僕等が奏でる歌と音 (凌介)
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出会いと日常編
第1話旅立ちと出会い


宮村光は沢山の音に触れ自分を高めるために上京しそこで様々なバンドとバンドメンバー達と関わり恋や友情を育んで行く物語


その日1人の少年が旅立ちを向かえていた少年の名は宮村光

「いってきます!父さん、母さん俺どこまでやれるかわからないけど東京で頑張って来るよ!」

たくさんの荷物を抱えて光は両親に笑いかける 。

光の両親は笑顔で頷きただ一言

「いってらっしゃい」と声をかける

光は黙って頷き東京行きの新幹線に乗り込んだ

東京に向かう道中、光は自分のスマホにイヤホンを繋ぎ音楽を聞いていた。

光は鼻歌を交えながら外の景色を楽しんでいる、

そうしているうちに新幹線は東京駅に到着しそこから乗り換えを行い目的地の駅に到着する。

光は駅の改札を出て軽く身体を伸ばして軽く深呼吸した後

駅の広場に荷物を降ろし1本のアコースティックギターを取り出し肩にかけると軽く引いてチューニングした後もう一度深呼吸してから声を出す

「こんにちは!光って言います。もし、よければ1曲聞いって下さい」

そう言ってギターを弾きながら歌い出す曲はあいみょんのマリーゴールドだ

『風の強さがちょっと 心を揺さぶりすぎて真面目に見つめた君が恋しい』

 

光が歌い出すと周りの人は足を止めて歌声に耳を澄ます

 

『でんぐり返しの日々可哀想な振りをしてだらけてみたけど希望の光は目の前でずっと輝いている幸せだ』

 

曲はサビに入り、そして見物人も増えていく

 

『麦わらの帽子の君が揺れたマリーゴールドに似てる

あれは空がまだ青い夏のこと懐かしいと笑えたあの日の恋

「もう離れないで」と泣きそうな目で見つめる君を

雲のような優しさでそっとぎゅっと抱きしめて抱きしめて離さない』

 

曲は2番に入る光自身もたくさんの人が聞いてくれていると思うと楽しくてたまらない

 

『本当の気持ち全部吐き出せるほど強くはない

でも不思議なくらいに絶望は見えない

目の奥にずっと写るシルエット大好きさ

柔らかな肌を寄せあい少し冷たい空気を2人

かみしめて歩く今日という日に何と名前をつけようかなんて話して

ああアイラブユーの言葉じゃ足りないからとキスして

雲がまだ2人の影を残すからいつまでもいつまでもこのまま

遥遠い場所にいても繋がっていたいなあ

2人の思いが同じでありますように』

 

曲がラストサビの間の間奏に入り歌が終わりに近付くが光の気持ちはまだ終わって欲しくないと告げている。

 

『麦わらの帽子の君が揺れたマリーゴールドに似てる

あれは空がまだ青い夏のこと懐かしいと笑えたあの日の恋「もう離れないで」と泣きそうな目で見つめる君を

雲のような優しさでそっとぎゅっと抱きしめて離さない

ああアイラブユーの言葉じゃ足りないからとキスして

雲がまだ2人の影を残すからいつまでもいつまでもこのまま

離さない いつまでもいつまでも離さない』

 

曲が終わり最後の演奏となり曲が終わるとどこからともなく拍手が送られた、光はその拍手に答えるように軽く礼をしてから話し出す。

 

 

「ありがとうございました。これからは夕方から夜の間にここで歌ってますので聞きに来てくれたら嬉しいです。今日は本当にありがとうございました。」

 

そう言ってもう一度礼をするとその場にいた人から再び拍手を送られた、その後、見物客達は散りじりに去っていき俺はその様子を尻目にギターを片付けていると後ろから声をかけられる

「ちょっと良いかしら?」

振り向くとそこには自分と同い年くらいの長い銀色の髪と

楊梅色の瞳が特徴的な女の子と長い茶髪を後ろでまとめた

いかにもギャルと言った感じの女の子の2人がいた、光はその2人に一瞬見とれてしまったがすぐに我に返り話しかける

 

「僕~じゃなかった俺になにか用事ですか?」

「ええそうよ、あなた、なかなかの歌唱力ね今日はもう歌わないのかしら?」

そう問いかけて来る銀髪の女の子に隣にいたギャルっぽい女の子がからかうように話し出す

「珍しいね~友希那が他人に、それも見ず知らずの男の子に興味を示すなんて~」

 

その発言に友希那と呼ばれた女の子ムッとした表情を浮かべ反論する

「そんなんじゃないわ!こんな所で歌っているのが珍しかっただけよ」

「またまた~友希那ってば素直に言えば良いのにもう一曲聞かせてくださいってさ☆」

友希那と呼ばれた女の子はため息をつくと一言

「もうそれで良いわ…」

と諦めたような態度を取ると隣のギャルっぽい女子が俺の方に顔を向け

「って事なんだけど、どうかな?」

と問いかけてくる

光はほんの少しだけ考えた後断りを入れる

 

「ごめんなさい今日はこれでやめようと思ってるんです、実はこの街に来たばかりでまだこれから住む家すら確認してなくてだからもし良かったら明日の夕方また来てくださいまたここで歌ってると思うので」

と断りをいれた

 

「だってさ友希那どうする?」

「そういう事なら出直すわ、明日また会いましょう」

と言って友希那はその場を後にすると

「待ってよ友希那~」

後を追うようにギャルっぽい女子もその場を後にしようとするが立ち止まって自己紹介をしてくれた

 

「アタシ今井リサよろしくね☆さっきの子は湊友希那。

アタシの1番の親友だよ☆」

「よろしくお願いします俺は宮村光(ひかる)光(ひかり)って

書いてひかるよろしく今井さん」

そう言って笑いかけると今井さんも笑って一言

「それじゃあまた!」

と言って湊さんを追うように去っていった。

 

光もアコギをしまうと荷物を持って自分がこれから住む家に向かって歩き出した、そしてしばらく歩いた後光はこれから住む家、もといマンションに到着し管理人に挨拶し鍵を受け取り自分の部屋に向かう、部屋の前につくと鍵を開け早速部屋に入り荷物の整理を始めた。

 

それからしばらく荷物の整理に没頭し一段落着いてスマホで時間を確認した時には夕方の6時をさしていた光は晩飯をどうするか考えた後、今日はコンビニで済まそうと思いコンビニに向かい弁当とお茶を購入し部屋に戻り食事と入浴を済ませて寛いでいると睡魔が襲ってきたのでアラームをセットして少し早いが寝る事にした。

次の日も光は朝から荷物の整理をしていた、朝の少し早い時間から始めていたため10時を少し回った頃に荷物整理が終わり足りないものを補充するためにショッピングモールへと赴いていた。

 

「えーとあれ買ったこれ買った、あ〜これがまだか」

光は買ったものを確認しながら歩いていた、そして何気なくそのショッピングモールのイベントスペースに目がいった光はイベントスペースを軽く見て回って呟く

「ここで歌いたいなぁ〜」

「歌えばいいじゃん!」

「え?って誰君?」

声がした方に顔を向けると

スカイグリーンの髪の自分より年下っぽい女の子が人懐っこい笑顔を自分に向けて来た

「あ~っえっとその~」何を言おうか、どう返答すべきか迷っていると目の前の女の子は不思議そうにこちらを見つめていた

「歌わないの~?私聞いてみたいな~君の歌!なんかねぇ~るん!ってしそう!」

光は戸惑いながらも返答する

「残念だけど今日は歌えないよ、楽器を持ってきてないしイベントスペースを使う許可も取ってないからね、僕…じゃなかった俺の歌を聞きたいなら夕方駅前においで今日もそこで歌うから」

光は目の前の女の子にそう伝えると少し考える仕草をした後また笑顔を浮かべて話し出す

「わかった!夕方!君の歌を聞きに行くね~!私は日菜!氷川日菜だよ~よろしくね!えーと…」

「光(ひかる)だよ!宮村光よろしくね氷川さん」

「アタシの事は日菜でいいよ~!アタシお姉ちゃんがいるからもしお姉ちゃんといる時に声掛けられたら分からなくなるし何よりるん!ってしないよ~」

「わかったよじゃあ改めてよろしくね日菜」

「うん!じゃあ夕方にね〜」

そう言って日菜は去っていき光も気を取り直し買い物を終わらせ帰りに自転車屋で前もって買って預けていた自転車を受け取り自転車のカゴに荷物を入れて自宅へと帰宅すると早速昼飯の準備をし昼食を済ませたあとアラームセット軽く一眠りする。

そして時間になるとアラームが鳴り光は起き上がり軽くシャワー浴び目を覚まして着替えた後ギターケースともう1つ別のケースを持って家を出て駅前に向かう

そして駅につくと自転車を止め昨日と同じ広場に足を運び

そこに今度はキーボードを設置してギターケースから今日はエレキギターを取り出し肩にかけるとチューニングを始め

持参していた中型のアンプに繋ぐと深呼吸して気合いを入れ声をだす!

「こんばんは!光です今日はキーボードで1曲このエレキギターの演奏で1曲聞いてくださいそれじゃぁ行きます

1曲目天体観測」

俺は演奏を開始し、そして少しの前奏の後歌いだす

 

『午前二時フミキリに望遠鏡を担いでった

ベルトに結んだラジオ雨は降らないらしい

二分後に君が来た大袈裟な荷物しょって来た

始めようか天体観測ほうき星を探して

深い闇に飲まれないように精一杯だった

君の震える手を握ろうとしたあの日は

見えないモノを見ようとして望遠鏡を覗き込んだ

静寂を切り裂いていくつも声が生まれたよ

明日が僕らを呼んだって返事もろくにしなかった

「イマ」というほうき星君と二人追いかけていた』

 

光は歌いながら周りを見る昨日来ていた友希那とリサそして昼間出会った日菜の姿を探していたがパッと見では分からず

2番に入る

 

『気が付けばいつだってひたすら何か探している

幸せの定義とか哀しみの置き場とか

生まれたら死ぬまでずっと探してるさぁ始めようか天体観測ほうき星を探して今まで見つけたモノは全部覚えている

君の震える手を握れなかった痛みも

知らないモノを知ろうとして望遠鏡を覗き込んだ

暗闇を照らす様な微かな光探したよそうして知った痛みを

未だに僕は覚えている

「イマ」というほうき星今も一人追いかけてる』

 

曲が終わりに近付くが光はこのまま終わらせるものかと、

どこかで聞いているであろう知人達に届けるために光は歌う

 

『背が伸びるにつれて伝えたい事も増えてった

宛名の無い手紙も崩れる程重なった僕は元気でいるよ

心配事も少ないよただひとつ今も思い出すよ

予報外れの雨に打たれて泣きだしそうな

君の震える手を握れなかったあの日を

見えてるモノを見落として望遠鏡をまた担いで

静寂と暗闇の帰り道を駆け抜けた

そしうて知った痛みが未だに僕を支えている

「イマ」というほうき星今も一人追いかけてる

もう一度君に会おうとして望遠鏡をまた担いで

前と同じ午前二時フミキリまで駆けてくよ

始めようか天体観測二分後に君が来なくとも

「イマ」というほうき星君と二人追いかけてる』

 

演奏が終わり拍手が巻き起こる中、光は礼をし

今度は一歩下がってキーボードの前に立ち話し出す

 

「次はキーボードで演奏します2曲目手紙拝啓十五の君へ」

 

俺はキーボードの鍵盤を叩き演奏を開始する

 

『拝啓この手紙読んでいるあなたはどこで何をしているのだろう

十五の僕には誰にも話せない悩みの種があるのです

未来の自分に宛て書く手紙ならきっと素直に打ち明けられるだろう

今負けそうで泣きそうで消えてしまいそうな僕は

誰の言葉を信じ歩けばいいの?

ひとつしかないこの胸が何度もばらばらに割れて

苦しい中で今を生きている 今を生きている』

 

 

2曲目に入った時には光は周りを気にするのをやめていた自分の演奏に全力を注ぐためだ

 

『拝啓ありがとう十五のあなたに伝えたい事があるのです

自分とは何でどこへ向かうべきか問い続ければ見えてくる

荒れた青春の海は厳しいけれど明日の岸辺へと夢の舟よ進め今負けないで泣かないで消えてしまいそうな僕は

自分の声を信じ歩けばいいの大人の僕も傷ついて

眠れない夜はあるけど苦くて甘い今を生きている』

 

 

『人生の全てに意味があるから恐れずにあなたの夢を育ててkeeponbelieving… keeponbelieving

keeponbelieving keeponbelieving

負けそうで泣きそうで消えてしまいそうな僕は

誰の言葉を信じ歩けばいいの?

あぁ負けないで泣かないで消えてしまいそうな時は

自分の声を信じ歩けばいいの

いつの時代も悲しみを避けては通れないけれど

笑顔を見せて

今を生きていこう今を生きていこう

拝啓この手紙読んでいるあなたが幸せな事を願います』

 

 

そして2曲目の演奏を終えると再び拍手が巻き起こり光は礼をして声をだす

「今日は聞いてくれてありがとうございました。また明日の夕方ここで歌いますので良かったらまた聞きに来てください」

 

そう言って礼をすると再度拍手が起った後見物客達は去っていき光は片付けに入った時

 

「やっほー!聞いてたよ!最高にるん!ってきた演奏だったよ~」

と日菜が話しかけてきた

 

「日菜!どこで聞いてたんだよ!軽く見渡した限り見当たらなかったけど?」

 

「ひーくんの後ろの方だよ~1番前で聞きたかったのにいっぱい人いたから後ろに回って聞いてたんだ~」

「そっかそっか、気に入って貰えて良かったよ」

日菜と話ながら片付けを進めていると友希那が声をかけて来た

「昨日と同様いい演奏だったわ」

「来てたんですか湊さん!」

「ええ今日演奏するってあなた言っていたでしょ、だから聞きに来たのよ」

友希那は淡々と言う

「あなたに聞きたい事があったのよ」

「俺にですか?答えられることなら構いませんけど」

「ええあなた音楽をやってどのくらいなのかしら?」

光は少し思い出すように考え答える

「7、8年ですね小学生の3年からなのでそのくらいです」

「そう納得したわそれともう1つあなた見たところ同い年くらいに見えるけれど学校は何処なの?」

「えっと年齢は16で明日から羽丘学園に転校生として入ります」

光の言葉に日菜と友希那が驚きの表情を浮かべた

そして日菜がものすごい勢いで顔をよせてきたかと思えば

質問攻めにされる

「ひーくんがうちの学校の転校生だったの?」

「ねぇねぇ同じクラスになれるかな?」

「アタシはひーくんの前か後ろがいいな~ひーくんはどう?アタシはそうなったらすっごくるん!ってしそう!」

等々ものすごい勢いでまくし立てるように喋る日菜に対し

俺は困惑するが湊さんが上手く話に割って入ってくれた

 

「まぁ待ちなさい、はやる気持ちもわかるけれど、一度に聞いても彼も答えられないでしょう」

 

日菜は少し考える仕草をした後、とりあえずと言った表情で引き下がり改めて転校して来る件にについて聞いてきた

 

「ひーくんは明日からうちの学校の生徒になるって事でいんだよね?」

「あぁそうだよ。明日から日菜と湊さん達の通う学校に僕も通うよ」

「ひーくん同じクラスになれるかな~?」

「それは分からないわね私たちとは違うクラスになるかもしれないわよ」

湊さんの言葉に俺も苦笑を浮かべながら答える

「アハハ、うん確かにそれに関しては湊さんの言う通りだねぇ明日にならないと分からないし」

 

「それにもし同じクラスになったとしても日菜の近くより湊さんの近くになりそうな気がするよどうせ席は後ろの方だろうしね」

「う〜んそっかァ残念」

日菜は目に見えて肩を落とす光としても何故かいたたまれない気持ちになってしまうので慌ててフォローする

「まぁでもさ日菜、同じ学校なんだしクラスが別になっても休み時間とか会いに来ても大丈夫だし、夕方から夜の間なら駅前で歌ってるしいつでもおいで待ってるからさ 」

そう声をかけると日菜は笑顔を浮かべ「うん!」と力強く頷いた

その様子を見ていた湊さんはため息をつくと俺に声をかけてきた

「なんにせよ同じ学校に通うのだし、よろしく宮村君。私はこれで失礼するわ」

そう言って立ち去ろうとする湊さんに俺は声をかける

 

「こちらこそよろしくお願いします湊さん。それと関係ない事なんですが、今日はリサさんは一緒じゃないんですか?」

 

「リサ?彼女なら今日は朝からアルバイトよここから15分位のコンビニだし会いたいのなら行ってみたら?」

湊さんはサラッととんでもない事を言った気がしたがとりあえず平静を装い返答する

「いえ、会いたいとかではなく、一緒にいなかったので気になっただけですよ!」

「まぁいいわ、とりあえず私はこれで失礼するわね」

そう言うと湊さんは立ち去って行った

「日菜はこの後どうするんだ?なんなら 送ってくけど?」

「ん~今日はいいや!アタシも帰るね~ひーくんまた明日~」

そう言って日菜は手を振りながら帰っていきさっきまでの騒々しさはどこへやらと言った感じで俺は少しの虚しさを感じたが気を取り直してギターとキーボードを片付け自転車を漕いで家路に着く

(そう言えばここから15分位のコンビニでリサさんがバイトしてるんだっけ?ちょっと寄ってみようかな)

そう思い立ち目的地のコンビニを目指すスマホのナビで確認しながら目的地に到着し自転車を止めたところで声を掛けられた

「あれ?光?」

声のした方に顔を向けるとバイトの制服と思しき服装の今井さんがいた

「今井さん!良かったまだ帰ってなかった!」

「ん~?私に用事だった?それになんでここでバイトしてる事知ってたの?」

「湊さんが教えてくれたんだよ!今日いなかったからどうしたのかな?って思って聞いたら」

「あぁ~そういうことね!にしても珍しいね友希那ってあんまり他人にホイホイと人の事教えるタイプじゃないんだけど、まぁ一応気に入られたってことなのかな?」

俺の話を聞いて納得したのとちょっとした疑問が残ったのかなんとも言えない表情を浮かべていた

「今井さん何時まで?出来たらもう少し話したいんだけど良いかな?」

今井さんは俺の言葉に一瞬驚きの表情を浮かべてた後少し意地の悪い笑みを浮かべる

「なになに〜それはナンパかな~?」

今井さんの発言に俺は困惑と恥ずかしさが入り交じったようななんとも言えない表情を浮かべ慌てて返答する

「いやいや!ナンパとかそんなアホな!もし良ければ帰りがてらに1曲聞いてもらおうと思ってただけでそんなやましい考えは持ってないよ!」

その言葉を聞いた今井さんはクスクスと笑っていた

「あぁ~ゴメンゴメンなんかついからかいたくなってさ~

まぁでも、私のための特別リサイタルはお姉さん悪い気はしないな~」

「同い年なのにお姉さんって…まぁ、今井さん面倒見よさそうだし確かにお姉さんって感じだけどさ~」

「いや~、そう面と向かって褒められると照れるね~

まぁとりあえず、もうすぐ上がりだから待っててよ後15分

から20分くらいかな~?」

「わかったそのくらいなら音楽でも聞きながら待ってるよ」

「了解じゃあ後でね〜」

そう言って今井さんは店の中に戻って行った

俺は軽く辺りを見回って見ることにした

そうしているとさっきのコンビニから5分程度行ったところに公園があり人気も無かったのでちょうどいいと思いここで歌うことに決め戻って行った

そしてコンビニの前に戻るとちょっと今井さんがバイトを終えて出てきた所だった

「ゴメンゴメン待たせちゃった?」

「いえいえ俺もこの辺りを見て回ってちょうどいい場所見つけたのでそこで歌おうと思ってた所で、とりあえず後ろ乗って下さい」

そう言って俺は自転車の後ろを指さす

 

「OKじゃあ案内よろしく~☆」

そう言って今井さんが後ろに乗ったのを確認すると自転車を走らせる

「それで結局どこに行くの?」

「あ〜言ってませんでしたね近くの公園です。

ちょうどよくベンチもあるので良いかなぁと」

「なるほど~何を聞かせてくれるかは楽しみにしておくね」

「ええ楽しみにしてて下さい」

そうしているうちに目的地に着いたので今井さんにセッティングするから待って欲しいと伝え待ってもらい急いで準備し今井さんを呼びに行った

「おまたせしました」

「やっとか〜!じゃあ行こう!」

そう言って今井さんは俺の前を歩いていくすぐそこのベンチに着くと今井さんは驚きの表情を浮かべていた

「セッティングってこれ!?」

「えぇまぁ簡素で申し訳ないんですけどね」

「そんなことないよ!めっちゃ良いじゃん!」

目の前のベンチには白い布がかけられ簡単にだが装飾されていた

私はとりあえずそこに座り目の前の男の子に視線を移す

「え~とようこそ今井さん!改めまして光です1曲聞いて行ってくださいじゃあ行きますin No harry to shoutでハイスクール」

俺は曲名を告げて演奏を開始する

 

『からっぽの言葉と嘘塗る会話と机に残る傷笑顔がざらつくおとなが用意した監獄暗い空

手を伸ばしたとき きみが滑り落ちる

俯く瞼こじ開け僕は言う「こっちを向いて」と

叶わない想い焦げつき僕らの足跡染めてく

全て飛ばしてよ空遥か

叫べ歌君の中旋律(メロディ)恋も願いも嘘もこぼれ出すんだ

叫べ奏でこころかくして堕ちておいでよ

こころ音捕え塞いだ喉ひとみ永遠泳げ少女僕だけの嘘を』

 

俺はただ今井さんだけを見て演奏するこのまま俺の歌から逃れられなくしてやるという思いを込めて

 

『教室抜けて裸足で走る風を切り裂きうねらすリズム

一人屋上で伸ばす手の先に触れる金網の熱きみを溶かす温度戸惑う唇押さえ囁きたい「ぼくだけを見て」と

届かない想いひりつき僕らの足許揺れてく

全て解き放て残酷に

叫んで僕の奥思い出(メモリー)過去も未来も嘘も溢れ出すんだ叫べ祈れ涙からして走り出してよ踏みしめる砂羽ばたく声

波に呑まれる音とぼくと』

 

この歌を聞いていると現実見ろ!俺だけを見ろと訴えかけてくるような感覚が襲ってくる絶対に逃がさないって言われてるみたいだと私は感じた

 

『聴かせて箱庭の空見上げる制服にひそんだ音色

燻る世界一脱いで飛び出せ届けてよきみのためだけうたえ

叫べ歌きみの中現実(リアリティー)現在(いま)も痛みも嘘も

抱きしめ進め

叫べ奏でこころかくして堕ちておいでよ

こころ音捕え塞いだ喉ひとみ永遠泳げ少女

本当の嘘へとうたい続けるんだ

そしていつかはきっと君は僕の旋律(メロディ)

かき鳴らせ音響かせろ声こころかくして!』

 

ラストまで一気に歌い上げるラストまでこの人の心を掴んで逃がさないために俺は全力で歌い上げ演奏を終え一言

「ありがとうございました。」

そう言って礼をする

今井さんはハッと我に返り拍手をくれた

「いや~引き込まれたよ!一瞬我を忘れて聞いきっちゃったよ!でも、本当どんな喉してんの?そんな高い声出るなんて知らなかったよ!」

「これでも本家には届かないんですよ?本家のイノハリはもっとパワフルでもっともっと引き込まれますから」

「そこまで言うなら本家聞いてみたいな~ねね、スマホに入れてたりしない?」

「入れてますけどスマホを貸し出す訳には行かないので明日で良ければウォークマンに入れて持っていきますよ?」

その言葉に今井さんは「明日?どういう事?」と聞いてくる

「明日から俺も羽丘学園に通うんですよ2年生です。よろしくお願いしますね今井リサさん」

そう言って笑いかける

そして目の前には今日1驚いた表情の今井さんがいた

そうして俺は今井さんを送った後自分の家路を辿った

空には綺麗な満月がキラキラと輝いていた

 




始めまして楽しんで貰えたら幸いです


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第2話転校初日と新たな出会い

新しい高校で新生活を送ることをなった光がこれから出会うのは?


早朝光はスマホにセットしていたアラームで目を覚ます。

身体を起こしスマホを操作してアラームを止めるとベットから降りて洗面所に向かい顔を洗ってから台所に向かいお湯を沸かし、待っている間に朝食を準備するトーストとベーコンエッグだ、そしてお湯が沸くとコーヒーを淹れテーブルにつきテレビを見ながら朝食をとるテレビでは音楽の週間ランキングがちょうどやっていた

「あッRADWIMPS先週より下がってるし個人的には結構好きだから残念だな~」などと言いながら朝食を済ませたあと食器を片付け部屋に戻り制服に着替えた後再び洗面所に向かい身だしなみを整えた後ギターケースを背負い家を出て自転車に乗りこれから通う羽丘学園を目指す、学校へ着くと自転車置き場へ向かい自転車を止め昇降口へ向かう、道すがら何人かの生徒に見られていたが、歌っている時ならまだしも私生活で注目されるのは苦手だ、そんな事を考えながら昇降口で靴を履き替えて職員室へ向かう、職員室に着くと軽くノックし入室する

「失礼します今日から転校してきました宮村光です」

挨拶した光を奥にいた年配の教師が迎えてくれた

「君が転校生だね私は校長の速水だ早速だが君のクラス担任を紹介しよう村瀬先生こちらへ」

そう言うと窓際にいた1人の教師がこっちに来て俺に声をかけてきた

「私がクラス担任の村瀬歩美よ歩美先生とでも呼んであなたのクラスはA組で1学年3クラスで2年生はあなたを入れてちょうど100人よ私の担当教科は数学で学年指導もしているわなにか質問はある?」

俺は首を横に振り答える

「とりあえずは大丈夫です。もし良ければ後でクラスの誰かに学園の案内を先生から頼んでもらっても良いですか?」

「そのくらいなら大丈夫よ、じゃあ行きましょうか」

そう言って歩き出す先生の後ろに続き職員室を出て少し歩くと2年生の教室が見えてきて先生はA組の前で立ち止まり俺にここで待っているように伝えると教室へ入っていった。

教室からは先生の声とクラス委員と思われる女子の声が聞こえてくるそしてすぐに先生が話だし俺に教室入るように促す

俺は教室へ入った瞬間に教室の後ろの方から大声で俺を呼ぶ声が聞こえた

「あ〜!ひ~くんだぁ~!」

俺は振り返る前に相手が誰かわかってしまった、何故なら俺の事をひ~くんと呼ぶ奴は俺が知る限り1人しかいないからだ。

俺は苦笑しながら振り返る。そこには案の定俺がよく知る顔の人物氷川日菜が俺を指差していた、そして日菜だけでなく湊さんや今井さんまで同じクラスだったのだ、とりあえず俺は気を取り直して始まってすらいなかった自己紹介を始めた

「宮村光(ひかる)です。光(ひかり)ってよく間違われるんですけど、名前が光(ひかる)なので間違えないでください、趣味は音楽全般でここ2、3日は駅前で路上ライブしてました。よろしくお願いします」そう言って俺は礼をした、そして先生が俺にとってはとんでもない事を言い出した

「じゃあ始業式まではまだ時間があるしこの時間を有効に利用するために光君への質問タイムとします」

「はい?先生今なんて?」

「聞いてなかったの?クラスの皆から色々質問されるから答えてくれればいいのよ」

俺はため息を着きたくなったが苦笑を浮かべるだけに留めた

そして1人の女生徒からさっそく質問された

「ねぇねぇ趣味は音楽全般って言ってたけどバンドは組んでるの?」

俺はそのくらいならいいかと思い答える

「いや、バンドは組んでないよ」

「じゃあ楽器は弾けるの?」

「ギターにベースキーボードとドラムも叩けるし後はバイオリンとハーモニカが吹けるよ」

「多才なんですね」

「そんな事ないよ」

などと会話していると今度は別の女生徒から質問された

「スポーツの方はどうなんですか?」

俺は少し考えた後返答する

「球技は苦手かな、でも走るのは好き」

そう答えると今度は日菜がハイ!ハ~イ!と手を上げていたから「じゃあ」とだけ答え日菜を指名する

「ひ~くん学校じゃあ歌わないの?」

「は?学校でって?ごめん質問の意味がわかんないんだけど、どういう事?」

「だから~学校じゃあ演奏してくれないのかなァって」

「あぁそういうこと機会があればね」

「え~私は毎日でも聞きたいのに~」

そう言って机にだら〜と突っ伏す日菜を見て俺は苦笑すると

今度は今井さんが手を上げていたから指名する

「日菜の質問にちょっとだけ便乗するけどさ学校はともかく駅前でのソロライブはまたやるの?」

「あ〜うんそれは時間がある時は必ずやるよ」

そう言うと今井さんは何故か満足そうな笑みを浮かべて着席すると湊さんが立ち上がって聞いてきた

「転校初日の心境を良かったら聞かせてくれないかしら」

そう言って来た湊さんに俺は答える

「正直戸惑いが大きいよ、なんせ2年には俺しか男子がいないからってのもあるけど、早くこの環境に慣れたいってのが本音かな」と無難な回答を返すそして先生がパンパンと手を叩き廊下に整列するように促すと皆が廊下に出て行き俺もそれに続くそうして体育館へと移動し始業式の列に並び退屈な話を聞いていた。しばらくして始業式が終わり教室へ戻ると15分程休憩を挟んだ後、今後の授業日程などの連絡事項を伝えた後解散となると先生が伝えた後、先生が教室を出ていくとクラスの女生徒が1番後ろの席の俺の所へ寄って来て質問攻めにされかけるが今井さんがタイミングよく助け舟を出してくれた

「ハイハイそこまで!みんな1度に来たら光だって混乱するでしょ一人ずつにしなよ」俺はジェスチャーでごめんありがとうと伝えると今井さんは笑って親指を立てウインクする

(正直ちょっとだけドキッとしたのは内緒だ)

そんな事を考えていると1人の女生徒が質問してきた

「ねぇねぇ光君なんで制服なのにそんなにオシャレな感じがするの?」

「は?オシャレ?」俺が戸惑っていると何人かの女生徒も同じことを思ってたらしく興味津々といった表情を浮かべている、等の俺は多少困惑しながらも考えそして答える

「多分だけどこれでも軽く着崩してるからじゃないかな?ネクタイはまるっきり指定のじゃ無いし」

「そうなんだぁ~」と質問してきた女生徒を筆頭に何人かの女生徒が納得していたそして何故か今井さんと日菜も「へぇ~」と言っていた なんで!?

そんなこんなで一日目が終わった

そして今は日菜と今井さんそして湊さんの3人で学園全体を案内して貰っていたなぜ3人なのかと言うと日菜が案内を頼まれたのだが多少渋っていたため今井さんと湊さんが案内を買ってでてくれたのだ、そして日菜が「皆で回ろ〜」と言い出し今に至るそして購買、食堂、移動で使う教室と一通り回った後

1度教室へ戻り荷物を持つとみんな連れ立って屋上へ向かう 、そして屋上に着くとそこには先客がいた、おそらく1年生だろうとても仲良さそうにしている5人組だ、何を話しているのかまでは分からない第三者の俺から見てもとても仲良さそうに話しているそれを見ていたら何故か唐突にそして無性に歌いたくなった、だから俺は3人に声をかけ屋上に出るとさっきの5人組が揃ってこちらを見る俺は気にせずに給水塔の上へあがるとギターケースを開け小型のアンプを取り出しギターに繋ぎチューニングすると立ち上がってかけていた眼鏡を外し話し出す

「こんにちは光(ひかる)です。いや、もうこんばんはかな?突然ごめんね君たち5人を見ていたらこの歌を歌いたくなったんだ!聞いてください! 友よ ~この先もずっと…」

そう言って演奏を始めると日菜が跳ねて喜んでいた

「やったぁ〜ひ~くんの歌が聞けるよ~!」

「機会があればねって言ってたのにその機会がこんなに早いとはね~」

「そうねでも楽しみだわ」

前奏が終わり俺は歌い出す

『あの場所めがけみなで駆け出せ見てる前だけ顔は晴ればれ当たり前かわりばえない日々が実は大事かけがえのない意味が君が明かした夢の話がいつの間にか僕の目をさましたでデカい世界屁と願い描いてこの冒険を共に続けていこう

もし君があても無く遠ざかる星空を眺めてたら言葉なく君の側にいるからけして1人にはしないから何十年先も君を友達って思ってる辛い時はなんでも話してよいい事ばかりじゃないこの先の僕らの毎日にこれだけはずっと言える本当ありがとう…友よ』その人は突然やって来たかと思ったら突然演奏を始めたでも、その歌は私達5人をいや、ちょっと違うか私達5人のために歌われてる気がした。

その歌を聞いてると私のいや多分私たちのかな?5人全員で過ごした日々を思い起こさせた、なんでか分からないけど懐かしい気持ちにさせる、そんな曲だ

『ここはいつもと同じみんな笑ってる誰かが待ってる君はふざけてまたみんな笑ってるひとつひとつどれもたわいないでも色々あっても温かいみんなで出来る事をたし算すれば時が経っても遠く離れてもずっと変わらない僕らかけがえない友さもし君が辛い時すぐ側にいつも同じ仲間達何も無いように振る舞うからけして1人にはしないから何十年先も君を友達って思ってる夢の続き何度も話してよいい事ばかりじゃないこれまでの僕らの毎日に今だからきっと言える本当ありがとう友よ言いたい事言い合って言いたいだけ言い合ってわかりたいから争って互いの気持ち分かりあって次会う時はまた皆で笑っていたいから夢の中でも謝っておくよ何十年先も君を友達って思ってる辛い時はなんでも話してよいい事ばかりじゃないこの先の僕らの毎日にこれだけはずっと言える本当ありがとう…友よ』

歌を聞いていてこんな暖かい気持ちになったのは始めてだ

すごくふわふわした幸せな気持ちに満たされたんだよぉ〜

 

なんてアタシらにピッタリな曲だって思ったよ、だってお互いを分かり合いたいからそりゃ喧嘩だってするけど、それでもやっぱりありがとうって言い合って笑ってられるって最高だよなアタシはとことんそう思ったよ

 

いつも同じいつも通りの私達を大事してるのをまるでわかってたかのようにピッタリな曲を歌ってくれるんだもん!すごくカッコイイって思ったよ

5人が5人それぞれの心境を持ちながらも言葉が出ない

その様子を見て心配したのか湊さんと今井さんが声をかける

「大丈夫かしら?放心しているようだけれど」

「本当だよ!大丈夫?」

その言葉で我に返った5人は皆首を縦に振る

その様子を見た俺は満足して給水塔から降りると

薄桃色の髪の女の子が声を掛けてきた

「あの!なんで今の曲を選んだのか聞いても良いですか?」

俺は再度眼鏡をかけてから答える

「何となくだよ、君たちが見ず知らずの俺から見ても羨ましくなるくらいとても仲良しに見えたから、この曲がピッタリだと思ったんだ」そう言って俺は笑いかけると薄桃色の髪の女の子ははにかんだような顔で後ずさったそして赤いメッシュが入った黒髪の子が今度は話しかけてきた

「あの!2年生ですよね?あなたの名前を教えてください!

後ろの3人は知ってますから先輩の名前だけ教えてください!良いですよね!」俺は苦笑しながら答える

「光(ひかる)です宮村光、良かったら君たちの名前を聞かせて貰っても良いかな?」そこへ湊さんが割って入る

「彼女の名は美竹蘭、さっきあなたが話してたのが

上原ひまり、その右隣にいる背が高いのが宇田川巴、左隣が青葉モカ、その隣が羽沢つぐみさんよ、彼女達はAfterglow

ってバンドを組んでいるわ」と湊さんが教えてくれた

「あの!湊さんなんで言っちゃうんですか!?こっちがちゃんと名乗るのが筋でしょ!」

「良かれと思ったのだけれど、申し訳ないことをしたわね」

「まぁ良いです!って事なんで改めてアタシは美竹蘭です宮村先輩」「アタシが紹介にあった宇田川巴です」「モカちゃんは青葉モカだよぉ~」「上原ひまりですよろしく…お願い…します」「羽沢つぐみですよろしくお願いします宮村先輩」5人がそれぞれ改めて挨拶してくる、俺は皆に改めてよろしくと伝えてその場を後にする。そして4人で他愛ない話をしながら昇降口へ向かう最中今井さんがこれまた俺にとってはとんでもない発言をした

「ねぇ光~?日菜みたいにさアタシと友希那の事もさ名前で呼んでよ」

「は?なんで?今のままじゃダメなの?」

「だぁって日菜ばっかり名前呼びでなんかズルい!」

「私もリサの意見に同意するわ、他人行儀な呼び方より名前で呼んでもらった方が良いわ」

「りさちー達もこう言ってるし、呼んであげたらいいじゃ~んもちろん私の事は今まで通り日菜って呼んでね~」

俺は言葉に詰まりそして諦めてため息をつく、なんだかんだ日菜には勝てる気がしないと思った今日だった

「わかったよリサ、友希那」

「よろしい」

「まぁ悪い気はしないわね」

「よぉ〜し帰ろう!」日菜が言い出し俺たちは互いに顔を見合わせて笑い合うと日菜の後に続く

「ところでこれからどうすんの?このままどっか遊びにでも行くのか?」俺の言葉に友希那が首を横に振り答える

「残念だけど今日はダメよ!15時からRoseliaのメンバーで練習よだから時間はまだあるけれど長時間は無理ね」

「そっかァ~、今日は練習だったねすっかり忘れてたよ!

ごめん友希那~」

「別に構わないわ、彼の学校案内や突発的ソロライブがあったものね」そう言った友希那は意地の悪い笑みを浮かべていた

俺は苦笑しながら友希那に聞き返す

「友希那、それって俺が悪いの?確かに突発ライブやったのは悪かったけどさ~」

「別に悪いとは言ってないわ、何よりあなたの歌は私個人、嫌いじゃないもの」

「そこに関しては友希那に同意かな~」

「アタシも賛成〜」3人が口々に俺の歌を好きだと言ってくれる事は嬉しいのだが、如何せん素直に喜べない俺はとりあえず話題を戻すことにした

「ん~長い時間が無理ならこのままのメンバーで昼飯食いにでも行く?それなら問題ないだろう?」

「アタシはいいよ~」

「それくらいなら問題ないよね?友希那」

「ええ昼食くらいなら構わないわ」

「じゃあ決まり!でどうする?どこに行く?ファミレス?それともマック?」

3人が同意してくれたのはいいが何処に行くかなどはこれからだ、どうしようかと思っていると今度は日菜がとんでも発言をかます

「アタシひ~くん家でご飯食べた〜い」

「え?俺の家?」

「良いね~!光の手料理か~」

「私は任せるわ」

「ちょっと待って!確定なの?俺ん家で昼って?」

俺が困った表情を浮かべているのをみた日菜が俺の近くに来て上目遣いに俺を見上げ聞いてくる

「ひ~くん?ダメなの~?ねぇねぇ」

俺は内心では辞めてくれと叫んでいた何故なら日菜の上目遣いの表情は反則的に可愛いと思えるからだ、そしてどうしても俺が悪いように思えて来てしまい結局俺が折れることになる

日菜の奴はこれを狙ってやってたのなら本当に反則だ、俺はどうやっても日菜に勝てる気がしないと思いため息をつく

「わかったよでも具体的に食べたいものは言ってくれ」

「アタシはなんでもいいよ~」

「アタシもこの後練習だし多少ガッツリでも大丈夫かな~」

「私もリサと同意見よ」

俺は考える家にあった食材と多少ガッツリでも大丈夫という2人となんでも構わないと言う日菜が満足するようなものかぁ

「パスタでいいか?カルボナーラくらいならなら作れそうだけどそれでいい?」

「全然いいよ~」

「アタシもOK~☆楽しみだね~光が作ってくれるカルボナーラ今から楽しみだよ」

「そうね」

三者三葉にOKが出たので俺は自転車を取りに行きそのまま全員の荷物を自転車に乗せ歩き出す、自転車なら15分くらいの距離だが歩くと20分から25分はかかるなんとも微妙な距離なのだ、そうしてまた雑談しながら俺の家に向かう、そして歩く事25分程で到着する。全員が自転車から荷物を下ろし俺は自転車を駐輪場へと停めると、日菜達の所へ戻りエレベーターで俺の部屋がある3階へと上がり3階に止まったエレベーターを降りて1番右端の部屋に一足先に向かい家の鍵を開けて3人を招き入れる

「着替えて来るから座ってテレビでも見ててよ」

そう言って俺は部屋に行き制服の上下を脱いでハンガーにかけると引き出しからグレーのワイシャツと黒のジーンズを取り出し着替えた後カバンからウォークマンを取り出しポケットに入れ部屋を出る

「おまたせ今から準備するからもう少し待ってて、それとリサ〜これ昨日言ってたヤツね」そう言ってウォークマンをポケットから出しリサに向けて放る

「おっと!ナイスキャッチ私~☆」

「りさちーそれなーに?」

「これに色々音楽が入ってるんだよ光が好きなイノハリってバンドを聞いてみたくてお願いしてたんだ~」

「あなたいつの間にそんな約束していたのよ」

「ちょっとね~」

「まぁいいわ」

俺が昼食の準備をする中ウォークマン関連の話で盛り上がっているようだ、その会話をBGMに俺は昼食作りに没頭していると日菜が俺のすぐ目の前に来て俺が作業する所を見ていた

「え〜と日菜?何してんの?できるまでもう少しだけかかるけど、お腹でもなりそう?」

「え〜そんな事ないよぉ〜!アタシそんなに食いしん坊じゃ無いからね〜!アタシはただひ~くんが料理してるところを見たいだけ〜」そんな事を恥ずかしがる様子もなく言うのでこちらが恥ずかしくなる。そうこうしているうちに昼食のカルボナーラが完成したので運んで行く、その際日菜が手伝いたがったのでリサ達の分を運ばせると大喜びしてリサたちの所へ持っていった

「出来たって~!ひ~くん特性のカルボナーラだよ〜」

「鷹の爪と七味を用意したからお好みでどうぞ後、飲み物持ってくるね」そう言って立ち上がり人数分の麦茶を用意して持っていきテーブルに着くと全員でいただきますと一言言って食べ始める

「美味しいよ!これ!色んなお店で食べて来たけど光のが1番美味しい!」

「鷹の爪のピリ辛感とソースの甘さがマッチして良い感じね」

「う~んでも本当に美味しいよひ~くんの手料理」

「お褒めに預かり光栄な限りだけど、俺はそこまでなつもりがないからちょっとむず痒いよ」俺は苦笑しながら答える

しばらくして全員が食事を終え俺が片付けまで済ませ時計を確認すると13時30分まだ時間があるが14時か14時30分くらいには家を出ないと友希那達は練習時間に間に合わないのでは?と思うが等の友希那達はまったりしている

「あのさ時間大丈夫なの?遅くても14時30分にはここでないと間に合わないんじゃね?」

「確かにそうね」

「ん〜でもまだ時間あるし私としては~光の部屋が見てみたいかな〜」

「良いね~アタシもひ~くんの部屋見たい!」

「私は部屋に楽器があるならぜひ見せてもらいたいけれど、あなたそれなりに楽器持ってるわよね?」

俺は内心どうせ拒否権は無いのだろうと思いつつ答える

「良いけど寝る時用のジャージと今日学校に来て行ったワイシャツがそのままだからそれだけ片しちゃうから待ってて」

俺はそう言って部屋に戻りジャージをたたみ、椅子の上に置きワイシャツを洗面所に持って行った後、3人を部屋に招き入れる

「入っていいよ!」

「おお~ここが光の部屋かぁ~楽器は机の両脇に置いてるんだね~ギターなんか3本あるじゃん!凄〜あっ!ベースも2本あるし!」りさは楽器を見るのに夢中なようだか友希那の方は楽器は二の次なようで本棚に釘付けだ

「ねぇ、この本は全部貴方の物なの?」

「そうだけど気になるものでもあった?なんなら見たいやつ貸すけど?」

「ならこの漫画を借りたいわ」そう言って手に取ったのは俺も好きな作品の1つでカノジョは嘘を愛しすぎてるだった

「構わないよ全22巻あるし実写映画もあるし実際に実写映画に出演した俳優さん達でCRUDE PLAYやMUSH&Co.がバンド組まれてるCDもあるなんならそれ系一式貸そうか?」

「良いの?迷惑じゃ無いかしら?」

「構わないよちょっと待ってて」そう言ってクローゼットからCDとそのCDの曲を入れたウォークマンを友希那に手渡す

「有難いけれどあなたウォークマンもそうだけどそれ系のものっていくつ持ってるの?」

「ん〜どうだったかな?ウォークマンは3台あるしCDとMD両方聞けるコンポが部屋と居間で2台だし使ってないヘッドホンとかも含めたら結構あるかな~」

「結構たくさんあるのね」

「全部俺が小学生の時から出来る手伝いをして全部自分で揃えたしまぁ抽選なんかで当たったのも、もちろんあるけど」

そう言って俺は楽器の方に目を向けるとリサと目が合った

何故かは分からないがムッとした表情をしていた

「リサ?なんでムッとしてんの?」

「別に~光と友希那が仲良さそうだな〜って思ってさ」

「そうかな?普通じゃない?」

「そうよリサ、それより貴方も何か漫画なり小説なり借りたらどう?」友希那がリサにそう言うとリサは少し考える仕草をした後「そうだね」と言ってリサも本棚に並ぶ本に目を向け悩み始める一方日菜はさっきから大人いと思ったらベランダに出ていたので俺もベランダに出て日菜を呼ぶ

「日菜?どうした?」

「あっ!ひ~くん!ひ~くん!これ!このパーカーが気になってね見てみたら、るん!ってするくらい可愛いなぁ~って」

俺は日菜が指さすパーカーを外して手渡す

「これで良いのか?」

「うん!これ!」そのパーカーはチャックをフードの真上まであげると骸骨の顔が現れると言うちょっとアレなやつだ

「これ可愛い?」俺が聞き返すと日菜は満面の笑みで「うんすごく!」と答える俺はカッコイイとかイカしてるならわかるが何故可愛いのだろうと疑問に思っていると日菜が着てみたいと言い出した

「ひ~くんひ~くんアタシこれ着てみたい!」

「え?着るの?日菜が?俺じゃなくて?」

「うんアタシが着てみたいの!ダメ~?」

(だからそれ本当に可愛いからやめて!!)

そんな内心など知った事かと日菜はその可愛い顔をズズっと寄せてくるので軽くデコピンしてから答える

「着るのは構わないけどせめてブレザー脱ぎなよ多分モコモコして少し違和感あるかも」

「わかった~でもひ~くんおでこ痛いよ~なんでデコピンしたの~?」

「不満か?頭突きした方が良かった?アハハ」

「笑い事じゃ無いよ~それにどっちもやだよ~」

日菜とじゃれあっているとリサが声を掛けてきた

「じゃれあってる所悪いんだけどさぁ~光こっち来てくれる?気になる漫画いくつかあって光のオススメ聞きたいんだ~」

「あいよ~今行く日菜お前も中入れよ!」

そう言って日菜をベランダから呼び戻すとリサの所に向かう

「おまたせ〜どれが気になってんの?」

「ん〜とねこの2種類!」

「あぁ覆面系ノイズとホリミヤね」これまた俺が気に入ってる漫画だ

「どっちも貸そうか?それ」

「良いの?本当に?」

「読む本には不自由して無いし良いよ」

俺はそう言って俺は手提げ袋を手渡し漫画を入れる

一方日菜はよっぽど俺のパーカーが気に入ったのか一向に脱ぐ気配が無いので「貸してやるから着て帰れ」と言ったら目をキラキラさせて喜んでいた

「んじゃまぁぼちぼち解散しますか~」

「そうだね~そろそろ行かないと練習時間に間に合わないし名残惜しいけど行こう友希那」

「何を言っているの?あなたも一緒に行くのよ光」

「はい?あの〜友希那さん?今なんて?」

「3度目はないわよ?あなたも行くのよ光」

俺はますます持って意味がわからないとばかりに友希那に詰め寄る

「あのさ~話が全然見えないんだけど俺は一体何しに行く訳?理由が1つも思い当たらないんだけど?」

俺が困惑しているとリサが苦笑しながら友希那に声をかける

「友希那~それじゃあ直球すぎるって光困惑してるじゃん」

俺はリサに説明を求める

「リサお願い説明してくれない?俺は本当に何しに行けばいい訳?」

「アハハ、ん〜とね、簡単に説明するとアタシら以外のメンバーも紹介したいから着いてきてもらって、ついでに自己紹介も兼ねて歌って貰えないかなぁとね」

リサの説明で俺はようやく理解しただが、新たな疑問が浮かんだので聞いてみる

「日菜はどうすんの?このまま帰るなら送ってくけど?」

「アタシは今日は帰るよ~夜から天文部で天体観測するから、ひ~くんも来る?」

「行きたいのは山々だけど今日は無理!夜はいつも通り路上ライブするから」

「そっかァ~残念でもひ~くん送ってくれるんでしょ?」

「あぁもちろん」

俺はそう言うとリサと友希那を見て問いかける

「一旦日菜を送って行って俺はその後circle?に行けばいいかな?」

「OKOKちゃーんと日菜を送ってあげなよ」

「circleで待てるわ」

「決まり!じゃあ行こう!」

そうして俺達は俺の自宅を出る俺は一応ギターとキーボードを持って家を出るそしてキーボードと一緒に日菜のカバンをカゴに入れ日菜を後ろに乗せて自転車を走らせてると日菜が唐突に言い出す

「ねぇねぇひ~くんなんか歌って!ねぇねぇ」

「なんでも良いのか?」

「うん!」

「わかったちょっと待ってな~」そう言って俺はスマホを操作して音楽を流す準備をする

「曲に合わせて歌うけどいい?」

「いいよ~!」

日菜の了解を得たので俺は曲を再生する

曲は葛飾ラプソディーだ

『中川に浮かぶ夕陽をめがけて小石を蹴ったら

靴まで飛んでジョギングしていた大工の頭領(かしら)にガキのまんまだと笑われたのさ何処かに元気を落っことしても葛飾亀有アクビをひとつ変わらない町並みが妙にやさしいよ

中央広場で子供の手を引く太ったあの子は初恋の彼女(ひと)

ゴンパチ池で渡したラブレター今も持ってるとからかわれたよ何にもいいことなかったけど葛飾水元流れる雲とラプソディー口ずさみ少し歩こうか

カラスが鳴くからかもう日が暮れるね焼き鳥ほうばりビール飲もうかトンガリ帽子の取水塔から帝釈天へと夕日が落ちる明日もこうして終わるんだね葛飾柴又倖だってなくして気がついた馬鹿な俺だから何処かに元気を落っことして葛飾亀有アクビをひとつ変わらない町並みが妙にやさしいよ』

歌い終わると日菜もっともっととせがんでくるうん、わかったから自転車の後ろで暴れないでねコケたら大変だからねと思いながら自転車を漕いでいく結局日菜の家に着くまでに追加で3曲程歌うことになった、そして日菜の家に着くと日菜はひょいと自転車の後ろから降りる俺は日菜にカバンを手渡す

「送ってくれてありがとうひ~くんまた明日」

「あぁまた明日な夜からの部活だから体冷やすなよな」

そう言って俺は日菜の家を後にしcircleへと向かう場所はスマホのナビで確認しならがら向かう俺は空を見上げながらふと思ったそう言えば今年はまだ桜見てないなぁ…

そんな事を考えていたらケツメイシのさくらが浮かび口ずさみながらcircleへの道を急いだ…

 

 

 




読んでくれてる方ありがとうございます今回は会話が多めです読みにくかったらすいません
今回主人公が出会ったのは同じ高校の後輩のAfterglowでした
他のバンドとも絡みは作っていくのでお楽しみに次回は主人公が出会った仲間を歌を通して励まし背中を押す話になりますので楽しみにしていてください


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第3話それぞれの関係それぞれの絆

主人公の光は仲間や友達の大事さを改めて知ったこれからの光はその目に何を見て何を感じるのか


光は自転車を走らせ友希那達との待ち合わせの場所であるcircleへと向かう、しばらく自転車を走らせるとcircleの看板が見てえきた、スマホのナビもそこが目的地だと告げている

「あそこか!家からなら15分くらいで着いたぞここなら」

そう、なんと言っても俺が住んでるマンションはかなりの好条件で自転車でなら大抵20分以内で色んなところに行けるし仮に徒歩だとしても自転車の倍程度なので個人的には問題ない

俺は駐輪場に自転車を停め息を整えてから扉を潜ると店員と思しき女性が声を掛けてきた

「いらっしゃい LIVEハウスcircleにようこそ初めてのご利用ですか?」

俺は一瞬戸惑ったが自分の目的を伝えた

「いえ、あの、すいません利用ってわけじゃないんです。待ち合わせなんですけど、あの、Roseliaの湊さんと今井さんは来てますか?」

「あぁ!君が待ち合わせの子か!2人から聞いてるよ、後からすっごいオシャレな男子が来るからってね」

俺は苦笑する事しか出来なかった、普通に友人が来るからではダメだったのだろうか?

「とりあえず来てるなら呼んで来て貰えますか?」

「いいよ~ちょっと待っててね」

そう言って奥の方のスタジオの扉を開けて中にいるメンバーに声を掛けていた

俺はその間に自販機でミネラルウォーターを買うと半分程飲み干してから一息つくと先程の店員さんが戻ってきた

「後10分くらいで一旦休憩を挟むから待っていって」

「わかりました、じゃあ待たせて貰います」

そう言って俺は近くにあった椅子に座るとさっきの店員さんが話しかけてきた暇なのだろうか?

「ねぇあなた名前は光君でいいのよね?」

「はい宮村光(ひかる)です。ひかりってよく間違われるんですけど、間違えないでくれたら嬉しいです」

「光君ね、よろしく私は月島まりなここcircleの店長よ、ところで光君、君さえ良ければなんだけど、ここでバイトしない?」

「バイトですか?」

俺が問い返すとまりなさんは物凄い勢いで頷く

「ここって隣がカフェになっててさ、練習した後とかにそこでお茶していく人も多くて、私も手が空いてれば手伝うけどなかなかそうも行かなくてカフェの方だけでも頼めないかな?」

俺はいくつか質問してみる事にした

「いくつか質問させてもらって良いですか?」

「どうぞどうぞ何が聞きたいのかな?」

「1つ時間の融通は聞きますか?」

「夜の9時までまだから少し早めに入ってもらえれば多少ね」

「例えばですけど、普段だと学校が終わってからになりますよね?そうしたら16時30分から19時までとかでも大丈夫だったりしますか?」

「もちろん大丈夫だよ!」

「2つ週3か週4くらいのペースで大丈夫ですか?」

「バイトに入ってくれるならシフト表渡すし提出してもらえれば出来るだけ希望にはそうよ」

「では最後にバイトの後で練習場所としてここ借りれたりします?」

「良いよ~お客さんって決まった人達しか来ないしそれ以外でもLIVE時が忙しいくらいだからね」

まりなさんの条件をきいて悪くないと思った俺は引き受ける事にした

「わかりました、履歴書等の準備もありますので明後日から本格的によろしくお願いします 」

「OKOK!バイトの制服は明日中に用意しておくからよろしくね〜」

俺は話していてまりなさんの人柄をかなり気さくで好感が持てる人だなと感じた、俺はとりあえず携帯番号をメモしてまりなさんに渡しておく

「バイトは明後日からですけど、何かあれば連絡ください自転車飛ばしてきますので」

そう伝えてから詳しい内容を聞いていると友希那とリサが練習スタジオから出てきたどうやら休憩のようだ、俺はとりあえず自販機で飲み物を自分の分も含め6本程買うと友希那とリサに声をかける

「お疲れ様友希那、リサもお疲れ、これ良かったら」

そう言ってスポーツドリンクを投げ渡す

「おっと!本日2度目!再びナイスキャッチ私~☆そして友希那もナイスキャッチ☆ありがとう光待たせてごめんね~」

「光!こっちよRoseliaのメンバーを紹介するわ」

「あぁわかった今行く」

俺は友希那の後ろをついて行きその後ろからリサが続く

なんだか逃がさないよって言われてるみたいだなぁと苦笑する。

俺は案内されるままRoseliaが練習しているスタジオに通されちょうど休憩中なRoseliaのメンバーが揃っていて皆の視線が俺に集まるそして1人の美少女?いや美女かな?が友希那に話しかけるなんかどこなく日菜に似てるような気がするのは気のせいかな?

「湊さんその方ですか?紹介しておきたい人というのは、今井さんと湊さん御2人の友人だそうですね」

「ええそうよ、彼が私とリサの友人で私達の学年唯一の男子学生よ」

「そうだね~、ついでに言うと、歌も演奏もかなりの腕だよ、とりあえず自己紹介してもらっても大丈夫?」

俺は頷き1歩前に出て自己紹介をはじめる

「はじめまして俺は宮村光(ひかる)です。光(ひかり)って漢字でひかるですよろしくお願いします。良ければ皆さんの名前を聞いても良いですか?」

「よろしくお願いしますね宮村さん、私は氷川紗夜と申しますお見知り置きを」

「やっぱり!あの氷川さん答えたくなければいんですけど、日菜となんか関係あります?親戚とか姉妹とか身内関係というか…」

「えぇ日菜は私の妹です。妹が迷惑をかけていませんか?」

困った表情?を浮かべた氷川さんに俺は違和感を覚えるが

確信が無いのと知り合っていきなりというのも不躾な気がして踏み込めないと思っていると氷川さんが声を掛けてきた

「あの?宮村さん?大丈夫ですか?」

俺は我に返り軽く頷き返答する

「ごめんなさいちょっと考え事をね、とりあえず日菜の事については振り回されてるけど、なんだかんだ俺も楽しんでるから大丈夫ですよ」

そう言って笑いかけると氷川さんは何処か安心した表情を浮かべて一言「そうですか」と言った

そして俺はキーボードを弾いている黒髪のThe大和撫子と言った雰囲気の女の子に声をかける

「光です。名前を聞いても良いですか?」

「はい…あの…私は白金燐子って言います…よろしくお願い…します」

目を合わせてくれない所を見ると人見知りなのだろうと思った俺は言葉を探しながら改めて話しかける

「白金さんね、いきなり知らない人と話すのって緊張するよね、ましてやそれが俺みたいな男子なら尚更さ、ゆっくりで良いから普通に会話出来るようになってくれたら嬉しいな」

俺がそう言うと多少は信用というか安心してくれたのかぎごちない感じはあれど笑ってくれた、そして最後にドラムの前に座る小柄な女の子の前に座り話しかける

「改めて俺は光、君の名前は?」

「フッフッフ!我こそが魔界の大魔姫宇田川あこなるぞ!見知り置くが良い!」

大袈裟な身振り手振りを交え自己紹介してくれたのが面白かったので俺はそれに乗っかりもう一度挨拶する

「よくぞ名乗った!我こそが魔界に一筋の光の道を築く者ぞ!なんてね~」

なんて笑いかけるとあこちゃんは目をキラキラさせて話しかけてきた

「カッコイイ〜!ねぇねぇ光兄ぃってさ呼んでも良い?」

俺は頷き笑って答える

「良いよ!ところでさあこちゃんお姉さんいたりする?赤茶色ぽい長い髪で身長が高くてモデルさんみたいなさ」

「光兄ぃお姉ちゃんの事知ってるの!」

「やっぱりお姉さんだったんだ、1度だけねリサ達に学校を案内してもらって最後に屋上行った時会ったんだ」

「そうなんだぁ~、光兄ぃ!今度改めてお姉ちゃんとあこと遊ぼう!あこ光兄ぃと遊びたい!」

「俺で良ければ喜んで、でもそろそろ練習再開しないと怒られちゃうよ?」

「そうだった!ごめ~ん友希那さーん」

「構わないわ自分の友人がたくさんの人と仲良くなってくれることは1人の友人としても嬉しい事だもの、それじゃあはじめるわよ!」

「じゃあ俺はこの辺で」そう言って立ち去ろうとする俺の肩を友希那とリサが掴んでくる

「「待ちなさい(なよ)」」俺は振り返ると2人が笑っているが如何せん目が笑ってない正直怖いからその笑顔やめてね?

「「どこへ行く気?(かな?)」」

だから怖いってお願いだから目が笑ってない笑顔で言うのやめてね?

「いや、練習再開するんだよね?なら俺は邪魔にならないように練習終わるの待ってようかなと…」

そう伝えると友希那が反論して来た

「その必要は無いわあなたはここにいて第三者視点で感想とアドバイスをくれればいいの」

「そういう事だからよろしくね~☆」

俺はどうせ有無を言わせないつもりだと思ったので返答する

「はぁ~わかったよただあまり期待しないでよね!」

そう言って俺はとりあえず端の方にあった椅子に座る

俺が座るのを確認した友希那達が練習を再会する、演奏を聞いていて思う、プロも顔負けの演奏だと、でも音に迷いがあるこれでいいのか?まだやれると音が俺に訴えかけてくる聞くことに集中していて気づかなかったがいつの間にか演奏が終わっていた、俺はハッとして顔をあげると友希那がこちらを見ていた、感想を求められているようだ、俺は少し考えた後立ち上がって話し出す

「前もって言っておくと、これから言うことはあくまで俺個人の意見だから気にしないもヨシ、気に止めるもヨシ

それは自由だ、それを踏まえた上で言わせてもらうと、演奏そのものは凄かったプロ顔負けだと思う。でも、あくまでそれだけだ」

「どういう事?私たちの演奏に不満があったのかしら?」

「言ったよねあくまでも俺個人の意見だってさ、皆のの音にはこう表現したいこう伝えたいって感じが伝わってこなかった」

俺がそう言った瞬間リサと氷川さんが驚いた表情を浮かべてすぐ顔を伏せたのを俺は見逃さなかった

「友希那、もし良ければなんだけど今練習していた曲の譜面あったら俺にも見せてくれる?」

「構わないわ私のを使ってちょうだい」

そう言って譜面を手渡してきたので受け取り俺は自分のそばに立てかけていたギターケースを開けギターを取り出しアンプにつなぎ少しだけ時間をかけてじっくりチューニングを行うと譜面を見ながら演奏していくそして俺の音で表現するここはもっとこうだろと、ここはこうなれば友希那がもっと全面的にさらに全力を出せるだろ、そんなもんじゃないだろ皆の熱意はこんなもんなのか?違うだろ俺はRoseliaの音ではなく俺の音でそれを伝える俺には作詞や作曲の才能は無い、だからこそ俺は決めたんだ他のアーティスト達の曲という力を借りて全力で表現力を広げることをそしてその表現力で周りを楽しませてやりたいし時には背中を押してやりたいわかるだろ?皆ならいや、Roseliaとしてならそれが出来るはずだ!引き込めよお前らの世界へ捕らえろよ!お前たちの音でお前たちを応援してくれてるファンだと言ってくれるヤツらの心を!

俺はありったけの思いを込めて表現する音楽ってのは高めるものだから表現力で伝えるものだから!

「俺が伝えたいことは今、全部音に乗せた皆ならわかるはずだ俺が伝えたかったことがね!」

俺の言葉に皆何も答えてはくれない。でも、目には強い光が宿っているのを確かに見たから、なら俺はまた少し背中を押してやろう!そう思い俺は付けていたメガネを外して前髪をあげる

「改めまして光です今日はRoseliaの練習に呼んでくれてありがとう!今日は君たちの背中を少しだけ押してあげようと思います聞いていて下さい青空のナミダ」

そう言って俺は演奏をはじめる

 

『ひとりきり暗闇の中君の涙の意味を知った

願う場所踏み出したけど誰も傷つけたくなくて

海を渡る風は今日も迷わずに明日に向かうのに

心はどうして動き出せない

どんな運命が待っているんだろう

悔やみたくないよ生まれたこと

悲しみの中に勇気がある輝きつかむと信じている

降りしきる青空のナミダ

いつの日か笑顔に変えるよ』

曲は2番に入る前の間奏だ

俺がなぜこの曲を選んだかわかってもらえるといいけどな

 

友希那視点

私は曲が始まった時なぜこの曲なのか分からなかった、でもサビを聞いてかわかった気がした、自分の目標を高く持つのは構わない、でも理想を押し付けすぎるなと言われてるそんな気がした。私達がまだ掴めない光かもしれないけど、絶対に私達なら届くって信じて疑わないと言ってもらえている気がした

『急ぎ足追いかけた風指の間をすり抜けてく

信じることまだ怖いけど留まることはもうしない

月がそっと肩を叩き水面映してくれた月道(きいろみち)

迷うことさえ忘れてゆくよ

何もない明日が待っていても何かを生み出す手があるから

決められた道も変えてゆける強い想い今込み上げてる

零れてた青空のナミダ明日にはきっと晴れるから』

 

リサ視点

本当に凄い表現力まるで私達の焦りとか不安が見透かされてるみたいに気持ちが曇ってたりしたアタシの心の中を陽の光が照らす青空に変えてくれるんだもん

 

紗夜視点

私は一体何に悩んでいたんでしょうね

悩むことは悪いことじゃないでも、悩みすぎて自分の音まで曇らせたら行けない誰かを頼ったり信じたらすることを恐れたりしたら行けない、自分としっかり向き合ってと言われている気がした。

 

 

『見上げた先へと歩き出せるはず

どこまでも行ける自分失く(なく)さないなら

どんな運命が待っているんだろう

悔やみたくないよ生まれたこと

悲しみの中に勇気がある輝きつかむと信じている

降りしきる青空のナミダいつの日か笑顔に変えるよ』

 

あこ視点

光兄ぃ凄いなぁ本当に一筋の光みたい自分を忘れないでって言ってくれてる暖かい光だよ光兄にはずっとあこ達を照らしてて欲しいな~

 

燐子視点

友希那さんが月の光なら彼は対象的な陽の光夏の照りつけるような光じゃなくて春の暖かい木漏れ日みたいなやさしい光自分を見失っちゃいけないよって、自分を見つめ直すことが

あっても見失っちゃいけないよって、優しく導いてくれる光、友希那さんやリサさんが彼の歌を好きなった理由がわかった気がした

 

演奏を終えると俺は全員の顔をみる確かな強い意志が

彼女達の瞳に宿っていた俺の音楽が背中をおせたかな?

そうだと言いなそう思い俺は話し出す

 

「どうだったかな?俺の歌が少しでも背中をおせたかな?そうだったら嬉しいな」

そう言った俺に友希那は叫ぶように言い放つ

 

「背中を押す?そんな優しいものじゃなかったわね、あなたは私達に発破をかけたのよ目標を高く持つならその道を曇らせるな自分を見失うな自分を主張し続けろってね」

 

「確かにね~あれは背中を押すってよりは光の世界に強引に引きずり込んだ感じだったな~」

 

友希那に続いてリサもそんな事を言う

更には氷川さんや白金さんあこちゃんまで言葉は違えど似たような事を言ってきた、俺は内心でなんだよそれと思ったが表には出さずただ苦笑を浮かべた、そしてそこからのRoseliaは見違える様だったお互いがお互いをしっかり主張し

一つの輪になってよりお互いを高めあえたのではと思った

そして練習終わりにリサが話しかけてきた

「お疲れ〜光、あのさ~この際だしアタシら全員と連絡先交換しない?」

「は?いきなりなんで?」

「いきなりじゃないよ!実は友希那とは話してたんだ」

「そういう訳だから最低でも私とリサの連絡先は受け取ってもらうわよ」

その言葉を聞いて俺は友希那がこういう発言する時って拒否権無いんだよなぁ~と心の中で呟き友希那とリサ2人と連絡先を交換したところであこちゃんも俺の連絡先を欲しがったの交換したところで俺は氷川さんと白金さんに声をかけた

「2人はどうする?俺としては違う学校の人と知り合う機会ってなかなか無いしこれからも仲良くしようって意味でも交換してくれると有難いかなって」

俺がそう言うと2人は顔を見合わせ少し考えた後OKしてくれた

「こちらが私の連絡先になります」

「こっちが私です」

2人がスマホを差し出してきたので手早く登録を済ませる

「ありがとう1度こっちから連絡するから登録してね」

そう言って彼女達の電話を鳴らしスマホがなったのを確認してから発信状態を終了させる

そうして全員と連絡先の交換を終えるとその日は解散となった俺はそのまま駅前で2曲程演奏してから帰ろうと思っていたら腹がなったので近くのファミレスで夕食を済ませる

それから駅前に向かい演奏を始め2曲程演奏してからギターを片付け家に戻り着ていた服を脱ぎ捨てて1度部屋に行きギターを置いて着替えを持ってシャワーを浴びた。

俺は基本シャワー派なので入浴はあまりしない

シャワーを浴びて部屋に戻りスマホを確認するとあこちゃんからLINEが来ていた内容は今週末は練習がない日らしく

よかった遊びに行かないかというお誘いだ俺はあこちゃんに何人で遊ぶのかそれと待ち合わせは何処にするのかと確認の連絡を入れると姉の巴さんとあこちゃん俺の3人らしい俺はOKの連絡を入れ更にちゃんとお姉さんの都合も確認しておく事と年を入れておく事と伝えておくすると返信を返してすぐにスマホが鳴ったので確認すると登録してないユーザーからだった名前には巴となっており夕焼けとそれを背景に幼なじみと5人で笑顔を浮かべている写真が印象的だったので間違いなくあこちゃんのお姉さんだろうと思い登録するLINEの内容は遊びの誘いをOKしてくれてありがとうと言うメッセージだったのでゆっくり遊ぶ時間がまだなかったのでちょうどよかった事を伝えた

そして遊びの話バンドの話と盛り上がった

そしていつの間にか22時を回ってしまっていたので

LINEを切り上げスマホを充電し俺も就寝するその日の事を思い返しながら

 

 

次の日

いつも通りスマホのアラームで起床する。

そして平日の日課を済ませ学校に向かう

そして自転車を停めて昇降口で靴を履き替えていると

クラスメイトに挨拶される。

そして挨拶以外でも今日もオシャレさんだね~とか

制服姿が凄い絵になるよ~だとか言われたが

制服でオシャレも何も無いだろと思いながら教室へ向かう

途中背後から声をかけられ振り返るとAfterglowの5人勢揃いで声を掛けてきたのは巴さんだ

 

「おはようAfterglowの皆さん」

「光さん堅苦しいですよぉ~普通に皆おはようで良いんですって!」

「う〜んそうなんだろうけどなんかね~」

俺は苦笑しながら答える

 

「そんな事より昨日Roseliaの練習見に行ったんですよね?あこのやつどうでした?」

 

「楽しそうだったよRoseliaでやるのが本当に楽しくて仕方ないみたいでもなんか自分に自信が無かったみたいでちょっとだけ発破かけさせて貰ったよ」

俺はそう言うと昨日の事を思い出すそして巴さんも、遠い目をしている俺はそれを見て思ったことを伝える

「巴さん達姉妹すごく仲良しなんだね」

「いやそんな事はアタシじゃ力になれない部分ってどうしてもあるしだからアタシはあこが心の底から憧れ続けてくれるドラマーになろうって決めてたんす」

「その気持ちとその思い忘れないでね、君たち姉妹の絆の強さの証だから、それは絶対に忘れちゃいけない気持ちだから」

俺はまっすぐに巴さんの目を見てはっきりと言いきる

「ありがとうございます光さんはっきり言葉にしてくれてアタシもそう思います」

そう言った巴さん目には確かな覚悟が見て取れたその後すぐ予鈴がなってしまったためAfterglowのメンバーと別れ教室へ向かうそして教室に着くとリサが声を掛けてきた

「おはよう~光さっきまでAfterglowのメンバーと話してたでしょ?何話してたの?」

「見てたんだ声かけてくれたら良かったのに巴さんと話してたんだあこちゃんのお姉さんの」

「あぁ~という事はあこの話してたの?」

「まぁ近況報告みたいなもんだね本人に聞づらい事もやっぱり有るみたいでさ」

「そういう事ね~まぁあこはなんだかんだ楽しそうにしててもやっぱり自分が苦悩してたりするところは見せたくないもんね」

リサも薄々気付いていたようだ

「リサ、何かあったら頼ってなまた発破かけてあげるからさ」

そう言う俺にリサは、はにかんだ様な笑顔を浮かべて言ってきた

「いや~あんまり発破かけられるのはなぁ~どうせなら光の世界に引き込んでよ!」

「お望みとあらば」

なんて話してるうちに本鈴が鳴ったので席に着く

朝のホームルームが終わりそのまま授業の準備に入る

授業が終わり俺はスマホで音楽を聴いていると片方のイヤホンか外された日菜の仕業だった

「ひ〜くん何聞いてるの〜?」

「日菜か、今聞いてるのは色香水って歌で昨日リサに進めた漫画がアニメ化しててさそのOPなんだよ」

「へぇ~アタシも聞きた~い最初から聴かせて~」

俺はもう片方の耳からイヤホンを外すと日菜に手渡す

「一緒に聴かないの?」

「俺は良いよいつでも聴けるしなんなら音楽データ移せなくて前使ってたスマホもあるしさ」

「ん~でもさ~」

「良いから再生するよ」

俺はそう言って曲を再生する日菜の方は不満そうではあったが今は曲に集中しているようだ

俺はもう1台のスマホにヘッドホンをセットして再び音楽を聴き始めるランダムで曲をつけたのがミスだった再生された曲は【CHAIN】それを聴いていたら無性に友希那に歌わせたいと言う衝動が湧いてきた

俺はとりあえずそれを抑えて曲を切り替えるだが次の曲も【CHAIN】を歌っているASCAの曲で【雲雀】だった

俺はさすがに衝動を抑えきれなくなり友希那元へ行く、

その時ちょっとした悪戯心が湧いたのでリサを巻き込むことにした

「リサ~ちょっと来てくれ~」

「はいはーいどうしたの光?」

「いや、実はさ」

簡単に事情説明するとリサも乗ってきたので行動開始する

 

リサ視点

友希那にちょっとした悪戯をしたいと意地悪そうな顔の光が提案して来たのでちょっと面白そうだと乗っかったアタシは友希那に話し掛ける

「友希那~今日って練習何時からだっけ?」

友希那は不思議そうな顔をしたものの教えてくれた

「今日は17時からよ学校が終わったらcircleに集合よリサ、あなた忘れたの?」

「時間だけね~ごめん友希那~それよりさ光の貸してくれた漫画読んだ?」

アタシはとりあえず友希那の気をそらすそこへ足音を殺して光が友希那の後ろに立つとバレないように友希那にヘッドホンを付けさせると指でスリーカウントを取った後光は曲を再生したようだその時の友希那の反応は今まで見た事ないくらい驚いた顔をしていてちょっと面白かった

 

 

友希那視点

リサと話していたら突然耳元で曲が流れた

私は突然の事で驚いてしまったその様子を見てリサが笑いを堪えていた

後ろを振り返ると光が満面の笑みでたっていたので講義の視線を送るが光はジェスチャーで曲を聴けと言っていたので曲に集中すると光の意図がわかった

どうやらこれを私に歌わせたいらしい確かに私ならと思うけれどどうしようかしら?

曲が終わりヘッドホンを外すとリサがまだ笑いを堪えながらこんな事を言ってきた

「あれ〜?友希那~今付けてるそのヘッドホン取っちゃっていいのかな〜?」

「良いも悪いもこれは光のじゃ…」

言葉に詰まった私に2人は意地の悪い笑みを浮かべていた

そのヘッドホンは耳に当たる部分が猫の顔になっていのだ

わかっててやったのだろうそして2人のニヤニヤした笑みが

ちょっとだけカンに障ったのでちょっとだけ見下すような

視線を送る。

そうこうしているうちに教科担当の先生が来てしまったのでとりあえずスマホごとヘッドホンを没収しておいた。

2時限目は国語だった、俺は国語の授業は聞かなくてもほとんど点数が取れるため最低限の話だけ聞いていた。

俺はスマホを操作し友希那にメッセージを送る友希那も気付きスマホを確認するとすぐ返信が返ってきた内容は大目に見る代わりにあのベッドホンが欲しいとのことだったのでOKと

返信を返すとスマホをポケットにしまう

今日の放課後はどうしようかと考え始めた2

時限目が終わると友希那がリサを伴ってやってきて音楽プレイヤー代わりにしているスマホを返してくれた。

 

「光、あなたさっきメッセージを送って来たってことはこのスマホは何なのかしら?」

 

「あぁ~これはね前使ってたヤツで音楽データだけ今のスマホに移せなくてさ音楽プレイヤー代わりにしてるんだ」

 

「そういう事まぁ良いわところで光このベッドホンは何?

「抽選で当たったやつだよ犬、猫、狼、ライオンと後、鷹だったかな?詳しい内容は覚えてないけど抽選で1000だったか1500だったかランダムでこの動物ヘッドホンが当たるキャンペーンがやっててさ応募したら当たったんだけど、俺が欲しかったのってライオンでさ、結局使わなくて

そんな事を昨日LINEでリサと話してたら友希那が喜ぶんじゃないかって言うからさ」

ヘッドホンについて説明すると友希那はリサを軽く睨むリサは苦笑いしながら「ごめんって友希那~」と謝っていた

そんなこんなで俺達は騒がしくも楽しい日常を過ごしている今日この頃だ

そして待ちに待った昼休み俺はそそくさと弁当とギターそしてスマホ4つ分位の大きさのタブレットを持って移動しようとすると日菜に気づかれた

「ひ〜くんどこ行くの〜?」

「ちょっとね、」

「え~それじゃあわかんないよぉ~」

「あ〜屋上だよ、屋上!昨日上がった給水塔のところで昼飯食べようかな~ってさ、その後2.3曲歌おうかなぁ〜って

「じゃあアタシも行く〜ひ〜くん待ってて~」

そうこうしているうちに友希那とリサも戻ってきてしまい

問い詰められたので結局いつものメンバーで昼食と相成った

「そう言えば光~3時限目の科学の授業寝てたでしょ~」

「バレてたの!?」

俺は驚きリサの方を見る

「多分友希那と日菜も気付いてたよ」

「ええ~俺、絶対バレてないと思ったのになぁ~得意科目だし山貼れば点数取れるし退屈でさ」

「確かに学校の授業って退屈よね」

「確かに授業ってるん!ってしないからアタシもきらーい」

「お前は容量いんだし並大抵のこと出来るから尚更かもな」

「確かにね~でもさ小学生の頃とかは勉強楽しかった気がしない?」

「どういう事?」俺はリサに聞き返す

「小学生の頃はさ計算とか解ける度に褒められてたし新しい字を覚えるのも楽しかった」

「確かに国語の朗読の授業は聞いてて楽しかったわ」

「社会科見学とかも楽しかった~知らないところに言った時はるるるん!ってなったなぁ」

「理科の授業で植物育てた時とか図工で色んなもの作ったりね!」

俺はリサが言いたい事が何となくわかったような気がしたそして俺はピッタリの曲が浮かびギターを取りだし小型アンプに繋ぎチューニングするとそのまま給水塔の上に登ってメガネを外し叫ぶように声を出す

「学校にいる皆さんこんにちは光です学校の勉強って正直楽しく無いですよね、でもそんな憂鬱な気分を吹っ飛ばしてくれる良い歌があります聞いて下さい三原色」

 

俺は演奏を開始し15秒程の前奏の後歌に入る

 

『空の色はどうして青くみえるのだろうか

記憶は黄色く焼けてしまうのだろうか

青い日々はまるで燃えるような激しさ黄色い声あげて

産まれた記憶の静けさ青と黄色が混ざりあってできた緑には花を

花には水を僕には夢を零にたして今をかけて

流れる赤い血のよう線を引いて殻をわって咲いた花の模様

繋げて意識筆を持って取り戻してく命目に見えないルールへ

今行こうイコールを探しにいく』

 

俺はこの歌で届けるのは気持ちだ勉強が楽しいと感じていた頃の気持ちそれを思い出して欲しいと俺は気持ちを乗せて歌う

『青い空に糸のような雲が動いて黄色い声あげて産まれた

想いが静かに意図と思想が絡み合ってできた「意志」には日々を日々には意味を僕に赤い血を今満たして

今にかけて流した涙のようにその手ひいて今変わって咲いた

夢の模様繋げて意識筆を持って見えないルールへ今行こう

イコールを探しにいく』

 

届け!届け!そして思い出せ昔を勉強を楽しんでいた頃の心を

『想像していた位置からみえる景色

想像していた〘 1〙を手にしたとき

想像をしていたより遥かに超えていた

想像していたたどり着いたこの位置で』

 

俺は伝える全身全霊でこの三原色という曲を表現する

2つの色が混ざることで生まれる新たな色が世界を彩っていくことを勉強もまた自分の色の1つになると伝えるために歌う

 

『どうか純粋な始まりを衝動に変わる始まりを

生命力を三原色で鮮やかにどうか純粋に輝きを

衝動に変わる驚きを生命力を三原色で広げて

白紙の時代過去を混ぜて築き上げ気付かされ

黒くなって今で消して積み上げ次はどこへ

僕らの明日に色があったなら

目にみえるようにさ描いていく』

 

歌い終えると拍手と一緒に歓声が上がった俺は満ち足りた気持ちになった

 

視点Afterglowメンバー

「見て見て!屋上で光先輩が歌ってるよ!」

「おぉ~ホントだ~」

「ひまりちゃんよく光先輩だってわかったね」

「いやいや、ひまりじゃなくても気づくってあれは光さんの声って表現力?っていうかで変わるから」

「確かにね…」

アタシ達Afterglowは幼なじみで結成されたバンド始業式の後屋上に行こうって話になって、屋上に行って皆で他愛ない話をしてたらいきなりあの先輩が湊さん達と

一緒にやってきたと思ったら突然歌い出した

その時アタシ達全員あの人の表現する世界にのまれた

私達の懐かしい思い出やらなんやら蘇ってきて心がじんわり暖かくなったのを今でも覚えてる

 

「そう言えば巴~なんで今朝光先輩とあんなに仲良さそうにしてたの?抜け駆けしたの!!?」

「ちょっ!抜け駆けって何さ!あこが昨日光先輩と連絡先交換したらしくてさあこ経由で仲良くなったんだよ!」

「でもでも~トモちんだけ名前で呼ばれてたよね~?」

巴に視線が集中するアタシ事巴はあこのおかげで先輩と確かに仲良くなったしLINEだけだけど連絡先も知ってる

でもんな事言ったら絶対皆にやっかまれるなんせ光先輩はAfterglowの中で1番仲良くしたい人だから

「誤解だって確かにあこみたいに名前で読んでくれっては言ったけどさぁ」

「ほっほ〜うこれは詳しく聞かねばなりませんな~」

「確かにあこちゃん経由って言ってたけど何か隠してそう」

「皆〜その辺にしといてあげなよ~」

「つぐみは気にならない?巴が急激に先輩との仲良くなった理由」

「そりゃ気になるけどさぁ~」

「ちょっと待っててば!ほんとに何も無いから!あこ経由で仲良くなっただけで他はなんもないから」

アタシはこの後皆にめっちゃ尋問された。でも何とか光先輩の連絡先の件とあこと3人で遊びに行く約束をしている秘密は守り通した。

 

放課後俺は久々に1人だ、なんでも日菜は近々バンドのオーディションがあってそれに向けて最低限弾けるようにしたらしい

友希那とリサは練習だ俺も誘われたが明日からcircleでバイトするため今日のうちに家から半径10キロ圏内にある店等々を把握しておきたいと伝え断った 。

そして絶賛あちこち見て回っている最中だ、そして駅から自転車で3分くらいのところにゲームセンターがあったので立ち寄ってみると意外にもゲームの種類は充実していた。

俺はUFOキャッチャーや景品をすくい落とすゲームで

いくつか景品をゲットするそして店の奥の方を見ていたら

全3種類のアクセサリーが景品となっているUFOキャッチャーを見つけそれをコンプリートすべくプレイしていくそして財布の中の野口さんを2枚消費した結果ラスト1回で2つ取れたため景品は4つになったまぁ良いかと思い俺はゲームセンターを

出ると練習帰りのリサ達とあった結構な時間遊んでいたようだ

「あれ〜光!さっきぶり〜」

「本当ね何をしてたの?」

「あぁゲームセンターで遊んでたんだこれ戦利品」

そう言って両手の袋を見せる

「結構な数とったね~それどうするの?」

「そういえばどうしよう?」

「そこまで考えていなかったようね」

俺は考えるとった景品の中にはキーホルダーなんかもそれなりにあるのだが物は試しで取れたぬいぐるみのようなものは俺は別段欲しくもなんともない

そんな事を考えているとふとアクセサリーが入った袋に目をやりガサガサと漁り鳥っぽい形のイヤリングと薔薇のブレスレットを取りだし2人に渡す

「これは2人にあげるよイヤリングはリサに

ブレスレットは友希那にこれからも仲良くしてねって

意味を込めてプレゼント」

2人は受け取るとケースを開けてリサはイヤリングを付け替え友希那はブレスレットを腕につける俺は思ったとおり似合うと思ったのでそのまま伝える

 

「2人とも似合うよ俺の見立てに間違いはなかったよそれとこれもあげるよ」

そう言ってもうひとつの袋からマイクとベースのキーホルダーを渡すとリサはスマホに友希那はカバンに付けた

「光ありがとうなんか貰いっぱなしでごめんね本当にありがとう」

「私からもお礼を言うわとても気に入ったわ」

「気に入ってくれたら良かったじゃあ俺はこれで送ってやれなくてごめん!」

「ううん平気!バイバイ」

「じゃまた」

挨拶を交わし2人と別れ俺は家路に着く家に着き

シャワーを浴び着替えて今に行くと着信が入っていた氷川さんだ俺は折り返すと3コール目で氷川さんが電話に出る

「もしもし私、氷川ですけど宮村さん?」

「もしもし氷川さんさっき連絡くれたよね?ごめんね手が離せなくて今気づいたんだ」

「そうでしたか、実は折り入って御相談したい事がありまして、日菜と仲がいい貴方ならと思いまして」

「て言うことは日菜絡み?何かあったんだねわかった電話じゃあなんだからどこかで話そうか氷川さんの家の近くに公園あったでしょ?そこでいいかな?」

「わかりましたそれでは公園で」

「うん、じゃあ1回切るね」

俺はそう言って電話を切りすぐにまたもう一度着替えると 念の為と思いギターほか路上ライブのセットを持って家を出ると自転車で大急ぎで公園に向かう

公園に着くと氷川さんがブランコ脇のベンチに座って俯いていた

俺は公園の自販機でカフェオレとミルクティーを買って氷川さんの元へ向かう

「氷川さん?」

俺が声をかけると目元を僅かに赤くした氷川さんが顔を上げた

俺は隣に座るとミルクティーを氷川さんに差し出して俺はカフェオレを飲む

「あのさ、話しにくいかもしれないけどゆっくりで良いから話せる事だけ話してくれる?」

「はい…あの!宮村さん貴方にとっての日菜の印象はどんなですか?」

俺は少し考えてから答える

「俺にとっての日菜の印象はトラブルメーカーでムードメーカーでそれでいて憎めないやつかな、俺にそれを聞くって事は氷川さんは違うんだよね?」

氷川さんはミルクティーを1口飲んでから話し出す

「私にとっての日菜は常に比べられる存在で日菜は私が努力して出来るようになったことを簡単にやってのけてしまうんですそれでいて双子だからというのもあるのでしょう妹に比べて姉はなどと言われる事もあって、私は劣等感でいっぱいでした、それでも今まで何とか折り合いを付けてやって来たんです。でも今日、日菜がギターを弾いてました、しかも私達Roseliaの曲でした」

氷川さんはそこで黙ってしまった、俺は何となく想像が着いたので今度は俺から話をする

「つまり日菜は氷川さんが沢山練習していたその楽曲を1日2日でよく言えばある程度悪く言うなら最低限弾けるようになっていたことで氷川さんの中で何かがあって日菜に強く当たってしまって険悪になってしまったと」

俺の話に氷川さんはただ頷く

「そっか、それでさ氷川さんはこれからどうしたい?」

「…どう…とは?」

「日菜と距離を置きたいとか日菜にさっき言った以上の酷い言葉を気が済むまでぶつけたいとか」

「いえ、距離を置きたいとは思いますけど…酷い言葉をぶつけると言うのも少し違いますね」

「じゃあこれからは2択だよ1完全に日菜と関わらないようにする2誰かの助けを借りる形になっても日菜と向き合い自分の中で折り合いを付けるかのどっちかだよ」

俺はあえて厳しい事を言うそうしないとこの先前には進めないから

「私は…私は…どんな形であれ折り合いを付けて日菜と向き合いたいです」

「答え出たじゃん!なら後は簡単だよ俺がいる」

「手を貸していただけるんですか?」

「いや、手は貸さないよ手助けするんだよ!前に進めるように、昨日Roseliaのメンバーに発破をかけた時みたいに歌でねちょっとでも励みになるなら俺は歌うよその人のためにでもその前に氷川さんには1つやってもらう事があるよ」

「私はなにをすればいんでしょうか?」

「俺がいる事は伏せて日菜を呼び出して貰える?さっきの事で話がしたいから外で話そうって言って日菜を呼び出して」

俺はそう言って自転車からライブセットを下ろして準備を始める今回使うのはアコギ。俺は限界までチューニングする

氷川さんは日菜に電話をしていた

「もしもし日菜?さっきの事で話がしたいの冷静になって考えたわ、だから話をしましょう家の近くの公園に来てちょうだいえぇ待ってるわ」

そう言って通話を終了するとこちらに来て呼び出しに応じてくれた事を伝えたそして俺はふと、氷川さんの格好が目に止まった制服姿だったからだ、4月中旬とはいえ夜はまだ冷える俺は来ていたパーカーを脱ぐと氷川さんの肩にそっとかける

「あの宮村さんこれは?」

「暖かくなってきたとはいえ夜はまだ冷えるから着てて」

「ありがとうございます好意に甘えさせてもらいます」

そう言って氷川さんは俺の来ていたパーカーを羽織る

結構ブカブカだなぁと思った氷川さんがパーカーを羽織るのを確認してから俺は髪を縛ろうと髪をあげた時ヘアゴムが無いことに気づくこっちでは全然髪結んでいなかったので忘れていた迷った末俺は氷川さんに聞いてみることにした

「氷川さんあのさ、ヘアゴム持ってたりしない?」

「ヘアゴムですか?一応1本だけならありますが、何故ですか?」

「いや、髪を縛りたくてさ」

「そういうことでしたら差し上げますので使って下さい」

そう言って氷川さんは青いヘアゴムを差し出して来た

「いいの?1本しかないんでしょ?」

「構いませんよ家に帰れば髪留めがありますから」

「じゃあ遠慮なく」

俺はそう言ってヘアゴムを受け取り髪を縛ると両方の耳に3つずつピアスを付けて改めてマイクの前に立つ座って待っていた氷川さんは俺の変わりように驚いたようだ

「宮村さんなんですよね?その雰囲気というか見た目からして随分と変わってしまって1目じゃ貴方とわからないです」

「こっち来てからこの姿見せたの氷川さんだけだから後は日菜もこれこら見ることになるけど誰にも言わないでね」

「わかりました特に言いふらしたりするつもりも無いので黙っていますよ」

そう言ってくれた、そしてすぐに日菜がやってきた

「お姉ちゃん?」

「日菜こっちよ」

日菜が氷川さんの姿を見つけ駆け寄ってくるそして日菜は俺を一瞥すると驚き1歩後ずさる

「お姉ちゃんこの人誰?」

やっぱり一目見ただけじゃ分からないかと思っている俺に

氷川さんは苦笑しながら日菜にこう言った

「よく見なさい日菜あなたもよく知る人よ」

「えぇ?アタシが?」

日菜は不安気にこちらを見るが2度3度と見ても分からないようで

「お姉ちゃん本当にアタシが知ってる人~?」

その姿を見て氷川さんはため息をつく

「はぁ~日菜本当に分からないのね?」

「うん、わかんない」

「そう、ならとりあえず座りなさい」

そう言って氷川さんは日菜を隣に座らせる

「こちらは大丈夫なので始めてください」

氷川さんがそう言ったので俺はギターを軽く慣らしてから声を出す

「こんばんは光ですこの姿の時はルミナスって名乗ってますよろしく」

そう言って俺は1度言葉を切る

そして日菜は驚きを通り越して困惑していた

「えっ?えぇー!本当の本当にひ~くんなの?嘘!普段歌ってる時と全然違うじゃん!なんで!?」

「もう一度言っておくとこの姿の時はルミナスって名乗ってます今日は君のお姉さんから君と向き合うきっかけを作って欲しいって頼まれました俺としてもお互いすれ違ったままなのは嫌なのできっかけだけは作ろうと思いますまずは1曲聞いて下さいタイトルは絆」

 

俺は演奏を始める

 

『先のことどれ程に考えていても

本当のことなんて誰にも見えない

空白?心に何かがつまってあやまちばかりくり返してた

1歩づつでいいさこの手を離さずに

共に歩んだ日々が生きつづけてるから

ボロボロになるまで引きさかれていても

あの時のあの場所消えないこの絆』

 

俺は2人に向け2人だけを見て歌うこの曲が励みになればいいと思いながら

 

『流れゆく時間(とき)の中失わぬように

すれ違いぶつかった本当の気持ち

心に染みてくあいつの想いに出逢えた事が求めた奇跡

立ち止まることさえ出来ない苦しさの中に見えた光

つながっているから

うそついたっていいさ涙流していいから

あの時のあの場所消えないこの絆』

 

届け!俺の思いまずは伝われお互いの気持ちお互いの思い

 

『1歩づつでいいさこの手を離さずに

共に歩んだ日々が生きつづけてるから

ボロボロになるまで引きさかれていても

あの時のあの場所消えないこの絆』

 

俺は1曲目を歌い終えるまだまだこれからだこれはあくまでもステップ1だ俺の歌はまだまだこれからだ

 

「聞いてくれてありがとうございます。続けて2曲目にいきます聞いて下さいひまわりの約束」

 

俺は2曲目の演奏を始め歌い出す

 

『どうして君が泣くのまだ僕も泣いていないのに

自分より悲しむか辛いのがどっちか分からなくなるよ

ガラクタだったはずの今日が二人なら宝物になる

そばにいたいよ君のために出来ることが僕にあるかな

いつも君にずっと君に笑っていてほしく

てひまわりのようなまっすぐなその優しさを温もりを全部

これからは僕も届けていきたいここにある幸せに

気づいたから』

 

紗夜視点

最初の曲もそうだった大切なもの大切な場所お互いがいる事の大切さを私達に伝えてくれてるこんなに励まして貰えてるんだ向き合わない訳には行かない

 

 

『遠くでともる未来もしも僕ら離れてもそれぞれ歩いてく

その先でまた出会えると信じてちぐはぐだったはずの歩幅

ひとつのように今重なる

そばにいることなにげないこの瞬間も忘れはしないよ

旅立ちの日手を振る時笑顔でいられるように

ひまわりのようなまっすぐなその優しさを温もりを全部

返したいけれど君の事だからもう充分だよってきっと言うかな』

日菜視点

アタシはお姉ちゃんが好き、たった1人の自慢のお姉ちゃん アタシはお姉ちゃんに認めて欲しかったんだ、お姉ちゃんにアタシがるんってするものを見たり聴いたりして一緒にるんってして欲しかっただけなんだけどいつの間にすれ違ったのかな?ひ〜くんの歌で気付かされるんてなぁ~

 

 

『そばにいたいよ君のために出来ることが僕にあるかな

いつも君にずっと君に笑っていてほしくて

ひまわりのようなまっすぐなその優しさを温もりを全部

これからは僕も届けていきたい本当の幸せに気づいたから』

 

2曲目が終わる2人ともいい感じに憑き物が落ちたような顔になっている、ならあと一歩その背を押して上げればしっかりと向き合えるはずだ、俺はそう思いならがら声を出す

 

「2曲目も聞いてくれてありがとう後、1曲だけ、1曲分の時間だけこの僕、ルミナスに時間を下さい最後の曲は自分達ががむしゃらに積み上げてきたものを自分と言う1個人が大切に思う事を歌にした曲聞いて下さいタイトルは瞳」

 

俺は3曲目演奏を開始し前奏から曲に入っていく

 

『最後の1秒まで集めたこの思い積み重ねてきた毎日は

君のこと裏切らない

眩しい日差しが西日にかわってくよ

二度とない青春の瞬間(とき)を照らしているよ

まっすぐに夢追いかける君の瞳が大好きだよ

そんな君と一緒にいれること僕は大切にしたい

涙だって笑顔だってがむしゃらになった証だよ

そんな君と一緒に生きること僕は誇りに思うよ』

 

 

日菜視点

これはひ〜くんからのメッセージだ一緒にいれることを誇りに思うよって部分はアタシ達へのひ〜くんなりの励ましなんだなぁ~ひ〜くんの歌う歌はいつもアタシをるんってさせてくれるお姉ちゃんもそうだといいな~

 

『誰かを傷つけたり何かを犠牲にしたり

これで良いのかわからなくなる

そんな時も仲間がいる今ここは通過点

明日は君を待ってるだから

このステージ1人じゃない1人じゃない

つまずいたって見失ったってまた始めればいいんだよ

ありのまま君の姿いちばん輝いてるよ

終わりがあって始まりがあって心は強くなれるよ

そんな瞬間(とき)を駆け抜けていく明日の自分信じて

君が見ている景色聞こえている風の音その全部が君のこと応援してるよ空高く

羽ばたけまっすぐに夢追いかける君の瞳が大好きだよ

そんな君と一緒にいれること今は大切にしたい

涙だって笑顔だってがむしゃらなった証だよそ

んな君と一緒に生きること僕は誇りに思うよ

ずっと誇りに思うよ』

 

 

紗夜視点

3曲目は私達2人へのメッセージだった私達がしっかりと向き合って前を向いて行けるように、つまずいたって見失ったって大丈夫あくまでも通過点なんだから仲間がいる事を忘れないでと言ってくれているあぁ本当に憑き物が落ちたようだわ

 

「ありがとうございました」

今日が終わり僕が頭を下げると2人が拍手をしながら泣いていた

「僕は2人の背中を押せたかな?2人が向き合うきっかけになれたかな?そうだったら良いなと思いますこれでLIVEはおしまいです聞いてくれてありがとうございました 」

俺はそう言ってギターを片付けて飲み物を買って2人に手渡しベンチの後ろに回って背もたれに体を預けて買ってきた缶コーヒーを開けるそして俺は何も言わずに黙っていると先に口を開いたのは日菜だった

「ごめんねお姉ちゃんアタシはお姉ちゃんが何に悩んでるか全く分からなったし今もわかんない。でもね、アタシはね、お姉ちゃんにいつまでもアタシの自慢のお姉ちゃんでいて欲しいそれだけなんだそれじゃあダメかな?」

 

日菜自分の思いを姉に伝えた今度は姉の番だ

「無茶言わないで欲しいわね私は日菜ほど容量よくこなせないから努力することしか出来ないのよ!そんな貴方の憧れで居続けるなんでゴメンだわでも、貴方が誇れる私であれるよう努力していくわ」

そう静かに伝えた瞬間日菜はお姉さんに飛びついて泣いてしまった俺は氷川さんの横にいくとできるだけ静かに声をかける

「氷川さんも泣いてもいんですよ?」

「泣きません!これ以上みっともない姿を見せられませんから遠慮します」

「みっともないですか?僕はそうは思いませんよ、あの時の姿は貴方が悩んでいた証なんですから、人は悩んで向き合って前を向いて行くものですから」

そう言うと俺は氷川さんに貸していたパーカーのフードを氷川さん被せると優しく大切なものを触るように頭を自分の方に引き寄せる

氷川さんは最初は驚いたようだったが、すぐに力が抜けた

「本当に優しんですね貴方はもう少しだけ弱い私を支えて下さい」

そう言うと氷川さんは俺の肩口で涙を流す堰き止めていたものが溢れ出すように溢れ出す涙は俺のシャツに吸い込まれていく俺はしばらくそのままでいると2人ともいつの間にか規則正しい寝息を立てていた、さすがに2人をおぶったり抱き上げられないので仕方なく2人の間に座る形でどちらかが目を覚ますのを待つ事にした、しばらくして日菜が目を覚ました

日菜は少し寝ぼけているのか辺りを見回して俺と目が合うと完全に目が覚めたようで話しかけてくる

「ひ〜くんありがとうひ〜くんのおかげでお姉ちゃんと本音で話せたよ」

「僕はきっかけを作って背中を押しただけそこから頑張ったのは日菜達2人だよ」

「それでもねありがとう!」

そう言った日菜の笑顔は今までで1番可愛いと思える笑顔だった、そして氷川さんが起きる気配が無いので日菜に俺の荷物を乗せた自転車を押してもらい俺が氷川さんをおぶって行くことになった

「お姉ちゃん起きないね~それどころかすごく幸せそう」

「僕から表情は見えないけど日菜が言うなら間違い無いんだろうな多分ずっと張り詰めていた糸が切れて堰き止めていたものが一気にきて憑き物が落ちてみたいな感じで色々あったんだろうから今はそっとしておいてあげよう」

僕の言葉に日菜も頷いてくれたので静かにゆっくりと歩いてくそんな中なぜか日菜がチラチラとこっちを見ていたので話し掛ける

「日菜?僕の顔に何かついてる?」

「ううんそう言うんじゃなくてね、ただ本当に本当のひ〜くんなんだよね?」

「そうだよ他に誰に見えるの?」

「でもいつも見てるひ〜くんと全然違うしそれに喋り方もなんか違〜う、いつもよりひ〜くんの声高く感じるしそれにいつもは俺って言ってるのに今は僕って言ってるしさぁ〜」

「え?本当に?俺、自分のこと僕って言ってた?アチャ~なんでかルミナスになるとどうしてもこうなるんだよね~日菜は今の俺は嫌?」

俺は問いかける

「ううんアタシは今のひ〜くんの方がいいかな~いつものひ〜くんでも良いけどこっちの方がカッコイイし」

「そっかでもこの姿になるなら日菜とお姉さんの氷川さんの前だけだね、あんまり人に見せたくないんだ今の僕」

日菜不思議そうな顔をして問いかけてくる

「なんで~?普段からそうしてれば良いのに~今のひ〜くんいつもの何倍もカッコイイよ~」

「どうしても見せたくない訳じゃないんだよ、でも今日、

日菜達には見せた、それは必要だと思ったからなんだ」

「そっかじゃあまたアタシ達には見せてくれる?」

「もちろんプライベートな時ならね」

そんな事を話しているうちに日菜達の家に着いたのでとりあず日菜に玄関の扉を開けてもらい氷川家に入る靴を脱いで階段を上がり氷川さんの部屋の扉開け部屋に入りベッドに寝かせるそして日菜にお願いし氷川さんを着がえさせてもらっている間に俺も縛っていた髪を下ろしピアスを外しケースにしまうと日菜がリビングに入ってきた

「とりあえず制服の上だけは脱がせといたよシワになったら困るしね」

「あぁわかった起きたら事情は説明しておいてくれ、俺は帰るよ!」

「帰っちゃうの?泊まってきいなよ!もう22時過ぎてるよ?」

「いや、でも悪いしさ自転車もあるし」

「朝早めに起きて帰ったらいいよ~それなら大丈夫でしょ?」

「でも寝る場所は?それに布団とかどうするの?」

「ん〜今日の所はこのリビングのソファーで寝ればいいよ~このソファリクライニングだからそれに毛布はあるから何とかなるでしょ?」

「いやいや!確かにあれかもしれないけど、そうだ!ご両親は?」

「え〜?いないよ~お父さんもお母さんも共働きで今は長期出張中だから問題ないでしょ?」

それからも俺はなんやかんやと理由をつけたが日菜の方も譲らなかったため結局根負けしたそして日菜から毛布を受け取ると日菜は自分の部屋に戻っていき俺も横になるが

「寝れそうにないなぁ~」とぼやくのであった

そうして慌ただしい夜は更けていった

 

 




結構長くなりましたがとりあえず幼なじみや姉妹関係がテーマです次回は中二病少女とその姉とのお出かけ回と一難去ってまた一難と言った感じでバンドメンバー同士の諍いを解決してもらおうと思っていますお楽しみに


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第4話お出かけと新たな災難

音楽の高みを目指して音楽と関わる光のこれからは…


日菜達の家に泊まる事になった俺はいつもより早い時間に起き出し準備を始める。

一宿一飯の恩と言う言葉があるように形だけ見れば1泊した事になるのでせめてもの恩返しに朝食を作ることにする。

前もって日菜から食器がある場所等は聞いていたので割と準備は簡単だ3合ほどご飯を炊き、炊きあがるのを待っている間に日菜達の弁当箱を用意すると光はおかずの準備を始めるメニューは玉子焼きとウインナー焼き魚の切り身とポテトサラダだ、お弁当の方は朝ご飯のメニューにプラスしてコロッケそしてプチトマトを入れる予定だ。

光は手際よく一つ一つ確実に完成させていき

そしてご飯が炊きあがると軽くかき混ぜ弁当箱と茶碗に盛り付けて粗熱を取っている間に味噌汁を作っておき、ご飯とおかずにラップをして弁当を専用の袋に入れて朝ご飯と一緒にテーブルに置いておき最後に書き置きを残して日菜達の家を後にする。

 

 

俺は自転車を飛ばして大急ぎで自宅へと戻ると熱めのシャワーを浴びてから制服に着替えて朝食をとり片付けを済ませ顔を洗って身だしなみを整えてギターを背負い家を出て学校へ向かう。

 

 

紗夜視点

目が覚めると私は自分のベッドで寝ていた制服の上は来てないくてその変わりに昨日宮村さんから借りたパーカーを着ていた。

訳が分からなかったのでとりあえず起きてリビングへ向かうと朝飯の準備がしてありメモが残されていた。

メモには[ 色々あったので1泊させてもらいました一宿一飯ならぬ1泊の恩です]と書かれていた。

そしてメモと一緒にギターのキーホルダーと青いリボンの付いたヘアゴムと三日月のネックレスが入った箱が置かれ氷川さんと日菜へとメモが置いてあった。

それを見て私は呟くように言った

「本当にどこまでも優しくて律儀な方なんですね」

私はとりあえず日菜を起こして詳しい事情を聞くため日菜の部屋に向かうとちょうど日菜が制服に着替えて部屋から出てきたところだった。

「あッ!お姉ちゃんおはよう!」

 

「おはよう日菜、色々と聞きたいことがあるのだけれど、とりあえず朝食を取りながら話しましょ昨日宮村さんが泊まって行ったのよね?メモと一緒に朝食とお弁当まで準備してあったわ一緒に食べましょ」

 

そう言って私はリビングから台所へ行き味噌汁とご飯を温めると日菜もちょうど席に着いたのでご飯と味噌汁をトレーで運び日菜に渡すと食事を始める

そして私は日菜に問いかける

「ところで日菜、あの後の事教えてもらえるかしら?」

「ん〜とね、アタシもお姉ちゃんも泣き疲れて寝ちゃったみたいで、アタシは一旦目が覚めたからひ〜くんにお姉ちゃんをおぶってここまで送ってもらって、アタシがとりあえず制服の上着だけ脱がせてひ〜くんのパーカーを着せたの、そしてひ〜くんにはもう夜も遅いから泊まって貰ったの」

 

私は日菜からおおよその事情を聞いた途端恥ずかしさが込み上げる

(私は…なんてことを…知り合って間もない男性に涙を見せるどころかあまつさえ、あまつさえその男性の背に乗せられ眠ってしまうとは…)

私は顔が赤くなるそんな私を日菜が心配半分面白半分と言ったなんとも言えない表情を浮かべこちらを見ている。

私は日菜に問いかける

「日菜、なにを見ているの?」

「お姉ちゃんが百面相してるなぁ〜って、後ね赤くなったと思ったら普通になったりしてたよ〜」

「本当に!?私そんなに表情変わっていたの!?」

「うん!見てて面白いくらいに変わっていたよォ〜」

私はため息をつくと日菜に頼み事をする

「日菜お願いがあるのだけれどいいかしら?」

「な〜に~?」

「宮村さんにお礼を言いたいのだけど会って直接言いたいのよ都合のいい日を聞いて貰えないかしら?」

私の頼み事に日菜は何故かきょとんとした顔になる

「どうしたのよ?」

「お姉ちゃんひ〜くんの連絡先知ってるじゃん!なんでアタシに聞くの?」

「そうなのだけど、日菜は学校もクラスも一緒な訳だし直接確認して貰えたらと思ったのよ、一応重要な事な訳だし都合のいい日を聞いてから改めて連絡したいのよ」

「ん〜お姉ちゃんがそこまで言うなら聞いておくよ」

日菜は渋々と言った感じで了解してくれた

私達は朝食を終えると食器を片付け学校へ向かった。

 

光side

「ヤバい!もの凄く眠い!」

俺はそんな事を呟きながら自転車を走らせ学校に向かう学校に着いたのは7時20分だった生徒がぽつりぽつりと来はじめていたが幸いにも日菜や友希那、リサはまだ来ていなかった。

俺は自分の席に座ると机に突っ伏す

「ホームルームまでの間軽く寝よう」

俺はそう言って夢の世界に意識を手放した

 

リサ視点

学校の教室に着くと珍しく光が登校していたが突っ伏しる所みると寝ているようだったがとりあえず声をかけてみる

「おっはよう光〜☆」

「………zzzzz」

「アハハ~案の定寝てるな〜」

リサはそっと光の髪に触れる

「サラサラしてるなぁ〜それに触り心地も良いし男子にしては髪も長い方だけど鬱陶しさを感じさせないし、いい髪質してるよ」

そんな事を言いながら光の髪を撫でていると気になったのか友希那が話しかけて来た

「リサ?なにをしているの?」

「あッ!友希那!光が寝てたからさ今なら髪を触っても嫌がられないかなって」

「そんなにいい髪質をしているの?」

「触って見ればわかるよ凄くサラサラで気持ちいいからさ」

「私は遠慮するわ」

そう言って友希那は自分の席に戻ってしまう

入れ替わりに今度は日菜がやってきた

「ひ〜くんってあれ?ひ〜くん寝てるの〜?」

「そうみたい今なら無抵抗だからチャンスだよ〜ほら頭撫でても大丈夫だよ日菜〜」

日菜は少し迷った後、後ろに回って光の髪を結び始める

「りさちー見て見て〜」

日菜がそう言うので後ろに回って見てみると光の髪が2つに結ばれていた。

「起きた時の反応見たいしこのままにしない?」

「いいよ〜面白そう」

「じゃあ起こそうか」

「うん!」

日菜は頷くと光の肩を掴んで揺さぶる

「ひ〜くん起きて〜ホームルーム始まるよ〜」

「んん〜もう少し寝かせてよ〜」

「眠いのはわかるけど、本当にホームルーム始まるから起きなよ光~」

「んん〜リサ〜後5分だけ寝かしてくれよ〜」

「気持ちは分かるけどホームルームまで5分ないよ」

よっぽど眠いのか光は起きる気配を見せない、すると日菜が光のカバンをあさって小さな箱を取り出すと耳元でカチャカチャと鳴らして光に呼びかける

「ひ〜くん起きないとひ〜くんの耳に1個ずつ付けていくよ?良いのかな〜」

日菜がそう言うと光はさっきまで寝ぼけ半分だったのが嘘のように飛び起き日菜から箱を取り上げまたバックにしまう

「あのさ〜光、さっき日菜が出したあの箱なんだったの?」

「あぁピアスだよ!ほら!」

そう言って光は髪に隠れていた耳を出して見せてくれた

確かにピアスの穴があった

「光ピアスしてたんだ、でもなんで日菜がその事知ってたの?」

「あぁ~実は昨日氷川さんに呼び出されたんだよね、日菜と喧嘩しちゃって気まずいから仲裁に入ってくれないかって、そん時たまたまピアスしててさ、それでバレちゃったんだ」

私はその事を詳しく聞こうと思っていたら先生が来てしまい話はそこで終わってしまった。

 

光は内心かなり焦っていた、なぜなら日菜は俺が寝ぼけてるのをいい事にルミナスとしての姿をバラしかけたからだ

 

(日菜の奴後でもう1回釘刺しとかないといつまたバラされかけるか分からないし)

内心そんなこと考えながらホームルームを聞いていた。

そして幸いなことに1、2時限目は移動教室

3時限目が選択授業、4時限目が体育と移動教室が多かった

ためリサ達からの追求はなかったが日菜と話す時間もなかったためお昼にいつものメンバーで屋上に集まる

「それで光〜今日はなにを聞かせてくれるのかな~?」

「楽しみね」

「うん、私も楽しみ〜」

「ん〜じゃあそれについては何か思いついたらって事で、ところで日菜、何か話があったんじゃないか?」

日菜は一瞬きょとんとしたがすぐに思い出したように話し出した

「そうそうお姉ちゃんが今回の件で改めてお礼したいから都合のいい日はないかって」

「は?氷川さんが?直接連絡くれたら良いのに」

「アタシもそう思ったんだけどひ〜くんの都合もあるし同じ学校で同じクラスのアタシに聞いといてってどうひ〜くん都合のいい日ある?」

俺はスマホのスケジュール表を確認すると金曜が空白だったがRoseliaの練習もあるだろうしと思い友希那に話を振る

「友希那、Roseliaの練習ってほぼ毎日あるの?」

「そうね、全員集まれる日は集まって練習するけれどそれも週に3度位で個人練習日と1日の休養日があるわ皆の体調も大事だもの」

「ちなみに金曜はどうなってるの?」

「その日は個人練習だったはずよちょうどいいから後腐れを無くしておきなさい」

友希那がそう言ってくれたので甘えさせてもらうことにした

「サンキュー友希那!さて、この話はこれでおしまいにしよう!日菜の方から氷川さんには伝えておいて」

「わかった」

日菜もそう言って頷いてくれたので俺は話題を切り替える

「じゃあ話題変更って言ったものの何話す?」

俺がそう言った時リサが話題を振ってくれた

「それなんだけどさ、皆は音楽以外で夢中になってる事ってあるの?」

「ん〜俺はやっぱり読書かな漫画や小説を読むのは好きだしな元々」

「私は特にないわね」

友希那がそう言ったのをリサは聞き逃さなかった

「友希那は猫好きじゃん猫カフェとか」

俺は何となく気づいていたのでやっぱりと思う程度だったがちょっとした爆弾発言には違いない

「友希那ちゃん猫好きなんだね〜確かに可愛いもんね〜」

「なら、日菜を愛でればいいんじゃね?」

言葉の意味が分からないと言わんばかりに不思議そうな顔をする

「なんでアタシ〜?」

「お前ってあっちにフラフラこっちにフラフラ気分次第なとこあるし、それに超すばしっこいからなんか猫みたいだなぁって」

「そう言われるとそんな気がしてくるから不思議だよね~」

「似ている部分がある事は認めるわ」

「えぇ〜?そうかな〜?」

日菜は納得が行かないようだったのでバックから友希那に渡そうと思っていた猫耳のカチューシャを取り出し日菜の頭に付ける

「これでどう?」

それを見てリサは笑いを堪えていて、友希那はちょっとだけ触りたそうにしていた

「もうダメ限界日菜似合いすぎ〜そうしてると本当の猫だようん光の言ってた意味がわかったよ〜」

リサは笑いすぎて目尻に涙を浮かべていたが楽しそうだ

友希那の方は日菜の頭を撫でてご機嫌だ、俺はふと思い出した事があったのでリサを問い詰める

「そういやリサ〜俺が寝てる間に髪結んだ?癖ついてなかなか直らなかったんだから」

「アタシじゃなくて髪結んだのは日菜だよ?アタシは髪は触ってたけどいじってはないよ」

「あぁなんか頭撫でられてるなぁって感じはしてたけどあれはリサか、なんか凄く安心する感じだったし余計眠気誘われたんだよね」

「あらら逆に眠気誘っちゃったんだね〜なんかごめんね〜」

「まぁいいよとりあえず夢中になれるものの話してたら曲浮かんだし歌ってくるよ」

俺はそう言って今日も給水塔の上に登りギターのチューニングしてから一鳴らしして注目を集める

「光です今日歌う曲は代わり映えしない毎日の中に夢中になれるものを見つけて欲しいそう願う曲です聞いて下さい何かひとつ」

 

『何かひとつでも夢中なれる物を何かひとつ胸に持って見ろよ代わり映えない毎日にふと負けそうになりそうだけど

まわりと比べるのをやめたらやれそうな気がするから

寂しくて寂しくてかまって欲しくてしょうがなくて

ガラスの心になっては深夜に自分で壊しまくった

いまでも逃げてばっかの人生なんてもうたくさんなら

冷たい風に吹かれても

何かひとつでも夢中になれるものを何かひとつ胸に持って見ろよ過去の傷跡を鼻で笑う大人に何がわかるハートで生きてみろよ

いちからやれば出来る

とおい季節に置き忘れた差の頃夢あの子名前

隣の席の恋人見てたら涙流れ始めた

幸せって結局何かを失った時に気付くから

今までの出会いも恋も全部意味があるんだ

無駄なことなんて人生にはひとつもないんだから

諦めることを諦めた

何かひとつでも夢中になれるものを何かひとつ胸に持って見ろよ過去の傷跡を鼻で笑う大人に何がわかるハートで生きてみろよ

いちからやれば出来る

毎朝今日は何かいい事起こらないかな

そう願いながら生きていた子供の頃は

久々に神様に向かい叫ぶんだ歌うんだ

何かひとつでも夢中なれるものを何かひとつ胸に持って見ろよ過去の傷跡を鼻で笑う大人に何がわかるハートで生きてみろよ

何かひとつでも夢中なれるものを君はひとつ胸に持っているよ過去の傷跡が教えてくれる心の中で眠る愛を感じてみると

いちからやり直せる…やり直せる…』

 

聞こえてる?俺達は皆何かに夢中になっていんだ。

どんな小さな事でもいい夢中なれるものを見つけて欲しい

失敗したってそれは成功に繋がるから

過去に囚われるな縛られるな傷跡を笑う大人は相手にするな俺は全力で歌う伝えるために届けるためにそして俺は歌い終えると言葉を紡ぐ

 

「どうでしたか?夢中なれるものを見つけて欲しいって思いは届きましたか?俺は今、歌うことに夢中です皆も自分だけの夢中なれるものを見つけて下さい」

 

Afterglow視点

いつものようにいつものメンバーで集まっているアタシ達そして今日も屋上から聞こえてくる歌声私達はその声に耳を澄ます

「今日も歌ってる!先輩の歌は懐かしい思いにさせてくれたり励ましてくれたり本当に凄いよね」

「ひまちゃんもうすっかりファンだね~」

「確かにそうだねでもひまりちゃんだけじゃなくて結構いると思うよ先輩のファン」

「でも光先輩って友希那先輩、リサ先輩、日菜先輩達といる姿しか見たことないけどファンの人らが声掛けたりしてんの見たことないけどな〜」

「遠慮してるんだよ光先輩は友希那先輩達といる時楽しそうにしてるし逆にあの人達差し置いてってのが出来ないんじゃない?」

なるほどとアタシは納得した確かに友希那先輩達と光先輩の間に割って入れる人はいないだろうなそれこそ光先輩から声掛けたりしない限り中々近寄り難いだろうさ、その点アタシらはまだいい先輩とちょっとでも話ができるんだから

「ひまりさ〜光先輩に言ってみたら?私にも何か歌って下さいってさ」

「無理無理!無理だよ〜皆と一緒だったら全然話せるけど2人きりとかになったら私、全く話せる自信ないよ〜」

「ヘタレさんだ〜」

「モカ〜!!」

「まぁひまりちゃんだから」

「まぁたしかにな〜」

そうやってひまりをからかいながら笑合うこれもアタシたちの日常だ

「あぁ~でもアタシあこ経由でLINE聞いたら教えてくれたぜ、皆も聞けばいいじゃんか」

「嘘!巴ちゃんいつの間に〜」

「やっぱり〜抜け駆けしてたんだね~巴は~」

「でもあこちゃん経由って言ってたし光先輩に何か力になってもらったんじゃないの?」

「なんか事情があるんじゃないの?」

「あこのやつさちょっと前まで自分の音に自信もてなくなっててその時あこのやつに発破かけてくれたのが光先輩だったんだよ」

本当は遊びに行く約束もしたけどそれだけは黙っとこと内心で巴は思っていた

「そんな事があったんだ」

「なら仕方ないかぁ〜」

「そうだね〜」

「うん」

やっぱりアタシの仲間は最高だと思う巴だった

 

光side

午後の授業を終え俺はcircleへ向かう今日はバイト初日だ

友希那達は後から来ると言っていたので一足先に向かう

「こんにちは今日からよろしくお願いします」

「いらっしゃい光君とりあえずオフィスに着替えあるから着替えて来たら掃除お願いね」

「わかりました、とりあえず着替えてきます」

そう言って俺はオフィスに入り着替えを済ませてオフィスをでて掃除用具を持って店内を掃除する30分程で掃除が終了するとちょうどまりなさんがやってきた

「お疲れ様〜綺麗になったね〜じゃあ受け付けお願い出来るかな?お客さん来たら希望を聞いて空いてるスタジオを進めて伝票を切っておいて、終了時間になったらお会計するだけだから簡単でしょ?アタシはポスターとか広告作ったりするのにオフィスにいるから分からないことがあれば呼んでね」

 

まりなさんはそう言って店の奥へと引っ込んで行った俺は読みかけの本を読み始めて10分程すると友希那達がやってきたので出迎える

 

「いらっしゃい」

「来たわよ光」

「やっほー光☆」

「こんにちは宮村さん」

「やっほー光兄ぃ」

「こん…にちは…」

それぞれが挨拶を返してくれる長話をするのもアレなので俺は一店員として接客するそれでも堅苦しいのはなしだ

「今日はどうするの?」

「そうね少し広めのスタジオを借りたいのだけれどちょうどいい部屋はいているかしら?」

「それなら7番が空いてるよ、時間はどうするの?」

「とりあえず2時間でお願い、みんな行きましょう」

そう言って友希那達は練習スタジオに向かった

俺はその姿を見送ると再び本に目を落とし読書を再開する

そこから更に30分程たった頃Afterglowの皆がやってきた

「いらっしゃい」

「おぉ〜光先輩だ~」

青葉さんが身を乗り出してくるので俺は一歩下がり接客モードで問いかける

「今日はどうしますか?」

「もちろん練習するのだ〜」

俺は苦笑しながら答える

「あぁうん、もちろんそれはわかってるよ。練習スタジオの大きさとか、使用時間とかそういう細かい事を聞いてるんだよ、ごめんね伝わりにくかったかな?」

「そんな事無いですよ、ちゃんと私達はわかってますから」

「ひまちゃん~ひかるん先輩の味方した〜」

「ちょっとモカちゃんさすがにその呼び方は不味いんじゃない?ごめんなさい光先輩」

俺は相変わらず苦笑しながら答える

「大丈夫だよ光先輩って呼ぶのとそんな変わんないし、俺的にはひかりって間違われたりする方が困るし」

「光先輩もこう言ってるし大丈夫っしょそれよりも早く時間決めて練習しようぜ」

「それもそうだね、2時間でお願いします広さはおまかせしますので」

俺は「了解」と一言、言ってから伝票を切り美竹さんに手渡す

「3番スタジオにどうぞお会計は帰る時にお願いします延長する場合は終了の5分前までにお願いしますね」

「わかりました、ほらいくよ」

そう言って美竹さん達は練習スタジオに入っていく、俺は内心で美竹さんがバンドのリーダーじゃないのは少し残念だと思いながらスタジオに入っていったのを確認するとオフィスに入っていきまりなさんに声を掛ける

「まりなさんRoseliaが30分前でAfterglowがたった今練習に入りました、Roseliaが7番Afterglowが3番スタジオ使用中です、何か手伝いましょうか?」

「こっちは大丈夫だから貸し出し用の楽器のメンテ頼めるかな受付しながらでいいから」

「わかりました」

俺はそう言うといているスタジオを回って貸し出し用のギターを回収してくると受付カウンターの椅子に座ってメンテナンスを開始する弦が緩んでいたり錆びたりしていないかなど一つ一つ確認していく、そしてそれが終わると汚れ等も確認し拭き取ったりしながら作業を進めていると休憩に入ったRoseliaのメンバーがスタジオから出て来た、

そしてあこちゃんが俺のところに駆け寄ってくる

「光兄ぃ~」

「あこちゃん、どうしたの?休憩?」

「うん!光兄ぃは何してたの?」

「これ?貸し出し用の楽器のメンテナンスだよ定期的にやっておかないと弦とかすぐダメになるからね、長く使ってもらう為にもしっかりやっとかないと」

そう言いながら俺は回収してきたギターのメンテ作業を進める

「よし、これでギターは最後っと」

「光兄ぃ手際いんだね〜」

「そんな事ないよ、でもずっと見てるの退屈じゃなかった?」

「あこは平気だよ!だってなんかどんどん綺麗になっていくんだもん見てて楽しかった!」

「そっか、よし、俺も小休止あこちゃんジュース奢ってあげるよ何がいい?」

「やったー!あこねコーラがいい我は漆黒の泉に湧きし炭酸という名の禁断の飲み物を所望する」

「わかったよちょっと待っててね」

俺は自販機でお茶とコーラその他水とスポーツドリンク等々を買い常備している袋に入れてあこちゃんに持たせる

「はいこれ、人数分あるから持って行ってあげて」

「ありがとう光兄ぃ」

あこちゃんはそう言うとスタジオに戻って行った

俺もカウンターに戻ると1度レジのインクや伝票用紙の残りを確認すると各スタジオに貸し出し用のギターを返却し今度はベースを回収してきて同じように作業して行くそして回収してきた全てのベースのメンテが終わるとRoseliaが練習を終えて出てきた

「今日はこれで終わりにするわお会計頼めるかしら」

「もちろんだよ、ご利用ありがとうございましたお会計600円です」

「これでお願いします。」

氷川さんが千円札をだしてきたので400円のお釣りを返す

「ありがとうございます。またのご利用お待ちしてます」

「いや〜光の接客姿新鮮だね」

「そうねそれには同意するわ」

「確かに〜そういえばあこも初めて見るな〜」

「まぁ基本日常的会話か歌ってる時くらいしか見ませんから」

「私は…その…ギターを弾いてるところしか見たことがないので」

「まぁ確かにね、普段から見てる姿に慣れると違和感かも」

「確かに光の言う通りかも普段の光って歌ってる時とかとのギャップありまくりだし」

「そうかな?あんまり変わらないと思うけど?」

俺はそう言って考えてみるが正直よくわからない自分としては常に全力で全てを伝えているから、だからこそ誰かに届くと思っているから

「そこまで考える事?」

「あぁ~うん、やっぱりよくわからないや」

「まぁ光はそうだよね〜歌ってる時は常に全力で何かを伝えようとしてるし」

「まぁいいわ、今日のところは帰りましょう」

友希那がそう言うと皆が頷きそれぞれの方向に解散していく

俺はそれを見送るとふと思い出し氷川さんにLINEでメッセージを入れておく日菜から氷川さんが直接あって改めてお礼をしたいと聞いた事そして自分都合は金曜日なら平気なことを伝えておく、それからしばらくしてAfterglowが練習終え戻ってきた

「お会計600円です」

「ちょうどですお願いします」

「はい、ちょうどいただきますね」

俺はレジを打ってレシートを作成し手渡す

「レシートですご利用ありがとうございます」

上原さんがレシートを受け取るとそのまま少し後ろの方で待っている他のメンバーのところに戻っていくと入れ替わりに巴さんが話しかけて来た

「光先輩折り入ってお願いがあるんですけど良いですか?」

「俺に出来ることなら喜んで」

「ならアタシらAfterglowのメンバーとも連絡先交換して貰えないですか?」

俺は正直驚いたなぜならもう少し無茶なお願いだと思ったからだ

「構わないけどなんでか理由を、聞いてもいいかな?」

「もちろんです。アタシやモカはそうでも無いんですけど蘭は家が厳しいですし、つぐみも家の手伝いとかあったり、ひまりも色々あって、なかなか光先輩の路上ライブ見に行けなくてだから、休みの日の昼とか夕方頃とかやってくれる時に呼んでほしんですよ。そのために連絡先を交換して貰えたらって思って」

俺はそう言う理由なら尚更必要な事だと思ったので改めて了承する

「わかったそう言う事なら尚更だねいいよ、LINEでいいかな?番号はLINEで送るから」

俺はLINEを起動させて、自分のコードを表示すると美竹さんが話しかけて来た

「光先輩、よかったら私達のグループに入りませんか?そうすれば私達全員と連絡先交換した事になりますしそこに番号送ってもらえればすぐだと思うんです」

「なるほど〜」

「私はいいよ」

「私も大歓迎です」

「モカちゃんも異議な〜し」

「アタシももちろんOK!」

「そういう事なんで」

俺は皆がいいなら構わないので了承する

「わかった巴さん俺をグループに招待してくれる?」

「わかりました」

巴さんがスマホを操作すると俺のLINEにグループの招待通知が来たので参加を押して簡単なメッセージと番号を送信する

皆は番号を登録してくれたようだ、すると今度は個別にLINEで番号が送られてきたので1人ずつ登録していく

「全員分終わったよ!何かあったら気軽にLINEしてくれていいからね」

俺はそう言うとスマホをポケットにしまうと同時くらいに上原さんが話しかけて来た

「あの!光先輩!お願いがあります私達のことも巴みたいに名前で呼んでください!」

「は?え?名前?」

「はい!出来れば呼び捨てでお願いします」

「えぇ!?それはちょっとハードル高いよ」

「そこをなんとか!お願いします」

上原さんが頭を下げて頼んでくるのでさすがにと思い声を掛ける

「わかった!わかったから!頭上げてひまり!」

俺が名前で呼ぶとひまりは目を輝かせて喜んでいた

「お願い聞いてくれてありがとうございます光先輩」

「じゃあ俺からも1つ条件、何かあったら必ず頼ってね、不器用な俺だけどそっと背中を押すかがむしゃらに励まして発破をかけてあげる事しかできないけど、それだけは出来るから、それで君達が前を向いて行けるなら俺はいつでも力になるよ」

「わかりましたその時はお願いします私達の背中を押して下さい」

「俺でよければ」

俺はそう言って笑いかける

ひまりは顔を真っ赤にして俯いてしまったいきなりだし恥ずかしくなったのかな?ほかのメンバーはあ〜あって顔して俺を見ている俺が悪いの!?そんなこんなでAfterglowのメンバーと別れたあと俺はベースを戻しに行き最後にキーボードをメンテする正直これが1番大変だ音割れや歪みがないか鍵盤を一つ一つ叩いて確認しなければならない音割れ歪みは調律すれば何とかなるが、音が出なくなったりしたらバラして組み直す必要があるため大変だ、夢中になって作業しているとまりなさんから声をかけられた

「随分丁寧にやってるわね」

「はい大切に使って欲しいですし何より音楽が悲しみます」

「へぇ〜音楽が悲しむね〜」

「音楽ってそのまま音を楽しむって書きますよねなら音楽にだって喜怒哀楽ってあると思うんです」

そう言って俺は鍵盤をひと叩きすると綺麗な音が鳴る

「ほら、音が喜んでる」

「ん〜ごめんあたしにはわかんないや、今日はそれ戻して上がっていいわよ」

「わかりました」

俺はキーボードを片付けオフィスに戻り着替えてからパーカーを羽織り帰る前にまりなさんに一言お疲れ様ですと一言声を掛けcircleを出る自転車の鍵を開け向きを変えると少しの間押して歩く、少し歩いた後自転車に乗ろうとすると1人の少女が目に入った。スカイグリーンの長い髪が夜風に揺れ月と星の光を反射しキラキラと輝く、俺はその光景を美しいと思った月や星の光は全て彼女の美しさを称えるためだけにあるのだと思わせられる光景だった、俺は声を掛けるのが躊躇われたが少女の方が俺に気づき微笑みかけてくる、その光景に俺は心臓が跳ねるその少女はゆっくりとこちらに近付いてきて話かけてくる。

「こんばんは宮村さん」

「あっあぁうん…こんばんは氷川さん、夜も遅いけど、どうしたの?」

「はい、LINEのメッセージを見させて貰ったのですが、早い方が良いかと思い迷惑かとは思いましたがバイトが終わる頃を見計らってこうして会いに来ました」

「そっか、なんか気を使わせたみたいでごめんね」

「気にしないでください。それよりも、これを返そうと思いまして」

そう言って氷川さんは紙袋を渡してきた、中には俺が貸したパーカーが入っていた

俺は受け取るかどうか少し考えた後話しかける

「よかったらまだ持ってて、せっかくだし歩きながら話そう、前にも行ったけど暖かくなってきたとはいえ夜はまだ少し冷えるし、せっかくならそれ着ててよ」

「ですが、せっかくこうして持ってきたのですし受け取って頂かなかいと困ります」

俺はまた少し考えてから話しだす

「わかったそこまで言うならこれは受け取るよ、その代わりちょっと氷川さん後ろを向いててくれる?」

そう言って俺はパーカーを受け取るとさっきまで着ていた方のパーカーを氷川さんの肩にかける

「あの!これは?」

「俺がさっきまで着ていたやつ着ててよ俺はこっちを着るからさ」

そう言って俺は氷川さんが持ってきてくれたパーカーを羽織ると「行こう」と声をかけ自転車を押して歩き出す

そして俺達は氷川家近くの公園に足を運んでいた

俺達はベンチに座ると話し出す

「それでどうしたの?」

「はい、まずは謝罪と御礼を言われせ下さい、いきなり来てごめんなさいそして日菜との事助けになってくれてありがとうございました」

頭を下げて来た氷川さんに俺は慌てて言葉を返す

「とりあえず頭上げてよ!俺、どうしていいかわかんなくなるし!」

「わかりました」

氷川さんは顔を上げてくれたので再度話し出す

「約束の予定は金曜でしたが早い方が良いかと思い伺いました、日菜との事も直接あって御礼を言いたかったですし、それにその後に朝食とお弁当まで用意していただいてしまってありがたいやら申し訳ないやらで」

「そっか、でも本当に気にしないで、俺は好きでやったことだし、今の事だって責める気はないんだ」

「あなたはそう言いますがそれでは私の気がすみませんなのでどんな小さな事でもいいので何かさせて下さい」

俺は考えるが特別な事がなかったので1つ提案をしてみた

「ならさ、氷川さんの事これからは紗夜って呼びたいんだけどダメかな?」

「そんな事で良いんですか?」

「うん、日菜もだけど紗夜って名前も俺は素敵だと思う日菜が日の光なら紗夜は月の光優しく静かに俺達を照らしてくれる月の光、紗夜にピッタリだと思うしもちろん名前もだけど紗夜自身もとっても綺麗だよ、さっき俺を待ってた時の紗夜がすごく綺麗で印象的だったから名前で呼びたいなって」

俺が微笑みかけると紗夜は真っ赤になって俯きながらも

「わかりました」と言ってくれた

「紗夜、俺からもう一つお願いしていいかな?」

「なんですか?」

「紗夜にも俺の事光って呼んで欲しい」

「それは…」

「もちろん最初のうちは君付けで構わないからさ」

「あなたがそう言うなら、光…君」

「うん、紗夜」

俺が名前を呼ぶと紗夜は顔から湯気が出そうな程赤くなっていた

「紗夜?どうしたの?大丈夫?顔真っ赤だよ」

「っ!誰のせいですか!誰の!」

「えっ!?ごめん俺のせい!?」

「ハァ…全くあなたって人は」

「アハハ…なんかごめん」

「もういいです」

なんだかんだで結局俺は紗夜を家まで送り届け家路に着いた

そしてその後は特に変わった事はなかったが土曜に丸一日circleでのバイトがありそれが大変だったなんでも機材の総点検をしたかったらしくかなりの数の機材を運搬したおかげでクタクタだ、でも19時には上がれたので幸いだった。

自宅に帰りシャワー浴びて部屋に戻りスマホを確認するとあこちゃんからLINEが入っていた内容は待ち合わせの場所と時間が記載されていてその他には時間に遅れないようにとの事だったので俺もあこちゃんに寝坊しないでねと返しその日は就寝した。

 

 

そして当日俺は待ち合わせ場所である駅前に約束の時間の10分前に到着し2人を待った、そして時間ピッタリにあこちゃんとその姉の巴さんがやってきた。

「光兄ぃおはよう!」

「うん、おはようあこちゃん巴さんもおはよう」

「おはよッス光さん休みの日なのにすいませんあこに付き合ってもらって」

「アハハ、大丈夫だよ特に予定も無かったし誘って貰って良かったよ」

「光兄ぃこれからどうする?」

「ちょっと待っててね」

俺は一言入れてスマホで色々調べてから提案する

「じゃあ時間も早いしどっかでお茶してからあちこち見て回ろうか」

「あこは賛成〜」

「アタシも異論無いです。なんならつぐみの所に行きますか?あそこなら多少混んでても大丈夫だと思いますし」

「じゃあそこにしようか、案内をお願いできる?」

「任せてください」そう言って歩き出す巴さんに俺とあこちゃんが続く、途中であこちゃんが俺の袖を引っ張って来たので立ち止まり話しかける

「どうしたの?疲れた?」

「ううん、はぐれると嫌だからあこ光兄ぃと手繋ぎたい!」

「確かにはぐれたら困るもんね、いいよ手繋ごうか」

「うん!お姉ちゃんも手繋ごう!」

「あこが言うなら仕方ないな繋ぐよ!」

そう言って俺達はあこちゃんを真ん中にして再び歩き出す

俺は何となくふと思った事を口に出す

「こうしてると仲のいい兄妹、姉妹に見えるかな?」

「どっちかって言うと親子じゃないですか?」

「だとしたら光兄ぃがお父さんでお姉ちゃんがお母さん?」

「アハハ、まだ10代なのにお父さんって呼ばれるのは勘弁だなせめて兄妹、姉妹かな」

「そりゃアタシだって嫌ですよあことは仲のいい姉妹でいたいですしね」

俺がそう言うと巴さんも笑いながら答えてくれた

あこちゃんがとんでもない爆弾発言をなんの悪意もなく言い出した

「ならさならさ!光兄ぃとお姉ちゃんが付き合っちゃえば良いんだよ!」

「「はい?」」俺達の声が重なった

俺は深呼吸して苦笑しながら答える

「あこちゃん残念だけどそれは無理だよ、俺達はお互いにお互いの事嫌いじゃないけどお互い知り合って間も無いし、それに俺達はまだお互いに友情を深めてる真っ最中だからね」

「そうだぜあこ〜それにもし仮にアタシが光さんと付き合ったりしたら光さんのファンに恨まれるよ!」

「え?なにそれ?俺にファン?聞いた事無いして言うかファンがいる事自体が初耳なんだけど?」

「あこもあこも!光兄ぃにファンがいるって知らなかったよ?なんでなんで?」

あこちゃんの発言と同じくらいに俺は衝撃を受けた

「じゃあその辺も含めてお茶でもしながら話しましょ着きましたよ」

巴さんがそう言うと俺達はいつの間にか羽沢珈琲店の前に立っていたのでとりあえず入店する

「いらっしゃいませ」

つぐみが笑顔で接客中だ

「よぉ~相変わらずつぐってるな〜」

「つぐちゃん先輩久しぶり〜」

「うん、久しぶりあこちゃん巴と一緒にお出かけ中?」

「光さんもいらっしゃい珍しいですね光さんが喫茶店に来るなんて」

「あぁ~うん、何処かでお茶でもしようかなと思ってたら2人と会って良かったら一緒につぐみの働いてる姿見に行きませんか~ってさ巴さんが」

「そうなんですか、こんな姿で良ければいくらでも見てください光さん」

そう言ってつぐみはくるりと回ってみせる

俺は頬を掻き苦笑しながら答える

「じゃあお言葉に甘えてエプロン姿の可愛いつぐみを目に焼き付けて帰ろうかな」

「光さんもしかして口説いてます?」

「俺が?なんで?」

「光さんそんな事ばっかり言ってるとファンの子にいつか刺されちゃいますよ?」

俺は苦笑する正直またそれかと思ったのが正直な所だ

「あのさ、巴さんも言ってたけど俺のファンってどういう事なの?」

聞き返すと逆につぐみはきょとんとする

「もうすぐ休憩なんで、そこのテーブルで話しましょう私と巴ちゃんでわかる範囲なら教えますから」

俺達はつぐみについて行きテーブルに案内される

「ご注文は?」

つぐみに聞かれたので俺はメニューを確認する

「じゃあ俺はアイスコーヒーとクッキーのセットをお願い」

「アタシはカフェオレとクッキーのセット」

「あこもあこもクッキーのセット飲み物はコーラで」

「つぐみは?」

「私はミルクティーのクッキーセットって私までいんですか?」

「逆になんで?一緒にお茶しようよ小休止、これからお昼時には忙しくなるんでしょ?」

つぐみは困った表情を浮かべたので俺は立ち上がり店の奥にいるであろうつぐみの両親の所へ行き休憩時間をくれるよう頼むと案の定昼から忙しくなるため今のうちに休んでおけと言ってくれたのでそれを伝えるために席に戻る

「OK貰ってきたよ注文は、後から持ってきてくれるって」

「光さんうちの両親に何を言ったんですか?」

「俺はただ少しの間つぐみに休憩させてあげてくださいってお願いしただけだよ?」

「嘘です絶対光さんなんか隠してますよね?」

「残念ながら何もないよ」

つぐみは最後まで疑っていたが諦めたのか俺の横に座ると話しだす

「それで先輩のファンの話でしたよね?とは言っても私達から言えるのって特別無いんですよね」

「だよな~とは言っても知ってる事と言えば1、2年の間ではオシャレでカッコイイ良くて歌が上手いって噂くらいかな?」

「いやいや、ンなアホな!オシャレでカッコイイ?俺が?それにいつも思うけど制服姿でオシャレだのカッコイイだの言われてもな〜」

「でも本当の事ですよ?現に私服姿もオシャレだと思いますし、先輩路上ライブとかやってますよね?あれの影響もあると思うんですよね私は」

「いやいや待ってくれる?ならさ、俺がファンの子に声掛けられないのはなんで?」

「そりゃあ先輩が常に友希那先輩やリサ先輩後、日菜先輩と一緒にいるからだと思いますよ?2年じゃあ有名人ですからあの人ら友希那先輩とリサ先輩は言わずもがなRoseliaとして注目されてるしファンももちろんいます。それに日菜先輩は突拍子もない行動で周りを振り回すけど、最後にはみんな笑ってる学年のムードメーカーですよ?それに3人とも美人や美少女でしょそんな2年の美人所3人と一緒にいたら近寄り難いと思いますよ?」

「あぁ~何となくわかったよ」

何故か納得が言った俺だった、言われて見ればクラスや後輩の女子達は友希那達がいない時に俺に話しかけて来ていた

「まぁ俺としては歌ってる時以外はあまり注目されたくないしな〜とりあえず今のままでも目立ってはいるんだろうけど、特別な事がない限り現状維持かな」

そんな事を話していると俺達が頼んでいた飲み物が運ばれて来たので俺達は談笑に興じる

それから少しして店が混み始めたので俺達は羽沢珈琲店を後にする。俺はこれからどうするか相談してみる

「これからどうしようか?お昼にはまだ早いしもう少しあちこち見て回ろうか?」

「あこゲームセンター行きたい!」

「アタシもちょっとリズムゲームとかで身体動かしたいですね、後対戦ゲームとかで熱くなりたいです!」

「アハハ、うんわかったじゃあゲームセンターに行こう」

俺達はあこちゃんを真ん中にして手を繋いでゲームセンターヘと向かう、そしてゲームセンターに着くと俺達はまずあちこち見て回るそして俺達は太鼓の達人へと行き着く

「光兄ぃってドラムも出来るんだよね?ならこのゲームで対戦しよう」

「ならアタシも対戦したいですね」

「わかったならさ1人3回ずつ計6回戦って最終勝利数が少ない人がジュース奢りってのでどう?」

「乗りました!」

「あこもOK〜!」

2人の同意が得られたので対戦を開始するそして最終結果は僅差で俺の負けだった

結果は

俺が3勝2敗1引き分け

巴さんが4勝1敗1引き分け

あこちゃんが4勝2敗だ

俺は自分の分も含め飲み物を買うと2人の所へ持っていく

「はいどうぞ2人とも」

「ゴチです」

「ありがとう光兄ぃ」

「さてもう少し遊んで行く?」

「あこ3人で写真撮りたい」

「プリクラかぁ久々だなぁ地元にいた時俺を含めた昔の仲間達で撮った時以来だな、良いよ一緒に撮ろうか」

「アタシも構わないです」

「じゃあレッツゴー!」

俺達はプリクラコーナで3人でプリクラを撮る

写真に落書きする際あこちゃんは俺が真ん中に写ってる写真に光兄ぃと遊んだ記念と書いていたのが目に入った俺はちょっとした悪戯心で仲良し兄妹仲良し姉妹と書いておいた

そして写真が印刷された際俺と巴さんで1枚を半分に切り分け1枚はあこちゃんにあげた

「ありがとう光兄ぃ」

「どういたしまして、次は服でも見に行こうか?」

「でもその前にお昼ですね、ショッピングモールのフードコートでお昼にしませんか?」

「俺は良いけどあこちゃんは?」

「あこも良いよ~」

「じゃあ決まり」

俺達はショッピングモールに向け歩き出す。

ショッピングモールへ向かいながら先程のゲームセンターでの話になった

「そういえば光兄ぃってドラムも出来るんだよね?今回は光兄ぃが圧勝してあこかお姉ちゃんがジュース奢りになるのかなぁって思ってたから、あこ意外だなって思ってさ」

「それは私も思いました、もしかして手加減してくれたとかですか?」

「いやいやまさか、手加減はなんか失礼な気がして本気でやったけど、譜面に合わせて演奏したりするわけじゃないから調子狂うというか、上手く言えないけどさ、自分の中で違う、こうじゃないって感じがずっとあって上手く調子が出せないんだ」

俺はそう説明する実際言葉にすると本当にそんな感じなのだ

それがゲームだからなのかドラムでなく太鼓だからなのか、正直よくわからないのだ、そんな事を考えているとあこちゃんから別の質問が来た

「ならさ他のゲームだったらどうだったのかな?お姉ちゃんとリズムゲームで対戦してるとこ見てみたかったぁ」

「どうだろう?確かにダンス経験はあるけどリズムを刻むのってなかなか難しいからね」

「光さんそんな事言いながら、あれこれ手の内隠してませんか?な~んかはぐらかされた感凄いんですけど」

「正直隠してるつもりは無いんだ、俺は不器用だからその場その場で出来ることをやってるからね」

俺はそう言って笑いかける2人は不思議そうな顔をしていた

そして服を見て回る中で見ていてわかった事は

あこちゃんは中二っぽい服がお好みなのか、片袖が長い代わりに片袖がなかったりどことなく陰陽師を思わせるような服装であったりに目を輝かせていた、巴さんの方は革ジャンやダメージジーンズなどを見て回って楽しんでいる、俺はどうしようかと辺りを見回しているとアクセサリーショップがあったので2人に断りを入れてアクセサリーショップを覗く

色々見て回っていると紫のハートがあしらわれたチョーカーを見つけたので手に取ってみる

「あこちゃんに似合いそうだな〜」

そしてその隣には似たようなデザインの髪留めがあったのでそちらも手に取ってみる

「こっちは巴かな」

俺は値段を確認するとどちらも手頃な値段で両方買ってもなんの痛手にもならないので購入し2人の所へ戻る

「おかえり光兄ぃどこ行ってたの?」

「隣のアクセサリーショップだよ、ちょっといいものを見つけたから買っておいたんだ」

「何買ったか聞いてもいいですか?」

「ん〜ごめんね、まだ内緒解散する前に教えるよ」

「ならあこもそうする~」

「あこちゃんも何か見つけたの?じゃあ楽しみにしておくね。」

「うん!」

それから俺たちはショッピングモール内のゲームセンターに行き巴さんの要望でレースゲームやシューティングゲーム

バスケットのゴール数を競うゲームなど数種類の対戦ゲームをした後、いい時間となったので解散する事にした

「光兄ぃ今日は遊んでくれてありがとう」

「こっちこそ今日は久々にガッツリ遊んで楽しかったし」

「アタシもです、いつものメンバーと遊んだり練習したりするのも、もちろん楽しんですけど、今回はまた違った楽しさがあってアタシもついついはしゃいじゃいました」

「アハハ、楽しんでもらえたなら何よりだよ、じゃあ最後に2人にプレゼント、今日の記念にね、2人とも後ろ向いて」

「こうでいいの?」

「これでいいですかね?」

俺は後ろ向い他2人に近付きまずあこちゃんの首にさっき買ったチョーカーを少し緩めに付けてあげる、そして巴さんに近付く

「巴、髪に触れるけど良い?」

「大丈夫です」

と返答が返ってきたので、俺は髪に触れ髪留めを付けてあげる

「2人とも良いよ」

「光兄ぃこれ」

「うん、あこちゃんに似合うかなってさ」

「可愛いしちょっとカッコイイ!」

「そう言うと思ったよ、うん思った通り似合ってる」

「ありがとう光兄ぃ」

「どういたしまして」

そう言って俺はあこちゃんの頭を撫でる

「あの!光さんアタシのこれは?」

「あこちゃんと色違いの髪留め巴の綺麗な髪に似合うかなってさ」

「でも、アタシにこういうのって似合わなくないですか?アタシ女っぽくないしこういうのはちょっと」

そう言って俯く巴に俺はどうしたもんかと考えたがありのままを伝える事にした。

「巴さん、俺はさ別に巴さんを女っぽく無いって思った事は知り合ってから1度もないよ、それにさ、俺はこういうのよく分からないけど、せっかく綺麗な髪してるんだからさ、その髪をさらに綺麗に飾ってあげようよ似合う似合わないは自分でも他人でも価値感というかそういうのはそれぞれだけどさ少なくとも俺は似合うと思ったからそれを選んだんだよ」

 

俺がそう言うとあこちゃんもそれに続くように声を掛ける

「あこもさその髪留めお姉ちゃんに似合うと思うよお姉ちゃんは確かに可愛いとかそういうのじゃないかもしれないけど、だからって可愛いものを身につけちゃ行けないって事はないと思うな」

「そうだね、カッコイイの中に一つだけ可愛いがあっても問題無いんじゃないかな?」

「そうなんですかね、アタシはこういうのとは無縁だと思ってましたけど1つくらいあっても良いのかもしれないですね」

巴さんはそう言うとはにかんだ笑顔を浮かべそしてあこちゃんが俺に小さな箱を差し出してきた

「光兄ぃこれは私達から、開けてみて」

俺は受け取り箱を開ける中身はスペードからクローバーまでの4種のピアスだった

「あたし達からの今日のお礼です受け取ってください」

「あたし達も光兄ぃから貰ったからこれであいこだね」

「ありがとう、今度つけてる姿見せるね」

そう言ってあこちゃんの頭を撫でたあと巴さんと握手を交わした、そして俺達は解散しそれぞれ家路に着く俺は家に着くとスマホを充電してからシャワーを浴びに行き戻ってきて夕食を済ませてからスマホを確認すると巴さんからメッセージが来ていた。

内容はさっきの髪留めについて触れており出来るだけ身につけて歩くとの事俺は自分の中で区切りというか気持ちの整理が着いたなら良かったと思いそれをそのままメッセージで伝えると(ありがとうございます)と返答が来たので(こちらこそ今日はありがとう)と返答し少し早いが就寝する事にした、そして月曜日いつも通り授業を受け昼休み限定のミニライブをした後簡単な用事を済ませてからcircleへ向かうと友希那と蘭が何やら険悪な雰囲気を醸し出していた、2人は俺に気付くと左右から俺の腕を掴み俺は引きずられていく

そして連れていかれた先はスタジオだった

「え~と俺はなんでここに引きずられてきたの?」

「「決まってる(じゃない)(じゃないですか!)」」

「うん、だから何が?俺全く話が見えないんだけど」

「仲裁に入って欲しいのよ」

「俺が?」

「光さんしか頼めないんです!」

俺は困惑する一方だ、とりあえず何があったのかを尋ねる

「え〜と、とりあえず何があったの?」

「簡単に言うなら価値感の違いです」

蘭がそう言うので友希那の方を見ると友希那の方も

「そうね、それが1番間違いのない回答よ」

と言うので俺は尚更わからなくなるなので一旦友希那と蘭にその場で待っていてもらい他のメンバーに話を聞きに行く、ロビーでは他のメンバーが勢揃いしていたので俺は声をかける

「あのさ、いったい何があったの?事情知ってる人いる?」

そう問いかけるが皆が黙っているので俺は更に質問する

「みんな何も知らないって事で良いの?」

皆、誰一人として口を開かない沈黙は是なりと言うが今の状況がまさにそうだろう、俺は悩んだ結果全員にこう問うことにした

「皆は今のままでいいの?2人が仲違いしたままで言いわけないよね?」

今度は全員が頷いた なら答えは簡単だ

「ちょっと強引な方法ではあるけど解決策があるよ」

俺のその言葉に全員が注目する

「その方法ってどんな?」

その場にいる全員を代表してリサが聞いてくる

「簡単だよVSライブをすればいい。ただし!RoseliaとAfterglowとしてじゃないあくまでもボーカリスト湊友希那と美竹蘭としてだ」

俺の言葉に全員が驚愕の表情を浮かべるが俺個人はそれで終わらせるつもりはない、何故なら

「俺も出るからねそのVSライブ」

俺のその発言に全員がぽかんとなったあと全員が声を揃えて「え〜!?」と驚いていた

そんな中状況がいまいち掴めていないのかあこちゃんが話しかけてきた

「光兄ぃ具体的にどうするの?」

「俺の歌であの二人を殴って引き込む俺の世界に」

「それは確かに光兄ぃにしか出来ないね光兄ぃは歌う曲決めたの?」

「まだだよ、楽しみにしててね貰ったピアスもちゃんとつけるからね」

「ホント?やったー」

あこちゃんとそんな会話をしていると毒気が抜けたと言わんばかりにほかのメンバーも話しかけてきた

「光さぁとりあえず方法はわかったけど、光だけじゃなくて2人の曲どうするの?」

「それは決まってるよ」

「早!!でも2人の歌ってるとこ見たことあったっけ?」

「残念ながらまともには練習でちょっと聞いたくらいだけど、問題ないよ」

俺は既に2人にぴったりな曲を見つけていた、もちろん2人に話すのはこれからだが、難しいなら乗らざるを得ないように煽ればいい

「詳しいことは明日話すよとりあえずもう一度2人と話してくるよ」

俺はそう言うと2人の元へ向かった

「おまたせ」

2人は不機嫌そうな顔をしてこっちを見る

「遅かったじゃない」

「そうですね、何はなしてたんですか?」

俺は1度深呼吸してから話し出す

「お前達2人とも価値感の違いから今に至るならお互いの意地とプライドを賭けて歌で争えばいいよ!ただし俺も出るよ2人ともソロで俺に挑んでね課題曲もこっちで決めさせてもらうもちろんお互いのためにも不正はしないとここで誓うよ、必要なら誓約書でも書こうか?」

「必要ないわあなたがそう言うなら私は信じるわ」

「そこだけは私も友希那先輩に賛成です、光さんに限って音楽を裏切るようなことは絶対にしませんから」

そこまでの信頼があったことは想定していなかったがまぁいい、俺はさっきの内容をまんま伝える

「なるほど面白いかもしれないわね良いわ課題曲は明日教えて貰えるのよね?」

「あぁもちろんお互いの課題曲は明日渡すライブは土曜の夜だ、今日が月曜な事を考えると4日と半日は問題なく練習出来るだろ」

「確かに、わかりました課題曲楽しみに待たせてもらいますからね光さん」

「了解!あっ、ちなみに友希那と蘭が俺に負けたら2人でデュエットしてもらうからそのための曲も用意するからね」

「仕方ないわねあなたは言い出したら意外と頑固だもの」

「でも、負けたらの話ですよね?私達のどちらが勝ったらどうするんですか?」

「俺を1日好きにする権利をあげるよ、俺に支払えるのは俺自身だからね」

俺は2人に俺自身を生贄に差し出す2人は考えている

「質問してもいいかしら?」

「どうぞ友希那」

「例えばだけれどあなたの奢りでケーキバイキングなんてお願いをしても良いのかしら?」

「それが望みならね」

「じゃあ私のためにLove Songを歌ってくださいって言ったら聞いてくれる訳?」

「俺の歌が聞きたいなら」

俺は簡潔に答える2人はお互いの顔を見合わせると頷きあい

「それで(いいわ)(OKです)」

と声が重なって聞こえたので俺も了承すると2人はそれぞれのバンドに戻って行った、俺はまりなさんの所に行き土曜の夜に会場を提供して欲しい旨を伝えるとあっさりOKが出たなんでも

「このままあの子達がここを利用してくれなくなるのは寂しいから出来ることがあるなら」

と協力してくれた俺は早々に上がらせてもらい家に帰り作業を開始する2人の課題曲とデュエット曲の準備だ俺自身の課題曲は後でいい今はあの二人の価値感の違いから生じた仲違いを仲裁しその後で俺の世界に引き込む絶対あの二人はお互いに、お互いを、認めてるからこそ起きた衝突だ俺はそんな事を思いながら作業に没頭しているとスマホがなった画面を見ると紗夜からの着信だ、俺はベランダに出ると通話をタッチし電話に出る

「もしもし紗夜?どうしたのこんな時間に?」

「光君?夜分にごめんなさい、色々聞きたいことがあってどうしても、いても立ってもいられなくて」

「何か心配事?」

「光君今回もあの姿になるのですか?」

俺は紗夜の心配事がなんなのかわかった気がした

「今回はならないつもりだよ、それにあの時は必要だと思ったから」

「どういう事ですか?」

「あのままだったら紗夜は精神的な意味で潰れてたでしょ、だから本気できっかけと言うか時間が必要だと思ったから」

「そうですか、なら今回はどうされるつもりですか?自分の世界に引き込むと言っていましたが、そのための曲も光君の事だから準備出来てるのでしょう?」

紗夜のその言葉に俺は少し驚いた俺自身いくつか候補は出していたからだ正直見透かされた気分になる

「紗夜気づいてたの?」

「正直いくつか候補は上げているものと思っただけです」

「まぁ実際候補はねいつくか出してあるよ」

「今聞くのも野暮だと思いますので詳し事は聞かないでおきます、その変わり必ずあの二人を和解させてください」

「約束するよ俺の音楽に誓って」

「わかりました、VSライブ応援してますね」

「友希那は良いの?」

「もちろん湊さんも応援はしますでも今回は湊の味方にはなれませんから」

「わかった、ありがとう。じゃあおやすみ」

「おやすみなさい」

俺は電話切ると再び作業に没頭する、しばらくして作業を終えた俺はシャワーを浴びた後就寝する

朝、俺はアラームで目を覚ます寝ぼけ気味の頭を軽く降り起き朝食を済ませ荷物を持って学校へ向かう、学校に着くと早速日菜が飛びついてくる

「おっはーよ〜ひ~くん 」

「おはよう日菜、朝から元気だな俺は寝不足だよ」

「夜更かし〜?ダメだよ〜睡眠は大事だよ〜目覚めが悪いと朝からるんってしないからね〜」

「それもそうだね」

そんな事を話しながら俺達は教室へ向かう、教室へ着くと友希那がもう来ていたので課題曲を早速渡す

「友希那これ課題曲と蘭とのデュエット曲」

「デュエットする前提なのねまぁいいわ」

友希那と話していると日菜が俺の腕に引っ付いて来る

「2人で何話してるの〜?」

「土曜にやるVSライブの話だよ、俺と友希那と1年の美竹蘭って子と3人でね」

「ひ~くんライブするの?アタシも行きたい!」

「良いよ、予定がないならね…って言うか日菜いい加減離れてくれない?」

「なんで〜?いいじゃん!」

そう言って更に引っ付いて来る日菜、俺なんとなくされるがままだが何気に思った事を聞いてみた

「日菜 、最近スキンシップ過激じゃない?」

「そうかな?アタシはいつもこんな感じだったと思うけど」

俺は思い返してみるが過激になったように感じるそう思い友希那に聞いてみる

「友希那はどう思う?」

「そうね、確かにココ最近過激な気がするわ」

「だよね~」

などと話しているとリサがやってきた

「おっはよう☆友希那今日なんで早いの?」

「光から課題曲を受け取るためよ放課後すぐに練習出来るようにね」

「そういう事ね光〜結局友希那の課題曲何にしたの?」

「CHAINだよあれが友希那に1番あってるからね」

「そうかな?アタシ的には雲雀も良かったと思うけど」

「ん〜正直どっちも捨て難いとは思ったけどねこっちかなって思ってさ」

「そっか、まぁなにか手伝えることがあったら言ってね今回はRoseliaのライブじゃないし力になれるだろうし」

「なら早速頼みたいんだけど、これ何とかして」

俺はそう言って引っ付いている日菜を見ると日菜は我関せずと言った表情で微笑んでいる

「アハハ〜日菜とりあえず離れなよ、教室じゃあ人目もあるし光も困ってるしさ」

「えぇ〜つまんないし、るんとしないよ」

「まぁまぁ、とりあえず一旦離れよホームルームも始まるしそれに今日の放課後circleに来れば紗夜にも会えるからさ〜」

「りさちーがそう言うならそれにお姉ちゃんにも会いたいしね、ひ~くん困らせたって聞いたらお姉ちゃんに怒られちゃうかもだし、ひ~くんまた後でね〜」

そして俺はホームルームを終えた後1年の教室へ向かった、向かう途中で蘭に連絡を入れる

「もしもし、蘭?今良いかな?昇降口の辺りにいるんだけど」

「何?なんか用なの?」

「VSライブの課題曲だよ!届けるから教室教えてくれないかな?向かうから」

俺がそう言うと電話の向こうでバタバタと音がした

「蘭?大丈夫?」

「大丈夫だから!教室は来ないで!私が行くから!騒ぎになるからやめて!」

「なんでだよ!まぁいいけどさ、とりあえず昇降口で待ってるからね」

「わかった今行く!」

蘭がそう言って電話を切ったので俺はそのまま少し待つことにする。すると5分もしないうちに蘭がやってきた

「おはよう蘭」

「おはようじゃあないよ!光さん自分が目立つ存在だって自覚してよ!私気まずかったんだからねひまりには半泣きで怒られるし他の人からも凄い注目されて恥ずかしかったんだからね!」

「悪かったって!怒んないでよ、とりあえずこれ課題曲とデュエット曲いれたやつだから」

「私が負ける前提なのね!見ててよ光さん!絶対目にもの見せるんだからね!」

蘭はそう言うと去っていったなんか、台風みたいなやつだなと思った俺だったその後教室に戻り授業を受けその後のお昼はミニライブで告知をして放課後すぐにcircleへ向かう俺は時間が許す限り練習し蘭と友希那もバンドの練習終わりに自分の練習に勤しんでいた、そして迎えた土曜日、俺は会場の準備のために朝からcircleだ昼過ぎまでかかって舞台を整える

「見てろよ2人とも俺の歌でぶん殴って俺の世界に引き込んでやる!」

俺はそう意気込み静かに闘志を燃やす、俺は1度練習した後家に帰り仮眠をとりそして時間前に会場入りする

友希那と蘭もすでに会場入りしていた俺は2人と軽く言葉を交わし舞台へと上がるとスポットライトに照らされた

「ようこそVSライブへ今日は盛り上がって行ってくださいでは今回のVSライブのメンバーを紹介します、まずはRoseliaのボーカル湊友希那!」

俺が名前を呼ぶとスポットライトが友希那を照らす

「全力で行くわ」

友希那のその言葉に歓声が上がる

「2人目はAfterglowのギターボーカル美竹蘭!」

蘭は紹介されたと同時にギターをかき鳴らす

「いつも以上の全力をもってやってやる!」

いい覚悟だ、気合いも十分だろう

「そして最後にこの俺、表現者宮村光!俺の世界に引き込まれる覚悟はある奴はいるか!」

俺が叫ぶと会場の皆が乗ってくる

「では1番手の友希那後は任せた!」

俺はそう言ってステージ袖に下がる

友希那視点

「1番の栄誉を与えられた湊友希那よ皆、準備は良いかしら?いくわよ!CHAIN」

私の声に合わせて曲が流れ私は歌いだす

 

『帰る場所を見失って蠢いた空でカラス達が鳴いている

出口のない迷路の中進んでく程に零れ落ちる希望の欠片

解けそうにないな机上の空論じゃ

不公平なシステムを全身全霊で壊して

決めらたルールを欺いて進んでゆけ

この真っ暗な夜を切り取って悪い夢から覚めたいから

果てしない旅路を行く制御されない未来を今この手に

僅かな光しかなくたってギリギリでも生きていたいから

真実を掴みにゆけ凍てついた心溶かすから

もう二度と迷わない』

 

私はただ全身全霊で歌う光が選んでくれた私にピッタリだと言ってくれた曲を

 

『閑散とした交差点嘲笑ってくるオーロラビジョン睨みつけ

秩序のない迷霧の中奪われた絆痛み抱え走り続ける

描いたエンディングを孤高の旗掲げてゆけ

この悲しい夜を追い越してたどり着ける場所があるなら

イバラの道を貫くどんなに傷ついても振り返らない

叶わない夢だったとしてもあの日の声が聞こえるから

果たしたい誓いと行け

確かに掴んだこの絆をもう二度と離さない』

 

光はやっぱり凄いこれほど私に相応しい曲もそう無いだろう自分で自分を縛るなと言われてるみたいで嬉しくもあり悔しくもあるわね

 

『今は会えなくても守りたいただ笑顔だけ

君と繋いだ思い約束だけを胸に抱いて

千切られた絆の糸は必ず取り戻せるから

この真っ暗な夜を切り取って悪い夢から覚めたいから

果てしない旅路を行く制御されない未来を今この手に

僅かな光しかなくたってギリギリでも生きていたいから

真実を掴みにゆけ確かに掴んだこの絆を

もう二度と離さないもう二度と離さない』

 

歌い終えると私には確かな手応えを感じた

「全力を出し切ったわ、気に入ってくれたなら1票を投じてくれると嬉しいわ」

そう言って友希那はステージ袖に下がって行った

 

 

蘭視点

今度は私の番だいつも通り全力でやれる事をやりきろう!

私は舞台に出て行く

「こんばんは美竹蘭です!今日もいつも通り全力で演奏するのでよろしくお願いします行くよ!Crowsong!」

私は演奏を始める全力でこの音楽を奏でる

 

『背後にはシャッターの壁指先は鉄の匂い

進め弾けどのみち混むでしょ

FindawayここからFound見つけるRockを奏でろ

遠くを見据えろ息継ぎさえ出来ない街の中

星空が最高の舞台カラス達カーカーと鳴くよ

いつも思うよいつ寝てるんだろFindway私もsongfor歌うよRockを響かせcrowと歌うよ

何時までこんなところにいるそうゆう奴もいた気がする

うるさいことだけ言うのなら漆黒の羽に攫われて消えてくれ』

 

まだまだ行けるこの歌は私の歌だ!光さんが選んでくれた曲最高だよ

 

『全力でも倒れそうだ指もすり切れて痛い

でもねやるよ今夜もビックストーリーFind awayここからFound out見つけるRockを奏ろLuckを歌うよ

いつまでだってここにいるよ通り過ぎていく人の中

闇に閉ざされたステージで今希望の詩歌うよ

あなただって疲れてるでしよその背中にも届けたいよこんな暗闇の中からの希望照らす光の歌をその歌を』

 

あぁ演奏が終わるまだ終わって欲しくないでも終わらなきゃ、そんな名残惜しさと共に私は演奏を終える

「次は光さんの番です演奏見せてもらいますよ!」

蘭はそう言ってステージ袖に下がって行ったようやく次は俺の番だな絶対に

引き込んでやるからな!俺はそう思いながらステージに上がると辺りを見回す

「こんばんは光です今日はVSライブに来てくれてありがとうございます。俺は2人と音楽をぶつけ合うためにここにいますそして俺からは2曲用意してあります演奏する前に友希那!蘭!お2人ともも客席へ下りて俺の世界に引き込んであげる!」

そう言ってステージ袖にいた2人に向かって声を張り上げる

「良いわ!特等席から見てあげるわよ」

「光さんがどんな世界を見せてくれるか楽しみです」

そう言って2人は観客席の1番前に立った、俺はそれを確認すると観客全員に話しかけるように言葉を向ける

「では1曲目聞いて下さい以心伝心」

俺は演奏を開始するまだだまだ早いもう少し、そう自分を律しながら歌い出す

 

『上手くいかなくたってくよくするなよ転んだ自分を笑っちゃおうぜ

組み合わせ次第で可能性は無限ぜんぶ試しちゃおうぜ

たとえ小さな1歩も恐れないで踏み出そう

やがて大きな進歩に変わるさいつか必ず

僕と君との情熱はいつでも以心伝心さぁ!

最高のバトルを始めようnextstage

今よりもレベルアップした未来と出逢うため』

 

これからだもう少しだけ深くそして広くあの二人にそして観客にお互いを認めることの大切さをこの歌を通して知らせたい

 

『夢を見る自由がこの世にないなら楽しいことも笑えないねバラバラに見えて繋がりあってるんだ無駄なことなんてないよ石に躓(つまず)く理由も壁にぶつかるワケも

僕が確実に明日へ前進してる証拠さ

僕と身体と魂はいつでも以心伝心そう!

最強の勇気を見つけよう未来のstage

誰よりもハイスペック次世代を僕がまってる』

 

さぁ仕上げだお前達はお互いにお互いを高めあえるライバルなんださぁ見せてやる!

 

『僕と君との情熱はいつでも以心伝心さぁ!

最高のバトルを始めようnextstage

僕と君と身体と魂はいつでも以心伝心そう!

最強の勇気を見つけよう未来のstage

今よりもレベルアップした未来と出逢うため』

 

まだ、足りないな次だ次があるからまだ引き込める俺はそう思い演奏を終えた後話し始める

 

「1曲目どうでしたか?お互いを高めあえる存在がいることって俺は凄く大切な事だと思いますこの曲を聞いて何かを感じてくれたら嬉しいですでは2曲目かさぶた」

俺は2曲目に入り更に深く深く曲に全身を浸していく

 

『明日へ続く坂道の途中ですれ違う大人たちはつぶやくのさ「愛とか夢とか理想もわかるけど目の前の現実はそんなに甘くない」ってつまずきながらも転がりながらもカサブタだらけの情熱を忘れたくない

大人になれない僕らの強がりを1つ聞いてくれ

逃げも隠れもしないから笑いたい奴だけ笑え

せめて頼りない僕らの自由の芽を摘み取らないで

水をあげるその役目を果たせば良いんだろ!』

 

わかるかな?俺がこの曲を選んだ意味が受け入れ難い現実も強がりでもいいから受け入れて進めって伝えてるんだ気付け!分かれ!伝われ!

 

『何度も繰り返した失敗とか大きく食い違った考えとか

僕らの基準はとても不確かで昨日よりなんとなく歩幅が広くなった

背伸びをしながら打ちのめされながらカサブタをちょっと剥がすけど答えは出ない

大人になりたい僕らのわがままをひとつ聞いてくれ寝ても覚めても縛られる時間を少しだけ止めて

せめてふがいない僕らの自由の実を切り取らないで

赤く熟すその時まで悩めばいいんだろう?』

 

友希那、蘭、気付けお前達はライバルなんだお互いを認め合い高めあえる最高のライバルなんだ食い違ってもいいこの歌詞の通り不確かな基準の中でお互いに別の道を歩みながらも高めあっていけるだろ!それに気づかせて引き込んであげるから覚悟してなよ!

 

『大人になれない僕らの強がりを1つ聞いてくれ逃げも隠れもしないから笑いたい奴だけ笑え

せめて頼りない僕らの自由芽を摘み取らないで水をあげるその役目を果たせば良いんだろ』

 

これで終わる俺の伝えたい事は全て音にして伝えた2人なら気付けだはずだから俺はそう思いながら演奏を終了させる

 

「どうでしたか?大人と子供の間で揺れる燻った思いを歌にした曲ですこれもお互いを高めあえる存在がいてこそ乗り越えられるって事を証明させる曲だと思いますどうか気付いてください俺からは以上です15分の休憩の後集計に入りますのでまだ残ってて下さいね」

俺はそう言うとステージ袖に下がり椅子に座り一息つくと友希那と蘭がやってきた

「どういうつもり?」

「なんの事?」

俺はとぼけるが蘭がそれを許さない

「とぼけないで下さいあの光さんが選んだあの2曲の事ですよ!」

「なんか問題あった?」

俺はまだとぼける

「曲もだけれどMCもそうよ!私達に気づかせるためにやったんでしょ?」

「私達はお互いを認めててそれでいていいライバルになれるって思ったからそれを認識させるために今回のライブも何もかも仕組んだんですよね!?」

「だとしたらどうするの?」

「「…」」

2人は黙ってしまうがそれでもお互いの事に意識は向けられたようだ

「はァ~認めるわ私達はライバルよ美竹蘭さん!私はあの時いつも通りでいることの大切さをにより知っているあなただからこそいつも通りでいつも以上の全力を出せるはずだと言いたかったのよ」

「…わっ…わかってました!私はあなたに湊友希那さんあなたに憧れてますし、1人のボーカリストとして認めて欲しかったんですだから私もあの時ムキになりました」

「そうだったのね、なら改めてライバルになりましょう美竹蘭さん」

「はい!湊友希那先輩!」

そう言って2人は握手を交わす

「満足かしら?」

「何が?」

「まだとぼけるんですね。」

「俺は何もしてないよ、結局俺はきっかけを与えたに過ぎないそこからは2人が認めあった結果だよ」

「「それでも(よ)(です)!」」

「私達がこうして向き合えたのはきっかけをくれた光さんのおかけですありがとうございました」

「私からもお礼を言うわ、ありがとう」

「アハハ明日は雨かな~」

俺はそう言うと友希那はそっぽを向いて「もういいわ」と言ってステージに出て行く

「光さんって意外と頑固で不器用なんですね」

そう言うと蘭もステージに上がっていく

そして最後に俺もステージに上がっていき観客に向け話し出す

「それじゃあ結果発表と行こうか!」

「結果は見えているわ」

「そうですね」

結果は俺の勝ちだった俺としては勝つ気で挑んだものの2人のどちらかが勝ってもお互いをライバルだと認め合えたなら結果オーライだと思ったからだ

「何をほうけているの?」

「光さんの勝ちですよ」

「あぁわかってるけど実感が持てなくて」

「なら自覚してもらうわ」

「そうですね光さんあるんでしょデュエット用に調整した楽器類それ持ってきて下さい」

俺は蘭にそう言われやっと実感が持てた、そしてステージ袖に置いておいた楽器類をステージに持ってくる

「俺が今から呼ぶメンバーはステージへ上がってくれ!まずキーボード白金燐子さん!ベース上原ひまりさん!ギターが俺最後にドラム宇田川巴さん!壇上へ」

俺はメンバーを集める

友希那がそれと同時にそのメンバーに声をかける

「皆イケるわね!美竹さん準備はいい?」

「もちろんです!」

「ならいくよ!今夜限りのスペシャルバンドglowupでライオン」

俺がそう言うと白金さんがキーボードを演奏し始めそれに乗るように俺がひまりが巴さんが音を統一させていくそして友希那が歌い出す

 

友希那『星を廻せ世界のまんなかでくしゃみすれば何処かの森で蝶が乱舞』

 

蘭『君が守るドアのかぎデタラメ恥ずかしい物語舐めあってもライオンは強い』

 

2人の声が重なった

『生き残りたい生き残りたいまだ生きてたくなる星座の導きでいま見つめ合った生き残りたい途方に暮れてキラリ枯れてゆく本気の身体見せつけるまで私眠らない』

 

思った通り完璧だこの2人ならイケる俺はギターをかき鳴らす

そこへ2人がやって来て俺に声をかける

「「一緒に」」

俺は一緒迷ったがすぐに笑みを浮かべ

「OK後悔すんなよな!」

そう言って再び歌い出した蘭に俺は声を重ねる

 

蘭・光『風はやがて東へ向かうだろう高気圧この星の氷河を襲う』

 

友希那『さそい水を飲んだ胸がつらい遠巻きな物語』

 

光『かじり合う骨の奥まで』

 

3人『生き残りたい生き残りたいまだ生きてたくなる星座の導きで今見つめ合った』

蘭『生き残りたい途方に暮れてキラリ枯れてゆく本気の身体見せつけるまで』

友希那・蘭『私眠らない

友希那『何しに生まれたの』

 

蘭『何しにここにいる』

 

友希那『生き残りたい埋まらない傷光恐れてた許された生命がいま、引かれ合った彷徨い果てて君の隣で火照り鎮めたい本気の身体見せつけるまで私眠らない』

 

蘭『生き残りた崖っぷちでいい君を愛してる目覚めたい生命がいま、惹かれ合った』

友希那・光『狂気に代えて祈り捧ぐよ君を愛してる星座の導きで・・・』

3人『『生き残りたまだ生きてたい君を愛してる本気のココロ見せつけるまで私眠らない』』

 

俺達は歌い終え演奏を終えると歓声と共にアンコールが鳴り響く俺は皆に目配せしマイクを取る

「アンコールに答えてもう一曲!トライアングラー」友希那が歌い出す

 

『君は誰とキスをする』『私』『『それとも』』

『あたし』『君は誰とキスをする』『『星を巡るよ純情』』

蘭が歌い出す『弱虫泣き虫連れてまだ行くんだと思うわたし』変わって友希那『愛するより求めるより疑う方がずっとたやすい自分が悔しい』

蘭『痛いよ味方だけど愛してないとか』友希那『守るけど側に入れないとか』蘭『苦い二律背反』『今』『すぐ』『タッチミー』『『運命ならば繋がせて』』

俺もサビに加わる

『君は誰とキスをする』『わたし』『それとも』『あたし』

『『こころ揺らす言葉より無責任に抱いて限界』』

さぁまだまだいけるだろ!燃え上がれ!いくぞ!

友希那『妄想を裁くオキテうしろから蹴り上げたら』

蘭『向きだしの恋によろけた呼吸だけで精一杯迎えに来て』

友希那『おぼれてるから』

蘭『痛いよ前向きな嘘真に受けるのは』

友希那『笑ってる声せがめないから

蘭『未来もてあました』『今』『すぐ』『holdme』

『『理性なんて押し倒して』』

友希那『君は誰とキスをするあたし』『『それとも』』

蘭『わたし』『君は誰とキスをする』

『星を巡るよ純情』

蘭『・・・・・・君は誰とキスをする』『・・・・・・君は誰とキスをする』

友希那『君は誰とキスをする』蘭『わたし』

『『それとも』』友希那『あたし』

蘭『たった一つ命をタテに今、振りかざす感傷』

友希那『たった一つ命をタテに』『『今振りかざす感傷』』

 

俺達はアンコールに答え歌いきるこれで完全に終わりだ

「聞いてくれてありがとうございましたVSライブこれにて終了です!」

そして帰り道

「光さ~ん聞いてないですよアンコールのあれ!」

「アタシもボロボロでした」

「すいません正直わたしもついて行くのがやっとでした」

3人は愚痴るそこへ友希那が話に入ってくる

「あれは光が凄いのよ、ギター1本でベースやキーボードのラインまで全部ほぼ1人でやってたもの」

「本当ですよマジで光さんって何者なんですか?」

「俺はただの音楽好きだよ」

「いやいや、ただの音楽好きにもあれは真似出来ないから」

「そうですね光君だけだと思いますあんな事が出来るのは」

「実際光兄ぃいなかったらボロボロだったとあこも思うよ」

口々に俺を褒めているのか貶しているのか分からない言葉を投げかけてくる

「でも本当にひかるん凄かったのだァ〜」

「本当だよねあのメンバーでギリギリだったの光さんが完全に抑えてたんだよね」

「本当に何者なのよ光あなた」

「いやただの音楽好きだってさっき言ったよ!?」

「光さん、無理があります」

「蘭まで!」

俺なんてただの音楽好きな青少年なのになぁ

そんなこんなで皆と別れ俺は家路を急ぐ今日は充実していた

俺の足取りは弾んでいる、また1つ音楽の高みへの階段を登れた気がしたからだ、身体はまだ熱いあの熱はきっと一生忘れないだろう

「あ〜あこれは今日も眠れそうにないな気持ちが昂ってるや!」

俺はそんな事を呟きながら家路を急ぐ空には手を伸ばせば届きそうな三日月が輝いている

 




1週間ぶりくらいでしょうかね、これからは多分月曜から土曜の間に1本日曜1本が基本となると思います最低でも週に一度は投稿しますのでお楽しみにさて、次回から紗夜さん燐子さん以外の花咲川メンバーとの関わりを描いて行けたらと思ってますのでお楽しみに


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第5話迷子の少女と迷える女優

1歩ずつ目標に向かう光がこの先に見るものは


その日俺は目的もなく街を見て回っていた。

こっちに来て1ヶ月近く経つが未だに把握出来ていない場所が結構あるのだ

俺はスマホのマップ機能を使い気ままにあちこち街を見て回っていた。

「この辺りは前に来たな、この先が住宅街でその先にちょっと大きな公園があるんだよね、そこに行って一休みしようかな、あぁでも、もうすぐお昼かどうしようかな?」

俺が悩んでいると一瞬声が聞こえた気がした

俺は不思議に思いなんとなく声が聞こえた方に自転車を向け動き出す

そして少し自転車を走らせているとまた声が聞こえた今度は気の所為では無く間違いなく聞こえた

「ふぇぇぇ~ここどこ〜?」

「はい?」

俺は一瞬耳を疑ったがとりあえず全力で自転車を走らせていると少し離れた所に水色の髪をサイドテールにした気弱そうな女の子が辺りを見回し狼狽えていた。

俺はこのままでは埒が明かないと思ったので声をかける

「あの!ねぇそこの君!」

「え?あっあの!私ですか?」

「うん!君以外に今この場にいるのは俺だけだよね」

「はっはい、あの、そうですね」

「う~んとさ君何か困ってるんじゃない?俺でよければ力になるよ?」

俺がそう言うとその子は必死な表情で縋るように1歩前進して来た

「はい!あの!実は凄く困ってます友達と会う約束があって駅の方に向かっていたはずなんですけど、いつのまにか迷ってて」

俺はその言葉に驚いた駅は反対方向だからだ

(方向音痴にも程があるだろう)

俺は内心で頭を抱えたとりあえずウダウダしてても仕方ないので目の前の女の子に自己紹介もかねて話しかける

「俺は宮村光(ひかる)って言います音楽が好きですよろしく」

「宮…村君?もしかして羽丘の2年生でものすごくオシャレな人ですか?」

「え?俺の事知ってるの?」

「はい、あの…えっと」

おそらくどう説明したものかと迷っているんだろう

その時その子のスマホが鳴った、俺はどうぞと一声かけてあげる

その子は電話に出る

「もしもし千聖ちゃん?そう、うん、迷っちゃって、でも大丈夫親切な人が案内してくれるって、え?でも、わかったちょっと待ってて」そう言うと俺にスマホを差し出してきた

「千聖ちゃん、電話の相手が代わって欲しいって言ってるんですけど大丈夫ですか?」

「俺は構わないよ」そう言ってスマホを受け取り耳に当てる

「もしもし代わりました宮村といいます」

(突然すみません私は白鷺千聖と言います友人がご迷惑を)

「いやいやそんな事は偶然ですし」

(本当にすいませんそれで私はどうすれば)

「そのまま駅前で待っていて下さい白鷺さんまで居なくなられたら自分は対応しきれないですから」

(わかりましたではよろしくお願いします)

「こっちも了解ですじゃあまた代わりますね」

俺はそう言ってスマホを返すそして少し話した後通話を終え俺に話しかけてきた

「あの、とりあえず千聖ちゃん、さっき電話していた相手が駅前で待っているそうなのでお願いしてもいいですか?」

「もちろんじゃあ後に乗って」

俺は自転車の後を指さし言った

「そういえばまだ名前言ってませんでしたね私は松原花音って言いますよろしくお願いします宮村君」

「うんよろしく下の名前は光って言うんだ光って呼んでくれたら嬉しいな」

「わかりました光君」

松原さんが微笑む

(なんかふわふわしてて可愛いな)

内心そう思いながら自転車を走らせていく、俺は気になった事を聞いてみる

「そういえばなんで俺の事知ってたの?」

「私、バンドやっててそのメンバーの1人が羽丘生なんです」

「そうなんだ、俺の知ってる人?」

「多分名前くらいは瀬田薫さんって言うんです」

俺はその名前を言われた時なんとも言えない表情になった

顔と名前は知っているが話した記憶がないからだ

「俺、あの人と話したことあったかな?」

記憶を探ってみるが街で声をかけられたこともなければ

学校で話した記憶もない俺は他の接点があったか考えるが浮かばない、黙ってしまった俺を見兼ねて松原さんが話しかけてきた

「話したことは無いと思いますよ。ただ違うクラスに転校生が来て凄くオシャレでいつも屋上で歌ってて人気があるって教えてくれたんです」

「あ〜なるほどそういう事なら納得だよ」

俺は疑問が解消されて晴れやかだ、ついでにもう1つ質問してみる事にした

「そういえばバンドって言ってたけど松原さんのバンドはどんな感じなの?アイドルバンドとか?」

「ふぇぇぇ!?私がアイドルとか無いですよ~

でも、これから会う子はアイドル件女優さんですよ」

「白鷺千聖さんだっけ?テレビとかにも出てるし俺も顔と名前はさすがに知ってるよ、でも俺はあの人からは何か迷いを感じられるなぁ」

「そういうのって直接会ってなくても分かるんですか?」

「あぁうん、なんとなくだけどね、俺の祖父が昔演技やダンスとかを教える先生だったんだよ詳しくは教えてくれなかったけどでも、人を見る目は祖父が教えてくれたと思っている」

「そうなんですね。あの!こんなこと聞くのも失礼だとは思うんですけど聞いても良いですか?」

「良いけど?」

「私からは迷いとかを感じられますか?」

俺は彼女はどうなんだろうと考える。少し話しただけでは俺個人なんとも言えないと言うのが本当の所だ

あの人白鷺千聖さんは演技してる姿をテレビなどで見ているからなんとなくだがこうじゃないかと憶測が経つが松原さんとは出会って数分言葉を交わした数は100にも満たない。悩んだ結果ありのままを伝える事にした

「正直よく分からないってのが本音かなでも、性格的なものなのかもしれないけど自分に自信が無かったりしないかな?なんとなくだけど1歩引いた感じがあったように思うよ」

「わかるんですか?」

「さっきも行ったけどなんとなくだよ」

そんな話をしいると目的地に着いた、すると1人の女の子が駆け寄ってきた

「花音!良かった無事に送って貰えたのね」

「千聖ちゃん!ごめんね私また迷っちゃって」

「良いのよあなたが無事ならそれで」

再会を喜び上がっているところ申し訳ないが俺は声をかける事にした

「あの!もう大丈夫そうなので俺はこれで失礼しますね」

そう言って帰ろうとすると松原さんが俺の服の袖を掴んできたので振り返る

「どうかした?」

「あの!何かお礼をさせてください」

「う~んそんな事を言われてもな」

俺が考えていると白鷺さんが話しかけてきた

「あの!なんでもいいんで、彼女が満足するようなお礼って何かないかしら?」

「なら、今度俺の路上ライブに来てよ、たまにこの辺でやってるからさ」

「でも、それだけで良いんですか?」

「そうは言っても、他に何も思いつかないしな~」

「なら、私達とお茶しませんか?」

「俺は構わないけど、白鷺さんは良いの?」

「私も構わないわ、それに千聖で良いわ名字のさん付けは呼びにくいでしょ」

「私も名前で呼んでください名字で呼ばれるのは落ち着かないので」

2人がそういうので俺は了承する

「わかったじゃあお言葉に甘えてお供させてもらうね千聖、花音、改めてよろしく」

「「(うん!)(ええ)よろしくね」」

「じゃあ自転車を駐輪場に止めてくるからちょっと待ってて」

俺はそう言って自転車を置きに行く自転車を止めると少し早足で2人の所へ向かう

「おまたせ、行こうか」

「その前に、あなた行く場所知らないでしょ!」

「そういえば知ってるの?」

「ここから5分くらいの星の宴って喫茶店でしょ?」

俺の言葉に2人が驚くまぁ当然だろう

「どうして行先を知っているの?」

「簡単な推測、まぁ歩きながら話そう」

「そうだね私も賛成」

そう言って目的地に向かって歩き出す

「話の続き聞かせて貰える?」

「そういえばそうだね、まず千聖意識しないようにしてたけど、時間を気にしてたよね、時間を気にしてて待ち合わせが駅前で時間を気にするってことはお昼頃には混み出す場所って言ったら喫茶店かなって思ったんだ」

2人はお互いに顔を見合わせて驚いている

「そんな事までわかるものなの?」

「さっきも言ったけどなんとなくだよ」

「普通はわかんないよ光君が凄いんだよ」

「似たような事つい最近言われたばっかりだからちょっと複雑だな」

「それだけあなたが他の人より優れているという事よ」

「それ褒めてる?」

「そんな気がしない?」

「正直ね」

そうしているうちに目的地に着いた俺たちは店に入り店員さんに案内してもらい席に着く

「そういえば2人ともバンドやってるんでしょ?」

「ええそうよPastel*Paletteってアイドルバンドよ」

「って事は日菜と同じバンド?」

「日菜ちゃんを知ってるって事はあなたが羽丘の転校生?オシャレで凄く演奏が上手くてその上歌も上手なひー君?」

「アハハ、その呼び方は辞めて、日菜にも言ってるんだけど聞いてくれなくて」

俺は苦笑しながら答える

「それにオシャレって言われてもな~普段着ならともかく制服だよ?歌や演奏は自信があるけどそれでも俺だって自分だけの音を探してる最中だよ」

「それで路上ライブ?」

「ちょっと違うかなあれは度胸試しみたいなもんだから」

「ど言うこと?」

その質問に俺は少し考えてから返答する

「俺はさ誰かの音じゃなくて自分の音が表現する世界で誰かのための音を奏でたい、だから俺は路上ライブで聞いてくれる人のために歌うんだ」

俺がそう言うと2人は笑っていたその表情はどこか嬉しそうだった、俺は1度話を切り上げメニューを見る

「そういえばまだ注文してなかったね、俺は飲み物はブラックコーヒーで良いかな2人はどうするの?」

「私はミルクティーかしらね」

「私はカフェラテ」

「食べ物はこのカップケーキ6種を3人で2個ずつ分けない?」

「いいかもしれないわね」

「私もいいよ」

「なら決まり」

そう言って俺は店員さんを呼び注文すると店員さんは注文を繰り返し俺が以上ですと伝えると店の奥に戻っていった

俺は改めて花音に花音自身がやっているバンドについて聞いてみる

「そういえば花音のバンドって?」

「まだ話してなかったねハローハッピーワールドって言うんだ、こころちゃんって1つ年下の子がね世界を笑顔にしたいって私を筆頭にメンバーを集めたんだ」

「それでメンバーに瀬田薫がいると」

「うん、今度機会があったらほかのメンバーも紹介するよ」

「楽しみにしてるよ瀬田薫とだけは話が合いそうに無いけどね個人的に」

俺がそう言うと花音は苦笑していた

「私も機会があれば彩ちゃんとイヴちゃんを紹介するわ」

「ん〜でも日菜の奴が引っ張って来そうな気がするのは俺だけかな?」

「ごめんなさい、正直言っていて私もそう思ったわ、でも私達5人のうち日菜ちゃんともう1人が羽丘生だからその子が先に日菜ちゃんに引っ張られて来ると思うわ大和麻弥ちゃんって言うドラムの子よ」

「そう言われても俺、知らないしな~普段から日菜に引っ張り回されるか、友希那とリサに捕まるかのどっちかだしな〜」

「友希那さんとリサさんってもしかしてRoseliaの?」

「あぁうん知ってる?」

「知ってるも何もRoseliaと言えば高い技術の本格派バンドって有名なんだよ!光君知らないの?」

正直な事を言えば知らなかった訳じゃないでも機会が無いので直接ライブを見た事が無いのだ、俺はどう返答したもんかと悩むがこれといって思いつかないので誤魔化す感じに返答する

「技術力高さは知ってるよcircleってライブハウスで俺バイトしてるからねだけど、練習風景しか見た事なくて詳細までは全然知らないんだ」

そんな事を話していると飲み物と一緒にカップケーキが運ばれてきた俺達は飲み物はもちろんカップケーキにも舌鼓をうち満足してカフェを出る

「結局ご馳走様になっちゃってごめんね2人とも」

「そう思うならもう1件付き合いなさい、そこであなたの歌と演奏を聞かせてちょうだい」

「構わないけど、俺の楽器取ってきたらダメ?」

「その場にある楽器で最高の演奏をしてこそ一流のアーティストではなくて?」

俺はその言葉にヤレヤレといった表情で頷き答える

「わかったよ、やるよ使ったあと元に戻せば良いだけだしな」

「じゃあ行こっか」

花音がそういうので俺達はそれに続く電車で1駅そこから15分程歩くと目的地のミュージックカフェSingasonguと書かれた看板があったちなみに迷わず来れた、千聖は店の扉を開け中にいるおそらく店長と思しき自分に声をかける

「すいません、3人なんですけど入れますか?」

「ちょうど4人席が空いてるよ」

そう言われたので俺達はカフェに入り席に座る俺は店内を軽く見渡した後店長に声をかける

「あの、楽器使わせてもらっても良いですか?」

「良いよ好きに使いな」

「ありがとうございます、2人ともリクエストは?」

「今の時間にピッタリな落ち着いた感じの曲かしらね」

「私も落ち着いた曲がいいな」

俺は考えた結果ギターを手に取りチューニングしていくそしてチューニングを済ませると2度3度音を鳴らす

「よし!」俺はそう言って立ち上がりマイクのスイッチを入れると話し出す

「こんにちは光です1曲歌わせて貰いますこの歌を通して何かを感じて貰えたら嬉しいです。じゃあ聞いて下さいフレイム」

 

俺は演奏を始め歌い出す

『舞い上がる花アスファルト叩く

向かい風吹く坂道上ってく敗れた靴を気にしないように

新しい景色だけを見据えてる走った分だけ磨いた分だけ

すべて報われるわけじゃないそれでも時々見える希望(ひかり)に心奪われてまた立ちあがって歩き出す

指で創ったフレイムを覗きこめば

遠くで手を振る真っ白な僕がいるこんな風に生きてんだってたったひとつ光る瞳でYesと答えたい

自分で良かったと思える瞬間を追いかけて歩く生きてゆくよ

 

背中を押され聴こえるは愚痴で

通り雨を恨むようなしかめ面で

安物のシャツ破れば古着に見えるとつぶやく背中泣いている

誰もが何かを決める時によぎる

苦い思い出はこれから出会う宝の価値を測るためにある

掴み取るものの愛しさを今がすべてで現在(いま)すべてじゃないと逃げたり慰めたりしながら進んで花びらが舞う風の中

僕はひとつひとつと足跡を残してゆくせつなさや虚しさの瓦礫の中もがきながら希望(ひかり)探している』

 

 

自分だけの何かを見つけるために自分が自分で良かったと思える様にと思いを込めて歌っていく

 

『孤独な旅路は坂を登る途中…それこそ夢

指で創ったフレイムを覗きこめば

遠くで手を振る真っ白な僕がいる

くたびれたリュックは空っぽのまま

それでも微笑(わら)ってYesと答えたい

自分で良かったと思える瞬間

この世に出会えて良かったという瞬間

自分で良かったと叫びたい瞬間を追いかけて歩く

生きてゆくよ』

 

俺は演奏を終えるとギターを置き店長にお礼を言って席に戻ると2人から話しかけられた

「光君あなた凄いのね」

「うん私なんか思わず本当に指でフレイム創ってみたりしたよ!写ったのは光君だったけどね」

「アハハ、あの曲は自分を自分で肯定する歌なんだ、自信の無い自分に未来に思いを馳せていつか自分が自分という存在でよかったって肯定出来るようにってメッセージだと俺は思ってるだから、そういう意味も込めて歌ったよ」

俺がそう言うと2人はお互いに顔を見合わせて微笑んでいた

俺、何か変な事言ったかな?そんな事を思いながらコーヒーを飲みその後も音楽の話で盛り上がった、俺はふと時間を確認すると夕方の4時を回っていた

「もうこんな時間か時が経つのは早いんだな」

俺の言葉につられて千聖も時計を確認する

「あらほんとね、もうこんな時間なのね、今日のところは帰りましょうか」

「そうだね、明日からまた学校だしね」

俺達はお会計を済ませ店を出て駅から電車に乗る1駅だけの短い時間だが俺は電車揺られながら外を見る電車を降り駅を出るといつもの駅前広場が見えた

「なんか1駅だけなのに戻ってきたって感じがするよ」

「ふふふっそうかもしれないわね」

「そうだねたったの一駅なのにね」

「そういえば光君もし良ければ私達と連絡先交換しない?」

「俺は良いけど千聖は大丈夫なの?一応アイドルで女優さんなんだよね?」

「そこまでプライベートに踏み込んでこないわよ、良いから早く」

千聖がそういうので俺達は連絡先を交換した

「花音もいいかな?」

「もちろんだよ」

花音からOKが出たので花音とも連絡先を交換する

「じゃあまた今度路上ライブする時は連絡するから都合が良ければ見に来てね」

「もちろんそうさせてもらうわ」

「私もバンドメンバーとかに声をかけて見に来るよ」

「見に来てくれるのを楽しみにしてるよじゃあまたね」

そう言って俺達はそれぞれ家路につくちなみに花音の事は千聖が送ってくれるそうだなので俺は1人家路につきながら考え事をしてした千聖の事だ彼女からは間違いなく迷いが感じられたからだその迷いを振り払ってやれたらと思う反面知り合って間もない俺がそこまで踏み込んでいいものかと俺自身も迷っている、俺は答えが見つからずにただただ元来た道を振り返る事しか出来なかった…

 

 

 

 

 




ご愛読ありがとうございます
今回は他のメンバーとの出会いを書かせてもらいました次回は光が自身や、知り合ったメンバーの迷いを払拭して前を向けるような話を書いていくつもりなのでお楽しみに
次回「悩み相談と自分たちの道」


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第6話悩み相談とそれぞれの道

迷い迷わされ考えた結果光がとった行動は?
光はピンチをそのまま小さなきっかけに変えてあげることは出来るのか?


光はいつものようにスマホのアラームで目を覚まし洗面所で顔を洗い部屋に戻って制服に着替え朝食とその後の後片付けを済ませギターとカバンを手に学校へ向かう。学校へ着き昇降口で靴を履き替えていると日菜が飛びついてきた

「おっはようひ〜くん」

「あぁ日菜かおはよう、いつもいきなり飛びついて来るなよな、俺が受け止めたりできるから良いけど運悪く受け止められなくて怪我でもされたらそれこそ寝覚めが悪くなるよ」

「ごめんねひ〜くんでも、ひ〜くんなら必ず受け止めてくれるかなってさ」

「まぁ善処はするよ、ところで日菜俺、お前に頼みたい事があったんだよ」

「ひ〜くんがアタシに?」

「実はさ日菜が所属しているバンドメンバーを紹介して欲しいんだ」

「良いけど、なんで?」

俺はできるだけ詳細に事情を説明する

昨日偶然千聖と知り合った事彼女から迷いが感じられた事

その迷いを払拭するにはおそらくメンバーが鍵になる事を説明する。日菜は俺の話に相槌は返してくれたが特別質問等はなかったが日菜なりに考えてはいるのだろう、俺は必要な事は説明し終えると日菜の反応を待った

「ん〜要するにひ〜くんはパスパレのピンチを何とかしようとしてるんだよね?」

「まぁそうなるな」

俺は曖昧な返事を返す、正直どう理屈を捏ねてもそんなふうに面と向かって言われると正直返事に困る。だが日菜はそんな事気にした様子もなくこう言った

「まぁひ〜くんならなんとか出来るだろうしとりあえず隣のクラスにいる麻弥ちゃんを紹介するよ〜」

「あっあぁ頼むよ」

「わかったじゃあ行こう」

そう言って俺の手を握り引っ張って来る

「ちょっと待てせめて教室に荷物置かせてくれよ日菜〜」

「でも、善は急げだよひ〜くん」

「なんか使い方間違ってないそれ!?」

「そうかな〜わかんないけど大丈夫だよきっと〜」

「俺はお前がマジで凄いのか単なるバカなのかわからなくなるよ本当マジでさぁ」

「えぇ~?ひ〜くんこそ酷いよぉ〜」

そんな事を言いながらも俺の手を話す気がないみたいなので俺はとりあえずされるがままについて行き隣のクラスのB組の前にいた。そして日菜はB組の扉の前で軽く叫ぶ

「やっほー麻弥ちゃんいる〜お~い!麻~弥ちゃ~ん」

日菜が少し叫ぶように呼びかけていると奥の方からメガネをかけた茶髪の女の子がやってきた、真面目そうな子だなと言う印象を受ける女の子だ

「日菜ちゃんじゃないスカ私に御用ですか?」

「アタシじゃなくてひ〜くんがね麻弥ちゃんを紹介してくれって言うから連れて来たの!」

日菜はそう言うと握っていた手を離し今度は腕を組むようにして俺を引っ張って来た

「待てって言ったろうがこのバカ!」

「ひ〜くんよりアタシ成績良いよ~?」

「いつ誰が成績の話したよ物事の順序を考えろって言ってんだよ!」

「ええ~でもさっきも言ったけど善は急げだよ?ひ〜くん」

「どことなく間違ってる気がするのは俺だけか、そうか、」

不思議そうな顔をしている日菜といまいち状況が飲み込めていない麻弥さんが俺の前にいるのでとりあえず日菜は放置して麻弥さんに話しかける

「あの!麻弥さんですよね?突然すいません宮村光です」

麻弥さんは一瞬驚いた顔をしたがすぐに我に返り自己紹介を返してくれた

「これはご丁寧にどうもッス光さんッスね名前は存じ上げてるッス大和麻弥ですよろしくお願いします。それで私に御用ってなんですか?」

「あぁ実はさ…」

俺は必要な事を説明する千聖と知り合った事と彼女から迷いが感じられた事メンバーがその迷いを払拭する鍵になり得る事、俺が力を貸したいと思ってる事を説明すると麻弥さんは難しい顔をしていた

「麻弥さん?大丈夫?」

「おっとっとすいません考え事ッス正直その件は私個人から言える事は少ないっすねなので、今日、明日中に花咲川にいるメンバーを私と日菜ちゃんから紹介させてもらうので千聖さん抜きで話を1度させて欲しいッス」

「わかった俺はそれで良いよ!メンバーの声って大切だと思うし日菜はどうかな?」

「アタシも良いよ〜」

「じゃあ決まりって事でお昼休みにでも話せる限り話聞かせてくれる?」

「わかったッスなら一応連絡先を教えて欲しいッス」

「良いよ俺の連絡先日菜から聞いておいて、今片手塞がってるから」

そう言って俺は日菜に組まれたままの片腕を指し示す

それを見ていた麻弥さんはなぜか関心していた

「日菜ちゃんに凄く懐かれてるんですね何かしたんすか?」

俺は考えて見るが心当たりがまるでないのでそう答える

「俺は特に何かした訳じゃないよでも懐いてくれてるんだもん悪い気はしないからされるがままにしてるだけなんだ」

俺の返答に日菜が反論する

「ええ~ひ〜くんはいっつもアタシを励ましてくれてたじゃん!お姉ちゃんとの時だってきっかけをくれたのはひ〜くんだよ!」

「なるほどッス光さんはきっかけを作っただけだからその後は自分達が頑張った結果に過ぎないから何もしてないとそう考えてる訳ですね」

「実際その通りだしね」

「いやいや、結果的にそうだとしてもきっかけを作ったって事は重要ですってそれがあったから日菜ちゃんがここまで懐いてるんですよ!」

「そうなのかな?まぁでも結果的に俺が誰かの助けになれるなら俺は自分がどんなに傷ついたって構わない、それで誰かの涙が消えるなら俺は時に悪役だって演じてみせるよそれが俺だから」

俺の言葉に麻弥さんが笑う

「そういう所だと思うッスよ誰かのためにって誰にでもできるようでそうじゃない、それを平然とやってのけるから日菜ちゃんだって安心して光さんの隣にいるんですよそれにそうしてると仲のいい兄妹みたいですよ?」

「アハハそれは勘弁だな〜もし俺に日菜みたいな妹がいたら絶対に泣かせちゃうもん」

「ええ~ひ〜くんなんで〜?」

「だってさ日菜は自分にとってお姉さんの紗夜はいつもいつでも自分の自慢のお姉さんでしょ?俺は多分誰かの自慢にはなれないから絶対日菜を泣かせちゃうだから今のままで良いんだよ」

俺はそう言って日菜の頭を撫でると日菜くすぐったそうにしていたそしてそれを見ていた麻弥さんはやっぱり笑っていた

そして俺達は教室に戻り荷物を置いて席に着くとリサが話しかけてきた

「おっはよう光〜!朝からお疲れだね〜ま~た朝から日菜に振り回されたの?」

俺は苦笑しながら答える

「おはようリサ、振り回されたというか引っ張り回されたというかなんというかって感じだね」

「その様子からするとまた厄介事?」

「まぁ似たようなものかな?まぁ日菜にも関係がある事だったからね」

リサは何を思ったのかちょっと意地悪な笑顔を浮かべているこの表情の時のリサは絶対に俺をからかって遊ぶのだ

「はっは~んって事は日菜以外のパスパレの子を引っ掛けて来た訳だ」

「ちょっと待ってなんで俺がナンパしたみたいに言うの!?俺は何もしてないからね!」

「でも光ってなんだかんだ言いながらも自分の周りが笑ってないと気が済まない質みたいだし、そう考えるのが自然かなってさ」

「あのさ〜リサは俺をなんだと思ってる訳?」

「ん〜面倒見のいいチャラ男君?」

「まずもって俺、チャラ男じゃないからね!?」

「ええ~そうかな?」

「そんなこと言ったらリサだって世話好きで面倒見のいいギャルじゃんか!」

俺達がそんな不毛な会話をしていると友希那が話に入ってくる正直助けを求めて大丈夫なのか不安だがとりあえず友希那に助けを求めてみる

「友希那聞いてくれよ!リサが俺の事面倒見のいいチャラ男だって言うんだぜ酷くないか?」

俺がそう言うと友希那は首を傾げ答える

「何か間違ってるの?」

俺は思わず机に突っ伏した

「友希那まで〜」

「実際その通りじゃない忘れたとは言わせないわよ私達が仲裁に入れと頼んだ時やり方はどうあれ私達を和解させたわよねそれにあなたは普段着姿を見ていると単なるチャラ男よ」

「んだよそれ〜もうちょいマシな言い方ない訳?」

「とにかくよあなたはまた厄介事に首を突っ込んだのでしょなら最後までやり遂げなさいやり方はどうあれきっかけくらいは作るのでしょ?」

「そりゃあ関わったからにはね〜」

「ほら見ろ光〜友希那もアタシの味方だよ〜☆」

「このからかい好きの性悪ギャルめ〜いつか吠え面かかせてやる!」

「アッハハ〜なら楽しみにしてるね〜☆」

そう言ってリサは自分の机に戻って行ったそしてそれを見ていた友希那はこんな事を言った

「あなたとリサってどうしてそんな不毛な会話で盛り上がれるのか正直わからないわそれになぜかあなた達って10年来の悪友って感じがするのよ」

「アハハお互いどこか通じる部分があったのかもね」

「だとしたらお互いにお節介な所かしら?」

「俺のはお節介とか大きなお世話とかとはちょっと違う気がするんだよね、俺は自分の周りで誰かの涙を見たくないんだよ、確かに涙って尊いものだけどね不用意に見せていいものでもないと俺は思うから」

「そういう割にあなた紗夜の泣き顔見たのでしょ?」

「はい?あの~友希那さんなぜそれを知ってるの?て言うか見てないからね!俺の上着着せてフードで顔隠したし」

「そうなの?紗夜が言っていたわ、日菜との事相談したら向き合うきっかけを作ってくれてその際少しの間とはいえ泣き顔をみられてしまい少しですが恥ずかしいやら気まずいやらでどうしたものかってね」

俺は思わずため息を着いた紗夜なりに踏ん切りが着いたとはいえ俺のあの姿の事を内緒にするにはかいつまんで真実を伝えなければと思っての事だろうがある意味心臓に悪いからやめて欲しい

「いやさ、ほんの少しだけってかほぼ一瞬なのに」

「まぁあ良いわ、そんな事より繰り返すようだけれど1度関わったからには最後までやり遂げなさいきっかけを作るにしろ私と美竹さんの時のように多少強引に解決するのであれあなたという第三者にしか出来ない事なのだから」

「わかってるよ関わった以上どうにかするさ、俺はこうと決めたら譲らないからね」

「どちらにしろ何かあったら頼りなさい微力ながら力を貸すことは私達にだって出来るわ」

「うん、本当に困ったら助けてねありがとう友希那」

「礼には及ばないわ貴方には大きな借りがあるもの」

友希那はそう言うと自分席に戻って行った。

その後ホームルームを終えると俺のスマホが振動したので確認すると麻弥さんからだった、どうやら日菜がさっそく教えておいてくれたらしい内容は彩ちゃんは今日は都合が悪いがイヴちゃんなら大丈夫との事だったので俺は日菜を呼ぶ

「日菜〜ちょっと来てくれ」

「な〜に?」

「今、麻弥さんが連絡くれてさ、彩ちゃん?は無理だけどイヴちゃん?なら会っても良いって言ってくれてるみたいなんだけどさどっちがどっち?」

「う〜んとね彩ちゃんはボーカルの子で、イヴちゃんがキーボードの子だよ〜」

「あぁじゃあこのイヴちゃんって子はあの白髪の子か」

「ひ〜くん知らなかったの?」

「いや、俺日菜以外のメンバー昨日まで知らなかったし昨日千聖と知り合ったくらいで他は知らなかったよ俺は」

「そう言えばそうだっけ?でもひ〜くん無関心過ぎない?」

「そう言われてもな〜俺元々アイドル興味無いしな〜日菜がアイドルバンドのオーディション受かったって聞いてからちょっと気にするようになったくらいでさ」

「ん〜とつまりアタシ目的?」

「言葉は正しいけどニュアンス的になんか違くない!?」

「でも、アタシの報告聞いて気にしてくれたんでしょ?」

「いや、そうなんだけどさ…」

俺は言葉に詰まる多分日菜はわかって言ってるのだ

「ったく日菜には適う気がしないな」

「アタシなんかした?て言うかひ〜くんはこの後どうするの?麻弥ちゃんからイヴちゃん紹介してもらって」

「話を聞くただそれだけそんで彩ちゃん含め千聖以外のメンバーと話してその後千聖と話してから決める」

「なんか面倒くさいね〜みんな集まってる時に全員の意思統一した方が早くない?少なくともアタシと麻弥ちゃんは同じ学校だしアタシと麻弥ちゃんとひ〜くんが彩ちゃんイヴちゃん千聖ちゃんとテレビ電話して話し合えば言いじゃん!」

「いや、面倒でもなんでも個別に話をしないとダメなんだよ、1体1だから話せる事もあると思うしな」

「そっかあじゃあ遅くなっても良いならアタシ彩ちゃんの事呼ぼうか?」

「大丈夫なのか?」

「2人で話したいって言って呼んで少し話してひ〜くんにも相談するようにアタシから話して見るよ〜」

俺は考える最善策とは言い難いかも知れないが俺としても方法は無いわけじゃない日菜と似たような方法ではあるが、取れる手はある

「なぁ日菜はパスパレ以外のメンバーを巻き込むのは反対だったりするか?」

「う〜ん方法によるかな〜」

「わかったじゃあ麻弥さんの意見も聞いてから決めようお昼休みにA組側の1番端の空き教室で会うことにしてるから着いてきてくれ」

「わかったじゃあお昼休みにね」

そう言って日菜は自分の机に戻って行った

そして迎えたお昼休み俺と日菜は連れ立って空き教室に向かった、空き教室に着くと既に麻弥さんが来ていた

「ごめん麻弥さん待たせたかな?」

「いえいえ大丈夫スっよ」

「とりあえずお昼にしよ〜」

日菜がそういうので俺達は昼食を取りながら話をする事にした、俺はさっそく麻弥さんに話を持ちかける

「あのさぁ麻弥さん実はさいくつか考えてた事があってさ例えばなんだけどその彩ちゃんと接点持つために他の人の力借りたらダメかな?」

「と言うと?」

「俺もさバイトがあるから遅くなっても構わないなら方法はあるんだよ」

「とりあえず詳しくお願いするッス」

「つまりね、俺のバイト終わりに何人かで遅めの夕飯を食べにいってその後夜の9時くらいまで皆で勉強するって事でその彩ちゃんのバイト先の店に行くんだよそうして知り合いから声をかけてもらって俺とも接点を作るんだその上で話をするって事」

麻弥さんは考えているがすぐに答えは出たようだ

「そのくらいなら問題は無いかと、今日イヴちゃんを紹介しますし、そのままのメンバーにもう1人加わってもらって行けばいいんじゃないですかね」

「なら俺の方でバイトの時間を融通してもらうよ」

「大丈夫なんスか?」

「うん時間には融通聞くからね、ちょっと待ってて」

俺はそう言ってスマホを操作しまりなさんに連絡を入れる

数回のコールの後まりなさんが電話に出た

(もしもし光君?どうしたの?)

「こんにちはまりなさん突然で申し訳無いんですけど土曜もバイト入るので今週いっぱい7時で上がらせて貰う事は出来ますかね?」

(土曜日朝から来れるなら問題無いわよでもいきなりどうしたの?何かあったの?)

「実は先週末の小テストの結果が思わしくなくて勉強の時間を作りたいんですよ」

(そういう事なら問題無いわよ!むしろ毎日入ってもらって悪いわね)

「良いんですよそれは俺も好きでやってるのでそれその時によりけりですけど土日休みを頂けてるので大丈夫です」

(なら良かったわとりあえず今日もよろしね)

「はい、こちらこそ我儘聞いてもらってありがとうございます。じゃあまた後で」

俺はそう言うと通話を終了させてから2人に声をかける

「とりあえずOK貰ったよ」

「じゃあバイト終わりに勉強会って名目で彩ちゃんのバイト先に行きましょう!」

「それならもう1人声をかける子も俺が誘って良いかな?」

「おまかせします」

「アタシもひ〜くんに任せるよ」

2人から了解を貰えたので俺は今度は花音に連絡する

「もしもし花音か実は昨日話してた件で相談があるんだ」

(どうしたの?私は何を手伝えばいいのかな?)

「花音は丸山彩ちゃんって知ってるか?」

(うん、同じ学校でクラスも一緒だし、バイト先も一緒だよ)

「そうか、ってちょっと待って今クラスもバイト先も一緒って言った?」

(うんそうだよ?)

「ならちょうどいい花音のバイト先に今日の夜行っても良いかな?その彩ちゃんとも話したいんだ」

(わかった私が間に入るよ)

「OK!お前最高だよ花音!お前と知り合えた事に心の底から感謝するよ!」

(大袈裟だよ~)

「とりあえず夜に行くよじゃあまたな」

(うんまた後で)

俺は通話を終了すると2人に事情を説明し了解を得たのでその場は解散となった

そして放課後俺は少し急いでバイト先に向かった、バイト先に着くとすぐに俺はcircleのバイト着に着替えて髪を軽くセットしメガネとピアスを付けると受け付けに入りまりなさんに声をかける

「こんにちはまりなさんお昼は突然すいませんでした」

「良いのよ、時間には融通聞かせるって約束だもの学生の本文は勉強よ頑張りなさいな」

「ありがとうございます」

俺はそう言うとスタジオの掃除に回りその後貸し出し用の楽器のメンテナンスをしていると麻弥さんと日菜が若宮イヴさんを連れてきてくれた

「まりなさんちょっと早いですけど俺、休憩貰ってもいいですか?」

「良いわよ〜」

まりなさんからOKが出たので俺はcircleのカフェテラスへと移動してから話を始める

「とりあえず始めまして宮村光(ひかる)です」

「始めまして候、拙者若宮イヴと申し上げる」

俺は少し困惑して日菜に話しかける

「あのさ日菜この人大丈夫?なんか候だとか拙者だとか笑えないんだけど、Roseliaのあこちゃんの同族って訳じゃ無いよね?この人」

俺の言葉に日菜は少し考えて言葉を選ぶようにして教えてくれた

「う〜んとね、イヴちゃんって日本とフィンランドのハーフでね日本の侍とか忍者とかが大好きなんだよねそれで口調がちょっと武士対応?になるんだよね〜」

俺は正直苦笑するしか無かった

「あ〜とりあえず若宮さんで良いのかな?」

「私事はイヴと呼び捨てにしてください」

「普通に話せんじゃん!なんだったのさっきの!」

俺は正直ただ困惑するばかりで話が前に進まないので目線で麻弥さんに助けを求めると俺の意思を汲み取ってくれたのか間に入るようにして話を進めてくれた

「とりあえずこの場は私が進行役を買わせてもらうッスとりあえず話の内容を整理するとッスね彩ちゃんと千聖さんを筆頭に私達Pastel*Paletteのメンバー間ですれ違いが起きてる訳ッスそれに気付いたのがここにいる光さんなんすよ」

「そうなんですねでも、私もそこまでは話を聞いていますのでその先に進んでもらって構わないです」

俺は挙手して発言する

「なら俺からまずここにいるメンバーに質問するよまず、君達の間で起きてるすれ違いの原因として思い当たることは何がある?」

俺の質問に日菜が挙手して答える

「アタシは多分デビューライブとこの次のセカンドライブの事だと思う」

「他2人は?」

俺が問うと2人とも頷き答える

「私達2人も日菜ちゃんの意見と共通と思って貰って構わないッスよ!」

「右に同じです!」

俺は頷き次の質問をする

「じゃあこれは仮の話だけどもしもこのまますれ違いが酷くなって解散って事になった場合のメリットとデメリットはなんだと思う?」

日菜が再び挙手して答える

「そうなったらアタシと麻弥ちゃんはスタジオミュージシャンの仕事がメインでイヴちゃんはモデルさん、千聖ちゃんは女優業彩ちゃんは良くてソロ活動悪ければ養成所に逆戻りって事かな?1つの事に専念できるけど、もう二度と同じメンバーではやれないって事だね」

「それだとやれて50点」

「どうして〜?」

日菜の疑問は最もだろう、俺は自分の推測を話す

「まずメリットについては日菜の指摘は正しいよでもデメリットの部分に肝心な事が含まれていない」

「どういう事ですか?」

「つまりね日菜を筆頭にみんなの経歴に傷が着く事だよ解散になった場合はねそしてそうなった場合ファンからは絶対白い目で見られる例えばだ麻弥さんはPastel*Paletteで上手くいかなくて結局裏方に戻ったやつって思われる」

俺の言葉に麻弥さんは頷いた

「確かに有り得ない事じゃないっスね」

俺は続ける

「そして日菜は逆Pastel*Paletteを見放したと思われるだろうよもちろん可能性の話だがな」

「いやいや有り得ない事じゃないっスよ日菜ちゃんは少し練習すれば人並み以上になんでもそつなく出来るタイプッスそう思われる事は有り得ない事じゃないっスよ本当に」

「そしてイヴさんや千聖も結局モデルの仕事や女優業に逃げたなんて言われかねない、そして最後に彩ちゃんだっけかあの子は多分二度とアイドルとしての日の目は見られないそうならないために今のすれ違いを小さなきっかけからでも解決していかないとダメだと俺は思っている」

俺がそこまで言うと3人とも驚いていたその中で1番最初に我に麻弥さんが話しかけてきた

「光さんの推測は多分正しいと思うッスファンからの印象ってとても大事だと思うっスそれが一歩間違えたらそうなる可能性があるって思い知らされるっスね」

「だからこそ俺はそのきっかけを作る手伝いがしたい必要なら強引な方法になっても解決してみせるだからさ、とりあえず最後のメンバーの彩さんと話しておきたいその後で千聖と話す」

「でも、どうするんですか?」

「そうだよひ〜くん」

「日菜は知ってるだろ俺にしか出来ない方法できっかけ作るか強引にでも解決する今回は多分前者だ」

「あぁそっかなら大丈夫だよね」

「でも肝心のお2人と話さないことにはこの話は前に進まないと思います」

「それには同感っす」

そう言って麻弥さんとイヴは俯いてしまった

日菜も表情が曇っている、俺はため息を着くと立ち上がって

「3人とも来いよ!」俺はそう言うとcircleの店内に入っていきまりなさんに声をかける

「まりなさん機材点検を兼ねてステージ借りますね」

「はいはーいどうぞ〜」

俺はステージに向かうと3人も後ろから着いてくる。3人はステージの前に立ち俺はステージに上がると持参したエレキギターをアンプに繋ぎ音を出してチューニングしていくチューニングが完了すると俺はマイクを通して話し出す

「光ですこれから1曲歌います聞いて下さい結晶星」

俺は演奏を開始する数秒の前奏の後に歌い出す

『足並み悪くて遠くなる、遠くなる朝から不安で雨が降る、雨が降る今までどうにかやってきたやってきた、だからこれから何もかも上手くいく上手くいく気がするひらひらと空舞っていくその姿が見えない僕らは劣等星世界がどうとか関係ないけど気にしてる君もその一人かい?キラキラと輝いているその姿が欲しいと願った欲望星未来がどうとかどうでもいいとか吐き捨てて掴んだそれは何なんだ?』

俺は歌うありったけの思いを込めて自分達の今の状況を見ろと、今のままで良いわけ無いだろうと

『君がそうしたいならそうすりゃいいじゃんやめたいならやめればいいじゃん学校だって戦争だって退屈な日々の繰り返しなんてああもういいかい?もういいよもういいかい?もういいよこれから先後悔もある簡単にいかない時もあるけど気にすることはない君はきっと間違ってないああもういいよもういいんだよもういいんだよ、それでいいんだよ』

俺は全力で歌うお前達の好きにして構わないやめたいならやめてもいいでも、後悔しないようにと仮に後悔してもいいでも後戻りは出来ないんだと

『ひらひらとただ舞っていくその姿はいつか見たあの日の劣等星世界の終わりがやってきたその日君は笑えてるはずさキラキラと輝いているその光をまとった僕らは結晶星未来をどうにか変えていこう僕らの何かの結晶で冬が来て雪になり降り注ぐようにひらひらと空舞っていくその姿が見えない僕らは劣等星世界がどうとかどうでもいいとか関係ないけど気にしてる君もその一人かい?キラキラと輝いているその姿が欲しいと願った欲望星未来がどうとかどうでもいいとか吐き捨ててひらひらとただ舞っていくその姿はいつか見たあの日の劣等星世界の終わりがやってきたその日君は笑えてるはずさキラキラと輝いているその光をまとった僕らは結晶星未来をどうにか変えていこう僕らの何かの結晶で冬が来て雪になり降り注ぐように』自分達の輝きを見失うな俺は今はそれだけを願い歌うありったけのたった一つで

『キラキラと輝いているその姿はいつか見たあの日の劣等星世界の終わりがやってきたその日君は笑えてるはずさキラキラと輝いているその光をまとった僕らは結晶星未来をどうにか変えていこう僕らの何かの結晶で冬が来て雪になり降り注ぐようにキラキラと輝いているその姿は』俺は演奏を終えると3人から拍手が送られた俺はステージから降りるとなぜか麻弥さんが泣いていた

「麻弥さん?なんで泣いてるの?」

言われてから気が付いたのだろう麻弥さんが目尻を拭うが涙はとまる様子がない

「あれ?なんで?なんでとまらないんですか?」

「簡単だよひ〜くんの歌が響いたんだよアタシもね、ちょっと前までお姉ちゃんとの距離感に迷ってたらひ〜くんが歌で励ましてくれたんだ麻弥ちゃんも今、そうなんじゃないひ〜くんの歌が麻弥ちゃんの心に響いたんだよ」

「そうなんスかね、そうだったら嬉しいッスね」

「なんだか素敵です」

そう話している3人の顔は憑き物が落ちたような顔つきだった

俺は3人にバイトが終わるまでの間に千聖や彩さんの都合を確認してもらっている。しばらくすると麻弥さん達が戻ってきたが今度は何やら気難しい顔をしているので俺は声をかける事にした

「3人とも何かあったの?」

「実はですね、日曜にパスパレとしての活動があるんですけど、マネージャーがどうしても外せない私用との事でいないんスなので活動に支障を来たしまして」

「麻弥ちゃん!ならひ〜くんに頼めば?」

「それは名案です!」

「えぇ!?それはちょっと光さんに申し訳ないっスよ」

「ごめんよくわからないんだけど、つまりマネージャーがいないからスケジュール通りの活動が出来ないって事?」

俺が確認の為に質問する

「そうだよ〜だからひ〜くんが1日マネージャーしてくれないかな〜って思って、ダメ〜?」

日菜が上目遣いにこっちを見てくる正直その顔されると俺は逆らえないのだが仕事が分からない以上どうしようもないのでとりあえずまずはその事を伝える

「やるやらないは別として普段どうしてるのか教えてくれるかな?」

「ん〜とね普段は移動しながらのスケジュール確認と仕事の時間の融通とかそんな感じだよ」

「普段はですからね日菜ちゃん今回はもしも光さんが1日マネージャーがやるならプロデューサーやディレクターインタビューもありますから記者さんとも顔合わせしてその後は私達のアフターケアも必要ッスよ」

「そのくらいなら俺は構わないよ?」

「え!?良いんですか?」

「うん!俺に出来ることなら大丈夫だから」

「お願いしましょう!」

「アタシも賛成!」

「俺も問題無いから良いよ」

そうして話は決まった所で俺はバイトが終わりなので上がらせてもらったそして俺達は花音と彩さんのバイト先へ向かった20分程歩くと目的地が見えてきた、店に入ると花音が出迎えてくれた

「あっ!光君!いらっしゃいパスパレの皆と一緒だったの?」

「あぁうん俺に頼み事があるんだって後は勉強会も予定してるからバイト終わったならおいでよ」

「じゃあバイトが終わったらね」

「じゃあとりあえず注文しないとねポテトを2つLサイズで」

「かしこまりました」

花音はそう言って店の奥に引っ込んで行った

しばらくすると花音とは別のピンク色の髪の女の子がポテトを運んできてくれた

「おまたせしました…って日菜ちゃん麻弥ちゃんそれにイヴちゃんもなんでここにいるの!?」

「彩ちゃんにもひ〜くんを紹介しようと思ってさ彩ちゃんだけなんだよひ〜くんの事知らないの」

「そういう訳で早い方が良いかと思って3人で案内して来たんスよ」

「そういう訳なので参りました!」

事情を聞いて彩さんはすぐに理解してくれたようだ

「そっかぁ〜そういう事ね」

「じゃあ改めて紹介するねひ〜くんこっちが丸山彩ちゃんアタシ達パスパレのボーカルだよそれでこっちがひ〜くん」

俺は日菜の頭を軽く小突く

「いった〜いひ〜くんなんで叩いたの〜!?」

「日菜いつも言ってるだろ初対面の相手に俺をひー君って紹介するなってちゃんと名前で紹介しろっての」

「だって〜ひ〜くんはひ〜くんだし」

「だってじゃね~よ」

俺はそう言って日菜の頭をワシャワシャと掻き乱す

「ちょっと〜もうひ〜く〜ん」

俺が日菜とじゃれていると困惑した様子で声をかけてきた

「あの〜日菜ちゃんとじゃれている所申し訳無いんですけど改めて名前教えて貰えませんか?」

俺は日菜の頭から手を離し彩さんの方に向き直って挨拶する

「彩さんだよね俺は光(ひかる)宮村光、よろしく」

「よろしくお願いします光さん。あの、私で最後って事は千聖ちゃんの事も知ってるんですよね?」

「うん、千聖とも知り合ったばっかりだけどね」

「え?じゃあ千聖ちゃんの彼氏とかじゃ無いんですか?」

「残念だけど違うよそれに昨日知り合ったばかりなのに彼氏とか有り得ないよ」

「じゃあ日菜ちゃんの彼氏ですか?」

「残念だけどそれも不正解俺と日菜は別に付き合ってないよ。それにこれは麻弥さんにも言った事だけどね仮にでも俺は日菜と兄妹や恋人にはなれないよ俺は日菜を悲しませちゃうから」俺はそう言って日菜の頭を優しく撫でる日菜は少しくすぐったそうにしながらも嬉しそうにしている。

「あの!どうしてそう思うんですか?光さんといる日菜ちゃんは凄く嬉しそうで楽しそうですそれなのになんでなんですか?」

俺は思ったこの子ははっきりと言わないと分からないんだろうと、そこがこの子の長所でもあり短所なのだろうなと

「彩さんは日菜にお姉さんがいるのは知ってる?」

「はい、知ってますRoseliaの紗夜さんですよね」

「うん、その紗夜はね日菜にとって1番の自慢でいつまでも憧れの存在なんだよ。俺は皆の特別にはなれても誰かの特別にはなれないから、だから俺は日菜だけの特別にはなれないんだよ」

「そう、なんですか。」

彩さんはそれだけ言うと俯いて店の奥に戻って行った

「俺、なんか悪い事したかな?」

「多分彩ちゃんは今の言葉の意味がよくわからかったんだと思うッス」

「私もそう感じました」

「彩ちゃんって深く考えすぎるからね〜でも、ひ〜くん!ひ〜くんはもうアタシの特別だよひ〜くんはお姉ちゃんと話をするきっかけをくれたし、そのおかげで今お姉ちゃんとの関係はぎこちないけど変わっては来てる。そのきっかけをくれたのは間違いなくひ〜くんだもん!だからアタシの特別なんだよひ〜くんは」

「ありがとう日菜、俺にとっても日菜は特別だよ」

俺は日菜に笑いかけると日菜も笑顔を向けてくれた

一方で麻弥さんとイヴは少し顔を赤くしながら苦笑していた

「見てるこっちが恥ずかしくなるッスよ~」

「まったくです!」

俺達は2人揃ってえ?って感じの顔を浮かべている

 

彩視点

私は俯いたまま店の奥に戻ると花音ちゃんが後片付けをしていた

「お疲れ様彩ちゃんってどうしたの?」

私は花音ちゃんにあの人の事を聞いてみる

「あのさ、花音ちゃんもあの人の事知ってるんだよね?」

「あの人?あぁ光君の事?うん千聖ちゃんと一緒に昨日仲良くなったばっかりだけどね」

そう言って花音ちゃんは苦笑する

「私、あの人に千聖ちゃんか日菜ちゃんの彼氏じゃないのかって聞いたんだ、そしたら違うって言ってたでもあの人が私達に向ける視線と日菜ちゃんに向ける視線って全然違うの」

「どういう事?」

「あの人が私達に向ける視線はなんて言うのかな?友人としての視線って言うのかな?優しい視線ではあるんだけど、日菜ちゃんに向ける視線は私達に向ける視線よりも優しくてまるで大切な宝物に触れるみたいに愛おしそうに見てるのそれがわからなくて」

花音ちゃんは私の話を黙って静かに聞いてくれたそして笑ってた

「あのね多分だけど過ごしてきた時間が違うからだよ」

「どういう事?」

「光君っていつも誰かの為に何かしてるのその中で1番最初にきっかけをあげたのが日菜ちゃんだったんじゃないかな?だから日菜ちゃんは光君に凄く懐いてるし光君も懐いて慕ってくれる日菜ちゃんを大切に思うんじゃないかな?」

「それでも私よくわかんないよあの人のこと」

「なら直接聞いてみなよ光君にきっと答えてくれるから」

そう言って微笑む花音ちゃんからはあの人に寄せる信頼が見て取れた

俺達は2人が来るまで雑談に興じていたと言っても音楽の話ばかりなのだ、やれこのバンドの良いところはここだの逆にここはこの部分がこうなってくれたらだとかそんな話ばかりだ そんな話をしているとバイト上がりの2人がこちらにやってきたので俺は声をかける

「2人ともバイトお疲れ様」

「ありがとう光君隣座ってもいい?」

「もちろん!日菜、ちょっと詰めてくれる?」

「良いよ~」

そう言って日菜は壁の方へ寄り俺も横に詰めると花音が隣に座り彩さんは向かい側だ

「よし!じゃあ勉強会を始めますか!」

「光君ちょっと良い?」

俺が開始の音頭をとったすぐ後に花音から話しかけられた

「どうしたの?」

「少しの間彩ちゃんの質問に答えてあげてくれないかな?彩ちゃんまだ光君の事が分からないみたいなんだ私は少なくとも光君という人を100%理解してるとは言えないけど1%は理解してるつもりだから彩ちゃんも光君の事を1%でも理解してもらいたいなってダメかな?」

俺は正直そんなことかと思ったまぁ当然じゃないかと思う今日会ったばかりな人に自分を完全に理解しろとは言えないし無理だと思う、それに花音からもっと難しいお願いをされると思っていたので拍子抜けしたのだ

「構わないよいきなり他人の事なんて理解出来ないもんね彩さん、少し話をしようか」

俺はそう言って笑いかける

「はい、ありがとうございます光さん。改めて、丸山彩です花咲川学園の2年生で16歳ですPastel*Paletteっていうアイドルバンドでボーカルしてますよろしくお願いします」

「自己紹介ありがとうこっちも改めて宮村光です歳は君と同じ16で羽丘学園の2年生で日菜とは同じクラス、趣味は音楽全般と読書かな、よろしくね」

俺が自己紹介すると彩さんは驚いた顔をして固まっている

「あれ?彩さん?お~い!大丈夫?」

俺が呼びかけるとハッとして我に返り今度は大声をあげた

「えぇー!?」

俺達は思わず耳を塞ぐが彩さんは未だに驚いている

「えっえ?光さん同い年?私てっきり年上かと思ってたのにえっ?嘘!」

「驚いている所悪いけど本当だからね」

「えぇ!?私てっきり大学生くらいかと思ってたのに大人っぽいしオシャレでその、、、、カッコイイし」

「アハハ〜オシャレだってのはよく言われるけど大人っぽいくてカッコイイってのは初めて言われたよ」

「そうですか、あの!もう1回聞きますけど千聖ちゃんか日菜ちゃんの彼氏じゃないんですよね?」

俺は彼氏では無いので違うと言おうと思うが、果たしてどう伝えれば納得してもらえるかと考えてると日菜が話に入ってきた

「あのさ〜彩ちゃん一つ聞きたいんだけどアタシはともかくひ〜くんを千聖ちゃんの彼氏だと思ったのはなんで?もしかしてひ〜くんが千聖ちゃんといるとこ見たとか?」

「あ〜それ俺も気になってた」

彩さんはちょっと考える素振りをした後スマホを取り出し1枚の写真を見せてくれた

「その事はこの写真見てそうなのかなって」

「あぁこれ昨日千聖と花音と3人でいた時のだ俺が死角になって花音が見えなかったんだよきっと」

俺はその写真を見せられたおかげでやっと納得できた

「つまりこの写真を見て俺が千聖の彼氏だと思ったわけだ」

「実はそうなんだよね、この写真の千聖ちゃん凄く楽しそうだからもしかしたらそうなのかなって」

「なるほどね、さっきも言ったけど俺はどっちかの彼氏って訳じゃないからね」

「そうだよアタシもひ〜くんの事好きだけど恋愛感情じゃないからね、そもそもアタシそういうのよくわかんないし」

「まぁ見ての通りだから」

俺はそう言って苦笑する

「でも、あの光さん気付いてるかどうかわかりませんけど、日菜ちゃんを見る視線明らかに他の人と違うのわかってます?」

「わかってるよ?日菜ってこういう奴だし面と向かって目を見て話せる奴だからね俺は日菜のそういう部分を気に入ってるから、だからかな日菜を大事だと思うし特別だとは思うよでも日菜が言ってた通り恋愛感情じゃないんだそれだって1つの友情や愛情の形だよね」

俺はそう言って笑いかける周りのみんなも笑顔だった

「なら、千聖ちゃんはどうなんですか?」

「千聖?知り合ったばかりではっきりこうだって言えることは少ないけど、あいつは自分の中で必要なもの不必要なものをはっきり分けて不必要なものを簡単に手放してしまえるやつだと思うその不必要なものがいつか必要なものになるとは考えないんだよ多分だけどね」

俺は俺が思う白鷺千聖という人物を言葉にする 我ながら身勝手な想像だなと思ってしまうが彩さんは違うようでどこか不安気な表情をしている

「あの!私達はこれからどうすれば良いと思いますか?」

俺はその質問を簡単に答えてはいけないと思った、だから少しの間沈黙し考える周りの皆は俺の答えを待っているかのように静かだ、俺は考えた末に答える

「ごめんね、俺はその質問には答えてあげられない。なぜならそれはこれから君達が見つける道だと思うから、だから俺なんかの半端な考えで変な希望を持たせるわけにはいかないから、それに俺に出来るのはきっかけをあげるくらいだからね、そうじゃなきゃ強引に解決するしかない俺はどっちかしか出来ないから」

俺はしっかりと彩さんの目を見て答える。彩さんの方は少し俯いたがすぐに顔を上げて言った

「そうですよね、私、ううん私達はこれからちゃんと皆で話し合って、いっぱい悩んでこの先の道を決めていこうと思います!」

そう言った彩さんの顔は晴れやかだった

「じゃあこの話はおしまい軽く勉強しよう」

俺は気を取り直して皆と勉強する俺達の方は問題はなかったが花咲川の方は俺達より少し進みが遅いようで俺達でフォローしながら進めて行くその間日菜は退屈そうにしていたが時々自分で例題を作って解き方や簡単な解説だとを入れてくれたので俺としては助かった、そうしてある程度進めた所でいい時間となったので解散する、全員が駅までは同じ方向だと言うので連れ立って駅まで歩いて向かう俺も自転車を押しながら皆と一緒に歩く、俺達は駅に着くとそこで別れた麻弥さんとイヴは方向が同じで電車に乗るそうなのでそれを見送るとは残りのメンバーに声をかける

「日菜は俺と方向同じだけど2人は?」

「私達はこっちなんだ」

そう言って花音は右側の道を指さす

「じゃあ俺らもここで別れるしかないな俺達は左方面なんだよ、送ってやれなくてごめんな」

「良いよ、彩ちゃんも一緒だし大丈夫だよ」

「家までの道で迷うなよ」

「私そこまで方向音痴じゃないよ!」

「アハハごめんごめん」

「もう!光君のバカ!」

花音は可愛らしく頬を膨らませて怒ってそっぽを向いてしまう

その様子に俺は苦笑していると日菜が俺の袖を引っ張ってきた

「ひ〜くんそろそろ帰ろ〜」

「あぁそうだな、あんまり遅くなると紗夜に怒られるしな」

俺はそう言ってまた日菜の頭を撫でる日菜も嬉しそうにしているので少しの間続けてやるその様子を花音はどこか楽しそうに見ているが、彩さんの方は不思議そうな表情をして俺達に話しかけてきた

「あの!2人って本当に知り合ったばかりなんですか?」

「まぁ1ヶ月経つか経たないかくらいだよな?」

「そうだね〜」

「その割に日菜ちゃんも凄く光さんの事慕ってるみたいだし、そのやっぱり愛おしそうに日菜ちゃんを見てるから」

「短い時間や限られた時間の中でも過した時間の中でそれが大切だと思えたならそれは俺たちにとって理想の関係何じゃないかな?」

俺は思ってる事をそのまま伝える

「確かにそうかもアタシもひ〜くんの意見に賛成かな、彩ちゃんはなにがそんなに不思議なの?」

「私も上手く言えないけど2人がどうしてそんなに仲が良いのが良いのかよくわからなくて」

俺は考えた結果どう伝えたら良いのか分からないので歌で表現する事にした

「3人ともまだ時間は大丈夫?」

「アタシは良いよ~ひ〜くんと一緒だって言えばお姉ちゃんもそこまで心配しないだろうし」

「私も大丈夫バイト上がりに友達と少し勉強するって言っておいたし」

「私も花音ちゃんと同じ理由で大丈夫です」

「なら1曲聞いてくれる?俺、これ以上は歌でないと言葉にできないと思うから」

「ひ〜くん歌うの?今日はどっち?」

「今日はキーボードだよ」

「昨日も聞かせてくれたけど今日も聞けるんだね楽しみ」

「私は初めてなのでなんとも言えないです」

三者三様に楽しみにはしてくれるようなので俺は準備する

キーボードをケースから取り出しスイッチを入れる

「ひ〜くんそのキーボードっていう電池式?」

「今日のは充電式準備、出来たから日菜、少し離れてて」

「は~い」

俺は2度3度鍵盤を叩くと3人に話しかける

「こんばんは今日は君達3人に聞いてもらおうと思います聞いて下さいSTORY」

俺は演奏をはじめ少しの間の前奏の後に歌い出す

『限られた時の中でどれだけのコトが出来るだろう…言葉にならないほどの想いをどれだけアナタに伝えられるのだろう…ずっと閉じ込めてた胸の痛みを消してくれた今私が笑えるのは一緒に泣いてくれたキミがいたから一人じゃないからキミが私を守るから強くなれるもう何も恐くなヨ…

時がなだめてく痛みと共に流れてく日の光がやさしく照らしてくれる説明する言葉もムリして笑うコトもしなくていいから何かあるならいつでも頼って欲しい疲れた時は肩をかすからどんなに強がってもため息くらいする時もある孤独じゃ重い扉も共に立ち上がればまた動き始める一人じゃないから私がキミを守るからあなたの笑う顔が見たいと思うから時がなだめてく痛みと共に流れてく日の光がやさしく照らしてくれる時に人は傷付き、傷付けながら染まる色はそれぞれ違うけど自分だけのSTORY作りながら生きてくのだからずっと(ずっと)、ずっと(ずっと)あきらめないで…

一人じゃないから私がキミを守るからあなたの笑う顔が見たいと思うから時がなだめてく痛みと共に流れてく日の光がやさしく照らしてくれる…』

 

彩視点

彼の歌を聞いたのは初めてだったけど正直言葉が出なかった

彼が伝えたかった事がなんとなくわかった気がする

彼…光さんが言ってた、俺に出来るのはきっかけを作るか強引に解決するしかないって、多分だけど日菜ちゃんとお姉さんが向き合うきっかけを作ってあげたんだ、だから日菜ちゃんは光さんをあそこまで慕ってるし光さんもそんな日菜ちゃんが大切なんだなって思った、でも、なんとなく羨ましいって思ったのは内緒だったりする

 

花音視点

昨日に続いて2度目だけどその場やその人にあった曲を選ぶのが上手いなと思った光君は優しいから、それをわかってるから日菜ちゃんも光君を慕ってるんだと思ういつか私のためだけに歌ってくれるかな?

 

日菜視点

一緒に泣いてくれた君がいたからかひ〜くんの歌もひ〜くんの音も最高にるん!ってするひ〜くんがいてくれなかったらアタシはまだお姉ちゃんと向き合えなかったかもしれないお互いの気持ちを知ることは出来なかったかもしれないそれくらいひ〜くんがくれたきっかけは大切なもの

 

俺は一気に歌い上げる3人それぞれが何かを感じ取ってくれたらいいなと思う俺が伝えたい事を知って貰えたらいいな

「どうだったかな?」

「私は初めて歌を聞かせてもらったんですけど凄いって感想しか出てこないくらい凄かったです」

「私は2度目だけどもっとたくさんの歌を聞いてみたいなって、歌はなんて言うか綺麗だった」

「最高にるん!ってした~!」

「気に入って貰えたなら良かったよ、今日はこれで解散にしようか?」

「はい!じゃあまた今度」

「光君また今度バイバイ」

「うんまた今度」

そう言って2人と別れ俺達は俺達で家路に着く、俺は日菜を自転車の後ろに乗せて送っていく

「ねぇねぇひ〜くん!」

「どうした?」

「今度はどんな曲歌ってくれるの?」

「そうだな〜たくさん悩んで涙した先に見えるものを歌った曲と時にはすれ違うこともあるけどそれを仕方ないって笑顔で見守る大切な友達に送る歌かな?」

「いつ歌うの?」

「日曜の夜かな?パスパレのメンバー全員の前で歌うから楽しみにしてて」

「千聖ちゃんや彩ちゃんの為じゃなくてパスパレの為?」

「そうだよ、パスパレのメンバーみんな友達でみんな仲間だろ?」

「そうだね〜」

「日菜、今は楽しい?」

「もちろん最高にるん!ってする事ばっかりだよ~」

「ならその気持ちは絶対忘れるなよ」

「うん!」

俺は自転車を走らせながら風に揺られる

「もうすぐ4月も終わるな」

「何か言った?」

「いんやなんも」

そう言って俺は自転車を走らせるスピードを少しだけあげる風はまだ少し冷たいと感じた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ここまで呼んでくれてる方はありがとうございます
次回はパスパレ回の完結ですのでお楽しみに曲の方もヒント程度に光君が話してたので予想してみて下さい
次回「ほんの少しの勇気と友情」


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第7話ほんの少しの勇気と友情

Pastel*Paletteの1日マネージャーを引き受けた光その選択は光に何をもたらすのか


次の日、光が学校に行き教室へと入るとリサが話しかけてきた友希那は相変わらず自分の席で静かに音楽を聞いている

「おっはよう☆光〜」

「おはようリサ、聞こえてるかわかんないけど、友希那もおはよう」

「………」返って来たのは無言だったどうやら邪魔するなということらしいので放っておく

「リサ、何か話があったんじゃないの?」

「そうそう!パスパレの1日マネージャーのバイト引き受けたって本当なの?」

俺は一瞬驚いたがすぐに微笑を浮かべ答える

「情報源は日菜?」

「アッタリ〜☆日菜が朝からご機嫌だったから聞いてみたら光が1日マネージャーを引き受けてくれたから日曜もひ〜くんと一緒なんだって喜んでたよ」

俺は軽く額に手を当てながら最もなことを聞いてみる

「リサ、日菜には守秘義務ってモノがないのかな?」

リサはちょっと考える仕草をした後答えてくれた

「どうなんだろうね?本人に直接聞いた方が私に聞くより早いんじゃない?」

そう言ってリサが俺の後ろを指さすと

「アタシがどうかした?」

俺は一瞬驚いたがすぐに平静を装い日菜に話しかける

「日菜、いきなり俺の後ろに来て声をかけるのやめてくれない?ビックリするし何よりちょっと怖い!」

「アハハ後ろから抱きついた方が良かった?」

「もっとやめてね!と言うか日菜!お前には守秘義務ってないの?」

「守秘義務?なにそれ?」

俺はあぁそういえばこういう奴だったと改めて理解する

「仕事の事、簡単に人に教えすぎじゃないのか?黙秘する事も重要だって話だ」

「ん〜そうは言っても言ったのりさちーだけだよ?」

「全く関係ない第三者に気軽に教えるなって言ってるの」

「楽しければいいじゃん!」

「リサ、俺なんとなくだけど紗夜の気持ちがわかったって言ったら、紗夜怒るかな?」

「どうかな?友希那に聞いてみたら?」

そう言ってリサは友希那を引っ張って来る

「何かしら?」

「日菜と話しててなんとなくちょっとだけ紗夜の気持ちがわかったような気がしてさ、それを紗夜に言ったら怒るかなって思ってさ」

「大丈夫じゃないかしら?多分だけれど光なら怒られる心配はないと思うわ」

友希那がそう言うので俺は少しだけ安心する。俺は1度友希那達から視線を外し日菜の方を向いて話しかける

「ところで日菜、さっきまで何処に行ってたの?」

「麻弥ちゃんのとこ〜」

「仕事の話か?」

「そうだよ〜ひ〜くんも来れば良かったのに」

「俺が言ってどうすんだよ!」

俺がそう言って苦笑する。それからすぐに先生がやってきてホームルームが始まりホームルームが終わってすぐに移動教室だったため、お昼休み以外は皆と集まれなかった。恒例のミニライブはリクエストがあったので『三原色』を演奏した

そして迎えた放課後、俺はいつも通りcircleでバイトと言っても今日は受付なので意外と暇である

「まりなさん今日はどんな感じでした?」

「午前中に大学生くらいの人達が2組と光君と入れ違いになるかたちで花咲川の子達が来たくらいかな?」

「RoseliaやAfterglowは来てないんですね」

「光君がいるしそろそろ来るんじゃないかな?」

「どういう意味ですか?俺基本毎日バイト来てますけどRoseliaもAfterglowも週3くらいじゃないですか?利用頻度」

「同じ学校だし光君がいるなら学校は終わってるわけだから、練習するならそろそろ来るんじゃないかな?」

まりなさんとそんな話をしていると噂をすればなんとやらAfterglowのメンバーがやってきた

「こんにちは、いらっしゃい」

俺は接客モードで対応する

「ひかるんやっほ~」

モカが軽いノリの挨拶と同時にハイタッチを求めて来たので応じる

「うん、いらっしゃいモカ、皆もね」

俺は他のメンバーにも声をかける

「お久しぶりです光さん」

「巴もね」

「光さん毎日バイトに来てるのに最近会わなかったのなんでですか?」

「タイミングの問題かな?練習スタジオの掃除してたり、スタッフルームで楽器のメンテしてたりだから」

「あの!良かったら今度私のベースもメンテして貰えませんか?」

「いいけど、普段自分でやってるんだよね?」

「光さんなら私が気付かなそうな細かいところまで総メンテしてくれそうだから」

「そういう事なら良いよ、さっそく練習終わったら持っておいで」

俺が3人とそれぞれ話していると蘭とつぐみが1歩引いた位置で2人で何かを話していたが、少しして俺の所にやってきた

「あのさ、光さんって楽器メンテギターとかベース意外も出来るの?」

「ある程度はね、蘭のギターもメンテしようか?」

「いや、私のは大丈夫なんでつぐみのキーボード見てやってくれませんか?」

「キーボード?キーボードがどうかしたの?」

俺はつぐみに問いかける

「全体的に音の調子悪くて楽器屋さんにも持っていったんですけど原因はバラさないと分からないって、そうすると修理費とかもかさむって言われて」

「わかった、良いよ、俺がメンテしてあげるその変わり時間かかるし1度バラさないとだから手間もかかるしそうなると練習にならないと思うから今日は貸し出し用のキーボードを使ってもらうことになるし、そうなるとスタジオの使用料と合わせて千円くらいになるけど大丈夫?」

「そのくらいなら大丈夫です」

「ならちょっと待ってて」

俺は1度倉庫に行きそこからキーボードを3つ程カートに入れて運んでくる

「おまたせ、この中から選んで」

「この中からですか?」

「うん、全部俺が調整したやつだから、使い勝手は悪くないと思うよ」

「これ全部光さんが調整したんですか?」

「そうだけど?」

「凄いですね!でも、どうしよう?どれ使えばいいか悩むなぁ〜本当にどうしよう」

つぐみはかなり悩んでいるので俺は音を出すように勧めることにした

「つぐみ、スイッチ入れて音出してごらんそうすればこれだっていうのがあるよきっと」

「じゃあそうします」

つぐみは3つともスイッチを入れて鍵盤を叩き音を出してみる

「凄い!鍵盤が軽いし音域が広い!これどうやったんですか?」

「ちょっと中の配線いじっただけだよ」

「それでここまでってなお凄いですよ!」

そう言いながらつぐみは更に音を鳴らしていく

「決めました!これをお借りします」

そう言ってつぐみは自分のキーボードと似た色合いの物を選び練習に向かったのを見送ってから俺はつぐみのキーボードをメンテし始めた、作業に没頭していると入口が開く音がしたので1度手を止め声をかける

「いらっしゃいませ」

「やっほー光〜来たよ〜」

「こんにちは光君」

「光君兄ぃやっほー」

「こんにちは」

「光、来たわよ」

やってきたのはRoseliaのメンバーだった、俺は友希那にスタジオの鍵と伝票を手渡す

「7番スタジオにどうぞ」

「光の接客モードいつ見てもなんか似合わないね」

「確かに普段の姿に見慣れてると違和感があるわね」

「2人とも酷くない?俺そんなに変?」

「変と言うより見慣れないのではないですか?」

紗夜がさりげなくフォローしてくれる

「でもあこは気にならないけどなぁ〜りんりんは?」

「私もさほど気にはならないです」

あこちゃんと燐子もフォローしてくれる

「アタシらはいつもの光に見慣れてるからだね」

「そうかもしれないわね、ところで何をしていたの?」

「あぁこれ?友希那達が来る前にAfterglowが来ててつぐみのキーボードのメンテを頼まれたんだ今は貸し出し用のを使ってもらってるよ」

「原因はわかったの?」

「あぁうん配線の接触不良みたいだから簡単な修理で済んで良かったよ」

そう言って俺はキーボードの鍵盤を叩くと淀みのない音が鳴った

「へぇ凄いじゃん」

「かなりの腕前ね」

「本当ですね」

「超凄いよ光兄ぃ」

「本当に凄いですね」

「そんな事ないよ、俺、昔から色んなものを壊したりしてたから、両親から修理して使えるなら使えって言われてね、それから色んなものをバラしたり修理したりしてたからそのおかげかな。」

俺はそう言って昔を懐かしんでいると唐突に友希那が

「あなたのおかしな器用さはそのおかげなのね。まぁいいわ、とりあえず練習に行くわよ」

「OK後でね光〜」

「また後ほど」

「また後でね光兄ぃ」

「失礼します」

友希那の一言でRoseliaの皆は練習に向かった、俺はまたカウンターの椅子に座り読みかけの本を読み出す。それから少ししてAfterglowは1度休憩に入ったらしくモカが寄ってきた

「ひかるんやっほ〜休憩中なのだ〜」

俺はまた読みかけの本を閉じモカと雑談に興じる

「そっか休憩中なんだね、でも、こっちに来て大丈夫?あんまりこっちにいると蘭にドヤされるよ」

「今、まさにそうしようと思ってた所です!」

そう言って蘭がモカの首根っこを掴んでカウンターから引き離す

「すいません光さんバイト中なのに」

「お客さんとのコミュニケーションも大事だから俺は、構わないよ」

「まぁ光さんが言うなら良いんですけど」

そう言うと蘭はそっぽを向いてしまったので俺はとりあえず蘭につぐみの事を聞いてみる

「そういえばつぐみは?」

「あぁなんとなく使い慣れないキーボードのせいかちょっと戸惑ってます光さんあのキーボードに何か細工でもしたんですか?」

「初心者向けだったのを初心者から上級者まで幅広く使えるように調整したからかな?」

「絶対それですよ!」

「それだね〜」

「つまり俺のせいか、ならこの後の練習見せてもらっても良いかな?」

「良いよ〜」

「モカ!勝手にOKするな!でも、まぁ大丈夫なんでお願いしてもいいですか?」

「わかたちょっと待ってて」

俺はそう言うとスタッフルームに行きギターを持った後まりなさんに受付をお願いしてからつぐみのキーボードも忘れずに持ってから蘭達に合流した

「おまたせ、いこうか」

「いこ~」

「うん」

俺達は連れ立って練習スタジオに向かう

「おまたせ、モカ連れて来た」

「じゃあ練習再開しようか」

「その前に1つ報告、光さんが練習見てくれるから」

「「「えぇぇー」」」

「静かにしなって光さんが驚いてる!」

「いや、本当に驚いた突然叫ぶもんだからさ」

「光さんなんで練習見てくれるのか聞いても良いですか?」

「あぁうん、つぐみがなんか貸し出し用のキーボードで苦戦してるって聞いたから、修理完了の報告も兼ねてね」

「もう修理完了したんですか!?」

「ただの配線の接触不良だったからサクッと終わらせたよ弾いてみて」

俺はそう言ってつぐみにキーボードを手渡すとつぐみは貸し出し用のキーボードを丁寧に片付け自分のキーボードをセットし弾き出した

「なにこれ?全然違う、光さんこれホントに私のキーボードですか?」

「なんかマズった?」

「そうじゃなくて音が綺麗すぎて」

「全体的に配線に余裕持たせたから音の幅が広がったせいじゃないかな?」

「とりあえず慣れるまで俺がサポートするから」

俺はそう言うとつぐみの隣に椅子を置いて座る

「じゃあ1回通すよ!」

蘭が言うとみんな真剣な表情になり演奏が始まる、俺は全体の音に耳を澄ませる

(音のバランスは悪くないんだけど調和が上手くとれてない)

俺はそう感じたので立ち上がりつぐみの隣に立ち片手をキーボードにのせて演奏に加わり音に耳を澄ませ指を動かし2、3分で演奏が終わったので一人一人にアドバイスしていく

「まずつぐみまだ慣れないかもしれないけどワンテンポ早くを意識して弾いてみて、俺が少し早めにリードとってたのわかったでしょ?」

「はい、頑張ります」

「巴とモカ2人とももう少しドラムとギターはしらせてもいいよ、でも、はしらせ過ぎないでね」

「了解」

「わかりました」

「ひまりはもう少し自信持って演奏してごらんそうすれば音が明るくなるからもう少し広く音が拾えると思う」

「意識して見ます」

「最後に蘭、もっとワガママになりなギターボーカルなんだし、全員私に合わせろってくらいワガママになっていいと思うよ」

「わかったやってみるじゃあもう1回」

皆は俺のアドバイスを意識して演奏している、まだぎこちなさはあるがいつも通りの1歩を踏み出せたようだ、演奏が終わると感想を求められたので答える

「まだぎこちなさはあるけど大丈夫いい演奏だったよ」

俺がそう言うと全員がほっとしていたが俺には1つ気になることがあったのでつぐみに声をかける

「つぐみ?大丈夫?」

「なにがですか?」

「まだ慣れない?修理したキーボード」

「なんか私の音なのに私の音じゃないみたいで」

「原因はやっぱりキーボード?」

「と言うより音そのものですね聞こえすぎるというか」

俺は納得した、自分の音だけが聞こえすぎてるんだ

「つぐみ目を閉じて」

「はい」

つぐみは目を閉じる

「そのまま鍵盤に手を乗せて軽く弾いてみて」

つぐみは俺の指示した通りに弾く

「どう聞こえる?」

「優しい音に聞こえます何処までも広がっていくような」

「OKそのままそれを手の位置変えながら何度か繰り返して」

つぐみは言われた通りに繰り返して行く、するとつぐみの表情が笑顔に変わっていく、もう大丈夫だろう

「つぐみ、もう目を開けても良いよ」

つぐみはゆっくり目を開ける

「そのまま弾いてみて」

「わかりました」

そう言ってキーボードを弾き始める今度は普通に弾けている

「光さんなんでなんですか?」

「音に敏感になりすぎてたから音に慣れさせたんだよ」

「音に慣れたんですか?」

「多分だけど、自分が思ってる以上に自分の音に驚いてたんだと思う」

「それを目を閉じてゆっくりゆっくり弾いたからそれが落ち着いたって事ですか?」

「そういう事、それに多分だけど指固まってない?」

「そうですか?」

そう言ってつぐみは手を握ったり開いたりする

「自分じゃあよくわかんないです」

つぐみがそう言うので俺は自分の手を前に突き出す

「つぐみ俺の手に手を重ねて指先で俺の指先押してみて」

「こうですか?ってアレ?」

思った通りだ指先で俺の指先を押し返そうとするが全然だった

「やっぱりねつぐみちょっと痛いと思うけど我慢してね」

そう言ってつぐみの指をポキポキと鳴らしていく

「ちょっと痛いけど手が全体的にほぐれてく感じがする手のひらから指先が暖かいよ」

「なら良かったほっとくと血行障害を引き起こすからね」

「なんですかそれ?」

「手足が冷たくなったり痛みが走って手足が動かせなくなるんだよそうなったら大変だからね」

俺はそう言ってつぐみの指から手のひらにかけてをほぐしていきこんなものかとつぐみの手を離す

「これで大丈夫だと思うけど無理は禁物ね」

「はい、ありがとうございます光さん」

俺は再度椅子に座り背もたれに身体を預けるとひまりが話しかけてきた

「光さんギターやベースをやる人はどうすれば良いんですか?つぐみみたいに手をマッサージすれば良いんですか?」

「いや、ギターやベースは肩からストラップかけて演奏するよね、なら肩から全身をほぐせばいいんだよ、ひまり俺に背中を向けて手を組んで俺の方に倒れてごらん」

「こうで良いですか?って痛たたた!」

俺はひまりの腕をつかみ少し無理やり気味に首の高さまで腕を持っていく

「ゆっくり深呼吸してひまり痛いけど終われば身体軽くなるから頑張って」

「でも光さんこの体制結構キツいし痛い!」

「なら10秒キープ」

そうして俺は数をかぞえ10かぞえ終わると手を離す

「痛かった~でも肩が軽いよ!」

そう言ってひまりはぴょんぴょんと跳ねる正直目に毒だ

「ほらひまり、練習再開するよ」

「は~い!でも蘭はいいの?」

「蘭もやるの?」

「いや、私はいい代わりに光さんのギター触らさてくれませんか?」

「良いよ、ちょっと待ってね」

俺はギターケースを開けてギターを取り出し軽くチューニングしてから蘭に渡す

「これでよし!はいどうぞ、蘭」

「お借りします」

蘭は俺からギターを受け取ると弾いてみる

「何これ!?気色悪!」

「蘭、それはかなり酷くない?俺のギターを気色悪いってさ〜」

「だって!モカ!モカならわかるかな?光さんのギター軽く弾いてみて!」

「わかった〜」

そう言ってモカは俺のギターを弾いた、そして考えている

「ん〜無駄な音が一切ない」

「そう!それ!本当に1周回って気色悪いったら」

「蘭、さっきから酷くない?」

「だって!ギター独特の歪みとかそう言うの全然ないじゃん!」

「俺のはそう言う仕様にしてるから、じゃないと自分の音が聞こえなくなるから」

「どういう事?」

俺はどう説明するか迷っているとつぐみが助け舟を出してくれた

「光さんどう答えていいか分からないみたいだしさ質問形式にしたら?」

「あぁうんそうしてくれると助かる」

「光さんが言うならそうします」

蘭がそう言ってくれたのでひとまず肩の荷がおりたつぐみにはごめんとありがとうのジェスチャーを送ったらとても可愛らしい笑顔を返してくれた。表情にこそ出さなかったが内心は乱れ放題だったりする

「とりあえず何から聞きたいの?」

「じゃあなんでギターとかキーボードをほぼ無音にしてるんですか?」

「これは俺個人の考えだけど、俺達人って人種は雑音の中に生きてて五感のうちの3つ見る、聞く、触れるでたくさんの音に触れてる中で雑音ってのは必ずある、俺はその音が酷く不快でね、それが無ければ自分の音であれ他の人の音であれもっと聞こえるはずだって思ってるから」

「じゃあつぐみの不調にすぐ気付けたのは?」

「あれは俺の調整がつぐみにあってなかっただけで、ちょっと音に慣れれば問題ない事だから」

「じゃあもう1つこれで私が聞きたいのは最後です。もしも光さんの調整した楽器で光さん以外の人が演奏したらどうなりますか?」

「人によるだろうけど、自分の音を見失うか、音に呑まれて音だけじゃなく自分自身を見失うかな」

俺のその言葉に蘭は表情を強ばらせるなかつぐみからも質問された

「あの!光さん今の回答だと分からないことがあります、VSライブの時は光さんが用意した楽器でしたよね?どうして今の私みたいな事に誰もなってないんですか?」

「それは俺が弄ったのは簡単なチューニングだけだからだよ、もしも俺が無音調整って呼んでる調整をしてたら良くてつぐみと同じ状態悪いとさっき言った感じになる」

「そうなんですね」

「光さん!私にこのギター弾かせてください!その代わり光さんが私のギターでリード取ってください!」

「それは演奏に混ざれって話?」

「はい、その代わりあくまでも演奏だけです歌はなしなんでいけますよね?」

「申し訳ないけど譜面がないと無理」

「あぁ…そういえばそうか…」

蘭は今気付いたようで自分のバックから譜面を取り出し俺に渡してきた、俺は蘭のギターを自分に合わせてチューニングしOKのサインをだす

「じゃあいきますよ!1・2・3・4!」

巴の掛け声に合わせて簡単なリードをとって演奏していく

俺は自分の内側から聞こえる音に耳を澄ませる

(まだだ、もっと深く、こうじゃない!、違う!、近いな!イイ感じだ)

俺は蘭のギターで出せる限界を見定めていた途中ひまりな方から小さな悲鳴が聞こえだが無視だ、周りのメンバーも苦しそうだが、こんなものか?俺は蘭のギターで出せる自分の限界で演奏する、それから少しして演奏が終わると皆へたりこんだ

「皆大丈夫?」そう声を掛ける俺にメンバーは首を横に振る

「モカちゃんもう無理〜」

「ごめんなさい私も無理です」

「練習でここまで疲れたの始めてですよ」

「私も指が痛いです」

「光さん今の全力ですか?」蘭が肩で息をしながら聞いてくるので俺は首を横に振る

「残念だけど全力を10とするなら2くらいだよ」

「あれで!?」

蘭が驚き全員が顔を見合わせ何やら話していて全員がこっちを見て蘭が代表で話し出す

「光さん!お願いがあります!」

「何かな?」

「私達の練習時々出良いので見て貰えませんか?光さんの技術を1%でも教えて欲しんです!」

「そんな事でいいの?お願いって?そりゃ確かに毎日は無理だけどcircleに俺がいて蘭達の練習日が被った日は必ず1時間練習見てあげるよ、それで良いかな?」

全員が頷いたのを確認し俺は練習を再開するように諭す

「じゃあ練習再開しようか?」

「それなんですけど今日はこのまま終わろうと思いますこの余韻に浸ったまま帰りたいので」

「わかったじゃあ機材の片付け等はやっておくから会計等済ませておいで、見送りくらいはしてあげる」

「じゃあ片付けとかはお願いしますね申し訳ないですけど」

「これも仕事のうちだから気にしないで」

俺はそう言って片付けを始めるコードを丸め1箇所にまとめアンプ等は元の位置に戻して軽く清掃しスタジオを出ると蘭たちが待っていた

「おまたせ、すぐ帰るなら見送りするけど楽器のメンテしようか?」

「だってよひまり」

「いや、ひまりだけじゃなくて蘭にも言ってるんだけど」

「私のはいい!光さん使ってるような仕様にされたらたまんないもん」

「お望みとあらばやるけどさ〜それ以外は基本メンテくらいしかしないよ」

「どうだか、光さんのメンテでつぐみみたいになったらどうするんですか!?」

「いや、同じ方法でなんとかるし大丈夫だよ俺のギター弾いたでしょ?それでも大丈夫なんだから軽いメンテくらいならなんともないと思うよ」

「とにかく私はいいです!ひまりのだけお願いします!」

蘭がそう言うのは俺は近くの椅子に座りひまりに声をかける

「じゃあメンテするからひまりはベース出して」

「わかりました、じゃあお願いしますね」

俺はひまりからベースを受け取ると弦が緩んでいないか軽く弾きながら確認していく

「光さんチューナーとかいらないんですか?」

「弾くわけじゃないし緩みの確認だけだからいらないよ」

「私なんて全部チューナー見ながらやってるのに」

「俺はアレ苦手なんだ、逆に音が狂うんだよね」

「そうなんですか? 」

「うん、自分の感覚でやる方がずっと楽」

そういいがら弦を弾いていきそれが終わるとネックの反りを確認して全体的にクリーナー掛けをする

「弦外さなくて良いんですか?」

「大丈夫だよ弦周りはこっちの細いの使うから」

そう言って俺は道具を広げる

「こんなに種類あるんですね」

「俺は楽器いろいろやるからね、はいこれでおしまい」

そう言ってひまりにベースを返す

「すごい私がやるよりピカピカになってる!光さんありがとうございます!」

「うん、どういたしまして」

「ひまりのベースのメンテも終わったし今日は解散して各自自主練って事で良いよな?」

「そのつもり 」

「じゃあ光さんアタシ等はこれで失礼します」

そう言って巴が立ち上がり他の皆がそれに続く

俺も見送りのため外まで出る

「見送りありがとうございます光さん今度の練習からよろしくお願いしますね」

「もちろん俺に出来る最大限の事をするよ」

俺はAfterglowの皆を見送ると店内に戻り一息つく

「はァ〜なんかどっと疲れたなぁ~」

俺が一人呟いているとまりなさんが缶コーヒーをくれた

「お疲れ様一息いれな」

「ありがとうございますまりなさんご馳走様になります」

俺は缶コーヒーを開けて半分程一気に飲み干すと少し長めのため息を吐くとほぼ同時にまりなさんが話しかけてきた

「そういえば光君そんなピアス持ってたっけ?」

「これですか?」

俺は片耳につけてるピアスの1つを外して見せるスペードの形のピアスだ

「貰い物なんです」

「彼女からの?」

「違いますよRoseliaのあこちゃんとAfterglowの巴2人からの貰い物です一緒に遊びに行った時に貰いました」

「そう言えばあの二人は姉妹だったわね」

そんな会話をしていると友希那がやって来た

「光、練習時間の延長をお願いするわ」

「了解、1時間で良い?」

「問題ないわ」

俺は時間延長を伝票に打ち込み手渡す

「はいこれ、帰る時にまたここで出してってねその時精算するから、じゃあ練習頑張って」

俺がそう言うと友希那が不思議そうな表情を浮かべこう言ってきた

「何を言っているの?貴方も来るのよ光」

「はい?ごめん今なんて?」

俺は思わず聞き返す

「2度も言わせないで欲しいわね、貴方も行くのよ光」

「聞き間違いじゃなかったかぁ〜」

「何をどう聞き間違えるのよ、良いから来なさい技術指導の時間よ」

そう言って友希那は俺の腕を掴んで俺自身を引き摺るように引っ張って行く

「友希那待って!ギター!ギター!俺のギター!持ってかないとでしょ!?それに痛いから1回離して!」

「何騒いでんの?光」

俺は通りかかったリサに助けを求めようか一瞬迷ったが背に腹はかえられないと思い助けを求める

「リサ!いい所に来た友希那に1度俺の腕から手を離すように言ってよ!」

「その必要はないわ、リサ、貴方が光のギターを持ってきてくれれば問題解決よ」

「なるほど〜わかったアタシが光のギター持っててあげるよ〜」

「良かったじゃないほら行くわよ!」

「だから一旦離せって〜の!」

俺の叫びも虚しく俺は友希那に引き摺られてRoseliaが練習しているスタジオに連れてこられた

「あのさ〜俺はなんでここに連れてこられたわけ?」

「言ったでしょ技術指導よ」

「俺からお前らに指導するような事あるの?」

「第3者の意見は大事よ特に貴方のように沢山の音楽にふれている人の意見はより貴重よ」

「お前ら自分達の演奏のクオリティ理解して言ってる?」

「諦めな光こうなった友希那は頑固だよ~」

「なんとかお願い出来ませんか?光君」

「あこも光兄ぃからドラム教わりたい!」

「私も少しでも自分の成長に繋がるならお願いしたいです」

俺はため息をつき両手をあげて降参の姿勢を取る

「わかった降参だ練習に付き合うよ」

「やった~☆ありがとね~光〜お礼に今度Roseliaの衣装でデートしてあげよっか?」

「それだけはやめてくれ!俺がRoseliaのファンに刺されるから!」

「デートは良いんだ?」

「あっ!それならあこもあこも!あこも光兄ぃとまた遊びに行きたい!」

「あこ、どういう事?光と遊びに行ったの?」

「うん!お姉ちゃんとあこと光兄ぃで遊びに行ったことあるんだ〜その時光兄ぃがこれ買ってくれたの!」

あこちゃんは俺が買ってあげたチョーカーを見せびらかす

「あとね、あとね、お姉ちゃんも紫色の可愛いヘアアクセ光兄ぃから貰ってたよ〜」

嬉しいそうに話すあこちゃんとそれを笑って見ている燐子と俺を睨む他3人の視線、怖いからやめてね?

「光〜どういう事かな〜?」

「どうもこうもリサと友希那に他のメンバー紹介してもらった時あこちゃんから巴と3人で今度遊ぼうって誘われてたから一緒に遊んだんだよ!」

「そういえばそんな話してたっけ?」

「今更かよ!?つか、リサには今付けてるイヤリングあげたよね!?友希那も今付けてる薔薇のブレスレット俺があげたやつだしさ!」

俺は2人が身につけているイヤリングとブレスレットを交互に指さして告げる

「アハハ〜わかってはいてもね〜」

「意味合いが違うわ」

「そうは言うけどさぁ〜と言うか紗夜、紗夜にもキーホルダーとリボンの着いたヘアゴムあげたよね?あれはどうしたのさ!」

「キーホルダーは筆記用具に付けさせて貰ってますネックレスは日菜が欲しがったのでヘアゴムの方を頂きました自宅で勉強する時など髪をまとめるのに使わせていただいてます」

俺はとりあえず使ってもらえてはいるようなので良いかとは思ったが自分の中で新たな疑問が湧いてくる

「あれ?じゃあなんで俺今睨まれてんの?睨まれる覚え無くない?」

「光は紗夜にも貢いでたんだねぇ〜」

「待って待って!その言い方はなんか違くね!?それに貢いでるって言い方!」

「そうですよ今井さんその言い方では光君が私を口説き落とそうとしてるみたいじゃないですか!」

「実際その気なんじゃないの?ねぇ友希那どう思う?」

「どうかしらね、とりあえず問い詰めるのは後にしましょう!さぁ練習するわよ!」

友希那の一声で空気が凛と張り詰めた

「いくわよ!FIREBIRD」

友希那の宣言と共に演奏が開始される。俺はRoseliaの音に耳を澄ます、演奏のクオリティ自体は悪くない前より上がっていると言って差し支えないが如何せんノイズだらけだ。

演奏が終わると友希那が話しかけて来る

「光、どうだったかしら?」

「あぁ〜うん演奏のクオリティは前より一段と上がったとは思うけどその分統一感というかがバラけてきてると言うか上手く言えないけどまとまりにノイズがある感じ」

「1人1人、具体的にアドバイスは可能かしら?」

「何となくで良いなら」

「お願いするわ」

じゃあまずあこちゃんはちょっとドラム走り気味だから10が全力なら9を意識してみて」

「どういう事?光兄ぃ」

「あこちゃんもし良かったらちょっと変わってくれる?」

「うん!良いよ~!」

俺はあこちゃんにアドバイスするためドラムを叩く10より9なら俺なら3から5の間くらいを意識してドラムを叩きこんな感じと伝える

「わかった?どことなく音の違いが」

「うん!あこの演奏は先ばりし過ぎだったんだね!」

「それがわかったなら上出来だよ」

「燐子はあこちゃんとは逆にスラスラとした演奏を心がけてみて、こんな感じ」

俺は反対側から弾いてみせる

「凄いですね、さっきのドラムもですけど、キーボードも上手なんですね、アドバイス意識してみます」

「あぁうんまぁキーボードオンリーで演奏したりもするからね俺はキーボードの前奏の後ギター弾いたりする時もあるからね」

「紗夜はリズムキープは正確だから、もう少し周りの音を聞いて友希那を引き立てないと、反対にリサは周りの音を聞きすぎるからベースの音に統一性がないそこは紗夜を見習わないとね」

「な~んか紗夜ばっかり贔屓してない?」

「してないからあくまでも個人の感想と言うか意見だから、最後に友希那はCHAINを歌ったあの時を思い出して歌ってみて、そうすれば今の演奏から更に1段階上にいけるはずだからクオリティも上がるよ」

「やってみるわもう一度FIREBIRDで行くわ!光、ギターで参加なさい、今回だけリード任せるわ」

「了解3分待って」

俺はギターを取り出しチューニングしてから紗夜の横に立ち準備OKのサインを出す

「ならもう一度FIREBIRD!」

燐子のキーボードに合わせて友希那が歌っていく

「天高く燃え上がれ!」

その宣言と共に俺達が演奏を開始する俺は周りの音を聴きながらも深く潜っていく音の渦の中へ深く深く沈んでいく

3割ってとこか、紗夜が少し苦しそうだ、リサは限界近い後ろ2人もついて行くのがやっとって感じか、Roseliaでなら5割出せるかと思ったがダメかぁ〜、俺は演奏を終えると皆を見ると全員方肩で息をしている

「大丈夫か?」

「光、少しは遠慮しなさい、全力のあなたについていけるわけないでしょ」

「いやいや、何言ってんのさ俺、全力どころかあれでも3割ってとこだよ?」

「あれで3割!?光本気〜!?」

「嘘言ってどうすんのさ、5割行けるかなと思ったけど3割で皆辛そうだったからね」

「5割だったらあこ達光兄ぃに倒されてたのかぁ〜」

「ゲームだとラスボスの前に倒れる勇者の図なんですよね」

「2人とも俺を悪役にしないでね、お願いだから」

「光君が全力を出す時は本気で誰かの力になりたいと思った時だけなんでしょうね」

「紗夜なにか知ってるの?」

「あぁいえ、そう感じただけです」

「光、私達の練習をこれこらも見てもらえる?私達の夢というか目標はfutureWorldfesに出る事なの、その為には本当なら光、貴方にRoselia専属のマネージャーをしてもらって技術指導なんかをしてもらった方が良いのだけれど、それは高望みだと自覚しているわ、貴方も貴方で夢や目標があるのでしょ?それを邪魔する気はこっちにもないわ、だから私達がcircleで練習する時は技術指導をお願いしたいの」

俺はRoseliaの目標を初めて聞いた、そんな大きな野望の手伝いが俺に出来るのか正直不安ももちろんあるが、必要なら発破をかけるか励ましたりきっかけを作ってやればいい

「わかったcircleにいる時で良いならOK但し1時間だけね、一応付きっきりってわけには行かないからさ」

「当然ねその条件で良いわ、今日は終わりにしましょう光、私達の目標を聞いた以上半端は許さないわよ」

「俺は必要ならきっかけだってなんだってあげるよ」

「じゃあ〜さっそく光を問い詰めるとしますか〜」

「俺はこれから拷問でもウケるの?」

俺はどう逃げようか思考を巡らせていると意外な助け舟が出された

「あこ思うんだけど、Roseliaのメンバーとのデート券でも光兄ぃにあげるか逆に光兄ぃの1日独占券を貰えば問題解決なんじゃないかな?」

「あこナイス!☆」

「良いかもしれないわね」

「1日独占ですか~?」

「あこまたお姉ちゃんと3人で遊びに行きたい!」

「私も…その…光君と遊び行ってみたいです」

俺は結局メモ帳のページを破り1日独占券と書いて5人に渡した、俺を独占して何する気なのかはあこちゃん以外は想像もつかないけど楽しければまだ良いけどな〜

そうしてRoseliaを見送って片付けを済ませまりなさんと受付を交代していると閉店1時間前に今日最後のお客がやって来た

「すいません!まだ時間は大丈夫ですか!?」

「いらっしゃい、って千聖?」

「光君?貴方ここでバイトしてたの?」

「あれ?言わなかったかな?」

「ライブハウスでバイトしてるとは聞いていたけど、場所までは言ってなかったわ」

「そっか、それはごめん閉店まで後、1時間あるから終業時間までは大丈夫だよ」

「じゃあお願いできる?」

俺は伝票を入力して鍵と一緒に手渡す

「目の前の1番スタジオにどうぞ」

「ありがとうって、あら?これは何?」

千聖が気にしたのは技術指導の料金表だ

「あぁこれ?俺が技術指導するんだよ初心者から上級者までは幅広く意見出したり、ギターやベースドラムとか色々楽器教えるんだよ料金は俺個人の仕事だから要相談」

「そう、なら技術指導お願い出来る?」

「わかった、千聖ってベースだよね?俺もベースの方がいいかな?その方が教えやすいし、待ってて」

俺はスタッフルームで仕事しているまりなさんに声をかける

「まりなさんベース借りて良いですか?」

「良いわよ〜閉店前に練習するの?」

「終業時間までの1時間をお客さんから技術指導頼まれました、なので行ってきます」

「そうなの、わかったわ行ってらっしゃい」

俺は許可を貰ってベースを借りて1番スタジオに入り千聖に話しかける

「おまたせ、練習するのは良いけどどうする?俺、パスパレの曲は全然だよ?」

「私も練習中の曲だから譜面もあるし1度通してやってみるから気になった事があったら指摘してくれるかしら?」

「了解じゃあやってみて」

俺は千聖の演奏を聞く技術的面はまだまだこれからだがよく弾けているでも、やはり迷いが感じられそれが音に現れてる

「千聖ストップ!音が乱れすぎどこ見て演奏してるの?」

「どこって言われてもどう答えたものかしら?」

「ハァ…正直に言うなら話にならない今のまま続けても自分の糧になるとは俺個人全然思えない、厳しい事を言うようだけど、間違っているとは思わない」

「………」

俺の言葉に千聖は何も言わない

「ちょっと見てて」

俺はそう言って譜面通りで演奏をするそしてもう一度今度は譜面通りだが、音に強弱を持たせて世界観を表現していく

「どう?違いわかる?」

「なんとなくだけど、どっちも譜面通りではあるのだけど、2度目の方はどことなくパスパレっぽさを感じたわ」

「なら千聖が目指す演奏は俺が今弾いた2度目の方だよわかるよね?迷いがあるならそれを振り払えなきゃダメだ、でもさたった1人で演奏するのと2人、3人、もっと大勢でやるのはもっと楽しいよね!なら全力で音を楽しまないと音楽じゃないよ!」 俺はそう言って千聖に笑顔を向ける、千聖の顔は晴れやかだ

「やってやろうじゃない!」そこからの千聖は全力で楽しみながら演奏していた。

それからの俺はcircleでバイトの際は時間事に分けてAfterglow、Roselia、そして千聖の練習を見てアドバイスし時には演奏に混ざるなどしながら1週間を過ごし迎えた日曜日

俺は黒いワイシャツとジーンズ青のネクタイをして髪を後ろに流すようにまとめて眼鏡と袖なしジャケットそれからギターとキーボードを持って家を出る自転車なので15分くらいで到着し自転車を駐輪場に止めギターとキーボードを両手に持って他の皆を待っていると時間ピッタリに待ち合わせしていた3人がやってくる

「ひ〜く~んおっはよう!」日菜が駆け寄って更に抱き着いてくる

「うわっ!日菜お願いだから今だけは抱きつくのやめて俺、香水やらワクッスやらで匂いがヤバいから」

「そうかな〜?なんか凄くいい匂いだよ?」

「お願いだから確かめるのやめて」

そうしてじゃれていると麻弥さんとイヴが到着する

「2人ともおはよう」

「おはようございます」

「はいです!」

「日菜、荷物あるから離れて」

「は〜い」

日菜が残念そうだが、両手が塞がるとキーボードを持てなくなるので勘弁してもらおう

「光さんこれ、名刺です」

そう言ってケースに入った名刺を俺に差し出してきた

ケースを開けて手に取ってみるとPastel*Paletteサブマネージャー宮村光と書かれていた

「え〜とサブマネージャー?どういう事?」

「代理マネージャーじゃ、るん!ってしないなぁって考えてたら彩ちゃんがサブマネージャーにしたらって言うからそれだって思って、麻弥ちゃんに頼んで印刷してもらったの」

「アハハ、なら肩書きに恥じない働きしないとね、ところで彩は?」

「彩ちゃんと千聖ちゃん現地集合だって行こうひ〜くん」

「了解じゃあ〜行きますか」

俺達は目的地に向かう最初は事務所に向かい、俺がマネージャーから簡単に説明を受けてから移動しインタビューと写真撮影だ、その後フェスのリハを行った後練習時間となり、そこから千聖は別行動となる運びだ、しばらくの移動の後インタビュー件撮影会場となるスタジオに到着すると既に千聖と彩が現地で待っていた

「2人ともおまたせしました」

「おまたせ〜」

「お待たせッス」

「時間ピッタリよって光?光よね?どうしてここに?」

千聖が驚いているところを見ると誰も言っていなかったようだ、伝えておくって言ってたのになんで?

「聞いてない?マネージャーがどうしても予定をずらせない私用で代理を立てるって」

「それは聞いていたわよ!でも貴方が来るとは聞いていないわ!」

「それも他のメンバーが伝えておくって、あれ?伝達係誰だっけ?」

「彩ちゃんだね」

「彩さんだったように記憶してるっス」

「彩ちゃんですね!」

俺は彩に視線を向けるとものすごく目が泳いでいた

「千聖、ごめん彩が伝えておくって言ってたから任せっぱなしにしてた、俺からも伝えれば良かったね」

「報連相は常識よ。全くもう彩ちゃん!伝達ミスは頂けないわね」

「うぅ〜ごめんなさい千聖ちゃんに言おうとは思ってたけど、どのタイミングで連絡したら良いか迷ってるうちに当日になっちゃって」

「まぁそんな事だろうと思ってたけどまぁ良いわ光、とりあえず今日のスケジュールは?」

俺はスケジュールを伝えるこの後すぐにインタビュー件インタビュー用の写真撮影その後移動してフェスのリハを1時間予定していてそれが終わったら事務所の練習スタジオで2時間の練習の後解散となる運びだ、千聖はフェスのリハ後に離脱して女優業の方に以降だ、俺はスケジュールを伝え追えると日程表を閉じる

「こんな感じかな?」

「貴方の身の振りは?」

「は?どういう事?」

「フェスのリハを終えた後の貴方の身の振りよ!私に付き添ってはくれないの?」

「いや、俺、一応1日マネージャーだからパスパレの方についてないと不味くない?練習見たりとか」

「そんな事無いんじゃない?練習になれば設備環境も整ってるし、練習風景を録画して見直すを繰り返せば良くないかしら?」

「あぁ〜千聖つまり、どういう事?」

「貴方はフェスのリハ終了後私に付き添ってサポートしてちょうだい」

「って言ってるんだけど、皆どう?」

「アタシひ〜くんに練習見て欲しいなぁ〜」

「日菜がこう言ってるしさ…」

「貴方は日菜ちゃんに甘いのよ!甘やかすとろくな事ないわよ?」

俺個人それを言われるとぐぅの音も出ないのだが1日マネージャーを引き受けた以上パスパレの方に着いていないと不味くないかと思っているのも事実なのでどうしようかと思っていると日菜が以外にも助け舟を出してくれた

「千聖ちゃんだって女優の仕事の時はちゃんと別にマネージャーがいるのにひ〜くん連れて行ってどうするの?ひ〜くんは今日パスパレのマネージャーなんだよ?」

「その事なら理由は簡単よこの写真の事で光にも話をして貰わないといけないもの」

そう言って見せたのは花音と千聖と俺の3人でカフェめぐりをした時の写真だ花音がちょうど俺が死角になる形で見えなくなっており2人で歩いている様に見える写真だ

「日菜ちゃん落ち着いて千聖ちゃんもちょっとヒートアップし過ぎじゃない?」

「「彩ちゃんには関係ない(でしょ〜)(わよね)」」

「ふえ〜んどうしよう光さん」

「俺に言われても俺自身もどうしていいか分からないのにどうしろと?」

「ならこうしましょう!練習は2時間ありますから1時間は光さんに練習を見てもらってその後は私達で千聖さんが言った録画して確認してを繰り返して練習していきましょう」

麻弥さんがそう提案すると千聖と日菜は顔を見合わせてから頷き合い「じゃあそれで」と言ったので一件落着だ

「その代わり千聖さん、遅くなっても良いから光さんをちゃんと返してくださいね、お疲れ様会したいので」

麻弥さんがそう付け加える

「わかったわ私も遅くなってもいいなら参加するわ」

「話決まったならさ中入ろうよ?」

「話題の中心だったのに貴方って人は…」

「いや、だって元はと言えば千聖が俺を連れて行くの行かないのってごねるから」

「何か言ったかしら?」

うわぁ〜満面の笑みなのに目が笑ってないすげ〜迫力のある笑顔絶対有無を言わせない気だよこの人…

そんな事を思いながらスタジオに移動する俺達、そして日菜はスタジオに着くまで終始俺の手を握ったままだったあえて言うなら嬉しいとかよりそもそも歩きずらかった、スタジオに着くと記者とカメラマンの人が待っていた

「初めてましてPastel*Paletteの皆さん私は今回の取材を担当させていただく足立と申します」

そう言って名刺を差し出してきたので俺が応じる

「初めまして、ご丁寧にありがとうございます。本日はマネージャーが外せない私用で不在でして、代わりにサブマネージャーの自分が対応させてもらいます宮村です」

俺も名刺を差し出し挨拶を返す

「ご丁寧にありがとうございます宮村さん失礼ですが歳はお幾つですか?」

「19です高校からマネジメントを学び新卒で入って1年になります。普段はパスパレの皆さんのアフターケア等を担当しているのですが、先程も申しました通りマネージャー不在の為自分が矢面に立たせていただきました」

俺は用意してきた内容をただツラツラと並べ会話する正直疲れる、そう思ってもいられないカメラマンの人にも挨拶しないといけないからだ

「カメラマンの方も初めましてサブマネージャーの宮村です、本日はよろしくお願いします」そう言って名刺を差し出し笑みを顔に張り付かせる

「よろしくお願いしますカメラマンの芦原です」

カメラマンの方とも名刺を交換する

「さっそくインタビューの方に移らせていただきますね」

「はい、彩さん1番手お願いします」

俺は彩に声をかける

「はっはい!」

彩は緊張しているのかぎこちない感じがあるがインタビューは順調のようだ、そう思っていると千聖が小声で話しかけて来た

「貴方、随分慣れているようだけれどこういうの経験あるの?」

「まさか、ある訳ないよ正直今すぐ帰りたい」

「その割には板に付いているけれど」

「仮面を被るのには慣れてるんだ、ほっといてくれ」

そんな話をしていると彩のインタビューが終わり千聖の番だ

「準備お願いしますね千聖さん」

「なんだかむず痒いわ」

そんな事を言いながらインタビューを受けに向かいその後もなんの心配も無く全員のインタビューが終了した俺はありがとうございますと頭を下げると記者の足立さんが俺にもインタビューをさせて欲しいと言ってきた俺は断るのもと思い取材を受ける他愛ない内容だったので問題無く模範解答しておいた。そしてフェスの会場へと移動中さっきのインタビューの話となった

「そういえば光君今日はいつもと違ったよね〜」

「そうね光は仮面を被るのには慣れてるんだって言っていたわよ」

「確かにひ〜くんがひ〜くんじゃ無かった」

「仕方ないんじゃないスカ?」

「どういう事ですか麻弥さん?」

「今日の光さんはサブマネージャーですから1歩引いた立ち位置なのは仕方ないかと」

「そうは言っても見慣れないというかなんというか余計にアレだよね」

「ちょっ彩アレって何!?」

「貴方はもう少し周りの認識を自覚する事ね」

「ごめん意味合いがわからないよ」

「まぁひ〜くんだし!」

「日菜、それ絶対フォローしてないだろ」

「そういえば光さん今日のピアスはパスパレに合わせてくれたんスカ?」

皆が俺に注目する

「まぁ一応ね、なんで?ピアスに興味あるの?」

「いやいや、開けるの痛いんですよね?」

「痛いね〜」

そんな話をしているうちに会場に着いたので会場スタッフと挨拶を交わしてパスパレメンバーはリハを開始する、俺はその間にタオルと飲み物を準備し待っているとリハを終えて皆が戻ってきた

「皆お疲れ様タオルと飲み物準備出来でるよ」

皆は俺からタオルと飲み物を受け取り一息ついた後練習スタジオに移動する

(ここまでは今のところ何も無いけど、ここからかな?)

