ハイスクールD×D 欲望の王で赤龍帝 (シーライル)
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始まりの物語
転生する青年


主人公の元いた世界では仮面ライダーはキバまでしか放映されていません。


 

 

 

「行ってきます」

 

 

俺こと白亜翔一(はくあしょういち)は家の鍵を閉め、学校に向かった。

 

家には誰も居ないのだが行ってきますというのは習慣だ。

 

 

「あ、そうだ」

 

 

 

俺はいつも首に掛けている銀色のメダルを見てこう言った。

 

 

 

「俺、前を向いて走ってるよ。

 

映司さん」

 

 

 

俺は人にはない力を持っていた。

 

人は俺を化け物と呼んだ。

 

この世界はそんな俺を造った。

 

 

 

その能力は何も無い場所を燃やしたり、テレポートが出来たりする。

 

 

 

テレビで仮面ライダーが似たような力を持っていたが、そんな力はいらなかった。

 

俺は世界に疎まれた。

 

 

 

だが、そんな俺を受け入れてくれた人がいた。

 

 

 

その人は変わっていた。

 

 

 

その人の名前は……

 

 

 

 

 

 

 

『火野映司』

 

 

 

 

 

 

 

またの名を……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『仮面ライダーオーズ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いや、びっくりした。最初に聞いたときはな。

 

いきなり好きだった仮面ライダーが目の前にいたから。

 

最初は疑っていたが、目の前で変身したから信じることにした。

 

その人はお人好しと言うかなんというか、気が付いたら自分の悩みを打ち明けていた。

 

映司さんは笑いながら言った。

 

 

 

『君は力を持っている事を悪い事だと思ってないかい?』

 

 

 

それを聞いた俺は静かに頷く。

 

 

 

『でもその力は皆を守れると俺は思うけど』

 

 

 

 

 

『……それは一体どういう事ですか?』

 

 

 

『君がその力を得たのは何か意味があるからだ。

 

誰かに手を伸ばす力、君はそのための力を手にいれた。

 

そう思えば自分の力は怖くなくなるよ』

 

 

 

映司さんはそう言った後、銀色のオーロラの中に行ってしまった。

 

 

 

それを聞いた日から俺は自分の力が怖くなくなった。

 

そして自分の力を誇りに思うようになった。

 

その時に映司さんが落としていった銀色のメダルを持ち歩くことにした。

 

映司さんのように自分の手が届く所の命を助けるという意志を忘れないために。

 

 

 

「待て」

 

 

 

俺は映司さんと会った日の事を思い出しながら学校に向かっているとある男に止められた。

 

振り返るとそこには二十代の男性がいた。

 

 

 

「何ですか?」

 

 

 

 

 

「お前に頼みがある。

 

お前にある世界に行って貰いたい」

 

 

 

男はいきなり訳がわからないことを言ってきた。

 

 

 

「いきなりそんなこと言われて、はいそうですかなんて言えると思いますか?お断りします」

 

 

 

俺はそう言って学校に行こうと男に背を向けて歩き出す。

 

 

 

「俺が映司の知り合いでもか?」

 

 

 

 

 

ピクッ

 

 

 

「何?」

 

 

 

俺は男の方を振り返ると男はニヤリと笑う。

 

 

 

「あんたは映司さんの知り合いなのか」

 

 

 

俺は男を問い詰めるように質問する。

 

すると男はこくりと頷く。

 

 

 

「あいつが俺に言っていたからな。

 

自分の力に悩んでいるガキがいると」

 

 

 

俺はそいつが嘘をついているようには見えなかった。

 

映司さんの知り合いなら大丈夫だと思うことにした。

 

 

 

「……話だけでも聞きます」

 

 

 

「今からある世界に行ってもらう。

 

それだけだ」

 

 

 

男はそれだけ言うと話は終わりかのように口を閉じた。

 

 

 

「……それだけですか?」

 

 

 

「ああ、そうだ。

 

どうせこの世界に未練は無いんだろ?

 

だったらお前にとっても悪い話じゃないと思うが」

 

 

 

俺はそう言われて悩む。

 

確かにこの世界には未練が無い。

 

だったらあの男が言う通り行ってもいいんじゃないかと思った。

 

 

 

「わかりました。俺はその世界に行きます」

 

 

 

俺がそう答えると、男の後ろから銀色のオーロラが現れた。

 

そして俺の背にもオーロラが現れた

 

 

 

「ならこのオーロラを通っていけ。

 

後戻りは出来ないぞ」

 

 

 

俺はその言葉に頷きオーロラに向かう。

 

 

 

俺は最後に男が何者なのかを聞くことにした。

 

 

 

「あなたは一体何者なんですか?」

 

 

 

 

 

「俺か?俺は通りすがりの仮面ライダーだ。

 

覚えておけ」

 

 

 

男はそう言い放つと別のオーロラに消えた。

 

 

 

「仮面ライダー……」

 

 

 

俺はそう呟き、オーロラをみる。

 

 

 

「……よし、行くか」

 

 

 

そして俺は自分の後ろのオーロラに向かっていった。

 

 

 

未知なる世界に興味を抱きなら。

 

 

 

 




みなさんはじめまして。
今回初めて小説を書きました。
仮面ライダーとロリ、そして声優花澤さんが大好きシーライルと言います。
今回この作品を書いた理由はある意味で私の暴走です。
反省はしているが後悔もしていない!!
とにかくこんな作品ですが、暖かい眼でご覧ください。
感想をお待ちしております。


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キャラ設定

今回はキャラ設定です。



 

白亜翔一

 

この作品の主人公。

 

容姿

かなりいい。

黒い髪をしている。

眼の色は黒。

何時もセルメダルをくっ付けたネックレスをしている。

 

 

 

 

 

性格

心優しい性格で助けられる人は誰でも助けたいと思っている。

そしてかなりのお人好しでもあり警戒しないで敵に近づくこともたびたびある。

しかし命を大切にしない者、卑怯な手を使う者、殺戮を楽しむ者には本気で怒りを露にする。

 

 

能力

 

超自然発火能力(パイロキネシス)

 

仮面ライダークウガに登場する能力。

本来は周囲の物質の原子・分子を操る事で物質をプラズマ化して標的を体内から発火させる能力だが、翔一はさらにそれを発火させるだけでなく爆発させることに特化している。

 

 

テレポート

 

自身の体を瞬時に移動させる能力。

半径80m以内なら移動可能。

連続で使用する事によって長距離の移動も可能だが、翔一自身があまり上手く扱えないこともあり体力の消費が激しいため、移動できる距離は600m程が限界。

 

 

 

本来は別の世界の青年。

ある男に世界の移動を進められ、転生されたような状態でこの世界にやって来た。

火野映司とは突然現れた銀色のオーロラによって一度出会っており、今の翔一の性格の元になっている。

最初の方は転生させられて戸惑っていたが、次第に慣れていった事から順応性もきわめて高い。

人を助けるという信念のために身体を鍛えているため、生身でも普通に強い。

自分の能力は信頼出来る人にしか教えない。

知っているのはごく僅かの人物のみ。

元の世界の事は現在はあまり覚えていない。

火野映司のように少しのお金と明日のパンツがあれば生きていけると豪語している。

 

 

持ち物

 

オーズドライバー

 

仮面ライダーオーズに変身できるアイテム。

翔一がいつの間にか持っていた。

メダルは、爬虫類系と未来のコアメダル以外は全て所持。

恐竜系は翔一の身体の中に入っている。

但し、グリード化は起こっていない。

 

赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)

二天龍の片割れ、「赤龍帝」ドライグの魂が入った籠手。神滅具の1つ。

これは原作通りの能力。

 

 

牛乳缶

 

原作仮面ライダーオーズで仮面ライダーバースである伊達明が背負っている牛乳缶。

これも気がついたら家にあったもので中には大量のセルメダルが入っている。

使った分のセルメダルが補充される謎の機能がついている。

 

 

映司が落としたセルメダル

 

翔一が映司と会った場所に落ちていたセルメダル。

所謂普通のセルメダルだが、翔一にとっては大切なもの。

何時もネックレスのようにして身に付けている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




少々オリジナルの話を書いてから本編に入ろうと思います。


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これ、世界移動じゃなくて転生じゃね?あ、後猫助けました。

今回のお話しはまだプロローグの一つです。



Side翔一

 

 

 

やぁ皆さんこんにちは。

 

 

 

白亜翔一です。

 

 

 

前回、通りすがりの仮面ライダーと名乗る男に言われて世界を移動したのだが、唯世界を移動するんじゃなかった。

 

 

 

あの銀色のオーロラを通って目の前にが真っ白になった。

 

 

 

そして気がついたら、俺は赤ん坊になっていた。

 

 

 

………何これ!?

 

 

 

 

 

えっ、ホントにどういうこと!?

 

 

 

と言うかこれ、世界移動じゃなくて転生じゃねぇか!!

 

 

 

じゃあ俺、また赤ん坊やらなきゃいけないの!?

 

 

 

意識持ったまま!?

 

 

 

ウゾダドンドコドーン!!

 

 

 

と、いった感じになってしまいあの男を今度会う事があったらぶちのめす事を考えながら幼少期を過ごした。

 

 

 

そして現在。

 

 

 

俺は8歳になった。

 

ここまでの道のりは長かった。

 

いや、ホントに長かった

 

 

 

今俺は、身体を鍛える為にランニングをしている。

 

前の世界での習慣だし、何より鍛える理由が出来たからだ。

 

 

 

一年程前に今の自分の身体がどうなっているのか試してみたら色々わかったからだ。

 

 

 

まず俺が前から持っていた能力は全て使えるようになっていた。

 

 

 

超自然発火能力(パイロキネシス)もテレポートも思い通りに使用出来ていた。

 

 

 

唯、それにはかなりの体力を持っていかれたようで初めて使った時は気を失なってしまって、母さん達に迷惑をかけてしまった。

 

因みに母さん達は俺の能力の事を知っている。

 

 

母さん達はそんな俺を受け入れてくれた。

 

 

母さんも父さんも俺を凄いと褒めてくれた。

 

 

どっちも映司さんみたいに笑顔でその力の事を認めてくれた。

 

 

だから俺は、その力を使いこなす為に身体を鍛えることにした。

 

 

 

しかし父よ。

 

 

 

ライターの火がなくなったからと言って俺に燃やして貰うのはどうかと思う。

 

 

 

それと、もうひとつが何時からそこにあったのかはわからない。

 

 

 

映司さんが使っていたメダルとそれをはめるベルト『オーズドライバー』がそこにあった。

 

 

 

これを使えば、憧れた仮面ライダーになる事が出来ると俺は喜んだ。

 

 

 

しかし、能力の事もあるので体力をつけてからの方がいいと俺は判断した。

 

 

 

その為俺は自分の身体を鍛え、何かに備えようと思ったのだ。

 

 

 

 

 

『……おい、相棒。俺の存在を忘れているぞ』

 

 

 

 

 

……そうだった。

 

すっかり忘れていた。コイツの存在を。

 

 

 

 

 

今話しかけてきたのはドライグといって

 

赤い龍(ウェルシュ・ドラゴン)』と呼ばれる二天龍ってやつの一体らしい。

 

今は魂だけの存在になっている。

 

何故そんなやつが俺の中にいるかというと、俺の中にある新しい力が原因らしい。

 

 

 

赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)

 

 

 

神器(セイクリッド・ギア)と呼ばれる生まれつきに俺が持っていたもの。

 

そしてこれはその中でも特に強力な力を持っている神滅具(ロンギヌス)のひとつらしい。

 

 

 

らしいというのは、俺もコイツから聞いただけであり、良く解らない。

 

 

 

『相棒はコレを使いこなす為に鍛えていたんじゃないのか?』

 

 

 

 

 

「いや、まぁ、確かにそうだが結構反則じゃないか?持ち主の力を10秒間に一回倍にする能力って。よくわからないし」

 

 

 

『だが、意外と使いこなしているじゃないか。

なかなかいないぞ?1年でここまで出来る奴は』

 

 

 

とドライグは褒めてくれるが、俺は納得がいかない。

 

 

 

「お前の言う禁手化にも至ってないじゃないか」

 

 

 

そう禁手化。

 

 

 

神器の力を高め、ある領域に至った者が発揮する力の形のこと。

 

俺はまだそこにいってもいない。

 

 

 

『いや、まだ神器が目覚めて一年位だ。まともに戦闘をしていないのにそれで至れる方がどうにかしてる』

 

 

 

「それはそうだけど……」

 

 

 

『相棒はよくやっているぞ。今の相棒の身体はその年齢の平均的な身体能力を遥かに越えている。普通一年でそこまで伸びない』

 

 

 

ドライグの話を聞いて納得する。

 

確かにそうだと思うのだが……

 

 

 

『心配するな。相棒なら必ずやれる。

この俺が保障してやる』

 

 

 

「随分と過大評価をするじゃないか。

あんまり期待するなよ?」

 

 

 

『過大評価ではない。

正当な評価だ。期待しているぞ?』

 

 

 

そんな他愛もない話をしながらランニングを続ける。

 

家から15キロ程離れた公園で休憩をとっていると

 

 

 

 

 

 

 

「……にゃ~」

 

 

 

 

 

 

 

何処からか猫の声が聞こえた。

 

 

 

 

 

「ドライグ。今、猫の声が聞こえなかったか?」

 

 

 

『そうか?それならば、辺りを探して見たらどうだ?』

 

 

 

ドライグの言葉に頷き辺りを探して見ると、草の茂みの中に二匹の猫がいた。

 

 

 

一匹は黒猫、もう一匹は白猫だ。

 

それだけなら良いのだが、二匹共怪我をしている。

 

 

 

「……これは酷いな。誰かにいじめられたのか?」

 

 

 

『相棒。そんなことより早く手当てした方が良いんじゃないか?』

 

 

 

ドライグの言葉に頷く。

 

確かに放っておいたら命に関わるかもしれない。

 

俺は、猫を抱えようと手を近づけると

 

 

 

「ふしゃー!!」

 

 

 

黒猫の方が白猫を守るように立ちふさがり、威嚇をする。

 

 

 

「大丈夫だ。お前達をどうこうする気はない。安心しろ。俺は敵じゃない」

 

 

 

俺は黒猫にそう言いながら手を近づけ、頭を撫でる。

 

そうすると猫は警戒を解いたのかその場で倒れこんでしまった。

 

 

 

「こいつは不味いな。早く手当てをしなきゃ」

 

 

 

白猫の方も警戒はしていたが同じようにしてやると警戒を解いて倒れた為、俺は二匹の猫を抱えて自分の家に帰った。

 

 

 

 

 

家に帰った後、俺は母さんに頼み猫の手当てをしてもらった。

 

 

 

猫は次の日の朝に目覚めた。

 

怪我が治りきっていないため家で暫く面倒を見ることになった。

 

 

 

なんと言うか、二匹はめっちゃ懐いてくれた。

 

名前はないけど二匹共凄い可愛い。

 

しかし、数ヵ月後には二匹共いなくなっていた。

 

また会えると良いのだが。

 

 

 

『あの猫達は相棒に感謝してしていた。

だが、迷惑をかけたくないから去っていったと俺は思うぞ』

 

 

 

ドライグもそう言ってくれている。

 

 

 

「じゃ、何時でも帰って来ても言い様にしておくか」

 

 

 

そう言って俺はランニングを始めた。

 

また、あの猫達に会いたいと願いながら

 

 

 

 




まだ仮面ライダーも出ていない。
いつ出せることになるのか。
期待に応えられるように頑張ります。


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欲望の王、初めての戦闘

今回は初めての戦闘シーンです。

拙い部分があるとは思いますけど温かく見守って下さい。


 

前回の話からさらに五年。

 

中学生になった俺は、3年前から実戦的な特訓をする事により能力にも変化が訪れた。

 

まずテレポートはコントロール上手くいかず、体力の消費が激しい為に連続で5回程しか跳べない(それでも前よりは成長しているが)。

それ以降は数分のインターバルが必要になる。

 

しかし、超自然発火能力の方は燃やすだけでなく、対象物を爆発させるだけに至った。

……もうこれだけで良いんじゃないかな?

 

赤龍帝の籠手は、なんと禁手化まで至る事が出来た。

しかし、まだ負担大きい為、ドライグからの使用許可は貰っていない。

倍加の方も禁手化しなくても三回までなら瞬時に倍加出来るようになった。

 

そして、オーズの力は……

 

「うーん……」

 

 

俺の前にはオーズドライバーとコアメダル、そしてセルメダルがある。

 

どうやら俺の持っている銀のメダルの名前はそう言う名前のようだ。

まぁ、これは特別だからな。

 

『どうした?相棒』

 

「いや、これの力の事を考えていた」

 

ドライグに聞かれたため俺はそう答える。

 

『そういえば相棒はこの力は前に一度使った以来、使っていないな』

 

「いくら映司さんと同じ力でも、しっかりとわかっておかないとな」

 

前に試したが、これはかなりの力を秘めている事がわかった。

その為今まで使うのを躊躇っていたのだ。

 

『相棒は変なところで真面目だな』

 

 

「まぁ、そろそろ使うつもりでいるが……」

 

 

『心配するな。相棒ならやれるさ』

 

ドライグがそうやって言ってくれるので此方もやる気が出てくる。

何となくだがやれそうな気がしてきた。

 

 

「よし、じゃあ早速……「きゃあぁぁぁっ!!」……な、なんだ!?」

 

 

今、何処かで悲鳴が!!……

 

 

「ドライグ!!」

 

 

『とりあえず行ってみるぞ!!』

 

俺は、悲鳴が聞こえた方へ走っていった。

 

 

「あれか!!」

 

 

悲鳴が聞こえた方へ走っていると、そこで女性が何か異形の生物に襲われていた。

 

そいつは上半身が人であったが、下半身は人ではなかった。

下半身は蠍のような形状で、上半身は女性に見える。

しかし、そいつの身体には色々な生物が入り交じっている。

まるでキマイラのような奴だ…!!

 

 

『相棒!!』

 

 

「とにかく助けるぞ!!」

 

 

俺は超自然発火能力を発動させ、異形の生物の腕を爆発させて吹き飛ばす。

 

 

「グゥッ!!……な、なんだ!?」

 

 

生物が怯んだ隙に俺は女性の方へ走っていった。

 

「速く逃げてください!!」

 

女性は戸惑いながらも頷き、その場を急いで走り去っていった。

 

そして、俺は振り返り生物を睨み付ける。

 

 

「ドライグ、こいつは一体何なんだ?」

 

 

『こいつは恐らく、はぐれ悪魔だろう』

 

 

「はぐれ悪魔?」

 

 

俺は聞いたことのない言葉を聞き、首をかしげる。

 

『はぐれ悪魔。悪魔の事は前に話しただろう?』

 

「あ、ああ」

 

 

確か出生率が低く、悪魔の駒(イーヴィル・ピース)ってやつで他種族を転生させることによって仲間を増やしてる。

そして、転生させたものが主となり、転生したものが眷属となって主従の関係を築く冥界に住む人間以外の種族。

ドライグがそう言っていた気がする。

 

『はぐれ悪魔は眷属であった悪魔が主を殺し、殺戮や快楽を求めて暴れ回る者達の事だ』

 

「成る程。つまりあいつは……」

 

『ああ、相棒の最も嫌いな部類の者だ』

 

 

成る程ね。まぁ、一応聞いておこうか。

 

「おい。何でこんなことをする。

何で人間を襲う必要がある!?」

 

「ニンゲンは殺すときいい声で鳴いてくれるの。

こんな道楽が他にあるの?

ニンゲンは私の玩具。

壊れたらまた買い換える玩具でしかない」

 

 

俺が人を襲う理由を聞くと、狂気染みた笑顔でそう答えた。

 

コイツ……人を殺す事を楽しんでやがる!!

 

『相棒、諦めろ。言ってはなんだが、はぐれ悪魔になった者は殆どが殺戮を楽しむ者だ。話し合いなど出来るわけがない』

 

 

「ドライグ、それしか……戦うしかないのか?」

 

『コイツは人間を殺す事を楽しむことで快楽を得ている最悪の部類だ。今コイツを倒さねばまた多くの犠牲がでるぞ!!』

 

 

ドライグにそう言われ俺は覚悟を決めてはぐれ悪魔に相対するように前に立ち、オーズドライバーを取り出す。

 

「お前も、私の玩具になるのか?」

 

「生憎だが俺にはそんな趣味はなくてね。お前を倒させて貰う!!」

 

 

そう言って俺はオーズドライバーを装着して、メダルを三枚取り出す。

そして、赤いタカメダル、黄色いトラメダル、緑のバッタメダルの順にドライバーにセットする。

それぞれをセットしたらオースキャナーでスキャンする。

そしてあの言葉を言う。

 

 

「……変身!!」

 

 

ーーータカ!!

 

ーーートラ!!

 

ーーーバッタ!!

 

ーーータ・ト・バ!! タトバ タ・ト・バ!!

 

 

その歌の後に現れたのは全身のベースの色は赤、黄、緑の三色の色で構成されており、胸部のオーラングサークルにはタカと虎とバッタの顔が描かれている。

 

それはかつて火野映司さんが見せてくれた俺の憧れであり、欲望の王と言われた仮面ライダー。

 

『仮面ライダーオーズ・タトバコンボ』

 

そう言われた存在がそこに君臨した。

 

 

 

「何?その姿は……」

 

 

「オーズ……仮面ライダーオーズ。

お前を倒す奴の名前だ。覚えておけ」

 

 

「……ニンゲンの分際で調子に乗るなあァァァッ!!」

 

はぐれ悪魔はそう叫びながら襲い掛かってくる

 

 

「ハアァァァッ!!」

 

 

俺はそれをかわして蹴りを入れる。

 

 

「グハッ!?」

 

はぐれ悪魔はそれをモロに食らい、体勢を崩され隙が出来る。

 

 

「そらよ!!」

 

俺はそれを見逃さないでそこにトラクローを発動させ切りつける。

 

「グゥッ!!……調子に乗るな!!」

 

はぐれ悪魔が負けじと自分の尻尾の部分で攻撃した。

 

「何!?」

 

俺はなんとかかわそうとするが少し食らってしまい吹き飛ばされる。

 

「……ちょっとトラじゃ相性が悪いな」

 

 

俺はそう言って新たなメダルをカマキリがかかれたメダルを取り出す。

それをトラメダルと入れ換えスキャンする。

 

 

ーーータカ!!

 

ーーーカマキリ!!

 

ーーーバッタ!!

