つ。」

数えて見ると少ない。希少性は高いのだから当然だろう。

 

「じゃあ食べてみるか…(モグモグ)ん?おおぉ!

ときめく様な甘さにきらめく様な程よい酸味!これは…悪魔的だ…」

自然と次の実に手を伸ばして…しまいたくなるがここは我慢だ。

 

「さてと…土壌についても学ばなければ…土をすくって…アイテム名は…?」

 

[土]

 

「予想どうりだな…家に帰ったら土について学ぶ方法を考えよう。…インベントリ!」

そう言ってインベントリの中に白恋の実と白恋の細木、そして大量の土を入れる。

 

『要件も満たしましたしシュバルツの元へ帰りましょう。』

そう言ってモニターさんが帰り道を先導する。

 

「アイツ今頃何してんのかねぇ…元に戻ってくれてたらいいんだけど…ってうわっ!」

痛った!滑ったわー、うー、お尻痛い…

 

『あっ!ニュジオ様、危ないです!』

慌てたようにモニターさんが言う。

 

「ああ…足元には気をつけるよ…」

ふー。おしりの部分だけ高性能スーツだからちべてー

 

『そうではなく!ニュジオ様!後ろ!』

 

そう言われて後ろを向くと雪がこちらに…迫ってきてる?

・・・「『雪崩だ!(です!)』」

 

そう理解した瞬間、僕は変身し、モニターさんを脇に抱え急いで下山する。

 

 

 

 

「あぁ…何しちゃったんだろオレ…」

シュバルツは1人木箱の様な物に入り雪や寒さを凌いでいた。

 

「昔っから体力あるだけのバカって事はこっちの世界に来ても変わらない…か。」

そう言いながらシュバルツは顔を俯かせる。

 

「あのNewジオウとか言うヤツ、戦闘に関して弱いからヘボいヤツかと思ったら…こんなの作れるのか…」

シュバルツはそう言って木箱をなでる。

 

「アイツ…《変われたヤツ》って言うオーラしてやがる…アイツはどこかで変わった…新しいジブンに変身できたんだろうな…少し羨ましいな。」

シュバルツの独り言は続く。

 

「オレもアイツを見てたら変われるかな…?変身できるかな…?誰かに認められるのかな…?」

今度は天を仰ぎシュバルツは物思いにふける。

 

 

突如凄い音が鳴る。外に出てみると少し向こうの山の雪が崩れて来ていた。

 

「!?あっちって…ニュジオが行った方向じゃねえか!」

シュバルツは走り出した。

 

 

 

「ニュジオ!大丈夫か!?」

シュバルツは山の近くの木に寄りかかっていたNewジオウを見つけた。

なんて弱々しい顔だ。仮面越しからでも表情は見える。

 

Newジオウはシュバルツに気づくと笑顔でこう言った。

 

「ハハハ…ちょっと滑っちゃって…」

 

シュバルツは確信した。コイツは不思議な強さを持っていると。そして自分の事を変えてくれるかもしれないという事を。

 

 




ちょっと作風(書き方)変わったかも…
こっちの方が小説っぽい気がする


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《頼り頼られ》

「とにかくオマエが作った箱に行くぞ!立てるか?」

シュバルツは力強く拳を握りしめこちらを向く。

 

「いや…それが、身体に力が入らないんだ。」

思い返せば急な下り坂を滑りながら全力疾走だったからな…

 

「なるほどな…黄緑のへんなのいるか!?」

ん?それモニターさんのこと?

 

『私の名前は補助システムですよ…大丈夫です。私はニュジオ様に守って頂いたので…』

少し悲しげにモニターさんはそう言った。

 

「ならへんなのは動けるな!じゃあ…よっこらせ…っと」

まだそれで呼び続けるんだ…って思ったらいきなり持ち上げられた。ってこの持ち方は…

 

お姫様抱っこじゃねぇか!

 

「えぇ…」

おんぶでもいいのにわざわざそっちかよ…と思ったら

 

「よし!快速で行くぞ!!ぬおおぉぉぉぉ!」

凄い速さで仮拠点に向かって走っていく。凄いな破人は。

あと振動で痛いんだがまぁいいか…

 

 

―――――――――――――――――――――――

 

無事に仮拠点についた訳だがまぁここで治療させて貰うとするか。

 

「よし、インベントリ。えーと薬草傷薬…」

そう言って自前の傷薬を取り出す。

 

「おいニュジオ、それはなんだ?」

少し訝しげにシュバルツが聞いてくる。

 

「これ?自分で作った傷薬だけど?」

と、言ってシュバルツに見せる。

 

「す、スゴい!オマエって家だけじゃなくて薬も作れんのか?やっぱりオマエはオモシロイ!」

シュバルツは目をキラキラさせてこっちを見てくる。そんなにすごいことかな…?

 

「ハハハ…あ、それなら今薬塗るから、この草と同じ物を集めてきてくれたらシュバルツの傷薬作るよ?」

と言い薬草を見せると、いいのか!?、と言わんばかりに速攻で集めに行った。

そろそろ薬草の在庫がなくなってきたから作製代として少しだけ取ってきた薬草頂くか。

 

 

 

「取ってきたぞ!」

元気にシュバルツが帰ってくる。出会った時よりこちらに対しての警戒心が薄れた気がする。

 

「こっちも塗り終わったしそっちも怪我とかあれば塗っておいたら?…まぁ僕はその間にここでしか生えてない草とか見つけに行こっかな?」

一応見られたくないとことかもあるかもしれないし草を取りに行くとしよう。

 

で、見つけたのは多かった順に[薬草][ポカポカ草][ハーブ草][辛み草]そして[粉雪草]の五つ。

 

帰ってきた頃にはシュバルツも薬を塗り終わり、その後、手製薬の作り方を教えた。

 

「いやー、なるほどな!オマエはアタマの回転がスゴいな!…ところで忘れてたが、オマエは何を取りに行って来たんだ?」

 

よし!そろそろ見せますか!僕の努力の結果を!

 

 



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《ご賞味ください!我の努力を!!》

「実は雪山まで行って何を取ってきたかと言うと~?」

と言いつつドラムロールの真似をしながらインベントリの中に手を突っ込む。

 

「ジャン!これは[白恋の実]って言うすごく美味しい果実だよ!元気出してくれるといいなって思ったから取ってきたから食べてみて!」

そう言って僕は自慢げに白恋の実を渡す。

 

「ほう…イチゴに似てるな…美味そうだ。オレは甘いものに目がないんでな。貴重な甘味、食べさせてもらうぜ。」

シュバルツはそう言いながらヘタを取って白恋の実を食べる。

 

「な、なんだこれ!?たったの小さい一粒の実のはずなのに甘酸っぱさがギュッと入ってやがる!スゲー!」

一粒食べ終わった彼女はもう1つ食べていいか?と言う目でこちらを見てくる。

 

「食べていいけどこれでおしまいだからね!」

そう言うと少し悲しげな顔をしてもう1粒食べる。悲しいって言ってたけど、食べている時は嬉しそうな顔してる。

 

と、その時モニターさんに通知が入る。なんだ?と、思って見てみると

《ライバー名:シュバルツからの好感度が上がりました。》

 

との事。…なぜそれをわざわざ通達してくるのかは分からないけどまぁいいか。

 

「それより、これからシュバルツはどうすんの?ここじゃ雪や寒さを凌ぐしかないけど、もし良かったら―」

 

そう話をしていると遠くからドスン、ドスン、と音がなる。シュバルツは様子を見てこようとする僕を止めた。

 

「今、足音がなっているのは外にいるスノーゴーレムで、名前は[冬将軍]だ。」

そう言いシュバルツは眉間にしわを寄せる。

 

「スノーゴーレム…。ゴーレムの一種か。…でもゴーレムって生命体が作って何かを守るために命令してるもんじゃないのか?」

この間モニターさんから聞いた話からしたら少し違う気がするんだが。

 

『ここからは私の出番ですね。』

満を持した様にモニターさんが言う。

 

『あれはこの地域の《環境》が自身をゴーレムとして具現化させた特殊で名前付きのスノーゴーレム、[冬将軍]です。』

環境が自身を具現化させた…?

 

『要はこの地域の化身です。異例なのでゴーレムコアはないです。まぁ操り人形みたいなものですよ。』

なるほど。でも…

 

「そしたらよ、へんなの。アイツは何を守ってるんだよ?」

僕の思ってた事をシュバルツが言ってくれた。シュバルツも、そこまではわからなかったみたいだ。

 

『生態系を脅かす存在や外部の者からこの地域を守っているそうです。』

へぇ。

 

「なるほど…だからこないだオレのこと攻撃して来たのか…」

へぇ。…じゃないわ!

 

「シュバルツ戦ったことあるの!?」

 

「あるけど名前しか分からないまま強すぎて撤退した。あと1人いたら勝てただろうな。」

そんなに強いのか…

 

「あとアイツ人工物を極端に嫌うんだよ。だから拠点は洞穴にしないといけねぇんだよなー」

待て待て、今なんつった?人工物を…?

 

そんな事考えてたら突如木箱が揺れた。何者かに上に持ち上げられてる様だ。

 

「コイツは…!よし、シュバルツ!配信&戦闘準備だ!」

「乗った!」

そして僕達が入ってる木箱は地面に打ち付けられた。

 

 




ニュジオがよく見てなかったみたいなので白恋の実について少し。

白恋の実:甘味を多く含む、美味で少し珍しい果実。
男性が女性に向けてプレゼントとして贈る事が多く、男性から贈られた白恋の実を女性が食べると不思議と相手への好感度が上がってしまう。
この効果を見つけた学者はこの実に[悪魔の果実]と言う異名をつけた。


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《雪原大戦争 (1)》

久々のバトルシーンに筆者はとても緊張しています!
上手く書けるかな…?


「ふぅ危なかった…」「危ね危ね、っと」

避難場所が壊れる直前に変身できて良かった。体の回転で木片は全て弾いたから何とかなった。

 

…まぁだからなんだって話であってこれからの身の危険はどんどん上がってくだろうからね。

 

「…こんなデカいのどうやって倒せば…?」

相手の身長は軽く3m超えてるし洞穴前で戦ったシェイドが付けていた氷の鎧が分厚い氷の甲冑として再現されている。これもコイツのスキルなのだろうか。

相手の武器は氷の大斧。直感でわかるけどあの武器はヤバい気がする。深く当たると傷が大変な事になりそうだ。

 

「おい、ニュジオ!コイツは子分を召喚してくるから今回はオレが子分を引き付ける!オマエはその観察眼と勘で冬将軍を解析してくれ!」

僕に大物を任せるとは相当前回の戦いは難しい戦いだったんだろうな。ここはシュバルツの言う通りにしよう。

まずは…『甲斐田晴!!』

 

「その甲冑、割ってやる!」

 

 

――――――――シュバルツside――――――――

 

よしよし、ニュジオのヤツがやっと戦闘態勢になったな。

冬将軍のヤツは相手が戦闘態勢に入ると、急に子分兵を出してくる。オレの役目はソイツらがニュジオに手を出さないようにおびき寄せるコトだ。お?出てきた出てきた。そろそろか。

まさか、いつも狩りに使ってたスキルをここで使うとは思っても無かったがアイツらを引き付けるためには…これだ!

