お嬢様は暇をもて余したようです (グラマン・カーティス)
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お嬢様の着任 編
第1話:お嬢様が艦これを始めるようです


レミリアお嬢様が提督になるお話です

暇をもて余したお嬢様、はてさてどうするのやら…?


始まり

 

人々から忘れ去られたものが集う場所 「幻想郷」 その幻想郷に位置する霧が立ち込める巨大な湖、通称「霧の湖」の中程に紅く染まった屋敷「紅魔館」はあった

 

ある日の紅魔館での事

 

 

レミリア「暇だな…」

 

館の主、レミリア・スカーレットは暇をもて余していた

 

咲夜「お嬢様、いつも同じ事おっしゃってますね。そんなに暇でしたら何か趣味の発見をされてみては?」

 

レミリアの部下であり屋敷のメイド長の十六夜咲夜は退屈そうに欠伸をしている主に言った

 

レミリア「…そうだな、探してみるか」

 

お嬢様の散策

 

 

レミリア「と言って外に出てみたはいいものの…新たに趣味を見つけるのは難しそうだな…」

 

レミリアは人里に来てきた、人里なら何か発見があるかと思ったようだ

 

レミリア「…けん玉にベーゴマ、メンコに雑誌…、どれもあまり面白そうではないな…」

 

人里の商店に置かれている遊戯用の玩具やゲーム等に目を通しては見るものの、あまり興味は惹かれなかった

 

?「お、レミリア何してるんだ?ここにいるなんて珍しいじゃないか」

 

レミリア「…なんだ、白黒魔法使いか」

 

そこへ後ろから声が聞こえたので振り返ってみると、そこには白と黒の服に身を包み大きな黒い帽子に白いリボンを着けた金髪の少女、霧雨魔理沙が立っていた

 

魔理沙「咲夜から聞いたのぜ、新しい趣味を探してるんだって?」

 

レミリア「ああ」

 

魔理沙「だったらこの魔理沙さんにお任せだぜ!」ドン

 

魔理沙は自信満々に胸を叩いた

 

 

魔理沙のオススメ

 

 

所変わりここは霧雨魔法店、魔理沙の自宅兼商店である

 

レミリア「…で、そのオススメのゲームとやらはなんなんだ?」

 

魔理沙「ふふん、ズバリこれだぜ!」ズイッ

 

レミリアが聞くと魔理沙はパソコンの画面をレミリアに見せた

 

レミリア「何だこれは…?私達のような少女が映ってるが…」

 

魔理沙「これは艦これというゲームだ、外の世界で流行ってるとても面白いゲームなのぜ!」

 

レミリア「…ふむ」

 

外の世界で流行っているゲーム、これにはあまりゲームの事を知らないレミリアも興味を持った

 

レミリア「面白そうだな、これは何処で売ってるんだ?」

 

魔理沙「ネットショップでダウンロードしたらプレイ可能だぜ、まずはやってみなよ!」

 

レミリア「そうだな、感謝するよ。ありがとう白黒魔法使い、また今度御礼をしよう」

 

魔理沙「それは嬉しいけど白黒白黒言うな!」

 

 

 

おぜう様は艦これを始めるようです

 

レミリア「という訳で、ゲームを始めてみたぞ」

 

咲夜「意外です、お嬢様はそういうのは興味がないのかと思ってました」

 

レミリア「私もあまり興味はなかったんだが、暇で暇で仕方がなくてな。それに外の世界で流行ってると聞いた。これは面白そうだと思ったのさ」

 

咲夜「そうでしたか」

 

レミリアはそう言うと、マウスを動かしログインボタンをクリックした…



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第2話:お嬢様は艦これを始めたようですよ

いよいよ艦これを始めたお嬢様
しかしそんな彼女にある異変が…?


いざスタート!

 

レミリア「起動したらここをクリックしろと白黒魔法使いは言ってたな」

 

レミリアは目立つボタンにマウスカーソルを合わせクリックした

 

 

パソコン:艦・こ・れ。始まるよ♪

 

 

レミリア「うおっ、いきなりのタイトルコールか。随分と軽いノリだな」

 

咲夜「画面に映っている五人の女性と何か関係があるのでしょうか」

 

レミリア「さぁな、やってみればわかるだろ」

 

 

数分後

 

パソコン:提督名を入力してください

 

レミリア「お、画面が切り替わったぞ」

 

咲夜「どうやら名前を記入しなくてはならないようですね、どうします?お嬢様」

 

レミリア「ん~、いくら幻想郷とはいえ本名をネットに書くのはあまり気が進まんな…」

 

そう言うとレミリアは腕を組み何かを考え始めた

 

レミリア「…よし、昔使ってた偽名をそのまま使おう」カタカタッ  カチッ

 

咲夜「『紅玲美(くれない れみ)』…?美鈴みたいな名前ですね」

 

レミリア「まだ咲夜や美鈴と出会う前に使っていたんだよ、まさかあの時の偽名がこんなところで役に立つとは思わなかった」

 

咲夜「そんなに昔のものだったのですか」

 

レミリア「その話はまた今度してやる。とりあえず今は艦これだ」

 

レミリアが提督名を入力し、クリックすると再び画面が切り替わった

 

パソコン:初期艦を選択してください

 

咲夜「初期艦…ですか?」

 

始めてみる画面に首をかしげる咲夜

 

レミリア「えーと、白黒魔法使いから聞いた話だとこの初期艦を選んでゲームをスタートさせるようだぞ…?」ピクッ

 

横を向いたレミリアは驚いた、横にいたはずの咲夜がいない。そして座っていたはずの自分が立っている、広い部屋の真ん中で

 

レミリア「…は?」

 

周囲を見回すが、さっきまでいた部屋ではなくなっている。どうなっているのかさっぱりわからない

 

レミリア「何処だここは…?いや落ち着け、冷静になるんだレミリア。とりあえず床のカーペットを引きちぎって…」

 

落ち着く?否、大パニック中である

 

コンコン

 

レミリア「んあ?」

 

その時、後ろの戸からノックが聞こえたので降り向こうとすると

 

 

レミリア「…はっ?」

 

レミリアはいつもの自室に戻っていた

 

咲夜「お嬢様、大丈夫ですか!?意識を失っておられましたよ?」オロオロ

 

横を見ると慌ててはいるが咲夜がいた

 

レミリア「あ…あぁ、大丈夫だ。疲れていたようだ」

 

とりあえずその場を誤魔化す

 

レミリア「(さっきの光景は夢だったのか……?)」

 

咲夜「それなら良かったです…。お嬢様、今日はもうお休みになられたほうが…」

 

レミリア「そうだな、だが秘書艦は選んでしまおう」

 

そう言うとレミリアは再びパソコンに目を向ける

 

レミリア「吹雪、叢雲、漣、五月雨、電か…。誰にするか…」

 

一通り見た後、レミリアの目にある少女が止まった

 

レミリア「よし、こいつにするか!」



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第3話:お嬢様は秘書艦を決めるようですよ

秘書艦を誰にしようか考えていたお嬢様、ついに決定するようですよ


咲夜「お嬢様、結局どの艦娘にされるのですか?」

 

レミリア「こいつだ」カチッ

 

 

電『電です、どうかよろしくお願いします…!』

 

 

咲夜「電…ですか」 

 

レミリア「あぁ、ちっこくて可愛いからこいつにしたぞ」

 

咲夜「お嬢様…もしかしてロリコ(殴」

 

レミリア「断じて違う、それに他の奴も皆同じ駆逐艦だしその理論ならどれ選んでもロリコンになるだろうが」

 

咲夜「失礼しました、お嬢様」タンコブ

 

レミリア「わかればいい。さて…寝るか」

 

そう言うとレミリアはパソコンの電源を落とすと、大きなあくびをしながら立ち上がった

 

咲夜「お嬢様、夕飯はどうされますか?」

 

レミリア「後でいただくよ、今は寝る」

 

咲夜「了解しました、ではお休みなさい」

 

バタン

 

咲夜が部屋を出ていった後、部屋には静寂が訪れた

 

レミリア「(…私も提督か、しかし何をすればいいんだ?明日魔理沙に聞きに行くか…)」

 

ベッドに寝そべったレミリアは天井を見つめてた後、眠りに落ちていった

 

 

 

 

おぜう、目覚める

 

 

レミリア「…またか」

 

レミリアが目を覚ますと、昨日と同じ何もない広い部屋に彼女は立っていた

 

レミリア「最初の時は驚いたが、まさか夢の続きが見られるとは、珍しいこともあるものだな」

 

多少驚きはしたものの二度目なのもあり、レミリアは冷静さを保てたようで部屋の中を見て回っていた

 

レミリア「随分と高そうな壁紙だな、それにこのカーペットもよく見かけるものより柔らかい、ブランド品か?」

 

彼女がカーペットや壁紙をさすっていると

 

コンコン ガチャッ

 

レミリア「む?」

 

部屋をノックする音が数回響いた後、扉が開き栗色の髪の毛でセーラー服に身を包んだ一人の少女が入ってきた

 

少女「あ…あの…、あなたが司令官さんですか…?」

 

レミリア「…は?」

 

唐突に少女から訳がわからない質問をされ、レミリアは驚きを隠せなかった

 

レミリア「司令官…?何のこt…」ハッ

 

一瞬動揺したが彼女の脳裏に昨日の出来事がよぎった

 

レミリア「(もしかして…この夢は昨日のゲームの事か?仮にそうだとするとこの少女の言うことも頷ける)」

 

 

お嬢様は秘書艦と会話するようです

 

 

玲美(レミリア)「あぁ、そうだ。私が今日ここに着任した提督の玲美だ、よろしく頼む」

 

電「あ…い、電です。どうか…よろしくお願いいたします…」オドオド

 

怯えているのか、電は少し怖がっているような表情だった

 

玲美「…大丈夫だ、何もしないよ」ニコッ

 

電「は、はわ…」

 

レミリアが笑みを見せると、電も少し安心したのか怖がるような素振りは見せなくなった

 

玲美「(…可愛いな、艦娘とは思えん。多分これ普通の女の子だって言われたら信じてしまいそうだ)」

 

電「司令官さん…?」オドオド

 

玲美「あ…すまん、何でもない」ゴホゴホッ

 

電「?」キョトン

 

玲美「とりあえずだ、これから何をすればいいのか教えてくれないか?」

 

電「任せてくださいなのです、まずは…」

 

 

 

夢の終わり……?

 

 

電が話し始めた所でレミリアの意識は再び途絶え、目が覚めると自室のベッドの上だった

 

レミリア「…なんだもう終わりか、つまらん。もう少し見ていたかったぞ」ハァ

 

溜め息をつき起き上がる

 

レミリア「もう夕方か、魔理沙の所に行くか…」

 

そう言うとレミリアは重い腰をあげ窓から飛び立っていったのだった




レミリアお嬢様は初期艦を決めたようですね

皆さんは最初の初期艦は誰を選びましたか?

私は電ちゃんを選びました。可愛いですよね、あの子


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第4話:お嬢様は白黒魔法使いと談笑するようです

魔法の森の魔法使いの元を訪ねたお嬢様

何故彼女は魔法使いの元を訪れたのだろうか…?(今回は艦これ要素はほぼありません)


ー魔法の森 霧雨魔法店

 

魔理沙「ふふーん♪風呂はやっぱり気持ちいいのぜ~」カポーン

 

この家の家主、霧雨魔理沙はゆっくりと風呂に浸かっていた。至福の時間とはこの事だろう

 

魔理沙「さーて、風呂上がったら艦これでもするか~」ザパーン

 

 

魔理沙がこのあとの事を考えながら湯船を出て、戸を開けると

 

魔理沙「…え?」パサッ

 

なんとリビングのソファにレミリアが腰かけていた

 

レミリア「…お、やっと出てきたか。長かったな、お前が長風呂するタイプだとは思わなかったぞ」

 

風呂から魔理沙が出たことに気づいたレミリアが話しかけてきたことで放心状態になっていた魔理沙がハッと気づいた

 

魔理沙「きゃ…」

 

レミリア「きゃ?」

 

魔理沙「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!レミリアの変態ぃぃぃぃぃ!!(赤面)」カオマッカ

 

レミリア「はぁ!?」

 

魔理沙「で、出てけーー!!!(赤面)」ブンブン

 

レミリア「イテッ!おいっ!チョッアブナッ!魔法瓶なんか投げるなって…!イテェッ!」

 

パニックを起こした魔理沙に物を投げつけられ、レミリアは渋々外に退散した

 

 

数十分後

 

 

落ち着きを取り戻した魔理沙はレミリアを自宅に入れた

 

魔理沙「もぅ…!女の子の家に侵入するなんてマナーがなってないのぜ!(赤面)」

 

レミリア「お前が言うな、毎日うちに侵入してるだろお前」

 

魔理沙「う……そ、そんなことより!用はなんなのぜ?」

 

レミリア「おっと、そうだった」

 

 

 

レミリアは昨日の事を魔理沙に伝えた

 

魔理沙「成る程、提督として何をすればいいのか気になるのか」

 

レミリア「あぁ」

 

魔理沙「だったら簡単だ、任務を遂行するんだ」

 

レミリア「任務?」

 

頭に?を浮かべたレミリアを見て魔理沙はパソコンの画面を見せて説明しはじめた

 

魔理沙「カクカクシカジカというわけだ」

 

レミリア「マルマルウマウマというわけか、成る程な」

 

魔理沙の説明を聞きレミリアは任務のやり方を覚えた

 

 

レミリア「なぁ、少しいいか?」

 

魔理沙「お、どうしたよ」

 

レミリア「お前は秘書艦は誰にしたんだ?」

 

魔理沙「漣だぜ!可愛いよあの子は」

 

レミリア「…成る程、あの明るさとお前のやかましさは確かに似ているところがあるな(笑)」

 

魔理沙「失礼な!そういうレミリアは誰にしたんだ!」

 

レミリア「電だよ」

 

魔理沙「電?レミリアが?似合わないのぜぇ…」

 

片方はオドオド系の真面目で癒し枠の電、もう片方は戦闘狂で常に戦いを欲するおしとやかさ?んなもん知るかのレミリア、魔理沙は何故彼女を選んだのかがわからなかった

 

レミリア「ストッパーだよ、私は熱くなりがちだからな」ハッハッハ

 

魔理沙「な、成る程…(電が心配なのぜぇ…)」

 

笑うレミリアに魔理沙も笑みを浮かべはするが内心はゲームとはいえ電の苦労を想像すると変な汗しか出てこなかったのだった…




任務のやり方を覚えたお嬢様、次回からようやく鎮守府編のスタートです


☆プチ登場人物紹介その1☆

レミリア・スカーレット

本作の主人公
我が儘で少し幼い思考のお嬢様…な感じはなく強さと程よい暇潰しを求める変わった性格

口調も少し変わっている
飽きっぽさと面倒見のよさは健在である

本人曰く「口調なんか気にしたことねえな」とのこと


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提督お嬢様 編
第5話:お嬢様は傷だらけの艦娘を見つけたようです


 

ある日の夜

 

レミリア「ふぅ、仕事も一段落ついたし息抜きに艦これでもするか」

 

レミリアは自室でパソコンを開き、艦これを起動した

 

レミリア「(それにしても、このゲームをしているといつも眠くなるんだよな、何故だ?あ、今日も眠く……)」

 

 

 

玲美「…そして何故かこうなるんだ」

 

レミリア…改め玲美が気づくと、見慣れた執務室の椅子に座っていた

 

電「司令官さん、失礼するのです」ガチャッ

 

玲美「おう、電か。どうした?」

 

玲美はとりあえず頭を切り替え、部屋に入ってきた秘書艦、電の対応をする

 

電「司令官さん、今日は建造と開発の説明をするのです」

 

玲美「(魔理沙が言ってた任務ってやつのことか?)わかった、頼む」スクッ

 

電「了解なのです、ついてきてください」

 

玲美「(電は…私に対してどう思っているのだろうか…部下の信頼を得られない上司は長続きしないから気を付けねば)」

 

電「司令官さん?どうされたのです?」

 

玲美「いや、何でもないよ」

 

 

 

 

?「はぁ…はぁ…」

 

 

 

 

その頃、砂浜を一人の女性が歩いていた。だがその様子は少し不自然であった

 

 

 

電「ここが工廠なのです、ここで建造、開発、入渠が行えるのです」

 

玲美「成る程な、随分と立派な建物だな…」

 

電「そうですね…電も初めて見たときは驚いたのです…」

 

赤レンガの建物を見て二人は驚きを隠せずにいた

 

電「では中に入りましょう」

 

玲美「わかった」

 

二人が中に入ると、そこには三つの扉があった

 

電「左から順に入渠ドック、開発ドック、建造ドックなのです」

 

玲美「ふむ、中で三つに別れてるのか。これは便利だな」

 

電「なのです、まずは右端の建造ドックに案内するのです」

 

ギィィィ…

 

錆び付いたのか開きが悪い鉄製のドアを電が開け、二人は中に入る

 

玲美「なんだこれ」

 

中に入ると、大きな壁とその壁に空いた穴からベルトコンベアが顔を出していた

 

電「このベルトコンベアに資材を置くと建造が出来るのです。どうするのですか?」

 

玲美「そうだな、お願いしよう。消費量が一番少なくすむやつで頼む」

 

電「わかったのです」

 

ピッポッパッ

 

そう言うと電はベルトコンベアの横にあったパッドに何かを入力すると、壁に空いていた穴から資材が出てきた

 

電「これをあのベルトコンベアに置いてください」

 

玲美「了解」

 

玲美が言われた通りに資材を置くと、コンベアは動きだし、資材は壁の奥へ消えていった

 

電「終わりなのです。しばらく待つと艦娘が出るのです」

 

玲美「…随分と簡単なんだな」

 

電「なのです」

 

二人が話していると、壁の上の電光掲示板に数字が出た

 

[00:22:00]

 

玲美「なんだありゃ」

 

電「あれは建造時間なのです、あれが0になったら建造が終わるのです」

 

玲美「ほう」

 

電「建造が終わるまでどうしましょう…」

 

玲美「……散歩でもいくか?」

 

電「いいのですか?」

 

玲美「少しくらいなら大丈夫だろ」

 

電「ではお供するのです!」キラキラ

 

玲美の許可を貰えたので目を輝かせる電なのだった

 

 

この日は電の希望で海辺を散歩することになり、二人は海岸に沿った道路を歩いていた

 

電「はわ~、綺麗なのです」

 

玲美「電は海が好きなのか?」

 

電「なのです。海を見てると落ち着くのです~」

 

玲美「(艦娘は海が好きなんだろうか?それとも電だけなのか?まぁそれは後々わかるか)」

 

海を見て興奮している電を見て玲美はふとそんなことを考えたりしながら海を眺めていた

 

電「…?」ピタッ

 

玲美「どうした?  …あぁ」

 

電が突然立ち止まり、何かを見つめたので玲美もその視線の先を見ると、そこには小さな建物があった」

 

玲美「(あれは確か…海の家…だったか?昔本で見たことがある)電…腹が減ったのか?」

 

電「そ、そんなことないのです!!おなかがすいたなんてそんな…」グゥゥゥ…

 

考えていることを見透かされて慌てて否定する電だが身体は正直だった

 

玲美「…仕方ない、何か食べるか。お昼だしな」

電「で、でも…」

玲美「いいのいいの。遠慮するな」

電「じゃ、じゃあお言葉に甘えて…」

 

結局海の家でやきそばを購入し、砂浜を歩きながら食べていた

 

電「おいしいのです!」

玲美「そうか?それは良かったな」

電「ありがとうございます…なのです」

玲美「いいって、こういう時くらい上司らしいことさせてく…れ?」

 

何度もお礼を言う電に玲美は笑いながら答えていたが、彼女の目に何かが飛び込んできた

 