俺はそんな事を内心で考えながら、練習スタジオに向かう

スタジオに到着すると一休みして練習を始める

千聖は1時間は練習に参加するようだ

俺は彩の歌や他のメンバーの演奏に耳を澄ます

まぁ一応形にはなってるか、今はこれ以上を望むのは無理な気がするが日菜と麻弥さんは余裕がありそうだ

「光、黙っているけれど言いたいことがあるなら言ってちょうだい」

「いや、やめておくよ、今はこれ以上を望むのは無理だ」

「どういう事?」

「かろうじて形になってるって事今の段階でこれ以上を求めたら確実に瓦解する」

「………っ!!」

「その反応からしてやっぱり麻弥さんは気付いてた?」

「はいッス正直最初の口パク当て振りに比べたらやっと形にはなって来たなって、光さんも同じだったんですね」

「あぁうん、と言っても麻弥さんは練習する前から何となくわかってたよね?」

「はいッス練習し始めて間もないとはいえ大分形にはなってきたので今のままなら最低ラインはクリアかなって思ってたッス」

「なら、今のままでいんじゃない?」

俺はあえて突き放すような言い方をする

「私は…私は諦めたくない!今やっと形になってきたならちゃんとした形にしたい!」

彩はそう言うが俺はそんな事は百も承知だ、だからこそさらにあえて突き放す

「彩はそう言うけど、これ以上を求めるなら皆に何かを犠牲にさせなきゃ行けないよそれでもいいの?皆は彩みたいにアイドル1本って訳じゃないスタジオミュージシャンやモデルに女優と選択肢はあるその選択肢を捨てさせるの?」

「……っ!!」

彩は黙ってしまった、今はこれでいい、俺は千聖に話しかける

「千聖!言いたくないことはっきり言うけど今は千聖の音が1番酷いよ俺はあえて言わないようにしてたけどなんで?なんで?上手く弾こう上手くやろうとしてる訳?」

「貴方に何がわかるの?上手くやろうとするのはそんなにいけない事?」

「分からないなら良いよ、やってるうちに気付いてもらうしかないから」

「ひ〜くん何もそこまで言わなくても〜」

「日菜、実際日菜も、わかるでしょ?今の日菜全然るん!ってしてないだろう?」

「ひ〜くんもわかる?」

「当然!俺を誰だと思ってんの?」

「ひ〜くんはひ〜くんでしょ?って、あっ!そっか!そういう事か!じゃああの姿になるの?」

「ならないよ。必要ないならね」

俺はそう言ってスタジオを出ると自販機でコーヒーを買って近くの椅子に座り考える

リハの時はそんなに気にならなかったが練習で改めて音を聞いてわかった皆が迷ってるそれが音に現れててなお酷いそれでも何とか形になってるのは単純な努力の成果だろうな〜

「あ〜クソ!俺がもう少し大人だったらもっと違ったのか?大人だったらタバコなんかを加えながらもっと深く考えられたのか?クソ!考えても答えがでない!なら今は保留にするしかない!今だけだ今だけは背を向けさせてくれな」

俺は最後の方はほとんどやけになるような感じで声にすらなったか分からない

「悪いまたせた、練習はどうなってる?」

「とりあえず一通り通し終わった所です」

「わかったほかのメンバーはこのまま休憩な千聖はそろそろ移動だ」

「わかったわ」そう返答した時の千聖の表情は曇っていた

俺は今だけはどうすることも出来なかった、そんな無力さを呪った

撮影現場に着くと監督さん達と挨拶を交わし名刺を交換するそして千聖の方の撮影は滞り無く終わったNGもほとんど出なかったので終わりも早かった

「千聖、お疲れ様」

「貴方もね光、そろそろ行きましょう打ち上げするんでしょ? 」

「あぁ行こう!」

俺は他の皆と合流するとファミレスで打ち上げを開始する

「え〜じゃあ僭越ながら私事大和麻弥が音頭を取らせてもらうッス光さん今日は1日マネージャーお疲れ様でした!乾杯!」

「うん乾杯!」

「「「「乾杯!!」」」」

俺達はそれぞれのドリンクで乾杯する

「いや〜それにしても今日の光さんはマネージャー役ハマってましたね」

「そうね」

「アタシはいつものひ〜くんじゃないと違和感」

「アハハ、俺も今日見たいなのはパスだな〜」

「仮面を被るのは得意じゃ無かったの?」

「1日中仮面を被るは疲れるよいくら俺でも」

「私はまたお願いしても良いかなと思いました」

「私もイヴちゃんに賛成!」

「俺はやだな〜今日見たいなのは本当に疲れるし1日中影でいないといけないのも正直向かない」

「あなたの名は光だものね」

「千聖それは俺に対する新手のイジメ?」

「どうかしらね」

そう言って微笑む千聖は若干悪女だった

こうして打ち上げは楽しく終わったが俺の中に燻るのものがまだ1つ

「あのさ、皆、この後時間ある?俺の演奏聞いてほしんだけどさ、ダメかな?」

「アタシは良いよ〜ひ~くんの歌が聞けるならなんでも〜」

「私も大丈夫ッス」

「右に同じです!」

「私も一応大丈夫」

「千聖は?」

「どうせ私が断っても皆を味方につけてどうせ連れてく気でしょ?なら付き合うわよ!」

「なら決まり!一旦事務所の練習スタジオに戻ろうセッティングは頼んであるんだ」

俺はそう言って先頭を歩き他の皆がそれに続く

事務所の練習スタジオに着くと先に俺は皆を招き入れ最後にスタジオに入ると俺はキーボードの前に立ち2度3度と音を変えて鍵盤を叩き感触を確かめる

「よし!改めてパスパレの皆さんこんばんは光です今回は聞いて欲しい曲があったのでお呼びしました2曲準備してるので聞いて下さい、1曲目栄光の架橋」

俺は演奏を始める数秒の前奏の後に歌い出す

『誰にも見せない泪があった人知れず流した泪があった

けして平らな道ではなかったけれど確かに歩んできた道だあの時想い描いた夢の途中に今も何度も何度も

諦めかけた夢の途中

いくつもの日々を越えて辿り着いた今があるだからもう迷わずに進めばいい栄光の架橋へと…

悔しくて眠れなかった夜があった

恐くて震えていた夜があった

もう駄目だと全てが嫌になって逃げ出そうとした時も

想い出せばこうしてたくさんの支えの中で歩いてきた

悲しみや苦しみの先にそれぞれの光がある

さぁ行こう振り返らず走り出せばいい

希望に満ちた空へ…』

千聖視点

この曲…パスパレの為の歌であると同時に私達一人一人に向けた曲だと私は思った、確かに女優としての道も決して平坦な道では無かったわねすっかり忘れていたわ前を向いたその先を見て歩く事を

 

彩視点

最初の歌い出しで私は思い出したアイドルとして花開くのを待っていた下積み時代を周りの皆が花開いていく中でずっと蕾のままでいた時に流した泪をあの時があったから今があるなら私は皆とPastel*Paletteを続けたい!

 

『誰にも見せない泪があった

人知れず流した泪があった

 

いくつもの日々を越えて辿り着いた今がある

だからもう迷わずに進めばいい栄光の架橋へと…

終わらないその旅へと

君の心へ続く架橋へと…』

 

麻弥視点

泪が止まらないっすなんでなんでしょうね光さんが選んだ曲がそれだけ自分の心に響いたんすね、これまでとこれからを見据えてやっていかないとってそう言われてる気がするッス

 

イヴ視点

また助けられちゃいましたね、光さんは誰かのために必死になれる人なんですね、私は、いや違いますね私たちは光さんに感謝しないといけませんね、皆の心が一つになれたんですから

 

日菜視点

やっぱりひ〜くん凄いや!だって多分ひ〜くんは全部わかってたんだ、皆が皆悩んでる事に、何に悩んでるかもわからなかったアタシや他の皆が今絶対一つになれたもん!ひ〜くんって本当に凄いんだよ

 

「1曲目どうでしたか?自分を見つめ直して向き合う事は出来ましたか?そうなれたら良いなと思います2曲目に行く前に皆さんに聞いておきます、皆さんはお互いが友達だと思いますか?」

俺の質問に皆が頷く俺はそれを見て笑顔が浮かんだ

「なら、そんな大切な友達とすれ違う事もあると思います、でもそんな時お互いを許しあえて見守れるそんな存在になれたらいいと思いませんか?そんな願いと俺からの想いも込めて2曲目KiroroでBest friend」

俺は2曲目を歌い出す

『もう大丈夫心配ないと泣きそうな私の側で

いつも変わらない笑顔でささやいてくれた

まだ まだ まだやれるよだっていつでも輝いてる

時には急ぎすぎて見失う事もあるよ仕方ない

ずっと見守っているからって笑顔で

いつものように抱きしめた

あなたの笑顔に何度助けられただろう

ありがとう ありがとうBestfriend』

 

彩視点

2曲目の1番が終わっとき涙が頬を流れた、止まらなかった

心がほんのり暖かいのに寂しい気持ちや辛い気持ちがその暖かさと同じくらいに溢れて止まらない友達の大切さが改めてわかったよありがとう光君、ありがとう千聖ちゃん、ありがとう日菜ちゃん、ありがとう麻弥ちゃん、ありがとうイヴちゃん本当にありがとう皆

 

千聖視点

隣で彩ちゃんは泣いていた、私も本当の事を言えば泣きそうだったでも、泣くなんてなんかみっともないけど、光なら流した涙は無駄じゃないって言ってくれるかしら?

私は彩ちゃんや他の皆に助けられてきたなら私だって助けたいけど、やっぱり助けられちゃうのね、本当に敵わないわありがとう光ありがとう皆

 

俺は演奏を続けるその涙が最後には笑顔になると信じて

『こんなにたくさんの幸せ感じる瞬間(とき)は瞬間で

ここにいる全ての仲間から最高のプレゼント

まだ まだ まだやれるよだっていつでもみんな側にいる

きっと今ここでやりとげられること

どんなことも力に変わるずっと見守っているからって笑顔でいつものように抱きしめた

みんなの笑顔に何度助けられただろう

ありがとう ありがとうBestfriend』

 

麻弥視点

本当に本当にもうダメっす涙で前が見えないっす

こんなの反則じゃないすか!だっていつでもみんな側にいて笑ってて時にはすれ違う事あっても最後にはありがとうって笑っててそれってものすごく最高の友達じゃないですか!

 

イヴ視点

私自身がこの歌で気付かされました友達の大切さを、友達がいてくれる事のありがたさを、友達がいることで得られるたくさんの幸せな瞬間を色々気付かされました光さんにも皆さんにも感謝しないとですね

 

『時には急ぎすぎて見失う事もあるよ仕方ない

ずっと見守っているからって笑顔で

いつものように抱きしめた

あなたの笑顔に何度助けられただろう

ありがとう ありがとうBestfriend

ずっと ずっと ずっとBestfriend』

 

日菜視点

皆が泣いてる、ひ〜くんが選んだ曲が今の私達にピッタリだったから私自身涙は出ないけど本当に泣きそうなくらいに嬉しいんだ、皆を助けてくれてありがとうひ〜くん

 

「どうでしたか?2曲目のBestfriendは友達の大切さを教えてくれる曲だと思います大切な友達とすれ違う事があっても最後にはありがとうって笑っててそんな関係って理想じゃないですかね?そんな関係でいて欲しいと思って俺はこの曲を皆に届けました、聞いてくれてありがとうございます」

俺はそう言うとスタジオを出ていくここからは彼女達の力で向き合う番だから

 

Pastel*Palette全メンバー視点

 

1番最初に話し出したのは彩ちゃんだった

「あのさ、皆はPastel*Paletteを今の私達をどう思う?

私はまだまだこれからだと思う確かにあんなデビューライブの後じゃあ自信だって無くなっちゃうよね、でも、私はこのメンバーでやって行きたい!だから、だからねもう一度私を支えて下さい他の誰でもない皆に私を支えて欲しいから」

そう言って彩ちゃんは頭を下げる私達はどうだろう彩ちゃん見たいな覚悟はあるかな?

「わかりましたこの不詳若宮イヴこれからもPastel*Paletteのキーボードとして彩ちゃんを支えます!」

「私もドラマーとして1人の友達として彩さんを支えますよ」

イヴちゃんと麻弥ちゃんはやる気になった後は

「アタシも、もちろん良いよ~皆でるんとしよう!」

千聖ちゃんは黙っている私達はどう声をかけようか迷ってると千聖ちゃんは顔を上げて話し出した

「私は正直無謀だと思うけどやってみたいと思うわ!やりましょう!このメンバーで私達はPastel*Paletteだものね」

そう言って千聖ちゃんははにかむように笑っていた

 

俺は自販機脇の椅子に座りコーヒーを飲んでいた

しばらくするとスタジオの扉が開いた

「光君ちょっと入って来てくれる?」

「あぁわかった」

俺は缶をゴミ箱に捨ててからスタジオに入る

「えっとその、あのね、光君ありがとう私達はやっと一つになれたよすれ違う事もあるかもしれない間違ったりしたかもしれないけど、それでも私達は今のメンバーでPastel*Paletteだから」

「貴方がきっかけをくれたのよ私たちにだから向き合えたのありがとう光」

「俺は何もしてないよ、きっかけを作っただけそこから向き合って決めたのは自分達だよ」

「きっかけってとっても大事だと思うんスよそれをくれた光さんが何もしてないわけないです!本当にありがとうございます光さん」

「おかげで一つになれましたありがとうございます光さん」

「どういたしまして、力になれて良かったよ」

俺はそう言って微笑むそれから数日後Pastel*Paletteのセカンドライブは大成功だった傍から見ればまだまだかもしれないけど未完成だからまだまだこれからもっと色んな形の色んな色の自分達を見つけて行けるだろう

Pastel*Paletteのセカンドライブからの帰り道、俺はそう思いながら彼女達がさっきまで立っていたステージを振り返り笑顔を浮かべた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




パスパレ編完結になりますここまで読んでくれた皆さん本当にありがとうございます次回はハロハピ編の前に日常回を書いて行きますのでお楽しみに
次回「看病とビデオレター」


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第8話看病とビデオレター

また1つ自身の求めるものに近付いた光はその成果を両親へのビデオレターに綴る


Pastel*Paletteの件から数日後のゴールデンウィーク初日俺は体調を崩していた

「ゲホッゲッホ、あぁ〜喉いて~頭痛え~んでもって体がだるい!ゲホッあぁ~巫山戯んなクソ!冗談じゃねぇ」

1人愚痴るが、誰が聞いてる訳でもないのでその愚痴を拾ってくれる人はいないそんな事を思いながらベッドで寝返りをうつと目の前にスマホがあったので手に取って操作し、落ち着く曲と入力されたファイルを開き曲を再生する音楽を聞いていると荒んでた気持ちが安らかになっていき俺はいつの間にか眠りに落ちていた

どのくらい眠っていたのかわからないが俺は不快感で目を覚ますと汗で服がビショビショだった

「気色悪ぃ」俺はそう言って起き上がり引き出しから着替えを出して洗面所に向かう立ち上がると寝すぎなのか熱のせいかわからないがまだ頭がフラフラするが歩くのに支障は無いので無視する洗面所で服を脱ぎ熱いお湯でタオルを濡らして身体を拭き着替えてからベッドシーツも取り替え再び横になるがなかなか寝付けないので俺は少し早いが昼食を取る

「お粥のレトルト買っててよかった、食欲が殆ど皆無だから助かる」そう言ってレトルトのお粥を温めてから皿に移してテーブルまで運び食べる

「あぁ〜ダメだ味わかんねぇ〜余計食欲失せる」

俺はそう言いながらも食べきり食器を下げてからソファに寄りかかっているとテーブルに置いていたスマホが鳴る

リサからの着信だった

「もしもし?リサ?」

「もしもしって光、酷い声じゃん体調不良ってマジだったんだね」

「当たり前だよじゃなきゃcircleのバイト休まないよ」

「まぁだよね〜」

「で、なんか用事だったる?」

「あぁそうそう!この後お見舞い行っていい?」

「Roseliaのメンバー全員で来るの?」

「そのつもりだったんだけど、今のところアタシとあこだけかな?時間は別々になると思うけど」

「あぁわかった玄関の鍵開けとくから勝手に入って来てくれるなら大丈夫起き上がってるとまだフラつくから、目印になるように郵便受けに漫画でも入れとくから」

「わかった今から向かうからよろしくね」

「了解」

俺はそう言って通話を終了させると近くにあった小説

【楽園ノイズ】をポストに差しておく

俺は部屋に戻り窓を開けてから掛け布団を持って来てソファに横になりまた曲を再生してぼーとしているとインターホンがなり扉が開く音がした

「光〜?入るよ〜」

「入って来てくれて大丈夫だよ」

俺がそう返答するとリサが買い物袋を持って入ってきた

「光、具合どう?」

「一応大丈夫って言っておくよ」

「そうは見えないけどね満身創痍って感じ?」

「まぁそんなとこ」

「熱は?」

「測ってない」

「ダメじゃん、ちゃんと熱計らないと~体温計どこ?それとご飯は?」

「体温計はテレビ脇のペン立てご飯はレトルトだけどお粥食べた」

「薬は飲んだの?はい体温計」

「食べたばっかりだからまだ」

リサにあれこれ質問されながら待っていると体温計が鳴った

「熱は38℃5分」

「風邪だよ!寝てなってほら薬飲んで」

リサから薬と水を受け取り服用しソファに横になる

「部屋じゃなくて良いの?」

「部屋換気中朝食べて薬飲んだから今は咳大丈夫だけどちょっと前は酷かったから」

「そういう事ならとりあえず仕方ないか、とりあえず冷蔵庫に色々入れといたからね後、おでこ出して」

言われるままに前髪をあげるとリサが熱さまシートを貼ってくれた

「何から何までごめんねリサ」

「良いよ良いよお見舞いなんだし病人がそんな事気にしちゃダメだよ」

俺はこの時ばっかりはリサに頭が上がらないなと思った

風邪が治ったらお礼しないとなと考えていたらリサが1枚のDVDを手に持って聞いてきた

「光〜このDVDって何?」

「両親へのビデオレター」

「見てもいい?」

「良いけどそっちじゃなくてビデオカメラのやつにしてコードからなにからそのままだからテレビとビデオカメラとDVDプレイヤーの電源入れてビデオカメラの再生ボタン押せば見れるから」

俺はそう説明してテレビの方を指差す

「聞いといてなんだけど本当に良いの?」

「見られて減るもんじゃないし」

俺はそう言ってソファの上で身をよじる

「じゃあお言葉に甘えて見せてもらうね」

「良いよ」

俺はリサがテレビ等々の電源を入れたのを確認してから身体ごとソファの背もたれの方を向くが頭の上からリサに声を掛けられた

「光〜一旦起きて~」

俺は身体を起こして問いかける

「どうかした?上手く再生されない?」

「そうじゃないよ」

そう言ってリサは俺がさっきまで寝ていたソファに座ると自分の膝を叩く

「ほ〜ら寝た寝た病人なんだから起きてるの辛いんでしょ?お姉さんが膝枕してあげるから」

リサはそう言うが俺個人はかなり躊躇われた正直身体を拭いたとはいえ汗の匂いや髪のゴワゴワ感等々気になりすぎる

「いや、あのさ、気遣いは有難いけど、汗の匂いとか諸々気になるしさ」

「気にしない気にしないほ〜ら寝た寝た」

俺は風邪のせいで思ったよりも力が入らずリサに押さえつけられた

「アハハ〜なんか良いねちょっと征服感あるよ」

「俺としては複雑な気分だよ女子に簡単に組み伏せられるとか情けないったらないよ」

「気にしない気にしない病人なんだからさぁ」

そう言ってリサは俺の頭を優しく撫でる前もそうだったが凄く安心するし眠くなるそんな事を思いながら俺は眠りに落ちていった

 

リサ視点

光がアタシの膝の上で寝息を立てているテレビには光が両親に当てたビデオレターが流れている

画面の向こうでは光が両親に向けて歌っている。

アタシは光を起こさないように呟く

「本当に両親思いで優しいんだね光は」

アタシが知ってる光はいつも誰かのためって言って歌ってて自分は二の次でいつも自分じゃない誰かのために何かしてるそんな人だ、そんな彼が身近な人に向けて歌っているのはとても新鮮だった、程なくしてビデオレターが終わるとテレビの画面は暗くなった、光を膝枕しているので動けないので光の髪を触る汗でベタベタだと言っていたけど全然そんなことはない前と変わらないサラサラした触り心地だ

しばらく髪を触っていると光の手がアタシの髪に触れる

「リサ、くすぐったいよ」

「ごめん起こした?」

「いや、寝返り打てないからなんか寝付き悪かった、やっぱりベッドで寝ないとダメだね」

光がそう言って笑っている

「リサの髪って長いから寝そべっててもすぐ手が届くね、なんか上手く言えないけどこの感じ好きだなぁ」

アタシは顔が熱くなるのがわかった普段の光独特のちょっと低くて耳に残る声で囁くように言われるとちょっと恥ずかしい、アタシは恥ずかしさを誤魔化すために光の額を軽く叩く

「そう言ってくれるのは嬉しいけど起きたなら頭退けてくれるかな?」

「あぁごめん」

光がそう言って頭を上げるとアタシは立ち上がりもう一度光に体温計を渡す

「一応もう一度熱計って待ってて飲み物持ってきてあげる」

アタシはそう言ってキッチンに向かった

 

俺は身体を起こして体温計がなるのを待ちながらキッチンにいるリサの背中を見ていた

「なんか新鮮だな〜」

そう呟くと同時に体温計が鳴る

「37℃ちょうど少しだけ下がったな」

「はい、光、スポーツドリンク」

「ありがとうリサ」

俺はお礼を言ってからペットボトルを受け取りフタを開けて3分の1程飲むとフタを閉めてテーブルに置き一息つく

「リサ、まだ帰んなくて平気?いてくれるのはありがたいけど風邪移しても申し訳ないし何より俺が友希那にドヤされそうだよ」

「もうすぐあこが来るからあこが来たら一緒に帰るよ」

「そっか、じゃあ映画でも見てて」

「そうさせてもらうね」そう言ってリサは適当に映画を選んで視聴している、俺はリサの背中から何故か目が離せないでいた。俺の視線が気になったのかリサが振り向いて話しかけてきた

「光、どうしたの?アタシの後ろ姿眺めて」

「いや、リサに限った話じゃないんだけどさ俺、誰かの後ろ姿をこうして眺める事ってあんまりなかったなって思ってさ、いつも先頭に立って歩いてたり、誰かの隣に並んでるせいなのかもしれないけどさ、だからって訳じゃないけどなんか目の前にいるリサの背中から目が離せなくてさ」

「アハハ〜なんか嬉しいやら恥ずかしいやらだな〜アタシなんて見るに耐えうる程の後ろ姿なんかしてないと思うけどねぇ〜紗夜や燐子辺りならもっと絵になるような感じなんだろうけどね〜」

俺は何となく想像してみるがイメージが全く湧いてこない

「あぁ〜なんか想像つかないや、多分俺の家にいる姿を想像したからかな?」

「どうだろうね、他の場所なら思い浮かぶのかな?」

「俺にもわかんないや」

そんな事を話していると、俺の部屋のインターホンがなった

「あこかな?アタシが出るね」

「あぁ、ごめんね、お願い」

リサが出迎えに向かうと案の定来たのはあこちゃんだった

あこちゃんは心配そうな顔で俺の顔を覗き込む

「光兄ぃ大丈夫?」

「これでも薬のおかげでだいぶ楽になったんだよ、心配してくれてありがとうあこちゃん」

俺はそう言ってあこちゃんの頭を優しく撫でる

あこちゃんは嬉しそうな笑顔を浮かべている

俺はふと思い出した事があったのでリサに声を掛ける

「あぁそういえばリサ、冷蔵庫の1番上の段にあるトレイ出せるかな?」

「大丈夫だよ〜ちょっと待ってて」

リサがそう言ってキッチンに向い冷蔵庫を開け中からトレイを運んで来てくれた

「光、持ってきたよ」

「蓋してあるホイル剥がして好きなの食べて俺はまだ味わかんないから」

「中身は何かな〜ってプリンじゃん!」

「あぁうん、一昨日作ったんだ本当はcircleに持って行って来た人に配るつもりだったんだけど、ビデオレター撮ったりしてるうちに体調不良になったからお見舞いに来てくれたお礼に食べてってよ」

「じゃあ遠慮なく〜スプーン借りるね〜」

リサは再びキッチンに戻ってスプーンを取ってきた

「あこはどれ食べる」

「この紫の2つとも食べたい!」

「OK、て言うか光、この同じ色が2個あるのはなんなの?」

「味が違うんだよ紫はブドウとブルーベリー赤いのがいちごとさくらんぼって感じで何種類か作ったから」

「じゃあこの緑のは?」

「抹茶とメロンだよ」

「なるほどねぇ〜光って結構手先器用なんだね」

「そうでもないよ楽器弾いたり簡単な料理したりは出来るけど、逆に裁縫とかは苦手だしね」

俺がそう返答すると2人は意外と言った表情を浮かべた

俺個人はそんなに意外かと思いそのまま問いかける

「そんなに意外?」

「まぁね、光って完璧とは言わないまでもある程度の事はそつなく出来そうだから」

「あこも同じこと思ったよ〜」

リサの意見を聞いて俺はなるほどと思った

「もしそう思ってもらえてるならそれは両親からの教育の賜物かな、俺個人はかなり不器用で楽器意外は取り柄と呼べるものって何も無くてさ、両親に物を壊したら修理して使えるなら使え、ある程度の事はできるようになれって言われ続けたんだ、もちろんそれが嫌になったりした事もあるよ、でも、途中で投げ出したら負けだって思うようにして頑張ったからね、だから今の俺があるんだ」

「そっか、なるほどね、また少し光の事がわかった気がするよ」

「あこも同じこと考えたよ」

2人がそう言って笑っている

それから少しの間雑談を交えながら今日の事をリサ達が教えてくれた。

俺に練習を見てもらうつもりだったので俺がいなくて予定よりも早く練習が終わった事、友希那と紗夜が小言を言っていた事などを教えてくれた

「友希那達には何からしらお詫びしないと後で小言の嵐が飛んできそうだね」

「確かにね〜でも、体調不良だし大目に見てくれると思うけど、念には念をかな?」

「まぁそんなとこかな2人とも残りのプリンは持って帰ってもらって良いからね」

「良いの?」

「実はトレイで3つ分作ってあって1つは一番下の段に入れてあるんだよね、だからそのトレイの分は持って帰ってもらっても平気だよ」

「じゃあ遠慮なく貰うね!でもさ光、こんなにたくさんどうやって作ったの?」

「あぁこれ?実験みたいな感じでさかき氷のシロップ使ってみたんだよね、1つは自分で食べてみたんだけど思いのほか上手く出来て調子乗って色々作っちゃってさ、だから配ろうかなって考えてたんだよね」

「そうなんだ、でもシロップ以外のはどうしたの?」

「リンゴとかそれ系は買ってきてすりおろして使ってたりするよ」

「結構こだわったんだね!あこは残りどれがいい?」

「あこはこの白いの3つとも食べてみたい!」

「光、この白いの3つは何味なの?」

「確か、梨とライチとカルピスだったかな?」

正直その辺は作り過ぎて覚えていないというのが本音だ

俺は覚えている限り説明する

「白いのはさっき説明したよね、あとは黒いのがコーヒーで残りのカラフルなのは色々段分けして作ったやつだから色んな味が楽しめるはずだよ、それにシロップ使ってるから砂糖とかそっち系はかなり抑えてあるからそっちの甘さがいい感じだと思うよ」

「確かに砂糖っぽい甘さがあんまり無くてシロップ独特の甘さが意外と引き立ってた感じあったな〜」

「あこ的には凄く美味しかったって事しかわかんないけど、ただ本当に凄く美味しかった!」

「ありがとうあこちゃん」

俺はそう言って身体を起こし立ち上がり紙袋を用意して袋詰めして渡す

「ありがとう光」

「ありがとう光兄ぃ」

「どういたしまして」

「じゃあ、あこ今日は帰ろっか」

「そうだね光兄ぃ大丈夫って言ってるけどまだ本調子じゃ無いもんね」

そう言って2人は立ち上がり玄関に向かったので玄関までではあるが見送る

「ごめんねリサ何から何までしてもらって今日は本当にありがとう、あこちゃんもお見舞いありがとうね」

俺は2人にお礼を言う

「良いよ別に気にしないで、こっちこそプリンありがとうじゃあまたね」

「光兄ぃバイバ〜イ」

「あっ!リサ帰る前にひとつ頼み事していい?」

「まだなにかして欲しいの?」

「ちょっと待ってて」

俺はそう言って2人に少しの間待ってもらい部屋に戻りビデオレターを入れた封筒と引き出しからヘアピンを取り出し持って行く

「ごめん、ごめんこのビデオレターをポストに投函して欲しんだ」

「あぁそういう事!良いよそのくらいならバイト先にポストにあるし」

「ごめんね、それだけお願い。後さ、2人にこれあげるよ」

俺はさっき引き出しから出てきたヘアピンを2人に渡す

「これってヘアピンだよね?でも青薔薇の飾りが付いてるって事は光の手作り?」

「薔薇の部分だけね、ガラスで作ったんだRoseliaの皆でお揃いのやつほかのメンバーには会った時に渡すよ」

「可愛い~!光兄ぃこれほんとに貰っていいの?」

「うん、もちろん良いよ!あこちゃん達にあげるために作ったからね」

「でも、光ガラスってどうやって加工したの?」

「詳しくは今度話すよ、リサはこれからバイトでしょ?遅れるわけ行かないだろうからさ」

「それもそうだねじゃあビデオレターの方は預かって行くね!それとヘアピンありがとう今度こそまたね」

「またね〜光兄ぃ」

「うん、またね」

2人を見送ると俺は部屋に戻りベッドに横になり枕元のスマホから曲を再生し眠りについた。

 

しばらくして目が覚めると眠る前より頭はスッキリしていた

上半身を起こして軽く頭を振ると横から声が聞こえた

「まだ寝ていた方がいいんじゃないかしら?」

声の主は友希那だった

「あれ?なんで友希那がここに?夢?」

俺が困惑していると友希那が答えてくれた

「夢じゃ無いわお見舞いに来たのよ最も寝ていたしメッセージには家に上がる事も1報しているわ」

「そっかお見舞いに来てくれたんだね、ありがとう」

「別になんて事ないわ、貴方には早く良くなって貰って私達の練習を見てもらいたいもの」

「そうだね、今日はあれだけどさ、治ったらちゃんと練習見るからね」

「お願いするわ、とりあえず今は一日でも早く治しなさい」

「うん、努力するよ」

友希那と話していると部屋のドアがノックされた

「紗夜かしら?」

「紗夜も来てるの?」

「ええ一緒に来たのよ」

そう言って友希那は立ち上がりドアを開ける

「失礼します、光君、具合はどうですか?一応リンゴをすりおろしてきたのですが」

「朝とかに比べたらだいぶいいかな、喉痛くて普通のものって食べられないから、正直助かるよ」

「貴方それで満足に歌えるの?」

「歌は正直厳しいかな、治ったらまた少しずつ感覚取り戻していかないと」

「無理はしないで下さいね光君」

「もちろん。そういえば冷蔵庫の一番下の段に試作したプリンがあるから2人ともよかったら食べて」

「紗夜、申し訳ないけれど持ってきてもらえる?」

「わかりました」

そう言って紗夜は俺の部屋を出てキッチンに向かった

俺は枕元に置いていた体温計で熱を測る、少しして体温計が鳴ったので今の体温を確認する

「37℃ちょうどまだ微熱気味か」

「そのようね」

友希那がそう返答するのと同時くらいに紗夜がトレイを抱えて戻ってきた

「おまたせしました、たくさんあったので結構迷いました」

「結構作ったからね」

「本当にそうね…」

友希那が呆れたと言いたげな表情をしていたがすぐにこれだと思う物を手に取り紗夜と2人食べ始める

「美味しわね」

「えぇ本当に」

「全部食べてもいいけど、持って帰ってもらって平気だから好きなの選んでね」

俺がそう言うと2人はどれを持って帰ろうか悩み始めた

俺はベッドから降りて立ち上がりキッチンに向かう

「ちょっと水飲んで来るからゆっくり選んでね」

「そうするわ」

「私もゆっくり選ばせてもらいます」

2人の返答を聞いてから俺はキッチンに向かい水を飲んでから

紙袋を手に部屋に戻る

「2人とも決まった?」

「私はこの3種類にするわ」

友希那は3色の色合いの物を3つ選んだ

「私はこっちの3つをいただきますね」

紗夜の方は赤と緑と白の3つだ

「紗夜が選んだ奴はさくらんぼとキウイそれに色合い的にりんごかな?友希那のは何種類も味が楽しめるやつだね」

俺はそう説明しながら紙袋と小さな箱に残りを入れて2人に渡してから2人ともそれなりに話をした、その後2人は帰ると言うのでまた玄関前まで見送りに出る

「なんだか気を使わせてしまい申し訳ありません光君」

「お土産まで貰ってしまったものね」

「気にしないで、お見舞いありがとう後、紗夜こっちは明日にでも燐子に渡してくれる?」

俺はそう言ってもう1つ紙袋を紗夜に渡した

「わかりました、後日渡しておきます」

「お願いね、後さ、2人にもこれ渡しとかないとね」

俺はヘアピンを2人に手渡す

「Roseliaのメンバーでお揃いの奴ね燐子のは簡単に包装して紙袋に入れてあるから」

俺がそう言うと2人は何故か呆れ顔だ

「貴方って本当に器用なのね」

「全くいつも誰かのためって言ってこういったものまで作るんですから…」

「2人共なんか呆れてる?」

「「えぇ、呆れて(るわ)(います)」」

「ハモるとこ?まぁいいけど」

「全く貴方って人は、まずもってこんな細かい細工どうしたのですか?薔薇の細工はガラスですよね?」

「あぁ実は数日前にコップ割っちゃって勿体ないと思って簡単なガラス細工に使ったんだよね」

「全く呆れるわね」

「えぇ本当に、でもとても有難いです」

「気に入って貰えたなら何よりだよ」

そんな話をしながら俺は2人を見送るとタオルと着替えを持って洗面所に向かい身体を拭いて着替えた後夕飯を済ませて少しの間寛いでいるとスマホにメッセージが届いたAfterglowの皆からだ、体調を気遣うメッセージが全員から送られてきたのでグループメッセージに心配してくれてありがとうだいぶ良くなったよとメッセージを入れた、それからまた少ししてインターホンが鳴ったので俺はドアを開けると日菜と彩が立っていた

「ひ〜くん!お姉ちゃんに聞いたよ!体調不良だって!どうして教えてくれなかったの?」

そう言って抱きついてきた

「言えないよ自分の体調管理不足でこうなってるのに言えないって」

「でも、光君は私達の為に色々力になってくれたのに、私達が何も出来ないのはもどかしいよ!」

俺はどうしたもんかと考えるがまずは2人を招き入れる事にし家に上がるよう諭す

「2人ともとりあえず中入って、日菜も一旦離れて、靴脱いで家入って」

「わかった…」

日菜は沈んだ表情でそう言って家に上がる

「彩も上がって玄関じゃなんだし」

「うん、お邪魔します」

俺は2人を家に招き入れると飲み物持ってきて2人に渡しテーブルを挟み反対側に座ると再び日菜が抱きついて来る

「日菜?」

呼びかけるが返事はない

「泣いてる?」

そう問いかけると僅かに首を振る

俺は仕方なく日菜が落ち着くまで優しく頭をなでながら

「大丈夫だよ俺はここにいるから」と言い聞かせた

しばらくして落ち着いたのか日菜は俺から離れて俺の横に座った

「本当に大丈夫だから、心配してくれてありがとう」

「うん、ひ〜くん本当に大丈夫なんだよね?」

「大丈夫だからちょっと体調を崩しただけだから」

「本当の本当に大丈夫?」

「うん、もう大丈夫だよ朝に比べてだいぶ体調は良いんだ」

日菜だけでなく彩も心配そうな表情をしている

「そんな顔しないで、俺、誰かに心配されるの慣れてないんだよね、いつも誰かの心配ばっかりだったからさ心配してくれて本当にありがとう2人とも、完治したらまた俺の歌聞きに来てよ」

俺はそう言って笑いかけると2人も笑顔を返してくれた

「ひ〜くんこれアタシ達皆からのお見舞い」

そう言って日菜が手渡してきた袋には数種類の風邪薬とゼリーが入っていた

「ありがとうゼリーは大事に食べるね」

「うん、そうしてくれると嬉しい」

「本当は千聖ちゃん達も来たがったんだけど大勢で押しかけるのもって思って光君の家を知ってる日菜ちゃんとメンバーを代表して私がお見舞いに来たの」

俺は2人気遣いがとても嬉しかった、たまには心配されるのも悪くないなと思わせてくれた

その後俺は玄関の外まで2人を見送り部屋に戻り眠りについた

 

光side両親視点

私達の一人息子の光がたくさんの音に触れたいと旅立って行ってもう1ヶ月になる。その日光から1枚のDVDが届いたどうやらビデオレターのようだ、私はすぐに夫の所へ向かい声を掛ける夫は楽器の調整をしていた

「あなた、光からビデオレターが届いたわよ一緒に見ましょうよ!」

「本当かい?ならさっそく見るとしよう!」

私こと宮村春美と夫の裕一はテレビの前に行き届いたDVDを再生すると私達の自慢の息子光が映っていた

(父さん、母さん久しぶり!こっちに来て1ヶ月が経ちました、今の所俺は元気でやってます色々伝えたい事はあるんだけどまずは俺達家族の思い出の曲遠く遠くを聞いてください)

画面の向こうの光が演奏を始めたこの1ヶ月で更に音に磨きが掛かっている私達も音楽に携わる身だからこそわかる確かな成長を感じられた。画面の向こうの光が歌い出す

『遠く遠く離れていても僕のことがわかるように

力いっぱい輝ける日をこの街で迎えたい

外苑の桜は咲き乱れ

新幹線のホームに舞った見えない桜吹雪思い出す

まるで七五三の時のようにぎこちないスーツ姿も

今では割と似合うんだネクタイも上手く選べる

同窓会の案内状欠席に丸をつけた

「元気かどうかしんぱいです。」と手紙をくれる皆に

遠く遠く離れていても僕のことがわかるように

力いっぱい輝ける日をこの街で迎えたい 』

(父さん母さん俺は今全力でやってるよ夢に向かってるよ遠くから見守っててね)画面の向こうで光がそう言って2番を歌い出した

『いつでも帰ってくればいいと真夜中の公衆電話で

言われたとき笑顔になって今までやってこれたよ

どんなに高いタワーからも見えない僕のふるさと

失くしちゃだめなこといつでも胸に抱きしめてる

遠く遠く離れた街で元気に暮らせてるんだ

大事なのは変わってくこと変わらずにいること』

(俺は元気でやってるからね父さん母さんどんな場所でも俺は俺だからそれだけは変わらないからね)

『同窓会の案内状欠席に丸をつけた誰より今はみんなの顔

見たい気持ちでいるけど

遠く遠く離れていても僕のことがわかるように

力いっぱい輝ける日をこの街で迎えたい

僕の夢をかなえる場所はこの街と決めたから』

光の演奏を聞いて私達は言葉にできないくらいに嬉しい気持ちで満たされていた

「光は1ヶ月で物凄く成長したんだな、男子3日会わざれば刮目せよなんて言うが1ヶ月でかなり変わったな」

「そうね親としては喜ぶべきなんでしょうけど、ちょっと寂しいわね近くで見守れないのも」

「仕方ないさ光が決めて自分で歩んで行く道だ、人より親離れが早い分こうして元気な姿を画面越しでも見れるだけ良しとしようじゃないか」

「本当にその通りね」私たちは再び画面に集中する

(父さん母さん俺の演奏どうだった?俺の成長を確認できたかな?じゃあ次は母さんへ向けて歌います本当は父さんにも曲を用意したかったんだけど俺が知ってるあの曲は父さんへの感謝というより将来添い遂げる人を父さんに報告する内容だから、あれはちょっとね(笑)だから今回は母さんへ向けて歌いますKiroroの未来へ)そう言って画面の向こうの光がキーボードを演奏し始めた

『ほら足元見てごらんこれがあなたの歩む道

ほら前を見てごらんあれがあなたの未来

母がくれた たくさんの優しさ愛を抱いて歩めと繰り返した

あの時はまだ幼くて意味など知らないそんな私の手を握り

一緒に歩んできた

夢はいつも空高くあるから届かなくて怖いね

だけど追い続けるの自分のストーリー

だからこそ諦めたくない不安になると手を握り

一緒に歩んできた

その優しさを時には嫌がり離れた母へ素直になれず

ほら足元を見てごらんこれがあなたの歩む道

ほら前を見てごらんあれがあなたの未来

ほら足元見てごらんこれがあなたの歩む道

ほら前を見てごらんあれがあなたの未来

未来へ向かってゆっくりと歩んで行こう』

光が演奏を終えた時私は涙が流れたなぜなら光自身が覚えいないくらい小さな頃から光が旅立って行った時の写真までか歌の間歌詞に合わせて移されていき、最後の写真には仲良くなったガールズバンドの子達と楽しそうに笑う光の写真が納められていた

「ありがとう光、胸がいっぱいでも言葉にしょうがないくらいに素敵なビデオレターだったわ」

 

光side光本人視点

その後父さんと母さんからもビデオレターが届いた内容はビデオレターを見て泣くほど嬉しかった事が記録されていて最後に父さんのピアノに合わせて母さんが【明日への手紙】を歌っている姿が納められていた

「父さんも母さんも張り切りすぎだよ(笑)2人とも俺に負けず劣らずの音楽好きだよ本当にさ」

俺はその姿を見て本当に幸せ者だと心から感じた

 




第7話いかがでしたか?個人的にこういうシーンがあっても良いなと思う物を詰め込みました次回はいよいよハロハピ編をオリジナルで描いて行こうと思いますのでお楽しみに
次回「笑顔と挫折」


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第9話笑顔と挫折

その日光は新しい音に出会った


風邪もすっかり完治した俺は大事を取ってもう一日休むように言われたので、久々に路上ライブをするために駅前に来ていた、いつものように準備を始めると聞きなれた悲鳴?叫び声?が聞こえてきた

「ふぇぇぇ〜待ってよこころちゃ~ん」

「花音の声だよね?」

俺は呟き声のした方を見ると花音がドラムセットを持って何かの衣装を着たまま走っている花音の数歩先には金髪金目の女の子がスキップしながらこちらに向かって来てる

俺はどうしようかと思ったがとりあえずギターのチューニングに集中する事にした、久しぶりなのでいつもより念入りにチューニング作業をしているとこころと呼ぼれた女の子に声を掛けられた

「あら?先客がいたのね!ねぇそこのあなた!これから演奏するの?」

「うん、そのつもりだけど君達も?」

「えぇそうよ!今日はとりあえずこの辺にいる人を笑顔にするのよ!でも、あなたの歌も聞いてみたいわ!よかったら聞かせてくれるかしら?」

俺自身今日は元々大勢の人に聞いてもらうつもりでいた為

断る理由も無いので頷き答える

「もちろん良いよ、今日は誰かに聞いてもらうためにここに来たんだからね」

「そうなのね!なら私達もあなたの歌を聞かせもらうわね!ところで、あなたの名前は何かしら?」

「俺は光(ひかる)宮村光だよ、よろしくねこころちゃん」

「どうして私の名を知っているのかしら?」

「向こうから走って来ているあの子、花音が君の名前を呼んでいたのが聞こえたから」

「そうだったのね!なら改めて名乗るわ!私の名前は弦巻こころよ!覚えておいてね光!それとこころでいいわ」

「わかった、よろしくね、こころ」

俺達がお互いの自己紹介が済んだタイミングで花音が息を切らしながらやって来た

「ハァハァッこころちゃん早いよ〜それに誰と話して…って光君!?」

俺の姿を見て驚く花音に俺は苦笑しながら声をかける

「やぁこんにちは花音、今日は何かのイベントなのかな?その姿を見る限り」

「違うわよ光!これが私達のバンドの衣装なのよ!」

花音の変わりにこころが答えてくれた

「でも2人だけなの?他のメンバーは?」

「もうすぐ来るわ!」

こころがそう言うので待っていると少し遅れて3人?いや、2人と1匹?がやってきた

「あれがバンドメンバー?」

「そうよ!あの3人と私達はでハローハッピーワールドよ!」

「3人?って事はあのクマも?」

「そうよ!ミッシェルって言うの!」

「ミッシェルねぇ~あれって着ぐるみじゃないの?」

「何を言ってるの?ミッシェルはふわふわもふもふのクマよ」

「いや、ピンクのクマは実在しないよあれは着ぐるみだよ中に人が入ってるんだよ」

「ミッシェルはミッシェルよ光も面白いことを言うのね」

俺は思わず額を押さえる、正直話が通じる気がしないと思っていると花音が話しかけて来た

「あの、光君、こころちゃんはミッシェルを本当のクマだと思ってて着ぐるみだと思ってないから説得は無理だと思うよ」

「それは…それで良いのかな?」

正直なところどうすれば良いのか全く持って俺自身もわかっていないのが現状なので俺はとりあえず他のメンバーの認識も確認する事にしチューニングを終えたギターを1度近くに置いてからこころに話しかける

「とりあえず、全員揃ったら俺も演奏始めるけどこころはそれでいい?」

「わかったわならすぐに連れてくるわ」

そう言ってこころが駆け出しまだ数メートル先にいる3人?の所へ行き何かを話して戻ってきた。

「もう来るわ!」

「何を根拠に!?」

「光君見てればわかるよ」

驚く俺に花音が苦笑いしながら答えてくれた

俺はとりあえずその後の様子が見守っていると黒服の女性達が各々の楽器を預かると他のメンバーごと大きな台車に乗せて猛スピードでその台車を走らせてすぐさま俺たちのいる場所に到着する、その光景に俺は再び額を押さえながら呟く

「俺の常識が間違ってるのかって疑いたくなる光景だよ」

俺がそう言うと花音は苦笑する

そうしていると台車から降りた3人が各々こころの元に集まる

「こころんおまたせ!」

「待たせたねこころ!」

「待たせてごめんね〜」

「大丈夫よ!全員揃ったなら良いじゃない!それに今は先客がいたの!彼の歌を聞いてみたいわ!」

こころがそう言って俺の方に向き直る

「おや?誰かと思えば転校生君じゃないか」

「その呼び方やめてくれる?一応転校してきたの1ヶ月も前だよ」

「しかしながら転校生なのは事実なら必然じゃないか」

「せめて名前で呼んでくれない?いつまでも転校生君じゃさ〜」

「ならば宮村君と呼ぼうじゃないか!」

「まあいいけど…」

俺としては光と普段から呼ばれているので複雑だと思っていると横からオレンジ色の髪の女の子が話しかけてきた

「宮村君?宮村何君?私はね、はぐみ!北沢はぐみだよ!」

「光(ひかる)だよ宮村光よろしくね、はぐみでいいかな?」

「もちろん良いよこっちはひ〜くんでいい?」

「お願いだからそれだけはやめて、子供っぽいし普通に光でお願い出来ないかな?」

「じゃあせめてひかるんじゃダメ?」

「まぁそれくらいなら良いけどさ」

俺がそう言うと瀬田薫が爆弾を投下した

「おや?おかしいね、日菜ちゃんにはひ〜くんと呼ばれても何も言っていなかったじゃないか!日菜ちゃんだから特別なのかい?」

俺は3度額を押さえる

「違うって!日菜に限った話をするなら、いくら言っても無駄だから諦めたんだよ」

「それはとても儚いね」

「…何言ってんの?」

俺は困惑するが瀬田薫の行動は深く考えないようにした

そして俺は一応ミッシェルと呼ばれたクマの着ぐるみにも声を掛ける

「よろしくねミッシェル!俺は光って言うんだ」

「私はミッシェルだよ~」

「今はそれでいいや、よろしくね」

俺はそう言って着ぐるみとも挨拶を交わすとギターを手に取りもう一度簡単にチューニングしてからこころに声を掛ける

「こころ、そろそろ演奏始めるけど良いかな?」

「もっちろん!素敵な演奏を聞かせてちょうだい」

「ひかるん演奏するの?楽しみ〜」

「そうだね、本当にすごいから見てて」

「儚い」

「楽しみだね~」

今回俺はマイクを持参していたのでマイクの位置を調整してからスイッチを入れ声を出す

「こんにちは光です路上ライブはちょっと久しぶりになります。それにここまで人が集まったのも初めてでちょっと緊張してますまずは1曲聞いてください。やさしくなりたい」

俺は演奏を始め少しの前奏を後に歌い出す

『地球儀を回して世界100周旅行

キミがはしゃいでいる眩しい瞳で

光のうしろ側忍び寄る影法師

なつかしの昨日はいま雨の中に

やさしくなりたいやさしくなりたい

自分ばかりじゃ虚しさばかりじゃ

愛なき時代に生まれたわけじゃない

キミと生きたいキミを笑わせたい

愛なき時代に生まれたわけじゃない

強くなりたいやさしくなりたい』

 

歌っていて思った声の伸びがイマイチだ演奏も少し曇っている

でも、思っていたよりそんなに悪くはないみたいだ、俺はそう思いながら演奏を続け曲は2番に入る

『サイコロ転がして1の目が出たけれど双六の文字には「ふりだしに戻る」キミはきっと言うだろう「あなたらしいわね」と「1つ進めたのならよかったじゃないの」

強くなりたい強くなりたい

我慢ばかりじゃ誤魔化しばかりじゃ

愛なき時代に生まれたわけじゃない

キミに会いたいキミに会いたい

愛なき時代に生まれたわけじゃない

強くなりたいやさしくなりたい』

 

俺はようやく感覚が戻ってきた感じがした演奏の方も自分としてはようやく感覚が戻ってきつつあると言った感じで歌の方もやっと調子が戻ってきたので俺的にはもう少しだと思いながら

ラストに向け一気に歌い上げる

 

『地球儀を回して世界100周ボクらで回そう待ってておくれ

愛なき時代に生まれたわけじゃない

キミと会いたいキミを笑わせたい

愛なき時代に生まれたわけじゃない

強くなりたいやさしくなりたい

愛なき時代に生きてるたわけじゃない

手を繋ぎたいやさしくなりたい』

 

1曲目を終えて軽く深呼吸してからマイク越しに話し出す

「1曲目どうでしたか?久しぶりだったので、どことなくイマイチな感じはあったんですけど、ちょっとでもいい演奏だと思って貰えたら嬉しいですじゃあ2曲目にいきます聞いてくださいイコール!」

俺は2曲目の演奏を開始し数秒の前奏の後に歌い出す

『描いた理想の自分とはかけ離れた現在(いま)と

にらめっこして笑っているごまかし隠す春の日に

南風で髪がなびくあの子の横顔に苦笑いやめ誓ってやる

今年の夏日は音より(hahyeah)光より(hahyeah)真っ直ぐに(hahyeah)早く届けと願う

気持ちが(hahyeah)あるなら(hahyeah)笑ってごまかしていないで

自分の心に手当ててみるんだ

Stand By Meそばにいて今タッチしよう止まらない鼓動

抱いていた感情ごと抱きしめよう(トゥラルトゥーラル)

StandBy Meそばにいて

今ミックスしよう素直と理想を

抱いていた感情ごとキスをして(トゥラルトゥーラル)』

 

「なんだか楽しくなってきたわ!」

俺が続けて2番に入ろうとした時こころが飛び出してきた踊り出した、俺はチラッとこころを横目に見てから2番を歌い出す

 

『痛い痛いのは飛んでゆかない幼きまやかしさ

痛い痛いがちゃんと解ってからまた1つ始まるね

傷つき(hahyeah)悲しみ(hahyeah)真っ当に(hahyeah)泣いて喜んでみたい

その時(hahyeah)傍らで(hahyeah)なびかせた髪の香り纏った笑顔に

ふさわしく在りたい

Stand By Meそばにいて

ディスプレイ越しの温度じゃ足りないよ

抱いていた感情ごとマッチして

StandByMeそばにいて

スクロールしよう

僕らの一瞬を

抱いていた感情全部持っていこう

夏の大空に』

こころが踊り出したのに続き花音が後ろでドラムをはぐみが横でベースそして瀬田薫ギターさらに手拍子をするミッシェルとハロハピメンバーが俺の演奏に合わせて楽しそうにしている俺もそれに乗っかり音を高めていく

『降り出した雨と強い風傘を守るように身を丸めていた

守るべきものは傘ではないから

捨ててその芽を開けばいい雨を飲め風に乗れ

StandByMeそばにいて雨のち晴れのち雨だって

OhOh抱いていた感情バレたっていいよ(トゥラルトゥーラル)欲張って言うよ(トゥラルトゥーラル)

描いた理想と現在(いま)を繋ぐよイコールで(トゥラルトゥーラル)

(トゥラルトゥーラル)』

俺は2曲目も最後まで演奏すると周りから拍手が湧き上がる

「2曲目まで聞いてくれてありがとうございました」

俺がそう言うとこころが声を掛けてきた

「光、さぁまだもう一曲いくわよ!まだいけるんでしょ?」

「あぁもちろん!今日ラストの曲は手をたたけ!」

俺は演奏を始める

『手をたたけ手をたたけ願う日は来ないけど

愛を歌え君を歌えこの空が晴れるまで

失った夢を取り戻すために泣きっ面にマヨネイズ

酸っぱいのぶちかまそう

恥をかけ恥をかけ好きなだけ好きなように

愛を歌え君を歌え願う日は来ないけど

空の黒さが胸を覆う時は楽をしてみれば案外歓迎されたwelcome new days

この魂が尽きるまでレール曲げるくらいの覚悟だぜ

朝靄の奥に見えるだろう?丸くて大きな太陽が』

「良いわね乗ってきたわ!」

「はぐみも!」

「私もさ!」

「私も楽しくなってきたよ!」

「私もだよ〜!」

『手をたたけ手をたたけ願う日は来ないけど

今日を歌えそして明日を唸らせんだ

去った僕の音楽よ戻れ

子供見たいとか言うやつぁいつから大人になったんだ?

案外父ちゃん母ちゃん兄ちゃん姉ちゃんじいちゃんばぁちゃんみんながみんななんかが足んねぇ

この魂が尽きるまでレール曲げるくらいの覚悟だぜ

風向きはいつも変わるだろう 今この瞬間を鳴らすんだ

重なるリズムが弾けりゃso very high

理屈や約束(きまり)にゃこの際手を触れ

Good bey Adios Ciao 再見

それじゃそのままsayハロー

この魂が尽きるまでもう全部この手が掴んでいくんだぜ

朝靄の奥に見えるだろう?

丸くて大きなあのもはや無敵の太陽が』

「ありがとうございました」

俺がそう言うと拍手が巻き起こる

「今日はこれで終わりになりますまた近いうちにお会いしましょう」俺がそう言うと再び拍手がおこりその後見物客達は散り散りになっていった、俺は機材を片付けたのを確認してこころが話しかけて来た

「すごく素敵な演奏だったわ光」

「ありがとう。こころがアクロバティックなダンスで盛り上げてくれたおかげだよ」

「私だけじゃないわ!皆がいたからよ!」

「うん、そうかもしれないね」

「この後光はどうするの?」

「俺はどこかで昼食を取ってから自宅に戻るよ」

俺がそう言うとはぐみが手をあげて発言する

「はい!はい!は〜い!ならひかるんをはぐみの家にご招待!美味しいコロッケあるからたくさん持って帰っていいよ!」

「いや、はぐみそれは悪いよ、ちゃんとお金払うって」

「ん〜なら今日はお近付きの印ってことでサービスするから今度改めて買いに来てよ!」

「まぁはぐみがそれでいいなら」

「なら今日はここで解散ね!薫とはぐみはこの後部活があるようだし、花音はアルバイト、ミッシェルもこの後は都合が悪いんでしょ?」

「そうなんだ、ごめんねこころちゃん」

「気にしなくていいわ!用事があるなら仕方ないもの今度改めてまた集まりましょう!」

そう言ってこころは帰っていった

「私も今日おらさらばするとしようか」

こころに続き瀬田薫も帰っていき残すは俺達4人となる

「花音はこの後バイトだろ?機材あるから乗せてあげられないけど、バイト先まで送ろうか?」

「良いの?機材あるし早く帰ってその機材片付けた方が良いんじゃない?」

「大丈夫だよそんなに大きな荷物じゃないし送るくらいなんて事ないから気にしなくていいよ」

「なら、お願いしようかな?」

「わかった2人はどうするの?」

俺は2人に問いかける

「私はミッシェルから着替えないとだからまた後で」

そう言って着ぐるみのままどこかへ向かっていった

「この辺に着替えられる所あるの?」

「う~んどうだろう?多分こころちゃんのお付きの人が何かしらしてくれるんだと思うけど、詳しい事は私もわかんないやごめんね光君」

「謝る事ないよ、分からないなら今度聞いてみればいいしね」

「そうだね」

「じゃあはぐみは先に帰って準備して待ってるよ」

「花音送ったらすぐ行くからお願いね」

「わかったまた後でね~」

はぐみも帰っていき2人になったところで俺は再び花音に声を掛ける

「行こっか?」

「うん」

そう言って俺達は歩き出す

お互い無言だが特に気まずさ等は感じないがこのままと言うのもなんなので俺は花音に声を掛ける

「花音、今日はどうだった?花音は楽しかった?」

「うん!もちろんだよ光君と演奏出来て楽しかったよ!」

「ならよかったよ!俺は結構久しぶりだったしいきなり花音達が演奏に入ってきたから加減するの大変だったよ!」

「あの演奏本気じゃなかったの?」

「まさか!本気だよ!って言っても全力って意味じゃない」

「どういう事?」

「誰かとやる時も本気の演奏はするんだけどやっぱり加減しないと周りが着いて来れなくなるから全力は出せないんだ」

「そうなんだ…だから光君いつもソロなの?」

「そういう訳じゃないよ、俺の夢はねカバーアーティストなんだ、でもただのカバーアーティストじゃない、色んなアーティストから自分達の歌も是非カバーしてくださいって言って貰えるようなすごいカバーアーティストになりたいから幅広く曲を歌ってるんだ」

「すごい夢だね、叶えられると良いね」

「叶えるよ!じゃなきゃたくさんの音に触れる意味がないからね。」

俺はそう言って前を見つめていると花音が話しかけて来た

「あのさ光君、アタシからも聞いていい?学校は羽丘だけど、花咲川に来る可能性もあったの?」

「まぁもう少し自宅が花咲川寄りだったら有り得たかもね花咲川は今の自宅から30分はかかるんだでも羽丘は半分の時間だから」

「そうなんだ、でも光君って以外と面倒臭がりなの?」

「音楽以外の事は意外とものぐさだよ」

「でも面倒臭がりだけどお節介というか…」

「あはは まぁ確かに友達が困ってたらそれはほっとけないよね、だから必要なら俺は力を貸すしきっかけだって与えるでもそこから頑張るのは他でもないその人達だから」

「光君はそういう人だよね」

「まぁこれが俺だから」

そんな話をしている間に俺達は花音のバイト先に到着する。

「もう着いちゃったじゃあ私はここで送ってくれてありがとう光君」

「どういたしましてじゃあまたね」

俺は自転車に跨ると軽く手を振ってその場を後にし商店街へ向かう目的地まで12、3分くらいか俺はそんな事を考えながら自転車を走らせる、道が混んでいなかったので10分で商店街の入口にたどり着いた自転車を降りて押して商店街に入っていくと北沢精肉店と看板があった

「こんにちは~はぐみいる?」

「いるよ!もう少し待ってて」

どうやらお取り込み中なようだったので自転車に跨って少し待っているとはぐみがコロッケのパックを持ってやってきた

「はいこれ!ひかるんにお近付きの印」

「ありがとう遠慮なく貰うね、はぐみはこれから部活?」

「そう!ソフトボール部はぐみキャプテンなんだ!」

「へぇ、頑張ってるんだね」

「うん!バンドもソフトも頑張ってるよ!じゃあはぐみそろそろ行くね」

「うんまたね」

「バイバイ」

手を振りながらはぐみは走っていった、俺はそれを見送ると自転車を走らせ自宅に向かう途中コーヒーやパンのいい匂いがしたがまた後日と自分に言い聞かせ自宅に向かった

自宅に着き機材を持って自宅に入ると郵便受けに手紙が入っていた、俺はそれをテーブルの上に置き今日使用した機材を軽く片付けてから昼食の準備をしてからテーブルに着き手紙を開くと、こころが許可を得てとある病院の小児科でミニライブをするので来て欲しいと書かれていた、俺は返事をどうしようかと思いながら昼食を食べ終えて食器の片付けをしているとスマホがなった、花音からだ、俺は手を止めて電話に出る

「もしもし花音?どうしたの?何かあった?」

(ううん、そう言うわけじゃないよ、実はバイトに行ったんだけど私の勘違いで明日だったの、それで良かったら楽器屋さんに付き合って貰えないかなって)

「構わないよ15分くらい待たせることになるけど平気?」

(大丈夫お昼まだだし、食べて待ってるよ)

「わかったじゃあ少し待ってて」

(うん、待ってるね)

俺は電話を切ると食器を片付けスマホと財布、家と自転車の鍵を持って家を出て自転車の鍵を開け跨りそれなりのスピードで目的地を目指す予定通り15分程で到着し店内に入る

「光君こっちだよ!」花音が手をあげて自分がいる場所を示す、俺は花音の元へ行きテーブルを挟んで目の前に座り声を掛ける

「おまたせ花音」

「ううん平気だよ、もう少しで食べ終わるから待っててね」

「急がなくていいからゆっくりで良いよ」

俺は片耳にイヤホンをして音楽を聴きながら花音を待つ事にする

「光君、今は何を聴いてるの?」

花音が聞いてきたので俺はもう片方のイヤホンを花音に差し出す

「良かったら聴く?」

「うん!」花音は頷きイヤホンを受け取ると俺は曲を最初から再生するさっきまで聴いていた【#302】だ

 

花音視点

光君が音楽を聴いていたので気になり声を掛けたら片方のイヤホンを貸してくれたので私も聴いてみる

最初の感想はすごく透き通るような声だと思った、サビにかけては相手に訴えかけるような曲だったそしてどこか寂しさを感じさせる曲だった

「光君はこういう曲が好きなの?」

私は問いかける

「ん〜この曲も好きなんだけど、俺はこの曲が主題歌として使われてるドラマが好きなんだ」

そう言って笑った光君の笑顔は静かな笑顔だった

私はその笑顔に心臓が僅かに跳ねるのを感じた

 

花音が昼食を終えたので花音を自転車の後に乗せて移動を開始する

「そういえば花音、楽器屋で何見るの?」

「ドラムのスティックをみたいなって今使ってるやつは少しくたびれてきちゃってて」

「演奏中に折れたりしたら大変だもんね」

「そうなんだよね、だから新しいスティックが欲しいなって思って、でも私人見知りだから店員さんと話すのとか苦手でだから誰かと一緒ならと思って」

俺は花音と初めて会った時を思い出し納得した

「そっか、でもさ他の人じゃダメだったの?俺はもちろん構わないんだけど、花音の頼み断る人いなくない?」

「本当は美咲ちゃん、ミッシェルの中の子なんだけど、その子にお願いしたら楽器とか詳しくないから無理だって言われちゃってどうしようって思って」

「あぁなるほど、それで楽器に詳しそうな俺って訳ね」

「そうなんだ、なんかごめんね」

「謝らなくて良いって、この後どうしようかと思ってたくらいだからさ気にしないで」

俺がそう言うと花音は笑顔を浮かべてくれたので良かったと思った、その後は花音の声が聞こえるくらいに少しゆっくりと自転車を走らせながら音楽の話をしていると目的地の楽器屋に到着し自転車を止めて店に入ると店員さんが「いらっしゃいませ」とお決まりの挨拶が聞こえてきて店員さんが顔を見せると花音が驚いた表情を見せたので俺は「知り合い?」

と聞いてみると先輩だと教えてくれたので、俺はとりあえず挨拶をする

「こんにちは、花音と同じ花咲川の先輩なんですよね?俺は宮村光(ひかる)って言います。学校は羽丘なので初対面ですよね、よろしくお願いします」

「よろしく花咲川の3年生で鵜沢りぃだよりぃちゃん先輩って気軽に呼んでね」

「りぃ先輩じゃあダメなんですか?」

「できればりぃちゃん先輩って読んで欲しいかな、ねぇデビ子もそう思うよねー?」

(おうともさ〜りぃちゃん先輩と呼ぶべきだ〜)

突然腹話術のようなことを始めたので俺は困惑するがとりあえず目的があってきたのでとりあえずそれを伝える

「りぃちゃん先輩、ドラム用のスティックが欲しいんですけど、直接手に取って見れたりします?」

「ん~どうだろ?ちょっと待ってて」

そう言ってりぃちゃん先輩が店の奥に入っていき2、3分程度で戻ってきて

「陳列されている1番前のやつはサンプル品だから開けて手に取って大丈夫だってさ」

「だって花音せっかくだし色々見てみようか?」

「うん、それが良いかも」

「話は決まったみたいだねじゃあ後はごゆっくりどうぞ」

そう言ってりぃちゃん先輩はレジの方に戻って行ったので俺達は店内を見て回りながら花音が使うスティックを買うためドラム関係を扱うスペースに足を運ぶ

「どう?パッと見いいのあった?」

「う~んパッと見じゃあやっぱり軽くて使いやすいってなってるのに目がいっちゃうな~」

「だよね、俺もそうなるよ手前のはサンプル品だって言ってたし実際手に取ってみないとね」

「そうだね、光君はどんなのが使いやすいの?」

そう花音に質問されたので俺は考えてみる。ギターやベースそしてキーボードはともかくドラムは普段から練習程度でしか触らないため具体的に聞かれると考えてしまう

「そうだな〜俺は少し重さがあるくらいの方が良いかな、使ってるうちに馴染んでくるから最初から手に馴染んだ感触よりは個人的にいいと思うんだ」

「そうなんだ、私はどうだろう?」

そう言っていくつか手に取って見るがこれと言えるものはなかなか無いようだった

「決まらない?」

「うん、使い慣れたやつに比べるとどうしてもね」

俺はどうしたもんかと考えて提案する

「なら、あえて1番近いものか逆にこれじゃないっての選んでみたら?」

「近いものか、逆のもの?」

「そう、手に取ってみて近いけどなんか違うっていうのやこれは全然だなってのはやっぱりあったと思うんだけど、その中から選んで実際使っていくんだよ、そうすればいいのが見つかったりするんだよ」

「そうなんだ、じゃあこれにしてみようかな?」

そう言って選んだのは青い箱のスティックだった

「これが一番近いから」

「花音がいいなら良いんじゃない?」

「うん、これにするよ」

そう言って花音はレジにスティックを持っていき会計を済ませ戻ってきた

「おまたせ」

「この後はどうするの?」

「光君が良かったらもう少し街を歩かない?」

「構わないよ、じゃあショッピングモールにでも行こうか」

俺がそう言うとりぃちゃん先輩がデビ子と呼んでいる人形を使って話しかけて来た

(なぁりぃちゃんこいつらデキてんじゃないかい?)

「どうだろうね、実際どうなの?」

俺は内心今のやり取りは必要あったのかと突っ込みたくなったが、とりあえず返答する

「残念ながら違いますよ、光栄な話だと思いますけど、まだ友達から先の進展はないですね」

「そうだよ!りぃちゃん先輩!私たち知り合って間もないんだからね!」

「ありゃ、そうなの?」

「まだ知り合って1ヶ月たってないんです。なので、とりあえずは友人ですよ俺達は」

そう言って俺は花音の手を引いて店を出る

「いきなり手を引っ張ってごめんね」

「ううん、ちょっと強引だったけどああでもしないとまた変な追求されそうだったしね」

「そう言って貰えて何よりかな」

俺は苦笑すると花音は軽く笑う

(こうしていると穏やかな気持ちになるから不思議だよ)

俺は内心でそう思いながら花音の隣を歩くその間俺達は色んな会話をした、主に俺の事を色々聞かれたが悪い気にはならなかった。

目的地に着いた俺たちはあちこち見て回るなか俺個人が最近よく利用するアクセサリーショップを覗いていた

「光君、このお店よく来るの?」

「ショッピングモールに来た時はね、ピアスとかの品揃えが結構俺好みなんだ」

「そうなんだ、確かに光君が好きそうだなって思うよ」

「俺だけじゃなくて花音が好きそうなのもあるんじゃない?ヘアアクセとかもたくさん売ってるから」

「確かにそうかも」

そう言ってあれこれと花音もアクセサリーを見ている

俺自身もあれこれと目移りしてしまうほど自分好みのものはたくさんあったが、ふと目に止まったのはヘアピンだった

「花音に似合いそうだな…」

花音のあの綺麗な水色の髪に合うのは極端なほどの青か白だ

そして俺が今手に持っているのは真っ青なピンに白、水色、ピンクの丸飾りが着いているまさに花音にピッタリだと思ったので、今日の記念に買っておき花音に声を掛ける

「花音、良いの見つけた?」

「うん!買ってくるから待ってて」

「了解」

そう言って俺は店の外で待っていると会計を終え花音が戻ってきた

「じゃあ近くのカフェでお茶しようか」

「そうだね、少しだけゆっくりしたいかも」

「じゃあ決まりって事で」

そう言って俺達はフードコートの方に足を向ける。

途中で俺は足を止めイベントスペースを眺める今日は何かのイベントが催されていた

「ここで歌いたいな〜」

そう呟いたのを花音は聞いていたのだろう

「光君、ここで歌うの?」と聞いてきた

「いつかね、今はまだ無理だよ、イベントスペースの貸出申請やら何やら手続きが大変だろうしね」

「そっかなんか残念だな〜」

残念そうにする花音に笑いながら俺は言った

「アハハ、残念がってもらえるのは嬉しいけど正直この目標は簡単に叶うと思うよ」

「どうして?」

「考えてみてよ、例えばこころに大くて広い場所で歌いたいってお願いしたら叶いそうじゃない?」

俺の言葉に花音が笑う

「そうかもしれないね、こころちゃんならその辺任せてって言って簡単に叶えてくれそうだよね」

「そうでしょ、さぁ行こう早くしないとカフェが混み出すからね」

「うん」

俺達は今度こそカフェに向かうカフェに到着し席に着くと

それぞれ飲み物と軽食を注文してから雑談に興じる

そうしていると注文していたものが運ばれてくる

俺がコーヒーに口をつけたのとほぼ同時に花音が話しかけて来た

「光君!あの実は相談があって」

「相談?一応聞くけど、俺に相談して大丈夫な事だよね?」

「それは大丈夫、秘密とかじゃないから」

花音がそう言うので俺はそれならと思い答える

「どんな相談事?」

「実はね最近私達ハロハピは病院とか老人ホームとか、薫さんのファン限定とかあちこちでライブしてるの」

花音が言葉を切ったので俺は質問する

「俺への相談はゲリラライブの相談かな?」

そう言ってまた1口コーヒーを飲み返答を待っていると花音は首を横に振った

「ううん、そうじゃなくてね」

花音はそう言ってまた言葉を区切ってしまう

「花音、ゆっくりで良いから聞かせてくれる? 」

「うっうん、実はね少し前に病院ライブをしたの大人から子供まですごく喜んでくれたんだけど…」

俺はそこまで聞いてなんとなくだが想像ができた

「もしかして全員が全員笑顔にはならなかった?」

花音が頷いたので俺はやっぱりかと思った

それと同時に頭を搔くそしてどうしようもない気分になった

(まただ、またこの感情だ)

俺は背もたれに身体を預け深く息を吐き出した後反らせていた身体を起こし問いかける

「あくまでも現時点での花音の意見を聞かせてくれる?」

花音は頷きゆっくり口を開いた

「私は、やっぱりその子達にも笑顔でいて欲しい」

俺はその答えを聞いてあえて厳しい言葉を返す

「その子達の事情は俺には分からないけどさ、笑顔でいるのは本当に大切な事?喜怒哀楽の中で喜や楽の感情は確かに大事だし大切なものだと思うよ。でも、怒りや哀しみの感情だって必要だと思う」

「でもそれは!」

「言いたいことはわかるよでも、俺が言いたいのはどの感情だって必要だと思うってこと哀しみを乗り越えた先に見える喜びや楽しみだってあるよね?」

「うん、それはわかるよ」

「怒りだって大切だよ、怒って喧嘩する事でお互いを分かり合うこともあるよね?俺は男子だし不良漫画とかだとよくある事だし分かる!ってなることもあるんだ」

「それはちょっと私もわかるかな、そういう漫画は見た事ないけどドラマとかで見た事あるから」

「ならさ、個人的な意見だけど、今その子に必要なのは怒りや哀しみの感情なんじゃないかな? 」

俺はそう言ってまた1口コーヒーを飲む花音も半分ほど残ったカップを手の中で回しながら考えている、そして花音が出した答えは

「なら、私たちは怒りや哀しみの先にある喜び楽しみの感情を教えてあげたい!」

「答え出たね」

俺はそう言って優しく微笑む

その後俺達は会計を済ませて店を出てから駅前まで戻り解散する

「今日はありがとう、色々相談にのってもらって」

「こちらこそ、楽しかったし誰かの力になれたなら良かったよ、俺の目標というか目的の1つだから」

「本当にいつもありがとう、これは私から光君に」

そう言って差し出された小さな箱にはピアスが入っていたシンプルなリング型だったが 細工が細かくて確かに俺好みだ

「さっそく付けてみてもいいかな?」

「もちろん」

俺は両耳に1つずつ付けて花音に見せる

「似合うよ光君カッコイイ」

「ありがとう、じゃあ今度は俺の番、花音、目を閉じて」

「こう?」

花音は目を閉じるとなんと言うべきかあえて言葉にするなら彼女の整った顔が可愛いではなく綺麗だと思わさせる

俺は頬に、髪にそっと触れヘアピンを付けてあげ、スマホをカメラモードにして花音に見せる

「これが私?」

「そうだよ、思った通りそれは花音に似合うよ」

花音は自分が自分じゃないと言いたげにカメラモードのスマホを見つめている

「私が私じゃないみたいだよ」

「なら、その姿はもう1人の可愛くてオシャレが大好きな花音なんじゃないかな?」

「もう…1人の…私?…そう…なのかな?」

「自分がそう思うんならそうなんじゃない?」

「そうかもしれないね、本当にありがとう光君!大事にするね!」

「気に入って貰えてよかったよ」

「うん、本当に何から何までありがとう光君!またね!」

「うん、じゃあまた!」

お互いに挨拶を交わしお互いが帰路に着く、俺は自転車を飛ばして自宅に帰るとテーブルの上に置いていたこころからの手紙にもう一度目を通し下の方に書いてあった連絡先に電話をかける

少しして通話に切り替わるとこころの声がスマホ越しに聞こえてきた

(もしもし、あなたは誰かしら?)

「俺だよ、こころ、光だ」

(光!電話してきたってことは病院でのライブに来てくれるの?今度こそ全員を笑顔にするために私達は歌い続けるのよ!)

「それなんだけどさ、花音も含めた他のメンバーとも話をさせて欲しいんだ」

(つまり私達ハロハピともっとたくさんお話がしたいのね!)

「そういう事、だから病院ライブの前に皆と話す時間を作って貰えないかな?」

(わかったわ明日は残念なことに皆が都合が悪いみたいなのだから明後日ならいかがかしら?)

「わかった時間は合わせるよ」

(なら時間は改めて電話で伝えるわ)

「わかったよろしく」

そう言って通話を終了すると俺は一息つく

「本気の苦悩はこれからってとこか」

俺はそう言って頭を搔く

1度考えを整理するため湯船にお湯をはり浸かる

「当面は花音以外のメンバーか」

そう呟き考える、俺に何ができる?

まずは話を聞くこと、それが出来ないとこの先も何も出来ないと思う

「とりあえず出来ることをやるしか無いな」

俺は湯船から出て着替えた後部屋に戻りギターを弾き軽く2、3曲奏でてから就寝した

次の日は朝からcircleでバイトだいつも通りRoseliaやAfterglowの練習を見てその後夕方まで掃除や楽器の調整を行いバイトを終え帰宅するとこころのお付の黒服さんと思わしき人が待っていた

「お待ちしておりました、こころ様のお家にて皆様お待ちでございます」

「予定は明日と聞いていましたが」

「皆様この後の予定がないとお伺いしたので早めに集まっております」

「わかりました、案内をお願い出来ますか?」

「かしこまりました」

俺は案内のもと黒服さん達とこころの家に向かう、家に着くと家と言うより城だと思った、とりあえず案内されて行くと既に全員揃っていた

「来たわね!光!」

「ひかるんじゃん!」

「おや、待ち人来るとはこの事だね」

「こんばんは光君」

「どうもです光さん」

「皆こんばんは、今日は話をさせてもらいに来た」

「光は皆とたくさんお話したいそうよ!」

「ただし、1人ずつね」

「どういう事?」

「そのままの意味1人ずつ話をして結論を出す」

「よく分からないけどわかったは1体1で話をしたいのよね」

「うん、だからお願い」

俺は頭を下げるそうしないと始まらない

「頭をあげたまえ宮村光君君は話をしに来たんだろう?」

瀬田薫が仰々しい話し方で俺に言う

「もう一度言うよ頭をあげたまえ」

俺は頭をあげると瀬田薫と他のメンバーが笑っていた

「さぁ話をしようじゃないか!」

俺は頷き話し出す

「まずは共通認識の確認君達ハローハッピーワールドは世界を笑顔にしたい、そうだよね?」

「ええそうよ!」

「君たちはその目的の中で今小さな苦悩と戦っているそうじゃない?」

全員が顔を伏せる中こころだけは違った

「その通りよ!でもだから何?小さな苦悩だって付き物よ!だって私達の目標は世界を幸せな笑顔で満たすことよ!なら全てが順調なわけないわ!」

「その通りだと思うよ!こころの考えは間違ってない!だからこそ全員に同じ気持ちを持ってもらうためにまずは1人1人の考えを聞かせてもらいたい」

俺はそう言って全員の顔を見ると全員が頷いていた

こころに頼み別な部屋を貸してもらい全員と話をした後

俺はひとつの事を決意した、全員が集まる部屋に行き全員に話しかける

「皆、俺ひとつ決めたよ!次の病院で行われるライブにゲストとして参加させてもらう、そこで俺の音楽で俺なりのやり方で皆に笑顔と同じくらい大切な物を教えようと思う」

言葉にするとはっきりわかるとわかったり、整理できたりってあると思う、俺が今まさにそうだと感じていた。

 

 

 




前編終了です。小さな苦悩と人の心の挫折感を描いたつもりですが、上手く伝わってればいいなと思います
次回でハロハピ編は完結させます
次回「小さな希望と幸せな笑顔」


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第10話小さな希望と幸せな笑顔

光は小さな希望をそして夢を与えるために新しい音に向き合っていく


大きな理想を掲げたバンド、ハローハッピーワールドはこれからが最初の1歩だ、俺はそう思ったからその最初の1歩を歩みだすための小さな挫折それを抜け出すきっかけを俺は与えるために

彼女達の主催する病院で行われるライブに俺も参加することに決めた

「俺もゲストとして参加させてもらうからね」

「楽しそうね!私はOKよ!」

こころがOKを出してくれたが俺は他のメンバーの反応を見る

「私も構わない!彼の演奏には名前通りの光るものを感じたからね」

瀬田薫が大袈裟に言う

「はぐみもOKだよ!この間の演奏すごい楽しかったし」

はぐみもOKだ後2人がOKしてくれれば話は決まる

「私も良いよ、また光君の演奏が聞きたいし」

花音からもOKだ後は

「私も他のみんなが賛成なら言うことは無いです」

ミッシェルもOKだちなみに中の人とは未だに対面できていないがこの後話す時間は取れるだろうか、1体1で話した時もミッシェルのままだったのでリアルな姿で話したいと思っているので俺は声を掛ける

「あのさミッシェル良かったらこの後話す時間取れる?本当の君と話がしたい」こう伝えればミッシェルの中の人と花音には伝わるはずだ、他のメンバーはきょとんとしているが、あえて無視して話を続ける

「ライブの前にもうもう1つ頼みがある君たちが向き合っている子達に合わせて欲しいそれから演奏する曲は決める」

「わかったわ花音と美咲にそれはお願いする事にするわ」

「私は良いよ、明日さっそく行こうよ、ライブは明日を含めて2日後のゴールデンウィーク最終日だから」

「じゃあお願いね花音と今はいないけど、美咲さんにも後でよろしく伝えるよ」

俺はあえてそう言った花音は意味を理解して了解してくれた

その後俺は帰路に着くために音楽を聞きながら花音を待っていたら黒髪の女の子が出てきて話しかけて来た

「あの〜こうして会うのは初めてですよね?私がミッシェルの中の人で奥沢美咲って言いますよろしくお願いします光さんいや、先輩の方がいいかな?」

「よろしくね奥沢さん知ってると思うけど、改めて宮村光ですよろしくね後、光でいいよ無理なら君かさんでお願いね」

「なら私は光さんって呼ぶので私の事も美咲って呼んでください一応花音さんと同い年って聞いてるので私後輩になりますから」

「そういう事なら美咲って呼ぶね」

そう言って笑いかけると美咲も笑顔を返してくれた

「ところで光さん誰待ってるんですか?花音さん?はぐみ?それとも薫さん?」

「花音だよ!はぐみまではわかるけど瀬田の奴が入ってるのはなんで!?」

「あぁ、いや、同じ学校で同い年だからそのよしみでみたいな考えだったんですけど、違うんですか?」

「違うね。俺はハロハピのメンバーといる時しか瀬田とは話さないよ、俺、瀬田の奴若干苦手なんだ」

「そうなんですか?」

「うん、どことなくね感覚的なものだから上手く言えないけどさ」

「まぁわかりますよ、じゃあその話はおしまいにして音楽聴いてたんですよね?何聞いてたんですか?」

俺は耳からイヤホンを外しポケットからウォークマンを出して差し出す

「良かった聞く?俺はスマホで聴くから良かったら使って」

「じゃあ遠慮なく」

俺はスマホにもう1つのイヤホンを繋ぐとランダムに曲を聴き始め花音を待っていた

 

美咲視点

どんな曲を聴いているのか気になって光さんに聞いてみたがイヤホンとウォークマンを貸してくれて私は光さんの横で音楽を聴き始める再生してすぐに流れた曲は【希望の道】と言う曲だった私の感じた感想は旅立ちを迎えた主人公は想像の翼を広げ希望と呼ぼれる道を羽ばたくイメージが浮かんだ、どことなく私達ハロハピっぽいというか上手く言えないけど私達にピッタリな感じの曲だと思ったその後も2、3曲聞かせてもらったがどことなく懐かしい気持ちにさせられたりするような曲ばっかりだった、なんとなくだが光さんという人がわかった気がした

「なんか…花音さんが、光君、光君って言ってたのが何となくわかった気がするな〜」

そう呟くのとほぼ同時に帰り支度を終えた花音さんがこころの家から出てきた

 

「おまたせ光君って美咲ちゃんと一緒だったの?」

「まぁね、ちょっと話しててその後はただ音楽聴いてた」

「そうなんだ、今は何聴いてたの?」

「俺はギフトって曲だよ、ちょうど終わったとこ」

「私の方は君の知らない物語ってなってるよ」

「そうなんだ、光君は今回歌う曲は決めてるの?」

「まぁ候補は5、6個ね」

「早くないですか?私はてっきり明日私達と一緒に話題の子達に会いに行ってそれから決めるものだとばっかり」

疑問自体は確かにと思えることだったので俺の考えを伝える

「これは俺個人の意見だけど、最初に候補を決めておけば総入れ替えになっても曲調が似ていたり歌詞が似てたり共通する部分があったりするからね、だからこそ俺は候補は先に出しておくんだよ」

「なるほど~そこまで考えて決めてるんですね」

「まぁそうだね、とりあえず歩きながら話そうか、美咲も駅までは向かう方向一緒だよね?」

「そうですね、じゃあ帰りながら話しましょう」

「花音もそれでいい?」

「大丈夫だよ」

「じゃあ決まりってことで!」

そう言って俺は歩き出し2人もそれに続く

駅に向かって歩きながら俺は2人とたくさん言葉を交わした

ハロハピの結成秘話やたくさんの場所でライブした話など、ハロハピについてたくさんの事を2人が教えてくれた

「なるほどね〜こころが皆を引っ張り込んだから今のハロハピがあるんだな~」

「そうだね、あの時こころちゃんが引き込んでくれなかったら私はドラムをやめてたよ」

「私も何にも前向きになれないままだったかもな~」

「振り回されることもあるけど、なんだかんだ上手くやってるんだな」

「「そう(だね)(ですね)」」

2人の言葉が重なった、2人は顔を見合せ笑い俺もつられて笑った

そうしているうちに駅に到着し俺達はそれぞれの家の方向に別れる

「今日は色々教えてくれてありがとう明日もよろしくね」

「うん、任されました」

「お願いしますね」

「わかったじゃあ、またね!」

「バイバイ」

「さようなら」

互いに挨拶を交わした後俺達は解散した、俺は自宅に戻るとすぐにシャワーを浴び着替えた後ベランダに出る軽く火照った身体に夜風が気持ちいい

「あと2日」俺はそう呟き空を見上げた後部屋に戻り就寝した

次の日俺達は駅前で待ち合わせた後病院へと向かう、病院へ着くと花音達に頼み病室へ案内してもらう

目的の病室へ着くと扉をノックし病室へ入る

「こんにちは優菜ちゃんと裕樹君いる?」

「来たよ〜2人とも」

「いらっしゃいお姉ちゃん達」

「………ふん!」

「裕君!」

その様子を見ていた俺は裕樹と呼ばれた男の子のベット横にある椅子に座って話しかける

「こんにちは、俺は光って言うんだ」

「……………」

「いきなり来て話しかけられても困るよね、安心して、特に何かを聞きに来たわけじゃない」

「じゃあ兄ちゃんは何しに来たんだよ?」

「俺はただ単に君達と話をしに来たんだ、って言っても初対面の相手と何を話せば良いかなんてわからないよね、だから名前だけまずは教えてくれる」

「相沢裕樹って言うんだ兄ちゃんは?」

「俺は光(ひかる)宮村光だよ、よろしくね」

俺が笑いかけると裕樹君もぎこちない感じではあるが笑顔を返してくれた

「なぁ兄ちゃんも楽器できるの?」

「俺はね〜色々できるよ」

「兄ちゃん!俺にもギター教えてくれよ!」

「良いよ〜俺もギター始めたのは裕樹君くらいの時だからね、今からやればきっと上手くなるよ」

俺は自分のギターを貸してギターを教える

中々に飲み込みが早いので教えていて楽しいと俺は思った

少し疲れたのかギターを俺に返して休憩中だ

俺は適当にギターを弾いていると裕樹君が話しかけて来た

「兄ちゃんは怖い事ってある?」

「色々あるよ〜怪我や病気もそうだし何より友達を失うのはもっと怖いかな」

「俺ね、手術すれば治るんだって、でも、怖いんだもしもって考えるとさ…」

「そうだよね、怖いよねじゃあさ、怖いって気持ちを楽しいって気持ちに変えられたらどうかな?」

「どういう事?」

「裕樹君は好きな事はある?」

「歌ったり踊ったりするのは好きだよ」

「じゃあさ、楽しく歌って踊ってる姿を思い浮かべてみて」

俺がそう言うと裕樹君は目を閉じて楽しい時を思い浮かべている。少しして目を開けた裕樹君はニシッと歯見せて笑った

「イメージできた?」

「うん!兄ちゃん!俺、頑張って病院の先生と一緒に病気やっつけるよ!」

「頑張れ!」

俺は一言そう言って笑った

「兄ちゃん、明日お姉ちゃん達が病院の中庭で歌ってくれるって言ってたんだけど兄ちゃんは来るの?」

「もちろん!俺も歌いに来るからね」

俺は1度病室を出て近くの自販機で缶コーヒーを買って一息ついていると花音と美咲がやってきて話しかけて来た

「光君、どうやったの?」

「何が?」

俺は質問を質問で返す

「いやいや、裕樹君の事ですよ!私達がいくら話しかけても知らんぷりされたり、逃げられたりだったのに」

「多分どう話していいかわからなかったんじゃない?」

「どういう事?」

「裕樹君ってね歌ったり踊ったりするのが好きなんだって実際目の前で歌ったり演奏してたりしたお姉ちゃん達が話しかけて来て色々聞きたいことはあっても上手く伝えられなかったんじゃないかな?」

俺は自分の考えを話したあくまでも個人の考えなので確証はないが、話していてそう感じたので間違ってはいないだろうと思っていると花音からちょっとした提案がされた

「光君、良かったら優菜ちゃんとも話してみない?」

「良いかもね!」

「俺が話すの?さっきまで2人と話してたじゃん!まずは本人の意思を確認してよ!」

「それもそうだね、ちょっと待ってて」

花音はそう言うと美咲と共に戻って行った

俺は缶コーヒーの残りを飲み干し待っていると

2人が戻ってきた

「光君、優菜ちゃんが光君と話してみたいって」

「お願い出来ますか?」

「わかった裕樹君と同じ病室だよね?」

「そうだよ」

「お願いします」

俺は立ち上がり病室へ向かう、病室へ着くと裕樹君が近寄ってきた

「兄ちゃん!優菜が話したいって」

「わかったじゃあ優菜ちゃんの所まで連れてってくれる?」

「こっちだよ窓際のベット」

そう言って案内してくれた、そこに居たのは小柄で全体的にやせ細ったと感じられる女の子だった、俺は近くの椅子に座って話しかける

「君が優菜ちゃん?」

「はい、そうです奥山優菜です。光お兄さんですよね ?」

「そうだよ、よろしくね優菜ちゃん、いきなりだけど、歌うのは好き?」

「歌はあんまりでも、ピアノは少し」

「キーボードは今はないけど良かったらこれで少し演奏しようか」

そう言って俺はタブレットを取り出しキーボードアプリを起動して渡す

「これなら大丈夫かな?」

「はい大丈夫だと思います」

「何か弾ける?」

「お兄さんが知ってそうなやつだとスキマスイッチかな?」

「本当!?スキマスイッチ弾けるの?うあ〜ならバイオリン持ってくれば良かったな〜」

「お兄さんバイオリン弾けるんですか?」

「まぁ本格的にやってる人には叶わないけどね」

そう言って苦笑する

「それでも凄いですよ、私はピアノだけなんで」

「そしたら今回は歌だけかな〜」

「じゃあ奏と全力少年両方やりませんか?全力少年の方ならギターありますよね?MVで見たことありますよ!」

「俺はゴールデンタイムラバーと奏が良いんじゃないかなと思うけどどうかな?」

「両方知ってるので歌だけの奏とゴールデンタイムラバーでギターで良いですか?」

「構わないよじゃあゴールデンタイムラバーからいこうか!」

「はい!」

俺はギターを弾き始めるとそれに合わせるようにキーボードの音が重なり俺は歌い出す

『集中できてないなまだ体が迷っているんだ

震えていたんじゃコントロールしたってブレるんだ

太陽も勝負運(ツキ)もなんも完全にこっち向いていないが

「やるしかないんだ!」言い聞かせるようにそうつぶやいた 状況は悪いがただ逃げ出すんじゃ根性ないなぁ

展望はないが度胸でクリアするしかないや

衝動は抑えたままターゲットとの間隔探れ

必要なもんは勝つプライド

味わうのは勝利の美酒かそれとも敗北の苦汁か

そうすべては2つに1つ操りたい運命の糸

絶好のゴールデンタイムこの手で掴め

渾身のポーカーフェイスキメて仕掛けるよ

イリュージョンの世界へ引きずり込んで

際限ないプレッシャーゲームスルリと抜けて

栄光のボーダーライン飛び越えるために

ハウメニー?どれくらいの代償がいる?

手放したくないもんはどれ?』

 

花音と美咲視点

「な~んか音がするなと思ったら花音さ〜ん光さんが歌ってるよ!」

私は病室を指さすと花音さんは既に聞き入っているようで鼻歌交じりにノリノリだった

「光君の歌声いつ聞いても良いな~」

「花音さん大丈夫ですか?」

「あっ!ごめん聞き入ってた」

「まぁだろうなとは思いましたけど…そんなに良いもんですかね?私にはそうは思えませんけど」

「聞いてればわかるよ、光君が選ぶ曲は絶対意味があるんだ美咲ちゃんも聞いてればわかるよ」

私は花音さんがそう言うならと思い歌を聞く。ちょうど2番が始まっていた

 

『ロンよりショウコなんだ要は結果を出したもんが勝者だ

沈黙は金だ口が過ぎればバレるんだ

感覚を研ぎ澄まして慎重に流れを読み切れ

現状の勝率何パーセント?

かち割るのは堅実なゲームセンス潜む影法師は悪魔か

男ならば潔く散ってやるくらいの覚悟で挑め

逆境のクラップユアハンズ奮い立たせて

斬新なファイティングスタイルギリギリを攻めろ

アテンション!危ないぜ限界超えて

最高のフェアリーテイル歴史に刻め

完勝の瞬間を見せつけるために

アーユーレディ?くぐもった迷いなど捨て

バベルの階段を上がれ』

 

俺は拙くまだ小さな音に精一杯向き合い演奏していくこの音はまだこれから先が聞こえる音だと感じたから

 

『女神のように笑みを浮かべる君の魅力に取り憑かれて

誘われるまま堕ちていく

心に住みついた欲望膨れ上がるまで果てなき夢

誰も僕をとめられない

絶好のゴールデンタイムこの手で掴め

渾身のポーカーフェイスキメて仕掛けるよ

イリュージョンの世界へ引きずり込んで

際限ないプレッシャーゲームスルリと抜けて

栄光のボーダーライン飛び越えるために

ハウメニー?どれくらいの代償がいる?』

曲はラストに差し掛かる俺は1音も聞き漏らすまいと耳をすまして音を拾っていく

 

『逆境のクラップユアハンズ奮い立たせて

斬新なファイティングスタイルギリギリを攻めろ

アテンション!危ないぜ限界超えて

最高のフェアリーテイル歴史に刻め

驚愕の大逆転華麗に決めるよ

ドゥーユーノウ?運命は奪い取るもの

バベルの頂上に差す太陽(ひ)の光を浴びろ』

演奏を終えるとすぐに優菜ちゃんがこう言ってきた

「お兄さん今度は私の演奏で歌ってくださいね」

「まだいける?」

「もちろんです」

そう言って演奏を始めるので俺は集中し歌い出す

『改札の前つなぐ手と手いつものざわめき、新しい風

明るく見送るはずだったのにうまく笑えずに君を見ていた

君が大人になってくその季節が悲しい歌で溢れないように

最後に何か君に伝えたくて「さよなら」に変わる言葉を

僕は探してた』

俺は歌う中で気がついた音が何故か悲しみを帯びていることに、それすら払拭させないとこの先音が濁るだろうと感じた

 

『君の手を引くその役目が僕の使命だなんてそう思ってた

だけど今わかったんだ僕らならもう

重ねた日々かほら導いてくれる

君が大人になってくその時間が

降り積もる間に僕も変わってく

たとえばそこにこんな歌があれば

ふたりはいつもどんな時も繋がっていける』

 

花音、美咲視点

「曲が変わりましたね、ちょっと悲しい感じの曲に」

「そうかな?これは多分繋がりって目に見えないものの大切さを歌った曲なんじゃない?」

「どうなんでしょうね」

光君が選んだ曲なら何かしら意味はある私はそれを知っているからこそわかる見えない繋がりの大切さを光君は伝えたいんだと思うな

 

『突然ふいに鳴り響くベルの音焦る僕解ける手離れてく君

夢中で呼び止めて抱き締めたんだ

君がどこに行ったって僕の声で守るよ

君が僕の前に現れた日から何もかもが違くみえたんだ

朝も光も涙も、歌う声も君が輝きをくれたんだ

抑えきれない思いをこの声に乗せて遠く君の街へ届けよう

たとえばそれがこんな歌だったら

ぼくらは何処にいたとしても

つながっていける』

 

俺が歌い終えると周りから拍手が巻き起こった、俺は周りを見回すと、かなりの人数が集まっていて俺の歌を聞いていたみたいだ

「皆さん聞いてたんですか?」

「えぇ、なんだかとても素敵な音色が聞こえて来たから何かと思って聞いていたのよ」

周りを代表して1人の看護婦さんが答えてくれた

「そうですか、聞いてくれてありがとうございました」

俺がそう言うと再び拍手が送られた

その様子を見ていた花音と美咲が俺の両脇に来て話しかけて来る

「光さんちょうど良いので告知しておいたら良いんじゃないですか?」

「そうだね私もちょうどいいと思う」

「あぁ、うんそうだね」

俺は1度言葉を区切り軽く咳払いしてから話し出す

「皆さんに1つお知らせがあります!明日行われる病院でのライブに俺こと宮村光もゲストとして参加します!」

3度拍手が巻き起こり楽しみにしていると言う声がたくさん聞こえてきた、そして優菜ちゃんが俺の服の袖を軽く引っ張った

「お兄さんも明日のライブ来るんですか?」

「うん、明日もまた俺の歌を聞いてね」

そう言って頭を撫でると嬉しそうな笑顔を浮かべ

「絶対行く!」と言ってくれた

その後俺達は病院を後にした時刻はお昼を回っていたので俺達は昼食を取るべくファミレスに来ていた

「2人とも好きな物頼んで良いよ、ここは俺が払うし」

「良いの?その、この前も色々と出してくれたのに」

「大丈夫だよ、お金のことは気にしないで両親からの仕送りがちょっと多すぎるくらいなんだ、この間電話で話したら少しは無駄遣いしろって逆に怒られたよ」

「そうなんだ」

「そういう事なら遠慮なくご馳走になります。私はビーフハンバーグのセットで」

「なら私はミートソースパスタにデザートにミニパフェにするね」

「俺はロースカツ御膳かな、じゃあ注文するね」

俺はそう言って店員を呼んで注文を伝え頼んだ品が来るのを待っている間に明日の事を話し合う

「光君、曲は決まったの?」

「とりあえずね、3曲は歌うつもりだし他に追加があっても2曲までだね」

「曲のタイトル聞いても良いですか?」

「もちろん、さらば涙、笑顔のまんま、希望の唄、ピースサイン、Tomorrow、の5曲は予定してるよ」

「全部は歌わないですよね?」

「さぁ〜どうかな?こころがなんて言うかだけどね」

「あぁ確かにこころがなんて言うか次第で何曲歌わされるかですもんね」

「多分だけど最低でも今言った曲は歌う事になるんじゃないかな?」

「俺もそう思うよ」

そう話していると、注文した品が運ばれてきたので、俺達は食事を開始し15分から20分程度でみんな食べ終え会計を済ませ店を出る

「光さんはこの後どうするんですか?」

「俺はcircleで15時からバイトなんだ、だから少し早めに行って練習時間を確保しようかなって」

「ねぇ美咲ちゃん私達もこころちゃんに声掛けて練習しない?」

「一応そうしますか」

「じゃあcircleに来なよ、バイトの一環で練習見てあげるよ」

「お誘いはありがたいんですけど、多分、光さん頭抱えることになると思いますよ?」

「まぁ、確かにね、でも、俺としてはハロハピの音ってさ俺個人的にものすごく新鮮なんだよね、枠にハマらないというか正確な演奏が持ち味なRoseliaともいつも通りが持ち味のAfterglowとも違う独自の音が俺はとても新鮮なんだよねだからこそ演奏を間近で聞いてみたいんだ」

「光さんがそう言うなら」

「そうだね一応演奏見てもらおう」

2人がOKしてくれたので俺はこころに連絡する

(光じゃない、どうしたのかしら?)

「こころ、俺のバイト先に練習しに来ないか?」

(光は私達の演奏してる姿を見たいのね!)

「そういう事、お願いできる?」

(わかったわ!なら皆に伝えないといけないわね!)

「花音と美咲は一緒にいるから現地集合するってさ」

(なら、薫とはぐみには私が連絡するわ!美咲にはミッシェルを呼ぶように言っておいてね、それじゃあ頼んだわよ!)

「ちょっと待ってこころ!って通話切れてる」

言うだけ言って切られてしまったので仕方なく今話した内容を簡潔に伝える

「こころは瀬田とはぐみ連れてくるってさ 後、ミッシェル呼んどいてって言ってた」

俺が内容を伝えると花音は苦笑し美咲は呆れていた

「呆れるのもわかるけど、仕方ないんじゃない?」

「大丈夫ですいつもの事ですし諦めてますから」

「こころちゃん達だから」

それでいいのかと一瞬思ったが言ったらどうなるか想像がついたのでやめておいた

「とりあえず俺達は先にいこっか」

「「そう(だね)(ですね)」」

俺達はcircleへと向かった向かう途中また少し俺は質問攻めにされた

「光さんってバンドには興味ないんですか?」

俺は正直答える事を躊躇った自分の中で折り合いをつけた話とはいえ、正直気分のいい話ではないからだ、少し迷った末に俺はただ一言こう答える事にした

「俺にバンドは出来ないよ」

「光君答えになってないと思うな」

「ん~でもこれが俺の中で1番正確な答えだから」

俺はそう言ってただ笑った

「じゃあ今の夢ってなんですか?」

「今の夢はカバーアーティスト色んなアーティストから自分の曲も歌ってくださいって言われるようなカバーアーティストになる事が俺の夢だよ」

「路上ライブもその夢と関係あるんですか?」

「まぁ一応ね」

そう話しているとcircleが見えてきた

「こんにちはまりなさん」

「どうしたの?時間にはまだ早いけど」

「少し練習時間を確保したくて」

「そうなの、じゃあ2番スタジオ使って良いよ」

「じゃあ遠慮なく」

俺はカウンターに入って鍵を持ってからスタジオへ向かうと何故か2人も着いてきた

「2人ともこころ待ってなくて良いの?」

「来たら分かりますから」

「そうだね来たらわかるから」

「なら、いいけど、これからどうするの?」

「光君と一緒に楽器の個人練習しようと思って」

「私は見学を」

俺は軽く頭を搔いてからまぁいいかと思いギターのチューニングをした後何曲か演奏すると花音がそれに合わせてドラムを叩く、そうして練習していると外が騒がしくなってきたので俺達は練習を切り上げスタジオの外に出るとこころ達が来ていた

「光!来たわよ!」

「あぁ、じゃあこのままこのスタジオ使おうか、俺が申請しておくから」

「じゃあお願いするわ!」

俺達はそのままさっきのスタジオに移動する

「まずはハロハピの練習を見せて」

「構わないけどミッシェルがまだよ?」

俺はどうしたもんかと思っているとスタジオのドアが開き

ミッシェルが姿を見せた

「やっほ〜ミッシェルだよ〜」

「やっと来たのねミッシェル!」

「遅かったじゃないか!」

「ホントだよ!」

「アハハ」

「とりあえず練習始めない?」

「それもそうね、じゃあ始めましょう」

こころの一声で皆楽器を準備し演奏を始める

俺は演奏を聞いて演奏が先走ったりした時だけ注意して後は本人達の自由に演奏させた

少しして休憩に入るとこころが話しかけて来た

「私達の演奏はどうだったかしら?」

「もう少し統一感があれば言うことないよ、自由すぎてたまに演奏が乱れるから」

「そうなのね、ならその辺に気を付けて演奏するわ」

やけに聞き分けが良いなと思っていると案の定俺も歌うように話を振られた

「光!あなたも歌いましょう!」

「明日ライブなのに?」

「今が良いわ!」

「明日3から5曲歌う予定だから明日にしない?」

「明日はたくさん光の歌が聞けるのねなら今は良いわ!」

俺は助かったと思ったがこころがとんでもない事を言い出す

「明日は5曲は必ず演奏してもらうわよ!」

「ちょっと待ってこころ!3曲か5曲とは言ったけど5曲で確定なの?」

「良いじゃない!絶対楽しいわ!」

俺は根負けしたので明日は5曲演奏する事が確定となった

こころはかなりウキウキしていたが俺は3曲で済ませるつもりだったので少しだけ面倒だと思った

その後もこころ達ハロハピの練習を見つつ多少アドバイスしていきしばらく練習した後解散となった、俺はまりなさんと受付を交代し一息着く

「はぁ〜なんだか慌ただしいな〜」

そう言っていると珍しく紗夜が1人でやって来た、珍しいと思いながらも声をかける

「いらっしゃい珍しいね1人?」

「はい、個人練習なんです1時間ほどお願いします」

「了解、ちょっと待ってて」

俺はスタジオの使用申請をして鍵を渡す

「個人練習1時間、5番スタジオにどうぞ」

紗夜は鍵を受け取ったがまだなにか話したい事があるのかその場から動く気配がないので俺から話し掛ける

「紗夜?まだなにか話したい事があるの?」

「えぇ、どう伝えたものかと思っていたのですが、うまい言葉が浮かばないのではっきり言いますね、光君、私の練習に付き合って貰えませんか?1人で練習していても今日はなんだか集中できなくて」

「わかった、ちょっと待ってて」

俺はまりなさんに申し訳ないと思いながらもまた受付を変わってもらい自分のギターを持って紗夜とスタジオに入る

「ところで、俺はどうすればいいの?」

「何曲か一緒に弾いて貰えませんか?光君の音をまた聞かせて欲しくて」

そう言われて俺は自分の記憶を思い返しながら確認のために紗夜に質問する

「最後にRoseliaのメンバーの前で演奏したのっていつだったっけ?俺の記憶だとVSライブなんだけど」

「正確には練習の時ですね!青空のナミダを聞かせてくれた時です」

「あぁそんなに前かVSライブはどっちかって言うと多数に向けてって感じだったしね」

「そうですね。それで今回なんですが、Roseliaの曲とは違うものを演奏してみたくて、今井さんが最近イノハリ?というバンドの曲を練習してるんです。それで私も一応演奏出来たらと思いまして」

「イノハリ?結構難易度高いと思うよ?」

俺はそう言ってギターを手に取って【ハイスクール】を演奏して聞かせる俺ですら弾けるようになるまで苦労した、一朝一夕で弾けるものじゃない、とりあえず1番だけ演奏し紗夜の方を見て話しかける

「どう?ハイスクールでこれだけど、いけそう?」

「正直厳しいですね、今井さんが時間があれば練習しているのも納得です」

「それに紗夜は原曲聞いた?」

「原曲?いいえ聞いてないですね」

「なら、尚更大変だよ?」

「大丈夫ですお願いします」

「なら1つ条件後で必ず原曲を聞くこと」

「わかりました」

話が決まったので俺はもう一度弾いてみせた後、できるだけ簡単に教えていく

「思っていたよりずっと難しいですね、手が痛いです」

「なかなか難しいでしょ?でもイノハリはかなり大変だよ」

「光君、もしよろしければ、今度イノハリの歌を何曲か聞かせてもらえませんか?」

「俺が歌うの?原曲じゃなく?」

「光君の歌として聞かせてください」

「わかった約束するよ」

そんな話をしながら俺達は練習を続けているとあっという間に時間となったので俺達は練習を切り上げ使用した機材等を片付けてからスタジオを出る。俺は見送りのため外に出る

「ごめんね送ってあげられなくて」

「気にしないでください、1人で大丈夫ですから」

「そっか、じゃあ、また」

「はい、また後日」

そう言って紗夜は軽く頭を下げてから帰って行った

俺はその後店内を清掃しポスター等が剥がれ落ちたりしていないかをチェックしてからカウンター内に戻るとまりなさんが話しかけてきた

「光君、お疲れ様、いつも掃除ありがとうね」

「いえ、バイトの一環ですしお礼なんて」

「そういえば、最近はハローハッピーワールドにご執心みたいじゃない?」

「なんか、人聞きが悪いのでやめてください」

「またまた〜随分仲良さそうだったけどね〜それに明日の病院ライブにもゲスト参加するんでしょ?」

「まぁそうなんですけど、俺はせっかく凄い理想を持って活動しているのに小さな事で立ち止まって欲しくないだけです」

「ふ~んそうなんだ、じゃあ今回のゲスト参加も光君的にはなにか意味があるんだね」

「はい、常に明日を見据えて笑顔で頑張れって喝を入れるつもりです」

「光君ならきっとできるよ」

「やってやりますよ!」

そんな会話をしながらお客さんを待っているが今日は紗夜が帰ってから1人も来ていない

「今日はお客さん来ませんね」

「午前中は大学生がちらほら来てたんたんだけどね」

「そうなんですか?俺がいる時って来ないですけど…」

「光君はRoseliaやAfterglowの練習見てるからすれ違ってるだけだよ」

「あぁ、そういう事ですか」

そう言われればそうだと納得した

その後俺は上がりの時間になったのでスタッフルームに着替えに戻り着替えてからcircleを後にした

俺は自宅に着くとすぐにシャワーを済ませ少し早いが就寝する事にした。

次の日スマホのアラームでいつも通り起床し準備を始め朝食を済ませて家を出る、目的地の病院にハロハピメンバー達は現地集合するらしいので俺も目的地に向かうが途中まで来て思い出した事がありスマホを操作して花音に連絡する

数回のコールの後花音に繋がる

(もしもし、光君?おはよう、どうしたの?)

「いや、ほら現地集合って言ってたから花音迷うんじゃないかと思って」

(大丈夫だよ、何度も行ってるからさすがに迷わないよ)

「なら良いんだけど、とりあえず慌てずにね」

(うん、ありがとう、じゃあまた後でね)

花音がそう言うと通話が終了する

俺はスマホをポケットにしまうと少しスピードをあげ目的地に向かう、そうして20分程度で目的地の病院に到着するとすでにこころと瀬田薫が来ていた

「あっ!お~い!光~!」

こころが俺の姿を見つけ手を振っているので俺も手を振り返しながら2人のいる場所へ到着する

「早いな2人とも」

「当然さ!私達の演奏を楽しみにしてくれている子供達を待たせる訳にはいかないからね!」

「その通りよ!」

「そっかそっか、じゃあ俺は自転車置いてくるから待ってて」

俺はそう言って駐輪場に向かい自転車を止めてさっきの場所に戻るとちょうど全員が揃ったところだった

「ちょうど全員揃ったんだね!じゃあ行こうか!」

「えぇ、行きましょう」

俺がそう言い、こころが続くとほかのメンバーも「おー!」

とか「頑張ろう!」と続く、そして小児科病棟に行きその小児科担当の先生に声をかけ案内してもらい病棟を抜けた先の少し広めのホールに通される

「今日はここでライブするのね!」

「楽しみだね!私達の演奏でまた笑顔になる子が増えるのだから!」

「はぐみも今から凄い楽しみ!」

「皆落ち着いて」

「そうだよ、まだ気が早いって!」

「アハハ、でもライブ前は緊張するよりワクワクした気持ちでいる方がきっといい演奏になるよ、とりあえずセッティング済ませちゃおうよ」

そう言って俺は自分のギターとキーボードを設置するとハロハピのほかのメンバー達も自分達の演奏道具をセッティングし始めセッティングが終わると同時に子供達も集まってきた

その中には俺が昨日会った裕樹君と優菜ちゃんの姿もあった

こころが全員集まったのを確認して話し出す

「皆!今日は集まってくれてありがとう!ハローハッピーワールドのライブを始めるわよ!1曲目は笑顔のオーケストラ!」

花音達の演奏に合わせてこころが歌い出すと子供達が盛り上がり笑顔が溢れる、俺はこの光景をいい物だと感じる

でも、裕樹君と優菜ちゃんはどこか興味が無さそうだった

俺は2人の元へ行き声をかける

「どうした?楽しくないか?」

「兄ちゃん!いや、楽しくないわけじゃないよ、でも俺が聞きたい曲とは違うんだ」

「どういう事?」

「俺はもっとわぁ〜ってなるようなのが良いんだ!この間兄ちゃんが演奏してたゴールデンタイムラバーみたいな奴が良いんだ!」

「そっかじゃあ期待してな!俺が奏でてやるよ!」

「兄ちゃんホント?」

「あぁ、それで優菜ちゃんの方は?」

「私はもっとゆっくり楽しめる曲が良いんですスキマスイッチはアップテンポでも口ずさむくらい楽しい感じがしますけどハロハピさんのはちょっと違うんです」

「大丈夫だよ裕樹君と優菜ちゃんの欲しい曲は俺が奏でるから今は楽しめ!」

俺はそう言って2人をハロハピの演奏に集中させる

笑顔のオーケストラが終わり、2曲目のゴーかゴーカイファントムシーフ曲にあわせ瀬田薫が子供達の周りを歩き回る

楽しそうでいいと思う、裕樹達もノリノリだ

そして3曲目のハピネスっ!ハッピィーマジカルで子供達はさらに盛り上がっている飛び跳ねてる子達もいるくらいだ先生達も手拍子でノリノリだ

そして演奏が終わりこころが再び話し出す

「皆!今日は聞いてくれてありがとう!でも、まだ終わりじゃないわ!光!来てちょうだい!」

名を呼ばれたので俺は前に出る

「今日は彼がゲストとして来てくれたの!たくさん歌ってもらうから楽しんで行ってね!」

俺はギターを手に取りストラップを肩にかけてからマイクのスイッチを入れ話し出す

「こんにちは光って言います今日はハローハッピーワールドの皆さんにゲストとして呼んでもらいました!まず1曲聞いてください、さらば涙」

俺はギターを演奏し始め数秒の前奏の後に歌い出す

『さらば涙 いつか泣いた数だけ幸せになる

胸に咲いた花びらが色づいてく

さらば涙 いい波が音もなく押し寄せてくる

今描いた物語が幕をあけるように

(Don't wory)

さらば涙

 

今まで半端な甘ったれの君最近なんだか変わったね?

泣くだけ泣いたら吹っ切れたの?

もうその心の傷癒えたの?

この先良い事あるだろうから流した涙にさようなら

きっと見方を変えれば明るくなれる

なりたい自分にまたすぐ会える

前よりもすごく頑張ってるその姿を褒めたらはにかんでる

恋とか仕事も経験しなんだか前より全然良い

まぁ生きてりゃ色々あるからさ

上向いていこうか明日からは今の君こそがとにかく良い

日の光昨日より眩しい

さらば涙いつか泣いた数だけ幸せになる

胸に咲いた花びらが色づいてく

さらば涙いい波が音もなく押し寄せてくる

今描いた物語が幕をあけるように

(Don't wory)

さらば涙

あるよね泣きたい時一人になりたい時

瞼が腫れれば腫れるほどあなたが本気になった証拠

涙の分だけ心は軽くなり強い大人になってくの

色づく季節に記憶もかすれ淡い過去として去ってくもの

下向いても涙零れるだけカーテン開け青い空に微笑むだけ

大丈夫待ってるよまだその涙に頼ってるの?

新たな自分に会いに行こう涙乾けば始まる第二章』

 

こころ視点

笑顔も大切だけど涙も大切なのね!泣いた数だけ幸せになれるなんてこの歌を聞くまで知らなかったわ!涙と笑顔はセットでなくちゃいけないのね!

 

花音視点

大人と子供の間で半端に生きていた子が流した涙の数だけ強くなってさらに幸せな大人になるんだね、私達もそうなりたいな!なれるかな?なれるよね!

 

『涙がそんなに輝いて見えるのは

君が本気で生きてる証だから

下向いてないで空を見上げながら

泣いて泣いて涙よsaygood day sayhello to mysmall

さらば涙いつか泣いた数だけ幸せになる

胸に咲いた花びらが色づいてく

さらば涙いい波が音もなく押し寄せてくる

今描いた物語が幕をあけるように

(Don't wory)

さらば涙』

 

俺は1曲目を歌い終え話し出す

「さらば涙どうでしたか?涙の数だけ強くなれるし幸せになれる本当にそう慣れたらいいですよね!では次の曲ちょっとアップテンポな曲になります聞いてくださいピースサイン」

俺は2曲目を演奏し始める

『いつか僕らの上をスレスレに

通り過ぎていったあの飛行機を

不思議なくらいに憶えてる意味もないのになぜか

不甲斐なくて泣いたあの日の夜に

ただ強くなりたいと願ってた

そのために必要な勇気を探し求めていた

残酷な運命が定まっているとしてそれがいつの日にか

僕の前に現れるとして

ただ一瞬この一瞬息ができるなら

どうでもいいと思えたその心を

もう一度

遠くへ行け遠くへ行けと僕の中で誰かが歌う

そんなヒーローになるための歌

さらば掲げろピースサイン

転がってくストーリーを

守りたいだなんて言えるほど君が弱くないのはわかってた

それ以上に僕は弱くてさ君が大事だったんだ

「独りで生きてくんだ」なんてさ

口をついて叫んだあの日から

変わってく僕を笑えばいい独りが怖い僕を

蹴飛ばして噛み付いて息もできなくて

騒ぐ頭と腹の奥がぐしゃぐしゃになったて

衒いも外連も消えてしまうくらいに

今は触っていたいんだ君の心に

僕達は

きっといつか遠く離れた太陽にすら手が届いて

夜明け前を手に入れて笑おう

そうやって青く燃える色に染まりおぼろげな街の向こうへ

手をつないで走っていけるはずだ君と未来を盗み描く

捻りのないストーリーを

カサブタだらけ荒くれた日々が削り削られ擦り切れた今が

君の言葉で蘇る鮮やかにも現れていく

蛹のままで眠る魂を

食べかけのまま捨てたあの夢をもう一度取り戻せ

 

もう一度遠くへ行け遠くへ行けと僕の中で誰かが歌う

どうしようもないほど熱烈に

いつだって目を腫らした

君が二度と悲しまないように笑える

そんなヒーローになるための歌

さらば掲げろピースサイン

転がってくストーリーを

君と未来盗み描く捻りのないストーリーを』

 

俺は2曲目を一気に歌い上げると深く深呼吸してから話し出す

「2曲目楽しんで貰えましたか?」

「最高だよ兄ちゃん!こういうのまってたんだ!ヒーローみたいに強くなりたいって思える最高の歌だった!」

裕樹君が興奮気味にはしゃいでいる

「ありがとう、それじゃあ3曲目にいきますこの曲は誰かと一緒にいる事で得られる笑顔がテーマの曲です希望の唄、聞いてください」

俺は3曲目の希望の唄を演奏するそして

長めの前奏の後に歌い出す

『あなたがいて あなたといて

もしもこの世にあなたが存在していなかったら

100ある笑顔のうち少なくとも40は無くなる

もしも地球の裏側あなたがいると分かったら

無くなった40の笑顔取り戻すため海を渡ろう

あなたの涙が雨になるあなたの言葉が風になる

諦めかけて乾いた笑顔に希望という花が咲いた

ああ気付いてほしいこの歌の意味を知ってほしい

僕にとってこんなにも大事で必要な人

あなたがいてあなたといて

こんなに幸せになるよ

忘れないでそのぬくもり他の誰でもないあなた

あの涙もその笑顔も

あの涙もその笑顔も

この無数にある出会いの中偶然あなたと繋がった

もしも出会えてなかったら夢すら持ててなかった

いつの間にかあなたの笑顔が変わらない本当の居場所

心から支えられているだから僕は笑ってられる

ともに遠回りとかもしたけど辿ってきた夢の足跡

昔から変わらず今でも沢山の勇気をありがとう

振り返らずにまた前へとこれからも重ねていく年

僕には歌しかないけれどずっと見守って欲しい

あなたがいてあなたといてこんなに幸せになるよ

忘れないでそのぬくもり他の誰でもないあなた

この世界で1人だけのあなたに出会えた奇跡が

こんな僕を勇気づける力があなたにはあるの』

 

薫視点

参ったね、私よりも彼の方が表現者として上じゃないか

悔しいが認めざるを得ないようだ私以上だよ君は!

 

はぐみ視点

ひかるん凄い!ただただ凄い!目の前にひかるんが見てる世界が浮かぶんだよ!ひかるんにはいったいどんな世界が見えてるのかな?教えて欲しいな〜教えてくれるかな?

 

『いつも愛してくれた人よ

僕に今何か出来るなら探していた未来の灯を

あなたと分かち合いたい

あなたがいてあなたといてこんなに幸せになるよ

忘れないでそのぬくもり他の誰でもないあなた

この世界でも1人だけのあなたに出会えた奇跡が

こんな僕を勇気づける力があなたにはあるの

あなたがいるあなたといる

あなたがいるあなたといる

La,la,la,la

La,la,la,la,la,la,la

La,la,la,la,la,la,La,la,la,la

La,la,la,la

La,la,la,la,la,la,la

La,la,la,la,la,la,la,la,la,la,la,la』

 

「希望の唄どうでしたか?これで3曲目が終わりました残り

2曲です次の曲はハロハピの皆に相応しい曲だと思いますそれじゃあ笑顔のまんまを聞いてくださいキーボードとギターを上手く交互に演奏しますのでよろしくお願いします」

 

『つらい時でも笑ってられる

そんなあんたはホンマにアホや先の事など考えないまま

ペース配分さえ出来ないで走る

悲しい時こそおどけてばかり

そんなあんたはやっぱりアホや

惚れて振られてまた繰り返す学ばないまま明日をむかえる

だけどそんなあんたをあんたを見てると

なぜか優しい風が吹き抜けてゆく湿った心は笑いで乾く

笑顔のまんま笑顔のまんま

そうさ人生生きてるだけでまるもうけOH!!

笑顔のまんま笑顔のまんま

そうさTHA TWAS THATあの時はあの時さ

 

楽しい時には涙ぐんでるそんなあんたはやっぱりアホや

そんなあんたどうしようもないアホや

明後日も明々後日もやめられませんわ

変われないからお前も頑張れよ

だからそんなあんたをあんたを見てると

やっぱよう考えたらムカつくわ

許せんけれど笑けてくるわ

笑顔のまんま笑顔のまんま

そうさ人生生きてるだけでまるもうけOH!!

笑顔のまんま笑顔のまんま

そうさTHAT WAS THATあの時はあの時さ』

 

美咲視点

光さんが私達にピッタリだと言った理由がわかった気がする

まさにこころにピッタリだったこころとの思い出が次々浮かんでくる、楽しかったと思えた時やちょっとムカついた時の記憶が鮮明に思い出されるこころは変な奴だけど嫌いになれないしなんだかつられて笑ってしまうそんなこころの事を歌っているような曲だ

 

『笑顔のまんま笑顔のまんま

そうさ人生生きてるだけでまるもうけOH!!

笑顔のまんま笑顔のまんま

そうさTHAT WAS THATあの時はあの時さ

笑顔のまんま笑顔のまんま

そうさ人生生きてるだけでまるもうけOH!!

笑顔のまんま笑顔のまんま

そうさTHAT WAS THATあの時はあの時さ

僕が笑いを君にあげるから君の笑顔を僕にください』

 

俺は歌い終え再度深く深呼吸してから話し出す

「次がラストの曲になります俺が選んだ5曲で皆がミッシェル何かしらのきっかけを掴めたのなら嬉しいです最後の曲は

Tomorrow」

俺はキーボードを演奏しながら歌う

『涙の数だけ強くなれるよ

アスファルトに咲く花のように

見るものすべてにおびえないで

明日は来るよ君のために

 

突然会いたいなんて夜更けに何があったの?

あわててジョークにしてもその笑顔が悲しい

ビルの上にはほら月明かり

抱きしめてる思い出とかプライドとか

捨てたらまたいい事あるから

涙の数だけ強くなれるよアスファルトに咲く花のように

見るものすべてにおびえないで明日は来るよ君のために

 

季節を忘れるくらいいろんな事があるけど

二人でただ歩いてるこの感じがいとしい

頼りにしてるだけど時には夢の荷物放り投げて

泣いてもいいよつきあうからカッコつけないで

涙の数だけ強くなろうよ風に揺れている花のように

自分をそのまま信じていてね明日は来るよどんな時も

 

涙の数だけ強くなれるよアスファルトに咲く花のように

見るものすべてにおびえないで明日は来るよ君のために

 

涙の数だけ強くなろうよ風に揺れている花のように

自分をそのまま信じていてね明日は来るよどんな時も

明日は来るよ君のために』

 

ラストの曲を全力で演奏し終えてから俺は今の全力を伝えるために話し出す

「ラストの曲どうでしたか?選んだ5曲全てに沢山の思いを込めました、曲から一人一人が小さな夢や希望を持ってくれたら嬉しいです。それは俺が選んだ曲が誰かのきっかけになれたって事だから、最後まで聞いてくれてありがとうございました」俺はそう言って頭を下げると子供達や先生達から拍手が送られた。

 

ライブ終了後の片付けをしていた時優菜ちゃんと担当の看護婦さんがやって来て感想をくれた

「お兄さんの選んだ曲、どれも元気が貰える曲でした!

私、頑張ります!頑張って病気を治して絶対に凄い演奏家になります!」そう言った優菜ちゃんの笑顔は晴れやかだった

「私はあなたの選んだ曲から懐かしさを感じたわ、大変だった研修医時代から今に至るまでを再認識されられたの、私自身もやる気というか勇気を貰えたわありがとう」

 

「お礼なんて良いですよ!これが俺の役目だと思っ待てますから」俺はそう言って笑う

そして俺は楽器等を全て片付け終えると立ち上がり

「今日はこれで失礼します」と一言告げ病院を後にする

病院を出るとハロハピのメンバーが待っていた

「光!良いかしら?私達の今後について光にも聞いて欲しいのよ!」

「こころがそう言うなら、聞くよ」

俺達はこころ家に移動し普段からミーティング用に使っている部屋に集まった

「それでこころ、私達はこれからどうするの?」

「決まっているわ!目標は変わらず世界を笑顔はする事よ!でも、それだけじゃなくて笑顔と同じくらいに感動の涙でも溢れさせるの!」

「え〜とつまり?楽しい気持ちでいっぱいにするって事?」

「とても美しくて最高の夢じゃないか!」

「私もそう思うよ!悲しい気持ちも大切だけど、嬉しい気持ちでいっぱいになって溢れる涙なら見てみたいし!」

「私も最後まで付き合うって約束したしね、どこまでまでだってやってやりますよ!」

皆が口々に賛同していくのを見て俺はこれがハローハッピーワールドの新たなる門出の瞬間なんだなと思った

「じゃあ俺の役目は挫けそうになった時なんかに音楽でそっと背中を押すことかな?」

「そうね!それもまた素敵なことよ!」

「はぐみもそう思う!」

「儚い」

「光君ならそれが出来るんだもんね!」

「というか、光さんにしか出来ないですよ!」

「俺に出来ることならいつでも手を貸すよ、いつでも頼ってくれて良いからね」

そう言って俺が笑いかけると皆も笑顔を返してくれた

こうして俺の長いようで短いような

ゴールデンウィークは幕を閉じた

 

 

 




ハロハピ編完結となります
次回はポピパ編に入る前にちょっとしたフラグのような話を含めた日常回っぽいものを書いていきます
次回 雨の日とLOVE SONG


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第11話 雨の日とLOVE SONG

光はまた少し目標に近付いた、そんな彼の学校生活と音楽活動、そして出会いはいかに…


ゴールデンウィークが明けの登校初日いつもより早めに目が覚めた光はカーテンを開けると外は雨が降っていた

「まじかよ…外、雨降ってるじゃんか~レインコートあったかな~?」

俺は起き出しクローゼットを開けてレインコートを探す

「雨合羽はあったけど、レインコートはないか〜」

俺は仕方なく制服と一緒に雨合羽を準備してから朝食の準備を始める、そしてその後朝食を済ませてから楽器もしっかり雨対策してから家を出る

自転車を飛ばして学校に向かう俺は髪が濡れるのも構わずとにかく自転車を飛ばす、学校に着き自転車を止めると自転車置き場を軽く見回すと俺以外にも自転車が何台か止まっていたので、俺と同じように自転車で来た連中だろうと思いながら昇降口に向かう

昇降口で靴を履き替えてから教室へ向かおうとすると後ろから声が聞こえたので俺は振り返り受けとめる体制をとる

「お~い!ひ〜く〜ん!ひっさしぶり〜」

「おはよう、そんでもって久しぶり日菜」

俺は飛びついてきた日菜を受けとめると声をかける

「ひ〜くん大丈夫?髪の毛ビシヨビショだよ?」

「あぁ乾いたら適当に纏めるよ」

「結ぶの〜?」

「一応ね」

そんな話をしながら教室へ向かう、教室へ着くとリサ達がもう来ていた

「おはよう光〜久しぶりじゃん!」

「久しぶりね」

「あぁ久しぶりそんでもっておはよう」

俺は2人とも挨拶を交わしてから席に着くと後ろから日菜が髪を触ってくる

「なにしてんの?」

「ひ〜くんの髪結ぼうかな〜って」

「まだ乾いてないからやめて乾いたら大雑把に纏めるから」

そうして日菜とじゃれているとリサ達が会話に入ってきた

「なになに?光、今日は髪結ぶの?」

「あぁ、うん雨で濡れちゃって、乾いたら大雑把に纏めようかなって」

「普段はどうしているの?」

「軽くワックスつけてクシでとかしてからのヘアアイロン」

「なかなかに大変なのね」

「慣れればそうでも無いよ、俺からしたら女子の方が手入れ大変だと思うし」

「私はあまり気にしたことは無いけれど、リサはかなり大変じゃないかしら」

「そうなの?」

俺はリサの方を向いて聞いてみる

「たしかにアタシは結構手入れしてるよ〜じゃないとすぐ傷んじゃってさ~大変なんだ」

「そうなんだ、結構大変なんだね」

「本当にそうなんだよね〜日菜はどう?」

リサが日菜に話題を振ると俺の髪から手を離し腕を組んで考える

「う〜んアタシもそこまで気にしないかな〜お姉ちゃんならきっと色々てお手入れしてたりするのかもだけどアタシはトリートメントくらいかな」

「人それぞれやっぱり違うもんなんだな〜」

そう呟いてから俺は思い出したようにギターの包装を解く

「ギター、雨対策して持ってきたんだ」

「まぁね、一応あった方が良いかなって」

「でも、今日どうするの?」

「音楽室使わせてもらおうかなって」

「なら、同じ音楽室でも、第2音楽室なら大丈夫なはずよ

合唱部の部室でもあるから私が鍵借りてくるわ」

「良いの?」

「構わないわ、私自身1つの楽しみになってるもの」

「じゃあお願いするね、というかそろホームルーム始まっちゃうよ」

そう言って俺はスマホに表示されている時間を見せる

「ホントだ、じゃあまた後でね光〜」

「私も戻るわ」

「うん、また後でね」

俺は友希那達を自分の席から見送ると後ろで俺の髪をいじり続けてる日菜に話しかける

「日菜、いい加減くすぐったいんだけど結ぶなら早くしてくれない?」

「でも、どう結ぼうかな〜って」

「普通に後ろでひとつに結んでくれたら良いんだけど?」

「仕方ないな~」

日菜は渋々といった様子で俺の髪を結ぶと自分の席に戻っていった、それとほぼ同時に先生が教室へ入ってきてホームルームが始まり10分程度で終わると皆一限の準備を始める俺は教科書等を出すとすぐに音楽を聴き始める

プレイリストを開き失恋ソングを選択しランダムに再生する

雨の日はなぜかそんな気分になる

「光〜何聞いてるの?」

「あぁリサ、なんか気分的に失恋ソングを聞いてた、落ち着いた気分になれるから」

「なんか、わかるな〜失恋ソングって悲しい気持ちになるって言うより、落ち着いた気持ちにさせてくれるもんね」

「なんの話〜?」

日菜が話に入ってきたかと思えば俺の髪をいじりだす

「あのさ、なんで俺の髪をいじりだすの?話に混ざりたかったんじゃないの?」

「そうだけど、やっぱりなんか今のひ〜くんの髪型るんとしないんだよね〜普段はなんかこうシュッとしててサラサラなのにさぁ〜」

「ちゃんと毎日セットしてるからね~っていうか日菜は俺の髪をどう結びたいの?」

「ん~とこうかな?」

そう言って俺の髪を首元ではなく頭の後ろで束ねる

「これはちょっとやめてくれる?あの姿に近くなるから」

あまり人前でルミナスの姿にはなりたくない、あの姿はまた別だからだ

「この髪型はダメか〜ならこの辺は?」

今度は頭の中間くらいだまぁこれならと思いOKする

「まぁこれくらいなら良いよ」

「じゃあこの髪型で今日1日過ごしてね!」

「わかったから席戻りなよ話脱線したうえに授業始まるよ」

俺は席に戻るように諭すと日菜は席に戻っていった

「アハハ〜すっかり脱線したね〜」

「仕方ないよ、1度日菜のペースにのまれるとペース戻すの大変だから」

「なんかわかるよ、まぁ私も戻るね〜また後で」

「うん、また後で」

その後俺は1時限目の数学をやり過ごす

正直苦手教科だけに頭が痛い、そんな事を思いながら授業時間をやり過ごす、授業が終わると俺はまた音楽を聴き始める

それの繰り返しで2限目の英語と3限目の科学は乗り切った午前中残るは4限目の世界史のみだ、世界史に限った話ではあるが、個人的に聞いていても聞いていなくても点数は平均程度なので俺はこのまま寝てしまおうかと思っていると

結んいた髪をちょんちょんと引っ張っられるので顔をあげると俺の顔の前に鍵が置かれた

「あれ?もう借りてきたの?」

「えぇ、ちょうど職員室にプリントを届ける用事があったの、だからちょうど良かったわ」

「そっかじゃあ預かるね」

「お願いするわ!放課後までに返してくれれば良いそうだから、5限の終わりにでも返してきてくれたら良いわ」

「わかった、とりあえず鍵借りてきてくれてありがとね」

「礼には及ばないわ」

そう言って友希那は自分の席へ戻っていった

その後の世界史は話半分程度に聞いてやり過ごし昼休みになった、俺達は4人で第2音楽室へと向かう、目的地の第2音楽室

に着くと俺は鍵を開けて中に入る

「少し埃っぽいかな」

「そうね、でもそれなりに手入れはされているようね」

「そうだね、て言うか座る場所どうしようか?アタシいちおレジャーシートは持ってきてたけど、吸われて2人だよ?」

「じゃあ俺はピアノの椅子を使うよ、パイプ椅子なんかもあるみたいだし、背もたれある方が良いなら日菜がパイプ椅子使えば良いしね」

「アタシはどっちでも大丈夫だよ~」

「なら、アタシと友希那でレジャーシートに座って光と日菜は椅子使うってことでいい?」

「問題ないわ」

「俺も大丈夫」

「アタシも良いよ〜」

話が決まったので俺達は昼食を取りながら雑談にに興じていると、今日歌う曲の話になった

「光〜今日歌う曲どうするの?」

「特に決めてないけど、なんかリクエストある?」

「アタシはなんでも良いよ〜」

「アタシも正直これって言うのは浮かばないし、任せるかな、友希那は?」

「そうね、LOVE SONGが聞いてみたいわ」

「あぁ良いかもね!普段そういうの歌わないからね光は」

「アタシも賛成~!」

「って言っても何歌うの?」

「雨の日に聞きたい失恋ソング&LOVE SONG各3選ってのは?」

「俺は構わないけど2人は良いの?」

「えぇ選曲は任せるわ」

「アタシも問題なーし」

「わかったよじゃあさっそく歌っていくよ?」

俺はそう言うと鍵盤の蓋を開けポーンポーンと音を出し感覚を確かめると皆に一声かけてから歌い出す

「じゃあ1曲目ピアノVer.で聞いてください、恋音と雨空」

俺は歌いながら演奏する

『「好きだよ」と伝えれば良いのに願う先怖くていえず

「好きだよ」と「好きだよ」が募っては溶けていく

君との時間が1秒でも長くなるならずっとじゃなくていい

願いかける恋音と雨空』

さっきのさっきまで聴いていた曲だったのですぐに頭に浮かび俺は演奏し始めた、まだ始まったばかりだからこれからだ

『君と離れてから数日この土砂降りの雨の中

こんな日は必ず傘を届けにいった

いつもの待ち合わせの場所いるはずのない面影待つ

傘もささず、ずぶ濡れな君はそこにいた

悴んだ手を温めることがもう一度できるなら

始まりの時まで戻りたい

「好きだよ」と伝えれば良いのに願う先怖くていえず

「好きじゃない?」と「好きだよ」が揺れる恋と雨空

君との時間が1秒でも長くなるならずっとじゃなくていい

雨が止むまでこのままいさせて・・・

信じた明日も君は過去と笑うの?

流し去る力もなくあの日のままで時間が止まる

雫が二つ君の頬伝う

絶えず止まぬ雨のせいと恋音は詠う』

 

リサ視点

なんとなくだけど、光が見せたい情景が浮かんでくる好きの先を言えない2人が離れてしまってもお互いがお互いに雨がまた2人を引き合せる雨の間だけ、そんな風に聴こえる曲だった

 

『街行く恋人が羨ましく思うことが増えた

いつから一人が怖くなったんだろう

でも今は束の間の幸せできることならこのまま

ありふれた恋人達になりたい

君がここで望んでいること僕がここでいいたいこと

今なら想いも重なるかな?

「好きだよ」と伝えれば良いのに願う先怖くて言えず

横顔を見つめてるそれだけでも もういい!

だけど一握りの幸せも君がくれたものだから

本当はずっと抱きしめていたい

「すれ違いも二人もう一度やり直すための試練」だって

すぐに言えるのならどんなにいいだろうか

好きという事実通りすぎて今ではもう愛している

失った数日間でやっと知った

本当はこのまま気持ち確かめたくて・・・』

 

友希那視点

どう言えばいいかしら?

二人でいた時間が長かったので1人でいることの辛さや怖さを身をもって知ってしまった、自分が持っているものは全部君がくれたものだと、それを失ったことでしか気づけなかっただからこその曲なのだろう

 

『「好きだよ」と伝えれば良いのに願う先怖くて言えず

「好きだよ」と「好きだよ」が募っては溶けてく

君との時間が1秒でも長くなるならずっとじゃなくていい

願いかける恋音と雨空』

 

俺は1曲目を歌い終えると3人に感想を求めるべく話しかける

「どうだった?1曲目恋音と雨空は」

「なんか切なくなっちゃったよ」

「私は失ったことでしか気づけなかった大切さを考えさせられたわ」

「アタシは結構好きな感じの曲だったよ」

「そっか、じゃあ次の曲いくね、この曲は別れた恋人と過ごした時間と今の恋人と過ごす時間のもどかしさを歌った曲だと思うんだ、じゃあ、聴いてね別の人の彼女になったよ」

俺は2期目をギターを弾きながら歌いだす

『別の人の彼女になったよ今度はあなたみたいに

一緒にフェスで大はしゃぎとかはしないタイプだけど

余裕があって大人で本当に優しくしてくれるの

 

別の人の彼女になったよ今度はあなたみたいに映画見てても私より泣いてる事なんてないし

どんな事にも詳しくて本当に尊敬できる人なの

キスや態度だけで終わらせたりせずに

ちゃんと「好きだ」という言葉でくれるの

怒鳴りあいはおろか口喧嘩もなくて

むしろ怒るとこがどこにもないの

だからもう会えないやごめんね

だからもう会えないやごめんね

あなたも早くなってね

別の人の彼氏に』

 

日菜視点

アタシはいまいち好きや嫌いの気持ちが分からないでも、この曲だからこそわかる楽しかった事があったけどすれ違っちゃってそのまま2人は別れちゃったけど今でもその彼との思い出は大切なものなんだなって

 

俺はこの曲をどう表現していくかを模索しながら歌っていく

すれ違って別れてしまった元恋人と今の恋人の間で揺れるもどかしさを歌っていくがちゃんと伝わっているかわからないでも、届かせる!

『別の人の彼女になったよ

あなたの時みたいに

すっぴんだって笑っていられる私ではなくて

一生懸命お洒落してなるべくちゃんとしてるの

別の人の彼女になったよあなたの時みたいに大きな声で愚痴を言うような私ではなくて

それをすると少しだけ叱られてしまうから

夢や希望とかを語ることを嫌ってちゃんと現実をね見つめていて正しい事だけしか言わないからずっとさらけ出せず

おとなしくしてるの

だからもう会えないやごめんね

だからもう会えないやごめんね

あなたも早くなってねだけど私はズルいから

だからもう会いたいやごめんね

だからもう会いたいやずるいね

あなたも早くなってね別の人の彼氏に

私が電話をしちゃう前に』

2曲目を歌い終えるとなぜかリサが泣いていた

「リサ?なんで泣いてんの?」

「どうしたのよ?」

「リサちー大丈夫?」

「あれ?なんでだろう?アタシいつの間に泣いてっていうか多分だけど、歌詞に共感しちゃったからかな?なんて言うか本当に今の歌みたいな感じだったら凄く切ないなってさそう思ったら泣けてきちゃって、なんかごめんね続けて」

俺はあえて気にしないようにして続ける

「じゃあ気を取り直して3曲目、これは片思いソングになるのかな、じゃあ演奏していくね聞いてください、いとしすぎて」

俺はピアノを演奏していく少し長めの前奏の後に俺は歌い出す

『いつの間にこんなにも君を好きになってしまったんだろう

他の誰かの腕で眠る君を知っているのに

なんでもない言葉で笑う君の姿が胸に焼き付くよ

AllIwannado 強く抱き締めながら

Im in love with you cause you re the one for me

そのままでいたいよ

君と交わす言葉君と過ごす時間全ていとしすぎて宝物だよ

一緒にはなれないとわかってたはずなのに君を求めてるよ

だからnever ever let go

 

いつも君からのメール待ってた携帯の充電気にしながら

だってどんな時も君とは繋がっていたくて

「他の誰より好きだよ」言えたなら少しでも

楽になれるかな

All I wanna do 微笑む君のそばで

Im in love with you cause you re the one for me

そう信じていたいよ

君と交わす言葉君と過ごす時間全ていとしすぎて宝物だよ

一緒にはなれないとわかってたはずなのに君を求めてるよだからnever ever let you go

いつか2人手をつないで並んで歩けるかな

このままじゃ何も変わらないでも失いたくない

一人寂しい夜も心が折れた時もいつも気がついたら

助けられてたよ君にとっての僕と僕にとっての君は

違うままなのかな一緒にならないかな

君と交わす言葉君と過ごす時間全ていとしすぎて宝物だよ

一緒にはなれないとわかってたはずなのに君を求めてるよ

だからnever ever let you go

Iwanna be the one for you cause you are the one

Iwanna be the one for you cause you are the one』

 

3曲目いとしすぎてを一気に歌い上げる

俺は息を整えるため大きく深呼吸してから3人に話しかける

「どうだった?3曲目は」

「アタシはなんて言うか、切なさで胸がいっぱいだよ本当にまた泣きそうなくらい」

「泣きそうとまでは言わないけれど確かにせつない気持ちにさせたられたわ」

「あたしもね胸の辺りがきゅうってなったよ」

「アハハ、なんというか、まぁ気に入って貰えたなら良かったと言うべきかな?」

「でも、まだ終わりじゃないよ光」

「そうね、まだ3曲残ってるわよ」

「あと3曲も聞けるのか〜楽しみ〜」

「アッハハ曲は問題ないから良いけどさ、次は男性目線の不器用なLOVE SONGをお届けします4曲目新恋愛」

俺はそう言ってまたピアノを弾きながら歌いだす

『それはとてもそれはとても胸がいっぱいな瞬間

一緒にいて分かったよかけがえのない存在に

触れた時に溢れ出した

(想い)重ねた心に(届け)お前の心に

いつでも俺の隣にお前がいるから

笑いがこぼれて優しくなれるさり気ない小さな出来事も

今は大きくて忘れなれない

あの日にあげたゲーセン取ったキーホルダー

壊れた時落ち込むお前見て思ったんや

こんなボロボロになるまでつけてくれたんや今日まで

俺幸せなんやと感じたら無性に抱きしめたくなった

ホンマお前が好きや伝えたい愛をもっとずっと一緒や

当たり前やろたった1人のお前やから

せっかくお前の誕生日なのにごめんな

大した物は俺今は買ってあげれへん

「それならヒマワリ種を買ってよ2人で1緒に咲かせよう」

無邪気な顔はしゃいだ声今までよりまた好きになった

何気なく言った一言で次の日髪型変わってて

俺は正直ビックリしてそれみてお前は喜んだ

似合ってないでって笑って思わず言ったけど

でもほんまは嬉しくて可愛くて仕方なかった

ほんまお前が好きや伝えたい愛をもっと

大事にするで当たり前やろたった1人のお前やから』

 

リサ、友希那、日菜3人視点

「なんかさ、the不器用な男子のLOVE SONGってかんじだよねこの曲」

「そうね、でも、大事に大切にしたいと言う気持ちが伝わってくるわ」

「なんだかとってもるんってする!」

アタシ達はそんな会話をしながら光が歌っている曲に耳を傾ける

 

『それはとてもそれはとても胸がいっぱいな瞬間

一緒にいて分かったよ届けない思いがここにある

聞かれて言うんじゃもの足らん

面と向かえばなかなかよう言わん

理想の言葉て難しいけど止まらん気持ち渡しときたい

任せろもういらんで心配一生懸けてお前といたい

まるごと全部くれてやるよまずはお前幸せにしよう

ほな行くで

ホンマお前が好きやまっすぐに愛をもっと

大事にするで当たり前やろお前がいればそう強くなれる

ホンマお前が好きや何度でも愛をもっと

ずっと一緒や当たり前やろたった1人のお前やから』

俺が歌い終えると3人以外からも拍手が送られた

俺は気付きて入口の辺りを見るとAfterglowのメンバーが勢揃いしていた

「皆、なんでここに?」

「雨だし屋上使えないからどっか屋内で光さんが歌ってるはずだってモカとひまりが言うからちょっと探してました」

「ちょっと〜バラさないでよ~!」

「そう言う蘭もひかるん先輩の歌ってる声が聞こえた時からちょっとウキウキしてたよね〜」

「あぁ確かにちょっと声がウキウキしてたかもな」

「そうだね〜」

他のメンバーから口々にそんな事を言われてる蘭は顔を赤くして照れているのか、怒っているのか微妙な表情を浮かべ少しムキになって否定している

「なっ!仮にそうだったとして文句ある!?それにそんなんじゃないし!」

そうしていると友希那が仲裁?に入る形で他のメンバーに言った

「とりあえず、入りなさい、光の歌を聞きに来たんでしょ?」

友希那の言葉で我に返った蘭は咳払いしてから他のメンバーに声をかける

「友希那先輩の言う通りだしとりあえず入ろうよ」

「そうだな」

「うん!」

「だね〜」

「賛成」

そう言って蘭達は俺達のいる音楽室に入ってきて各々好きな場所に座る。それを確認すると俺は話し出す

「じゃあ残り2曲歌っていくよ、1曲くらいならリクエスト受け付けるけど?」

「あっ!じゃあさ、光〜ずっと借りたままになってるウォークマンに入ってた曲なんだけど、君に逢いたかったかありったけのLOVE SONG歌ってくれない?」

「良いよ、じゃあ2曲続けて聞いてねまずは君に逢いたかったから」

俺はそう言って演奏を始まる

『君に会いたかったただ会いたかった運命に引き離されても夜空を巡って時間(とき)を越えて君をみつけるから

出逢ったイミを考えてたはじめて声をきいた瞬間に

「この人だ」とわかったんだ信じてもらえないかもだけど

「どうしたの?」電話越しの声でキミが元気じゃないことくらい分かるさ離れてる時でもどんなに明るく振る舞っても

「大丈夫」「大丈夫じゃない」「元気だよ」「いや心配だ」今すぐ君に会いにいく

君に逢いたかった待ち続けてた運命が僕らをつないだ

傷つきながらも旅して僕らやっと巡り会えた

誰がなんて言おうと悲しい夜も君を笑わせてみせるから

何が起きたって誰より僕が君を幸せにする』

蘭視点

光さんが恋愛ソングを歌っている姿を初めて見た

曲がそうだからなのかまるで囁くように優しく歌う私も知らない光さんの姿がそこにあった

「本当に電話越しとかでも伝わるのかな?」

その呟きは歌にのまれるように消えた

 

『誰もそんな強くないとかそれはそれで真実なんだろうけどそれでも僕は胸を張って君のために強くありたい

くだらないことは話せるのに肝心な時にはいつも口ベタ

本音伝えきれない不器用さが時折マジで嫌になるけど

こんな気持ち初めてで本当に大切にしたくて

だからこそ離したくないんだ

君に逢いたかった待ち続けてた運命が僕らをつないだ

傷つきながらも旅して僕らやっと巡り会えた

誰がなんて言おうと悲しい夜も君を笑わせてみせるから

何が起きたって誰より僕が君を幸せにする』

 

ひまり&モカ視点

「ねぇねぇモカ、やっぱり光さん歌ってる姿かっこいいよね!」

「そうかな〜普段からオシャレでかっこいいとは思うけどね〜」

「普段とは違うかっこよさだよ!曲も相まって凄くカッコイイよ!だってさ逢いたくて待ち続けて巡り会えて誰がなんて言おうと悲しんでたら笑顔にさせてくれるそれって凄いことじゃん!」

「それは確かに〜運命で巡り会って何が起きたって幸せにしてくれるって歌だからね〜」

そろそろ歌は終盤だ

『100億年前から決まってたのかなぁこんな日が来ること

君に逢いたかったただ会いたかった運命に引き離されても

夜空を巡って時間(とき)を越えて君をみつけるから

君に逢いたかった待ち続けてた運命が僕らをつないだ

何が起きたって誰より僕が君を幸せにする

君に逢いたかった待ち続けてた

出逢えて良かった世界は変わった

君に逢いたかった待ち続けてた

出逢えて良かった世界は変わった

永遠を君に誓うよ僕が幸せにする』

 

巴&つぐみ視点

「ねぇねぇ巴ちゃん光さんが本気で好きな人に曲を送るとしたらどんな曲を歌うのかな?」

「う~んどうだろうな?本人に聞いてみたら?」

「えぇ〜無理だよ~!巴ちゃん試しに聞いてみない?」

「なんでアタシが?つか、そんな簡単に教えてくれないんじゃね?自分の中で大切な曲なんだろうしさ」

「やっぱりそうかな?」

「多分な」

そうは言ったが光さんは教えてはくれるだろう残念ながら歌ってはくれないだろけどな

 

巴ちゃんは教えてくれないだろって言ったけど、教えてはくれるだろう、そして歌ってくれるとは私は思うけど多分それはあくまで友人として友愛の感情を込めてだけど

 

俺は君が終わると軽く深呼吸してからすぐに次の演奏をはじめ歌いだした

『なぁちょっといいかな茶化さないで聞いてくれ

いつもふざけてばかりだけど

今から本気(マジ)で話すから

最初キミと出逢った瞬間(とき)

その自由な笑顔にやられちゃってあの日の帰り道浮かれて

仲間に電話してたんだ

あれから何かあるたび

キミがいればいいのにと思うことばかりで…

いきなりでちょっと驚くかもだけど

オレの言葉でバシッと言わせてくれ!

ありったけの愛唄ったラブソングをキミだけの花束にしてきたんだ溢れるくらいに気持ちを込めて贈るよ

キミの未来を俺に預けてよこの手でいつまでも守るから

ずっと二人で同じ景色を見てたい

世界を止めて今誓うよ

全てをかけてキミを愛してく』

俺は皆を自分の世界に引き込む事に集中する

いつか誰かにこんな風に言われてみたい思わせられるように

『あぁ黙ってるってことはやっぱビックリしたよな

ゴメンなでもこれが今の正直な気持ちなんだよ

なぁ覚えてるかな?凹んでたオレに言ってくれた

「いつでも味方だよ」って言葉でもうキミしかいないって思ってさ 気が付けば暗くなるのが早くなったし

もうキンモクセイの匂いがするなぁ

もうすぐ冬がやってくるその前に

もう1回言うから聞いてくれ

ありったけの愛唄ったラブソングをキミだけの花束にしてきたんだ溢れるくらいに気持ちを込めて贈るよ

キミ未来を俺に預けてよこの手でいつまでも守るから

ずっと二人で同じ景色を見てたい世界を止めて今誓うよ全てかけてキミを愛してく』

俺は曲に理想を乗せて歌うこういう関係が理想だと全てをかけて愛せる人と添い遂げたいそう願いを込めてラストまで一気に歌い上げる

『キミの頬伝うひとすじの涙

ちょっと照れて見せてくれた笑顔

今キミが言ってくれたその答えをずっと

いつまでもいつまでも大切にするから

さぁこれからはこのラブソングが

二人だけのメロディーになってさ

あきれるくらいに互いに歌いあっていこう

ありったけの愛唄ったラブソングが

永遠に終わることのないようにずっと

二人で同じ景色を見ていこう世界を止めて今誓うよ

全てをかけてキミを愛してく…

手をつなぎ一緒に歩いていこう』

俺は歌い終わりピアノの蓋を下ろすと皆から拍手と一緒に「最高だったよ!」等のコメントが寄せられたが余韻に浸るまもなく昼休みが終わる鐘がなった

「ヤバい!戻らないと」

「急ぎましょう」

「だね!」

「うん!」

俺達は急いで教室を出る、全員が退出したのを確認して施錠して俺は皆に声をかける

「よし!皆、忘れ物とかないよね?」

全員が頷いたのを確認すると俺達はそれぞれの教室へ戻る

「じゃあ光さんまた後で!」

「うん、また後で!」

蘭がそう言って軽く手を振り教室へ向かっていき他の皆も軽く頭を下げてから戻っていった

俺達はギリギリで教室へ入り授業に遅れることはなかったが俺は5時限目が国語なのをいい事に寝てやり過ごしそのまま6限終わりまで寝ていた

「光〜起きなって授業もう終わったよ!」

「ん~?あれ?5限終わった?」

「5限どころか授業もう終わりだからね」

「マジか!ってかまぁいいや、国語と科学だろ、後でどうとでもなるし」

「光は国語と科学は寝ててもテストの点数平均以上だから凄いよね」

「英語と数学以外はね意外と何とかなるんだよね、その2つだけはギリギリ平均くらいだから」

「まぁだよね〜というか光、この後は?circleでバイト?」

俺はスマホで時間を確認すると15時40分を示していた

「バイトは今日は5時からだから少し時間あるし1度帰って着替えてから行くつもり」

「そっか、友希那〜アタシらもそのくらいにする?circle行く時間」

「そうね、どうせ練習は見てもらう予定だしリサは1度楽器を取りに戻らないとじゃない、だからそのくらいにcircleでいいんじゃないかしら?」

「OK!なら皆にそう伝えるね」

リサはそう言うと1分程度で必要事項を記入したLINEをグループメッセージに送ったようだ

「そういえばさ、光はな〜んでRoseliaのLINEグループに入ってくれないの?」

「そういえばそうね、そうすれば連絡が1度で済むのにどうして入らないのよ?」

「いや、バンドメンバーでもない俺が入ってどうするの?」

「何を言っているの?あなたはRoseliaの専属アドバイザーでしょ?」

いつからそうなったのか初めて知る事だった

「あのさ、いつからそうなってるわけ?俺、他のハンドの練習だって見てるのに専属って」

「バイトの一環なのでしょう?なら専属アドバイザーもバイトと同じよ」

「見返りどうなんの?」

「さすがにお金は無理だけれど、ちゃんと考えてるから

とにかくグループに入りなさいよ」

俺は渋々了承しRoseliaのLINEグループに入ったいちおAfterglowとハロハピのLINEグループにも入っているのでこれで俺が参加しているLINEグループは3つになった

そうして話していると日菜が教室に戻ってきた

「あれ〜?ひ~くん起きたの?いくら起こしても起きなかったのに〜」

「ごめんごめん熟睡してたみたい」

「まぁ良いけど、まだ帰らないの?」

「もう帰るつもりだよ1度家帰って着替えてからバイト行くつもりだからね」

「そっかぁ~ところでさっきまでなんの話してたの?」

「LINEのグループの話だよ、光をRoseliaのLINEグループに勧誘して参加してもらったとこなんだ」

「そうなの?じゃあひ~くん!パスパレのにも入ろ~う」

「じゃあって入る入らないの前にメンバーの許可とってからじゃないの?そういう話」

「それもそうだね!じゃあ皆OKなら入ってくれる~?」

「日菜以外の皆がいいって言えばね」

俺はそう言いながら荷物をもって立ち上がる

「グループに件は皆に確認する事、OKなら参加するから、じゃあ、また明日」

そう言って俺は教室を後にして階段を降りて昇降口に向かって行く、そして昇降口に着き靴を履き替えて外に出ると雨は止んでいた

「おぉ〜晴れた晴れた」

そう言って俺は自転車置き場に向かう途中モカに会った

「あれ?モカ?」

「ひかるん先輩だぁ~今帰り~?」

「そうだよ、バイトまで時間もあるし1度帰って着替えてから行くつもりなんだ、モカは今日、他のメンバーは?」

「今日は皆都合が悪いみたいで~珍しく1人たのだァ~」

俺は少し考えてからスマホで時計を確認するときっかり16時

だったので俺は少し寄り道する事にした

「あのさ、モカが良いならどっか寄ってく?アイスかなんかご馳走するよ?」

「じゃあ、パン奢って〜」

「パン?コンビニの?」

「じゃなくて〜山吹ベーカリーのパンが食べた~い」

「商店街の?そういえば俺もまだ行ったことなかったな〜

よし!じゃあ行こっか、自転車とってくるから少し待っててくれる?」

「ほいほーい」

モカの気が抜けた返事を聞いてから俺は自転車置き場に行き

自転車をとってモカの所に向かう

「おまたせ、行こう」

「おぉ〜」

俺は校門を出て少し行ったところまで自転車を押して歩き

学校が見えなくなった所で自転車に跨りモカに後ろに乗るように言う

「モカ、後ろに乗って」

「ほいほーい」

モカが後ろに乗ると俺は自転車を走らせる

「ヒュ〜」

後ろに乗ったモカは自転車が風を切る感覚を楽しんでいるようだった

自転車を走らせ10分程で目的地の商店街に到着する

「ここからは自転車押していくから降りてくれる?」

「良いよ〜すぐそこだしね〜」

そう言ってモカは歩き出し俺は自転車を押しながら少し後ろを歩いていくと3分程で目的地の山吹ベーカリーに到着し店に入る

「やっほ〜」

「こんにちは」

「いらっしゃい」

俺たちが店に入ると花咲川の制服を着たポニーテールの子が出迎えてくれた

「いらっしゃいモカ、それとそっちの人は初めましてですよね?」

「うん、初めましてだね、花咲川の制服着てるってことは学生だよね、バイトの子?」

「あぁ違いますよ、ここ私の家なんですよ!私、山吹沙綾って言います花咲川の1年生ですよろしくお願いします」

「よろしくね俺は光(ひかる)宮村光です。羽丘の2年です

一応モカの先輩でもあるからよろしくね」

「はい!よろしくお願いします光さんでいですか?」

「良いよ、こっちはどうしよう?山吹さん?または沙綾ちゃんかな?」

「普通に沙綾でいいですよ、光さん」

「そっか、じゃあ遠慮なく、ところでここって何がオススメなの?俺、あんまり甘い菓子パンとか好きじゃなくて」

「そうですね〜甘いパンがあんまりって言うならカレーパンとかフレンチトーストなんかオススメですよ、他にもサンドイッチとかもありますからゆっくり選んで下さい」

「じゃあ少し店内見て回るね」

俺はそう言って店内を見て回りオススメだと言っていたカレーパンとフレンチトーストを2つずつ買う事にした

「モカは決まった?」

「この5種類~」

そう言って持ってきたのは全部甘そうな菓子パンばかりだったので俺は軽く胸焼けしそうになった

「じゃあお会計お願いします」

モカの分もトレイを持って行き沙綾にお会計を頼む

「ありがとうございます1500円になりますね」

「レジ売ってないのにわかるの?」

「普段から家の手伝いしてますからね」

そう言って手際よくレジに金額を打ち込んでいき金額が表示されたので俺は2000円を渡してお釣りを貰い店を出る

「また来てくださいね」

そう言って沙綾は店の外まで見送ってくれた

「ひかるん先輩ありがとうございま〜す」

「うん、俺もいいお店教えてもらったし、そのお礼って事でいいよ」

「ひかるん先輩は同じの2つずつ買ってたけど自分で食べるの〜?」

「まさか、まりなさんに差し入れだよ」

「これからバイトだっけ〜?ならここで良いよ〜」

「本当に?なんなら送るよ?」

「食べてから帰るから大丈夫〜」

「わかってたじゃあ俺は帰るね、また明日」

「また明日〜」

俺はモカと別れ自宅へ向かう自転車を走らせ10分程で自宅に着き俺は家に入り俺は荷物を置き部屋に戻り着替えてから荷物を部屋に置きギターと念の為専用の雨具と差し入れ用に買ったパンを持って再び家を出てcircleに向かう

そこから更に15分程自転車を走らせcircleに到着する

「こんばんは、ちょっと早いけど来ました」

「こんばんは光君、バイト服に着替えてきたらちょうどいいんじゃない?」

「そうします、後これ差し入れです」

「山吹ベーカリーのパンだね、ありがとう光君がバイトに入ったら休憩にして貰っちゃうね」

「じゃあ着替えてきます」

俺は自転車そう言ってスタッフルームに入って行き自分のロッカーの所に行き着替えてからスタッフルームを出てまりなさんと受付を変わる

俺はその間に貸し出し用の楽器をメンテナンスし始める

ギターを数本メンテし終えるとスマホにメッセージが届いた

俺はメッセージを確認するとRoseliaのグループメッセージに今から向かうから現地集合とメッセージが入っていて他のメンバーが各々了解の返信をしていたので俺はcircleで待ってると返信しておき残りのギターのメンテを済ませ元の場所に返却して戻ってくるとちょうどRoseliaのメンバーが勢揃いしていた

「やっほ〜光〜来たよ〜」

「練習を始めるわ、いつも通り指導頼むわよ」

「お願いしますね光君」

「よろしくね光兄ぃ」

「お願いします光さん」

「わかった、まりなさんに断り入れて来るから待ってて」

そう言って俺はスタッフルームにいるまりなさんに声をかけ

受付を変わってもらいRoseliaの練習に付き添う

「今日はどうするの?」

「LOUDER、BLACKSHOUT、FIREBIRDをローテーションで練習していくわ」

「了解、気になる所があったらその都度アドバイスしていくから」

「わかったわそれじゃあ始めるわよ!」

最初の曲はLOUDERだった特別指摘する程のミス等はなかったように思えるが俺には歌そのものが未完成だからこそ出せるクオリティだと思えるものだった

「特に指摘するような所は無いかな、練習始めたばっかだし皆かなり集中出来てたからだと思うけど、今の時点では無いかな」

「そう、なら次ねBLACKSHOUTいくわよ!」

友希那の掛け声で曲が始まってすぐに少しドラムが走り気味になったが許容範囲だろう、紗夜ギターも問題ないし、リサのベースも安定している燐子のキーボードも問題ないドラムも楽しんで演奏できているし

歌も問題があるようには思えないが

俺は考えた結果全体的に問題なしと判断する

「問題ないね、全体的にものすごくバランスが良いしライブでもこのままの演奏ができるなら満点だよ」

「あなたが言うなら間違いはないのでしょうけど、遠慮してたりしないわよね?」

「どこに遠慮する必要があるのさ、技術指導でもあるんだからさ気になったところがあればもちろん指摘していくただミスが目立ってくるとすれば練習初めよりも連続して演奏いていく中での事だ、だからまだ問題ないよ」

「ならいいわ次はよFIREBIRD」

3曲目のFIREBIRD はRoseliaの高みを目指すと言う決意の現れだ、俺は目を閉じ聴覚だけで音を感じる

俺はただじっと聞いていると見落としがちな小さなミスが何個か見つかった

俺はそれを指摘していく

「ギターは正確な演奏の分周りの音とたまにズレるからね上手くやろうってだけ考え過ぎないで、ベースは逆にもっと自信を持って演奏して」

そうアドバイスしていきながらその日の練習時間は終了となり俺もバイトが上がりの時間となった、俺はまりなさんに

「お先します」と伝え店を出て自宅に向かうcircleから自転車を走らせ15分程で自宅に着き俺は荷物を置いてから着替えをもってシャワーを浴びに行き、シャワーを浴びて出る。

俺はベランダに出てその日あったことを思い返す。そして、夕方に出会った沙綾の事を思い出す、俺はおそらく他の人が受ける印象とは違うものを感じていた、止まった時間の中をぐるぐると回り続けているようなモヤモヤとしたものを俺は感じた

「あの子は多分何かを抱えている、かなり難しい事情を、久々にルミナスの出番になりそうだな〜」俺はそう呟きベランダから部屋に戻り就寝する事にした、時刻は23時を少し回ったところで空にはキラキラと星が輝いていた。

 




第10話どうでしたか?
ポピパ編のフラグとして沙綾を登場させました。
次回からポピパ編と行きたいところですが、もう1つこの物語の時系列でやっておきたい話があるのでそれが終わったら
ポピパ編にいこうと思います
次回「誕生日と大丈夫の魔法」

質問や感想お待ちしてます


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第12話 誕生日と大丈夫の魔法

光は年に1度の大切なイベントのために動き始める


その日光はバイト先であるcircleの練習スタジオを借りて楽曲を録音していた。数曲演奏すると光は演奏をやめ録音を止めると呟くように一言

「こんなもんかな?」と呟き録音のためにラジカセに入れていたCDを取り出しケースにしまうとラジカセを持って練習スタジオを後にする。

「まりなさん、ラジカセありがとうございました、助かりました」

「いえいえ、どういたしまして目的は達成出来たのかな?」

「まぁ第1段階はとりあえずって感じです」

「そっかそっかなら良かったよ」

「本当に助かりました、じゃあ、俺はこれで」

「うん、お疲れ様」

俺はcircleを後にして自宅へ向かうcircleから15分程の距離なので苦にはならない

俺は自宅に着くと部屋に行き、着ていた上着を脱いでベッドに投げると袖を捲り椅子に座ってノートパソコンを起動し先程circleで録音した曲を入れたCDを読み込ませ編集作業に入る、途中コーヒーを入れに台所に行きコーヒーを持って部屋に戻ってくると再び編集作業に没頭する、作業に没頭している間は余計な音は入ってこない、聞こえてくるのはパソコンのキーボードのカタカタとした音や機械独特の電子音など本当に最低限だ、少ししてから作業が一段落したのでシャワーを浴びるため着替えを持って脱衣所に向かう、その後シャワーを浴びてからもう一度コーヒーを入れて部屋に戻り再び編集作業を開始する編集を再開してから1時間程で完全に編集が完了し俺はCDを取り出し1曲ずつ曲名を書くとCDをケースにしまう

ケースにしまってから気付いたがあまりにシンプル過ぎると思った

「なんか装飾した方が良いかな?」

俺はそう思いスマホで色々調べるが時間も時間のため店も閉まっているので無駄だったので仕方なく前にヘアピンにガラス装飾した方法でケースにHappy birthdayと装飾していく

ガラスに色付けしながらの作業だったので余計に時間がかかったが何とか形ににすると今度はそれを綺麗にラッピングしていく、ラッピングまで終えると0時時だったので明日は10時に、待ち合わせの約束があるので8時には起きなければならないがそれだけ寝れれば十分だろう、そう思いながら就寝する

その後俺はふと目が覚めスマホで時間を確認すると7時30分

だった、予定していた時間より早いが起きることにした

洗面所で顔を洗い台所に行き朝食の準備をしてからテレビを付けて天気予報と週間音楽ランキングを確認しながら朝食をとる

「あぁ今週の1位は全然知らないアーティストだそっち系も勉強不足かな~?まぁでも、雨は降らないみたいだしそれだけは救いかな」

そう言いながら朝食を食べ終えて食器を片付けてから私服に着替えるために部屋に戻り着替えてから髪をセットするため再び洗面所に行き身だしなみを整えてから肩がけのバックを持って家を出て待ち合わせの場所である駅前に向かう

待ち合わせ場所に着き自転車を駐輪場に置いてから来るとちょうど10分前だったので音楽を聴きながら待つ事にした

そうして待っていると待ち合わせの相手である花音がやってきた

「おはよう、光君、ごめんね待ったでしょ?」

「そんなに待ってないし、花音だって待ち合わせの時間の3分前だし遅れてないから大丈夫だよ」

「良かった~遅れてたらどうしようかなって不安だったんだよね」

「全然大丈夫だよ、むしろちょっと遅れてくるくらいがちょうど良いって」

「それは悪いよ~」

「まぁそれは人それぞれじゃないかな?とにかく後は歩きながら話そうか、ショッピングモールで良いんだよね?」

「うん、あそこって広いから1日で見きれなそうだしちょうど良いかなって」

「OKじゃあ行こっか」

俺達はショッピングモールに向けて歩き出す

目的地までは駅からなら徒歩で10分程度なので俺達はあれこれと話をしながら歩いていると目的地に到着する

「花音はどこから見るか決めてたりする?」

「とりあえず本屋さんかな、千聖ちゃん達のインタビュー記事が載った雑誌もう発売してるんだって、後CDも出てるって言ってた」

「もしかしてパスパレの記事?そうすると俺が

1日マネージャー引き受けた時のかな?」

「そうだと思う光君のインタビュー記事も載ってるって話だったから」

「ホントに?1日マネージャーだったのになんか申し訳ないんだけどなぁ〜」

「そんな事ないんじゃない?それだけその1日の活動が評価されたって事でしょ?」

「そうだと良いんだけどね」

そう言って笑いながら俺達は本屋に向かう

「あったよ!これだね」

花音が手に取ったのは週刊アイドル&ガールズバンド特集と書かれた週刊誌だった

「これに載ってるの?」

「そうみたい、ほらこれ!」

そう言って開いたページにはパスパレのインタビュー記事が載っていた、そして写真と一緒に俺のインタビューも記事になっていた

「本当に載ってるよ、日菜のやつ何も言わなかったけどなんで?麻弥さんも何も言ってなかったし」

「多分だけど日菜ちゃんは忘れてるだけじゃないかな?そこまで重要視してなかったんだよきっと、麻弥ちゃんはクラス違うしタイミングがなかったんじゃない?」

言われてみればと思い俺は頷き答える

「多分そうかもね、でも、他のメンバーもなにも言わなかったし、口外禁止だったのかもしれないな〜」

「そうかもね、とりあえずこれ、買ってくるよ」

「俺も行くよ!というか俺が出すよ!」

「良いの?」

「birthday祝いって事で今日は俺が持つよ」

「でも、本当に大丈夫?」

「気にしないで良いよその代わり1ヶ月後の俺の誕生日にはなにかお祝いしてね」

「1ヶ月後って事は来月の今日?」

「性格には来月の明日だけどほぼ1ヶ月後でしょ?」

「わかったその時はちゃんとお祝いするね」

「じゃあ決まり!」

そう言って俺は花音のお目当ての本を買うことにして会計を済ませるとCDショップでパスパレのセカンドシングルを購入しその後は服等を見て回ることにし最初の店に足を運ぶ

「これ、どうかな?可愛いと思うんだけど」

そう言って見せてきたのは今の時期にはピッタリの少し薄手の白いニットだった

「ん~悪くは無いけど白よりはピンクとか水色がいいんじゃない?」

「光君はどっちが私に似合うと思うのかな?」

「ピンクかな?髪の色とお揃いのニットも悪くないけど

花音てふわふわしててピンクが似合いそうなイメージがあるんだよね」

「じゃあピンクにするね、光君は何か見なくて良いの?」

「俺は良いよ、服にはあんまり拘りないからね」

「それなのになんでそんなにオシャレなの?」

「なんでって言われてもな~俺は自分が良いなと思ったのを着てたりするからかな?後、髪型とかには気を使ってるからだと思うよ」

「そうなんだ、私の髪ってちょっと癖毛だから今の髪型が1番良いんだけど、試しに下ろしてみようかな?」

「良んじゃない?前にあげたヘアピン付けて髪下ろしたら可愛いんじゃないかな?」

俺は思った事を素直に伝えると花音は顔を赤くして俯いてしまった

「本当に?本当にそう思う?」

上目遣いに聞かれ一瞬ドキッとされられたが俺はとりあえず頷き答える

「もちろん、俺はそう思ったよ」

俺がそう言うと花音はすこし照れた表情で

「ありがとう」と言って笑った

俺は内心で今日、今現在でダントツに可愛いと思ったがそれは内緒にしておく、その後花音はそのニットを購入すると言うので会計を済ませるとそのまま試着室で着替えると言うので俺は店の外で待つ事にした、その間俺は両隣りの店を覗いてみると左隣が髪留め専門店、右隣が羽織物専門店だったので花音を待つ間に軽く両隣りの店舗を見て回り簡単に目星を付けておく、数分後花音が着替えを終えて出てきた時

俺は驚かされた、髪型がさっきまで話してた時の髪型になっており先程買ったニットに合わせた長めのスカートも相まって少し大人びた印象を受けた

「どうかな?似合う?」

「正直驚いたよ!だって凄く大人っぽくなってるんだもん

それにとっても可愛いよ」

「嬉しいけど、褒めすぎだよ~」

そう言いながらも花音の表情は嬉しそうだった

「あのさ、もし良かったら両隣りのお店覗いてみない?髪留めと羽織物の専門店なんだよね両隣り」

「そうなんだ、良いよ、私も見てみたいし」

花音がOKしたので俺はまず右隣の羽織物専門店に足を向け

商品の1つを手に取り花音に見せる

「この膝丈ベストがさ今の花音の服装に合いそうだなって思うんだけど、どうかな?」

「私も良いと思うしちょっと試着してみるよ」

そう言って試着室に行きベストを試着してみる

「思った通り似合うよ!」

「うん!私も可愛いと思う」

「じゃあお会計してくるよ」

「私も行くよ」

俺は店員に頼みその場で会計を済ませると今度は左隣の髪留め専門店の方に向かう

「光君、こっちは髪留め専門店だよね?何買うの?」

「店内見て決めようかなって一応軽く見てはいたんだけど花音の今の格好に似合いそうなのが最初に見てたやつにはなかったから」

「そうなの?私はなんか色々してもらって申し訳ない気持ちなんだけど、本当に良いの?」

「気にしないで良いよ、本人が良いって言ってるんだし」

「でも、もう一万円越えてないかな?さすがに私申し訳ない気持ちでいたたまれないよ」

花音がそういうので俺は花音と店内を回りながら考える

俺としては問題ないが本人が気にしているならある程度は妥協しないとだろう、そう思いながら花音に声をかける

「花音がどうしてもって言うならさ、後で俺になんでもいいからアクセサリー買ってよそれでチャラって事で」

「それでいいの?」

「手頃でしょ?」

「そうだけど、もう少し高くても大丈夫なんだよ?」

「じゃあ、ネックレスとピアスセットとかのやつそれなら大丈夫でしょ?」

「わかった何か見てみるね」

「うん、お願いね」

そう言って俺は店の端の方を見ていくと紫のコスモスが描かれた白い髪留めが目に入った値段も手頃だった為即購入し花音の髪に付けてあげる

「思った通り似合うよ、本当に」

そう言ってスマホで撮影して花音にも見せる

「本当に可愛いねこの髪留め」

「髪留めだけじゃなくて花音も十分可愛いよ」

俺がそう言うと花音は再び顔を赤くして俯いてしまった

「今日の光君なんかズルい」

「そうかな?普段通りだと思うけどなぁ〜」

「もう、光君のバカ…」

そう言って花音はスタスタと歩き出した

「聞こえないように言ったのかもだけど、聞こえてたし、それにバカってんなアホな」

俺は人差し指で頬を掻きながらそう言って花音の後を追い隣に並ぶ

「花音!並んで歩かないとはぐれるって!」

「うん…そう…だね、アハハ」

俺は少し戸惑いながらも話かける

「この後どうするの?まだ早いけどお昼にする?」

「私はまだ平気だけど、光君は?」

「俺もまだ平気だよ!それに今の時間帯から混み出すから少し遅めの方が良いかも」

「私も賛成だな〜あんまり人が多いのはちょっと」

「じゃあさ、ここからすぐの映画館にいかない?気になってた映画があるんだ」

「どんなの?」

俺はスマホを操作して画面を開き花音に見せる

「これなんだよね【聞こえない少女と音楽を愛する少年】ってやつ」

「どんなストーリーか聞いても良い?」

「もちろん」

俺はそう言って映画のストーリーを簡単に説明する

歌ったり演奏したりする事が好きな少年はある日耳が聞こえない少女と出会い少女に音楽の楽しさを伝えると言う内容だ

「なんか、凄く感動しそうな映画だね」

「実話を元に少しアレンジしてるんだって、だからこそ俺も気になってるんだ、多分この映画の主題歌がHANDSIGNってグループが歌ってる僕が君の耳になるだと思うんだ」

「有名なの?」

「俺も詳しくは知らないんだけどね動画サイトでたまたま見つけてさ映像見ながら曲聴いてたら凄く泣けたんだよね」

「そうなんだ、じゃあ見に行こうよ!光君がそこまで言うなら私も気になるし」

「じゃあ決まりって事で」

そう言って俺達は映画館に移動しチケットを買うと1枚を花音に渡す

「花音、ドリンクとポップコーンもいる?」

「うん、お願い飲み物はオレンジジュースでポップコーンはスモールかな」

「じゃあポップコーンは大きいサイズ頼んで2人で食べない?そうすれば1つで済むし」

「賛成、そうしよう」

「じゃあ買ってくるから映画の案内でも見て待ってて」

「わかった、そうするね」

俺は飲み物を買う列に並び飲み物と大きいサイズのポップコーンを買って花音が待つ場所に戻る

「おまたせ」

「そんなに待ってないし大丈夫だよ」

「そっか、じゃあ行こう映画始まっちゃうし」

「うん」

俺達は案内に従い目的の映画が上映されるスクリーンに向かった、俺達が席に着くと同時に部屋が暗くなり映画の上映案内始まり何本かオススメの映画を宣伝する、その後公開予定の映画の案内まで見てから本編が始まる

「楽しみだね」

「うん、凄く楽しみ」

そう言って俺達は映画に集中する

内容は案内用のパンフレットにもあった通り耳が聞こえない少女と出会った音楽好きの少年が音楽の楽しさを伝えて行く話だった、ラストは主人公がHANDSIGNの曲に合わせて少女に気持ちを伝え少女もそれを受け入れるHappyENDだった

主題歌はHANDSIGNの【僕が君の耳になる】を主人公とヒロインを演じた人がカバーしたものだった

俺は改めて歌う事の楽しさを、伝えることの難しさを知れた作品だと思った

映画が終わり俺が席を立ち花音に声をかけると花音は泣いていた

「花音、映画終わったし行こっか」

「光君、私…」

「わかってるよ映画、感動的だったもんね、とりあえず外に出て一旦落ち着こう」

そう言って俺は花音の手を引いて外に出る

泣き顔を見られたくないのか外に出るまでずっと俯いていた

俺は外の水道でハンカチを濡らすと軽く絞ってから花音に渡した

「とりあえず冷やしなよ、そのままだと目、腫れちゃうよ」

「ありがとう」

俺は花音が落ち着くのを待ってから話しかける

「映画、そんなに感動した?」

「うん、光君が気にしてたのわかったよ、凄く感情移入しちゃった」

「泣くほど喜んでもらえてよかったよ、選んだ甲斐があった」

「光君、映画の事もう少し詳しく教えてくれる?」

「もちろん、とりあえず少し遅めの昼食をとりながらね」

「そういえば少しおなかすいたね」

「ポップコーンじゃおなかいっぱいにはならないからね」

「じゃあショッピングモールのフードコートでなんか食べながら話そう」

「うん、そうする」

俺達は再びショッピングモールを訪れフードコートで食事をとりながら話をする

「それで光君、あの映画って光君が知ってるMVでいいのかな?それと違うところって」

「色々あるけど、やっぱり俺達と同じ高校生ってとこかな、MVだと大学生なんだよね、後はラストの告白シーンは本来ならライブの後なんだよね」

「そうなんだ、私も後でMV見てみようかな」

「なら、この手で奏でるありがとうって曲もオススメだよ」

「どんな内容なの?」

「耳の聞こえない両親に手話を用いたダンスでありがとうを伝える話だよ」

「なんか、また泣いちゃいそうな内容だね」

「まぁ感動するのは間違いないから、それと、この後どうする?」

「アクセサリーを見に行きたいなって」

「あぁ言ってた俺の奴?急がなくても良いよ?」

「それもあるんだけどせっかくオシャレしてて大人っぽく見えるって言ってくれたし、イヤリングとかそういうのも付けてみたいなって」

「なるほどね、じゃあ俺がここ来ると必ずよるお店に行こうよ!そこなら値段も手頃だし良いのあるかもよ?」

「じゃあそこに行ってみたいな」

「OKじゃあ食べ終わって少ししたら移動しよっか」

「うん、じゃあ食べ終わるまで待っててね」

そう言って花音は昼食のパスタのを食べ始めると言っても残りは3分の1程度なのでそんなに時間はかからないだろう、そう思いながら俺は店内の案内パンフを見ていると食べ終えた食器を返却して花音が戻ってきたので俺は案内用のパンフを花音に見せた

「今日行ったところは丸付けておいたんだけど今日中に見たいところあったら星のマーク書いて教えて」

「え~と光君オススメのアクセサリーショップ以外だとここの帽子屋さんくらいかな?」

「じゃあ先に帽子屋に行って、その後アクセサリーショップを見てから少しだけゲームセンターで遊ぼうか」

「私、あんまりゲームとか得意じゃないよ?」

「演奏ゲームとかなら多少は大丈夫じゃない?」

「多分それくらいなら平気だと思う」

「じゃあそうしよっか」

「うん、じゃあさっそく行こうよ」

「OK」

そう言って俺達は目的地の帽子屋に行きお互いに帽子をプレゼントし合い、その後俺がよく利用するアクセサリーショップに向かった

「ここって前に光君がヘアピン買ってくれたところだよね?」

「そうだよ、ここのお店結構俺達向けのアクセサリー売ってるんだよね」

「そうなんだ、じゃあここで光君にピアス買えば良いんだ」

「期待してるよ、俺は花音のイヤリング選ぶからさ」

「そっちもよろしくね」

そう言って俺達は互いのピアスとイヤリングを見ていく

どれが良いかと店内を見ていると雪の結晶の形のピアスとイヤリングのセットが目に留まる

「これにしよう!」俺は即決し花音に声をかける

「いいのあった?」

「うん、これとかどうかな?」

花音が選んだのは三日月を模したピアスだった

「良いと思うよ!俺は好きなデザインだし」

「じゃあこれにするね」

そう言って俺達はお互いに会計を済ませてから近くに備え付けられている椅子に座り買ったものを交換し合う

「俺からはこの雪の結晶の形のイヤリング」

「綺麗だねそれに可愛い、私からはこれだね三日月の形したピアスだよ」

俺は今日付けていたピアスを外しさっき買った雪の結晶型のピアスと花音がくれた三日月型のピアスを付ける

「どうかな?」

「キラキラしてカッコイイよ」

「ありがとう、花音も似合ってる、可愛いよ」

「うん、本当にありがとう」

「じゃあ軽くゲームでもして遊ぼう買い物ばっかりじゃ飽きるしね」

「賛成、行こう」

俺達はゲームセンターに行き演奏ゲームやリズムゲームで盛り上がった

「ねぇねぇ光君、最後にプリクラ撮らない?」

「プリクラ?別に良いよ!」

「じゃあどの機械がいい?」

「それって俺が決めていいの?」

「うん、光君にお願いしたいな」

俺もそこまで詳しいわけではないがとりあえずと思い無難な機械を選択する

「これとかどうかな?」

俺はオススメと書かれた機械を指さす

「それで良いよ、じゃあ撮ろう」

「OK」

俺達はそう言って機械に入りお金を入れて操作し撮影を開始する。そして最後の1枚を撮り終えると落書きタイムとなったので俺はHappy birthdayと書いておいた、写真が2枚印刷されてきたので俺達は1枚ずつ分け合う

俺はスマホで時間を確認すると夕方16時を指していた

「花音、まだ時間大丈夫?もう1箇所だけ付き合って欲しい場所があるんだ」

「18時までなら大丈夫だから良いよ」

「じゃあ移動しよう」

そう言って俺達は移動する

「ここだよ、最後の目的地」

「ここってケーキ屋さんだよね?」

「そうだよ、入ればわかるよ来た目的」

そう言って俺は中に入る

「こんばんは、おじさんいる?」

俺が呼びかけると店の奥から店長が出てきた

「おう!光君じゃないか!昨日作ったやつを取りに来たのかい?ちょっと待ってな」

そう言って再び店の奥に入っていき店の冷蔵庫からケーキの箱を持ってきてくれた

「ありがとうおじさん」

「良いってことよ!また頼むわ」

「いつでも言ってくれたら手伝うから」

「じゃあ手伝って欲しい時は連絡させてもらうな」

「うん、じゃあ今日はこれで」

「あいよ、またな」

店長との会話を終えると花音は俺の横で困惑した表情を浮かべていた

「花音、行こう」

「ふぇ?あッうん」

俺は店を出てから説明する

「あそこの店俺のもう1つのバイト先なんだ」

「そっそうなの?」

「さっきのおじさんが店長なんだけど、店長と店長の奥さんの2人でやってて週に1回手伝ってるバイト代は貰わない代わりにケーキ作らせてもらってるんだ2種類くらいは店頭にも並んでたよ」

「本当に?じゃあそのケーキも?」

「うん、俺が作ったんだ」

「光君って本当に起用なんだね凄いや」

「そんな事ないけど、ありがとう」

そう話している間に駅前に到着する

「花音、ケーキ持ってて俺、自転車取ってくるから」

「わかった、待ってるね」

俺は駐輪場に止めていた自転車を取りに行き自転車を押して花音のところに戻る

「ケーキ籠に入れて、それと家まで送るよ」

「良いの?光君の家反対方向なのに」

「別にいいよ俺、一人暮らしだし、特に門限とかもないし」

「じゃあお願いするね」

そうして俺は花音を後ろに乗せて家までのナビをお願いして花音の家まで送る

駅からだと自転車で20分くらいの距離だ

ここから花咲川学園まではさらにまた20分くらいの距離だろうか

「ここで良いんだよね?」

「うん、送ってくれてありがとう」

「どういたしまして、後これ忘れないでね俺から、バースデーケーキだから受け取って」

「何から何までありがとう今日は本当に光君には感謝しっぱなしだよ」

「今日は年に一度の大切な日だし、今日くらいは楽しい気分でいたいでしょ、だから特別」

「光君ってやっぱり優しいね」

「普通だよ、このくらい、特別な日をお祝いするんだもん最後にこれ、俺からの今日最後のバースデープレゼント」

「CDだよね?」

「うん、後で聴いてみて、それじゃ、俺はこれで誕生日おめでとう花音大切時間を俺にくれてありがとう」

最後にそう伝え俺は家路に着いた

 

花音視点

「誕生日おめでとう花音大切な時間を俺にくれてありがとう」

そう言って光君は帰って行った、私は見えなくなりつつある光君の後ろ姿に向かって呟くように言う

「こっちこそ、忘れられない時間をありがとう」

そう呟いてから私は家に入る

「ただいま」

「おかえりなさい花音」

「うん、ただいまお母さん」

「朝に出掛けた時とは随分印象が違うじゃない、見違えたわよ、凄く大人っぽいじゃない」

「プレゼントしてもらったんだ、他にも色々貰いすぎてかえって申し訳なくて一応私からもアクセサリー買ってお返ししたよ、でも凄く楽しかったし多分一生忘れられないよ」

「そうなの、ちなみに相手は男の子?」

「そうだけど?なんで?」

「いいえ、別に花音にもやっと春が来たのね」

「ちっ違うよお母さん!光君はそんなんじゃないってば~」

自分では分からないが多分私の顔は真っ赤だろう

「照れなくてもいいじゃない、どんな子?カッコイイ?」

「…凄くオシャレでカッコイイ人」

私は靴を脱いで家に入りながら答える

「今度連れていらっしゃいよ、その光君、お母さんも会ってみたいわ」

「無理だよ~学校も違うし、アルバイトもしてるからなかなか予定なんて合わないし~」

「でも、今日はわざわざその光君があなたの為に色々してくれたんでしょ?」

「そうだけどさ~本当にそういうのじゃないよ」

「ハイハイ、今はそういう事にしておくわ、ところで手に持っているそれは何かしら?」

「バースデーケーキ、光君が作ってくれたんだって」

「ケーキまで用意してくれるなんて、本当に花音にはもったいないくらいのいい子じゃない」

「もう、本当に違うってば!」

私はそう言ってリビングを抜けて台所に行き冷蔵庫にケーキをしまうと手を洗ってから部屋に戻り着替えてからまたリビングに降りていく

「あッ!お姉ちゃんお帰り」

「ただいま」

声をかけてきたのは弟の叶太(かなた)だ

「お母さんとに話してたの?」

「大したことじゃないから気にしなくて大丈夫だよ、別にケンカしてたとかじゃないから」

「そっか、それよりもお姉ちゃん!ハッピーバースデー誕生日おめでとう!これは僕から」

そう言って1枚の絵を差し出してきた、私がドラムを叩いている様子が描かれていた

「ありがとう大事に飾っておくね」

「うん!」

「帰ってたのか、花音、てっきり夕飯まで済ませてくるのかと思っていたんだが、まぁいい、誕生日おめでとうこれは父さんと母さんからだ」

そう言ってくれたのはクラゲグッズだった

「ありがとうお父さん、お母さん」

「喜んでもらえてよかったよ」

その後私達は夕飯を食べた後光君が作ってくれたケーキを食べる事にした、箱を開けると大きいサイズのケーキが出てきて驚いた、しかも普通のショートケーキとチョコケーキそしていちごをたくさん使ったストロベリークリームのケーキと

3種が大きなホールケーキとしてまとまっていた

「凄いな、これ花音の友達が作ったのか?」

「そうみたいよ、しかも帰ってきた時は朝出かけた時とは見違えるほど大人っぽくなってたのよ」

「そうなのか?相手は男か?」

「そうらしいわ律儀に家まで送ってくれたそうよ」

「もう、その話はやめてってば!」

「お姉ちゃんロウソク17ってなってるよ」

叶太がそう言うので確認してみると数字の17の形のロウソクが1つあった

「お姉ちゃん宛にカードも入ってたよ」

私は受け取ってそのカードをめくるとメッセージが書かれていた

(17歳の誕生日おめでとう、今日という日が花音にとって特別でありますように)と書かれていた

「バースデーカードね素敵じゃない」

「洒落た事をするもんだな、花音のためにここまでしてくれるなんて」

「本当にいい子よねその光君」

「うん、光君と知り合えたことは私にとって最高の自慢だよ!」

そして私達はケーキにロウソクを立ててハッピーバースデートゥーユーを歌い私がロウソクを吹き消してからケーキを取り分け食べ始めると皆が皆舌鼓をうっていた

私はケーキを食べ終えてから部屋に戻り光君がくれたCDを聴き始めた、再生してすぐ光君の声が聞こえてきた

「Happy birthday花音、本当はちゃんとしたバースデーソングを送りたかったんだけど、なかなか良いの浮かばなくて代わりに元気や勇気が湧いてくるような曲を歌うねじゃあ1曲目勇気100%」

私はすぐにヘッドホンを繋いで聴き始める最初の曲は何事も全力で100%で頑張れって言われてる気がした

その後も2曲目、3曲目と歌われていく

2曲目は世界がひとつになるまでだった

これは私と言うよりはハロハピ皆のための歌かなと思うほどピッタリな曲だった聴いたらこころちゃんが喜びそうだな

3曲目はちっぽけな勇気、曲調が変わってテンポよく曲が歌われていくでも、曲を聴いていると自分の弱さを肯定してくれるような優しい気持ちになった

4曲目はみんながみんな英雄という曲だった

歌を聴いていると自然と笑顔になった誰も特別じゃない英雄なんかじゃないでも必ず皆の上には空があって仲間がいて皆誰かと一緒だよって言ってもらえてるような曲だった

4曲目が終わると光君がまた話し出した

「次で最後の曲になるんだけど、この曲だけは花音に絶対送りたいって思った曲なんだ気に入って貰えたら嬉しいです

最後の曲聞いて下さい大丈夫」

耳元で光君の演奏が聞こえる少しの前奏の後に光君が歌い出す

『魔法の言葉を君に贈ろうどんな問いにもそれで即答

安らぎを与え不安を消し満たす君のその孤独も

It's alright心配ないぜ

ほんの小さな事さ気にも留めなくていいから

ほらねいつだって隣は俺がいる

でもどうしてもシコリが取れない

時に不安がまた君を駆り立てる

曇り空隠したように見えぬ明日へ

話すなと差し出した手握ったならばいいか?言うぜ?

俺が「大丈夫」って言えば君はきっと大丈夫で

もし世界中が君の否定をしても

俺が「大丈夫」って言えば君はきっと大丈夫で

俺だけが世界中の否定をしていよう

君もよく使うその言葉は間違えて使っているようだな

本当は辛いのに辛くないふりを

して言うのまるで相槌みたいに

心配、迷惑をかけたくないと

無理をしてる君を見るのは辛いよ

積み重なったそれが顔に見えた時張り詰めた糸が切れた

泣き崩れてしまったあの夜も

辛い過去の思い出は窓の向こう

抱き寄せてまた耳元で囁こういいか?言うぜ

俺が「大丈夫」って言えば君はきっと大丈夫で

もし世界中が君の否定をしても

俺が「大丈夫」って言えば君はきっと大丈夫で

俺だけが世界中の否定をしていよう

eveythings gonna be alright

それはきっと私のせいと君はまた一人で抱える

声にならない声が聞こえてる「痛いよ」って

荷物重たいよね?半分持つよidont care

心配してくれてありがとうでも俺は「大丈夫」です。

何も無いように気丈に振る舞い

人目を避けて一人うずくまり聴きだそうとする事も難しい

そんな強さあまりにも辛い

世界を変えてみせる俺の言葉で届かせる君の奥の奥底まで

何度でも言うぜ君は決して間違ってないと

俺が「大丈夫」って言えば君はきっと大丈夫で

もし世界中が君の否定をしても

俺が「大丈夫」って言えば君はきっと大丈夫で

辛いならその度言おう何度でも

そして世界は君に告げる

「あなたはきっと大丈夫」って

心を開いた君に世界中が愛をくれる

もう言わなくてもいいねコレで最後「大丈夫」と

戻った笑顔そのままの君でいてよずっと』

私は気がついたら泣いていたなんでか分からないが私の弱さを受け入れ肯定してくれるような歌だった

「これが俺からのバースデーソング改めてHappy birthday」

 

「ありがとう光君私の弱さを受け入れてくれてありがとう私の弱さを肯定してくれて本当にありがとう」

私は泣きながら何度も呟いた

 

 

俺は自宅のベランダで風に当たっていると電話がなったので俺は部屋に戻りスマホを持ってもう一度ベランダに出てから

通話をタッチして電話に出る

「もしもし、花音?」

(もしもし光君、今いい?)

「どうしたの?なんかちょっと涙声だけど」

(光君がくれたCD聞いたよ、最後の曲私個人は弱さを肯定して受け入れてずっとそばにいるよって言って貰えた気がしたんだ、だから今日のうちにもう一度ありがとうってね伝えたかったんだ)

「そっか気に入って貰えたなら良かったよ、一個人のために歌うのって初めてでさちょっと不安もあったんだ」

(そうなんだ、本当にありがとうじゃあおやすみ)

「うん、おやすみ」

俺は通話を終了してからまた外の景色を見る

「明日はどんな音に人に会えるかな?」

そう言った光の目の前には人工の光が星空のように輝いている、そうして光はまた1つ小さくて大切なイベントを成功させた、誕生日と言う大切で特別なイベントを

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




11話どうでしでしたか?誕生日イベントを書いてみました
この先も色々書いていくのでお楽しみに
次回からポピパ編を書いていきますのでお楽しみに

次回「星なき夜と宇宙 」


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第13話星なき夜と宇宙

その日、光はライブハウスで新たな可能性に出会った


花音の誕生日を祝った次の日の日曜日俺は日中にバタバタと家の中で動き回っていた金土と家事を最低限にしていたため

そのしわ寄せが来ていたのだ、一段落着き昼食をとると俺は

テレビをつけてたまたまやっていたドラマを見ていた一挙放送だったので俺は放送を一気見した、ドラマを見終えると

俺は洗濯物を取り込み夕飯の買い物をするため準備をしているとスマホがなった、電話の相手は日菜だった、俺は通話をタッチして電話に出る

「もしもし、日菜?どうした?」

(ひ〜くん!ライブ行こう!)

電話の向こうで日菜がはしゃいでいる俺は耳がキーンとなったのでスピーカーにして応答する

「ライブ?どこでやるの?circle?」

(違うよ~!SPACEってところでやるんだ、お姉ちゃん達Roseliaも出るって言うからさ)

「他の人誘わないの?彩とか麻弥さんとかさ」

(彩ちゃんはバイト、麻弥ちゃんはスタジオミュージシャンの仕事だってさ〜)

「イヴは?後、千聖」

(イヴちゃんは家の用事千聖ちゃんは女優の仕事だってさ)

「一応は聞くけど他は?」

(Afterglowのメンバーは皆で行くってさ)

「最後、瀬田は?」

(ハロハピの皆で集まる約束があるってさ)

俺は消去法で決まったならと思いOKする

「わかった、場所分からないからスマホで確認しながら行くよ、何時集合?」

(19時でどうかな?)

「わかった、良いよ一応楽器持っていった方がいいかな?」

(一応そうしたら?)

「だね、そうするよ、じゃあ、準備するから切るね」

(うん、また後で〜)

俺は通話を切り出掛ける準備をする

着替えて身だしなみを整えギターを持って家を出る

スマホのナビに従い目的地のSPACEへ向かう

「circleより遠いじゃん!現在地から30分ってcircleなら半分の時間で済むじゃん!」

文句を言っても始まらないので自転車を走らせ目的地に向かう、ナビに従いしばらく自転車を走らせると目的地が見えてきた、目的地に着くと駐輪場に自転車を止めて店内に入る

「ひ〜くん!こっちこっち」

日菜が手招きしているので俺はそこに行く

「おまたせ、ごめんね待ったでしょ?」

「退屈しなかったしいいよ〜」

「じゃあまたせたお詫びにチケット代出すよ」

「じゃあ、遠慮なく〜」

俺はチケットを買うために受付に向かう

「こんばんは、高校生2人お願いします」

「はい、高校生2人ですね1200円です」

俺は1500円を渡しお釣りを受け取るとチケットを日菜に渡す

ライブが始まるまで時間があったので俺達は控え室に挨拶に行こうかと話していたら後ろから声がかけられた

「あの!ちょっと良いですか?」

「え?俺?」

俺は振り向くとさっき受付で対応してくれた黒髪の女の子が立っていた

「えっと俺になにか用事?」

「いきなりでアレなんですけど、手を見せて貰えませんか?」

「手?いいけどなんで?手相とか?」

「違います、私、ギターやってて、さっきちょっとだけ手に触れた時ギタリストの手だったんで確信が欲しくて」

「そういう事ね、それなら、どうぞ」

俺は手のひらを見せるその子は俺の手に触れると指先から掌全体を触っていく

「あのさ、さすがにくすぐったいんだけど」

「ごめんなさい、でもやっぱり間違いじゃなかった!ギターケースも背負っててもしかしたらとは思ったんです 」

「なるほどね、ところで君の名前は?」

「そう言えばまだ言ってませんでしたね、私は花園たえって言います。友達からはおたえって呼ばれてます。それであなたの名前は何さんですか?」

「そう言えば俺も名乗ってなかったね俺は宮村光

楽器はバンドで演奏する楽器全般にバイオリンとハーモニカが演奏できるよ!」

「凄いですね、歌も歌えたりするんですか?」

「ひ〜くんの歌は凄いんだよ〜」

そう言って日菜が話に入ってきた

「そうなんですか?」

「さぁ〜?俺はやりたいようにやってるだけだから」

「そうは言ってもひ〜くんは今の今まで色んな人を勇気づけたりさ、たくさんのきっかけを与えてきたじゃん!」

「やりたいようやった結果だよ」

「今度私にも聞かせてください、光さんの歌」

「良いよ、時々駅前で路上ライブしてるから聞きに来てよ」

「わかりました、そういえば控え室に行くんですよね?案内しますよ!」

俺達は案内してもらってRoseliaの控え室に向かう

「ここです」

「ありがとう手間かけてごめんね」

「これもバイトの一環なので気にしないでください、それから私の事はおたえって呼んでくださいどう呼ぶか迷ってたみたいなので、私は光先輩って呼びますから」

「わかったじゃあこれからよろしく、おたえ」

「はい、よろしくです、光先輩」

その後俺達はノックして控え室に入る

「こんばんは、皆」

「あれ?光じゃん!」

「アタシもいるよ〜」

「結局来たのね日菜」

「うん!お姉ちゃんの演奏してるところ見たいし!」

「とりあえず入ったらどうなのよ?入口で話すよりマシでしょうし」

友希那がそう言うので俺達は控え室にお邪魔させてもらう事にした

「はいこれ、差し入れ」

「光兄ぃ中身ってなぁに」

「ケーキだよ、俺が作ったんだ」

「光って本当になんでも出来るんだね」

「そんな事ないと思うけど」

「でも光、あなた忘れているようだけれど今つけているヘアピンはあなたが装飾したものよね、それに演奏だって私達より格段に上じゃない」

「料理出来るし、楽器の修理とかも出来てアレンジアクセ作れてその上歌と演奏も私たちより上なのにその上ケーキまで作れるって完璧過ぎない?」

「ひ〜くん勉強もそれなりにできるしね!」

「それはさすがに非の打ち所が無さすぎませんか?」

「文武両道って光の事を言うのかもね」

「大袈裟だから、とりあえずこの話はおしまいじゃあ演奏楽しみにしてるからさ、行こう日菜」

「OK、じゃあねお姉ちゃん!アタシも演奏楽しみにしてるからね」

そう言って俺達は控え室を後にするそしてロビーに戻るとちょうど開演時間となったので俺達は会場に移動すると1番後ろの方に陣取る

「ひ〜くん後ろでいいの?」

「俺はここでいいよ後ろの方がよく聞こえるし」

「ひ〜くんが言うならアタシもひ〜くんの隣で良いかな」

日菜がそう言うので俺は黙って好きにさせる

そして演奏が始まる

「Roseliaです、今日は私達の歌を聴きに来てくれたこと感謝するわ、そして、Glitte Greenの皆さんもよろしくお願いしますね」

「こちらこそよろしくお願いしますねRoseliaの皆さん」

「それじゃ1番手は私達Roseliaよ行くわ!最初の曲はCHAIN」

「え?嘘?マジで?」

俺は驚いたなんせ俺がVSライブで友希那に歌わせた曲だからだ、そして何より以前より上手くなってるし皆の演奏も練習の時とは段違いだった

「ひ〜くんなんだか嬉しそうだね」

「あぁそりゃもちろん!俺の夢が1つ叶った瞬間だからな」

「友希那ちゃんにあの歌をライブで歌ってもらう事が?」

「それだけじゃない、Roseliaとして歌う友希那にあの曲を歌って欲しかったんだよ!」

「良かったねひ〜くん!」

「あぁ名残惜しいくらいにな」

そして曲が終わりを告げると友希那が再び話し出す

「次の曲は雲雀」

「おいおい!最高じゃんか!」

俺は驚きを隠せなかった雲雀はCHAINとは違いほぼキーボードオンリーの演奏となるためRoseliaとしては歌ってくれないだろうと思っていたからだ

そしてRoseliaは雲雀を歌い終えると友希那はこう言った

「この2曲は私達に相応しいと言ってくれた一人のために歌った曲よラストはRoseliaのオリジナルの曲を歌うわ行くわよ!LOUDER」

演奏に合わせて友希那が歌っていく俺はただ黙って友希那達の演奏を聞く、練習を見ることは何度もあったが、こうしてライブで友希那達の歌を聴くのは初めてだったからだ

そうしているうちにRoseliaの演奏は終わり次のバンド

Glitte Greenの演奏となった、俺はGlitte Greenの演奏には特別な何かを感じたりすることはなかったが心から演奏をそして歌うことを楽しんでいるなと思った

そしてライブが終わり俺と日菜はロビーでライブの感想を言い合っていた

「ひ〜くんはライブどうだった?アタシは凄くるん!ってしたよ~」

「まぁ楽しかったけどね、俺はRoseliaの音はまだ高みに向かえると思うしGlitte Greenもさもっと皆で楽しくやれると思うんだよね、具体的にどうとは言えないけどさ」

「ひ〜くんはそう感じたんだね、でも、それってさひ〜くんにしか分からないよ?多分」

「そうなのかな?でも、Roseliaは多分そう考えてるだろうけどね」

「そうだね、お姉ちゃん達もきっと考えてるよね」

「俺は少なくともそう思ってるよ、皆に挨拶してから帰ろうか、送るよ」

「うん!」

俺達はRoseliaの皆のところに行こうとしていた時俺の前に杖をついた老齢の女性が立った

「ちょっと待ちな!あんた面白い事を言っていたね、音の高みがどうたらって」

「失礼ですけどあなたは?」

「ひ〜くん、ひ〜くん、この人オーナーさんだよ」

「そうなの?」

「名乗りが遅れたね、都築詩船ここのオーナーだ」

「そうでしたか、失礼しました、俺は宮村光って言います

さっきのは俺の勝手な妄言とでも言いますか、とにかく気にしないでください」

俺がそう言うとオーナーさんは軽くため息をついてからこう言った

「妄言なもんか!同じ感性を持ったやつがいて驚いたんだよ!私もあんたと全く同じ考えを持っているあの子らはまだまだ音の高みへ行けるしもっと音を楽しむことだって出来る、私もそう思っている」

「驚きました。オーナーさんと同じ考えを俺が持っていたことに」

「良かったらあんたの演奏を聞かせてくれないかい?生憎と観客は皆帰ってしまったからね私とあんたの連れと花園でどうだい?」

「もし良ければ、Roseliaも呼んでください」

「良いだろう、花園!Roseliaの皆を連れてきな」

「わかりました」

おたえがRoseliaの皆を呼びに行っている間に俺は楽器を準備し演奏する場を整えオーナーに話しかける

「曲ってなんでも構いませんか?」

「構わないが、なんでだい?」

「オリジナルの曲を持っていないので」

「って言うことはあんたはカバーアーティストなんだね、でもだからこそ似たような感性を持ってるわけだ、選曲は任せる!好きに演奏しな!その代わり!全力でやりきるんだよ!わかったね?」

「もちろんです」

話しているとおたえとRoseliaの皆がやってきた

「光が演奏するから来てくれなんて珍しいね」

「そうね、明日は雨かしら?」

「何もそこまで言わなくても良いのでは?」

「光兄ぃ演奏するって楽しみだねりんりん」

「そうだね」

「とりあえず、始めるよ?リクエストは?」

俺がそう言うと日菜がはい!はーい!と手をあげていたので俺は日菜を指名する

「じゃあ、日菜、リクエストは?」

「ひ〜くんがひ〜くん自身にピッタリだと思う曲が聴きたいな〜って思うんだけどダメかな?」

「いや、良いよ!じゃあ、リクエストに答えて!聞いて下さい!unravel」

『教えて教えてよその仕組みを僕の中に誰がいるの?

壊れた壊れたよこの世界で君が笑う何も見えずに』

俺は歌い出すと同時にもう1人の自分ルミナスと対話する

俺の中にいるお前、俺がお前でお前が俺まるでコインの裏と表のように俺達は2人で1人なんだと

『壊れた僕なんてさ息を止めてほどけないもうほどけないよ

真実さえfreeze壊せる壊せない狂える狂えない

あなたを見つけて揺れた歪んだ世界にだんだん僕は

透き通って見えなくなって見つけないで僕のことを

見つめないで誰かが描いた世界の中で

あなたを傷つけたくはないよ覚えていて僕のことを

鮮やかなまま』

 

紗夜・日菜視点

「お姉ちゃん、今さひ〜くんが歌ってるこの曲ってひ〜くんのあの時の姿と普段のひ〜くんの事を歌ってるのかな?」

「きっとそうだと思うわ、でも、光君は多分だけど誰かに忘れられる事がとても怖いのよ」

「どういう事?」

「そのままの意味よ、彼が恐れているのは忘却、誰かの記憶の中ででも良いから鮮やかなまま自分を覚えていて欲しいのよきっと」

「多分だけどそれだけじゃないよね!ひ〜くんって多分誰かと繋がることも、怖がってると思う」

「あなたがそう思うのならそうなのでしょう」

私達だけが知ってるあの姿の光君は多分だけれど傷つき傷つくことを恐れた結果なのだろうと感じた、この曲は確かに今の光君の為の歌だろう

 

『無限に広がる孤独が絡まる

無邪気に笑った記憶が刺さって

動けない 動けない 動けない 動けない 動けないないよ

unravelling the World』

 

友希那・リサ視点

「どう思う?友希那」

「何がかしら?」

「この曲ってあんまりにも光に合いすぎてるっていうか

上手く言えないけど、光が消えちゃうんじゃないかって」

「どうかしらね、私達だって光の全てを知っているわけではないもの、なんとも言えないわ」

そうは言ったが私自身もこの曲には少し不安を覚えるほどに

光自身にピッタリだと思ってしまっているのだから

 

『変わってしまった変えれなかった

2つが絡まる2人が滅びる壊せる壊せない狂える狂えない

あなたを汚せないよ揺れた歪んだ世界にだんだん僕は透き通って見えなくなって見つけないで僕のことを見つめないで

誰かが仕組んだ孤独な罠に未来がほどけてしまう前に

思い出して僕のことを鮮やかなまま

忘れないで 忘れないで 忘れないで 忘れないで

変わってしまったことにparalyze

変えられないことだらけのParadise

覚えていて僕のことを』

 

あこ・燐子視点

 

「ねぇりんりん、光兄ぃさ、いなくなったりしないよね?」

「大丈夫だよきっといなくたったりしないよ」

「でもさ光兄ぃさ忘れられる事、傷ついたり傷つけたりする事を怖がってるみたいだし」

「あの人の光君の考えはわからないけど、いなくなったり消えたりはしないよ」

それでも不安だよあこはこの歌聞いてると光兄ぃが消えちゃいそうでさ

 

『教えて 教えて僕の中に誰がいるの?』

俺は歌い終えると同時にルミナスとしての自分と会話をする

(今後、僕の出番はありそう?)

「すぐに頼るだろうさ」

(僕は君にとっての何?)

「もう1人の自分で俺の分身」

(僕はどうすればいい?)

「これからも俺と二人三脚で誰かを助けてくれ」

(それが君の望み?)

「あぁ、それが俺の望みだ」

(わかった、必要なら僕のことをいつでも呼んで)

そう言い残しルミナスとしての自分は姿を消した

俺は顔をあげて皆の顔を見るとオーナーさん以外は皆表情が沈んでいた

「演奏、そんなに悪かった?」

「逆だよ!合格、今月末のライブにゲストして出場しな!特例で認めてやる」

オーナーさんの言葉に俺も含め皆が驚く

「ちょっと待ってください、この場所はガールズバンドの聖地とまで言われる場所ですよね?そんなステージに俺なんかが立っても良いんですか?」

「言っただろう!特例だ!あんたの演奏にはそれだけの価値がある」

「そこまで言ってもらえて光栄です。わかりました、月末のライブにゲストとして出させてもらいますね」

「待っているよ!」

そう言ったオーナーさんの顔は凄く穏やかだった

 

 

おたえ視点

私は急いでいた早くこの気持ちを誰かに伝えたくて

いつも私達が集まる場所に急ぐ

「皆!まだいる!?」

「どうしたんだよおたえ?」

「凄く急いでしたみたいだけどなにかあったの?」

「今日、バイト先で凄い人に会った!」

「凄いってどんな人?」

私は今日あった事皆に話す、光先輩の事を、その光先輩の歌を聞いた事を、そしてゲストとしてSPACEのライブに呼ばれた事を出来るだけわかりやすく説明した

「そんなに凄い人だったのか?イマイチ容量得ないぞその説明じゃさ」

「私もイマイチ伝わらないなぁ~SPACEのライブに呼ばれた事はわかったけど」

「おたえ、その光先輩って同じ学校じゃないよね?」

「うん、羽丘の先輩で1つ歳上だと思う、友希那先輩達とも顔見知りみたいだったし、日菜先輩とも仲良いみたいだった」

「じゃあ、紗夜先輩や彩先輩達に聞いてみようよ!その光先輩って人の事!」

「こればっかりは香澄の意見に賛成だな、とりあえず歌と演奏が上手くて、紗夜先輩達の同級生で羽丘に通ってる男子の先輩って情報でわかるだろうしな」

「そうしよおたえちゃん」

「そうする、じゃあ1曲だけ練習しよう」

その後、私達は1曲だけ練習してその日は解散した

 

次の日花咲川side

「おっはよう沙綾!」

「おはよう香澄朝から元気だね」

「ウザかったら相手しなくていいぞ」

「酷い有咲~」

「アハハ、いつも通りだね2人とも」

私達が話しているとおたえとりみりんがやってきた

「おはよう皆」

「おはよう香澄、有咲、沙綾も」

「うん、2人ともおはよう」

「そう言えば沙綾、商店街に光先輩って人買い物に来てたりしないのか?」

「光先輩?って宮村光先輩?」

「「沙綾、知って(るの?)(のか?)」」

「うん、まぁ顔見知りって程度だけどね、1度だけ家の店に来たこともあるよ、多分はぐみ達も知ってるんじゃない?」

「光先輩有名人だ〜」

「そういう訳じゃないと思うけど、でもどうしたの?」

「おたえが昨日光先輩の演奏聞いたんだって〜それで凄かったって言っててさ、私達も会ってみたくて」

「なるほどね〜多分1つ上の先輩達なら知ってるんじゃないかな?光さんの事、連絡先とかも」

「じゃあ聞きに行こう!沙綾も一緒に」

「私も!?」

「うん、皆で!」

その後、結局みんな揃って2年の先輩たちの所へ行くことになった、今は生徒会室にお邪魔している

「おはようございます。紗夜先輩と燐子先輩はいますか?」

「朝から騒々しいですよ戸山さん」

「紗夜先輩!おはようございます」

「おはようございます。それで朝から私達にどんな御用ですか?」

沙綾がまず簡単に事情を説明する

「実はですね、紗夜先輩達2年生の何人かに聞きたいことがあるみたいで、まず委員会活動で早く来てる紗夜先輩や生徒会の仕事で早く来てる燐子先輩に聞きたいことがあるみたいでして」

沙綾が説明した後におたえが質問する

「あの、いきなりこんな事聞くのもアレなんですけど、光先輩の連絡先を知ってたりしませんか?」

「光君の連絡先ですか?知ってますが、どうしたのですか?」

「昨日、SPACEでその光先輩が演奏したって聞いて、しかもその演奏がまた凄かったっておたえから聞いて、私達も実際会って話してみたくて」

「なるほど、そういう事なら、circleに行けば会えるかと、彼は平日はあそこでアルバイトされてますから」

「じゃあ、あの、都合というか、すれ違いとかがあると困るんで都合だけ確認してもらえませんか?」

「わかりました、でも、今は遠慮してください、お昼休みにまた来ていただければ私か白金さんが光君に連絡をとって差し上げますので」

「そういう事なら出直すか」

「そうだね、」

「そうしよう」

「じゃあ他の先輩達にも色々聞いてみよう!」

「仕方ない最後まで付き合ってあげる」

「ありがとう沙綾〜」

抱きつく香澄にちょっと困った表情をしながらもされるがままの沙綾はまぁ嫌がってはいないらしかった

その後私達は2年生の教室に行くと、花音先輩が来ていたので声をかける

「おはようございます!花音先輩!」

「あっ、うんおはよう…何かあったの?」

「花音先輩は光先輩って知ってますか?花音先輩達と同い年で羽丘に通ってる男子の先輩なんですけど」

「光君?知ってるよ、千聖ちゃんと3人でお茶した事もあるし、私達は演奏を聞かせてもらったりもしたし、土曜日に誕生日のお祝いしてくれたよ」

「花音先輩土曜日って誕生日だったんですか?」

「いや、食いつくとこ違うだろうが!花音先輩も光先輩の連絡先とか知ってますか?」

「知ってるよ?多分だけど、ハロハピメンバーは全員知ってるはずだよ、後は、パスパレのメンバーも全員知ってるんじゃないかな?」

そう花音先輩は教えてくれた

「じゃあ、多分RoseliaやAfterglowのメンバーも知ってるだろうな、ちなみになんですけど、花音先輩から見た光先輩ってどんな人ですか?」

「凄く優しくてカッコイイ人だよ。」

そう言った花音先輩は少し照れていた

その後も光先輩の話を聞いて回った結果光先輩はオシャレでかっこよくて、歌も演奏も上手くその上大概の事はそつなくこなす人って話だった

「なんつーか完璧超人かってくらい悪い話聞かね〜な〜」

「でも、そういう人だから好感が持てるんじゃない?」

「私もそう思うな〜」

「実際どうなの?おたえ」

「私も正直わかんない。」

「お昼休みに紗夜先輩が連絡取ってくれるって話だったし」

結局私達はお昼を待つことになったのでそれぞれの教室に戻って行った

 

羽丘side

「は〜くしゅん!」

「光、風邪?」

「違うって!風邪だったら喉だって痛いはずだし

それに熱っぽくもないし」

「ならひ〜くんの誰かが噂してるんじゃない?」

「紗夜か燐子もしくはあこかしら?」

「もしくは光のファンの子かもよ?」

「どっちでも無いことを祈るしかないね、それは」

噂=友希那、リサ以外のRoseliaメンバーもしくは俺のファンになるのか俺にとっては疑問だったがあえて触れないでおくことにした。

「もしくはアタシ以外のパスパレメンバーかもよ?」

「だからなんで?なんで噂=で自分達以外のバンドメンバーなの?」

「だってさ〜彩ちゃんとかよく言ってるんだよね、ひ〜くんがまた1日マネージャー引き受けてくれないかなって、千聖ちゃんなんか今のマネージャーじゃなくてひ〜くんをマネージャーにしようって言ってるくらいだからね!」

俺は微妙な表情を浮かべて額を抑える

「1日マネージャーくらいならまだしもさ

本格的にマネージャーに据えるのはどうなのかな?」

「アタシはいいよ〜そうしたらひ〜くんと一緒の時間増えるしね~」

「まずもって無理だし嫌だよ!RoseliaやAfterglowの練習だって見なきゃいけないのにその上パスパレのマネージャー就任なんかしたら俺のプライベートな時間ほとんど無くなるよね?」

「交渉次第じゃないかな〜?」

「とにかく嫌だからね俺」

俺が猛抗議しているとため息混じりに友希那が言った

「マネージャー云々はどうでも良いけれど、あなたがそれだけ信用を得ているということは覚えておきなさいよ光」

「まぁ確かにそれは言えてるよね〜」

「ありがたいけど、俺特に何かした訳じゃないよね?」

「こんなこと言ってるよリサち〜、友希那ちゃん」

「まぁこれが光だから」

「それもそうね」

「なんか俺呆れられてない?」

そんな事を言いながら俺達は揃って教室へ向かう

俺は教室に行くと荷物を置いて机に突っ伏すがそこをすかさず日菜がちょっかいを出してくる

「ひ〜くん寝ちゃダメだよ~」

「寝ないから!襟から手を離してくれない?首締まるって!」

「ちょうど良いや!ひ〜くんブレザー貸して~」

そう言ってさらに襟元を引っ張ってくる

「1度手を離してよ日菜〜ブレザー脱げないって」

「それもそっか、ごめんねひ〜くん」

「全くちょっと待ってて」

俺はブレザーを脱いで日菜に手渡した

「借りるね〜」

日菜はそう言うと自分のブレザーを脱いで俺のを羽織った

「結構ぶかぶか〜」

「当たり前だよ、日菜、身体細いもん力入れたら折れそうなくらい」

「そこまでじゃなくない?」

そんな話をしているとリサが会話に混ざってきた

「光〜今度は日菜に何お願いされてたの?」

「俺のブレザー着てみたいんだってさ、着せてみたらぶかぶかでさ」

俺は日菜を指さして説明するとリサは日菜の姿を見て笑っている

「なんか光のブレザー着てると背伸びしてる中学生みたいだよ日菜」

「リサち〜ひど〜い」

「てか、満足したなら返してくれる?」

「その前にアタシも着てみていい?どのくらいぶかぶかなのかちょっと気になる」

「別に良いけどリサは手足長いからちょっとぶかぶかな格好しても絵になりそうだよね」

「そんな事ないと思うけど、ありがとうね褒めてくれて

日菜〜アタシにも光のブレザー貸してくれる?」

「リサち〜も着るの?いいよ〜」

今度はリサが俺のブレザーを羽織る

「アタシはそんなにぶかぶかじゃないね

でも袖以外と余るよ!光って案外腕長いんだね」

「そうかな?自分じゃよくわかんないけどね」

「て言うかお願い次いでにもう1ついいかな?」

「なんかして欲しいの?」

「今日1日だけ光のネクタイ貸してよ、今日の赤いネクタイなんかかっこいいなって思ってさ、光って先生達がモンク言われない程度にネクタイとかワイシャツ変えてるでしょ?」

「バレてた?」

「光がなんで制服姿すらオシャレなのか気になって毎日見てたら気付いたんだよね、この間なんか先生にどう言ったのか知らないけどワイシャツ真っ黒なの着てたでしょ!」

「あれはたまたま白系のワイシャツなくてさ本当にたまたま

でも、まぁ別に良いよ、ネクタイくらい」

俺はネクタイを外してリサに手渡す

「ありがとね光〜変わりに今日はアタシの使って」

「じゃあ借りるね」

俺はリサから借りたネクタイを結ぶとブレザーを返してもらうためリサに話しかける

「リサ〜俺のブレザー返してくれる?」

「日菜がまた着てるよ〜」

そう言いながらリサはネクタイを結んでいた

「どう?似合う?」

「ネクタイ1つでそんなに変わんないって、まぁリサは赤系似合うけどさ、てかさ!日菜〜俺のブレザー返してくれないかな〜?」

「ええ〜やだよ〜今日1日ひ〜くんのブレザーで過ごすんだもん!」

「あのさ〜日菜さん、俺はどうすれば良いのかな?」

「アタシの着れば良いよ〜」

「着れないからね!」

「何を騒いでいるのよ?」

声の主は友希那だった

「友希那〜日菜のやつ俺のブレザー着たまま返してくれないんだけどさ、どうしたらいい?」

「何もそのままでいたらいいじゃない日菜のブレザーはあなたの椅子にでも掛けておいて少し暑いから脱いだとでも言っておけばいいのよ」

「なるほど!さすが友希那!」

「なんでか知らないけれど嬉しくは無いわね」

そうしていると先生がやってきてホームルームが始まったが俺は特に何も言われることなくホームルームが終わり1限目前の休憩時間になった俺は自分のバックを漁り持ち歩いているアクセサリーケースを、持って友希那の所へ行く

「あのさ、友希那」

「何かしら?」

「ちょっとコレ見て」

俺は自分のアクセサリーケースから薔薇のイヤリングを取り出し見せる

「これって前にあなたがくれたブレスレットとデザインがいているけれど同じもの?」

「うん、ピアスかと思ったんだけどイヤリングでさ~何となくだけどこれはリサより友希那かな〜ってさっきの助言のお礼って事で貰ってくれる?」

「そういう事なら貰っておくわ」

そう言うと友希那はさっそく耳に付ける

「もう付けるの?」

「私の場合髪で隠れるから平気よあなたもピアス付けたらいいじゃない」

「俺のはバレるって」

などと話をしているうちにチャイムがなったので一言断りを入れ俺は席に戻る

「チャイムなったから戻るね」

「ええ、また後で」

その後2限3限と移動教室4限体育だったため話す時間があまりないまま昼休みに入った俺は着替えを終えて教室に戻るとタイミングよくスマホが鳴った、表示を見ると紗夜からだったので俺は珍しいと思いながらも電話に出る

「もしもし紗夜?紗夜からの連絡なんて久しぶりだね、なんかあった?」

(お昼休みに申し訳ありません光君、実はですね光君とお話しさせて欲しいと花園さん達が尋ねて来てまして)

「おたえが?なんだろ?とりあえず代わってくれる?」

(わかりました、それでは代わりますね)

(もしもし、私ですおたえです)

「昨日ぶり、それで俺に用事?」

(はい、実は昨日の事を友達に話したら先輩に会ってみたいって言ってて、それでcircleでバイトしてる事を教えてもらったのでcircleに行こうと思ってたんですけど、何時ならいいですか?)

「夕方5時以降だね、その時間からバイトだからその時間以降に来てくれれば、いるよ」

(じゃあその時間くらいにcircleに伺います)

「了解、待ってるよ、じゃあ紗夜にもう一度変わってくれるかな?」

(わかりました。)

(代わりました光君、それで、どうかされました?)

「ちょうどいいから今日は来るのか聞いておこうと思って」

(そういう事ですか、本日も伺う予定ではいますので、本日もよろしくお願いしますね)

「わかった、多分紗夜達少し遅めだよね?来るの」

(恐らく光君より少し遅めだと思います)

「わかった、教えてくれてありがとうじゃあ放課後はcircleで待ってるね」

(わかりました、貴重なお昼休みにありがとうございました)

「いいよ、いいよ気にしないで、じゃあまたね」

(はい、失礼します)

俺が電話を終えたタイミングでちょうどリサ達も準備を終えて教室から出てきた

「おまたせ〜光、これ光の荷物」

「ありがとう、頼んじゃって悪いね」

「このくらいお易い御用だよ」

「今日はどうする? 」

「屋上でいんじゃないかしら?」

「アタシはどこでもいいよ〜」

「じゃあ屋上行こっか」

そう言って俺達は屋上に向かった

 

昼休み花咲川side

 

「ありがとうございました紗夜先輩」

「いえ、光君も気にするなと言っていましたし、問題ありません」

「ところで紗夜先輩は光先輩の事君付けで呼ぶんですね、本人から呼び捨てしてくれって言われたりしないんですか?」

「日菜以外を呼び捨てにした事が今まで1度も無いので君付けで呼ぼせてもらってるんです」

「そうなんですか、紗夜先輩はてっきり光さんって呼んでるんだと思ってたのでちょっと以外で」

「最初は苗字のさん付けでしたが本人の希望で歳は一緒なのだから、せめて名前の君付けで呼んでくれと言われましたのでそうしています」

「紗夜先輩は光先輩の歌って何度か聞いた事あるんですか?」

「ええ、まぁ、と言っても私は昨日を含めて3、4回だけです、湊さんや今井さん、それと日菜は学校もクラスも一緒なのでほぼ毎日聞いていると思います」

私個人、光君の歌には救われている、彼は常に自分以外の誰かの為に演奏する、そんな彼だからこそ周りに人が集まるのだろう、彼女たちもこの先、光君にきっかけや勇気を貰うだろうと、私はそう思っている

「そういえば、光君に会ってどうされるんですか?」

「演奏を聞かせてもらおうと思ってます!おたえが凄いって言ってたので、実際聞いてみたくて」

「そうですか、では、私から1つ忠告というか注意をしておきますと、くれぐれも光君の音に飲み込まれないようにしてくださいね」

「どういう事ですか?」

「いずれ、わかりますよ」

そう言うと紗夜先輩は生徒会室を出ていってしまった、仕方なく私達も中庭に移動して昼食をとり、それぞれの教室に戻って行った

 

光side

 

俺は午後の授業を眠気を堪えながら何とか受けきり待ちに待った放課後、リサ達に一声かけてから俺は一足先にバイト先のcircleに向かうため行動し始める

時間にはまだ早いだろうがちらほらと夕飯の買い物をする人達がいるせいもあってかあちこちからいい匂いが漂ってくる

俺は小腹が空いたので、山吹ベーカリーに立ち寄ることにした、目的地に着くと俺は自転車を止めて山吹ベーカリーの店の扉を開ける

「こんばんは」

「いらっしゃ〜いってあら?あなた前にモカちゃんと一緒に来た子よね?確か、光君だったかしら?」

「そうですけど、えっと、あなたは沙綾のお姉さんですか?」

「あら、嬉しい事を言ってくれるのね、でも残念だけど私は姉じゃなくて母よ」

「そうなんですか!?なんか、すいません」

「良いのよ。娘と姉妹に間違われるなんてまだまだ若い証拠だもの」

実際驚いた、自分の両親も含めた中で沙綾のお母さん程若い人を俺個人見たことが無い

そう思っていると沙綾のお母さんの影から沙綾の弟達がこちらを見ていたので俺はしゃがんで目線を合わせてから話しかける

「こんばんは、沙綾の弟と妹だよね、お名前は?」

「ジュンとさーなです」

「お兄ちゃんはひかるって言うんだ、2人ともお菓子は好き?」

「「うん!」」

「じゃあ、これどうぞ」

俺はポケットから飴を取り出して渡す

「良いの?」

「夕ご飯もあるから2つまでね」

「うん!」 「さーなも!」

「なんだかごめんなさいね」

「いいですよ俺、一人っ子なんで兄弟いるってなんか新鮮で」

「そうなの、でも光君面倒見は良さそうね」

「どうでしょう?他の人の兄弟、姉妹だからこそ新鮮さとかはあるんでしょうけど、自分の兄弟とかだと多少鬱陶しさとか感じるんじゃないですかね?」

そう話していると沙綾がちょうど帰ってきた

「ただいま、あっ!光さん来てたんですか」

「おかえり沙綾、ちょっと小腹空いちゃってね、この前と同じカレーパンとフレンチトーストをお願い」

「わかりました、ちょっと待ってて下さいね」

そう言って手際よく準備する沙綾の後ろ姿を見つつ待っている

と沙綾がパンを袋詰めして手渡してくる

「はい、どうぞ光さん750円です」

「じゃあこれでお願いします」

そう言って千円を渡しお釣りを貰う、その際気になることがあったので伝えておく

「沙綾、無理してない?顔色、あんまり良くないよ?」

「確かにちょっと疲れてはいますけど、1晩寝れば大丈夫ですよ、心配してくれてありがとうございます」

「沙綾さ、もしも無理してるなら周りを頼りなよ、人を頼る事って簡単じゃないけど、だからこそ、真剣な気持ちならきっとみんな助けてくれる」

「じゃあ、本当に困ったら光さんも助けてくれますか?」

「俺は多分助けるって言うより背中を押したりきっかけを与える役かな。」

「じゃあ、もしもきっかけが必要だったり背中を押して欲しい時は手伝ってくれますか?」

「もちろん、その時は俺が歌で全力で背中を押しに行くし必要ならきっかけだって作ってあげるから、本当に困ったら頼ってね」

俺がそう言うと沙綾は悲しげな笑顔で

「その時はお願いしますね」

と一言そう言った

俺はその笑顔を見て確信した、この子はまだ止まった時間の中にいるそこから誰かがまた陽のあたる場所に引っ張ってあげなきゃいけない、そして誰かが一歩踏み出すきっかけを作って背中を押してあげなければと

「ルミナスとしての俺じゃなきゃ多分今回はダメそうだな」

「なにか言いました?」

「独り言だから気にしないで」

「そうですか?ならいいんですけどね、とりあえずお店の前までですけど送りますよ」

「ありがとう、お願いするね」

そう言って俺は店を出て自転車に跨ると店の外まで来て

見送ってくれている沙綾とその弟達そして沙綾のお母さんに

手を振り自転車を漕ぎ出す

外は日が落ち始めたばかりで夕日が眩しかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ポピパ編ですけどまだポピパは結成していません
まだどう書いて行こうか迷いながらの執筆です
こんかいのタイトルはガールズバンドの皆を星に例えてこのタイトルにしました
まだポピパは結成していないのでポピパという星はまだ空にないという勝手な比喩です
さて、次回ですが、ついに光君ことルミナスが動きます
次回「動き出す時間と星の光」


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第14話動き出す時と星の光

その日、光は止まった時間を動かす為に奔走する


山吹ベーカリーで買い物をしてからcircleに向かった

俺は、バイトの予定時間ピッタリにcircleに着きまりなさんに声をかける

「お疲れ様ですまりなさん、少し遅れちゃいました」

「お疲れ様、光君、時間ピッタリだから大丈夫だよ、着替えてフロアの掃除お願いできる?」

「わかりました。」

俺は急ぎ足でスタッフルームに入って着替えてから掃除用具を持ってフロア全体を掃除していく掃き掃除の後でフロア全体をモップがけした後練習スタジオも全て回って掃除する

掃除が終わったので俺は受付にいるまりなさんに声をかける

「掃除終わりましたよ、練習スタジオまで全部やっておきました」

「1時間掛からずに全部終わったの?」

「箒で1箇所にゴミ集めて掃除機で吸い込んだ後にモップがけしただけなんでこんなもんですよ、なんなら機材の点検と整備しますか?」

「いやいや、そこまでしなくていいよ、やるにしても週一くらいで良いし」

「そうですか、この後どうしますか?」

「どうしよっか?光君がこまめに楽器のメンテナンスはしてくれてるから今は必要ないし、今日はまだ他のお客さんもいないから光君が指導に行く必要もないし、受付は私がやっておくとして、じゃあ光君、何かあったらお願いするから自分の楽器のメンテナンスしてて」

「わかりました」

俺はそう言ってスタッフルームから自分ギターを取ってきてケースから出してメンテしていく、普段はあまり細かくやらないので必要以上に念入りにやっておく。そうしていると

3,4人の女の子達がこちらに走ってくる

「1番!やったぁ〜」

「負けた、2番」

「私…3番」

「ハァッハァッお前ら…待てってのハァッハァ」

「遅いよ有咲~」

「お前らと一緒にすんな!引きこもりなめんなよ!」

「毎日学校来てるのに?」

「香澄が毎日迎えに来るからだ!」

そんな会話をBGMに俺は楽器のメンテを続ける

「ところで本当にここにいるの?」

「この時間って言ってたしいるはず」

「受付で聞いてみろよ!」

「そうだよ、それにおたえちゃんしか先輩の顔分からないんだよ」

おたえ?俺はそう聞こえたので顔を上げると昨日見た姿がそこにあった間違いなくおたえだ、まだ俺に気づいていないらしくまりなさん話しかけていた

「あの!人を探しててここでバイトしてるって聞いたんですけど、光先輩っていますか?」

「え?光君?光君ならさっきからそこでギターのメンテナンスしてる彼がそうだよ?」

「でも、あの人別人じゃね?アルバイトの大学生とかじゃないんですか?」

「私、話しかけてみる!」

「香澄待って、私も行くよ」

そう言っておたえと香澄と呼ばれた女の子が俺のところにやってくる

「あの!光先輩ですか?」

そう話しかけてきたのはおたえだった

「そうだよ?昨日ぶり、おたえ」

そう言って俺は少し意地悪な笑みを浮かべる

「「「「えぇぇぇぇ!?」」」」

4人の声が重なり思わず俺は耳を塞ぐ

「本当に光先輩なんですか?どぅみても大学生くらいにしか見えないんですけど」

「なんでかな?髪型?いや、眼鏡かな?」

「両方かな?後、ピアスしてるし」

そう答えるおたえに俺は補足の意味も込めて返答する

「あぁそっか、でもピアスは昨日もしてたし、おたえ見てないか忘れてるかのどっちかだと思うんだけどこのギター昨日も使ってたよ?」

「そうなの?おたえ」

「先輩のギターって焦げ茶色だったような気がしてたんだけど」

「多分光の加減じゃない?」

「言われてみるとそうかも!」

おたえと昨日の事について話していると香澄と呼ばれた女の子が話しかけてきた

「先輩!先輩!ギター以外には何か出来るんですか?」

「バンドで演奏する楽器は全部できるし、それ以外だとバイオリンとハーモニカができるよ」

「凄い!先輩がキラキラして見えます!」

「そんな輝いてるような人間じゃないからね」

そう言いながらメンテナンスし終えたギターをケースにしまうと俺はそのギターケースを持って立ち上がる

「練習見てあげるからさ、受付してきて」

「本当に良いんですか?バイト中なんですよね?」

「大丈夫、バイトの一環だから」

「じゃあ私受付して来る!」

そう言って香澄が受付にいるまりなさんに話しかけている

「勝手に決めんなよ!第一あたしキーボード持ってきてないんだぞ!」

「有咲って言ったけ名前、キーボード貸し出し用のあるよ?なんなら使う?」

「じゃあそうします、香澄~!貸し出し用の楽器のレンタルも頼んでくんないか~」

「わかった〜」

そう返事をしてからすぐに手続きを終えて香澄が戻ってきた

「じゃあ行こっか」

「はい!」

返事をする香澄につられるように皆も頷く、そして練習スタジオに入ると皆準備を始める中俺は皆の準備が終わるのを待った、そうして皆の準備が終わったのを見計らって俺は全員に話しかける

「じゃあ改めて自己紹介してくれるかな?俺は光(ひかる)宮村光だよ、よろしくね」

「ギターボーカルの戸山香澄です!こっちがリードギターの花園たえ!」

自己紹介に合わせて軽くギターを弾くおたえ

「ベースのりみりんこと、牛込りみ」

今度はさっきのちょっとオドオドした感じの子だ

「そして、キーボードの市ヶ谷有咲!」

さっき俺が少し話した子だった苗字は市ヶ谷って言うのか

「このメンバーにもう1人本当はもう1人ドラムに誘ってる子がいるんです!その子を含めた5人でバンドがやりたくて私達は今、奮闘中です!」

「そうなんだ、じゃあ君達の演奏を聞かせてくれる?」

「はい!それじゃあ1曲聞いてください!」

そう言って演奏が始まる。俺は目を閉じて音をそして歌を聞くことに専念するまだ荒らさや拙さはあるもののちゃんとかたちになっているそう思える演奏だった

「皆、担当楽器ってそれぞれ初めてどのくらい?」

「私がつい最近でまだ1ヶ月と少しくらいです」

「じゃあギター買ったのがきっかけ?」

「買ったって言うか、有咲が譲ってくれたんです!私の大事な宝物です」

「他は皆それなりに?」

「私は小学校からです」

「アタシも小学校からかな、でも長らく弾いてなかったんですけど」

「私はお姉ちゃんからベースを譲ってもらったのがきっかけで、私は中学生くらいからだったと思います」

「なるほどね正直驚いた、まず香澄は、はじめて日が浅いのに結構弾けてる。そしておたえは上手く香澄を引っ張ってあげてるところが良かったよ、りみちゃんも上手くギターを引き立たせる演奏ができてた、最後に有咲1番演奏のバランスが良かったよ」

俺は感想を伝えると皆嬉しそうにしていたそして香澄が一歩前に出て話し出す

「光先輩!次は光先輩の歌、聞かせてくれませんか?」

「俺の歌を?」

「はい!おたえが凄いって言ってましたし、SPACEのオーナーがステージに立ってって言うくらいなんですから、ぜひ聞いてみたいです!」

「そうは言ってもな~具体的に曲のイメージというかを貰わないとな~」

「じゃあキラキラドキドキするようなのがいいです!」

「香澄!それじゃわかんねーだろ!」

俺はキラキラドキドキの意味を考えるどう捉えるべきか

キラキラは恐らく輝くとか光(ひかり)とかそういうことだろう

ドキドキは盛り上がる曲、つまりキラキラ輝いて盛り上がる曲かぁ~じゃあ、あれかな?

「いいよ、キラキラドキドキの曲弾いてあげる」

「本当ですか!」

「まぁあくまで自己解釈した結果、選んだ曲だし期待はしないでね」

そう言って俺は自分のギターをケースから取りだし軽いチューニングを済ませるとマイクを通して声を出す

「こんばんは、おたえとその友人の皆、今日は俺の歌を聞きたいって言ってくれてありがとう、1曲歌います聞いて下さい 空色デイズ」

俺は演奏を始めるさぁ届け!

『君は聴こえる?僕のこの声が闇に虚しく吸い込まれた

もしも世界が意味を持つのなら

こんな気持ちも無駄ではない?

憧れに押しつぶされてあきらめてたんだ

果てしない空の色も知らないで

走り出した想いが今でもこの胸を確かに叩いてるから

今日の僕がその先に続く僕らなりの明日を築いていく

答えはそういつもここにある』

 

香澄有咲視点

「有咲!有咲!凄い!凄いよ!ものすごいキラキラドキドキしてる!」

「わかったから落ち着け香澄」

本当に凄い!おたえが絶賛するのもわかる!だって今の先輩てものすごくキラキラしてて歌ってる姿はドキドキするくらいにカッコイイ!

 

『過ぎた季節を嘆く暇はない二度と迷ってしまわぬように

数えきれないほんのささやかなそんな後悔抱えたまま

その背中だけ追いかけてここまで来たんだ

探していた僕だけに出来ること

あの日くれた言葉が今でもこの胸に確かに届いてるから

昨日よりも今日の僕は

僕の生まれてきた理由に気づいていく

答えはそういつもここにある』

 

りみ、おたえ視点

「おたえちゃんが凄いって言ってた理由がわかったよ」

「本当に?でも多分あんなものじゃないよ光先輩は 」

昨日聴いた曲は本当に震えるくらいしびれたから今回もそうなる事を私は期待している

『全てがまるで当たり前みたいだった

尊い日々はまだ終わらない

そしてまた

走り出した想いが今でもこの胸を確かに叩いてるから

今日の僕がその先に続く僕らなりの明日を築いていく

答えはそういつもここにある』

俺は歌い終えると同時に香澄がはしゃぎながら話しかけてきた

 

「先輩!凄かった!キラキラドキドキしました後、先輩もかっこよかったです!」

「ありがとう香澄、他の皆はどうだった?」

「まぁ、おたえが絶賛してた理由っていうかはわかりましたね、少なくともアタシらにはまだ先輩みたいな演奏って出来ないですし」

「そうだね、でも私達は私達なりに頑張れば良いんじゃないかな?」

「でも、とにかく先輩の演奏はしびれた!ラストが特に!」

「まぁ気に入って貰えたなら良かったよ演奏した甲斐があったからね」

「あの!光先輩!実はお願いがあるんですけどいいですか?」

「俺に出来ることならいいけど、内容次第かな」

「近々文化祭があって、そこにゲスト出演して貰えませんか?」

「その文化祭はいつ?」

「5月最後の土日です」

「俺が出るとしたら土日のどっちで時間は?」

「どっちでも大丈夫ですけど、ステージ発表が私達は日曜の午後からです」

「夜からSPACEのライブがあるから、最後までは付き合えないけど、いいよ、その代わりしっかり許可は取っておくこと!」

「わかりました、会長達に相談してみます」

「よろしくね」

その後俺達は連絡先を交換し香澄達は帰って行った、なんでも有咲の家の蔵が練習場所らしい

その後個人練習の為にやってきた紗夜とリサの練習を見てから俺達は解散となった俺は帰りの道中考える

今回出会ったあの子達の事を

「香澄はなんて言うか自分の中のキラキラドキドキって気持ちを常に誰かと共有したいんだなきっと、それにつられて皆があいつの周りに集まるんだろうな、もう1人のバンドメンバーってそういえば誰なんだろう?」

そして家に着くと俺はシャワーを浴びて部屋に行きすぐに就寝した

次の日俺は学校でいつものメンバーで話していると考えを聞いてみたいと思った事があったのを思い出し聞いてみる

「あのさ、3人とも例えば大事な事が2つあってそのうち1つを諦めれば誰かが助かるって言われたらどうする?」

「どういう事?」

リサが問い返してくる

「誰かの為に大事な事を諦めろって言われたらどうするかって話」

「アタシなら一度捨ててももう一度それをつかみに行くかな?皆の力を借りて」

「とにかく諦めないかな?」

「必要だと思っていても取り戻せる可能性があるなら足掻くでしょうね、どんなにみっともなくても」

「だよね、それしかないもんなぁ~」

「光、なんだか知らないけれど、前にも言ったわよね、関わった以上全力でやりなさい、半端は許さないわ」

「わかってる!俺は俺に出来る事をやるだけだ」

俺はそう言って決意を固めた

その後俺はいつものように学校、バイト、家を行ったり来たりする生活を続けていると香澄から連絡がきた、なんでもゲスト出演のOKが出たから詳しく説明をするから呼んで欲しいと頼まれたらしい、俺は仕方なく花咲川学園に向かった

「遠いんだよ!花咲川!学校からならまだ良かったのに一度家に帰ってきたタイミングで電話来るんだもん参るよ」

そうぼやきながら花咲川に向かう。自転車を飛ばして20分程で到着する俺は香澄に連絡するためスマホを取りだす

俺は香澄の連絡先を呼び出すがコールボタンを押す寸前で思い留まり代わりに燐子の連絡先を呼び出し連絡する

数回のコールの後燐子が電話に出た

「もしもし、燐子、久しぶり」

(お久しぶりです、どうされました?)

「あぁ実は花咲川の学園祭で演奏して欲しいって頼まれてさ、OKは出たらしんだけど、時間とかセトリの確認とかしたいからって呼ばれたんだけど、勝手に入る訳にも行かないからさ、燐子か紗夜出迎えに来てくれない?」

(そういうことなら、紗夜さんにお願いしておきます、私はちょっと手が離せないので)

「了解、音楽でも聴いて待ってるよ」

(そうしてください、それでは)

「うん」

俺は通話を終了させるとヘッドホンをして音楽を聴き始めた

曲はbacknumberのハッピーエンドだ目を閉じて俺は音楽を聴くことだけに集中していると曲が終わったのとほぼ同時に肩を叩かれたので横を見ると紗夜が来ていた

「紗夜、来てたなら声かけてくれたら良かったのに」

「ハァ〜この状況で声をかけるのを躊躇うのは当たり前ではないのですか?」

俺はそう言われて辺りを見回してみると女生徒の人だかりが出来ていた

「なんの騒ぎ?」

「皆、貴方を見ているんですよ光君、目立つのですからもっとコソコソしていて下さい」

「その方が怪しまれない?」

「限度を弁えれば問題ないかと、無駄話はこれくらいにして行きましょう!生徒会室に案内します」

「案内よろしくね」

俺はそう言って紗夜の後ろを着いていく

途中何人か知り合いにあったので軽く話したりしながら生徒会室に向かっていると香澄達に会った

「光先輩!来てたんですか?」

「呼んだの香澄だよね」

「そうなんですけど、でもそれなら私に連絡くれたらよかったのに」

「光君は学校の許可を得ていなかったので生徒会に所属している白金さんと連絡を取り風紀委員の私が出迎えました、光君の行動は間違ってはいませんよ戸山さん」

紗夜がそう言うと香澄はうへぇとうなだれた

「まぁとりあえず香澄も来なよゲスト出演して欲しいって言ったのは香澄だろ」

「はーい」

俺は香澄を伴って紗夜と一緒に生徒会室に向かった

そして生徒会室に着くと扉をノックして入室し俺たちは会長から説明を受けた

持ち時間は1人15分らしい俺は2曲演奏する事にし曲の間にMCを挟めば問題ないと思ったので曲選びに集中するが候補があり過ぎて絞れない

「そんなに悩みますか?」

「まぁね、せっかくだから盛り上がって欲しいしあぁ終わったなって少し残念な気持ちの両方を持って欲しいから」

「光君らしいですね」

「良かったら紗夜が1曲選んでくれる?」

「良いのですか?」

「もちろん」

そう言うと紗夜は考える表情を作り俺のスマホの音楽を再生していく中で1曲だけラストまで聴いていた曲があった

「紗夜、それ気に入った?」

「えぇこの曲を2曲目にして欲しいですね」

「じゃあ最初の1曲は空の青さを知る人よか葵かな?」

「では空の青さを知る人よがいいかと思います」

「じゃあそれで」

それからも曲を聞いてもらいながら俺は曲を決めた

「私が2曲とも決めてしまったのですけど良いんですか?」

「なんか問題あった?俺は候補があり過ぎて決まらなかったのを紗夜が決めてくれたんでしょ?」

「まぁ光君がそれで良いなら」

俺はセトリを提出した後、生徒会室を後にした

「光先輩!これからどうするんですか?」

一緒に生徒会室を出た香澄が聞いてきた

「今日はバイトも無いし久々に路上ライブしようかなって思ってたけど、何かあるの?」

「有咲が良いって言えば私達が練習している有咲の蔵に来ませんか?」

「構わないけど、ちゃんと許可は取ってね」

「はい!じゃあ聞いてきます!」

香澄はそう言って駆け出して言った

俺は手持ち無沙汰になったので缶コーヒーを買いに1番近くの自販機に足を向ける道すがらどうしても注目を浴びてしまうので仕方なく教職員用のトイレで軽く着替えてから自販機でコーヒーを買い中庭に出てコーヒーを飲みながら文化祭の準備風景を眺める

(思い返すと文化祭って中学以来かぁ〜高校じゃあこれが初めてだな〜)そんな事を考えていると俺の両隣に女生徒が座った

と言っても見知った顔だ

「どうして感傷に浸ったような顔をしているの?」

「何かあったの?光君」

「あのさぁ~一応俺、これでも変装のつもりなんだけど?なんでわかるの2人とも」

俺の今の服装は教育実習生っぽい服装のつもりだったのだがそれがいけなかったのだろうか?

「あのね、今この時期にこの学校に教育実習生が来ると思う?」

「そうだよ!それに大学生くらいにしか見えない同い年の子なんて思い浮かぶの光君だけだし、実際さっき校内で話してるよね、だからだよ」

「全く適わないな2人には、別に感傷に浸ってた訳じゃないよ、高校に入ってから他校のではあっても文化祭って初めてだなってさ」

「あら、地元の高校では参加しなかったの?」

「そもそも地元の高校って俺、半年で中退してるしね、そこから猛勉強してこっちに越してきて羽丘通ってるし」

「昔何があったの?」

「別に、ただこいつらとならって思ってた奴らと上手くいかなかったってだけ」

俺はあのときを思い出すがすぐに切り替える

「2人は何してたの?」

「光が寛いでいたから私達も休憩も兼ねておしゃべりでもしようと思っただけよ」

「光君、今日は1人できたの?日菜ちゃんは一緒じゃないの?」

「四六時中一緒にいるわけじゃないからね、学校じゃあ常に一緒だけど、学校出たらほとんど接点ないよ俺達」

「あら、そうなの?」

「日菜って天文部に所属してるらしくて学校終わるとすぐ帰って夜に天体観測に来てるんだって、パスパレの活動日以外は基本そうらしいよ」

「そういえば星を見てるとるるるんって気分になるっていつだったか言ってたね」

「まぁそういう訳で滅多な事じゃ外で一緒ってことは無いかな、でもどうしてそんな事聞くの?」

「あっうん光君ってなんだかんだ言いながらも日菜ちゃんに甘いから外だとどうなのかなって」

「本音は違うのでしょうけど、建前としては上出来かしらね。」

「何言ってんの?」

そんな事を話しているとスマホがなった香澄からのメッセージでどうやらOKが出たらしい、俺は立ち上がって2人に話しかける

「じゃあ、俺行くね後輩のバンドの練習見てあげる約束なんだ」

「そう、名残惜しいけれど今日はここまでね、また会いましょう、具体的には私の付き人として」

「絶対お断りだよ、日がな一日仮面つけるのはごめんだからね、まぁオフの日にお茶に付き合うくらいなら全然良いからいつでも呼んで」

「あら、そう?なら今度のオフは一緒にお茶しましょう」

「連絡してくれたらね」

「光君!今度私とも遊んでね!」

「彩はバイトもあるしなかなか都合合わないだろうけどそのうちね」

そう言って俺は校門に向かった

 

彩、千聖視点

「千聖ちゃん光君のあの話どう思う?」

「そうね、彼がああ言ってるし本当のことなんでしょうけど、でも、あまり踏み込んで欲しくなさそうだったわね」

「何かに力になれないかな?」

「どうかしら?彼、以外と隙というか、そつがないから」

「そうなんだよね〜その上優しくてカッコイイし日菜ちゃん良いな〜」

「彩ちゃん羨ましいの?なら頼んでみたら?1日だけでもいいから私を甘やかしてーって」

私はからかいの表情を浮かべながら彩ちゃんを見る

「無理無理!そんなことされたら恥ずかしくて死んじゃうよ!それに多分日菜ちゃんに向けるような視線は絶対私達には向けてくれないよ」

「それだけ彼にとって日菜ちゃんは特別なのでしょうね」

私は光が日菜ちゃんにどういった視線を向けているのかは分からないけれど、確かに日菜ちゃんには甘いのは事実なのよね〜

「まぁ、なんにせよ光に何かしてあげたいのならまずは彼の過去に踏み込む必要はあるわよ、そして多分だけど拒絶される覚悟を持っていた方が良いわね」

「そうだよね〜でも、どうしたらいいのかな?」

考えては見るが答えは見つからないままだった

 

光side

俺は校門前で香澄達と待ち合わせて有咲の家にある蔵に向かう事になった

「なんか、ごめんね有咲いきなり押しかけるみたいになっちゃって」

「あぁ〜良いんですよ、香澄の思いつきっていつも突然なんで、っていうかその格好なんですか?」

「あぁこれ?一応変装のつもりだったんだけどね〜教育実習生っぽいかなって」

「いや、うちの学校教育実習生って来たこと無いですよ?」

「そうなの?余計怪しかったかな?」

「いや、違和感無さすぎて逆に不自然とでも言えば伝わりますか?」

「あぁ〜」

なんとなく納得できた俺だった

「あのさ、皆に聞くけど俺って仮にだけどスーツとか着てたらどう見えると思う?」

「新卒の社会人ですかね?」

「案外ホストとか?」

「やっぱり大学生かな?」

「ん~とどこかのプロデューサー?」

「有咲とりみちゃんはともかくホストとプロデューサーってなんで?」

「先輩がそれっぽいから」

「おたえ何気に酷いよね」

俺はちょっとだけ気分が凹んだ

そんなくだらない話をしていると有咲の家に到着した

「年季が入った立派な家だな〜」

「そんな事無いですよ大袈裟ですって光さん」

「そりゃこう言ったらなんだけど、こころの家に比べたら見劣りはするけど俺的には伝統的な日本家屋って感じで風情があって好きだよ」

「なんか褒めてくれてありがとうございます。とりあえず中入りましょう」

そう言って俺は有咲に案内されるままについて行った

「ここが蔵?なんか秘密基地みたいだね!カッコイイ!男子としての血が騒ぐっていうか!とにかく最高!」

「光さんテンション可笑しいですって!」

「あぁごめん、やっぱり男子としては秘密基地に憧れっていうかやっぱりこう、くるものがあって」

「先輩とりあえず座ろうよ」

「そうだよ光先輩とりあえず一休みです!」

そう言って香澄とおたえが2人で俺を引っ張ってくる

「痛い痛い!わかったから離して!痛いって」

「ごめんなさい」

「ちょっとはしゃいじゃいました」

俺はとりあえず壁際に座ると何故か両隣に香澄とおたえが座って来た

「とりあえず一休みって言ってたけどこの後どうするの?練習するにしても曲は?」

「実は新曲っていうかその聞いて欲しい曲があって」

「へえ〜どんな曲?」

「STARBEAT星の鼓動って曲なんです聞いてくれますか?」

「せっかくだけど遠慮するよ文化祭で聞く楽しみが無くなっちゃうからね何か別の曲をお願い」

「先輩は今日は歌わないんですか?」

「ギターしか持ってきてないしな〜」

「じゃあ一緒に演奏します?」

「もっと遠慮するよ、本気の2割くらいしか出せそうにないからね」

「あの!光先輩のギター見せて貰えませんか?」

「どうぞ、見て面白い改造とかはしてないけど」

そう言って俺はおたえにギターを渡す

おたえはそれを受け取ると軽く弾いてみた

「あっ!無理です!返します」

「え?おたえどうして」

「音がない!」

「え?鳴ってたよ?」

「あぁ違うよ無雑音でかなり音域広いんだよ」

「そんな事出来るんですか?」

「かなり大変だけどね、でも一度その仕様に調整するとそれ以外の音は全部ノイズでしか聞こえないよ」

「光先輩ってそれでどうやって他の音拾ってるんですか?」

「聴くことだけに集中してこうあった方が良いって言う演奏に近づける、それだけだよ」

「先輩って何者なんですか?」

「何者って言われても...どう答えるのが正解なの?」

「あぁいや、器用なだけとかそんな感じの回答を待ってたんですけど…」

「俺、それRoseliaのメンバーに言ったけど凄いジト目くらったよ」

俺の言葉に皆黙ってしまったので俺は話題を切り替えるべく

手をパンパンと叩き話し出す

「俺の話はここまでね、とりあえず練習しようよ見てあげるからさ」

俺の言葉に皆がそうだったとでも言いたげな表情でいそいそと準備を始める

「先輩!歌は別として演奏だけ、STARBEAT聞いてくれませんか?文化祭で演奏したいのでお願いします」

香澄が勢いよく頭を下げるので俺は慌てた

「ちょっ待って待って!頭上げて演奏だけね演奏だけなら聞くからさ!」

「本当ですか!」

「嘘言ってどうすんの、ちゃんと聞くしアドバイスだってするって」

「じゃあお願いします!」

そう言って香澄達は演奏を始める最初はただのノイズだったのが今はしっかりとした音として響いてくる

「なかなかいい演奏だったよ!でもおたえも香澄もリズムキープがまだ甘いよ、りみちゃんもつられちゃいがちだから気をつけて、有咲はもう少し演奏全体の制度をあげていこう」

俺のアドバイスを聞いて皆は頷き合い

「もう一度お願いします」

「良いよ、でも、最低限にしておきなよ本番で指が動かないとかならないようにね」

「はい!」

その後2度にわたりSTARBEATの練習を見た後俺達は解散した

文化祭までは残り5日

次の日俺が学校に行くと既に友希那達が登校していた

「おはよう、3人とも早くない?」

「光が遅いんだよ、後、15分もすればホームルーム始まるよ」

「そうねもう少し早めに来てもいいんじゃないかしら?」

「あんまり余裕あってもね、やること無くて暇しちゃうし」

「そりゃ完璧超人の光からすれば時間の無駄かもしれないけどさ」

「いつからそうなったの!?」

「だってひ〜くんって大抵のことはそつなく出来ちゃうじゃん!」

「俺、日菜ほど要領よくないよ?」

「でも、1つの事に集中するのは得意でしょ?」

「そりゃまぁね」

俺がそう返答するとリサ達は呆れ顔だった

「光はまず自己評価見直そうか!」

「そうね、自己評価は改めるべきよ」

「なんか俺ディスられてない?」

そう話していると先生がやってきてホームルームが始まった

その後1限から4限までの休憩時間こそくだらない話に花を咲かせたりはしたももの特別な話はしなかった

「あぁ〜やっとお昼か〜」

「光〜屋上行こう!」

「あぁ今行く」

俺が座ったまま軽くダレてるとリサ達は準備を済ませていたらしい

「今日の演奏は何を聞かせてくれるのかな?」

「そうね、楽しみよ」

「ひ〜くんの歌は凄く凄いから!」

「ナチュラルにプレッシャーかけないでそれにココ最近俺、ギター触らない日の方が少ないんだけど気の所為?」

「気の所為よ」

「即答なの!?」

その後俺は昼食を終えた後一風変わった感じの曲をとリクエストを受けたので【棒人間】を演奏てから3人のところに戻ると日菜は変わらず人懐っこい笑みを浮かべていたがリサ達は何故かまた呆れ顔だ

「あのさ、なんで呆れ顔なの?」

「あなたやっぱり人間じゃなかったのね」

「薄々気付いてたけどやっぱり光って人間じゃなかったんだね〜」

「曲の歌詞だから!俺は人間だよ!人より多少器用かもだけど、人間だからね!」

「怪しいわね」

「本当にね〜」

「2人とも、いくら俺でも怒るよ?」

なんて話しているとチャイムが鳴った

「チャイム鳴ったし戻ろ〜」

「だね」

「そうね、光が人間かどうかは後回しね」

「あのさ〜」

そうして教室に戻り授業を受けその帰宅準備に入る

「じゃあまたね〜」

「あっ!日菜待って!」

「な~に?」

「ちょっと気が早いけどさ夏休み入ったらで良ければ天体観測付き合うよ」

「本当!」

「もちろん!約束」

そう言って小指を出すと日菜は俺の小指に自分の小指を絡め

「約束だからね」

とそう言った

俺はその後バイトに向かうそしてバイトではRoseliaとAfterglowの練習に付き合いその後帰宅する

そして俺は自宅でしか使わないギターに触れる

「思えばお前が1番付き合い長いのな」

そう言って軽く弦を弾いてから俺は就寝した

次の日も前日とほぼ変わらない日常だったが、1つ違ったことがあったとすれば香澄達は沙綾をバンドに誘ったらしい

過去に何があったのかも聞いたようだ

俺はそろそろかと感じていた

そしてその後俺個人は何もせずに文化祭とその後の

SPACEライブに向けてひたすら練習に勤しんだ

その後迎えた文化祭当日俺は家を出るために準備をしていた時スマホがなった香澄からだった

「もしもし、香澄?どうかした?」

(光先輩!お願いします沙綾を沙綾を助けてください!)

「何があったの?1つ1つ教えて」

俺は事情を聞いた沙綾のお母さんが体調を崩してしまったらしいそれに沙綾が付き添い現在病院にいるらしい

「事情はわかった、俺はどうしたらいいの?」

(先輩は沙綾を連れ出して下さい!このままじゃ沙綾はきっとなにもかも諦めちゃうかもしれないんです)

「そうなるのは俺や皆の本意じゃないし、わかった俺は今から病院に行ってくるよ」

(お願いします沙綾を止まった時間の中から連れ出して下さい)

「言われなくても、その代わり香澄は目一杯文化祭を楽しんで、そしてそれを沙綾に伝えて」

(わかりました)

香澄の返答を聞いて俺は電話を切ると再び着替える白を貴重とした服装にただただ真っ黒なパーカー、そしてシルバーのリングピアスと白を中心としたジュエルピアスを付けて家を出る

そして内心でもう1人の自分と対話する

「頼んだ、ルミナス」

(やっと僕を頼ってくれたね、いいよ、今回はあの時と状況が似てる、だから俺じゃなく僕なんだよね?)

「あぁ頼む今回ばっかりは俺じゃなく僕じゃなきゃダメだからね」

そうして俺は自分の中ので意識を切り替える宮村光のもう1人のそしてもう1つの自分へと

 

僕は病院に着くと中庭に移動し沙綾を探す多分香澄達からたくさんのメッセージが届いているはずだから、きっとそれを聞いてるはずだから、そう思い中庭に行くと案の定沙綾はスマホを耳に当てている話している様子がない所を見ると

多分メッセージを聞いているのだろう、僕は沙綾が耳からスマホを離すのを待って声をかけた

「沙綾」

「光…先輩?」

「うん、そうだよ、でも僕は光であって光じゃない、俺は

ルミナスもう1人の光だよ」

「もう1人の光…先輩?」

「うん、光が誰かを本気で助けたい時になる姿それが僕」

「先輩は何しに来たんですか?」

「沙綾を連れ出しに来た」

「帰ってください!」

「どうして?」

「私は、私はもうバンドはやりません!だって私がまたバンドを始めたら、誰がお母さんを気にかけるの?誰が何かあった時に手を貸せるの!自分の親の心配をして何がいけないの?」

「いけない事無いんじゃない?家族が大事なのは当然だよ」

「そう思うなら放っておいてください」

「ダメだよ、もしも僕がこのままいなくなったら君は止まった時間の中で永遠に動き出せないままだから、君が家族を

そして両親をましてお母さんを心配する気持ちはわかるよでも、それだけじゃないよね?」

「………つ」

沙綾は黙ってしまう

「あのさ、良かったら俺に時間をくれない?」

「どうするんですか?」

「歌うんだよ!1歩を踏み出せるように止まった時計の針を再び進めるために」

俺はその場で簡易LIVE用の道具を準備するとマイクを通して話し出す

「こんにちは、ルミナスです、今日は山吹沙綾さん君のためだけに歌うよ聞いてくださいカバー曲サンボマスターで

できっこないをやらなくちゃ」

俺はギターを演奏しながら歌う

『どんなに打ちのめされたって

悲しみに心をまかせちゃだめだよ

君は今逃げたいっていうけどそれが本音なのかい?

僕にはそうは、思えないよ

何も実らなかったなんて悲しい言葉だよ

心を少しでも不安にさせちゃダメさ灯りをともそう

あきらめないでどんな時も君ならできるんだどんな事も

今世界にひとつだけの強い力をみたよ

君ならできない事だってできるだ本当さウソじゃないよ

今、世界にひとつだけの強い光をみたよ

アイワナビーア君の全て!』

沙綾聞こえる?皆が君を待ってる君が1歩踏み出して自分の足で歩いて、走ってきてくれるのを

『やはり自分じゃだめかなんて無駄な言葉だよ

心を少しでも不安にさせちゃダメさ灯りをともそう

あきらめないでどんな時も君ならできるんだどんな事も

今世界にひとつだけの強い力をみたよ

君ならできない事だって

出来るんだホントさウソじゃないよ

今世界にひとつだけの強い光をみたよ

アイワナビーア君の全て!』

俺は演奏を終えて軽く深呼吸してから何も言わずに2曲目に入る

『走り出せ前向いてかじかむ手で空に描いた

君の未来に祝福の灯りともす

切り開けその手で聞こえてるかい?この声が

素直に笑える事抱きしめ今走り出せ

少しだけ大人の色に染る指先照れくさそうにそっと隠して

頬杖ついた君見つめてる視線の先に小さな蕾がゆらゆら

ねぇ僕なんてずっと「迷い」ばかりで

あの日贈った言葉今さら思い出す

走り出せ前向いてかじかむ手で空に描いた

君の未来に祝福の灯りともす

切り開けその手で聞こえてるかい?この声が

素直に笑える事抱きしめ今走り出せ

「昔は良かった」なんて言いたくはないんだけれど

取り返したい想いもあるんだ

僕の背中を押すみなぎる視線の僕を芽吹いた蕾に重ねて

時を超えてまたいつか「あの日」を誇れるように

左回りの時計も1つ持って行くよ

切り開けその手で笑えてるかい?自分らしく

譲れない想い握りしめて今走り出せ』

 

沙綾視点

光先輩が背中を押してくれてるのが歌から伝わる。でも私の足は動いてくれない、まだ私の中の迷いは振り切れてないでも、私は私は皆と一緒に何より香澄達と一緒に演奏がしたい!

 

『ねぇ僕なんて今も「迷い」ばかりで

あの日贈った言葉今さら思い出す

「君色に未来染めて・・・」

走り出せ前向いてかじかむ手で空に描いた

君の未来に祝福の灯りともす

切り開けその手で聞こえてるかい?この声が

素直に笑える事抱きしめ今走り出せ

時を超えてまたいつか「あの日」を誇れるように

左回りの時計も1つ持って行くよ

切り開けその手で笑えてるかい?自分らしく

譲れない想い握りしめて今走り出せ』

 

「2曲目はあの日のタイムマシン自分の過去を見つめ直して前を向いて走り出せって背中を押す曲です。沙綾、本当はどうしたい?」

 

「光…先輩…私は…私は…香澄達と一緒にバンドがやりたいです!でも…でも、怖いんですまた私だけ楽しんでお母さんが無理して倒れちゃったりするのがとても怖いんです」

 

「ならさ、周りを頼ったら良いんじゃないかな?」

「周りを…頼る?」

「僕も前に言ったよね?何かあったら周りを頼ってって簡単な事じゃないかもしれないけど、必ず周りの皆が君を君の周りを支えてくれるから」

「でも、巻き込めないですよ私の我儘に」

俺は言葉を探すこんな時僕ならどうするだろうって考えながら、言葉を選んでいると声が聞こえた

「我儘言ってもいいんじゃない?」

沙綾が振り返るとそこには沙綾のお母さんが立っていた

「娘の我儘くらい聞いてあげるわよ、お母さんの事をジュンやさーなの事を気にかけてくれるのはとっても嬉しいわ

でもね、あなたが楽しくなきゃお母さん達だって嬉しい気持ちにはならないわ、沙綾、行きなさい!お母さんは大丈夫母は強しよ!」

沙綾は泣いていた言葉が心に染みたんだろう叶わないな家族の絆ってヤツにはさ

「光先輩!私に1歩踏み出す勇気をきっかけをください!」

「わかった、これが最後の曲だよ!輝き出して走ってく」

『もしもキミが心の中の悲しみだとか

痛みを抱えきれなくなって自分自身を

今見失いそうになっても』

僕はありったけの想いを込めて歌う約束を果たすために

1歩を踏み出せるように

『忘れないでこの世には痛みと悲しみを歯を食いしばって

抱きしめるキミだけ起こせる奇跡かあるってことを

ついにその時が来たんだよ心臓の音が合図だろ?

誰のマネもしなくていいのキミだけの花よ咲け

負けないでキミの心輝いていて大丈夫乗り越えられる

くじけないで笑っておくれ胸張っていけ

キミこそ僕の奇跡なんだから』

沙綾視点

不思議だ、歌詞がスーッと心に耳に入ってくる負けないでくじけないでか、ここまで励まされたら踏み出さいわけいかないなー本当にこの人には適わない

 

『間違えんなよ終わりの景色だとか時間は止まらないって

悲しいサダメと言うけど終わらないよ一瞬が過ぎてくだけ

ほら次の瞬間だぜだから簡単に終わらせんなよ

負けないでキミの心輝いていて大丈夫と声が聴こえる

キミ自信をまもっておくれ自分を責めないで

キミこそ待ち望んだ人だから』

僕は自分を消して歌でただただ表現する沙綾が香澄達と笑ってる未来を表現していくラストまで全力で歌って

『悲しい魔法を僕らかけられても自由になれるさ必ず

負けないで負けないで負けないでキミの心輝いていて

大丈夫乗り越えられるくじけないで笑っておくれ

胸張っていけキミこそ僕の奇跡なんだから

もしもキミが心の中の悲しみだとか

痛みを抱えきれなくなって

自分自身を見失いそうになっても』

 

沙綾視点

一瞬だったけど私が香澄達と楽しく演奏している姿が見えた気がした、光先輩が表現力で見せた一時の幻だったけどそれだけで十分だった私が踏み出すのは

 

俺は演奏を終え話し出す

「沙綾、もう大丈夫かな?君の止まっていた時間は時計の針は動き出した?もし動いているなら走り出さなきゃそしてちゃんと言わないきゃいけないよ「いってきます」ってさ」

「そうですよね!まずはそこからですもんね!」

僕は沙綾のその言葉を聞いて手早く簡易LIVE用の道具を片付け自転車のカゴにギターと一緒に載せるとそのまま沙綾を迎えに行く

「沙綾!皆待ってる!行こう!」

「はい!光先輩!お母さん!いってきます!」

「行ってらっしゃい、光君、沙綾をよろしくね」

「もちろんです学校から何から全部違うけど俺はどんな時でも絶対に見放したりしませんから」

「何言ってんですか!行きますよ!」

「沙綾照れてる?」

「前見てください!」

「わかったわかったって」

俺は病院を後にして花咲川に向かう

「光先輩!間に合いますか?」

「間に合わせるっきゃないって」

俺はさらに自転車を加速させる

周りが霞む程に全力で自転車を走らせものの数分で到着する

「沙綾!走れ!」

「はい!見ていてください!光先輩!」

俺は急いで自転車を止めてから体育館の入口付近を陣取った

 

ポピパ視点

「今日は1人足りないんですけど、その友達の分まで全力で歌います!」

「待って!いるよ!ここに!私も仲間に入れて!」

「沙綾!」

香澄が駆け寄ってきてステージに上げてくれる

「全員揃いました、改めて聞いてください

STARBEAT星の鼓動」

「1・2・3・4!」

沙綾がスティックを打ち鳴らしてリズムをとる

知らなかった、香澄達と見る景色ってこんなに輝いているんだ!

そしてあっという間に曲が終わる

「最後にメンバー紹介しておきます!青いギターのおたえ」

おたえは軽くギターを弾く

「ピンクのベースのりみりん!」

おたえに続き軽くベースを弾くりみ

「ドラムの沙綾!」

ダン!ダン!とドラムを打ち鳴らす沙綾

「あっちが有咲!」

「キーボード!!」

そう言いながらポロロンとキーボードを鳴らす

「最後に私、ギターボーカル戸山香澄!この5人でPoppin’Partyです!私達は今日、この瞬間に結成されました!」

「いやいや、違うだろ!お前がバンドやりたいって言い出した4月からだからな 」

「そうだね、バンド名はまだだったけどあの頃からが始まりだったと思うよ」

「私も香澄が誘ってくれたから今ここにいるんだよ」

「全員揃ったのは今日この日だけどそ前からだから2ヶ月くらいかな?」

「そっか!じゃあ大体2ヶ月くらいです!」

「おい!待て大体じゃねーだろ!」

周囲に笑いが巻き起こる

「私達のLIVEはこれで終わりだけど、文化祭LIVEの終わりを飾ってくれるゲストを呼んでます!光先輩〜!来てますか?来てたらステージ前まで来てくださ〜い!」

呼ばれたので俺は入口付近から移動しステージ袖の階段からステージ袖に移動し声をかける

「いきなり呼ばないでくれる?香澄、俺はここにいるよとりあえず俺を呼んだって事は俺の番って事でいんだよね?」

「もちろんです!最後を飾ってください!」

そう言って香澄は俺をステージに引っ張り出した

俺はすぐさま準備を整えてマイクを通して話し出す

「ご紹介に預かりました光です今日はゲストとして最後を飾らせてもらいますまずは1曲聞いてください

空の青さを知る人よ」

俺は演奏を始める最初の数秒は有咲のキーボードを借りて

片手でキーボードを弾きすぐにギターに切り替え歌い出す

『全然好きじゃなかったホラー映画とキャラメル味のキス

全然好きになれなかったそれなのにね

今は悲鳴をあげながら君の横顔を探している

空虚な心の落し穴暗すぎてなにも見えない

根拠なんて一つもないのにさ身体が走り出してく

赤く染まった空から溢れ出すシャワーに打たれて

流れ出す浮かび上がる1番弱い自分の影

青く滲んだ思い出隠せないのはもう一度同じ日々を

求めているから』

俺は歌うただひたすらに空の色と俺達の心情や日常を重ねながら

『全然好きじゃなかったほら、あの呼び方

漫画の主人公みたいで

全然好きになれなかったんだそれなのにね

今も似た言葉に身体が動くよ皮肉な思い出なのさ

何回も右往左往してみても暗すぎて何も見えない

そうかいまだ隠れているのかい飛び出しておいでメモリー

高く掲げた掌届く気がしたんだ確かに回り出す襲いかかる

悪魔の顔をした奴らが会いたい人に会えないそんな悪夢を

雲に替えて食べてやるよ悲しくなるから

いつも いつも いつも いつも 君が 君が 君が 君が

最初にいなくなってしまう

なんで なんで なんで なんで 僕に 僕に 僕に 僕に

さよならも言わずに空になったの?』

 

ポピパ視点

「あの曲ってさなんか懐かしい気持ちにならない?」

「あぁなんかわかるかも、今よりも子供の頃の本当に純粋な気持ちってのかな、そんな気持ちにさせてくれるよな」

「わかるかも〜私は初めてギター買った時の事なんか思い出したし」

「お姉ちゃんと初めて一緒に演奏した時を思い出したよ」

「私はまだ前のバンドにいた時のことを思い出したな」

本当に私達が懐かしいって思えるような曲だった

 

『赤く染まった空から溢れ出すシャワーに打たれて

流れ出す浮かび上がる1番弱い自分の影

青く滲んだ思い出隠せないのは

もう一度同じ日々を求めてるから

君が知っている空の青さを知りたいから

追いかけている追いかけている 届け』

俺は軽く深呼吸してから話し出す

「楽しい時間ってあっという間で俺に残された時間も今日は後、1曲分だけです。だから、今日という日が終わっても笑い合える明日が来るようにこの曲を歌います聞いてください

明日はきっといい日になる」

『明日はきっといい日になるいい日になる

いい日になるでしょう

 

くたびれた顔で電車の中揺られてる人を見た

勇気を振り絞って席をゆずってみた

「大丈夫です」と怪訝そうに断られたそのあと

きまり悪そうに一人分空いたまんまのシート

まぁいっかと割り切れなければ とっておきの笑い話にしようそうさ

明日はきっといい日になるいい日になるいい日になるのさ

笑い合えたらいい日になるいい日になるいい日になるでしょう』

いつの間にか皆が手拍子をしているでも俺にはその音は聞こえない、明日という日に向けて声を届けるように歌っているから

『悲しみはいつも突然の雨のよう

傘も持たずに立ち尽くす日もある

降られて踏まれて地は固まるそこに陽がさせば

虹が出るそうだ

明日はきっといい日になるいい日になるいい日になるのさ

どの出来事も君を彩る絵の具になる絵の具になるでしょう』

 

ポピパ視点

「なんか明日が待ち遠しくなるね」

「そうだね、懐かしい気持ちになってその気持ちを忘れないまま明日を待つのってなんか良いね」

「そうか〜?」

「有咲は明日が待ち遠しくならない?」

「なんねーな、だってさ今日が終われば必ず来るじゃんか」

「まぁそういう考え方も出来るよね」

先輩が最後に選んだ曲に皆が聞き入っているどこか懐かしい気持ちを抱えながら

『思い通りの人生じゃないとしてもそれも幸せと

選ぶことは出来る

まぁいっかと割り切れなければ

とっておきの笑い話にしよう

明日はきっといい日になるいい日になるいい日になるのさ

笑い合えたらいい日になるでしょういい日になるいい日になるのさ

今日よりずっといい日になるいい日になるいい日にするのさ

君が笑えばいい日になるいい日になるいい日になるでしょう』

 

「聞いてくれてありがとうございました!皆さんに今日よりもずっと最高の明日が来ることを願ってます」

そう言って俺は頭を下げると拍手が巻き起こる

俺は演奏を終えて帰り支度をして帰ろうとしているとポピパのメンバー達が俺を呼び止めた

「光先輩〜!待ってください!」

香澄に続くようにメンバー全員が集まってきた

「どうしたの?皆で見送り?」

「それもあるんですけど、あの!光先輩!」

「「「「「ありがとうございました!」」」」」

全員が頭を下げてきた、俺は少し戸惑ったが普通に接する

「頭をあげなよ、俺はただ軽く背中を押しただけだから、

そこから頑張ったのは紛れもなく香澄達だよ」

「でも、光先輩は私をまた陽の当たる道に連れ出してくれました!」

「それに私達に諦めない事の大切さを教えてくれました!」

「大袈裟だよ、俺は本当にちょっときっかけを作ったに過ぎないから、その後は間違いなく皆が頑張った結果だよ

じゃあね」

俺はその場を後にする、後は香澄達がこの先を決めるだろう

俺はそう思いながら自宅への道を進む

その後俺は自宅に帰り1度着替えると最近はずっと部屋でしか弾いていなかったギターに手を伸ばす

「また一緒にやろうぜ相棒」

そう言って俺はそのギターをケースにしまい背負うと家を出るこの後のSPACEでのLIVEに向けて俺は新たな1歩を踏み出した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ポピパ編一応完結です。この後もSPACEでのLIVE編を書いていきますので正確にはポピパ結成編の完結ですね次回は光君がSPACEでLIVEします
そして一応触れておくと気が早いんですが次回作アンケート
を実施してます。
僕らが理想とする音へは主人公は変わらず光君でストーリ設定などが違いますし花咲川に通います
そしてもう1つの空に憧れた少年とバンド少女達は
最初に予定していた作品のタイトルを変えただけですどっちが読んで見たいかまたは気になるか答えてくれたら嬉しく思います。それではまた次回

次回「ラストライブの知らせと始まりの音」


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第15話ラストライブの知らせと始まりの音

文化祭LIVEを終えた光は新たな1歩を踏み出し音を奏でる


俺は相棒を背負いSPACEへと向かうそして30分程で目的地に到着し俺は中に入りオーナーに声をかける

「こんばんはオーナー、少し遅くなりました」

「時間ピッタリだから問題ないさ、準備しな、始めるよ」

「はい、じゃあ準備します」

俺は用意された控え室に入り相棒をケースから出し調整を始める。

(思えばこいつで演奏するのは久しぶりか)

そう思いながら俺はギリギリまで調整する

「宮村光さんスタンバイお願いします」

「わかりました、行こうぜ!相棒!」

俺は相棒のギターと共にステージ袖に向かう

ステージではオーナーが話している

「今回のライブにゲストを呼んである!出てきな!光!」

俺は呼ばれたのでステージ袖から出ていく

「ご紹介いただきました、光ですガールズバンドの聖地とまで言われるこの場所に自分が立ってるなんて正直実感が湧きません。でも、この場所に立ったからには全力で演奏しますので聞いてくださいまず1曲目Alchemy」

俺は演奏を始める自分の世界に引き込むために

『無限に生きたい無限に生きられたら全て叶う

でもいろんなものがあたしを追い込んでく

生きる残り時間 夢の座標 行方 全部大事なものなのに

いいさここらでちょっと甘いもの食べていこ

そういう思考停止ばかり得意になってた

歩いてきた道振り返るとイヤなことばかりでもう

うんざりだよ

触れるものを輝かしてゆくそんな道を生きて来たかったよ』

俺は相棒のギターと一緒に演奏する事の楽しさを久しぶりに実感していた、こいつから奏でられる荒く響く音と一緒に俺の視界が真っ白に染まっていくもっとだもっと深く曲に入り込め!俺ならそれが出来る!

『無性に生きたい焦ってばかりの日々全て消えそう

でもさぼっても見るだって疲れちゃうじゃない

そんな矛盾思考

あたし頭どっか知らないうちに打ったみたいだ

いっかここらでちょっと病院へ行っとこう

ずっと起きてられる薬は置いてませんか?

ぼさっと突っ立てるだけでもう

化石になってしまいそうなんだよ

誰からも忘れられたようなくすんだ存在になってしまうよ

いいさここらでちょっと根性を見せてやる

自分で頬叩いて存在の証明へ

歩いてきた道振り返らないイヤなことばかりでも前へ進め

触れるものを輝かしてゆくそんな存在になってみせるよ』

俺は演奏を終えてからマイクを通して話し出す

「1曲目は自分達の中にある生きたいって思う気持ちを歌詞に載せたものだと思います後ろ向きな気分を払拭するような気分にさせてくれる曲だと思ってます。続けて2曲目に行きます、今日来てくれた人達の中には学生って多いと思います

学生の人達にとってこの曲は確かにとか毎日がそうだと思う人もいると思います

それじゃぁ聞いてくださいハイスクール」

2曲目に選んだハイスクールを演奏していくさぁここからだ!

『響き渡ってるチャイムに嫌気がさしてる毎日

しょうがないってみんな従順で前向いて

空白ばっかのノートは落書きで埋めたのに

今日も全然なんか足んないため息

不満 不安 負担抱えながら

期待したい未来探しながら心が叫ぶよ

どんなルールでも僕を縛れない

動いた感情邪魔させない絶対に

どんな式でも夢は解けない

模範の解答どうだろうと関係ない

自分自身で答えを探せ』

 

観客視点

「この人って男の人だよね?」

「えっ?違うの?」

「なんか声とか凄くない?音とかもさそれに、この曲って

あたし達学生には本当に確かにとかあぁそうだなってなる歌詞だしさ!」

「あぁ確かにってなるよね!」

「ゲストが男の人って聞いてちょっとガッカリしてたけど期待以上って言うか」

「あの人!私達と同じガッコだよ!よく屋上でライブしてる先輩だよ!」

「私、路上ライブしてるの見た事ある!」

観客達は思い思いの感想を言葉にして行く

 

『息苦しい教室にひしめく数字の羅列に

みんな一体どんな正解を見てるの?

無気力なこの空気を抜け出したいだけなのに

今日も一緒興味ないって嘘ついた

理想 希望 野望隠しながら辛い 怖い 痛い逃れるのは

終わりにしたいよ

誰の言葉にも僕は揺らがない

走った衝動止められない永遠に

どんな場所でも夢は枯れない

学んだ方法それ以外を知りたい

答えはきっと無限にあるよ』

 

観客視点

「ヤバい!ノッてきた!」

「本当最高!」

「引き込まれるよね!」

「ついにラスラビだよ!」

「ええもう終わるの!まだ聞きたい!」

「多分ここにいる全員同じだよ!」

皆が盛り上がり手拍子やペンライトを振ってノッている

 

『どんなルールでも僕を縛れない

動いた感情邪魔させない絶対に

どんな式でも夢は解けない模範の解答どうだろうと関係ない

自分自身で答えを探せ 自分だけの答えを探せ』

曲が終わり俺は最後のメロディを弾き終えると

再びマイクを通して話し出す

「聞いてくれてありがとうございました。俺が今日用意してきた曲はこの2曲だけですけどまた近いうちに必ず演奏しますので聞きに来てください!今日はありがとうございました」

観客から拍手が巻き起こる俺はその余韻に浸りながらステージを後にする

そして控え室に戻り相棒のギターをケースにしまう

「今日はありがとうな相棒」

そう言ってケースを閉じるとほぼ同時に扉がノックされた

「どうぞ!」と俺は声をかけるとオーナーが入っていた

「やりきったかい?」オーナーの第一声がそれだった

「もちろんです!やるからには俺は全力でやりますよ!たとえどんなに小さなライブであっても、それが俺の音楽ですから」

「ならいいさ!最高のライブだったよ!」

そう言ってオーナーさんは帰って行き

俺も帰路に着いた

 

そして次の日早朝の学校ではSPACEのライブの話と俺が出演したという話で持ち切りだった

そして現在、俺は日菜に両頬をつねられていた

「ひど〜い!なんで出るって言ってくれなかったの!私見に行ったのに!」

「いひゃい、いひゃいよひにゃ(痛い、痛いよ日菜)」

「日菜、とりあえず光の頬から手を離してあげな話しずらそうだし」

「まぁりさちーがそう言うなら」

そう言って日菜は手を離してくれた

「あ〜痛い、ってかリサ達は知ってたよね?てっきり俺はリサ達から伝わってるものだとばっかり」

「りさちー達は知ってたの?」

「まぁね、って言うか日菜もあの時いたじゃん」

「昨日っては聞いてな〜い!」

「月末って言っていた気がするけれど…」

「俺は言ってないけど、オーナーが言ってた」

「てっきり来月だとばっかり思ってたし〜ぶぅ〜」

「まぁそう、むくれないでさどうせ今月末も行くしさ」

「じゃあその時は絶対行くからね!」

「日菜達の仕事が無ければね」

そんな話をしているうちにチャイムが鳴り先生がやって来てホームルームが始まる、内容は6月末の期末考査とその後7月後半に入ってすぐの夏休みの話だった、俺は今のままなら期末考査は問題ないないかと思いながら先生の話に耳を傾けていた。

そしてホームルーム終了後と1限目の間の休憩時間にリサ達から期末考査の話題を振られた

「光〜期末大丈夫そう?」

「まぁ今のところね」

「でもあなたはこの学校に来て初めてのテストでしょ、それなりの成績を出さないとまずいのではないかしら?」

「やれるだけの事はやるつもりだし、終わっちゃえば足掻いても仕方ないし」

「貴方らしいわね」

そうしているうちに1限目開始のチャイムがなったので俺達は授業に入る、その後の授業もテスト対策がメインで進められ4限まで終了し昼休みとなった

「光〜お昼行こ!いつメンでさ」

「いつもの場所でいいの?」

「あ〜それなんだけど、光2、3日屋上ライブ遠慮した方がいんじゃない?SPACEでのLIVEの件もあったしさ」

「じゃあ空き教室かな?」

「だね、友希那、日菜それでいい?」

「構わないわ」

「アタシも大丈夫だよ〜」

「じゃあそうしようか!」

俺達は空き教室に移動し昼食をとっているとリサがスマホを操作してなにかしていた

「何してんの?リサ」

「あぁちょっとね、日菜、光のライブ行けなかったって嘆いてたでしょ?」

「うん、行きたかった〜」

「そんな、日菜に朗報だよ!光のライブ映像が動画サイトにアップされてたの見つけたよ〜」

「は?」

「本当!りさちー」

「見せてくれるかしら?」

「ちょっと待って!いつの間に?」

「いやいや、いつの間にも何も光の演奏してる動画結構出回ってるよ?路上ライブの時とか屋上ライブのやつとかさ」

「そう言えばVSライブの映像を見た事があったわね」

「マジで!?」

「それよりもりさちー見せて見せて!」

「あ〜ハイハイ、どうぞ」

リサがスマホを日菜に手渡し日菜は映像に釘付けだ

「そういえばこのハイスクールさアタシが知ってるやつと違うんだけど、なんで?」

「実写映画のやつだよ!借りパクされてるウォークマンに入ってるよ?」

「アッハハ〜なんだか耳が痛いな〜でもイノハリって結構曲あるけど、歌ってる人なんか違うやつなかった?」

「漫画読んでたならわかるでしょ、歌い手のアリスが変わったの!そこからずっとそっちの子の歌と演奏だから」

「そっか!そういえばそうだったね光!せっかくだし放課後circleでカナリヤ歌ってよ!」

「ここでやろうか?」

「ダメよ、リサにも遠慮なさいって言われたでしょ」

「だってさひ〜くん」

「まぁ良いけどさ」

そうしているうちに昼休みが終わりを告げた

「午後の授業ってなんだっけ?」

「保体と科学よ」

「なら、寝てても問題ないかな?」

「あなたね〜」

ちょっとふざけただけなのに友希那に睨まれた

「光、諦めな!友希那と席近いんだから多分寝てたら叩かれるよ〜」

「理不尽過ぎない?」

「ひ〜くんが寝てるからだよ」

そんな話をしながら教室に戻り授業を受け放課後を迎えた

「やっと放課後!友希那、リサこのままcircle行く?」

「どうする?友希那、光から一緒に帰ろうってお誘い来てるよ〜」

「目的地はcircleでしょう、別に一緒に帰ろうってお誘いでは無いような気もするけれど」

「なんでも良いけどさ、どうする?」

「紗夜達とは現地集合にしているし、あこも連れて4人で行きましょう」

「そういえば、あこちゃん中等部だっけ?」

「そうよ、それがどうかしたの?」

「いや、今考えるとさあこちゃんって凄いなって」

「突然どうしたの?光」

「いや、考えてみてよ!俺達ってさ、16、17じゃん」

「そうね、でもそれが何?」

「いやさ、あこちゃんからしたら俺達って歳上じゃん、Roseliaだってあこちゃん以外は皆同期だよね、そんな中に混ざってさあんな楽しそにドラム叩くんだよ!そんで最高の演奏してる訳じゃん!なんかそれってよくよく考えると凄い事だなってさ」

「光って以外と人の事見てるんだね」

「それに関しては同意するわ、でもね最高の演奏ができるのは当然よ、私が選んだドラマーだもの」

「友希那もその自信満々な所が嫌味にならないくらい凄い歌声してんだしそう考えると俺が場違い見たい」

「な〜に言ってんの光〜アタシらよりも演奏上手いくせに」

「歌だって私以上じゃない。それにあなたは人の皮を被ったなにかでしょう」

「まだそれ引き摺ってたの!?」

そんな会話をしながら俺達は昇降口を出る

「俺、自転車取ってくるから待ってて」

「じゃあ次いでにあこに連絡しといてよ!アタシら連絡するよりも喜ぶんじゃない?光に懐いてるし」

「それとこれとは話違くない?まぁ良いけどさ」

そう言って俺は駐輪場に向かう途中あこちゃんに電話する

数回のコール音の後あこちゃんに繋がった

(もしもし!光兄ぃ!どうしたの?)

「もしもし、久しぶりあこちゃん今から友希那とリサと俺でcircle行くんだけどあこちゃんも一緒に行かない?」

(行く行く!待ってて!)