 

「[ウォークライ]発動!はぁぁぁぁッ!」

これで気が小さい子分兵共は[スキル:ウォークライ]通称ヘイト稼ぎに反応してこっちに来るはず。

よし、来たな、来たは良いがさすがに多いな…

何かアイツらを弱体化させたいところだが…ん?この音はなんだ?アイツらの動きが重くなってきたぞ?まさかニュジオか?アイツは一体なんなんだ…?

 

 

―――――――――ニュジオside――――――――

 

「YEAH!僕の!音を!聴いてくれーッ!」

ちょっとノリノリになりながら僕は[オブスタクルギター]のエレキギターバージョンを引いている。この音には敵対してる者に対して動きを鈍くさせることが出来る。

つまりこの技を使えば僕は相手の動きを見切りやすくなるし、シュバルツはシュバルツで楽にあのちっちゃいなまはげみたいなのを倒せるだろう。

…だけど少ししか冬将軍にはこの音が効いてないっぽい。まだまだVエネルギーが足りないのかもしれない。

 

そんな事を考えながらバク宙ジャンプで相手の足元すくいを回避する。(ギターを弾きながら)

 

ともかくわかってきたことは子分兵が倒されると新しい子分兵がまた冬将軍の体から出てくること。

これでスタミナや魔力を減らせればいいんだけど…はっきりとした解決方法ではない事は確かだ。

 

そんな事を考えながらサイドステップで相手の縦斬りを回避する。(ギターを弾きながら)

 

 

まだまだ戦いは続く。

 




次回とかに冬将軍のスキルとか後書きに書きましょうかね?いつかストーリー関係なしにシェイドの能力解説回とか作りたいですね…。
そんな夢を持って明日も書くぞー!


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《雪原大戦争 (2)》

「のわっ!んっ!?隙あり!(エディット エコー!)」

そう言って僕は冬将軍の氷の甲冑をオブスタクルギター アックスモードの振動でガリガリと削っている。

 

「ぐっ、コイツ…図体デカいくせに動きが速い…あっ!スパチャセンキュ!」

筋力や精神力アップ、そして気力回復ができるスキル[スパチャへの礼儀]を使う。

 

「オイ!ニュジオ!ギターの音くれ!」

シュバルツも大量の子分兵相手に少し押されているらしい。多少焦りながらギターの音を奏でる。とても難しい状況、つまり今、この状態はジリ貧だ。

でも活路はある。

 

『シェイカーターイム!』《月ノ美兎!》

「いきますよ!」

そう言って甲冑の甲斐田の力でひび割れた部分に向けて一撃入れる。そうすれば少しだが甲冑の1部が剥がれる。

これをもう何回も繰り返している。

 

そして多分、次が最後で甲冑は全て取れるはずだ。

 

そこにオブスタクルギターを喰らわせる。あとは念の為に…

 

「シュバルツ!ぺこらのブーツの力でアレ蹴って割ってくれ!」

 

「オシ!そのまま突き破ってやらぁ!!」

『《ぺこっと!》ディメンションバースト!』

 

「月兎流 百裂脚ぺこぉ!!」

 

割れろ!割れろ!そのまま突き抜け!

そう願ったところ最後の氷が剥がれる。このまま相手の体を突き抜けられるか、と思った矢先、冬将軍の体に大穴が空いた。

 

「よっしゃ!」

歓喜の声を漏らす僕に対してシュバルツは戸惑った様に声を出した。

 

「いや、おかしいぺこ!当たってないぺこ!」

 

当たってない…?

そう思った瞬間子分兵たちが粉雪となり冬将軍はそれと同化してどこかへ去っていった。

 

「なんだぺこ!逃げるのか!」

シュバルツが怒りの声をあげる。多分冬将軍は甲冑の復元の為にどこかへと飛んで行ったんだろう。

 

「シュバルツ…アイツは今の僕達じゃ勝てない相手なのかもしれないよ…」

 

「そんな事ないぺこ!逃げなかったら倒せたぺこ!」

 

「それは…解析の達人に聞くしかないね。モニターさん、御用だよ。」

そう言った僕の前に物陰から隠れていたモニターさんが出てくる。

 

『私は陰から相手を解析していましたが、氷の甲冑が剥がれた時、相手の能力値は上昇していました。』

 

「と言うと?」

 

『相手は私たちのことを好敵手として認めて、また戦いに来るそうです。』

 

「意味わかんねぇ!なんなんだよ…逃げやがって…」

 

『シュバルツ、今のあなたとニュジオ様では奴には勝てません。相手が逃げてくれただけ感謝するべきです。』

 

「くっ!」

 

「兎にも角にも、アイツを超えるためには修行も大切かもしれない。…だが、実は僕達、ここの地域に隠されているライブウォッチを探しに来たんだ。そのうちふたつは君のだろうけど、自身の強化の為として探しに行かないか?」

 

「…そうだな、希望があるのなら行こう。」

 

こうしてライブウォッチを探す旅が始まった。

 

 




一旦この章は終わりです。
次の章でニュジオ達は宿敵である冬将軍を倒せるのでしょうか?
というわけでまた後日に続きます。


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聖者の挑戦編
《出発準備》


ん?どうした?俺は今から会議だが…?雪原の話の続きを知りたい?…そうかそうか。ちょうど話の続きは持ってるよ。

えーと…どこに仕舞って置いたかな…右ポケット…左ポケット…胸ポケット…尻ポケット…インベントリにも…無いなぁ。あとは…あぁ!帽子の中に入れてたよ!すまんすまん。じゃあこれね、落とさないようにな?

あ、やばいやばい会議に遅れる…どんな時でも俺は王様(・・)だから威厳を保たないとね…

と、言う事で急いで会議に行かせてもらうよ。じゃあ、また。

 

…次はどんな仮面ライバーが良いかな…ブツブツ…デザイン重視で…いや無骨なデザインでも有りか…ブツブツ

 

―――――――――――――――――――――――

 

「と言う訳でポカポカ草を食べながら体を暖かくして目的地へ向かうぞー。質問ある人~?」

冬将軍からの戦いが一旦終わってから間も無いが、早速目標の場所へ向かう事にした僕達一行。

 

ここからはモニターさんのレーダー機能を頼りに、新たなライブウォッチを探しに行くところだ。

 

「質問ならあるが。」

シュバルツが手をあげる。

 

「この草…食用なのか?」

シンプルな質問ですねえ。

 

「僕の[植物博士]によると、すって塗るのもありだし、食べてもいいって言ってますが?」

そう言うと少しシュバルツは少し唸る。まだ真実味が無いのかな?

 

「まぁまぁシュバルツ、んじゃ一つ聞くけど、有名なRPGゲームにド●クエってあるだろ?そのドラ●エにさ、MP回復の為の[魔法の聖水]ってあるじゃん?あれって自分にふりかけてるのかな?それとも飲んでんのかな?どっちだと思う?」

少しどうでもいい議論を出す。

 

「まぁあれは使ってるとしか表示されないからな…そこは考えた事無かったな…。ってそうじゃなくて俺は…なんつーの?まぁ要するにオレ、野菜嫌いなんだけど…。」

シュバルツはそう言った。野菜が苦手なのか…まぁシュバルツが言いたいことはわかる。こんな山菜とも呼べない雑草を食べて大丈夫なのか、と言う事だ。そうか…

 

「なら間を取ってすったポカポカ草を肉と一緒に食べる。これでいいか?」

軽く状態を込めて提案してみる。

 

「んー、まぁバジルソースだと思って食べればいいか…?」

その発想は無かったわ。

 

「まぁちょっと味的にピリ辛らしいけどそれも有りっちゃ有りか。じゃあそれ食べてから出発するか…。今は雪降ってないし…焚き火も出来るし…あぁ、後で松明とか作ってみるか。木の在庫も少ないしな。じゃあ準備開始!」

 

明日からは冒険だ!

 

 



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《雪原、なのか…?》

~翌日~

 

「いや~見事に雪降ってんなぁ…昨日のうちに十分に木を切っておいてよかったぁ…」

歩きながら安堵の声を漏らす。

 

「オイ、私もちゃんと狩りしてきたが?」

自分もちゃんとやることやったぞ、的な感じな目線でこちらを見てくるシュバルツ。

 

「いや、食料が必要なのはシュバルツだけじゃんか。」

 

「おおん?そんじゃあ怪物と戦闘になったらオマエだけで戦えよ?」

 

「イヤ、マジすんません助けてください。」

 

 

このようなどうでもいいことを話ながら歩いていくとふと、不思議な変化に気が付く。

 

「…あれ?ここら辺少し雪の中に雨降ってない?」

そう言って僕は手を目の前に出してみると、微かに雪の中に雨が含まれている事がわかる。

 

「確かにそうだな…。オイ、聞きてぇことあるんだけどへんなのいるか?」

まだモニターさんの事をへんなの呼ばわりしてるよ…

 

『…せめて呼び出されるのはニュジオ様からがいいんですが…。』

少し不満げな雰囲気を醸し出しながら目の前にモニターさんがパッと現れる。

 

「あー、んじゃ質問は僕から言わせてもらうけど、ここって雪原と他の地域の境い目なのかな?」

僕達が感じた率直な疑問をモニターさんに聞いてみる。

 

『いえ、ここは雪原の中で唯一雪が降らないエリアとなっています。…推測ですが目的地が近くなってきたのではないのでしょうか?』

モニターさんはそう推測した。モニターさんは推測などをより強化するオリジナルスキルを持っている。って事はその通りなのかもしれない。

 

「つまり、へんなのが言うには目的地はこの地域にあるってコトなのか?」

シュバルツはそう言って手を前に出す。

 

「ほとんど雨になっちまったな…その防寒具脱いだ方良いんじゃねぇか?」

僕の着ている防寒具を指差しながらそう言う。

初めてシュバルツに会った時よりもシュバルツが狩ってきた獲物の皮でかなりの進化を遂げた防寒具、確かに結構雨に濡れて重いかも。

そう思いいつもの特殊パンイチスタイルに着替える。

 

「オマエ…やっぱそれしか服ねぇのか…。」

 

「いや、シュバルツだってずっとその特殊スーツじゃん。」

 

「あ、そうかオレもか。」

 

そんな事言い合ってるとまた不思議な変化を感じる。

 

「…いや、脱いだのはいいけどそれにしては暑くない?」

そう、暑いのだ。どんどん歩く度に暑さは増す。

 

「…確かにこの特殊スーツ越しでも少し暑いな…雪じゃなくて雨が降ってるのもそのせいか。ん?…あれはなんだ?」

 

そうシュバルツが言って指を差した場所には遺跡のようなものがある。

 

「どうやら目的地に到着したみたいだね。」

 

今度は遺跡探索か!