 

 

音声と共に身体の部分が変わり、黄色い部分が黄緑色に変わり、トラクローがあった部分にはカマキリメダルの武器であるカマキリソードが付いている。

 

 

「なっ!!変わっただと!?」

 

はぐれ悪魔は驚きを隠せないでいる。

 

 

「おりゃぁぁっ!!」

 

俺はカマキリソードを展開して、はぐれ悪魔を斬りつけていく。

 

「グアァァァッ!!」

 

はぐれ悪魔は斬りつけられた痛みで苦しんでいる。

 

「おお、使いやすい!!」

 

そう言いながら俺はさらに斬りつけていく。

 

「そらっ!!」

 

そして俺は、はぐれ悪魔を蹴りで吹き飛ばし距離を取りまたトラメダルに入れ換え、スキャンする。

 

ーーータカ!!

 

ーーートラ!!

 

ーーーバッタ!!

 

ーーータ・ト・バ!! タトバ タ・ト・バ!!

 

俺はまたタトバコンボに戻り、アイツにトドメを刺すべく、もう一度メダルをスキャンする。

 

 

ーーースキャニングチャージ!!

 

「ハアァァァッ……!!」

 

その音声と共にバッタ脚に変化したバッタレッグで跳躍した。

 

「セイヤァァァッ!!」

 

そして落下しながら空中に発生した赤・黄色・緑の3つのオーリングを通り抜け、はぐれ悪魔に必殺技『タトバキック』を食らわせる。はぐれ悪魔の身体に赤・黄色・緑の3色の「OOO」の文字が浮かび上がる。

 

「グアァァァッ!!!?」

 

その叫びを最後にはぐれ悪魔は爆発した。

 

「ふぅ、こんなところかな?」

 

 

『よくやったな相棒。

上出来だ。初めての戦闘にしては出来すぎている位だ』

 

そう。実戦的な特訓はしてきたが実はこれが初めての戦闘だったのだ。

ドライグからも称賛の言葉を送られる。

 

「それでも、まだまだだと思うけどな」

 

まだ足りない。

映司さんみたいになるにはまだ足りない気がする。

 

『この年でその実力だ。相棒は歴代で最高の赤龍帝になれるかも知れないな』

 

「俺なんかじゃ無理だって」

 

 

ドライグは何を言っているんだか。

 

「いや、今確信した。相棒は俺が見たなかで最高の赤龍帝だ」

 

 

「なら、それに負けないように頑張りますか」

 

そう言いながら俺はこの場を立ち去った。

そう言えば、ほんの少し前から誰か見られている気がしたのだが気のせいだろうか?

 

 

Side???

 

「あれは一体?」

 

 

僕は主から指名手配のはぐれ悪魔が現れたのを聞き、急いで駆けつけたのだが、僕が見たのは三色の色をした何者かにそのはぐれ悪魔が倒された所だった。

 

僕は警戒して様子を見ていたが、それはそのまま何処かに去って行ってしまった。

 

「取り敢えず、あの人に報告だね」

 

 

僕、木場祐斗はこの事を自分の主に報告するためその場を離れた。

 

でも僕はあの戦士にはまた会えるかも知れないとそう思いながら。

 

 




第三話の終了です。次回から原作に入って行きたいと思います。


オマケというか没にしたもの

木場
| ↓
|0M0) <ジーッ
|
|
|

翔一

(0w0;)<ナズェミテルンディス!?



没にした理由

雰囲気に合っていない。

ふざけすぎた。

とにかく次回もよろしくお願いします!!

感想をお待ちしております!!


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旧校舎のディアボロス
死を迎えた赤龍帝


仕事が忙しくてなかなか更新出来ない。シーライルです。

今回から物語が動きます。


やぁ、皆さん。

 

あれから更に4年ほどたち、俺は高校2年生になった。

あの時に比べて全体の能力は向上したし、油断しなければそこら辺にいる悪魔には負けないレベルにまでなったとドライグに言われるまでになった。

 

俺は今、駒王学園に通っている。

 

俺はそこで良い学園生活を送っている。

 

 

さて、そんな俺が今何しているのかというと……

 

「反省してんの。二人とも?」

 

「「……はい。すみませんでした」」

 

親友二人のお説教です。

 

何故こんなことになったかというと、ほんの数分前に遡る。

 

 

ーーーーーほんの数分前ーーーーー

 

 

「いや、やっぱり運動はいいな」

 

実は前の時間が体育だったので、身体を動かすのは心地が良い。

次は昼休みなのでさっさと飯にしたいものだ。

 

「ん、何あれ?」

 

 

そう思いながら歩いていると、廊下の奥の方から見覚えのある二人が走ってきた。

 

……女子に追われながら。

 

 

いや、文だけ見ればあの二人モテるな~ということですむのだが、いかんせん女の子達が殺気だってる。

 

「……また何かやったのか?あの馬鹿共」

 

「うおぉぉぉぉっ!!」

 

「あ、翔一!!助けてくれ!!」

 

「白亜君!!その二人を捕まえて!!」

 

二人は俺に気付いて助けを求めてくる。

女子はその二人を捕まえて欲しいと要求してくる。

なので俺は………

 

「セイヤァァァッ!!」

 

 

「「ゴッファァァァッ!! 」」

 

二人にラリアットを極めることにしました(笑)

 

二人はものの見事に気絶している。因みに坊主頭が松田という名前で、メガネが元浜だ。

 

「ありがとう。白亜君」

 

追いかけていた女子の一人がお礼を言ってくる。

 

「いや、別に良いんだが……またコイツらが何かしたのか?」

 

するとその女子がそうだったと言い気絶した二人を睨む。

 

「また、女子更衣室の覗きよ。私達が着替えていて視線を感じると思ったらこの二人が……」

 

「ああ、そゆことね」

 

俺は呆れた顔をして二人を見る。

コイツ等はエロガキとして学園の女子から蔑まれている。

全くコイツ等は……それさえなければ良い奴等なんだが……

 

「なんか、二人がすまないな」

 

俺は取り敢えず頭を下げる。

 

「え!?べ、別に白亜君が悪い訳じゃ……」

 

「えっと……佐藤だったか?

コイツ等には俺から注意しておくから許してやってくれないか?」

 

「う、うん……わかった」

 

 

それで今に至る。

 

 

以上、回想終わり。

今俺の前には正座をしている親友二人。

 

 

「全く、後からフォローする俺の身にもなってくれ。先生に知られたら停学物だぞ」

 

「「停学が怖くて覗きが出来るか!!」」

 

 

「もう一回地獄見るか?」

 

 

「「すみませんでした!!」」

 

俺が殺気を出しながら言うと物凄い勢いで土下座をしてくる。

 

「とにかく、今回はこれで勘弁してやるが、もうするんじゃないぞ」

 

「「は、はい。了解です」」

 

「取り敢えず反省はしたようだし、飯にするか」

 

因みにこんな奴等でも、俺の親友である。

 

昼食を松田と元浜と一緒にとっていると松田が口を開いてこう言ってきた。

 

「翔一、何故俺達がこの学園に入学してきたかわかるか?」

 

「ああ、確かハーレム作るんだっけ?」

 

皆さん。日本には重婚文化はありませんので松田君が言っていることはおよそ8割が妄想です。

 

「そうだ。だがしかし!!」

 

松田は箸を俺に向けてこう言い放つ。

というか箸をこっちに向けるな。行儀が悪い。

 

「ハーレムどころか彼女も出来ていない!!しかし、何故お前には女子が集まるんだ!!」

 

「うらやましいぞ!!このやろう!!」

 

「いや、なに言ってんの?お前等」

 

そんなもの偶々だろう。何故そんなに羨ましがる。

 

「いやいや、頼まれ事が多いだけだって、別にモテてる訳じゃないだろ?」

 

「……ほう」

 

あれ、松ちゃん何で殺気出てんの?

「元浜君、例の物を」

 

 

「イエッサー、隊長!!」

 

そう言うと元浜はポケットから何かが書かれた紙を取り出す。

 

「……なにそれ?」

 

「駒王学園男子生徒人気ランキングの結果の書かれた紙だ」

 

何で元浜はそんなものを持ってるんだ?

 

「これによれば、1位『木場祐斗』。

女子からのコメントによれば、王子様みたい。イケメン。もう世界が違う等のコメントが挙げられている」

 

「へぇ~そーなのかー……でお前等は」

 

 

「そもそもランキングに入ってると思うか?」

 

いや、開き直りながら言われても……

 

「それで、お前は一体何位にランキングされていると思う?」

 

 

「さあ、下から3番目位じゃね?」

 

コイツ等よりはマシだし。

 

 

「……2位『白亜翔一』

女子からのコメントによれば、優しい。頼りになる。あの二人のストッパー。好きです付き合ってください。白亜×木場のカップリングは鉄板!!等のコメントが……」

 

 

「ちょっと待て、最後のコメントの奴ちょっと待て!!」

 

コメントに嬉しい物も入っていたが最後のコメントはおかしいだろ!!

 

 

「因みに最後の二つは木場祐斗の方にも入っている」

 

「知りたくないわ!!」

 

俺、ノーマルなのに……

 

「そこはたいして重要ではない。重要なのは、貴様のランキングの順位だ!!

2位ってなんだよ!?しかもほぼ僅差だぞ!!これがお前じゃなかったら殺してしまいたい所だ!!」

 

俺以外だったら殺るつもりか……

 

「俺だったら良いのかよ」

 

「「当たり前だろう。親友の幸せを願わないわけがない」」

 

「……お前等」

 

コイツ等はエロいだけで他は凄い言い奴なのに……こういう親友こそ大切にしていかないと……

 

「「まあ、恨みも妬みもするし毎日1発だけ殴らせてくれるならな♪」」

 

「最後のセリフで台無しだ!!」

 

全くコイツ等は……

 

「とにかくだ。お前はモテる。つまり……」

 

「俺達に女の子を紹介してほしい!!」

 

「だから知り合いにいないっての。そんなに女子とお付き合いがしたいなら、今の性格を改めて覗き行為も止めるんだな」

 

「「……だが断る!!」」

 

 

「はぁ……」

 

 

そんなこんなで昼食が終わり。時間は更に加速して現在は放課後。

俺は帰り道にドライグと話ながら帰っている。

 

 

「あの二人はあれさえ無ければなぁ……」

 

 

『ハッハッハッ!!だが、俺は好きだぞ。

あそこまで欲望に素直ならいっそのこと清々しい』

 

「そんなもんか?」

 

『それより相棒。あの学園に通ってもう一年だが、どうだ?』

 

ドライグが学園生活の様子を聞いてくる。

 

「お前も見ている通り楽しんでるよ。

あの二人と馬鹿やるのも、いつもの日常も、前の世界じゃやれなかったしな」

 

『……そうか。良かったな相棒』

 

ドライグは俺が神器に目覚めたときに俺の記憶を読み取っているので何があるのか知っている。

その為かそう言ってくれるドライグの声色はどこか優しかった。

 

『悪魔がいると聞いて相棒は入学したが何かする気配もないしな』

 

 

「……確かにな」

 

そう、これが俺が駒王学園を進学先に選んだ大きな理由。

どうやらあの学園には悪魔が潜んでいるらしい。

そんな噂を耳にし、この学園に入学した。

ドライグが確かめたら、どうやら、何か危害を加えるような悪魔ではないらしい。

 

『そんなに気を張るのではない。現に一年間見てきたがなにも無かったではないか』

 

「まあ、確かにそうか」

 

『なら相棒は真っ直ぐ青春を謳歌すれば……』

 

ふとドライグの声が聞こえなくなる。

何かに警戒するかのような雰囲気だ。

 

「どうした?ドライグ」

 

「ここから北東に400m程の公園で堕天使と悪魔の気配がする……」

 

「何?」

 

どうやら、ドライグが堕天使と悪魔を発見したようだ。

 

 

『悪魔の方が一方的にやられているが、どうする?相棒』

 

「無論、助けにいく。手の届く距離なら絶対に」

 

 

そう言って俺はテレポートを使い、その公園へと向かった。

 

 

その公園に居たのは、眼に毒なくらい露出している黒い羽の女性。

もう一人は、白い髪の見た目小学生位の少女だった。

 

『どうやら、相棒の予想は当たっていたようだ』

 

「ハァ、ハァ……そう…だな」

 

おそらくあの少女の方が悪魔だろう。

何故なら駒王学園の制服を着ている。

 

『相棒、大丈夫か?』

 

「大丈夫だ。テレポートで疲れているだけだ」

 

ここまでの距離は久しぶりだからな。

 

『……相棒、無理はするなよ?』

 

 

「わかってるって!!」

 

そして俺は、戦闘場所に向かった。

 

 

Side???

 

搭城小猫(とうじょうこねこ)それが私の名前。

 

私はある人を追い掛けてました。

その人が幸せに生きていてくれているのか知りたくて。

 

その人が学園にいるのはつい最近知りました。

それを知ると無性に会いたくなってしまった。

だから、後を追い掛けて姿を見て帰ろうとしたときに遭遇してしまったのだ。

 

 

『堕天使』と

 

堕天使があの人を殺そうとしていることを聞き、怒りに震えた私は魔力を微量に漏らしていたらしく、堕天使が不意討ちをしたきたのだ。

 

 

「……クッ!!」

 

 

「あらあら、何てか弱い悪魔なのかしら。それとも私が強いのかな?」

 

 

「一体どの口が……!!」

 

 

「まあ、こんなところで悪魔を殺せるなんてラッキー♪

じゃあ、さっさと死んで?」

 

堕天使が光の槍を形成しています。

 

……もう、ダメかも。

 

 

「じゃあ、さよな…(ドゴォォン!!)きゃっ!!な、何!?」

 

 

堕天使が放とうとした光の槍は急に爆発して消えてしまいました。

 

……どういうことでしょうか?

 

「悪いけどその子には手を出すなよ?」

 

私の後ろから声がしたので振り返ると

 

「……せ、先輩?」

 

私が追いかけていた人、白亜翔一先輩がいました。

 

Side翔一

 

良かった。なんとか間に合った見たいだな。

 

「大丈夫か?」

 

俺は傷だらけの少女に話しかける。

 

 

「は、はい。たいした怪我ではないですから。でも先輩、どうして?」

 

 

「別に誰かが困ってるのを見過ごせないだけさ」

 

そう言って俺は堕天使を睨み付ける。

 

「なあに、貴方は?もしかしてその子の主?」

 

「違う。俺はただのお人好しだ」

 

「じゃあ、貴方が代わりの相手ってわけ」

 

「お前がそれを望むのならな!!」

 

そして俺はオーズドライバーと3枚のメダルを取り出す。

 

 

「へぇ、なら勝負といきましょ。……あの娘を殺してからね!!」

 

すると堕天使は造っていた光の槍を少女に投擲した。

 

「ま、不味い!?」

 

俺は無我夢中で走り、その子の前に立つ。

そして、俺は光の槍に胸を貫かれた。

ヤバイ。これは死ぬ奴だ。

 

「ガハッ!!」

 

「先輩!!」

 

「ごめんね~。私の目的は貴方なのよね~白亜翔一君?

貴方を殺すのが真の目的ってわけでね」

 

 

クッ!!コイツ最初から俺を……!!

 

 

「まぁ、私の目的は達成したからもう帰るわ。じゃあね~」

 

そう言って堕天使は去っていった。

 

 

『相棒!!』

 

 

はは、悪いドライグ。どうやら俺はここで……

 

『諦めなければ何とかなる!!相棒大丈夫だ!!』

 

そうかい。そう言ってくれて嬉しいよ。

 

「先輩……先輩!!」

 

白い髪の少女は俺の側にいて必死に呼び掛けている。

 

……そうだ。これだけでも伝えないと

俺はその子の頭に手を置き、こう言った。

 

「い、生きて……いてくれ…て、ありが……と……」

 

それを最後に俺は、意識を完全に手放した。

 

 

Side ???

 

「小猫!!」

 

私は小猫が堕天使に襲われていることを知り、その場に急いで向かった。

そこに居たのは、血だらけで倒れている駒王学園の生徒と怪我をしているが無事な様子の小猫だった。

 

 

「先輩!!しっかりしてください!!お願いです。死なないでください!!」

 

あそこまで小猫が感情的になるなんて……

 

「小猫、大丈夫!?」

 

「部長!!先輩が、先輩が……!!」

 

「小猫、落ち着きなさい!!」

 

私が小猫を落ち着かせていると悪魔の駒(イーヴィル・ピース)が突然が光り始めた。

 

「駒が光っている?」

 

まるで、その子に反応しているように

 

「成る程ね。小猫、大丈夫よ」

 

「部長、まさか先輩を!!」

 

「えぇ、そのまさかよ」

 

 

決めたわ。私はこの子を転生させる。

 

「今散らすのは勿体無いわ。貴方の命、私の為に生きなさい」

 

さぁ、この子はどう化けてくれるのかしらね。

そんな楽しみがあったのか私は小猫が持っていた3枚のメダルには気づかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




はい。無理矢理感が否めない今回のお話ですが、まぁ、良いですよね。

次回もよろしくお願いいたします。



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生きていた赤龍帝

カウント・ザ・メダル!!

現在、オーズの持っているメダル、確認されているメダルは……

タカ(不明)

トラ(不明)

カマキリ×1

バッタ(不明)




目が覚めるとそこは俺の部屋だった。

 

「………何で?」

 

確か俺は……そうだ。堕天使にやられて……

 

「……夢だったのか?」

 

俺は刺されたはずなのに何ともない胸を触る。

怪我をしていないみたいだ。

だけどあの感覚は……夢じゃない。

 

「あれ、ドライグ?」

 

俺は少し考えてあることに気付く。

ドライグの声が聞こえないのだ。

いつもなら、聞こえてくるあのドラゴンの声が聞こえなくなっていた。

 

「……来い。赤龍帝の籠手」

 

そうすると左腕が光に包まれ、赤い色をした籠手が出てくる。

そして、俺はなにかを確かめるように動かす。

 

「性能事態に問題は無しか……」

 

 

どうやら性能的には問題ないようだ。

なら何故、ドライグの声が聞こえないのだろう?

 

「それと、コアメダルは……」

 

俺はそう言って自分のポケットからコアメダルを探す。

 

しかし……

 

「コアメダルが足りない?」

 

 

よりによってタトバ(タカメダル、トラメダル、バッタメダルの略)だ。

これでは、何かあったらとりあえずタトバ戦法が取れないではないか……

とまあ、それは置いといて。

 

「やっぱりあの時か……」

 

あの時というのは昨夜女の子を助けるために攻撃を受けた時だ。

恐らく、その時に落としたのだろう。

 

「他のメダルはあるようだし、何とかはなるが探しておかないとな」

 

あれは、他の人が持つには危険だし、何より戦力の低下になる。

 

『翔一、早く起きなさーい』

 

下から母さんの声が聞こえてくる。

 

 

「わかった」

 

俺は悩んでいては始まらないのでとりあえず、学校に行くことにした。

 

 

 

「……なんだこれ」

 

外に出てから気付いたというより朝になってから少々気分が優れなかった。

だが、外に出て太陽の光を浴びているとどうしようもない不快感が襲ってきた。

 

「寝てる間に吸血鬼にでもなったのか?……そんなわけないよな」

 

まぁ、5分位すれば慣れるのだが。

 

「そういえばあの娘、大丈夫かな?」

 

俺はふとあの少女を思い出す。

怪我はちゃんと治ったのだろうか。

助かってくれればいいけど……

 

 

「俺、あの娘の名前、知らないや」

 

恐らく、松田辺りなら知っているだろう。

いや、元浜の方が知っているか。あいつロリコンだし

 

 

「今日あの二人にでも聞いて見るか」

 

そう思いながら俺は学校に行った。

 

 

 

「……ふぅ」

 

俺は自分の席に座りため息をつく。

 

まさか学校に行くだけの距離でここまで気分が……

 

そんな俺の姿を見て小声で何か話しているバカ二人。

 

そんなに面白いか?おい。

 

「……今日の翔一はおかしくないか?」

 

「ああ。いつもよりツッコミにキレがない」

 

「いや、そういう意味ではなくてな……」

 

「何の話をしてんだ?お前ら」

 

こそこそ話している姿が気に入らないので、声をかけてやる。

 

「い、いや、べ、別に何も……」

 

「そ、そうでございますのことでござりますのことよ……」

 

何故ビビる?後、元浜は日本語が少し変になってるぞ

 

「覗きの計画をたてているわけでもあるまいに」

 

 

俺がそう言った途端に更にビクッとなる二人。

……本当に考えていたとは思わなかった。

 

「ち、違うぞ翔一」

 

「最初は今日の覗き場所は剣道場の更衣室だなとは考えていたが、お前の様子がおかしいことに気が付いてだな……」

 

 

おーい。墓穴ほってるぞお前ら。

 

「……まぁ、その事は後で説教するとして」

 

「「説教はするんかい!!」」

 

何を言う。当たり前じゃないか。

 

 

「ちょっと大事なものを無くしたのと、今朝は身体が怠くて調子が悪いんだ」

 

「そうなのか」

 

「俺達は男達の聖典、もしくは至高の映像作品でも見れば元気が出るのだが、お前となるとどうすればいいのか……」

 

「要するにエロ本とエロDVDな」

 

しかし、松田達が真剣に俺の事について悩んでくれる辺り、彼等はとても友情に熱い奴等なのだ。

 

「まぁ、今のところ体調には問題は無いから安心してくれ。

それより二人に聞きたいことがあるんだけど……」

 

 

「どうした?」

 

「俺達に出来ることなら何でも言ってくれ」

 

エロさえ絡まなければまともな二人。

どうやら真剣に聞いてくれるようだ。

 

「お前等って、この学園の女子の名前とか詳しいよな?」

 

「ああ」

 

「それがいったいどうしたと言うのだ?」

 

二人が揃えて首をかしげる。

 

「いや、実はお前達に教えてほしい女の子がいて……」

 

「「なにぃぃっ!?」」

 

 

二人が驚いて後ずさる。

何でそんなに驚いてるんだ?二人共。

 

 

「し、翔一が女に興味を持っただと!?」

 

「ああ、俺は明日死ぬのか……」

 

「酷い言われようだなぁ、おい」

 

前にも俺は言った筈だ。

俺はノーマルだ。

 

「そ、それで一体誰を……」

 

松田が冷静さを取り戻したのか、一体誰なのか聞いてくる。

 

「ああ、白い髪をした見た目小学生位の恐らく、後輩だと思う女の子何だが……」

 

 

「……多分その子の名前は搭城小猫だと思う」

 

やっぱり知っていたか。

さすが、学園のエロコンビ。

 

 

「へぇ、そんな名前なのか、あの娘」

 

 

「お前この学園では有名だぞ。知らんのか?」

 

俺がそんな感じに感心していると元浜が本当に知らないのかと聞いてくる。

 

「聞いたことないなぁ」

 

そう言うと、二人はため息をつき、搭城小猫について説明してくれる。

 

「搭城小猫とは、低身長の小学生のような体型で更に無口な女の子だ。

しかし、その体型と可憐な可愛さが相まって学園のマスコットのような存在になっている」

 

「ふむふむ」

 

「更にあの二大お姉様、リアス・グレモリー先輩と姫島朱乃先輩と同じオカルト研究部の部員である事が確認されている」

 

 

「なるほどなるほど」

 

 

「「そしてそんな有名な女の子を今まで興味も持っていなかったのに、いきなり紹介して欲しいとかお前に何があってこうなったんだバカ野郎」」

 

「散々長い説明の後に俺への罵倒を入れるアフターサービスまで、ご苦労様でした」

 

なるほど。そんな娘なのね。

 

 

「しかし、本当に何があったんだよ?」

 

「ああ、それはな……」

 

松田が何故知りたかったのか理由を聞いてきた。

 

……しかし、どう答えたら良いだろう?