「高等部の校門前にいるからそこにおいで」

(わかった〜)

あこちゃんの返事を聞いて俺は電話を切り自転車を取って

リサ達の待つ校門前に向かった

「ごめんごめん、おまたせ!あこちゃんもすぐ来るってさ」

「じゃあちょっと待ちますか」

「そうね」

そうして少し待っていると5分程度であこちゃんがやってきた

「おまたせ!友希那さん、リサ姉、光兄ぃ」

「そんな待ってないから大丈夫だよ」

「ええ、5分程度だし、気にしないわ」

「よし、揃ったし行こうか!」

俺はそう言って自転車を押して歩き出す

「光兄ぃ今日はcircleの日?」

「そうだよ、だから皆で行こうかなって」

「普段は時間差があるものね」

「そうだね〜大概光が少し遅めの時間からバイトだからね」

「なんか、嫌味言われてる気分なの俺だけ?」

「嫌味では無いわね、と言うかなぜ、いつも少し遅めの時間からなのかしら?」

「荷物置いて特定の物だけ持ってバイト行きたいからってだけだよ」

「光はバイトの時バックからあれこれ出して何かしてるじゃない」

「あれ、一応仕事道具で楽器のメンテしたりものによっては修理したりしないとだから」

「光ってものが揃ってたら1から楽器作れそうだよね」

「やった事ないけど、出来るんじゃないかな?」

「光兄ぃ楽器も作れるの?」

「多分ね、やった事はないけど、でもちょうどいい材料があればドラムのステック位は作れるよ」

「じゃあ光が使ってるのって市販のじゃないの?」

「基本的に市販だけど、たまに自分で使いやすいように調整したりはするよ」

「あなた本当に何者なのよ」

「ん〜便利屋?」

「そもそも人なのかしら?」

「まだ疑ってたの!?」

「光は叩けば叩くほど埃と言うかボロが出るからさ〜」

「なんか酷くない?」

俺がそう言うと3人は笑っていた正直笑うとこかと思っているとリサが笑いを堪えながら話し出す

「ごめんって、あ〜でも話変わるけどさ光って制服そのものは弄ってないよね?」

「え?なんで?」

「あぁ、いやこの前光のブレザー着てみた事あったでしょなんか丈っていうの?ちょっと長い気がしてさ」

「ブレザーは全然何もしてないよ、でも自分の体格よりも一回り大きいの頼んでるからそのせいじゃない?」

「あぁなるほど、納得だよそういう事ね」

「でも、ワイシャツやネクタイは指定のもの着たりつけたりしてないわよね」

「襟になんかラインが入ってたりね」

「そうなの?じゃあ光兄ぃが今の着てるは普通のじゃなの?」

「よく見てみなよあこ、色が薄い水色だから」

「もっといえばネクタイは指定のよりもっと深い青よ」

「本当だ!あこも真似したらオシャレに制服着れるかな?」

「アッハハやめときなってあこ光はたまに黒いワイシャツとか着てるから真似したら怒られるよ」

「光兄ぃはなんで怒られないの?」

「先生が呆れてモノも言わないのよ」

「なんだかんだ小テストとかだと点数良いし授業態度もたまに寝てたりするけどそれでも先生に当てられるとサラッと答えちゃったりするからね」

「あぁ〜またなんか俺がディスられてる気がする」

そう話しているうちに俺達は目的地のcircleに到着すると既に紗夜と燐子は到着していた

「やあこんにちは2人とも」

「えぇどうもこんにちは、光君」

「こんにちはです光君」

俺は2人と挨拶を交わす

「今日はこれからアルバイトですか?」

「そう、終業時間までね、なんかアンプの総点検したいみたいだよ」

「そうなんですか、大変ですね」

「どうなんだろ?修理するってなれば俺が大変なのかもだけど多分普通の点検だけならそんなでもないかも」

「光君は本当に器用なんですね」

「ありがとう、そう言ってくれるのって紗夜と燐子それにあこちゃんだけだから、ちょっと嬉しいよ」

俺は頬を掻きながらそう伝えると紗夜達は不思議そうな表情をして聞いてきた

「ちなみに湊さんと今井さんにはなんて言われるのですか?」

「もうね、人かどうかすら疑われてるよ」

俺の言葉に紗夜はリサ達の方を見て目線で本当ですか?と訴えている、2人の方はちょっと気まずそうだった

「アハハ、でも紗夜もそう思わない?」

「さすがにそこまでは、非の打ち所がないなとは思いますが、人かどうかまで疑いはしません!」

「私もさすがにそこまでは考えませんね」

「あこもそこまでは疑わないよ」

「アハハ、アタシら悪者だね友希那」

「あまりにも非の打ち所が無ければ疑いたくもなるわ、それにこの間歌っていたunravelや先日聴いた棒人間といい、自分が人間かどうかをまるで疑っているような曲を選ぶんだもの」

「一応趣味だからねどうしても偏りは出るだろうけど本当に人間だよ?」

「ハァ、まぁ良いわ別に私も本気で言っているわけじゃないもの、半分は冗談よ」

「あのさ、もし仮に本当に俺が人以外のなんかだったらどうするわけ?」

「別にどうもしないわよ、あなたがここに居ることが存在理由なのでしょ」

「なんなら、自分でも疑わしいって言おうか?」

「結構よ、話は終わり!中に入りましよ」

俺達は皆で顔を見合わせ笑い合い店内に入って行く

「こんにちは、お疲れ様ですまりなさん」

「お疲れ様、光君今日は両手に花だね」

「変な事言わないでくださいよ!」

「いえ、光君あながち間違いでは無いのでは?」

「どういう事?」

「私達Roseliaは薔薇のRose椿のCamellaを掛け合わせRoseliaなので私達が光君の両隣に並んでいれば薔薇の花と椿の花が並んでいると考えられます」

「あのさ、目上の人にこういう事言いたくないけど、まりなさんがそこまで考えてると思う?」

「ですから、あながちと申し上げました」

「2人ともさりげなく私を罵倒しないで!!光君そういうこと言うとシフト週3か4から週6に増やすよ!」

「別に構いませんけど?」

「あぁ、そうだったわね前から増やしても構わないって言ってたものね」

まりなさんが呆れ顔をしていた

「とりあえず光君は着替えて来てからRoseliaの皆とスタジオ!どうせ練習見るんでしょ」

「そうします、というわけで着替えて来るから待っててね」

「ハイハーイ」

俺は着替えるために1度スタッフルームに入って行く

そして着替えを済ませギターを持ってスタッフルームを後にする

「じゃあ行こう」

「えぇ、今日もよろしく頼むわ」

「もちろん」

そう言って俺達はスタジオに入る練習を開始して30分程経った皆、集中力が切れてきている

「少し休憩しない?もう30分はぶっ通しだよ」

「そうね、そうしましょう」

「なんか飲み物でも奢るよ何がいい?」

「あこはもちろんコーラ!」

「任せるからスポドリお願い」

「私はお茶をお願いします」

「水をお願いするわ」

「私も水をお願いします」

「OK!ちょっと待ってて」

俺は1度スタジオを出て飲み物を買いに行く

「あっ!光君!Roseliaの方はいいの?」

「ちょっと休憩です。今は飲み物を買いに来ました」

「そうなの?まぁ良いけどさ、とりあえずお客さんだよ」

「俺にですか?」

「うん、ポピパの皆が来てるよ」

「まりなさんいつの間にバンド名知ったんです?」

「たった今だよ、教えてくれたんだ」

「そうですか、とりあえず呼んでもらえます?」

「はいはーい、皆、光君来たよ〜」

まりなさんが声をかけるとロビーにいたポピパのメンバー達が姿を見せた

「こんにちは!光先輩!」

「うん、こんにちは香澄。今日蔵練は?」

「気分転換ですよ、いつもあたしの家の蔵ばっかりじゃマンネリなんで、たまにライブハウスとかの練習スタジオ借りて練習するんですよ」

「そうなんだ、じゃあこれから練習?」

「そうなんです。それで、光先輩に練習見て貰えないかなって思ってたんです」

「見てあげたいんだけど、俺今ちょうどRoseliaの練習見てるんだよね」

「そうなんですか」

皆が残念そうにしている、どうしようかと思っていると香澄が話し出した

「じゃあ、Roseliaの人達に練習混ぜてもらおう!それで交代で練習見てもらうの」

「って言ってますけど、大丈夫なんですか?」

「俺個人としてはなんとも、とりあえず聞いてくるよ」

「お願いします!」

俺はとりあえずまずRoseliaのメンバーのところへ向かう

「おまたせ、はい差し入れ」

「ありがとう光〜」

「ありがとう光兄ぃ」

「感謝するわ」

「ありがとうこざいます光君」

「いつもありがとうございます光君」

皆がお礼を言って飲み物を受け取ったのを確認すると俺はさっきの話題を振る

「あのさ、これは皆がよければって話だけど、交代で他のバンドの子達の練習も見たらダメ?」

「それってAfterglow?」

「いや、Poppin’Party」

「学園祭でライブしてた子達ですか」

「そうそう!今、来てて練習見てくれってさ」

「あこは別に良いよ」

「私もです。」

「最終的に決めるのはあなたよそれに30分事に休憩は挟むからその間なら私個人としても構わないわ」

「じゃあお言葉に甘えてそうさせてもらうね」

「光〜演奏の約束忘れないでよ〜」

「わかってるよ約束は守るって」

そう言って俺はポピパのメンバーを呼びに行く

「おまたせ、良いってさ」

「やったー!」

「はしゃぎ過ぎだ香澄!でも、本当に良いんですか?」

「とりあえず、すぐRoseliaの練習見ないとだから、待たせることになるけどね」

「じゃあ私達はその間は先輩抜きで練習して待ってます」

「悪いけど、お願いね」

「私達は2番スタジオなので後から合流お願いしますね」

「了解」

そう言って俺はRoseliaが使っているスタジオの方に戻りその後行ったり来たりしながら2バンドの練習を見ていく

そしてRoseliaは今現在練習時間を延長して練習に勤しんでいる

「やっぱり光が練習見てくれると助かるね」

「そうですね、自分では気付かない細かい所まで指摘してくれるのでそこを意識したり出来ますし」

「でも、それでも光には及ばないわ」

「友希那の言う通りなんだよね〜これがまた」

「大袈裟じゃない?俺はあくまでも1人の技術に過ぎないしさ、そう考えると皆の方が凄いよ」

「貴方自身も知っていると思うけれど、個人の技術は大切よ、確かにバンドは誰か1人が際立っていても意味がないけれど、貴方のようにソロなら最も重要視されるじゃない」

「そうなんだけどね、俺としてはもっとたくさんの音に触れていたいから」

俺がそう言うと皆は黙ってしまった

「なんで黙ってるの?」

「いえ、貴方の演奏のクオリティが高い理由がわかった気がしたのよ」

「そう?まぁ知られて困るものでもないし良いけどさ」

「ていうか、そろそろ光が演奏する番じゃない?」

「もう?まだ早くない?」

「なんのために時間を延長したと思っているの、あなたが演奏する時間をとるためよ」

「つまり、指導の一環で俺の演奏を聞いたってことにするの?」

「そういう事、さっき皆で話してたんだ〜」

「なるほどね、じゃあポピパも呼んでいい?」

「もちろん!、光も観客多い方が良いもんね!」

「助かるよ、ありがとう」

俺はそう言うとポピパのメンバーを呼びに行く

「皆、入るよ〜」

一言断って練習スタジオの中に入る

「光先輩どうかしたんですか?」

「俺に演奏して欲しいって頼まれてね、よかった聞きにこないかなってお誘い」

「行く!行きます!」

「私も私も!」

「私も行きたいかな」

「お前らがそう言うならあたしも行くわ」

「皆が行くなら!私も行きます!」

「よし、じゃあ決まり!行こう!」

そうしてメンバーが全員揃ったところで俺はギターを持って

マイクを通して話し出す

「えっと、今日は俺の演奏を聞きたいって言ってくれてありがとうございます。リクエストを貰ったのでカナリヤという曲を演奏します。それじゃあ聞いてください」

そう言うと俺は演奏と共に歌い出す

『響け 響け』

叫ぶように歌い出す

『籠の中に捕らわれた小鳥は何も知らずに

窓の向こう消えてく影を探してる

狭い場所で広げ方思い出せない翼は

触れたぬくもりをまだ覚えてる

錆びだらけの鉄格子が残酷に遮っても

叫び続けかすれたこの声でいつかぶち破ってみせるよ

響け 響け君へ向かって何度も壊れても枯れ果てても歌おう

響け 響けそこへ今向かっていくよカナリヤのように飛び立て空へ

響け 響け 響け

胸の奥で憧れた果てなく続く景色は

音もなく夜明けと共に消えていた

この世界が全てだと思い込んでいた私に

君はあの空を教えてくれた

傷だらけの夢の扉鍵は君が持ってる

待つだけはもうやめたよ

この羽でいつかたどり着いてみせるよ

放て 放て君を想って何度も

辛くても苦しくても歌おう

放て 放て全て今変わって行くよ

カナリヤのように羽ばたけ空へ

放て 放て』

 

見えてる?聞こえてる?空に憧れて飛び立つ事夢見て

声が枯れるまで歌い続けたカナリヤの姿がそして飛び立って行くカナリヤの姿が

 

『響け響け君へ向かって何度も壊れても枯れ果てても歌おう響け響けそこへ今向かっていく行くよカナリヤのように飛び立て空へ 響け 響け 響け 響け』

俺が歌い終えると同時に拍手が巻き起こると同時にリサが

アンコールを求めてきた

「光〜アンコール!同じタイトルのカナリヤあるでしょ」

「OK!じゃあもう1曲、同じタイトルでカナリヤ」

俺は再び演奏を開始し歌う

『羽ばたけ』

さっきと同じように叫ぶ様に第一声を張り上げる

『寝ても醒めてもさえずるのあたしまるでカナリヤ

浸る甘い嘘の中

寝ても醒めてもついばむのなんにも怖くないや

眠る甘い蜜の底

うたっていればそれで素敵なのだから籠(ここ)にいさせて

さけんでいればそれだけで無敵なの

だから開けないでお願い!落ちてくのまっさかさまに

リアルと空虚の波に呑み込まれて

チョコとミルクとキャンディすべて攫(さら)われて』

 

Roselia視点

「友希那!やっぱり光凄いねかなりの声量出てるしそれに負けないくらい演奏も凄いよ」

「そうね、でも、この曲はあなたがリクエストしたんじゃない、私個人はせっかくだから私に歌わせたあの曲を歌わせようと思っていたのに」

「まぁそれはともかく今は演奏に集中しましょう」

「りんりん!、同じタイトルなのに全然違うね」

「飛びたいって思うか違うかだよね、多分聞いてれば理由わかるんじゃないかな?」

全員がそれぞれの気持ちや思いで歌を聞いている

 

『流れ流され目覚めるのあたしの名はカナリヤ

漏れる甘い嘘は空(から)

流れ流されもがれるのもう羽なんか無いや

更ける甘い夜の底目背けてればそれで良かったのに

だから籠(ここ)にいたのに

余計なことはしないでよあたしはね

ここがどこだってうたうの!

舞い上がれ魔法とけても

濡れた爪でガラクタ弾き嗤(わら)い

グミとタルトとクリーム全部蹴散らして』

 

ポピパ視点

「ねぇねぇ有咲この歌のカナリヤは飛ぶのかな?」

「聞いてればわかんだろうよ」

「飛んでほしな〜」

「私も飛んで欲しいと思う」

「聞いてればわかるよ」

籠の中のカナリヤは飛ぶことを望んでないけどいつか空に向かって行ってくれるのを信じて曲に耳を傾ける

 

『飛び立て今』

さぁここからだ!飛び立つ時が来た!さぁ歌の翼を広げろ!

『うたっていればそれで素敵なのたけど籠(あれ)は要らない

もうさけんでいればそれだけで無敵なの

だから放っておいてお願い!

目覚めるのあたしの中で疼くのよ「怪物がね?」』

全てを飲み込め!そして歌え!歌の翼を広げろ!

『毒も恋も丸呑みして口を開けて羽などなくてもうたう

遠く遠くへと 丸裸でもいいもう怖くはないわ

うたうのよあたしカナリヤ』

俺は演奏を終えると深く息をはいてから話しかける

「どうだった?」

「最高!光にイノハリ教えてもらってから結構聴いてるけど、多分光以上に歌える人いないと思うってくらい最高☆」

「いつ聞いても凄いわね」

「えぇ本当に」

皆が思い思いの感想をくれた、そしてその後皆は解散した

俺は帰り際にポピパの今の目標を聞いてみた

「あのさ、香澄、今のポピパの目標って何?」

「目標ですか?それはもちろんSPACEでライブする事です!もちろん光先輩と一緒にです」

「SPACEでのライブか、一筋縄じゃあ行かないよ?」

「わかってます!これでも1度オーディションダメだったんで」おたえがそう教えてくれた

「そっか、厳しさがわかってるなら後は努力次第だね」

「はい、なんでたまにでいんで練習見てもらえませんか?」

「まぁcircleにいる時ならいつでもおいで」

「蔵にも来てくださいよ〜」

「暇な時ね」

「残念です」

「忙しいだろうし仕方ないと思うけど私も残念かな」

皆が残念そうだがこればっかりは俺個人の都合もありどうしようもない

「まぁcircleにいる時ならいつでも練習見てあげるからさ」

「わかりました」

香澄はそう言って皆と帰って行った、その後俺はアンプの総点検をして周り異常が無いことを確認し、その報告をして

バイトを終え帰路に着いた

 

次の日俺はいつも通りテスト対策の授業を受け放課後を迎えるとSPACEに向かったオーナーからの呼び出しがあったため放課後に伺うと返答しておいたのだ。自転車を飛ばしSPACEに着くとおたえがバイトに来ていた

「いらっしゃい光先輩、今日はどうしたんですか?」

「オーナーに呼ばれてね、等のオーナーは?」

「呼んだかい?」

声がした方を向くとオーナーが立っていた

「来たね、光、着いてきな」

そう言われ着いていくと俺はライブ会場に着いた

オーナーが俺の方を振り返り告げた

「あんたには先に伝えておく7月の3週目ちょうどあんたらの終業式の日さね、SPACEのライブはその日で最後だ」

「そうですか」

重大な事を聞いたのは間違いはないでも、不思議と驚きはしなかった

「驚かないのかい?」

「正直反応には困ってます。1度だけとはいえLIVEをさせてもらった俺にとっても大切な場所ではありますからね」

「なぜ冷静なんだい?」

「多分、俺が何か言ったところで覆らないってわかってるからだと思います」

俺は顔を伏せながらそう伝える

「それに、俺がまだ続けて下さいって言ってオーナーは考え直してくれますか?」

「無理だね、私はもう、やりきった」

「それが答えだって薄々気付いてたんだと思います。俺の音楽に対する考え方がオーナーと似ているように、どこかでその答えがわかってたからだと思うんです」

「アンタらしい答えだ、まぁせっかく来たんだ、演奏して行きな、観客は今回は私と花園だけだがね。」

「そうさせて貰います」

俺はそう言ってステージに上がるとギターをアンプに繋ぐ

「とりあえず花園を呼んでくるけど、今回の曲はどうするんだい?」

「じゃあ、決意の朝にを演奏します、来るまでにチューニングは済ませときます。」

そうしてオーナーがおたえを連れてきた

「さぁ、いつでも良いよ、自分のタイミングで演奏しな」

「じゃあ、歌いますね決意の朝に」

俺は演奏を始めほんの数秒の前奏の後に歌い出す

『どうせならもうヘタクソな夢を描いていこうよ

どうせならもうヘタクソで明るく愉快な愛のある夢を

「気取んなくていいカッコつけない方がおまえらしいよ」

一生懸命になればなる程空回りしてしまう僕らの旅路は

小学生の手と足が一緒に出ちゃう行進みたい

それもまたいんじゃない?

生きてゆくことなんてさきっと

人に笑われるくらいがちょうどいいんだよ

心の奥の奥閉じ込めてた本当の僕生身の36度5分

飾らずにいざwe don't stopけどまだ強がってるんだよ

まだバリアを張ってるんだよ痛みと戦ってるんだよ

辛い時辛いと言えたらいいのになぁ

僕達は強がって笑う弱虫だ

淋しいのに平気な振りをしているのは

崩れ落ちてしまいそうな自分を守るためなのさ

僕だけじゃないはずさ行き場のないこの気持ちを

居場所のないこの孤独を抱えているのは…

他人(ひと)の痛みには無関心そのくせ

自分の事となると不安になって人を嫌って

不幸なのは自分だけって思ったり

与えられない事をただ嘆いて

三歳児のようにわめいて愛という名のおやつを座って待ってる僕はアスファルトの照り返しにも負けずに

自分足で歩いてく人達を見て思った動かせる足があるなら

向かいたい場所があるならこの足で歩いてゆこう

もう二度とほんとの笑顔を取り戻すこと

できないかもしれないと思う夜もあったけど

大切な人達の温かさに支えられ

もう一度信じてみようかなと思いました』

俺はほんの少しの憂いを帯びた声で歌っていくただただ目の前の2人に聞かせるためだけに

『辛い時辛いと言えたらいいのになぁ

僕達は強がって笑う弱虫だ

淋しいのに平気な振りをしているのは

崩れ落ちてしまいそうな自分を守るためだけど

過ちも傷跡も途方に暮れべそかいた日も

僕が僕として生きてきた証にして

どうせならこれからはいっそ誰よりも

思い切りヘタクソな夢を描いてゆこう

言い訳を片付けて堂々と胸を張り

自分という人間を歌い続けよう』

俺は演奏を終えてどう言葉をかけるべきか迷っているとオーナーが口を開く

「あんた、とんでもなく不器用だね」

「自覚はしてます、俺には肝心な時に伝えられる言葉を見つけられませんだから歌に頼るんです、歌で伝えるんです」

俺は顔を伏せたままそう伝える

「そうかい、あんたもやっぱりここが無くなること惜しんではくれるんだね」

「当たり前です。1度だけとはいえ大勢の観客の前でこんな凄いステージで歌わせて貰えたんですから、感謝こそすれ関係ないと割り切ることは、俺にはできませんどんなに不器用で下手くそでも俺は、いや、僕はここが無くなることを心の底から悔やみます」

「そこまで言うなら、あんたが、このSPACEのラストLIVEの正真正銘の終わりを飾んな!その言葉に嘘、偽りがないならやれるだろ?あんたなら」

俺はその言葉にまっすぐオーナーの目を見て答える

「もちろんです!やらせてください!最高の終わりを彩ります!」

「楽しみにしているよ!さぁ、今日はもう閉店だよ帰んな!花園、アンタもだよ!」

「私もですか?」

「今のアンタじゃあ仕事にならん!光、花園を送って行ってやんな」

俺は何か意図があるのだろうと思い、仕事着のままのおたえに着替えるように伝えあえておたえをその場から遠ざけた

「なにか意図があるんですよね?」

「さすがだね、気付いたかい?」

「何かまではわかりませんが、おそらく1度受けたと言っていたオーディションの件が関係してると思ってます」

「その通りだよ!あの子らはまだやりきってない、だからやりきれるようにあえて突き放すのさ」

「なるほど、なら、突き放した彼女達を俺が支えるのも自由ですよね?」

「本当に面白いねあんたは、いいだろうやりきったと思えるまでやりな」

「そうします、それでは俺達はこれで」

「あぁ」

オーナーに帰る旨を伝えその場を後にしおたえを待って自転車を押しておたえの歩幅に合わせて歩く、帰り道はお互い無言だ、そして無言の静寂を破ったのはおたえだった

「光先輩、今日あの曲を選んだ理由聞いてもいいですか?」

俺は言葉を探しながら答える

「ん〜大切な場所が無くなることをどう伝えていいかわからなかったからこの曲ならって思ったんだ」

「そうなんですか、先輩、オーナーとの約束どうするんですか?」

「やれる事をやるだけ、俺にはそれしか出来ないから」

「でも、光先輩は私達に何より紗綾に勇気をきっかけをあげたんですよね?」

「紗綾はわかるけどポピパになんかしたっけ?」

「とぼけないでください、あの曲私達に何よりその場にいた私に足掻けって言ったんですよね?」

「あぁ〜気づいてた?」

「当たり前です!多分ですけど、オーナーも」

「だろうね、あの人の考え方は俺自身似た考えを持つものとしてわかるから」

「先輩…私達はどうすればいいと思いますか?」

「それを見つけるのは君たちだよ、おたえ誰かを頼ることは悪いことじゃない、でも誰かに答えを求めちゃいけないその答えはその人の答えであっておたえたちの皆で出した答えじゃない、SPACEでのLIVEで歌ったハイスクールにこんな歌詞があったの覚えてる?模範の解答どうだろうと関係ないって部分」

「はい」

「なんならもう一度演奏しようか?」

「大丈夫ですまだ、耳に残ってます。そうですよね、自分自身で答えを見つけなきゃなんですよね!なら私はあきらめない!皆でSPACEのラストライブに出たいから!」

「答え出たじゃん!」

「はい!なんか色々モヤモヤが吹き飛びました、もう大丈夫です!」

「本当に?」

「はい!ありがとうございます。家もすぐそこなので見送りもここまでで大丈夫です!」

「わかった、それじゃあね!困ったら呼んで」

「ありがとうございます。その時はお願いします」

そう言っておたえは長い髪をなびかせて走って行った、俺はその姿が見えなくなるまで見送ると自分の家に向かって家路を急ぐ近づく夏の気配を帯びた風に吹かれながら

 

 




14話どうでしたか?続きが気になると思って貰えたら個人的には嬉しいです
タイトルは多少変更しました、前回の後書きも変更してます
次回でSPACEのライブ編完結です、その後2、3話程度夏休み編を挟んで主人公、光の過去編とガールズバンドカバーライブ編を書いていきますのでお楽しみに
次回「終わりを彩る音と最高の歌」


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第16話終わりを彩る音と最高の歌

終わりを彩る音を探す光が見つけた音と答えは果たして…


SPACEのラストLIVEまで残り1ヶ月と少しとなったとある週末

俺はひたすらにギターを弾き続けている、約束した終わりを彩る音を探すためにただただひたすらにいくつもの曲を演奏しては違うと切り捨てていく、もう何曲目になるだろう?自分でもわからない、気が付くと俺の手は震えていた

「ちょっと休憩するか」

そう言って俺はギターを元の場所に戻し立ち上がると少しだけふらっと視界が眩み、再びベットに座り込む

「なんか、情けないなぁ」

そう呟いて俺はゆっくりと立ち上がり居間を通り過ぎて台所に向かい簡単に昼食の準備をして昼食をとった後再び部屋に戻り今度は立て掛けていたキーボードをスタンドに設置し今度はキーボードを弾く事に没頭する

どのくらい弾いていたのか今度は指がつり痛み出した

「あ痛てて半日近くギター弾いた上に数時間キーボード弾けばこうもなるか」俺は指を擦りながらそう呟くそしてそのままベットに寝そべり少し眠ることにした、目を覚ますと空はオレンジ色に染まっていた、俺はスマホで時間を確認すると夕方の16時だった

「そんなに寝たつもりは無かったんだけどなぁ」

そう思いながら俺は買い物がてら気分転換に外に出る

「にしても参ったな〜」

俺は歩きながらぼやく、そうして歩いているといつかの日に

日菜と紗夜が向き合うきっかけを作った公園に来ていた

「なんだか懐かしいなぁ」

俺は立ち寄り自販機で缶コーヒーを買ってあの時のベンチに座りその缶コーヒーを飲んでいると不意に名前を呼ばれた気がして声がした方を振り返る

「光君?こんな所で何をしているのですか?」

「紗夜、どうしてここに?」

「忘れていませんか?ここ私達の家の近くですよ?」

「そういえばそうだったね、今日は練習の帰り?」

「えぇ、帰り道に通りかかったら光君がいたのが見えたので声をかけさせて貰いました」

「そっか、なら少し話さない?」

「構いませんよ」

紗夜はそう言って俺の隣に座るとケースからギターを取り出し弾いてはペグを緩めたり締めたりしている

「光君、何かありましたか?」

「どうして?」

「遠くから貴方を見かけた時悩んでるように見えました」

「まぁ当たらずとも遠からずかな」

「そうですか、よかったら話してくださいませんか?」

「そうしたいけど、でも、今はまだ自分だけで悩みたいかなって」

「そうですか、では多くは聞きませんのでいくつか質問させてください」

「良いよ、答えられる範囲で答えてあげる」

「あなたが悩んでいるのは音楽の事ですか?それとも自分自身の事ですか?」

「どっちもかな、俺自身が久しぶりに音楽と本気で真正面から向き合わないといけなくてさ、まだはっきり答えが出てないんだ」

「そうなんですね、なら確かに自分自身で見つけなければいけない答えですね」

会話しながらも紗夜はずっと音の調整をしている多分普段の音に近付けて無いのだろう

「紗夜、ちょっと貸して」

「私のギターをですか?構いませんがどうするのです?」

俺はギターを受け取ると軽く弾いてからペグを緩めたり締めたりを2・3度繰り返し紗夜に返す

「これで大丈夫なはずだよ」

紗夜は半信半疑といった表情でギターを弾いた

「私の…普段の音…です」

「でしょ、なんか苦戦してたみたいだから、勝手に調整させてもらったよ」

「どうしてこんな簡単に出来たのですか?」

「普段から練習見てるし、それに、俺がRoseliaのましてや紗夜の音を間違えるわけがないよ」

「そういう所も非の打ち所のない所の一つなのでしょうね」

「どうだろうね、人よりちょっと耳が良いだけかもよ」

「そうかもしれませんね、光君、もしよろしければ一緒に練習しませんか?」

「ごめんね、今日はギター持ってきてないんだ、弾きすぎて指つっちゃってさちょっと休憩してからキーボード弾いてたら指動かなくなっちゃって、今は握ったり開いたりするのも一苦労なんだ」

俺の言葉に紗夜は驚きの表情を浮かべ聞いてくる

「一体どれだけ弾いていたのです?」

「ギター半日、キーボード2・3時間ってとこかな?多分」

「それはやりすぎです!自分をいたわってください」

「いや、なんか無我夢中で」

「限度を考えてください!ハァ〜まぁ良いです。では、演奏を聞いてアドバイスをお願いします」

「それくらいなら構わないよ」

そう言って俺は紗夜の演奏に耳を傾ける聞いていると紗夜の真面目さが伝わってくるような音だった

「光君、何かあったら頼って下さいねあなたがたくさんの人の力になって来たように、私達もあなたの力になれるので」

「ありがとう、なんかいつかの時とは逆になっちゃったね」

俺がそう言うと紗夜は演奏の手を止めて顔を赤くして俯いてしまった

「あの時は…お見苦しいものをお見せしました」

「前にも言ったね、涙は尊いものだって、俺は見苦しいとは思わないし、それこそ涙は大切なものだと思うから、それに紗夜の涙は見苦しくなんかないよ」

そう話していると、俺達がよく知る声が聞こえてきた

「お姉ちゃ〜んもう、こんなところにいた〜ってあれ?ひ〜くん?なんでここにいるの?」

「ちょっと散歩、紗夜とたまたま会って話してた」

「そうなの?お姉ちゃん」

「そうよ、帰り道にたまたま会って話してたのよ後、練習を見てもらっていたわ」

「そうなの?でも、そろそろ帰らないと暗くなるよ」

「そうね、もう少ししたら帰るわ」

俺は何気なしに2人が話している姿を見ていた、俺の視線気づいたのか紗夜が話しかけてきた

「光君?どうしたのですか?私達の顔をじっと見つめて」

「ごめんごめん不快だったよね」

「いえ、別にそんな事は」

「あたしも別にそんな事無いけど」

「いやさ、今更だけど2人ってやっぱり姉妹なんだなって思ってさ」

髪や瞳の色はもちろん、顔立ちまで似ていると改めて思った瞬間だった

「性格とかは正反対っていうか凸凹っていうかさ上手く言えないんだけど、なんかパズルのピースみたいだなって」

「パズルのピースですか?まぁそうかもしれませんね」

「どういう事?」

「つまりさ、パズルのピース見たいにピッタリハマる部分って言うのかな?姉妹で違うからこそお互いに補い合ってピッタリ重なるみたいな、あぁ上手く伝えられないや」

「私は何となく伝わりましたよ」

「ん〜でもな〜」

俺は悩みながら自分の言葉を思い返しピッタリの曲が浮かんだので片耳用のイヤホンを耳にしてからポケットから音楽プレイヤーとして使っている方のスマホを取り出し繋ぐと2人に向け話しかける

「あのさ、今日は演奏は無いけど歌だけ聞いてくれる?さっき自分で言っててこの曲がピッタリかなってのがあったからさ2人にも聞いてもらいたいなって」

「まぁ光君がそう言うなら」

「アタシも良いよ〜」

「じゃあ歌うね!ジグソーパズル」

俺は再生をタッチして曲を流しイヤホン越しに流れてくる曲に合わせて俺は指を鳴らしながら歌っていく

『ジグソーパズルOhジグソーパズルOhジグソーパズルOh

ジグソーパズル

焦らずにゆっくりと作ろう間違えてはまた崩そう

床一面に鏤めたピース何千何万出来のはいつ?

苦手な遊び細かい作業君は言う「そこじゃない」

あぁ惜しいけれどはまらない

絵と形がピタリと合う欠片探し2人手探りでピースを拾って

試すのさここに入れてみようって

どんな絵が出来るだろう?

完成なんていつかもわからないけど徐々に形を成してく

ほら足りない欠片を探して2人で隙間を埋めてく1人じゃ終わらないこのパズルもきっと俺たちならば上手く作れるだろう描かれたのは2人の未来大きな額に飾ろう

このジグソーパズル

俺に無いものは君が持ってる君に無いものは俺が持ってる

合わせれば重なる綺麗に元々2つで1つのイメージ

他じゃダメできる隙間似ていてもきっと無理だ

俺には君だけが必要さ合わせようまるでジグソーパズル

欠けては決して成り立たないよ揃わないのさ

あなたじゃないとこの頃の中にできた隙間に君がはまり』

組立つ俺たちというパズルの出来上がり

ほら足りない欠片を探して2人で隙間を埋めてく1人じゃ終わらないこのパズルもきっと俺たちならば上手く作れるだろう描かれたのは2人の未来大きな額に飾ろうこのジグソーパズル

1人じゃ全然つまらない必要なものが見つからない

どこに行っちゃったの?無くしたら揃わない

「やっぱもうダメかも」諦めたりしたんだよ

でも他は考えられないくらいはまるピッタリ

俺は短気君は温厚俺は細め君は太め

俺は得意君は苦手俺は適当君も適当

変わるなそのままでいいよ抱き合った時の重なり具合も

それ無きゃ中々寝付けないくらいの相性抜群余白無くすまで

続けようジグソーパズル

足りない欠片を探して2人で隙間を埋めてく1人じゃ終わらないこのパズルもきっと俺たちならば上手く作れるだろう描かれたのは2人の未来大きな額に飾ろう…このジグソーパズル

ほら足りない欠片は全部君が埋めてくれた1人じゃ終わらないこのパズルのできた隙間は全部俺が埋めてあげよう

描かれたのは2人の未来大きな額に飾ろうこのジグソーパズル

 

「どうだった?俺の伝えたい事は伝わった?」

「えぇとても伝わりました」

「あたしもよく分かった」

「それにしても、光君って意外と不器用なんですね」

「自覚はしてるよ」

「不器用すぎますよ、あれだけ色々できるのに肝心な所で言葉にして伝えられないなんて」

「アッハハ本当に自覚はしてるんだ、伝えるって難しいよ」

「そうですね、よく分かります」

「話してるところ悪いんだけどさ〜そろそろ帰らないと本当に遅くなるよ?」

日菜がそう言うので俺はスマホで時間を確認すると18時を回っていた

「もうこんな時間か、今日は帰るよ」

「あたし達の家、寄っていかいないの?」

「せっかくだけど、遠慮するよまだゆっくり考えたい事があるんだ」

「そっかァ〜残念、でもひ〜くん前にした約束は守ってね!」

「もちろん!夏休みに入ったら必ず、じゃあまたね」

俺は軽く手を振ってその場を後にし適当に夕飯の買い物を済ませてから自宅に戻り夕飯を済ませてからシャワーを浴びて

部屋に戻り力尽きるまでギターを弾き続けた

次の日、俺は学校に着くと教室には行かずまっすぐ屋上に向かった俺は貯水タンクが備え付けられているスペースに登ると荷物を下ろしそのまま寝そべり空を見上げる

俺はイヤホンをして音楽を聴き始める

「やっぱりまだ答えは出ないままか、きっかけっていうかは見つけてたはずなんだけどな〜」

俺は空に向かって呟く

聴いている音楽が切り替わる

「あぁ、そう言えばこんな曲もあったっけな、久々に弾いてみるか、もっとも、今の俺の手でどこまでやれるかだけど」

俺はバックから小型のアンプを取り出しギターに繋ぎ

軽く弾いてみると不思議と手の痛みは気にならなかった

「本当に俺ってバカで不器用だな、よし!やるか!」

俺は演奏を始める今のこの気分を振り払う為に

『どうしてだろう僕に無いものはずっときれいに見える

いつからだろう比べることで輝き見出してた

霞濁っていく視界取り払おう

眼と耳を塞ぐのは速すぎるから

「真っ白な僕」だと世界を嘆かずに

空っぽの手のひら笑い飛ばしてさ

特別な何かを追い求めなくても

君と笑いあえる僕と笑い、会える焦がれた光の指す場所は想像の先のFLAT』

不思議だ、さっきまでモヤモヤしていた気持ちが晴れていく

俺ってバカで不器用でそれでいて単純なんだな〜だって歌うことは楽しいし何より歌っていれば気分は晴れるから!

『いつからだろう希望は諦めになってしまってた

どうしてだろう叶わない夢だと決めつけるのは

握りしめいた拳解き放とう

今までに悔いるのは早すぎるから

「真っ暗な僕」だと世界を殺さずに空っぽだからこそ

全てになれるの特別な何かを追い求めなくても

君と笑いあえる僕と笑い、会える

焦がれた光の指す場所は想像の先のFLAT』

俺が夢中になって演奏していると扉が開き俺がよく知るいつものメンバーがやってきた

「光〜!朝っぱらから教室にも来ないと思ったら」

「悪いな!でもとりあえず最後まで聞いてってよ!」

俺はそう言って再び歌い出す

『ずっと自分の声には耳を貸さずにいて

君の声を呪ってばかりだったよきっと隠れた光

僕の中に生まれてるって信じるんだ認めてあげるんだ

「真っ白な僕」だと世界を嘆かずに空っぽの手のひら

笑い飛ばしてさ特別な何かを追い求めなくても

君と笑いあえる僕と笑い、会える

焦がれた光の指す場所は想像の先のFLAT』

俺は演奏を終えて楽器をしまうと下に降りる

「全く何があったか知らないけど、朝から演奏するなら言ってよね!」

「いや、俺としてもそのつもりって無かったんだけどね」

「ひ〜くん手は大丈夫」

「あぁそう言えば忘れた、凄い痛い!」

俺は手首を押さえ自分の手に視線を落とすと手が震えていた

「手が震えているわよ、大丈夫なの?」

「かなり痛いけど平気多分昨日からの弾きすぎが原因だし、腱鞘炎にはなってないから」

「念の為に保健室に行くわよ、2人とも光を引きずってでも連れて来なさい!」

「OK!任しとして!」

「あたしも任されたよ!」

「お願いだから引き摺らないでね」

俺はそう言って3人の後に続くそして、荷物はリサと日菜に取り上げられた、そして保健室に行き先生に見てもらった結果

やっぱりというか案の定というか腱鞘炎にはなってはいなかったが2・3日安静にするように言われてしまった

「こうなるのわかってたから嫌だったのに」

「そうも行かないでしょ、とにかく2・3日演奏はやめときなよ光」

「そうよ、あなた弾けなくなっても良いの?」

「そうならないようには気を付けてたってこのくらいなら過去に何度もあったよ!」

「でもさ〜ひ〜くん手が使えなくなるよりはマシでしょ?」

「そうなんだけどさ〜」

俺はぼやきながら教室に向かった、そしてホームルームを受けて一限開始前の休憩時間にまたリサ達がやってきた

「光、ペン持ったりとかは平気なんだよね?」

「最低限は大丈夫」

そういいながらも俺はギターに触っている

「光、安静って言われたんだしギター触るのやめなよ」

「手に馴染んだ感触がないと落ち着かなくてさ、それにさやっぱり弾きはしなくても馴染んだ感触がないとどうしていいかわかんなくなるし」

「でもさ、演奏できないなら歌えばいいじゃん!休み時間ならアタシと日菜でベースとギターくらいなら弾けるし」

「そっか!そうすればひ〜くんの歌聞けるんだ!」

「友希那とデュエットって方法もあるよ」

「って言ってるけど、どうする?」

俺は友希那に問いかける

「やらないわ、LIVEならいざ知らずどうして学校でまでやらなきゃいけないのよ」

「だってさ」

「やっぱりダメか〜」

「ひ〜くんと友希那ちゃんのデュエット聞きたかった」

「まぁ機会があれば友希那もやってくれるだろうし今は諦めよう」

俺がそう言うと2人は頷いて戻って行った

「ところで光、LIVEをやるならゲストとして来てくれたりするのかしら?」

「俺が今の状態じゃなければね〜」

そう言って手を握ったり開いたりしてみせる

「どうしてそう気楽そうにしているのかしら?」

「別に両手使えないわけじゃないし、キーボードなら大丈夫かなって」

「やめておきなさい、あなた一人の体じゃないのだから」

「まぁそうなんだけどさ、こうダメだって言われるとやりたくならない?」

「堪え性がないのね」

そう言って呆れる友希那に俺は苦笑するしかなかった

その後circleでのバイトでも楽器に触れるのは厳禁と言われてしまい仕方が無いのでペンを持って暇な時間は自分の考えをまとめる事に時間を使う、それから2・3日たってもう演奏しても大丈夫だと言われたので、早速ギターを演奏する

「2・3日でもやっぱり鈍るもんだな〜」

そう言いながら適当に曲を弾いていき感覚を戻していくが

それでも自分の中の答えは出ていない

その後の週末、俺は再びギターを弾くことに没頭するそれでも今のまま変わらない

「あぁ〜くそ、見つかんないもんだなぁ〜」

俺は普段から使っている方のギターを置いて代わりに相棒と呼んでいるギターを手に取る

「少し付き合ってくれな相棒」

俺はそう言って何曲か演奏していく中で相棒のギターを常に持ち歩き、演奏していた頃を思い出す

「あぁ、懐かしな、あの頃はお前と一緒にずっと走り回ってたっけな」

懐かしさに笑いが込み上げる

「懐かしいって言えばあれか」

俺はそう言って演奏し始める

『いつも 君と 待ち続けた 季節は何も言わず通り過ぎた

雨はこと街に降り注ぐ 少しのリグレットと罪を包み込んで

泣かない事を誓ったまま時は過ぎ痛む心に気が付かずに

僕1人になった

「記憶の中でずっと2人は生きて行ける」

君の声が今も胸に響くよそれは愛が彷徨う影

君は少し泣いた?あの時見えなかった』

この曲は俺と相棒のギターで1番最初に覚えた曲だ

そして、俺があの時見えなかった景色を見るきっかけをくれた曲だ、ラストライブでは使えないけれど大切な曲だ

『自分の限界がどこまでかを知るために

僕は生きてる訳じゃないだけど新しい扉を開け海に出れば

波の彼方にちゃんと果てを感じられる

僕はこの手伸ばして空に進み風を受けて

生きて行こうどこかでまためぐるよ

遠い昔からある場所夜の間でさえ季節は変わって行く』

俺は歌っていて気付いた、俺は終わりを彩ることばかり気にしていた、でも、それにこだわる必要はないなぜなら、その場所が無くなっても、思いは残り、人はまた会えるそれなら終わりを彩る音はいくらでもある

『雨はやがてあがっていた

「記憶の中でずっと2人は生きて行ける」

君の声が今も胸に響くよそれは愛が彷徨う影

君は少し泣いた?あの時見えなかった』

この曲を歌っていると名残惜しさが込み上げる終わりが近づくに連れてその気持ちは強くなる

『Hello,again a feeling heat

Hello again my old dear place』

ここからは繰り返しだ、俺はこの最後の部分は嫌いじゃない

歌のタイトルを英語で歌っているからだ

『Hello,again a feeling heat

Hello again my old dear place』

歌のラストが教えてくれる大切な場所はここだとここに来れば懐かしい気持ちがそのまま残っているよと教えてくれている

『Hello,again a feeling heat

Hello again my old dear place』

俺は最後の歌詞を歌い終えると名残惜しさが込み上げる

「こんな気持ち久しく忘れてたな」

そう呟く俺の表情は笑っていた、ようやく俺の中で答えが見つかった、その後俺は終わりを彩る曲として

3曲を自分のセトリとして提出した、オーナーはそのセトリを見て俺に問いかける

「どうしてこの3曲にしたんだい?

しかも3曲目は一応アンコールで歌う曲だろ?念の為とは言え、どうしてこの曲なんだい?」

「皆に1つ1つの目標というゴールに向かって前を向いて走れるようにです」

「わかった、このセトリで構わない、その代わり!今まで以上にやり切りな!」

「もちろんです、ラストライブ絶対失敗は出来ませんから」

「その意気だ、それとね、来たよあの子達、まだダメだと思ったからそう伝えたけどね」

「そうですか、これからですよ彼女たちは」

「あんたがそう言うならそうなんだろうね、あんたはあの子らに足りないのはなんだと思う?」

俺は少し考えた後オーナーからの質問に答える

「そうですね、気持ちですかね」

「どうしてそう思うんだい?」

「あくまでも俺の自論なんですけど、彼女たちはまだ1歩を

踏み出したばかりで楽しい気持ちしか知りません、その先にある苦悩や葛藤、後悔の気持ちを知る事でバンドは一つになるものなんです」

「なるほどね、私ははあくまでも熱意を見ているからね

それこそあんたが言った気持ちを熱意に変えられるかが鍵となるだろうね」

「まぁ、当然ですよね、でも、彼女たちは必ずここでのライブの権利獲得しますよ、それじゃあ、俺はこれで」

「あぁ、最後のあ んたの演奏楽しみにしてるよ」

「最後じゃあないです、終わりと始まりの演奏です」

「そうかい」

オーナーはそれだけ言うと店の奥に戻って行った

俺も家路に着いたラストライブまで後、ピッタリ3週間

それからの最初の1週間は学校とバイト以外では許される限り

練習を重ねた、俺にできる最高の演奏をするために

そして、次の日テスト対策の授業が一通り終わり帰り支度をしているとリサ達が話しかけてきた

「光〜最近どうしたの?毎日慌ただしいけど」

「まぁ、ちょっとね」

「何かあったの?」

「ん〜まぁ強いて言うなら任された事があってそれをやり遂げるために奮闘中って所かな?」

「あなたの事だからまた音楽絡みでしょ」

「まぁね、SPACEのラストライブで1番最後に出て歌うことになってさ」

「それって凄いことじゃん!」

「だからだよ!大舞台任されたんだもん、誰にも恥じない最高の演奏を届けないとね、じゃあ俺、帰って練習するから」

「circleでやればいいじゃない、何故そうしないの?」

「いや、行ったら確実に演奏どころじゃなくなるから」

「そう、まぁ良いわ、とにかく光、circleにいる時は練習、必ず見てもらうわよ」

「わかってるよ、忘れてないから心配しないで、それじゃあね」

その後俺は家に帰りまた時間が許す限り練習に励む、そんなこんなでテストも終わり本格的にラストライブが近づく

そんな時、俺の元に沙綾から連絡がきた

「もしもし、沙綾?どうしたの?」

(先輩!香澄が歌えなくなっちゃって!それだけじゃなくて声も、ほとんど出なくなって)

「それ、本当?、だとしたら今は?」

(私達は、香澄を探して回ってるところです!先輩も手伝ってもらえませんか?)

「わかった、見つけたら連絡する」

(お願いします)

俺は電話を切ると着替えて、簡易LIVEセットを持って家を出て香澄を探しに向かう、そしてしばらく走り回ってやっと見つけた、いつか香澄が教えてくれた、りみちゃんとバンドについて話した公園に香澄はいた、俺は近くまで行き声をかける

「香澄」

「光…先輩」

「よかった、全く声が出ないわけじゃ無いんだね、掠れた声ではあるけど声が聞けた」

俺の言葉に香澄が泣きそうな顔で笑う

「あのさ、俺は香澄達のバンドが奏でる音、好きなんだ、皆楽しそうでさ1つの目標に向かって輝いてるあの音が好きなんだ、香澄はさ楽しくなかった?皆で演奏してる時」

香澄は首を横に振り掠れた声で答える

「そんなこと無いです、楽しかったです」

「ならさ、まずはその気持ちを大事にしたらいんじゃないかな?涙すら熱意に変えてさ」

「ありがとうございます、光先輩」

「ううん、これからだよ香澄、俺の歌を聞いてくれる?」

「歌…ですか?」

「そう、俺といや、僕と香澄だけの特別なLIVE」

俺はそう言うとギターとキーボード、そしてその他の道具を準備してからルミナスの姿になり香澄の前に立つ

「こんばんは、戸山香澄さん、今日は君だけのために歌います、聞いてください瞳の先に」

『あの日の涙かれて今 瞳の先には』

俺は香澄に向けて歌うまずはまずは涙を翼に変えるために

『初めは何気ない事をきっかけに人は夢を見る

でも現実に足をとられてもたつき嫌でも「挫折」知る

きっとこの時間も眠る間も惜しんで頑張ってる人もいる

皆生きてく時間と比例して夢が目標に変わりだす

それぞれ皆いくつもの部屋の中

ドアの向こうは夢に続きそうで

そんな時また頑張って僕はもう泣かないから

瞳の先にサンライズ扉開けば無限大に広がる未来に

心託して 走り始めた君たちそれぞれまだ見ぬ世界へ

涙を翼に変えて飛び立とうさぁ

夢破れ傷だらけそれでも立ち上がるその勇気思い出して

未来を開こう』

 

香澄視点

涙を翼に変えてか、下向いてられないじゃん!

私はやっぱり皆とキラキラドキドキしたい!

今が小さな挫折なら立ち上がってみんなと一緒キラキラドキドキするような演奏をしなきゃいけないんだ!

 

『いつからか夢を追うことに意味求めだし

逃げ出した自分可愛がりいいわけ探して

理由なんてなかったはずだあの頃は何も恐くなかった

遠回りしたけれどあの場所までまた戻ろう

僕も君も同じ時間の中考え方や過ごし方は違うけれど

瞳そらさないでそこに壁はないから

瞳の先にサンライズ扉開けば無限大に広がる未来に

心託して走り始めた君たち それぞれまだ見ぬ世界へ

涙を翼に変えて飛び立とうさぁ

真っ暗で自分さえ失いそうな時その勇気思い出して

未来を開こう』

 

香澄視点

私は夢を追うことに必死になり過ぎてたんだ、遠回りしても

目的の場所にまた戻ってこれる、光先輩はそれを教えてくれている、なら立ち止まってられない!

 

『Day by Day忘れないで1人ではない事どんな夜でも

step by step胸に刻んで新たなるスタート何度でも

描いた夢を捨てないでがむしゃらに進む君へ

遠くからだけど、力贈るよ

悲しみのふちに溺れないで崩れ落ちそうな君へ

少しの間唄を贈るよ

いつか見た遥かなるあの夢の向こうまで

その勇気振り絞って空へ羽ばたこう

ぐしゃぐしゃに破いたいつかの地図押し寄せる「リアル」

に耐えられず鏡の前で自問自答込み上げるは正直なMyMind

頑張ってダメになってまた立って胸張って羽ばたいて

ほら笑えるのが人なんだって

あの日の涙かれて今』

 

「どうだった?最初にこの曲を選んだのは香澄の笑顔が悲しそうだったから、今にも泣きそうだったからまずは涙を翼に変えて胸を張って飛び立ってほしいって思いを込めたんだ、じゃあ次に行くねドリームキャッチャー」

俺は演奏と共に歌い出す

『夢を追う中で壁にぶつかりその度にまた夢を語った

何度も何度もあきらめかけたでも君とまた走り出そう

夢を掴む日まで』

俺は歌に思いを込める何度も諦めそうになっても諦めないで夢を掴んで欲しいと言う思いを

『好きになってはじめたことさえも

上手くいかなくて嫌いになったり「どうせダメだ。」って

弱音を吐いていつも逃げてばかりだった

「野球じゃ3回の裏がまだ終わったばかり」と励ましてくれた君がいた 他の誰でもない僕しか自分に勝てないでも1人じゃない仲間がいるこの先のピンチはもう怖くない

夢を追う中で壁にぶつかりその度にまた夢を語った

何度も何度もあきらめかけた でも君とまた走りだそう

夢を掴む日まで

振り返って気づいた事がある

積み重ねた日々は無駄じゃないと夢の数だけ流した涙

今日の笑顔のためにあった

「試合終了その時まで諦めるな」と励ませる人でありたい

他の誰でもない君しか自分に勝てない

ほら手を繋ごう仲間がいる

この先のチャンスを掴みにいこう

「夢を夢のままで終わらせない」

今日も仲間とともに誓った

何度も何度も乗り越えてきたからこの先も大丈夫

心ない言葉に傷ついて「もうどうでもいい。」と

逃げ出した日も 変わらずそっと見守ってくれた

そんな君と見たい夢があるから』

 

香澄視点

歌が、光先輩が逃げないで諦めないでって言ってくれてる

凹んでる場合じゃない!

私は皆とあのキラキラドキドキした舞台に立ちたい!

なら、顔をあげないとね!

 

『夢を追う中で壁にぶつかりその度にまた夢を語った

何度も何度もあきらめかけた でも君とまた走り出そう

「夢を夢のままで終わらせない」

今日も仲間とともに誓った

何度も何度も乗り越えてきたから

この先も大丈夫夢を掴む日まで』

 

俺が演奏を終えると香澄はまっすぐ顔を上げていた

「やっと顔を上げてくれたね!なら俺から送る最後の曲

聞いてください【1人じゃない】」

 

『一人で悩むことなどないんだよだって君は一人じゃない

一人で涙することはないんだよ泣いてるのは君だけじゃないのだから

勇気を出して振り返ってごらん

そこにはきっと君の仲間がいる

恥ずかしいことなんかじゃない一人でいられるほど

人は強くはない

あの時ずっとそばにいてくれたね

それが君の永遠(とわ)の仲間さ

淋しい時は思い出してごらん

会いたい人がいたら会いに行こう

恥ずかしいことなんかじゃない誰もが

友を探して一人あがいている

あの時そっとうなずいてくれたね

それが君の永遠(とわ)の友達

あの時肩に手を置いてくれた人

それが君の永遠(とわ)の仲間さ』

 

俺は演奏を終えてちらりと後ろを振り返り様子を確認して

香澄に声をかける

「香澄、君の永遠(とわ)の仲間が君を迎えに来たよ」

俺が指指す方向には有咲達がいた

香澄は立ち上がって駆け出す

「僕の役目はここまでかな」

そう言ってルミナスから光としての自分に戻り簡易ライブの道具を片付けてから香澄達の所へ行くと

皆で歌えば恐いことなんて無いと言うように全員で自分達が作った歌を歌っていた

香澄も声が戻ってきた

「皆でやれば恐くないか、皆の決断が新たな1歩を踏み出せたってところかな?」

俺の声に気付き香澄達が近寄ってきた

「光先輩!私を励ましてくれてありがとうございます!元気もらいました!」

「良かったね、声が戻って」

「はい!本当にありがとうございます!」

「「「「ありがとうございます!」」」」

香澄に続いて皆にお礼を言われた

「俺はちょっと背中を押しただけだからこれからでしょ」

「はい!今度こそSPACEのステージに立てるように頑張ります!」

「うん、応援してるよSPACEの舞台からね」

「先輩もSPACEのライブ出るんですか?」

「うん、オーナーがね最後のライブお前がトリだって言ってたから俺はステージに立つ側、香澄達は挑戦する側、立場は違っても音楽の聖地を盛り上げる存在なのには変わらないでしょ?」

「そうですね!待ってて下さい!絶対その場所に行きますから!」

「うん、待ってるよ!夢の舞台で」

「はい!夢の舞台で」

俺達は約束を交わしその日は解散した、その後俺の元に香澄から合格しましたと連絡が来たのでおめでとうと言っておいた、そして迎えたラストライブ当日午前中は終業式だ

俺はあまりに退屈すぎて話はまともに聞いていないし半分はほとんどうたた寝していた、そして式が終わり教室に戻ると

リサ達が話しかけてきた

「光〜、夏休みの予定はなんかあるの?帰省するとか?」

「少なくとも帰省はないね、両親には夢叶えるまでは帰ってこなくていいって言われてるし、まぁ帰省しても、墓参りくらいかな?」

「そっか〜じゃあ夏休みさアタシ達Roseliaの合宿に参加してくれない?」

「えっ?俺が?なんで?」

正直circleでほぼ毎日練習を見ているのに合宿で徹底的に俺に練習を見させる気なのかもしれないが、まず大前提として

日程である

「まずもってさ日程は?俺、それによっては8月のシフト表提出する前に変えないと」

「あぁそれもそっか、友希那〜具体的な日程どうなってたっけ?」

リサが友希那に問いかける

「8月の5日から8日までよ」

「じゃあ、その日シフト入れないで置かないと」

「何を言っているの?4日の日から予定を開けておきなさい」

「それこそなんで?」

「合宿に行くのに色々物入りよ買い物に付き合いなさい

もちろんリサも来るわ」

「アタシもなの?」

「当然でしょう」

「ん〜まぁ元々その日はアタシもバイト入れてないし

いっか、光〜アタシと友希那で両手に花でお出かけだよ?嬉しい?」

「今から胃が痛い、俺、Roseliaのファンから物凄く不況買いそうで」

「そんな事ないから安心しなよ」

そんな話をしていると今まで静かだった日菜が話し出す

「ひ〜くんアタシとの約束も忘れないでよ〜、一緒に星見るんでしょ〜」

「それは夏休み入ってからならいつでも大丈夫だから」

「本当に?じゃあ、また1日マネージャーもしてくれたり〜」

「しません!なんで俺を仕事について行かせようとするの訳?パスパレメンバーだけでいいじゃん!」

「えぇ〜たまにはいいじゃ〜ん」

「あの時練習時間になった段階で俺、千聖に引っ張られてったの忘れた?やだよ俺、あっちこっち行って挨拶して話してってさ〜疲れるし」

「じゃあ、代わりに夏休みどっか遊びに行こう!」

「日菜の仕事がない日ならね」

「あっ!でも、仕事次第では千聖ちゃんがoffなら千聖ちゃんも多分来るかな?ひ〜くん千聖ちゃんとは1回デートしてるもんね」

日菜の発言にリサと友希那が反応して俺の肩を掴む

「光〜今のどういう事かな〜?アタシらとは1回もデートしてくれてないのに、パスパレメンバーの女優の子とはデートしたんだね〜」

「詳しく聞かせて貰おうかしら?」

2人とも笑顔が恐いしなにより掴まれている肩が痛い

「待って、待って、痛い痛い!あの時は千聖の友達が道に迷ってたのを助けたお礼にコーヒーと軽食奢ってもらっただけだから!」

「本当にそれだけ〜?」

「その後演奏したけど、それ以上のことは無かったってば!」

「でもさ本当に仲良さそうにしてたよね、ほら、写真でも千聖ちゃんが今まで見たことないような笑顔だし」

そう言ってスマホで写真を見せる日菜からは悪意やからかいの表情は見て取れない

「ほっほ〜う、光〜まだ秘密にしてる事あんるじゃな〜い?」

「キリキリ吐いてもらおうかしら?」

「この写真はちょうど影になってて分からないけど千聖とは反対側にもう1人いたし!あぁほら、彩と一緒のところでバイトしてるふわふわした水色の髪の子、あの子がね道に迷ってて千聖と会う約束してたらしくて、送ってったらお礼にって言うからさ!その後音楽の話になって流れで1曲演奏したけど、本当にそれだけだから!」

俺は必死に説明するが追求は止まらない

「そういえばあなたGW明けの第2土曜バイト休んでいたわね、その時は何があったの?」

「あぁ〜よっ用事でさちょっと都内にその…いなくて」

「怪しいわね」

「お願いだからこれ以上は許してくれたりしない?その代わりさ、なんでも1つ言う事聞くからさ!」

「だってさ友希那」

「なら、合宿の時の食事は全て光が担当と1日1曲演奏するという条件でヨシとするわ」

「助かったような、そうでもないような?」

そうしている間に先生がやってきて休み前最後のホームルームを受け解散となった

「光〜、今日のライブ光の出番何時くらい?」

「19時か20時くらいかな?俺、出番最後だし」

「じゃあ一応19時には会場入りしとくね」

「えっ?来るの?」

「当たり前じゃん!あの場所で光がどんな曲を演奏するのか楽しみだしね!」

「そうね、私も楽しみよ、あなたの舞台を見届けるために私達RoseliaはSPACEのラストライブを辞退したもの」

「あたしもそれに賛成したし、光の演奏絶対見に行くからね〜」

そこまでして俺の演奏を聞きたいと思ってくれたならそれに答えない訳にはいかないだろう、全力を持って答えさせてもらおう、そう思い返答する

「わかった、楽しみにしててよ!最高の演奏するからさ」

俺の言葉に3人は頷いた、そして俺は家に帰ると軽く仮眠をとってからアコギと相棒と呼んでいるギターの両方を持って家を出てSPACEに向かう、30分程で到着し

俺はオーナーに挨拶する

「お疲れ様ですオーナー」

「来たね、あんたの出番は最後だ控え室で待ってな」

「わかりました」

俺は言われた通り控え室に向かい扉を開け挨拶する

「こんばんは、今日はよろしくお願いします」

俺が挨拶すると他の達も「よろしく〜」だとか「どうも〜」と返答が返ってくる

「光先輩!」

名前を呼ばれ振り返るとポピパのメンバーが揃って話しかけてきた

「やぁ、皆こんばんは」

「こんばんは、約束果たしに来ました!」

「うん、待ってたよ!香澄、皆もね」

俺の言葉に皆がそれぞれ頷く

そうして話しているとグリグリの人達がやってきて話しかけてきた

「皆の知り合い?」

「はい!宮村光先輩です!」

「そう、よろしくお願いします。私は牛込ゆりそこにいるりみの姉です」

「こちらこそ、宮村光です、後、敬語要らないですよ、俺、17なので」

「えっ?嘘!?大学生くらいだと思ってたのに」

「よく間違われるんですけど一応まだ高2です」

そう話しているといきなり髪をぐしゃぐしゃされたので俺は驚き顔を上げるとグリグリのドラマーの人が俺の顔をぐしゃぐしゃしている

「わしゃわしゃ〜」

「あの!やめてもらえませんか!?俺、今髪の毛ワックスつけてるんで多分ベタベタなりますから」

「洗えば大丈V!」

「いや、そういう問題じゃ…」

俺が戸惑っているとりぃちゃん先輩が止めてくれた

「助かりましたりぃちゃん先輩」

「お安い御用さそれにしても、今日は一段と大人っぽいね」

「まぁ一応ライブ衣装なんでこれ」

そう話している間にも色んなバンドがステージに上がっていく、そしてポピパも出番が近づき舞台袖に移動する

「光君だっけ?あのさ、こんな事頼めた義理じゃないんだけど、今、歌ってる子達とポピパの子達大事な後輩なんだ、私達はもうすぐ卒業しちゃうからさ身近にいられなくなるの、だからさ、君が導いて上げて欲しいの」

「俺がですか?」

「少なくともポピパの子達は君を慕ってるだから困った時は力になってあげて、それも導く事に変わりはないから」

「まぁそのくらいなら全然、むしろ得意分野ですから」

「ありがとう」

「いいえ、いい先輩ですね」

そう話しているとオーナーがやってきた

「光、準備しな!そろそろアンタの出番だよ!」

「はい、今行きます」

俺はそう言って控え室を出て舞台袖に移動する

そして、ポピパの最後の曲が終わり戻ってくるとオーナーが出ていき話し出す

「皆、ラストライブに集まってくれた事、心から感謝するよ

バンドの演奏はさっきの子達が最後だ、でもね、まだ終わりじゃない!ラストライブのトリを飾るのは彼だ!出ておいで!光!」

俺は1歩を踏み出しステージ袖から出てステージの真ん中に立った

「さぁ、ラストだ!アンタの最高の演奏を期待しているよ!」

「もちろんです!、皆さん今日はラストライブに来てくれたこと僕からも感謝を伝えさせてください、ありがとうございます、じゃあ早速1曲聞いてください、またあえる日まで」

俺はアコギを弾きながら取り付けていたハーモニカを吹いて前奏を奏でていきそして歌い出す

『青い空白い雲勇気を持って踏み出そう

思い出すと笑いあえる楽しい思い出

大好きな皆の笑顔が宝物強いきずなを僕は忘れないよ …

またあえる日まで夢を忘れずに

変わらないままでずっといようよ

またあえる日まで夢を叶えよう信じる事が心を繋ぐ』

 

この場所が無くなってもここで出会えた仲間とはまた会える

その仲間との約束をまた会える日までに忘れずに叶えられるようにそんな思いを込めながら演奏していく

 

『自分を信じて1歩進めば何かつかめるさ

少し夢を大きくして君は1人じゃないから

一生に一度の宝物 さみしいけれど泪ふいて旅立とう…

またあえる日まで流れ星に願った

飾らない心でずっといようよ

またあえる日まで輝く星に誓うよ

出逢えたことを忘れはしない』

 

僕は再びハーモニカを拭きながらラストの繰り返しの部分を歌っていく

『またあえる日まで… またあえる日まで…

またあえる日まで…』

演奏を終えると、今度は相棒のギターに持ち替えてから

マイクを通して話し出す

「1曲目はまたあえる日までを演奏しました、この場所が無くなってもまたあえる日まで仲間と誓った夢を忘れずにいて欲しい、夢を叶えて欲しいと想いを込めました、そして、楽しい時間ってあっという間で俺の演奏は次がラストになります」

俺の言葉に観客の人達は「えぇー」だとか「もう終わり」と言う声が聞こえてくる

「惜しんでくれるのは嬉しいですけど、とりあえずもう一曲あるので聞いてください、それじゃ演奏します聞いてください

オワリはじまり」

 

『もうすぐ今日が終わる やり残したことはないかい

親友と語り合ったかい? 燃えるような恋をしたかい

一生忘れないような出来事に出会えたかい

かけがえのない時間を胸に刻み込んだかい』

 

ポピパ視点

「凄い、いい曲だね」

「なんか問いかけられる感じなんだけど、凄い優しいよね」

「凄いキラキラしてるよ〜」

「わかる〜!」

「私も同感」

今日という日を悔いのないように過ごしてと言われているような曲だと思った

 

『夕飯時 町 人いきれ「ただいま」と「おかえり」の色

せわしない 木漏れ日 花びら「おはよう」と「さよなら」

の音

ありふれた日々が君や僕の胸に積もって光る

もうすぐ今日が終わるやり残したことはないかい

親友と語り合ったかい?燃えるような恋をしたかい

一生忘れないような出来事に出会えたかい

かけがえのない時間胸に刻み込んだかい』

 

りさ、友希那、日菜視点

「なんか、終わりって感じするね」

「えぇ、改めて終わりを実感させられるわ」

「そうだね〜多分ひ〜くんにとっては今この瞬間がかけがえのない時間で一生忘れない思い出になるんだろうな〜」

「なんか、わかる気がするな〜」

「本当にね」

そう言って周りを見渡すと観客の何人かは泣いているこの場所が無くなってしまう事、ラストライブが終わってしまうこと光の演奏が物語っている

 

『今 動き始めたものやもう二度と動かないもの

今 灯り出した光や静かに消えてく光

この夜の向こうで新しい朝が世界に振り始めている』

 

本当にもうすぐ終わる俺自身がやり残した事のないように精一杯歌を届けよう唄おう。

 

『旅立ちの時はいつだって少し怖いけど

これも希望のかたちだってちゃんと分かってる

思い出に変わるのはきっと最後の最後さ

笑って「さよなら」言えたらいいな

またすぐ明日に変わる忘れてしまっていないかい

残された日々の短さ過ぎ行く時の早さを

一生なんて一瞬さ命を燃やしているかい

かけがえのない時間を胸に刻み込んだかい

もうすぐ今日が終わるもうすぐ今日が終わる

かけがえのない時間を胸に刻み込んだかい』

 

演奏が終わると皆から拍手が送られそれと同時にこだまするアンコールの声、まだ終わって欲しくないんだろう、俺だってまだ終わらせたくない!

「アンコールに答えてもう一曲!これが正真正銘最後の曲です!負けないで!」

俺は演奏を始める今だせる全力をのせて!

『ふとした瞬間に視線がぶつかる

幸福(しあわせ)のときめき覚えているでしょ

パステルカラーの季節に恋したあの日のように輝いてる

あなたでいてね

負けないでもう少し最後まで走り抜けてどんなに離れてても

心はそばにいるわ追いかけて遥かな夢を

何が起きたってへっちゃらな顔してどうにかなるさと

おどけてみせるの今宵は私(わたくし)と一緒に踊りましょ

今もそんなあなたが好きよ忘れないで

負けないでほらそこにゴールは近づいてる

どんなに離れてても心はそばにいるわ

感じてね見つめる瞳』

 

観客視点

「さっきまでの感動が嘘みたい!」

「本当本当!盛り上がるこの曲!楽しい!」

「この気持ちのまま追われるなんて最高!」

皆が皆歌に聴き入り盛り上がって気分が高揚していく

最高の終わりを感じながら

 

『負けないでもう少し最後まで走り抜けて

どんなに離れてても心はそばにいるわ

追いかけて遥かな夢を

負けないでほらそこにゴールは近づいてるどんなに離れてても心はそばにいるわ感じてね見つめる瞳』

 

「ありがとうございました!これが正真正銘最後です!この場所が無くなっても今日というかけがえのない思い出が皆さんの心に記憶に残るよう祈ってます!」

俺はそう言ってステージを後にした、その後俺は控え室に戻ると沢山の賛辞を貰い俺も感謝を伝え皆解散する

 

そして、閉店し真っ暗になったSPACEを見つめる俺達

「終わったな、夢の時間が」

「そうですね!でも、皆が最高の気持ちと気分で終われました光先輩のおかげです!」

「その通りだ!」

声の先にはオーナーがいた

「オーナー、俺は約束を果たせましたか?」

「もちろんだ!ラストライブにふさわしい音だったよ」

「光栄です。俺みたいな駆け出しの半端者をこんな大舞台にあげてくれたんですからね」

「何が半端なもんか!あんたの音は誰よりも洗練されて研ぎ澄まされた音だった!誇りな!この私にそこまで言わせたんだ!必ず夢を叶えな!」

「約束します、この場所にそしてなにより俺自身に誓います

いつか必ず誰もが認めるカバーアーティストになります!」

「その言葉忘れるんじゃないよ!」

「はい!」

俺の返事を聞くとオーナーは去っていく

「あの!オーナー!ここで歌わせてくれてありがとうございました!」

俺は最後に頭を下げると香澄達もそれに習い頭を下げる

「「「「「ありがとうございました!!」」」」」

オーナーは振り返り言った

「最後にもう一度聞くよ?やりきったかい?」

俺の返答は決まっている

「俺の全身全霊を持ってやりきったと誓います!」

「私達もです!1人じゃないから出来たんだってやりきれたんだって今なら言えます!」

香澄はそう言って他のメンバー達を一人一人見て行く

他のメンバー達は無言で頷く

それを見たオーナーは満足そうな笑みを浮かべて

最後に言った

「なら、これからも夢を追い続けな!やりきったと思えるまでね!」

「わかりました」

「はい!私達も頑張ります」

オーナーはその返答を聞くと今度こそ去っていった

「私達も帰りましょう!光先輩!」

「俺はもう少しここにいるよ、多分羽丘の友達が迎えに来ると思うから」

「そうですか、じゃあ私達はこれで失礼します!」

「うん、またね皆!」

「さようなら、光先輩!」

「先輩!またね」

「あっあの!さようなら」

「また会いましょう先輩」

皆は別れを告げ帰って行った、そして、俺の後ろに並ぶように立っているいつものメンバーを振り返る

「いたなら声掛けてくれてもよかったのに」

「そういう訳いかないでしょ!アタシらは悪魔で今回は部外者なんだから」

「そうよ、それに水を差すほど私達は野暮じゃないわ」

「まぁそうだよね〜」

「ハァ、まぁいいや、帰ろう、俺達も」

「だね」

「えぇ」

「うん!」

俺達は揃って歩き出す、俺はもう一度その場所を振り返り

聖地とまで呼ばれた場所にもう一度礼をしてその場を後にし

数歩先を歩いているメンバーに合流する

「明日から夏休みだね」

「そうね」

「そうだね〜」

「あぁ、そうだね」

俺達は明日から始まる夏休みに思いを馳せながら家路に着いたのだった、夏独特の湿気を帯びた風に吹かれながら

 

 

 

 

 

 




SPACE編完結です!正直ラストをどうするかかなり迷いました。それでも一応自分が納得の行くものをと思いながら書きました、皆さんも楽しんで貰えたら幸いです
次回から夏休み編に入っていきます、3話程度を予定してますが、もしかしたら増えるかもしれませんがそれはおいおいでということで、それではまた次回に

次回「夏休みの課題と天体観測」


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夏休み編
第17話夏休みの課題と天体観測


夏休みに入った光は一時の休息を楽しみつつ音楽活動に勤しんでいく


夏休みが始まって早いものでもう1週間が経過した

俺はバイト先と家、そして普段から買い物に行くショッピングモールの3箇所を行ったり来たりしながら過ごしていた

そして、現在、俺は計画的に進めている夏休みの課題に勤しんでいる

「暑っつい!暑い!暑すぎて灰になるよ!」

1人でブツブツ言いながらも手を動かす

一応窓を開け扇風機はつけているが、クーラーはつけていない、クーラーをつけると家から出るのも億劫になるためだ

「あぁ〜ダメだ!このままじゃ集中できないや!」

俺は着替えを持って部屋を出て風呂場に行きシャワーで汗を流し着替えてから再び課題に集中するが、動いている間はともかくじっとしているとやはり暑い

「仕方ない、図書館行くか」

俺は課題と最低限の貴重品を持ち戸締りをして一応クーラーをつけてから出かける

「家に入った途端外より暑かったら嫌だしね」

そう自分に言い聞かせながら図書館に向かう

家からcircleに向かうのとは反対方向に20分程自転車を走らせると目的地に到着する。俺は自転車を置いてから中に入る

「やっぱり図書館涼しいな〜」

そう言いながら手頃な席につき課題を進めていく。

どのくらい集中していたのか自分でもわからないがペンを置き少し身体を伸ばすと肩や指先がポキポキと鳴る。

課題の進み具合もキリが良かったので気分転換に本でも読もうと席を立った時、俺のスマホが振動し着信を告げる

俺はスマホを取り出し画面を確認するとひまりからだった

「珍しいな、ひまりから電話なんて」

俺はそう呟き電話に出る

「もしもし、ひまり?どうしたの?」

(ふえ〜ん!!光さ〜んお願いします〜助けて下さ〜い!!)

俺はスマホを耳から遠ざけるが耳がキーンとなるのは避けられなかった

「まずは落ち着いて、俺今、図書館だから一度外出るから待ってて」

(はい、わかりました〜)

俺は画面を操作しミュートにすると荷物を持って図書館を出てからミュートを解除しスピーカーにして話し出す

「ひまり?聞こえる?それで、何があったの?」

(聞こえてます、実は夏休み始まって1週間も経つのに課題が

3分の1も終わってなくて、皆と一緒にやってはいるんですけど、自分のだけで精一杯になっちゃってどうしようもなくて

だから光先輩を頼らせてもらおうと思って)

俺は内心そういう事かと思いながら返答する

「ちょっと待って、いくつか確認していい?」

(いいですけど、なんですか?)

「1つ場所はどこ?つぐみの家?」

(はい!羽沢珈琲店にみんないます)

「2つ教えるにしても教科書がないと俺も教えてあげれないけど持ってきてる?」

(一応教科書と、課題とのにらめっこ状態なので大丈夫です)

「最後に、今の進捗状況は全課題を10で例えるならどのくらいなの?」

(えっと、多分2か3程度かと思います)

そりゃ確かに3分の1も終わってないなと思いながら俺はもう1つのスマホで時間を確認する、時間は10時を少し過ぎたくらいだったので俺はひまりに到着予定時間を伝える

「一応、一度家に戻ってからだから、10時30分から40分くらいにそっちに行くよ」

(わかりましたぁ〜)

俺はひまりの返答を聞くとうだる暑さの中再び自転車を飛ばし家に戻ると自分の課題を置いて代わりにノートを数冊バックに入れた後クーラーボックスを用意して2・3日前に作ったケーキを入れて家を出る

そして商店街にある羽沢珈琲店に着いた俺は扉を開けて中に入る

「こんにちは〜光だけど、」

「あっ!光さん、こんにちは、もしかしてひまりちゃんに呼ばれました?」

「まぁね、課題見てほしいって」

「そうなんですか、じゃあ案内します。」

「よろしく」

俺がつぐみに案内されていくと店の奥の方に教科書と課題を広げている4人がいた

「皆、光さん来たよ。」

「おまたせ〜」

俺はヒラヒラと手を振りながらそういうと、俺の姿を見て安心したのかひまりが抱きついてくる

「ふえ〜ん!光さ〜ん」

「はいはい、よく頑張りました」

俺はそう言いながらひまりの頭を撫でると落ち着いたのか少しだけ力が抜けたようだ

「落ち着いた?」

「はい…」

「じゃあ、離れてくれると嬉しいんだけど…」

「もう少しこのままって…わぁ!」

「いつまで、光さんに引っ付いてんの!光さん困ってるでしょうが!」

「アッハハ、1男子としては悪い気はしないけど、多分汗かいてるし、汗臭かったら嫌だしね」

「すいません、そこまで気がまわならくて」

「ちょっと〜蘭〜!」

ひまりの代わりに蘭から謝罪された

「蘭嫉妬してる〜」

「っ!モ〜カ〜!」

どうやら蘭がお怒りのようだ、物凄く顔を真っ赤にしている

「なぁ、勉強ってか課題やるんだろう?せっかく光さん来てくれたのにこんな事で時間潰していいのかよ?」

巴の言葉で蘭は我にかえる

「申し訳ないっスね光さん」

「別にいいよ、傍から見てる分には仲の良さが伝わってきて微笑ましいし」

俺はそう言って近くから椅子を持ってきて座る

「それで、皆の進捗状況はどんな感じ?」

「えっと先ずはアタシから、アタシは国語以外は全体的に半分行くか行かないかなってくらいは終わってます。文章とか文法とかってアタシ、どうも苦手でまだ計算してた方がマシですね」

巴がそう言うとそれに続いて蘭が話し出す

「私は、全体的で見るとちょうど3分の1くらいで1番進んでないのが英語です、訳とかよくわかんなくて」

俺はとりあえず頷いてモカとひまりを見る

「モカちゃんはね〜蘭より少し進んでるくらいで〜世界史が全然だね〜」

「私はさっきも言ったように3分の1進んだか進んでないかくらいです、数学は比較的得意なので得意教科からやってましたね」

「じゃあ最後につぐみは?」

「私はちょうど半分くらいですかね?科学が残念な事にあんまりです」

「わかった、ごめん、ちょっとだけ考えさせて」

俺はそう言って考える

(全体的には皆、それなりに進んではいるんだよな〜ならこのまま現状維持で進めていくしかないかな?)

俺はそう思い話し出す

「とりあえず、ひまりは引き続き数学で他のメンバーは苦手教科を頑張ろうか!つぐみもね」

「私もですか?」

「家の手伝いも大事だけど、まずは課題、片付けちゃおう」

つぐみは少し考える仕草をした後に頷いて答える

「わかりました、じゃあわたしも課題持ってきますね」

「あっ!そうだ、つぐみお店の冷蔵庫にこれ入れといてくれる?」

そう言って箱を手渡す

「いいですけど、なんですか?これ?」

「まだ内緒、勝手に見たらおしおきで俺からのあーんの刑だから」

「それは集中放火を浴びるので遠慮します」

つぐみはお盆で顔を半分程隠しながらそう言ってパタパタと店の厨房に入っていった

「光さん、あの中身内緒って言ってましたけどヒントくらいくれません?じゃないと課題が手につかないですよ〜」

「アッハハ、仕方ないな〜、じゃあヒントね女の子は皆好きな食べ物だけど、食べすぎたら後が怖いもの」

「甘い物ですね!」

「正解じゃあこの調子で頑張ろうか」

「はい!今日中にせめて半分!頑張るぞ〜エイエイオー!ってなんでノッてくれないの〜!」

「まぁいつも通りに」

「その通り〜」

「アッハハ、まぁとりあえず始めようか」

そうして話しているとつぐみが合流し勉強会が開始された

「光さん、ここってこっちの公式で解けばいいんですか?」

「あぁ、こっちは例題2の公式を使うと途中式が1つ短縮できるからこっちでやってみて」

「わかりました」

「光さんこれってこの訳であってます?」

「これは、なぜそうしたか、なぜそうなったかだから」

「つまり結果でなくて仮定の話だからちょっと違いますね」

「そういう事」

俺は蘭とひまりに並行して教えていくその傍らモカ達のほうも気にかける

「そっちはどう?」

「ひかるん先輩ここってどこ〜?」

「ちょっと見せて、って世界地図書き写しかぁ〜ちょっと待ってて」

俺はそう言って地図帳を出してモカに見せる

「これで大丈夫かな?」

「わかるわかる〜」

「光さん、この主人公の気持ちになって答えましょうってどうすれば?」

「これは感じたままを書くんだよ、例えばこのページのこのシーンなら皆と一緒で楽しそうとか、そんな簡単で大丈夫だから」

「個人の意見が大事って事なんですね」

「そういう事」

「光さん、実験器具の名称って」

「それはね〜このページに大体乗ってるよ、ないヤツあったら言ってね〜」

「光さん、ここはこれであってますか?」

「どこ?あぁ問7?大丈夫だよ〜って蘭、そのスペル間違ってるって!今蘭がやってるところはWhydone itなぜそうしたかの過程を求められてるからそこはwhodone it誰がそうしたか、誰がやったのかを聞かれてるんだよ」

「なるほど〜って光さん!!」

「何?どうかした?」

蘭が突然怒り出した、俺は意味がわからず困惑する

「さっきから私達全員の課題見てますよね?」

「そうだね、でもそれが何?」

「何じゃないですよ!どうやったら皆が皆、違う課題やってるのに同時進行出来るんですか!」

「あぁ、そういう事、俺、普段から2教科同時に勉強してるから、このくらいなんて事ないよ」

「2教科同時ってそれ頭に入ります?」

「なれれば効率はあがるけどオススメはしないよ、英語と数学の同時進行、地理と世界史の同時進行、科学と国語同時進行って教科分けないと無理だからね」

「いやいや、多分それができるのは光さんだけですからね

多分」

「というかひかるん先輩いくつか質問していい?」

「俺に答えられることならね」

「じゃあ質問〜今回の期末テストの順位は~?」

「ピッタリ真ん中50位だけど?」

「その2〜普段からの勉強時間は〜?」

「テスト前以外は全然しないよ?」

「じゃあ最後〜今回のテストで1番悪かった点数教えて〜」

「英語かな?62点」

「じゃあ逆はどうなんですか?」

「1番良かったのは国語で88点だね〜」

「光さんって何者?完璧超人?」

「違うって!そんな完璧じゃないからね、これでもかなり不器用だし、堪え性ないよ俺」

俺がそう言うと蘭とひまりからジト目を浴びた

「実際見た訳じゃないからイマイチ信用出来ないんですけど…」

「私も蘭に賛成です」

「そう言われてもな〜」

俺は頬を掻きながら答える

「まぁ光さんがこう言ってんだし、とりあえずもう少し頑張ろうぜ2人とも」

「まぁそれはそうだけどさ」

そんなこんなでとりあえず皆が課題を再開する、そして少しの間集中しているとお昼の鐘が鳴った

「もう、こんな時間か、とりあえず一休みしようか」

「ですね、光さん、お昼はご馳走様させて下さい」

「つぐみの手料理?」

「はい、と言ってもお店のメニューからですけど、」

「十分だよ、じゃあナポリタンとオニオンスープを頼むよ」

「わかりました、皆はどうする?」

「モカちゃんはパンがあるのだ〜」

「アタシ等もなんか食べようぜ」

「だね〜お腹すいた〜」

「賛成、とりあえずなんか食べよう」

そう言って全員食べたいものを注文する

つぐみは注文を取り終えると厨房に入って行く

そうして待っていると30分もしないうちに全員分の注文が揃ったので俺達は食べ始める

「うまい!最近食べた麺料理の中で1番かも!」

「光さん大袈裟ですよ!」

「いや、本当に美味しいから」

俺はそう言って笑いかけるとつぐみは嬉しそうに笑っている

その様子を見ていた蘭からなんとも言えない質問が飛んできた

「光さん、もしかしてつぐみの事口説いてます?」

「は?違うけどなんで?」

「いや、傍から見たらそう見えますし」

「残念だけど、そのつもりはないよ、俺が仮にここにいる誰かと恋仲になったとしてそれで今のAfterglowのいつも通りが無くなるなら俺は誰かを選ばないし誰にも俺を選ばせない」

「光さん…」

俺の言葉に全員が黙ってしまう、俺は仕方なく手を叩いて切り替えるよう諭す

「ほらほら、せっかく作ってくれた料理冷めちゃうよ」

「そうですね」

そう言って皆は食事を再開するそして食べ終わると少し休息を挟んで課題を再開しそこから1時間程で全員が1教科の課題を終えた

「終わった〜なんかいつもより集中出来てた気がする」

「間違いないね、だって多少進めてたとはいえ課題終わったんだよ1教科だけだけどさ」

「ホントにね〜」

「光さんのおかげかな?」

「絶対そうだよね」

「俺はちょっとヒントを出したり教科書にそってちょっと手助けしただけで殆ど自分達の力だよ」

「だとしても光さんの力添えなくちゃ終わんなかったですって!あとは皆終わった教科事に写合えば終わりですよ!」

「だね、じゃあ最後のご褒美だね、つぐみ渡してた箱持ってきて」

「はい!じゃあ取ってきますね」

そう言ってつぐみ厨房へ行き箱を持って戻ってきた

「中身は甘い物なんですよね?」

「そうだよ、開けてみて」

つぐみが箱を開ける

「ケーキが入ってるよ!しかも全部違うやつ!」

「これ、どうしたんですか?」

「2、3日前に作ったやつなんだけど、俺1人じゃあ食べきれなくて、おすそ分けって事で食べて」

「じゃあ、お言葉に甘えて」

そう言ってそれぞれが食べたいものを選んで食べ始める

「なにこれ?めっちゃ美味しい!」

「喜んで貰えて良かったよ」

「光さん非の打ち所無さすぎですよ」

「ふにゃふにゃの笑顔言っても説得力ないよ蘭」

「ひまりだってそうじゃん」

「でも、本当に美味しいですよ」

喜んで貰えて良かったと思いながら俺はふと時計を確認すると

14時を少し回ったところだった

「今日はこの後どうするの?」

「課題が一段落したんで、適当に時間潰しますよ、今日のところはですけど」

「練習はしないの?」

「今日は多分課題で1日終わると思ってましたし、今日だけは辞めときます」

「そっか、じゃあ俺は帰るよ」

「もうですか?」

「ちょっと思い出した事があってそれを、やっておきたくてさ」

「そうですか、じゃあ店の前までですけど、皆で見送りしますね」

「ありがとう、じゃあお願いするね」

そうしてAfterglowの皆に見送られその場を後にした

そして俺は自宅に帰ると簡易ライブセットを広げラジカセを用意して5曲程曲を録音して編集作業に入る。

正直俺はこの時間が嫌いじゃないそう思っている

部屋はクーラーで冷やされていたため外から入ってくるぬるい風すら心地いい

「よし!こんなものかな、今回は余裕があるしね」

そう言って時計を確認すると17時だった

帰ってきたのが15時、曲の録音や楽器の準備などで1時間とまではいかなくても、それに近い時間を要したのは間違いないので実質編集時間は1時間程だ

「今回は余裕があるしまぁこんなもんだよね」

そう言って身体を伸ばしていると俺のスマホが着信を告げる

「誰だろう、こんな中途半端な時間に」

俺は着信の相手を確認すると日菜からだった

「あいつ、今日仕事じゃなかったのかな?」

そう呟き電話に出てスピーカーに切り替える

「もしもし、日菜?どうしたの?こんな時間に」

(あっ!ひ〜くん、あのさ、前から約束してた天体観測だけど、今日じゃだめ~? )

「俺はいいけど、なんで今日?」

(実は、明日から2、3日パスパレのロケでこっちにいなくて、だから戻って来てからよりは今日の方が良いなって)

「そういう事ならいいよ、何時にどこ行けばいい?」

(じゃあ、ひ〜くんがアタシを迎えに来てそのまま学校に行こう!)

「それって家に行けばいいの?」

(うん、よろしくね〜)

「わかったよ、その代わりちゃんと俺が迎えに行くことと部活動で出掛けること紗夜に言っときなよ、俺が後でドヤされたりとかするの勘弁だからね」

(わかった〜じゃあ、アタシの家に19時30分ねアタシの家からでも30分あれば着くでしょ?)

「俺の家からならその半分で済むけどね、まぁいいよとりあえずその時間に行くから」

(うん!後、楽器持ってきてよ!)

「言うと思った、わかった簡易ライブセット持っていくよ」

(やった〜じゃあ楽しみにしてるね!じゃあまた後で!)

「うん、また後で」

そう言って電話を切ると俺は1時間程仮眠をとることにした

そして1時間後、俺はアラームの音で目覚め身体を起こす

夢を見ていた気がするが、思い出せない

とりあえず俺は着替えを持ってシャワーを浴びに行き

シャワーを浴びて着替えてから軽く髪を整えてから制服を羽織りギターとキーボードを含めた簡易ライブセットを持って家を出て日菜の家に向かう、以外と俺の家から近いため15分

から20分程度で日菜の家には着くので俺は少しゆっくり自転車を走らせながら日菜の家に向かっている、そして日菜の家が見えてくると家の前では氷川姉妹が待っているのが俺からも確認できた、俺は少し速度を上げて2人の元に行き声をかける

「こんばんは2人とも」

「うん!こんばんはひ〜くん」

「こんばんは光君、今回は日菜の我儘を聞いもらってありがとうございます」

「星を見るのは嫌いじゃないし、このくらいなら全然平気だから気にしないで」

「光君がそう言うなら良いんですが、たまには断っていただいて構わないのですよ?」

「う~ん、まぁ残念な事に断るほどの予定もないし、こんな事で日菜が喜ぶなら俺は多少の我儘くらい聞くよ」

「そうは言いますが、少し日菜に甘すぎませんか?」

「お姉ちゃん、心配し過ぎだよ〜ひ〜くんが大丈夫って言ってるんだしさ」

「まぁとりあえず俺は大丈夫だからさあんまり気にしないでよ、気の回しすぎで倒れられでもしたらそれこそ目も当てられないよ」

「まぁ、光君がそこまで言うなら気にしませんけど、なにかあれば言ってくださいね」

「わかった、その時は遠慮なく頼らせてもらうね」

「はい、そうしてください」

「じゃあ、そろそろ行こう!」

「じゃあ、悪いけど俺のキーボード背負って後ろ乗ってくれる?」

「いいよ〜」

そう言って日菜は俺のキーボードを入れたケースを背負って俺の自転車の後ろに乗った

「じゃあ、行ってくるね、お姉ちゃん!」

「えぇ、いってらっしゃい」

「じゃあ、出発!」

「OK、行くよ!」

俺はそう言って自転車を走らせ学校に向かう

「ひ〜くん、今日は何を聞かせてくれるの?」

「ん〜まぁとりあえず2.3曲用意してるから楽しみにしてて」

「じゃあ、楽しみにしておくね〜」

「そうしてて、じゃあ少し飛ばすよ?」

「OK!レッツゴー!」

日菜からゴーサインが出たので俺は自転車の速度を上げていき予定時間より少し早めに到着する

「自転車置いてくるからさ昇降口で待っててくれる?」

「OK!じゃあ先に昇降口で待ってるね〜」

そう言って日菜はスタスタと昇降口に向かう

俺は自転車置き場に向かいバックとギターを持って昇降口に向かう

「おまたせ、行こう、案内お願いするね」

「任せて〜こっちだよ〜」

そう言って日菜は俺の前を歩いて行く

「ここだよ〜」

そう言って立ち止まった場所には天文部と書かれたプレートがあった

「こんな場所あったんだな」

「まぁ確かにここじゃあ、わかりにくいよね、とりあえず天体望遠鏡運ばないとね〜」

「屋上に持っていくの?」

「そうだよ〜まぁ小さいから1人でも大丈夫だよ〜」

「そっちの大きいのなら月のクレーターまで見えるんじゃない?」

「じゃあ、ひ〜くん運んでくれる?」

「いいけど、日菜調整とかできる?」

「ん〜あんまり、ひ〜くんは?」

「まぁこれなら何とかなるかな?やってみないと、わからないけどさ」

「じゃあ、ひ〜くんその大っきいの持ってきて〜ひ〜くんのキーボードはアタシが持ってるし大丈夫でしょ?」

「わかった、じゃあ持って屋上行こう」

「うん!」

そうして俺達は天体望遠鏡を持って屋上に上がっていく、そして屋上に続く扉を開けるとまさに星が振るようだと思える程の満点の星空が広がっている

「結構綺麗に見えるもんなんだな〜」

「でしょ〜、アタシのお気に入りなんだ〜でも、部員ってアタシ1人だからさ、たまに花咲川のこころちゃんと一緒に合同でやったりもするんだよね」

「こころも天文部なんだ、初めて知ったよ」

「ひ〜くんこころちゃんの部活は知らなかったんだ」

「まぁ、バンドやってて超が着くほどのお嬢様ってくらいしか知らないし、後、やたらと笑顔全開ってくらいかな」

「そっかァ~じゃあ今度はこころちゃんも誘って3人で見ようよ!」

「日菜が良いならね、とりあえず、まずは望遠鏡、設置しちゃおう」

「うん!」

俺達は望遠鏡を設置し始め5分程度で設置を完了させる

「よし!こんなもんかな?」

「じゃあ、ひ〜くんあたしは早速、月がみたいな〜」

「OK、調整するから待ってて」

そう言って俺は望遠鏡を覗きながら月にピントを合わせて調整していく

「あっ!これ結構難しい、俺使った事あるやつより細かい」

「出来そう?」

「大丈夫だよ、ちょっと細かいだけだから、ほらできた」

俺は調整を終えて日菜に覗いて見るように言う

「ほら覗いてごらん」

「うん!」

日菜は頷いて望遠鏡を覗く

「わぁ!凄い!本当に月が綺麗に見える!」

俺は日菜が望遠鏡を覗いている間に持参したアコギを調整していく、それに気付いた日菜が寄ってくる

「ひ〜くん、演奏してくれるの?」

「うん、そのつもり」

「隣で聞いていい?」

「俺達しかいないし、良いよ」

「じゃあ、そうするね〜」

そう言って日菜は俺の隣に座る

「ちょっと近くない?」

「そう?でも、この方がひ〜くんの声近くに聞こえてるんってするかな〜って」

「ちょっとだけで良いから離れてくれる?ギター弾きづらいからさ」

俺がそう言うと日菜は1歩分の距離を開ける

「これでい~い?」

「うん、いいよじゃあ歌っていくねまずはミカヅキ」

 

『今宵も頭上では綺麗な満月がキラキラ

幸せそうに世界を照らしている

当の私は出来損ないでどうしようも無くて

夜明け夢見ては地べた這いずり回ってる

それでも誰かに見つけて欲しくて夜空見上げて叫んでいる

逃げ出したいなぁ逃げ出せない明るい未来は見えない ねぇ

それでもあなたに見つけて欲しくて

蝶のように舞い上がるの欠けた翼で飛んだ

醜い星の子ミカヅキ』

 

日菜が望遠鏡越しに月を眺めていたので俺はこの曲を選曲し歌っていく、月が空に上る理由を探すように

 

『今宵も頭上では綺麗な満月がゆらゆら

誰かの腕に抱かれて眠っている

当の私はひとりの夜に押し潰されては誰にも見えない

夜闇這いずり回ってる

それでも誰にも負けたくなくて宇宙の隅で藻掻いている

追いつきたいや、追い越したい あぁ夢に見たような世界

ねぇそれでも誰かと比べてばっか

周りを見ては立ち止まって欠けたものを探した

そんな自分を変えたい 』

 

日菜視点

考えた事もなかった当たり前を歌にしたような、そんな曲

月はなぜ輝くのか、もし月にも心があるなら欠けて満ちるように足りないものを探して自分を作っていくそうな風に言っているような曲なのかな〜

「すっごく、るん!ってする曲だな〜」

そんな事を呟きながらひ〜くんの歌声に耳を澄ます

 

『それでもあなたとおんなじ景色がまた見たいから

泣き出したくても投げ出したくても諦めたりはできない

それでもあなたに見つかるように

サナギは強く手を伸ばすの欠けたものを抱きしめ

願いを放つよミカヅキ

それでも誰かに見つけて欲しくて夜空見上げて叫んでいる

泣き出したいけど泣き出さないもう後戻りなどできない

ねぇそれでもあなたに見つけて欲しくて

蝶のように舞い上がるの欠けた翼で飛ぶよ

醜い星の子ミカヅキ光を放ったミカヅキ』

 

月が上る理由を考えた事があっただろうか?月はなぜ上るのかなぜ輝くのかを考えた事があっただろうか?そんな事を考えながら最後のフレーズを弾いて歌っていく

 

『今宵も頭上では綺麗な満月がキラキラ

次は君の番だと笑っている』

 

俺は演奏を終えるとギターをケースにしまう

「もう終わり?」

「一旦休憩、もう少し天体観測続けよう」

「うん、あぁ〜でも、どうしよう?」

「どうかしたの?」

「あのね、活動報告を書かなきゃいけないんだけど、いつも簡単に書きすぎだって言われててさ」

俺は少し考えて提案を口にする

「じゃあ星座とかの豆知識とかを入れてみたら?」

「どういう事?」

「例えば、夏の大三角を観測するよね、それはこと座のベガ、わし座のアルタイル、はくちょう座のデネブを結んで出来るよね、そして、有名なのは、はくちょう座のくちばしのところに輝く二重星のアルビオンって星で肉眼では見えないんだけど、望遠鏡使うとオレンジと青の2つの星に見えるんだ

宮沢賢治はトパーズとサファイアみたいだって宝石に例えたのも有名だね」

「ひ〜くん詳しいんだね、なんでそこまで知ってるの?」

「星座一つ一つの物語って言うか、語られてる神話が好きでよく調べるんだ今のも調べたからたまたま知ってただけだけどね」

「じゃあ、ひ~くんが言ったことをちょっとだけ使って〜夏の大三角を観測して、その中でもひ〜くんが言ってた、はくちょう座の話を書いておけば大丈夫だね!」

「いいんじゃない?俺、そういうのよく分からないけどさ」

「ねぇねぇ、ひ〜くんもっと教えて星座の話」

「良いよ、じゃあ順番にはくちょう座の神話の話から教えるよ、俺が知ってる事だけだけどね」

そうして俺ははくちょう座について教えていく

ギリシャ神話では大神ゼウスが変身した姿だと言われている事、その姿でスパルタの王妃レダに会いに行っていたこと

そしてその王妃との間に生まれたのが双子座の兄弟だという話を伝える俺が話す内容に日菜は目を輝かせて聞き入っている。俺としてもそういう反応は嬉しいし、なにより興味を持ってもらえる事が嬉しいと感じる

「日菜、俺のキーボード取ってくれる?演奏する」

「うん!ちょっと待ってて〜」

そう言って日菜は自分横に置いていた俺のキーボードケースからわざわざキーボードを出して手渡してくる

「はい!ひ〜くんのキーボード」

「ケース事渡してくれても良かったのに、まぁいいや

じゃあ、演奏するね君の知らない物語」

俺はキーボードを弾きながら歌っていく

『いつもどおりのある日の事 君は突然立ち上がり言った

「今夜星を見に行こう」』

 

俺は日菜と話すうちに浮かんだのがこの曲だった、今のこの状況をそのまま歌にしたら多分こんなだろうと思いながら歌っていく

 

『「たまには良いこと言うんだね」

なんてみんなして言って笑った明かりもない道を

バカみたいにはしゃいで歩いた抱え込んだ孤独や不安に

押しつぶされないように真っ暗な世界から見上げた

夜空は星が降るようでいつからだろ

君の事を追いかける私がいたどうかお願い

驚かないで聞いてよ私のこの想いを

「あれがデネブ、アルタイル、ベガ」

君は指さす夏の大三角 覚えて空を見る

やっと見つけた織姫様だけどどこだろう彦星様

これじゃひとりぼっち 楽しげなひとつ隣の君

私は何も言えなくて本当はずっと君の事を

どこかでわかっていた見つかったて届きはしない

だめだよ泣かないでそう言い聞かせた

強がる私は臆病で興味が無いような振りをしてた だけど

胸を刺す痛みは増してくあぁそうか好きになるって

こういう事なんだね』

 

日菜視点

なんでかわかんないけど、さっまでの光景がものすごく鮮明に簡単に思い出される、胸がドキドキする、歌のせいか、さっまでの事のせいか答えなんてわからないけど、るん!って

する事に違いはないし、今日を選んで良かった

 

 

『どうしたの?言ってごらん心の声がする君の隣がいい

真実は残酷だ言わなかった言えなかった二度と戻れない

あの夏の日きらめく星今でも思い出せるよ

笑った顔も怒った顔も大好きでしたおかしいよね

わかってたのに君の知らない私だけの秘密

夜を越えて遠い思い出の君が指を指す無邪気な声で』

 

俺が歌い終えると同時に日菜が立ち上がり俺の背中に自分の背中を預けてきた

「どうしたの?」

「なんでもないよ、ただひ〜くんを近くに感じたくて」

「そうなの?俺、べつにどこにも行かないよ、ここにいる」

「うん、でも、これが今のアタシの精一杯だから」

「なんて?」

「なんでもないよ〜」

そう言って背中越しに聞こえてくる声はどこか寂しそうだ

俺は再びギターを手に取り演奏し始める

今日という日を忘れられない夜にするために

『君の描いた未来の中に僕はいないその時代もない

まだ少しだけ傷を抱えたふたりは夢の続き探していた

思うままに色付いてくと思ってた

答えなんか見つけられずにそれでもこの世界廻り続けて

君がくれた夏その奇跡僕は忘れないoh溢れそうな想い

あの夕日に隠してsowhy…気づいていたtrueLovetrueLove』

 

日菜視点

優しい音色が耳に心地いい夢の続きを探して思うままに色付いてくそんな未来があったらいいなと思うけど、多分歌詞にもあるように答えなんか見つからないだろうな、なんて思いながら歌を聞いていく

 

『時の隙間に流れ込む風教室のその片隅で揺れる前髪

ただ見とれていた僕は君に恋をしたんだよ

まるで空を歩いてるみたいな日々

当たり前にそばにいたこと

未来なんていつもそう疑いもせず

君がいた夏にこの気持ちうまく言えなくて

Ohふたつの心は何故に離れていくの?

Sowhy届かなくて 愛情の罠だって気づいた時は遅すぎて

捻れた感情は光求め彷徨う

叶わない願い置き去りのままで君がくれた夏

その奇跡僕は忘れない

Oh溢れそうな想いあの夕日に隠してsowhy…

気づいていたtrueLovetrueLove』

 

俺が演奏を終えると日菜が後ろから抱きついてきた

「どうかした?」

「別に〜なんでもないよ〜」

そう言った日菜の声はどこか寂しそうだ

「本当に?なんだか声が寂しそうだよ?大丈夫?」

日菜が俺の首元に回している腕に力を込める

背中越しに日菜の心臓の音が伝わって来る時計の秒針のようだと俺は少しだけ思った

「日菜?」

呼びかけるが反応はない

「日菜、さっきも言ったけど、俺はどこにもいかないよ、少なくとも高校を卒業するまでは例えクラスが違ったとしても、近くにいるそれだけは約束する」

俺の言葉を聞いて少しだけ日菜の腕の力が緩む

「ひ〜くん、約束だよ?」

「うん、約束するよ」

そう言って俺は日菜の頭を撫でる

「ひ〜くん、ありがとう」

「こちらこそ、今日は誘ってくれてありがとう」

「ひ〜くん、最後の曲はなんて言うの?」

「君がくれた夏って言うんだ、今日という日は日菜がくれたものだから、そう思ってこの曲にしたんだ」

「そうなんだね〜」

それから少しの間俺達はそのままの体制でいたが、俺は何気なく日菜の髪に触れる

「どうしたの?ひ〜くん」

「日菜の髪って綺麗だよね、紗夜と同じスカイグリーンの少し癖のある髪」

「うん!お姉ちゃんと一緒でアタシの自慢の1つなんだ」

「今のままも十分素敵だと思うけど、俺は紗夜くらいに伸ばした長い髪の日菜も見てみたいな」

「そう?なら少し伸ばしてみようかな?」

「見れる日を楽しみにしてる。さぁ、そろそろ帰ろう、家まで送るよ」

「うん!じゃあ帰ろ〜う」

そう言って俺達は望遠鏡を持って屋上を後にし俺は日菜を家まで送り届ける

「送ってくれてありがとうひ〜くん」

「良いよ、帰り道だしね」

「ねぇ、ひ〜くん何か私に貸してもいいような物ってない?」

「ん〜なんかあったかな?でもなんで?」

「明日からパスパレの仕事でこっちにいないから、なにかひ〜くんが身近に感じられるものがあったら借りたいなって思って」

俺はポケットを探るが特に何もないので、首にしている

ネックレスを渡す

「これ、あげるよ」

「羽の首飾り?」

「うん、日菜が自分の歩むべき道を見失わないように御守りとして持ってて欲しい」

「本当に良いの?」

「もちろん、それは日菜に持ってて欲しい、さっきも言ったけど、御守りとしてさ」

「わかった、じゃあこれは貰うね」

そう言って日菜はネックレスを首にかける

「ちょっと長いね〜」

「チェーンが長めだからね、よく似合うよ」

「ありがとう、ひ〜くんじゃあ、またね、おやすみ」

「うん、またね、そして、おやすみ」

俺は日菜が家に入るのを見届けてから家路に着く

自転車を走らせながら光はさっきまでの事を思い返す

今までも日菜と触れ合う機会ってたくさんあったけど

日菜の体温と心臓の音、そしてなによりも【またね】って言葉の寂しさを知った、そんな夜だった。

 

 

 

 

 

 




夏休み編開始です、夏休み編は次回がRoseliaのメンバーとの合宿で次が夏祭りの話、ラストにリサのバースデーイベントを予定していますのでお楽しみに

次回「夏合宿と浜辺でLIVE」


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第18話夏合宿と浜辺でLIVE

Roseliaの夏合宿に同行する事になった光の心境は果たして…


夏休みももうすぐ3分の1が過ぎようとしている中、その日の光は朝から多少慌ただしく動いている、理由は至極簡単だ

友希那とリサの2人とこれから合宿の買い物に行くために光自身も今現在簡単な準備をしている最中である

「えっと、着替え持った洗面道具持った、後は、楽器系?は後で良いや、こんなもんかな?」

光は呟きながら1つ1つ現時点の忘れ物がないかを確認してから時計を確認する

「やっば!もうこんな時間!待ち合わせ10時だから早く着替えて行かないと、リサはともかく友希那辺りにドヤされるかも!」

光はそう言うと着替えて最低限の貴重品を持って家の戸締りをして家を出て自転車を走らせる、待ち合わせ場所までは7、8分

程度で到着するが少しでも早くと思い、光は自転車を飛ばす

そして、自転車を飛ばすこと5分で到着する。俺はすぐに2人を見つけ声をかける

「ごめん、ごめん待たせちゃって」

「いいって、いいって、まだ約束の時間3分前だもん、アタシらもついさっき来たところだしね」

「そうね、とりあえず自転車を置いてきなさいな、話はそこからよ」

「わかった、ちょっと待ってて、すぐに置いてくるよ」

「待ってるね〜」

俺は一言断りを入れて駐輪場に自転車を置きに行き改めて2人に合流する

「おまたせ、行こう!行き先はショッピングモールで良いんだよね?」

「えぇ、あそこならいろいろ揃っているし一度で済むわ」

「だね〜、服に、日用雑貨に、化粧品にと色々揃ってるから

ね」

「まぁ、確かにね、俺も結構利用するし」

「光も結構利用するんだ〜」

「自分の買い物なら一度で済ませてしまいたいしね」

「まぁ一理あるわね」

そうして話しているうちに俺達は目的地に到着する

「まずは何から買うの?」

「アタシは日用品かな、友希那は?」

「リサに合わせるわ」

「俺も特にないし、一応荷物持ちって名目で来てるから特に何も浮かばないから、任せるよ」

「じゃあ、最初は日用品とか必需品買って、その後は、ウィンドショッピングしながら欲しいのがあったら買うってことで良いかな?」

「異論はないわ」

「俺も同意」

「OK、じゃあそうしよう」

そうして俺達は目的の物を揃えるべく行動する。

俺はリサ達の1歩後ろをついて行きながら店を見て回る

そして日用品を揃え終わった2人が袋を持って戻ってくる

「おっ待たせ〜、揃え終わったよ〜」

「リサ、あなた化粧水や美容液買いすぎじゃないかしら?」

「そんな事ないよ〜、日焼けやシミそばかすは乙女の天敵だからね〜」

「私には分からないわ、最低限あれば十分ではないの?」

「乙女に努力は欠かせないよ、友希那〜」

「そんなものかしら?」

「光はどう思う?」

「俺?俺は洗顔した後につける化粧水だけしか使わないから分からないけど、今の時期最低限日焼け止めは必須だろうね」

俺は無難な返答を返す

「ほら、見なさい、光だってその程度なのよ、あなたが過剰過ぎるのではないかしら?」

「そうかな〜?」

「まぁ、そこは人それぞれってことでいんじゃない?」

「まぁ、それもそうね」

「だね!じゃあ洋服見に行こう!」

「その前に少しだけ休憩にしましょう。」

「あぁ、それには俺も賛成、宛もなくぶらぶらするよりはお茶しながら行きたい店や見ておきたいお店をリストアップして回る方が良いかも」

「2人がそう言うならアタシはいいよ〜」

そうして俺達は近くのカフェに入り飲み物を注文し席に着いてからショッピングモールのパンフを広げて行きたい店にチェックを入れる

「アタシ、ここ見たい!女性服専門店」

「私は、アクセサリーショップが気になるわステージ衣装に合いそうな装飾品があれば見ておきたいわね」

「俺、本屋、夏休みの課題の読書感想文と意見文のための参考資料っていうかが欲しいし、後、新刊も気になる」

「そうすると、光が行きたい本屋から先に回って友希那が行きたいアクセサリーショップは最後になるけど大丈夫?」

「見ておきたいだけだから、順番は気にしないわ」

「じゃあ、本屋、女性服専門店、アクセサリーショップの順番で回ろう」

「OK!」

「わかったわ」

そうして俺達はカフェを出て本屋に向かった

「結構な大型書店ね、種類も結構あるようだし」

「光は欲しいもの決まってるの?」

「全然だよ、でも、比較的陳列棚見やすいからすぐ決まるかもね」

そう言いながら見て回り俺達はドラマや映画のノベライズ本が陳列されている棚にたどり着く

「ここならいいのあるかも!」

「最近はどんなのが流行っているのかしら?あまりテレビを見ないから分からないわね」

「アタシも〜、光はどうなの?」

「俺も本当に最近のはあんまり、ちょっと前のやつばっかりだね」

「そうなんだ、ねぇなんかオススメはないの?」

「私も1冊買っておこうかしら?」

「ちなみに、どんなのが希望?」

「アタシはやっぱり恋愛系かな」

「私は獣医の話とかがあるならそれ系がいいわね」

俺は2人の希望に合いそうなノベライズ本を探して渡す

「これはどうかな?」

「どれどれ?えっと【初めて恋をした日に読む話】と

【恋仲】どんな話なの?」

「【初めて恋をした日に読む話】は自分よりも歳上の女性に恋した主人公の話で恋仲は2人の葵が1人の女の子と恋する話だよ」

「面白そうだね!恋仲が気になるけどこっちの初めて恋をした日に読む話も気になるな〜」

「光、こっちはどうなの?」

「【獣医ドリトル】は患畜の病気の治療または飼い主が患畜に病気をもたらした原因を突き止めて場合によっては飼い主の心の治療する話で【僕とシッポと神楽坂】は神楽坂を舞台に沢山の動物やその街に暮らす人達とのふれあいを描いた話だよ」

「なら、【僕とシッポと神楽坂】の方を買うことにするわ」

「アタシはとりあえず恋仲の方にするよ、光は決めたの?」

「うん、俺はこれ、【4分間のマリーゴールド】」

「どんな内容か聞いてもいい?」

「救命士の話なんだけどね、手を合わせた人の死の運命が視えてしまう特殊な力があってね、しかもその運命は必ず現実になるんだよねそれでも助けたいって足掻くんだけど主人公の父さんの再婚で兄弟になった家族のお姉さんを好きになるんだけど、そのお姉さんが1年後に死ぬ運命が視えてる主人公が最愛の姉を助けたいってその運命を変えたいって奮闘する話なんだ」

「凄い面白そう!アタシそういうの結構好きなんだよね!読み終わったらで良いからそれ貸してよ光」

「もちろん!どうせ合宿には持っていくし読み終わったら貸すよ」

「なら、リサが読み終わったら私も読んでみたいわ」

「じゃあ、俺、リサ、友希那の順番だね」

「そうなるわね、楽しみにしているわ」

「もちろんアタシもね!」

「とりあえず、2人ともこれから買うやつを先に読もうよ」

「そうだった!」

「そうね、忘れていたわ」

「アハハ、まぁとりあえず買っちゃおう」

「だね、そうしよう」

「えぇ、そうね」

そう言って俺達は本買ってからリサが行きたいと言っていた

女性服専門店に行く

「女性服専門店だから当たり前なんだけど、俺、場違い過ぎやしない?」

「な〜に言ってんの!多分アタシらのどっちかの彼氏に見られてるはずだから心配しない!ほら、いくよ!」

そう言ってリサは俺を店内に引っ張って行き友希那もそれに続く

「光、こっちとこっちどっちが似合うかな?」

「リサの選ぶ服っていかにもギャルが好きそうな服装だから肩とか臍とか見えるやつばっかなんだもん!俺の反応見て楽しんでない?」

「えぇ〜そんな事ないよ、でも、光はもうちょい大人しめの格好の方が良いの?」

「いや、それは正直なんとも言えないよ、似合っているとは思うけど、はっきり言って目のやり場に困る」

「そうは言うけれど、光、あなた水着はどうなるのよ?」

「ん〜どうだろう?俺も正直わかんないや、だって異性と今みたいに出かけることはあっても、海やプールはなかったし、俺はずっと水泳は選択授業で取ってなかったし」

「じゃあ、泳げなかったりするの?」

「いや、泳げるよ男友達とはプール行ったりはしてたし」

「残念ね、光の弱点見つけられたと思ったのに」

「そうだね〜光って弱点らしい弱点無いもんね〜」

「俺、これでもかなり不器用だし、堪え性ないよ」

「その割になんでも出来るじゃん光はさ〜」

「器用貧乏なのかしら?」

「それはあるかもな〜、昔も今も後悔だらけだし」

「そう、まぁいいわ、その過去についてはいつか聞かせてくれるんでしょ?」

「聞いて面白い話じゃないって!前にも言ったじゃん!別に後悔こそあれど、今を悔いてるわけじゃないし、今の自分もこれはこれで気に入ってるし」

俺はそう言って笑うと2人は肩をすくめて笑い合う

「まぁ、光らしい答えだよね」

「本当に、そうね」

「とりあえず、買うなら買ってきたら?俺待ってるし」

「光は何も買わないの?」

「特別ないからね」

「じゃあ買うもの買ってアクセサリーショップに行こう!そうすれば光が欲しい物あるかもしれないし」

「そうね、賛成よ」

そう言って2人は服を持ってレジに向かった、俺は手持ち無沙汰になったのでイヤホンをして音楽を聴き始める

こういう時に聴くならやっぱりKANA−BOONだ俺はそう思いプレイリストからKANA−BOONを選択して聴き始める

そしてちょうど1曲が終わったタイミングで2人が戻ってくる

「おまたせ〜って音楽聴いてたの?」

「うん、まぁ、手持ち無沙汰だったし」

「何を聴いていたの?」

「KANA−BOONってバンドの曲だよ、それなりに人気でさ」

「そういえば、アタシが借りてるのにも入ってたな〜ってか

ずっと借りててごめん」

「良いよ、普段使わないし」

「私も本借りたままだけれど良いの?」

「全然読んでないし、いんじゃん?」

「なら、もうしばらく借りておくわね、もう一度読み直したいし」

「構わないよ」

そう話しているうちにアクセサリーショップに着いたので各自で見て回る事にした、俺はピアスを見ていると友希那が声をかけて来た

「何かいいものはあったのかしら?」

「そう言う友希那は?」

「収穫ゼロよ、あなたにまた何かしら装飾品を作ってもらう方が良さそうね」

「俺、さすがにイヤリングとかは作れないよ」

「ガラス細工で花びらくらいなら作れるでしょ?」

「まぁね、でもあれかなり集中しないとだから大変なんだよね、要望があれば時間はかかるけど、やるよ」

「まぁ、考えておくわ」

そう言いながら友希那はまた陳列されている商品を眺めていく、そして気になる商品があったようでそれを手にとって見ている

「何か良いのあった?」

「えぇ、これにするわ」

友希那が手に取ったのは三日月の形のピアスだった

「それ、ピアスだよ?」

「あなたにあげるのよ光、合宿に参加してもらう手間賃だとでも思いなさい」

「そう?なら遠慮なく貰うよ!ありがとう」

「えぇ、とりあえずその辺見て待っていてくれるかしら?」

「そうするよ」

俺はそう言ってネックレスやブレスレットが陳列されている場所を見ていると今度はリサから話しかけられた

「光〜、良いのあった?」

「う~ん、正直これと言って無かったけど、友希那がピアス買ってくれるって、合宿参加の手間賃だってさ」

「そうなんだ、あっ!それじゃあ光!アタシと友希那にそれぞれなんか選んでよ!アタシも光に似合うピアス見てくるからさ!」

「OK!俺もさっそく見てみるよ」

俺はそう言うと目星を付けていた商品を手に取って比べてみてこれだと思うものを選んで買っておいた、その後俺達は昼食を済ませた後解散することにした

「明日は早い時間から移動するから2人とも遅れないようにしてもらうわよ」

「大丈夫だって、友希那とアタシの家は隣同士なんだしいざとなったらお互いがお互いを起こしたり出来るでしょ!」

「そうなのだけれど、お互い遅れないのが理想よ」

「わかってるよ〜、光も寝坊しないでね!」

「大丈夫だよ、基本スマホのアラームで起きれてるから」

「まぁ、心配はいらないと思うけど、私からも念は押しておくわ、遅れないようになさい」

「わかった、後、これは俺から2人に」

「さっきのアクセサリーショップで買ったやつだよね?開けても良い?」

「もちろん!どうぞ」

「私のはブローチね」

「アタシのはブレスレット」

「どっちも2人に似合いそうだから、それに2人の星座のマークが入ってるからちょうど良いでしょ」

「確かにね、ありがとう光」

「お礼を言うわ」

「こっちこそ、ピアスありがとう、じゃあまた明日」

「うん!また明日ね〜光〜」

「また明日」

そうして俺達は解散した、俺は自転車をとってきてから家までの道を帰って行く、そして家に着くと俺は上着を脱いでから家の中に入りその足で部屋に向かいパソコンを起動し編集作業を開始する

「余裕があるとはいえなるべく進めないと、同じ曲名で歌詞が違うと少し細かく編集しないとなぁ〜」

そう呟きながら細かく編集していく、それからどのくらい集中していたのか、気付くと外は薄暗くなっていた

「あぁ〜身体バッキバキ」

そう言いながらポキポキと身体を解していき時計を確認すると18時を指していた

「夕飯の買い物に行かないとな〜」

そう思いながら俺は再び上着を羽織り家を出て買い物に向かう、商店街を回って買い物をしていると1枚のポスターが目に入った

「夏祭り?しかも夏休み終わりの1日前で次の日リサの誕生日じゃん!マジか!そういえば忙しくて気にしなかったけど先月は七夕祭りもあったんだよね〜」

俺はそう呟きながら買い物に戻ろうとすると名前を呼ばれた

「光さん!」

声がした方を振り返ると沙綾がいた

「沙綾!久しぶり、SPACEでのLIVE以来?」

「そうなりますね、光さん夏休みに入ってから全然家のパン買いに来てくれないんですもん!」

「アハハ、なんか、ごめんね、午前中は多少家事したり夏休みの課題したりした後は午後からcircleでのバイトでさ、なんならcircle来ればいいのに」

「皆となかなか予定合わなくて、集まるってなるとやっぱり有咲の家の蔵なんですよね。でも、明日から皆と1泊2日で海に行くんです!」

「楽しそうで良いね、俺は明日からRoseliaに付き合って合宿だから」

「そうなんですか?」

「うん、いつもより念入りに練習見てほしいから参加してくれってさ」

「なるほど、そういう事ですか!なら、納得です。」

「こっちも海の近くの別荘らしいし、もしかしたら会えるかもよ?」

「本当ですか!?」

「うん、まぁ保証はできないけどね」

「そうですか…なら光さん!夕飯まだですよね?私の家で一緒に食べませんか?」

「お誘いはありがたいけど、今回は遠慮するよ。いきなり行っても迷惑だろうし、なによりも家族団欒を邪魔したくないしね」

そう言って苦笑する俺に対し沙綾は残念そうな表情をしている

「どうしても、ダメですか?」

沙綾が上目遣いに聞いてくる

「提案自体は魅力的だけど、今回は本当に遠慮するよ、改めて両親とじゅん君達の許可貰えたら改めて誘って」

「…わかりました」

「そう、残念そうな顔しないでよ、代わりに家までは送るからさ」

「わかりました、今回はそれで許してあげます!でも、今度は家で晩御飯食べましょうね」

「わかった、家族の許可が取れたら呼んで」

「はい、じゃあ、家まではちゃんと送って下さいね」

「OK、じゃあ行こう!」

「はい!」

その後俺は沙綾を送って家に帰り手早く夕飯の準備をして夕飯を済ませるとリサが俺にくれたピアスが入った袋を開けて見ると十字架のピアスだった

「三日月に十字架って、俺はどこのエクソシストだよって感じだな〜」

そう思いながらさっそくそのピアスを付ける

左右に首を降る度シャラシャラと耳元でピアスが揺れる

「このピアス付ける時は黒系の服は辞めておこう」

そう呟きながらピアスを外しケースにしまうと

シャワーを浴びるため着替えを取りに部屋に行き着替えを持ってシャワーを浴びに行く、そしてシャワーを浴びて出ると

俺は早速今日買ったばかりの【4分間のマリーゴールド】を

読み始めしばらく集中して読み進め3分の1程読んだところで栞を挟み本を閉じる

「ここまでにしとこう、そろそろ寝ないと、明日起きれなくなりそうだし」

そう言って俺は就寝する

夢を見た…最近思い出す事が増えたせいかもしれない

俺自身がどんなに割り切ったつもりでも、やはりそうも行かないんだろう。

俺は目を覚ますとほぼ同時にアラームがやかましく鳴り響く

アラームを止めると身体を起こし軽く頭を振る

「昔の夢なんて久々に見た…正直割り切ったつもりだったのにな…」

俺はそう呟きながらベットから降りて着替えてからリビングに向かい、そこから台所に行き朝食の準備を始め朝食をとり

その後食器を片付けてから大きめの荷物を持って家を出る今回は自転車に乗り切る量じゃないため待ち合わせ場所の駅まではタクシーを呼び荷物を積んで駅に向かう

駅に着き、精算を済ませ荷物を降ろし終えると、ちょうど

Roseliaのメンバーが揃ったようで俺の所に集まってきた

「おっはよう☆光〜寝坊しなかったみたいだね〜」

「そっちもね、とりあえず、皆おはよう」

「おはようございます。光君、随分大荷物ですね」

「まぁギターとキーボードの他にもメンテの道具とかもあるからね」

「光兄ぃが一日中練習見てくれるんでしょ?」

「そのつもりだよ、まぁ食事の準備もあるからずっとって訳にわ行かないけどね」

「食事は光君が全部準備するんですか?」

「うん、そのつもりだよ、合宿中の3食は俺が担当するよ」

「まぁ光の料理の腕は一度ご相伴に預かったアタシと友希那が保証しますとも!」

「えぇ、そうね、とりあえずそろそろ行きましょう、電車が来るわ」

友希那の言葉に俺達は揃って頷き友希那の後に続いて乗車していく

俺は席に座るとスマホにイヤホンを繋ぎ音ゲーをやり出す、アップデートのおかげで曲種が増えているのでまた、

フルコンボを目指して演奏していく

そしてその様子をあこちゃんと燐子が見ている

(如何せん、視線が気になって集中できない)

内心そう思い一度曲をストップさせてイヤホンを取り2人に話しかける

「2人とも、どうしたの?なんか気になる?」

「光兄の指が物凄い勢いでスマホの画面を行ったり来たりしてるからにしてるのかなってさ」

「音ゲーだよ!画面に表示されているマークを的確な場所でタッチして演奏していくの」

「難しいんですか?」

「ん〜難易度は変えられるしEASYモードからEXTRAまであるからNormalかHARDなら2人も出来るんじゃない?やってみたい?」

「うん!やらせて!やらせて!」

「良いよ、イヤホンは外さないでやってね」

「わかった!」

「私もお借りしても良いですか?」

「あこちゃんと交代でやりなよ、飽きたら返してくれたらいいし」

「じゃあ、そうしますね」

俺は2人にスマホを貸出、席を移動し音楽聴き始めると今度はリサが話しかけてきた

「光〜ガム食べる?」

「何味?」

「ソーダ味だよ」

「じゃあ貰う」

「ゲームしてたんじゃなかったの?」

「あこちゃんと燐子がやりたそうにしてたから貸したよ

リサは?友希那と紗夜と話してたんじゃないの?」

「いやぁ~実は暇って言うか、手持ち無沙汰だったんだよね〜2人ともなんか今からもう集中してるっぽくて」

「そうなの?じゃあトランプでもする?3回か5回勝負して、負けたら目的地に着いた時ジュース奢り」

「OK!じゃあ無難にババ抜きで良い?」

「良いよ、じゃあ軽くシャッフルして勝負開始ね」

そうして俺達はトランプであこちゃん達は俺のスマホに入れている音ゲーで遊んでいると、あっという間に目的地に着いた

勝負結果は俺の勝ちだった

「最後の最後で負けるなんて」

「リサ、ポーカーフェイスとか苦手でしょ?笑顔で誤魔化そうとしているのがバレバレ」

「光はどうなの?」

「俺はポーカーフェイスじゃなくて駆け引きだよ、多分友希那は鉄仮面だから表情読むの難しいかもね」

「誰が鉄仮面よ」

「うわ!っていきなり後ろに立たないでよ!」

「あなたとリサが表情がどうのと話していたのが聞こえて声をかけようと思ったのだけれど、あなたが私の事を鉄仮面と言っていたのが聞こえたから声をかけたまでよ」

「アハハ、なんかごめん」

「まぁ、良いわ目的地の別荘はすぐそこよ、行きましょう」

別荘に着くと俺達は荷物を置いて各自の部屋で休憩する

「さてと、早いけど昼食の買い物に行かないとな」

そう呟くと財布を持って部屋を出て断りを入れる為、友希那の部屋に行き扉をノックする

「友希那、ちょっといい?早いけど買い物に行ってこようと思うんだ」

そう言って少し待っていると扉が開き友希那が顔を見せる

「別荘内の冷蔵庫は確認したの?」

「まだだよ、友希那に断りを入れてから別荘内の食料を確認して出かけるつもりだったから」

「そうなの、わかったわ、ちょっと待っていなさい」

そう言って扉を閉めると、5分立たない間に友希那が部屋から出てきて封筒を手渡される

「合宿費用の食費よ、あなたが管理なさい」

「良いの?必要な分だけ渡してくれれば俺は大丈夫だよ?」

「全員の承諾は得ているから冷蔵庫を確認してから行ってきなさい」

「了解、じゃあ、預からせてもらうね」

俺は封筒を受け取り友希那の部屋を後にし、冷蔵庫を確認すると最低限こそあれど料理は難しいと言わざるを得ない

「やっぱり買い物に行かないとダメそう」

そう言って俺は買い物に向かうスマホで地図を確認しながら海辺の商店街を目指して進んでいく

「ここか、じゃあ今日の分の買い物は済ませちゃおう」

そう言って商店街にあるスーパーで買い物を済ませて俺は元来た道を帰って行く、そして別荘に着くと皆が待っていた

「お帰り〜光〜お昼何?」

「そうめんかな、普通のつゆの他に2種類用意すれば飽きることなく食べれるでしょ?」

「ちなみにどんな味を用意するんですか?」

「ピリ辛のとネギや大根おろしをたっぷり入れたサッパリ系のと普通のめんつゆの3種類だね、準備するから待ってて」

そうして20分程度で全ての準備を整えて皆の元へ運ぶ

「出来たよ〜食べて食べて」

「じゃあ遠慮なく、いっただきま~す!」

リサに続き皆それそれが「いただきます」と言うと

つけ汁を手に取ってそうめんを頬張る

「このピリ辛のつけ汁いいね!辛過ぎないからいい感じに食が進むよ!」

「あっさり系のつけ汁も悪くないわね、食べやすいわ」

「始めはシンプルのと思い口にしてみましたが、普段から食べるのとは全然違いますね、なんというか、かなり風味が強いです」

「どれも美味しいよ!」

「本当に美味しいです、ここまで美味しく食べられたの初めてかもです」

「喜んでもらえて良かったよ、夕飯は俺特製のカレーを用意するから楽しみにしててね」

「絶対美味しいじゃん!」

「俄然、食事が楽しみになってきましたね」

「えぇ、練習を頑張りましょう」

「あこもやる気が湧いてきた!」

「私も、楽しみです」

そう言いながらも皆は手を止めずに食べ続けてあっという間になくなった

「あ~お腹いっぱいだよ〜」

「ここまで美味しくて満足感があったのは始めてね」

「私もです」

「ちょっと食べ過ぎだかも〜」

「確かに、ちょっと食べ過ぎだかも」

「とりあえず、落ち着くまで休んでから練習しなよ、俺は食器類片付けちゃうから」

「そうされてもらうわ、皆、30分もすれば落ち着くだろうし、30分後の13時から15時まで練習、間に10分程休憩を入れてみっちりやるわよ」

皆が頷きそれぞれ休憩を取る

「光、あなたも練習に参加してもらうわよ」

「片付け終わってからね、後、夕飯の準備もあるし15時以降は何時までやるかわかんないけど、今日に限ってはあんまり見てやれないかもよ?」

「わかっているわ、今日の練習予定時間は18時までだから16時までは平気よね?」

「今日だけはcircleで練習見る時と変わらないね」

「仕方ないわよ、頼んだのはこちらなのだし、夜には1曲演奏してもらうわよ」

「食事の後でね、よし!片付け終了!」

話ながらも手を動かしていた俺は片付けを終えて椅子に座り

音楽を聴き始める【SUMMER NUDE13】を再生し聴いているとリサが片方のイヤホンを俺の耳から外し隣に座って聴き始める

「自分ので聴きなよ!俺貸したのあるよね?」

「あるけどさ光が普段使ってるこっちの方が曲入ってるんだもん!そんな事より光!アタシ、あれ聴きたい!」

「どれ?イノハリ?マッシュ?クリプレ?」

「光がSPACEのラストライブで歌った曲!」

「あぁ、オワリはじまり?」

「そう!それ!後、アンコールの時のやつも」

「じゃあ、オワリはじまりからでいい?」

「お願い!」

俺は仕方なくオワリはじまりを再生する一日の終わり聴く曲ならピッタリだし落ち着きたい時も良いのかもしれないと思いがら聴いていると俺の左隣に紗夜が座り袖を軽く引っ張った

「どうしたの?」

「光君、あの、最近光君が毎日聞いている曲はあったりしますか?」

「最近だと、だから僕は音楽を辞めたって曲かな?音楽を辞めて自分に残った人間性とか周りとの関係とかを歌った曲でね歌詞が凄く共感出来るんだ」

「良かったら聴かせてもらえませんか?」

俺は首にかけていたヘッドホンを外し紗夜に渡す

「これをつければいいんですか?」

「うん、音楽プレイヤーとして使ってるスマホに繋がってるからすぐに再生できるからね」

「わかりました」

紗夜がヘッドホンをつけたのを確認すると曲を再生する

俺は耳に付けていたイヤホンを外すと立ち上がる

「光、どこ行くの?」

「部屋にあるスマホで別な曲聴くよ」

「えぇ〜一緒に聴こうよ!」

「俺、今別に聴きたい曲があるしさ、それに、ゆっくり静かに聴きたいんだ」

「そんなこと言わないでさ〜お願い!一緒に聴こうよ!光と一緒に聴きたいからさ〜お願い!」

俺は軽くため息をつきながら元の位置に座る

「プレイリストの夏の曲開いて、適当に再生して」

「OK!」

そうして俺達は少しの間一緒に音楽を聴いていると練習が始まると号令が掛かり俺達は練習ルームに移動する

その途中紗夜に呼び止められる

「あの、光君」

「どうしたの?」

「これ、お返しします」

そう言ってヘッドホンともう1つのスマホを差し出してきた

「もういいの?別にまだ持っててもらっても良いよ?」

「ですが!、あんまり光君の物を借りる訳には…」

「別に気にしないでよ、リサなんか俺のウォークマン借りっぱなしだからね」

「そうは言いますが…」

「じゃあさ、こうしよう!合宿の間は貸しておくよ、最終日に返してくれればそれで良いし」

「わかりました、それでは、合宿の間は借りておきますね」

そう言って微笑む紗夜に思わず見とれてしまう

「どうしたんですか?」

「あぁごめん、ちょっと紗夜が俺のパーカー返しに来てくれた時の事思い出してた」

「あの時の事ですか?光君が思い出して楽しいような事ありましたか?」

「いや、まだあの頃桜咲いてたでしょ、風に吹かれて舞い散る桜の中に立っていた紗夜が凄く綺麗だったなって」

俺がそう言うと紗夜は頬を赤くして反論する

「そっそんな綺麗だなんて!私個人は見るに耐えうる顔はしていません!それこそ日菜の方がよろしいのでは?」

「確かに日菜は可愛いかもしれないけどさ、でも、紗夜だって美人でしょ?見るに耐えうるって言うけど、俺は少なくとも紗夜は美人で綺麗だと思うよ」

俺がそう伝えると紗夜は耳まで真っ赤になって俯いてしまった、俺は正直どうしたもんかと思いながら人差し指で頬を掻く

「とりあえず…行こっか」

「そう…ですね」

そうして練習ルームに行くと、会話が丸聞こえだっようでリサと友希那に突き刺さるような視線を向けられたが特に何かを言われることなく練習が始まり俺は演奏を聴いて気になる点があれば指摘していき、休憩時間に入る

「光って本当に細かい所まで音聴いてるよね、アタシ等が気付きもしないミスまで的確に指摘するんだもん、言われて意識して直せるから何とかなるけどね」

「そうね、声の感じから色々見えているようだし」

「まぁ、Roseliaの目標を聞いている以上半端なアドバイスはできないしね、それに、そんな事したら皆怒るでしょ?俺だって半端な気持ちでやってないって事はわかってもらわないとね」

「光兄ぃが本気なのは伝わってるよ!アドバイス正確だもん!それに必要ならお手本だって見せてくれるし」

「そうだね、演奏も的確だし、本気じゃないって事はないと思うな」

「それだけ私達はあなたを信頼しているという事ですよ

光君、間違いようのない事実なので覚えておいてくださいね」

「わかってるよ、そこまで疑ってないから大丈夫」

「なら、良いわとりあえず、練習を再会するわよ」

友希那がそう言うと皆は準備を整えて練習に没頭する

俺はさっきと同様に演奏を聴いて気になる事があればアドバイスしていき俺は予定通りに夕飯の準備を始める

そしてカレーが出来るのとほぼ同時に皆が練習を終えて戻ってきた

「お疲れ様、カレー出来てるよ」

「本当!?じゃあさっそく夕飯だね〜」

「そうね」

「はい」

「賛成」

「私もです」

「今持っていくよ」

俺は全員分のカレーをよそうとみんなの所に運ぶ

「じゃあ、さっそく、いっただっきまーす」

「いただくわ」

「いただきます」

「いただきま~す」

「いただきます」

皆がいただきますと呟きカレーを食べ始める

「あっ!辛ーい!でも、美味しい!」

「後味がマイルドね」

「この辛さで後に残らないのは何故なんでしょうね、それに今の時期ありがたいです。食欲は落ち気味ですからね」

「辛うま〜」

「本当に美味しいです」

「喜んで貰えて何より、明日の昼と夜はカレー尽くしかな?お昼はカレーパンにでもして、夕飯はコロッケかな」

「良いね〜辛さこのままでパンになるならいい感じに美味しいよね!」

「楽しみね」

「そうですね。」

「光兄ぃって本当になんでもできるんだね〜」

「そつがないですよね」

「大袈裟だよ、料理は昔からやってたからできるだけだしね、それに音楽とかだってそうだよ、積み重ねって言うのかな?」

「光君のは積み重ねと言うより積み上げると言うべきなのでは?」

「なら、それをぶっ壊さないとね!」

「光〜それ、歌の歌詞でしょ?聞いたことないけど」

「なら、それにする?今日の演奏」

「どんな曲なの?」

「昔を懐かしみながらも現実と向き合う曲だよ」

「あこは聴きたいな〜!」

「私は昼間聴かせてくれたあの曲が良いですね、だから僕は音楽を辞めたが良いですね」

「紗夜に1票よそれが気になるわね」

「私も音楽を辞めたに1票ですね」

結局3対2で曲はだから僕は音楽を辞めたに決まった

そして皆が食事を終えて皆は入浴タイム俺は片付け中だ

 

Roselia視点

「あぁ〜極楽だねぇ〜」

「そうね」

「同意です」

「疲れがとれるね〜」

「うん」

皆が湯船に浸かりながら呟きそしてリサが徐ろに口を開く

「そういえばさ〜アタシや友希那はともかくあこも含めた3人は光の印象っていうかはどんなの?」

「光兄ぃの印象?」

「そう、例えば楽しい人とか、そういうの」

「ん〜あこから見た光兄ぃは優しくてオシャレでカッコよくて、あと、演奏が凄い人!」

「ちょっと抽象的過ぎませんか?」

「そう言う紗夜はどうなの?」

「私ですか?私は、どこまでも、ひたむきで、それでいて不器用な方ですかね」

「不器用?光が?」

「えぇ、伝えたい事があってもうまく伝えられずに歌で伝えている、実際その瞬間を2度ほど目にしました」

「そうなんだね〜じゃあ燐子は?」

「とても優しくて面倒見が良くて誠実な人だと思います」

「面倒見がいいってのは、当たってるかな?あこも含めて他の後輩達からも慕われてるしね」

「でも、年下の子に甘すぎませんか?光君」

「それはあるかもね〜クラスでも日菜にだけな〜んか甘いしね、友希那もそう思うでしょ?」

「確かにそうね、ブーブー言いながらもされるがままね」

「少しだけ日菜に甘すぎませんか?光君はあんまり甘やかしてもいい事なんてないと思うのですけど」

「でも、甘やかすなって方が無理じゃないかな?光ってなんだかんだで日菜事気に入ってるし、人の目をまっすぐ見て話せる奴だって」

そんな話をしながら私達は光君の話で盛り上がった

 

光視点

俺は食器の片付けを終えてキーボードを設置し演奏の準備を始め音を出し感触を確かめる

「ちょっと弾いてみるか」

そう言って俺はキーボードで軽く演奏する

「大丈夫そう、あとは待つだけかな?」

そう呟き待っていると皆が入浴を済ませ戻ってきた

「おまたせ〜」

「準備出来てるよ」

「光、演奏する曲名なんだっけ?」

「だから僕は音楽を辞めたって曲だよ、っていうかリサだよね?」

「そうだけど…?」

「いっつもナチュラルにメイクしてるからさ」

「あぁ、そういう事!確かにすっぴんだし、髪もおろしてるからね、なかなか新鮮でしょ?」

「そうだね、本当に新鮮だよ」

「そう、素直に言われると何となくからかいずらいな〜

まぁ、いいや!とりあえず演奏聞かせて〜」

「了解、じゃあ始めるね」

俺はそう言って演奏を始め歌い出す

『考えたってわからないし 青空の下、君を待った

風が吹いた正午、昼下がりを抜け出す想像

ねぇ、これからどうなるんどろうね

進め方教わらないんだよ

君の目を見た何も言えず僕は歩いた』

 

俺はキーボードを弾きながら歌っていく、聞いてくれている

Roseliaの皆に向けて

 

『考えたってわからないし 青春なんてつまらないし

辞めた筈のピアノ、机を弾く癖が抜けない

ねぇ、将来何してるだろうね 音楽はしてないといいね

困らないでよ 心の中に一つ線を引いても

どうしても消えなかった 今更なんだから

なぁ、もう思い出すな

間違ってるんだよわかってないよあんたら人間も

本当も愛も世界も苦しさも人生もどうでもいいよ

正しいかどうか知りたいのだって防衛本能だ

考えたんだあんたのせいだ』

 

Roselia視点

「ピアノを辞めてなお机を弾く癖が抜けないのに将来音楽はやってないといいねって、そうやって一線を引いてもまだ消えないってなんか悲しいね」

「そうですね、私はキーボードもピアノも弾くので何となく共感してしまいますね」

「あこは、最後の考えたんだあんたのせいだって部分がねなんか気になるって言うか、上手く言えないけど、考えても考えてもこれしか答えが出なくて結局誰かのせいにしてるように聞こえるな〜」

「結局自分の答えを疑いたくないと言っているように聞こえますね」

「同意見よ紗夜、私も同じよ、自分の葛藤や迷いが見えるわね。」

人が違えば意見も違うと言うけれど、私達もそれぞれの考えを持っている中でおそらく皆、自分から音楽がなくなったらどうなるんだろうと考えさせられる

 

『考えたってわからないが 本当に年老いたくはないんだ

いつか死んだらって思うだけで胸が空っぽになるんだ

将来何してるだろうって大人になったらわかったよ

何もしてないさ 幸せな顔をした人が憎いのは

どう割り切ったらいいんだ 満たされない頭の奥の

化け物みたいな劣等感

間違ってないよ

なぁ、なんだかんだあんたら人間だ

愛も救いも優しさも根拠がないなんて気味が悪いよ

ラブソングなんかが痛いのだって防衛本能だ

どうでもいいか、あんたのせいだ』

 

Roselia視点

「なんか、色々考えさせられるねこの曲」

「そうね、死を思って胸が空っぽになって将来何もしていないのが大人になってわかってなんて虚しいわね」

「劣等感の中で生きてきた中で生まれた曲なんでしょうね」

「あこもそう思うな〜どうしても考えちゃうもん劣等感とか

そういうの」

「全てに根拠を求めて防衛本能で生きているそんな時ですかね」

この曲は音楽を辞めた人の人生を歌い嘆いた曲なのだろうか?全てに根拠を求めてあんたのせいだと嘆いているようなそんな曲なのかもしれない

 

『考えたってわからないし 生きてるだけでも苦しいし

音楽とか儲からないし 歌詞とか適当でもいいよ

どうでもいいんだ

間違ってないだろ

間違ってないよな

間違ってないよな』

 

Roselia視点

おそらく皆口には出さないが歌詞のこの部分は光の事だと誰もが感じた、さすがに儲かるとかは考えていないだろうけど

光は多分自分自身が書いた歌詞をどうでもいいと適当でもいいんだと思っている。そしてそれを間違ってないだろ間違ってないよなと自問自答している姿が浮かんだ

 

『間違ってるんだよ わかってるんだ あんたら人間も

本当も愛も優しさも人生もどうでもいいんだ

正しい答えが言えないのだって防衛本能だ

どうでもいいやあんたのせいだ』

 

俺は俺の世界を表現する、音楽を辞めたことを間違っていないよなと自分を肯定しながらもすべてをあんたのせいだと言って、全てを捨てたこの歌の主人公とその隣にいる君という存在

を表現していく

 

『僕だって信念があった 今じゃ塵みたいな思いだ

何度でも君を書いた売れることこそがどうでもよかったんだ 本当だ 本当なんだ昔からそうだった

だから僕は だから僕は音楽を辞めた』

 

演奏を終えて俺はキーボードから手を離すとRoseliaのメンバーから拍手が送られた

「な〜んか色々考えさせられたよ」

「そうね、でも、悪くなかったわ」

「この曲を光君が歌うとまた違った感性があって私も色々考えさせられました」

「音楽を辞めることの辛さとかが感じられた曲だったよ」

「キーボードを弾く身だからこそわかるなって思う部分もありました」

皆がそれぞれ感想を述べる、俺はそれに対し返答する

「確かにね、この曲は音楽とどう向き合うかとかが問われる曲だと思うし、それに価値観とか変わると思う」

「確かにそうね、なんだか色々考えたい気分だわ今日はここまでにしましょう」

「OK!じゃあ部屋に戻るよ」

「私もそうします」

「あこ達も行こう、りんりん」

「そうだね、じゃあ皆さんおやすみなさい」

「えぇ、おやすみなさい」

「皆、おやすみ〜」

「おやすみなさい」

「また明日 」

「うん!また明日」

そうして俺達は各自の部屋に戻って行った

俺は部屋に戻り読みかけの小説を読み進めていると、扉がノックされた

「こんな時間に誰だろう?」

俺は扉を開けると部屋の前にいたのはあこちゃんと燐子の2人だった

「2人ともどうしたの?眠れない?」

「うん、なんか目が冴えちゃって」

「もし、迷惑でなければ少しお話しませんか?」

「良いよ、入って」

そう言って俺は2人を招き入れる

「光兄ぃはなにしてたの?」

「ちょっと読書」

「友希那さん達と買い物に行った時買ったやつですか?」

「そうそう、4分間のマリーゴールドってタイトルのノベライズ本」

「そうなんですか…」

そう言うと燐子は黙ってしまった

「眠れないってだけじゃなさそうだね」

俺がそう言うと2人は顔をあげる

「わかるの?」

「わかるよ、さっきの曲からまたなんか思う所があってとか、そんな感じでしょ?」

「実はそうなんです、光君は音楽を辞めたいと思った事があるんですか?」

「そりゃね、それなりに長い事やってるから、そう思うこともあるよ、でも、今はそうでもない、逆に弾くことが、演奏する事が楽しいんだ、Roseliaだけじゃない他のガールズバンドの音を聞いてるとね、俺の音ももっと高いクオリティを出せるんじゃないかって思えるんだ、だから今の俺にそのつもりはないよ」

「そっかァ〜よかったね、りんりん」

「うん!」

「それが気になってたの?」

「実はそうなんだ、りんりんがなんか凄く心配してて」

「そうなの?」

「はい、光君の好きな曲ってどうにも不安になりがちな曲と言うかそういうのばっかりで」

「アハハなんかごめんね、でも、別にそういう曲ばっかりでもないんだけどさ、2人とも眠くなったら俺のベット使ってもらって構わないから少しの間俺に付き合ってくれる?」

「演奏するの?」

「そうだよ」

「ギターですか?それともキーボード?」

「どっちもハズレ正解はこれ」

そう言って俺はバイオリンを見せる

「バイオリン?光兄ぃ弾けるけど、持ってないって言ってなかったっけ?」

「誕生日に両親が送ってくれたんだ弾けるなら持っておけって手紙付きでさ」

「そうなんですか」

「まだ他の皆には内緒ねバイオリンでも弾きながら歌えるようになりたいから、まだそれ出来ないからとりあえず演奏だけね」

「そういう事なら、わかりました」

「あこも黙ってるね」

「じゃあ演奏するね、曲名は

UmareruNegai~生まれる願い~」

俺はバイオリンを弾いていくこの曲を選んだのはこれなら問題なく弾けると思ったからだ、そして思った通り問題なく弾けている、そして曲が2番にはいる頃には2人は安らかな寝息をたたていた、俺は曲を最後まで演奏し終えるとバイオリンをしまい、部屋を出てリビングのソファに横になり眠りについた

 

次の日皆で朝食をとっていると友希那から昨日の夜の事を話題にされた

「光、昨日の夜解散した後しばらくしてからあなたの部屋からバイオリンの音が聞こえたのだけれど、あなたが弾いていたの?」

「いや、スマホで聴いてたんだよ!睡眠用って言うのかな?そんな感じ」

「本当かしら?あなたはバイオリンも弾けるのでしょう?」

「弾けるけど、バイオリン手元にないしね」

俺はそう言って誤魔化す

「まぁ、良いわこの後のことだけれど、新曲作成の為に私は練習には参加しないから任せるわよ、光」

「そういう事なら、了解」

「頼むね〜光〜多少厳しくても大丈夫だから、じゃんじゃんやって」

「そういう事言うと、本当にクオリティ上げるよ?具体的には俺の演奏を10としてRoseliaが現時点で3だとして5まで一気に引き上げるよ?」

「それは、ちょっと困りますね、いきなりクオリティを上げられても着いていけませんし」

「あこも、いきなり段階上げられても無理だよ光兄ぃ」

「私も、正直遠慮させていただきます」

「だってさ、3対1だねリサ」

「あちゃーダメか!なら、とりあえず目標を5に設定するって事ならどう?」

「まぁそれなら」

「あこも、それなら頑張る」

「私もそれで良いです」

「じゃあ決まりって事で」

「頼んだわ」

友希那はそう言ってヘッドホンを付けて作曲を開始する

「じゃあ俺達は練習しよっか」

「そうだね、じゃあお願いね」

「OK!」

俺達はそう言って練習を開始する、俺はあえて練習のアドバイスを必要最低限にし技術向上に必要なアドバイスだけをしていく

「そこはもう少し、テンポ早く出来る?具体的にはこのくらいなんだけど、そうすれば次のコードがその分早くなるし演奏そのものも走りすぎないからイケるんじゃない?」

「なるほどね〜テンポとリズムが早めの曲ならこの方が良いわけか!」

「そういう事」

「紗夜はちゃんと周りに合わせられるんだからあえてリードするのも手だよ」

「では、そこを意識してみます」

「あこちゃんと燐子は現状維持で今は大丈夫、必要ならその都度アドバイスするよ」

「わかった〜」

「私も了解です」

そうして練習を続けつつ友希那を気にかけるがまだ難航中のようだった、俺はとりあえず休憩を取るように支持してから友希那に声をかける

「友希那、大丈夫?」

「えぇ、でも難航しているわ」

「手付かず?」

「残念な事にね」

「良かったら曲聞かせてくれる?」

「良いわ、聞いてみてどう感じたか教えてくれるかしら?」

「了解、借りるね」

俺は友希那からヘッドホンを受け取ると耳にして聴いてみる

Roseliaの音にしては熱を帯びているよに感じるどこか情熱的というべきか、まるで咲き誇る大輪の花のようだと感じた

俺はヘッドホンを外すと感想を口にする

「花が咲き誇るようなそれでいて空に語りかけるように静かで情熱的だった」

「さすがね、確かな感性よ、でも、これにピッタリな歌詞が浮かばなくてね、困っているのよ」

「なら、ちょっと息抜きしない?」

後ろから声が聞こえ振り返るとリサが満面の笑みで立っていた

「別に息抜きするほど疲れてないわよ」

「でもさ、友希那、このままだと衣装のサイズ合わなくなるんじゃない?ほら!ぷにぷに〜」

「ちょっと!リサ!やめなさい!」

俺は軽く頭を押さえながら目の前でじゃれている2人に話しかける

「あのさ、じゃれるのは結構なんだけど、男子の目がある事を気にしようよ2人とも!」

「光君の言う通り周りの目を気にして下さいお二人共!」

「ほらほら、天下の風紀委員長様がお怒りだよ」

そう言うと紗夜は俺の頬をつねる

「痛い!痛い!紗夜?何?」

「だ・れ・が!天下の風紀委員長様ですか!風紀委員である事は事実ですが、そんな女王様のような呼び名は好きじゃありません!」

「そう、怒んないでよ、美人が台無しだよ!」

「また、そんな事ばかり!」

そう言ってまた俺の頬をつねる

「だから痛いって!」

「耳を引っ張られるよりマシでしょう!」

「耳引っ張ったらピアスの穴のとこから裂けるって!怖いこと言わないでよ!」

そうしていると今度は後ろから両肩を掴まれる

「光〜息抜きがてらに遊びに行くんでしょ?」

「紗夜と夫婦喧嘩している場合?」

2人は俺の両肩にギリギリと力を込めつつ目が笑ってない笑顔でそう言ってきた

「痛い!痛い!俺さっきからこんなのばっか!」

「自業自得です!」

「とにかく、息抜きに海でぱぁっと遊ぼ!そうすれば友希那もなんか良い詞が浮かぶかもよ?」

俺がそう言うと2人は俺の肩から手を離してお互いに顔を見合わせた

「リサも同意見かしら?」

「そうだね、息抜きは大事だよ!」

「ハァ、わかったわ!全員水着を持って5分後に玄関に集合よ!光はギターも持ってきなさい」

「キーボードじゃダメ?」

「なら、両方持ってきなさいな必要なら私達が交代で持ってあげるわよ」

「わかった、そうするね」

俺は部屋に戻りウエットスーツが入ったバッグとギターとキーボードを持って部屋を出て玄関に向かうと皆は既に集合していた

「あなたで最後よ光」

「俺は荷物多いんだし仕方なく無い?」

「だよね〜光、キーボード持ってあげるよ」

「良いの?お願いするよ?」

「良いよ〜どうせすぐそこの海まででしょ?」

「じゃあ、お願い」

「はいは~い」

俺はリサにキーボードを預けて皆と一緒に海に向かった

海に着くとさっそく着替えに更衣室に入り俺は着替えてギターを持って更衣室を出る

そしてパラソルとレジャーシートをレンタルし適当な場所に立てると着替えを終えた皆がやってきた

「待たせたわね」

「おまたせ〜光〜」

「お待たせしました」

「光兄ぃ待った?」

「待たせてしまいましたか?」

俺は首を横に振り答える

「パラソルとかレンタルして来て設置したりしてたから、そんなに待った感じはしなかったし気にしなくていいよ」

「とりあえず、お昼にしない?アタシと紗夜でなんか買ってくるよ!光達は荷物の番しててよ」

「ほとんど俺の荷物だしね、当然かな?リサ、じゃあラムネ奢ってよ!初日の勝負忘れたとは言わせないよ!」

「あぁ!そういえばアレまだだっけ?わかった、ラムネで良いんだよね?」

「うん!お願い」

「OK!じゃあ他にも色々見繕って来るよ 、行こう紗夜」

「えぇ、では行ってきますね 」

そう言って2人は海の家に買い出しに行った、俺はすかさずギターを取り出しチューニングしていく

「あなた、海まで来て結局ギター弾くのね」

「持って来いって言ったのは友希那だよね?」

「私は後でそこの浜辺のステージで演奏してもらおうと思っていただけよ」

そう言って海の家に隣接するステージを指さした

「あそこって使っていいの?」

「調べたけれど、あそこは海開きと閉鎖の時くらいしか使わないそうよだから、あの海の家のオーナーさんに許可を取れば機材は貸して貰えるそうよ」

「そうなんだ、じゃあ帰る前に演奏しようか?」

「是非ともそうしてちょうだい」

「了解、じゃあ帰る前にね」

そう言って俺はまたギターを弾き始める

「ところでさっきから何かしらの曲を演奏しているのかしら?そうは聞こえないのだけれど」

「今はちょっと念入りにチューニングしてるだけだからね、リクエストがあれば受け付けるけど?」

「今はいいわ」

「そう?なら、適当に弾いてるよ?」

「好きにすればいいじゃない」

友希那がそういうので俺は適当に弾いてると友希那がいるのとは反対の方から名前を呼ばれた

「光先輩?」

呼ばれて振り向くと香澄達Poppin’Partyの3人がいた

「やっぱり光先輩だぁ〜!ほら、やっぱりそうだったじゃん有咲」

「人違いだったらまずいだろって言っただけだろうが!それ以上の事は言ってねー」

「落ち着いて有咲ちゃん」

「3人とも久しぶり、相変わらず仲良しだね、ところでおたえと沙綾はどうしたの?」

「お昼を買いに行ってます!」

「と言うことは、リサ達とも会ってるはずね」

「だよね、同じこと考えてた」

「そういえば、他のRoseliaの皆はどうしたんですか?」

「あこと燐子は砂の城を作っているわよ、リサ達は買い出しよ」

「じゃあ、お店で会ってるかもですね」

「そうね」

そう話しているとリサ達が戻ってきた

「お待たせ~ってやっぱり他のポピパの子達と一緒だったんだね」

「うん、ちょっと話してた」

「そっかそっか、とりあえず、はい、ラムネ」

「ありがとう」

俺はラムネを受け取りさっそく開けて飲んでいると大きめのカップが手渡された

「光の分はラーメンね」

「ありがとう、いくらだった?」

「このくらい、良いって良いって」

「とりあえず、早く食べないと伸びちゃうよ」

「だね、じゃあいただきます」

俺が食べ始めると何故か視線が集中した

「食べづらいんだけど…何?」

「いや、なんて言うか、光先輩ってリサ先輩と仲良いんですね」

「まぁクラスも学年も一緒だし、学校じゃあ毎日一緒だし仲良くもなるよ」

「だよね〜学校だけじゃなくてcircleとかでもしょっちゅう

練習見てもらってるし、今回も一緒に合宿来てるし、これで仲悪いほうがおかいってねぇ、光」

「確かにね」

そう言って苦笑する

「そういえば、光さん達も合宿先この辺なんですね、もしかしたら会えるかもって言ってたんですけど、本当に会えたのはちょっと驚きです」

「確かにね、もしかしたらとは言ったけど、偶然って重なるものだね」

「本当ですよね、そうだ!よかったらこの後皆で遊びませんか?」

沙綾がそう提案する

「俺は良いけど、皆は?」

「アタシも良いよ」

「私も異論はないですね」

「構わないわ」

「あこも良いよ」

「私もです」

皆からOKが出たので俺は沙綾に向き直り話しかける

「皆OKだってさ、何するか決めてるの?」

「皆でビーチバレーやろって話してたんです、なので

ポピパvsRoseliaでどうですか?」

「良いね!じゃあ勝った方が光に1曲リクエストする権利をゲットって事でどう?」

「良いですね!」

「俺の意思は?」

「ダメだった?」

「良いけど、一応俺に確認取ろうよ!」

「ごめん、ごめん次からそうするよ」

そうして昼食をとり終えた俺達はビーチバレーをするため

コートに移動する

「光はどっちのチームに入るの?」

「俺はパス球技は得意じゃないんだ」

「でも、それなりには出来るんですよね?」

「まぁね、でもやっぱり得意とは言えないかな、それにこの後演奏する予定だし、あんまり疲れたくないかな」

「まぁ光君がこう言ってますし、一応彼は景品のような立場なのでどちらかに加担するのは良くないのでは?」

「それもそうね、じゃあ、他のメンバーと一緒に審判でもしてもらいましょう」

「了解、じゃあそうするね」

そう言って俺は審判に着いたがあこちゃんが必殺技を出そうとして失敗した辺りから試合が硬直し始め途中までカウントしていた点数も忘れてしまった

「結局勝負は引き分けかぁ〜」

「とりあえずお互いに1曲ずつリクエスト聞くしそれで良くない?」

「まぁ光が良いならね」

「私達も演奏しますし、光さんも演奏すれば盛り上がりますよ絶対」

「そうだと良いけどね」

そう言いながら浜辺のステージに移動してポピパの皆が演奏の準備をしているどうやら今回は沙綾も歌うらしい

「準備OK!それじゃあ聞いて下さい8月のif」

演奏が始まる俺は耳を澄まし曲を聞く夏の始まりそして終わりを感じさせるいい曲だ、俺も負けていられない、最高の音を奏でなければいけないな。そう思いながら聞いているとあっという間に曲が終わる。少し名残惜し気もするが、俺の番だ、最高の音を届ける

「光先輩!先輩の番です!最高にキラキラドキドキする曲をお願いしますね」

「任せて、俺の演奏、楽しみにしてて」

「はい!」

香澄達はステージから降りて観客にまわった

俺は深呼吸してからマイクに声を通す

「始めまして、光っていいます。俺はカバーアーティストなんでオリジナルの曲は無いですけど、最高の音を届けるので聞いて下さい何曲か演奏します。まずはSUMMER NUDE13」

俺はギターを弾きながら少しの前奏の後に歌い出す

『何か企んでる顔最後の花火が消えた瞬間

浜には二人だけだからって波打ち際に走る

Tシャツのままで泳ぎ出す5秒に一度だけ照らす灯台の

ピンスポットライト 小さな肩 神様にもバレないよ地球裏側で

僕ら今はしゃぎすぎてる夏の子供さ胸と胸絡まる指

ウソだろ誰か思い出すなんてさ』

 

Roselia視点

「大人の恋愛って感じだね、ひと夏の淡い恋愛」

「そうね、そう感じるけれど、まだ分からないわよ」

「でも、あながち間違いでは無いかもしれません」

「あこも、イメージとしては大人の恋愛って感じするよ」

「私もですひと夏の淡い恋愛儚くて素敵です」

光がなぜこの曲を選んだのかはわからないけれど、ひと夏の経験が人を大人にするという事を伝えたかったのかもしれないわね

 

『響くサラウンドの波時が溶けていく真夏の夜

夜風は冬からの贈り物止まらない冗談を諭すように

着いてくるお月様走る車の窓に広げはためくTシャツよ

誇らしげ神様さえ油断する宇宙の入口で目を伏せて

その髪の毛でその唇でいつかの誰かの感触を

君は思い出してる僕はただ君と二人で通り過ぎる

その全てを見届けようこの目のフィルムに焼こう』

 

ポピパ視点

「光さんに見えてる世界ってどんなのだろう?」

「多分今は、海辺を走る車から見えてる景色を大切な人と見てる様な大人の恋愛をイメージしてんだろうよ」

「なんか優しいっていうかカッコイイよね曲」

「そうだね、それにとっても綺麗な歌詞」

「なんか、光先輩がこの曲を選んだのって今この瞬間を大事に楽しんでって言ってるみたい」

いつだって光さんは誰かのため皆のためだきっとこの曲も誰かのためなんだろうな

 

『そうさ僕ら今はしゃぎすぎてる夏の子供さ

胸と胸絡まる指ごらんよこの白い朝

今はただ僕ら二人で通りすぎるその全てを見届けよう

心のすれ違う時でさえも包むように』

俺は最後まで演奏し終えると話し出す

「1曲目はSUMMER NUDE13ひと夏の恋愛を歌った曲です

ひと夏の恋愛を楽しむもよし思い出作りにするもよしそう思いながら演奏させてもらいました。なんだかな~って思う人もいると思いますけど、人それぞれ楽しみ方や価値観があるので、あえてこういう言い方をさせてもらいました。じゃあ、次の曲に行きます!Summer rain」

俺は2曲目を演奏し始め30秒程度の前奏の後に歌い出す

『夜空を揺さぶる夏の稲光怯える君を青く照らす

Summer rain 無意味な傘に隠れ立ちすくむ二人

ごった返す人ごみ掻き分け走り出す

プラスチックの取っ手にぎゅっと手と手を重ねてた

雲が轟く度にこわばる指

今君と雨に打たれあの夏を洗い流す僕の中積もる砂のような想い出 今君は雨に打たれ誰の事思い出しているの?

2人の傘に流れるsummer rain』

 

ポピパ視点

「この曲はどんな感じかな?相合傘する2人?なんか違うような気がするな」

「あながち間違ってはねんじゃね?」

「多分、付き合ったばかりの恋人同士の曲だよきっと!」

「じゃあ、デート中に雨が降ってきて雷もなって相合傘する2人かな?」

「多分それだけじゃないよ、サビの部分は多分元恋人との想い出を雨と一緒に流しちゃおうって気持ちを歌ってるんだよ」

それぞれの感想を胸に私達は光先輩が歌うこの曲のイメージを膨らませる

 

『恋をする度に全てを脱ぎさり

新しい自分に着替えてたつもりそんな器用なもんじゃない

心 気まぐれ たった3秒前も怪しげな言葉で君を怒らせては

慰めてた「違うよ…!」って掻き回す

コーヒーカップに 体 吸い込まれそう

七色の虹が架かったこの街で君と出逢い

幾つの季節に涙染まるのだろう?

夕暮れの髪ほどく慣れた仕草また君に惹かれてるサダメ』

 

Roselia視点

「アタシ、結構この曲好きかも!雨と一緒に昔の事を忘れて今一緒にいる恋人を大事にしたいって曲だもん!超アタシ好みの曲」

「確かにそうかもしれないわね、光が何を思ってこの曲を選んだのかはわからないけれど、私もこの曲は素敵だと思うわ」

「光君自身にもこの曲のような想い出があったりするのでしょうか?だとしたら私はちょっと複雑ですね」

「あこはリサ姉に賛成かな、これからを大切にしたいって伝わってくるもん」

「私は紗夜さんに賛成しますね、特別な感情が光君にもあったかと思うと複雑です」

それぞれの思いを胸に抱きステージ上の光を見上げている

 

『満月さえ 沈みそうな水平線

灯りのない夜を探しカーブ抜けたなら

今一人裸になって過ぎた夏海に流す

まだ君は服着たままで星拾う浜辺のフェアリー

今君と雨に打たれあの夏を洗い流す

僕の中消えた砂のような想い出

8月の雨に打たれ踊る傘も放り投げて

濡れた体寄せてせ中にキスをした夏の夢

柔らかなsummer rain覚めない夏の夢』

俺はラストまで歌い終えると軽く深呼吸してから話し出す

「2曲目はsummer rain 今現在付き合っている彼女を心から大事にしていこうと言う曲です。それと同時に前の恋人の事も雨と一緒に流してしまおうと決意する曲でもあります。観客の皆さんにも同じような気持ちがあると思いますがちゃんと向き合って雨に流したり、過去の物と割り切るなり自分自身がこうでいい、こうでありたいと言える物を持って貰えたらいいなと思います。じゃあ、最後の曲に行きますキーボードを使って演奏します。花火」

俺はキーボード弾いて歌っていく

『パッと咲いてシュンと散って夜に打ち上げられた恋花火

二人照らしながら広がる零れる火の粉は

せつなさへと変わって私の胸熱く染めました』

 

曲演奏するラストの曲を歌っていくひと夏の恋を歌った

ラブバラードを

 

『誰が悪いわけじゃなくてそれは夏のせいで

あなたを想う気持ち 熱を出しました

一瞬(ひととき)も離れてはいられないほど

会いたい ただひたすら会いたい

初めて繋いだ手のひらに込み上げた愛しさが

逃げてしまわないように

どちらからともなくギュッと手を握ったまんまで

花火見上げてるんです

パッと咲いて空に咲いて

夜を飾る火花は夏花火それとも恋の炎でしょうか?

あなたの心が見てる夜空には

今私が綺麗に咲いてますか?』

 

Roselia視点

「ヤバい、泣きそうなんだけど」

「落ち着く曲ではあるけれどそこまで?」

「いえ、とても素敵な曲です。思わず“そうだね”と言ってしまいそうなくらい心に染み入ってきます」

「あこもなんか凄くジーンてする」

「私もです、とても素敵だと思います」

光が選ぶ曲は何かしら意味があるこの曲も何かを伝えたいと思っての事だろう

 

『どんな幸せなときも少し悲しいのは

私があなた 好きになりすぎたせいです

この夏がこの恋が消えてしまいそう

会いたい ただいつでも会いたい

少しだけ涼しい夜風が 海岸を吹き抜けて

あなた 髪が揺れてます その横顔に映っている

赤・青・黄色の花火 消えずに燃えていて

パッと咲いてシュンと散って夜に打ち上げられた

恋花火二人照らしながら広がる

零れる火の粉はせつなさへと変わって

私の胸熱く染めました』

 

ポピパ視点

「なんていえばいいのかな?ドキドキするって言うのとも違う気がする」

「なんだよ、煮えきらねーな」

「言葉にならないよこんなの、切なすぎるもん」

「だよね、めっちゃいい曲」

「あたし、正直ちょっと泣きそう」

切ない気持ちでいっぱいになりながら光先輩の声に耳を澄ましていく

 

『あなたに会うたびわがままになります

このままずっとこのままで

言葉なんて要らない見つめてください

こんなに溢れてるあなた…好きです…

 

パッと咲いて空に咲いて夜を飾る火花は夏花火

それとも恋の炎でしょうか?

あなたの心が見ている夜空には

今私が綺麗に咲いてますか?

 

パッと咲いてシュンと散って夜に打ち上げられた恋花火

二人照らしながら広がる零れる火の粉はせつなさへと変わって私の胸熱く染めました』

俺は演奏を終えると立ち上がって頭を下げてから言った

「聞いてくれてありがとうございました」

その言葉とほぼ同時に拍手が巻き起こる。そして何人かは泣いていた、おそらく共感出来る部分があったんだろう

俺はステージを降りるとRoseliaとポピパのメンバーが駆け寄って来た

「光、その…最後の曲良かったよ」

「リサ、泣いてるの?」

「仕方ないじゃん!なんか聞いてたら凄く泣けてきてさ…

本当…光、ずるい!」

「そんな事言われてもなぁ」

「いい曲だったわ、おかげで良い詞が浮かびそうよ」

「本当に?単純に楽しんで貰えたらと思ったけど、なんか

結果オーライ?」

「そうね」

「とても素敵だと思いましたキーボードであそこまでピアノに近い音が出せるなんてさすがです音も曲も綺麗でした」

「面と向かって褒められると、ちょっと照れ臭いな、でも、ありがとう」

「えぇ、こちらこそ素敵な演奏をありがとうございます」

「あこも凄く感動したよ!」

「ありがとうね」

「凄く惹き込まれました、私もキーボードを弾くのであそこまでの演奏が出来るのは凄いと思います」

「俺はあくまでもソロだから、技術は上げておいて損は無いからね」

「それでもですよ」

「まぁありがとうね」

「光先輩!凄く良かったですよ!カッコよかったです!」

「まぁ、あの…演奏凄かったです」

「カッコよかったです」

「最高に痺れる演奏でした!」

「本当にカッコよかったですよ光さん」

「皆、ありがとう本当はもっと演奏したい所だけどポピパはもう変えるんだよね?」

「残念ですけど、そうなんです。また演奏聞かせてくれますか?」

「もちろん、タイミングが合えばいつでも大丈夫だよ」

「じゃあ光さん!夏祭りで演奏してくれたりしませんか?」

「考えておくよ詳しい事は俺達が合宿から帰ってきたら説明してくれる?」

「わかりました」

「じゃあ、帰ろう!」

「おぉ!」

最後までポピパらしいと思いながらポピパの皆を見送った

そしてその夜、前の日と同様読書をしていると扉がノックされた

「開いてるよ」

「失礼するわ」

てっきりあこちゃん達かと思っていたら友希那だった

「どうしたの?こんな時間に」

「曲が出来たのよ!聞いてもらえるかしら?」

「え?俺が?」

「この部屋に他に誰がいるの?」

「そうじゃなくて!ほかのメンバーに聞かせないのかって話だよ!」

「この曲はポピパの子達とあなたの曲がヒントになったのよ、だからこそあなたが1番最初に聞く権利があるわ」

「本当に良いの?」

「えぇ、あなたにまず聞いて欲しいのよ」

「わかった」

俺はヘッドホンを受け取り詞が載った曲を聞く

「聞く前に1つ聞いていい?タイトルは何?」

「熱色スターマインよあなたの耳にどう聞こえるのか教えてちょうだい」

「わかったよ」

俺はヘッドホンをして曲を再生する

瞬間に聞こえるのは昼間も聞いたメロディだそして友希那声と他のメンバーの声そして伝わってくるのは熱Roseliaのそして何より友希那が込めた熱量だ

「Roseliaらしい曲だと思う、詞に込めた熱量が伝わってくるよ、最高の曲だよ」

「良かったわ、あなたが気に入ってくれて」

そう言って微笑む友希那に言葉も出ない程に見惚れてしまう

「普段からそうして笑ってればいいのに」

「え?」

友希那がマヌケな声を出す

「いや、だからさ普段から笑ってれば友希那はいつも以上に美人だと思うよ」

「そんな事ないわよ、それに、上手く笑える自身がないわ」

「そっか、まぁでもさ、いつか友希那が心から笑える日が来ると良いね!多分それは夢が叶った瞬間かもしれないしその先にある未来かもしれないけどさそうなれたら良いと思わない?」

「そうね、いつかそんな日が来ると良いわね」

「うん、いつか自然な笑顔が当たり前になるといいな」

俺はそう言いながらバイオリンのケースに手を伸ばす

「それは何?」

「バイオリンだよ、両親が誕生日にくれたんだ、まだまだ感覚取り戻してる最中だからさ他の誰にも言わないでね」

「だから、今朝は誤魔化したのね」

「ごめんね、本当にまだまだ感覚取り戻してる最中だからさ、それでもいいなら聞いてくれる?」

「えぇ、聞かせてちょうだい」

「じゃあ演奏するね、曲名は

UmareruNegai~生まれる願い~まだこの曲しかちゃんとは弾けないから」

そう言って俺は演奏する友希那は黙って聞いている

曲そのものはそんなに長くないせいぜい4分程度の曲だ

俺達の間にはバイオリンの音しかないが、余計な音はいらないだろう、バイオリンの音色が部屋全体を満たしていく頃

演奏が終わる

「とてもいい演奏だったわ、とても心が安らぐような気持ちになる、そんな演奏だったわよ」

「ありがとう、もっと上手くなったらまた聞いてくれる?」

「もちろんよ、それじゃあ部屋に戻るわね」

「うん、また明日」

「えぇ、また明日」

そう言って友希那は部屋に戻って行った、俺は寝る前に

もう一曲だけバイオリンを演奏してから就寝した。

次の日、朝食後から午前中いっぱい休憩を入れながら練習した後昼食をとり午後からは各自の部屋の掃除をしてその後

自由時間となった、俺はヘッドホンをして音楽を聴きながら

ランダムに再生される曲を鼻歌混じりにギターで弾いていた

1時間くらいそうしていると部屋の扉をノックする音が聞こえたので俺はヘッドホンを外し曲を止めて立ち上がり扉を開けるとリサと紗夜の2人が立っていた

「2人でどうしたの?」

「光、そろそろ夕飯の買い物に行かない?」

俺は腕時計で時間を確認すると確かにいい時間だった

「確かにそろそろ行かないとな」

「光君の部屋からずっとギターの音が聞こえていたのでおそらく忘れているのではと思い声をかけました」

「確かに、2人が来なかったら忘れててまだギター弾いてたかもしれないな」

「光は一度集中すると周りが見えなくなるからな~とりあえず、買い物に行くんでしょ?アタシ等も一緒に言っていい?」

「良いけど…なんで?」

「合宿最終日ですし、花火でもしましょうと言う話になりまして、光君に頼んでも良かったのですが、自分達で何種類か選びたいなと」

「なるほどね、良いよ!行こう」

そう言って俺達3人は買い物に向かった

「光、晩御飯は何?」

「生姜焼きにしようと思ってる」

「良いですね、時期もピッタリですしきっと美味しいと思います」

話しながら合宿所近くの商店街で買い物を済ませて行き最後に花火を買って帰り、俺は2人に手伝って貰いながら夕飯の支度を整え皆を呼んで少し早いが夕飯を食べた後、片付けを済ませ俺達は外に出て花火を始めた

「最初は手持ち花火だよ!今の時間が1番綺麗だからね」

そう言ってリサが手持ち花火を広げていき皆はそれぞれ手持ち花火を持って火をつけて花火を楽しんでいき、手持ち花火が全部無くなる頃には空は暗くなっていた

「じゃあ打ち上げ花火しよう」

「待ってました~」

「楽しみね」

「えぇ、とても」

「はい、私も楽しみです」

「じゃあ、行っくよ~」

そう言ってリサが打ち上げ花火に火をつけていき戻ってくると花火が上がる

「綺麗だよね」

「えぇ、本当に」

「ですね」

「本当!本当!」

「綺麗ですよね」

「花火がこんなに綺麗な事なんて久しく忘れてたなせっかくだから1曲演奏しようかな」

俺は予め設置しておいたキーボードを弾きながら歌っていく

 

『あの日見渡した渚を今も思い出すんだ

砂の上に刻んだ言葉君の後ろ姿

寄り返す波が足元をよぎり何かを攫う

夕凪の中日暮れだけが通り過ぎて行く

パッと光って咲いた花火を見ていた

きっとまだ終わらない夏が曖昧な心を溶かして繋いだ

この夜が続いて欲しかった』

 

Roselia視点

「何となく夏の終わりを実感するね」

「そうね、相変わらず曲選びのセンスは一流ね」

「彼らしいです」

「光兄ぃってやっぱり凄い」

「そうだね、光君だからこそなのかもね」

花火から連想された曲なのに切なくて儚い夏の終わりを感じさせる曲に花火を背に耳を澄ます

 

『「あと何度君と同じ花火を見られるかな」って笑う顔に

何が出来るだろうか傷つくこと喜ぶこと繰り返す波と情動

焦燥 最終列車の音 何度でも言葉にして君を呼ぶよ

波間を選びもう一度 もう二度と悲しまずに済むように』

 

俺は演奏に集中しているが頭の芯はどこまでも冴えている

あぁ久しく忘れていた花火の綺麗さを思い出したせいかな

今なら今まで以上に最高の演奏が出来そうな気がする

 

『はっと息を飲めば消えちゃいそうな光が

きっとまだ胸に住んでいた

手を伸ばせば触れたあったかい未来は

密かに二人を見ていた

パッと花火が(パッと花火が)夜に咲いた(夜に咲いた)

夜に咲いて(夜に咲いて)静かに消えた(静かに消えた)

離さないで(離れないで)もう少しだけ(もう少しだけ)

もう少しだけこのままで』

 

Roselia視点

「夏も終わりだね」

「そうね、もう秋が近いわ」

「秋になったら光君はどんな曲を歌うんでしょうね」

「光兄ぃの事だからきっと凄いの用意してるよ」

「楽しみですね」

もうすぐ夏が終わり秋になる季節に向けて思いを馳せる

 

『あの日見渡した渚を今も思い出すんだ

砂の上に刻んだ言葉君の後ろ姿

パッと光って咲いた花火を見ていた

きっとまだ終わらない夏が曖昧な心を溶かして繋いだ

この夜が続いて欲しかった』

演奏を終えると花火は終わっていた

「終わったね」

「そうだね~」

俺は皆と一緒に終わってしまった花火に名残惜しさを感じつつも片付けて行く、そして全てをまとめ終えるとその日は解散となった。

俺は寝付けなかったので外に出て海辺に来て夜の海を眺めている

「夜の海って静かなんだな~凄く落ち着く」

そう呟きながら海を眺めていると俺の両隣に誰かが座った

俺は左右を見るとリサと紗夜だった

「2人とも、こんな時間に何してるの?」

「こっちの台詞だよ光こそ何してるの?」

「俺は夜の海を見てたんだ」

「暗くてほとんど何も見えないですよ?」

「波打ち際は見えるでしょ、波の音を聴きながら寄り返す波を見てた」

「確かに波の音以外何も無くて夜風が気持ちいいですね」

「そうだね~光さ、今回の合宿はどうだった?」

「ん~まぁ充実感はあったかな。それに花火が綺麗な事だって長らく忘れてたし」

「光が花火見たのっていつ以来?」

「多分小学校以来かな、はっきり覚えてるのは屋台のくじ引きでCDを当てた事とその時見た花火がとても大きかった事かな、その後音楽にハマってひたすらに両親や知り合いに楽器を教わってさ、初めて自分だけで1度のミスもなく演奏出来た時は嬉しかったな~」

そう言いながら、薄れかけた記憶を懐かしむ

「いい思い出じゃん、じゃあその頃から光は音楽とずっと

一緒だったんだね」

「まぁね、それでもやっぱり葛藤はあったよ、辞めたいって思った事だって数えきれない」

「でも、今こうして続けてるじゃないですか、それはその葛藤を乗り越えたからなのでしょう?」

「そりゃね、じゃなかったら本当に音楽はやってなかったかもよ」

「でも、夢というか目標を持ったきっかけだってもちろんあったんですよね?」

「あぁ、うん、まぁね」

俺は曖昧な返答を返して紗夜から視線を外し立ち上がってから2人に向け手を差し出し言った

「そろそろ、戻ろう」

「そうだね、そろそろ戻らないと友希那が探しに来るかもだしね」

「ですね、戻りましょうか」

2人は俺の手を掴んで立ち上がると歩き出し俺もそれに続いた

 

リサ、紗夜視点

「光!後ろじゃなくて前歩いてよ!」

「良いけど…なんで?」

「大した意味はありませんが、強いて言うなら光君を見失わないためです」

「俺別にどこにも行かないよ!まぁいんだけたどさ」

光はそう言って私達より1歩先を歩いて行く

「紗夜、光がさっき返答を曖昧にした理由ってなんだと思う?」

「さあ、正直検討もつきませんが、でも何かあるとすれば光君自身割り切っていると言っていた事ではありますが、やはり過去の事でしょうか?」

「多分ね、紗夜は学校違うし光との接点ってcircleかたまに紗夜の家の辺りまで光がぶらぶらしてたりする時だけじゃん?」

「確かに、そうですね、後はたまにですけど、日菜を家まで送っていただいた時くらいですね」

「まぁ、そんなもんだよね、アタシと友希那とそれに日菜もなんだけどさ学校も学年もましてやクラスまで一緒なんだけどさ、光はたまにあぁやって答えを渋る時とか、物凄く哀しそうな笑顔で笑う時があるんだ、今回のもそうだった」

「つまり、触れられたくないことに触れてしまったという事でしょうか?」

「そこまではわからないけれどさ光は割り切ったことだって言ってたけど、光の中で割り切れてない部分なんじゃないかな?」

「いつか、話してくれますよね?少なくとも私は光君に日菜と向き合うきっかけをもらい、湊さんが価値観の違いから対立してしまった時、その他にも小さな事で何度も助けてもらいました、なので私で力になれるならばなりたいです!」

「それは私も同じだよ、アタシだって光には感謝してるんだ、なんだかんだいいながらも結局最後まで色んなことに付き合ってくれるんだもん、こっちだって力になりたいよ」

「2人とも何してんの?おいてくよ!」

そう言って話題の張本人が少し離れた所から私達を呼んでいる

私達はお互いに顔を見合わせ笑い合うと光の所に走っていく

「待ってよ光~!」

「私達をおいて行かないでください!」

そう言って2人で光隣に並ぶ

「ねぇ、光はアタシ達に黙って居なくなったりしないよね?」

「は?いきなりどうしたの?」

「真面目に答えてください」

「まぁ地元に帰る事はあるかもしれないけど、その時だって黙って帰ったりしないよ、それに卒業後はわからないけど、高校卒業までは皆と一緒に音楽の道を歩んでいくよ」

「「約束だよ(ですよ)」」

「もちろん」

そう言いながら俺達は別荘に戻った

「じゃあ2人ともおやすみ」

「おやすみ~」

「おやすみなさい」

俺は部屋に入るとベットに寝そべり天井を見上げる

「どうしても、やっぱり割り切ったつもりでも…割り切れてなかったのかな…」

そう呟き眠りに落ちた

次の日朝食を済ませてから別荘を後にし電車に揺られ見慣れた街に戻ってきた

「すっかり見慣れた景色だな~」

「ちょっと新鮮?」

「まぁね、こっち来てからここまでの遠出って以外にも初めてだったから」

「そうなんだ、光がこっち来てからの遠出が充実してたんなら良かったね」

「あぁ、うん凄く充実した時間だったありがとう皆」

「お礼を言うのはこっちの方よ色々とね、今日はこれで解散よ、次に会うのはcircleかしら?」

「かもね、でも、夏休みの間は午後からだからさ予定が合わなければ次は学校かもよ」

「どっちにしろcircleの時は練習見てもらうわよ」

「もちろん、俺でよければね」

「いやいや、光以外に練習見てもらってもね~」

「そうですよ、光君以外に見てもらっても為になりません!」

「あこも光兄ぃ以外から教わるのヤダー」

「私も光君以外には務まらないと思います」

正直買いかぶられたものだと思いながらも悪い気はしない

「わかってるよ、いつでも練習は見るさ」

「約束よ

「あぁ、わかってる」

「そう、ならいいわ、帰るわよリサ」

「ちょっと待ってよ友希那~」

「私もこれで失礼します」

「あこ達も帰るね、バイバイ光兄ぃ」

「またお会いしましょう」

「またね、皆!近いうちにまた会おう」

そう言って俺達はそれぞれ帰路に着き

俺達の充実した夏合宿は幕を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




投稿遅くなりました。楽しみにしていてくれた人達には申し訳ないですね。何はともあれ何とか今週中に出せて良かったです。次回は夏祭り編になります。お楽しみに

次回「夏祭りと夏の歌」


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第19話夏祭りと夏の歌

夏休み終わり間近、光が奏でる次の曲は夏祭りと夏休みの終わりを感じさせる曲となる


夏休みも、もうすぐ終わる残る休みは後1週間

光はその日商店街にある羽沢珈琲店に来ていた

「つぐみに呼ばれてきたけど、なんで皆勢揃いなの?」

その場にはつぐみの他に巴とあこちゃんの姉妹にはぐみと

沙綾

そしてモカがいた、そして皆を代表してつぐみが教えてくれた

「光さんも知ってると思うんですけど、もうすぐ夏祭りがありますよね、私達はそのお祭りを盛り上げようって青年部として集まってるんですよ」

「なるほどね、それでさ、俺が呼ばれた理由って何?」

「決まってるじゃないすか!光さんに夏祭りのステージで演奏してもらいたいんですよ!」

「あこも光兄ぃに歌って欲しいなって」

巴とあこちゃんがそう言っている

「え~と、ここにいるメンバーの全会一致で光さんを呼ぼうって話になって、まずは本人に聞いてみようって事で皆を代表して私が光さんに連絡させてもらいました」

「そういう事ね」

つぐみの補足説明でやっと納得がいった俺は

いくつか質問する

「あのさ、まずもってどこでやるの?その演奏は」

「野外ステージが組まれてそこで演奏する形になりますね」

「なるどね、ちなみに俺以外は誰か出るの?」

「ポピパとAfterglowは出ますよ」

「あれ?ハロハピは?」

「ん~こころんに聞いてみないとわかんない!」

「俺個人としては久々にハロハピの演奏も聞きたいし出てくれたら嬉しいな」

「本当に!?なら、こころんに話してみるよ!」

俺は脱線してしまった話題を戻し問いかける

「そういえば肝心な事聞いてなかったけど、演奏の時間は?1人1人の持ち時間っていうか」

「その辺はまだ決まってないんですよ、まずは演目っていうかを決めないとで」

「そっか、とりあえず俺とポピパとAfterglowは確定してるし、OKでればハロハピもでしょ?あこちゃん、Roseliaは無理だよね?」

「友希那さんがうんって言わないと思う、ごめんね光兄ぃ」

「謝んなくていいよ、確認したかっただけだからね、そうすると、パスパレも難しいかな?」

「待ってください光さん!パスパレ呼べるんですか?」

「わかんないよ?日菜と後、彩と千聖に聞いてみないと

麻弥さんとイヴもか」

「光さん顔広すぎません?」

「そうかな?こんなもんじゃない?とりあえずステージ演目はLIVE一色にして最低でも今確定してるポピパとAfterglowと俺で最低でも各3曲は演奏しないとじゃない?

ちなみに俺、演奏するなら3曲は演奏したいんだけど」

俺はとりあえず自分の意志を伝える

「光さん曲決まってるんですか?」

「うん、会話しながらさっき決めた」

「それ、原曲聞けたりします?後、曲名も教えてください」

「曲名は夏祭り、わたがし、花火の魔法だよ、全部スマホに入ってるから1曲ずつ再生するね」

俺はそう言ってスマホを取り出し曲を再生する最初は夏祭りからだ、曲を再生すると皆聞くことに集中するそして曲が終わると次を再生しようとした時皆に止められた

「光さん!次の曲再生するの待ってください」

「良いけど、どうかしたの?」

「次の曲再生する前に感想くらい言わせてくださいよ 」

「そうだよ光兄ぃ」

「あぁ、ごめんごめん、とりあえずさっき言った3曲聞いてもらってそれからでも、いいかなってさ」

「1曲ずつ感想言ってった方が良いよひかるん」

「賛成〜」

「あたしもその方が良いです」

「わかった、じゃあ、この夏祭りの感想聞かせてくれる?」

俺は皆に感想を求める

「まずもって光さんこの曲の演奏難しくないんすか?

ギターヤバくないです?」

「いや、平気まだ、簡単な方」

「これで簡単って…」

「曲そのものは夏祭りの思い出って感じで私は好きですよ」

「まぁ一応そういう曲だからね」

「すっごく甘酸っぱい青春の曲ですね、私はそう感じます」

「もどかしい感じかすごく好き~」

「あこも同感!」

「ちょうど皆と同じくらいの時に歌われたバンド曲だからね、俺は残念な事にバンドではないけどギターソロでならいけるからね、とりあえず次行っていい?」

「あっはい」

「じゃあ次の曲わたがし再生するね」

俺はわたがしを再生する個人的に選んだ曲の中で1番好きだったりするんだけど、俺の感想は後回しだ

曲が終わり俺は次の曲に切り替え一時停止してから感想を聞いていく

「じゃあ、感想聞かせて」

「これ、絶対光さんが歌ったら凄い事になりそう」

「男性目線で描かれてるのに初デートの情景が浮かんでくるんだよね」

「それわかる!なんかさ、もどかしい感じがまた最高」

「あこもお姉ちゃんと同じ感想だよ!」

「ひかるん先輩が演奏したらひかるん先輩のファン増えそう」

「そうかも!」

「どうかな?誰が歌っても変わんないよ」

「いやいや、光さんが歌ったら絶対そうなりそう」

「まぁ、その辺はわかんないけど、確かに1番感情移入しやすい曲ではあるかな、じゃあ最後の曲再生していい? 」

「良いよ~」

俺は花火の魔法を再生するわたがしと同じくらいに好きな曲だけど、キーボードオンリーでやるなら以外と楽な曲であるのは間違いない

予定していた曲が全部終わり俺はまた皆の感想を聞く

「どうだった?」

「どれもいい曲ですね!アタシ夏祭りなら光さんの後ろでドラムやりたいですね!」

「あこは、わたがしがいいな~」

「花火の魔法が私は好きだね」

「私も~」

「私は選べないな~どれも結構好きだし」

「て言うか肝心な事聞いてなかった!ステージ演目何時からの予定?俺、バイト入れててさ、多少融通は聞くと思うけどさ、それによっては出番遅くしてもらわないと」

「それは大丈夫ですよ、光さんは最後なので」

「そうなの?」

「私達Afterglowが1番最初の予定なので」

「次がポピパになると思います」

「ハロハピ出れたらその次かな?」

「後は、一応パスパレとRoseliaか」

「光兄ぃが頼めば友希那さん聞いてくれたりしないかな?」

「どうだろう?聞いては見るけどさ」

「あこはお祭りにもRoselia出でたいな~」

「とりあえず聞いてみるよ、今、電話で聞いてみるよ」

そう言って俺はスマホを操作しまずはリサに電話する

数回のコールの後リサに繋がった

(もしもし、光?どうしたの?)

「もしもし、リサにちょっと聞きたいことがあってさ」

(何?アタシに答えられること?)

「商店街で夏祭りがあるの知ってるよね?Roseliaとして出てくれってお願いしたら友希那OKしてくれるかな?」

(う~んどうだろう?多分難しいんじゃないかな?)

「やっぱりそう思う?」

(多分ね~アタシとしてはそういうイベントに出て知名度上げるのも悪くないとは思うんだけどさ、友希那がうんって言わないんだよね)

「そっか、わかった、とりあえず友希那に直接聞いてみるよ、ありがとう」

(ううん、別にいいよこのくらいお安い御用だよ)

「そう?ならいんだけどさ、もし、あれなら夏祭りには来てね、俺、演奏するからさ」

(わかった、浴衣着て行ってあげるよ)

「アッハハ、楽しみにしてる、じゃあまたね」

(うん、また~)

俺は電話を切ると今度は友希那に連絡する

2度目のコールですぐに電話に出た

「もしもし、友希那?俺、光だけど」

(表示が出るものわかるわよ、それで、何か用かしら?)

「夏祭りでRoseliaとしてLIVEしてくれたりしない?」

(どうしてか理由を聞いてもいいかしら?)

「俺が夏祭りで演奏するから、Roseliaも出てくれたりしないかなってさ」

(ありがたい誘いだけれど、断るわ、LIVEハウスでやるならまだしも野外ステージは何があるかわからないし、いくらあなたの頼みでも聞けない相談ね)

「やっぱりダメか~」

(その代わりにあなたの演奏は聞きに夏祭りには行くわ)

「浴衣姿見たい言ったら見せてくれるの?」

(どうしてよ?まぁそのくらいなら良いわ、浴衣で行ってあげるわよ、それとLIVEの話、LIVEハウスであなたが演奏するならゲストとして呼んでちょうだい)

「わかった、ごめんねいきなり」

(構わないわ、演奏、楽しみにしてるわね)

そう言って友希那は電話を切った

「Roseliaはダメだって、パスパレ聞いてみるから待ってて」

俺は今度は千聖の連絡先を呼び出し電話する

繋がらないことも覚悟していたが、以外にも1度目のコールで電話に出た

(もしもし、光?あなたから連絡してくるなんて珍しいじゃない、デートのお誘いかしら?)

「それはまた今度にするよ、実はちょっと聞きたいことがあってね、連絡したんだ」

(何かしら?)

「今週末の夏祭りのLIVEに出てくれたりしない?パスパレ」

(私は構わないわよ、お祭りって夜からよね?それなら予定つけられそうだけれど、でも、事務所に確認してみないと難しいかもしれないわよ?)

「俺が確認取ろうか?」

(いいわよ、そこまでしなくても、私と彩ちゃんとで聞いてみるわよ、だから、彩ちゃんと後、日菜ちゃんに連絡しておいてくれる?)

「わかった、連絡しておくよ、忙しいだろうにごめんね」

(構わないわ、ちょうど休憩時間だったもの、それじゃあね)

俺は千聖との電話を切り上げると今度は彩に電話する

バイトの休憩時間辺りを見計らったつもりだが、繋がるだろうかと思いながら3度目のコールで彩が電話に出た

(もしもひッってあぁ~噛んじゃった~、ごめんね、光君

それで、どうしたの?)

「アッハハそそっかしいのは相変わらずみたいだね、彩

実はさ、さっき千聖にはお願いしたんだけど、商店街でやる夏祭りLIVEにパスパレ出られないか千聖と一緒に交渉してみて欲しいんだ」

(良いけど、千聖ちゃんはなんて?)

「夜なら大丈夫だから、事務所次第だってさ」

(多分だけど、光君がまた1日マネージャー引き受けるようにとか条件着くと思うよ)

「マネジメントは専門外なんだけどなぁ~あの時は仕方なくじゃん」

(でも、現場の評判凄く良くて、たまにサブマネージャーは来てないの?って聞かれるよ?)

「じゃあ、また1日マネージャー引き受けても良いって言っておいてくれる?1日だけならまた付き合うし、必要なら演奏だってしてあげるからさ」

(本当!?じゃあ事務所にはそう伝えて交渉してみるよ!)

「お願いね」

俺は彩との通話を切り、今度は日菜に電話する

1度のコールが鳴り出してすぐに繋がった

(もしもし!ひ〜くん!どうしたの?)

「もしもし、日菜、パスパレが夏祭りLIVEに出れるよう千聖と彩と一緒に交渉してくれない?」

(いいよ~、多分OK出ると思うし、その代わりさ今度一緒に遊びに行こう!もちろんお姉ちゃんと3人でね)

「2人の予定が会う日なら喜んで」

(じゃあ、その時演奏もしてね~)

「わかったよ、約束するから頼んだよ!」

(OK!任せといて!じゃあね、ひ~くん)

「うん、またね」

俺は電話を切ると現状を説明する

「パスパレは事務所に掛け合ってくれるってさ

多分OK出るだろうって」

「ひかるん!ついでにころろんにもハロハピで出れるか聞いてよ!」

「自分でやりなよはぐみ」

「良いよ、沙綾ついでだし俺から連絡するよ」

俺はこころの連絡先を表示し連絡する。

数回のコールの後こころに繋がる

(もしもし!光じゃない!随分久しぶりね、それで、何か御用かしら?)

「久しぶり、こころ、実は夏祭りLIVEがあって、ハロハピも出てくれたりしないかなって」

(楽しそうじゃない!私はOKよ!他のメンバーにも聞いてみるわね)

「はぐみはこころ次第だって言ってるし、大丈夫だと思うよ、とりあえず、OKなら改めて連絡くれる?」

(わかったわ!じゃあさっそく皆に聞いてみるわね!)

「うん、よろしくね」

俺は電話を切ると内容を伝える

「こころはOKだし、他のメンバーの予定も聞いてみるってとりあえず、ハロハピとパスパレは候補に入れておいて」

「わかりました。予定通り光さんが最後でいいですか?」

「うん、大丈夫だよ」

「光さんは最後ならあたし達ポピパがその前かな?」

「じゃあ、OKでればパスパレ、ハロハピ、Afterglow、ポピパと来て光さんかな?」

「そうなるね、パスパレとハロハピはOKなら俺に連絡来るから、そうしたらつぐみに連絡するよ」

「わかりました、お願いしますね」

「了解、じゃあ俺はこれで、午後からバイトだから」

そう言って俺は立ち上がり店の玄関に向かう

「見送りしますよ!」

「良いよ、外暑いからゆっくり涼んでて」

「でも…光さん」

「あぁ~わかった、じゃあ、店の玄関前までね外には出なくていいから」

「わかりました 」

俺はつぐみ達に見送られながら商店街を後にしそのままバイトに向かう、そしてバイト先に着くとちょうどまりなさんが店内を清掃していた、俺は中に入り声をかける

「お疲れ様です、まりなさん」

「あっ!お疲れ様~、ちょうど良かったフロアのモップ掛け手伝ってくれない?」

「良いですよ」

俺はスタッフルームからもう一本モップを持ってきてモップ掛けを手伝ってから改めて着替えに戻り、その後受付を担当する

「光君、土曜日は午後からになってるけど、朝から出られる?」

「大丈夫ですけど、何かありました?」

「GW以降機材の点検してなかったでしょ、だからさしばらくぶりにまたやっておきたいなって、光君、日曜は休み取ってるでしょ、だから土曜日に朝から出てもらって色々と点検しておきたいなって思って」

「夕方19時までに帰れるなら構いませんよ、夏祭りLIVEに出ないとなので」

「あれ?光君出るの?Afterglowとポピパだけじゃないんだ」

「まぁ、頼まれたので、それと、もしかしたらですけど、

パスパレとハロハピも出ると思いますよ」

「へえ~以外と豪華なんだね~光君は順番って最後?」

「そうですよ、まりなさんも来ますか?」

「残念だけど、無理だよ機材の点検が終わってもその後の表をまとめたりとかで、結局閉店までかかるしね」

「そうですか、まぁ仕方ないですね、俺も手伝えれば良いんですけどね」

「いいよ、いいよ、これは私の仕事だもん、光君に手伝ってもらったら、私の立つ瀬がないよ」

「なら、いいんですけどね」

そう言いながら受付の椅子に座り外を見ていると大学生くらいの人達がやってきた。俺は受付を済ませてから伝票を渡し再び椅子に座り読みかけの小説を手に取り読み始める、そしてしばらくしてからその大学生達も帰っていくとまた暇な時間が出来たので俺は貸し出し用の楽器のメンテを始めた

弦が緩んでいないか錆び付いていたりしないか、ネックがそっていないか等一つ一つ確認しながらメンテしていると俺の前に缶コーヒーが置かれた

「光君、一休みしな、これ、奢り」

「ありがとうございます」

俺は貰った缶ーヒーを開けて一息つく

「光君が定期的に楽器メンテしてくれてるから楽器をレンタルするお客さんからの評判良いんだよね」

「そうなんですか?」

「うん、使いやすいって評判だよ、光君、今日はスタジオ使う?」

「出来れば使いたいですけど、大丈夫なんですか?」

「まぁ、バイト終了後ならね、こういう時は光君いつもスタジオ貸してくれって言うからさ」

「まぁ、必要なら路上だって演奏はできますから」

「光君は路上ミュージシャンだもんね」

「そんな大層なもんじゃないですよ」

俺はそう言ってまたギターとメンテを再開する

「本当に熱心だよね」

「まぁ、どんな用途の楽器であっても大切に使って欲しいですからね」

「光君らしい理由だね」

「そうですかね」

そう言いながら俺は笑った。そして貸し出し用のギターとベースのメンテが全て終わるとちょうど上がりの時間だったので俺は上がらせてもらう、そして少しの間スタジオで練習させてもらってから帰宅して部屋に入ったのとほぼ同時にスマホが着信を告げる、俺は画面を確認すると日菜からだったので電話に出る

「もしもし、日菜、どうしたの?」

(もしもし、ひ~くん、遅くにごめんね、パスパレ出演OK出たから早く伝えたくて、地域のイベントなら積極的に参加して知名度上げるのも手だって言ってた)

「そうなんだ、ちなみに順番の希望ってある?」

(2番目くらいがいいかな~?彩ちゃんが1番最初だと緊張してわたわたするかも)

「彩は順番がどうあれそうなりそうな気がするんだけどね」

(アハハ、そうかも!)

「でしょ、彩はなんか、そそっかしいからさ、たまに見てて心配」

(わかる!なんか、たまにわちゃわちゃしててちょっと心配)

「まぁ、メンバー皆で引っ張っていってあげなよ、必要なら手だって貸すからさ!」

(ありがとう、ひ~くん!じゃあまたね!)

「うん、またね 」

そう言って電話を切る

「またね、か」

そう呟きながらスマホを机の上に置きベットに寝そべる

「後は、ハロハピか、こころなら有無を言わさず皆を集めそうだけど」

そう呟きながらベットから起き上がりギターを手に取り夏祭りで演奏する曲を練習する何度か弾いたことはあってもその曲をちゃんと弾けるように勘を取り戻しておく必要がある

「ちょっと鈍ってるな、たまにつまずくし」

そう言いながら反復で練習していき、1時間程練習した後俺はギターを置き遅めの夕飯をとり、テレビの音楽番組を見ながらボーッとしているとスマホが着信を告げる

「誰だろう?こんな時間に」

こんな時間にと言ってもまだ20時をまわったところだし夜間に仕事をしている人はこれからだろうと考えながら画面を見るとこころからの電話だったので俺は通話を押して電話に出る

「もしもし、こころ?光だけど、どうしたの?」

(皆からOKが出たわ!1番最初に演奏するからよろしくね!)

「そこまで決めたの?ちゃんと皆と話した?」

(大丈夫よ!1番最初に出てお客さん皆を笑顔にするわ!)

「わかった、なら当日はよろしくね!」

(もちろんよ!光の方も最高の演奏を期待しているわ!)

「わかってるよ!やるからには全力でやるさ」

(楽しみにしてるわね!じゃあ後のことは任せたわよ!)

「OK!任されたよ、じゃあね」

(またね!光)

俺は電話を切るとつぐみの連絡先を呼び出し電話をかける

2度目のコールですぐにつぐみは電話に出た

(もしもし、こんばんは光さん、どうかしました?)

「遅くにごめんね、実は報告があってさ、今、大丈夫?」

(大丈夫ですよ、部屋でゆっくりしてたので)

「あぁ~、リラックスタイムを邪魔したみたいでごめんね」

(大丈夫なので、気にしないでください、それで報告ってなんですか?)

「さっき電話もらってね、ハロハピもパスパレもOK出たよ

ハロハピは1番手希望でパスパレは2番手希望だってさ」

(どっちもOKだったんですか!?光さん何かしました?)

「ただお願いしただけだよ、今回はね」

(今回はって…まぁ良いですけど、とりあえずわかりました、皆には私から伝えておきます。光さんは順番最後でいいんですよね?)

「大丈夫だよ!それに少しなら、商店街の出店回る余裕ありそうだしね」

(そうなんですか?それなら私の家で出す出店にも来てください!)

「何やるの?」

(コーヒーとそれに合うデザートをセットで売ります!)

「あぁ、なるほど、絶対いかないと!つぐみの家のコーヒー美味しいし、料理もなかなかに美味しいから個人的に楽しみ!俺、未成年だからお酒とかNGだし、お祭り楽しむにしても、ラムネ買って焼きそば食べたりとかそんな感じでさ」

(無難過ぎますね、それ)

「俺もそう、だから楽しみ」

(じゃあ、そのまま楽しみにして来てください!絶対美味しいのご馳走します!)

「期待してるよ!じゃあ、今日はこれで、遅くにごめんね」

(いえ、なんだか楽しかったので気にしないでください。おやすみなさい光さん)

「うん、おやすみ」

そうして電話を切ると俺はスマホを充電してから着替えを持ってシャワーを浴びに行き、その後就寝した。

次の日からの俺は午前中は商店街で皆と祭りの準備をし午後からはcircleでのバイトでRoseliaの練習を見たりして土曜までを過ごしたそして、迎えた土曜日俺はまりなさんともう1人のスタッフさんで機材の点検をしていく、各スタジオを周り機材の点検を開始する、必要ならギター等を繋いで音響のチェックもしていく、そして問題なければチェック項目の欄にチェックを入れていく

「異常なし、ここはOKだから次だな」

俺は次の場所に移動して同じように点検していき点検を終えては次へを繰り返して3、4箇所点検してからまりなさんに声をかける

「まりなさん、今のところ機材に異常はないです。」

「OK、じゃあお昼休憩に入ってもらって構わないから一休みしてて」

「わかりました、じゃあ先に昼休憩に入りますね」

「いいよ~、休憩明けも機材の点検引き続きよろしくね」

「わかりました」

そう言って俺は昼休憩に入り昼食をとり更に20分程度休憩をとり俺は再び機材の点検を開始する

「ここの機材も異常なしと」

そう言って次に移動しては点検してを繰り返し全ての点検を終えまりなさんに点検表を渡す

「終わりましたよ、全部異常なしです」

「お疲れ様~光君が簡単な修理とかも出来るからちょっとの異常なら問題ないし、本当に助かるよ」

「完全な故障なら俺にはどうしようも無いですけど、ちょっとした接触不良とかなら問題無いのでその辺は任せてもらえれば大丈夫です」

「おかげで助かってるよ」

「なら、よかったです。そういえば、お客さんの方はどうですか?」

「今日はあんまりだね、最近はRoseliaやAfterglowも来ないしね」

「あっちはあっちで忙しいんじゃないですか?」

「Afterglowは夏祭りで演奏するみたいだしね

光君もでしょ?」

「まぁそうなんですけど、後、2、3時間もすれば上がりですし、出番も最後なんで」

「そっか、なんならもう上がっても良いよ!機材の点検済んだし、そんなに忙しくなさそうだし」

「じゃあ、スタジオ使わせてもらえないですか?」

「良いよ~好きなだけ使ってちょうだいな」

「じゃあ、お言葉に甘えて」

そう言って俺はギターを持ってスタジオに入りギターをアンプに繋ぎ演奏を開始する

今日演奏する曲を順番に演奏し最後の調整をしていく

「こんなもんかな?後は、本番を待つだけかな?」

そうしているとスタジオの扉がノックされまりなさんが声を掛けてきた

「光君、随分熱心に練習してるけど、そろそろ上がりの時間だよ、早くしないと夏祭り、間に合わないんじゃない?」

俺は時計を確認すると確かにいい時間だった

「すいません、熱中しちゃって、教えてくれてありがとうございます」

「今日は大丈夫だから気にしない気にしない、さぁ早く着替えて行った行った!」

「じゃあ、これで失礼しますね、お疲れ様です」

「お疲れ様~」

その後着替えを済ませてcircleを後にするとリサから電話がきたので俺は通話をタッチして電話に出る

「もしもし、リサ、どうしたの?」

(お疲れ~、光~、バイト終わった?)

「ちょうど終わって帰宅中、一度帰って着替えてから行くつもりだよ」

(LIVEまで時間あるんだよね?ならイツメン+Roseliaの他のメンバーと少しお祭り回らない?)

「祭りを見て回るつもりだったし良いよ、皆で回ろうか」

(じゃあ、伝えておくね、待ち合わせ18時で良い?)

「大丈夫、間に合うように行くよ!」

(OK、商店街の入口で待ち合わせね、待ってるよ~)

「了解、じゃあまた後でね」

(はいは~いまた後でね~)

そうして通話を終了すると俺は家路を急ぎ、そして家に着くとすぐに軽くシャワーを浴びてから着替えて髪を整えピアス等のアクセサリーを付けてから荷物を持って家を出る

そして待ち合わせの時間ピッタリに到着すると既に全員集合していた

「ごめんね、待たせたかな?」

「大丈夫だよ、時間ピッタリじゃん」

「遅れてはいないから安心なさい」

「そうですよ、時間ピッタリなので気にする必要はないと思います」

「あこも同意~」

「わ…私もそう思います」

「まぁ、でも、少しの間とはいえ待たせちゃったし

1人1品なんか奢るよ!ところで日菜は?イツメン+Roseliaの他のメンバーじゃなかったの?」

「だ~れだ?」

「日菜、それ、やる意味ある?声でバレるからね、俺が聞き間違えると思う?」

「だよね~ひ~くんがあたしのの声聞き間違えるわけないもんね~」

そう言いながら目隠ししている手をどけて日菜の方を振り返ると浴衣姿の日菜が立っていた

「どう?可愛い?」

「すげー可愛い、良く似合うよ、もちろん、皆も綺麗だし似合ってるよ」

俺は皆の浴衣姿を褒める

「光~もうちょい具体的にどう似合うとか言えないの~?」

「無茶言うな~まぁお望みのとあらば、一言感想言うくらいはするけどさ」

そう言って俺は1人ずつ感想を伝えていく

「あこちゃんは、カッコイイと可愛いにこだわって選んだんだよね、凄くあこちゃんらしいくて可愛いと思う」

「ありがとう、光兄ぃ!」

「どういたしまして」

俺はそう返答してから今度は燐子の方を向いて伝える

「燐子は浴衣姿だと、儚さが際立つよね、まさに大和撫子って感じで白い百合の花とか凄く似合いそう」

「そっそんな事はないと思いますけど、嬉しいです、ありがとうございます」

「まぁ、喜んでもらえて何よりかな」

そう言って今度はリサの方を向いて感想を伝える

「リサは、浴衣姿でも凄くオシャレでまさに着こなしてるって感じで凄く綺麗だよ」

「でしょでしょ~!結構頑張ったんだから!」

「だと思ったよ!なんか凄く本当に似合ってるしね」

「ありがとね!」

「うん、まぁ喜んでもらえよかったよ」

俺は次に友希那の浴衣姿に感想を伝える

「友希那は正直見違える程に綺麗だと思ったよ、普段はこうクールでどこまでもストイックな感じで女子なんだけどカッコイイって思わされるけど、今はただ本当に綺麗」

「あなたが見たいと言ったから頑張ったのよ、見られると思うと気合いは入れざるを得ないわ」

「まぁそれでも、本当に綺麗だとは思うよ」

「ありがとうと言っておくわ」

「どういたしまして」

そして最後に紗夜と日菜の2人に向けて感想を伝える

「紗夜と日菜、2人とも色違いでお揃いにしたんだね、紗夜はその青に薄紫の花柄の浴衣姿がとても似合ってて普段はとはまた違った綺麗さがあって、どことなく色っぽいなって思う、対照的に日菜は自分らしさが凄く出てて凄く可愛いんだけど、それだけじゃない綺麗さがあって凄く似合ってると思う」

「ありがとう、ひ~くん!お姉ちゃんも良かったね!ひ~くん綺麗って言ってくれるか凄く気にしてたもんね!」

「日菜!余計な事は言わなくていいのよ!」

「えぇ~本当の事だし、お姉ちゃんもひ~くんに褒めてもらえて嬉しかったでしょ?」

「それは…そうだけれど」

「アハハ、まぁ、紗夜にしろ他の皆にしろさ、人の目があると服装とかだって恥ずかしくないように気は使うんだしさ」

俺はそうフォローを入れる

「まぁ、確かにね~でも、アタシと友希那は光から浴衣姿が見たいって言われたからね~」

「そう言えばそうだったわね」

「ひ~くん!あたしもお姉ちゃんも言われてないよ~?」

「いや、日菜に関しては言えなかったんだよ!だってパスパレとして出てくれってお願いしたんだし、多分無理かなって、それと紗夜も人混み苦手って言ってたしもしかしたら夏祭り自体来ないかもなって思ったからさ言えなかったんだよ!」

「そいう事ですか、なんだか気を回してもらってごめんなさい光君」

「いや、こっちこそ、ちゃんと伝えてなくてごめん」

「でも、ひ~くん、そんなひ~くんに朗報だよ!」

「なんか使い方間違ってる気もするけど、何?」

「今回パスパレは全員浴衣姿なんだ~千聖ちゃんと彩ちゃんの浴衣姿楽しみじゃない?」

「彩はともかく、千聖は正直想像つかないし、言い出したのっておそらくイヴでしょ?それを多数決で千聖だけが反対だった、違う?」

「さっすがーアタシ達の事よく知ってるね~、千聖ちゃん最後まで渋ってたんだけど、ひ~くんのこと伝えたら途端に乗り気になったんだよ」

日菜のその発言であこちゃんと燐子以外の3人から突き刺さるような視線を向けられる

「光~とうとうアイドル件女優の白鷺千聖まで垂らしこんだの?」

「妙な言い方辞めて!それにアイドルなら、日菜や麻弥さんだってそうじゃん!」

「そうは言うけれど、あなたは日菜には甘いから今更よそれに、ドラムの子とはクラスが違うから普段は挨拶程度じゃない!」

「あなたという人は」

「3人ともそんなに怒ってると美人が台無しだからさ、笑ってなよ!それに、俺、千聖もそうだけど、日菜と麻弥さん以外のパスパレメンバーとは殆ど交流無いのに、どうやって垂らし込むのさ」

俺がそう言うと3人とも言葉に詰まった、とりあえず俺はパン!と手を叩いてから話し出す

「とりあえず、この話はここまで、皆、食べたいもの言って、1品ずつご馳走するからさ」

そう言って各自の食べたいものを聞いていく

「あこはお好み焼き食べたい!」

「私は…焼きとうもろこしをお願いします」

「アタシ焼きそば!」

「私も焼きそばが良いわね」

「あたし焼き鳥食べたい!」

「なら、日菜と2人で食べるので10本入りのをお願いします」

「了解、買ってくるから待ってて」

そう言って俺は屋台を回って買い物をしていき最後に羽沢珈琲店に寄るとAfterglowが勢揃いしていた

「来たよ~って皆、一緒だったんだ」

「光さん!いらっしゃい!来てくれたんですね」

「まぁ、約束したしね」

「光さん、食べてってくださいよ!つぐ特性のコーヒーフロートとほろ苦カップケーキ」

「売れてま~す」

「それ、モカが言うセリフじゃないと思う」

「確かに、つぐの台詞だよね」

「せっかくだし、貰おうかな」

「じゃあ、すぐ持ってきますね」

そう言って店の奥に入っていきすぐにコーヒーフロートとカップケーキを持ってきてくれた

「ありがとう、さっそく食べてみるよ」

そう言ってカップケーキを食べてみる

「美味しいよ!俺はこのほろ苦い感じ好き!コーヒーフロートに合いそうだし、コーヒー好きな俺にはピッタリ」

「口にあってよかったです」

「つぐのやつ食べてくれる人の口に合うかなって最後まで心配してたんです。お客さん達も美味しいって言ってくれてたんですけど、光さんやアタシらくらいの人達からはあんまりで」

「なるほどね、でも、気にしなくていいんじゃない?人によって好き嫌いはあるだろうし、少なくとも、俺はこれ好きだし」

そう言ってカップケーキを平らげコーヒーフロートを飲み干してから立ち上がりその場を後にする

「じゃあ、俺は行くよ、また後でね」

「はい、また後で」

俺はそんなに長居をしたつもりはなかったが待たせてしまったかなと思いわたがしとチョコバナナとりんご飴を追加で買ってからみんなの所へ戻った

「ごめん、ごめん、デザート系も買ってたら遅くなっちゃった、本当にごめん」

「良いよ、良いよ、あれこれ買ってきて、光も食べながら戻ってきたんでしょ?」

「うん、まぁね」

「なら、構わないわよ、とりあえず買ってきてくれたものを食べましょう」

「そうですね、せっかく買ってきてくれたんですし」

「だね~」

そう言って皆はそれぞれがリクエストしたものを手に取り食べ始める

「お祭りだからこそ美味しい食べ物ってやっぱりあるよね」

「それには同意するわ、この雰囲気で食べるからこそ美味しいものね」

「そうですね、普段よりも美味しく感じます」

「美味しいものは何時食べても美味しいよ」

「そうかもしれないね」

「だよね~」

そうして皆が食べ終わり俺はゴミを片付けてから皆に声をかける

「皆、そろそろ移動しない?LIVE始まるよ」

「光の出番最後じゃん!」

「早めに移動しておかないと、準備もあるし」

「他のバンドの演奏も聞いてさ光の出番待とうじゃない」

「賛成です。Roseliaにとってもプラスになることは多いかと思います」

「あこもお姉ちゃんの演奏聞きたい!」

「まぁ、こう言ってますし」

「パスパレ出番2番目だしあたしも移動しておきたい」

「じゃあ決まり!移動しよう」

そう言って俺達は移動する。

「そういえばさ光、今回演奏する曲ってテーマはあるの?光はいつも何かしらテーマにそって演奏してるでしょ」

「あぁ、うん、今回は夏祭りそのものがテーマかな、後は夏休みの終わりかな」

「なるほどね、じゃあそれっぽい曲選んでるんだ!あこは知ってるみたいだけど、教えてくれないしさ当日のお楽しみってさ」

「まぁ、あこちゃんが秘密にしてくれてたんならやっぱりもう少しの間楽しみにしてて欲しいな」

「まぁ、ここまで来たのならそれが正解ね」

そう話している間に俺達は野外ステージに到着する

「じゃあ、楽しみにしてて」

「お姉ちゃん!あたしの演奏も見ててね」

「えぇ、どちらも楽しみにしてるわ」

そうして俺と日菜は野外ステージ脇のテントに入っていく

「お疲れ~ってやっぱり俺と日菜が最後か」

そう言う俺の周りに出演バンドのメンバーが集まってきた

「光先輩!やっと来た!」

「こんばんは、香澄、それとポピパの皆もね」

「今回も光先輩が最後ですか?」

「そうだよ、基本最初か最後だからね出番」

「1番手は私達よ!」

話に割って入ってきたのはこころだ

「こころん!」

「やっほー香澄、私達の演奏楽しみにしててちょうだい!皆を最高の笑顔にするわ!」

「やるよ~!」

「頑張るね」

「任せてもらおう!」

「皆~出番だよ~」

「あら、もうそんな時間?行ってくるわね~」

そうしてこころ達はステージに上がって行った

「騒がしいて言うか賑やかな奴だな~こころは」

「それがいいところですよ!光先輩!」

「まぁそうだね」

そう言って俺はこころ達ハロハピのステージを見始める

皆がステージに上がったのを確認しスポットライトがメンバー全員を照らし出す

「皆~ハロ~!」

観客達からハロー!と返答が返ってくる

「もう一度~ハロ~!」

こころがそう言うと、観客が皆再びハローと返答する

「最高よ!じゃあ、いくわよ!せ〜の!ハッピー!」

(((ラッキー!)))

「スマイル~yeah!!!!!!」

こころの掛け声で観客皆から歓声が上がる

「さっそく皆に笑顔をお届けするわ!笑顔のオーケストラ!」メンバーの演奏に合わせてこころが歌っていく

「相変わらず、楽しそうに歌って踊るな、見てて楽しい」

「可愛いですよね!こころん達!」

「アハハ、可愛いか、まぁ、そうかもね」

そう言ってこころ達のステージを見ていると笑顔のオーケストラの演奏が終了した

「このまま次にいくわよ!コロッケタイム!」

そして2曲目が演奏されていく

「はぐみの曲だよねこれ」

「イメージって言うかはそうかもですね」

「皆、こころにつられて笑ってるしきっと楽しくて仕方ないんだろうな」

「先輩は楽しくないんですか?」

「楽しくなかったら、とっくに辞めてるよ、そうじゃなくて、こころ達もこのメンバーじゃなきゃってメンバーなんだなってさ」

「皆、そうじゃないんですか?」

「ん~例えばバンドのサポートだとまた違うんじゃない?後はスタジオミュージシャンとか」

「あぁそう言われれば」

「でも、普通はそこまで考えませんって!」

「まぁ、俺だから」

そう言って俺は笑う、そしてハロハピのステージが終了するとパスパレの番になった

「行ってきます、見ててね光君」

「うん、ここで見てるから、しっかりやってきな」

「行ってくるねひ~くん」

「ちゃんと見ていてよ」

「わかってるよ!行ってきな!」

「皆集まって円陣やるよ!」

「千聖ちゃん、日菜ちゃん、麻弥ちゃんにイヴちゃん、準備は良い?」

皆が頷いたのを確認すると彩は声を張り上げる

「パスパレ~オー!」

「「「「オォ!」」」」

そしてパスパレの皆はステージに上がっていき演奏する

「1曲目はしゅわりんどりーみんか、まぁ1番練習してた曲だろうし、当然か」

まだまだ荒削りな部分はあるけれど形にはなっている

「一人一人が虹色になるのはまだ先かもな」

そしてあっという間に1曲目が終わり、彩が話し出す

「改めまして、パスパレことPastel*Paletteです!1曲目はしゅわりんどりーみんでした。」

「私達が1番練習してきた曲なので、それなりの演奏ができたと思ってます」

「それじゃあ、次の曲にいきます!この曲はわたしと千聖ちゃんのツインボーカルで演奏します」

「ゆら・ゆらRing-Dong-Dance」

千聖と彩の2人をメインに曲が歌われていく

「いい曲だな、久々に言の葉を演奏したくなった」

「どういうことですか?」

声がして振り返ると蘭達が準備を終えてステージに上がるのを待っていた

「次かAfterglow 」

「はい、光さんにもアタシ達のいつも通りの全力見せてやりますよ!」

「それよりも、光さんが言ってた言の葉を演奏したいってどういうことですか?」

「あぁ、パスパレのあの曲がヒントになって、全然違う曲だけど、似た曲調のやつが浮かんだってだけ」

「そうですか、じゃあ、アタシ達の番なので行ってきます」

「いってらっしゃい」

蘭達と話している間に曲と出番が終わったようで皆が戻ってきた

「お疲れ様、浴衣で動きづらいだろうによく演奏しきったよね。」

「袖を上げていたのが幸いだったわ」

「そうっすね」

「はいです!」

「そうかも」

「私だけ必要無かったけどね」

「まぁ、何はともあれいい演奏だった、俺も負けてられないな!」

「出番最後なのに気合い入りすぎじゃない?」

「いや、いい感じの高揚感で満たされてて、今なら最高の演奏が出来る気がする」

そう言っている間にもAfterglowの演奏が始まった

「いつも通りのBrandNewdaysか、皆の結束力の高さが伝わってくるな」

「カッコイイよね、蘭ちゃん達」

「あぁ、カッコイイよAfterglowは」

俺はAfterglowの演奏を1音も聞き漏らすまいと耳を澄ます

集中して聞いているとあっという間に終わってしまう

「次の曲はなんだろうな、楽しみだ」

「夏祭りLIVE最高にアツい!いい感じにノッてます!このまま次にいきます!Sasanqua!」

蘭が曲名を告げると他のメンバーが演奏を始め、蘭が弾きながら歌っていく

「まさに絆の強さは誰にも負けないって感じの曲だな」

俺は耳を澄ましAfterglowの曲を、蘭の歌声を自分の耳に残していく

「光先輩!次は私達の番です!見ててくださいね」

「ここから見てるよ!最高の歌を聞かせてね」

「期待しててください」

「じゃあ円陣やろう!」

「うん」

「OK」

ポピパの皆は円陣を組むと独特の掛け声で円陣をきる

「せーの!」

「「「「「ポピパ!ピポパ!ポピパパ、ピポパ!」」」」」

そしてステージに上がっていく

「Poppin’Partyです!商店街でLIVEするの楽しみにしてました!まずは1曲聞いて下さい!8月のif」

演奏が始まった、今回は香澄がメインで歌っていく前回は沙綾と2人で歌っていた

「久々に聞いたけど、やっぱりいい曲だな」

「ポピパらしいくて可愛いよね」

「可愛い?そうかな?、まぁ、でもやっぱりいい曲だとは思うよ」

1曲目が終わり、また少し俺の番が近付く、不思議と緊張はなくあるのは高揚感だけだ

「この感覚っていつ以来かな?」

そう呟きながらポピパの演奏に耳を澄ます

「2曲目にいきます!夢見るsunflower」

2曲目が始まった、初めて聞く曲だったが不思議とそんな気がしない、そして懐かしい感じがする

俺は聴き入っているうちに、曲が終わった

「私達の演奏はこれで終わりです!でも、LIVEはまだまだ終わりじゃないです!夏祭りLIVEの最後にふさわしい曲を演奏してくれる人がまだいます!」

俺は香澄の言葉に少しだけ頭を抱えたくなった

「プレッシャーだって…」

そう言って苦笑しながらもステージ袖からステージに出ると香澄達が俺の方を向いて言った

「光先輩!後はお願いします!」

「先輩が終わりを飾ってくださいね!」

「お願いします」

「任せました」

「光さん!お願いしますよ!」

俺はただ静かに頷きステージに立つ

「ラストを任されました、光です。俺の事を知っている人は結構いると思います。今回は演奏するなんて正直思って無かったです、まずは1曲聞いて下さいタイトルは夏祭り」

 

『君がいた夏は遠い夢の中空に消えてった打ち上げ花火』

俺は歌っていくただ今この瞬間をただ楽しむために

『君の髪の香りはじけた浴衣姿がまぶしすぎてお祭りの夜は胸が騒いだよはぐれそうな人ごみの中

「はなれないで」出しかけた手をポケットに入れて握りしめていた

君がいた夏は遠い夢の中空に消えてった打ち上げ花火』

 

Roselia視点

「光~!最高だよ~!」

「落ち着きなさいよ、でも、いい曲ね初々しい感じがとても」

「えぇ、でも、恋人と言うよりはまだ好きと伝えられないもどかしさがありますよね」

「思い出って感じかな?」

「そうかもね」

光はいつもその場にあった曲を選ぶ今回もそうだ、今この瞬間をただ光は曲に込めている

 

『子供みたい金魚すくいに夢中になって袖がぬれてる無邪気な横顔がとても可愛いくて君は好きな綿菓子買ってご機嫌だけど少し向こうに友だち見つけて離れて歩いた

君がいた夏は遠い夢の中 空に消えてった打ち上げ花火』

 

Afterglow視点

「間奏のギターヤバくない?あそこまで、できる?あたし、無理だよ!それなりに難しいフレーズとか弾いてるつもりだけどさ」

「多分無理~指動かな~い」

「光さんはこのくらいなら無問題って言って笑ってたよ」

「そういえばそうだったな」

「なんでか光さんだからで納得できる私がこわい」

そのくらい間奏の間のギターはやばかった

 

『神社の中石段に座り ボヤーッとした闇の中で

ざわめきが少し遠く聞こえた線香花火マッチをつけて

色んな事話したけれど好きだって事が言えなかった

君がいた夏は遠い夢の中 空に消えてった打ち上げ花火

君がいた夏は遠い夢の中 空に消えてった打ち上げ花火

空に消えてった打ち上げ花火』

 

「1曲目は夏祭りの淡い思い出を歌った曲タイトルはそのままに夏祭りを歌わせてもらいました、次の曲も夏祭りがテーマですけど、夏祭りでの初デートの情景を歌った曲になってます。聞いて下さい 【わたがし】」

 

俺は片手をキーボードにのせて前奏を奏でた後ギターに切り替え歌い出す

 

『水色にはなびらの浴衣がこの世で1番似合うのは

たぶん君だと思う よく誘えた泣きそうだ

夏祭りの最後の日わたがしを口で溶かす君は

わたがしになりたい僕に言う 楽しいねって

僕は頷くだけで気の利いた言葉も出てきやしない

君の隣歩く事に慣れてない自分が恥ずかしくて

想いが溢れたらどうやってどんなきっかけタイミングで

手を繋いだらいいんだろう どう見ても柔らかい君の手を

どんな強さでつかんで どんな顔で見つめればいいの

 

君がさっき口ずさんだ歌にもたまに目が合う事も

深い意味なんてないのだろう 悲しいけど

君が笑ってくれるただそれだけの事で僕はついに

心の場所を見つけたよ うるさくて痛くてもどかしくて

想いが溢れたらどうやってどんなきっかけタイミングで

手を繋いだらいいんだろう どう見ても柔らかい君の手を

どんな強さでつかんで どんな顔で見つめればいいの

 

もうすぐ花火が上がるね君の横顔を今焼き付けるように

じっと見つめる』

 

ハロハピ視点

「素敵な曲ね、光が歌うからこそなのかしら?」

「そうかも!ひかるんって言葉より曲で伝える方が得意って言ってたことあったし」

「儚い」

「でも、本当に素敵な曲だよね、光君にもそういう経験があるから、ここまで綺麗に見えるのかな?」

「どうなんだろうね?光さんに聞いてみたら?」

「答えてくれるかな?」

他のメンバーにどう映ってるのかわからないけど、少なくとも私と花音さんには夏祭り初デートする恋人になりたての2人が映っていた

 

パスパレ視点

「彩ちゃんどうしたの?さっきから黙ったままで」

「いや、あの、う~ん あのね、光君が歌ってるせいなのかはわからないけど、思わず聴き入っちゃって」

「ひ~くん、多分いつも以上に演奏のクオリティ上げてるよ?」

「わかるんすか?」

「ひ~くんの本気の演奏聞いた事あるんだけど、世界が広がるって言うのかな?引き込まれる感じがするんだ」

「なるほど、なら、今の光君はそれだけ本気に近い演奏をしてるんですね!」

「多分ね~でも、ひ~くんはこの歌程初心じゃないけどね、ひ~くんもっとチャラいし」

「日菜ちゃん、それ褒めてる?光君聞いたら怒りそうだよ?」

「怒りはしないけど、多分聞かれたら髪の毛ワシャってされるかもね」

そう言いながらも日菜ちゃんはどこか楽しそうに光君が歌っている姿を見ているし、なんでかわからないけど歌詞の浴衣姿の女の子にはどうしても日菜ちゃんが重なって見えた

 

『この胸の痛みはどうやって君にうつしたらいいんだろう

横にいるだけじゃ駄目なんだ もう君の気を引ける話題なんてとっくに底をついて 残されてる言葉はもうわかってるけど

想いが溢れたらどうやってどんなきっかけタイミングで

手を繋いだらいいんだろうどう見ても柔らかい君の手を

どんな強さでつかんでどんな顔で見つめればいいの

 

夏祭りの最後の日わたがしを口で溶かす君に

わたがしなりたい僕は言う楽しいねって』

 

演奏が終わると観客全員が拍手が巻き起こる

俺はその中にRoseliaのメンバー全員の姿を見つけて自然と笑みが零れる

「聞きに来てくれてありがとうございます。次の曲が今日の

ラストナンバーになります」

俺がそう言うと客席から「ええ〜」とか「もっと聞きたい」

などの声が聞こえてくる

「とりあえず、最後の1曲を聞いて下さい

ラストはキーボードで演奏します。【花火の魔法】」

 

『花火の魔法にかかってしまえ

あなたの心を燃やしてしまえ あぁ花火消える前に』

 

俺はイメージを膨らませていく、心地いい高揚感が体を包む中、俺は観客席にいる皆を、舞台袖から見ている皆をイメージの世界へ引き込んでいく

『夏休みの最後の日に来た電話

「みんなで花火しようぜ」あなたの声

友達のひとりだと思われてても

ふたりきりの会話がうれしかった

橋の下でカラフルな火花が咲くあなたも赤 青 ピンク

わたしの火をあなたにあげたときに本気で願ったの

花火の魔法にかかってしまえわたしの病を患ってしまえ

夏の暑さがわたしを狂暴にする

花火の魔法にかかってしまえあなたの心を燃やしてしまえ

あぁ花火消える前にあなたのこと火傷させたいです』

 

ポピパ視点

「光先輩やっぱり凄いね!キラキラしてカッコイイ!」

「いや、まぁ確かに演奏してる姿はカッコイイかもしれないけど、まずもってあの人、どんな声帯してんだよ!」

「まぁ確かに、普通あそこまでの声出ないよね」

「どれだけ練習したらあそこまでの引き込まれるような演奏が出来るのかな?」

「どうだろう?光さんに聞いてみたら?」

「教えてくれるかな?」

「大丈夫じゃない?」

そんな会話をしながら私達は光さんが見せるイメージの世界に引き込まれる

 

『白く煙った橋の下あなたの手を引き

抜け駆けしたいなんて思ってても

どんな顔でなんて言えばいいかわからないまま

花火も夏も終わりに近づいてく

はっきりしてるはずの気持ちも

あなたの前ではオレンジみどり

あたしの火はあなたにあげる時に少し弱くなる

花火の魔法にかかってしまえあなたの心を燃やしてしまえ

あぁ花火消える前に もう夏が終わるまだ終われないよ

さあ いま 火を付けて

あなたの心目指して夢中で走り出したの

花火の魔法にかかってしまえわたしの病を患ってしまえ

夏の暑さがわたしを狂暴にする

花火の魔法にかかってしまえあなたの心を燃やしてしまえ

あぁ花火消える前にあなたのこと火傷させたいです

あなたのことがずっと好きでした』

 

演奏が終わると再び拍手喝采だった、そして観客達を掻き分けるようにしてRoseliaのメンバー全員がステージの前までやってきてリサが更に1歩前に出て言った

「光~!アンコール!もう一曲歌ってよ!あるんでしょ?本当の本当に夏そのものの終わりを感じさせる曲!」

そして友希那もリサに続き言う

「あるなら是非とも聞きたいわ、もう一曲歌ってくれるかしら?」

俺は軽くため息をつくとマイクを通して話し出す

「アンコールに答えてもう一曲!夏の終わりを感じさせる曲

Secretbass君がくれたもの」

俺はキーボードのサウンドを変えて演奏していく

『君と夏の終わり将来の夢大きな希望忘れない

10年後の8月また出会えるの信じて最高の思い出を…』

 

俺は再びギターに切り替え観客皆をイメージの世界へ引き込んでいく今度は夏の終わりに再会を約束した友人と作った最高の思い出の世界へ

 

『出会いはふとした瞬間帰り道の交差点で

声をかけてくれたね「一緒に帰ろう」僕は照れくさそうに

カバンで顔を隠しながら本当はとてもとても嬉しかったよ

あぁ花火が夜空きれいに咲いてちょっとセツナク

あぁ風が時間とともに流れる嬉しくて楽しくて

冒険もいろいろしたね2人の秘密の基地の中

君と夏の終わり将来の夢大きな希望忘れない

10年後の8月また出会えるの信じて君が最後まで心から

「ありがとう」叫んでたこと知ってたよ涙をこらえて笑顔で

さよならせつないよね最高の思い出を…

あぁ夏休みもあと少しで終わっちゃうから

あぁ太陽と月仲良くして悲しくて寂しくて喧嘩もいろいろしたね2人の秘密の基地の中

君が最後まで心から「ありがとう」叫んでたこと知ってたよ

涙をこらえて笑顔でさよならせつないよね

最高の思い出を…

突然の転校でどうしようもなく手紙書くよ電話もするよ

忘れないでね僕のことをいつまでも二人の基地の中

君と夏の終わりずっと話して夕日を見てから星を眺め

君の頬を流れた涙はずっと忘れない

君が最後まで大きく手を振ってくれたこときっと忘れない

だからこうして夢の中でずっと永遠に…

君と夏の終わり将来の夢大きな希望忘れない

10年後の8月また出会えるの信じて君が最後まで心から

「ありがとう」叫んでたこと知ってたよ涙をこらえて笑顔でさよならせつないよね最高の思い出を…最高の思い出を…』

俺はラストまで一気に歌い上げるとラストの演奏を終えて話し出す

「この曲が今日のラストになります。本当はもっともっと演奏したい曲はたくさんありますけど、それはまたの機会にしようと思います。路上LIVEなんかも時々やっているので聞きに来てくれたら嬉しいです。今日はありがとうございました」

俺はそう言って頭を下げてからステージ袖に戻っていくと

一緒に夏祭りLIVEを盛り上げた皆がやってきた

「お疲れ様皆、全員最高の演奏だったよ」

「光さんこそ!あんな凄い演奏するなんて聞いてないですよ!」

「かなり本気に近い演奏だったんじゃない?」

「うん、まぁね多分最近の中じゃ1番の演奏が出来たと思う」

「やっぱり、そうだと思った~」

そしてその後も皆とたくさんの言葉を交わす中おたえが俺の横に来て俺の服の袖を軽く引っ張った

「どうしたの?」

「最後の曲凄く震えました。なんかもう色々思い出して泣きそうで、まだ今よりもっと子供だった頃に引っ越して行った幼なじみと最後に歌った曲とか、話した内容とか鮮明に思い出せて…」

そこまで言うとおたえは黙った俺の袖を掴んでいる手が微かに震えている、俺はおたえの肩に手を置いてから話しかける

「おたえ、俺はさ、その時のことは何一つだってわかんないけど、きっとその幼なじみとはまたきっと会えるよ、それがいつかはまだわかんないけどさ10年先か20年先か、きっとまた会える、そう約束して歌った曲なんでしょ?その曲はさ」

「…そう…ですね…はい!そう思って2人で演奏した曲です」

「ならさ、まずは、この先いつか会えると信じて歌っていく事が大事じゃない?」

「そうですよね!私、皆と一緒にこれからも頑張ります!」

「うん、頑張って、ところで、機材とかどうするの?」

「今日のところはシートを掛けておいて、明日商店街の大人の人達が総出で片付けるみたいですよ」

「なら、商店街チーム以外はここで解散かな?」

「そうなりますね、とりあえず皆で商店街の出入口まで行きましょうか」

「そうだね、じゃあ行こっか!」

そう言って俺達はそれなりの大人数で商店街の出入口まで歩いて行く、出入口では、Roseliaの皆が待っていた

「来た来た!お~い!光~皆~」

「お姉ちゃ~ん」

リサとあこちゃんが手を振っている

「巴、あこちゃんが呼んでるよ」

「ですね、ちょっと先行きますね!」

「あたしもお姉ちゃんの所に行くね!」

そう言って巴と日菜はそれぞれあこちゃんと紗夜の所へ駆け寄っていき俺達は少し遅れて合流する

「お疲れ様、光良かったよ!最高の演奏だった」

そう言いながら肘で俺の脇腹をつつく

「ちょッ肋にくい込んで痛いから辞めてね、俺、両手塞がってるんだからさ」

「良いじゃん!良いじゃん!ウリウリ~」

「だから痛いって!」

「そのくらいになさい、リサ、何はともあれ、良い演奏だったわ光、でも、あれでも本気では無いのでしょう?」

「あれでも、6割くらいかな?多分だけど、かなり集中はしてたからね」

「光君の本気の演奏はもっと引き込まれて曲が終わるとそのままの世界観で次に繋がります」

「ひ~くんの本気の演奏は見える世界に完全に自分がいるんだよね~」

「あぁ~なんかわかるかも、あたしも止まった時間の中真っ白な世界からその世界が色付いていくみたいなそん感じだったな~」

「そうだね~、私の時は真っ暗だった目の前がどんどんキラキラしてきて、顔を上げたら目の前にキラキラした道が見えたんだ~」

「光は一体どんなイメージで演奏したの?」

「そうだな~沙綾の時は立ち止まってないで1歩踏み出せって気持ちをそのまま歌に乗せて演奏したんだよね、香澄の時は俯いてちゃダメだってただ伝えたかったな~」

「そう、いつか本気の演奏を聴ける日が来るのかしら?」

「友希那が本気で俺の手を必要としてくれたらね」

そう言って笑いかけると友希那はそっぽをむいてしまった

仕方なく他のメンバー達や他のバンドの子達とあれこれと話ながら駅に向かった

「そういえば、皆はこのまま解散するの?」

「そのつもりですよあたしらは少なくともひまりとあたし以外皆一応商店街チームなんで」

「私達は有咲の家にお泊まりです。明日で夏休み最後なので」

「まぁ、たまにはな」

「そっか、他は?」

「私達も解散かな、一応明日も仕事だったりバイトだったりだから」

「パスパレは大変だね」

「そんな事ないよ、好きでやってるんだもん」

「それよりも、光、LIVE出演の条件だけど、事務所からは特になかったけれど、一つ貸しにしてもらえないかしら?」

「良いけど、なんで?」

「しばらくは小さなLIVEくらいしか仕事はないかもしれないけれど、大きなフェスやLIVEイベントがあった際にサブマネージャー件指導役として力を貸して欲しいのよ」

「そういう事なら、俺は構わないよ、今回は貸りにしとくから、何かあったら言ってね」

「そうさせてもらうわ」

「私達もここで解散かしらね、明日は皆忙しいみたいだし、はぐみはソフトの試合で花音はバイトで薫が演劇部の活動でミッシェルはどうか分からないけど、私も楽しい事を探しにいくわ」

「そっか、まぁ、充実してるみたいでよかったよ」

「それはもう!毎日笑顔が溢れているわ」

「そっか、こころはハロハピの太陽なんだね」

「あら、素敵な事を言ってくれるのね光!でも、その通りよ!私がいて皆がいて笑顔があるんだもの!」

実にこころらしい回答だと思った、確かに、こころがいるからこそハロハピのメンバーは皆笑っていられるのだろう

なんだかんだいいながらも美咲や花音も楽しそうだ

「そういえば、友希那、明日はRoselia集まるの?」

「いいえ、明日は個人練習にしているわ、それに光は明日はcircleに居ないんでしょ?」

「あぁ、うん、ちょっと1日かかる用事がね」

さすがにリサの誕生日デートだとは言える訳が無いので適当に誤魔化す俺をリサは少し困り顔で苦笑しながら見ている

「そう、まぁ、なんにせよ、新学期早々遅刻するという事だけは避けなさい」

「わかってるよ、そこは心配しないで」

「なら、いいわ、とりあえず、次に会うのは新学期ね」

「そうなるかな、学校で会うメンバーはまた学校で他のメンバーはまた近いうちに会おうね」

俺がそう言うと「また近いうちに」と返答しその場を後にするメンバー達と「また学校で」と言って去っていくメンバー達

にもう一度「近いうちに必ず、そしてまた学校で」そう言って俺達は皆それぞれ帰路に着く、帰り道、俺は紗夜と日菜と3人で歩いている、特に会話はないが不思議と気まずさは無い

そんな中俺と紗夜を日菜が呼んだ

「ねぇ、ねぇ、ひ~くん、お姉ちゃん」

「どうしたの?」

「何かしら?」

「あたし達って10年後の8月ってどうしてるかな?」

「何?Secretbassの話?」

「何となくね、ひ~くんが歌ってくれた意味を考えてたんだけど、夏が終わるってだけじゃなくて未来の自分がどうしてるかな?とか考えてたんだ」

「それで、答えは出たのかしら?」

「ううん、全然!だから、ひ~くんやお姉ちゃんはどうなのかなって」

俺はその問いには迷うことなく答えた

「俺は、約束を果たせてたら良いかなって思うよ」

「約束?」

「うん、SPACEのオーナーや俺の両親や夢を応援してくれる沢山の人と交わした夢を叶えてて理想の自分になれてたら良いとは思ってるそれが例え10年後の8月じゃなくてもね」

「そっか、ねぇ、その時ひ~くんの隣には誰がいるのかな?」

「どうだろう?少なくともひとりじゃないさ、それに10年後の未来の事なんて、わかんないよ」

俺は笑いながら答えた

「そうだよね、そうかも!じゃあお姉ちゃんは?」

「そうね、少なくとも、FWFに出場して優勝してその先を見据えられていたら良いわね」

「出来るんじゃない?紗夜達Roseliaならさ」

「もちろん、その為の努力なら惜しみません!私達Roseliaの目標は遥かなる高みですから 、もちろん光君はその舞台を見届けてくれるのでしょう?」

「夢の舞台でってヤツかな?まぁそこに俺が居ていいなら

きっと居るよ」

「約束ですからね!破ったら引張たきますからね!」

「少なくとも、空は繋がってるんだし、みんな空の下で繋がってるさ」

「あなたはいつもそうやってはぐらかすんですね、光君らしいですけど」

「ひ~くん、本当に黙っていなくなるのだけは無しだよ!」

「言ったろ、高校卒業までは皆と一緒に音楽を目一杯楽しんで同じ道を歩いて行くさ」

それが今の俺に言える最高の答えだった

「約束したからね!あたしだけじゃなくて、お姉ちゃんや他のみんなとも約束したんだからね!」

「わかってるよ!ほら、帰ろう、送るからさ」

そう言って俺は手を差し出すと日菜はその手を握り返してきた

「ひ~くんキーボード、持ってあげる!」

「じゃあ、お願いね」

俺は日菜にキーボードが入ったケースを預けるとそれを背負って日菜は紗夜の方を向いて言った

「お姉ちゃん!ひ~くんの反対の手、空いたよ」

「え?それは…その…手を繋げって事なの?」

「お姉ちゃんはひ~くんと手を繋ぐの嫌?」

「嫌…ではないけれど…その…恥ずかしいわ」

「紗夜、それに日菜も浴衣だし、歩きにくいでしょ?転ばないようにさ、今だけさ、手、繋がない?」

俺は理由をつけて最もらしい事をあえて言う

「まぁ、一理ありますし、そうさせてもらいます」

そう言って俺の手を握り隣に並び歩き出す

嬉しいそうにしている日菜と少し恥ずかしそうにしている紗夜、2人と一緒に帰り道を歩いている、相変わらず会話はないが本当に不思議と気まずさは無い

「光君、送って下さってありがとうございます」

「どうしたの?突然、まだ家に着いてないよ?」

「最初に言っておきたくて、それに日菜や私のために気を使ってくれてますし」

「なんの事?演奏?」

「いえ、演奏もそうですけど、その…手まで繋いで歩幅まで合わせてもらってますし」

「あぁ、その事、気にしないでいいよこのくらいなんでもないし、それに日菜には荷物持ってもらってるしさ」

「それは、そうですけど…」

「お姉ちゃん、気にしすぎじゃない?ひ~くんってあんまりあれこれ気にされるの好きじゃないんだよ!だっていつも誰かの為に出来ることをやってるだけなんだし、今回もそうなんだよ。」

「日菜の言う通りだからさ、あんまり気にされると、困るというか、どうしていいか、わかんない」

「まぁ、それがひ~くんだから」

「なんだか日菜には俺の事はお見通しって言われてるみたいだな~」

「そんな事ないよ、まだまだわかんない事だらけだよ~」

そう返答する日菜は笑っている、それにつられるようにして俺も自然と笑っていた

「本当に日菜と仲がいいんですね光君」

「そりゃね、出会ってまだ半年も経ってないけど、俺は日菜のまっすぐ人の目を見て話せる所を気に入ってるし、それをわかってるから日菜だって俺を慕ってくれてるんだと思うし、そんな日菜を邪険にはしたくないから」

「そうかもしれないですけど、日菜に甘すぎませんか?」

「どうだろう?日菜はどう思う?」

「普通じゃない?周りの事はよくわかんないけど」

「それが答えだよ、結局周りがどうかなんて関係ない、俺達がお互いに今の関係が理想だと思うならそれでいいんじゃない?」

「まぁ、光君がそう言うなら納得しますが…」

「俺はさ、好き嫌いとか損得じゃないそういうの抜きでたくさんの人と仲良くなりたいんだ、だからさ今の関係だって大切にしていきたい、それはいけないかな?」

「素敵だと思います。多分そんな貴方だからこそ周りに沢山の人が集まるのでしょうね」

そう言って微笑む紗夜はとても綺麗だった

そんな紗夜に俺は問いかける

「ねぇ、紗夜、俺の事光君じゃなくて光っては呼んでくれないの?」

「友希那やリサは俺の事光って呼ぶでしょ?紗夜にも俺の事光って呼んでくれたりしない?」

「それは、難しいですね、今まで皆さんのことを名前で呼んだことはなくて、光君って呼ぶのすら精一杯なんです」

「お姉ちゃん、一度だけでも呼んであげたら?」

「日菜まで…はァ…わかったわ一度だけ名前で呼び捨てにしますけど…笑わないで下さいね」

「笑わないよ、なんで笑うの?」

「そうだよ!」

紗夜はもう一度深呼吸すると俺の名を呼んだ

「ひ…ひか…光」

俺よりも少し背が低めな紗夜は俺を見上げる形で俺の名を呼んだ光と確かにその声で

「はい、ここにいるよ、君の隣にね紗夜」

そう言って俺は微笑んだ

紗夜の方は真っ赤になって俯いている

「お姉ちゃん?大丈夫?真っ赤だよ?」

「その…やっぱりどうも恥ずかしいわ」

「やっぱり駄目そう?」

「はい、すいません光君」

「お姉ちゃん可愛かったよ」

「どうしてよ!?」

「だってひ~くんの名前呼ぶだけなのに呼んだら呼んだですっごい真っ赤なんだもん!お姉ちゃん可愛い!ねぇ、ひ~くんもそう思うでしょ?」

「紗夜は元々美人だしね」

「からかわないでください!」

そう話していると日菜達の家に到着した

「あ~あ、もう着いちゃった、楽しい時間てあっという間なんだもんなぁ~ひ~くん今日泊まっていかない?お姉ちゃんも喜ぶと思うけど?」

「日菜!!」

「残念だけど、遠慮するよ、明日は1日用事で忙しいんだ、また今度ね!それとまずは遊びに行くんでしょ?」

「じゃあ今度は遊びに行ってからお泊まりね!」

「ちゃんとご両親の許可は得ておいてね、そうしたら俺は構わないからさ」

「それなら大丈夫!家の両親長期出張で家にいないこと多いから好きにしていいって言われてるし」

「じゃあ2人の都合がいい日にね、じゃあまたね」

そう言って俺は日菜からキーボードを受け取り氷川家を後にしその後何気なくスマホを確認するとリサからメッセージが届いていた内容は明日楽しみにしてるという内容だった

「明日か…」

 

俺はまだ見ぬ明日を思いながら家路に着いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




夏祭り編終了です!次はリサの誕生日編を書いてから二学期イベントとして羽丘祭と修学旅行編を挟んで光君の過去編とカバーLIVE編を予定通り書いて行こうと思いますのでご愛読よろしくお願いします。

次回「誕生日と頑張れって気持ち」


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第20話誕生日と頑張れって気持ち

イツメンの1人今井リサの誕生日を祝うために今日も光は奮闘する


今日もまた俺はスマホのアラームで目を覚ます。

「あぁ、もう時間か、さっき寝たばっかな気がする」

そう呟いてから起き上がって頭を振り着替えを持って洗面所に行き目覚ましにシャワーを浴びて着替えてからそのまま台所に行き朝食の準備をしてリビングに行き朝食をとる

テレビを付けて週間音楽ランキングをチェックする

「最近の人気はやっぱりbacknumberなのかな?もちろん嫌いじゃないけど、新曲出してるアーティストいっぱいいるのになぁ~どれもいい曲ばっかだしさ」

そんな事を呟きテレビを見ながら最後の一口を口にして朝食を終えると食器を片付けて出掛ける準備を始める

「忘れ物ないようにしないとな」

そう言って俺は持ち物をチェックしていく

「財布にスマホに家の鍵と一応ピアスのケースもか

後はCDを持てばOKか」

そう言って部屋に1枚のCDを取りに行きそれをバックに入れてから家を出る

「早めに行かないと5分前には多分リサ来るよね?」

そう言って俺は早めに家を出て歩いて待ち合わせ場所の駅前に向かう

30分程歩いて目的地に到着した俺は駅前広場のベンチに座り音楽を聴きながらリサを待っている

そうして待っていると案の定約束の時間5分前にリサがやって来た

「おはよう、早いね光」

「おはよう、リサ、遅刻したくなかったから早めに来たんだよリサだって約束の5分前だよ?」

「光より早く来て待ってようと思ったんだけど、光の方が早かったか」

「まぁ、そうみたい、とりあえず移動しない?ここにいると知らない人に声掛けられるし」

「それって逆ナン?」

「どうだろ?昨日の夏祭りLIVEのせいかな?知らない女子にめっちゃ声掛けられるからイヤホンして音楽聴いて待ってたんだよ、知らない女子にいくら声掛けられてもさ、ただ困るって!」

「光の場合たまに路上LIVEもしてたりしてたりするからね

多分光の事見かけたことがある子はやっぱりいるんじゃない?」

「だとしても、知らない女子に声掛けられてもね~」

そう言って苦笑する俺となんとも言えないという表情のリサ

「ちなみにさ光、その指輪は女子避けって事?」

そう言って俺の指に着けている指輪を気にするリサ

「あぁ、これね!そうだよ、一応付けてたら女子避けになるかなって、一応薔薇の装飾してあるし、欲しいならあげるよ?単なるファッションリングだし」

「まずもってはまる?アタシの指」

「リサは俺よりも指細いじゃん」

「えぇ?そうかな?多分光の方が細いって!」

「じゃあさ、確かめてみようよ!」

そう言って俺は手のひらを前につきだすとリサは俺の手に自分の手を重ねる

「ほら、リサの方が指細いよ」

「本当だ!自分でもビックリ!な~んか光の方が細い気がしてたし」

「握手すれば俺はだいたいわかるんだけどね」

「多分それは光だけだと思う」

「そうかな?ギターとかベースやってる人はわかるもんじゃない?

「少なくともアタシは無理、って言うか話戻すけどさせっかくなら光が指輪はめてくれる?」

「良いけど、どの指?中指?それとも薬指?」

「中指でお願い」

「了解」

俺はリサの左手の中指に指輪をはめるリサは指輪を見て嬉しそうにしている

「気に入った?」

「凄く気に入ったよ!可愛いもん」

「俺は、カッコイイと思って付けてたんだけど、可愛んだ」

「アレじゃない?アタシら女子から見たら可愛くて男子から見たらカッコイイって思えるデザインじゃない?」

「確かにそうかもね」

「そういえばさ、肝心な事聞いてなかったけど、電車待ってるけど、どこ行くの?」

「言ってなったっけ?」

俺はそう言ってスマホを取り出し履歴を表示してからリサに見せる

「隣街の映画館でカノ嘘が再上映されてるんだよ!リサは前にスクリーンの大画面で見たかったって言ってたからさ再上映してないか調べたら1週間限定の1日2回の再上映してるって情報見つけてさ映画館に電話で確認済みだから確かだよ!」

「そこまで調べたんだ…なんか、ありがとうね、アタシの為にあれこれしてくれて」

「お礼は今日のデートが終わってからねほら、電車が来たよ、行こう!」

そう言って手を差し出す俺とその手をとって2人で電車に乗った

「なんかさ、こうしてると駆け落ちするみたいだね」

「アハハそうしたら俺は友希那や紗夜達に恨まれるね、大事な私達の親友件バンドメンバーを!ってさ」

「そうかも!」

そう言って笑い合うこの時間を楽しいと思った。

そして、目的地の駅に到着すると俺達はお互いに軽く身体を伸ばしてから並んで映画館に向かって歩き出す

「光、ちなみに再上映って他に何かやってなかった?」

「今回はカノ嘘と聲の形ってアニメ映画の2本がやってるよ」

「聲の形?はどんな話?」

「耳の聞こえないヒロインとイジメっ子だった主人公が友達として沢山の人と関わっていく話だよ」

「そっちも面白そうだね」

「なんならどっちも見る?聲の形は夕方から二回目の上映だからカノ嘘見て少し遊んでまたここに戻ってくればちょうどいいんじゃない?」

「光はいいの?」

「俺はいいよ、今日は目一杯リサに付き合うし、もちろん嫌な時は嫌って言うよ」

「光がそれでいいなら、そうするね、じゃあ今日は光に目一杯楽しませてもらうとしますか!」

「仰せのままに、お嬢様、なんてね」

「光、それやるなら執事服来てやってよ~!絶対絵になるのに!」

「機会があったらね」

そんな話をしながら俺達は映画館に到着する

俺は自分のと合わせて今回観るカノ嘘と聲の形のチケットを2枚ずつ買って、2枚をりさに渡す

「これは、りさの分ね」

「ありがとう、光」

「どういたしまして、とりあえず、飲み物買って入場しようか、何飲む?」

「アタシ、メロンソーダ 光は何にするの?」

「俺は、ジンジャーエールかな」

俺達は列に並び飲み物を買うと映画が上映されるシアターに入って席に座る

「楽しみだね」

「まぁね、俺も映画館で見たのなんて1度きりだし結構楽しみではあるかな」

そう話していると辺りが暗くなり、上映案内が開始される

いくつか映画の上映案内を見ていたが、面白そうだと思えるものは特別無かった、そして上映案内が終わり本編が上映される

内容は俺も知っている

音楽と向き合う一人の青年と歌うことが好きな少女の恋愛を描いた作品で最後に青年は自分の音楽と向き合う為に旅立つ事を決め、最後に主人公の2人が演奏する

【ちっぽけな愛のうた】が主題歌になっている

使われたどの曲も全てが最高の曲だった

隣を見るとリサが号泣している

「リサ、大丈夫?なんかめっちゃ号泣してるけど…」

「あぁ、うん大丈夫、凄くいい作品だったから、スクリーン効果って言うかで」

「そっか、とりあえず立てる?」

「ちょっと、難しいかも…」

「じゃあ、掴んで」

俺はそう言って手を差し出すとリサは俺の手を掴んで立ち上がる。俺は着ていたパーカーの脱ぐとリサの顔を隠すようにフードを被せる

「泣き顔、見られたくないでしょ?」

「ごめんね、それと、ありがとう」

「別にいいよ、このくらい」

俺はそう言って手を引いて映画館を出て隣接するカフェに入り隅の席に座りとりあえず、アイスコーヒーとミルクティーを頼み隣に座るリサを見た

「落ち着いた?」

「うん、もう大丈夫、ごめんねみっともないとこ見せて」

「気にしないで、映画見て感動したんでしょ?」

「うん、本当に最後の方ヤバくてさ、特に理子の事が好きなのにあえて冷たい態度をとってその後影で泣いてたアキのシーンとか、最後の2人で演奏し出してエンドロールになってさエンドロールの後の理子を抱きしめたあの瞬間とかもう最高でさ、気づいたら泣いてたよ」

「俺もあのシーンは好きだよ、後、理子達の初ライブのシーンとか、他にも、結構最初のシーンだけどアキが一目惚れって信じますか?って言ったシーンとかね」

「あぁ!わかる!あれはドキッとした!アタシも言われてみたいなって!ねぇ、光が言ってくれたりしない?」

「俺が?いや言ってもいいんだけど、シチュエーションとかの問題もあってドキドキしないんじゃない?」

「じゃあ光独自にアレンジとかしてもいいからさ、一目惚れって信じますか?って言ってくれない?」

「わかったよ、その代わり笑わないでね」

「笑わないよ!その代わりドキッとさせて!」

「じゃあ、少しだけ壁際によってくれる?」

「OK、ちょっと待ってね」

そう言ってリサは壁際に移動したのを確認して俺はリサの隣に行きそして周りからリサの顔を隠すようにしてからもう片方の手でリサの髪に触れてから言った

「ねぇ、一目惚れって信じますか?」

 

リサ視点

からかうつもりで光に映画と同じ台詞を言って欲しいってお願いしたんだけど、正直反則だった。アタシの表情を周りから隠すようにした後アタシの顔に触れてきて囁くように

「ねぇ、一目惚れって信じますか?」って言うんだもん!

普段とはちょっと違うんだけど凄く優しい目で問いかけるんだもん!アタシは顔が熱くなるのがわかった、光独特の少し低めの声で囁くように言われたら多分アタシじゃなくても赤面する

「光、反則!こんなんじゃ人前出れないよ!」

アタシはそう反論すると光は

「やれって言ったのリサじゃん!」

って言って笑ってた

 

 

光視点 光side

 

俺はリサがやって欲しいって言うから望み通りにしたら反則だと怒られてしまった

「やれって言ったのリサじゃん!」

そう言って笑う俺にまだ恥ずかしそうにしているリサが軽くジト目を向けてけるので

「ごめん、ごめん!本当はちょっとだけ仕返しも兼ねてた」

「だろうと思った!だって普段絶対見せない表情してたもん!光は囁きは禁止!多分やられた子は赤面するか倒れるから」

「じゃあ、リサ限定にするよ」

「それもダメ!アタシが耐えらんない!光の声で囁かれると耳がくすぐったいし!」

「そっか、じゃあたまにやろうかな?」

「光のバカ…意地悪だ…」

「たまにはこんな俺も悪くないでしょ?」

そう言って笑うとリサははにかんだ笑顔を浮かべていた

「そういえばこの後ってリサはどうする?」

「この後?」

「そう、あちこちウインドウショッピングしたいとか身体を動かす遊びがしたいとかなんかある?」

「なんでもいいの?」

「なんでも大丈夫」

「じゃあカラオケ行きたい!光にカノ嘘の主題歌歌って欲しいし!」

「演奏はないけどそれでもいいなら」

「歌だけ聞かせようって考えはないの?光は」

「無いわけじゃないけど、カラオケあんまりいかないから」

「そうなんだ、じゃあやっぱりカラオケだね!光が歌限定だと何歌うのか気になるし」

「そうなの?じゃあとりあえず行こうか!」

「OK!ちょっと待ってて」

そう言ってリサは持ってきていた小さなバックを持って立ち上がる

「気になってたんだけど、何入ってるか聞いていい?その小さいバック」

俺はリサのバックを指さす

「あぁ、これ?貴重品入れてるんだよスマホとか財布とか光だってそうでしょ?そのバック」

「そうだよ、財布とスマホはポケットだけどね」

「あぁ、そっか光は長財布にウォレットチェーンだもんね」

「そういう事、さぁ、行こう」

「OK!行こう」

そうして俺達はカラオケに向かった

店に着き時間をどうするか相談する

「どのくらいにする?お昼ここで済ませるなら3時間くらい?」

「ん〜2時間くらいでいいかな、お昼はせっかくだから別な所で食べたいし」

「OK、じゃあ2時間で」

そう言って伝票を受け取ると告げられた番号の部屋に入る

「最初は光からね、クリプレ歌って!」

「最初の1曲くらい選ばせてよ!まぁ良いけど、卒業?サヨナラ?」

「卒業で!」

「了解」

俺は曲を選択して歌い出す。歌いながらさっき見た映画の事を思い出す。アキが仲間のメンバーと演奏するシーン、アキと理子が演奏するシーンを思い出しながら歌っていき曲が終わる

「相変わらず凄い歌唱力だね、どんな喉してるんだか」

「普通でしょ?クリプレは男子のバンドだしね」

「それもそっか、じゃあアタシの番ね!イノハリを歌うよ〜!」

そう言ってリサはイノハリを歌っていくが思ったよりも苦戦中だ、あのパワフルボイスはそう簡単には歌えないだろう。

それでも、音程を外すことなく歌いきってからソファに座り脱力する

「ダメだ〜上手く歌えた気がしない!」

「そう簡単にイノハリは無理だって!」

「でも、光は歌えるじゃん!」

「最初から歌えた訳じゃないからね俺だって!」

「じゃあ次はハイスクール歌ってよ!」

「仕方ないな〜」

そう言って俺はハイスクールを歌っていく歌い始めて驚いたのは画面に表示されているのがイノハリの映像そのものだったからだ

すげぇなマジかと思いながらハイスクールも歌いきると続けてカナリヤを歌わされた

「曲入れるなら言っといてよ〜」

「良いじゃん!光なら余裕でしょ?」

「まったく、まぁいいけどさ」

そうして俺はその後もりさのリクエストに合わせて歌っていきリサも練習がてらと何曲か歌っていると電話がなり終了時間の10分前になった

「リサ、10分前だって」

「延長は無しでいいよ!あと10分なら光が2曲歌えば大丈夫じゃん?」

「リサがいいなら、そうするよ、じゃあそう伝えるよ?」

「OK!よろしく」

俺は電話で延長は無しで修了時間にもう一度連絡を入れてくれるよう頼み電話を切った

「じゃあ、残りの時間はちっぽけな愛のうたともう一曲ね」

俺はそう言ってちっぽけな愛のうたを選曲し歌い出す

この曲を歌っていると思い出すのはやっぱりあのシーン

理子がアキのベースを弾いているとアキが後ろから

「下手くそ!」と声をかけるシーンとそこから一緒に演奏し歌い出すシーンだ、そのシーンを思い出しながら歌っていく

ちらりとリサの方を見るとリサは目を閉じて聞いている

同じように最後のシーンを思い出しているのだろう

俺は最後まで歌いきると次の曲を予約し一時停止してからマイク越しにリサの名を呼んだ

「リサ!」

リサが目を開けて俺の方を見て返答する

「どうしたの?」

「Happybirthday!!!誕生日おめでとう、これから歌う曲はね、俺が知ってる数少ないbirthdayソングでさ、まだ誰にも歌った事はないけど、今回は特別ねリサにだけ歌うよ

聞いて下さい キミ記念日〜生まれて来てくれてアリガトウ」

 

俺は曲を再生し歌い出す

 

『Happybirthday! ずっとずっと一緒に祝ってゆこうこの

キミ記念日1/365主役は大好きな君

生まれて来てくれてアリガトウ!』

 

リサ視点

まだ曲が始まったばかりなのに凄く嬉しくて胸が張り裂けそうだって歌詞の一部でもなんでも始めてだから生まれて来てくれてアリガトウなんてちゃんと言われたのが初めてで、それだけでもう胸がいっぱいで泣きそうだった

 

『宝くじを買って一等が当たるより奇跡的な確率の中

2人は出会えたんだそれなのに

「生まれてこなきゃ良かった。」なんて泣いてたコトも…。

今日は忘れよう何より大切な日

「君が居れば他になにもいらない!」と本気で思ってんだ

って君に伝えようか でも笑うだろう?

Happybirthday!ずっとずっと一緒に祝ってゆこうこのキミ記念日1/365主役は大好きな君

だから何度だってhappybirthday!ずっとずっと

「おめでとう」を贈るよもっと幸せの涙君に訪れるように

生まれて来てくれてアリガトウ』

間奏の間に伝えるべきことを伝えておく

「リサ!今回はカラオケだけどさ今度はちゃんと俺の演奏でちゃんともう一度この曲を贈るからね!」

そう言うとリサはただ静かに頷いた

 

『You&I 逢えない時もあるけれど

いつも君の変化には気付いてるよ

いっぱいいっぱいのクセに「平気だって」の一点張り

大丈夫だよ帰る場所はここにあるよ

君が生きていてくれるだけで

変わらないでそこにいるだけで

泣けるくらいに愛しいってことを忘れないでいてよね

Happybirthday!ずっとずっと一緒に祝ってゆこう

このキミ記念日1/365主役は大好きな君

だから何度だってHappybirthday!!!ずっとずっと

「おめでとう」を贈るよもっと幸せの涙君に訪れるように

生まれて来てくれてアリガトウ!

生んでくれたパパママに感謝今日くらいは素直になろうよ

出会えた大好きな人達に乾杯!

辛い時は朝までとなりで分かち合って来たよね

午前0時1番に笑顔を君に… キャンドルの光消しても

想いは絶対消さない

Happybirthday!ずっとずっと一緒に祝ってゆこう

このキミ記念日1/365主役は大好きな君

だから何度だってHappybirthday!ずっとずっと

「おめでとう」贈るよもっと幸せの涙君に訪れるように

生まれて来てくれてアリガトウ!』

 

「Happybirthday!17歳の誕生日おめでとう」

俺のその言葉と共に演奏が終わるのとリサが泣き出すのはほぼ同時だった、リサは俺が貸したパーカーのフードを被ると呟くように言った

「アタシってこんなに涙脆かったかな〜映画見て感動するのはわかるんだけどさ、歌を聞いただけで、こんなにも泣けてくるのはなんでかな〜?歌詞でもなんでもやっぱり初めてだったからかな?生まれて来てくれてアリガトウなんて言われたの」

「多分、そうなんじゃない?でもさ、それって悲しくて流す涙じゃなくて嬉し涙じゃん!ならさその嬉し涙が止まらなくなるくらい今日は目一杯楽しもう!」

「うん、ありがとう光!そろそろ出ないと、時間終わりだもんね!」

「そうだね、さぁ行こういっぱい歌って泣いたしお腹空いたでしょ?」

「そう言われれば確かに!アハハ、なんか今日のアタシちょっとみっともないね」

「別にいんじゃない?だってそう言うみっともない所もリサの1部でしょ?なら良いじゃん」

「そうだよね、ありがとう光」

「お礼は今日の最後にまとめてお願いね」

「それは、まだ終わりじゃないってことだよね?」

「そうだよ、この後もお昼食べて買い物してまた映画見てってまだまだたくさん時間はあるよ」

「そっか、じゃあ、まずはお昼だね」

「そうだね、行こう」

そう言って俺達はカラオケ店を後にして俺達は昼食をとるため移動し始め、近くの洋食屋に入る

「光、決まった?」

「うん、ビーフシチューにするよ」

「アタシはハヤシライスかな、結構お腹すいたし少しガッツリ食べたいかも」

「OK、じゃあ注文するね」

そう言って俺は店員を呼んで注文する、店員の方は注文をとると到着まで待つように言って厨房の方へ向かった

俺達は料理が到着するまで雑談に興じる

「光、この後さ、あちこち見て回りたいんだけど、どこかオススメあったりする?」

「ん〜じゃあドンキでも行く?色々あるしあそこならそれ以外でも、その近くに女性服専門店があるみたいだよ」

「そうなんだ!ねぇ、光は欲しいものないの?」

「そうだな〜香水とか?」

「いいね!アタシも欲しいかも!光がいいならさお互いに良さそうな香水送り合うってのは?」

「そうしたいならいいよ!ドンキでいいの売ってると思うし、見に行こう」

そう話していると料理が運ばれてきたので俺たちは食事を始める

「結構美味しいね」

「うん、やっぱり自分達で作るのとは違うからこそなのかもしれないね」

「だね〜」

そんな話をしながら俺達は食事を終え会計を済ませてから店を出てドンキに向かった

「やっぱり結構色々商品置いてあるよね」

「だね〜、さっそく香水見に行く?」

「ん〜先にアクセサリー見たいかも!アタシも何種類かイヤリング欲しいし」

「じゃあ、アクセサリー系が売ってる辺りを重点に見ていこうか」

「賛成!光!じゃあはぐれないよう手繋ごうよ」

「いいよ、じゃあ、はい」

俺は手を差し出すとリサはその手を握ってきた

「光の手って意外と大きいよね」

「そうかな?自分じゃ意識した事ないけど、リサの手は俺より少し小さいけど、やっぱり音楽をやる人の手だなって思うよ」

「こう、面と向かって言われると照れくさいね」

「俺もそう思う」

そんな話をしながら俺達はアクセサリー売り場を見て回る

「いつものと色違いなんだけど、どうかな?」

リサは普段から付けているウサギの耳飾りの色違いを手に取って耳元にかざしてみせる

「う〜んもちろん似合ってはいるんだけど、もうちょい明るい色の方がいんじゃない?」

「じゃあ、こっち?」

今度はオレンジ色を手に取り耳元にかざす

「いつものを見慣れてるせいかな、微妙なんだよね」

「そっか〜やっぱり人から見て似合っている似合ってないって大事だし、やめとこう、光、なんかアタシに似合いそうなのない?」

「そうだな〜こんなのとかどう?」

俺は鈴のイヤリングを手に取って見せる

「可愛いけど、なんでこれなの?」

「この鈴の音が聞こえたらリサが近くにいるなぁってわかっていいかなって」

「う〜ん、それだとアタシの居場所が筒抜けって感じでちょっとな〜」

「あぁ、それもそうか!ごめんそこまで考えてなかったよ」

「いいよ、いいよ!悪気がないのはわかってるし」

「じゃあ、これならどう?俺も持ってる羽のピアスのイヤリングバージョン」

「あっ!良いかも!光とお揃いってのも悪くないね!恋人…ではないけど友情の証的な奴であっても良いかもね!」

「でしょ?それが気に入ったならプレゼントするよ」

「良いの?映画から何から光がお金出してるのに」

「交通費はお互い自分持ちでしょ、気にしないで」

「まぁ光が良いなら、お言葉に甘えようかな」

「そうしてくれると俺も嬉しいし、それに香水買ってくれるんでしょ?」

「そうなんだけど、それとこれとは別じゃん!」

「いんじゃない?だって年に一度の誕生日なんだしさ

それに、お祝いさせてほしいって言ったのは俺なんだし、だからこそ気にして欲しくない」

「ありがとう、優しいね光は」

「そんな事ないよ、ただ嫌われたくなくてやってるだけかもよ?」

俺がそう言うとリサは笑い出す

「アッハッハッハあ〜ダメ可笑しい光が今までの行動全部計算でやってるって言うなら世の中打算だらけだよ!まぁその通りなのかもしれないけどさ、少なくとも光は打算とか計算で動かないでしょ?まずもって光はそこまで器用じゃないじゃん!不器用ながらもまっすぐ相手とそして自分と向き合う、それが光でしょ?」

「リサには、俺がそんな風に見えてるんだね、なんか、上手く言えないけど、凄く嬉しい」

「ならよかった!さぁ香水見に行こう!」

「わかったよ」

俺達はアクセサリー売り場を後にして香水売り場に向かう

「光、香水って言っても色々あるし、どんなのがいいとかあるの?」

「あんまりキツいのじゃなきゃなんでもいいよ」

「あぁ、それにはアタシも同意するよ、あんまりキツいと鼻つまんじゃうし」

「そうなんだよね、鼻つまむとかじゃなくても、ウッてなるって言うかさ」

「だよね、じゃあお互いにこれならって思えるの探そう!」

「OK!」

そして、俺は店に置いている香りサンプルの匂いを確かめながら選んでいく、そうして手に取ったのはバニラに近い感じの香りのする香水だった、俺はそれを持って男性用の香水を見ているリサに声をかける

「リサ、決まった?」

「あぁ、光!アタシはまだ少し悩んでるんだよね、候補はこの2種類なんだけどさ、光はどっちがいい?」

俺はリサが選んだ香水の匂いを確かめる

「どっちも好きだけど、右の青いヤツかな少し匂いは強めだけど、嫌いじゃない」

「だと思った!どっちも光が好きそうだとは思ってたんだけど、決まらなくて、最後はやっぱり本人の意見に頼るしかないなって」

「俺も同じ事思ってリサに、確認してもらおうと思ってさ、選んだやつ持ってきたんだ」

「どれどれ?」

リサは俺が選んだ香水の匂いを確認する

「いいね!アタシ、これ好き!フワッとする甘い匂いがアタシ好み!」

「良かった、じゃあ、これにするね」

「あっ!待ってアタシも行くよ!買うんでしょ?」

「そうだね、一緒に行こうか」

俺達はレジに向かい、会計を済ませると、店を出て買った物を交換する

「さっそくつけてみようかな」

「アタシもせっかくだから」

そう言ってお互いに香水をつけリサはイヤリングも交換した

「どうかな?似合う?このイヤリング」

「似合うよ、いつもより数段綺麗だよ」

「…光ってそういう事平気で言えるし、こうやってさデートしてても、いつも隣か1歩先を歩いて引っ張ってくれるし、あれこれと尽くしてくれてさ、なんで彼女がいないのか不思議で仕方ないんだけど…」

「そう言われてもなぁ〜、俺個人にその気がないからって言っちゃえばそれまでなのかもだけど、俺は多分一緒に音楽を楽しめて、俺の夢を応援してくれる人と一緒にいられたらそれで良いからね」

「そうなんだ、じゃあアタシ達の誰かとそうなる可能性もあるのかな?」

「どうだろうね、俺を好いてくれるのは嬉しいけど、俺がその輪の中に入ったことで皆の関係が崩れるなら俺は誰も選ばないし選ばせないよ」

「光らしいね、とりあえずこの話はおしまい!ゲームセンターでプリクラ撮ろう!」

「プリクラか最後に撮ったのいつだっけな〜?」

そう言いながらスマホで写真を確認していくと花音と撮ったプリクラかあった

「5月に撮ってたなそういえば」

そう言って俺はスマホをポケットをしまった

「5月って誰と撮ってたの?」

「花音だよ、ハロハピのドラムの子」

「あぁ、あの子!誕生日5月なんだ!」

「そうだよ、ちょうど学校でLOVESONGのメドレーしてからちょっとした頃だよ」

「そうなんだ、じゃあ、アタシで2人目?」

「そうなるかな?まぁ、今回は機械選びから何から任せるよ、あの時は2人であれこれと苦労したし」

「まっかせて!ちゃんと綺麗に写るやつ選んであげる!」

「よろしく頼むよ」

そう言って俺達はゲームセンターに行きプリクラのコーナーに向かった

「写りが綺麗な方が良いかな?」

「任せるよ!プリクラは専門外」

「じゃあ、やっぱりこれだね!バッチリ綺麗って豪語してるしさ」

そう言ってリサは機械の中に入っていき俺もそれに続く

お金を入れてモードを選び撮影開始となった

最初のうちは2人同じポーズでだとかバッチリ決めポーズだとか在り来りな感じだったが徐々に要求がエスカレートしていく3枚目と4枚目はまだマシだった腕を組む事と手を繋ぐ事だったからこんなものかと思っていたらラスト2枚が問題だ

2人仲良く抱き合ってと要求が来た

「抱き合えってマジで言ってる?」

「光は慣れてるじゃん!常に日菜抱きしめてるし」

「“抱きとめる”が正解だからね!あれは!」

「とりあえずさ、アタシの後ろに回って後ろから抱きしめてよ!それならまだマシでしょ?」

「まぁ、それならいいけどさ」

そう言って俺はリサを後ろから抱きしめ写真に写る

「結構よく撮れたね!」

「まぁ確かにね」

撮った写真を確認してラスト1枚を撮るため次へを押すと

ラストの要求が1番の問題だったなにせ、恋人らしさをアピールしろとの仰せだ

「この機械大丈夫なの?今度は恋人らしさをアピールしろってさ〜」

「アッハハ〜、とりあえずどうしよっか?こればっかりは、アタシもどうしていいかわかんないし」

俺は軽く頬を掻くと、とりあえず提案を口にする

「じゃあ、お姫様抱っこでもする?」

「光、できるの?アタシ意外と重いかもよ?」

「女の子が重たいとか言っちゃいけません!とりあえずさ、やる?やらない?どうする?」

「じゃあ…お願いします…」

「OK!」

俺はそう言うとリサをお姫様抱っこする

「全然重くないじゃん!まだ軽いって!でも、肩車は無理かもな〜」

「アッハハ、意外と怖いねお姫様抱っこって、それに…恥ずかしい」

「撮り終わるまで我慢してね」

そう言うと俺達はカメラ目線で写真に写る

俺はリサを下ろしてから写真を確認する

「まぁ、こんなもんかな?リサ、確認してみてよ!」

「あぁ、はいは〜い」

リサは近寄ってきて写真を確認する

「うわ!アタシなんかちょっと笑顔硬いよこれ〜」

「お姫様抱っこだし、怖いって言ってたし、仕方ないんじゃない?」

「まぁ、そうなんだけど…まぁ、いっか!貴重な体験だったしね!」

そう言ってリサは決定を押して落書きタイムになった

俺は1番最初の写真に日付を入れhappybirthdayと書き

お互いの名前を入れるなどして落書きを終了する

「終わった?」

「あぁ、光!こっちも終わったよ、印刷してもらうから待ってて」

「OK」

そうして待っているとすぐに写真が印刷されてくる

俺は手に取ると写真には星やハートで彩られ私の王子様と書いてあった

「あのさ、リサ、これなに?」

「よく書けてるでしょ?」

「そうだけどさ…なんで俺が王子様なんだよ」

「お姫様抱っこだし、してる方は王子様かなって、それに今日限定で光はアタシの彼氏なんでしょ?」

「そうだけどさ…まぁいいや、他の人には見せないでね、さすがに俺も恥ずい」

「わかってるよ!さぁ、そろそろ行こう!映画始まるよ」

俺はそう言われスマホで時計を確認すると確かに移動してまた飲み物等を買うならちょうど良いかなと思った

「確かにいい時間だね、移動しようか!」

「だね!」

俺達は再び映画館に移動する

「飲み物どうする?」

「アタシ、ジンジャーエール光は?」

「今回は烏龍茶かな」

「アイスコーヒーじゃなくていいの?」

「氷溶けると水っぽいから遠慮しとく」

「そうなんだ、光!ポップコーン大きいサイズでお願いね」

「OK!」

俺は列に並び飲み物とポップコーンを買うとリサの所に行き

映画が上映されるシアターに移動する

「映画楽しみだね」

「だね、俺も見るの久々だし結構楽しみ」

そうして待っていると上映案内が始まった

カノ嘘の時と上映案内は同じだったので気になる作品もなかったので上映案内の間は退屈だった、そして、映画が始まると俺達は会話も忘れただ映画に見入る

イジメっ子だった主人公が耳の聞こえない少女が高校生になってから改めて友情を築いていき、たくさんの人と関わり友情を育んで行くストーリだ、何度観てもいい作品だと思える。

映画を見ながらそんな事を考えていると、あっという間にエンドロールとなり、映画が終わるとまたしてもリサが号泣中だ

俺はリサに貸しているパーカーのフードでまた顔を隠しリサを連れていく

(感情移入しやすいんだな、リサは)

そう思いながら映画館を出る

「リサ、大丈夫?」

「ごめん、なんか、今日のアタシ泣いてばっかだね」

「別にいんじゃない?それだけ感情移入できる作品だったって事でしょ?リサは恋愛小説とかかなり好きだって言ってたしさ、そういう意味でも感情移入しやすい作品だったって事でしょ」

「そうだね、うん、そうかも!ありがとう光みっともない所見せてごめんね」

「別にいいよ、みっともないとは思わないし」

「光はなんで泣いてるアタシをみっともないって思わないの?普通はみっともないって思うものじゃないの?」

「さぁね、他の人のことは知らないけど、俺個人は涙そのものを尊いものだと思ってるし、女の子の涙はもっと大事なものだと思ってるからね」

「そうなんだ、光はそう思ってるからみっともないとか思わないんだ」

「人によりけりなのかもだけどね、さて、これからどうする?夕飯まで済ませて帰る?」

「ん〜それじゃあさ、光が手料理でもご馳走してよ」

「パーティー料理って全然だけど、定番のオムライスとかでいいなら帰ってすぐできるけど、インスタントで良ければコンソメスープ付きでね」

「じゃあ、それでお願い」

「OK、じゃあ帰ろうか」

「うん、そうだね!」

俺達は電車に乗り俺達の家のある街に戻ってきて俺達はタクシーを呼び俺の自宅に向かうった自宅に付き料金を払ってタクシーを降り俺の家がある階までエレベーターで移動し家の前に着くと鍵を開けてリサを招き入れる

「ちょっと散らかってるかもだけど、どうぞ」

「お邪魔します」

「すぐ作るから、音楽でも聞いて待ってて」

そう言って俺はコンポを指さす

「じゃあ、そうするね」

そう言ってリサコンポのスイッチを入れる

「今聞いてるやつそのまま再生していいの?」

「別に良いけど、オススメはしないよ?」

俺は材料の準備をしながら返答する

「どうして?」

「歌い方に独特の癖がある人や独特の声の人達の曲ばっかりだから、それにピアノメインだから」

「試しに聞いていい?」

「別にいいよ」

俺がそう言うとリサは再生ボタンを押して音楽を聞き始めるがすぐに止めてしまった

「光、違うのかけていい?」

「やっぱり気に入らなかった?」

「そうじゃないけど、いきなりこの曲はちょっと」

「あぁ、だと思った、いきなりその曲かけるからだよスキップして2曲目から聞きなよ、そのCD聞くならさ」

「なるほどね、じゃあ、そうするよ」

「うん、もうちょいだから待っててね」

「いいよ〜」

俺はそんな会話をしながらも手を動かして行き料理を完成させテーブルに運ぶ

「できたよ!」

「待ってました!」

俺はリサの座っている方に料理を置いて反対側にすわる

「じゃあ、いただきます」

「召し上がれ」

俺がそう言うとリサはさっそく食べ始めた

「美味しい!玉子が甘めな分中のケチャップライスがちょっとスパイシーで凄く美味しい」

「喜んで貰えたなら良かったよ」

「うん、大満足だよ」

「なら良かった、さて、リサ、まだ食べられる?」

「まだ何かあるの?」

「肝心な物忘れてない?誕生日ケーキだよ」

「あぁ!すっかり忘れてたよ」

「なんとなくだと思った、取ってくるから待ってて」

そう言って立ち上がり食器類を持って台所に行き冷蔵庫からケーキを持ってくる

「どうぞ、残念ながらロウソクはないけどね」

「十分だよ、ありがとう光」

「うん、どういたしまして」

そうして2人でケーキを食べた後リサを送るためにタクシーを呼び一緒に乗ってリサを送って行き家の前で停車する

「ここだよ!アタシの家送ってくれてありがとうね」

「このくらいなんでもないよ!はいこれ、バースデーケーキ

さっき食べたやつとは違うやつね」

「良いの?さっきも貰ったのに」

「ちゃんとしたバースデーケーキだしリサの為に作ったから貰ってくれないと俺としては困るかな」

「まぁ光がそう言うなら」

「じゃあ、決まりね?まだ渡すものあるから、ちょっと待ってて」

俺はそう言って1枚のCDと俺が首にしているネックレスをリサに渡す

「CDとネックレス?」

「そう、羽のネックレスには運気の上昇とか、飛躍、現状からの変化や新たな出会いって意味があってさ、リサにピッタリだなと思ったんだ」

「じゃあ、光はこれのおかげでアタシ達と出会えたとか思ってる?」

「まぁ、運気の上昇はともかく飛躍や現状からの変化、それに出会いはまぁそれを身に付けていたおかげってのはあるかなと、まぁお守りみたいなもんだから持ってて」

俺はそう言って苦笑するとリサはケーキを足元に置いてから抱きついてきた

「リサ?」

「光、本当に何から何までありがとう」

そう言ってリサは抱きつく力を少し強める

俺はそれに答えるようにリサを抱きしめ言葉を紡ぐ

「こっちこそありがとう、リサの年に一度の貴重な時間を俺にくれて、本当にありがとう」

「 こっちこそ、最高の誕生日をありがとう」

その言葉を聞いた後どちらともなく離れると名残惜しさを残しながらも俺はただ一言「じゃあ、また明日学校で」とだけ告げて再びタクシーに乗り込んだ

帰り道、運転手さんから話しかけられたので少しの間会話した

「さっきのあの子は君の彼女なのかい?」

窓の外を見ていた俺に運転手さんが話しかけてきた

俺は窓から視線を外し答える

「違いますよ。でも、大切な友達なんです。俺、こっちには今年の春に上京して来たんですけど、上京して来てすぐ演奏していたところにたまたま話しかけてきてくれたんです。それから編入した学校でクラスや学年も一緒で俺には勿体ないくらいの最高の友達なんです」

「そうかい、ならその関係を大事にしていきな!きっとこの先もいい事があるさ」

「だと、嬉しんですけどね」

そう言って俺はまた窓外を見ている、ゆっくりと一定のスピードで景色が流れていく

(そう言えばMVかなんかで似たようなの見た事があったような…なんだっけな?)