 

 




最近疲れで投稿頻度が落ちて言ってすいません!
これからも楽しく小説投稿していくので読んでくださる皆さんの為に頑張って投稿していきます(‐^▽^‐)


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《謎の記録》

「これが遺跡…正面から見ると壮大だね。」

目の前に見えるのはやたらと炎のような装飾が多い遺跡。

遺跡の前には古びた石碑があるが読んだ事もない文字で書いてあるので分からない。

 

「すげぇ『火』って感じだな!てゆーか、こりゃなんの文字だよ?」

シュバルツも同じことを考えていたようだ。これに詳しい人なら…

 

「モニターさんこれ読める?」

もうモニターさんに丸投げするしかないよね、これは。

 

『いえ、知らない文字ですね。』

案外サッと答えが返ってきた。え?モニターさんでも読めないの?マジか…

 

「とりあえず中に入ろう。やるしかないよ。」

この中に目的の物があるんだ。進むしかない。

 

「じゃあ出発!」

 

 

~10分後~

 

 

「いや…石版にもなにか書いてあるよ…なにか読む方法はないかな…?」

これには唸るしかないな…

 

『私に解読機能とかあれば良かったんですが…すいません…』

そう言ってモニターさんは少し画面を俯かせた。

 

「解読ねぇ…んー。ん?あ、そうだ。」

ちょっといい事閃いたぞ。

 

「[エディットコントロール:日本語字幕]!」

そう言うと石版の前に日本語の文が浮かび上がる。成功したのか!

 

「読める…!読めるぞ!」

 

「ほぉ、オレには見えないがなんか見えてんのか。」

 

『そのようですね。』

 

「ふむふむ…んー、よく分からないけど音読しますわ。」

えーと…

 

「〈記録:我々にはやらなければいけないことがある。それは生命体としての限界を超える事、そして世界の理を改変する事。それらを我々が達成する事で世界、いや、それ以上のなにかに接続できるのだ。〉」

 

「…は?」

シュバルツは間の抜けた声を出した。そりゃ当たり前だな。いきなりなんの話題か分からない文出されたらそうなるよな。

 

「とにかくこれは…誰かの記録って訳か。って事は、この世界に誰かいるって言う裏付けになるわけだ。」

まぁこの世界に来てから、焦げて壊れた家を見てから何となく感じてたから驚きはないけど…やっぱいるのか…。

 

『「いる」、と言うよりもこの遺跡の状態からして見たら「いた」、という方があっている気がしますが…』

確かにこの遺跡は結構年季が入ってる気がする。うん、モニターさんの言う通りだな。

 

「で、でも!あそこの炎ついてるぞ…!」

シュバルツは少し怖いのか分からないけど火のついた燭台を指さす。

 

…確かに燭台には火が着いている。って事は誰かいるんじゃ…?

 

『2人とも落ち着いてください。あれはこの世界で取れる、火のついたら永遠に燃え続ける水から火が出ているだけですよ。』

 

「そんな物があるのか…すごいな異世界って…」

 

『気になるのでしたらマネーシステムが売っているんではないでしょうか?』

 

「まぁ気になるけど今は遺跡探索だよ。ほらどんどん行くぞー。」

 

 

まだまだ探索は続く…

 

 



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《遺跡の守護者》

「うーん…沢山石版とかあるけどほとんどの内容が信仰のような話だな…。」

そう言って僕はまた一つ石版をモニターさんから受け取り、内容を解読する。

また同じような内容だな…。

 

『なにか新しい内容はありましたか?』

僕が少し難しい顔をしてたからか、モニターさんが聞いてくる。

 

「いや…毎回似たような文だなーって思ってさ。ところでシュバルツはなにしてんの?」

シュバルツも僕のように石版とにらめっこしている。

 

「ニュジオが出来んならオレだって解読出来るはず…ぐぬぬ…あー!わかんねぇ!」

そう言うとシュバルツは石版を素手で砕いてしまった。

 

「おいおい…貴重な古代の文献を壊すなよ…。まぁ僕が読み終えたやつだから良かったけど…」

モニターさんが作ってくれたオリジナルスキル[エディットコントロール]がないと、やっぱり容易に解読は出来ないようだな。モニターさん様々だね。

 

『ニュジオ様、この先広間があります。生命反応はありません。』

 

「広間か…よし、シュバルツ~、もう行くぞー。」

シュバルツは、おう、と返事をしてついてきた。何があるのかな…。

 

 

「ここが広間か…何も無い…って事は無くちゃんと宝箱がある…けど…」

部屋の中央に質素な箱があるけどどう見ても罠にしか見えないのだが。

 

「シュバルツ、あれ開けんなよ?」

 

「は?宝物の気配がプンプンするじゃねえか?開けるに決まってるだろ。」

 

「いや!あれ絶対、罠だから!」

 

なんて事を口論してたらモニターさんが話かけてきた。

 

『あの…なにか箱から出てきましたよ?』

 

「え?」

よく見ると箱の中から球体が浮かんできた。すると、いきなりその上から砂が落ちてくる。

 

「なんだあれ…ってシュバルツ!?」

不思議に思いながら見ていると、シュバルツがジゲンドライバー ニュクスを取り出している。…って事は?

 

「やっぱり罠かよぉ…」

そう言いながら僕もジゲンドライバーをインベントリから取り出す。

 

砂は球体の周りを大きく覆い尽くし、装飾された見た目に変わっていく。

 

『気をつけてください!あれはガーディアンの上位種のゴーレムです!』

なるほど…つまりあの球体はゴーレムのコアか。

 

「さしずめアイツは遺跡の守護者ってところだな…シュバルツ!配信の準備できてる?」

 

「もちろんだ!あの野郎、オレの期待を裏切りやがって…タダじゃ済まさねぇ!」

いや、勝手に宝物期待してたのそっちだし…とばっちり食らって怒られてるゴーレムが可哀想に思える…。

 

「って事で行くよ!!」

 

「「変身!!」」

 

久々に体が回転して変身が完了する。

 

「君はもうブラウザバック(逃れることは)出来ない!」

 

「貴様はここでシャットダウン(強制終了)させてもらう。悪く思うなよ?」

 

 

こうして遺跡の守護者との戦いは始まった。

 

 




シュバルツの決めゼリフ考えるのにすごい時間かかりました。一安心です。


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《炎操者の試練》

「とりあえず相手の分析からだね!シュバルツはこっちの防衛!モニターさんはアイツの説明よろしく!」

 

『わかりました。アレは[シェイド名:サンドゴーレム亜種]です。』

 

「あ、亜種…?」

 

『あのシェイドは炎を操る力があるみたいです。よって、普通のサンドゴーレムとは違うので亜種です。』

 

「いや…どちらかと言うと亜種よりも《炎操者(えんそうしゃ)》って言う二つ名の方がかっこよくないか!?どう思う、シュバルツ?」

 

「そんなことッ…そんなこと言ってないでッ…さっさと加勢しやがれェ!馬鹿ニュジオ!」

あ、やべ、シュバルツの事忘れてた。息絶え絶えじゃん。

 

「すまん!今行く!」

そう言って加勢しようとしたところ、ゴーレムの口から一瞬なにかのチャージ音が聞こえた。

 

(まずい!)

咄嗟に体をひねらせて回避したが、火球を口から発射していたみたいだ。

 

『今のが火の魔法です。普通のゴーレムは魔法は使えませんので亜種ならではですね。』

そう平静を保ちながらモニターさんが言う。もうちょい危機感持った話し方をして欲しいのだが。

 

「シュバルツ!体勢を整えるぞ!シェイクで挑もう!」

月ノ美兎ライブウォッチを使い月ノ美兎シェイクとなる。

シュバルツの方は兎田ぺこらシェイクになった。

 

「とにかく攻撃して相手に隙を作らせましょう!」

そう言ってツキノキネで攻撃すると相手の腹部が貫通した。

 

「よし!この調子で…」

そう言ったのもつかの間、熱砂に攻撃される。まずい!

 

「違うぺこ!アイツはオマエの攻撃に合わせて体の形を変えただけだぺこ!カンタンにアイツの隙は作れねぇぺこよ!」

シュバルツはそう言いながらキャロケットブーツの加速を利用して私を攻撃から救い、相手との距離を置いた。

 

「じゃあどうすれば!?」

シュバルツに抱きかかえられながらそう聞く。

 

「今考えてるぺこ!とりあえず、相手のコアに攻撃を当てるぺこ!補助は任せろぺこ!」

たしか相手のコアは胸部に位置してたはず。そこに攻撃すれば…

 

「じゃあ必殺技ですね!」

『《それゆけ!》ディメンションブレーイク!』

三日月の弓の矢として自身を放ち、相手の胸部をキックで貫通する。が、手応えは無かった。

即座に貫通した部分の熱砂で攻撃してくるのでまたシュバルツが私を回収しに来る。

 

「あのヤロウ、コアを腕に移動させてたぺこ!これじゃあどうにもできんぺこよ!」

むむぅ、そう言われるとかなりピンチみたいですね。

 

「モニターさんはなにか策が考えられますか?」

もう、モニターさんに頼るしかない!

 

『相手は砂と炎なので水分はどうでしょうか?』

 

「水分なんて、飲み水として持ってきた分くらいしかないですよ!シュバルツは?」

 

「水分…?あー…うん。あまり自分の戦闘スタイルじゃないから忘れてたぺこ…だけどコレの力なら…」

そう言ってシュバルツはあるものを取り出した。

 

 

雪花(ゆきはな)ラミィ!』

 

 

まさかシュバルツがもう1つライブウォッチを持ってたとは…。

 

 




《炎操者》サンドゴーレムこと、サンドゴーレム亜種のスキル構成!

[砂操作][剛腕][耐久][火魔法(下級)][変化][守り人の力]

このような感じです。火魔法は下級の魔法で中級、上級、最上級、みたいな感じで名前や強さが変わったりしますがどんな名前かはまだ秘密。

変化は体の形を変える事ができます。

守り人の力はゴーレム種の固有スキルで守備を中心にバフがかかります。


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《神秘の粉雪》

「そんなライブウォッチ持ってたなんて聞いてないですよ!」

そう言って私はシュバルツの肩を揺さぶる。

 

「いやー、戦闘スタイルがしゅばーらには合ってなかったから忘れてたと言うか…ぺこ。」

なんて話をしてたらサンドゴーレムが殴ってきたのでツキノキネで相殺する。

 

「とにかくちゃちゃっとシェイカータイム!それまで私が何とか抑えますから!」

そう言うとシュバルツはドライバーから兎田ぺこらライブウォッチを外しポーズをとり始める。

こっちとしては早くして欲しいけど配信のためならしょうがない!