?「はぁ…はぁ…………」

 

玲美「おい…、あれって人じゃないか?」

電「え…? あ…確かにそう見えるのです…」

玲美「行くぞ!もし人だったらヤバイ!」ダッ

電「は、はにゃっ!?司令官さん!待ってなのです~!!」

 

玲美は今にも倒れてそうな女性に駆け寄り、身体を支える

 

玲美「大丈夫か!?」

?「た…助け…て…」

玲美「わかった!」

 

電「はぁ…はぁ…、司令官さん…速いのです…」

玲美「おい電!救急車を呼んでくれ!!」

電「はにゃっ!?」

玲美「見てわからないか!ひどい怪我をしてる!」

電「え…?(玲美に支えられている女性を見る)…!!」

玲美「おい、電…?」

電「司令官さん…そ、その人…」

玲美「あ?」

電「か、艦娘なのです…。何で…?」

 

玲美の肩で支えられている女性を見た電は女性を自分と同じ艦娘だと言った

 

玲美「おいおい…艦娘だか天むすだか知らないが…、ど、どうすれば…病院か…?それとも、えーとあのサイレンがなる…消防車だったか!?」オオアワテ

電「し、司令官さん落ち着いてください!消防車なんか呼んでも意味無いのです!」

 

艦娘「…はぁ…あぅっ…」

 

苦しそうに呻く重傷の艦娘

 

玲美「このままじゃ不味いぞ…えーっと、確か…パトカー…じゃなかった救急車か!?」

電「それよりももっと最善の方法があるのです!」

玲美「何!?それは何だ!!」

電「入渠ドックなのです!そこに運べば生きているうちならまだ間に合うのです!」

玲美「入渠ドック…建造ドックの隣だったか!よし掴まれ電!戻るぞ!」グイッ

電「ふえっ!?」

 

そう言うと玲美は艦娘と電を持ち上げると猛ダッシュで鎮守府まで戻った

 

 

10分後

 

玲美「はぁ…はぁ…」

 

入渠ドックの入り口前で横になっている玲美の姿があった

 

玲美「疲れた…」

 

ガチャッ

 

電「お疲れ様なのです。もう大丈夫なのです」

玲美「そ、そうか…」

電「司令官さん凄いのです…、全力で走っても普通なら20分はかかる道を8分で戻るなんて…人間離れしてるのです」

玲美「は、はは…昔からそう言われるよ(実は人間じゃないですなんて言えないしな…)」

電「でも少し気になるのです」

玲美「あの艦娘の事だろ…?私もだ…」

電「何で倒れてたのでしょう…」

玲美「…さぁな、あいつの意識が戻ったら聞こう」

電「なのです…」

玲美「…疲れた、少し寝る…」

 

かなりの疲労が蓄積したのか、そこで玲美の意識は途絶えた

 

 

 

レミリア「…はっ」

 

そして、玲美…改めレミリアが再び目を覚ますと、やはり見慣れた自分の部屋の椅子に座っており、目の前には電源のついたパソコンが置かれていた

 

レミリア「…また寝てしまったか、随分とリアルな夢だったな。それにしても…」

 

目覚めたレミリアは自分の身体に違和感を覚えていた

 

レミリア「なんでこんなに疲れてるんだ…?寝てたはずなのに…」



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第6話:傷ついた艦娘の正体

前回の続きです

傷だらけだった艦娘を保護した玲美と電

玲美は艦娘の事が気になって仕方がないようで……


玲美「…」

 

レミリア…もとい玲美は入渠ドックの入り口の前に立っていた、昨日見つけた大怪我をした艦娘が気になって仕方がなかったのだ

 

電「司令官さん、もう来てたのです?」

 

そこへ彼女の初期艦である電が現れる

 

玲美「あぁ…、昨日の艦娘が気になって」

電「司令官さんも…ですか」

玲美「電も気になってたの?」

電「当然なのです、電も艦娘なのです」ぷんすか!

 

電は頬を膨らませ怒る

 

玲美「すまんすまん、しかしまだ終わらないのか?」

電「酷い怪我だったのです、艤装の損傷もですけどあれほど酷い怪我をする艦娘は見たこと無いのです…」

玲美「…心配だな、入ってみるか」

電「了解なのです、電もお供するのです」

 

 

そう言うと二人は戸を開け脱衣所を通りドック内に入る

 

ガラッ

 

艦娘「…っ!?」ビクッ

 

敷居戸を開けると既に艦娘は意識を取り戻しており、怯えた表情でこちらを見ていた

 

玲美「なんだ、起きてたのか」ホッ

電「良かったのです!心配だったのです…」

 

艦娘が起きていたことに安堵する二人に対し艦娘は二人に怯えた様子だった

 

 

 

 

 

 

艦娘「ご、ごめんなさい…、今すぐ出ていきますからどうか…」ブルブル

 

玲美「? 何を言ってるんだ?」

 

艦娘の態度を見て玲美は疑問を抱く

 

玲美「なぁ電。なんであの艦娘、あんなにビクビクしてるんだ?」ボソボソ

電「わからないのです…」ボソボソ

 

艦娘「…」ウツムキ

 

玲美「…?」ボソボソ

電「司令官さん、もしかしたら怖がっているのかもしれないのです、少し話しかけてみてください」ボソボソ

玲美「わかった」ボソッ

 

あの艦娘は自分達に怯えているのかもしれない、そう思った電に頼まれ、玲美は艦娘に話しかけた

 

玲美「なぁ、少しいいか?」

艦娘「っ!? は、はい…何でしょうか…」

玲美「そんなに怯えないで、別に危害を加えるつもりはないよ」

艦娘「…ほ、本当ですか?」

電「本当なのです、司令官さんも電もあなたには何もしないのです」

 

電が私達は敵意はないと伝えると艦娘は少し安心したのか怯えていた様子が少し収まった

 

玲美「単刀直入に聞くんだが、あなたは誰なんだ?」

 

艦娘「…」

 

玲美「おっと、相手に名前を聞くときは先にこっちが名乗らないとな。私は紅玲美、この鎮守府の提督だ」

電「秘書艦の電です」

 

 

二人が自己紹介をすると艦娘もポツリポツリと話し始めた

 

 

 

 

 

古鷹「私は古鷹といいます…、古鷹型重巡洋艦の一番艦です…」

 

玲美「古鷹…か」

電「わかったのです、ではもう一つ質問してもいいですか?」

 

古鷹「…はい」

 

電「古鷹さんはどこの鎮守府に所属しているのです?保護したことを伝えないといけないのです」

 

古鷹「……!!!」

 

玲美「(なんだ?急に様子が…)」

 

古鷹「…で」ボソッ

電「はにゃ?」

古鷹「やめてくださいっ!?」ジャキッ!!

 

突然古鷹が左腕の艤装を動かし電に向けて攻撃姿勢を取った!

 

玲美「なっ!?」

電「はにゃっ!?」

 

これには二人も驚きを隠せず一瞬動きが止まってしまう

 

古鷹「嫌だ…嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ…!彼処にはもう帰りたく…!あれ…?」

 

壊れた機械のように叫んでいた古鷹が何かに気づいたようで動きを止める

 

電「…ハッ! 司令官さん!」

玲美「電!?」

 

その隙に状況を理解した電が玲美の前に立ち艤装を展開、主砲を古鷹へ向ける

 

古鷹「ない…私の右腕…私の左目…無い…無い…ナイ…ドウシテ…!?」ゾゾゾッ

 

玲美「(身体が白くっ!?)」

 

自分の右腕も左目も無いことに気づいた古鷹は再び狂ったように叫び、そしてその身体は白く変色し始めていた

 

古鷹「嫌だ…沈みたくナイ…死二たくナい…!!」ガクブル

 

玲美「こいつ…正気を失ってる…!!」

電「怖いのです…!」

玲美「おい!怖いなら…」

電「でも司令官さんは守るのです!!」

玲美「電…」

 

余りの恐怖に震えながらも玲美の前に立ち古鷹から守ろうとする電、それを見て玲美は感銘をうける

 

 

古鷹「あアァぁあぁあぁああア!?」ブンブン

 

狂ったように叫び腕を振り回す古鷹

 

電「司令官さん!砲の許可を!!このままじゃ危険なのです!」

玲美「駄目だ!!まだ撃つな!」

 

玲美「(だが不味い…このままじゃ周りに被害が…!それに状況が状況とはいえ電に艦娘を撃たせたくはない…なんとか落ち着かせないと…)」キョロキョロ

 

玲美は何か武器になるような物を探して辺りを見回す、すると戸の近くに一本の鉄パイプがあった

 

玲美「…仕方がない!悪く思うなよっ!!」ガシッ

電「司令官さんっ!?」

 

玲美はその鉄パイプに近づきそれを拾い上げ、握り締めると一気に古鷹に接近、そして

 

玲美「オラッ!!」ブンッ!

 

 

ギンッ!!!

 

古鷹「ぁ…」ガクッ

 

振り下ろされた鉄パイプは古鷹の後頭部を直撃、鈍い音と共に古鷹は気絶し、余程物凄い力で殴り付けたのか鉄パイプは曲がっていた

 

 

電「司令官さん、すごい力なのです…」

 

電は折れ曲がった鉄パイプを見て呆れながら言った

 

電「本当に人間なのです?人間とは思えない力なのです」(¬_¬)ジトー

玲美「か、火事場の馬鹿力ってやつだ」

電「…そういうことにしておくのです」

 

玲美はその場を誤魔化し気絶している古鷹へ目を向けた

 

玲美「…とりあえず落ち着いたか」

電「司令官さん…それは落ち着かせるじゃなくて気絶させてるだけなのです…」

 

落ち着き(物理)により古鷹は後頭部に大きなたんこぶを一つ携えていたが他に大きな怪我は無いようだった

 

玲美「この鉄パイプが曲がるくらいの力で殴り付けたのにたんこぶ一つですむとは、艦娘は頑丈だな…」

電「司令官さん…トドメ刺したりしてないですよね…?」

玲美「多分…大丈夫」ヒヤアセ

 

 

 

古鷹「…」ムクリ

 

玲美と電が喋っている間に古鷹は再び顔をあげた、気づくと身体の色も元の肌色に戻っていた

 

玲美「あ…起きた…」

古鷹「あれ…?ここは…」

玲美「だ、大丈夫か…?殴り付けておいて言うのもあれだが…」

古鷹「貴女達は…?あれ、なんで後頭部が痛いんだろ…」

玲美「あ、あはは…なんでだろうね(苦笑)」コソッ

電「な、なのです…(苦笑)」

 

意識が戻った古鷹だが、さっきとはうって変わって落ち着いていた

 

玲美「…なぁ電、一応さっきの質問した方がいいよな」

電「な、なのです」

 

二人は冷や汗を書きながらさっきと同じ質問をした、すると

 

古鷹「? 私の鎮守府?いきなりどうして?」キョトン

玲美「いや、お前の鎮守府に連絡して迎えに来てもらわないと」

古鷹「わからないです、そもそも貴女達は誰なんですか?そしてここは?何がどうなって…?」

 

古鷹は頭に?を浮かべて言った

 

玲美「は?さっきあんなに動揺して叫んでたじゃないか、やめてくれって…」

古鷹「何を言ってるんですか、私と貴女達は今初めて会ったんじゃないですか」

電「え…?」

玲美「(!)そ、そうだったな。すまない」

電「司令官さん!?」

 

 

玲美の唐突な肯定に電は驚く

 

玲美「(とりあえず話を合わせよう、多分さっきの鉄パイプクラッシュで少し前の記憶がぶっ飛んだんだろう)」ボソボソ

電「(何やらかしてるのです!!)」ボソボソ

玲美「(仕方がなかったんだよ!あの状況だとああするしかなかったの!!)」ボソッ

電「(あぁもう!仕方ないのです!)」ボソッ

 

古鷹「あの…」

 

玲美「すまんすまん。えっと…ここは…どこだっけ?」

電「そういえばまだ鎮守府の名前決めてなかったのです」

 

古鷹「えぇ…」

 

玲美「うーん…、どうしたものか」

電「そもそもここ何処なのです?」

玲美「まずそれだな、わからない」

古鷹「だ、大丈夫なんですか?」

玲美「そもそも始動してから間もないからなぁ…」

電「とりあえず即席で決めちゃいましょう」

玲美「うーん…出店があったから人がいる、つまり港湾はある」

電「人がいるってことは電気やガスもあるのです」

玲美「…えーいめんどくせぇ!!この鎮守府どこか古くさいしボロ鎮守府でいいだろ」

電「それは嫌なのです…」

玲美「そ、そうか…。じゃあどうするか…」

 

頭を悩ませる二人、そこへ

 

古鷹「あの…一つ提案なんですが…、ボロじゃなくて幌はどうです?」

玲美「幌?」

古鷹「はい、幌が車を雨や風などから守るみたいに深海棲艦からこの地を守る…みたいな」

玲美「…採用」

電「異議なし」

古鷹「(本当に大丈夫なんでしょうか…)」

 

 

まさかの古鷹からの意見を即座に採用した二人、それを見て古鷹は少し心配になった

 

玲美「えーと、では改めて。ここは幌鎮守府、そして私がこの鎮守府の提督の玲美だ」

電「秘書艦の電なのです!」

古鷹「え、えーと…古鷹です…」

玲美「うむ、それで君は何処の鎮守府所属なんだ?」

古鷹「私の鎮守府ですか?えっと……あれ、何処でしたっけ…」

玲美「え?」

電「へ?」

 

古鷹「あれ…?すみません、思い出せません」

 

玲美「……まさか」アセダク

電「間違いなく司令官さんの鉄パイプクラッシュのせいなのです」ジトメ

古鷹「鉄パイプクラッシュ…?」

玲美「な、何でもない!!そうか!思い出せないのか!じゃあ仕方がないね!!」

電「司令官さん、目が泳いでるのです」

玲美「うるさい!」

古鷹「何がなんなのかわかりませんが…面白い人ですね」クスッ

 

大慌ての玲美とそれに呆れる電を見て古鷹は笑った

 

古鷹「…あ!す、すみません!(汗)」

電「大丈夫なのです、むしろ笑ってあげてほしいのです」

玲美「あ、あはは…」

 

 

 

結局古鷹が記憶を取り戻すまで鎮守府で様子を見ることになった、電が一応大本営に艦娘の捜索願いが出てないか聞いてみたものの無かったらしい

 

古鷹「暫くの間ですが…よろしくお願いいたします」ペコリ

玲美「いやいや、頭を上げてください。寧ろこちらこそ申し訳ございません…」ドゲザー

古鷹「えぇっ!?」

電「気にしないでくださいなのです」ペコリ

古鷹「は、はぁ…」

玲美「では…これで」

 

 

そう言うと玲美と電はドックを後にし、建物の入り口まで出てきた

 

玲美「はぁ…疲れた」

電「司令官さん…やらかしちゃいましたね」

玲美「まったくだ、何て言えばいいのやら……」

電「とりあえず今日は休みましょう。空が暗くなり始めてるのです」

玲美「そうだな…星がでてらぁ」

 

 

 

そこで玲美の意識は途絶えた

 

 

 

 

 

 

レミリア「…もう驚かんぞ」

 

意識が戻り、いつもの部屋にいることを確認したレミリア。そのままパソコンの電源を落とし壁にかかっているカレンダーに目を向けた

 

レミリア「…明日は宴会か」

 

大きく丸がついている日にちを確認し、レミリアはベッドに横になる

 

レミリア「…」

 

電『司令官さん!!』

 

レミリア「…あれがゲームか、外の世界の進歩は凄いな…」

 

レミリアは電の顔を思い浮かべながら眠りについたのだった 




変な特技を身に付けてしまったお嬢様、今後活かされることはなさそうな技ですがどうするつもりなのやら

鎮守府の名前…少し適当すぎたかな…?


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第7話:お嬢様と宴会

今回は幻想郷内での話です


「…まぁ気にしても仕方ないか」

 

パソコンの電源を閉じた私はなぜ自分が疲れているのか疑問に思った、が考えても無駄と判断し立ち上がった

 

コンコン

 

レミリア「あ?」

 

フランドール「フランだよ、入ってもいい?」

レミリア「あぁ」

 

 

その時自分の部屋の戸をノックする音が聞こえた、応答すると、戸が開き私と身長こそそんなに変わらないが金髪の少女が入ってきた。彼女はフランドール・スカーレット、私の大切な妹だ

 

レミリア「何のようだ?フラン」

 

フランドール「何言ってるのお姉さま、今日は博霊神社で宴会をするんでしょ?咲夜はもう行っちゃったよ?」

 

レミリア「あ、そういえばそうだったな。すっかり忘れてた」

 

フランドール「しっかりしてよ、もう」

 

頭をかく私にフランドールは呆れた顔で言った。いかん…私もボケてきたのか…?

 

レミリア「じゃあ行くか」

フランドール「うん」

 

二人は部屋から出ると廊下の窓を開けそこから博霊神社に向かって飛び立った

 

 

 

 

 

 

 

それから二人が博霊神社に到着したのは10分後の事であった

 

 

霊夢「レミリア、やっと来たわね」

 

神社の境内に降り立った私にかかってきた言葉の第一声はこの神社の巫女の不機嫌そうな言葉だった

 

霊夢「あんたが来ないから宴会が始められなかったじゃない、萃香や勇儀は苛立ってたわよ?」

 

紅白の巫女装束の女…博麗霊夢は疲労と苛立ちが混ざった表情で私を見て言った

 

レミリア「すまん、少し寝坊してしまったようだ」

 

霊夢「はぁ!?あんた宴会があるのに寝坊するって…」

 

レミリア「恥ずかしい話、宴会があることすら忘れてたよ」

 

霊夢「…珍しいわね、お酒が大好きなあんたが宴会の事忘れるなんて」

 

紅白巫女は驚いた顔で私を見た、あまりいい気分ではない

 

レミリア「私自身変な気分だ、こんなこと今までなかったんだがな」

 

霊夢「疲れてんじゃないの?それか筋トレのしすぎで脳まで筋肉になってきたとか…」

 

レミリア「しばくぞ」

 

フランドール「霊夢~、そろそろ始めようよ」

霊夢「あ、そうだった。まぁあんたも来たことだし始めますか」

 

妖怪's『オー!!』ドンドンパフパフ

 

紅白巫女がそう言った途端に神社は一気に盛り上がりを見せた。と言っても大半は妖怪や幽霊といった類いだが

 

 

 

 

 

レミリア「…」

 

ドンチャンサワギ

 

いつもの見慣れた光景、楽しく感じたこの光景、だが今日の私はこの光景が何故か鬱陶しく感じた

 

魔理沙「レミリア、一緒に一杯やろうぜ」

レミリア「…白黒魔法使いか、それはいいが少し場所を変えさせてくれ。何故かわからんがここに居たくないんだ…」

魔理沙「お、おう…珍しいな」

 

 

 

 

 

宴会会場から少し離れた所でレミリアと魔理沙は腰を下ろした

 

魔理沙「…で、どうなんだよ」

レミリア「何がだ」

魔理沙「艦これの話だよ、あれから進んだのか?」

レミリア「まぁな」

 

レミリアはグラスに注いだワインを飲み干すと芝生に寝そべった

 

レミリア「世の中には私が知らない事があるんだなって思ったな」

魔理沙「ははは、私も始めたばかりの頃はそう思ったよ」

レミリア「魔理沙はどう思ってるんだ、あのゲームの世界」

魔理沙「は?」

レミリア「艦娘だよ、あいつらの事をどう思ってるのか聞いてるんだ」

 

唐突に話題を降られ魔理沙は困惑した

 

魔理沙「いきなり言われてもなぁ…まぁあくまでもゲーム、現実って訳じゃないからあまり意識はしてないのぜ」

レミリア「…そうか、そうだよな。あくまでゲームだもんな」

魔理沙「…レミリア?」

レミリア「…気にしないでくれ」

 

2人の周りを包んだ微妙な空気は結局宴会が終わるまで晴れることはなかった 




お嬢様に起こった異変
それは一体何なのやら…


☆プチ登場人物紹介その2☆

霧雨魔理沙

レミリアを艦これに引き込んだ元凶
面白い事が大好きな普通の魔法使い

レミリアとの関係は良好

「弾幕はパワーだぜ!」が本人の口癖


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第8話:元気溌剌!イッチバーン!!!