そんな事ないを考えながら外の景色を見ていると静かにタクシーが停車する

「着いたよ、料金少しオマケしといてあげるからね」

「なんか、すいません」

そう言いながら俺はお金を支払いタクシーを降りて自分家に続く階段を上っていく。

 

 

リサ視点

光が乗ったタクシーが見えなくなるまで見送ってからアタシは家に入ろうとすると隣の家の玄関が開き友希那が出てきた

「おかえりなさい、遅かったのねリサ」

「あぁ、まあね、ちょっと出掛けてた」

「珍しいわね、1人で出掛けるなんて」

「あぁ〜、実は光と出掛けてた」

「光と?光は1日用事でいないのではなかったの?」

「それがね、光曰く知り合いのスタジオミュージシャンの所で一緒に簡単な仕事する予定だったんだけど、結局1日かかる仕事じゃなかったみたいでさ、それで映画でも見て暇潰そうと思ってたらしくて、映画館に行ったらばったりでさ」

アタシは光が考えておいてくれた誤魔化しの言い訳を口にすると友希那からの反応は意外なものだった

「そう、まぁ別に良いけれど、この時間って事は夕飯まで済ませてきたのでしょ?」

「まぁね、て言うかもうちょい詮索しないの?普通はアタシが誰とも知らない奴と遊んでたりしたら?」

「相手は光なのでしょ?なら詮索する必要も無いじゃないそれとも何から何まで聞いた方がいいのかしら?」

「なんか凄く複雑だよ、なんて言えばいいのかわかんないけどさ」

「何がかしら?」

「いや、光が友希那の信頼を勝ち得ているのか、アタシが信頼され過ぎなのかがねぇ〜」

「ハァ、くだらない事言ってないで早くいらっしゃい私しかいないけれど、ささやかに誕生日を祝ってあげるわよ」

「本当!?ありがとう友希那〜」

アタシは友希那の家に上がるとそのまま友希那の部屋に行く

「その箱はケーキなのでしょ?ならさっそく準備しましょ

ケーキ出してくれるかしら?」

「あぁ、うんちょっと待ってて」

そう言ってケーキの箱をテーブルに置いて箱を開けると

「うわ!なにこれ!?」

「どうしたの?ってリサ、これって貴方が買ったんじゃないの?」

「ううん、光からのバースデーケーキ」

「随分凝っているのね」

友希那がそういうのも頷けるケーキの真ん中にアタシ達Roseliaのシンボルとも言える青薔薇が綺麗に咲き誇っているそして黒、茶白と3色のケーキがホールになってその青薔薇を彩っていた、アタシは迷わず写真に納めてからグループメッセージに投稿した

「リサ、投稿してなんになるの?」

「いや、なんか、皆にも見て欲しいなって」

「まぁ良いけれど」

そう言いながら少し呆れ気味な友希那に対し皆からの反応は凄く良かった、多分明日あたり色々聞かれるんだろうなと思いながらもロウソクを探すと17と形作られたロウソクと一緒に手紙のようなものが入っていた

「なんだろうこれ?」

「バースデーカードじゃないかしら?後ろにロウソクを吹き消した後に見ることって書いてあるわ」

友希那がそう言うのでアタシも裏側を確認してみると友希那が言った通り裏側にはロウソクを吹き消した後に見ることと書いてあった

「とりあえずロウソクに火を着けましょう」

「そうだねってちょっと待って!箱の奥にチョコ入ってるよ」

「割れないように奥に入れていたのね」

アタシは箱の奥からチョコを取り出すとそこにはメッセージが書いてあった

happybirthday!17歳の誕生日おめでとうと書いてあった

「趣向を凝らしたものね光も」

「確かにね〜ここまで手の込んだケーキなんて初めてだよ」

「でしょうね、彼だからこそできる1つの作品よ」

「アタシもそう思うけど、食べないとなんだよね?すっごく勿体ないよね」

「まぁ、彼の事だからケーキの中にもそれなりの細工がしてあるわよ」

「あぁ、絶対やってるよね」

そういいながらロウソクに火を着けてからケーキの上にたてる

「誕生日おめでとうリサ」

「ありがとう友希那」

お礼を言ってからロウソクの火を吹き消した後バースデーカードを開くと

17歳の誕生日おめでとうこの1年が充実したものになりますようにと書かれていた

「イキなことをするわね」

「本当だよもう!とりあえず切り分けるね」

そう言ってケーキを切り分けるとケーキは3層に別れていた

「驚かされるばかりねかなり手が混んでいるわ」

「凄すぎでしょこれ、どんだけ手間暇かけてんの!?」

チョコクリームは一番下がとても黒いビターチョコで間にホワイトチョコそして一番上に甘さ控えめのミルクチョコがコーティングされている

「下の苦いチョコの層のおかげで甘さが引き立ってるんだけど飽きることなく食べられるよこれ」

「そうね、チョコそのものだけでなく他にも分からない細工がしてあるのでしょうね」

そういいながら食べていくうちに大きめにカットしたケーキは無くなってしまった

「あれ?いつの間に?」

「後味の良さとこの満足感光は何をしたのかしら?」

「アタシもわかんない」

そう言って2人であれこれと考えるが答えは出なかった

「とりあえず、残りは閉まっとこうか」

「そうね」

「じゃあ、最後はこれかな?」

そう言って光がくれたCDを取り出す

「CDね、何が入っているの?」

「アタシもわかんないけどさ多分バースデーソングかなんかでしょ?友希那プレイヤー借りるね」

「コンセントとコード抜いてまとめてあるから繋ぎ直してから使いなさいな」

「OK!」

そう言ってコンセントとコードを繋ぎCDをセットし再生すると光の声が聞こえてきた

「光が録音したものを編集した物のようね」

「みたいだね」

そう言いながら光の声に耳を澄ます

「happybirthday!誕生日おめでとうリサ!先に謝っておくとこのCDにはBirthdaysongは入ってないんだ、ごめんね」

(何を言ってるかな〜謝ることなんてないのに、今日、最高のBirthdaysongを送ってくれたのにね)

内心でそう呟きながら光の声を聞いていく

「まぁ、Birthdaysongこそ入ってないけどさ俺の頑張れって気持ちを全部のせたから聞いてねタイトルは虹、同じタイトルの3曲入れたから歌詞や感じ方で俺からの頑張れって気持ちを受け取って貰えたら嬉しいです。」

そう言って光は演奏を始める

1曲目の虹は遠い景色に見える虹を追いかけるそんな曲

この曲で光が伝えたかった事はアタシ達の夢は遠いけどいつか届くから頑張れって感じだった

2曲目の虹はFWFで歌う私達の姿が浮かんだそのイメージの向こう側に行けるように頑張れって応援されてるみたいだった

3曲目は私達がFWFの舞台で歌っている姿と夢に向かって努力する今のアタシ達が浮かんできた約束で未来を縁取りコトバで飾り付けをする確かな明日をきっとどれより欲しがってたか確かにアタシ達の夢は皆の夢だし皆で立つて約束した未来が確かに縁取られてる

「なんか、アタシ達の事見透かされてるみたい」

「確かに全てがリサだけじゃなくて私達皆で頑張れって言われているようね」

「だよね〜元気出るし勇気貰えるね」

そして3曲目が終わると光がまた話し出した

「次の曲はその瞬間をつかめって意味の曲でリサ達が夢の舞台に立つ瞬間を掴んで欲しいって思いを込めました、聞いてくださいCatchtheMoment」

そう言って光は演奏を開始した

「これ全部光が1人で演奏してるんだよね?」

「でしょうね、彼はバンドはやらないって言ってたし、1つの楽器を演奏してその後編集してるんだと思うわ」

「凄いね全部1人でってそれでこのクオリティでしょ」

「今度ちゃんと目の前で演奏してもらいましょう」

「そうだね」

そんな話をしながら聞いていると何故かは分からないがアタシの中にストンと落ちていくようなそんな感じがした

CatchtheMomentその瞬間を掴めか、なんだよそれ最高じゃん!そう思いながら聞いているとあっという間に曲が終わって光がまた話し出す

「次が最後の曲です。じゃあ、聞いてくださいBelieveinYourself」

『Wow…

やれるだけやりきったかなんて自分しかわからない

だから自分に嘘つくな自分にはズルするな

誰かと自分を比べるよりも己を誇れる人になりたい

自分を投げ出さず生きた今日を

褒め続けられる日々を送ろう

君にしかわからなくたって楽な道は選ぶな

最後に報われるのは逃げずにいた君自身だから』

 

「凄く前向きになれる曲だな〜自分を投げ出さず生きた今日を褒め続けられる日々を送ろうか光らしい」

「最後に報われるのは逃げずにいた君自身だからね、やれることを全部やって夢の瞬間を掴めって事かしらね」

なんだか光が後ろから背中を押してくれて見守ってくれてるみたいだなと思いながら曲を聞いていく

 

『馬鹿にされることはあっても馬鹿にだけはしないこと

いつの日も慎(つつ)ましくあれ気高く命燃やせ

結果ばかりに目を向けるよりも

歩んだ道のりを見つめてたい

自分を諦めず生きた日々を

悔いなく終わる命でありたい

思い通りにならない日も無駄にだけはしないで

大事なのは君が君を最後に認めてやれるかだ』

 

「頑張れとかそういう歌詞が一切ないのに凄く励まされるね、そう思わない?」

「そうね、それに演奏もかなりモノだわ」

本当に光には叶わないと思いながら曲を聞いていく

 

『休んだっていいさまた前を向けるなら

確かな1歩を踏みしめて行こう 君が掴むのさ

君にしかわからなくたって楽な道は選ぶな

最後に報われるのは逃げずにいた君自身だから

…BelieveinYourself』

曲が終わるとアタシは友希那に話しかける

「友希那」

「何かしら?」

「アタシ、多分光の事好きだ」

「今更気が付いたの?私はてっきり初めて彼の演奏をあなた一人で聞いた時から彼に好意を寄せているものだと思っていたけれどね」

言われて思い返してみるけれど、多分光が好きだと自覚できたのは間違いなく今日だ、映画の内容に感動してぐしゃぐしゃになってた顔を隠して見ないようにしてくれてカラオケで生まれて来てくれてアリガトウなんて最高のBirthdaysongを歌ってくれて最後にこのサプライズで光からの全力の応援メッセージと演奏だ

「その辺は正直なんとも思ってはなかったと思うあっても友愛の情って言うかこれから仲良くなれそうって感じだけだったと思うけど、多分光が沢山の人の為に色んな演奏をして光自身が頑張る姿を見てて気になってはいたんだと思う」

「そう、まぁ別に良いんじゃないかしら?そういう気持ちすら演奏にのせてリサが最高の演奏をしてくれるなら私から言うことはないわ」

「友希那はどうなの?」

「光の事?なんとも思っていないと言えば嘘になるけれどあえてこういう言い方をするなら今は恋愛感情はないわね、感謝や友情よ」

「そっか、でも、多分だけど友希那もきっと光を好きになると思うな」

「どうしてよ?仮にそうなったらあなたとは好きな人を取り合うことになるのよ 」

「光が言ってたんだ、誰かを選ぶことで絆が壊れるなら誰も選ばないって、それなら好きでいることは悪いことじゃないし多分だけど紗夜はアタシよりも前から光が好きだと思う」

「なら、大変ねライバルが多いじゃない」

「だね、これから大変だよ、それに、明日から二学期なのに、どんな顔で光に会えばいいのかな?」

「普通にしてればいいじゃない、少なくとも邪険にはしないわけだし」

「それしか無いよね〜」

そう思いながらも心境は複雑だ、早く明日になって欲しいようなそうでも無いようなそんな複雑な気持ちを抱えながらアタシは空を見上げて明日に思いを馳せた…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




久しぶりの投稿です。何かと忙しくて中々思うように執筆が進みませんがとりあえずもう少し落ち着いたらまた2本ずっとずつ投稿出来ると思うので楽しみにしていてください。さて次回はこの話の時系列で二学期開始になり文化祭の話を書いていきます。
次回「二学期開始と文化祭」


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二学期&カバーLIVE編
第21話二学期開始と文化祭


夏休みが終わりこれから始まる二学期に光を待っているのは果たして…


今日もまた俺はスマホのアラームで目を覚ます

「あぁ〜眠い!休みの間はもう少し遅い時間に起きてたか

らそのせいだけどさ」

ぶつくさいいながらも起きて制服を持って一度居間に行き制服類を置いて洗面所に向かい顔を洗い寝癖を治してから台所に向かい朝食の準備をして居間に行きテレビを付けて天気予報と音楽ランキングをチェックする

「音楽ランキングは変わりないか、テレビにはあんまり出ないけどKANA−BOONとか結構好きなんだけどな〜」

そういいながら朝食をとりその後使用した食器を洗い終えてから制服に着替えて貴重品を持って家を出る今日は午前中だけなので楽器は置いていく

イヤホンをして音楽を聴きながら自転車を漕いでいく

「風が気持ちいいな〜今くらいの風なら良いんだけど、冬だと風が冷たくて顔が痛くなるからな〜」

そういいながら自転車を走らせて学校に向かう学校に着くと校門から校舎を見上げる

「学校来るのも久々だな〜」

そう言って自転車から降りて自転車を押して自転車置き場に向かい自転車を置いてから校舎に向かって歩き出す

校舎に入り靴を履き替えてから教室に向かう途中聞き慣れた声が聞こえ駆け寄ってくる

「おっはようひ〜くん!久しぶり〜!」

俺は駆け寄ってくる日菜を抱きとめる

「おはよう日菜、朝から元気だね」

「久々の学校だし、二学期開始と同時に文化祭もあるからね〜」

「そうなの!?休み明けって実力テストとかじゃないの?」

「テストもあるけど、テストは3教科だけだから明日また午前中だけでやるんだってさ夏休みのしおりに書いてたよ?」

「そこまで見てなかったよ」

「そっか、ところでひ〜くん今日楽器は?」

「学校午前中だけだし、置いてきた。午後からはcircleでバイトだし、その時に持っていくつもり」

「そっか、じゃあ今日はひ〜くんの演奏聞けないんだ」

「今日はともかく明日はバイトないし、路上ライブでもしようかなって思ってたけどね」

「じゃあ、聞きに行こうかな?」

「そうは言うけど日菜、仕事は大丈夫なの?」

「今日と明日は夕方から練習だから大丈夫だよ!」

「なら、いんだけどさ」

俺達は話しながら教室に着くと既に友希那とリサが来ていた

2人は俺達に気付くと軽く手を振って北ので手を振り返して挨拶する

「おはよう2人とも、今日は早くない?」

「いつも通りよ」

「そうかな?」

「そうよ」

「まぁまぁ、その辺はいいじゃん!改めておはよう光、日菜もおはよう」

「うん、おはようリサちー友希那ちゃんも」

「えぇ、おはよう」

それぞれが挨拶を交わしその後は皆で他愛ない話していると先生が教室に入ってきた

「はい、席に着いて、ホームルーム始めるよ」

先生の一声で俺達はすぐに席に着き今日明日の簡単な連絡事項の説明を受けると始業式に参加するために整列する

そうして体育館に移動して始業式に参加するが正直退屈で仕方ない校長の話なんかも話半分に聞いているといつの間にか校歌斉唱となり、俺は適当に歌い流しその後始業式が終わり教室に戻ると課題等を提出した後明日のテストの事、そして文化祭の準備の連絡を伝えられその日は終了となった

時計を確認すると11時を少し過ぎたくらいだったので俺はイツメンのメンバーに声をかける

「3人とも時間あるならお昼どっかで食べていかない?」

「なら、光の家一択ね」

「だね〜超久しぶりにひ〜くんの手料理食べたい!」

「それには賛成するな〜」

「まぁ下準備は出来てるし唐揚げでいいならすぐできるけど、それでいい?」

「問題ないわ」

「あたしもいいよ〜」

「アタシも大丈夫」

3人が大丈夫だと言うので俺もOKして俺達はとりあえず昇降口に向かうとAfterglowの皆とあった

「やぁ、皆、これから帰り?」

「そうですよ、光さん達もですか?」

「うん、まぁね」

「あたし達はこれから皆でお昼食べに光の家に行くとこなんだよね〜」

「まぁ、一応ね」

「一応もなにも確定事項じゃない」

「いやまぁ、そうなんだけどさ、せっかくだから皆も来る?」

俺は皆にそう提案するとAfterglowのメンバーは顔を見合わせ話し合う

「どうする?行く?」

「行っても良いかな、私は」

「アタシも別に良いかな」

「モカちゃんも異議な〜し」

「私も別にいいよ」

「光さんは良いんですか?アタシ達も行って」

「別に構わないよ、大勢の方が楽しいしね友希那達もそれでいい?」

「別に構わないよ、あなたの家に行くのだし決定権はあなたにある訳だし」

「だね〜あたしも別にいいよ」

「うん、アタシも別に問題ないかな」

「なら、決まり!皆で行こう!」

そう言って俺達は昇降口を出て校門に向かう俺は自転車を取ってきてから改めて皆と合流して俺の家に向かう

「そう言えば光さんの家ってここからどのくらいなんですか?」

「15分から20分くらいかな?まぁ自転車だしそんなもんかな?」

「じゃあ徒歩30分圏内なんですね!アタシ達は皆徒歩なのでちょっと羨ましいです」

「自転車通学しないの?」

「地味に不便というかなんというかで」

「あぁ、なるほどね確かに移動だけなら良いけど、あちこち行くなら電車とかの方が楽か」

「そうなんですよね」

「でも、徒歩だと何かと不便じゃない?」

「時と場合によるわね」

「それはあるかな」

「まぁ、結局は適材適所か」

「なんだか使い方間違っている気がするけれど、まぁそんなところね」

そう話していると俺の家の前に着いた

「ここだよ!俺の家ここのマンションの一室」

「へえ〜すごいとこ住んでるんですね」

「でも、蘭の家の方が凄くない?」

「たしかに〜」

「だよな」

「そうだね」

「そんなに凄いの?蘭の家」

「ただ広いだけですよ!」

「俺、行ってみたいな、それに華道の名門なんでしょ?華道も教わってみたいしね 」

「やめておきなさい、あなたそれ以上自分のスペックを上げてどうするのよ」

「俺、そんなにスペック高くないからね!精々演奏が少し上手いくらいでさ」

「光、断言するけど、それはない!アタシ達よりも演奏上手くて面倒みも良くて普通の料理だけじゃなくてさ、ケーキだって作れるでしょ?」

「それに勉強もそれなりに出来るもんね〜」

「日菜には適わないよ!張り出し組の1番両端が日菜と俺だしさ」

「張り出し組ってだけで凄いって自覚しよう光」

「普通は張り出し組って凄いことですよ?」

「勉強なんてやって役に立つのは国語と英語くらいなもんで他は殆ど役に立たないって!つか早く家に行こうよ」

そう言って俺は自転車を駐輪場に止めた後階段を上がってエレベーターを待って上の階に上がり俺の部屋の前まで歩いていき、俺は部屋の鍵を開ける

「とりあえず、皆入って」

俺は自宅に皆を招き入れる

各自がおじゃましますと断りを入れて玄関から居間に入っていく、全員が入ったのを確認し俺は扉を閉めて羽織っていたブレザーを脱ぎネクタイを外すとたまたま近くにいた友希那に声をかける

「友希那〜悪いんだけどさ、このブレザーとネクタイ俺の部屋に持って行ってくれない?」

「仕方ないわね、ほら貸しなさい」

「ごめん、助かるよ」

そう言って俺はブレザーとネクタイを友希那に手渡す

「あの!光さんの部屋見ても良いですか?」

突然のひまりからの提案に多少驚きはしたものの俺個人は見られて困るものはないのでOKする

「別にいいよ友希那について行って見てきなよ見て楽しいものは無いかもしれないけどね」

「でも、楽器は置いてますよね?」

「あるよ、部屋に置いてるから、気になるなら見てきなよ」

「良いんですか?」

「さっきも言ったけど、見られて困るものもないしね、俺はこれから油使うし手が離せないから、友希那達に連れてってもらって」

俺は冷蔵庫から揚げる状態にしておいた鶏肉を取り出すと油を火にかけて温まるのを待つ間に味噌汁を作っていく

「お味噌汁のいい匂い」

そう言って日菜が寄ってきた

「まだもう少しかかるけど、先に味噌汁だけでも食べる?」

「できるまで待つよ」

「じゃあこれから油使うからはねたら大変だから少し離れててくれる?」

「は〜い、あたしもひ〜くんの部屋行こう!」

そう言って日菜は俺の部屋の方に向かった

「光、なんか手伝おうか?さすがに何もしないのもさ」

「じゃあ、全員分の皿用意してくれる?後、古新聞が大量にあるから、皿に敷いていってくれる?」

「OK!」

そうして2人で作業を進めていく中俺の部屋に行ったメンバーはというと

 

-光の部屋-

 

光さんからOKが出たので皆で光さんの部屋に行くと部屋にはアコギを含めてギターが三本とベースが2本キーボードが2種類あり他にも漫画や小説が沢山並び音楽関係の雑誌も沢山あった

「これ全部光さんの私物なんですよね」

「そうよドラムはクローゼットの下に入っているし他にも光はバイオリンを持っているわ」

「やばくないですかそれ!?」

「凄過ぎなんですけど…」

「ひかるん先輩凄〜い」

「わたし、バイオリン弾いてる光さんみたいな〜」

「私も見てみたいけど…光さん弾いてくれるかな?」

「本人に聞いてみなさいな」

「あたし聞いてみよう!」

そう言って日菜先輩は部屋から出て行ったのでアタシ達もそれに続き部屋から出るとお昼の準備が完了していた。

「ちょうど出来てるよ!さぁ座って座って」

そう言って光さんは料理を運んでいるのでアタシ達も手伝ってテーブルに運び着席する

「全員行き渡った?」

俺が問いかけると全員が頷いたので俺は両手を合わせて

全員揃っていただきますと言ってから食べ始めると皆舌鼓をうっている

「気に入った?」

俺がそう問いかけると皆が皆頷く

何やら食べるのに忙しそうだ

俺は一足先に食べ終えたので冷蔵庫からフルーツケーキを取り出し切り分け食べ終えたみんなの所に運ぶ

「皆、まだ食べられるかな?フルーツケーキがあるんだけど」

「食べる!絶対食べる!デザートは別腹だよ!」

「あたしもあたしも!」

「私もいただくわ」

「皆は?」

「皆、いただきます」

「じゃあ、はい、どうぞ」

俺は全員にケーキと一緒にカフェオレを配る

そうして食べながら話していると話題が明日のテストとその後に行われる文化祭の話になった

「光さんは文化祭で演奏するんですか?」

「さぁ?クラスの出し物次第だね 」

「多分光は何かしらさせられるよ?執事とか?」

「それ多分だけど、リサが見たいだけだよね?」

「バレたか!」

「じゃあ、ひ〜くんがクラスで演奏?」

「えぇ〜どうせやるなら体育館のステージでやりたいな」

「ん〜じゃあ、ひ〜くんのバイオリン演奏をクラスでやるってのは?」

「却下!人前で演奏出来るほどまだ弾けないからね」

「じゃあ、今だけ聞くのは?」

「人に聞かせられるくらい感覚戻ってないからね、それにまだまともに弾ける曲は2曲しかないし」

「ぶぅ〜、どうしてもダメ〜」

「今回は諦めて」

「じゃあ、一緒に演奏は?」

「体育館のステージでやるなら良いけど、2人ギターよりは俺がキーボードとボーカルした方が良くない?キーボード弾けるのってこの中で言ったら俺とつぐみくらいじゃん」

「確かにそうですね、なんなら私がキーボード弾いても良いですよ?」

「いや、俺がキーボードやれば2年生の有志でバンド出来るんだよね、だから、やるなら俺がキーボードで友希那をボーカルに据えればイケんだけど、どう?友希那」

俺は友希那に話を振ると友希那は少し考える表情を見せた後返答した

「貴方もボーカルをやるなら考えてもいいわ、その代わりやるなら選曲は任せるわよ」

「じゃあ、とりあえず予定って事で良いかな?」

「そうね、ちなみに美竹さん、貴方達は出るのかしら?」

「一応出ようよ思ってますけど、クラスの出し物次第ですね

あんまり忙しいヤツだと文化祭そのものが見に行けなくなるので、あんまり大変そうなのは提案しないつもりです」

「まぁ、当でしょうね」

「でもさ、とりあえずは目先の実力テストじゃない?」

「だね〜」

「皆は大丈夫そう?」

俺はAfterglowの皆に問いかける

「まぁ、アタシはそれなりに」

「大丈夫〜」

「まぁ、ぼちぼちです」

「私も、それなりって感じです」

「まぁ、やれることはやりましたから 」

とそれなりに自信がありそうな返答が返ってきた

「光さん達はどうなんですか?」

「俺個人は大丈夫だろうし日菜も大丈夫だし、リサも問題は無いよね?友希那も期末だとアレだけど、実力テストなら大丈夫だと思うしイけると思うよ」

「まぁ、大丈夫だね」

「アタシも大丈夫だね」

「光の言う通りよ」

「だってさ」

俺はそう返答すると皆は納得の表情を浮かべていた

俺はチラリと時計を確認すると13時を少し回ったくらいだった、バイトは15時からなのでまだ少し時間がある

「友希那、今日は練習あるの?」

「全員が集まれるのが15時だからその時間にcircleに集まるわ、貴方もバイトはその時間からなのでしょ?」

「そうだよ、どうせ練習見ることになるだろうから聞いたんだよ」

「だと思ったわここからなら14時30分にここを出発すれば問題ないわ」

「そっか、Afterglowも来るでしょ?」

「交代で光さんが練習見てくれるなら」

「もちろんいいよ、日菜はどうする?」

「今日はあたしも行くよ!」

「練習するの?」

「ん〜それでもいいんだけど、ひ〜くんが練習するなら練習してる姿を見てみたいんだ」

「まぁ、練習するかはわかんないけど、暇潰しにはなるだろうし、日菜もギター持ってきなよ」

「じゃあ、後で家まで送ってね〜」

「じゃあ、ちょっと早めに家出ないとな〜」

そう言いながら俺は立ち上がり食器を片付け始める

「光、手伝うよ」

「私も手伝います」

リサとつぐみが手伝うと言うので俺はお言葉に甘える事にした

「じゃあ、お願いしようかな、俺が洗うから食器拭いて仕舞ってくれる?」

「OK!」

「任せてください!」

「光さん、アタシ達も手伝いましょうか?」

「いや、俺含めて3人いれば事足りるから、俺の部屋にある漫画でも読んでて、小説でもいいし、まだ出発しないから好きにしてて」

「…わかりました。ちなみにギターとか触っても大丈夫ですか?」

「アコギと黒いのなら良いよ」

「もう一本ありましたけど、あれはダメなんですか?」

「あれは、俺がずっと一緒に演奏して来た相棒なんだよね、だから、あんまり他の人に触って欲しくないんだ」

「そうなんですか…わかりましたじゃあ色々見せてくださいね!」

「どうぞ」

俺が許可を出すと蘭達は俺の部屋に入っていき日菜は居間でゴロゴロしている。俺はその光景を見て日菜に声をかける

「日菜、せめてブレザー脱いでゴロゴロしないとシワになるよ!それに脱ぐなら忘れないでよ!」

「大丈夫〜それよりもひ〜くんなんか映画見てもいい?」

「今からだと全部見れないしドラマにしとけば?」

「それもそっか!じゃあ、なにかオススメ教えて〜」

「色々あるけど、恋仲でも観てたら?主題歌君がくれた夏だしさ」

「じゃあ、それにしよう」

そう言うと日菜はディスクを取り出しDVDプレーヤーにセットして再生し始める

俺達の方も手を休めずに俺が洗ってリサが拭き取りつぐみが片付ける作業を繰り返し1人でやるよりも数倍早く終わった

「ありがとう、手伝ってくれて助かったよ」

「別にいいよ、ご馳走になったしね」

「はい、それに普段家でもやってるので平気です」

「ありがとう、まだ時間あるからくつろいでて」

「じゃあ、アタシは日菜と一緒にドラマでも見よう」

「私もそうします」

そう言って2人は居間に行きくつろぎモードの日菜と一緒にドラマを見始める。俺は部屋に行ったメンバー達の様子を見に行くと友希那は小説モカと巴は漫画を読んでいて蘭とひまりは俺のギターとベースを触っている。そして友希那が俺に気付き話しかけてきた

「あら、光、後片付けは終わったの?」

「終わってるから様子見に来たんだよ」

「それもそうよね、それよりもたまたまあなたのベットの枕元にあったこれを読んでいたのだけれど、続きは無いのかしら?」

友希那が読んでいたのはようこそ実力至上主義の教室へだった、これまた賛否両論が極端なものを読んでるなと思いながら俺は答える

「本棚の奥にあるよ、ちょっと待ってて」

そう言って俺は続刊を全て出てきた

「これで全部かしら?」

「今発売してるのはね」

「そう、借りても構わないかしら?」

「良いけど、貸してる漫画は読んだの?」

「まだだけれど、こっちも気になるわ」

「まぁ、いんだけどさモカと巴は何読んでたのって…2人とも少女漫画読んでたんだ、巴は意外と少年漫画の方が好きそうなんだけどね」

巴は顔を上げて言った

「さっき友希那先輩にも同じこと言われました、こう見えても恋愛漫画とか結構好きなんですよ!今読んでるのも作風は好きですね」

「その漫画の彼氏意外と最低でしょ?」

「えぇ、まぁ、でも一応キャッチコピーって言うかがあなたもきっと最低最悪の彼氏に恋をするですしね、なんだかんだいいながらもお互いがお互いを嫌いになれないところとか結構好きなんですよ」

「なるほどね、モカはオオカミ少女と黒王子か」

「嘘から始まる恋もあるのだ〜それに腹黒ドS王子様がかっこいい」

「意外とそういう系好きなの?それならこれとかは?」

俺はそう言って花にけだものを進めてみると

「それはひ〜ちゃんが好きって言ってた〜個人的には竜生君が好き〜」

「あの天才君ね!それでいてバカ呼ばわりされてるのが彼の良いとこなんだろうけどね」

「後、凄く一途〜」

「わかる!」

そうしてモカと少しの間漫画の話で盛り上がっていると蘭から声がかかった

「光さん、ちょっといいですか?」

「どうしたの?」

「たまたま光さんのウォークマン借りてたんですけど、光さんここに入ってるbacknumberの曲全部弾けるんですか?」

「ウォークマンに入ってるのは弾けるよ 」

「HAPPYBIRTHDAYかクリスマスソング聞きたいんですけど」

「俺はそれを誰に向けて歌えばいいの?俺の誕生日は過ぎたしクリスマスはまだまだ先だよ?」

「じゃあせめてオールドファッションかハッピーエンドを」

「なんで俺?蘭に歌ってもらえば?」

「光さんに歌って欲しいのに〜」

「せめて大不正解か怪盗じゃダメなの?高嶺の花子さんなら歌っても良いけどさ」

「じゃあ、文化祭のステージでbacknumber歌ってください!」

「考えておくよ!蘭は?リクエストあるの?」

「水平線とか?」

「一度backnumberから離れない?」

「じゃあ、コンプリケイションで!これが聞きたいです。出来ればアタシもハッピーエンドとかは聞きたいんですけど、」

「まぁ、高嶺の花子さんなら歌ってもいいし、どのみち出るなら友希那と歌う曲も考えないと」

「どのみち出るなら曲はあなた次第よ、それに文化祭もだけれど月末には修学旅行もあるのだから9月はイベントが多いわよ、光」

「マジで!?そうしたら蘭達筆頭にお土産もこの先考えないとな〜」

「当面は目の前の文化祭よ、クラスの出し物やステージ等々考えることは多いわ」

「明日のテストもね」

俺がそう言うと友希那は嫌なことを思い出したと言わんばかりに俺を睨む

「友希那、お願いだから睨まないでよ!黙ってると一段と凄みがあるんだからさ!」

「誰がそうさせるのよ」

「アッハハ...なんか、ごめん」

俺は頬を掻きながら謝罪する

「ペナルティとしてcircleでの練習見る時間を追加するわ光」

「なんのペナルティにもなってなくない?」

「circleのステージで本格的に練習するから私達とAfterglowの練習を見るのだからちょっとした罰ゲームでは無いの?なんなら他のバンドも呼んであげましょうか?」

「はいはーい!じゃあ、あたしパスパレのみんな呼ぶよ〜?」

「まずもって来れるのかしら?」

「千聖ちゃんはわかんないけど、他の皆は大丈夫じゃないかな?」

「とりあえず、現状維持でお願いします。Roseliaはかなり本格的に練習見ないとだし、Afterglowも技術向上に抜け目ないしステージでやるなら俺が大変だよ!なんのペナルティにもなっては無いんだけど、手間が増えるって!」

「その手間を惜しまないのではないの?」

「そりゃ、俺が役に立てるならね、でも、一気に見れるのは2バンドが限界だって話」

「なら最初からそう言いなさいな、とりあえずそろそろ移動した方がいいのではないかしら?」

言われて時計を確認すると確かに14時を過ぎている

「確かに、そろそろ移動しようか?つっても俺、1回着替えないとだから居間に行ってて貰えませんかね、お嬢さん方」

「別に気にしないから着替えればいいじゃない」

「俺が気にするから、上だけならともかく下も着替えたいので、居間に行っていだだけませんかね友希那さん」

「友希那先輩、一応光さんの意見尊重しましょうよ、一応光さんの部屋なんですし」

「だよね、こればっかりは蘭に賛成」

「じゃあ、居間に行きますか」

「ほいほーい」

蘭達はとりあえず居間に行ってくれたので一安心だが友希那はどうやら本を読むのに忙しくてそれどころでは無いらしい

仕方なく俺はワイシャツを脱ぎポロシャツに着替えてからピアスを付けて軽くワックスで髪を後ろに流す

「髪、切らないの?大分伸びてるじゃない」

「ピアスの穴隠すために伸ばしてるからね〜まぁ軽く梳いてもらうくらいだから」

「いっそバッサリやったらもう少し爽やかなのではない?」

「逆に想像つく?俺の短髪って」

「言われてみるとあんまり想像つかないわね」

「でしょ、まぁ、そのうち気が向いたらバッサリやっても良いかなとは思うけどさ」

「その機会を楽しみに待つことにするわ、さぁ、行きましょう」

そう言って俺の準備が完了したのと同時に友希那も立ち上がり本を持って部屋を出て居間にいるメンバーに声をかける

「皆、そろそろ移動するよ」

「待って、もう少しでこの話が終わるから」

「あぁ〜はいはいそれ終わったら移動するから準備してね」

「了解」

そうしてドラマが終わると皆そそくさと立ち上がる

「続き気になるんだけど、仕方ないか〜」

「アタシも同意だよ」

「いや、正直アタシ等も同じですよ」

「DVD貸してあげるから日菜とリサが見終わったらAfterglowの皆で観てから返してくれてらいいよ」

「いいの?やった〜!」

日菜はDVDをプレーヤーから出してケースに戻しそのドマラのDVDをカバンに入れたのを俺が確認した後玄関に向かう

「忘れ物ない?」

全員に向け問いかけると全員が頷いたので俺達は家を出る

「じゃあ、俺は一度日菜と一緒に日菜の家に行ってギター持ってくるから先行ってて」

「わかった、行ってるね」

「光さん、また後で」

「うん、また後でね、日菜、後ろ乗って」

「は〜い」

俺は日菜を自転車の後ろにのせて走り出す

「そういえばひ〜くん」

「何?」

「今日は演奏しないの?」

「しばらくは控えないとかな、文化祭で演奏するなら尚更ね」

「そっか〜、じゃあさじゃあさ!もっと寒くなって冬休みに入ったらまた一緒に星観ようよ!それでねまたひ〜くんに演奏してもらうの」

「夏休みが終わったばっかなのに気が早いね、まぁ、良いんだけど」

「その時はこころちゃんも呼ぼうよ」

「こころが良いって言えばね、まぁまだまだ先の話だし予定って事で良いかな?」

「そうだね、まだ先だもんね」

そう話しているとあっという間に日菜の家に着いた

自転車から降りると日菜はギターを取りに家に入っていき

ギターを持って戻ってきた

「お待たせひ〜くん」

「待ったうちに入らないからいいよ、さぁ、行こう」

「うん! 」

俺はまた日菜を自転車の後ろにのせて走り出す

自転車を走らせていると後ろに乗っている日菜が話しかけてきた

「ひ〜くん、聞いてもいい?バイオリン演奏できるのになんで聞かせようとしないのかさ」

「大した理由は無いよ!とりあえず、まともに演奏できる曲がまだ2曲しかないってのとしばらく弾いてなかったからまだ全然スムーズに弾けないんだよ!自分の演奏がノイズみたいでさ、だからまだせめて今弾ける2曲を最低限スムーズに弾けるようになったら皆に聞いてもらおうとは思ってるよ」

「そっか、じゃあいつか聞けるの楽しみにしてるね〜」

「まぁ、そのうちね」

そうして話しているうちにcircleに到着し店内に入る

「こんにちは」

「光君いい所に、ステージ使うから機材準備頼める?」

「良いですよ、とりあえず着替えてくるのでそれからで良いですか?」

「うん、お願い」

「わかりました」

俺は一度スタッフルームに着替えに行き、その後一応自分のギターを持ってステージに向かうとAfterglowとRoseliaが既に待機していた

「やっと来たわね光」

「ステージの機材調整お願いね」

「了解、じゃあ、準備するね」

俺は機材の場所等々細かく確認してから音響ルームに入りOKのサインを出すと友希那達は本格的な調整を始める

「証明をもう少し落とせるかしら?」

「ちょっと待ってて」

俺は薄暗くなるギリギリまで証明を落とす

「これでどう?」

「リサ、紗夜2人とも手元は見える?」

2人は楽器を鳴らしてから頷く

「燐子とあこは大丈夫かしら?」

「大丈夫です!」

「こっちも問題ありません」

友希那が俺に向けOKのサインを出してたのに

「少し大雑把に音出してみてくれる?音響確認するからさ」

俺はそう言うと1人ずつ音を出していく

「少しだけ音量上げるからまた1人ずつ音を出して見てくれるかな、友希那も適当に発声してみて」

俺は音を聞いて音量を上げ下げしてこっちからもOKサインを出すと友希那は頷きメンバーを見回すと皆も頷き返す

「それじゃあいくわよ!LOUDER」

そして曲が始まると俺は一人一人にスポットライトを当てて全体の演奏に照明効果を織り交ぜていく

そして友希那達RoseliaはLOUDER、BLACKSHOUT FIREBIRD

熱色スターマインそしてカバー曲のCHAIN、雲雀と演奏した後一旦休憩をとる、俺は音響ルームから出て声をかける

「皆お疲れ様、全員凄い演奏だったよ」

「よく言うわよ、私達は普段の練習よりも本番に近い雰囲気で練習していただけなのにまるでLIVEが終わった後のような高揚感があるのはあなたがそう仕向けたのでしょ」

「俺は照明とか音量の調整を細かくやってただけで特別な事はしてないんだけどね」

「いや、絶対光の細かい調整が影響してるって!してないなら普通に練習した後とそんなに変わんないはずだよ」

「それだけ集中してたってことじゃないの?」

「確かに集中はしていました本番に近い雰囲気で練習なのでそうもなります、でもここまでの高揚感はLIVEでしか得られませんから光のもたらした何らかの影響は否定出来ないかと思います」

「そうかな〜?」

「光兄ぃが照明とかの機材また弄ったとか?」

「いや、その辺はなんもしてないよ」

「だとしたら、やっぱり光君が照明等の調整を細かく調整したおかげかと 」

「特別な事はしてないつもりだけどね」

「まぁ、光はハイスペック男子だからね〜 」

「違うし!俺いつの間にハイスペック男子になったの?」

「自覚ないのかしらあなた?」

「あってたまるかっての!」

「勉強、料理、演奏、どれをとってもその辺の方よりは上手かと」

「光兄ぃが作ったケーキ美味しかったしね〜、後、合宿の時のご飯も」

「確かにそうだね、合宿はカレーメインだったけど飽きることは無かったですし」

「確かにねご飯も、お菓子もかなり美味しいよねアタシも料理得意なつもりだけど、光に適う気はしないし」

「大袈裟だって!普通だから」

「そうは言うけれどね光、あなたは少なくとも私達の周りにいる男子の中では頭一つは抜けているわよ」

「こんなもんじゃん?普通だよ」

俺は普段から自分にできる事を最大限にやっているだけなのでハイスペックだなんだと言われても自覚などない

そんな事を思っていると蘭とひまりが呼びに来た

「光さん、そろそろアタシ達の練習も見てください」

「そうですよ!約束じゃないですか!」

「今、行くよ!」

そう言って俺は再び音響ルームに入り照明を点灯する

「光さんもうちょい明るくても平気です」

「はいは〜い」

俺は照明の明るさを少し上げる

「皆手元見える?」

みんなに問いかけると全員が頷く

「じゃあ、軽く音出してみてくれる?蘭も適当に発声してみてよ」

俺は全員の音を聞いて音量を調整し皆にOKのサインを送る

「じゃあいつも通りのBrandnewdaysからいきます!」

そうしてAfterglowの皆も5曲程演奏した後またRoseliaと交代して俺はまたRoseliaの練習を見る

そうして俺はAfterglowとRoseliaの練習を交互に見たあと練習後にそれぞれ簡単なアドバイスをしてから軽く休憩をとる

「さすがに2、3時間ぶっ続けだとちょっと疲れるな〜」

「ひ〜くん大丈夫」

「あぁ、大丈夫だよ、全然構ってやれなくてごめんね」

「見てるのも十分楽しいし良いよ」

「なら、いんだけどさ」

「ところでひ〜くんこの後ってどうするの?」

「皆まだ練習するならまだ付き合うけど、しないなら俺個人が練習がてらに歌うつもり」

「だってさ〜皆どうするの?」

日菜が休憩している面々に声をかけると全会一致で俺の演奏を聞くとの事だったので俺は仕方なくアコギを出して肩にかける

「えっと、とりあえずこれから演奏するけどさ、アコギ出し弾ける曲も多少限られるとは思うんだけど

なにかリクエストがあれは受け付けるけど、なんかある?」

俺が問いかけると珍しく紗夜が手を上げて発言する

「あの、よろしいですか?私からリクエストしたいんですけど…」

「珍しいね紗夜が自分からリクエストするなんて」

「そうね、普段はしないものね」

「まぁ、でも、なんと言いますか、今、ここにいる皆さんにも聞いて欲しい曲がたまたまあったので」

「えっと、それで?なにを演奏したらいいのかな?」

「はい、前に歌ってくれた絆をもう一度聞かせてください」

「あぁ!あの曲ね!確かに、今、ここにいるメンバーにはピッタリかもね」

「じゃあ演奏するね!聞いてください 絆」

俺は演奏を演奏を始める、思えばこの曲を演奏するのは久しぶりだと思いなが歌っていく

 

『先のことどれ程に考えていても本当のことなんて誰にも見えない空白?心に何かがつまってあやまちばかりくり返してた1歩づつでいいさこの手を離さずに共に歩んだ日々が生きつづけてるからボロボロになるまで引きさかれていてもあの時のあの場所消えないこの絆』俺は前回日菜と紗夜の2人に向け

歌った曲を今度は皆に向けて歌っていくバンドによって絆の形は様々だけどそれを大切にして欲しいと思いながら歌っていく

『流れゆく時間(とき)の中 失わぬようにすれ違いぶつかった本当の気持ち心に染みてくあいつの想いに出逢えた事が求めた奇跡立ち止まることさえ出来ない苦しさの中に見えた光つながっているからうそついたっていいさ涙流していいからあの時のあの場所消えないこの絆』

演奏を終えると皆シンとしていたので俺はそのままアコギで空の青さを知る人よを演奏する

特に意味は無いがアコギで弾きやすい曲を選んだつもりだ

そして演奏が終わると紗夜が話しかけてきた

「光君、2曲とも素敵でした、それであの、あの時の曲をまた歌って貰えませんか?」

「良いよ、その他にもじゃあさらに追加で1曲演奏しようかなアコギだからできる曲は限られるけどさ」

「じゃあ、あれがいい!明日はきっといい日になる!」

「じゃあ、1曲ずつね」

そう言ってまずはひまわりの約束、瞳と演奏し最後に明日はきっといい日になるを演奏した

「いや〜なんて言うか、ある意味感動だね、光がアコギ弾くレアな姿見れたしなんかいい意味で励まされたって感じ」

「そうね、それにしても、貴方が歌えるカバー曲は無限なのかしら?」

「そんな事ないけどね、まぁとりあえず、今日はこのくらいにしとくよ、俺はまだバイトあるけど、皆は?」

「もう少し休憩してから上がろうと思います」

「私達はもう少しやっていくわ」

「じゃあ、もう少しRoseliaの練習に付き合わないとだね」

「よろしくお願いするわ」

「はいよ」

その後俺はRoseliaの練習に付き合い、その後ステージと客席周りの清掃をして上がる時間となった

「まりなさん、今日はこれで失礼しますね」

「はいはーい、お疲れ様またよろしくね」

「わかりました、お疲れ様です」

そう言って俺はcircleを出るとRoseliaのメンバーと日菜が待っていた

「光、駅まで一緒に帰ろ」

「私達を駅まで送った送り届ける義務をわすれてもらっては困るわよ」

「わかってるよ、さぁ、行こう」

俺は自転車を押しながら皆に歩幅を合わせて歩く

「光君、今日は私のリクエストを聞いてくれてありがとうございました。」

「別にいいよ、リクエスト聞くくらいなんでもないし」

「まぁ、光だからね〜」

「そうね」

「なんか、棘のある言い方だね2人とも」

「別に〜ねぇ友希那」

「普段通りよ」

「なんか不機嫌そうなのは勘違いかな?」

「リサ姉から不機嫌オーラが出てるのがあこにも見える」

「私もです」

「りさちーなんでご機嫌斜めなの?」

「別に不機嫌な訳じゃないよ!ただ、全員から1曲ずつリクエスト聞いても良かったんじゃないかなって思っただけで

今日は紗夜限定だったからさ」

「あぁ、そういう事、ならさ、文化祭でLIVEで1曲リクエスト聞くよ、それでいい?」

「じゃあ、ハッピーエンドを歌う事!」

「ん〜じゃあ、最初と最後に俺が歌う感じ?間に友希那と2人で歌う曲1曲入れて友希那にソロでも歌ってもらう感じでいい?」

「光がちゃんと曲を選んでくれるなら文句はないわ」

「まぁ、もうちょい先だけどね文化祭」

「光兄ぃ友希那さんと歌うの?」

「2年生有志でバンドやらないかって話になってるからね、俺がギターとキーボード両方担当することになるとは思うんだけどね」

「りんりんにキーボード弾いてもらうのは?」

「って言ってるけど、燐子はどう?」

「そう言われても…正直厳しいですよ、光君が入るなら私じゃあ役不足ですよ」

「いやいや、俺がキーボードオンリーならまだいんだけどさ、ギターもやらないとでプラスボーカルでしょ、正直ソロならまだしも有志のバンドってなるとね〜」

「光はギターボーカル件キーボードボーカルじゃないと、どうしても成り立たないのよ」

「って言うわけでお願いできない?俺が花咲川でLIVEした時みたいに、燐子が入ってもらうの」

「それだと、Roseliaが出た方が早い気がするのですがどうなのでしょう?」

「嫌よ!Roseliaとしては遠慮するわ」

「ですよね、そういうと思ってました」

結局結論が出ないまま駅に着き解散となった

俺は日菜と紗夜の3人で帰宅中だ

「光君、先程の話ですけれど、バンドはどのようになるのでしょうか?」

「ん?あぁ、多分俺と日菜でツインギターでドラムに麻弥さん、ベースリサ友希那が歌う時は俺がキーボード担当かな?」

「デュエットの際もキーボードですか?」

「いや、多分ギターかな?それかもしも燐子がOKしてくれるなら、俺は歌オンリー」

「えぇ〜つまんな〜い!ひ〜くんは必ず楽器やってよ!」

「曲によるからね一応」

「候補は出しているのですか?」

「まぁね、既にやる前提で話進んでるし、候補は決めてるよ」

「その辺はさすがですね」

「あっ!そうだRoseliaのメンバーにも出てもらおうよひ〜くん!それでRoseliaプラスひ〜くんで1曲やってよ!」

「友希那ダメって言うからメンバーバラすならまだしもそれは無理じゃない?」

「こればっかりは光君に同意します。」

「そっかァ〜残念じゃあひ〜くんとお姉ちゃんが同じステージに立つ事は無理か〜」

「どうかしら?」

「どういう事?」

紗夜の思わぬ返答に俺は質問する

「可能性の話ですけれど、私達Roseliaが主催ライブするとなれば湊さんは必ず光君にもゲストとして出てもらうというのではないかと思っただけです」

「バンドでもなんでもないのに?それに俺、Roseliaの曲はカバーできないよ?」

「そうなんですか?」

紗夜が不思議だと言いたげに問いかける

「友希那からはLOUDER辺りはカバーしてくれって頼まれてるんだけど、ソロじゃ厳しいんだよね、それに友希那の声には程遠くて」

「では、いつか私達Roseliaの曲を光君の声で聞かせてください、楽しみにしていますので」

「まぁ、できるだけ早くできるように努力するよ」

「ひ〜くんパスパレは?」

「Roseliaの曲以上に無理だから、パスパレの曲は多分無理」

「えぇ〜」

「現状俺にカバー出来そうなのはRoseliaとAfterglowだけだからね」

「まぁ、仕方ないか〜」

「俺もそこまで声変えられないしね」

「だよね〜」

日菜が心底残念そうだ、だが、無理なのものは無理だしなぁと思いながら妥協案を考える

「あのさ、代わりってわけじゃないけど、カバー曲10曲くらい入れたCDで勘弁してくれない?」

「アタシの好きな曲いっぱい歌ってくれるって事?」

「そういう事、だから、パスパレのカバーは勘弁してくれない?」

「良いよ!約束だからね!」

「もちろん、約束は守るよ」

「ハァ、今更な事ですけど、光君、あんまり日菜を甘やかさないでください」

「そう言われてもな〜日菜が沈んだ表情してるとさ、なんかこっちも気分が沈んじゃうし、日菜が笑ってれば周りも自然となんだかんだいいながら笑ってるんだし結果オーライじゃん?」

「全くどこまで日菜に甘いんですか」

「もしかしてお姉ちゃん羨ましいの?」

「どうしてそうなるのよ!」

「だって〜ひ〜くんがあたしに甘いのは前からだし、それしか考えられないかなって」

「そういうんじゃないわよ、貴方は光君が自分に甘いのをいい事に少し我儘なんじゃないかって言いたいのよ」

「って言ってるよひ〜くん」

「俺は、別に好きで日菜に振り回されてるとこもあるから苦じゃないんだよね、それに、頼られるのは悪い気はしないからね」

「全くあなたという人は」

そう話している間に氷川家に到着する

「送ってくれてありがとうねひ〜くん」

「ありがとうございました。光君」

「このくらいお安い御用だよ、じゃあ、また明日ね」

「また明日ね〜」

「おやすみなさい」

俺は自転車に跨り来た道を戻るようにして家路に着いた

家に着くとすぐにシャワーを浴びて簡単に夕飯を済ませてから部屋で1人バイオリンを弾く

「当面はキラメキをバイオリンで弾けるようにしないとな」

そう言って俺はひたすらに反復で練習していく

そして、少し休憩を挟んでギターを弾いてからその日は就寝する。

次の日、俺は早めに学校に行きテスト対策の応用問題を解いている。

「これは、こっちの公式かな?いや、違うかな?別な方使えば途中式ひとつ削れるな」

そうしている間に友希那達がやってきた

「光、朝から何をしているの?」

「あぁ、おはよう友希那、リサもおはよう」

「おはよう光、それで何してんの?」

「応用問題解いてるんだよ、ちょっとした頭の体操?みたいな感じ」

「徹底してるね〜さすが張り出し組は違うよね〜」

「まぁ、とりあえずはそれなりの成績キープしておかないとさ一応補習とかは勘弁願いたいし」

「だよね〜この後に控えてる文化祭もあるしね」

「そうね」

そうして友希那達と話していると日菜が来た

「おっはようひ〜くん、友希那ちゃんりさちー」

「おはよう日菜」

「ひ〜くんは朝から勉強?」

「一応成績キープしておかないとだからね」

「大変だね〜」

「まぁ、仕方ないよ」

「友希那ちゃんとりさちーは平気なの?」

「まぁ、アタシ達は平均でいいかなって」

「補習さえ回避出来ればそれでいいわ」

「そうなんだ〜」

そんな話をしているとチャイムがなり、先生が教室に入ってきて簡単なテストの簡単な説明をしてまたすぐ教室を後にする

「光、今回も張り出し組を狙うのかしら?」

「そのつもり、1番端でいいけどね」

「そうやってまた自分の価値を高めるのね光は」

「勉強より演奏を高めたいけどね」

「光の本気を見たことがないからわからないけれど、私達と一度合同で演奏した時ですら3割程度の力だったのでしょ?」

「本気の演奏は出来ないよ、多分皆が俺の音にのまれちゃうから」

「あらそう、でも、いつか本気の演奏が見れる日を楽しみにしているわ」

「そのうちね」

そう話しているうちにまたチャイムがなり、教科担当の先生が入ってきてテストを配ると本鈴が鳴るのと同時にテストが開始される

そして、短い休憩時間を挟みながら午前中のテストが終了する

「あぁ、もう疲れたよ!」

「まだ午後からの1時間残っているわよ」

「だね〜だから、とりあえずはお昼だね」

「光、教室でいい?場所」

「別にいいよ、皆が良いならね」

「あたしはいいよ〜」

「私も問題ないわ」

「じゃあ光の席の周りに集まってお昼だね、お弁当持ってくるから待ってて」

そう言ってリサは一度自分の席に戻って行きお弁当を持って戻ってくる

「じゃあ、食べよ〜」

「だね、頭使ったからか腹減ったよ俺も」

「現状の進捗はどう?」

「今のところ想定内だね」

「私も問題ないわね」

「無問題!」

「なら、大丈夫そうだね、ところで光、今日バイトは?」

「今日は無いよ、明日から3連勤だけどね〜」

「そうなんだ、まぁアタシ達も今日は個人練習だしアタシは残念ながらバイトなんだよね〜光、なんならアタシのバイト先でもバイトしない?モカもいるよ」

「遠慮しとくよcircleのカフェテリアの方もあるし、circle自体のバイトもあるからね〜」

「残念、光ってちなみに今ってシフトのペースどのくらい?」

「基本週4で土日はその時によりけりかな」

「そっか、でも光、バイトの時って8時とか9時まででしょ?大変じゃない?」

「リサだって似たり寄ったりじゃないの?」

「そうかもだけど、光程じゃないというか、アタシはほら、個人練習するにしてもベースだけだからさ光よりは楽っていうか」

「俺も普段はあんまり練習しないよ、路上ライブする時とかLIVEハウスでやる時くらい?」

「それであの演奏クオリティなのだから驚きよ」

「だね〜」

「やる時はやるくらいでいんだよ、今はまだね」

「それにさ、光の場合は下手したら手を痛めるくらい没頭するじゃん?だから普段は自重してるんじゃないの?」

「それは間違いなくあるね」

「まぁ、なんでもいいけれど、光、有志のバンドの件はどうなってるの?」

「このメンバーがOKならあとは麻弥さんだけだよ、許可取ればいいのはね」

「麻弥ちゃん良いってさ、是非ともって言ってたよ!曲が決まったら教えてくれってさ」

「じゃあ、明日全員にやろうと思ってる曲CDに入れて持ってくるよ」

「OK!じゃあ、その辺は任せるね」

「任されたよ」

「ひ〜くん何曲やるの?」

「俺と友希那でデュエット1曲でその他お互い1曲ずつかな?俺が2、3曲やるよりはその方が良いかなって」

「なら私と光で各2曲にデュエット1曲の計5曲を希望するわ」

「なら、俺はコンプリケイションとハッピーエンド、友希那はChasetheWorldとBurst the Gravity そんでデュエットでpreservedRosesが良いかな?」

「明日全部一応聞かせてくれるかしら?」

「なんなら今聞く?全部ウォークマンとスマホに入ってるんだよね」

「じゃあアタシと友希那、日菜と光で聴く感じでいい?」

「私が光と聴くのでも構わないけれど?」

「俺は誰でもいいよ、俺ので聞くのには変わりないし」

「じゃあ、今回は友希那ちゃんとひ〜くんで聞いてみて友希那ちゃんがOK出すかどうかまず決めない?」

「それが良いかもね、じゃあ、はい、友希那片方イヤホン付けて」

「わかったわ」

友希那がイヤホンをつけたのを確認すると俺はとりあえず友希那が歌う予定の曲とデュエット曲を再生する

「デュエットの方は悪くないわね、でも、これなら光は歌オンリーの方がいいかもしれないわね」

「確かにそうなんだよね〜燐子がいてくれたら良かったんだけどね、多分燐子じゃないと難しいと思うんだ」

「やっぱり光がキーボードやるしかないのかしら?」

「つぐちゃんは?」

「つぐじゃ、ちょっと厳しいかもしれないんだよ!」

「それに私が歌う2曲目はほぼ英語メインだからそれが難点ね」

「難しいなら曲変えようか?CHAINか雲雀なら慣れてるだろうしそっちにする?」

「そうね、ならCHAINとChasetheWorldにするわ」

「BursttheGravityはどうする?」

「歌えるようにはしたい曲だからそのうち光がカバーLIVEでもしてくれるならそこで歌うことにするわ」

「了解、じゃあ決定だね2人とも聞いてみてくれる?」

「OK!」

「あたしも聞く〜!」

「友希那、後さ、この曲どうかな?」

「どれかしら?」

「これこれ、Infinite Burstリサとツインボーカルで」

「リサと?」

「なんか合いそうだなって」

「いい曲ね、確かに良さそうだけれど、文化祭では難しいわね」

「そっか、じゃあそのうち歌ってよ」

「えぇ、あなたにだけ届けることにするわこの曲は」

「光栄だね、さて、お二人さんどうかな?」

「良んじゃない?さすが光だよ!友希那にピッタリだし、2人が歌うのにもピッタリだし光が歌う曲もピッタリだよ」

「あたしもそう思う!明日CDで持ってきてくれれば練習しておくね〜」

「じゃあ、4枚は明日持ってこないとな、俺以外の全員には配らないと」

「お願いね〜」

「了解」

そう話しているとチャイムがなったので俺たちは解散し午後のテストを受ける、俺は半分の時間で解答欄を全部埋めて、後半は寝潰しテストを終える

そして帰りのホームルームでクラスの文化祭実行委員を決める際日菜が自ら立候補した

「じゃあ、改めて実行委員になりました氷川日菜です!よろしくね〜それと、もう1人の実行委員も立候補がいないならあたしが決めるけど、良いかな〜?」

日菜のその言葉にクラスの全員が頷く、それを確認した日菜はクラスを見回して俺を指名した

「じゃあ、ひ〜くんで!」

「は?俺?なんで?」

「光しかいないよね、なんだかんだ言いながら日菜の暴走を止められるのは」

「一緒に乗っかって暴走しそうな気もするけれど、それを上手くいい方に進められるのは光だけね」

「「「「「異議な〜し、光君がいいと思いま〜す」」」」」

「わかったよ、やるよ」

「じゃあひ〜くん前に来て挨拶」

「はいはい」

俺は前に進み出て自己紹介する

「クラスの実行委員になりました。宮村光です。最初に言っとくと、あんまり期待はしないでください!基本日菜のストッパー的役割になると思うのであしからすご了承ください」

俺がそう言うと皆が拍手した

「結局こうなるんだな〜」

俺がそうぼやきながら席に戻ると入れ替わりで先生が明日からの連絡事項を伝えるまず、今週中にクラスの出し物を決めてすぐに準備して再来週末には文化祭が開催されるのだそうだ、伝える事だけ伝えると先生は教室を出て行ったので俺達も解散する。俺はすぐさま帰宅して曲をCDに入れていく、その作業が一段落すると俺は自分の練習を始める

メインはキーボードだ、そしてその後一段落つけて夕飯を済ませてシャワーを浴びてからまた練習を再開してまた同じ曲をひたすら練習していきその後就寝する

そして次の日、俺はCDとギターそしてキーボードを持って学校に行くと昇降口でちょうどよく麻弥さんと会った

「麻弥さん!」

「おや?光君じゃないすか!おはようございます」

「おはよう麻弥さん、文化祭の有志バンド引き受けてくれてありがとうね」

「別にいいっすよそのくらい!私もなにかしたいなとは思ってたので!ちょうど良かったっすよ」

「なら、良かった!これ、CDね」

「文化祭でやる曲ですね!確かに受け取ったッス!近いうちに全員で一度合わせましょう!」

「OK!その時は連絡してくれれば合わせるからさ」

「了解ッスそれでは自分はここで!クラスまだ先なので」

「あぁ、うんまた後で」

「ハイっす!」

俺は麻弥さんと別れて教室に入るとイツメンは揃っていた

「ひ〜くん遅いよ!」

「いつも通りくらいだと思うけど?」

「いやいや、アタシ等早めに来て軽く練習しようと思ってたんだけどね」

「昼休みとかステージ借りれば良くない?」

「貴方は良くても私達はもう少し早めに準備しておきたいのよ!」

「言ってくれれば良かったのに、そうしたらもう少し早く来たって!」

「まぁ、今更ね、とりあえずCD貰えるかしら?」

「あぁ、はいはい、これね」

俺は3人にCDとCDプレーヤーを渡す

「光、こんなのまで持ってたの?」

「一応ね最近使ってなかったし、ちょうど良いかなって2台しかないから日菜は麻弥さんと2人で使ってくれる?」

「わかった〜」

その後すぐに先生がやってきてクラスの出し物決めをするから実行委員以外は席に着くようにと諭して皆が着席したのを確認すると俺達はクラスの出し物を決めるため話し合いを始める

「クラスの出し物はどうする〜?無難に喫茶店?」

「無難すぎだからね!もうちょい捻ろうよ!」

「じゃあ、ひ〜くんの演奏付きで!」

「却下!どんだけ俺をこき使う気?」

「えぇ〜」

俺達のやり取りを見てクラスの皆は笑っている

「じゃあ、ひ〜くんの演奏会?」

「なんで俺がやる前提なの?」

「あっ!じゃあ光の技術指導で音楽教室件喫茶店は?」

「喫茶店以外はないの?普通にミニ縁日みたいなのとかさ!」

「でも、どうやるの?」

「例えば、料理は2、3品程度にしてあとは無難に輪投げとくじ引き、それと手作りのアクセサリーとかを売るとかそんな感じでさ」

「あぁ、いいかもね!光がアクセサリー担当で」

「俺、装飾はできても他はあんまりだよ?」

「光が作るならクオリティは保証されたようなものだし問題ないんじゃないかしら?」

友希那とリサがそう言うとクラスのメンバーが食い付いた

「光君アクセサリーも作れるの?」

「いや、作れはしないよ市販のヘアピンとかにちょっと装飾するくらい」

「へえ〜どんなの作るの?」

「アタシ、光がくれたやつ持ってるよ!これこれ!」

そう言ってリサが青薔薇を装飾したヘアピンを見せる

「すっごい可愛い!じゃあ、アタシ達で使ってないヘアピンとか持ち寄って光君が装飾すればいいじゃない!」

「決まり!クラスの出し物はミニ縁日だね!」

「了解!後は料理か」

「ミニ縁日だし、焼きそばとクレープとカップケーキかな?」

「「「「「異議な〜し」」」」」

そうして提案が可決されてクラスの出し物があっさり決まり実行委員会と生徒会に提出する書類を作成しホームルームが終わったのと同時に生徒会に提出しておいた

そして授業ではテストが返却され、上位メンバーの順位も発表された、俺は今回も張り出し組の端だった、そして昼休み

「順位は変わらず光と日菜が両端か〜」

「だね〜もう少しひ〜くんが上がってくるかなと思ってたけど、残念」

「無茶言わないでくれる?」

「ひ〜くんならできるよ!」

「まぁ、光の事だからそのうち順位は上がるんじゃないかしら?」

「どうかな?」

「まぁ、それは置いといて、有志のバンドのただの有志バンドじゃなくてさちゃんとバンド名決めない?」

「ひ〜くんが中心だしルミナとか?」

「輝く光って意味だけど、それだと俺だけじゃん!」

「ダメ〜?」

「却下!」

「えぇ〜じゃあなんか考えてよ!」

「overlay重なるものって意味だけどこの方が良くない?」

「光の名前からとるならさLight of hope 希望の光ってやつの方が良くない?」

「友希那は?」

「なんでも良いわ、でも、なにか上げろと言うならRhodoLiteかしら?そんな名前のパワーストーンがあったはずだし」

「それだとLITEは石とかそういう意味になるね、俺の名前の光から取るなら残念だけど使えないかな」

「あらそう、まぁ良いわ」

「星明かりStarlightは?」

「あぁ、それだ!俺はそれがいいな!」

「あたしも賛成!」

「私もそれで良いわ」

「じゃあ決まり!バンド名はそれで決まりね!じゃあ後は、練習か俺、放課後はバイトあるしな〜」

「来週からのシフト遅めにしてもらうしかないか」

「だね、アタシも夕方6時からよる9時までにしてもらうよ」

「2人ともRoseliaの練習も忘れないでちょうだい」

「リサはともかく俺もなの?」

「貴方は練習を見る義務があるじゃない!」

「そうだったね。」

「とりあえず、文化祭に向けて各自調整って事で良んじゃない?」

「それしかないな!」

俺がそう言うのと同時に昼休み終了のチャイムがなったので俺たちは解散し午後の授業を受けて解散した、俺はバイトに行き来週からのシフトを調整してもらいバイトに勤しんだ

そしてやっと皆が一堂に会し練習できる日が来たので皆で合わせて演奏する

「まぁ最初だし、こんなもんだよね」

「だね〜これからこれから」

「じゃあ、もう1回ね〜」

「わかったわ」

「じゃあ行くッスよ!1・2・3・4!」

麻弥さんがスティックを打ち鳴らしてリズムを取りそれに乗せるように俺達は演奏する。ひたすらに繰り返す。

そうして、文化祭まで後、1週間となり俺達の演奏も形になってきた。

「やっと形になってきたね」

「だね、やっとって感じ」

「そうね」

「でも、ひ〜くん全然本気じゃないよね?」

「これでも半分くらいだけど、十分でしょ?」

「どんだけ余裕なんですか光君は!」

「後は本番で俺に引きずられない事!以上!本番は俺達のバンド以外は目に入らないくらいに輝こう!」

「「「おぉ!」」」

「やるわよ!」

「言われなくても」

そう言って俺達は笑い合う、そして嫌でもやってきた当日

俺達のステージは2日目の午後からだ、なので初日と明日の午前中は自由時間である、そして今現在俺はクラスの出し物には参加せずに1人屋上でギターを弾いていると屋上の扉が開いてリサが顔を見せた

「いた!光、こんな所で何してんの?」

「別に、LIVEまでまだ時間あるから1人でギター弾いてた」

「な〜んでこういう時いつも1人でいるの?」

「大した意味は無いよ、ただ1人の時間も大切なだけ」

「それはわかるけどさ、せっかくの文化祭なんだし楽しもうよ!」

「今は演奏以外の事はどうでも良いよ、こうして風に吹かれながらギター弾いてる方が良いかな」

「そっか」

リサはそれだけ言うと俺の隣に座る

「リサは行かなくていいの?」

「なんか、今の光をほっときたくない」

「別に何する訳でもないのに?」

「ただ1人にしたくないだけだから気にしないで」

「じゃあ、そうするよ?」

「うん、別にいいよ」

そうして俺達の間にはギターと風の音以外は何も聞こえない

でも、不思議とこの沈黙が俺には心地いい、俺もリサもお互いが隣にいるというこの状況以外は何も変わらない。時々風に乗るように校内の音がやかましいくらいに聞こえてくる

そしてリサが沈黙を破る

「ねぇ、光は今みたいな雰囲気って苦手なの?」

「LIVEの時のワーッとしたのは好きなんだけど、こういうのはどうしても苦手なんだ」

「そっか、光と文化祭見てまわりたかったんだけどな〜」

「じゃあ、見て回ろか?」

「いいの?光、こういうの苦手じゃないの?」

「苦手だけど、リサが一緒にまわりたいって言ってくれてるんだし答えないとね、さぁ、行こう!」

そう言って俺が手を差し出すとリサが苦笑しながら俺の手を掴んで立ち上がり校舎内に戻っていく

そして、教室に行くと友希那と日菜が待っていた

「ひ〜くん遅〜い!初日はみんなでまわろうって言ってたじゃん!」

「どこに行っていたの?」

「屋上、ちょっと人に酔っちゃって風にあたってた」

「大分良くなったみたいだよ、呼びに行ったらギター弾いてたから」

「そう、まぁ良いわ、とりあえず、出し物は任せてあちこち見て回りましょう」

「どっからまわるの?」

「麻弥ちゃんのクラスでバザーやってるって言ってたからまずはそこかな?」

「じゃあ、そこ行ってからあちこちまた回ってみるしかないかな?」

「そうね」

「じゃあ、とりあえず、そこからだね」

俺達は話し合い目的地に向かう、そして目的である麻弥さんのクラスに着くとちょうど麻弥さんが店番中だ

「麻弥さんお疲れ様」

「お疲れ様ッス、クラスの出し物は大丈夫なんすか?」

「他の皆に任せて来たよ、少しは見て回らないとね」

「まぁ、出番は明日ですからね、とりあえず、色々見てって下さい」

「そうするよ」

「色々見てみるね〜」

「何から見る?」

「各自好きな場所を見たらいんじゃないかしら?」

「だね、そうしますか」

そう言って俺達はあちこち見て回る中俺はアクセサリー売り場を見ていると黒い翼のネックレスが目に止まった

「麻弥さん、これは?」

「黒い翼のネックレスですね、いい趣味してるじゃないすか!中古品ですし千円で販売しますよ他のならもう少し安いのもあるんでけど、どうしますか?」

「これでいいよ」

俺はそう言ってお金を私商品を受け取ると今つけているネックレスを外してさっき買ったネックレスを身につける

「ワイシャツとネクタイで隠して付けてたんすね」

「まぁね、まぁ、今日はピアスしててもなにも言われないとは思うけどね」

そう言って笑うと麻弥さんもつられて笑う

そしてさっきまでつけていたネックレスは友希那にあげることにした

「友希那、ちょっといい?」

「何かしら?」

「これあげるよ」

「翼のネックレス?」

「イツメンでお揃いってのも悪くないんじゃない?」

そう言って俺は自分がさっき買ったネックレスを見せる

「他の2人も持っているの?」

「もちろん!」

「なら、貰っておくわ、ありがとう」

「別にいいよ、それよりもめぼしいものあった?」

「残念だけど、これといってないわね」

「2人はどうかな?」

「どうかしら?」

俺たちは2人がいる所にいき声をかける

「2人ともめぼしいものあった?」

「あたしこれ!このシャープペン!空の柄が可愛い!」

「そんなものまであるんだね、リサは?」

「アタシは、このバックが良いなって思ってさ!」

「いんじゃない?」

「本当に?じゃあこれにしよう!」

そう言って2人は目的の物を買って戻ってきた

「次どうする?2年は薫のクラスが劇やってるってさ」

「行って見る?」

「どちらでもいいわ、そこまで興味もないし」

「アタシもそこまでじゃないかな?」

「じゃあ、蘭達のとこ行ってその後ステージ見に行かない?昼過ぎからマジックショーだってさ」

「じゃあ、蘭ちゃん達のところで軽くお昼食べてそこからマジックショーだね!」

「アタシはいいけど、友希那は?」

「それで良いわ、行きましょう」

そうして俺達は蘭達のクラスでやっている喫茶店に向かった

蘭達のクラスに着くと並んでこそいなかったが以外と混んでいる

「ちょっと待ってて、蘭達に入れるか聞いてみるよ」

「よろしくね〜」

「任せたよ光」

「お願いするわ」

「了解、じゃあちょっと行ってくるよ」

俺は蘭達のクラスに入って行き近くにいたクラスの子に話しかける

「あのさ、ちょっと良いかな?」

「はい、どうしました?」

「蘭達いる?」

「美竹さん達ですか?いますよ、呼びましょうか?」

「悪いけど、お願いできる?」

「はい、ちょっと待ってて下さい」

そう言ってその子は蘭達を呼んできてくれた

「美竹さん来ましたよ」

「ありがとう」

お礼を言うとその子は軽く頭を下げて仕事に戻って行き俺は蘭に声をかける

「やぁ、こんにちは蘭」

「光さん!まさか来るとは思わなかったですよ!」

「せっかくだからね、友希那達もいるんだけど、入れる?」

「大丈夫です4人ですよね?」

「うん、俺含めのイツメンだから」

「わかりました、じゃあ呼んできて下さい」

「OK!」

俺は廊下に出て丸を作ってOKと伝えると俺の後に続いて蘭に案内してもらい席に着く

「注文どうします?」

「蘭のオススメは?」

「ナポリタンですね!つぐのお手製なので美味しいですよ!」

「蘭のお手製じゃないんだね」

「アタシは料理はあんまり」

「そっか、今日のところは蘭の可愛いエプロン姿が見れただけ良しとしますか」

「なッ光さん!からかわないでください!」

蘭は顔を赤くしてお怒りだ

「本当の事なのにな〜」

俺がそう言うと両頬をつねられた

「いはいって!あにふひゃりはも(痛いって!何2人とも)」

「別に〜」

「ねぇ〜」

「自業自得よ光」

「俺、なんかした?」

俺は頬を擦りながら問いかけると答えはまたしても別にとの事だった、そして蘭はその様子を見て苦笑している

そして、そうしている間に俺の周りにAfterglowのメンバーが集まって来た

「光さん!来てなんなら声掛けてくださいよ〜」

「そうですよ!蘭だけじゃなくてあたし等もいるんですから!」

「確かに〜」

「アッハハ、ごめんね、とりあえず先に蘭には声掛けとこうと思ってさ、とりあえず、オススメを頼むよ!食後にコーヒーもね」

「私はフレンチトーストとカフェオレをお願いするわ」

「アタシはオムライスかな、飲み物は光と一緒で食後にコーヒーをお願い」

「あたしはひ〜くんと一緒でいいかな」

俺達は各自注文をとると巴が復唱してから仕切りの奥にいるつぐに注文を伝え戻ってきて俺達とこの後の予定について話をする

「光さん達はこの後どうするんです?」

「昼過ぎからのマジックショー見てからは多分クラス戻って店番かな?」

「そうだね、多分そうなると思う」

「同意〜るんってしないし退屈〜」

「まぁ、午前中自由にさせて貰ったのだし仕方ないんじゃないかしら?」

「そうだね、まぁ仕方ないね」

俺がそう言うとまたしてもリサが俺の頬をつねり言う

「どの口が言うのかな〜光午前中ほぼほぼ自由行動しておいてさ〜」

「そうね、光の場合また暇を見つけてはまたサボるでしょうし、リサ、いっそ光を貴方と手錠か何かで繋いでおきなさいな」

「いいね!手錠はないから紐で少しキツめに光の手を縛っておけば良いかな?」

「ギターとキーボード弾けなくなるから辞めてねお願いだから」

「仕方ないな〜じゃあ、光が逃げないように皆で監視するしかないか!」

「逃げないよ!逃げてもどうせ俺のいる場所わかるじゃん」

「まぁ、ひ〜くん基本屋上以外行かないしね」

「わかってるなら良くない?」

俺達のやりとりにAfterglowのメンバーは苦笑している

「光さんって信頼されてるのかそうじゃないのか微妙な感じがするんですけど、実際どうなんです?」

「思った〜」

「それはありますね」

「あたしも気になります」

「って言ってるけど、実際どうなの?」

俺は3人に問いかけると友希那が真っ先に答える

「まぁ、少なからず信用はしているわよ、でも、この半年近く光を知っていけばいくほど、どこか他の人たちとはズレていると思っているのも事実よ」

「そうだね〜、でも、多分共通して認めてることっていうのかな?光の曲選びのセンスと光はいつも自分じゃない誰かのためにしか演奏しないって事かな」

「だね〜、ひ〜くんって自分の為には滅多に歌わないし、いつも歌うのは誰かのためみんなの為だもんね」

「俺にはそれしか出来ないからね、近いうちにちゃんと話すけど、過去に仲間関係をダメにしたことがあってさ、それ以来よっぽどの事がない限り自分の為には歌わないって決めたんだ」

「光さん、それはアタシ達も聞いても大丈夫な事なんですか?」

「まぁ、少なからずこっちに来て知り合ったメンバーには話そうと思ってるよ」

「そう……ですか、じゃあそのうち聞かせてくださいね」

「もちろん、必ず話すよ」

そう話しているとつぐがトレイにのせて料理を運んできてくれた。

「おまたせしました!もう、皆手伝ってよ!光さん達と話してないでさ!」

「ごめんごめん!」

「ごめんつぐ!」

「光さん達来てくれたからなんか自然とさ」

「だね〜」

「まぁ、話したい気持ちはわかるけどさ…それよりも何話してたの?」

「あたし等もさ、もう少ししたら休憩じゃん?だから光さん達はどうなのかなってさ」

「そうなんだ、それで光さん達はどうするんですか?」

「俺達はこの後体育館のステージでやるマジックショー見たあとはクラスに戻って出し物の手伝いかな」

「クラス何やってるんでしたっけ?」

「ミニ縁日みたいなのやってるよ」

「あたし等も光さん達について行ってマジックショー見てから光さん達のクラスに行こうかって思うんだけど、どうかな?」

「いいじゃん!行こう!」

「賛成〜」

「アタシもOKだぜ」

「私もいいよ」

「じゃあ、皆で行こうか!」

俺達は昼食を済ませた後俺達は体育館に行きマジックショーを見た後、連れ立って俺達のクラスに行き店番を交代した

「光さん達のクラスの出し物気合い入ってますね」

「まぁ、企画から準備までやったのほとんど光だしね、それに教室入ってすぐのヘアアクセ売り場の商品は全部光が市販のやつに簡単な装飾したものだよ」

「本当ですか!?」

「あぁ、うんまぁ、全部簡単な装飾だけどね」

「でも、どれも可愛いですよ?」

「そりゃ、一応女の子向けに作ってるからね」

「光さん!あたし等になんか選んでくれませんか」

「良いよ、と言っても巴とひまり以外はカチューシャかヘアピンだろうけどね」

「まぁ、ですよね、でも、せっかくなんでお願いします」

「了解!」

俺は皆のイメージカラーを考えてみる

蘭は間違いなく赤、髪の毛のメッシュが特徴的で誰よりも仲間思いな子だ

巴は赤紫だろうか?純粋な紫と言うよりは赤紫が似合うだろう、なんだかんだ言いながらも皆を支えてくれるAfterglowの精神的支柱だろう

ひまりはピンクだろうな、Afterglowのリーダーでムードメーカーでひまりが笑っているとAfterglowの皆もつられて笑っている

モカは青かな?自分のペースを崩さない代わりに時々1歩引いて皆をよく見ている

最後につぐみは白だ何色にもなれるし何色にもなれない

誰よりも頑張り屋で、蘭と同じかそれ以上に仲間思いなとてもいい子だ

俺はかなり悩んでから決めたものを皆に渡す

「蘭とつぐはカチューシャね、巴はヘアゴムでモカとひまりにはヘアピンを選んだよ」

「なんか、あたしには可愛いすぎる気も」

「いいじゃん!蘭だってちゃんと可愛いんだし」

「あたしが可愛いとか光さんどうかしてますよ!」

「いいじゃんか!せっかく光さんが可愛いって言ってくれてんだもん!」

「そうだよ蘭ちゃん」

「まぁ…そういう事ならありがたく貰いますね」

「うん、そうして」

「ありがとう…光さん」

「どうしたしまして」

そしてAfterglowのメンバーは皆で俺達のクラスの出し物を一通り楽しんだ後満足して帰っていき俺達も少し早めに上がらせてもらい、明日に備えて練習をした後解散した

俺は自宅帰るとすぐにシャワーを浴びてから部屋にいき久しぶりまた相棒のギターに触れて言う

「明日はよろしくな相棒、お前の出番だよ」

そう言って手に取り明日演奏する曲を奏でていく

「こっちに来てからお前を使う機会は随分減ったよな、でも、明日はお前じゃなきゃダメだからさ、頼むな相棒」

そうしてしばらく演奏した後、夕飯を済ませた後今度はバイオリンをしばらく弾いた後就寝した。

そして次の日、俺達は最後の仕上げとして早めに集まり練習している

「やり始めた頃に比べたら断然良くなったよね」

「音が揃わなかったり、光の音につられちゃったりしたからね」

「ひ〜くんがちゃんと皆の音を聞いて合わせてくれたおかげだね」

「光君がいなかったらそもそも成立してない有志バンドですからね」

「それに、光が1番負担が大きいバンドでもあるわ、結局ギター&キーボードボーカルになったのだから」

「まぁ、仕方ないんじゃない?多分だけど他校の生徒をステージあげるのは難しいんだよ」

「そうかもしれないわね」

「でも、光は花咲川でもLIVEしたんでしょ?」

「まぁね、でもあの時は紗夜と燐子、そしてポピパのメンバー全員からの推薦があって生徒会長も納得してくれたみたいだったし」

「そうなんだ」

「うん、まぁ、今更だし、ギターとキーボードだけだからまだマシだよ、さすがに1人じゃあやれる限度あるしね」

「でも、光はバンドでやる楽器は全部弾けるでしょ?後、バイオリンとハーモニカもだっけ?」

「そうだけど、弾けるからってどうなる訳でも無いよ」

「弾けるだけいいじゃない、皆それぞれ得意な楽器はあってもそれは1つだけよ」

「それもそうか」

「じゃあ、気を取り直してもう一度最初からやってから各自クラスに戻ることにしませんか?」

「だね、そうしよっか」

「OK!」

「あたしもいいよ〜」

「問題ないわ」

「じゃあ、最初から行くよ!」

そして一通り練習を終えてから俺達はクラスに戻り出し物の品を補充したりした後、店番をしてるとクラスの子が交代すると言ってくれたのでありがたく店番を変わってもらい校内をぶらついていると名前を呼ばれ振り返ると香澄が抱きついてきた

「香澄、お願いだからいきなり抱きついて来ないでよ、びっくりするし、受け止めるの大変だからさ」

「えぇ〜」

「えぇ〜って言われても、俺も困るんだけど」

そう話していると後から他のポピパのメンバーともう1人の子が合流した

「香澄!先に行くなよな!見失ったらどうすんだよ!」

「ごめん有咲〜」

「まったく、先輩もすいません」

「俺は平気だから気にしないで」

「そういえば先輩、この後のステージには出るんですか?」

「2年生の有志バンドとして出るから楽しみにしててね」

「じゃあ、楽しみに待ってますね」

「うん、是非見に来てね、それと香澄、そっちの子は?」

「そういえばまだ紹介してませんでしたね、紹介しますね私の妹のあっちゃんです!」

「お姉ちゃん!その紹介じゃあ分からないよ!ごめんなさい、改めて妹の戸山明日香です。よろしくお願いします。」

「明日香ちゃんね、よろしく、俺は光、宮村光(ひかる)よろしくね明日香ちゃん」

「はい、よろしくお願いします。えっと光先輩?

それとも光さん?」

「別に君付けでも良いよ、俺個人は」

「いやいや、それはちょっと、お姉ちゃん達みたいに光先輩で良いですか?」

「もちろん!好きに呼んでくれて良いよ」

「じゃあ、光先輩、これからよろしくお願いします」

「よろしくね、ちなみにこの後は皆どうするの?」

「あちこち見て回ります!そして光さんのステージを見ます!」

「そっか、じゃあ、俺のクラスにも行ってみてよ小規模の縁日やってるからさ」

「じゃあ、行ってみます!」

「光さんはこれからどうするんですか?」

「俺は、ステージまでは自由行動だから校内を少し見て回ろうかなって」

「じゃあ、一緒に行きませんか?」

「遠慮しとくよ、1人でゆっくり見て回りたいからね」

「そうですか……」

なんだか少し残念そうだが、俺は今は1人でゆっくりしていたい、これから演奏するために集中する時間がただ欲しかった

俺はまた1人で屋上に来ていた。

「風が気持ちいいな」

1人そう呟き風を浴びて目を閉じ集中する。

風の音だけが耳に残る、そんな中屋上の扉が開く音が聞こえ俺は目を開けると友希那とリサが立っていた

「光、こんな所にいた!なんで単独行動するかな〜」

「そうよ、あちこち探したのよ」

「ごめん、ごめん、ちょっとLIVE前に集中したくてさ」

「それはわかるけど、みんないるとこでやりなよ」

「う〜んそれでもいいんだけどね、1人でゆっくり集中する時間が欲しかったんだ」

「まぁ、仕方ないわね、それよりも、そろそろ移動しないと出番まで後20分くらいよ」

「そうなの?結構な時間集中してたのかな?」

「多分そうなんじゃない?とりあえずさ移動しよう」

「だね、行こうか!」

そう言って立ち上がり少し急ぎ足で体育館に向かう

そして体育館に到着しステージ袖に移動すると既に日菜と麻弥さんは待機していた

「ひ〜くん遅〜い!」

「ごめん!ごめん!1人で集中してたらいつの間にかでさ」

「まったくもう!」

「まぁまぁ、とりあえず、間に合った訳ですし、良いじゃないすか」

「まぁ、それもそうだよね!」

そうして俺達はステージ袖で出番を待っているとAfterglowの皆がやってきた

「光さん!あたし達これからなんで見ててくださいね!

絶対光さんに最高だったって言わせてみせますから!」

「楽しみにしてる最高のステージを見せてよ!」

「もちろんです!行ってきます!」

蘭がそう言うと他の皆も頷きステージに向かった。

そしてAfterglowはメンバー紹介の後に歌い出した

1曲目はsasanquaだAfterglowとしてのそして絆の大切さを歌った曲だ。

「良いじゃん!蘭達らしい、いい曲だよ」

俺がそう呟くのと曲が終わるのはほぼ同時だったと思う。

「光、そろそろアタシ達も準備しよう」

「OK!ちょっと待ってて」

俺はそう言うと自分のギターケースから相棒のギターを取り出し簡単にチューニングする

「光、そのギター」

「spaceのラストライブで使っていたものね」

「そうだよ、今日はこいつって決めてたんだ」

「そっか、じゃあ光は全力で行くの?」

「普段の俺が出せる全力でね」

「ひ〜くんあの姿にはならないの?」

「あの姿になるのは今じゃないからね」

「何の話?」

「日菜と紗夜がギクシャクしてた頃の話」

そう話している間にAfterglowの演奏する2曲目は終わりに近づいていた。

2曲目はScarletSky Afterglowの皆が練習するのはいつも夕方そのいつも通りの他愛ない何気ない日常を歌にしたものだ

正直蘭達が歌う曲の中で1番好きな曲だったりする。

そして演奏を終えた蘭達が戻ってくる。

「光さんどうでした?」

「2曲ともいい演奏だったよ、最高にね!」

「やった!光さんが最高だって言ってくれた!」

「良かったね蘭」

「やった〜」

「だな」

「本当にやったね蘭ちゃん」

「う…うん」

俺はその様子を見て思わず笑ってしまった

「笑わないでくださいよ!」

「ごめん!ごめん!」

「光、次アタシ達だよ!」

蘭達と話しているとそう声がかかった

「わかった、今行くよ!」

「光さん、見せてもらいますよ!光さんの最高の演奏」

「うん、楽しみにしててね」

そう言って俺は一緒に演奏するメンバーの所へ行き皆に声をかける

「皆、準備は良い?」

「いつでもいいよ!」

「準備OK!」

「こちらもいつでも良いわ!」

「もちろんッスよ!」

「よし、じゃあ行こう!」

俺の言葉に全員が頷きステージに上がると待ってましたと言うように拍手喝采で出迎えられた。

「どうも、皆さんこんにちは!羽丘の2年生による有志バンドStarlightです!まずはメンバーを紹介しようと思います!

ギターに氷川日菜!」

「よろしくね〜!」

「ベース、今井リサ!」

ベースを鳴らしてから手を振って答える

「よろしく〜」

「ドラムに大和麻弥さん!」

麻弥さんもドラムを叩いてから手を振って答える

「どうぞよろしくッス!」

「そしてボーカル!湊友希那!」

友希那は1歩前に出てから一言

「よろしく」

とだけ伝えるとそのまま話し出す

「そして、この有志バンドのリーダー件キーボード&ギターボーカルの宮村光!」

俺はその場で軽くギターとキーボードを鳴らして答える

「ということで、今回の有志バンドのリーダー件キーボード&ギターボーカルを努めさせて貰います!宮村光です。今回は俺と友希那で2曲ずつと、デュエット1曲を演奏します!とりあえず、まずは1曲聞いてください!コンプリケイション!」

俺はギターを演奏し始めそれに合わせるように麻弥さんのドラムと日菜のギター、そしてリサのベースが続く、そして少し長めの前奏の後に歌い出す

『泣き出しそうな表情(かお)で憂う低い空

する事もなく時間(とき)を削る

吐き出す場のない思いを飲み込んで

苛立ち混じりの唾を吐く

何もかもが壊れそうな不安抱いて明日に怯え

明後日ばっか見てたって答えは出ない事だってわかってる

限りなく広がる真っ白な明日に何を描く

現実が染め行く真っ暗な明日に何を描くもがき輝く

悩んでる自分がなんかダサくて

じっとしてらんなくてバックレやりたい事

そんなもんないぜ屋上でこっそり咥えるマイセン

なんか楽しくねぇ今日のサイゼ

心配そうな目で見てるマイメン

「泣いてないぜ」なんて吐いて

強がってみてもマジで辛いぜ

通いなれた薄暗い道路やっとの思い買ったi-Pod

上辺だけの薄っぺらいRAP

何故か思い薄っぺらのBAG

優しく暖かいはずの場所 重苦しくて開け放つ窓

重圧に押し潰されそうで逃げ込んだいつもの公園

何もかもが壊れそうな不安抱いて明日に怯え

明後日ばっか見てたって答えは出ない事だってわかってる

限りなく広がる真っ白な明日に何を描く

現実が染め行く真っ暗な明日に何を描くもがき輝く』

 

メンバー視点

ヤバい!光がかなりノッてる!ついて行くの大変!でも、最高に楽しい!

 

やっぱりひ〜くん凄い!あたしですらついて行くのがやっとだよ!でもやっぱりひ〜くんと一緒で演奏するのってものすごくるんってする

 

いや〜凄いとはおもってたッスけど、ここまでとは、いやはやパないッスね!

 

間近で光を演奏を聞く機会は何度もあったけれどここまでとはね、間近で聞くともっと凄いのね。感心するわよ、全く

 

『限りある僅かな時の中ヘタクソな自分描け

今まだそれだけでいい

何もかもが壊れそうな不安抱いて明日怯え

明後日ばっか見てたって答えは出ない事だってわかってる

限りなく広がる真っ白な明日に何を描く

現実が染め行く真っ暗な明日に何を描くもがき輝く』

俺達は演奏を終えると俺は皆を見ると

皆微かに頬が上気している

でも、まだまだこれからだ!

「1曲目はコンプリケイションと言う曲でした。次はボーカルを交代して友希那が歌っていきます!よろしく友希那!」

俺はそう言って友希那を見ると友希那はマイク越しに話し出す。

「言われるまでもないわ!伴奏は任せたわよ!光」

「もちろん!それじゃぁ曲名よろしく!」

「えぇ、それじゃぁいくわよ!CHAIN!」

友希那が曲名を伝えると同時に俺はキーボードを演奏し始めそれに合わせてまたギター、ベースドラムが続き友希那が歌い出す

 

『帰る場所を見失って蠢いた空でカラス達が鳴いている出口のない迷路の中進んでく程に零れ落ちる希望の欠片解けそうにないな机上の空論じゃ不公平なシステムを全身全霊で壊して決めらたルールを欺いて進んでゆけこの真っ暗な夜を切り取って悪い夢から覚めたいから果てしない旅路を行く制御されない未来を今この手に僅かな光しかなくたってギリギリでも生きていたいから真実を掴みにゆけ凍てついた心溶かすからもう二度と迷わない』

私はただ全身全霊で歌う光が私にピッタリだと言ってくれた曲を、今では定期的に歌う私自身のカバー曲でもあるこの曲を

『閑散とした交差点嘲笑ってくるオーロラビジョン睨みつけ秩序のない迷霧の中奪われた絆痛み抱え走り続ける

描いたエンディングを孤高の旗掲げてゆけ

この悲しい夜を追い越してたどり着ける場所があるなら

イバラの道を貫くどんなに傷ついても振り返らない

叶わない夢だったとしてもあの日の声が聞こえるから果たしたい誓いと行け確かに掴んだこの絆をもう二度と離さない』

 

メンバー視点

良い感じに友希那もノッてるな、このままこの熱を冷まさないように全力で演奏しないとな!

 

友希那LIVEの時並にノッてる、光が前に言ってた友希那にこそ相応しい曲だって言ってた理由が今なら何となくわかる。

そして、光について行くのがやっぱり大変だ

 

すっごくすっごいるんってしてる!とにかく楽しいこのままのテンションで最後まで行きたい!

 

光君もスけど友希那さんも相当凄いッスよ!光君が常に音を見失わせない演奏をしてるから私達が何とかついていけるレベルなんだなとなっとくさせられしまう。

 

『今は会えなくても守りたいただ笑顔だけ君と

繋いだ思い約束だけを胸に抱いて

千切られた絆の糸は必ず取り戻せるから

この真っ暗な夜を切り取って悪い夢から覚めたいから

果てしない旅路を行く制御されない未来を今この手に

僅かな光しかなくたってギリギリでも生きていたいから

真実を掴みにゆけ確かに掴んだこの絆をもう二度と離さないもう二度と離さない』歌い終えると私には確かな満足感があった、でもまだこれからよ

「このまま2曲目にいくわ!ChasetheWorld」

友希那が歌い出すのと同時に全員が演奏を開始する

『この瞳は鮮やかに舞うキミしか知覚(し)らない

踏み込んで目覚めるセカイへ

俯き過ぎて小さい僕だけの景色が組み立たジオラマ

合わせ辛い視点に気付いている

駆け出してゆく未来は美しさを手に

それぞれが飛べる場所を問い掛けてく

この瞳は鮮やかに舞うキミしか知覚(し)らない

加速して初めて往(ゆ)ける僕は僕の先へ

もっと昂(たか)くもっと強くキミに届きたい

踏み込んで覚醒(め)ざめるChasin'the World

何度もなぞり続けて擦り切れてしまった

「諦めてしまえ」と云う文字が

築かせた壁を壊したがってる

直向(ひたむ)きに祈る声も闇に割れる夜

叶わない残酷さを潜(ひそ)ませても

この翼で想うよりも遥かに羽撃(はばた)く

抑えない鼓動が運命を進ませるなら

願う前に戻る前にキミを抱き締めて彼方へと飛び立つ

Changing 'your world』

 

ステージ袖Afterglow視点

「友希那先輩凄いね!」

「どっちの曲も友希那先輩にピッタリだしな」

「選んだのはもちろん〜」

「間違いなく」

「光さんしかいないでしょ」

どうしてあそこまでピッタリな曲を簡単に見つけられるのか、未だに謎だけど、あたしの時もそうだった、あの時歌ったCrowSongだって光さんがあたしにピッタリだって選んでくれた、何より凄いのが希那先輩の歌を際立たせるような演奏を皆がしてる事だ、多分光さんがいてこそなんだろうと思いながら友希那先輩の歌を聞いていく

 

『この瞳は鮮やかに舞うキミしか知覚(し)らない

加速して初めて往(ゆ)ける僕は僕の先へ

この翼で想うよりも遥かに羽撃(はばた)く

抑えない鼓動が運命を進ませるなら

もっと昂(たか)くもっと強くキミに届きたい

踏み込んで目覚めるセカイへ』

「次は光と二人で歌うわ!光、準備は?」

俺の答えは決まっている

「いつでも良いよ!」

「ならいくわよ!preservedRoses」

『『短い夢を重ねて永遠にして逝く花の偽りが切ない』』

友希那『閉じ込めた生命(いのち)の』

光『孤独を君に捧げる』

友希那『preservedRoses』

 

さすが友希那だな、この曲はデュエットとはいえ3曲ぶっ通しで歌ってるくせに息切れ1つしてない、それにこの曲だってかなり高音が要求される曲なのに歌いこなしてる、本当にさすがだよ!

 

友希那『躯の奥溢れるものを』 光『人と』

友希那『変えているだけ』

光『全てが「冷たすぎる」なんて』

友希那『指を』

光『解かせないで』友希那『光と闇の』

光『どちらにでも居れる』

友希那『怖がらないで望まぬ朝は』光『もう来ない』

友希那『鮮やかだけを』光『繰り返し』

友希那「繋がり終わり」光『君はまた…』

 

光&友希那『『短い夢を重ねて永遠にして逝く花の

偽りが切なく拒む世界を傷付ける

願うなら魅させるだから遠く消えないで君が見る明日の』』

 

友希那『新しい息吹の』光『伸ばした腕に迎える』

友希那『離さない』

 

客席ポピパ視点

「光先輩も友希那先輩もすごいね!他の先輩達もキラキラしてる」

「これでも有志バンドなんだから、全員の技術がスゲんだろうな」

「ただ凄いって感想しか湧かないくらいの演奏だもんね」

「だよね、私でも、多分光先輩には合わせられない、あれは光先輩がみんなの音を聞いて纏めてるんだよ」

「私達じゃ多分本当に無理だろうね」

私達全員がおそらく、光先輩と演奏したい気持ちと無理だと思う気持ちとがあって皆それを口にはしないけれど、気持ちは一緒だろう

 

光『無傷のまま溶けだす熱を』友希那『愛を』

光『弄る想い』 友希那『作りモノの微笑み疑う』

光『罪に 』 友希那『囚われながら』

友希那『汚れてしまう前に』 光『前に行くと決めた』

友希那『やがて零れて散らばる水に』 光『華やかに』

友希那『ココロ映し』光『出せるなら』

友希那『途絶える歌と』光『引き換えに』

 

光&友希那『『激しい色を注いで飾り立てた幻を

君が信じるなら真実だって越えるだろ

移る時間(とき)を止めて朽ちる術も知らないで

血を流すその手は』』

 

友希那『閉じ込めた生命(いのち)の』光『孤独を君に捧げる』

友希那『求めてる』

 

光&友希那『『短い夢を重ねて永遠にして逝く花の

偽りが切なく拒む世界を傷付ける

願うなら魅させるだから遠く消えないで君が見る明日の』』

 

友希那『新しい息吹を』光『伸ばした腕に迎える』

友希那『離さない』

演奏を終えると再び拍手が巻き起こる、そんな中俺はマイクを通して話し出す

「次が時間的にも最後の曲です!本当ならこのメンバーでまだ演奏したいんですけど、本当に残念な事に終わりの時間が迫ってます!なので最後の曲に行きます!

最後の曲はハッピーエンド」

 

俺はキーボードを演奏して少しの前奏の後にギターに切り替えて歌っていく

 

『さよならが喉の奥につっかえてしまって

咳をするみたいにありがとうって言ったの

次の言葉はどこかとポケットを探しても

見つかるのはあなたを好きな私だけ

平気よ大丈夫だよ優しくなれたと思って

願いに変わって最後は嘘になって

青いまま枯れてゆくあなたを好きなままで消えてゆく

私みたいと手に取って

奥にあった思いと一緒に握りつぶしたの大丈夫大丈夫

 

こんな時思い出す事じゃないとは思うんだけど

一人にしないよってあれ実は嬉しかったよ

あなたが勇気をだして初めて電話をくれた

あの夜の私と何が違うんだろう

どれだけ離れていてもどんなに会えなくても

気持ちが変わらないからここにいるのに

青いまま枯れてゆくあなたを好きなままで消えてゆく

私もずっと覚えていてなんてね嘘だよ元気でいてね』

 

ステージ袖Afterglow視点

「光さんがハッピーエンド歌ってるよ!私泣きそう!」

「もう泣いてるじゃん!」

「だって〜」

「ひまりは光さんに聞かせてくださいって頼んでたもんな、リクエストに答えてくれたんじゃない?」

「そうかもだけどさ〜」

「ひまちゃん迷子の子供みた〜い」

「モカー!」

「でも、本当にいい曲だよね」

「それは同意する」

そんな事言いながら私達皆が光さんの声に歌う曲に、そして光さんがみせる世界に引き込まれていく

 

『泣かない私に少しほっとした顔のあなた

相変わらず暢気ねそこも大好きよ

気が付けばま横にいて別に君のままでいいのになんて

勝手に涙拭いたくせに

見える全部聴こえる全て色付けたくせに

青いまま枯れてゆくあなたを好きなままで消えてゆく

私みたいと手に取って

奥にあった思いと一緒に握りつぶしたの大丈夫大丈夫

今すぐに抱きしめて私がいれば何もいらないと

そう言ってもう離さないでなんてね嘘だよさよなら』

ラストの演奏が終わるのとほぼ同時に文化祭終了のアナウンスが聞こえてきた、俺達はステージ袖に戻り楽器を片付けてからクラスに戻る、その途中で文化祭に来ていた紗夜達と会った

「皆さん、演奏お疲れ様でした。」

「来ていたのね」

「えぇ、皆さんとは入れ違いになってしまったようで、クラスに行ったのですけど、いらっしゃらなかったのでそのまま体育館で皆さんのステージを見させていただきました」

「入れ違いになったと言うよりは光が単独行動してたおかげで会えなかったってのが正しいかも」

「そうなんですか?」

「あぁ、うん1人で集中してたらいつの間にかでさ」

「そうでしたか」

「なんか、ごめんね」

「いいえ、演奏は聞けたので問題ありません。」

「私も別に気にしてないので大丈夫です」

「ならいんだけどさ、この後の後夜祭も出ていくの?」

「そのつもりです。ちょうど火は入ったようなので」

「そっか、じゃあ先に行っててクラスの片付け終わったら俺達も行くからさ」

「わかりました、それでは先に行っていますね」

そう言って紗夜達は先に校庭に向かったのを見送って俺達はクラスに戻り片付けを手伝ってから俺は1人屋上に行き屋上から校庭の様子を見ていると扉が開きイツメン勢揃いでやってきた

「ま〜た1人で黄昏てる!」

「言ったじゃない、多分ここにいるって」

「て言うかひ〜くんは基本一人になりたい時ここにいるもんね」

「バレたか」

「光、行かないの?」

「あぁ言うの好きじゃないんだよね」

「皆待っているわ」

「そうだよ、Afterglowの皆も光の事探してたよ!せっかくだし、キャンプファイヤーで踊りたいって」

「せっかくだけど、遠慮したいかな、終わった後って虚しいというか、どうしても感傷に浸っちゃうんだよね」

「まぁ、わからなくもないかな〜」

「だよね〜」

「まぁ、とりあえずさここじゃなくて下に行こう!遠くからでも良いから」

「まぁ、仕方ないか!下に行くよ」

「じゃあ、行こう!」

「ほらほら、行くよ」

そう言って俺の手を引っ張る日菜とリサそして俺の半歩後ろを歩く友希那達3人に導かれるように俺は人の輪の中に入っていった。

「光さん!やっと来た!遅いですよ!」

「ごめんね、俺、こういう雰囲気ってどうも苦手でさ、でも、皆が呼んでるよって言って友希那達が引っ張ってきてくれたからせっかくだし俺でよければ、1人ずつ踊ろうか」

「じゃあ、あたしから順番にお願いしますよ!」

そう言って巴が1番手を名乗り出て巴と踊った後他のAfterglowのメンバー全員と踊り更にポピパのメンバー全員そして紗夜と燐子そしてあこちゃんとも踊りさすがに踊り疲れたので一旦離れた場所でひと休みしていると

「お疲れ、光、はいこれ」

「ありがとう」

リサが缶コーヒーを差し出してきたので俺は受け取り缶の蓋を開けて一気に半分程飲んでから軽く息を吐き出す俺にリサが話しかけてきた

「光、大丈夫?」

「ちょっと疲れただけだから平気だよ」

「じゃあさ、もう少し休憩してからで良いからアタシともさ踊ってよ」

「もちろん、どうせ日菜とも踊る事になるだろうし、イツメンとだけ踊らないってのもね」

「じゃあ、アタシが最初ね!」

「いいよ、じゃあ、さっそく踊る?」

「まだ休んでなくて平気?」

「平気だよ、改めて、俺と踊ってくれませんか?」

「喜んで!」

そう言ってリサは俺の手を取り俺達は踊り出す

「光、今日はありがとうね、一緒にやれて楽しかったよ 」

「こっちこそありがとう、俺も久々にバンドやれて楽しかったよ」

「じゃあ、皆でやったかいがあったね」

「そうだね」

そう話している間にキャンプファイヤーの周りを一周し終えたのでリサは日菜と交代した

「ひ〜くん次はあたしだよ!」

「うん、踊ろう日菜」

俺は日菜の手を取って踊り出す

「ひ〜くん、また一緒に演奏しようね、後、まだ一緒に遊びに行ってもないから遊びにも行こう!」

「演奏はそのうちね、遊びに行くのは日菜の仕事がない時じゃないと無理だから、連絡してね」

「うん、約束だよ!ひ〜くん!」

「もちろん!」

そうして日菜とも踊った後友希那が俺の元にやってきた

「最後は私と踊ってくれるかしら?」

「もちろん!」

そう言って友希那の手を取り踊る

踊っていると、唐突に友希那がくすりと笑う

「どうしたの?唐突に笑ったりして」

「別に、大した意味は無いのよ、ただ貴方と知り合ってから約半年でここまで仲良くなるとは思ってなかったのよ」

「そうだね、俺も友希那とこういう風に踊ったりするくらい仲良くなるとは思わなかったよ」

「偶然か必然かそれとも運命かしらね」

「その全部が重なって起きた奇跡かもよ」

「そうだと良いわね」

「そうだね」

そんな話をしながら俺達は踊っていく

 

リサ&日菜視点

2人が踊っている姿を見てふと呟く

「な〜んか妬けちゃうな」

「りさち〜 ?」

「日菜はなんとも思わない?」

「どういう事?」

「な〜んかさあの二人にしかというかあの二人にしか出せない独特の空気感って言うかさ、なんかちょっと妬けちゃうなって」

「確かにいい雰囲気だもんね」

「アタシ光とあんな風になった事1度もないよ」

「りさちー羨ましいの?」

「そりゃね、アタシ、光の事好きだし」

「あたしもひ〜くんの事好きだよ?」

「多分だけど、日菜の好きとアタシの好きは違うよ」

「よくわかんない!」

アタシはだろうなと思ってしまう、日菜は気分屋というか自分独自の感覚というかがあって自分が楽しいと思うかどうかで過ごしている、だからなのかは分からないがまっすぐ自分の気持ちを言葉に出来るし、まっすぐに人の目を見て話せる

光は日菜のそういう部分を気に入っている。だとしたら、アタシや友希那はどうなんだろう?そんな事を考えながら2人が踊る姿をアタシは眺めている。

 

友希那と踊り終えるとほぼ同時にキャンプファイヤーの火が消えた

「これで終わりね」

「なんか、名残惜しいような、そうでも無いような複雑な気分だよ」

「私もよ、終わりは呆気ないものね」

「そうだね〜」

俺達は消えてしまったキャンプファイヤーを眺めながらどちらともなく呟いた。

そうしているとリサと日菜が近寄ってきて言った

「そろそろ帰ろ〜う」

「いい時間だしさ帰ろうよ」

俺と友希那は顔を見合わせくすりと笑い合うと友希那が口を開く

「そうね、そろそろ帰りましょう」

「だね、帰ろうか、他のみんなは?」

「お姉ちゃんは先に帰るって一緒に帰ろうって誘ったんだけど、多分待つことになるから今日は遠慮するってさ」

「あこちゃんと燐子は?」

「家の方向が同じだから一緒に帰るそうよ」

「えっとじゃあ、ポピパは?」

「アタシ聞いたんだけど、遅くなるとあれだから皆で先帰るって」

「じゃあ、イツメンで駅までは一緒かな」

「そうなるわね、教室に置いてきた荷物取って帰りましょう」

「そうだね」

「早く行こ〜う」

「今行くよ!」

そうして俺達はクラスに置いてきた荷物を取って学校を後にした。

そして帰り道

「そういえば光、明日と明後日は振替休日だけど、その後はアタシ達修学旅行の準備が始まるんだけど、男子は光1人じゃん、部屋割りとかどうなるのかな?」

「さぁ?俺にもわかんないけど、多分男の先生達と一緒じゃない?あの人達夜中まで酒盛りしそうで嫌なんだけどさ」

「でも、そうするとグループ行動とか大変じゃない?4から5人で1グループだからアタシ等のクラスって光入ってちょうど35人だし5人1グループなこのメンバーにもう1人でちょうど良いんだよ?」

「詳しい事は休み明けに先生にでも聞いてみるよ!」

「まぁ、その方が早いでしょうしあれこれ悩むよりは確実ね」

「ひ〜くん同じ班にはなれるよね?」

「大丈夫じゃない?さすがに旅行先まで四六時中先生達といたんじゃこっちが参るよ!」

「まぁ、そうだよね」

そんな事を話しながら歩いているとあっという間に駅に着いたので俺達はそれぞれの方向に別れ帰っていく、おれは日菜を自転車の後ろに乗せて自転車を走らせる

「ねぇねぇ、ひ〜くんは旅行先での班行動どこ行きたい?」

「そうだな〜三味線とか教わりたいからそういうのの体験教室とかに行ってみたいな〜」

「まだ弾ける楽器増やすの?」

「そういうつもりはないけど、でも、三味線で弾いてみたい曲が2.3曲あってさ」

「聞いてみたいな〜」

「そのうちね、まずは三味線とかそれ系の体験教室とかに行けるかどうかだよ」

「それもそっか」

そうして話しながら日菜の家に向かい日菜を送り届けてから俺は改めて家路に着き帰宅すると軽くシャワーを浴びてから部屋に行き相棒を元の位置に戻してから呟くように言う

「今日はサンキュな相棒」

そう言ってから俺はベランダに出て1曲分の時間だけバイオリンを演奏してらからベットに入りこの先の事を頭の片隅に思い浮かべながら眠り着いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




投稿遅くなりました。まだリアルで忙しくなかなかなかなか執筆があまり進みませんがもう少しすれば、また週一投稿はできると思うので気長に待っててください
さて、次回は修学旅行編になります。大体の構想は出来ているので今回よりは少し早いかと思います。
次回「修学旅行と眠れぬ夜」


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第22話修学旅行と眠れぬ夜

修学旅行が近付く中で光のこれからは…


振替休日明けの午後、俺達のクラスは修学旅行の班決めを行っていた。まず最初に先生が修学旅行について大雑把に説明する

正直大雑把過ぎて全くと言っていいほど頭に入ってこない

「とりあえず、私から説明することは全部話したけど、ここまでで分からないことは?」

正直分からない事だらけだと内心思いながらも俺は成行き任せだなと思い班決めについて質問する為に手を挙げる

「はい、光君、何か質問?」

「俺なんですけど、旅行先の宿泊施設での部屋についてはどうすれば良いんですか?男子は俺だけですよね?」

「それについては班メンバーと同じで構わないよ、もちろん寝室は襖を隔てて貰う必要はあるけど、引率の先生達もさすがに自分達と部屋を一緒にするのはいくら男子とはいえ隔離するみたいで気が引けるって言っていたから問題ないよ」

「まぁ、先生方がそれで良いなら俺はいんですけど」

「光君はとりあえず普段から一緒にいるメンバーと組めば問題はないんじゃないのかな?」

「それで良いなら俺は大丈夫です。友希那達もそれで良い?」

「問題ないわ」

「アタシもOKだよ」

「あたしも良いよ〜」

イツメン全員から了解が取れたのを確認した先生は黒板に俺達の名前を書き出し丸で囲んで決定と書き足した

「一班はこのメンバーで決まり、話し合いの時間を設けるから後は話し合って決めて黒板に皆名前書いていってくれる?4から5人で1グループだからそこは気を付けてね」

先生はそう言ってあとは丸投げした。

俺達はとりあえず、イツメンで友希那の席の周りに集まり話し合う

「アタシ達はこの班で決まりらしいし先に自由行動決めちゃわない?」

「と言っても皆行きたいとこってある?」

「あたしはこのメンバーならどこでも良いよ〜」

「正直アタシは国際通りとその国際通りの屋台村を見れたら沖縄は十分かな」

「首里城なんかは2日目の集団行動で行くわけだし

一日目に最低限お土産等を揃えておけば後々楽じゃないかしら?」

「なんか皆、適当過ぎない?仮にも旅行だよ?」

「どっちかと言うと、アタシ個人は光が前に三味線とか習いたいって言ってたし、それで演奏してくれる曲の方がちょっと楽しみだったり?」

「あたしひ〜くんのバイオリンも聞きた〜い」

「まぁ、それはいんだけど、行く場所決めようよ!」

「とりあえず、光の行きたい三味線教室は行こうよ!その後はちょっと移動してお土産等を揃える為に国際通りに行けば良くない?美ら海水族館と首里城とひめゆりの塔は2日目の集団行動で行く訳だしさ」

「俺はとりあえず、三味線を教われるならなんでもいいけど、2人は?」

「特に異論はないわ」

「あたしも良いよ〜」

「じゃあ、これでいいか!」

「だね」

とりあえず、行動が決まったので俺はそれをプリントに纏め提出した。

「随分偏ってるけど、これでいいの?」

「俺も含め本人達から確認は取れていますので平気です」

「じゃあ、後は自分達用の旅行のしおりを作成しておいてね」

「わかりました、伝えておきます」

俺は先生にそう告げてから自分の班に戻る

「先生なんか言ってた?」

「あぁ、本当にこれで良いのかって聞かれたけど、大丈夫だって言っておいたよ、後は自分達用のしおりを作成しておけってさ」

「そっか、そっかじゃあ、それもやっちゃおうか!」

「じゃあ、それぞれにページ割り振るよ」

それから俺はそれぞれにページを割り振りしおりを作成していく、俺の担当はスケジュール表と移動手段をまとめる事だ

俺は移動手段と時間をまとめていく

「最初に宿泊先に荷物置いてからの自由行動らしいし、荷物もったまま移動する手間だけは省けるね」

「だよね〜そこだけは救いかな」

「そうね、荷物もったままの移動はやっぱり手間だもの」

「最低限なら良いんだけどね」

そんな話をしながら俺達は作業を進める、俺は出来るだけ詳細に時間等々をまとめているとチャイムがなり授業時間の終了を告げる

「はいはーいそこまで、明日も時間とるから今日は解散だよ」

先生がそういうので俺達は広げていた雑誌やプリント類を片付けてから帰りのホームルームで受けてその日は終了した

「光、今日ってこの後バイトよね?」

「そうだけど、修学旅行前まではシフト入れてるし」

「そう、私達もこれから向かうから後で会いましょう」

「了解」

そうして俺は1度帰宅し荷物を置いてからギターを持って家を出てcircleに向かい15分くらいでcircleに到着すると既にRoseliaの皆は到着していて、皆は先に練習しにスタジオに入っていったらしい、俺はとりあえず着替えてから店内と店外を掃除しまりなさんと受付を代わろうと思い声をかけた

「お疲れ様です。受付変わりますよ」

「お疲れ様、別にいいよ、多分すぐに光君呼ばれるだろうし、急ぎの作業とかもないから、Roseliaの練習見てあげて」

「わかりました、じゃあ、友希那達の所に行ってきますね」

「うん、行ってらっしゃい」

俺は断りを入れてから友希那達の所へ向かい扉をノックしてから中に入る

「皆、おまたせ」

「やっと来たわね、光」

「さっそく練習見てくれる?」

「もちろん、今は何を練習してたの?」

「ちょうど、LOUDERが終わった所です」

「じゃあ、次に練習する曲からで良い?」

「あこはそれで良いよ!」

「私もそれで良いですよ」

「じゃあ決まりね」

「それじゃあBraveJewelでいくわ!」

そう言って友希那達は演奏を始める俺は目を閉じ集中し友希那の歌を、リサや紗夜そしてあこちゃんと燐子の演奏を聞いていく、そしてサビに入る瞬間に一瞬だが演奏が遅れた感じがあったので演奏が終わったタイミングでそれを指摘する

「さっきの最初のサビの部分で一瞬だけど、演奏が遅れ気味だっから気を付けて!細かく気にしすぎなのかもしれないけど、目指してるFESに出場するなら演奏のクオリティは上げておかないとでしょ?」

「そうね、その通りだわ、もう一度同じ曲でいくわ」

友希那の言葉に全員が頷きもう一度同じ曲を演奏する

そして俺が耳をすませひたすら聞いてはアドバイスをする

そうして俺のバイト終了時間までRoseliaの練習に付き合い俺達は解散した。

俺は方向的に紗夜と一緒だ

「なんだかんだいいながら紗夜と一緒に帰るのって久しぶりだよね」

「そうですね。時間が合わなかったり日菜が一緒だったりでしたからね」

「だよね、日菜がいないだけでこうも違うんだよね」

「あの子は少し騒がしいですからね」

「逆に紗夜は静かと言うか落ち着いた感じだもんね」

「えぇ、日菜とは正反対です。逆に私が日菜ようにしている姿を想像出来ますか?」

「無理だね、紗夜は今、そうしているのが1番紗夜らしいし」

「光栄です。まぁ、私も日菜も今のままお互いに歩み寄れたらと思っています。そのきっかけはあなたが与えてくれました」

「俺はただあの場を借りて演奏しただけだよ、そこからお互いの想いをぶつけ合ったのは2人だよ、俺は演奏以上の事はしてないから」

「それでも、助けられたのは事実ですから」

「紗夜がそう言うなら、どういたしましてって言っておくよ、ところでさ、旅行のお土産は何がいい?」

「そこまで気を使っていただく訳には」

「別に良いよ、どうせ知り合ったバンドの子達全員に何かしら配らないとだしさとりあえず、どんなものでも良いからさ」

俺がそう言うと紗夜は少し考えた後に言った

「では、キーホルダーをいくつか買ってきて頂けませんか?」

「そんなんでいいの?」

「お土産ですし、身に付けられるものが良いので」

そう言って微笑む紗夜に俺も微笑み返し

「わかった、じゃあ、何か見てくるね」

「えぇ、私達は京都なので旅行先では会えませんが、私達も何か見てきますね」

「楽しみにしてるよ」

「えぇ、そうしてください」

そんな話をしながら紗夜の家に到着する

「送ってくれてありがとうございます」

「別に良いよ、家の方向は一緒なんだしさ」

「でも、光君の家を過ぎてしまいますから」

「て言ってもさ俺、自転車だから平気だよ」

「まぁ、光君がそう言うならば気にしませんけど…」

「そうしてくれる?あんまり気にされるのも、なんかね」

「そうですか、わかりました。それでは、今日はこれで失礼します」

「うん、おやすみ」

お互いに挨拶を交わし別れたあと俺は帰宅しシャワーを浴びてから夕飯を済ませてから就寝するまでの間俺はバイオリンを演奏する、夜はギターやベース、ドラムよりもキーボードやバイオリンをよく弾いている。

弾いていると落ち着いた気分になる、弾いている間は全てを忘れて集中出来るし何より自分の世界の広がりを感じる

演奏を終えて俺はバイオリンを置いて一息つく

「生まれる願いと月光花は問題なく弾けるようになったし、後、2.3曲覚えないと演奏聞かせてって言われてるし普通に困るな、教科書的なやつ探しとかないとな〜」

そう言って俺は再びバイオリンを手に取り演奏する

普段から演奏する曲とは違う曲を演奏する

未来予想図IIだ普段の未来予想図でもいいが、バイオリンで演奏するなら断然未来予想図IIだ

俺は低めの音量で曲を再生して曲に合わせて演奏していく

そうして何度か繰り返し練習した後俺はバイオリンをしまい就寝した。

 

次の日午前中は普通に授業を受け午後からは各自の班の旅のしおりの作成をしていく、俺達の班は作業は順調な方で

6割り方完成している。よく言えばあと少しと言ったところだ

「大分しおりも出来てきたね」

「だね、それぞれが得意分野担当してるしね」

「それは大きいでしょうね、不得意な事をやるよりは進むでしょう」

「まぁ、そりゃそうだよね」

などと話しながら作業を進めて俺達はその日のうちにしおりを完成させた。

「結構早く完成したね」

「もうちょっとかかるかと思ってた」

「そうは言うけど、こんなものじゃないかしら?」

「だよね、俺もそう思う、というか、この後って俺達どうするの?」

「多分、また話し合いして最終調整じゃない?」

「おそらく、そうなるでしょうね」

「だねぇ〜」

「ていうか、話す事ってあるの?予定これで良いんでしょ?」

「多分だけど、現地行ったらあちこち見て回るだろうしその辺をもう少し補填する感じの話し合いしなって言われるんじゃないかな?」

「なるほどね、そういう事なら放課後は各自の準備及びバンドの練習等々でこの時間は詳細を話し合うって事かな?」

「多分ね」

そうして俺達は自分達の作業が終わったので残りの時間は

現地での道中の寄り道する場所などをリストアップしたりして過ごし放課後は個人の準備や友希那達Roseliaの練習に付き合ったりしているうちに当日を迎えた。

そして現在、俺達は目的地に向かって移動中だ、そして俺は

大きなあくびをしながら歩いている

「眠そうだね光」

「道中少し寝ようと思ったのに、ウトウトしてると日菜がちょっかい出てくるし全然眠れなかったんだよ」

「だって〜友希那ちゃんも黙ったままだったしその上ひ〜くんまで寝ちゃったらあたしとりさちーがつまんないじゃん!」

「まぁ、確かにね、アタシと日菜だけじゃね〜」

「結局道中ずっと話したり遊んだりで若干寝不足なんだよね〜友希那は?」

「私は平気よ、それよりも後、どのくらいで着くのかしら?」

俺はスマホでナビを確認してから答える

「後、5分くらいだってさ」

そう言ってナビ画面のスマホをみせる

友希那達は画面を確認してから言った

「そのようね」

「そうだね」

「もうすぐみたいだよ」

「じゃあ、早く行こ〜う」

そう行って早足になる日菜の後を追うようにして目的地に到着する。

あここだよ!三味線と民謡の学舎って書いてある」

俺はインターホンを鳴らすと20代半ばくらいの男の人が出迎えてくれたので俺は皆を代表して挨拶する

「こんにちは、修学旅行生で三味線を習いたくて伺いました」

「あぁ!君らがそうか、じゃあ、入ってくれ!」

そう言ってその人は俺達を招き入れる

「とりあえず、自己紹介な、俺の名前は眞境名雄平(まじきなゆうへい)名字珍しいだろ?呼びずらければ雄平君とか雄平さんで良いよ」

「俺は光です、宮村光(ひかる)高二で17です。よろしくお願いします。雄平さん」

俺に続き皆が自己紹介する

「湊 友希那です。よろしくお願いします。」

「アタシは、今井リサです。歳は光と一緒の17です。」

「あたしは氷川日菜です!よろしくお願いします」

「おう、よろしくな、光にお嬢ちゃん達も」

「改めてよろしくお願いしますね。ところで、雄平さんが三味線を教えてくれるんですか?」

「いや、俺は民謡の方な弾き方とかも教えるけど、本格的に押してえくれるのは俺のおばぁだよ!ここは一応この辺の地区の公民館みたいなもんで週に何度かこうして三味線を教えてる」

そう言って雄平さんが広間に続く扉を開けると俺達と同じ修学旅行数人の他に地元の人と思われる人達が数人いて

他の人達が座っている場所よりも1段上の場所に2人ほど年配の人が座っていた。

俺達もとりあえず少し離れたところに座ると地元の人達は自前の三味線をどうやら持っているようで俺達は貸し出し用の三味線を一班に2つ貸し出され、それをその年配の人が確認するとその人は話し出す

「今日は集まってくれてありがとうまずは、初めての人もいるだろうから簡単に弾き方を教えるね」

そう言ってまずはお手本として簡単な民謡を聞かせてくれた

そして俺達はその民謡を自分達で練習して弾いてみることになった

「思ったより難しいな、ギターやベースとは全然違う」

「だよね〜、アタシも軽く考えてた〜」

そう言って少し練習して俺は日菜に三味線を貸した

「日菜もやってみなよ、意外と難しいよ」

「できるかな〜?」

「友希那もチャレンジ!チャレンジ!」

「せっかくだし、やってみようかしら?」

そう言って友希那と日菜が今度は練習中だ、そして日菜はコツを掴んだのか拙いながらも形になっているし友希那も躓きながらもそれなりに弾けている。

「2人共それなりに弾けてんじゃん!」

「本当、凄いねもうコツ掴んだんだ!」

「あなた達が弾く所を見てたら何となくよ」

「あたしもほとんど感だよ」

そう言ってさっき習ったばかりの民謡を弾いているとそれを見ていた雄平さんが俺達の方に様子を見に来た

「なかなか弾けてんじゃんか!1番簡単なやつとは言えなかなかだな」

「まぁ、一応皆楽器が出来るので多少応用が効くんだと思います。」

「なんだ、バンドでもやってんのか?」

「いえ、俺はやってないですけど、こっちの3人はバンドやってますよ」

「へぇ〜、なんてバンドなんだ?俺はテレビやラジオでしか聞いたことないし、ほとんど知らないんだけどよ、良かったら教えてくれるか?」

「友希那とアタシはRoseliaってバンドで、こっちの日菜がPastel*Paletteってアイドルバンドなんですよ」

「Pastel*Paletteはテレビやラジオで時々聞く名前だな、Roseliaはスマンがわからん!兄ちゃんはどっちかのバンドのマネージャーかなんかなのか?」

「いえ、俺はソロって言うか、カバーアーティストを目指して色んな曲を演奏してますね」

「マジか!そりゃスゲェな、良かったらなんか聞かせてくれないか?」

「じゃあ、終わり際に2.3曲で良ければ演奏しますよ」

「本当か!?聞いといてなんだけど、いいのか?」

「元々三味線使って演奏してみたい曲があって本格的に習いたいなって思ったので良いですよ」

「そっか、じゃあ頼むな!」

「わかりました」

その返答を聞いて満足そうな笑みを浮かべ他の人達の指導に戻って行った

「じゃあ、練習再開しようかな、日菜、俺にも三味線貸して」

「良いよ〜」

俺は日菜から三味線を借りて練習する

そうして数分後俺は簡単な民謡は弾けるようになった

「さすがだね光、もう弾けるようになったじゃん」

「て言ってもこれからだよ、今度は曲を演奏したいしね」

そう言って今度は曲を演奏する

しばらく練習しているとコツが掴めて来て躓くことなく演奏する事が出来るようになった

「やるわね、大分演奏できるよいになったじゃない」

「そうだね、でも、俺ばっかり独占する感じになってごめんね」

「私個人は構わないわ、面白そうだとは思ったけれど、少し弾ければ満足だもの」

「まぁ、友希那がそれで良いなら俺はありがたいけどね」

そんな話をしながら練習していると雄平さんが再び顔を見せる

「おう、もう、それなりに弾けてんじゃねーか!スジがいいな兄ちゃん」

「そんな事ないですよ、やっと躓かなくなったばっかりでやっぱりギターやベースとは全然違うんでちょっと戸惑ってますよ」

「まぁ、そんなもんだ、ところでそろそろ演奏して貰う事は可能か?」

「そうですね、そろそろやりましょうか!」

「おう、頼めるか!」

そう言うと雄平さんは壇上に上がりマイクをセットして話し出す

「はい、ちょっと注目!今日来てくれた修学旅行生の1人が何曲か演奏してくれるそうなんで、せっかくなんで皆も聞いてください!それじゃよろしくな光の兄ちゃん!」

俺は壇上に上がりマイクを通して話し出す

「どうもこんにちは、光って言いますせっかく三味線を習ったので、この三味線を使って演奏します。この曲は地元の人達には親しみ深い曲だと思います。それじゃあ聞いてください島人ぬ宝」

俺は三味線を弾きながら歌っていく

『僕が生まれたこの島の空を

僕はどれくらい知っているんだろう

輝く星も流れる雲も名前を聞かれても分らない

でも 誰より 誰よりも知っている

悲しい時も嬉しい時も何度も見あげていたこの空を

教科書に書いてあることだけじゃ分からない

大切な物ァがきっとここにあるはずさ

それが島人ぬ宝』

 

観客視点

「凄いな、この光って人ここまで本格的に演奏出来ることもだけどさ、歌も、この場って言うか、沖縄の事歌ってる曲じゃん、なんかピッタリだなだって思うのと、地元民でもないのに懐かしいって言うかさ」

 

「わかる!なんかこう、世界が広がるよね!」

 

「そんだけスゲーってことだろ?」

 

「曲もだけど、歌ってる彼もなんかちょっとオシャレでカッコイイよね!私、ファンになりそう」

 

「出た!ミーハー!」

 

「ちょっと!もう!いいじゃん!別に!」

そんな会話をしながらも目の前で歌われる曲に、歌声に私達は引き込まれていく

 

『僕が生まれたこの島の海を

僕はどれくらい知ってるんだろう

汚れてくサンゴも減っていく魚も

どうしたらいいのか分からない

でも 誰より 誰よりも知っている

砂にまみれて波にゆられて少しづつ変わってくこの海を

テレビでは映せないラジオでも流せない

大切な物がきっとここにあるはずさ

それが島人ぬ宝』

 

地元民と雄平さん視点

 

「俺達の島の歌を披露してくれるとはな、イキなことするぜまったくよ」

「ホントだね〜、私達は自分達が自分達でこの島をどのくらい知っているのかなんてわからないけど、この島もこの島に暮らす人達も皆宝物だからね〜」

「だよな、俺らにとっては地元が1番だもんな」

その言葉に誰もが皆頷きながら光の兄ちゃんが歌う曲に耳を傾ける

 

『僕が生まれたこの島の唄を

僕はどれくらいで知っているんだろう

トゥバラマーもデンサー節も言葉の意味さえわからない

でも 誰より 誰よりも知っている祝いの夜も祭りの朝も

何処からか聞こえてくるこの唄を

いつの日かこの島を離れてくその日まで

大切な物をもっと深く知っていたい

それが島人ぬ宝 それが島人ぬ宝 それが島人ぬ宝』

 

俺は演奏を終えると三味線を置きギターケースを開けてアコギを取り出し肩にかけてから話し出す

「次の曲はこのアコギを使って演奏します聞いてください

涙そうそう」

 

俺はアコギを演奏しながら歌っていく

 

『古いアルバムめくりありがとうって呟いた

いつもいつも胸の中励ましてくれる人よ

晴れ渡る日も雨の日も浮かぶあの笑顔

想い出 遠くあせても おもかげ探して

よみがえる日は涙そうそう

 

1番星に祈るそれが私のくせになり

夕暮れに見上げる空 心いっぱいにあなた探す

悲しみにも喜びにもおもうあの笑顔あなたの場所から私が見えたらきっといつか会えると信じ生きてゆく

会いたくて 会いたくて 君への想い涙そうそう』

 

歌いながら思ったのはバイオリンで弾いても良かったかもしれないと感じた。そして1番嬉しく悲しくそして寂しくて怖い

事が頭を過ぎる

1番嬉しい事は出会う事 1番悲しい事は別れること

1番寂しいのはそこに、その場に居ないこと

1番怖いのは何よりも去ることだと思いながら演奏していく

 

『晴れ渡る日も雨の日も浮かぶあの笑顔

想い出遠くあせても 寂しくて恋しくて

君への想い涙そうそう

会いたくて 会いたくて 君への想い涙そうそう』

そして俺が演奏を終えると同時に拍手が巻き起こる

俺はアコギをしまいケースを反対にしてそこから今度は普段から使っているエレキギターを手に取り簡単なチューニングをしてから持参した小型のアンプに繋ぎ軽く音を確かめてから

マイクを通して話し出す。

「もう1曲だけ聞いてください!曲名はアンマー」

俺は再び演奏しながら歌っていく

 

『初夏の晴れた昼下がり私は生まれたと聞きました

母の喜び様は大変だったと聞きました

「ただ真っ直ぐ信じる道を歩んでほしい」と願いこめて

悩み抜いたすえにこの名を私に付けたと聞きました

我が家はあの頃からやはり裕福な方ではなく

友達のオモチャや自転車を羨ましがってばかり

少し困った様な顔で「ごめんね」と繰り返す

母親のとなりでいつまでもいつまでも泣いたのを覚えてます

アンマーよあなたは私の全てを許し

全てを信じ全てを包み込んで憎みもせず何もかもを

私の上に注ぎ続けてきたのに

アンマーよ私はそれでも気付かずに

思いのまま過ごしてきたのでした』

 

イツメン視点

 

「光って本当にその場にあった曲を選ぶのが上手いよね!」

「同意するわ、いつもいつも感心するわよ」

「ひ〜くんはいつも誰かのために演奏してるからね、今回だってこの場にいる人に届けたいって思いながら演奏してるんじゃないかな?」

「それしか考えられないしね」

そんな事を言いながら私達もまた光の演奏に耳を澄ます

 

『「強さ」の意味をはき違えて

喧嘩や悪さばかりを繰り返し勝手気ままに遊びまわる

本当にロクでもない私が真夜中の静けさの中

忍び足で家に帰ったときも狭い食卓の上には

茶碗が並べられていました自分の弱さに目を背け

言い訳やゴタクを並べ

何もせずにただ毎日をダラダラと過ごし続け

浴びる程に飲んだ私が明け方眠りに落ちる頃

まだ薄暗い朝の街へ母は出て行くのでした

アンマーよ私はアナタに言ってはいけない

決して口にしては行けない言葉を加減もせず投げつけては

アナタの心を踏みにじったのに

アンマーよアナタはそれでも変わることなく

私を愛してくれました

木漏れ日のようなぬくもりで深い海のような優しさで

全部 全部私の全てを包み込んだ

アナタの背中に負われながら眺めた八重瀬岳の夕日は

今日も変わらず茜色に街を染める』

 

地元民と雄平さん視点

「この曲はなんつーか雄平のこと歌ってるみたいだな」

「ほんとそれな!聞いてて雄平の事が浮かんできたわ」

「やめてくれよ!俺も若かったんだよ!親の愛がウザイって思う時期は誰にだってあったろうが!」

「お前ほどじゃねーよ!」

そう言って笑いながらも俺達は何処か懐かしい気持ちになりながら歌を聞いている

 

『度が過ぎる程の頑固さもわがままも卑怯な嘘もすべて

すべてを包み込むような愛がそこにはありました

アナタのもとに生まれ落ちたことはこんなにも幸せだった

今頃ようやく気付きましたこんな馬鹿な私だから

春先の穏やかな朝に新しい命が生まれました

アナタの様によく笑う宝石みたいな女の子

「優しさの中に凛々しさを秘めた人」になるようにと願い

アナタの一番好きなあの花の名前を付けました』

俺が演奏を終えると拍手が巻き起こるそんな中雄平さんが俺のところにやって来て言った

「ありがとうな光の兄ちゃん!今日の三味線教室はおかげでいつも以上に大成功だよ!」

「こっちこそ、演奏させてくれてありがとうございました」

俺はそう言って頭を下げると雄平さんは少し照れ臭そうに笑っていた、その後俺達は三味線教室を後にして最寄りのバス停に向かって移動中1台の車が俺達のすぐ横に停車し窓を開けると運転していたのは雄平さんだった

「よう、光の兄ちゃんにお嬢ちゃん達、どこまで行くんだ?」

「国際通りまで行くつもりで近くのバス停に向かってる途中です」

「なら、街場のバス停まで送ってやるよ、今からなら街場から乗るのが1番近いし、早いからよ」

「だってさ、どうする?」

俺は皆に問いかけると返答はあっさりしたものだった

「別にいいんじゃない?時間短縮なるし」

「そうね、お言葉に甘えましょう」

「お願いしま〜す」

「だそうなんで、お願いします」

「あいよ、乗んな」

俺達は雄平さんの車に乗せてもらい街場のバス停まで送ってもらいお礼を言ってから車から降り少し待って到着したバスに乗り目的地の国際通りに到着した。

「どうする?ここから別行動にして2時間後くらいにここにまた集まる?」

「一応2人1組の方がいんじゃない?」

「そうね、私も光に賛成よ」

「じゃあ、あたしとひ〜くん友希那ちゃんとりさちーでいい?」

「日菜、たまには私と一緒に行動する気は無い?」

友希那が珍しく日菜にそう提案した

「あたしは友希那ちゃんが良いなら大丈夫だよ」

「じゃあ、日菜と友希那、俺とリサでいいの?」

「えぇ、それで良いわ」

「アタシも…大丈夫」

そうして俺達は二手に別れて行動を開始する

 

友希那・日菜視点

「ねぇねぇ、友希那ちゃん」

「何かしら?」

「あたしに一緒に行こうって言ったのはりさちーのため?」

「それしか無いでしょう、リサは光の事が好きなようだし、こんな機会でもないとリサは1歩踏み込めないもの」

そう言いながら私は親友の顔を思い浮かべる

「友希那ちゃんは良いの?」

「良いも何も、私は光に恋愛感情はないわよ?」

「どうかな〜」

そう言って1歩先を歩く日菜を見てどうしたものかと考えながら2人であちこち国際通りのお店を見て行く

 

 

光・リサ視点

俺達はあちこちのお店を見て回りながら買い物をしている

俺は買ったものは持ち帰るのが面倒なので宅配で送って貰うようにしながら買い物を続けている

「結構買うんだね」

「まぁ、後輩ちゃん達へのお土産とか地元の両親へのお土産とか色々とね」

「光個人の物は買わなくて良いの?」

「俺は、こっちでしか買えないアクセサリーが買えたらそれでいいかな、ピアスがあれば1番良いんだけどね、見て回ってるんだけど、イヤリングしか無くてさ」

「言われて見ると無いね」

「まぁ、あったら買うよ」

「アタシも気を付けて見るよ」

そう言って俺達は買い物を続ける中俺はキャンドルを売っているお店を見つけ立ち寄ってみる

「光、ここってキャンドル専門店だけど、いいのありそう?」

「沖縄独特のアロマキャンドルとかあったら紗夜や燐子のお土産にいいんじゃないかなってさ」

「あぁ!確かにいいかも!香り次第ではピッタリだよね」

「でしょ!だから見ておきたいなって」

「じゃあ、見てみよう!」

俺達は店に入り手に取って香りを確かめながら店内を回っているとレジの手前に並んだ店長のおすすめと書かれたアロマキャンドルを見つけ効果を確認するとリラックス効果増と書いてあった

「ハーブ系と柑橘系を2種類ずつ友希那と日菜も含めて10種類かな?あこちゃんはなんか別なの見ればいいし」

「光、決まった?」

「うん、アロマキャンドルにするよ、後は何種類かキーホルダーを見れたら良いかな?」

そうしてアロマキャンドルを購入しお店を後にした

「リサも買ったんだね」

「うん、桜とミントのアロマキャンドル買ったんだ」

「俺もリサに買ったんだけどな」

「本当に?アタシ何も用意してないよ?」

「別に良いよ、俺がみんなの分と思って買ったやつだし」

「ん〜じゃあさ、アタシからも何か光に買うよ!ピアスとか」

「じゃあ、お願いしようかな」

「任せて!と言っても、光が言ったようになかなかないんだよね、ピアス」

「探せば見つかるよ!シーガラスのアクセサリーの専門店とかでならあるんじゃないかな?」

「かもね、じゃあ、探してみよう!」

そう言ってリサが歩き出してすぐに人にぶつかり転びそうになるのを腕を掴んで引き寄せる

「ごめんね、ちょっと余所見してたよ」

「気をつけなよ、人通りも多いからさケガしたら大変だよ」

「じゃあさ、手繋いでくれない?ほら、人通りも多いしはぐれたら大変だし」

「良いよ」

俺はそう言ってリサの手を握る

「こうしてるとさ、恋人に見えたりするのかな?」

「するんじゃない?俺には身に余る光栄だけどね」

「アタシこそだよ!光はさ自分がモテるって自覚はない

でしょ?」

「俺が?ないない!俺がモテるとかんなアホな!」

「本当のことなんだって!文化祭以来光の人気は右肩上がりだよ」

「初耳だし!それ以上にそれこそ貰ったって困るけどさ、手紙とか貰ったことすら無いよ?」

「それは多分アタシ等が一緒でみんな寄りつけないんだよ」

「なんで?リサ達一緒だったって関係無くない?」

「いや、ほら、日菜もだけど、友希那も美人でしょ?」

「リサも美人じゃん!リサが美人じゃないとしたらそう思う奴らがおかしい!」

「アハハ、なんか、ありがとうね。まぁそれにほらAfterglowとも光、仲良いじゃん!周りにこれだけ女子いたら他の子達も思うように近寄って来れないって話なんだよね」

「あぁ、そういう事!まぁ、俺も知らない子達にチヤホヤされても困るしね、それに今が1番楽しいし、変に今を変えたくないな」

「えっじゃあさ例えばだけど、アタシ等の誰かが光に好きだって言ったらどうするの?」

「前にも言ったけど、それで絆が崩れるなら俺は断るし誰も選ばないよ!もちろんそうならないように皆と確かな絆を作る事が大事だと思うけどね」

「光がそう言うのわかってたよ」

そう言ってリサは少し悲しそうな笑顔を浮かべる

俺は少し迷った末にこう言った

「例えさ、恋人じゃなくても絆の形は色々だしさ、それに、今が楽しいなら今はそれで良いんじゃない?」

「だよね!うん!そうだよね!」

そう言って繋いでいた手を離し腕を組んできた

「さすがに近くない?」

「いいじゃん!たまにはさ!」

「まぁ、いいけどさ」

そうして俺たちは道行く人に聞き込みをしながらシーガラスと珊瑚のアクセサリーが売っている店に向かって移動する。

目的地に到着し俺達は店内を見て回っていると赤いシーガラスと白っぽい珊瑚の首飾りが目に留まる

「これさ、あこちゃんに良くない?」

「確かに、あこ好きそう」

「それから、こっちの赤とオレンジのブレスレットは

香澄とその妹の明日香ちゃんに良いかも 」

「じゃあさ、この青と緑のシーガラスのブレスレットさお揃いでつけない?」

「これで良いの?」

「もし、良かったらなんだけど、この青いシーガラスで作られた羽のピアスとこっちのイヤリングもお揃いで付けてくれないかな?」

「良いよ、せっかくだしお揃いで付けよう」

俺達はそれぞれに目的地の物を買うと俺はブレスレットとピアスをリサはブレスレットとイヤリングを付けて見せを出る

俺はスマホで時間を確認するとそれなりの時間だったので

俺はそろそろ移動しようかと提案した

「そろそろ、戻ろうか」

「もう、そんな時間?早いね」

「楽しい時間ってあっという間だからね、行こう」

そう言って俺はリサに向けて手を差し出すとその手を握り返し握った手をそのままにまた腕を組んできた。

俺は特に何かを言うでもなくそれを受け入れて歩き出す

しばらく歩いていると国際通りの入口が見えて来た

「2人ともいたかな?」

「どうだろう?案外まだだったりするかもよ?」

「とりあえず、行こう」

「そうだね」

俺達は入口に向かって移動し2人が戻ってきているかを確認すると既に2人は待っていたようだ

「お〜い!ひ〜くん!りさちー!」

日菜が手を振っているので俺達も手を振った

「少し急ごう」

「そうだね」

俺達は早足で入口に向かい2人と合流する。

「走らなくても良かったのよ」

「あんまり待たせてもね」

「2人が早いんだよ!ちゃんとお土産買ったの?」

「もちろんよ、と言っても両親とRoseliaの皆のくらいだものそれと貴方と日菜もね」

「何買ったか聞いてもいい?」

「宿についてからよ」

「じゃあ、楽しみにしておくよ」

「えぇ、そうしてちょうだい、さぁ行きましょう」

「そうだね、行こうか!」

「レッツゴー!」

「目的地は宿だね!」

俺達は宿まで移動するためバス停に向かって歩き出すと日菜が俺の制服の袖を引っ張った

「日菜?」

「ひ〜くん、あたしとも手繋ごう」

どこか不安そうな表情をする日菜に対し俺は普段以上に優しく手を握り頭を撫でながら日菜に向けて言った

「俺はここにいるよ!隣に、近くにいるよ」

「うん!行こう!」

俺達は2人の後を追って歩き出す

そしてバスに乗りしばらく揺られて目的地の宿に到着する

「もう、大分揃ってるね」

「予定より早く来ているメンバーが多いのね」

「あたし達も時間ピッタリに来たよ」

「多分だけど、5分前とかに来てるんだよ」

「まぁ、俺等が最後って訳じゃないんだしとりあえずこれから部屋に移動して夕飯までの少しの間宿でなら自由にしていいって話だしとりあえず部屋に行こうよ!」

「荷物は部屋だしね!じゃあ、とりあえず部屋に戻ろうか!」

「だね、じゃあ行きますか!」

俺達は部屋に戻り荷物を置いてくつろぎ始める

俺はさっそく買ってきたお土産を友希那達に渡す

「3人とも、これは俺から、アロマキャンドルとシーガラスと珊瑚のアクセサリー」

「オシャレな物を選んだのね、センスもなかなかよ」

「可愛いし綺麗!」

「だよね、アタシもそう思うよ、ありがとうね光」

「どういたしまして」

「光、これは私からよ」

「開けても良い? 」

「もちろんよ」

俺は箱を開けると中身はサメの歯の紐で調整するタイプの

ネックレスだった

「よく見つけたねこういうのなかなか見かけないんだけど 」

「たまたま見つけたのよ、光が好きそうだと思ったから買ったのよ」

「あたしからは珊瑚のブレスレットだよ!これが1番ひ〜くんにね似合いそうだなって」

「確かにシンプルでカッコイイねありがとうね3人とも」

「どういたしまして」

「礼には及ばないわよ」

「こっちもありがとうね」

そうして俺達はお互いに買ったものを渡しあった後しばらく

雑談に興じ夕飯までの時間を過ごしその後夕飯を済ませて戻ってからリサ達はテレビを見ているので俺は広縁に出て何となくギターを弾いていた特に曲を決めず適当に選曲して弾いていく数曲演奏していると日菜が俺の座っている場所の反対側に座ると話しかけてきた

「ひ〜くん、なんか聞かせて」

「演奏だけで良いならいくらでも」

「じゃあ、あれ聞きたい!あのラストライブで歌ったヤツ!」

「どれ?2.3曲やったけど」

「あの今日が終わるって歌詞が入ってるやつ!」

「あぁ、あれか!演奏だけでいんだよね?」

「うん!」

「良いよ、じゃあ、始めるよ」

俺はオワリはじまりを演奏する今回は演奏だけだ、でも、演奏だけだからこそ世界観が広がる

友希那やリサもいつの間にかこちらに来て俺の演奏を聞いている

それを横目に俺はただ奏でることに集中するいつものように深く深く曲という世界観に自分を浸していく中でラストまで演奏し演奏を終える

「演奏だけと言うのもたまにはいいものね」

「そうだね、見えてる世界が広がった気がする」

「やっぱりひ〜くんの演奏は凄いよね!」

「俺なんてまだまだだよ」

そう話していると部屋の扉がノックされて入浴時間だと告げられた

「アタシ達は入浴時間だし行くけど、光は?」

「俺は部屋のシャワーで良いよ、入浴は元々あんまりしないからね」

「光はシャワー派なのね」

「そう、入浴する時は少しぬるめのお湯に使って考え事する時だけだから」

「そうなんだ、まぁ光がそれで良いならアタシ達は行ってくるね!」

「行ってらっしゃい」

リサ達が入浴に行ったのを見送ると俺も着替えを持って部屋のシャワールームに行きシャワーで体と髪を洗って軽く全身に熱めのシャワーを浴びてからシャワールームを出て着替えてからまた広縁に戻りまたギターを弾いているとリサ達が戻ってきた

「おかえり、早かったんだね」

「髪はこっちで乾かそうと思ってさ早めに戻ってきたんだよあっちだとコンセントの取り合いになるからさ」

「なるほどね、じゃあ早く乾かしなよ、風邪ひくよ」

「そうするよ、うるさいかもしれないけど、気にしないでね」

「ギター弾いてるから平気だよ」

「そういえばひ〜くんはシャワー済ませたの?」

「うん、少し前にね」

俺がそう言うと日菜は俺の髪に触れる

「まだ、髪濡れてる」

「タオルで拭いただけだからね」

「ちゃんと乾かしなよ」

「普段からこうだから気にしないで」

俺がそう言うと日菜は俺の首にかけていたタオルを俺から取り上げると俺の髪を拭き始める

「日菜、そこまでしなくていいよ」

「あたしがやりたいの!言いでしょ?」

「まぁ、良いよ」

結局ほとんどされるがままの状態で成行き任せにしながら俺はギターを弾いていると日菜は満足したのか、俺から離れた

「満足した?」

「大分乾いたよ」

「ありがとうね」

「どういたしまして」

その後俺達はリサが持参したトランプで消灯時間まで遊び倒し結局俺はほとんど負けだった。どうにも音ゲーやリズムゲーム以外は苦手な俺だ、ちなみに罰ゲームとしてリサと日菜はそれぞれデート1回、日菜は紗夜も同伴らしい

友希那はRoseliaの曲をカバーした時は真っ先に聞かせてくれたらそれで良いらしい、正直1番ハードルが高い要求だと思ったのは黙っておく、そして消灯後俺は音楽を聞きながら目を閉じていたがどうにも眠れずに身体の向きを何度も変える

結局俺は眠る事を諦めて身体を起こし荷物からバイオリンを取り出し広縁に行き備え付けの椅子に座り窓を開けると少し湿り気を帯びた風が入ってきた

「温暖な気候だからなんだろうけど、少しぬるめの風が気持ちいいな 」

そう言って空を見上げると月の青白い光が夜闇を照らしている。俺は立ち上がり窓を背にしてバイオリンを弾いていく

曲は月光花だ月から連想したのは言うまでもないだろう

少しして月光花を弾き終えると俺の名前が呼ばれてその方向を見ると声の主は友希那だった

「やぁ友希那、ごめんね起こしちゃった?」

「いいえ、私も眠れずどうしようかと思っていたらバイオリンの音が聞こえてきたから、音の方に来てみたら貴方がバイオリンを弾いていたからせっかくだし聞かせてもらおうと思ったのよ」

「俺の演奏で良ければいくらでも」

「そうさせてもらうわ。ちょっと待っていてちょうだい」

そう言うと友希那は備え付けの小さな冷蔵庫から冷やしていたペットボトルの紅茶を2本持ってきて1つを俺の方に置き反対側の椅子に座る

「じゃあ、さっそく聞かせてちょうだい」

「それじゃあまた月光花からね」

俺はそう言ってもう一度月光花を演奏する

友希那の方は目を閉じ演奏を聞くことに集中している

俺はその様子を見てしっかり演奏を届けようと思ったので弾く事だけに集中する

そうして月光花の演奏を終えてから間を置かずに生まれる願いを演奏するこの曲はキーボードで演奏するのも悪くない

この曲だけは弾きながら歌えるが今は演奏だけでいい

そう思って演奏しているとあっという間に曲が終わる

そしてそのまま3曲目を演奏する。3曲目はキラメキだ

季節の移り変わりと恋の終わりが同時にやってくるような、そんな曲だ、何気なく友希那の方を見ると友希那は相変わらず目を閉じて聞いている。俺は季節の移り変わりをイメージしながら弾いて行き長いようで短いような演奏を終えて友希那を見ると穏やかな寝息が聞こえてきた

「友希那、こんな所で寝てたら風邪ひくよ」

「………ん〜…」

軽く肩を揺すってみたが起きる気配がない

俺は軽く頭を掻いてから友希那をお姫様抱っこの要領で抱えて2人が寝ている部屋に運び布団に寝かせ俺も自分の布団に戻りスマホで時間を確認すると既に日付は変わっていた

俺はまだ眠れそうもないとまたしばらくバイオリンを弾いていた

 

リサ視点

 

正直眠れない、眠れるわけが無い、なぜなら扉を隔てた向こう側に私の好きな人が寝ている手を伸ばせば届くところにいるそれが今のアタシにはもどかしい、そう思っているとバイオリンの音が聞こえてきた、光がバイオリンを弾いているんだなと思った。そんな時友希那が身体を起こし部屋を出て行ってから少ししてから光が友希那を抱えて部屋に入ってきた

アタシは友希那が羨ましかった、友希那と光はお互いにお互いだからこそわかる部分があるからなのか2人でいる時は本当に楽しそうで、それがアタシは羨ましいそう思いながらじっとしているとまたバイオリンの音が聞こえてきてそれに誘われるように眠気がきてそのまま眠りに落ち着いた

 

 

次の日

 

「あぁ〜眠い!」

「ひ〜くん寝不足?」

「夜中まで起きているからよ」

「眠れなかったんだから仕方なくない?」

「ちゃんと寝ないと体に悪いよ光」

「分かってはいるんだけどね〜」

そんな話をしながら俺達はバスに揺られて目的地に到着する

今日は夕方まで全員で行動する流れとなっている

最初は美ら海水族館だ、水族館で俺達はそれぞれの班に別れて行動する。

俺個人もイツメンと一緒にあちこちの水槽を見て回りつつ

水族館特有のお土産を何種類か購入した

「ここでもお土産買ったの?」

「うん、こういう場所の方がいいものあったりするんだよね、だから、いくつかね」

「そっかそっか、でもそろそろなんかショーが始まるらしいよ」

「そうなの?」

「とりあえず全員でそれ見るから集まれってさ」

「わかった、今行くよ」

そうして俺達は移動し学年全員でイルカとアシカのショーを見た後首里城に移動し全員で写真を撮りその後昼食を済ませてからまた移動し今度はひめゆりの塔を見学した

俺は慰霊碑のようなものを見ながらこれそのものがなにかの傷跡なんだなと思っていた

「そういえばひめゆりの詩って曲があったっけな」

「どんな曲?」

「確か世界平和を歌った曲だったと思うよ」

「カノ嘘では世界平和を歌うより小さな日常を歌っていたいって葛藤があったわね」

「あたしどっちも知らな〜い」

「そうだっけ?」

「全然だよ〜!とりあえず、今度その歌聞かせて」

「そのうちね、あの歌こそここで歌わないといけない曲なんだろうけどね」

「じゃあ、歌ったら?」

「出来るなら弾きながら歌いたいからパス」

「残念」

「仕方ないわよ、そろそろ行きましょう」

「だね」

そうして俺達はその場を後にしバスに乗り込み空港まで移動しそこから飛行機に乗って東京に帰る

道中俺は眠ろうかとも思ったが大半のメンバーが眠っており俺の横で日菜も眠っているために俺は仕方なく音楽を聞きながら窓の向こうを見ているとぼーっとしてる間に到着したようで俺達はそこからまたバスで学校まで移動する日菜は相変わらず起きる気配がないのでバスまでおぶってそこから学校までの間も寝かせておき、学校に着いたタイミングで日菜を起こして荷物を降ろさせる

「良く寝た〜」

「俺は寝不足だよ、日菜達寝てるのに俺まで寝たら誰も起こす人いないじゃん、先生だって声は掛けるだろうけど、最終的には各自でって感じだしさ」

「アッハハなんか、ごめんね」

「いいよ、帰ったらすぐ寝るから」

「光もこう言ってるし気にしないことにしましょ」

「そうしてよ」

「それよりもひ〜くん!一緒に帰ろう」

「荷物あるからタクシー呼ばないと、ちょっと待ってて」

俺はそう言って電話でタクシーを2台呼んで待つ事にした

「光、良いの?アタシ達までタクシー呼んでもらって」

「良いよ別に、どうせ荷物はあるんだしさ」

「ならお言葉に甘えるわね」

「うん」

そうして待っていると校門の前に2台のタクシーがやってきたので各自荷物を積み込み解散する

「明日は休みだし明後日また学校でね2人とも」

「うん、また明後日ね」

「バイバ〜イ」

俺達はお互いにタクシーに乗り込み帰路に着く俺の方は日菜を先に送り届けて荷物を降ろすのを手伝い忘れ物がないか確認する

「忘れ物はない?大丈夫?」

「大丈夫だよ〜手伝ってくれてありがとうねひ〜くん」

「大した事ないから平気だよ、後これ、紗夜に渡しておいて」

「お姉ちゃんへのお土産?」

「そう、直接渡せたら良かったんだけど、まだ帰ってないみたいだから」

「そうみたいだね、わかった渡しておくね」

「よろしく、じゃあ、またね」

「うん、またね」

俺はそう言ってタクシーに乗り込み再び帰路に着く

そこから5分程度で自宅に到着し俺は荷物を降ろしお金を払いタクシーを返した後家に入り玄関に荷物を置いてすぐに着替えを持ってシャワーを浴びに行きシャワーを済ませてから着替えて部屋に行きベッドに倒れ込む

「全然眠れなかったからもう限界!おやすみ」

そう呟いて意識を手放した

こうして俺の修学旅行は終わった

 

 

 

 

 

 

 




更新遅くなりました!すいません!
相も変わらず忙しい日々か続いており執筆が進みませんが出来るだけ早く更新出来るように頑張ります。
とりあえず、まずは次回作の話から行くともう一作品追加しアンケートを募集しますので改めて回答をお願いします
僕らが理想とする音へと空に憧れた少年とバンド少女達の他にもう1つ友希那をメインヒロインとした歌姫と僕とを追加しました。
簡単なあらすじは活動報告にて紹介しておきますのでチェックしてみてください。
次回から光君の過去を含めてカバーライブ編を書いていきます。1つ言っておくと光君の過去は重苦しいギスギスした感じのではないです。ちょっとした失敗の様なものなのでそのつもりでいてください。それではまた次回

次回「光の過去と今の夢」


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第23話光の過去と今の夢

めぼしい学校行事が終わり光はいよいよ皆に過去を伝える事を決めたのだった


その日いつものようにバイトがてらにRoseliaの練習を見ている中で、少し休憩を挟む事になり俺は近くの椅子に座り深く息を吐き出したタイミングで友希那が話しかけてきた。

「光、今ちょっと良いかしら?」

「どうしたの?なんかこう改まった感じでさ」

「もし、良ければなのだけれど、そろそろ聞かせてくれないかしら?貴方の過去の事」

俺は唐突に話題を振られたこともあり驚きはしたが、確かに話すと約束している以上いつかは話さなければならない事なので俺は少し考えた後返答する

「もう少し待ってくれる?もうすぐcircleでさ定期的に行われるLIVEがあるでしょ?その時なら全バンドが揃うだろうしさその時で良いかな?」

「わかったわ、その代わり今回のLIVEは貴方も出なさい」

「俺も?まりなさんがOKするかな?」

「私達からもまりなさんにお願いするわ」

「じゃあ、OKでたらね」

「善は急げよ、リサ、紗夜2人にお願いするわまりなさんに聞いてきてもらえる?私はもう少し光と話したいの」

「OK!光が出れば盛り上がるだろうし、多分光のファンの子達も喜ぶだろうしね!何よりアタシ達も嬉しい!」

「私もそれは否定はしません。では私達は光君が出てくれるように交渉してきます」

そう言ってスタジオを出て行く2人を尻目に俺と友希那は話を再開する

「俺の過去について聞いてどうするの?」

「私達が貴方にして貰ったように私達も貴方に歌を届けるのよ、あなたの為だけにね」

「光栄過ぎる話だね、けどさ、どうしてそう思ったのか聞いてもいい?」

「簡単な事よ、貴方と対等でいるために決まっているじゃない!」

「俺、見下してるつもりは無いんだけど…」

「貴方は常に一線を引いてそれ以上踏み込まないし踏み込ませない、その線をとり払おうって話よ」

「なるほどね、わかったよ!」

「なら良かったわ、2人が戻ってきたら練習を再開するわ」

「わかった、ところでさ、どうしてあこちゃんと燐子はここにいたの?リサと紗夜をこの場から引き離してさ」

「あの二人は話を聞いたら今すぐ何とかしようとするわ、その点この2人なら話をする事の大切さをわかっているもの」

「別にあの二人もそこまで冷静な判断が出来なくなるとは思えないけど」

「あの二人はああ見えて行動派よ、だからこそ別な事をお願いしたの」

「まぁ、確かにリサ姉も紗夜さんも結構行動早いもんね」

「言われてみると確かにそうだね」

2人がそんな事を話していると噂をしていた2人が戻ってきた

「まりなさんが出番最後ならOKだってさ」

「結局俺は最後なんだね」

「仕方がないのでは?」

「受付とか、照明等の管理とかもあるからね」

「それもありますが、光君はソロのカバーアーティストですから、最後の方が都合が良いのでしょう」

「あぁ、それもそうか」

などと話をしながら紗夜達は自分達の楽器を手に取りチューニングしていく

「じゃあ、練習を再開するわLOUDERからまた練習するわよ」

友希那の言葉に全員が頷き練習が開始される

俺は目を閉じ集中して皆の演奏を聞いて行く

現状目立ったミスはない、そうしてBLACKSHOUT、FIREBIRD

BRAVEJewel 熱色スターマインと練習していきその日の練習を終えたタイミングで俺もバイト上がりの時間となり皆と駅まで一緒に行きそこからは紗夜と一緒だ

「光君、1つ聞いてもいいですか?」

「俺に答えられる事ならね」

「どうして、このタイミングで自分の過去について話す事にしたのかお聞きしてもいいですか?」

「深い意味はないよ、単純に皆と会ってそろそろ半年になるでしょ、なんとなくちょうど良いんじゃないかなって思ったってだけ」

「そうですか、正直無理に聞こうとは思いませんが貴方が話しても良いと思えたのならちゃんと聞いて私達なりに向き合わないと行けませんね」

「まぁ、その辺は任せるよ」

そう話しているとあっという間に紗夜の家に到着した

「送ってくれてありがとうございました」

「ううん、こっちこそゆっくり話せて楽しかった」

俺がそう言うと紗夜は小さくフフフと笑った

「なんで笑うの?」

「いえ、光君も私と話すことを楽しいと思ってもらえてよかったと思ったんです」

「俺別に人と話すのは嫌いじゃないからね」

「そういう事では無いんですが…まぁ、いいです。それでは、おやすみなさい、お土産ありがとうございました」

「うん、おやすみ大切に使ってね」

そう言って俺は手を振り紗夜と別れ自分の家に帰りすぐにシャワーを浴びて就寝した。

そして次の日の放課後から少し忙しかった、定期的に行われるcircleのLIVEに向けてRoseliaだけじゃなくAfterglowにハロハピにpoppinpartyとパスパレが代わる代わる練習しに来て毎度の如く俺が練習を見る日々が続いた、おかげで自分の練習時間が少なかったが演奏する曲は過去を話すと決めた時から既に決めていたので問題はないだろうと思いながらも夜に普段ならバイオリンやキーボード弾く時間をギターを弾く時間に当て練習を重ね本番当日を迎えた。

俺は配置に付きスポットライト等の操作をする為の音響ルームに入るとスポットライトを点灯させると1番手のハロハピが既にスタンバイしていたスポットライトの点灯と同時に

こころが話し出す

「皆〜!ハロー!」

(((ハロー!)))

こころのお決まりの挨拶に観客皆が返答する

「これから皆に笑顔を届けるわ!さぁ!始めるわよ〜

笑顔のオーケストラ!」

そうして演奏が開始されると俺はライトを素早く動かしこころや他のバンドメンバーを照らしていく

「ハロハピは派手な動きが多いから操作が大変だよ」

そう言いながらも手をとめずにライトや音響をその場に合わせ調整していく中1曲目が終わる

「これからよ〜!ゴーかゴーカイファントムシーフ!」

「マジかよ!?おい!」

セトリと違う曲名を告げられ俺は急いで調整を行いステージから客席を回る薫を追いかけるようにライトを当てながら同時にこころを追いかけるようにライトを当てていく

「セトリ守ってよ本当にさ」

そう言いながらもこの状況を楽しむこころが満面の笑みを浮かべて歌っている

そうして2曲目が終わり

「私達からの最後の演奏はせかいのっびのびトレジャー!」

「本日2度目だよセトリガン無視!」

音響ルームで文句を言いながらも俺は音響とライトの効果でLIVEを最大限に盛り上げていく中ハロハピの出番が終わる

「楽しかったわ!私達の番は終わりよ!次はパスパレの皆が笑顔を届けてくれるわ!」

そう言ってこころはステージ袖に下がって行った

そして一度照明を全て落としてパスパレの準備が整ったタイミングで再びライトを点灯させる

「LIVEに来てくれた皆、こんにちは!Pastel*Paletteです!」

「circleの定期LIVEに来てくれてありがとうございます。」

「さっそく1曲目を聞いてください!しゅわりんどりーみん」

1曲目が始まり俺は予定通りのライトと音響調整を行うだけで済んだ

「セトリ代わると調整を追いつかせるのがやっとだからすごいありがたいんだよねセトリ守ってもらえるとさ」

そうして1曲目が終わる

「1曲目はしゅわりんどりーみんでした!このまま続けて2曲目に行きます!バスパレボリューションず☆」

2曲目が始まり俺は更に音響とライト効果を上乗せしていく

「このままの熱量で押し切ってよ皆!」

そう言いながら俺は少しずつ音響を上げて更に光量を上げ彩を含めたパスパレメンバーをライトアップさせて行く中2曲目が終わる

「まだまだ終わりません!私達からの最後の曲は

ゆら・ゆらRing-Dong-Dance!千聖ちゃんとツインボーカルで歌います!」

「それでは聞いてください!」

パスパレの最後の曲が始まった、俺は光量を下げて音響を広めにする

「まだまだ終わらせないよ!」

そう言って光量を少し上げてまた少し音響を広める

ステージ効果も相まってお客さん達の熱も高まっている

そんな中パスパレの最後の曲が終わる

「Pastel*Paletteでした!次はAfterglowの皆!よろしくね」

そう言って出番はAfterglowに引き継がれる

「Afterglowです!circleの定期LIVEまだ2バンドが終わったばかりなのにすっごい盛り上がっていてアタシ達も凄く気分がいいです!早速行きます!ScarletSky!」

「それ、ライトの曲なのに!ったく仕方ないな!」

俺は光量を上げて音響を少し低めに設定するこの方が蘭の声はよく届く

蘭独特のパワフルボイスがマイクを通して響き渡る中1曲目が終わる

「まだまだ盛り上げるよ!次はカバー曲CrowSong!」

「セトリ入ってない曲選ぶなよ!」

もうセトリがあってないようなものだ、俺だからある意味まだ何とかなるこの曲を知っているからこそ最高の演出が出せる

「やってやるさ!」

そう言って俺は音響とライトを調整し最高の演出を作り出す

そうして演奏が終わると再び蘭が話し出す

「アタシ達Afterglowからの最後の曲はsasanqua」

「この曲をラストに持ってきたか!」

演奏が始まると俺は音響を上げてライトを暗めにし全体ではなくAfterglowだけを照らす

それに合わせるように皆の演奏に合わせ蘭が歌っていく中Afterglowの最後の曲が終わる

「Afterglowでした!次はPoppin’Party!」

そうしてAfterglowに変わりPoppin’Partyが姿を見せた

「Poppin’Partyです!久しぶりのLIVEなのでちょっと緊張してます!早速1曲目を聞いてくださいHappyHappyparty!」

「それ、2曲目じゃなかったか?」

またしてもセトリと違う曲が演奏され始めると俺は仕方なく

音響を調整してライトを明るめにする

「まったく、俺だから何とかなるようなもんだよねこれ 」

そう言いながら俺は音や光を調整して行きライト効果を上乗せしていく中1曲目が終わる

「連続で行きます!ときめきエクスペリエンス!」

「順番逆だって!」

そう言いながら俺はライトを操作し音響を広げる

この曲は音を広めにする事で皆によく聞こえるし盛り上がる

「まったく、セトリ変えるなら皆言ってよ!」

そう言いながら音響ルームで音やライトを調整しポピパのメンバーをライトで照らす中で2曲目が終わる

「私達のラストの曲はSTAR BEAT!!星の鼓動」

「最初から最後までセトリ守りなよ本当に!」

俺は音響を引き上げライトの方も光量を上げる

香澄達もノッているようでそれが演奏から伝わってくる

そうしてラストの曲を歌い終えると香澄がまた話し出す

「次はRoseliaの皆さんです!先輩達、お願いします!」

「任されたわ!Roseliaです!1曲目さっそく行くわよ!FIREBIRD!」

「セトリと違う!?セトリだとLOUDERじゃん!」

そう言いながらも俺は友希那達Roseliaの曲の中ではかなり

好きな曲なのでテンションも上がる

俺はライトをかなり暗めにする代わりに音響を広めにする事で観客皆に届ける

Roseliaの登場に観客達もテンションMAXだ

「俺に回るまで持ってくれよ!この熱量」

そんな中でFIREBIRDが終わる

「次よ!BRAVEJewel」

「何考えてんの友希那!どっちもセトリに入ってないよ

今回はさ」

それでも俺はこの状況を楽しんでいる

友希那達がこの熱量を最後まで保ってくれるだろうそんな中で俺はスポットライトだけで友希那達を照らしている

そうして2曲も終わりRoseliaの演奏は次でラストとなる

「ラストはカバー曲雲雀」

「セトリ完璧に無視したね」

友希那が曲名を告げると燐子がキーボードを弾き始めそれに合わせるようにバンドアレンジが成された雲雀が演奏されていく

俺も音響ルーム越しに口ずさんでいるこの曲は何度聞いても友希那の声にあっていると思った。

そうしてラストの演奏が終わると友希那が話し出す

「私達ガールズバンドの全演奏はこれで終わりよ、だけど、LIVEはまだ終わらないわ!貴方の出番よ光!さぁ、今回も終わりを飾ってちょうだい!」

「まったく、どうしてそうプレッシャーかけるかな」

そう言いながら音響ルームから出てステージに向かって返答する

「決まっているじゃない!あなたならそれができると確信しているからよ!」

「わかったよ!その期待に答えるさ!」

そう言ってステージに上がり友希那とタッチを交わしてマイクを通して話し出す

「改めまして、光です。今日はcircleのLIVEに来てくれてありがとうございます。普段は後ろの音響ルームで光量や音響を調整してます。今回LIVEに出て欲しいって要望があり参加しました、とりあえず1曲聞いてくださいI Wish」

俺は演奏を始める

『気付けば周りの物が見えなく

て時計の針すら気にならなかった

答えが無いなら積み重ねればいい

後少し少しだけこのままでいさせて

両手を拡げればあの雲を突き抜けて

僕が描いたものが届きそうな気がした

風を集めながらアスファルト蹴り上げて

全てをかけて飛び出した

痛みと引き換えに理由が見つかればどんなに楽だと思うかも知れない繰り返し滲んだ気を紛らわせて

ただ少し少しだけ失くさないように

両手を拡げればあの雲を突き抜けて

僕が描いたものが届きそうな気がした

風を集めながらアスファルト蹴り上げて

答えの無い旅へ駆け出した

Iwant to share in the joy with you,It's my with

The only way to connect with you is the beautiful

Shining sunrise』

 

ハロハピ&ポピパ視点

「相変わらず凄い演奏」

「本格的に光先輩にギター習おうかな?」

「なら、私も教えて貰おうかな?2人で頼んでみようよ!」

「まずもってOKしてくれんの?」

「私もベース教えて貰おうかな?」

「結局練習見てもらう時と変わんねーじゃねーか!」

そう言って笑い合っているとハロハピの皆が会話に入ってきた

「光は皆の光よだから皆が光に教わればきっと笑顔になるわ」

「こころちゃんさすがに光君1人で2つも3つも練習見るのは無理じゃないかな?」

「儚い」

「何が?」

「とりあえず、楽器ごとに別れれば良いんじゃないかな?そうすればひかるんも教えやすいよ!」

「まずもって本人の許可取れよ!」

「光さんが良いって言うかどうかだしね」

そう言いながら私達は光先輩の演奏を聞いて盛り上がる

 

『君が選んだ全て間違いなんて無くて

この闇を照らしてく道標になるはず

どんなに離れても同じ空の下

この坂を越えれば届きそうな気がした

僕の目に焼き付くあの日の光景さえも

君が感じられるように

Iwant to share in the joy with you,It's my with

The only way to connect with you is the beautiful

Shining sunrise』

俺は1曲目を歌い終えると話し出す

「次に行きます!次の曲はZERO」

俺は演奏を始め歌い出す

 

『明けの闇目覚めさせる嘶(いなな)くような竜の声

一度きりと吹いた風 体中で受け止める

あの日夢に描いたもの今 目の前で光放つ(掴め!と)

そうさ!僕らは知っている果てない明日への一歩を

ゼロ輪のゲートを超えて

抱け!この胸で動き出す願いが繋ぐ∞ー無限大ー

指差す場所が君の未来に変わる』

 

Afterglow視点

「どうやったらあんな演奏が出来るんだろう?アタシも弾きながら歌うけどさ、光さんはなんか違う」

「よくわかんない」

「ギターもキーボードも凄いもんね」

「チラッとだけドラム聞いた事あるけど、敵わね〜て思ったの覚えてる」

「1人でバンドの楽器全部演奏出来るもんね」

「それにほら、ギターもキーボードも無雑音で余計な音が一切ないから演奏がより際立つって言うかさ」

演奏している時の光さんは近いようで遠いようなそんな感じだとアタシ達は思った

 

『浅い眠り邪魔をする諦めろと闇の声

何もせず終わるよりは傷つく方がマシだった

道で出会う仲間達が

無言の誓いくれるからさ(進め!と)

そっと僕は頷くよ必ず辿り着けると

ゼロなら積み上げればいい

今はちっぽけな翼でもいつか大空を飛べると

見上げた空に一番星輝く』

 

パスパレ視点

「カッコイイ〜」

「カッコイイって光が?」

「えっ!?いや、光君もだけど、曲がねカッコイイなって」

「確かに盛り上がるッスよね!この曲」

「武者震いが起きますね!」

「なんか違うッスけどまぁあながち間違ってないような」

「この曲さ、ひ〜くんの事歌ってるんじゃないかな?」

「どうしてそう思うの?」

「果てない明日への一歩とかゼロなら積み上げればいいとかまさにひ〜くんの事じゃん!」

そう言われて私達はハッとした言われてみると確かにと思える部分が多かった事に今更気が付いた

 

『感じるその先へ…宇宙は果てしないけど

消せなかった夢信じて飛び出そう!

そうさ!きっと僕らは待っていた勇気試される瞬間

ゼロの輪のゲートは開く

響け!この声がこだまする僕らの宇宙(そら)は∞ー無限大ー

指差す場所に新たな星が光る』

俺は2曲目を歌い終えると軽く深呼吸して話し出す

「次がラストになります。聞いてください

LASTTRAIN 新しい朝」

曲名を告げて俺は演奏を始めそして歌い出す

 

『遠く彼方を見渡して単純に視界の狭い事に気付いた

自分捨てる方が楽でも最大限耐えてみたいと思った

今日がどんなダメな日でもわずかな光を明日はまた

明日の自分で灯せばいい

途切れないように消えないように自分を確かめて

数え切れない程傷付いても

確かな明日が来るようにと願って走る二度とない今日を

 

何かのせいにしながらそうやって進めない自分曖昧にして

ここしかない瞬間だってもうずっと無駄にしてきたけど

笑い過ごしたいつかも泣いてた昨日も

来る朝はいつも同じでただひとつだった

止まらないように絶えないように自分に問いかけて

明日を失っても自分のせいだろう

二度は無い今日をどう生きるのも自由だから

そんな後悔ない人生を

 

It'stime to say good daye im not afraid of you

Ineed to walk away Cause i don't wanna be a lier

If Icannot live my life iam as good as dead

 

途切れないように消えないように自分を確かめて

数え切れない程傷付いても

確かな明日が来るようにと願って走る二度は無い今日を

 

止まらないように絶えないように自分に問いかけて

明日を失っても自分のせいだろう

二度とない今日をどう生きるのも自由だから

そんな後悔ない人生を

 

そんな後悔ない人生を

途切れないように消えないように 』

 

Roselia視点

「なんだか光の今までを歌ってるみたい」

「そうね、光なりの決意のようなものなのかもしれないわ」

「ですね、彼なりの決意なのでしょう」

「やっぱり過去の事ですよね?」

「光兄ぃ、いつもとなんか違う」

アタシ達は期待と不安混じりに光が選んだ曲を聞いていた

 

その後LIVEを終えた後まりなさんに頼んでさっきまで使っていたステージを借してもらって全員がそこに集まった

「光、ここに皆を集めたってことは、話してくれるのよね?貴方の過去を」

「そのつもり」

「光さん、それってこの場にいる全員に知っておいて欲しいって認識でいんですよね?」

「うん、でもその前に1つ言っておくとね、皆には前に俺が作詞作曲は出来ないって話しはしたと思うんだけどさ、正確に言うとまったく出来ない訳じゃないんだよね」

「どういう事?」

「本当はね、出来ないんじゃなくてやらないんだよ」

「それは、なんでなんですか?」

「過去に俺が書いた詩というか曲が原因で仲間達が離れていったんだよね」

「詳しく聞かせてくれる?」

「うん、じゃあ、詳しく話すね」

そう言って俺は1年前の事を話し出す

 

 

ー回想ー

 

1年前4月

 

俺はスマホのアラームで目を覚ます

春休みが明け今日から俺は高校生になる俺がこれから通う学校は地元じゃそれなりに有名な方である

「初日が1番ダルい」

そう言いながら身体を起こしてそそくさと着替え始める

制服は黒を基調としたブレザーだ

俺が着替えていると部屋の扉がノックされ扉越しに母さんの声が聞こえてきた

「光、まだ寝ているなら起きなさい初日から遅刻するよ」

「起きてるよ!着替え中だから下で待ってて」

「早く着替えて朝食食べちゃいなさい」

「わかったよ!」

俺はそそくさと着替えて下に降りてリビングに行く

「おはよう母さん」

「おはよう光、早く食べて行く準備しなさい」

「わかってるからそう急かさないで」

そう言って俺は準備されていた朝食を食べ始めると父さんが起きてきた

「おはよう父さん今日はゆっくりだね」

「仕事が昼からでな、なんなら学校まで送るぞ?」

「帰り徒歩になるから遠慮するよ、それに買ってもらったマウンテンバイクで行くから大丈夫」

「そうか、道中気を付けてな」

「うん!大丈夫だよ」

そう言って食べ終えた皿を重ね立ち上がり母さんの所に持っていき部屋に戻ってブレザーとバックそしてギターを持って部屋を出ると荷物を玄関に置き洗面所で顔と歯を洗い身だしなみを整えて家を出る

「行ってきます」

「行ってらっしゃい」

「気を付けてな」

俺はマウンテンバイクにまたがり学校への道を進んでいく

「学校までは20分くらいだもんな〜遠いような近いような」

そう言いながら学校に向かうそして学校に到着し自転車置き場にマウンテンバイクを置いてからクラス表が張られている掲示板の前まで行き自分のクラスを確認する

「俺はA組か、さて、行きますか!」

俺はそのままクラスに向かうそうしてクラスで自分の席を確認すると窓際後ろから2番目だ

俺はそのまま自分の席に座り音楽を聞き始めるしばらく音楽を聞きながらボーっとしていると徐々にクラスに人が揃い始める

そうしているとクラスに先生が入ってきた

「はい、注目!俺は体育教師の田原だ!歳は36さっきも言ったように担当は体育だ!後、なんだ?話す事は?」

「質問いいですか?」

1人の生徒が手を挙げて発言する

「おう、なんだ?」

「俺達の自己紹介とかは良いんですか?」

「それは、入学式が終わってから頼むからとりあえずそろそろ整列してくれ」

そう言われたので俺達はそそくさと廊下に出て体育館に移動し入学式に参加した、正直校長や生徒会長の挨拶は聞いてて退屈でしかないし正直面倒くさい

そう思っていると部活紹介が始まったが入る気のない部活の紹介を聞いてもなと思っていたら部活紹介が終わった

「あれ?軽音部がない?」

「ああ!それ俺も思った!」

目の前の男子が顔をこっちに向けて話しかけてきた

「軽音部に入部希望なのか?」

「そうだけど…まずもって君、名前は?」

「ああ!そういやまだ名乗ってなかったな、俺は宮原高人

高い人って書くからか、たかひとって間違われるんだけど、タカトだからよろしくなお前は光(ひかる)でいいのか?」

「そうだよ、ひかりってたまに間違われるんだけどひかるだから、よろしくね」

「名前が間違われやすいのは共通点だな」

「そうだね」

そんな話をしていると式が終わり俺達は教室戻って行く

そうして今度はクラスでの自己紹介が始まり俺と高人はさっきの自己紹介とまったく同じ自己紹介をしてやり過ごし俺達は教室を出て職員室に向かった

俺達は扉をノックして職員室に入り軽音部について聞くと

去年から活動はしていないらしい

それを聞いて高人が言った

「やったじゃねーか!今なら部長の席はお前のものだぜ光」

「勘弁してよ!俺部長とか嫌だからね!そもそも向いてないって!」

「そうか?」

などと話しながら鍵を受け取り部室として使われている第2音楽室に向かって移動するそして部室に着くと部室の前で同じ学年の人達らしき人達が2人待っていた

「ねぇ、もしかして軽音部に入部希望の人達?」

「そうなんだけど、用紙だけ持って鍵預かってくるの忘れてさもしかして預かって来てくれた?」

「俺達はなんで軽音部が無いのかも聞きに言ったからね」

「それで、なんでだって?」

「一昨年の3年が卒業したから去年から活動してないんだってさ」

俺はそう言いながら部室の鍵を開けて中に入りほかの3人もそれに続く形で中に入り適当な椅子に座る

「とりあえず自己紹介な俺は堀内賢吾気さくに賢吾って呼び捨てにしてくれ」

「私は篠原真由美です。呼び方はお任せしますので好きに呼んでください」

「俺は宮原高人な漢字で高い人って書くからたかひとって間違われるんだけどタカトだからよろしくなそんでもってこいつが宮村光(ひかる)ひかりって間違われるらしいけどひかるだから」

「なんで俺が言う前に言っちゃうかな〜手間省けたし良いけどさ」

俺は少し呆れ気味に言うと高人はただケラケラと笑っていた

「とりあえず、得意な楽器教えてくれるかな?」

「だな、そこ重要だしな!とりあえず賢吾から教えてくれ!」

「俺はドラムだ!昔っから太鼓やっててさその延長でドラムも始めた感じ篠原さんは?」

「私はキーボードですね経緯は賢吾君と少し似るんですけど、幼いた頃からピアノを習っていて、たまたま見たバンドの演奏でキーボードボーカルをしていた人がいてその人みたいになりたいなと思ってキーボードも弾くようになりましたお2人は何が弾けるんですか?」

「俺はベースだな!理由はギターより簡単そうだなって思ったから始めて今に至る感じだね、そんでもって光は凄いことにバンドで演奏する楽器は全部できて他にもバイオリンとハーモニカが演奏出来るんだと」

「それ本当ですか!?」

「マジで言ってる?」

2人が俺に問いかける

「嘘言ってどうすんの?まぁ言ったの高人だけどさ、まぁメインはギターかキーボードで他はちょっとサポートする程度だけどね、バイオリンは1度だけ入賞したけどさ」

「ならツインベースやキーボードツインでもイケるな!」

「出来るけど、まずは全員の演奏聞かせてよ」

「それもそうか!じゃあ俺からだな備え付けのドラムあるみたいだしせっかくだしよ」

そう言って賢吾はドラムを叩きだした正直大人顔負けの上手さだと思った

「ざっとこんなもんだ!」

「なかなかじゃん!」

「上手ですね」

「結構上手いよ本当に」

「あぁ、サンキュな!なんか照れくせェーな、まともに褒められたのなんていつ以来かな」

そう言いながら賢吾は自分の席に戻ると今度は篠原さんが立ち上がり持参したキーボードを設定し演奏し始める

選んだ曲はスキマスイッチの奏だ

男性アーティストの曲なのに女子の声だとこうも違うのかと思ったのは言うまでもない

演奏が終わると呟いくように言った

「どうでしたか?」

「思わず聞き入ったよ」

「同意」

「女子の声だとこうも違うのかって思ったね」

「ボーカルは決まりかな?」

「まだわかんねーぞ!とりあえず俺な!光は最後な」

「了解」

そうして高人が演奏し始める高人はbacknumberの瞬きをベースメインで演奏した

俺と比べても遜色ないなコイツは間違いなく本気の俺に着いてこれるだろう

そう思いながら演奏を聞いていると1番だけを演奏して辞めてしまった

「なんで途中で辞めたの?」

「ごめん、この曲はここまでしか弾けないんだけど1番自信あったからさ」

「そうなんですね、でも確かに上手でした」

「正直かなりだよ!俺はそこまでベースは弾けないからな」

「何言ってんだよメインはギターかキーボードなんだろ?なら早く演奏しろよ!お前の番だぜ!」

「OK」

俺は立ち上がりギターを演奏し始める俺が選んだ曲はイノハリのハイスクールだ俺は目を閉じたまま歌っていく

「マジかよ!上手いだろうとは思ってたけどここまでなのか!?」

「さっきから目を閉じたままなのに1つのミスもないですね」

「それになんだよこの声!この曲はボーカル確かに女子だよな?こりゃとんでもないな」

俺は最後まで歌いきると深く息を吐き出すそれと同時に3人から拍手が送られた

「ボーカルはお前だな光!ギターボーカルよろしくな!」

「いや、光の場合もうマルチボーカルだろ!」

「いや、言い方!」

「でも、私も光君がボーカルやる方がいいと思います!」

「まぁ、3人が言いながらやるよ」

「じゃあ頼むなバンドリーダー件部長!」

「ちょっと待て!俺が部長もやるの?」

「決まってるじゃんか!」

「だな」

「はい!」

俺は項垂れながらもわかったよと告げて引き受けることにした。

「とりあえずさまずは練習日決めようよ!それと目標」

「目標は当面技術向上でいんじゃね?」

「いや、小さくてもいいからLIVEだろ!」

「とりあえず、どっちもにしましょうよ!」

「あぁ〜言いづらいんだけど、技術向上はともかくLIVEは小さくてもいいなら父さんの知り合いのBARでやれるよ?」

「「マジか!(で言ってる!?)」」

「できるんですか?」

「多分だけどね、まだ確定じゃないよ聞いてみないとわかんないからね」

「でも、可能性があるだけ良いって!」

「ですよね!」

「同意だな」

「とりあえずLIVEの話は一旦保留練習日決めよう!」

「俺は火曜と木曜は家の用事で悪いが無理だ」

「私はも塾があって申し訳ないですけど、火曜と木曜は

無理です」

「高人は?」

「特に用事はないけど、あったら事前に言うよ」

「じゃあ基本月水金を練習日にしてそれ以外は、予定が合えばって事で良い?」

俺がそう、確認をすると全員が頷いたので俺は部員と部長の欄に俺達の名前を書き練習日を記載したそのプリントを提出しに行く

「今日はこのプリント出して帰るけど、皆は?」

「俺も今日は帰るかな?」

「じゃあ今日は解散だな」

「ですね!」

そうして俺達は解散し俺はプリントを提出してから帰路に着いた。その後帰宅し制服を脱いで動きやすい格好に着替えたあとギターを弾くこれはもはや日課だそうして小一時間ほどギターを弾いていると下から夕飯だと告げる声が聞こえ降りていく

そして夕飯の席で今日の事を聞かれたので答える

「軽音部に入って部長になって目標が技術向上と小さくてもいいからLIVEする事に決まって後は練習日も決めて今日は解散明日は個人練習で明後日から本格的に活動するよ」

「そうか、ちなみにその子たちの演奏はどうなんだ?」

「全員かなり物もだよ!ベースの奴は多分俺が本気で演奏しても着いて来れると思う」

「そりゃ凄いな!有望じゃないか!」

「でしょ!?俺も驚いたよ」

などと話をしながら俺達は夕飯を食べ終え俺は再び部屋でくつろぎ少ししてシャワーを浴びてから就寝した

それから2日経ち迎えた練習日、俺達は予定通り技術向上に務めて行く

「ストップ!今の所は少しだけテンポ早くても平気だから

そうして!後、高人は少しベース遅れ気味になってるから気を付けて」

「おう!」

「わかった!」

「了解です」

俺達はひたすらに練習を繰り返し全員の技術の底上げをしていくそうして俺達は時間が合う限り練習していく中、LIVEの件を父さんに相談してみる

「父さんちょっと良い?」

「どうした?」

「知り合いで昼間はカフェで夜はBARをやってる人いるでしょその人の所でLIVE出来ないかな?」

「どうだろうな?本人に聞いてみるといいさ」

そう言って父さんはその人に電話してくれた

「もしもし、私だ実はな光が頼みがあるらしい、わかった代わろう」

俺は電話を代わる

「こんばんは、おじさん実は頼みがあってさ、GWで良いからおじさんの所でLIVEさせて貰えないかな?」

(GWなんて言わずいつでも来るといい!おじさん大歓迎だ)

「ありがとう、でも皆の予定が空いてそうな日がGWなんだよそれで小さくてもいいからLIVEがしたいって話でそれならと思ってさ」

(そういうことなら、任せるよまた改めて連絡くれ)

「わかったよ!ありがとう」

そう言って電話を切って父さんに返す

「なんだって?」

「いつでもおいでってさ」

「そうか、とりあえず、初LIVE頑張れよ」

「うん」

そうして俺は部屋に戻り就寝した

そして次の日俺はLIVEの件を皆に伝える

「LIVEの件OKだってさ」

「マジで!?」

「ホントかよ!?」

「本当なんですか!?」

「あぁ、マジで本当LIVEはGWの最終日で良い?」

「もちのろん!」

「私も大丈夫です」

「俺もそこでいいよ」

「じゃあ決まりね!さぁ、練習しよう!」

「待ってくれよ!光部長」

「光部長って…まぁいいや、それで何?」

「俺達だけの曲が欲しいって言ったらダメか?」

俺は少しだけ考えてから賢吾に質問する

「2つ質問していいかな?」

「あぁ、もちろん」

「1つそれは今すぐ?」

「いや、LIVE後でいい」

「2つ賢吾は作詞作曲の経験は?」

「ないけど、やってみたい」

俺はまた少し考えてから返答する

「じゃあ、皆への課題にするよ!もちろん俺もやる」

「私も作詞作曲なんてやった事ないんですけど…」

「俺もない!」

「多分ここにいる全員がないからやってみようと思う何事も挑戦だよ」

「まぁ光がそういうならやってみるけど、実際どうやるんだ?」

「最初は超適当な鼻歌とかを上手く繋げて曲っぽくするのもアリだしこう弾いてみたいっていうのを音にしてみてもいいんじゃない?」

俺がそう言うと3人は難しい表情を作り百面相しだしたので俺は手を叩いて意識を引き戻す

「はいはい!悩むのはそこまで!練習するよ!」

俺の言葉に全員がハッとした表情になり急いで準備して配置に着く

「じゃあ、いくよ!backnumberのサイレン今回は歌なしね!」

そうして演奏を始める俺はまた目を閉じ演奏する

そうして1番が終わったタイミングで演奏を止める

「はい、ストップ!ドラム走りすぎ!ちゃんと音聞いて走り気味でいいから走らせすぎないで」

「悪ぃ悪ぃ」

「後、キーボードはもっとグイグイ来ていいから!高人もだからね!」

「わかりました!」

「了解!」

「じゃあ最初からね!」

そうして時間いっぱいを使って5曲程練習し解散する

 

賢吾・真由美視点

 

「篠原さぁ、どう思う?」

「何がですか?」

「いやさ、確かに俺達の演奏の腕っていうかは上がってるのかもだけどさ、俺達ってもっと和気あいあいとした感じで音楽やりたかったんじゃないっけ?」

「そうなんですけど…私は光君とならもっと凄い演奏が出来るんじゃないかってワクワクもしてるんです!賢吾君もそうなんじゃないですか?」

そう言われて考えるもっと和気あいあいとした感じでやりたいのも事実だけど、確かに篠原の言うことも一理あると思っているのも事実だ、それでも光がいなきゃここまでの演奏にならないとわかっている俺がいて正直どっちつかずなのだ

「あいつは多分音楽と真剣に向き合ってるんだよな」

「どういう事ですか?」

「俺達は楽しく音楽やりたいって思ってやってるだろ?

でも、あいつは違う多分だけど、なにか夢があるんだろうなその夢に向かって音楽をやってるんだよきっと」

俺は結局どうしたいのか答えが出ないままの現状に嘆いている

 

高人・光視点

「高人っていつからベースやってるの?」

「え?あぁ〜小学校の低学年の頃からだな、ずっと惰性でやってるから技術はそこまででもないぜ」

「でも、俺より音楽歴は長いよ、俺は小学校の中学年からだもん」

「まぁ、でもお前は惰性でやってる訳じゃないだろ?」

「あぁ、やっぱりわかる?」

「まぁな、惰性でもなんでも音楽やってりゃ何となくはわかるさ」

「俺はさ、誰もが認めるアーティストになりたいんだプロ並みじゃダメなんだよ!それに、どうせならこいつらとじゃなきゃって奴らと音楽やりたいしね、最近は今のメンバーでそうなれたらとは思ってるよ」

「そうか、まぁ、惰性でやってる俺なんかでよけりゃいつでもお前の隣に立ってベース弾いてやるさ!」

「その言葉忘れんなよな!」

そう言って拳を突き出す俺に高人も拳を打ち付けてから一言

「任せろ!」

と言った。そうして俺達は分かれ道からお互いの家の方向に向かって自転車を進め帰路に着いた

その夜、俺は父さんが帰ってきたタイミングで俺達家族が音楽専用の部屋として使っている場所に向かった

「父さん、久々に一緒に弾かない?」

「久々にやるか!」

そう言って父さんもギターを持って来てチューニングする

「曲はどうするんだ?」

「TOKIOは?」

「宙船だな」

そうして俺達は2人で演奏する中、父さんが言った

「何かあったのか?」

「特別な事じゃないんだけどね、作詞作曲について教えて欲しくて」

「そういう事か、まぁ、俺も作詞作曲はした事が無いが、まずもってお前はどう考えている?」

「自分がどう弾きたいかどう聞かせたいかを音にするって事くらいかな?」

「それは段階で言えば2段階目だ」

そう言って父さんは近くのホワイトボードに色々と書いていくそして説明してくれた

「1段階目はテーマだな」

「テーマ?」俺は聞き返す

「そうだ、例えばわかりやすい例えなら家族だじゃあ、その家族についてどう書くか誰に向けるかでも違ってくる」

「父さんや母さん、または爺ちゃんや婆ちゃんでも確かに違うよね、吉田山田の日々なんかはまさにそうか」

「そうだな、あれが1番わかりやすいだろうつまりだ、テーマを決めてそのテーマの中でどう弾くか、どう聞かせたいかを考えて書くそれが2段階目だ」

「なるほどね〜なんとなくだけど掴めた気がするよ!父さんありがとう」

「お安い御用さ、そろそろ夕飯だ、戻ろう」

「そうだね」

そうして俺達は部屋を出て居間に行くと既に夕飯の準備は出来ていた

「準備出来てるわよ!2人で何を話していたの?」

「光が作詞作曲に挑戦したいらしくてな、俺の意見を参考にしたいと言うので演奏がてらにちょっとした講義をな」

「あら、なら私に聞いてくれたら良かったのに」

「母さんの感性って独特過ぎて参考にならないよ!」

「そうかしら?」

「まぁ、母さんだからな」

「あら、嫌だ、そんな私に惚れ込んで全力で口説いたのはどこの誰よ」

「言わせないでくれ」

「アッハハハ、またそれ?もう耳タコだよ!」

そう言いながら俺達は夕飯の時間を楽しんだ

俺はその後部屋に戻り何も書かれていないノートにテーマになりそうな言葉を書いていく

「えっと家族、友達、仲間、親友、季節、自分?いや、どれも違う気がするな〜」

そう呟き俺は何気なく部屋の時計を見てノートに時間と書き出すと自分の中にストンと落ちたような気がした

「時間だ!今書いたテーマの中に必ずあるものだ!友達と過ごす時間や家族との時間仲間や親友と呼べる皆との時間季節も移り変わるって意味も含め時間だよね!」

そうして俺はテーマを決めてギターを手に取り適当にコードを奏でる

「違うこうじゃない!もっとこうさなんかあるんだよ!」

そう言いながら俺はひたすらに弾いていくがこれというものかなかなか出来ずに頭を悩まていたがふと、時間を見ると

22時を回っていた

「もうこんな時間か!今日はここまでだな!」

俺はギターを置き着替えを持ってシャワーを浴びて戻りすぐ就寝した

次の日俺は父さんに教わった事を皆に伝えた

「つまりさ、俺が言ってたこう弾いてみたいとかこう見せたいってのは次の段階らしいんだよね、最初にテーマを決めておいてそこからどう弾きたいかを考えていくのが良いみたい」

「なるほどな、そうすれば簡単な方ではある訳だ」

「じゃあテーマからですね」

「て言っても何が良いんだ?光は決まったのか?」

「俺は時間にしたよ、家族や友人と過ごす時間や自分が生きてる時間のその先なんかをイメージしたらたどり着いた

テーマだったね」

「なるほどなじゃあ、俺達もそのテーマで書いて見るか!」

「それならいい歌詞が浮かぶかもしれないですしね」

「かもな」

「まぁ、確かに曲作りもだけど、GWのLIVEのセトリ決めないとだよ?それに向けて練習しないと」

「そういえばまだ決まってなかったな!」

「忘れてました」

「俺も失念してたわ」

「まずもってそこからだからね!」

俺は念を押すと皆が頷き考える

「アレでよくね?世田谷ラブストーリー」

「一応BARなのに旧道沿いの居酒屋を出てとか歌っていいのか?」

「言えてる」

「確かに…」

「あの!ならeverifはどうですか?」

「あれは俺はピアノとバイオリンでイけるけど、バンドアレンジとかは出来ないよ?」

「光君のソロで聞いてみたいんですけど…ダメですか?」

「俺は構わないけど、2人は?」

「いんじゃね?」

「まぁ、ただバンドの曲だけってのもな」

「じゃあ、一応世田谷ラブストーリーとeverifとあと一曲は?」

「俺から希望言っていい?」

「とりあえず言ってみて」

「愛、テキサス」

「あぁ、あれ?ならまださ抱いてセニョリータの方よくない?」

「俺は愛、テキサスがいいんだよ!一応歌詞にテキーラ入ってるだろ?BARで演奏する訳だし、お酒繋がりって事でさ」

「まぁ、いいよおじさんは演奏そのものは大歓迎らしいしからさとりあえずそれでいいならeverifラストになるけどいいの?」

「その曲やるのお前だし、いんじゃね?」

「俺も同感」

「私も賛成です」

「じゃあ、世田谷ラブストーリー、愛、テキサス、everifの

順番でいい?」

「「「異議なーし」」」

「じゃあ、さっそく練習ね!世田谷ラブストーリーからいくよ!」

そうして俺達はLIVE予定日まで時間が合うと時にはひたすらに練習した。俺は1度通して演奏した後細かいミスを指摘し演奏のクオリティを上げていく

高人は問題なく着いてこれているが2人はどうしても難しい部分があるらしく、俺は横でキーボードやドラムを演奏したりして見本を示しながら練習する

そうして迎えた当日の夜俺達は一度学校に集まりそこから電車で2駅移動しそこから更に15分程歩いて目的地に到着する

「ここか?」

「そうだよ!ここでやるからね」

「俺達未成年なのにな」

「LIVEしに来たんだから関係ないって!さぁ、いくよ」

そうして俺の後に続いて皆が中に入る

「こんばんは、おじさんいる?」

「おう、来たか!さっそく頼むよ!お客さん達も今日は演奏が聞けるのが楽しみらしいからさ」

「OK、さっそく準備するよ」

そうして小さなステージに上がり俺達はそれぞれの楽器を準備し頷き合うと俺はマイクを通して話し出す

「こんばんは、俺達は軽音部として活動していて今回はここで演奏させてもらうことになりました!まずは1曲聞いてください!世田谷ラブストーリー」

そうして俺達は演奏を始める

この曲は一緒にお酒を飲んでいる君という存在を帰したくないと思いながらも君を駅まで見送るそんな曲だ

そうして俺達は1曲目の演奏を終えると拍手が巻き起こる

「1曲目は世田谷ラブストーリーでした!正直BARなのに良いのかって思ったんですけど、おじさんは気にするなって言ってくれたので歌わせて貰いました!じゃあ2曲目にいきます!

愛、テキサス」

俺達は2曲目を演奏し始める

ハードボイルドな世界観が特徴的なこの曲を俺達の音で表現していく中あっという間に2曲目が終わり最後の曲となる

「次が最後の曲です。俺がピアノを弾きながら歌います

聞いてくださいeverif」

そうしてラストの曲を演奏していく

この曲の主人公の好きな人には既に決まった人がいてそれでも彼女を離したくない時間を止めてでも、それほどまでに彼女を想うそんな曲だ、曲のせいか皆がシンとしている中でラストの曲が終わる

「聞いてくれてありがとうございました」

俺達は頭を下げると再度拍手が巻き起こる中俺達は店を後にした。

初LIVEは概ね成功と言えるだろうまだまだ技術不足は否めないけれどそれでも、成功は成功だ

「上手く行ったな!」

「そうですね!やりきった感はあります」

「でも、まだまだだせ!次は文化祭があるからな!と言っても夏休み明けだけどさ」

「だね、それぞれの課題もあるしね」

「文化祭までに1曲はオリジナルが欲しいよな!」

「幸い期間はありますし!練習しながら少しずつ進めていきましょう!」

「だな、それっきゃないよな!」

そうして俺達は自分達の曲を作るべく奮闘する

もちろん技術向上も忘れない

そんな中で俺はテーマが決まってもそれから先が決まらずに少し焦っていた皆は作詞で悩んでいるらしいが俺はまだ作詞にすら至らない

「あ〜ダメだ!全然違う!こうじゃないんだよ!」

そう言ってベットに倒れ込む

「どうしたらいんだろうな〜自由でいいんだろうけど、思いつかないもんな〜」

俺はそう言って立ち上がりギターを置いてから何枚かCDを手に取る

「気分転換も必要だしな」

そう呟き1枚のCDをプレイヤーに入れ再生する

そうして流れてくる曲を聞いているとこんな曲もあったなと思った曲が再生された曲名は罪の名前

ボカロ曲で運目の女神の気まぐれで人から軽蔑される容姿を持ったの少女と目の見えない少年が出逢うそんな曲だ

「神様なんて信じてないしな、でも、魔法は憧れあるよな」

そう呟いた時には曲が終わっていた

「ちょっとだけ考えすぎなのかな?もっと自由に書いて弾いてみるか!」

そうして俺はまた適当にコードを弾きながら自問自答する

君にとって時間って何?永遠にも感じるもの

じゃあ、未来って?不安なもの

過去はどう? 懐かしむもの、同時に振り返るもの

じゃあ今、現在はどうなの?分からない、先の見えないもの

それなら憧れって何?音楽以外なら

魔法なんかのファンタジーかな?

なら希望って何? 俺の希望は音楽そのもの

じゃあ絶望ならどう?先が見えなくなればそれが絶望それが不安

それをそのまま歌で伝えられる?わからない、でもやってみようかな

そうして俺は弾いては書いてを繰り返して曲が出来上がった

「自問自答してる間に曲出来たな」

俺は完成した曲を弾きながら歌っていく

未来ってなんだろ?時間ってなんだろ?考えて浮かぶ答えは言葉は正解なの?本当に?音楽が希望ならそれは魔法かな?だといいな先の見えないものが絶望なら魔法で希望を作り出して未来を描こうそれが未来に繋がるように

そうして演奏を終えると俺はギターを持って部屋を出て音楽専用の部屋にいる父さん達の所に向かった

「父さん、母さん曲出来たよ」

「本当か?」

「是非聞かせてちょうだい」

「もちろん!じゃあいくよ!」

そうして俺は父さんと母さんに俺が作った曲を演奏する

そして演奏終えて感想を聞く

「いい曲じゃないか!先の見えない未来に不安を抱くよりも希望を持って未来を描こうとする若者らしいさがあるな」

「そうね、自問自答して答えが出ないまま不安なものを持って未来を見るよりも魔法なんかで希望に変えようなんて素敵じゃない!」

「良かったよ!2人がそう言ってくれて自信が持てたよ」

「自分と自分が作った曲を信じろ光!」

「そうよ!自分の曲を信じられないなら曲は答えてくれないわ」

「そうだよね!俺、この曲を皆とやりたい!」

「頑張れよ光」

「思うままにやりなさい」

「ありがとう父さん、母さん!」

この時の俺はまだ知らない、この曲がきっかけとなり

メンバーが離れて行くことを

次の日の昼休み俺は皆に曲が出来たことを伝え演奏する

「正直俺達の曲よりクオリティ高いしいい曲だな」

「そうだよね!私は好きかも!」

「お前の事だからとは思ってたけど、やってくれたな!」

「気に入ってくれたなら良かったよ!この曲メインにして練習して行こう!」

「あいよ!」

「わかりました」

「了解」

それから俺は自分が作った曲だからこそ最高を超えた超最高の演奏になるように皆と練習する

「今の所もう1回ドラムがモタついたよ!」

「無茶だよ!これでも全力だぜ!」

「なら全力を超えないと!こうするんだよ!」

俺はいつものように見本を示す

「やれんのか?俺に」

「やれるかじゃなくてやるんだよ!大人なんか目じゃないくらい賢吾のドラムは凄いんだからさ!」

「おっおうわかった!」

「キーボードも遅れないでね!なんならワンテンポ早くスタートしていいから!」

「はっはい!」

「ベースはもっとクオリティ上げて!」

「任せろ!」

そうして練習する日々の中で唐突に賢吾と篠原さんが来なくなった

「2人は?」

「ん?あぁ、今日は休むってさ!」

「なんで?」

「2人とも腕が痛いんだと」

「痛くなるほど練習したのかな?」

「さぁな」

「高人は平気?」

「俺は大丈夫だお前の曲弾けんのすげー楽しいし何より俺のベースの腕が上がってるのめっちゃ実感できて今が1番楽しんだ」

「じゃあ今日は2人でやろうか」

「だな」

そうして高人と2人で練習してその日は解散する

そしてその後も2人は全然来なかった

「全然2人来ないね」

「もう来ないかもな!」

「なんで?」

「あいつら演奏する事が今じゃ苦痛なんだろよ」

「演奏が苦痛ってなんでだよ!?」

「まぁ、強いて言うならお前のせいだろうな」

「俺が悪いのか!?」

「お前がバンドでやる楽器全部演奏できて俺たちより頭一つも二つも抜けててそいつが作った曲を一緒にやる事になって更に求めるクオリティまで高いと来たらな」

「でも、高人は楽しいって言ってたじゃんか!」

「俺はずっと惰性でやってきてた所にすげーたかいハードル用意されて浮かれてるんだよ!でもあいつらは違ったんだろうさ」

俺は言われてハッとした今まで俺は自分が出来るなら他の人もできると思ってたけど、違った皆が皆俺や高人並に出来たら苦労はない、俺は技術向上の目標を意識して俺の技術を皆に伝えてきた、それが間違いだったのか?

「高人、俺はさ、技術向上って目標を意識し過ぎてたのかな?」

「いや、多分考え方の違いだろうよ!あいつらは読んで字のごとく音を楽しんで鳴らしたかったんだろさ、でも、お前は誰にも恥じる事ない演奏をして皆で楽しみたい、そう考えてたんだろ?」

「そうだよ!それのどこがいけなかったのか分からないんだよ」

「間違ってないさ、少なくとも俺はお前と演奏するのは楽しんだからさ、とりあえず賢吾と篠原と話してみろよ!辞めるなら辞めるで俺は止めないお前と演奏出来るならなんでもいいからよ」

高人の言葉が今の俺には凄くありがたかった

俺はとりあえず軽音部のグループLINEに話がしたいから時間を取ってくれとメッセージを入れるとすぐに返答が帰ってきた

1体1で話すならと言う内容だった、俺は明日の昼休みと放課後に時間をとってもらい話をする事にした

「高人、先に謝っておくな、多分軽音部から俺かあの二人がいなくなる、だから、ごめん」

「まぁ、お前がいなくなったらまた惰性でやってた頃に逆戻りだわなあの二人が残ってもあの時みたいな演奏は二度とできねーだろうしよ」

「かもね、だからごめん」

「まぁ、今更どうしようもないだろうしな、いいよ許すさ、その代わりって言ったらなんだけどさ、お前が作ったこの曲のコピーじゃないちゃんとお前の字で書いた方俺にくれないか?後、デモテープみたいなのもあったら欲しいんだ」

「わかった」

俺はカバンからノートを取り出し詩のページを破いて高人に渡す

「サンキュな」

「いいよ、別に、デモの方なんだけどさ高人ウォークマンって持ってる? 」

「あぁ、持ってるけど?」

「今日借りていいか?」

「良いけど、もしかしてウォークマンに入れてくれるのか?」

「そのつもり」

「OK、じゃあ、預けるぜ」

俺は高人からウォークマンを受け取った後、俺達は帰ることにした

帰り道高人は俺が渡した譜面をずっと眺めながら自転車を走らせている

「コケるぞ!」

「まわり見えてるから平気だっての」

「まぁ、良いけどさ、高人ギターでも覚える気?」

「あ?んなつもりはねーよ」

「なんで譜面を見てんだよ?」

「いつかお前とまた演奏する為に完璧にする為だよ、これっきりかもしれないし、まだチャンスがあるかもしれない、それに備えてな」

「そっか、まぁ、後は話し合い次第だけどな」

「だな」

そうして俺達は 別々の方向である帰路に着いた

帰ってから俺はすぐに部屋に行き相棒を手に取る

「ちょっと付き合ってくれな相棒」

そうして俺はまたデタラメにコードを弾いていき1曲作り上げる

「タイトル付けるなら別れと始まりかな」

俺はその曲を高人のウォークマンに入れて一応コピーも取っておきそれを机の上に置いてからリビングにいる父さんと母さんの所に行く

「父さん、母さん非っ常に言いずらいんだけどさ、俺の今までで1番の我儘を聞いてくれる?」

2人はお互いの顔を見合わせてから頷く

「言ってみなさい、話はそれからだ」

「そうね、聞いてみない事にはね」

「そうだよね!じゃあ、まずは話からだね、俺さこことは違う全く新しい環境で音楽がやりたい」

俺の発言に2人は案の定驚いた表情を作る

「なにかあったのか?お前がそう言い出すって事は」

「うん、失敗した。失敗して全部失う寸前なんだ」

「それは、お前がいなくなったら解決するのか?」

「少なくとも音楽は続けてくれると思う」

「音楽を辞めそうなの?その子達」

「うん、俺が作った曲があったでしょ?あの曲をね演奏する側も聞く側も最高だって思って貰いたいと思って皆と練習してきたつもりだったけど、食い違ったそうして多分音楽を嫌いになりかけてる」

「そう…」

それだけ言うと母さんは黙ってしまった

代わりに父さんが口を開く

「光、お前の夢はこのメンバーじゃなきゃって思えるメンバーと大きな舞台で最高の演奏をする事だったな」

「そうだけど…」

「その夢諦めるのか?」

「そうなるかな」

「じゃあ、新しい夢は?目標はあるのか?その為に何かを捨てられるのか?」

「もちろん考えたよ!それで俺に捨てられるものって言ったらこれしかなかった!」

そう言って俺はさっき作ったばかりの曲の譜面を見せる

「さっき出来たばかりの曲、俺は自分の曲を捨てるよ!」

「ちょっと待ちなさいよ!すぐに決めることはないじゃない!それにせっかく作った曲なのに!」

「良いんだ!俺にあるものって言うか、俺の価値観のど真ん中に音楽があるそれで考えた音楽を捨てる事は絶対に出来ない!ならその音楽の中から捨てられるものってなんだろって考えた時浮かんだのは作詞作曲しかなかったんだ」

「それにしたって!」

なにか言おうとする母さんを父さんが手で制す

「それで良いんだな?」

「うん、これからはソロでやっていく!もちろん有志でバンド組んだりとかはするだろうけど、二度とオリジナルの曲は作らない、これからはカバーアーティストを目指すよ!その代わり誰もが認めて、たくさんのアーティストから自分の曲を歌ってくれって言われるようなカバーアーティストになるよ」

父さんはしばらく難しい顔をしていたが頷いてから話し出す

「わかった認めよう!ただし!3つ条件がある」

「その条件って?」

「1つ父さん達からも金銭面は支援するそれとこれからもお前は父さんと母さんが与えたコネをフルに使っていけ!そうしないとお前の道は険しすぎるからな」

「でも、良いの?」

「父さんと母さんから与えられる金銭面以外の支援さフルに使え」

「ありがとう、そうするよ」

「2つ夢を叶えるまで帰ってくるな!休みの帰省もしなくていい!」

「わかった!その代わり夢を叶えたら真っ先にLIVEを開いて父さんと母さんを招待するよ!」

「期待してるよ」

「うん、待ってて!」

「最後に3つ目ビデオレターでもテレビ電話でもいい、ちゃんと元気な姿を見せてくれ」

「え?それで良いの?」

「もちろんだ、お前が元気な姿を見せてくれたらそれでいいんだ」

「月一で必ず送るよ」

「待っているよ、その代わり夏休み前まではしっかり学校に通え夏休みに入ると同時に学校を中退し塾と家庭教師で勉強してもらう、そうして来年2月に編入試験だ」

「肝心なこと聞いてないんだけど、学校はどこ?」

「ここだ、羽丘学園」

そう言って1枚のパンフレットを取り出して見せてきた

「ここって進学校じゃないの?」

「それがな、ここと花咲川学園は元々女子校で最近共学になったらしいんだよそれに音楽関係に携わる子達も数多く在籍しているらしい」

「そうなの?」

「世間じゃ大ガールズバンド時代なんて言われてるくらいだ!ガールズバンドだけじゃない、たくさんの音に触れ自分を高めて来い!」

「わかった!」

そうして俺はその日は就寝した

次の日の昼休み俺は屋上で篠原さんを待っていた

「あの!お久しぶりです。遅れてすいません」

「いいよ、別に、あのさ、まず最初に謝らせてごめん」

俺は頭を下げて言葉を続ける

「俺は自分の曲を演奏する側にも聞く側も最高だって思って欲しかった、それで無理をさせたかもしれない!だからごめん!」

「あの!頭をあげてください!確かに私は光君から光君の曲から逃げたかもしれません!でも、それは自分の技術がまだまだだってわかったからです!だから私は軽音部じゃない場所で1からキーボードを演奏したいんです!いつか必ず光君が心から心の底から選んでよかったって思ってくれるキーボード奏者になりたいんです!だからこっちこそごめんなさい!」

俺は篠原さんの意志をちゃんと聞けて良かったと思った

「わかった、でも、軽音部には残って欲しい!その代わりって訳じゃないんだけど、俺が抜けるから」

「どういう事ですか?」

「新しい環境で1から音楽をやることにしたんだよオリジナルの曲を捨てる事になったけど、後悔はしてない」

「それって…」

「良いんだ!もう、決めたんだ!じゃあね」

そう言って俺は教室に戻って高人の所に戻った

「よう、話せたか?」

「まぁね、そういえば高人、これ、頼まれてたやつ入れておいたよ」

「サンキュな」

「お安い御用」

高人はさっそくイヤホンをして聞く体制に入る

「おい、光!1曲以上入ってんのなんで?」

「ギターソロとキーボードソロ俺が全部の楽器演奏したやつと他に俺が作った新曲2曲入れておいたよ」

「ちょっと集中して聞かせろ!話しかけんなよ!」

そう言って高人は両耳にイヤホンをして曲を聞き始める

俺は手持ち無沙汰になりギターを弾き始める

昼休み終了10分前になり高人はイヤホンを外すと口を開く

「光、お前やっぱりすげーやギターソロもピアノソロも全楽器演奏版も全部すげーただそれしか浮かんでこないんだよ!それに後半の新曲の2つ片方は友達、親友、仲間そんな言葉は違えど大事な関係で大切ものだって言ってる曲で最後の曲は聞いた瞬間わかった、お前、いなくなるのか?」

俺はただ黙って頷くと高人はただ一言「そうか」と呟いた時

チャイムが鳴り午後の授業が始まった

そして午後の授業も終わった放課後俺はまた屋上で今度は賢吾と話していた

「俺は戻んねーぞ!」

「そこをなんとか!頼む!」

俺は頭を下げる

「今のままじゃダメなんだよ!お前の曲は今の俺じゃ演奏出来ない!」

「でも、軽音部には残ってくれないか」

「どうしてだよ?あそこはもうお前の音楽を奏でる場所だ!そして選ばれたからには俺はお前の後ろで堂々と胸張ってドラムを叩ける存在になりたい!俺はさ最初は楽しく音楽やれたらいいって思ってた、でも、お前の曲聞いた瞬間絶対他の奴らにやらせたくないって思った、それで必死に練習したけど、お前の求める音に達せない俺が嫌になった!だからこそ!本格的に本腰入れてドラムやりたいんだ!」

俺は賢吾が篠原さんと似たような考えだった事とそこまで俺の曲を気に入ってくれてた事に驚いた

「そこまで俺の曲を気に入ってくれてたんだね」

「当たり前だろ!あんなのお前にしか書けないんだよ!お前しか弾けないんだよその曲のドラムを任せてくれるって言ってくれたんだぜ?嬉しくないわけがねーだろ!なのに俺は全然ダメで正直自分にガッカリなんだよ!」

「ごめん、俺、お前らを焦らせ過ぎたかもな!それに音楽を辞めちゃうんじゃないかって思ってた」

「あぁ!何度も辞めたくなったよ!でもその度にお前の曲聞く度に奮い立たされたんだ!あの曲は自分自身を深く理解出来る曲だよ!だからこそ!お前の後ろで堂々と胸張れるまであの場所には戻れない!」

「でも、俺がいなくなったら高人1人じゃあの場所を守れなくなる」

「は?それどういう事だよ!?」

「新しい環境で1から音楽をやるその代わりオリジナルの曲は捨てる事にしたんだ」

「待てよ!なんでそうなる!?」

「もう、決めたんだよ!俺の代わりにその曲覚えておいて」

そう言って俺はその場を後にしその日は帰宅した

俺は家に着くと最初に作った曲以外の譜面は破り捨てた

それから俺はひたすらにカバー曲だけを演奏する。

全ての楽器で全部の演奏を1人で担うため殆どの時間を練習に費やした

「これからしばらくは演奏の時間が減るだろうしな、今のうちに少しでもやれる事はやっておかないとな」

そう言って俺はまた練習を再開する

そうして俺は学校では高人と演奏しそれ以外の時間はひたすらにカバー曲のクオリティを上げることに費やす中迎えた

終業式の日、俺は式が終わって教室に戻った後必要書類を持って職員室に行き書類を提出して学校を中退した。

それからは昼間は9時から12時まで家庭教師に勉強を見てもらい夕方から夜まで塾に通い暇が出来たら練習に時間を使った

そうして夏休みからずっとそのスケジュールで動き続けた

そうして夏休み最後の日高人と久しぶりに会って話した

「随分久しぶりだな」

「だよね」

「夏休みの開始と同時に学校辞めたんだって?」

「あぁ、うん、環境変えて1から音楽をやるって決めた時から中退する予定も決めてたんだ」

「そうか、でも俺はともかくあの二人には言ったのか?」

「言ったよ!納得は出来てなさそうだったけどね」

「まぁ、当然ちゃ当然か」

「高人は周りをよく見てるからこそなんだろけどさどこまで気付いてんの?」

「さぁな、俺が知ってんのはお前がいなくなる代わりにあの二人が戻ってきた事くらいだよ」

「そうか、戻ってきたんだね」

「あぁ、夏休みに入ってからは毎日午前中は練習に費やしてるよ!お前の曲を演奏してる」

「そっか、俺は今はほとんど勉強漬けの毎日だよ、まぁ約束だし、後、半年はこれが続くんだけどね」

「嘘だろ!?半年もか!?」

「編入試験が来年の2月だからね、それまでは夜にちょっと楽器触るくらいかな」

「マジかよ!大変だな」

「毎日頭が痛くなるような思いだけど、新しい道への1歩だから、やらないとね」

「なら、息抜きに演奏しようぜカバー曲でいいからよ!」

「やろうか!」

そうして俺達は2人で数曲演奏して解散した

それから俺は秋祭りや年末年始そっちのけで勉強と練習に力を入れた、そのおかげか年明け2月の編入試験に無事合格し

4月からは新しい環境で1から音楽をやる事になる俺は最後にもう一度皆に演奏を届けるために許可を貰い学校の軽音部に顔を出すと皆が出迎えてくれた

「光、来たのか!」

「あぁ、最後に皆の前で演奏しようと思ってさ」

「て事は、そろそろか」

「そうなるね、最後だし、屋上でいいかな?」

「私は構いません」

「俺もだよ、なんかあるんだろ?」

「まぁね」

そうして俺達は屋上に移動し俺は準備をしてから話し出す

「皆の前で演奏する最後の機会になると思うから全力でいくね!WildCard!」

俺は曲名を告げ演奏する

『正解さえも間違いさえも無いただ一つの道を

 

何度だってやり直せるのさリセットキーを押せる強さを

失う物は何も無いだろ?ゼロという名の無限の力

偶然も運命と呼べばFlow

不器用は武器にすりゃいいのさ

越えるべきものがある強さを

一つ二つ壁を壊すたび試されるのさ本気のカード

奇跡掴み取るんだその先に何がある?

正解さえも間違いさえも無い自由すぎるこの宙(そら)で

僕らは探し続けるんだただ一つの道を

 

光があれば影があるのさ全て受け入れられる強さを

イイことだけじゃつまらないだろう?

逆境さえも楽しむ力

Yes or No 思うままにDraw

不可能なんて有り得ないのさ手段さえも選ばない強さを

一人二人追い越すそのたび見えてくるのさ自分のカード

想い解き放つんだその先に何がある?

右も左も明日さえも見えないジグザグな足跡でも

僕らは描き続けるんだ自分だけの道を

そうそこに理由も意味も無い不確かな理想抱いて

僕らは描き続けるんだ終わりの無い道を』

 

俺は演奏する、これからの未来を思い描いて、新しい道への1歩をこの曲に込めて俺の決意を3人に届ける

 

『正解さえも間違いさえも無い自由すぎるこの宙(そら)で

僕らは探し続けるんだただ一つの道を

そうきっと明日さえも見えないジグザグな足跡でも

僕らは描き続けるんだ自分だけの道を

そうきっと自分だけの切り札を僕らは探し続けるんだ』

 

演奏を終えると俺はまた話し出す

「ここじゃあなんだし、移動しない?やりたい事があるんだよね」

「じゃあ、移動するか!」

「そうですね!」

「じゃあ、行くか!」

そうして俺達は移動する、移動した先は学校の近くの河原だった、俺はそこでまたギターを手に取り肩にかけた後一緒に持ってきていた俺の曲を書いた譜面を破り空に向けて投げる

譜面が宙を舞い風に乗って遠くに飛んでいく中俺は演奏する

『振り切った針が指すRedzone

道に薄く残った焦げたその匂い

溢れ出す想いとガソリンを詰め込んで蹴り上げたギア

黒いブーツ頬をすり抜ける風

昨日探してた答えも見つかりそうな気がして

Let's get the dream saw this morning

Going again

Billy Billyに破いた地図が舞ったあの空

雲に呑み込まれそうなあの飛行船

あともう少し手を伸ばせば届くような気がして

そこに何かありそうな

We can find our answers there

 

鳴り響いたアラームで目覚めて

夢の続きがちょっと気になってる

そして淹れたてのコーヒーを飲み干して

お気に入りの「when I come around」ラジオから流れてる

昨日探してた答えも見つかりそうな気がして

Let's get the dream saw this morning

Going again

ギリギリで目覚めた夢の続きもきっと

Do youknow where you 're Going to? This is it

あともう少し手を伸ばせば届くような気がしてそこに何かありそうな

Get ready for the ride

 

賢吾・篠原・高人視点

「あの野郎!自分の詩と決別って意味かよ!」

「後は旅立ちかな?」

「両方だろ!」

俺達はこれから別々の道を行くそんな中で光からのメッセージがなんかあるんだろうと思いながら光の演奏を聞いていく

 

I am dying to Get up and start

Ican't wait anymore

Iawaited the signal to start

It's already time

Will you go with me?

なんとなくうまくいきそうな気がしているんだ

きっとそういうことなんだろ

BillyBillyに破いた地図が舞ったあの空

雲に呑み込まれそうな銀色の飛行船』

ギリギリで目覚めた夢の続きもきっと

Do youknow where you 're Going to? This is it

あともう少し手を伸ばせば届くような気がして

そこに何かありそうな

We can find our answers there

We can find our answers there

Somewhere out there』

 

演奏が終わり俺はまた話し出す。紡ぐ言葉は決まっていた

「皆、お別れだ!だからこの曲が最後だ」

そう言って俺はラストの曲を演奏する

 

『風が教えてくれた未来の行方はこの手の中に

Just ready go君はever free』

 

俺は自分の演奏から一切の無駄な音を消すように演奏する

 

『境界線飲み込んじゃって無い嫌い暗いわからない

曖昧な昨日と今日の違い愉快じゃない?

金輪際 後ろは見ないgoodnight期待 超未来

強大な壁だって越えて行こう

絶対絶命鼻で笑い飛ばせ 一切合切蹴散らして

風が教えた未来の行方はこの手の中に

迷いの中で見つけた答えを翼に変え

Just ready go君はever free

LO-FIな気分なんて嫌い?不快?破壊。君次第

ライオンの背に乗って見た世界無敵じゃない?

進行形未来変えちゃって来good-bye期待 新世界

壮大な空だって超えて行こう

電光石火誰よりも早く

疾風迅雷駆け抜けて

果てない夢を追いかける日々が明日を創る

悲しみさえもひときわ耀く翼に変え

Just ready go君はeverfree』

賢吾・篠原・高人視点

「全くしゃーねな!」

「本当だね」

俺達はそれぞれ光の対面になるように並び演奏する

賢吾はドラムが無いのでスマホのアプリでドラムを叩く

光の対面に立ち俺達はこれから先どのくらいの時間がかかってもお前の隣に並んでやると決意を込めて演奏する

 

『絶対絶命鼻で笑い飛ばせ一切合切蹴散らして

いつかの未来君がめくる1ページ。物語は永久に輝き続け

最後のページをその手の中に

果てない夢を追いかける日々が明日を創る

迷いの中で見つけた答えを翼に変え

Just ready go君はever free』

俺は、いや、俺達は演奏を終えると不意に高人が拳を突き出してきた、俺はそれに応じて拳を軽くぶつける

「またな!親友!」

「あぁ、またな!」

そうして賢吾とも同じように拳を交わす

「いつか必ずまたお前の隣に並んでやるからな!」

「待ってるよ!」

そうして最後に篠原さんと握手を交わす

「いつか必ず光君が認めるキーボード奏者になった時に会いましょう」

「待ってるよ!いつかの未来で」

そうして俺達が言葉を交わしたのはそれが最後だった

それから俺は準備を整えて東京へと旅立った

 

ー回想終ー

 

「これが俺の過去の失敗談だよ」

「そう…確かに、重苦しい話ではないけれど、大きな失敗ね」

「言ったじゃん!こいつらとじゃなきゃって思ってた面子と一緒に演奏できなくなったって」

「そうね、光、申し訳ないけれど、少し席を外してくれるかしら?」

「わかった、じゃあ全員分の飲み物でも買ってくるよ!」

「お願いするわ」

俺は1度席を立ちその場を後にする

 

ガールズバンドメンバー視点

 

「今の話を聞いてどう思ったか全員に聞いてもいいかしら?と言っても、皆の総合的な意見を聞かせてくれるとありがたいけれど」

「じゃあ、少し皆で話そうよバンド事にさ、それで全員の意見をリーダーが代表で発表って事でさ」

「そうね、じゃあ少しの間話し合ってくれるかしら」

そうして私達は皆、それぞれのバンド事に話し合う

それから5分くらい話し合って順番に意見を言っていく

「まずはわたし達から発表するわね!私達はもう一度光に自分の曲を歌ってもらいたいわ!光はわたし達に笑顔だけじゃなくて涙の大切さを教えてくれたわ!だから光自身がもう一度光自身の曲と向き合うために光だけに演奏を届けたいわ!」

「美竹さん達はどうかしら?」

 

「アタシ達も演奏する事には賛成です!でも、アタシ達の曲じゃあダメかなっては思います。光さんの土俵っていうか

ステージでやらないと多分あの人には届かないと思います。」

 

「そうだよね!わたし達だって光君にもう一度自分の曲を歌ってもらいたいし、それなら光君が私達にしてくれたみたいにカバー曲で届けないと伝わらないよ!」

 

「私達も賛成です!LIVEしましょう!ここにいるバンド全員が光先輩に向けてカバー曲で!」

 

「私達からもその提案をしようと思っていたわ!問題は日取りだけれど、いつが良いかしら?」

 

「クリスマスの大カバーLIVEでいんじゃない?」

声がした方を向くと光が両手にビニール袋を持って立っていた

「光、あなた聞いていたの?」

「皆でカバー曲だけでLIVEしたいって言ってた辺りからね」

「あなたの為にやるのよ?」

「聞いてたから知ってるよ!俺の為なんて光栄過ぎる話なんだけど、せっかくなら一生忘れない思い出になったら良いなと思ったからクリスマスにやったらって話なんだけど?」

私達は皆それぞれ顔を見合わせて頷いた

「あくまでも予定よ!だから前倒しになるかもしれないしもっと時期が遅くなるかもしれない、それでも良いのかしら?」

「俺はいつでも構わないよ、皆がそうしたいと思ったなら俺は止めないよ!」

「貴方の為だもの、止められても勝手にするわよ!」

「そう言うと思ったから止めなかったんだよ!たださ、これだけは忘れないで、俺はさ後悔はしてないんだよ!確かにオリジナルの曲を歌う事は辞めたけど、本当に後悔はないんだよ、それでも、もう一度皆が俺の為だけに歌ってくれるなら俺も俺で自分の曲と向き合わないといけないからさ」

「わかったわ、でも、光、あなたも覚えておきなさい、私達は皆貴方に感謝しているわ!あなたがいなければ私は美竹さんとお互いを認め高め合える関係にはなれなかった!」

 

「私も同じです!光さんが間に入って音楽で私達に新しい関係を作ってくれた!だから、感謝してます!」

 

「私も同じです。光君あなたが私と日菜がちゃんと向き合うきっかけをくれたんですよ」

 

「そうだよね!ひ〜くんがいなかったら私はお姉ちゃんと今も関係は変わってなかったよ!」

 

「先輩!ここにいる皆が先輩に感謝してるんです!RoseliaもAfterglowもハローハッピーワールドもPastel*Paletteも、そしてもちろん私達Poppin’Partyもです!先輩は私が声が出なくなった時俯いてないで顔をあげてって励ましてくれましたよね!」

 

「それに、spaceの時だって不器用でも下手くそでもいいから思いっきり夢を描こうって歌ってくれました!」

 

「私の時も立ち止まってないで1歩踏み出してって背中を押してくれました!」

 

「先輩にはこれからだって多分あたし等全員が何かしらで助けて貰うかもしれないですし、それなら先輩自身も形は違ってももう一度自分の曲でステージに立つ夢叶えて欲しいんです!」

 

「だからここにいる私達全員で光先輩にありがとうって伝えてそれから先輩がもう一度自分の曲と向き合えるように私達なりに伝えるんです!」

ポピパの皆がそれぞれ自分の言葉で俺に伝えたい事を伝えてくる

「皆…わかったよ!今ここで皆に1つ約束するよ!すぐには無理だけど、いつか必ず皆の前で俺の曲を必ず演奏するよ!

約束だ!」

俺のその言葉に皆が小指を立てた全員との「約束」という意味を込めて、そうして俺は皆に過去を伝え1つの約束を交わすのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




お久しぶりです!相変わらず投稿遅くてすみません
今回は光君の過去の話を投稿しました。正直ギスギスした感じにはしたくなかったので重苦しい話ではないですが
主人公の失敗談を書きました。
この話もカバーLIVE編に含みます。次回からガールズバンドの子達がまた何かしらで光君と絡んで行く中で曲を決めて
カバーLIVEに挑むと言う形になります。
最初はハロハピからになります。それではまた次回

次回「ハロハピと老人ホーム」


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第24話ハロハピと老人ホーム

皆に自分の過去の失敗を打ち明けた光は自分自身でも前とは違う答えを見つけるために奔走する


皆に過去を打ち明けてから数日後の休日バイトも休みのため久しぶりに路上ライブをする為に機材を自転車の籠と荷台に積み込みギターとキーボードを持って家を出て駅前に向かって自転車を走らせ数分後、目的地の駅前に到着し機材の準備を済ませた俺はギターを手に取りチューニングを始めたタイミングでいつかのように花音の悲鳴?のようなものが聞こえてきた

「ふえぇぇぇ〜早いってこころちゃ〜ん」

「間違いなく花音とこころだな、て言うかどことなくデジャブだし」

そう言って声のした方を見ると案の定ライブ衣装のこころが先陣を切りその後ろにはぐみが続きその更に後ろで花音がサイドテールを揺らしながら走ってくる

「はぁ、仕方ないな」

そう言って立ち上がりこころ達に向けて大声で叫ぶ

「こころ〜!はぐみ〜!後ろのメンバーがバテてるぞ!少しペース落とせー!」

俺の声が聞こえたのか2人は車が急ブレーキを踏んだ時並の

急停止で立ち止まり他のメンバーが追いついて来るのを待って俺の所にやってきた

「久しぶりね光!」

「こころもね!」

「ひかるんやっほー」

「やあ、はぐみ、花音も」

「うん!久しぶり!今日は路上LIVE?」

「そのつもりだよ」

「おや、ではいつかのようにまた君の歌を聞けるのかい?」

「なんか用事があって集まってたんじゃないの?」

「そうだよ皆!これからおばあちゃん達の所に

行くんでしょ!」

美咲の発言でこころ、はぐみ、薫がハッとした表情になる

(完全に忘れてたよね、つい2〜3分前までそのつもりで行動してたはずなのにな)

俺は内心でそんな事を考えながら苦笑してついでに気になった事を質問する

「そういえばさ、さっきおばあちゃん達の所って言ってたけど、誰かのおばあちゃんに会いに行くの?」

「違いますよ!老人ホームにいるおばあちゃん達に会いに行くんですよ!定期的に病院とか老人ホームとか回ってLIVEしてるんです私達」

「そういう事ね!」

美咲の説明で納得した俺にこころが言った

「光も一緒に行きましょう!」

「は?俺も?」

「そうだよ!一緒に行こうよひかるん!」

「行ってどうすんのさ?」

「演奏すればいいんじゃないかい?元々君も今日は演奏する予定で外出していたのだろ?」

「そうだけどさ…」

俺はあまり気が進まないので花音と美咲の意見を聞いてみることにした

「2人はどうなの?俺が行って大丈夫?」

「私は…光君が来てくれたら嬉しいよ」

「まぁ、私も特に反対はしないですけど、光さん気乗りしないんじゃ無いんですか?」

「まぁね、年配の人と話すのは苦手なんだよねだから気乗りしないんだよ!」

「それなら大丈夫よ!おばあちゃん達もおじいちゃん達も皆、光の事を気に入るわ!」

「なんの根拠があって言ってるの?」

「普段の光ならきっと大丈夫よ!」

こころは言い出したら聞かない所があるが今回もそうだろうなと思い俺が折れるしかないと思った

「わかったよ!行くよ!」

「決まりね!行きましょう!」

俺は準備していた機材とギター、そしてキーボードを片付けてかこころ達の後を追って小走りに移動する

「そういえばさ、これから行く老人ホームってどこにあるの?」

「電車で3駅行って、そこから更に10分くらい行ったとこだよ!」

「遠いよ!俺、基本電車で2駅以上向こう行かないからね!」

「今回が初?」

「そうだね、地元からは新幹線だったからあっという間だったしね」

「光さんって以外と行動範囲狭いんですね!」

「まぁ、根が面倒くさがりだからね」

そうして話していると電車が停車し1駅目に到着した

「後、2駅先なんだよね〜」

俺はぼやくと花音と美咲は苦笑する

「光君、以外とじっとしてるの苦手?」

「苦手だね、演奏の時だって多少は体動かすしね」

「そう言われればそうですよね」

そんな話をする中で俺はこころとはぐみがいないことに気が付き辺りを見回す

「どうかしたの?」

「いや、こころ達どこに行ったのかな?姿見ないけど?」

「いつものことなんで、気にしないでください、端から端まで車内探検するんですよ毎回」

「毎回なんだね」

そう言って俺はまた苦笑していると2駅目に到着しこころ達がちょうど戻ってきた

「おかえり、何か珍しい発見はあった?」

俺がそう質問するとはぐみが答えた

「運転席がちょっとだけ見れたよ!なんかね、操作が難しそうだった」

「確かに、なんだか難しい感じがしたわ!」

「そうなんだね、じゃあ今度は1番後ろの車両まで行ってみたら?」

「それは良いわね!さっそく行きましょう!はぐみ!」

「いいよ!レッツゴー!」

そうして2人は今度は1番後ろの車両の方に歩いていった

「これで降りる駅まではこころ達も暇しないでしょ」

「まぁ、確かに…」

「でも、ちゃんと戻ってくるかな?」

「目的忘れてなければ大丈夫でしょ?それに多分どっかでこころのお付きの人がなんかしらしてくれるんじゃない?」

「そうですね!多分大丈夫ですよね!」

「まぁ確かにお付きの人がいるだろうから大丈夫だとは思うけど…」

なんて話していると電車は目的の駅に到着し俺達は降りて改札口を出ると少し遅れてこころ達も改札から出てきた

「楽しかったわ!」

「そうだね!楽しかった!」

「なら、よかったね、これからまだ歩くんでしょ?行こう!」

「そうだね、早くしないと予定の時間に間に合わなくなるしね」

「少し急ごう!」

そう言って走り出す皆の後を追って俺も駆け出した

そうして目的地にたどり着き俺達は息を整えて中に入ると

職員の人が出迎えてくれた

「いらっしゃいハロハピの皆と後ろの君は?」

「初めまして、宮村光って言います。ハロハピの皆から誘いを受けて一緒に来ました、演奏の際は俺も参加しますのでよろしくお願いします」

「そう、わかったわ、とりあえず、案内するわ皆、ホールに集まっているから、行きましょう」

そうして俺達はホールに案内され、交流の時間をとってもらい皆それぞれ年配の人達と交流する

俺はとりあえずその場からあまり動かずに話しかけてきた人達と交流する

「お兄ちゃんは、あれかい?ハロハピの子の誰かとお付き合いしてるのかい?」

「してないです。皆と、仲良しだけど、お付き合いは、してません」

俺は上手く言葉を区切りながらゆっくり話すように気をつけて会話する

「ばあちゃん達は、いつも、どんな事をして、過ごしているの?」

「わしらは、他愛ない世間話かのぅ、じいさん達はよく庭でゲートボールをしているよ!」

そうしてばあちゃん達と話していると外から戻ってきたじいちゃん達に話しかけられる

「今日は若い兄ちゃんも一緒か、兄ちゃんも歌う人かい?」

「そうですよ、たくさんの歌を、色んな人の前で、歌ってるよ」

「そうかそうか!兄ちゃんの歌、楽しみだな!」

「期待、しててね、ところでじいちゃん達の中に、夫婦の人達は、いるの?」

「何人かおるよ!ハロハピの子達と話してるのは夫婦の人達が多いねぇ」

俺は交流を続けながらどんな曲がいいかを考えていると1人のじいちゃんが付けている腕時計が目に入った

年配の人達が使うにしては装飾等が新しいように見える

俺は少し気になり聞いてみることにした

「ねえ、じいちゃん、その時計は自分で買ったの?

カッコイイね」

俺が時計について触れるとじいちゃんは大事そうにその時計を撫でながら教えてくれた

「この時計は孫がプレゼントしてくれたもので、じいちゃんだけの時間を刻むものだと言ってくれてな、ワシの宝物なんじゃよ」

「そうなんだね、じゃあ、これからも大事に、しないとね」

「そうじゃな、ワシが逝くまでは大切に最後まで使うつもりじゃよ」

そう言ってそのじいちゃんはカラカラと笑った

その後交流の時間が終わりレクリエーションタイムになるらしく準備のため俺は外に出て缶コーヒーを飲みながら待ってると薫が何かブツブツと呟きながらやってきた

「薫、なにしてんの?」

「おや、君かい!これから私の独り舞台が始まるのでね、

集中力を高めている所さ!」

相変わらずキザったらしいヤツだなと内心で思いながら俺は返答する

「そうか、邪魔しちゃ悪いし行くわ!」

「待ってくれないかい!」

軽く手を振りその場を後にしようとした所で俺は呼び止められた

「なんか用なの?」

「実は君に聞いてみたいことがあるんだ」

「何?俺に答えられること?」

「あぁ、君はなぜいつもそう、堂々としていられるんだい?」

「は?何それ?どういう事?」

俺は思わず聞き返す

「私のこれは演技なのだよ、演技という名の仮面で覆っていないと自分を保てないんだ、そしていつからかわたしは私がわからなくなった」

俺はその言葉の意味を考えるどのくらいの時間が経ったのか自分でも分からない、数分か数十分なのかは分からないが俺は自分の考えを伝える

「あのさ、これはあくまでも俺の考えなんだけど、演技する事、演技の仮面をつけることの何がいけないの?」

「どういう事だい?」

「俺にだって今の自分が本当の本当に心の底から今の自分が正しいのかなんてわかんないよ、たださ、もう1人の自分って考え方もできるんじゃないの?」

「余計に分からないのだが?何が言いたいんだい?」

「ちょっと待ってくれ」

俺はそう言って付けていたピアスを白系のものに変え髪を後頭部の後ろの方にまとめる

「わかる?今の僕とさっきまでの俺の違い」

「あぁ、纏っている雰囲気から全てが違うのがわかる」

「今の僕のこの姿が答え、この姿の時はルミナス光耀く存在って意味でそう名乗ってる、つまりさ、弱い自分を仮面で隠して強くなりたい理想の自分を作り出すことは間違いじゃないって事」

そうして髪を解き元の俺に戻る

「まぁ、あとは自分で答えを見つけなよ、じゃあ後でね」

そう言って俺は老人ホームの中に戻っていく

 

薫視点

 

「彼は何者なのだろうか?」

その呟きは彼には聞こえない、彼が一人称を変え髪を纏めただけで纏っていた雰囲気が変わったのがわかった

「彼自身が答えか、私は何を悩んでいたんだろうね」

私は自分を偽っていると思っていた、だが違った理想の自分を演技によって作り出すことで弱い自分を肯定していたんだと気付かされた。

「まさか、彼に気付かされるとはね!」

私自身決意を新たにして老人ホームの中に戻っていく

 

光side

俺は老人ホーム内に戻り空になった缶を捨てたところで

花音と美咲が話しかけてきた

「光さん」

「美咲、花音、どうしたの?」

「さっき薫さんと話してましたよね?」

「見てたの?」

「何話してるかまではわからなかったけど、話してるのは見えたから」

「そっか、そっか、薫がね自分の演技に自信がないって言うから堂々としてなって言っただけで特別な会話はしてないよ」

「そうなんですか?あの薫さんが?」

「まぁ、誰しも悩みはあるよ、そろそろ戻ろう」

「そうだね、私達も演奏の準備しないとだし、美咲ちゃんはそろそろミッシェルにならないと」

「あぁ〜そういえばそうだった!」

そう言って美咲達は一足先に戻って行き俺も少し遅れて後を追いホールに戻った

そして、レクリエーションの時間が始まり薫の独り舞台が始まった、普段学校で見る薫よりも堂々としていて見るもの全てを引き込むような演技をしていた。

そして独り舞台が終わり今度はハロハピのLIVEが始まった

1曲目がせかいのっびのびトレジャーだ曲に合わせこころが飛んだり跳ねたりしている

「相変わらず楽しそうだなこころは」

「本当にねぇ〜見てるこっちまで元気が貰えるよ」

隣で見ていたばあちゃんが俺の呟きに返答する。

周りの皆は楽しそうだ

そうして1曲目が終わり2曲目に入る2曲目はコロッケタイム

「あぁ、これはぐみの歌だな絶対」

「そうなんかい?」

「多分だけどね」

こんなにも楽しそうに歌うバンドを俺はあまり知らない

これがハロハピらしさだと改めて実感させられる

そうして2曲目も終わって3曲目だ

「ラストはこの曲よ笑顔のオーケストラ!」

「この曲がラストなんだな普段は1番最初に演奏するのに」

「ワシらの時はこの曲を最後にして盛り上がるんじゃよ」

「そうなんだね」

曲に合わせこころが今度は寝そべった状態からスっと起き上がったりバク転したりしている

「動きがキレッキレだな!」

そう言いながらも俺はこころ達ハロハピとここにいるじいちゃんばあちゃんに届ける曲をどうするか考えていたがたった今決まった

そしてこころ達の出番が終わり俺の番になる

「最っ高に素敵な曲を聞かせてちょうだい光!」

「期待してるよひかるん!」

「私以上の表現者たる君の演奏を楽しみにしているよ!」

「私も楽しみにしてるね!」

「特等席で聞かせて貰いますね!」

「後悔は絶対させない!最っ高の演奏を届けるよ!」

俺は全員とバトンタッチを交わし壇上に上がる

俺はアコギを肩からかけてマイクを通して話し出す

「皆さんこんにちは、光です!演奏の前に1つ質問させてください、この中に夫婦の方はいますか?いたら手を挙げて教えてください」

俺の質問に3組の老夫婦が手を挙げてくれた

「教えてくれてありがとうございます。じゃあ、1曲目に行きます!タイトルは日々」

 

俺はアコギを弾いて行くこの曲は老夫婦の何気ない日常を歌った曲だ、楽しむと言うよりは懐かしむ気持ちが強くなるだろうなと思いながら歌い出す

 

『おじいさんはおばあさんと目を合わせあまり喋らない

寄り添ってきた月日の中ただ幸せばかりじゃなかったんだ

分厚いガラス眼鏡手のひらのシワ

写真には写らない思い出笑い出す二人

出逢った日恋に気づいた日結婚した日別れたいと思った日

子供を抱いた日手を離れた日

溢れる涙よこれは幸せな日々』

 

老夫婦視点

 

「なんだか懐かしいな」

「そうですね〜確かに幸せばかりじゃなかったけど本当に楽しかった」

 

「出逢ってから今までがいい思い出じゃよ、無論ケンカをする時もあったけれど、その全てがいい思い出じゃ」

「その通りですね、こうして一緒にいることが1番の幸せですよ」

 

 

「結婚してからも子供が出来たりその子がワシらの元から離れた時と様々な事があったけれど、これは幸せな日々なんじゃな」

「そうねぇ、本当に幸せな日々でしたよ、これからも幸せな日々を送りましょうね」

「そうだな」

そうして皆が兄ちゃんの歌に懐かしい気持ちにさせられるけどもこれでも歌はまだ始まったばっかりだ

 

 

『おじいさんはおばあさんを呼ぶ時も名前じゃ呼ばない

怒った顔がいつもの顔ただ嬉しい時には口笛ふく

お気に入りのニット帽おばあさんが編んだ

子供の頃のようにありがとうが伝えられない

泣かせた日家を出て行った日

抱き合えた日背を向けて眠った日

希望持たせた日それを恨んだ日

溢れる涙よやけにデコボコな日々』

 

老夫婦視点

 

「なんだか心が暖かくなるな」

「本当ですね、懐かしい気持ちでいっぱいですよ」

 

「歳をとると不器用になっていくからありがとうなんて簡単には言えなくて困らせたりしてしまいケンカしたりもした

よなぁ」

「そうですね、今となってはそれも懐かしい思い出ですよ」

 

「なんだか本当にもう懐かしいわい」

「懐かし過ぎて思い出し泣きしそうですよワシは」

この曲が終わる頃には懐かしさで胸がいっぱいだろうなと思いながら兄ちゃんの演奏に耳を傾ける

 

『おじいさんはからだをこわして おばあさんは独り泣いた

伝えなくちゃ大切な気持ちいつも毎日本当に、、、、、

出逢った日恋に気づいた日結婚した日別れたいと思った日

子供を抱いた日手を離れた日

溢れる涙よこれは幸せな日々涙の数だけきっと幸せな日々』

 

俺が演奏を終えると皆から拍手が送られた

「続けて2曲目にいこうと思います、この曲は皆が知ってる曲でお孫さんから貰った時計を大事にしてるじいちゃんと話をして歌おうと思いました。それじゃあ聞いてください

大きな古時計」

俺は再びアコギを弾き始め歌い出す

 

『おおきなのっぽの古時計おじいさんの時計

百年いつも動いていたご自慢の時計さ

おじいさんの生まれた朝に買ってきた時計さ

いまはもう動かないその時計

百年休まずにチクタク チクタク

おじいさんといっしょにチクタク チクタク

今はもう動かないその時計

 

何でも知ってる古時計おじいさんの時計

きれいな花嫁やってきたその日も動いてた

うれしいことも悲しいこともみな知ってる時計さ

今はもう、動かないその時計

百年休まずにチクタク チクタク

おじいさんと一緒にチクタク チクタク

今はもう動かないその時計』

 

ハロハピ視点

「皆が知ってる曲ね!でも、光が歌うとまた違った感じがするわ!」

「わかる!ひかるんの声で歌うと落ち着くって言うかさ!」

「今は静かに聞こうじゃないか!」

「そうだね、なんだかすごく落ち着くしね」

「まぁ、やっぱり光さんだからかな?」

なんて話をしながら私達は光先輩の歌声に耳を澄ます

 

『真夜中にベルがなったおじいさんの時計

お別れの時がきたのをみなにおしえたのさ

天国へのぼるおじいさん時計ともお別れ

いまはもう動かないその時計

百年休まずにチクタク チクタク

おじいさんと一緒にチクタク チクタク

いまはもう動かないその時計』

 

2曲目の演奏を終えるとまた皆が拍手をしてくれた

辺りを見回すと涙ぐんでいる人もちらほらといた

俺は少ししんみりした空気感を振り払うように言葉を紡ぐ

「次がラストの曲になります!ラストは笑って終われるようにと思ってこの曲を選びました!聞いてください福笑い」

俺はアコギを弾いて歌っていく

 

『あなたが笑ってたら僕も笑いたくなる

あなたが泣いていたら僕も泣いてしまう

難しい顔難しい話今ちょっと置いといて笑えますか?

きっとこの世界の共通言語は英語じゃなくて笑顔だと思う

子供だとか大人に関わらず男だとか女だとかじゃなく

あなたが今楽しんでいるのか

「幸せだ」と胸張って言えるのか

それだけがこの世界の全てでとなりでこの歌唄う僕の全て』

 

ハロハピ視点

「最っ高じゃない!この世界共通言語は英語じゃなくて

笑顔!素敵じゃない!」

「この曲好きだな〜!」

「本当に私以上の表現者じゃないか!私も君の輝きの前では霞んでしまうだろうさ!」

「なんか、私達全員に向けて光から応援して貰えてるみたいだね!」

「実際この歌の通りなんだと思うよ!この世界の共通言語は英語じゃなくて笑顔だって部分は凄く共感出来るしね」

 

本当に光さんはずるいんだよなぁ〜こんな曲をサラッと選んじゃうような所がさ〜

 

『奪い合うことに慣れ疑い合う人で溢れ

そこで誰か泣いていても気に止める人もいない・・・

どれを切り取って''人間らしさ"って

呼べるか分からないけど

誰かの笑顔につられるように

こっちまで笑顔がうつる魔法のように

理屈ではないところで僕ら通じ合える力を持ってるハズ

あなたは今笑っていますか?強がりじゃなく心の底から

憎しみが入る隙もないくらい笑い声が響く世界ならいいのに

その姿形ありのままじゃダメだ!と誰かが言う

それにしたって笑顔は誰もありのままにゃ敵わない

きっとこの世界の共通言語は英語じゃなくて笑顔だと思う

笑う門に訪れる訪れる何かを

愚直に信じて生きていいと思う

誰かの笑顔につられるように

こっちまで笑顔がうつる魔法のように

理屈ではないところで僕ら通じ合える力を持ってるハズ

あなたがいつも笑えていますように

心から幸せでありますように

それだけがこの世界の全てでどこかで同じように

願う人の全て』

俺が演奏を終えると皆が笑って拍手していた、その光景に俺は改めて誰かに演奏を届けるって良いなと思った瞬間だった

その後俺達は少し早いが帰ることにし老人ホームを後にする

老人ホームを出ると入口までじいちゃんばあちゃん達と職員さんが見送ってくれた、そして去り際に時計のじいちゃんにお礼を言われた

「兄ちゃん、ありがとうな兄ちゃんのおかげでより一層この時計を大事にしていこうと思えたよ!」

 

「そっか、そっか、じいちゃんがそうしてくれたらその時計を送ったお孫さんも嬉しいだろうし、心から送って良かったと思えるんじゃないかな」

「本当にありがとうな兄ちゃん」

「どういたしまして、それじゃあね!」

そうして俺達はその場を後にししばらく歩いて駅に着いてそこからまた電車に乗りよく知る街並みが見える駅に戻ってきた、そして改札を出たところでこころが俺の方に向き直り言った

「光!今日のLIVE最っ高だったわ!」

「ありがとう、こころ、俺も楽しかった!」

「なら、よかったわ!それとね光!私達から1つあなたに言っておきたいことがあるの!」

「何?」

「まだ曲は決まっていないけれど、あなたに1番最初に私達が曲を届けると約束するわ!」

「楽しみにしてるよ!こころがどんな曲を俺に届けてくれるのかをね」

「そうしてちょうだい!私達も皆で光に届ける曲を探すわ!」

「待ってるよ!」

「待っていてちょうだい!必ず最っ高の笑顔と曲をあなたに届けるわ!また会いましょう!」

そう言ってこころは早足で去っていった

「あっ!待ってこころん!」

そう言ってはぐみもこころの後を追う

そうしてその場には俺の他に薫と美咲、そして花音の4人だけとなった

「光、いいかな?」

「何?」

「君は私が多少苦手なんだろうが、私は君と顔見知りではなく、友人になれるのだろうか?」

「何言ってんの?俺、確かにお前の事苦手だけど、別に嫌いじゃないし、お前みたいな友人も悪くないと思ってるしさ、

それに、もう俺達友達だろ?」

「そう、なのかい?」

「俺がこう言ってるんだし、それでいいじゃんか!どうせなら1番の女友達になれるように自分なりに歩み寄ってこいよ」

俺がそう言うと薫は目を細め笑って言った

「君がそう言うなら、そうしようじゃないか!これからもよろしくだ光!」

「あぁ、よろしくな薫」

俺がそう言うと薫は満足そうに帰って行った

そして俺も帰るかなと思ったタイミングで花音が俺の名を呼んだ

「光君!」

「花音?」

「あの、えっとさ…やっぱりいいや!今日はありがとう楽しかったよ」

「こっちも楽しかったからいいよ、別に」

「うん!またね光君」

「私も帰りますね!光さんまた会いましょう!」

そう言って帰ろうとする美咲を呼び止める

「あっ!待って!美咲」

「はい?」

振り返る美咲に俺はポケットからキーホルダーを取り出し投げ渡す

「遅くなったけど、誕生日おめでとう!そんなものしか用意出来なかったけど、大事に使ってね!」

そう言って俺は帰路に着いた

 

美咲・花音視点

帰り際に光さんが私を呼び止めたので私は振り返ると

何かを投げ渡された 、私はそれを受け取るとなんだろうと思い見てみると私の星座のキーホルダーだった、しかも手作りなんだろう、市販のやつより手が込んでいると1目見てわかった

「そんなものしか用意出来なかったけど大事に使ってね!」

光さんはそう言い残して帰って行った

「よかったね美咲ちゃん、光君が誕生日覚えててくれて」

「なんか、複雑ですよ!手作りのキーホルダーでしかも私の星座なんですからね、それに花音さんの時は光さんと

デートしたんですよね?」

「うん、その時はお手製のケーキと光君の演奏した曲が入ったCDもくれたよ!」

「なんか、差を感じちゃいますよそれ」

「多分、忙しかったんだと思うよ、光君誕生日は年に1度だけだし盛大に祝いたいって言ってたから」

「まぁ、そう言うなら信じますよ!その代わり今度は私も

デートに連れてって欲しいですけどね」

「それってどういう事?」

「まだ内緒です!」

そう言って私達も帰路に着く

そしてもう一度光さんの帰って行った方を見て自分にしか聞こえない声でもう、姿が見えなくなった光さんにお礼を言った

「ありがとうございます。光さん」

そうして私達の老人ホームでのLIVEは終わりを告げた。

 

 




何とか前回よりも早く投稿できました。
カバーLIVE編です。各バンド事に光君との絡みを作りそこから曲を決めて行く流れになりますので各バンド2話くらいのストーリーを書いた後前後編に分けカバーLIVEの瞬間を書いて行きたいと思います。次回はパスパレの1日マネージャーとして光君が再び行動します。お楽しみに

次回「テレビ出演と皆の気持ち」


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第25話テレビ出演と皆の気持ち

光の為にLIVEをすると皆が決めた中で光本人はこれからどう行動していくのかと…


ーパスパレsideー

その日、あたし達パスパレのメンバーは練習の為に事務所のスタジオに集まっていた、まだ彩ちゃんと千聖ちゃんは来てなくてあたしと麻弥ちゃんとイヴちゃんだけだった

「2人とも遅いな〜彩ちゃんはバイトって言ってたけど、そろそろ終わる頃だし、千聖ちゃんもそろそろ来てもいい頃なんだけど」

「確かに今日は普段より遅いッスね」

「何かあったんでしょうか?」

なんて話しているとスタジオの扉が開いてマネージャーと

一緒に彩ちゃんと千聖ちゃんも入ってきた

「2人とも遅〜い!何してたの?」

「私はバイトが終わって今来たとこ」

「私も少し撮影が長引いて今、来たら、マネージャーと一緒になってここまで来たのよ、彩ちゃんもスタジオに来るちょっと前に合流したのよ」

「そうなんだぁ〜」

「それで、マネージャーさんここに来たってことは何か話があるんですよね?」

「はい、実は報告があります!テレビ出演が決まりました今週の土曜、ミュージックステージで演奏してもらいます」

あたし達は驚いた、特に彩ちゃんは驚き過ぎて固まってる

「じゃあ、それに向けて本格的な練習をしないとですね!」

「さっそくやりますか!」

「待って皆!まずは曲を決めないといけないわよ!」

千聖ちゃんがそう言ってあたし達を止めた

「マネージャー、ミュージックステージでの演奏そのものの時間はどのくらい?」

「2曲分ですね、1曲目はデビュー曲をお願いしますと言われています。」

「じゃあ、しゅわりんどりーみんともう一曲かぁ〜」

「はい!ゆらゆらやりたい!」

「申し訳ないけれど彩ちゃん今回は却下よ!無難にパスパレボリューションズでいいんじゃない?」

「私も正直賛成っすね今回は無難に行きましょう」

「堅実にです!」

「あたしは、なんでもいいよ〜」

「わかった、今回は確実性重視だもんね!とりあえず、曲も決まったし練習しよう!」

「そうね、私も1時間は大丈夫だから付き合うわ!」

そうしてあたし達は練習を始めるんだけど、どうにもるんってしない、なんか、ガチャガチャしてるって言うか、なんて言うかひ〜くんならわかるかな?

「あっ!そうだ!ひ〜くん!」

「え?」

「はい?」

「うわ!」

「何事ですか!?」

「ひ〜くんだよ!ひ〜くん!呼ぼうよ!それで練習見てもらおう!当日までの間さ!」

あたしの提案になんでか皆がキョトンってしてる

「どうしたの?皆」

「どうしたもなにも、日菜ちゃんいきなり何を言い出すの」

「そうだよ!」

「えっととりあえず、なんでいきなりそう思ったか聞いても良いっすか?」

「理由は大事です!」

「さっきから練習してても全然るんってしないの!なんかねガチャガチャしてるって言うか、音がうるさいの!だからひ〜くんならこれが何かわかるんじゃないかなって!」

あたしは、皆に自分の考えを伝えた、皆が何か考えている

中で麻弥ちゃんが真っ先に口を開いた

「つまり、演奏に違和感を感じてて、その原因がわからないから、それがわかりそうな光君に練習を見てもらおうって事っすか?」

「そうそう!」

「でも、光君の予定大丈夫かな?」

「そうよ、それにいきなりお願いして引き受けてくれるかしら?」

「千聖ちゃん忘れてない?ひ〜くんに夏祭りLIVEの事で貸しにしてもらった事」

あたしの発言に皆が忘れてたって顔をしてた

「今日、今すぐは無理だけど、明日学校で会ったらひ〜くんにあたし聞いてみるよ!」

「なら私もお供します!一応クラスは違うっすけど、学校は一緒なので私からもお願いしに行きますよ!」

「じゃあ、ひ〜くんとあたしで麻弥ちゃんのクラスに行くよ!」

「そうして貰えると助かるっス」

「ちょっといいかしら?」

「な〜に?」

「思ったんだけど、光君が毎日練習見るのは無理がないかしら?だって彼circleでバイトしてるわよね?」

「あたし達が行けばいいじゃん!」

「そうは言うけれど…」

「でも、日菜ちゃん、私もバイトがあるし、千聖ちゃんだって女優の仕事もあるんだよ?」

「終わってから来ればいいよ!それかどうしてもって言うなら後からひ〜くんに個別で教えてもらえば?」

「まぁ、私はそれで良いわ、実際何度か個別で練習見てもらったことはあるから」

「じゃあ、決まりね!マネージャーの件頼んで見るよ!じゃあ、あたし帰るね!このまま練習しててもるんってしないし、楽しくない!」

勝手だとは思ったけど、こうでもしないと皆がこのガチャガチャしてるだけの演奏を続ける事になると思ったから無理矢理だけど終わらせた

あたしは急ぎ足で帰宅しすぐにひ〜くんに電話した電話越しでもひ〜くんの声が聞こえると、とってもるん!って

するから、あたしは密かにるんってする気持ちを抑えながらひ〜くんが電話に出るのを待っている

 

光side

普段日曜はバイトが休みだけど、珍しくバイトだったので

俺は少しくたびれた

「とりあえず、シャワー浴びて遅くなったけど夕飯食べないと!でもなにもしなくないなぁ〜月1の機材総点検でくたびれたよ本当に!」

なんてボヤいていると、スマホが鳴った

「こんな時間にだれだろ?」

俺はくたびれたからだを引きずるようにしてスマホに手を伸ばし電話に出る

「はい、もしも〜し」

(もしも〜しひ〜くん!あたし!日菜!)

「こんな時間にどうしたの?」

(ひ〜くんなんか疲れてる?)

「今日月1で機材総点検でバイトだったからちょっとね」

(そっかぁ〜じゃあ要件だけ伝えるね!)

「悪いけど、そうしてくれる?」

(うん!実はね、ひ〜くんにまたちょっとの間マネージャー件技術指導で練習見て欲しいんだよね!)

「てことは、借りを返す形でいいの?」

(うん!それでいいよ!)

「とりあえず、詳しく聞かせて」

そうして俺は日菜から簡単にそしてできる限り詳細に話を聞いた

「つまり、要約すると、テレビ出演が決まって練習を始めたはいいけど、ガチャガチャしてて単なる騒音にしか聞こえないくらい今の演奏にバラつきがあるから具体的に第3者視点でアドバイスして欲しいってこと?」

(そう!そういう事!)

「麻弥さんならすぐに気付きそうなものだけどな〜」

(麻弥ちゃんすっごく渋い顔してた、もしかしてわかってたのかな?)

「確信が持ててないだけかもよ」

(う〜んとりあえず、ひ〜くんにお願いしたいな〜)

「まぁ、付きっきりって訳には行かないから、最低週3はcircleになるけどそれでも良いなら引き受けるよ」

(わかった、皆に話してみるね!それでOKならお願いね!)

「了解、じゃあ、おやすみ」

(おやすみ〜)

俺は電話を切ると気持ちを切り替えて手早くシャワーを済ませて夕飯を食べてから俺はキーボードを弾いて行く

なぜか今回はどうしても、ルミナスの出番になりそうな、

そんな予感がしてるだから、今はキーボードを弾く

多分キーボードじゃなくてグランドピアノなら良いんだけどな〜と思いながら何曲か弾いた後就寝した。

次の日

俺はいつもより少し早めに登校する

そして昇降口で靴を履き替えていると挨拶と同時に日菜が飛びついてきた

「おっはようひ〜くん!」

「おはよう日菜、お願いだから靴履き替えてるタイミングで抱きつくのはやめてね」

「ごめんね〜」

「いいよ別に、怒ってないからね、とりあえず、教室いこう!」

「うん!」

俺達は教室に向かい荷物を置いてから麻弥さんのクラスに向かった

「麻弥さんもう来てるかな?」

「まだかもよ?」

「とりあえず、行ってみよう」

「そうだね」

そう言って俺達は教室を出て麻弥さんのクラスに向かった

俺達は麻弥さんのクラスに行きクラスの子に麻弥さんが来ているか確認するとちょうど来た所だと呼んできてくれた

「さっそく来てくれたんすね!日菜ちゃんからおおよその事情は聞いてると思うッス」

「まぁね、とりあえず、場所変えようよ、隣の空き教室使わせてもらおう」

「そうッスね」

そうして俺達は空き教室に移動し話し始める

「多分ですけど、やっぱりテレビ出演が関係は間違いなくしてるッス、多分緊張とかプレッシャーとか、後、やっぱり

まだFIRSTLIVEの事が尾を引いていると思うんすよ」

「その件は正直切り替えろとしか俺からできるアドバイスは無いよ…でも、多分それだけじゃないんだよね?」

「ハイっす…どうしても、FIRSTLIVEの事がトラウマと言うか、多分同じようになったらって皆が思ってると思うんです」

「なるほどね、そうなると、俺が何かするのは難しいなぁ

もちろん練習見てアドバイスをするくらいは出来るけどさ

後は、話聞いたりとか?」

「それで十分だと思うッスよ、後は皆の気持ち次第にはなると思うッスけどね」

「だよね、まぁ、とりあえず、今日から練習に参加させてもらうけど、circleに来れる?」

「それは大丈夫だと思うッスよ!光君に合わせますよ」

「じゃあ、2人から連絡はお願いね、彩と千聖の都合は聞いておいて必要なら2人で練習してもらう場合もあるからさ」

「わかったッス!」

「OK〜」

そうして俺達は自分のクラスに戻り通常通りに授業を受けたりと普通に過ごして放課後を迎えた

「光、今日はバイトかしら?」

「そうだけど、来るの?」

「そのつもりよ、いつもみたいに練習見てもらえるかしら?」

「良いよ、とりあえず、おれは一度帰って荷物置いてから行くから先行ってて」

「OK!じゃあ先行こう友希那」

「わかったわ、さきに行って待っているわ」

「了解」

「待ってひ〜くん!私も行くよ〜」

「あ〜はいはい、行くよ〜!」

そうして俺は日菜を自転車の後ろに乗せて自分の家に一度戻り荷物を置いてそこから日菜の家を経由してcircleに向かった

「まりなさん、お疲れ様です。」

「お疲れ様、Roseliaの皆来てるよ!今日はパスパレも来るって連絡があったし、光君忙しいね!」

「本当ですね〜、練習見るのがメインになってますよ、マジで!」

「まぁ、仕方ないんじゃないかな?光君結構演奏技術高いし、それだけ皆から信用されてるって事でしょ!」

「だと良いんですけどね、とりあえず着替えてきますね」

そう言って俺はスタッフルームに行き着替えてから友希那達の所に向かい1時間程練習を見てアドバイスして行くそして友希那達が休憩に入ったタイミングで日菜が話しかけきた

「ひ〜くん!今、連絡あってこれから皆揃うけど練習見て貰える?」

「到着までどのくらい?」

「さぁ〜?多分皆バラバラに来るだろうから、30分くらい?」

「Roseliaの練習時間は2時間だし、全員揃ったタイミングで声掛けて」

「わかった〜それまでゆっくりあたしも練習して待ってようかな」

「悪いけど、そうして、後で練習見てアドバイスはするからさ」

「わかった〜」

そうして俺は予定通りRoseliaの練習に参加し時々自分で弾いたりしながらアドバイスして行く

そしてRoseliaの練習時間は終了した

「今日も疲れた〜光ってば最近いつにも増してスパルタなんだもん!指痛いよ!」

「ごめんね、練習とはいえ手は抜けないよ、それに、自分達の技術が上がってるの実感できない?」

「それは、そうだけどさ〜光って普段はどのくらい練習してるの?」

「予定がない時は半日くらいはずっとギター弾いてるよそっからさらに2〜3時間はキーボード弾いてるしベースだって最低2時間はやるよドラムは場所取るからあんまりやらないけどね」

「じゃあバイオリンは?」

「寝る前の30分くらいかな」

「普段学校の時は?」

「バイトがない時はギターも弾くけど、バイトで遅くなった時はキーボードとバイオリンくらいだね」

「あなた普段はどのくらいの力量で演奏するの?」

「路上LIVEの時でも5割くらい?」

「じゃあ、この間のLIVEは?」

「あれも5割くらいだったね」

「そんなんで本気の演奏ができるの?あなたの全力の演奏はどれだけ凄いのよ」

「感じ方は人それぞれだからな〜紗夜に聞いてみたら?」

「どうしてそこで私に振るんですか!」

「いや、だってここにいるメンバーの中じゃ日菜と紗夜しか俺の本気の演奏知らないし」

俺がそう言うと全員が紗夜に注目する

「あなたはどう感じたの?光の本気の演奏は」

「そうですね〜強いて言うなら、しっかりと自分自身と向き合ってと語り掛けてくるような演奏でした」

「日菜はどう?」

友希那が少し離れた所で自主練している日菜に質問する

「ん〜ちゃんと言わないと伝わらないよって励まされてるみたいだった」

「どんな曲を演奏したのか聞いてもいいかしら?」

「えっと、絆、ひまわりの約束、瞳だったかな?」

「その3曲で紗夜と日菜に何を伝えたかったの?」

「お互いを大切に思う気持ち」

俺は迷わず答える

「じゃあ、アタシの誕生日にくれたCDには?」

「夢に向かって頑張れって気持ちと夢の舞台に立つ自分を強くイメージして欲しいって思って選曲したよ」

「そうなんだぁ〜」

なんだかリサが嬉しそうだけど気に入ってくれたならよかったと思った

「まぁ、いいわ、そのうち聞く事があるかもしれないし今日はこのくらいにしましょ、後は自主練ね」

「了解!」

「わかりました。」

「は〜い!」

「はい、わかりました」

そうしてRoseliaの皆は今日は皆帰るようなので俺はとりあえず、見送る事にした

「じゃあね皆!道中気を付けて」

「えぇ、大丈夫よ」

「まぁ、駅まではみんな一緒だしね〜」

「そうですね、駅まではみんな一緒なので問題ないかと」

「みんな一緒だから大丈夫だよ!」

「気を付けますね」

「日菜、私は先に帰るわね」

「うん、後でね!お姉ちゃん!」

「えぇ」

そうしてRoseliaの皆は帰って行き俺は日菜と一緒にギターを弾いていると麻弥さんとイヴがやって来てそこから更に遅れて彩がやって来た

「ごめんね、遅くなっちゃった」

「まだ間に合うから大丈夫だよ、ところで千聖は?」

「今日は来れそうにないんだって、舞台の仕事が押してるんだって」

「ん〜じゃあ、後で個別に練習するしかないか、とりあえず、今回は千聖抜きで練習しよう」

「まぁ、仕方ないよね」

「今回は仕方がないです!」

「まぁ、よくある事だし」

「今日はどうしようもないしね」

全員が納得したようなので千聖抜きで練習する事になった

俺はとりあえず演奏を聞きながらアドバイスして行く、おそらく日菜が言っていたガチャガチャした感じは音のバラつきだろうと思っていたが、違った、多分テレビ出演と言うことで少なからず緊張があったんだろうだから自分達の演奏ができていなかったのだろう

「一通り演奏聞いたけど多分緊張から自分達らしい演奏が出来てなかっただけだと思うよ」

俺がそう言うと日菜は首を傾げていたが、自分なりに納得したのだろう、その後1時間程練習してその日は解散した

俺もその日は上がりの時間になったので日菜と一緒に帰る

「ねぇねぇ、ひ〜くん本当は緊張からとかじゃないんじゃないの?」

「気付いてた?」

「何かあるんだろうなくらい」

「実際緊張からくるってのも要因の1つだけど、多分気持ちの問題だね」

「どういう事?」

「ちょっと説明が難しいんだけどさ、遊びに例えるならみんな一緒に楽しめる遊びを外でやるか屋内でやるかの違い」

「えっと、つまりまだ気持ちがひとつになってないって事?」

「まぁ、当たらずとも遠からず」

実際の俺の考えでは多分期待や不安など様々な感情が邪魔をしているというのが個人的見解だ、だが、それを伝えたところでどうなるものでもないとあえて黙っている

その後日菜を送り俺は帰宅しすぐにキーボードを弾き始める

「この曲かな?」

そう言って俺はstoryを演奏する

この曲を実際弾く事になるかはわからないけど、今はこれがピッタリだと思う中で演奏している

演奏が終わると俺は部屋を後にし遅めの夕飯を済ませシャワー浴びて部屋に戻りまたキーボードを弾いて行く

そうしていると不意にスマホが鳴った連絡してきたのは意外にも彩だった

「もしもし、どうしたのこんな時間に」

(ごめんね、こんな遅くに、でも、今日の事聞いておきたくて)

「何か気になったの?」

(うん、光君あえて黙ってたけど、気付いてたんでしょ?みんなの気持ちがバラバラな事、私はテレビに出る不安と期待

イヴちゃん、麻弥ちゃんは多分心配とかで日菜ちゃんは多分

まだ演奏がバラバラと言うかガチャガチャしてる事の不安と焦りとか)

「どうしてそう思ったか聞いていい?」

(多分千聖ちゃんが大きく関係はしてると思うんだテレビ出演が決まったあの時千聖ちゃんは冷静なつもりだったけど、不安とかプレッシャーって言うのかな?あったと思う、だけど、冷静に皆を上手くまとめてくれてた表に出さないだけでそういうのあったと思うんだ、皆気付いてて言わなかったんだと思う)

「だろうね、まぁ、千聖も含めそれは皆だろうね」

(だよね、それは私もそう思うよ)

「たださ、ちゃんと皆と話なよ、伝えなきゃ伝わらないんだからさ」

(うん、ありがとう光君、じゃあ、またね)

「また明日」

そう言って電話を切ると俺はスマホを充電し寝る事にした

眠るまでの間俺は今日、千聖が来なかった理由を考える

が答えは出ない、本人の考えが分からない以上俺は何もできないし、動けない

そんな事を考えながら眠りに着いた

次の日普段通り学校を終えて日菜と麻弥さんと3人でパスパレの事務所の練習スタジオに向かった

そして、その日も千聖は練習に来なかった

そして水曜日、俺は放課後はcircleのバイトのためパスパレのメンバーにはcircleに来てもらっていた、そして、案の上と言うか、やはりというか、千聖は来ていない。

今日もまた音が足りない、そんな中で連絡するが音はまとまらない

「今日はこれぐらいにしようか、どうにもまとまらないし」

「そうだね、ごめんね光君、せっかく練習見てもらってるのに、全然まとまらなくて」

「音が足りないってのも1つの原因だから」

「あの、光君もし良ければ今の私達の音がどう聞こえてるのか教えて欲しいッス」

俺は少し考えた後返答する

「わかった、ギター以外の楽器は皆の借りるね」

「そうしてくださいッス」

俺は自分のギターを取り出し、まずは日菜のギターが俺に

どう聞こえているのかを俺の演奏で伝える

それからドラムとキーボードも同じように演奏して聞かせる

俺はベース以外の演奏を終えると質問する

「伝わった?」

「凄く伝わったッス」

「はい……」

「だねぇー」

「うん……」

「まぁ、あくまで俺がこう聞こえてるってだけだから、あんまり気にしなくていいよ!」

「でも、やっぱり気にするよ!光君は自分の音がいつもと違うって感じたらどうするの?」

「簡単だよ…納得するまで、どんなに手が痛くても喉が痛くても弾くし、歌うそれだけ、でも、俺は1人でやってるからそれが出来るってだけで皆は真似したら駄目だよ」

「じゃあ、どうすればいいの?」

「その答えは自分達で見つけないと、そこで俺が答えを出したらそれが間違ってても皆は俺が言うならって妥協しちゃうでしょ」

俺がそう言うと皆は黙ってしまう俺はどうしようかと悩んだ結果1つの質問を口にする

「あのさ、皆はこのメンバーと出会えてよかったと思える?」

「どういう事?ひ〜くん」

「言い方変えようか、このメンバーじゃなきゃ、またはこのメンバーとだからこそ楽しいって思えてる?」

「あたしは今のメンバーで演奏するのは楽しいよ!ひ〜くんと文化祭で一緒に演奏した時はまた違った楽しさがあったけど、このメンバーだからこそるんってするよ!」

「そうッスね、私もこのメンバーだからこそ楽しいって思えるッスよ!」

「ハイです!私も同じです!」

「私も!今のこのメンバーだからこそ楽しいって思えるし、多少すれ違っても何とかなるって思えるよ!」

「なら、今はそれだけを考えて演奏してごらん!そうすればきっと今までみたいな演奏ができるよ!」

俺がそう言うと皆は黙って頷いた

「じゃあ、もう1回演奏してみなよ」

「やってみる!」

彩がそう言うと他の皆も頷いて演奏する

最初の音でわかった、バラつきが殆ど無くなり元の音に近づいていることが、多分皆もわかっただろう

そうして演奏を終えると皆はとても満足そうな表情をしていた

その後俺達は解散し俺はいつも通り日菜を送り届け帰宅すると俺はベランダに出て千聖に練習する。

3度目のコール音の後に千聖に繋がった

「もしもし、千聖、今良いかな?」

(どうかしたの?こんな時間に)

「どうしたじゃないよ、彩とイヴから聞いてない?今、サブマネージャー件指導役としてパスパレの練習見てるんだよ」

(そういえばそんな事を聞いた気がするわ)

「仕事、忙しいの?」

(もうすぐ舞台公演があるのよ!それでちょっとバタバタしてはいるわね)

「パスパレはどうするの?」

(どうするって、もちろん、そっちも全力でやるわよ!個人練習は欠かしていないわ)

「なら、いいけど、ちゃんと練習には参加してよ!5分でもいいからさ」

(そうね、わかってはいるのよ、でも、舞台の方も忙しいのよ)

「あのさ、言い難い事はっきり言うけど、怖いの?パスパレとしてテレビに出るの」

(そりゃ、不安はあるわよ、初ライブの時のようなことはごめんだもの)

「だからこそ練習に参加して欲しいんだよ!失敗を考えるよりも成功の確率を1%でも上げようよ!」

(あなたに何がわかるのよ!!私はこれでも全力よ!精一杯よ!なのに、あなたはまだ私に頑張れって言うの!?)

「言わないよ、頑張れってはね、たださ、時には誰かを頼ってもいいんじゃないの?」

(嫌よ!私は1人で出来るわ!やらなきゃいけないの!)

「じゃあ、せめて俺を頼ってよ!俺は仲間のためならなんだってする、必要なら演奏だって聞かせるし、パスパレのみんなに頼りづらいならせめて、俺には頼ってくれよ!」

(尚の事嫌よ!誰かに頼ってしまったら、私は弱くなる)

電話越しでも声が震えているのが伝わってくる

俺はどうしたものかと悩んだ結果パスパレの皆にした質問を千聖にもする事にした

「千聖、千聖はさ、パスパレの今のメンバーと出会えよかったってこのメンバーだからこそ楽しいって思えてる?」

(そんなの当たり前じゃない!だからこそ皆に迷惑をかけたくないのよ!貴方にもよ)

「なんで?頼ることの何がいけないの?弱くて何が悪いのさ、千聖、瀬田薫の事は知ってる?」

(もちろんよ、知っているわ)

「あいつね、俺に何でいつもそんなに堂々としてられるのって聞いてきたんだよ」

(あなたはなんて答えたの?)

「その質問された時はいきなり何言ってんのって質問で返したよ、そしたらあいつね演技という仮面で自分を偽らないと強くあれない自分が本当の自分なのか分からないって言ったんだよ」

(でしょうね、私も演技でこの役はこうでいいのかしらって疑問に思う事はあるわよ)

「俺さ、それ聞いて弱い自分を理想の自分を演じることでいつかそれが本物になるならそれでいいじゃんって言ったんだよ」

(彼女はなんて?)

「そうありたいと思ってこれからも自分と向き合い続けるってさ、つまりさ、何が言いたいかって言うとさ、弱くてもいいじゃん!弱い自分を肯定してちゃんと向き合って強くなっていけたらいいんじゃないかな?」

あえて遠回しに言うことで伝わる事だってあるだろう、俺はそう思いあえて遠回しに伝えた、電話の向こうでは千聖は黙っている

「千聖?」

呼びかけるが返事がない俺は千聖の返事を待つ事にしスマホをスピーカーにして返事を待っていると電話越しに千聖の声が聞こえた

(光、ありがとう、私、意固地になり過ぎていたのかもしれないわ!明日から練習に参加するからよろしくね)

「待ってるよ!明日は事務所のスタジオに行くからさ」

(えぇ、わかったわ、遅れないように行くわね)

「うん、じゃあ、また明日」

(えぇ、また明日)

俺は電話を切ると部屋に戻りヘッドホンをしてギターを弾く

そして自分の中にある曲の引き出しをギターを弾きながら開け閉めする

違う…この曲じゃない!もっとあるはずだ現実と自分と向き合える曲が今の状況にピッタリな曲があるはずなんだ

そうしてギターを弾き始めて30分程たった頃やっと見つけた

【現実という名の怪物と戦う者たち】この曲だ!

俺はその曲を弾き始める

現実という名の怪物に押しつぶさそうになった時にピッタリな曲だからこそ届けたい!そうして演奏を終えると俺はギターを置き今度はキーボードを弾いていく曲は時の歌この曲も届ける!そのために選んだ曲だから、そして俺は演奏を終えると次の曲を弾いて行く、平井堅さんのRingだこのRingというタイトルは繋がりとかそういう意味らしい!俺はこの3曲

を通して繋がることの大切さを知ってもらえたらと思った

絶対に今、必要なのは繋がりを大切に思う気持ちだ

俺は演奏を終えるとパスパレのメンバーに同じメッセージを個別に送っておいた

〈 千聖には内緒で頼みがある、どのタイミングでもいいから俺に演奏する時間を作って欲しい、皆に繋がりの大切さを教えるために演奏する〉

そう、メッセージを送るとさっそく返答がきた、間違いなく日菜だ、内容は自分の希望を言って言いならテレビの生放送終了後が希望だそうだ

俺はとりあえず、他の4人の意見次第だと返答すると返信と同時に麻弥さんからのメッセージが届き、日菜と同じくテレビの生放送終了後が希望らしい他の2人からは返答はないがおそらく、テレビの生放送終了後に演奏する事になるだろう

そう思いながら眠りに着いた

そして木曜日学校が終わると俺はすぐに事務所の方に顔を出した、そこには千聖の姿もあった

「来たんだね」

「来ない方が良かったかしら?」

「来てくれて嬉しいよ、さぁ練習しよう!」

そうして練習していく皆の音を聞いていくまだまとまりきってはいないが1つになったと言っていいだろう、俺は目立ちそうな細かいミスを指摘して行く

休憩を挟みながらそれを繰り返しその日の練習を終える

そして帰る前に彩とイヴにメッセージの返答を聞いておく

「彩とイヴ2人は演奏の希望はいつがいいの?」

「そう言えばまだ伝えてなかったっけ?私は生放送終了後がいいな」

「私もそれでお願いします。」

「了解!ちなみに土曜日なんだけど、放送前に練習時間は取れるの?」

「大丈夫だと思うよ放送夜7時だから、夕方5時くらいまではそれ以外の予定はなかったと思う、千聖ちゃんは午前中に舞台の練習の方に出るから、午後からだって言ってた」

「そっか、じゃあそれに向けて演奏のクオリティ上げてこう」

「うん!」

「ハイです!」

そう話してから俺達は解散する

そして俺は昼間は学校、夕方はcircleではRoseliaとパスパレの練習を見てバイトがない日はパスパレの事務所で練習に付き合いその後帰宅してから自分の演奏する曲を練習する日々が続き迎えた当日

午前中は千聖抜きで練習し、午後から千聖も含めパスパレ全員で練習する

「いい感じだよ!細かいミスは殆ど無くなってきたしこの分なら問題ないと思うよ」

「本当に?」

「嘘言ってどうすんのさ!」

「だよね〜ひ〜くん演奏に関しては嘘言わないもんね〜」

「凄く引っかかる言い方やめてね!」

「まぁ、とにかく光から見て問題ないなら大丈夫よきっと」

「そうッスね!」

「ハイです!」

そうして少しの休憩を挟み練習を再開する

「ちょっとストップ!今の演奏はもう少し遅くても大丈夫、その代わり次に繋がる瞬間まで遅くなったら駄目だよ」

俺は演奏を聞いてアドバイスしていき最後の練習を終えて移動する

移動中俺は身だしなみを整え眼鏡を付けて1日マネージャーを引き受けた時と同じ姿になる

「見るのは2度目だけれど、随分化けるものね」

「まぁ、大学生に間違われたりもするし、こんなもんじゃない?」

「どうなのかしらね」

「ひ〜くんがひ〜くんじゃないみたい!」

「人前でお願いだからひ〜くんはやめてね!一応扱いはマネージャーなんだからさ」

「えぇ〜ひ〜くんはひ〜くんじゃん!」

「まぁ、まぁ、今だけは呼び方変えましょうよマネージャーなのだし」

「仕方ないなぁ〜」

そうして俺達は目的地のテレビ局に移動し楽屋で待機していると共演者の人達が代わる代わる挨拶にやってくる

俺もつねに笑顔を貼り付けマネージャーと一緒に名刺を交換して行く

「初めまして、自分はPastel*Paletteのサブマネージャーをしています、宮村光と申します。普段は彼女達の演奏のアドバイスやアフターケアを行っているのですが、本日は同行するようにと仰せつかり、同行しました。」

そう言って名刺を差し出し相手と名刺を交換する

そうして共演者の人達の挨拶が終わり俺は笑顔を崩す

「あぁ〜マジで疲れる!俺、やっぱりマネージャーとか向いてないわ」

「結構様になっていましたよ」

「勘弁してくださいよマネージャーさん営業スマイルって疲れるんですよ!」

「慣れてしまえばどうということはありませんよ」

「俺、本業は学生件路上ミュージシャンなんですけどね」

「聞いていますよ、それにcircleや無くなりましたがspaceでもLIVEされましたよね?」

「どうして知ってるんですか?」

「日菜さんが動画サイトにアップされているあなたの映像を見ながらよく歌を口ずさんでいますので」

「なるほど、それだけ気に入ってくれたなら嬉しいですね、カバーした甲斐がありますよ!」

マネージャーと話しているとノックの音が聞こえ番組のスタッフが入ってくる

「Pastel*Paletteの皆さんスタンバイお願いします。」

「わかりました!」

皆をを代表して彩が答え皆が自分の楽器を手に控え室を出ていく

そんな中で日菜が俺の服の袖を掴む

「どうしたの?もう出番だよ?」

「ひ〜くん、今はあのネックレスつけられないから、代わりの御守りになる様なものあったら欲しいなって」

「ちょっと待って」

そう言って俺は自分のギターケースを開けて普段使っているピックを取り出し日菜に渡す

「これ使いなよ!俺は、予備あるし」

「いいの?」

「普段から使っているやつだからちょっとくたびれてるけど、日菜にあげるよ」

「ありがとう!行ってくるね!見ててねひ〜くん!」

「もちろん!さぁ、行っておいで!」

「うん!」

そうして日菜は皆と合流し放送スタジオに向かった

そして放送が始まり、俺はモニター越しにそれを見ている

「手が届くのに届かないってもどかしいな」

「一応彼女達はアイドルですからね、まぁ、貴方は演奏家ですから、そういう意味ではその気持ちも間違いでは無いと思いますね」

「どうなんでしょうね、俺は少なくとも、彼女達の力になれるなら、何かを捨てたって構わないです、それで仲間が笑ってくれるなら」

「変わってますね、貴方はそんな事を真顔で言えるんですから、だからこそ彼女達も貴方に気を許しているのでしょうね」

「そうだったら嬉しいですね。」

そんな話をしている中でパスパレ以外の共演者の人達が歌っていく、それを聞いてもいい曲だとは思っても、歌いたいカバーしたいとまでは思わない、そんな中で一組のアーティストが絆や友情がテーマの曲を歌っていた

その曲を聞いて俺は考える、絆ってなんだ?友情ってなんだ?

繋がりって?それは目には見えないけど、大切なもの

本当にそれだけ?じゃあ、絆が壊れるのはなんで?繋がりが無くなるのはなんで?どうして無くなるものを大切にできるの?目に見えないものを大切にしたいと思えるの?

多分それが俺達の絆の形なんだろうな、どんなに目に見えないものでも大切に思えたら、それが本物になる

でも、それが正しい答えかは分からないけど少なくとも俺はそう信じる事が大事だと思うから

そんな事を考えるいるといつの間にか曲が終わっていて

パスパレの番になっていた、どうやら曲を聞き逃すのだけは避けられたらしい、パスパレの皆がスタンバイしたタイミングで曲が告げられ演奏が始まる

「ずっと練習してきたんだからさ、最高の演奏が出来なきゃ嘘だよな!」

そう言ってパスパレの演奏に耳を澄ます、聞こえてくる皆の音

日菜のギター、千聖のベース、イヴのキーボード、麻弥さんのドラム、そして彩の歌それがひとつになって最高の演奏になっている

「1人1人が自分の色を見つけられるのはまだ先かもしれないけど、その色が混ざれば虹色だって夢じゃない!」

そうして1曲目が終わり2曲目に入る

パスパレボリューションずの演奏が始まる

会場もパスパレの演奏に釘付けだ、こんな演奏を見せられたら俺も本気でやらない訳にいかない!

俺は自分の意識を切り替える

「ここからは僕の番だな!」

(任せたよ!ルミナス)

「もちろん!僕が君で君が僕なんだ僕らの演奏であの子達に伝えよう!繋がりの大切さをね!」

そうしてパスパレの演奏が終わりそれと同時に生放送も終わりを告げる

そうしてテレビ出演成功の打ち上げが始まる

「「「「「カンパーイ!」」」」」

「うん、乾杯!」

「光君、今回はありがとう!」

「ううん、できる事をしただけだから、頑張った分結果が着いてきただけだよ」

「謙遜も度が過ぎると嫌味よ光」

「そう言われてもな〜、実際頑張ったのは皆であって、練習見るくらいしかしてないのに御礼を言われてもね」

「でも、実際感謝してるのは本当ッスから、ありがとうございます光君」

「まぁ、どういたしましてかな」

「本当にありがとうございます!光君」

「うん、どういたしまして」

4人と話す中で日菜はこっちを見て黙っている

「日菜?さっきからなんで黙ってるの?」

「………ひ〜くんだよね?本当に」

「他に誰がいるのさ!」

「ひ〜くん、ひょっとしてあの時のひ〜くん?」

「どうしてそう思うの?」

俺はあえてはぐらかすと日菜は真面目な顔で言った

「1度でもあの時のひ〜くんを見てたらわかるよ!それに、ひ〜くんさっきから俺とか僕とかの一人称使ってない!」

「アッハハ、そんなとこからバレるとはな〜」

俺は髪を上げて結ぶと深呼吸して話し出す

「そうだよ、今の僕は光であって光じゃない、本気で演奏する時にだけ見せるもう1人の俺なんだよ」

皆は驚いた顔をしていたが、すぐに冷静になり問いかける

「あの時の演奏は本気じゃなかったの?」

「もちろん本気だったよ!ただね、この姿の時の演奏は全然違うものだよ」

「聞けばわかるよ!ひ〜くんの演奏全然違うからね」

「まさにその通りで聞いてもらわないとわからないから、移動しない?事務所のグランドピアノ借りれることになってるんだよね」

「わかったわ、皆、行きましょう!」

そう言って千聖を筆頭に皆が移動する

事務所に着くと事務所のグランドピアノがある部屋に行き

そこで演奏するために準備しアコギの準備をしてからマイクのスイッチを入れて話し出す

「こんばんは、Pastel*Paletteの皆さん!ルミナスって言います!皆が知ってる通り、日菜はこの姿の僕を知ってます。まずはアコギで1曲聞いて下さい曲のタイトルは

現実という名の怪物と戦う者たち」

僕は演奏を始め30秒程度の前奏の後歌い出す

 

『どうして僕だけがこんなに辛いのかといつも思ってた

周りの人ばかり幸せそうに見えた

だけど君と話したら少しだけ気が楽になった

似たようなこと打ち明けてくれたからかな

顔の見えない現実がときに怪物のように

僕らの志を潰そうと押し寄せてくるけれど

出会えて良かったと心から言える 人が少しづつ増えてく

その温もりを噛み締めながら

支え合ったり卑屈をぶつけ合ったり

独りじゃ辿り着けない場所に

僕らは今きっと赴いている途中』

 

パスパレ視点

「これが本気の演奏なの?すっごく引き込まれる」

「でしょ〜!でもまだ序の口だよ!これからだからね〜」

「本当に!?今でも十分凄いのだけれど、まだ序の口って」

「ヤバいです!ハンパないです!」

「いやいや、本当にどうなってるんすか!?」

皆にどういう世界が見えているのかわからないけど、私達は光君が見せる世界に引き込まれていく

『それは傷の舐め合いだと笑う人もいるよ

少し前まで僕もそう思っていたよ

だけど信じられる人がいると日々が少し明るくなる

意固地になってた自分のことも分かる

いつまで一緒にいられるわけじゃないことは

なんとなくわかっているけれど今は手を取り合える

想い描いている景色の中では必ず君が笑ってて

同じ喜びを噛み締めている

信頼を置けたり誰より腹立てたり

独りじゃ過ごし得ない時間(とき)を

僕らは今きっと歩めているから

失ったもの指折り数えたその後で

今ある希望とこれから手にする光を数えてみるんだ

出会えて良かったと心から言える人が少しづつ増えてく

その温もりを噛み締めながら

支え合ったり卑屈をぶつけ合ったり

独りじゃ辿り着けない場所に

僕らは今きっと赴いている途中』

 

俺は演奏を終えると話し出す

「今回の演奏のテーマは繋がりなんだ、この曲を聞いてこのメンバーと出会えてよかったって繋がりを持てて良かったって思ってくれたら嬉しいですじゃあピアノで演奏していくね、次の曲は多分皆が知ってる曲だから、すぐにわかると思うな、じゃあ、さっそく歌っていきます、時の歌」

俺は曲名を告げて演奏しながら歌っていく

 

『空の孤独な鷹よ風に抗いながら

そこにあるのは光と闇1人だけの空

空を見上げて泣いた一人生きてる君よ

真実の名を教えておくれいつの日か消えてしまう君よ

光が闇に溶けるように心の中をとおりすぎる

君の歌を歌うよ』

 

パスパレ視点

曲を聞いた瞬間にわかった、確かに皆が知ってる曲だ

「なんか違う?」

「多分歌ってるのひ〜くんだからじゃない?そう感じるの」

「そうね、私、苗字は白鷺なのに私に歌われているみたいよなんだか」

「多分千聖に向けて歌ってると思うッスよだって光君には

葛藤とかそういうのはお見通しだと思うッスだからこそ皆にそして何より千聖さんに向けて歌ってるんだと思うッス」

「わかる気がします!あの人の演奏と見せる世界には私たちいます」

誰もが知ってる曲だからこそ引き込まれるそんな演奏ができる彼だからこそ伝えられることがあるんだろう

 

『空を見上げて泣いた一人生きてる君よ

真実の名を教えておくれいつの日か死んでしまう君よ

光が闇に浮かぶように沈黙の中をとおりすぎる

時の歌を歌うよ

生まれ消えていくはかない命たちよ

終わりがあり始まりがあるよ忘れないで』

 

僕は届けるこの曲を通して繋がることの大切さを

知って欲しい一人で生きている時間も大切だけど繋がりを持つこと恐がらないでと

 

『空の孤独な鷹よ風に抗いながら

空を見上げて泣いた君よ』

 

時の歌の演奏が終わり僕は話し出す

「ここまで2曲聞いてもらったけど、僕が伝えたい事伝わったかな?繋がりを大切に、人と繋がりを持つことを恐がらないでって伝えられたかな?最後に1曲聞いて下さい曲名はRing

指輪とかの意味ももちろんあるんだけど、繋がりって意味もあるこの曲を皆に聞いてほしい、それじゃあいくね!」

そう言って演奏を始め歌い出す

『永遠に満たされぬ孤独の影に怯えながら

いつか来る輝きを求め人は歩き続ける

1度だけでもいい…喜びに声を上げ泣いてみたい

心の傷跡も忘れられぬ過去もその肩に積もる冷たさも

ゆっくり溶けて流れゆく』

 

パスパレ視点

前の2曲とは違って心の中にスっと入ってくるようなそんな曲だと多分皆が思った、だってサビの部分なんかは私達の中で未だに燻っている気持ちがあるってわかってて選んだ曲だと思った

「いい曲だね」

「だよね〜」

「本当ね」

「ですね!」

「ハイです!」

最後の曲は引き込まれると言うよりは光君の世界に吸い込まれるような感じがしている

 

『本当は誰もみな声にならぬ叫び抱えて

もがいては諦めて今日という日を塗り潰してる

届かなくてもいい…心から愛の歌響かせたい

彷徨う悲しみもやり切れぬ矛盾も

この空に浮かぶ虚しさも時間(とき)が忘れさせてくれる

凍える瞳の奥が今答えを求めてる

言葉にならずただ抱きしめた

震える唇重ねた温もりを胸に…』

 

あぁ、もうすぐ終わる最後の曲が終わりに近づいている

皆に伝えられたかな?伝わったかな?伝わってるといいな!どんな風に感じてくれたかな?

そんな事を考えながらラストサビを歌い上げる

 

『心の傷跡も忘れられぬ過去も

その頬を濡らす温もりがほら輝きに変えるから

あなたの優しさがあなたの喜びが

その指を照らす微笑みがいつも2人を包むから』

 

僕は最後の演奏を終えて鍵盤から指を離しピアノの蓋を閉じて皆の方を見ると皆が静かに泣いていた、僕はその光景を見て嬉しくなった、伝わったんだと

「良かった、伝わったんだね、繋がりを大切に思う気持ちが届いたんだね」

「そうだね、伝わったよ光君が繋がりを大切にして欲しいって気持ちが伝わったよ」

「そうね、歌を聞いて泣いたのなんて始めてよ!」

「やっぱりひ〜くん凄いや!」

「本当に最高でした!」

「とっても素敵な演奏でした!」

「ありがとう皆」

「こちらこそありがとう大事な事に気付かせてくれて、おかげで私達の心が一つになれた気がするわ」

「もし、そうだとしたら嬉しいな、演奏したかいがあったよ僕もね」

僕はそう言って髪を解きピアスを付け替えて元の光の姿に戻り言った

「さぁ、帰ろうか!そろそろ帰らないと、帰りは電車使わないとだからさ」

俺がそう言うと涙を拭いながら笑顔を浮かべて千聖が頷き

答える

「そうね、帰りましょうか!」

その言葉に全員が頷き俺達は事務所を後にし駅に向かい駅から電車に乗り少しの間電車に揺られる

車内では俺と千聖以外は絶賛居眠り中だ

「結局こうなるのか…」

「何が不満なのよ?日菜ちゃんなんか安心したように寝てるじゃない」

「日菜は何度かあるからね俺の横で眠る事」

「どんな状況なのよそれは」

そう言ってクスクスと笑う千聖を見ているといくらかだけど迷いが晴れたようなそんな表情をしている

「一緒にいるとなんとなくこういう機会がたまにあるんだよ、日菜はこうなるとなかなか起きないんだよね」

「まぁ、もう少し寝かせておいてあげなさいな、いざとなればおぶっていくことは出来るでしょ?」

「まぁ、そうだけどさ」

などと話していると千聖が俺の肩にもたれかかって来た

「少しだけこうさせて」

「次の駅で降りないとだから、それまでね」

「えぇ、わかってるわ」

そうして俺は降りる駅までそのままで過ごし電車が止まるまでの間肩にかかる微かな重みを感じていた

そして駅に着くと俺と千聖は皆を起こし電車を降りて改札を出る

「光、今日は本当にありがとう!このお礼はあなたのために歌うことで返すわね」

「うん、楽しみに待ってるよ!」

「期待しててね!光君!」

「光君が感動するような演奏してみせますよ!」

「やってやります!」

「ひ〜くん!待っててね!」

「うん、皆が俺にどんな曲を届けて、どんな世界を見せてくれるのか楽しみに待ってるよ」

俺がそう言うと皆が頷きそれぞれの方向に帰って行った

「俺達も帰るか!」

「うん!」

そうして俺達は2人並んで家路を行く

「ひ〜くん、どうして今回あの姿になったの?」

「必要だと思ったから、かな?」

「そうなんだ…なんかね、ひ〜くんのその姿はあたし以外の人に見て欲しくないな〜」

「まぁ、俺もあんまり人に見せたい姿じゃないから」

俺がそう言うと日菜は顔を上げて俺を見る

「そんな顔しないでよ、どんな姿でも、俺は俺だよ!」

「そう…だよね!ひ〜くんはひ〜くんだもんね!」

「それ以外にないじゃんか!」

そう言って笑う俺につられるように日菜も笑う

その後日菜を送り届け俺は帰宅して机に向かって詩を書いていく書くのは久々なので言葉を探しながら書いていき曲が完成する。

そして出来上がった曲を見て呟く

「さすがにこれを聞かせる訳にはいかないかな」

そう言って俺は鍵の付いた引き出しにその曲を書いた譜面を仕舞い鍵をかけて就寝する事にしベッドに潜り込んだ。

新しい詩と一緒にその日、光は自分の中で何かが掴めた気がしたのだった。

 

 

 




読んでくださった方ありがとうございます。
今回はパスパレの話を書かせてもらいました。
次はAfterglowの話になりますのでお楽しみに
後、話の中の時系列的に誕生日イベントが多くなると思います。
次回「夕焼けと仲直り」


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第26話夕焼けと仲直り

少しづつ自分が詩を書くことと向き合う光のこれからは


その日、俺の元につぐみが倒れたと連絡が入った

理由は過労だと言っていた、なんでも、最近店が忙しい事が

多かったらしく皆も気にかけてはいたらしいが直前まで皆異変に気付けなかったらしい

俺はとりあえず連絡をもらってすぐに病院に向かった

病院に到着するとつぐみ以外のAfterglowの皆とつぐみの両親が集まっていたのでとりあえず、息を整えて話しかける

「皆!つぐみは?」

「大丈夫です。頭打ったりとかは幸いな事になかったみたいです。」

その言葉を聞いてひとまずホッとする。

「それで、今は?」

「とりあえず、眠ってます。」

「そっか、大事なくて何よりかな…」

そうして俺は少し周りを見るとひまりとモカが離れて座っていたので俺はそっちに行き声をかける

「なんかあった?」

「蘭とひまちゃんが喧嘩しちゃって〜」

「つぐと直前まで私、話してたんです!それで、厨房に戻ろうとしたタイミングでつぐ倒れちゃって、私、リーダーなのに、1番最初に気づいてあげなきゃ行けなかったのに!」

そう言ってひまりは泣き出した

俺はどうしたもんかと思いながらとりあえず、蘭の話も聞いてみる事にした

「蘭、蘭はなんでそんなにムスッとしてるの?」

「別にムスッとなんか!」

「とりあえず、話してくれない?仲裁に入ろうにも、他の方法取るにしても話聞かないと俺、どうしようもないよ」

「そうだぜ蘭、話して楽になる場合もあるしさ、蘭の考え聞いてもらえよ」

「まぁ、そこまで言うなら」

そう言って蘭は話し出す

「つぐが倒れた時、あたし達全員が咄嗟に動けたから頭打ったり大事にならなかったんだ、でも、直前まで話してたからってのもあってひまり凄く気にしてて、あたしは次はこうならないようにあたし達全員が気を付けてあげるしかないから切り替えなって言ったんです。でも、ずっとメソメソしてるから、こう、カチンと来ちゃって、売り言葉に買い言葉になって喧嘩しちゃって」

俺は軽く頭を抱えた、正直今回の事を引きずる気持ちも蘭の意見も両方最もだと思ったからだ、俺は迷った末につぐみの両親からも話を聞いてみる事にしつぐみの両親に話しかける

「こんばんは、つぐみは大丈夫なんですよね?」

「あぁ、君か、大丈夫、聞いてはいるだろうがアタマを打ったりとかしてないし単なる過労だって言っていたよ」

「そんなに忙しかったんですか?ココ最近」

「そうね、いつもより少し忙しいくらいではあったけれど、無理させたりとかはしてないつもりだったのよ」

「多分ですけど、忙しいタイミングと暇になるタイミングがかなり差があったりしませんでしたか?」

「そう言われると確かにそうだったな」

「おそらくですけど、それが原因で本人も気付かないうちに疲れが溜まっていたんだと思います。」

「医師にも似たような事を言われたわ、もう少しゆっくり休む時間を作ってあげれば良かったわね」

「そうだな」

「難しいんですよ、その辺の事は本人も気付かないうちにですからね」

俺がそう言うとつぐみの両親も頷いていた、俺はとりあえずAfterglowのメンバーを集めて話をする

「あのさ、正直言うと俺はどっちの気持ちもわかるんだ、引きずる気持ちも、切り替えないとって気持ちもさ、だからこそ俺から言えるのはさつぐみに心配かけない事!それと、つぐみが退院したら皆で退院祝いをしてあげなよ!もちろんその為の協力なら俺は惜しまない!」

「そうッスね!光さんの言う通りだよな!とりあえず、アタシらはいつも通り、アタシ等にできる事をやるしかないさ」

「賛成〜」

「まぁ、そうだよね!」

「それしかない…よね」

そうしてその日は解散し俺達は明日に備えることにした

面会については、目が覚めたらできるらしく、明日から大丈夫だろうとの事だった、俺は帰宅してからすぐにシャワーを浴びてから部屋に戻りベッドに寝そべり考え事にふける

退院祝いを盛大にするとは言ったけど、その前にひまりと蘭が喧嘩しているこの状況を何とかしないといけない、俺はまた自問自答する

俺はAfterglowの皆にどうなって欲しい?決まってるいつも通りを大切にする彼女達にはずっと仲良しでいて欲しい

その為に俺はどうする?やっぱり演奏かな?