 

『雪花ラミィ!』

《シェイカーターイム!!》

 

「どうも!仮面ライバーシュバルツです!こんらみ!」

シェイカータイムの回転がおさまって出てきたのは淡い水色のロングヘアーに花の飾りをつけ高貴な衣装を着たシュバルツであった。

 

「なるほど、細部のメカニカルな装飾がないとホントにラミィさんに見えますね…」

ちらちらとシュバルツを見ているとサンドゴーレムの口からチャージ音が鳴る。

 

「危ない![法器:小衛星DAIFUKU]召喚!」

シュバルツがそう言い放つとこちらに撃たれた火球を不思議な雪玉が消し去った。

シュバルツの近くに浮いていたのは雪花ラミィのお供であるだいふくをモチーフにしたような物体だった。これが召喚できるアイテムなのか…。

 

「ニュジオはまだ下がってて!シュバルツがどうにかするからね!」

また一人称とか変わってるなぁ…まぁとにかく任せましょう!

 

「いくよ!吹き溢れて!粉雪!」

小衛星DAIFUKUから大量の雪が放出されるとそれに抗うかのようにサンドゴーレムは炎を振り回しているが量が量なのでどんどん火の息は消されていった。

 

「相手が湿ってる今こそチャンス!ちょっとニュジオ、コアに向かって攻撃してみて!」

なにか策があるようだがとりあえずサンドゴーレムの胸部に向けてツキノキネを振り落とすとドサッと湿った砂が落ちるがコアはない。

 

「ゆっくりだけどコアが移動してる!…そこ![氷魔法:アイシクルランス]!」

今度は臨時で追加されたであろう氷魔法をコアが移動して膨らんでいる部分である脚部に放つ。

 

「ニュジオ!完全にはコアを壊せなかったみたい!あと一撃お願いね!」

なるほど、つまり今撃ち込んだ氷柱は《釘》の役割という事みたいですね。つまり…

 

「次こそ!」

そう言ってコアに刺さった氷柱に渾身の一撃を振り落とす。

サンドゴーレムは少し呻き声をあげたかと思うとボロボロと崩れ去っていくのを見ながら決めポーズをとり、一言。

 

「起立、気を付け、着席。以上Newジオウがお送りしました~」

「それではおつらみ~!」

 

こうしてサンドゴーレム亜種との戦いは終わったのであった。

 

 




シェイクによる一人称とか性格とか変わるのって難しいけど工夫の1つとして頑張ってます!
ちょっとだけ(?)ホンモノとは違う口調かもしれないですけどそれはご愛嬌で(それかコメントでご指摘)お願いします!


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《対抗の熱き力》

「ふぅ…何とか倒せましたね…っと」

そう言いながら私、いや変身解除したから『僕』、だね。慣れって怖い…

変身解除した僕はとても気になってた事をシュバルツに聞く。

 

「そのライブウォッチいつから持ってたのさ?」

当然、雪花ラミィライブウォッチの事だが、出会ってから数日経つが使っているところを見たことがなかった。それ故に気になる。

 

「あー…、この間オレが1人で冬将軍と戦ったって話は覚えてるよな?」

たしか2人で冬将軍と戦う前に遭遇して戦ったと聞いていたのを思い出す。

 

「普通1人じゃアイツに歯が立たないのはわかるだろ?なんであの時生き残ったかと言うと、アイツの懐に一撃入れたらこのウォッチがそこから落っこちてきたんだ。」

なるほど、その戦いで手に入れたという訳か。

 

「ウォッチを落としたらアイツ逃げてったんだよなー。そんで命からがら助かったってワケ。」

シュバルツが生き残れた理由もわかったがまだ知りたい事はある。

 

「なんで今までそのウォッチの力を使ってこなかったのさ?狩りにも使えたんじゃないの?」

僕は月ノ美兎と甲斐田晴のウォッチを最大活用してるからこその疑問をぶつけた。

 

「いや…オレって、殴る蹴るとか近接攻撃が好きでな…。遠距離攻撃だったこのウォッチは性にあわんかった。と、言う理由で使う事がなかったから忘れていた。」

コイツはウォッチの多様性を知らないのか…?

 

「あのさ…氷とかの力が使えるなら色んなこと出来るんじゃじゃないの?例えば…かくかくしかじか」

 

「…そ、そんな事ができたとは考えた事なかった…!」

やっぱりアホの子だわこの人。

 

「って気づいたら腹減ったし眠い!」

 

「そこの燭台の火を貰って肉焼いて食べなよ。こっちもすることあるからさ。…あとこんな砂まみれのとこで寝ないでよ?」

あーい、と気の抜けた返事を聞き流しながら目的の物へ近づく。

 

「モニターさん、このゴーレムのコアってどれくらいの価値かなぁ?」

床に砂と共に落ちていた割れたゴーレムのコアを近くに浮いていたモニターさんに差し出す。

 

『…大きさは普通より少し大きいですが純度は中の下ですね。火の魔力の力がほんのり感じられます。まぁ新しいゴーレムのコアを作ることがあったら素材として使いましょう。』

なるほど、さすがモニターさん。1発で分かるとはすごい。

 

「ほいひゅひお、へあへのふふあほほば?(おいニュジオ、目当てのブツはどこだ?)」

 

「食べてから言いなさいよ、待ってるからさ…」

 

~数分後~

 

「ふぅ、食った食った…で?お目当てのお宝はどこだよ?」

これでもかという量の肉をたった数分で食べ終えたシュバルツが聞いてくる。確かに見当たらないな…

 

『多分あの壁の向こう側だと思います。壁は隠し扉になってますね。』

 

「じゃあ早速、見に行くか…」

そう言いながら壁を押すと回転扉のように開く。その先にあったのは、2つのライブウォッチだった。

 

「2つか…じゃあ僕はこっちかな?」

 

『ドーラ!』

これはドーラライブウォッチか…

 

「オレはこっちって決めてたからこっち!」

 

不知火(しらぬい)フレア!』

シュバルツは不知火フレアライブウォッチをとったようだね。

 

「よーし!帰って冬将軍との戦いに向けて作戦会議だ!」

ガッツポーズをしていたらシュバルツが一言聞いてきた。

 

「ニュジオ、ここになんか書いてないか?」

シュバルツが指差すところにはなにか文字が彫られている。

 

「えーと…[日本語字幕]…」

 

 

〈汝の戦いに幸あれ。〉

 

 

 

遺跡から外に出る時、色々な事を思い出した。

 

〔あとアイツ人工物を極端に嫌うんだよ。〕

人工物を嫌う…

 

〔暑いな…〕

雪原なのに雪の降らない暑い地域…

 

〔ウォッチがそこから落ちてきたんだ。〕

何故か冬将軍が持っていたウォッチ…

 

〔壁は隠し扉になってますね。〕

レーダー機能がないと分からない程の隠し部屋…

 

そして炎の力を持つウォッチ…

 

入り口を抜けて帰る時、ふと、まだ見てなかった石碑の文を見てみる。

 

〈レデク研究所〉

 

ここは研究所だったのか…

 

そして下手な彫られ方をした小さな文を見つける。

 

〈やっと 気づいた?〉

 

 

 

「おーい!ニュジオ!さっさと帰ってゆっくりするぞー!」

 

「…うん、わかったー」

僕はシュバルツに追いつくように走る。

 

決して後ろを振り向かぬように。微かな笑い声が聞こえなくなるように。

 

僕は背中に多くの視線を感じながらただただ前を向いて帰路を走る。

 

 



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《大戦の前夜》

「やっと一息、ってところだな…ハァ。」

研究所からのほぼ1日かけて今の拠点である新しく見つけた洞穴に到着した僕らは疲れていた。いや、どちらかと言うと僕の方はものすごく疲れていた。

 

「うぅ…(なんだったんだあの研究所…霊か!?幽霊なのか!?)」

もう肩とか重いしなぁ…取り憑かれてないよね、僕?

 

「いやぁー、オレぁ膝ガクガクだぁ~。あ"ー、なんか食べてぇしそれにねみぃ…」

シュバルツは破人としてのリスクが響いてるようだ。ウトウトして目を閉じるかと思いきや腹が鳴ってその音で起きる、と言う謎の現象を起こしている。動物かなんかかコイツは?

 

「とりあえず僕が肉焼いとくからゆっくりしててよ。」

 

「マジか…恩に着る…」

 

「でもいつもより草のサラダ多めね。」

 

「えー…でも今はどうでもいいかも…ふぁぁあ。」

ほう、それくらい疲れてるのか。暖かくして眠れるようにポカポカ草を多めに入れるか。…辛いかもしれないけど。

 

とりあえず焼きながら明日からの予定を考えるか…。明日あの冬将軍をおびき寄せる為の建築物を作るか…。できるだけ目立つようにっていう事と、早めに相手の到着を知れるように高見やぐらを今回の建築物として考えておこう。

 

「…おっと、考え事してたらもう肉が焼けてた。…あとはポカポカ草とかの草をこの石のナイフで千切り…というかこの切れ味なら千切りと言うよりただのちぎりだな。いつか金属製のナイフ、欲しいなぁ…」

 

そんなこと考えつつジャコジャコとナイフを動かしながら

シュバルツへの夜食を作っていった。

 

 

「シュバルツ、肉焼けたぞ。皿(石)に置いとくからなー。」

 

(ぐ~~)

腹の音で返事しやがったぞ…ってあれ?

コイツ…寝ながら食事してる…お前は少年マンガの登場人物かなんかなのか…?…それにホントに女性なのか疑いかかってきたぞ…。

 

「…とりあえず僕も寝るか。シュバルツ、おやすみ。」

 

 

 

…ここは、どこだろう…あれ?まだ僕歩いてたっけ?

見渡す限りここは…森?

 

辺り一面綺麗な緑が広がっていた。少し遠くにまだ幼い少女がいる。

 

ねぇ、君ここどこ…っていきなり走り出すなよ…

おーい…待ってったら!

 

少女を追いかけていくと村に着いた。村の人達は賑やかに話あっている。

 

すいません…ちょっと聞きたいことが………って無視された…

 

村の人達にはどんなに話かけても僕がいないかのように無視される。残念に思いながら向こうを見ると少女が手を振っている。あの子について行くしかないみたい。

 

ちょっと待ってよ…早いって……この装飾どっかで見たことあるような……?