 

堕天使と戦ってたところに介入して命懸けで助けたけど、お陰でちょっと死んじゃった(笑)

 

……流石に無いよな。うん。

 

「いや、ちょっとな。昨日厄介な不良に絡まれている女の子を助けたのだが、その娘が駒王学園の制服を着ていたから気になってな」

 

うん。嘘は言っていない。

ただ、その不良が堕天使なだけで……

 

「なるほど。ただのフラグ建築か」

 

「翔一、お前は本当に羨ま死ね」

 

何故、罵倒する必要がある?

 

「大体、翔一が女子を不良から助けたという話でフラグが立ってないわけ無いだろうが!!」

 

「その後、その娘の方からアドレスを聞かれたりするんだろ!?仲良くなったりするんだろ!?」

 

松田と元浜は涙を流しながらそう言ってくる。

いや、そんなことはないから。

 

「とにかく、俺が見たのはその女の子って事だな?」

 

「ああ、そうだろうよ……」

 

「松田よ。やはり翔一とはすむ世界が違うのだな……」

 

「ああ、だがこれからも翔一が俺達の友達でいると願おう」

 

そして、二人はいきなり窓を開け……

 

「「星に……願いを」」

 

空を見上げ手を祈るように上に掲げた。

 

「お前達はこの学園に怪しいスイッチでも配るつもりなのか?」

 

そんな事をしたら宇宙が来るぞ。ドリルとロケットにやられるぞ。

 

「そして、俺達の願いを聞き入れた翔一はこう言うんだ」

 

まだ続きがあるのか?

 

「その欲望、解放しろ……と! 」

 

 

「何でお前らの欲望を解放するんだよ。馬鹿」

 

「「とりあえず羨ましいんだよ!!」」

 

何がとりあえず何だか。

 

俺はとにかくこの学校にいるということはわかったので二人からどこのクラスか聞き昼休みに会いに行くことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え、お休み?」

 

 

「は、はい。何でも用事とかで……」

 

昼休みに搭城ちゃんの教室に行ったら搭城ちゃんのクラスメートが教えてくれた。

どうやら休みらしい。

 

「何か、用事の内容とか聞いてない?」

 

 

「はい。搭城さんはそういうの余り話さないタイプなので。

私も余り話さないですし……」

 

 

と、クラスメートは語る。

 

しかし困った。これでは様子を見ることも出来ない。

 

 

「うん、わかった。ありがとな、教えてくれて」

 

「い、いえ!!こ、この位ならいつでも言ってください!!」

 

 

俺が礼を言うと搭城ちゃんのクラスメートはそう言いながら教室に入っていった。

 

 

「そうか。居ないのか……」

 

怪我は大丈夫何だろうか。

 

そして、放課後……

 

松田達が今日遊びに誘ってくれたのだが、今日は遠慮すると言って一人で帰っていた。

そして俺は昨日行った公園にいる。

コアメダルを探すのと、今ある情報の整理の為に一人で考えたかったからだ。

 

「さて、何処にもないな。うん」

 

そう簡単には見つからないとは思っていたけど、誰か拾ったのだろうか。

 

「少し休憩だな」

 

 

時間帯は午後6時位だ。俺はとりあえず公園のベンチに座る。

 

「しかし、悪魔か……」

 

悪魔が学園に居るのは知っていた。

しかし、ドライグは居るのを教えてくれただけでそれが何者なのかは教えなかった。

ドライグ曰く普段は隠すように気配を抑えているから相棒ではまだ確認が難しい。とのこと。

更にドライグは何かをするわけではないので放っておくのだし、知る必要も無いだろうと言っていた。

 

「そう言えばあの堕天使、俺のことを主なのかと聞いていたな」

 

なら搭城ちゃんは転生した悪魔?

今まで襲われていなかったのを思うと主は近くに居るよな……

 

「まさか、オカルト研究部の人達は……」

 

そうなると二人が言っていたリアス・グレモリー先輩も姫島朱乃先輩も悪魔って事になる。

そして次に俺の身体の事。

 

「朝はあれだけ気分が悪かったのに夕方辺りから凄い身体が軽いんだよな」

 

まるで羽がついたように軽くなってる。

何でなんだろう?

 

「この辺も考える必要があるか……」

 

そう呟いた後、休憩を終了してまたコアメダルを探したが見つかることはなかった。

 

「……無いなぁ。何処にあるんだろ?」

 

結局見つかることはなかった。

 

「……今日は帰るか」

 

とりあえず今日はもう辞めにして帰ろうと思った、そんなときだった。

 

 

「ほう数奇な者だ。こんな都市部でもない場所で、よもや貴様のような存在に出会うとは」

 

帰ろうとした瞬間に感じた威圧感。

後ろを向くと、黒い羽を生やしたスーツの男性がいる。

この存在を俺は知っている。

 

「……この気配、お前は堕天使か?」

 

「流石に知っているか。貴様の主は誰だ?」

 

なんの事だ?主ってなんだ?

 

「……一体なんの事だ?」

 

「なるほど、よもやはぐれか。

ならばここで殺してしてしまっても問題ないか」

 

堕天使が光の槍を形成している。

おいおい、ここでやるつもりか!?

 

 

「死ね」

 

 

「危ねっ!!」

 

 

俺は堕天使が放つ光の槍を避ける。

そして、オーズドライバーを取り出し装着する。

 

「何で俺がはぐれと言われているのかは判らない。

だけどお前の勝手な決めつけで関係の無い悪魔が殺されそうになるというのなら……」

 

タトバにはなれないけど、他のメダルはある。

俺はメダルを3枚取り出してオーズドライバーにセットする。

 

「俺はお前を倒す!!……変身!!」

 

そして俺はメダルをスキャンする

 

ーーークワガタ!!

 

ーーーウナギ!!

 

ーーーチーター!!

 

その音声の後に現れた姿は緑、青、黄色で構成された姿。

前回のように歌はないけど同じオーズである。

頭部はクワガタ虫を模したクワガタヘッド。

胸部はウナギを模したウナギアーム。

そして脚部はチーターを模したチーターレッグ。

オーラングサークルにはクワガタ虫とウナギとチーターが描かれている。

名前をつけるなら『仮面ライダーオーズガタウーター』と言った所だろうか

 

「何だ、その奇妙な姿は!?」

 

 

堕天使は俺の姿を見て驚く。

 

「行くぞ!!」

 

俺堕天使に一瞬の内に近づく。

 

「なっ!?は、速い!!」

 

「食らえ!!」

 

堕天使はかわそうとするが、それより先にクワガタヘッドの能力で電撃を食らわせる。

 

「更にこいつだ!!」

 

俺は更に肩につけられている。ウナギアームの武器、電気ウナギウィップで堕天使に電撃を浴びせる。

 

「グアァァァッ!!」

 

かなり効いているようだ。

 

「舐めるな!!」

 

堕天使は負けじと光の槍を放つ。

 

「うわっ!!」

 

それにいち早く気付いた俺はそれを走ってかわす。

 

「なんて、速さだ!!」

 

堕天使が驚いている。

それはそうだ。チーターレッグはオーズの中でも最速のスピードを誇る。

そう簡単に追い付けると思うなよ!!

 

「次はこれだ!!」

 

俺カマキリメダルを取り出しウナギメダルと入れ換え、スキャンする。

 

ーーークワガタ!!

 

ーーーカマキリ!!

 

ーーーチーター!!

 

 

すると胸部がウナギアームからカマキリアームに変わる。

 

「何!?姿が変わっただと!?」

 

 

「オリャァァッ!!」

 

堕天使が姿が変わっているのに驚いて動きが止まっている隙に、カマキリソードを使い堕天使を斬りつけていく。

 

「グハッ!!……くそっ!!貴様ごとき下等生物がこの高貴なる私に!!」

 

堕天使が怒りで我を忘れて最初に放った光の槍よりも強大な槍を形成している。

 

「ハァァァッ……ハッ!!」

 

俺は超自然発火能力を発動(変身してても使えます)させ、堕天使の腕と羽根を爆発させる。

 

「グアァァァッ!!な、何故、身体が!?」

 

 

そして、止めを刺す為、オースキャナーでメダルをスキャンする。

 

ーーースキャニングチャージ!!

 

「ハァァァッ………!!」

 

俺はチーターレッグのトップスピードで堕天使に近づく。

 

「セイヤァァァッ!!」

 

そして、クワガタヘッドの雷撃で強化したカマキリソードで堕天使を斬りつける。そして、そのまま斬り抜けていく。

 

「ば、バカなあぁぁぁッ!!」

 

堕天使はそのまま爆発した。

 

「ふぅ、終わったか」

 

堕天使は俺の事をはぐれと言っていたが……一体何故?

 

「……何だ?」

 

すると悪魔の気配を俺は感じとる。

 

「誰だ!!一体何処にいる!!」

 

俺がその場を警戒しながら言う。

 

すると出てきたのは紅い髪をした女性ともう一人……あれ?あの娘、搭城ちゃんじゃ……

 

「何者だ。お前は」

 

 

「私はリアス・グレモリーよ。

まずはその姿を解いてくれないかしら?それでは話も出来ないわ」

 

俺がそう言うと女性、リアス・グレモリー先輩は話し合いがしたいようだ。

 

「……わかった」

 

 

そして俺は変身を解除する。

すると、搭城ちゃんがものすごい速さで俺に近づく。

 

「先輩!!大丈夫ですか!?どこか怪我をしたとかありませんか!?」

 

何故か俺をめっちゃ心配してくれる。

……えっと、どう答えたら良いんだ?

 

「た、大丈夫。あいつ弱かったし、怪我もしてないよ」

 

とりあえず、搭城ちゃんを落ち着かせるためそう伝える。

 

「……そうですか。良かったです」

 

それを聞くと搭城ちゃんは安心したような顔を浮かべた。

……えっと、無表情?

俺は松田達からそう聞いたけど、結構感情を出す娘なんじゃないか?

 

 

「本当に珍しいわね。小猫がここまで感情を出すなんて……」

 

グレモリー先輩が驚いたような顔で搭城ちゃんを見る。

どうやら珍しい事らしい。

 

「それで何のようだ?」

 

俺がグレモリー先輩にそう聞くと先輩は俺を見てこう答えた。

 

「貴方を助けに来たのだけれど、どうやらその心配は無いみたいね」

 

先輩は俺の後ろの戦闘した場所を見て答える。

 

「少し、話があるのだけれど良いかしら?」

 

「悪いけど今日はもう遅い。明日、学校でというのはどうですか?」

 

これ以上親を心配させる訳にはいかないしな。

 

「……そうね。そうさせてもらうわ。行くわよ。小猫」

 

そうすると先輩達の足元に魔方陣の様なものが現れる。

 

「じゃあね。白亜翔一君。明日学校でね」

 

「……先輩。また明日です」

 

魔方陣が強く光った後、二人とも消えていた。

 

「どうやら、一波乱ありそうだな」

 

俺はそう思いながら家に帰って行った。

 

……あ。メダルの事、聞くの忘れた。

 

…………まぁ、いっか。

 

 

 




えっと、とりあえず、無い文才を振り絞りここまで書けました!!

やっぱり、どこか無理矢理感が……

後、今回からカウント・ザ・メダルを始めました。

やっぱり、オーズといえばこれですよね!!

こんな物語ですけどよろしくお願いします!!



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悪魔との会合

カウント・ザ・メダル!!

現在、オーズの確認されているメダルは………

タカ(不明)

トラ(不明)

クワガタ×1

カマキリ×1

バッタ(不明)

ウナギ×1



 

前回、堕天使を倒して更にリアス・グレモリー先輩と会った夜から翌日。

俺は部屋で眼を覚ました。

 

「………何だ、これ?」

 

部屋を見渡すと扉のところに見慣れない箱が置いてあった。

 

「そういえば、昨日母さんが……」

 

俺は母さんが何か荷物が届いていたと言っていたのを思い出す。

昨日面倒くさくて開けてなかったな。

 

「……開けて見るか」

 

俺は箱を開けて中身を確認する。

 

「……これは?」

 

中に入っていたのは、一振りの剣だった。

全体的にメカニカルなデザインをしていて中に空洞の部分があり、そこにはメダルを入れることが出来そうだ。

 

「中に手紙が入っている。一体なんて書いてあるんだ?」

 

俺は中にある手紙を読む。

 

『その剣の名はメダジャリバー。これは、オーズであるお前が使う武器だ。これはメダルインジェクションと呼ばれる部分からセルメダルを入れることによって性能があがる。勿論普通の剣として使う事も出来る。上手く使えよ?』

 

その手紙にはそう書かれていた。

 

「差出人は、書いてないか……」

 

俺はメダジャリバーを手に取る。

 

「しかし、どう仕舞えば良いんだ?」

 

流石に学園に持っていく訳には……

 

「あ。そうだ」

 

俺はオーズドライバーを取り出し、メダジャリバーを近づける。

するとメダジャリバーは光に包まれ、オーズドライバーの中に収納された。

 

「これで良し」

 

これは前に発見したもので、どういう風に使おうと思っていたけど、使い道があって良かった。

 

「さて、さっさと飯でも食べに行くか。」

 

そして俺は、制服に着替え、リビングに行くために部屋を出た。

 

 

「あら、おはよう白亜君。お邪魔しているわ」

 

俺はその光景に唖然とする。

 

…… 今起こったありのままを話そう。

朝食を食べようとリビングに来たら、昨日話し合うと言っていた恐らく悪魔である学園一の美少女と言われているリアス・グレモリー先輩が俺の両親と一緒に楽しく食事をとっていた。

何を言っているのか分からないと思うが、俺も何を言っているのか分からない。催眠術とか超スピードとかそんなチャチな物じゃない。

もっと恐ろしい物の片鱗を(ry

 

「あら、どうしたの?翔一」

 

「早くこっちに来なさい」

 

両親がこちらに来るように言ってくる。

いや、あんた等少しは疑問を持てよ!?

 

「……とりあえず、何で此処に居るんですか?先輩」

 

「決まってるじゃない。迎えに来たのよ」

 

先輩はさも当然のように言ってくる。

 

 

「とにかく、ご飯にしましょう?冷めてしまうわ」

 

「は、はい」

 

俺は言われるがままに自分の席に座り、朝食を食べる。

 

「しかし、リアスさんは外国育ちなのに日本語が達者だねぇ」

 

「はい。日本での暮らしが長いですから」

 

「はっはっはっ、そうですか。それはそれは」

 

先輩は何故か楽しそうに家の両親とお喋りしている。

いつの間に仲良くなったんだよ。

 

「それで、リアスさん。ひとつ聞いていい?」

 

母さんが先輩に質問をする。

 

「はい。何でしょうか?」

 

 

「いえ、学園が同じなのは聞いたのだけれど……家の翔一とはどういった関係で?」

 

母さんはいきなり何を聞いてるのだろうか。

 

「白亜君とは、ただの仲の良い後輩ですわ。お母様」

 

 

先輩も有ること無いこと言わないでください。

 

「あらあら、そうですか」

 

先輩の言うことを完全に信じてしまう母さん。

何故家の両親はこう、警戒心が無いのだろうか?

 

先輩と母さん達が話し合ってる間に俺は朝食を食べ終わる。

 

「じゃ、学校に行ってくる」

 

そういって俺は立ち上がり、いつも通り学園に行こうとする。

 

「待って、私も行くわ」

 

俺が立ち上がると先輩も立ち上がり、後をついてきた。

 

「行ってきます」

 

「行ってらっしゃい。リアスさんも気を付けてね」

 

「フフッ、分かっていますわ。お母様」

 

そして俺と先輩は家を出た。

 

 

 

「良い両親じゃない。白亜君」

 

通学中、先輩が話し掛けてくる。

 

「そうですか。ありがとうございます」

 

「白亜君……いえ親しみを込めて翔一と呼ばせてもらっても良いかしら?」

 

別に呼び方はどうでも良いので、俺は了承する。

 

「それで、何で家に来たんですか?別に学園で会えば良いと思うんですけど」

 

 

「いえ、明日とは言ったけど、いつ会うとかはいってないでしょ?だからそれも決めておこうと思って」

 

先輩の言葉にそういえばそうだなと思った。

 

「それに、気になってしまったのよ。堕天使を倒した、そのメダルの力がね?」

 

先輩は俺が首にかけているセルメダルを指差し、答える。

 

「ああ、これについてはちゃんと説明させて貰いますよ。俺も先輩に聞きたい事はありますので」

 

「えぇ、そうさせて貰うわ」

 

こうして俺と先輩は学園に向かった。

 

 

通学中、学園に近づくと何故か会う女子生徒が驚愕といった表情をしていた。

 

「何故、リアス様が男と……」

 

「そんな!?やっぱり、お姉様系だとでもいうの!?」

 

「白亜君、狙っていたのになぁ……」

 

「白亜君には木場君がいるじゃない!!」

 

との声があがる。

だから最後の奴!! 俺はノーマルだ!!それに、木場とも会ったことないわ!!

 

 

「翔一って、人気者なのね」

 

「全然嬉しくないです」

 

特に最後のは。

その後、学園の玄関で別れたときに

 

「放課後、使いを出すわ。お話はその時で」

 

と告げて去っていった。

 

その後、教室に入ると、嫉妬の視線が俺を突き刺す。

松田曰く、学園のアイドルと言われているリアス・グレモリー先輩と一緒に登校すればこうなるか。

 

俺が自分の席に座った瞬間にものすごいスピードでこっちに向かってくる奴がいる。

松田と元浜だ。

 

「翔一ぃぃぃっ!!」

 

「どういう事だぁぁぁっ!!」

 

「うおっ!!どうしたお前ら!?」

 

流石に恐怖を感じる位のスピードと形相をしていたので俺は驚いてしまう。

 

「何があった!!昨日学校から帰った後何があったぁぁぁっ!?」

 

「一体どんな事件があれば学園のアイドルにお近づきになれるんだぁぁぁっ!?」

 

「ちょっ!!お、お前ら落ち着け!?」

 

俺の肩を揺さぶりながら聞いてくる二人を落ち着かせようとする。

 

「これが落ち着いていられるか!!」

 

「さあ、吐け!!何故お前にだけそんな奇跡的な幸運が雨のように降り注ぐのだぁぁぁっ!!」

 

とりあえず、ありのままを話すことにした。

 

「……なぁ、知り合って間もない先輩が俺の両親と一緒に食事をして俺が起きるのを待ってたんだけど……これなんてエロゲ?」

 

それを聞くと何故か松田と元浜が戦慄したので放っておいた。

触らぬ変態に祟りなしだ。

 

 

 

 

 

そして、放課後………

 

 

 

「やあ、君が白亜翔一君だね」

 

先輩の使いを待っていると俺の前に現れたのは、前に松田達が言っていたこの学園一のイケメン木場祐斗であった。

何故彼が俺に?

 

「そうだけど、何のよう?」

 

「リアス・グレモリー先輩の使いで来た」

 

その言葉に俺は表情を変える。

 

「へぇ、じゃあお前が俺を?」

 

「そういうことになるね」

 

木場がそう言うと俺は自分の席から立ち上がる。

 

「じゃ、案内して貰おうか。先輩のいるところに」

 

俺はそう言うと木場と一緒に教室を出た。

 

「見て!!木場君と白亜君よ!!」

 

「あの二人のツーショットなんて滅多にないわ!!一眼レフを用意しなさい!!」

 

「あぁ……創作意欲が沸き上がる!!」

 

……突っ込まない。突っ込まないぞ。

繰り返しのギャグは連続で三回までだ。ここで突っ込んでしまってはまた同じ反応になってしまう。

 

因みに木場はどうだろうか。俺は木場の顔を見てみる。

 

「ん?……どうしたんだい?」

 

「……いや、別に……」

 

どうやら木場は気にしていないようだ。

………気にしろ!!

 

とまあ、なんやかんやで木場に案内されついたのは旧校舎。

今は使われていない筈だけど……あ、オカルト研究部の部室があるのか。

 

「ここに部長が居るんだ」

 

木場が先輩の呼び方を変えていた。どうやら先輩がオカルト研究部の部長のようだ。

旧校舎の中は掃除が細かいところまでされているらしく目立った汚れ等は見当たらなかった。

 

「さあ、着いたよ」

 

周りを見渡している間に目的地に着いたようだ。

立ち止まった扉のプレートには『オカルト研究部』と書かれていた。

前にも少しだけ思ったがオカルトの塊みたいな悪魔がオカルト研究て……

 

「部長。白亜翔一君を連れてきました」

 

「良いわ。入ってきなさい」

 

入室の許可が出たので木場の後に続いて入った俺はそこで異様な光景に出くわした。

 

デスクとソファーが置いてあるのは普通に思える。しかし、室内は壁や床、天井に至るまで面妖と言える文字が描かれている。

そして教室の中央には巨大な魔方陣が描かれている。

うん。なんて書いてあるのかさっぱりわからない。

 

ふと、ソファーの方を見ると塔城ちゃんが座っていた。黙々と羊羮を食っている。

 

俺の視線に気がついたのか、塔城ちゃんはこっちを向いていた。

 

「……先輩」

 

塔城ちゃんが手招きをしてこちらに座るように促している。

とりあえず、呼ばれたので俺は塔城ちゃんの隣に座る。

俺が隣に座ると満足したのか若干嬉しそうな表情をしてまた羊羮を食べ始めた。

 

「ははっ、部長から聞いていたけど実際に見ると驚きだね」

 

と苦笑を浮かべながら驚いた顔をした木場がそう言ってくる。

何が驚きなんだろうか?

 

「……祐斗先輩には関係ないです」

 

塔城ちゃんは拗ねたような口調で木場に言う。

本当になんだろうか?

 

 

シャー。

 

 

うん?水の流れる音?

室内を見渡すと奥の方にシャワーカーテンがあった。

どうやら誰かシャワーを浴びているようだ。

……何で!?何でシャワーがあるの!?

 

「部長、これを」

 

「ありがとう。朱乃」

 

先輩とは別の女の人の声が聞こえる。

今着替えを渡しているのが恐らく姫島朱乃先輩だろう。

となると、今着替えているのはリアス先輩ではないか。カーテンに写る陰を見るにスタイルは良いな。うん。

恐らく中には未知なる世界が……

 

「痛えぇっ!!」

 

俺がシャワー室(仮)を見ていると脇腹に刺されたような痛みがっ……!!