今回は新キャラの登場です

今回もお嬢様はドタバタ茶番劇を繰り広げるようですよ


夜、それは夜行性生物が活動を始める時間であり月明かりが地表を照らし始める時でもある

 

レミリア「…」カタカタ

 

レミリアはパソコンに文字を打ち込み資料と家計簿を作っていた

 

レミリア「やれやれ…食費が上がってやがる、また紅白巫女と白黒魔法使いが忍び込みやがったな」

 

ここにはいない自機組暴食コンビに握り拳を作るレミリア

 

レミリア「…まぁいい。あの二人は今度〆るとして、今日の仕事はこれくらいにして艦これをするとしよう。たまには家族と談笑したいものだがパチェも咲夜も美鈴も寝てしまったしフランは今日は白黒魔法使いの所で寝ると言ってたから留守だし」

 

約一名忘れてる気がするレミリアだが開いていたページを閉じ艦これを起動する

 

レミリア「最近このゲームをする=私の就寝時間のような気がしてきたな…、不思議な気分だ」ウトウト

 

レミリア「………」

 

レミリア「あ、いっけね。食堂の電気消し忘れた」

 

起動した後野暮用を思いだし部屋を立ち去ったレミリア、それから少し時間がたった頃

 

キィィ…

 

彼女の部屋の一つの窓が静かに開いた

 

 

 

 

 

 

『…』キョロキョロ

 

その開いた窓から一つの可愛い人形が顔を覗かせた

 

『…』ウロウロ

 

人形はレミリアの部屋の中で何かを探すかのように部屋の中を動き回る

 

『…?』

 

その途中で人形は一つのブローチを拾い上げる

 

『…♪』

 

紅く光るブローチを気に入った人形は胸にそれをつけるとまた室内を浮遊し始めた

 

『?』

 

棚の陰に隠れたりタンスの裏に潜り込んだりして遊んでいた人形だったが、机の上に置いてあるパソコンに気づき、近づくと興味津々で眺め始めた

 

『…』ツンツン

 

画面をつついてみるものの何も起こらず人形はは今度はゆさゆさと揺らしてみるもののそれでも何も起こらず、そのうち疲れたのかその場に座り込むとそのまま寝そべり眠ってしまった

 

 

 

 

 

電「ふんふふーん♪海のお散歩は楽しいのです♪」

 

海面に月が反射する夜の海岸を電は歩いていた

 

電「いつ来てもここの海は綺麗なのです、落ち着くのです♪」

 

海岸にいる貝やヒトデを眺め、電は笑みを浮かべる

 

ポスッ

 

電「はにゃ?」

 

その時彼女の後ろで何かが落ちる音がした

 

人形『…z』

 

電が振り向くと、頭に青いリボンと金色の髪の毛に赤いワンピースのようなロングスカートと白いカッターシャツで身を包んだ人形が落ちていた

 

電「お人形さん…なのです?」

 

電はそれを拾い上げ、砂を落とす

 

電「可愛いのです~、もしかして…捨てられちゃったのです…?」

 

人形『…!』パチッ

人形『…!…!』ジタバタ

 

電「は…はわ!う、動いたのです!」

 

砂をはらわれた衝撃で人形は目を覚まし、驚いた様子であばれはじめる

 

電「は…はわわ…!」

 

 

 

 

 

レミリア「……電気消えてたな。夜勤の妖精メイドが消してくれたのか?」

 

人形と電がお互いに困惑しあっていた頃、レミリアは自室に戻ってきていた

 

レミリア「…ん?」

 

彼女は自分の机の前にポツンと置いてある人形に気づく

 

レミリア「あれは…魔法の森の人形使いの人形…?」

 

人形に近づきそれを拾い上げ、眺めるレミリア

 

レミリア「何で此処に……まぁいいか」

 

暫く人形を眺めながら考えていたレミリアだが、気にせず艦これをすることにした

 

レミリア「…今回はどんな夢をみることになるのか、少し楽しみだな ……夢じゃなかったりして…」

 

眠気に堕ちていく最中、レミリアはふとそう考えたのであった

 

 

 

 

 

 

 

[…ん …かんさん …れいかんさん… ]

 

電「司令官さん!」

 

玲美「…はっ!(゜ロ゜;」ビクッ

 

次に彼女が目を覚ましたのはいつもの執務室だった

 

電「司令官さん、大丈夫なのです?起こしても起こしても起きなかったのです」

玲美「すまない、大丈夫だ…」

 

頭をかきながら顔をあげる玲美を見て電は呆れた顔で言った

 

電「身体は大事にして欲しいのです」

玲美「め、面目ない…」

電「まぁいいのです。そんなことより!これ見て欲しいのです!」

玲美「ん?」

人形「!! !!」ジタバタ

 

そう言って電は玲美の方に暴れる人形を差し向けた

 

玲美「(人形使いの人形!?何で此処に!?)お前、何処で見つけたんだ…!?」

電「海岸で拾ったのです」

 

驚きを隠せない玲美に対し、電はあっさりと言った

 

玲美「海岸って…」

 

答えになってるのかなってないのかわからない返答に突っ込もうとした玲美の耳に何かが聞こえた

 

 

 

 

『タス…ケテ…ハキソウ…』ウプッ

 

玲美「んあ?電、何か言ったか?」

電「はわ?何も言ってないのです」

玲美「そ、そうか…。(なんだ今の声)」

 

『チョット…!レミリア…!ムシスルナ…!』

玲美「(!?私の名前を知ってる…?やはりあの机にあった上海人形!?)」

上海『ヤットワカッタカ!タスケテクレ!』

玲美「(こいつ、頭の中に直接…!?)」

上海『ボケテルバアイカ!!』ジタバタ

 

玲美は声の正体に気付き、電に一旦手を離すように言った。すると人形は漸く解放されたといわんばかりにその場に浮遊した

 

電「は、はわわ!凄いのです!お人形さんが浮いてるのです!!」

 

上海『ヤレヤレ…、タスカッタ』

玲美「そりゃよかったな」

上海『ヨクネェヨ!キヅイタトキニタスケテクレヨ!ツカソモソモココドコダヨ!』

玲美「無茶言うな、それにここが何処かは私も詳しくは知らん。ただ1つ、ここは鎮守府だ」

上海『ワケワカンネェ!!』

 

電にさんざん振り回されヘトヘトになっていた上海はその鬱憤を玲美にぶつけるがごとく怒濤の質問攻めをする。それを玲美は冷静にいなした

 

電「あ…あの…司令官さん」

玲美「ん?どうした?」

電「さっきから一人で何を話しているのです…?少し怖いのです…」ビクビク

玲美「は?」

 

電の反応に一瞬状況が飲み込めなかった玲美だが即座に悟った

 

玲美「(そうか、電にはこの人形の言葉が聞こえないのか)すまない、怖がらせてしまった」

電「はにゃ…」

玲美「信じられんかもしれんが実はな…」

 

玲美は電に上海の事を伝えた。電は最初こそ怪訝な顔をしていたが上海を見て表情を変えた

 

電「凄いのです~、テレパシーが使えるお人形さんなのです」

玲美「あまり驚かないんだな」

電「妖精さんと似た感じだと思えばそこまでなのです」

玲美「妖精……か……って、あああああああああああ!!!」

 

突如大声をあげる玲美

 

 

 

 

 

電「ど、どうしたのです!?」

上海『ミミモトデデカイコエダスナ!』

玲美「艦娘の建造してたこと…忘れてた…」

電「………あ」ポカーン

上海『ナンダヨ!フタリシテナニシテンダ!!』

 

 

二人は変な汗をかきながらその場に佇んでいた

 

 

 

 

その後、結局二人が動いたのは二時間後であった

 

玲美「…怒ってるよな」アセダク

電「そりゃ二日も放置されたら誰でも怒るのです…」アセダク

上海『ハヤクハイレヨ』

玲美「無茶言うな!」

電「司令官さん、何言われたかはわかりませんけどお人形さんに怒っても仕方ないのです…」

上海『ソウダゾ、オマエガマイタタネダ。ハヨハイレ』

玲美「(消し炭にしてやろうかこいつ…!!)」

 

握り拳片手に玲美は覚悟を決め建造ドックの扉を開けた

 

玲美「し…失礼します…」ガチャッ

 

?「イッチバーン!!!」ドロップキック!

 

ゲシッ

 

玲美「ゲボッ!!」

 

扉を開けた瞬間玲美の腹に蹴りが入り彼女は吹っ飛んだ

 

電「司令官さん!」

?「酷いよ!提督!建造しておいて放置なんてさ!」

 

扉の奥から明るい声と共に一人の艦娘が現れた

 

玲美「も…申し訳ない…!」ドゲザー

 

痛みをこらえながら玲美は土下座をする

 

?「え!?べ、別に土下座までしなくても…」

電「ごめんなさいなのです!」ドゲザー

 

電も艦娘に向けて土下座をした

 

?「あ、あなたも!?辞めてよ!」

 

艦娘は慌てて二人に顔をあげるよう頼んだ

 

 

数分後

 

 

白露「改めて自己紹介するね、あたしは白露型駆逐艦一番艦の白露だよ。よろしくね」

玲美「白露…か、私はこの幌鎮守府の提督をしている紅 玲美だ。よろしく頼むぞ」

電「暁型駆逐艦四番艦の電なのです」

 

建造されたのは白露だった、さっきは少し興奮していたが今は落ち着いているようだった

 

玲美「いや…本当にすまなかった。建造したことを忘れてたなんて…な」

白露「だーかーらー!もう気にしないで!」

電「あ…あはは…」

白露「ところでさ、この鎮守府ってあたしと電ちゃんだけなの?艦娘」

玲美「そうだな、一応保護してる艦娘なら一人いるが」

白露「へぇ、会える?」

玲美「会えると思うぞ。ただ…なぁ」

電「少し…刺激が…」

白露「…?」

 

上海『オイ!ワタシカンゼンニカヤノソトジャナイカ!』

 

ここで完全に茅の外だった上海が声を出した

 

玲美「あぁ、すまん」

上海『スマンデスムカ!!』

 

白露「え?人形が…動いてる…?」

 

上海を見て目を丸くする白露

 

玲美「あぁ、こいつはな。カクカクシカジカというわけだ」

白露「成る程、マルマルウマウマということなんだね」

玲美「そそ、だから気にしなくて良いぞ」

上海『オイ!』

電「うーん…」

玲美「どうした?電」

電「せっかくだから名前をつけたいのです。お人形さんだと呼び辛いし可愛そうなのです」

 

電は上海のリボンを撫でながら言った

 

玲美「名前か…お前はどう思う?」

上海『ツケテクレルナラヨロコンデモラウゾ』

玲美「つけて欲しいってよ」

 

玲美が上海の意思を伝えると電は顔を輝かせて言った

 

電「よかったのです!実は既に考えていたのです」

白露「そうなの!?」

玲美「早いな…」

電「ふふん、電が考えた名前はこれなのです!」

 

そう言うと電は少し大きめの紙を玲美達の方へ向けて差し出した

 

玲美「(ハーヴェイ…?)」

白露「(よ…横文字…)」

玲美「(電…意外な名前だしてきた…)」

 

二人が変な汗を流しながら紙を見ていると、上海が反応した

 

上海『オイ』

玲美「な、なんだ?」

上海『…カッコイイナマエダナ!キニイッタゾ!』

玲美「(…こいつ、そういう趣味なのか…)」

 

電の名前に予想以上に食いついた上海に玲美は少し驚きながらも電に伝えた

 

電「よかったのです!嬉しいのです!!よろしくお願いするのです!ハーヴェイちゃん!」

ハーヴェイ『コチラコソダ!オマエ!キニイッタゾ!』

 

さっきまでの態度は何処へやら、上海…改めハーヴェイは電に懐いていた

 

玲美「…まぁ、こんな鎮守府だけどよろしくな。白露」

白露「…うん、よろしくお願いするね」

 

 

はしゃぐ二人を見て玲美と白露は少し戸惑いながらもそう語り合ったのであった




今回は二人の新キャラの登場でした

口が少し悪い上海人形のハーヴェイと白露ちゃんです

ハーヴェイの過去はまたそのうち書きたいです


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第9話:お嬢様は居酒屋を発見したようです

前回からだいぶ期間が空いてしまい申し訳ございません!!

お嬢様シリーズ再開です!今年もよろしくお願いいたします!


どうしてお前がここにいる?

 

白露「じゃああたしは自室の確認に行ってくるね」

玲美「あぁ、わかった」

電「じゃあ電が案内するのです」

白露「ありがと」

 

そう言うと白露は電と駆逐艦寮の入り口の方へ歩いていった

 

玲美「…さて、おい」

ハーヴェイ『何だ?』

玲美「何でお前がここにいる、もしかして人形使いもここにいるのか?」

 

玲美は視線をハーヴェイに向け問う、それに対しハーヴェイは少し表情を暗くし答えた

 

ハーヴェイ『アリスの事か、私はあいつに捨てられかけた。だから私は一人だ』

玲美「(捨てられた?あいつはそんな事をする奴じゃない筈だが…、今はそんなことは気にすることじゃないな)それはわかった」

ハーヴェイ『何でここにいるのかは私にもわからない。ただ、ここに来る前に光る箱を見た記憶がある』

玲美「(光る箱…?もしかして私のパソコンの事か…?)」

ハーヴェイ『その箱を見た後に意識を失って、気づいたらおもちゃにされていた』

玲美「…成る程。わかったよ」

 

そう言うと玲美は近くに生えていた木の根もとに腰を下ろした

 

ハーヴェイ『どうした?』

玲美「寝る。疲れた」

ハーヴェイ『そうか』

玲美「(それに…気になることが一つあるからな)」

 

玲美はそう思いながら眠りへと落ちていった…

 

 

 

 

悪夢にうなされて

 

レミリア「…あれ?ここは…何処だ…?」

 

レミリアが目覚めたとき、彼女の回りを包んでいたのは真っ暗な空間だった

 

レミリア「まだ夢の中なのか…?」

 

本来なら自分の部屋に戻っているはずなのに戻っていない、彼女は混乱した

 

レミリア「どうなってるんだ…取り敢えず探索してみるか」

 

レミリア「……」コツコツ

 

レミリア「…………」イライラ

 

レミリアは適当に歩き出す…しかし進めど進めど真っ暗な空間は終わることはなく、次第にストレスが溜まる

 

レミリア「どうなってんだ!!」

 

怒鳴ってみるもののその怒声は虚空に虚しく消えた

 

[お嬢様ー]

 

レミリア「! 今の声は、咲夜か!?」

 

[司令官さーん]

 

玲美「電!?」

 

咲夜の声が聞こえた反対側から電の声が聞こえた

 

[お嬢様ー]

[司令官さーん]

[お[司嬢令様官ーさ]ーん]

 

レミリア「う…う…うぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 

ここは一体…!?

 

玲美「あぁぁあぁあぁああぁぁあ!?」ガバッ

 

叫びながら飛び起きた玲美にハーヴェイが駆け寄る

 

ハーヴェイ『どうした!?大丈夫か!?』

玲美「はぁ…はぁ…、は、ハーヴェイ…か。そうか、夢だったのか…」

ハーヴェイ『大丈夫か?』

玲美「大丈夫だ、嫌な夢を見てしまっ………」

 

頭を起こした彼女の目に、昼寝をする前に見た広大な海が飛び込んできた

 

玲美「……なぁ、幻想郷に海ってあったか?」

ハーヴェイ『何言ってる、幻想郷に海はないぞ。ここは幻想郷なのか?』

玲美「……違う…よな」

 

玲美は状況を読み込めていなかった…

 

 

30分後

 

 

ハーヴェイ『なぁ、本当に大丈夫か?』

玲美「大丈夫だよ…、ちょっと混乱しただけだ。だから気晴らしに散歩してるんじゃないか」

 

二人は鎮守府から少し離れた所にある海岸沿いの歩道を歩いていた

 

ハーヴェイ『レミリアの話だと寝たらこの夢は覚めてるんだよな?』

玲美「あぁ、その筈なんだがな。というかもうこれが夢なのかもわからなくなってきた所だ」

ハーヴェイ『そうなのか…』

玲美「ほんと、どうなってるんだろうな…ははは」

 

何もわからない自分を自嘲するように笑う玲美とそれを見つめることしかできないハーヴェイ、二人の空気がどん底になりかけていたところへハーヴェイの目にあるものが入る

 

ハーヴェイ『何だあれ』フヨー

玲美「おいっ、勝手に動くなよ」

 

ハーヴェイは自分の目に入ったものが気になりそこへ飛んでいく、玲美はそれを慌てて追いかける

 

ハーヴェイ『おいレミリア、ここは何だ?』

 

数分ほど走ると、ハーヴェイは急に建物の前で止まった

 

玲美「ここは…居酒屋みたいだな」

 

二人が立ち止まった建物は小さな居酒屋だった

 

ハーヴェイ『居酒屋…?』

玲美「酒を呑むところだよ。仲のいいやつと行ったり時には一人で行ったり、幻想郷にもあるぞ」

ハーヴェイ『オヤジかよあんた』

玲美「うるせぇ」

 

居酒屋を知らないハーヴェイに説明する玲美にハーヴェイはさらっと毒を吐く

 

 

優しげな声

 

?「私のお店に何かご用ですか?」

 

玲美&ハーヴェイ『っ!?』ビクッ

 

その最中に背後から優しげな声がしたので二人は驚きながらも振り向く

 

?「良かったら入ります?もうすぐ開店ですので…」

玲美「え…いや…あの…」

ハーヴェイ「シャンハーイ!!」

?「あら、可愛いお人形さん♪あなたのですか?」

玲美「え…ま、まぁ…」

ハーヴェイ『おい、入ってみようぜ。』

玲美「…わーったよ」

 

乗り気のハーヴェイに玲美は仕方なく付き合うことにした

 

?「ふふふ、愉快な方達ですね♪」

玲美「いやぁ、すみませんね」

 

鳳翔「あ、そうそう。申し遅れました。私、この店の女将で元航空母艦の鳳翔と申します」

 

玲美「あ、どうも…私はこの近くにある幌鎮守府の提督をやってます玲美です………って航空母艦!?あなた、艦娘なんですか!?」

鳳翔「えぇ、今は引退済みですが…」

 

 

店の女将が元艦娘と聞き驚きを隠せない玲美であった




今回はここまでです

ここがどこなのかこんがらがってきたお嬢様、次回はどんなハプニングが待っているのやら
次回は更なる新キャラの登場予定です!

お楽しみに!


感想ドシドシ募集中です!


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第10話:お嬢様と女将さん

お待たせいたしました!!
提督お嬢様更新です

今回は元艦娘と名乗る居酒屋の女将と話すことになった玲美と、幻想郷サイドのお話です

それではお楽しみください!