 

少し涼しくなってきた。どうやら大きな洞穴の入り口みたいだ。汗を拭っているつるはしを持った人や、難しい顔をしてる人がここには多い。

 

えぇ…ここ入っていいの…?危ないから待ってってば!

 

少女はどんどん先へ進む。それに自分はついて行く。そうこうしてると洞穴の最深部に着く。つるはしを持った作業員たちが一心不乱に岩を削っている。少女はこれを自分に見せたかったらしい。少女の顔を見るが何故かよく見えない。

 

…一体何なの…?ん!?

 

突如上がった作業員の声に気づいて前を見ると岩の中からなにかが見える。

 

それはどんどん発光していき、僕はその中に引きずり込まれた。

 

 



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《再戦 》

体調落ち着いたのでやっとこさ投稿。


『…さま…ジオ様…ニュジオ様。起きてください。朝ですよ。』

頭に何度もぽすぽすと手刀が入る。

微かに瞳を開けるとモニターさんが目の前にいた。

 

「あ、ああ、もう朝か…」

そう言いながら少しこわばった体を起こす。

 

『少しうなされていましたが、なにか悪い夢でもありましたか?』

モニターさんはこちらを心配そうに声をかけてきた。

 

「夢…夢ねぇ…確かに変な夢は見たかも。」

夢のくせにくっきりと覚えてる。あんなにリアルな夢は久しぶり見た気がする。

 

「って、今日はそんな事考えてる時間は無いな…。シュバルツはもう少ししたら起こしてやってほしい。僕はやぐら作ってくるからさ。」

わかりました、とモニターさんに了承を貰ったので早速作ろう。

どんな装飾をつけようか…って壊される物に装飾は必要ないか…

「…あ、そういえばもう1つ頼みたいんだけど…」

 

 

 

少しして、起床と朝食が終わったシュバルツと共にやぐらを作っている時、遠くの地域に異変を感じた。

 

よくよく見ると魔法陣から大量の雪が出てきて、それはどんどんと見覚えのある形に成形されていく。

 

「ニュジオ!あれって…」

 

「わかってる。冬将軍だね。もうおいでなすったか…」

遠くに見える巨大な人影はゆっくりと、このやぐらに近づいて来ている。さてと、迎撃準備の始まりだ。

 

 

 

鼻先がツンとするような寒さの風の中、標的の足音はどんどんと大きくなって来ている。

視線の先には雪で作られた巨大な武者がいる。数日ぶりの再会だ。

 

「それじゃ…[配信開始]。」

開始すると同時に待っていたかのようにコメント欄にコメントが現れる。

 

「さてと、じゃあ行くよ。シュバルツ。」

 

「今度こそ逃がさねぇ!」

 

冬将軍はこちらの準備が終わるまで待っているようだ。あくまでも武人なんだな。

それじゃ…

 

「「変身!!」」『『ライバーターイム!!』』

 

『カメーンライバー!ニュ~ジオーウ!!SAY!YA-!』

『カメンライバァー!シュ バ ル ツゥ!…大黒天!』

 

「君はもうブラウザバック(逃れることは)出来ない!!」

「貴様はここでシャットダウン(強制終了)させてもらう!悪く思うなよ?」

 

変身が終わると冬将軍は大斧を取り出し、大きな咆哮を一つあげて、前回同様子分兵を大量に出してくる。

 

「さてと、こちらも新兵器使いますか!」

「そうだな!容赦しないぜ!!」

 

『ドーラ!!』『不知火フレア!!』

『『シェイカーターイム!!』』

 

「おはドーラ!Newジオウじゃぞ!」

 

「こんぬいー!シュバルツだよ!」

 

と言う訳で戦いの始まりじゃ!!

 



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《雪原大戦争 (3)》

 

―――――――――ニュジオside――――――――

 

「おー!これがドーラライブウォッチの力か!体の全身に強大な力が湧いてくる!わしの炎が迸る!これなら…負ける気がしないのじゃ!」

そう言い、手を握りしめると手が炎に包まれる。

 

「うわっ!熱…くない?」

 

『(臨時スキルで[炎熱無効]を入手しているので大丈夫です。)』

なるほど、ありがとうモニター殿。…某海賊漫画の主人公の兄達が炎の能力を手に入れた時ってこんなリアクションになったんだろうかの?多分そうじゃと思う。

 

「その氷の甲冑、すぐに溶かしてやるぞ![武具:ドレイクナギナタ]召喚!」

そう叫ぶと空から目の前に向けて薙刀が落ちてくる。それを掴み相手に斬撃を放つ。

 

バシュウ!と音を出して冬将軍の甲冑に斬撃が入る。よく見てみるとちゃんと溶けていた。

 

「この間が嘘みたいに切れるな…冬将軍、覚悟を決めよ!」

 

そこからは炎の薙刀と氷の大斧との攻撃の攻防戦が始まる。しかし、相手の使っている武器は大斧。渾身の一撃でこちらが打ち負けてしまった。

 

「だが武器が一つだと思うなよ![火 竜 吐 息(ファイアードレイクブレス)]!」

燃え盛る炎の息を吹き、冬将軍の兜を全て溶かす。冬将軍は表情こそ変わらないがまるで焦っているようにその頬に溶けた水が滴った。

 

――――――――シュバルツside――――――――

 

「前回のようには行かないぞ!子分兵共!!」

今回こそ炎の力が宿るこの力でアイツらをボコボコにしてやるぞ!

 

「[武器:細剣 琴椿(きんつば)]召喚!」

そう言って召喚したのは可愛い謎の生物の装飾がされたレイピアだった。

 

「今の体の素早さなら一気にいけるかも…喰らえ![乱 撃 炎 突(ミリオンフレイム)]!」

素早く的確に放つ炎を纏った刺突は多くの子分兵達を一瞬で行動不能にさせた。

 

「この力なら乗り越えられそうだね!あっ!そっちに行くなってー![スキル:ウォークライ]!」

咆哮を放つとどんどん周りに子分兵が集まってくる。

 

「囲まれた!なら…[猛 火 連 舞(バーニングダンス)!]」

踊るように回りながら周りを切っていく。この技で全ての子分兵を倒し終え、Newジオウと冬将軍の方を見ると冬将軍の氷の甲冑はほとんど溶けきっていた。

 

 

 

 

「ニュジオ!こっちは終わったよ!後は…」

シュバルツは甲冑が無くなった冬将軍を見る。

 

「ここからは前回の続き、と言う訳じゃ。無論逃げない、いや、逃げれないのだろう?子分兵が生き残ってないと、お主は雪に紛れて移動はできんはずじゃ!」

 

確証はある。前回は冬将軍が逃げる前に子分兵達が雪となり、それに紛れるようにして冬将軍は逃げ出していった。

つまり子分兵は冬将軍にとっての乗り物(・・・)と言う役割をしているということだった。

 

「お主だけで逃げる事はできるだろうが、その体の遅さでは上手くは逃げれぬじゃろ?

さぁ!お主の本気、見せてくれ!」

 

倒してやる。今度こそ、絶対に。

 

 




戦闘シーンはやっぱり仮面ライダーの曲を聴きながら書くと結構モチベが上がりますね。前回の戦いで冬将軍のスキルを書き忘れてたので子分兵のスキルも載せときます。

冬将軍
[剛腕] [耐久] [氷纏] [配下召喚] [武器:氷斬丸] [斧の勘] [雪伝い] [裸一貫] [雪操作]

冬武者
[機敏] [統一] [雪隠れ] [雪化]


冬将軍の[スキル:裸一貫]こそ鎧のない冬将軍をかなり強化する原因です。次回はそんな冬将軍と戦います。



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《雪原大戦争 (4)》

冬将軍の甲冑を壊し、子分兵を全滅させた。ここまでは予想内だ。ここからコイツはどんな行動を取るのか分からない。

 

「まずは先手必勝じゃ!火竜の力を受けてみよ!」

正面からドレイクナギナタを振り、冬将軍の顔を目掛けて大きく振りかぶる。が、炎を纏った薙刀は冬将軍の両手で力強く止められてしまった。

 

「なっ!白刃取りか!?」

相手の手は雪で出来ている。薙刀から出る炎で雪が気化して水蒸気が出ているが、それでも尚、ものすごい力で薙刀を止められている。そんな中、突如腹部に衝撃が走る。呻き声を上げながら後ろに飛ぶ。

 

「おわっ!大丈夫?ニュジオ!?」

咄嗟に行動を取ったシュバルツに受け止められた。

 

「な、何とかじゃ…ゲホっ。少し相手の隙を作るからその間に攻撃を加えてやってくれ…喰らえ![火 竜 吐 息(ファイアードレイクブレス)]!!」

口から炎を出して冬将軍を牽制する。

 

「わかった!纏え、火竜の炎!でやあっ!」

シュバルツはブレスを突破して相手に飛びかかる。

 

「[火 竜 閃 連 突(ドレイクブレスラッシュ)]!!」

自分の炎にファイアードレイクの炎を纏わせてシュバルツは連撃を放つ。この連撃で相手は大ダメージを受ける。

 

当たれば、の話だが。

 

「コイツ…変幻自在かよ!?」

冬将軍の体は刺突の一撃一撃を見極め形を変える。

そして今度はシュバルツの体を掴みこちらに投げてきた。

 

「ぬっ、危ない!」

空中でシュバルツを受け止める。一撃も冬将軍に届かない。この現実は2人の心に大きなダメージを与えた。

 

次の瞬間シュバルツに向けて冬将軍の拳が迫る。

「うっ!」

「喰らわせるかぁっ!!」

その一撃を張り手で抑える。

 

「シュバルツ!ここで折れちゃだめじゃ!立って次の手を考えないと!」

 

「…勝てなくてもか?」

 

「そんなの…お前さんらしくないっ!シュバルツはどんな時でもわしの前を行くやつじゃないのか!」

シュバルツはそれを聞いて戦慄する。

 

「わしだって怖い。もう心が折れる寸前だ。だけど絶対にわしらが折れちゃいけない理由がある!それは―」

右手で抑えていた冬将軍の腕を左手で勢いよく折る。

 

 

わしは、いや僕は、どんな時でも笑顔で事に挑み達成しなくちゃいけない。沢山の人の希望を(いだ)き、その希望を力に変えてまだ見ぬ難題へと挑む。

 

例え、どんな事を言われても。沢山失敗しても。激萎えしたとしても。

最後にはみんなと大きく祝杯をあげて大笑い。いつでも色んな色の煌めきを放つ存在。

 

 

そう、だって―

「僕らはVTuber(ライバー)だから!」

 



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《雪原大戦争 (5) ―Burning We Soul―》

遡ること数分前。

『おいおい、あれ勝てんのかよ!?』

『シュバ様でも無理ゲーか』

『大丈夫かなぁ』

 