 

「……むぅ」

 

痛みを感じた方を見るとそこには拗ねたような塔城ちゃんと何故かフォークがあった。

 

「あの……塔城ちゃん?それ、羊羮を食べるのに使ってるやつじゃないよね?多分それ俺を刺す為だけに用意したよね?」

 

「……いやらしいのは駄目だと思います」

 

え?何で俺が先輩の肢体を想像したのわかったの?顔に出てた?

 

「木場君、どう思うよ。顔に出てた?」

 

「僕はそうは見えなかったけどね。それと僕の事は普通に呼び捨てでいいよ」

 

俺が木場に聞くと顔には出ていないようだ。

じゃあ、塔城ちゃんエスパー?

 

「……私も小猫と呼んでください」

 

「OK、よろしくな。木場、小猫ちゃん」

 

「うん。これからよろしく」

 

 

「……よろしくです」

 

「あら?自己紹介は済んだみたいね」

 

俺達が自己紹介をしていると着替えが終わった先輩がこちらに来る。

それともう一人、先輩の後方にいる女性が姫島朱乃先輩だろう。

なるほど黒髪ポニーテールか……松田辺りが歓喜しそうだな。

ポニーテールは俺も好きだけど……。

 

「ごめんなさいね。ちょっと調べ物があって、汗を流したかったのよ」

 

さいですか。

 

「こんにちは。白亜翔一君。そしてようこそ、オカルト研究部へ。

歓迎するわ……悪魔としてね」

 

 

先輩は微笑みながらそう言ってきた。

……悪魔?

 

 

「粗茶です」

 

「あ、どうも」

 

朱乃先輩がお茶を淹れてくれたので、お礼を言う。

 

ズズッ、あ、美味い。

 

「美味しいですね」

 

「あらあら、ありがとうございます」

 

嬉しそうに笑う朱乃先輩。

 

「つまり要約すると俺は悪魔になったと言うことですか?」

 

「ええ、そうよ。貴方は転生して悪魔になったの」

 

俺が質問するとリアス先輩がこう答える。

 

「なら、貴方を襲った存在はわかる?」

 

「はい。……堕天使ですよね?」

 

俺がそう言うと先輩を含めた全員が驚いた表情をする。

 

「じゃあ、この世界についても?」

 

「細部までは分かりませんけど大体の事は分かります」

 

俺はドライグが教えてくれた情報を話す。

この世界は悪魔と堕天使、そして天使が太古から三竦みの争いをしている事、ある日二天龍がかなり傍迷惑な喧嘩をして神器に封印されていること。俺の知っているすべてを話した。

 

「よく知っているわねその知識については誰から教えてもらったの?」

 

 

……やっぱりそこを聞いてくるよな。

 

「……今は教えることはできません。すみませんが」

 

ドライグの事は一応伏せておく。

 

「そう、仕方ないわね。じゃあ、貴方が襲われた理由については?」

 

先輩は襲われた理由を聞いてくる。

 

「……恐らく俺の中の神器かと」

 

「へぇ、その神器、今ここで見せられるかしら?」

 

先輩はとても興味深いというように聞いてくる。

 

「今は本調子ではないので見せることは出来ません。それに本調子ならあの程度の堕天使は変身しないでも倒せます」

 

「へぇ、随分な自信ね」

 

ますます先輩は俺の神器について興味をしめしたようだ。

 

「最後に、貴方が使うそのメダルについて教えて貰える?」

 

先輩がメダルを指差しながら言ってくる。

 

「ええ、良いですよ。先輩」

 

「後、ここでは先輩ではなく部長と呼んでくれないかしら」

 

「了解しました。部長」

 

そう言って俺はセルメダルとコアメダルを取り出す。

 

「まず、このメダルの総称は『オーメダル』と言います。オーメダルには二種類あり、この色がついて金色で縁取りをしているのが『コアメダル』、銀色1色で描かれているのが『セルメダル』です」

 

「……あ、それは……」

 

コアメダルを見た小猫ちゃんは自分のポケットを探りあるものを取り出した。それはタカメダル、トラメダル、バッタメダルの3枚だった。

 

「それ、俺のコアメダル!!小猫ちゃんが持っててくれたのか」

 

「……先輩が倒れていたところに落ちていたので」

 

小猫ちゃんはコアメダルを俺に差し出す。

俺はそのコアメダルを受けとる。

 

「ありがとう。これが他の人の手に渡ったら大変なことになってたよ」

 

「翔一。大変なことと言うのは?」

 

部長が不思議そうに聞いてくるので答えることにする。

 

「コアメダルはとてつもない力を、欲望を持っています。これを使いこなせるのは俺だけです。この力を使えば、1枚で……そうですね、分かりやすく言えばただの人間が中級悪魔、いえ、下手をしたら上級悪魔位の力を得ることができます」

 

「なんですって!?」

 

その言葉を聞き、部長達が驚く。そして俺はさらに話を続ける。

 

「しかし、コアメダルの欲望は下手な制御では出来ません。使った者は確実に暴走して、最終的に欲望に呑まれて欲望のままに動く怪物になります。」

 

「先輩はそんなものを使っていたんですか!?」

 

小猫ちゃんは顔を青ざめながらも聞いてくる。

 

「と言ってもコアメダルの事を知っている人物は俺しかいないので、安心してください」

 

「そ、そう。それでそのセルメダルと言うのは?」

 

部長がセルメダルを指差しながら聞いてくる。

 

「セルメダルはコアメダル程の力はありませんがそれでもかなりの力を秘めています。コアメダルとの最大の違いは使えば無くなるという所ですね」

 

「それも使えば、暴走してしまうのかしら?」

 

「いえ、セルメダルは暴走の心配はありません。それにセルメダルも俺しか持っていないのでそれも安心ですけどね」

 

最後に俺はオーズドライバーを取り出す。

 

「そして俺はこのオーズドライバーでコアメダルを使い変身します。

……これについては見せた方が早いですね」

 

俺は立ち上がりオーズドライバーを装着する。そしてメダルをセットしてスキャンする。

 

「……変身!!」

 

ーーータカ!!

 

ーーートラ!!

 

ーーーバッタ!!

 

ーーータ・ト・バ!! タトバ タ・ト・バ!!

 

歌が終わり、現れたのはオーズに変身した俺だった。

 

「これが仮面ライダーオーズです」

 

「……これが、仮面ライダーオーズ」

 

「凄い力を感じる」

 

それぞれが驚いた表情をする。

 

「翔一君。1つ聞いてよろしいですか?」

 

「はい。どうぞ」

 

朱乃先輩が聞いてくるので俺は変身を解除しながらそう答える。

 

「仮面ライダーと言うのはどういうものなのでしょうか?」

 

「……仮面ライダーは何かを守るために戦う戦士の事です。俺はそう思います」

 

俺が映司さんから話を聞き学び得たもの仮面ライダーとはそういうものだと俺は思う。

 

「そう。貴方の力についてよくわかったわ」

 

部長は俺の説明を聞いて納得したようだ。

……まだ話してない力はあるけどね。

 

 

「後、1つ気になったのだけれど……」

 

「……私も気になりました」

 

「私もですわ」

 

「実は僕もだけど……」

 

「どうしたんですか?」

 

部長達が不思議そうな顔をしている。何を聞きたいんだろうか。

すると部長が意を決して聞いてきた。

 

「変身したときの歌って何?」

 

「それについてはスルーでお願いします。俺も良く分からないので」

 

コンボになると何故か流れるからよくわからない。

良く言うじゃないですか。歌は気にするな。

 

「さて、じゃあ改めて自己紹介するわね」

 

部長がそういうと突如部長達の背中から蝙蝠のような翼が現れた。

 

……俺も出来るのかな。やってみよ。

 

俺がそう思うと俺の背中からも現れた。

……やれば出来るんだな……。

 

「まずは祐斗から」

 

「僕は木場祐斗。翔一君と同じ二年生で、悪魔です。よろしくね」

 

木場は笑いながら自己紹介をする。

 

「……一年生。塔城小猫です。……悪魔です」

 

小猫ちゃんは小さくお辞儀をした。

 

「三年生、姫島朱乃ですわ。一応、この部の副部長も兼任しております。今後ともよろしくお願いします。そして、悪魔ですわ」

 

朱乃先輩は礼儀正しく頭を下げる。

 

「最後に私が彼等の主であり、貴方の主であるリアス・グレモリー。この学園の三年生で……悪魔よ」

 

リアス部長は堂々とそう答えた。

……なら、俺も。

 

「白亜翔一、二年生。悪魔であり、仮面ライダーです。これからよろしくお願いします!!」

 

「ええ、よろしくね。翔一」

 

 

自己紹介を終えた俺は、今後の事を考えながらどう過ごすか自分のなかで決めようとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回のコアメダルについては独自的なアイデア、解釈が含まれています。ご了承ください。
それと相も変わらず無理矢理感が……

次回もよろしくお願いします!!


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悪魔のお仕事と金髪シスターとはぐれ

カウント・ザ・メダル!!

現在、オーズの確認されているメダルは………

タカ×1

トラ×1

チーター×1

クワガタ×1

カマキリ×1

バッタ×1

ウナギ×1


 

「えっと、次はここだな」

 

どうも、白亜翔一です。今は真夜中、何故俺がそんな中こんなに走り回っているというと初めてのお仕事だからである。

内容はザ・チラシ配りだ。

 

このチラシには簡易的な魔方陣が描かれており、欲望がある人間がこれに触れて願いを込めると悪魔が現れる仕組みらしい。

部長から貰った携帯機器を使い、モニターに写っている赤い点がある家にこのチラシをポストに入れる。

ここ数日はこれの繰り返しだ。

 

「えっと、後は……あの辺か」

 

少しなら出来るテレポートを最大限活用してチラシを配る。

はっきり言おう………メッチャ疲れる!!

まず、悪魔になって夜の方が体力が向上していてもテレポートは疲れる。元々テレポートの範囲は80m程だし、連続で移動出来る距離は600m程しかない。だからよっぽど遠い距離以外はテレポートを使わないのだが300mも離れてる距離に跳ぼうとするともうかなり疲れる。

しかし、俺は新たなる移動道具を手に入れたのだ。

 

「お、あったあった」

 

俺は自動販売機を見つけ、それに近づく。何故自動販売機?と思う人も多いだろう。しかし、これはただの自動販売機ではない。

 

「セルメダルを投入っと」

 

俺は自動販売機にセルメダルを入れて赤い缶があるボタンを押す。

 

『タカカン』

そして、自動販売機から出てきた赤い缶のプルタブを引く。

するとただの缶が、鳥のようなフォルムになり空を飛び始めた。

これは『カンドロイド』と言う。

 

そして、セルメダルをもう1枚投入して今度は大きなボタンを押す。

すると自動販売機は変形してバイクになったではないか。

人はこれを『ライドベンダー』と言う。

 

「じゃあ、このチラシをこの位置まで頼むな」

 

俺はタカカンドロイドに指示を出しチラシを1枚持たせて目的地まで飛ばす。

……本当に便利だなあれ。

 

「さて、それじゃ俺も行くとするか」

 

そして俺はライドベンダーに跨がり、目的地まで行った。

この二つはいつのまにかあったものの1つで別に気にすることはない。

 

そんな下積み期間を始めて数日後……

 

「翔一、今回から本格的に契約を取ってきてもらうわ」

 

ある日、部室を訪れた俺は部長にそんなことを言われた。

 

「はい。わかりました」

 

「最初は初めてだから緊張するかも知れないけど、しっかりやりなさい」

 

すると魔方陣が展開する。

ここから転移して依頼者のもとに行くらしい。

そして転移してあった依頼者をざっくりと説明していこう。

 

まず、最初の人物は、オカルト大好き変人金丸さん。

俺にあった瞬間に写真をとり「あ、悪魔だぁ……ウェヘェヘェヘェッ」

とよくわからない笑い方をした人物だ。

彼はどうやら悪魔とお話しがしたく呼び足し出したようでオカルト的なお話しを聞き、そして俺が瞬間移動や超自然発火能力を見せてあげると物凄く大喜びして契約をしてくれた。

対価として渡してくれたのは……何か水晶で出来た頭蓋骨だった。昔はトレジャーハンターだったらしい。

 

続いての依頼者はピチピチのゴスロリのような格好をした語尾に『にょ』と付ける漢、ミルたんである。

彼曰く「魔法少女にしてほしいにょ」らしい。

はっきり言おう。寝言は寝てから言え!!

と言うのもあれなので、とりあえず鍛えるように言ったら本気で鍛え始めた。

まぁ、超人的な強さは得るだろう。

と鍛えている時に言ってみたら契約をしてくれた。対価はどっかの組織とやりあったときに見つけた魔道書(何かの文字でかろうじて冒険の書と書いてあるように見えるやつ)だそうだ。

組織とやり合うて……

 

そして最後に三人目、名前は……なんていったっけな?

転移したと思ったらハッピーバースデー!!と大きな声で言ってきた。

何故か映司さんの事を知っておりオーズのことも知っている人だった。そして会社を経営しているらしく、何かの研究をしている人だった。

そして俺にタカとトラとバッタのコアメダルを渡したらケーキを作り始め、そのケーキも貰った。

……悪魔なのに貰ってばかりだな。

因みにその人の願いはこの世界のオーズに会いたかったということらしく対価はケーキとコアメダルらしい。

タトバはもう持ってるんですけど……

 

後日知ったのだが、その人は異世界の人物だったらしく。その人を覚えてる人は誰もいないとか……

 

そして今俺は部室にいる。

 

「前代未聞よ」

 

部長が何故か頭を抱えている。

あれ?俺契約取ったよね?詐欺にあってないよね?

 

「ど、どうしたんですか?部長」

「いえ、契約者にはチラシの裏にアンケートをとって貰ってるんだけどそのアンケートの結果が……」

 

「悪かったんですか?」

 

「いえ、むしろ凄く良いわ。何故かって言うくらい」

 

良かったなら何で?

 

「この紙にね、チラシの裏にアンケートを書いてあるのが見えるのだけど……」

 

と言って部長は

 

「読むわね……『とても楽しいものだったよ。つ、次は、悪魔との駆け引きも見てみたいな。ウェヘェヘェヘェッ』……だそうよ」

 

あの特長的な笑い方は金丸さんだろう。

部長、何か恥ずかしがってません?

 

「更にもう一人は『君の活躍楽しみにしているよ!!オォォォォズ!!』だ、そうよ」

 

恐らくあの社長さんだろう。名前忘れたけど。あ、ケーキ美味しかったです。

 

「最後の一人も同じような事を書いているわ。本来ここまで悪魔と友好的になることなんてあまりないのよ。更に言ってしまえば、これは一応ビジネスだからね……」

 

へぇ、そうなんですか。

 

「まぁ、契約は取ってきたのだしこれからも頑張りなさい」

 

「はい!!」

 

俺のはじめてのお仕事は一応、成功に終わった。

 

 

 

 

そして、数日後のある休日。特訓の後、特にすることもなく街を歩いていた。

 

「暇だな。いつもならドライグと話をして時間を潰すんだけどなぁ。ゲーセンにでも行くか……ん?」

 

ゲーセンに行こうと歩き始めると前の方でそわそわした動きをしているシスターさんがいた。

 

「はわぅ!!」

 

あ、転けた。

 

「き、君、大丈夫?」

 

流石に心配なので、近づいて声をかけてみる。

 

「は、はい。大丈夫です」

 

「随分派手に転んだね。ほら」

 

俺は手を差しのべ、シスターさんを起き上がらせる。

 

「あ、ありがとうございます」

 

その時風でシスターのヴェールが飛んでいく。中から現れたのは綺麗な金髪のストレートの長髪。そして、姿を現した瞳はこれまた綺麗なグリーンで、その瞳に吸い込まれてしまいそうな感覚があった。

 

まぁ、一言で言えば……可愛い。

 

「そういえば、怪我はないか?」

 

俺は飛ばされていたヴェールを拾い、手渡す。

 

「あ、ありがとうございます。あうぅ、どうして何もないところで転んでしまうんでしょうか?」

 

シスターさんは必死に考えている。その姿に何故か癒されてしまう。

ふと、横を見ると旅行カバンが見えた。

 

「旅行にでもきたのか?」

 

「いえ、違います。実はこの町の教会に赴任することになりまして……この町の方なのですね。これからよろしくお願いします」

 

シスターさんはペコリとお辞儀をする。

 

「ああ、よろしく。……と、自己紹介が遅れたな。俺は白亜翔一、翔一と呼んでくれ」

 

「私はアーシア・アルジェントと言います。アーシアと呼んでください」

 

俺とアーシアは互いに自己紹介を終わらせた所で、何をしていたのか聞いてみる。

 

「そういえば、こんな所で何をしていたんだ?」

 

するとアーシアは困惑した表情をして

 

「実は、教会に向かう途中で道に迷いまして……道行く人に聞いても私、日本語が上手くなくて、皆さんに言葉が通じなくて……」

 

なるほどそういうことか。因みに俺には通じているのは悪魔の力で聞き取れるらしい。

「教会なら多分知ってるよ。案内してあげるよ」

 

「本当ですか!!ありがとうございます!!これも主のお導きです!!」

 

俺達はとりあえず、目的の場所に行った。

 

歩き始めて数分後……

教会へと向かう途中の公園で男の子にあった。

どうやらここで転んでしまったようだ

 

「あの子大丈夫かな……あれ、アーシア?」

 

アーシアは公園の中の男の子に駆け寄っていく。俺もその後を追う。

 

「大丈夫?男の子がこんな怪我で泣いちゃダメですよ」

 

アーシアは優しい笑顔をして男の子の頭を撫でている。そして、何故か男の子の怪我をした膝に手を当てる。

次の瞬間、アーシアの手から淡い緑色の光が発せられた。

あれは……神器(セイクリッド・ギア)の力?

 

その光は男の子の怪我を治していた。

回復系の力か……

 

「はい、これで怪我は無くなりましたよ。もう大丈夫」

 

アーシアは男の子の頭を撫でるとこちらを向ける。

 

「すいません。つい」

 

彼女は舌を出して、小さく笑う。

 

母親はきょとんとしていたがすぐに頭を下げてその場を去ろうとする。

 

「お姉ちゃん、ありがとう!!」

 

男の子がお礼を言ってそのまま帰っていった。

アーシアは何を言われていたのかわからないのか首を傾げていた。

 

「お姉ちゃん、ありがとうってさ」

 

俺が通訳してあげると、アーシアは笑顔をになる。

 

「その力は……?」

 

「はい。治癒の力です。神様がくれた素敵なものなんですよ」

 

そう言ってアーシアは微笑む。しかし、その笑顔は誇らしげでありどこか寂しげなものだった。

 

「そうか……それじゃ早く行こうか」

 

「はい。翔一さん」

 

俺達は目的の教会へと急いだ。

 

そして、公園を出てから数分後

 

「着いたよ。ここだと思うけど」

 

「はい。ここです。案内してくれてありがとうございます!!」

 

どうやらここで合っているようだ。けど確かここの教会って……

 

「じゃあ、俺はここで……」

 

「あ、あの、是非お礼を……」

 

「別にお礼をされる程大したことはしてないよ。人間、助け合いでしょ?」

 

俺は悪魔だけどね。

 

「で、ですが……」

 

「それに俺は少し急ぐから」

 

それに悪魔だからか知らないけど教会に近づいてから何かピリピリしたものを感じる。

 

「そ、そうなんですか……」

 

アーシアはしょんぼりとしてしまう。

 

「じゃあ、またねアーシア。また、会えると良いな」

 

「は、はい!!翔一さん。また、会いましょう!!」

 

 

アーシアはそういうと教会へと入っていった。

うん。また会える気がする。

しかし、今日は良いことをしたな。

 

 

 

「二度と教会に近づいちゃダメよ」

 

怒られた。その日の夜、部室に入ってすぐに部長に怒られてしまった。

 

「教会は私たち悪魔にとって敵地。踏み込めばそれだけで神側と悪魔側で問題になるわ。今回は素直にシスターを送ってくれた厚意を認めたみたいだけど、天使たちは何時でも見張っているわ。いつ光の槍が降ってくるのかわからないのよ」

 

そ、そんなに殺伐としてんですか。悪魔と天使って

 

「いい?翔一。人間は死んでしまっても悪魔への転生で免れるかもしれない。けれど悪魔は悪魔祓いを受けてしまったら完全に消滅してしまう。無に帰してしまうの。何もなく、何も感じず、何もできない。それがどんなことかあなたにわかる?」

 

無か……考えたことなかったな。

俺が少し考えていると反応に困っていると思ったのか部長は首を横にふった。

 

「ごめんなさい。熱くなりすぎたわ。とにかく、今度は気をつけてちょうだい」

 

「は、はい」

 

「あら、お説教は終わりまして?」

 

「朱乃さん?」

 

俺の背後にはいつのまにか朱乃さんがいた。

しかし、この人いっつもニコニコしてるよな。

 

「朱乃、どうかしたの?」

 

部長がそう言うと朱乃さんは少し顔を曇らせこういった。

 

「大公から討伐の依頼が届きました」

 

 

 

 

 

……はぐれ悪魔。主を殺し破壊と欲望の果てに暴れる転生悪魔の成れの果て。

それは野良犬と呼ぶのにふさわしい。

前にもドライグに説明されたが、やっぱりいるのか。

はぐれ悪魔はどの勢力でも危険視されており、見つけ次第殺すようにされているらしい。

何でも枷が外れた悪魔程厄介なものはないとか。

 

と言うわけで俺は部長達とともにある廃屋まで来ている。

 

 

周りはかなり不気味な雰囲気でいかにもいますよとアピールしているかのようだ。

 

「……血の臭い」

 

小猫ちゃんがそう呟き、制服の袖で鼻を覆う。

確かにそうだな。と思い、俺は気配を探ってみる。ってこれわかりやすすぎだろ……

 

「それに気配がバレバレだな。隠す気もないみたいだ」

 

「へぇ、わかるのかい?」

 

気配を感じ取っている俺を見て木場は驚いている。

これくらい出来ないとオーズとしてもやっていけないのです。

 

「やっぱり翔一は、気配を感知する事に長けているようね」

 

部長が確信を持ったように言ってくる。

 

「あの、やっぱり……とは?」

 

「私と小猫があなたに会いに行ったとき完全に気配を消していたのよ?それを感知する事が出来るからもしかしたらって思ったの」

 

たったそれだけで気配がわかることを理解したのか。ていうか気配消してたのか。

 

「生き物にはどうやっても消せない気配がありますから。というかそれだけでわかったんですか?」

 

「ええ、それより翔一。悪魔の駒(イーヴィル・ピース)についてはどこまで知っているの?」

 

「悪魔の駒ですか?正直、他の種族を悪魔に転生させる以外は何も」

 

部長に悪魔の駒について聞かれたのでそう答えておく。

 

「なら、この戦いで悪魔の駒の特性について説明するわね」

 

と部長は言う。駒の特性?