だとしたら何を演奏する?友情ソングしかないだろう

曲はどうする?これから考えて最高の演奏を届ける

なら、皆に何を伝える? 友情の大切さ

他には?いらない、それだけでいい!それ以上を今は求めちゃいけない

俺は目を開けて深く息を吐き出し一人呟く

「やるしかないよな〜」

そう言って俺は体を起こしてギターを手に取り演奏する

曲は友よ〜この先もずっと〜だ1度だけ始めて彼女達Afterglowのメンバーに会った時に演奏した曲だ本当は

キーボードで演奏したいところだけど、あの時はギターで演奏したから、今回も、もし、この曲を届けるならギターで聞かせてあげたい、でも、今回はこの曲じゃない方がいいかもしれない、そんな事を考えながら演奏を終えて一息つく

「やっぱり、このままじゃダメだ!明日考えよう!今日はいくら考えても答えなんて出ないと思う」

そう言ってギターを戻し俺は就寝する。

次の日

俺は学校の授業はほとんど聞き流しあっという間に昼休みを迎える

「光〜お昼食べよ!」

「そうだね、なんか考え過ぎてお腹減ったよ」

「授業、そんなに難しかったかしら?」

「授業の事じゃないよ!」

「じゃあ、何考えてたの?」

俺は話そうか迷ったが一応話しておくことにした

「いちお他言無用でお願いしたいんだけど、つぐみがね倒れたみたいなんだ、幸い命に別状はないらしんだけど、入院しててさ、その事が原因で蘭とひまりが喧嘩しちゃったみたいでさ、とりあえず、つぐみに心配かけないようにとは言っておいたんだけどさ」

「まぁ、それが正解でしょうね、今は羽沢さんの退院を待って話してみるのが1番でしょうね」

「だよね、そう思うんだけど、俺に出来ることがないかなって思ってさ」

「ん〜みんなの話を聞いてあげるくらい?あとは演奏?」

「だよね、俺もそれしかないかなって思ってる」

「ひ〜くんはどうしたいの?」

「欲を言えば、蘭達に仲直りしてもらってまたいつも通りに過ごして欲しいかな」

「なら、時間が解決してくれるのを待つしかないのじゃないかしら?」

「だよね、せめてきっかけ作ってあげられたらと思うんだけど、余計なお世話かな」

「そんな事無いんじゃない?光の動き方にもよるだろうけど、ちょっときっかけ作ってあげられたらそれでいいんだからさ」

「だよね!、俺なりに動いてみるよ!」

「なんかあったら言ってよね!いっつも一人で全部決めて最後には解決しちゃうんだからさ!」

「何かあれば遠慮なく頼るようにするからその時は頼むね!」

「もちろん!」

「任せなさい」

「任せて!」

そうして昼休みを終えて俺達は午後の授業に入る

俺はノートこそとるものの授業内容はほとんど聞き流している、とりあえずは放課後にあの二人の様子を聞いてみるしかないだろうなと思いながら半分ボーッとしているとあっという間に授業が終わり俺はスマホでモカと巴にメッセージを送り2人の様子を聞いてみると一緒に行動こそしているものの話はしていないらしい

「重症だな〜これは」

「何が?」

俺は顔を上げると日菜が俺の顔を覗き込んでいた

俺は笑って軽くデコピンをかましてから話しかける

「いきなり声掛けないでよ!びっくりするから、せめて肩叩くとかしてよ」

日菜は不満気な表情でデコピンされた箇所を押さえながら話し出す

「だって、呼んだのにずーっとスマホとにらめっこしてるんだもん!」

「そうなの?」

「そうだよ〜もう!」

「悪かったよ!昼に話した件で巴達に連絡してみたんだけど、相変わらずみたいで重症だなって話でさ」

「でも、一緒にはいるんでしょ?」

「そうみたい、でも、お互いにどう話していいかわかんないって感じなんじゃない?」

「そっかぁ〜、あたしもお姉ちゃんとそうだった事あるしなんとなくわかるなぁ〜」

「日菜はめげずに話しかけてたんでしょ?」

「そうだけど、やっぱり辛いしさそういうのって」

「どうしたもんかな〜」

「ひ〜くんがやっぱり仲裁に入るとか?」

「そうするにしても、まずは自分達の気持ちをぶつけ合ってからじゃないとダメだと思うんだよね」

「ならさ!あたしとお姉ちゃんの時みたいにしたら?」

「どういう事?」

「皆に演奏聞いてもらってひ〜くんの気持ちを聞いてもらうの!あたしの時は向き合う事の大切さを教えてくれたし!今回もそうすればいいよ!」

「結局それが一番かな」

「絶対そうだよ!」

「じゃあ、そうするよ!ありがとうね日菜!」

「こっちこそ!あの時はありがとう!」

「別にいいよ、日菜にはピックあげただけだし、あの時も

結果的に皆が頑張った結果だしね」

「その後の演奏で皆の気持ちが一つになったんだしさ」

「まぁ結果オーライって奴だからさ」

そう話しているとチャイムが鳴り6限が始まる

「じゃあ、また後でねひ〜くん」

「うん!また後で」

そうして6限が始まると俺はさっそく別な事を考え始める

とりあえず、退院祝いを盛大にする事が先決かなその時に演奏すればいいだろうし仲直りのきっかけを作ってあげればいい

だとしたら演奏する曲が問題になるがそれは後で良いだろう

そんな事を考えていると授業が終わり俺はさっそく荷物をまとめて帰り支度を始める

「光〜今日はバイトないの?」

「今日はないよ、明日はバイトだけどcircle行くの?」

「今日はアタシがバイトだから個人練習の日なんだよね」

「そっか、じゃあ明日はcircleに来るんだね、まぁ練習にはいつでも付き合うから言ってよ」

「じゃあ今度個人的にカナリヤ教えてよ!」

「いつでも言って、じゃあ、またね」

そう言って俺は教室を出て昇降口で靴を履き替えて自転車置き場から自転車に乗り自宅に向かう自転車を走らせ15分程で到着し荷物を置いて冷蔵庫に入れて置いたカップケーキと念の為ギターを持ってつぐみの入院している病院に向かう

病院に着くと受付でつぐみの病室を教えてもらい向かう

病室の前で扉をノックすると中からどうぞと声がかかったので俺は中に入る

「光さん!来てくれたんですか!」

「うん、倒れたって聞いたしね、思ったより元気そうで良かったよ」

「ちょっとクラっとしただけで皆大袈裟なんですよ!」

「つぐみはただでさえ頑張り屋なんだから、もう少し自分でも気を付けないとダメだよ!」

「気をつけます。」

「とりあえず、はいこれお見舞いにカップケーキ焼いてきた」

「ありがとうございます、さっそく食べても良いですか?」

「もちろん!」

つぐみは箱を開けてどれから食べようか悩んでいる

その姿を見てひとまず安心した

「今日、他のみんなは?」

「まだ来てないですね、午前中に両親が来てくれたくらいです。」

「そっか、大丈夫かな他の皆」

「なにかあったんですか?」

俺はどう伝えようか迷ったが一応ありのままを伝える事にしつぐみに今回の事を話した

「そうですか、私のせいで皆が」

「言うと思った、つぐみのせいじゃないよ!つぐみ、俺の嫌いな言葉は自分のせい誰かのせいって言葉だよ、それは逃げる事と同じだよ」

「でも、やっぱり責任感じちゃいますよ!」

「でも、誰のせいでもないし誰も悪くないよ!だって遅かれ早かれつぐみは倒れてたよ!だって気付かないうちに疲れが溜まっていたんだから自分でも気付けなかったのに他の皆が気付ける?」

「それは…」

「とにかくさ、大事ないだけ良かったじゃん!結果オーライ!」

「ですよね…」

「まったく、つぐみいつ頃退院できそう?」

「え?えっと次の検査で何も無ければ即退院なので週末には退院出来ると思います」

「じゃあ、つぐみの家で退院祝いのパーティーしようか!その時につぐみ達Afterglowに向けて俺からの演奏を届けるよ」

「それって!私達のためだけに歌ってくれるってことですか?」

「そう、ただ、まだ皆には内緒ね!もしバラしたら泣くまでくすぐるからね!」

「それは嫌なので黙ってます!」

「最高に一つ聞いていいかな?つぐみにとってみんなといる時間はもちろん大切だろうけど、大切以外で言葉にするなら何?」

「そうですね…やっぱり宝物ですね!皆がいて私がいて、そんな時間が宝物です。」

「そっか、ありがとう、また来るよ」

「はい、お見舞いありがとうございます」

「うん、またね」

そうして病室を後にし病院を出た所で他のAfterglowのメンバーと会った

「あっ!ひかるん先輩だ〜」

「やぁ、こんにちは皆」

「どうもです光さん!」

「こんにちは」

「光さんもつぐのお見舞いですか?」

「俺は済ませたとこ、これから帰るよ」

「つぐの奴どんな感じでした?」

「元気そうだったよ、週末には退院できるだろって」

そう伝えると皆安心したようだ、俺はとりあえず他の方法皆にじゃあ、またと一言告げて病院を後にし、商店街にある

つぐみの家に向かった、そしてつぐみの家に着くと

俺は店に入りつぐみの両親に挨拶した

「こんにちは、俺一人なんですけど、大丈夫ですか?」

「大丈夫だよ、入んな」

俺はカウンター席に座り、つぐみの両親と話す

「お見舞いに行ってきてくれたんだろ、ありがとうな」

「いいえ、俺にとってもつぐみは大切な後輩なので、苦になりませんよ」

「そう言ってくれて嬉しいわ」

「言葉を尽くしても足りませんよ、実際俺はその場にいませんでしたし、やっぱり、いたらなにか変わったかなと思うとどうしても考えてしまいます」

「君は優しんだな、だが、本当に気にしないで欲しい

つぐみの為を思うならね」

「そうですね、すいません、なんかしんみりしちゃって」

「気にしなくていいさ、それよりも、なにか用があったんじゃないのか?」

「はい、実は退院祝いを盛大にするのでここを使わせて貰えないかと思いまして、代わりに、つぐみが退院するまでの間俺がお手伝いしますし、バイト代は退院祝いにここで

パーティーをする事でチャラで良いです」

「助かるが、本当にそれでいいのかい?」

「構いません。厨房は任せ切りになるので、フロアは任せてもらって大丈夫です。ただ、申し訳ない話circleでのアルバイトもあるので、1日置きで大丈夫ですか?」

「あぁ、構わないよ、扱いは研修という扱いで土曜までお願い出来るかい?」

「わかりました。」

そうして話がまとまり俺は明後日の水曜と金、土曜と連続でのシフトとなった、その後俺は帰宅しすぐ部屋に行きギターを弾く自分が知る友情ソングを弾いていく、俺はどの曲がいいか考えながら数曲程弾いてキーボードに切り替えさらに数曲演奏する中でふと頭に浮かんだ曲を演奏する

興が乗りそのまま歌っていく曲は変わらないもの

歌いながら思う、この曲はAfterglowの皆にいいかもしれないと、そして仲直りの曲にもぴったりだと思いながら歌っていき曲が終わる

「よし!曲決めた!順番は後からでいいや!」

そうして俺は1度ギターを置き部屋を出て夕飯の準備をして夕飯を済ませくつろいでいるとAfterglowの皆の事が浮かんだ

俺は一人一人の事を思い出してみる

まずは巴、俺が最初に仲良くなったAfterglowのメンバーで

ドラムをやっていて、面倒見がよくAfterglowの精神的支柱だ

次にモカ、ふわふわしてどこか気が抜けているように見えるが1番皆のことをわかっているのは間違いなくモカだと思う

そしてつぐみ、Afterglow1の頑張り屋でいつも皆を動かすきっかけを作っているのは間違いなくつぐみだ

あとは、ひまりだ、ひまりはAfterglowのリーダー件

ムードメーカーでちょっと子供っぽいところもあるがなんだかんだ言ってメンバー全員が信頼する存在だ

最後に蘭、Afterglowの中で一際繊細な心の持ち主だけど、

メンバーの誰よりもAfterglowという皆でいられる場所を大切にしている、そしてそんな5人が集まってできたAfterglow

その彼女達は小さなすれ違いによって気持ちがそれぞれ違う方向に向かってしまっている、俺はもう一度皆が同じ方向を向いていけるなら、皆に向けて最高の演奏を届けたい

そう思うといてもたってもいられず部屋に行き再びギターを手に取り演奏する、ただデタラメにひたすらに今の気持ちを込めて俺は弾いていくと自分の中で1つの形になった

俺はそれを譜面に起こし曲にするとまだ短いが曲と呼べるものになった

「この曲はまだ未完成だし、やっぱり誰かに聞かせていい曲じゃないな」

そう言って俺はまた鍵の付いた引き出しにそれをしまった後

シャワーを浴びて就寝した。

 

次の日俺はいつもより早く登校してギター以外の荷物を教室に置くとそのまま屋上に向かい給水タンクがある1段上の

スペースに上がりそこで何気なくギターを弾いていると屋上の扉が開き誰かが俺がいる場所まで登ってくる、俺はイツメンの誰かが呼びにでも来たのかと思っていたら、上がってきたのは

蘭だった

「なんで光さんがここに!?」

「やぁ、おはよう、蘭」

「あぁ、うん、おはよう…って光さん!」

「まぁ、とりあえず上がっておいでよ、話はそれから」

「わかりました」

そう言って蘭は俺がいる所まで上がってきて俺の背中に寄りかかる

「なにかあった?」

ギターを弾きながら問いかける

「別に、最近皆と思うように話せてないなと思ってさ」

「多分皆と気持ちがすれ違ってるんだよ」

「なのかなぁ〜」

「それでも、Afterglowはいつも通りでいればきっと大丈夫だよ」

「なんで、なんでそんな風に思えるんですか?」

「なんでかな?俺にもわかんないけど、多分蘭達ならって

信じられるからかな?」

「何それ!光さんらしい!」

そう言って笑う蘭の顔が見えなくてもわかる。

「ねえ、光さん」

「何?」

「なんか歌ってよ!さっきから弾いてばっかでちょっとつまんない」

「じゃあ、なんかリクエストくれる?」

「じゃあ、友達同士の絆で」

俺は少し考えてから弾き始める

『あなたが大きくなるまで雨の日なんて何度もある

その中の一度は一緒に濡れた事忘れちゃうかな

遠回りしちゃったけど友達になれたのかな

お別れしたって覚えていられれば大丈夫なのかな

空の冷たかった手が初めて掴んだ手に消えていく時間の中

引っ張られて走った帰り道を探して

今 私が泣いていてもあなたの記憶の中では

どうかあなたと同じ笑顔で時々でいいから思い出してね』

俺は静かに、蘭にだけ届くように歌っていく

皆と一緒に過ごした時間を振り返ってこんな事もあったな

楽しいだけじゃなかったけど、一緒にいて良かったなと思ってもらえるように

『怖がりで優しいから怒った事は何度もない

その中の一度をあの時くれた事震えていた声

知らない空に一番星 謎々が解った日

見つけたよ とても温かいもの

決して無くならない目印

一人に怯え迷った時心の奥 灯りに気付く

そうかあなたは こんなに側に

どんな暗闇だろうとも飛んでいける』

 

蘭視点

光さんの声をこんなに間近で聞いたのはいつ以来かな?

凄く優しんだけど、力強い声になんだか凄く励まされる

目を閉じて耳を澄ますと聞こえてくる声と一緒に思い出される今まで、こんなに鮮明に思い出したの初めてかもしれない

やっぱりこの人は凄いし、狡いんだよな〜そう思いながら

アタシは光さんの声に音にそして光さんが見せる世界に引き込まれていく

 

『今 私が泣いていてもあなたの記憶の中では

どうかあなたと同じ笑顔できっと思い出してね

忘れないよ また会えるまで心の奥 君がいた場所

そこで僕と笑ってる事教えてあげたいから

信じたままで 会えないままで

どんどん僕は大人になるそれでも君と笑っているよ

ずっと友達でしょう』

ラストの演奏まで終えると俺は蘭に話しかける

「蘭、俺はさ迷った時はこうやって音楽の世界にひたすらに身を浸すんだ、そうすれば見えてくるものって必ずあるからさ、困ったらいつでも俺の所においで、話を聞いて演奏してあげる事は、俺でもできるからさ」

俺がそう言うと蘭は静かに立ち上がり俺に向けて言った

「ありがとう光さん!なんか掴めた気がするよ!」

「頑張れ!蘭!」

「いつも通りあたしらしくぶつかってみます!」

「それでこそ蘭だよ!さぁ行って来な!」

「はい!」

蘭の力強い一言と同時にチャイムがなり朝の時間が終わりを告げる、俺たちは少し急いで屋上を後にしそれぞれの教室に向かった

「ギリギリセーフ!」

「光、また屋上にいたんでしょ?ギターの音聞こえてたよ」

「荷物はあったから来ているのはわかっていたしね」

「来れば良かったのに」

「でも、ひ〜くんの音がね、いつもより静かだったから

多分一人で考えたい事があったんだなって」

「まぁね、でも、まぁ答えは見つかった気がするよ」

「結局光は全部一人で解決しちゃったんだね」

「まだまだこれから、俺が動くのは最後の最後だよ」

などと話していると担任がやってきてホームルームが始まった

いくつかの連絡事項を伝えて一限目に備えろと言って教室を出ていくと俺は教科書を出した後時間が許す限りギターを弾く

「熱心にやってるね、光」

「そうね、今は話しかけない方がいいかもしれないわね」

「でも、つまんないなぁ〜」

「まぁ、今は成り行きに任せようよ、大丈夫だよ、光なりの考えあってのあの行動なんだから」

「不服では無いの?リサ」

「別に、アタシは、誰かのためみんなの為って頑張ってる光が好きだからさ、邪魔になりたくないんだ」

「そう、それなら良いわ、今は見守りましょう」

「だねぇ〜」

「聞こえてるよ3人とも!まぁ、いいけどさ、とりあえず、やれるだけやるさ!」

そう言ってギターをしまうタイミングで再度チャイムが鳴った

俺は相も変わらず授業は聞き流しひたすらに考え事をしているとあっという間に午前の授業が終わりを告げた

「光、お昼は?また屋上?」

「そのつもり、来る?」

「ん〜アタシはどっちでもいいかな?友希那は?」

「遠慮するわ」

「あたしは今日は麻弥ちゃんのとこに行くからパース」

「じゃあ、アタシも今日は遠慮するよ!一人でゆっくり色々考えなよ」

「じゃあ、そうするね」

そう言って俺は屋上に向かい朝と同じように給水タンクがある1段上に上がりそこで昼食を済ませたあとギターを弾いていると朝と同じように蘭が俺の所にやってきて背中にもたれかかる

「どうしたの?蘭」

「上手く伝えられなかった…」

「言葉って難しいよね」

「ココ最近それを凄く実感してます。」

「俺はどうしたらいい?」

「このままでいいんで、あたしの愚痴に付き合ってください」

「いいよ、ゆっくりでいいから話してごらん」

「あの後、皆にあたしの言葉で伝えたんです、そしたら何が言いたいのかわかんないって言われちゃって…」

「なんて言ったか聞いていい?」

「今のままじゃダメだから皆で話そうって、つぐのこともこれからの事もって」

「別段変なところはないと思うけどね」

「その後ですよ、あたし上手く伝えられなくて」

「詳しく聞いていい?」

「お願いします。」

そう言って蘭は話してくれた。

 

蘭視点

 

光さんに演奏してもらって励まされて、教室に行き朝のホームルームを終えた後、あたしはいつものメンバーと教室の隅で話す

「あのさ、今のままで言い訳?あたし等に出来ることがあるんじゃないの?」

「そうかも〜」

「具体的にどうすんだよ?」

「そうだよ!」

「それを話し合おうって言ってんじゃん!」

「って言ってもな〜」

「もっと具体的に〜」

あたしは考えて言葉を選んでいく

「まずはつぐの事、これからあたし達で気を付けるって言ったけど、具体的にどうするのかだけどさ、やっぱりあたし達で手伝える部分は積極的に手伝っていこうと思うんだ」

「って言っても、そんなに手伝える事無いんじゃ…」

「だから!ちょっとした事でいいんだよ!2人でやれば早い事だってある訳だし!」

「一理あるけどさ、例えばちょっとした荷物運び手伝うとかだろ?つぐなりに頑張ってるんだから邪魔になりたくなってのも本音だよな」

確かにその通りだと思う、でも、どんな事でも良いから手伝って助けになりたいとあたしは伝えるが、上手く伝わらない

結局何が言いたいのか分からないと言われてしまい悔しく

なり、結局光さんに縋るようにそして逃げるようにここに来た事を伝えた。

 

俺は蘭の話を聞いて考える、俺からも話してみた方が良いだろうなと思って蘭に提案する

「蘭、とりあえず、俺からも話してみるから、つぐみのお見舞いに行ったあとcircleに来て」

「わかりました。お願いします。」

それから昼休みの終了まで俺はひたすらにギターを弾いていた、それを蘭は静かに聞いていた

昼休み終了間近、蘭が口を開く

「光さん、あたし達大丈夫ですよね?」

「大丈夫だよ、Afterglowの絆はこんな事で壊れるようなものじゃないだろ」

「だよね、あたしもそうだと思う、だから光さん!今回は光さんに頼らせてください!あたし達の絆をもう一度繋げてください!」

蘭の言葉に俺は静かに頷き答える

「わかった、俺に出来ることは最大限にやらせてもらうよ!」

「お願い…します」

俺達はその後自分のクラスに戻り午後の授業を受けた後

俺は1度家に戻り荷物を置いてギターだけを持ちバイトに向かったcircleでは既にRoseliaが集まり練習しているので俺も着替えてRoseliaの練習に参加する

「今のとこベース遅れたよ!ギターはワンテンポ早く入って」

「OK!」

「わかりました。」

「光、歌の方はどう?」

「サビの部分の伸びがイマイチかな辛いかもだけど一瞬でいいから悲鳴あげるギリギリを意識してみて」

「わかったわ」

そうして練習を繰り返した後練習時間は終了した

俺はカウンターに戻り一息つく

「お疲れ様、光君、これ差し入れ」

「ありがとうございます」

俺はまりなさんからコーヒーを受け取り蓋を開け半分程飲んでまた息を吐き出す

「Roseliaの皆熱心だけど、どんな感じ?」

「技術は格段に上がってますよ、うかうかしてると俺もすぐ追い抜かれるかもです」

「そっかそっか!お互いいい刺激になってるならいいんじゃないかな」

「そうですね、俺もそうだと嬉しいです」

などと話していると蘭達Afterglowがやってきた

「こんにちは、光さん!」

「いらっしゃい、練習してくんだよね?1時間でいいかな?」

「お願いします。」

「じゃあ、ちょっと行ってきます!」

「はいはーい受付は任せて!」

「お願いしますね」

そうして蘭達と練習スタジオに入ると俺は皆に向け話し始める

「今日は蘭に頼んで皆を呼んでもらったんだ、俺からも皆と話そうと思ってね」

「だろうなとは思いましたよ」

「いつもはつぐの家に集まりますからね」

「だねぇー」

「さっそく本題に入るけどさ、まず、皆今後どうするの?」

「どうって?」

「つぐみも含め自分や他の皆をどうサポートしていくの?皆それぞれに思う所があって、それが共通認識になってないのが問題だと思うけどね俺は」

「そうは言いますけど、それはあたし達なりに考えてるからであって」

「じゃあ、蘭が言ったみたいに小さな事から気を付けてあげればいいんじゃないの?」

「…それは…そうなんですけど…」

「巴、巴の考えを聞かせて」

「あたしは、ずっと気を張ってばっかじゃ疲れるし、ヤバくなったら止めるとかするしかないなと」

「間違いではないね、でも、だったらさ蘭が言うようにサポートするのも手じゃないの?」

「つぐが望まない事をあたしはできません」

「だってさ、蘭」

「巴、ちゃんと言ってよ、言ってくれなきゃあたしだって分からないよ」

「蘭の考えだってわからないわけじゃないと思ったから否定出来なかったんだよ!」

「まぁ、とりあえず、他の皆の考えも聞かせてくれる?」

「出たとこ勝負〜」

「なんか違うような気もするけどなぁ〜」

「まぁ、モカなりに答えは出てるんだしさ、最後にひまりの考えを聞かせてくれる?」

「私は、私は、つぐを助けたいです!私になにができるかわからないけど、リーダーとしても友達としても、皆を助けたいです!」

「蘭、これで皆の気持ちはわかったよね、そしたらもう一度蘭の気持ちを伝えないと」

俺がそう言うと蘭は頷き3人を見て言った

「あたしは、小さな事でもいいからつぐに頼ってもらいたいし助けたい!皆で助け合って支え合っていつも通りでいたい!」

「皆はどう?」

俺は3人に問いかけると3人は顔を見合わせ頷き合うと話し出す

「まぁ、いつも通りが1番あたし達らしいしな」

「だね〜」

「まぁ、それが1番だよね!」

そう言って4人で笑い合う

俺はそれを見て軽く笑って声をかける

「さぁ、少しの間練習しようか!つぐみの代わりは務まらないけど、キーボード弾いてあげるよ」

「お願いします」

そうして俺は貸し出し用のキーボードを使い練習に参加した

3曲程演奏しその日は終了した

帰り際皆にお礼を言われたが、今回は少し話をしただけで特別な事はしていないので気にしなくていいと伝えてその日は解散した。

俺は帰宅するとすぐに夕飯を済ませてシャワーを浴びてから眠気が襲って来るまでギターとキーボードを弾いていた

すぐに眠気が襲ってくるかと思っていたが、なかなか眠気が襲ってくる気配もなく眠りに着いたのは日付けを跨いだ頃だった

次の日、スマホのアラームで目を覚ました俺は正直まだ寝ていたい衝動と格闘しながら起きて朝食と昼食の弁当の準備をして着替えを済ませて朝食をとりその後細かな準備をして学校に向かい15分程で到着した後自転車を置き昇降口で靴を履き替えて教室に荷物を置いて屋上に向かい給水タンクがある1段上に上り音楽を聞きながらウトウトしていると今日も蘭がやってきたので俺は声をかける

「おはよう蘭」

「うん…おはよう」

そう言って俺の隣に座る

「今日はどうしたの?」

「別に…光さんいるかなって来てみたらいたから…」

「そっか、何も無いに越したことはないから良かったよ」

「まぁ、はい、今日はギター引いてないんですね」

「ちょっと眠たくて風に当たってた」

「そうなんですか、あの!今、聞いてる曲、あたしにも聞かせてくれませんか?」

「ちょっと待って」

そう言って俺は一旦曲を止めて片方のイヤホンを蘭に渡した

蘭がイヤホンを付けたのを確認して最初から曲を再生する

「なんて言う曲ですか?」

「確かMomentsだったかな?とりあえず聞いてみなよ」

「はい、そうします」

俺は曲を再生すると目を閉じて曲を聞きながらまたウトウトし始めた

 

蘭視点

光さんが聞いてる曲が気になってあたしも聞かせてもらった

なんか今のあたしと光さんの為にあるような曲かなと思うような曲だった花鳥風月に準えてサビが歌われる

あたしにとっての光さんは近いようでちょっと遠い存在、

でも、最近はなんか違うただ横にいてくれたり話を聞いてくれたり、近くにただいてくれるあたしにとっては花もそのひとつだ、そして光さんが近くにいて、私の傷だらけの心を優しく包んでくれるような、とても優しい感じがする

横にいる光さんを見ると目を閉じている眠っているのかなと思ってあたしは光さんの肩に寄りかかる、こうしているとこの時間はあたしだけのものだって思える、この時間が終わって欲しくないなと思いながらあたしは聞こえてくる音楽に耳を済ませながら、チャイムがなるまでそうしていた。

少ししてチャイムがなりあたしと光さんはそれぞれの教室に戻っていった

 

光side

俺はチャイムの音が聞こえて目を開け軽く体を伸ばして隣でまだ少しぼーっとしている蘭に声をかける

「チャイムなったし、行こうか」

「…ですね」

俺達は早足で屋上を後にしてそれぞれの教室に戻っていく

俺は教室に戻り席に着くと友希那達が話しかけてきた

「今朝も屋上にいたの?演奏は聞こえなかったけれど」

「ちょっとうたた寝してたらいつの間にかってやつでさ」

「貴方の事だから遅くまで練習していたんじゃないのかしら?」

「まさにその通りだよ、寝る前に少しと思ってやり始めたら興が乗ってさ、日付け変わってから寝たんだよね」

「夢中になるのを悪いと言うつもりはないけれど、程々にしないとまた演奏を自粛する事になるわよ」

「そうならないようにしてるつもりだよ?」

「あまり言いたくないけれど、それだけは信用ならないわよ、前科があるもの」

「だよね、自覚はしてるよ」

「何度も言うけど、程々になさいよ」

「大丈夫だよ」

などと話していると教室に先生が入ってきてホームルームが始まり簡単に連絡事項を伝えまたすぐ入れ替わりで教科担当の先生が入ってきた

「そう言えば今日は小テストやるって言ってたっけ」

とはいえ、得意科目の科学のため問題はないだろうと思いながら授業の準備をしてから友希那の机の周りにイツメンで集まり授業が始まるまで話した後、授業と小テストを受けた

その後移動教室がメインとなり4限終了まで慌ただしく動いていたがお昼になりやっと落ち着けると思い昼食をとり軽く寝ようかと思っていたが友希那とリサはともかく、日菜がそれを許すわけがなく俺は昼休み中今朝イツメンと話して終わった、午後の授業になり眠気を堪えきれずに教科書を立てて居眠りしている間に6限まで終わったタイミングで俺は跳ね起きた

「今、何時?」

「6限まで終わったわ揺すっても起きないんですもの、それよりも髪型何とかなさいな」

「髪型?」

俺は自分の髪を触ると襟足と前髪がヘアゴムで結ばれていた

俺はおそらくリサ達の仕業だろうなと思いながら髪を解き帰り支度をして帰りのホームルームを受けそそくさと帰路に着いた

1度家に戻り荷物を置いてからつぐみの家に行き時間まで店を手伝い帰宅し夕飯とシャワーを済ませてギターとキーボードを交互に弾いてから適当な時間に就寝する

そして次の日から俺は日中は学校夕方はcircleかつぐみの家の手伝い夜は個人練習の時間と少し慌ただしい日々を過ごし

迎えたつぐみの退院の日俺は朝からバタバタとつぐみの退院祝いの準備をしていた。

「親父さん、こんなものですか?」

俺はつぐみの親父さんに準備状況を確認してもらう

「おぉ!なかなか良いじゃないか!それにしても、任せっきりにしてすまないな」

「良いんですよ、俺こそ厨房とかフロアも好きに使わせてもらって、ありがとうございます」

「バイト代の代わりだしな、そこは気にすんな」

「そう言って貰えると俺も助かります。そろそろつぐみ達が帰ってくる時間じゃないですか?」

「おっと!確かにそろそろだな!光君、任せたよ!」

「任されました!」

俺は店の入口に立ってつぐみ達が来るのを待っていると扉が開きつぐみが入ってきたのを確認してクラッカーを鳴らす

「退院おめでとう!つぐみ!」

「光さん!ありがとうございます!」

「て言うかこれ全部光さんが準備したんですか?」

「うん、ちょっと大変だったけどね」

「いやいや、ちょっとのレベルじゃないですよね?」

「ん〜家から持ってきたのもあるし、本当にちょっとだよ?」

「まぁ、とりあえず、食べよう!」

「ですね!」

皆がそれぞれ食べたい物をとり食べていく中で俺は厨房に行き冷蔵庫からケーキを取り出してくる

「手ごろにお腹も膨れただろうし、デザートをどうぞ!」

「わぁ!光さんお手製のケーキですか?」

「当たり!切れ込みは入れてあるからさ、好きにとってよ」

「じゃあお言葉に甘えて!」

「あたしも!」

「モカちゃんも食べる〜」

「待て!あたしも、もちろん食べるぜ!」

「私も私も!」

皆がそれぞれケーキをさらに移して食べていく、そんな中で

俺は演奏の準備を始めさらに着ていた上着を白いものに変え髪をあげて結ぶとピアスを付け替えてルミナスの姿になる

「光さん?その姿は…」

「皆、知らないよね?」

俺の質問に全員が頷く

「この姿は僕が誰かのために本気で演奏する為の姿なんだ、僕はこれから皆に絆の大切さを伝えます。今回は3曲用意しているので聞いて下さい、1曲目はリユニオン」

 

俺は演奏と同時に歌い出す

『友達の意味なんか俺は知らないけど

もしもこれがそうじゃないならいらないやもう知らないや

青春の日々なんかどんなかは知らないけど

もしもこれが違うのならもういらないや

もう知らないでいいや

元々どんな出逢いだったかも思い出せぬほど

大雑把なもん同士の

気まぐれのような風が吹けば散らばっちゃうよ

人付き合いも特に得意な方じゃなくてむしろ億劫な方で

それがどうしてどうなってこんなとこまで

やって来たんだっけ

きっと何となくの観てる方向の

なんとも言えぬアンニュイなツボ

気持ちいい、嬉しいと響く感動のスイッチが

もしかしたらどうも

奇跡的に同じあたりにあり

つまりこんなに嬉しいことはない

「こんなことはない」ってことが起こったそれが君

友達の意味なんか俺は知らないけど

もしもこれがそうじゃないならいらないやもう知らないや

青春の日々なんかどんなかは知らないけど

もしもこれが違うのならもういらないや

もう知らないでいいや』

 

Afterglow視点

曲を聞きながら思い返すあたし達のいつも通りの日常

気が付けば一緒にいて、何をするのにも一緒だった

それは多分今までもこれからも変わらないだろう

「今の関係が友達と言えないならいならいし、知らないか」

「心に響く〜」

「そうだな、考えさせられるな友達や青春ってどんなものだろうてさ」

「わかる!私も同じ意見だよ!」

「思い出すね、バンドやろうって言い出したあの時の事とかさ」

なんて話しながら光さんの声に耳を澄ます

 

『「俺たちは友達」なんて今まで一言も言わずに

当たり前すぎてこっぱずかしすぎて

でもこの機会に「お前ら友達」

いつも酔っぱらえば青アザだらけで追いつかない気持ち

騒がしすぎて翌朝首がむち打ち

さぁ今日はどうすっかね午前5時

そう風知空知の厚顔無恥もう何言われようが心地いいBGM

1人を誓ったあの夜の僕 もう少しだけ待て破れるよすぐ

群れずに吠えずに馴れあわずに

一途にぶれずに揺られながら

時に手を取りこの身委ねながらありがとうさえ口にせず』

 

俺は演奏で見せる世界に引き込んでいく、決して絆を絶やさないようにと思いながら演奏し歌っていく

 

『破れた粉々になるまで夢剥がれた

「馬鹿げた夢を見た」なんて無しにできるわけないほどに

懸けてた

分かってるよ見てた最前列で何も言わず

お前の勇姿見てきた

美しかったよ今まで見たことないほど

勇ましかったよ今までのどんなお前よりも

悔しいかったよ何億分の一だろうと

何と言われようが俺の願いでもあったから

はじめて自分以外の夢の見方知ったからさ』

 

Afterglow視点

曲を聞きながら思い返すのはやっぱりあたし達が一緒にいた時間で、他の皆と過ごした時間であたし達全員にとっての大切な時間

「色々すれ違う事もあったけど、それもいつも通りなんだよねあたし達の」

「この歌の通りなのかもな、あたし達の今の形が友達や仲間と語らう事じゃないならいらないし知らないってさ」

「かもしれないね〜」

「私達は友達以上じゃん!大事な仲間だよ!」

「それだけは確かだね!」

改めて皆の気持ちを再認識し合った瞬間だった

 

『友達の意味なんか俺は知らないけど

もしもこれがそうじゃないなら

いらないやもう知らないや

青春の日々なんかどんなかは知らないけど

もしもこれが違うのなら

もういらないやもう知らないでいいや』

 

僕は歌う、そして届ける絆の大切さを

仲間の大切さを、Afterglowの皆ならそれがわかると信じて

 

『大事の意味が変わった今まで大事なもんは

決して離すな握って渡すなそっとぎゅっとして閉ざした

けど今となっては跡形もなくなった

お前には見せるよお前なら言えるよこれが俺の全てだって

明日には消えちゃいそうな

それくらいの絆が俺らにはいいやそれくらいがいいや

いついつまでもなんかよりか

いつか無くなるの今はマタタキのさらにマバタキの

その一刹那としても笑えるよ構いやしないよ

お前らを俺に刻むよ』

俺は演奏を終えると話し出す

「1曲目のリユニオンは友達や青春の意味を考えされるような曲だと思います。この曲を含めて3曲聞いてもらって自分達なりに絆の大切さを感じて貰えたら嬉しいです。

それじゃあ次の曲にいきます!キーボードで演奏します。聞いて下さい、変わらないもの」

『帰り道ふざけて歩いた訳もなく君を怒らせた

色んな君の顔を見たかったんだ

大きな瞳が泣きそうな声が今も僕の胸を締め付ける

すれ違う人の中で君を追いかけた

変わらないもの探していたあの日の君を忘れはしない

時を越えてく思いがある僕は今すぐ君に会いたい』

 

Afterglow視点

あたし達にとっての変わらないものってなんだろうって

多分皆が考えてる

「あたし達の変わらないものってなんだろ?」

「それはもちろんいつも通りでいる事だろ?」

「それはもちろん大切だし、それがあたし達らしい事だってわかってるけど」

「つまり〜、他にも見つけられるかも〜?」

「そうかもね!いつも通りの中に私達らしいなにかがあればそれがAfterglowの私達らしい変わらないものになるかもしれないって事だよね!」

なんて話しながら私達は演奏に引き込まれていく

 

『街灯にぶら下げた想いいつも君に渡せなかった

夜は僕達を遠ざけていったね

見えない心で嘘ついた声が今も僕の胸に響いている

さまよう時の中で君と恋をした

変わらないもの探していたあの日見つけた知らない場所へ

君と二人で行けるのなら僕は何度も生まれ変われる』

 

僕は演奏する、皆に届くように、伝わるように絆の大切さを演奏に込めて歌っていく

 

『形ないもの抱きしめてた壊れる音も聞こえないまま

君と歩いた同じ道に今も灯りは照らし続ける

変わらないもの探していたあの日の君を忘れはしない

時を越えてく思いがある僕は今すぐ君に会いたい

僕は今すぐ君に会いたい』

 

2曲目の演奏を終えて軽く息を吐き出し話し出す

「次がラストの曲になります。ラストの演奏はアコギで聞いて下さい、俺が選んだ最後の曲は1番の宝物」

俺は曲名を告げ演奏を始め少しの前奏の後に歌い出す

『顔を合わしたら喧嘩してばかりそれもいい思い出だった

君が教えてくれたんだもう恐くない

どんな不自由でも幸せは掴めるだから

ひとりでもゆくよ例え辛くても

きみと見た夢は必ず持ってくよ

きみとがよかったほかの誰でもない

でも目覚めた朝きみは居ないんだね』

 

Afterglow視点

あたし達一人一人に語りかけるように歌われる曲にあたし達は一人一人の視点で思い出を振り返る、光さんが選んだ曲を聞く度に鮮明に思い出されるいつも通りを過ごした思い出

楽しい事だけじゃ確かになかったけど、それでも変わらず

いつも通りを過ごした大切な思い出

「光さんわかってたのかな?」

「どうだろうな」

「ひかるん先輩ならありえる〜」

「だよね、私も同じ意見だよ」

「きっと皆にいつも通りの絆を大切にして欲しいって気持ちだけじゃないとは思うよね」

光さんの為に演奏するつもりだったのに、結局光さんにまた助けられちゃったなと思いながら最後の曲を聞いていく

『ずっと遊んでれるそんな気がしてただけ わかってる

生まれてきた事もう後悔はしない

祭りの後みたい寂しいけどそろそろ行こう

どこまでもゆくよここで知ったこと

幸せという夢を叶えてみせるよ

きみと離れてもどんなに遠くなっても

新しい朝にあたしは生きるよ』

 

Afterglow視点

正直泣きそうだった、つぐとひまりなんかは既に泣いている

光さんが見せる世界には笑ったり泣いたり喧嘩したりしながらも私達一人一人が笑ってる光景が見えている

その光景が見えた瞬間にひまりは真っ先に涙を流していたしつぐも堪えきれずに涙が零れている

「光さんが見せる世界には私達が映ってる、本気だとここまで世界が広がるもんなの?」

「あの人には驚かされてばかりだよ」

「ひかるん先輩パなーい」

「本当…だよね…私…涙を抑えられないよ」

「私も…涙で前が見えないよ」

あたし達は皆、光さんが見せる世界から逃れられない、どんどん引き込まれていって見せる世界そのものと同じ光景にされるんだろうと思いながら最後の曲を聞いていく

 

『ひとりでもゆくよ死にたくなっても

声が聞こえるよ死んではいけないと

たとえ辛くても寂しさに泣いても

心の奥には温もりを感じるよ

 

巡って流れて時は移ろいだもう何があったか思い出せないけど、目を閉じて見れば誰かの笑い声

なぜかそれが今1番の宝物』

僕が最後の演奏を終えるとひまりとつぐみは泣いていて、ほかの皆も涙を堪えているようだ

僕は軽く深呼吸してから話し出す

「どうだったかな?絆の大切さを僕は皆に伝えられたかな?」

「そりゃもう、見ればわかるじゃないすか!」

「ちゃんと伝わりましたよ!!あたし達にいつも通りを大切にしてその中ですれ違う事もあるけど、絆を信じて、皆を信じてって言ってくれるようなそんな感じがしました」

「いつも通りを大事にしないとダメって言われてるようだったね〜」

「それが私達の絆なんだから大切にしなってって言われてるみたいでした」

「皆との時間を絆を大事にした分だけ笑えるよってだからその気持ちを忘れないでって言われてる感じがしましたよ」

「よかった、伝えたい事は全部伝えられたみたいでさ」

「なんか、また光さんに助けられちゃいましたね!」

「別に気にしないでよ、皆が俺の為に演奏したいって思ってくれる事は有難いし楽しみでもあるけど、だからって俺の中で何かが変わるわけじゃないし、それにね、やっぱり話してよかったと思ってはいるんだよね」

「どうしてか、聞いても大丈夫ですか?」

「皆に話したおかげかな、ちょっとずつだけど、自分の曲をまた作れるようにはなってきてるんだ、もちろんまだ誰かに聞かせられるような曲は出来てないけどね」

「いつか、その曲は聞かせて貰えるんですか?」

「どうだろ?俺もまだ、感を取り戻してる最中だし、こればっかりは俺自身が納得出来ないと聞かせたくないかな」

「そうですか、じゃあ、いつか聞かせてくれる日を楽しみにしてます!」

「それに、今度は私達の番です!絶対光さんが新しい道を見つけられるように演奏します!」

「楽しみにしてるよ、俺に向けていつも通り、最高の演奏を届けてね!」

「もちろんです!全力でいつも通りの演奏を光さんに届けます!」

「待ってるよ!皆からの演奏が俺に何を見せてくれるのか、今からが楽しみだから」

「おそらくですけど、光さんに1番最後に曲を届けるのはRoseliaになると思うんです。だからあたし達はRoseliaの前に歌おうと思います!」

「そして、今これからあたし達から光さんに向けて1曲送ろうと思います!光さんが知ってるあたし達の曲の中で1番好きだと言ってくれた曲ScarletSky!」

蘭の発言で演奏が始まる、元々演奏する気でいたのか皆の楽器が準備してあったのでもしかしたらとは思っていた、でも、まさか俺に向けて歌ってくれるとは俺自身予想していなかった

「光さん!光さんに向けて歌う曲は光さんがしてくれるみたいにカバー曲を光さんに届けます!だから、今回は光さんが好きだって言ってくれたこの曲をお礼として送ります!」

蘭が間奏の間にそう言ってから続きを歌っていく

俺は蘭達の演奏に耳を澄ましてAfterglowの音に引き込まれていく

いつも通りを大切にしているからこその皆の音が俺は結構好きだ、それぞれのバンドにしかない特色がそして

Afterglowだからこその音がそこにある

俺が聞き入っているとあっという間に演奏が終わる

「最高だったよ、思わず聞き入った」

俺の返答に皆は嬉しそうな表情を浮かべた

「始めて最高だって言ってくれましたね」

「そりゃ、本気の演奏を聞かせてくれたんだしそれに対してちゃんと答えを示さないとね」

「光さんらしいですね」

「まぁ、これが俺だからね」

「光さんがあたし達に絆の大切さを教えてくれたからあたし達は気持ちをひとつにしていつも通りでいられるんですよ」

「俺は俺の考えを伝えたかっただけだから」

「だとしても、光さんのおかげで私達の絆は更に強くなりました」

「まぁ、そういう事にしておくよ、それじゃあパーティを再開しようか」

「ですね」

そうして俺達は退院祝いのパーティを楽しんだ後皆で後片付けをし解散した。

俺は帰宅するとすぐ部屋に行き鍵のついた引き出しの鍵を開けて書きかけの譜面を取り出すと続きを書いていきメロディが出来上がりさらに詩を書いていく

「この言葉はあえて入れないでいいやその代わりに絆や大切って言葉を多めに入れよう」

そう言いながら詩を書いていき曲が完成する

俺はギターを手に取り弾いて歌ってみる

 

【ありがとうを伝えよう誰かじゃなく皆に

大切な絆を繋いだ仲間に伝えよう

たった一言でいい一緒に過ごす仲間に、家族に友達に

ありがとうって伝えよう言葉が繋ぐ道標絆のその先へ

待っているのはなんだろう?きっと繋いだ絆のその先に

自分の大切な人達が笑顔で待っているだろう

だからこそ伝えよう!たった一言ありがとうって】

とりあえずできた曲を歌ってみるが何故か恥ずかしさが込み上げてきた

「我ながらちょっと恥ずかしいかもな」

そう言ってギターを置き引き出しを開けて曲を聞いた譜面をしまいもう一度鍵をかけると呟く

「いつか皆に聞かせるその時までここにいてくれな」

その後俺は眠気が来るまでギターを弾いてから眠りに着いた

光の中で少しずつ新たな答えが見つかりつつある中で

皆との絆もまた少し深まったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ラストに迷い投稿が少し遅くなりました。
何はともあれ26話も読んでくださった方々、ありがとうございます。
次回は燐子の誕生日を書いていきますのでお楽しみに

次回「誕生日とピアノの演奏」


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第27話誕生日とピアノの演奏

皆のとの絆が深まる中で光は新たな誕生日イベントの為に行動し始める


その日俺はイツメンで集まり昼食をとっているとリサが思い出したように言い出した

「そういえばさ、今度の週末は燐子の誕生日だよね」

「そう言えばそうね」

「燐子ちゃんの誕生日もうすぐなんだ〜」

「そうなの?もう少し先じゃなかった?

具体的には月末辺りだったような?」

「いやいや、光、それは友希那だよ!」

そう指摘され俺はスマホのスケジュール表を確認すると確かに週末は燐子の誕生日だった

「まだ1週間あると言うべきかもう1週間しかないと言うべきか悩みどころだなぁ〜」

「燐子と出掛けるの?」

「さぁ?それは本人に聞いてみないと、なんとも」

「逆に私からお願いするわ、サプライズでお祝いしてあげたいから燐子を連れ出して貰えないかしら?」

「そういう事なら、なにか俺なりに考えてみるよ」

「お願いするわね、それと、私の時も出掛けるわよ、先に伝えておくわ」

「わかった、じゃあ、友希那の誕生日は一緒に出掛けようか」

「じゃあ、光はケーキの準備お願いね」

「場所どうしようか?なんなら俺の家使っても良いよ?」

「だって友希那」

「なら、お願いしようかしら?」

「ケーキは前日に作って冷蔵庫に入れておくね」

「わかったわ」

「飾り付けとかは任せてよ!」

「任せたよリサ!それに友希那も」

「えぇ、任されたわ」

「あたしも後で燐子ちゃんへのプレゼントなにか考えておこう!」

などと話しているとチャイムがなったので俺達は教室に戻り午後の授業を受け俺はそのままバイトに向かい、少し後からやってきたRoseliaの練習を見ている

「今のとこ、入りの瞬間が遅かったね、もうちょい前のパートとの切り替えが早いとスムーズにいけるはずだから意識してみて」

「わかったわ、もう一度1つ前のパートからいくわよ」

「OK!」

「意識してみます」

「頑張る!」

「やってみます!」

そうして1つ前のパートから練習を再開するが今度はそこばかり意識しているのか演奏のバランスが悪い

「ちょっとストップ!指摘したとこ意識しすぎ!演奏のバランスが悪いよ!」

「なら、最初からいくわ!」

友希那の言葉に全員が頷き最初から練習すると指摘した部分もスムーズに繋がり演奏もRoseliaらしいものになった

「最初からやるから良かったのかな?」

「かもしれないわね、ところで光は自分のギターを取り出して何をしているの?」

「軽くメンテしたら演奏に混ぜて貰おうかなって」

「そろそろスタジオの練習時間終了だし、いいんじゃない?光の全力の半分を今のアタシ達が引き出せるかやってみたいし!」

「いい刺激になりそうですね」

「あこも賛成」

「私も挑戦してみたいです!」

「じゃあ、決まりね!」

友希那はため息をついてから1度頷き話し出す

「わかったわ、その代わり5割をキープして演奏してちょうだい!それと、私も含めて全員に定期的に個人練習してちょうだい!それが条件よ」

「わかった!それで良いよ!それに、Roseliaの曲もカバーできるならやってみてって友希那前に言ってたしね」

「そうなの?」

「うん、友希那が俺がRoseliaの曲を弾いて歌ったらどんな世界が見えるのか気になるって」

俺が友希那が言っていた事を皆に伝えると友希那が俺を睨んだ

「余計な事は言わないでちょうだい」

「言ったのは友希那だよね?」

「そういう事じゃないわ!まぁ良いわ、やるわよ!光、BraveJewelでいいかしら?」

「OK!」

「リードをお願いできるかしら?」

「良いよ!」

俺が演奏を始めるとそれに合わせて皆も演奏し俺達の演奏が重なる、俺は少しずつギアを上げるように少しずつ演奏のクオリティを上げサビと同時に5割に達する

周りを見ると皆が額に汗を浮かべているが友希那が5割と言った以上それを下げる訳にはいかないのでラストまで5割の力で演奏して演奏の終わりと同時に俺はふぅと息を吐き出す

「光、私達はあなたの5割にはまだ届かないようね」

「ギリギリ4割ってところかな?サビに向かってクオリティ上げてって5割の時点でついて行くのがやっとって感じだったでしょ?」

「アタシ、手が痛い!」

「私もです!」

「あこも腕パンパン」

「私も指が痛いです」

「ん〜まぁ俺は1人で演奏するからだけど、皆はバンドなんだし、皆で1つの音を奏でるもんでしょ?」

「そうだけれど、私達が目指しているのはFWFよ!光も知っているでしょ?」

「あのプロでも平気で落ちるようなかなり大規模なフェスでしょ?その為に皆が演奏技術を上げたいのもわかるよ、でも、仮にね今の俺の持てる技術を教えたとても精々俺の演奏の6割位にしかなからないんだよ!だって俺の音は常に1つのなんだもん!1人1人の技術の底上げにはもちろん付き合うし力も貸すけど、俺に追いつこうとは思わないでよ」

「光、言っておくけれど、それは無理な話よ!FWFの次ではあるけれど、2つ目の目標としてあなたの全力に答えられるバンドになる事は私たちの目標だもの」

俺は確認の意味も込めて1人ずつ目線を交わすと皆が頷いている、俺は少し考えてから話し出す

「なら、俺も遠慮しないよ?いつか皆に今以上の演奏を届ける事を約束するよ」

「期待しているわ!」

「まだ私達じゃあ光に並べないけど、いつか並んでやるんだからね!」

「いつか追い越します!」

「光兄ぃに追いついてから追い越すからね!」

「見ていてください!」

「そう簡単には越させないよ!」

なんて言い合いながら笑い合いその後解散する

帰り道、紗夜と話しながら俺は自転車を押して歩く

「光君、あの、さっきの事ですけど...本気ですからね!」

「まぁとりあえずは俺は変わらず練習見るし、個人練習も付き合うからさ」

「今回練習に混ざる条件でしたものね!それと、話は変わりますが、白金さんの誕生日の際には光君の家を使わせていただけると言うことですが、よろしいのでしょうか?」

「サプライズでお祝いしたいから俺は燐子を連れ出してくれって言われてるし、友希那に合鍵渡してるから大丈夫だから準備に時間をかけてよ」

「まぁ、光君がそういうならそうしますけど、湊さんに合鍵を渡すって随分信頼しているんですね」

「そりゃ信頼も信用もするよ!それに鍵を預けたのも今回の件があったからで、パーティが終わったら返すって言ってたしね」

「そうですか、光君としは残念では無いんですか?」

「なんで?別に来たいならいつでも来てくれて良いし、見られて困るものも特別ないし鍵があってもなくても特別変わらないよ」

「まぁ、光君はそうですよね」

「何が?」

「わからないならいいですけれど、肝心なところでは朴念仁ですね!」

「あのさ、前に言ったかもだけど、俺は俺が誰かを選ぶことで関係が崩れたりするなら誰も選ばないし、選ばせないよ!」

「知ってますよ!だからこそ声を大にして言わせてもらいます!あなたはずるい人です!」

「んなアホな!俺が悪いの!?」

などと話していると紗夜の家に到着した

「送ってくれてありがとうございます。それでは」

「うん、おやすみ」

俺は帰宅してから練習がてらに1時間程キーボードを弾いてから夕食を取りまたキーボードを弾いてからシャワーを浴びてから部屋に戻りピアノの曲と書いてあるCDをコンポに入れて再生する

曲を聴きながらどの曲を燐子に贈ろうかを考えながら流れてくる曲に合わせてキーボードを弾いていき収録されている曲が全て終わったタイミングで俺は就寝する

そして次の日、音楽室のピアノを借りようと少し早めに登校するとイツメンが既に登校していた

「早いね皆」

「あなたがいつも遅いのよ、まぁ今日は早い方だけれど」

「そうだね、光はそのうち遅刻魔になりそうでちょっと心配だよ」

「ひ〜くんはギリギリセーフとか言って教室に駆け込んできそうな感じがするよ」

「アハハ、俺はさすがにそこまではないと自分でも思いたいね、とりあえず、ちょっと職員室に行ってくるよ」

「なにかあるの?」

「音楽室のピアノ借りようかなってまぁ、後でcircleでも借りるけど、とりあえず音楽室のピアノ使って簡単に何曲か弾こうかなって」

「あぁ!なるほどね!」

「演奏するの?」

「そうだよ、まぁ、と言っても演奏だけね」

「じゃあ、とりあえず、音楽室の鍵借りてくるよ」

そう言って俺は職員室に行って鍵を借りてくると職員室の前で友希那達が待っていたのでとりあえず話しながら音楽室に向かう

「友希那達今日は練習?」

「個人練習の予定だけれど、貴方は?」

「バイトはないけど、circleには行くつもり、ちょっと、必要な機材があって、と言ってもCDラジカセとグランドピアノなんだけどね」

「ついて行っても良いかしら?」

「別にいいけど、着いてきて楽しいものじゃないかもよ?」

「構わないわ、何をするのか興味があるだけだもの」

「まぁ、そういう事なら、2人は?」

「ごめん!アタシはバイト…ものすごく行きたいけど」

「あたしもパスパレの練習があるから今日はいいや!今度ゆっくり演奏聞かせて」

「わかったよ、じゃあ、とりあえず、1度家に戻って荷物持ってからね」

「何がいるの?」

「CDと一応ギターとバイオリンもかな?」

「随分大荷物なのね」

「まぁ、楽器1式持っていく訳にはいかないからね」

などと話しながら学校の音楽室に着くと鍵を開けて音楽室に入り始業時間までピアノを弾いてから教室に戻りホームルームが終わったタイミングで鍵を返して来てから授業を受けて昼休みにイツメンで昼食をとりつつ話をする

「光、燐子に贈る曲は決めたの?」

「一応ね、後は本格的に演奏録音して編集で音一つにするしかないしね」

「1人で色々できるのも楽じゃないね〜」

「まぁ、好きでやってるからね俺は、基本聞かせたいじゃあなくて届けたいだから」

「光は確かにそうだよね、実際アタシの誕生日の時の曲も応援してるって言うよりスっと背中を押してくれる感じだったしね」

「私の時も期待できそうね」

「あたしも楽しみ〜」

「一応、ここにいるメンバーに贈る曲は既に決まってるよ」

「そうなの?」

「友希那は目標っていうか、夢を教えて貰ってるから、夢に向かって何があってもめげないでって思いを込めるつもりだよ」

「私の誕生日が今から楽しみね」

「まぁ、期待してて」

「ひ〜くん!私は?」

「紗夜と誕生日一緒でしょ、だから2人に歌った曲とその他にも2曲用意してるからまぁ、日菜は誕生日まだ先だけど、多分それまでにも曲はたくさん聞くことになるだろうし、まぁ楽しみにしててよ」

「まぁ、ひ〜くんがそう言うなら楽しみにしておくね〜」

などと話しているとチャイムが鳴り俺達は早足で教室に戻り午後の授業を受ける

俺は午後の授業は聞き流している、基本的に午後の授業は得意科目なので聞き流しても特に問題はない、その後小テストがあったが全部問題なく空欄を埋めた

そして俺は学校が終わるとすぐに学校を出て俺の家に行き荷物を持ってから

友希那と一緒にcircleに向かった、そしてcircleに行き扉を潜りまりなさんに声をかける

「こんにちはまりなさん、今日はお客としてきました。」

「こんにちは光君、えっと、CDラジカセとグランドピアノを使うんだよね?準備出きてるから好きに使って」

「ありがとうございます。ありがたく使わせてもらいます。

行こう友希那」

「えぇ、何をするのか楽しみね」

「ただ演奏を記録するだけだって、ピアノメインだけどさ」

「まぁ、とりあえず間近で見せてもらうわよ」

「じゃあ、とりあえず俺は演奏するからね」

そう言ってピアノを弾きながら歌っていきそれを記録して楽器を代えて演奏しては記録する作業を繰り返し5曲程記録し演奏を終える

「ヨシ!こんなものかな?」

「なかなか素敵な演奏ね」

「そう?これはまぁ、普段の本気とは違う意味で本気だからかな?」

「燐子に送るのでしょ?」

「その為の曲だからね」

「リサの時も送っていたものそうじゃないかと思ったわ」

「もちろん友希那の時にもちゃんと贈るから楽しみにしててよ」

「そうするわ、どんな曲を送ってくれるのか今から楽しみよ」

そう言って笑う友希那、普段あまり表情が変えることがないので新鮮にうつる

「友希那は笑ってる方が綺麗だよね」

「突然なによ」

「深い意味はないよ、たださ、普段はピンと張り詰めてる糸がちょっと緩むみたいに人にはあんまり見せない一面が新鮮ってだけ」

「それを言うなら貴方だって同じじゃないかしら?」

「どうだろ?自分じゃあわかんないよ」

「まぁ、光だものね」

「なんか引っかかる言い方」

「深い意味はないわよ」

「結局その答えに行き着くんだね」

そう言って2人で笑いあった。

その後友希那を送って行き俺も帰宅するとさっそく燐子に連絡する

数度のコール音の後に燐子に繋がった

「もしもし、燐子、俺、光だけど、今いいかな?」

(大丈夫です。何かありましたか?)

「週末燐子の誕生日でしょ?良かったら一緒に出掛けないかなって」

(良いんですか?)

「俺から誘ってるのに逆になんでって聞くよ?」

(いえ、あの、紗夜さんや今井さんの方が良いのではと)

「あの2人とはそのうち遊びに行くさ、今回は燐子と出かけたいんだ、誕生日のお祝いも兼ねてさ」

(そういう事なら、お願いします)

「ちなみに燐子は何かしたい事ある?」

(光君と演奏ゲームで対戦してみたいです!演奏ゲームだけじゃなくてたくさんのゲームで光君と遊んでみたいです!)

「じゃあ、ちょっと大きなゲームセンターにでも行って色んなゲームで遊ぼうか!」

(是非!)

「じゃあ、そうしよう!他にも行きたいとこがあったら当日でもいいから教えてね」

(わかりました。当日はよろしくお願いします)

「OK!じゃあ、またね」

(はい、また)

そうして俺は通話を終了させるとパソコンを起動し録音した音を1つにまとめて行き1つ目の曲が完成した

「やっと1つ完成、ピアノメインだとまた違った大変さがあるよ本当にさ」

そう言いながらも手を止める事無く2曲目の編集作業を開始する聞こえるのは機械の電子音とキーボードを叩く音だけだ

そんな中で作業を進め俺は2曲目の編集を終えてその日は作業を辞めシャワーを浴びてから就寝した

それから俺は昼は学校、夕方から夜にかけてバイト、そしてバイトがない日はひたすら練習に時間をさき誕生日に演奏する曲を弾いているとあっという間に燐子の誕生日当日となる

皆には少し早めに俺の家に集まってもらうと俺は飾り付けなどを任せ出掛ける

「じゃあ、準備は任せるね、ケーキは冷蔵庫に入っているから、俺達が帰る頃に準備して」

「わかったわ、夕方には帰るのよね?」

「約束が10時からだから16時か17時には燐子も連れてくるよ」

「目一杯燐子を楽しませてあげて」

「もちろん!俺に出来る最大限をもって」

「りんりんが嬉しくて泣いちゃうくらいに楽しませてあげね光兄ぃ」

「まぁ、そのくらいの気持ちで頑張るよ」

「では、お任せしますね光君」

「うん、じゃあ行ってくるね!」

俺はそう言って出掛け、待ち合わせ場所の駅前に向かう

燐子と一緒に戻って来るので自転車を使って目的地に向かう

自転車なら駅までは10分程度なので十分間に合うなと思いながら自転車を走らせ目的地に着きまだ燐子が来ていない事を確認すると俺は身だしなみを確認する為に一度駅のトイレで鏡を見て身だしなみを整えてから待ち合わせ場所に戻り燐子を待っていると程なくして燐子がやってきた、過ごしやすくそれでいてオシャレで可愛くまとまった服装でよく似合っていると思った

「こんにちは、光君、今日はよろしくお願いします」

「こちらこそよろしくね、今日は随分可愛い服装だね」

「そう…ですか!嬉しいです!光君も今日は一段とオシャレですよ」

「装飾品のおかげかな?ピアスだけじゃなくて、ネックレスとかも付けてるし」

「そうでしょうか?服装が普段とは違って明るめなのもあるんじゃないかなと思います」

「そうだと、嬉しいな」

「私から見てもオシャレに見えるので大丈夫ですよ」

「そっか、じゃあとりあえず行こうか!ちょっと大きなゲームセンターだし映画館とカフェも隣接してるから疲れたらカフェで休憩して映画とか見たりしても楽しいかもよ」

「楽しみです!どんなゲームがあるのかも光君のゲームの腕前なんかも!」

「そっちはあんまり期待しないでね、音ゲーやリズムゲームは得意だけど、それ以外は結構下手な方だから」

「光君の下手は人並みなので大丈夫だと思います。」

「う〜ん評価はありがたいけど…本当に期待しないでね」

そう言って俺達は電車で2駅先にある映画館とカフェが隣接されたゲームセンターに向かう為に電車に乗りしばらく電車に揺られて目的地の駅に到着しそこからまた少し移動してゲームセンターに到着する

「ここですか?」

「そう、右の階段から行くと映画館で正面入口がゲームセンターなんだよカフェの方は階段下の入口から入るんだ」

「そうなんですね、とりあえず、今はたくさんのゲームで光君と遊びたいです!」

「OK!じゃあ行こう!」

「はい!」

そうして俺達はゲームセンターに入りまずは無難にレースゲームを選択し対戦する

「光君!車をぶつけるのは反則です!」

「こういうのは妨害してなんぼでしょ!」

そう言いながら1位を争いながらゴールを目指す

結果ラストに逆転されて俺の負けだった

「負けた負けた!燐子強いね!」

「光君も結構強いですね」

「次はシューティングゲームで勝負する?」

「是非お願いします!」

「OK!じゃあ移動しよう!」

「はい!」

そうして俺達は次はシューティングゲームのコーナーに移動しお金を入れて対戦しスコアを競う

「光君!早いです!」

「スコアを競うゲームだから早い者勝ちだよ燐子!」

「負けません!」

「こっちもね」

そうして全5ステージでスコアを競い最終スコアで俺の圧勝だった

「負けました、シューティングゲームは光君の勝ちですね!」

「まぁ一勝一敗だから、これからこれから」

「次はリズムゲームで勝負しましょう」

「良いよ!リズムゲームや音ゲーは負ける気はしないけどね!」

そう言ってコーナーを移動しリズムゲームでのスコアを競い合い俺は有言実行とばかりにハイスコアを出した

「光君!ハイスコアおめでとうございます!完敗です」

「ちょっと熱くなりすぎたかな?」

「そんな事ないですよ!今のところ勝敗は2勝2敗ですしね」

「次は何しようか?」

「格闘ゲームで負けた方が休憩の時に飲み物をご馳走しませんか?」

「わかった!と言っても、俺、格闘ゲームはそんなに得意じゃないけどね」

「光君の得意じゃないは人並みなので大丈夫ですよ!」

「まぁ、じゃあやろうか!」

「はい!」

それから俺達は格闘ゲームで対戦を始める

「待って!今の本当に普通の技だよね?」

「コンボを繋げただけですよ!」

「攻撃の手が早いって!」

「先手必勝ですよ光君!」

「そう言うと思った!って言ってる間にも反撃出来ないし!」

結局燐子に圧倒されて3ラウンド全てで負けてしまった

「負けた負けた!燐子強いね!」

「こういうのは得意なんですよ」

そう言いながら楽しそうに笑っているので俺は結果オーライかなと思いながら休憩する為に隣接するカフェに移動し飲み物と軽食を頼んでひと息つくことにした

「約束通りご馳走するよ、何が良い?」

「ミルクティーとカップケーキをお願いします」

「俺はとりあえずコーヒーだけでいいかな」

そう言って俺は店員を呼んで注文を伝えて待ちながら燐子と話をする

「普段はあこちゃんと一緒にゲームしてるんでしょ?」

「はい、NFOって言うゲームなんです!私は魔法使いなんですよ!」

「高レベルの魔法使いだと凄い魔法とか使えるんじゃない?」

「まぁ、それなりに、でも、やっぱり使い所は限られますけどね」

そうしてゲームの話をしていると注文していたものが運ばれてきたので俺達は話を続けながら飲み物を飲んだりしてゆっくり休憩した後ゲームセンターに戻りクレーンゲームのコーナを見て回っていくつか景品を獲得していく

「思ったよりたくさん取れましたね」

「確かに、俺も取れすぎってくらい取れてビックリしてるよ」

などと話しながら少し奥のコーナーを見て回っていると先程燐子が話していたNFOのアイテムを模したアクセサリーを見つけたので燐子に声をかける

「燐子、コレ見て、NFOのアイテムを再現っていうか模したアクセサリーだって」

「どれですか?」

燐子が俺が指さす先を見て少し驚いた顔をした

「これ、NFOのイベントで手に入る限定アイテムを模したものですよ!」

「そうなの?ごめんね、俺、よくわからなくて、良かったら詳しく教えてくれる?」

「この指輪はパーティメンバー全員のHPとMPを1回だけ回復してくれるんです!しかも1度のバトル事に1回なので結構貴重なんですよ、それでこっちのネックレスは身につけているキャラクターのMPの上限を上げてくれるんです」

「そりゃゲームじゃあ貴重だね!それを現実で再現した訳だ」

「見たいですね!」

「欲しい?」

「取れるんですか?」

「やってみないとなんとも言えないけど、欲しいなら挑戦してみるよ」

「じゃあ、お願いします!」

「OK!」

俺はお金を入れてプレイしていく500円で3回のプレイなのでこの3回でどの角度からが取りやすいかを確認していく

そして3度のプレイで何となくコツをつかみ次のプレイで景品を獲得する

「とりあえず、指輪の方は取れたよ!」

「ありがとうございます!大事にしますね!」

「うん、じゃあネックレスの方に挑戦するよ!」

「頑張ってください!」

俺はさっきと同じ容量で景品を獲得し燐子に渡した

「ありがとうございます!まさか2つともとってくれるなんて思ってませんでした」

「ゲームの事はよく分からないけどさ、プレイヤーって言うかこのゲームが好きなら欲しいんじゃないかと思ったからね」

「本当にありがとうございます」

「感謝するのは早いって!」

「そうですね!まだこれからなんですもんね!」

「そういう事、それよりも指輪嵌る?」

「そういえばどうでしょう?」

そう言って燐子は指輪をしてみるが少し小さいようでハマらないようだ

「少し小さいみたいですね、ちょっと残念です」

「ん〜なら、後でチェーンだけ買ってネックレスにするとかは?」

「でもこっちもありますよ?」

「多分身につけると言うより飾っておくためのものなんだろうし、身につけたいならチェーンを少し長くしたりとかして使わないといけないかもよ」

「そういう事なら、どこかオススメのアクセサリーショップに後で連れてってください」

「わかった、いいよ」

「それと…あの…良かったら…一緒に写真も撮って貰えたらなと」

「別にいいよ、リサともプリクラは撮ってるし、お易い御用だね」

「ありがとうございます。」

「じゃあ、電車で戻ってそっちのショッピングモールに行こうか!あそこなら俺がたまに行くアクセサリーショップもあるし、ゲームコーナーもここほどじゃあないけどあるし、服とかも見たり出来るでしょ?」

「そういう事なら、お願いします!」

「任されました!じゃあ、行こう!」

「はい!」

そうして俺達はゲームセンターを後にして電車で俺達が普段から使っている駅に戻ってきてまた少し歩いてショッピングモールに向かったそして俺達は俺が普段から使うアクセサリーショップに向かった

「ここだよ!俺がよく利用するお店」

「確かに、色々置いてますね」

「とりあえず、チェーン買っちゃおう」

「ですね!」

そうして店内を見て周り俺はちょうど良さそうなのを見つけたので反対側を見ていた燐子に声をかける

「燐子、この長さならネックレスにちょうどいいんじゃない?」

「見せてください」

俺は燐子にチェーンを見せると燐子は指輪にチェーンを通して首に付けてみる

「こっちは少し短いので繋ぎとして使うのがいいと思います。こっちの長めのをネックレスに使えば2種類のネックレスができますね」

「とりあえず、それ買っちゃおうよ、それからもう少し店内を見て回ろうよ」

「そうですね」

そう言って俺達はチェーンを買った後店内を見て回る

「光君ってそういえばピアスつけてますよね?」

「そうだけど、どうかした?」

「いえ、あの…ピアスは無理ですけど…私もイヤリングくらいならと思って…」

「なるほどね!じゃあピッタリのがあるよ!こっち来て」

そう言って俺は燐子を隣に呼んでイ白い薔薇のイヤリングを見せた

「素敵ですね!可愛いです!」

「これにする?」

「はい!」

「じゃあ、俺からプレゼントするよ」

「でも!いくらなんでも貰いすぎじゃないですか?」

「じゃあ、俺にピアスを選んで買ってくれたらそれで良いよ!」

「それで良いんですか?」

「俺は良いよ!」

「それじゃあお言葉に甘えされてもらいますね」

「うん!そうして」

そう言って俺は燐子にイヤリングを買った

それから燐子は俺のためにピアスを選んでいたので俺は隣の髪留め専門店を覗いてイヤリングと同じ白薔薇の髪留めを買って燐子の元に戻った

「お待たせ、いいの買えた?」

「結構悩みましたけど、良いのが買えたと思います」

「そっか、そしたらこの後は服でも見に行く?」

「そうですね、コートやセーターなんかを見たいですし、せっかくなら他にも色々見て周りたいですね」

「OK!そういえば燐子、お昼はまだ大丈夫?」

「まだ平気です、それに、光君と他の皆でパーティ開いてくれるんですよね?」

「誰かに聞いたの?」

「あこちゃんからお祝いするとだけ聞きました」

俺は額に手を当てて渋い表情をつくる

「一応サプライズのつもりだったんだけど、バレてたのかぁ〜」

「大丈夫ですよ、詳細は聞いてないので」

「まぁ、仕方ないか!とりあえず、今は、目一杯楽しんで貰うとしますとも!」

「よろしくお願いしますね」

それから俺は燐子と一緒にコートやセーターを見て周りつつ店内の混み具合を見てあまり人がいない店を選んで回っていきながら買い物を進めていく

「大丈夫?疲れてない?」

「はい、平気ですよ」

「なら、いんだけど、無理しないでよ」

「大丈夫です!」

「まあ、燐子がそう言うなら信用するよ」

そう話しながら店内を見て周り燐子は2着のセーターを手に取り悩んでいる

「光君はどっちがいいですか?白と水色のセーター」

「どっちも燐子に似合うとは思うけど、その上からコート着るなら、あえて反対色の黒のコートを買って白いセーターで合わせるのが無難じゃない?」

「水色なら白いコートが良いでしょうか?」

「グレーもアリかな個人的にはジーンズ系のパンツと合わせたらスラッとしてカッコイイかもよ」

「なるほど、じゃあ、スカートを合わせるならどうしますか?」

「コートもセーターも白で統一したいならだけど、少し派手目なチェック柄のスカート合わせたらいんじゃない?」

「参考になりますけど、余計迷いますね」

「別に1つに決めなくてもいんじゃない?1着は自分で買ってもう1着は俺がプレゼントすれば良くない?」

「さすがにそれは貰いすぎですよ」

「誕生日なんだし、遠慮しなくていいよ!どうしてもって言うならピアスを追加でもうひとつ買ってくれたら良いからさ」

「服にこだわりないんですか?」

「コートはあんまり着ないし、冬ならこの服装に厚めのパーカーとネックウォーマーかな俺は」

「じゃあ、私からセーターを1着プレゼントさせて下さい!」

「燐子がそうしたいならいいよ」

「はい!」

そうして俺は燐子にコート他2着を買って燐子は自分の服の他に俺にセーターを買ってくれた、燐子はそのまま着替えて行くようで試着室に入っていった。

俺はスマホで時計を確認すると15時を少し過ぎた所だった

「ガッツリじゃなくても、軽く何か食べといた方が良いかもな」

そう思ってパンフレットで店を確認していると燐子が戻ってきた

「お待たせしました!着替えて来たんですけど、どうですか?」

「よく似合ってるよ!凄く可愛い」

「嬉しいです…けど…光君軽すぎませんか?」

「なんで?似合うと思ったからそのまま伝えたのに」

「本当に嬉しんですけど…本当に軽いというか、なんというかで」

そう言って燐子が苦笑するので俺もつられて苦笑してから話し出す

「軽くなんか食べようか!」

「そうですね、少しだけお腹すきました」

「じゃあ、1階に降りてパン屋で2・3種類何か買って食べてからプリクラ撮ろうか」

「そうしましょう」

そうして俺達はパン屋で数種類のパンを買ってからフードコートにいき燐子と一緒に買ってきたパンを食べた後ゲームセンターにいき燐子とプリクラを撮る

そしてお決まりのごとく機械からの要求が過激になっていく

最初のうちは2人仲良くピースやちょっとカッコよく決めポーズなど普通だったがラストの要求は思わずえ!?と声を上げた、隣で燐子も困り顔だった

「まぁ、とりあえず手でも繋いで、もう片方の手で2人でハートでも作ろうか」

「そうですね!それくらいなら私もちょっと恥ずかしさはマシですので」

「じゃあ、そうしよっか!」

「はい!」

俺達は2人でハートを形作ると機械からシャッター音が聞こえて俺達は写った写真を確認する

「燐子顔真っ赤だよ!」

「さすがに恥ずかしかったのと……緊張…もありました」

「まぁ仕方ないか!さすがに俺も照れるって言うか恥ずかしさはあったし」

「そうなんですか?」

「まぁね、リサの時はお姫様抱っこさせられたし、燐子もその方が良かった?」

「いえ…さすがにそれは…」

「まぁ、だよね!」

俺達はそんな話をしながら写真に落書きをしていき最後に撮った写真は燐子が何やら書いていたが出来上がってのお楽しみということで俺は出来上がるのを楽しみにしつつも今回もHappybirthday!と書いておき、それから出来上がった写真を確認すると最後の写真には一生の思い出と書いてあり、俺と燐子の名前と今日の日付けが書いてあった

「一生の思い出か」

「どうかしたんですか?」

「いや、そんな風に思って貰えたことが嬉しくてさ」

「光君が喜んでくれたのなら私も嬉しいです」

「まぁ、うん、ありがとう」

「はい!」

その後俺はスマホで時間を確認すると16時30分だったのでちょうど良いかと思い帰宅を提案する

「そろそろ帰ろうか、皆が待ってるし」

「待ってるってどこでですか?」

「そこは聞いてないんだね、俺の家に燐子以外のメンバー全員いて待ってるよ」

「そうなんですか!?」

「うん、だから、そろそろ行こうか!」

「わかりました、最後までエスコート、お願いしますね光君」

「任されました」

その後俺達はタクシーを呼んで俺の家まで帰り家の前に着くと友希那に帰宅した旨を伝えて準備してもらい俺の部屋まで行き扉の前で一度立ち止まり燐子を扉の前に立たせ俺は扉を開けて燐子を招き入れると2人で居間に行くと同時にクラッカーが弾ける音が響く

「「「「Happybirthday!!!」」」」

「おめでとう燐子」

「皆さん!ありがとうございます!」

「りんりん!こっちに座って!」

「うん!」

あこちゃんに引っ張られる形で燐子はケーキの前に座る

「火つけるよ!」

そう言って俺達はロウソクを火をつけると部屋を暗くして皆でHappybirthdayを歌う

「「「「誕生日おめでとう!!!!」」」」

「おめでとう燐子!さぁ、火を消して」

「はい!」

燐子はロウソクの火を吹き消したのを確認して俺は再び部屋を明るくする

「光!切り分けお願い!」

「了解、燐子どの部分から行く?」

「どういう事ですか?」

「このケーキねぇ場所によって味が違うんだよ!」

「そういう事!」

「じゃあ私の前の部分からでお願いします」

俺はケーキを切り分け燐子の前に置く

「召し上がれ」

「いただきます」

ケーキを口に運ぶと燐子が驚いた表情をする

「美味しいでしょ?その辺のお店顔負けなくらいに」

「大袈裟だって!」

「でも本当に美味しいですよ!」

「口にあって良かったよ」

それから皆は俺が作ったケーキや料理を食べながら談笑する

中で俺はキーボードを持ってきて音を出すと皆が注目する

「光、なんか演奏するの?」

「うん、まぁ、お祝いの意味も込めて1曲演奏しようかなって」

「何を演奏するの?」

「聞いてのお楽しみ」

「まぁ、光君の事ですからきっとピッタリな曲を選んでくれますよ」

「楽しみだねりんりん」

「うん」

「じゃあ、演奏始める前にちょっと話させてね」

そう言って俺は軽く咳払いして話し出す

「まずは誕生日おめでとう燐子!あいにくbirthdaysongはあんまり知らないから、今回選んだ曲はメッセージ的な意味合いが強い曲になってると思うんだ、とりあえず演奏するね

タイトルはきみのあした」

俺はキーボードを弾きながら歌っていく

『フレーフレーきみのあした

フレーフレーぼくのあした

 

最高の笑顔を見せたきみがいた

最高の笑顔をうらやむ誰もがいた

ぼくもその中の一人だっただけどぼくは知ってる

きみが何回も何回もへこんで追い越していく人

見ては焦って悩んで

あきらめてもやっぱり立ち上がり今の君がいること

みんな悔しい思いやもどかしい気持ちそれぞれに抱えて

それでもどこかで未来を信じたくてがんばってるんだ

フレーフレーきみのあしたフレーフレーぼくのあした

フレーフレーだれかのあしたフレーフレーみんなのあした』

 

Roselia視点

光の演奏を聴きながら思った事を伝え合う私達

「ある意味では最高のbirthdaysongね」

「そうだね、すっごい元気が出るって言うか、前向きに頑張ろって思えるよね」

「本当に、そうですね、さすがです光君」

「良かったねりんりん!光兄ぃからの最高のプレゼントだよ!」

「そうだね、凄く素敵な曲」

光君の演奏に私達が勇気づけられて背中を押されているような思いを抱きながら演奏を聞いていく

 

『迷う日々はきっとわるいことだけじゃない

探すから出会える悩むから見つけられる

肩を落として下を向いたら花が咲いていたみたいに

だけど今がつらくてたまらないそんな時もあるんだ

こらえてどうしようもないことこの胸に受け止めて歩いてるんだ

フレーフレーきみの涙フレーフレーぼくの涙

フレーフレーだれかの涙フレーフレーみんなの涙』

 

Roselia視点

皆が演奏に引き込まれる光君が見せる世界は皆が涙しながらも前を向いて夢や目標に向かう新たな1歩を踏み出す瞬間を応援してるよって見守ってる姿が見える

「心に響いてくるような曲ね」

「じんわり暖かくなるし、ちょっと泣きそう」

「その気持ち分かります。とても優しくてどこまでも暖かい応援メッセージをそのまま歌にしたようなそんな曲ですもの」

「りんりんには忘れられない誕生日だよね!」

「うん!誕生日に素敵な曲を送ってくれて本当に嬉しい」

私だけじゃなくて皆が光君の演奏を聞いてその世界に引き込まれる

 

『フレーフレー…フレーフレー…

フレーフレーきみのあしたフレーフレーぼくのあした

フレーフレーだれかのあしたフレーフレーみんなのあした』

ラストまで歌い終えてからもう一度燐子に向けておめでとうを伝える

「改めてHappybirthday!誕生日おめでとう!今日という日から17歳になる燐子が笑って明日を迎えられますように」

「本当にありがとうございます!光君、そして湊さん今井さん、氷川さん、あこちゃん本当の本当にありがとうございます!最高の誕生日です!」

「当然よそうなるように頑張ったもの」

「だよね!」

「えぇ、もちろん」

「うん!」

「どういたしまして」

それから友希那達が個人個人で選んだプレゼントを燐子に渡していき最後に俺から燐子にCDを渡す

「俺からの今日最後のプレゼント帰ったら聞いてみて」

「わかりました、ありがとうございます」

「光、どんな曲入れたの?」

「全部ピアノメインの曲だよ、後は燐子が聞いてのお楽しみ」

「光らしいわね」

「えぇ、とても」

「光兄ぃだからね」

「えぇ〜何それ」

そんな事を言いながら皆が笑い合うこの時間がとても楽しいと思えた瞬間だった。

それからしばらくして皆が解散すると言うので外まで見送る事にした

「見送りありがとう光」

「本当は送ってあげたいんだけど、片付けとかあるから、ごめんね」

「こちらこそ、任せて悪いわね」

「別に、俺の家だし、片付けくらいやるよ」

「お手数おかけします」

「良いって良いって!飾りの片付けとかはやってくれたんだしさ、後は俺がやるよ」

「じゃあ、またね光兄ぃ!」

「うんまたおいで」

「今日は本当にありがとうございます光君」

「誕生日は特別だから」

「それでも、ありがとうございます!」

「まぁ、うん!どういたしまして」

「それじゃあね光」

「またね!」

そうしてRoseliaの皆が見えなくなるまで見送ってから俺も家に戻る

「Roseliaのメンバーは次は友希那だね、さあ〜ってどうしようかな?」

そんな事を呟きながら家の中に入っていくのだった

 

あこ・燐子視点

帰り道、方向が同じあこちゃんと一緒に帰りながらあこちゃんに今日の事を聞かれる

「りんりん!光兄ぃとどんな事して来たの?」

「たくさんのゲームで対戦してから一緒に買い物したんだ、この服も光君が選んでくれたんだよ」

「だからりんりんいつもよりおとなっぽいんだ!」

「そうかな?」

「うん!なんかね可愛いって言うより綺麗でカッコイイって感じだよ!」

「光君がそういう風にコーディネートしてくれたから」

「凄いよね光兄ぃ!ゲームそれなりに強いし、演奏上手いし、料理も上手いでしょ!、それに、優しくてカッコイイ!」

あこちゃんが指折り数えて光君の良いところを上げている

私はそれを聞いて確かにと思う

「湊さんが言ってたんだけど、勉強も凄いみたいだよ張り出し組だって」

「光兄ぃって非の打ち所ないよね」

「本人は会話で思いや考えを伝えられない不器用な人だって言ってたけどね」

「でも、だからそこ光兄ぃは音楽で全部伝えてるんじゃない?」

「そうかもね!」

なんて話しているうちに私の家が見えてきた、あこちゃんの家はわたしの家より少し先で商店街の方に行く分かれ道の少し先にある

「もうすぐりんりんの家だね!あこはこっちだから!またねりんりん!」

「バイバイあこちゃん!」

それから私は家に帰りたくさん貰ったプレゼントを開けて身に付けるものと飾っておくものを分けて最後に光君がくれたプレゼントの服をしまうと光君がくれたCDをプレイヤーに入れて再生すると光君の声がきこえてきた

(誕生日おめでとう燐子、燐子にどんな曲を送ろうか凄く悩んだんだけど、結局ピアノメインの曲を何曲か入れておいたから順番に聞いてね、それじゃあいくよ!まちがいさがし)

そう言って光君が演奏していく1曲目はまちがいさがし正解じゃない方を選んだからこそ出会うことができた、だからこそ一緒に笑い合えるしそばにいられるよって曲だった

「光君らしい」

そう言って私は少し笑う

2曲目はみんな空の下、この曲は笑顔でいること、皆でいることの大切さを歌っているんだなと思った

「不器用だけど、やっぱり優しくて凄く励まされるなぁ」

そして3曲目はやさしさで溢れるようにだ

「どうせなら、直接歌って欲しかったな」

そう言いたくなるくらいに素敵な曲で聞いていると本当に優しい気持ちになれそうな、そんな曲だった

そして4曲目はたからもの

これもさっきとは違った意味で優しい気持ちになれる曲で人と触れ合うことの温かさを教えてくれているような曲だった

そしてラストの曲の前にまた光君が話し出す

(次がラストの曲だよ、この曲を聞いて燐子なりに何か特別な事を感じてくれたら嬉しいです。じゃあ最後の曲素敵なことがあなたを待っている)

そう言ってから光君がまた歌い出す

『ねぇそのこぼれ落ちる涙堪えなくていいよ

心を整理できるまではいつも時間がかかるね

焦らないでいこう大事な人たちがあなたを見守ってる

 

ほら素敵なことがあなたを待っている

優しいその心が嬉しいことで満たされる

ほら素敵なことがあなたを待っている

いつか光が届くと信じてるよ』

 

なんて素敵な曲なんだろう、聞いているだけで幸せな気持ちになれるそんな曲なんだなと感じた

 

『ねぇ悔しいと思う気持ち決して無駄じゃないよ

すべて未来へ繋がってゆくそのために今があるね

話聞けば聞くほどあなたは偉いって思うよ心から

 

よく頑張ってきたねよく頑張ってきたよ

ちいさなその心でいろんなこと受け止めて

よく頑張ってきたねよく頑張ってきたよ

いつか思いは届くと信じてるよ』

 

最後に選んだこの曲を聞いているとじんわりと温かさというか優しい気持ちが込み上げてくる。とても素敵な曲だなと思う

 

『つらいのに笑顔を見せたり無理して平気ぶったり

不安が消えない夜もあるね何度も顔を上げてきた

もっと甘えていいのに立ち上がってきたんだ

 

ほら素敵なことがあなたを待っている

優しいその心が嬉しいことで満たされる

ほら素敵なことがあなたを待っている

いつか光は届くと信じてるよ

 

よく頑張ってきたねよく頑張ってきたよ

小さなその心でいろんなこと受け止めて

よく頑張ってきたねよく頑張ってきたよ

いつか思いは届くと信じてるよ

いつか思いは届くと信じてるよ』

 

ラストまで聞き終えたからこそわかった

 

まちがいさがしの間違った方を選んで出会えた、そして1人1人の笑顔が曇り空冴え晴らしてしまう程眩しく見えてひとりじゃないって事が分かる、そしてそんな優しさに溢れている今がたからものでそれを大事だと思えるならきっと素敵なことがあなたを待っているっていう光君からのメッセージだった

それに気付いたら私は涙が溢れてきた

「不器用だけど、優しくて本当に素敵な人なんだな光君

そんな光君の事が私は好きみたいです!」

早くまた会いたい、今日という日を大切な忘れられない日にしてくれた彼に、そんな風には思いながら私は明日へ思いを馳せた

 

 

 

 

 




投稿遅くなりましたすいません!何度も書いては消し書いては消しを繰り返してやっとです!
何はともあれ楽しんで読んで貰えたら嬉しいです!
この後も誕生日イベントは続きます
次回「誕生日といつも通りのお祝い」


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第28話誕生日といつも通りのお祝い

Afterglowのメンバーのひまりの誕生日を光はどう祝うのか


燐子の誕生日を祝ってから数日、俺は夕飯の買い物をするため商店街に来ていた、目的地ははぐみの家でもある北沢精肉店だ、俺は歩きながらスマホで最新の映画や音楽情報をチェックしながらはぐみの家に向かう

「映画はあんまり面白そうなのないな、音楽の方はKing Gnuが人気みたい、俺は白日しか知らないけど、色々聞いてみようかな」

そう呟きながら歩いていると目的地が見えていたのでおれはスマホをポケットにしまい少し早足で北沢精肉店に向かった

「こんばんは、まだ買い物大丈夫?」

「あっ!ひかるんいらっしゃい!今日は何が欲しいの?」

「コロッケとメンチカツを2個ずつお願い」

「ちょっと待ってね」

そう言ってテキパキとはぐみが品物を紙で包み容器に入れてくれる

「はい、これコロッケとメンチ2個ずつね376円だよ」

「じゃあこれで」

俺は500円玉を渡してお釣りを貰う

「あっ!そうだ!ひかるん!ちょっと待ってて」

はぐみが何かを思い出したようで家の方に入っていき何かを持って戻ってきた

「これ、よかったらひかるんが上手く使って!」

そう言って渡されたのは遊園地のチケットだった

「遊園地のチケット?」

「うん、こころん達といくつもりだったんだけど、皆予定合わなくて、後からこころんが改めて旅行の予定立ててくれるって言ってたからチケット余っちゃって、ひかるんにあげるよ」

「まぁ、そういう事ならありがたく貰っておこうかな!」

「うん、あげるあげる〜」

俺ははぐみからチケットを受け取ると、俺は少し考えた後

お礼の意味も込めて追加で鶏肉とひき肉を購入してはぐみの家を後にする

「ありがとうございました〜またねひかるん!」

「うん、またね」

そうして俺は元来た道を戻っていく、片耳にイヤホンをして音楽を聴きながら歩いていると後ろから俺を呼ぶ声が聞こえて振り返ると沙綾とつぐみがいた

「珍しい2人だね、なんかの集まり?」

「似たような感じです。光さんは買い物ですか?」

「普段は自分で料理するんだけど、今日は気分が乗らなくて、だからはぐみの家のコロッケとメンチカツを買いにね」

「言ってくれたら家に招待したのに…」

「アハハ、さすがにそれは悪いよ、いきなり言ってご馳走になる訳にはいかないし」

「それなら、家にくれば良かったじゃないですか!家なら軽食で良いなら出せましたよ」

「家でゆっくり食事したい派なんだよ、まぁ、機会があったらそのうちね」

「じゃあ、今度練習見てくださいね」

「いつでもおいで、circleで待ってるから」

「今度私達も行きますね」

「どっちもたまにしか来ないからね、待ってるよ」

そう言って2人に手を振り俺は家路に着いた

家に着いて俺はすぐ夕飯とシャワーを済ませてギターを弾いているとスマホが着信を報せる、電話の相手は沙綾だった

「もしもーし、沙綾?どうしたの?」

(こんばんは、光さん、実はちょっと相談があって)

「相談?俺が手助け出来る事ならいいけど、内容によるよ?」

(実はAfterglowのひまりちゃんと有咲の誕生日が1日違いで、良かったら光さんにも何かお願い出来たらなと)

「ちょっと待ってて」

俺はスケジュール表を確認すると有咲の誕生日の日はバイトが入っていった

「有咲の誕生日の日はバイトだね俺、まぁ、circleで何かするなら協力するけど、その辺は他のメンバーも交えて相談しようよ」

(わかりました、ひまりちゃんの誕生日はどうします?)

「その辺も、蘭達と話してみるよ、でも、なんで沙綾がひまりの誕生日まで気にするのか聞いてもいい?」

(つぐみから相談されたんですよ、いつも通りのお祝いに加えて何か出来ないかなって)

「なるほどね、それで、俺にも何かしてもらおうと思った訳か」

(そういう事です!)

「わかった、じゃあ、近いうちにcircleにおいで、そこで相談しよう」

(わかりました、つぐみにも伝えておきます)

「よろしくね」

(はい、じゃあまた)

「うん、おやすみ」

俺は通話を終了するとまたギターを弾き始める

特に今日を決めていなかったがせっかくならと思い明日もを演奏するAfterglowの皆に向けて歌うにはちょうどいいだろう

この曲をそして、これから送る曲を聞いて皆の絆がより一層深まってくれたらと思う、俺は明日もの他に数曲演奏してから眠りに着いた。

 

そして次の日、たまたま朝のテレビで生放送でナオトインティライミの生演奏が披露されていたので家を出るのがギリギリになってしまい予鈴と共に滑り込みセーフとなった

「はァ〜間に合った〜!」

「今日は随分ギリギリだったのね」

「音楽ランキングチェックしてて、3位から1位のアーティストの誰かが生放送で生演奏を披露するって言うから夢中になってたらギリギリになって、でも、遅刻しなくて良かったよ」

「本当ね」

なんて話していると先生が入って来てホームルームが始まる

連絡事項を伝えた後今後の授業日程等の報告もあり少し長めのホームルームが終わり俺は改めて一息つく

「今日はちょっと長かったな〜」

「ひ〜くん今日はなんかダルそうだね」

「時間割見てわかるように朝から英語の授業で次に数学だからね、そりゃダルいよ」

「しかも授業の最後に小テストだもんね!」

「ホントそれ!ダルいったら」

「そうは言いながらも小テストの点数も悪くないじゃない」

「数学はともかく英語は多少曲にも使われてるし、ある程度出来なきゃじゃん」

「そういうものかしら?」

「光はほら、色んな曲カバーするしさ」

「ひ〜くんだし?」

「褒められてんのかな…?」

「どうかしらね…」

なんて話しているとチャイムが鳴り教科担当の先生が入って来て授業が始まったそれから俺は英語と数学の授業を乗り切り

3限と4限はほとんど聞き流し昼休みを迎えた

「やっとお昼だよ!午前中だるかった〜」

「お疲れ光、午後はまだ光的には楽でしょ?」

「まぁね、それよりも早くお昼にしない?朝一から頭使ったから俺、腹ぺこでさ」

「そうね、私も今日はいつもより空腹感が強いわ」

「お昼〜お昼〜」

そうして昼食を食べながら何気なく思った事を口にする

「そういえばさ、他のメンバーってお昼どうしてんのかな?」

「他のメンバーって?」

「ほら、薫とか麻弥さんとか、後、蘭達Afterglowの皆とか」

「あぁ〜そういえばどうなんだろ?Afterglowは多分皆一緒に集まってどこかで食べてるんだろうけど、何処だろう?屋上にはあんまり来ないよね、昼間は」

「多分中庭よ、何度か集まっているのを見かけたことがあるわ」

「そうなんだ、まぁ、学校にまともにバンドメンバー集まってるのってAfterglowとポピパくらいだもんね」

などと話しながらチラリと視線を中庭が見える窓にうつした

 

Afterglowside

昼休み皆で集まり昼食をとっていると蘭が突然くしゃみをした

「はっクション!」

「蘭〜こっち向いてくしゃみしないでよ〜」

「ごめん!唐突だったからさ!」

「誰かが蘭の噂してる〜」

「誰があたしの噂するんのよ!」

「ほら、違うバンドの人達とかさ!」

「案外とひかるん先輩かも〜」

「光さんが噂するなら今はひまりの事じゃない?」

「えッ!?私?」

「あんた、自分の誕生日忘れてんじゃないでしょうね〜」

「いやいや、自分の誕生日は忘れてないよ!でも、なんでそれが光さんに噂されるって事になるの?」

「光さんにデートに連れてってもらいたいって言ったじゃんか!」

「本人に言ってないのに?」

「「「「えッ!?」」」」

ひまりのその発言にあたし達は頭を抱えたくなった

本人に言ってないって…話す機会も確かにあんまりないけど、電話なりLINEなりでお願いだってできるだろうにと思いながら他の皆を見てみると多分同じような考えなのだろうなと思う表情をしていた

「ひまり、あんたさ〜自分でお願いしなくてどうすんの?」

「でも、直接って頼みずらいよ〜」

ひまりがそう言うとつぐが助け舟を出すような発言をする

「じゃあ、circleに行ってその時にお願いしてみたら?」

「まぁ、練習見てもらうついでに、ひまりの誕生日の事話して光さんから誘って貰えるように頼んで見るしかないんじゃないか?」

「だね〜」

「じゃあ、今日さっそく行動だね!」

あたしの言葉に全員が頷いたのを確認してから話題を切り替えて昼休みを過ごし教室に戻った

 

光side

昼休みを告げるチャイムが鳴り俺達はそそくさと午後の授業の準備をし先生が来るまで話している

「光、今日はcircle?」

「うん、今日、明日は連勤だよ」

「なら、今日は私の個人練習に付き合ってちょうだい」

「いいけど、歌のアドバイスは期待しないでね」

「声の伸びとかを確認してくれたら良いわ」

「まぁ、それくらいなら」

などと話していると先生が教室に入ってきたので友希那は自分の席に戻った、そして始業の挨拶をして授業が始まる

昼1の授業は科学でちょうど星関連の授業内容だったので俺はいつもよりも真面目に授業を聞いているとあっという間に授業が終わった

「なんかあっという間だったな」

「ひ〜くんが好きな感じの内容だったもんね」

「まぁね、星や天体系の内容は聞いてて楽しいからね」

「光は音楽以外だと天体観測が趣味だったり?」

「う〜んどうだろ?もちろん好きではあるんだけど、音楽みたいに打ち込めるものともやっぱり違うからね、判断が難しいかな」

「そっか、そっか、じゃあ、今度天体観測でも光に歌ってもらおうかな?それかプラネタリウム」

「まぁ、そのうちね」

そう話しているうちにまたチャイムが鳴りすぐに先生が入ってきたので俺達はまた始業の挨拶をして授業を受ける

そして授業終了後俺は荷物を持って教室を出ると友希那が話しかけてきた

「光、circleに行くんでしょ?私も行くわ」

「俺は1度帰ってからだよ、荷物置いてギターとちょっとした物を持ってね」

「そう、なら一緒に行くわ」

「いいよ、じゃあ、行こうか!」

「えぇ行きましょう」

そうして俺達2人は一度俺の自宅に寄ってからcircleに向かった

そして、俺達はcircleに着くとまりなさんに声をかける

「こんにちはまりなさん」

「こんにちは、今日もよろしくね」

「とりあえず、着替えてきますね!」

「はいはーい、行ってらっしゃい」

「待っているわ」

「うん、ちょっと待ってて」

そうして俺はスタッフルームに行き着替えて出るとまりなさんに呼び止められた

「光君、Afterglowの皆が来てて技術指導だって!友希那ちゃんも見学するってさ」

「わかりました、スタジオどこですか?」

「1番スタジオに皆いるよ!」

「わかりました」

俺はスタジオに行きノックして中に入る

「来たよ〜!」

「光さん!今日はお願いします!」

「私は見学させて貰うわね」

「OK、じゃあ、ちょっと見てて」

「わかったわ」

そうして俺は演奏を聞いてアドバイスをしていく

「今のところはギターはしり気味でも皆着いてこれたよ!ベースは勢い上げて」

「はい!」

「わかりました!」

そうして繰り返し練習し休憩に入ったタイミングで友希那は一旦席を外し、俺はAfterglowの皆と話している

「光さん、もうちょっとしたらなんですけど、ひまり、誕生日なんですよ!それで、よかったらパーティするんで光さんも参加しませんか?」

「後、ひまりと出掛けてあげてください」

「別にいいよ、ちょうどその頃から再上映で結構前のやつでもうDVDにもなってるんだけど、映画がね、また上映されるんだ、よかったら、ひまり一緒に行く?」

「是非!!でも、何を見るんですか?」

「これだよ!」

俺はスマホを操作して画面を皆に見せる

「星になった少年?どんな話なんですか?」

「動物と心を通わせて行く話で、像がメインなんだけど、最後がねとても悲しい感じなんだけど、すごく感動する話でもあってさ、正直また見たいなって思ってたんだ」

「私も見てみたいです!光さんがまた見たいって思えるほど素敵な作品なら是非観たいですね!」

「良いよ、じゃあ、一緒にその映画観に行こうか!」

「はい!」

「じゃあ、ひまりの誕生日はちょうど週末だし、待ち合わせして一緒に行こうか!そのあとは買い物とかにも付き合うし、夕方くらいまで一緒に遊ぼう」

「よろしくお願いします!」

「OK、じゃあ、練習再開するよ」

俺がそう言うと全員が頷き演奏を始める、俺は時々アドバイスをしながらたまに手本として演奏したりしながらAfterglowの皆の練習を見ているとスタジオの使用時間の終了5分前になったので皆で片付けてからスタジオを後にする

そしてエントランスに戻ると友希那が読書をしながら待っていた

「練習は終わったかしら?なら私に1時間程付き合ってちょうだい」

「ちょっと見学してすぐいなくなったから帰ったかと思ったよ!」

「邪魔しても悪いと思ったからこうして読書をしていたまでよ」

「あたし達は今日は終わりなんで、後は友希那先輩が光さんに練習見てもらって大丈夫ですよ!」

「そうさせてもらうわ、じゃあ光、お願いできるかしら?」

「OK!とりあえず見送りだけするからスタジオで待ってて」

「わかったわ」

それから俺はAfterglowの皆を見送ると友希那が個人練習をしているスタジオに行って友希那の練習に付き合いその後各スタジオを清掃しその日のバイトは終了となった

帰り道友希那と一緒に帰りながら話していると友希那が話題を変える

「光、上原さんと出掛けるの?」

「まぁね、あっちも誕生日だって言うし、お祝いも兼ねて映画行ってそのまま買い物かな?」

「そう、私の時はどうするか考えてるの?」

「正直まだだね、まぁ、何処か行きたい所があるなら付き合うけど、そうじゃなきゃ知り合いに頼んで音楽スタジオを見学したりとかそういう感じかな?」

「まぁ、今は良いわ、当日を楽しみに待ってることにするわ」

「そう?なら良いけどさ」

などと話していると駅に到着し俺達は家が反対側のためそれぞれの方向に分かれる

「ここまでね」

「だね、また明日」

「えぇ、また明日」

そうして俺達はそれぞれの方向に向かって歩き出し家路に着いた

俺は帰宅し手早く夕飯を済ませてパソコンでまた編集作業を開始する

「今回はあんまり手間がかからないからまだマシかな?」

などと呟きながら自分の音を1つに統一して行く

1人で演奏するとこれだけが手間でありネックだと思いながら2曲分の編集作業を終えてからシャワーを浴びに行き戻って来てから個人練習の時間として就寝時間までギターを弾いてから眠りに着いた

そして次の日も学校が終わるとバイトに入りRoseliaの練習を見てアドバイスをしているとスタジオにまりなさんが入ってきた

「光君、悪いんだけど、ちょっとだけ荷物運ぶの手伝って貰えない?」

「良いですよ!皆、ちょっと休憩してて」

「わかったわ、一旦休憩にしましょう」

俺は1度スタジオを後にしてまりなさんの手伝いを始める

「ごめんね、思ったよりダンボールの荷物が多くて」

「良いですけど、これ中身なんですか?」

「古い機材とか、一応部品とか、それ以外だとポスターとかそれ系もかな?いるやつといらないやつ分けて置いておいたんだけど、捨てる機会がなかなかなくて」

「そういう事ですか、まぁ良いですけど」

そうして30分くらいかけているものといらないものを分けていらないものはまとめてゴミに出してから友希那達のところに戻り練習に参加してアドバイスをしつつその日の練習時間は終了し俺はエントランスやスタジオを掃除してからまだ整理を続けているまりなさんを手伝い、少し遅くまでかかって全てを終わらせてから俺は家路に着いた

家に帰ってすぐにまた手早く夕飯を済ませシャワーを浴びてから残りの編集作業を終わらせて日付けが変わる頃に眠りに着いた

そして次の日普段より遅めにセットしていたアラームが鳴り

俺は着替えを持って部屋を出て目覚ましに熱めのシャワーを浴びてから着替えて軽く身だしなみを整えて朝食を済ませて

から更に細かく念入りに身だしなみを整えてから俺は一応ギターを持って家を出て自転車で駅へと向かう

数分程自転車を走らせて駅に到着すると駅の駐輪場に自転車を止めて施錠し待ち合わせ場所の時計の前で待っていると

ひまりがやってきた

「お待たせしました」

「全然大丈夫約束の時間ピッタリだよ」

「なら、良かったです。」

そう言ってホッと胸を撫で下ろす

「遅刻しないか心配だったの?」

「ちょっと急ぎました」

「確かに髪とかあちこちはねてるね、まだ時間あるしトイレで身だしなみ整えておいで、その間に俺は電車の切符買っておくからさ」

「わかりました、じゃあちょっと失礼しますね」

そう言ってひまりは化粧室に向かい俺は切符を買うために券売機に向かった

切符を買って待っているとひまりが戻ってきた

「お待たせしました!身だしなみバッチリです!」

「みたいだね!はいこれ、ひまりの分」

「ありがとうございます。電車何分ですか?」

「後、10分くらいかな?アナウンスなると思うし、ホームで待ってようか」

「そうですね!」

そうして俺達は改札を抜けて駅のホームで電車を待っていると

アナウンスが鳴り電車が来た

「思ったより早かったですね!」

「発車まで少しあるんじゃない?後は電車同士のすれ違いとかさ」

「そういう事ですか、普段あんまり使わないので私、詳しくなくて」

「俺はちょくちょく利用するからね、ちょっと遠出して路上ライブしたりとかでさ」

「最近こっちではやってないんですか?」

「ちょっとしたスポットを見つけてね、ここよりも人が多くいるから、やる時はそっちかな最近は」

などと話していると電車が目の前で停車したので俺達はさっそく乗り込み電車の発車まで待っていると少しして電車が走り出し俺達は電車に揺られて2駅程行った駅で降りてそこから少し歩いて映画館へと向かう

「こっちの方でしかやってないんですか?」

「再上映だからね、ちょっと大きな映画館じゃないとやってないんだ」

「そうなんですね」

歩きながらそう話していると目的地が見えて来た

「あそこだよ、今日、最初の目的地」

「結構大きな映画館ですね、全然知らなかったですよ、普段は併設されてる映画館とかでしか観ませんからね」

「俺も普段はそうだよ、再上映とかで観たいのがあった時とかはこっちに来る感じなんだ」

「光さんって休みの日はやっぱりこうして映画みたり、路上ライブしたりして過ごしてるんですか?」

「家にいる時もあるけど、基本はバイトがない時は路上ライブがメインかな」

そんな話をしながら映画館に入って再上映の星になった少年のチケットを買ってひまりに渡す

「良いんですか?」

「さすがに後輩にお金出させるのは先輩としてどうかと思うけどね俺は」

「じゃあ、せめて飲み物はご馳走させて下さい!」

「まぁ、ひまりがいいならお願いしようかな」

「是非!光さん何が良いですか?」

「俺は烏龍茶をお願い」

「じゃあ、買ってきますね」

そう言ってひまりは飲み物を買いに行ったので戻る間物販を見て時間を潰し戻って来たひまりと合流し俺達は上映シアターに入って席に座り映画を鑑賞する

映画を見ていると隣ではひまりがわぁ!とか嘘!とか呟きながら映画に見入っているようで楽しんでくれてるならいいかと思い俺も映画に集中する。そしてラストのシーンで主人公が突然事故で命を亡くして家族や友人、象使いの仲間たちから見送られた後タイの象使い達によりテツと名付けられた子像が主人公の仲間たちと一緒に映るシーンとともにエンディングに入り映画が終わった、そして俺は立ち上がりひまりに声を掛けると映画が終わり放心していたひまりが我に帰り立ち上がるがまたすぐに座り込む

「腰が抜けちゃったみたいです。すいません光さん」

「しょうがないよ、ほら、立って」

俺はそう言って手を差し出しひまりがその手を取り立ち上がる

「このまま1階に降りてカフェで少し話そうか?」

「はい、映画の話したいです」

「じゃあ、行こう!」

そう言って俺達は映画館を出て俺達は1階のカフェに入りコーヒーとカフェオレを注文して頼んだものが来るまでの間にさっきみた映画の話をする

「どうだった?映画」

「凄く感動しました!最後のシーンの主人公の夢を仲間の皆が叶えてくれたシーンとか特に最高でちょっとウルっとしちゃいました」

「俺もそこは同感だな〜、後はタイに行ってそこで初めて子像と心を通わせた瞬間とかも良かったよね」

「分かります!」

そうして俺達は映画の話で盛り上がった後少しして店を後にしてまた歩きながら話している

「映画の後って特に決めてなかったけど、行きたいところある?」

「無難に洋服とかみたいですけど、少し早いけど、お昼にするのも悪くないですね」

「今の時間だと、ちょっと混んでんかもよ、ちょうどお昼時だし、少し時間ずらすのが無難かも」

「じゃあ、やっぱり服とか装飾品がみたいですね」

「じゃあ、とりあえず近くのファッションセンターに行こうか!」

「でも、光さん、戻って大きなショッピングモールに行った方が良くないですか?」

「あそこって今の時間かなり混んでて回るの一苦労だよ」

「じゃあ、ファッションセンターに行ったあとお昼を済ませて戻りませんか?」

「いいね!じゃあ、それで行こう!」

「わかりました!」

そうして俺達はまた行動を開始し目的地のファッションセンターに向かった、そして目的地に到着し店内を見て回る

ひまりは何着か手に取り意見を求めてくる

「光さんはこっちの水色と淡いオレンジだったらどっちが良いですか?」

俺は意見を求められて少し考えてから返答する

「どっちも似合うとは思うけど、もう少し色合いが薄目の方が良いかもよ、上に羽織ものするなら、尚更ね」

「じゃあ、こっちはどうですか?」

そう言って手に取ったのは薄桃色のワンピースだ

「いんじゃない?ジーンズ生地のジャケットを上に羽織ったらいい感じだと思うよ」

「じゃあ、これと合わせればいい感じですかね!」

「似合うと思うよ」

「光さんは何も買わないんですか?」

「今はいいかな、ちょっと前にセーターとコート買ったばっかりだし、今は特別欲しいものも無いかなって」

「じゃあ、アクセサリーはどうですか?」

そう問われて俺は普段から付けているアクセサリーを思い出してみる

「ピアスは普段から付けてるし、ネックレスもそれなりにって感じで、指輪やブレスレットは少ないかもなぁ〜」

「じゃあ、それ系を中心に見て回りませんか?」

「それなら、移動しないとね、いつものショッピングモールに行って、そこのアクセサリーショップの方がいいのがあるかもだし、どうしよっか?」

「それなら、そっちに戻ってお昼もそっちで済ませませんか?」

「ひまりがいいなら俺は構わないよ!お昼は何がいいか考えておいてね」

「はい!考えておきます」

「じゃあ、今手に持ってるのだけ買っちゃおう!向こう戻ったら戻ったでまた他にも見たい服あるだろうしさ」

「ですね!」

俺達は会計を済ませてから駅に向かいそこから電車で移動し普段から見慣れた景色の街に戻ってきてショッピングモールに行きアクセサリーショップに到着する

「とりあえず、好きに見てみようよお互いのお眼鏡にかなうものがあるかもよ!」

「ですね!私はとりあえず、光さんのためににアクセサリーを色々見てみます!」

「あんまり刺々しいのとかは勘弁ね、後は髑髏もパスで」

「光さんそういう系は嫌いですか?」

「嫌いではないけど、積極的に身につけようとも思わないかな」

「わかりました、じゃあ私なりに色々見て回って決めようと思います!」

「任せるよ!」

そうして俺達はお互いへのプレゼントを選ぶため店内を見て回っていると太陽と月の飾りが付いたブレスレットを見つけた

「これが良いかな!、ひまり!ちょっと来て」

「なにか良いのありました?」

「これとか、どうかな?」

俺はさっきのブレスレットを手に取ってひまりに見せる

「なんか、オシャレですね!それにちょっとカッコイイです!」

「ひまりに良さそうだなって思ってさ、どうかな?」

「私はOKです!これが良いです!光さんにはこれとかどうですか?」

そう言ってひまりが持ってきたのは数珠だった

「数珠か、確かに、普段は付けないし、良いかも!」

「じゃあ、今日のお礼に私から光さんにプレゼントします」

「ありがとう、大事に身に付けるよ」

「私も大事に身に付けますね!」

そうして俺達はお互いの買い物を、済ませ少し遅めのお昼をとることにした。

「何食べたいか決まった?」

「多分つぐの家で色々パーティー料理出ると思うので軽く食べられるものが良いかなとは考えてました。」

「じゃあ、1階に降りてパンでも買って食べようか」

「賛成です!行きましょう!」

「OK!移動しよっか!」

俺達は1階に降りてパン屋でお互いに3種類程のパンを買って

簡単に昼食を済ませてからゲームセンターで遊び、最後にプリクラを撮ることにした

ひまりが他のメンバーと撮った時と同じように設定してラストの1枚は仲良くピースサインでバッチリと決めようという指示だったので2人仲良くピースサインで写った写真が出来上がり2人であれこれと落書きをしていく

「今回は比較的楽というか、無難なお題で助かったよ」

「そうなんですか?」

「うん、前の時はお姫様抱っこさせられたし、あれってやる方もやられる方も以外と怖いんだよね」

「なんとなくわかる気がします!」

そう言ってお互いに苦笑しながら落書きを進めそれが終わり印刷されてきたプリクラを2人で分け合った

「じゃあ、帰ろうか!そろそろつぐみ達の準備も終わる頃だろうし、ちょうどいいかもよ」

「ですね!今年はちょっと盛大にやってくれるみたいなんで楽しみなんですよ!光さんも来てくれるんですよね?」

「もちろん!行ってお祝いと演奏するし」

「演奏してくれるんですか!?」

「そのために今日、ギター持ってきてるしね」

「何を演奏するんですか?」

「それは後のお楽しみ、さぁ、行こう」

「はい!レッツゴー!…って乗ってくださいよぉ〜」

「アッハハ、いつも蘭たちが乗らないから俺もその方が良いかなってさ」

「も〜うこんな時まで〜」

そう言って項垂れるひまりを横目に俺達はつぐみの家がある商店街に向け歩き出す、しばらく歩いて商店街に到着しそこからまた少し歩いてつぐみの家件喫茶店の羽沢珈琲店に到着するとひまりは1度深呼吸してから扉を開ける、それと同時にクラッカーの弾ける音が響いてきて少し遅れて皆の声が聞こえる

「「「「誕生日おめでとうひまり!」」」」

「Happybirthdayひまり」

「皆!ありがとう!」

「お祝いはあたし達らしくいつも通りにつぐの家で盛大にってね!」

「だよね〜!」

「でも〜。驚くのは早いんだな〜」

そう言いながらモカが悪戯っぽく笑っている

「だな!驚くのはこれからだぜ!」

そう言ってひまりを引っ張って行き簡単に装飾した椅子に座らせたのを見て俺がつぐみに目で合図を送りケーキを取ってきてもらい受け取ってひまりの元に運ぶ

「誕生日ケーキをどうぞ」

「これ、光さんが作ったんですか!?」

「そうだよ!チョコレートと生クリームの半々だからちょうど良いかなって」

「嬉しいです!ありがとうございます!」

「じゃあ、ロウソクに火つけるね」

そう言って俺はロウソクに火をつけ皆でHappybirthdayを歌ってお祝いし、ひまりがロウソクを吹き消したのを確認してメッセージカードを渡す

「これは?」

「メッセージカード、開けてみて」

ひまりはメッセージカードを開くと俺のメッセージに目を通して少しだけ泣きそうになっていた

「なんて書いてあったの?」

「いつも通りを忘れないで、皆との絆を大切にだって」

「イキなことしますね」

「まぁね、せっかくだからイキな事してみようかなって」

「とりあえず、皆で食べようよ!もったいないよ!」

「そうだね、じゃあ、光さん、切り分けお願いします!」

「OK!じゃあ切り分けるよ!」

俺はケーキを切り分けると皆それぞれに食べ始める

皆がケーキや他の料理を食べている間に俺は演奏の準備を始める

「もう、演奏するんですか?」

「まぁね、早い方が良いだろうし、残念な事に長居は出来ないからね」

「明日は忙しいって言ってましたもんね」

「残念な事に、朝からバイトで機材やら楽器やらの総点検しないといけなくてね、ものによっては修理する場合もあるから」

「まぁ、そういう事なら、仕方ないですね!演奏聞かせてください!今日、楽しみにしてた事の1つなので!」

「OK!じゃあ、改めて、ひまり、誕生日おめでとう!これから演奏する曲はいつも通りを大切にするAfterglowの皆にもピッタリな曲を選んで来たから聞いてね!明日も」

俺は演奏を始める

 

『TmorrowneverknowsずっとずっとNevergive up on mydream今はじけよう』

俺は歌い出す。皆に向けて、歌っていくこれから先の未来を夢見て欲しいと思いながら歌っていく

 

『10年後の未来のことなんてわかんないよ

ねぇ難しく考えすぎてない?でもね明日の事ならちょっとイメージできるよねほら少し笑顔になれるよこわいものなんて何一つないよだから行こうよ

TmorrowneverknowsずっとずっとNevergive up on mydream確かなリズムで今を駆け抜けてゆこう僕たちは

いつかいつかきっと大人になっていくんだ

だから今はじけよう』

 

Afterglow視点

「明日の事ならちょっとイメージできるか、確かにその通りだよね」

「言えてる〜」

「10年先20年先のことなんてわかんないもんな!」

「でも明日の事なら何しよう?どんな事しようってイメージできるよね!」

「いつか大人になるんだから今を目いっぱい楽しもうって言ってるんだね」

あたし達はいつも通りに過ごすだけだと思うけど、そのいつも通りがいつまで続くかなんてわからないから今を目いっぱい大事にねって言われてるようだと感じた

 

『100年後僕たちはまだ生きてるかな

優しい思い出たくさんつくろうもしも君がいないとしたらちょっとダメージ大きいかなねぇずっと一緒にいようよたくさん笑っていたいよ君とならだから歌うよ

TmorrowneverknowずっとずっとNevergive upmydream

真っ赤な夕日に願いこめたりしてさ

僕たちはいつかいつかもっと優しくなっていくんだだから今輝こう』

Afterglow視点

「私達にピッタリだね」

「あたし達がバンドの名前決めた時の事を歌ってるみたい」

「確かにな真っ赤な夕日に願いこめたりしてさってとこがまさにな」

「ひかるん先輩はやっぱり凄い人だね〜」

「いつでも私達の事を思って演奏してくれるんだもんね」

バンドを始めてから今日まであたし達はいつも通りの時間をたくさん過ごしてきた、それが見透かされてるみたいに心にスっと歌詞が入ってくる

 

『なにげないけど君がそばにいることそんな毎日が大切に思えちゃうんだ

TmorrowneverknowずっとずっとNevergive upmydream

高まる鼓動で夢をつかんでゆこう僕たちはいつかいつかきっと大人になっていくんだだから今はじけよう

一緒に行こう明日も』

演奏を終えるとAfterglowの皆から拍手が送られた

「皆ありがとう、本当はもう少しみんなと一緒にはお祝いしたいんだけど、今日はこれで帰るね」

「ありがとうございました、光さんのおかげで最高の誕生日の思い出が出来ました!」

「それは良かった、じゃあ、今日、最後のプレゼント」

そう言って俺はCDを渡す

「これって?」

「まぁ、聞いてのお楽しみ、裏返してみて」

ひまりはCDケースを裏返すとそこに着いていたものを外す

「これ、ピックですよね?でも、随分くたびれてる」

「まぁ、俺がベースを教わり始めた時から使ってたヤツだからね前はもう少し大きかったんだけど、削ったりして使ってるうちにね」

「それって最近まで使ってたってことですよね?」

「そう、それはあげるよ、もう使えないけど、御守りとしてでも持っててよ!CDのオマケ」

「このCD聞けば光さんがなんであたしにこれをくれたのかもわかるんですか?」

「ん〜それはひまりの感じ方次第かな?皆と一緒に後で聞いて」

「わかりました!皆と一緒に聞いてみますね!」

「うん、じゃあまたね!」

そう言って俺は羽沢珈琲店を後にした。

 

Afterglow視点

「行っちゃったね…」

「だへ」

「蘭、もしかして寂しいの?」

「なんであたしが!」

「まぁ、確かにもう少しいて欲しかったよな」

「そうだね、でも、光さんも忙しい中時間作ってくれたんだろうし、仕方ないんじゃない?」

「そうかもな!せっかくだしさ、ひまりがもらったCD聞こうぜ!皆で聞いてって光さん言ってたしよ!」

「じゃあ、残ってるやつ皆で片付けちゃお!ひまりちゃんケーキどうする?まだ余ってるけど」

「後でまた食べるよ」

「ひ〜ちゃん太るよ〜」

「それは言わないで〜!」

「まぁ、まぁ、とりあえず、片付けしよう」

そう言ってつぐが率先して片付けをしていき皆も手伝って

皆で片付けを終わらせてつぐの部屋に行きさっそくCDをプレイヤーに入れて再生すると光さんの声が聞こえてきた

「Happybirthday!誕生日おめでとうひまり、Afterglowの他の皆とこのCDを聞いて貰えたら嬉しいです。このCDには皆に歌った事のある曲を収録しました。じゃあ、さっそく1曲目に行くね友達の唄」

そう言って光さんが演奏を始めると蘭が話し出す

「この曲はつぐが倒れた時にあたしが皆とすれ違ってた時に励ましてくれた曲だよ!」

「確かに、聞いてるとなんか頑張ろうって気持ちになるよな」

「そうだね、光さんなりに私達に向けて絆を大事にって教えようとしてくれてるんだね」

「かもね〜」

「本当、頭上がらないよ光さんには」

なんて話しているうちに1曲目が終わり、そのまま次の曲の演奏が始まった

2曲目はリユニオンだった、私達に向けて友達の意味をちゃんと考えて欲しいって思って演奏してくれた時の曲だった

そして3曲目が変わらないものだ、私達がすれ違ってた時この曲で皆の気持ちをひとつにしてくれた。

サビが結構印象的で時を越えてく思いがあるって部分が私的には結構好きな部分だ、5人のいつも通りを大切にしたいって思いが私たちの中で変わらないものだと思えるものだからこそなのかもしれない

4曲目が大切な人って言うタイトルの曲で初めて聞く曲だったけど、仲間や友達と呼べる存在の大切さを何よりも大切にと歌っている曲だった、そしてラストの曲は1番の宝物で

光さんが演奏の前に話し出す

 

「次がラストの曲になります。ラストの演奏は前と同じくアコギで聞いて下さい、俺が選んだ最後の曲は1番の宝物」

光さんは曲名を告げ演奏を始め少しの前奏の後に歌い出す

『顔を合わしたら喧嘩してばかりそれもいい思い出だった

君が教えてくれたんだもう恐くない

どんな不自由でも幸せは掴めるだから

ひとりでもゆくよ例え辛くても

きみと見た夢は必ず持ってくよ

きみとがよかったほかの誰でもない

でも目覚めた朝きみは居ないんだね』

Afterglow視点

なんとなく光さんの演奏に合わせて皆が曲を口ずさんでいく

私達にとって忘れることのできない曲だから皆がそれぞれ声に出して歌ったり、鼻歌だったりで口ずさんでいる

 

『ずっと遊んでれるそんな気がしてただけ わかってる

生まれてきた事もう後悔はしない

祭りの後みたい寂しいけどそろそろ行こう

どこまでもゆくよここで知ったこと

幸せという夢を叶えてみせるよ

きみと離れてもどんなに遠くなっても

新しい朝にあたしは生きるよ』

『ひとりでもゆくよ死にたくなっても

声が聞こえるよ死んではいけないと

たとえ辛くても寂しさに泣いても

心の奥には温もりを感じるよ

巡って流れて時は移ろいだもう何があったか思い出せないけど、目を閉じて見れば誰かの笑い声

なぜかそれが今1番の宝物』

 

光さんの歌と演奏に合わせて私達は一緒に歌った、そして歌い終えてから、私は考えていた事を皆に告げる

「ねぇ、私達ってさ5人でAfterglowだよね?」

「今更だな、ずっとアタシらは5人でAfterglowだったろ」

「だね〜」

「でも、いきなりどうしたの?」

「そうだよ!いきなり何?」

皆の疑問も最もだと思う、だって私の考えは5人でいる事が第1のAfterglowにもう1人いて欲しいって言う思いだから

「光さんをAfterglowに入れられないかな?もちろん、正式って言うのとはちょっと違くて、そう!バンドの相談役的な立ち位置でさ」

「つまり〜?」

「アタシ達のバンドに光さんを入れたいのか?」

「確かに頼れる人だし、いてくれると心強いけど、光さんは多分断るでしょ!」

「だから、こう、上手く言えないけど、そう!LINEのグループに光さん入ってもらってるでしょ!それと一緒で共通認識として光さんをAfterglowの6人目のメンバーとしてさいつも通りの輪の中に入れてもいいんじゃないかなって!」

皆が顔を見合わせ困惑した表情を浮かべるが、それでも頷きあい私に話し掛ける

「いいんじゃない?」

「本当に?」

「問題な〜し!」

「アタシも、頼れる兄貴が出来たみたいでなんか悪くないなって思うしさ」

「わかる!頼りになるお兄ちゃんみたいだよね光さん」

そう言って皆が笑い合う

「良かった〜」

「でも、あくまでもアタシらの中の共通認識だからな!」

「まぁね」

「でも、それでいいじゃん!いつも通りの中に光さんがいて''6人で''ってのもいいんじゃないかな?」

「賛成〜」

「じゃあ、光さんはアタシ達Afterglowのもう1人のメンバーって事で!」

「「「「賛成!」」」」

こうして私達のいつも通りの中に光さんというもう1人の存在が加わったのだった。

 

 

 




投稿遅くなってすいません!リアルでちょっと環境が変わって、平日は思うように執筆が出来ず、とりあえずアイディアをまとめて休みのタイミングで投稿すると感じにこの先なると思います。投稿そのものは続けていくので、気長に待っていてください。次回も誕生日イベントで今度はポピパの有咲の誕生日イベントになります。そして次が友希那の誕生日イベントになります。のでお楽しみに

次回「誕生日と皆で演奏」


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第29話誕生日と皆で演奏

ポピパのメンバーの1人有咲の誕生日を祝うためにLIVEを企画する光はどんな演奏を届けるのか


ひまりの誕生日を祝う少し前、circleにポピパの皆がやってきた、有咲は生徒会の用事で少し遅れるので先に練習は始めていて良いと言っていたらしく俺はとりあえずポピパメンバーの演奏を聞いてアドバイスをして行き現在はちょっと休憩中だ、そして現在、皆の話題は有咲の誕生日についてだ

「なんなら、circleで演奏する?」

「良いんですか?」

「俺、残念な事に有咲の誕生日の日はバイトだし、皆でどっかで遊んできてその後、ここでお祝いも兼ねて演奏したら?」

「でも、曲とかどうしたらいいんですか?」

「ポピパを分割して、俺も入ってカバー曲やるなら力貸すけど、どうする?」

「でも、そしたらどう分けますか?」

「俺と、香澄とおたえで3人ギターと、香澄とりみちゃんと紗綾の3人、俺とおたえ紗綾でやって最後に俺プラス有咲以外のポピパメンバーでいいんじゃないかな?」

「曲は何やるんですか?」

「俺のウォークマン貸してあげるから、やりたい曲リストアップしておいで、ただ時間はあんまり無いからやれて4曲か5曲だよ?」

「じゃあ、とりあえず、そうします!後は遊びに行く場所ですね!どうしよっか?」

俺は財布から前に貰った遊園地のチケットを取り出して渡す

「ちょうどいいからここに行って遊んで来なよ!夕方までに戻ってきて、夕方18時頃から30分くらいのミニライブでお祝いってのでどうかな?」

「これってもしかしてはぐみから貰いました?」

「よくわかったね、たまたま全員都合がつかなかったんだって、と言っても俺も1枚か2枚ならまだしもそんなにいらないからね、6枚しかないし、りみちゃんのお姉さんか、明日香ちゃんでも誘って行っておいで」

「じゃあ、ゆり先輩もあっちゃんも誘って皆で行こう!」

「お姉ちゃんに聞いてみるね!」

「私もあっちゃんに聞いてみるよ!」

そうして遊びに行く予定を立てていると走って来る音が聞こえて有咲がやってきた

「スマン!遅れた!」

「ちょうど休憩中だったし、タイミング的には大丈夫だよ、それに、生徒会に入ったから引き継ぎ等々忙しいでしょ」

「まぁ、そうなんですけどね、せっかく皆集まれるって言うし、ちょっと急ぎましたよ!」

「そっかそっか、じゃあ、とりあえず有咲も来たし、練習再開しようか!」

「はい!お願いします!」

そうして時間いっぱいまで練習して解散となった、俺は帰り際に香澄にウォークマンを預けて香澄達を見送り受付に戻って外を眺めている

「お客さん来ませんね」

「日中は結構来るんだけどね、夕方頃はあんまり来ないね」

などと話しながら俺は自分の楽器のメンテを始める

「光君ってよく楽器のメンテしてるよね」

「ちょくちょくやらないと、楽器もすぐくたびれますからね」

「貸し出し用のも定期的にやってくれるからたまに借りる人からの評判はいいんだよね」

「それなら、良かったです」

なんて話しながら作業を進め簡単なメンテナンスを終える

「よし!終了!」

「それなら、スタジオ回って掃除して来てくれる?終わったら上がっていいよ!」

「わかりました、じゃあ、スタジオ回ってきますね」

そう言って俺は各スタジオを周り設備の点検や清掃を済ませてからバイトを終える

「じゃあ、今日は帰りますね」

「はーい、お疲れ様」

挨拶を交わして俺はバイト先を後にし家路に着いた

 

数分前、帰り道ポピパside

circleで練習を見てもらった帰り道、私達は光さんから借りたウォークマンで曲を再生しながら帰っている

「本当にいろんな曲あるね!」

「私達の知っている曲から全然知らない曲まで本当にたくさんあるね」

「これ全部光さんカバーしてるのかな?」

「これみて!」

私達は香澄の持っているウォークマンの画面を見てみると何曲か光さんがカバーした曲が入っていた、そしてもう1つ

「プレイリスト00?なんだよこれ?」

「私もわかんない、今までのは全部ファイルに名前ついてたよ」

「みたいだね、とりあえず聞いてみたら?」

「私もそれがいいと思うな」

皆がそういうのでもう一度確認の意味を込めて頷き合うと

プレイリスト00を開いた

「タイトルはないね、でも、これ曲じゃないかな?」

「でも、短いので2分くらいから5分くらいのまでいくつかあるね」

「とりあえず、1番長いの聞いてみない?」

「だな、無難にそれがいいかもな」

「聞くだけ聞いてみよう」

「そうだね」

「じゃあ、再生するね」

そう言って曲を再生するとギターの音と一緒に世界が広かった、花火をそのまま花火と例えるんじゃなくて空に咲いた花びらと歌ってたり、空を彩るじゃなくて君を彩るだったり

どこか幻想的で誰かと一緒に花火を見た思い出をそのまま歌にしたようなそんな曲だった

曲が終わると同時に現実に戻ると私達は我に返った

「なんか、凄かったね」

そんな感想しか出てこない

「この曲歌わせてもらえたりしないかな?」

「無理じゃないかな?今回はあくまでカバー曲メインだし、光さんの曲は使わせて貰えないよ」

「だよね〜」

そう言って項垂れる香澄を見て笑い合いながら皆それぞれの家に帰って行く

 

次の日

学校では相も変わらずに授業が終わる前に小テストを行う日々で正直怠い成績を落とす訳にもいかないので仕方はないのだが、俺にとっては勉強はあくまで二の次な為あまり好きじゃない、そんな事を考えながら授業をやり過ごし昼休みとなる

「午前中やっと終わったよ!正直こうも毎回小テストばっかりだとたまに白紙のまま提出しようかなって考えちゃうよ」

「それは光だけじゃないかな?」

「そうね、私も最低限は埋めるもの」

「あたしもそうかな〜」

「そっか、そこは俺だけか!」

最近はこんな感じのやり取りが日常茶飯事だ

「ところで光、今週って次のバイトいつ?」

「言ってないっけ?今週は昨日と今日連続で入って後は日曜に朝からだよ」

「ひ〜くんも忙しいね、あたし達パスパレも似たような感じだけど」

「そっか、そっちも大変だね、Roseliaは?LIVEの予定とかないの?」

「あるわよ、あなたに向けてやるLIVEがね」

「いや、それじゃなくてさ、Roselia個人のLIVEはないのかなって、実際あんまりRoseliaのLIVEしてる姿って見てないからさ」

「circleで定期的にLIVEはしているし、主催LIVEとなるならまた話しは別よ、それに、貴方にはLIVEをするなら同じステージに立ってもらうから、観客にはまわれないわよ」

「それは残念」

などと話していると昼休み終了のチャイムが鳴り俺達は自分達の席に戻って授業の授業をして5限目の授業を受ける

 

昼休み花咲川ポピパside

 

昼休み、中庭に集まって光さんから借りたウォークマンで色々と曲を再生しながら皆で曲について相談する

「なかなか決まらないね」

「色々あるから迷うよね」

「迷いすぎてわぁ〜ってなるよ」

「そうだね〜」

「つか、何の話?あたし全然話についていけねんだけど…」

そういえばと思い私達は有咲に事情を説明する

「光さんにね送る曲の他にもカバー曲練習したいねって話してて、そのための曲をね決めるのに光さんのウォークマン借りたんだ」

「そういう事か、んで、まだ決まってないと、ぶっちゃけ何でもいんじゃね?」

「そうはいかないよ!私達に合う曲をちゃんと見つけないと」

「そうじゃないとなんか違うってなるしね」

「わかったよ、とりあえず、光先輩にもちゃんと相談しろよな!あの人が1番カバー曲に詳しんだからさ、あたしらであれこれと悩むより早いだろ!」

「そうなんだけどね」

「なんか事情があるのか?」

「んーとね、光先輩には自分達でやりたい曲決めるようにって言われたんだ」

「なるほどなぁ〜まぁ、それなら自分達で悩むしかないか」

「だね〜」

結局またあれこれと曲を再生してはこれかな?とか違うような〜とか話しながら悩んでいると紗綾が思い出したように聞いてきた

「そう言えばさ、皆は、光さんの演奏を聞いた事ってあるっけ?」

「いや、皆あるだろ!」

「ごめんごめん、言い方が悪かったね、光さんの演奏を観客というか、1人相手にというか、つまりさ、全員じゃなくて1体1で聞いた事ってある?」

言われてあたしらは考える、あたしはないなと思いながら他のみんなにも聞いてみる

「あたしはないけど、皆はどうなんだよ?」

「私はオーナーと一緒の時に聞いたことあるけど、1体1では無いかな」

「私も…ない…けど…」

「私はあるよ!キラキラしててすっごくドキドキしたー!」

「いや、意味わかんねーし、紗綾はどうなんだよ」

「私もあるよ、ちょうど文化祭の時に、香澄達からのメッセージ聞いてたら光さんが来てくれて、演奏してくれたんだ

あの時は立ち止まってないで1歩踏み出してって背中を押してくれるような演奏をしてくれたんだ」

「その後、文化祭で光さんが演奏してくれて盛り上がったよね!」

「香澄の時は下向いてないで顔上げて前を見てって励ますように演奏したって言ってたよ!」

「すっごく世界がキラキラしてたんだ!」

「そうかよ…」

香澄語で言われてもなと思いながらもあたしは考えてたことを聞いてみる

「あのさ、それこそ光さんが演奏してくれた曲をそのまま光さんに向けて演奏したらダメなのか?」

「それじゃあキラキラドキドキしないよ〜」

「だからそれを具体的に言えっての!」

香澄はキラキラだとかドキドキだとか擬音というか、自分の言葉で何かを伝えたがる、でも、正直よく分からんって言うのが本音だ、だけど、こうと決めたら一直線なやつだから上手くフォローしてやんないとなと思う

そうして何も決まらないまま昼休みが終わり午後の授業を受けて帰りのホームルームが終わり私は生徒会、香澄達は一足先にcircleに行くって言ってたから後から合流だ

そして生徒会室で書類の整理をしながら聞いみた

「あの!いきなりこんなこと聞くのも失礼だとは思うんですけど、Roseliaの皆がSPACEのラストライブに出なかったのってなんでなんです? 」

私の質問に紗夜先輩と燐子先輩が手を止めて質問に答えてくれた

「そうですね、理由は2つあります。1つは湊さんが辞退したため、2つ目は光君のステージを観客として見たかったからです。」

「光君がSPACEのLIVEに出るとわかった時、私達は同じ舞台に立って演奏するか、光君のステージを見届けるか、悩みました。それで話し合って決めたんです、今回は光君がSPACEという舞台で輝く瞬間を観ようと」

「そうなんですか、あの!もう1つ聞かせてください!光先輩ってRoseliaにとって、それとお2人にとってどういう存在ですか?」

あたしの質問に2人は一度顔を見合わせてから紗夜先輩が話し出す

「私にとってはかけがえのない友人で、恩人ですかね」

「恩人?」

あたしは聞き返す

「えぇ、日菜との関係修復に力を貸してくれた恩人です。そして、必要な時に必ずそばに居てくれるかけがえのない友人です。」

そう言う紗夜さんの表情はほんの少し赤くなっていた、そして今度は燐子先輩が答えてくれた

「私にとっての光君は常に私の1歩先を行ってくれて、導いてくれる存在ですね、そして私の…好きな…人…」

「えっ!?燐子先輩最後なんて?」

「なんでもないです!私にとっての光君は1歩先を歩いて導いてくれる存在ですね」

「Roseliaにとっては、目標ですね、FWFに出場する事が私達の目標ですけど、それとは別に光君の隣に並び立てるバンドでありたいと思わせてくれる存在ですね」

なんとなくだけど、影響力のある人なんだなとは感じた、

「あの!じゃあもう1つ聞いても良いですか?光先輩の本気の演奏って聞いた事ってありますか?あたしはないんですけど、紗綾と香澄はあるみたいで、どんなのというかどういう感じなのかなって」

「私と日菜はありますね、まさに関係修復のきっかけをくれる演奏をしてくれました。その時の演奏はまさに世界が変わると表現するのがピッタリな演奏でしたね」

「私はまだ、そこまでの演奏を聞いた事は無いですけど、誕生日の時にくれたCDは曲を繋ぎ合わせたメッセージになっていました、まちがいさがしの間違った方を選んで出会えた、そして1人1人の笑顔が曇り空さえ晴らしてしまう程眩しく見えたらひとりじゃないって分かるそしてそんな優しさに溢れている今がたからものでそれを大事だと思えるならきっと素敵なことがあなたを待っているっていう光君からのメッセージでしたね、演奏も1つ1つの完成度は高くて聞いてるこっちは嬉しさが込み上げてきましたね」

あたしは2人から話を聞いてますます光先輩の事がわからなくなる。

なにかに対して一生懸命になれる人で影響力があって、常に誰かの為にって行動出来る人?そんな人いるのかな?でも、話を聞く限りそう感じるし、やっぱり分からないって言うのが本音だ。

そんな事を考えながら生徒会の仕事を終えて荷物を持ってcircleに向かう、circleに行くため電車に乗る必要があり、電車を待っているとパスパレの彩先輩と千聖先輩がやってきて

こちらに気付き声を掛けてきた

「こんにちは、市ヶ谷さん」

「こんにちは有咲ちゃん」

「どうもこんにちは、彩先輩に千聖先輩」

「何か悩み事?」

「えっ!?」

問われて思わず間抜けな声が出る

「違った?」

その問いにあたしは首を横に振り答える

「悩み事って言えば悩み事ですね、ここ数日、あたしらcircleで光先輩に練習を見てもらってて、なんて言うか、話せば話すほど光先輩という人がわからなくなって…」

「えっと、つまり光の事を知りたいの?」

「知りたいというか…あたしもよくわかんないんですよね…」

「千聖ちゃん、どう思う?」

「そうね、私達も少なからず光と交流はある訳だし、それに、私達だって光の全てを知っている訳ではないけれど、1つ言えるのは、光はね、目の前で誰かが失敗したりするのを見るのが嫌なんだと思うわ」

「それはあるかもね」

あたしは2人に問い返す

「どういう事ですか?」

「彼の失敗談というか、友人の価値観を歪めてしまったって話は皆といた時に聞いていると思うけど、彼はその失敗があったからこそ、今の彼があるんだと私は思うわ」

「そうだね、光君は自分の手が届く範囲なら小さな事でも手を差し伸べてあげたいんじゃないかな?」

そう言われて紗綾の時と香澄の時がそうだったのかと思ったあたしは2人に聞いてみる

「光先輩の本気の演奏って聞いた事ありますか?なんか、世界が広がるって言うか、見え方が変わるって聞いたんですけど」

「私達パスパレは最近聞かせてもらったわね、本当に市ヶ谷さんが言ったように見える世界が変わったわよ!パスパレとしての繋がりを大切にってお互いを大切に思う気持ちを大事にって演奏してくれたわ」

「あの時はみんな思わず泣いちゃったもんね」

「そんなに、凄い演奏だったんですか?」

「とても心に響いたわ、本人に聞いてみるといいわよ、本気の演奏ってどんなですかって」

やっぱりそれしかないんだなと思いあたしは頷いてから御礼を言った

「ありがとうございます。あたしなりに光先輩に色々聞いてみようと思います。」

「そうしてみるといいわ、きっと光はちゃんとした答えをくれるはずだから」

「はい、そうしてみます」

あたしはそう言ってやって来た電車に乗りcircleに向かった

千聖先輩達は反対方向らしい、あたしはとりあえずcircleに行き受付にいたまりなさんに声を掛ける

「こんにちは、もうみんな来てますよね?どこで練習してますか?」

「こんにちは、5番スタジオにみんないるよ、光君が着いてるから行ってごらん」

「はい、ありがとうございます」

御礼を言ってスタジオに向かうとタイミング良くみんなか休憩中だった

「お疲れ〜、休憩してたんだな」

「有咲!生徒会お疲れ様」

「いや、大したことしてないからなあたし」

「それでも、お疲れ様」

「まぁ、ありがとうな、とりあえず、まだ休憩してていんだよな?」

「ちょうど休憩入ったばっかりだから、大丈夫だよ」

「そうですか、じゃあちょうど良いんで光先輩に2、3質問しても良いですか?」

「答えられることなら大丈夫だよ」

光先輩からOKが出たのであたしは質問する

「光先輩にとって、あたし達ポピパも含めたガールズバンドは光先輩にとってどんな存在ですか?」

「そうだな〜、やっぱり大切な仲間かな、出会えた事、そして、何より一緒に音楽をやれる事が俺にとっては宝物って言える、そんな存在」

「じゃあ、あの!本気の演奏ってどんなですか?」

本気の演奏と言われて俺は考える、普段の俺とは違うルミナスとしての演奏野事を言っているんだとわかったから、どう答えるべきかを考えて話し出す

「それは、もう1人の俺が誰かに向けて、普段以上の本気の演奏を届ける瞬間の事だよ」

「どういう事ですか?」

俺は近くにあったホワイトボードに簡単に絵を書いて説明する

「例えばさ、こんなふうに、まっすぐな道があって分かれ道に辿り着いたとするよね」

俺の言葉に有咲は頷く

「その道はどっちに行っても辛い道のりでその場所で立ち止まってしまったとしたら誰かに、助けて欲しい勇気が欲しいと思うよね?」

「はい、あたしでもそう思いますし悩みますね」

「俺はそうやって立ち止まってる人に向けて背中を押してあげたり1歩踏み出すきっかけを演奏する事で作ってあげたりするんだよ、そうする事で解決する事だってあるからね、俺は必要だって思ったらそうするんだ」

あたしは光先輩の話を聞いてやっぱりみんなか言っていた通りの人なんだなと改めて思った、この人は相手の気持ちや相手の側に立って考えられる人なんだなと思った

「本気の演奏を聞かせることは出来ないけど、せっかくだから演奏聞く?」

「是非!お願いします!」

「あたしの前に答えんなよな!あたしからもお願いします」

「OK!リクエストは?」

「香澄や紗綾、後、SPACEで歌った曲をお願いします」

「ん〜じゃあ瞳の先に、ハイスクール、できっこないをやらなくちゃにしようか、残りの休憩時間俺の演奏に付き合ってね」

「わかりました!お願いします!」

「じゃあいくよ!瞳の先にはキーボード使わないとだから、ちょっと待ってて」

そう言って俺は持ってきていたキーボードを取り出し設置すると演奏を始める、この曲は香澄に向けて俺が演奏した曲でサビの部分の涙を翼に変えて飛び立とうって歌詞が俺個人も好きだったりするし、あの時の香澄には勇気を出せるいいきっかけになる曲だと感じた、俺はあの時とは違うけれど別な形で新しい目標に向かってまた1歩踏み出すきっかけになればと思い演奏していき演奏を終えるとギターに持ち替えてハイスクールを演奏する実写版で演奏された方のハイスクールを演奏し始め一気にサビを歌いきり、1番を歌い終え2番に入っていく

そしてラストの歌詞を歌い上げる

『どんな式でも夢は解けない模範の解答どうだろうと関係ない

自分自身で答えを探せ 自分だけの答えを探せ』

2曲目の演奏を終えて俺は軽く息を吐き出してから告げる

「じゃあ、ラストの曲行こうか!」

「できっこないをやらなくちゃ!お願いします!」

「OK!」

俺はできっこないをやらなくちゃを演奏する

 

『どんなに打ちのめされたって

 

悲しみに心をまかせちゃだめだよ

 

君は今逃げたいっていうけどそれが本音なのかい?

 

僕にはそうは、思えないよ

 

何も実らなかったなんて悲しい言葉だよ

 

心を少しでも不安にさせちゃダメさ灯りをともそう

 

あきらめないでどんな時も君ならできるんだどんな事も

 

今世界にひとつだけの強い力をみたよ

 

君ならできない事だってできるだ本当さウソじゃないよ

 

今、世界にひとつだけの強い光をみたよ

 

アイワナビーア君の全て!』

皆が皆君1歩を自分の足で踏み出すのを待っているから立ち止まらないで!俺はそんな思いを込めて演奏していく

 

『やはり自分じゃだめかなんて無駄な言葉だよ

 

心を少しでも不安にさせちゃダメさ灯りをともそう

 

あきらめないでどんな時も君ならできるんだどんな事も

 

今世界にひとつだけの強い力をみたよ

 

君ならできない事だって

 

出来るんだホントさウソじゃないよ

 

今世界にひとつだけの強い光をみたよ

 

アイワナビーア君の全て!』

歌いきると同時にポピパの皆から拍手が送られそれと同時に

香澄が話し出す

「先輩!決めました!やりたい曲!」

「どれにするの?」

「ドリームキャッチャー、ハイスクール、できっこないをやらなくちゃをやりたいです!」

「了解、じゃあ、1曲ずつ練習して行こう」

俺の言葉に全員が頷き、練習を再開する

俺は細かくミスを指摘していき演奏のクオリティを上げられるようアドバイスしていく

「なかなか難しいですね、光先輩は弾けるよになるまでどのくらいかかりました?」

「俺は1人でやってるし曲聴きながらだから結構早かったよ」

「プレッシャーだ」

「大丈夫だって!当日までにものに出来れば良いんだからさ、皆なら出来るよ!俺が保証するよ」

「そこまで言われたら頑張らないとですね!」

「もうちょい頑張りますか!」

「いいよ、限界まで付き合うよ」

そうして皆は練習時間を延長し限界まで練習してくたびれた様子で帰って行った、帰る前に追加のチケットも渡しておいたので週末は目一杯楽しんで来るだろうと思いながら俺の方もバイトを終えて帰宅した。

それから数日経って向かえた有咲の誕生日当日

俺の方はバイトで機材と貸し出し用の楽器のメンテナンスをしている、アンプ等の機材を点検しつつギターやベースの弦の緩みなどがないか等確認して問題なければチェックリストに

チェックを入れていきスタジオの機材は問題ない事を確認し終えてまりなさんにチェックリストを渡す

「スタジオの機材チェック終わりました、異常なしです」

「OK!じゃあ、ちょっと早いけど、お昼休憩入っちゃって、休憩終わったら光君は貸し出し用の備品整理と楽器のメンテナンスお願いね」

「わかりました。」

俺はスタッフルームで昼食をとりながらスマホを確認すると紗綾から写真が送らて来ていた

「皆楽しそうで良かった」

そう呟きながら送らてきた写真を見て行く

俺は送らてきた写真を見終えてから楽しい思い出をたくさん作っておいでと返信を返しバイトに戻った

 

ポピパside

「有咲!早く早く!」

「待てってのに!」

「香澄は元気いっぱいだ」

「お姉ちゃん!あんまりはしゃぐと転ぶよ!」

「大丈夫!あっちゃんも早く!」

「賑やかね」

「うん!」

「とりあえず、行こっか!」

「そうね」

私達は遊園地のアトラクションを回って色んなものに乗ってはしゃいでいだ、私は写真を撮っては光さんに楽しんでますと報告するために写真を送っている

けど忙しいみたいで返信は全然来ないけど、後でまとめて写真を見てくれたら返事くれるだろうなと思いながら光さんに写真を送る。そして私達はまたたくさんのアトラクションを回って遊んだ後お昼休憩に入った

「紗綾、光先輩から連絡来た?」

「忙しいみたいでまだ来てないんだ、ちゃんと楽しんでますよって写真送ってるんだけどね」

「あの人の事だから写真見たら返信来るだろうさ」

「だよね!」

そう話していると私のスマホがメッセージを受信する

「光さんからだ!楽しい思い出をたくさん作っておいでだって」

「あの人らしいな」

「まぁ、光先輩だから」

「じゃあ、この後も目一杯楽しまないとね!」

香澄の発言に皆が頷いてからそれぞれが昼食をとりまたアトラクションを回る

午後からは迷路やお化け屋敷なんかの屋内のアトラクションをメインに回っていく、お化け屋敷は皆がキャーキャー言いながらも楽しそうに進んでいく、香澄は怖がっているのかこの状況楽しんでいるのか分からないくらいキャーキャー言っては有咲や明日香ちゃんにくっついている

「有咲〜!」

「うぜーくっつくな〜!」

「あっちゃ〜ん」

「お姉ちゃん!くっついて来ないでよ!歩きづらい!」

「怖がっているのかな?」

「どうだろ?」

「おたえは平気?」

「びっくりはするけど、意外と平気、りみはゆり先輩ベッタ

リだけどね」

そう言っておたえが指差す方向ではりみりんがゆり先輩にくっついて震えてた、かくいう私もビクッてなった所をおたえに激写されて光さんに写真を送られてしまった。恥ずかしいからやめてって言ったんだけど、新鮮だからって言う理由で断られた、そしてお化け屋敷を出ると皆が近くのベンチにへたりこんだ

「皆、大丈夫?」

「怖かったけど、楽しかった!」

「くっついてくる香澄がウザかった!そんでもって疲れた」

「有咲ひど〜い!」

「あたしはともかくりみ大丈夫か?」

「ぐったりはしてるけど大丈夫みたい」

「じゃあ、もう少し休憩して後、1つか2つ乗り物系のアトラクション乗って帰ろうか」

「まぁ、確かにそうしたらいい時間なるか」

「だね」

そうしてりみりんが回復するのを待ってたまたま目に付いたゴーカートに乗って競走する事になったけど、香澄が脱線して変な方向に行ってしまって最終的に逆走していたのには全員がお腹を抱えて笑っていた

そして最後はやっぱり観覧車に乗ることになった、ゆり先輩と明日香ちゃんは2人で乗るから他の皆は全員で乗ってと言われたのでお言葉に甘えさせてもらった

順番が回ってきて私達は観覧車に乗り込む

 

ゆり、明日香視点

「戸山さんじゃなくて明日香ちゃんの方がいいかしらね」

「どっちでも大丈夫です。今は先輩と2人なので呼びやすい方で良いですよ」

「そう?じゃあまぁ、明日香ちゃん、今日はどうだった?」

「どうって言われても、受験勉強の良い息抜きになったかなとは思いますね、遊園地でこんなに遊んだのなんていつ以来かなってくらいで」

「それには同感ね、私もよいい息抜きになったわよ、普段は見られないりみの面白くて可愛い一面が見れたしね」

「私も、あんなに笑ってるお姉ちゃん見たのは結構久しぶりですね、普段からニコニコしてるんですけど、いつにも増して楽しそうで、なんか私も楽しかったなって」

「誘ってくれた皆に感謝ね」

「ですね、光先輩にも今度お礼言わないと」

そう言って観覧車の窓越しにお姉ちゃん達の乗るゴンドラの方に目を向けた

 

ポピパ視点

「有咲!今日はどうだった?」

「疲れたけど、楽しかった」

「光さんに感謝だね」

「そうだね」

「ちゃんと御礼言わないと」

そう話している間も観覧車は回り続ける中あたしは光さんの事を皆に聞いてみたくなり質問する

「あのさ、香澄もだけど、皆、光先輩の事どう思ってんの?」「ものすごくキラキラして輝いてる人!」

「私は自分に妥協を許さなくて音楽に対しても私たちに対してもまっすぐに向き合ってくれる人だと思う」

「私は、頼れる人だとは思うな」

「立ち止まってしまった時とかに必ず手を差し伸べてくれる素敵な人かな」

「有咲は?」

「正直わかんねーけど、まっすぐ人と向き合える人だとは思うかな」

「多分それが光さんなんだと思うな」

「どういう事?」

「光さん話してくれたでしょ、友達の音楽を歪めちゃったって、多分光さんは目の前で誰かが傷付いたり音楽を嫌いになったりするのを見るのは光さん自身も辛くなるんだと思う、だからあの人の言葉や演奏は私達に届くんだと思う」

言われて確かにと思った、あの人はいつも誰かの為皆の為って動けるそんな人だから演奏が言葉がいつまでも耳に残るんだなとあたし自身も感じた。

「あのさ、観覧車降りたら写真、撮らね?ゆり先輩と明日香ちゃんも含めてさ」

「いいね!今も撮ろう!ポピパ全員で!」

「だな!」

そうして私達はポピパ全員で写真を撮った

それから観覧車を降りて明日香ちゃんとゆり先輩も含めてもう1枚写真を撮った後遊園地を後にして電車に揺られあたし達の家がある街に戻ってきた

「帰ってきたな」

「そうだね」

「まだ終わりじゃないよ!」

「うん!」

「行こう!circleに!」

「今から!?」

「あっちゃんとゆり先輩も!」

2人は顔を見合わせてから頷いた

「ほらほら、行くよ!」

「えっ!?ちょ!待てって!」

有咲は香澄に引っ張られるようにしてcircleがある方向に向かって歩き出した

しばらく歩いてcircleが見えてきたので全員でcircleまで走っていきドアを開けて中に入ると光さんが出迎えてくてた

「おかえり、写真見たよ、楽しんで貰えたならチケット渡した甲斐があったよ」

「本当にこんなにはしゃいだのいつぶりだってくらいはしゃいできました、楽しかったです。チケットありがとうございます」

「別に良いよ!まだ終わりじゃないしね、こっち来て」

そうして光先輩はステージがある方向に歩いていきあたし達も後を追う形で着いていくとバースデーライブ件応援ライブと書かれた横断幕が貼られていた

「これって…」

「有咲の誕生日ライブと明日香ちゃんとゆりさんの受験を応援するためのLIVEだよ」

そう言って光先輩は壇上に上がってギターを持つと話し出す

「こんばんは、光です。今日は有咲の誕生日をお祝いして明日香ちゃんとゆりさんに受験頑張ってって応援ソングを送ろうと思います。まず最初はドリームキャッチャー!香澄、おたえ!壇上に上がっておいで!」

「「はい!」」

名前を呼ばれて香澄とおたえが壇上に上がりおたえが自分のギターを演奏し始め光先輩がそれに続き最後に香澄が演奏し始め歌っていく

夢を追いかける中で壁にぶつかっても自分の夢を再認識して前に進もうっていう応援ソングだ、予め決めておいたみたいで光先輩、香澄おたえの順番で歌っていく中で1曲目が終わる

「2曲目に行きます!ハイスクール!りみりんと紗綾も上がっておいで!」

「「はい!」」

そうして光先輩が紗綾の横に並び紗綾の掛け声とともに演奏を始めその音を拾うように香澄達も演奏を始め歌っていく

おたえと香澄のツインボーカルでやるみたいだ、模範に囚われず自分だけの答えを見つけていけるよって背中を押されるような曲でもあり、歌詞の中には確かにと思う部分もあったりする曲でゆり先輩達も手拍子をしてノリノリな感じだ

そうしてハイスクールが終わると光先輩が紗綾と手を打ち合わせタッチして光先輩がドラムに入り紗綾が前に出て話し出す

「私達からのラストの曲はできっこないをやらなくちゃ!」

タイトルを告げて紗綾が歌い出す

「すげーな、めっちゃ練習したんだろうなって思うよ」

香澄とツインボーカルした時も歌は上手いなとは思ってたけど、かなり上達してるなと思っていると紗綾が少しずつ後ろに下がっていき光先輩とボーカルを交代し2番に入る

 

 

『やはり自分じゃだめかなんて無駄な言葉だよ

 

心を少しでも不安にさせちゃダメさ灯りをともそう

 

あきらめないでどんな時も君ならできるんだどんな事も

 

今世界にひとつだけの強い力をみたよ

 

君ならできない事だって

 

出来るんだホントさウソじゃないよ

 

今世界にひとつだけの強い光をみたよ

 

アイワナビーア君の全て!』

ボーカルが代わると見える世界も変わったって思わされるくらい何事にも全力で取り組んでる姿が目に浮かぶ

「適わねーなあの人には」

「そうね、ここまで応援されたら頑張らない訳にはいかないわね!」

「ですね!私も頑張ります!」

そうして曲が終わると香澄が話し出す

「私達からの演奏は、これで終わりです!でも!最後に光さんがソロで1曲披露してくれます!先輩!お願いします」

「任されたよ!俺からのラストの曲は空色デイズ!」

俺は曲名を告げて演奏を始め歌い出す

『君は聴こえる?僕のこの声が闇に虚しく吸い込まれた

 

もしも世界が意味を持つのなら

 

こんな気持ちも無駄ではない?

 

憧れに押しつぶされてあきらめてたんだ

 

果てしない空の色も知らないで

 

走り出した想いが今でもこの胸を確かに叩いてるから

 

今日の僕がその先に続く僕らなりの明日を築いていく

 

答えはそういつもここにある』

有咲、ゆり、明日香視点

「これ、光先輩が初めて演奏しつくれた曲だ」

「素敵な曲ね、自分なりの明日を築いて行って欲しいって歌詞が特に」

「私は、サビ前の果てしない空の色も知らないでってところが印象的です」

あたしは歌って貰った時を思い出しながら演奏を聞いていく

 

 

『過ぎた季節を嘆く暇はない二度と迷ってしまわぬように

 

数えきれないほんのささやかなそんな後悔抱えたまま

 

その背中だけ追いかけてここまで来たんだ

 

探していた僕だけに出来ること

 

あの日くれた言葉が今でもこの胸に確かに届いてるから

 

昨日よりも今日の僕は

 

僕の生まれてきた理由に気づいていく

 

答えはそういつもここにある』

香澄、おたえ、りみ、紗綾視点

ステージ袖で演奏を聞いている私達はかなり驚いていた前よりも格段に演奏で見える世界が広がっているから

「紗綾はこの曲聞くの初めてだっけ?」

「うん、私達にはぴったりかもねこの曲」

「2番は光先輩じゃないかな?」

「あぁーそうかもね!」

私達は光さんの演奏にそして光さんが見せる世界に引き込まれていく

 

『全てがまるで当たり前みたいだった

 

尊い日々はまだ終わらない

 

そしてまた

 

走り出した想いが今でもこの胸を確かに叩いてるから

 

今日の僕がその先に続く僕らなりの明日を築いていく

 

答えはそういつもここにある』

俺は演奏を終えると軽く深呼吸してから話し出す

「演奏聞いてくれてありがとうございます。そんでもって改めて!」

俺がそう言って言葉を区切ると香澄達がクラッカーを手にステージ袖から出てきて声を揃えて言った

「「「「有咲!誕生日おめでとう、先輩!、明日香ちゃん受験勉強頑張ってね!」」」」

「皆…ありがとうな!こんなに最高の誕生日は初めてだよ!」

「私達も目標に向けて勉強頑張るわ」

「全力でチャレンジします!皆、本当にありがとう!」

そうしてバースデーライブ&応援ライブは大成功だった

そうしてcircleからの帰り道有咲に曲演奏した曲を入れたCDを俺からのプレゼントとして渡しておいた。

他の皆からも色々とプレゼントを貰ったようで照れ隠しにちょっと怒っていた。それでも、宝物として大切にすると言っていた

その様子を後ろの方から微笑ましい気持ちで眺めていると

駅に到着しそこから俺たちはそれぞれの方向に帰っていき

自宅に着くとすぐに夕飯とシャワーを済ませてからベットに倒れ込み寝返りを打つように仰向けになり天井を見上げて呟く

「最後は…友希那だな」

そう言って俺は目を閉じ、眠りに着いた

 

 

 

 

 

 

 




誕生日イベント有咲編です!正直誕生日イベントは考えるのが大変でかなり時間がかかります!それでもなんかんとかやりきりました!
次回は友希那の誕生日イベントになりますのでお楽しみに

次回「誕生日と夢に向かって」


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第30話誕生日と夢に向かって

友希那の誕生日を祝うために行動する光は友希那がFWFを目指す理由を知る事になる


友希那の誕生日の少し前の夕方、バイト前に小腹が空いたので俺は山吹ベーカリーに来ていた、店に入り今日は何を食べようか悩んでいると奥から紗綾の弟達の声が聞こえてきた

「兄ちゃん!久しぶり!」

「こんばんはジュン君、元気してた?」

「うん!今日は何買っていくの?」

「まだ悩んでるんだよね、ジュン君は何が好き?」

「俺はね〜このチーズのやつ!」

「確かに美味しそう、じゃあこれにしよっかな」

そうして話していると奥から千紘さんが顔を覗かせた

「あら、いらっしゃい」

「こんばんは、バイト前に何か軽く食べたくて寄らせてもらいました」

「今日は何を買っていくの?」

「このハムチーズのサンドイッチをお願いします!」

「わかったわ、それと、良かったらこれ、使って」

そう言って渡されたのは福引券だった

「1枚で1回引けるから使ってちょうだい」

「良いんですか?これっていくら以上買い物しないとダメなんじゃ」

「いいのよ、いつもジュンやサナに色々くれるんだものそのお返しとでも思って」

「なんか、すいません、代わりにこれ、さっき何気なく回したガチャの景品なんでどうぞ、物々交換という事で」

「じゃあ、ありがたく貰うわね、ジュン、良かったね」

「兄ちゃんいっつもあんがとね!」

「いいよ、別に、じゃあね!また来るよ」

「またいらっしゃい、今度は夕飯でも食べにね」

「そのうち、伺います」

そう言ってその場を後にし俺は福引ができる場所に向かった

そして俺は福引を2回引くとクラシックコンサートのチケットが当たった

「2連続でこれって…まぁ、1人1枚だから、ちょうどいいか」

そう言ってサイフにしまいその場を後にしcircleに向かった

数分後circleに到着した俺はまりなさんに一声かけて着替えてから受付を交代する

「お客さん来ました?」

「午前中はいつもより多かったけど、午後からは大学生の人達が2組来たくらいだよ、Roseliaは今日来るの?」

「来るには来るんですけど、遅くなるそうです。」

「そうなんだ、じゃあ来るまで受付お願いね」

「わかりました。」

そうして俺は受付に座りRoseliaが来るのを待っていると

30分程してRoseliaの皆がやってきた

「いらっしゃい」

「来たわよ、今日も頼むわね」

「OK!じゃあ、先にスタジオ行って待っててよ!1番スタジオを使ってよ」

そう言って鍵を渡した

「わかったわ、行って待っているわ」

俺はまりなさんに声をかけて受付を交代してもらいRoseliaの練習に参加する

そして演奏を聞いていると、友希那の声の伸びがイマイチだと感じ一通りの演奏を聞いてから話し出す

「友希那、いつもより声の伸びが悪いけど、体調が悪い訳じゃないよね?なにかあるの?」

「特ににもないわ」

淡々と言い切る友希那に俺は不信感しか抱けない

「本当にないも無いの?」

「問題ないわ、でも、声の伸びがイマイチだと言うならば精神的なものかもしれないわね」

「それって…」

言いかけて口を紡ぐ、俺はまだあえて踏み込むべきではないと感じているからだ

「一旦休憩にしようか、ここの所練習時間以外もずっと休んでないんじゃない?」

「そうね、30分程休みましょう、ゆっくり休んでその後再開するわ」

友希那の言葉に全員が頷きしばらく休憩に入った俺は外に出て風にあたりながら考える

友希那の声の伸びがイマイチな理由を今思い当たる事から考察するが答えは出ない

「どうしたもんかな〜」

「光!」

名前を呼ばれて振り返るとリサが困ったような悲しそうな表情を浮かべていた

「どうかした?」

「友希那の事なんだけどさ、光はなにか心当たりあるの?」

「さぁ?これといってないけどね」

そう言って肩をすくめる

「嘘だ!光、実は気付いてるんでしょ!友希那の声の伸びがイマイチな理由!」

「俺よりも、リサや他のRoseliaのメンバーの方がわかるんじゃない?」

「わかんないよ!そんなの!友希那はあんまり自分の事話す方じゃないから、尚更わかんないよ!光ならなにか、可能性の話でも憶測っていうか、予想が着いてるんじゃないかと思って!」

正直言えばリサの指摘は正しい、確信がないだけで予想は着いている

「確信が無いことを話したくない、仮にも真実を探ろうとしてるんだもん、確信を持って言えることじゃないなら、話せない」

「光のバカ!」

「は?バカ?俺が?」

「バカだよ!なんでそんなに理屈っぽい事言って煙にまこうとするの?確信があってもなくてもまずは踏み込まないと始まらないじゃん!それを教えてくれたのは他でもない光だよ!」

俺は頭を掻きむしり髪をぐしゃぐしゃにしてその髪をかき上げながら言った

「俺にどうして欲しいの?」

「友希那を連れ出してあげて…友希那は1人で抱え込むタイプだからさ、あたし達じゃ無理でも、光なら友希那の背中を押せるでしょ?」

「わかったよ!正直踏み込むのはとてつもなく怖いけどやるだけやるさ」

「頼んだよ!友希那の誕生日だって近いんだから!」

「わかってる!誕生日当日中に解決してみせるさ」

「信じてるからね!」

「その信頼を裏切らない事を俺の音楽に誓うよ、その代わりひとつ手伝ってくれる?今ここに友希那を連れてきてよ」

「わかった」

リサは店内に戻って行って数分後友希那がやってきた

「話って何かしら?」

「リサとも話してたんだけど、友希那の意見を聞いてみたくてさ」

俺は財布からさっき福引で当てたクラシックコンサートのチケットを取り出し見せる

「これは?」

「コンサートのチケット、バンドとかじゃなく、クラシックだけど、良かったら誕生日の日さ、平日だから朝から一緒にってわけいかないし、夕方の部なら学校終わってからでも間に合うでしょ?」

「リサが言っていたのはこういう事だったの?」

「呼んで来てとは言ったけど、リサなんて?」

「光が直接聞きたいことがあるし、誕生日関係の話だからって言っていたわ」

「まぁ、その通りだからいんだけどさ…」

「クラシックの事はわからないけれど、たまにはいいかもしれないわね」

「じゃあ、決まりでいい?」

「ええ、お願いするわ」

「じゃあ、戻ろうか」

「ええ、そろそろ練習再開しないといけないもの」

そうして俺達は戻って練習を再開するも友希那の声の伸びがイマイチなのは変わらなかった

そしてバイト終わり、紗夜と一緒に帰っていると紗夜からもリサと同じ質問をされた

「光君、湊さんの不調の理由、心当たりがあるのでは?」

「あ〜まぁ、推測でしかないけどね、多分目指すフェスの事と、俺に向けてやるLIVEの事でなにか悩んでるんじゃないかなっては考えてるよ」

「どうしてそう思ったのか、聞いてもいいですか?」

「単なる憶測だよ、俺の中で、思い当たる事がそれしか無かったってだけで後は…精神的なものって本人が言ってたし、プレッシャーとかそういうのが本人も意図しないうちに、声に現れてるんじゃないかなって」

「そうですか…光君、湊さんをお願いしますね」

「それは、俺にならなんとかできるってこと?」

「はい、光君があの姿で演奏すれば間違いなく湊さんの背中を押せるはずです」

「やっぱりルミナスじゃないとダメかな〜」

「あの姿になるのは嫌なんですか?」

「嫌じゃないよ!でも、紗夜の時とは状況から何から違うでしょ?それにさ、Roseliaで俺のあの姿を見た事あるのは紗夜だけだし、あの時はお互いに今のままじゃダメだって思ったから俺の曲が届いた訳だしさ」

「多分湊さんはあなたの助けを必要としていますよ、他の誰でもない、貴方だからこそできることがあるはずです。そうでしょ?''ルミナスさん''」

「ここでその名前を出すのは反則じゃないかな?でも、わかったよ!やれる事をやるよ」

「約束してくださいね」

「俺の全力を持って」

そう話していると紗夜の家が見えてきたのでそこで解散となる

「ここまでで大丈夫ですので、送ってくれてありがとうございます」

「うん、じゃあ、またね」

そうして紗夜と別れ来た道をもどり家に帰ると俺は荷物を玄関に置いてそのまま部屋に行きバンドで演奏する楽器を一通り弾いてそれを録音し、ある程度編集してからシャワーを浴びた後就寝した

そして次の日学校で話していても友希那はどこか様子が変だった、その様子に日菜も気付いたらしく俺に話しかけてきた

「ねぇねぇひ〜くん友希那ちゃんどうしたのかな?」

「日菜も気付いてるんだ、様子が変な事」

「うん、変だな〜ってくらいにはわかるかな!ひ〜くんはどうするの?」

「俺なりに1歩踏み込むさ、後先考えても始まらないじゃん!俺に出来る事をやるだけだからさ」

「そっか、じゃあ、あたしからもお願い!あの姿で友希那ちゃんを助けてあげて!」

「わかったよ!俺なりに頑張るよ!」

「約束だよ!ひ〜くん!」

「約束は守るよ!じゃあ、俺、行くね、遊びに行こうって約束全然守れなくてごめんね」

「ううん!あたしもパスパレが忙しいから仕方ないよ!長い休みに予定が合ったらその時遊ぼうね!」

「もちろん!じゃあ、また明日!」

そうして俺はバイトに向かった

Roseliaは今日も練習するようで明日が友希那の誕生日で練習を休みにするため今日も練習するようだ

そして俺もRoseliaの練習に参加しアドバイスをしていくが

友希那の声の伸びがイマイチなのは変わらずだ

そんな中で休憩に入ったRoseliaの元を後にし俺はまた外に出て考えている

踏み込むにしてもタイミングの問題もあるし、今はまだ踏み込むべきじゃないと思うんだよなと考えていると

あこちゃんと燐子が俺の両隣りに並んだ

「どうかした?」

「来た理由わかってますよね光君」

「光兄ぃならあこ達がここに来た理由わかってると思うな」

「わかってても、確認しておきたいんだ」

「湊さんの事です。私達には焦ってるように見えて」

「'今の友希那さん''あの時''みたいで心配なんだ」

「あの時?」

「他言無用でお願いしますね」

そう言って燐子が話してくれた

Roseliaが結成されてすぐに友希那個人にスカウトが来て

 

友希那1人ならすぐにでもFWFに出られると言われたらしい

友希那は自分1人でも叶えたい夢だったからこそものすごく悩んだらしい、それでも、全員と話をして、皆の意志を確認してRoseliaとしてFWFを目指す事を決めてその話を断ったらしい

それからすぐに俺と出会い今に至るんだと教えてくれた。

「その時の湊さんは多分色んな気持ちというか、感情というかでいっぱいいっぱいだったと思うんです。今の状況が似てる気がして」

「あこ達心配で、でも、今回はあこ達じゃあダメな気がして

だからさ、光兄ぃお願い!友希那さんを助けてあげて!」

「私からも、お願いします!湊さんの背中を押してあげてください」

リサを筆頭にRoseliaのメンバー全員から頼まれたなら嫌とは言えないしもちろん言うつもりもない、俺なりに出来る事を

精一杯やるしかない、俺は自分の中で行き着く答えは一緒かと内心苦笑しながら2人に返答する

「Roseliaの皆からのお願いなら断る訳には行かないよね!俺なりにできる事をやるよ!」

「お願いしますね光君!」

「任せたよ!光兄ぃ!」

「うん、約束は守るから!」

そうして俺達は練習に戻り俺もギターを弾いて練習に参加する、そうすれば声の伸びがイマイチな理由がなにか掴めるかもと思ったからだ、俺は演奏の中にヒントがないかを探りながら演奏する音の中に深く潜っていく、そうすれば周りと自分の演奏以外は響いてこなくなる。そして今は友希那の歌にのみ全神経を注ぐ中で確かに、焦りや不安などの感情が感じ取れた、そして演奏が終わると全員がその場にへたり込む

「もうダメ!手が痛いし何より動けない!光、今のどのくらい?」

「さぁ?多分6か7くらい?」

「5割ですら着いていくのがやっとなのにハードル上げないでください!」

「ごめんごめん、ちょっと集中してたから自然とね」

「光兄ぃ、また演奏スキル上がってない?」

「私もそう思います。多分6割って言ってましたけど、あれでも5割くらいなんじゃないですか?」

「どうだろ?俺もよくわかんないや」

「光ってそういうとこ適当だよね〜」

「まぁ、おかげでなにか掴めた気がするから、結果オーライ?」

「光、あまり私達を振り回さないで欲しいわね、まだあなたの演奏についていける程私達の技術力は高くないわ」

「皆ならそのうち追いつくんじゃない?」

「まぁ、そのつもりだけれど、まぁ、良いわ、今日はここまでよ、明日は休みにするからゆっくり休むことね」

その言葉に全員が頷きその日は解散となり俺も上がりの時間と重なり帰りは今日も紗夜と一緒だ、そして、今現在絶賛紗夜にお叱りを受けながら歩いている

「聞いていますか?光君!」

「聞いてるよ!悪かったって!」

「あなたの演奏は私達よりも技術から何から上だから出来ることなんですよ!」

「いや、でも、皆の演奏をほとんど毎日のように聞いてるとさ、こう、俺もうかうかしてられないって思わされるしさ」

「私達の誰よりも演奏技術が上なのにまだ満足していない向上心は認めます!けれど、限度というものを弁えてください!」

「Roseliaなら、まして友希那が選んだメンバーなら俺に追いつけるって信じてるからさ少しくらいなら大丈夫だよ!」

「そういう問題ではありません!」

「あのさ、紗夜はどうしてそんなに怒るの?だってさ、普通なら悔しがらない?」

「はァ〜光君、今日の私達の演奏から何を感じましたか?」

「迷い、焦り、不安やプレッシャーとかかな?後は、憤り」

「全てをわかっていてあの演奏をぶつけてきた事に大して私達はそれに答えられません!それが悔しくて…どうしようもなくて…」

声がどんどん沈んでいく紗夜に俺はかける言葉を探しながら声をかける

「俺はさ、Roseliaの音が好きだよ!頂点を、夢を目指してまっすぐ突き進んでいける、ガールズバンドなのにかっこいいとさえ思えるRoseliaの音が好きなんだ!だから、その音を鈍らせるようなことがあるなら、俺がもう一度その音を取り戻させるさ」

「光君にならそれができるんですよね?」

「紗夜と日菜の関係修復のきっかけを作ったのは?

友希那と蘭をお互いを高めあえるライバルと認めさせるきっかけを作ったのは?」

「光君です。やっぱり、光君ならできるんですね!」

「俺だからじゃないよ!俺がやるんだよ!みんなとの約束を守るために!」

「任せますね!光君!いえ、ルミナスさんと呼ぶべきですかね」

「任せてよ!明日中に友希那を前に進ませて見せるから!」

「期待していますよ!」

「友希那と話して必ず友希那がまた1歩踏み出すきっかけを作るよ」

「信じてますからね!」

「うん、俺の音楽に誓って!」

「約束守ってくださいね」

そう言って紗夜は数メートル先の自宅に向かって走っていった

俺はその背中を見送ってから家路につき帰ってすぐに明日友希那に直接届ける曲を演奏した、当日に最高の演奏を届けるために友希那が前に進めるよに、そうして演奏を終えた後にCDに入れた曲を編集していく、自分1人で楽器を演奏するため1つずつ編集して纏めていかないと1つの音として完成しない

俺はそれでも、届けたいと願ってこうするんだと演奏を1つにしていく

そして全てが纏まると俺は編集作業を終えてから遅めの夕飯を済ませてシャワーを浴びてからまた少し演奏してから眠りについた。

次の日俺は眠い目を擦りながら授業を聞いていると先生に当てられたが問題なく回答してからまたボーッとしていると授業が終わり昼休みを向かえる。

「光、お昼は?」

「教室にいるよ!弁当も持ってきたしね」

「じゃあ光の席を中心に輪になれば問題ないね」

そうして俺を中心に集まり昼食をとりながら他愛ない話に花を咲かせていると放課後の事で友希那が俺に話題を振る

「光、放課後は待ち合わせまでは一旦別行動でいいかしら?」

「俺はいいけど、なんか用事?」

「制服のまま出かけるのが嫌なだけよ」

「出先で服くらいなら買ってあげるよ?」

「本人こう言ってるし光にプレゼントしてもらえばいんじゃない?」

「悪い話ではないけれど、着なれた服が1番よ」

「ひ〜くん友希那ちゃんとお出かけ?」

「日菜忘れてない?今日、友希那の誕生日だよ」

「そういえば!友希那ちゃんおめでとう!」

「ええ、どうもありがとう」

「ドライだな〜友希那は」

「普通よ!」

「俺も自分の誕生日に関しては多分友希那と同じ反応すると思うけどね」

「ほらみなさい」

「まぁ、人それぞれって事でいんじゃない?」

「かもね」

そう言って笑い合いながら昼休みを過ごして眠気と格闘しながら午後の授業を乗り切り先に学校を出て駅前に向かい駅のトイレを利用し着替えてコインロッカーに制服を預けて友希那を待っていると少しして友希那がやってきた

「待たせたわね」

「別に待ってないから気にしないで」

「そう?ならいいけれど、行きましょう」

「そうだね、行こうか!はい、切符とチケット」

「用意してくれてたのね、ありがとう光」

「時間あったから、行こう」

「えぇ、そうね、行きましょうか」

そうして電車に揺られて一駅だけ移動しそこから徒歩で数分かけて音楽ホールまで移動した

「光、公演は何時からかしら?」

「18時から1時間半だね、まだ時間はあるよ」

「なら、軽くなにか食べましょ、公演が終わったら改めて夕飯にしたいわ」

「賛成、売店あるみたいだし、そこでなにか買って食べようか!もちろんご馳走するし」

「ならお言葉に甘えさせてもらうわね」

「もちろん!」

そうして俺達は売店で買い物をして軽食を済ませたあと追加の飲み物を買って席に座り公演開始まで待つことにする

席に座り始まるのを待っていると友希那が呟くように言った

「光、何も…聞かないの?」

「なにか聞いて欲しいことあるの?愚痴?」

「そうやって何も知らない振りしてはぐらかすのね」

「別にはぐらかしてるつもりは無いよ!だって、友希那が何について聞かないのって言ったのか分からないから」

「あなたはいつもそうよね、気付いてるのに気付かないふりして、必要以上に踏み込んで来ない、光、あなたのそういうところ、嫌いよ」

「知ってるよ。俺はさ、どこまで相手に踏み込んでいいかわからないから、だから、必要以上は踏み込まないよ!もしも、友希那が話したいって思うなら話してくれたら良いよ。」

「話したくないって言ったら聞かないの?あなたは」

「聞かないよ!それは、本当に話したくない事なら余計にね」

「やっぱりあなたのそういうところは嫌いよ…」

「それでもいいよ!」

そう言ってずっと固く握りしめたままの友希那の手に触れる

「それでもいい、でもさ、今、友希那は心から笑えてる?

心から涙したり、怒ったりさ、感情をしっかり表に出せてる?俺が、友希那に聞かないといけないのは多分それだよ!」

「わからないわよ…そんなの…」

「じゃあ、今の時間、ゆっくり考えてみてクラシックは音を聞いてるだけで落ち着くはずだから、演奏に耳を傾けながらゆっくり考えてみて」

「わかったわ」

友希那がそう言って静かに頷くのと同時に開演のブザーが鳴りクラシックコンサートが始まった

俺は目を閉じて音だけを聞いていく、静かだけど、時に荒々しいとさえ表現できる音の中に俺は浸っている

友希那はどうだろと思い隣りを見ると友希那も目を閉じていた、演奏を聞いているのか、それともただひたすらに自分の中で自問自答しているのかはわからない、それでも、俺は友希那の固く握りしめたままの拳から少しずつ力が抜けていくのを重ねたままの手から感じられた。

それからしばらくしてコンサートが終わると俺は何も言わずに友希那の手を引いてその場を後にして駅に向かった

そして駅に着いてから友希那の方に向き直り話しかける

「帰ろっか」

「そうね…」

「友希那、向こうに着いたらさ家来ない?夕飯ご馳走するよ」

「お邪魔するわ、聞いて欲しいこともあるから」

「じゃあそうしようか!」

「えぇ、お願いするわ」

そうして俺達は改札を抜けて電車を待って自分達の街に戻ってきた

「ちょっと待ってて、自転車取ってくるよ」

「待っているわ」

俺は駐輪場から自転車をとってコインロッカーに預けていた荷物を回収してから友希那が待っている場所に向かった

「おまたせ、後ろ乗る?」

「今日は乗せてもらおうかしら」

「じゃあ、ちょっと待って」

そう言って俺は自転車のカゴに入れていた袋を友希那に渡す

「これは何?」

「誕生日プレゼント」

「開けても良いかしら?」

「どうぞ」

俺がそういうと友希那は袋を開けて中身を取り出した

「コートね」

「そう、友希那に似合いそうだなって選んだんだよね」

「何故この色なの?」

「友希那の髪の色から想像したらこれかなって、綺麗な銀色の髪と同じ様な色合いのにしたんだよね」

「そう、さっそく着てみるわ」

友希那はそう言ってコートに袖を通して前のボタンをとめて

最後に髪をバサりと広げるようになびかせるその姿に思わず見とれてしまう。

「どうかしら?」

「とっても似合うし、凄く綺麗だよ!」

「ありがとうと言っておくわ」

「まぁ、どうしたしまして?」

「どうして疑問形なのかしらね」

そう言ってクスリと笑う友希那につられて俺も笑う

「さぁ、今度こそ行こう!後ろ乗って!」

「えぇ、行きましょう!」

そうして俺の家を目指して自転車を走らせて行き自宅に到着し駐輪場に自転車を置いて階段を登った先のエレベーターで俺の部屋がある階に向かい自宅に到着する

「ちょっと待ってて、今、鍵開けるよ」

俺はそう言って鍵を開けて友希那を招き入れる

「どうぞ」

「お邪魔するわね」

「すぐに夕飯の準備するけどリクエストはある?」

「なら、オムライスをお願いするわ、リサが絶賛していたのよ」

「OK!じゃあすぐ準備するよ、音楽でも聞いて待ってて」

「そうするわ」

そうして俺はリクエストのオムライスを作っていき一緒に作っていたデミグラスソースをオムライスにかけて完成したものを運んで行き声をかける

「出来たよ!」

「手が込んでるわね、リサの時はもっとシンプルだったのではない?」

「まぁ、材料の関係でね、とりあえず冷めないうちにどうぞ」

「いただくわ」

そう言って食べ始める

「美味しいわよ、手が込んでるって感じがするわ」

「喜んでもらえて何よりかな」

そうして2人共食事を済ませて友希那にカフェオレを出して俺はブラックコーヒーを飲みながらゆっくりしていると友希那が話し出す

「私達…いえ、あえて私個人と言うべきね、私個人にとって音楽は復讐なのよ」

「音楽が?復讐?」

「えぇ、光、あなたになら話してもいいと思ったから話すわ!聞いてくれるかしら?」

「もちろん!友希那が俺にも知っておいて欲しいって思ってくれるなら俺は聞くよ」

「じゃあ、聞いてちょうだい」

そう言って友希那は話し出す。

友希那がまだ幼い頃、親父さんのやっていたバンドがFWFを目前に解散した事、そして、曲についても事務所の意向を汲んで売れ筋を狙って作った曲はファンから批判が殺到しそれでも、事務所の意向に従って曲を作っていったものの、結局鳴かず飛ばずでFWF出場を目前に解散してそれからは音楽に殆ど関わりを持たなくなったことを

「だから、果たせなかった夢を私が代わりに果たすことが復讐なのよ」

「そっか、そういう意味での復讐なんだね、もしも、復讐が危ない意味なら止めるつもりだった、音楽を復讐の道具にしちゃいけないって」

「そう言うと思っていたわよ」

「でもさ、今はどうなの?」

「どういう事かしら?」

「もしも、復讐って意味が叶えられなかった夢を受け継ぐって意味なら良いけど、今は友希那達皆の1つの夢なんじゃないのかな?」

「当然でしょ!1人じゃ何事にも限度があるのよ!それにRoseliaとして舞台にたってこそだわ」

「じゃあ、俺に出来るのは今のままでいいのかって迷ってる友希那の背中を押す事かな?」

「あなたが私を支えてくれるの?」

「ちょっと違うよ!後ろから背中を押すんだよ、ちょっと待ってて」

俺は部屋からギターとキーボード、それとアンプを持ち出して設置し服もルミナスの時の衣装を身にまとい友希那の前に立った

「光…なのよね?」

「皆、同じ反応するんだよね、僕のこの姿を見るとさ」

「僕?あなた一人称は俺じゃなかったかしら?」

「今の僕は光であって光じゃないもう1人の光なんだ」

友希那は困惑した表情をしていたが少しして納得の表情を浮かべ話し出す。

「もしかして、紗夜はその姿を知っているの?本気の演奏をするための姿ということなのよね?」

「その通り!この姿の時はルミナスって言うんだ、今回は今の友希那が助けを必要としてると思ったからこの姿になったんだ。」

友希那は俯きながら言った

「光、私はどうしたらいいのかしら?」

「その答えを見つけるのは友希那だよ!俺は自分の中で納得がいく答えを見つけられるようにきっかけを作るよ」

「なら、聞かせてちょうだい、あなたの本気の演奏を」

「もちろん!友希那の背中を押して答えを見つけられるきっかけになれたらと思って歌うよ!1曲目明日へ」

俺はキーボードで演奏して歌っていく

 

『遥か遠くあてなき道を心に響く声を信じて』

歌い出してすぐに歌詞までの間が空くその間に俺は演奏の中で表現力の翼を広げていく

『あの頃の僕はただ臆病すぎて

自分以外誰もがまぶしすぎて

がんばりたいけどだけど何を頑張ればいいのか

わからないまぼんやりと空を見上げてた

このままじゃいけないって事は僕にだって気付いていたんだ

誰かのせいにして目をそらしても

何も変わらない事分かってた

遠く遠くあてなき道を歩んだ日々よ振り返ると涙するのはなぜ?きっと僕らは始まったばかり輝けるその時を信じて

歩いてゆこう』

 

友希那視点

光の演奏は何度も聞いてきたけれど、本気の演奏はここまで凄いの!?曲が始まった瞬間に引き込まれて、光の世界に魅せられる。何を臆病になっているのかと、輝けるその時を信じて前に進めと背中を押されるようなその歌詞に、歌詞を紡ぐ声に魅せられる

 

『勇気を出して君にだけ打ち明けた夢を笑わずに最後まで

聞いてくれた

忘れはしない初めてあの日僕の心に小さいけれど

確かな光がそう、生まれたんだ

「ありがとう」って言った君の笑顔が僕の背中いつまでも支えてくれる

「大丈夫だよ」って聞こえる

遠く遠く歩んだ日々よ振り返ると涙するのはなぜ?

きっと僕らは間違ってなんかない輝けるその時を信じて』

 

友希那視点

2番の歌詞が思い出せるのはRoseliaを結成してまもなくの事だ

私の夢を打ち明けてそのために集めたこのメンバーじゃなきゃと言えるメンバーと歩んできた日々

「あの時を思い出して前を向けという事ね光」

呟きは届かないけれど、光が確かに背中を押してくれていると感じられた

 

『遠回りしてくじけそうになって

それでもここまで来たんだよ

悔し涙を希望に変えてそっと見えてきた明日へ』

 

曲がラストに差し掛かる中で更に表現力の翼を広げていく

友希那が今まで歩んできた道を後悔した事もあったかもしれないけれど、それでも、ここまで来たんだからと

 

 

 

『遥か遠くあてなき道を心に響く声を信じて

遠く遠く歩んだ日々よ振り返ると涙するのはなぜ?

きっと僕らは間違ってなんかない輝けるその時を信じて

そして今僕らは歩いてる輝けるその時を信じて』

 

明日への演奏を終えて俺はギターを手に取り友希那に声をかける

「友希那!僕が目の前で演奏する曲は今日はこれでラスト!今日最後の曲!聞いてください!水平線」

俺はギターを弾いて歌っていく

『出来るだけ嘘はないようにどんな時も優しくあれるように人が痛みを感じた時には自分の事のように思えるように

 

正しさを別の正しさで無くす悲しみにも出会うけれど

水平線が光る朝にあなたの希望が崩れ落ちて

風に飛ばされる欠片に誰かが綺麗と呟いてる

悲しい声で歌いながらいつしか海に流れ着いて光って

あなたはそれを見るでしょう』

 

友希那視点

歌詞が心に刺さる感覚とでも言うのか、そんな感覚が私を支配する悲しい声で歌うのは私なのだろう

私の中の希望が崩れ落ちてそれが海に流れる瞬間を私が見ているのだろう、そんな感覚が私を支配する

 

『自分の背中は見えないのだから

恥ずかしがらずに人に尋ねるといい

心は誰にも見えないのだから

見えるものよりも大事にするといい

毎日が重なる事で会えなくなる人も出来るけれど

透き通るほど淡い夜にあなたの夢がひとつ叶って

歓声と拍手の中に誰かの悲鳴が隠れている

耐える理由を探しながらいくつも答えを抱えながら悩んで

あなたは自分を知るでしょう』

 

友希那視点

私の夢が叶ってそれを喜ぶ歓声と拍手の中に誰かの悲鳴が隠れている、その悲鳴はRoseliaのみんなかもしれない、私自身かも知れないそう考えると、どうしても、歌詞が私の事を歌っているのかもしれないとさえ思えてしまう。

いくつも答えを抱えながら悩んで私を知ることができるのだろうか?私は曲を聞きながら自問自答する

 

『誰の心に残る事も目に焼き付くことの無い今日も

雑音と足音の奥で私はここだと叫んでいる

 

水平線が光る朝にあなたの希望が崩れ落ちて

風に飛ばされる欠片に誰かが綺麗と呟いてる

 

悲しい声で歌いながらいつしか海に流れ着いて光って

あなたそれを見るでしょう

あなたはそれを見るでしょう』

演奏を終えると俺は友希那に話しかける

「俺の伝えたい事は、伝わった?」

「えぇ、とても、光、1つお願いを聞いてくれるかしら?」

「俺に聞けることなら」

「なら…その...非常に恥ずかしいのだけれど、私を...抱きしめてくれるかしら?」

「いいよ」

そう言って友希那を抱きしめる顔が見えないように、そして見ないように優しく抱きしめると友希那の肩が震えだしおれのTシャツの肩口が涙に濡れる。そんな中、涙声で友希那が話し出す

「不安…だったのよ...今のままでいいのかって、FWFに、夢の舞台に立てるのかって、そんな不安を誰かにぶつけていいのかって…不安で不安で...どうしようもなかったのよ!」

「そっか、友希那は感情を押し殺すタイプだからね抱え込むのもわかるよ。でも、そんな時こそさ…皆を頼りなよ!無理なら、俺だけでもいいんだからさ」

俺は友希那が落ち着くまで声をかけ続ける、不安やプレッシャーを抱え込みすぎて立ち止まってしまう友希那に寄り添うように

しばらく経って落ち着いたのか友希那が俺から離れて言った

「あなたに涙を見せるのはこれが最初で最後よ光!もう二度とあなたの前で泣くことはしないわ!」

「どうかな?友希那に限った話じゃなくてさ、少なくとも俺は、色んな人の涙を見る事になると思う」

「あなたが泣かせるのかしら?」

「いやいや、さすがにそれは無いと思いたいね」

「あなたは意外と女泣かせだもの」

「歌に感動して欲しいけどね」

そう言ってお互いに笑い合う、友希那が自分らしさを取り戻せたなら良かったと思う、俺自身も身近な人が元気になるならそれだけで良いと思える瞬間でもあった

俺は立ち上がり手を差し出し友希那に言った

「そろそろ、帰ろうか!家まで送るよ!」

「お願いするわね」

そうして俺は友希那を送る為に身支度を整えて友希那と一緒に家を出て歩きながら友希那の家を目指しながら話している

「光、今日はありがとう。とても楽しかったわ」

「クラシックコンサート見に行って、家で夕飯食べて演奏しただけじゃん!」

「あなたの演奏を独占出来たもの、それに本気の演奏が聞けたものそれだけで満足よ」

「そう?ならいんだけどさ」

「また聞かせてちょうだい」

「あの姿の演奏はあんまり人に見せるものじゃないんだけどね、普段の演奏でいいならいつでもいいよ」

「そう、まぁ、何かあれば頼むことにするわ」

「俺で力になれるなら」

そう話していると友希那の家が見えてきた

「すぐそこよ私の家」

「みたいだね、玄関前まで送るよ」

「わかったわ」

そうして友希那の家の前まで到着する

「今日はありがとう。誕生日のいい思い出ができたわ」

「喜んでもらえて何よりかな、最後にこれ、ケーキとCD」

「何から何までありがとう、礼を尽くしても足りないわね」

「別に気にしないで、じゃあまたね」

そうして俺は自転車に跨り帰路に着いた

 

友希那視点

光の後ろ姿が見えなくなるまで見送ってから家に入ろうとしたタイミングで隣の家からリサが出てきた

「いたのねリサ」

「そりゃいるよ!バイト終わって少し前に帰宅したとこだよ!て言うか光は?」

「ついさっき帰ったわよ、1歩遅かったわね」

「そっか、残念!ところでそれってケーキとCDでしょ!食べながら聞こうよ!せっかくだし」

「まずはケーキからよ!」

「それもそっか」

私はリサを自宅に招き入れ部屋に向かった

「そういえば友希那のお父さんは?」

「もう寝てるのではない?分からないわ」

「声掛けなくていいの?」

「いいわよ別に」

そう言って階段を上がり部屋に入りテーブルの上にケーキを置いて中身を取り出すとシンプルな白いクリームでコーティングされ青薔薇が描かれていた

「凝ってるなぁ〜崩すのもったいないね」

「そうね」

「ロウソクは?」

「これね17の形になっているわ」

「抜かりないね!」

「本当よそれに見てメッセージカードよ」

「なんて書いてあるの?」

「今日という日がそして、17歳として過ごす1年が特別でありますようにだそうよ」

「光らしいね!とりあえず、ケーキ食べない?」

「そうしましょう」

私達はケーキを切り分け食べ始める

「シンプルなのかと思ったらスポンジケーキがチョコレートなのね」

「クリームの甘さが控えめでスポンジケーキの味が引き立ってるね」

そうして半分程ケーキを食べてからリサと2人で光がくれた

CDを聞き始める。再生すると光の声が聞こえてくる

「Happybirthday!誕生日おめでとう友希那、これから演奏する曲は友希那が夢に向かって真っ直ぐ進めるようにと思って選んだ曲だから、1曲ずつ聞いてくださいじゃあ演奏していきます!1曲目は一斉の声」

この曲は自分の心を隠さずに皆で感情のままに笑って泣いて怒って泣いて喜怒哀楽を表せるようにと言う曲だ

1曲目が終わり2曲目の演奏が始まった2曲目が千の翼

理想だけじゃなくて自分だけの夢に向かって羽ばたけと言われているようなそんな曲だ

そして3曲目は青い春歌詞が印象的で羽ばたくためのステージで這いつくばっていても踊らされてるのも随分前からわかっていてそれでもそれでもまた踊りながら必死で生きていくんだ理想の未来なんてどこにもなくてでもその中で願ってるって歌詞が私達の事を歌っているようだと感じた。

「ここまでは友希那だけじゃなくて皆に歌ってる感じがするよね」

「そうね、でも、光がそれだけ私達の夢を応援してくれてるって事じゃない」

「だね、それには同感」

なんて話しながら次の曲を聞いていく

4曲目がPIECES OF A DREAM

これもまた私達には歌詞が印象的だった

ハンパな夢のヒトカケラが不意に誰かを傷付けるなんて誰も考えはしない、でも、その可能性だってあるのだと、それを忘れないで欲しいと言われているようなそんな曲で、それでいて

立ち止まらずに前を向いて歩いてと言われているような感じがした。

そして4曲目まで歌い終えた光がまた話し出す

「えっと...改めて言葉にするのは凄く恥ずかしいんだけど…

俺はさ、いつでもRoseliaの皆の、そして友希那の力になるからさ何かあったら頼ってね!そんな思いをこの曲で伝えます!聞いてください!僕にできること」

そう言って光がまた演奏を始めた

 

『答えのない日々に溜息漏らす度

本当の僕はもう見えなくなっちゃった

耳を澄ましても聞こえない君の声

追いかけて今日も歩き続ける

伝えられずにいた想いは時を経て蛹になって

羽広げやがて飛び立つ

忘れない大切なひとつひとつ届くかなこの想いどうかいつか

ちっぽけなこの僕にできること

少しずつでも伝えてみたいんだ』

 

友希那・リサ視点

「どちらかといえば私達が追いかける側なのにね」

「でも、光らしくない?サビの部分とかさ!なによりちっぽけなこの僕にできること少しずつでも伝えてみたいんだなんてさ光以外誰も言わないし!」

「そうね、光らしいと言えるわね」

2人でそんな事を言いながら光の歌声に耳を澄ます

 

『歩き疲れて立ち止まった十字路

懐かしい匂いのする花が咲いていた

いくつかの苦い想いこぼれてしまわぬように

ポケットに詰め込んで旅は続く

回り道寄り道何度もしちゃったけどもうすぐ辿り着く

未来と過去が出会う場所へ

探してたなくしてたひとつふたつ

すれ違う名前なきひとりふたり

きっとまだ気づかないことばかり

答えを照らす光はどこにある?』

 

友希那・リサ視点

「光がこの曲に皆の力になりたいって思いを込めたって言っていた理由がわかったわよ」

「そうだね、皆がまだ夢に向かう旅の途中で、答えを探して見失ってなくしてさ、そんな中で正解の答えを照らす光はどこにあるのかなんてわかんないけど、進んでいくしかないねって感じかな?」

「光には適う気が全くしないわよ」

「同感だな〜」

そんな感想を2人で言いながらラストサビを聞いていく

 

『忘れない大切なひとつ届くかなこの想いどうかいつか

ちっぽけなこの僕にできること少しずつでも伝えたい

かなわない願いなどないさきっと

届いたよその想い強く深く

たった今この僕にできること

あともう少し続けてみたいんだ』

 

曲が終わったと同時に私は本人がいるわけでもないのに何故か拍手していた、そしてCDを取り出そうとした時

まだプレイヤーに表示された時間が動いていた事に気が付いた

「まだ動いているわ、まだ何かあるのかしら?」

「とりあえずもう少し待ってみたら?」

「そうね、そうするわ」

そうして少し待っているとまた光の声が聞こえてきた

「えっと...正直この曲を贈ろうかもの凄く悩んだんだけど

友希那にもこの曲を贈ろうと思います。

キミ記念日〜生まれてきてくれてアリガトウ〜」

そうして演奏が始まり光が歌い出す

 

『Happybirthday! ずっとずっと一緒に祝ってゆこうこの

 

キミ記念日1/365主役は大好きな君

 

生まれて来てくれてアリガトウ!』

友希那・リサ視点

「この曲!光が知ってる数少ないバースデーソングで歌詞がめっちゃ印象的なの!」

「そう、まだ曲は始まったばかりだけれど素敵な曲だと言うことだけはわかるわ」

最後まで聞くのが楽しみだと思えるくらいに素敵な曲だと言うことがリサの声や表情から伝わってくる。私自身もかなり期待せずにはいられない

 

 

『宝くじを買って一等が当たるより奇跡的な確率の中

 

2人は出会えたんだそれなのに

 

「生まれてこなきゃ良かった。」なんて泣いてたコトも…。

 

今日は忘れよう何より大切な日

 

「君が居れば他になにもいらない!」と本気で思ってんだ

 

って君に伝えようか でも笑うだろう?

 

Happybirthday!ずっとずっと一緒に祝ってゆこうこのキミ記念日1/365主役は大好きな君

 

だから何度だってhappybirthday!ずっとずっと

 

「おめでとう」を贈るよもっと幸せの涙君に訪れるように

 

生まれて来てくれてアリガトウ』

 

とても素敵な曲だとは思っていたけれど想像以上だった

 

歌詞にもあるように何度だってhappybirthday!ずっとずっと

「おめでとう」を贈るよもっと幸せの涙君に訪れるように

生まれて来てくれてアリガトウなんて誰にも言われたことはないしそんな事を面と向かって言う人はいないだろうとは思うものの言われたら嬉しいと思うのは間違いないのだから

 

 

『You&I 逢えない時もあるけれど

 

いつも君の変化には気付いてるよ

 

いっぱいいっぱいのクセに「平気だって」の一点張り

 

大丈夫だよ帰る場所はここにあるよ

 

君が生きていてくれるだけで

 

変わらないでそこにいるだけで

 

泣けるくらいに愛しいってことを忘れないでいてよね

 

Happybirthday!ずっとずっと一緒に祝ってゆこう

 

このキミ記念日1/365主役は大好きな君

 

だから何度だってHappybirthday!!!ずっとずっと

 

「おめでとう」を贈るよもっと幸せの涙君に訪れるように

 

生まれて来てくれてアリガトウ!

 

生んでくれたパパママに感謝今日くらいは素直になろうよ

 

出会えた大好きな人達に乾杯!

 

辛い時は朝までとなりで分かち合って来たよね

 

午前0時1番に笑顔を君に… キャンドルの光消しても

 

想いは絶対消さない

 

Happybirthday!ずっとずっと一緒に祝ってゆこう

 

このキミ記念日1/365主役は大好きな君

 

だから何度だってHappybirthday!ずっとずっと

 

「おめでとう」贈るよもっと幸せの涙君に訪れるように

 

生まれて来てくれてアリガトウ!』

 

「Happybirthday!今日という日が君にとって特別でありますように」

演奏の終わりと同時に光がそう言うとCDに記録されていた時間が止まった

「これで本当に終わったのね…」

私はCDを取り出しそう言うと横でリサが笑いながら言った

「そうだね、終わりだね!友希那が光を1人の友人として接してきた時間もさ!」

「何を言っているの?」

「顔見ればわかるよ!今までで1番幸せそうな顔してるもん!友希那」

「自分じゃ分からないわ」

「今日の事振り返ってみてまだ、そんな事が言える?」

言われて光と過ごした放課後を思い返す。

今回彼はただ隣にいるだけだったけど、彼がいると思うと心にどこか余裕が持てて自然と体から無駄な力が抜けていくのを感じた、そして何より初めて彼の本気の演奏を聞けた。

色々思い出してみて、彼が隣にいることを私自身が心から望んでいると自覚した。

「確かに、私にとっても彼は特別なようね」

「だよね!そうだと思った!アタシの言った通りでしょ!

友希那は間違いなく光を好きになるって!」

「光とは別の意味であなたにも適う気がしないわね」

そう言う私をいつもと変わらない笑顔で見ているリサを一瞥してから光がくれたCDを、そして羽の首飾りに触れながら

私はこれからの事に思いを馳せる中でリサに告げる

「リサ、光をRoseliaの6人目のメンバーとして迎え入れても良いかしら?」

「どういう事?」

「私なりに考えてみたのよ、光はバンドはやらないとは言っていたけれど、光をRoseliaの6人目のメンバーという扱いをしてもいいのではないかと思ってね」

「いいんじゃない?友希那がそうしたいならアタシは問題ないし、多分皆も反対しないんじゃないかな?」

「なら、光をRoseliaの6人目のメンバーとするわ!私なりに光に歩み寄るこれが最初の1歩よ!絶対に光に向けて最高の演奏を届けるわ!」

「絶対に成功させようね!」

そうして決意を新たにし光を6人目のメンバーとして迎え入れる事を決めたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




誕生日イベントがやっと終わりました!一応各バンド事に2話くらいを予定していましたが話の時系列的に言うと12月におたえの誕生日が入るんですよね!なので各バンド事に3話くらいを改めて書いていこうと思いますのでお楽しみに。
次回 「応援とあとひとつの涙」


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第31話応援とあとひとつの涙

光はその日初めて部活動の応援へと赴いた


学校とバイトの休みが重なった今日、俺は自分が持っている楽器を1つずつメンテナンスしていた

「全部の楽器のメンテナンスだからやっぱり大変だな」

1人でそう呟きながら楽器をメンテナンスしているとスマホが着信を報せる。時刻は11時を少し過ぎたところだった。

「誰かな?」

そう呟きスマホを確認すると相手ははぐみだった

「珍しいなはぐみからなんて」

そう言って電話にでる

「もしもしはぐみ?どうしたの?なんかあった?」

(ヤッホーひかるん!今いいかな?)

「別にいいよ!何か頼み事?」

(うん!実はね、今日、花咲川のグラウンドでソフトの試合があって!良かったらひかるんに応援に来て欲しいなって!もちろんカノちゃん先輩やこころん達も来るってさ!)

俺は時計を一瞥してからはぐみに質問する

「はぐみ、それって何時から?」

(昼一からだよ!だから、それまでに来てね!)

「わかった!とりあえず、学校に入る許可貰わないとダメだと思うから聞いてみるよ!」

(よろしくね!じゃあ待ってるよ!)

そう言って通話が切れた

「全く、いつも唐突なんだから仕方ないな!」

そう言って俺はまず学校の許可を得るために紗夜に連絡する

そして数回のコール音の後に紗夜に繋がった

(もしもし、光君?どうされました?)

「休みの日にごめんね、実は、後輩に今日行われる試合の応援に来て欲しいって後輩に頼まれてさ、一応学校内に入る許可とか必要かなって」

(そういう事ですか、それでは、部活見学と言う名目で許可を取っておきますので、学校に到着しましたらまた連絡をいただけますか?風紀委員の仕事で学校にはいますので)

「わかった!じゃあ学校に着いたら連絡するね!ありがとう」

(このくらいなんでもないですよ!それではお待ちしています)

「うん!また後で」

そうして電話を切り俺は早めの昼食をとりギターとキーボードを持って家を出て花咲川に向かった

そしてしばらく自転車を走らせて花咲川に到着し紗夜に再び連絡する

(もしもし、光君?到着されたのですか?)

「校門前にいるよ!」

(わかりました。ては今出迎えに行きます)

「わかった待ってるよ!」

そうして電話を切りさらに待つこと数分、紗夜がやってきた

「お待たせしました、光君」

「別にいいよ、退屈してないし、じゃあ、お願い出来る?」

「はい、では着いてきてください」

そう言って紗夜はまた校舎の方に歩いていったので俺は紗夜の後を着いていき生徒会室で許可証を受け取りそれを首から下げた状態で校内を歩き回り音楽室に入ると窓を開けた

「ここからならグラウンドを見渡せるな、ここに決めた」

そうして俺は楽器を置いて準備を始めるとちょうどグラウンドでも試合の準備が始まっていた。

そして応援する人達もちらほら集まり出す。

俺はギターを手に取り思いっきり鳴らすと皆が俺に注目する

俺はそれを無視してただ届ける為にギターを鳴らす中ではぐみ達花咲川のソフト部がこちらにやってきた

「ひかるん!今日は来てくれてありがとう!応援期待してるからね!」

「最高の応援歌を用意してるよ!全力を持って皆をサポートするから期待しててよ!」

「期待してるよ!いってきます!」

「頑張って来な!」

そうしてはぐみを筆頭としたソフト部の皆を見送りながら俺はいつでも演奏に入れる状態にして試合が始まるのを待っていると相手チームと花咲川チームが整列しお互い礼を交わしはぐみ達の試合が始まる、そして、それと同時に俺も応援ソングを演奏する。

初回から1番を打つはぐみが出塁し、さらに、他の皆もそれに奮起され出塁するも得点とまでは行かずにはぐみ達の攻撃が終了してしまった。

「まだ1回が終わったばっかだしこれからだよ!」

俺はそう声を掛けてはぐみ達花咲川の守備の様子を見守る

中で1回が終わり共に0対0のまま2回に進み俺はまた演奏で皆を応援する。

そして2回の表はぐみがホームインを決めて一点を先制する。

「この勢いのまま頑張れ!」

俺も含めた皆の声援に応えるように出塁するも得点とまでは行かず1点止まりで2回の攻撃を終える

そして2回の裏、相手チームの攻撃ですぐさま1点を返され

同点となるがはぐみ達花咲川のチームも負けておらずこれ以上点はやれないと言うように皆が一丸となり出塁を阻止して

向かえた3回、俺も含めた皆の声援を力に変えるように出塁し追加の一点を獲得し勢いにのる、俺はひたすらに応援ソングを歌い、はぐみ達を応援する、そうしていると俺がいる音楽室の扉が開きこころ達がやってきた

「演奏が聞こえると思ったらあなただったのね!光!」

「久しぶり、今日は皆ではぐみの応援かな?」

「えぇ、そうよ!光もそうなんでしょ!」

「応援に来てって頼まれたしね」

「試合が始まった時から演奏が聞こえてたから誰だろうって思ってたら光君だったんだね!」

「吹奏楽部じゃない限り、多分部活動の応援って身内だけだろうし、消去法で言ったら俺にならない?」

「確かに、言われてみるとそうかもですね!」

そうして話している間にはぐみ達の攻撃が終わり相手の攻撃に入る、そして前の回よりも早い段階で相手チームの攻撃を0点に押さえて、再びはぐみ達の攻撃に入ると俺はドリームキャッチャーを演奏する。3回の裏が終わったばかりの今がチャンスだからひとりじゃないよ仲間がいるからこの先のピンチすら乗り越えて頑張れと気持ちを最大限に込めて演奏する

それに合わせてこころ達が声を大にして応援する。

それでもあと一歩及ばずに0点で4回の表が終わる

それから試合は硬直状態となりお互いに出塁こそするもののホームインとまでは行かずにはぐみ達のリードで向かえた7回表はぐみが再び出塁しそこから他のメンバーも出塁し1アウト1、3塁で4番バッターの人がバッターボックスに立つそして相手の投げたボールを打ち返すが、相手ピッチャーがキャッチしツーアウトとなった

「相手が上手だったか!」

「でも、まだチャンスはあるわ!最後まで笑顔よ!」

「皆頑張れ!」

「まだチャンスはある!踏ん張るんだ!」

「これからだよ!ファイト!」

皆の声援が後押しとなり奮闘するが相手もこれ以上点はやれないとあえてホームベースに狙いを絞りランナーをアウトにし攻守交代となり、相手の攻撃になってすぐにホームランが決まり同点となるがはぐみ達も諦めずに足掻き同点のまま8回に入り8回は最後の力を振り縛るように今まで以上の力でお互いのチームがお互いを抑えて同点のまま向かえた最終回

俺はまた応援ソングを演奏し皆を応援する

 

はぐみ視点

応援の声が、歌が私を含めた皆に届く、皆が応援してくれてる答えたい!この声援に!勝って喜びの涙を皆で流したい!

そう思うと自然と力が湧き上がる!

そうして今日何度目かになるヒットを飛ばし出塁するとそれに応えるように出塁して一気に満塁になった中で向かえた4番バッターの先輩が再びヒットを飛ばすも、先輩が塁に出る代わりに私はホームベースを目指し全力疾走するが1歩及ばずにアウトになる、でも、大丈夫!皆がやってくれる!もしダメでも、相手を抑えきって延長戦になればまだチャンスを掴める

だから皆頑張って!

その気持ちを込めて応援するも相手は他の塁を捨ててホームベースのみに的を絞りランナーをアウトにとり最終回も点は取れなかった。

そうして相手の回で逆転されて試合終了となった

「負けちゃ…っ…た…」

誰かがそう言葉を漏らすと誰ともなく悔し涙で頬を濡らす

でも、精一杯やったと思うからわたしは涙は見せないようにしながら言った

「終わっちゃったけど、楽しかったし、やりきったンだよ!仕方ないじゃすまないけどさ!今日が終わっても、公式じゃなくても、試合はいつでもできるよ!終わりの挨拶しに行こう!」

「…そうだね!次は絶対勝とう!」

「リベンジするんだ!今度こそ!」

皆が口々に自分の気持ちを言葉にしていきしんみりしていた空気がまた元の私達らしい空気に戻る

それを確認して私たちは整列しお互いにもう一度挨拶を交わした後応援してくれた人達の所に挨拶して周り最後にずっと歌で私達を励まし、応援し続けてくれたひかるんのところに行って整列する

「ひかるん!ううん!光先輩!応援ありがとうございました。」

「「「「「ありがとうございました。」」」」」

「「「最後まで応援!ありがとうございます。」」」

そうしてお礼を言うとひかるんはちょっと照れ臭そうにしていた。

 

光side

皆にお礼を言われてなんだか照れくさいなと思いながらみんなに向けて話し出す。

「いい試合だった!皆の熱意が伝わってきたよ!、せっかくだし、もう少し俺の演奏に付き合ってくれると嬉しいな」

「まだ演奏してくれるの?」

「もちろん!と言っても、後、2曲くらいかな?演奏できて」

「十分だよ!是非聞かせてちょうだい!」

「せっかくだ、最高の演奏を聞かせてくれたまえ」

「お願いしますね光先輩」

「私からもお願い」

ハロハピの皆からそうお願いされ俺はその期待に答えるために最高の演奏を届ける事を決めて話し出す。

「じゃあいくよ!宿命!」

俺はスマホから音源を飛ばしキーボードを弾きながら歌っていく

『心臓からあふれ出した声で歌うメロディ振り向いた未来

君から溢れ出した声と合わさって響いた群青の空の下

夢じゃない夢じゃない涙の足跡

嘘じゃない嘘じゃない泥だらけの笑顔

夢じゃない夢じゃない肩を組んで叫びたい

僕らの想い届け!

奇跡じゃなくていい美しくなくていい

生き甲斐ってやつが光り輝くから

切れないバッテリー魂の限り

宿命ってやつを燃やして暴れ出すだけなんだ』

 

はぐみ、ソフト部視点

空を見上げると、日が沈む少し前の茜色の空、歌詞にあるような群青の空ではないけど、今日と言う日の試合を思い出されるような、試合という形の戦いを思い起こさせるそんな曲が私達を奮い立たせる。

 

『沈黙が続いたイヤフォン自分の弱さに遠ざかってく未来

「大丈夫」や「頑張れ」って歌詞に苛立ってしまった

そんな夜もあった

夢じゃない夢じゃないあの日の悔しさと

忘れない忘れない掌の爪痕

無駄じゃない無駄じゃないそれも全て讃えたい

もうあと少し

願いの熱さに汗まみれになったり期待背負って立って

重さに臆病になるけど

僕らの背番号それは背中じゃなく

瞳の奥のアンサー重なって

照らしあってくFOREVER』

 

はぐみ、ソフト部視点

「なんか、わかる気がするな、歌われてる歌詞に共感できるって言うかさ」

「確かにね、大丈夫や頑張れって言われてもさわかってるよ!って言いたくなったりさ」

「ひかるんはそういうの多分わかってるんだよ!私達ハロハピにね笑顔だけじゃなくて涙も大切だって教えてくれたし、なにひかるんは誰より人に寄り添えるから」

皆の今の気持ちがわかってるかのように心に刺さる歌詞とそれを奏でる目の前の存在に私達は励まされる

 

『緊張から不安が芽生えて根をはるみたいに僕らを支配する

そんなものに負けてたまるかと

今 宿命ってやつを燃やして暴れ出す』

 

ハロハピ視点

「やっぱりさすがね光!今の皆にピッタリじゃない!」

「曲選びも演奏も彼以上の存在を私は知らないからね!」

「本当だよね、あの人が演奏で見せる世界は常に私達がいるんだもんね」

「光君だからで納得出来ちゃうしね」

1人1人演奏のやり方や歌い方なんかは違うけど、光君の演奏には必ず目の前で歌っている相手が見えるから不思議と皆が涙を浮かべて、そして最後には笑っている

 

『届け!奇跡じゃなくていい美しくなくていい

生き甲斐ってやつが光り輝くから

切れないバッテリー魂の限り

宿命ってやつを燃やして暴れ出すだけなんだ』

皆に向けて俺は歌う今この瞬間部活が生き甲斐な人もいるだろう、汗まみれ、泥まみれになって皆で笑いあって、その瞬間が最高に楽しいって思う人もいるだろから、そんな皆に向けて俺はラストを歌い上げる

『ただ宿命ってやつをかざして立ち向かうだけなんだ』

演奏が終わると俺は皆に向けて話し出す。

「このまま続けていきます。聞いてください!あとひとつ」

俺はキーボードを弾きながら歌っていく

『あと1粒の涙でひと言の勇気で

願いがかなうその時が来るって

僕は信じてるから君もあきらめないでいて

何度でもこの両手をあの空へ』

 

俺は演奏しながら片手を空に向かって伸ばして拳を握りまたキーボードに手を戻して歌っていく

 

『あの日もこんな夏だった砂まじりの風が吹いてた

グラントの真上の空夕日がまぶしくて

どこまで頑張ればいいんだぎゅっと唇を噛みしめたそんな時同じ目をした君に出会ったんだ

そう簡単じゃないからこそ夢はこんなに輝くんだと

そうあの日の君の言葉

今でも胸に抱きしめてるよ

あと1粒の涙でひと言の勇気で願いがかなう

その時が来るって僕は信じてるから君もあきらめないでいて

何度でもこの両手をあの空へのばしてあの空へ

いつもどうしても素直になれずに自信なんてまるで持てずに

後者の裏側人目を気にして歩いてた誰かとぶつかり合うことを心のどこかで遠ざけたそれは本当の自分を見せるのが怖いだけだったんだと教えてくれたのは君と過ごした今日までの日々そう初めて口に出来た泣きたいくらいの本当の夢を

あとひとつの坂道をひとつだけの夜を越えられたなら

笑える日がくるって今日も信じてるから

君もあきらめないでいて何度でもこの両手をあの空へ

 

はぐみ、ソフト部視点

 

「今この瞬間を歌ってるのかな?」

「そうかもよ、ここにいる皆が同じ目をして同じ目標に向かって走ってるわけだしさ」

「だね!今日という日を忘れないでいて何度でもこの両手を宙に伸ばしてって私たちの背中を押してくれるみたい」

「今回はダメだったけど、次は絶対に勝とうね!」

「うん!次は絶対に!」

皆が決意を新たに次の目標に向かって走り出す為の気持ちが芽生えた瞬間が今この時だと感じた。

 

『あつくなっても無駄なんて言葉聞き飽きたよ

もしもそうだとしても抑えきれないこの気持ちを希望と呼ぶならいったい誰が止められるというのだろう

あと1粒の涙がひと言の勇気が明日を変える

その時を見たんだ

なくしかけた光君が思い出させてくれた

あの日の景色忘れない

あと1粒の涙でひと言の勇気で願いがかなうその時が来るって僕は信じてるから君もあきらめないでいて

何度でもこの両手をあの空へのばしてあの空へ』

俺は演奏を終えて話し出す。

「これからも皆には頑張って欲しいって思いを込めて演奏させてもらったけど、伝わったかな?」

俺がそう問いかけると皆が静かに頷いた

それを見て俺は笑って答える

「なら良かった、それなら演奏したかいがあったよ」

「本当にありがとう!これからも頑張ろうって思えたよ!」

「うん!皆ならこれからも今以上にやれるって信じてるから頑張ってね」

「うん!本当にありがとう!」

「「「ありがとうございます」」」

「「「「「ありがとうございました!」」」」」

「どういたしまして」

俺がそう言うと皆は満足そうな表情で戻って行った

俺は楽器を片付けて他のハロハピメンバーに声をかける

「さて、帰ろうか!」

「そうね、帰りましょう」

こころの言葉に他のメンバーも頷き俺は楽器を持って他の皆とその場を後にして職員室に入校許可証を返却し紗夜に一報入れて校門前ではぐみを待ってからハロハピメンバーと俺の6人で帰路についた。

「ひかるん!今日は応援に来てくれてありがとう!応援ソングも最後の演奏も響いたよ!」

「そう言ってくれて良かったよ、俺は頑張って欲しいって思って演奏したかいがあったよ」

「いつだって光の演奏は誰かに届くわよ!だって皆のために演奏してるんですもの!」

「そうだね、誰かが光君の演奏で元気になってくれたら光君はそれでいいんだもんね!」

「まぁね、自分の最大限の演奏を聞いて欲しくて音楽やってる部分はあるからさ」

「君の演奏はいつだって誰かに届いているさ」

「そう言ってもらえて光栄だよ、まぁ、届いてないなら届かせれば良いだけだからいんだけどね!」

などと話していると俺達はあっという間駅に到着した。

「じゃあ、俺はここで!」

「えぇ、また会いましょう光」

「近いうちにね」

「ひかるん!また応援に来てね!次はひかるんに勝利のVサインと最高の笑顔を届けるから!」

「良いよ!いつでも呼んで!都合が合えばいつでも駆けつけるからさ、じゃあまたね!」

そう言って俺は皆に手を振り家路に着いた

 

ハロハピ視点

「はぐみ、今日は残念だったわね、でも、次があるわ!笑顔を忘れずに頑張ってね!」

「もちろんだよ!次は勝利のVサインと最高の笑顔を届けるって約束したからね!」

「彼なら自分の事のように喜んでくれるだろうさ!」

「それには賛成ですね!」

「うん!きっとまた最高の演奏を聞かせてくれるよ!」

そんな話をしながら私達は今日も笑顔を忘れずに、そしてはぐみは部活面での新たな1歩を踏み出したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




読んでくれてありがとうございます。
ハロハピのはぐみの部活面を中心に書きました。
ハロハピのライブ前の回2話目ですね!
次回はパスパレの話を予定していますのでお楽しみに

次回「原点と憧れの先に」


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第32話原点と憧れの先に

光は自分にとっての憧れが何か、どんなものかを考えさせられるのだった


はぐみ達ソフト部の試合から約1週間たった今日、俺は代理を頼まれてパスパレの事務所に来ていた。

予定よりも少し遅れた為、皆は既に練習スタジオに入っているだろうと思いながら事務所の扉を潜りレッスンスタジオに向かうとちょうど彩が何やら振り付け?と思わしき身振り手振りをしていた。それを見て皆が何やらダメだし?と思われる会話をしているので俺はタイミングを見計らってスタジオの扉を開けて中に入る

「ごめんごめん!遅くなった!」

「あっ!ひ〜くん遅〜い!」

「ごめんって!でもさ、当日にいきなりマネージャーが休むからって代理頼まれてもさ、これでも急いで来たんだよ!」

「確かに、随分急いだみたいね、髪もボサボサでネクタイも曲がってるわよ」

「今、身だしなみ整えるから待ってて」

そう言って俺は身だしなみを整えてから改めて声を掛ける

「えっと、とりあえず現状を教えてくれる?」

俺の問に日菜が答える

「彩ちゃんが新しい挨拶とポーズをしてて、それを皆でなんか変って言ってたとこ!」

「ちょっと日菜ちゃ〜ん」

「でも、日菜ちゃんの言ったこと間違ってないじゃない!」

「千聖ちゃんまで〜」

「まぁ、確かに、斬新と言うか、なんと言うかだったッスけどね〜」

「ハイです!ちょっとヘンテコでした!」

「麻弥ちゃんにイヴちゃんまで〜」

全員からダメだしされて項垂れる彩を見て俺はなんだかなぁと思いながら笑う

「光君まで笑わないでよぉ〜」

「ごめんごめん!皆が言うほど可笑しいポーズと挨拶だったんだなと思ったら笑えてきてさ!」

「皆揃って酷〜い!」

そう言って抗議の視線を皆に送る中でイヴが思い出したように言った

「そういえば、彩さんは皆に夢を与えるアイドルになりたいんですよね?」

「え?あっ!うん!それは今でも、変わってないよ!」

「彩さんがアイドルを目指すきっかけのアイドルさんはどういう人だったんですか?」

「あ〜それ俺も聞いてみたい!彩にとっての原点って言うのかな?人それぞれそういうのある中で彩にとってのきっかけになった人ってどんなだったの?」

「そういえば、今まで皆に話した事って無かったね!

私が憧れてるのは『Marmalade』ってグループのあゆみさんって人なんだ」

「マーガレット?」

「「Marmalade!!」」

彩と千聖の声が重なる

「どこをどう聞き間違えたらMarmaladeがマーガレットにないるのよ!あなた耳は良かったはずじゃない?」

「ちょっと間違っただけなのに酷くない?」

「アハハ、とにかくマーガレットじゃなくてMarmaladeだよ光君!ちなみに光君はグループ名も知らなかったの?」

「ごめん、アイドルは専門外でさ、曲もほとんど知らないね!歌番組とかに出てる時にチラッと聞く程度」

「でも、光、私達だってアイドルよ」

「そうだよひ〜くん!あたし達もアイドルだよ!」

「知ってるよ!でも、パスパレは一応俺の中ではバンドの括りに入るからね!」

俺がそう言うと皆は納得の表情を浮かべていた。

「て言うか、ごめん!話脱線しちゃったね!改めて教えてくれる?彩にとっての目標の人がどんな人なのかさ」

俺がそう言うと彩は頷いて話し出す

「あゆみさんはグループではなんて言うか、お茶の間アイドルみたいなポジションなんだけどね、本人はすっごく真面目で努力家な人なの!インタビューとかでよく『努力すれば夢は叶う』って話してて……私は、その言葉にたくさん勇気をもらったんだ」

「なるほどね〜ずっとその言葉を胸に頑張ってきた訳だ」

「うん!そうなんだよね!だから私も誰かに勇気を与えたいって思ってアイドルを目指したんだ。あゆみさんは私にとって原点みたいな人だよ!」

「へぇ〜なんか良いね!俺には想像も付かなかったし、俺自身はそこまで考えもしなかったからね」

俺がそう言うと日菜から質問が飛んでくる

「じゃあさじゃあさ!ひ〜くんは音楽を始めたきっかけってなんだったの?」

「どうだったかな〜?」

俺は言われて考えてみるが思いつくのは父さんがスタジオミュージシャンをしていて、よく仕事場に連れて行ってもらって興味を持ったという程度だった

「やっぱり、父さんの影響は大きいかな?父さんがよく仕事場に連れってくれたんだよね、それで色んな曲を自分でも演奏して見たいって思ったのがきっかけかな?まぁそこまで大した話じゃないよ、ていうかさ、俺はともかく他の皆はその彩が好きなアイドルの事は知ってるの?」

俺は皆に問いかける

「自分は聞き覚えがある程度ッスね」

「Marmaladeはアイドルグループの中ではかなり有名よ、きっとテレビにでているのを見た事あったりするんじゃないかしら?」

千聖の話を聞いて俺は自分の記憶にある限りの歌番組を思い出してみるもやはり記憶にない

「俺はやっぱりわかんないな〜、多分覚えてないだけでテレビで見た事あるのかもしれないけど、俺はわかんないや、でも、結構凄いんでしょ?」

「うん!Marmaladeはすっごいグループなんだよ!あゆみさんはずっとずっと私の憧れの人なんだ、いつか私もあゆみさんみたいなアイドルになれたらなぁ」

「彩さんが憧れている人なんです。きっと素敵な人なんでしょうね〜」

「確かにね、誰かが誰かの憧れになれるのってある意味では凄いことだからね」

俺たちがそう話していると日菜が何やらブツブツ言いながら考える仕草を見せている

「Marmalade、マーマレイド……ふ〜む…」

「日菜?何百面相してんの?」

「日菜ちゃんどうかしたの?」

俺達が問いかけるとほぼ同時にまさにピコーンと言う効果音が聞こえてきそうな表情を浮かべて話し出す

「思い出した!Marmaladeってさ日曜の動物番組に出てなかった?」

「うん!出てたかも!たしか、メンバー皆で珍しい動物と触れ合ったりしてたよね。懐かしいな」

「お姉ちゃんがその番組見てた気がして、確かMarmaladeって解散するんじゃなかったっけ?」

「え?」

日菜の言葉に彩が一瞬固まる

「日菜さんそれは本当ですか?」

「本当なの?日菜」

俺達の質問に日菜は頷いてから答える

「うん、今朝ここに来るまでの電車でさ、近くの人が話してたんだよね、どこかで聞いた事ある名前だと思ったら、電車の中でその話を聞いてたからだったんだ」

「あ〜言われてみれば、そのMarmaladeかどうかは知らないけど、アイドルグループが解散するとかなんとかって話は俺も聞いたなそういえば」

「今朝はバタバタしててニュースもチェック出来なかったからそんな事全然知らなかったよ」

落ち込む彩に追い討ちをかけるように麻弥さんが1つのネットニュースを見せる

その記事はMarmaladeの電撃解散を発表する記事だった。

「麻弥さん、ラストライブっていつ?」

「ちょっと待ってください…今週末です!!」

俺は思わず頭を抱えた、正直いくらなんでも早すぎる!

気持ちの整理をつけるにしても、何をするのにも時間が圧倒的に足りない!

「本当に急な話ね」

「いくらなんでも急過ぎるよ!ラストライブの後もおそらくMarmaladeとしての仕事が少しはあるだろうけど、人前に立つ最後の瞬間が今週末って!」

俺達の会話を聞いて輪をかけて落ち込む彩が呟くように言った

「私…このライブが決まった時から楽しみにしてたのに…これが…最後だなんて…」

落ち込む彩を元気付けるように麻弥さんとイヴが声をかけるがやっぱり気分は晴れないようだった

少ししてレッスンの時間になり俺は一度席を外し1人考え事にふける

「知らなかったとはいえ、急な話もいい所だ…俺もバンドの解散は何度か見届けてきたけど、こういうのはなれるものじゃないしなぁ〜」

そう言って少しだらしなく壁にもたれ掛かり、俺にできる事はないかと考えていると彩がスタジオから出てきた

「やっぱり元気なさそうだな…」

そう呟くと俺は立ち上がり近くに行って声をかける

「彩、その…大丈夫?」

「光君…大丈夫…じゃない…かも」

「あぁ〜なんか、ごめんね、こういう時ってなんて声を掛けていいかわかんなくてさ」

俺は髪をぐしゃっとしながら言った

「謝らないでよ!光君が、それに他の皆も心配してくれてるのはわかるからさ」

「うん…そうなんだけどね」

「ごめんね光君、なんか気を使ってもらって、私なら大丈夫だよ」

俺は髪をぐしゃぐしゃと掻きむしってから言った

「泣きそうな笑顔で何言ってんのさ!」

「え!?私…そんな顔してた?」

「さっきから笑ってはいるけど、すっごく泣きそうな笑顔してる」

「わかるの?」

「いや、表情が笑ってないというかなんというか…」

「私はどうしたらいいのかな?」

「悩むだけ悩んだらいいんじゃない?」

「じゃあさ、せめて今だけ、空元気にならないように、私を元気づけて!」

俺は髪を軽くかきあげてから言った

「任せて!じゃあ、ちょっとだけ屋上行こうか!」

「うん!」

俺は彩と2人で屋上に行きベンチに座り俺はケースからアコギを取り出した。

「光君、今日はアコギ?」

「まぁね、たまにはこいつで演奏しないとね、こいつ以外の音源は飛ばさないとだけどね!」

そう言って俺はスマホで音源を再生してからアコギを演奏し歌っていく

 

『涙を流した君にしか浮かべられない笑顔がある

そのままの君で大丈夫こぼれおちた分だけ強くなる』

 

俺は彩を元気づける為だけに演奏していく!今の俺に出来るのはやっぱり演奏する事だけだから

 

『変わりたいのに変われない日々本当の気持ちから毎日少しずつ逃げた

見えないフリや聞こえないフリで綺麗事ならべても

自分は騙しきれなくて

負けそうな心抱えても僕らは笑う無理して笑うけど

きっと

涙を流した君にしか浮かべられない笑顔がある

たまには泣いても大丈夫素直になっても大丈夫

生きていくだけで人は皆数えきれぬほど乗り越える

強がらなくても大丈夫こぼれ落ちた分だけ

強くなる強くなる強くなれる大丈夫

 

誰かの理想になろうとしすぎて

越えられないボーダーライン気がつけば引いてしまってる

自分で選んだ道なんだからって誰にも頼れずに1人ぼっちで

戦ってる

プライドや夢を守るため僕らは笑う無理して笑うけど

でもね

涙を流した君にしか迎えられない明日がある

見守ってるから大丈夫焦らなくたって大丈夫

生きていく中で人は皆幾千もの自分に出会う

そうして大人になっていく見つけられた分だけ強くなる

 

世界は涙じゃ変わらないでも君は変わってゆけるさ

そう僕もちっぽけでも踏み出していくよ

胸を張って君だけじゃない僕ら一人じゃない

 

そうさ

涙を流した君にしか浮かべられない笑顔がある

転んで泣いても大丈夫素直になっても大丈夫

生きていくだけで人は皆数えきれないほど乗り越える

だから大丈夫こぼれおちた分だけ強くなる強くなる

強くなれる大丈夫』

 

「なんか、晴れやかな気分だよ!まだ、どうしたらいいかわからないけど、私なりに頑張って色々考えてみるよ!」

「そっか、頑張ってね!ちゃんとした答えが見つかるように応援してるから」

「うん!ありがとう!光君がいてくれて良かった!」

そう言って彩は戻って行った

それから少しして俺も戻ると彩の顔は晴れやかだった

ちゃんと切り替えは出来ているなと思いひとまず安心と言ったところかなと思っていると千聖が話しかけてきた

「光、何をしたの?彩ちゃん、まだ迷いは晴れてはいないようだけど、ちゃんと今は切り替えは出来ているみたいだもの、貴方が何かしたんでしょ?」

「別に、ちょっと演奏しただけ」

「屋上から微かに演奏の音が聞こえていたのは貴方だったのね」

「まぁね」

「でも、気を抜くとやっぱり表情が沈んでいるわ、どうしたものかしらね?」

「皆で元気づけてあげたら?」

「それしかないわよね」

そうしてレッスンの終わりに皆でお茶をして帰ると話が決まったらしい

俺個人は今日の仕事はあくまで付き添いなのでここからは

プライベートなので俺の方は帰ることにし皆に声をかける

「じゃあ、今日はこれで!」

そう言って帰ろうとすると千聖と日菜に両方の肩を掴まれて呼び止められる

「「待って光!(ひ〜くん)」」

「えっとまだなんかあるの?」

「貴方も行くのよ!」

「そうだよ!一緒に行こうひ〜くん」

「俺も行くの?別に皆だけでいんじゃないの?」

「そんな事言わずに少し付き合いなさいな」

「ねぇ〜良いでしょひ〜くん!一緒に行こう!」

俺はため息混じりに頷いて言った

「わかったよ!俺も行くよ」

「決まりね!じゃあ行きましょう!」

そうして俺達は喫茶店に行きそれぞれ頼んだものをシェアしながら楽しそうにしている中で日菜がポツリと呟くように言った

「人を励ますって難しいんだね…」

「どういう事?」

「彩ちゃんにまたいつもみたいに元気になって欲しいなって思ってたんだけど…なんか上手くいかなくてさ、

ねぇ、ひ〜くん、ひ〜くんはなんでこう、パってそれが出来ちゃうの?」

「俺?別にそんなにパってできる訳じゃないけど、大丈夫だよとか頑張れとか、そういう言葉をあえて他人から言われた方がいい時もあるでしょ!」

「なんか、わかるかも!」

「えぇ、そうね、確かにそういう場合もあるわね」

「だから俺はそういう時に誰かに向けて演奏するんだ、そうすればなんかのきっかけくらいにはなるでしょ」

「なるほど、確かに、今までもそうでしたもんね!」

「ハイです!確かにいつもそうでしたね」

「まぁ、それが俺だからね」

そんな話をしながら俺達はティータイムを楽しんでしばらくしてる帰路に着いた

帰り道、日菜と一緒に帰っていると日菜が話しかけてきた

「ひ〜くんはもしも、自分の憧れの人とか、身近な人が音楽を辞めたらどうするの?」

「俺はそれで音楽を辞めたりはしないかな、少なくとも、その人が最後に見た景色を自分でも見て自分の目に焼き付けて、その後は自分なりの道を探していくと思うよ」

「そっか、それがひ〜くんの答えなんだ…」

「まぁ、あくまでも1個人の考えだから、参考になったかはわからないけどね」

「そんな事ないよ!教えてくれてありがとうひ〜くん」

「別に良いよこのくらいなんでもないし」

そんな話をしながら歩いていると日菜の家に到着する

「じゃあ、またね!ひ〜くん」

「うん、また明日」

そうして俺は日菜を送った後家に帰りシャワーと夕飯を済ませてベッドに寝そべりもう1人の自分ことルミナスと自問自答していた。

(今回僕の出番はありそう?)

「まだわからない、でもきっと必要になる、その時は頼むなルミナス」

(任せてよ!君が僕で僕は君なんだからさ君と僕の演奏は絶対に届く、いや、届かせるよ!)

「あぁ!やってやろうぜ!」

そうして自問自答しているとスマホが着信を告げる

俺は画面を見るのも億劫になりながら電話に出る

「もしもし、どうかした?」

(こんばんは、光、遅くに悪いわね)

「ウトウトしてただけだから気にしないでいいよ」

(そう?実は相談があるのだけどいいかしら?)

「内容によるよ」

(彩ちゃんの事よ)

「彩の?」

(実はね、ライブの後、彩ちゃんを元気づけて欲しいのよ!)

「ライブのあとならMarmaladeのあゆみさんに頼む方がいんじゃない?」

(もちろんあゆみさんにもお願いはするわよ、その時、彩ちゃんとあゆみさん2人に向けて歌って欲しいのよ)

「わかったよ、俺に出来る最大限で演奏するよ」

(とりあえずは当日もマネージャーとして同行してもらう形になるだろうからそのつもりでいて)

「了解、じゃあ当日はよろしくね」

(えぇ、こちらこそよろしくね)

「うん、じゃあまた」

(えぇ、また近いうちに)

そうして電話を切ると俺は再びルミナスとしての自分と向き合い自問自答する

(どうやら出番は早そうだね)

「あぁ、最高の演奏をよろしく頼むぜもう1人の俺」

(任されたよ!僕)

そうしてその日は眠りについた

 

次の日

午前の授業を終えてイツメンでの昼食中友希那が唐突に話題を振ってきた

「光、ココ最近はハロハピやパスパレにご執心なようじゃない!」

「そんな事ないと思うけど?でもなんで?」

「なんでもなにも、最近は休みの度に私たちのバンド以外のメンバーと一緒にいるじゃない」

「まぁ、そうなんだけど、言い方!ご執心って!」

「ともかく、近いうちに私達の為の時間はとって貰うわよ」

「いいけど具体的には?」

「まだ近いうちにってしか言えないんだ、具体的なこと分かったら必ず言うからさ、光に向けて演奏する前にあたし達Roseliaとしてやらないといけない事があるんだ」

「それで、俺はその手伝いをしたらいいの?」

「そうなるわね」

「ひ〜くん友希那ちゃんなんの話?」

「近々光の手を借りるって話しよ」

「それならひ〜くんに演奏してもらうかもなんだ〜」

「そうね、そうなるかもしれないわ」

「ひ〜くんって友希那ちゃん達にどんな曲歌ってるの?」

「どんなって言われてもなぁ〜友希那、リサ、覚えてたりする?」

「光が送ってくれたCDの曲なら」

「同じくね」

俺は2人がそう言うので記憶を辿りながら考える

「青空のナミダにVSライブで以心伝心とカサブタでしょ、それから〜」

「だから僕は音楽を辞めたに、SummerRain、Summernude13、花火、打上花火、後は〜」

「後は、多分私、燐子、友希那に送った曲がそれぞれかな?」

俺の言葉を遮ってリサが補足する

「間違いないわね、そのくらいよ」

「だってさ」

「パスパレはどうなの?」

「えっと〜、結晶星、栄光の架橋、BESTfriend、現実という名の怪物と戦う者たちと時の歌でしょ、後は最近聞いたのはRINGだったかな?ひ〜くんあってる?」

「あってるよ!」

「パスパレには何を思って演奏したの?」

「仲間の大切さと1人1人の繋がりの大切さ」

俺は迷わず答えると日菜も含め3人が頷いていた

「なるほどねぇ〜光なりにしっかり考えてるんだねまぁ、そうでなきゃ私達に届く訳がないか!」

「そうね、なんにしろいつも言っているけれど、一度関わったなら最後までやり遂げなさいよ」

「わかってるよ!関わったからにはやり遂げるさ」

言葉にすると自分の中でも改めて決意が固まると改めて思った。

それから数日後の今日、Marmaladeのライブは夕方からなのでまだ早いが彩を除いたパスパレのメンバーと合流する事にし、日菜に連絡するとすぐに繋がった

(もしもし、ひ〜くん?)

「もしもし、日菜、まだ早いけど、良かったら合流しない?」

(あたしはいいよ〜その代わり迎えに来てね)

「了解、日菜の家に行けばいんだよね?」

(うん!皆にも声掛けておくから、一旦事務所前に集まろう!)

「OK!そうしよう!じゃあ、とりあえず向かうね」

(待ってるね!)

そうして電話を切り俺は準備を整えて日菜を迎えに行き

日菜と一緒に事務所に向かう

「ひ〜くん今回はどんな曲を演奏するのか聞いていい?」

「そうだな〜まぁ1人じゃないよって言う感じの曲かな?

たった1つの場所に必ず立ってるよって言うようなそんな曲」

「早く聞きたいな〜」

「まだダメだよ、彩も含めた皆に向けて演奏しないとね!」

「だよね!でも、あたし達ひ〜くんに頼ってばっかだね」

「いんじゃない?頼るだけならね、依存しすぎたらダメだけど、俺が誰かの助けになれるなら、俺は迷わず手を差し伸べるよ」

「それでこそひ〜くんだよね!」

「どうかな?」

そう言って返答を濁して笑うと日菜もつられるように笑った

それから数分後俺達は事務所前に集まって話していた

「ちょっとというか結構かな?早めに集まったけど、ぶっちゃけどうしよう?」

「とりあえず、もう会場に向かいましょう、LIVE前に挨拶って事で行けば大丈夫よ」

「でも、彩は最後だよね?」

「そうッスね、私達から彩さんにささやかながらの応援ッスね!」

「ハイです!彩さんが元気ないのは寂しいです!」

「そうだね、彩ちゃんには元気になって欲しいしね!」

「了解、じゃあ、行こうか!」

そうして俺達は会場に向けて移動する

数分後俺達は会場に到着し控え室に向かい扉をノックすると

どうぞと返答が返ってきたので俺達は扉を開けて中に入りそれぞれ挨拶をした後千聖が話し出す

「Marmaladeの皆さんこんばんは、Pastel*Paletteの白鷺千聖です。今回は挨拶と1つのお願いしたいことがあり伺いました。あゆみさんに私達のメンバーの1人ボーカルの彩ちゃんを元気づけてあげて欲しいんです。」

千聖の言葉にあゆみさんが頷いてから答える

「彩ちゃんはあのピンクの子よね!とりあえず、千聖ちゃん以外の皆も自己紹介してくれる?もちろん後ろに控えてる君もね!」

「俺もですか?」

「当然ね、一応マネージャーでしょ」

「君はマネージャーなのね」

「はい、一応サブマネージャーです」

「そう、じゃあ改めて順番に自己紹介お願い出来る?」

あゆみさんの言葉に頷き1人1人自己紹介をしていき自分の番となり俺は改めて自己紹介する

「改めまして、Pastel*Paletteのサブマネージャーの宮村光です。今回はライブ前の挨拶という事で同行させてもらいました」

「そう、よろしくね光君」

あゆみさんがそう言って握手を求めてきたので俺はそれに応じた、そしてどことなく彩と似た雰囲気を持った人だと感じた

「君、本当にただのマネージャー?」

「どういう事ですか?」

「あなたの手、演奏家の人達と同じだったから」

俺は驚いた、これに気づいた、いや、俺が演奏家である事に気づかれたのは初めてだったからだ

「初めてです。俺が演奏家だと気付かれたのは」

「少なくとも、私は私で沢山の人と関わって来てるもの、アイドルとして、また私事あゆみ個人としてね」

ある意味では経験の差とも言えるだろうそう思った。

その後俺達は詳しく内容を説明してからその場を後にし、他のファンの人達から少し離れた位置でそのLIVEを見ていた

ファンの人達に混じって彩もMarmaladeのそしてアイドルとしてのあゆみさんの最後を見届けていた。

そしてLIVEが終わると俺達はその場を離れ彩の所へ行った「光、彩ちゃんに声をかけてあげて」

「俺が?」

「貴方が適任よ」

「わかったよ!行ってくる」

そうして俺は彩の所へ行き名前を呼ぶ

「彩!」

「光君!それに皆も!来てたんだね」

「まぁ、ちょっとね、あゆみさんの最後のLIVEどうだった?」

「これで終わりかって思うとちょっと寂しいけど、でも、最後の瞬間をこの目で見れて良かったとも思ってるんだ」

「そっか、でもまだ終わりじゃないよ」

「彩ちゃん、今度は私達に着いてきてくれる?」

「え?う…うん」

「じゃあ行きますか!」

「だね!」

「ハイ!」

そうして俺達は彩と一緒にMarmaladeの控え室に向かった

「ここって…控え室...たよね?」

「そう、じゃあ、入るよ!」

そうして扉をノックし中に入るとあゆみさんが出迎えてくれた

「初めまして」

「えっ……えぇぇぇっっっっっ!?あ、あ……あゆみ、さん...」

「うん、Marmaladeのセンター、柑橘系な桃こと、あゆみです♪」

「あ、あう……な、なんで?」

「千聖がねスタッフさんに頼んであゆみさんに合わせてもらって直接お願いしたんだよ、彩を元気づけてあげてって」

「ち、千聖ちゃん…ううっ、ありがとう…ぇ、えっとあの…ど、どうしよう……」

「とりあえず握手してみたら?」

「そうだよ!せっかく憧れの人が目の前にいるんだしさ」

「えぇっ、あ、そ、そっか!あの、握手してもらえますか……?」

「あはは、もちろん♪彩ちゃん、今日は来てくれてありがとう」

そう言って握手を交わす中名前を呼ばれて彩は驚いていた

「え!?今、私の名前……」

「うん、知ってるよ。Pastel*Palette、ふわふわピンク担当の彩ちゃん♪」

「あの……私、あゆみさんの言葉に勇気をもらってアイドルを目指したんです!あゆみさんがよく言っていた……」

「どんな人でも、努力すれば夢は叶う。だから『自分なんか』って思わないで夢を見てほしい」……ってやつか

「私もこの言葉を信じてここまで頑張ってこれたの私の言葉、届いてる人がいてうれしいな」

「彩以外にもきっと貴方の言葉に救われた人は沢山いると思います。言葉にするからこそ伝わるものってあると思うんです。きっと彩以外にも貴方の言葉を信じて頑張ってる人もいると思います。」

「そっか。それでかな。……彩ちゃんが私に似てる気がしたのは」

「えっ……!!」

「最初はお披露目ライブのことをニュースで見て知ったの。その中で彩ちゃんの姿を見ているうちに、自分に似てる気がしていて」

「雰囲気とか、どことなく似てるんじゃないですかね」

「そうね、決して完璧なタイプではないけれど、それでも笑顔で一生懸命なところとか、……すぐ泣いちゃうところとか、他人の気がしなくて」

話しを聞いていて確かにと思う所は俺も含め皆も感じているだろうなと思った。

「あゆみさん…私!!」

「……彩ちゃん。Marmaladeや、Marmaladeのあゆみはずっとずっと彩ちゃんの中に生き続けていく」

「でも、Marmaladeは今日で終わってしまう。これからもアイドルを続けていく彩ちゃんには私を超えて行って欲しいの」

「あゆみさんを超える……」

「大丈夫。彩ちゃんならきっと、私を超えるアイドルになれるって信じてるよ。だって…彩ちゃんは何があっても絶対にめげない、諦めない」

「どんな時だっていつも笑顔っ!」

「私、あゆみさんを超えるそんなアイドルになってみせますっ!!」

「まぁ、憧れの人にここまで言って貰えたんだし答えなきゃ嘘だよね!」

「光…君」

「憧れを超えるそんな彩に向けて演奏するよ!あゆみさんも良かったら聞いてください、2人に聞いて欲しいです。」

「じゃあ、さっきまで私達が使ってたステージ使って演奏してくれる?」

「それを望むなら」

そうして俺達はもう一度ステージまで移動し俺は楽器の準備をしてルミナスの姿になり観客席に回ってもらった皆に声をかける

「Pastel*Paletteの皆さん、そして、Marmaladeのあゆみさん今日は俺の歌を聞きに来てくれてありがとうございます。ルミナスです。さっそくいきます!カルマ!」

俺はギターを弾いて歌っていく

『ガラス玉ひとつ落とされた

追いかけてもうひとつ落っこちた

ひとつ分の陽だまりにひとつだけ残ってる

心臓が始まった時嫌でも人は場所を取る

奪われない様に守り続けてる

汚さずに保ってきた手でも汚れて見えた

記憶を疑う前に記憶に疑われてる

必ず僕らは出会うだろう同じ鼓動の音を目印にして

ここに居るよいつだって呼んでるから

くたびれた理由が重なってる揺れる時

生まれた意味を知る

存在が続く限り仕方ないから場所を取る

ひとつ分の陽だまりにふたつはちょっと入れない

ガラス玉ひとつ落とされた落ちた時何か弾き出した

奪い取った場所で光を浴びた

数えた足跡など気付けば数字でしか無い

知らなきゃいけない事はどうやら1と0の間

初めて僕らは出会うだろ同じ悲鳴の音を目印にして

忘れないでいつだって呼んでるから

重ねた理由を二人で埋める時約束が交わされる

鏡なんだ僕ら互いにそれぞれのカルマを映す為の

汚れた手と手で触り合って形が解る

ここに居るよ確かに触れるよ

一人分の陽だまりに僕らは居る

忘れないでいつだって呼んでるから

同じガラス玉の内側の方から

そうさ必ず僕らは出会うだろ

沈めた理由十字架を建てる時約束は果たされる

僕らはひとつになる』

ラストまで一気に歌い上げてから深く息を吐き出し話出す。

「1曲目のカルマは罪や業と言った解釈が出来る曲です。

俺がこの曲に込めたのは自分の嫌な部分も受け入れて前に進んでいくきっかけになればと思ってこの曲を選びました。」

 

「そうなんだ…確かに、アイドルもそうだけど、結局この世界の醜い部分って言うか私達の醜い部分が見える、それがアイドルや芸能の世界だからねぇ〜そういう意味では今の私達にピッタリね」

「でも、これで…終わりじゃ…ないんだよね?」

「もちろん!もう1曲聞いてくださいStaywithme」

俺は再びギターを弾きながら歌っていく

『会いたい気持ち溢れたらこの想いが上手く届くのかな?

小さな窓に現れたあなたを見るだけで嬉しくなる

あの日にそっと置いて行った涙の粒抱えたら

ねぇ、夢を奏でた

Staywithmeあなたは私だけの大きな光

Staywithme貴方とずっとずっと手を繋いでいたい

そして明日へつづくこの道を歩いてゆこう』

 

どんな人でも会いたい人や憧れの人はいるだろうそんな人に

この人達だと胸を張れる仲間と夢を奏でていく、そしてその人が待つ明日へと歩んでいくそんな未来を想像しながら演奏していく

 

『時間の箱に閉じ込めたつばさをあなたが風に乗せたの

ふと舞い降りた夜の街もらった勇気で歌い出せたんだ

頑張ってるあなたに負けないようなスピードで

ねぇ輝けココロ

Staywithme私に聞かせて欲しい悲しみ訳

Staywithmeあなたとずっとずっと眺めていたいな

月と太陽とそして2人に出来る事を』

 

パスパレ&あゆみ視点

「彼の演奏はどこか心に響くと言うより刺さるという方が正しいような感じがするわね」

「いつもそうなんです。私達がすれ違ってしまったりしても彼が私達の心をつねに1つにしてくれるんです。」

「そうだね〜光君の演奏がいつも私達を支えてくれた」

「常に皆を支える存在なのね彼は」

「そうだね〜ひ〜くんは仲間が傷付いたり涙をしたりするのが一番嫌なんだって、だからいつもいつも誰かのため皆の為って演奏してる」

「そんな彼に何度も助けられましたからね」

「ハイです!今回もあゆみさんとは別な意味で彩さんを元気づけてあげました」

「そうだったね」

そんな話をしながら曲のラストに耳を澄ます

 

『Staywithmeあなたはきっときっともう一人の私

Staywithmeあなたとずっとずっと手を繋いでいたい

そして明日へ続くこの道を歩いてゆこう』

 

演奏が終わり俺は再び話出す。

「彩、それに、あゆみさん、2人に向けて演奏させてもらいました。彩にとってずっと憧れでいてあげてください、いつの日か彩があなたを超えるアイドルになるまで!そして憧れのあなたに並び立てるまで!」

「約束するよ!私はMarmaladeのあゆみはいつまでも彩ちゃんの憧れの存在で居るよ!」

「あゆみさん…私はいつか必ずあなたを超えるアイドルになって貴方に胸を張れるアイドルになります!光君!最後に1曲リクエストしてもいいかな?あの時私を元気づけてくれた曲をもう一度聞かせて!」

「OK!」

俺はアコギに持ち替えてから曲名を告げ演奏する

「じゃあ、今日、最後の曲聞いてください!」

 

『涙を流した君にしか浮かべられない笑顔がある

そのままの君で大丈夫こぼれおちた分だけ強くなる』

 

彩、あゆみ視点

「彩ちゃんの事を元気づけてくれたのはこの曲なのね!」

「聞いた後、すっごく晴れやかな気分になりました。」

「じゃあ、きっと忘れられないような曲なんでしょうね」

そう話しながら曲を聞いていく

 

『変わりたいのに変われない日々本当の気持ちから毎日少しずつ逃げた

見えないフリや聞こえないフリで綺麗事ならべても

自分は騙しきれなくて

負けそうな心抱えても僕らは笑う無理して笑うけど

きっと

涙を流した君にしか浮かべられない笑顔がある

たまには泣いても大丈夫素直になっても大丈夫

生きていくだけで人は皆数えきれぬほど乗り越える

強がらなくても大丈夫こぼれ落ちた分だけ

強くなる強くなる強くなれる大丈夫

 

誰かの理想になろうとしすぎて

越えられないボーダーライン気がつけば引いてしまってる

自分で選んだ道なんだからって誰にも頼れずに1人ぼっちで

戦ってる

プライドや夢を守るため僕らは笑う無理して笑うけど

でもね

涙を流した君にしか迎えられない明日がある

見守ってるから大丈夫焦らなくたって大丈夫

生きていく中で人は皆幾千もの自分に出会う

そうして大人になっていく見つけられた分だけ強くなる

 

世界は涙じゃ変わらないでも君は変わってゆけるさ

そう僕もちっぽけでも踏み出していくよ

胸を張って君だけじゃない僕ら一人じゃない

 

そうさ

涙を流した君にしか浮かべられない笑顔がある

転んで泣いても大丈夫素直になっても大丈夫

生きていくだけで人は皆数えきれないほど乗り越える

だから大丈夫こぼれおちた分だけ強くなる強くなる

強くなれる大丈夫』

 

「彩ちゃんが言った通りね、とても、晴れやかな気分だわ」

「ですよね!私、あゆみさんの言葉と一緒にこの曲を支えに頑張りたいなって思えます」

「頑張ってね!応援してるよ!」

その後2人は少しの間に打ち解けてあゆみさん直伝のポーズなんかを教えて貰っていた、正直微妙たなぁと思った必ずあえて言わないでおこうと思った。

 

そして帰り道、皆で帰っている中で彩は憑き物が落ちたような笑顔を浮かべていた。

「なんにしろ、いつもの彩に戻ったみたいで良かったよ」

「何を言っているのよ!立役者の1人なくせに」

「俺は演奏以外の事は何もしてないよ!」

「いっつもそうなのね!あなたは」

「いや、実際演奏以外の事はしてないからね」

「光君はそう言うけど、私は凄く元気貰ったよ!」

「ひ〜くんの演奏は誰かの助けになってるよ!」

「だといんだけどね!」

「まぁ、なんにしても良かったじゃないすか!彩ちゃんが元気になって!」

「ハイです!」

「そうだね、まぁ、結果オーライかな?」

「光君とあゆみさんのおかげだよ!ありがとう」

「まぁ、どういたしまして」

そうして彩は新たな目標に1歩踏み出した

それを皆と一緒に喜べるこの時間を大事にしていこうと思う俺だった。

俺にとっての憧れとは全く違うものだったけれど、憧れの人や尊敬できる人がいる事がやっぱり良いなと俺自身も思った今日この日だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




パスパレ編2話目になります。ストーリー展開は少しキャラクターストーリーから引用させてもらいました。少しずつ中身変えてますので楽しんで貰えたら幸いです。
次回はAfterglowとのイベントです。
次回「Afterglowと秋祭り」


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第33話Afterglowと秋祭り

季節が変わりゆく中で秋祭りの招待を受けたAfterglowと光はそれぞれの演奏を感じるままに演奏していく


Afterglow視点

その日私の家こと羽沢珈琲店に一通の手紙が届いた。

「なんだろう?Afterglow宛の手紙だ」

手紙の表裏を確認してみるけど、Afterglowの皆様へとしか書いてない

「学校に持って行って皆で内容確認しよう」

そう言って手紙をその場に置きお店の準備を手伝った後朝食を済ませて家を出て学校に向かった。

学校に着くと蘭ちゃんとモカちゃんがもう来ていた

「2人ともおはよう。巴ちゃんとひまりちゃんはまだ来てないみたいだね」

「おはようつぐ、あたし達も少し前に来たとこだから2人もそろそろ来るんじゃない?」

「かもしれな〜い」

「じゃあ、先に2人にも見てもらおうかな」

そう言って鞄から例の手紙を取り出し見せる

「これって?」

「中身はまだ確認してないんだけど、多分LIVEの招待状とかじゃないかなってAfterglowの皆様へってなってるからさ」

「少なくともあたし等の誰でもなくAfterglowの皆様へだからね」

「ともちんとひ〜ちゃん待って開けてみよう!」

「だね、それが一番良いよね!」

そんな話をしながら待つこと数分巴ちゃんとひまりちゃんがやってきた

「ちーす!」

「おはよう!」

「おはよう2人とも、さっそくで悪いんだけどコレ見て」

私は2人にも手紙を見せた。

「中身は?」

「まだ確認してないよ、皆で内容確認しないとダメかなって」

「じゃあ、中身見てみようか!」

「だな、とりあえず開けてくれよ」

私は頷いて手紙を開封して内容を確認し読み上げる

「えっと、何なに、拝啓Afterglowの皆様、隣街の商店街の青年部の一同を代表し手紙を送らせて頂きます。

11月の第2土曜に秋祭りを予定しております。

Afterglowの皆様にはそのお祭りでLIVEをして頂きたくお手紙を差し上げました。つきましては、夏祭りLIVEを一緒に盛り上げた男性も一緒に来ていただきたいのでご連絡と交渉をお任せしますのでよろしくお願い致します。だってさ」

「て言うことは、あたし等Afterglowと光さんがこの秋祭りLIVEのゲストに呼ばれたってことだよな」

「そうなるね〜」

「光さん来てくれるかな?」

「来るでしょ!あの人こういうイベント事好きだし」

「でも、光さんバイトもしてるし、忙しいんじゃない?」

「じゃあ、巴!聞いてみてよ!」

「あたしがか?」

「一番仲良いの巴じゃん!」

「まったく」

そう言って光さんに連絡してみると光さんはタイミングが悪いのか電話に出なかったが後でかけ直すとメッセージが来た

「タイミング悪いみたいだ、後でかけ直すってさ」

「そっかじゃあ仕方ないね」

「まぁ、かけ直すって言ってたし、そのうちかけ直してくるさ」

「それ待って話するのが一番良いよ」

そんな話をしながら私達は光さんから連絡が来るのを待っていた。

その頃光side

今日に限って寝坊した俺はかなり急いで自転車をとばす中でスマホが着信を報せる。

「急いでるのに!」

自業自得なのだが言っても始まらない。

そんな事を思いながらスマホを確認し巴からの着信を確認しすぐに留守電に切り替えてから巴にメッセージをとばし後でかけ直す旨を伝え学校に急ぐ

そして学校に到着しギリギリセーフで教室に滑り込む

「間に合った!ギリギリセーフ!」

「本当にギリギリね光」

「いつもギリギリだけど今日はいつにも増してギリギリだったね光」

「今日に限って寝坊したんだよ!アラーム止めて2度寝しちゃったみたいでね」

「ひ〜くんはもう少し余裕もたないとダメだよ!」

正直ぐぅのねも出ない、俺自身が普段マイペースに過ごしている分のツケの様なものだと思うしかないが時間を有意義に過ごすためにそうしている部分もある為どうしようもない

そうしているとホームルームの時間を告げるチャイムが鳴り

先生が教室に入ってきてホームルームが始まった

そして数分後、連絡事項のみを伝えて先生が退室してすぐ

俺は巴からの着信があったことを思い出し、巴に連絡する

「ひ〜くん誰かに電話するの?」

「巴から電話来てたからかけ直すだけ」

「今回はAfterglowにお熱なのね」

「言い方!俺が贔屓してるみたいじゃん!」

「最近アタシ達に構ってくれないじゃん光は」

「こんなもんじゃん?まぁ、いいけどさ、とりあえず電話してくるから待ってて」

そう言って俺は一度廊下に出て巴に連絡する

それから数回のコール音の後に巴に繋がった

「もしもし、巴、朝連絡くれたよね、その件で連絡したんだけど」

(あぁ!はい!ちょっと確認なんですけど、光さんのとこになんか招待状みたいなの届いてませんか?)

「特に何も無かったと思うけど、なんで?」

(あたし等Afterglowの所に隣街の商店街で行われる秋祭りの招待状が届いて、光さんも是非って内容だったので、光さんに確認の意味も込めて聞いてみたくて)

「そういう事、招待状についてはないね、その祭りの日取りはいつ?」

(今月の第2土曜です。予定は大丈夫ですか?)

「ちょっと待ってて」

俺はもう1つのスマホでスケジュール表を確認しバイトや用事がない事を確認し返答する

「大丈夫だよ!後で詳細教えて!具体的には放課後にcircle来てくれるとありがたいんだけど、大丈夫?」

(じゃあ、その辺はこっちで確認して折り返しますよ)

「わかった、それについてはお願いね」

(はい、じゃあ、また)

「うん、また後で」

そうして電話を切り俺は教室に戻った

「なんの要件だったか、聞いてもいいかしら?」

「隣街の商店街でやる秋祭りにAfterglowと俺が招待されたみたいなんだ、それで、用事とかないかの確認の連絡だったよ」「そう、という事は参加するのね」

「そのつもり」

「アタシ達はAfterglowと光の演奏を見に行こうか!」

「そうね、せっかくならRoseliaの皆で光の演奏を聞きに行こうかしら」

「あたしも行こうかな」

「まぁ、お祭りみたいだし、皆で来たらいいよ」

「なら、みんな誘ってみよう!あたし麻弥ちゃんの所に言ってくるね」

そう言って日菜は麻弥さんの所に行ってしまった。

「後5分ちょいで授業なのに大丈夫なのかな?」

「まぁ、気が済んだら戻ってくるわよ」

「それもそうか」

なんて話していると日菜が戻ってきた

「麻弥ちゃんはOKだってさ!後は他の皆次第かな?」

「まぁ、その辺は後々聞いてみなよ」

「だねぇ〜それがいっか!」

そんな話をしながら俺達は授業の準備をして授業を受け始める

俺は授業を聞き流しながら今回の秋祭りで演奏する曲を考えていた。

どんな曲がいいか、どんな曲なら今時期のにピッタリなのか

季節は秋、月は11月上旬、少しずつ季節が秋から冬に近付き

少しずつ木の葉が落ち始めて肌寒さを感じる頃

この季節にピッタリな曲はどんなのがいいかな?

そんな事を考えているうちに授業が終わり休み時間となった

そして休み時間になってすぐに友希那達が俺の周りに集合する

「光、授業中ノートこそとってはいたけれど、授業内容聞いていなかったわね」

「バレた?」

「分からないと思った?残念な事に他のこと考えているのがバレバレよ」

「もしかして顔に出てた?」

「えぇ、顔に出てたわね」

「実際の所何考えてたの光」

「秋祭りの楽曲」

「決まったの?」

「まだ」

「ひ〜くんはどんな曲を演奏したいの?」

「そうだな〜、やっぱ季節にあった曲がいんだけど、それなりに候補があってなかなかね」

「でも、あまり日はないのよね?」

「そりゃね、でも、やっぱり聞きに来てくれる人たちにはこの季節らしさって言うかは感じて欲しいしさ」

「じゃあ、とりあえず、秋だなって思う曲書き出してみたら?」

「4、5曲書き出して演奏してみるのが一番いいのでは無い?」

「やっぱりそれが一番かなぁ」

俺はとりあえず、自分の中で秋を感じる曲を書き出していく

「えっと、プラネタリウム、茜さす後は〜Secretbaseかな、それとYUME日和といつかの5曲かな?明日への手紙もそうかな?」

「結構あるね!」

「だから迷うんじゃんか、ありすぎて困る」

「一つ一つ演奏で確かめるしかないんじゃない?」

「だよね〜やるしかないか!」

「その前に授業よ光」

「そう言えばそろそろか」

俺達は授業の準備をして授業を受けてからお昼休みに入る

俺達は空き教室で昼食タイムだ

「それで光、授業中も考えていたみだいだけど、決まったの?」

「残念な事にまだ、即断即決が出来たら苦労しないよ俺

ちなみにさ、皆は、秋で何が思いつく?」

「やっぱり紅葉かな?秋と言えば」

「虫の音色かしら?夏とはまた違った虫のさざめきが良いわね私は」

「あたしはお月見かな!お月様見ながら皆でお団子食べるの!」

「なるほどね〜」

「なんかヒントになりそう?」

「いや〜なんとも言えないね、候補が余計に増えた感じ」

「試しに何か歌ってみたら?久々に学校でもさ!」

「じゃあ、せっかくだから、1曲だけね日菜は前にも聞いてる曲だからすぐわかるかも」

そう言ってギターを手に取り演奏し歌っていく

『今宵も頭上では綺麗な満月がキラキラ

 

幸せそうに世界を照らしている

 

当の私は出来損ないでどうしようも無くて

 

夜明け夢見ては地べた這いずり回ってる

 

それでも誰かに見つけて欲しくて夜空見上げて叫んでいる

 

逃げ出したいなぁ逃げ出せない明るい未来は見えない ねぇ

 

それでもあなたに見つけて欲しくて

 

蝶のように舞い上がるの欠けた翼で飛んだ

 

醜い星の子ミカヅキ』

 

イツメン視点

「なんか、いいね、空に浮かぶ月が三日月から満月に満月から三日月になっていく感じ」

「そうね、月の満ち欠け、月という存在を歌っている感じが何処と無く」

「夜にね、月を見ながら聞くと今とはまた違った意味でるん!ってするよ!」

まるで月が空に上る理由を探すようにまた、満ち欠けの理由を探すようなそんな曲に、世界観に私達は引き込まれる

 

 

 

『今宵も頭上では綺麗な満月がゆらゆら

 

誰かの腕に抱かれて眠っている

 

当の私はひとりの夜に押し潰されては誰にも見えない

 

夜闇這いずり回ってる

 

それでも誰にも負けたくなくて宇宙の隅で藻掻いている

 

追いつきたいや、追い越したい あぁ夢に見たような世界

 

ねぇそれでも誰かと比べてばっか

 

周りを見ては立ち止まって欠けたものを探した

 

そんな自分を変えたい 』

 

イツメン視点

「秋を感じるって言うよりは、夜を感じるって言うのかな?」

「月という存在なんなのかを考えされられる曲かしらね」

「それはあたしも思った〜」

月はなぜ輝くのか、もし月にも心があるなら欠けて満ちるように足りないものを探して自分を作っていくそうな風に言っているような曲なのかなと私達全員が感じていた

 

『それでもあなたとおんなじ景色がまた見たいから

 

泣き出したくても投げ出したくても諦めたりはできない

 

それでもあなたに見つかるように

 

サナギは強く手を伸ばすの欠けたものを抱きしめ

 

願いを放つよミカヅキ

 

それでも誰かに見つけて欲しくて夜空見上げて叫んでいる

 

泣き出したいけど泣き出さないもう後戻りなどできない

 

ねぇそれでもあなたに見つけて欲しくて

 

蝶のように舞い上がるの欠けた翼で飛ぶよ

 

醜い星の子ミカヅキ光を放ったミカヅキ』

 

 

 

月が上る理由を考えた事があっただろうか?月はなぜ上るのかなぜ輝くのかを考えた事があっただろうか?そんな事を考えながら最後のフレーズを弾いて歌っていく

 

 

 

『今宵も頭上では綺麗な満月がキラキラ

 

次は君の番だと笑っている』

 

俺は最後まで歌い終えてから皆に聞いてみる

「どうだった?」

「曲そのものはいいんだけど、お祭りで使うのはちょっとねぇ〜って感じ」

「同感ね、季節的にこういう曲調が多いのはわかるけれど、ちょっと違うわね」

「やっぱり夜に月を見ながら聞くといいんだろうけどね」

「やっぱり皆そう思う?」

俺がそう問いかけると全員が頷いた

「まぁ、まだ時間はあるしゆっくり考えるしかないかな」

「それしかないでしょうね」

そんな話しをしながら俺達は教室に戻り午後の授業を受け

放課後を迎えた。

「光、今日はバイトだよね?」

「うん、今日はこのまま行くつもりだし、一緒に行く?」

「アタシはいいけど、友希那はどうする?」

「せっかくだし、あこも誘って皆で行きましょう」

「じゃああこちゃんには俺から連絡しておくから、校門前で待ってて」

「わかったわ、リサ、先に行きましょう」

「OK!校門前で待ってるね!」

「了解!日菜は?今日、パスパレの練習あるの?」

「今日はロケの打ち合わせなんだ、麻弥ちゃんと一緒に行くから大丈夫だよ」

「そっか、じゃあまたね!」

「うん!また明日ねひ〜くん!」

そうして俺は教室を後にしあこちゃんに連絡を入れてから自転車置き場に行き自転車をとってきて友希那達と合流する

「お待たせ!行こっか!」

「レッツゴー!」

「行きましょう」

「だね」

そうして俺達はcircleに向かった、そしてしばらく歩いてcircleに到着しそこに紗夜と燐子も合流した

「Roseliaは全員集合だね!」

「そうですね」

「さっそく、練習に付き合って貰うわよ」

「良いよ!とりあえず、Afterglowの皆が来たらLIVEホールに移動しての練習になるけど、良い?」

「構わないわ、行ったり来たりするよりその方が良いのでしょう」

「正直ね」

「じゃあ、とりあえずAfterglowが来るまで光を独占させてもらいますか!」

「そうね」

「異論ありません」

「あこも賛成!」

「私もです」

俺は両手を上げて降参のポーズをとり言った

「わかったよ!少しの間独占されてあげますよ」

「やったね!」

そうして俺達はcircleに入りバイト着に着替えその後Roseliaの練習にしばらく参加する

1時間程経って一度休憩に入ったタイミングでまりなさんから

Afterglowの皆が来た事を知らされて俺達はホールに移動する

「光さん、今日はRoseliaの皆さんも一緒なんですね」

「練習に付き合ってたんだよ、今からは蘭達の練習も見るからね」

「そうですか、じゃあ、よろしくお願いしますね」

「まぁ、こちらこそかな?」

「それはそうと、光さん曲決まったんですか?」

「まだだよ、考え中」

「早く決めなくて大丈夫ですか?」

「俺だから」

そう言って肩を竦めて笑う俺になんとも言えない表情を向ける面々に対してさらに続ける

「曲さえ決まれば俺はどうとでもなるからさ!練習時間は夜でも大丈夫な訳だし!」

「それで、その演奏クオリティだから信じられないわよ」

「そう言われてもな〜」

「あの!とりあえず、練習しませんか?あたし達の方は曲決まってるので!」

「OK!じゃあ、俺は音響ルームかな?」

「ここで良いじゃないですか!間近の練習見てください!」

「って言ってるけど、友希那達は?」

「私達の時は音響ルームの方からお願いするわ」

「了解!じゃあ、30分交代で良い?」

「お願いするわ」

「私もOKです!」

「じゃあ、そうしよう!」

そうして30分交代でRoseliaとAfterglowの練習に付き合った後1曲ずつ演奏に混ざりその後解散となった

そして俺の方も上がりでいいと言われたのでそのまま家路に着く、帰り時間が一緒なので今日は紗夜と一緒だ

「光君、私達は光君の実力をどこまで引き出せていますか?」

「4割かな?調子いいと5割いけるけど基本まだ4割ってとこかな?」

「光君の全力を引き出せるのはいつになるんでしょうね」

「どうかな?俺にとっての全力がルミナスとしてなら難しいけど、そうじゃないならすぐだと思うよ」

「光君に近付けば近付くほどあなたは先に行ってしまいますからね」

「そりゃ、俺自身も研鑽は続けないとだしね」

「わかってはいても…もどかしいです」

「俺自身がこのままでいる事を良しとしないからなんだろうけど、俺はさ、皆の光になれるならたとえ追いつかれてもすぐにまた背中を追わせてあげるよ」

俺がそう言うと紗夜はクスクスと笑って言った

「なら、せいぜい追いつかれないように足掻いてくださいねルミナスさん」

「それは反則だって紗夜!」

などと話していると紗夜の家に到着した。

「いつも送ってもらってありがとうございます。」

「別に良いよ、帰りの方向は一緒なんだから」

「それでも、ありがとうございます。」

「どういたしまして、じゃあまたね」

そうして俺は紗夜を送った後帰路に着き自転車を走らせ数分の後自宅に到着しすぐに夕飯等を済ませ数曲演奏するがやはり自分の中でこれだと言える曲が見つからない、SPACEのラストライブの時に近いがあの時とは訳が違う、今回はあくまでも季節にあった曲を探しているからだ。

俺はギターを置いて立ち上がり身体を伸ばしてから呟いた

「俺自身が忘れてる可能性もあるし、ちょっと気分転換に音楽聞こうかな」

そう言って俺はプレイヤーにCDを入れて再生し半分聞き流しながらベットの寝そべりボーッとしていると何曲目かはわからないが曲が切り替わった

「こんな曲もあったなそういえば」

その曲は茜色の約束という曲でちょっとしんみりした感じはあるもの曲名と歌詞がマッチしているなと思う曲だった

「あぁ〜!これがいいかも!1曲目」

そうして1曲目を決めたタイミングでまた曲が切り替わり今度は茜さすという曲に変わるこれもまた今の時期にピッタリだと思った俺は2曲目をこれに決めた。

「一応アンコール曲も考えておいた方が良いかもな」

そう思いアンコール曲も考えアンコール曲はしょぼい顔すんなよベイベーに決めた。

「曲は決まったし、後は練習あるのみ!」

そう言って俺は就寝時間まで練習してから眠りに着いた

そして次の日、イツメンにはいち早く曲が決まった事を伝えたら演奏を楽しみにしているとの事だった。

その後Afterglowの皆にも曲が決まった事を伝えてから

当日までの間はAfterglowと練習を欠かさないRoseliaの皆に付き合い練習していき当日を向かえた

俺は準備を整えてAfterglowの皆と待ち合わせし目的地に向かった

「ここから、どのくらいだっけ?」

「電車で1駅行ってそこから少し歩きますね」

「俺が車の運転が出来たら楽だったんだけどね」

「いやいや、そこまでして貰わなくても大丈夫ですよ!」

「いや、でも、電車使うよりは車の方が早いかなとは思うからさ!」

「まぁ、場合によりけりじゃないですかね?」

「それもそうか」

そんな話しをしながら駅に向かい1駅分だけ電車に乗り数分後電車を降りて徒歩で商店街に向かって歩くこと10分と少し

お祭りらしい賑やかな音が聞こえてきた。

「お祭り独特の賑やかな音が聞こえるよ!」

「ホントですね!」

「これから演奏するんですよね!」

「楽しみ〜」

「同じく〜」

「あたしも同意!今から高鳴るって言うかたぎる!」

「とりあえず、先に運営の人って言うか招待状くれた人達のとこに行かないと」

「そうですね、そっちが先決ですもんね!」

そうして俺達は運営委員のテントに向かいそこで作業をしていた人に声をかける

「すいません、自分達招待状をもらって、演奏するために来たんですけど」

「ちょっと待っててください。今、青年部の組長さんを呼んで来ます」

そう言って集会所の中に入って行きお祭り法被を羽織った男の人と一緒に戻ってきた

「お待たせしました。青年部組長の石崎です。Afterglowの皆さんと、宮村光さんでまちがいないですね」

「はい、大丈夫です。」

「ステージ演目まで時間がありますので、お祭りを楽しんで来てください!演目の時間になる前に放送でお呼びしますので」

「じゃあ、そうします。皆どうする?」

「光さん待ち合わせしてるんじゃないんですか?」

「そうだけど、皆はどうするのかなって大勢の方が楽しいかもしれないし」

「じゃあ、光さんが連絡して聞いてみてください!」

「OK!聞いてみるよ」

俺はスマホを取り出し友希那に連絡する

数回のコール音の後繋がった

(光?現地に着いたのかしら?)

「そうそう、それで友希那達どこに居たかなって」

(ちょうど商店街の入口にいるわ、そっちは美竹さん達と一緒かしら?)

「そうだよ、それで、演奏まで時間あるから皆であちこち回らないかなって」

(構わないわ、とりあえず、入口まで迎えに来てちょうだい)

「了解、じゃあ、今から向かうね」

(待っているわ)

そうして通話を終了させて蘭たちに話しかける

「商店街の入口にいるみたいだし、皆で回るのOKらしいから行こう!」

「まぁ、向こうが良いならそうします。」

「あたし等もそれで大丈夫です」

Afterglowの皆からOKが出たので俺達は商店街の入口で友希那達と合流してあちこち出店を回っていると放送で呼び出しがあったので俺達は移動する事にした。

「じゃあ行ってくるから、見ててね」

「えぇ、最高の演奏を期待しているわ」

「またアタシ達を光の世界に引き込んでね!」

「任せてよ!」

「楽しみにしてるね〜」

「うん、期待してて」

そう言って俺達は移動し準備を万全にしてスタンバイしたタイミングでAfterglowの番となった

「いってきます光さん!アタシ達のステージ楽しみにしててください!」

「ここでみてるから精一杯やりきってきな!」

「はい!いってきます!」

「行ってらっしゃい」

そうしてAfterglowの皆を見送りステージ袖からAfterglowの演奏を聞いていく

 

Afterglow視点

「Afterglowです!今日はお祭りLIVEに呼んでもらったんで、最高の演奏を皆さんに届けます!」

「最高の演奏をいつも通りに!」

「私達らしく!」

「やるよ〜!」

「じゃあ、行くぜ!蘭!曲名よろ!」

「それじゃあ1曲目!ScarletSky!」

アタシ達はお祭りを盛り上げる為に演奏する

そして控えてるあの人に、光さんに最高の演奏を見せるために

この曲を演奏する。

そして1曲目を終えたタイミングでまた話し出す

「2曲目に行く前に、メンバー紹介します!まずはギターの

モカ!」

「モカちんで〜す」

「続けて、ベース件Afterglowのリーダー!ひまり!」

「よろしく〜!」

「キーボードのつぐみ!」

「こんばんは、よろしくお願いします」

「ドラムの巴!」

「よろしくな!」

「そして、ギターボーカルのアタシ!美竹蘭!この5人でAfterglowです。そして、もう1人、アタシ達Aftergloにとってかけがえのない存在で、6人目のメンバーとまで言える存在の光さんが今日、このステージで演奏します!それじゃ2曲目

Y.O.L.O!!」

そして2曲目を演奏していく、アタシ達が演奏で盛り上げて

光さんが終わりを彩る、そのためにアタシ達が最高の状態で光さんに最後を託す為に、いつも通り最高の演奏でこのLIVEを盛り上げて行く

そして、2曲目が終わりアタシ達Afterglowの出番が終わる

「アタシ達の出番はこれで終わりです。次が最後のステージ演目になります。その終わりを飾ってくれるのは、光さんです

よろしくお願いしますね光さん!」

 

光side

「よろしくお願いしますね光さん!」

そう言って蘭が俺の名を呼びそれに応えるように俺はステージ袖から出ていき蘭達全員と掌をうち交し俺は改めてステージに立った

「こんばんは、光です。今日は秋祭りLIVEに呼んでもらえて光栄です。俺が歌う曲はこの季節にピッタリな少ししんみりとした感じの曲になります。まずは1曲聞いてくださいタイトルは

茜色の約束」

俺はキーボードを演奏しながら歌っていく

『茜色した陽だまりのなか無口な風がふたりを包む

歩幅合わせて歩く坂道いつもあたしは追いかけるだけ

つまずいたり転んで泣いてみたり

決してうまく生きれるあたしじゃないけど

あなたがほらあたしの手を引くから

恐がる心も強くなれるよ

だから

泣いて笑ってつないだこの手は重ねた言葉に負けない約束

あなたに出逢えた茜の空に

ほらあの日とおなじことを願うよ』

 

歌って行く中で俺はAfterglowの皆が浮かんだ、いつだったか蘭達が言っていた、いつも練習するのは夕方だからAfterglow

だって、お互いがお互いに出逢えた夕方、そして泣いたり笑ったり時には喧嘩したりする事もあっただろうけど、それだって自分達らしくあれるいつも通りなんだと、だからこそこの曲のイメージにピッタリなんじゃないかと思いながら歌っていく

『ひとつひとつ季節は過ぎていくけど

あといくつの想いを伝えられるだろう

ありふれていた日々さえ戻せはしない

この毎日を一瞬を愛しく想うの

だから

涙も笑顔も繋いだこの手も幾重の写真に負けない想い出

あなたに出逢えた茜の空に

ほらあの日とおなじことを誓うよ

やがて「別れ」が訪れてもふたりすべてを受け止めてく

「出逢った場所」も「今いる場所」も

永遠に心と繋がってる

ほら振り返れば足跡が続くよ

だから

泣いて笑ってつないだこの手は最後の瞬間まで離しはしないで

この道の先をまたふたりで歩いていこう・・・歩いていこう・・・

だから

泣いて笑ってつないだこの手はすべての言葉に負けない約束

あなたと出逢えた茜の空に

ほらあの日とおなじことを願うよ』

ラストまで歌い終えると俺は軽く深呼吸してから話し出す

「1曲目は茜色の約束でした。この曲は友達同士とも、恋人同士ともとれる歌詞の内容だったんですけど、みなさんは誰を思い浮かべましたか?大切な人を思い浮かべてくれたらと思います。続けて2曲目に行こうと思います。2曲目は茜さす」

俺は再びキーボードを弾きながら歌っていく

『枯れ葉舞う街角を駆け抜けてく乾いた風

伸びた影とイチョウ並木季節を見てたかった

返事のない呼ぶ声はあっという間かき消されてしまう

目抜き通り人波抜けてどこか遠く誰もいない場所へ

気付いてたのに何も知らないふり

一人きりでは何もできなかった

出会えた幻にさよならを茜さすこの空に

零れた弱さに手のひらを

一輪の徒花そんなふうに願い叶え痛みを知る』

 

Roselia+日菜視点

「秋って感じするね」

「そうね、どことなくこの季節らしさを感じるわ」

「さすがひ〜くんだよね」

「本当ね、悩むだけ悩んで最高の演奏を披露してくれるだものね」

「やっぱり光兄ぃも光兄ぃの演奏も最高だね!」

「そうだね、本当にカッコイイ」

感じ方はそれぞれ違っても、秋の訪れをそれぞれが感じていた

 

『渡り鳥の鳴く声も赤く染る雲に消えてしまう

帰り道も遠く離れて今は一人誰もいない場所で

気付いた景色の色にふれたとしても

一人きりでは声も出せなかった

愛した幻に口づけを黄昏れたこの空に

まだ夕べの星灯らない

待ち宵も朧げ月は何処に引き裂かれて痛みを知る

くり返す日々の中で探してたのは歩き続けるための願い

出会えた幻にさよならを憧れはこの空に

流れた月日を手のひらに一片の花弁そんなふうに

痛み重ね出会いを知る出会い重ね願いを知る』

2曲目が終わると同時に蘭がステージに出てきて言った。

「光さん!もう一曲お願いします!今のままちょっとしんみりした感じでお祭りの終わりを飾るよりも今日が楽しかったと思えるような曲をお願いします!」

そして蘭の言葉につられるように響くアンコールの声

俺はそれに応えるためにギターを手に取り話し出す

「じゃあ、アンコールに答えてもう一曲、しょぼい顔すんなよベイベー」

 

『しょぼい顔すんなよベイベー

しょぼい顔すんなよベイベー

きっと素晴らしい未来が待ってる』

俺は歌って行く中で仲間たちと過ごす1日1日を大事にして欲しいという思いを込めて演奏する

『今更だけどお前に言うよ立ち止まるには早すぎるだろ

負けず嫌いの俺たちバカは夏の熱さを思い出すんだ

お前がダメな時は俺が頑張るから俺がダメな時は

いつものようにバカやって笑わせてくれ

しょぼい顔すんなよベイベーしょぼい顔すんなよベイベー

きっと素晴らしい明日が俺らを待ってる

しょぼい顔すんなよベイベーしょぼい顔すんなよベイベー

きっと素晴らしい未来が待ってる』

 

Afterglow視点

「あの人らしい」

「気心知れたメンバーではしゃいでる姿が何となく目に浮かぶよ」

「ちょっと私達っぽい感じもするよね」

「わかる〜」

「何となく気付いたら一緒にいて、たまに呆れるようなことしてたりとかあったもんな」

そんな話をしながら私達は光さんの声に耳を澄ます

 

『今さらだけどお前に言うよ一番大事にしてたものが

今ここにある目の前にあるずっとこれから守り続ける

出来るか出来ないかは(出来ないかは)

大したことじゃなくて

やるかやらないかが(やらないかが)

きっとこれからの俺達を繋いでくれる

しょぼい顔すんなよベイベーしょぼい顔すんなよベイベー

きっと素晴らしい明日が俺らを待ってる

しょぼい顔すんなよベイベーしょぼい顔すんなよベイベー

きっと素晴らしい未来が待ってる

しょぼい顔すんなよベイベーしょぼい顔すんなよベイベー

きっと素晴らしい明日が俺らを待ってる

しょぼい顔すんなよベイベーしょぼい顔すんなよベイベー

きっと素晴らしい未来が待ってる』

 

「聞いてくれてありがとうございます。」

演奏が終わり俺がそう言うと拍手が巻き起こった

そして祭りの全ての演目が終わり告げるアナウンスが流れ

お祭りが終わった

俺達は帰り支度をし青年部組長の石崎さんに声をかける

「今日はありがとうございました。」

「こちらこそ、君達を呼んで正解だったよ!機会があったらまた頼むな」

「はい、その時は是非お願いします」

「おう!またな!」

挨拶を交わし俺達は来ていたメンバーと合流し帰路についた

そして帰り道

「光さん、今日演奏した曲、1曲目と3曲目がなんかアタシ達に向けられてるみたいだったんですけど、狙ってました?」

「まさか!演奏する中でそんな感じがするなと思ってはいたけど、あくまでも季節らしさをイメージして演奏したつもり」「それはそうと、光、あなたLIVE中の美竹さんの発言に疑問はないの?」

「なんかおかしなとこあったっけ?」

「メンバー紹介の時だよ!光も数に入ってたじゃん!」

「そういえばそうだね」

「反応薄くないですか?」

「こんなもんじゃない?だって今回は招待受けたのが俺と蘭達Afterglowな訳だし、俺もメンバーに入ってても不思議は無いかなって」

「まぁ、その通りではあるんですけど・・・そうじゃないって言うか、なんて言うか」

「どういう事?」

「いや、光さんバンドはやらないって言ってましたけどなんだかんだあたし等や他のバンドの人達と一緒にいるじゃないですか、あたし等にとって光さんて居て欲しい時に居てくれる存在なんです。だから、あたし等が過ごすいつも通りの中に光さんがいて欲しいなって思って、それであたし等の中で光さんはAfterglowのメンバーの一人って認識なんですよ」

俺がAfterglowにとってどんな存在なのかを巴が教えてくれた。

俺自身も巴の説明に納得していたので特に否定はしないし

むしろやっとかなとさえ思う

「光栄な話だね、なんか、やっと皆に認められたかなって実感が湧くし」

「とっくに貴方のことは誰もが認めてるわよ光」

「わかってるよ、でもさ、やっぱりバンドメンバーに数えられたり、いて欲しいなって思われたり、ちゃんと言葉で伝えられたりすると、改めて形は違えど皆と一緒に音楽やってて良かったなって思うんだ」

「ひ〜くんは皆にとって特別だもん!じゃなかったらあたし達だって頼ったりしないと思うし」

「そうですね、こればっかりは日菜先輩に同意です。」

「そうだね、光を特別扱いって言うか、やっぱりバンドメンバーの一人として数えたりとか、光が言ったように形は違えど、アタシ達を助けてくれる存在なんだし、少なくともアタシ達RoseliaやAfterglowにとってはそれだけ光が特別って事だよ!(まぁ、個人的にもね)」

「そうだったら嬉しいな」

そんな話しをしながら俺達は電車に揺られ自分達の街に戻ってきた。

そして改札を出てからはそれぞれが別方向な為ここで解散となる

「光さん!今日はありがとうございます。アタシ達も楽しかったですしやっぱり光さんの演奏もとても良かったです。」

「喜んでもらえて何よりかな、俺も楽しかったしまたやろう!」

「是非お願いします。でも、アタシ達の当面の目標は光さんに向けて音楽を届ける事です。」

「貴方達だけじゃないわ、それは私達も含めて全バンドの目標よ」

「そうですね、でも、目標が形は違うと思うのでアタシ達はいつも通りの演奏を光さんに届けます。」

「楽しみにしてるよ蘭達のそして友希那達の演奏をこの目にここ耳に残せるような演奏が聞けることを信じてるから」

「期待していてください!」

「うん、楽しみにしている。最高の演奏を聞かせてね!」

「約束します!」

そうして俺達はそれぞれに約束を交わしてそれぞれの帰路に着いた、そして俺達それぞれのメンバーの背中を押すように

少し冷たい風が吹き抜けていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ラストに迷い投稿が遅くなりました。
とりあえずAfterglowのイベントは書ききりました!
残りのイベントも絶賛思考しながら書いてはいますのでお楽しみに
次回はポピパのりみちゃんとお姉さんのゆりさんとのイベントになります。他のポピパメンバーや主人公がどんな風に関わっていくのか楽しみにしていて下さい。
次回「見送る気持ちと明日への道」


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第34話見送る気持ちと明日への道

その日、光は卒業式等とは違う形で誰かを見送り送り出す気持ちを知るのだった。


秋祭りが終わり本格的に秋が深まり冬が近付く中で

等の俺はバイトに勤しんでいた。

とは言っても現状お客さんはおらず練習スタジオやフロアそして店の周りの清掃も済ませて現在は楽器のメンテナンス中

まりなさんはスタッフルームで定期LIVEの案内など書類を作成中である。

俺は楽器のメンテナンスが一段落したので何気なく外を見るとこちらに向かって走ってくる花咲川の制服に身を包んだ女子達が目に止まった

「香澄達だな、髪型特徴的だからすぐわかるや」

そう呟いて俺は立ち上がって軽く身体を伸ばして香澄達が来るのを待っていると扉が開き真っ先におたえが入ってきた

「1番!やった!」

「私2番!」

「3番!残念」

「やっと追いついた!」

「いきなり走るなよ!」

香澄達から少し遅れて息を切らしたりみちゃんと有咲が入ってきたので俺は声をかける

「皆、いらっしゃい」

「光先輩!こんにちは!」

「うん、こんにちは、改めていらっしゃい」

そうしてポピパのメンバーと挨拶を交わしてから俺はとりあえず接客モードで改めて話しかける

「今日は練習していくんだよね?時間はどうするの?」

「とりあえずは2時間で!後、練習見てください!」

「了解」

俺は伝票を切るとスタッフルームにいるまりなさんに声をかけて受付をお願いする

「まりなさん、ポピパの皆が来て練習見ることになったので受付お願いします」

「はいはーい!今行くね」

そうして俺はポピパの皆と一緒に練習スタジオに入り

練習を見ていく

ポピパの皆の練習を見る機会はほとんど無いが、こうしてたまに練習を見ていると皆それぞれが上達しているのが伝わって来る

「なかなか良んじゃないかな?目立ったミスもないし、先走りしてる感じもないし」

「本当ですか!やったー!」

「でも、先輩、細かい指摘はあるんじゃないですか?」

「いや、それ上げてたらキリないから大丈夫」

「まぁ、こう言ってんだし、大丈夫じゃね?」

「そうだね、とりあえずは大丈夫なのかも」

そんな感じでそれぞれの感想を言い合ってから再度練習を再開しまた少し経って一旦休憩に入ったので俺は飲み物を買うために自販機に小銭を入れて話し声が聞こえてきた

どうやら香澄達がなにかを話しているみたいだ

あまり聞き耳を立てるのも良くないと思い俺は

そっとその場を後にし自分の楽器とメンテ道具を取りにスタッフルームにいき楽器とメンテ道具を持って改めて香澄達の所に戻り声をかけた

「香澄?どうしたの?なんか悩んでるみたいだけど」

「光先輩...」

俺の名を呼ぶその声はどこか沈んでいる

どうしたものかと横にいるおたえと有咲を見るが2人も同じような表情をしていた

「なんかあったの?」

「私達じゃなくて、りみが...最近元気ないなと思って、でも、聞いても大丈夫なんでもないってはぐらかすんです。そう言われたら、それ以上踏み込めないですし、どうしたらいいかなって」

「そっか、本人がそう言うなら難しいよね」

「光先輩ならどうしますか?こんな時」

「拒絶されても踏み込むね俺なら、そうしないと自分が本気なんだって伝わないだろうから」

俺の返答を聞いて皆が頷き合い言った

「光先輩!お願いがあります!」

「俺に出来ること?」

「りみと話してみてくれませんか?」

「あたし達だからこそ話しづらい事もあると思うんでお願い出来ませんか?」

「わかった、じゃあ、ちょっと話してみるよ、とりあえず戻ろう」

「わかりました。」

そうして俺達は練習スタジオを戻るとりみちゃんや他の皆と話をする為に話題を振る

「練習再開する前にちょうどいいから皆の楽器のメンテナンスしようか?」

「良いんですか?」

「簡単なやつだけね」

「じゃあ、お願いします!」

「じゃあ、香澄のランダムスターからやろうか」

そうして香澄のギターを簡単にメンテナンスしてから香澄に返す

「ちょっと弾いてみても良いですか?」

「どうぞ」

香澄はギターを弾くと音が響き渡る

「音が変わった?」

「弦が張りすぎてたから軽く緩めておいたんだよ、張りすぎても緩すぎても音は変わるからね」

「なるほど・・・」

「先輩!次は私のをお願いします!」

「ちょっと待ってね」

俺はメンテ道具をから必要な道具を取り出しメンテしていき香澄のギターと同じくらいの時間をかけてメンテしてからおたえに楽器を返却する

「終わったよ」

「さっそく私も弾いてみよう!」

そうして香澄と一緒にギターを弾いて盛り上がっている

「光さん何したんですか?」

「別に、おたえのは何も、弦がくたびれてきてたから簡単にサビ落としてクリーナーかけただけ」

「それであそこまで変わるんですか?」

「使い慣れたやつを少しでも長く使うコツみたいなもんだからねこれに関しては」

「そうなんですね、ちなみにドラムとかもメンテとか出来たりしますか?」

「まぁ、出来なくはないけど、ひとつひとつ音を確認しながらだから大変だよ」

「ですよね〜」

「キーボードはどうですか?」

「中の配線弄っていいならいくらでも」

「辞めておきます、先輩のみたく無雑音にされたらたまったもんじゃないですし」

「あれは配線弄らなくても出来るし、慣れてる人か俺みたいなタイプの人じゃなきゃ使わないから安心して」

「まぁ、そういう事なら」

「りみちゃんは?メンテする?そのベース」

「せっかくだからお願いします」

「じゃあ、ちょっと預かるね」

そうして一時的にベースを預かりメンテしていく中で

話題を振る

「りみちゃんはさ、ポピパのメンバーで演奏するのは楽しい?」

「え!?それは、はい、楽しいですけど・・・」

「けど?何?」

「いえ、なんにも・・・」

「言い辛い事?」

「そういう訳じゃない・・・です」

「もしかして、どう伝えたらいいか迷ってたりする?」

俺の言葉に首を縦に振ってから言った

「バンドの事じゃないし、どちらかと言えば身内の問題で

ちょっとまだ私自身もどうしていいかわからなくて」

「親御さんがお姉さんとケンカでもした?」

今度は首を横に振った

「ケンカじゃないです。」

「お姉さんとなんかあった感じかな?」

りみちゃんの目が大きく見開かれる

「どうしてわかったんですか?」

順を追ってひとつひとつ俺は説明する

「まず、俺は最初にりみちゃんになんて質問した?」

「えっと・・・ポピパの皆と演奏するのは楽しいかって聞きました」

「その質問に迷いなく答えられたよね、そして2つ目の質問に対しては違うって答えた」

「はい、言い辛い事ではないです。」

「それで伝え方がわからないのかって聞いた時はうんって答えたよね」

「はい、間違いないです」

「俺は親御さんかお姉さんとケンカでもした?って聞いた時は違うって言ってた、つまりさ、もしケンカならお姉さんよりは親御さんかなって思ったんだよね、でも、違うって事はお姉さんと何かあったって言うのが正解かなって」

「凄いですね…こんなに簡単に私の考えって言うか迷ってる事を知られたのは初めてです。」

「あくまでも推測に推測を重ねた結果だよ」

「それでも凄いですよ」

「そうかな?でも、まぁ、悩んでる事はおおよその推測が出来たかな」

「そこまでわかったんですか?」

「多分だけど、お姉さんの進路の関係じゃないかな?」

りみちゃんの目が再度見開かれる

「当たってます!お姉ちゃんの進路の関係で私自身がどうしたらいいのか分からないことがあってそれで、どうしたらいいかなって」

「なるほどねぇ、まぁとりあえず、メンテは終了!」

話しをしながらも手を動かしていた俺はりみちゃんのベースのメンテを終えたのでベースを返却する。

「ありがとうございます。私も弾いてみたいのでまた練習見てください!」

「わかった、じゃあ、練習再開しようか!」

そうして俺達は時間いっぱいまで練習して解散した。

結局演奏する時間はあえて取らなかったけど、まぁいいだろう

そんな事を思いながら俺はまだバイトがあったので見送りだけして店内に戻りまた貸出用の楽器をメンテしているとスマホが鳴りメッセージを受信する

「誰だろう?基本電話しかならないからなぁ」

そう言って俺はスマホを確認するとりみちゃんからだった

「珍しい事もあるもんだな」

そう呟いて内容を確認するとさっきまで話していたお姉さんとの事で相談したい事があるからバイト終わりに時間をとって欲しいとの事だった。

俺はバイト終わりに改めて連絡するからどこで待ち合わせをするのかを教えて欲しいとメッセージを入れるとすぐに返答がきて有咲の家に皆で集まっているから来て欲しいとの事だった。

「本人の許可は得てるんだろうし、いいか」

俺は了解と返信しその後貸出用のギターとベースのメンテを終えると上がりの時間になったのでスタッフルームに行きまりなさんに上がりの時間だと伝えて着替え等帰り支度を整えてから有咲の家に向かって自転車を走らせて10分と少し有咲の家に到着しりみちゃんに連絡し到着した事を伝えると

ポピパのメンバー総出で迎えてくれた

そして香澄達に引っ張られて蔵に案内された

「いつ来ても凄いなここ!機材諸々しかもこれ全部使えるんだよね!」

「いやいや、先輩テンションおかしいですって!」

「あぁ、ごめんごめん!やっぱり秘密基地みたいな感じがしてテンション上がるってこれは」

「まぁ、別にいんですけど、とりあえず、りみが話したい事あるって言ってますし、聞いてあげて下さい」

「そうだったね、ちょっと待って」

俺は近くの椅子に座りそれを確認してりみちゃんが話し出す

「えっと・・・光先輩だけじゃなくて、皆にも聞いてほしんだけど、私、上手く伝えられるかわかんないからずっと悩んでたんだ、でも、皆に聞いて欲しいから、言うね」

そうしてりみちゃんが話してくれた内容はお姉さんがこの前行われた進路相談で海外の大学に行く事を先生や両親に伝えそしてその事を少し後になって知ったらしい、りみちゃんとしてはちゃんと見送ってあげたい気持ちも有りこれからも自分達を見守っていて欲しい気持ちも有って気持ちの整理が付かずに悩んでいると教えてくれた

俺は皆の反応を確認すると皆も複雑な表情を浮かべていた

少なくとも、香澄にとってはりみちゃんのお姉さんのバイトの演奏を見た事で自分も同じ舞台でキラキラドキドキするような演奏をしたいと思ってメンバーを集めたし、有咲も少なからず影響を受ける部分があったからこそ今ここにいる

そしておたえはおたえでスタッフという立場からずっとあの人たちの演奏を見てきたからこそ思う所があるんだろう

沙綾もポピパとしてグリグリと共演しているからこそ皆の気持ちもわかるし自分も皆と同じような気持ちだと、そんな表情を浮かべていた。

「あのさ、俺も、1回か2回あの人たちと共演してるから皆の複雑な気持ちはわかるよ、でもさ、今、必要なのは'どうするか'じゃなくて''どうしたいか''じゃない?」

「どういう事ですか?」

「少なくとも、りみちゃんのお姉さん、ゆりさんにも叶えたい夢があるからこそ決めた進路なんだし、少なからず後輩達に笑って送り出して欲しい気持ちはあるんじゃない?特に同じ学校の後輩でもあり、血の繋がった家族であるりみちゃんには尚更さ」

俺の言葉を聞いてもまだ黙ったままの皆の中でりみちゃんが呟く

「どうするかじゃなくてどうしたいか・・・」

「りみりん?」

「私・・・まだ気持ちの整理は出来てないけど・・・それでも、まずは、お姉ちゃんとちゃんと話しをしてみようと思う!」

「て言っても、どうするの?」

「まずは、我儘でもなんでも、私の考えをお姉ちゃんに聞いてもらってそこからちゃんと色んな話しをして、それでもどうしようもなくなったら!また・・・皆を頼らせて!」

そう言ったりみちゃんの瞳には強い決意が宿っていた

「なら、他の皆に出来ることは、見守る事だよ!」

「そうですよね!りみりんの考えをしっかり尊重してそして、りみりんを支えてあげないといけないよね!」

「そう言う事、まずはしっかり話しをする所からだよ」

「はい!私・・・しっかりと自分の気持ちを伝えた上でお姉ちゃんと色々話してみようと思います!」

そうして自分なりに動き皆にも支えて貰う約束をしてその日は解散した

俺は帰宅してすぐ簡単に夕飯とシャワーを済ませてギターを弾きながもう1人の自分と自問自答する。

(僕の出番はありそう?)