コメント欄は悲観的なコメントで賑わっていた。

―だが、Newジオウのある一言でコメント欄は異常な程の盛り上がりを見せた。

 

『そうだ!それでこそライバーだよな!』

『お前らならゼッタイ勝てる!』

『最後まで見守ってるぞ!』

『俺達も負けてられねぇな!』

『今度はこっちが支える番だ!』

 

熱狂的な燃え上がりを見せる視聴者の心からの祈りや決意の煌めく炎が今、システムに大きな力を与える。それはシステムを駆け巡り、一つの形に変化する。

 

『『『頑張れ!ライバー!!』』』

 

〈ビッ、ビビッ、[ライバー名:Newジオウ]から《王の素質》を感知。それに伴い[擬似シェイド名:レギオン]から多くの信仰に似た波動を感知。〉

 

「なんだ…?僕の体から炎が…?」

気付くと僕は通常のフォームに戻っていて、僕の周りには煌めく炎が燃え盛っていた。

 

シュバルツを見ると、寝ており、煌めく炎の治癒の力で受けた怪我がどんどんと癒えていっている。

さらに冬将軍の場合はその炎に絡みつかれて動けなくなっていた。

 

そして―

〈秘閣されていた[クラウンシステム]のロックを解除します。〉

〈[クラウンシステム]を[家臣:補助システム]と混合化させます。〉

〈クラウンシステム解放を祝し、ギフトとして[宝具:聖王銃剣 キラメキレード]をスキルに追加します。〉

 

〈これからのご利用をよろしくお願い致します。〉

 

「…なんでだろう…なんだか…いけそうな気がする!」

これまでにもない自信が溢れてくる。

 

「[宝具:聖王銃剣 キラメキレード]召喚!」

そう言ってスキルを発動させると煌めく炎が右手に集まり、1本の剣の形になる。

 

「よし!じゃあいくy『祝いなさい!!』んえ!?」

突然モニターさんが大きく声をあげる。…あれ?少し装飾が変わってモニター部分に顔文字が映ってる…?

 

『全ライバーの意志を受け継ぎ、次元を超え、ライバーの煌めきをしろしめす聖なる王者。その名も仮面ライバーNewジオウ。まさに生誕の瞬間である!』

なんかすごい聞いたことのある構文なんだけど…

 

「(…で?もう戦っていいの?)」

『(あ、はい。…すいません、何故かこう、言わなくてはいけないようになってしまいまして…)』

 

クラウンシステムと混合化されたせいなのかな…?

 

「まあそれはいいとして…冬将軍、勝負ッ!!」

 

「ハッ!セイッ!」

前よりも冬将軍の体にダメージが入っている気がする。

「こういうのもそろそろ使えるかな!」

そう言ってエディットコントロールの準備を行う。

 

「[エディットコントロール:1.5倍速]!!」

そう言い放つと体の動きが早くなる。

「ッ!でも体への負担があるな…無理やり加速してるような…」

そんなことを言いながら冬将軍を斬っていくと少し小さくなってきた冬将軍がいきなり距離をあけてきた。

 

「…雪を集めてる?」

冬将軍の頭上に雪玉が作り出され大きさはどんどん大きくなっていっている。

 

「あんなの当たったらひとたまりもない…

なら!こっちも遠距離だ!」

手に持っているキラメキレードを銃の形に変形させる。

『ジュウ!!』

そして投げられた大雪玉に銃撃を何発か当てて壊す。

 

「今度はこっちの番だ。」

キラメキレードを剣の形に変形させる。

『ケン!!』

そしてキラメキレードのくぼみにドーラライブウォッチをはめる。

『ディメンショナルコラプス!ドーラ!キラキラスラッシュ!』

「あばよ冬将軍!はあああッ!!」

 

キラメキレードの炎はドーラライブウォッチの力によって大きくなり冬将軍を飲み込んで冬将軍を溶かし尽くす。

 

 

斬った後に冬将軍のいた場所を見てみると、そこには綺麗な雪玉が一つ、地面に落ちていた。

 

 



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《終戦と将軍の記録》

すみません!お待たせしました!


「ん……?」

シュバルツはまだ眠たげな目を少し開けて呟いた。

そこにはこちらを心配そうに見てくる1人と1システムがいた。

 

「お、やっと起きたか…!心配したよ、まったく…。」

と安堵の表情を見せ、Newジオウが言う。

 

『どうやら聖なる炎の治癒効果はしっかり作用してるようですね。』

こちらは装飾が豊かになった補助システムが傷を調べている。

 

「おい、オレ達…勝ったのか?」

 

「勝った、大金星だよ!でもシュバルツが寝ちゃったから僕の勇姿が最後まで見られなかったみたいだね。」

 

「あの炎がなんか暖かくてな、久しぶりにゆっくり眠れた気がしたぜ。」

 

「いや、さすがに戦闘中眠られると困るんだが…。」

 

『ごもっともですよ』

 

戦が終わり、やっと気の抜けた会話ができるようになり自然と笑みがほころぶ。

 

 

「ところでシュバルツが寝てる間に、性能が向上したモニターさんにお願いしてたことが終わったんだよ。」

 

「…?」

 

『私から説明をさせていただくと、冬将軍との戦いの前に、ニュジオ様から、戦後に冬将軍の記録を解析して欲しいと言われていました。幸い冬将軍はコアの様な“コレ”を落としていたので、解析は簡単でした。』

と、補助システムは手に持っている綺麗な雪玉を見せる。

 

『前に言ったように本来、地域の情報から得られてた冬将軍のデータからは冬将軍はゴーレムですがゴーレムコアは無いと、されていましたが、代わりに落としたのがこの[将軍の残雪]です。』

と、さらに補助システムは解説する。そして、

 

『私の推測からしてこれは、聖なる炎の力によって救われた冬将軍の魂みたいなモノだと。』

 

「「救われた…?」」

Newジオウとシュバルツは同時に声を出す。

 

『ええ、まぁまずは私が見所を編集した冬将軍の記録をご覧下さい。』

 

補助システムの画面に映る冬将軍の記録。それはある種の日記のようなものだった。

雪と魔力から作り出され、殺戮を繰り返す日々。そして(意志)に芽生えた罪悪感との戦い。同じ作り出された(意志)の無い兵器(人工物)達へのやるせない気持ち。

謀反を起こすために1人の男から貰った《狂戦士化》という呪い。謀反を起こすがサンドゴーレム亜種の力によって敢え無く研究所から逃げる事となった事。

そして、暴走に飲み込まれ、長い年月、さまよい続けた事。

 

『―冬将軍の最後の意志、それは自分に出来る事である、造り手(人間)を殺し造られた兵器達(人工物)の手が汚れる前に壊す事。…それをずっと歪んだ形で覚えてた存在がつい先日までの冬将軍です。』

 

「…なんだよ、あんな凶暴な野郎なのにそんな事考えてたのか…。」

 

「まさに“やるせない”って言う感じだね…。」

そしてNewジオウはふと考える。

 

 

「いつか生まれ変わらせてやれるなら、次は〈壊す〉んじゃなくて何かを〈守る〉存在にさせてあげよう。

それが僕にできる唯一の弔いだよ。」

 

そう言って[将軍の残雪]を優しく撫でた。

 



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《帰ろう我が家へ!》

冬将軍との戦いが終わり数日間たった。当初の目的であったライブウォッチの回収は成功し、さらにクラウンシステム、という謎のシステムを解放出来た。もうここの地帯には用は無いだろう。

 

 

「…と、言う訳で僕達は家のある草原地帯に帰ろうと思うんだ。」

まだ探索していない所もあるかもしれないが目的は達成している。その為、もうここにいる必要は無い。

その旨を朝食を作りながらシュバルツに伝えた。

 

「…は?」

シュバルツは寝ぼけているからか話が理解できていないようだ。すごい困惑したような目でこちらを見てくる。

 

「僕はまだ色々と知りたい事や、やりたい事が沢山あってね…。約1ヶ月間くらいかな?ホントにシュバルツにはお世話になったなぁ…」

 

「…オマエこの洞穴だってかなり装飾もしたじゃねえか…ここがオマエの家じゃダメなのか?」

 

…そう言われると結構愛着はあるかもしれないけどねぇ…

 

「世話になったってのはコッチだ!ニュジオが家に帰りたいのはわかるけどよォ…!こっちだって言いたいことあるんだよ!」

 

…なんだ、寂しいのか。やっぱり最後は女性らしく寂しいって言ってくれるのかもしれない。

…しかし、僕がいなくちゃ寂しい…か、元の世界では言われた事無いな…。まさか…好きでしたとか!?

 

「オレ…」

 

うん!

 

「オレの…!」

 

うん!!

 

 

「オレの面倒は誰が見てくれんだよぉぉぉ!」

 

う…うん?

 

「え?なに?寂しい…とかじゃなくて?」

 

「いや…それもちょっとはあるけどよぉ!」

 

ちょっとなのかい!

 

「…毎朝起こしてくれて、毎回メシ作ってくれて、しかもうめぇしよぉ!その他にもかくかくしかじか…」

 

 

「…つまり、世話係がいなくなるのがイヤ、と?」

 

「おう。」

 

……期待してた僕が馬鹿でした。やっぱシュバルツはシュバルツだわ。

 

「よし!こんなやつはほっといて家に帰るか!モニターさん!」

 

『同意。』

 

「いや待ってくれよぉ!」

突如後ろから抱きつかれる。これは予測してなくて体が硬直した。

 

「オレ…言葉にするのよくわかんねぇからなんて言えばいいのかわかんねぇから何となく言ったけどよぉ…

オマエがどっか遠くに行っちまうってだけでモゴモゴするし、オマエの事考えると胸が締め付けられるし…!

この服は気温とか感じないけど…オマエといるとポカポカする!じゃあオマエがいねぇと…冷えるだろぉが!」

 

…シュバルツはそういうのってなんて言う感情なのかわかんないのか…?

 

「…なんなら僕達の家に来る?」

 

「…え?…いいのか!?」

 

「あー、幸い寝室が一部屋空いててね…まあそれでいいんだったら…だけど?」

 

「もちろん!少しは働くから!連れてけください!」

 

「よーし!それなら善は急げだ!えーっと防寒具の準備っ…!…しかし、シュバルツが繕ってくれた防寒具は最後までお世話になるなぁ…(しみじみ)」

 

 

 

(ニュジオ!オマエはカミサマが作ってきてくれた、最高の防寒具だ!ずっとお世話になるぞ!)

 




今回でこの章は終わりです!ニュジオ達の関係はどうなっていくことやら…次回からの応援もよろしくお願い致します!