駒の特性について考えていたら突然廃屋の中に充満していた殺気が強くなった。

どうやら、おでましのようだ。

 

「……来たな」

 

俺はオーズドライバーを取り出そうとしたところで部長に止められる。

 

「あなたはいざというときに戦いなさい」

 

どうやら俺の出番はまだ先のようだ。

 

現れたのは上半身は女性、下半身は化物のような姿をした悪魔だった。一番最初に倒した悪魔ににてるな。あれ。

得物は槍といったところか。

 

「不味そうな臭いがするぞ?でも美味そうなにお……(ドガァァン!!)グァァァッ!!」

 

「黙れ。お前、人間をなんだと思ってやがる」

 

こいつから話だけでも聞いてみようかなと思ったが、その必要はないようだ。こいつは俺の嫌いな部類だ!!

そう思った俺は超自然発火能力を発動させ、槍を破壊し、ついでに槍を持っていた手も燃やす。

 

「し、翔一?」

 

「すみません部長。続けてください。」

 

部長達は驚いているがすぐに冷静さを取り戻し、はぐれ悪魔に部長はこういい放つ。

 

「はぐれ悪魔バイサー。グレモリー侯爵の名においてあなたを消滅させてあげるわ」

 

それを腕も燃やされているはぐれ悪魔は聞いているのかわからないくらいに苦しんでいる。

 

「小僧、キサマァァァッ!!」

 

はぐれ悪魔は怒り狂い、部長を無視して俺に襲い掛かってきた。

 

「祐斗」

 

「はいっ!!」

部長の命に答えた瞬間、木場は常人には捉えられないスピードで悪魔に近づいた。

……速いな。

 

「祐斗の駒の性質は『騎士(ナイト)』……騎士なった悪魔は速度が増すわ」

 

木場は、はぐれ悪魔の攻撃をその持ち前のスピードでかわしている。

本当に速いな。赤い彗星もビックリだ。

 

「そして祐斗の最大の武器は……剣」

 

木場はいつのまにか持っていた西洋剣で槍を持っていた腕を一瞬で切り裂いた。

 

「ギャァァァアアアッ!!」

 

はぐれ悪魔の腕からは血が止まらない程に出ている。

その痛みからかはぐれ悪魔は絶叫している。

 

絶叫しているはぐれ悪魔の足元には小猫ちゃんがいた。

はぐれ悪魔は小猫ちゃんを押し潰そうとしていた。

 

 

「って、小猫ちゃんが!!」

 

俺は助けにいこうしたところを部長に止められる。

 

「安心しなさい。小猫の特性は『戦車(ルーク)』その力は……」

 

踏まれていたはずの小猫ちゃんは、はぐれ悪魔を持ち上げていた。

 

「その力はいたってシンプル。馬鹿げた力と圧倒的な防御力。あんな悪魔の踏みつけでは小猫は潰れないわ」

 

 

「……吹っ飛べ」

 

小猫ちゃんはその小さな拳ではぐれ悪魔を殴り飛ばした。

すげぇ。普段の可愛い一面がある時とは偉いギャップだ……!!

 

 

「次は朱乃ね」

 

「はい。あらあら、どうしましょうか」

 

朱乃さんははぐれ悪魔にゆっくりと近づいていく。

既に木場と小猫ちゃんの攻撃を受けているはぐれ悪魔はもうボロボロの状態だ。

しかし、それでも朱乃を睨み付けている。

 

「あら、まだ元気のようですのね。ならこういうのはどうでしょう?」

 

朱乃さんの手から電気のような物が発せられている。

 

「朱乃の駒は『女王(クイーン)』女王は王の駒以外のすべての駒の特性を併せ持つ最強の駒、故に朱乃は最強の副部長よ」

 

次の瞬間、天空から雷が落ちてはぐれ悪魔を襲った。

 

「グァァァッ!!」

 

「あらあら、まだまだ元気のようですわね。じゃあ、もう少しキツいのいきましょうか?」

 

そう言っている朱乃さんの表情は……笑顔だった。

 

「うふふふふふふふ!!」

 

朱乃さんはいい笑顔で雷をはぐれ悪魔に落とし続ける。

二度、三度、四度!!

はぐれ悪魔は最初の一発で既に虫の息なのに……鬼だ。鬼がここにいる……

 

「……部長。朱乃さん、楽しんでませんか?」

 

「因みに朱乃は魔力を使った攻撃が得意なの。そして彼女は究極のSよ」

 

逆にこれを見てSじゃないと言う人がいたら教えてほしい。

俺は朱乃さんの方を見る。

未だに雷を落とし続ける朱乃さん。

あれ?何かさっきより激しくなってません?それに何か生き生きしてません!?

あぁ、この人も悪魔なんだなぁ……

俺、この人には逆らわないでおこう。

 

「大丈夫よ。朱乃は味方にはとても優しいから」

 

「なら、別にいいんですけど……」

 

いや、良くはないか。

 

「うふふ。まだ死んではダメよ。トドメは部長なんですから」

 

 

そう言うと雷を落とすのを止め、部長に道を作った。

 

「なにか言うことはあるかしら?」

 

「……殺せ」

 

はぐれ悪魔の言葉と共に部長の手のひらに強大な魔力が生まれる。黒と赤を混ぜたような気味の悪い色のオーラをしていて危険な感じがビンビンしている。

 

「……なら消し飛びなさい」

 

その一言と共に発せられた魔力の塊によってはぐれ悪魔は跡形もなく消滅した。

 

「さあ、これで終わりね」

 

部長の一言により戦闘の緊張は解かれる。

 

「……先輩。どうでしたか?」

 

小猫ちゃんは俺に近づいて聞いてくる。恐らく先ほどの戦闘の事だろう。

 

「ああ、凄かったよ。強いね、小猫ちゃんは」

 

そう言って俺は小猫ちゃんの頭を撫でる。

 

「……うにゃぁ♪」

 

小猫ちゃんは気持ち良さそうに撫でられている。

え?何この可愛い生き物。

それをやはり驚きの表情で部長達は見ている。

 

「ん?……これは……」

 

突然俺は何かの気配を感じた。

 

「……どうしたんですか?」

 

近くにいた小猫ちゃんが俺の変化に気づき、様子を伺っている。

 

(……どこだ?何処にいる?)

 

俺はそれに構うことなく気配を探り続ける。

 

「翔一、どうかしたの?」

 

流石に部長達も気付いたのか俺の様子に少し困惑している。

 

「……(見つけた)そこだ!!」

 

俺は別になにもない廃屋の壁を爆発させる。

 

「グァァァッ!!」

 

するとまた異形のような生物がそこから現れた。その生物はカマキリとか人を混ぜたような化物だった。

 

「なっ!!」

 

「はぐれ悪魔!?」

 

「……気付きませんでした」

 

「一体、いつの間に?」

 

壁を爆発させたときの爆風で吹き飛ばされたはぐれ悪魔は立ち上がる。

 

「グッ……何故、この私の居場所が」

 

「さっきも部長に話したけど生き物には、どうやっても消せない気配がある。どんなに臭いが消せても、存在を消しても、命の鼓動や光までは消えないんだよ!!」

 

そう、俺が探っていたのはそれだ。ドライグに言われて命の鼓動や光を感知出来るように鍛えてたんだよ。

……そういやこれが出来るようになったらドライグ驚いてたっけ。

 

「フン!!だが、貴様らを殺すのに気配を消す必要はない」

 

そいつは戦闘体勢にはいる。

部長達も構えようとするが俺はそれを制する。

 

「待ってください。さっきは部長達に戦ってもらいましたから、次は俺の番です」

 

「……翔一」

 

「安心してください。あの程度では死にませんよ」

 

そう言うと部長達は構えを解く。

 

 

「何だ、貴様一人か?」

 

「悪いが、お前なんて俺一人で充分だ。部長達の手を煩わせる必要はない」

 

そういいながら俺はオーズドライバーを取り出す。

そしてメダルを三枚取り出しドライバーにセットしスキャンする。

 

「……変身!!」

 

ーーータカ!!

 

ーーートラ!!

 

ーーーバッタ!!

 

ーーータ・ト・バ!! タトバ タ・ト・バ!!

 

そして俺はオーズに変身した。

 

「な、何だ!?その姿は!?」

 

「その台詞、聞き飽きたよ」

 

そして俺ははぐれ悪魔に近づき手に持ったメダジャリバーで切りつける。

 

「グッ!!……小癪な!!」

 

はぐれ悪魔も負けじと手の部分にある鎌で攻撃してくる。

 

「……遅い!!」

 

俺はそれをいなして更に斬撃を加える。

 

「グァァァッ!!」

 

「おりゃぁぁっ!!」

 

斬撃で怯んだところに俺ははぐれ悪魔を蹴り飛ばす。

 

「グハッ!?」

 

蹴り飛ばされたはぐれ悪魔は壁に激突した。

 

「さて、そろそろトドメといくか!!」

 

俺はセルメダルを三枚取り出し、メダジャリバーにセットする。そしてそれをオースキャナーでスキャンする。

 

ーーートリプル!!スキャニングチャージ!!

 

「ハアァァァァァッ!!」

 

するとメダジャリバーは光に包まれる。

 

「セイヤァァァッ!!」

 

そして俺はメダジャリバーを使った必殺技『オーズバッシュ』を繰り出す。

メダジャリバーから繰り出された衝撃波が空間ごとはぐれ悪魔を切り裂く。

はぐれ悪魔以外は時間が逆行したように修復された。

 

「ギャァァァァァッ!!こ、この私があぁぁぁぁぁっ!!」

 

はぐれ悪魔はその言葉を最後に爆発した。

 

「……ふぅ。終わりましたよ部長」

 

 

俺は変身を解き、部長達の方を向く。部長達は、そこで呆けているだけであった。

 

「……あの、部長?」

 

俺が声をかけると部長ははっと気づいたように言ってくる。

 

「……流石ね。改めてオーズの力を思いしったわ」

 

「私も初めて見ましたけど、確かに強力な力ですわね」

 

「……今、空間が切り裂かれてませんでした?……凄いです」

 

「それに翔一君は更に神器も持っているんだよね」

 

部長達が思い思いの感想を言ってくる。

……そこまで褒められると何か照れるな。

 

「……あ、そういえば、俺の駒ってなんですか?」

 

「えぇ、翔一の駒は……」

 

さて、そろそろ現実を見るとしようか。

朱乃さんが女王、木場が騎士、そして小猫ちゃんが戦車、で残ってる駒が『僧侶(ビジョップ)』ともうひとつ……いやね。俺が僧侶な訳がないからあるとすればそれは一つ。

 

「『兵士(ポーン)』よ」

 

部長はいい笑顔でそう言った。

 

「やっぱね……」

 

俺は予想してた答えに肩を落とすのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




皆さんいかがでしたでしょうか?

今回更新が何時もより遅れたのは仕事が忙しすぎて執筆する暇が少なすぎて……

次回からもよろしくお願いします。


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はぐれ悪魔祓いと戦闘と届かない手

カウント・ザ・メダル!!

現在、オーズの確認されているメダルは………

タカ×1

トラ×1

チーター×1

クワガタ×1

カマキリ×1

バッタ×1

ウナギ×1


「はぁ、やっぱり兵士かぁ 」

 

どうも皆さん、白亜翔一です。

俺は今、今回の依頼者がいるところに歩いて行っている。

何故かというと、家から近いからである。まぁ、部長達に伝えたら全員が苦笑していたけど。

 

「何でよりによって兵士なんだろうなぁ」

 

俺は部長から昨夜言われた事を思い出す。兵士かぁ……チェスは余り知らないけど、確か一番下の駒だよな。

 

「すでに小猫ちゃん辺りからやな予感がしてたんだよなぁ」

 

まぁ、その辺は置いといて。

 

「ドライグの奴、なにしてんだろ?」

 

あれからドライグの声は一切聞こえない。具体的にいうと、俺が悪魔に転生した時からだ。

 

「何かあいつがいないと調子狂うんだよなぁ」

 

神器の性能は問題はない。なのに何故、ドライグは話しかけてこないのか。

 

「まぁ、考えても仕方ないか」

 

そうこうしてる間に、俺は依頼者の家にたどり着いた。

しかし、その家から人の気配がしない。

 

「……何か嫌な予感がするな」

 

俺は家の中の気配を探ってみる。

すると二つだけ感じることが出来た。

一つは禍々しい感じの気配、もうひとつは……

 

「……まさか!!」

 

俺は家のドアを蹴飛ばし、中に入る。

そして俺はリビングに向かった。

中に広がるのは恐らく依頼者であろう男の死体だった。

 

「こいつは……!!」

 

ただ男の死体があるわけではない。リビングの壁に十字架のように打ち付けられている。なんなんだよこれ!!

 

「一体誰が……っ!?」

 

俺は殺気を感じて今いた場所から横に飛ぶ。すると何か弾丸のような物が横切った。

 

「ん~、銃声がない光の弾丸をかわすなんて、なぁんて生意気な悪魔ざんしょ」

 

ふと、後から声が聞こえる。振り向くとそこには、白髪の神父の格好をした男がいた。歳は俺と同じくらいだろうか。

もちろん、それだけならば俺は警戒はしない。左手に銃を持って、服に付いた血さえなければな!!

 

「お前は何者だ?」

 

「俺は、フリード・セルゼン。とある悪魔祓い組織に所属してる。末端でございますよ。あ、別に名乗んなくても結構です。悪魔の名前覚える気さらさらないんで、さっさと死んで俺の経験値になってちょ?」

 

「これは、お前がやったのか!!」

 

俺は怒りに身を任せフリードと名乗った神父に言う。

 

「ん~、そうだよ?悪魔と関わりがあるのは皆殺し!!なんつって♪いやぁ良い声で泣いてくれましたわ。殺してくれてありがとー!!」

 

「お前!!そこにある命をなんだと思ってやがる!!」

 

 

「はぁぁぁ?なにそれ?悪魔の分際で俺に説教?ハハハ!!笑えるよそれ。お笑い賞取れるわ!!俺が保証する。いいかよく聞けクソ悪魔。悪魔だって人の欲を糧に生きている。悪魔に頼るのは人間として終わりって意味なんだよ。エンドですエンド。だから俺が殺してあげたのさ~。悪魔に魅入られた人間と悪魔をぶっ殺して生活してるんで、お仕事でござんすよ」

 

こいつ!!人を殺すことを楽しむ奴か!!それに、悪魔も……!!

 

「だからぁ、死んでくんない?俺の快楽の為にさぁ!!」

 

フリードとか言う奴は某機動戦士のようなビームサーベルを取り出し斬りかかってきた。

 

「おわっ!!」

 

俺はそれをかわしてフリードの頭を蹴り飛ばす。

 

「グハッ!!」

 

フリードは壁に激突する。

しかし、フリードはすぐに立ち上がった。よく見ると銃がボロボロになっている。とっさにあれで防御したっていうのか!?

 

「おいおい、クソ悪魔君が、神父さんの頭を蹴るとか……ふざけんなよてめえぇぇぇ!!」

 

フリードは切れた口調でまた俺に斬りかかってきた。

 

「来い!!赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)!!」

 

俺は赤龍帝の籠手を出現させ、能力を使う。

 

ーーーboost!!

 

音声はそれで止まってしまう。

 

「ッチ!!やっぱり最低まで落ちてんのか!!」

 

ドライグがいないためこいつの最低限の能力しか使えない。でもこいつ殴るだけなら充分だ!!

 

「行くぞ!!」

 

ーーーExplanation!!

 

俺は力を解放してフリードに殴りかかる。

俺の左手とあいつのビームサーベルもどきが交わるその時だった。

 

 

「あの、一体どうしたんですか?」

 

そこに現れたのは前に教会まで送ってあげた。金髪のシスター。アーシアだった。

 

「な、アーシア!?」

 

俺は後ろに飛びフリードの攻撃を避けてアーシアを見る。

……気配を感じていたからわかってた。わかっていたのに!!

 

 

「え?翔一……さん?どうしてここに?」

 

「あぁ、助手のアーシアちゃんじゃないですか。結界張りは終わってございますかぁ?」

 

俺が戸惑っているとアーシアは辺りを見回し、リビングの壁に打ち付けられている死体を見てしまう。

 

「きゃぁぁぁぁっ!!」

 

 

アーシアはその惨状を見て悲鳴をあげる。

 

「こ、これは一体……」

 

「あぁ、アーシアちゃんは初めてだっけ?俺達はそこにいるような悪魔に頼っちゃってるお馬鹿な人間を殺っちゃうのがお仕事なのさ」

 

「え、翔一さんが……悪魔?」

 

アーシアは俺を見て驚きのような戸惑いのような表情を向ける。

俺はアーシアに何も言えなかった。

しかし、それは俺が悪魔ということの答えにもなっていた。

 

「そんな………」

 

「あ、なに?君達知り合い?禁じられた恋って奴?残念だけど悪魔と人間は相容れることはないでござい~。それに、僕ちゃん達だって堕天使の加護を受けなきゃ生きていけない身ですからなぁ」

 

神父は愉快そうに俺とアーシアを見ている。

堕天使の加護?こいつはわかるが何故、アーシアが?

 

「さて、お仕事再開といたしましょうかあぁぁぁっ!!」

 

フリードが戦闘態勢に入る。それを見て俺は拳を構える。しかし、アーシアが俺を庇うようにフリードの間に入る。

 

「アーシアちゃん、これは何のつもりかなぁ!!」

 

「フリード神父、この方を見逃してあげてください」

 

「ハァァァァァッ!?いきなりなに言ってんの!?バカなの?それとも俺がおかしいの。そいつ悪魔だよ?断罪するべき相手なのだよ?」

 

「悪魔にだっていい人はいます!!」

 

「いねぇよバァァカ!!」

 

「そんなはずありません!!翔一さんは悪魔でしたけどシスターである私にも優しくしてくれました。そんな翔一さんが悪い悪魔な訳がありません!!」

 

アーシアは俺の前に立ち、フリードに向かってそう言っている。

……本当に優しい子だ。

 

「……アーシア」

 

すると突然フリードはアーシアを殴り飛ばした。

 

 

「キャッ!!」

 

 

「アーシア!!」

 

「おいおい、マジかよ。アーシアちゃんは最初から悪魔に魅入られたのですね。じゃあこの俺が直々に断罪してあげなきゃねぇ!!あぎゃぎゃぎゃ!!」

 

フリードは高笑いをしてアーシアにビームサーベルもどきを向ける。

 

「させるか!!」

 

俺はフリードに殴りかかり、フリードはそれをビームサーベルもどきで防御する。

 

「あぁ、何するんですかぁ?悪魔ごときが」

 

「……お前、頭イカれてるな」

 

俺は拳を握りフリードにそう言う。

 

「あぁ?存在事態が最低の悪魔君に言われたくないんですけどぉ~」

 

「確かに俺は悪魔だ。それを否定するつもりはない。だがな、お前よりは人の暖かさを知っているし、そこからくる優しさも知っている」

 

「へぇ~……で?」

 

「アーシアは本当に優しい子だ。この子の優しさはどんなものが相手でもこの子は今と同じ行動をするだろう。その優しさは世界に必要となるべきものだ」

 

「……翔一さん」

 

俺はアーシアを見て少し微笑み、フリードに向かって言葉を放つ。

 

「その優しさを消すお前を……なにより、人から暖かさを……命を、平気で奪うお前は許さない!!」

 

「あ、大丈夫です。俺ちゃん、悪魔に許される気ないんで。それに、どうしてアーシアちゃん助けるわけ?一応そいつシスターだよ。お前見たいな悪魔の天敵だよ?」

 

「ハッ!!そんなことか。俺は俺の手が届く所にある命を見捨てたくないだけさ。それに……」

 

俺は一呼吸置き、フリードに言う。

 

「アーシアとは昨日の昼からの長い付き合いだからかな」

 

するとフリードは急に笑い出した。

 

「アヒャヒャヒャ!!なにそれ!?バカじゃねぇの!?頭イカれてやがるぜこの悪魔!!」

 

フリードは笑いをやめこちらを向く。

 

「あーあ。無駄な時間過ごした。じゃあ、さっさと死んで貰っちゃおっかなぁ!!」

 

フリードはビームサーベルを構えて斬りかかってくる。

 

「……オーバードライブモード」

 

ーーーDoragonoverdrive!!

 

俺がそう呟くと籠手から音声が流れ俺のオーラは瞬く間に増大していった。

これはドライグと一緒に編み出したモードで、体のリミッターを外し、更にリミッターを外して得た力を更に倍加して能力をあげる事が出来る。ただし、体のリミッターを外しているため、負担は普段とは比べ物にならない物だし、なにより赤龍帝の籠手でそれを倍加しているため、その負担を更にあげている。

……ドライグがいても5段階が限界だし時間も1分しか持たない。けど今はこれで充分すぎるぜ!!

今の俺は変身したときくらいの力を持っている。

 

「いくぜ!!」

 

俺は眼にも止まらないスピードでフリードに近づく。

 

ーーーCountStart!!

 

「何!?」

 

フリードはすぐさま防御の態勢に入る。

俺はその防御ごとフリードを殴る。

 

「うぎゃっ!!」

 

それにフリードは吹き飛ばされたがすぐに体勢を立て直す。

 

「チィッ!!舐めてんじゃねぇぞくそ悪魔ァァァァッ!!」

 

フリードはまた斬りかかってくる。俺はそれを避けずに、ビームサーベル部分を左手で掴んだ。

 

「何ぃ!?悪魔が聖なる光を受け止めやがった!!」

 

ーーーTen……Nine

 

そして俺は右の拳を握り、それに炎を宿す。

因みにこれは超自然発火能力の応用だ。

 

「おい、クソ神父。お前見たいな奴を俺は許せない。だから……」

 

ーーーFive……Four

 

俺は右手を構えて、

 

「ブッ飛ばされて反省しやがれ!!」

 

フリードを思い切り殴り飛ばした。

 

「グハァァァァッ!!」

 

フリードは吹き飛ばされ、リビングの壁を壊してそのまま倒れた。生きてはいるだろうな。加減したし。

 

ーーーThree……Two……One……Zero……Timeover!!