女将さんの正体は

 

鳳翔のぶっちゃけ発言に玲美は驚きを隠せなかったが、とりあえず彼女の店に入ることにした

 

玲美「こじんまりとしてますが…いい雰囲気だしてますね」

ハーヴェイ『これが居酒屋…』

 

店内は広いとは言えないまでもそれを気にさせない暖かな雰囲気と沢山の酒瓶や小さな厨房などがあり玲美はこの雰囲気を気に入っていた

 

鳳翔「うふふ、そう言われると照れますね…♪そっちのお人形さんはこういう居酒屋は初めてなんですか?」

玲美「えぇまぁ…ってこいつの言うことわかるんですか!?」

鳳翔「はい、妖精さんと似たような感じですし…」

玲美「(何者だよあんた!!)」

 

更に驚くことに鳳翔はハーヴェイのテレパシーまでわかるとのこと、彼女の中身が掴めない玲美は変な汗が止まらなかった

 

鳳翔「ところで…こんなこと聞くのも野暮かもしれませんが…提督をされているらしいですね」

玲美「あっはい、つい最近着任したばかりですが」

鳳翔「出会って早々失礼ですが…」

 

鳳翔は提督姿の玲美を見ながら言葉を続けた

 

鳳翔「私から一つ、頼みをしてもよろしいでしょうか。勿論お礼はします」

玲美「頼みですか、まぁ大丈夫ですが…」

 

 

鳳翔さんのお願い

 

鳳翔「ありがとうございます。その頼みの内容なんですが…、鎮守府の様子とかを教えてほしいんです!」

玲美「様子…ですか?」

鳳翔「はい、私も元艦娘ですがもう引退した身…鎮守府には入れないんです。でも引退したあとも気になるんですよ、今の鎮守府はどうなっているのかとか」

 

厨房のすみにおいてあった写真立てを眺めながら鳳翔は言った

 

鳳翔「機密事項とかもあるのはわかってるんです。何気ない日常でいいんです。教えていただけませんか?勿論お礼はします!」ペコリ

 

ハーヴェイ『どうするよ』

玲美「いいんじゃね?別に次の作戦が~とか新兵器が~とかの情報じゃなきゃ。なので鳳翔さん、あなたの頼み、了承します!」

鳳翔「いいんですか!?ありがとうございます…!!」

 

玲美は鳳翔の頼みを快諾、彼女から深い感謝をうけたのだった

 

 

しっかりしてくださいお嬢様!

 

ー幻想郷 紅魔館ー

 

咲夜「お嬢様、失礼します」コンコン

 

主の部屋の戸を叩く咲夜、だが何時もは優しく帰ってくる主の声が今日はなかった

 

咲夜「お嬢様…?入りますよ?」キィ

 

戸を開き部屋の中を覗いた咲夜の目に入ってきたのは机に突っ伏した主の姿だった

 

咲夜「お嬢様!?だ、大丈夫ですかお嬢様っ!?」

 

レミリアの元へ駆け寄る咲夜、だがレミリアはピクリともせず机に突っ伏したままだった

 

咲夜「お嬢様!しっかりしてください!!お嬢様!」ユサユサ

 

レミリアの身体を揺らす咲夜だったがレミリアは目も開けずただゆっくりと小さく呼吸するだけだった…

 

 

一方同じ頃、紅魔館に魔理沙が訪れていた

 

魔理沙「今日も本を借りにきたのぜ」

 

居眠り門番の横を通り抜け魔理沙は館内部に忍び込む、彼女の常套手段である

 

魔理沙「そういえばレミリアは上手くやってんのかな、あのゲーム簡単そうに見えて難しいからなぁ」

 

廊下を歩きながら自分の進めたゲームをプレイしてるレミリアの事が気になった魔理沙

 

魔理沙「それにしても今日は静かなのぜ、珍しいな。何時もならそろそろフランか銀髪メイドのお出迎えがくるのに」

 

何時もより静かな紅魔館の廊下を魔理沙はいつも通り大胆に歩いていた

 

魔理沙「何かあったのか?まぁいいk(ry「魔~理~沙~!!」

 

魔理沙「おわっ!?咲夜!?」

咲夜「魔理沙!!あんた確かスピードに自信あったわよね!?」

魔理沙「へ?は?」

咲夜「答えて!!」

魔理沙「ま、まぁそれなりには…」

咲夜「なら丁度いいわ!お嬢様を医者につれてくから迷いの竹林まで飛ばしなさい!!」

魔理沙「へ?え?」

 

有無も言わせない程の咲夜の凄まじい剣幕の前に魔理沙はたじたじとなってしまう

 

魔理沙「お、落ち着くのぜ咲夜」

咲夜「これが落ち着いていられる!?お嬢様が昏睡状態なのよ!!」

魔理沙「何だって!?」

咲夜「一体どうして…お嬢様…」

魔理沙「と、とりあえずわかった。でもさ」

咲夜「何!?」

魔理沙「咲夜が時間止めていった方が早い気がするのぜ」

咲夜「…………あ」←時を止めれる能力持ち

 

冷静になった魔理沙の指摘で咲夜も漸く落ち着きを取り戻したのであった




今回はここまで!

投稿間隔が空いてしまい申し訳ございません…
次回もまた、お楽しみにしていただけると嬉しいです

それでは!!



☆プチ登場人物紹介のコーナー☆

十六夜咲夜

レミリアの従者で瀟洒なメイド、時間には厳しいが根は優しい性格であり主である彼女をしたっている。
ナイフ術の達人でありその技量はピカイチ


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第11話:出撃したいの?まぁいいけど

お久しぶりです
久々の更新となりますお嬢様シリーズです
今回も幻想郷サイドと提督サイドに別れております!
それではどうぞ!


海沿いの道

 

二人は鳳翔の店を出て海沿いの道を歩いていた

 

玲美「まさか居酒屋の女将さんが艦娘とはなぁ」

ハーヴェイ『ほんと驚きだよな、もし電と白露が引退したときはどんな姿になるんだろうなぁ』

玲美「そうだな…、私も人のこと言えないが二人とも身長が高いとは言えないからなぁ。もしかしたら中学校に通ってそうだ(笑)」

ハーヴェイ『流石にないだろ(笑)』

 

ゲラゲラと汚い笑いをする二人

 

玲美「そういえばなんだが、艦娘は深海棲艦と戦ってるんだよな?」

ハーヴェイ『私に聞くなよ、あんた提督だろ』

玲美「冗談だよ。ふと気になったんだが、深海棲艦ってどんなやつなんだろうな?一度手合わせしてみたいものだ」

ハーヴェイ『大丈夫なのか?』

玲美「本音をいうと大丈夫じゃない」

ハーヴェイ『えぇ…』

玲美「ま、なんとかなるだろ」

ハーヴェイ『随分と楽観的だな…』

 

深海棲艦と手合わせしたいという玲美に不安を感じるハーヴェイ

 

「待ってくださ~い」

 

玲美「ん?」

ハーヴェイ『あ、鳳翔さん』

 

鳳翔「ふぅ…間に合いました」

玲美「どうされたんですか?」

鳳翔「玲美さん、忘れものですよ」

 

そう言うと鳳翔は玲美の帽子を差し出した

 

玲美「いっけね、忘れてた。ありがとうございます」

鳳翔「いえいえ」

ハーヴェイ『(お艦だ…)』

鳳翔「では私はこれで…」

玲美「わざわざありがとうございます。感謝します」

 

用を済ませた鳳翔は軽く会釈すると来た道を戻っていった

 

ハーヴェイ『お艦だったな…鳳翔さん』

玲美「…あぁ」

ハーヴェイ『さっきの光景は親子みたいだったぞ』

玲美「うっせ」

ハーヴェイ『レミリアには親はいないのか?』

玲美「私には妹はいるが親はいねぇんだよ」

ハーヴェイ『お、おう』

玲美「オラ、鎮守府もどんぞ。電達ほったらかしにしちまったからな」

ハーヴェイ『あ、あぁ』

 

ハーヴェイは自分をおいて歩き出した玲美の後をあわてて彼女は追いかけた

 

魔理沙の疑念

 

咲夜「……ふぅ」

魔理沙「落ち着いたのぜ?」

咲夜「まぁね、お嬢様の容態も眠りが深いだけみたいだし」

魔理沙「ぜ。咲夜はレミリアの事になるとすぐ取り乱すぜ、悪い癖なのぜ」

咲夜「う…」グサッ

魔理沙「永鈴も呆れてたのぜ?」

咲夜「悪かったわよ…」

 

呆れた表情で咲夜の欠点を指摘する魔理沙とそれを苦い顔で聞く咲夜

 

魔理沙「にしても、咲夜が揺すっても叩いても永鈴が太い針を突き刺しても起きないなんて随分とぐっすりなのぜ」

咲夜「こんなお嬢様見るの初めてだわ…」

魔理沙「吸血鬼ってみんなこうなのぜ?」

咲夜「私に聞かないでよ、少なくとも私はこんなお嬢様は始めてみたし妹様も似たようなことはなかったわ」

魔理沙「…」チラッ

 

レミリア「」

 

魔理沙「…でももしかしたらこういうのは霊夢に聞いた方がいいかもしれないな」

咲夜「霊夢に?」

 

魔理沙は眠っているレミリアを見て一つの違和感を抱いた。なので相方の紅白巫女に聞いてみることを提案した

 

 

霊夢「嫌よめんどくさい」

 

神社に到着し巫女からかかってきた第一声はこれであった

 

霊夢「私一応巫女よ?医者じゃないんだけど」

魔理沙「まぁそういわずに、ちょっと見てくれるだけでいいのぜ。頼むのぜ」フンゾリ

霊夢「…頼む態度には見えないんだけど、まぁいいわ。後でお賽銭いれなさいよ」

 

そう言うと霊夢はレミリアを観察し始めた

 

待っていたのは鬼でした

 

電「司令官さん、お帰りなさいなのです。随分と楽しい時間を過ごされてたみたいなのです」ムスッ

白露「何処に行ってたのさ!遅かったけど!」プンスカ!

 

玲美「(助けてくれ…)」

 

夜空に星が浮かぶ頃に鎮守府にもどった玲美は電と白露に詰め寄られていた。無理もない、長時間二人を放置していたのだから

 

ハーヴェイ『自業自得って知ってる?』

玲美「(うっせ…)」

 

電&白露「提督(司令官さん)!」

 

玲美「す、すまない。ちょっと昼寝しすぎてしまったんだ」

電「お昼寝なのです?それなら尚更酷いのです!それに外でお昼寝は危ないのです!」プンスカ!

玲美「(何でだよ)」

白露「お昼寝するならあたしも誘ってよ!」

電「そうじゃないのです」

玲美「悪かったよ、また今度誘うから許してくれよ」

電「……あの海の家の焼きそばを買ってくれるなら許してあげるのです」

玲美「別にいいが…」

白露「え!?あたしも食べたい!」

玲美「わかったわかった、今度一緒に行こう」

 

ハーヴェイ『大人気だな』

玲美「てめぇ…他人事みたいに…」

ハーヴェイ『そりゃ他人事だからな』

玲美「(今度消し炭にしてバーベキューに使ってやる…)」

 

電と白露に詰め寄られ困惑する玲美と他人事のように振る舞うハーヴェイ

 

白露「提督!出撃させてよ!」

玲美「何だいきなり、某ステーキ屋かよ」

白露「だってずっと鎮守府の中にいるんだよ?艦娘としてどうなの」

玲美「う……」

電「白露さんの意見に賛成なのです。電も出撃したいのです」

玲美「…わかった。ただし今日はもう遅いから明日な」

白露「え~!」

玲美「え~じゃない、難破したいのかお前は。もう真っ暗だぞ」

白露「も~、しょうがないな~」ムー

電「了解なのです」

玲美「わかったならもう寝ろ、体力つけとけよ」

二人「は~い」

 

タッタッタッ

 

明日の出撃の約束を取り付け、二人は寮へ戻っていった

 

玲美「…ふぅ、出撃か…」

 

玲美は夜空を見上げ呟く

 

ハーヴェイ『私、何か眠くなったから寝てくるわ』

玲美「おん」

 

ハーヴェイは眠そうに目を擦りながら執務室へ戻っていった

 

そういえば… 

 

玲美「あいつは自由だな…、まぁいいか。明日は深海棲艦と腕試しできる日だ。体力を蓄えなければ」

 

玲美は身体に力を込める

 

玲美「そういえば…、古鷹はどうなったんだろうか」

 

そこへ彼女の目に入渠用のドックがある建物が入り、彼女は入渠中の古鷹のことを思い出した

 

玲美「様子を見に行ってみるか」

 

 

入渠ドックにて

 

 

玲美「古鷹、調子はどうだ?」ガラッ

古鷹「提督、ありがとうございます。だいぶ良くなってきました」

玲美「そりゃよかった」

古鷹「提督、一ついいですか?」

玲美「お、何だ。かまわんぞ」

古鷹「私の事、忘れてませんでした?」

玲美「そ、そんなことはないぞ」

古鷹「そうですか、安心しました。ではもう一ついいですか?」

玲美「どうした?」

古鷹「どうして私の後頭部を殴ったんですか?」

玲美「え?」

古鷹「ど う し て 私 の 後 頭 部 を 殴 っ た ん で す か ?(怒)」

玲美「あぁ何で殴ったかって話n………へ?(汗)」

古鷹「どうしてですか?」ニッコリ

玲美「えーと…説明しますのでどうか怒りをお沈めください」

 

 

~少女説明中~

 

 

古鷹「…そうでしたか」

玲美「悪いとは思ってたんだが…あの時はあれしか思い浮かばなくてな」

古鷹「それで後頭部にたんこぶができてたんですね」

玲美「そういうことです誠に申し訳ございません」

古鷹「まぁいいです。嫌がらせのつもりじゃなかったのなら私は気にしません」

 

土下座する玲美に対し古鷹は後頭部を擦りながら気にしてないと言った

 

玲美「…私からも一つだけ聞かせて欲しい」

古鷹「なんですか?」

玲美「あなたは記憶を失っているのか?失っていないのか?どっちだ?」

古鷹「………………」

 

玲美の問いに古鷹はしばらく沈黙した、がやがて口を開いた

 

古鷹「失っていませんよ。私が発狂したこと、あなたが私を殴ったこと、鎮守府で受けた仕打ち、全て覚えてます」

玲美「記憶をなくしたふりをしていたのか…。まぁいい、変なことを聞いてすまなかった」

古鷹「…」

 

驚いたことに古鷹は記憶をなくしていなかったのだ。理由までは語らなかったが何かあるのだろう

 

玲美「…まぁゆっくり休んでくれや」

古鷹「もう休みましたよ、傷も癒えました」

玲美「嘘つけ、その顔と右腕はどうした」

古鷹「…………………………………」

玲美「…(しまった、確かこの前も腕がないのに気づいて更に暴れたんだった)」

 

以前の発狂した姿を想像し玲美は身構えるが今日の古鷹は以前と違い冷静だった

 

古鷹「この腕は…ある艦娘を庇って失いました。顔の火傷痕は直撃弾を顔面にもろに受けたからです。そのせいでもう左目は見えません」

玲美「…そうか」

 

左目と右腕を失くした経緯を軽く話した古鷹に玲美はそうかとだけ答えた

 

古鷹「…追い出さないんですか?」

玲美「は?どうしてだ」

古鷹「私は他の艦娘より使えないです、艤装もつけれる部位が限られますし視界だって半分しかありません。元いた鎮守府に連絡してくれれば勝手に出ていきますよ」

玲美「………断る」

古鷹「え?」

玲美「戻りたいやつが暴れるわけないだろうが。暴れるってことはその怪我は元いた鎮守府で何かがあって治らなくなったってとこか?」

古鷹「ち、ちがっ…!」

玲美「見た目で私を判断するなよ、艦娘のことはあまりわからんが怪我に関しては私は長く生きてるからある程度はわかるんだ。くだらん嘘はつくな」

古鷹「…!」

 

古鷹の嘘を即座に見抜いた玲美、それを見た古鷹は何かを思ったようだ

 

古鷹「とにかく、傷は本当に癒えました」

玲美「…わかった、ならお前はどうしたい。明日は電達が出撃するが」

古鷹「…なら私はあなたの横でどんな指示をするのか見ていたいです」

玲美「わかった」

 

玲美の横にいたいと言った古鷹を玲美は快諾した

 

玲美「じゃあ明日の朝六時に迎えにくる。」

古鷹「わかりました」

 

いつの間にか着替えを済ませていた古鷹に玲美は明日の予定を伝えるとドックを後にした

 

古鷹「…」

 

脱衣場<誰もいないで

 

古鷹「…不思議な人ですね、ここの提督は」

 

古鷹は玲美が出ていった戸を見つめポツリと呟いたのだった 




今回はここまで

次回はいつになるかまだ未定ですがお楽しみに!


☆プチ登場人物紹介コーナー☆
鳳翔

海沿いの小さな居酒屋を営む元艦娘の女将さん
常連さんからはお艦と呼ばれているとかいないとか


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第12話:初出撃だ! 前編

お久しぶりです グラマンです
投稿ペースが大幅に遅れてしまい申し訳ございません
今後も投稿ペースが伸びるかもしれませんが失踪だけは絶対しませんので気長にお待ちしていただけると嬉しいです

今回は初戦闘回です


霊夢の疑念

 

幻想郷

 

ー博麗神社ー

 

霊夢「うーん…」

 

 

幻想郷の何処かにあるという博麗神社、そこの巫女であり原作主人公である博麗霊夢は友人の霧雨魔理沙に頼まれあるものを見ていた

 

レミリア「」チーン

 

視線の先にあるのは今作の主人公であるレミリア・スカーレットである

 

魔理沙「霊夢、何かわかったか?」

霊夢「…まぁね、レミリアがいまどういう状態なのかはわかったわ」

咲夜「本当!?」

霊夢「…簡単に言うとあまりよくはない状態ね」

 

 

朝の一時

 

所代わりここはとある離島。この島には一つの鎮守府があった

 

目覚まし:アサヤデ,ハヨオキロヤカス

 

玲美「…眠」

 

目を擦りながら玲美は時間を確認する

 

目覚まし:午前五時半ヤデ

 

玲美「…起きるか」

 

レミリアこと玲美は重い身体を起こし提督服へ着替えると食堂へ向かった

 

 

ー食堂ー

 

 

電「あ、司令官さんおはようございますなのです」

白露「提督!おはよー」

玲美「おう。早いなお前ら」

白露「当然!いっちばーんを目指してるんだから当たり前だよ!」

玲美「そりゃ偉いな」ナデナデ

白露「ぴゃあっ!?」ボンッ

電「司令官さん…何してるのです?」

玲美「何って白露の頭を撫でただけだが?」

電「…早く朝御飯食べるのです。覚めちゃうのです」

玲美「何で怒ってんだ…?」

電「知らないのです!」ぷんすか!