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聖王の初心編
《王への道》


…かくしてやっと草原の拠点に帰ってこれたんだ。まぁここから拠点周りを拡張や整備をしたりして今に至るんだが…まさか国と呼べるほど大きくなるとはね…。今更ながら驚きだよ。

 

…ところでこの俺の記憶の内容、ちゃんと映画にできそうなのか?…国を造って繁栄してきたから、記念に映画にしてみようって君が言ったのだけど…ちゃんと上手くいくのか?

 

まぁ君が出来るというのなら信じるが…よし、これが次の記憶だ。

 

…ん?いつもの様になにか用事があるんじゃないかって?

あぁ、今日の机仕事は休みなんだ。たまにはゆっくり休んでくるかな…

 

―――――――――――――――――――――――

 

「ついに…ついに戻ってきたー!」

実に約1ヶ月の遠出からなんとか家に帰ってきた。特にシェイドからの攻撃も無く、家にはダメージは無い。強いて言うならばちょっと家周りの草が伸びていて目立つかもしれない。でもそれは後で刈ればいい。とにかく帰ってきた!

 

「なかなかちゃんとした家だな。…なぁなぁ、オレの部屋見に行ってもいいか?」

シュバルツは家にたどり着くまで《自分の部屋》というワードを度々口にしてそわそわしている。

まぁ、僕と一緒にいた時はプライベート空間がなかったから嬉しいのかも。

見てきて良いよ、と声をかけシュバルツが自分の部屋を探しに行ったところで家の近くに腰掛けてモニターさんを呼ぶ。

 

「モニターさん、クラウンシステムについてそろそろ学ぼうと思うんだけど…いいかな?」

 

『はい、私に混合されたクラウンシステムにはランクがあり、王らしい事をしていけばランクが上がり、それに伴いニュジオ様の力も上昇します。』

 

「…それだけ?」

 

『今、私にも分かることはそれだけになりますね。』

そう言ってモニターさんは映っている顔文字を困っている様に変えた。

 

「王様らしい事…例えば国作りとか?」

そんな素朴な疑問をモニターさんに言ってみる。

 

『いや、どんな王でも国をいきなり作ることは無理でしょうから…まずは村作りから始めて見るのはどうでしょうか?』

確かにごもっともな答えが帰ってきた。

どうでもいいかもしれないがこの世界に来る前に海外の国作りゲームにハマったことがある。少しでもその知識が役に立つといいんだけど…。

 

「んー、そうだね。まずはなにか安定させないと…。その為にはなにが必要だろ…木材?石材?食料?」

少し色々と考えてみるが、いざとなると困るな…

 

『…まず確実で1番初めに必要なのは《技術》だと思いますよ。』

 

「技術…そうかぁ…それなら呼ぶしかないか…」

 

 

うるさいのを承知で呼ぶしかないか。

 

あの《マネーシステム》を。

 

 



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《五月蝿いの、再来。》

色々と技術面を向上させたいのでマネーシステムを呼んでみる事にしてみた。

 

「モニターさん、そういう訳でマネーシステム呼んでくれないかな。…そういやアイツもモニターさんの成長を見てびっくりするんじゃない?」

この前はモニターさんのシステムとしての格について辛口な一言を浴びせて去って行ったからなぁ。

 

『またあのような事を言われなければ良いのですが…。ではお呼び致します。』

 

「オッケー!じゃあ少し待t『FOO~WA-HHAHHAHHA(フゥ~ワーッハッハッハ)Hello everybody(ハロー エブリバディ)!?』いや、はええよ!」

圧倒的な登場に驚きつつ、いつものようにツッコミを入れる。

 

『ya〜!もう呼ばれないかと思ってたよ~!久しぶり!!』

そう言いつつ豪華な装飾が施されたモニター画面をずいっと近づけてくる。

 

「おぉ…近い近い…久しぶりだね、おっさん。」

やんわりとその場を回避し挨拶する。2ヶ月ぶりだろうか。

 

『オッサンってそりゃあないよ!まだボクおじさんだって!』

 

「あー、ハイハイ、じゃあ略してマネおじね。これからもよろしく、マネおじ。」

 

『エェ…。まぁニュジオ君からのあだ名なら有難く受け取るよ…』

よし、会話のマウントとった。いつまでも相手のテンションに振り回されるのは嫌だからね。

 

『…ah、そういえば聞いたよ?ニュジオ君、クラウンシステムを解放させたみたいだね。

イヤー、あの時はシステム一同驚いたよ!まさかまさかの我らが製作者サマがシステムを隠していただなんて!

その恩恵で補助システムも色々変質したみたいだネ。《表情》を表せられるようになるなんて!羨ましいねぇ!』

 

システム一同驚いたって…やっぱり意思のあるシステム達は時々集会でもしてるのかな?

 

『オット!話がそれたネ!で、ボクの予想なんだけど、今回の買い物…ズバリ、クラウンシステムが関係してるんじゃな〜い?』

 

さすがマネおじ。すぐわかったか…。まぁそっちの方が話が早い。

「うん。当たりだよ。まぁ外で話すのもなんだし、うちにあがってよ。」

そう言って家に誘う。

 

『WOW!よく見たらこれ、ニュジオ君があの後作ったログハウスかい!?へぇ~…これがログハウスかぁ。』

 

「え?見たことないの?」

 

『HAHA!当然システムは外の世界にはなかなか行く機会なんてないからね!まぁ生で見るのが初めてってだけさ!』

 

家に入るとそこにはシュバルツが床に横たわっていた。

嗚呼、そういや、コイツがいたか…

 

シュバルツはマネーシステムを見て一言。

 

「誰だお前」

 

 

果たして商談が上手く進むだろうかと心からそう思ったニュジオであった。

 

 




書いてて気づいたんだけどマネーシステムってバイスに性格似てるような…。
日付けからして、もう少し早く書いていたらバイスの二番煎じにならなくて済んだんじゃないか…?


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《同居人は小金持ち》

遅くなりました!!


『おや?お初にお目にかかるね、ボクの名前は人呼んでマネーシステムだよ!…名前を聞いてもいいかな、マドモアゼル?』

 

「まど、も…?なんだかわかんねぇけどオレの名前はシュバルツだ。システムってのはそこの黄緑のへんなの『補助システムです。』しか見たことなかったが黄緑のへんなの『いい加減覚えてください…』とは違うんだろ?」

 

シュバルツが〈マドモアゼル〉の意味を理解出来なかったのはいいけど…まだ、シュバルツはモニターさんの名前を覚えてなかったのか…。

 

『うん、そうだねェ。ボクはカンタンに言えばみんなの経済と商売支えるシステム界の商人だよ!』

 

「そうかそうか…それはすごいな…。(なぁ、ニュジオ、けーざいってなんだ?)」

 

いや、知らんのかい。要するにお金に関することだぞ。

…まぁそれはいいとして。

 

「まぁということで、シュバルツとの自己紹介も済んだ事だし商談を―」

 

『いや!待って待ってニュジオ君!ボクね!思ってたんだけど、このコからすごい魅惑的な匂いを感じるんだよ!!』

 

は?シュバルツから?

 

「え?おいニュジオ…まさか…オレって臭いか?」

 

「そんなに臭わないけど…?(おい!おっさんコラ!セクハラか!?)」

 

『いやいや!そうじゃなくて!キミからすごくお金の匂いがするんだよ!キミ、相当な額を隠し持ってるんじゃないの!?』

 

なんだ、そっち(お金)か…。

 

「はぁ?…まぁ金なんて、そんなもん使ってこなかったからな…えーとインベントリ、インベントリ…っと…」

 

気になったのでこちら3人も覗いてみる。

 

「んー、今んとこ、こんくらいだな。」

 

えーと、いち、じゅう、ひゃく、せん…

 

『『「六百七十万円!?」』』

 

「え、それって僕の3~4倍持ってない!?どこでそんなお金手に入れたんだよ!?」

 

「いや、決まってると思うがもちろん狩りと配信だぞ?

…ってもニュジオとオレとではやってる期間がこっちの方が長いからな。多分それだ、それ。」

 

いや、それだけじゃない。

圧倒的な格闘センスと狩りの効率、それを持ってるからこその、配信の人気とシェイドから手に入る微々たるお金が、僕の何倍も積み上がって出来た金額なんだろう。

 

…まさかこの間、ヒモでいたい宣言、略して「ヒモ宣」したシュバルツがまさか家主の僕よりも稼いでいたとは……

 

『…ミスターニュジオ?ダイジョブ?』

『これは…落ちこんでますね…理由は何となく分かりますが…』

 

『…ま、まぁそんなことはいいとして!ニュジオ君!せっかくなら2人で協力してウチで物買っていきなよ!まだ話の本題には入ってないよ!』

 

確かに…なら、とことん色々やってみよう!

 

 




皆さん、仮面ライダーリバイス ビヨンドジェネレーションズはもう見ましたか?やっぱり仮面ライダーは人生の教科書ですよね!面白かったです!


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《豪快!ショッピング!》

新年明けましておめでとうございます!
今年もNewジオウじゃ~ないとー!!


「…それじゃあ一通りシュバルツにもマネおじの出来ること教えたからそろそろ買い物に移るかぁ。」

先程マネーシステムがシュバルツに出来る機能を教えようとしてたけど、たぶん長くなるから、こっちから簡単に機能を教えといた。これでスムーズに買い物が出来るはず。

 

「色々とデータが欲しいんだよね…。まずは自給自足の生活がしたいから、農業についてのデータが欲しいところだな…。」

 

「ほぉ、農業か。確かに米食いてーな…」

いやいや、最初の作物が米ってレベル高すぎない?

 

『OK、農業なら家庭菜園くらいからプロの業まで色々あるよ!自給自足したいならコレとかいい感じのデータパックだと思うよ!』

ふむふむ、土作り、水やり…やっぱ色々入ってるな。

 

「小麦作ってパンとかもアリだな。」

シュバルツよ、一旦穀物から離れようか。

 

「ん?[井戸の作り方]かぁ。確かに近くの池から毎回汲むわけにはいかないしな…。[簡単コンポスター]、[益虫の見分け方]、[葉の病気]…。農業って大変だな、いっその事プロレベルまで買っちゃうかぁ!」

 

『お!気前がいいねぇ!さすがニュジオ君!なら、プロには良い作物!ってことでディメンショッピングから高級な種買っちゃいなよ!』

 

「でもお高いんでしょう?」

 

『種くらいだったら送料まとめるから思うほど高くないよ!今ならその農業の知識と種、この位で買えるよ!』

 

「…おぉ?って、高すぎないか?これシュバルツの財産の七割はかかるぞ?」

 

『え?農業の知識ほぼ全部買うならこの位はかかるよ?』

いや、そこまで買うとは言ってないんだけど…。まずシュバルツがこの値段を許す訳ないでしょ…。

 

「よしニュジオ、買え。」

 

「いや、良いの?めっちゃ高いけど…。」

 

「まだ見ぬ美味しい食材の為だ。買おうぜ!」

コイツはト○コかなんかなのか?