 

「ッ!!ハァッ、ハァ……」

 

音声の終了と共に疲労とリミッターを外したことでの痛みが俺を襲い俺は膝をつく。

 

「翔一さん!!」

 

アーシアは急いでこちらに近づいてくる。

 

「怪我はありませんか!?どこか痛いところは……」

 

アーシアは慌てて治療をしようとする。

 

「これくらい何ともないよ。アーシアこそ大丈夫?」

 

俺は笑顔を作りながらアーシアに尋ねる。

 

「は、はい。でも翔一さんが……」

 

「俺は大丈夫。ちょっと疲れてるだけだから」

 

まぁ、反動で身体は悲鳴をあげてるけど。

 

「ちょっと待ってください」

 

アーシアは俺に手をかざし俺は暖かい光に包まれる。

少しすると身体の痛みはすっかり無くなった。

 

「……これで大丈夫です」

 

「ありがとう、アーシア」

 

俺が礼を言うとアーシアは優しい微笑みを見せる。

それを見ると守れて良かったと思う。

すると赤い紋章、グレモリー家の魔方陣が現れた。

 

確か、召喚用の……

 

「やぁ、翔一君。助けに来たと言いたいけど……もう、終わってたみたいだね」

 

魔方陣の中から木場が現れる。

来るのが遅いんだよ。

そして次々とオカルト研究部の面々が登場する。

 

「遅いですよ。皆さん」

 

「ごめんなさい。結界があって悪魔祓いがいたのに気づかなかったのよ」

 

「……先輩。大丈夫ですか?」

 

小猫ちゃんが近づいて心配をしている。

 

「ああ、あの程度、変身するまでもない。それに、怪我はアーシアが治してくれたしな」

 

俺はアーシアを見て笑う。

アーシアもそれを見て笑ってくれる。

 

「……あなたは?」

 

部長がアーシアにそう言った所で堕天使の気配を感じ取った。

 

「……堕天使複数」

 

 

小猫ちゃんも気づいたようで警戒をしている。

 

「チッ!!まだいるのかよ」

 

俺はそう言ってオーズドライバーを取り出す。

 

「部長」

 

朱乃さんの声に部長が答える。

 

「今は翔一の回収が先よ。朱乃、ジャンプの用意を、小猫は翔一をお願い」

 

「「はい」」

 

朱乃さんは魔方陣を形成して、小猫ちゃんは変身しようとした俺を羽交い締めして止めている。

 

「ちょっ、小猫ちゃん!?離して!!」

 

「……駄目です」

 

俺の力じゃ小猫ちゃんを振りほどけない。

 

「じゃあ、せめてアーシアを!!」

 

「無理よ。この魔方陣は、私の眷族しかジャンプすることしか出来ないの」

 

部長から放たれた言葉は希望がないものだった。

 

「そんな!?じゃあ、アーシアはどうなるんですか!!」

 

俺は必死に小猫ちゃんを振りほどこうとする。しかし、小猫ちゃんはびくともしない。

アーシアを助けなきゃならないのに!!

 

「……翔一さん」

 

ふと、アーシアの声が聞こえたのでその方向を向くとアーシアが微笑んでいた。

 

「私は大丈夫です。翔一さんは行ってください」

 

「でも、それじゃあ……!!」

 

「シスターさん感謝するわ」

 

俺がアーシアに伝えようとすると部長が俺の言葉を遮ってそう言う。

 

「……翔一さん、また……どこかで」

 

「アーシアァァァァッ!!」

 

俺は必死に手を伸ばしたがその手は届かず優しいアーシアの涙を浮かべていた笑顔は、光と共に消えた。

 

 

 

 

「あれははぐれ悪魔祓いと言って、異端とよばれ教会から追放された者達よ」

 

部室で俺はさっきあったフリードについて部長から説明を受けているが俺の耳には全く届いていない。

 

「……どうして」

 

「……先輩?」

 

「どうして、アーシアを助けないんですか!!」

 

俺は部長に詰め寄る。しかし、部長の言葉は辛辣なものだった。

 

「理由がどうであろうと、あなたは悪魔で彼女は堕天使の下僕よ。下手をしたら堕天使との抗争になりかねないわ」

 

「だからって!!」

 

「いい?あなたは私の下僕、もうあなた一人の問題にはならないのよ。あなたの勝手な行動がどんな事を引き起こすかわかってちょうだい」

 

部長の言葉を聞いて俺は押し黙ってしまう。

俺のせいで部長達に迷惑がかかる。その事実を俺は受け入れられなかった。

アーシアは助けてほしいと言っているように俺は見えた。だから助けなきゃって思ったのに!!

 

俺は目の前にいた女の子すら助けられないのかよ。

俺は拳を握るだけしか出来なかった。

 

 

 




さあ、今回は変身しないでの戦闘です。いかがでしたでしょうか?

次回もお楽しみにお願い致します。


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遊びと過去と信じられる友達

カウント・ザ・メダル!!

現在、オーズの確認されているメダルは………

タカ×1

トラ×1

チーター×1

クワガタ×1

カマキリ×1

バッタ×1

ウナギ×1


「一体何でこんなことに……」

 

やぁ、皆さん。白亜翔一です。今俺は学校をサボって遊びに繰り出そうとしている。何故こんなことになったかは、今朝に遡る。

 

 

 

 

「ハァ……」

 

俺は今、悩んでいた。どうすればいいのだろうと。

 

「今動くと部長達に迷惑が……」

 

部長は俺を生き返らせてくれた。その恩は俺が返さなきゃならないものだ。でも……

 

「俺はアーシアを助けてあげたい」

 

アーシアを助けるという事を考えてる自分がいる。あんなところにアーシアは居てはいけない。因みに今俺は家にいる。今日は学校はあるのだけど、悪魔祓いとの戦闘があったため用心で休むように言われたからだ。

部長は優しい。眷族に対する優しさは本物だ。俺の事を心配しているというのもあるのだろう。

 

「俺は一体どうすれば……」

 

一体どれくらい悩んだのだろうか。

 

「翔一、入るわよ」

 

部屋のドアをノックする音が聞こえたと思ったら母さんだった。

 

「何?どうしたの」

 

母さんは俺の部屋に入ってくることなんて殆ど無いため、俺はどうしたのかと思ってしまう。

 

「はいこれ」

 

そう言って渡してきたのは映画のチケットであった。

……何で?

 

「……え?」

 

「何に悩んでいるのかわからないけど、悩んでばかりじゃ変わらないことがあるのよ。だから少し遊んできなさい」

「……いや、母さん?俺一応、体調が悪いということで休んでるんだけど……」

 

「今、翔一が悪いのは体調じゃなくて心の悩みの方、だから問題はないの」

 

「問題大有りだよ!!」

 

全くこの母親は……

まぁ、これでも心配してんだろうな。母さんは。

 

「とにかく、今日は夜まで遊んできなさい。それまで帰るのは許さないわ」

 

「ハァ、……わかったよ」

 

とりあえず今は母さんの提案に乗ることにする。

 

「あ、そうだわ」

 

と、母さんが思い出したように言う。

 

「そのチケット、ペアチケットだから、学校のお友達でも誘っていった方が良いわよ」

 

「今は全員授業中だよ!!」

 

 

 

 

 

そんな訳で、俺は家を追い出されたという事だ。

いや、まぁ、チケットを見て嫌な予感はしてたけど……

 

「誰か誘うって言ったって……ん?あれは……」

 

歩きながら悩んでいると見覚えのあるシスターがいた。あれは……

 

「まさか……!!」

 

この街で俺が知ってるシスターは一人しかいない。気がついたら俺は走り出していた。

 

「アーシア!!」

 

俺はアーシアであろうシスターに声をかける。

するとシスターはこちらを振り向く。やはりアーシアであった。

 

「し、翔一さん?」

 

「やっぱりか。昨日は大丈夫だったか?」

 

 

「はい。翔一さんこそ、お怪我はありませんか?」

 

アーシアは自分より俺の心配をしてくれていた。

 

「俺は別に怪我もないさ」

 

「で、でも聖なる光を……」

 

ああ、左手で掴んだんだっけ。すっかり忘れてた。

 

「アーシアが治療してくれたから大丈夫だよ。それよりアーシアはどうしてここに?」

 

俺はアーシアがここにいる理由を尋ねる。

 

「あ、……えっと、その……」

 

 

アーシアは言いづらいのか口を濁らせる。

大方、堕天使の所から逃げてきたんだろう。

 

「まぁ、言えないなら良いや。けど、ちょうど良かった。アーシア、これを見てくれないか?」

 

そう言って俺は映画のチケットを取り出す。

 

「……翔一さん。これは何ですか?」

 

アーシアはチケットを見て、首を傾げている。

映画を見たことないのかな?

 

「映画のチケットなんだけど……一緒に行かないか?」

 

「は、はい!!私、映画なんて見たことないです。だから見てみたいです!!」

 

アーシアはものすごい勢いで首を縦に振り、了承する。

 

「OK、じゃあ行こうか。今日はとことん遊ぶとするぞ!!」

 

「はい!!」

 

そして俺はアーシアの手を引き、映画館に向かった。

 

 

そして、しばらくして……

 

「翔一さん、映画面白かったですね!!」

 

「あ、あぁ、そうだな」

 

俺達は映画を見終わり、映画館から出た所だ。

……まぁ、言い話ではあった。

内容は、良くある恋愛物であり、アーシアは眼をキラキラさせながら見ていた。

前半20分程で夢の世界へレッツゴーしてしまったので俺は、良く覚えていないけど。

 

「私、とっても感動しました!!」

 

「そうか。それは良かった」

 

まぁ、アーシアが嬉しそうだからそれでいいか。

 

「……何か腹が減ったな。アーシアは?」

 

「へ?私は……」

 

と言ったところでクゥとなんとも可愛らしい音が聞こえた。アーシアのお腹の音のようだ。

 

「……減ってるみたいだな」

 

「あぅ……」

 

アーシアは顔を真っ赤にして俯く。ナニコレ可愛い。

 

「じゃあ、何か食べに行くか」

 

俺は苦笑をしながら、アーシアの手を引き、何処かで昼食にすることにした。

 

 

そして場所は変わって近くにあったハンバーガーチェーン店に来た俺とアーシア。アーシアがメニューを注文しようとして失敗したこと以外は問題なく進んだ。

 

そのあと俺達は適当な席に座り、ハンバーガーを食べようとしたのだがアーシアは包み紙に包まれているハンバーガーを不思議そうに見ている。

……食べた事がないのかな?

 

「アーシア、これはなこう食べるんだ」

 

俺はハンバーガーの包み紙を取りだし、そのまま齧り付く。

 

「そんな食べ方があるんですか!?凄いです!!」

 

アーシアはそれを見て眼を輝かせている。そしてアーシアも真似して小さく一口。

 

「美味しい!!」

 

そう言ってアーシアは笑顔になる。

この娘は本当に感情を素直に出るな。俺もつられて笑顔になってしまう。

 

「さて、これを食べたら次は何処に行こうか?」

 

アーシアが美味しそうに食べてるところで俺はアーシアに尋ねる。

 

「え?」

 

「ん、どうした?」

 

俺がそう聞くとアーシア聞いてくる。

 

「……聞かないんですか?」

 

「ん、何が?」

 

「……私が、あの場所にいた理由です」

 

「そんなの聞いたってしょうがないだろ。最初に言っただろ?言えないなら別に良いって」

 

黙っていることを無理矢理は聞きたくないしね。

 

「……でも」

 

「それに、今はこうやってここにいる。それで良いじゃん」

 

「……ありがとうございます。翔一さん」

 

アーシアは突然にお礼をいってくる。

 

「どうしたんだ?急に」

 

「ふふっ、何でもないです」

 

「……そうか?」

 

変なアーシアだな。

 

「よし、じゃあ、行くか。今日は名一杯楽しもう」

 

「はい!!」

 

俺達はそこで店を出た。

そしてついたのはゲーセンである。やっぱり遊ぶ時はここに限る。

 

「わぁ!!凄いです!!」

 

アーシアも喜んでるようだし、ここに来たのは正解かな。

 

「翔一さん、これは何ですか?」

 

アーシアがそう言って聞いてきたのは、もぐら叩きゲームであった。

 

「これは、穴から出てきたもぐらを叩くゲームだな。やってみるか?」

 

俺の言葉にアーシアは頷く。

俺は機械に金を入れてアーシアにハンマーを渡し、プレイさせる。

 

「が、がんばります……」

 

アーシアもやる気は十分だ。まぁ、これは子供でも簡単に出来る奴だ。初めてでも十分な点数は入るだろう。

 

そしてゲームが始まった。

 

『ヒュッ』←もぐらが出てくる音

 

「えいっ!!」

 

『ヒュッ、スカッ』←ハンマーで叩こうとしたが丁度いいタイミングで避けられる音

 

『ヒュッ』←もぐらが出てくる音

 

「えいっ!!」

 

『ヒュッ、スカッ』ハンマーで叩こうと(ry

 

以降それの繰り返し。

 

「うぅ……」

 

結果的にアーシアが叩けた回数は、驚異の0匹。

……ここまでくると逆に凄いな。

 

「1匹も叩けませんでした……」

 

アーシアは目に見えて落ち込んでいる。因みに最初に言ったようにこれはかなり簡単に出来る奴なので、小さいお子さんでも40匹程は叩ける。

後に理由を聞いたのだか、アーシアはもぐらが可愛くて叩くのが遅れたそうだ。

……それでもあれだと思うが

 

「ハハハ、まぁ、そんな時もあるって。元気出しなよ」

 

俺は落ち込んでいるアーシアを励ます。

 

「ゲームはこれだけじゃないんだ。さっきの失敗は次のゲームで取り返そう!!」

 

「翔一さん……はい!!」

 

それから一緒にダンシングゲームで一緒に踊ったり、ガンシューティングで最高得点を叩き出したり、アーシアがクレーンゲームにあるキャラクター『ラッチューくん』が欲しいような顔をしたのでとってあげてアーシアに感謝されたりと俺達は名一杯楽しんだ。

そして時間は過ぎて現在は夕方、俺達はは公園のベンチで休んでいた。

 

「楽しかったか?アーシア」

 

「はいっ!!こんなに楽しかったのは生まれて初めてです!!」

 

「ハハハッ、大袈裟だよ。アーシアが良いならいつでも連れてってあげるよ」

 

アーシアは十分に楽しんだらしく、満面の笑みでそう言ってくる。やっぱり連れてきて正解だった。

 

「……私、堕天使の所から逃げてきたんです」

 

アーシアは急に暗い顔で言ってきた。

 

「やっぱりか……」

 

「知っていたんですか?」

 

アーシアは少し驚いた顔をしている。

 

「正直、そう予想していたんだ。何より優しいアーシアがあんな平気で人を殺せるような所にいるわけがないし」

 

「優しいですか……」

 

アーシアはまた悲しい顔をする。前に見た。そう、子供の怪我を治した後にしていた顔をおんなじだ。

 

「翔一さん」

 

ふと、アーシアが俺を呼ぶ。

 

「どうした。アーシア?」

 

「私の昔話を聞いてくれませんか?」

 

俺は首を縦に振り、了承する。するとアーシアは少しずつ話してくれた。

 

その内容はただ、当たり前の幸せを願っていた優しい女の子の悲しい物語だった。

 

 

彼女は小さい頃、両親に捨てられ、ヨーロッパの小さな田舎町の教会に拾われそこで育てられたんだそうだ。

そしてしばらくして彼女の前に怪我をして瀕死の状態の野良犬が迷い混んできた。優しい彼女は放っておけず必死に神様に祈った。そして、奇跡が起きた。

野良犬は緑色の淡い光に包まれ、怪我をみるみるうちに治癒していった彼女はその時に神器に目覚めたのだ。

 

それを見ていた神父は、すぐに他の教会に連絡をして彼女は大きな教会に行くことになった。そしてそこで病気の信者、怪我をしている信者を治癒していったらしい。そして、他の人は彼女を聖女と呼び崇めたそうだ。

だけど、彼女はそんなことは求めていなかった。彼女はただ、友達が欲しかった。ただ、それだけだった。

けど、そんな彼女の細やかな願いは叶うことがなく、彼女の能力を知るものは皆、彼女を聖女としか、呼ばなかった。彼女に友達と呼べる人間は一人もいなかったんだ。

 

そして、ある日の事だった。

 

ある男性が教会の前に倒れていた。その男性は悪魔であったが、優しい彼女はそれを放っておけず、その悪魔の怪我を治癒したのだ。

そこからだ彼女の……アーシアの人生が変わったのは。

 

悪魔を治癒したアーシアの話はすぐに広まりアーシア立場を一転、魔女と呼ばれるようになった。

そしてアーシアを庇うものは一人もいなかった。

それは誰もアーシアを聖女として見ていて『アーシア・アルジェント』として見ているものが一人もいない証明にもなった。

そしてアーシアは異教徒として教会から追放されたんだ。

そして行き場を失ったアーシアは堕天使に拾われた。

アーシアが求めた願いは叶うことがなかったのだ。

 

「………」

 

俺はアーシアの話を黙って聞いていた。

 

「それでも私は神への祈りも感謝も忘れたことはありません」

 

俺はアーシアの話を聞きながら拳を握りしめる。

……どうしてだよ。

 

「これもダメな私の為に主が与えた試練なんです」

 

どうしてアーシアがこんな目に遭わなければならない!!

 

「だから、私にもいつかお友達が沢山出来ます!!」

 

ただ、アーシアは友達が欲しかっただけだぞ!!それなのに、聖女と呼ばれた挙げ句魔女として迫害されるのが、アーシアに対する仕打ちかよ!!

俺は、以前俺の世界で会ったごちゃ混ぜの馬鹿な宗教家の言葉を思い出す。

 

『この世界に神は在す(まします)。されど、人を救う神はただの一神(ひとつ)もいないのだと』

 

ああ、確かにその通りだよ。だから、アーシアを救わなかった!!

 

「私、夢があるんです。お友達と一緒に、お花を買ったり、本を買ったり、おしゃべりしたり……いつか……きっと……」

 

 

アーシアの頬にはいつのまにか涙が伝っていた。

それを見た俺はあることを決めた。

 

「アーシア、それなら俺が友達になってやる!!」

 

「……え?」

 

アーシアはその台詞にこちらを見つめる。

 

「確かにアーシアには今まで友達はいなかった。けど、今は俺がいる」

 

「でも!!……それじゃあ、翔一さんに迷惑が……」

 

「迷惑なもんか。それに今日は名一杯遊んだ。友達ってのはそう言うものだよ。それとも……俺じゃダメか?」

 

「い、いえ!!そんなことはありません!!」

 

そう言うとアーシアはものすごい勢いで否定してくる。

 

「だったら、俺とアーシアはもう友達だよ」

 

「私……私、凄く嬉しいです!!」

 

アーシアは今までよりも満面の笑みを浮かべた。

そうだ。俺は、こんな笑顔を守るために仮面ライダーになるって決めたんじゃないか。

何を悩んでいたんだろう。そこで涙を浮かべている人達に手を差し伸べる。そんな簡単なことじゃないか。

 

「それは無理よ」

 

その言葉と共に現れたのは、あの時、小猫ちゃんと戦っていた。そして俺を殺した堕天使だった。

 

「レイナーレ様……」

 

アーシアがあの堕天使の名前を言う。

そうか、レイナーレって言うのかあいつ。

 

「さっきから俺達を探していたようだけど、一体何のようだ?」

 

「へぇ、あなた気づいていたの。流石にドーナシークを倒しただけはあるわね。下等生物が」

 

話を聞いてくれると思っていたけど、どうやら駄目だな。あいつは俺を汚物としか見ていない。眼を見ればわかる。

 

「アーシア。あなたの神器『聖母の微笑み(トワイライト・ヒーリング)』は私達の計画に必要なのよ。ずいぶん探したのよ。私と一緒に帰りましょう? あまり迷惑をかけないでちょうだい」

 

「い、嫌です!!私、あんな人殺しの所には戻りたくありません!!」

 

あの堕天使、レイナーレはアーシアを連れ戻しに来たようだが、アーシアはそれを一蹴する。

 

「そういうわけだ。堕天使レイナーレ。

あんたがアーシアを狙ってる目的はわかってる。だから、あんたにアーシアを渡すわけにはいかない」

 

 

「私に気軽に話しかけてくれた上に、何を言っているの?この下級悪魔が。これは堕天使の問題よ。邪魔をすると……」

 

レイナーレは左手に光の槍を握る。

 

「殺すわよ?」

 

その言葉と共に殺気をぶつけてきた。

だけど、この程度の殺気じゃ俺はびくともしない。

 

「悪いけど今度は殺されないよ。それに俺の考えが正しかったら、負けるわけにはいかないしね」

 

俺はオーズドライバーを装着する。

そして、俺はメダルを取り出しセットする。

 

「翔一さん?それは一体……」

 

アーシアはそれを見て戸惑っている。

 

「アーシア、しっかり見ててくれ。俺はもう、君の顔に涙は浮かばせない。これがそのための……」

 

俺はオースキャナーを持ち構えをとる。

 

「変身!!」

 

そして、メダルをスキャンする。

 

ーーータカ!!

 

ーーートラ!!

 

ーーーバッタ!!

 

ーーータ・ト・バ!! タトバ タ・ト・バ!!

 

俺はオーズになった。

 

「へぇ、下級悪魔ごときが私にはむかう気?」

 

「俺は仮面ライダーとして、友達としてアーシアを守る!!」

 

「なら、死になさい!!」

 

レイナーレは俺に向かって光の槍を投擲してくる。

俺はそれを交わしてレイナーレの所までバッタレッグの跳躍力を利用してジャンプして、レイナーレを殴る。

 

「カハッ!!」

 

そして俺はレイナーレを地面に叩き落とす。

 

「くっ、この下級悪魔がぁぁぁっ!!」

 

レイナーレは怒り更に光の槍を投擲してくる。

 

「怒りで我を忘れるのは戦闘では禁句だろ?」

 

俺はかわしながらトラメダルを白いメダルに入れ換える。

 

ーーータカ!!

 

ーーーゴリラ!!

 

ーーーバッタ!!

 

 

そしてトラアームの代わりに現れたのはまるでゴリラのような大きい腕である『ゴリラアーム』だ。

 

「こいつはちょっと痛いぞ?」

 

そして俺はレイナーレに近づきゴリラアームでレイナーレを思いっきりぶん殴る。

 

「キャアァァァッ!!」

 

それにレイナーレは先程殴ったときよりもふっ飛ぶ。

 

当たり前だ。ゴリラのメダルは攻撃力と防御力にも優れているんだ。これくらい分けないぜ!!

 

「悪いけどとっとと終わらせる!!」

 

そして俺はまたトラに戻しスキャンする。

 

ーーータカ!!

 

ーーートラ!!

 

ーーーバッタ!!

 

ーーータ・ト・バ!! タトバ タ・ト・バ!!

 

そして俺はタトバコンボに戻り、もう一度スキャンする。

 

ーーースキャニングチャージ!!