 

突然顔を真っ赤にした白露と機嫌が悪くなった電に?マークを浮かべながらも玲美は食事をとる

 

玲美「旨いな…電と白露が作ったのか?」

電「なのです」

白露「凄いでしょ!」

玲美「作るの時間かかっただろ。眠くなかったのか?」

電「朝早くに目が覚めちゃったのです」

白露「あたしも」

玲美「…そうか。ならいいんだがあまり無理はするなよ」ナデナデ

電「は…はにゃ…」ボンッ

玲美「んあ?大丈夫か?顔赤いぞ」

電「だ…大丈夫…にゃにょです…」セキメン

玲美「台詞噛みまくってるじゃねえか…」

 

ガチャッ

 

古鷹「おはようございます」

玲美「あぁ、おはよう古鷹。もう動いても大丈夫なのか?」

古鷹「はい、おかげさまで」

白露「あれ?提督?この人は?」

玲美「そうだった、白露にはまだ会わせてなかったな。古鷹、自己紹介頼む」

古鷹「どうも…この鎮守府でお世話になっている古鷹型重巡洋艦一番艦の古鷹…です」スッ

 

食堂へ入ってきた古鷹に疑問を浮かべた白露へ自己紹介を頼んだ玲美。古鷹は自己紹介をするもののすぐに玲美の後ろへ隠れてしまった

 

玲美「ど、どうした?」ボソッ

古鷹「…ごめんなさい、こ、怖くて…」ボソボソ

玲美「怖い?白露が?」ボソッ

古鷹「白露さん…というより他の艦娘や人間が怖くて仕方がないんです…」ボソボソ

玲美「…あぁ、成る程」ボソッ

 

どうやら古鷹は人への恐怖心がついてしまっているようだ

 

玲美「…まぁ仲良くしてやってくれ」

白露「もっちろん!」

玲美「(こういうときのコイツの明るさは有り難いな。私だと必要以上に怖がらせちまうからな)」

電「(司令官さんは笑顔でも震えるくらい怖いですからね)」

玲美「(ナチュラルに脳内で会話してくるのやめてくんない?)」

 

 

 

 

驚愕の咲夜

 

 

咲夜「何言ってるのあなた…?」

霊夢「信じられないのも無理はないけどね、でもこれは本当の事よ。今のこいつを見ればわかるでしょ」

魔理沙「確かにここ最近様子は変だったが…まさか何かの呪いか何かなのか?」

霊夢「呪い…とは違うわね。禍々しい気配は感じないし」

咲夜「じゃあなんなの!!」

霊夢「そこまでは私もわからないわよ!こういうの専門じゃないもん!」

魔理沙「レミリア…いったいどうしちまったのぜ…」

 

 

いざ出撃!

 

 

白露「提督っ!今日は約束通り出撃させてよねっ!」

玲美「わーってるよ」

電「(さっきの司令官さんおじさんっぽいのです…w)」

玲美「んで、どこに出撃したいんだ?」

電「司令官さん、出撃先は一つしかないのです。鎮守府付近の海域以外今は行けないのです」

玲美「んあ?何でだ?」

電「どんな敵が潜んでるかわからないから危険なのです。練度も低いですし」

玲美「…成る程。某髭の配管工で言う『いきなりク○パ城』ってのはできないシステムなのね」

電「例えが独特すぎるのです…」

 

 

意味不明な例えに困惑を隠せない電だが、玲美はお構いなしに続けた

 

玲美「んじゃチュートリアル行ってみっか」

白露「いっちばーん!!」

電「な…なのです(汗)」

 

いつの間にか艤装を装着していた白露と電は出撃ドックへ歩いていった。それを見送った玲美は横にいた古鷹に話しかける

 

玲美「なぁ、お前は出撃したくないのか?」

古鷹「出撃…ですか、今は結構です」

玲美「そうか」

 

古鷹が俯いてしまったのでそれ以上の問いかけは控えた玲美であった

 

 

玲美の不満

 

玲美「…」

古鷹「どうしたんです?提督」

玲美「ん、あぁ、少しだけ不満があってな」

古鷹「不満…ですか?」

 

二人が出撃をしたのを確認した玲美は机に腰を下ろし通信機を手に取る。しかしその表情は不満げだった

 

玲美「この通信機だ」

古鷹「出撃中の電さんたちと連絡を取るためのものじゃないですか。何処に不満が?」

玲美「いやさ、普通戦闘って指揮官は前線で陣頭指揮取るもんじゃねえの?」

古鷹「そんなわけないでしょ!?」

玲美「違うのか?」

古鷹「仮にそうだとしたら今頃は提督不足で私達負けてますよ…」

玲美「…そういうもんなのか」

 

どうやら玲美は前線で陣頭指揮をとりながら戦うつもりだったようだ。しかしそれは間違いであると古鷹に指摘され渋々納得した

 

 

 

ーーーー鎮守府正面海域ーーーー

 

 

白露「ねぇ提督、あたしの戦果に期待してね!」

電「が、頑張るのです」

玲美『気を付けろよ、チュートリアルっつってもどんな敵が出るかわからんからな』

 

 

海上で戦果に燃える白露とそれを通信機ごしで制止する玲美

 

 

 

白露『提督は慎重だね~こういうのは大胆に行こうよ』

玲美「駄目だ!遊びじゃないんだぞ!」

白露『はーい…』

電『! 司令官さん!近くに敵艦隊らしき反応があるのです!』

玲美「何?わかった!気を付けてくれよ」

白露『もっちろん!任せて!』

 

 

電「うぅ…緊張するのです」

白露「いっちばーんな戦果あげるんだから!」

電「…会敵するのです!」

 

深海棲艦「…」

 

二人は前方に深海棲艦がいるのを視認、戦闘体勢に入る

 

深海棲艦「…」

 

電「敵は3隻…はわわ、こっちより数が多いのです」

白露「関係ない!一気に行くよ!」

電「あ!白露ちゃん待ってくださいなのです~!」

 

少し大きい深海棲艦「ヴォォォォォォア!!」ドォォォォン!

 

白露「おっと!そんな砲撃当たらないよ!いっけー!」ドォォォォン!

 

魚っぽい深海棲艦1「ギュォォォッ!?」中破

 

白露「毎度あり♪」

 

深海棲艦もこちらに気づいたようで先制砲撃をしてくる。その中を白露は回避しながら突っ込み自分の砲の射程内に敵が入ると同時に砲撃、二列目にいた深海棲艦を中破させた

 

魚のような深海棲艦2「ギィィィィィィィィ!」ドォォォォン!

 

電「はわっ! 負けないのです!命中させちゃいます!」ドォォォォン!

 

魚のような深海棲艦2「ギュォォォッ!?」小破

電「このまま攻めるのです!魚雷装填です!発射!」バシュッ

 

魚のような深海棲艦2「ギュィガァァァァアァァァ!!?」

 

ドガァァァァァァァァァァン!!

 

最後尾にいた深海棲艦が電めがけ砲撃、電はそれを回避し反撃、被弾し動きが鈍った敵艦めがけ雷撃。回避できなかった深海棲艦は断末魔の叫びをあげ爆沈した

 

白露「さぁはりきっていきましょー!」ドォォォォン!

 

魚のような深海棲艦1「ギュィガァァァァアァァァ!!?」ズガァァァァァァァン!!

 

白露も自分が戦っていた魚のような深海棲艦を砲撃で倒した

 

白露「これであと一隻!」

電「なのです!」

 

白露と電は残る一隻の攻撃を警戒する、しかしなにかが変だった

 

白露「やけに…静かだね」

電「反応もないのです…」

白露「撤退した…のかな?」

電「わからないのです」

 

白露『提督、戦闘は無事におわったよ』

玲美「わかった、取り敢えず帰投してくれ』

白露『了解、でも一隻取り逃がしちゃったから、念のため警戒しておいて』

玲美「あぁ」

 

簡易的な報告をうけとると通信は切れた

 

古鷹「提督、見事な采配ですね」

玲美「そうでもねえよ、あいつらが活躍してくれただけさ」

古鷹「そういう謙虚なところも素敵です♪」ニコッ

玲美「お、おう…」

 

終わった…かな?

 

ギィ…

 

ハーヴェイ『おはよう…』

玲美「あぁ、随分遅いお目覚めのようで」

古鷹「え?人形が動いて…?」

玲美「あぁ、そういえば古鷹にはまだ紹介してなかったな」

 

・・・少女説明中・・・

 

古鷹「な、なるほど…」

ハーヴェイ『よろしく』

玲美「よろしくだとさ、因みに名付け親は電だ」

古鷹「い、意外です…(汗)」

 

玲美「取り敢えず暇になったわけだがどうする?私は電と白露が帰ってくるまではここにいるつもりだが」

古鷹「私は部屋に戻りますね」

玲美「わかった、ハーヴェイお前はどうする」

ハーヴェイ『私は玲美といるわ』

玲美「おけ」

古鷹「では私はこれで」

 

バタン

 

古鷹「……私も昔のように戦果をまたあげたいなぁ」

 

古鷹は呟くように部屋へ戻っていった

 

 

玲美「さて…二人が帰ってくるまで…」

ハーヴェイ『何すんだ?』

玲美「昼寝するわ、良さげな昼寝スポット見つけたんだよ」

ハーヴェイ『えぇ…(困惑)』

玲美「お前も来るか?」

ハーヴェイ『付き合ってられるか、鳳翔さんの店でも行ってくるわ』

玲美「鳥に気を付けろよ」

ハーヴェイ『おう』フヨフヨ~

 

まだ終わりじゃない

 

結局ハーヴェイも部屋からでていき玲美が一人残された

 

玲美「…さーて、そんじゃ」

 

玲美「ここに近づいてくる妙な気配に対する準備を整えますかね」

 

玲美は窓から水平線を睨み被っていた提督帽を脱ぎ捨てたのだった




今回はここまでです
次回は後編、お嬢様が気づいた不穏な影の正体がわかります


所で、艦これACに久々に通常海域が追加されましたね。ずいぶん久しぶりなんじゃないか…?

何時になったら白露と古鷹に改二が来るんでしょうかね…ACに


☆プチ登場人物紹介☆

古鷹

海岸で倒れていた重巡艦娘 本来はおっとりした性格だが何処か闇と暗い過去を持っているようで…


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第13話:初出撃だ! 後編

どうもこんにちは

お待たせしました後編でございます

今回はお嬢様メインですぞ


急げ!

 

玲美「…」

 

玲美は執務室から水平線を睨む

 

玲美「気配からして…おそらく一匹ってとこか」

 

500年もの長い時を生きてきた経験からこちらに近づく不穏な気配の主の数を判断、即座に愛用の鉄パイプを手に取る

 

玲美「白露と電が帰投するまでは…間に合わない…な」バッ

 

 

 

壁にかけられた時計をチラリと見た玲美、自分の直感と白露達からの報告を受けた時間から敵の到達時間の予想をたてた玲美は執務室の窓から外に飛び降りると一気に海岸めがけ走り出した

 

 

ガチャッ

 

 

古鷹「提督?何か大きな音がしましたが…あれ?」

 

玲美が地面に着地した音に気づいた古鷹が執務室を訪ねてくるが既に誰もおらず机に走り書きのメモ書きが残されていた

 

『ここに何かが迫っているから迎撃してくる。留守を頼む』

 

古鷹「提督…?」

 

 

 

玲美「はぁっ、はぁっ!」

 

吸血鬼の身体能力をフルで使い玲美は高い崖を一気に飛び越し海岸へ通じる道へ着地した

 

玲美「早くしねえと…何が来るかわからんが嫌な予感がする…!」

 

着地した衝撃で足がしびれるが玲美はすぐに再び走り出した。港へ向けて

 

 

鎮守府へ迫る何か

 

深海棲艦「…」

 

幌鎮守府へ向け一つの影が静かに忍び寄っていた

 

深海棲艦「…オノレカンムスメ…コノウラミ、ハラサズニイラレヌ…」

 

どうやらこの深海棲艦は先程電達と交戦した深海棲艦の生き残りのようだ。鎮守府へ向かっているのは復讐のためなのだろう

 

 

白露「電ちゃん!どうして急いでるの!?」

電「なのです!気のせいだといいのですが、さっき一瞬だけ敵艦の反応があったのです!」

白露「たまたまなんじゃないの!?」

電「だといいのです!でも予想進路の先には鎮守府があるのです!司令官さん達が!」

白露「え!?」

 

 

一方で白露と電も最大舩速で鎮守府を目指していた

 

電が感じた不穏な予感は…実は的中していることに彼女達はまだ気づいていない

 

間に合った!

 

玲美「何とか…間に合ったか」

 

玲美が港へ到着したのは鎮守府を出てから6分が経過した頃だった

 

玲美「少し無理しすぎたか…」

 

普通ならどんなに急いでも20分はかかる道を吸血鬼の身体能力をフル活用し6分に短縮した反動は大きく既に立つのがやっとなまでに体力を消費していた

 

ハーヴェイ『あれ、玲美!どうしたんだ?』

鳳翔「え?玲美さん?あら、ほんとだわ」

 

クタクタな玲美の元へ鳳翔とハーヴェイが合流する

 

ハーヴェイ『どうしたんだよ』

玲美「ハーヴェイか…、いいか、よく聞けよ…」

 

 

ーー少女説明中ーー

 

 

ハーヴェイ「何かが?ここに?」

玲美「あぁ…、憶測でしかないがおそらく電達が仕留め損ねたやつの生き残りだろうな」

鳳翔「そんな…今ここに戦える艦娘は…?」

玲美「…艦娘はいません。電も白露も出払ってますから」

ハーヴェイ『(古鷹は?)』

玲美「(彼奴はまだ戦える状態じゃない)」

ハーヴェイ『(まじかよ…)』

 

玲美は少しでも体力を回復させるために地面に寝そべり安静にしていた

 

ハーヴェイ『じゃあどうするんだよ!』

玲美「決まってるだろ…私が倒す」

鳳翔「そんな!無茶です!」

 

何と玲美は自分が深海棲艦を倒すつもりだった。しかし当然鳳翔がそれを否定する

 

鳳翔「玲美さん!深海棲艦は生易しい相手じゃないんですよ!?私達艦娘でも時には敗北することだってあるくらい恐ろしい存在なんです!そんな命を無駄にするようなことを!」

玲美「でも…白露と電がいない今は私しか…いないんですよ」

 

玲美は鳳翔に優しく笑みを浮かべそう返した

 

ウーーーーーーーーーーーーーー

 

玲美「っ!!」

ハーヴェイ『なんだ!?』

鳳翔「これは…!?」

 

その最中サイレンが鳴り響く。そして港がざわついた

 

現れる深海棲艦

 

島民A「深海棲艦だー!」

島民B「はやく逃げろー!」

 

どうやらあの深海棲艦が島の近海にまで到達したらしい

 

玲美「…来やがったな!」

ハーヴェイ『玲美!』

鳳翔「玲美さん!」

 

玲美は消耗が残る身体を起こし立ち上がる、そして港に姿を表した深海棲艦を睨み付けていた

 

玲美「…あれが深海棲艦か。いかにもヤバそうなオーラを出してやがる」

 

鳳翔「玲美さん!危険です!あなたも早く逃げてください!」

玲美「…鳳翔さん、さっきも言いましたがいま戦える艦娘は出撃していていません、帰投するまでまだ少し時間がかかります。その間に奴が攻撃を始めたら大惨事になる、私はそれを防がなければいけません」

鳳翔「でも!あなたは人間!勝てる相手じゃ…!」

玲美「それでも私は提督、戦う義務があります。ハーヴェイ!鳳翔さんを頼むぞ!」

ハーヴェイ『お、おう』

 

\アッ!チョットハーヴェイチャンハナシテ…/

 

ハーヴェイは鳳翔の裾を引っ張り無理矢理つれていった

 

玲美「…さて、いくか!」

 

激突! 玲美VS深海棲艦

 

玲美はそう言うと堤防から一気に姿を見せた深海棲艦…軽巡ヘ級目掛け跳躍、がら空きの背中に挨拶代わりに踵落としを仕掛ける

 

ガキィィィィン!!

 

玲美「(ぐっ…!?何て固さだ…!)」

 

しかしその攻撃は硬い艤装に阻まれダメージどころか傷ひとつなかった

 

ヘ級[ォォォォォォォ!!]

 

いきなり背中に攻撃を受けヘ級は玲美を視認、カトンボが来たとばかりに玲美を弾き飛ばす

 

玲美「なんて頑丈な野郎だ…。ならこれならどうだ!?」

 

空中で体勢を立て直した玲美は何処から取り出したのか長い鉄の棒をヘ級の顔面に振り下ろす

 

ギンッ!!!

 

金属音が響きヘ級がのけぞる、少し効いたようだ

 

玲美「やべっ…鉄パイプが折れた…」

 

しかしそれより先に鉄パイプが音をあげポキンとおれてしまった

 

ヘ級[ォォォオオォォォオォォォ!!]

玲美「…オラッ!!」

 

顔面を殴られ怒りを露にし、襲いかかってくるヘ級のみぞおちに玲美はローリングソバットを決める。艤装に守られていない部分にもろに入ったようで今度は通用した様子、しかしのけぞりこそしたものの大したダメージは無いようだった

 

玲美「…格闘はダメか!ならこれで!紅魔:スカーレット・シュート!!」

 

思わぬアクシデント

 

シーン…

 

玲美「なっ…!?」

 

踵落とし、鉄パイプ攻撃の不発を見て玲美は弾幕を使った遠距離戦に切り替えるべくスペルカードを掲げ詠唱した、しかしその弾幕が手から放たれることはなく明らかな隙が露呈する

 

ヘ級[ォォォォォォォ!!]ガシッ

玲美「ぐあっ!?」

 

ヘ級はその隙を見逃さず玲美の右腕を掴み

 

ヘ級[ォォォオオォォォオォォォ!!]ベキィ!!

玲美「ぐぁぁぁあぁああぁ!?」

 

なんとヘ級は力任せに玲美の腕をへし折り更にぶんぶんと振り回し始めた。どうやら玲美の右腕を引きちぎろうとしているようだ

 

大苦戦

 

玲美「この…離せっ!!」

 

玲美は左腕でヘ級に打撃や手刀を繰り出すも振り回されていてはまともに当たらない

 

玲美「(駄目だ…!このままじゃ腕が引きちぎられる…!何処かに弱点は…!!)」

 

右腕の感覚が消えつつあるのを感じた玲美はどうにかヘ級の弱点を見つけようとする

 

ヘ級[ォォォォォォォ!!]

玲美「…!ここならどうだ!!」グサッ!!

 

玲美は左手でヘ級の腕を掴みその鋭い爪を突き立てる。ヘ級の腕から鮮血が吹き出しヘ級は思わず悲鳴をあげ玲美を離した

 

玲美「ぐふっ!」

 

その拍子に玲美は海の中へ落ちた

 

ジュウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!

 

玲美「がぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁあ!?」

 

たちまち玲美の身体に焼き付くような痛みが走る。玲美ことレミリアは吸血鬼であり流水が大の苦手、海水が身体にかかれば一溜りもないのだ

 

ヘ級[ォォォォォォォ!!]

 

海水に蝕まれ苦しむ玲美にヘ級が逆襲の体当たり、玲美は吹っ飛ばされた

 

ヘ級「ォォォォォォォォォォォォ!!」ドォォォォン!

 

さらに追撃の砲撃がくるが、玲美に回避する体力はなく魔力で身体を強化し防御姿勢をとるのが精一杯だった

 

ガシャァァァァン!!

 

砲撃が命中し更に吹っ飛ばされた玲美は堤防に全身を叩きつけられる

 

玲美「…この…やろ…!」

 

肉体に大ダメージを受けまともに動けない玲美、絶体絶命であった

 

ヘ級[ォォォォォォォォオォォオオオ!!]

玲美「(身体が…動かん…!)」

 

ヘ級が止めを刺そうと襲いかかってくる!しかし玲美は指を動かすのがやっとだ

 

玲美「くそったれが…!」

 

 

助け船

 

ハーヴェイ『これでもくらえぃ!』ブスッ

 

その時、なんと逃げていたはずのハーヴェイが現れ持っていた鋭利な鉄棒をヘ級の右脇腹に突き立てた!

 

ヘ級[ヴァァァァァァァァアァァァアァ!?]

 

あまりの傷みにヘ級はのたうち回る。その隙にハーヴェイは玲美を介抱する

 

ハーヴェイ『大丈夫か!?』

玲美「すまんハーヴェイ…助かった…」ハァハァ

 

口から血を流しかなり苦しそうな玲美だが何とか自力で立つ

 

ハーヴェイ『逃げようぜ!!その腕じゃもう戦えないだろ!』

 

紫に変色し、関節ではない部分で不自然に曲がった玲美の右腕を指差し撤退を提案するハーヴェイ、しかし玲美は首を縦にふらなかった

 

玲美「駄目だ…、今私が逃げたらあの深海棲艦を食い止める奴がいなくなる…」

ハーヴェイ『だからって死んだら終わりだろ!まだストーリーも序盤も序盤だぞ!』

玲美「メタい話すんじゃねぇよ…。それにこれが邪魔なんなら…」

 

ザンッ!!