「まだわからないけど多分あると思う」

(今回はどんな曲を演奏したらいい?)

「見送る気持ちと見送られる側の気持ちが両方わかるといいな」

(曲は決めておいてね、僕がそれを最高の演奏として奏でるから)

「わかってる、任せてよ、俺は曲を選ぶ」

(そして僕が歌う)

「それが(僕)俺達だ」

俺はもう1人の俺として、また1人の演奏家として今回も必要なら手を貸す事を決めてその日は就寝した。

 

次の日俺は学校でイツメンにあれこれと質問し意見を聞いていた

「3人ともさ、もしも、知り合いの誰かが旅立ち、つまり、引越しだったり、就職や進学とかで海外に行く事になったとしてさ、皆ならどう見送る?」

3人は顔を見合わせて難しい表情をする

「どうって言われても・・・」

「直接会って再会を約束するとか?」

「手紙書いて電話するとか?」

「光ならどうするの?」

「まぁ、やっぱり演奏かな?」

「またなにか考え事?」

「まぁね、俺個人が動くかどうかはまだ分からないけどね」

「今度はどこの女の子を誑かす気かしら?」

「いやいやいや、言い方!」

「光は目を離すとすぐ女の子口説くからね〜」

「口説いてないし!」

「でも、ひ〜くんはいっつもお姉ちゃんだったり他のバンドの子達だっだり隣にいる女の子違うからね〜」

「目の前にこんなに美少女がいるのにね〜」

「自分で言う?普通、確かにリサと友希那は美人だし、日菜は可愛いけどさ」

「そう言う事軽く言っちゃうんだもんね〜光は」

「そうね、褒められてる気がしないわ」

「あたしは嬉しいけどなぁ〜」

「と言うか話題逸れてるから!もう1回聞くけど、皆ならどうするの?」

結局3人の意見はさっきと変わらなかった。

「気持ちの問題かな〜」

なんて呟いたと同時にチャイムが鳴り俺達はそれぞれの席に戻って授業を受け、そして放課後を迎える

「光、今日もバイト?」

「うん、今週は連勤なんだよね、ほら、月一のLIVEも近いし、機材の調整とか色々ね」

「なるほどね〜そりゃ大変だ」

「Roseliaは?今日来るの?」

「今日も個人練習なんだよね、アタシも昨日今日とバイトなんだよね!と言うか光〜そのうちアタシのバイト手伝ってくんない?」

「え?なんで俺?」

「いや〜最近バイトの子が1人辞めちゃってね、今、モカとアタシだけなんだよね、たまにで良いからさ、お願い!」

「そう言われてもな〜、まぁ、本当にたまにでいいなら」

「よろしくね!なんかあったらお願いするからさ」

「お願いだから俺のバイトがない日にしてね」

「ちゃんと確認するって!まぁいいや!またね!」

そうしてリサはそそくさと帰って行った

「言いたい事だけ言って帰っちゃうんだもんな〜まぁいいか、俺もバイト行こ」

そうして俺も学校を後にしバイトに向かった

そしてcircleで絶賛受付カウンターに座り外を眺めていると

昨日と同様に香澄がこちらに走ってきた

「香澄だ、よく走るなー」

そんな事を呟きながら香澄達を待っていると1番乗りはおたえだった

「今日も1番!」

「今日は2番だ!」

「残念、私は3位だ」

「いらっしゃい」

3人とは対象的にりみちゃんと有咲は息を切らしている

「circle近付いた途端走るの辞めろよな!」

「私も走るの苦手だから、いきなり走られると私もちょっとキツいかな」

「確かにね、俺は走るのは嫌いじゃないから良いけど、いきなりだと辛いよね」

「つか、来た目的忘れてないか?」

「そうだった!りみりん!話したい事あるんだよね!」

「うん・・・でも・・・」

「どうかした?」

「実は・・・昨日の事で報告があって・・・」

「昨日の事?あれからなんかあった?」

「お姉ちゃんと話しました…」

「どうだった?」

「上手く伝わったかはわからないですけど・・・お姉ちゃんと話す事が出来ました。」

「良かった、ちゃんと話す事は出来たんだね」

「はい・・・でも、お姉ちゃんを逆に困らせちゃったんじゃないかって不安で、それでまた、先輩に話しを聞いてもらってそこからまた自分なりに動けたらって」

「そっか、聞き返すようで悪いけど、ちゃんと話はできたんだよね?」

りみちゃんが小さく頷く

「お姉さんはなんて」

「応援して欲しいって!私は私で夢を見つけて欲しいって」

「そっか、なら、ちゃんとお姉さんを見送ってあげないといけないね」

「ですよね、ちゃんとお姉ちゃんを見送るしかないですよね・・・」

「りみちゃんはどうしたい?」

「もちろん、ちゃんとお姉ちゃんを見送ってあげたいです。

でも、やっぱり自分の中では近くで見守っていて欲しいなって言う気持ちもあって・・・それはちゃんと伝えたんですけど」

正直な事を言えば、俺から今以上の言葉をかけるのは難しい

今の時代スマホがあれば連絡を取るのはカンタンだが海外に行くとなれば時差の問題等もあり中々難しいだろう、それでも、お姉さんの夢を応援してあげたい気持ちがあるのならもう一度伝えてちゃんと答えを見つけるしかないのかもしれない

「難しいよね、人の気持ちって言葉ひとつで簡単に揺らぐし

言葉って伝え方によってはやっぱり相手を傷付けたりもするしさ、言葉を探すってよく聞くけど、あれって俺にとってはある意味凄い言葉だなって」

「どうしてですか?」

「結局自分の言葉で伝えるために自分の言葉を自分の中からこれだって思うものを見つけないといけないでしょ!」

「確かに、そうですね、一理あると思います。アタシだってコイツらだからこのくらい言ってもっていう部分はやっぱりありますからね」

「私も、有咲達だから多少の無理も言えるって部分はあるよ」

「うん、それはあるかな、私も香澄たちとだからこそ出来る演奏があると思うし!」

「そうだね、考え方が違っても、前を向く気持ちは同じだよね!」

「皆・・・ありがとう!私・・・ちゃんとお姉ちゃんを笑顔で見送れるように何回でもちゃんと決心ができるまで話し合ってみるね!」

「じゃあ、そんなりみちゃんの背中を押してあげようかな!」

「もしかして演奏するんですか?」

「そのつもり、まりなさん!この場でやっちゃって良いですか?」

「良いよ〜お客さんも居ないし好きにして大丈夫」

「じゃあさっそく」

俺は手元に置いていたケースからアコギを取り出しスマホからギター以外の音を飛ばし歌っていく

『君の中に絡みつくのは何 劣等感?

それとも不調わな日々に芽生えた違和感?

空虚な空 気が付けばほらうつむいて

一人ぼっちになっていたいつかの帰り道

特別なことでは無いさそれぞれ悲しみを抱えてんだよ

自分次第で日々を塗り替えていける

誰の心の中にも弱虫は存在していて

そいつとどう向き合うかにいつもかかってんだ

そうやって痛みや優しさを知っていくんだよ

間違いなんてさきっと何一つ無いんだよ

誰のせいでもないさ人は皆鏡だから

勇気を出して虹を描こう

越えて越えて越えて流した涙はいつしか

一筋の光に変わる』

 

ポピパ視点

「誰の中にも弱虫は存在していてか」

「特別な事なんて無くてそれぞれ悲しみを抱えてんだよなんて思いもしないよな」

「ひとつひとつの歌詞が印象的だね」

「りみ、どう感じる?」

「人は皆鏡だからって歌詞がね心に刺さるって言うのかな?

必ずひとつ共通点が誰にでもあるよって言われてるみたいでなんかいいなって」

抱えている不安が自分だけじゃない、一人一人がそうなんだと私達に教えてくれるような、そんな曲だと思った

 

『曲がりくねった道の途中で

いくつもの分岐点に僕らは出会うだろう

だけどもう振り返らなくていいんだよ

君だけの道その足で歩いていくんだよ

遠回りしたっていいさ時にはつまづく事もあるさ

でも答えはいつも君だけの物だから・・・

届け届け届け暗闇の中で泣いてたんだね

希望を乗せ空に響け』

 

ポピパ視点

「そっか、そう言う事か」

「なんだよ香澄」

「何かあった?」

「あのね、りみりんだけじゃなくて私達全員に向けられてるよ!いくつもの分岐点に出会って決めた道を振り返らないでって答えはいつも自分だけのものだからって」

「そうだね、遠回りしてつまづいてそれでも、それが私達の出した答えだからって」

「希望を空に乗せ響けって歌詞が好きかな、遠く離れても届くと信じて歌ってる感じがする」

沈んでいた気持ちが晴れるように自然と下を向いていた顔を上げて前を向けていた

 

『乾いた大地踏みしめるホコリまみれのBoots

与えられたきた使命(いのち)取り戻すのさRoots

吹き抜ける風の中を光と影を受け止めたなら行こう君と

 

越えて越えて越えて 越えて越えて越えて

流した涙はいつしか一筋の光に変わる

虹色の明日へ続く・・・

雨上がりの空にそっと架かる虹の橋

雨上がりの空にそっと架かる虹の橋』

演奏を終えると俺は皆に向けて話し出す

「りみちゃんだけじゃなくて、みんなに向けて演奏したつもりだけど、伝わったかな?」

「十分ですよ!」

「十分過ぎるくらいです。」

「アタシも同意です」

「下向いてたら見えるものも見えなくなるよって言われてるみたいでした。」

「私も・・・迷っても良いんだって言われてるみたいでした。

迷って悩んで決めた道なら振り返らないで進めって言われてるみたいで、沈んでた気分が晴れやかな気分になりました。」

「なら、後は自分次第だよ!」

「はい!私、やっぱりお姉ちゃんともう一度話してみようと思います!ちゃんと決心が着くように」

「とりあえずは一段落かな?練習してく?せっかくだから付き合うよ」

「お願いします!」

「皆もそれでいい?」

俺は皆に問うと返答は頷きだった。

俺はしばらく練習に付き合いその後ポピパのメンバーを見送りバイトに戻った

それからしばらくして俺も上がりの時間になったので家路を辿る

そして、自宅に到着してすぐに俺のスマホが着信を報せる

「誰だろう?この時間に連絡なんて」

確認するとりみちゃんからだった

「ルミナスの出番だな」

そう言って電話に出る

「もしもし、りみちゃん?どうしたの?」

(こんばんは、光君、私よ…わかるかしら?)

「はい、お久しぶりですゆりさん」

(久しぶりね、いきなりごめんなさい。話がしたいの、香澄ちゃん達と話した公園に来てくれるかしら?)

「わかりました。今から向かいますね」

(待ってるわ、それじゃあまた後で)

「はい、また会いましょう」

そして俺はすぐにルミナスの衣装に着替え荷物を持って家を出る

そして目的地に向かって自転車を走らせること10分と少しして目的地の公園に到着する

そしてそこにはりみちゃんとゆりさんが待っていた

「待たせてすいません。」

「別に良いわ、呼び出したのはこっちだし」

「それでもですよ、とにかくまずは、座って話しましょう」

「そうね、そうしましょうか」

2人はなぜかベンチではなくブランコに座った

俺は対面の柵に座り話を切り出す

「それで、俺に話ってなんですか?」

「まずは、もう一度お礼と謝罪をさせてちょうだい、わざわざ来てくれてありがとう、遅い時間に呼び出してごめんなさい」

「別に良いですよ、遅いって言っても個人的にはまだ平気ですし、気にしないで下さい」

「そう?なら気にしない事にするわ、それでね、ここからが本題なのだけど、りみが私に本音をぶつけて来たのよ、それで、普段なら言わない様なホントの気持ちというのかしら?そういうのも聞けたのよ、初めてだったわ、りみが心の底から私に本音をぶつけて来たのは」

「言いたくても言えない事ってありますからね」

「えぇ、それでりみに何かきっかけをあげた人がいたんじゃないかって聞いたら、貴方が演奏でりみの背中を押してあげたって聞いたのよ」

「そうだったんですか、俺は演奏から何かを感じてくれたら良いなと思いはしましたけど、特に何かした訳じゃないんですけどね」

「先輩は話しを聞いてくれてアドバイスをくれました!

'どうするか'じゃなくて''どうしたいか''だって、その言葉があったから私はお姉ちゃんと本気の本音で話す事が出来ました。そして、演奏を聞いて、今のままじゃダメだって思えたんです。」

「りみからそれを聞かされたからこそ、あなたにお願いしたいのよ、私とりみ、2人に向けて演奏を聞かせてちょうだい

私にはまっすぐ前を向いて行けるように、りみにはちゃんと私を見送ってあげたいと思えるように」

「わかりました。任せてください!俺が、いえ、僕が最高の演奏で2人に届けます!」

俺はルミナスの姿になり演奏の舞台を整えて2人の前に立ち話し出す。

「こんばんは、この姿の時はルミナスって名乗ってます!

まずは1曲聞いて下さい歩いていこう」

 

『歩いていこう歩いていこう僕は「今」を生きていくよ

君がくれた言葉はここにあるよそうだよ歩いていこう』

俺は演奏を始めてすぐに表現力の翼を広げていく

ゆりさんが前を向いて行けるように、りみちゃんがちゃんとゆりさんに行ってらっしゃいと言えるように

自分を信じて歌っていく

 

『歩道橋の向こうに冬の都会(まち)が見えたよ

ひとかけらの孤独を手に僕は明日をつないでる

「こころで笑えるかな」いつかの声が聴こえた

白い息が空に消える寂しくはない駅へ急ぐよ

「帰らないと決めたんだ」はじまりを告げるように

雪が降り始めた

 

歩いていこう歩いていこう僕は「今」を生きていくよ

傷ついても何度も信じたいよこの手をこの日々を

君と泣いて君と笑って僕は強くなれたんだろう

君がくれた言葉はここにあるよそうだよ歩いていこう

 

たぐり寄せた希望が温もりを抱いている

愛を許せる強さは君が僕に伝えたこと

「会えなくてもわかってるよ」

今の僕はあの日の君に胸を張れるのかな

うれしいこと悲しいことそのすべてを忘れないよ

ひとつひとつ心を照らしている

そうだよ''ひとり''じゃない』

 

ゆり&りみ視点

「SPACEで聞いた時より格段に演奏が上ね、隠していたのかしら?」

「あの時は光先輩個人としての最高の演奏をしたんだと思うよ!でも、今は、私達だけに向けて歌ってくれてるから大勢に聞かせる時とはまた違うんだと思う、それに、お姉ちゃんにも見えてるかな?私が涙を堪えながらも笑顔を浮かべてお姉ちゃんに手を振ってるのが」

「えぇ、りみが行ってらっしゃいって涙を堪えながら笑って手を振ってる瞬間が見えたわ」

引き込まれる演奏ってこういう演奏なんだと改めて感じた瞬間だった

 

『さよならさえ ありがとうさえ

もう君には言えないけど

''季節''はいまたしかに変わっていく

そうだよ はじめるよ

歩いていく歩いていく僕の「今」を生きていこう

君がくれた言葉はここにあるよそうだよ歩いていこう』

演奏を終えて俺は話し出す。

「俺が用意してきた曲は次が最後です。キーボードをメインに演奏します。聞いて下さい、YELL」

僕はキーボード弾きながら歌っていく

『「''わたし''は今どこに在るの」と踏みしめた足跡を

何度も見つめ返す

枯葉を抱き秋めく窓辺にかじかんだ指先で夢を描いた

翼はあるのに飛べずにいるんだ

ひとりになるのが恐くてつらくて

優しいひだまりに片寄せる日々を越えて

僕ら孤独な夢へと歩く

 

サヨナラは悲しい言葉じゃない

それぞれの夢へと僕らを繋ぐYELL

ともに過ごした日々を胸に抱いて

飛び立つよ独りで未来(つぎ)の空へ』

 

ゆり&りみ視点

「お姉ちゃんを見送る私と見送られるお姉ちゃんが見えるよ」

「私は挑戦の意味で独りで旅立つ姿が浮かぶわ」

お互いが見送り見送られる姿が演奏により伝わってくる。

演奏を通して自分達が'どうするか'じゃなくて''どうしたいか''

だと言っていた理由をしれた気がした

 

『僕らはなぜ答えを焦って宛の無い暗がりに

自己(じぶん)を探すのだろう

誰かをただ想う涙も真っ直ぐな笑顔もここに在るのに

''ほんとうの自分''を誰かの台詞(ことば)で

繕うことに逃れて迷ってありのままの弱さと向き合う強さを

つかみ僕ら初めて明日へと駆ける

 

サヨナラを誰かに告げるたびに

僕らはまた変われる強くなれるかな

たとえ違う空へ飛び立とうとも

途絶えはしない想いよ今も胸に』

 

ゆり&りみ視点

歌詞が自分達の迷いを歌っているようでお互いに感じ方は違えど、自分達なりに迷ってありのままの弱さと向き合う強さを

つかんで明日へと向かうことの大切さを知れたと感じていた

「先輩の演奏の中に私達がいるね!お姉ちゃんと一緒に演奏した日とか過ごしてきた日々が思い出されるよ」

「同感ね、りみだけじゃない、グリグリの皆とも少した日々すら思い出されるわよ」

お互いの中の大切な思い出とこれから過ごす明日を私達なりに考えながら演奏を聞いていく

 

『永遠など無いと気づいた時から

笑い合ったあの日も歌いあったあの日も

強く深く胸に刻まれていく

だからこそあなたはだからこそ僕らは

他の誰でもない誰にも負けない

声を挙げて''わたし''を生きていくよと約束したんだ

ひとりひとつ道を選んだ

 

サヨナラは悲しい言葉じゃない

それぞれの夢へと僕らを繋ぐYELL

いつかまためぐり逢うその時まで

忘れはしない誇りよ友よ空へ

 

僕らが分かち合う言葉がある

こころからこころへ言葉を繋ぐYELL

ともに過ごした日々を胸に抱いて

飛び立つよ独り未来(つぎ)の空へ』

演奏を終えて俺は2人に向けて再び話し出す。

「僕の演奏を通して見送る側の気持ちと見送られる側の気持ちを知って貰えたら嬉しいです。どんな風にとかこんな感じなんだとか色々思うところはあると思いますけど、僕の出番はここまでです。後は2人で決める事ですから」

そう言って髪を解きピアスを付け替えてルミナスから光へと戻る俺にりみちゃんが話しかけてきた

「先輩・・・ありがとうございます。おかげでお姉ちゃんの旅立ちを笑って見送ることが出来そうです!」

「良かった、これで正真正銘一件落着かな?」

「まだね、残念な事に」

俺の言葉を半ば遮るように言ったのはゆりさんだった

「まだ何かあるんですか?」

「えぇ、本当の終わりは私が旅立つその日だもの」

そういう事かと俺は納得する確かにその通りだと思う

旅立つその日が終わりであり始まりだと俺自身も感じた

「ねぇ、光君、もう1つお願いを聞いてくれる?」

「俺に聞けることなら」

「見送り、あなたも来てちょうだい!」

「俺もですか?」

「えぇ、貴方の演奏で私を見送ってちょうだい」

「わかりました。それまでに最高の曲と演奏を準備しておきます。」

「楽しみにしているわ」

「先輩!本当にありがとうございました」

「まだ先だけどしっかりとお姉さんを見送ってあげようね」

「はい!」

そうして2人は帰っていき俺も家路に着いた

また1つ新たな約束が交わされて・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回もラストに迷いましたね起承転結の結が決まらない感じで書いていくうちにこうかな?といった感じですね
次回はまたハロハピの話を書いていこうと思いますのでお楽しみに
次回「涙と理想の笑顔」

もう1つこのあとがきでお知らせしておきます。
カバーLIVE編が終わり次第
空に憧れた少年とバンド少女達か歌姫と僕とのどちらかを投稿します。気長に待っていてください



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第35話涙と理想の笑顔

世界を笑顔と嬉し涙でいっぱいにしたいと願うハロハピは
今回は身近な人達を笑顔にするために行動する中で彼女達と光は何を見つけるのか


放課後ハロハピside

放課後にこころの家に集まり行動方針を決めるために

一応会議を行っている私達の行動は基本的にこころのよくわかんない思いつきから始まるそして今日もまた突拍子もない思いつきからこの会議と言うか集まりに繋がる

そして今現在もこころのこころに寄る謎の発表会が開催されてる

「というわけで、まずは身近な人達を笑顔にするわ!」

「身近な人って?黒服さん達とか?」

「学校の皆かも!」

「私のファンの子達だろうか?」

「身近な人って具体的にどうなんだろ?光さんなら路上LIVEとかで道行く人達や自分達の知り合いを笑顔にするとかなんだろうけど・・・」

「それよ!美咲!路上LIVEをしましょう!」

「さっきの身近な人ってそいう言うこと!?」

「どういう事?美咲ちゃん」

「つまりこころは路上LIVEで今言ってた皆を笑顔にしたいってことだよ!」

「その通りよさすがね美咲!それでこれよ!」

そう言ってこころはホワイトボードを指差す

「そう言われてもな〜」

「アハハ〜」

他2人はわかんないけど、少なくとも私と花音さんはわかっていない、どうしよう・・・頼っても大丈夫かな?

「ハァ〜花音さん、光さん呼ぼうか…」

「それがいいかもね・・・」

「ですよね、あの人ならなんか上手くまとめてくれそう」

「だね、ちょっと頼らせてもらおうか」

「こころ〜路上LIVEするなら光さん呼ぼうか〜」

「そうね!光はたまに路上LIVEしているようだし、話しを聞きたいわ」

「という訳なんで花音さん連絡お願いしま〜す」

「え!?私?美咲ちゃんがするんじゃないの?」

「私がしてもいいんですけど、花音さんのお願いなら光さん断らないと思うんで!」

「わかったよ・・・連絡してみる」

そうして花音さんに光さんへの連絡をお願いしてホワイトボードに描き出された絵を見てどうまとめていくかを思案する

 

 

光side

ギター用のスタンドを見に楽器屋に来ていた俺は商品を手に取りながらこれだと思うものを探している。

「なかなかにしっくり来るものがないな〜同じに見えてもやっぱり違うからな〜」

そんな事を呟きながら店内を散策しているとスマホが着信を報せる

「誰だ?友希那辺りかな?」

そう呟き画面を見ると花音からだった

「珍しい事もあるもんだな」

そう言って電話に出る

「もしも〜し俺だけど、なんかあった?」

(いきなりごめんね、実はちょっと手を貸して欲しくて)

「またどっかでLIVEやるの?」

(路上LIVEなんだけど、光君に話しを聞きたいって)

「良いけど、どこに行けばいい?」

(こころちゃんの家に来てくれると助かるんだけど、大丈夫?)

「OK!今から行くよ!」

俺は店を後にしこころの家に向かった

そして自転車を走らせること数十分こころの家に到着しインターホンを鳴らすと黒服さんが出迎えてくれて案内されるままにこころ達がいる場所に通された。

部屋に入ると真っ先にホワイトボードに描かれた絵が目に入る

「路上LIVEなのに本格的にセットでも組む気かな?」

路上LIVEは基本特定の楽器と最低限の機材でやるものだし、セットまで組むなら普通にLIVEを行う方が楽だ

そう思っているとこころが顔を見せた

「来たわね光!さっそく貴方の意見を聞かせてちょうだい」

「て言われてもな〜」

俺は少しの間沈黙し考えるそして少ししてまた話し出す。

「なんなら、一緒にやる?実際に路上LIVEしてる姿見てもらう方が参考になると思うし」

「私は良いよ!その方が確かにわかりやすいだろうし」

「つまり、そういう事だね!」

「大丈夫なんですか?」

「さっきも言ったけど見てもらう方が早いだろうから」

「こう言ってるし大丈夫だよ!」

「決まりね!行きましょう楽器は忘れないで持ってきてちょうだい!」

そうして俺達は駅前に移動し俺はそそくさと準備して演奏を始める

朝や昼時とは違い曲調がゆったりしたものやバラードなどを演奏して行く

朝や昼ならこれから行動を起こす人が多いためテンションが上がるような曲が好まれるが1日の終わりが近付く夕方は落ち着いた曲調のものが好まれる俺は演奏しながら周りの反応を見て曲を選んでいき数曲演奏してからこころ達にバトンタッチする

そしてこころ達はあくまでも笑顔で1日が終わって欲しいと言う思いからえがおのオーケストラやハピネスっ!ハッピィーマジカルを演奏していた

「ハロハピの曲から元気を貰える人も多いだろうな」

そんな事を呟きながら演奏を聞いているといつの間にか終わっていて見物客達はバラけて行った

そしてこころ達も楽しめたようなのでそのまま俺達も帰ることにして俺は途中まで花音と一緒に帰るために花音の準備が終わるのを待っていると美咲が俺の横に並んで話しかけてきた

「こころのわがままに付き合ってくれてありがとうございます。」

「別に良いよ!たまに路上LIVEを誰かと一緒にやるのは悪くないと思うしね」

「まぁそれならいいんですけど・・・ねぇ、光さん、

笑顔って・・・涙ってなんなんだろう?」

俺はその問いにすぐに答えることが出来なかったなんだろうと聞かれるとすぐに答えは浮かばないあって当たり前のものだと思うから

「そうだな〜まぁあって当然のものってのが正直な所だけど、美咲が聞きたいのはそういうんじゃなくてもっと違うなにかでしょ?」

「私なんかわかんなくなってきて、こころは皆をそして世界を笑顔にしたいっていつも言ってるんですけど、私もその考えって言うか理想に付き合うって約束もしました。でも、今のままで本当に世界を笑顔にそして嬉しい涙でいっぱいになるのかなって」

「あくまでも理想論って片付けるか、理想に向かっていくかの違いだね」

「光さんはどうですか?感情そのものをどう説明するとかそういうのって」

俺は考えてみる感情が人として大切なものならばそれをどう伝えるか

「がむしゃらになった証かな?」

「どういう事ですか?」

「まぁ、これは俺の意見だけどね感情ってどんなものでも歌詞に乗せやすいものなんだ、身近にあって目に見えるようで見えないものそれが感情なんじゃないかな?」

「よく・・・わかんないです」

「美咲は何に悩んでるの?難しいこと考えてるようにも見えるし、今のバンドの方針について悩んでるようにも見える」

「夢のありかとかですかね?自分でもわかんないんです。今のこの何気ない事に対する疑問って言うかそういうのが」

俺はなんとなくだけど、ハロハピの夢というか理想について悩んでるように感じた、世界を笑顔にしたいそして嬉しい涙だったりとにかく嬉しい楽しいと思う気持ちで世界を満たしたいハロハピの皆の中で美咲自身が自分はどうなんだろう?自分も心からたくさんの人が笑える世界を望んでいるのかが分からないのかもしれないと、こころは純粋にその気持ちを言葉にそして態度に表しているけれど、こころを見ていると自分と比較してしまう部分があるのだろうなと

ちゃんとした答えが出ないまま黙っていると花音が戻ってきた

「おまたせ光君、美咲ちゃんも」

「ううん別に良いよそんなに待った感じしないし」

「私もです。そんなに待ってないんで気にしないでください」

「じゃあ帰ろうか」

そうして俺達は帰路に着いた

「来るまで何を話してたの?」

「ハロハピみんなの話聞いてただけ、いつどこでLIVEしたとかこころがこの時にとんでもない事したとか、そんな話」

「そうなんだね、光君が参加してないタイミングもあったからね」

「俺が参加したのなんか2回だけじゃん!まぁ楽しかったけどね」

そんな話をしながら歩いていると分かれ道に到着し2人と別れ家路を急ぎ家に着いてすぐに本棚をあさり本棚から何冊かの本を手に取りそのまま読み進め途中休憩を挟みながら寝落ちするまで読書に勤しんだ

そして次の日も学校に着くとそのまま昨日の続きから読み進めて行く

読む事に没頭していたせいか周りの音を聞いていなかったらしい肩を叩かれて我に返り顔を上げるといつものメンバーが俺の顔を覗き込んでいた

「随分集中してたみたいだけど、大丈夫?」

「あぁ、うん平気ちょっと夢中になってただけだから」

「何を読んでいたの?」

「ココロコネクトって小説、人格の入れ替わりとか、感情伝導とかが人為的に起こって巻き込まれる話なんだけど、読み始めると止まらないんだこれがまた」

「面白そうね、借りてもいいかしら?」

「別に良いよ1度は全部読んでるから」

「とりあえず1巻だけで良いわ」

「光はどの話読んでたの?」

「俺は心の声が聞こえる話ミチランダムだよ」

「聞かれたくないことまで聞かれるのはやだな〜」

「まぁ、なんて言うか今回は参考資料みたいな感じだからね」

「どういう事?」

「まぁ、自分と他人を比較しちゃう事ってあるじゃん、それで悩んでる時の状況とかが何となくね」

「という事は光ま〜た誰か口説く気?」

「違うって!なんでそうなんの?」

「どうせ女の子絡みでしょ」

「だとしても口説くのとは違くない?」

「本気で言ってるんだから質悪いよね色ボケ」

「違うし!」

「ひ〜君の女たらし」

「日菜までそんな事言わないでよ!友希那〜」

「事実でしょう」

「友希那まで!」

そんなやり取りをしているとチャイムが鳴りホームルームが始まりそこから移動教室等々であっという間にお昼休みに入った。

俺は昼休みを利用して薫の奴に会いに行った

「体育館辺りにいるだろ」

そう目星をつけて体育館に向かうとステージで薫が一人芝居をしていた

「おい!薫!」

「おや、珍しいお客人だ、どうしたんだい?」

「いや別に、ちょっと話さない?お前に色々聞いてみたい事があるんだよ」

「そういう事なら少し話をしようじゃないか!」

同じ目標に向かっているのに感情面での温度差を感じ自分と相手を比較し悩んでいる子がいて何か明確に答え示してあげたいと思っている事を当人の名前等は伏せて簡単に事情を説明した。

「なるほど・・・それで私に何を聞きたいんだい?」

「お前よく一人芝居とかするだろ?そういう時って役者という面で誰かと比較したりとかやっぱりあると思うんだお前ならそういう時どうしてる?」

「ただ信じるのみだね、私より上手い役者はいくらでもいるから比べても仕方ない、私の演技を信じるのみだね」

「ならもう1つ聞かせてくれ、例えばハロハピの世界を笑顔と嬉し涙で満たしたいって言う理想を所詮は夢物語だ諦めろと言われたらどうする?」

「こころが折れない限り私も折れることは無いだろうさ!

こころが諦めない限り私達も理想が現実になると信じられるからね!」

何となくパズルのピースがひとつハマった気がした

「何となく掴めた気がするよ!ありがとうな」

「気にしないでくれたまえ、私と君の仲じゃないか!

余計なお世話かもしれないが、感情的な事を聞きたいなら

千聖を頼ってみたらどうだい?」

「千聖を?なんでか聞いても良い?」

「彼女は今も女優としての道を歩いている、感情のこもった演技などは彼女の方が詳しく説明してくれるだろうさ」

「そっか、じゃあ頼ってみるわ、サンキュな薫!」

「君に助けになれなら本望さまた会おう」

「あぁ、またな」

そうして薫の元を後にし千聖に連絡を取るとすぐに千聖に繋がった

(もしもし、光?どうしたのよ)

「知り合いがちょっと感情面で悩んでてさ、力貸して欲しいんだ、千聖の意見を聞かせて欲しい」

(いいわよ、放課後少しだけなら時間が取れるからその時詳細を聞かせてちょうだい)

「わかった、後悪いんだけど、花音も呼んでおいてくれるかな」

(わかったわ、何か考えあっての事なのだろうし信用するわ)

「助かる、ありがとう」

(いいわよ、その代わり1つ貸しよ)

「わかった、それで構わない、放課後頼むね」

(えぇ、じゃまた放課後)

「うん、また放課後」

そうして教室戻るとリサと日菜に拘束され席まで引きずられる

「2人とも何?」

「光、いったい何企んでるの?」

「ひ〜君、何かあるなら聞かせて」

「さっき説明したよね?」

「具体的にどのバンドのどの子を口説く気なのかしら?」

「だから口説く気とかそういうんじゃないから!誰も口説いてないし!」

「まぁ、その辺については別にいいわ、私達に手伝える事はないの?」

「すっごくありがたいけど、関わった以上俺が最後までやり遂げたいんだよ」

「そう、なら、光!1つ約束してくれないかしら?」

「何?」

「もう少し先だけれど、FWFの出場を賭けたオーディションがあるのよその為に力を貸してちょうだい」

「もちろん!その時は言ってよ!最大限力貸すからさ」

「光、頼むからなんでも1人で抱えようとしないでよ!

本当、たまには頼ってよね!」

「そうだよひ〜君」

「わかってるよ!」

そうして2人の拘束から逃れてすぐに5限のチャイムがなり俺達はそのまま授業を受けた

そして5限、6限を終えた放課後俺は早足で千聖と花音が待つ駅前の喫茶店に向かった

そして店内に入ると近くの席に2人を見つけそこに合流する

「おまたせ!少し遅かったかな?」

「問題ないわ」

「私も大丈夫だよ」

「それで、光、相談内容を詳しく教えてくれるかしら?」

俺は薫にした説明を今度は千聖と花音に向けて説明した。

今の説明で花音はもしかしたらおおよその察しは着いたかもしれないが確信がないからなのか黙っている

「なるほどね〜感情面で自分と相手を比較てしまってどうにも前に進めなくなっているとそういう訳ね」

「そういう事、だから、千聖の意見として女優として活躍している千聖はこういう時どうしてるのかなって」

「そうね〜私個人は演技にも感情は必要だと思うから私はあえてポジティブに考えることにしているわ」

「例えば?」

「そうね、演技する中の会話シーンなんかでケンカになるとするじゃない、その時自分が発する言葉は怒りから来るものなのか、それとも悲しみから来るものなのかそれを相手の演技と比較してこっちかなと思ったりとかかしらね」

「なるほどねぇ〜」

考え方感じ方がそれぞれだからこそ話を聞くと確かにと思う部分もあったりするから人の意見って大事だと思う

「花音はどう?」

「私は〜そこまで考えないかな、考えちゃったら気にしすぎてそれどころじゃなくなるし」

「2人にとって感情ってどんなもの?大切なものなのはもちろんだけど、感覚的な意味合いで言うとこれって言うのあったりする?」

「そうね、やっぱり無くしちゃいけないものかしら?」

「私は目には見えない宝物かな?」

「貴方はどうなのよ」

「生きるために必要で生きたと思える証かな?」

「素敵な答えだと思うけど、何がダメなの?」

「それはあくまでも俺にとっての価値観みたいなもんだからね、ちゃんとした俺だけの答えを見つけて、その子に伝えたい」

「そういう事なら答えは簡単じゃない!貴方得意じゃない!演奏で全部伝えたら良いのよ!」

「それが1番かもね!」

「いや、でも、曲も決まってないのに?」

「光君は常に私たちに何かを教えようと演奏してくれるでしょ、それでいいんだよ」

そう言って花音がさらに続ける

「光君にとって音楽って大切以外で言うなら何?」

俺は迷わずその回答を口にする

「皆との絆、そして何より守りたいもの」

「答え、それでいんじゃないかしら?」

「え?」

「感情云々じゃなくて貴方が守りたいのは音楽に対する気持ちでそれと直結するのが感情ってことなんじゃないかしら?」

「遠回りしちゃったけど、今回は多分光君自身が何かを掴まなきゃいけないって思ったからそうしたんだよね」

2人に言われて気が付いた、無意識に自分自身が今とは違う答えを見つけてそれを示すために行動していた事に

「なんか・・・情けないな俺、あんだけ色んな人達ってかバンドのメンバーにあれこれ曲ぶつけといて俺自身が何かを掴み損ねてたんだからさ」

「貴方は同い歳ににしては大人すぎるのよ!少しは肩肘張る必要も無くなるわよ」

「だとしても、変わらないよ、俺はこれからも皆をたくさんの曲で支えたい!だからこそ演奏する!それが俺の音楽だから!」

「貴方には助けられてばかりだけど、また頼るかもしれないわ、だって貴方は頼ったら助けてくれるもの」

「そうだね、光君だからってのもあるけど、やっぱり頼りたくなるよね」

「光栄だよ、俺はいつでも皆の力になるから、言って!」

俺の言葉に2人は強く頷いてくれた

「私、そろそろ行くわね!光、払いはお願いしてもいいのかしら?」

「ちゃっかりしてるな〜まぁ良いけどね、花音は悪いんだけどもう少し俺に付き合ってくれる?」

「もちろんだよ!」

そうして俺達はそのまま喫茶店を後にし千聖と別れ

数日前にりみちゃん達と話した公園に来ていた

少し日が落ちて来たこともあり少し薄暗く人気もない

「光君、ここに来てどうするの?」

「決まってるじゃん!演奏するんだよ」

「でも、楽器だけじゃ意味無いんじゃ」

「問題ないよ!荷台と籠に積んでた荷物は路上LIVEした時に使ってた機材だからね」

「私はどうしたらいいの?」

「美咲を呼んでくれる?」

「やっぱり、光君が心配してたのは美咲ちゃんだったんだ」

「聞かれたんだ、笑顔って涙ってなんだろうって、俺は一応自分の考えは伝えたんだけど、余計に混乱させたみたいでさ

だからこそ前とは違う答えを探して遠回りしたんだ」

「そうだったんだ、教えてくれてありがとう、今連絡するね」

「お願いね 」

そうして花音に美咲を呼び出してもらっている間に俺もルミナスの姿に変わる、今回はあくまでも見た目を変えただけだが

それでも、ルミナスとして演奏する事には変わりはない

(僕の出番のようだね)

「あぁ頼む、笑顔と涙そしてそこから生まれる希望を伝えてやってくれ」

(君がそれを強く望むなら俺は君に応えよう)

そうしてルミナスとしての自分へと変わり準備を完了させる

そして花音が通話を終えて話しかけてきた

「すぐに来るってさ」

「花音もここにいてね、美咲だけじゃなくて花音にも聞いてほしい、多分花音と美咲だからこそ伝わるものがあるだろうから」

「わかったよ、でも、あのさ、光君で良いんだよね?」

「当たらずとも遠からず、光だけど光じゃないんだ」

「もしかして千聖ちゃんはその姿を知ってるの?」

「うん、知ってるよ、でも知ってる人半分知らない人半分ってところだからなるべく黙っててね」

俺の言葉に花音は頷いてくれた、そして待っていると美咲がやってきた

「花音さん、お待たせしました。後、光さんも…って言うか、光さんなんですよね?」

「もちろん!でも、まぁ、今は、ルミナスって言って本気で誰かに演奏で何かを伝えるための姿だからさ」

「そうなんですか、じゃあ、私と花音さんに何かを伝えようとしてくれてるって事ですか?」

「そういう事、演奏の前に伝えておくね、前に僕に聞いたよね、笑顔って、涙ってなんだろうってその時に答えたのとは違う答えを見つけたから、それを言葉と演奏で伝えたくてここに来てもらったんだ」

「聞かせてください!私自身もそれ次第で答えを見つけられるかもしれません!」

「俺にとって笑顔は守りたいもの、涙は背中を押してくれるものだよ!」

「それが、先輩の答えなんですね!」

「うん、これが俺の答え」

「じゃあ、演奏でそれを改めて教えてください!」

「OK!じゃあいくよ!1曲目は笑顔の訳!」

俺はギターを弾いて歌っていく

『閉ざされた記憶の中の傷が音もなく心に触れる時に

やさしく微笑むその裏には孤独の涙

 

果てしない強さ求めて信じるもの達と何度も駆け上がれ

 

守りたい信じたい笑顔の訳をすべて

激しさも愛しさも全部受け止めるよ

二度とその手を離さないあの光りを目指して』

 

美咲・花音視点

 

「守りたい信じたい笑顔の訳をすべてか」

「美咲ちゃん?」

「光さんは笑顔は守りたいものって言ってました、私はまだ答えはでないけど、まずは光さんやこころ達を信じる事から始めてもいいかもしれないですね」

「皆が笑顔で居る理由を信じられたらきっとそれはそれで答えなんじゃないかな?」

「かもしれませんね」

はっきりこれだという答えは出ないけれど、信じる事の大切さをしれた気がした

 

 

『思いやる互いの胸重ねて許しあい分かち合える想いに

変わらぬ様に祈り続ける誓いの言葉

 

怖れない心求めて信じる夢掲げ両手に抱きしめて

 

愛したい感じたい笑顔の訳を全て

ありのまま聞かせてよ心の叫びさえ

二度とこの瞳をそらさないあの光りを燈して』

 

美咲・花音視点

「今度は怖れない心求めて信じる夢掲げ両手に抱きしめてだって!悩んでる私がバカみたいです。」

「多分光君は実際バカみたいって思ってるかもね、自分でも答えを見つけられたんだから、ちゃんと答えは見つかるよって」

「上手く伝えられないから曲で伝えてるんですよね!ホントに不器用なんですよね!」

「だからこそ伝わる時もあるよ」

本当にその通りだと思うしこの人にしか出来ないやり方だと感じた

 

『果てしない強さ求めて信じるもの達と何度も駆け上がれ

 

守りたい信じたい笑顔の訳をすべて

激しさも愛しさも全部受け止めるよ

 

愛したい感じたい笑顔の訳を全て

ありのまま聞かせてよ心の叫びさえ

二度とその手を離さないあの光りを目指して』

 

1曲目の演奏を終えた僕は話し出す

「1曲目は笑顔の訳、この曲には僕が笑顔は守りたいものって言った理由って言うか、まぁ、伝えたい事が全部歌詞に詰まってるなと思ったから選んだんだ、2人にも伝わってたらいいなと思いながら2曲目に行きますタイトルは笑顔」

俺は2曲目を演奏し歌っていく

 

『だから僕は笑ってほしんだだから君と生きていたいんだ

かけがえのないひとよ僕は君を守り続けたい

君がそこにいてくれることがただその小さな奇跡が

なによりもあたたかいだから僕は強くなりたい

Yeah,yeah Yeah,yeah

 

花がまた咲いている僕はちっぽけな1歩を歩む

思い出に変わるこの日々に何度もサヨナラするよ

どこまでもどこまでもいつだって1番の光り

背中をちゃんと押しているよ

 

優しいひとになりたいいつかの君が言ったね

心の中でくすぶる切ないものつたえてよ

そうさ君が笑ってくれるなら

僕はなんでもできるよなんてちょっと強がってるかな

でもねなぜか勇気がわくんだ

花が散って咲くようになんども

しあわせを繰り返せたなら

そうやって生きていこうだから僕は強くなりたい

Yeah,yeah Yeah,yeah

 

ごめんねと言えなくてもどかしさをぶつけたりもした

いちばん近くにいることに甘えてばかりじゃだめだね

楽しいひとでありたい受け入れることを恐れず

ひたむきな時をかさねてたしかなものみつけたい

 

抱えきれぬさびしさのなかで

もしも君がひとりでいるのならばかみたいにがむしゃらに

僕はずっと手を伸ばしたいんだ

わかりあうことは難しいけど

分かち合うことは僕にもできる

ただとなりにいるからいつも君のそばにいるから

 

いつも真ん中にあるよたいせつなものはここにある

つつむような君のその手が優しい強く握り返すよ

 

いつかちょっと悲しいこともある

いつかちょっと嬉しいこともある

でもぜんぶ笑えたらいい

ぜんぶ抱え生きて行けたらいい

すべてがまた変わってしまってもなんどでも花を咲かせよう

しあわせになれるように

君とともに歩いていけるように

笑いながら泣くような日々を

泣きながら笑うような日々を

そうやって生きていこうだから僕は強くなりたい

Yeah,yeah Yeah,yeah』

 

「この曲は誰かが誰かと一緒に生きたい笑いあって泣いたりしたいっていう想いが強く込められた曲だと思います。

2人はどう感じたかな?君達の言葉で聞かせてよ」

 

俺は2人に向けて問いかける

少しの沈黙の後口を開いたのは花音が先だった

「私は、ちょっと強がりだけど、誰かと一緒ならなんでもできるって感じの一生懸命な姿が浮かんだな〜」

それにつられるように美咲も話し出す。

「私はしあわせになれるようにがむしゃらに手を伸ばしてたくさんの人と分かち合う瞬間が浮かびました!それでわかりました、私にとって笑顔は強くなりたい、信じたいって気持ちの裏返しでなによりもあたたかくて信じられるものです!」

「美咲ちゃん…」

「答え、出たね!じゃあ、次は涙だね、僕にとって涙って背中を押してくれるものだよ、美咲がこの曲から何をどう感じるかは自分次第だよじゃあ、聞いてください、涙」

 

『こぼれ落ちるその涙がいつでも君の背中を押してる』

 

僕(俺)は美咲と花音の2人に向けて最後の演奏を届ける

この先、喜怒哀楽の感情に振り回されることがあっても

決して自分を見失わないように、そんな気持ちをこの曲にのせて歌っていく

 

『もうガマンしなくてもいいよ溢れだしそうなその気持ちを

いつもの笑顔に戻れるなら朝までずっとつき合うから

こんな泣き虫な君はきっと心に素直なだけさ

その頬に伝う雫を僕は見守っているよ

目を逸らしてきた自分の弱さと今

向かい合うことでしかつかめない未来があるから

こぼれ落ちるその涙がいつでも君の背中を押してる

無駄な事は何もないよ悔しさ数えるたび強くなれる

昨日より強くなれる』

 

美咲・花音視点

「……そっか…そういう事か…」

「美咲ちゃん?大丈夫?」

「大丈夫…ですよ…なんか、本当に気持ちが溢れてきそうで…どうしようもなくて…」

「わかるよ、光君の演奏が心に響いてくるもん」

涙が背中を押してくれるものっていう意味がわかった

今、光さんが見せてる世界には笑ってるこころ達と泣き笑いの私がいるのが見えたから

 

『そうさ一人眠れない夜があって自分の事が嫌になって

でも不器用なりに踏ん張って君が苦しんでるの分かってるよ

また噛み締めた唇胸の奥の痛みを振りきるように

ぐっと堪えてる涙僕だけには見せてよ

押し殺してきたさまざまな感情を

解き放つ事でしか変われない自分がいるから

 

こぼれ落ちるその涙がいつでも君の背中を押してる

無駄な事は何もないよ悔しさ数えるたび強くなれる

昨日より強くなれる』

 

美咲・花音視点

「なんか、私の事歌われてるみたいで、泣けて来ちゃいます」

「わかるよ!私もね、ずっと心に残ってる曲があってねその曲を聞くとね励まされるんだ、この曲は美咲ちゃんにとって心に残る曲なんだと思うな」

確かにそうかもしれない、この曲が私に教えてくれた

涙は流した分だけ背中を押してくれるものだって

 

『僕に足りないもの君が無くしたもの

それぞれに埋め合いながらまた

踏み出していこう夜を超えて行こう

たとえ何が待っていたってその瞳を閉ざさないで

 

こぼれ落ちるその涙がいつでも君の背中を押してる

無駄な事は何もないよ悔しさ数えるたび強くなれる

昨日より強くなれる 強くなれる』

 

演奏を終えて俺は2人に問いかける

「僕が伝えたい事は伝わったかな?」

「とても、伝わりました」

「私もね励まさた」

「よかった、美咲、答えは出た?」

「はい!私にとっても涙は背中を押してくれるものです!」

「そっか、じゃあ、それを他の皆にも伝えてあげなよ!

そうすれば他のみんなもそれぞれの答えをくれるはずだからさ!」

「そうします!光さん!ありがとうございます!」

「俺はきっかけを作ったに過ぎないよ!そこから答えを見つけたのは自分だよ!」

「そうだね、光君の言う通りだと思う、光君、私から最後に1曲リクエストしていいかな?」

「何?」

「私に送ってくれたあの曲、大丈夫を聞かせてよ」

「OK!じゃあ、これが今日の正真正銘最後の曲大丈夫」

 

『魔法の言葉を君に贈ろうどんな問いにもそれで即答

 

安らぎを与え不安を消し満たす君のその孤独も

 

It's alright心配ないぜ

 

ほんの小さな事さ気にも留めなくていいから

 

ほらねいつだって隣は俺がいる

 

でもどうしてもシコリが取れない

 

時に不安がまた君を駆り立てる

 

曇り空隠したように見えぬ明日へ

 

話すなと差し出した手握ったならばいいか?言うぜ?

 

俺が「大丈夫」って言えば君はきっと大丈夫で

 

もし世界中が君の否定をしても

 

俺が「大丈夫」って言えば君はきっと大丈夫で

 

俺だけが世界中の否定をしていよう

 

君もよく使うその言葉は間違えて使っているようだな

 

本当は辛いのに辛くないふりを

 

して言うのまるで相槌みたいに

 

心配、迷惑をかけたくないと

 

無理をしてる君を見るのは辛いよ

 

積み重なったそれが顔に見えた時張り詰めた糸が切れた

 

泣き崩れてしまったあの夜も

 

辛い過去の思い出は窓の向こう

 

抱き寄せてまた耳元で囁こういいか?言うぜ

 

俺が「大丈夫」って言えば君はきっと大丈夫で

 

もし世界中が君の否定をしても

 

俺が「大丈夫」って言えば君はきっと大丈夫で

 

俺だけが世界中の否定をしていよう

 

eveythings gonna be alright

 

それはきっと私のせいと君はまた一人で抱える

 

声にならない声が聞こえてる「痛いよ」って

 

荷物重たいよね?半分持つよidont care

 

心配してくれてありがとうでも俺は「大丈夫」です。

 

何も無いように気丈に振る舞い

 

人目を避けて一人うずくまり聴きだそうとする事も難しい

 

そんな強さあまりにも辛い

 

世界を変えてみせる俺の言葉で届かせる君の奥の奥底まで

 

何度でも言うぜ君は決して間違ってないと

 

俺が「大丈夫」って言えば君はきっと大丈夫で

 

もし世界中が君の否定をしても

 

俺が「大丈夫」って言えば君はきっと大丈夫で

 

辛いならその度言おう何度でも

 

そして世界は君に告げる

 

「あなたはきっと大丈夫」って

 

心を開いた君に世界中が愛をくれる

 

もう言わなくてもいいねコレで最後「大丈夫」と

 

戻った笑顔そのままの君でいてよずっと』

「これが花音さんの心に残ってる曲なんですね!なんて言うか、この曲は弱い自分を肯定して受け入れてくれるような包み込むような曲ですね」

「そうなんだ!これが私の心に残ってる曲なんだ」

「花音にはピッタリの曲だったかもね!選んで良かったよ」

「光さん、今年は残念でしたけど、来年は私にも曲を送ってくださいね」

「もちろん!楽しみにしてて」

そんな話をしながら俺は機材を片付けてから2人に言った

「そろそろ帰ろうか、途中まで送るよ」

「ですね、お願いします」

「お願いするね」

そうして2人を途中まで送った後俺は帰宅しシャワー諸々を済ませすぐに眠りに着いた

 

 

そして次の日

俺のスマホにメッセージが届いた、内容は皆と話し合って

これからも理想に向かって頑張ると言う内容だった

「良かった、目標を再認識して皆と気持ちをひとつに出来だんだね」

俺はこれからも理想に向けて頑張ってとメッセージをとばし

てスマホをポケットにしまうと再び自転車を漕いでいく

気持ちや価値観からのすれ違いを光自身も身をもって知った

その瞬間だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




投稿遅くてすみません。相も変わらずラストに迷いながらの執筆活動になります

何はともあれハロハピの話は全3話を書き終えました。
次回は誕生日イベントでおたえの話を書いていきますのでお楽しみに
次回「誕生日と季節の歌」


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第36話誕生日と季節の歌

ポピパのメンバーの一人おたえ、誕生日に向けて行動する光は当日をどう祝うのか…


バイト中、俺はスマホのカレンダーとにらめっこしながら

思考を巡らせていた

「どうしたもんかな?」

「何が?」

呟きを隣に座って作業していたまりなさんに拾われる

「いや、もうすぐ誕生日の子がいて、どうお祝いしたもんかなと」

「今までみたいにデートでもしてあげたら?」

「毎回それだとありきたりすぎません?」

「本人達が喜ぶならそれが1番だと思うけどな〜」

「その通りだとは思いますけど、仮に、デートするにしても場所とかもありますから」

「学生だと行ける範囲限られる場合もあるもんね」

「そうなんですよね」

結局どこに行くか何をするかも決まらないままバイトの時間も終わり俺は帰宅中も絶賛考え中だ

「遊園地は有咲の誕生日に皆で行ったしな〜動物園?も今時期はちょっとな〜そうすると、LIVE?もツアーとか組まれるのはまだ先だし」

などと呟きながら自転車を走らせているとあっという間に自宅に到着し俺は荷物を置いてからベランダに出ておたえに連絡をとる

「本人の意見聞いておいて損は無いし」

そう言って電話をかける

少しの間待っていると留守電に切り替わる前におたえに繋がった。

「もしもし、おたえ、ごめんね寝てた?」

(光先輩!大丈夫ですよ!ギター弾いてて気付きませんでした)

「なら、良かった、電話した理由だけど、もうすぐ誕生日でしょ?どこか行きたい所とかないかなって」

(デートのお誘いですか?)

「まぁ、そんなとこ」

(光先輩はどこでも良いんですか?)

「俺はどこでも良いよ」

(なら、光先輩の時間を独り占めさせてください!具体的にはLIVEで!)

「どっかLIVEに付き合うの?」

(じゃなくて、光さんの単独LIVEをお願いします!)

「時間は1時間か2時間が限度だけど大丈夫?」

(大丈夫です!)

「じゃあ、LIVEのテーマどうしよっか?」

(それじゃあ季節が良いです!春夏秋冬の季節に合わせてたくさんの曲が聞きたいです!)

「じゃあ、時間を2時間として、MC挟みながら全部で12曲季節ごとに全3曲でいいかな?」

(それでお願いします!)

「じゃあ、場所はcircleで夜からで良いかな?」

(昼間は皆とパーティしますからそれでお願いします!なんなら先輩も来ますか?)

「皆が良いって言ってくれたらケーキ持っていくよ」

(じゃあ、皆に聞いておきます)

「よろしく、曲はこっちで決めておくから」

(わかりました、じゃあ、おやすみなさい)

「おやすみ」

そうして電話をきると俺はさっそくセトリを考える

「まず春はいきものがかりのSAKURAとコブクロの桜

あとはケツメイシのさくらでいいかな、春は桜3曲で決まり!夏は夏祭りでやった曲でいいとして、秋は茜色の約束と茜さすとYUME日和で冬が雪の華と雪の降らない街それと春夏秋冬で良いかな?」

そうして曲を決めてからその日は就寝した

 

そして次の日、今日も今日とて質問攻めにされている

「さぁさぁ、キリキリ吐いちゃいな光今回は何を企んでるの?」

「別に何も企んでないよ!誕生日パーティするから来てって言われただけだって言ってるじゃん!」

「それだけじゃないんだよね〜光」

「それ以上の事は何もないよ! 」

「ひ〜くんは今度は誰に何するの?」

「いや、だから言ってるじゃんパーティに呼ばれたからプレゼントとケーキの準備って!」

このやり取りは何度目だろう?俺が何かする度この3人からあらぬは疑いがかけられる

今回もそうだ、純粋に誕生日のお祝いをしようとしているだけなのにいったい何を企んでるのかと問われている

「なんにしても、俺は特別な事は考えてないよ!少しは信用してよ!」

「そう言って何人の女の子を泣かせたのかしらあなたは」

「人聞きの悪いこと言わないでよ!」

「やっぱり光は今回も女の子を誑かす気なんだね!」

「ひ〜くんの色ボケ」

そう言ってリサと日菜はムスッとした表情を浮かべる

参ったなと思いつつも俺はいつかも言った言葉を繰り返す

「なんの心配してるのか知らないけどさ、俺から誰かを口説いたりする気は無いよ!俺が誰かを選ぶ事で傷付く人がいるなら選ばないし選ばせない!前にも言ったよね!」

「だからこそよ光、誰のものにもならないからこそそういう意味での距離感に戸惑う人達だっているわ、少なくとも私達Roseliaはあなたを6人目のメンバーとして見ている訳だし」

「いや、そう言って貰えるのは嬉しいし光栄だよ!でもさ、自分の手が演奏が届く範囲は少なくとも幸せでいて欲しいじゃん!俺はそのために演奏してる訳だし、もちろん自分の夢のためってのもあるよ!こういうの全部ひっくるめて俺だから」

「そこまで言われちゃったら納得するしかないじゃん!」

「だねぇ〜あたしとお姉ちゃんの時もそうだったしね〜」

「私やリサの誕生日の時もそうだったわ」

「だよね、まぁ、今回は信じてあげよっか!」

「最初から疑われるような覚えはないよ!」

「どうだか…」

結局呆れ半分といった感じで話題が切り替わる

「ところで、光、もう少ししたらだけど、私達Roseliaに付きっきりになってもらう事は可能かしら?」

「別にいいけど、なんで?」

「言ってたでしょ、FWFに向けたオーディションよ」

「あぁ、なるほどね!まぁ本格的に手が必要になったら言ってよ」

「その時はお願いするわ」

そんな話をしていると昼休みが終わる

 

その頃花咲川side

「という訳で!おたえの誕生日は有咲の家でパーティしま〜す!」

「何がという訳なんだよ!全然中身伝わってこねーよ」

「えぇ〜」

「ごめん!実は私もよくわかんない」

「沙綾まで!」

「香澄ちゃんとりあえず1から説明しようよ!」

「わかったよ!」

「あのさ、その前に1つ良いかな?」

「なんだよ?」

「パーティするのはわかったけど、具体的に時間とかは?」

「昼間でいいんじゃない?」

「私もそれだと助かるけど、昼間なら光先輩ケーキ持ってきてくれるって」

「「「「嘘!?」」」」

「ホントだよ?」

「でも、おたえなんでそんなこと知ってるの?たまたま?」

「ううん連絡もらったんだ!デートのお誘いされたよ」

「え…?じゃあ、おたえ光さんと出かけるの?」

「ううん、多分皆とパーティしますって言ったら昼間ならケーキ作って来てくれるって言ってた」

「そ、そっかぁ〜」

沙綾がなんでか安心してる、なんか変な事言ったかな?

そう不思議に思っていると有咲が話し出す

「まぁ、家でやるのは全然いんだけど、おたえはそれでいいのかよ?光さんと出かける云々もだけど、両親と過ごすとかさ」

「その辺は大丈夫!お母さんには皆が祝ってくれるって言ったらプレゼントの用意だけしておくって!」

「なら、いんだけど、時間と場所は光先輩に言っておけよ」

「わかった!」

「じゃあ、当日は私達と光先輩でパーティだ!」

「イェーイ!」

こんな感じで盛り上がりながら昼休みを終えて授業に戻った

 

光side

午後の授業を終えて学校を後にし絶賛バイト中である

「午前中はお客さん来ました?」

「それなりかな?午後も光君と入れ違いだけどお客さん来てたよ」

「そうですか、基本Roseliaとかガールズバンドの子達としか関わらないのでその変知らないんですよね」

「いんじゃない?大ガールズバンド時代って言われてるくらいだし色んな子達と知り合っておいて損はないでしょ!」

「まぁ、そうなんですけどね」

などと話しているとポピパの皆がやってきた

「先輩!こんにちは!」

「やぁ、香澄、皆も」

「はい!」

「こんにちは!」

「どうもッス」

「こんにちは光さん」

「今日は練習?」

「それもあるんですけど、おたえの誕生日パーティーに招待しに来ました」

そう言って招待状を渡してきた

「ありがたく貰っておくね、当日楽しみにしてて」

「待ってますね!」

それから俺はポピパの練習に付き合いしばらくしてから解散した。

俺は帰宅しシャワー諸々を済ませるとおたえの誕生日LIVEのとは別にCDに曲を入れていく

「一応LIVEとは別になんかプレゼントは用意しておかないとだしな」

そう言いながら手を動かして作業を進めていき曲と自分の演奏を一つにしていく作業を繰り返し完成したものをケースに入れて準備を完了させる

「後は…一応LIVEの予定かな?まぁそれは明日でも間に合うし、今日のところは良いか!」

そうして俺は就寝した。

 

次の日から当日までは慌ただしく過ぎていきあっという間に当日を迎える

俺は忘れ物がないか等確認を徹底し家を出る

「よし!行くか!」

そうして俺は有咲の家に向かった

自転車を走らせ数十分後有咲の家に到着すると

タイミングよく香澄と有咲が出迎えてくれた

「先輩!待ってました!」

「ようこそ先輩、一応出迎えさせてもらいました」

「わざわざありがとう。これケーキ、落とさないでね」

「預かりますね」

「ところで今日の主役は?」

「もう来てますよ、蔵にいます」

「じゃあ、俺もお邪魔しようかな」

「こっちですよ!」

「お前が案内すんなよ!一応あたしの家だぞ!」

「まぁまぁ、目的地は一緒なんだし、大目に見てあげなよ」

「先輩、甘いんですよ!香澄はすぐ調子に乗るから!」

「有咲酷〜い」

なんて話しながらポピパがいつも練習する蔵に案内された

「いつ来ても凄いな〜ここ!機材とかかなりのレア物もあるしさ!」

「先輩、目的忘れてるって!」

「あぁ、そうだったねごめんごめん、改めてHappyBirthdayおたえ」

「ありがとうございます!」

「おたえ!」

「「「「「誕生日おめでとう!」」」」」

お祝いの言葉と一緒にクラッカーを鳴らす

「これは私達から」

「アルバム?」

「そうだよ!ポピパと過ごす時間を思い出をこれに1枚ずつ収めていこう!」

「ページ、めくってごらん」

おたえが最初のページをめくるとおたえを含めたメンバー一人一人の写真が収められていた

「俺からはこれ」

そう言ってCDとキーホルダーを渡した

「これ、私のギターそっくり!」

「ホントだ!」

「まぁ、一応手作りだよ」

「大事にしますね」

「まぁ、壊れるまで大切にしてくれたら良いよ」

「おたえ!ケーキにロウソク立てていい?」

「お願い!」

「ロウソクがちゃんと数字になってるのも凄いね!」

「これも手作りですか?」

「まさか!これは市販品だよ、こっちは手書きだけどね」

そう言ってバースデーカードを渡す

「開けてみても良いですか?」

「どうぞ」

「おたえなんて書いてあるの?」

「今日という日がかけがえのない思い出になりますようにだって」

「メッセージは光さんが考えたんですか?」

「一応ね」

俺がそう言うと皆が感心していた、俺としては普通なため感心される様なことはしていないつもりだったんだけどなと思いながらとりあえずロウソクに火を灯すと

皆でHappyBirthdaytoyouを歌ってお祝いする

「皆!本当にありがとう!」

そう言っておたえはロウソク火を吹き消した

「じゃあ、切り分けるよ!」

俺はそう言って皆にケーキを切り分ける

「いただきます!」

おたえを筆頭に皆がケーキを頬張り思い思いの感想を口にしていく中俺は一人演奏の準備を始める中香澄が俺の行動に気付いた

「先輩!もしかして!」

「うん、演奏するよ!ちゃんと1曲だけだけどBirthdaysong用意してきたからね」

「是非聞かせてください!」

「良いよ!じゃあ早速!タイトルはそのままHappyBirthday!」

俺はギターを弾きながら歌っていく

『今から何年も前のちょうど今日という日に

君は元気いっぱい産声を上げた

世界中の誰もが思わず微笑むようなそんな幸せに包まれた

 

内緒でサプライズするための選ぶプレゼント

君の喜ぶ顔を思い描きながら

今日ばっかりな財布のひも緩めちゃうよ

花束にクラッカー いちごのケーキ

年歳の数だけロウソクを用意して

年歳の数×100くらいの「おめでとう」贈ろう

 

ハッピーバースデーハッピーバースデー

君が生まれたこの日に

ハッピーバースデーハッピーバースデー

抱えきれないほどの愛を今FOR YOU

 

みんなに愛される君に僕も出会えたから

僕にとっても特別な日になったんだ

「おめでとう」を言える喜びを抱きしめながら

かけがえのない君のハッピーバースデー

 

歳を一つ重ね君は去年よりもきれいになっているよ

衰えない輝きをずっと

 

ワンダフォーデー ワンダフォーデー

やっぱり人生は素晴らしい

スペシャルデー スペシャルデー

特別な人よ君が大好きさ Yeah !』

 

ポピパ視点

先輩の演奏に合わせて手拍子をしている私達を見て

先輩も嬉しそうに演奏している

「いい曲だね」

「心の底からお祝いされてる感じが伝わってくるしね」

「本気でお祝いしようって気持ちが感じられるもんね」

「だな、色々盛大にやってくれるんだもんマジ適わねぇ」

「多分これでも、本気の演奏では無いんだよね」

「だと思うな、本気の演奏は1度聞いたら忘れられないから」

本気の演奏を聞いた事があるメンバーとそうじゃないメンバーで感じ方は違っても、先輩の心からのお祝いが伝わってくるからこそ私達も手拍子でそれに応えていく

 

『ハッピーバースデーハッピーバースデー

君が生まれたこの日に

ハッピーバースデーハッピーバースデー

抱えきれないほどのの愛を今FORYOU

また来年の今日へとつなぐ愛を今FORYOU』

 

ポピパ視点

サビに入ってから私達は演奏に合わせて手拍子をしていた

「私達がおたえの誕生日プレゼント選んでる時とか、今のこ

の瞬間とか、全部が伝わってくる感じ」

「わかる!聞いてるこっちも楽しいしね」

「あの人に適う気がしねーわ、あたしらも最大限のお祝いしたつもりだけどさ、結局この人に全部もってかれた感じがする」

「光先輩と比べちゃダメだよ」

「でも、曲でもなんでもさこんなにお祝いしてもらって最高に嬉しいのは私、初めて!」

皆で話ながら歌の続きを聞いていく

 

『歳を一つ重ね君は去年よりもきれいになっているよ

衰えない輝きをずっと

 

ワンダフォーデー ワンダフォーデー

やっぱり人生は素晴らしい

スペシャルデー スペシャルデー

特別な人よ君が大好きさ Yeah !』

 

ポピパ視点

先輩の演奏に合わせて手拍子をしている私達を見て

先輩も嬉しそうに演奏している

きっと先輩も嬉しいんだろうな

「本当にいい曲だね」

「心の底からお祝いされてる感じが伝わってくるからね」

「本気でお祝いしようって気持ちが感じられるから尚更かな」

「だな、アタシの時もなんだかんだ盛大にやってくれたんだもんマジ適わねぇ」

「多分これでも、本気の演奏では無いんだよね、一度聞いてみたい」

「本気の演奏は1度聞いたら忘れられないから、今でも十分凄いけどね」

本気の演奏を聞いた事があるメンバーとそうじゃないメンバーで感じ方は違っても、先輩の心からのお祝いが伝わってくるからこそ私達も手拍子でそれに応えていくかたちで演奏が終わった。

「終わっちゃった…」

「だねぇ…」

「もっと聞きたいな〜」

「あたしも…せっかくだから…」

「先輩!お願いします」

「うん、良いよ!じゃあ、さっそく次に行こう!」

そう言って俺は追加で数曲演奏した後皆と少し話をしてから解散した。

俺はおたえを自転車の後ろに乗せてcircleに向かっていた

「なんか、皆に申し訳ないですね」

「いんじゃない?逆に俺の方が申し訳ないよ!おたえの誕生日、それも年に一度しかない大切な時間を多少とはいえ貰うわけだからさ!」

「それは気にしすぎですよ!光先輩の演奏を独り占めする機会を貰えて逆に申し訳ないです!」

「ン〜じゃあ、お互い様?アッハハ!」

「そうかもですね!」

なんて笑い合いながら自転車を走らせているとcircleに到着した

「じゃあ、行こっか!」

「はい!」

俺達は店内に入り受付にいたまりなさんに声を掛ける

「お疲れ様です。まりなさん!頼んでいた準備は?」

「出来てるよ!ステージの準備」

「じゃあ、さっそく使わせて貰いますね!」

「良いよ〜」

俺はさっそくステージに立ち簡単に最終調整をした後に

ギターを手に取りマイクを通して話し出す

「こんばんは、花園たえさん、今日は大切な時間をくれてありがとう、季節事に色んな曲を用意したから聞いてください、じゃあ、1曲目春の曲からSAKURA」

 

曲は桜が舞い散るところから始まるこの曲の中の主人公は桜が舞い散るのを見ながらいつかの春を思い出しているのだろうと、主人公自身は故郷に残り、相手の君という人は別の場所で新生活をスタートさせる

電車から2人で歩いた大橋を見て寂しさを感じながら君の事を思い出している様子を再現していく

そして歌詞は2番に入る

2番の歌詞は手紙を書くシーンで始まる

書きかけの手紙には相手を気遣い元気でいることを伝えようとしている主人公、周りの自分達の住む街の環境は変わっても季節は進みまた桜が咲く''君''がいなくても自分の居場所で未来を夢見て前に進んで大人になっていくただそれと同時に良いことも悪いことも過去の出来事に今と未来が上書きされていくもので君が好きだからこそ忘れてしまいたくないそんな気持ちが伝わってくる

主人公にとって春は''君''を思い出す季節だったが年月が経って大人になった事で寂しさは消えて春は通過点となり

立ち止まらず前を向いて歩き出していくという決意を感じさせた

 

そして演奏が終わると俺は再び話し出す

「このまま2曲目にいこうと思います。タイトルは同じで桜

同じタイトルの曲をこのまま連続して聞いてくださいじゃあ2曲目の桜に行きます」

俺はそう言って演奏を始める

この曲は失恋と再会を歌った曲だ1番は主人公の恋心を花に例えて歌っている

花を咲かすというのはもう一度恋愛するためと解釈できる

歌詞にある土の中で眠る命のかたまりはそのまま球根そして成長していく芽を太陽と月に例えている一般的に太陽と月が出会うことはないと言われていてこの歌詞の中では寂しさを分け合っているからだと解釈できる

太陽と月のように会えない距離にいてもお互いに影響を及ぼし合うそんな男女の関係性が表現される

サビの最後が桜にかかっているのはサビを大きなポイントだろう

俺はその全てを演奏力で表現していく今の俺、光として最大限の演奏でこの歌詞を歌い上げた

そして、コブクロの桜を演奏し終え今度はキーボードに手を伸ばしケツメイシのさくらを歌っていく

 

『さくら舞い散る中に忘れた記憶と君の声が戻ってくる

吹き止まない春の風あの頃のままで

君が風に舞う髪かき分けた時の淡い香り戻ってくる

2人約束したあの頃のままで

ヒュルリーラヒュルリーラ

 

さくら散り出す思い出す意味なく

灯り出すあの頃また気になる

変わらない香り 景色 風 違うのは君がいないだけ

ここに立つと甦る込み上げる記憶読み返す

たわいないことでまた騒いだり

さくら木の真下語り明かした思い出日俺輝いた証だ

さくら散る頃出会い別れそれでもここまだ変わらぬままで

咲かした芽君離した手いつしか別れ交わしたね

さくら舞う季節に取り戻すあの頃そして君呼び起こす

花びら舞い散る記憶舞い戻る

 

気付けばまたこの季節で

君との想い出に誘われ心の扉たたいた

でも手をすり抜けた花びら

初めてわかった俺若かった

この場所来るまで分からなかったが此処だけは今も何故

運命(さだめ)のように香る風暖かい陽の光がこぼれる

目を閉じればあの日に戻れるいつしか君の面影は

消えてしまうよ何処かへ

あの日以来景色変わらない散りゆく花びらは語らない

さくらの下に響いた君の声今はもう

さくら舞い散る中に忘れた記憶と君の声が戻ってくる

吹き止まない春の風あの頃のままで

君が風に舞う髪かき分けた時の淡い香り戻ってくる

二人約束したあの頃のままで

ヒュルリーラヒュルリーラ

 

そっと僕の肩に舞落ちたひとひらの花びら

手に取り目をつむれば君が傍にいる

さくら舞い散る中に忘れた記憶と君の声が戻ってくる

吹き止まない春の風あの頃のままで

君が風に舞う髪かき分けた時の淡い香り戻ってくる

二人約束したあの頃のままでヒュルリーラヒュルリーラ

花びら舞い散る記憶舞い戻る花びら舞い散る』

演奏を終えると俺はまた話し出す。

「ここまで3曲、春の曲を歌って来た訳だけど、どうだった?」

「どれも素敵な曲ばかりでした!春は出会いと別れの季節なんだなって思わされる感じがしました」

「気にいってくれたなら良かった、このまま夏の曲にいくね!夏祭りで演奏した曲をわたがし、花火の魔法、Secretbase君がくれたものの順番で演奏していきます!聞いてくださいわたがし」

 

 

 

『水色にはなびらの浴衣がこの世で1番似合うのは

 

たぶん君だと思う よく誘えた泣きそうだ

 

夏祭りの最後の日わたがしを口で溶かす君は

 

わたがしになりたい僕に言う 楽しいねって

 

僕は頷くだけで気の利いた言葉も出てきやしない

 

君の隣歩く事に慣れてない自分が恥ずかしくて

 

想いが溢れたらどうやってどんなきっかけタイミングで

 

手を繋いだらいいんだろう どう見ても柔らかい君の手を

 

どんな強さでつかんで どんな顔で見つめればいいの

 

 

 

君がさっき口ずさんだ歌にもたまに目が合う事も

 

深い意味なんてないのだろう 悲しいけど

 

君が笑ってくれるただそれだけの事で僕はついに

 

心の場所を見つけたよ うるさくて痛くてもどかしくて

 

想いが溢れたらどうやってどんなきっかけタイミングで

 

手を繋いだらいいんだろう どう見ても柔らかい君の手を

 

どんな強さでつかんで どんな顔で見つめればいいの

 

 

 

もうすぐ花火が上がるね君の横顔を今焼き付けるように

 

じっと見つめる』

 

おたえ視点

夏祭りの光景がすぐに浮かんでくる、浴衣姿の君という存在と隣を歩くこの曲の主人公、そして花火を見ながら一緒に過ごした君の横顔を目に焼き付ける光景が簡単に浮かんでくる

「やっぱり凄い」

そう呟き曲の続きを聞いていく

 

『この胸の痛みはどうやって君にうつしたらいいんだろう

 

横にいるだけじゃ駄目なんだ もう君の気を引ける話題なんてとっくに底をついて 残されてる言葉はもうわかってるけど

 

想いが溢れたらどうやってどんなきっかけタイミングで

 

手を繋いだらいいんだろうどう見ても柔らかい君の手を

 

どんな強さでつかんでどんな顔で見つめればいいの

 

 

 

夏祭りの最後の日わたがしを口で溶かす君に

 

わたがしなりたい僕は言う楽しいねって』

 

わたがしを演奏し終えると俺はすぐに花火の魔法を演奏していく

 

 

 

『花火の魔法にかかってしまえ

 

あなたの心を燃やしてしまえ あぁ花火消える前に』

 

 

 

俺はイメージを膨らませていく、心地いい高揚感が体を包む中、俺は観客席にいるおたえをイメージの世界へ引き込んでいく

 

『夏休みの最後の日に来た電話

 

「みんなで花火しようぜ」あなたの声

 

友達のひとりだと思われてても

 

ふたりきりの会話がうれしかった

 

橋の下でカラフルな火花が咲くあなたも赤 青 ピンク

 

わたしの火をあなたにあげたときに本気で願ったの

 

花火の魔法にかかってしまえわたしの病を患ってしまえ

 

夏の暑さがわたしを狂暴にする

 

花火の魔法にかかってしまえあなたの心を燃やしてしまえ

 

あぁ花火消える前にあなたのこと火傷させたいです』

 

おたえ視点

 

この曲は夏休みの最後の日に仲間達と過ごす時間を歌っている。

その中で抜け駆けしたいとか2人になりたいとかそういう気持ちもあって少しやるせない感じまでもが伝わってくる

「こんな夏もあるんだろうな」

そう言って続きを聞いていく

『白く煙った橋の下あなたの手を引き

 

抜け駆けしたいなんて思ってても

 

どんな顔でなんて言えばいいかわからないまま

 

花火も夏も終わりに近づいてく

 

はっきりしてるはずの気持ちも

 

あなたの前ではオレンジみどり

 

あたしの火はあなたにあげる時に少し弱くなる

 

花火の魔法にかかってしまえあなたの心を燃やしてしまえ

 

あぁ花火消える前に もう夏が終わるまだ終われないよ

 

さあ いま 火を付けて

 

あなたの心目指して夢中で走り出したの

 

花火の魔法にかかってしまえわたしの病を患ってしまえ

 

夏の暑さがわたしを狂暴にする

 

花火の魔法にかかってしまえあなたの心を燃やしてしまえ

 

あぁ花火消える前にあなたのこと火傷させたいです

 

あなたのことがずっと好きでした』

 

演奏を終えると俺はギターに持ち替えSecretbaseを演奏していく

 

 

『君と夏の終わり将来の夢大きな希望忘れない

 

10年後の8月また出会えるの信じて最高の思い出を…』

 

 

俺は演奏でおたえををイメージの世界へ引き込んでいく今度は夏の終わりに再会を約束した友人と作った最高の思い出の世界へと前におたえが教えてくれた話を思い出しながら

 

 

 

『出会いはふとした瞬間帰り道の交差点で

 

声をかけてくれたね「一緒に帰ろう」僕は照れくさそうに

 

カバンで顔を隠しながら本当はとてもとても嬉しかったよ

 

あぁ花火が夜空きれいに咲いてちょっとセツナク

 

あぁ風が時間とともに流れる嬉しくて楽しくて

 

冒険もいろいろしたね2人の秘密の基地の中

 

君と夏の終わり将来の夢大きな希望忘れない

 

10年後の8月また出会えるの信じて君が最後まで心から

 

「ありがとう」叫んでたこと知ってたよ涙をこらえて笑顔で

 

さよならせつないよね最高の思い出を…

 

あぁ夏休みもあと少しで終わっちゃうから

 

あぁ太陽と月仲良くして悲しくて寂しくて喧嘩もいろいろしたね2人の秘密の基地の中

 

君が最後まで心から「ありがとう」叫んでたこと知ってたよ

 

涙をこらえて笑顔でさよならせつないよね

 

最高の思い出を…

 

突然の転校でどうしようもなく手紙書くよ電話もするよ

 

忘れないでね僕のことをいつまでも二人の基地の中

 

君と夏の終わりずっと話して夕日を見てから星を眺め

 

君の頬を流れた涙はずっと忘れない

 

君が最後まで大きく手を振ってくれたこときっと忘れない

 

だからこうして夢の中でずっと永遠に…

 

君と夏の終わり将来の夢大きな希望忘れない

 

10年後の8月また出会えるの信じて君が最後まで心から

 

「ありがとう」叫んでたこと知ってたよ涙をこらえて笑顔でさよならせつないよね最高の思い出を…最高の思い出を…』

 

「春、そして、夏と演奏してきましたここまでちょうど半分くらいだけど、どうかな?」

「どの曲も最高に震えます!何より私がリクエストしたみたいに季節らしさが感じられて聞いてて楽しいです!」

 

「それは良かった、じゃあ季節は秋にいくね、茜色の約束と茜さす、そしてYUME日和と演奏していくから聞いていください!まずは茜色の約束」

 

『茜色した陽だまりのなか無口な風がふたりを包む

 

歩幅合わせて歩く坂道いつもあたしは追いかけるだけ

 

つまずいたり転んで泣いてみたり

 

決してうまく生きれるあたしじゃないけど

 

あなたがほらあたしの手を引くから

 

恐がる心も強くなれるよ

 

だから

 

泣いて笑ってつないだこの手は重ねた言葉に負けない約束

 

あなたに出逢えた茜の空に

 

ほらあの日とおなじことを願うよ』

 

 

 

この曲は歌って行く中で俺はAfterglowの皆が浮かんだ曲だいつだったか蘭達が言っていた、いつも練習するのは夕方だからAfterglow

 

だって、お互いがお互いに出逢えた夕方、そして泣いたり笑ったり時には喧嘩したりする事もあっただろうけど、それだって自分達らしくあれるいつも通りなんだと、だからこそこの曲のイメージにピッタリなんじゃないかと思いながら歌っていくなかで出会い方は違えどいつも一緒にいるポピパの皆にもピッタリだと思いながら歌っていく

 

『ひとつひとつ季節は過ぎていくけど

 

あといくつの想いを伝えられるだろう

 

ありふれていた日々さえ戻せはしない

 

この毎日を一瞬を愛しく想うの

 

だから

 

涙も笑顔も繋いだこの手も幾重の写真に負けない想い出

 

あなたに出逢えた茜の空に

 

ほらあの日とおなじことを誓うよ

 

やがて「別れ」が訪れてもふたりすべてを受け止めてく

 

「出逢った場所」も「今いる場所」も

 

永遠に心と繋がってる

 

ほら振り返れば足跡が続くよ

 

だから

 

泣いて笑ってつないだこの手は最後の瞬間まで離しはしないで

 

この道の先をまたふたりで歩いていこう・・・歩いていこう・・・

 

だから

 

泣いて笑ってつないだこの手はすべての言葉に負けない約束

 

あなたと出逢えた茜の空に

 

ほらあの日とおなじことを願うよ』

 

 

俺はそのままキーボードを弾きながら2曲目の茜さすを歌っていく

 

『枯れ葉舞う街角を駆け抜けてく乾いた風

 

伸びた影とイチョウ並木季節を見てたかった

 

返事のない呼ぶ声はあっという間かき消されてしまう

 

目抜き通り人波抜けてどこか遠く誰もいない場所へ

 

気付いてたのに何も知らないふり

 

一人きりでは何もできなかった

 

出会えた幻にさよならを茜さすこの空に

 

零れた弱さに手のひらを

 

一輪の徒花そんなふうに願い叶え痛みを知る』

おたえ視点

秋の深まりを感じる曲だと思った

同時に一人でいることの儚さを知れる曲だと思った

「秋の夕暮れの景色が浮かぶな」

曲が季節を伝えてくれるもう秋だよって光さんが選んだ曲が歌声が季節を運んでくる

 

 

『渡り鳥の鳴く声も赤く染る雲に消えてしまう

 

帰り道も遠く離れて今は一人誰もいない場所で

 

気付いた景色の色にふれたとしても

 

一人きりでは声も出せなかった

 

愛した幻に口づけを黄昏れたこの空に

 

まだ夕べの星灯らない

 

待ち宵も朧げ月は何処に引き裂かれて痛みを知る

 

くり返す日々の中で探してたのは歩き続けるための願い

 

出会えた幻にさよならを憧れはこの空に

 

流れた月日を手のひらに一片の花弁そんなふうに

 

痛み重ね出会いを知る出会い重ね願いを知る』

 

「秋の曲は次が最後なります秋のよく晴れた空を思い浮かべながら聞いてくださいYUME日和」

 

『黄金(きん)のシンバル鳴らすように囁くのはお日様

「一緒においで木々の宴に」耳を澄ましましょう

 

シャボンの雲で顔を洗いそよそよ風と散歩

「大丈夫きっと…」羽になるココロ

ヒカリヘと放してごらん

 

虹を結んで空のリボン君の笑顔へ贈り物よ

願いをかけましょう夢日和

明日またしあわせであるように』

 

おたえ視点

「明日またしあわせであるように…か明日も明後日もずっと幸せだったらいいな」

空に架かる虹をリボンにして皆の笑顔に贈り物なんて確かに素敵かもしれない

 

 

『雲の綿菓子つまんでは一休みの草原

「風はどこへ帰ってゆくの?」鳥に尋ねましょう

 

夕日のレース肩にかけて伸びてく影と駆けっこ

「見守ってるずっと」光る宵月の優しさに抱かれてごらん

 

星を列(なら)べて空のボタン夜のカーテンを留めてあげる

明日も逢えるよ夢日和その笑顔忘れずにいるなら』

 

おたえ視点

「秋の空、星が綺麗な夜を彩る星のボタンで夜のカーテンを留めてあげるいいなぁ〜」

ちょっと幻想的な気分になりながら演奏を聞いていく

 

 

『「大丈夫きっと…」羽根になるココロ

ヒカリヘと放してごらん

 

虹を結んで空のリボン君の笑顔へ贈り物よ

願いをかけましょう夢日和

明日またしあわせであるように…』

 

「季節は移り変わって冬になります。まずは雪が降る様子を想像しながら聞いてください雪の華」

俺はキーボードを弾きながら歌っていく

 

『伸びた人陰(かげ)を歩道に並べ

夕闇のなかをキミと歩いてる

手を繋いでいつまでもずっと

そばにいれたなら泣けちゃうくらい

風が冷たくなって冬の匂いがした

そろそろこの街に君と近付ける季節がくる

今年最初の雪の華を2人寄り添って

眺めているこの瞬間(とき)にシアワセが溢れ出す

甘えとか弱さじゃない

ただ、キミを愛してる心からそう思った』

 

おたえ視点

「大切な誰かと見る初雪だ」

私の口から出たのはそんな言葉だった

目の前の景色が歌詞をそのまま映し出したかのようなそんな世界に私はとらわれる

 

『キミがいるとどんなことでも

乗り切れるような気持ちになってる

こんな日々がいつまでもきっと

続いてくことを祈っているよ

風が窓を揺らした夜は揺り起こして

どんな悲しいこともボクが笑顔へと変えてあげる

舞落ちてきた雪の華が窓の外ずっと降やむことを知らずに

ボクらの街を染める

誰かのために何かをしたいと思えるのが

愛ということを知った

もし、キミを失ったとしたなら

星になってキミを照らすだろう

笑顔も涙に濡れてる夜もいつもいつでもそばにいるよ

今年最初の雪の華を2人寄り添って

眺めているこの瞬間(とき)にシアワセが溢れ出す

甘えとか弱さじゃない

ただ、キミとずっとこのまま一緒にいたい

素直にそう思えるこの街に振り積もってく真っ白な雪の華

2人の胸にそっと想い出を描くよ

これからもキミとずっと…』

 

俺はそのまま冬の曲として選んだ2曲目を演奏していく

 

『「キライだよ。冬は寒いから。」と話す君に

「今年から、冬が好きになる!」とあげたコート

そでを通したり床に広げたり

はしゃぐ笑顔連れて部屋を出れば

白い冬が街に降りてきた雪の降らない僕らの街に

二人手と手を重ね見上げた空一面の粉雪』

 

おたえ視点

「恋人同士で過ごす冬の風景が見える…やっぱり先輩凄い、私じゃここまでの演奏はできないしここまでの世界観もきっと出せない」

そう呟きながら耳を澄まし続きを聞いていく

 

『3月の風が窓の隙間光る頃に

少しずつ片付けたこの部屋広いんだね

2つずつのものが一つになれば

心さえもいつか一つずつに

そっと笑いかける君の顔今は小さなフレームの中

壁に持たれたレコードの裏戻らない時の記憶』

おたえ視点

「別れ?いや、違う気もするけど、一つずつにっていってるし…」

2番の歌詞は別れを連想させる主人公の心境なのだろう

「切ないな〜」

その呟きすら音の中に消えていく

 

『ざわめく夏が色づく秋をこえて

やりきれない静けさの中で曇る窓に君想えば…

白い冬が街に降りてくる壁に並んだ二つのコート

そでが重なりまるであの日の僕とあなたの様です

いつも同じ言葉で結んだ届くはずのないこと手紙を

今日も机の奥にしまった出来ることなら今すぐ

この冬空を駆け抜けあなたに会いに行きたい』

 

残す曲をあと一曲に控え俺は話し出す。

「次が最後の曲になります、ラストは春夏秋冬を聞いてくださいじゃあ演奏します。」

そう言って演奏していく

『鮮やかな色四季おりおりの景色求め二で

It'sgoinggoing on

車、電車、船もしくは飛行機計画を練る週末の日曜日

春は花見満開の桜の下乾杯頭上広がる

桃色はlikeaファンタジー

夏は照りつける陽の元でバーベキュー

夜になればどこかで花火が上がってる

秋は紅葉の山に目が止まる

冬にはそれが雪で白く染まる

全ての季節お前とずっと居たいよ春夏秋冬

 

今年の春はどこに行こうか?今年の夏はどこに行こうか?

春の桜も夏の海もあなたと見たいあなたといたい

今年の秋はどこに行こうか?今年の冬はどこに行こうか?

秋の紅葉も冬の雪もあなたと見たいあなたといたい』

 

おたえ視点

「誰かと過ごす春夏秋冬か…」

私はどうだろうと考えると真っ先に浮かんできたのはポピパの皆とお母さんにうさぎ達、それと…光先輩

「色んな人と過ごせば見え方とかも変わるだろうな〜」

そんな呟きすら今は届かない

 

『また沢山の思い出紐解いてふと思い出す窓の外見て

喧嘩もした傷の数すらもピースの1つジグソーパズル

月日経つごとに日々増す思い

「永遠に居てくれ俺の横に」今、二人は誓うここに

忘れない思い出すまた蝉の鳴く頃に

苦労ばっかかけたなてかいっぱい泣かせたな

ごめんなどれだけの月日経ったあれから

目腫らして泣きあったね明け方

包み込むように教会の鐘が鳴るよ

重ねあえる喜び分かち合える悲しみ共に誓う心に

さぁ行こうか探しに

新しい景色を見つけに行こう二人だけの春夏秋冬

今年の春はどこに行こうか?今年の夏はどこに行こうか?

春の桜も夏の海もあなたと見たいあなたといたい

今年の秋はどこに行こうか?今年の冬はどこに行こうか?

秋の紅葉も冬の雪もあなたと見たいあなたといたい

たまにゃやっぱり家でまったり二人毛布に包まったり

じゃれ合いながら過ごす気の済むまで

飽きたらまた探すのさ行く宛て

さぁ今日はどこへ行こうか?

ほらあの丘の向こう側まで続く青空

買ったナビきっかけにどこでも行ったね

色んな所を知ったね

いつかもし子供が生まれたなら教えよう

この場所だけは伝えなきゃな

約束交わし誓ったあの夏の終わり2人愛を祝った場所

今年の春はどこに行こうか?今年の夏はどこに行こうか?

春の桜も夏海もあなたと見たいあなたといたい

今年の秋はどこに行こうか?今年の冬はどこに行こうか?

秋の紅葉も冬の雪もあなたと見たいあなたといたい

今年の春はどこに行こうか?今年の夏はどこに行こうか?

春の桜も夏海もあなたと見たいあなたといたい

今年の秋はどこに行こうか?今年の冬はどこに行こうか?

秋の紅葉も冬の雪もあなたと見たいあなたといたい』

 

ラストの演奏を終えて俺は話し出す

「聞いていくれてありがとうございます。これでLIVEは終わりになるけど、最後に感想を聞かせてくれるかな?」

「最っ高に震えました!そして感動しました!曲が変わると世界観もまるっと変わって本当に短い時間で季節を満喫出来ました!最高に楽しかったです!本当にありがとうございます!光先輩!」

「喜んでくれて良かったよ!LIVEしたかいがあったからね」

「最高の誕生日をありがとうございました!」

「どういたしまして」

そうして俺はおたえの誕生日LIVEを成功させた。

その後少し待っていてもらい後片付けをしてからcircleを後にしおたえを送り届けた

「送ってくれてありがとうございます!」

「ううん、こっちこそ大切な時間をくれてありがとうじゃあまたね!」

「また!絶対会いましょうね!」

俺はそれに応えるように手を振って家路に着いた

 

おたえ視点

光先輩の背中が見えなくなるまで見送ってから私も家に入ってすぐに部屋に行き先輩がくれたCDを再生した

CDにはハイスクールや決意の朝にを中心に、わたしにとって思い出深い曲が収められていた

「これが全部先輩1人の演奏だなんて信じられないな〜」

でも、LIVEの時は本当に先輩が観せる世界観にそして先輩の声に囚われていたと確かに感じていた

「あぁ、そっか、私、先輩に心を掴まれちゃったんだ…」

自分の中にまた一つ新たな感情が生まれた瞬間だった…

「またすぐに会いたいな〜」

私の心を掴んだあの人にいつもサラッと誰かを助けてしまうあの人に、そう思わずにはいられなかった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




お久しぶりです。おたえの誕生日イベントになります。
曲がメインになりすぎておたえがちょっと霞んだかもしれませんが何とか書ききりました。
次回はカバーLIVE前のパスパレ3話目になります。
そしてラストがRoseliaの話になりますのでお楽しみに

次回「演じる心と光の主演」


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第37話演じる心と光の主演

光は何かを伝える事の大切さを改めて知る事になる


千聖視点

その日は撮影の仕事があって私は撮影現場に来ていた

少し時間は押したものの滞りなくその日の撮影を終えた

タイミングで控えていたマネージャーのプライベートのスマホが着信を報せマネージャーは席を外す

私はその間にもう一度台本を読み返しているとマネージャーが戻ってきたので声を掛ける

「お疲れ様、電話、大丈夫だったの?」

「それなんですが…」

「どうしたのよ?」

「私の子供が体調を崩しまして…」

「大変じゃない!容態はどうなの?」

「今は落ち着いてますけど、出来れば休みをいただいて看病させていただきたいのですが、パスパレのマネージャーさんにお願いしてあとをお任せしても大丈夫でしょうか?」

「なら、サブマネージャーの方に連絡してちょうだい、彼なら都合が着くと思うわ私からも連絡はしておくから今日のところは早く帰ってあげてください」

「ありがとうございます。今日は失礼させていただきます。」

そうして少し慌ただしくマネージャーは帰って行った

そしてそのタイミングで監督さんが話しかけてきた

「チラッとだが聞かせてもらったよ、しばらくはパスパレのサブマネージャー君が来るのかい?」

「ええ、最も彼はマネージャー仕事の傍らに音楽をやっていますから、事前に連絡はしておかないといけないんですよ」

「そうか、そのサブマネージャー君は春頃のインタビュー記事に載っていた彼だろう、演技などは詳しかったりするかい?」

「どうでしょう?本人は仮面を被るのは疲れるからやりたくないと言っていますしなんとも言えませんね」

「そうか…やっぱりあっちの台本は使えないかな?」

「どういう事ですか?」

監督さんの最後の呟きが気になり聞いてみる

「あぁ、実はなこの映画には、没にしたもう一本の方があって

そっちでは白鷺君が演じる主人公を勇気付ける存在がいる話があってね、理想の相手役がいなくて没にしたんだ」

私はそれを聞いてなるほどと思った、彼なら適役だろうなと

「一応この後彼に連絡してみるので直接あって判断した方が彼に限った話はいいと思います」

「そうか、じゃあ、よろしく頼む」

そう言って監督さんは戻っていき私も撮影が終わったので挨拶をしてその場を後にし光に連絡を取るためにスマホを操作し彼の番号を呼び出し電話をかけた

 

光視点

 

バイトが終わりちょうど帰ろうとしていたタイミングで俺のスマホが着信を報せる

「こんな時間に誰かな?」

スマホを確認すると千聖からだった

「珍しい事もあるもんだな」

そう言って電話に出る

「もしもし、千聖?久しぶり、どうしたの?」

(久しぶりね、いきなりで悪いのだけれど、少しの間でいいからマネージャーとして私に同行してくれないかしら?)

「具体的にいつからいつまで?それと本家のマネージャーさんは?」

(私のマネージャー子供がいるんだけど、マネージャーの子供が体調を崩したらしくて落ち着くまで休みを取りたいって言ってて一応1週間を見ているのだけれど、どうかしら?もちろん金銭面もそれなりには保証するわよ!)

「最後の情報は要らなかった気もするけど…

でも、1週間かぁバイトどうしよう?後、学校」

(学校は心配しなくてもいいと思うわ、土日以外は朝からの撮影はなるべく入れないように調整してもらっているし、パスパレの方と上手く両立しているもの)

「引き受けるのはいんだけど、バイトは要相談かな?」

(手間取らせてごめんなさいね)

「良いよ別に、その辺は融通してもらうから」

(お願いするわね)

「うん、じゃあ、明日からでいい?」

(よろしくお願いするわ)

「OK!時間と場所は後で連絡して」

(わかったわ、それじゃあ明日からよろしくね)

「うん、またね」

俺は通話を終了させるとさっそくまりなさんに事情を説明しバイトの日を融通してもらう

「来週目一杯バイト出てくれるなら今週は休みにするよ」

「わかりました、ありがとうございます。」

「来週は目一杯働いてもらうからね」

「わかりました、じゃあ失礼します。」

そうしてcircleを後にし俺は家路に着いた

家に帰るとすぐに部屋に行き荷物を置いてベッドに身体を投げ出す

「明日から少しの間忙しいな…」

そう言ってウトウトしているとスマホが鳴ったので確認すると

千聖から明日の集合場所が送られてきたので了解の旨を伝え立ち上がりシャワー等を済ませ就寝した

 

次の日

午前中の授業を終えた昼休みイツメンで集まり話していると日菜が爆弾発言をかます

「そういえば、ひ〜くん千聖ちゃんのマネージャーになるってホント?」

「どういうことかしら?」

「詳しく聞かせてもらおうじゃん」

「まずもって決まったの昨日なのになんで!?」

「千聖ちゃんのマネージャーさんがねしばらくひ〜くん貸してくれって来たんだよ」

「という事は光はしばらくは女優さんの付き人?」

「そうなるわね」

そう言って二人は俺にジト目を向ける

「そんな目されても困るんだけど、第一俺はあくまでもマネージャーだよ?ただの付き添いだからね、それに俺別に事務所に所属してる訳じゃないのになんで毎回俺なの?」

「ン〜ひ〜くんだから?」

「説明になってないよ!」

「そっかそっかぁ〜光は仕事で女の子としかも女優さんとデートするんだぁ〜」

「一応私達のバンドのメンバーの一人である事も忘れないで欲しいわね」

「そう言われてもさ、つか、俺基本無所属なつもりなんだけどなぁ〜」

「でも、最近光アタシ達に構ってくれないし」

「放置気味よね」

「ちゃんと練習みてるし!こうして集まってるじゃん!」

「でも、アタシ達の誰とも2人きりにはなろうとしないしそのくせ変な所で安請け合いするしさ」

「俺は一体どんなポジションになってる訳?」

「アタシ達Roseliaの6人目のメンバーだよ!」

「そして私達が隣に並びたいと思う相手よ」

「一応あたし達パスパレのサブマネージャーでもあるよね」

「なんであれおそらく貴方の隣に並びたちたいと思っている人は多いはずよ」

「光栄やら恐れ多いやら…俺なんて演奏くらいしか取り柄が無いのに、6人目のメンバーで隣に並びたいと思ってもらえてるなんてな…1度ダメにしたものすらまだ取り戻せてないのにな」

「少なくとも、ダメにしたなら作り直せばいいのよ、曲だってそうよ、こうじゃないと思ったら納得行くまで悩むでしょ」

「たしかにそうだよね、それしかないもんな!」

「納得出来たらなら良かったよ、それに光は演奏しか取り柄がないって言うけど、それだって立派な特技でしょ、少なくとも救われた子達はいると思うよ」

「だとしたら嬉しいな」

「あたしとお姉ちゃんはひ〜くんに感謝してるし、ひ〜くんの歌が好きだよ」

「ありがとうな」

そう言って日菜の頭をくしゃくしゃと撫でると、両耳に痛みが走る

「痛!いだだ!2人とも何!?てか痛いって!耳は引っ張んないで!ピアスのとこからちぎれるって!」

「なんならピアスの穴を拡張してあげましょうか?」

「そうやって日菜にだけは甘いんだから!」

「リサはともかく友希那は物騒なこと言わないでね」

「もしかして友希那ちゃんとりさちー羨ましいの?」

「そういうんじゃないよ!ただほら、甘やかすのはあんまり良くないかなって」

「そうね、あまり日菜を甘やかすと紗夜に後で怒られるわよ」

「それは勘弁だな」

なんて話しているとチャイムが鳴ったので俺達は教室に戻った

そして午後の授業を受け帰りのホームルームを終えると俺は少し急ぎ足で千聖との待ち合わせ場所に向い早めに到着し制服からマネージャー使用に着替えて千聖を待っていると少し経ってから千聖がやって来た

「お待たせ、遅くなってごめんなさい」

「別に良いよ、行こう」

「ええ、そうね、行きましょ」

そうして俺達は撮影現場に行くため移動する

 

数十分後

撮影現場に到着した俺は監督さんや機材担当の人達に挨拶して回る

「はじめまして、Pastel*Paletteのサブマネージャーをしています宮村です」

「よろしく、監督の笹川だ、マネージャー君と呼んでもいいかな?」

「大丈夫です。こちらは監督さんでいいでしょうか?」

「是非ともそうしてくれ、さて、自己紹介も済んだところで撮影はじめるぞ!」

そうして監督さんの声がけで撮影が始まり、俺は隅の方に控えた、そしてこの目で初めて撮影環境を目にした

「千聖の演技を見るのは初めてか」

前の時は途中参加のようなものだったので最初から撮影する姿を見るのは実際初めてだった

最初のうちは千聖の台詞も少ないので特にNGも出ずに滞りなく撮影が終わる

「今日はここまでだ!あぁ、それと、マネージャー君君にも台本渡しておくから一応読み込んで来てくれ、2冊あるから大変だと思うがよろしくな」

「わかりました」

俺は台本を受け取ってその場を後にした

 

帰り道

「光、あなたやっぱりマネージャーとかも向いているのではない?」

「勘弁してよ!1日中仮面付けてるの疲れるんだから」

「人を欺くのは得意なのね」

「言い方!人聞き悪い」

「なら、女泣かせと言うべきかしら?」

「千聖までそういうこと言うのやめて!泣かせてないし」

「でも、あなたの演奏で涙したのは事実よ」

「それは演奏聞いて思うところがあったからであって俺のせいじゃないと思うな」

「少なくとも影響はあるわよ」

「そう言われてもな〜」

などと話していると駅に到着しそこで別れて俺は家路に着いた

次の日

 

学校ではイツメンにやいのやいの言われながら今までと変わらない学校生活を送り放課後は千聖の付き添いで今日も

撮影現場に来ていた撮影自体は滞りなく進んではいるがどことなく演技がぎこちないそう思っていると監督さんが俺を呼んだ

「おーいマネージャー君、ちょっと来てくれ!」

俺は監督さんの隣に行き声を掛ける

「どうしました?」

「NGではないんだが、画面越しに見て彼女の演技をどう思う?」

俺は少し考えた末に答える

「演技にぎこちなさが感じられますね、演技の中でさらに演技をしなければいけないので、戸惑いがあるのかもしれませんね」

「さすがだな、相手をよく見ている。マネージャーとして大切な要素の1つをちゃんと持っているようだな」

「そんな、大袈裟ですよ!俺なんかがそんな」

「まぁ、謙遜することはないと思うが、まぁいい、とりあえず今日のところはここまでだ彼女を送ってやってくれ」

「わかりました」

俺はその場を後にし千聖に声を掛ける

「今日はこれで終わりだってさ、帰ろう」

「ええ、そうね」

声に覇気がない、やっぱり落ち込んでいるのだろうか?

でも、なんか違うとも感じる

そんな事を考えながら撮影現場を後にし千聖を送り届けた後になんとなく他者の意見を聞いてみたくなり薫に連絡してみる

(やぁ、光じゃないか!電話で話すのは以外にも初めてだね)

「遅くに悪いな、ちょっと聞いてみたいことがあって」

(君がそう言うってことはなにかあったのかい?)

「知ってて言ってるのか?」

(まさか!前に美咲が感情面で悩んでいた時も君がなんやかんや動いていたからね)

「あぁ、そっか、まぁ当たらずとも遠からずだ」

(私に何を聞きたいんだい?)

「演技に自信が持てなかったり、演技の中で更に別の演技をするってなった場合お前ならどうする?」

(そうだね〜光、君のルミナスはまさにそういう存在なんじゃないのかい?)

「ルミナスはもう1人の俺だよ、俺じゃダメでもアイツなら届けられる!演じてるわけじゃない」

(君にとってはそうでも、言い方を変えればそう思えるのではという事さ)

「それは感じ方次第だろうな、少なくとも俺は演じてるつもりは無いからな」

(まぁ、私から言えるのはしっかりと役という存在と向き合うという事さ)

「役という存在?」

(あぁ、自分が与えられた配役をどう理解するかという事だね)

「自分がどう演じたいかとかそういう話か?」

(そうなるね、回りくどい言い方にはなるがそれを自分がどういう風に理解するかという事さ)

「なるほどな、なんか掴めた気がする。サンキュな」

(お役に立てたなら良かったよ、では、また)

「あぁ、またな」

そうして通話を終了すると歩きながらあれこれと考えながら

自宅への道を歩いていく、そして自宅に着くと俺はすぐに部屋に行きアコギを手に取り彩の時にも演奏した大丈夫を演奏するが何故かこれじゃないと言う感覚が俺を支配する

俺は曲を変えていくつか演奏する中でピッタリな曲を見つけたのでそれを演奏した後夕飯諸々を済ませ就寝した

そして次の日、午前中の授業を終えてイツメンで集まり食事中に進捗等を聞かれる

「ひ〜くん千聖ちゃんのマネージャーは大変?」

「どうだろう?パスパレの時とそんな変わんないかも、やる事もメンタルケアとかそんな感じだしね」

「その、千聖さんは大丈夫なの?」

「今は特に何も無いかな、ただ今はね」

「引っかかる言い方ね」

「俺もまだはっきりこうだって言えなくてさ」

「答えが出てないということ?」

「ちょっと違うよ、千聖がどう向き合うか次第ってとこかな、今は」

「あなたはどうするの?」

「俺がやることは変わんないよ、必要なら手を貸すだけ」

「そう、まぁ、毎度の事だけど、関わったならやり遂げなさい」

「わかってるよ、俺に出来るのは演奏で伝える事だから、

精一杯やるよ」

「ひ〜くん、何かあったら助けてあげてね」

「約束するよ、俺の音楽に誓って」

そんな話をしていると昼休み終了のチャイムが鳴り俺達は教室に戻って午後の授業を受けてそれぞれ解散した。

 

そして現在俺は千聖と共に撮影現場に来ていた

監督さんの指示で俺は画面越しに千聖の演技を見ている

「どう思う?」

「ぎこちないというか、表情のかたさも目立ちます」

「やっぱりそう思うか、私も同意見でな、どうすればいいと思う?」

俺は少し考えてから伝える

「少し長めの休憩を撮って貰えませんか?」

「構わないが、何とかなりそうかい?」

「大丈夫です。任せてください」

「わかった、マネージャー君に任せよう」

そう言って監督さんがカットを指示し30分程休憩をとることになったので俺は千聖に水のペットボトルを渡し隣に座り話しかける

「千聖、大丈夫?」

「えぇ、別に平気よ」

「思うように行ってないようにも見えるよ」

「そうね、確かに、自分でもそれは感じているわ」

「千聖は平気なフリして隠すから、心配」

「あなたに言われたくないわね」

「俺は基本なんともないし」

「あなたはひとの事を言える立場じゃないようにも思うけれど、でも、その気遣いはありがたいわ」

そう言うと千聖は俺の肩に頭を乗せる

「千聖?」

「演奏してちょうだい光、落ち込んだ時に聞きたくなるような曲が良いわ」

「わかった、演奏するからちょっと頭どけて」

そう言って持参していたアコギを手に取り演奏しながら歌っていく

『また「余計なお世話だよ」って君は言うかもな

でも正直しんどそうに見えたから

なんか美味いもんでも食べに行こうっていう

僕のわがまま聞いて来てくれたね

「別になんでもないよ」って君の笑い方が

尋常じゃないくらい上手で自然だから

大抵の人は騙されて気付かないんだろう

君らしい壁の作り方なんだね

 

その壁ぶっ壊させてくれなんて思わないし

土足で君に踏み込むつもりもない

ただ一人じゃないそう一人じゃない

ほんの少し笑い合いたいだけ

 

まっすぐに伸びる君の足跡に追いつくように

そして寄り添うようにもう一つの足跡が伸びてきて

振り返ってごらんもう一人じゃない

やがて見渡す限りの喜び隣にも前にも後ろの方にも

微笑みながら君を見守ってる人がいてそん中に僕もいる

 

そりゃ淋しかったろう?辛かっただろう?

どれくらい一人で悩んでいたの?

ここまで来れたことが素晴らしいよ一つだけでいい

信じてほしい君は美しい』

 

千聖視点

沈んでいた気分が晴れやかになっていくそれを自覚するにはピッタリの曲だった

「貴方やパスパレの皆には隣にいて欲しいけれど見守られるってのも悪くはないかもしれないわね」

その声は届かないけれど、今はそれで良いと思った私だった。

『今思ってることを今伝えるのにも

言葉多過ぎたり足りなかったりで

悪気なんてこれっぽっちもないハズなのに

悪者みたいになってしまう時もある

自分が辛い時は上手にわらうくせに

僕が辛かった話打ち明けたら

君は自分のことのように涙してたね

余計なお世話はきっとお互い様だね

 

綺麗事だけでは生きていけないし

きっとこれからも悩みは尽きない

ただ一人じゃないそう一人じゃない

もう少しだけその声聞かせて

 

上手に出来たことを喜んだり

初めて見つけたものに驚いたり

雷の音にやたら怖がったりありのままの声に耳澄まして

例えば小さな頃の君がいて今を生きてる君を見ていたら

どんな顔してなんて言うのかな

無理しないでよなんて笑うかな?

 

君が優しい人だって知ってるよ

だからこそ傷付いていることも

ここまで来れたことが素晴らしいよ

一つだけでいい信じてほしい君は美しい』

 

千聖視点

今の自分を昔の自分がどう思うかなんて分からないけど

無理しないでよなんて笑ったりはしないだろう

きっと昔の自分が今の自分を見たらガッカリするかもしれない

「それでも、私が選んだ道だから」

誰にも届かない呟きが演奏の中に消えていく

 

 

監督、カメラマン視点

「ちゃんと映像に残しておけよ!」

「はい、でも、いんですか?彼部外者ですよ?」

「いや、ちょうどいい、彼がピッタリだ」

やっと見つけた逸材の最高の瞬間を目に焼きつける

 

『まっすぐに伸びる君の足跡に

追いつくようにそして寄り添うように

もう一つの足跡が伸びてきて

振り返ってごらんもう一人じゃない

やがて見渡す限りの喜び隣にも前にも後ろの方にも

微笑みながら君を見守ってる人がいてそん中に僕もいる

そりゃ淋しかったろう?辛かっただろう?

どれくらい一人で悩んでいたの?

ここまで来れたことが素晴らしいよ

一つだけでいい信じてほしい君は美しい』

俺が演奏を終えると千聖が話し出す

「なんだか元気が出たわ、ありがとう光」

「どういたしまして」

「行ってくるわ!見ててね光」

「うん、ここで見てるから」

そうして千聖が決意を新たに撮影に戻るのを監督さんが止めた

「ちょっと待ってくれ、1度皆集まって欲しい」

「どうかされたんですか?」

「あぁ、マネージャー君にも撮影に参加してもらおうと思う」「俺もですか?」

「て言うことは、彼がピッタリだと?」

「あぁ、彼しかいないと思ったんだ」

「なんの話ですか?話が全然見えてこないんですけど」

俺がそう問うと監督さんが補足してくれた

「まず、確認なんだが台本は読んでくれたかい?」

「はい、2冊とも目は通しましたけど…」

「片方は内容少し変えてあるだろう?そっちを採用したいんだよ」

「つまり、今やった事を撮影としてやれと?」

「そういう事だ」

「光、いいかしら?」

「髪色とか変えれるならいいかな、後、一応名前も」

「よし!決まりだ!明日から頼めるかい?」

「わかりました、必要なものはありますか?」

「ギター等の楽器を持参してこれるかい?」

「ギターとベースが一本ずつとキーボードがあれば良いですか?」

「そうだな、それでいい、ちなみに弾ける楽器を教えてくれるかい?」

「バンドでやる楽器は全部弾けますね、後は、バイオリンとハーモニカです」

「なら、ドラム、バイオリン、ハーモニカはこっちで用意しようハーモニカは買取扱いだから撮影が終わったら君に譲ろう、その他に少しだが謝礼も用意する」

「わかりました、後、髪色に合わせたいので茶色のカラーコンタクトを用意して貰えますか?」

「わかった、それくらいならお安い御用さ」

「俺は今日中に髪色を変えてきます」

「なんだか色々頼んで申し訳ないな」

「いいですよ、髪色弄るだけなんで俺は」

「そうか、そう言ってくれて助かるよ、話が決まったところで、今日中に撮影ある程度進めるぞ」

そうして今日中に進めらる範囲の撮影を進めてからその日は解散となった

 

帰り道

「光、撮影の話、本当にいいの?」

「こっちの条件聞いてくれたし別に良いよ、撮影とはいえやる事は変わらないからね」

「でも、髪色とか変える事になるのよ?」

「ちょっとの間だけだって、気にしすぎだから」

「まぁ、あなたがそう言うなら気にしない事にするけれど、なんだか巻き込んじゃったみたいで悪いわね」

「別に、俺もやってみようと思ったし気にしない気にしない」

なんて話していると駅に到着し俺達は電車に乗って俺達の家がある街に戻ってきてそこで解散する

俺は途中で髪を染める泡カラーを買って帰り、自宅に着くと髪色を変えるために準備をし髪色を変えていく

「えっと、泡を髪全体に満遍なく広げて20分から30分放置してから洗い流しドライヤーで髪を乾かして完了か」

説明書を見ながら作業を進めで少しの間放置している時は台本を読み込んだ。

違う点は千聖が仲間と一緒に突き当たった壁を越えるか演奏を聞いて仲間と一緒に舞台を成功させる自信が着くかの部分だ

俺は千聖と交流しながら話を聞いて演奏し彼女を励ます役だ、そして最後は彼女の舞台を見届けて去ると言う感じだ

「立つ鳥跡を濁さずなんて言うけど、何かを残す事も大切だと思うんだけどな」

それが俺の感想だった、そして俺は風呂場で髪を洗い流しドライヤーで髪を乾かして髪を茶色に染めた

「茶髪の自分って新鮮だな」

そう言ってその場を後にし遅めの夕飯を済ませ就寝した

そして次の日、朝から撮影があるので俺達は撮影現場来ていた

「今日はよろしくお願いします」

「こちらこそ、舞台セットはもう出来てるから君の準備が終わり次第撮影に入ろう、今日で大方決まるだろうし明日は最終チェックして必要があれば録りなおしも検討する」

「わかりました、じゃあ準備してきます」

そうしてその場を後にして数分後俺は準備を済ませて戻ってきた、撮影で使う制服姿に茶髪で茶色い目の少年名前は

日々谷光(ひびやひかり)にしてもらった。

「準備はいい?光(ひかる)」

「今は光(ひかり)だよ」

そうして俺達は撮影に入る

 

撮影が開始され物語が進んでいき俺の出番となる

俺が教室で楽器を広げて音を確かめ演奏しているところに

千聖がやって来た

俺は振り返り声を掛ける

「やぁ、こんにちは」

「どうも、あの!あなたは?」

「日々谷だよ、日々谷光(ひかり)」

「軽音部の人?」

「いや、俺は音楽科の生徒だよ」

「音楽科って合唱とかそっちじゃないの?」

「俺はバンドとかそっち系だよ、と言っても、俺1人だけどね」

「私は…」

「知ってるよ、演劇部期待のエース千聖さんでしょ」

「私の事、知っていたの?」

「まぁ、噂程度にね」

「あなたの噂は聞かないけれど」

「一人でろくな活動実績もない俺の事を知ってる人は音楽科にしかいないよ」

「そう、じゃああなたは一応活動中ではあるのね」

「まぁね、放課後は基本ここにいるから気が向いたらおいで」

「そうするわ、愚痴でも聞いてちょうだい」

そう言って千聖は教室を出ていった

それから俺達は放課後によく会うようになった

そして、主演の舞台が決まった事やその日あった事など色々な事を話す中で演技に不安がある事を知った

「演技の事は俺には分からないけど、音楽でも似てる部分はあるよ」

「そうなの?」

「例えば歌詞、どう捉えるかによって感じ方はそれぞれでしょ、後、演奏も同じだと思う、結局自分がどう見せたいかじゃない?」

「そういう捉え方もできるのね、自分の視野の狭さに呆れるわ」

「結局は自分次第だからね」

「私はこの役を演じきれるかしら?」

「不安?」

「そりゃもちろん不安よ」

俺は少しの間黙って考えてから言った

「公演いつだっけ?」

「明後日よ、明日は1日通しで練習なの」

「じゃあ、明後日の公演前に俺に時間ちょうだい」

「演奏してくれるの?」

「うん、オリジナルの曲じゃないけど、君にピッタリの曲を用意しておくから」

「そう、じゃあ楽しみにしておくわね」

そう言って千聖は立ち上がり教室を出ていった

そしてそこで監督さんからのカットの声が響いた

「2人とも良かったよ!マネージャー君は役に入り込んでいたね」

「殆ど素の自分ですしね」

「確かに、演技なのに私は光本人と話してるみたいだったわ」

「演技する必要が殆どなくて助かってるけどね」

「少し休憩したらそのままラストに行こう!演奏頼んだぞ」

「それは任せてください」

「光、曲は決まっているのよね?」

「もちろん」

「私はあなたの演奏から何を感じるのかしらね」

「人それぞれだから、わかんないよ」

などと話していると監督さんから撮影再開の声がかかった

俺達はそれぞれ配置に着くと撮影が再開される

約束の日公演前に千聖がいつもの音楽室にやって来た

「来てくれたんだね」

「約束だもの」

「聞かせてちょうだいあなたの演奏」

「その前に聞かせて、気分はどう?」

「あまり良くないわね、緊張やら不安やらでぐちゃぐちゃよ」

「じゃあ、せめてその気持ちを和らげられたらいいなと思いながら演奏します」

そう言って俺は準備していたプロジェクターを起動させてそれに合わせ演奏していく

『どうせダメだっていう声何度も聞こえていたよ

聞こえないフリしていても何も変わらないってこと

知っていたんだよ君から学んだ

もしダメだったとしてダメじゃないってこと

流れる雲に想いを乗せたら小さなメロディー背中押してくる

まだ広がり続ける空だから決めたんだよ

もう泣かないってね』

 

千聖視点

 

流れる雲に想いを乗せたら小さなメロディーが背中が押してくれて

まだ広がり続ける空だから迷わないって決めたか

「空からしたら私達の悩みはちっぽけなのかもしれないわね」

 

『夜空から見下ろす自分らしさという影

簡単には目に見えない宇宙の彼方からのエール

未知の世界は自分の中にも

きっと広がってるだから探してる

なに一つ上手くいかないなんて

長いことは続かないからね

もしもホームには帰れなくても

きっとどこかで会える日が来るまで

 

lalalaいつかの自分に会いに行く

lalalaいつかの君にまた会えるよ』

 

千聖視点

「いつかの自分に会いに行っていつかの君にまた会えるか

そんな事考えもしなかったわ」

自分らしさが目に見えないのは当然で上手くいかない事は長続きしないその全部が歌詞に込められていて自分を見つめ直すいいきっかけになる曲だと感じた

 

『今のこの気持ちを未来が待ってる

まだ見えない風を感じているんだよ

君の中に勇気を知った時

浮かんでいるそして飛んでいけるよ

宇宙とリズム時に揺れながら

 

lalalaいつかの自分に会いに行く

lalalaいつかの君にまた会えるよ

 

lalalaいつかの自分に』

 

1曲目が終わると俺はすぐさま次の演奏に入るそれに合わせてプロジェクターの俺達自身も演奏を初める中で歌っていく

 

『会いたくて会いたくて星の数の夜を超えて

いつまでもいつまでも君はきっと僕のヒカリ』

 

自分の演奏が1つになるのを感じる、でも、やっぱりこれじゃダメだとも感じる、最高の演奏をするなら音だけでいい!

俺は音のセカイに深く潜っていく

 

『君のそばにいる風の朝も凍りそうな月夜も

そうさ不器用な僕に出来ること瞬きするたび

形変える雲みたいな君だけ

ずっと見つめて明日を駆け抜けたいんだ

曖昧な言葉なんて心を曇らすだけ

まっすぐに泣いて、笑ってよ守り続けるから

会いたくて会いたくて星の数の夜を超えて

いつまでもいつまでも君はきっと僕のヒカリ

会いたくて会いたくて見つけたんだ僕の太陽

まぶしすぎる君の横顔』

 

千聖視点

この曲は光からのメッセージ、きっとあなたにとって

私はヒカリでは無いかもしれない、むしろ逆で私にとってのヒカリは彼なのだろう

「全てが逆じゃない」

そう言った私は自然と笑えていた

 

『強くなれなくて尖る言葉ぶつけ合う時もある

いいさふたりがしたいと思うのなら

I sey Hi君はグッバイ?へそ曲がりな言葉も

君とのヒトカケラなんだよ失くしたりはしない

会いたくて会いたくてココロ風に溶かしながら

いつだっていつだって君の傍に僕はいる

会いたくて会いたくて溢れだしてしまう想い

まぶしすぎる君の横顔

会いたくて会いたくて星の数の夜を超えて

いつだっていつだって君のそばに僕はいる

いつかきっといつかきっと同じ夢に眠れるように

僕も君のヒカリになる

ABC君への想いをcan't you see?選びたいよ

君となら行けるどこまでも

ABC君への想いをcan't you see?守りたいよ

まぶしすぎる君の横顔巡り会えた僕の太陽』

 

ラストまで演奏し終えると俺は千聖に向けて言った

「千聖、一人じゃないから、いつだって君のそばに俺も含めてたくさんの人が見守っているだからさ胸張ってやってきな!ここから先は君が見せる番だよ」

俺の言葉を聞いて千聖は立ち上がって言った

「行ってくるわ!見ていて!」

「見てるよ!君の一番近くでね」

俺の言葉に頷きを返して千聖はステージに向かって行った

そして公演が始まると雰囲気がガラリと変わり見事に最高のステージで最高の演技をやりきった

俺はそれを見届けてから音楽室に書置きとギターのピックを置いてその場を後にした。

俺の出番はそこで終わり、ラストは千聖だ

 

千聖視点

公演は最高の形で幕を閉じた。

私は舞台から確かに彼の存在を感じていたから

彼に一言ありがとうと伝えたくていつもの場所に急いでいた

そして音楽室に着き扉を開けるとそこに彼はいなくて代わりに書置きとギターのピックが置かれていた

「光(ひかり)…」

名前を呟いても彼はこの場にいない残された書置きには

公演の感想と共に1番のファンからの最初のファンレターだと書かれていた、そして、立ち止まったらまた思い出して自分の名を呼んでほしいと綴られていた

「ありがとう、私、頑張るわね!」

そして私は書置きとギターのピックを胸に抱いたところで全部の撮影が終了し監督さんからカットの声がかかった

そして共演者の皆から惜しみない拍手が送られた。

こうして撮影の一切が終了し私達の共演が膜を閉じた。

 

そして帰り道

 

「光、今日までありがとう。」

「別に、こっちこそ貴重な体験させてもらったし」

「光、最後に握手しましょう」

「今?」

「えぇ、出来れば今が良いわ」

「……わかった」

そして俺達は力強く握手を交わし俺が力を緩めた時

千聖が俺の腕を引っ張り引き寄せて頬に口付けした

「お礼よ、いつも助けてくれてありがとう」

「大胆な事するな〜千聖みたいな美人にお礼でキスされたらちょっと勘違いしそう」

「勘違いしてくれて構わないわよ、まぁ、''私だけ''の隣に立つこと考えておいて」

そう言っていたずらっぽい笑みを浮かべて帰って行った

俺は千聖の言葉を思い出しながら一人家路に着いたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




10日ぶりくらいになりますかね?相変わらず結末が決まらず
悩みながらの執筆になります。
何はともあれ、次回はRoseliaの話を書いていこうと思いますのでお楽しみに
次回「挑戦と反省」


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第38話挑戦と反省

これから光はRoseliaの挑戦を見届ける


千聖のマネージャーの件も落ち着いた週明け

学校に来るなりリサと友希那に空き教室に拉致られる

「2人とも朝からどうしたの?」

「聞きたいことがあるのよ」

「なんか報告しないといけないことあった?」

「白鷺さんのマネージャーの件は落ち着いたのかしら?」

「そうそう!後、これからの光のスケジュール!」

「マネージャーの件は落ち着いたけど、代わりに今週いっぱいバイトだよ、そっちは?」

「今日から金曜まで練習して土曜1日休養した後日曜にオーディションよ」

「オーディション?」

「うん、前に言ってたFWFの前段階になるオーディションLIVEがあるんだよ!それでね、ちょっと本格的に光に練習見て欲しいなって」

「俺は良いけど、他の皆の了解は得てるの?」

「全員同意済みよ」

「わざわざ拉致らなくても良かったのに」

「直接頼んだのだし、前からお願いはしていたわ」

「まぁ、確かに、じゃあちょっと本腰入れて練習見るよ」

「お願いするわね」

「頼んだよ光!」

「もちろん!その代わり厳しくいくから覚悟しておいてね」

「OK!」

「お願いするわね」

そうして話は決まり俺達は教室に戻ると今度は日菜に捕まった

「おっはよう!ひ〜くん!」

「おはよう日菜、朝から元気だね」

「ひ〜くんはいつもテンション低いよね朝は」

「朝は苦手だからね」

「ひ〜くん今度は友希那ちゃん達と何かするの?」

「うん、友希那達Roseliaの練習をひたすらにみるよ」

「友希那ちゃん達何かあるの?」

「なんか、オーディションに挑戦するらしいよ」

「そうなんだ〜それでひ〜くんが練習見るんだね、それが終わる頃にはひ〜くんに向けたLIVEがあるんだよね」

「あぁ、そうだな、もうすぐか……」

「感傷に浸るのは全部終わってからよ!光!私たちはこれまでも、そしてこれからもあなたに助けられると思うわ、でもね、あなたが私たちにしくれるように私達もあなたを支えられるようになりたいのよ!Roseliaは少なくともあなたの隣に立つことを諦めたりはしないわ」

「ありがとう、その言葉だけで俺は音楽を続けたかいがあったよ」

そんな話をしながら俺達はホームルームの時間が始まるのを待っていると先生がやってきてホームルームが始まりその後

休憩時間を挟みつつ午前中の授業を終え昼休みになる

イツメンで昼食をとりつつ今後の予定などを話しながら昼休みを過ごし午後の授業を終えて迎えた放課後

俺と友希那達Roseliaはcircleで練習に勤しんでいた

「ストップ!あこちゃんドラム走り気味だから注意!紗夜!もっと周りの音聞いて!もう1回!」

そうして俺は細かい所まで指摘して行きながら1度休憩をとることにした

「10分程休憩しよう」

そう言って俺はかけていた眼鏡を外し一息つくと友希那以外のメンバーはその場にへたりこんだ

「ちょっと休憩!」

「さすがに疲れましたね」

「光兄ぃスパルタなんだもん!」

「いつにも増して厳しいね」

「光、加減なさい」

「嫌だよ、手加減しないって言ったよ?」

「本腰入れて練習見るとは言っていたけど、ここまでスパルタなのはどうかと思うけれど」

「俺が妥協して良いならいくらでも妥協するよ、でもさ、本当にいいの?」

「どういう事?」

「妥協するってのは諦めるのと変わらないよ!俺は友希那達の挑戦をサポートするために全力を尽くすつもりでいるけど、妥協するなら俺は今のままでいいんじゃないって思うよ」

「……そうね、確かにその通りだわ」

「一理あるよね」

「1度妥協を許してしまえばって言いますもんね」

「そこまで考えてるんですね」

「光兄ぃらしいね」

「まぁ、妥協って言うわけじゃないけど、大丈夫そうな部分は今のまま伸ばしていって後々気になったら気を付ければ大丈夫だからさ」

「そのために貴方の力を借りるのよ、私達が気付けない部分は頼むわよ」

「そこは妥協しないから安心して、てか、そろそろ練習再開しない?」

「そうね、練習を再開するわ」

「もう少し頑張りますか!」

「ですね」

「はい!」

「やるよー!」

そうして練習を再開し俺はまた細かい所まで指摘していく

「燐子!キーボードもう少し主張していいから、そこ意識!あこちゃんはもう少しリズムキープ正確に!友希那も声張る所と抑えるところをもう少し意識して!」

「わかったわ、もう一度いくわよ!」

そうして時間いっぱい練習した後休憩を入れ更に延長して練習した後解散した。

俺もバイト終了時間と重なったので紗夜と共に帰宅中だ

「光君、練習見てくれてありがとうございます。ですがいささかスパルタ過ぎませんか?」

「これでも許容範囲は超えてないつもりだけどね」

「光君自身を基準にしてるならそれは比べる相手を間違えてます。」

「いやいや、さすがに俺も自分を基準にはしてないよ!ただ普段のRoseliaの練習量とか時間とかからこのくらいならって思える範囲でやってるつもりだよ、それに手を抜いたりなんかしたら友希那に何言われるかわかんないし、何より紗夜だって怒るでしょ」

「そうですね、確かに手を抜かれてると分かれば怒るとは思いますけど、きっと私はそうはならないと信じてますからね

そうでしょ?''ルミナス''さん」

「その名前で呼ばないで!もう1人の俺は今回力を貸すか分からないからね」

「そうですか、まぁおいそれと見せていい姿ではないと仰ってましたしね、ですが今回も頼らせてもらいたいですね、オーディションの結果次第では励ましてもらったりとか」

「まぁ、それをルミナスの俺がやるかどうかは別として、いつでもRoseliaの力になるよ、俺は6人目のメンバーなんでしょ?」

「えぇ、居てもらわなくては困りますね、光君には」

「そっか、じゃあ、今日のところはもう少し紗夜の隣を歩くことにするよ」

俺がそう言うと紗夜は赤面して俺の肩を軽く叩いて数歩先を歩いていった

「紗夜!荷物持ってるんだし、ゆっくりペース守って歩きなよ!」

そう言って後を追いかけて隣に並び紗夜を送り届けた後俺も家路についた

自宅に着くと俺はすぐに夕飯等々を済ませてからベッドに寝そべり普段から使っているウォークマンから曲を再生していくもしも、演奏という意味で俺の力が必要なら最大限応えたいと思いながら俺は眠りに落ちた

 

次の日

いつもより早めに学校に行くと後ろから走ってくる音が聞こえて俺はスっと横に避ける

「おっはよう!ひ〜くん!」

「やっぱり日菜だった」

「気付いてたの?」

「だから受け見とるために避けたんだけどね」

「そういう事か!」

「気付こうよ!」

「だねぇ、アハハ」

「まったく」

そう言って肩を竦めてから歩き出す

「あっ!待ってひ〜くん!」

「先に行ったりしないから大丈夫だって」

俺は日菜が隣に並ぶのを待って再び歩き出す

「そういえば友希那ちゃん達どう?」

「元々技術は高い方だから細かいミスを指摘するくらいかな?俺の役目は統一感を強くする事だから」

「オーディション合格出来そう?」

「どうだろうね、俺の知ってる事の確認も含めて軽く調べて見たんだけど、プロでも落ちる最難関だから、例えるならものすごく高い壁が立ちはだかってる感じかな」

「そっかぁ〜ひ〜くんは出ないの?」

「俺はソロだもん!俺の仲間たちもあそこには行き着くことは多分無いだろうな」

「じゃあもし、夢が叶ったとしたらデビューしてそれで終わり?」

「さぁ?俺は音楽以外はからっきしだからね、イベント事には参加するだろうけど、まだわかんないよ、パスパレは?最近どうなの?」

「可もなく不可もなくって感じ、みんな集まって練習出来たらすっごくるんってするけど、千聖ちゃんちょっと前まで忙しいかったからちょっと微妙だった」

「日菜は紗夜とは別の意味でパスパレの事好きだもんね」

「お姉ちゃんは特別だもん!あたしの自慢のお姉ちゃんだしね!」

「ならさ、紗夜からも自慢の妹だって思われるよう努力しないとね」

「だねぇ〜」

そんな話をしながら教室に行き既に来ていた友希那達とも合流し他愛ない話をしながら授業が始まるのを待って授業を受け普段と同じく昼休みを過ごし午後の授業を、受け迎えた

放課後

今日もRoseliaの練習に付き合い俺はまた細かい所まで指摘していく

「友希那!練習だからさ今だけもう少し声を抑え気味にしてみて、本番声出なかったら困るだろうし、今だけ加減する感じで、その変わりあえて演奏に力を入れるからさ」

「あなたがそういうのならそうするわ、皆良いわね?」

全員が頷きで答えたのを確認し演奏を再開する

一通り練習して1度休憩をとる

「友希那、一応これのど飴、他の皆も飲み物とか準備してあるからゆっくり休憩して疲れ残さないようにね」

「光は今日もスパルタなんだもん!疲れたよ!」

「厳しくいくからねって前もって言ったよ!」

「わかってるけどさァ〜」

「光君なりにちゃんと私達の練習時間や量からちゃんと考えて練習見てくれているみたいですし、それだけでも技術向上になりますよ」

「紗夜さんどうしてそこまで知ってるんですか?」

「昨日スパルタな理由をお聞きしたので」

「光兄ぃそこまで考えてたんだ」

「そうしないと皆オーバワークで倒れるよ、友希那の声だって枯れるかも」

「手間をかけるわね」

「俺もメンバーなんでしょ?ならこのくらいはね」

「なら、この後は演奏に参加してちょうだい」

「良いけど、演奏する側としてアドバイスすればいいの?」

「お願いするわ」

「OK!」

俺は一応持ってきていたギターを手に取りストラップを肩にかけると軽く音を確かめ準備を完了させておく

「もう少し休憩したら再開しよう」

「なら今のうちにしっかり休みましょう、光が参加したら私達は更にくたびれるわ」

「なら、俺が暴走しないようにしっかり手綱を掴んでてね

友希那」

「私なの?」

「リーダーだし」

「はァ…わかったわよ!じゃあ練習を再開しましょう」

そうして練習が再開されると俺は皆の音を聞きながら動き周り自分の音を重ねていく、そして数分後

全員が疲れた表情を浮かべていた

「皆大丈夫?」

「光、加減していたのよね?」

「一応5割キープしてたつもり」

「そうよね、私もそう感じたわ」

「光、アレほんとに5割?」

「かなりきつかったんですが」

「私も…少し」

「あこ腕痛い」

「う〜ん、どうしたもんかな?」

「光、1つ頼み事をしても良いかしら?」

「何?」

「他のメンバーに5分だけ休憩させるからあなたの演奏で歌わせてくれないかしら?」

「楽器は?俺、今ギターしかないけど」

「リサ達の楽器を借りれば良いわよ!そうね、上手く楽器を交代させながら演奏出来るかしら?」

「大丈夫だけど、配置弄っていい?」

「構わないわ」

「じゃあ遠慮なく」

俺は自分を囲むように楽器の配置を変えてから友希那の後ろにスタンバイし友希那に声をかける

「いつでもいいよ!」

「光、曲のリクエストは?」

「FIREBIRDで!」

「わかったわ、いくわよ!」

「いつでも!」

そうして友希那の歌声に合わせキーボード、ドラム、ギター、

ベース、の順で演奏していき1曲分の演奏を終える

「さすがに1人で全楽器担当するのは疲れるな」

「それでも、クオリティはさすがよ」

「だねぇ、アタシ自身無くすな〜」

「音が洗練されてましたしね」

「キーボードの音が透き通ってました」

「ドラムもドスドスきてうぁ〜ってなったよ」

「でも全力じゃないわね」

「当たり前だよ精々3割が良いとこ」

「これでも3割って…本気でやったら誰も着いて来れないよねきっと」

まぁ最もだろうと思う、1人で演奏するためのクオリティを求めている俺とは皆の演奏は全くの別物だ、だからこそ出来ることがあるようにどこまでも音が孤独なのかもしれない

そう感じた

その後も俺は演奏に参加しつつ皆にアドバイスをしていきその日は終了となる

そして今日も紗夜を送り届けてから家に帰り曲選びをしていた

「オーディション前でも、その後でもどっちにも使える曲があったらいいんだけど…」

そう思っていると1曲だけピッタリな曲を見つけた

「いいかもな、もう一曲くらい候補見つけておかないとな」

そう言って曲を聞いているうちに寝落ちしていた

 

そして次の日、練習3日目

「今のとこもう1回!全体的にズレてるよ」

「どのへんが?」

「演奏が1つになる瞬間」

「なるほど、わかんない!」

「どうしてよ?」

「演奏のバランスが悪いとかならわかるんだけど、ひとつになる瞬間って何?」

「そこから!?」

「お願い!光教えて」

「あぁ〜、わかったよ、簡単に言うと、渦だよ」

「渦?」

「友希那を中心に外側に広がっていく、そして中心だけが際立つんじゃなくて全員が1つになる瞬間があるんだよ、その瞬間にまだ不安がある」

「難しいけど、何となくわかった」

「光、お互いが納得行くまで手を抜いてはダメよ」

「約束は守るさ」

そうして時間いっぱい待て練習して解散した

俺は今日もまた曲を聞いてもう一曲を探し続けていた

どうせなら頑張れと伝えるより自分の力を最大限に活かしてとまたは活かしきったから大丈夫だと伝えられる曲を選んでRoseliaのみんなに届けたい、ならやることは1つだ演奏で皆に伝える俺は曲を決めそれをルミナスとしての俺に託す

「頼んだよ、もう1人の俺」

(任されたよ、僕が出るタイミングはおそらく、終わった後だ)

「それまでは俺に任せてもらうぜ」

(わかってるさ、君は僕で僕は君さ僕の中に君がいる君の中に僕がいるだからこそ)

「俺(僕)ならやれる!」

その後俺は4日目5日目と練習に付き合い1日は自分の練習に費やし迎えたオーディション当日俺はRoseliaのメンバーと会場に来ていた

「会場以外とデカイな」

「FWFの会場はもっと広いわ、ここはまだ序の口よ」

「へぇ〜凄いんだな!友希那達の目指す夢の舞台はまだもっと広大なのか、俺も行ってみたいな」

「連れていくわよ、私達が貴方をね」

「期待してるよ俺に友希那達の夢が叶う瞬間を見せて」

「えぇ、期待していてちょうだい、とりあえず控え室にいくわよ」

「じゃあ、俺は客席に行ってるよ」

「何を言っているの?貴方も一緒に来るのよ、間近で見届けなさい」

「そうだよ、光もRoseliaのメンバーなんだから」

「私達の傍で見届けてください」

「お願いします光君」

「お願い光兄ぃ」

「わかったよ」

そうしてRoseliaと控え室に行き俺達は出番が来るのを待っているとRoseliaの出番となり俺はRoseliaのみんなと一緒にステージ袖に来ていた

「円陣やる?」

「良いわね、皆、輪になってちょうだい」

皆意外そうな顔をしたものの号令に合わせて輪になり友希那を中心に手を重ねる

「光、貴方もよ」

「あぁ、もちろん」

そうして俺達6人は輪になり手を重ねた

「光、任せるわ」

「わかった」

俺は少し考えてから話し出す

「まず、皆に聞くよ、準備はいい?」

俺の言葉に全員が頷きで返す

「やり残したことは無い?」

「大丈夫よ」

「OKだよ」

「問題ありません」

「私もです」

「あこも大丈夫」

「俺は直接は参加出来ないけど、やれる事はやったつもりだからさ、Roseliaの全力を俺に見せてよ!」

「当たり前よ!」

「任せて」

「頑張ります」

「はい」

「うん」

「じゃあ、いくよ!全力を尽くして最高の演奏を!RoseliaにちなんでLet’sFIRE!!!」

「「「「「GO!FIRE!!!」」」」」

そうしてRoseliaの皆を俺は送り出した

 

 

Roselia視点

「フフフッ」

「どうしたの?友希那」

「円陣の掛け声、光らしいと思ったのよ、それに悪くなかった」

「確かに、GO!FIRE!!!なんて返した私達自身もアレでしたけど、自然と気持ちが1つになった感じがしますね」

「でも、自然と口から出ましたよ」

「なんかね!」

「さぁ、ここからは私達が最高の演奏を届ける番よ!」

私の言葉に全員が頷くと準備を完了させた私達はステージに立ちマイクを通して話し出す

「Roseliaです!私達の全力の演奏を聞いて下さい!行くわよ皆!LOUDER」

私達は光と共に培った技術の全てをのせて私達が持てる全てをこの1曲にのせる

見ていて光、貴方と出会ってから貴方と共に培った全てをこの曲にのせるわ、聞いていてちょうだい、私達が今出せる最高の演奏をここに残すわ

そうして私達の番か終わり休憩を挟んでから結果発表となった

けど…私達Roseliaは落選した。

でも、審査員全員が満場一致であえて落選させたらしい

理由は音が完成に近付いているからこそ完成されたRoseliaの音を最高の舞台で最高の形で披露して欲しいとの事だった

 

帰り道私達はファミレスで反省会を開くために全員で1歩1歩を踏みしめながら帰った

 

光視点

俺達は反省会をするためファミレスに来ていた

「残念だったね、それと、ごめん!俺の力が足りなかった俺がもっと皆に力を最大限借せていたら」

「何を言っているの?」

「そうだよ」

「いや、だってさ」

「だってじゃありませんよ光君」

「私達はあなたのおかげであと一歩の所まで来れたんですよ」

「違うよ…」

「きっと俺がいなくても、Roseliaの皆はここまで来れたと思う…俺は少なくとももっと皆に何か出来ることがあったんじゃないかって思うんだ」

「光君、考え過ぎですよ!私達は光君の手助けもあってあと一歩の所まで来れたんですよ」

「そうだよ光兄ぃ!光兄ぃが色々教えてくれたからここまで来れたんだよ!」

「その通りよ光」

「悔しい気持ちは私たちにもあるよ、でもね、光のせいじゃない!光のおかげなんだよ」

「リサ…俺は皆の役に立てたのかな?」

「めちゃくちゃ役に立ってくれたじゃん!」

「そうよ!あなたはこの1週間私達Roseliaを最大限に支えてくれたわ」

友希那の言葉に全員が俺の目を見て頷いた

そして友希那はそのまま店員を呼び注文を口にする

「スーパーヤケ食いセットを6人前」

「はい、スーパーヤケ食いセットを6人前ですねかしこまりました、注文の到着までもうしばらくお待ちください」

「皆、大丈夫?スーパーヤケ食いセットなんて」

「何とかなるわよ」

「いや、俺は男子だから多少量が多くても平気だけどさ」

などと話していると料理が運ばれてきた

「お待たせしました、こちらスーパーヤケ食いセット6人前になります」

運ばれてきた料理を見て俺はしばらく肉料理は遠慮したいと思うのだった

「さぁ、これを食べて気持ちを新たに来年再挑戦よ!」

「そうだね!まだ始まったばかりだもんね!」

「えぇ、これが私達の再スタートですね!」

「はい!完食して再スタートしましょう!」

「うん!食べよう!」

「だね!」

そうして俺達は多少時間はかかったものの完食しきってファミレスを出た

「しばらくは肉料理は遠慮したいね」

「だねぇ、こればっかりは光に同意」

「私もよ、しばらくは肉料理は遠慮するわ」

「えぇ、しばらくは魚や野菜などをメインに肉料理は最低限にしたいですね」

「そうですね」

「うん、あこも今だけはあんまりお肉食べたくない」

皆が俺の言葉に同意する中で俺は更に言葉を続ける

「あのさ、まだ皆時間ある?時間的にまだcircleやってるしちょっと付き合ってくれない?」

「これから練習でもする気?」

「俺の演奏聞いてよ!」

「光君、もしかしてこれからの私達を激励してくれるのですか?」

「そのつもり、さぁ行こう!」

「まぁ、せっかくだしね!」

「ですね!」

「うん!」

そうして俺達はcircleに向かった

数分後、俺達はcircleに来ていた

「こんばんは、まりなさんまだ平気ですか?」

「30分だけね!それ以上は待てないよ!」

「十分です!皆、先に行って客席で待ってて!」

「わかったわ、行きましょう」

俺はスタッフルームで着替えた後髪を結い上げピアスを付け替えてルミナスの姿に変わると相棒と呼んでいるギターを手に取り相棒に向けて言った

「頼むな相棒!」

俺はスタッフルームを出て皆の所に向かった

そしてステージ袖に移動しステージに出ていくとマイクを通して話し出す

「やぁRoseliaの皆さんこんばんはルミナスです」

「ルミナス?光じゃないの?」

「光であって光じゃないのよ彼は」

「本気で演奏するための姿ですね、心から本気で誰かのためになりたいと思った時になる姿なんです」

「お2人はあの姿を見た事があるんですね」

「えぇ、私の誕生日の時にねあの姿で本気の演奏を聞いたわ」

「私の場合は前にもお話しましたように日菜との関係の改善に一役買っていただきました」

「じゃあ今回はあこ達全員に向けて何かを伝えたいってこと?」

「そういう事、今回は演奏に入る前に皆に聞くよ、皆、演奏に命懸けになれる?」

「どう言う事かしら?」

「僕がこれから演奏する曲は命を燃やして頑張る皆への応援ソングと強い信念でまっすぐ己の道を歩む女性への応援ソングなんだ、だからこそ聞いておきたい、皆は命を燃やして頑張ろうと思う?」

皆は僕の問のに顔を見合わせてから力強く頷いた。

「良かった、じゃあ、これから演奏する曲は君達の心にきっと届くと思う、1曲目はfight」

 

僕は相棒のギターを弾きながら歌っていく

 

『描く夢がすべて叶うわけなどないけど

あなただってわかっているはずよ

壊れそうな空だってあたしは受け入れるから

大丈夫よ優しい嘘大人になりたい

頑張れ頑張れ命燃やして続く現実生きてゆく

頑張れ頑張れ限りある日々に…

花を咲かせる』

 

Roselia視点

「友希那、紗夜、これが光の本気の演奏なの?」

「言っておくけどまだ序の口よ」

「えぇ、こんなものじゃないです。今見えてる世界はほんの一部に過ぎませんから」

「そうなんですか?」

「えぇ、私が見た世界はもっと広いわどこまでも広くて広大だったわ」

「あこ達も見られるかな?その世界が」

今見えているのは私達が練習している姿、目標に向かって必死に練習する私達が映し出されていた、これが序の口だと言うのならどれだけの世界が見えるのだろう

それが怖くもあり楽しみでもある私達がいた

 

『希望の先にある憧れに手を伸ばせば

明日だって手さぐり見つけるよ

散りゆくから美しいという意味がわかってきた

ごめんねもう少し大人になるから

頑張れ頑張れ勝ち負けだって大事なことなんだね

頑張れ頑張れそうさ人生は引き返せない

 

いつか振り返る時今日の若かりし日が

きっと懐かしくなるから

 

頑張れ頑張れ命燃やして続く現実生きてゆく

頑張れ頑張れ限りある日々に…

花を咲かせる花を咲かせる』

 

演奏を終えて僕は再びマイクを通して話し出す

「1曲目のfightから限りある日々を1日1日を全力で頑張る気持ちを知って貰えたらいいなと思い演奏しました。

このまま2曲目にいきます、聞いて下さい!Aurora」

僕は再びギターを弾きながら歌っていくこの曲に全てを込めて皆が何かを掴むことが出来るように

 

『もう多分きっと大丈夫どこが痛いか分かったからね

自分で涙拾えたらいつか魔法に変えられる

ほんの少し忘れていたねとても長かったほんの少し

お日様がない時はクレヨンで世界に創り出したでしょう

 

正義の味方には見つけて貰えなかった類

探しに行かなくちゃ呼び合い続けたあの声だよ

溜息にもなれなかった名前さえ持たない思いが

心の一番奥の方爪を立てて堪えていたんだ

触れて確かめられたら形と音が分かるよ

伝えたい言葉はいつだってそうやって見つけてきた

 

振り返れば途切れずに歪な線を描く足後

悲しいくらいわかりやすくいつもここに向けて伸びる

大切にするのは下手でも大切だって事はわかっている

せめてその白い手紙が正しく届きますように

考え過ぎじゃないよそういう闇の中にいて

勇気の眼差しで次の足場を探しているだけ

 

解き放てあなたの声で光る羽根与えた思いを

その足が向かうべき先へそうしなきゃ見えなかった未来へ

諦めなかった事を誰よりも知っているのは

羽ばたいた言葉のひとつひとつ必ず届きますように

 

もう一度もう一度クレヨンで好きなように

もう一度さぁどうぞ好きな色で透明に

もう一度もう一度クレヨンでこの世界に

今こそさあどうぞ魔法に変えられる

 

ああ、なぜ、どうして、と繰り返して

それでも続けてきただろう

心の一番奥の方涙は炎向き合う時が来た

触れて確かめられたら形と音をくれるよ

あなたの言葉がいつだってあなたを探してきた

そうやって見つけてきた』

ラストまで一気に歌い上げるとマイクを通して話し出す

 

「僕が用意したのはこの2曲だけど、リクエストがあるならもう一曲くらいなら受け付けるよ但し」

僕は言葉を区切り髪を解きピアスを友希那とリサがくれたものに付け替え光の姿に戻り言った

「ここからは光としての演奏だけどね」

俺がそう言うと笑いながら友希那が言った

「どのくらいの時間が残されているかわからないけど、

1曲リクエストしても良いかしら?」

「どの曲かな?」

「リサのbirthdayに送ったCDにあったBelieveinYourselfを聞かせてちょうだい」

「OK!じゃあいくよ!」

俺は演奏を始める

 

『Wow…

 

やれるだけやりきったかなんて自分しかわからない

 

だから自分に嘘つくな自分にはズルするな

 

誰かと自分を比べるよりも己を誇れる人になりたい

 

自分を投げ出さず生きた今日を

 

褒め続けられる日々を送ろう

 

君にしかわからなくたって楽な道は選ぶな

 

最後に報われるのは逃げずにいた君自身だから』

 

 Roselia視点

 

「何度聴いても凄く前向きになれる曲だな〜自分を投げ出さず生きた今日を褒め続けられる日々を送ろうなんてやっぱり光らしい」

 

「最後に報われるのは逃げずにいた君自身だと、だからこそ逃げずに向き合えということかしらね」

 

「かもしれませんね、湊さんがこの曲をリクエストした意味がわかった気がします」

 

「そうですね、楽な道を選ばすに進んだら最後には報われると言われているようですね」

 

「だねぇ、なんかねあこ凄く元気出る!」

 

 

光が後ろから背中を押してくれて見守ってくれてるみたいだなと思いながらも自分自身が努力する事を忘れないでと言われているようでそれが伝わってくる中で曲を聞いていく

 

 

 

 

『馬鹿にされることはあっても馬鹿にだけはしないこと

 

いつの日も慎(つつ)ましくあれ気高く命燃やせ

 

結果ばかりに目を向けるよりも

 

歩んだ道のりを見つめてたい

 

自分を諦めず生きた日々を

 

悔いなく終わる命でありたい

 

思い通りにならない日も無駄にだけはしないで

 

大事なのは君が君を最後に認めてやれるかだ』

 

 

 

「やっぱりさ頑張れとかそういう歌詞が一切ないのに凄く励まされるね、そう思わない?」

 

「そうね、それに演奏もかなりモノだわ、あの姿の光の時とは違うけれどね」

 

「確かにそうですね、あの姿の時とは違っても、彼の演奏は心に響いてきますね」

 

「わかります、私の時は曲の全部を繋げたメッセージでしたけど、こういうのも悪くないですね」

 

「わかる!こういうのはこうなんか心からわぁー!ってなる」

 

本当に光には敵わないと思いながらこの曲を聞いていく

 

 

 

『休んだっていいさまた前を向けるなら

 

確かな1歩を踏みしめて行こう 君が掴むのさ

 

君にしかわからなくたって楽な道は選ぶな

 

最後に報われるのは逃げずにいた君自身だから

 

…BelieveinYourself』

 

「ここまでだね」

「残念ねもう時間なのね」

「まぁ、またいつでもLIVEするよ」

「でもまずは」

「そうですね」

「はい!」

「うん!」

「あなたに向けたLIVEがすぐ間近よ!観客は貴方だけだけれど、私達から貴方への最初の恩返しよ」

「大袈裟な気もするけど、誰かの演奏を間近で聞くのは楽しみだから、皆が俺にどんな曲を演奏してくれるのか楽しみにしてるよ」

「貴方の涙を見れることを楽しみにしておくわ」

「なら、俺の涙を引き出して見せてよ!友希那達の演奏でね」

「楽しみしていなさい!絶対に最高の演奏を届けることを約束するわ」

「俺も最後に皆に最高の演奏を返す事を約束するよ」

「アタシ達全員との約束だよ!」

「もちろん!俺と全員の約束」

そうして俺達はRoseliaとも約束を交わした。

もうすぐ始まるLIVEに向けて…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




お久しぶりです!結局連休ほぼほぼ使ってしまいましたけどRoseliaの挑戦を書きました。次回はカバーLIVEの前編を書いていきますのでお楽しみに
次回「前日と楽曲決定」


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第39話前日と楽曲決定

光に向けてLIVEが行われる前日、光と他のガールズバンドのメンバー達の行動は


ガールズバンド視点

その日、私達ガールズバンドのメンバーはリーダーだけを集めてcircleに来ていた

目的はもちろん光に会うことだ

circleの前に全員が集合したのを確認して私達は店内に入り受付にいた光に声をかける

「光、来たわよ」

「お疲れ、今日はリーダーだけなんだね」

「一応は代表者だけが集まるようにしたのよ、あまり人数がいても意見がバラけることもあるもの」

「それもそっか、じゃあ、とりあえず移動して色々決めるもの決めちゃおっか!」

「そうしましょう」

俺は受付を交代してもらいLIVEで使う部屋に移動して話し合いに参加する

「とりあえず皆、曲は決まってるの?」

「私達は決まっているわ」

「あたし達Afterglowも決まってます」

「ポピパも大丈夫です!」

「ハロハピも決まっているわ!」

「パスパレも決まってるよ」

「OK!曲は全員決まってるんだね、一バンド何曲予定?」

「2.3曲ね曲は聞いてのお楽しみよ」

「まぁ、今回は俺が照明から何から担当するわけじゃないしね」

「それもだけど、光君自身の楽しみが減っちゃうでしょ!この曲か!っていう驚きとかそういうの」

「確かにね俺もそれは楽しみにしておきたい」

「とりあえず決まっている事をまず報告するわ」

そう言って友希那が代表して決まっている事を教えてくれた

決まっているのは時間と場所、そして曲と演奏の順番の4つだ

「OK!これでほとんど決まってるんじゃない?」

「まだよ!貴方に向けて演奏するんだもの、貴方も参加してくれなきゃ不公平だわ」

「俺も?」

「是非お願いします光先輩!」

「光先輩が私達の演奏に答えてくれるなら私達はいつも以上に最高の演奏を先輩に届けます!」

「その通りよ光!私達はあなたを笑顔にしてあなたの嬉し涙を見ることが目標だもの!それに答えられる最高の演奏をするのは光の義務だわ」

「光君の最高の演奏を私達全員に聞かせて!」

そこまで言われたら俺は俺としてもルミナスとしても答えなきゃ演奏家の名折れだと思った

「俺は皆に答えなきゃ行けないね、最高の演奏をもって!」

俺がそういうと皆の顔は晴れやかな笑顔に満ちていた

「じゃあ、俺も曲を決めないとな」

「1曲リクエストしてもいいかしら?」

「何が希望?」

「LIVEは明日よ!そして明日はクリスマスイブで学校の終業式よ!ならLIVEでクリスマスソングを演奏して欲しいわ」

「終業式でもなんか歌わされそうな気はするけど、別に良いよ、他はリクエストある?」

「私は色々聞きたいですけど、お任せします!」

「私もなんでも大丈夫です!」

「光に任せるわ最高の演奏にしてちょうだい」

「私もそれでいいかな」

「考えておくよ!明日を楽しみにしてて」

そうしてLIVEについての打ち合わせが終わりそれぞれ解散したが友希那がまだ残っていた

「帰らないの?」

「もうすぐ皆来るのよ、明日に向けて最終調整しておきたいから付き合ってくれるかしら?」

「そういう事ならいくらでも」

「光、明日なのだけど、LIVEが終わったあとは多分打ち上げかなにかあると思うのよ、皆には話しているけれど、その後も少しだけ時間を貰えるかしら?」

「なにかあるの?」

「合同で貴方に向けて行うLIVEとは別に貴方に向けてRoseliaとして貴方に向けた演奏をしたいのよ、特別LIVEよ」

「RoseliaのLIVEに招待してくれるって事?」

「そうなるわね、後は正式に貴方をRoseliaに迎え入れる準備でもあるわ」

「とは言っても、サポート的な意味合いにはなるだろうけどね」

「それでいいのよ、貴方は必要な時に必ず誰かの力になれる現に私達はそれで助けられてきたわ、だからRoselia単体としても貴方に感謝を伝える為にLIVEをするわ、私達の全力をもってね」

「光栄だよ!俺は演奏でしか何かを伝えることが出来ない分それに全力を注いでる、その演奏が誰かに響いたんなら俺としては嬉しい限りだよ」

「それでこそ光よ、自分の演奏に自信をもって曲一つ一つを大切にするのが貴方だもの」

「俺は本当にそれしか出来ないから」

などと話しているとRoseliaの他のメンバーがやってきた

「やっほー光!LIVE前の最終調整するから練習見てよ!」

「友希那から聞いてるよ、とりあえず、明日の事聞いてからの方がいんじゃない?」

「それは大丈夫、アタシ達の希望は通ったみたいだから問題ないよ」

「そうなの?」

「言ってなかったかしら?私達順番は最後にしてもらったのよ、私達はラストを飾るのよ」

「そっか、最後の最後まで俺はRoseliaの世界に囚われるのか」

「人聞きが悪い気もするけど、あなた風に言うなら私達の世界へ引き込んであげるわ、そして荊棘で拘束して逃れなれなくしてあげるわ」

「ならその荊棘を逆に利用して俺の世界に捕らえてあげる」

そう言ってから笑うと友希那もクスクスと笑っていた

その様子を見ていたリサが話題を切り替える

「話変わるけど、光、明日のクリスマスイブがLIVEなわけだけど、光はもちろんアタシ達全員にプレゼントくれるんだよね?」

「あ〜そっか、まだ用意してないや、なんでも良いなら俺のネックレスかブレスレット欲しいの持ってて良いよ」

「でも、アタシと友希那は光がくれたこれがあるし」

そう言って以前渡した羽の装飾が付いたネックレスを見せる

「付けてたんだ」

「友希那も付けてるよ、ねぇ友希那」

「一応ね、曲以外じゃ貴方が唯一形に残してくれたものなわけだし」

「でもヘアピン前にあげたよね?」

「Roselia全員にでしょ、アタシはLIVEでたまに付けるよ」

「あこは学校にもたまに付けていくけどね」

「私もLIVEの時くらいでしょうか?」

「私もですね、たまに家でしてる事はありますけど」

「私はLIVE限定ね」

「まぁそれぞれ使ってくれてるならなんでもいいよ」

「適当なのね、話を戻すけれどなにか用意する気はあるのかしら?」

「ん〜パッと思いつくのはやっぱりアクセサリーか香水とかかな?服は好みが別れるだろうし、身につけられるものがいいよね、財布って手もあるか」

「そういう光はなにか欲しいものないの?」

「あるけど、高いものだから無理だよ」

「言うだけ言ってみてよ」

「五弦のベースと、腕時計」

「アッハハ、さすがに無理だよ光」

「もう少しなにかないの?」

「そう言われてもね」

「光って思ってたより物欲ないんだね」

「そうだね、俺は欲しいものはある程度自分で揃えてきたから、そのせいもあるかも」

「楽器全部自分で揃えたんだっけ?」

「一応ね」

「そうなると、やっぱり私達個人からと言うよりは各バンド事に1つくらいになるのかしらね」

「そうなったらこころ辺りが1番凄いのくれそうだな」

「言えてる!あの子お嬢様だもんね」

「まぁ、なんにせよ、俺は俺で考えておくから、そっちはそっちで任せたよ」

「もちろん!なんか考えておくよ」

「じゃあ、この話題終了って事で練習しようか!」

「そうね、そうしましょう」

そうして軽く1時間程練習して友希那達は帰って行き俺も残りの時間のバイトをやりきり、帰宅する

そして帰ってから俺は皆へのプレゼントをネットを使って探し始める

「アクセサリー系にマフラー、ヘアアクセ、香水に財布もかな?」

明日のLIVEは夕方からなので午後からあちこち見て回る事にしいくつか目星をつけてから今度は曲を選ぶためにウォークマンで曲を再生していく

「やっぱりbacknumberかな?あぁ〜でもソラニンでもいいか?いっその事4、5曲やればいいか!RoseliaのLIVEもあるしね」

そうして曲も決まり後は明日のプレゼント選びのみとなったので俺は遅めの夕飯等をすませ就寝した。

そして当日

学校では終業式が行われていた。

俺は眠気を堪えながら退屈な話に耳を傾けている

「話に長いな…」

校長先生の話話が終わっても教頭やら生徒指導やらの話がこれまた長いのなんの、夏休み前にも似たよな話をされているため聞き飽きたというのが本音だ

そうして半分は聞き流しながら式に参加して最後に効果斉唱して終了となる

俺は開放感からあえて聞こえる声で言った

「長かったー!やっと終わったよ!」

「声が大きいわよ光君」

「そうだよ光!言っていい事と悪い事があるって!」

「事実じゃん?俺が言わなくても誰かが言ったよ」

「そうだろうけどさ」

「まぁ、こればっかりはひ〜くんに賛成かな、ひ〜くんがいなくても多分誰かは言ってたよね多分」

「ほら、見なよ」

そんな話をしながら教室に戻ると、今度は冬休みの課題やら冬休みの過ごし方等etc・etcだった

そうして昼過ぎ頃帰りのホームルームを終えた

「光、この後は?」

「クリスマスプレゼント選び」

「この後行くの?間に合う?」

「間に合わせるさ、量はかなりのものになりそうだけどね、楽器は全部circleに置かせてもらってるし、色々選んでくるから何が当たっても文句はなしね」

「わかってるって!よっぽど変なものじゃない限り大丈夫だよ!」

「その辺は信用できるよね、光のセンスって確かだし、まぁ期待してるね」

「まぁ期待に胸ふくらませて待ってなよ!無難でそれなりのやつ選んでくるからさ」

俺はそう言ってその場を後にし昇降口に行くと麻弥さんと一緒だった日菜に会った

「あっ!ひ〜くん!もう帰るの?」

「LIVE前にやりたい事があってね、日菜、冬休みは星見るの?」

「こころちゃんと合同でやるよ!ひ〜くんも来るでしょ?」

「日菜達が良いならね」

「もちろん!また演奏聞かせてね!」

「もちろん、ちゃんと天体観測も楽しもう」

「うん!じゃあ後でね」

俺は学校を後にしその足で目星をつけた店を周り

プレゼントを買い揃えそのままの足でcircleに向かった

これから始まるLIVEを心待ちにしている気持ちが踏み出す1歩1歩にも現れていた。

 

 

 

 

 

 

 

 




数日振りになります。何とか早めに投稿出来て良かったです。
次回はいよいよ光君に向けてガールズバンドの皆が演奏してくれますのでお楽しみに
次回「皆からのメッセージとこれから先へ」


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第40話皆からのメッセージとこれから先へ

LIVE当日を迎えた光とガールズバンドのメンバー達は
光に何を伝えて光自身がどう感じ取るのかそしてどんな演奏を返すのか


俺はcircleに向かって足を進めていた

皆が俺のために演奏してくれる事が嬉しくて、楽しみで

仕方ない、皆が最高の演奏をくれるなら俺はそれに応えてそれを上回る演奏を返す、俺にできる皆への感謝だ。

そう思いながら足を進め俺はcircleに到着した

 

そして店内に入るとまりなさんが出迎えてくれた

「遅かったね、みんな揃ってるよ」

 

「控え室ですか?」

 

「うん!みんないるから行っておいで」

 

「行ってきます」

 

そうして俺は控え室に行き扉をノックし中に入る

 

「来たわね光」

 

「待ってたよ」

 

「もうすぐ始まるわあなたを笑顔にするLIVEが」

 

「最高の演奏を期待してる」

 

「当然よ!最高の演奏をしてこそだわ」

 

「その通りよ光!そして1番手は私達なのだから」

 

「じゃあ俺は客席側で待ってるよ」

 

そうして俺は控え室を後にし客席側で待ってるとLIVEの始まりを告げるように周りが暗くなりステージにはハロハピの皆がたっていた

 

「光!ハロー!」

 

「ハロー!こころ!そして他の皆もね」

 

俺の返答に皆が頷き返すとこころが話し出す

 

「もう、わかってるとは思うけれど、

 

1番手は私達ハローハッピーワールドよ!私達からの1曲目はちっぽけな勇気よ!さぁ聞いてちょうだい!」

 

そうして演奏が始まるとこころの声が歌詞を紡いでいく

 

ちっぽけで何もない自分の中に確かにある諦めない心、そして諦めずに前に前に進んで行った時間をこころの声がハロハピ皆の演奏が俺に伝えてくる。そして1曲目が終わりまたこころが話し出す

 

「2曲目にいくわ!2曲目はTomorrow!貴方が涙の大切さを教えてくれた曲よ!さぁ、聞いてちょうだい!」

 

そうして2曲目が始まるとこころの声がTomorrowの歌詞を紡いでいく

 

アスファルトに咲く花のように自分を信じてと涙を流してもその分だけ強くなれるからとハロハピ皆の演奏が紡がれる歌詞が俺の心に刺さる

 

そして2曲目が終わるとこころがまた話し出す

 

「私達の番はこれで終わりよ!光、とっても素敵な笑顔をしているわ!私達の演奏がそうさせたのなら1番に演奏したかいがあったわ!次はPastel*Paletteの皆が貴方に演奏を届けるわ」

 

そう言ってステージ袖に下がって行った

 

「ハロハピらしさが溢れた演奏だったよ!ありがとう!」

 

俺は下がって行ったハロハピに向けて叫んだ

 

その声が届いたようでこころが顔を見せて微笑んでからまた戻って行った。

 

そしてその後すぐにパスパレの皆が準備を終えてステージに立った

 

「光君!今日は来てくれてありがとう!」

「約束だからね、それに、皆が俺のために演奏してくれるんだもん聞かない訳にはいかないでしょ」

「私達は光君に何度となく励まされたんだ」

「2度目のLIVEを控えていた私達を励まして心をひとつにしてくれたわ」

「そしてテレビに出ることが決まった時もまたちぐはぐだった私達の音を一つにしてくれたよね」

「それだけじゃないっすよ!最近の事です!」

「そうっすね!彩ちゃんと千聖さん2人に勇気を与えてくれました!」

「光君が歌ってくれた曲は今でも耳に残ってるよ!」

「私も、あれほど心が晴れやかだったのは私自身初めてだったもの」

「だからね、まずは光君に私達の気持ちを伝えておこうと思うんだ!私達が選んだ1曲目はDREAM!」

 

これまた懐かしい曲だなと思った歌詞にある君がいるならどんな夢も叶うような気がしてるよという部分やありがとう君にあえて良かったという部分は皆の気持ちがのっていると感じさせられた

「出会えて嬉しいとかありがとうとかはこっちの台詞なのにな」

そう呟くのと演奏が終わるのは同時だった

 

「このまま2曲目にいきます!」

「次の曲はひ〜くんがこれから先へ前を向いていけるようにって選んだんだ!」

「それじゃあいくわよ!」

「聞いて下さい!」

「私達が選んだ2曲目を!」

「にじいろ!」

彩が曲名を告げて歌い出す

これから新しい物語が始まりずっと長く道が続いて行く

誰かと出会う事も離れることも物語の1部で自分を作る要素なのだからと彩の声が皆の演奏が俺を励ましてくれる

そして2曲目も終わりを告げた

「皆の気持ちは十分過ぎるほど伝わったよ!俺と出会ってくれてありがとう!」

「こっちの台詞だよ!光君」

「そうよ!感謝するのは私達の方なんだから」

「そうだよひ〜くん!いつもありがとう」

「私達が1つの目標に向かって行けてるのは光君のおかげなんスから」

「その通りです!ありがとうございます。そしてこれからもよろしくお願いします」

「こちらこそありがとう!そしてよろしく!」

俺の返答を聞いて満足した表情を浮かべステージ袖にパスパレの皆は下がって行き今度はAfterglowの番になり皆が準備を終えたタイミングで蘭が話し出す

「Afterglowです!光さん!まずはパスパレの皆と同じくお礼を言わせて下さい!」

「いつも私達の事を支えてくれてありがとうございます。」

「先輩がいなかったら喧嘩した時とかスムーズには仲直りできなかったんじゃないかなと思います。」

「たくさんありがとうひかるん先輩」

「つぐの時や秋祭りの時も常にあたしらに寄り添うような演奏がずっと心に刺さってます!ありがとうございます光さん」「本当にありがとうございます光さん!あたし達がいつも通りでいられるのには光さんのおかげってのも大きいんです!

だから、あたし達Afterglowからは悔しい気持ちすら乗り越えて欲しいって気持ちを込めます!1曲目は悔しさは種!」

 

曲名を告げてAfterglowの皆が演奏し蘭が歌っていく

曲が進むにつれて俺は過去を乗り越えて悔しい気持ちすら力に変えていけと強く背中を押されるような気持ちになった

「今回はやっぱり立場は逆になるんだな」

そう呟いて蘭達の演奏に耳をすませているとあっという間に演奏が終わり蘭が再び話し出す

「光さん!私達から光さんへ送る2曲目は明日もです!

光さんが私達に10年後100年後の事はわからなくても明日の事ならイメージができるよねって送ってくれた曲をそのまま光さんに送ろうと思います!聞いて下さい」

そうしてAfterglowの皆が明日もを演奏していく

俺自身に明日をイメージし前を見て進んで行けると言うAfterglowからのメッセージを強く感じられた

そして曲が終わると皆を代表してひまりが1歩前に出て言った

「光さん!私達Afterglowをいつも支えてくれてありがとうございます!私達は光さんにどんな形でもいいから恩返しをしたいってずっと考えてました。なので、私達Afterglowのいつも通りの日常に光さんがいてくれたらいいなと思います。

だから、Afterglowの6人目のメンバーとして光さんにいて貰えたらいいなと思います!それは皆の総意なんです。」

その言葉に全員が頷く

「皆がそれを望むなら、俺はその場に居続けるよ!そして遥か先にいて皆を照らすよ!」

Afterglowの皆は俺の言葉に納得しそのままステージ袖に下がって行った。

そしてAfterglowに代わりポピパの皆が姿を見せた

「Poppin’Partyです!1曲聞いて下さい!輝き出して走ってく!」

「まさか、この曲に俺自身が励まされるとはね」

ポピパの演奏を聞きながら気が付いたらそう呟いていた

「負けないで、くじけないでか、俺は迷ってはいなかったけど、アイツらともう一度っていう夢を諦めかけてたかもな」

そう呟いたのと同時に演奏が終わった

「光先輩!先輩自身がくじけそうになった時は私達が支えますから頼ってください!」

「皆もね!」

「はい!そうします!じゃあ次の曲にいきます!きみの名前!」

「ポピパの皆は俺に逃げずに向き合うことの大切さを教えてくれたんだな!」

皆からのメッセージを受け取りながら俺は自身の気を高ぶらせる

「あと一歩だな!」

そうしてポピパの演奏が終わるとスっと流れるようにRoseliaの皆がステージに立った

 

「Roseliaです!まずは一つ言っておくわ!Afterglowと同様に皆の総意でRoseliaの6人目のメンバーとして貴方を迎えるわ光!そしてまずは貴方の迷いを晴らさないと行けないわ

いくわよ!Burst the gravity!」

演奏が始まった瞬間俺は驚いた、曲の完成度も然ることながら英語が多く歌うのが難しい歌詞をスラスラと歌い上げていく友希那にそして友希那を際立たせる演奏に心底驚いた

「やるじゃん!Roseliaの皆にしか出来ない演奏で俺にぶつかってくるなんてさ」

そうして友希那がラストまで歌い終えてから話し出す

「2曲目にいくわ!光、貴方が私達に教えてくれた曲よ、曲名は雲雀」

曲が始まると同時に俺はRoseliaの世界に引き込まれた

微笑みにみんな何かを隠してたった一つの約束が始まりと終わりを繋いでる

「まさに俺の事か…」

呟きは演奏の中に消えていきそして曲が静かに終わりを告げる

「皆、ありがとう!皆からのメッセージは俺が受け取ったよ」

「でも、まだ終わりじゃないわ」

「そうだね、まだ終わらないね」

「これからまた始まるのよ!」

「ですね!」

「うん!まだ終わらないんだよね!」

そう言いながら各バンドのリーダーがステージに立った

「光、後ろを振り向いてご覧なさい」

言われて振り返ると他のメンバーが俺の後ろに立っていた

「じゃあ行くよ!せーの!!」

リサの掛け声で他のメンバー達がおれの背中を押し多少よろけそうになりながら前に進んで行くとステージにいるリーダーの皆が俺の腕を掴んでステージに引き上げた

「光、あなたの番よ!私達全員を貴方の世界に引き込んでちょうだい!」

「最高の演奏をまた聞かせてちょうだい!」

「光君!私達の演奏に答えてくれるよね!」

「光さん!最高の演奏をお願いします!」

「先輩!私達をキラキラドキドキさせてください!」

「皆…わかったよ!さぁ、ここからは俺のいや、''僕達''の番だ!」

俺はルミナスとしてステージに立ちステージ袖に置いていた相棒と呼んでいるギターを手に取り話し出す

「この姿を見るのが初めての人もいると思うので自己紹介しておきます。ルミナスって言います。俺自身が本気で誰かの為に演奏する時になるのがこの姿です!皆に本気の演奏をするために''僕達''がステージに立ちました、今回はクリスマスイブという事で皆へ向けてクリスマスソングと冬を感じられる曲を演奏します!それじゃ聞いて下さいまずは

クリスマスソング!」

 

''僕達''は曲名を告げて演奏し歌っていく

 

『どこかで鐘が鳴って らしくない言葉が浮かんで

寒さが心地よくて あれ なんで恋なんかしてんだろう

聖夜だなんだと繰り返す歌と

わざとらしくきらめく街のせいかな

 

会いたいと思う回数が会えないと痛いこの胸が

君の事どう思うか教えようとしてる

いいよそんなこと自分で分かってるよ

サンタとやらに頼んでも仕方ないよなぁ

 

できれば横にいて欲しくて どこにも行って欲しくなくて

僕の事だけをずっと考えていて欲しい

でもこんな事伝えたら格好悪いし

長かなるだけだからまとめるよ君が好きだ

 

はしゃぐ恋人達はトナカイのツノなんか生やして

よく人前で出来るなぁ いや 羨ましくなんてないけど

君が喜ぶプレゼントってなんだろう

僕だけがあげられるものってなんだろう

 

大好きだと言った返事が思ってたのとは違っても

それだけで嫌いになんてなれやしないから

星に願いをなんてさ柄じゃないけど

結局君じゃないと嫌なんだって見上げてるんだ』

 

Roselia視点

「友希那、光にリクエストしてた曲どう?」

「どうと言われても、なんと答えるのが正解なのかしら?」

「なんかあるじゃん!2人きりで過ごしてこの曲歌って欲しかったとかさ」

「私はそこまでは望まないわ」

「でも、どうせならこの後別の形で歌って欲しかったですね」

「そうですね、でも、光君の事だからもっと素敵な曲を用意してますよきっと」

「楽しみ〜」

クリスマスという特別な場だからこそ輝く曲と光が見せる世界に引き込まれていく

 

『あの時君に出会ってただそれだけで

自分も知らなかった自分が次から次に

 

会いたいと毎日思っててそれを君に知って欲しくて

すれ違う人混みに君を探している

こんな日は他の誰かと笑ってるかな

胸の奥の奥が苦しくなる

 

できれば横にいて欲しくてどこにも行って欲しくなくて

僕の事だけをずっと考えていて欲しい

やっぱりこんな事伝えたら格好悪いし

長くなるだけだからまとめるよ君が好きだ

 

聞こえるまで何度だって言うよ君が好きだ』

演奏を終えた僕達は皆に向けて話し出す

「クリスマスをたった1人の好きな人と過ごしたいっていうこの曲をまさか皆に向けて演奏するとは思ってませんでした。

でも、今日という特別な日に皆の前で歌えて良かったなと思います。とりあえず、次にいきます、ソラニン」

 

僕達は再び曲名を告げて演奏し歌って行く

 

『思い違いは空のかなたさよならだけの人生か

ほんの少しの未来は見えたのにさよならなんだ』

 

Afterglow視点

 

「さっきの曲とは変わってノリが良さそうだな」

「でも、まだ始まったばっかりだけどなんか懐かしい気持ちになるね冬空の下で昔を思い出すみたい」

「なんかわかる〜」

「あたしも!」

「まぁ、とりあえず最後まで聞いてみようよ!」

始まったばかりではまだ分からないが曲調がそうさせるのか懐かしい気持ちになる

『昔 住んでた小さな部屋は今は他人が住んでんだ

君に言われたひどい言葉も無駄な気がした毎日も

 

あの時こうしていればあの日に戻れれば

あの頃の僕にはもう戻れないよ

 

たとえばゆるい幸せがだらっと続いたとする

きっと悪い種が芽を出してもうさよならなんだ』

Roselia・Afterglow視点

 

「友希那さん、この曲ってやっぱり……」

「でしょうね、昔の何気ない幸せな時間を思い出すそんな曲じゃないかしら」

「光なりに向き合おうとはしてると思うよ」

「私もそう思います!だからこそのこの曲なんだと」

意見は様々だけど、きっとさよならだけの人生なんかで終わるつもりは無いんだろうなと思う私達だった

 

『寒い冬の冷えた缶コーヒー虹色の長いマフラー

小走りで裏路地を抜けて思い出してみる

 

たとえばゆるい幸せがだらっと続いたとする

きっと悪い種が芽を出してもうさよならなんだ』

 

パスパレ視点

「やっぱりお別れの曲かな?」

「どうかしらね、私には昔を懐かしむように聞こえるけど」

「ん〜ちょっと違うかも!」

「どういう事?」

「多分昔に戻りたい気持ちももちろんあるけど、後ろ向きにはならないよってひ〜くんなりのメッセージなんだと思うな」

「なるほど、一理あるかもですね」

「光君はそういうところは不器用なので有り得ます!」

私達は過去を振替えならないという光君からのメッセージとしてこの曲を受け取る、だってさよならなんて絶対嫌だから

『さよならそれもいいさどこかで元気出やれよ

僕もどーにかやるさそうするよ』

 

''僕達''は演奏を終えて話し出す

「次がラストの曲になります季節感は少し薄れるかもしれないけど、俺なりに、いや、''俺達''が伝えられるラストの曲です!聞いて下さい あの微笑みを忘れないで」

 

『あの微笑みを忘れないで

Forget your worries and gimme your smile

心の冬にさよならして走り出そう新しい明日へ』

 

ハロハピ・ポピパ視点

 

「素敵じゃない!」

「うん!キラキラしてて、ドキドキしてて最高!」

「あたし等の誰もあの人には適わねーな」

「本当にね」

「ひかるんらしい!」

「言えてる」

皆が思い思いに言葉を発し最後の曲を聞いていく

 

『25時砂の上に車を止めて語り明かしたあの夏

ぬるいコーラしかなくても夢だけで楽しかった

思い出して…つまづいた時には電話をしてね

 

Open your heart風を感じて あきらめをてにしないで

都会がくれたポーカーface海に捨ててしまおう

あの微笑みを忘れないで いつも輝いてたい

心の冬にさよならして走り出そう新しい明日へ』

 

ポピパ視点

「再スタートって感じかな?」

「だろうな先輩なりのあたし等に向けた答えなんだろうよ」

「いつも輝いてたいっていう部分とか光先輩にピッタリだもんね」

「やっぱり凄いね!」

「本当にね」

先輩がラストにこの曲を選んだのは間違いじゃなかったとここから感じた

 

『レンガ色の空を斜めに見上げて

口笛吹いたmy home town

やりたいこと欲しいものも

抱えきれないほどで

切なさのハードル越えられたね今も出来るよ

 

 

Open your heartひたむきな

あなたの瞳が好きだった 孤独な時間抱きしめて

人は大人になるから

あの微笑みを忘れないでいつも輝いてたい

もう何も迷うことなく走り出そう新しい明日へ』

 

Roselia視点

 

「やっぱり凄いね光兄ぃ」

「近いようで遠い存在って光の事なんだろうな」

「でも、追いつくと決めたのだから、やるわよ!」

「わかってますよ!絶対彼の隣に並びましょう」

「新しい明日へと向かう彼を追いかけます!」

私達が絶対光を1人になんかさせない、私達をここまで

連れてきたのは間違いなく光なのだから

『You've got Open your heart

When ever you feel blue

Forget your worries and gimmeyour smile

 

心の冬にさよならして走り出そう新しい明日へ

 

Open your heart風を感じてあきらめを手にしないで

都会がくれたポーカーface海に捨ててしまおう

あの微笑みを忘れないでいつも輝いてたい

心の冬にさよならして走り出そう新しい明日へ』

 

「聞いてくれてありがとうございました!」

全ての演奏終えて俺はステージを降りると皆が俺の元に集まった

「伝わったよ!光自身がこれからどうしたいかどうして行くのかが全部」

「俺も、皆の演奏と皆が演奏に込めたメッセージ、伝わったよ!だからこそ今までで1番最高の演奏ができたんだ」

「それならLIVEをしたかいがあったわ、最後に私達からのプレゼント受け取ってちょうだい」

俺は皆からプレゼントを受け取った、伝えてなかったはずなのに、こころ達は俺が欲しがっていた五弦のベースを用意してくれていた。

「貰っていいの?」

「皆がいいって言ったんだもの構わないわ」

「じゃあありがたく貰うね」

そして、パスパレとポピパからはピアスとブレスレット

Afterglowからは大きめのアルバムを貰った

「アルバムにはこの先の思い出を形として残して下さい」

「ありがとう、大切にするよ」

「光、私達からは時計を送るわ、あまり高いものではないけれど、壊れるまで大切使ってちょうだい」

「壊れても、修理してもらって大切に使うよ、皆がくれたものだからね」

「そこまでしなくてもいいわよ」

「まぁ、とりあえず、大事には使わせてもらうよ

あとは、俺からだね」

そう言って俺は全員にプレゼントを配った

「誰が何になるかはお楽しみ好きなの取って行って」

皆はそれぞれプレゼントを手に取り開封していく

「行き渡った?」

「Roseliaは全員分あるわ」

「Afterglowもです!」

「パスパレもOKだよ!」

「ハロハピも全員分あるわ」

「ポピパも全員分ありますよ!」

「じゃあ改めて今度は打ち上げしよう!LIVEの成功を祝ってね、準備はしてあるから」

その後俺達は打ち上げで十分に盛り上がり解散した、俺は片付けがあるからと残りRoseliaは手伝いという名目で残ってもらった。

「じゃあ、もう1回LIVEしようか!」

「えぇ、そうしましょう」

「Roseliaの単独LIVE、楽しみだよ!」

「でも、あたし達の後は光の番だからね!」

「わかってるよ!もう一度、最高の演奏を今度はRoseliaに向けて演奏してあげるよ」

「お願いしますね光君、いえ、ルミナスさんと呼ぶべきですかね」

「どっちでもいいよ、演奏するのは''俺達''だから」

「一つ、答えが出ているのね、あの姿の時とは違う演奏をするのね」

「ちょっと違うかな!ルミナスとしての自分は常に居続ける、でも、俺達が一つになればそれ以上の演奏ができるから、それを証明する」

「光兄ぃ、後悔とかはないの?」

「ないよ!過去の失敗には区切りは付けたから」

「でも、大丈夫なんですか?」

「大丈夫だよ、仲間は必ず来るさ!アイツらは俺の夢の先にきっといるから大丈夫」

「そう、ならやるわよ!光、あなたも準備しておきなさい」

「うん!俺はいつでも大丈夫だから」

「なら私達から行くわよ!皆、準備なさい」

「アタシ達の準備はいつでもいいよ!」

「ならいくわよ!LOUDERから熱色スターマインまで計5曲よ!ノンストップでいくわ!」

友希那の発言に皆が頷き返すと演奏が始まった

「やっぱりRoseliaは凄いな!」

そんな感想しか出てこない程にRoseliaの演奏は輝いていた

そして、LOUDER、BLACKSHOUT、FIREBIRD、BraveJewel

熱色スターマインと宣言通りノンストップで演奏されて行き

俺はRoseliaの世界に囚われた

演奏が終わると友希那が話し出す

「光、私達は絶対にあなたに並ぶわ!覚悟しておきなさい!」

「俺達だって負けてないよ!」

「なら、もう一度あなたの演奏を聞かせてちょうだい」

「もちろん!そういう約束だしね!」

俺はステージに立ち今度は友希那達が観客に回る

「じゃあ、さっそく、クリスマスソングを演奏します

聞いて下さい、聖なる夜の贈り物」

 

『小さな頃聞いた 寒い冬のおとぎ話

プレゼントはいらないからどうか君の笑顔下さい

 

キラキラの街並に似合わないこの重い空気

ここんとこは忙しくてすれ違いぎみのふたり

 

素直になれなくてごめんねいつもこんなに好きなのにな

真っ白な雪がふいに長いまつげに止まる

空がくれた贈り物にうつむく君も顔を上げた

かじかんだ寂しさにあたたかな灯がともる

ぬくもりを消さないようにそっと手と手を繋いだんだ』

 

Roselia視点

「サビとか超最高じゃん!なんかうるっと来た」

「分かりますよ、空がくれた贈り物なんてなんだか幻想的ですてきですしね」

「なんだか光が歌うと世界が違って見えるわ」

「りんりんが言ってた通りだね!光兄ぃやっぱりさっきよりももっと素敵な曲歌うって」

「光君は期待を裏切ったりはしないからね」

幻想的な世界観と圧倒的な演奏が合わさって私たちを捕らえて離さない

 

 

『三度目のこの冬を寄り添い歩く並木道

クリスマスがすぎたなら今年ももう終わりだね

この先もふたりでいたいと願う君もおんなじかな

 

真綿をような雪が静寂を連れてくる

ポッケの中の贈り物を確かめるように握りしめた

聖なる夜になんて ちょっとベタすぎるけれど

今ならこの気持ちすべて伝えられるような気がするんだ』

 

俺達は歌う中でさらに表現力の翼を広げていく

一緒に冬を過ごして三度目になる2人がこの先も一緒にいたいと願っているそんな一時に静寂をもたらす雪

そして聖なる夜になんてちょっとベタだけど思いの全てを伝える光景を歌と演奏で表現していく

 

『真っ白な雪のように飾らないで届けよう

空がくれた贈り物に誓うよ一度きりの言葉

寂しさを分け合ってやさしさの灯をともす

頷いてくれますようにずっと手と手を繋いでて』

 

「このまま次にいきます!聞いて下さいヒロイン」

 

『君の毎日僕は似合わないかな白い空から雪が落ちた

別にいいさと吐き出したため息が

少し残って寂しそうに消えた

 

君の街にも降っているかなああ今隣で

雪が綺麗と笑うのは君がいい

でも寒いねって嬉しそうなのも

転びそうになって掴んだ手のその先で

ありがとうって楽しそうなのもそれも君がいい

 

気付けば辺りはほとんどが白く染まって

散らかってた事忘れてしまいそう

意外と積もったねとメールを送ろうとして

打ちかけのままポケットに入れた

 

好まれるような強く優しい僕に変われないかな

 

雪が綺麗と笑うのは君がいい

出しかけた答え胸が痛くても

渡し方もどこに捨てればいいのかも分からずに

君から見えてる景色にただ怯えているんだ

 

思えばどんな映画を観たってどんな小説や音楽だって

そのヒロインに重ねてしまうのは君だよ

行ってみたい遠い場所で見たい夜空も

隣に描くのはいつでも

 

見慣れたはずの街がこんなにも馬鹿だなぁ僕は

 

君の街に白い雪が降った時

君は誰に会いたくなるんだろう

雪が綺麗だねって誰に言いたくなるんだろう

僕はやっぱり僕は

 

雪が綺麗と笑うのは君がいい

でも寒いねって嬉しそうなのも

転びそうになって掴んだ手のその先で

ありがとうって楽しそうなのも全部君がいい』

 

「これが曲のラストの曲です!ラストはここにあるピアノを使います聞いて下さい、雪の華」

 

『伸びた人陰(かげ)を歩道に並べ

 

夕闇のなかをキミと歩いてる

 

手を繋いでいつまでもずっと

 

そばにいれたなら泣けちゃうくらい

 

風が冷たくなって冬の匂いがした

 

そろそろこの街に君と近付ける季節がくる

 

今年最初の雪の華を2人寄り添って

 

眺めているこの瞬間(とき)にシアワセが溢れ出す

 

甘えとか弱さじゃない

 

ただ、キミを愛してる心からそう思った』

 

Roselia視点

「今までのとは曲調は大分変わるけど、大切な誰かと見る初雪の光景かしらね」

「そうだね、なんか…ヤバいな」

「どの曲も素敵でしたからね、クリスマスの光景や誰かと一緒に見たいと願う雪景色そして誰かと見る初雪ですからね」

「光兄ぃはやっぱり凄いね」

「とても素敵な人だよ、光君は」

思い思いに雪景色を思い浮かべて大切な誰かと一緒に見たいと願う瞬間がとても素敵だと思った

 

 

 

『キミがいるとどんなことでも

 

乗り切れるような気持ちになってる

 

こんな日々がいつまでもきっと

 

続いてくことを祈っているよ

 

風が窓を揺らした夜は揺り起こして

 

どんな悲しいこともボクが笑顔へと変えてあげる

 

舞落ちてきた雪の華が窓の外ずっと降やむことを知らずに

 

ボクらの街を染める

 

誰かのために何かをしたいと思えるのが

 

愛ということを知った

 

もし、キミを失ったとしたなら

 

星になってキミを照らすだろう

 

笑顔も涙に濡れてる夜もいつもいつでもそばにいるよ

 

今年最初の雪の華を2人寄り添って

 

眺めているこの瞬間(とき)にシアワセが溢れ出す

 

甘えとか弱さじゃない

 

ただ、キミとずっとこのまま一緒にいたい

 

素直にそう思えるこの街に振り積もってく真っ白な雪の華

 

2人の胸にそっと想い出を描くよ

 

これからもキミとずっと…』

 

全ての演奏を終えて俺はRoseliaの皆に話しかける

「どうだった?俺達の演奏は」

「最高に決まってんじゃん!」

「まぁ、当然ね、なんせ私が選んだメンバーの1人だもの」

「言っておきますが、1番最初に本気の演奏を聞いたのはあくまでも私と日菜ですからね!そこは譲れません!」

「あこもなんか楽しくてわぁ〜ってなった」

「私も、なんだか湧き上がるものがありました」

「それで、光、聞かせてくれるかしらあなたの言葉でこれから先の事を」

「もちろん!と言っても、今までと変わんないよ、これからも演奏は続けるし必要なら力も貸すさ!そして仲間も待つ

全てを諦めない、それが俺の答え」

「いい答えじゃない!それでこそ光よ」

「ありがとう、これからもよろしく」

俺はそうしてRoseliaの皆と握手を交わした

それから俺達は解散しそれぞれ帰路に着き帰宅する

俺は帰宅すると両親から送られてきていた荷物を開ける

そこにはギターが収められていた

「これ、俺がずっと父さんに譲ってくれって頼んでたやつ」

そして手紙が添えてあった

手紙に目を通すと父さんの字でお前に託すと書いてあった

「認めてくれたのかな?それとも…まぁ、いいか、父さん

ありがとう」

俺はそう言ってそのギターを手に取り軽く弾いてから箱に戻してからそのギターに語りかける

「これからよろしくな、もう一人相棒」

そうして俺の…いや、俺達のLIVEは終わりを告げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




カバーLIVE編完結です!長かったです!笑
次回からは冬休み件三学期編に入っていきます。
1番最初は誕生日イベントになりますのでお楽しみに

次回「誕生日と目標の再認識」


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冬休み&三学期編
第41話誕生日と目標の再認識


本格的に冬休みに入った光は彩の誕生日を祝うために行動する


LIVEが終わって本格的に冬休みに入った俺は絶賛演奏中だ

理由は彩の誕生日に送るCDの作成である

全楽器を1人で演奏するためになかなかハードで大変な作業ではなくあるが形として残しておく事の大切さをよく知る身としては手間を惜しむつもりは無い

そしてCDに入れる曲全てを演奏し終えた俺は楽器に囲まれる形で床に寝そべった

「演奏は終わり!後は編集だな、後は、彩次第だけど、出掛けるかパーティーするかにもよるな」

そう呟きながら俺は一寝入りする事にし楽器に埋もれるようにして眠りに着いた

 

パスパレside

「うぁ〜ん!どうしよう千聖ちゃん! 」

「彩ちゃん、まずは落ち着きなさいよ!」

「だって〜」

「さっきからなんかそわそわして落ち着かない様子ですけど、なんかあったんすか?」

「彩さんいつにも増して落ち着かない様子です!」

「実は…」

私が説明しようとした時日菜ちゃんがそれを遮った

「わかった!ひ〜くんでしょ!」

「どういう事日菜ちゃん?」

「彩ちゃんもうすぐ誕生日だもん!ひ〜くんが祝ってくれるか心配してるんじゃない?それかひ〜くんに誕生日デートに誘って欲しいとか」

図星を疲れてギクッとなる、多分反応からわかられた

「そういう事、別に本人に直接聞いたらいいじゃない」

「でもさ〜」

「ひ〜くん嫌って言わないと思うよ」

「確かに、彼は無理なことは無理って言う人ですし、断りはしないと思うッス」

「彩ちゃんはどうしたいの?」

「光君と一緒に誕生日を過ごしたいけど…」

「とりあえず、メッセージ送ってみたら良いじゃない!

まずは本人の都合を確認しないと」

「それもそうだね」

わたしはとりあえず光君にメッセージを送って都合を聞いてみる事にした

「すぐに返答は来ないだろうし、とりあえず練習を再開しましょう」

「そうだね、とりあえず、切り替えないと」

そうして私達は練習に勤しんだ

 

光side

スマホのメッセージ受信音で目を覚ました俺は寝ぼけ半分でスマホを確認すると彩から27日の予定は空いているかとメッセージが来ていた

「元々予定入れてないし、こっちから都合確認しようと思ってたからタイミングは良かったかな」

そう言って俺は特に予定がないから遊びに行くなら大丈夫だと返答しておき楽器を片付けて編集作業に取り掛かる

 

 

パスパレside

練習を終えて帰宅する前にスマホを確認すると光君から返答が来ていた、内容は予定は空いてるから遊びに行くなら大丈夫だってなっていた

「やった!光君予定ないって!」

「良かったじゃない」

「彩ちゃんひ〜くんと出掛けるの?」

「できれば光君とゆっくり過ごしたいな」

「じゃあ、お家デート?」

「デートになるのかな?」

「さぁ?捉え方次第じゃないかな?」

「とりあえず、光君は大丈夫って言ってる訳ですし、電話とかでもう予定合わちゃった方がいいんじゃないですか?」

「それが良いかと思うっす」

「だね、じゃあ、電話してみる!」

私はそう言って光君に電話をした

そして光君はすぐに電話に出てくれた

(もしもーし、彩?)

「うん!私、光君、さっきメッセージで送ったやつ確認してくれたんだよね?」

(大丈夫だよ!予定は空いてるから、どこか行きたい?)

「それなんだけどね、光君が良ければ、光君の家でゆっくり過ごしたいなって思うんだけど、ダメかな?」

(家でいいの?)

「うん!光君の家でDVD見たりしてゆっくり過ごしたいんだ」

(俺は良いよ!じゃあ当日は家においで)

「うん!じゃあ、当日ちょっと早め9時くらいでどう?」

(俺は大丈夫!じゃあ当日9時ね)

「うん!またね!」

そうして通話を終了すると皆がちょっとニヤけた表情でこっちを見ていた

「な…何?皆?」

「彩ちゃん嬉しそうだなって」

「表情に出てるわよ」

「え!?嘘!?」

「見てわかるくらい表情が緩んでます」

「ですねぇ〜」

そんな感じで私はからかわれながら帰るのだった

 

 

光side

彩と電話のやり取りからあっという間に当日を迎え俺は

映画やLIVEのDVDなど色々準備して彩を待っていた

そして時間ピッタリにインターホンが鳴る

俺は扉を開けて彩を出迎えた

「いらっしゃい」

「うん!今日はよろしく」

「とりあえず、入りなよ」

「うん!」

俺は彩を招き入れる

「光君の家来るの久しぶりだね」

「俺が体調崩した時に来て以来だもんね」

「日菜ちゃんが言ってたけど、ギターとかいっぱいあるんだよね?」

「いっぱいってほどでもないけど、見る?」

「いいの!?」

「見て減るもんじゃないしどうぞ」

俺は部屋の扉を開けて部屋に招き入れる

「お邪魔します!わぁ〜!本当に色んな楽器がある!ギターがアコギ含めて4本で、ベースもこの間貰った五絃の含めて3本でキーボードも2つあってそういえばドラムは?」

「ドラムはクローゼットに入れてる、普段は場所とるから」

「そっか、じゃあ、その机の上にあるのは?」

「バイオリンだよ、たまに弾くんだ、誕生日に父さん達が送ってくれたんだ、弾けるなら持っておけってさ」

「そうなんだこれだけ楽器があったら結構幅広く演奏できるよね」

「実際何度か父さんと一緒にスタジオミュージシャンの仕事した事あるよ」

「光君が教えるの上手いのはそのせい?」

「どうだろ?俺はどうしても自分基準になりがちだからね、

なんとも言えないかな」

「そっか、でも、それってさ、言い換えれば自分を客観的に見れてるって事じゃないの?」

「そんな大層なものじゃないって!とりあえず、この話はここまで!映画でも観よう!」

「そうだね」

俺は話題を切り替えて映画を見る事にし彩に何が見たいか聞いてみた

「どんなの見たいとかある?」

「やっぱり音楽系のがいいなぁ」

俺はそれならと思いソラニン、バンデイジ、君と100目の恋

の3つを出してどれがいいかを聞く

「オススメはこの3つだけど、どれがいい?」

「どれも気になるな〜光君のオススメは?」

「もちろん全部オススメではあるけど強いて言うならバンデイジかな?」

「じゃあそれから観よう!」

「OK!」

俺はバンデイジのDVDを手に取りデッキに入れ再生する

そして映画が始まるとお互い会話もなく内容に集中していた

音楽と人との関わりを強く描いた作品のため共感できる部分もあり、個人的には好きな作品の一つだ

しばらくして映画が終わると彩が話し出す

「光君がオススメするだけあって面白かったよ!最後は友達をマネージャーとして支えるようになったシーンは印象的だったな〜って」

「俺はやっぱりLIVEシーンかな」

そんな話しをしながら俺は思い出した事があり部屋に行き部屋から1枚のDVDを持ってきた

「それは何?」

「カノジョは嘘を愛しすぎてる、これはガッツリ音楽系だねまさに価値観のど真ん中に音楽があって音楽と関わるってなんだろうって思う作品でもあるかな」

「じゃあ、これでお願い!見てみたい」

「OK!多分見たら感動すると思うから楽しみにしてて」

そう言って俺はカノ嘘を再生する

そして映画が始まる内容としては

音楽と向き合う一人の青年と歌うことが好きな少女の恋愛を描いた作品で最後に青年は自分の音楽と向き合う為に旅立つ事を決め、最後に主人公の2人が演奏する

 

【ちっぽけな愛のうた】が主題歌になっている

 

使われたどの曲も全てが最高だと何度観ても思える作品だ

そして映画が終わると彩はやはりというか案の定と言うべきか泣いていた

「やっぱり感動した?」

「うん…すごく…感動的だった…」

「だよね、俺も初めて観た時は感動したよ、でもね、君と100回目の恋はもっと感動的だよ」

「そうなんだ、もっと色々見たいな」

「せっかくだし、色々見ようよか!でも、本当にいいの?」

「どこか行くより、光君とゆっくり過ごしたいから大丈夫」

「なら、いんだけどね!とりあえず、お昼にしようか!

うどんでいい?麺類なら色々あるけど

なんか食べたいものある?」

「任せるよ!」

「じゃあ、パスタにしようか!野菜たっぷりのクリームパスタ」

「美味しそう、それでお願い」

「じゃあ、準備するから次の映画でも見て待ってて、映画以外にもLIVEのDVDとかもあるからね」

「映画で良いよ、色々面白そうなのたくさんあるし」

「ゆっくり楽しんで、家だから簡単なおもてなししかできないし、楽しんで貰えてるなら良かったよ」

俺はそう言ってキッチンに向かいお昼の準備をする

そして十数分後、俺は出来た料理を持って居間に戻り彩に声を掛けた

「出来たよ!好みで七味か胡椒使ってね」

「ありがとう、いただきます!」

そうして俺達は食べながら映画鑑賞を続ける

今、観ているのはソラニンだ

「光君がこの間のLIVEで歌ってたのこれの主題歌だったんだね」

「そうだよ、まぁ、この曲を思い付いたのは過去への区切りとか別れとかからだけどね、今、映画でも触れてたでしょ」

「夢を追うのは楽じゃないなってこの映画観てると思っちゃう」

「まぁ、なんて言うか、この映画はそう言うのと向き合う人たちの話だからね」

などと話しているうちに映画はクライマックスを迎え主題歌件劇中歌が流れていた、ちょうどLIVEシーンだった

そして映画が終わり次の映画を鑑賞する

彩は色んな映画が見れて楽しそうにしているのでまあ良かったと思った

そして俺はチラリと時計を確認し彩に声をかける

「彩、時間大丈夫?まだ夕方だけど、夕飯も食べてく?」

「いいの?」

「俺は全然いいよ、ちょっと手間のかかる料理だから今から準備するから、ゆっくりしてて」

「なんかごめんね、至れり尽くせりな感じで落ち着かないよ!」

「気にしない気にしない!待ってて」

そう言って俺は準備に取り掛かる

そして数十分後

「できたよ!ちょっと早めの夕飯はグラタンにしてみた」

「凄い手が込んでる!光君って料理も上手なんだね」

「そうでもないよ!所詮一人暮らしの男子が作る料理だからね」

「でも、美味しそう!いただきます!って熱!」

「出来たてだから、少し冷ましながら食べないとダメだよ」「あはは、そうだよね、でも、本当に美味しいよ!」

「口にあって良かったよ」

「全然美味しいから、食べ過ぎちゃいそうで心配だよ」

「一応多めには作ってるからね、まぁ、でも、デザート忘れないでね」

「デザートもあるの?」

「彩、忘れてない?今日が自分の誕生日だって事」

「忘れては…ない…けど…って、あっ!そっか!」

「わかった?」

「うん!誕生日ケーキでしょ!」

「当たり!持ってくるから待ってて!」

そう言って俺は冷蔵庫の入れて置いたケーキを持ってきた

「ケーキも美味しそう」

「彩、一度電気消すね」

「うん!」

俺は電気を消してからロウソクに火をつけるロウソクはもちろん数字の17だそして俺は彩の前に座りアコギを使ってハッピーバースデーを歌ってから言った

「ハッピーバースデー誕生日おめでとう」

「ありがとう光君!」

「さぁ、火を消して」

「うん!」

彩はロウソクの火を消したのを確認してから電気を付けて

からメッセージカードを渡した

「これは何?」

「バースデーカード、開けてみて」

「うん」

カードを開くと中身はメッセージが書いてあった

これから始まる1年が特別なものでありますように

と書いてあった

「素敵なメッセージありがとう!」

「プレゼント、まだあるよ!」

俺はそう言ってキーボードを持ってきてスイッチを入れて音を確認する

「よし!問題なし!彩、1曲聞いてくれる?俺からのバースデーソング!あんまりバースデーソングって知らないんだけど、知ってる何曲かの中にピッタリのあったから」

「是非ともお願いします!」

「アハハ、別にかしこまらなくていいよ!普通にしてて

じゃあ演奏します!聞いて下さいタイトルはBirthday」

俺はキーボードを弾きながら歌っていく

 

『Happybirthdaytoyouあなたがここに

生まれてきてくれてありがとう

そう世界に一つの''あなた''という奇跡なんだよ』

 

彩視点

「普通にハッピーバースデーって言われるよりこういう曲を歌ってくれるのってやっぱり別な嬉しさがあるよね」

その呟きが聞こえたのか光君が優しく笑ってくれた

それだけことだけど嬉しい気持ちで心が満たされてくのを感じた

 

『何億何千万人といる人の中で一瞬だけでも

すれ違う偶然があるね

交差点 同じバス停 電車で隣に座った人

買い物したレジの人 よく駅で見かける人

 

何億何千万人といる人の中で一瞬よりも

長く出会える偶然があるね

これまで私はいったい何人の人の顔と名前を

ちゃんと知っているだろう

一緒にご飯を食べる人悩みや夢を語れる人

誕生日に「おめでとう」って言えるなんて凄いことだね

 

Happybirthdaytoyouあなたがここに

生まれてきてくれてありがとう

そう世界に一つの''あなた''という奇跡なんだよ』

 

彩視点

たくさんの人とすれ違ってたくさんの人と出会える偶然がある中で誕生日におめでとうって言える事が凄いことだなんて考えもしなかったそして光君はそんな偶然の中で誕生日を祝う事の大切さを歌ってくれてる

「誕生日を祝って貰える事がこんなに嬉しい事だなんて忘れてたな」

皆に祝って貰う時とは違う嬉しさがあった

 

『1年365日色々あるけど

一瞬たりとも同じ日はやってこないから

4つの季節が変わっていくみたいに

雨の日の次が晴れとは決まってないように

 

毎日あなたの誕生日 何度だって やり直せる

人はみんな明日にしか行けないようになっているんだよ

 

Happybirthdaytoyou 今日も明日も

あなたらしくいられますように

ずっと見守っているよいつでもあなたの味方なんだよ』

 

彩視点

「毎日が誕生日か…」

呟いてからそうかもしれないと思った、誕生日とは違うかもしれないけど、記念日といえばそうなんだろうなと思った

そんな毎日を自分らしくいられてそれを見守ってくれてる

味方でいてくれる人がいる事が素敵だと思った

 

『偶然同じ時代(とき)に生まれ偶然出会えたこの奇跡

ありがとうっておめでとうって心の中に花を送ろう

 

Happybirthdaytoyou 1人じゃ誰も

生きてく事なんて出来ないから

そう これからもずっと いつでもあなたは1人じゃない

 

Happybirthdaytoyou あなたがここに

生まれてきてくれてありがとう

そう世界に一つの''あなた''という奇跡なんだよ』

演奏を終えてから俺はもう一度彩におめでとうを伝えた

「誕生日おめでとう彩」

「ありがとう光君!最高の誕生日をありがとう!」

「実はね〜まだプレゼントがあるよ」

そう言って小さな小包を渡した

「開けても良いかな?」

「出来ることなら後でゆっくり開けて欲しいかな、

ほら、ケーキもまだ食べてないし、多分持ち帰ることになると思うから」

「それもそっか!じゃあ、光君ケーキ切り分けてくれる?」

「もちろん、さぁ、どうぞ」

俺はケーキを切り分けた

「これってチーズケーキ?」

「うん!ストロベリーとブルーベリーのジャムを使った2種のジャムの誕生日ケーキだよ」

そうして俺達はケーキを食べながら会話する

「光君やっぱり料理上手なんだね!」

「いや、別に大した事ないよ、1人でいる時に甘い物食べたいなと思った時とか作れたらいいなって、こっち来てから

週一でケーキ屋でバイトしてるんだ」

「そうなんだ、circleと掛け持ちで大変じゃない?」

「もう、慣れたよ!彩こそパスパレと学校の両立大変じゃない?」

「う〜ん、もちろん大変だと思う事もあるけど、やっぱり楽しんだ、毎日じゃないけど、皆と練習したり時々LIVEしたりそれが楽しんだ」

「まぁ、そうだよね!大変だと思っても、その時その時が大変だけど、楽しいって思えたら嬉しいしやっぱり楽しいよね」

「うん!私より、千聖ちゃんとか日菜ちゃんとかの方が大変だと思うな」

「日菜はどうだろ?自分基準に楽しいと思ったら行動するタイプだからね、俺は基本振り回されてされるがままだしね」

「でも、光君は日菜ちゃんに甘いとこあるからね」

そう言って苦笑する彩に俺も苦笑する

俺自身が日菜に甘いところがあるのは事実な為苦笑するしかないんだよなと思う

俺はちょっと話題を逸らし千聖の事を聞く

「千聖はどうなの?学校に女優業、そしてパスパレでしょ」

「うん!すっごく大変そうだけど、充実してるっては言ってたし、努力を忘れない所は凄いと思うな」

「なるほどねぇ」

そうして彩はパスパレメンバーの事を色々教えてくれた

そうして話しているうちにいい時間になったので解散する事にした

「いい時間だけど、どうする?タクシー呼ぼうか?」

「できれば自転車で送って欲しいかな!ケーキとかも型崩れしないようにしてくれたし、せっかくなら光君の自転車の後ろに乗りたいな」

「乗り心地悪いよ?」

「でも、たまに日菜ちゃんが乗ってるけど…平気なの?」

「日菜の場合は俺の肩に手を置いて立ってるからね」

「それは、私には難しいよね…」

「どうしてもって言うなら自転車の後ろにクッション置くけど、それでも乗り心地はあんまり変わんないかもよ」

「多少でも改善されるならお願いしたいかな、やっぱり自転車の後ろに乗ってみたいな」

「まぁ、そう言う事なら」

そう言って俺は自転車の後ろにクッションを置いて軽く縛り

準備を完了させ家で待ってもらっていた彩を呼びに戻った

「準備OKだよ!行こう」

「うん!お願いします!」

「仰せのままに」

そう言って俺は彩を自転車の後ろに乗せて自転車を走らせる

「道あってるよね?」

「うん!大丈夫!」

俺は道を確認しながら自宅まで彩を送り届けた、俺の家から自転車で40分から45分くらいと言ったところだ

駅からなら20分くらいだなと思いながら家の前に自転車を止めて彩が降りるのを確認してから俺は籠に入れていたケーキを小包を渡した

「ありがとう、今日は楽しかったよ!」

「家で映画見て一緒に食事しただけじゃん!まぁ、楽しかったなら良かったけど」

「久しぶりにゆっくり出来たし、映画も面白かったから全然楽しかったよ!」

「なら良かった!後、これ、後で聞いて」

「CD?」

「そう、CD色々曲入れたから聞いてみてね!じゃあ、俺はこれで!」

「本当にありがとう光君!最高の誕生日だよ!」

「喜んでくれて良かったよ!じゃあまたね!」

俺は軽く手を振って帰って行った。

 

彩視点

光君を見送ってから家に入りケーキを1切れ持って部屋に行き

まずは小包を開けた、中身はネイビーとスカイグリーンの

リボンだった

「どっちも私の髪に合いそうな色、光君、色々考えてくれたんだ」

そして私はケーキを食べながらCDを聞く

再生すると光君の声が聞こえてきた

「誕生日おめでとう彩!このCDには彩にとってもパスパレにとっても思い出深い曲を入れました!1曲ずつ聞いてください」

そして曲が始まる

1曲目は栄光の架橋、2曲目はBEST FRIEND

3曲目は現実という名の怪物と戦う者たち

4曲目はRingと私達パスパレにとっても思い入れのある曲が入っていた、そしてラストの曲に入る前に光君がまた話し出す

「ラストの曲は彩にとって思い入れがある曲を入れました

聞いてください大丈夫!」

 

 

 

『涙を流した君にしか浮かべられない笑顔がある

 

そのままの君で大丈夫こぼれおちた分だけ強くなる』

 

 

彩視点

ラストの曲は確かに私にとって思い入れがある曲だった

「忘れないでいてくれたんだ」

そう呟いて曲を聞いていく

 

 

 

『変わりたいのに変われない日々本当の気持ちから毎日少しずつ逃げた

 

見えないフリや聞こえないフリで綺麗事ならべても

 

自分は騙しきれなくて

 

負けそうな心抱えても僕らは笑う無理して笑うけど

 

きっと

 

涙を流した君にしか浮かべられない笑顔がある

 

たまには泣いても大丈夫素直になっても大丈夫

 

生きていくだけでも人は皆数えきれぬほど乗り越える

 

強がらなくても大丈夫こぼれ落ちた分だけ

 

強くなる強くなる強くなれる大丈夫

 

 

 

誰かの理想になろうとしすぎて

 

越えられないボーダーライン気がつけば引いてしまってる

 

自分で選んだ道なんだからって誰にも頼れずに1人ぼっちで

 

戦ってる

 

プライドや夢を守るため僕らは笑う無理して笑うけど

 

でもね

 

涙を流した君にしか迎えられない明日がある

 

見守ってるから大丈夫焦らなくたって大丈夫

 

生きていく中で人は皆幾千もの自分に出会う

 

そうして大人になっていく見つけられた分だけ強くなる

 

 

 

世界は涙じゃ変わらないでも君は変わってゆけるさ

 

そう僕もちっぽけでも踏み出していくよ

 

胸を張って君だけじゃない僕ら一人じゃない

 

 

 

そうさ

 

涙を流した君にしか浮かべられない笑顔がある

 

転んで泣いても大丈夫素直になっても大丈夫

 

生きていくだけで人は皆数えきれないほど乗り越える

 

だから大丈夫こぼれおちた分だけ強くなる強くなる

 

強くなれる大丈夫』

 

そして全部の曲が終わると光君がもう一度おめでとうを言ってくれた

「Happybirthday!誕生日おめでとう!アイドルの仕事は大変かもしれないけど、頑張ってね!いつか憧れを超えて行けるように!」

その言葉を最後にCDは止まった

「光君、色々忘れないでいてくれたんだ…」

私は嬉しい気持ちでいっぱいだった、そして曲が1日ゆっくり過ごして私は自分の気持ちを再認識した

「光君が好き」

声に出すと顔が熱くなるのを感じた

そして私は軽く自分の頬を叩いてから呟いた

「私はいつか必ずあゆみさんを超えるアイドルになる!

そして光君に自慢に思って貰えるような存在になりたい!」

私の好きは多分皆とは違うかもしれないけど、構わない

光君を好きなのは変わらないから!

そうして私は自分の気持ちと目標を再認識したのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




冬休み編に入りました。誕生日イベントはやっぱり書くのがなかなか大変ですけど、頑張りました!次回は日菜ところろの2人と天体観測しますのでお楽しみに
次回「年内最後の部活と星に願いを」


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第42話天体観測と星に願いを

年内最後の部活に誘われた光は星に願いと想いを馳せて演奏する


冬休みに入り1週間近くが経過した、俺は絶賛冬休みの課題に取り組んでいたが部屋が少し暑いくらいでイマイチ集中出来てない為少し暖房を弱め換気の為窓を開けて冷たい空気を部屋に取り込む

「さっすがに寒いな」

そう呟いて俺は部屋を出て台所に向かいコーヒーを入れて部屋に戻り窓を閉めて課題を再開する

そしてお昼のチャイムが聞こえてきて俺は顔をあげた

「キリがいいからここまでにしようかな」

そう言って俺は課題をしまい昼食の準備をするためもう一度台所に向かう途中Afterglowの夏休みの課題を手伝った事を思い出しグループにメッセージを送って返信を待った

そして数分後、返ってきたメッセージは自分達でやれるだけやってみるのでヤバくなったらお願いしますとの事だった

「今、大丈夫なら多分平気だろうな」

そう言って俺はスマホをポケットにしまい昼食の準備をして

昼食をとったあと夕方まで軽く眠ることにした

 

そして数時間後

スマホのアラームで目を覚ました俺は朝と同じく顔を洗い早めの夕飯の準備をして夕飯を済ませた後日菜に連絡を入れる

(もしも〜し、ひ〜くん?)

「こんばんは日菜、今日の約束は19時からでいんだよね?」

(うん!19時から21時までの2時間だよ!もちろんひ〜くんの演奏付きでやるからね〜)

「わかってるよ、荷物がまた多くなるから日菜にも手伝って貰うからね」

(もちろん!じゃあ待ってるね!)

「うん!また後で」

そうして通話を終了し着替えを済ませてギター等の準備をしているとスマホが鳴った、相手はこころだったのですが俺はすぐに電話に出る

「もしもし、こころ?どうしたの?」

(ハロー!光!今日は年内最後の天文部の合同でやる天体観測よ!あなたも来るのでしょ!)

「もちろん!星を見るのは俺も好きだしね、それに約束してたから」

(そうなのね!演奏も聞けると言っていたから楽しみにしているわ)

「うん!楽しみにしててよ」

(とっても楽しみにしているわ!じゃあまた羽丘で会いましょう)

「また後で会おう」

そう言ってこころとの通話を終了すると俺はチラリと時計を一瞥してから荷物を持って家を出る

そして自転車に荷物を積んで氷川家に向かった

そして自転車を走らせる事十数分後氷川家に到着し自転車のベルを鳴らすと氷川姉妹が出迎えてくれた

「やっほーひ〜くん!」

「こんばんは光君」

「こんばんは2人とも、今日は日菜を借りてくね」

「どうぞ、光君が一緒なら大丈夫でしょうし問題ないかと」

「こころちゃんも一緒だし平気だよ〜」

「まぁ、最悪光君が何とかしてくれるでしょうし

日菜、光君に迷惑かけないようにね」

「大丈夫だよぉ!」

「まぁ、大丈夫だよ、本当に」

「まぁ、光君がそう言うのならお願いしますね」

「もちろん!じゃあ、日菜、行こうか、俺のギター持ってくれる」

「いいよ!じゃあレッツゴー!」

「OK!飛ばすよ!」

そう言って俺は自転車を走らせる

「ひ〜くん!今日の曲は何?」

「まだ内緒!楽しみにしててよ」

「ひ〜くんがそう言うなら楽しみにしてるね〜!

あっ!でもさひ〜くんひ〜くん!あたしあれ聞きたい!

ミカヅキ!」

「あぁ〜夏にも歌ったよね!また聞きたいの?」

「うん!また聞きたいし、こころちゃんにも聞いて欲しい!」

「まぁそういう事なら良いよ!一応今日はギター2本持ってきたからね、1本はアコギだしちょうど良いかもね」

「星座の話も聞かせてね!」

「もちろん!ちょうど冬を代表する星座の話があるよ」

「どっちも楽しみだな」

なんて話をしながら自転車を走らせていると学校に到着した

そして俺達の姿を確認してこころか手を振りながら駆け寄ってきた

「お〜い!日〜菜〜!光〜!」

「こころちゃん!やっほー!」

日菜も手を振り返す、俺は自転車を降りて先に合流した2人の所へ行きこころに声をかけた

「こんばんは、こころ」

「会うのはLIVE以来ね光!あれから変わりないかしら?」

「まぁ、俺自身は特に変わんないよ!でも、まぁ、改めて色々諦めかけてたことを見つめ直すことは出来たかな」

「なら良かったわ!今日は改めてよろしくね光」

「うん!よろしく」

「じゃあ、さっそく行こう!」

「そうね!行きましょう!」

そうして俺達は校内に入り部室に寄って天体望遠鏡を持って屋上に上がる

冬の星空は夏の時とは違った綺麗さがあった

「冬の星空も綺麗だな、星を綺麗だと思ったのなんていつ以来かな?」

「私達はいつも思っているわ」

「だねえ〜」

「俺はたまにしか観ないからね星自体」

「でも、見るのは好きだよねひ〜くんも」

「もちろん!」

俺は話しながら天体望遠鏡を月に向けて調整を行っていく

「よし!できたよ!これで月が見れるよ」

「こころちゃん先に見ていいよ〜」

「なら先に見せてもらうわね!」

そう言ってこころは望遠鏡を覗き込んだ

「月のクレーターまではっきりくっきり見えるわね!」

「ひ〜くんねそのタイプのと同じ望遠鏡使ったことあって細かく調整出来るんだって」

「2人とも普段はどうしてたの?」

「目で見て星座盤とか使ってたよ」

「私もそうね」

「使い方覚えなよ!簡単だよ」

「ええ〜でも、あたし1人だし、天文部」

「私もよ」

「それよりもひ〜くん!演奏!」

「あ〜はいはい、じゃあ演奏するよ!ミカヅキ」

 

『今宵も頭上では綺麗な満月がキラキラ

 

幸せそうに世界を照らしている

 

当の私は出来損ないでどうしようも無くて

 

夜明け夢見ては地べた這いずり回ってる

 

それでも誰かに見つけて欲しくて夜空見上げて叫んでいる

 

逃げ出したいなぁ逃げ出せない明るい未来は見えない ねぇ

 

それでもあなたに見つけて欲しくて

 

蝶のように舞い上がるの欠けた翼で飛んだ

 

醜い星の子ミカヅキ』

 

日菜・こころ視点

「素敵な曲ね!」

「でしょ!あたし好きなんだ!」

「表現が独特だものね」

望遠鏡と肉眼で見る月が違うように見え方捉え方が違えば

目に映る月が違うように見えるのかもしれない

 

『今宵も頭上では綺麗な満月がゆらゆら

 

誰かの腕に抱かれて眠っている

 

当の私はひとりの夜に押し潰されては誰にも見えない

 

夜闇這いずり回ってる

 

それでも誰にも負けたくなくて宇宙の隅で藻掻いている

 

追いつきたいや、追い越したい あぁ夢に見たような世界

 

ねぇそれでも誰かと比べてばっか

 

周りを見ては立ち止まって欠けたものを探した

 

そんな自分を変えたい 』

 

 

 

日菜・こころ視点

 

考えた事もなかった当たり前を歌にしたような、そんな曲

何度聞いてもこう思う

月はなぜ輝くのか、もし月にも心があるなら欠けて満ちるように足りないものを探して自分を作っていくそうな風に言っているような曲なのかな〜

 

「すっごく、るん!ってする曲だな〜」

「そうね、目の前に有る当たり前にも理由があるんだと思えるもの」

歌声に耳を澄ます中でお互いにそう感じていた

 

 

 

『それでもあなたとおんなじ景色がまた見たいから

 

泣き出したくても投げ出したくても諦めたりはできない

 

それでもあなたに見つかるように

 

サナギは強く手を伸ばすの欠けたものを抱きしめ

 

願いを放つよミカヅキ

 

それでも誰かに見つけて欲しくて夜空見上げて叫んでいる

 

泣き出したいけど泣き出さないもう後戻りなどできない

 

ねぇそれでもあなたに見つけて欲しくて

 

蝶のように舞い上がるの欠けた翼で飛ぶよ

 

醜い星の子ミカヅキ光を放ったミカヅキ』

 

 

 

月はなぜ上るのかなぜ輝くのかを考えた事があっただろうか?ミカヅキをサナギ、満月を蝶に見立てて最後のフレーズを弾いて歌っていく

 

『今宵も頭上では綺麗な満月がキラキラ

 

次は君の番だと笑っている』

演奏を終えると2人が拍手しながら近寄ってきた

「とても素敵な演奏だったわ」

「すっごくるん!ってきた!」

「なら良かった、じゃあ、気を取り直して星座の観測しようか!」

「うん!」

「そうね」

俺は星座盤を借りて時間を合わせて星座を探しオリオン座を指し示す

「2人とも見える?あれがオリオン座」

「あの、真ん中3つのやつだよね?」

「そうそう」

「私も見つけたわ」

「じゃあ、そこから少し左下わかりにくいけどあれがおおいぬ座」

俺は星座盤を見せながら空を指差す

「見つけたわよ!」

「あたしも見っけたよ」

「じゃあ天の川の位置はだいたいわかるかな?」

2人が頷いたのを確認して説明を続ける

「天の川を挟んだおおいぬ座の反対側に位置しているこいぬ座を探してごらん」

2人は星座盤と空を指差し視線を行ったり来たりしながらこいぬ座を探す

「あっ!あれかな?」

「きっとそうよ!」

「見つけた?」

「うん!」

「見つけたわ!」

「じゃあそのオリオン座のベテルギウス、

おおいぬ座のシリウス、こいぬ座のプロキオンを結ぶと冬の大三角になるんだよね」

「へぇ〜」

「そうなのね!」

「後ね、おおいぬ座とこいぬ座はどっちもオリオン座が連れていた猟犬と言われてるんだよね」

「そうなの?」

「初めて知ったわ!」

「そして!冬の星座の代表のオリオン座と夏の星座のさそり座にも神話の中でちょっとした因縁めいたものがあるのは知ってる?」

2人は首を横に振る

「じゃあ説明するね、オリオン座のオリオンは腕のいい狩人なんだよね、ある時お酒に酔った勢いで自分に狩れない獲物はいない!って豪語したんだ」

「それからそれから?」

「何があったの?」

「それを聞いて怒った大地の神様が1匹のサソリをけしかけてオリオンはサソリの毒にやられて死んでしまうんだ」

「そんな事が…」

「悲しい話しね」

「でも、別な大地の神様がオリオンの死を嘆いて空に上げて星座にしたって言われてる、サソリもさっき言った怒った神様が功績を認めて空に上げて星座にしたんだ、そして死んでもなおサソリが苦手なオリオン座はサソリが西の空に沈んでしまうまでは絶対出て来ないんだ」

「なるほどねぇ〜」

「そんな話があったのね」

「今の話をレポートに纏めたらいいよ、年内最後の部活のレポートとしては上出来じゃない?」

「そうね、そうするわ」

「あたしもそうしよう!」

そうして2人はレポートを書き始めたので俺は普段から持ち歩いているエレキギターを手にして軽く音を鳴らすと2人がこっちを向いた

「演奏するの?」

「今度はどんな曲かしら?」

「ベテルギウスだよ!」

「さっき言ってた星の名前だよね!」

「それがそのままタイトルになってる曲があるから演奏するねじゃあ聞いてくださいベテルギウス」

 

俺は数十秒の前奏の後に歌い出す

 

『オリオンの右肩に輝くベテルギウスはもう無いと

知らずに僕等は今日も見てる500年前の光を

 

君の気持ちはずっと僕に向いてると

信じているよ遠い街から

 

どんなに離れてても強く感じてる

君の光ずっと届いているよ

たとえ君の気持ちが消えたとしても

気付かないんだ僕は今も輝くあの星のように』

 

日菜・こころ視点

 

「この曲も素敵ね!」

「離れてても思い合える2人の気持ちが伝わってくるな」

「光にもいるのかしらね、大切な誰が」

「仲間を待ってるとは言ってたけど、特別な誰かがいるって思うとなんかるんってしないな〜」

どんなに離れてても想いを、気持ちを感じられたらいいのにと思いながら歌を聞いていく

 

『僕等が生まれた頃ここには静かな川が流れてた

汚れたものにはフタをされてくアスファルトに潰されてく

 

旅立ちの春埋めたタイムカプセルは

見つからないよビルの真下じゃ

 

美しきものだけが残されてゆく

そのために何が壊されたとしても

たとえ君がその目を閉じようとも

世界の悲しみは目を閉じないこの星のストーリー』

 

日菜・こころ視点

「時代の移り変わりを感じるわ」

「だねぇタイムカプセルはビルの真下とかサビ全体がそう感じさせるよね」

2人同じ感想を持ちながら続きを聞いていく

 

『嬉し涙も悲し涙も同じ瞳に浮かぶのは何故

 

どんなに離れてても強く感じてる

君からの光ずっと届いているよ

たとえ君の気持ちが消えたとしても

気付かないんだ僕は輝く君を見てる

 

いつか消えた光に気付いてても

言えないよ君が笑ってるなら

僕も笑うよ最後の夜もあの星のように』

 

演奏が終わってすぐ2人が催促する

「ひ〜くん!もう一曲!」

「次の曲を早く聞かせてちょうだい」

「じゃあ、せっかく満天の星空の下だし、プラネタリウム」

俺はスマホから音源を飛ばし演奏を始めてから数秒程度の

前奏の後に歌い出す

 

『満点の夜空からはぐれたホウキ星を

まるで僕らのようだと君は優しく微笑った

わずかな希望の全てを輝きに変えたくて

けなげなその光に僕らは夢を託した

ひとりじゃないと知ってこの手は強くなれた

今はもう聴こえないその声に僕はまたうなずいて

悲しみ夜を越えて僕らは歩き続ける

願いは想いは果てしない宇宙(そら)を夢見てしまうから

たとえひとときだけでもきらめくことができたら

こころはほら今こぼれた光に手を伸ばすよ』

 

日菜・こころ視点

満点の星空の下で聞くにはピッタリだと思った

「流れ星じゃなくて彗星に夢を託すなんて素敵じゃない!」

「サビも聞いててとってもるんってする!」

お互いの感想を伝え合いながら満点の夜空を見上げた

 

『君がくれた手紙をまだ捨てられないまま

何度も読んだ文字に「ありがとう」と書き足した

はるかな街のかなた君にも見えてるかな

「さよなら」優しいこの場所から僕もまた旅立つよ

悲しみがいつかそこで僕らを引き止めようとも

願いは想いはうつくしい明日(みらい)を描いてくから

たとえまぼろしだとしても見つけることができたら

こころはほら今こぼれた光に手を伸ばすよ』

 

日菜・こころ視点

「今度は旅立ちかしらね」

「かな〜?」

「私はそう感じたわ」

「…ひ〜くん、いなくなったりしないよね?」

歌詞から連想させる旅立ちは否応なく目の前の彼の旅立ちを予感させる

 

『悲しみのその向こうで君とまた出会えるまで

願いは想いは揺るぎない閃光(ことば)を伝えていくから

悲しみの夜を越えて僕らは信じ続ける

願いは想いは

終わらない生命(せかい)を夢見てしまうから

たとえひとときだけでもきらめくことができたら

こころはほら今手を伸ばすよ』

 

演奏が終わってから俺は空を見上げて呟いた

「空を見上げて泣くってどんな気分なんだろうね」

「どういう事?」

「何となくね、この曲演奏したりするといつも思うんだ」

俺はそう言って柵の方まで歩み寄り更に言葉を続ける

「どこまでも続く地平線や水平線の先に何があるんだろう?空の果てってどんなだろう?その先き見てみたいって思うんだよねこの曲を聞いたり演奏したりするとね、そう感じるんだ」

「ひ〜くん…」

「光、あなたにしか見えないものがあるのかもしれないけれど、地に足つけて先を見据える事も大切よ」

「わかってるよ!別に何かあるわけじゃないしね」

「ひ〜くん!ひ〜くんは何処にも行かないよね?」

「は?何処にもって何処に行くの?卒業までは一緒にいるって言ったじゃん!卒業後はそれぞれの進路もあるしバラバラになるかもだけど、学生のうちは学生だからこそ出来ることをやって楽しみたいしね!」

俺の言葉に納得したのか2人は満足そうな笑みを浮かべていた

「さぁ、もう少し天体観測しよう」

「そうね!」

「うん!」

そうして俺達はまた星座を見たり、月以外の天体を見たりしていると流れ星がスっと過ぎていった

「あっ!流れ星!」

「私も見えたわ!」

「2人とも願い事しなくて良かったの?」

「えぇ〜無理だよ〜」

「一瞬だったものね」

俺は流れ星で思い出した曲がありギターを手に取り演奏する

 

『真冬の海辺に映った白く透明な月が

海月に見えた不思議な夜でした

何度引き裂かれても遠ざかっても繋がったままの

瞼の奥の宇宙

星屑の中鏤められた心が二つ

愛の闇を駆け抜けてく想い流星になり流れてゆくよ

君のそばまで消える前に

僕達は同じ星座だと信じて

 

君より綺麗な人でも君より優しい人でも

君にはなれないんだもう誰も

掴めない幻を抱きしめた胸を刺す痛みが

引力のように二人引き寄せ合う

まだ君の中閉じ込められたいくつもの迷いは

僕の中で燃やし尽くせる

だからもう怖がらずに預けてほしい』

 

日菜・こころ視点

「なんだかとっても落ち着く曲ね」

「心が繋がってる感じが好きだなぁ〜」

暖かくも切なくて、幸せな気持ちになれる曲だと感じた

 

 

『君の嘘に気付くのは小さな瞳が見開くから

でも 素直さにまだ気付けないまま

星屑の中鏤められた心が二つ

愛の闇を駆け抜けてく想い流星になり流れゆくよ

君のそばまで消える前に

僕達は同じ星座だと信じてるから』

 

演奏を終えた俺は話し出す

「そろそろ終わりにしよっか、ラストの曲は天体観測にしよう!」

そう言って俺は再びギターを弾きながら歌っていく

 

 

 

『午前二時フミキリに望遠鏡を担いでった

ベルトに結んだラジオ雨は降らないらしい

二分後に君が来た大袈裟な荷物しょって来た

始めようか天体観測ほうき星を探して

深い闇に飲まれないように精一杯だった

君の震える手を握ろうとしたあの日は

見えないモノを見ようとして望遠鏡を覗き込んだ

静寂を切り裂いていくつも声が生まれたよ

明日が僕らを呼んだって返事もろくにしなかった

「イマ」というほうき星君と二人追いかけていた』

 

日菜・こころ視点

「今日のラストにふさわしい曲ね」

「ひ〜くんの演奏を初めて聞いたのもこの曲だったな〜」

新鮮さと懐かしさを感じながら今日最後の曲を聞いていく

 

『気が付けばいつだってひたすら何か探している幸せの定義とか哀しみの置き場とか生まれたら死ぬまでずっと探してるさぁ始めようか天体観測ほうき星を探して

今まで見つけたモノは全部覚えている

君の震える手を握れなかった痛みも

知らないモノを知ろうとして望遠鏡を覗き込んだ

暗闇を照らす様な微かな光探したよ

そうして知った痛みを未だに僕は覚えている「イマ」というほうき星今も一人追いかけてる』

 

曲が終わりに近付くにつれて名残惜しさがこみ上げるが

このまま終わらせはしないと全力を込めて演奏していく

 

『背が伸びるにつれて伝えたい事も増えてった

宛名の無い手紙も崩れる程重なった

僕は元気でいるよ心配事も少ないよただひとつ今も思い出すよ

予報外れの雨に打たれて泣きだしそうな

君の震える手を握れなかったあの日を

見えてるモノを見落として望遠鏡をまた担いで

静寂と暗闇の帰り道を駆け抜けた

そうして知った痛みが未だに僕を支えている

「イマ」というほうき星今も一人追いかけてる

もう一度君に会おうとして望遠鏡をまた担いで

前と同じ午前二時フミキリまで駆けてくよ

始めようか天体観測二分後に君が来なくとも

「イマ」というほうき星君と二人追いかけてる』

 

演奏が終わると2人が拍手を送ってくれた

「最高の演奏だったわ」

「最高にるんってしたよ!」

「2人が喜んでくれたなら演奏したかいがあったよ」

「楽しかったわ!」

「俺も久々に楽しかったよ!誘ってくれた2人に感謝だね」

「お互い様だよひ〜くん!私達も楽しかったし、色んなこと知れて嬉しかったよ」

「そうね、もっとたくさんの事を知りたいと思ったわ」

「また機会があれば星を見ながら話す事にするよ!

さぁ、帰ろう!」

「えぇ、そうね!」

「うん!帰ろう!」

そうして俺達は天体望遠鏡を片付けて部室の鍵を返し

こころの迎えを待って解散した。

 

帰り道

「ひ〜くん!今日はありがとう!また色んな話聞かせてね!」

「もちろん!また一緒に星を見よう」

「うん!今度はお姉ちゃんとも一緒に見たいな〜」

「今度は誘って見なよ!もう少し暖かくなったら春の星が見えるしその時にでもさ」

「そうだね!そうしてみる!」

そうして日菜の家に到着すると日菜が自転車から降りてから俺の前に立った

「ひ〜くん、一つだけお願い聞いてくれる?」

「何?」

「ギュ〜ってして」

「いいよ!おいで」

俺は日菜を抱きしめた

「前にも似たようなことあったね」

「あの時はお姉ちゃんが一緒にいたし、それに…泣いちゃったしね」

思えばルミナスとしての俺を見たのも見せたのもこの街に来て初めてだったな

そう思いながら抱擁を解いた日菜は笑っていた

「ありがとうひ〜くん!次に会うのは年明けかもだけどこれからもよろしくね!」

「うん!いい年を!」

「バイバ〜イ!」

そうして日菜が家に入るのを見届けて俺は家路を辿った。

「寒いな…」

冬の夜風が冷たく感じたのはきっと日菜の体温を間近で感じていたせいだろうと思った今日だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




冬休み編の2話目になります!ラストは少し迷いましたが自分が納得してここまでとしました。
さて、次回は大晦日のイベントを書こうと思いますのでお楽しみに

次回「大晦日とカウントダウンパーティー」


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第43話大晦日とカウントダウンパーティー

光は大晦日をガールズバンドの皆と過ごす事になる


大晦日、1年の終わりで最も慌ただしいと言えるこの日

俺も朝から大掃除に取り組んでいた。

「普段やらない部分までしっかりやらないとな」

そう言って細かいところまで掃除をしているとインターホンが鳴ったので手を洗い玄関を開けるとこころの家の黒服さんが立っていた

「大晦日に失礼します、こころ様の付き人の者ですが」

「知ってますよ、何度か会ったことありますよね」

「見知っていただき光栄です。本日はパーティーへのご招待にあがりました」

「パーティー?」

「こころ様が大晦日を知り合ったガールズバンドの皆及び光殿と過ごされたいとの事で企画されました」

「いくつか質問しても?」

「答えられる事ならば」

「1つ服装は?」

「私服で構いません、ドレスやタキシードはこちらで全てご用意致します」

「2つ目、時間と場所はどこですか?」

「こころ様のご自宅で夜の20時から行われます」

「最後、移動手段はどうすれば?」

「皆様をお迎えに行くよう仰せつかっておりますので御安心ください」

「わかりました、じゃあ夜の19時くらいにまた改めて来てください」

「かしこまりました。では夜の19時に伺います」

そうして黒服さんは帰っていき俺は大掃除を再開する

そして一通りの掃除を終えて時計を確認するとお昼を過ぎたところだったので昼食の準備をして昼食をとる

 

「夜はこころのところでパーティー料理だろうし早いけど年越しそばだな」

そう言って1人早めの年越しそばを食べ終え食器を片付けた後

俺は自分の楽器のメンテナンスをしていく

「今年最後だからな、更に念入りにやんないとね、それにこの後も使うだろうしな」

そうしていつもよりも念入りに楽器のメンテナンスをした後

再び時計を確認すると13時を少し過ぎた所だった

「軽くシャワー浴びて1寝入りするか」

そう言って着替えを持ってシャワーを浴びに行き戻ってきてからベットに横になり仮眠をとることにした

 

そして数時間後、俺は目を覚ますと17時過ぎだったので

少し早いが出かける準備をする

シャワーを浴び直し、髪を乾かしセットして楽器を準備し

迎えを待ってこころの家に向かった

車に揺られる事数十分、こころの家に到着し黒服さんに案内されて衣装部屋で服を着替えて俺は一足先に会場入りした

「いらっしゃい、よく来たわね光」

「やぁ、こんばんはこころ、素敵なドレスだね、いつも以上に可愛く見えるよ」

「おめかししたかいがあったわね!光も素敵よ似合っているわ!カッコイイわよ!」

「ありがとう、他の皆はまだみたいだね」

「もうすぐ来るはずよ」

などと話していると黒服さんが声を掛けてきた

「こころ様、光様、皆様到着された模様です」

「さっそく通してちょうだい!一斉にではなくバンド事に分けてちょうだい」

「かしこまりました」

そうしてハロハピの他メンバーに続きパスパレ、Afterglow

ポピパ、Roseliaの順番で会場入りしたのを確認して

こころがステージに上がり話し出す

「皆!今日は集まってくれてありがとう!皆と共に大晦日を過ごせることを嬉しく思うわ!今日は目一杯楽しんでいってちょうだい!」

こころが挨拶を終えたタイミングで俺は拍手を送った

それに続いて皆も拍手を送りその後俺達はそれぞれ食事を楽しんだりバンドメンバー同士の交流を楽しんでいた

俺は軽く食事をした後食休みを兼ねて色んなバンドメンバーの所を回っていく、まずは主催者でもあるこころの所に行くとハロハピのメンバーで集まり話していた

「やぁ、こんばんは皆」

「こんばんはひかるん!今日はキマってるね!」

「はぐみもね」

「光さんがそういう格好してるといつにも増して大人っぽいですよね」

「それは美咲も同じでしょ、ドレス似合ってるよ」

「やめてくださいよ!恥ずかしいですって!」

「でも、美咲ちゃん本当に似合ってるよ」

「あたしなんかよりも花音さんの方が似合ってますって!」

「そうかな?私としては薫ちゃんの方が絵になってると思うけどな〜」

「私としてもむず痒いというか着慣れない感は否めないさ」

「それぞれ個性が出てて良いと思うけどな」

思った事をそのまま伝えると皆は照れていたが嬉しいそうだった

俺はハロハピの皆と少し話した後パスパレの皆に声を掛けた

「こんばんは、皆、まさか大晦日まで一緒になるとは思わなかったね」

「そうだね、パーティー開いてくれたこころちゃんには感謝だよ!」

「そうね、こんな素敵なドレスまで用意してもらって至れり尽くせりだわ」

「言えてる!」

「ひ〜くんも今日は一段と格好いいよ!」

「さっきも言われたけど、どうにも着慣れないから落ち着かないのか本音だよ」

「あたしはたまになら良いかなって感じ」

「そっか、俺はよっぽどの事がない限り遠慮したいね」

「光君はそんなに嫌ですか?」

「嫌って言うか、ものすごく落ち着かないってだけ」

「やっぱり着慣れた服が1番と言う事ですね!」

「はっきり言っちゃえばそういうこと」

そんな感じでお互いの服装を褒め合いつつ軽く会話をしてから今度はAfterglowの所に行って声を掛けようと思っていたらモカが先に俺に気付き声を掛けてきた

「ひかるん先輩やっほー」

「こんばんはモカ、蘭たちも」

「あぁ、うん」

「どうもッス!」

「こんばんは光さん」

「どうもこんばんは光さん」

「光さんなんて言うか、ホストみたいですね」

「いつか言われると思ったけど、違うからね」

「良いじゃないですか!格好いいですよ!」

「そう言ってくれるのはありがたいけど、ホスト扱いはやめてね!」

「実際そう見えるし」

「言わぬが花だよ蘭」

などと話しているとポピパとRoseliaの皆もこちらにやってきた

「先輩!こんばんは!大晦日まで会えるとは思ってませんでした!」

「それは同感、年越しは1人になると思ってたからね」

「年越しは家族とが基本ですもんね」

「アタシは、友希那と年越しするかもっては話してたけどね」

「そうね、ほぼ毎年一緒だものね」

「私もおそらく日菜と2人での年越しになると思っていましたので、皆でこうして年を越すのも悪くないかなと思っています」

「あこもあこも!」

「私も皆と年越しする事にワクワクしてます」

「年内最後と年内最初を皆でってのも確かに悪くないよね」

などと話しているとこころがまた壇上に上がり話し出す

「皆〜!ちょっと聞いてちょうだい!せっかくだからいくつかゲームをしようと思うの!もちもん景品はそれなりよ!」

「ゲームの内容は?」

俺が問いかける

「ビンゴと宝探しを予定しているわ!そして、その後にダンスと演奏を予定しているの!演奏は光にお願いしたいのだけどいいかしら?」

「俺は構わないよ!」

「なら決まりね!それとビンゴの景品の1つには光と1番最初にダンスを踊る権利があるわよ」

「マジで!?」

「大マジよ!良いじゃない!」

「いや、別にいいけど、一言断っておいて欲しかった」

そうして俺達にビンゴの用紙が配られてビンゴが始まる

「1つ言っておくけれど、景品はビンゴ2個以上よ!さぁ狙いの景品を狙って頑張ってちょうだい!」

そして十数分後

「あっ!俺2ビンゴ達成!」

「早くない!?アタシ達まだ1つだけだよ!リーチはかかってるけどさ」

「悪いね!お先!」

そう言って俺は壇上にあがる

「ビンゴ達成おめでとう!景品は何がいいかしら?」

「じゃあ自分で自分の権利を貰おうかな!そんでもって1番手の栄誉はこころにあげるよ」

「あら、いいのかしら?」

「主催者側として景品を把握してるからこころあえて参加してないでしょ!だから1番手の栄誉はこころにね」

「そういうことなら決まりね!」

皆もそういう理由ならと納得していた

それからビンゴゲームは進んで行き皆それぞれ景品を獲得したところでビンゴゲームは終了となった

「じゃあビンゴゲームに続いて次は宝探しよ!こちらもルールは簡単各バンド事に分かれて探してもらうわ!箱には小さい鍵が入っているの、それを先に見つけてこの会場にあるこの大きな宝箱に差し込めば景品獲得よ!」

「こころ、俺はどうすればいい?」

「光は私と組みましょ!私達は2人でいいわ」

「OK!なら探そう!」

そして俺達は宝探しを開始する

俺達はまずは会場をくまなく散策する

「会場には無さそうだね!」

「そうね、隠したのは黒服の皆だから私も知らないし、光は何処か心当たりはない?」

「練習部屋は?いや、でも、こころの寝室って可能性もあるよね!」

「なら、行ってみましょう!」

「待って待って!一応寝室はこころが自分でくまなく探してよ!俺、寝室は入れないって!」

「気にしなくて良いわ!見られて困るものはないもの!

ほら、行くわよ光!」

そうして俺とこころは思い当たる場所を探して回るが見つからなかった

そして会場に戻りもう一度会場を探すと灯台もと暗しと言うやつで会場内にあった

「見つけた!」

「どこかしら?」

「フルーツ乗ってる皿!あのフルーツ全部食品サンプルだよ!あの中に隠してあった」

「じゃあ皆を呼び戻して解錠しましょう!」

こころが黒服さんに頼んで皆を呼び戻して貰った

「光、見つけたって本当?」

「うん!灯台もと暗しだったよ!会場内にあったんだ」

「くまなく探したはずなんですけどね」

「食品サンプルに紛れてたら分からないって!」

などと話しながらどこを探したかなどの情報を共有した後

俺は壇上に上がり宝箱の鍵を開けると中身は大量の商品券だった

「これって商品券?」

「ここにいるみんなにちょっと早いけどお年玉よ!」

「いや、いくらなんでもヤバくない?額がさ全員分って」

「大丈夫よ!このくらいなんて事ないわ!」

俺は内心でさすがお嬢様と呟いた

そして全員がその商品券を受け取った後少しの休憩を挟み

ダンスを踊るための音楽が聞こえてきた

俺は会場の中央に立ちこころをダンスに誘う

「俺と踊ってくれますか?」

「もちろんよ!」

そうして俺とこころはダンスを踊っていく

「上手ね光」

「ただリズムにそってステップ踏んでるだけだよ!別にそこまでじゃないよ」

「それでも素敵よ光」

「ありがとう」

そうして俺は休憩を挟みつつ各バンドメンバー達とダンスを踊りラストは友希那と踊る

「光、ラストは私と踊ってくれるかしら?」

「もちろん、お手をどうぞ友希那姫」

「誰が姫よ!」

そう言って笑い合いながらダンスを踊っていく

「あなたと踊るのは2度目ね」

「そうだね、あの時とは全然違うけどね」

「そうね、季節や場所もそうだけど、何より気持ちの変化が大きいわ」

「気持ちの変化?」

「えぇ、Roseliaとしても、湊友希那個人としても貴方の隣に立てる存在になりたいという気持ちが強いわ」

「そっか、俺は待つことしか出来ないけど、待ってていんだよね?」

「もちろんよ!」

 

ハロハピ視点

「絵になりますねあの二人」

「だよね、私達と踊った時とは違う雰囲気だもん」

「ちょっと妬けちゃうな」

「あの二人だからこそなのかもしれないと感じてしまう自分がいるよ」

「良いじゃない!私達は私達なりに光に歩み寄ればいいんだもの!」

こういう時こころのポジティブさがありがたい、それぞれの思いがこころの言葉で1つになれるのだから

 

 

パスパレ視点

「やっぱりいい雰囲気だなぁ〜ひ〜君と友希那ちゃん」

「だよね、あの二人だからこそなのかもしれないけど、

ちょっと羨ましいよね」

「少しだけやっぱり嫉妬しちゃうわね」

「あの二人はまた違う雰囲気ですからね、色んな意味で」

「上手く言えませんが、お互いに通じる気持ちがあるんだと思います」

それがどんなものかは分からないけれど、それでもそれぞれが自分達なりに彼に歩み寄れたらと感じていた

 

Afterglow視点

 

「羨ましいな〜」

「何が?」

「光さんと友希那先輩!お互いに通じ合ってるって感じでさ」

「あぁ〜なるほど〜」

「あの二人にしか見えないものがあるんだろうさ、それでも、あたしらなりにいつも通りの中にあの人がいても良いって思えてんなら今はそれでいいじゃんか!」

なんの解決にもなってはいなくてもそれぞれのバンドの個性があるように私達はいつも通りの中にあの人がいてくれたらと強く感じていた。

 

ポピパ視点

「光さんのあの表情を引き出せるのはやっぱり友希那先輩なのかな?」

「どういう事?」

「光先輩、今凄く楽しそうだし、何より表情が優しいもん」

「あぁ〜そういう事か」

「でも、やっぱりわかってても嫉妬しちゃうよね」

それぞれにしか引き出せない表情があるなら今の私達だってあの人の特別な表情を引き出せたらと思っていた

 

 

Roselia視点

「やっぱり友希那も光もお互いじゃないとダメなのかな?」

「何故そう思うのですか?」

「後夜祭の時もね光と友希那あんな感じだったんだ、だからこそなのかもしれないけど、光にあんな表情をさせる友希那が友希那のあの表情を引き出せる光に嫉妬しちゃうなって」

「リサ姉も光兄ぃが好きなの?」

「好きだよ、でも、だからこそね…」

「まぁお気持ちはわかります。私もそうですし」

「私もです。」

「やっぱりか〜だとは思ってた」

光にあんな表情をさせる友希那を羨ましく思いつつも自分達の気持ちが届くと良いなと思う私達だった

 

 

光side

皆とのダンスを終えた俺は自分の演奏の前にと少し休憩をとっていた

「冷たい風が気持ちいいな」

そう言って少しのあいだ風に当たりその後会場に戻り演奏の準備を整えて話し出す

「えっと…今日最後の催しは俺が担当します!まずは1曲聞いてください、粉雪」

 

『粉雪舞う季節はいつもすれ違い

人混みに紛れても同じ空見てるのに

風に吹かれて似たように凍えるのに

 

僕は君の全てなど知ってはいないだろう

それでも1億人から見つけたよ

根拠はないけど本気で思ってるんだ

 

些細な言い合いもなくて同じ時間を生きてなどいけない

素直になれたなら喜びも悲しみも虚しいだけ

 

粉雪ねぇ心まで白く染められたなら

二人の孤独を分け合う事が出来たのかい』

 

ハロハピ視点

「ちょっと虚しいねこの曲」

「でも、孤独を分け合うなんて素敵じゃない!」

「一緒にいる事の大切さがわかるよね!」

「とても儚い曲だとも」

「冬を強く感じる曲だよ」

などと話しながらもすれ違いの季節に孤独を分け合えたら素敵だと感じていた

 

 

『僕は君の心に耳を押し当てて

その声のする方へすっと深くまで下りてゆきたい

そこでもう一度会おう

 

分かり合いたいなんて上辺を撫でていたのは僕の方

君のかじかんだ手も

握りしめることだけで繋がっていたのに

 

粉雪ねぇ永遠を前にあまりに脆く

ざらつくアスファルトの上シミになってゆくよ』

 

パスパレ視点

「離れていても君を想っているよって曲かな?」

「そうね、どんなにすれ違ってもってやつかしらね?」

「ひ〜くんはきっと冬の代表曲だから選んだんだよ!」

「まぁ、今回はそうでしょうね、何かを伝えたい訳じゃなくて、あくまでも曲から冬を感じて欲しかったんでしょうね」

「曲も歌声も素敵です!」

冬独特の世界観が私達に静かな幻想を魅せる

 

 

『粉雪ねぇ時に頼りなく心は揺れる

それでも僕は君のこと守り続けたい

 

粉雪ねぇ心まで白く染められたなら

二人の孤独を包んで空にかえすから』

 

演奏が終わると皆がそれぞれ感想をくれた

よかったよとか最高だったとか素敵だとか感想は思い思いだった

「気に入ってもらえて良かったです。正直大晦日って言っても特別な曲は用意してなくて、代わりってわけじゃないけど、

オワリはじまりと明日はきっといい日になるを続けて聞いてくださいじゃあ、2曲目オワリはじまり

 

 

『もうすぐ今日が終わる やり残したことはないかい

 

親友と語り合ったかい? 燃えるような恋をしたかい

 

一生忘れないような出来事に出会えたかい

 

かけがえのない時間を胸に刻み込んだかい』

 

ポピパ視点

「この曲って!」

「spaceのラストライブで歌ってた曲だよね!」

「ちょっと懐かしい感じがしてでも何となく1日の終わりを感じる曲だもんね」

「言えてる!」

「皆にとって忘れられない1曲だよね!」

などと話しながら私達は演奏に歌に耳を澄ませた

 

 

『夕飯時 町 人いきれ「ただいま」と「おかえり」の色

 

せわしない 木漏れ日 花びら「おはよう」と「さよなら」

 

の音

 

ありふれた日々が君や僕の胸に積もって光る

 

もうすぐ今日が終わるやり残したことはないかい

 

親友と語り合ったかい?燃えるような恋をしたかい

 

一生忘れないような出来事に出会えたかい

 

かけがえのない時間胸に刻み込んだかい』

 

Afterglow視点

 

「なんか、終わりって感じするね」

 

「だね、なんかさ改めて終わりを実感させられるよ」

 

「同意〜」

 

「なんか、わかる気がするな〜」

 

「本当にね」

 

そう言って周りを見渡すとなんだか皆がじんわりとした後表情を浮かべていた

 

 

 

『今 動き始めたものやもう二度と動かないもの

 

今 灯り出した光や静かに消えてく光

 

この夜の向こうで新しい朝が世界に振り始めている』

 

 

 

本当にもうすぐ今日が終わる俺自身がやり残した事のないように精一杯歌を届けよう唄おう皆に向けて…

 

 

 

『旅立ちの時はいつだって少し怖いけど

 

これも希望のかたちだってちゃんと分かってる

 

思い出に変わるのはきっと最後の最後さ

 

笑って「さよなら」言えたらいいな

 

またすぐ明日に変わる忘れてしまっていないかい

 

残された日々の短さ過ぎ行く時の早さを

 

一生なんて一瞬さ命を燃やしているかい

 

かけがえのない時間を胸に刻み込んだかい

 

もうすぐ今日が終わるもうすぐ今日が終わる

 

かけがえのない時間を胸に刻み込んだかい』

 

俺はそのままラストの曲明日はきっといい日になるを演奏していく

 

 

『明日はきっといい日になるいい日になる

 

いい日になるでしょう

 

くたびれた顔で電車の中揺られてる人を見た

 

勇気を振り絞って席をゆずってみた

 

「大丈夫です」と怪訝そうに断られたそのあと

 

きまり悪そうに一人分空いたまんまのシート

 

まぁいっかと割り切れなければ とっておきの笑い話にしようそうさ

 

明日はきっといい日になるいい日になるいい日になるのさ

 

笑い合えたらいい日になるいい日になるいい日になるでしょう』

 

いつの間にか皆が手拍子をしているでも俺にはその音は聞こえない、明日という日に向けて声を届けるように歌っているから

 

『悲しみはいつも突然の雨のよう

 

傘も持たずに立ち尽くす日もある

 

降られて踏まれて地は固まるそこに陽がさせば

 

虹が出るそうだ

 

明日はきっといい日になるいい日になるいい日になるのさ

 

どの出来事も君を彩る絵の具になる絵の具になるでしょう』

 

Roselia視点

「ある意味ではピッタリな曲と言えますね」

「同感です。最高の気分で明日を迎えられるようにと光君なりのメッセージなんでしょうね」

「あこね、今日が終わって明日が来るのが楽しみだよ!」

「あこに同意、皆で年内最後と過ごして新年迎えるのが楽しみだよ」

「そうね、とても楽しみだわ」

明日を迎えるのがこんなにも楽しみだと感じたのは皆久しぶりだった

『思い通りの人生じゃないとしてもそれも幸せと

 

選ぶことは出来る

 

まぁいっかと割り切れなければ

 

とっておきの笑い話にしよう

 

明日はきっといい日になるいい日になるいい日になるのさ

 

笑い合えたらいい日になるでしょういい日になるいい日になるのさ

 

今日よりずっといい日になるいい日になるいい日にするのさ

 

君が笑えばいい日になるいい日になるいい日になるでしょう』

 

演奏を終えると俺は時計を確認してから話し出す

「さぁ、そろそろ年が明けるよ!皆!準備はいい?」

俺の言葉に全員が頷いたのを確認すると俺は時計の秒を確認しながら10秒前になったタイミングでカウントダウンを開始する

 

「10…9…8」

声が重なる

「「7…6…5…4」」

 

「「「3…2…1!!」」」

年が明ける

 

「「「「「HAPPY!NEW!YEAR!!」」」」」

 

「あけましておめでとう!今年もよろしくね!皆!」

そしてそれぞれからも新年の挨拶が返された

最高の気分で1年を終えて最高の気分のまま新しい1年が始まりを迎えたのだった…

 

 

 

 

 

 




話の時系列で年があけました!主人公が3年になり卒業するまでの間どんなストーリーがどんな出会いが待っているのか
楽しみにしていてください。
次回「初詣と新年最初の演奏」


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第44話初詣と新年最初の演奏

年が明け光は誘いを受けて初詣へと赴き新年最初の演奏を披露する


年が明けてから3日が経った1月3日、俺は家でくつろぎながら正月特番を見ているとスマホが着信を報せる

画面を確認すると電話の相手はリサだった

「またなんかのお誘いかな?」

そう言って俺は電話に出る

「もしもしリサ、どうしたの?」

(ヤッホー光!改めてあけおめ!いきなりなんだけど、初詣いかない?)

「初詣?」

(そうそう!イツメンでさ、行こうよ!)

「俺はいいけど、この辺神社とかあったっけ?」

(電車でちょっと行くんだけど、あるよ!)

「いいよ、じゃあ、準備するから30分後に駅前でいい?」

(OK!アタシ達の晴れ着姿楽しみにしててね!)

「晴れ着で電車って大変じゃない?」

(平気平気!意外とこの時期多いんだよ!)

「そっか、じゃあ楽しみにしてるよ!」

(じゃあまた後でね!)

そうして俺は通話を終了すると出かける準備をして年のためと思いギターを持って家を出る

そして時間通りに到着すると道行く人がすれ違いざまに2度見するほど綺麗な晴れ着姿の美女3人がいた

正直合流するのが幅かれる程が待ち合わせ場所にいるのは間違いなくイツメンであるため声をかけない訳にもいかず

3人の所に近寄り声をかける

「お待たせ、3人とも、今日は一段と綺麗だね」

「光もね!アタシ達に並んでも見劣りしないよう色考えてくれたんでしょ?」

「まぁね、さすがに袴とかそう言うのはないからねちょっといい感じの服を見繕ってきましたとも!」

そう言って軽く袖をヒラヒラさせた

「じゃあ、行こっか!と言っても場所知らないから案内お願いね」

「その辺は任せて!その代わりちゃんとアタシ達をエスコートしてね!」

「任せるわよ!」

「任せたよひ〜くん!」

「もちろん!とりあえず移動しよう!ここだと注目を集めるから」

「ひ〜くんが?」

「日菜達がだよ!」

「そんなに目立つ?」

「遠目から見ても目立つ」

「じゃあ早めに移動した方が良さそうね」

「だね、行こっか!」

そうして俺達は電車に乗って移動し

目的地の神社がある駅に到着した

「ここからどのくらい?」

「ちょっと待って、確認してみる」

そう言ってリサが神社までの時間を調べてくれた

「車なら5分位だって」

「じゃあ、タクシー呼ぼうか!」

「それが良いかもね」

そうして俺達は6人乗りのタクシーを呼んで神社まで送ってもらい帰りも駅までの道を送って貰うため待機をお願いし

神社に向かった

「3人とも足元気を付けて」

「光が手を引いてよ!」

「俺の手は2つしかないから1人引っ張れないからね」

「じゃあせめて歩幅合わせてよ」

「仕方ないな〜」

俺は3人に上手く歩幅を合わせて少しゆっくりと石段を上がり

境内に到着する

「お参り前にちょっと休憩する?」

「そうしましょう、なれない服装だから少し疲れたわ」

「2人は?」

「アタシもちょっと休憩したい」

「あたしも賛成」

「軽くなんか食べる?」

「私はいいわ、なにか飲み物をお願いできるかしら?冷たいもので構わないわ」

「アタシも!任せるから飲み物をお願い」

「日菜は?」

「一緒に行って選んでもいい?」

「いいよ!じゃあちょっと出店行こう!」

「うん!」

そうして俺と日菜は飲み物と軽食を売っているお店で飲み物を購入し2人のところに戻った

「お待たせ!お茶で良かった?」

「構わないわ、ありがとう光、悪いわね手間を掛けて」

「別に良いよ!大した手間でもないし」

「光ってそういう気遣いは上手いよね」

「そうだねぇ〜ひ〜くんって気遣い上手だよね」

「普通だと思うけどね」

「またまた〜謙遜しちゃってさ」

「本当にそういうんじゃないって!」

「まぁ、良いわよ別に意識してやっている訳では無いということでしょ」

「そういう事、やっぱり、両親の教育だったり?」

「まぁ、そうだね、親にある曲を教えて貰った時歌詞の意味を噛み締めろってよく言われてさ、ありがとうって伝えたりとか挨拶1つとっても深い意味があるんだって言われてきてさ

それが自分の中で大きいかなって」

「なるほどねぇ〜」

「光、良かったら後で聞かせてくれるかしら?その曲」

「もちろん!」

「じゃあひ〜くんの新年最初の演奏を聞けるんだね!」

「そうなるね」

などと話しながら俺達は参拝を済ませて今はおみくじを引いてそれぞれの吉を見ていた

「アタシ中吉だって、光は?」

「俺も中吉、内容的には何事にも努力は怠るなって感じかな、リサのは?」

「あたしのは前進あるのみって感じ友希那達は?」

「日菜と私は大吉よ、今年は挑戦の年になるから全力を尽くすべしって感じね」

「あたしのは支え合って頑張ろうみたいな感じ」

「そっか、じゃあ、おみくじ結んで甘酒飲んで帰ろうか!」

「賛成!」

「私も構わないわ」

「じゃあレッツゴー!」

そうして俺達はおみくじを結んで甘酒を飲んだ後、再びタクシーで駅まで送ってもらい電車に乗って街に帰ってきた

「3人とも着替える?」

「そうね、出来ることなら」

「さすがにアタシも着替えたいかな」

「あたしも〜」

「じゃあ、一旦着替えてcircle集合で良い?」

「まずもってcircleやっているの?」

「大晦日と元旦、2日は休みだけど、今日からまたやってるはずだよ!」

「そう、ならそれで構わないからそうしましょう」

「日菜もそれで良い?なんなら紗夜も連れてくればいいよ」

「聞いてみる!」

「なんならRoselia集合させようか!光の新年最初の演奏を独占させてもらおうよ!」

「その辺は任せるからちゃんと連絡はしてね俺にも他メンバーにもさ」

「OK!じゃあ後でね光」

そうして俺達は1度分かれた、俺と日菜は方向が一緒なので

一緒に帰っている

「ねぇねぇ、ひ〜くん!」

「何?」

「こっちの冬ってどう感じてるの?」

いきなりそう問われて俺は少し考えながら地元を思い出してみる

「そうだな〜やっぱり寒さはこっちの方がマシかな、あっちは今よりももっと着込まないと寒かったし」

「雪は?」

「降る時と降らない時の差がすごいね」

「そうなんだぁ〜こっちはあんまり降らないからな〜」

「でも、今日辺り降るかもって天気予報で言ってたけどね」

「少しでも降ると良いな〜」

「雪を見るのが好きなの?」

「好きって言うか、見るのが好きなんだ!色んなものが真っ白になっていくのを見るのが好きなんだ」

「なるほどねぇ〜なんかいいね!俺も雪を見るのは好きだよ、星の次にさ」

などと話していると日菜の家に到着する

「ひ〜くん!中入って待っててよ!」

「いいの?」

「外で待たせる方が悪いよ!さぁ入って入って!」

言われるがままに俺は家に入れてもらい待たせてもらうことにした

「紗夜は?」

「部屋にいるんじゃない?呼んで来ようか?」

「一応声かけてみて、リサ達から連絡来てるかもだし」

「わかった」

そうして日菜が2階に行くのを見送ってから俺はリビングで待たせてもらう間に俺は曲を聴きながらこの後演奏する曲を考えているとリビングの扉が開き氷川姉妹がやってきた

「こんにちは、光君、改めまして

あけましておめでとうございます。そして今年もよろしくお願いします」

「そんなにかしこまらなくていいよ!今年もよろしく」

「ところで、お姉ちゃん!この後予定ある?」

「特にはないけれど、なにかあるの?」

「友希那ちゃんとリサちーから連絡来てない?」

「何も来ていないわよ」

「多分日菜経由で伝わると思ったんじゃない?」

「そうかも!」

「光君、詳しく聞かせてください」

俺は説明を求められたのでさっきまで話していた内容が伝える

「circleに新年の挨拶兼ねて行こうと思ってて、そこで新年最初の演奏を聞かせて欲しいって言われてね、それならRoseliaの皆を集合させて俺の演奏を独占したいんだって」

「そういう事ですか、なら、せっかくですし私も行きます」

「じゃあ、行く準備しないとね!」

「そうですね、光君、申し訳ないですけどもう少し待っていて貰えますか?」

「俺は構わないよ!」

「では、少しの間失礼します」

そうして紗夜は2階に上がって行った

「日菜は?晴れ着から着替えはしたみたいだけど、その格好でいいの?見るからに寒そうなんだけど」

「平気だよ!ずっと借りっぱなしだったパーカー着るし」

「あぁ、あれ!今更だけど、あげるよあのパーカー」

「いいの?」

「気に入ったんでしょ?俺はあんまり着なかったし、いいよ!」

「やったー!ありがとうひ〜くん!」

そう言って日菜が抱きついてくる

「わかったからじゃれて来ないで!」

そうして日菜とじゃれていると紗夜が準備を終えて降りてきた

「おまたせしました」

「もう出れる?」

「はい、大丈夫です」

「じゃあレッツゴー!」

そうして俺達は氷川家を出てcircleに向かった

そして氷川家を出て少し歩いているとチラチラと雪が降ってきた

「雪だ…」

「本当だ!」

「初雪ですね」

「積もるかな?」

「多分薄らね」

「すぐに溶けるかもしれませんけどね」

3人でそんな話をしながらcircleに向かって歩みを進めて

しばらくしてcircleに到着し店内に入り

まりなさんに新年の挨拶をする

「こんには、あけましておめでとうございます」

「あけましておめでとう、今年もよろしくね」

「よろしくお願いします」

「今日は?挨拶だけじゃないんだよね?」

「もう少ししたら友希那達も来ると思うので、新年最初の演奏をと思って」

「なるほどねぇ〜そういう事ならステージ使っていいよ」

「じゃあ遠慮なく」

そうして話していると友希那達が合流した

「お待たせ光!Roselia集合だよー!」

「やっほー光兄ぃ!来たよぉ!」

「こんにちは、演奏楽しみにしてます」

「じゃあ、揃ったし始めようか!ステージ使う許可は貰ってるから」

俺はステージに友希那達は客席側に移動してお互いに演奏準備と聞く準備が整ったタイミングで俺は話し出す

「こんにちは、Roseliaの皆さん!光です。」

もはやお決まりとなった挨拶をし言葉を続ける

「今日は新年最初の演奏を聞きに来てくれてありがとうございます。さっそく聞いてくださいまずは冬の魔法」

 

『真冬のものがたり俯いたままふたり

冷えきった指先繋ぎたいのにそこは

 

真っ白な天使が舞い降りてきた街に魔法がかかった

出会った頃のようにふたりが

無邪気な姿で笑ってた』

 

紗夜・日菜視点

「子供の頃を思い出すね」

「そうね、すこし懐かしいわ」

街にかかる魔法は雪だけじゃないと思いながら

少し懐かしい気持ちで曲を聞いていく

 

 

 

『煌めく静寂銀色の道を行く

急ぐ人の波に離れないように繋ぐ

 

真っ白な天使が舞い踊ってた肩でそっと囁いた

子供のようにふたりが無邪気な姿で』

 

 

友希那・リサ視点

「幻想的な曲、なんかちょっと寂しい気持ちもあるんだけど、歌詞のラストに無邪気な姿ってあるように昔のまま今を過ごしたいって感じる曲でもあるよね」

 

「そうね、でも、私としてはちょうど私達くらいの年齢の恋愛を歌っているように聞こえるわ」

感じ方はそれぞれだけど、雪が舞って街に魔法かかる瞬間は同じく見えてるだろうと思いながら曲を聞いていく

 

 

『まっすぐな瞳が輝いてた冬の魔法にかかった

もう一度恋に落ちたふたりが、ほら

真っ白な天使が舞い降りてきた街に魔法がかかった

出会った頃のようにふたりが無邪気な姿で笑ってた』

 

1曲目の演奏を終えて俺は話し出す

「1曲目は冬の魔法でした、雪が降って街が白く染まる瞬間をイメージしながら歌いました。じゃあ次の曲に行きます

Lovers Again」

俺は静かな音色を奏でながら歌っていく

 

『初雪にざわめく街で

見覚えのあるスカイブルーのマフラー

振り向いた知らない顔に俯く

 

あの人が部屋を出てからこの退屈な街二度目の冬

僕はまだ想いの炎消せずにくすぶっている

 

ひとりでは愛してる証さえ曖昧でせつないだけ

ふたりでは優しく見守ること続けられない…

 

もう一度会いたいと願うのは痛みさえいとしいから

ときめきを失くした永遠より熱い刹那を』

 

あこ・燐子視点

「ねぇ、りんりん、この曲なんか切ないね」

「淡く切ない別れの曲だよきっとまた会いたいと願っても会えないまま燻る思いを引きずる曲だもんそれは切ないよ」

胸が締め付けられるような痛みさえいとしいからと感じられるのはこの曲の''僕''という存在だからこそなのかも

 

 

 

『「さよなら」は僕から告げた後悔ならば

何度したことだろう時間だけ巻き戻せたらいいのに

 

唇を薄く開いて「もう平気よ」とつぶやいたあのひと

つよがりと本当は気づいていたよこの僕でも

 

ひとりでは愛された記憶さえ儚くてむなしいだけ

ふたりでは想い温める意味見つけられない

 

もう二度とあんなに誰かのこと愛せないそう思ってた

でも今は情熱が目を覚ます予感がしてる』

 

Roselia・日菜視点

 

「強がりってやっぱり残すのは後悔なのね」

「どうだろう?必要な事ではあるけど、この曲はお互い様だよね」

「恋愛の難しさを感じます」

「わかる!なんかきゅ〜ってなる!」

「あこもあこも!なんか胸が痛いくらいにきゅ〜ってなる」

「かけがけのないもので大切な思い出だからこそ忘れられないそんな曲だと思います」

もう一度を願っても強がりから出た言葉が邪魔をして

会えずじまいの儚さが伝わってくる

 

『If Iever fall ih love,againもう一度めぐり会えたら

その手を離さないもう迷わないさ

IJust don't know what to say to you言葉にできないままで

想いはあふれてく Get back in love,again

 

もう一度会いたいと願うのは痛みさえいとしいから

ときめきを失くした永遠より現実(リアル)を生きる

 

もう二度とあんなに誰かのこと愛せないそう思ってた

でも今は情熱が目を覚ます予感がしてる』

 

「Lovers Againどうだった?」

「凄く切なかったよ!」

「さすがの私もうるっと来たよ!」

それぞれが儚さが伝わってくるとか最高だったとか素敵だとか色んな感想をくれた

「喜んでもらえて良かった、じゃあ、今日最後の曲に行くね

ラストの曲は人の優しさや一途な思いを歌った曲あなたに」

 

『人にやさしくされた時自分の小ささを知りました

あなた疑う心恥じて信じましょう心から

流れゆく日々その中で変わりゆく物多すぎて

揺るがないものただ一つあなたへの思いは変わらない

泣かないで愛しい人よ悩める喜び感じよう

気がつけば悩んだ倍あなたを大切に思う

ほら元通り以上だよ気がつけばもう僕の腕の中

 

あなたに逢いたくて

眠れない夜夢で逢えたら考えすぎて眠れない夜

夢で逢えたらどこへ行こうか?

あなたがいればどこでもいいよ

 

あなたに逢いたくて

流れゆく日々季節は変わる花咲散れば元に戻るの

こんな世の中誰を信じて歩いてゆこう

手を取ってくれますか?』

 

演奏を終えると俺はまた皆に向けて話し出す

「今日、ラストの曲はどうだった?」

「光が言ってた事全部伝わったよ!」

「皆がそう感じているわ」

「私も同意見です」

「あこもね、1曲事に色んな気持ちになれて楽しかった!」

「私も、色々と楽しかったです」

「あたしもね!すっごくるんってした!」

「皆が喜んでくれたなら良かったよ!」

そうして俺達は笑い合う、そんな中で友希那が皆から1歩前に出て言った

「光、その、改めて言うのもアレなのだけど、これからも

私達Roseliaを支えてくれるかしら?もう1人の…いえ、違うわね、6人目のRoseliaのメンバーとして」

その問いに対し俺はまっすぐに目を見て答える

「もちろん!俺をメンバーだって言ってくれる皆に俺は全力で答えることを約束するよ!」

「ひ〜くん!パスパレも忘れないでね!ひ〜くんはパスパレにとってマネージャーであり私達の支えなんだからさ!」

「わかってる、Roseliaやパスパレだけじゃない、ここで出会った皆の支えでありたい!今までそうして来たように、

いや、これまで以上に皆に近い場所で皆を支えたいし

それに、約束したじゃん!いつか必ず俺個人の曲を皆に聞かせるってさ!友希那、日菜皆を代表して前に出て来て」

友希那と日菜が顔を見合わせてから頷き合い前に出る

俺はその2人に向けて両手の小指を前に出し言った

「もう一度約束しよう!この場所で!」

2人はもう一度顔を見合わせてから俺と指切りを交わす

「約束したわよ!これで忘れたとは言わせないから覚悟しなさいよ!」

「約束だよ!ひ〜くん!」

そうして新年最初の演奏と共に改めて約束を交わしたのだった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




冬休み編4話目になりますこの話の時系列ではまだ新年なのに
リアルは夏で正反対なんですよね!笑
まぁ何はともあれ、次回が冬休み編最後のイベントになりますが誕生日イベントになるため時間がかかると思いますが
楽しみにしていて下さい
次回「誕生日と苦くて楽しい思い出」


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第45話誕生日と苦くて楽しい思い出

いつも通りを心情でするAfterglowのメンバーの1人つぐみの誕生日を祝うため光が行動を起こす


カレンダーの日付に斜めに線を入れて一日の終わりを

再認識する俺はもうすぐそこまで迫ったつぐみの誕生日について考えていた

「つぐみの誕生日どうするかな〜ひまりの時みたいにちょっと盛大にやってもいいんだけど…どうしたもんかな〜」

俺は迷った末に本人に聞いてみる事にしつぐみに連絡する

そして留守電に切り替わる直前つぐみに繋がった

「もしもし、遅くにごめんね、今って大丈夫?」

(こんばんは、大丈夫ですよ!何かありました?)

「もうすぐつぐみの誕生日でしょ?どうしようかなって」

(どうって?何かあるんですか?)

「ひまりの時みたいに出掛けた後パーティするかそれともパーティで盛り上がるかどっちがいいかなって」

(せっかくなのでデートしてください!パーティもお願いします!)

「了解!映画見て買い物でいい?」

(はい、それでお願いします!)

「みたい映画とかある?」

(オススメはありますか?)

「どういうのが見たいかにもよるね」

(じゃあ、ホラーが良いです!ちょっとビクってなるような)

「ホラーとか平気なの?」

(正直あんまりですね!でも、せっかくなら普段観ないような作品を観たいなと)

「わかった、呪怨か貞子辺りならやってるだろうし、観に行こうか!」

(はい!お願いします!)

「OK!じゃあパーティーは当日つぐみの家でやろう!蘭達にはこっちから声掛けとくから任せてよ」

(お願いしますね光さん)

「了解、じゃあ当日ね!」

(はい、じゃあおやすみなさい)

「おやすみ」

そうして通話を終了すると俺はすぐにつぐみに向けて歌うバースデーソングを探す

「あんまり知らないんだよなバースデーソング

キミ記念日は、なんか違うし、ファンモンのHappybirthdayもちょっと違う気がするしどうしような〜」

そう呟やきながら俺は知ってるバースデーソングを演奏していくがピンと来るものがなく俺はスマホを操作してバースデーソングを検索して曲を聞いていく中でピンときた

「これがいいかもな!」

そして曲を決めた後はつぐみに贈るCDを作成する

「Afterglowは全員共通だから悩まなくていいのは助かるかな」

そう言いながら手を動かして俺は作業を進めていき一段落つけてからシャワーを浴びて就寝した。

 

そして次の日

俺は朝から夕方まではバイトに勤しみ夕方帰宅してから

明日に迫ったつぐみの誕生日に向けてケーキ作りを開始する

そして数十分後ケーキが完成したので箱に入れ冷蔵庫にしまうとバースデーカードの準備まで済ませた後俺も夕飯等を済ませて就寝した。

 

そして迎えた当日俺はケーキを持って家を出て自転車を走らせつぐみの家に向かうそして10数分後つぐみの家に到着し店側から入り声をかける

「おはようございます。つぐみを迎えに来ました」

俺の声が聞こえたのかつぐみが奥から顔を覗かせた

「おはようございます!もう少し待っててくださいね!」

「焦んなくて大丈夫だから、忘れ物ないようにね、後、ケーキ持ってきたら冷蔵庫にお願いできる?」

「はい!じゃあ預からせてもらいますね」

つぐみがケーキの箱を受け取って奥へ入るのを見送ったタイミングでつぐみの両親が入れ替わりで顔を覗かせた

「やぁ、今日はつぐみをよろしくな」

「こちらこそ、大切な時間をいただく訳ですから、楽しい思い出をたくさん作ってあげられるよう努力しますよ」

「目一杯楽しませてあげて」

「はい、任されました」

などと話していると準備を完了させたつぐみがやってきた

「お待たせしました光さん、行きましょう!」

「うん!行こうか!」

そうして俺達は出掛けた

「光さん、お願いしていた映画はどうなりました?」

「呪怨に決めたよ!結構怖いかもよ!」

「今から楽しみな反面想像するのが怖いですね!」

「まぁ、ホラー映画だし、怖いのは事実だけど、怖くないやつは怖くないからね」

「光さんは平気なんですか?」

「俺は平気な方だね、もちろん今よりも子供の頃は見るのも嫌だったよ」

「私は今でも苦手ではあるんですけど、皆と一緒についつい見ちゃったりして、皆で怖かったねって話したりとかそんな感じなんです」

「なるほどねぇ〜」

俺達はそのままの会話の流れでお互いの得手不得手について話しながら目的地を目指す

「光さんは苦手な事無いんですか?」

「苦手な事だらけだよ、実際勉強だって運動だって苦手な方だしね」

「その割には成績面は良いって聞きますけど?」

「まぁ、集中力はある方だから何とかなってるってだけだね

実際球技は苦手だけど走るのは好きだから上手く見えてる部分もあるしさ、それに、人に何かを伝えるのは多分人一倍苦手だね」

「だから、いつも曲なんですよね?」

「そういう事、つぐみはどう?」

「私は、こう見えてというか喫茶店の娘なのにブラックコーヒーが苦手なんです」

「そうなの?」

「はい、苦味が強くてどうも好きになれなくて」

「美味しいけどなつぐみの家のコーヒー」

「皆がそう言ってくれるんですけどね」

「……あのさ…なんなら、俺が入れてみようか?コーヒー」

「インスタントじゃなくて、家でやるみたいにできるんですか?」

「俺、短気だけど、つぐみの家でバイトしてた事あるからね、その時に色々と試行錯誤はしたからね、多分親父さん達はいつ淹れるやり方でやるから風味が強くなるんじゃないかな?」

「ブラックだと苦味と風味を引き立てますからね」

「やり方があるからさ、ちょっとでも苦手を克服できるよう頑張って見ようよ!」

「…わかりました!光さんが言うなら頑張ってみます!」

そんな話をしながら歩いていると目的地に到着した

「こんな大きな映画館があったんですね!」

「知らなかった?」

「家の手伝いかバンドの練習であんまり遊べてないですからね」

「皆と遊びに行ったりしないの?」

「あんまりないですね!基本はバンドの練習で集まるので」

「そっか、まぁ、今が楽しいなら良いけどね」

そうして俺達はチケットとドリンクとポップコーンを買って

劇場に入り映画を観る

俺個人は音の大きさや演出で驚く事はあっても以外と平気だったがつぐみの方は既に半泣きだった

「つぐみ、大丈夫?」

小声で声をかけると震えた声で大丈夫と返答が返ってきた

俺は心配しつつも映画に集中しているとつぐみが俺の服の袖を掴んだ

「本当に大丈夫?」

「大…丈…夫…です」

「そろそろクライマックスだし、かなり怖いよ」

「頑張って…最後まで…観ます!」

「本当にヤバくなったらしがみついても大丈夫だからね」

「その時は…お願いします」

そして思った通り映画は終わりに近付くにつれて恐怖が増して行きさすがの俺もかなり心臓バクバク状態だったがつぐみはさすがにスクリーンを見る事は出来なかったらしく

目を伏せていた、そして映画が終わり場内が明るくなると

俺は軽く身体を伸ばしてからつぐみに話しかける

「立てそう?」

「腰が抜けちゃって…ちょっと厳しいかもです」

「じゃあはい!手を取って」

「じゃあお言葉に甘えて」

そうしてつぐみの手を取り立ち上がらせてからそのまま手を引いて場内を後にし外に出て風に当たる

「何回も聞くけどさ、本当に大丈夫?」

「大分落ち着きました、あ〜怖かった〜」

「最後の方とかもうスクリーン見れてなかったしね」

「そうなんですよね〜でも、まぁ、見れて良かったです!