 

俺はバッタレッグを変化させ跳躍して必殺技の『タトバキック』を食らわせようとしたそのとき

 

「キャァァァッ!!」

 

「ッ!!アーシア!!」

 

アーシアの悲鳴が聞こえたのでアーシアの方を向く。

 

すると他の堕天使がアーシアを捕まえていた。

しまった!!レイナーレに集中して、増援の可能性を考えてなかった!!

 

 

「……遅かったじゃ……ない。カラワーナ、ミッテルト」

 

「うわぁ大丈夫ですかレイナーレ様?」

 

「ここは一旦引きましょう。その怪我では……」

 

「ええ、感謝するわ」

 

そしてレイナーレはアーシアを自分の所に引き寄せ、魔方陣を描く。

転送用の魔方陣かよ!!

 

「待て!!」

 

「フフフッこれで私の計画は成功に近づいたわ。精々そこで悔しがってなさい。カラワーナ、ミッテルト!!そいつを始末しなさい!!」

 

「し、翔一さん!!」

 

俺は転送されそうなアーシアに向かってこう叫ぶ。

 

「アーシア!!俺が絶対に助ける!!俺を……仮面ライダーを信じろ!!」

 

「翔一さん……はい!!」

 

そしてアーシアとレイナーレはどこかに消えた。

 

「……さてそうと決まればさっさとこいつらを倒さないとな」

 

「アハハッ!!アンタ馬鹿?この状況を理解してる?」

 

「2対1で此方が怯むとでも思ってるのか?」

 

「……愚かな奴だ。お前もあのシスターも」

 

……何?今、こいつは何て言った?

 

「教会を追放されてなお、神を信じている。これ程愚かで、馬鹿なやつもいまい」

 

「そうだよねぇ。私だったら恥ずかしくて死んじゃうわ~」

 

アーシアが愚かだと?優しくてそれでいて強かったアーシアを馬鹿な奴だと?

 

「……ふざけるな」

 

「「は?」」

 

 

「ふざけるなって言ったんだよ。クソ堕天使」

 

「ねぇ、見てあそこの悪魔が何か言ってるよ?」

 

「貴様ほど愚かな奴もいない。そして、あの愚かなシスターを愚かと言って何が悪い」

 

どうやらこいつらは本気で怒らせたいみたいだな。

 

「良いぜ。お前らに見せてやるよ。欲望の王を怒らせたテメェ等にその力の一端をな!!」

 

そして、数分後……

 

「ヒィッ!!……止めろ!!……来るな!!」

 

「食らえ」

 

ーーートリプルスキャニングチャージ!!

 

「アァァァァァァァァッ!!」

 

俺は堕天使をメダジャリバーで切り裂いた。

堕天使は悲鳴をあげ消滅した。

 

俺は変身を解除して前に買っておいた。タカカンドロイドを起動させる。

 

「堕天使が何処にいるか探ってくれ」

 

 

たタカカンドロイドは頷き、どこかに飛んでいく。

 

「……アーシア、必ず助けるからな」

 

俺はそう誓うのであった。

待ってろよ!!

 

 




ええ、こんなに更新が遅れたのはすべて仕事のせいです。申し訳ありません。しかし、このシリーズは必ず完結させるつもりでいますので暖かい目で見ていてください。

そろそろ一章も終盤に近づいてきました。後、最後に使ったのはあるコンボです。さてなんのコンボだろな~。
次回もよろしくお願いいたします。


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救出と目覚める龍と分身コンボ

カウント・ザ・メダル!!

現在、オーズの確認されているメダルは………

タカ×1

トラ×1

チーター×1

クワガタ×1

カマキリ×1

バッタ×1

ゴリラ×1

ウナギ×1


パン!!

 

頬を叩かれた音が部室に広がる。

俺はあの後、即座に制服に着替えてオカルト部の部室に向かった。

そして、部長に事情を説明してちょっとした口論になり、この始末である。

 

「何度言っても駄目よ。あのシスターを助けることは許さないわ」

 

部長から出ている答えは最初から決まっていた。

当たり前だ。たった一人の人間、しかも会って間もないを助けるために、敵勢力のアジトに突っ込み眷族を危険に晒すわけにはいかないだろう。

でもこれだけは俺も譲れない。

 

「最初から許されるとは思ってませんよ。俺は、アーシアを助けにいく………そう言いに来ただけです」

 

だから俺の答えも決まっていた。

アーシアを助け出す。ただ、それだけだ。

 

「翔一、前にも話したけど、これはもう貴方の問題ではないのよ。貴方が勝手な行動をすると眷族の皆にどれだけの迷惑がかかるか考えなさい」

 

「俺も前に言った筈です。俺は仮面ライダーです。何かを守る為の戦士です」

 

部長も引かないが俺も退くわけにはいかない。仮面ライダーとして、人として。

 

「その前に貴方は悪魔なのよ?貴方が何を言おうが悪魔のルールに従って貰うわ」

 

「なら俺をはぐれ悪魔にして欲しい。そうすれば、部長の言う迷惑はかからない。それにあの程度しかいないなら俺一人でなんとかなります」

 

「ふざけないで!!貴方は私の大切な眷族よ!!いくら貴方がオーズの力を持っていても、そんな危険な場所に行かせる訳ないじゃない!!」

 

部長は俺の身を案じて怒っているのはわかっていた。

部長は本気で俺を心配している。だから、ここまで俺を怒ることが出来るんだ。 でも……

 

「部長、オーズを舐めないで下さい。それに、何も俺は堕天使を倒したい訳じゃない。アーシアを助け出す……そう約束したんです」

 

俺は直後に殺気を部長にぶつける。小猫ちゃんや木場もその殺気にあてられたのか、どこか警戒するような表情になる。

朱乃さんはいつものニコニコした笑顔が消えている。

 

「その約束を守る為なら、俺は部長とも戦います」

 

俺はオーズドライバーを装着していつでも変身出来るようにする。

しばらくしてから部長がこう言い放つ。

 

「一つ聞かせて。翔一、貴方は何故そこまであのシスターに拘るの?」

 

その質問に俺は笑って答える。

 

「別にアーシアだから、助ける訳ないじゃないです。俺は誰かが傷つき、不幸な目にあっている姿を見過ごせない。それにアーシアは今日1日遊んだ長い付き合いですから」

 

その台詞に部長はおろか木場達も驚いた顔をする。

 

「……たったそれだけですか?」

 

小猫ちゃんが驚きながら俺に聞いてくる。

 

「ああ、それだけだ。でも、もう一つ理由はある」

 

「理由?」

 

部長はそれを聞き、首を傾げている。

そんな部長に俺ははっきりとした口調で答える。

 

「手が届くのに、手を伸ばさなかったら死ぬほど後悔する。それが嫌だから手を伸ばすんだ。俺はもう、後悔なんてしない。その為に俺は手を伸ばして皆を助ける……それだけです」

 

そう言った直後にさっき放ったタカカンドロイドが窓を叩く。

それを見た部長達が驚く。

 

「……何、あれ」

 

「……使い魔?」

 

俺は窓を開けてタカカンドロイドを部室に入れる。

 

「見つかったのか?」

 

俺がそう聞くとタカカンドロイドは頷き、俺についてこいという仕草をする。

 

「じゃ、行きますか」

 

 

俺はタカカンドロイドに従い部室を出る。

部室のドアに手をかけたとき部長が言う。

 

「待ちなさい。翔一」

 

「何ですか?急がないといけないんですが」

 

「悪魔の駒の特性についてまだ話していないことがあるわ」

 

その言葉に俺の動きは止まる。

……話されたのは『騎士(ナイト)』、『戦車(ルーク)』、『女王(クイーン)』だけだったな。

 

「貴方の駒、『兵士(ポーン)』の特性はプロモーション」

 

プロモーション?えっと確か……

 

「相手の陣地に入った兵士の駒は、王以外の駒に昇格する事が出来る。でしたっけ?」

 

あくまで、チェスのルールなら確かそうだ。

悪魔の駒がそれと同じなら……

 

「そう。主である私が敵陣地と認めればプロモーションは可能よ」

 

部長はさらに、言葉を続ける。

 

「チェスは兵士でだって王にチェックをかけることが出来る。それを忘れないで」

 

俺は部長の言葉を聞きながら部室を出た。

 

 

 

 

そしてライドベンダーに近づき、セルメダルを入れてバイク形態に変形させる。

 

「よし、行くか!!」

 

俺はライドベンダーに跨がり、目的地に走り出そうとしたときだった。

 

「なら、僕達も連れていって欲しいな」

 

「……え?」

 

声が聞こえたので振り向くとそこには木場と小猫ちゃんがいた。

 

「木場!!それに、小猫ちゃんまで……」

 

「部長がプロモーションの話をしたよね?あれには意味がある。部長が堕天使のアジトを敵地と認めたって言うね」

 

木場はそう語り出す。

 

「……それは暴れても良いという許可」

 

小猫ちゃんもそれに続ける。

 

「だから僕達も付いていくことにしたんだ」

 

「……今度は私が先輩を守ります。この前のお詫びです」

 

「二人とも……ありがとう。力を貸してくれ!!」

 

俺は二人に礼を言い、ライドベンダーに乗る。

 

「小猫ちゃんも乗って」

 

俺はヘルメットを小猫ちゃんに渡し、後ろ乗るように伝える。

小猫ちゃんは頷き、俺の後ろに乗る。

 

「木場、バイクに乗れるか?」

 

「乗れなくもないけど……どうしたんだい?」

 

木場は質問の意味がわからず首を傾げる。

 

「なら、このメダルをあの自動販売機に入れてそこの大きいボタンを押せ」

 

俺はセルメダルを木場に渡し、近くにあったライドベンダーに入れるよう指示する。

 

「……こうかい?」

 

木場は俺の言う通りに動き、ライドベンダーにメダルを入れてボタンを押す。

すると、ライドベンダーはバイク形態になった。

それを見た木場と小猫ちゃんは驚いた表情をしていた。

 

「こ、これは一体……」

 

「……自動販売機がバイクになりました」

 

「それについては後で話すよ。とりあえずそれに乗って、目的地まで急ぐぞ」

 

俺はヘルメットをかぶり、木場に言う。

木場も頷き、バイクに跨がった。

 

「じゃ、小猫ちゃん。しっかり捕まっててね」

 

「……(コクッ)」

 

小猫ちゃんは頷き、しっかりと俺にしがみついている 。

 

「案内頼むぞ!!」

 

タカカンドロイドは頷き、目的地へ飛び出した。

それを追うように俺達もライドベンダーを走らせた。

 

 

 

 

 

タカカンドロイドに案内されてやって来たのは、あの廃れた教会だった。

やっぱりここだったのか。

 

「……前にも感じた堕天使の気配、それに前には感じなかった神父達の気配。向こうも準備は万端という訳か……」

 

手強い気配は二つ、あのフリードっていう神父とレイナーレっていう堕天使か……

 

「二人とも、悪いな。今回は俺の勝手な行動に付き合わせて」

 

「構わないさ。翔一君は僕達の仲間だ。助けるのは当然だよ。それに、教会や神父は個人的に好きじゃないんだ……憎い程にね」

 

そう言う木場の眼はどす黒い感情で埋まっているようだった。

何か怨みでもあるのかな?

 

「……私もあの堕天使を一発殴って置きたいだけです」

 

小猫ちゃんは拳を握りそう言う。

……そういえば、小猫ちゃんは一回レイナーレに襲われたんだっけ。

 

「あはは……ありがとう。二人とも」

 

 

俺はいい仲間を持ったのかも知れないな。

 

「さて、それはともかくこれを見てほしい」

 

そう言って木場が取り出したのは、一枚の紙

 

「教会の見取り図さ」

 

そう木場が言ってそれを見せようとするが、俺は首を振りそれを断る。

 

 

「悪いけど今回は見取り図を見ても意味がない。俺達がここに来るのはばれているらしいし」

 

「……なら、どうするんですか?」

 

小猫ちゃんのその言葉に俺はニヤリと笑う。

 

「そんなもん……強行突破に決まってんだろ!!」

 

俺は神器を出現させ超自然発火能力で炎を纏わせおもいっきりぶん殴る。

ドアは破壊され軽い爆発が起こった。

 

「な、何事だ!!」

 

その爆発に神父のような奴等が集まる。

 

「あ、あはは……」

 

「……先輩、ちょっとやりすぎでは」

 

木場は苦笑して、小猫ちゃんはジト目でこっちを見ている。

良いじゃん別に……

 

「な、何者だ貴様は!!」

 

あ、敵が来るとは知らされてたけど、誰が来るかは知らされてないのね。

じゃあ、名乗っておきますか。

 

「通りすがりの俺、参上!!さぁ、お前達の罪を数えるんだな!!」

 

そして俺達はアーシアを救うべく神父達と戦闘を開始した。

 

Sideリアス

 

 

「朱乃、ここで間違いないのね」

 

 

「ええ、間違いありませんわ。部長」

 

私は翔一が、堕天使と戦闘したと思われる場所に足を運んだ。そこには何もないように見えるのだけど、微かに堕天使の魔力を感じるから確かなようね。

 

「部長、あれを」

 

朱乃が指を差した方向を見ると、そこには黒い羽が落ちていた。

 

「……堕天使の羽のようね」

 

私は近づいてそれを拾おうと羽に手が触れた瞬間

 

パキィィィン!!

 

 

羽は氷細工のように砕けてしまった。

 

「……これは!!」

 

「……堕天使は凍り漬けにされたと考えるべきですわね」

 

冷静に推測する朱乃を横に私は考えていた。私は翔一が火を操った所は見た事があるが、相手を凍らせるのは見たことがない。それに翔一には私達に隠している神器がある。

 

「……これも貴方の力なの?……翔一」

 

私は翔一がどんな力を持っているのかさらに興味が沸いたと同時に恐怖感を覚えてしまった。

 

Side 翔一

 

「オラァァッ!!」

 

「グアァッ!!」

 

俺は目の前にいた神父を蹴り飛ばし、先に進む。

この辺にいた神父達もあらかた片付いた。

 

「ハアァァァッ!!」

 

「……えい」

 

声がした方を向くと木場と小猫ちゃんが戦闘を終了していた。

 

「二人とも、先に進むぞ!!」

 

二人は頷き、俺達は先に進む。

 

「ちょぉっと待ってもらえませんかねぇクソ悪魔ども」

 

その声に俺は足を止め声がした方に振り向く。そこにいたのは

 

「……フリード!!」

 

「やぁやぁ、お久しぶりですねぇ悪魔ちゃん。そっちの方は初めまして。皆大好きフリード・セルゼンちゃんだよぉ」

 

そこにいたのは俺が先日戦った外道神父フリード・セルゼンだった。

おいおい、あれくらって1日で復帰したってのか!?

……いや

 

「……まだダメージは残ってるのか」

 

「あぁ、その通りですよぉ。あの時殴られた所が疼くんだよ、テメェのせいでなぁ!!」

 

「……クッ!!」

 

俺はフリードが戦闘態勢に入ったため、俺も構える。

すると木場が俺の前に出てきた。

 

「翔一君ここは僕がやる。君は下がってくれ」

 

「木場……わかった。任せる」

 

その言葉に木場は微笑みながら、剣を手にフリードに向かっていく。

 

「ヒャッハァァァッ!!」

 

フリードもビームサーベル擬きで対抗している。あの時は解らなかったけどあの光、堕天使の光だったのか。

 

「やっぱり速いな。木場、それにフリードも」

 

悪魔祓い(エクソシスト)と戦ったことはないがアイツが実力者だってのは解る。

剣同士がぶつかり合う音が鳴り響く。

実力はほぼ互角、フリードがダメージを負ってなかったら更に激しいものとなってたかもしれない。

 

「なかなかやるね」

 

「あんたも最高!!本気でぶっ殺したくなってきたぁぁぁっ!!」

 

 

フリードは持っている拳銃で木場を攻撃する。木場はそれをかわし、再び剣を構える。

 

「じゃあ、僕も少し本気を出そうかな。」

 

そう言った途端に木場が持った剣の刀身が黒く染まる。

……闇に包まれてる?いや、あれは剣自体が闇になっているのか!?

 

両者が再び鍔迫り合いになる。しかし、フリードの剣が徐々に木場の剣に浸食されて消えていく。

 

「おいおい、な、なんなんだこりゃ!?」

 

「『光喰剣(ホーリー・イレイザー)』……光を喰らう闇の剣さ」

 

「て、テメェも神器持ちか!?」

 

木場も神器を持っていたのか!!

あの剣が木場の神器なのか?

流石だな。あいつ。性格よし、器量よし、更には剣の才能まで……万能超人かあいつ。

 

剣が消えかけた瞬間に木場の一閃をかわしたフリードに隙ができる。

……今だ!!

 

「木場!!下がれ!!」

 

その声を聞き木場は後ろにさがる。

 

「オォォォォォッ!!」

 

「しゃらくせぇっ!!」

 

フリードは拳銃を構え、撃ってくる。

その瞬間に俺は叫ぶ。

 

「プロモーション!!『騎士』!!」

 

俺は騎士に昇格して弾丸をかわして一気に近づく。そして俺はまた叫ぶ。

 

「プロモーション!!『戦車』!!」

 

俺の拳に炎を纏わせ、構える。

確か『戦車』の特性はあり得ない防御力と

 

「喰らえぇぇぇっ!!」

 

馬鹿げた攻撃力だってなぁ!!

 

俺はフリードを殴り壁までぶっ飛ばす。

フリードはまた動かなくなる。なんか硬いものを殴った感触があったが、防御したのはいいが前のダメージで更に気絶したんだろう。

 

「……ふぅ。行くぞ木場」

 

「止めは刺さなくていいのかい?」

 

「あいつはしばらく動けない。なら、まずは危険な堕天使の方が先だ」

 

そういうと木場は納得をする。

小猫ちゃんは祭壇を吹っ飛ばしてしたにある階段を見つける。

俺達はその階段をかけ降りる。

降りたあとの一本道を走った先にある大きな扉がひとりでに開く。

 

そこには大量の神父と

 

「遅かったわね。悪魔の皆さん?」

 

堕天使レイナーレがいた。その後ろには弱ってはいるが十字架にアーシアが張り付けにされている。

 

「アーシアァァァッ!!」

 

俺はアーシアに向かって叫ぶ。するとアーシアは顔を上げてこちらを向く。

 

「……翔一さん?」

 

 

やっぱり弱ってはいるがアーシアはどうやら無事みたいだ。

 

「残念ね、もう儀式は終わる所なのよ」

 

何!?

 

「……アアアァァァァァッ!!」

 

十字架が不気味に光りアーシアは苦しみの叫び声をあげる。

やっぱりあれは……!!

 

「アーシアの神器を奪い取るつもりか!!」

 

一度だけドライグに聞いた事がある。神器を身体から引き離す方法はある。

だけど、無理矢理引き剥がすような真似をすれば!!

 

「アーシア!!」

 

俺はアーシアの元に駆け出した。

 

「悪魔め!!ここは通さんぞ。かかれ!!」

 

リーダー格の悪魔祓いが指示をして、襲いかかる。

 

「邪魔だ!!どけえぇぇぇっ!!」

 

俺は悪魔祓いが持っている。光の剣をすべて爆発させる。

もうすぐアーシアの所に届きそうな所で光の槍が襲ってくる。

 

「クッ!!」

 

俺はそれをかわすために足を止める。

 

「邪魔しないでちょうだい。もうすぐ終わるから」

 

そう言った直後アーシアから優しい緑色の光が出てくる。

アーシアの目から光が消えていく。

レイナーレは緑色の光を抱き締めて自分に取り込んでいく。その瞬間、部屋が緑色の光に照らされる。光が収まった後レイナーレは緑色の光を纏っていた。

 

「アハハ!!ついに手にいれた!!『聖母の微笑み(トワイライト・ヒーリング)』を!!これで私は至高の堕天使になれる!!私を馬鹿にした者たちを見返すことも……!!」

 

たったそれだけ?それだけのためにアーシアが!!

気が付いたら俺はテレポートでアーシアの傍に行った。

俺はアーシアの鎖を繋ぎめを軽く燃やし、鎖を外す。

 

「アーシア!!しっかりしろ!!」

 

「……しょう……いちさん」

 

アーシアはめを開けて返事をしてくれたが、それだけだった。今にも消えてしまいそうで俺は抱き締めることでなんとかしようとした。

 

「その子はもう用済みよ。欲しければあげるわ」

 

「ふざけるな!!アーシアの神器を返しやがれ!!」

 

「馬鹿言わないでよ私は上を欺いてまでこの計画を進めたのよ。貴方はその証拠になってしまう。喜びなさい。その子と一緒に死ねるのだから」

 

レイナーレはそう言って光の槍を放つ。

俺はそれを下に飛び降りることでかわす。

 

そして元来た道まで駆ける。

その後を悪魔祓いが追い掛けてくる。

追い掛けてくる悪魔祓いに木場と小猫ちゃんが立ち塞がる。

 

「二人とも!!」

 

「翔一君、今は逃げるんだ!!僕達が時間を稼ぐ!!」

 

「……今は退いてください。私達も後から追いかけます!!」

 

「二人とも……ありがとう。今度何か奢る!!」

 

俺は二人を置いて駆け出した。

 

そして地下を抜け出した俺はまだ無事な椅子にアーシアを寝かせる。

アーシアの身体は冷たく、目の光も失いつつある。

 

「アーシア、ごめん。助けるって、信じてくれって言ったのに……」

 

謝る俺にアーシアは弱々しくではあるが首を降る

「……翔一さんの……せいじゃ……な…いです。翔一さんは……わ、たしを助けてくれました……」

 

アーシアはそう言って笑顔になる。

その姿が俺の心を締め付ける。

 

「……私、しあわせでした……翔一さんと言う……初めてのとも……だちが出来て……」

 

「いや、まだできる!!まだアーシアの知らないことが沢山あるんだ。まだ教えてないことが一杯あるんだ!!その間に友達だってきっと出来る!!だからそんなこと言うんじゃねぇ!!」

 

俺も口ではそう言っているが理解してしまっている。

アーシアがもう助からない事くらい。

だけど、諦めたくない!!

 

「……翔一さんと学校に行けたら……どんなに楽しいんだろう」

 

「大丈夫だって!!部長だって話せば分かってくれる!!一緒に学校だって行けるさ」

 

俺は涙を流しながら言う。アーシアの身体はどんどん冷たくなっていく。

「ないて……くれてる……わた…しの為に……私は……そ、れで…満足です」

 

「アーシア!!」

 

アーシアの手は俺の頬に触れる。その手は身体の冷たさとは違う。聖母の微笑みを受けたときのように暖かかった。

 

「さい…ごまで、わ、たしを……みてく…れて……あり…がとう……」

 

俺の頬に触れていたアーシアの手が力なく落ちる。

不幸な目にあっても、裏切られても神への信仰を忘れず、誰よりも優しい彼女は、最期まで優しさを失わずにこの世をさった。

 

ありがとう

 

それがアーシアの最後の言葉だった。

 

何でだよ。なんでアーシアが死ななくちゃならない。

 

赤ん坊の頃に親に捨てられ、なりたくもない聖女に奉られて、この子の優しさを誰も見ようともしないで……!!