 

玲美「折れた腕なんざとっちまえばいi…ゴフッ!!」

 

右腕を躊躇なく切断した玲美、だがその拍子にか口から更に血を吐く

 

ハーヴェイ『バカ!やっぱり限界じゃねぇか!!』

玲美「うるせぇ!!それに勝機が見えてきた…」

ハーヴェイ『お前に必要なのは勝機じゃなくて正気だよ!』

玲美「見てろよ…これであいつの息の根を止めてやる…」スッ

 

玲美はさっきの折れた鉄パイプの片方を左手に持ち

 

玲美「地獄に行けやぁぁぁぁぁ!!!」ブンッ!!!

 

へ級「!!」

 

グサッ!!

 

玲美はのたうち回るヘ級の艤装に守られていない剥き出しの胸目掛け鉄パイプを投げつける

へ級はそれに気付き回避をしようとするが間に合わず、右肩に深く鉄パイプが突き刺さった

 

ヘ級[ヴァァァァァァァァアァァァアァ………]ブクブク

 

肩を貫かれヘ級は暫く小刻みに震えていたがやがて自分が甚大なダメージを負った事を悟ったか海の中へ潜りながら撤退していった

 

無理をした代償

 

ハーヴェイ『か…勝っちまったよ』

玲美「な、なんとか退けた…な…。どうだ…、これが私の…」

 

まさかの勝利に驚くハーヴェイに玲美はこれが実力だと言い終わる前に膝をつく

 

玲美「(やべ…流石に無理しすぎた…駄目か…)」バタッ

ハーヴェイ『玲美!?』

 

そのまま玲美は倒れてしまった




今回はここまで
倒れてしまった玲美はどうなるのか

また次回もゆっくりしていってね!!


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第14話:お嬢様の疑念

明けましておめでとうございます(今更ですが)

今回は幻想郷勢も登場しますぞ


ここは…?

 

…み、…れみ

 

玲美「…う」

 

?「レミリア!」

 

レミリア「…!」パチッ

 

玲美…ことレミリアが目を覚ましたのは西陽が差し込む博麗神社の軒下であった

 

 

魔理沙「レミリア!大丈夫か?」

レミリア「う…、ここはどこだ…?深海棲艦は…?」

 

辺りは静まり返っていた、さっきまでの騒ぎが嘘のように

 

魔理沙「何寝ぼけてるんだ?」

レミリア「その声は…白黒魔法使い!?何でお前が…」

 

状況が飲み込めない私の前に紅白巫女が呆れ顔で近づいてきた

 

霊夢「まったく、何言ってんのよ。ここは博麗神社よ。気を失ってたあんたをここまでつれてきたのは魔理沙と咲夜なのよ?」

レミリア「咲…夜…。そ、そうか!」

 

どうやら私は幻想郷に戻ってきたようだ、しかしどうやって…?

 

ズキンッ!!

 

レミリア「ぐっ…!!」

 

体を起こそうとすると右腕に激痛が走った。夢の中で深海棲艦にへし折られた所だ

 

咲夜「お嬢様!!お目覚めになられましたか!」

 

痛む右腕を押さえているところに咲夜の声がしたので顔をあげると目に涙を浮かべた咲夜がこっちに向かって走ってくるのが見えた

 

咲夜「お嬢様!良かったですお嬢様…!もしこのまま目覚めなかったらと思うと…!」

レミリア「心配をかけたな咲夜。すまない」

 

涙を押さえきれずポロポロとこぼす咲夜を見て私は心が痛んだ

 

魔理沙「レミリア、さっきから右腕を押さえてるが何かあったのぜ?」

レミリア「ん、いや何でもない」

 

霊夢「レミリア、ちょっといいかしら」

 

白黒魔法使いとの会話を遮ったのは真剣な表情をした紅白巫女だった

 

レミリア「…なんだ?紅白巫女」

霊夢「相変わらず名前で呼んでくれないのね。まぁいいわ、単刀直入に言うけど…」

 

紅白巫女が言った言葉に私は動揺を隠せなかった

 

霊夢「あんた、外の世界と通じる何かを持ってない?」

 

 

レミリア「な、何を言うんだ。そんなもんあるわけないだろなぁ魔理沙?」

魔理沙「ももも勿論なのぜレミリア、私達は何も…」

咲夜「何言ってるのよ魔理沙、あんたがお嬢様に外の世界で流行ってるゲームをオススメしてきたんじゃない」

魔理沙「ちょっ!」

霊夢「…やっぱりね」タメイキ

咲夜「けどそれがどうかしたの?」

霊夢「…あまり関係ないとは思うけど外の世界のものにあまりのめり込みすぎないでよ」

咲夜「それなら大丈夫よ、お嬢様は何よりも私達を優先してくれるんだから」

レミリア「そりゃ家族だからな」

咲夜「お嬢様…(照)」

魔理沙「惚気は家でやってくれだぜ」

 

唐突のレミ咲に呆れ顔の魔理沙を無視して霊夢が続けた

 

霊夢「本当は今すぐにでもそのゲームをやめさせたいんだけど…勿論魔理沙もね」

魔理沙「そんな!勘弁してくれなのぜ!」

霊夢「…まぁいいわ、但ししつこいけれど使用頻度は少なくしてよね。じゃないとあんた達だけじゃなくて幻想郷にも悪影響が出るから」

魔理沙「うぅ…わかったのぜ…」

レミリア「わかった」

 

 

 

その後、霊夢と簡単なやり取りをしたレミリアは咲夜と共に紅魔館へ帰ってきていた

 




今回はここまで

お嬢様は何に気づいたのか

次回に続きます


※この作品には独自設定、キャラ崩壊含まれます!


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第15話:お嬢様の確信

お待たせ致しました

今回は艦これ組全開でいきます

そういえば艦これACでバレンタインイベが始まったのと長波に改二が来ましたね

白露と古鷹はいつになったら来るのやら…


玲美の目覚め

 

電「司令官さん…起きてください…なのです…」

 

電は玲美の身体を揺すり呼び掛ける

 

玲美「…ぅ」パチッ

 

電「っ!!司令官さん!」

白露「提督っ!」

玲美「ん…あぁ、お前ら…帰ってきてたのか…」

電「うぅ…司令官さんっ!!(TДT)」ダキッ

玲美「うっ!」

 

そこへ、ちょうど玲美が目を覚まし起き上がる。電は思わず彼女に抱きついた

 

電「良かったぁ…良かったよぉ…!司令官さぁん…(泣)」

玲美「すまん…心配をかけた」

白露「ほんとだよっ!帰ってきたらボロボロになって気絶してて…(泣)」

玲美「白露も、すまなかった…」

 

ガチャッ

 

古鷹「あの、包帯見つかりましたけど…」

 

玲美「お、古鷹、わざわざ医薬品を探してくれてたのか」

古鷹「あ…お目覚めになられたんですね…」

玲美「なんだよ、何か嫌そうな顔だな」

古鷹「…そりゃあ私を置いて一人で出撃するような人、知りません!」プイッ

 

古鷹「…やっと信頼できそうな提督さんに逢えたのにいきなりお別れなんて嫌ですもん…(小声」ボソッ

 

玲美「なにか言ったか?」

古鷹「何でもありません!」プイッ

玲美「…?」

 

 

声が小さくて聞き取れなかったが古鷹が何かを言った気がした

 

ハーヴェイ『玲美、もう大丈夫なのか?』

玲美「まぁ、何とかな…イテテ」

電「司令官さんあまり無理は…」

玲美「この程度なら大丈夫だ…。それよりもお前達は大丈夫か?」

白露「あたし達は被弾しなかったから大丈夫だけど…」

玲美「なら良かった、お前達が怪我する方がよっぽど心配だよ」

鳳翔「玲美さんはもう少し自分を大切にしてください…(¬_¬)」ジトメ

玲美「いやぁ、面目ない…」

 

それから簡単なやり取りを交わした私は電と白露に補給するよう命じ、鳳翔に礼を言うと一人鎮守府のグラウンドに来ていた

 

 

 

玲美の確信

 

玲美「…ふんっ!」

 

スペルカードを詠唱し左手をつき出すが何の反応もない

 

玲美「やっぱ駄目か…。」

 

そういえばこの世界に来てから何時もの調子が出ないような気がする

 

玲美「…よし」

 

ならばと右肩に力を込める

 

ズッ!!

 

すると切り飛ばされていた右腕が右肩から生えるように再生する

 

玲美「…」ブスッ!!

 

私は再生した右腕にその辺に落ちていた石を突き刺した。途端に流れる鮮血と走る痛み、だがそれも石を引き抜けば即座に傷は塞がった

 

玲美「…やはりこれは夢ではないようだな。私は別世界に来てしまったのか…」

 

驚愕の事実に驚きを隠せない私だが、冷静さは何とか保っていた

 

玲美「よっ!」

 

バサッ!

 

右腕の感触を確かめると、今度は翼を展開する

 

玲美「はぁっ!!」

 

ズォッ!!

 

試しに無詠唱で簡単なレーザービームを放ってみる、すると今度は発動し岩を砕いた

 

玲美「スペルカードを使った弾幕は使えないが…私本来の吸血鬼としての能力は使えるようだn…グフッ」

 

なるほど、どうやらスペルカードではない技は使えるのか

 

玲美「…しかし反動がキツいな…あまり使わない方がよさそうだ」

 

これは幸いだ。さっきはその場しのぎで腕を吹っ飛ばしたがもし再生出来なかったら片腕で過ごさないとならないところだった

 

玲美「…さて、ここが幻想郷でないと言うならすべき事は一つ…」

 

特訓、私の頭にその二文字が浮かんだのであった 




遂に夢でないと気づいたお嬢様

彼女はこれからどうするのか?

気長にゆっくりお待ちしていただけると嬉しいです





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お嬢様の驚愕編
第16話:お嬢様はドロップ艦と出会うようです


どうも大変お待たせしました

本編更新でございます



※この作品には独自設定やキャラ崩壊などが含まれています!!


夜明け前の鎮守府

 

次の日、私は朝から鎮守府へ来ていた

 

「…この世界にはどうやら二つの勢力があるみたいだな」

 

頭の中で艦娘達と深海棲艦の姿をそれぞれ浮かべる

 

「私は…異端者だな」 

 

自虐的に呟きながら夜明け前の暗い部屋の中で私は窓から外を眺める

 

「…とりあえず、私の正体がバレないようにしないとな」

 

もしバレたらどうするか…

 

「なんて、こんなこと考えない方がいいな」

 

私は頭の中でよぎった事を一方的にたち切り、執務室を後にする

 

カツン カツン

 

人気のない暗い廊下に足音が響く

 

「…人気がないとこんなにも薄気味悪いのか」

 

自分の鎮守府の環境に驚かざるをえない

 

「艦娘が増えたらもっと明るくなるんだろうか…」

 

廊下を通り抜け、私は執務室がある棟から外に出た

 

「…ん?」

 

ふと正門の方へ視線を向けると門の前に人影が立っている

 

「(こんな時間に来客か…?)」

 

私は警戒しながらその人影の方へと歩みを進めた

 

 

謎の少女

 

玲美「ここに何の用だ?」

 

玲美は門の前に立つ人影に話しかけた

 

?「貴女がこの鎮守府の提督か?」

玲美「だとしたら?」

?「なら話は早い」

 

近づいてみると意外と小さくまるで小学校低学年程の身長の少女であることがわかった

 

菊月「私が菊月だ。共に行こう…」

玲美「なんだ、迷子か?」

菊月「は?」

 

玲美の第一印象、それはここに迷い混んだ迷子であった

 

菊月「はぁ…、私は艦娘だ。この鎮守府に新たに配属となったな」

玲美「何?そうなのか」

菊月「貴様本当に提督か?」

 

提督とはまるで思えない発言に菊月は呆れるように言う

 

玲美「私はここに着任したばかりでな、こういうシステムにはまだ馴れていないんだ。だがさっきの無礼は詫びよう。すまなかった」

菊月「ただのでくの坊…ではないようだな」

 

 

夜明け前といえば…お約束

 

 

それから私は菊月という艦娘から改めて自己紹介を受けた

 

菊月「私は睦月型駆逐艦九番艦、菊月だ」

 

容姿は白銀髪のロング、黒をベースとした服で三日月上のアクセサリーをつけていた

 

「(銀髪…そういえばあの銀髪メイドも最初は生真面目でお堅い印象だったな)」

 

ふと自分の部下のメイドの姿が浮かびクスリと笑いが出る

 

菊月「聞いてるのか?」

「あぁ、聞いてるとも」

 

当然それを見ていた菊月が不機嫌そうに聞いてくるが、私はそれをあしらう

 

「菊月…か、これからよろしく頼むよ」

菊月「…頼りにしてくれるなら、いい」

 

一瞬だけ菊月の表情が柔らかくなったような気がした

 

それから数時間後、起きてきた電にこの事を話すと菊月は『ドロップ』艦であることがわかった。どうやら海域をクリアすると一定の確率で艦娘がドロップするらしい。艦娘についての謎は深まるばかりだ

 

「だが…いや、だからこそ私はこの世界に惹かれたのかもな…」

 

朝日が昇る中私はそんなことを…え、朝日?

 

 

「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁああぁぁぁぁぁぁぁぁあ!太陽ぅぅぅぅうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!」ジュッ

 

 

朝の鎮守府に玲美の絶叫が響きわたった




どうも、菊月ちゃんの加入です

次回も鎮守府メインの予定です


どうか次回もゆっくりしていってね!!


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第17話:お嬢様はあるものを見つけたようです

どうもグラマンです

今回はシリアス回です

お嬢様はあるものを見つけるようですよ

※今回はショッキングなものが書かれています!


やれやれ…

 

「あー、酷い目に遭った」

 

菊月との会話の後、私は見事に朝日に焼かれ何とか体を動かし建物の中へ避難した。いやはや、死ぬかと思った…

 

「やべぇ、黒焦げだ」

 

ふと体を見ればまるで炭のように真っ黒になっている。まぁこれはほっとけばそのうち再生して新しい細胞に置き換わるだろう。だが今この姿を見られたら不味い、特に電には

 

電『司令官さん!?はわわ!真っ黒なのです!体を綺麗にしてください!!』

 

間違いなく風呂に放り込まれる。いや、別に風呂にはいるのはいいんだが事前に準備しておかないと普通に死ねる

 

「(そう考えるとやべぇな…、普通に即死級トラップだらけじゃねーか)」

 

幻想郷では特に問題にならなかった自分の体質がこの世界では厄介なことに気づいてしまった

 

 

「とりあえず隠れよう」

 

私はひとまず人気のない階段の裏にそそくさと移動した。見られれば間違いなくデカイGか幽霊に間違われるだろうが仕方がない

 

 

謎の異臭

 

 

「…なんか臭えな」

 

場所が階段裏だとしても変な臭いがする

 

「なにかが腐ってるのか…?」

 

私は臭いの出所を探すことにした。目を凝らして周囲を見渡す

 

「何処だ…?」ゴンゴン

 

視覚ではなにもわからなかったので今度は壁を叩いてみる

 

ゴンゴン ゴンゴン ガンガン

 

すると壁の一部から軽い音が返ってきた

 

「何か空間があるようだな」ガンガン

 

よくよく目を凝らして見れば苔などに覆われているが小さなドアノブがあった

 

「…」グッ

 

ドアノブを掴み引っ張ってみると

 

ギィィ…

 

鈍い音と共に扉が開き

 

「ぐっ!」

 

凄まじい腐敗臭が襲ってきた

 

「何だ…この臭い…!」

 

 

扉の先はまるで隠し部屋のように真っ暗であり私は臭いに耐えながら部屋の中へ突入した

 

謎の隠し部屋

 

「何だここは…倉庫か?」

 

部屋の中はファイルや書物が散乱していて足場らしきものもなく仕方がないので私は夜目を利かせて床のファイルをどけ、そして電気のスイッチを探しそして見つけたのでつけてみる

 

パチッ

 

幸いなことに電球は生きていたようで部屋が明るくなる

 

「!!」

 

私は驚くものを見た。異臭の主がソコにいたのだ

 

「骨…!?」

 

そこにいたのは小柄な骸骨であった、こいつが異臭の主だったのだ

 

「なぜこんなとこに骸骨が…」

 

私はとりあえず骸骨を拾い上げると

 

「…とりあえず埋めてやるか」

 

窓から外に出て裏の森のすぐそばに穴を掘り骸骨を埋めて供養し、また見つけた隠し部屋に戻った

 

「倉庫というよりは物置小屋みたいだな」

 

部屋の中は大きな棚と無数のファイルと本だらけだった

 

「…何の書類だ?前任の忘れ物か?」

 

私は手近にあった本を手に取り読んでみた

 

「日記…か」

 

本の内容は日記帳であり名前はかすれてて読めなかったがどうやら書いたのは女性であるようだった

 

「…」

 

その内容に私は驚きを隠せなかった。これが本当なら私はある艦娘に確認をとらないといけない

 

「この部屋は…私だけの秘密にしておこう」

 

艦娘達には…到底見せられない部屋だ…

 

 

        

アハッ…☆

 

部屋を出た私はそのまま廊下へ脚を向けた…がこれがいけなかったようだ

 

電「あ!司令官さん!」

「ゲッ」

 

ばったり電とはち合わせてしまった

 

電「探してたのです!…って随分真っ黒なのです!早くお風呂に入って綺麗にするのです!」

「…ま、まて電。風呂には入るだが準備が」

電「司令官さん?」ゴゴゴ

「…アハッ☆」

 

 

 

\ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁああぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!流水ぃぃぃぃぃぃぃ!!!!/

 

朝の鎮守府に玲美の悲鳴が(また)響いた…

 

 

 

 

「あー酷い目に遭った…」

 

少しデジャブを感じるが気にしないでおこう。これ以上はもう酷い目に遭いたくない

 

「さて…」

 

私は執務室の椅子に腰を下ろしあるものを机におく

 

「こいつを見てみるか…」




あるものを見つけたお嬢様、はたして何が書かれているのか

それはまた次回へ続きます

次回もシリアス回です

お楽しみにしていただけると嬉しいです


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幕間:お嬢様は隠し部屋を調べるようです

お久しぶりです
二ヶ月ぶりの更新でございます

今回は幕間です。短いですがどうぞゆっくりしていってね!