なんて言うか、怖かったけど、それだけ怖がって観てもらえるようにと思って作った訳ですし…それに…光さんが隣にいてくれましたから」

「面と向かって言われると照れくさいな、まぁ、でも俺も久々に怖くて見応えあったかなとは思ったよ!」

そうしてつぐみが落ち着いたのを見計らって時計で時間を確認しお昼時ではあるがどこも混み出す時間帯のために

俺はお昼の時間を少しずらし今のうちに買い物等を済ませて置くことにした

「買い物に行こうか、お昼時なんだけど、今だとかなり混み合いそうだし」

「そうですね、私も賛成です」

俺達は映画館を後にしショッピングモールへと足を向けた

「光さん、良かったら服を選んでくれませんか?」

「良いよ!じゃあ、あちこち洋服屋を見て回ろうか」

「そうしましょうか!ところで光さんはいんですか?」

「俺は、別に良いかな?あんまり服買っても着ないこと多いし、結局気慣れた服に落ち着いちゃうんだ」

「そうなんですか…なら、私からも何かプレゼントさせて下さい!今日のお礼って事で!」

「じゃあ、ピアスをお願い、ピアスなら普段から身につけるから」

「わかりました、何か光さんに似合いそうなヤツ選びますね!」

「よろしく」

そうして俺達は洋服屋を見て回りつつつぐみに似合いそうな服を選んでいき購入する

「こんなとこかな?」

「じゃあ、私着替えてきます!待っててください」

「了解!急がなくて大丈夫だからね」

「はい」

そうして俺はつぐみを待っている間にパンフレットを見ていつものごとく印を付けて場所の目星を付けて待っているとつぐみが着替えて戻ってきた

「お待たせしました、どうですか?」

「似合うよ!可愛い」

「光さんが言うとちょっと軽いです」

「そうかな?」

「そうですよ!なんか言い慣れてる感じがします」

「事実を言ったまでなんだけどね、それはそうと色々目星付けて見たんだけど気になるところある?」

俺はつぐみにパンフレットを見せる

「そうですね〜アクセサリーショップとこの帽子とかリュックが売ってるお店を見たいです!その後はお昼を食べて少しだけゲームして、光さんとプリクラを撮りたいです」

「じゃあ、そうしよっか!俺は目一杯付き合うよ」

「お願いします!」

「じゃあ、行こう!まずはアクセサリーショップからだね」

「ですね!」

そうしてアクセサリーショップに移動した俺達はあれこれと見て回る中で俺はひまりにプレゼントしたブレスレットのネックレスタイプを見つけたのでつぐみを呼んだ

「つぐみ、ちょっと良い?」

「どうしました?」

「これなんだけど、ひまりに送ったやつのネックレスタイプなんだけど、どうかな?他のAfterglowのメンバー皆でブレスレットかネックレスをお揃いにしたらいんじゃない?」

「でもこれ、1種類しかないですよ?」

「店員さんに聞いてみようか?同じタイプがあるかもしれないし」

「とりあえず聞いてみましょうか」

俺達はレジにいた店員さんに聞いてみる事にした

「すいません、ちょっと聞きたいことがあるんですけど、良いですか?」

「いらっしゃいませ、何かお探しですか?」

「はい、これのブレスレットタイプか、これと同じネックレスタイプは在庫ありませんか?」

「ちょっとお待ち下さい」

そう言って店員さんは店の奥に入っていき数分経って戻ってきた

「デザインは少し違いますが、ブレスレットタイプが2つネックレスタイプが後1つだけありますよ、こちらです」

そう言って店員さんが商品を見せてくれた

「いいんじゃない?」

「でも、私や巴ちゃんは良いですけど、弦楽器組にブレスレットはどうでしょう?」

「ひまりは付けて演奏しても大丈夫そうって言ってたよ?」

「じゃあ、私と巴ちゃんはブレスレットタイプで蘭とモカはネックレス?でもそれなら全員ブレスレットで統一したいですよね」

「ブレスレットタイプはもう少しデザイン違うのありますか?」

「ございますよ、少々お待ち下さい」

そうして店員さんはブレスレットを持ってきてくれた

「これなら良いかもです!全員ブレスレットで統一できますし」

「じゃあ、これにしよっか!ここにあるブレスレットを全種類買わせてもらいます」

「お買い上げありがとうございます」

「一緒にお願いします!」

つぐみが選んでくれたのは赤と黒のシンプルなジュエルピアスだった

「これは光さんにプレゼントします」

「じゃあ、交換ね」

そうして会計を済ませて俺達は帽子等を扱う店に来ていた

俺はつぐみにバッチの着いたニット帽をプレゼントした

「これでバッチリ!可愛いし、カッコイイよ!」

「ありがとうございます!なんか色々してもらって」

「別に良いよ!つぐみの貴重な時間を貰ってるわけだからねお金には変えられないよ」

「大袈裟ですよ!」

「大袈裟なんかじゃないよ!誕生日なんて年に1度しかない大切な時間なんだよ!そんな時間を俺にくれるんだもんありがとうを尽くしても足りないよ」

「光さんってロマンチストなんですね、考え方が凄くロマンチックです!」

「ロマンチストかは知らないけど、1年で1番大切な時間を貰うわけだからね、それ相応のお返しをしてるに過ぎないって思ってるよ」

「なんか、カッコイイですね!」

「お世辞でも嬉しいよありがとう」

「お世辞なんかじゃないですよ!」

「まぁ、その、ありがとう、とりあえずお昼にしようか」

俺は照れ臭くなり話題を変えた

「そうですね」

「つぐみは何か食べたいものある?」

「お任せします!美味しいものをお願いしますね」

「ん〜じゃあ、パスタとかどうかな?」

「家でも出してますしいいかもですね」

「じゃあ、そうしよう」

そうしてパスタ専門店でお昼を済ませた俺達はゲームセンターでレースゲームやホッケーで対戦したりUFOキャッチャーで景品を取ったりして最後にプリクラを撮った

俺は写真の1枚に大切な時間をありがとうと記入しておいた

そして印刷された写真をつぐみに手渡す

「はい、これつぐみの分ね」

「ありがとうございます。それと…あの…帰る前に1つお願いを聞いてくれますか?」

「俺に聞ける事なら良いよ」

「じゃあ…その…私の事皆みたいにつぐって呼んで下さい」

「それでいいなら、構わないよ、なんなら俺のことも名前で呼ぶ?なんなら君付けでも構わないよ、蘭なんかは普段はあんたとか呼ぶし」

「それは…ちょっと…でも、光先輩ならどうですか?」

「今までとあんまり変わんない気もするけどね、同期や先輩後輩関係なく光とか光君って呼んで欲しんだけどね」

「希望に添えなくてごめんなさい」

「別に良いよ、じゃあ、帰って皆でパーティーだね」

「ですね!楽しみです!」

そうして俺達はつぐの家に向かった

そして10数分後、つぐの家に到着した

「お先にどうぞ!」

俺はつぐを扉の前に立たせ扉を開けると同時にクラッカーが弾けつぐ以外のAfterglowのメンバーが声を揃えておめでとうを言った

「「「「つぐ、誕生日おめでとう!!!!」」」」

「おめでとうつぐみ」

「皆ありがとう!」

「つぐ、これはあたし等から、エプロン、家で料理する時とか使ってくれ」

「ありがとう、実はね、私と光さんからも皆にプレゼントがあるの!」

そう言って皆にブレスレットを渡す

「これって私のブレスレットと同じタイプ?」

「ちょっとデザインは違うけどね、Afterglow全員でお揃いにしたかったから光先輩にお願いしちゃった」

「もちろん俺も付けてるよ!」

「じゃあ、本当にAfterglow全員でお揃いなんですね!」

「最高〜!」

「だな!」

「悪くないね!」

「そう言ってくれると思った、じゃあ、光先輩!ケーキをお願いします」

「了解」

俺は許可を貰い厨房に入りケーキを持ってきてロウソクを立て火を付けた後皆でハッピーバースデーを歌いつぐがロウソクを吹き消すのを確認し俺はつぐにバースデーカードを渡す

「つぐ、これバースデーカード、開けてみて」

「はい!」

つぐみは俺が渡したバースデーカードを開くととても嬉しいそうにしていた

「光さん、なんて書いたんですか?」

「特別な時間が君に訪れますようにって書いたんだよ」

「イキなことしますね」

「まだこれからだよ」

そう言って俺は演奏の準備を始める

「光さん何か歌ってくれるんですか?」

「まぁね」

俺はつぐの両親にも声をかけて集まってもらい話し出す

「こんばんは、で良いのかな?改めまして光です。

今日は1曲だけ、バースデーソングを演奏します聞いてください

Happybirthday」

 

俺はキーボードを弾いて歌っていく

 

『DearHappybirthday To You

70億分の1の君に贈ろう

生まれてきてくれて心から「ありがとう」は神様に感謝

 

DearHappybirthday To You

この世界にまたひとつの花が咲いた

君と出会えた大切な気持ちは大切な君へ届くかな

 

テーブルの上に置かれたケーキロウソクが今日の主役を映す

HappybirthdayToYou 部屋中を優しく幸せが包む

クラッカーがなるその度にいちいち吠えて返す近所の犬も

なんだかお祝い言いたげそう窓あけた星空HelloHello

携帯にはたくさんのメール大好きな人たちから届くLove

一個一個受け取った愛はカタチ変え残るキスマークみたく

どんな贅沢な花束よりもグッとくる言葉がほしいの

明日になれば魔法も解けるなら今夜はもう眠ろう

素敵な気持ちのままで

 

DearHappybirthday To You

70億分の1の君に贈ろう

生まれてきてくれて心から「ありがとう」は神様に感謝

DearHappybirthday To You

この世界にまたひとつの花が咲いた

君と出会えた大切な気持ちは大切な君へ届くかな

 

めちゃくちゃでかい幸せって何?

それに気づけたこと それは奇跡

ありがとうMy Friend それに家族や大切な人たちへ

余計な涙はいらないグラスに映った笑顔それがいい

君のパパママには今日が それはそれは特別な日なのさ

忘れもしない初めて抱いた日 小さな手で握り返してくれた

あの日あの時君が生まれてさこの家に笑顔が増えたんだよ

一年に一度の今日は記念日お金じゃ買えない大切なもの

とびっきりの笑顔でハイチーズDear大切な君へ

ありったけの愛をForyou

 

DearHappybirthday To You

70億分の1の君に贈ろう

生まれてきてくれて心から「ありがとう」は神様に感謝

DearHappybirthday To You

この世界にまたひとつの花が咲いた

君と出会えた大切な気持ちは大切な君へ届くかな

 

LoveからはPeaceしか生まない

今日だけは君が主役ハイチーズ

皆が心踊る気持ちカメラズーム映した笑顔嬉し泣き

神様お願い時間を止めて…

もう少しだけこのままでいさせて

明日になれば魔法も解けるなら今夜ウンと笑おう

喜びは明日を満たすから

 

DearHappybirthday To You

70億分の1の君に贈ろう

生まれてきてくれて心から「ありがとう」は神様に感謝

DearHappybirthday To You

この世界にまたひとつの花が咲いた

君と出会えた大切な気持ちは大切な君へ届くかな』

 

演奏を終えた俺はゆっくりキーボードの鍵盤から手を離し言った

「Happybirthday、大切な仲間の君へこの歌を送ります」

俺がそう告げると皆は拍手とそれぞれコメントをくれた

「さすがですね光さん」

「最高だった〜」

「いつも最高ですよ!」

「光さんには適わねーわ」

「いつも最高の演奏をありがとうございます」

「親としてもこれほど歌われて嬉しいバースデーソングはないと思えるほどだったよ」

「そうね、親目線子目線で歌われていているからこそ皆に

届いたのかもしれないわね」

「俺は純粋に最高の誕生日にしたかっただけですので、さぁ、パーティーを続けましょう」

「ですね!」

そうして俺達は誕生日パーティーを楽しんだ後、後片付けをし少し休憩する

「ちょっと休憩!コーヒー淹れたからどうぞ、1口目はブラックのままでね」

「もしかして光先輩が?」

「うん!許可貰って淹れたんだ」

「なかなか筋が良かったぜ」

「アルバイトさせてもらって覚えましたから」

「じゃあ遠慮なく」

「つぐ大丈夫か?ブラックコーヒー苦手だろ」

「何事も挑戦!」

そう言ってつぐはコーヒーに口をつけた

「どう?」

「やっぱり…苦い…けど…平気かも!」

「ホントか?」

そう言って他のメンバーもコーヒーに口をつける

「ホントだ〜あんまり苦くな〜い」

「ほろ苦いって感じかな?」

「多分それだ」

「悪くないね」

「これどうやったんですか?」

「お湯の温度を少しぬるめにして粗く豆を挽いたんだよ、そうすれば苦味が抑えられて風味が強くなるからね」

「なるほど〜」

「俺も顔負けだこりゃ」

「光先輩を基準にしたらダメだよ!先輩はとてつもなく器用なんだから!」

「それもそっか!」

「褒められてる気がしないのは俺だけなのかな?」

「きっとそうだと思います」

などと話しながら休憩を終えてからまた細かな片付けをして

完全解散となる

俺はつぐに今日最後のプレゼントを渡す

「これは俺からの今日最後のプレゼント、ひまりの時と同じ曲が入ってるから、改めて聞いてみてよ」

「今日は何から何までありがとうございます光先輩!」

「こっちこそ特別な時間をありがとう、またね」

そうして俺は帰路に着いたのだった。

 

Afterglow視点

光さんが見えなくなるまで皆で見送ってから私達はまた店内に戻りつぐの家の方に移動して今日の事を話し合った

「皆はパーティーまでの間何してたの?」

「あたしらは飾り付けとか買い物とかして時間なったからつぐの家に来て後はパーティーしただけだぜ」

「つぐはどうだった?光さんとのデート」

「楽しかったよ!ホラー映画みてすっごいビクビクして光先輩に半分泣きつくみたいになっちゃって、でも、落ち着くまで傍にいてくれてその後、買い物デートで服とかアクセサリーとか色々買って貰ってね、すっごい楽しかった!」

私が今日あった事を話していると皆は何故かにやけ顔だった

「なんで皆そんなにニヤニヤしてるの?」

「なんか、幸せそうだなって」

「楽しそうだな〜って」

「凄く嬉しそうだな〜って」

「いい思い出が出来て良かったな〜って」

「ぜーーーったい嘘だ!だってなんか皆の表情がからかう気満々な感じするし!」

「そんな事ないって!なぁ」

「だねぇー」

「まぁ、いいじゃん!」

「とりあえず光さんがくれたCD聞かない?ひまりの時と同じ曲入ってるんでしょ?でも、込められたメッセージとかは違うだろうしさ」

「それもそうだね」

私はCDをプレイヤーに入れて再生すると光先輩の声が聞こえてきた

(誕生日おめでとうつぐみ!このCDにはAfterglowのいつも通りを大切する気持ちを強く感じられるようにひまりに贈った曲と同じ曲を入れました!順番は少し変えてあるので聞いてください!1曲目はリユニオン)

 

そうしてリユニオンが歌われる

友達の意味や大切さを教えてくれるそんな曲で今のかの関係が違うなら知らないしいらないと言っている歌詞が特徴的な曲だ

そしてそのまま2曲目が始まり2曲目は友達の唄だった

「これは蘭ちゃんが励まされたって言ってた曲だよね」

「あぁ、うん!この曲はあたしにとって忘れられない1曲でもあるけど、Afterglowにとっても大切な曲だと思うよ」

「そう思ったからこのCDに入ってるんだよきっと!」

「かもな!」

「言えてる〜」

「そうだと良いな〜」

なんて話しながら聞いていると曲は3曲目になった

3曲目は大切な人

この曲もひまりちゃんのCDに入ってた曲で

友達、仲間、家族、呼び方は違えど皆が大切な人だと歌っているような曲で曲を聞いてるだけだけど、とても嬉しい気持ちになった

そして4曲目が変わらないもの

サビが特徴的で変わらないものを探して時を越えてく思いがあるって歌詞が印象的で私達全員にとって忘れられない曲の1つだった

そしてラストの曲の前に光先輩がまた話し出した

「ラストの曲は1番の宝物です。皆にとって1番忘れられない曲だと思ってこの曲をラストにしました聞いてください!」

 

 

『顔を合わしたら喧嘩してばかりそれもいい思い出だった

 

君が教えてくれたんだもう恐くない

 

どんな不自由でも幸せは掴めるだから

 

ひとりでもゆくよ例え辛くても

 

きみと見た夢は必ず持ってくよ

 

きみとがよかったほかの誰でもない

 

でも目覚めた朝きみは居ないんだね』

 

Afterglow視点

 

皆が皆光さんの演奏に合わせて曲を口ずさんでいく

 

私達にとって忘れることのできない曲だから皆がそれぞれ声に出して歌ったり、鼻歌だったりで口ずさんでいる

 

 

 

『ずっと遊んでれるそんな気がしてただけ わかってる

 

生まれてきた事もう後悔はしない

 

祭りの後みたい寂しいけどそろそろ行こう

 

どこまでもゆくよここで知ったこと

 

幸せという夢を叶えてみせるよ

 

きみと離れてもどんなに遠くなっても

 

新しい朝にあたしは生きるよ』

 

『ひとりでもゆくよ死にたくなっても

 

声が聞こえるよ死んではいけないと

 

たとえ辛くても寂しさに泣いても

 

心の奥には温もりを感じるよ

 

巡って流れて時は移ろいだもう何があったか思い出せないけど、目を閉じて見れば誰かの笑い声

 

なぜかそれが今1番の宝物』

 

(Happybirthday!君にとって忘れられない時間でありますように)

そうして全部の曲の演奏が終わると私は凄く嬉しい気持ちに満たされていた

「ねぇ、皆、光先輩をAfterglowのメンバーに入れた事間違って無かったね」

「当たり前じゃん!あの人はあたし達のいつも通りの時間に必要な存在だもん!」

「だよね!」

「間違いないな!」

「あったら困る〜」

「そうだな」

そうして私達はもう一度共通の認識を再確認したと同時に

私の中にあの人が強く焼き付いた瞬間だった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




誕生日イベント書き切りました!やっぱり誕生日イベントは書くのとても大変でしたがやりきった感はありますので楽しんで読んで貰えたらいいなとおもいます。次回から三学期編に入ります。
次回「三学期開始とイベント開催」


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第46話三学期開始とイベント開催

三学期が始まり最初のイベントに光は全力で取り組んでいく


三学期が始まり俺達の1学年上の3年生の先輩達は受験だ就職だと少しピリピリしていたりと三学期独特な空気感の中で

俺は生徒会室に呼ばれていた

「あのさ、俺、なんかした?」

「これからするんだよ!ひ〜くん!」

「確信犯みたいに言わないでよ!俺まずもって生徒会メンバーでもないし、なんかやらかした訳でもないのに呼ばれた理由は何な訳?」

「私から説明しますよ!」

そう言ってつぐが名乗り出た

「じゃあ、お願い」

「はい、実は、3年生に息抜きと言うかこれからの受験や就活を頑張って貰うためにイベントを開催したいんですよ」

「それで?」

「その時ステージで光さ…先輩から受験や就活の応援として演奏をして貰えないかなと思いまして」

「後ね、一応言っておくとひ〜くん一応生徒会メンバーだよ!」

「立候補した覚えすらないんだけど、いつの間に?」

「光先輩生徒会特別顧問って扱いなんですよ!先生達も納得済みですよ」

「知らなかったの俺だけ?他の生徒会メンバーも知ってるんだよね?」

他のメンバーに問いかけると頷きが返ってきた

「はァ〜まぁいいや、とりあえずイベントの内容は?」

「ステージ演目をいくつか考えてます」

「生徒会劇とか?」

「薫さん主体で演劇部が何かしてくれるみたいですよ!」

「なるほどね、他は?」

「色々候補は上がってますけど、やっぱりマジックショーとかその辺ですかね?後は飛び入り参加を可にして3年生の人達からも何かやってもらって楽しめたらと」

「いっそ体育館貸し切って縁日でもやれば?」

「あたし達が学祭でやったみたいに?」

「あれを体育館規模でやって後はフェス感覚でAfterglowとか他、有志バンドとかでステージ盛り上げてそれに俺も参加する感じで」

「良いかも!」

「3年生には楽器やってる人達も少なからずいるでしょうし後は交渉次第でしょうか?」

「じゃあ、まずは先生達に相談しに行こう!ほら、いくよ!ひ〜くん」

「俺も?」

「言い出しっぺでしょ!」

「その前に書類作戦やらなんやらやることあるでしょ!」

「その辺は大丈夫です!一応手書きにはなりますが内容をまとめてますので、これを持って行ってください」

「じゃあ、決まり!レッツゴー!」

「はいはい」

「先輩本当にされるがままなんですね」

「言っても聞かないからねこうなったら行動あるのみ!って感じだしとりあえず行ってくるよ!」

「わかりました、後で報告下さい」

「了解」

そうして俺と日菜で先生達にイベントの詳細を説明し了解を貰い生徒会室に戻りイベントの了解を得たことを説明した

「ほとんど丸め込む形で納得は貰ったし、後は先生達から説明しておいてくれるって」

「ただね、イベントで丸1日は潰せないんだってだからね金曜日の午後からの時間を丸々くれるって言うから1時間を準備に使おうかなって」

「骨組みと看板くらいなら手っ取り早くできるし食料品は最低限にしてゲーム形式の屋台をメインにすれば楽しめるんじゃない?」

「なるほど、じゃあそれで調整しますね」

「その辺任せきりになるけど、大丈夫そう?」

「何かあれば頼りますのでご心配なく」

そうして話が纏まり俺達は解散し俺はバイトに向かった

そしてcircleに到着するなりRoseliaの皆に練習に付き合うように言われ現在はRoseliaの練習に参加中である

「俺から指摘する所は特にないね、現状は今が1番いいと思うよ」

「そういうのなら間違いはないのでしょうけど、細かい指摘はあるのよね?」

「上げてたらキリないって!ミスが目立つようなら指摘するし必要ならアドバイスだってするけど、今は大丈夫だよ」

「妥協ってわけじゃないんだし、いいんじゃない?」

「そうですね、妥協を許してしまえば別ですが、妥協とは別な意味で割り切る事は大事かと」

「私も氷川さんの意見に賛成です」

「あこも!あこも!」

「皆がそう言うなら、今はいいわ、少しずつまた技術を磨いて行くことにするわ」

「それでさ、話は変わるんだけど、光、呼びだされてたでしょ?アレってなんで?」

「あれ?なんかね3年生の先輩達に受験とかの息抜きって言うか、ピリピリした雰囲気のまま受験や就活するんじゃなくて落ち着いて自分のペースでやれるようにってなんかイベント開催したいみたいでさ、そこで演奏してくれってさ」

「先生達納得したの?」

「したと言うか、させたが正しいかも」

「光が口八丁手八丁で丸め込んだんでしょうけど、良く納得させられたわね」

「まぁ、何とかね」

「また日菜がご迷惑をおかけしたのではありませんか?」

「平気だよ!でも、俺が生徒会メンバーになってた事は驚いたけどね」

「そうなの?」

「なんかね、特別顧問らしいよ!俺も初耳だったんだけどね」

「光がいれば日菜の暴走を止められると思ったんじゃない?光は基本日菜に甘いからされるがままなんだけどね」

「これでも止める時は止めてるよ」

「まぁ、良いわ、とりあえず練習を再開しましょう」

「そうだね」

そうして俺達はそれからまたしばらく練習し解散した

俺は帰宅してすぐに新生活の応援ソングを探す

「どんな曲が良いかな?どうせなら楽しんで欲しいよな」

そう思いながら色々な曲を聞いていく中で1曲ピッタリな曲を見つけた

「あぁ〜これが良いかもな!明日皆に聞いてもらおう

もう1曲どうするかな?」

そう言って俺はキーボードでCDに入れていた曲を弾いて行く中でまた1曲浮かんだ

「曲決めた!明日一応聞いてもらってOKならこれで行こう!」

そう言って俺はキーボードをしまい夕飯等を済ませて就寝した

 

そして次の日

イベント開催の許可が降りたので俺達は朝や昼休み、そして放課後を準備に使うため皆より早く登校しイベントの準備を行い俺は材料を運んだりと力仕事をメインに手伝っていた

「よし!材料はこんなもんかな?」

「さっすが!ひ〜くんがいてくれて助かるよ〜」

「一応生徒会メンバーなんでね、組み立ては昼と放課後使ってやろう!いざとなれば1,2年の手借りよう」

「それしかないよね!」

「それとさ、昼休み時間取れる?曲決めてきた」

「ひ〜くんもう決めたの?」

「決めてきましたとも!」

「じゃあ、昼休みにここに再集合で良いですか?」

「OK!じゃあまた後でね!」

そうして俺達は教室に戻ってホームルームと授業を受けて

迎えたお昼休み

「ひ〜くん!いくよ〜!」

「今行くって!」

「どこか行くの?」

「なんなら着いてくる?曲を確認してもらうだけなんだけどその後ちょっと作業あるかもしれないよ?」

「せっかくだし行こうかしら」

「じゃあ、あたしも!」

「じゃあ、皆でレッツゴー!」

そうして俺達は体育館に向かった

体育館にはAfterglowのメンバーも集まっていた

「皆も来てたんだね」

「光さんの演奏が聞けるみたいなので」

「行くっきゃな〜いと思って来たのだ〜」

「なるほどね、でも、来た以上は少し手伝って貰うけどいいのかな?」

「大丈夫だから来たんすよ!力仕事はアレですけど、ちょっとした飾り作りとかなら任せて欲しいです」

「その辺は日菜に聞いてくれる?俺は手伝いみたいなもんだから」

「ひ〜くんだって生徒会メンバーだよ!」

「特別顧問だもんね俺は、とりあえず曲聞いてくれる?」

「そうだね!そっちが本題だもんね!」

「そう言う事!じゃあ準備するから待ってて」

そうしてステージに行き準備をして音を確かめてから用意してきた曲を演奏し2曲演奏し終えてから話しかける

「どうだった?いけそうかな?」

「いいんじゃない!アタシは結構好きだと思ったけど」

「あたしもすっごくるんってした!」

「本番が楽しみね」

「じゃあ、曲は決まりって事で!準備手伝って貰える?」

「もちろん!その前にお昼ご飯済ませてからね!」

「それもそっか!」

そう言って笑い合いながら体育館でそのまま昼食を済ませてイベントの準備を手伝って貰いチャイムと同時に教室に戻る

「そういえばさ、イベント名どうする?」

「ひ〜くん何か案があったり?」

「そのまま新生活応援イベントってどうかな?」

「どうしてそう思ったの? 」

「受験であれ就活であれ生活の1部である事には変わらないでしょ?だからこそこれから先に待ってる新生活を俺達の演奏で応援してあげたいかなって」

「なるほどね!良いかも!理由聞いてるんって来た!」

「アタシもいいと思う!さっすが光!」

「考え方がいいわね、悪くないと思うわ」

「じゃあ、決まりって事で他メンバーには連絡お願いね日菜」

「まっかせなさい!」

そうして朝、昼、夕方と授業の合間を縫って準備を進めて迎えたイベント当日

それなりの数の出店が並び生徒全員が楽しんでる様子が伝わってくる、俺は屋上でそれを眺めていた

少し1人で集中したかったのだ

「こういう時間もたまには悪くないな」

そう思いながら耳を澄ますと体育館の方からかなりの盛り上がりを見せた時の喧騒が聞こえてくる

そしてその喧騒に耳を澄ませていると

屋上の扉が開きイツメンが顔を見せた

「そろそろ行かないとAfterglowの演奏始まるよ」

「見ていてと言われたのでしょう」

「そうだよ!その後はひ〜くんの番なんだからね!」

「もうそんな時間か…じゃあ行こうかな」

俺は3人と一緒に体育館に行くと思わず耳を塞いだ

「凄い盛り上がりだな」

「そりゃそうだよ!今だけはピリピリした空気感忘れて全力で楽しもうって感じが伝わってくるからね」

「それもそっか!」

そうして俺達は喧騒の間を縫ってステージが1番よく見える位置に移動し俺達はAfterglowの演奏が始まるのを待っているとAfterglowの皆がステージに立った

「Afterglowです!1曲聞いてください!

ツナグ・ソラモヨウ!」

そうして演奏が始まると俺は演奏に耳を澄まれる

「良いな!Afterglowらしさが伝わってくるしイベントにはピッタリだ」

「この辺のセンスは美竹さんね」

「蘭ちゃんのセンスが光ってるね!」

「それだけじゃないよね光」

「あぁ、Afterglowだからこそ出せるいつも通り最高の演奏だからこそさ」

そう話しながら聞いている間に演奏が終わる

「次の曲に行きます!Scarletsky!」

「最高じゃんか!」

「ひ〜くんAfterglowの中じゃ好きだって言ってたもんね!」

「光だけじゃなくて皆が思い出す夕焼けの空を思い浮かぶこの曲が私も好きよ」

「わかるよ!Afterglowらしさが全面に出てる曲だもんね」

そうしてAfterglowの出番が終わり俺の番になったので俺は楽器の準備をしてステージに向かう

「光、行ってらっしゃい」

「見てるからね!ひ〜くん!」

「最高の演奏を期待しているわ」

イツメンからエールを貰いそしてAfterglowのメンバーとも目線でエールを送られたのを確認し俺はステージに立った

「こんにちは、光です!新生活応援イベントのラストの演奏を飾らせてもらいます!まずは1曲聞いてくださいI'll be」

 

俺はギターを弾きながら歌っていく

 

『I'll be君のこと想いだしていたんだ

旅立ちを決めたんだねTogetherいつだって応援してるよ』

 

俺はこれからの先輩達の新しい旅立ちに向けて演奏していく

 

『もしも挫けそうになったらねぇ

部屋にこもってるだけじゃダメさ

街を歩いて今日のようなキモチ取り戻してOh Baby try

何度だってplay you やるしかないんだから

 

I'll beキミ色に塗り替えてゆけばいい

迷うこともそりゃあるけどさ

Togetherいつだって応援してるよ』

 

3年生視点

 

「なんかピリピリしてた空気が澄んでいくみたいだね」

「だよね!応援してるよなんて普通に言われてもわぁ〜ってなるけど曲を通して言われるとやってやろう!って気になるもんね」

いつだって応援してるよなんて言われたら頑張らない訳にはいかない、とても励まされる曲だと感じた

 

 

『もしも孤独に負けそうなら ねぇ

好きな歌を聴いてみてほしい

人ごみに紛れたって

見つけ出せるからOhBaby Try

笑顔ってPlay youチカラになるんだから

 

I'll be君のこと想いだしていたんだ

旅立ちを決めたんだね

Togetherいつだって応援してるよ』

 

イツメン視点

「先輩達だけじゃなくて皆が励まされるよね!」

「わかる!辛い時とか聴くと励まされそう!」

「良いかもしれないわね」

曲に励まされながらも頑張る気力を貰える曲だと感じた

 

『いつか誰かをそっと愛してゆくとき

守れる勇気を君の中に育ててゆくんだ

I'll beささいな失望をくりかえすたびにきっと

優しさに触れ合える

人生は捨てたもんじゃないらしい

I'll beキミ色に塗り替えてゆけばいい

迷うこともそりゃあるけどさ

Togetherいつだって応援してるよ』

 

演奏を終えて俺はギターを置きキーボードを自分の前に設置して話し出す

「1曲目のI'll beに続いて新生活応援イベントに相応しい曲を用意しました2曲目に行きます聞いてください!夢のありか」

俺はキーボードを弾きながら歌っていく

 

『正直者がバカをみるて言う笑いたいやつらには

笑わせときゃいい

世界は巨大な迷路だって言う飛び込んでみたいまだ見ぬ景色

 

ひとりぼっち不器用さが邪魔をして

意地を張って暗がりで唇かんだ

 

強く 強くなりたいから

寂しくしても泪はみせない

明日のことはわからないけど

何かが起こりそうで わくわくしてんだ』

 

3年生視点

「悩んでるのがバカらしくなるね」

「もちろん悩む事だって悪い事ではないけど、歌詞にもある通り正直者ものがバカをみるて言うなら笑わせとけば良いのかもね!」

「明日は何かが起こるかなってわくわくしてるのがいいよね!」

そんな話をしながら曲を聴くことを集中する

 

『自分の居場所も分からなくなって 迷い込んだ路

不安が押し寄せる

光と影を行き来しながら夢のありかを探しだすよ

 

気がついた独りじゃなんにもできないこと

僕らなら未来をひっくり返せるんだって

 

強く 強くなりたいから

向かう未知 気持ちを追い風にする

なんでもできる大人とは違うけど

まちがってたっていいよね ぶつかってくんだ』

 

Afterglow視点

 

「光さんってやっぱり凄いよね」

「今更〜」

「前々から凄い人じゃん!」

「そうじゃなくてさ!直接伝えるんじゃなくてあえて曲を通して伝えるからこそな部分ってあるんじゃないかなってさ」

「確かにね、先輩らしいと言うか先輩にしか出来ないよね」

「まぁ、そりゃそうだ」

ぶつかることを恐れないでと励まされるような気持ちを追い風にして頑張れと言われているような感じが伝わってくる

 

『風が夢をそっとなでた 雲の切れ間から差し込む光

大事なのはいつだって少し見えにくいところに隠れてる

 

僕ら 強く強くなりたくて

一人じゃないともに戦うから

明日のことはわからないけど

何かを起こそうとして探し続けんだ

きっと光が未知を照らすよそこが僕らの夢のありか』

演奏が終わると拍手と共に「最高だったよ」とか「励まされたよ」だとか色んな言葉が聞こえてくる

「ありがとうございました!先輩達もこれから大変な事もあると思いますが今日の事を思い出して頑張って貰えたらと思います!」

そう言うといっそう甲高い拍手が巻き起こった

イベントは大成功と言えるだろう

 

そうしてイベントが終わると今度は後片付けだ

「片付けはあっという間だね」

「まだ終わってないよ!生徒会室で打ち上げしよう!」

「いいですね!」

そうしてAfterglowと俺達イツメンとその他生徒会メンバーで打ち上げをした

「ひ〜くん!乾杯の音頭!」

「俺がやるの?日菜じゃなくて?」

「立役者はあなたよ光」

皆が口々に俺じゃなきゃと言うので俺は乾杯の音頭を取る

「じゃあ、僭越ながら乾杯の音頭を取らせてもらいます!

イベントの成功を祝して、乾杯!」

「「「「「「乾杯!!!!!」」」」」」

 

そうして俺達が企画したイベントは大成功で幕を閉じたのだった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




三学期に突入しました!そして3年生編ももうすぐです!
主人公が卒業までをどう過ごすのか、お楽しみに

次回「3送会と贈り歌」


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第47話3送会と贈り歌

三学期になり先輩達の新生活が近付き卒業が近付く中で
光は3送会で演奏をする


俺は今回もまた生徒会室に呼ばれていた

前回の事から俺はまた何かイベントを手伝ってくれと言われるのだろうと予想し生徒会室にやってきた

俺は扉をノックし声をかける

「入るよ!」

そう声をかけてから中に入る

「やっと来た!遅いよひ〜くん!」

「これでも急いで来たのに」

「忘れてるかもだけどひ〜くんも生徒会メンバーなんだからね!」

「普段仕事らしい仕事してないのにね」

「それでもだよ!」

「はいはい、それで今度は俺、何したらいいの?」

「今回もひ〜くんには演奏してもらいたいんだよ!」

「具体的には?」

「もうすぐでしょ!3年生を送る会」

「そこで俺が生徒会を代表して演奏するの?」

「それもあるんだけど、その会でのピアノ演奏全般をひ〜くんにお願いしたいなって」

「そういうのって先生達がやるもんじゃないの?」

「先生達が生徒主体でやるんだから、自分達の力でできる所はやれってさ」

「なるほどね、それで俺って訳か」

「そういう事!」

「演奏曲は?」

「旅立ちの日にとありがとうさよならの2曲と生徒代表で生徒会から1曲送るの!」

「その1曲は決まってるの?」

「まだだよ!だから、ひ〜くんにお願いしたいの!」

「俺が決めていいって事?」

「うん!お願い!」

「わかった、じゃあ、卒業ソングでいいと思うしそれで良いかな」

「もう決まったの?」

「あ〜いや、まだ候補ってだけで決めてはない」

「まだ時間はあるし、ゆっくり決めていいよ!」

「すぐに決まるさ、それに時間があるって言っても1週間無いだろ」

「そうだけど、大丈夫?」

「問題ない!」

「そっか、じゃあ話はこれくらいにして戻ろう!」

「だね」

そうして俺達は教室に戻り友希那達も混じえて3送会について

話をする

「という訳で、俺は今回ピアノ演奏を担当する事になりました」

「いんじゃない?あたし達も合唱には参加する訳だし、やりやすいかもしれないし」

「そうね、曲も決まっているようだし、問題ないのではない?」

「もうちょい驚くかと思ってた」

「前回の事があったしね」

「なるほどね〜」

俺は納得した、確かに前回の事があれば想像するのは簡単だろうなと

そんな事を考えていると先生がやってきてホームルームが始まり連絡事項を伝えてホームルームを終えて移動教室だから遅れるなと言い残し教室を出ていった

そして授業の方は移動教室がメインとなり俺達は移動中も

あれこれと話をしながら教室に向かいつつ授業を受け迎えたお昼休みは前回のイベント同様準備に追われる形で終了した

 

そして午後の授業を受けて迎えた放課後も準備で忙しく慌ただしく1日が終わった

そして俺はバイトに勤しんでいた

現在はRoseliaの練習に参加していた

「今日もいい感じだね!欲を言えば演奏を少しはしり気味にしてみて」

「やってみるわ、皆もいいわね?」

全員が頷きで返しもう一度演奏する

「どうにもやりずらいわね、なんだかバラバラな感じがするわ」

「ん〜そしたら、あこちゃんとリサはドラムとベースを少しはしり気味にして、紗夜と燐子は今まで通りで」

「OK!やってみる!」

「わかったよ!」

そうして演奏する中でコツを掴んだようで皆は更に演奏のクオリティが上がった

「これなら俺、5割いけるんじゃないかな?」

「混ざる気?」

「ダメかな?」

「構わないけれど5割キープよ!」

「了解!」

「光、やりたい曲はあるかしら?」

「じゃあ、BraveJewelで」

「わかったわ、いくわよ!」

そうして演奏に混ざり5割をキープしながら周りの演奏に耳を澄ますと皆がギリギリ着いてこれている事がわかった

それならと思い1段階ギアを上げると食らいつくようにして着いてくる

そして演奏が終わると皆はその場にへたり込む

「光と演奏すると疲れるよ!」

「あこもクタクタ〜」

「私も指がつりそうです」

「同感です」

「光、5割って約束じゃなかったかしら?」

「余裕そうだったから1段階ギアを上げたんだよ!」

「余裕なんてないよ!光のギターに何回飲まれかけたことか!」

「ごめんごめん!」

「まぁ、いいわ、着実にあなたに近付いてるって事だもの全力を引き出してみせるわ」

「ルミナスを引き出せたなら最高だろうけどね、難しいかもよ」

「あの姿を引き出すのは難しいとは私も思うわ、でも、光個人の全力なら引き出せるのではない?」

「俺はまだまだ満足してないからすぐにまた引き離すかも」

「望むところよ!」

「話してるとこ悪いんだけど、友希那、そろそろ時間だよ」

「なら、ここまでにするわ、光はまだバイト?」

「ん〜今日はそろそろ終わりかな?」

「なら、送る会で歌う曲の候補を聞かせてくれないかしら?」

「いいよ!せっかくだし聞いてみてどっちがいいか選んでよ!」

「お易い御用よ」

「じゃあ、悪いんだけど、燐子のキーボード借りてもいい?今日持ってきてなくて」

「構いませんけど、あまり弄らないでくださいね」

「俺が使ってる奴みたいにはしないって」

俺は燐子からキーボードを借りて演奏する

1曲目は贈り歌だCHICO with HoneyWorksの曲で卒業ソングとしても人気が高い曲だ

そして2曲目は、さくらの独唱 定番のさくらソングで定番の卒業ソングとしても人気がある曲だ

俺はその2曲を演奏し終えるとどっちが良かったかを聞いてみる

「どっちが良かった?」

「1曲目かな」

「だね、アタシも同意かな」

「1曲目の方が良いかと」

「ですね」

「あこも、間違いなく1曲目の方が良かったな〜」

「じゃあ、1曲目の方を使おうかな」

「言っておいてなんだけど、いいの?そんな簡単に決めちゃって」

「別に大丈夫だよ、候補に上げてた曲ではあるしね」

「なら、いいけれど」

そうして俺は曲が決まったので後は練習あるのみとなり

Roseliaも今日は延長はせずに解散するらしく俺もバイトの終わりが重なり揃って帰宅する

そうして俺は家に帰るとすぐに夕飯等をすませて就寝までの間練習し時間を見て練習を切り上げ就寝した

 

次の日からも俺は休憩時間は準備に追われて放課後はバイトと練習に勤しんでいるうちに当日を迎えた

俺はピアノの前にスタンバイして出番を待つ

毎度の如く欠伸がでそうな校長や教頭の話を聞きた後

校歌を歌い、その後3年生から自分達がこれから卒業する事

見送る側から見送られる側になった心境などが語られた

そして日菜が送辞を読み上げ前任だった会長が答辞を読み上げる

そして合唱の時間となり俺はここからが本番だと気合いを入れる

そして俺はピアノの鍵盤に指を置き合唱曲を演奏していく

そして伴奏に合わせて全校生徒が歌っていく

卒業とは違う意味でこれもまた旅立ちなのだろうと感じながら1曲目の演奏を終えてそのまま2曲目を演奏する

これは今まで学んだ事を振り返り、感謝を伝えてそして別れを告げる曲、だからこそのこのタイトルだと思いながら演奏を終える

そして今回のラストとなる俺の演奏だ

「最後に生徒を代表して伴奏を務めた彼、宮村光君に1曲披露していただきます」

司会進行していた生徒会メンバーから紹介され、俺はマイクを通して話し出す

「3年生の皆さんこんにちは、ご紹介に預かりました光です。今回は先輩達を見送る側として演奏させていただきます。

聞いてください贈り歌」

 

俺は曲のタイトルを告げて演奏していく

 

『ずっと言えなかった事を今日は手紙にしてみました

どんな時も揺るがぬ愛を真っ直ぐ僕にくれましたね

ずっと当たり前の道を何も言わず与えてくれて

反抗したい未熟な僕はわがままばかりしてきました

 

あなたのように溢れる愛で負けずに強く生きます

 

僕にくれたこの体にはあなたの心が詰まっています

幸せばかり望んでくれたあなたの言葉が背中押します

桜がきれいです今日までありがとう

 

先生言えなかった事を今日は手紙にしてみました

幼すぎる心の棘を優しく抜いてくれましたね

 

太陽のような暖かさで照らしてくれた階段

 

僕にかけた最後の言葉''誰かの心を灯せる人に''

学んだことは勇気へ変わり困難な時代も歩けそうです

さよならは笑顔で 今日までありがとう

 

さよなら制服 さよなら教科書 さよなら教室忘れないよ

ありがとう友達ありがとう青春門出の日』

 

3年生視点

 

「なんだか泣けてきちゃう」

「何人かはもう泣いてるよ」

「今日は見送ってもらうってだけなのにね、これが卒業なら

どんな曲が聞けるのかな?」

「きっと最高の曲が聞けるよ」

「だよね!」

何人かは泣きながら、何人かは涙を堪えながら

曲のラストを聞いていく

 

 

『未来の''僕が''忘れないように この歌''僕に''歌います

 

僕が選ぶ分かれ道には失敗も後悔もあると思うけど

振り向かないで今を生きれば喜びに幸せに必ず出会う

恐れず歩け遠回りでもその景色楽しんで笑っていよう

 

未来の僕へ届きますように

 

春の風にのせて運んでくれますか?』

 

体育館をピアノ音だけが流れていき俺が最後まで演奏し終えると盛大な拍手が巻き起こった

そして拍手が止むと司会を務める生徒会メンバーが話し出す

 

「それでは、以上をもちまして3年生を送る会の一切を終了します。3年生の皆様は前列の方から退場をお願いします」

そうして3年生の先輩達は順番に退場していき1,2年が残るのみとなったので俺は日菜と他生徒会メンバーに断りを入れて話し出す

「皆、送る会はどうだった?今回、俺達は見送る側として会に参加したけど、常に自分達が''送られる側''になる事を忘れないで欲しい、見送る側も見送られる側としてもこういう行事は大切なものだから、今日という日を忘れないでいてほしい、そうして自分達が送られる側になった時に後輩達に向けて言葉を送ってあげて欲しい、皆から自分達の後輩に最高のメッセージを」

俺がそう言うと一人また1人と拍手を送ってくれた

その後皆が解散した後の体育館で生徒会メンバーだけで片付けを行い全員で最終チェックをしている時に日菜が言った

「ひ〜くん、あの言葉は誰かの受け売り?」

「違うよ、俺自身が思った事を伝えただけ」

「なんだか、心に響く言葉ってこういう言葉なんだなって思いました」

「何かを伝えたいと思ったら言葉は自然と出てくるよ」

「私達もそうなれますかね?」

「今回は見送る側としてやったんだから見送られる側として最高の言葉を残してあげたらいいよ」

「ひ〜くんが残すのは言葉じゃなくて曲かもしれないけどね」

「かもね」

そんな話をしながら最終チェックを終えて俺達も解散した

そうして3年生を送る会は成功を収め、また1つ輝かしい思い出ができたのだった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




お久しぶりです。気付けば50話近いんですね、三学期編はあと2話で終わり50話目からは春休み編に入り54か55話目から
3年生編になります。アンケートもギリギリまで出しておくので良ければ回答お願いします
次回はまた誕生日イベントを書いて行くので時間がかかると思いますが楽しみにしていて下さい

次回「誕生日と絆のメッセージ」


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第48話誕生日と絆のメッセージ

3送会が終わった数日後の休日、俺は朝からずっとパソコンとにらめっこしていた、明日は日菜と紗夜の誕生日の為2人に送るCDを作成中である

「やること多くて追いつかないな!でも、意味のあるものにしたい!」

そう呟いてからまたパソコンとにらめっこを再開する

そして一段落着くと今度は友希那達Roseliaと彩達パスパレメンバーに連絡を取る

「まずは友希那だな!」

そう言って俺は友希那に連絡すると思っていたよりも早く繋がった

「もしもし、友希那?今、大丈夫かな?」

(いいけれど、どうしたのよ?)

「日菜と紗夜の誕生日をちょっと盛大にやりたいんだよ!出来たらcircleでやらない?」

(いいけれど、ちゃんと企画は立てるんでしょうね?)

「日菜と紗夜と遊んで、その後パーティーしてバースデーソングを歌ってもう一曲くらい演奏しようかなと」

(演奏、協力しましょうか?)

「文化祭の時のバンド復活させる?」

(1つの手だと思うわ)

「曲考えないとな〜」

(私はリサ達に聞いてみるわ、燐子が入ればあなたはギターに専念できるでしょ)

「了解、そっちはお願いね」

(わかったわ、じゃあ切るわね)

「うん、また」

そして通信を終了すると今度は彩に連絡する

そしてすぐに繋がったと思ったら電話の向こうでガサガサバタバタと音がして彩が電話に出た

(もっ!もしもひ、って!あぁ〜噛んじゃった〜)

「落ち着きなって!そそっかしいな〜」

(そっそうだよね!とりあえず、光君、今日はどうしたの?)

「どうしたも何も、明日は日菜の誕生日だよ!」

(あっ!そっか!じゃあもしかしてパーティーのお誘い?)

「そういう事!だからパスパレの都合を聞いておきたくてね」

(そっかそっか!夜からなら間違いなく全員時間取れると思うよ!)

「じゃあ、忘れずに聞いておいてね、皆の予定」

(大丈夫!任せといて!)

「お願いね」

そうして俺は連絡を済ませるとまたパソコンに向き直り編集作業に戻る

そして編集を終えた頃にはすっかり夕暮れになっていた

「結構没頭してたんだな、俺、とりあえず夕飯だな」

そうして夕飯の準備をして夕飯を済ませると少し休憩してから

ギターを弾いていた時スマホにメッセージが届いた

俺は内容を確認するとRoseliaもパスパレも予定は大丈夫との事だったので当日circleでとメッセージを返し俺はギターを元の位置に戻しシャワーを済ませて就寝した

 

 

そして誕生日当日

俺は日菜と紗夜と3人で出掛けるため準備をして家を出る

そして待ち合わせ場所に行くと既に日菜と紗夜は到着していた

「ごめんごめん!待たせたかな」

「時間ピッタリだよ!あたし達が少し早く来ただけだから大丈夫!」

「そうですね、時間に遅れた訳ではないので大丈夫かと」

「なら良かった、じゃあ、さっそく移動して映画行こう」

「うん!」

「行きましょうか」

「ところでひ〜くん今日はなんの映画を観るの?」

「ごくせんだよ!先生が生徒の為にものすごく一生懸命になってくれるんだよね、絶対に生徒を見捨てないの!それがまた感動的でさ、また観たいなと思ってたら再上映するって言うからさ、せっかくだし3人で観ようかなって」

「ひ〜くんも男子だね!やっぱりケンカしたりする映画とか好きなんだね」

「まぁね、中にはそういうの観ないって人もいるだろうけど、俺はそういう作品も好きだからね」

「実際女性にもそういった作品が好きな方もいますからね」

「刺激に思う人もいるんだよ、やっぱり」

などと話しながら移動し映画館に到着しチケット等を買って映画を鑑賞する

俺は内容は見て知っているものの映画館のスクリーンで見るからこその迫力があり見ていて楽しいと思った

卒業した教え子達が自分達をここまで教え導いてくれた先生ことヤンクミを守ろうとする姿は最高だった

そして映画が終わり主題歌が流れると俺は自然と手が音を刻んでいた

そして映画が完全に終わると映画館を後にし近くのファミレスに入り映画の感想を思い思いに伝えあった

「やっぱりスクリーンで見るからこその迫力があって見てて楽しかった」

「あたしも!あんな先生がいたらいつも以上に学校が楽しいだろうなって思ったよ!」

「あそこまで生徒を為に一生懸命になれる先生はなかなかいないでしょうが、いたら学校は楽しいでしょうね」

などと話していると注文していた料理が運ばれてきて俺達はそのまま昼食をとりその後、買い物をするため移動しあちこちと見て回る

「春物たくさん出でるね」

「そうね、でも、買いすぎても着ないまま終わりそうだし、買うなら2,3着かしらね」

「ねぇねぇ、せっかくだしひ〜くんにコーディネートお願いしない?」

「そうね、1着くらいなら任せてもいいかもしれないわね」

「俺が選ぶの?」

「可愛いのお願いね〜」

「わかったよ!可愛いかどうかはわかんないけど、選ぶから先に自分達で1,2着選んで来なよ、その間に考えとくから!それと、日菜、そのパーカーに合わせたコーデにするの?」

「お願い!」

ちなみに日菜が来ているパーカーはかなり前に日菜に貸したものだが俺はほとんど着ないので問題はないがそれに合わせたコーデとなるとどうしてもカッコイイ系に偏りそうだと思いながら俺も店内を見て周りながら考える

日菜はTシャツは白のワンポイントでいいかもしれない、そして他を黒で統一すればスラッとしてカッコよくそして可愛く見えるだろう

紗夜は逆に水色などの明るめの色で統一すれば逆に綺麗さが際立つだろうなと思いながら2人の服を選んでいき、2人と合流し選んだ服を渡す

「これでどう?俺なりに考えて選んだけど」

「ちょっと着てみようかな?」

「私も1度試着してみたいですね」

「じゃあ、待ってるから1度試着してみなよ、気に入ったら着て帰れば良いし、イマイチだなと思ったらまた選ぶし」

「じゃあ、そうするね」

「では、1度試着してきます」

そうして2人は試着室に入っていき俺は外で待ってると先に試着を終えた日菜が試着室の扉を開けた

「どうかな?」

「カッコイイよ!そして、可愛い」

「あたしもそう思う!あたし、好きだな!この服」

「気に入ったなら良かったよ」

「あの〜、私も準備出来ました」

「ホント!?お姉ちゃん!開けていい?」

「えぇ、構わないわ」

「じゃあ、開けるよ!」

そう言って日菜が試着室の扉を開けると紗夜は恥ずかしそうにしていた

「いかがでしょうか…あまりこういった服を着ないので…

自分ではわかりかねます」

「お姉ちゃん可愛いしとっても綺麗!」

「思った通り似合ってるよ」

「そうでしょうか?正直落ち着きません」

「なんで?お姉ちゃん綺麗なのに〜せっかくだしお姉ちゃんもその服来て帰ろう!」

「良いね!じゃあ、プレゼントするよ!」

「さすがに申し訳ないですよ!」

「気にしない気にしない」

「ひ〜君はいいの?」

「着る服にこだわりないからね」

「お姉ちゃん、あたし達でひ〜くんの服選びしない?」

「乗ったわ!Tシャツとパーカーを買いましょう」

「ひ〜くんワイシャツかポロシャツなこと多いしね」

「その上にパーカーとか羽織ってるし、それに楽だからいいんだよ」

「そういう問題ではなく私達がもう少しオシャレな服装の光君を見たいんですよ」

「でもさ、パーカーとTシャツじゃああんまり変わんなくない?」

「それには賛成します。なので私達の独断と偏見でピアスまで選ばせてもらいます」

そこまで言うならと思い俺は両手をあげて降参のポーズをとり言った

「任せるのでお好きにどうぞ!2人の服はこっちでお金は持つから」

「髪も弄って良いの?」

「結ぶかワックスでセットするだけにしてね」

「は〜い」

そうして俺達は今度はメンズ服専門店にいき2人で俺に服を当てて違うようなとかこれならどう?とか言い合いながら服を手に取っていく中で決まったのがシンプルな水色のTシャツに

グレーのパーカー、そしてジャラりとした飾りのついたフープピアスで髪はルミナスに近い形で結ばれた形になった

「中々良いじゃん!」

「そうね、イカしてますよ光君」

「普段とはかけ離れすぎて違和感!」

「でも、ひ〜くん今日1日帰るまでその格好だからね」

「私達もこの格好しますから」

「わかったよ!」

「じゃあ、せっかくだしもう少し遊ぼう!」

俺達は今度はゲームセンターに移動しエアホッケーやレースゲーム等で目一杯遊んだ後俺達はプリクラを撮ることにした

「ひ〜くん設定任せていい?」

「これはモード選ぶだけだから簡単だよ!好きなの選びなよ」

「お姉ちゃんはどれがいい?」

「じゃあ、これにしようかしら」

「定番だね」

そうして俺達は機械の指示に従って写真を撮影し

ラストの1枚は3人で肩を寄せ合い撮影し全撮影を終えて

落書きタイムを楽しんだ

俺は毎度の如く誕生日おめでとうのメッセージを書いた

そして3人で印刷されてきたプリクラを分け合った

「さて、じゃあ、移動しますか!」

「どこ行くの?」

「circle!みんな待ってるよ!」

「皆とは?Roseliaとパスパレの皆さんですか?」

「そうそう、circleで2人の誕生日パーティーするって言ったら協力してくれた」

「じゃあ、早く行こう!楽しみ!」

「そうですね、きっと光君からの最高の演奏が聞けるのでしょうしね」

「まぁ期待しててよ」

そうして俺達はcircleに向かった

そしてcircleに着くとまりなさんが出迎えてくれた

「いらっしゃい、ステージの方でみんな待ってるよ」

「じゃあ、行こうか!」

「だね」

「えぇ、行きましょう」

そうして俺は扉の前まで行き扉を開けて2人を招き入れると

同時にクラッカーの弾ける音が鳴った

「「「「紗夜!日菜happybirthday」」」」

「「「「誕生日おめでとう!!!」」」」

「happybirthday!誕生日おめでとう」

「皆ありがとう!」

「盛大なお祝いをありがとうございます」

「何言ってんの!これからだよ!ね、光」

「まぁね、さてと、準備しますかね」

そう言って俺はまず2人の元にケーキを運ぶ

「2種類あるからね、皆で分けてね、あとこれ、メッセージカード」

「ありがとうございます。本当に至れり尽くせりですね」

「残念だけどこれからなんだな〜今回は日菜代わりに燐子入ってもらってキーボードを担当してもらって俺はギターボーカルに専念するよ!」

俺がそう言うとリサ、友希那、燐子麻弥さんがステージに上がる

「じゃあ、始める前にtheStarlight今回は燐子に入ってもらって限定復活しました、じゃあ聞いて下さい友希那とツインボーカルで歌いますあなたに」

 

 

光『人にやさしくされた時自分の小ささを知りました』

 

友希那『あなた疑う心恥じて信じましょう心から』

 

光『流れゆく日々その中で変わりゆく物多すぎて

 

揺るがないものただ一つあなたへの思いは変わらない』

 

友希那『泣かないで愛しい人よ悩める喜び感じよう』

 

光・友希那『気がつけば悩んだ倍あなたを大切に思う

 

ほら元通り以上だよ気がつけばもう僕の腕の中』

 

 

 

光・友希那『あなたに逢いたくて

 

眠れない夜夢で逢えたら考えすぎて眠れない夜

 

夢で逢えたらどこへ行こうか?

 

あなたがいればどこでもいいよ』

 

 

 

光・友希那『あなたに逢いたくて

 

流れゆく日々季節は変わる花咲散れば元に戻るの

 

こんな世の中誰を信じて歩いてゆこう

 

手を取ってくれますか?』

 

「じゃあ、次の曲は俺がソロで歌います。演奏で他の皆にも協力はしてもらうので聞いてください、君の為のキミノウタ」

 

俺はアコギを弾きながら歌っていく

 

『ねえ知ってる?今の日本の人口は

ねえ知ってる?1億2000万強らしい

ねえ知ってる?今の世界の人口は

ねえ知ってる?70と4億くらいらしい

 

君のことだから今から僕が言いたいこと

大体分かってるもう予想ついてんだろう

その予想の遥か上の上 伝わるか分からないけど

僕の言葉で 僕の声で 僕の歌で

 

君がこの世に生まれたこの奇跡は

僕が君と出会えたこの奇跡は

今も信じられないこの景色が

君への想い溢れて仕方ないや

137億年の中の一瞬のこの命だけど君の為だけに捧ぐから』

 

紗夜・日菜視点

 

「バースデーソングとはちょっと違う気もするけど、これも歌って貰ったら嬉しい曲だね」

「そうね、とても素敵な曲ね、あなたが言ったように歌ってもらえてこれほど嬉しい曲もなかなかないと思うわ」

私達は吸い込まれるように光君の演奏の世界観に浸っていく

 

『ねえ知ってる?今の僕の心の中

ねえ知ってる?実はすごく不安で

ねえ知ってる?今の僕の胸の奥

ねえ知ってる?実はすごく怖いんだ

 

君が魅力的で愛しすぎて笑う度に

本当に僕でいいの?ここでいいの?

考えて眠れないんだよ

『君でいいよ 君がいいの ありのままで』

君はそう言うよそれも分かってるんだよ

 

君がこの世に生まれたこの奇跡は

僕が君と出会えたこの奇跡は

今も信じられないこの景色が

君への想い溢れて仕方ないや

 

君がこの世に生まれたこの奇跡は

僕が君と出会えたこの奇跡は

誰にも邪魔させないこの時間は

君への愛溢れて仕方ないや

137億年の中の一瞬のこの命だけど

君の為だけに捧ぐから君の為だけに歌うから

これは君の為だけのキミノウタ』

 

演奏を終え俺は2人に向けて言った

「誕生日おめでとう、お互いの絆を大事に、そして素敵な1年になりますように」

「本当にありがとう!ひ〜くん!最高の誕生日だよ!」

「いくら感謝しても足りませんね、光君本当にありがとうございます」

「俺は2人に喜んで欲しいと思ったから全力を尽くしたまでだよ、それにまだ俺を含めた皆からのプレゼント貰ってないじゃん!」

「その通りよ!これは私達から、紗夜には私達Roseliaのシンボルでもある青薔薇のブローチ、日菜には太陽を模したブローチよ」

「私達パスパレからは香水を送るね、2人が好きな匂いだと思うから良かったら使ってね」

「俺かのプレゼントを渡す前にさ、日菜、俺があげたネックレス1度貸してくれる?」

「うん!ちょっと待ってて」

日菜はネックレスを首から外すと俺に手渡してくれた

俺はそこに羽飾りを1枚追加し紗夜にも同じモノをリボン形の飾りが付いたブレスレットと一緒に渡す

「ひ〜くんこれって?」

「前に話したでしょ!飛躍とか上昇の意味があるってだから、1つはパスパレとしてもう1つはプライベートの日菜達の助けになれたらなって思ってさ、リボンの方は絆の意味があるからさ、2人の絆を大切にって意味ね」

「そこまで考えてくれてたんですね」

「光のいい所だよね、相手の事を深く考えてくれるとこ」

「そうね」

友希那の言葉に他の皆も頷く

「まぁ、そう言って貰えて嬉しいよ、色々と考えたかいがあったしさ」

そうして俺達はパーティーを楽しみその後片付けを手伝ってもらい全てを終えて2人を送って行く

「ひ〜くん!今日はありがとう」

「俺は、2人の誕生日をお祝いしたかっただけだから」

「色々と盛大にやって頂きましたし、素敵なプレゼントまで頂いたので」

「まぁ、喜んでもらえて良かったよ!盛大にやったかいがあったからさ」

などと話しながら歩を進めていると紗夜達の家が見えてきた

俺は2人を家の前まで送って行き2人にCDを渡す

「俺からの今日最後のプレゼント、後で聞いてみて」

「私と日菜に1枚ずつでもう1枚はなんですか?」

「2人に向けて歌った曲とこれからも絆を大切にって意味を込めて歌ったから最後に聞いてみて」

「わかりました。えっと…今日何度目になるか分かりませんけど本当にありがとうございます。最高の誕生日でした」

「あたしも楽しかったよ!ありがとうひ〜くん」

「その言葉を聞けて満足だよ!じゃあ、またね!」

そうして俺は来た道を戻って行った

 

紗夜・日菜視点

 

私達は光君の姿が遠のいていくのを確認して私達は家に入り

居間に置いてあるプレイヤーでCDを聞く準備を始める

「どっちから聞く?」

「じゃあ、私からいいかしら?」

「良いよ!じゃあお姉ちゃんのが先で」

そうしてCDを再生するとすぐに光君の声が聞こえてきた

 

「Happybirthday!紗夜!このCDには紗夜に対して目標に向けて頑張って欲しいって気持ちとこれからもRoseliaや他の皆との絆を大切にして欲しいって想いを込めましたじゃあさっそく聞いてくださいヒカリヘ」

光君が曲名を告げて演奏し歌っていく

歌詞が印象的で運命だって引き寄せて輝き続けたいと言う歌詞が私の心に強く印象的に残った

 

そして2曲目は君の唄という曲で

始まりからストレートな歌詞で心の底から全体に響いてきて勇気を貰えるなと感じた

 

3曲目がサンキュー

つたえようよ確かなサンキュー最強の魔法の言葉それはシアワセの種なんだという歌詞が感謝を伝える事の大切さを表していて、仲間に恵まれた事に感謝しないとと思えるような曲だった

 

そして4曲目はcourageという曲名で

 

描いた未来の世界はいつかの空に導かれて

という部分が自分が夢見た世界はどんなものだろうと想い返し自分の気持ちを再認識するような曲だった

 

そして5曲目に入る前に光君が話し出す

「次が最後の曲になりますこの曲は友達の大切さを歌った曲です聞いてください友達だからかな」

曲名を告げて光君が歌っていく

 

『大事なものはポケットに入れないで

うっかり洗濯しちゃうでしょうが

先生にも知らないことあるなんて

大人もたいした生き物じゃないんだね

 

そうなったら僕らが見つけなくちゃ

君を大切だと思う理由を

 

友達だからかな いつから友達だったかな

いつの間にかほら 君とは並んでた

鼻がツンとしたり ご飯が美味しかったり

君と過ごせばほら 不思議なことばかり

 

一等賞でもビリでも構いません

悔しい気持ちもちゃんと教えてください

父ちゃんにも言えないことあるなんて

大人も大変な生き物なんだね

 

そうなったら僕らで探さなくちゃ

君と離れてても寂しくない理由

 

友達だからかないつから友達だったかな

いつの間にかほら 一緒に悩んでた

悲しい恋のこと ちょっとここでは言えないこと

君と過ごしたから いつか笑い話』

 

紗夜視点

なんて素敵な曲なんだろう友達と過ごすかけがえのない時間がこの曲には納められていた。

「大切な時間って当たり前にあるものなのね」

その呟きが本人に届かない事がとても残念だ

 

『涙ってキレイだね 笑顔ってブサイクだね

そうやって変わらずに変われるかな

 

友達だからかな いつから友達だったかな

いつの間にかほら 君とははしゃいでた

友達だからかな きっと友達だからかな

君と過ごせばほら 楽しいことばかりじゃないけど

君と過ごせばほら 大事なことばかり』

 

「改めてHappybirthday!家族や友達とかけがえのない絆を結んで忘れられない1年を過ごしてください」

 

その言葉とともにCDの時間は止まった

 

「お姉ちゃん!次はあたしが聞いてもいい?」

「えぇ、終わったら3つ目のCDを聞きましょう」

「うん!じゃあ、あたしの番ね!」

 

そうして今度はあたしにくれたCDを再生すると

すぐにひ〜くんの声が聞こえてきた

 

「誕生日おめでとう日菜、日菜に送るCDには

パスパレにとっても日菜個人にとっても思い出深い曲を入れました、じゃあさっそく1曲目にいきます!聞いてください

タイトルは結晶星」

 

そうして1曲目が歌われていく

この曲で彩ちゃんと千聖ちゃん以外の皆の気持ちがひとつになってまずはしっかり向き合おうって思えたんだよね

そう思いながら曲を聞いていき1曲目が終わった

そして2曲目はBESTFRIENDだった

この曲もまたあたしにもパスパレの皆にも思い出深い曲だった、この曲のサビはひ〜くんからあたし達へのメッセージなのかなと感じるくらいに印象的だった

次の3曲目がRing

最近聞いた中で1番心に残ってる曲でこの曲のおかけで

パスパレとして皆の心がひとつになったんだよね

そして4曲目がプラネタリウム

ひ〜くんがこの曲を演奏したり聞いたりすると空を見上げて泣くってどういう事だろうって思う曲でなんだか強くひ〜くんを感じる曲だった

 

そしてラストの曲に入る前にひ〜くんが話し出す

 

「次が最後の曲になります。この曲は日菜が気に入ってる曲だからこそ最後にしました、じゃあ聞いてくださいミカヅキ」

 

 

『今宵も頭上では綺麗な満月がキラキラ

 

 

 

幸せそうに世界を照らしている

 

 

 

当の私は出来損ないでどうしようも無くて

 

 

 

夜明け夢見ては地べた這いずり回ってる

 

 

 

それでも誰かに見つけて欲しくて夜空見上げて叫んでいる

 

 

 

逃げ出したいなぁ逃げ出せない明るい未来は見えない ねぇ

 

 

 

それでもあなたに見つけて欲しくて

 

 

 

蝶のように舞い上がるの欠けた翼で飛んだ

 

 

 

醜い星の子ミカヅキ』

 

日菜視点

「やっぱり好きだな〜この曲、すっごくるんってする」

 

人によって肉眼で見る月が違うように見え方捉え方が違えば

 

目に映る月が違うように見えるのかもしれないとすごく感じている

 

 

 

『今宵も頭上では綺麗な満月がゆらゆら

 

 

 

誰かの腕に抱かれて眠っている

 

 

 

当の私はひとりの夜に押し潰されては誰にも見えない

 

 

 

夜闇這いずり回ってる

 

 

 

それでも誰にも負けたくなくて宇宙の隅で藻掻いている

 

 

 

追いつきたいや、追い越したい あぁ夢に見たような世界

 

 

 

ねぇそれでも誰かと比べてばっか

 

 

 

周りを見ては立ち止まって欠けたものを探した

 

 

 

そんな自分を変えたい 』

 

 

 

 

 

 

日菜視・紗夜点

考えた事もなかった当たり前を歌にしたような、そんな曲

 

何度聞いてもこう思う

 

月はなぜ輝くのか、もし月にも心があるなら欠けて満ちるように足りないものを探して自分を作っていくそうな風に言っているような曲なのかな〜

 

 

 

「すっごく、るん!ってする曲だな〜」

 

「目の前に有る当たり前にも理由があるんだと思えるわね」

 

歌声に耳を澄ます中でお互いにそう感じていた

 

 

 

 

 

 

 

『それでもあなたとおんなじ景色がまた見たいから

 

 

 

泣き出したくても投げ出したくても諦めたりはできない

 

 

 

それでもあなたに見つかるように

 

 

 

サナギは強く手を伸ばすの欠けたものを抱きしめて

 

 

 

願いを放つよミカヅキ

 

 

 

それでも誰かに見つけて欲しくて夜空見上げて叫んでいる

 

 

 

泣き出したいけど泣き出さないもう後戻りなどできない

 

 

 

ねぇそれでもあなたに見つけて欲しくて

 

 

 

蝶のように舞い上がるの欠けた翼で飛ぶよ

 

 

 

醜い星の子ミカヅキ光を放ったミカヅキ』

 

 

 

 日菜・紗夜

 

「月はなぜ上るのかなぜ輝くのかを考えた事って無いよね」

 

「確かにそうね、ミカヅキをサナギ、満月を蝶に見立てる部分は幻想的だわ」

お姉ちゃんも気に入ってくれて良かったなと思いながらラストのフレーズを聞いていく

 

 

 

『今宵も頭上では綺麗な満月がキラキラ

 

 

 

次は君の番だと笑っている』

 

「Happybirthday!これからも楽しむ心を忘れずに自分らしくあれますように」

その言葉を最後にあたしのCDの時間も止まった

 

「どの曲も良かったよね!」

「そうね、私達の事がとても考えられてると感じたわ」

「じゃあ、最後の1枚再生するね!」

「えぇ、光君が私達2人にと送ってくれた曲を聞きましょう」

「うん!」

そうして私達3枚目のCDを再生した

 

「えっと、もう一度改めてhappybirthday!誕生日おめでとうこのCDには2人に向けて歌った3曲にプラスしてお互いの絆を強めるきっかけになるような曲を用意したのであの時と同じ順番でまずは3曲聞いてください」

 

 

そうして1曲目の絆が演奏されていく

「お姉ちゃんと向き合うきっかけになった曲だね、そして

ひ〜くんが初めてあの姿で歌ってくれた曲」

「そうね、この曲がきっかけだったのよね」

2人であの時を思い出しながら聞き入っていると

1曲目が終わり2曲目に入った

2曲目はひまわりの約束

お互いが向き合わないといけないなと思わされた曲で

何より色んなことを再認識した曲なので自分達にとっては思い出深い曲だった

そして2曲目も終わり3曲目が始まる

3曲目は瞳

涙も笑顔もがむしゃらに生きた証、そんな君といれることを誇りに思うという歌詞が私達2人に向けて歌ったメッセージのように感じた

そして4曲目に入る前に光君が話し出す

「4曲目にいきますこの曲は日菜が1度聴いてる曲で限られた時間の中で特別だと思える人と過ごしたりする時間を歌ってます。聞いてくださいSTORY」

 

 

『限られた時の中でどれだけのコトが出来るのだろう…

言葉にならないほどの想いを

どれだけアナタに伝えられるのだろう…

ずっと閉じ込めてた胸の痛みを消してくれた

今私が笑えるのは一緒に泣いてくれたキミがいたから

一人じゃないからキミが私を守るから

強くなれるもう何も恐くないヨ…

 

時がなだめてく痛みと共に流れてく

日の光がやさしく照らしてくれる

 

説明する言葉もムリして笑うコトもしなくていいから

何かあるならいつでも頼って欲しい

疲れた時は肩をかすから

どんなに強がってもため息くらいする時もある

孤独じゃ重い扉も共に立ち上がればまた動き始める

一人じゃないから私がキミを守るから

あなたの笑う顔が見たいと思うから時がなだめてく

痛みと共に流れてく

日の光がやさしく照らしてくれる時に人は傷付き、傷付け

ながら染まる色はそれぞれ違うけど

自分だけのSTORY作りながら生きてくの

だからずっと(ずっと)、ずっと(ずっと)あきらめないで…

 

一人じゃないから私がキミを守るから

あなたの笑う顔が見たいと思うから

時がなだめてく痛みと共に流れてく

日の光がやさしく照らしてくれる…』

 

「STORYどう感じたかな?1人じゃないよって頼れる存在がいるよって意味を込めて歌いました。2人がお互いに頼り頼れる存在になれたらいいなと思います。

じゃあラストの曲にいきます君に贈る歌」

 

『すれ違う想いがどこか遠くで叫んでる

こんなに近くにいるのがウソみたいに感じられる

 

探しても見つからない君との丁度いい距離が

あまりにも当たり前になっていて気付けなかった

 

同じ景色を見ても違う見え方だったり

そんな単純な事が今になって分かったよ

 

星の数ほどいる人の中でたった一人の存在

いつもぶつかって隠れて泣いて顔も見たくない時もある

なのにそれでも離れないのは誰より君が愛しいから

きっとこれからもずっとかけがえのない君に贈る歌

SongFor you

 

何もかも脱ぎ捨てて生まれたままの姿で

向き合う強さが欲しいよ素直になって笑い合いたい

 

どんな毎日でもね前を向いていたい

そんな想いを胸に秘めて歌うよ君のために

 

星の数ほどいる人の中でたった一人の存在

二人はいつも素直じゃいられない

真っ直ぐに向き合えないよ

なのにそれでも離れないのは誰より君が愛しいから

きっとこれからもずっと共に歩いていく君に贈る歌

 

夜空を一人見上げれば沢山の星が寄り添ってて

光をくれる心配ないって背中を押してくれる

 

星の数ほどいる人の中でたった一人の存在

いつもぶつかって隠れて泣いて顔も見たくない時もある

なのにそれでも離れないのは誰より君が愛しいから

きっとこれからもずっとかけがえのない君に贈る歌

SongFor you』

 

「これからも絆を大切にかけがえのない存在と言える2人に向けてこの曲を残します。happybirthday!最後にバースデーソングを贈ります!聞いてください

キミ記念日〜生まれてきてくれてアリガトウ〜」

 

 

 

『Happybirthday! ずっとずっと一緒に祝ってゆこうこの

 

 

 

キミ記念日1/365主役は大好きな君

 

 

 

生まれて来てくれてアリガトウ!』

 

紗夜と・日菜視点

 

「この曲!りさちーが言ってたひ〜くんが知ってる数少ないバースデーソングで歌詞がすっごく印象的な曲!」

 

「そう、まだ曲は始まったばかりだけれど素敵な曲だと言うことだけはわかるわよ」

 

最後まで聞くのが楽しみだと思えるくらいに素敵な曲だと言うことがお互いの声や表情から伝わってくる。

期待せずにはいられない

 

 

 

 

 

『宝くじを買って一等が当たるより奇跡的な確率の中

 

 

 

2人は出会えたんだそれなのに

 

 

 

「生まれてこなきゃ良かった。」なんて泣いてたコトも…。

 

 

 

今日は忘れよう何より大切な日

 

 

 

「君が居れば他になにもいらない!」と本気で思ってんだ

 

 

 

って君に伝えようか でも笑うだろう?

 

 

 

Happybirthday!ずっとずっと一緒に祝ってゆこうこのキミ記念日1/365主役は大好きな君

 

 

 

だから何度だってhappybirthday!ずっとずっと

 

 

 

「おめでとう」を贈るよもっと幸せの涙君に訪れるように

 

 

 

生まれて来てくれてアリガトウ』

 

 

 

 

紗夜・日菜視点

 

生まれて来てくれてアリガトウなんて誰にもましてや両親にすら言われたことはないしそんな事を面と向かって言う人はいないだろうとは思うものの言われたら嬉しいと思うのは間違いないと思う

「いい曲だねお姉ちゃん」

「そうね、こんなに楽しくて嬉しい誕生日は初めてよ」

 

『You&I 逢えない時もあるけれど

 

 

 

いつも君の変化には気付いてるよ

 

 

 

いっぱいいっぱいのクセに「平気だって」の一点張り

 

 

 

大丈夫だよ帰る場所はここにあるよ

 

 

 

君が生きていてくれるだけで

 

 

 

変わらないでそこにいるだけで

 

 

 

泣けるくらいに愛しいってことを忘れないでいてよね

 

 

 

Happybirthday!ずっとずっと一緒に祝ってゆこう

 

 

 

このキミ記念日1/365主役は大好きな君

 

 

 

だから何度だってHappybirthday!!!ずっとずっと

 

 

 

「おめでとう」を贈るよもっと幸せの涙君に訪れるように

 

 

 

生まれて来てくれてアリガトウ!

 

 

 

生んでくれたパパママに感謝今日くらいは素直になろうよ

 

 

 

出会えた大好きな人達に乾杯!

 

 

 

辛い時は朝までとなりで分かち合って支え合って来たよね

 

 

 

午前0時1番に笑顔を君に… キャンドルの光消しても

 

 

 

想いは絶対消さない

 

 

 

Happybirthday!ずっとずっと一緒に祝ってゆこう

 

 

 

このキミ記念日1/365主役は大好きな君

 

 

 

だから何度だってHappybirthday!ずっとずっと

 

 

 

「おめでとう」贈るよもっと幸せの涙君に訪れるように

 

 

 

生まれて来てくれてアリガトウ!』

 

 

 

「Happybirthday!今日という日が2人にとって特別でありますように」

そうしてCDに納められていた曲の全てが終了した時

私達の心はものすごく満たされていた

「お姉ちゃん、この気持ちなんだろう?すっごくキュウとなって、でも、不思議と嫌じゃない感覚」

「私にも分からないわ、こんな気持ち初めてだもの」

思えば彼の本気の演奏を聞いて全ての感情をさらけ出したあの日から私達の心は彼に持っていかれたのかもしれない

「早く会いたいな〜ひ〜くんに」

「そうね、会うのが楽しみね」

そうして2人で笑いあった、こんなにもお互いの存在を近くに感じたのはいつ以来だろう?今こうしていられることも彼のおかげだと思うのだから

きっと彼ならこう言うだろう

自分は何もしてないよと

そう考えておかしくなり笑ってしまう

「お姉ちゃん幸せそうだね」

「あなたもね」

そうして私達は彼と出会った幸せを噛み締めるのだった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




氷川姉妹の誕生日イベントになります。誕生日イベントはどうしても時間がかかりますね、次回も誕生日イベント含んでの話なので投稿遅くなると思いますが楽しみしていてください

次回「卒業と見送りそして誕生日」


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第49話卒業と見送りそして誕生日

卒業式当日と同時にポピパのメンバーのりみちゃんの誕生日
そしてゆりさんの旅立ちの見送りとやる事が満載な光は一つ一つイベントに向き合っていく


卒業式当日、偶然にもりみちゃんの誕生日も重なり

そしてそれと同時にゆりさんが卒業後の進路の関係で

旅立つ日でもある。

既にポピパのメンバーからは式が終わったらパーティをしようと誘いは来ているので参加するつもりではあるが、ゆりさんの都合もあるためそれも考慮しないといけないのでパーティーに参加してもらいその後見送りが出来たらと考えている

 

その旨はポピパの皆に確認し了解をとってもらいゆりさんの方もそれは了解してくれていて大丈夫だと言っていた

「まずは卒業式で自分達の学校の先輩達を見送らないとな」

俺は学校に着くと一足先に体育館に向かい今回も演奏担当になったのでピアノの調子や自分が使う楽器の調子を確かめる

「よし!問題無し!」

問題が無いことを確認し俺は教室に行く

「あっ!光来た!おっはー!」

「おっはー!リサ」

「遅かったのね」

「学校来てすぐにピアノとか楽器の調子確かめてから教室来たからね」

「そういう事ね!ところで日菜は?」

「生徒会じゃない?俺も今日まだ会ってないし」

「なら、もうすぐ来るはずよ、1度は教室に集まるのだし」

「だよね」

などと話していると日菜が教室にやってきた

「おっはよう!全員揃ってる?」

「いるよ!」

「じゃあもうすぐ先生も来るはずだからホームルーム終わったら体育館に集合だよ!あたしは生徒会で先に行ってるから!後、ひ〜くんは皆よりも先に来てね!」

それだけ伝えると日菜は体育館の方へ駆けていった

「だってさ!」

「ホームルーム終わったらすぐ行かないとかな」

そうして話しているうちに先生が来てホームルームが始まった

そうして先生が簡単に連絡事項を伝えホームルームが終わると俺の方も皆より先に体育館に向かった

「来たよ!」

「ひ〜くん!ちょっと早いけどスタンバイしてて!」

「了解!」

そうしてスタンバイし俺はピアノの調子を再度確かめ軽く弾いて問題が無いことを再度確認しOKのサインを送ると日菜がマイクを通して話し出す

「じゃあ、準備はいい?皆OK?」

全員がOKのサインを送る

「じゃあ、在校生入場!」

そうして1,2年が揃い保護者や来賓の方々も揃い後は3年生の先輩達のみとなる

「3年生入場!」

その言葉の後3年生が入場してきて着席する

そして開式の言葉が述べられた後国歌斉唱をした後

卒業証書授与が行われる

俺は卒業証書の読み上げの妨げにならない程度にピアノの演奏をする

そして卒業証書授与が終わり校長先生並びに来賓の方々からの祝辞を貰い記念日の授与を終えて

送辞答辞の読み上げまでが終わり在校生からの演奏となり

俺の出番となり俺はギターを手にマイクを通して話し出す

「3年生の先輩方卒業おめでとうございます。3送会の時にも言ったと思いますが、自分がこうして誰かを見送る立場になるとは思いませんでした。それでも、この役を引き受けたからには最高の演奏をもって先輩達を送り出したいと思います

聞いてください3月9日」

 

俺はギターを引きながら歌っていく

 

『流れる季節の真ん中でふと日の長さを感じます

せわしなく過ぎる日々の中に私とあなたで夢を描く

 

3月の風に想いをのせて桜のつぼみは春へと続きます

 

溢れ出す光の粒が少しずつ朝を暖めます

大きなあくびをした後に少し照れてるあなたの横で

 

新たな世界の入口に立ち

気づいたことは1人じゃないってこと

 

瞳を閉じればあなたがまぶたのうらにいることで

どれほど強くなれたでしょう

あなたにとってわたしもそうでありたい』

 

3年生視点

卒業ソングの代表とも言える曲を在校生を代表し歌ってくれてる事を誰もか嬉しく感じながら彼が見せる世界に引き込まれていく

 

 

 

『砂ぼこり運ぶつむじ風洗濯物に絡まりますが

昼前の空の白い月はなんだかきれいで見とれました

 

上手くはいかぬこともあるけれど

天を仰げばそれさえ小さくて

 

青い空は凛と澄んで羊雲は静かに揺れる

花咲くを待つ喜びを分かち合えるのであればそれは幸せ

 

この先も隣でそっと微笑んで

 

瞳を閉じればあなたがまぶたのうらにいることで

どれほど強くなれたでしょう

あなたにとってわたしもそうでありたい』

 

演奏が終わると拍手が巻き起こる

「ありがとうございます。でも、まだ終わってません!

3送会の時にも演奏させてもらった贈り歌をこの場を借りてもう一度演奏しようと思います。では、聞いてください贈り歌」

 

俺はピアノを弾いて歌っていく

 

『ずっと言えなかった事を今日は手紙にしてみました

どんな時も揺るがぬ愛を真っ直ぐ僕にくれましたね

ずっと当たり前の道を何も言わず与えてくれて

反抗したい未熟な僕はわがままばかりしてきました

 

あなたのように溢れる愛で負けずに強く生きます

 

僕にくれたこの体にはあなたの心が詰まっています

幸せばかり望んでくれたあなたの心が背中押します

桜がきれいです今日までありがとう

 

先生言えなかった事を今日は手紙にしてみました

幼すぎる心の棘を優しく抜いてくれましたね

 

太陽のような暖かさで照らしてくれた階段

 

僕にかけた最後の言葉''誰かの心を灯せる人に''

学んだことは勇気へ変わり困難な時代も歩けそうです

さよならは笑顔で 今日までありがとう

 

さよなら制服 さよなら教科書 さよなら教室忘れないよ

ありがとう友達ありがとう青春門出の日』

 

3年生視点

 

「反則だよこんなの泣けてきちゃう」

「何人かはもう泣いてるよ」

「今日、本当に卒業するんだね」

「最高の曲が聞けると思ってたけど、この曲をもう一度聞けるなんてね」

「だよね!」

何人かは泣きながら、何人かは涙を堪えながら

曲のラストを聞いていく

 

 

『未来の''僕が''忘れないように この歌''僕に''歌います

 

僕が選ぶ分かれ道には失敗も後悔もあると思うけど

振り向かないで今を生きれば喜びに幸せに必ず出会う

恐れず歩け遠回りでもその景色楽しんで笑っていよう

 

未来の僕へ届きますように

 

春の風にのせて運んでくれますか?』

 

演奏を終えたタイミングで俺は話し出す

「3年生の先輩方卒業する今日までの間学校面やプライベートでも関わった生徒全員を代表してこの言葉を送らせてください、今日までありがとうございました!俺達2年はこれから3年生の先輩方に変わり自分達が後輩達を引っ張って行けたらと思います。本当にありがとうございました」

そうして頭を下げると言葉の代わりに惜しみない拍手が送られた

そして先輩達は合唱曲を歌ったあと花束を贈呈され校歌を全校生徒で歌い最後に終わりの言葉を述べた後卒業生の先輩方は退場したそして在校生のみになったタイミングで日菜が話し出す

「今日はお疲れ様!先輩達の卒業を見送る気持ちは色々あるだろうけど、常に自分達が送る側になるだけじゃなくて送られる側になる事も忘れないでね!ひ〜くん!ひ〜くんからもなにかお願い!」

「わかった」

そう言って壇上に上がり話し出す

「皆、まずは俺からも一言お疲れ様、この卒業式を通して来年再来年はもっといい卒業式に出来たらいいなと思ってます。と言っても俺達2年は来年は送られる側になるからね、送られる側として送る側に何を残すかを今のうちに頭の片隅程度でいいから考えておいて欲しい、自分達が残すものは必ず受け継がれるからさ、一人一人がそれを考えておいてくれたらいいなと思います。以上です。」

「じゃあこれにて終了!生徒会は片付けがあるから残ってね!」

そうして生徒会が主体となり1部の生徒も手伝ってくれたおかげで思ったよりも早く片付き最終チェックを終えてそれぞれの教室に戻り帰りのホームルームを受けて解散する

 

「光、今日はこの後の予定あるの?」

「パーティーに呼ばれてるよ!ポピパのりみちゃんの誕生日とゆりさんの卒業パーティーするみたい」

「そっかそっか、じゃあさ、春休み入ったら他の子達も誘ってお花見しようよ!」

「いいけど、飲酒は厳禁だからね!」

「わかってるって!アタシ達まだ未成年だもん!」

「まぁ、だよね!とりあえず、予定決まったら連絡するよ」

「うん、お願い!じゃあまたね!」

そうして学校を後にし俺は香澄に連絡する

電話に出たのは3コール目だった

(もしもし!光先輩!こんにちは!)

「こんにちは香澄、卒業式は終わった?」

(はい!これから有咲の家に集まってパーティーします!)

「じゃあ、俺も1度帰って色々荷物持っていくよ!」

(わかりました!皆に伝えておきます!)

「よろしく!じゃあ、また後で」

(はい!また!)

そうして通話を終了すると俺は自転車を走らせ自宅に戻り

制服から私服に着替えて荷物を持って家を出て有咲の家に向かう

そして自転車を走らせること10分と少し、俺は有咲の家に到着するとタイミングよく有咲が出迎えてくれた

「先輩いらっしゃい、皆揃ってるんで、行きましょう」

「うん、案内よろしく」

そうして有咲に案内されて蔵に向かい皆と合流する

「やぁ、こんにちは皆、呼んでくれてありがとう」

「こっちこそ来てもらってありがとうございます!」

「どうせ、ゆりさんの見送りはするつもりだったし、いいよ!」

「わざわざありがとうね光君」

「学校は違えど卒業生を見送るのは後輩の役目なんで」

「じゃあ、メンバー揃ったし、パーティー始めようよ!」

「そうだね」

そうして皆でHappyBirthdaytoyouを歌ってお祝いする

 

「皆!本当にありがとう!」

 

そう言ってりみちゃんはロウソクの火を吹き消して笑顔を浮かべる

 

「じゃあ、ケーキ切り分けるよ!」

 

俺はそう言って皆にケーキを切り分ける

 

「いただきます!」

そう言って皆がケーキを頬張り思い思いの感想を口にしていく中俺は一人演奏の準備を始めると香澄が俺の行動に気付いた

 

「先輩!もしかして!」

 

「うん、今回も演奏するよ!Birthdaysongと見送りの曲を用意してきたからね」

 

「是非聞かせてください!」

「私からもお願いするわ!」

 

「じゃあ早速いきます!タイトルはそのままHappyBirthday!」

 

俺はギターを弾きながら歌っていく

 

『今から何年も前のちょうど今日という日に

 

君は元気いっぱい産声を上げた

 

世界中の誰もが思わず微笑むようなそんな幸せに包まれた

 

 

 

内緒でサプライズするための選ぶプレゼント

 

君の喜ぶ顔を思い描きながら

 

今日ばっかりな財布のひも緩めちゃうよ

 

花束にクラッカー いちごのケーキ

 

年歳の数だけロウソクを用意して

 

年歳の数×100くらいの「おめでとう」贈ろう

 

 

 

ハッピーバースデーハッピーバースデー

 

君が生まれたこの日に

 

ハッピーバースデーハッピーバースデー

 

抱えきれないほどの愛を今FOR YOU

 

 

 

みんなに愛される君に僕も出会えたから

 

僕にとっても特別な日になったんだ

 

「おめでとう」を言える喜びを抱きしめながら

 

かけがえのない君のハッピーバースデー

 

 

 

歳を一つ重ね君は去年よりもきれいになっているよ

 

衰えない輝きをずっと

 

 

 

ワンダフォーデー ワンダフォーデー

 

やっぱり人生は素晴らしい

 

スペシャルデー スペシャルデー

 

特別な人よ君が大好きさ Yeah !』

 

ポピパとゆりさん視点

「おたえの時もこの曲だったね!」

「いいじゃん!これが私達にピッタリだって思ってくれてるってことだしさ」

「多分この曲はポピパに送ってくれたBirthdaysongなんだよ」

「今日の主役はりみとゆり先輩だけどな」

「祝ってもらえて嬉しいし、曲も聞いてて楽しいから私は好きだな」

「そうね、心からお祝いされてる感じはするわね」

などと話しながら曲を聞いていく

 

『ハッピーバースデーハッピーバースデー

 

君が生まれたこの日に

 

ハッピーバースデーハッピーバースデー

 

抱えきれないほどのの愛を今FORYOU

 

また来年の今日へとつなぐ愛を今FORYOU』

 

 

 

ポピパ視点

 

サビに入ってから私達は演奏に合わせて手拍子をしていた

 

「私達がりみりんのの誕生日プレゼント選んでる時とか、今のこの瞬間とか、全部が伝わってくる感じがするよね!」

 

「わかる!聞いてるこっちも楽しいしね」

 

「あたしらも最大限のお祝いしたつもりだけどさ、結局この人に全部もってかれんだよな」

 

「光先輩と比べちゃダメだよ、先輩は特別」

 

「でも、やっぱりさ曲でもなんでもさ、こんなにお祝いしてもらって最高に嬉しいのは私自身、初めてで新鮮って言うか嬉しいなって!」

 

皆で話ながら歌の続きを聞いていく

 

 

 

『歳を一つ重ね君は去年よりもきれいになっているよ

 

衰えない輝きをずっと

 

 

 

ワンダフォーデー ワンダフォーデー

 

やっぱり人生は素晴らしい

 

スペシャルデー スペシャルデー

 

特別な人よ君が大好きさ Yeah !』

演奏が終わると皆が拍手を送ってくれた

「じゃあ、このままゆりさんの旅立ちをお祝いする曲を演奏しようと思います。聞いてください、旅立ち」

俺は曲を演奏し歌っていく

『今 旅立ちの日 君が強く

OhOh 残してきた足跡が闇の中の光となり

OhOh果てしなき道を照らす

 

今 旅立ちの日 君が強く

OhOh 残してきた足跡が闇の中の光となり

OhOh果てしなき道を照らす

さぁ行こう僕らの未来へ

さぁ行こうもう迷わないで

 

いつまでも忘れない あの日の空は夕焼け

帰りたくなかった僕ら二人 歩き疲れた交差点

あきらめかけた夢を語った でも答えは出なかった

あふれそうな不安を空き缶にのせて 明日へ蹴っ飛ばした

僕らは弱虫だから 今も涙を隠したまま

だけど隠した涙の数だけ 負けない強い勇気が生まれる

さぁ行こう どこへだって もしも2人離れたって

僕だけは君を分かってる 目の前には未来が待ってる

 

今 旅立ちの日 君が強く

OhOh 残してきた足跡が闇の中の光となり

OhOh果てしなき道を照らす

さぁ行こう僕らの未来へ

さぁ行こうもう迷わないで

 

卒業式から入学式 それともスーツ着て入社式

色んな人生の別れ道 やめときなそろって回れ右

UN楽しかったあん時も入り交じっていた不安と希望

誰もが胸にかかえながら 周りに甘えながら

ここから勇気出して一歩ふみ出す 遥かな旅立ち

それは終わりじゃなくてゼロに戻る新たな始まり

また繰り返していく出逢いと別れ

初めてばかりの世界の中で

この先どうなるか分からないけどこの気持ち変わらない

 

今 旅立ちの日 君が強く

OhOh 残してきた足跡が闇の中の光となり

OhOh果てしなき道を照らす

さぁ行こう僕らの未来へ

さぁ行こうもう迷わないで

 

さぁ行こう僕らの未来へ

さぁ行こうもう迷わないで

 

君が君らしくいて僕が僕らしくいて

笑えるためにただそれだけのために

どこに当たって転んでも 間違いだらけじゃないだろう

歩くその先に新しい道が開けるんだ

 

今 旅立つ時 君が何かを 見失いかけた時は

耳をすませあの日のように大きな声で歌うから

 

旅立ちの日 君が強く

OhOh 残してきた足跡が闇の中の光となり

OhOh果てしなき道を照らす

さぁ行こう僕らの未来へ

さぁ行こうもう迷わないで

さぁ行こう僕らの未来へ

さぁ行こうもう迷わないで』

演奏が終わると再び拍手が起こり、ゆりさんが皆を代表して話し出す。

「とても素敵な曲だったわ、旅立ちはゼロからのスタート不安だらけだけど負けないでと応援されてる感じが伝わってきたわ」

「そうだといいなと思って演奏しましたから、それが伝わってよかったです。じゃあ、もう一曲演奏します。聞いてくださいサヨナラじゃない」

俺は再び曲を演奏しながら歌っていく

『肩を並べ走ったあの日の空の色 今でも覚えてるよ

あなたとなら何にでも手が届くそんな気がしたんだ

 

陽が昇って沈むように 夢が覚め 時間は流れて

今ではそれぞれ道を歩いているとしても

 

サヨナラじゃないいつでもあなたと

希望 空 未来 全部つながってる

アリガトウでは伝えきれないほど

温かい日々一人じゃなかった

あなたのその笑顔は僕をこんなに強くする

悲しみも切なさも越えて来たんだ

悲しみも切なさも越えて行くんだ』

 

ポピパ・ゆりさん視点

「光先輩は多分ゆりさんがグリグリで過した日々をそしてこれからゆりさんが歩む道が皆との繋がりがあれば強くなれるって伝えたいんでしょうね」

「きっとそうね、じゃなかったら希望 空 未来全部繋がってるなんて言わないわよ」

「最後の歌詞もそうですよね!」

「やっぱり先輩はすごいや!」

「だね」

「うん!お姉ちゃんの見送りにはピッタリだもん!」

そんな話をしながら私達は曲を聞いていく

 

『でかい夢を掴み取るため誓い合った あの日の約束は

少しだけ形が変わったけど この胸に

 

二人の夢の跡

色あせてしまわないように

いつでもいつまでも大きな声が歌うよ

 

サヨナラじゃないあなたと描いた

明日へと続く物語がある

アリガトウしか僕は言えないよ

あなたがいて本当に良かった

輝く思い出たちは雨上がりの虹のよう

悲しみも切なさも越えて来たんだ

悲しみも切なさも越えて行くんだ』

 

ゆりさん視点

輝く思い出たちは雨上がりの虹のよう…ね

「今なら最高の気分で旅立てそうだわ」

私は旅立ちを前に抱えていた不安を一気に解消された気分だった

 

『夕暮れ 坂道 重たい足取り

登りきった先に何が待ってるのか

分からないけど忘れないよ

あなたと僕は同じ空の下

今日という日を生きている

 

サヨナラじゃない いつでもあなたと

希望 空 未来 全部つながってる

アリガトウでは伝えきれないほど

温かい日々 一人じゃなかった

あなたのその笑顔は僕をこんなに強くする

悲しみも切なさも越えて来たんだ

 

孤独だって痛みだって越えて来たんだ

悲しみも切なさも越えて行くんだ』

演奏を終えて俺は話し出す

「ゆりさん、旅立つ事は不安かもしれないですけど、自分で選んだ道を後悔しないでください、りみちゃんだって他のみんなだって笑って送り出したいはずです、だから、最後まで笑っていてください」

「ありがとう、りみとの1件といい貴方にはお世話になったわね」

「俺は俺に出来ることをやっただけですので」

「そうなのかもしれないわね、じゃあ、もう少しパーティーを楽しみましょう」

「そうですね」

そうして俺達はパーティーを楽しみすっかり日が暮れた夕暮れ

俺達はゆりさんを見送るために空港に来ていた

「それじゃあ行ってくるわ!休みには帰ってくるから」

「行ってらっしゃい、お姉ちゃん!たまには電話してね」

「もちろんよ!それから、光君」

「なんですか?」

「私達の大事な後輩と私の妹をよろしくね!」

「もちろんです。俺の音楽に誓って!」

「皆もりみをよろしくね!」

「はい!」

「任せてください!」

「まぁ、はい」

「約束します!」

「それじゃあ行ってくるわ!」

そうしてゆりさんは旅立って行った。

そして帰り道

「見送っておいてあれだけどりみちゃんの両親は見送り来なくて良かったの?」

「式が終わったらそのまま行く予定だったのでお母さん達は早い段階でもう見送りは仲間内だけでって決めてみたいです」「そうなんだ、まぁでも良かったのかもね」

「どうしてですか?」

「親ってさ自分達にとって1番身近で頼れる存在だからこそさ、親とは違う意味で頼れる仲間や後輩達に見送って欲しかったんじゃないかなって、勝手な想像だけどね」

「でも一理あるかもしれないですよ」

などと話していると見慣れた街並みが見えてきた

「帰ってきたね」

「そうだね」

「うん!」

「まぁな」

「私達の街」

「俺達の音楽の中心となる場所だもんね」

「先輩!今更ですけど、今日はありがとうございます」

「別に、俺は大した事してないし」

「お姉ちゃんの不安や葛藤を音楽で解消してくれましたし、私の誕生日もしっかり祝ってくれました」

「やりたくてやったから本当に気にしないでいいよ!」

「私達から先輩になにかできませんか?」

「ならさ、春休み最後の日、皆でLIVEやろうよ!それに参加してくれたらOKって事で」

「そんなんで良いんですか?」

「無問題、俺がそうして欲しいから誘ってる訳だしさ 」

「じゃあ、春休み最後の日に皆でLIVEしましょう!約束です!」

「うん!約束!」

そうして新たな門出と共に約束が結ばれたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




7月入ってから初の投稿になりますね、この作品以外にも書いている作品があるのでこっちも中々話数が進みませんが今後も楽しみにしていてください。次回から予定通り春休み編に入り4話くらいを書いた後3年生編に入って行きますのでお楽しみに
次回「お花見とさくらのうた」


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第50話お花見とさくらのうた

春休みの入り光はガールズバンドのメンバーと花見を楽しむ事になった


その日俺は朝からバタバタしていた。

理由は花見で持ち寄る料理を作りつつ出掛ける準備をしているためだ

「なんで俺は料理担当なのかな〜場所取りとかそっちに回して欲しかったよ!」

ボヤいても既に決まっていることなので仕方ないがRoseliaを筆頭に全会一致で俺は料理担当らしくその話を聞いた俺は

アレコレと準備を整えている最中なわけだ

しばらくして準備を整えると俺はそれなりの荷物を持って家を出て花見スポットに向かう

そしてしばらくして目的地に到着すると俺以外の皆は準備万端という感じに揃っていた

「遅いわよ光」

「準備に時間かかってさ、ごめんね、一応時間通りのはずだけどね」

「時間通りだけど、もう少し早く来てくれたらよかったって話よ」

「俺を全会一致で料理担当にしておいて、よく言うよ!」

「とは言っても持ってきたんでしょ?」

「まぁね」

そう言って重箱を胸元まで掲げる

「それってもしかして一バンド事に全員分あるの?」

「あるよ!一バンド事に重箱2つね」

「用意に抜かりはないみたいね」

「まぁね、てか他の皆もちょっとしたものは持ってきたんでしょ?」

「飲み物とかお菓子とかを皆で持ち寄ったよ!」

「じゃあいいじゃん!さっそく始めようよ!」

「じゃあ乾杯の音頭お願いします先輩!」

「了解」

そうして全員に飲み物が行き渡ったのを確認し俺は話し出す

「じゃあ、乾杯の音頭を取らせてもらいます!今日は目一杯楽しんでください!乾杯!」

「「「「「乾杯!!」」」」」

そうして花見が始まり最初こそバンド事に集まっていたがバラけて思い思いのメンバーで集まり話している

そして時折吹く風が花を散らし頬を撫でる

「花吹雪ってこんな感じかな」

そうしていると俺の所にイツメンが揃った

「光、楽しんでる?」

「しっかり楽しんでるよ!桜が散る様子を眺めてたとこ」

「皆、あなたと話したそうにしてるわよ」

「皆、バラけてるし、来てくれたらいいんだけどね」

「じゃあ、一緒に皆の所回ろうよ!」

「そうだよ!一緒にあちこち回って色んなメンバーと話そう!」

「皆がそういうなら」

そうして俺はイツメンと一緒にグループで固まっているメンバー達と話をして行き話しの流れで演奏をという話になったので俺は準備するためその場を離れセッティングを開始する

そしてセッティングを終えると音を鳴らして視線を集め話し出す

「皆と話した中で演奏をって話になったので演奏しようと思います花見にちなんで桜ソングを2.3曲演奏します。順番に聞いてください、もしリクエストがあれば曲の終わりに言ってくれたら演奏しますのでまずは1曲聞いてください

まずはCHE・R・RY」

俺はギターを弾きながら歌っていく

 

『手のひらで震えた それが小さな勇気になっていたんだ

絵文字は苦手だった だけど君からだったら ワクワクしちゃう

 

返事はすぐにしちゃダメだって誰かに聞いたことあるけど

駆け引きなんて出来ないの

…好きなのよah ah ah ah

 

恋しちゃったんだ多分気づいてないでしょ?

星の夜願い込めて CHE・R・RY

〜指先で送る君へのメッセージ』

 

Roselia視点

「光はなんでこの曲を選んだのかな?」

「どういう事?」

「いや、ほら、多分って言うかおそらくここにいるメンバーって少なからず意味は違えど光を好きなメンバーばっかなのにと思ってさ」

「だからこそでは?」

「あこもそう思うな」

「ですね」

Roseliaの皆は意味は違えど光が好きでこの曲を聞くのは少し照れ臭さとは違うが言葉にし辛い似たような気持ちを感じていた

 

『サクラが咲いているこの部屋から見えてる景色を全部

今 キミが感じた世界と10秒取り替えてもらうより

 

本の一行でも構わないんだだから

キミからの言葉が欲しいんだ ウソでも信じ続けられるの

…好きだからah ah ah ah

 

恋しちゃったんだ たぶん 気づいてないでしょ?

星の夜願い込めてCHE・R・RY

〜指先で送る君へのメッセージ

 

甘くなる果実がいいの何気ない会話から育てたいah ah

ah ah

 

恋のはじまり 胸がキュンとせまくなる

いつまでも待っているから

春の冷たい夜風に預けてメッセージ

 

恋しちゃったんだたぶん気づいてないでしょ?

星の願い込めてCHE・R・RY

〜指先で送る君へのメッセージ』

 

演奏を終えた俺は軽く息を吐き出してから話し出す

「1曲目はCHE・R・RYを歌いました、2曲目に行く前にリクエストがあればそっちを歌うけど、どうする?」

「私は特に無いわ」

「光君が選んだ曲をそのまま聞かせて!」

「私も光さんが選んだ曲を聞きたいです!」

「光に任せるわ!」

「私達もそれで大丈夫です!」

「じゃあこのまま行きます!タイトルは同じくチェリー」

俺は再びギターを弾きながら歌っていく

 

『君を忘れない 曲がりくねった道を行く

産まれたての太陽と 夢を渡る黄色い砂

二度と戻れない くすぐりあって転げた日

きっと想像した以上に騒がしい未来が僕を待ってる

 

「愛してる」の響きだけで 強くなれる気がしたよ

ささやかな喜びを つぶれるほど抱きしめて

 

こぼれそうな思い 汚れた手で書き上げた

あの手紙はすぐにでも捨てて欲しいと言ったのに

少しだけ眠い 冷たい水でこじあけて

今 せかされるように 飛ばされるように 通り過ぎてく

 

「愛してる」の響きだけで強くなれる気がしたよ

いつかまたこの場所で君とめぐり会いたい

 

どんなに歩いても たどりつけない 心の雪でぬれた頬

悪魔のふりして 切り裂いた歌を 春の風に舞う花びらに変えて』

ガールズバンド視点

「素敵な曲、ちゃんと聞いた事はなかったけど、こんなに素敵な曲だったのね」

「今の季節にピッタリですね」

「さっすが、光ね!」

などと話しながら曲の続きを聞いていく

 

 

 

『君を忘れない曲がりくねった道を行く

きっと 想像した以上に 騒がしい未来が僕を待ってる

 

「愛してる」の響きだけで強くなれる気がしたよ

ささやかな喜びをつぶれるほど抱きしめて

ズルしても真面目にも生きてゆける気がしたよ

いつかまたこの場所で君とめぐり会いたい』

 

演奏が終わると皆が拍手を送ってくれた

「皆、ありがとう。まだまだイけるけどリクエストはない?」

「じゃあ、はい!」

おたえが手を挙げて言った

「キーボードでさくらを演奏してください!」

「OK!じゃあ行くよ!」

俺はリクエストに答えキーボードを弾きながら歌っていく

 

 

『さくら舞い散る中に忘れた記憶と君の声が戻ってくる

 

吹き止まない春の風あの頃のままで

 

君が風に舞う髪かき分けた時の淡い香り戻ってくる

 

2人約束したあの頃のままで

 

ヒュルリーラヒュルリーラ

 

 

 

さくら散り出す思い出す意味なく

 

灯り出すあの頃また気になる

 

変わらない香り 景色 風 違うのは君がいないだけ

 

ここに立つと甦る込み上げる記憶読み返す

 

たわいないことでまた騒いだり

 

さくら木の真下語り明かした思い出日俺輝いた証だ

 

さくら散る頃出会い別れそれでもここまだ変わらぬままで

 

咲かした芽君離した手いつしか別れ交わしたね

 

さくら舞う季節に取り戻すあの頃そして君呼び起こす

 

花びら舞い散る記憶舞い戻る

 

 

 

気付けばまたこの季節で

 

君との想い出に誘われ心の扉たたいた

 

でも手をすり抜けた花びら

 

初めてわかった俺若かった

 

この場所来るまで分からなかったが此処だけは今も何故

 

運命(さだめ)のように香る風暖かい陽の光がこぼれる

 

目を閉じればあの日に戻れるいつしか君の面影は

 

消えてしまうよ何処かへ

 

あの日以来景色変わらない散りゆく花びらは語らない

 

さくらの下に響いた君の声今はもう

 

さくら舞い散る中に忘れた記憶と君の声が戻ってくる

 

吹き止まない春の風あの頃のままで

 

君が風に舞う髪かき分けた時の淡い香り戻ってくる

 

二人約束したあの頃のままで

 

ヒュルリーラヒュルリーラ

 

 

 

そっと僕の肩に舞落ちたひとひらの花びら

 

手に取り目をつむれば君が傍にいる

 

さくら舞い散る中に忘れた記憶と君の声が戻ってくる

 

吹き止まない春の風あの頃のままで

 

君が風に舞う髪かき分けた時の淡い香り戻ってくる

 

二人約束したあの頃のままでヒュルリーラヒュルリーラ

 

花びら舞い散る記憶舞い戻る花びら舞い散る』

 

俺はさくらを歌い終えるとそのままギターに持ち替え4曲目を演奏する

 

『桜の花が舞い落ちるこの景色を

いつか僕たちは並んで見ていた

今ではそのほとんどが嘘になってしまった言葉を

心から伝え合いながら

 

見上げれば空は 君に見せたいくらい綺麗で

耳をすませば 今でも君の声が聞こえる

 

抱きしめても春ははなびらのように

僕の腕をすり抜けて それでも忘れたくなくて

何度も何度も巻き戻して君ともう一回出会って

もう一回恋したいんだって

今度はもう離さないよ 離さない

 

歩道橋の上にも横断歩道の向こうにも

駐車場の緑のフェンスの前にも

いたる所で君の想い出が笑ってて

ずいぶん住みにくい街になったな

 

言い忘れてたけど君のことがまだ好きだよ

ひとりでつぶやいてただけなのにな

溢れてくる

 

抱きしめても春ははなびらのように

僕の腕をすり抜けてそれでも忘れたくなくて

何度も何度も巻き戻して 君ともう一回出会って

もう一回恋したいんだって

今度はもう離さないよ 嘘じゃない 』

 

ガールズバンド視点

「この季節にピッタリだな」

「だよね」

「本当にあの人には適う気しないわ、適うと思っても無いけどよ」

「光は特別よ、常にピッタリな曲を演奏してくれるからこそ特別に感じるのよ」

そう感じる程に曲と季節がそして彼が観せる世界が特別だと感じた

 

『枯れ落ちた花があの日と同じ風に吹かれて

終われなかった恋を連れて今舞い上がってく

 

抱きしめても春ははなびらのように

僕の腕をすり抜けて それでも忘れたくなくて

何度も何度も巻き戻して君ともう一回出会って

もう一回恋したいんだって

今度はもう離さないよ 離さない 君を離さない 』

 

「時間的にも後1曲がラストかな、リクエストはあるかな?」

「私から良いかしら?」

「どうぞ」

「四季を感じられる曲をお願いするわ」

「OK!じゃあ、ラストの曲は春夏秋冬」

 

俺はタイトルを告げて演奏を始める

 

『鮮やかな色四季おりおりの景色求め二で

 

It'sgoinggoing on

 

車、電車、船もしくは飛行機計画を練る週末の日曜日

 

春は花見満開の桜の下乾杯頭上広がる

 

桃色はlikeaファンタジー

 

夏は照りつける陽の元でバーベキュー

 

夜になればどこかで花火が上がってる

 

秋は紅葉の山に目が止まる

 

冬にはそれが雪で白く染まる

 

全ての季節お前とずっと居たいよ春夏秋冬

 

 

 

今年の春はどこに行こうか?今年の夏はどこに行こうか?

 

春の桜も夏の海もあなたと見たいあなたといたい

 

今年の秋はどこに行こうか?今年の冬はどこに行こうか?

 

秋の紅葉も冬の雪もあなたと見たいあなたといたい』

 

 

 

イツメン視点

 

「誰かと過ごす春夏秋冬ね、良いじゃない」

「皆、どうせ過ごしたい相手は光だろうけどね」

「ひ〜くんだけじゃなくて他の皆やお姉ちゃんもだよ!」

 

私達それぞれはどうだろうと考えると真っ先に浮かんできたのはそれぞれのバンドメンバー皆と両親にそれとやはり…光の姿だった

 

「色んな人と過ごせば見え方とかも変わるだろうな〜」

「確かにね、それには同意するわ」

 

そんな呟きすら今は届かないでも、今はそれでいい

 

 

 

『また沢山の思い出紐解いてふと思い出す窓の外見て

 

喧嘩もした傷の数すらもピースの1つジグソーパズル

 

月日経つごとに日々増す思い

 

「永遠に居てくれ俺の横に」今、二人は誓うここに

 

忘れない思い出すまた蝉の鳴く頃に

 

苦労ばっかかけたなてかいっぱい泣かせたな

 

ごめんなどれだけの月日経ったあれから

 

目腫らして泣きあったね明け方

 

包み込むように教会の鐘が鳴るよ

 

重ねあえる喜び分かち合える悲しみ共に誓う心に

 

さぁ行こうか探しに

 

新しい景色を見つけに行こう二人だけの春夏秋冬

 

今年の春はどこに行こうか?今年の夏はどこに行こうか?

 

春の桜も夏の海もあなたと見たいあなたといたい

 

今年の秋はどこに行こうか?今年の冬はどこに行こうか?

 

秋の紅葉も冬の雪もあなたと見たいあなたといたい

 

たまにゃやっぱり家でまったり二人毛布に包まったり

 

じゃれ合いながら過ごす気の済むまで

 

飽きたらまた探すのさ行く宛て

 

さぁ今日はどこへ行こうか?

 

ほらあの丘の向こう側まで続く青空

 

買ったナビきっかけにどこでも行ったね

 

色んな所を知ったね

 

いつかもし子供が生まれたなら教えよう

 

この場所だけは伝えなきゃな

 

約束交わし誓ったあの夏の終わり2人愛を祝った場所

 

今年の春はどこに行こうか?今年の夏はどこに行こうか?

 

春の桜も夏海もあなたと見たいあなたといたい

 

今年の秋はどこに行こうか?今年の冬はどこに行こうか?

 

秋の紅葉も冬の雪もあなたと見たいあなたといたい

 

今年の春はどこに行こうか?今年の夏はどこに行こうか?

 

春の桜も夏海もあなたと見たいあなたといたい

 

今年の秋はどこに行こうか?今年の冬はどこに行こうか?

 

秋の紅葉も冬の雪もあなたと見たいあなたといたい』

 

 

 

ラストの演奏を終えて俺は話し出す

 

「聞いていくれてありがとうございます。これで演奏全部終わりになるけど、最後に感想を聞かせてくれるかな?」

そう言うと皆がそれぞれ最高だったと言ってくれた

「喜んでくれて良かったよ!最後にこの場を借りて皆にお願いしたい事があるんだけど良いかな?」

それぞれが顔を見合わせ頷き合う

「この春休みが明けたら俺達は3年になるし、ポピパやAfterglowの皆も2年に上がるでしょ?だから、今の学年としてのLIVEをやらないかなって誘いなんだけど、どうかな?」

「いいんじゃない?アタシは賛成だよ!ね、友希那」

「提案は魅力的よ!でも、やるからにはあなたが一切を仕切りなさいよ」

「もちろん!」

「ポピパは既に約束済なんで大丈夫です!」

「AfterglowもOKです!」

「ハロハピも問題なくOKよ!」

「パスパレもOKだよ!絶対に出たいし、やりたいよね!」

「じゃあ、全員参加で良いかな?」

「もちろん!」

「大丈夫よ!」

「OKです!」

「やるわよ!」

「やろう!」

そうして春休み最後の日に現学年最後のLIVEをやる事が確定した。

 




春休み編開始です!今回は歌をメインにして情景を感じて貰えたらと思いこんな感じに書きました。
次回はまた天体観測イベントを書いていきますのでお楽しみに
次回「氷川姉妹と天体観測」


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第51話氷川姉妹と天体観測

春休みに入った光は今回も星を見るために夜空を見上げて歌う


休み中、課題は特にないため家事やバイト、練習などに時間を使いつつ過ごしていた

そして現在、家でギターを弾いていると電話が鳴ったので

電話に出る相手は日菜だ

「もしもし、日菜?どうしたの?」

(もしも〜しひ〜くん!今日の夜って予定空いてる?)

「今日は1日暇だよ」

(良かった、じゃあ、夜から星観ようよ!今日ならお姉ちゃんも良いってさ!)

「そういう事なら、俺も大丈夫だから、19時に日菜達の家で良い?」

(うん、それで良いよ〜!)

「じゃあ、その時間に行くね!」

(うん、待ってるね!)

そうして通話を終了すると時計を確認してから軽く睡眠をとることにしギターを元の位置に戻してからベットに寝そべりそのまま眠りに着いた

 

数時間後、俺はスマホのアラームで目を覚ます

「こういう時しか昼寝なんてしないから少しだるいや」

そうして約束の2時間前に起きて目覚ましにシャワーを浴びて目を覚ましてから着替えと夕飯等を済ませ

準備を整えてから家を出る

そしてしばらく自転車を走らせて日菜達の家に到着する

到着した事を伝える為に自転車のベルを鳴らすとそれが聞こたようで扉が開き日菜が出てきた

「こんばんは、ひ〜くん!」

「こんばんは、日菜!準備できてる?」

「いつでも良いよ!」

そう話していると紗夜も準備を終えて出てきた

「こんばんは光君、今日はお誘いありがとうございます。」

「紗夜も一緒が良いって言ったのは日菜だし、俺は付き添いみたいなもんだから良いよ」

「一応部活の一環な訳ですし」

「部員あたし1人だし許可は貰ってるから大丈夫だよ!お姉ちゃん!」

「日菜がこう言ってるから大丈夫だと思うよ!日菜はその辺抜かりないし」

「まぁ、私もその辺については信用していますので問題ないとは思いますし、光君も大丈夫だと言うのであれば信用します」

「じゃあこの話はおしまい!行こう!お姉ちゃん!ひ〜くん!」

「うん、行こっか!」

そうして俺達は天体観測をするために学校に向かった

そして学校に着くと俺達はまず天文部の部室に向かった

「ひ〜くん!今日も望遠鏡のセッティングお願い!」

「日菜もできるじゃん!俺がやるの?」

「ひ〜くんがやるとクレーターまで綺麗に映るんだよ!あたしじゃまだ出来ないし」

「じゃあ、俺の機材は任せるからね」

「はーい!お姉ちゃん!ひ〜くんのキーボードは任せても良い?あたしはひ〜くんのギターとか持つから」

「わかったわ、じゃあ荷物を持って屋上に上がりましょう」

「そうだね、行こうか!」

そして屋上に上がると薄らと雲が出ていて満天の星空とはいかないが問題なく星が見えるだろうと思い2人に話しかける

「少しだけ雲が切れるの待つ?」

「雲晴れるかな?」

「雲自体は薄いから晴れそうだけどね」

「では、少し待ちましょう、その間に何か1曲お願いします。光君」

「じゃあBUMP OF CHICKENのプラネタリウムを演奏するよ!」

 

俺はさっそくギターを手に取り準備を整え演奏する

 

『四畳半を拡げたくて閃いてからは速かった

次の日には出来上がった手作りプラネタリウム

 

 

科学の本に書いてあった作り方の他にアレンジ

実在しない穴を開けて恥ずかしい名前付けた

 

消えそうなくらい輝いてて

触れようと手を伸ばしてみた

一番眩しいあの星の名前は僕しか知らない』

 

紗夜・日菜視点

「家に手作りのプラネタリウムを作る様子だね」

「そうね、自分だけの星を作ってアレンジしてみたりちょっと恥ずかしい思い出のような曲ね」

私達は情景を思い浮かべながら曲を聞いていく

 

 

『天井も壁も無くなって 代わりに宇宙を敷き詰めて

傷付かず 傷付けないままで君をついに閉じ込めた

 

近付いた分遠ざけてて触れることは諦めてた

背伸びしたら驚くほど容易く触れてしまった

 

やめとけば良かった当たり前だけど本当に届いてしまった

この星は君じゃない僕の夢

本当に届く訳無い光でも消えてくれない光』

 

紗夜・日菜視点

自作のプラネタリウムで作った星空だから、届いてしまった

「なんだか悲しいね」

「そうね、本来なら手が届かないものに手が届いてしまうと嬉しさよりも悲しさがあるのかもしれないわね」

 

 

 

『四畳半の窓を開けて見上げれば現実が巡る

実在しない星を探す心がプラネタリウム』

 

手を伸ばして届かない星空に自分の心を探すその情景を思い浮かべてラストを歌っていく

 

『消えそうなくらい輝いてて消えてくれなくて

泣きそうなくらい近付いてて届かなくて

 

見えなくても輝いてて

触れようと君の名前を呼ぶ

一番眩しいあの星の涙は僕しか知らない

 

消えそうなくらい輝いてて

触れよう手を伸ばしてみた

一番眩しいあの星の名前は僕しか知らない

 

いつだって見つけるよ君の場所は僕しか知らない

僕しか見えない』

演奏が終わり空を見上げるとまだポツポツと雲は残るものの

天体観測には問題ないくらいの星空が広がっていた

「いい感じに雲が晴れたし、星を観ようか!」

「うん!でも、その前に月が観たいな!」

「じゃあ、望遠鏡調整するから待ってて」

そうして俺は望遠鏡を調整し月を観れるようにした

「これで見えるよ!」

「お姉ちゃん、先に観ていいよ」

「じゃあ、遠慮なく先に月を観測させてもらうわね」

そうして紗夜が月を観ていると日菜が俺に話しかけてきた

「ひ〜くん!春にも夏みたいな三角形とかあるの?」

「もちろん!春の大三角と大曲線があるよ」

「その星にも神話があるんだよね?」

「星一つとっても神話は色々あるからね」

などと話していると紗夜は満足したのか望遠鏡から離れて俺達が話しているところにやってきた

「もういいの?」

「はい、十分です。クレーターまではっきり見えましたし、角度なんかも変われば見方も変わって新鮮でした」

「じゃあ、次はあたしが見よっと!」

そうして今度は日菜が望遠鏡を覗き始める

「日菜とはどんな話をされていたのですか?」

「星の神話についてかな?春の大三角と大曲線の話をしてたとこ」

「光君も星が好きなんですね」

「星もその星の神話を調べるのも好きだよ、だからこその知識だったりするんだけどね」

「ならこの後は光君の神話講座ですね」

「講座ってほどのものでもないけどね」

そんな話をしながら俺は日菜が部室から持ってきた星座盤を使って時期や時間を合わせて空の星を指でなぞる

「何をしてるんですか?」

「星座盤を見ながら星の位置を把握してるとこ、よし!これでいいかな、日菜!そろそろ星座観るよ」

「わかった〜」

そうして3人で1箇所に集まり空を見上げる

「まずは2人とも北斗七星を探してごらん」

「スプーンみたいなやつだよね!」

「そうそう、見つけた?」

「うん!」

「私も見つけました」

「まずはその北斗七星ね、実はあれっておおぐま座って星座の一部なんだよね、ちょうど今時期が綺麗に見えるんだよね」

「そうなんだ、初めて知った」

「私も初耳ですね!」

「そのおおぐま座と向かい合うようにしてあるのが

こぐま座、この二つは同じ神話で語られてるんだよね」

「聞かせて!」

「是非お願いします」

「月と狩の女神アルテミスの従者で森に住む妖精のカリストって言う娘がいて、アルテミスと共に森を駆け回って狩をしていたカリストを空から大神ゼウスが見初めて自分のものにしようとアルテミスの姿に化けて近付くんだ」

「それでそれで?」

「どうなるんです?」

「まぁ、結局だまされてカリストはゼウスの子供を身ごもるんだよね、それで純潔の女神でもあるアルテミスに追放されてしまうんだ」

「可哀想」

「ゼウスがいけないのでは?」

「ゼウスはかなり浮気性みたいだからね、まぁとりあえず話を戻すとねそのカリストはひとりぼっちで息子のアルカスを出産するんだ、でも、その事がゼウスの妃の女神ヘラの耳に届いてものすごく怒るんだ、それで呪いをかけてカリストを熊に変えてしまうんだ」

「そんな…」

「やりすぎでは?」

「まぁ、ヘラは何かと嫉妬深いというか怒りっぽいというか難しい神なんだよね、結局カリストは息子と別れて熊として森の奥で生きていくしか無くなるんだ」

「それからどうやって星座になるの?」

「息子のアルカスは他の妖精に育てられて十数年後には立派な狩人に成長するんだけど、ある時アルカスが森の中で狩りをしていると偶然にも熊の姿のカリストと出会うんだ、カリストの方は我を忘れてアルカスに駆け寄ろうとするんだけど

目の前の大熊がまさに生き別れた母親とは気づかないアルカスは弓をつがえてカリストを仕留めようとするんだ

それを見たゼウスは急いで2人を空に舞い上げてアルカスも熊の姿に変えて星にしたんだ

それでカリストはおおぐま座アルカスはこぐま座になったって話なんだ」

「へぇ〜最後にはお父さんが空で一緒に居られるようにしてあげたんだ」

「そうなるわね、でも、元はと言えば浮気性な神様がいけないのでは?」

「それを言ったら冬の代表星座のオリオンだって同じ様なものだし」

「まぁ、そうなのかも知れませんが、神様は勝手すぎやしませんか?」

「春の大三角の乙女座の神話も似たり寄ったりなんだけどね、それを言ったら」

「春の大三角はどこをどう見たらいいの?」

「うしかい座のアークトゥルスと乙女座のスピカ後は、しし座のデネボラを結んで春の大三角になるんだよ」

「その3つにももちろん神話があるんですよね?確かしし座はヘラクレスの12の試練に由来するとか」

「その通り!しし座はヘラクレスが一番最初に受けた試練の最初の敵だったんだよね、三日三晩首を締めてようやくやっつけたんだ、何せ弓も剣も効かないからね」

「確かその獅子は人喰いライオンだとか、キメラかキマイラだったと言う説もありますよね」

「そうだね、もしかしてしし座については紗夜知ってる?」

「えぇ、ヘラクレスの試練の本を読んだことがあるので」

「お姉ちゃん読書家だもんね」

「じゃあ、乙女座とうしかい座かな?」

「うしかい座は確か、特定の誰という訳では無いのでは?」「そうなのひ〜くん?」

「うん、まぁ、こぐま座のアルカスの狩人としての姿って説と巨人アトラスって説とあるんだよね」

「乙女座は確かまた神様の勝手が引き起こす話でしたよね?」

「そうなんだよね、冥界の神様がペルセポネっていう豊穣の女神の娘を冥界に攫ってしまうんだ、そして冥界でザクロの実を食べちゃって1年の3分の1は冥界で過ごさないと行けなくなってその間は豊穣の女神が引きこもっちゃうから冬が来るっても言われてる」

「なるほどねえ〜色々聞いたからいいレポート書けそう!」

「まぁ、上手くまとめたら良いよ!さぁ、そしたら、2人を演奏の中で時間旅行に連れてってあげる!」

そう言って俺はキーボードをピアノ音源に変えて前奏を奏歌い出す

『街の外れの旧い館が君の家日の暮れる頃呼び鈴押した

暗い廊下で君は無言の手招きさ

蕃紅花(サフラン)色のドアを開けたよ

スフィンクスが眠る砂漠に君は立ち

下弦の月に照らされてたよ

北極星の真下に尖るピラミッド光の船を君はさす

時間旅行のツァーはいかが いかがなもの?

クレオパトラの衣装の君が

時間旅行のツァーいかがいかがなもの?

そうささやいたああ夢の中ああ夢の中』

 

紗夜・日菜視点

「本当に時間旅行したね!」

「蕃紅花(サフラン)色のドアを開けて砂漠に立って下弦の月に照らされてなんてまるで夢のような時間ね」

そうして2人笑い合い続きを聞いていく

 

『黒い自動車すれ違いざまマシンガン

ニューヨークではお祭りさわぎ

旧いラジオが奏で出すのはチャールストン

FBIもタップ・ダンス

時間旅行のツァーはいかが いかがなもの?

ハリウッドクイーンまがいの君が

時間旅行のツァーいかが いかがなもの?

甘い吐息さ ああ夢の中 ああ夢の中』

 

紗夜・日菜視点

「今度はニューヨークだって!」

「砂漠にいたのに今度は一昔前のニューヨークだなんてね」

どんどん今に近付く中で曲がラストに差し掛かる

 

『最後の部屋は星降りそそぐ時の果て幾千万の船が旅立つ

住めなくなった青い地球は窓の外

やがて小さな点に消えたよ

時間旅行のツァーはいかが いかがなもの?

突然夢がそこで途切れた

時間旅行のツァーはいかが いかがなもの?

ここは東京 君の手の中 君の手の中』

 

紗夜・日菜視点

「最後は近未来かな?」

「かもしれないわね、あっという間の時間旅行だったわ」

「最後は星降りそそぐ時の果てなんだね、行ってみたいな」

幻想的な世界感が私達を虜にする

 

『時間旅行のツァーいかが?』

ラストはひたすらに時間旅行のツァーを呼びかけながら演奏を終える

そして2人から拍手が巻き起こる

「聞いてて楽しかった!るんってした!」

「あっという間の時間旅行でした」

「楽しんで貰えて良かったよ、今回はかなり迷ったからね」

「そうなの?」

「中々ね、今の時期に合いそうな曲が無くてさ、かなり迷ったし、悩んだなぁ〜」

「そっかぁ〜ひ〜くん一生懸命悩んでくれたんだね〜」

「なんか、引っかかっる言い方、まぁ、良いけど、そろそろこの時間も終わりだけど、なんかリクエストは?」

「それなら私から良いですか?」

「どうぞ」

「春の夜空も素敵でしたけど、やっぱり桜の季節ですし、夜桜と星を両方感じられる曲ってありませんか?」

「それならピッタリのがあるよ!じゃあリクエストに答えて今日最後の1曲、サクラボシ」

俺は再びキーボードを演奏しながら歌っていく

 

『桜が咲く頃 星に誓ってみたんだ

僕と君を大切に繋いで 星座を作るように

 

夢のその先へ行こう そう誓った僕らは 幼くて

それでも強く 歩んでゆけるよ(長い道のりでも)君がいるから

 

見上げたこの夜空には きっと 桜色の星輝く

躓いた時も涙は流さない あの星が滲んでしまうから

ほら 遠く思える輝きだっていつか届くから

1歩ずつ進めばいい 少しずつでもいい

夢乗せて キラリ咲くよ サクラボシ』

 

 

紗夜・日菜視点

「お姉ちゃんのリクエストにピッタリだね」

「えぇ、とっても、夜桜と星を両方感じられる曲だわ」

そうして見上げた空には満天の星空が広がっていた

 

『悔しがったあの日だっていつか一緒に笑い合って

それは一生の宝物 未来照らせ スターライト

きっと僕らの笑顔を繋げばどこまでも光り続ける

 

ヒラヒラと舞い落ちる桜の花びらに何を想う

隣を見れば君がいてくれる(大切想いと)願い込めて

 

見上げてこの夜空には きっと 桜色の星輝く

喧嘩した日さえ空を眺めながら「また明日。」って約束しただろう

今遠く思える輝きだって いつか届くから

1歩ずつ進めばいい 少しずつでもいい

夢乗せて キラリ咲くよ サクラボシ』

 

紗夜・日菜視点

「なんだかあたしとお姉ちゃんみたい」

「同じ事を言おうと思っていたわ」

私は日菜に劣等感しか抱けなかった、でも、今こうして2人で笑い合えてるまた明日を約束できる、そんな今を肯定してくれているように感じていた

 

『途方に暮れ続け(それでも見失う事は無いさ 暗闇に光る輝きは)

夢誓った星は(そうさどの星よりも眩しく)

満開に咲くよ

 

見上げたこの夜空には きっと 桜色の星輝く

躓いた時も涙は流さない あの星が滲んでしまうから

ほら 遠く思える輝きだって いつか届くから

1歩ずつ進めばいい 少しずつでもいい

夢乗せて キラリ咲くよ

もう手を伸ばせば触れそうなほど 光を放つ星がある

だから進めばいい 少しずつでもいい

僕らには見えてるよサクラボシ』

演奏が終わると紗夜が話し出す

「今だからこそこの曲が心に響くのかもしれませんね」

「なんかね、あたしとお姉ちゃんがすれ違ってた頃から今までがすっごく鮮明に思い出されてさ、ちょっと泣きそうになっちゃった」

「その時は涙が止まるまで歌ってあげるよ」

「その時はお願いしますね光君」

そうして天体観測を終えて俺達は帰路に着いた

「ひ〜くん次はGWかな?夏休みかな?」

「どうだろう?夏休みかな?」

「その時はまたたくさん星の話を聞かせてね!あと曲も」

「もちろん!また星を観よう」

「それなんですが、もし良ければ他の皆を誘ってキャンプでもしながら天体観測しませんか?」

「俺は良いけど、日菜は?」

「あたしもいいよ〜、楽しそう!」

「じゃあ次回はキャンプで天体観測だね」

「まだ先ですが私も楽しみです!」

そうして次回の天体観測の予定が決まったのだった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




天体観測イベントになります。曲にかなり迷いましたがこの3曲を使用しました。
あと2話程で春休みと三学期編が終わり3年生編に入りますのでお楽しみに
次回はお泊まりイベントを書こうと思っていますのでこちらもお楽しみに
次回「イツメンとお泊まり会」


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第52話イツメンとお泊まり会

春休みも残り半分を切った光達、そんな中でイツメンからお泊まり会の企画を提案される


その日いつものようにスマホのアラームで目を覚ました光はその日の予定を確認するため

スマホのスケジュール表を確認すると夕方からバイトの予定が入っていたが午前中は暇である

そう思っているとリサから着信が入る

「朝からなんかあったかな?」

そう呟き電話に出る

「もしもし、リサ?おはよう、朝からなんかあった?」

(おはよう光、朝からごめんね、今日ってなんか用事あったりする?)

「夕方からバイトだから、夕方の15時くらいまでは暇だよ」

(じゃあ申し訳ないんだけど今日だけアタシのバイト先手伝ってくれない?午前中だけでいいんだけど)

「欠員?」

(そうなんだ、体調不良の子が出ちゃって、人足りなくて)

「他のバイトの子は?」

(アタシ含めて3人しかいないの、午前中は店長不在で夕方になれば他の夕方からのシフトの人達と交代できるんだけどね)

「俺はいんだけど、了解とってるの?」

(大丈夫!事情話してヘルプ頼む事は了承してもらってるから)

「そういう事なら了解、リサのバイト先に行けばいんだよね?」

(うん!お願い!)

「じゃあ、後で」

(また後で!)

そうして通話を終了し俺は着替えて一応ギターを持って家を出てリサのバイト先に向かう

そしてリサのバイト先に着くと出迎えたのはモカだった

「あれ?モカじゃん!」

「やっほ〜御出迎えで〜す」

「バイト先一緒だったんだ」

「言ってなかったっけ〜?」

「今知った」

「そっかぁ〜、まぁとりあえずご案な〜い」

そうしてモカに案内されるままにスタッフルームに通された

「リサセンパ〜イひかるん先輩来たよ〜」

「やっと来た!助かったよ光」

「別に暇してたから良いけど、俺は何すればいいの?」

「とりあえず着替えて!」

「了解!」

俺は着替えを受け取り少し奥の更衣室に行き着替えを済ませ一応髪を結んで眼鏡をかけて更衣室を出る

「これでいい?」

「十分十分!てか眼鏡いる?」

「まぁ、なんとなく」

「まぁ、良いけど、光には商品の陳列とレジをお願いする事になるけど良い?」

「リサかモカが教えてくれるなら」

「今のうちに教えられる事は教えるけど、お客さん来たら接客に行くからね」

「OK!」

そうして俺は2人から交互に仕事の流れを教わり俺は現在レジに立っていた

「あのさ、俺がレジ担当しても大丈夫な訳?俺は今日だけのヘルプだよね?」

「そこはほら、普段からcircleでの光見てたら任せても大丈夫かなって」

「今日に限っては信頼が重い」

そうして話していると友希那がやってきた

「いらっしゃいませ、って友希那か」

「光?何故ここにいるの?」

「今日だけのヘルプ、夕方からはcircleだよ」

「今日は夕方から私達の練習に付き合う約束よ、それとも個人練習まで付き合ってくれるのかしら?」

「別にお望みとあらば、でも、買い物しに来たんじゃないの?」

「飲み物を買うのに寄っただけよ、とりあえず買い物を済ませたら帰るから夕方、circleで会いましょう」

「うん、夕方circleで」

そうして友希那は買い物を済ませ帰って行った

「光、友希那なんだって?」

「また後でcircleでだってさ」

「そういえばこの後練習かぁ〜ま〜た光のスパルタ指導が待ってるんだね〜」

「俺が普段からやってる練習量にしたらそうでも無いよ」

「でもさ、光と一緒に演奏した後とかはすっごく手が痛いんだよ」

「でも、上手くなってる自覚はあるでしょ?」

「そりゃね、上達してる感じはすごくするけどさ」

などと話しながらもお客さんが来たら対応し商品の補充をしたりしながらお昼時を迎え少し混み合いながらも何とか捌き切り休憩を迎えたタイミングでちょうど店長さんが帰ってきた

「やぁ、お疲れ様、何とか忙しい時間帯を乗り切ったみたいだね」

「店長遅〜い」

「任せ切りにしてすまなかったね、差し入れ持ってきたから皆で食べてくれ」

そう言ってモカに差し入れの入った箱を渡す

俺は店長が来て人数が足りたのでヘルプはここまでだなと思い店長さんに声をかける

「こんにちは、午前中だけヘルプを頼まれたので来ました宮村光です。」

「よろしく店長の笹川だ、午前中だけとはいえ突然すまなかったね、少ないが取っておいてくれ」

そう言ってバイト代としていくらか貰ったが少し多いような気もしたがあえて言及せずに受け取っておくことにした

「じゃあ、俺はこれで!」

「あぁ、色々とありがとうな」

「いえ、今回は簡単な事しかしてませんから」

「光、また後でね!後、明日は一応離任式があって登校日だから忘れないでね!」

「大丈夫!忘れてないよ!じゃあね2人とも」

「またね〜」

そうして2人のバイト先を後にし帰宅すると俺はバイトの時間前まで仮眠をとることにして眠りについた

 

夢を見た、おそらく今とは違うあの時の仲間達と共に今の皆に出会う未来が有り得たかもしれない夢物語

 

そして夢の終わりはスマホのアラームによってもたらされる

「なんか、本当に夢物語って感じだったな…」

そう呟き起き上がりバイトに向かうため準備をして家を出て

バイト先のcircleに向かう

そしてバイト先に着くとRoseliaのメンバーは到着していて

すぐに練習に参加し時間いっぱい練習し解散した

「あぁ〜今日も光はスパルタだったな〜」

「妥協を許すなと言っているもの」

「でも、限度がありますよ」

「あこも腕が痛〜い」

「私も光君と練習した後は指が思うように動きません」

「それじゃあまだ俺は越えられないね!」

「あなたに並ぶ事すらまだ出来そうも無いわ、でも、諦めるつもりは無いわよ」

「分かってるよ」

なんて話をしながら俺達はそれぞれ帰宅した

 

俺は帰宅し夕飯等を済ませると父さんから譲り受けたギターを手に取りしばらく演奏した後眠りについた

 

 

そして次の日

離任式があるため朝から登校準備をしていた

「忘れ物は無いな!さすがに離任式でまで演奏させられる事は無いと思うけど、一応楽器は持っていくか!」

そうして楽器を持って家を出る

 

そして学校に着くとクラスの皆は8割方揃っていた

そして既にイツメンも揃っていて俺はその輪に加わる

「おはよう、皆」

「おはよう、ひ〜くん」

「おはよう光!」

「もう少しギリギリかと思っていたけど、余裕を持って来たようね」

「そりゃね!今日1日だけだからこそかな?」

「でも、今日が終われば次登校する時には3年生なんだよね」

「だね、1年あっという間だったな〜」

「な〜に言ってんの!あと1年は間違いなく一緒なんだし感傷に浸るの早いって!」

「それもそっか!」

などと話していると先生が教室に入ってきたので俺達はそれぞれの席に戻り着席する

「朝のホームルームを始める!休みなのに登校してもらったのは他校に赴任するための先生達を見送ってもらうためだ、今回は校長先生の長ったらしい話と赴任する先生からの今の思いみたいなのを話してもらう、長々と話しを聞きたくないだろうがこればっかりは仕方ないが、まぁ気楽に構えることだな以上!整列して体育館に移動!」

そう言って先生は 廊下に出るとそれに続き皆が整列し体育館で向かう

そうして体育館に着くと卒業した先輩達も来ていた

「やっぱり先輩達も来てるんだな」

「今の3年生は今日が最後の登校日だね」

「そっか、今度は俺達が最上級生になるんだもんな」

などと話していると式が始まり俺達は離任する先生達の話を聞いている

それぞれやはり思うことろがあり、この学校は離れる事を悲しく思っていると言っている

「新しい赴任先でもいい出会いがあるといいけどな」

「そうだね、先生達にとっても新しい学校って挑戦の場である訳だし」

時々そんな話をしながらも式は続いていき校歌を斉唱し花束を贈呈して式は終了となる

俺達は教室に戻り帰りのホームルームを受けて解散する

「光、今日はなんかあるの?」

「特に予定ないよ!バイトも今日は休みだし」

「なら、ちょうどいいわ、光、提案なのだけど、あなたの家に泊まれたりするかしら?」

「泊まれないことはないけど、なんで?」

「合宿の時のようにあなたと過ごしたいと思ったのよ、2年として過ごすのもあと僅かなのだし」

「もちろんイツメン限定でね!」

「最近ひ〜くんの家にも行ってないし、あたしもそうしたいな〜」

「紗夜と一緒じゃなくていいの?」

「大丈夫だよ!Roseliaの合宿の時はあたし1人になるしなんなら呼ぶ?」

「任せるよ!とりあえず、皆、家帰って泊まりの荷物持ってくればいいよ」

「そうね、そうするわ、そのあとは光の家に集合で良いわよね?」

「良いけど、何する?お昼ご飯食べてからさ」

「映画とかドラマの鑑賞会と光の演奏で良んじゃない?」

「やっても1曲2曲だよ?よっぽどの事がない限り家で長時間演奏したりしないから」

「良んじゃない?LIVEだって控えてるしね」

「まぁね」

「じゃあ各自準備してひ〜くんの家に集合!」

「えぇ、賛成よ」

「アタシもOK!」

「俺は一足先に帰ってお昼の準備しておくよ、リクエストは?」

「アタシガッツリお肉食べたい!」

「麺類が良いわ」

「あたしは、任せるよ」

「じゃあ、オムそばにしよう!肉も野菜もたっぷり使った具だくさんなやつ」

「良いね〜!楽しみにしてるよ!」

「皆来る頃に出来るよう作っておくよ」

「頼んだわね、じゃあ後でね光〜」

そうして俺達は1度解散した。

俺は一足先に帰ってお昼の準備を始める

そして昼食が完成するのとほぼ同時にインターホンが鳴ったので俺は出迎える

「いらっしゃい、早かったね3人とも」

「こんなもんだよ!これでも色々準備大変だったんだから!」

「そうなの?持ち物合宿の時に比べて少ないように見えるけど?」

「必要なものがあれば買いには行けるからね!それか光に頼んでも大丈夫でしょ」

「物によるけどね」

「まぁ、そんなわけだから、荷物は少なくて大丈夫な訳なのよ」

「了解、とりあえず、お昼にしよう!」

「そうだね、アタシ結構お腹空いたし」

「準備出来てるからどうぞ」

そうして3人を招き入れて昼食をとる

「具だくさんで食べ応えがあって美味しいよ!」

「それは良かった」

「私達の要望を上手く満たしてくれたようね」

「うん!箸が進むよ!」

そうして皆が昼食を終えて各自自由時間となり、俺は後片付けを終えて映画を観ている3人に混ざり映画を鑑賞する

そして皆で映画を連続で三本程観たあと4人で買い物に出る

「夕飯は何にする?」

「あたしカレーがいい!友希那ちゃんとりさちー絶賛してたし」

「良いね!アタシも賛成!あのスパイシーなカレーが食べたいな〜」

「て言ってるけど友希那は?」

「デザートに甘いものが出るならそれで良いわ」

「じゃあ、カレーの材料の他にアイスでも買おうか!」

「賛成!」

「異議なし!」

「問題無いわ!」

そうして買い物を終えて家に戻り俺は夕飯の準備を始める

「手伝おっか?」

「じゃあ、具材の加工頼める?俺は火使うから」

「OK!」

そうしてリサにも手伝ってもらいながら調理を進めて後はルーを入れるのみとなる

俺は数種類のルーとスパイスを入れてカレーを煮詰めていく

「スパイシーないい匂い」

「もうすぐできるからね」

そうしてルーとスパイスが混じりあったのを確認し火を止めて完成となる

「出来たよ〜」

俺は全員分のカレーをよそって持っていく

「相変わらず美味しいそう!」

「いただきましょう」

「だね、いただきます! 」

皆がカレーを口に運ぶ

「辛い!でも、後から来る風味って言うかが最高!」

「辛さが後引かないのが良いわね」

「美味しい!」

皆はそれぞれが満足するまで食事を楽しんだ後、食後の休憩

がてらにテレビを観ていた

俺は後片付けを済ませるとカレーを冷蔵庫に入れてから部屋に戻り父さんから譲り受けたもう1人の相棒と呼んでいるのギターを手に取り皆の元へ戻る

 

「あれ?演奏するの?」

「ギターがいつもと違うようだけど」

「これは父さんから譲り受けたものなんだ、自分のギターを買うまではずっとこいつが俺の相棒だった、だから、こいつでの演奏を聞いて欲しいなって」

「ひ〜くんがそこまで言うなら、是非聞かせて」

「うん、じゃあ、演奏するね!儚く強く」

 

『生まれた町を遠く離れて あたしは歌っている

弱いココロも揺れる想いもポケットにしまい込んで

手の鳴る方へ 未知なる道へ歩もう 進もう

 

誰かのためじゃなく 在るがまま誇れるように

夜明けに太陽が昇るようにあたしはメロディーを刻む儚くとも強く あたしは生きていく』

 

イツメン視点

「なんかひ〜くんの歌みたい」

「歌詞が光の事をまんま歌ってる感じだもんね」

「だからこそのこの曲なんでしょうね」

この曲を選んだ理由をあたし達なりに考えながら曲を聞いていく

 

『雪解け水は海に流れて季節はめぐっていく

時の流れに 負けないように あたしは歩んでいく

未来の空を 未知のイメージを描こう 創ろう

 

誰かのマネじゃなく在るがまま飾らぬように

春に花が咲くように あたしはメロディーを刻む

儚くとも強くあたしは生きていく

 

誰かのためじゃなく在るがまま誇れるように

夜明けに太陽が昇るようにあたしはメロディーを刻む

誰かのマネじゃなく在るがまま飾らぬように

春に花が咲くようにあたしはメロディーを刻む

儚くとも強くあたしは生きていく』

 

演奏を終えて俺は話し出す

「次の曲に行きます次の曲は自分を誇示するようなそんな曲です。聞いていください、マトリョーシカ」

俺は曲名を告げて演奏し歌っていく

 

『生き抜くために着込んだ君だけが見える鎧は

見栄とか外聞に怯えた愚かの果ての現実

身体軋むほど抱きしめてよ

いっそ壊してくれよ殻の俺の中にはまた何の痛みもない

さらにちっぽけな俺の殻

ここから出してくれマトリョーシカ

理論武装重ね着してやわな防衛本能さらして

冷めた君の目には俺の何が見える?

ギラつく言葉のナイフ刺せよ

いっそ剥がしてくれよへらへら笑った俺の殻

本性暴いてくれよ君にいま声が聞こえるなら』

 

イツメン視点

「言ってた通りの曲だね」

「自分自身の醜い部分だったりプライドだったりそういうのを殻と表現して歌っているのかもしれないわね」

「じゃあ、本当の自分を知って欲しいのかな?」

「おそらくそんな自分を知って欲しいと言うよりはこれが自分だと言っているのかもしれないわ」

そんな話をしながら曲を聞いていく

 

『光さえ届かない心の奥の奥には

いくら壊しても壊れない俺がいる

ぶん殴ってぶっ壊してくれよ

破って裂いて引っ剥がしてくれよ

ありったけ着込んだ鎧をいっそ壊してくれよ

哀れな俺のマトリョーシカ

本性暴いてくれよ君にいま声が聞こえるなら』

 

自分をさらけ出すように全身全霊でラストを歌い上げる

 

『逃げも隠れもしないから

ここから出してくれマトリョーシカ』

 

そして演奏を終えて俺は3人に声をかける

「どうだった?今回の演奏は」

「あなたという人を少し知れた気がしたわ」

「光の考えを肌で感じたって言うか、寄り添えた感じ!」

「とってもるんてしたよ!」

「良かった、このギターで演奏するのは久々だったからね」

「それでも、相棒と呼ぶだけあるのではないかしら?あなたの手にあるからこその音だと感じたわ」

「そうだと良いな」

そう言って楽器を部屋に片付けた

俺達はそれから入浴等を済ませて寝る準備に入った

「皆はここ使って俺の部屋はさすがに全員寝れないからね」

「光もこっちで寝たら?」

「布団が足りないよ、それに俺が近くにいたら寝れないでしょ?」

「そんな事ないと思うけど…」

「まぁ、光なりの気遣いなのだしありがたくその気遣いを受けるわよ」

「だねぇ〜」

そうして俺達はそれぞれ眠りにつく

 

イツメン視点

 

「2年として過ごすのもあと少しだね」

「早いような短いような感じだったねこの1年」

「そうね、光と出会ってからは特に」

「だよね!光がいなかったらこうならない可能性だってあったわけだし」

「あたしとお姉ちゃんの関係も歩み寄るのに時間がもっともっとかかったと思うし、何よりパスパレや他の皆も色んな意味で団結するのにもっと遠回りしたんじゃないかな?」

「そうだね、それはそうかもね」

そんな話をしていると光の部屋からピアノの音が聞こえてきた

「また演奏してるよ」

「多分私達をリラックスさせるためかもしれないわね、音色が優しいもの」

音が子守歌のように私達の眠気を誘いそれに身を任せるようにして私達は眠りに落ちた

 

光視点

寝る前に少しと思い俺はキーボードの音源をピアノ使用に変えて弾いていく、居間からはまだ3人の話し声が聞こえる

俺は3人の話し声を遮らないように、また、リラックスして眠れるようにと優しい音色で室内を満たしていきいつの間にか居間からは話し声は聞こえなくなっていた

俺は演奏をやめてベッドに入り呟く

「おやすみ、皆、また明日」

そうして俺も夢の世界に入り込んで行った…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




2週間ぶりくらいになりますかね、昨日のうちに出来てはいたんですが、1度見直しを少し修正を加えての投稿となります。
次回が2年生編ラストとなり、その後3年生編に入り、アンケートの結果モニカも登場させることにしたのでお楽しみに。
次回「最後の休みと2年生最後のLIVE」


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第53話最後の休みと2年生最後のLIVE

2年生最後の休みに光はガールズバンドのメンバー達とその学年最後のLIVEを開催する


光はその日LIVEに向けて集中していた、2年生として行う最後のLIVEであり1年間仲間たちと培った集大成がここにある

俺は自分のギターを2本ケースに入れて立ち上がり家を出る

「他の楽器は預けて来てるし、よろしくな相棒達」

そうして俺はcircleに向かった

それからしばらくしてcircleに到着すると皆は既に到着していた

「皆早いね」

「貴方が遅いのよ!主役は遅れてやってくると言うけれど主催者が遅れてどうするのよ」

「まだ遅れてはいないよ、さぁ準備を完了させて始めようか!」

「そうね、始めましょう!」

「うん!」

「やりましょう!」

「今の学年としてやる最後のLIVEを!」

「最高にキラキラドキドキするLIVEにしましょう!」

俺は皆からの言葉に頷きで返しcircleの店内に入る

「いらっしゃい!皆、控え室にいるよ!」

「わかりました、俺も合流します」

そうして俺は皆が集まる控え室に到着しノックして中に入る

「皆、今日はよろしく!準備はいい?」

「みんな何時でもOKだよ!」

「準備万端!抜かりなしよ!」

「OK!それじゃあ始めようか!今の学年としての最後のLIVEをさ!」

「その前にまだ決めないといけないことがあるわ」

「何かあるっけ?」

「貴方の演奏についてよ!曲は決まったの?順番は?」

「皆の演奏の合間合間で2曲ずつ演奏するつもりだよ!」

「という事は、私達にとっても馴染みのある曲になるのかしら?」

「皆のために歌った曲を改めて歌うよ!もちろんその場で変更はあるかもだけどね」

「なら、楽しみに待つことにしますね!」

そうして俺達はそれぞれ準備をしてcircleのステージに立った

俺は聞く側に周り最初の演奏が始まるのを待っていると

ポピパの皆がステージに立った

「こんばんは!今回の1番手は私達Poppin’Partyです!」

「今日は一番最初の演奏なのでちょっと緊張してます!緊張を吹き飛ばせるような演奏で皆をドキドキさせられたらと思います。聞いてください!STARBEATホシノコドウ」

曲名を告げて演奏が始まる

俺はポピパの演奏を1音も逃すこと無く聞くために目を閉じる目を閉じて浮かんでくるのは去年の文化祭、沙綾が自らの足で自らの手でポピパの皆と一緒にバンドをやると決めて立ったステージ、あの頃から更に皆の演奏には磨きがかかっていると感じた

「あの時の事は今でも鮮明に思い出せるし、あの時も今も皆楽しそうだ」

そうして一曲目が終わり香澄が話し出す

「2曲目に行きます!2曲目はHappyHappypartyです!」

「歌に合わせて手拍子したりしながら皆で盛り上がってくれたら嬉しいです!」

「それじゃあ聞いてください!HappyHappyparty!」

演奏が始まると真っ先にこころ達が手拍子で曲にのる

他のメンバーも思い思いに曲にのる

俺自身も心が踊っていたそして盛り上がりがピークの中で演奏が終わる

「私達Poppin’Partyの出番はこれで終わりです!次は光先輩!お願いします。」

 

俺はステージに上がり目の前にキーボードを設置し話し出す

「こんばんは、光です。一番手のポピパの皆、まずは演奏をありがとう!いい感じに盛り上がってるのでこのままの勢いで行きたいところですが、まずは過去に流した涙を今に向かって羽ばたく翼に変えて貰えたらと思いこの曲を演奏します

聞いてください、瞳の先に」

俺はキーボードを弾きながら歌っていく

 

『あの日の涙かれて今 瞳の先には』

 

俺は歌うまずは過去の涙を今、羽ばたく翼に変えるために

 

『初めは何気ない事をきっかけに人は夢を見る

 

でも現実に足をとられてもたつき嫌でも「挫折」知る

 

きっとこの時間も眠る間も惜しんで頑張ってる人もいる

 

皆生きてく時間と比例して夢が目標に変わりだす

 

それぞれ皆いくつもの部屋の中

 

ドアの向こうは夢に続きそうで

 

そんな時また頑張って僕はもう泣かないから

 

瞳の先にサンライズ扉開けば無限大に広がる未来に

 

心託して 走り始めた君たちそれぞれまだ見ぬ世界へ

 

涙を翼に変えて飛び立とうさぁ

 

夢破れ傷だらけそれでも立ち上がるその勇気思い出して

 

未来を開こう』

 

 

 

ポピパ視点

 

涙を翼に変えてか、立ち止まったり下向いたりしてられないじゃん!

 

「私はやっぱり皆とキラキラドキドキしたい!」

「まぁ、この皆でならやれんじゃね?」

「うん!私もそんな気がする!」

「私も!」

「もちろん私もね!」

 

 

これこらも一緒キラキラドキドキするような演奏をしたいと思えた

 

 

 

『いつからか夢を追うことに意味求めだし

 

逃げ出した自分可愛がりいいわけ探して

 

理由なんてなかったはずだあの頃は何も恐くなかった

 

遠回りしたけれどあの場所までまた戻ろう

 

僕も君も同じ時間の中考え方や過ごし方は違うけれど

 

瞳そらさないでそこに壁はないから

 

瞳の先にサンライズ扉開けば無限大に広がる未来に

 

心託して走り始めた君たち それぞれまだ見ぬ世界へ

 

涙を翼に変えて飛び立とうさぁ

 

真っ暗で自分さえ失いそうな時その勇気思い出して

 

未来を開こう』

 

 

 

ポピパ視点

 

「あの時の私は夢を追うことに必死になり過ぎてたんだ、遠回りしても

目的の場所にまた戻ってこれる、光先輩はそれを教えてくれたんだ」

「あの時、そんな風に感じたのか」

「私の時とは違うけど、あの時はそれがピッタリだったかもね」

「私も聞きたいなぁ〜私だけに向けた演奏」

「そのうち機会があるよみんなにね」

あの時を思い出しながら私達は曲を聞いていく

 

 

 

『Day by Day忘れないで1人ではない事どんな夜でも

 

step by step胸に刻んで新たなるスタート何度でも

 

描いた夢を捨てないでがむしゃらに進む君へ

 

遠くからだけど、力贈るよ

 

悲しみのふちに溺れないで崩れ落ちそうな君へ

 

少しの間唄を贈るよ

 

いつか見た遥かなるあの夢の向こうまで

 

その勇気振り絞って空へ羽ばたこう

 

ぐしゃぐしゃに破いたいつかの地図押し寄せる「リアル」

 

に耐えられず鏡の前で自問自答込み上げるは正直なMyMind

 

頑張ってダメになってまた立って胸張って羽ばたいて

 

ほら笑えるのが人なんだって

 

あの日の涙かれて今』

 

1曲目の演奏を終えて俺は話し出す

 

「2曲目に行きます!2曲目は自分達なりに下手くそでもいいから思い切っり夢を描こうって曲です。じゃあ、歌います決意の朝に」

 

俺は演奏を始めほんの数秒の前奏の後に歌い出す

 

『どうせならもうヘタクソな夢を描いていこうよ

 

どうせならもうヘタクソで明るく愉快な愛のある夢を

 

「気取んなくていいカッコつけない方がおまえらしいよ」

 

一生懸命になればなる程空回りしてしまう僕らの旅路は

 

小学生の手と足が一緒に出ちゃう行進みたい

 

それもまたいんじゃない?

 

生きてゆくことなんてさきっと

 

人に笑われるくらいがちょうどいいんだよ

 

心の奥の奥閉じ込めてた本当の僕生身の36度5分

 

飾らずにいざwe don't stopけどまだ強がってるんだよ

 

まだバリアを張ってるんだよ痛みと戦ってるんだよ

 

辛い時辛いと言えたらいいのになぁ

 

僕達は強がって笑う弱虫だ

 

淋しいのに平気な振りをしているのは

 

崩れ落ちてしまいそうな自分を守るためなのさ

 

僕だけじゃないはずさ行き場のないこの気持ちを

 

居場所のないこの孤独を抱えているのは…

 

他人(ひと)の痛みには無関心そのくせ

 

自分の事となると不安になって人を嫌って

 

不幸なのは自分だけって思ったり

 

与えられない事をただ嘆いて

 

三歳児のようにわめいて愛という名のおやつを座って待ってる僕はアスファルトの照り返しにも負けずに

 

自分足で歩いてく人達を見て思った動かせる足があるなら

 

向かいたい場所があるならこの足で歩いてゆこう

 

もう二度とほんとの笑顔を取り戻すこと

 

できないかもしれないと思う夜もあったけど

 

大切な人達の温かさに支えられ

 

もう一度信じてみようかなと思いました』

 

俺は歌っていくただただ目の前の皆にに聞かせるためだけに

 

『辛い時辛いと言えたらいいのになぁ

 

僕達は強がって笑う弱虫だ

 

淋しいのに平気な振りをしているのは

 

崩れ落ちてしまいそうな自分を守るためだけど

 

過ちも傷跡も途方に暮れべそかいた日も

 

僕が僕として生きてきた証にして

 

どうせならこれからはいっそ誰よりも

 

思い切りヘタクソな夢を描いてゆこう

 

言い訳を片付けて堂々と胸を張り

 

自分という人間を歌い続けよう』

2曲目の演奏を終えて俺は再び話し出す。

 

「ここまで2曲演奏したけど、ポピパの皆には2曲とも思い入れはあると思うけど最後はこの曲にしようと思います

輝きだして走ってく」

 

 

『もしもキミが心の中の悲しみだとか

 

痛みを抱えきれなくなって自分自身を

 

今見失いそうになっても』

 

''俺達は''ありったけの想いを込めて歌う皆があたらしい1歩を踏み出せるように

 

『忘れないでこの世には痛みと悲しみを歯を食いしばって

 

抱きしめるキミだけ起こせる奇跡かあるってことを

 

ついにその時が来たんだよ心臓の音が合図だろ?

 

誰のマネもしなくていいのキミだけの花よ咲け

 

負けないでキミの心輝いていて大丈夫乗り越えられる

 

くじけないで笑っておくれ胸張っていけ

 

キミこそ僕の奇跡なんだから』

 

ポピパ視点

 

不思議だ、歌詞がスーッと心に耳に入ってくる負けないでくじけないでか

「やっぱり私達が歌うのとは違うよね」

「あの人と比べんなよ!あの人に適う人いねーって!」

「だよね、私達も歌ったけど、こうして聞くと先輩の凄さが改めて伝わるって言うか」

「だからこそ先輩の演奏はいつもキラキラドキドキするんだよ!」

「まぁね、確かにそうかも!」

この曲に私達はずっと励まされてきた、そして今回も先輩から私達に向けての応援メッセージがまさにこの曲だと感じた

 

 

『間違えんなよ終わりの景色だとか時間は止まらないって

 

悲しいサダメと言うけど終わらないよ一瞬が過ぎてくだけ

 

ほら次の瞬間だぜだから簡単に終わらせんなよ

 

負けないでキミの心輝いていて大丈夫と声が聴こえる

 

キミ自信をまもっておくれ自分を責めないで

 

キミこそ待ち望んだ人だから』

 

俺は歌いながらイメージの翼を広げ表現するポピパの皆がこの先も笑ってる未来を表現していくラストまで全力で歌っていく

 

『悲しい魔法を僕らかけられても自由になれるさ必ず

 

負けないで負けないで負けないでキミの心輝いていて

 

大丈夫乗り越えられるくじけないで笑っておくれ

 

胸張っていけキミこそ僕の奇跡なんだから

 

もしもキミが心の中の悲しみだとか

 

痛みを抱えきれなくなって

 

自分自身を見失いそうになっても』

ラストまで演奏し終えた俺は軽く深呼吸してから話し出す

「俺からポピパの皆へこれから先どんなに大変だと思うことがあっても、悲しい事があっても心をその感情に任せないでどんなにどんなに醜く下手な夢でも思いっきり今の状況を楽しんで頑張って!」

そう言って俺はステージから降りる

「先輩!ありがとうございます!」

「お礼はこのLIVEが終わってからだよ!」

「そうですね!私達の出番は終わりました!なので!次に繋ぎます!こころん!お願い! 」

「任されたわ!行くわよ〜!」

こころが助走をつけてバク転しステージに立った

「ハロハピの皆〜全員…集合!!」

こころの呼び声でハロハピの皆が集合する

「改めて〜ハロー!私達、ハローハッピーワールドよ!

さっそく行くわよ!せかいのっびのびトレジャー」

「さっそく盛り上げに来たね!」

こころの掛け声と共に始まり皆がノリノリで演奏しそれに呼応するように俺達の気持ちも昂る中で1曲目が終わりこころが話し出す

「2曲目に行くわよ〜!ハピネスっ!ハッピィーマジカル!

このまま盛り上げるわ!」

「今日は一段とキレッキレだな!」

気持ちがのった歌と演奏に俺達の気持ちは更に昂る

「俺も負けてられないな!」

全力の演奏には全力で返すのが流儀だなと思いながら演奏を聞いていき演奏が終わる

「ラストはもちろんこの曲よ!笑顔のオーケストラ!」

「やっぱりラストに持ってきたか!」

そうしてラストの曲笑顔のオーケストラが歌われていく周りのみんなは笑顔でノリノリな中でラストの曲が終わりこころが話し出す

「さぁ、光!あなたの番よ!あなたから私達へ最高に笑顔になれるエールを送ってちょうだい!」

 

「もちろん!俺からハロハピへのエールとなる1曲目はTomorrow!」

 

 

俺はキーボードを演奏しながら歌う

 

『涙の数だけ強くなれるよ

 

アスファルトに咲く花のように

 

見るものすべてにおびえないで

 

明日は来るよ君のために

 

 

 

突然会いたいなんて夜更けに何があったの?

 

あわててジョークにしてもその笑顔が悲しい

 

ビルの上にはほら月明かり

 

抱きしめてる思い出とかプライドとか

 

捨てたらまたいい事あるから

 

涙の数だけ強くなれるよアスファルトに咲く花のように

 

見るものすべてにおびえないで明日は来るよ君のために

 

 

 

季節を忘れるくらいいろんな事があるけど

 

二人でただ歩いてるこの感じがいとしい

 

頼りにしてるだけど時には夢の荷物放り投げて

 

泣いてもいいよつきあうからカッコつけないで

 

涙の数だけ強くなろうよ風に揺れている花のように

 

自分をそのまま信じていてね明日は来るよどんな時も

 

 

 

涙の数だけ強くなれるよアスファルトに咲く花のように

 

見るものすべてにおびえないで明日は来るよ君のために

 

 

 

涙の数だけ強くなろうよ風に揺れている花のように

 

自分をそのまま信じていてね明日は来るよどんな時も

 

明日は来るよ君のために』

 

1曲目を歌い終えて俺は問いかける

「1曲目のTomorrowはどうだった?」

「最高だったわ!改めて聞くと涙の大切さが伝わるわ」

「なら、良かった、じゃあ2曲目に行くね!2曲目は笑顔のまんま!」

 

俺はキーボードを弾きながらギターも使って演奏し歌っていく

 

 

『つらい時でも笑ってられる

 

そんなあんたはホンマにアホや先の事など考えないまま

 

ペース配分さえ出来ないで走る

 

悲しい時こそおどけてばかり

 

そんなあんたはやっぱりアホや

 

惚れて振られてまた繰り返す学ばないまま明日をむかえる

 

だけどそんなあんたをあんたを見てると

 

なぜか優しい風が吹き抜けてゆく湿った心は笑いで乾く

 

笑顔のまんま笑顔のまんま

 

そうさ人生生きてるだけでまるもうけOH!!

 

笑顔のまんま笑顔のまんま

 

そうさTHA TWAS THATあの時はあの時さ

 

 

 

楽しい時には涙ぐんでるそんなあんたはやっぱりアホや

 

そんなあんたどうしようもないアホや

 

明後日も明々後日もやめられませんわ

 

変われないからお前も頑張れよ

 

だからそんなあんたをあんたを見てると

 

やっぱよう考えたらムカつくわ

 

許せんけれど笑けてくるわ

 

笑顔のまんま笑顔のまんま

 

そうさ人生生きてるだけでまるもうけOH!!

 

笑顔のまんま笑顔のまんま

 

そうさTHAT WAS THATあの時はあの時さ』

 

ハロハピ視点

 

「なんか私達のための曲って感じがすっごくするよ」

「当然じゃない!光が私達ハロハピの皆に相応しいと思って選んでくれたんだもの!」

「そうだよ!ひかるんが選んだんだから間違いないよ!」

「見たまえよ!私達が手を取り合って笑っている姿が目に浮かぶじゃないか!」

「そうだね!私にも見えるよ!」

私たちの目には確かに手を取り合って笑う姿が浮かんでいた

 

 

『笑顔のまんま笑顔のまんま

 

そうさ人生生きてるだけでまるもうけOH!!

 

笑顔のまんま笑顔のまんま

 

そうさTHAT WAS THATあの時はあの時さ

 

笑顔のまんま笑顔のまんま

 

そうさ人生生きてるだけでまるもうけOH!!

 

笑顔のまんま笑顔のまんま

 

そうさTHAT WAS THATあの時はあの時さ

 

僕が笑いを君にあげるから君の笑顔を僕にください』

 

「2曲目にこの曲を選んだのは笑顔を忘れないでいて欲しいって思いを込めました。どんな時でも笑顔を忘れないでね!」

 

「当然よ!私達はハローハッピーワールド!世界を笑顔にそして同じくらいの嬉し涙でいっぱいにするバンドだもの!」

「こころ達なら出来るって信じてるよ!じゃあそんなハロハピの皆に向けて歌う3曲目は福笑い」

 

 

 

『あなたが笑ってたら僕も笑いたくなる

 

あなたが泣いていたら僕も泣いてしまう

 

難しい顔難しい話今ちょっと置いといて笑えますか?

 

きっとこの世界の共通言語は英語じゃなくて笑顔だと思う

 

子供だとか大人に関わらず男だとか女だとかじゃなく

 

あなたが今楽しんでいるのか

 

「幸せだ」と胸張って言えるのか

 

それだけがこの世界の全てでとなりでこの歌唄う僕の全て』

 

 

 

ハロハピ視点

 

「何度聞いても最っ高じゃない!この世界共通言語は英語じゃなくて

 

笑顔!その通りだわ!本当に素敵じゃない!」

 

「やっぱり私もねこの曲好きだな〜!」

 

「本当に私以上の表現者じゃないか!私も君の輝きの前では霞んでしまうだろうさ!」

 

「なんか、私達全員に向けて光さんから応援して貰えてるみたいでさ自然と笑えてくるんだよね」

 

「実際この歌の通りなんだと思うよ!この世界の共通言語は英語じゃなくて笑顔だって部分は凄く共感出来るし、世界を笑顔と嬉し涙でいっぱいにしたいって私達にピッタリだと思うんだ」

 

本当に彼はずるいんだ、こんな曲をサラッと選んじゃうような所が卑怯なくらいに最高だと思う

 

 

 

『奪い合うことに慣れ疑い合う人で溢れ

 

そこで誰か泣いていても気に留める人もいない・・・

 

どれを切り取って''人間らしさ"って

 

呼べるか分からないけど

 

誰かの笑顔につられるように

 

こっちまで笑顔がうつる魔法のように

 

理屈ではないところで僕ら通じ合える力を持ってるハズ

 

あなたは今笑っていますか?強がりじゃなく心の底から

 

憎しみが入る隙もないくらい笑い声が響く世界ならいいのに

 

その姿形ありのままじゃダメだ!と誰かが言う

 

それにしたって笑顔は誰もありのままにゃ敵わない

 

きっとこの世界の共通言語は英語じゃなくて笑顔だと思う

 

笑う門に訪れる訪れる何かを

 

愚直に信じて生きていいと思う

 

誰かの笑顔につられるように

 

こっちまで笑顔がうつる魔法のように

 

理屈ではないところで僕ら通じ合える力を持ってるハズ

 

あなたがいつも笑えていますように

 

心から幸せでありますように

 

それだけがこの世界の全てでどこかで同じように

 

願う人の全て』

 

「光!あなたからのエール!受け取ったわ!」

「最高に笑顔になれる曲ばっかだったよ!」

「君以上の表現者は存在しないだろうさ!」

「色々ありがとう!」

「ありがとうございます!」

「いつか必ず俺にも笑顔と嬉し涙で満たされた世界を見せてね!」

「約束するわ!きっと見せてあげる!その前に私達は次に繋がないといけないわ!Pastel*Paletteの皆!お願いできるかしら?」

「もちろん!」

そう言って反対側のステージ袖からPastel*Paletteの皆がステージに登場した

「ここからは私たちの番だよ!」

「私達もこのLIVEを精一杯盛り上げる事を約束するわ!」

「彩ちゃん準備はいい?」

「うん!皆は?」

「いつでもッス!」

「ドンと来いです!」

「じゃあ、1曲目しゅわりんどりーみん!」

 

「パスパレと言えばこの曲だよな!」

パスパレのデビュー曲でもあり一番歌われてきたであろう曲

皆の努力の形の1曲とも言えるだろうと思いながら聞いていきあっという間に1曲目が終わる

「2曲目にいくね!パスパレボリューションず!」

これもパスパレらしさが溢れる曲だと思う

十人十色と言う言葉があるようにパスパレの5人でしか出せない音や5人にしか出来ない演奏がありその代表と言える曲だろうと思いながら聞いていき演奏が終わる

「ラストの曲はまだ、光君にも聞かせたことはない曲です!」

「いつか光には聞いて欲しいとは思ってはいたんだけどね」

「彩ちゃんがまだその時じゃないって言ってひ〜くんにも黙ってたんだ」

「私達は光くんのおかげで逆境を乗り越えてパスパレとして確かな絆が出来ました!」

「この曲にはその全部が込められてます!」

「じゃあ歌うね!もういちどルミナス!」

そうして演奏が始まると俺は目を閉じて聞くことに集中する

そして浮かんでくるのはパスパレにとって最悪の1thLIVE、そして気持ちがバラバラだったあの頃、努力が報われ無かったあの頃、そんな中で迫るセカンドLIVE、そして出会い全てをこの曲が物語っている

「皆が逆境を乗り越えた今にピッタリの曲なんだな」

そう呟くのと曲が終わるのは同時だった

 

そして曲が終わると彩が話し出す

「私達の努力と光君がくれた想いを全部乗せました!だから、だからね!光君にこれからの私達に向けてエールを送って欲しいんだ!」

「もちろん!最高のエールを送ってあげる!まずはこの曲!大丈夫!」

 

『涙を流した君にしか浮かべられない笑顔がある

 

そのままの君で大丈夫こぼれおちた分だけ強くなる』

 

 

 

パスパレ視点

「彩ちゃんの為に歌ってくれたやつだよね?」

「うん、そうなんだ、この曲を聞くととっても晴れやかな気分になるんだ」

「今は彩ちゃんだけじゃなく皆に向けての演奏だけれどね」

「そうっすね!私たち自身の不安を晴らそうとしてくれてるのが伝わるッス!」

「演奏からも勇気がもらます!」

勇気だけじゃない、心の底から力が湧いてくる感覚が私達の気持ちを1つにしてくれる感覚が確かにあった

 

 

『変わりたいのに変われない日々本当の気持ちから毎日少しずつ逃げた

 

見えないフリや聞こえないフリで綺麗事ならべても

 

自分は騙しきれなくて

 

負けそうな心抱えても僕らは笑う無理して笑うけど

 

きっと

 

涙を流した君にしか浮かべられない笑顔がある

 

たまには泣いても大丈夫素直になっても大丈夫

 

生きていくだけでも人は皆数えきれぬほど乗り越える

 

強がらなくても大丈夫こぼれ落ちた分だけ

 

強くなる強くなる強くなれる大丈夫

 

 

 

誰かの理想になろうとしすぎて

 

越えられないボーダーライン気がつけば引いてしまってる

 

自分で選んだ道なんだからって誰にも頼れずに1人ぼっちで

 

戦ってる

 

プライドや夢を守るため僕らは笑う無理して笑うけど

 

でもね

 

涙を流した君にしか迎えられない明日がある

 

見守ってるから大丈夫焦らなくたって大丈夫

 

生きていく中で人は皆幾千もの自分に出会う

 

そうして大人になっていく見つけられた分だけ強くなる

 

 

 

世界は涙じゃ変わらないでも君は変わってゆけるさ

 

そう僕もちっぽけでも踏み出していくよ

 

胸を張って君だけじゃない僕ら一人じゃない

 

 

 

そうさ

 

涙を流した君にしか浮かべられない笑顔がある

 

転んで泣いても大丈夫素直になっても大丈夫

 

生きていくだけで人は皆数えきれないほど乗り越える

 

だから大丈夫こぼれおちた分だけ強くなる強くなる

 

強くなれる大丈夫』

 

1曲目の演奏を終えて俺は話し出す

「1曲目は以前、彩に向けて演奏した大丈夫を演奏しました

続けて歌う2曲目はまえに千聖に向けて演奏したBeautifulを演奏します。じゃあ聞いてください」

俺は2曲目の演奏を開始し歌い出す

 

 

 

『また「余計なお世話だよ」って君は言うかもな

 

でも正直しんどそうに見えたから

 

なんか美味いもんでも食べに行こうっていう

 

僕のわがまま聞いて来てくれたね

 

「別になんでもないよ」って君の笑い方が

 

尋常じゃないくらい上手で自然だから

 

大抵の人は騙されて気付かないんだろう

 

君らしい壁の作り方なんだね

 

 

 

その壁ぶっ壊させてくれなんて思わないし

 

土足で君に踏み込むつもりもない

 

ただ一人じゃないそう一人じゃない

 

ほんの少し笑い合いたいだけ

 

 

 

まっすぐに伸びる君の足跡に追いつくように

 

そして寄り添うようにもう一つの足跡が伸びてきて

 

振り返ってごらんもう一人じゃない

 

やがて見渡す限りの喜び隣にも前にも後ろの方にも

 

微笑みながら君を見守ってる人がいてそん中に僕もいる

 

 

 

そりゃ淋しかったろう?辛かっただろう?

 

どれくらい一人で悩んでいたの?

 

ここまで来れたことが素晴らしいよ一つだけでいい

 

信じてほしい君は美しい』

 

パスパレ視点

「これが千聖さんに向けた曲なんですね!」

「えぇ、私が演技で迷っていた時に自分を信じていけるようにっていう演奏してくれたのよ、あの時も抱えていた不安な気持ちとかが晴れて行って前向きになれたのよ」

「じゃあ私たちに対してもそうなのかな?」

「きっとそうだよ!あたし達パスパレの道は不安な事だらけだけど真っ直ぐに進んでいけばきっと大丈夫だって言ってくれてるんだよ」

「そうだといいなと私も思います!」

そんな話をしながら曲を聞いていく

 

 

『今思ってることを今伝えるのにも

 

言葉多過ぎたり足りなかったりで

 

悪気なんてこれっぽっちもないハズなのに

 

悪者みたいになってしまう時もある

 

自分が辛い時は上手にわらうくせに

 

僕が辛かった話打ち明けたら

 

君は自分のことのように涙してたね

 

余計なお世話はきっとお互い様だね

 

 

 

綺麗事だけでは生きていけないし

 

きっとこれからも悩みは尽きない

 

ただ一人じゃないそう一人じゃない

 

もう少しだけその声聞かせて

 

 

 

上手に出来たことを喜んだり

 

初めて見つけたものに驚いたり

 

雷の音にやたら怖がったりありのままの声に耳澄まして

 

例えば小さな頃の君がいて今を生きてる君を見ていたら

 

どんな顔してなんて言うのかな

 

無理しないでよなんて笑うかな?

 

 

 

君が優しい人だって知ってるよ

 

だからこそ傷付いていることも

 

ここまで来れたことが素晴らしいよ

 

一つだけでいい信じてほしい君は美しい』

 

パスパレ視点

私達は全員が考える小さな頃が今の自分を見たらなんて言うのかを無理しないでよなんて本当に笑うのかを

笑ってくれるのかを考える

きっと無理しないでとは言わないかもしれないけど、頑張ってと言って貰えるように誇れるように頑張って行こうと思えた

 

 

『まっすぐに伸びる君の足跡に

 

追いつくようにそして寄り添うように

 

もう一つの足跡が伸びてきて

 

振り返ってごらんもう一人じゃない

 

やがて見渡す限りの喜び隣にも前にも後ろの方にも

 

微笑みながら君を見守ってる人がいてそん中に僕もいる

 

そりゃ淋しかったろう?辛かっただろう?

 

どれくらい一人で悩んでいたの?

 

ここまで来れたことが素晴らしいよ

 

一つだけでいい信じてほしい君は美しい』

 

 

 

『永遠に満たされぬ孤独の影に怯えながら

 

いつか来る輝きを求め人は歩き続ける

 

1度だけでもいい…喜びに声を上げ泣いてみたい

 

心の傷跡も忘れられぬ過去もその肩に積もる冷たさも

 

ゆっくり溶けて流れゆく』

 

 

 

パスパレ視点

 

前の2曲と同様に心の中にスっと入ってくるようなそんな曲だと皆が思った、サビの部分なんかは私達、皆の中で未だに燻っている気持ちがあるってわかってて選んだ曲だと感じていた

 

「聞くのは2度目だけどいい曲だね」

 

「ホントだよね〜」

 

「言えてるッス」

 

「そうね!」

 

「ハイです!」

 

最後の曲らしいゆっくりとした曲調が私達を包む

 

 

 

『本当は誰もみな声にならぬ叫び抱えて

 

もがいては諦めて今日という日を塗り潰してる

 

届かなくてもいい…心から愛の歌響かせたい

 

彷徨う悲しみもやり切れぬ矛盾も

 

この空に浮かぶ虚しさも時間(とき)が忘れさせてくれる

 

凍える瞳の奥が今答えを求めてる

 

言葉にならずただ抱きしめた

 

震える唇重ねた温もりを胸に…』

 

 

もうすぐ終わるパスパレ皆に向けた最後の曲が終わりに近づいていく中で俺は過去に演奏した曲を通してこの先の不安や葛藤を乗り越えていけると皆に伝えられたかな?

どんな風に感じてくれたかな?と考えながらラストサビを歌い上げる

 

 『心の傷跡も忘れられぬ過去も

 

その頬を濡らす温もりがほら輝きに変えるから

 

あなたの優しさがあなたの喜びが

 

その指を照らす微笑みがいつも2人を包むから』

演奏を終えて俺はパスパレの皆に俺の言葉でエールを送る

「パスパレの皆はアイドルとしてこれからも歩んでいくと思うけど、その道は平坦じゃないかもしれない、不安や後悔や挫折もあるかも知れないけど、皆が自分に誇れるようなアイドルでいて下さい」

 

「光君!ありがとう!私達はこれからも自分に誇れるような、そして応援してくれる人達に誇れるようなアイドルになるからね!」

「もちろん光!あなたも見届けてよね!」

「約束してひ〜くん!」

「私からもお願いします」

「お願いします!」

「もちろん!約束するよ!」

「じゃあ、その約束を持って私達Pastel*Paletteの出番は終わりだね!次は蘭ちゃん達Afterglowの皆!お願いね!」

「もちろんです!」

そうして手のひらを打ち交わしてAfterglowの皆がステージに立った

 

「Afterglowです!まずは、光さん!LIVEに呼んでくれてありがとうございます!あたし達もこのLIVEを最高に盛り上げるのでまずは1曲聞いてください!Y.O.L.O!!!!!」

蘭が曲名を告げて演奏が始まる

Afterglowのいつも通りでいることを大切にしその日常ならではの歌詞がAfterglowのいつも通りなんだと訴えかける

そして蘭達はその中に俺が居てもいいと言ってくれた、そんな俺に出来るのは最高の演奏で返す事だと思いながら1曲目を聞き終える

「2曲目に行きます!ツナグソラモヨウ!」

1曲目が終わってすぐに2曲目が始まった

「言葉はいらない、全部曲で伝えるってことかな」

そう言って俺は2曲目に耳を澄ます

皆と見るいつも通りの空が浮かんできてその空の下で笑い合う皆の楽しそうな情景がこの曲から伝わってきた

そして2曲目が終わり蘭が再び話し出す

「ラストの曲は光さんがあたし達Afterglowの曲で一番好きだと言ってくれたこの曲!ScarletSky!」

ラストの曲が始まると同時にAfterglowの皆のイメージが流れ込んでくる

バンド名が決まった時、始めてLIVEをした時など様々なイメージが俺に向かって流れ込んできた

「全部演奏で伝えるってやつか!やるね!」

そしてAfterglowの演奏が全て終了し蘭が話し出す

「私達の想いは全部曲に乗せました!だから!光さんもそうしてください!」

「OK!じゃあ俺の番だ!最高の演奏をとどけるよ!まずは

変わらないもの」

俺はキーボードを弾きながら歌っていく

 

 

 

『帰り道ふざけて歩いた訳もなく君を怒らせた

 

色んな君の顔を見たかったんだ

 

大きな瞳が泣きそうな声が今も僕の胸を締め付ける

 

すれ違う人の中で君を追いかけた

 

変わらないもの探していたあの日の君を忘れはしない

 

時を越えてく思いがある僕は今すぐ君に会いたい』

 

 

 

Afterglow視点

 

あたし達にとっての変わらないものってなんだろうって

 

前の時と同様に皆が考える

 

「あたし達の変わらないものってなんだろ?」

 

「それはもちろんいつも通りでいる事だろ?今も昔も変わらないものだ」

 

「それはもちろん大切だし、それがあたし達らしい事だってわかってるけどさやっぱり光さんや他の皆とも一緒に演奏したり競い合ったりして行くのもいつも通りなんじゃないかな?」

 

「つまり〜、この瞬間もいつも通りかも〜?」

 

「そうかもね!いつも通りの中に私達らしいなにかがあればそれがAfterglowの私達らしい変わらないものになるって事だよね!」

 

なんて話しながら私達は演奏に引き込まれていく

 

 

 

『街灯にぶら下げた想いいつも君に渡せなかった

 

夜は僕達を遠ざけていったね

 

見えない心で嘘ついた声が今も僕の胸に響いている

 

さまよう時の中で君と恋をした

 

変わらないもの探していたあの日見つけた知らない場所へ

 

君と二人で行けるのなら僕は何度も生まれ変われる』

 

 

 

''僕達は''演奏する、皆に届くように、伝わるようにいつも通りに過ごす絆の大切さを演奏に込めて歌っていく

 

 

 

『形ないもの抱きしめてた壊れる音も聞こえないまま

 

君と歩いた同じ道に今も灯りは照らし続ける

 

変わらないもの探していたあの日の君を忘れはしない

 

時を越えてく思いがある僕は今すぐ君に会いたい

 

僕は今すぐ君に会いたい』

 

「2曲目にいきます!多くは語りません!聞いてください茜色の約束」

 

 

『茜色した陽だまりのなか無口な風がふたりを包む

 

歩幅合わせて歩く坂道いつもあたしは追いかけるだけ

 

つまずいたり転んで泣いてみたり

 

決してうまく生きれるあたしじゃないけど

 

あなたがほらあたしの手を引くから

 

恐がる心も強くなれるよ

 

だから

 

泣いて笑ってつないだこの手は重ねた言葉に負けない約束

 

あなたに出逢えた茜の空に

 

ほらあの日とおなじことを願うよ』

 

 

 

歌って行く中で''僕達''にはやっぱりAfterglowの皆が浮かんだ、いつだったか教えてくれた、いつも練習するのは夕方だからAfterglowだって、皆が集う夕方、そして泣いたり笑ったり時には喧嘩したりする事があっても、それだってAfterglowらしくあれるいつも通りなんだと、だからこそこの曲のイメージにピッタリなんだと思いながら歌っていく

 

『ひとつひとつ季節は過ぎていくけど

 

あといくつの想いを伝えられるだろう

 

ありふれていた日々さえ戻せはしない

 

この毎日を一瞬を愛しく想うの

 

だから

 

涙も笑顔も繋いだこの手も幾重の写真に負けない想い出

 

あなたに出逢えた茜の空に

 

ほらあの日とおなじことを誓うよ

 

やがて「別れ」が訪れてもふたりすべてを受け止めてく

 

「出逢った場所」も「今いる場所」も

 

永遠に心と繋がってる

 

ほら振り返れば足跡が続くよ

 

だから

 

泣いて笑ってつないだこの手は最後の瞬間まで離しはしないで

 

この道の先をまたふたりで歩いていこう・・・歩いていこう・・・

 

だから

 

泣いて笑ってつないだこの手はすべての言葉に負けない約束

 

あなたと出逢えた茜の空に

 

ほらあの日とおなじことを願うよ』

演奏を終えた俺は話し出す

 

「Afterglowの皆に送る曲はこれが最後!

ラストの曲は、一番の宝物」

俺は曲名を告げて演奏し歌っていく

 

 

『顔を合わしたら喧嘩してばかりそれもいい思い出だった

 

君が教えてくれたんだもう恐くない

 

どんな不自由でも幸せは掴めるだから

 

ひとりでもゆくよ例え辛くても

 

きみと見た夢は必ず持ってくよ

 

きみとがよかったほかの誰でもない

 

でも目覚めた朝きみは居ないんだね』

 

 

 

Afterglow視点

 

あたし達一人一人に語りかけるように歌われる曲にあたし達は一人一人の視点で思い出を振り返る、光さんの演奏はいつも思い出が鮮明に思い返される曲を選んで演奏してくれるいつも通りを過ごした思い出、確かに楽しい事だけじゃなかったけど、それでも変わらずいつも通りを過ごした私達の大切な思い出

 

「光さんやっぱわかってたのかな?」

 

「どうだろうな、あの人は歌ってる時が1番近くにいて寄り添ってくれるからな」

 

「ひかるん先輩だから〜?」

 

「きっとそうだよ!いつも通りの中に光さんやがいるんだよ!」

 

「きっと私にいつも通りの絆を大切にして欲しいって気持ちだけじゃないとは思うよね、自分がいるよって感じがするもん」

 

光さんの演奏にはいつも笑ってる私達がいて、その光景がスっと受け入れられるからこそこころに響いてくる

 

『ずっと遊んでれるそんな気がしてただけ わかってる

 

生まれてきた事もう後悔はしない

 

祭りの後みたい寂しいけどそろそろ行こう

 

どこまでもゆくよここで知ったこと

 

幸せという夢を叶えてみせるよ

 

きみと離れてもどんなに遠くなっても

 

新しい朝にあたしは生きるよ』

 

 

 

Afterglow視点

 

正直泣きそうだったひまりは既に泣いているし他の皆も涙を堪えてる

 

光さんが見せる世界の私達は笑ったり泣いたり喧嘩したりしながらも最後には私達一人一人が笑ってる光景が見えている

 

今夏もその光景が見えた瞬間にひまりは真っ先に涙を流していたし、他のみんなも涙が頬を伝っていく

 

「光さんが見せる世界には必ず私達が映ってるからそれが伝わってきて感情が揺さぶられるの」

 

「あの人には驚かされてばかりだよな本当に」

 

「ひかるん先輩相変わらずパなーい」

 

「本当…だよね…私…涙を抑えられないよ」

 

「私も我慢しようって思ってたのに…涙で前が見えないよ」

 

あたし達は皆、光さんが見せる世界から逃れられない、どんどん引き込まれていって見せる世界そのものと同じ光景にされるんだろうと思いながら最後の曲を聞いていく

 

 

 

『ひとりでもゆくよ死にたくなっても

 

声が聞こえるよ死んではいけないと

 

たとえ辛くても寂しさに泣いても

 

心の奥には温もりを感じるよ

 

 

 

巡って流れて時は移ろいだもう何があったか思い出せないけど、目を閉じて見れば誰かの笑い声

 

なぜかそれが今1番の宝物』

 

Afterglowに送る全ての曲が終了し皆を一瞥すると

何人かは涙を流していたし何人かは拳を握っていた

そして蘭達がステージを降りるとRoseliaの皆がステージに立った

「Roseliaです!光!そして皆!ここまでLIVEを盛り上げてくれたことに感謝するわ!私達がもう一度光に繋ぐために最高の演奏を約束するわ!さっそく行くわよ!曲名は先に告げておくわ!LOUDER、FIREBIRD、BraveJewelの3曲よ!さぁ!一気に行くわよ!」

そうして演奏が始まるとRoseliaの圧倒的演奏が俺達を演奏の渦に飲み込んでいく

そしてあっという間に全ての曲が終了する

「さぁ、光!貴方の最後の演奏よ!私達に向けて最高の演奏をしてちょうだい!」

「あぁ!任せてくれ!最初の曲は明日へ!」

 

 

 

『遥か遠くあてなき道を心に響く声を信じて』

 

歌い出してすぐに歌詞までの間が空くその間に俺は演奏の中で表現力の翼を広げていく

 

『あの頃の僕はただ臆病すぎて

 

自分以外誰もがまぶしすぎて

 

がんばりたいけどだけど何を頑張ればいいのか

 

わからないまぼんやりと空を見上げてた

 

このままじゃいけないって事は僕にだって気付いていたんだ

 

誰かのせいにして目をそらしても

 

何も変わらない事分かってた

 

遠く遠くあてなき道を歩んだ日々よ振り返ると涙するのはなぜ?きっと僕らは始まったばかり輝けるその時を信じて

 

歩いてゆこう』

 

 

 

Roselia視点

 

光の演奏は何度も聞いてきたけれど曲が始まった瞬間に引き込まれて、光の世界に魅せられる。輝けるその時を信じて前に進めと背中を押されるようなその歌詞に、歌詞を紡ぐ声に魅せられる

「友希那はこの曲に励まされたんだよね」

「えぇ、輝けるその時を信じて進めと背中を押されたわ」

「光君は常に私達に寄り添いその背中を押してくれますからね」

「私達全員が彼に励まされてます」

「光兄ぃはいつだってあこ達に勇気をくれるんだよね!」

そう話しながら曲を聞いていく

 

 

 

 

 

『勇気を出して君にだけ打ち明けた夢を笑わずに最後まで

 

聞いてくれた

 

忘れはしない初めてあの日僕の心に小さいけれど

 

確かな光がそう、生まれたんだ

 

「ありがとう」って言った君の笑顔が僕の背中いつまでも支えてくれる

 

「大丈夫だよ」って聞こえる

 

遠く遠く歩んだ日々よ振り返ると涙するのはなぜ?

 

きっと僕らは間違ってなんかない輝けるその時を信じて』

 

 

 

Roselia視点

 

2番の歌詞が思い出せるのはRoseliaを結成してまもなくの事だ

 

私の夢を打ち明けてそのために集めたこのメンバーじゃなきゃと言えるメンバーと歩んできた日々

 

「あの時を思い出して前を向けという事なのよね光」

「きっとそうだよ!だって私達がここまでやってきた日々が思い出されるしさ!」

「そうですね、私達に向けて演奏される曲はいつも寄り添えるような曲ばかりですからね」

「わかります。ありがとうと大丈夫がここまで素敵な言葉だと知れたのは光君のおかげだと思うんです」

「わかるな〜普段から使ってる言葉でも、光兄ぃみたいに曲を通して言われるとまた違うよね!」

 

光が選ぶ曲はいつも光が優しく確かに背中を押してくれていると感じられた。

 

 

 

『遠回りしてくじけそうになって

 

それでもここまで来たんだよ

 

悔し涙を希望に変えてそっと見えてきた明日へ』

 

 

 

曲がラストに差し掛かる中で更に表現力の翼を広げていく

 

友希那が今まで歩んできた道を後悔した事もあったかもしれないけれど、それでも、ここまで来たんだからと

 

 『遥か遠くあてなき道を心に響く声を信じて

 

遠く遠く歩んだ日々よ振り返ると涙するのはなぜ?

 

きっと僕らは間違ってなんかない輝けるその時を信じて

 

そして今僕らは歩いてる輝けるその時を信じて』

「次の曲に行きます!fight」

 

 

僕は相棒のギターを弾きながら歌っていく

 

 

 

『描く夢がすべて叶うわけなどないけど

 

あなただってわかっているはずよ

 

壊れそうな空だってあたしは受け入れるから

 

大丈夫よ優しい嘘大人になりたい

 

頑張れ頑張れ命燃やして続く現実生きてゆく

 

頑張れ頑張れ限りある日々に…

 

花を咲かせる』

 

 

 

Roselia視点

 

「これが光の本気の演奏なのよね、何度聴いてもすごいよね!」

 

「言っておくけどまだ序の口よ」

 

「えぇ、こんなものじゃないです。今見えてる世界はほんの一部に過ぎませんからね、1度でも見て聞いているならわかるはずですよ」

 

「そうですよね!限りある日々に花を咲かせるって部分は私達に向けて時間の有限さを教えてくれてるみたいです」

 

「確かにそうね、でも私達が以前見た世界はもっと広いわどこまでも広くて広大だったわ」

 

「あこ達が光兄ぃの見せる世界にいるもんね!」

 

今見えているのは私達が練習している姿、目標に向かって必死に練習する私達が映し出されていた、これが序の口だと言うのならどれだけの世界が見えるのだろう

 

それが怖くもあり楽しみでもある私達がいた

 

 

 

『希望の先にある憧れに手を伸ばせば

 

明日だって手さぐり見つけるよ

 

散りゆくから美しいという意味がわかってきた

 

ごめんねもう少し大人になるから

 

頑張れ頑張れ勝ち負けだって大事なことなんだね

 

頑張れ頑張れそうさ人生は引き返せない

 

 

 

いつか振り返る時今日の若かりし日が

 

きっと懐かしくなるから

 

 

 

頑張れ頑張れ命燃やして続く現実生きてゆく

 

頑張れ頑張れ限りある日々に…

 

花を咲かせる花を咲かせる』

 

 

「僕が目の前で演奏する曲は今日はこれでラストになります!今日最後の曲!聞いてください!水平線」

 

''俺達''はギターを弾いて歌っていく

 

『出来るだけ嘘はないようにどんな時も優しくあれるように人が痛みを感じた時には自分の事のように思えるように

 

 

 

正しさを別の正しさで無くす悲しみにも出会うけれど

 

水平線が光る朝にあなたの希望が崩れ落ちて

 

風に飛ばされる欠片に誰かが綺麗と呟いてる

 

悲しい声で歌いながらいつしか海に流れ着いて光って

 

あなたはそれを見るでしょう』

 

 

 

Roselia視点

 

歌詞が心に刺さる感覚とでも言うのか、そんな感覚が私達を支配する悲しい声で歌うのは私なのだろうなと感じる

 

私達の中の希望が崩れ落ちてそれが海に流れる瞬間を全員が見ているのだろう、そんな感覚が私達を支配する

「友希那、この曲って…友希那が光の演奏を初めて聞いた時のやつだよね?」

「えぇ、今回は皆のために歌っているようだし、何より自分だけじゃなくて、私達1人1人の希望が崩れ落ちて

風に飛ばされる欠片に誰かが綺麗と呟いてる姿が浮かぶもの」

「確かにそうですね、歌詞が私達に語りかけるというかそんな感じがします」

「そうですね!人の痛みや正しさを別の正しさで無くす悲しみだったりその全てが私達の事のように思えますね」

「あこ、この曲からは喜びとか悲しみとか全部知れる気がするね!」

なんて話しながら曲を聞いていく

 

 

 

 

『自分の背中は見えないのだから

 

恥ずかしがらずに人に尋ねるといい

 

心は誰にも見えないのだから

 

見えるものよりも大事にするといい

 

毎日が重なる事で会えなくなる人も出来るけれど

 

透き通るほど淡い夜にあなたの夢がひとつ叶って

 

歓声と拍手の中に誰かの悲鳴が隠れている

 

耐える理由を探しながらいくつも答えを抱えながら悩んで

 

あなたは自分を知るでしょう』

 

 

 

Roselia視点

 

私の夢が叶ってそれを喜ぶ歓声と拍手の中に誰かの悲鳴が隠れている、その悲鳴はRoseliaのみんなかもしれない、私達自身かも知れないそう考えると、どうしても、歌詞が私達の事を歌っているのかもしれないとさえ思えてしまう。

 

いくつも答えを抱えながら悩んで私を知ることができるのだろうか?私達は曲を聞きながら自問自答する

「悲鳴が隠れているなんて考えもしないわよね」

「その悲鳴は私達かもしれないんだよね?」

「他の誰かかもしれないですよね」

「耐える理由を探しながらいくつも答えを抱えながら悩む事が自分を知れるなんて誰も思いませんよね」

「いつか自分自身を本当の意味であこ達は知れるのかな?」

そんな話をしながら曲のラストを聞いていく

 

 

 

 

 

『誰の心に残る事も目に焼き付くことの無い今日も

 

雑音と足音の奥で私はここだと叫んでいる

 

 

 

水平線が光る朝にあなたの希望が崩れ落ちて

 

風に飛ばされる欠片に誰かが綺麗と呟いてる

 

 

 

悲しい声で歌いながらいつしか海に流れ着いて光って

 

あなたそれを見るでしょう

 

あなたはそれを見るでしょう』

演奏を終えた俺は再び話し出す

 

「次がラストの曲になります!この曲を通して皆の夢や目標を応援させて下さい!じゃあ聞いてください!夢」

 

『あの日描いた夢はいつだって僕たちを待ってる

さぁ追いかけて追いかけて今から迎えに行こうその先へ

 

自分の限界を勝手に定めて''無駄な努力''とあきらめてた

転ばないように傷つかぬように立ち止まっていた

そこから見えている景色は何も変わらない毎日だ

例えば一歩踏み出したらきっと変わるはず

 

あの日描いた夢はいつだって僕たちを待ってる

向かい風に吹かれたってそこで待っているのに

夢から遠ざかっていたのは僕たちの方だろう

さぁ追いかけて追いかけて今から迎えに行こう

走り出せその先へ』

 

ガールズバンドリーダー視点

「夢の場所は変わらないんだよね」

「そうね、私達が夢を迎えに行くのよね!」

「自分達で掴めるように立ち止まってないで踏み出さないとなんだね!」

「追いかけてこっちから迎えに行かないとダメなんですね」

「その為に無駄な努力と諦めないで進まないといけないのよ!」

曲が教えてくれる夢の場所や夢の掴み方それぞれが違う目標があってそこへ向かって努力する私達が演奏を通して感じられた

 

『目を逸らさないで人のせいにしないで

もう年だからとかじゃないだろう

自分を信じて前だけを見てそう進んでいこう

胸の中詰め込んだ希望とそして消えない情熱を

持ち続けた人にだけチャンスはやってくるはず

 

 

あの日描いた夢はいつだって僕たちを待ってる

向かい風に吹かれたってそこで待っているのに

夢から遠ざかっていたのは僕たちの方だろう

さぁ追いかけて追いかけて今から迎えに行こう

走り出せその先へ』

 

各メンバー視点

「自分を信じて目を逸らさないで進んでいけばきっと叶うんだね夢って」

「そういうの良いよね!なんかひたむきさが伝わるっているかさ」

「そうよね、努力することの大切さ諦めないことの大切さがこの曲には詰まっているわ」

「そうですね、私も同意します。些細な事であきらめそうになることってあるけど、それでも諦めないことって大事なんだなって」

「この曲は言ってた通り光から皆へのエールなんだね!やる気っていうか頑張ろうって気が溢れてくるよね」

皆で話しながら曲を聞いていく

 

『果てしない道のりを見失いそうになるけど

一番大切なのは''今''を精一杯に生きることさ

 

思い描く未来はいつだって僕たちを待ってる

無くさないで見落とさないで小さな幸せを

 

 

あの日描いた夢はいつだって僕たちを待ってる

向かい風に吹かれたってそこで待っているのに

夢から遠ざかっていたのは僕たちの方だろう

さぁ追いかけて追いかけて今から迎えに行こう

走り出せその先へ』

 

演奏が終わると全員から拍手が送られた

「皆、ありがとう!今日のLIVEは大成功だよ!」

「こっちこそありがとうね楽しかったよ!」

「明日からは新しい学年になるわけだけれど、それでもこうしてまたLIVEしましょう!」

「もちろん!また皆とLIVEやるのを楽しみにしてるよ!」

「約束だよ!」

「うん!もちろん!」

そしてまたLIVEを開催する約束を交わし2年最後の日のLIVEは幕を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 




お久しぶりです!投稿遅くなってすみませんでした!
他にも作品を書いているとどっかが必ず追いつかなくなるもんですね( ̄▽ ̄;)
それでもまぁ引き続き書いていくので気長にお付き合いください次回から3年生編になるのでお楽しみにそしてアンケートの結果通りモニカも登場させるのでお楽しみに
次回「新学年と新たな出会いそして再会」


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3年生編
第54話新学年と新たな出会いそして再会


3年生になった光は新たな出会いと共に1人の仲間と再会する


春休みが終わり俺達は3年生になった

そして3年生でもイツメンと同じクラスになりそして麻弥さんと薫も一緒だった事には驚いた

クラスに行くと他のみんなは既に来ていた

「光!やっと来た!」

「やあ、お待たせ!」

「ヒーローは遅れてくると言うけれど、まさにそれなのかな?」

「別にそんなんじゃないって早めに来てもクラス表の前ってごった返すじゃん!だから少し遅めに来たの!」

「まぁ、光君らしくていいんじゃないすか?」

「だよね〜!ひ〜くんは3年生になってもひ〜くんだし!」

「そう簡単に変わらないわよ!」

「逆に変わったら俺自身が驚きだよ…」

そんな話をしながら待っていると先生が教室に入ってきた

「このクラスの担任になった速川だ!担当教科は国語!歳は32だ結婚はしてない!以上だ!何かを質問などがあれば3つまで受け付けるが?」

そう言う先生に1人の生徒が質問する

「彼女はいないんですか?」

「残念な事にな!」

「じゃあどんな人がタイプですか?」

「こう見えてスポーツ観戦が趣味でな、一緒に見に行って楽しめる人が良いな!」

「なるほど、じゃあ最後!先生はどのスポーツを観戦するのが好きなんですか?やっぱり野球やサッカーですか?」

「もちろん、その2つも好きだけど1番はラグビーだな!」

そうして質問タイムが終わり始業式が始まるため整列して体育館に向かい始業式を受けてから今後の予定等を聞き春休みの課題を提出して解散となった

「午前中で終わったし、また家来る?」

「光の家でお昼食べて夕方から練習ってのも悪くないね」

「あたしも今日はパスパレの練習ないし、行きたい!」

「私も賛成よ!」

「決まり!何食べたい?」

「任せるよ!」

「普段はどうしてるの?」

「1人だと超簡単になるよ!麺類とかそれ系」

「じゃあ焼きそばとかで良いんじゃないかな?」

「そんなんでいいの?」

「シンプルな方が光も楽でしょ?」

「そうだけど、多少手が込んでても平気だよ?」

「ならスープ付きでお願いするわ」

「じゃあ、手を加えてオムそばにしよっか!」

「いいね!じゃあ光の家に行こう!」

そうして俺はイツメンと一緒に自宅に行き俺はさっそく昼食の準備を始める

「光!部屋行っていい?」

「良いよ!楽器いじるなら後で戻してね!」

「私はテレビでも見ているわ」

「あたしはりさちーと一緒にひ〜くんの部屋に行こう!」

そうして2人は俺の部屋に、友希那はDVDでドラマを見始める

「光はこういう禁断の愛とかそういう系も見るのね」

「まぁね、ほとんど母さんの影響だけど」

そう話しながらも手を進め俺は焼きそばとスープを完成させる

「出来たよ!」

俺は部屋にいた2人も呼び戻した

「光、楽器増えたね」

「ベースとギターが1本ずつね」

「あれから増やしたの?」

「父さんの知り合いから進級祝いで貰ったんだ、ギターは香澄の使ってるランダムスター程じゃないけど変形だから扱いずらくてさ」

「でも弾けるのよね?」

「まぁね!」

そう話しながら食べ進める

「美味しい!でも、普通のとは違うような?」

「ソースは市販のに手を加えたからね」

「なるほどね〜さっすがだねぇ〜!」

そうして食事を終えてしばらく休憩した後俺達はcircleに向かった

「ひ〜くん今日は演奏しないの?」

「近いうちLIVEあるじゃん!それに向けて調整」

「そっかぁ、残念!」

「まぁ、LIVEの時は楽しみにしててよ!」

そんな話をしながらcircleに行き夕方までRoseliaの練習に付き合った後紗夜と日菜を送って解散した

そして夜は食事と入浴以外の時間を練習に費やし就寝した

 

そして次の日

学校でホームルームが始まるのを待っていると先生が入ってきた

「ホームルームの前に転校生を紹介する!去年の宮村に続き男子だ!喜べ女子達」

先生がそういうと女子達からは

男子は1人で十分だとか俺以上じゃないと認めないなどの声が上がる

「まぁ、そう言うな!入ってこい!」

そう言うと転校生の男子が入ってきた

そして俺はその姿に驚いた

何故なら俺がよく知る人物だったからだ

俺は席から立ち上がり名前を呼ぶ

「高人!高人だよな!」

「よう!光!久しぶりだな!他の皆さんも改めて宮原高人です見ての通り漢字で高い人って書くのでそのままたかひとって間違われますけど、たかとなんでよろしくお願いします!

趣味は音楽でギターとベースができます!」

「自己紹介はそのくらいにしてホームルーム始めるぞ!」

そうしてホームルームが終わると俺はさっそく高人と話し出す

「高人、聞きたいことはたくさんあるけど、まずなんで羽丘に?」

「羽丘ってか、東京に来たのは親の仕事の都合だよ!親の仕事で引っ越す事になったって言ったらアイツらと後輩がお前だけでも光に並んで来いってさ!」

「なるほどね、そんで他の2人は?」

「今も奮闘中!あの部活じゃお前がぬけてから俺が1番上手いなんて言われてな、でも、お前の親に送ったビデオレターやたまにネットに流れてくるお前の演奏見てるとさ敵わないなっていうのが正直でよ!俺はベースだけじゃダメだって思ってギターを始めてさお前に並ぶために今も奮闘中!」

俺はそれを聞いて高人に提案する

「なら、一緒にLIVEに出ないか?」

「LIVE?」

「もうすぐcircleって所でLIVEがあるんだ」

「そこって光のバイト先か?」

「そうだけど?」

「頼む!俺もバイトさせてくれ!」

「いきなりなんで?」

「いや〜ギターとベースのメンテとかそれ系で金がな〜バイトしないとなって」

「じゃあ、放課後はcircleだな!」

「光、話は終わったかしら?」

高人との話が一段落したタイミングで友希那が話しかけてきた

「あぁ〜うん!一段落はついたよ!」

「なら、改めて紹介してくれないかしら?」

「そうだね、改めて、こいつは宮原高人!俺の相棒だよ」

「おいおい!大袈裟だっての!」

「あなたの演奏是非とも聞いてみたいわね、光にそこまで言わせるなんてね、湊友希那よ!Roseliaのリーダーでボーカルよそしてこっちが今井リサRoseliaのベーシストよそして光はRoseliaの6人目のメンバーよ!そしてこの子は氷川日菜、この子の姉がRoseliaのギタリストでこの子自身もアイドルバンドのギタリストよ!」

そうして2人を紹介してくれた

「よろしくね!」

「よろしく〜たかくん!」

「俺が高人だから、たかくんね!了解!よろしく2人とも」

それとさっきの話マジなの?こいつバンドはやらないって言ってたのに?」

「私達が頼んだのよ!メンバーに加えさせてくれってね!」

「そうなんだ、良かったな光!こっちでも仲間出来たんだな」

「まぁ、がむしゃらにやってきた結果だね」

「確かにね、ひ〜くんはずっと友希那ちゃん達だけじゃなくて色んなバンドの子達を助けてきたもんね!あたしだってひ〜くんがいなかったらお姉ちゃんとの関係は今もこじれたままだったかもしれないし、ちょっとしたきっかけって大事なんだよ!」

「まぁ、確かにな、そうかもしれないなとは思うな!俺も親の転勤っていうきっかけがあってこいつの所に帰ってきたわけだし、こいつはずっと待っててくれたしな」

「2人ってそんなに長い付き合いでもないのにやっぱり男子だからなのかな?かなり仲良いよね!」

「俺と光は特別ってか、俺がさ一方的に光のためにつか、光だけの演奏家になりたいなって思ってて光はそれに応えようとしてくれてる部分があるからじゃないかな?」

「それこそ大袈裟!」

などと話しているとチャイムが鳴ったので俺達はそれぞれの席に戻る

そして戻り際、リサが話しかけてきた

「光、お昼休みは1年生のとこ行かない?あこが1年になってるからさ」

「良いよ!じゃあ昼休みにね!」

そうして一限から授業を受けて4限まで終わった昼休み

俺はさっそくあこちゃん達の学年の廊下に来ていた

「なんかえらい注目されてね?」

「光がいるから?」

「友希那とリサじゃない?Roseliaのファンの子達もいるだろうしさ」

「意外と日菜かもしれないわよ」

「いやいや、どう考えてもオタクら全員だよ!俺が肩身狭いっての!」

そんな話をしながらあこちゃんの教室に行くと入口で人とぶつかった

「ごめんね、大丈夫?」

「はい、こっちこそすいません、前方不注意でした」

俺はその子を助け起こすと話しかける

「このクラスの子だよね?あこちゃんいるかな?」

「はい!このクラスの朝日六花って言います!宮村光先輩ですよね?後、Roseliaの湊友希那先輩と今井リサ先輩にPastel*Paletteの日菜先輩ですよね?」

「俺達の事知ってるんだね」

「当然ですよ!先輩達有名人ですからね」

「俺達が?」

「はい!って話してる場合じゃないですね!あこちゃん呼んできます!」

そう言って教室に戻りあこちゃんを呼んできてくれた、そして香澄の妹の明日香ちゃんも一緒だった

「光兄ぃ!友希那さんにリサ姉に日菜ちんも!後もう1人?」

「後で、紹介するよ!まずは入学おめでとう、これからよろしくね!」

「うん!」

「はい!」

「2人ともさっきの子、朝日ちゃんだっけ?あの子も誘ってお昼食べようよ!」

「わかった!待ってて!」

そうして俺達はあこちゃん、明日香ちゃん、そして朝日六花ちゃんを伴って空き教室に移動し昼食をとる

「夢のようや〜」

「夢って…確かに豪華な顔ぶれだしさっき紹介された高人先輩も凄い人なんだろうけどさ」

「なんならAfterglowも呼ぼうか?」

「いえいえ!なんかもう!先輩達とこうして話せてるだけでもおなかいっぱいって言うか!その上Afterglowさんまで増えたら私気絶しちゃいます!」

「ロックはね、バンドやりたいんだって!それで今もメンバー探してるんだって」

「へぇ〜ギター?それともベース?他の楽器かな?」

「ギターです!光先輩もギターですよね?」

「光兄ぃはなんでも演奏するよ!普段はギターとキーボードだけど、練習の時とかドラムもベースも1人でわぁーって演奏しちゃうの!」

「バイオリンやハーモニカも演奏出来るし、去年の修学旅行で三味線も覚えたよね?」

「ホンマに凄い人なんや〜」

「そういえば朝日さんと言ったかしら?光の事をどこで知ったの?名乗ったり前にあったりした覚えはないみたいだけれど」

「はい、確かに会ったりしたことはないです。去年のスペースのラストLIVEで先輩の事を知りました、男子なのに、オーナーさんが特別に認めて、カバー曲なのに皆を感動させるような演奏をしたから印象に残ってたんです!そして、入学して知りました、この学校の3年生なんだって」

「そういう事!じゃあ光のファン?」

「まぁ…その…そうなんですけど、光先輩よりもポピパさんのファンでして」

俺はそれを聞いて明日香ちゃんに話を振る

「だってよ明日香ちゃん」

「ここで私に振りますか!?確かにギターボーカルの戸山香澄は私の姉ですけど…」

「そうなん!?」

「言ってないんだね……」

そんな話をしながら昼休みは大いに盛り上がり午後の授業をやり過ごし迎えた放課後

「高人!ベース持って来てる?」

「いや、今日は家に置いてきたけどなんでだ?」

「いや、久々に一緒にやりたかったんだけどなと思ってさ!」

「なら、1度家に戻って俺のギターとベース持っていくよ!」

「決まり!楽器持ってcircleな!」

などと話しているとイツメンが話しかけてきた

「光、今日はバイトよね?いつも通り頼むわよ!」

「ひ〜くん!あたしも行くから後でギター教えて!」

「じゃあ、先行って待ってて!高人をcircleまで案内しないと!」

「じゃあcircleで待ってるね!」

そうしてイツメンと1度分かれ高人の家に向かった

そうして高人と2人自転車を走らせて10分程で到着する

「以外と近かったな!俺ん家より近いし」

「まぁ、こんなもんだろ、待っててくれな」

そうして楽器を持っきた高人と一緒にcircleに向かった

そして更に自転車を走らせてcircleに到着する

「ここか!」

「そう、この場所がcircleな!とりあえず、中入るぞ!」

「だな」

そうして店内に入りまりなさんに声を掛ける

「こんにちは、まりなさん、1人バイト希望が来てるんですけどバイト枠余裕ありますか?」

「大丈夫だよ!今日からさっそく入れるかな?」

「OKです!て言っても履歴書とかないんですけどいいんですか?」

「明日には持ってこれるかな?」

「大丈夫です!」

「じゃあ、これに名前と一応連絡先だけ記入してくれるかな?」

「わかりました!仕事の事は光に聞けば良いですか?」

「そうだね、と言っても光君は基本的にバンドの子達の練習見たりしてるからメインは受付と清掃になると思うけどね」

「まぁ、仕方ないっすね!光は誰かに教える事も技術向上に繋がるって感じでやってますからね」

そんな話をしながら名前と連絡先を書いた紙を渡し俺はバイトの内容を簡単に説明する

「メインはさっき聞いた通り受付と清掃な、それと楽器のメンテが週一くらいでレジの使い方は後から教えるからとりあえずは各スタジオ回って掃除頼むわ!俺はRoseliaの練習に行くから」

「了解!任しとけ」

そうして俺はRoseliaの練習に付き合いその後高人と一緒に帰っていた時俺達を誰かが呼び止めた

「あの!」

「俺ら?」

「はい!」

「君は朝日ちゃんだっけ?どうしたの?」

「実はとあるLIVEハウスの手伝いをする事になって、それで色んな所を回ってLIVEに出てくれる人を探してるんです!」

「それで俺らって訳か」

「お願い出来ますか?」

「良いよ!他のゲストとLIVEハウスの場所教えて貰える?」

「はい!」

そうして俺達2人は教えられた場所に向かうと確かにLIVEハウスがあった

「商店街にこんなとこあったんだな!」

「リニューアルって言ってたしよ、しばらく開けてなかったんじゃね?」

「かもね!一応家寄って衣装は持って来たしな」

「俺まで借りて良かったのか?」

「制服じゃあ格好付かないでしょ!」

「だな!」

そうして俺達はそのLIVEハウス内に入って行き集まっている他

のメンバーと合流するとちょうどLIVEを終えたらしいパスパレメンバーが楽屋に戻ってきた

「やぁ、お疲れ様」

「光君!来てたんだね!」

「あなたも呼ばれたの?」

「まぁね!こいつと2人で出るつもり」

そう言って俺の後ろで控えていた高人をまえに引っ張り出す

「ども!宮原高人です!光の相棒です!」

「麻弥ちゃんから聞いているわ!光の昔の仲間だったのよね!」

「そそ!そんで今もまた相棒として隣に立つ存在です!」

「私は白鷺千聖よ!」

「知ってるよ!テレビによく出てるもんな!」

「他のメンバーはも紹介するわね!麻弥ちゃんと日菜ちゃん

は知ってるわよね?」

「一応な!光に紹介してもらったし」

「ボーカルの子が彩ちゃんでキーボードのイヴちゃんだよたかくん」

「彩ちゃんにイヴちゃんね!よろしく!」

「よろしくね!彩で良いよ!高人君!」

「私もイヴで大丈夫です!」

「じゃあよろしくな2人とも」

そうして話しているとAfterglowの皆が戻ってきた

「お疲れ様!いい演奏だったよ!」

「ありがとうございます」

「蘭照れてる〜」

「モカー!」

「アッハハ、褒められて悪い気はしないもんね!」

「そうだけど…そうじゃないって言うか…」

「光、そろそろ俺を紹介してくれない?」

「他のメンバーにも紹介するからもう少し待てよ!」

「しゃーねーな!」

そうして話しているうちにハロハピのこころとはぐみ、そして薫がミッシェルを探してやってきた

「ミッシェルはいるかしら?」

「残念だけどいないよ!ステージの方じゃないかな?」

「なら、行ってみるわ!」

こころ達はそのままステージの方に行くと無事合流出来たようで演奏が開始された

そしてその様子を見ていた香澄は可愛いと絶賛していた

「確かに可愛いな!」

「世界を笑顔にしたいって活動してるからねあの子たちは」

そう話しているとRoseliaの皆が入ってきた

そして蘭がリハーサル時にいなかった事を指摘し突っかかる

俺は周りの皆に'シー'とジェスチャーしそっと近付いて蘭の頭をワシャワシャする

「うあああ!何!?何!?光さん!?何!?」

「そう突っかからないの!AfterglowにはAfterglowのRoseliaにはRoseliaの良さがあって当然なんだからさ!」

「その通りよ!わかってるじゃない!私達は私達のやり方で最高の演奏をするまでよ!」

「なら!見てますからね!最高の演奏してください!」

「当然よ!」

そうしてRoseliaの皆はスタンバイしメンバー紹介を終えると

演奏が始まった曲はLOUDERだ

「見てみなよ蘭!観客皆が熱中してる!」

「有言実行を成せるのは凄いと思いますけど、光さんの方が凄いですよ!」

「そう?俺は全力でやるだけだからね!相棒もいるし!」

そうしてRoseliaの演奏が終わりポピパの番になりポピパは

HappyHappyparty!で更にLIVEを盛り上げて俺達の番となる

俺達はステージに立つと話し出す

「こんばんは、光です!今回は俺の相棒が一緒です、紹介します宮原高人です!」

「紹介に預かりました高人です!この春から久々に光と一緒に演奏する事になりました!今日が初めてな人もいるかと思うので、俺達2人や他のバンドの子達のバンド名だけでも覚えて帰ってください!光!準備は?」

「いつでもいいよ!」

「曲決めたのか?即興でやるんだろ?」

「1曲目から卒業でいくよ!」

「おっしゃ!じゃあ聞いてください!」

「「卒業!」」

 

俺達は演奏を始め高人が頷いたのを確認し歌い出す

 

『 6時ちょうどにアラームを押し込んで

めざましのテレビなんかに追い立てられて

あわてて飛び出して行くアスファルト蹴り上げて行く

イヤフォンにエンドレスのビートを鳴らして

代わり映えしないいつもの教室に

かけがえのない大切な仲間がいる

「給食のパンてどうしてこんなにパサついてるんだろう!?」

そんな事言い合えるのももう少しで終わってしまうんだね

変わって行こうぜやりたいことまだ見つからなくても笑っていようぜ俺たちは俺たちを卒業しないから

 

このごろママは子育て放棄中

パパは寛容と理解のプリテンダー

だからスティングレイ鳴らしてお前らと朝まで語って

そんな時間が永遠に続くと良いなと思っているんだ

変わっていこうぜどうせなら一から塗り替えてしまおうか

泣いてもいいんだぜ俺たちは俺たちを卒業しないから』

 

控え室

「彼の演奏が加わるだけでこんなに違うのね!」

「光さんの素の実力を上手く引き出してるって言うか、あの人も何者なんですか?」

「光君の相棒でしょ?」

「光の影かしらね」

「そっか!光と影!」

「格好いいですねあの二人」

控え室はそんな感じで盛り上がっている

 

『 ワンピース欠けちまったら完成しないパズルのように

俺たちのキズナは最強のストーリーになる

変わっていこうぜやりたいことは自分で見つけるのさ

笑っていようぜ俺たちは俺たちを卒業しないから

俺達の現在(いま)を駆け抜けろ』

 

演奏が終わると俺は使っていたギターを高人に渡しアコギに持ち替えてから話し出す

「今回はこれがラストの曲になります!皆!楽しんでますか?」

そう問いかけると観客達の熱気のこもった声が聞こえてくる

「じゃあ最後まで今のテンション維持していきます!

高人!風になる!」

「はいよ!」

そうして高人が俺のエレキを弾いてそれに合わせるようにアコギを奏でて歌って行く

『 忘れていた目を閉じて取り戻せ恋のうた

手を伸ばしてもう一度

忘れないですぐそばに僕がいるいつの日も

星空を眺めている一人きりの夜明けも

たった一つの心悲しみに暮れないで

君のためいきなんて春風に変えてやる

陽のあたる坂道を自転車で駆けのぼる

君と失くした思い出乗せて行くよ

ラララララ口ずさむくちびるを染めて行く

君と見つけたしあわせ花のように

 

忘れていた窓開けて走り出せ恋のうた

青空に託している手をかざしてもう一度

忘れないよすぐそばに君がいるいつの日も

星空に輝いている涙揺れる明日も

たった一つの言葉この胸に抱きしめて

君のため僕は今春風に吹かれてる

陽のあたる坂道を自転車で駆けのぼる

君と誓った約束乗せて行くよ

ラララララ口ずさむくちびるを染めて行く

君と出会えたしあわせ祈るように

君と出会えたしあわせ祈るように』

 

「今日という日に観客の皆さんと出会えて良かったです!ありがとうございました!」

そうしてLIVEは終了しLIVEに出演したバンドが勢揃いした

そしてRoseliaから告知があるらしく友希那が話し出す

 

「Roseliaの主催LIVEをやるわ!そしてそのゲストの1人をここで発表します!」

「ここにいる誰もが知っている方です!」

「RoseliaのRoseliaによるRoselia大饗宴そしてそのゲストとも大共演を果たすのだ!」

「今井さん!発表をお願いします!」

「発表します!主催LIVEのゲストの1人は我らがミュージックキング!宮村光!」

「俺!?」

「一緒に演奏しましょう光!主催LIVE限定で薔薇の騎士になってちょうだい!」

大勢の前で宣言されたら乗らないわけにいかないし断る理由もないのでOKする

「じゃあ1夜限りの共演だね!よろしくねRoseliaの皆!」

そうして俺はRoseliaの主催LIVEに出演する事が決まった。

 

 

 

 




お久しぶりです3年生編の第1話になりますね!
会話が結構多めなのでもしかしたら読みづらいかもしれませんがそれでも楽しんで貰えたら幸いです!
次回はモニカ登場回になりますのでお楽しみに
次回「新たな出会いと音楽の世界」


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第55話新たな出会いと音楽の世界

光は新たに音楽の世界へ足を踏み入れた少女達と出会い
演奏する事になるのだった…


Roseliaの主催LIVEに招待された光は主催LIVEの前にcircleで

月一で行われるLIVEに高人と一緒に出演していた

出番は最後なので2人で音響や照明を担当していた

「光、今までずっとこれやってたの?」

「そうだよ、基本的には演奏は最後でそれまではこうして裏方」

「大変だな!」

「慣れると楽しいよ!」

そんな話をしながら音響と照明を担当していると俺達の番となり裏方を任せて俺達もステージに上がり演奏する

そして2曲程演奏してLIVEは終了となり俺達はLIVEに来てくれたお客さんを見送る中で2人の女学生に話しかけられた

「あの!さっき演奏してた人ですよね?ここのスタッフさんだったんですね!」

「アルバイトですけどね」

「でも、自分達の番になるまで音響とかやってたんですよね!凄いです!」

「そうかな?でも、ありがとう!またおいで」

「はい!私!双葉つくしって言います!こっちは友達の倉田ましろ!月ノ森女学院の1年生です」

「俺は光、宮村光!羽丘学園の3年生だよ!」

「よろしくお願いします!私…皆の演奏聞いてて、自分達もこんな風に演奏してみたいと思いました!」

「そっか、頑張ってね!応援してる!ここに来れば練習は見てあげるから」

「よろしくお願いします!」

そうして2人を見送ってすぐ高人がLIVE後の点検を終えて戻ってきた

「お疲れ光、LIVE後の点検終わったぜ!異常なしだ!」

「じゃあ掃除しちゃおう!」

そうして2人で掃除しているとLIVEに参加した皆が帰宅するようで声をかけてきた

「LIVE楽しかったです!」

「またやりましょう!」

「皆が楽しいとこっちまで笑顔になるわ!」

「そうだね、また皆で集まろうね!」

「えぇ、私も賛成よ、光!月末には私達の主催LIVEがあるのだからしっかり準備しておきなさいよ」

「わかってるよ!俺なら大丈夫!」

「厄介事を抱えるなら早めに解決しなさいよ」

「了解!その辺も大丈夫!」

「それから高人」

「うん?」

「光と並ぶ以上中途半端や惰性は許さないわよ」

「あぁ、任せてくれ!」

それだ言うと満足したのか友希那達は帰って行った

そして掃除と各スタジオの機材の点検をしてから俺達も解散した

そして次の日の放課後

俺はバイトで受付に座っていると昨日LIVEに来ていたましろがメンバー募集の張り紙を持ってやって来た

「あ…先輩…こんにちは」

「やぁ!ましろちゃんだっけ?こんにちは、今日はメンバーの募集かな?」

「はい、でも、集まるか不安で」

「きっと見つかるなんて気休めは言いたくないけど、見つかるといいね!このメンバーじゃないとダメだって思えるようなメンバーに」

「はい!」

そうして少し話をした後ましろは帰って行った

それから2、3日してメンバーが集まったと知らせにきた

そしてバンド名こそないが、部活として小さなLIVEに参加する事まで教えてくれた

そして次の日、バイトはないが練習の為にcircleに行くとましろとつくしちゃん他の2人が来ていた

そして2人は金髪のちょっとヤンキーっぽい感じの子が

桐ヶ谷透子、おっとりした見た目の子が広町七深と言うみたいだ

このメンバーと一緒にLIVEに出るから軽く練習を見て欲しいと頼まれたのでOKし現在、練習を見ているが皆イマイチまとまりがないがかろうじて形になってはいるのでどうしようかと悩みつつ最低限のアドバイスをしてちょっとした技術向上に貢献した

そして次の日はバイトでcircleに来ていたがましろが尋ねてくることはなかった…

そしてそれから数日たった土曜日、ましろが来て張り紙を剥がしていた

俺は迷った末に声を掛ける

「ましろ、どうかしたの?仲間が集まったから剥がしに来たって訳じゃ無さそうだけど?」

「もう…いいんです!」

そう言ってましろはcircleを出て帰ろうとしていた所を香澄が呼び止めた

 

ましろ視点

何もかも諦めて帰ろうとしていた時Poppin’Partyの香澄さんが呼び止めた

「待って!LIVEに来てた子だよね?LIVEの終わりに光先輩と話してた」

「はい…倉田ましろです」

「ましろちゃんはバンドがやりたかったんでしょ?」

「はい…でも…もういいんです…」

「私もね、声が出なくなって続けられないかもって思った事もあったし、悩んで立ち止まってばっかりだけど、その度に仲間が支えてくれるんだ!それに、光先輩も!」

「え…光先輩も?」

「うん!私が1年生の時はバンドメンバー全員が先輩に助けてもらって、私達を導いてくれたんだ!だからさ、簡単じゃないかもしれないけど、仲間を頼ってみても良いんじゃないかな?」

「仲間を…頼る」

「光先輩と話してみなよ!きっとヒントかなにか貰えるはずだよ!もちろん私や他の人でも良いけど、まずは相談することを忘れないで、私もね、先輩に相談したい事あるんだ!だから一緒にいこう!」

そう言って私の手を引いてcircleに戻ってきた

「光先輩!」

「やぁ、もうこんばんはかな?いらっしゃい香澄、ましろも」

「はい…」

「今日はどうしたの?」

「色々相談にのってほしくて」

「ましろも?」

「…はい」

「わかったカフェテラスで話そう休憩貰ってくる」

そうして断りを入れて休憩を貰いカフェテラスで話をする

「香澄の相談って何?」

「私達のLIVEの事で相談したくて、主催LIVEは全部自由だって聞いたんです!でも、意見が纏まらなくて!光先輩は主催LIVEしたことありますか?」

「ないけど、俺から言えるのは悩むだけ悩めば良いって事だよ!どうしようもなくなったらおいで演奏聞かせてあげる」

「やっぱりそれが1番なんですよね!それを聞けて良かったです!」

「さて、ましろの相談って?」

「あの…えっと…」

「言い辛い?」

「正直言い辛いです。それになんて言っていいか」

「でも、自分じゃどうしていいかわからないんだよね?」

「はい…」

「先輩!演奏!聞かせてあげてください!」

「演奏?」

「こういう時こそ光先輩の演奏が励みになるはずです!」

「わかった」

俺は1度店内に戻り持参していたアコギを持ってきてましろの隣に座るとアコギを取り出し感触を確かめてから話し出す

「聞いてください、明けゆく空」

 

『 またそうやって見ないふりをするの?

逃げていたって無駄な事分かってるくせに

いつだってそうだ息が苦しくなると

ほらすぐ俯いて目を閉じる

 

どうして僕を頼ってくれないの?

相談しても何も解決しないかな?

だけど君の心が軽くなればそれで十分なのにな

 

辛い時に君がいてくれたように

僕だって少しはチカラになりたいのに

ぜんぶ話さなくても泣いて話せなくてもいいから

僕はいいから

輝くような毎日は続かないけど

それでも寝るのが惜しくなるような

そんな今日という日を大切にしたい

心の奥が真っ黒になるその前に僕に少しでも話して欲しい

抱えなくて良いよひとりで

 

僕にだって言えない傷がある

笑っていても苦しい時だってあるけど

きっと誰もがそんな夜を越えて優しい大人になるんだろうな

 

弱さを見せるのはまだ慣れなくて

強がってばかりのこんな僕だけど

君には甘えて頼ってしまってもいいかな?ねぇいいかな?

 

瞬くようにこの今が過ぎていくけど

それでも笑顔を絶やさないように

いつも今日の夕陽を忘れずにいたい

朝が恐くてうずくまってた日もある

真っ赤な目で見つめたその先に滲んで揺れてた三日月』

 

香澄・ましろ視点

「先輩らしいな〜見て見ぬふりが出来ないって感じで」

「私…私…あれ?…なんで?」

涙が溢れてくる、心の奥が真っ黒にになる前に誰かを

頼るなんて簡単なようで難しくて、心の中見透かされてるみたいででも、不快な感じじゃなくて、とっても暖かくて優しい光に包まれてるようなそんな感じがしている

『 少しずつ明けてく空新しい朝始まる

 

輝くような毎日は続かないけど

それでも寝るのが惜しくなるような

そんな今日という日を大切にしたい

心の奥が真っ黒になるその前に僕に少しでも話して欲しい

抱えなくていいよひとりで抱えなくていいよひとりで』

 

 

演奏が終わると同時に嗚咽混じりにましろが話し出す

「LIVEの後…手応えって言うかは…あった…んです

でも周りの反応とかはイマイチでなんか皆で犯人探しみたいになっちゃって…私…皆に酷い事言っちゃって」

「そっか、まさに現実に打ちのめされた感じだな〜」

「先輩!私たちの時みたいに出来ませんか?」

「ましろ達がそれを望むなら、明日、また''友達の皆''とおいで、演奏してあげる」

「私…!皆と話してみます!」

そうして香澄と二人帰って行った

俺は高人に連絡する

(あいよ?どうした?)

「明日付き合え!circle!ガチの演奏する!」

(て事はルミナスか!腕が鳴るな!俺はシャドウとしてお前の輝きを鮮やかにしてやるよ!)

「任せる!」

そうして通話を終了し店内に戻りバイトに勤しみ帰宅した後は曲を探し、いつものように見つける

そして眠りに着いた

 

次の日

ましろが他のみんなと一緒にcircleにやってきた

「来ました!皆一緒です!」

「いらっしゃい、あれ?はじめましての人がいるね!」

「八潮瑠唯よ!よろしくお願いします。あなたが倉田さんの言っていた先輩ね」

「そうだよ!光って言うんだ!こっちは相棒の高人!」

「よろしく!準備出来てるから客席で待ってて」

「はい!」

そうしてましろ達は客席側へ俺達は控え室に行き着替えて楽器を持ってステージに上がる

「こんにちは、ルミナスです!」

「ルミナス?光先輩じゃなくて?」

「もう1人の光みたいなものかな?この姿の時は本当の本当に誰かに向けて歌う時の姿です!そして僕という光を際立たせる影シャドウ!」

「シャドウです!ルミナスの影として演奏に参加します!」

「まずは皆の気持ちを聞かせてくれるかな?」

「バラバラで纏まらないこの気持ちを1つにしてください!」

「任せて!早速行くよ!まずはこの曲!butter-fly!」

「了解!」

そうして僕等は演奏し歌っていく

 

『 ゴキゲンな蝶になってきらめく風に乗って

今すぐキミに会いに行こう

余計なことなんて忘れた方がマシさ

これ以上シャレてる時間は無い

何がWOWWOW〜この空に届くのだろう

だけどWOWWOW〜明日の予定もわからない

無限大な夢のあとの何もない世の中じゃ

そうさ愛しい想いも負けそうになるけど

Stayしがちなイメージだらけの頼りない翼でも

きっと飛べるさOhMyLove

 

ましろ達視点

「頼りない翼でもきっと飛べるね…」

「良いじゃん!アガる!」

「何がこの空に届くのかの答えは私達の翼?」

「私達飛べるかな?」

「きっと飛べるって言ってるし大丈夫だよ!」

そんな話をしながら曲を聞いていく

 

『 ウカレタ蝶になって一途な風に乗って

どこまでもキミに会いに行こう

曖昧な言葉って意外に便利だって

叫んでるヒットソング聴きながら

何がWOWWOW〜この街に響くのだろう

だけどWOWWOW〜期待してても仕方ない

 

無限大な夢のあとのやるせない世の中じゃ

そうさ常識はずれも悪くは無いかな

Stayしそうなイメージを染めたぎごちない翼でも

きっと飛べるさOhMyLove』

 

ましろ達視点

「人に影響を与えるのが何かは自分達次第ということかしらね」

「かもな!でも常識に囚われないってのはそれだけでスゲー事なんだろうぜ」

「そうだね!まだぎこちなくてもそれが私達なのかもね!」

「それを伝えたかったのかもね〜」

「きっとそうだろうね」

そんな話をしながら私達は曲を聞いていく

 

 

『 無限大な夢のあとの何もない世の中じゃ

そうさ愛しい想いも負けそうになるけど

Stayしがちなイメージだらけの

頼りない翼でもきっと飛べるさOhyeah〜

無限大な夢のあとのやるせない世の中じゃ

そうさ常識はずれも悪くはないかな

Stayしそうなイメージを染めたぎごちない翼でも

きっと飛べるさOhMyLove』

演奏を終えて僕は話し出す

「僕達からは多くは語りません!曲を通して自分達らしさや時にぶつかり合うことの大切さを知ってください!次の曲はEXIT」

曲名を告げて俺たちは再び演奏と共に歌っていく

『 途切れない地下鉄に吸い込まれ吐き出され他人ばかり

揺れるたび入り乱れるひとの場所僕らの場所

ぼやける境界線

今 手を離せば君は他人たちの海へ消えてしまうこと

知っているつもり

狭い出口に言葉たちが殺到していてもどかしく立ち往生する

やるせのない日々地下鉄のホームに残り

乗るはずの電車を今日も黙って見送るだけ』

 

ましろ達視点

「自分達の居場所を探すような曲ね」

「誰かと手を取り合う事の大事さなんかもあるな!」

「やるせない日々とか、今の私たち見たい」

「かもね〜、電車を見送るシーンとかまさにそうかも」

「今の私たちのどうしようも無い気持ちがこの曲に込められてるのかも」

「だとしたら今の私たちってなんなんだろう?」

それぞれの思いを抱えながら曲に耳を澄ます

 

『 地上では強い雨降り出して来たんだろう濡れた車体

「これ以上この場所に留まってはいけない」と

トイレの落書き

涙を浮かべて「自分勝手」と責めるかい?

どうしようもない事だってあるんだ

僕は上手に笑えてたかい?泣けていたかい?

どんな時も強い姿で君の前に立っていたかった

上手くはいかなかった

暗い足元こんなにも頼りなくて信じるものが今ひとつ

フワフワと掴めない』

 

ましろ達視点

「どうするのが正解なのか、どれが正解なのかも分からない

それが私達って訳」

「目の前が暗闇でおぼつかない足取りなのがあたしらって訳か」

「だとしたら正解ってなんなんだろうね〜」

「それを私達が見つけないといけないんだよ!」

「そうみたいだね」

皆の気持ちが自然と前を向いていく

 

『 取り戻せたならただとりとめのない話に

柔らかな相づち穏やかな午後

狭い出口に言葉たちが殺到していて

もどかしく立ち往生するやるせのない日々

闇雲に強い力で押さないで何が大切?探しているところだ』

演奏が終わると俺達は皆を一瞥する

「纏まったようだね、なら僕達からのエールとしてこの曲を送りますホログラム」

僕達はラストの演奏を始め歌っていく

『 真っ白な景色にいま誘われて僕は行くよまだ見ぬ世界へ

 

迷子のまま旅していた鼠色の空の下日替わりの地図

いくつもの夢が滲んでいた

いつかはさちっぽけな僕の歩幅でも

あの雲の向こうまで行けるかな

強がってキズついた心透かしたように

降り出した雨粒たちが乱反射繰り返す

真っ直ぐな光が交差して行く先も告げぬまま

どこまでも突き抜ける

淡い残像両目に焼き付けて

届くはずなんだまだ見ぬ世界へ

 

知らず知らずに貼っていたのは白黒のステッカーで

大事なもの僕らは隠してしまっていた

宝の石より花より星の灯りより綺麗な

「夢」という名のホログラムをざわめきを

はみ出して逆らっていつか描いた風景

悔しさも寂しさもいま泡みたいに弾けとぶ

真っ直ぐな道で躓いたってかささぶたはがれたら

今よりきっと強くなれる

真っ白な景色にいま誘われて僕は行くよまだ見ぬ世界へ』

 

ましろ達視点

「自分達はスタートをきったばかりなのだから真っ白な景色なのは当たり前と言うわけね」

「だとしたらあたしらってまだゼロから1になったばっかって訳か」

「なら躓いたりしても私達なりの強さを持って頑張れって事なのかな?」

「きっとそうだよ〜」

「だとしたら、私達はこれからだもんね」

そんな話をしながら笑い合う私達は確かにバンドとして1つになれた気がした。

 

 

 

『 霞む空の先に虹色の光明日の影に震えるたびに

遠くで僕を呼ぶ声がして真っ直ぐな光が散らばって

雨上がりの午後に束になって降り注ぐ

無限のグラデーションがいま混ざり合って

この空の下どんな所にいても

必ず届くはずさまだ見ぬ世界へ』

全ての演奏が終わり俺は話し出す

「君達はこれからもっと成長できるから頑張って!挫けそうになったら皆で話し合いながら進んで行けばいいよ」

「どうしようも無くなれば光や他の皆に相談したらいいさ!その時は喜んで力貸すからさ!」

「はい!私達これからも頑張ります!」

「まずは色々話し合わないとな!」

「まずはそこからだもんね!」

「はじめの一歩〜」

「自分達のペースでやってきいましょう」

そうして皆が帰っていくのを見送ったあと高人が話しかけてきた

「いつもってか、去年もこんな感じでやってきたのか」

「まぁね、俺にはこれしか出来ないから」

「きっかけを与えるのは大事だけど、自分達の力で成し遂げさせるようにしろよな!」

「わかってる!だから必要以上は踏み込んでない」

「そうじゃねーよ!あえて突き放すことも出来るってことさ」

「それで絆が壊れるなら俺は嫌だ!全てを無くすのは俺一人で十分だ!」

「まぁ、そう言うと思ったよ!俺はお前の望むようにしてやるよ!」

「高人は良いのかよ?」

「俺はお前と一緒に演奏したいんだ!それが出来るならお前のやり方に口を挟むつもりは無い!」

そう言って高人は店内に戻って行った

俺もその後を追うように店内に戻りバイトに勤しんで解散した

 

そして次の日

ここ数日連勤でバイトに出ているがやる事はあまりない

「自分の楽器のメンテでもするか!」

そうして俺は自分の楽器のメンテをしているとましろ達がやってきた

「こんにちは!」

「うん!こんにちは、今日は練習?」

「それもあるんですけど、一応報告がありまして」

「報告?」

「バンド名!決まったんです!Morfonicaって言います!

略称でモニカです!」

「名前、決まったんだね!じゃあこれからがモニカとしてのスタートだね!」

「はい!」

「またなんかあったらお願いしますね!」

「どうしようもなくなったら頼らせてください」

「あたしからもお願いします」

「お願いします」

「先輩…また頼ってもいいですか?」

「もちろんだよ!挫折や後悔なんていくらでもするんだから、そこから立ち直るきっかけなんかが必要なら話聞くよ!第三者がいた方が良い場合だってある訳だしさ」

「ありがとうございます。」

そうしてMorfonicaとして5人は新しいスタートを切ったのだった。

 

 

 




モニカ編になります。モニカがあまり登場してない感じもありますが、最初はモニカの皆との出会いなのでこんな感じです。話の流れとしてはシーズン2の内容の中に主人公がいるものと考えていてください。次回はRoseliaの主催LIVEの話を書いていこうと思いますのでお楽しみに
次回「主催LIVEとスカウト」




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第56話主催LIVEとスカウト

Roseliaの主催LIVEに出演する事になった光はLIVEを盛り上げるために最高の演奏を約束する


Roseliaの主催LIVEで演奏する事になった光は演奏する曲を探しているがこれというものがなかなか浮かばない

俺自身LIVEを盛り上げるのは簡単だ、でも、RoseliaのLIVEだし何より盛り上げるだけじゃ足りないと感じていた

「友希那達と相談しながら決めた方が良いかな?」

そうして俺は友希那達と連絡をとりcircleに集合した

「光、相談って言うのはLIVEの事よね?」

「うん、曲どうしようかと思ってさ、俺の出番で演奏するのは2曲でしょ、盛り上げるだけなら曲はいくらでも浮かぶんだけどね…」

「それだけじゃないって顔してるわね」

「わかる?」

「えぇ、あなたが言った通り盛り上げるだけならノリの良い曲を選ぶなどすれば良いわ、でも、それだけじゃないわ」

「だよね、盛り上げる事は重要だけど、それからどう繋ぐかまでも考えないといけないよね」

「でも光、合同演奏も忘れないでよ」

「え?俺聞いてないけど?」

俺の反応にリサはしまったというリアクションを浮かべた

「もしかしてLIVE当日まで内緒だった?」

「そのつもりだったけど、良いわ、言った通り貴方には一緒に演奏してもらうつもりでいるのよ」

「なら、余計に最高の演奏をしないとね」

「演奏については心配してないわ、貴方なら最高の演奏をしてくれるだろうしね」

「それについては約束するよ!呼んでくれた以上は最高の演奏をしてみせる」

そうして俺は友希那達と話しながら曲のヒントを探し演奏する曲を決めた。

そんな俺の表情をみて皆は笑みを浮かべていた

「どうやら決まったようね」

「あぁ、うん!決まったよ!当日を楽しみにしてて」

「そうするわ、せっかく集まったのだし練習しましょう

光、いつものようにコーチお願い」

「OK!俺も参加するよ!どうせ合同演奏するんだよね?」

「その代わりあくまでも五割キープよ!合同演奏の時は7割まで許すわ」

「了解!少しずつギアあげていくからね」

「了解よ!じゃあいくわよ!LOUDER」

久しぶりにRoseliaのみんなと一緒に演奏してみて皆、確実に実力を伸ばしているということだ現状3割程度だが問題なく着いてこれているので俺は一気に5割まで引き上げる

演奏しながら周りを見るともう少しだけなら余裕がありそうだったそしてので6割で演奏する

演奏が終わると皆が息を切らしていた

「光、5割までと言ったはずだけど本番同様7割か8割で演奏してたんじゃないでしょうね?」

「一応5から6割くらいのつもりだっけどね」

「余裕そうならボーカルもやってもらおうかしら?私達の曲をカバーしたら良いわ」

「俺が?歌っていいの?」

「構わないわ!望むなら1曲任せるわ!」

「LOUDERかFIREBIRDやらせてくれる?BRAVEJEWELでもいいけど」

「皆はどれが良いかしら?」

「FIREBIRDかな?」

「私はBRAVEJEWELが良いかと」

「あこもリサ姉と一緒でFIREBIRDかな」

「LOUDERを希望します!」

「友希那は?」

「LOUDERね!私達の原点とも言える曲を是非ともお願いしたいわ」

「じゃあLOUDERで!他は1曲は友希那とデュエットでどうかな?」

「それで良いわ!光!練習を怠らないようになさい!」

「わかった!と言ってもRoseliaの曲は既に5・6曲カバー出来るんだけどね、これでも、去年から知り合ったバンドの曲は1曲はカバー出来るんだ」

「さすがね!なら私達の時も最高の演奏をしてもらいましょう!」

「期待してて!」

そんな話をしながら2時間ほど練習し解散した

 

俺は帰宅すると部屋にこもり演奏に集中する

そして適当なところで切り上げ遅めの夕飯とシャワーを済ませ就寝する

それからしばらくして迎えたLIVE当日

Roseliaの皆が集めたゲストの人達が集まっていてその中にポピパの皆もいたので俺は声を掛ける

「皆!来てたんだ」

「主催LIVEの雰囲気だけでも掴んでおきたくて!私達もLIVEをするとは言った手前、まだ全然で」

「そっか、何か掴めるといいね!」

「はい!私達にどんなLIVEができるか分からないですけど、きっかけは掴めたらと思います!」

そんな話をしているとRoseliaが入ってきた

「皆!今日は集まってくれてありがとう、お礼を言うわ」

「皆で最高のLIVEにしようね!」

「よろしくお願いします」

「頑張ろうね!」

「皆さんお願いします!」

そうしてRoseliaの主催LIVEが始まった

俺の出番は最後のため控え室で出番を待っていると友希那達が話しかけてきた

「光!準備は良いかしら?」

「いつでも大丈夫だよ!出番はもう少し先だけどね」

「衣装は今の格好で行くの?」

「そのつもりだけど?ルミナスの白装束はちょっとね」

「なら、これを着てちょうだい!Roseliaメンバーとしてステージにたって欲しいのよ」

渡されたのは今、俺が着ている衣装に似ているが青や紫の薔薇の刺繍が施されていて何故か仮面も付いていた

「衣装はともかくなんで仮面?」

「シークレットゲストって事で!」

「デザインはみんなで考えたので似合うと思いますよ」

「着てみてよ!」

「きっと似合いますよ」

「まぁ、そういう事なら」

俺は上着を脱いで友希那達のくれた衣装を身に纏い衣装に合わせて少し髪をいじり身だしなみを整える

「どうかな?」

「良いじゃない!似合うわよ」

「イカしてるよ光!」

「素敵です!」

「なんか薔薇の剣士みたい!」

「確かにそうみえるね」

「じゃあ俺は青薔薇の剣士ってよりは騎士かな?剣はないけど、代わりにギターって事で」

「いいわね!じゃあその名で行きましょう!」

「だね!」

「賛成です!」

「あこも異議なし!」

「私もです!」

「じゃあ、この姿で行ってくるね!」

そうして舞台袖に行き俺はポピパの演奏を間近で聞く

今回の曲はHappyHappypartyとSTARBEATホシノコドウの2曲でどちらも盛り上がりその熱を引き継いで俺の番となる

俺は青薔薇の騎士として舞台に立つ

「こんばんは、主催LIVE最後のゲストの青薔薇の騎士こと光です!6人目のメンバーとしてこの熱を最後まで冷ますことなくRoseliaの皆に繋ぎます!聞いてください!大不正解」

俺はギターを弾きながら歌っていく

 

『 僕等は完全無欠じゃない原型を愛せる訳でも無い

この無様に移ろう形を安い化けの皮を

噛み付き合い剥ぎ取り合って互いを見つけて来たんだろう

補い合うのなんざご免なんださぁ好きに踊ろうぜ

 

何を作るつもりなんだ自分で散らかした瓦礫の上

同じ物を欲しがって同じ時を過したのが運の尽き

縁が目に見えりゃもうきっと腐ってる

 

言葉は2層面もそう仏の顔だって3度までを

天文学的に超えてくる華麗なステップで

 

僕等は完全無欠じゃ無い原型を愛せる訳でも無い

この無様に移ろう形を安い化けの皮を

噛み付き合い剥ぎ取り合って互いを見つけて来たんだろう

補い合うのなんざご免なんださぁ好きに踊ろうぜ』

 

Roselia視点

「なるほどね、私達は完成されてないまだ原型を留めない状態でも構わないというわけね」

「お互いぶつかり合って形にしていけばいいと」

「そういう事なんですね」

「さっすが光兄ぃ!」

LIVEを盛り上げるだけじゃなくて未完成である事の良さを伝えてくる所は私達の誰も敵わないと思った

 

『 誰になろうとしているんだ

最後はいつも自分を疑わないのに

 

背中合わせ 槍の雨 道連れ 泥舟 大アタリ

地獄の果てでもとは言ったけど本当に連れて来んなよ』

 

周りの音は程んと聞こえていない、聞こえるのは歓声と俺のギターの音だけだでも、構わない俺の音から逃れられなくしてやる!そう思いながら演奏していく

 

『 僕等は完全無欠じゃ無い原型を愛せる訳でも無い

この無様に移ろう形を安い化けの皮を

噛み付き合い剥ぎ取り合って互いを見つけて来たんだろう

補い合うのなんざご免なんださぁ好きに踊ろうぜ

 

暑苦しいのなんざご免なんだまぁ好きに呼べばいい』

俺はラストまでギターの音色を響かせながら演奏を終えて話し出す

「さぁ!このまま次に行きます!皆!しっかりこの熱量を保ったまま行きましょう!」

俺の言葉に観客席から歓声が響いていきた

「じゃあ次に行きます!Breaking'through」

俺は曲名を告げるとギターをかき鳴らし歌っていく

 

『 感情に抗うなよその足を止めんな倒れるのはまだ早いぜ

 

Breaking'through撃ち抜けよ

闇を振り解き辿り着く場所は一つさ

 

震える空何が動き出してる頬を切りつける

風は何を告げる

 

正しいだとかそうじゃないとか

下らない論争は消えやしないけど

信じた事を信じ抜く事

その先に僕等は光見つけるだろうさぁ解き放て今

 

感情に抗うなよその足を止めんな倒れるのはまだ早いぜ

 

Breaking'through撃ち抜けよ

闇を振り解き辿り着く場所は一つさ』

 

 

ポピパ視点

「光先輩ノってる!」

「だな!かなり演奏に力入ってるって言うか凄いイメージが流れ込んでくるって言うか」

「本当に凄いね!私たちの時とは段違い」

「遠いな〜先輩の隣」

「確かにね〜隣りどころか演奏家としては背中すら遠いね」

そんな話をしながら曲を聞いていく

 

『 ざわめく鼓動何に怖気づいてる

戻れやしない過去に別れ告げろ

 

矛盾だらけのこの世界じゃ全ての言葉が嘘に聞こえるけど

それでもこの手は離さないでと

その先で僕等は笑いあえてるだろうさぁ飛び込めよ今

 

現状に従うなよその両手あげんな見えない鎖断ち切れよ

 

Breaking'through撃ち抜けよ

闇を振り解き辿り着く場所は一つさ

 

そうさ今ゆっくりと目を閉じてごらんよ

偽りの無い世界が見えるだろう?

(だから)感情に抗うなよその足を止めんな

倒れるのはまだ早いぜ

 

Breaking'through撃ち抜けよ

闇を振り解き辿り着く場所は一つさ』

演奏が終わると俺は軽く深呼吸して話し出す

「俺の出番はここまでです!ここからはRoseliaの皆!」

俺はRoseliaの皆を呼ぶと予想していたのかステージにRoseliaの皆が揃い準備を完了させて話し出す

「Roseliaです!ここからは私Roseliaと彼、宮村光を含めた6人で演奏するわ!光は曲事にギター、ベースドラム、キーボードで参加してもらうわ!そして彼にもRoseliaの曲を1曲歌ってもらうから楽しみにしていて!」

友希那の言葉に皆が沸き立つ

「まずは改めてRoseliaのメンバー紹介からいくわ!

ギター、氷川紗夜!」

紗夜は軽く礼をしてギターを軽く引く

「ベース今井リサ!」

「よろしく〜!」

そう言ってベースを鳴らす

「キーボード白金燐子!」

燐子は静かにキーボードを鳴らす

「ドラム宇田川あこ!」

あこちゃんは勢いよくドラムを打ち鳴らす

「そして我らがボーカル湊友希那!そして今日このLIVEの間だけRoseliaとして演奏に参加する我らがミュージックキング!宮村光!」

俺は仮面を付けてから少し荒々しくギターを鳴らす

「準備は良いかしら?いくわよ!BLACKSHOUT!」

友希那が曲名を告げると雰囲気がガラリと変わり俺もルミナスとしての自分と俺自身を重ね合わせ静かな立ち上がりで演奏していく

静かに、深くでも音の荒々しさを維持しながら演奏していき

曲が終わる

「次にいくわ!光!燐子とツインでキーボードをお願い!」

「準備出来てるよ!」

「FIREBIRD!」

俺は友希那の歌い出しに合わせて燐子と一緒にキーボードを弾いていく

「潰えぬ夢へ燃えがれ!」

来た!俺は友希那のその声に反応しキーボードの音を広げていく

俺は翼を広げて飛び立つ不死鳥のイメージをキーボードを弾いていく

 

友希那視点

さすがね光、皆の演奏に混ざって貴方の音が私を更なる高みへ押し上げてくれる貴方のイメージの中の不死鳥のようにね

そう思いながら歌っていきFIREBIRDを歌いきる

「光!次はベースラインでリサと一緒に私を支えてちょうだい」

「もちろん!OKだよ!」

光は自分のベースを手に取り準備完了のサインを送ってきた

「さぁいくわよ!熱色スターマイン」

皆の演奏に合わせて光の少し低めのベース音が揺さぶりを掛けてくる

いい感じよ!ツインベースも最高よ私が見込んだ通りね!

そうして熱色スターマインの演奏を終えて次の曲のタイトルを告げる

「次はBRAVEJEWELよ!光、ドラムは任せるわ!」

「了解!さぁ、あこちゃん!一緒にいくよ!」

「うん!やるよー!」

そうして光が主軸となりドラムが皆を奮起させ今までにない演奏が出来たと皆が感じた

そうして4曲が終わりラストは光が締めくくる

「光!ラストは任せるわよ!」

「もちろん!」

「ラストは光が締めくくるわ!私達の曲LOUDERをカバーしてくれるわ!」

「じゃあ皆!いくよ!」

そうして俺はRoseliaの曲LOUDERをカバーする

メインは俺が歌い皆で歌う部分では友希那も参加して

俺達6人で演奏する

そうして俺達は最後の演奏を終える

「LIVEは終わりよ!来てくれた皆!ありがとう、そして光、これからもRoseliaの6人目としてよろしく頼むわ!」

「もちろん!俺の夢はRoseliaとともに」

そうして主催LIVEは終わりを告げた

 

光side

LIVEが終わり俺達はLIVEハウスのスタッフさんやゲストの皆と挨拶を交わしてLIVEハウスを出た所で小柄な女の子が俺達に声を掛けてきた

「Excellent!素晴らしいLIVEでした」

「あなたは?」

「私はプロデューサーのChuChuと申します」

そう言って俺と友希那に名刺を渡してきた

「それでプロデューサーさんが俺達になんの用?」

「あなたとRoseliaをスカウトしに来ました」

「私たちを?」

「是非とも私のプロデュースの元貴方達の演奏力を存分に発揮して欲しいのよ」

「悪いけどお断りするわ!」

「Why?何故!?」

「私達には目指すべき場所があるの!そこまでの道は私達自身で切り開くから必要ないわ!」

「俺もパス!俺は卒業後に所属する事務所が決まってるしね!」

「What's ?あなたもなの?」

「俺達の夢は自分達でってことさ!でも、スカウトするくらいには認めてくれたって事だしありがとうって言っておくよ!」

「そうね、ありがとうと言っておくわ」

そうして俺達が踵を返すとChuChuと名乗った子は俺達を呼び止めてUSBメモリをを渡してきた

「聞けばわかるわ!あなた達しかいないと思ったの!お願いよ!」

「申し訳ないけど、そのつもりは無いわ」

「俺は聞くだけなら聞いてもいいけど、スカウトの話はノーサンキューだね」

「聞いてくれるだけでも良いわ!聞けば絶対にこの曲を演奏したいと思うもの!」

「わかった、俺は聞くよ!」

そう言ってメモリを受け取った

「今日のところは失礼するわ、光宮村いい返事を期待しているわよ」

「貴方の演奏力だって本物なのだから!」

「答えは変わらないさ!」

そうして俺達はその場を後にした

「光、受け取って良かったの?」

「聞くだけだよ、聞けばわかるって言うくらいだし自信がそれだけあるってことでしよ!」

「まぁ貴方らしいわね!とは言えRoseliaを疎かにしない事ね!」

「俺、一応メンバーではあるけど今回が特別なんであって普段は指導役だよね?」

「それでも!アタシ達にとっては光はRoseliaの6人目なんだからさ!」

「まぁ、そこまで言われて悪い気しないし良いけどね!」

そんな話をしながら帰り道を歩いていき少しして友希那達と別れて紗夜と一緒に帰っていた

「光君、曲のデモを聞いてその後はどうされるんですか?」

「ん〜感想言ってその後はバンドはやらないにしても、Roseliaみたいに指導役とかサポート的な立場になるかはわかんないけど、それで終わりってことは多分ないんじゃないかな?」

「そうですか、あの!光君に聞いてみたかったんですけど、教える事をどういう風に捉えますか?」

「難しい質問だね、どういう風にか〜」

そう言われ俺は考える

もちろん手助け的な意味合いもあるが、それだけじゃないと思っているが具体的にどうと言われると何かを共有する感覚に近いのかもしれないと思った

 

「誰かと何かを共有する事かな?」

「共有する事ですか?」

「教えるって事はさまず自分が出来ることを伝える訳じゃん

つまり、認識だったり技術だったりそれこそ音だったりを共有するって感じかな」

「なるほど、光君らしい理由に納得しました」

「紗夜はどう?例えば俺だったりRoseliaの皆から何かを教わったりすることをどう思う?」

「そうですね〜、光君から教わる事についてどう思うかと言う質問にはやはり自分の足りない部分を知れる事と捉えます、そしてRoseliaの皆さんや他のバンドの皆さんとはやはり光君が言ったように共有するという感じが近いのかもしれません」

「なるほどねぇ〜でも、俺、Roseliaの練習見てるとたまに今のままで良いのかなって思う時はあるんだよね」

「その心配は杞憂かと、光君が教えてくれる事を意識しそれが出来れば貴方に並ぶ第一歩になりますから」

「そう言ってくれて嬉しいよ!そう言えば、紗夜もだけど、皆ネックレスしてたね」

「これの事ですか?貴方がくれたものですし、学校の時はさすがにあれですけど、家ではあえて言葉を濁しますけど、水を使う場合と就寝する時以外はずっと付けてますよ」

「紗夜はそう言うのは大事にしまっていて大事な時しか付けないと思ってた」

「このネックレスに込められた意味を聞いてますからね、なるべく身につけるようにしてるんです、お守りでもありますから」

「ならその羽1枚追加しようか」

「3枚になるんですがプライベート、バンド、ほか1枚はどうすれば?」

「1つ1つに意味が欲しいなら何か願いをのせたら?」

「願いをのせる?」

「願いを翼にとか羽にのせてとか言うでしょ!」

そう言って俺は羽の飾りを追加する

「この羽が翼になる頃には抱えきれないほどの願いが載っているのでしょうね!」

「かもしれないね!」

そんな話をしながら笑い合いつつ家路を辿る中で月明かりが俺達の行く先を照らしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




こんばんは、そして毎度の如くお久しぶりです。
3年生編の3話目になりますね
ラストはあえて帰り道までという形にしました。
読みながら想像して楽しんで貰えたら良いなと思います
次回はシーズン2の3話目を主軸としつつオリジナル要素を入れて書いていきますのでお楽しみに
次回「輝く時と宝物」


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第57話輝く時と宝物

Roseliaの主催LIVEを終えた光はポピパの皆からLIVEの相談を持ちかけられる


主催LIVEの翌日俺は友希那達からポピパとのやり取りを聞いた

「なるほどねぇ〜高人、どう思う?」

「言ってることは間違っては無いんじゃね?覚悟云々はともかく主催LIVEって何から何まで全部自由なもんだろ?それをやる事の大変さとかそういうのがまだ足りてないんじゃないか」

「仮に私達のようなLIVEをしたとしてそれが彼女たちらしいと言えるのかと問われたら違うと言わざるを得ないもの」

「友希那ちゃんの言い分もわかる気がするよ、やるやらないに限った話なら色んな大変があるんだろうし」

「言い方はともかく伝わったと思うよ!」

「その意見には俺も賛成、あえて厳しい事言わないといけない場合もあるしね」

そんな話をしながら昼休みを過ごし教室に戻った

 

 

ポピパside

「昨日のLIVE凄かったね、大学生の人たちもいたのにその中でRoseliaの皆も光先輩も堂々としてて」

「実力も完成度も圧倒的だった、何より光先輩が上手くRoselia一人一人の力を底上げしてた感じがあったし、それに友希那先輩達が光先輩に是非ってカバー頼んだくらいだし」

「確かにな、先輩達だって生徒会やバイトしながらだろ!光先輩に至ってはRoseliaだけじゃなくてあたしらとか他のバンドの練習見たりしながらその合間に練習してアレだろ!」

「あそこまで持っていくのは相当に大変だと思うしそれを表に出さないってなかなかできることじゃないと思う」

「ちょっと分からなくなっちゃった、でも、足りないものはわかるから、それがもどかしい」

「でも、やってみたい!大変だと思うしその大変さの半分もわかってないだろうけど、やっぱり皆で!」

「じゃあ、まずは経験者に聞くしかねんじゃね?」

「Roseliaの皆?」

「じゃなくて!もちろん紗夜先輩や燐子先輩にも色々聞きたいことはあるけどさ」

「じゃあ、やっぱり光先輩?」

「しかいないよね、Roseliaの主催LIVEでなんだかんだ活躍したのは間違いないわけだし」

「とりあえず、LIVEの事はまた今度考えよう!」

そうして私達は教室に戻り授業を受けるもののいまいち身が入らなかった

そして放課後昇降口

「おたえバイトだって」

「そっか、今日集まれるかな?先輩の都合も確認しないと」

「そうだね、私は後で行くから!」

「塾終わったらすぐ行くね!」

「うん!私はとりあえず先輩に連絡してみる!」

「わかった!じゃあ後でね!」

私は一足先に有咲の家に向かう事にし道中に光先輩に連絡する

 

放課後羽丘side

帰りのホームルームが終わり部活や委員会などに向かう面々や即帰宅という人など様々にいる中で俺達も帰る準備をしていた

「光、今日はバイト?」

「今日は高人のシフトだね」

「昨日今日と連勤なんだ!と言っても俺は光みたいにあれこれできる訳じゃないから最低限なんだけどね」

「光は率先して色々やるからね、circleじゃあバイトリーダーなんじゃない?」

「どうだろうね?」

「光、今日はどうするの?」

「ん〜久々の休みだし、路上LIVE久々やろうかな?」

そう話しているとスマホが着信を報せる

「電話だ、しかも香澄って事は・・・」

「厄介事の予感ね、まぁ、力になってあげなさいな、話を聞くだけでも違うわよ」

「それもそうだね」

俺は友希那と話したあと電話に出る

「もしもし、香澄?どうしたの?」

(先輩!今日予定空いてますか?)

「大丈夫だけど、なんかあった?」

(Roseliaの主催LIVEに出て一緒に演奏したりした先輩の話を聞きたくて)

「俺は構わないよ!話す事できっかけになるならね、有咲の家の蔵にいけばいい?」

(お願いします!有咲には私から伝えておきますから!)

「わかった、じゃあ後でね!」

そうして通話を終えてイツメンのほうに向き直る

「今回は後輩達からの悩み相談かな?」

「そうみたい」

「いってらっしゃい!」

「行ってくるよ!」

そうして昇降口を出て自転車置き場から自転車に乗りしばらく走っていると六花の姿を見掛けたそしてその先には香澄の姿があった

俺はパッと見でなんとなくだが状況を理解したので六花を通り過ぎて香澄に声を掛ける

「おーい香澄!」

名前を呼ぶと香澄は振り向いてこちらに駆け寄ってきたので俺はブレーキを掛けて立ち止まる

「光先輩!奇遇ですね!」

「だね!と言っても、俺より先に声を掛けようとしてた子がいるけどね」

そう言って俺は郵便ポストの影に隠れている六花の方を指さすと香澄は六花のほうに走っていき六花を捕まえる

香澄に捕まってあたふたしている六花の反応は見てて面白かった

そして香澄は六花と一緒に俺の所に戻ってきた

「こんにちは、光先輩」

「こんにちは六花、香澄に声をかけようか迷ってたよね」

「見てたんですか!?」

「見てたというか見えたが正しいかな?」

「じゃあ、私があたふたしてるところも・・・」

「見てたよ、見てて面白かったね」

「うぅ〜わたしのおたんちん」

「なんて?」

「いえ!なんでも!それよりもお2人とも家に来ませんか?」

「あぁ〜どうしよっか?」

「行きましょう!せっかくだし」

俺はとりあえず、香澄に呼ぼれた手前香澄について行くことにした

そして六花に案内されてやってきたのは旭湯だった

「ここ?銭湯だけど?」

「はい!住み込みなんです!」

「なるほどね」

そうして俺達は六花の部屋に案内された

「ちょっと狭いですけど」

俺は部屋どうこうというより目に泊まったのはギターだった

「これ、六花の?」

「はい!私のギターです!」

「弾いてみてよ!」

「今ですか?」

「出来たら、ほんの少しでもいいんだけど、まぁ無理にとは言わないけどさ」

「光先輩の前だと緊張しますね」

そうして六花がギターを手に取った時香澄のスマホが鳴った

「有咲だ、もしもし、有咲?今?旭湯だよ!六花の部屋にお邪魔してたんだ、光先輩もいるよ!」

「香澄、ちょっと代わって」

香澄は頷いてから電話向こうの有咲に代わると言って俺に代わってもらう

「もしもし、いきなりごめんね、皆、もしかして有咲の家にいる」

(はい、おたえのやつもバイトなかったみたいで、全員集まってます)

「じゃあ、香澄だけか、俺に聞きたいことあるんだよね?」

(そうなんですよ、Roseliaの主催LIVEの事でちょっと・・・)

「わかった、香澄と一緒に行くよ!」

(お願いします、待ってるんで)

「じゃあもう1回代わるね」

そうして香澄にスマホを返し六花に事情を説明する

「有咲の家に香澄以外のメンバー集まってるって言ってて俺にも来て欲しいって」

「じゃあ、演奏はまた今度ということで」

「だね、せっかくだし六花も来る?」

「おいでよ!」

「良いんですか!?」

「大丈夫!行こう!」

そうして俺達は旭湯を後にし有咲の家に向かった

そして有咲の家に着くと香澄が来るのを待っていたようで全員で御出迎えだ

そして蔵に集まり皆で話をする

「六花特待生だったんだ、初めて知った」

「先輩とは学年も違いますし、あまり誰かに喋ったりしてませんから無理ないと思います」

「んで住み込みしながらバイトもしてバンドメンバーも探してると」

「まさにロックだね!」

「地元でのあだ名はロックでした!」

「じゃあ、私達もそう呼ぼっか!」

そうして話していると香澄がギターを鳴らし出す

「びっくりさせんな!」

俺はその様子を尻目にロックに質問する

「こっち来たのは3月?それとも4月?」

「3月です!地元ではバンド組んでたんですけど、高校受験で出来なくなって」

「じゃあ、俺ともう1人、高人と出会った時はバイト中だったの?」

「何となくで入ってみたら店長さん一人で大変そうで思わず手伝いますって!」

「その時か…」

「色んなLIVEハウスやスタジオ回っても声掛けられなくてそんな時ポピパさんとその後に先輩にあってまたポピパさんに助けられちゃいましたそれに光先輩にも」

「LIVEの事?」

「それもですけど、去年の夏にSPACEのラストLIVEを見に来たんです!その時ポピパさんの演奏を聞いてその時の先輩達キラキラしてて、光先輩の演奏では、この場所がなくなってもまたあえるよっここで出会えた仲間とはまた会える

その仲間との約束をまた会える日までに忘れずに叶えられるようにそんな思いを込められた演奏を聞いてやっぱりバンドやりたいなって最高の仲間とあんな演奏してみたいなって」

ロックの話を聞いていておたえは曲が浮かんだようでギターを鳴らした

「キラキラだとか夢だとかピッタリの曲あった!」

おたえの言葉を聞いて皆が立ち上がりそれぞれのポジションに着いてから香澄が話し出す

「キラキラだとか夢だとかsingGirls!」

香澄達は曲名を告げ歌っていく

夢途中で出会い胸がはじけそうな予感が膨らみ続ける

世界中に歌を響かせたいと言う願いを誰にも負けない気持ちを集めて動き出す

キラキラした夢や希望ドキドキするほど楽しい事で世界が回っていく

昨日は今日にそして明日になって未来になり永遠になる

その歌詞が印象的だった

そして2番の歌詞は夢を追う途中で不安になる気持ちや諦めそうになる気持ちなどを歌いつつも仲間がいることの大切さを歌っていて音楽という絆の魔法を見つけて手を合わせ肩を寄せ合い大好きな場所で夢を奏でるそんな歌詞だった

そして演奏が終わるとロックは感動のあまり涙を流していた

俺はその様子を見てロックに声を掛ける

「泣くのは早いよ!」

「・・・え?」

そう言って俺は立ち上がりケースからギターを出して音を確認する

「もしかして先輩も演奏するんですか?」

「うん!選手交代!今度は俺の番!曲はファンファーレ!」

 

『 いつも流した夢につたう汗はこの日を待っていた

ありのままにあるがままの僕を信じて踏み出せ』

 

俺はロックの夢をそしてポピパの皆のLIVEをやりたいと思う気持ちを応援するために演奏していく

 

『 Under the clear sky 砂埃舞う地面を踏みしめた数の想いが僕を突き動かしたんだよ

 

相変わらずと笑われて仕方ないなと蔑んで

期待されていない僕だったけどいつか

前代未聞のタイトルをこの手に掴む

 

こうして今でも逃げ出したいくらいの絶望と使命を背負ってる

臆病になってしまう瞬間もきっとあるけど

いつも流した涙につたう汗はこの日を待っていたんだよ

ありのままにあるがままの僕を信じて踏み出せ』

 

ポピパ・ロック視点

それぞれが自分が過ごして来た時間を振り返る

それでもやるって決めてやりたいって思ったから逃げ出したいくらいの絶望と使命を背負ってまた踏み出すんだと背中を押してくれていた

「やっぱり凄いね光先輩!」

「だな、本当に凄いよな」

「私達も頑張らないと!」

「やってみたいしやりたいって気持ちを大事にしないとね」

「やるって決めてやりたいって思ったなら行動あるのみだね」

「私も頑張らんと!」

そう言いながら曲を聞いていく

 

『 Under the rainy sky過去を超えられない日々

水面に映った自分眺め苛立ってしまう時もあったな

あいつは何か掴んでいて僕には何か足りなくて

答えが見えないなそんな夜もきっと

未来を開く自分にとって欠かせないもの

 

どうせ1度きりの人生なんだやるだけやってみせるよ

空回りしてしまう瞬間もきっとあるけど

僕の背中を押した愛のエール期待背負って挑むよ

あなたに届ける揺るぎなき魂の叫びを』

 

 

ポピパ・ロック視点

「下向いてられないね!」

「だな!空回りしても期待してくれる誰かのためにやるだけやってやるか!」

「人生1度きりだしね!」

「やりたいって気持ちだけじゃダメなのかなって思ってたけどそれでいいんだね!」

「心の底からの声を届ければいんだ!」

「私もくよくよなんてしてられん!」

皆の気持ちが前向きになって行くのを感じていた

 

 

『 悔しくて悩みもがいた日々から

聴こえる希望込めたファンファーレ

 

こうして今でも逃げ出したいくらいの絶望と使命を背負ってる

臆病になってしまう瞬間もきっとあるけど

いつも流した夢につたう汗はこの日を待っていたんだよ

ありのままにあるがままの僕を信じて踏み出せ』

俺は最後の最後まで精一杯の演奏を届けた

そして演奏を終えたタイミングで全員から拍手が送られた

「先輩!ありがとうございます!私達、まだLIVEをやるってことしか決まってませんけどやりたいって気持ちは皆一緒なので頑張ろうと思います!」

「この曲聞いたらウジウジしてらんないなって思いました」

「私も!足りないものが多すぎて諦めかけてました!」

「不安だったけど、自分と皆を信じて頑張ろうと思います!」

「私も臆病になってました!でも、やりたいって気持ちをしっかり持って頑張ろうと思います!」

「私も!バンドメンバー探し頑張ります!」

皆が前向きになれたら良かったと思ったので俺はそれをそのまま伝える

「皆が前向きになれたら良かったよ!俺にできるのはこうして演奏する事だけだからさ!」

「それであたしらの気持ちを上向きにしてくれる事って凄い事だと思いますけどね」

「だよね!」

「まぁ、とにかくまずは俺が教えてあげられることは教えるよ!」

そうしてロックも混じえて客席視点とステージ視点からのLIVEの印象や実際の感覚等を話し合いポピパの皆はLIVEの熱量や一人一人の視点での捉え方等を知りまずはLIVEの熱量を知ったのだった

そうして帰り際

「今日はありがとうございます!なんか色々と言葉にできないんですけど、とってもキラキラした宝物のような時間でした」

「そう思えるくらいに充実した日だったって事だね」

「はい!」

「まぁ、ロックに限った話じゃなく私達にとってもそうだったよね!」

「うん!」

「だな!」

「そうだね!」

「私もそう思う!」

そして六花にとってもポピパにとっても輝くような一時になったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




57話目になりますね、なんだかんだで60話近いんですね
とは言え3年生編は始まったばかりなので今後もお楽しみに
次回はもちろんシーズン2の4話目ハロハピの皆がポピパの為に行動を起こす話に主人公の光君も加わりますのでお楽しみに!
次回「とびっきりの笑顔と夜空の怪盗」


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第58話とびっきりの笑顔と夜空の怪盗

主催LIVEについて悩むポピパの皆を元気付けるためハロハピの皆と一緒に光もLIVEで笑顔を届ける


ポピパの皆が主催LIVEについて悩む中で時々相談にのったりしながら俺の方は大きなイベント等も無いため路上LIVEに時間を使いつつ学業やバイトに勤しんでいた

そして現在、俺はイツメンで集まり昼食中だ

「光、ポピパの様子はどう?時々相談とかされてるんでしょ?」

「まぁね、でも、なんか色々と大変みたい」

「彼女たちなら大丈夫よ、きっと自分達らしさを見つけられるわ」

「俺もそう思うよ!だからこそ、ちょっとでも力になれたらなって思ってさ」

「まぁ光はやりたいようにやるといいさ、必要なら影として力貸すしよ!」

「高人、貴方に聞いてみたいことがあったのだけど良いかしら?」

「何?」

「どうして光の影であろうとするの?」

「こいつがいれば俺はもっと上にいけるだろうし、何よりこいつ以外の誰と演奏してもしっくり来ないんだよ!ベース始めたのは多分こいつがギター始めたのと同じくらいだけど、周り誰も楽器やってるやつ居なくてずっと惰性でやってたのがこいつに出会って光がいれば俺のベースが影からこいつを支えてやれる!こいつとならどんな演奏でも楽しいと思えたんだ」

そんな事を高人は嬉々として話している

「俺も高人とだから出来る事があるなとは思うけどね」

「お互いがそう思うならお互いが出会うべくして出会ったのかもしれないわね」

「俺達はそうだと思うけどね」

そんな話をしながらその日の昼休みを終える

 

ポピパside

私達は光先輩からやりたいって気持ちを大切にしてとエールをもらい皆で色んな案を出し合いながら相談するけど

これってものが浮かばない

そうして皆で唸っていると校舎の方でこころんが手を振ってそのまま窓から降りてこっちに来た

「皆どうしたのかしら?さっきから全然笑顔じゃないわ!」

言われて私とおたえは両手で顔を覆う

「今ね、皆でどんなLIVEをするかを話し合ってたの!」

「私にも見せて!まぁ!ステキ!空を飛ぶのね!」

「わかんの!?」

「これも、これも、ぜんぶ素敵!」

「それ全部没な奴だから!」

「そうなの?素敵なのに〜それに皆がまた笑顔じゃなくなったわ!どうしましょう?」

そうして少し考えた末に私は美咲のところに行きLIVEをする事を伝えた

「美咲!LIVEをやるわよ!」

「……え?」

そうしてポピパの皆の所に連れてこられた

「ハッピー!」

「ラッキー!」

「「スマイル〜YEAH!」」

「うちのこころが絶賛ご迷惑をお掛けしてる最中の用で・・・

ごめんなさい」

「まぁ、香澄もノリノリだし」

「LIVEはイメージが大事・・・行ってくる!」

「アホが増えた・・・」

そんな香澄達の様子を尻目にハロハピはいつもどうやってLIVEをしているのか聞いてみた

「ハロハピって普段どういう風にLIVEしてるの?」

私達の質問に悩みながら美咲ちゃんが教えてくれた

「まず大概こころがわかんない事言い出して、はぐみもわかんない事言って薫さんが''儚い''・・・って言って花音さんかふぇーって言ってそれを落とし込む」

「え?」

「落としどころどこにあったよ!?」

「私は出来ることやってるって感じまぁ出来ないこともあるけどね、光さん辺りなら別なんだろうけどさ」

「あの人と比べちゃダメだよ!」

「あの人は特別、何ができて何ができないかをしっかりわかった上で行動してるからな」

「そうだね、でも、私、あの人から無理って言葉を聞いたことないけどね・・・」

そんな話をしているとこころが会話に混ざってきた

「どうして美咲は出来ないって思うの?私達はハローハッピーワールド!世界を笑顔と嬉し涙で溢れさせるバンドなのよ!」

「そうだけどさ…それで?戸山さん達を笑顔にするLIVEって?」

「そのままの意味よ!出来ないことなんてないんだって分かれば香澄達もきっと笑顔になれるわ!」

「はいはい、詳しい事は後で聞くから撤収ー!

帰りますよー」

「放課後は作戦会議よ!美咲!ミッシェルと後、光も呼んでおいて!」

「光さんも?」

「当然よ!光がいれば香澄達はもっと笑顔になれるわ!」

「そうかもだけど…」

私は光さんの都合もあるしと言いかけてやめた、あの人はきっと来るだろうからと

「香澄〜!みんな〜ライブするから待っててね〜!」

 

羽丘side

放課後、帰ろうとしていたタイミングで人集りが出来てきた

「薫だな」

予想通り人集りから薫が出てきたので声を掛ける

「お疲れ薫」

「やぁ、光じゃないか!ゆっくり話したい所だがハロハピの招集がかかってね!行かないとなんだ」

「薫もか」

「と言うことは君もかい?」

「こころと美咲と花音から来てくれって連絡もらったけど、簡単な用事を済ませてから行くから少し遅れると思う」

「そうかい、なら先に行って待っているよ」

「あぁ、俺も後で必ず行くから」

「了解したよ!では後で会おう」

そうして俺は薫とは別方向に向かって歩みを進めて知り合いの所に寄って用事を済ませてからこころの家に向かった

途中花音とはぐみとは合流してこころの家に到着する

そして皆で集まり会議が始まる

「香澄達を笑顔にするLIVEをするわよ!」

「かーくんうちのコロッケ大好きだよ!」

「ウサギを連れてくるのはどうだい?たえちゃんはうさぎが好きなんだろ?」

「あのね、おたえモーティンが好きなんだって!」

「それもウサギなの?」

「わかんないけど喜ぶと思う!」

「モーティンはおたえが好きなギタリストだよ!」

俺はそう補足を入れる

「他にも好きなものある?」

「えーっと花園さんだけじゃなくてポピパの皆を笑顔にしないと」

「チョココロネをお土産にしたらどうかな?りみちゃん好きでしょ?」

「もう描いてあるわ!」

「さっすがこころん!」

ホワイトボードに描かれた絵を見て美咲事ミッシェルはこんらしている

そしてそんな中でこころは皆の意見を更にまとめたと言って

絵を描いた

「なんとなく想像は着くけどやっぱり空?」

「香澄は飛びたいって言ってたもの!私たち空を飛ぶの!」

やっぱりか、俺は絵を見てなんとなく確信があったのでそうなるだろうなとは思っていた

「すまないがもう一度言ってくれないかい?」

「私達空を飛ぶの!」

反応から見るに高い所は苦手らしい

「香澄はやりたいのよ!」

「そうだよ!かーくんの笑顔のために飛ぼう!」

美咲と薫があたふたする中で花音は平然と言った

「小さい羽なら演奏の邪魔にならないよね」

「羽っていうか飛ぶだけなら俺、ハンググライダー出来るけど?」

「良いわね!なら光、ハンググライダーを使って皆を少し高い所まで運べるかしら?」

「限度あるけど1人ずつならね」

「決まりね!やれば分かるわ!できないことなんてないのよ!」

「そ、その通りだよこころシェイクスピアいわく何もしなかったら何も起こらない。つまりそういうことさ!」

「じゃあ、決まりね!光のハンググライダーと衣装はこっちで用意するわ!」

「あぁ、ライダースーツみたいなの?」

「違うわよ、貴方には怪盗になってもらうわ!」

「俺が?」

「私もやろうじゃないか!招待状は私と光の名で出しておこう」

「あぁ、決まりなんだね」

そうして薫主導の元招待状が配られた

 

そしてLIVE当日

俺はこころが用意した怪盗の衣装に身を包んだ

「なんで全身白装束なの?まるで某探偵アニメに出てくる怪盗そのものじゃんか!」

「そうかもね、でも、似合ってるよ!カッコイイ」

「そう言ってくれるのは嬉しいんだけどね、ちゃんと演奏に適した調整はしてあるしね」

「でも、本当に似合ってますよ!本物の怪盗みたいです!」

「じゃあ、これから君の心を頂くよ」

そう言って俺は美咲の頬を撫でると美咲は赤面して声を荒らげる

「からかわないでください!すぐ調子に乗るんですから!」

「ごめんごめん!アッハハハ」

「笑い事じゃあ無いですよ!私、ミッシェルに着替えてきます!」

そう言って部屋を出ていった

「行ってらっしゃい、怒らせちゃったかな?」

「多分照れてるんだと思うよ、私でも照れちゃうな〜」

「そう?悪ノリしすぎたかなって思ったけど、大丈夫なら良いか」

「ん〜そうじゃないんだけど…とりあえず私もいくね!」

「俺も行くよ!出番まだ先だけど挨拶くらいはね!」

俺はこころ達と共にポピパの皆を出迎えた

「レディース&ガールズ!」

「ようこそスマイル号へー!」

「今宵、ハローハッピーワールドと〜もう1人の大怪盗がとっても素敵な世界をお届けするわ!」

「一夜限りの素敵な世界へご案内!こころよろしく!」

「行くわよ〜!ゴーカ!?ごーかいファントムシーフ!」

そうして薫がりみちゃんを攫い消えてそれをポピパのメンバーが追うそしてその途中一瞬のみだったかおたえが尊敬するギタリストのモーティンが姿を見せそして最初の広場に戻ってくると薫は1輪の薔薇を渡し告げる

「よろしければもう一曲お付き合いいただけませんか?」

「はい!」

「では空で!もう1人の大怪盗が君達の心を頂くだろう!」

そしてこころ達は気球を使って空に浮かぶ中俺の出番となる

「さぁ!ここからは俺のステージにお付き合いください!」

そう言ってまずは香澄の所に行き手を差し出し告げる

「お手をどうぞアメジストの瞳のお姫様!」

「連れてってください!」

「喜んで!」

俺はハンググライダーを使い空に舞い上がる

「凄い!飛んでる!」

「これからだよ!こころ!お願い!」

「任されたわ!」

こころがパチンと指を鳴らすとどこからともなく演奏が流れ出し俺は歌い出す

 

『 じゃあちょっと目を閉じて僕の腕に捕まっておいてよ

君の笑顔盗むやつから君を盗むのさ』

 

俺は1度降りて香澄を降ろしてさっきまで薫と一緒にいたりみちゃんを乗せて再び舞い上がる

 

『 物語の名前は伏せたまま始めよう

連れ去ってと合図をくれたら』

 

曲はサビに入り俺はりみちゃんを降ろし沙綾を乗せて3度舞いあがる

 

『 ここからは君を奪って夜空を抜けて

宝石みたいな街を飛び越えて

君が想像したことないくらい眩しい世界を見せてあげる』

 

沙綾を降ろし有咲を乗せて空を飛んで歌っていく

 

『 そのまま海を渡って春風に乗って

虹を蹴散らして空にばら撒いて

君は今日も明日も君のままでいていんだよ

君がいれば僕に不可能なんかない』

俺は最後におたえを乗せて舞い上がり軽く風に乗り辺りを旋回して戻りこころ達のいる気球に降り立ち続きを歌っていく

 

『 もう行かなきゃなんてガラスの靴で月にでも帰るの?

君がどう否定したって素敵なままだよ

 

君と出会えた僕と出会えなかった先の僕を比べて

論文にしたいとこだけど君の細胞全部の尊さは

きっと伝えられやしない

君自身に君を僕が証明するよ

 

これから君を奪って夜空を抜けて

宝石みたいな街を飛び越えて

君が想像した事ないくらい眩しい世界を見せてあげる

そのまま海を渡って春風に乗って

虹を蹴散らして空にばら撒いて

君は今日も明日も君のままでいていんだよ

君がいれば僕に不可能なんかない 無い』

演奏が終わったタイミングでこころが話し出す

「もう一曲光から送るわよ〜!光!良いわよね!」

「もちろん!じゃあシルエット!」

 

俺はギターを弾きながら歌っていく

 

『 いっせーのーせで踏み込むゴーライン

僕らは何も何もまだ知らぬ一線越えて振り返るともうない

僕らは何も何もまだ知らぬ

 

うだってうだってうだってく煌めく汗がこぼれるのさ

覚えてないこともたくさんあっただろう

だれも彼もシルエット

大事にしてたもの忘れたフリをしたんだよ

なにもないよ、笑えるさ

 

いっせーのーで思い出す少年僕らは何もかもを欲しがった

わかってるってあぁ気づいてるって

時計の針は日々は止まらない

 

奪って奪って奪ってく流れる時と記憶

遠く遠く遠くになって

 

覚えてないこともたくさんあっただろだれも彼もシルエット

恐れてやまぬこと、知らないフリをしたんだよ

なにもないよ、笑えるさ』

 

ポピパ視点

さっきの空を飛んだ感覚もそうだった、先輩もハロハピの皆も私達の希望を最大限叶えようとしてくれてる

「まだまだ分からないことだらけだけど、きっと出来るよって言って貰えてるみたい」

「だな!ハロハピもだけど1番先輩に驚かされるわ」

「空飛んだのなんて初めてだしね」

「楽しかったけどちょっと怖かったね」

「でも、ワクワクもしたね」

そんな話をしながら曲を聞いていく

 

『 ひらりとひらりと舞ってる

木の葉の様に憂うことなく焦燥もなく過ごしていたよ

 

覚えてないこともたくさんあったけど

きっとずっと変わらないものがあることを

教えてくれあなたは消えぬ消えぬシルエット

大事にしたいもの持って大人になるんだ

どんな時も話さずに守り続けよう

そしたらいつの日にか何もかもを笑えるさ

 

ひらりとひらりと舞ってる木の葉が飛んでゆく』

 

そして笑顔が終わると気球に乗りつつ俺の妨げにならないよう演奏していたこころが言った

 

「ミッシェル飛ぶわよ!」

そうしてこころはパラシュートもなしに飛び降りた

「まったく、行くよ!ミッシェル!」

俺はハンググライダーで空を滑空しこころを抱えて旋回しつつ

ミッシェルを待ってこころをミッシェルに預け一足先に着地する

そしてほかのメンバーもパラシュートで降りてきた

「最高でした!」

「楽しんで貰えたなら何より、だよね、こころ!」

「そうね!皆最っ高にいい笑顔だわ!」

そうして喜んでいるこころだがはぐみと花音以外の2人はさすがに参ったのか気絶していた。

「高い所が苦手な薫に無茶をやり通した美咲がある意味今日のMVPかもな」

「確かに…そうだね」

そんな話をしながら皆で笑いあった

俺はその様子を見てこのLIVEをきっかけにみんなか何かを掴んでくれたらいいなと思うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




数日ぶりになります。58話目でハロハピ回を書きました
そろそろ9月が終わりそうなので月イチ更新の方も書き始めるので次回の投稿は少し遅くなるかもしれませんがお楽しみに
次回はパスパレ回になります。
次回「雨の日とアイドルフェス」


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第59話雨の日とアイドルフェス

大きなLIVEイベントへの出場が決まったPastel*Palette
だが、全員の気持ちがまたしてもすれ違う中で光はサブマネージャーとして行動する


練習前、皆で集まっていると少し遅れて彩ちゃんがやってきた

「おはようございます!」

「おはようございます。アルバイトお疲れ様です」

「疲れた〜。差し入れ皆で食べて」

「走ってきたの?髪ボサボサよ」

「ホントだ、急いできたのがわかるくらいにボサボサ」

俺は彩の後ろから声をかけた

「え!?光君!なんでここに?」

「あたしが連れてきたんだ!」

「日菜ちゃんが?」

「うん!」

「あぁ〜簡単に説明するとね」

俺は言葉を区切り説明を始めた

 

数時間前

「ひ〜くん!」

「日菜、どうしたの?」

「放課後パスパレの練習に参加してくれたりしない?」

「別にいいけど?高人、バイトのシフト今日、なかったよね?」

「今日ってかお前は今週末だけだろうが!平日は俺だけだ!

まぁ、俺が頼んでそうしてもらったんだけどよ!」

「そうだったな」

そんな話をしていると日菜が俺の袖を引っ張った

「じゃあ、来てくれるよね?」

「行くよ!久しぶりに麻弥さん以外にも会いたいし」

「光、最近さ〜付き合い悪いよね!」

「なんで?」

「最近はpoppinpartyやハロハピの皆と一緒にいることが多いようだし」

「じゃあ、こうしよう!もうすぐあたし達新しいLIVEイベントに出ることが決まったの!その間だけひ〜くん貸して!終わったらひ〜くんはまた友希那ちゃん達の練習を見る!それでどう?」

「俺もそれで良いかな?」

「そういう事ならわかったわ」

そうして放課後を迎えて俺は今ここに居るという訳だ

 

「そういう事だったんだね」

彩は髪を整えながら納得する

「あぁ〜イマイチ髪が纏まらないよ〜」

「彩、ちょっとおいで、ここ座って俺の前」

「え?うん」

「スタイリストさんほど上手くないけどこんな感じでどう?」

「綺麗に纏まってる!」

「さすがに手先は器用なのね」

「俺も髪は長めだからセットするのは慣れてるんだ」

そんな話をしている横で日菜がポテトを頬張っていた

「もう食べてたの?」

「良かったら光君も千聖ちゃんも良かったら食べて」

「俺はいいや!今はあんまり手を汚したくないし」

「私もLIVE前だから遠慮しておくわ」

「LIVEがあるの!?」

彩が食い付いた

「これが目に入らぬかー!」

「なんで黄門様?」

そんなツッコミを入れながら俺もイヴが持っているポスターに目を向ける

彩はそれに乗っかるように「ははーっ!」と言って頭を下げた

「頭あげないと見えないよ」

俺は笑いながら言った

「笑わないでよ〜もぉ〜ってワールドアイドルフェス!?」

「来場者10万人を超える日本一のアイドルLIVEだそうですね!」

「会場の広さは東京ドーム3つぶんです!」

「私達のデビューLIVEもおっきかったけどそれより大きいよね!」

「デビューLIVE…」

俺は皆の顔色からいい思い出でないのは俺も皆から聞いて知っているしそれに関しては切り替えるしかない

「大きいイベントの分注目度も高いわ。デビューLIVEみたいな失態は…」

「も、もう大丈夫だよ…」

「下手な演奏はできないからそのつもりでね!」

「その辺は俺も協力出来るだろうし、頑張ろう!」

「うん!」

それから俺達はしばらく練習した後解散した

 

そして帰り道

「今日の練習、ひ〜くんから見てどう?」

「ん〜まぁ、今のところは大丈夫じゃないかな?問題は本番のMCとかで彩がミスしないかとかそれくらい?」

「ありそうだね」

「後は千聖かな?」

「千聖ちゃん?」

「まだわかんないけど、1番不安そうにしてたから」

「千聖ちゃんドラマの撮影とかもあるから忙しいんだよね〜」

そんな話をしていると日菜の家に到着する

「もう着いた、早いな〜」

「まぁ、いいじゃん!しばらくは付きっきりになるだろうし、マネージャーさんもその方が助かるみたいだし、少しの間は一緒だよ!」

「そうだよね!じゃあ毎日一緒に帰ろうね〜」

「もちろん!」

そうして日菜と別れ俺は家路に着いた

そして帰宅し夕飯等を済ませ俺は何気なくギターを手に取り演奏する

そして演奏しながらもう1人の自分ことルミナスと自問自答する

例えば辛く苦しい時があって誰にも相談できないならどうする?