 

「……なんでアーシアが」

 

「ふふ、見つけたわよ」

 

俺の後ろに堕天使レイナーレが現れる。

「ほら、見て、ここに来るまでに騎士の子にやられたの」

 

木場と小猫ちゃんなら大丈夫だ。まだ気配はある。

 

「この聖母の微笑みは素晴らしいわ。どんな傷でもたちまち治す。神の加護を失った私達にとっては最高の贈り物でわ。 ああ……これで偉大なるアザゼル様、シェムハザ様。お二人の力になれる」

 

レイナーレが何を言おうが気にしない。

 

「なぁ、いつまで寝てんだよクソ龍が」

 

俺は俺の中にいる龍に話しかける。

 

「お前俺の行く先を見るんじゃなかったのか?」

 

俺から龍のオーラが流れる。

 

「お前も二天龍の一角なら、ドラゴンとしてのプライドがあるんなら……とっとと俺に力を貸しやがれぇぇぇぇっ!!」

『相棒ぉぉぉぉっ!!』

 

ーーーDoragonbooster!!

 

そんな声と共に『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』が反応を示し、緑色の宝玉にドライグの紋章が浮き出る。

 

「ッ!!ドライグ!!お前今まで何を……」

『済まない相棒。お前が死んでからお前の深層に閉じ込められていた。本当に済まない!!』

「そうか……これで」

 

『……相棒、俺はお前の中ですべてを見ていた。そして今お前が何を思っているのかも解る』

 

「……そうか」

 

流石に長年の相棒なだけはある。

 

「話は終わりかしら」

 

上を向くとレイナーレが佇んでいた。

 

「ああ、お前をぶっ倒して、アーシアの神器を頂く!!アーシアに返すためにな!!」

 

「フン、いくら貴方があの姿になろうが関係ないわ。今のわたしは全ての傷でも治せるの貴方が攻撃するたびにね!!」

 

ほう、そうなのか……

 

「……なぁ、ドライグ」

 

『ああ、思い知らせてやると良いだろう。相棒、赤龍帝の力を……オーズの力を!!』

 

俺はオーズドライバーを取り出し三枚のメダルを手に持つ。

 

「レイナーレ、覚悟しろよ」

 

俺は三枚のメダルを一気に入れる。色は全て緑色に統一されている。

 

「お前が敵にまわした存在が何なのか……はっきりと思い知らせてやる」

 

『生きて変えれると思うなよ堕天使の小娘が!!』

そして俺はオースキャナーでメダルをスキャンする。

 

「変身!!」

 

ーーークワガタ!!

 

ーーーカマキリ!!

 

ーーーバッタ!!

 

ーーーガータガタガタキリバ、ガタキリバ!!

 

音声が流れ出てきたのは、タトバコンボの時とは違う姿。

 

頭部はクワガタを模した『クワガタヘッド』

 

胸部はカマキリを模した武器カマキリソードを持つ『カマキリアーム』

 

そして脚部はバッタを模した『バッタレッグ』

 

今ここに仮面ライダーオーズガタキリバコンボがここに降臨した。

 

 

 




えぇこの度は遅れて誠に申し訳ありませんでした。何分仕事が忙しいと同時に新しいゲームを購入してそれをずっとプレイしてました。さらには風邪でダウンしてました。
次の投稿も遅れるかも知れませんが、出来れば見捨てずに暖かく見守ってくれると嬉しいです。

次回
ついに決着かもしれない。


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決着と優しさと届いた手

カウント・ザ・メダル!!

現在、オーズの確認されているメダルは………

タカ×1

トラ×1

チーター×1

クワガタ×1

カマキリ×1

バッタ×1

ゴリラ×1

ウナギ×1


 

Side翔一

 

「……あの時とは違う?」

 

レイナーレのそんな声を聞きながら俺は自分の身体の変化に気づいた。

 

「赤龍帝の籠手が発動してる?」

 

一体どういうことだ?

 

『恐らく、相棒のアーシアを助けたい。という願いが神器を進化させたのだろう。相棒がオーズに変身している間も赤龍帝の籠手は発動し続けることが出来るようになったのだ』

 

「……そうか。そういうことなら!!」

 

『何せコンボであり初の試みだ。倍加は三段階で切らせてもらうぞ!!』

 

「上等!!」

 

俺はレイナーレに向かい走り出す。

 

「ハァァァァァッ!!」

 

俺はカマキリソードでレイナーレを斬りつける。

 

「クッ!!」

 

レイナーレは空を飛んでかわし、光の槍を俺に放ってくる。

 

「ハッ!!」

 

それを俺はジャンプしてかわして、レイナーレにクワガタヘッドで電撃を浴びせながら斬りつける。

 

「……何度やっても無駄よ」

 

レイナーレはアーシアから奪った神器でダメージを回復した。

 

ーーーboost!!

 

「なら、これならどうだ!!」

 

俺はカマキリソードに電撃を纏わせてレイナーレを攻撃する。

レイナーレも負けじと光の槍を放つ。

「ふふふ、無駄よ。わからないの?私は貴方に傷つけられた傷は何度でも私が回復できる。貴方に勝つ道はないわ」

 

レイナーレは傷を負ってない状態までになっており、全て回復したようだ。

 

つーか、回復速度が速すぎないか?

 

『相棒。奴は恐らくだが、神器を理解し、操ることに長けている』

 

「つまりどう言うことだ?」

 

『あいつは神器の持ってる隠された能力をも即座に見切り神器の性能を120%以上で使用することが出来る!!』

 

「………マジで?」

 

俺はそれに驚きを隠せない。俺だってまだ赤龍帝の籠手を全部知ってる訳じゃない。それをあのレイナーレという堕天使は出来るってのか!?

 

『最も、それにあいつは気付いてはいないがな。あの回復速度も神器の初期性能だと思っている節がある』

 

ドライグの声を聞き、俺は思う。そんな才能を持っておきながら何故?

 

『アイツが堕天使だからではないか?』

 

ドライグの言葉に俺は納得する。

神器が先天的に宿るのは人間もしくは人間の血が混じっている者だけであり、他の種族には宿らないと前に教えてもらった事がある。

アイツが他人から神器を奪ったのがあれが最初ならば気付かないのも無理はないだろう。

 

「さて、そろそろ終わりにしましょう」

 

レイナーレはそういうと、周りにいた神父達を一瞬で回復させた。

……離れた相手にも可能なのか?

 

ーーーboost!!

 

「さぁ、いくら貴方の力が強大でもこれだけの数が相手ならばどうでしょうねぇ」

 

レイナーレは俺を嘲笑うようにこちらを見ている。

 

「ドライグ、数は?」

 

『30……いや、40といったところか?』

 

それを聞き俺は笑う。

 

「ハハッ……少ないなぁ、ドライグ」

 

『あぁ、全くだ。少ないにも程がある』

 

俺はドライグと一緒なりまた笑う。

 

「……その程度で」

 

『赤龍帝を……』

 

「オーズを……」

 

「『止めれると思うな!!』」

 

その言葉と同時に俺は、分身した。

 

2人

 

 

4人

 

 

8人と増えていき、最後には50人の俺が現れた。

 

 

 

 

 

ここで、コンボについて説明しようと思う。

 

コンボは同じ系統のメダルを組み合わせることにより、出来る変身、謂わばその系統のメダルの集大成である。

コンボは凄まじいまでの力を持っているが、体力の消費が激しい。

そしてコンボは他にもあり、緑のメダルのコンボの他に

 

黄色のコンボ、

 

白のコンボ、

 

青のコンボ、

 

赤のコンボ、

 

と様々だ。

 

そしてコンボにはそのメダル特有の固有能力があり、このガタキリバの能力は……自分の分身を作ること。

 

その数は最大……50人

 

「………な、なんですって!?」

 

 

レイナーレは分身した俺達を見て驚いている。

 

「よし皆、行くぞ!!」

 

 

「「「「「応!!!!」」」」」

 

 

俺は、神父達に攻撃を仕掛ける。

 

神父達一人に一人俺をつける形で倒していく。

何人か2対1になってはいるが……

 

「オラァ!!」

 

一人は蹴り飛ばし、

 

「ハァァァァッ!!」

 

一人は殴り飛ばす。

 

 

「セイヤァァァッ!!」

 

そして一人は電撃で気絶させる。

 

そしていつの間にか、神父達は全員倒されていた。

 

「そ、そんな……あれだけの悪魔祓いを一瞬で……」

 

レイナーレは分身した俺を見て驚愕している。

 

「……悪いが、これで最後だ。レイナーレ」

 

ーーーboost!!

 

俺はオースキャナーでメダルをスキャンする。

 

ーーースキャニングチャージ!!

 

それに合わせて分身の俺もスキャンする。

 

ーーースキャニングチャージ!!×50

 

俺は分身達と共にジャンプする。

 

ーーーexplanation!!

 

「「「「「セイヤァァァッ!!」」」」」

 

 

そこで三段階の倍加を解放しレイナーレに向けて必殺技『ガタキリバキック』を繰り出す。

 

「アァァァァァッ!!」

 

そして俺は光に包まれた。

 

Side木場

 

「こ、これが……オーズの力?」

 

僕と小猫ちゃんが地下にいる神父達をあらかた片付け終え、翔一君の援護に向かうところで部長が来て翔一君の力を確かめるために手を出すなと言われて見ていたが、僕は驚きを隠せない。

翔一君が緑色のオーズになり、大量に分身して堕天使達を蹂躙していた。

 

「……ハハッ」

 

部長が突然力のない笑い声を上げる。

 

「確かにこれは私達は必要なかったわね」

 

その部長の言葉に部長といた朱乃さんも小猫ちゃんもそして僕も同意する。

あの緑色のオーズ単体でも勝てる気がしなかったのにそれが50人……無理にも程がある。

 

光が収まり、立っていたのは翔一君だった。

翔一君は何故か上を向いて動かない。

 

「……先輩、泣いている?」

 

ふと小猫ちゃんがそう言う。

僕は翔一君を見る。仮面に隠れて顔は見えないが、僕にも泣いているように見えた。

 

「まだ、堕天使の気配がありますわね」

 

「ッ!!……それは本当なの?」

 

「えぇ、微かですけど感じますわ」

 

僕はそれを聞いて驚く。

あれが効いていなかったのか!?

 

「とにかく行ってみましょう」

 

部長の言葉に同意するように僕達は翔一君の元に向かった。

 

 

 

 

Side翔一

 

「……アーシア」

 

俺は変身を解除してアーシアの名前を呟く。

手には淡い緑色の光、アーシアの神器だ。

変身を解いた俺の左手には赤龍帝の籠手が装備されている。

 

『……相棒』

 

ドライグが俺の名前を呼ぶ。

 

「……やっぱり俺は甘いのかもなぁ。お前もそう思うだろ?ドライグ」

 

『いや、お前はそれでいい。その優しさに俺も救われた。そんな俺がお前を責めたりせんさ』

 

俺の言葉にドライグはこう答える。

俺はドライグの言葉にいくらか救われた気がする。

 

「ありがとう。ドライグ」

 

俺は前を向き辛うじて残っていた教会の壁に打ち付けられているレイナーレに近づく。

俺はライダーキックをまともに食らわせていない。それでもレイナーレはボロボロで動けないとは思うが

 

「……こいつも自分の力が原因だったんだよな」

 

『ああ、こいつは自分にない力を求めた。お前とある意味で真逆なのだろう。こいつは無き力に苦しみ、お前は有りすぎる力に苦しんだ』

 

「そういう意味では、俺とこいつは似た者同士だったんだな」

 

俺はレイナーレを見てそう思った。

 

「翔一!!」

 

「……部長、それに皆」

 

俺は声がしたので振り返る。すると部長を初め、木場達もいた。

 

「元気そうだな」

 

「翔一君こそ」

 

俺はそう言いながら木場と小猫ちゃんを見る。たいした怪我はないようだ。

 

「翔一……」

 

部長がレイナーレを見て俺を見てくる。

 

「安心してください。もう戦うことはできません」

 

「うぅ………」

 

 

するのレイナーレが苦しんだ声をあげながら目を覚ます。

 

部長達は警戒の態勢入るが俺は手で制する。

 

「部長、俺に任せてください」

 

「翔一……えぇ、わかったわ」

 

部長は俺の言葉を聞き入れてくれ、後ろに下がる。

 

「……私をどうするつもり?」

 

レイナーレは力のない目で俺を見る。

 

「その様子だと、お前の仲間の堕天使がやられたのも、俺がお前を簡単に殺すことが出来るのも理解してるみたいだな」

 

俺がそう言うとレイナーレは笑いながらこう答える。

 

「あんなのを見せられて戦意喪失しない方が可笑しいわよ」

 

「……そうだな。まぁ、お前の命は俺が握っているわけだ」

 

「ふふっ、それでどうするつもり?アーシアの復讐でもするの?」

 

レイナーレの力のない笑いが見える。

俺はそのまま続ける。

 

「ついでに、俺の神器についても教えてやる」

 

俺は左手を挙げて赤龍帝の籠手を見せながら言う。

 

「『赤龍帝の籠手』、使用者の力を10秒間毎に倍にする神滅具の1つ」

 

「……まさかあなた!?」

 

レイナーレが驚いた目で俺を見る。

 

「そう、お察しの通り、俺は赤龍帝だよ」

 

その言葉にレイナーレはおろか、部長達まで驚いている。

……まぁ、驚くよね

 

「……成る程ね。貴方が何故危険な存在かわかったわ」

 

「あぁ、そいつは何よりだ。さて、そろそろやるか」

 

俺は右手に持ってるアーシアの神器を見る。

 

「……アーシア、一回だけ力を貸してくれ」

 

ーーーboost!!

 

そして俺はレイナーレに聖母の微笑みをかざす。

 

ーーーexplanation!!

 

俺は、倍加を解放し、聖母の微笑みの回復力を倍にして、レイナーレの傷を直す。

倍加したこともあり、俺でもすぐに回復される事が出来た。

 

「……どういうつもりかしら?」

 

レイナーレが疑問を抱き、そう聞いてくる。

「俺の目的はアーシアの神器を取り返すこと、お前を殺すことじゃない。それにアーシアはこんなことを決して望まない」

 

俺はさらに続ける。

 

「……お前の気持ち、少しは分かるよ。辛いことも、認めて欲しかったことも」

 

俺はレイナーレを見ながら続ける。

 

「俺もそうだった。お前とは逆で、唯の人間には過ぎた力で苦しんだ。俺も認めて欲しかった」

 

俺は手から炎を出して答える。

 

「辛かったさ。化物とまで言われて、いつもこんな力なくていい。いつも、そう思っていた」

 

「……翔一」

 

部長が俺の名前を呟く。俺は気にせずに話を続ける。

 

「でも、両親が認めてくれた。初めてこの力を持って良いって思えた。いつの間にか、そう言ってくれる奴も増えていった。そんとき俺は思ったんだ。この優しい人達を失いたくないって」

 

俺は笑顔になる。この世界の母さん達が認めてくれなかったら、俺は前の世界と同じようになっていただろう。

 

「だからさ」

 

俺は一呼吸置き、こう答える。

 

「お前は、お前自信を見てくれる奴を大切にすれば良かったんだ。お前についてきた堕天使達は、お前を見てくれていた……違うか?」

 

「……カラワーナ、ミッテルト、ドーナシーク」

 

レイナーレはあの堕天使の名前であろうものを呟く。

 

「そいつらを慈しむ心がお前にはある。だからまだ間に合う!!今は道を間違えて、そんで迷っただけだ。唯、それだけだから」

 

「……私は」

 

レイナーレがか細い声でこう答える。

 

「……私は、また前に進めるのかしら?」

 

俺はそれに笑顔で答える。

 

「進めるさ。今、あの堕天使の死を背負って前を向こうとしてるお前なら。

……まぁ、あの三人を倒しちまった俺が言うのもなんだけど」

 

俺は苦笑しながら言うとレイナーレも笑って答えた。

 

「本当にね」

 

俺はしばらく笑ってからまたレイナーレを見る。

 

「もしも、また道に迷いそうになったら、俺が助けてやるよ。絶対に」

 

俺は前にレイナーレが悪魔を見下しているから話し合いは無理だと思った。

けど、戦ってわかった。こいつも、苦しんでただけであり、ある意味で被害者なのだと。

レイナーレは驚いたのか苦笑しながら言う。

 

「フフ……お人好しね」

 

「なんだ知らなかったのか?仮面ライダーってのはお人好ししかいないんだぜ……さっさと行きな」

 

これ以上話を続けても代わりないので俺はそう促す。

するとレイナーレも同意したのか。堕天使の魔方陣が出現する。

 

「そうさせて貰うわ。……ありがとう。仮面ライダーさん」

 

そう言ってレイナーレは転移した。

 

俺は部長達に振り向く。

 

「……すいません。こんな結果になって」

 

謝る俺に部長は首を振る。

 

「いいえ、貴方が決めたことよ。反対なんてしないわ」

 

「……ありがとうございます」

 

本当に優しい人だ。

 

「……アーシアを助けることが出来なかったけど」

 

俺は手をきつく握りしめる。

 

「それなのだけど……」

 

そう言うと部長はあるものを取り出す。

それは何かに反応して光っている僧侶の駒だった。

 

「部長、まさか……」

 

俺の言葉に部長は頷く。

 

「えぇ、翔一が思ってる通りよ。前代未聞だけど、このシスターを僧侶として悪魔にてんせ……」

 

フラッ、ドサッ!!

 

俺が聞けたのはそこまでだった。

ガタキリバコンボは分身から一人に戻るとき、分身が受けている疲労やダメージを一気に受ける。

つまり、今の俺は50人分の疲労やダメージを受けている状態なのだ。

今まで動けていたのが不思議なのだ。

普通はこうなる。

 

「先輩!!」

 

「翔一!!」

 

皆が倒れた俺を囲む。

俺は部長の方を向く。これだけは伝えたいのだ。

 

「アーシア、を頼、みま、す……」

 

そこで俺の意識は途切れた。

 

 

 

「………知ってる天井だ」

 

あれから3日程がたち、俺は何時もの朝と同じように目が覚めた。

えっと、まず結論から言えば……アーシアは生き返った。悪魔としてだけど。

神器もまたアーシアに宿り、今は俺の家で一緒に暮らしてる。

まぁ、一応ハッピーエンドと言った所だ。

 

「翔一さん、おはようございます」

 

とりあえず起きたので、リビングに行くとそこには駒王学園の制服を着ている。アーシアがいた。

アーシアは駒王学園に転校して来たのだ。

 

「あぁ、おはようアーシア」

 

笑顔で挨拶してくるアーシアに俺も笑顔で答える。

 

「おはよう翔一。朝食は出来てるわよ」

 

「おはよう母さん。……あれ、父さんは?」

 

何時もならいる。あの父親が見当たらない。

 

「あぁ、仕事で今日は早くに出てったわ」

 

どうやら仕事らしい。

 

「なら、さっさと食って学校に行くか」

 

「はい!!」

 

と言うわけで俺とアーシアも早く出ることにした。

 

通学路を俺とアーシア二人で歩いていると、途中見知った顔に出会った。

黒い髪の美少女なのだが何処かで会ったことがある。

 

「久しぶりね。仮面ライダーさん」

 

「……お前、レイナーレか?」

 

そう言うとレイナーレは頷く。

 

「今は、天野夕麻と呼んでくれないかしら?堕天使なのは隠しているから」

 

「で、一体何のようだ?」

 

俺は気軽に話し掛けているが、アーシアは俺の背中に隠れている。

まぁ、警戒はするよな。

 

「貴方にではなく、アーシアに用があるのよ」

 

「えっと、私ですか?」

 

アーシアが未だに警戒しながらも答える。するとレイナーレ……天野夕麻は頭を下げる。

 

「え!?……えっと、あの!?」

 

アーシアも混乱しているようだ。

 

「アーシア、ごめんなさいね。私のしたことは許されないことかも知れないけど、貴女には謝っておきたかったのよ。私の勝手な都合で貴女の命を奪う事になってしまったから……本当にごめんなさい」

 

夕麻ちゃんがしたのは心からの謝罪だった。

これが彼女なりの答えなのだろう。俺はそれを見守る。

そして、アーシアが俺の背中から離れ、夕麻ちゃんの前に行く。

 

「……私は、貴女にに命を奪われました。でも、貴女に日本に来るように言われなければ私は、翔一さんに会うことは出来ませんでした。だから、貴女を恨んではいませんし、私は今、幸せです。翔一さんとまた一緒に居ることが出来るから……」

 

「アーシア……えぇ、そう言ってくれると私も少し心が軽くなるわ。ありがとう」

 

俺はそのやり取りを笑顔で見る。

これでいいんだよな。

 

「……それで、これからどうするんだ?」

 

閑話休題。俺はレイナーレに問う。

寧ろ俺はその後が心配なのだ。

 

「しばらくはこの町にいることにするわ。自分に出来ることを探してみるつもり」

 

夕麻ちゃんは少し考えてからそう言った。

 

「……そっか。……何か手伝えることは?」

 

「最初は自分だけでやってみるつもりよ。貴方の様に、自分の道を真っ直ぐに進んでみるわ」

 

 

「……ああ、頑張れよ。

応援してるからな。……っと、そういえばこれ」

 

俺はポケットに入れていた一枚の紙を渡す。

内容はあの時感じた夕麻ちゃんの神器を操る能力(ドライグが推測した物を纏めたもの)があることを書いている。

 

「後で読んどいてくれ。きっと力になるぜ。後、俺は翔一でいいよ。」

 

夕麻ちゃんは笑顔になる。

 

「ありがとう、翔一君。

……それじゃ、そろそろ行くわ」

 

そう言って夕麻ちゃんは立ち去ろうとする。

 

「ああ、またな。気を付けて行けよ」

 

「また会いましょう。夕麻さん」

 

俺もアーシアも笑顔で手を降る。

 

「えぇ、またね。二人とも」

 

そのまま笑顔で夕麻ちゃんは立ち去った。

 

「……さて、俺達も行くか」

 

「はい。……翔一さん!!」

 

学園に行こうとすると、アーシアが俺を呼ぶ声を聞いたので振り替える。

 

「これからもよろしくお願いします!!」

 

俺が見たのは俺が護りたくて、それでいて今までに無いくらいの最高の笑顔だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




……すんません。

色々遅れたりして、マジですんません。

これで1巻部分は終わりです。

次回は閑話を1つ入れてから2巻部分にいきたいと思います。

さて 、何のコンボを出そうかな。猫系で行くか、鳥で行くか……
まぁ、後から考えよ。

次回もお楽しみに。


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