 

「おい、金ピカ、オレとへんなのも農業手伝うからそれに見合った知識も見積もりしてくれないか?」

手伝う気満々だな…ってモニターさんまで手伝わせる気!?

 

『OK!!だいたいシュバちゃんの所持金ほとんど使うけどいいカナ?』

 

「どーせまた集まるから使っちまってくれ。」

 

『わかったわかった!じゃあ明日まで待っててね!see you again Tomorrow!』

 

こうしてマネーシステムが去り、僕の、というかシュバルツの買い物が終わった。明日から忙しくなりそうだと思う今日この頃であった。

 

 

 

 

『私も手伝うんですか…』

 

「オレ達の為にしっかり補助してくれよな!」

 

「[オレ達]っていうかほとんどシュバルツが食べるから実質[オレ]でいいんじゃないかな?」

 

 



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《新たな刺客とインストール》

ちょっと家の事情で遅くなりました!すいません!
その代わり少し文章マシマシでお送りいたします!


「いなさっく♪いなさっく♪たーのしーみだー♪」

 

いやー、まいった。ホントまいった。

なんたって朝からシュバルツがこんな感じだからなぁ…。いつもだったら暇な時間は狩りに行くっていうシュバルツが、マネーシステムがくるまで家に待機しているという有様。ここまで農業…もとい米作りを楽しみにしているとは思わなかったな…。しかも…

 

『ニュジオ様、腕1本で種を植える姿勢はこの様な感じでしょうか?』

 

まさかのモニターさんまで朝からこんな感じなんだよなぁ。朝から家の床に向けてシャドー種植え。昨日は少し悩んでいたようだけど、なにかあったのかな?

 

「モニターさん、どうしちゃったのさ?吹っ切れた?」

 

『実はですね、ニュジオ様達が寝ている間、私の基本データの植物についての項目を見ていたんですが、その際に[電脳植物]なる項目を見つけまして、その中で非常に興味深いモノを見つけたんです。』

 

そう少し興奮気味にモニター画面に、ある画像を浮かび上がらせる。

それはまるでネジや電球のような形をした物体…いや、植物だった。

 

『この私のフレームに付いているモノみたいな物が種で、十分に育ったモノがこちらの実になります。』

 

モニターさんって「ネジ」とか「電球」とかこの世界に無いものは知らないのか。一応教えておくか…。

 

『なるほど、ニュジオ様の世界の機械部品がコレによく似てるんですね!どうりで惹かれるものがあると思いましたよ。』

 

「あ、少し聞きたいんだけどこの電球ってどこが果肉?まさかと思うけど…」

 

『ここの半透明な部分が果肉になってまして…で、この電線?が先程の種子に繋がってます。』

 

わーお、やっぱりそうなってるんだ~。

…なんかこの実を見てるとなんかデジャヴ感が…。あ、ヘルヘイムの果実か。

 

「…ねぇ、この果実に対してモニターさんが思ってる感情って“めっちゃ美味しそう”じゃない?」

 

『あ、ニュジオ様もそう思いますか?』

 

「いや、そうだと“推測”したのさ。」

 

間違いないね、この果実、絶対システムの大好物だ。危険性があるかどうかはマネーシステムに聞いてみて、なかったら育ててみるのも悪くないな…。

 

 

コンコン『Hello!ニュジオ君達いる~?』

 

「うぉっしゃあ来たぜぇー!」

 

今回から家にいる時はドアから入ってくるようにしたのか。

 

「お、いらっしゃーい、ってそちらは?」

 

マネーシステムの後ろに十二単(じゅうにひとえ)のような物を羽織った独特な形の朱色のモニターがいる。…ってことは新手のシステムか。

 

『今回は諸事情によってもう1人連れてきたよーー!名前は――』

 

『おい成金、自己紹介は妾がすると言ったではないか。コホン 妾の名は《アイテムシステム》。以後、よろしゅう。』

 

マネーシステムが『よっ!レイちゃん!』と、声を上げる。それに向かって『恥ずかしいからやめい!』と喝をいれる朱色の、―もといアイテムシステム。

 

なんか雰囲気からマネーシステムとは違う、ザ・マトモな人感がする。それでもマネーシステムとは違う派手さがあるけどね。

 

「こんな辺境までようこそ、アイテムシステムさん、僕の名前はNewジオウ、気軽にニュジオとお呼びください。で、こちらは―」

 

「オレの名前はシュバルツだ!種籾はまだか!?」

 

『ご存知だと思いますが補助システムです。よろしくお願いします。』

 

なんだか口調が勝手に(かしこ)まっちゃう。と、思っていたら

 

『いやいや、そんなに畏まらなくていいんじゃ!むしろ謝りとうてのう…。』

 

え、なんかあったっけ?

 

『この成金のバカがいつもそちらに急に現れると言っていたもので…。心臓に悪い事をしてしまって申し訳ない。』

 

あ、そういう事ね、だからドアから来たのか。

 

「いえいえ、大丈夫ですよ!」

 

まぁ確かに心臓に悪かったけど…このヒトがそういうのなら許すしかないな…。

 

『えー、ハデに登場した方がカッコイイじゃーん…』ボソッ

 

前言撤回、やっぱ許さんマネおじ。心の奥でだけど。

 

『良かった良かった…あぁ、妾の名は長いからな、妾の事は気軽に(レイ)と呼んでおくれ。』

 

「わかりました麗さん。…で、どういったご要件で…?」

 

『実は色々と送る荷が多くての、キル坊…スキルシステムと相談した結果、マネーシステムがちゃんと仕事出来てるか視察に来たんじゃよ。』『チョット!ボク仕事にはしっかりプライドがあるから手抜きはしないよって!』

 

…なんだろう、コイツ身内からも信用性ないって思われてるのか。

 

『マ、まぁレイちゃんがそこまで言うならボクの仕事っぷり見せてあげようじゃないノ!!はいこれ!ちゃーんと事前にデータの整頓しといたよ!ホラ!』

って言いながらモニター画面に文字の羅列を浮かび上がらせ麗さんに見せる。

同じ立場なんだろうけど、ここから見てると上司と部下に見える気がする。

 

 

『―じゃあ気を取り直してインストール、いってみよ~う!まずは―』

 

「オレから先にやってくれ!」

 

『はいはい、シュバちゃん、じゃあイッツ インストォ~ル!』

 

そうマネーシステムが言うとシュバルツはなにかに向かって反応してる。きっと《声》が聞こえたんだろう。

 

「よっし!これでオレもファイティング農家だぜ!」

 

なんだその妙にダサいネーミングは…

 

『じゃあ次は補助ちゃんねー、ヨシもう一発元気にイィッツ インストォ~ルゥ!!』

 

そう言われると、モニターさんは祈るようなポーズをとった。

 

『これが新しいデータ…早く解析したいですね…。』

 

モニターさんにも無事にインストールされたようだ。

 

『それでは最後に~、ニュジオ君!…は疲れたから叫ばなくていいか。ホーイ。』

 

いや、叫ばないんかい!

『マネーシステムから多数データが届きました。大型インストールを始めますよろしいですか?』

 

「はい」

『あ、ソウソウ、こないだも言ったけど大量にやる場合は頭痛が起きるらしいから気を付け「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙くぁwせdrftgyふじこlp」てっ…アリ?』

 

 

こうして僕達はなんとか無事(?)にインストールを完了させたのだった。

 

 

 

 

 

「許"せ"な"い"!」

 

『ゴメンゴメン(爆笑)!』

 

 



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《電脳植物 とは》

『ヨシ!インストールは無事完了!って事で早速頼まれていた種の説明をするよ!』

 

確か買った種は大きく分けて2種類あったはず。確か…

 

「元の世界の品種改良済みの作物の種と、この世界の原生植物の種だよな!そんくらい覚えてるぜ!」

 

「そうそう、それだそれ。一体どんなのがあるんだ?」

 

『エート、確かこっちに…あったあった!まず、これがレタス、タマネギ、ピーマン、ニンジン、ジャガイモ…』

 

マネーシステムがそう言いながら色んな種類のポチ袋をモニター画面から吐き出す。

 

種類こそ豊富だがいかんせん量が足りない。これは頑張って増やさないといけないな…

 

『…で、最後に特別枠の種籾ね〜。今のニュジオ君達ならこれらを立派に育てられるはずだよ!じゃあ次はこの世界の植物の種だねー!』

 

と、マネーシステムは言いつつMSPSで買った種の袋を出す。

 

『タレットビーンズの種、魔タタビ草の種、日マワリの種、バラカブの種、最後に、魔法使いのお茶会の種ね。』

 

いかにも怪しそうな名前の植物が沢山だな…。隣で袋開けてるシュバルツもすこし怪しんでるな…。

 

『あの…聞きたい事があるのですが、[電脳植物]について聞きたいのですが…』

 

『ほう、御補助は電脳植物に興味があるのか…まぁ電脳植物はMSPSでは売ってない、自分達だけのモノ、売るとしたら高額…と、そこの成金なら言うじゃろう。』

 

マネーシステムを見てみると図星だったのか、明後日の方向を向いて口笛を吹いている。

 

『そんなにすごいのですか?』

 

『うむ、我らシステム、及びプログラムの好物であり、その存在を信じた方へ強くさせ、悟りを開かせ精神をより堅固なものにさせる…まさに進化の果実であるのじゃよ。』

 

存在を強くさせる…つまりの事を言うと今のモニターさんより、古参のシステム達があらゆる力を持つのもこれのおかげ…というわけか?

 

『勿論、鍛錬や製作者殿の気まぐれでも強くはなれる。ちなみにこの成金はこの植物の実を貪り食って記録能力を上げ、他のマネーシステム候補生の頂点に登ったのよな?』

 

な、初耳なんだが。

 

『…その話はあまりいい思い出じゃないから思い出したくないんだけど…。』

 

この間話してくれたことの中にはなかったが、なにかワケがありそうだ。

 

『ふむ、そうじゃったの、という訳でお近づきの印にこれを植えてみんか?』

 

そう言って麗さんはネジの様なものを渡してきた。

これは電脳植物の種か…

 

『妾の呼び出し方を御補助に教えておくから新しい電脳植物の種が欲しければその果実数個と引き換えに交換してやろうぞ。では仕事も終えたし成金よ、帰るぞ。』

 

そう言って麗さんとマネおじはドアから出ていった。

 

さてと、それじゃあ土いじりに行きますか!

 

 

 

 

 

 

 

『私の過去…理解不能…。私も試験があったのでしょうか?

なぜ私はあの日、ニュジオ様の傍にいたんでしょうか…?』

 



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