時は玲美が隠し部屋の中に探索に入った頃に遡る

 

 

「何なんだこれ…」

 

私は床に散乱しているファイルを拾い上げると、埃や砂を手で払いのけ中の内容を目に通す

 

一つ目のファイルは『○×鎮守府所属艦娘一覧』と書かれており、もう一冊は『艦娘取扱い説明書』と書かれていた。これを書いたのが前任だとしたら随分と律儀な人物だったのだろうか

 

これは後で読んでみよう、私の艦隊運営に役立つかもしれない

 

「後は…雑誌か」

 

役立ちそうな物はそれくらいで残りは飛行機や主砲が書かれた雑誌ばかりだった、本棚もそれらで埋め尽くされている

 

「飛行機好きの人物だったんだな…」

 

床に散乱した雑誌を本棚に戻しながら私はふと部屋で眠っていた骸骨の事を頭に浮かべる

 

カタンッ

 

「おっと」

 

雑誌の山を積み重ね、立ち上がった拍子に肩が後ろの棚にぶつかりあるものが落ちてくる

 

「壊れた…模型飛行機?」

 

それは主翼が折れ固定脚らしき車輪が片方無くなっている小さな飛行機であった

 

「部品は…あった」

 

幸いすぐ近くに折れた主翼の先と片脚は落ちており私はそれを拾い上げる

 

「後で直してみるか」

 

模型なんていつぶりだろうか、懐かしさを感じるには丁度いいかもしれない

 

模型をまとめてその辺に落ちていた箱にしまいそれを部屋の出入り口近くに置くと私は奥の広い場所へ向かう

 

「骨があった場所はここだが…ん?」

 

骨があったすぐそばの場所にまた私の目を惹くものがあった

 

「これは…」

 

それは小さな木の札と錆び付いた弓、そして小さな手帳だった

 

「…僅かだが血の痕があるな、まさかあの骨の主がここに来たときに怪我をしていたのか…?」

 

弓はそれを使う主がもういないことを示すかのようにボロボロになっており、糸は切れ柄の部位も腐敗が進行していた

 

「こっちの木の札は…なんだ…?」

 

なにかが掘られていたのか書かれていたのかはもうわからないほどに掠れてしまっていたが、恐らくネームプレートか何かだと私は推測した

 

「じゃあ何が書かれていたんだ…これは」

 

私の疑問に掠れた木の板は答えてはくれない

 

「…何なんだここは」

 

白黒魔法使いはこんなことは教えてくれなかった、いや、知っているかも怪しい。

 

「…どうやら、ただ単純に深海棲艦を倒せばいいって訳では…無さそうだな」

 

何かある。私がこの世界に来た理由と、この部屋の惨状絶対に何かがある

 

「…さっきのファイルと手帳、読めば何があったのかわかるかもしれんな、早速読もう」

 

私は数冊のファイルと手帳を持つと部屋をあとにした




今回はここまでです

次回も楽しみにしていただけるとうれしいです!

それでは!


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第18話:お嬢様は日記と資料を読むようです

どうも、グラマンです

今回もシリアス回です
とても重い内容が含まれてますので苦手な方はご注意ください


日も沈み空に月が上る頃、玲美は執務室に一人座っていた

 

玲美「結局夜になっちまった」

 

隠し部屋で見つけた資料や日記を読もうと思ったのだがやらなければならない執務に追われて結局読めずじまいだったのだ

 

玲美「取り敢えず執務も一段落ついたし電達も寝たしやっとこれが読めるぜ」

 

玲美は机から資料と日記を取り出す

 

玲美「…軽く通し見してあれだったんだ、どんなことが書いてあるんだ…」ペラリ

 

 

資料はどうかな?

 

まずは資料から、どうやらこの鎮守府は以前は大きな鎮守府だったようで多数の艦娘が在籍していたらしい。名前や軽い自己紹介などが書かれていた。これはドロップや建造で艦娘が増えたときに役立つだろう

 

「…む、この名前は」

 

艦娘の資料の中に所々青い×で上から消されている艦娘の写真があった。その中に見馴れた名前があったのだ

 

「この青い×はいったい…」

 

わからない、いったい何なんだこの×は

 

「…まぁいいか、そのうちわかるだろ」

 

資料はこれくらいにして次は日記だ

 

 

驚くべき日記の中身

 

 

『○月×日:今日から日記をつけることにした。明日からまた頑張るぞ!』

 

随分と綺麗な字だ、思わず見惚れるほどに

 

『○月△日:今日も辛い出撃を乗り越え帰ってきた、でもまた駆逐艦の子が沈んだ。正直やりきれない』

 

[また]ってワードが引っ掛かるな…犠牲が多い程に敵が強い地域なのか…?ここ

 

『○月□日:お姉ちゃんが沈んだ、どうしてあんな采配をしたんだ…お姉ちゃんを…返してよ…!』

 

……

 

『△月×日:もう涙も出なくなってきた、毎日誰かが沈む。虚しい戦果に喜ぶのはあの男だけ…』

 

どんだけ嫌われてるんだ前任…

 

『△月○日:お姉ちゃんが夢に出てきた、また会いたい。笑って、喋って、甘えたい。あぁ』

 

このページ、濡れた跡があるな…もしかして涙…なのか

 

『×月○日:あの男が昇進してこの鎮守府を去るらしい、やっと解放される』

 

『□月○日:私達は解体されるらしい、冗談じゃない。そうだ、あの部屋にいこう。私しか知らない秘密の小部屋に、そして記録を残そう。この鎮守府の出来事を…誰かに伝えよう』

 

 

ここで日記は終わっていた

 

もう言葉がでない

 

 

「…」

 

言葉がでない、壮絶すぎる。それに…

 

「この先代ってやつ…」

 

名前も顔も知らないが怒りが沸々と込み上げてくる。艦娘をなんだと思っているんだ…!

 

「まさかさっきの青い×は…」

 

ふと思い返して資料を確認する

 

「命を落とした艦娘って事か…?」

 

日記と資料を交互に見てひとつの仮説を浮かべる、だとしたらとんでもない鎮守府だったということだ

 

「…私はこんなことにならないようにしないとな」

 

私は何とか怒りを抑え日記を閉じ、棚にしまうと窓から外を眺める

 

コンコン

 

「入っていいぞ」

 

戸を叩く音がしたので私は入室の許可を与える

 

ハーヴェイ『よう』

「なんだ、ハーヴェイじゃないか。帰ってきたのか」

ハーヴェイ『おう、鳳翔さんに可愛がられてきた』

「そりゃよかったな」

ハーヴェイ『なんだ、随分と浮かない顔だな』

「まあ…ちょっとな」

 

ハーヴェイ『気になるな、教えろよ』

「…まぁいいだろう」

 

私はハーヴェイに日記の事と資料の事を伝えた、するとハーヴェイは顔を赤くする

 

ハーヴェイ『そんな人間がいたのかよ!』

「この日記が事実ならな」

ハーヴェイ『ムカつくな!おい!何処で見つけたんだよこれ!』

「悪いがそれは教えられん、それに持ち主ももう生きてるかもわからん」

 

私は隠し部屋の存在はハーヴェイには教えなかった、なんとなく教えないほうがいい気がしたからだ

 

「明日はある場所にいくぞ、お前も来るか?」

ハーヴェイ『その日記に関する事なら行くよ』

「決まりだ、明日の午後6時にいくから覚えとけよ」

ハーヴェイ『おう』

 

「んじゃ私は寝るよ、お休み」

ハーヴェイ『次に合うのは幻想郷でだな』

「戻れたらな…」

 

今日は色々驚くものばかりが見つかる一日だった…。

 

「(ゲームを始めたつもりがこんなことになるなんてな…)」

 

世の中はやはりわからない。守矢の巫女がよく言ってたが常識にとらわれないとはこの事なのかもしれないな… 




今回はここまで!
次回はギャグ回です

それでは次回もゆっくりしていってね!


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お嬢様と日常編
第19話:寂しさが募って


今回は東方組です
レミリアお嬢様が異世界に行っている間咲夜さんはあることを思っているようです


玲美もといレミリアが自身の鎮守府で驚いたものを見つけていた頃、幻想郷紅魔館では

 

咲夜「今日もお嬢様は静かですわ…」

 

十六夜咲夜は自分の主が数日に渡って部屋から出てこないことに不安を抱えていた

 

咲夜「あのゲームにのめり込むなって霊夢に忠告されてましたのに…」

 

たまに部屋を覗いてみても主はパソコンの前に突っ伏したまま、変わっているのはただ終わらせてある執務の仕事の束が覗く度に積み重なっている事と筋トレの道具の位置が動いているだけだった

 

咲夜「またお嬢様とお散歩したり談笑したりしたいですわ…」

 

レミリアの優しい微笑みを脳裏に浮かべ気持ちが沈む咲夜

 

咲夜「お嬢様…」

 

今日も咲夜はレミリアの部屋を覗いて見ることにした

 

 

ようやく戻れた

 

「む、戻ったか」

 

私が目を覚ますと、そこは見慣れた私の部屋だった

 

ハーヴェイ『シャンハーイ…』ムクリ

「おまえも戻ってたのか」

ハーヴェイ『…』コクリ

 

私が体を起こしたと同時にパソコンの横で横たわっていた上海人形も起き上がった

 

「いやはや、とんでもないことになっちまったな」ポリポリ

ハーヴェイ『…』ウンウン

「あれ、お前テレパシー使えないのか?」

ハーヴェイ『シャンハーイ…』コクリ

 

これは驚いた、ハーヴェイは向こうの世界でだけテレパシーが使えるらしい

 

「まぁいいか。はてさて、これからどうするか…」

 

 

キィ…

 

「ん?」

 

腕組みをしてると自分の部屋のドアが静かに開いた

 

主は起きてるのか…

 

咲夜「…お嬢様、今日こそは起きていらっしゃいますよね」

 

咲夜は祈るように主の部屋への廊下を歩いていた

 

フラン「咲夜ー」

咲夜「あら、妹様」

フラン「今日もお姉様の所にいくの?」

咲夜「はい、私はお嬢様の従者ですから」

フラン「じゃあフランもいく、最近お姉様とお話ししてないもん」

咲夜「では二人で行きましょうか」

 

途中でフランドールと出会い二人でレミリアの部屋へ向かうことに

 

フラン「お姉様…今日は起きてるよね…」

咲夜「起きていらっしゃいますよ…絶対」

 

 

二人はレミリアの部屋の前に立つと静かに戸を開けた

 

 

 

「ん?どうした、咲夜にフラン」

 

咲夜&フラン「お嬢様!(お姉様!!)」

 

戸が開いたと思ったらこっそり私を覗いてくるメイドと妹の姿

 

咲夜「お嬢様!!ようやくお目覚めになりましたか!!」

「あ?あ、あぁ」

フラン「心配したんだから!!お姉様のバカ!アンポンタン!」

 

どうなってるんだ。何で私は半泣きの咲夜とフランに詰め寄られてるんだ、しかもアンポンタンとか久々に聞いたぞ

 

「取り敢えず心配を掛けてすまなかった、私は大丈夫だ」

咲夜「霊夢から忠告されてるのをお忘れですか!あまりあのゲームにのめり込まないでください!」

フラン「最近お姉様とお話しできなくて寂しかったんだからね!」

「そ、それはすまない。」

 

私は飛び付いてきたフランの頭を撫でながら二人に謝罪する

 

 

「そ、そうだ。明日はどこかへ出掛けないか?謝罪も込めて私がサービスしよう」

 

咲夜「…お嬢様が料理から荷物まで全て用意してくださるなら」

フラン「妥協はしないからね!」

「わ、わかった。約束しよう」

 

二人とも何とか許してくれたようだ

 

咲夜「では私はもう休ませていただきます」

「あぁ、お休み咲夜」

フラン「待って!」

 

部屋を出ていこうとした咲夜をフランが呼び止めた

 

咲夜「妹様?どうされました?」

フラン「今日は三人で寝よ!」

「はぁ!?」

 

いきなり何を言い出すんだこいつは

 

フラン「お姉様に嫌と言う権利はないよ!」

「しかしだな…咲夜が困るだろ」

咲夜「そうですわね、妹様のお言葉に甘えさせていただきましょう」

 

あ、もう決定事項なんですね…

 

「…わかったよ。じゃあもう寝ようか」

フラン「うん!」

 

 

 

ハーヴェイ『シャンハーイ…(私は?)』

 

一人取り残されたハーヴェイはポツリと呟いたのだった




今回はここまで!次回は艦これ組の出番ですよ


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第20話:お嬢様は家族と出掛ける準備をするようです

更新です

今回は東方サイドメインです!
お嬢様はフランちゃん達とお出かけするための準備をするようですよ


 

 

 

「ん…」

 

なんだか寝苦しい、何か重いものが私の上に乗っかっているような…

 

「なんだ…?」パチッ

フラン「おねーさま…」ムニャムニャ

 

…どうしてフランが私に抱きついて寝ているんだ?まずなんで私の布団の中に…

 

ムギュ

 

「んあ?」

 

咲夜「お嬢様…」ムニャムニャ

 

…何で咲夜まで私の布団に!?

 

「…あっ」

 

そうだ、確か昨日フランに一緒に寝ようとせがまれたんだった。今は何時だ?

 

時計:午後五時やで

 

「もう夕方か。待てよ、ってことは丸1日咲夜は寝てたってことだよな…」

 

スースーと寝息をたてる咲夜を見てふと思い出す

 

「そういえば最近ドタバタしてて咲夜に休暇を与えれてなかったな…すまないことをしてしまった」

 

疲れてたんだろうな…咲夜も

 

「さて、今日は確か三人で出掛けるんだったか。何か軽い料理でもするか」

 

ツンツン

 

「なんだ?」

 

ハーヴェイ「シャンハーイ!!!」ぷんすか!

 

「あぁ、お前もいたんだったな」

 

私は布団から出ると普段着に着替え厨房へと足を向けた

 

 

コツーン コツーン

 

靴音だけが響く夕日が差し込む廊下を進む

 

「今日の準備だな」

 

厨房へと向かった

 

 

 

 

 

トントントンッ

 

包丁で野菜を切り刻む、料理なんて随分と久しぶりだ

 

「これをパンに挟んで…私特製サンドイッチの完成だ」

 

グチャァ…

 

うむ、見た目さえ目をつむれば実にいいサンドイッチだ。どれ味見を

 

モグモグ

 

うむ、旨い

 

ハーヴェイ『シャンハーイ…(訳:食欲失せるその見た目をどうにかしろよ…)』

「ん?食うか?」

ハーヴェイ『シャンハーイ!!!(訳:いらねえよ!)』

「そうか欲しいか!なら食わせてやる」

ハーヴェイ『シャ,シャンハーイ!!!(訳:やめろ!放せ!ムガモゴ…あ、旨い…)』

「旨いだろ?フランと二人で暮らしてた頃は私が料理を作ってたからな!」

ハーヴェイ『シャンハーイ…(訳:地獄のような見た目のものを食わされてた妹さんが不憫でならねえよ)』

「さて、取り敢えず多めに作っといたしこれだけあれば仮にこの紅魔館のメンバー全員でいくことになっても大丈夫だろ」

ハーヴェイ『シャンハーイ…(訳:確かに余りそうな量だな…)』

「余ったら最悪白玉楼の幽霊お嬢様に押し付ければいいしな」

ハーヴェイ『シャンハーイ!!!(訳:犠牲者増やす気か!?)』

 

 

フラン「ん…お姉様…?」

 

目が覚めたフランドールは顔をあげ姉の姿を探す

 

フラン「お姉様!?」

咲夜「ふぁ…妹様…?」

フラン「咲夜!お姉様がいないの!」

咲夜「なんですって!?」

 

二人は布団を飛び出しレミリアを探そうと部屋の戸へ手を伸ばした

 

ガチャリ

 

レミリア「何騒いでんだ」

 

咲夜&フラン「お姉様(お嬢様)!!」

レミリア「出掛けるから食い物を用意してたんだ」

フラン「そう…だったんだね」

咲夜「びっくりしましたよ…」

レミリア「驚かせてしまったな、すまない」

咲夜「ですがお嬢様、失礼かもしれませんが料理できたんですか?」

レミリア「ん?まぁな」

フラン「見た目はひどいけど味は美味しいんだよ」

レミリア「見た目もいいだろ?」

フラン「それはないよ」

ハーヴェイ「シャンハーイ」

 

レミリア「!?」

 

バッサリと切り捨てられレミリアは驚きを隠せないのであった

 

 

 

 

 

 

 

電「今日はいいお天気なのです♪」

 

その頃鎮守府にて、電は散歩をしていた

 

電「こんないい天気の日には司令官さんともお散歩したいのです」

 

何気ない願いは叶わないことを彼女は知らない

 

電「司令官さんといえば…」

 

彼女は歩みを止めふと空を見上げる

 

 

 

電「司令官さんは不思議な人なのです」

 

初めてあった時に抱いた第一印象、それは自分より背の高いものの幼さが残る身長をした少女には見合わない鋭い目付きをした怖い人物であった。しかし蓋を開けてみればぶっきらぼうではあるものの優しく艦娘思いの司令官であった

 

電「人並み外れた身体能力はまるで私達艦娘みたいなのです」

 

発狂した古鷹と対峙したときも自分が取り逃がした深海棲艦が港に出現したときも玲美は怯えるどころか逆にこれらを解決してしまったという事実に電は驚きを隠せない

 

古鷹「あれ?電ちゃん?」

電「あ、古鷹さん。こんにちはなのです」

 

そこへ古鷹が現れる。左目の周りに包帯を巻いてはいるがすっかり元気になったようだ

 

古鷹「こんにちは、お散歩?」

電「なのです」

古鷹「じゃあ私と同じだね。私も散歩をしてたの」

電「なら二人でお散歩しませんか?」

古鷹「いいよ、せっかくだしね」

 

二人で散歩することになり二人は会話をしながら足を進める

 

古鷹「提督?確かに不思議な人だね」

電「なのです!超人なのです」

古鷹「深海棲艦を追い払うくらいだもんね」

電「凄いのです~」

 

玲美の凄さに驚きを隠せない電に対し古鷹は顔に少し疑問が浮かんでいた

 

電「古鷹さん?」

古鷹「…私は少し気になるかな。何でボロボロになってまで戦おうとするのか、どうして私たちのためにあそこまで動いてくれるのか」

電「…」

古鷹「少なくとも私はあんな提督見たことないよ」

電「司令官さんはきっと特別なのです。電は司令官さんの事が大好きなのです」

古鷹「電ちゃん…そうだね、変な妄想は辞めますか」

 

二人を照らすように太陽が眩しく輝いていた




今回はここまで!次回はお出かけ回+新キャラ登場です!


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第21話:お嬢様は家族と出掛けるようです

お久しぶりです
今回は東方組のみの登場となります


艦これACにも扶桑姉様の改二が実装されましたね
古鷹さんと白露たんの改二まだですかね?



家族でピクニック!

 

幻想郷、魔法の森 霧の湖の近くにある謎の森、お嬢様はその森へ散歩へ来たようで

 

フラン「ふんふーん♪」テクテク

レミリア「…」

 

咲夜「何か言いたげな表情ですね、お嬢様」

 

楽しげなフランと咲夜に対し不満そうなレミリア

 

レミリア「確かに私が何処かへ行こうとは言ったが…」

 

荷物:ズッシリ

 

レミリア「どうして荷物を全部私が持たにゃならんのだ!」

フラン「当然でしょ?お姉様の考案のピクニックだもん」

咲夜「全ての荷物を用意すると仰ったのはレミリアお嬢様ですわ」

レミリア「ぐぬぬ…」

 

咲夜に論破され渋々そのまま荷物を持ち続けるレミリア

 

ハーヴェイ『シャンハーイ(訳:自分の発言には責任持とうぜ?)』

レミリア「…何言ってんのかわからんがすげぇ腹立つ」

 

…とまぁ、そんなこんなでピクニックを楽しむお嬢様ご一行、ある程度進んだところで昼食をとることにした

 

お食事タイム

 

レミリア「やれやれ、やっと休憩だ」

フラン「お姉様、これ何作ったの?」グチャァ…

レミリア「サンドイッチ」

咲夜「…(見た目が最悪ですわ…)」モグ

 

レミリア「どうだ、旨いだろ」

フラン「美味しいけどさ…もう少し見た目にも気を使おうよ…」

咲夜「確かに…味は良いのですが見た目のせいで食欲が…」

レミリア「なんだよ、食いもんなんざ旨けりゃいいだろ…」

 

最悪の見た目のせいで食欲が減る二人をよそにむしゃむしゃとサンドイッチ(らしい)を食べるレミリア

 

?「あれ?咲夜じゃない」

 

そこへかかったとある声

 

咲夜「あら、アリス」

 

木陰から現れたのはアリス・マーガトロイド、『七色の人形使い』の異名を持つ魔法使いである。彼女はこの森で暮らしているのである

 

フラン「あ、アリスー」

アリス「あら、フランちゃんもいたのね」

レミリア「なんだ、ぼっちの人形遣いか」

アリス「げ、レミリア」

レミリア「ゲッてなんだおい」

 

咲夜「今お嬢様達とお昼なの、アリスもどう?」

アリス「お昼って…そのゲテモノの事…?」

レミリア「サンドイッチな」

アリス「咲夜…具合悪いの?」

レミリア「私が作ったんだよ」

フラン「ほらお姉様、やっぱり見た目がひどいんだよ。もっと美味しそうに作ってほしいな…」

レミリア「…わーったよ、練習しとく」

 

アリス「悪いけど遠慮しとくわ。私は忙しいの」

咲夜「あらそう?」

アリス「それじゃあね」スタスタ

 

そう言うとアリスはその場を去っていった

 

レミリア「…」

ハーヴェイ「…」

レミリア「大丈夫か?」

ハーヴェイ「…シャンハーイ」

レミリア「…すまんフラン、咲夜、ハーヴェイ、少し席をはずす」

フラン「すぐ戻ってきてね?」

咲夜「お願いしますよ?」

レミリア「わかってるよ、すぐ戻る」

 

そう言うとレミリアは立ち上がりその場を発つ

 

あいつはどこ行った?

 

レミリア「…」スタスタ

 

?「ぅ…うぅ…」

 

レミリア「(いたな)」

 

茂みの方から泣き声が聞こえてきたのでレミリアはそこを覗いてみる

 

アリス「…バカバカバカ!バカアリス!どうしてあのお誘いを断ったの!毎日暇なのに!」

 

そこにはなんとアリスがおり自分を責めまくっていた

 

アリス「あんなこと言うから反感買ってぼっちになるのよ…うぅ…」

レミリア「随分と楽しそうだな?」

アリス「!!!!!!!?」ドキーン

レミリア「よぅ」

 

突然声をかけたレミリアに驚くアリス

 

アリス「レレレレ、レミリア!?こここ、この私に何の用かしら!?」

レミリア「いや、取り繕らなくてもいいから」

アリス「うぅ…よりによってあんたに見られるなんて…」

レミリア「こんな姿、人里の人間に見られたらどうなるかねぇ?」ニヤニヤ

アリス「な、何よ!?人形しか作れないこんな私に何を求めてるの!?」

レミリア「別に脅しゃしねえよ。暇だから私の散歩に付き合え」

アリス「え?」

レミリア「羨ましそうな顔してたからな」

アリス「い、いいの?」

レミリア「構わん、その方がフランも喜ぶだろうしな」

アリス「レミリア…」

レミリア「(ハーヴェイは…私が何とかするか、あいつはアリスに不信感を抱いてるからな)」

 

アリス「…ありがと、お礼と言ってはなんだけど…」

 

そう言うとアリスは魔法陣から一体の人形を召喚する

 

アリス「この子をあげるわ。」

レミリア「なんだ?上海か?色が青いが」

アリス「この子は蓬莱よ。家事が得意だからあなたのお手伝いができると思う」

蓬莱「ホラーイ」フヨフヨ

レミリア「あのな、何で私に家事人形なんだよ。そこは戦闘人形だろ」

アリス「あんたの料理の腕が壊滅的だからよ」

レミリア「…サンキュ、助かる」

 

レミリア「そうだな…私用ってことでこれでもつけるか」

 

そう言うとレミリアはポケットから髪止めを取り出すと人形につけた

 

蓬莱「ホラーイ」

レミリア「よろしくな」

アリス「…そうだレミリア、少し聞きたいんだけど」

レミリア「どうした?」

アリス「…やっぱりいいわ、また今度にする」

レミリア「なんだよ、まぁいいが」

 

二人は咲夜とフランが待つ場所へ戻っていったのであった




今回はここまで!次回は艦これ組メインのお話になります!

お楽しみに!


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第22話:お嬢様は新入りと出会うようです

今回は艦これ組の出番です 最近ネタがなくなってきていますorz


海上

 

ドガァァァァァァァァァァァァン!!

 

軽巡ト級「アバー!?」

 

白露[毎度ありー]

菊月[敵艦隊撃破だ、提督]

 

玲美「了解だ、気をつけて帰投してくれ」

 

電[了解なのです]

 

プツン

 

玲美「ふぅ…なんとかなったな」

古鷹「見事な采配です。提督」

玲美「そんなことはない、電達が頑張ってくれたおかげだ」

古鷹「その謙虚な姿勢が私は好きですよ」

玲美「ありがとな」

 

玲美はインカムを机の上に置き力を抜く

 

玲美「電達が帰投するまで時間があるからドックへいってくる」

古鷹「私も付き添いますよ」

玲美「大丈夫か?怖くないか?」

古鷹「怖い…ですけどいつまでも怖がっていられませんから」

玲美「そうか、強いなお前は」ポン

古鷹「!?」ボン

 

玲美は頭を撫でると古鷹は顔を赤くする

 

玲美「行こうぜ」

古鷹「は、はい」

 

ドックにて

 

ギィィ…

 

玲美「いつ来てもここの扉は重いな」

古鷹「…」

玲美「(ここの隣は入渠ドック…、落ち着いたとはいえ苦い記憶があるか)」

 

プシュゥゥゥゥゥ…

 

扉を開けた途端に二人を大量の煙が襲う

 

玲美「大丈夫か?古鷹」

 

咄嗟に古鷹を庇う玲美

 

古鷹「…大丈夫です(ち、近い…!)」カァァァ

玲美「なら良かった」

古鷹「て、提督、誰かがいます」

 

煙の中から一人の少女が現れる

 

 

?「初めまして!司令官!」ビシッ

 

そこにいたのは菊月程の身長の玲美より低い少女だった

 

玲美「君が新しい子だね?」

朝潮「朝潮型駆逐艦一番艦!朝潮です!勝負なら!いつでも受けて立つ覚悟です!」ビシッ

玲美「私は紅玲美。この鎮守府の提督だが、そう固くしなくてもいいよ、もっとフランクに接してくれ」

古鷹「古鷹型重巡洋艦の一番艦、古鷹です」

朝潮「よろしくお願いします!」ビシッ

 

玲美「(真面目そうな子だ)」

 

少女の名前は朝潮、とても生真面目そうな艦娘であった

 

数時間後

 

電「司令官さん、帰投したのです」

玲美「お帰り、報告は補給を済ませてからでいいぞ」

菊月「そうはいかない、報告は優先事項だ」

玲美「そう堅苦しくしなくてもいいぞ」

白露「じゃあ一つだけ、新しい艦娘が着任したよ。正門前で待ってるよ」

玲美「む?そうなのか、わかった。それと白露」

白露「ほえ?」

玲美「今度から執務室へつれてきてくれよな」

白露「はーい」

 

玲美は立ち上がり白露達に補給へ向かわせると正門へ向かった

 

 

正門にて

 

 

玲美「お、あの子だな」

 

 

視線の先に小柄な少女が立っていた

 

玲美「よぅ、あなたが新しい艦娘かな?」

?「そうよ、朝潮型駆逐艦三番艦、満潮よ」

玲美「朝潮型…ほう、朝潮の妹か」

満潮「そうよ、朝潮姉さんもいるの?」

玲美「あぁ」

 

少女は満潮といった、朝潮と同じくらいの身長で可愛らしい見た目…だが

 

満潮「私…何でこんな部隊に配属されたのかしら…」

玲美「お、おう…」

満潮「…まぁ、よろしくね」

玲美「あぁ、よろしく」

 

満潮は軽く挨拶するとそのままスタスタと鎮守府へ入っていった

 

玲美「…面白そうな奴が来たな」

 

それを見て玲美はニヤリと笑みを浮かべたのだった




今回はここまで!次回もお楽しみに!失踪だけはしませんので気長に待っていただけると嬉しいです

幻想郷でのお嬢様を書いたシリーズも作り始めたのでよかったらそちらも読んでいってくださると嬉しいです


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第23話:空に舞う鷹

年跨いじゃった

久しぶりの更新です

今回は艦娘回!鎮守府がまた騒がしくなります


海上にて

 

ドォォォォォォォン!!

 

敵艦載機から放たれた爆弾が白露を吹っ飛ばした

 

電「白露さん!」

白露「や…やられた…!」大破

 

煙の中から痛々しい姿の白露が現れる

 

ヌ級「ギィィ」ニヤリ

 

菊月「…!貴様ぁ!」

 

不適な笑みを浮かべるヌ級に菊月が主砲を構え砲撃する…が護衛のリ級の装甲に阻まれまともなダメージが与えられない

 

 

玲美「落ち着け、撤退するんだ」

 

仲間がやられいきり立つ菊月を制止する玲美

 

白露「でも…!こいつを何とかしないと船舶が…!」

玲美「確かに船舶の安全も大切だがお前たちの命の方が大切だ、撤退しろ。命令だ」

 

 

 

鎮守府にて

 

3人「…」ボロッ

 

重い足取りで3人は執務室に入ってくる

 

玲美「お帰り」

白露「あの…その…」

玲美「どうした?」

電「ごめんなさい!」

 

玲美「? どうして謝るんだ?」

 

深々と頭を下げる3人の行動が理解できない玲美

 

菊月「私達は…海域突破に失敗した、ただ資材を浪費しただけで何も…!」

玲美「そんなことを気にしてたのか、だったら心配は無用だ」

菊月「え?」

玲美「確かに海域突破出来なかったのは事実だがそれは私の指揮に問題がある、お前たちに非はないぞ」

白露「そんなこと!」

玲美「どうしても気にするんなら傷を癒して演習に励むことだ、錬度をあげてくれ」

 

自分達の失敗を気にしている3人を宥め、玲美は傷を癒すように命じた。更に暫くは演習をメインにして作戦を練る事にした

 

 

 

玲美「さて…」

 

3人が入渠に行ったのを確認すると玲美は机に大きな画用紙を広げる

 

玲美「対策を練るか…」

 

 

 

………機関停止!再始動困難です!

 

妖精さんが叫んでる

 

……何とか曳航を!

 

ぼんやりと映る視界で誰かが怒鳴ってた

 

[放棄しろ、そいつは元々弾除けでしかないんだからな]

 

嫌な声が聞こえた

 

[止めをさせ、鹵獲されてはかなわん]

 

やめて…まだ死にたくない

 

…わかりました

 

主砲を向けないで…!私はまだ動ける…!

 

…悪く思わないでください スチャッ

 

私に向ける主砲のトリガーに指がゆっくりと…

 

古鷹「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」ガバッ

 

3人が帰投した時とほぼ同じ頃、古鷹は目を覚ました

 

古鷹「はぁ…はぁ…はぁ…!?夢…か」

 

夢でよかったとほっと胸を撫で下ろし時計に目をやると既に昼の2時をまわっていた

 

古鷹「いけない…寝過ぎちゃった」

 

ガヤガヤ

外が何やら騒がしい

 

古鷹「うん?皆帰ってきたのかな?」

 

私は制服に着替え眼帯をつけると提督さんがいる執務室に向かった

 

 

 

玲美「…ここがこうして」カリカリ

 

コンコン

 

玲美「ん?」

 

古鷹「失礼します」

玲美「おはよう」

古鷹「何をしてるんですか?」

玲美「近海に重巡と軽空母が現れてな、それの対処を考えてるんだ。何回も出撃してるんだが悉く撃退されてな」

古鷹「軽空母…ですか」

玲美「電の報告によると攻撃が護衛の重巡に弾かれるみたいでな」

古鷹「重巡に?」

玲美「あぁ、せめて重巡を何とかできれば突破口が開けそうなんだが」

 

どうしたものかと頭を悩ませる玲美

 

古鷹「(…もし私も戦うって言ったら提督は何て言うかな。いやいや、五体満足でも火力が低い私なのに主砲も視界も半減してるようじゃ足を引っ張るだけだよね…)」

 

一瞬自分も戦おうと思った古鷹だがお荷物にしかならないと思い言い出せなかった

 

玲美「なぁ古鷹、駆逐艦の雷撃は戦艦や正規空母を沈められるって資料には書いてあるがこれは連発できるのか…?」

古鷹「提督、魚雷は一回の戦闘につき2発が限度になってます」

玲美「2発…か、じゃあこれは逆転の一撃に取っておかないとな。うーむ」カリカリ

 

図面に雑に書き込む玲美

 

玲美「駄目だ、ここをこうするとこっちがキツくなる…」

古鷹「あの…既にされてるかもしれないんですけど装備の開発とかは」

玲美「それならやっている、妖精さんに土下座して頼み込んだら努力はしてみるって回答をもらってる」

古鷹「し、失礼しました!」

玲美「いや、気にするな」

 

結局夜になってもいい案は浮かばずとりあえず夕飯をとることにした

 

玲美「もう夜か、飯にしたいが…電達は…まだ入渠中か。そうだ古鷹、居酒屋でもいかないか?」

古鷹「居酒屋…ですか?」

玲美「あぁ、いい店を知ってるんだ」

 

 

 

カランカラン…

 

鳳翔「あら、いらっしゃいませ玲美さん」

玲美「どうも」

 

舗装された海岸沿いの道路に建てられた小さな居酒屋に玲美と古鷹は来ていた

 

客「まってたよお嬢さん!」

玲美「どうも、こう見えても提督なんですよ?」

客「カーッ!この店じゃそんなの関係ない!そら飲め飲め!」

玲美「いやぁ、旦那にはかなわんね。いただこう!」

 

店に入るなり既に酔っていた中年の男達に酒を進められる玲美、彼女も灌がれた酒をグイッと飲み干す

 

古鷹「あ、あの…お客さんに絡むのは…」

鳳翔「いいんですよ。玲美さんはいつもここに来ると他のお客さんと呑むので」

 

どうやらちょくちょく玲美はここに足を運んでいたらしい

 

客「ん?そっちのお嬢ちゃんも呑もうぜ!」

玲美「勘弁してくださいよ旦那、あの子私の部下で酒に弱いんですよ」

客「なんでぇ、じゃああの子は艦娘なのかい」

玲美「そうなんすよ」

客「カァーッ!艦娘も来るたぁ驚いた!そのうち深海棲艦も来そうだなぁ!」

玲美「来たらおしまいっすよ私らw」

 

玲美「鳳翔さぁん!日本酒10杯!」

鳳翔「はいはい」

 

 

既に玲美は顔を赤くし出来上がっている、なのに酒をさらにグビグビ呑む度に歓声が上がり宴状態である。当然古鷹はついていけず置いてけぼりになるのだが

 

 

鳳翔「あなたが玲美さんが話してた人ですね」

古鷹「は、はい…」

鳳翔「ふふ、緊張しないでください。私も元艦娘なので」

古鷹「そ、そうなんですか」

鳳翔「あなたの境遇は玲美さんから聞いています、苦労されたみたいですね」

古鷹「そ、そうでもないですよ。元々スペックが低くて弾除けくらいにしかなりませんから…」

鳳翔「そんなこと言わないでください、何も敵を倒すだけが艦娘の使命じゃありませんよ」

 

 

客A「そうだそうだ!あんた達艦娘がいるから俺は漁ができるんだぞ!」

客B「俺だってあんた達が守ってくれるから安心して塩や野菜を隣の島まで運べるんだ!」

客C「使えないっていうなら俺の店で養ってやるよ!」

客D「テメーは無職のパチンカスだろうが!」

客C「あ!テメー人が気にしてることを!」

 

自棄的になってしまう古鷹に何言ってんだと励ます鳳翔と客達

 

古鷹「皆さん…」

 

どうしてこの人たちは見ず知らずの自分に優しくしてくれるんだ、酒が入ってるとはいえ自分が今までに出会ってきた人間とは大違いである

 

鳳翔「…ね?小さな事でもいいんですよ。貴女はちゃんと役に立ってるんです」

玲美「そうだぁ!お前も私の大事な家族だからなぁ!戦うだけが全てじゃねえやい」ヒック

 

古鷹「(どうして…)」

 

客「良いこと言うね提督さんよぉ!そら!もう一杯!」

玲美「いただきますぅ!新米少佐紅玲美!いっきまーす!」グビッ

鳳翔「もう、呑みすぎですよ」

 

古鷹「(どうして皆さんはこんな私に優しくしてくれるんですか…!)」

 

ジワッ

 

瞳に涙を浮かべ、机に突っ伏した古鷹は静かに泣いた

 

 

それから時間が経ち時計の針が深夜を回った頃、宴の席も解散し店に鳳翔と古鷹と玲美が残された

 

玲美「もうのめましぇん…」ウィー

 

終電が過ぎた頃の駅で寝る酔っぱらいのように顔を真っ赤にして廊下で爆睡する玲美

 

古鷹「提督ったら…」

鳳翔「ふふ、今日くらいは許してあげてください。玲美さんも苦労されてるみたいですので」

古鷹「…ですね」クスッ

 

 

 

 

\朝だよ!夜明けだよ!/

 

月が沈み東の空が少しずつ明るくなる頃、玲美は目を覚ました

 

玲美「…もう朝なのか、やべぇ頭が痛い」

 

呑みすぎたせいか典型的な二日酔いになり気だるい体を無理矢理起こす

 

玲美「うぷっ…」

 

凄まじい吐き気に襲われ玲美はゴミ箱に思いっきりリバースした

 

コンコン

 

玲美「…こんな時間に誰だ?」

 

まだ起床時間には早い時間に戸が叩かれる

 

古鷹「失礼します」

玲美「なんだ、古鷹か」

満潮「何だはないでしょ」

玲美「んあ?みっちーもいたのか?早いな」

満潮「みっちー言うな!それに早いのは…その…」

玲美「?」

満潮「何でもないわよ!」

古鷹「昨日提督が呑みすぎてまともに歩けなくて困ってたら満潮ちゃんが迎えに来てくれたんですよ」

満潮「たまたまトレーニングしてたら見かけただけだし…」

玲美「そうか、ありがとな。満潮」

満潮「ふん!感謝の言葉なんて要らないわ、あんな情けない姿見せないでよね!」

玲美「へ、へいへい」

 

上司の玲美にも容赦のない言動だが仄かに彼女の頬が赤くなっていたことに古鷹は気づいていた

 

満潮「じゃ、じゃあ私は部屋に戻るから!」

玲美「しっかり寝ろよ、ちゃんと休日にしとくからな」

満潮「ふん!どうも!」

 

満潮「……ありがと」ボソッ

 

バタン

 

玲美「…何か満潮のやつ丸くなったか?まだ初登場してからそんなに出てないのに」

古鷹「どうでしょうね、日々の提督を見てるのかもしれませんよ」

玲美「…そうなんかね」

 

古鷹「…提督」

玲美「どうした?」

古鷹「…少しわがままを言ってもいいですか」

玲美「? 珍しいな」

古鷹「……私を」

玲美「あ?」

 

古鷹「皆さんと戦わせてください!」

 

玲美「ほぅ…?」

古鷹「確かに私は人と話すことも苦手です、それに片腕と片眼がありません」

玲美「そうだな」

古鷹「でも!ずっと思ってたんです!私もまた戦いたい!優しくしてくれる皆さんに恩を返したいんです!」

玲美「…」

古鷹「駄目…ですか?」

 

玲美「そうだな、許可できないな」

古鷹「…そう、ですよね…」

玲美「そんな治療が完了してない状態では、な」

古鷹「え…?」

玲美「全く演習とかもしてないだろ?」

古鷹「…はい」(現在lv.1)

玲美「だったら…そうだな、一週間だ」

古鷹「一週間…ですか?」

玲美「2週間後にもう一度軽空母艦隊を攻撃しようと思っている、だからそれに備えて練度を25まであげてこい」

古鷹「…わかりました」

玲美「勿論、白露達と一緒にやってもらう。期待しているぞ」

古鷹「はい!」

 

古鷹は今までで一番の綺麗な笑みを浮かべ頷いたのであった




今回はここまで 次回は満潮回かける新キャラです

お楽しみに


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