(決まってるどんなに醜くても足掻けばいい、足掻いた分だけ悲しみや苦しみを乗り越えた分だけ成長できる)

例えばそれでもどうしようもなくなったら?

(1度全て忘れるのもありかもしれない、でも、1人でやらなきゃダメならゼロからもう一度やればいい)

投げ出したくなったら?

(何もかも投げ出して叫べばいい、そうすればその叫びに仲間がきっと応えてくれる)

何気なくでしていた自問自答からまだ短いものではあるが曲になった

俺はもう一度ギターを弾きながらその短い曲を口ずさむ

 

辛い時や苦しい時こそがむしゃらになろう

がむしゃらになって足掻いた分だけ自分らしさや自分だけの強さを手にできるから

もしも立ち止まってしまったならどんなに辛く苦しくても

初めの1歩を踏み出そう

投げ出したくなったなら思い切り叫ぼう

その叫びに仲間がきっと応えてくれるから

 

「また誰に聞かせる訳でもないのに曲が出来ちゃったな」

俺はギターを置いて歌詞を書いた紙を引き出しに入れ鍵をかけると眠りに着いた

 

次の日

普段通り午前中の授業をやり過ごし俺はイツメンプラス麻弥さんで昼休みを過ごしていた

「高人、ほぼ毎日バイトに出て大変じゃない?」

「お前ほどじゃないよ!今のお前はパスパレのサブマネージャーだろ?それにRoseliaとAfterglowからは6人目のメンバーとして扱われて、ハロハピやポピパの子達からも頼れる先輩として頼られてるだろ」

「でも、好きでやってる事の結果だし」

「2日に1度くらいのペースでRoseliaの皆来るけど光がいないなら意味ないって俺、練習にすら呼んでもらえないんだぜ!」

「貴方は光とセットでないと意味ないじゃない」

「光の付属品じゃねんだけとな……俺は光の影っていうか片割れ?」

「高くんはひ〜くんいないとのらりくらりしてるからね〜」

「酷くね?」

「あながち間違ってないじゃん高人の場合」

「さすがにフォローしてやれないぞ高人」

「光君と2人で演奏してる時は以心伝心な感じでアレなんすけどね」

とまぁ高人の評価はマチマチである

「逆に聞いてみたいんだけど、光の事どう思ってる?メンバーとかじゃなくて」

「並び立ちたい存在かしら?」

「近くて遠い存在?」

「優しくて楽しい人?」

「良き友達ッスね!」

「なるほどね、それが聞けてよかったよ皆から慕われてるって確信できたっつーか、再認識できたって言うかさ」

「私達は光を信頼しているわ、メンバーとして迎え入れているのが証拠ね」

「私達もなんだかんだ助けられてますしね」

「そっか、光なりに頑張って来た結果なんだな」

高人は満足そうにしていた

それから雑談混じりにあれこれと話していてパスパレのLIVEの話になった

「そういえば、なんか大きなLIVEイベントに参加するんだって?」

「そうなんですよ!ワールドアイドルフェス略してWIFです!」

「結構大きなイベントなんだよ!」

「光はまた付き添い?」

「そうなるね、一応サブマネージャー件指導役らしいし」

「らしいじゃなくてサブマネージャーで指導役だよ!」

「だそうよ」

「みたいだね」

俺は苦笑しながら答える

「いや、実際光君のおかげな部分って少なからずあると思うんす、助けられたって思うのは私達パスパレだけじゃないと思うっすよ!」

「それには同意だね、アタシらも光のおかげでって部分は少なからずある訳だし!ね、友希那」

「そうね、それはあるわね」

そんな話をしながら昼休みを過ごし俺達は教室に戻り午後の

授業を終えて迎えた放課後

俺はパスパレの付き添いで雑誌の撮影件インタビューの現場に同行していた

今はイヴが写真撮影をしていてもうすぐ終了となる

「さっすが元モデルさん!かっこいいですね!」

「彩ちゃんなんて顔ひきつってたのにね」

「今も壁に向かって練習してるみたいだよ!」

俺は彩の方を指さすとそれに気付かずに壁に向かっている彩の姿があった

「壁に向かって練習してる」

「彩ちゃん面白いね〜!」

「人一倍努力家なんだよね彩は」

そんな話をしていると全ての撮影が終了した

そして千聖は次の現場があるからとすぐに移動する

「千聖待って!」

「何かしら?」

「俺、付き添えないけど大丈夫?」

「何がかしら?」

「普段 は車だから電車とか慣れてないでしょ?」

「大丈夫よ、心配してくれてありがとう」

「まぁ、とりあえず、気を付けて」

「えぇ、遅くなるけど、後で合流はするから」

そうして千聖を見送った後、彩に声をかける

「彩、終わったよ、次は練習スタジオに移動しないと」

「そっか!ってあれ?千聖ちゃんは?」

「ドラマの撮影に行ったよ」

「ついさっき行っちゃったよ」

「そっか…」

「とりあえず移動しようか」

「だね!」

そうして俺達はスタジオに移動し千聖抜きではあるが練習を開始する

俺はここからは指導役として練習に参加する

「彩さんバッチリですね!」

「本当に!?」

「ダンスミスってわちゃってなってたけど面白かったよー!

ひ〜くん気付いてだけどなんにも言わなかったよね?」

「そのミスをどうカバーするかを見たかったからね」

「バレてたんだ…」

「俺の目を誤魔化したいならもう少し上手くやらないと」

「ひ〜くんの目はどうやっても騙せないと思うけど?」

そう話していると千聖が合流した

「遅くなってごめんなさい。すぐに準備するわ」

「じゃあ遅いので1曲だけやりましょう」

「ゆらゆらやりたい!」

「今度ね。日菜ちゃんは何やりたい?」

「あたしはなんでもいいよー!」

「光は?」

「さっきまでやってたのを仕上げちゃえば?」

「さっきまでやってたのは?」

「パスパレボリューションずです」

「じゃあそれを仕上げましょう」

「張り切って行きましよう!」

そうしてその日はその1曲を演奏し解散となった

 

そして帰宅すると同時に着信が入った

「おたえだ、何かあったのかな?」

俺は電話に出る

「もしもし、おたえ、どうしたの?」

(こんばんは、今、大丈夫ですか?)

「なんかあった?」

(特に何って訳じゃないんですけど、実は…千聖先輩がバイト先に来たんです)

「千聖が?」

(はい…誰にも言わないでって言われてたんですけど、光先輩には言っておいた方がいい気がして)

「そっか、わざわざありがとう!多分誰にも知られなくないんだろうし俺も聞いたことは黙っておくから」

(はい!また何かあったら連絡しますね)

「うん、おやすみ」

そうして通話を終了すると俺はスマホを充電して眠りに着いた

そして次の日から皆それぞれに忙しく日々を過ごす中で久しぶりに全員集まっての練習の中で日菜が難しい顔をしていた

「千聖ちゃんなんか変!」

「変?」

「いつもはボボボンみたいな音だけど今日のは何かボヘ〜みたいな?ひ〜くん!」

「ん?あぁ、ベースの弦くたびれてるか錆びてんじゃないかな?」

「千聖さんベース見せて貰えますか?」

そうして麻弥さんが千聖のベースを確認すると案の定くたびれていた

「あぁ〜弦がかなりくたびれてますね!」

「ほ〜らね!さっすがひ〜くん!」

「真っ先に気付いたのは日菜じゃん」

「嘘!ひ〜くん気付いてて言わなかったよね?」

「あぁ〜うん!実は演奏始まった瞬間から気付いてはいたよ!」

「どうして言わなかったんですか?」

「言ったら日菜に楽器のメンテさせられそうだったから」

「え〜なにそれ〜」

「まぁまぁ、とにかく千聖さん代えの弦ありますか?交換しちゃいましょう」

「なら、ひ〜くんに任せてよ!あたしが言い出すってわかってたってことは道具あるんでしょ?」

「言うと思った」

俺はスタジオの端っこに置いていたバックを持ってきてメンテの道具を取り出す

「千聖ベース貸してついでに日菜のもやってあげるから少し休憩してて」

「はーい」

「そうね、少し休憩しましょうか」

そうして俺は千聖のベースの弦を外してネックの反りなどをチェックしながらクリーナーをかけてベースの弦を張り軽く音を確かめてから千聖に返す

「千聖、終わったよ」

「ありがとう、随分綺麗になったわね」

「音確かめてみて」

「わかったわ」

そう言って千聖はベースを弾くと驚きの表情を浮かべていた

「チューニングまでしてあるのね!しかもわたしの普段の音と寸分の違いもないわ」

「メンテしたのひ〜くんだもん!当然!」

「なんで日菜ちゃんが得意げなの?」

そんな話をしているうちに日菜のギターのメンテも終わった

「日菜のも終わったよ!」

「ありがとうひ〜くん!」

「それにしても光君細かい道具まで色々持ってるんですね!」

「俺はバンドでやる楽器は全部1人でやるから色々ないと不便でさ」

「ひ〜くんの部屋は楽器がいっぱいあるんだよ!」

「確かにギターもベースも3本くらいあったね」

「ひ〜くん実際今楽器どのくらいあるの?」

「ギター5本ウチ1本アコギでベース4本キーボード3つにドラムセット2つとバイオリン2本とハーモニカ3本かな?」

「それ全部光君が演奏出来るんですよね?」

「そりゃもちろん、とまぁこの話はこのくらいにして

千聖、無理しすぎないように!体調も楽器の管理も仕事だよ!」

「そうね、気を付けるわ」

それから俺達はしばらく練習して解散した

そして俺はパスパレのグループLINEに千聖に言ったことをもう一度送っておいた皆からそれぞれありがとう等の返答が返ってきた

 

そして帰宅し夕飯等を済ませてからアコギを手に取り以前演奏したBeautifulの演奏を録音し千聖に送ってから就寝した

 

そして次の日、俺は今日もまたパスパレの練習に付き添っている

そしてスマホをみて彩が唸っていた

「どったの?エゴサの鬼」

彩は唸りながらスマホを見せる

「デビューLIVEの記事じゃん!」

「あぁ〜」

記事の事を聞いて俺もなんとも言えない表情を浮かべる

確かにデビューLIVEは散々で千聖が上手くフォローしてくれたらしいけど、その時のことを詳しく知る皆だからこそ思うところがあるのかもしれない

そんな中で日菜は前向きな発言をする

「でも、今はしっかり弾いてるし歌ってるじゃん!大丈夫だよ!それにひ〜くんもいる!」

「俺?」

「はい、LIVEを成功させてパスパレの誠ここにありってところを見せてあげましょう!」

「自分も頑張ります!」

「私も頑張る!」

「まぁ、俺も必要なら力貸すし頑張ろ」

 

その頃千聖side

私は練習の合間にたえちゃんと話していた

「千聖先輩ボーカルもやるんですね」

「えぇ、1曲だけ彩ちゃんと2人で歌うの」

「弾きながら歌うのは大変」

呟くように言われてハッとする

「っていつも香澄が言ってて難しい所は話し合って私が弾いたり、時には光先輩にアドバイスしてもらったりもします」

「そうなの。ツインギターだから出来る事ね、光は1人であれもこれもってやるからアドバイスも為になるし」

「ツインボーカルではできないですか?」

「まだ出来ないわ」

そんな話した後少しして練習時間を終えて私は帰宅した

 

 

そして次の日、放課後

俺達は今日もまたスタジオに集まっていた

そしてイヴは何やらため息をついていた

「イヴさんどうかしたんですか?」

「体調悪いとか?」

「な、なんでもありません」

「悩み事って訳じゃなさそうだね」

「何隠してるの〜?」

「ギクッ!」

日菜にそう問われて分かりやすく身体を硬直させる

「シノビは口が堅いのです!」

「知り得た情報を味方に報告するまでが忍の仕事だよ」

「確かにね、忍の主な仕事は情報収集だからね」

「はっ…確かに…」

イヴはそう言って話し出す

「実は見てしまったんです。千聖さんが…」

「まさかスキャンダルとか?」

「大問題じゃん相手は?もしかしてまたひ〜くん?」

「違うから!俺今は一応マネージャーだからね!」

イヴは首を横に振り答える

「光君ではなく、相手はたえさんです」

「おたえ?何か話してただけなら問題なくない?」

「たえさんと千聖さんがやまぶき色のお菓子を…」

「お菓子?」

「賄賂です!」

賄賂ねえ〜、俺はおたえからほんの少しだけ事情を聞いてる為そあながち間違ってないだろうなとは思う反面

千聖なりの皆への気遣いだろうなと思っていた

そしてそのタイミングで千聖がやってきた

「お疲れ様です」

「千聖ちゃん来た!」

「日菜さんシッ!」

「イヴちゃんどうかしたの?」

「えっとあの…拙者これにてドロン!」

そう言って椅子の下に潜るイヴを日菜が簡単に引っ張り出す

「何事なの?」

「あぁ〜実は千聖がおたえにお菓子かなんか渡してるの見たらしいんだけど、それを賄賂だなんだって騒いでて」

俺はさっきまで話していた事を説明する

「そういう事、人気のパンが買えたから渡しただけよ」

「ふ〜ん」

口には出さないが日菜も何かわかっているような感じがしていた

「千聖さん今日は練習に出られるんですよね?」

「追加の撮影があるから30分だけだけど」

「十分です!」

「忙しい中の30分って貴重だからね」

そんな中で彩が発言する

「あの!ゆらゆらやりたいんですけど…どうでしょう?」

「なんで敬語?」

「気を使うところじゃない気も…まぁいいや、どうするの?やるなら練習見るけど?」

「いいわよ」

「あ、ありがとう!」

「けど、歌は次回でもいいかしら…演奏に集中したいから」

「うん…」

「まぁ、まずは演奏の方を完璧にしとけば間違いないだろうし、とりあえず練習しようか!」

そうして練習している中で皆の表情はパッとしない

「るんってしないな〜」

「日菜もそう思う?」

「ひ〜くんも?」

「うん、まぁね。彩、千聖、2人ともが集中出来てない感じがするよ!」

俺の言葉を聞いて彩は千聖に提案する

「千聖ちゃん、良かったら本番みたいに練習しない?

やっぱり2人で歌う曲だから。大変だったら歌だけでも」

「それじゃあ、本番みたいにはなわないわ」

「でも私千聖ちゃんと一緒に…」

「いやよ!」

帰ってきたのはあからさまな拒絶だった…

「ごめんなさい…今のは…」

「私顔洗ってくるね」

「「彩!(さん!)」」

彩はスタジオを出ていった

「私撮影に戻らなきゃ…」

「千聖!」

千聖も続けて出ていった

「どうしてこうなるかな…」

俺は仕方なく持参していたギターを手に取ると日菜に頼んで彩を呼び戻してもらう

「日菜、彩を呼んできてくれる?千聖いないけど、1曲聞いてほしんだ」

「わかった!待っててね!」

そうして日菜は彩を連れて戻ってきた

「光君…」

「目に見えて落ち込んでるね、彩は千聖に拒絶されたと思う?」

「わかんないよ…」

「そっか、じゃあとにかく1曲聞いてよ、そうすれば何か掴めるかもよ」

「…うん」

「じゃあ演奏するね!リルラリルハ」

 

『私のおまもりお花マーガレット

小さな私をやさしさでつつむ人が好きな花で

とまどいが訪れる時に限って自分をなぜだか苦しめてる

そんな時こそやさしさあげたいの

忘れないで見つめることを今できるでしょう?

今しかないこの時間をあなた次第でREALLIFE流れゆく

REALHEART変わりゆく』

 

パスパレ視点

 

「忘れないで見つめることをってどういう事だろう?」

「全部自分次第って事じゃないかな?」

「きっとそうです!」

「ですね!」

私達はまだこの曲の意味を掴めないけどちょっとだけ前向きにまれた気がする

 

『私のおまもりお花マーガレット

ひたむきで可憐なかわいい花私の支えこころが強くなる

忘れないで見つめることを忘れないで感じることを

今できるでしょう?今しかないこの時間をあなた次第で

REALLIFE流れゆく

REALHEART変わりゆく』

 

「光君!ありがとう!私!自分次第で変われるならまずはしっかりと千聖ちゃんも他の皆も信じていくよ!」

「それがいいよ!また千聖がいる時にでも改めて演奏するよ!」

「それってまた私達を支えてくれるってこと?」

「俺はパスパレのサブマネージャーなんでしょ?そしてサブマネージャーの俺の仕事は?」

「私達のアフターケア…って…あ!そっか!」

「そういう事!」

「まぁ、期待しててよ!」

そうしてその日は解散した

次の日、雨が振る中で俺達はスタジオを訪れた

「傘さしてても濡れるもんだな」

「だね〜肩の辺りとか以外と濡れちゃった」

「彩さん来ますかね」

「来るさ、彩は途中で投げ出したりする子じゃない」

「だよね!それに仕事でもある訳だし」

「このままじゃダメです…すれ違い続けたら離れてしまいます…何とかしたいです」

「ひ〜くんがいるし、あたしたちだってこのままじゃダメなのはわかってるし」

「自分もいつも彩さんや千聖さんにお世話になってばっかりでこんな時何ができるかなんてわかりませんが」

「麻弥さんは良くやってるよ、パスパレの支柱だと思うよ」

「うん!1番安定してるし頼りにしてるよ」

「そうですか…ふへへへ」

褒められて照れくさそうだ

「皆で助け合っていけばきっとパスパレだって最高のバンドになるさ!」

「もちろんひ〜くんも力貸してくれるよね?」

「皆がそれを望むなら」

「5人揃ってないと面白くないしね」

そんな話をしながら中に入ると

既に彩がいた

「来てたんだ早いね」

「ていうかなんで?」

「昨日の夜考えたんだ。私ができてないから千聖ちゃん一緒に歌ってくれないのかもなって。だったら頑張るしかないって」

「千聖さんは本当は一緒に歌いたいんだと思います。

そうじゃなかったらベースの弦あんなにくたびれるまで練習しないですよ」

「千聖は多分努力する姿を見られたくないんだと思う

多分だけど、女優とかそういうの抜きでプライドが許さなかったんじゃないかな?」

「彩ちゃん、るんってきた?」

「皆、私!行ってくる!」

「皆で行こう!」

「うん!」

「はい!」

「行きましょう!」

そうして俺達は彩の後を追うようにして練習スタジオを後にする

そうしてびしょ濡れになりながらも千聖のところに着いた

「千聖ちゃん!お疲れ様!」

「どうしたの?」

「私、待ってるから!」

「あ…」

「私頼りないしできることも少なくて頑張るしかできないけど千聖ちゃんが大丈夫って一緒にいいよってなるまで待ってる!待ってるからね!」

「彩ちゃんらしいわね。彩ちゃんがここに来てる時点で急かされてる気分なんだけど?」

「え、ごめん」

「次の撮影までスタジオを予約しているの。一緒に行く?」

「え、いいの?」

「まだ完璧とは言えないけどそんな状態の彩ちゃんを1人で返せないでしょ」

「ありがとう」

彩は千聖に抱きつく、ようやくお互いに歩み寄れたというところかな

俺は遠目に見てそう思った

そして他の皆と合流し2人のところに行く

「俺達も参加していいかな?」

「光、皆も」

「一件落着ですね!」

「これから練習に行くけど皆で行かない?」

「いいの?」

「いいの」

「じゃあ練習が終わったら皆でまたご飯食べに行こうか!」

「同じ釜の飯を食べるですね!」

「まぁ、ひ〜くんの演奏もあるしね!」

「貴方演奏する気なの?」

「そのつもり、まぁ必要無いかもだけど、一応ね、俺が歌う曲を通して皆の結束力がまたさらに強まってくれたら良いなって」

「なら、お願いしようかしら?またあの姿の演奏が聞きたいわ」

「そういう事なら」

俺はピアスを付け替え髪をあげる

「これで良いかな?本来なら白装束の姿なんだけどこれで勘弁してね」

そうして俺達は近くのスタジオにお邪魔した

「光先輩!待ってました!」

「スタジオ借りるね!」

「はい!」

「おたえちゃんとグルだったの?」

「おたえなりに千聖の事心配して僕等に連絡くれたんだよ」

「本当にあなたも抜け目無いわね」

「まぁ、僕達だって千聖の心配をしてなかった訳じゃないってことさ、さて、時間もない事だし始めますか!まずはキーボードメインで聞いてください、あなたがいる」

 

『あなたがいるだから僕は飛び立てるんだよ

あなたがいるだから僕は踏み出せるんだよ

いつの日か辿り着いて抱きしめあう時

今の僕らを誇れるから きっと』

 

パスパレ視点

さっきまでの光景が浮かんでくるLIVEが決まった時から今までの全部が歌詞の始まりで浮かんできた

「今日までの私達…」

「みたいね」

「さすがひ〜くん」

「やっぱり彼には敵いませんね」

「完敗ですね」

皆がそれぞれの思いで聞いていく

 

『誰かの真似じゃなくって言われたわけじゃなくって

僕が僕の意志で選んだ初めての本気の夢に

 

僕が見つけたものは甘くない現実に

それでも憧れる気持ちとかけがけのない出会い

 

見せあった涙が打ちあけあった弱さが

今日も信じあえる理由になる

 

あなたがいるだから僕は飛び立てるんだよ

あなたがいるだから僕は踏み出せるんだよ

いつの日か辿り着いて抱きしめあう時

今の僕らを誇れるからきっと

 

好きで始めたはずが好きじゃなくなっていって

確かに出来ていたことも出来なくなっていたあの日

 

顔向けもできなくって逃げるように閉じこもって

自分を諦めた僕を あなたは諦めずに

上には上がいたって 僕にはぼくだけだって

遠まわしだったけど 嬉しかったよ

 

あなたとまた笑いたくて 歩き始めた

あなたとまた挑みたくて涙拭った

いつの日かその全てが過去に変わる時

思い出すたび輝くからきっと

 

追いかけ続ける中で 小さく叶ってゆくんだろ

僕らは今日も叶える 同じ未来を共に描くという夢を

 

あなたがいるだから僕は飛び立てるんだよ

あなたがいるだから僕は踏み出せるんだよ

いつの日か辿り着いて抱きしめあう時

僕もあなたの誇りでありたい』

演奏を終えた僕は話し出す

 

「千聖と彩、そしてパスパレの皆が今のパスパレメンバーと一緒に笑ったり泣いたりしながら色んなことに挑戦して欲しと思って演奏しました、じゃあ最後の曲に行きます

聞いてくださいprogress」

俺はギターを弾きながら歌っていく

 

『僕らは位置について横一列でスタートをきった

つまづいてるあいつのことを見て

本当はシメシメと思っていた

誰かを許せたり大切な人を守れたり

いまだ何一つサマになっていやしない

相変わらずあの日のダメな ぼく

ずっと探していた理想の自分って

もうちょっとカッコよかったけれど

僕が歩いてきた日々と道のりを

ほんとは''ジブン''っていうらしい

世界中に溢れているため息と

君と僕の甘酸っぱい挫折に捧ぐ

''後一歩だけ、前に 進もう''』

 

パスパレ視点

下積み時代を思い出すのと同時に皆と一緒に培ってきた

時間が浮かんでくる

「理想の自分ってなんだろうって考える曲だね」

「そうね、歩いてきた日々と道のりを本当のジブンって言うらしいか、それも光らしいわね」

「ひ〜くんもやっぱり理想を追い求める人なんだよ!」

「じゃなきゃ言葉は届きません!」

「そうかもしれないですね!」

夢や理想を語ることを嫌う人もいるかもしれないけど

その夢や理想があるからこそささる言葉があるのかもしれない

 

『空にはいつでもまるでぼくらの希望のように

こぼれそうなくらい星が輝いて

届かないその手を伸ばしたんだ

ガラスケースの中飾られた悲しみを見て

かわいそうに…なんてつぶやいてる

こんな自分ケリたくなるくらいキライ!

ねぇぼくらがユメ見たのって誰かと同じ色の未来じゃない

誰も知らない世界へ向かっていく勇気を

''ミライ''って言うらしい

世界中にあふれているため息と

 

君と僕の甘酸っぱい挫折に捧ぐ…

''あと一歩だけ前に進もう''』

 

パスパレ視点

星が希望でガラスケースに飾られているのは悲しみ

それをかわいそうになんて呟く

「こんなはずじゃなかったって言いたそうなちょっと悲しい曲」

「そうかもしれないわね、私達だけじゃなくて夢を追う人達の悲しみがこもってるのよ」

「ひ〜くん…」

「彼なりの答えなのかもですね」

「わかるかもしれません」

私達は曲を聞いて何故かザワつく気持ちになった

 

『ずっと探していた理想の自分って

もうちょっとカッコよかったけれど

僕が歩いてきた日々と道のりを

ほんとは''ジブン''っていうらしい

ねぇぼくらがユメ見たのって誰かと同じ色の未来じゃない

誰も知らない世界へ向かっていく勇気を

''ミライ''っていうらしい

世界中にあふれているため息と

君と僕の甘酸っぱい挫折に捧ぐ…

''あと一歩だけ前に進もう''』

演奏を終えた時皆は静かに笑っていた

「私達これからもパスパレとして頑張るから見ててね!」

「もちろん!」

それから少しの間練習して俺達は解散した

 

そしてLIVE当日

「日本最大級のイベント」

「って言ってたのに私達のステージちっちゃいね」

「いんじゃないの?ここから更に上のステージに行ってやるって思って演奏したらいいじゃん」

「確かに自分達らしいですね!」

「どんな時でも全力です!」

「緊張してきた」

「大丈夫緊張も彩ちゃんの味方よ」

「もちろん俺達もね」

「だよね!みんな手出して!光君も!」

「はーい!」

「俺も?」

「うん!」

「円陣ですね!」

「彩さん頼みます!」

「今回は光君にお願いしたいな」

「俺に?」

「私達の気持ちをいつも繋いでくれる光君にお願いしたいの」

「わかった!じゃあ皆!準備は良い?」

全員が頷く

「俺が付き添えるのはここまでだけど、皆!全力で!」

「うん!」

「もちろん!」

「任せて!」

「やりますよ!」

「全力で!」

「それじゃあ!パスパレー!」

「「「「オオー!」」」」

「ブシドー!」

そうしてLIVEが始まる俺はステージ袖からその様子を眺める

俺はその光景を目に焼き付ける

「皆らしさが溢れてるよ!観客皆も喜んでるよ」

そうしてLIVEが終わり彼女達はアイドルとしてまた一つ成長したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




パスパレ編になります!主人公が関わってるのでかなり内容は変わってますけどそこはご容赦ください
次回はGOフェスの話になりますのでお楽しみに
次回「お祭りとLIVE開催決定」


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第60話お祭りとLIVE開催決定

光はLIVEへの招待を受けて動き出す


その日、俺は高人と練習するつもりでいたが高人の予定が合わなかったため仕方なく1人で練習するために気分転換も兼ねてGALAXYを訪れていた

「こんにちは」

「光先輩!どうされたんですか?」

「高人と練習するつもりだったんだけど、予定合わなくて、気分転換にGALAXYで練習出来たりしないかなって」

「大丈夫ですよ!今は誰もいないので好きに使ってください!」

「じゃあそうさせてもらうね」

そうしてステージに行くとドラムの影に人が倒れていた

「えぇ!?死んでる!?」

「いやいや!な訳ないっしょ!」

俺達の声が聞こえたのか倒れていたヤンキー風の女子が起き上がってロックを睨むようにして言った

「お前…可愛いな」

「え?」

「は?っておい!」

俺とロックがポカンとしていると起き上がってそのまま去っていく

「なんだったの?」

「さぁ?」

ロックはとりあえず後を追い俺もそのさらに後を追う

「店長!今、中に人が…!」

「え?なに?」

「今、俺達以外にも人がいたんですけど、見ませんでしたか?」

「手が離せなくて見てなかったよ!」

「そうですか」

俺は店長さんの方に目線をやるとすこやかゴーゴー祭りと書かれたポスターが目に入る

「商店街のお祭り?音楽発表会?」

「みたいだね」

そう話しているとスマホが鳴ったつぐから電話で集まりに参加して欲しいと言われとりあえずGALAXYのスタッフとしてロックも行くようだったので一緒に向かった

そうして俺達は羽沢珈琲店に集まった

「それでは始めたいと思います!商店街青年部お祭り委員臨時集会!議長は私、羽沢珈琲店の羽沢つぐみです。それでは出席を取ります」

つぐみは1人ずつ名前を呼ぶ

「やまぶきベーカリーの沙綾ちゃん!」

「はい!」

「北沢精肉店のはぐみちゃん」

「おいひー」

はぐみはケーキにご満悦のようだ

「青年部太鼓リーダーの巴ちゃんとその妹のあこちゃん」

「妾に漆黒の…う〜んと…光兄ぃなんかない?」

「漆黒にして禁忌の飲料とか?」

「それだ!」

「コーラおかわりだね」

あこちゃんは変わらずだ

「っていうかなんでいるんだよ」

「商店街あるところにモカちゃんあり」

「やまぶきベーカリーの常連さんだから、それと今日は新しいメンバーとして旭湯の六花ちゃんも来てくれました」

「今日はギャラクシーのスタッフとして来ました。よろしくお願いします」

「最後に去年の夏祭りLIVEを盛り上げてくれた特別ゲストの光さん!」

「今回も俺は参加なんだね」

「私も店長に頼まれて来たんですけど、イマイチよく分からなくて…」

「うん大丈夫。私たちもまだ探り探りだから。実はね今度商店街でイベントがあるんだけど…」

「はいポスター見ましたすこやかゴーゴー祭り」

「そうゴーフェス」

「この間商店街の長老さんに呼ばれちゃってね」

そう言ってつぐみは詳しい説明を始める

長老さんに商店街活性化の為に若者を呼び込みたいからLIVEをやってくれと頼まれたらしい

「商店街の皆も協力してくれるって」

「そうなんですね」

「ハロハピも?」

「はぐみたちはコロッケライブだよ」

「コロッケライブ?」

「あの、ポピパさんは出ないんですか?」

「ん?」

「あーいいじゃん」

「皆でやった方が楽しいだろ!」

「それには同意するよ、俺もやるなら大勢でやりたいし」

「光さんが参加するならまたパスパレとか呼べないんすか?」

「今回は無理じゃないかな?代わりって訳じゃないけど俺は高人と出るし」

「高人先輩OKしてくれてるんですか?」

「高人は大勢でワイワイガヤガヤするの好きだからノってくるさ!」

「ポピパの皆には1度聞いてみてもらえる?」

「まぁ、大体返事は想像つくけどね…」

「だろうね」

「ところで光さんはもう曲決まってたりします?」

「まだだけど、もう決めちゃう?」

「出来たら光先輩の曲は先に知っておきたいですね」

「1曲はこれやりたいってのあるし、後、何曲決めたら良い?」

「とりあえず2曲お願いします」

「じゃあ光の破片と、りんどう、Prayの3曲で!」

「聞かせてくれますか?」

「もちもん!ちょっとまって!」

俺はポケットからウォークマンを取り出し演奏する曲を選択して再生する

「とりあえず光の破片からね」

そう言って曲を再生する

この曲はAfterglowにピッタリな気がすると思いつつ俺は最後まで曲を聞いてから次を再生してを繰り返して演奏予定の曲を全部再生し終えて話し出す

「一応この3曲使うつもりだけど、どうかな?」

「私は良いと思います。 」

「私も異議なしです!」

皆がOKしたので即決まりとなりその日は解散した

俺は高人に商店街のイベントに出ることを伝えるとすぐにOKの返答が来たので当日までに1・2度合わせれば問題無いだろうと思いながらその日は帰宅した

そして曲順を決めてそれに合わせて軽く練習し夕飯等を済ませて就寝する

 

そして次の日

俺はイツメンで集まり話していた

「光、商店街のイベント出るんだって?」

「情報早いな〜情報源は高人?それともあこちゃん?」

「モカだよ!」

「意外なとこから知られたな」

「だね、昨日の集まり来てたしね」

「今回も演奏するのでしょ?観に行くわ」

「まぁ、楽しみにしてて」

「もちろんあたしもいくね〜!」

「皆で来なよ、高人、近いうちに合わせるぞ」

「あいよ!まぁ、俺達なら問題無いだろうけどな」

「油断大敵&禁物」

「わーってるよ!」

 

 

その頃ポピパ視点

昨日の集まりでイベントに参加しないかと誘われた事を話すと思っていた通りの反応だった

「やる!やりたい!」

「主催LIVEの方は大丈夫?」

「今、会場のリストアップしてるよ」

「私がな」

「毎年やってるよね、お祭り」

「そう。ウチも屋台でパンだし はぐみんちのコロッケとか」

「美味しいやつ!税込み86円!」

「会場は?」

「作るんだって。野外に」

「野外ステージ…あぁいいなぁ!野外ステージ」

「2回言った?」

「大事な事だからな」

「野外ステージ」

「3回!?」

「かなり大事」

「じゃあやるって返事しておくね」

「AfterglowとLIVEかぁ…」

「光先輩も出るよ」

「先輩も?」

「去年の夏祭りの時大盛況だったから今回もって」

「そっかぁ〜、あの人も出んなら尚更やる気出るわ」

「曲とかも決めないと」

「練習しなくちゃ」

「いっぱいやる!みんなで!」

そうして私達は昼休みを過ごした

 

光side放課後

今日は俺と高人のシフトが同じ日で高人に受付を頼みAfterglowの練習に参加中だ

「巴ちょっと走りすぎ」

「ゴーフェスが楽しみすぎてさぁ!」

「お祭り大好きだもんね巴ちゃん」

「太鼓の方はどうするの?」

「そっちも全力でやるに決まってる!」

「頑張れともちんー!」

「光さんも出るんだよね?」

「もちろん!受付でぼーっとしてる高人と一緒にね」

「高人先輩ってベース上手いんですよね?一度教えてもらおうかな?」

「高人の教え方って独特だからなぁー」

「そうなんですか?」

「まぁ、本人に聞いてみなよ!」

「でも、そろそろ行かないとやまぶきベーカリー閉まっちゃうよ?」

「パンが食べられない人生なんて…生きる意味が…」

「早く帰ろ」

「入口まで送る」

「お願いします」

Afterglowを見送り俺は受付に座り一息つく

「お疲れさん、どうだAfterglowは?」

「可もなく不可もなくって感じ、まぁ気持ちが先走り過ぎてる部分はあったけど」

「悪いことでは無いしな」

「今暇してるし練習しないか?」

「賛成!まりなさんに受付代わってもらおうぜ」

「だな」

俺達は受付を代わってもらい2人で練習に勤しんだ

「高人、もう少しベースライン上げていいよ」

「任された!光はガンガン主張してけ!」

「とりあえずほどほどにしとくよ!」

そうして俺達は練習とバイトをこなして解散した

 

次の日、放課後

俺は高人と一緒にAfterglowの皆に呼ばれて屋上に来ていた

「光さん遅い!」

「そんなに遅れたかな?」

「とりあえず、光さんもセトリ確認してくれませんか?」

「俺も?」

「一応、練習見てもらう都合上お願いしたいなって」

俺はセトリの画面を見せてもらった

「大丈夫じゃない?皆が良いならね」

「えっと機材はギャラクシーから借りられることになったから前日にみんなで搬出しに行こって!それからなんだっけ?」

「おぉーつぐってるね〜」

「本当だ」

「何それ?」

「造語です頑張ってるつぐみの略称です」

「なんか違う気もするけど、お祭りの準備もあるし、練習ももっとやりたいし」

「頑張り過ぎてまた倒れたりしたら大変だよ」

「だね、あの時は蘭とひまり険悪になったし」

「言わないでくださいよ!」

「尚更つぐ気にするじゃないですか!」

「逆じゃないかな?だからこそ倒れないようにって思うんじゃない?」

「そうですね、尚更倒れないようにしないとまた光さんに迷惑かけちゃいますよね」

「俺に迷惑かけるなら全然いいけど、皆が楽しめなくなるのは勘弁だからね!」

「まぁ、なんだかんだいつも通りにってことで」

「それがAfterglowだしね!」

「光さんもですよ!」

「俺?」

「光さんもAfterglowのメンバーなんですからね!」

「普段全然皆といる訳じゃないのに?」

「それでも、光さんはここぞって時には必ずいてくれますし、何よりAfterglowのいつも通りの中に光さんにいて欲しいって皆思ってます!」

「ありがとう、俺は6人目のメンバーとして皆に演奏を届けるよ」

「じゃあ、俺はそんな光の影として支えないとな」

「頼りにしてるぜ相棒」

「任せろよ!」

「よーし、じゃあ、LIVE頑張ろう!エイエイオー!」

ひまりが気合いを入れるために叫ぶが俺も含め皆スルーした

「なんで皆にノッてくれないの!」

「どうせ皆スルーだって!」

「まぁ、それもいつも通りだよ」

「言えてる、それに…夕日が綺麗だな」

「覚えてる?中学の文化祭ライブの時に見たあの夕焼け」

「忘れるわけないよ」

「私たちの初ライブだったもんね」

「あれからいっぱいいっぱい夕焼け見たね。5人で」

「俺も見たかったな、みんなと同じ景色」

「これからたくさん見れますよ!」

「だと良いけどね」

そうして俺達明日に備え解散した

 

そして次の日、準備の為GALAXYに向かっていた

途中でポピパの皆と合流して目的地に到着する

「あれ?ロックじゃね?」

「見たいだね」

香澄は近付いて行って後ろから抱きつきながら名前を呼ぶ

「ロックー!」

「わぁぁぁー!」

ロックは驚いて手にしていた紙を有咲に貼り付けた

「おい」

「なんか書いてあるよ」

「あのPoppin’Partyさんも出演決定…」

「剥がせよ」

俺は有咲の額の紙を剥がしてロックに返す

「わざわざ貼ってくれてるんだね」

「光さんのもありますよ」

「どれどれ?」

そこにはミュージックキングこと光さんも出演決定と書いてあった

「なんで俺、ミュージックキングなの?」

「Roseliaの皆さんのLIVEでそう紹介されてましたので」

「いんじゃね?お前にピッタリじゃんか!」

「ん〜まぁいいか、ありがとうロック」

「ありがとーロックー!」

香澄に抱きつかれてロックは嬉しいやら恥ずかしいやらで真っ赤になっていた

店内に入るとリニューアルLIVEの時の写真が貼ってあった

「これうちらじゃん」

「うん、この前の…」

「ロックが作ってくれたんだな」

「またここでやりたいな…」

「うん」

俺は高人と一緒に後ろの方からその様子を見ながら話していた

「決まったな」

「だね、間違いなくここになるだろうね」

「今度もしっかりやれよ!」

「お前は?」

「一緒に出るのはパス!主催LIVEの時はお前がしっかり繋いでやれ」

「わかったよ!」

そうして俺達は機材運びを手伝っていく

「これで最後です」

「じゃあステージまで運ぼう」

「うん。八百屋さんがトラック出してくれるって」

「手で持って行けるものは俺と高人である程度持っていくよ」

「お願いします」

そうして機材を運び終えてステージに集まった

「明日楽しみだね」

「目一杯盛り上がろうな!」

「もちもん!最高の演奏をしようね!」

「オー!」

そうして俺達は何事も無く準備を終えて解散した

 

ゴーフェス当日

長老さん達の開催の挨拶で祭りが始まった

俺達もLIVE会場の最終チェックを終えていよいよAfterglowのLIVEが始まろうとしていた時雨が降り出した

「ギャラクシーまで機材戻すしかないか」

「そうだね」

「高人!俺らも手伝おう!」

「仕方ねーか」

そうして俺達は機材を一度ギャラクシーに戻したタイミングでアナウンスが鳴りライブ一時中断となった

「これ、良かったら使って」

「ありがとー、羽沢珈琲店のだ」

「先輩達も!」

「俺達はいいよ!大丈夫」

「だな、さすがにびしょ濡れの女子達の中に混じる度胸はないからね」

「気にしなくて良いんですけどね、」

「そうはいかないって!俺達2人とも男子!男の目を意識してよ!揃いも揃って!」

「光、諦めろ!多分お前だから平気としか言わないだろさ」

「……」

その返答に対し俺は無言にならざるを得なかった

「やむかな?雨」

「一応夕方にかけて天気は回復するって予報だけど…」

「靴までびしょ濡れテンションだだ下がりだっつーの」

「やりたいなぁ…ライブ…」

「食べるか?あこから差し入れ、先輩らもどうぞ」

「ありがたくいただくよ!」

「あ、うちもこれも差し入れで」

「おぉ!やまぶきベーカリー!」

「一瞬で目の色変わったな」

「モカ好きだもんねやまぶきベーカリーのパン」

「もち〜」

そうして差し入れを食べつつ話をする

「もしかしてつぐ達って野外ステージ慣れてるの?」

「え、そんなことないよ」

「だって落ち着いてる」

「光さん達には適わないって!あの人らあたしらに気使って外にいるけど、かなりうずうずしてるはずだぜ!」

「光さん演奏なると人変わるから」

「何があってもいつも通りにやるだけ」

「Afterglowさんってどんな風にバンド組んだんですか?」

「俺も気になるな、聞かせてくれる?」

「是非とも聞きたいね」

「光さんには前に話しませんでしたっけ?」

「多分、聞いてないってか言ってないと思うよ」

「せっかくだし、聞いてもらおうぜ」

そうして俺達に巴達は話してくれた

「私たちは気付けば一緒にいたっていうか幼馴染でさ」

「小学校から同じクラスだったんだけど…」

「中2のとき蘭だけ別のクラスになっちゃって。そしたらなかなか5人で一緒にいられなくなったんだ」

「そんな時つぐがバンドやろうって言ってくれたんです」

「どうしたら5人で一緒にいられるかって考えた時思いついたのがバンドだったんです。」

「それから皆でバンド名考えてあたし達が練習するのはいつも夕方だからAfterglow皆で決めたんです」

「ずっと一緒なんですね」

「そんな輪の中に俺がいていいのかな?」

「大丈夫ですよ!」

「でっかい目標もあるから力貸してもらわないといけないしね〜」

「その目標って?」

「なになに?」

「目指せ武道館!」

「まぁそんな感じ」

「とにかく私達はいつも通りでいられるのが一番嬉しいんだ」

「なんかいいです。絆があるって感じがします」

「確かにな、俺や光、ポピパの皆とは全然違うけど、確かな絆を感じるよな」

「大げさだな先輩」

そうして話していると雨はほとんどあがっていた

「今からみんなで準備したらギリギリ間に合うんじゃない?」

「でも、ステージが…」

「モップあったよな?」

「うん。商店街の倉庫に」

「じゃあ私たち機材取りに行ってくるね」

「え?もうトラック使えないんだろ?」

「俺達も手伝うし大変だろうけど頑張って運ぼう」

そうして俺と高人がなるべく重くて長いものを2人がかりで運んでいきモップ掛けも終わり準備が完了しライブ再開となる

「光さん達衣装びしょ濡れじゃないんですか?」

「かなりヤバいから俺達も制服になるよ」

「ならよ、久々に地元の高校の制服着ないか?」

「良いね!」

「制服達の地元の制服ですか?」

「うん、羽丘のと違ってかなりシンプルなんだけどね」

「ウチの学校のもかなりシンプルだと思いますけど」

「蘭、準備は?」

「いつでも!」

「晴れたなお守りのおかげかもな」

「わたしも持ってた。お守り!」

「私も!」

「エモーい」

「じゃあいつも通りで!」

「盛り上がってきたねー!皆で楽しんでいこう!せーの!エイエイオー」

盛り上がっていてもスルーするみたいだ

「えぇー!こんないい感じの時もやっぱりやんないのー!?」

「これもいつも通り、光さん!見ててよ!」

「もちもん!」

そうしてAfterglowの皆の演奏を聞いていく

「すげぇよな…」

「5人でどれだけのいつもを過ごしてきたんだろう…」

「その輪の中にお前がいるんだぜ光」

「わかってる、だからこそ、俺達はあの子達にそしてポピパの皆に恥じない演奏をしないとさ、先輩としてのプライドが許さないし何より演奏家としてもさ」

「先輩の意地ってやつか!付き合うぜ!」

「とりあえず、俺らも制服に着替えるか!」

「だね」

俺達はあの頃の制服に身を包む

「光が着るとなんでこうカッコつくかな」

「黒がトレードマークなんだよ!ほら、行くぞ!」

「行きますか!」

俺達はスタンバイする

「光さん達の制服カッコいいですね」

「こいつが着るとなんでかこの黒いだけの制服もカッコつくんだよ!」

「演奏、楽しみにしてますよ!」

「うん、行ってきます!」

俺は高人と共にステージに行き香澄達からバトンタッチを受けてステージに立った

「こんばんは、光です」

「相棒の高人です」

「色々伝えたいことって言うか言いたいことはたくさんあるんですけど、まずは雨が晴れて良かったです!LIVE楽しんで行ってください!」

「結局それに落ち着くのかよ!で、1曲目は」

「Pray」

「ん」

俺達は演奏を始め歌い出す

 

『Let's go out!Openmymind

Let's gosweetdreamotherside

今解き放つ籠の外へ錆び付いた鍵鳴り止まぬ鼓動

気づいてた''もう…戻れない''

失われた日々が(Heydadywhy?)

蒼く繋がってく( Iwant tocry…)

怖がる自分に負けたくないよ

運命から逃げない''ひとりじゃない''

そばにいるたとえどんなに哀しい夢だとしてもかまわない

君の涙に触れたいよ…bady IPlay…''信じて''

冷たい記憶の闇切り裂いて』

 

ついてこい高人!今はそれだけでいい

俺は高人に向かって合図すると高人は笑う

あの野郎〜見てやがれ!

俺達は一つとなって演奏する

 

『傷ついた翼(はね)休ませる泉

飛び込むすべてがわからなくて

退屈な場所苛立ちや不安僕らは今日も悩むけど

暗い空を見上げ(Baby…foryou)

進む顔を上げて(I'mherefor you)

飽くなき想いを鞄に詰めて

踏み出す心の闇を振り払い

責める雨の音 悲しくなるなら

優しい君の盾になる信じることをやめないでalways

IPlay…その瞳(め)に小さな奇跡を映してみせて

ah …ah… ah… ah…

(Hey baby why?…Iwant to cry

Hey baby why?

Hey baby why?…Iwant to cry…

I'mhere for you…yeah…!

Believe yourself)

そばにいるそこがどんなに哀しい夢の中でもかまわない

同じ瞬間(とき)を生きていたいwithU…

IPlay…''答えて''

もし許されるなら君の涙に触れたいよ…baby

IPlay…''信じて''

冷たい記憶の闇切り裂いて』

俺達は1曲目の演奏を終えると話し出す

 

「1曲目はPray、誰かの隣にいる存在の大切さを歌った曲だと思ってます」

「歌詞がそんな感じだからな、そんで、光次の曲は?」

「次の曲は光の破片を歌います。じゃあ、聞いてください」

「行くぜ!光はキーボードとギターを兼任してもらうからな!」

「任された!じゃあ、改めて聞いてください!光の破片」

俺は前奏をキーボードで演奏し高人には後ろでギターを任せつつツインギターで歌っていく

 

『形も色も違うビーズがテーブル上で光ってた

互いが互いを照らし合って色とりどり輝いてた

 

ヒビが割れても少し欠けてもその破片さえ輝いてた

 

寄り添い合いながら時に遠ざけながら

不揃いな欠片と欠片つなぐ

いつかの悲しみも涙した思い出も君の微笑みを彩る光

 

淋しさに負けそうになっても平気なふりして笑ってた

自分の荷物、他の誰かに背負わせてしまわないように

 

気付いていたよ君の強さをその横顔をずっと見てた

 

オレンジ色の空西日に照らされて

不揃いな影法師が揺れてた

何か伝えたいの何も言えなかった流れる時と暮れてゆく光

 

イビツな欠片たち時には擦れ合い

光にかざした万華鏡のように

分かり合えなくても涙が流れても

一人きりでは叶えられない景色』

 

Afterglow視点

 

まるで私達の事を歌っているようだと感じた

「曲を決めた時からわかってたのかな?」

「どういう事?」

「この曲を決めた時にね先輩Afterglowの皆にピッタリかもって言ってたんだ」

「そういえば〜」

「言ってたなそんな事」

「あの人はずるいから、いつだって身近な人の為に曲を届けてるからね」

そんな話をしながら曲を聞いていく

 

『笑い合えたこともぶつかり合った事も僕の大切な宝物

かき集めたビーズで何が作れるだろう?

色あせない光の欠片たち

 

オレンジ色の空西日に照らされて

不揃いな影法師が揺れてた

何か伝えたいのに何にも言えなかった

流れる時と暮れてゆく光

 

寄り添い合いながら時に遠ざけながら

不揃いな欠片と欠片つなぐ

いつかの悲しみも涙した思い出も君の微笑みを彩る光』

2曲目の演奏を終えて俺達は再び話し出す

 

「次がラストの曲になります。ラストの曲はりんどう」

「待ってました」

俺達はラストの曲を演奏していく

 

『流れる時の早さに体を委ね眺めてる変わりのない物語

引き返すことも出来ずに

 

こみ上げる熱い思いも胸にしまう凍りついた夜も

指を咥え繋ぎ合わせ過ぎるのを待っていた

 

底知れない深い谷でぼんやり光ってる

祈りを削り刻んで一つだけあともう少しだけ

弱いままで強くなれ

 

この思いと引き換えに目の前の扉をくぐって

生きて生きて生き抜いてやれ

汚れたのはどっち見上げた星空

 

花は咲く嘘のように風に揺られ雨に打たれて

どこにいても枯れないように願い歌う祈りの歌』

 

Afterglow視点

「光さん、なんで今までこんないい曲隠してたのかな」

「隠してた訳じゃないと思うけどね」

「機会がなかっただけじゃないかな?」

「かもしれな〜い」

「なんにしてもさ、なんかあたしらが過ごしてきた時間の大切さを感じるよな」

巴の言葉に私達は頷きで答え曲を聞いていく

 

『底知れない深い谷でぼんやり光ってる

命を削り刻んで好きなだけ後もう少しだけ

弱いままで強くなれ染まらない終わらない

 

その思いと引き換えに目の前の扉をくぐって

生きて生きて生き抜いてやれ

汚れたのはどっち見上げた青空

 

空を飛ぶ鳥に乗って海を目指す魚になって

「ここにいる」と呼ぶ声がする約束はしてないけど

またいつの日か歌いなぞる命の歌』

 

ポピパ視点

 

「私達が過ごしてきた時間が思い出されるね」

「そんなに長い時間じゃないのにな」

「でも、その時間は私達にとっての宝物だよね!」

「うん、間違いなく!」

「そうだね、多分今回はその気持ちを忘れないでって言ってるのかもね」

きっとそうだろうと私達は思った

 

『トンネル抜けて海を渡って

曲がりくねった細い道を真っ直ぐ

花が咲く頃手紙を書くよ心細い時は喜び数えて

 

流れる時の早さに体を委ね眺めてる

変わりのない物語りんどうの花のように』

演奏が終わると高人は静かに言った

「終わったな…」

「まぁ、また機会はあるさ、文化祭とかさ、来てくれた皆さん、聞いてくれてありがとうございました!」

客席から歓声があがる中でAfterglowとポピパに並んで皆で礼をする

「最後に私達Poppin’Partyからお知らせがあります!

私達Poppin’Partyの主催LIVEをここ商店街のLIVEハウス

ギャラクシーでやります!」

「聞いてませーん!」

「言ってねぇし」

「サプライズ過ぎますー!」

「良かったね!」

「もちろん、光先輩も出演してくださいね」

「言ったろ!」

俺の肩に手を置いて高人が言った

「みたいだね、もちろん!最高の演奏で皆に繋いで見せるよ!」

「約束ですよ!」

「うん!約束だ!」

俺達は新しい約束を交わし空を見上げると空には一番星が輝いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




1ヶ月振りくらいですね。
シーズン2の6話目件60話目になります。
次回はシーズン2の7話目RASメンバーとの出会い等を書いていきますのでお楽しみに。
次回「光の行動と再会のメロディー」


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第61話光の行動と再会のメロディ

高校最後の文化祭を控えた光は新たな出会いを果たす


羽丘side

4限が終わり昼休みに何気なく1人でアコギを弾いていると日菜が声をかけてきた

「ねぇねぇ、ひ〜くん!この間のLIVE観に行ったよ!すっごくるんってした」

「それは良かったよ」

「もっとたくさんの演奏聞きたいな〜」

「俺の演奏で良ければいつでも演奏するよ」

「そうじゃなくてね、お姉ちゃん達や他の皆の演奏をいっぺんに聞きたいなって...あ!そうだ!ひ〜くんちょっと付き合って!」

「どこか行くの?」

「お姉ちゃんの所!一緒に行こう!」

「今から?」

「うん!」

言っても無駄だろうなと思い俺はギターを片付けて付き合う事にした

「授業始まるでに戻って来れると良いけど、難しいだろうし6限に間に合うように戻ってこよう!先生には生徒会の用事を済ませるために5限は休むって言っておくよ」

「さっすがひ〜くん!あたしの事わかってる〜」

そう言って抱きついてくる

「わかったから落ち着いて、準備して行くよ!」

「はーい!」

そうして俺達は簡単に準備をして日菜を後ろに乗せ自転車を走らせる

羽丘から自転車を走らせて花咲川に向かう

そして花咲川に付くと昼休みという事もあってすぐに人に囲まれた

そしてちょっとした騒ぎになり風紀委員の紗夜がやってきた

「風紀委員です何事ですか?って日菜、それに光君、貴方達ですか」

「あ、お姉ちゃん!」

「どうして2人がここに?」

「日菜が話があるんだって、俺は付き添い」

「お姉ちゃん、燐子ちゃんうちの学校と合同で文化祭しようよ!」

「とりあえず、場所移動しようか、ここじゃあなんだし」

俺達は花咲川の生徒会室に案内されてそこでもう一度合同文化祭の提案をする

「合同文化祭…ですか?」

「羽丘と一緒にするの。この前商店街でひ〜くんとAfterglowとライブしてたでしょ?」

「はい」

「あれ、るん♪っときた」

「それよりもアポイントも取らずにいきなり他校に押しかけるのは非常識よ。それも昼休みに。まだ授業があるでしょ?」

「そっちはひ〜くんが上手くやってくれたよ!生徒会の用事って事で5限は休むって」

「はァ、光君が着いておいて、アポイントを忘れるなんてどうなんでしょうか?」

「そう言われてもな〜まぁ思い立ったが吉日?」

「ごめんね、昼休みならお姉ちゃんに会えると思って」

「日菜、こう言ってるし」

「本当に日菜に甘いんですから!」

「仲良きことは美しきかなだよ紗夜」

「そういう問題では…もういいです。」

「えっと…すみません、一緒に文化祭って具体的には?」

「開催日合わせて合同で出し物したり?お客さんもどっちもビュンって行けたらるるるん♪でしょ?」

「ビュン…るるるん…」

「市ヶ谷さん耳を貸さないでいいわ」

「あ〜つまりさ、合同でやる以上行ったり来たり出来たら来てくれたお客さんも楽しんでくれるんじゃない?」

「そうそう!そういう事!燐子ちゃんはどう思う?賛成?」

「えっと…」

「生徒会長である貴方が決めてください」

「わ、私…?」

「まぁ、いきなり言われても困るよね、今回はあくまでも提案だから、前向きに検討しておいて、日菜、とりあえず戻ろう」

「うん!」

そうして俺達は花咲川を後にし羽丘に戻り6限と帰りのホームルームを受けて解散した

俺はポピパの皆に相談したい事があるからと呼ばれて有咲の家にお邪魔していた

「主催ライブ会議ー!」

「わー!」

「新曲どうするの?」

「その前に日にち決めない?予定組めないしみんなの都合もあるし」

「まずもって俺は何したらいい?」

「先輩の都合は大丈夫ですか?」

「具体的には?」

「夏休みは?」

「こころん旅行だって」

「千聖先輩達6月なら空いてるって言ってた。事務所にも掛け合ってくれるって」

「パスパレ出てくれるの?」

「ってかすごくね?どんな交渉したんだ?」

「秘密」

「とりあえず、夏休みは俺も都合付かないかも、Roseliaの合宿もあるし」

「今年も参加するんですか?」

「強制参加らしいよまずもってギャラクシーの都合は?」

「GALAXYはいつでも空いてるって言ってたよね」

「じゃあ6月最後の土曜日!」

「1ヶ月後か…あんま時間ねぇな」

「でもそれだけ熱いものが出来ると思う」

「その日でいいかみんなにも確認しなくちゃね」

「そろそろ文化祭の準備始まるし今まで以上に頑張らないと」

「皆、忙しいね、俺も人の事言えないけどさ、とりあえず、ライブの予定はその日で大丈夫だよ」

「文化祭準備とか考えたくねぇ…」

「がんばれがんばれ」

「今年の文化祭でポピパ1周年だね!」

「5人で最初にライブしたの去年の文化祭だったな」

「光さんが私達を引っ張ってきてくれたんだよね」

「俺は演奏しただけでそこから踏み出したのは自分達だよ」

「でも、光先輩のおかげもありますよ!」

「だよね、実際私は香澄の言葉と先輩の演奏が励みになって踏み出せたのは間違いないんだし」

「だからこそ!1周年のお祝いしよう皆で!」

「1周年記念ライブ」

「ちょ!待っ…主催ライブは?」

「どっちもやる!」

「かなりハードになるよ」

「それでもやりたい!」

「だとしたらかなり大変だよ、練習もそうだしLIVEの打ち合わせやらなんやらね」

「この前商店街でLIVEしてやっぱりLIVEでしか得られないものっていっぱいあるなって」

「そうかもだけど…」

「確かに、LIVEでしか得られないものってあるよね」

「私もやりたいかな。大変なのは分かってるけど文化祭結構思い入れあるっていうか、今度は初めから参加したいなって」「確かにね、沙綾は去年途中参加だったしね」

「光さんと香澄がいなかったら私は今ここにいないだろうし、せっかくだし最初から最後まで楽しみたい」

「あ〜もう!わかったよ!」

「うん!それじゃあ新曲について!」

「セットリストも考えないと」

「タイムテーブルと衣装も」

「だーもう1つずつ!」

「まずはセトリからだね」

そうして1つずつ課題をクリアしていくためにやることリストを作成してその日は解散した

俺は帰宅するとカレンダーの6月最後の土曜日に予定を刻み

ついでに文化祭の予定も入れておく

「去年みたいに文化祭で出し物とかやるかな?高人と俺と麻弥さんと合同なら燐子に入ってもらってボーカルは俺と友希那かな?高人と俺でツインギターでベースリサに任せても良いんだけどなぁ〜」

俺は明日皆に相談してみる事に決め主催ライブの曲を決めるためにギターを弾いていくがまだこれというものが浮かばすその日は就寝する

 

そして次の日昼休み

俺は学校でイツメンで集まり出し物について相談してみる

「皆、今年もやる?Starlight」

「アタシはやっても良いけど、合同文化祭なわけだし、いっそアタシ達以外のメンバーと組むのもありかもよ!」

「友希那は?」

「貴方と2人でボーカルするなら考えてもいいわ、去年もツインボーカルでやったわけだし」

「俺はやるなら構わないぜ!」

「だとしたら、花咲川のメンバーから他引っ張るかな〜でも、そうするとかなり難しいよな〜」

「光はメンバーどう考えてるの?」

「友希那が確定で良いなら俺と高人と友希那に麻弥さんとキーボードに燐子に入ってもらおうかなって」

「仮にアタシがやるならどうするの?」

「高人と俺でツインギターかな?日菜はどうする?」

「あたしはいいや!今回は聞く専門で、あたしギターしか弾けないし、ひ〜くんとたかくんいるならどうとでもなるし」

「まぁ全員アコギならまだしもそうもいかないしな」

「アコギ持ってるのひ〜くんだけじゃん!」

「高人持ってないっけ?」

「持ってねーよ、エレキ1本だけ、たまにお前のエレキも使うけどな、それに基本はベースだしな俺」

「アタシ高人のベースってGALAXYでライブした時の1回だけしか聞いたことないんだけど、光が認めるほどだから凄いんでしょ?」

「知らねーよ!俺は光以外と演奏しても楽しくねーってだけ」

「高人、言い過ぎ」

「もちろん、色んなバンドメンバーの演奏を聴いてて楽しいし感動もある、でも、俺は光以外と本格的なバンドをやるつもりはないよ!」

「そこまでの信念があって光と共にいるのね」

「まぁな」

「とりあえず、光メンバーには声掛けてみなさいよ!」

「了解!」

そうして俺達は教室に戻り授業を受けて解散した

高人はバイトの為俺は1人でGALAXYに来ていた

ロックはポピパのメンバーとの打ち合わせの為俺は1人で念入りに楽器を調整した所で1人でギターを弾く

 

???side

1、2時間程練習しようかと思ってた時ギターの音が聞こえてきた

「誰かいんのか?」

そう言って扉を開けると荒々しいギターの音が聞こえてきた

「すげーギターの音だな荒々しいんだけど、どこまでも迷いがないって言うかさ、あ〜もう我慢できねえ途中参加だけど許せよ!」

堪えきれなくなり扉を開けて目の前でギターを弾いているヤツの後ろに行きドラムの前に座りドラムを叩く

そしてそいつの後ろで共に演奏したからわかるコイツはすげーヤツだ!

チラリとこっちを振り向いて軽く笑ったあと更に1段ギアを上げやがった、どんなに音を割り込ませてもそれを拾って確実にアタシにぶつけてきあがる

こんな奴にはなかなか巡り会えねー!楽しいぜ

 

光視点

1人で何気なく練習していたらいきなり乱入してきたヤンキー風の女子がドラムを叩き演奏に参加すると後ろから煽るようにドスドスと音が響いてくる俺はチラリと後ろを振り向いて表情を見て軽く笑うと更に1段ギアを上げるが音を割り込ませてきて俺はそれを拾って相手に返すとあっちも楽しそうにしている

俺はもう一度後ろを振り向いてまだいけるかと目で合図すると相手は頷きで返してきたので俺は更にギアを上げる

そして演奏が終わると軽く息を切らしつつ向き合い話をする

「お前かなりやるな!」

「そっちもね!まだ全力でないとはいえここまでついてこれたのは君が初めてだよ」

「あれで全力じゃねーってか!今何割だ?」

「6割って所かな?多分全力は俺の相棒のベーシスト以外は着いて来れないよ」

「おもしれぇ!あんた名前は?」

「光、宮村光だよ!よろしく、そっちは?」

「ますきだ!佐藤ますき!お前、バンドやってんのか?」

「いや、バンドはやってない!」

「でも、そんだけの腕ならスカウトとかされてんじゃねーの?」

「スカウトか…まぁされたんだけど断ったんだよね」

「そんならよ!あたしらに力貸してくれたりしねーか?」

「え?」

「あたしバンドにスカウトされたんだけどよ、ギタリストがいねーんだ、だからよ、サポートでいい!あたしらのバンドに本当に相応しいギタリストが見つかるまでサポートして欲しい!頼む!」

「なら、まずは君達の演奏を聞かせてくれる?話はそこからだよ!」

「なら、全員揃う日に連絡するから来てくれ!それと連絡先交換してくれよな!」

「わかったよ!」

そうして俺達は連絡先を交換し解散した

そして帰り道香澄たちが路上ライブをしているのを見かけて

俺も久々にと思いおたえ達に声をかけて混ぜてもらい

解散した

 

 

次の日

合同文化祭の打ち合わせに参加し有志バンドの件は燐子からOKをもらいその後校内の様子を見て回っていたら日菜が彩と

一緒にやってきた

「いた、おーい!ひ〜くん!」

「日菜、それに彩もどうしたの?」

「彩ちゃんね、文化祭でLIVEしたいんだって!でも、パスパレは事務所からダメって言われちゃって、新しくメンバー探してるとこなの!それで、ひ〜くんはどうかなって」

「Starlightあるから俺は無理だよ、メンバー探すのは手伝うけどさ」

「じゃあ、一緒に探そう!」

「お願い出来る光君?」

「もちろん、とりあえずベースからだね日菜がそのままギターやるなら」

「千聖ちゃんに声かけてみようかなって」

「じゃあとりあえず千聖のところに行こうか」

「だね」

そうして俺達は千聖の教室に向かい教室で花音と話していた千聖に声をかける

「千聖、花音、ちょっといい?」

「あら、光、こっちにいるなんて珍しいわね、日菜ちゃんのお供かしら?」

「似たようなものかな?それよりも、彩とバンド組む気ない?」

「パスパレがNGなのだし、日菜ちゃんがやるならちょっと難しいわね、それにどうして私たちなの?」

「友達だから…」

「私はパスパレのメンバーでしょ?あなたも」

「ねぇねぇお姉ちゃんの机どこ?」

「1番前だよ」

「日菜ちゃんはプロデューサーなんだ、光君はメンバー集め手伝ってくれてるの」

「プロデューサー?」

「バンドの方針を決める人よ。ビジネスパートナーとしてバンドを支えたり人を集めるのも仕事ね、光がやればいいのに」

「俺はStarlightとして出るからね、花音はどう?やってみない?」

「カノンちゃん一緒にやらない?彩ちゃんと同じバイトしてるじゃん」

「うん、やろう」

「えぇ!?」

「本当にいいの?実は日菜ちゃんに弱み握られているとか!?

正直に答えて花音!」

「ふぇ〜!?」

「花音!教えて花音!」

「千聖ちゃん…」

「ちょっと落ち着きなよ、花音困ってるよ」

俺は花音の背後から両肩に手を乗せながら言った

そして日菜はそれに構わずに次のメンバー探しに向かうようだ

「どんどん行こー!」

「あ〜ちょい待って日菜!彩、花音、とりあえず行くよ!」

「うっうん!じゃあ千聖ちゃん後でね!」

「また後で!」

そうして次に向かったのはリサのバイト先だった

店内に入るとリサが出迎えてくれた

「いらっしゃいませー」

「リサちー」

「こんにちはリサ、バイトお疲れ様」

「どうしたの?」

「メンバー探し、彩中心のバンドメンバー探してるとこ」

「それにアタシが入ればいいの?」

「頼める?」

「良いね!面白そう!やるよ!」

「じゃあ決まりってことで」

そうして店内を後にするとつぐがやってきた

「日菜先輩やっと会えました!光さんも!」

「つぐちゃんも一緒にやろ!」

「あ、はい!…何を!?」

「とりあえず、学校戻って話そう」

「そうだね」

そうして俺達は羽丘の生徒会室に集まっていた

「というわけでボーカル彩ちゃん!ベースリサちー

ドラム花音ちゃんキーボードつぐちゃんそして私ギター&プロデューサーの生徒会長の氷川日菜、最後にひ〜くん!」

「俺はやらないけどね」

「えぇ〜やろうよ光!」

「Starlightは俺がメンバー集めたんだもん俺が纏めないと」

「でも、光、他のメンバーは?」

「俺達は個別に打ち合わせはしてるよ、今日は日菜の付き添いだったんだけど、なんかメンバーになってるしね」

「ひ〜くんには練習を見てもらう指導役をお願いするね〜」

「まぁ、そういう事なら」

「そういえばもう、メンバー集めちゃったんだよね」

「もしかしてバンドですか?」

「彩ちゃんがやりたいっていうから」

そうして話していると扉が開きAfterglowの皆が入って来た

「失礼します」

「Afterglowでーす」

「日菜さんに話があって来ました」

「これ以上つぐみに負担かけないでくれます?文化祭準備でもあちこち連れ回して。私たちが黙ってると思ったら大間違…」

「蘭ちゃん」

「蘭、少しは信用してくれてもいんじゃない?つぐみに対して過保護な気もするよ」

「光さんは日菜先輩にされるがままだからそんな事が言えるんですよ!」

ごもっともだと思うが今はつぐみも含め役員の頑張りにかかってる部分もあるから仕方ないとは思うが日菜はお構い無しだ

「手伝ってくれるって事!?やったーありがとう!」

蘭は後ずさると巴に助けを求める

「巴いって」

「私!?」

「蘭勝ち目ないって」

「日菜先輩ハンパなーい」

「それじゃあモカちゃんは私とバトンタッチで」

「およ?」

「この5人で合同文化祭記念バンドをやってもらいまーす」

最初から最後まで日菜のペースにのまれた結果巻き添えになった蘭達を俺は笑いながら眺めていた

「よろしくね!」

そうしてメンバーを決めてその日は解散となり俺の方は

Starlightのメンバーと合流した

「光、今回も選曲は任せていいのかしら?」

「もちろん!曲と練習スケジュールはこっちで決めるよ!明日には紙渡すから都合悪ければ言ってくれたら調整する」

「わかったわ、とりあえず曲を決めましょう」

「デュエット1曲、光君と友希那さんが個別に1曲ずつで良いんですか?」

「うん、とりあえずその予定、友希那、Roseliaとしては文化祭出ないよね」

「出ないわ、思い出作りのためにバンドをやってる訳じゃないもの」

「光、とりあえず曲どうすんだ?」

「俺個人はDOESかsumikaのどっちかかな?友希那はASCA辺りを歌ってもらって、デュエットでEveとsuisの平行線かな」

「だとしたらsumikaだろうな、白金がいるんだし」

「私ですか?」

「前回は光がキーボードと両方担当したから曲は色々選べたのよ、でも、今回は燐子にキーボードを託すからその分曲選びも難しいのよ」

「大丈夫だよ!sumikaの曲なら対して手間じゃない」

「曲は決めたんですか?」

「フィクションとRESISTER、平行線でいこうかなって」

「全員分明日には準備出来るかしら?」

「それは任せて」

「とりあえずこの場で1度聞かせてくれるか?」

「OK!」

俺は順番に曲を再生し皆に聞かせて全て再生し終えてから

感想を聞いてみるとみんなの反応は良好で曲はそれで良いと言われたのでそれで決まりとなり今日のところは解散となった

そして帰り道、おたえが1人で路上ライブをしていて声をかけようかと思ったが歌っているおたえの横にならんで1人の女子が歌い始める

俺は少し離れた所からその曲を聞いている

「懐かしさを感じると同時に歌詞にある通りまた会えると言う願いが込められているな」

そうして曲が終わるとおたえ達は走り出した

俺は曲の事もあったが一緒にいた子とも話してみたいと思ったので追いかけることにした

 

おたえ視点

「久しぶりレイ」

「小5以来だから6年ぶり」

「また…会えた、先輩が言ってた通りだった」

「え?」

「去年ね、''私達''の先輩が歌った曲でね、10年後の8月また出会えるって信じてって歌詞があって、その時言ってくれたんだ、10年先かもっと早いか分からないけど、きっと会えるって言ってくれて、なんかわかんないけど凄く嬉しい気持ちで満たされたんだ」

「そっか、花ちゃんがそこまで言う人なら会ってみたいな」

「先輩に?」

「うん!その花ちゃんの憧れの人に」

「誰の事?」

「え?」

声がした方を振り返ると光先輩がいた

「先輩!」

「この人が?」

「うん!私の先輩!」

「実は歌ってたのを聞いてたんだよね、それで話してみたいと思ったんだ、2人と」

「だってレイ」

「花ちゃん…とりあえず、若菜レイです。花ちゃん…たえちゃんと同い年で17、バンドはずっとサポートだけやってたんですけど、最近スカウトされてベースやってます」

「俺は光、宮村光、担当っていうか、得意楽器は特にないです。バンドで演奏する楽器は全部できるし、あとはバイオリンとハーモニカができるからね」

「一応三味線も弾けますよね先輩」

「まぁ一応ね」

「それに、たくさんの曲をカバーしてて周りからミュージックキングって呼ばれてる」

「その異名は大袈裟な気もするけどね」

「私は良いと思うんですけどね」

「仲良いんですね、2人ってもしかして付き合ってたりするの?」

「「しないよ!?」」

「先輩は皆の先輩だから」

「残念な事にまだ誰とも付き合う気はないんだよね、夢を追いかけてる途中なんだ、その夢を叶えたら自分の隣にいてくれるパートナーを探すつもり」

「そうなんですか、そういえば先輩って言ってましたけどいくつですか?」

「もうすぐ18だよ」

「え?1つしか違わないんですか!?てっきり大学生くらいだと思ってました」

「また間違われたね、先輩」

「だね、俺、そんなに高校生に見えない?」

「初対面だとそう思うんじゃないですか?」

「あ〜確かに、香澄たちにも間違われたしね」

「そうだったね、ところでまだ2人とも時間はある?」

「大丈夫です!」

「私も」

「じゃあ、せっかくだし1曲聞いてくれる?」

「是非」

「私も聞きたいです」

「じゃあ1曲聞いてください、魔法のコトバ」

 

俺はギターを弾きながら歌っていく

 

『あふれそうな気持ち無理やりかくして

今日もまた遠くばっかり見ていた

君と語り合った下らないアレコレ

抱きしめてどうにか生きてるけど

 

魔法のコトバ二人だけにはわかる

夢見るとかそんな暇もないこの頃

思い出しておかしくてうれしくて

また会えるよ約束しなくても

 

倒れるように寝て泣きながら目覚めて

人混みの中でボソボソ歌う

君は何してる?笑顔が見たいぞ

振りかぶってわがまま空に投げた

 

魔法のコトバ口にすれば短く

だけど効果は凄いものがあるってことで

誰も知らないバレても色褪せない

その後のストーリー分け合える日まで

 

花は美しくトゲも美しく根っこも美しいはずさ』

 

おたえ・レイ視点

「なんか懐かしいんだけど、再会できた喜びとかも歌われてるみたいで良いね」

「先輩はいつだって誰かのために歌うのだからこそたくさんのカバー曲が心に刺さるんだよ」

そう話しながら2人でラストを聞いていく

 

『魔法のコトバ二人だけにはわかる

夢見るとかそんな暇もないこの頃

思い出しておかしくてうれしくて

また会えるよ約束しなくても

会えるよ会えるよ』

 

演奏を終えて俺は話し出す

「2人の再会が意味あるものになるように魔法のコトバを演奏しました。聞いてくれてありがとう」

「こちらこそ最高の演奏をありがとうございます。」

「私も、昔を思い出してちょっとうるっと来ちゃいました

花ちゃんとバンドやりたくて帰ってきたんですけど、もっと素敵な出会い見つけました。花ちゃん、光君、バンドやろう!」

そう言って渡してきたのはいつだったかChuChuと名乗った少女が渡してきたものも同じものだった

「これもしかしてChuChuって子の?」

「知ってるの?」

「スカウトされた、断ったけど、でも、レイさんとますきにも誘われたし、やるやらないは別として一緒に演奏してみるのはアリかな」

「私も行きます!」

「ちょっとまって、ますきを知ってるの?それにChuChuも知ってるって事はもしかして声掛けてる凄いギタリストって光君の事?」

「さぁ?わかんないけど、2人に会えばわかるさ」

「じゃあ、今度花ちゃんと一緒にChuChuのスタジオに来てくれる?」

「わかった、俺は良いよ」

「じゃあ約束ね」

そうして俺は2人の再会を祝いつつ再会の約束を交わしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




お久しぶりです。61話目です!なんだかんだで話数も進んでシーズン2も中盤ですね!今回はかなり内容弄ってますので、原作のアレンジには多分なってないと思いますが楽しんで貰えたらなと思います
それではまた次回

次回「文化祭準備と走り出す音」


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第62話文化祭準備と走り出す音

合同文化祭を前に新たな音が走り出す


おたえ視点

 

ギターを弾きながら私は考え事をしていた。

レイに言われたあの言葉と渡された曲のデモ、そして光先輩もスカウトを受けていた事

私は先輩も含めた皆に話してみる事にした。

 

 

 

次の日光先輩にも来てもらって有咲の家でやることリストに目を通していた

 

「有咲の作ってくれたリストだけど手分けしてやらないと間に合わないかも」

「今すぐやった方がいいのってどれ?」

「チラシかな?」

「ギリギリに告知してもみんな来られないからね」

「じゃあ次はチラシ作りだね」

「俺はその都度手伝える事をやっていくよ」

「お願いしますね先輩」

そう話していると有咲が帰ってきた

「わりぃ遅くなった」

「お疲れ〜!」

「お疲れ様」

「弾く?」

「先にセッティングしてて」

「うん。おたえ〜」

「どうかしたの?」

「別のバンドに行きたい」

「もしかしてこの間の?」

「はい」

「どういうこと…?」

「もっと修行したい。私達の主催LIVEのためにもっともっと腕をあげたくて」

「どんなバンドなの?」

「メンバーにレイ、幼馴染みがいるの」

「幼馴染み?」

「ギター不在で困ってて、光先輩も誘われてる」

「そうなんですか?」

「あぁ、うん、実はRoseliaの主催LIVEの後にスカウトされてその時は断ったんだけど、おたえの幼馴染みともう一人に誘われて、とりあえず一緒に演奏してみないかって誘われてる」

「じゃあ、サポートギターって事ですよね」

「サポート?」

「うん、メンバーが足りない時臨時で上手な人が呼ばれるんだよ」

「2人ともすごいねー!」

「なんだよ驚かせんなよー!ポピパ抜けんのかと思ったろ!」

「確かに言葉足らずではあったね」

「曲のデモ貰ったの。凄く圧倒された、痺れた。あんな音を私も出したい」

「分かった!私も準備と練習全力でやるからおたえも全力で修行だよ!」

「……」

俺は皆の顔色を確認すると沙綾だけは表情が浮かばない感じだった。

 

 

次の日

おたえと一緒に俺もチュチュの自宅兼スタジオに来ていた

おたえは少し驚いていた。

そしてスタジオの方に通されるとカラフルな髪の子が出迎えてくれた。

「いらっしゃいませー!レイヤさんご紹介の方ですか?」

「こっちの子はそうだけど、俺はマスキとレイ、チュチュからも呼ばれてる」

「そうでしたか、ではご案内します」

俺達はチュチュの元へと案内された

「よく来たわねルミナスいえ、ヒカルと呼ぶべきかしら?

そして、あなたがタエ・ハナゾノね」

「うん…」

「普通に光って呼んでくれる?」

「ヒカルは知ってると思うけど私がプロデューサーのチュチュよ。そっちがパレオ。あっちがマスキング」

チュチュが順番に紹介していく

「それでチュチュ、レイは?」

「レイヤは仕事よ前の現場の契約だから仕方ないけど明後日からはノープロブレム」

チュチュと話しているとますきが話しかけてきた

「光じゃんか!そんでお前がタエ・ハナゾノ?」

「そうよ。デモは?」

「聴きました」

「俺も聴いたよ」

「じゃあやれるわね!ヒカル、とりあえずベースとして1度入ってくれるかしら?」

「了解」

「言っておくけど誰でも言い訳じゃないの。私の聴きたい音を出せなきゃ帰ってもらうわ!Redy?」

「ノーレディ。アイアムアガール!」

「なっ…やるわね」

「ますき、今のって準備は良いって事じゃないの?」

「突っ込まないでやれ」

そう言って2人で苦笑した

 

その頃

羽丘、花咲川両校の生徒達は文化祭準備に追われていた

「有咲待って〜!」

「急げ!電車乗り遅れたら羽丘まで2駅マラソンだかんな!」

「ひぃー!花咲川と羽丘の行ったり来たりキツいよー!」

荷物運び組に加え教室では

「できたっ!もう1つ作ったら今日は蔵練いけるかも!」

「誰かそこのガムテとって!」

「手空いたらこっちもお願い」

「ごめんお化けあと2つ追加して!」

「うぇぇー!?」

「ゴミ捨ててくるね」

「沙綾手伝おうか?」

「助かる夏希!」

「りみちゃんパニクってたね」

「文化祭準備とかLIVEとかちょっと忙しくて

このまま皆すれ違っていきそうで怖いんだ…今は光先輩にも頼れないし」

「あの人も忙しいからね〜文化祭の有志バンドに、サポートにでしょ?」

「それだけじゃないんだけどね…」

 

 

おたえside

 

オーディションの後私はレイと話していた

「Poppin’Partyの方はいいの?」

「うん、ちゃんと話してきた」

「一緒にバンド出来るんだね」

「うん。あんなにテストで緊張したの入試とSPACEのオーディション以来かも!デモのあんな演奏私にできるのかなって思ってた」

「堂々と演奏してたって聞いたけど」

「出来なければレイ…レイヤと並べないから!それに光先輩ともね」

「レイでいいよ。それで、その光君は?」

「チュチュが個別に全楽器の音撮りたいってまだ捕まってる

それよりも、レイの音が聴きたい!」

「リクエストは?」

「あの曲」

 

 

光side

「ギター、ベース共に合格よヒカル!いえ、今はルミナスと言うべきね!」

「ありがとう、でも、俺はバンドはやらないよ」

「わかっているわ!それでも、あなたは私が欲しいと思った音を出せるからスタジオミュージャン件サポートという形で参加してもらうわ、次はキーボードよ!準備は出来てるかしら?」

「もちろん!」

俺はデモで渡された曲のキーボードのパートを弾いていく

「Excellent!キーボードもさすがねルミナス!最後にドラムを聴かせてちょうだい!」

「了解!」

そうして俺は久しぶりに1人で全楽器を演奏した

 

 

ポピパside

 

「GALAXYの地図あった方が親切だよねー駅からまっすぐ大体200歩」

「ただいまー」

おたえが帰ってきた、光先輩も一緒だった

「お邪魔します」

「おたえおかえりー!先輩もおかえりなさい」

「皆は?」

「忙しすぎて全然だよ〜。お菓子食べる?」

「うん」

「サポートギターどうだった?」

「う〜ん…」

「先輩は?」

「楽器触りすぎて手が痛い!アハハ」

「香澄は?」

「大変だよー、明日も羽丘行くし〜」

「有咲の手伝い?」

「うん。沙綾とりみりんもバタバタしてるけど自主練頑張ってるって言ってたよ」

「後は皆で合わせる日を何とかしないとね」

「そうなんですよね〜あ、そうだ!LIVEでやりたい曲選んだから見て!」

「どっちの?」

「両方!」

俺達はセトリを見せてもらった

「新曲フレーズが浮かばない…」

「まだ大丈夫だよ。時間あるし」

「一つずつ着実にだよ香澄」

「はい!」

「皆頑張ってるのに…」

「私も曲の事やってみようかな!いつもおたえに頼り切ってたし歌詞も頑張る!」

こういう時の香澄の明るさはありがたいと思う

「あ!星だ!おたえ食べる?」

横を向くとおたえは眠っていた

「おやすみ」

「じゃあ、俺も帰るね!体に気をつけて」

「ありがとうございました。」

俺は手を振って有咲の家を後にした

 

次の日花咲川side

 

「私は…おたえ…」

「何やってんだ?」

「おたえギタージャーンってやりながら作曲してるでしょ?」

「で?」

「やってみた」

「んで?」

「ダメだった…」

「だろうな、りみに聞けば?」

「忙しそうだったからぁ…」

「ま、おたえを手伝いたいのはわかった。それじゃあこっちもよろしく」

「うぅ…はーい」

 

羽丘side

文化祭合同バンドのメンバーが生徒会室に集合していた

「じゃ新曲作ります」

「けど、作れるメンツいないじゃん!指導役の光もさ」

「ひ〜くん最近は放課後よく別な所に行ってるよ!でも、しっかり時間作ってStarlightは順調だって!たかくん言ってた」 「その高人は?」

「たかくんバイトだって」

「今日に限って男子2人ともいないんだから」

「まぁまぁとりあえず、会議再開しよう」

「曲もなんとかなるって〜」

「Afterglowってどうやってるの?」

「いつも通り蘭がいつも以上にムムっと悩んでますよ〜」

「ハロハピは?」

「うちは美咲ちゃんが落とし込んでくれるから...」

「ロゼリアは?」

「夜中友希那の部屋の電気がずーっと着いてて…多分祈ってる?」

「なるほどー!」

「え?」

「香澄ちゃん?」

「えーっと作曲の勉強をしたくて」

「そうなんだ」

「っていうかまずどんな曲にするか決めた方がいいんじゃない?」

「テーマかぁ…」

「日菜ちゃん何かアドバイス…」

「バイトでいいじゃん」

「あっ、そうだ」

「私も家の手伝いしてるから…」

「みんなバイトしてますねー」

「じゃあバイト応援ソングって感じ?」

「それいいかも」

「えっへん!」

 

香澄・有咲side

「ただいま」

「遅いからお茶冷めちまったちゃねぇか」

私は椅子を並べて寝そべり考える

「何の真似だよ…」

「作曲してるの」

「やべぇ…」

「淹れ直してやるか」

曲ができるのはまだかかるなと思った。

 

一方で羽丘の方もみんな忙しなく準備に取り組んでいた

燐子が上手く指示をだして作業を進めていく

「あー!りんりんいたー!」

「あこちゃん」

「りんりんが羽丘にいるのなんか不思議だね、りんりん大丈夫?」

「うん、色んな人と話さないといけなくて大変だけどみんな声かけてくれるし」

「ごめん会長、この段ボールどこ持っていくの?」

「舞台下の倉庫に」

「全部」

「あ、はい。お願いします」

「生徒会長っぽい!」

「そ、そうかな?私合同文化祭生徒会長としてちゃんとできるか不安で、それに有志バンドの方も光君が上手く纏めてくれてるけど、私で良いのかなって」

「今指示出せてたよ!それに光兄ぃがりんりんに是非って言ってくれたんだしそっちも大丈夫」

「う、うん。今みたいな感じで最後まで出来ればって...」

「大丈夫だよ!ゲームとは違うけど頑張った分経験値になってレベルアップ出来るよ!」

「私こんな大事な時期に全然イベント走れなくて...」

「そっちはあこが頑張るからりんりんはこっちを頑張って!

あこはなにがあってもりんりんのパーティーだよ」

「うん!」

 

六花side

 

「はぁ…全然集まらん…。中学でバンドやれてたのは奇跡やったんやろうか…」

「六花じゃん」

「あ?リサ先輩!」

「ずっとメンバー探してるよね」

「文化祭ライブに出たくて!光先輩と肩並べて演奏もしてみたいですし」

「そっか、はい」

リサ先輩が缶コーヒーをくれた

「ありがとうございます!」

「お財布…お財布…」

「いいって。奢り」

「すみません、ごちそうさまです

リサ先輩は文化祭バンドの練習ですか?」

「うん。新しいメンツでやるのも結構新鮮でさ。

こんなことできるんだーとか、自分にない色がわかって面白いよね」

「でら甘…」

「友希那用だからね、ほんとはRoseliaで出たかったんだけど友希那やらないんだよね。真面目だから、でも、Roseliaじゃなくて有志ならって光のバンドに参加してる」

「あの、リサ先輩達はどうしてバンド始めたんですか?

えっと…バンドって楽しいからするものだと思ってたので」

「Roseliaはさ夢のためにやってるんだよね」

「夢…ですか?」

「フィーチャーワールドフェス。目指してる大きなフェスがあってそこにトップの成績で出場する。主催ライブも対バン出るのも全部それのため、そして、私達は光にそれを見届けてもらって胸張って光の隣に立ちたいんだ」

「フィーチャーワールドフェスは最初は友希那だけの夢だったけど今は私達''6人の夢''なんだ、光もね、Roseliaのメンバーなの」

「光先輩もですか?」

「主催ライブの時に光と肩並べて演奏して思ったんだいてくれないと困るなって友希那がね言い出したんだ、光をメンバーとして迎えたいって、だから今は光も含めた6人の夢

なんて語っちゃったかな?」

「いえ、素敵です!」

 

その頃ポピパside

私達は荷物を持って駅に向かって歩いていた

「香澄足下気をつけろ」

「う、うん」

「りみりん1個持とうか?」

「大丈夫…」

そして駅で友希那先輩を見かけた

「先に行っててー!」

「香澄?」

「友希那先輩」

「文化祭の準備?」

「はい!文化祭ライブにも出ます」

「私も光と出るけれど、主催ライブは?」

「主催ライブもやってます。一つ一つ皆でやっていこうって

友希那先輩。良かったら友希那先輩たちにも出て欲しいです、私たちの主催ライブ」

「考えておくわ」

私はそれだけ伝えるとみんなの所に戻った

「きたきた」

「香澄ちゃーん」

「ごめーん!」

「何してたんだ?」

「主催ライブの話」

 

羽丘・リサside

六花と話していると放送が鳴った

〈みんなー合同文化祭記念バンドの公開リハやるよ!

講堂まで''おかし''だよ!押さない・駆けない・知らない人について行かない!''〉

「日菜のやつリハとは聞いてたけど公開ってのは

聞いてないぞー」

そうして皆が講堂に集合した

「じゃあ、リハ始めるよー!残念な事にひ〜くんたちStarlightは本番以外での演奏はNGみたいだから彩ちゃん達の方だけでもやっちゃうね〜」

そうしてリハが始まった

「おぉー!」

「すごいね!」

「前夜祭みたい!」

「いや何日前だよ」

「前前前前前前前夜祭?」

「なげーよ!」

「高校最後の文化祭で最高の思い出を作りたくて、と、特別なバンドを…」

〈つくりまちた〉

「あちゃー」

「うぇー」

「彩ちゃん大丈夫だよ」

「ドンマイ」

「噛めば噛むほど味が出ますよー」

「フォローになってないよー!」

「いくよー!」

「聴いてくださいバイトしてる人への応援ソングです」

そうして演奏が始まり皆が楽しんでいる様子が伝わってくる

 

「私たちも文化祭ライブ頑張ろうね!」

「うん!」

 

その頃光side

 

おたえ達が演奏中でたった今一区切り付いた。

「はなちゃん、お水」

「ありがとう」

「お前まぁまぁだな」

「マッスーさんが褒めるって凄いですー!」

「Butまだまだよパレオ、ヒカル!頼むわ」

「ギターでいんだよね?」

「Yes!LETSstandby!」

「了解」

俺はおたえと交代してギターとして加わる

「よろしく3人とも」

「真打登場だな光」

「一緒にやるのは初めてだよね?お手柔らかに」

「ではではアテンションプリーズ!」

「いくよ!」

俺は演奏を始めるとさっそくますきは全力をぶつけてきた

(いいね〜こうじゃなきゃ!)

俺は更に一段ギアをあげる

 

レイ視点

私結構全力なつもりだけど、まだ本気じゃないの?嘘でしょ?かなりキツいんですけど

 

 

パレオ視点

嘘です嘘です!お2人ともなんでこんな演奏ができるんでしょうか?正直着いていくだけで限界ですー

 

俺は演奏を終えると軽く息を吐き出して言った

「こんなもんだけどチュチュどう?」

「Excellent!文句なしよヒカル!レイとパレオは辛そうだけれどヒカルはおそらくこれでも半分よ!」

「「これで(ですか)!?」」

「だと思ったぜ」

「ますきは気付いてたんだ」

「いや、さすがだなと思ってよ!」

「まぁ良いわ!さてパレオ!あれを頼むわ!」

「では再びアテンションプリーズ!」

「We are RAISE A SUILEN 略してRASよ!」

「すいれん?花の?」

「ジャパニーズ簾カーテンって言った方が分かるかしら?」

「あぁ御簾のこと?」

「なるほどね」

「YES!この名前が表す意味は御簾を上げろ!」

「ですっ!」

パレオがスクリーンを上げてしまう

「NO!パレオー!」

「はいご主人様!」

「RAISEASUILEN!この名前を掲げる事が表舞台に立ち続けるって意志の表明になる!私の最強の音楽でガールズバンド時代を終わらせる!」

「NewWorldが始まるのよ!」

「明日から毎日スタジオに入って!firstOnemanぶち上げまでに最強の状態に仕上げて上げる私とヒカルがね!」

「そうだね、できる事は協力するよ!面白そうだ」

「最強…」

「YES!たくさんライブ出るよ!最初は…」

「あ…マジか」

「どうした光?」

「その日学校の文化祭だよ!おたえ達はPoppin’Party1周年だし、俺も有志バンドの演奏があるし、まぁその辺調整するけど…LASTに俺達2バンド持ってきてもらうしかないか」

「そこは上手く調整なさいヒカル!」

「何とかするよ!」

「先輩…」

「心配しないで!絶対間に合わせる!」

「まぁ良いわそれよりもルミナス!あなたに演奏して欲しいのだけど」

「今?」

「男女ボーカル1曲ずつ頼むわ」

「わかったよ!」

「じゃあやりますか」

俺はギターを手に取り準備を整えて話し出す

「じゃあ、演奏します!チュチュが時代を終わらせるって言ってたんでそれにちなんでTheEverythingGuiltyCrown」

俺はギターを弾きながら歌っていく

 

『世界は終わりを告げようとしてる

誰にももう止められはしないーーー始まる

崩壊の交響曲が鳴り響いて降る雨はまるで涙の音色

教えて

 

支配し支配され人達はいつかその心に憎しみを

そして愛することを思い出せず争うの?

この歌が聴こえてる生命ある全ての者よ

真実はあなたの胸の中にある

嵐の海を行く時も決して臆することない強さをくれるから』

 

RAS視点

「Excellent!サビはまさに私達にピッタリだわ!」

「でも、なんか悲しいよ」

「生命ある全ての者に曲を通して真実を伝えるって素敵だと思いますけど」

「荒々しい激情を感じます」

「だな、賛成だぜ!」

それぞれの感想を述べつつ曲を聴いていく

 

『けれども進むほど風は強く希望の灯はやがて消えていく

「明かりをよこせ」と奪い合い果てに人は殺し合う

涙などとうに枯れて気付いて

その目は互いを認めるためその声は想いを伝えるため

その手は大事な人と繋ぐためにある

この歌が聴こえてる世界中の 寄る辺なき者よ

希望はあなたの胸の中にある

燃え盛る焔の中でも

決して傷つくことのない強さをくれるから』

 

RAS視点

「やっぱりあなたは見込んだとおりだったわ!私達RASに相応しい曲よ!」

「本当にそう思う?確かに歌詞が響くと思うところもあるけど、争いが絶えない中での孤独さを歌ってるようにも感じるよ」

「タイトルにあるGuiltyCrownは罪の王冠ですから自らの過ちなどと向き合う曲なのかもしれないです」

「だとしたら...少し悲しいですね」

「いや、いんじゃねーか、罪を背負ってでも前を向くって解釈だって出来るわけだしよ」

それぞれの感情のままに曲を聴いていく

 

『その手で守ろうとしたものは

愛するものだったのだろうか

紅く染まったその手を眺めて

やっと自らがしてきた愚かさを過ちと認めるその罪を

とめどなくあふれるその涙を知る

この歌が聴こえてる生命ある全ての者よ

真実はあなたの胸の中にある

嵐の海は静まった失ったものは数え切れなくとも

この歌が聴こえてる世界中の寄る辺なき者よ

希望はあなたの胸の中にある

悲しみの夜を超えるとき

必ずあなたは生きていく強さを持てるから』

演奏を終えて俺は話し出す

「2曲目に行く前にレイ、この曲カバーしてみない?」

「え?私が?」

「君にピッタリだと思うんだけどね、ますきもそう思わない?」

「良いかもな!やってみろよレイ!」

「賛成よ!レイヤ、この曲をやってみなさい」

「皆がそういうならやってみるよ」

「じゃあ改めて2曲目ハグルマ」

俺は再度ギターを弾いて歌っていく

『咲かすか枯らすか現在(イマ)

燃えるように陽が沈む歯車が回る

ラッパが鳴れば着火 様々

待った無しの物語

発車バラバラ 滑車ガラガラ

真っ赤な過去が追いかける

道化師の笑み 仮面の裏側

どうしても消えない傷が痛んでも

咲かすか枯らすか現在

燃えるように陽が沈む

真夜中のくらい孤独から 繰り出すさ

微か響く鐘が 陰る日々の道標

音の鳴る先へ

ラッパが鳴れば着火 わらわら

待った無しの演目の応酬

真っ赤 幕の間

落下はまだか真っ逆さま待つ骸に

足を捕まれ 奈落の底まで

嗚呼 思想も忘れて 息も出来ない

 

咲かすか枯らすか現在

眠るように目を閉じる

身体中巡る猛毒から逃げ出すか

微か響く鐘に耳を澄ませ生きるのか

どちらか選べ さあ』

 

RAS視点

「良いじゃない!最っ高に気分が上がるわ!」

「この曲もかなり物騒だと思うけどでも歯車だし社会の荒波とかの表現なのかな?」

「ある意味生か死かの2択かもな」

「なるほどーなんかわかった気がします」

「私もわかった感じします!」

それぞれの感想を持って曲を聴いていく

 

『開花を待つ芽のように未来だけ想えばいい

過去の亡霊を消して

咲かすか枯らすか現在

燃えるよう陽が沈む

真夜中の深い孤独から繰り出す

運命が壊れるような声で叫べ

始まりの合図

幕開けさ 舞って踊るさ

誰しも最後には涙流す

だからいまは堪え 進む

幕が降りる その時まで

まだ絶えず 歯車が回る』

 

演奏が終わるとチュチュが話しかけてきた

「さすがねヒカル!やっぱりあなたを選んだ事は間違い無かったようね」

「お前と肩並べて演奏したいぜ」

「私も賛成かな」

「では、前半はハナさん後輩光さんにギターとして立ってもらうのはどうでしょうか?」

「俺は良いよ!文化祭のLIVE順番一番最初にしてもらえば後半には間に合うだろうしおたえも順番一番最後なら間に合うでしょ?」

「それでお願いします!」

「俺からも頼むよ」

「わかったわ!その代わり2人とも全力を尽くすことが条件よ!」

「助かる!ありがとう!」

そうして俺達は解散した

 

帰り道

「先輩、ありがとうございました。先輩がいなかったら文化祭出られたか分かりませんでしたし」

「1周年なんでしょ?俺はどっちも頑張ってるの知ってるからさ、でも、おたえにはポピパのリードギターでいて欲しいかな」

「私も皆と一緒にやりたいです。でも、レイとも一緒にやれる事が楽しいんです」

「ポピパの皆や俺にならいくら迷惑掛けてもいいけどさ…

それでも、忘れないでねポピパの皆と過ごしてきた大切な時間を」

「はい!私はPoppin’Partyのリードギターですから!」

そうしておたえを送り俺も家路に着く中で呟いた

「文化祭ライブ俺達もポピパも出るんだ、例え俺に力がなくても足掻くしかないから」

その呟きは夏の匂いが近付く空に消えていった。

 

 

 

 

 




アニメ2期9話の話になります主人公は後半にほとんど出す感じでしたが、次回はかなり奮闘してもらう予定ですのでお楽しみに
次回「文化祭と皆で繋ぐ音」


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第63話文化祭と皆で繋ぐ音

ポピパの1周年記念の文化祭ライブの為に光は全力を尽くすのだった


俺はStarlightのメンバーを集めて演奏の順番を一番最初にする事を伝えた

「俺は構わないけどよ、皆は?」

「構わないわ一番最初に出て盛り上げて他の皆に繋ぎましょう」

「私も賛成です。生徒会もありますからむしろ助かります」 「まぁ、皆が異論ないのであれば私も異論はないですよ」

「助かるよ!」

「光、1つ確認するけれど、この順番も誰かの為なのよね?」

「そうなんだ、ポピパの皆の何よりおたえの為」

俺は詳しい事情を皆に伝えた

ライブの予定が文化祭当日と被ったこと、俺もライブに出る事になり一番最初に文化祭ライブに出る事が出来ればギリギリでおたえが間に合うかもしれないこと等を伝えた

「そういう事、まぁ、仕事として引き受けた以上断れないものね」

「多分友希那の所にも招待状届くかもしれないよ、チュチュのやつRoseliaに目に物見せるって勇んでたから」

「だとしても文化祭の方が優先よ」

「俺もライブの予定が被りさえしなかったら問題無かったんだけどね」

「まぁ、お前はあちこち引っ張りだこになるより音楽に没頭してる方が性にあってるだろうさ、やりたいようにやれよ!最悪フォローしてやるさ」

「めっちゃ助かるよ!サンキュー」

「とりあえず練習しましょう」

そうして俺達は1時間程練習して解散した

 

 

その頃ポピパside

「そっか、ダブルブッキングになっちゃったんだね」

「向こう仕事だからって断れなくて、でも、2日目の夕方には合流出来ると思う、光先輩が交代してくれるって」

「あの人こそ最後の文化祭参加しなくていいのかよ」

「イベントならこれからも色々あるからって」

「おたえ、ライブ何時まで?先輩が交代してくれるって言ってもギリギリかもしれないんでしょ?燐子先輩にも日菜さんにも相談する」

「その辺は光先輩も掛け合ってくれるって」

「会場から学校までの移動も考えなきゃ」

「それも光先輩が交通量から何から調べて最短で行けるように調整してくれるって」

「マジかよ…あたしらの為にそんな事まで…」

「後でお礼言わないとね、練習掛け持ちやれる?」

「うん。どんとこい」

「よーし!文化祭も皆でいくよー!」

そうして皆で円陣して笑いあった

 

次の日友希那side

 

光が言っていた通り私の所にチュチュが訪ねてきて招待状を渡された

「ライブ?」

「Yes!チュチュプロデュースの最強バンドよ!」

「一般ピーポーとの歴史的・伝説的ファーストコンタクトの瞬間を友希那にも見せてあげる

Roseliaも私のプロデュースを受ければこうなるはずだったのよ。悔しいでしょ?せいぜい震えるがいいわ」

「この日は2日とも文化祭があるの、それに光がそっちに行っているのでしょ?光と文化祭を回ることができない方が残念よ」

「ヒカルが言っていた学校の用事ってこの事ね…」

「それじゃあ練習があるから、今は光は独占させてもらうわね」

それだけ言うと私はcircle店内に戻って行った

「なによ文化祭って!私のバンドの方が絶対価値があるのに…!文化祭ってなにー!?」

 

 

そんな事があった翌日文化祭本番

 

〈文化祭です!晴れました!〉

「今年は羽丘と花咲川の初めての合同イベント、みんな最っ高にるんってしちゃおー!」

〈それでは羽丘学園・花咲川学園の合同文化祭を開催します〉

「我が右手に宿りし契りの…」

「刻印かな?」

「それだ!って光兄ぃいつの間に?」

「少し前、入れ替わりになるけど俺は戻るとこ、じゃあ楽しんでね」

「またねー」

俺は羽丘に戻りクラスの方を手伝う

「お疲れ、俺も入るよ。友希那、なんか拗ねてない?」

「ホントだよ、いい加減機嫌直してよ」

「私は猫カフェに1票入れたはずよ」

「だから猫カフェじゃん。ほらにゃーん?」

「こういうのじゃない…」

「いんじゃない?2人とも可愛いし、さすがに動物を連れてくるのは無理だったってことだし、今度連れてくからさ」

「言ったわね!約束よ光」

「はいはい、じゃあ接客しようね」

「じゃあ客引きしてこい!」

俺は高人によってクラスの外に追いやられて客寄せパンダになった

 

 

その頃生徒会室

 

「ふぅー大体終わったー」

「お疲れ様です。色々手伝ってくれてありがとうございました」

「いや私より燐子先輩の方が大変そうだったし。羽沢さんとかも…後、光先輩とか…っていうかあのタイムスケジュールの件ありがとうございました」

「ポピパのライブ楽しみにしてるね」

「さ、ひ〜くん連れてお姉ちゃんのとこ行こーっと!るるるる〜ん!」

「いや…見回りは?それに先輩クラスの方の手伝いしてるんじゃ…って言うだけ無駄か」

 

ポピパside

私達は皆で集まりライブの最終確認をしていた

「ウチらの出番は最後に回してもらったからおたえがライブ終わったあとなら間に合うはず」

「2日目後半は光先輩が交代するって言ってたし大丈夫だよ!」

「場所は羽丘だっけ?」

「荷物とか先に全部持って向こうで待ってた方が良いよね」

「だな。トリだし遅れたらやばいから」

「あんまり頼りすぎるのもあれだけど、光先輩が着いてるし大丈夫だよね?」

「困った時はひなちゃんを呼べば良いじゃなーい!」

「げっ!」

「先輩!?」

「ひなちゃんだよマイシスター

お久しハッピーニューイヤー!お疲れバケーション!」

「ひなちゃん先輩!なんで!?」

「母校の文化祭だもの。ゆりも夏休みで帰国してたし皆で集まろうって」

「サプライズ大成功だねお姉ちゃん!」

「イェーイ!」

「調子はどう?」

「大変なんですけど…」

「頑張ってる有咲ちゃんも可愛いー!」

「ひなハウス!」

「あぅー…」

「たえ坊は?後、ラストライブの時にいたイケメン」

「光先輩は羽丘ですよ?」

「おたえは今ちょっと忙しくて…でも、明日はちゃんといますから」

「そっか。じゃあデベコとの再会は明日だな」

 

その頃RASside

 

「結構客来てるって?チュチュ様がメディア関係者も呼んでると言ってました!ライブも生配信されるそうですよー!」

「まだ開場しないの?」

「チュチュのやつが会場の最終チェックしてんだろ」

「15分押しですね」

「それだけ気合い入れてるんだよ」

「当然よ。レイヤ、マスキング、パレオ

私達の最強バンド伝説はここから始まるわ」

「花園 たとえサポートでもこの瞬間この時は私のギタリストよ。一緒に表舞台に立ちましょう」

「震えさせてみせる!」

「あたしは早く光とやりてぇよ!」

「明日まで我慢!でも、光君が来たら私達、光君の呑み込まれるかも」

「そうならないようになさいレイヤ彼に並ぶギタリストは少なくとも私達の身近にはいないわ」

そう話しながら私達は楽屋を後にしステージに立ち演奏した

 

 

光side

文化祭1日目が終了し俺はチュチュに呼ばれスタジオを訪れていた

「来たよっておたえは?」

「電話中よ!それよりも、抜かりはないわね、明日の部後半から貴方を出すのよ!」

「俺なら大丈夫!なんなら音聴く?」

「今は良いわ」

「そっか」

「早くお前と肩並べて演奏してーよ!早く明日になんねーかなー」

「気持ちはわかるけど俺と組むんだから俺を潰しに来る勢いでいいからね!」

「任しとけ!」

そうしておたえが戻ってきて打ち合わせをして解散する

 

帰り道

「光先輩、明日大丈夫ですか?」

「おたえが?それとも俺?」

「どっちもです」

「大丈夫!学校までのルートは時間帯も計算して的確なルートで行けるから!俺はそのルートで会場行けば良いし」

「先輩Starlightは?」

「あっちはあっちでやるよ!明日のステージ演目最初の部だから昼前くらいだし、終わったらすぐに行くから大丈夫」

そうしておたえを送り俺は元来た道を引き返し家路に着いた

 

 

次の日

文化祭2日目となる今日、ステージ演目1番手は俺達Starlightだ

「皆、準備はいい?」

「いつでも」

「俺も万端だ!」

「私も大丈夫です」

「私もいつでもいけますよ」

「じゃあ、悔いの無い演奏を!」

「「「「うん!」」」」

俺達はステージに立ち話し出す

「どうも、こんにちは、Starlightです!俺達は3年の有志によるバンドです!まずはメンバー紹介しますベースの高人!」

「よろしくー!」

「キーボードの白金燐子!」

「よろしくお願いします!」

「ドラムの大和麻弥さん!」

「皆さんよろしくお願いします!」

「ボーカルの友希那!」

「よろしく」

「最後に俺達Starlightのリーダーにしてギターボーカルの

宮村光!」

「皆よろしくね!」

メンバー紹介に皆が沸き立つ中話し出す

「去年の文化祭に来てくれた人は多分知ってると思いますがボーカルが2人なので友希那から1曲、デュエットで1曲、最後に俺から1曲という形で演奏します。まずは友希那から」

友希那が前に進み出る

「私から1曲いくわ!RESISTER」

俺達の演奏に合わせ友希那が歌っていく

友希那の声が講堂を震わせるように響いていく中で

曲はサビに入りより一層空気を震わすような声が響き渡る

 

友希那視点

さすがは光が選んだ曲ね私の声にピッタリだし、何よりも

歌っていて自分の曲だと思えるくらい私に合っていると感じるもの

そして曲が終わりに近付きラストまで歌い上げるのとほぼ同時に演奏が止み拍手が巻き起こった

私はそのまま光の方を向いて話し出す

「光、次は一緒に歌いましょう」

「もちろん!それじゃあ次の曲は平行線」

俺達はギターを弾いて歌っていく

 

光『あぁ 世界は少しだって思うようにはならなくて

どうしてもあの頃のように戻れないよ』

 

光・友希那『『ねぇ』』

 

友希那『ふたりの秘密だって君は覚えていなくたって

くだらない話を聞いていたかったの』

 

光『伝えたい想いだけが募ってしまうな』

 

光・友希那『近すぎたのかな』

 

光『さよならなんてさ(素直に)

当たり前の毎日が(なれないよ)

続いて行くと思っていたから平行線のまま』

 

友希那『届くなら(2人で)ただもう一度今(今)』

 

光・『胸にしまったまんまの』

 

光・友希那『変わらないこの想いを』

 

光『君に言おう』

 

六花・明日香・あこ視点

「私、去年も来たけど、去年よりもずっとすごいね、それにすっごくいい曲」

「本当本当!光兄ぃも友希那さんもすごい息ピッタリ」

「あの2人の声が重なる瞬間は本当に夢見てるみたいや」

始まったばかりなのに曲のイメージがパッと思い浮かんでくる私達だった。

 

光『ねぇ

別に用などないけれど』

 

友希那『交わす言葉もないけれど』

 

光・友希那『もう少しだけ一緒に居られたなら』

 

友希那『ほろ苦い思い出だけが溶かしていくんだ

変わらない風景にさよなら

 

優しくなれたら(近いのに)この手を伸ばせたら(遠くて)

眩してくて痛いまま ただ祈っていた 平行線のまま』

 

光『届くなら(2人で)ただもう一度今(今)

胸にしまったまんまの』

光・友希那『変わらないこの想いを』

光『君に言おう』

 

俺は友希那と向かい合い歌っていくただもう一度と願った時間を曲に込めて

 

友希那視点

光と向かい合い各パートごとに光のイメージが流れ込んできて自然と笑みがこぼれる中でただ演奏の世界に浸っていく

 

 

光『この距離は縮まらないまま』

友希那『交わらないようにできていた』

光『答えなんてない 遅くなんてないから』

光・友希那『ただ痛いくらい 今なら間にあうかななんてさ』

 

光『さよならなんてさ(素直に)当たり前の毎日が(なれないよ)

続いていくと思っていたから平行線のまま』

 

友希那『届くなら(2人で) ただもう一度今(今)』

 

光・友希那『昨日までの世界じゃなくても心は覚えている

変わらないこの想いを君に言おう』

 

演奏を終えてすぐ高人が話し出す

「さぁ、光!ラストだ!」

「私達で最っ高の演奏を届けましょう!」

「最後まで付き合うッスよ!」

「トリは任せるわよ!」

「了解!じゃあ俺達Starlightのラストの曲はフィクション!」

曲名を告げると燐子のキーボードからメロディが紡がれていきそれにのせて俺もギターを弾きながら歌っていく

 

『さぁ 今日も始めましょうか昨日挟んだ栞の続きから

楽あれば苦もありストーリーは波の随に

 

深い海を抜け空飛ぶ街に繰り出しそこから降りれなくなり

脈絡のないような展開もきっとオンリーなストーリー

 

高鳴る所には忘れず付箋を

時々来るマイナスな面に備えて重宝して

 

ひらりひらりめくりめくるストーリーストーリー

喜怒哀楽忙しい

 

ひらりひらりめくりめくるストーリーストーリー

忙しないネバーエンディング

 

いつになれば終わるんだ

皆目、見当もつかない

お生憎、見当もつかない』

 

客席を見渡すと皆が笑って手拍子している

俺達も顔を見合せ笑い合い俺は続きを歌っていく

 

『さぁ今日も始めましょうか栞挟んだページ涙の跡

苦しくて思わず閉じた理由は忘れずに

 

読み進める程白紙のページがお気に召すままに

起承転結をこしらえて

 

ひらりひらりめくりめくるストーリーストーリー

喜怒哀楽忙しい

 

のらりくらり巡り巡るストーリーストーリー

自己責任険しい

 

破り捨てたい時はもう1回付箋の場所を読み返し

そこにあったストーリー彩るキャラは居ましたか

さぁ思い出して』

 

 

六花・明日香・あこ視点

「本当に物語の世界にいるみたい」

「本当本当!あこ今超楽しい!」

「歌詞がまさに物語の起承転結って感じだもんね」

私達はそれぞれが描く物語の主人公になった気分だった

 

『ひらりひらりめくりめくるストーリーストーリー

喜怒哀楽忙しい

 

ひらりひらりめくりめくるストーリーストーリー

高鳴ればネバーエンディング

 

いつになれば終わるんだ

皆目、見当もつかない

お生憎、見当はつけない

さぁ今日も始めましょうか』

全ての演奏が終わり講堂の皆は拍手喝采だった

「2日とも来てくれた人達も今日初めての人達も文化祭まだまだ続きますので楽しんでいってくださいね!」

そうして俺達はステージを後にした

 

「お疲れ光、この後は仕事だろ?」

「まぁね、でも、まずはStarlightが何とかなって良かったよ」

「あなたが全て段取りしたんだもの上手くいかないわけがないわよ」

「このバンドに限っては光君無しでは無理でしたから」

「言えてますね!正直光君の演奏に振り回されないようにするのが今もやっとでしたから!」

「皆ありがとう!今度改めて皆にお礼するね!」

「おう!行ってこい!」

俺はそのまま学校を後にしチュチュ達の待つステージの方へ向かった

自転車を飛ばし駅からタクシーを拾いルートを伝えて少しだけ急いでもらい30分程で到着した

会場ではライブの真っ最中で俺は事前に預かっていた衣装に着替えてRASの皆が戻ってくるのを待った

それから10分もしないうちに皆戻ってきた

「お疲れ様、ここからは俺が代わるよ!」

「お願いします!私、急ぎますので!」

アンコールが鳴り響く中でおたえは急いで帰っていった

「予定通りここからは俺が代わる文句ないよね?」

「もちろんよ!さぁ行くわよ!」

「ていうかあいつ衣装のまま帰っちまった」

「もう少しだけ待ってくれる?ちょっとやっておきたいことがあるんだ」

「OK!後5分だけ待つわ!その間に準備を万全にしておきなさい」

「任せてくれ」

俺はたった今おたえが帰ったことをポピパの皆に伝えそして日菜と友希那にも連絡し何とか場を繋いでもらう事を約束してもらい電話越しに教師陣も説得して準備を整えて俺はRASのステージに立った

 

その頃

文化祭の方は彩中心のバンドが演奏中で

ポピパの出番が迫っていた

「燐子ちゃん!ひ〜くんから連絡きて今、おたえちゃん向かってるから彩ちゃん達のバンドにカバー曲で良いから演奏させて時間稼いでもらってって!」

「それ、先生達の了解は得てるんですか!?」

「ひ〜くんが説得したって!友希那ちゃんがRoseliaとしても出てくれるって!後は後輩の六花ちゃんが時間稼いでくれるってさ!」

「光君...どこまで予測してたんでしょうね」

「さぁ〜?ひ〜くん先の先よりももっと先見てる時あるからあたしもわかんない、でも、ポピパちゃん2曲分の時間は確保出来るかもよ!」

「本当ですか!?」

「後でひ〜くんにお礼言っておきなよ」

「はい!」

「光に感謝なさいよ戸山さん、光にあの子達をステージに上げてくれって頼まれたから私達も協力するわ」

「まぁ、あんな必死に頼まれたら断れませんね」

「とにかく、あちらのバンドに時間を稼いでもらいましょう」

「だね!」

あたしと燐子ちゃんで彩ちゃんに時間を稼いで貰うようスケッチブックを使ってお願いする

 

その頃光side

「あぁ〜もう動けねー!」

「3曲もアンコールなんてもう動けません…」

「久々の満足感だよ!ますき途中どんどん俺に音ぶつけて来るんだもん」

「お前がいつまでも加減してるからだ」

「とりあえず、光君が受け入れられて良かったね」

「レイの方もカバー曲でも、最高だった!」

「ありがとう」

俺は途中参加ではあったが確かな満足感を感じていた

 

 

その頃

彩達のバンドが演奏を終えたタイミングで日菜達が時間を稼ぐよう頼んでいた

「高校最後の文化祭にみんなと記念になるバンド組めて今日は最っ高の1日になりました!でも、まだ終わりたくないんでカバー曲ですけどもう少しだけお付き合いください!」

私はもうなりふり構わず周りの皆にフォローを任せる

「じゃあやりますか〜」

「良いね!やろうやろう!」

「私もまだまだやれるよ!」

「もっともっと盛り上げましょう!」

「皆、ありがとう!じゃあ!優しさの理由!」

そうして優しさの理由とDREAMを演奏して私達はステージから降りた

そして代わりに六花が飛び出しギターを弾いて時間を稼ぎ

Roseliaに引き継いだ

「Roseliaです!出る予定は無かったのだけど、もう少し私達にも付き合って貰うわよ!LOUDER」

私達はLOUDERを演奏し繋ぐ光から託されたバトンという名の時間を繋ぐ

「もう1曲行くわよ!」

「待てよ!俺も参加させてくれ!光には及ばないがギタリストはここにもいるぜ!」

「ならやりましょう!」

そうして高人を交えてBLACKSHOUTを演奏しさらに繋ぐ

そして演奏を終えたタイミングで講堂の扉が開き

ポピパの2人が登場した

「間に合ったようね!さぁ、ステージに上がりなさい!しっかりとラストを飾るのよ!」

そうしてステージを降りてポピパに引き継ぐ

「改めましてPoppin’Partyです!まずはここまで時間を稼いでくれた皆にありがとうを言わせてください!ありがとうございました!そしてこの場にいないもう1人、にも必ずありがとうが伝わるように演奏します!HappyHappyparty!」

そうしてHappyHappypartyとSTAR BEAT!ホシノコドウを演奏して1周年記念ライブは皆の力添えのおかげで成功した。

だけど…光先輩がいなかったら、他の皆が繋いでくれなかったらと思わずには居られず、反省点や心残りの多い1周年ライブとなったのだった。

 

後夜祭

 

俺はRASでの活動を終えて遅れて後夜祭に参加していた

 

「皆さんと地域の方のご協力もあり2日間にわたる合同文化祭を無事に終えることが出来ました。ありがとうございます」

「りんりーん!」

「かっこよかったよ!生徒会室長!」

「お姉ちゃん文化祭お疲れ」

「本当に疲れたわ。あなたの思い付きにはいつも振り回されてばっかり」

「だってお姉ちゃんと一緒に文化祭やりたかったんだもんいい思い出、ポピパは…ひ〜くんのおかげで間に合いはしたけど…残念だったよね、本当にならもっとちゃんとした形でやらせてあげたかったな」

「間に合っただけでも良しとするしかないわね、その立役者はどこに行ったの?」

「多分だけどたかくんと屋上にいるよ、ひ〜くんとしても残念な結果な訳だし」

「何でもかんでも背負い込み過ぎなのよ彼は、日菜、行くわよ!彼のところに」

「うん!」

私達は湊さんや他の皆と共に光君の所に向かった

 

屋上光side

「何とか間に合ったけど、もっと俺が早くおたえと代われてたら良かったのにな…」

「そうは言うがな光、ここまでやったのは殆どがお前の力だぞ!」

「違うよ!俺は利用しただけだ、友を、そして仲間と呼んでくれた皆を利用しただけだ…」

「いい加減…」

「いい加減になさい光」

振り向くと友希那達RoseliaにAfterglow、そして日菜と彩がいた

「皆、どうして?」

「決まってるじゃない、あなたを迎えに来たのよ」

「ポピパが間に合ったのだって光が皆を上手く引っ張ったからだよ!誰も利用されたなんて思ってないよ!」

「そうですよ光さん!今は間に合っただけでも十分ですよ!光さんがいなかったら、根回ししなかったら、もっと言えばここにいるメンバーを利用してくれなかったらポピパはもっと最悪の結末を迎えてたかもしれなんです!」

「その通りよ光!必要ならいくら利用してくれても構わないわ!それであなたが私達にしてくれた事の1割でも返せるなら利用されるくらいなんでもないわ」

「友希那…蘭」

「とりあえずは文化祭成功を皆で祝おう!」

「…そうだね、そうしようか!」

そうして俺達は目一杯後夜祭を楽しんだのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




アニメ9話の内容になります。これについてはアニメ観てて間に合って欲しかったなと思ってたので筆者の独断と偏見で強引に間に合い成功したという形に納めました。この先のストーリーとも矛盾のないように少しずつ内容を変えていってシーズン2の最終話までを書ききりたいと思いますのでお楽しみに
次回「大事と大切と…」


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第64話大事と大切と…

ポピパの皆が葛藤する中で光は自分のやり方を貫き皆を奮起させていく


ポピパの皆を何とかステージに上げることはできたものの

俺自身もRASでのライブであれ、文化祭ライブであれ反省点は多いと感じていた。

ポピパの皆も葛藤はあるだろうと思いつつ俺は自宅のベランダから空を眺めていた

 

ポピパ視点

皆が皆それぞれの家で考え事に耽っていた

「……」

光さんのおかげで私達はステージに立つことは出来た

でも、光さんがいなかったら、私は文化祭のステージに立つことは出来なかったかもしれない、そう考えるとやっぱり

運が良かっただけなんだと思った

 

「おたえが修行に行くのもライブに出るのも応援したのは

私らなんだよな…」

そう呟きつつ盆栽の剪定をしていると間違えて別な枝を切ってしまった

「やっべぇ!多摩川の枝が!」

 

「……不安がってる場合じゃないよね…

私達なら大丈夫だよね…ですよね…光さん…」

どうしてもあの人に頼りたくなってしまう

 

「私何ができるのかな…?」

私はいつも引っ張ってもらう側だったけど、私も何かしてあげたい

 

「……」

考えても考えても、光さんのおかげってのが一番最初に思い浮かぶ、まずはやっぱりお礼言わないとだよね

 

次の日

 

学校では文化祭の話題で持ち切りだ何よりもロックのギターが噂になっているようだ

「そんなに凄かったんだ、ロックのギター」

「かなり凄かったんだよ!光、負けてるんじゃない?」

「俺は競ってるつもりは無いよ」

「まぁ、光は光だしな」

「高人、フォローになってねー」

「ひ〜くんも聞いたらビックリすると思うよ!」

 

その頃ロックのクラスでもロックのギターの話題で持ち切りだった

「昨日の六花すごい噂になってるね」

「リサ姉もビックリしてたしあこもすごーいって思ったよ!」

「ポピパさん達大丈夫かな…私…会ったら上手く声掛けられん…」

「きっと光兄ぃが何とかするよ!」

「光さん?」

「光兄ぃはいつも誰かのために演奏してるから、今回もきっと平気だよ!だって光兄ぃだもん!」

そう言われるとそうかもしれないと思えてしまうから不思議だ

 

ポピパside

「おたえーおはよう」

「おはよう」

「あぁいい天気だな…」

「ごめんなさい…文化祭ライブ…」

「別に怒ってねぇよ。お前だって頑張ってたろ?

沙綾にだけは謝っとけよ。一番楽しみにしてたのアイツだからさ」

「ごめん…」

「だからいいって!いくぞ!」

そして昇降口で沙綾に会った

「沙綾」

「おはよう」

「おはよう…」

「おたえちゃん大丈夫?」

「文化祭ライブごめんなさい」

「そんな謝らないで、今日いっぱい沙綾ちゃんちのパン買ってきたからお昼一緒に食べようね」

「間に合ったから良かったものの心配したんだからね」

「うん」

正直もっとギスギスするかもしれないと思ってた

私は周りの皆に恵まれてるなと思った

 

昼休み

 

「やっぱり沙綾ちゃんちのチョココロネは美味しいね」

「さっすが山吹色のお菓子だねー」

「今日燐子先輩いるかな…」

「いるんじゃね?」

「謝りたい」

「うん、助けてくれた皆に全員でお礼に行こう!」

「私一人で行く。迷惑かけたのは私だから」

「みんな一緒にだよ」

「私たちみんな助けて貰ったんだもんね」

こういう時皆の優しさがとてもありがたかった。

私達は燐子先輩達の所に向かった

「失礼しまーす!」

「あれ?いない…」

「教室かなぁ?」

私達は生徒会室内を探すと奥の方に燐子先輩はいた

「あ、いた」

「ひっ!な、なんです…?」

私達は皆で燐子先輩にお礼を言った

「ありがとうございました」

「お礼なんて…私達こそもう少し時間をちゃんと作ってあげられたらって…それに、お礼を言うなら光君に行ってあげてください、全部彼が作った時間ですから」

「それでも!ご迷惑をお掛けして申し訳ありませんでした」

「そんなこちらこそ」

「こちらこそ」

「こちらこそ」

「いつまで続くんだ」

 

それから放課後も繋いでくれた皆にお礼を言いに行った

 

「ご迷惑を」

「いいって!お姉ちゃんもかっこよかったし結果オーライ!」

「そうですよ!」

「それに、皆から言われてるかもしれないけど、お礼なら

ひ〜くんに言ってあげて!絶対間に合わせるんだって意気込んで皆に頼んでたのはひ〜くんなんだから」

「そうね、光がいなかったら多分おたえちゃん達間に合わなかったでしょ」

「私達よりも光君がその言葉を待ってるはずだよ!」

「でも、彩ちゃんもひ〜くんからカバー曲で繋いでって指示がなかったらやばかったんじゃないかな〜」

「ひどいよ日菜ちゃ〜ん」

 

私その後私達はcircleに向かった

 

「りんりん17分遅れてるそうです」

「分かったわ」

「あの!友希那先輩!」

「何かしら?」

「昨日の文化祭ライブ助けていただきありがとうございました」

「ご迷惑をお掛けして申し訳ありませんでした」

「次はないわよ!それに私達じゃなくて光に言うべきね」

「その光先輩は?」

「今日は親の知り合いがやってるスタジオに顔出すって言ってたからここにはいねーよ」

「そうですか…ありがとうございました」

そうして私達はcircleを後にした

 

Roselia視点

「意外ですね。もっと厳しく言うかと思っていたので」

「遅れた原因は分かってる。それで許されるわけではないけれど」

「前 私たちと光にプロデュースを申し込んできた子覚えてるかしら?」

「あぁ あのちっちゃい子ね」

「RAISE A SUILEN。そのファーストライブが文化祭と同じ日にあったの。花園さんと光はサポートギターを務めていた

光がある程度融通聞かせたからまだ良かったものの彼女だけだったら間に合わなかったでしょうね」

「もう主催ライブか…」

「''その音楽はガールズバンド時代のニューリーダーになる存在だろう''だって光の事は書いてないね」

「光君はあまり表に出ない方が良いと判断したのではないかと思います」

「かもね」

 

ポピパ視点

Roseliaの皆にお礼を言ったあと旭湯に来てロックにお礼を言う

「助けてくれてありがとうございました」

「あ、あの…!」

「ギター凄かったよな!」

「えーそうなの!?」

「そそそ、そんな…ポピパピ…なんかあの…!」

「わぁっ!」

「ロックー!」

「ロックちゃーん!」

そんな感じで旭湯を後にした帰り道

「全員にお礼言えて良かったね」

「光さんには会えなかったけど、こんなにいっぱいの人が助けてくれたんだ…」

「蔵行く?」

「先に行ってて。私行かなきゃ行けないところがある」

私はやっぱり皆とポピパとしてバンドがしたい

その事を伝えるためにチュチュの所に向かった

 

RASside

ファーストライブの反響は思った以上だった

「イエス!狙い通りに…いえそれ以上の大反響よ!」

「おめでとうございまーす!」

「光!あなたも良くやったわ!次のライブはあなたをメインにしても良いくらいよ!」

「大袈裟だな、それに来てそうそうにそんなこと言われてもね」

「まぁ、それもそうね!マスキング、ケーキ焼いて」

「焼かなくても買ってきたよ!種類はバラバラだけどね」

「気が利くわね光!ショートケーキはあるかしら?」

「あるよ!パレオ、悪いんだけど皿とお茶の用意お願いできる?」

「お任せ下さい!」

そうしてティータイムを楽しんでいるとおたえがやってきた

「来たわね。タエ・ハナゾノ。あなたもすっごく評判いいわよ。次の主催ライブでギターソロも考えてるもちろん光もね!」

「光栄だね」

「お話があります」

「OK、最っ高に気分がいいから何でも聞いてあげる!」

「RASのサポートギターをやめさせてください」

おたえは頭を下げる

「えっ…」

「パードゥン?」

「RASのサポートギターをやめさせてください」

「Why?ハナゾノどうして?」

「私に力が足りませんでした…。

RASの音楽はすごいと思います。

こんな音どうやったら出せるんだろう?…

こんな風になりたい…」

「ここでなら成長できると思ったんです。だからこんなすごい人たちの中で修行できれば…」

「修行?修行って言った?」

「私は本気でやってるの!そんな素人の腰掛け程度でやられると大迷惑なのよ!」

「違う」

「そうでしょ!?」

「ちょっとやってダメならすぐやめるなんて

あなた自分勝手すぎるんじゃないの?

やるなら何もかも本気でやりなさいよ!」

「チュチュちょっといい?」

「頭冷やしてきなさい」

「レイ、おたえ頼むね俺はチュチュと話してみる」

「わかった」

レイにはおたえを連れて外に出てもらった

「チュチュ、元々サポートって約束なんだしさ、それにおたえにはおたえのバンドがある、それをわかってやってくれるとありがたいけど」

「光はどっちの味方なわけ?あなたはバンドはやらない代わりにサポートならいくらでもって言ったわよね?」

「そうだね」

「あなたも遊びだと思ってる?」

「逆に質問するけど俺が遊びでやってるように見える?」

「見えないわね…少なくともあなたは自分が出来ることと出来ないことをわきまえてる、だからこその意見ってわけね」

「あぁ、チュチュの言い分もわかるけどおたえの気持ちもくんでやってくれ」

「考えておくわ」

「今はそれでいいや」

俺はとりあえずこれからに向けて動く事を決めた

 

 

おたえ・レイ視点

「チュチュはああ言ってたけどはなちゃんが本気でだったのは分かってる。ライブのお客さんの歓声すごかったでしょ?はなちゃんの本気が伝わったからだよ」

「私、周りに助けられてばっかりでさ、今回も光先輩がいなかったら文化祭ライブは間に合わなかった、皆にたくさん助けられて実感した、力のなさ…光先輩はいつも私を助けてくれるから」

「頼りすぎてるってこと?」

「うん、甘かったとおもう。必要だと思うこと全部やりきらないと主催ライブはできないと思ってたけど…」

「Poppin’Partyに戻ってはなちゃん」

「ごめんなさい…光先輩にもお礼言わないと」

 

RAS視点

「今やめるなんてクレイジーだわ!伝説は始まったばかりなのに!光はとても素晴らしい人材よ!でも、皆が光に引き摺られるわ!だからこそ!彼には力をセーブさせないといけないの!それがもどかしいわ!」

「あいつらは元々サポートって話だったろ、光が残るだけマシだろ」

「残念です。レイヤさんもはなさんが入って喜んでたのに」

「きっとわかってくれるさ、俺は必要ならいつでも手を貸すしさ!」

「チッ…」

 

 

それから俺はおたえと一緒に有咲の家を訪れていた

 

「RASをやめるってちゃんと話してきた

ただ最後に1回だけど主催ライブがあるからそれだけは出てって光さんも出るみたい」

「そのライブ私も見に行っていい?」

「まぁ気になるしな」

「私も行く沙綾ちゃんは?」

「私も」

皆でおたえのライブを観に行く事にした

 

レイ・ますき・光side

レイが落ち込んでいるように見えたので俺達は声をかける

「ほら。パレオが心配してたぞ。泣いてるんじゃないかって」「泣かないよ。前に花ちゃんと約束したから」

「また会おうって?」

「まぁ、そんなとこ」

そう言ってレイは話してくれた

昔の事を…

「ミュージックスクールの子?」

「うん。歌う?」

「ダメ。歌い方が子供らしくないから」

「そうなの?」

「はい」

そんな私にはなちゃんが飴をくれた

 

「はなとバンド組んでたのか」

「組んでない」

「え?」

「親の転勤で引っ越すことになって…」

当日はなちゃんは見送りに来てくれた

「はなちゃん…」

そして再会した時に歌った曲をあの時初めて歌った

「歌いながらはなちゃん目がウルウルしてて、また絶対戻ってこようって思った」

「今からでも引き留めろよ」

「それはダメだよますき」

「うん、また会えたからそれでいい…」

ますきは自分の目元を覆う

「泣かないで」

「泣いてねぇ」

「別に泣いてもいんじゃない?」

「「え?」」

2人の声が重なる

「俺さ、泣き顔をみられるのが恥ずかしいとか思う気持ちはわかるけど、泣く事を恥ずかしいとは思えないんだ、むしろ泣くだけ泣いて吹っ切ったら良いじゃん」

「ならさ、光君、私達を涙させて音楽で!」

「お前が知ってる沢山の曲の中から思わず泣きたくなるような曲を聞かせてくれよな!」

「わかった」

俺は演奏の準備を整えてルミナスの姿になり話し出す

「こんばんは、ルミナスです。今日は2曲程思わず涙したくなるような曲を演奏します。聴いてくださいオレンジ」

 

俺はキーボードを弾きながら歌っていく

 

『小さな肩を並べて歩いたなんでもない事で笑い合い

同じ夢を見つめていた

耳を澄ませば今でも聞こえる

君の声オレンジ色に染まる街の中

君がいないと本当に退屈だね

寂しいと言えば笑われてしまうけど

残されたもの何度も確かめるよ

消えることなく輝いている

雨上がりの空のような心が晴れるような

君の笑顔を憶えている思い出して笑顔になる

思い出して笑顔になるきっと二人はあの日のまま

無邪気な子供のまま巡る季節を駆け抜けていく

それぞれの明日を見て

一人になれば不安になると

眠りたくない夜は話し続けていた

君はこれから何を見ていくんだろう

私はここで何を見ていくのだろう

沈む夕焼けオレンジに染まる街に

そっと涙を預けてみる

何億もの光の中生まれた一つの愛 変わらなくても

変わってしまっても君は君だよ心配無いよ

いつか二人が大人になって素敵な人に出会って

かけがえのない家族を連れてこの場所で会えるといいな』

 

レイ・ますき視点

 

思い出が蘇る昔のまだ幼かった私達の思い出はなちゃんと初めて会った日初めて一緒に演奏した日が呼び起こされる

「懐かしいような少し悲しいような」

「だな、さすが光だぜ!」

涙を堪えて笑っている私達がそこにはいた

 

『雨上がりの空のような心が晴れるような

君の笑顔を憶えている思い出して笑顔になる

何億もの光の中生まれた一つの愛

巡る季節を駆け抜けていくそれぞれの明日を見て

それぞれの夢を選んで』

 

1曲目の演奏を終えて話し出す

 

「1曲目はオレンジ、懐かしい思い出や今の二人という存在を感じる曲です。このまま2曲目にいきます。

2曲目は泣いてもいいですか」

 

俺は再びキーボードを弾いて歌っていく

 

『「今日だけ泣いてもいいですか…」』

 

俺は優しく音を奏で歌っていく

 

『僕らは旅の途中出会った未完成なままの二人

何故か時々空見上げるのは君の心が穏やかなとき

笑顔になれるまで待っている

 

今日だけ泣いても構わないですか 明日から泣かずに生きてくから

別れの時がもうすぐ来るんだね夏の終わりの夕陽のように

切なく輝く君を見送る』

 

レイ・ますき視点

私達の頬を涙が流れた

「涙堪えられないや」

「あたしもだ、拭いても拭いても涙が流れてくる」

曲はまだ中盤なのにこんなにも涙が溢れたのは初めてだった

 

 

『希望に満ちてる今日の君夢が叶いますように

君の影でエールを贈る

野に咲く花が咲き誇るように 喜びの種を蒔くのさ

 

別れの悲しみすればするほどに人は優しく逞しい姿

君に出会う為生まれてきたんだ でも…いいんだ…ありがとう

 

切なく輝く君を見守る

 

君と出会った日の事忘れやしないよ

優しい自分に出逢えた奇跡も君が居てくれたから

 

今日だけ泣いても構わないですか

明日から泣かずに生きてくから

別れの時がもうすぐ来るんだね夏の終わりの夕陽のように

切なく輝く君を

 

別れの悲しみすればするほどに人は優しく逞しい姿

君に出会う為生まれてきたんだでも…いいんた…ありがとう

 

切なく輝く君を見守る

 

「今日だけ泣いてもいいですか」

「今日だけ泣いてもいいですか」』

演奏を終えたタイミングでレイが言った

「泣いてる場合じゃないよね!笑ってはなちゃんをポピパのみんなの所に帰してあげないと」

「だな!はなとの最後のライブ楽しむとするか!」

「俺はいつでも手を貸すしさ、今は笑っていよう」

「うん、ありがとう」

そうしてその日は解散した。

 

俺はおたえに付き添い有咲の家に行き主催ライブの会議に参加した

「主催ライブは新衣装でいきます!」

「おぉー!」

そうして絵を見せてもらう

「地味じゃね?」

「こんなの足したりとか?」

「これは?」

「おぉ!」

「いい!」

「私ね服に何か飾り付けたいな」

「リボンとか?」

「いっぱい付けよう!」

「じゃあここに付けよう!」

「いい」

「これは?」

そんなこんなで皆が色々描き足したためものすごく変なものが出来上がった

「出来てしまった…!」

「ダメだこりゃ…」

「これは没だね」

そんなこんなで衣装は改めて決めることにし今日は解散した

 

次の日

俺はチュチュ達RASの方に顔を出していた

《ストップ Stay!待てマスキング!》

「あぁ?」

《また入り込んでた》

「ここには必要な音しか存在しないの」

《Simple is best!究極の音を出して 光!ハナゾノと変わってギターに入りなさい》

「はいよ!」

そうして明日に向けての調整を行いその日は終了となる

 

「OK!明日の主催ライブがRAISE A SUILENの礎となる!気を引き締めるのよ!」

「Yes」

「あぁ」

「はい」

「もちろん」

「タエ・ハナゾノあなたはラストなんだから有終の美を奏でるのがマスト」

「有終の美は飾るんですよ、ご主人様」

「Wantever!」

「Oncemore」

「パレオ!」

「やめてくださーい」

「やめなって2人とも!」

声こそかけるが本気で止めはしない、なんだかんだ楽しそうだと思うから

そんなこんなで皆解散し明日に備える形となった。

 

次の日

ライブ当日

 

「Roseliaがやった所だよね…?」

「わぁ…!」

「ここはdubと言ってですねキャパ1000人を超す、音響と空間にこだわり抜いた屈指のライブハウスなんですよ」

「麻弥さん!」

「香澄さん!」

「イヴちゃんも来たんだ!」

「麻弥さんに誘われたので」

「このバンドすっごいドラマーがいるんですけど1人じゃ心許なくて」

「生贄です!」

「もう主催ライブなんだ…」

「結成してそんな経ってねぇだろ?」

「dubは業界関係者の注目も高いですしここでやるのは一つのステータスです」

麻弥さんの解説を聞きながら中に入るとすでにかなりのお客さんがいた

「もうファンの人がこんなに」

「メンバーにあの二人と光君がいれば当然っす!

ベースボーカルのレイさんとドラムのマスキさんは自分より

一つ年下なんですが…」

「私たちと同い年だ」

「とにかくやたら上手いんですよ!

どっちもサポートしかやったことないんですけどね」

「上手なのにですか…?」

「レイさんはどれだけ誘われても仕事に徹してる感じで。

だから今回の加入はちょっと驚きで

マスキさんに関してはまぁ…狂犬です」

「狂犬?」

「すごくおかずが多いんですよね!」

「おかず?」

「即興の音数が多いってことです

隙間があればガンガン音入れていくんですけど凄すぎてみんなついて行けなくてドラムソロになるというか…」

「力尽くで首輪付けても首輪ごとバンドを引きずり回す!

まぁ自分的にはそこがあまりある魅力的なんですけどね。

なんなら音源聴く限り光君や他のメンバーも相当…」

「お!始まりますよ!」

「出陣です!」

そうしてメンバー紹介が始まる

《ベースボーカル レイヤ!》

「アイツ和奏レイ!ミュージックスクールで一緒だった!」

《ギター花園!》

「ファンすげぇ…」

《ドラム マスキング!》

「うぉぉキングー!マスキさんの生演奏聴けるなんて最高っす!」

《キーボード パレオ!》

「あの方いつも握手会に来てくれる子です。

パスパレのイベントに合わせて

髪の色まで変えてくれるんですよ」

「えっ!?マジかよ!」

《ミュージックキング! ルミナス!》

「光さんだよ!」

「ここでもミュージックキングなんですね」

《We areRAISE A SUILEN》

そうして演奏が始まった皆が盛り上がる中でおたえとレイが背中合わせで向かい合い演奏する

それに合わせ他のメンバーもノっていく中で演奏が終わる

 

「ありがとう。そして…」

「花園です。告知にあった通り今日でサポートは終わりになります」

「ありがとー!」

「やめないでー!」

「はっ…!」

「短い間でしたが皆さんの前で演奏できたこと、温かい声援は忘れません!ありがとうございました!」

そうしておたえとレイが拳を打交わす

そして俺の出番となる

「さぁここからよ!ギター交代よ!ルミナス!」

「了解!」

俺はステージに立つ

「こんばんは、ルミナスです!俺の事を知ってる人も多くいると思いますが、今は、RASのルミナスとして演奏します!

改めてもう一度RIOTを聞いてください!」

そうしてRIOTを演奏していくさっきとはうってかわり静かになるが演奏が終わると一気に爆発したように歓声が上がる

そしてそれからも何曲か演奏しライブは終わりを告げた

 

ポピパ視点

「おたえ・かっこよかったね…」

「別人みたいだったな…」

「そうだね…」

「…」

皆でライブのことを話していた時チュチュがやってきた

 

「Poppin’Partyの皆さん初めまして。私RAISE A SUILEN

プロデューサーのチュチュと申します

タエ・ハナゾノを私にいただけませんか?」

俺たちの知らない所でまた波乱の予感がしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




シーズン2の10話目になりますね、シーズン2の話も終わり近いですね、実はこの先の展開も考えてはいたんですが次でも良いかなと思いあえてこのまま終わろうと思います。
次回はシーズン2の11話目を書いていきますのでお楽しみに
次回「距離感と本音」


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第65話距離感と本音

RASのステージの後、ポピパの皆は距離感に戸惑う中で
光は自分の演奏を届けていく



ライブ後チュチュからおたえを譲ってくれと頼まれた。

「おたえを頂くって…」

「言葉通りの意味です。

タエ・ハナゾノを我がRAISE ASUILENに正式にスカウトしたいと」

「ちょっと待って。いきなり言われても…」

「プロデューサーってほんとに?」

「Yes。RAISEASUILEN略してRASのボスよ。

楽曲からライブの演出まで全てやっています」

そう言って名刺を出てきた

「あ、ありがとう…」

「私どもの主催ライブはいかがでしたか?」

「すごかった!すごく…」

「言葉を無くすほどだったと」

そう話しているとおたえと光先輩がやってきた

「チュチュ!」

「そろそろ打ち上げだろ?」

「あっ…」

「sorry!打ち上げpartyがあるので。では改めて」

「いくよハナゾノ、それに光も」

「うん」

「あぁ、今行くよ!」

「来てくれてありがとう」

「またね!」

そうして俺たちは打ち上げに参加しその後帰宅した

 

次の日光side

 

「光、昨日のライブすごかったな」

「とは言ってもやっぱり全力とは行かなかったよ!高人だけだよ!全力出せるの!」

「光、あれでどのくらい?」

「半分くらいかな?1人でやるならいくらでも良いんだけど、そうもいかないから」

「まぁ、光の場合そうだよね」

「私達の時は上手く先頭にたってもらう感じではあったけれど、今回はそうも行かないだろうしね」

「でも、皆すごかったんだよね?麻弥ちゃん言ってた」

「まぁ、実力派って言うだけはあるかなって感じ」

「光、今回も本気の機会はなさそうかしら?」

「どうかな?多分ありそうだなとは感じてるけど」

「今回はお前が何とかしてやれよな」

「今回もだね」

そう話しつつ昼休みを終えたのだった

 

ポピパside

 

「千聖さんから正式にOK出たよ」

「え?」

「主催ライブのゲスト、パスパレ」

「あ、本当?やったー!」

「ちゃんと言えよ。一瞬何かとおもっただろ」

「うん。みんな何か変」

「ライブの後チュチュって子に言われたんだ。おたえをくださいって」

「え?」

「おたえちゃんをRASにスカウトしたいって」

「チュチュにみんなに挨拶したいっていう言われた…

5人が揃う日を教えてって」

「断る」

「今日は?学校終わったらうち集まるだろ?そん時来てもらえば?」

「無視したってモヤモヤするし、こんな状態で出演者ライブの準備しなんかできないだろ?」

「一応先輩にも来てもらおうか…あんまり頼っちゃいけないんだろうけど、今回はいて欲しいなって」

「だよな、今回ばっかりはあの人に頼らせてもらうか」

そうして連絡を取り先輩にも来てもらうことにした

 

 

そして放課後

俺は連絡を貰い有咲の家を訪れた

「Amazing!secretstudio!」

「WOW!ビンテージのすごいやつ!」

「なんで!?」

「あぁ…全部じいちゃんの…」

「Grandpa!Excellent!」

「俺の時と反応そっくり…まぁ、気持ちわかるんだけど…」

「まぁ、先輩も本当こんな感じでしたしね」

「チュチュ様!まずご挨拶を」

「わっ、分かってる!」

「本日はお時間いただきありがとうございます」

「皆さん甘い物はお好きですか?」

「パレオはいつも通りだね」

「まぁ私ですから!」

そう話しつつ各自席に着き話し出す

「結論から申し上げますとタエ・ハナゾノにPoppin’Partyを

脱退して頂きたいのです」

「どうして…」

「決まってるじゃないあなたが2つのバンドを兼任するPOWERがないからよ」

「でも、この前のライブでおたえは最後って…」

「Yes、サポートギターは最後。ハナゾノは新たに私のギタリストとしてstartするのです。何事もけじめは大事ですから」

「それさ…勝手に決めてない?おたえの気持ちは?」

「えぇ。でもハナゾノ1人に話しても意味がないと思ったので」

「あのさ、俺からも良いかな?」

「なによ光」

「ポピパの皆だけじゃなくてさ、RASの皆特にレイとますきには言ったの?俺は正直あの二人が引き止めるとは思えないけど」

「1つ頂いても?」

「おう…」

チュチュはお菓子を手に取り話し出す

「Poppin’Partyは友達同士で組んだバンドですよね?」

「う、うん…」

「友達思いのハナゾノはきっと皆さんに遠慮しますよね?」

「だとしても、ある程度遠慮なしに言える仲間って大事だと思わない?少なくとも、友達同士だから言えることもあると思うよ!遠慮なしにね」

「なんでおたえなんだ?」

「なんで?この前のライブ見たでしょ?」

「perfectsound!perfectsong!perfectperformance!

表舞台は私たちのstage!まさにRAISEASUILEN!」

「Unstoppable!」

「Yes!Unstoppable!」

「私はこのガールズバンド時代でトップに…

No!changetheworld!ガールズバンド時代を切り拓く!

そのSoulがハナゾノと光にはある!でもね、光は矢面に立ってしまえば他の皆が霞んでしまう程圧倒的演奏力を持っている、だからこそ!ハナゾノなのよ!」

「RAISEASUILENはチュチュ様の音楽を表現するためのバンドです。全員がオーディションで選ばれた精鋭。集まって間もないですが素晴らしいメンバーです!光さんという例外はいますけどね!」

「それに…これでさよならは寂しいです。ファンの方はもちろんレイヤさんも…」

「…」

「レイは、笑って送り出すって言ってたよ!泣いてる場合じゃないって、また会えたからそれで良いってさ」

「だとしても!7年のブランクはゼロに等しい。2人のグルーヴは本物よ」

「はなさん、パレオたちとのバンド楽しくなかったですか?」

「それは…」

「そちらの主催ライブが終わるまで待ってあげる。いい返事を期待しています。友達思いの皆さん」

「チュチュ様は口はちょっと悪いですが見る目は確かです

暗闇からパレオという私を見つけ出してくれた…」

「だとしても、俺はポピパの絆はレイとの絆にも勝るとも劣らないものだと思うから、俺個人は賛成しかねるよ!」

「…パレオ」

「はいただいまー!それでは皆さんお邪魔しましたー

チュチュ様ー!待ってくださーい!」

「ごめん」

「謝らないで」

「来ればって言ったの私だし…」

「私RASには…」

「今すぐ決めなくてもいいんじゃない?」

「沙綾?」

「ちゃんと考えた方がいいと思う。ほんとはうるせぇって叩き出したかったけどアイツらちゃんとおたえのこと認めてて、

デカイ目標もあって口だけじゃなくて…何も言えなかった…」

「今日は家で弾く」

「おたえ!」

「ごめん先延ばしにしちゃった…。この前ライブ見て…もしかしたらおたえはあっちにいた方がいいのかなって…」

「ベースボーカルのレイヤってさ、そういや昔同じミュージックスクールにいたんだよな」

「和奏レイ。専攻違うから話したことなかったけど

歌がすげぇ上手くて有名でアイツらあの頃から知り合いだったんだな…」

「まぁ、答えを先延ばしにしたのは悪いことじゃないと思うし、よく考えてみてよ!俺はチュチュの所に行ってくるから」

そう言って有咲の家を後にしチュチュの所に向かった

 

RASside

「チュチュ何考えてるの?」

「What?」

「はなちゃんをスカウトするなんて聞いてない」

「レイヤは反対?ハナゾノと続けたくないの?」

「…私はまた会えただけで良かった…一時でも一緒にやれて楽しかったよ、私はねチュチュ、はなちゃんに笑ってみんなの所に帰って欲しいの!もちろんはなちゃんと続けたくない訳じゃないよ!でもね、どんなに離れててもまた会えるし絆は消えないよ」

「光がなにか言ったの?」

「本気の演奏を聴いただけだよ!曲が教えてくれたんだ」

話していると光君がやってきた

「チュチュいる〜?」

「光君!」

「レイ。チュチュは?」

「いるよ、はなちゃんのことで抗議してたとこ」

「じゃあ、俺も参加しようかな」

「あなたまで反対するの?」

「当然だろ、おたえはポピパのギタリストだ!サポートって形で手伝ってこそいたものの本来の居場所はポピパだ」

「だから言ったじゃない!主催ライブが終わるまで待ってあげるって」

「俺の事は良い、俺は自分がやりたくてやってるから、でもな、失ったものを取り戻せるとは限んないんだよ!それだけ言いたかった…またな」

そうして俺は帰宅した。

 

次の日

香澄たちの主催ライブの打ち合わせに同行する形で俺はギャラクシーを訪れていた

「頂いたセットリストを基に仮で演出組んで見たんですけど新曲ってまだ…」

「香澄?」

「あ、ごめん!ボーッとしてた!それで?」

「あれから何かあったんですか?」

「えっへへ〜ロックにはすぐバレちゃうな」

「す、すいません!」

「ううん」

「まぁ、ポピパの1番のファンだからねロックは」

「ねぇロック、ポピパってポピパだよね?」

「え?」

「ロックにとっても皆にとってもポピパはポピパでしょ?」

「は、はい!ポピパさんはポピパさんです!

キラキラしていて楽しそうでステージで演奏する皆さんを見ているとどんどん楽しい!って気持ちがすごく伝わってくるところとかすごく…!

もちろんステージに立ってなくても大好きです」

「身近にこんなファンがいて良かったね」

「ですね!私もポピパ大好き」

 

そして帰り道

「先輩…」

「何?」

「今日はなんで着いてきてくれたんですか?」

「大した理由じゃないよ!おたえのこと、香澄が1番心配なんじゃないかなって」

「そう見えますか?」

「正直皆そう見えるけど…香澄と沙綾、そしておたえ本人がね、ほかの2人も色々葛藤はしてるだろうけどさ」

「優しいですよね、先輩、沙綾が言ってました、光先輩はいて欲しい時に傍にいてくれる人だって、今日、それがわかった気がします。」

「そんな大層なものじゃないけどね」

俺は視線を前に向けると香澄の名を呼んだ

「香澄」

俺は指を指す

「はっ…おたえ…」

「来ちゃった」

「とりあえず移動しようか」

そうして俺達は移動し俺は少し離れた所で見守る

「寒くない?」

「うん…」

「さっき先輩とギャラクシー行ってきたよ。証明の色とかやっぱり実際にステージに立ってリハしながら決めたいって」

「うん…」

「あとね、楽器屋さんにチラシ持っていったら麻弥さんと会ったよ。ステージの機材リスト欲しいって言われたから後で送らなきゃ」

「うん…」

「あとね、蔵行ったよ」

「うん…」

おたえは浮かない表情のまま話だす

「分からなくて…ポピパを辞めるなんて考えたことなかった…。でもちゃんと考えてって…」

「みんなおたえのこと考えてるんだよ。おたえが大事だから」

「大事?」

「うん。RASのライブほんとにすごかった。すごくカッコよくてあんなおたえ見たことなかったらちょっとビックリしちゃった…だからそういう未来もあるんだろうなって」

「でもねポピパはポピパだよ。おたえとりみりん、

沙綾と有咲と私。昼休みだって放課後だって会えるし

いつだって一緒に弾けるおたえはポピパ」

「ギター弾こ、おたえ」

「アンプ持ってきてないよ?」

「えっへへー!光先輩!」

「言うと思った、じゃあおたえ、聴いてくれる?俺達のううん僕等の演奏を」

「先輩!もしかして?」

「ルミナスです。まずは香澄、お願いね」

「はい!」

そうして香澄はSTAR BEATを歌っていく

「変態だ…」

そうしておたえは色々と思い出しているようだった。

香澄たちポピパとの思い出を

そして演奏が終わると香澄はこっちを向いて言った

「先輩!お願いします!演奏を聴かせてください!」

「私からもお願いします」

「じゃあ、俺からも2.3曲演奏します。まず1曲目は本音」

 

僕等はギターを弾いて歌っていく

『「あぁ、辞めちまおうかな」

1人こぶしを握って爪が刺さった

「あぁ、辞めたくないよな」

本音はいつも君と肩を組んだ後

 

誰より泣いてきた君だと近くにいた僕には分かる

きっとこの先もう出会えない

仲間だと奇跡だと分かるから

 

走れ走れ走れ涙より早く走れ走れ後悔より先へ

ありふれた言葉でも「大丈夫大丈夫」共に行こう

 

挑め挑め痛み悩み知る君と

醒めない醒めない夢の続きが未だ見たい

ありふれた言葉だけど

「ありがとうありがとう」本音だから

 

「なぁ好き勝手いいよな」

心ない事を食らって影落とす日も

「好きだけじゃないよな」

本音は君が知って居てくれたらいいさ

 

柄にもなく熱いメールや火花が散る喧嘩もしたね

馴れ合いじゃない面倒でいい

そして僕・君じゃなく・''僕ら''になる

 

巡り巡る出会いと別れの中で

繋ぐ紡ぐ他人同士だった僕ら

ベタベタは苦手だけど

時にはたまには素直になろう

 

明日はどうなって明後日はどうなって

未来はどうなってゆくんだろう

明日が雨でも明後日が嵐でも

探せ繋げ僕らは

 

生きてれば辛い事の方が多いよ

楽しいのは一瞬だけどそれでもいいよ

忘れずに憶えていよう

僕らの一瞬を叫んで行こう

 

走れ走れ走れ涙より早く

走れ走れ君と夢見たその未来(さき)へ

照れるような言葉だけど

「出会えてよかった」

言葉にして

「ありがとうありがとう」

伝えたいよ本音だから』

 

1曲目の演奏を終えて俺は話し出す。

「1曲目に込めたのは本音をさらけ出すことの大切さ、伝えるべきところで伝えられなかったと後悔するよりはさらけ出すことで楽になる場合もあるでしょ、そんな思いを曲にそして演奏に込めました」

 

「そうだろうなとは思いました。歌詞が心に刺さる感じがずっとしてました。」

「じゃあ、そんなおたえに向けて歌う次の曲はボクノート」

 

僕等はキーボードを弾いて歌っていく

 

『耳を澄ますと微かに聞こえる雨の音

思いを綴ろうとここに座って言葉探してる

考えて書いてつまづいて消したら元通り

12時間経って並べたもんは紙クズだった

 

君に伝えたくて巧くははいかなくて

募り積もる感情は膨れてゆくだけ

吐き出すこともできずに

 

今僕の中にある言葉のカケラ

喉の奥、鋭く尖って突き刺さる

キレイじゃなくだって 少しずつだっていいんだ

この痛みをただ形にするんだ』

 

おたえ・香澄視点

「まるで私達だ」

「そうだね、思いを形にって難しいよね」

「うん。それを曲を通して教えてくれたんだよね」

2人で話しながら曲を聴いていく

 

 

『何をしても続かない子供の頃の僕は

「これぞってモノ」って聞かれても答えに困ってた

そんな僕にでも与えられたものがあると言うんなら

迷い立ち止まった自分自身も信じてたいな

 

僕がいるこの場所は少し窮屈だけど

愛に満ちた表情でぬくもり溢れて

そして君の声がする

 

足元に投げ捨てた足掻いた跡も

もがいてる自分も全部僕だから

抱えてる想いをひたすらに叫ぶんだ

その声の先に君がいるんだ』

 

おたえ・香澄視点

「全てが自分…」

「うん、どんなおたえでも、おたえはおたえ、私は私

それが伝わってくる」

見えた光景は皆と笑って涙する私だった…

 

『耳を澄ますと確かに聞こえる僕の音

空が泣き止んで雲が切れてく

 

今僕が紡いでく言葉のカケラ

1つずつ折り重なって詩(うた)になる

キレイじゃなくだって少しずつだっていいんだ

光が差し込む

 

この声が枯れるまで歌い続けて

君に降る悲しみなんか晴らせればいい

ありのままの僕を君に届けたいんだ

探してたものは目の前にあった』

 

「感動です。歌詞が私の心に刺さってます」

「伝わって良かった。そんなおたえに俺から最後の曲は

轍(わだち)」

 

ラストの曲はアコギを使い演奏していく

 

『そんなに遠い目をして 君は何を見ているの

1秒ずつの未来が 今も通りすぎているのに

眠れないほど悩んで 見えた答えがあるなら

君さえ知らない君を 見つける旅に出かけようよ

 

轍さえもない道をただ進め

抱えきれない夢が 不安に変わりそうな日が来たら

 

そんな時は僕のところへおいで歌を唄ってあげよ

涙かれたその後にだけ見える光明日を照らす

 

そんなに遠い目をして 君は何を見ているの

昨日振り返るなら 見えない明日に目を凝らせ

こんなに強い自分が いることに気付いたのは

この道が 誰でもない 自分で選んだ道だから

 

しがらみの中をかき分けて進め

傷だらけの両手が いつの日か輝いて見えるまで

 

開いた扉 通り抜けても それじゃ強くなれやしないよ

閉じた扉 タタキつぶしてゆこう 君の未来のほうへAh〜

 

そんな時は 僕のところへおいで 歌を唄ってあげよ

涙かれた その後にだけ見える光 明日を照らす

どんな時も僕はいつでもここで歌を唄ってるだけ

閉じた扉タタキつぶしてゆこう君の未来のほうへ』

ラストまで演奏し終えるとおたえが言った

 

「こんな素敵な曲ばっかりで先輩隠してたんですか?」

「まさか、この曲を今まで歌う機会がなかったってだけ」

「そうですか…」

そういうとおたえは地面に詩を書いていく

「おたえ…?」

「行こう!その詩をそして曲を皆に聞いてもらおう」

「はい!」

そうして俺達は有咲の家の蔵に集まった

おたえはギターを手に話し出す

「自分の気持ち全部込めました。聴いてください」

そうして演奏が始まる

「まさに今って感じかな」

おたえが自分の気持ちを込めたと言っていた理由がしっかりと俺にも伝わった

そして演奏を終えたおたえが話し出す。

「私…ポピパが好き香澄とりみと有咲と沙綾とそしていて欲しい時にいてくれる光先輩…」

「俺は皆に演奏を届けるだけだから」

そして有咲が立ち上がりもう一度演奏するように頼む

「もう一回」

「え?」

「今の歌って」

有咲はおたえの演奏に合わせキーボードを弾いていく

そして手を止め話し出す。

「私はさポピパが嫌いじゃねぇしバンドも結構楽しい…

将来の事は分からないけど5人で同じもん目指したりして…

いつか武道館とか行くもの悪くなぇなって思ってる」

「でも本当のところおたえがどう思ってるのか分からなくて…もしかしたらウチらとじゃなくてもいいのかもって思って…でも全部分かった」

「でもさそれで1曲作んなよ…!おたえらしいけどさ…!」

有咲は涙を浮かべながら自分の思いを本音をさらけ出す

「有咲…」

「私も言えなかった…向こうに行って欲しくないって。

でもワガママかなって。やっぱり私ダメだね。言いたいこと言えるようになったと思ったんだけどな…おたえ…行かないで」

「行かない。行かないよ沙綾」

「うん…」

「ありがとうりみりん」

「え?」

「今日ポピパ辞めるって言われたら怖いなって迷ってたら一緒に行こうって迎えに来てくれたの」

「おたえちゃんがポピパ大好きなの知ってるもん。ポピパのこといつもいっぱい考えてくれてありがとう。私ももっともっと頑張っておたえちゃんとみんなのこと支えたい

ポピパでいてくれてありがとう」

皆がそれぞれ本音をさらけ出すことの大切さを知れたと思った

「私…私」

「おたえ…」

「おたえちゃん」

「おたえぇぇ…うっく…よかったよぉぉぉ!」

「うわっ!やめろ香澄ー!」

「結局こうなるんだね」

「先輩もありがとうございます。あの演奏のおかげで本音の大切さをさらけ出すことの大切さを知れました」

「また困ったらおいで歌を唄ってあげる」

そうして皆の絆が深まりまた一つ確かな音が生まれた。

 

 

 

 




シーズン2も残すところ2話となります。
本当は昨日のうちに出すつもりでしたがギリギリで間に合いませんでしたので今日投稿しました
シーズン2の執筆も長いような短いようなですね。中々主人公を組み込ませるタイミングって難しいと思いますがそれでも上手く主人公を組み込ませつつとりあえずはシーズン2の内容を書き切りたいと思いますのでお楽しみに。
次回「皆の音と新曲」


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第66話皆の音と新曲

それぞれの思いが曲となり音が響くその瞬間を光は目にするのだった。


おたえが作った曲Returnsは皆が頑張った結果ポピパにしかない最高の1曲になった。

「完成!」

「すごい…みんなの歌になっちゃった」

「帰ってきたって感じ。ポピパに」

「イェーイ!」

「やべぇ」

「ふふっ」

「なっ!見んなー!温かい目で私を見んなー!」

「あはは」

「皆楽しそうでよかった。」

「よーしこのまま主催ライブまで一気にー!」

「ポピパ!ピポパ!」

「ポピパパピポパ!」

「香澄達の円陣は俺にはちょっと大変だ」

「でも、しっかり参加してくれましたし、先輩がいてくれて良かったなって」

「俺は何もしてないよ、ただ演奏しただけだし」

「その演奏に救われたんですよ」

「大袈裟だなぁ〜」

「先輩は私達がお礼したいって言ったら何を望みますか?」

「ん〜じゃあ、ライブが終わったらこの曲俺にカバーさせてよ、それと、出来上がったらでいいから香澄の曲もね」

俺は歌詞の書かれたノートを指先でトントンと叩いて言った

「こう言ったらあれですけど、そんなんで良いんですか?」

「他に何を望んでいいのか分からないからね」

「それはそうですけど…それがお礼って言うのもなって」

「ん〜じゃあ、夏休みにキャンプに行こう!前から計画しててさ、天体観測も兼ねて皆で星空の下でキャンプするの」

「それには賛成です!楽しそう!」

「じゃあ、それで良いよ!」

「もう少し欲深くなっても良いと思います。」

「正直お礼に多少無茶な要求されても、アタシら別に構わないって思ってたくらいですし、あたしはともかく、他の奴らはある意味先輩の力になれるならウェルカムって感じでしょうし」

「残念ながらお礼に無茶振りを望んだら俺個人はある意味

最低だと思うよ、それに…皆が心の底から望まない事を俺から願ったりはしないよ」

「まぁ、わかってて言った事ですけど…その辺紳士なのかはたまたヘタレと先輩を罵るべきなのか迷う所ですね 」

「俺としては紳士なつもりだけどね、まぁ、いいや!とりあえず。俺からのお願いとしては曲のカバーと夏休みの天体観測キャンプで良いし、後は皆に任せるよ!それじゃあね!」

俺はそう言って有咲の家を後にし自宅への家路を辿った。

 

次の日光side

俺達はポピパの主催ライブの事を話していた

「やっぱり光は最後なんだね」

「最後に出て自分達に繋いで欲しいってさ」

「ピッタリな役目じゃない」

「でも、なんで今回たかくんは出ない事にしたの?」

「ただ単に今回は光1人の方が良いと思ったってだけ、俺も出たって構わないけど、一緒に演奏するだけじゃなくて観客側としてライブのステージに立つ光を見たかったってのもあるけどさ」

「高人はこう言ってるし、俺は聴いてくれる人に全力の演奏を届けるだけだよ」

「まぁ、あなたが出る以上私達もいつも以上の実力を出せるでしょうし必要なら貴方と演奏出来るかもしれないしね」

「まぁ、あれだ、光がいれば大抵なんとかなるだろうよ」

「でしょうね、ところで曲は決まっているの?」

「一応ね俺は2~3曲で繋いでくれって言われてるからすぐ決まったよ」

「楽しみにしているわ、あなたは今回も色々考えて決めたのだろうしそれはきっといい影響を及ぼしてくれるだろうしね」

「まぁ、期待しててよ」

そう話しつつ昼休みを過ごすのだった。

 

昼休み花咲川side

 

私達ポピパの主催ライブに参加してもらうバンド事に

セットリストを預かっていた

「はい。パスパレのセットリスト」

「ありがとうございます!」

「わぁー!すごいしっかり書いてあるー!」

「事務所のスタッフさんと話し合って決めたんだけど、だんだんこう見せたいって話が膨らんできちゃって」

「本当なら光君にも見て決めて欲しかったんだけどね」

「皆の意見纏めるの得意だから、上手く収集つけてくれたりするのよ」

「いえでも分かりやすくてロックちゃん助かると思います」

「リハの予定などはまたメールで伝えてもらえる?場合によっては仕事で参加できない可能性もあるけど」

「わかりました。もし物販とか出すならその辺も打ち合わせしたいんですけど」

その頃イヴは有咲の家の卵焼きに御満悦だ

「美味しい!伝統を感じます!」

「伝統?まぁばあちゃんもばあちゃんのばあちゃんから教えてもらったって言ってたけど…」

「私も食べたい」

「お前はしょっちゅう食ってんだからいいだろ」

「毎日食べたい」

そうしていると美咲ちゃんと花音さんがやってきた

「お待たせー持ってきたよー」

「美咲ちゃん!花音先輩!」

「ハロハピのセットリストです」

「ありがとうございます!」

「これがセットリスト…」

「うちいつもこんな感じで…」

文字は一つもなく絵が書いてあるのみだったがそれを見て

香澄は指をさしながら一つ一つ答えていく

「うーん…えがおのオーケストラ、せかいのっびのびトレジャー、コロッケタイム、それからこれは新曲?」

「はいはい適当言う…」

「すごい正解!」

「合ってんの!?」

「ホントにすごいよ。これ解読できるの光さんだけだと思ってたし、戸山さんもハロハピ入らない?」

「えっ!?」

まさかの勧誘だったけど、皆が言った

「香澄はポピパ」

「そうそう絶対渡さないから」

「えへへへ…」

香澄は嬉しそうだ

「フラれたかー」

「あははっ!」

そんな感じで昼休みを過ごし迎えた放課後ギャラクシーで

Afterglowからもセトリを受け取った

「これウチのセトリ」

「ありがと」

「おぉー」

「詳細すごっ!完璧!」

「つぐのやつ商店街ライブも文化祭も企画書書いてたからな」

「超つぐってた」

「ちょっと見せて」

「おぉ、ウチもこんぐらい気合い入れて出さなきゃダメだよな」

「できたー!ポピパのセトリ!」

「見づらっ!」

「確かに見づらいね」

「え?光先輩!いつからそこに?」

「ついさっき、とりあえず、これじゃあわかんないよ」

「先輩の言う通りだ!分かんねぇよ!」

「えぇ!?」

「ポピパさんパスパレさんアフターグロウさんとハロハピさんと…あとはロゼリアさんだけですね」

「俺のは持ってきたからね」

「ロゼリア出ないの?」

「前に香澄ちゃんが一度誘ってくれたけど…返事もまだもらってなくて…」

「文化祭の後お礼言いに言った時に''次はないわよ''って、それから私達以上に光に感謝なさいって言ってた」

「遠回しに断られたのかも…」

「もう一度ちゃんと頼みに行こう!」

「俺も行くよ!この後バイトだし多分circleにいるだろうしさ、もしあれなら俺からも頼んであげる、俺もRoseliaと一緒にやりたいし」

「ありがとうございます。でも、私達から直接頼んでみます!だって私達の主催ライブですから!」

「わかった、とりあえず目的地は一緒だし、一緒に行こう!」

そうして俺達はcircleに向かった。

そしてcircleに着くとそこにいたRoseliaの皆にライブに出てくれるようもう一度お願いをする

「次は迷惑かけません」

「みんなでドキドキするようなライブにしたいんです」

「お願いします!」

「ロゼリアのみなさんと一緒にライブしたいです!」

「わかったわ」

「え?」

「何を驚いた顔をしているの?」

「これロゼリアのセットリストと図です」

「出て…くれるんですか?」

「えぇ。文化祭の前にオファーをもらったと

湊さんから聞いていましたから。私たちはそのつもりで準備していました」

「友希那ってば超真剣にセトリ考えてたんだよ。気合い入りまくり」

「そういえば電話でのアレってそういうことだったんだ」

「当然よ。Roseliaが出るということは最高のライブでなければいけないもの、光に繋ぐ以上尚更ね」

「覚悟はできたようね」

「はいっ!」

「ふっふっふ…大魔姫あこもあの日より更なる力を身に着けておるぞ。果たして我が魔力に…ん〜と光兄!」

「我が魔力にせいぜい恐れ戦かずにいるがいいかな」

「それだ!」

「あこ、光も来なさい」

「はーい!頑張ろうねみんなー!」

「じゃあまたね!」

俺はRoseliaの練習に付き添うため友希那達について行った

 

ポピパside

「タイムテーブル急いで作らなきゃ!」

「バンド順決めて、リハ時間考えて衣装は?」

「これから頑張る!」

「ヤバーい!忙しい!」

「練習ももっとしよ!」

「ばあちゃんに夜食頼んどくわ」

「あ、うどんがいい!」

その後ライブの打ち合わせのためにギャラクシーを訪れていた

「2回出演ですか?」

「そう!最初にドーンって出て最後にReturns!」

「わぁ!」

「お前Returnsって言いたいだけだろ」

「あとはステージからパッ!」

「私もやりたい!」

「おいでおいでー!」

「りみりんはどう?」

「うん!」

「毒されんな!」

「2回出るってあんまり聞かないけど本当にいいのか?」

「一度のライブでポピパさんが2回も見られるなんてありがたいです…ありがたい…」

「あ、いいんだ」

「有咲ー!沙綾ー!2人もおいでよー!」

「そう言わずに!」

「ちょっとおい!」

「ほらほら行くよー!」

そう言って沙綾は有咲を引っ張って行きステージに上がる

「ジャーンってバーンってReturns!」

「ロック?」

「あ、すいません」

「どうかした?」

「いえ…えっと…なんかいつものポピパさんだなって。

見てたらなんかホッとしちゃってやっぱりバンドっていいですね」

「ロックもポピパ入る?」

「3人ギター」

「おぉー」

「そ、そんなとんでもないです!とんでもないです!

ポピパさんはやっぱり5人でポピパさんで私なんかが入っちゃったらポピパさんじゃなくて…!」

「えーポピパはポピパだよ」

「ダメですダメですー!」

 

その頃外では

「ふーん、ここがGALAXY?」

「はい!地下のお店ですね」

話しているとPoppin’Partyの皆が出てきた

「じゃあ私と沙綾で商店街の方」

「うん。気を付けて配れよ」

「やってるわねPoppin’Party」

「チュチュ、パレオなんで…」

「陣中見舞いに来ましたー!」

「陣中見舞い…」

「はい!皆さんで食べてくださーい!」

「おっ!」

「何企んでるんだ?お前」

「Nothing!私は心の広いプロデューサーよ。

あなたたちの主催ライブが最高のものになるよう期待しているわ」

「最高のライブでこそタエ・ハナゾノが有終の美を奏でられるというもの。その上で私のものになってもらうから」

「あぁ!有終の美は飾るものですがチュチュ様は音楽とかけて奏でると…」

「Noパレオやめて」

「なんだコイツら…」

「とにかくあなたたちのライブは応援しています。困ったことがあれば力になりますので」

「Good Luck」

「あっ…待って!」

「ん?What?」

「RASで過ごした時間はすごく刺激的でした。

みんなで高め合って何度も痺れた。会えてよかった。

一緒にライブできて嬉しかった」

「でもごめんなさい。私はRAISE A SUILENのギタリストにはなれない。私はPoppin’Partyのリードギターだから」

おたえはポピパの仲間といる事を選びRASへの誘いは断った

「はっ…」

「ありがとうございました」

「そう。行って…」

「え?」

「どこかへ出かける気だったんでしょ。早く私の前から姿を消して」

そしてポピパの皆がいなくなったのを確認し叫ぶように言った

「Why!?どうして!?私のバンドよりも子ども同士のお遊びみたいなバンドがいいって言うの!?信じられない!友希那も花園もバカじゃないの!」

そうしてチュチュがカラーコーンを蹴ろうとするのをパレオが止める

「チュチュ様いけません!蹴るならパレオを!パレオをー!」

「私を誰だと思ってるのよ!」

 

ポピパside

「辛いこと言わせちゃった…」

「ううん。言わなきゃいけないことだから」

「おたえ…」

「まぁ、本音を伝えることは時に誰かを傷つけるかもしれないけど、それでも言わなきゃ伝わらないこともあるよ」

「光先輩!来てたんですか?」

「入れ違いにならなくて良かったよ、Roseliaの練習終わったから皆に合流しようかなって思っててギャラクシーにいなかったら連絡しようかなって思ってたとこ」

「じゃあ色々相談に乗ってください!」

「もちろん」

「それとおたえ、ありがとう」

「チュチュたちにもライブ楽しんでもらいたい」

「うん。頑張ろう」

 

 

その頃RASside

「まだライブも終わってねぇのに気が早いよな」

「はなちゃんは戻ってこないよ」

「チュチュのやつイチゴケーキ好きだったよな。作ってやるか。お前は?」

「ホットミルク」

「温めるだけじゃねぇか」

「本当に良かったのか?」

「え?」

「あたしらはさ確かに光のやつのおかげで気持ちに区切りっていうかそういうのはつけられたけどさ…お前自身無理してるとこあんじゃねぇかなって」

「また会えたからそれでいいし、泣きたい時はまた光君になにか歌ってもらうよ」

そう言ってレイは笑ってた

 

ポピパside

あの後皆で香澄の家に集まりライブの準備の最終確認をする事になり俺もお邪魔している

 

「こんばんは」

「ごめんね急に押しかけちゃって」

「ライブの準備合宿するんですよね?」

「今夜は徹夜!」

「俺はキリのいい所で帰るけどね」

「先輩も泊まっていけば良いのに」

「さすがにそうもいかないかな、1男子としては女の子達に囲まれて悪い気はしないけど、変に皆を不安にさせたくないしね、それにロックがいれば大丈夫でしょ」

「六花」

「お、お邪魔します」

「あれ?今日バイトじゃなかったっけ?」

「今日もバイトでポピパさんと先輩も含めて打ち合わせしててそのままなんか流れで…」

「連れてきちゃった」

「俺も巻き添えって感じでね」

「ふーん光先輩は普段交流ないからともかく、私が誘っても全然うちには来てくれなかったのに」

「だって!プライベートで先輩の家に行くなんてファンとしては失格かなとか…」

「六花のおたんちん」

「えぇー!」

「おたんちんってなに?」

「知らね」

「仲良しだね」

「先輩は意味分かります?」

「確かまぬけとかおバカとかそういう意味だった気がするよ」

そんな話をしながら俺たちはさっそく会議を開く

そして気が付くとロックは眠っていた

「ロックちゃん寝ちゃった?」

「今日1日ずっと付き合ってくれたし疲れたよな」

「ポピパの皆の力になれて嬉しいのかもね」

「お疲れ様」

そうして会議を再開する

「続き続き。新曲どこに入れるのがいいかな?」

「新曲っていえばさお前なんか頑張ってたよな」

「え?」

「曲。あれどうなったの?」

「え?」

「なにそれ?」

「聴きたい聴きたい!」

「そういえばそうだったね、Returnsともう一曲カバーさせてってお願いしてたし」

「まだ途中で…」

「どこにあるの?」

「えー…」

「俺も聴きたいな香澄、お願いできる?」

「わかりました」

そうして香澄は歌い出す

「ラララー♪ゴゴゴーときめこうみんなでー♪

願い事を拾い集めてー♪夢の歌をつくーろうー♪」

「一番大事なこの気持ちー叫ぶわー♪今すぐにー

ありったけカバンに詰め込んでー♪

キラキラーの未来へー♪」

「どう?」

歌い終えて感想を求める

「可愛いー」

「光るものがある」

「うん。私好きだな」

「歌詞はちょっといじんなきゃだとは思うけど…なんで言わなかったんだよ?」

「だって他にいい曲できちゃったし…」

「この曲も完成が楽しみだよ、是非ともカバーしてみたいね」

「この曲もすごくポピパらしいよ!主催ライブでみんなでやりたい」

「じゃあやろっか!」

「うんやろう。やらなきゃ!」

「香澄辞書出して」

「え?」

「香澄語翻訳しなきゃだろ」

「ホントに大好き止まらないよー!」

「やめろー!」

「有咲ー!」

「アッハハ、やっぱり仲良しだね皆」

「ロックちゃん起きちゃう」

「シーッ!」

その後ももう少し会議を続けるようで俺はその様子を見て香澄の家を後にして帰宅した

 

そして次の日ポピパside

ライブのチラシを配っていた

「ライブ良かったら遊びに来て」

「香澄!私にも配らせて!」

「ありがとう!」

りみちゃんも燐子から教わり衣装をつくっていた

「あの…ありがとうございます。何から何まで教えていただいて」

「いえ。バンドの衣装作るのは楽しいですから」

「かわいい」

それからも準備は着々と進んで迎えたリハの日

俺の出番は最後にしてもらい皆の様子を見ていた

そして現在はロゼリアがリハの最中である

「お姉ちゃんカッコイイー!」

「日菜ちゃんリハだから邪魔しちゃダメだよ」

「あこー!カッコイイぞー!」

「…」

「2人共落ち着いて、声かけるだけじゃなく見届ける事も大事だよ」

「はーい」

そしてポピパの出番となりポピパのリハが始まる

そしてReturnsが歌われるボーカルは変わらず香澄だ

「やっぱりいいな、この曲」

「わぁー」

「おぉー」

皆も感動していた

そして演奏が終わり俺の出番となる

「リハの最後は光先輩!お願いします。」

「了解」

俺は前もって頼んでいた通りキーボードとギターをセッティングしてもらう

「先輩今回はギターオンリーなんじゃ…」

「きっとなにかする気ね」

「演奏曲変えるんですかね」

話し声が聞こえる中で話し出す

「じゃあ改めて、光です。このリハの場を借りて皆にエールを送ろうと思います。聴いてくださいBrave」

俺はキーボードを演奏しながら歌っていく

 

『出会いと別れを繰り返して 地図にないこの道切り開いて

君の手に溢れたものは 描いたMy lifeは?

心の中に沸き出す物と 心の底にしまった物で

さあ勇気の旗を広げ そうI'mgonna make it,feeling you…

Ah夢のまた夢で届かない いつか描いたものを

この手に掴むまで 歩き続けていこうか

 

僕らならできるって思いながら闘って

新しい未来をイメージすればいい

あの虹を渡って まだ見ぬその先へ

自分を信じて始まったばかりさ

 

無理して我慢して生きてても 明日はやってくるけど笑えない

誰かと比べる必要なんてない キミはキミのままでいいんだよ

 

笑顔と涙を繰り返して 街のノイズにちょっと疲れて

時々自分がどこにいるか 見失ったりもするよ

その時は少し立ち止まって 大きく息を吸い込んでみて

たいした事じゃないよって 笑えるから take a lil step

 

Ah何かが始まる予感 左足を一歩前に

荷物は持たないで いけるところまでいこう

 

曲がりくねった道だって ゴールにつながってるって

そう信じながら スタートすればいい

過去の涙だって 笑い飛ばせるくらい

輝く未来のために進もう

 

転んだってまた立ち上がればいい 小さな勇気でこの道も変わるさ

いつか花を咲かせる日まで胸に抱いだ夢を信じて』

 

ポピパ視点

「僕らならできるって思いながら闘って新しい未来をイメージすればいいだって!」

「自分達を信じてって言われてるみたい」

「歌詞が心に響くとか刺さるって言葉はこの人のためにあるものなのかもな」

「きっとそうかもしれないね!」

「言えてる」

そうして皆で笑い合う

 

 

『ボクにだってできることがあるってキミが勇気をくれたから

もう恐れないよ もう迷わない

いつか今の自分に胸張って笑って手を振れるように

今ここから始めよう

 

僕らならできるって 思いながら闘って

新しい未来をイメージすればいい

あの虹を渡って まだ見ぬその先へ

自分を信じて 始まったばかりさ

無理して我慢して生きてても 明日はやってくるけど笑えない

誰かと比べる必要なんてない キミはキミのままでいいんだよ』

 

ラストまで演奏し終えた俺はギターを手に取り話し出す

「次の曲にいきます。次の曲も俺からのエールソングです

聴いてくださいフェアリーテール」

 

『憧れた空で咲(わら)う花は

いつだって照らすよ 変わり続ける明日へ

 

夢を撒いたんだ 不揃いな人生に

生まれるその芽が輝くようにと

転んでしまったんだ 跳ねる泥にまみれ

枯れそうな正義が絡みつくから

 

大嫌いだ 希望を断ち切る言葉が

自由を掲げて足掻いた 導くんだ

新たなステージへ

 

舞い出した 花びらが肌を撫で宿した

モノクロの景色をそっと彩り寄り添う言葉

掌の宇宙も蕾綻ぶから

まだ やめないで 飛びたって

 

影が咲いたんだ 空を見るこの手に

夢を繋ぐ炎に水を差したんだ

今ある幸か その先にある幸か

摘まれ戻らない現実を眺めていたんだ

 

押し寄せる 無謀だと笑う声が

愁いに溺れて もがいた 這い上がるんだ

闇を越えて

 

いつか 同じ痛みで傷つき泣く君が

折れないで闘えるような火を胸に灯すから

君が笑っていられるようにぼくも笑うよ

もう 消さないで その火を』

 

ガールズバンドリーダー視点

 

「現実と向き合っていきつつ夢を信じる事の大切さを歌ってるのかしらね」

「きっとそうだよ、光君からのメッセージなんだよきっと」

「本当に素敵ね光が選ぶ曲はどれもこれも素敵!」

「それには同意します。あたし達だって何度も励まされて来ましたから」

「世界がキラキラして見えます!」

それぞれの思いを言葉にしつつ曲を聴いていく

 

『憧れた空で咲(わら)う花は

時に眩しすぎて目を逸らしてしまうけれど

終わらない旅で出会ったその光は

夢に刻んだ フェアリーテール

 

舞い出した

花びらが肌を撫で宿した

鮮やかな景色をずっと見守り寄り添う言葉

掌の宇宙も蕾綻ぶから

さぁ未来へ飛び込もう

これ以上ないくらいの生きた証を咲かそう』

 

 

演奏を終えて俺は話し出す

「ライブに向けてのエールになったらと思いこの2曲を演奏しました。主催ライブに向けて頑張ってね!」

「何から何まで光らしいわね、ただ言葉にするだけじゃなく曲を通して伝えるんだもの」

「ただ頑張れって言うよりこういう感じの方が良いでしょ」

「私達にとってはちゃんとしたエールに聴こえました」

「すっごいキラキラしてました!」

「たしかにな、あたしらにはいいエールだったな」

「うん!響いた!震えた!」

「すっごく励まされました」

「聴いててワクワクして楽しかったです!」

「私達この主催ライブを全力でやり遂げようと思います。」

そして最後にロックが俺に対して修正点などは無いかと聞いてきた

「光先輩!修正点や要望はありますか?」

「特にないよ!当日もこの調子でよろしくね!皆も」

そうして皆で頷き合いリハを終えて当日に最高の演奏をする事を改めて誓ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 




シーズン2も残すところあと1話になりますね。
シーズン2の内容を少しづつ変えているのでもちろん違う部分なんかもあるとは思いますがそれを踏まえた上でシーズン2のラスト1話も楽しんで貰えたらいいなと思います。それではまた次回

次回「約束と絆の歌」


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第67話約束と絆の歌

Poppin’Partyの初主催LIVEで光は未来へとバトンを繋いでいく


LIVE当日俺はポピパの皆を手伝おうと思い早めにギャラクシーに来ていた

そしてロックはポピパの主催ライブを記録するためカメラを回していた

「えーっとこれで撮れとる?撮れとるのかな…

えっと今日はGALAXYでポピパさんの…」

ロックがナレーションしていると香澄達がやってきた

「カメラだー!」

「ひぃー!お2人とも近い近い!」

「それ結構いいやつじゃね?」

「もしかしてロックの?」

「オーナーから借りました。ポピパさんの初めての主催ライブなので記念に」

「ありがとー」

「オーナーって…」

「えっ?あちらに」

「あの人オーナーだったんだね」

「光先輩!早いですね!」

「少しでも皆やロックを手伝いたくてね、ロック、カメラ自分に向けてナレーション入れないと観る人が観たら、わかんなくなるよ」

「そうでした!」

「まぁ、とにかく色々と最終確認あるだろうし頑張ろう!」

「よーし''ぽぴぱパピポぱーてぃ''みんなでー!」

「がんばろー!」

そうして店内へと入り打ち合わせを開始する

 

「私達スタッフも全力でサポートしますので遠慮しないでくださいね」

「俺も出番までは裏方に回るよ」

「すいませんけどお願いします」

「後から高人も来るから後半はあいつに任せるけど手伝える範囲は手伝うからね」

「よろしくお願いします。」

そうして多少慌ただしくも主催ライブ当日の準備が始まった

「こっちが取り置き分ね」

「おう」

「どうしたの?」

「いやほんとに今日なんだなって思って…」

「やべぇ…なんか緊張してきた」

「今から緊張してたら体持たないよ」

「光先輩!ロックの方はいんですか?」

「今、一通り点検終わったとこ、なんか手伝おうかなって」

「助かります!」

「まだまだやることいっぱいあるよ」

「分かってるよ!」

「まぁ一つずつね」

「有咲ー!お釣りの確認お願い!」

「それうちのパンじゃん」

「おばさんがくれたんだー!」

「いつみても美味しそう!」

「先輩もどうぞ!」

「じゃあ遠慮なく」

「光さんこの後はある程度皆のサポートしてもらえますか?」

「もちろん!」

そうして俺は一度控え室の方に戻った

「よし」

「なにしてんの?」

「先輩!飲み物間に合うかなって」

「十分じゃないかな?」

「ジュース色々買ってきたよ!」

「ジュースよし!」

「問題なさそうだね」

そうしていると香澄のスマホに蘭から着信がはいった

「なんか必要なのあったら買っていくけど」

《ありがとう!ちょっと待って》

「りみりんお菓子足りそう!?」

「たくさんあるよ!」

「多分食べきれないと思うな」

《大丈夫だから気を付けて来てね!》

そうして通話を終了したのを確認に俺は出迎えのために入口に立っているとハロハピが到着した

「カメラだわ」

「どこの子猫ちゃんのかな?」

「あら?記念映像?まぁ素敵ね!」

「それじゃあいくわよ!パッピーラッキー!」

「あら?ミッシェルは?」

「あー、もうすぐ来るから」

「そうそう!後で皆、個別に撮ってあげるから準備して」

「光はもう来てたのね!」

そうしているとAfterglowも合流する

「おぉはぐみ!それに先輩も!」

「巴!急に止まると危な…」

「ちょっとー!」

言うのが遅かったようで皆ぶつかっておしくらまんじゅう状態だ

「ほらほら、後つかえてるから」

Afterglowを見送るとパスパレがやってきた

「おはようございまーす」

「おはよう彩、日菜2人ともカメラに向かって一言お願い!」

「じゃあ彩ちゃん今日の抱負は?」

「噛まにゃい!」

「あははっ」

「変わらないな〜」

「今日は皆さんと武者震いです!」

「なんか違う気がするけど…まぁいいや」

それからRoseliaも合流して来たのでカメラを向けるとあこちゃんがポーズを取りつつ話し出す

「我は大魔姫あこ、漆黒の契約を交わしし者たちの召喚に応じて今ここに降臨!皆の者えーっと」

「今宵の…」

「今宵の宴に酔いしれるがよい!」

「決まったね!うん!」

そうして俺は一度カメラを控え室の皆に預けて皆に混ざり休憩する

「コロッケタイムだよー!」

「かたじけないです!」

「サンキュー!」

「いただきます」

「蘭が幸せそうにコロッケ食べてまーす」

「モカー!」

「Afterglowは仲良いね」

「仲良しー!」

カメラは友希那達を映す

「うちも仲良しでーす!今日のクッキーはどうですか?」

「バターを変えたのかしら?いい香りね」

「あこも食べるー!」

「そこにも置いたよー!」

「やったー!」

「とっても美味しいわ」

「光、光も映って!ほらほら日菜も!イツメンで並ぼう!」

「うん!」

「了解!」

「羽丘3年生のイツメンでーす!今日はよろしくねー!」

「最高の演奏を約束するよ!」

「期待してるわよ!」

 

そして彩達もLIVEパフォーマンスの最終確認等を行いつつ

過ごしている中で入口に戻ってみると有咲は座ったまま微動だにしていない

「ジーッ」

りみちゃんが有咲をつつくとおかしな声を上げて飛び上がる

「やべぇ…目開けたまま寝てた」

「徹夜だったもんね。燐子先輩と衣装の準備始めよって」

「あぁ、今行く」

ポピパのメンバーはあっちへ行ったりこっちへ行ったり大忙しだ

おたえも大きなダンボールを抱えていた

「おたえ持ちすぎ!」

「沙綾…」

「2人とも大丈夫?手伝うよ!」

俺は2人から荷物を預かり運ぶ

「すいません先輩」

「いいよいいよ!力仕事は頼って」

そして俺の前を歩いている2人はこの後始まるLIVEの話をしていた

「いよいよだね」

「うん、ときんときん」

 

そして香澄はと言うと

「飲み物とか大丈夫!?必要なものあったら言ってね!」

「かーくん、はぐみも何か手伝うよ」

「あ、私も!」

「ありがとう!みんなゲストだからどーんと座ってて!光先輩がある程度フォローに回ってくれてるから少しだけなんだけど余裕あるんだ」

「かーくんもひかるん達も頑張ってるね」

「うちらはライブ頑張ろう。いつも通り」

「そうね、光にもみっともない演奏は聴かせられないもの」

 

 

一方外ではレイが入口付近で立ち止まっていた

「入らねぇのか?」

「マスキ…どうしてここに?」

「ここうちだし。あれ親父」

「え!?」

「レイ来てたんだ!マスキも!」

「おう!光!どうしたんだ」

「最終確認してるとこ、もうすぐ始まるから入って待ってなよ!」

そういうと光君は忙しいそうに戻って行った

 

 

光side

 

いよいよ本番まで残すところ数分となった時間帯に皆は控え室付近に集まっていた。

「その衣装やっぱりかわいい!手作りなんだよね!」

「燐子先輩が一緒に作ってくれて」

「頑張りました」

「円陣やるからみんな入ってー!」

「円陣?」

「わぁー!」

「えーこの人数入らなくない?」

「そこをなんとか」

「缶詰めみたく詰めるしかないね」

「んんっ…!」

「おぉ!」

「ミッシェルギリギリだなー」

そうして皆が集結したのを確認して香澄が話し出す。

「主催ライブをやるって決めてから色々…えーっと…」

「かーくんリラックスリラックス!」

「落ち着いてどうぞ」

「一つ一つゆっくりね」

「今日も皆でドキドキ最高に楽しみたいです!」

「ロックも入って!」

「えっ?」

「ロック!」

「は、はい!」

「それじゃあ笑顔で!」

「いつも通り」

「最高のステージに」

「全身全霊で」

「最高の演奏を!」

「いくよー!」

『ポピパ!ピポパ!ポピパパピポパ!』

全員で円陣を組んで気持ちを1つにしてLIVEが始まった

「''ぽぴぱパピポぱーてぃ''にようこそ!」

「Poppin’Partyです!」

「今日は初主催ライブに来てくれてありがとうございます!楽しんで行ってください!」

「それじゃあ最初から全力でいきます!聴いてくださいReturns」

「えっ!?」

「マジか!」

俺は即控え室をでて音響ルームにいるロックと合流し

サポートする

「ロック!多分このまま皆セトリガン無視で来るだろうから頑張って!」

「はい!」

そうしていると高人が合流した

「待たせたな!代わるぜ!」

「任せた!」

そうして高人に音響ルームを任せ控え室に戻るとReturnsに

皆聴き入っている

「いいね…」

「いい曲ね」

「確かセトリではHappyHappyParty!じゃ…」

「1曲目からクライマックスだね」

「かーくん緊張して忘れちゃったんだ」

「ふぇぇ!?」

「お客さんたち盛り上がってるって言いますか…」

「感動してるわね」

「ポピってるー」

「お客さんのテンションもたないんじゃ」

「本当だよ!でも、この熱を最後まで維持しないと!」

「そうね、この熱を一瞬でも冷ますわけにはいかないわ」

「あぁ!最高の状態でポピパに繋げるのが私たちの腕の見せどころだろ!」

「排水の陣です!」

「あははっ!」

「私たちに任せてちょうだい!」

「頼んだよこころ!皆も」

「任されたわ!行くわよ〜皆ー!」

香澄達がReturnsの演奏を終えて代わりにハロハピが出ていく

 

 

「ハローハッピーワールド!」

「みんなー!ハロー!」

「ハロー!」

「もっと大きな声でー!」

「ハッピー?」

「ラッキー!」

「スマイルー!」

「イェーイ!」

「いい笑顔ね。今日はPoppin’Partyの特別な日だからとびっきりの笑顔で!えがお・シング・あ・ソング!」

「え、それって3曲目じゃ…」

そして曲が始まり曲にのってお客さん達も盛り上がっていく

「いきなり新曲!?セトリと違う…!」

「落ち着け!大丈夫だ!任された以上やり遂げようや!」

そしてハロハピのパフォーマンスは続く

こころが宙を舞い曲を歌っていきステージに戻っても飛んだり跳ねたりしている

そしてハロハピの全演奏が終了し戻って来たのと同時にパスパレがステージに立った

「Pastel*Paletteです!今日はポピパの初主催ライブに呼んでもらえて嬉しいです!」

「先ほどのハロー、ハッピーワールド!素敵でしたね!」

「私達も負けないように…」

「ふふっ」

「最近リリースした新曲でいきます!」

「ひぃー!」

「光の言った通りだなちくしょう!」

「聴いてください''きゅ〜まい*flower''」

ハロハピに続きパスパレも新曲を1番最初に持ってきた

「皆やるな〜」

俺は控え室で1人疼いていた。

パスパレの皆はアイドルらしさを全開に押し出した曲を演奏しそしてセトリの順番を繰り上げて演奏しAfterglowに引き継いだ。

「Afterglowです!Poppin’Partyファースト主催ライブ」

「おめでとうー!」

「私たちも気合い入れてやってくんで!1人メンバー追加しようと思います!光さん!」

「呼ぶと思ったよ!じゃあ、やろうか!曲は?」

「新曲ON YOUR MARK!」

「任された!」

俺はAfterglowの皆を引っ張るように演奏していく

Afterglowの曲はどれもカッコ良く聴こえそしてAfterglowらしさに溢れる曲であるため俺もそれに合わせて夕焼け色のライトの中で演奏していく

そして新曲を含めた4曲を演奏し終え蘭が話し出す

「いいね!Galaxy!次はRoselia!光さんは引き続きRoseliaと一緒に演奏すると思うんでよろしくお願いします!」

「そうだね、ありがとう蘭、一緒に演奏出来て楽しかったよ!」

「またやろう光さん!」

「何時でも!」

そして出番はRoseliaとなる

「Roseliaです!私達の主催ライブ同様彼と一緒に演奏します!Poppin’Partyの初主催ライブを祝してこの曲を

FIREBIRD!光も曲毎に楽器をかえてちょうだい」

「任された!」

そしてFIREBIRDはキーボードをLOUDERはドラムで

熱色スターマインはベースでラストのBRAVEJEWELはギターで演奏した。

「ありがとう、私達はここまで、ラストを飾るのは彼よ!

光、頼んだわよ!」

「うん!」

そして俺は皆からバトンを受け取りステージに立ち話し出す

「こんばんは、光です。今日はPoppin’Partyの初主催ライブに呼んで貰えて嬉しいです。最後の最後までPoppin’Partyや他の皆が盛り上げてくれた熱を最高の形でラストに待ってるPoppin’Partyに繋ごうと思います。それじゃあ…」

「ちょっと待って!」

「私達も参加するよ!」

「是非とも」

「お願いします!」

そうしてStarlightのメンバーが集まった

「皆!」

「Starlightとして一緒にやろう!」

「OK!じゃあしっかりついてきてね!じゃあ、改めて

1曲目はポラリス!」

 

 

『あの日「守る」と決めた約束はこの胸に』

 

高人・ロック視点

「あの野郎!皆に習ってセトリガン無視かよ!」

「なんとか頑張ります〜!」

「目を回している暇は無いからな!」

俺達は光の演奏を最高のものにするために照明を当てていく

 

 

『全てを失うことで今救える命があるのなら

喜んで全部をあげようこの気持ちが初めての生きがいだ

 

傷跡はかくさないで絶望も武器にして生きると決めたんだよ

 

精一杯この涙かきわけて君に全てをあげるから

お願いどうか消えないでくれ

あの日「守る」と決めた約束はこの胸に』

 

ポピパ視点

「先輩、また隠してたんだね」

「こんないい曲歌ってくれるなんてね」

「まさに少し前の私たちの心境って感じかな」

「かもな、あの人常に自分そっちのけで周りに向けて歌うから」

「それが光さんだもん」

そんな話をしつつ私達は曲を聴いていく

 

 

『誰かの懸けた命に

今 生かされながら戦っている

負けることはもう怖くない勝ちを諦めるのが嫌なんだ

 

もう絶対逃げたりはしないから

なりたい自分(ボク)で挑みたいだけ

しょうもない綺麗事だとしても

君が笑ってくれりゃいいんだ

 

''強さ''は何かの上に立つため在るんじゃない

大切なものを抱きしめるそのために

 

何もかもを失くしてもきっと君を忘れない

 

 

精一杯この涙かきわけて君に全てをあげるから

お願いどうか消えないでくれ

あの日「守る」と決めた約束はこの胸に

消えそうな希望(ヒカリ)だとしても行け』

 

1曲目を歌い終えて俺は話し出す

「1曲目のポラリスは自問自答しながらも守るって決めた約束のために前向きに頑張っていくそんな曲だと思います。

次の曲もそんな感じの曲なんで聴いてくださいダイバー」

「曲のまえにメンバー入れ替わるよ!」

そうしてStarlightからメンバーが代わりドラム巴ギターに蘭

ベースに千聖、キーボードは変わらず燐子で演奏する

「じゃあ、改めて聴いてくださいダイバー」

 

『いつだっていまだって僕らはちゃんと実を結んで

今だって飛び立っていく

 

今日も陽が昇ると一歩を踏み出す

昨日自分とは違うはずなのにな

どうして気付いてくれないんだろう?

募った不満が心の中で疼く

 

見たことないものばかりでも

聞いたことないものばかりでも

 

この蒼い目に写るのは

 

いつだっていまだって遠く向こう走る影

僕だって、ただ待っているわけじゃないから

いつだっていまだって

僕らはちゃんと実を結んで

今だって飛び立ってゆく』

 

合同メンバー視点

 

光さんと演奏する事の大変さは知ってたつもりだけどかなりヤバい!

あのメンバーよくついて行ったと思うくらいだ。

でも、先輩は止まらない!最高の演奏をするために

私達は頷き合い光さんに着いていく

 

『認められたいと地団駄踏んでたんだ

言葉にできない悔しさが底にある

強くなりたいと願えば願うほど

空回りしてしまう

 

強がって強がって、こわいもの知らずだって

また笑ってごまかして、本音は言えないまま

嫌になって苛立って、うまくできない自分がいて

ダメだって立ち止まってしまう

 

度胸もないくせに負けず嫌いで、また涙こぼして

この果てない不安と葛藤の渦巻きの中

いつの間にか日が暮れていった

 

雨だって風だって受けながら進んでゆく

僕だってやれるって飛び込んでゆけ

 

いつだっていまだって僕らはちゃんと実を結んで

今だって飛び立った姿が見えるかな

汚れたって破れたって欲しかったものだった

いまここにあるのさ』

 

2曲目を終えるとまたメンバーが入れ替わる

「よろしくお願いしますね」

そう言ってRoseliaのメンバーが並んだ

「3曲目はこのメンバーで演奏します!曲名はバトンロード!」

『未来をいまに追い抜いて足跡で描いた地上絵

その目に宿せ光と火

 

重ねた夢の影迷い顔映る窓

有象無象扉の群青

掴めば夢の影答えは風の中

きっとまだ見えないもの

 

渇いた足跡も辿れば幼き日

瞬きも忘れて

 

彼方をいまに追い抜いて

空色の日々は満身創痍

バトンロード不安と荒路

躓きもするけど

いまは涙の種だって咲かせれば偉大な伝承花

その芽に宿せ君の未来

 

誰かを妬むこと誰かを羨むこと

きっと避けては通れないけど

理想思想君だけの軌道に添うものだけは

手放さないでよ

砕けたあの夜も過去だと笑い飛ばす

そんな日が来るから

 

期待をいまに追い越して錆色の日でも一心不乱に

バトンロード雨天だろうと構いやしないのさ

どんな無様な種だって

咲かせれば偉大な伝承花

その根に宿せ君の誓い

 

荒野に引かれた線路

君は過ぎ去る人々の背眺む

足跡つけ続ける日々を嘆かないで

今を誇って

 

闇間を抜け出すための答えが欲しいなら

闇雲でもその心篝火を燃やして

 

彼方をいまに追い抜いて誰よりも掴んでいたいよ

バトンロード誰がなんと言おうと何度だって言え

 

未来を君と追い抜いて見たいのさこの目で新章を

バトンロード振り返ると君だけの地上絵

いまは涙の種だって咲かせれば偉大な伝承花

その目に宿せ光と火

宿せ君の未来宿せいつまでも』

 

3曲目まで歌い終え俺は話し出す

「ここまで3曲演奏してきました。ラストは俺がアコギを使って演奏します。聴いてくださいタッタ」

 

『完全無欠のヒーローそんな奴いなくたって

ひょっとしたらひょんなことで誰かを救えるかも

どうした?君は太陽曇り空隠れてたら

この世界はまるで真っ暗闇だ

 

太古の岩戸開きみたいめっちゃ弾け誘ってみよう

あれ?ちょっとこっち覗いたっしょ?

ノックするからよかったら出ておいでよさぁ

 

たった一度きりの人生買った負けただけじゃねぇぞ

死ぬほど転んで見つかる大切な宝物もある

待った!急がなくていいよちょっと寄り道もしようぜ

何度でも幕は開けるよスタートラインさァ位置についたら

よーいドン

 

土曜の夜だってのに一人でつまんなくしてんなら

楽しめることを一緒に見つけたいのさ

カッコつかない自分だってめっちゃ笑い飛ばしてしまおう

実はまだ本気出しちゃいねーぞ

こっから始まる俺たちを見ていてくれよさぁ

 

たった一度きりの人生泣いてばかりいちゃダメだ

あっちこっち覗いてみたって誰かと比べてみたって

いなくなるなんて言ってないで立ってまた歩き回る出そうぜ

誰もたどり着いたことないゴールテープをいつか切るために

よーいドンさぁよーいドン

 

一歩ずつ一歩ずつ君の歩幅でいいから

大丈夫大丈夫

その先へもっと先へまだ行けるwow wow wow

君となら僕らならきっと

 

たった一度きりの人生勝った負けただけじゃねぇぞ

死ぬほど転んで見つかる大切な宝物もある

待った!急がなくていいよちょっと寄り道もしようぜ

何度でも幕は開けるよスタートラインさぁ位置についたら

よーいドン

 

たった一度きりの人生泣いてばかりいちゃダメだ

あっちこっち覗いてみたって誰かと比べてみたって

いなくなるなんて言ってないで立ってまた歩き出そうぜ

誰も辿り着いたことないゴールテープをいつか切るために

よーいドンよーいドンさぁよーいドンよーいドン』

 

ラストの曲まで歌い終えてから再び話し出す

 

「改めてPoppin’Partyの初主催ライブおめでとう!

俺からの演奏は以上です!最後まで楽しんで行ってください!」

そして拍手とともに見送られて俺はステージ袖に下がると

ポピパの皆が出ていき話し出す

 

「次の曲で最後です!」

「ぇぇー!」

観客から残念そうな声があがる

 

「ありがとうございます!楽しい時間ってあっという間で

終わっちゃうのがもったいないけど、みなさんの顔がすごくキラキラでやれてよかったなって思います」

「主催ライブってやっぱり大変で…準備とか色々いっぱい

色んな人に助けてもらって…駆けつけてくれた皆もありがとう!」

「楽しんでくれたら嬉しいです!」

「それからおたえ!有咲!りみりん沙綾!

皆がポピパでよかった!」

「な、なんだよいきなり…!」

「言いたくなっちゃって」

「じゃあ曲にいきます!」

「この曲は香澄ちゃん作曲です」

「今の気持ちとか感じたこととか」

「夢も」

「私達の全てが入ってる。そんな曲です」

『せーの!DreamersGO!』

そして新曲DreamersGO!が演奏される

俺は香澄達にカバーさせて欲しいとお願いした曲であり

俺の中に響いた曲でもあった

「やっぱり良いなこの曲」

演奏する側も聴いている側もノリノリだった

そして曲が終わると同時に響くアンコールの声

そしてその声に答えるように香澄は

「アンコールありがとうございます!それじゃあもう1曲!

それと、光先輩!ラストは一緒にやりましょー!」

「それじゃあ、参加しようかな!」

「じゃあ今日最後の曲!キズナミュージック!」

そして俺達はアンコール曲としてキズナミュージックを一緒に演奏した。

そして最高潮の盛り上がりの中Poppin’Partyの初主催ライブは幕を閉じた。

 

そしてライブ終了後

 

「やったねー!」

「震えたー!」

「よかったー!」

「ロックちゃん泣かないで!」

「ポピパさーん!」

ロックは感動しているようだった

「Returns始まった時はどうなるかと思ったけどね」

「FIREBIRD始まった時もどうなるかと思いましたよ」

「皆がセトリガン無視して俺を引っ張りこんだ時とかね」

「全くだぜ!俺は疲れたよ!」

「まぁ、そういうなって!今度はまた2人でやろうぜ!」

「何時でも言ってくれ相棒!」

そうして拳を交わした時パレオと一緒にチュチュがやってきた

「パレオ!それにチュチュも」

「さ、チュチュ様」

「あんな演奏力でこの私を一瞬でも感動させるなんて…

あんた達絶対ぶっ潰してやるから覚悟しなさいよ!」

そう言って去っていった。

「なんだったの?」

「さぁ?捨て台詞ってヤツかな?」

「なんにせよ、物騒な事にならないと良いけどね」

「まぁ、最悪お前がなんとかしてやれよな」

「結局俺なんだね」

そうして主催ライブは成功を収め思い出の1ページが追加されたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




お久しぶりです!シーズン2の内容これにて終了です!
この作品が月1になりつつあるので最低2回は投稿できるように頑張ります。
次回は主人公の誕生日の話を書いて七夕祭りの話を書いたあと夏休み編にいきますのでお楽しみに。

次回「光のbirthdayと皆からのお祝い」


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第68話光のbirthdayと皆からのお祝い

ポピパの主催LIVEから数日後自身も忘れていた誕生日を皆からのお祝いを受けて最高の思い出が彩られる


ポピパの主催LIVEから数日後、光がいないタイミングで高人からcircleに来るようにと呼び出しを受けてcircleに来ていた

「それで高人、話って何かしら?」

「光の奴がいないからあえて言うけど、お前ら全員光の誕生日忘れてないか?忙しい時期だから忘れるのも無理はないんだけどよ、去年皆祝ってもらったんだろ?なら今年は遅れても祝ってやるのが道理じゃね?」

「確かにそうね、でも、どうするの?」

「お前らがそれぞれbirthdaysongでも歌ってやれよ、または自分達の思い出の曲とかよ、なんかあるだろ?」

「まぁ、確かに、あるわね」

「私達にもあります」

「もちろん私達も!」

皆からそれぞれに思い入れのある曲やbirthdaysongがあると

わかっていたからこそ提案だ

「じゃあ、それを演奏するってことでいいか?」

「とは言ってもね高人中々難しいわよ?大体何時にするのよ?」

「早い方が良いし今週末かな?」

「まぁ、何とかなるんじゃないですか?」

「アタシらAfterglowはずっと練習はしてたんすよ光先輩から贈られた曲練習はしてたんす」

「それは皆も同じじゃない?少なからず可能性としては

あったんじゃない?全員でなくとも、光さんの誕生日を祝いたいって」

「確かに、それはあったよね!私達は皆光先輩にお祝いはしてもらってるわけだし、お返しって意味では考えてはいたよね」

「まぁ、確かに」

「じゃあやるって方向で良いのか?」

「ちょっと待って!その前に曲は?」

「共有しておいた方がいいよね?それに光がどんな曲を贈ったのかも気になるしね」

「それはわかりますね!」

「じゃあとりあえず、ハロハピ、パスパレ、ポピパ、Afterglow、Roseliaの順番で曲教えてくれ」

「じゃあ、ハロハピからね!ハロハピはやっぱり花音に送ってくれた大丈夫って曲が印象的ね!世界中の皆が否定しても自分だけは味方だよって言う歌詞がとても印象的で自然と笑顔になれる曲だったわ!」

「あぁ、あれは光が大切にしてる曲のひとつでな、自分に自信がなかったり、後ろ向きな奴がいると必ずその曲を届けて勇気付けるんだよ」

「いい事を聞いたわ!尚更その曲を演奏するべきね!」

「もちもん異論はないともさ!」

「はぐみもいいよ!」

「私も良いよ!」

「決まりだね」

ハロハピは光に大丈夫を贈ることにしたらしい

そしてハロハピの曲は決まりパスパレの皆の番になった

「私達はそのままbirthdaysongを光に贈ろうと思うの」

「確か彩ちゃんの誕生日の時に歌ってくれた曲よね?

その後は私達のbirthdayでは必ず歌ってくれた」

「あたしの時は違った曲だったよ?」

「それはまた違った意味があったんだと思うっすよ!」

「私達はbirthdayを演奏したいですね」

「奥華子さんのbirthdayか?」

「アーティスト名までは…」

「歌詞覚えてるか?」

「えっとね…確か…」

彩が思い出すように歌詞を口ずさむ

「Happybirthdaytoyouあなたがここに生まれてきてくれてありがとう

そう世界に一つの''あなた''という奇跡なんだよ」

「始まりはこんな感じ」

「あぁ、間違いなく奥華子さんのbirthdayだ、それで良いのか?日菜はなんか違うのが良かったんじゃないの?」

「でも、あれアコギでやるし、後はなんか特別な親友にしか贈らない曲だって言ってたし、あれは演奏できないしなって」

「あぁ〜もしかしてキミ記念日か?」

「高くん知ってるの?」

「光が1番好きなbirthdaysongで本当に特別に思える仲間達にしか贈らないって言ってたからな〜あれはやめとけ」

「そんなに素敵な曲なの?」

「まぁね!聴きたいならひ〜くんがその曲を贈っても良いって思えるくらい特別にならないとね」

「難しいわね、光は音楽については私たちすら知らない曲をまだまだ隠していそうだもの」

「あぁ〜有り得るなあいつなら、あいつは普段からかなり沢山の曲を聴いてるからな、光に合わせるのもかなり大変なんだ」

「それでも着いて行ってるのはさすがだと思うけど、それは置いておくとして私達はさっきも言った曲で決定で良いわよ」

「まぁ、全員異議なしって言ってたしね」

「じゃあ決まりで!ポピパの皆はどうする?」

俺は続けて話題を振る

「私達ポピパの皆はFUNKY MONKEY BABYSのHappybirthdayかなって考えてます!私達の曲ハッピーハッピーパーティーでも良いんですけど、birthdaysongって言うならそれかなって」

「確かにそうだな、皆がその曲で祝ってもらった訳だし」

「そうだね、それでいいと思う」

「私は良いよ!」

「私もそれでいいかな」

「私も問題ないよ!」

「じゃあ、ポピパの皆も決まりってことでAfterglowは決まってるのか?」

俺はそのままAfterglowに話題を振る

「私達も曲乗りタイトルはHappybirthdayで歌ってる人は山猿ってアーティストのヤツにしようと思ってます。」

「正直一番の宝物と悩んだよな!」

「めっちゃ悩んだ〜」

「でも、私達の誰もアコギ弾けないからね、結局それに決まったんだよね」

「みんなの話聞いててやっぱりそれかなって」

「OKOK!Afterglowも問題ないな!じゃあ、最後!Roseliaは?」

「私達は君の為のキミノウタを演奏するつもりよ」

「あれってアコギでやる曲だろ?」

「それについては私が何とか出来るかと」

紗夜さんが手を挙げて発言する

「どういう事?」

「実は光君にアコギを教わっているんです。私と日菜にとっての思い出の曲はアコギでの演奏がメインでした、なので自分も弾けるようになったらと思っていまして日菜と一緒にアコギを教わっていますので、この曲を覚えたいとお願いすれば教えてくれるかと思います」

「なるほどな、じゃあ、まぁ誤魔化し混じりで上手く光に教わってくれ、スマンがアコギについては力になれそうにないからな」

「そうさせてもらいます。」

「後は多少アレンジが必要でしょうけど、そこは私がやるわ」

「そこはお願いします」

「じゃあ、これで決まりで良いのか?」

「いえ、最後に光と高人、あなたも達にも歌ってもらうわお願い出来る?」

「あぁ〜俺もか?まぁ、問題はないけど、期待はすんなとだけ言っとくぞ、光と一緒に歌うの曲はそんなにないからよ」

「そこは時間を作って合わせれば問題ないじゃない決行日は1週間後の今日で前日総練習でいいかしら?付け焼き刃にならなければそれでヨシとしましょう。タイミングがタイミングなだけに今回はそれぞれの及第点を目指すべきだと思うわ」

「それが良いですよね、今回はポピパの皆のLIVEの後に更にって感じですし、それぞれの都合なんかも考えると多少は仕方ないと思います」

「じゃあ、まぁ、とりあえず今日のところは解散だな」

「私達は少しだけ練習していくわ、私達の曲だけれどね」

「私達はbirthdaysongの方をやっていきます」

「じゃあ私達も!」

そうしてRoselia、Afterglowポピパの皆は練習していくようでほかのメンバーは少し細かく決める所を決めておくと解散して行った。

そして3バンドが練習に入ってから30分程して光がバイトに来た

「よ!光!今日はこれからだったな!」

「午前中はちょっと父さんの知り合いの所に顔を出してた」

「仕事か?」

「まぁ、スタジオミュージシャンとしての方ね、そっちでやりつつ現場を知っていきながら気を見てのデビュー予定らしいから」

「そうか、まぁ、俺も世話になる予定だからよろしくな」

「その話は追々ね、今日はどこか来てるバンドいる?」

「Roselia、Afterglow、ポピパが来てるぜ!1箇所ずつ顔出してこいよ」

「そうする」

光はそう言うと皆の所に顔を出しに行った

「あいつを追うのは大変だよマジで」

俺は1人そう呟きつつ受付に座り自分の楽器のメンテをするのだった。

 

光side

 

俺はポピパのみんなの所に顔を出した。

「やぁ、皆、ここ来るのは珍しいね」

「たまたま今日はcircleでやろうって」

「そっか、じゃあ、1曲分だけ付き合ってあげる!」

「じゃあ、光先輩が誕生日に歌ってくれたHappybirthdayをお願いします。」

「覚えたいって言ってたもんね、良いよ!」

そしてポピパのメンバーの練習に少し付き合った後

Afterglowの所に行き声を掛ける

「皆、練習見てあげるよ!」

「光さん!じゃあ、演奏混ざってください!」

「Roseliaの方にも行くから1曲だけね」

「じゃあ、私達もHappybirthdayで!」

「うん!了解」

そしてAfterglowの皆と一緒に1曲練習した後俺はRoseliaの皆の所に顔を出した

「来たよ!」

「なら演奏に混ざりなさい、その後は紗夜にアコギを教えてあげて」

「俺はいいけど、じゃあ高人呼ぶ?アイツに練習見させようか?」

「今日は他のバンドの子達もいる訳だし、光と高人で簡単に楽器講義なんてどうかな?」

「いいんじゃないかしら?」

「高人に聞いてみるよ」

俺は高人に確認を取るとあっさりOKが出たので他のバンドの皆も集めて簡単に講義を開く

「じゃあ、アコギは俺の方に、エレキとベースは高人の方に集まって、他は場合によるからその都度聞いてね」

「わかったわ」

そうして俺と高人に分かれて講義を開くとは言っても、やりたい曲を聞いてから手本を見せてその都度指導と言う形を取り

練習して行く

俺の方のアコギメンバーは紗夜、蘭、モカおたえと香澄とギター組が揃い

ベース組は高人の方に、他メンバーは一応見学という形を取った

「じゃあ、これやりたいってのあるかな?」

「それじゃあ、先輩のおすすめはなんですか?」

「俺?BUMPかな?それかスピッツあれならアコギエレキ問わずいけるし」

「じゃあスピッツで!なんかないですか?」

「チェリーとかロビンソンかな?」

「じゃあ、ロビンソンで!」

「OK!最初は俺が軽く弾くからその後は一緒にやっていこう」

「はい!」

 

その頃高人side

「えっとな、俺達ベースと一応ギター組な、ベースメインにやっていくけど、俺らはBUMPをメインにやっていくぞ!」

「わかりました!」

「是非お願いします」

「じゃあ、まずは皆がどのくらい出来るのかふつうになんでも良いから弾いて見せてくれ!」

そうして1人ずつ弾いてもらい少し考えた後、ベースを手に取り演奏の手本を見せてから1人ずつレクチャーして行く

 

 

それから俺はアコギとエレキのレクチャーをしつつ他の楽器も担当し友希那はとりあえずと言った感じでキーボード組と一緒にやっていた

それからしばらくして皆が一通り演奏出来るようになったところで俺と高人を中心に演奏を合わせたあと解散した。

 

それから数日は俺は高人と一緒にバンドの練習を見つつも

高人達がなにか企んでいることは想像出来ていたがあえて

知らないフリをしておいた。

 

そして週末、高人から今日の夜時間作れと簡易メッセージが届いたので俺はとりあえずギターを2本持って家を出て

circleへと向かう

 

そしてcircleに付くと高人に出迎えられてLIVE会場へと

案内された。

そして会場に入るとクラッカーの音が鳴り響いた

「「「「「誕生日おめでとう!!」」」」」

「遅くなったけど、お祝いしたくても皆で準備したんだ」

「なんか企んでるなとは思ってたけどそういう事」

「まぁあれだ!皆祝いたかったんだし気持ち受け取ってやれ」

「そうだね、皆ありがとう」

「でも、メインはこれからよ!皆からお祝いの気持ちを込めて演奏するわ」

「今回も私達ハローハッピーワールドが1番最初に演奏するわ!さっそく聴いてちょうだい!大丈夫!」

「まさか俺が誰かに味方だよって言って貰える日が来るなんてね」

「それだけ信頼されてるって事さ」

「確かに、俺は皆の信頼を勝ち得たんだね」

こころの歌声で紡がれる歌詞は俺の中に響いてくる

ラストの歌詞

これで最後大丈夫と戻った笑顔そのままの君でいてよずっと

この曲を俺が歌った時は自分をそして友を肯定したくて歌った、でも、こころは違ったただ目の前にいる俺へのメッセージとして歌ってくれた

「光、誕生日おめでとう。遅くなったけれど私達はあなたの味方でいることを約束するわ!」

「ありがとう。その言葉が何よりのプレゼントだよ」

こころ達は満足そうにステージ袖に下がって行った

そしてパスパレがステージに立った

「誕生日おめでとう私達から贈る曲はHappybirthday」

その曲は俺がパスパレの皆に贈った曲だった。

世界に一つあなたという奇跡

何億何千万といる中で一瞬よりも長く出会える偶然が重なった奇跡がここにあるから毎日が誕生日

皆がそう思って演奏してくれている

「まさか俺が祝ってもらう立場になるなんてな」

「お前は常に祝う立場だもんな」

「自分の事は後回しになるからね」

誕生日は祝ってもらうより祝う方が好きな俺でも

やはり祝ってもらう事は楽しいし嬉しいと感じるものだ

そしてパスパレの演奏が終わりパスパレの皆からも

お祝いのメッセージを貰った

「光君、誕生日おめでとう。去年は私達全員が祝って貰ったから今回は光君の誕生日をお祝い出来て良かった」

「ありがとう。俺も祝って貰えて嬉しいよ」

パスパレの皆は満足そうな表情でステージ袖に下がっていき

Afterglowがステージに立った

「光さん誕生日おめでとうございます。

私達からもHappybirthdayを贈らせてください!」

Afterglowの皆に歌ったbirthdaysongが俺に向けて歌われる

70億分の君に贈ろう生まれてくれて心からありがとうは神様に感謝、大切な君へ届くかな

歌詞1つ1つに強いメッセージが込められていると感じた。

「どの曲も改めて聞くとメッセージが強いな」

「birthdaysongはどれもそうだろうよ、それが今はお前一人に向けられてるんだからよ」

「確かにな、それはあるかも」

そして曲が終わると皆からもう一度メッセージをもらった

「光さん!改めてHappybirthday!」

「本当にありがとう。俺も心から嬉しいよ」

「光さんが喜んでくれて良かったです。」

そう言ってAfterglowがステージ袖に下がり

ポピパの皆がステージに立った

「先輩!誕生日おめでとうございます。私達も他の皆も

遅くなったけど先輩の誕生日をお祝い出来てすっごく嬉しいです。私達も全力でHappybirthdayを贈ります!」

そうしてポピパの皆からはFUNKY MONKEY BABYSのHappybirthdayを演奏してもらった。

ここまで4バンドからのお祝いを受けて俺は既に満たされた感じがしていたがRoseliaがまだ残っているし、俺からもなにか今日この日に曲を演奏したいと思っていた

「私達からは以上です!最後はRoseliaの皆が演奏してくれます。友希那先輩お願いします」

「任されたわ!」

友希那達Roseliaのメンバーがステージ立つと友希那は曲名を告げて歌い出す

「さぁ、聴いてちょうだい!君の為のキミノウタ」

そして紗夜がアコギを弾いてそれに合わせキーボードやベースを静かに重ねていき友希那の声が合わさり1つの音になる

そして少しの余韻を残しながら演奏を終える

「光、誕生日おめでとう。あなたの事だから今とても演奏したくてうずうずしてるのではない?」

「やっぱりわかるよね?」

「えぇ、だって私達全員の演奏を聴いたら光はきっと歌いたくなるだろうなとは思ったもの」

「じゃあ、ここからは俺の…いや俺と高人の番てことで!」

「お願いするわ」

俺達は手のひらをうち交しステージに上がった

「まずは皆にありがとうを言わせてください。

たくさんの演奏をありがとう。誕生日を祝ってくれてありがとう

俺と高人からは俺が1番気に入ってる曲ともう一曲演奏します。聴いて下さい小さな魔法」

俺はギターを弾いて歌っていく

 

『この街をつつむ風はどこか少し冷たくって

僕はいつも独りだったそれでいいと思ってたんだ

あの日キミと出会ってから世界は色を変えていった

季節はまた過ぎてくけど色あせることはないよ

遠いキミへと届けたくて

だから

伝えたいコトバ集め小さな魔法をかけて

さあキミのもとへと贈る

ぬくもりさめないように一緒に閉じ込めたら

想いはカタチになるんだ』

 

各リーダー視点

「これが光が1番好きな曲なのね」

「みたいですね」

「素敵だわ!」

「そうだね、歌詞1つとってもキラキラした素敵な曲」

「本当にそうだね」

光の1番好きな曲を聴けることが皆にとっても嬉しいと感じていた。

 

『繰り返していく毎日ふと気付けばきみのことが

少しずつふくらんでく僕のココロうめてくんだ

街の灯り消えた頃に僕のココロキミが灯る

眠りにつく少し前に僕はキミへ想いを綴る

遠いキミへと贈りたくて

だから

どんなに離れてても待っててくれるキミが

今 僕に必要なんだ

たくさんのコトバたちこのウタに詰め込んで

キミへと届けにいくよ

二人はこの空でいつもつながっている

そう思えば強くなれるやさしい気持ちになる』

 

さあ伝えよう俺の今の思いをこの曲に込めて

今の気持ちを最大限のせて歌っていく

 

『伝えたいコトバ集め小さな魔法をかけて

さあキミのもとへと贈る

世界中でキミだけに唄いたいウタがある

想いが伝わるように魔法をかけて』

 

1曲目を終えて話し出す

「1曲目は小さな魔法を演奏しました。

次の曲は俺と高人で歌います。高人良いよね?」

「もちろんいいぜ!曲は?」

「青春アミーゴ!」

「だと思った!じゃあ」

「「聴いて下さい青春アミーゴ!」」

俺達はギターとベース手に歌っていく

光『鳴り響いた携帯電話嫌な予感が胸をよぎる

冷静になれよミ・アミーゴ』

 

高人『情けないぜ助けてくれ例の奴等に追われてるんだ

もうダメかもしれないミ・アミーゴ』

 

光・高人『2人を裂くように電話が切れた

Si俺達はいつでも2人で1つだった

地元じゃ負け知らずそうだろ

SI俺達は昔からこの街に憧れて信じて生きてきた

なぜだろう思い出した景色は

旅立つ日の綺麗な空抱きしめて』

 

メンバー視点

「さっすが光とその相棒って感じするよね」

「そうね、この2人にしかできない演奏だと思うわ」

「この曲だからこそかも」

「それはあるかもね」

「だとしたら他のも聴いてみたいって思うよね」

全員が頷き賛成しつつも曲を聴くことは忘れない

 

 

光『辿り着いた暗い路地裏しゃがみ込んだあいつがいた

間に合わなかったごめんな』

 

高人『やられちまったあの日交わした例の約束

守れないけどお前が来てくれて嬉しいよ』

 

光・高人『震える手の平を強く握った

Si俺達はあの頃辿り着いたこの街

全てが手に入る気がした

Si故郷(ふるさと)を捨て去りでかい夢を追いかけ

笑って生きてきた

これからも変わることない未来を

2人で追いかけられると夢みてた

 

イツメン視点

「まさに光と高人って感じするね」

「だよね!ひ〜くんと高くんだよまさに」

「あの二人だからこの曲が活きるのかもしれないわね」

そう話しながら曲を聴いていく

 

 

光・高人『Si俺達はいつでも2人で1つだった

地元じゃ負け知らずそうだろ

Si俺達は昔からこの街に憧れて信じて生きてきた

なぜだろう思い出した景色は

旅立つ日の綺麗な空抱きしめて』

 

演奏を終えると皆が拍手を贈ってくれた

「皆本当にありがとう。俺の誕生日を祝ってくれて最高の思い出になったよ!」

「最後に皆でよ、写真撮ろうぜ!今日この日を忘れられないものにする為にさ!」

「たまにはいい事言うわね高人」

「たまにはな!」

まりなさんに頼んでcircleの備品のカメラを貸してもらい

全員集合で写真を撮った。

そうして思い出の1ページがまた刻まれた。

 

 

 

 

 

 

 




いつも読んでくれてありがとうございます。
読書の皆さんにはここまで読んでくれて本当に感謝しかないです。
そして誕生日イベントは主人公のものであっても書くのが大変です!納得のいく終わりを書くのもまた大変ですがこれからも投稿を気長に待って貰いつつ自分の他作品も楽しんで貰えたらなと思います。
次回は七夕祭りイベントを書いて行きますのでお楽しみに
次回「七夕祭りと願いの短冊」


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第69話七夕祭りと願いの短冊

七夕祭りが近付く夜そして七夕祭りの夜に願いの短冊が笹を埋め尽くす


その日は久しぶりに高人と一緒にバイトに向かっていた。

辺りには七夕祭りのポスターが貼られている

「もうすぐだな七夕祭り」

「あぁ、確かにな」

「今も短冊って書いてるのか?」

「全然だよ、高人は?」

「俺は欠かさず書いてたぜ、なんかさ流れ星とかそういうのよりは願いが叶いそうな気がするしな」

「高人らしいな」

2人でそんな話をしながらcircleに向かうと入口には笹が飾られていた

「circleでも七夕やるんだな」

「みたいだね」

店内に入るとまりなさんから短冊を渡された

「2人も書くこと!」

「俺達もですか?」

「一応circleでも七夕やるからね、それと光君と高人君には七夕祭りのLIVEの依頼が来てるよ」

「商店街ですか?」

「うん、もちろんcircleも協力するけどね、GALAXYと合同でLIVEの準備とか当日の設営とかね」

俺は高人にどうするか聞いてみる

「高人、どうする?」

「決まってる!」

「だよね」

「「出ます!そのLIVE」」

「じゃあ決まりね。明日は一応LIVEの打ち合わせがあるみたいだから参加してね」

「わかりました。」

「曲決めとかないとかな」

「七夕っぽい曲ってあったか?」

「テゴマスに七夕祭りあるじゃん!まふまふの夜空のクレヨンと後は君の知らない物語で良くない?」

「今回もりんどうやらないか?」

「やってもいいけど、後で皆の意見聞いた見よう」

「だな」

その後俺達はバイトに勤しんでいるとポピパとAfterglowの皆がやってきた

「こんにちは光先輩!高人先輩!」

「よう!いらっしゃい」

「いらっしゃい皆、今日は練習?」

「もあるんですけど、先輩達が七夕祭りのLIVE出るのかなって気になって」

「あぁ〜それならついさっき出るって返事したとこ」

「本当ですか!やったー!また先輩達とLIVEできる!」

「光さん達曲決めました?」

「候補は出したけど、明日の打ち合わせに出るからその時に皆の意見聞こうかなって」

「じゃあ明日までそれは楽しみにしておきます」

「あとそれからさ、練習俺と高人も付き合おうか?」

「光さんはともかく高人先輩大丈夫なんですか?前の時も教え方が擬音だらけでわかりずらい感じしましたけど」

「こいつの教え方独特だからね、とりあえずステージ借りてやろう、そうすれば俺と高人でフォローできる所は増えるから」

「じゃあ、それで」

それから俺達はLIVEに向けて練習し2時間程して解散した。

そして俺達はまた受付で二人駄弁っていた

「光、短冊の願いどうする?」

「さぁ?全然考えてないや」

「皆の願いが叶いますようにとか書いとけよ!」

「そういうのは子供の夢さ、俺達らしい夢や願いをかけないとさこういうのは」

「考えすぎじゃね?」

「そう言う高人はどうなんだよ!」

「決まってら!お前と一日でも長く音楽をやれますようにだぜ!相棒!」

「お前のそのどストレートな所好感が持てるよ」

そう言って拳をうち交わす

そうしているとまりなさんがやってきて軽く注意された

「ほらほら、男子2人でイチャついてないでフロアとスタジオの掃除してきてよ!終わったら楽器のメンテナンス!」

「じゃあ、俺掃除!光はメンテ!」

「あいよ!」

そうして別行動をとり俺は楽器のメンテを始める

とは言っても定期的にメンテナンスをしているためクリーナーを掛けたり弦の張り具合などをチェックするくらいだ

そうしていると掃除を終えたらしい高人が声を掛けてきた

「掃除はほとんど終わったぜ!光は…って聞くまでもないか

お前もほとんど終わった感じだな」

「まぁね」

「そういえばさ、今日Roseliaは?」

「今日は個人練習なはずだよ、パスパレはいつも事務所のスタジオ使ってるし、ハロハピは多分こころがなんかしてるんじゃない?」

「そうか、暇なのも考えものだな」

「そんな日もあるよ」

それからしばらくして俺達もバイトを終えて帰宅する

高人は明日も俺と行動すると言うので家に呼んだ

「光、部屋見ていい?」

「あぁ、良いよ」

「勝手にギターとかベース弾いても良いか?」

「赤紫のと赤いのは触るなよギター、ベースも五弦以外は好きにしてくれ」

「あいよ」

俺は居間でその辺に置いていた雑誌を手に取る

「そういえばパスパレの記事が載ってたっけ?」

そうして一通り雑誌を見ていると高人が部屋から俺を呼んだ

「光、ちょっと良いか?」

「何?」

「ここにあんの全部お前のだよな?」

「そうだけど?」

「もち全部弾けるんたよな?」

「弾けないなら最初から持ってないし、高人は俺がバンドの楽器全部できるの知ってるじゃんか」

「いや、増えてるからさ、俺の記憶だとギター3本ベース2本キーボード2つにドラム1つだったしゃん」

「あぁ〜あれから増えたからな〜」

「俺はお前にかなり差を感じるよ」

「なんで?高人俺と一緒に演奏しても遜色ないじゃん」

「だからだよ!余計にお前の背中が遠い」

「高人なら大丈夫だよ!今の俺にも着いてこれてる」

「お前無意識に手抜いてるのわかってるか?」

「は?俺が?」

「せいぜい7割が良いとこだルミナスになったら本気も本気なお前に食らいつくのがやっとだぜ、まぁ、だからこそ楽しんだけどな」

「お前ならそういうと思ってた。」

「まぁ、話はこのくらいにしてよ練習しようや」

「候補に上げてたヤツな」

「あぁ、そのつもりだ」

その後俺達は適当な時間練習し夕飯等を済ませ就寝した

 

そして次の日

俺達はGOフェスの時同様につぐみの家に集まり会議する

進行役のつぐみに今回の祭りの説明を受ける

商店街中央に大きな笹を飾りそこに皆の願いの短冊を飾るらしく最後はその笹の1番高いところに長老達の笹を飾るらしい

俺達のLIVEはその前にやるらしく皆意気込んでいた

「今回も光さん達の出番は最後になると思うんですけど大丈夫ですか?」

「俺達は大丈夫だよ、曲はこの場で決めていい?」

「今回も一足先に聞かせてください!」

「もちろん!今回は七夕祭り、夜空のクレヨン君の知らない物語をやろうと思ってるよ」

「光さんりんどうはやらないんですか?」

「あぁ〜高人も同じこと言ってたよ、でも、七夕とは関係なくない?」

「そうでも無いですよ!」

「まぁ、そういうならアンコールがかかったらね」

「絶対私達でアンコールします」

「聞きたいしね」

「だな」

「とりあえず、1曲ずつ再生するよ」

俺は1曲ずつ再生するそして少しの間皆で曲を聞く

そしてすべての曲を聴き終えると真っ先にあこちゃんが口を開く

「今回も光兄ぃが選んだ曲良かったよ!あこは一番最初の七夕祭りが良かったな〜」

「あたしは最後の君の知らない物語が良いけどな」

そんな感じで今回もそれぞれが曲を気に入ってくれたようだ

今回もGOフェスの時同様に参加メンバーはAfterglowとポピパと俺達の3組で順番はポピパが最初に歌いAfterglowが2番手最後が俺達となるようで俺達はラストに最高の演奏をする

事で今回もLIVEを成功させようと思うのだった。

その後会議を終えた俺達は解散し俺と高人は練習に時間を使い納得の行く形で当日に備えることができた。

 

そして迎えた当日

午前中は準備、午後から各場所や出し物の確認をしたりして過ごし夜を迎えた。

商店街中央に飾られた笹にはたくさんの願い事の短冊が吊るされていた

「光、あれから決まったか?」

「まぁ、一応、言葉は違えど、皆の夢が叶うように願う事にしたよ」

「そうか、それが良いだろうな、俺は前に話した通りだ」

「まぁ、それが高人の願いなら俺はそれを後押しするさ」

「お前と並べないと意味ないからな!」

「わかってるよ!」

そう言って拳をうち交わす

そしてLIVEの前に俺と高人はイツメンと合流した

「光、今夜も楽しみにしているわ」

「まぁ期待しててよ」

「今回もピッタリな曲を光が選んだからよ!」

「ひ〜くんが選んだなら間違いないよ」

「光はいつもピッタリの曲演奏するしね」

「まぁ、もう少ししたら始まるからそれまでゆっくり待っててよ、俺達は準備もあるから行くね」

「じゃあまた後でね」

俺達はイツメンと別れてLIVEステージに向かう

そして準備を整えて俺達は自分の出番を待つ

LIVEが始まると観客がこちらに集中する

ポピパの皆はSTARBEATやときめきエクスペリエンスに

SingGIRLSの3曲を演奏しステージを降りた

そしてAfterglowの演奏ではScarletSkyにY・O・L・O!!!!!

ツナグ、ソラモヨウの3曲を演奏した。

「Afterglowでした!次は光さん達が演奏します。

お願いします光さん」

「任されたよ、行こう高人」

「おう!」

俺達はステージに上がる

「改めまして、光と」

「高人です。」

「今回は七夕にちなんだ曲を演奏します。まずは1曲聴いて下さい、七夕祭り」

 

『東京の空には星がないんだってね

君からの手紙にはそう書いてあったけど

こっちは相変わらずさ何も変わりない

この時期になると祭りの準備さ

 

駅前の商店街の笹かざり君も知ってる景色さ

子供たちは はしゃいで走り回るあの頃と変わらないよ

 

七夕祭りが近づく夜は並んで歩いたこと思い出す

覚えているかなふたりで眺めた

満天の星空に会いにおいでよ

 

蛙の鳴くわだちを歩いて笹を取りに行ったね覚えている?

君はいつも青色の短冊選んだこと覚えている?

 

七夕祭りが近づく夜は並んで歩いたこと思い出す

覚えているかなふたりで眺めた

満天の星空に会いにおいでよ

 

がんばりすぎるのが君だけどさ

たまには立ち止まってみたら

昔短冊に書いた''願い''を一緒思い出そうよ

 

七夕祭りが近づく夜は

並んで歩いたこと思い出す

覚えているかなふたりで眺めた

満天の星空に会いにおいでよ

 

満天の星空に会いにおいでよ

満天の星空に会いにおいでよ』

 

1曲目を終えた俺達は話し出す

「1曲目は七夕祭りを演奏しました。

この曲は離れてしまった友人や恋人を今日七夕が近づく頃に思い出してたまには帰っておいでと伝える曲かなと個人的に思ってます。」

「確かに、そうだよな!この曲を聴いて大人の人達は懐かしい気持ちになってくれたら良いなと個人的に思います。

じゃあ、次に行きます。光、次は?」

「夜空のクレヨン」

俺達は再び演奏しつつ歌っていく

『世界中のクレヨンを振りまいた夜の上

君に聞こえぬように夜空へ呟いた

ねえ 御大層なストーリーや

誇れるような未来じゃなくたって

君との明日を 探してた星空』

 

俺達は演奏を通してイメージの翼を広げていく

君との明日を探してた星空を音に乗せて

 

 

『晴天の空も寝静まるような静寂と今日は 七夕の夜

火照る頬を気づかれぬように君の前を歩いている

 

夏風 月影 慣れない下駄の音夜空に響く

 

世界中のクレヨンを振りまいた夜の上

そんな恋に気づくのは 少し先だった

ねえ 御大層なストーリーや

誇れるような未来じゃなくたって

君との明日を 探してた星空』

 

 

イツメン視点

 

「さすがね、1曲目2曲目共にピッタリじゃない」

「そうだね、さすが光って感じ」

「高くんとも息ピッタリでイメージがどんどん伝わってきてとってもるんってするし!」

七夕の日にピッタリな曲だからこそのイメージの中で私たちは曲を聴いていく

 

 

『巡り合いはいつかの奇跡

待ち合わせはボクらの軌跡

どの未来もわかっていることは

どの未来もボクらの前にあるってこと

 

長髪 かき分け 振り向く仕草に胸は高鳴った

 

星河に寝そべって語らって

笑いそうな君の夢

時の箱舟の中彼方で佇んだ

恋い慕う今日日 後悔

幾度待つ宵 どんな感情も

君の隣で気づけたらよかったなあ

 

 

初めて感じた気持ちに行く宛てはないよ

どんな理由で どんな言葉で どんな顔して

君の手を取ればいいんだろう』

 

Afterglow視点

「やっぱり隠してた!光さんこんないい曲を当然のように!」

「ひかるん先輩相変わらずパな〜い」

「季節感とか時期とかそういうのであえて歌わなかってんでしょ」

「そうだよね、光さん季節にあってたり私達やほかの皆にピッタリな曲見つけてくるもんね」

「だな!やっぱりあの人最高だよ!」

私達は七夕の夜の星空を見上げながら曲を聴いていく

 

 

 

『世界中のクレヨンを振りまいた夜の上

君に聞こえぬように夜空に呟いた

ねえ御大層なストーリーや

誇れるような未来じゃなくたって

夢の続きを探していた

それは最後の君と見た星空

 

天体の星祭を 君と歩いた満天を 憧憬を

もう後悔はひとつだってしないように

星屑の降る夜に 君に伝えるために

会いに行くよ 約束しよう』

 

曲が終わると歓声が上がる

今回のLIVEも最高に盛り上がっていると感じた

 

「2曲目は七夕の日に好きな人に会いに行くよと約束をする曲になってます。

次がラストの曲になるんですけど、次の曲もそんな感じの曲になっているので聴いて下さい」

「タイトルは?」

「君の知らない物語」

 

『いつもどおりのある日の事 君は突然立ち上がり言った

 

「今夜星を見に行こう」』

 

 

 

俺は七夕と星空で浮かんだのがこの曲だった七夕だけじゃなくて誰かと星を見る事をそのまま歌にしたら多分こんなだろうと思いながら歌っていく

 

 

 

『「たまには良いこと言うんだね」

 

なんてみんなして言って笑った明かりもない道を

 

バカみたいにはしゃいで歩いた抱え込んだ孤独や不安に

 

押しつぶされないように真っ暗な世界から見上げた

 

夜空は星が降るようでいつからだろ

 

君の事を追いかける私がいたどうかお願い

 

驚かないで聞いてよ私のこの想いを

 

「あれがデネブ、アルタイル、ベガ」

 

君は指さす夏の大三角 覚えて空を見る

 

やっと見つけた織姫様だけどどこだろう彦星様

 

これじゃひとりぼっち 楽しげなひとつ隣の君

 

私は何も言えなくて本当はずっと君の事を

 

どこかでわかっていた見つかったて届きはしない

 

だめだよ泣かないでそう言い聞かせた

 

強がる私は臆病で興味が無いような振りをしてた だけど

 

胸を刺す痛みは増してくあぁそうか好きになるって

 

こういう事なんだね』

 

 

 

ポピパ視点

「ヤバい!すごくキラキラドキドキする!」

「誰かと見る星空って感じか」

「七夕の夜にもピッタリだよね」

「満天の星空の下でまた聴きたいな」

「私もそれには賛成!」

皆で星を見ながら聴きたいなと思わせる曲だった。

 

 『どうしたい?言ってごらん心の声がする君の隣がいい

 

真実は残酷だ言わなかった言えなかった二度と戻れない

 

あの夏の日きらめく星今でも思い出せるよ

 

笑った顔も怒った顔も大好きでしたおかしいよね

 

わかってたのに君の知らない私だけの秘密

 

夜を越えて遠い思い出の君が指を指す無邪気な声で』

 

ラストの演奏を終えると歓声と一緒にアンコールの声が響いてくる

「答えてやれよ相棒!」

「じゃあ、アンコールに答えてもう一曲!りんどう!」

俺達はりんどうを演奏し歌っていく

 

 

『流れる時の早さに体を委ね眺めてる変わりのない物語

引き返すことも出来ずに

こみ上げる熱い思いも胸にしまう凍りついた夜も

指を咥え繋ぎ合わせ過ぎるのを待っていた

 

底知れない深い谷でぼんやり光ってる

 

祈りを削り刻んで一つだけあともう少しだけ

 

弱いままで強くなれ

 

 

 

この思いと引き換えに目の前の扉をくぐって

 

生きて生きて生き抜いてやれ

 

汚れたのはどっち見上げた星空

 

 

 

花は咲く嘘のように風に揺られ雨に打たれて

 

どこにいても枯れないように願い歌う祈りの歌』

 

 

 

イツメン視点

 

「光ってばずるいよねラストにこの曲持ってくるってさ」

「そうね、私達が過ごしてきたかけがえのない時間が思い浮かぶもの」

「だよね〜あたしもさ同じ事言おうと思ってた」

そう話ながら曲を聴いていく

 

 

『底知れない深い谷でぼんやり光ってる

 

命を削り刻んで好きなだけ後もう少しだけ

 

弱いままで強くなれ染まらない終わらない

 

 

 

その思いと引き換えに目の前の扉をくぐって

 

生きて生きて生き抜いてやれ

 

汚れたのはどっち見上げた青空

 

 

 

空を飛ぶ鳥に乗って海を目指す魚になって

 

「ここにいる」と呼ぶ声がする約束はしてないけど

 

またいつの日か歌いなぞる命の歌』

 

 

 

ポピパ・Afterglow視点

 

 「やっぱりさ、私達が過ごしてきた時間が思い出されるね

 

「そんなに長い時間じゃないのにな」

 

「光さんと過ごした時間がそれだけ印象に残ってるんだよ」

 

「でも、その時間は私達にとっての宝物だよね!」

 

「うん、間違いなく!」

 

「そうだね、多分今回はその気持ちを忘れないでって言ってるのかもね」

「絶対そうだって!」

「かも〜」

「言えてる」

「きっとそうだよね!」

 

きっと、間違いなくそうだろうと私達は思った

 

 

 

『トンネル抜けて海を渡って

 

曲がりくねった細い道を真っ直ぐ

 

花が咲く頃手紙を書くよ心細い時は喜び数えて

 

 

 

流れる時の早さに体を委ね眺めてる

 

変わりのない物語りんどうの花のように』

 

演奏が終わると高人は静かに言った

 

「終わったな…」

「七夕祭りはね、でも、夏祭りもあるし、まだまだ演奏する機会はたくさんあるよ!」

「だよな!」

そうしてLIVEが終了し最後に長老さん達の願いの短冊が1番高いところに結ばれた。

俺達もその瞬間を目に焼き付けた。

「光は何をお願いしたの?」

「是非知りたいわね」

「あたしも聞きたい!」

「皆の進む道が途絶えませんように、途絶えてもまた踏み出せますようにってね」

「やっぱり皆の事を願うんだね」

「まぁね」

そうして俺達は解散した。

そして帰り道

俺は高人にだけ本当の願いを告げた

「高人、あの願いは俺の願いには変わりないけどさ

本当の願いは違うんだ」

「本当の願いは?」

「いつか、皆に俺の曲を届けられますように」

「いんじゃねーの、でも、その願いは今はしまっとけ」

「あぁ、そうするよ」

俺は青色の短冊に書いた願いをポケットにしまい込んだ。

 

 

 

 




七夕祭りの話になります。
時系列的には次の話から夏休み編を書こうと思ってます。
夏休み編は天体観測イベントを2つ書こうかなと考えてます。
他にも2年時の夏祭り編と同じようにイベントを書いていくつもりですのでお楽しみに
次回「天体観測と皆でキャンプ」


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第70話天体観測と皆でキャンプ

光は仲間達と一緒に星空の下での思い出を作る


キャンプしながら天体観測をしようと提案した日から準備を始めて迎えた当日

俺と高人は車の免許を取得して車を用意しこころにも頼み大型バスを用意してもらい移動手段を確保した。

そして皆で羽丘の前に集合した。

「皆、揃ってる?」

「いないやついるかー?」

「Roseliaは揃っているわ」

「AfterglowもOKです!」

「パスパレも全員いるよー!」

「ハロハピも欠員無しよ!」

「ポピパも揃ってます!」

「RASは私達二人だよ」

「モニカは全員います。」

「チュチュとパレオどうするって?」

「遅れて来るとよ、場所は伝えてあるから大丈夫だろ」

「ならいいけどね、とりあえず俺と高人の車に一バンドずつとバス2台に2バンドでレイとますきは好きなとこ選んで」

「俺と高人の車はくじ引きね」

高人は割り箸を皆の前に出す

「赤が光で青が俺な!代表で引きに来てな」

そうして全員が高人の手からくじを引いた

そして俺の車はパスパレ、高人の車はポピパとなり

レイとますきはポピパの皆と車で行くようだ

「じゃあ、荷物積んでね忘れ物無いように、楽器はこっちでバックはバスの方に積んでね」

そうして全員の準備が完了するのを待って出発した。

 

光side

俺の車にはパスパレの皆が乗っていて助手席には日菜が乗っている

「ひ〜くんいつの間に免許とったの?」

「GWから通って最近取ったんだよ」

「この車はひ〜くんの?」

「まさか、レンタカーだよ!大勢で移動する前提だから借りたの」

「普段の車は?」

「家に置いてる」

「忙しいのによく取れたわね」

「そうだよ!光君私達や他のバンドの子達と活動だってしてたのに」

「予定は調整してたからね」

「車でCD聞ける?」

「聞けるよ!ダッシュボード開けたらCDあるから好きなのかけたらいいよ」

日菜は数あるCDの中からドライブソングを選んでセットした

「やっぱりドライブだしこれでしょ!」

そうしてドライブソングを聴きつつ和気あいあいとしつつ

車は目的地へと進んでいく

 

高人side

「高人先輩は光先輩と同じタイミングで免許とったんですか?」

「そうだよ、光から誘われて卒業も同時」

「初心者だからこそなのかもですけど、運転上手いですよね」

「俺の運転は光よりは下手だぜ、あいつの運転は寝れるからな」

「帰りは光先輩のに乗れるかな〜」

「光の車は多分人気殺到だからまたくじ引きだろうさ」

「結局そうなんですよね」

「そういえば、話は変わるけど、光君と高人君はどのくらいの付き合いなの?」

「高校から半年は一緒だったけど、それ以降はこっち来てからだから約1年かな」

「それで光君に並んで演奏するんだから相当なんだよね」

「自分じゃわからんけど、光以外の奴らと演奏する時より

光と演奏する方が楽しんだ」

そうして光の話で盛り上がった

 

 

その頃バスの中では

「残念だったね、光の車乗れなくて」

「そうですね、どうせなら光先輩の運転する車で行きたかったです」

「帰りがあるよ!」

「まぁ、期待するしかないわね」

「私達は光先輩もですけど、皆さんとももっと話したいのでバスに乗って皆で移動するのは楽しいですよ」

バスの方でもそれなりに盛り上がってはいるようだった。

 

 

そして目的地へと到着すると俺達は荷物を下ろして今日泊まる

コテージへと荷物を運ぶ

 

「俺達は車停めて来るからその間に各自で荷物は運んでおいてね」

そう声をかけ全員から返答が返ってきたのを確認して

俺と高人とバスの運転手さんは車を停めに行った

運転手さんの方は1度帰るらしく明日の昼頃また迎えに来るそうだ

「わざわざありがとうございます」

「いえ、これが仕事ですので、こころ様も大層喜んでいますので問題はありません」

「そうですか、ではまた明日よろしくお願いします」

「かしこまりました。」

そうして運転手さんはバスを運転し帰って行った

俺達も車を停めてコテージに戻ろうとしたタイミングで

チュチュとパレオが合流した

「招待を受けて来てあげたわよ光」

「本日はよろしくお願いします光さん高人さん」

「あなたがタカト・ミヤハラね」

「そうだ、俺が光の相棒だ」

「今日はあなたの演奏も聴けるのかしら?」

「まぁ、期待しててくれ」

そうして俺達はコテージへと戻った

そしてコテージでは皆準備を終えたらしくそれぞれ集まって談笑していた。

俺は時間を確認し皆に声をかけた

「はーい注目!そろそろお昼だから各自準備!お昼はBBQで夜はカレーだからね!各班ごとって言いたいところだけど2バンドで1チームで作ってもらうから覚えておいて」

「チーム分けは?またくじ引き?」

「それがいいかな、俺達も入るから計4チームかな、3チームにしてもいいけど、どうする?」

「3チームでいいんじゃないか?あんまり量作っても後処理つかそれ系やるのお前になるぞ光」

「それなら多少調理方法変えれば問題はないけどね

とりあえずお昼の準備!」

そうして全員が分担してBBQの準備をしていく

そして数分後各自火を起こして食材を焼いていき

BBQを楽しんだ。

そして後片付けまで終えたあとしばらくは各自自由時間だ

俺達も2人でコテージで寛いでいた

「光、この後どうすんだ?」

「夕方まで自由時間で、19時くらいに夕飯、その後天体観測かな」

「そっか、じゃあ俺は軽く寝るぞ!」

「皆多少なりとも仮眠取るだろうし俺も軽く寝るかな」

そうして俺達は夕方近くまで仮眠をとり一足先に食材の準備等をしておいて皆を待った

しばらくして皆が集まりくじ引きで3チームに絞り

それぞれカレーを作る

俺と高人はRoseliaとポピパと一緒のチームで作業する

「アタシ達は食材を切ったり皿用意したりするよ

火を使うのは光、頼んでいいよね?」

「俺が作るの?」

「光のカレー食ったことあるならわかるけど、癖になる辛さだからな」

「そうなんだよね、今年も合宿で食べるだろうと思ってたけど、こんな早く機会があるなんてね」

「楽しみね」

「先輩が作るなら絶対美味しいじゃないですか!」

「癖になる辛さってのが気になりますね」

そう話ながら俺達は作業を進めカレーが完成する

「私たちの方もできたよ!」

「こっちも完成したよ」

「じゃあ、各自準備して食べよう!」

そうして夕飯のカレーを皆で食べる事になった。

皆が皆自分達以外が作ったカレーも食べている中で

1番目に見えて俺達の作ったカレーが好評だった

「言ってた通り癖になる〜」

「なかなか上手いな!」

「やるわね」

そうして全員が満腹になったのを確認し後片付けをして

いよいよメインとなる天体観測イベントだ

「じゃあ、まずは皆月から見ていこう、俺と高人で望遠鏡の調整はするからね、見やすいように調整はするけど、必要に応じて各自調整ね!」

そうして皆各自で月を見ていく

「ひ〜くん、ミカヅキは?」

「ん〜今回は星オンリーで」

「ええ〜聴きたかったのに〜」

「自分でも弾けるじゃん」

「でも、ひ〜くんに歌って欲しいな〜」

「今度ね」

「アポロでもやるか?」

「やらないよ!星オンリー!」

「そうかい」

そうしてしばらく月を見た後それぞれで星座を探し始める

「皆、夏の大三角は見つけられる?」

「大丈夫です」

「問題ないわ」

「私達も」

そしてそれぞれで夏の大三角を見つけたようで皆から見つけたと言う声が上がる

「じゃあ、さそり座を探してご覧、ここなら見つけられるはずだよ南の空の少し低い辺りを見てご覧」

さそり座は見えにくい為皆中々難儀している

そしてさすが天文部と言うべきか日菜とこころはさそり座を見つけたようで皆に教えて周り

さそり座を観測する

「皆、さそり座とオリオンの話は知ってる?」

「あたしは前に聞いたから覚えてるよ」

「わたしもよ」

日菜とこころを筆頭に知ってる人半分知らない人半分と言ったところだ

「じゃあ、知ってる人には確認の意味を込めて知らない人は新たな知識を広げる意味で話すね」

そうして俺は話して聞かせた

古き神と狩人オリオンとサソリの話を

腕のいい狩人オリオンのたった一言の慢心が招いた悲惨な出来事を

「そういう事なんだ…」

「神の傲慢さもさることながらオリオンの慢心が招いた結果とも言えるわね」

そう話しつつ空を見上げると流れ星が煌めいた

「流れ星!」

「願い事しないとね」

「じゃあ、そんな皆に向けて星に願いを」

「いつでもいいぜ光」

「じゃあ、聴いてください」

俺達は演奏し歌っていく

『君がいない日々の意味を今知って

すべて何もかも捨てて駆け出した

星の下で今も心は飲み込んで誰かのために笑ってるの?

 

君の生まれた町向かい風の歩道橋の上

背中押す懐かしい歌

 

行かなくちゃ

この目に見えない感情がこんなにこの胸を

熱くする満たしてゆく壊れるくらいに

雨の日も風の日も忘れなかった涙で濡れた笑顔

失くせない何よりも大事なモノ

 

いつか君と夜空のふたつ星に名前付けて交わした指切り

キミはじっと流れる星を探した

ずっとぼくの願いを祈ってた

 

幸せにならなきゃいけない人のために

星は空に輝く

 

逢いたくて

この広い暗い空の下今もしもひとりなら

なにひとつキミを包むモノも無いとしたら

逢いにゆこう

もう二度と眼をそらさない悦びも痛みも

どんな顔も腕のなかで観ていたい

 

わかったんだ幸せってさ

ふたつでひとつ ひとつずつじゃない

すべてを分け合える2人だけに許された願い』

 

各メンバー視点

浮かぶのは星空、でも、見ているのは1人で大切な誰かと観たいと歌っているような曲だった。

 

『行かなくちゃ

桜の花びらが夜に 散ってしまう前に

誰よりも優しすぎる心閉ざす前に

 

逢いたくて 逢いたくて いま 逢いたくて

今もしもひとりなら

なにひとつキミを照らすモノも無いとしたら

逢いにゆこう

流れ星にかけた願い 叶うのが今なら

この先に新しいふたりがいる

…行かなくちゃ』

 

演奏を終えたタイミングで一筋の流れ星が空に煌めいた

「流れ星!」

「願い事しなきゃ」

「無理だよ〜、一瞬だもん!」

「まぁ、でも流れ星に願い事ってのは懐かしい気がするな」

「そうだね、今よりももっと子供だった頃とかよくやったよね」

「じゃあ、そんな皆に流れ星の正体」

 

 

『誰かの胸の夜の空に伝えたい気持ちが生まれたら

生まれた証の尾を引いて伝えたい誰かの空へ向かう

 

いつも迷路 終わらないパレード止まったら溺れる

ゴールなんてわからないままで いつまでどこまで

 

時間と距離を飛び越えて 君のその手からここまで来た

紙に書かれた文字の言葉は 音を立てないで響く声

そうやって呼んでくれただろう 見上げればちゃんと聴こえたよ

僕の上にも届いたように君の空まで届いてほしい

 

せめて君に見えるくらいには輝いてほしい

流れ星の正体を僕らは知っている

 

足元をよく見て階段一つずつどれくらいざわついても

ひとり

方を擦るように避けながら世界に何億人いようともひとり

 

今日は何もない一日と言えばそこまでの毎日

増え続けて溢れそうな唄の欠片たちが早く会いたがって騒ぐんだ

 

変わらないで変われなくてずっとそれでも続いている

ゴールなんて決められないだけでなんなら今でも

 

君が未来に零す涙が地球に吸い込まれて消える前に

ひとりにせずに掬えるように 旅立った唄 間に合うように

命の数と同じ量の一秒 君はどこにいる聴こえるかい

君の空まで全ての力で旅立った唄に気付いてほしい

 

どんな事もこんな熱も街にまぎれる

流れ星の正体を僕らは知っている』

 

全メンバー視点

流れ星の正体は私達の心や涙なのだろう

そして私達の声でもあるのだろう

私達の中に必ずあるものそれが流れ星の正体なんだろうと 私達の誰もが思うのだった。

 

 

 

『太陽が忘れた路地裏にこころを殺した教室の窓に

逃げ込んだ毛布の内側に全ての力で輝け流れ星

 

お互いにあの頃と違っていても必ず探し出せる

僕らに関係ない事

飛んでいけ君の空まで生まれた町全ての力で輝け』

演奏が終わると同時に流星群が空に流れた

「流星群の時期と重なったみたいだね」

「だなぁ〜、なんか圧巻だな!」

「そうだな」

「皆、願い事しよう!叶うかもよ!」

「せっかくだし、やってみる?」

皆が皆思い思いの願いを流星群にのせていく

「何を願ったんだお前」

「再会」

「そういことかよ…いいけどさ…」

(あいつらの事を考えてやれよな…)

そして流星群を見終えた後俺達はコテージに戻った

俺はコテージに置かれた椅子に座り空を観ていた

「眠れないの?」

「日菜…」

声をかけて来たのは日菜だった

「さっきまで演奏してたからかな、気持ちが昂ってるのかもしれないね」

「あたしもそうかも!ひ〜くん少し話さない?」

「良いよ、隣においで」

俺は日菜と2人で話をする

「ひ〜くんは流れ星にお願いした?」

「いつかの再会をね」

「そっか…でも、ひ〜くんと出会って1年と少しだけどさ、あっという間だった!」

「俺もそうだよ」

「あと半年でお別れなんだよね…」

「お別れって…別に会えなくなるわけじゃないし」

「でも、こうして星を観たり出来なくなるよね…なかなか会えなくなるだろうし」

「社会人になればそんなもんだよ」

「お別れしたくないな〜」

「日菜も流れ星に願いなよ再会を」

俺はそう言ってキーボードをピアノ音源に変えて演奏し歌っていく

 

『流れ星ねぇキミは何を想ってみているの?

見つけた星今ボクの中で確かに輝く光

 

夢に描いてた場所はもう夢じゃないけど

窓に映ってるボクらは似ているのかな?

君はなんて言うだろうな?

 

願い事ひとつだけで何処までも行ける気がした

伝えたい事も伝えきれない君はもう知っているかな

 

ねぇ心の深い場所で今キミを探し出したよ

それはまるで一瞬の魔法

YOUSTAYFOREVER

 

流れ星今キミは何を言おうとしたの?

見上げた空つないだ手同じ未来を見つめていたい

 

 

振り出した突然の雨 キミを待つ改札前

小さすぎる傘に肩が濡れてしまうけど

いつもより寄り添えたね

 

ねえ子供みたいに泣いたりねえまたすぐ笑いあったり

ボクらはもう一人じゃない

YOUSTAYFOREVER

 

流れ星失くしたもの失くしちゃいけないもの

どんな時も一番近くでキミを感じていたい

流れ星ねえ二人過ごしてく日々の中で

見上げた空つないだ手同じ未来を見つめていたい』

 

日菜視点

 

ひ〜くんの思いが伝わってくる。

見つけた星は自分の中で輝く光

「1番近くにいるよってメッセージ…」

呟きが聞こえたのかひ〜くんがこっちを見て笑っていた

 

 

『流れ星ねえキミは何を想ってみているの?

見つけた星今ボクの中で輝き出した

 

流れ星Imake a With upon ashooting star,Iwant tobeWith you

 

見上げた空つないだ手同じ未来を見つめていたい』

 

「ひ〜くんありがとう。なんかスッキリした!」

「そりゃよかった、不安が少しでも消えるなら俺はいつだって演奏するからね」

「うん!ひ〜くんありがとう、じゃあ、あたし戻るね!」

「うん!また」

それから少しして俺もコテージ内に戻ると高人が話しかけてきた

「光、眠れないのか?演奏聞こえたからよ」

「悪いな、起こしたか?」

「いや、大丈夫だ」

「そっか、なら良いんだけどさ」

「なんかあったか?」

「まだ先だけど、そろそろ卒業だ就職だ進学だって意識する頃かなって思ってさ」

「あ〜そういえばそうだな、でも、皆それぞれ決まってるだろ」

「多分ね」

高人とそんな話をしつつ俺はこの先の事を考えつつ眠りについた

 

そして次の日

 

俺達は泊まったコテージの清掃をして駐車場に集合する

「忘れ物ないね」

「ないよ!」

「大丈夫です!」

「問題ないわ」

「こっちも確認済みよ」

「OKです!」

「No problem.」

「じゃあ、帰るぞ!」

そうして俺と高人の車と昨日も来てくれた運転手さんのバスに分かれる

帰りの車はイツメンが揃った

「このメンバーで帰ることになるのは考えてなかったな」

「これならアタシも友希那も乗れるじゃん!」

「まぁね、今回は助手席が日菜の特等席になったけどね」

「だね〜」

そうして車を走らせつつも色んな話題に花を咲かせ俺達は家路を辿った。

 

そして皆を送り届けた後俺達は車を返してから帰宅した。

帰宅しスマホを確認すると皆からメッセージが来ていた

どれもこれも楽しかったという内容で俺としても皆で行けて良かったなと思いつつ始まったばかりの夏休みを満喫するのだった。

 




3年生の夏休み編になります。
ほとんど星について触れてなかったりメンバー同士の会話が少なかったり等あるとは思いますが曲を通して星空の下にいる皆を感じて貰えたらと思います。
次回はRoseliaとの合宿を書いていきますのでお楽しみに

次回「夏合宿とRoseliaの音」


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第71話夏合宿とRoseliaの音

今年も夏合宿に参加した光はRoseliaの音を追求しつつ
ひと夏の恋を演奏する


今年もRoseliaの夏合宿に誘われた俺、circleの方は高人に任せて俺は俺で合宿の準備をする。

今回も車は借りないといけない、Roseliaのメンバープラス俺の6人が乗り荷物も積むとなるとそれなりに大きな車が必要になるため今回も合宿の当日に合わせて1日前に車を借りておく

そして自分の荷物を先に積んでおき明日に備える

「よし!自分の荷物はOK!後は明日もう少し細かい物は積むけど、こんなもんでしょ!」

その後circleに8月後半のシフト予定表を提出し

明日に備えて帰宅する

帰宅してしばらくは適当に音楽をかけそれに合わせギターを弾いて過ごし適当な時間に夕飯等を済ませ明日に備え早めに就寝した。

 

そして合宿当日

Roseliaの皆と駅前で合流した。

「おはよう光、今回もよろしく」

「うん!よろしくね!」

「今回もレンタカー?」

「俺の車は4人乗りだから全員乗れないし、荷物積ってなった場合俺はもちろん運転するから空いてるのは助手席しかないしね」

「そっか、ちょっと残念」

「まぁ、仕方ないじゃない。とりあえず荷物を積んじゃいましょう」

「そうですね」

そうして荷物を積み込んで合宿先へ向かった

今回は助手席は友希那が乗ることになった。

「そういえば今回の合宿の目標は?」

「各自の技術向上よ、合宿でさらに自分達の技術に磨きをかけるつもりでいるわ」

「俺はそのための手助けって事だね」

「そうなるわね、それと今回も食事は任せるわよ」

「任されたよ!とは言っても前回と同様夜はカレーにするつもりだけどね」

「ならお昼はさっぱり食べやすい物を頼むわね」

「じゃあ手っ取り早く冷しゃぶにしようか!」

「良いね!あっさりしたタレとガッツリ感のあるタレの2種類あれば絶対美味しいじゃん!」

「肉と魚両方あれば尚いいですね」

「まぁ、準備は簡単だろうし、合宿所着いたらまず荷物の整理からだよ」

「そうね、多分向こうに到着するのはお昼頃になるだろうし、昼食後は2時間練習して15分休憩を繰り返して夕飯後さらに1時間の練習と言ったところかしら?」

「とりあえずはそれでいいと思うよ!1度やってみて調整しながらやれば良いし」

「そうね、そうしましょう」

そうして合宿の予定を話しつつ車を目的地に向かって走らせ

予定通りお昼前に合宿所に到着した。

「各自荷物降ろしちゃって!俺は買い物してくるよ」

「わかったわ」

俺はそのまま買い物に向かう

そして肉と魚の切り身、葉野菜と幾つか調味料を買って合宿所に戻り昼食の準備をする

魚の切り身を少し薄めに切り葉野菜も食べやすい大きさに切って盛り付け肉と一緒にテーブルに運び

タレを準備して皆に声を掛ける

「お昼の準備出来たよ!」

「待ってました!」

「あこお腹空いた」

「私もお腹空きました」

「美味しそうですね」

「ホントね」

そうして全員揃ってお昼を食べる

夏は食欲が落ち気味になるので少し辛みのあるものや生姜などの薬味をふんだんに使うと飽きることなく食べられる

そしてお昼を食べ終えて少し休憩を挟み午後一から練習を

開始する

俺は皆の演奏を聴いて気になる点があればアドバイスをする

とは言っても目立ったミス等はなく多少演奏でつまづく点は

簡単なアドバイスで改善され問題らしい問題はない

「大丈夫だと思うよ!目立ったミスはないし演奏が遅れたりする時はワンテンポ早めに弾くようにしていけばそれに合わせる事が出来るだろうしね」

「そうね、個人じゃ気が付かない部分もあるだろうから引き続き頼むわね」

「了解!」

「光、どうせなら演奏混ざらない?」

「私は賛成です。今の光君の実力をどこまで引き出せるかやってみたいです」

「そういう事なら私も賛成です。」

「あこも良いよ!」

「皆こう言ってるしどうかしら?」

「じゃあ、参加しようかな」

「とりあえずは5割キープで大丈夫そうならギアをあげて構わないわ」

「やってみるよ、曲は?」

「LOUDERでどうかしら?」

「OK!」

俺はRoseliaの練習に参加し演奏する

5割キープと言われたので5割で演奏するがまだイケそうだと思ったので6割まで上げる

そしてそのまま演奏を終えると皆が少しだけくたびれた表情をしていた

「ギリギリだったけど、何とかなったね」

「光君はあれで6割ですかね」

「そうだね、でも7まで上げてもいけたんじゃないかな?」

「多分無理!光兄ぃの7割ってかなり本気でしょ!まだ無理だよ!」

「私もそう思います」

「だそうよ、光の全力を未だに引き出せないのは残念ね」

「ルミナス引き出したいの?」

「できることならね」

「ん〜ルミナスはまた別って言うか確かに全力っちゃ全力だけど、普段の演奏とも違うからまた難しいと思うんだよね」

「でしょうね、なので目標としては光の8割を引き出すことでどうかしら?」

「それなら大丈夫じゃないかな?いけると思うよもちろん俺がなるべく参加して感覚を掴んで貰わないとだけどね」

「なら今回の合宿中はなるべく参加なさいそうすればできる可能性があるのでしょ?」

「皆がそれで良いならね」

「お願い!」

「私からもお願いします」

「私もお願いします」

「あこもあこもお願い!光兄ぃ」

「わかった!良いよ!」

そうして合宿中はなるべく練習に参加する約束をした。

そして夕方、俺は早めに練習を抜けて夕飯の準備を開始する

「今回はスパイスたっぷりのシーフードカレーでいこうかな」

そうして魚介類とスパイスをふんだんに使いカレーを作っていく

そして合宿所内にカレーの匂いが充満する

「めっちゃいい匂い!」

「お腹が空いてきましたね」

「スパイスの香りが凄いですね」

「ちょっと早いけど切り上げて夕飯にしましょうか、この匂いには集中力を乱されるわ」

「あこ、もうお腹空いた〜」

「夕飯にしましょうか」

私達は早めの夕飯を食べることにした。

「光、カレーできてる?」

「出来てるよ」

「じゃあ夕飯にしましょう」

そうして皆で夕飯を食べる

「辛〜い!」

「でも、辛さがあと引きませんね、スパイスの風味が広がります」

「美味しいわね」

「本当に美味しいですね!」

「超美味しい!」

「喜んで貰えて良かったよ!」

「料理の腕も中々よね光は」

「そう言って貰えて光栄だね」

そんな話をしながら夕飯を終えて皆は1時間程練習すると言うので練習に付き合いその後少し遅い時間に入浴等も済ませて俺も就寝した。

 

次の日

朝からカレーはと思い簡単な和食を準備しておき

皆が起きてきた頃合を見計らってテーブルに運ぶ

「朝は食べやすさ重視なんだね」

「カレーはお昼に回すよ!すぐに火が通る野菜を追加して野菜とシーフードのミックスカレーにしておくから」

「それはそれで美味しそうだね」

「まぁ楽しみにしててよ」

「それでも余ったらどうするんですか?」

「無難にカレーパンにしておやつかな?」

「飽きないように工夫してくれるから色々楽しめるんだよね光がカレー作ると」

「簡単なのは飽きられたら終わりだからね」

そう話しつつ朝食を終えて今日の練習を開始する

そして休憩中

「練習するのも良いけど、遊ばなくていいの?」

「夜に花火するからそれまでは皆練習しようって」

「ならいいけどさ」

「光は遊びたいの?」

「別に、どっちかって言うとこうして演奏してる方が楽しいし」

「夜はあなたに演奏してもらうわよ」

「とは言っても何するの?テーマって言うかそういうのから決めないと」

「じゃあひと夏の恋を2、3曲くらいで!それで、アタシアレ聞きたい!花火!パッと咲いてシュンと散ってって歌詞のやつ!」

「あぁ、あれね!いいよ!夜までに後2曲考えておくよ」

「あこわたがし聞きたい!」

「私は花火の魔法がいいですね」

「ひまわりの約束を希望します」

「私はどちらかと言えば夏の終わりっぽいのがいいわ」

皆から色々とリクエストが来るがさすがに全部を演奏する訳にはいかない

「さすがに全部演奏は出来ないかな〜合宿終わればすぐ商店街の夏祭りもあるし、その時もどうせLIVEやるだろうし

その時は夏の終わりっぽい曲を演奏しようと思ってるから今回はパスだね」

「なら夏祭りを楽しみにしているわ」

「それとわたがしはまさに夏祭りだし、花火の魔法も夏休みの最後だしね今回はやっぱりひと夏の恋を演奏してみようかなって」

「それならそれで私は構いません。ひまわりの約束もお互いの大切さを歌ったものですしね」

「ごめんね、またそのうち演奏してあげるからさ」

「期待しています」

そうしてテーマを決めて午前中の練習は終了した。

昼食は予定通り野菜とシーフードのミックスカレーを食べて少し休憩しまた練習をする

そうして夕方まで過ごし皆少し早めに練習を切り上げた。

「光、今日の夕飯は何かしら?」

「生姜焼き」

「この時期にピッタリよね、カレーは?」

「既にカレーパンにしてあるよ!食べたいなら揚げるけど?」

「でも、光の事だから防腐処理みたいのはしてるんでしょ?」

「油で揚げるだけにして冷凍してあるからね」

「なら今のメニューに文句は無いわよ」

「ならいいんだけどさ」

そうして皆で夕飯を食べたあと俺は後片付けを済ませ

演奏の準備をする

「やっと光の演奏タイムだね」

「その前に花火しようよ!」

「じゃあ、花火して最後線香花火とかそれ系の花火だけになったら演奏するよ」

「良いじゃん!じゃあそうしよう!」

そうして皆で花火を楽しむ事にした。

「光、火こっちにちょうだい」

「はいはい、どうぞ!」

リサの新しい花火に俺の花火から引火させる

「まさに花火の魔法の歌詞だね」

「あぁ、わたしの火はあなたにあげた時に少し弱くなるのところね」

「そうそう!」

「でもあれは、一応女の子目線だよ」

「だから良いんじゃん!」

「まぁ、俺も好きだからこそカバーしたんだけどさ」

「光的にはちょっと違うイメージだったり?」

「この後の演奏でわかるよ」

そうして皆で花火をした後いよいよ俺の演奏となる

 

「じゃあ、お決まりの挨拶から、光です。まずは1曲聴いてください、リクエストに答えて花火」

 

 

俺はキーボード弾いて歌っていく

 

『パッと咲いてシュンと散って夜に打ち上げられた恋花火

 

二人照らしながら広がる零れる火の粉は

 

せつなさへと変わって私の胸熱く染めました』

 

 

 

俺はただ静かに歌っていくひと夏の恋を歌った

ラブバラードを

 

 

 

『誰が悪いわけじゃなくてそれは夏のせいで

 

あなたを想う気持ち 熱を出しました

 

一瞬(ひととき)も離れてはいられないほど

 

会いたい ただひたすら会いたい

 

初めて繋いだ手のひらに込み上げた愛しさが

 

逃げてしまわないように

 

どちらからともなくギュッと手を握ったまんまで

 

花火見上げてるんです

 

パッと咲いて空に咲いて

 

夜を飾る火花は夏花火それとも恋の炎でしょうか?

 

あなたの心が見てる夜空には

 

今私が綺麗に咲いてますか?』

 

 

 

Roselia視点

 

「ヤバい、何度聴いても良いよね!大人の恋って言うかさまさにひと夏の恋って感じで」

 

「歌詞が印象的よね、サビの部分は私も好きよ」

 

「私もとても素敵な曲だとす。思わず離れないでと言ってしまいそうなくらい心に染み入ってきます」

 

「あこもなんか凄くジーンてする」

 

「私もです、とても素敵だと思います」

 

光が選ぶ曲は何かしら意味がある今回はリクエストに答えって言ってたけどこの曲もひと夏の恋を曲を通して知って欲しいと思っての事だろう

 

 

 

『どんな幸せなときも少し悲しいのは

 

私があなた 好きになりすぎたせいです

 

この夏がこの恋が消えてしまいそう

 

会いたい ただいつでも会いたい

 

少しだけ涼しい夜風が 海岸を吹き抜けて

 

あなた 髪が揺れてます その横顔に映っている

 

赤・青・黄色の花火 消えずに燃えていて

 

パッと咲いてシュンと散って夜に打ち上げられた

 

恋花火二人照らしながら広がる

 

零れる火の粉はせつなさへと変わって

 

私の胸熱く染めました』

 

 

 

Roselia視点

 

「なんていえばいいのかな?ドキドキするって言うのとも違う気がするよね」

 

「これがひと夏の恋なら終わってしまう切なさとか儚さかもしれないわね」

 

「言葉にならないほど切ない気持ちになりますね」

 

「いい曲なんだけど、少し寂しくて切ないんだね」

 

「あたし、正直ちょっと泣きそうになってます」

 

切ない気持ちでいっぱいになりながら光の声に耳を澄ましていく

 

 

 

『あなたに会うたびわがままになります

 

このままずっとこのままで

 

言葉なんて要らない見つめてください

 

こんなに溢れてるあなた…好きです…

 

 

 

パッと咲いて空に咲いて夜を飾る火花は夏花火

 

それとも恋の炎でしょうか?

 

あなたの心が見ている夜空には

 

今私が綺麗に咲いてますか?

 

 

 

パッと咲いてシュンと散って夜に打ち上げられた恋花火

 

二人照らしながら広がる零れる火の粉はせつなさへと変わって私の胸熱く染めました』

 

 

「じゃあ次の曲にいきます金魚花火」

 

俺は引き続きキーボードを使って演奏していく

 

『心に泳ぐ金魚は恋し想いを募らせて

真っ赤に染まり実らぬ想いを知りながらそれでも

夏の匂い雨の中でぽたぽたおちる金魚花火

光で目がくらんで

一瞬うつるはあなたの優顔

 

心に泳ぐ金魚は醜さで包まれぬよう

この夏だけの命と決めて少しの時間だけでも

あなたの幸せを願ったの

夏の匂い夜が包んでぽたぽたおちる金魚花火

どんな言葉にもできない

一瞬うつるのあなたの優顔

 

夏の匂い雨の中で

夏の匂い雨の中で

夏の匂い雨の中で

ぽたぽたおちる金魚花火

光で目がくらんで

一瞬うつるはあなたの優顔

夏の匂い夜が包んでぽたぽたおちる金魚花火

どんな言葉にもできない

一瞬うつるのあなたの優顔』

 

演奏を終えると今度はアコギを準備し話し出す

「ここまでキーボードで2曲演奏してきたんでラストはアコギで聴いてください。線香花火〜8月の約束〜」

 

『人で溢れた江ノ島で二人だけのパラソルの中

かき氷で青く染る唇見て 二人笑う

茜色の空見て ギュッと手繋いだ

満点の星空の下 肩を並べて二人寄り添って

 

線香花火が消える前に 二人灯りを点したなら

来年の8月もこの場所へ

想い出のページをまた一つ描きに来よう

 

「休みになったら何処に行こうか?」

「一緒だったら何処でもいいよ♪」

些細なやりとりも幸せに感じれた

こんな風に計画立てたり 同じ景色君と出掛けたり

まだまだまだ尽きない想いは君だから

きっと一瞬ですぎる季節 だからこそこの瞬間(とき)

を忘れずに

真剣な横顔を強く焼き付けるよ

橙色の光が照らした夏の日

 

線香花火が消える前に二人の明日にキスをしたら

来年の8月もこの場所へ

想い出のページをまた一つ描きに来よう

 

ポトリと落ちた光僕らは一生消さない想い

来年もその先も変わらない君と過ごしたいから

 

線香花火が消える前に二人の灯りを点したなら

毎年8月はこの場所で

約束しようよ「また一緒に来ようね。」』

 

ひと夏の恋がテーマの演奏を終えた俺は皆に問いかける

「感じられた?ひと夏の恋」

「すっごく感じたよ!寂しさ儚さ切なさ全部が込められてた」

「終わってしまうのが惜しいくらいには素敵な時間だったわ」

「さすがという他ないくらいに感じました。」

「あこもね、なんかジワーっとなったよ!」

「とっても素敵で、とっても儚くて感動しました。」

「演奏して良かったよ、そこまで喜んでくれるならね」

「あなた元々あまりラブソング歌わないから余計じゃないかしら?」

「あぁ〜それはあるかもね」

「光の見せる世界ってさ、こう恋愛になるとすっごく切なくてさそれでもどこか恋愛独特の甘さっていうかがあって感動移入しちゃうんだよね」

「リサは感受性豊かだからね」

その後も皆で今回の演奏について話した後それぞれの部屋に戻った。

俺は寝る前の日課にしている最新曲のチェックとカバーし演奏するための練習時間を過ごしていると扉がノックされた

「どうぞ」

「光、いいかしら?」

「友希那、どうしたの?」

「少し話したかったのよ、合宿前に言ったこと覚えてるかしら?」

「目標の話?」

「えぇ、私の目標はあなたのようにイメージが形になるように歌う事よ」

「達成はできなそうって顔だね」

「えぇ、その通りよ、難しいのよイメージを形にって

光はどうしているの?」

「俺はただこう伝えたいこうしたいって想いをのせる感じだね、どう伝えるかじゃなくてどう見せるかで変わる」

「どう伝えるかじゃなくてどう見せるか?」

「そう、自分が見てる世界をそのまま見せたいならそれだけの感情を込める、俺がやってるのはそのくらい」

「少しだけわかった気がするわ。ありがとう光」

「別に、大したことしてないから」

「それでもよ、ありがとう」

そうして友希那は満足そうな表情で戻って行った。

それから俺の方も1曲分の時間練習し就寝した。

 

 

次の日

朝食を終えたあと2時間程練習する

友希那は昨日俺が言ったことを意識し練習に励んでいる

「光、どうかしら?」

「細かいミスはなかったけど、時々つまづく所がそれぞれあるからあえてミスをカバーしようとしないで切り替えていこう!友希那はサビを意識してサビに向けてイメージ作っていこう」

「わかったわ」

そうして合宿最後の練習に精を出す

そして最後の最後で形となりイメージが完成した。

「イメージが完成したよ!皆が1つになったね」

「目標達成ね!」

「そこから更に皆だけの音を探していかないとね」

「そうね、目標は高く持ってそこに向けて更に練習重ねないといけないものね」

「目指す場所は一つよ!FWFにトップの成績で出場する!

その為に研鑽あるのみよ!光も最大限協力してもらうから覚悟しておきなさい」

「もちろん!俺に出来る事なら最大限協力するよ」

「約束よ!」

そうしてRoseliaの皆は合宿の目標を達成しRoseliaだけの音を一つ見つけたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




71話です。今回はタイトル通り合宿の話になります。
合宿の話やLIVEイベントの話は自分でも書いてて楽だなと思いながら書いてます。
次回は天体観測イベントを書いていきますのでこちらもお楽しみに


次回「星空と花火」


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第72話星空と花火

夏休みの間にもう一度星を観ようと約束していた光と日菜は
学校の屋上から星空と花火を見るのだった。


夏休み中盤課題の方も高人と2人でバイトの合間にこなしつつ

日々を過ごしてる。

 

そして現在も高人と2人課題に取り組んでいる

 

「光、クーラー入れようぜ!暑すぎだっての!」

「扇風機で十分だよ!クーラーつけると外出るの億劫になるよ!高人夕方からバイトだろ?それまでに一教科終わらせるって意気込んでたのになんでそんなにダレてんの?」

「暑っついからだ!扇風機の風だって生ぬるい風しか来ないのに我慢できるか!」

俺は仕方なく課題のテキストを閉じるとクローゼットから適当に着替えを投げ渡した。

「汗流してこい!図書館か喫茶店に行くぞ!そうすればちょっとは集中出来んだろ?」

「そう来なくっちゃ!着替え借りるな!」

「早く行ってこい!お前の後俺もシャワー浴びるから!」

「2人で入ればよくね?男同士だしよ!」

「風呂場狭いし浴槽お湯張ってないから無理!」

俺の返答に高人は首をすくめてから風呂場に向かった

俺は出かける準備をしておき高人の荷物も纏めておくとクーラーを入れておく

そうしていると高人がシャワーを浴び終えたらしく出てきた。

「シャワーと着替えサンキュー!お前も行ってこいよ!」

「言われなくても!髪乾かしとけよ!」

「あいよ!」

そうして俺も軽くシャワーを浴びた後少しだけ涼しくなった部屋で細かい準備を整えて出掛ける

「どこ行く?」

「図書館かな」

「喫茶店行こうぜ!」

「課題終わったあとお前が飲み物なりと奢ってくれるなら行く」

「俺の金で昼飯済ますつもりだろ?給料日前だから奢るの無理!」

「なら図書館一択です!」

「ちぇ〜」

そうして図書館に行くとAfterglowの皆と会った

「光さんに高人先輩!先輩達も課題?」

「高人のね、俺は計画的に進めてたから来週には終わって最後の1週間は遊ぼうと思ってたんだけど高人がほとんど進んでないって言うから」

「あ〜高人先輩は最後の1週間にひぃひぃ言うタイプなんですね」

「高人はまさにそうだね、でも、最終日にはきっちり終わらすの」

「後半楽するか前半楽するかですね」

「皆はどう?」

「何とか教え合いながら皆でやってます。少しでもゆっくり楽しく夏休み過ごしたいですから」

「そっか、じゃあ俺と高人向こうにいるから皆お手上げな問題とかあったら声掛けて」

「その時はお願いします」

そうして高人と二人課題を進めていく高人は比較的面倒な数学と英語を片付ける事にしたらしく現在は数学に取り組んでいる。

「光、この問題は公式1か?」

「いや、公式2で途中式ひとつ減るからそっち」

「なる!公式1ってどこでに必要なる?」

「右のページの最初と最後」

「OK!ってか、さっきからこっち見なくてわかんのか?」

「俺、そこのページ終わってるから」

「マジか!?数学のテキスト今どこ?」

「課題予定ページの最後の方」

「マジか〜」

「ダレてないで真面目にやれ!」

「へぇ〜へぇ、ところで話変わるけどよ、夏祭りはもちろんLIVE出るんだよな?」

「出たいなら高人は最低限課題終わらせないとね」

「嫌な事言うなよ!」

そうして集中が途切れ気味な高人と二人課題を進めていく

時々Afterglowの皆の課題の方もアドバイスしつつ進めていき

高人は数学と英語は片付けた。

「よし!終わり!今日はここまで!」

「何とか2教科は片付けたみたいだね。俺の方は後感想文だけだけど」

「課題のテキスト終わったのか?」

「終わったよ」

「写させろ!」

「後でな!お前他のテキスト持ってきてないだろ」

「そうだったわ!」

そうして俺達は図書館を出て俺の自宅に帰って来た。

「ほら、高人着替え」

「おぉ!サンキュー洗濯して乾かしててくれたのか」

「てかまだ帰んないの?」

「バイトには早いし腹減った」

「家で昼飯済ますの?」

「ダメか?」

「インスタントラーメンでいい?作るのめんどい」

「煮るタイプのやつだろ?それで良いよ!」

「冷凍してある餃子くらいは付けてやるよニンニク効いたやつな」

「俺、夕方からバイトなんだけど…」

「口臭ケアすれば大丈夫だろ」

「よく言うよ、光はこの後どうすんの?」

「夜から日菜と天体観測する予定、後、隣街の商店街のお祭り今日らしくて花火が学校の屋上からなら綺麗に見えるからって」

「こっちの商店街でも花火やるんだよな?」

「よくお店で売ってる花火セットみたいなのね」

「そんなもん?」

「23発打ち上げある程度でメインは夏祭りLIVEだから」

「なるほどな、去年LIVE何やったの?」

「曲?夏祭りとわたがしと花火の魔法、アンコールでsecretbase」

「今年は?」

「夏の終わりメインにいこうかなって」

「いきなりsecretbaseやるのか?」

「いや、ZONEオンリーでHANABIとsecretbaseと約束かな

アンコール来れば出たばっかの夏音」

「あぁ!優里さんの?最近だとシャッターじゃね?」

「1番最近はベテルギウスだよ!」

「そうだな、つか、お前最近デビューしたばっかの人の曲もカバーしてんのな」

「カバーアーティストに限らず演奏家は飽きられたら終わりだから、こんな曲もカバー出来るんだとかこんな難しい曲もって驚きと感動を持って聴いて欲しいから」

「なるほどな〜その分俺は自分の技術に更に磨きをかけないとって訳か」

「期待してる」

「任せろ!」

そうして昼飯を済ませた後少しだけ練習し高人はバイト前に軽く寝ると言って帰って行った。

「俺も少し仮眠取ろうかな」

そうしてリラックス出来る曲をかけて少しだけ仮眠をとった

そして数時間後スマホのアラームで目を覚ました俺は再度

目覚ましにシャワーを浴びた後少し早めに夕飯を済ませ出掛ける準備をする

「キャンプの時に持って行った望遠鏡にギターとキーボードにアンプとこんなもんかな?どうせ日菜だけだろうし、助手席空いてれば大丈夫っしょ」

そうして準備を整えて日菜に連絡を入れる

コール2回ですぐに日菜に繋がった

(もしも〜し、ひ〜くん?ヤッホー!)

「こんばんは日菜、そろそろ向かってもいいかな?」

(いいよ〜車で来てくれるんだよね?)

「荷物あるしそのつもり、今から行くから日菜も準備して待ってて」

(うん!待ってるね!)

そうして通話を終了し俺は車に乗り日菜の家に向かう

車なので10分とかからず到着した。

俺はクラクションを鳴らすと日菜が家から出てきた

「こんばんは日菜」

「こんばんはひ〜くん今日はよろしくね」

「よろしく、と言っても星を観て花火が上がったら花火を見るだけなんだけどね」

「でも、なかなか無いよ星も花火も両方いっぺんに見れる機会なんて」

「そうだね、じゃあ、出発!」

「おお!」

俺は車を走らせ学校に向かい日菜の家から10分で到着した。

「荷物降ろすの手伝ってね」

「何持てばいい?」

「キーボードと望遠鏡お願い。ギターとアンプは持っていくから」

「OK」

そうして日菜の手を借り荷物を運んで天体観測を開始する

「今回も月からで良いの?」

「うん!ひ〜くんの持ってる望遠鏡で観てみたかったんだ!」

「キャンプの時に皆で観たじゃん」

「あの時はじっくり観れなかったし良いの!」

「まぁ、日菜が良いならいんだけど」

そう話しつつ望遠鏡を月に合わせて調整する

「出来たよ!」

「ありがとう」

日菜は望遠鏡越しに月を観ていたがこっちに向き直り話しかけてきた

「ねぇねぇひ〜くん、月に行ったらかぐや姫いるかな?」

「いないよ!あれは御伽噺!本当にいたらアポロ11号が月に行った時に会えてるよ」

「ん〜じゃあ織姫と彦星は会えてるかな?」

「きっと会えてるよ!七夕の日にね」

「ねぇ、ひ〜くん、なんか歌って!ロマンチックなヤツ!」

「キーボード取って」

「はい!」

俺はキーボードを準備してピアノ音源に変えて演奏する

 

『暗闇の中で手をもとめていた森であなたに出会った

月日は流れ流れて池のほとりであなたと出会った

もう考えることはないよふたりでいればいい

 

約束しようよ指切り一緒ねと

月にふたりの誓いを捧げましょう

こころとこころが丸く重なれば優しくなれることを知った』

 

日菜視点

 

「るんってする」

ロマンチックな感じとは少し違う気もするけど

素敵だと思った

 

『別れた道の途中戻りたくなったあなたの影を探した

もう どこにも行かないからやっぱりふたりがいい

もう 不安にさせないからやっぱりふたりがいい

 

こんなに素直な私がいるのです

不思議なほどに愛しさ込み上げてく

目と目が合えば言葉はいらなかった

優しく髪を撫でていてね』

 

日菜視点

「綺麗…」

あたしの目にはふたりで寄り添い微笑み合う姿が浮かんだ

それと同時に綺麗な曲だと思った。

 

『いつか別々の夜空に還ることを

知っているから愛しさ増すのでしょう

繋いだ小指を忘れはしないでと

透きとおるこの月に祈るの』

 

演奏が終わったタイミングで日菜が話しかけてきた。

「ひ〜くんこんな綺麗で素敵な曲隠してたんだ!」

「隠してない無い!ロマンチックなヤツって言うから月から連想してこれかなって思っただけで隠してた訳じゃないよ

とりあえず、満足したなら星を観ようよ!」

「ん〜それもそうだね!花火が始まったらそっちに目移りするだろうし」

そうしてふたりで星を観る

「あれがデネブでアルタイルとベガで夏の大三角!はくちょう座はゼウスなんだよね?」

「そうそう!わし座はガニュメーデースって美少年をゼウスが神の宴の給仕をさせるために天に連れ去る時に遣わした存在なんだ、わし座の近くにはみずがめ座があるからねそのみずがめ座がガニュメーデースって説が有名かな」

「じゃあこと座は?ひ〜くん知ってる?」

「こと座は確か、発明の神様が発明したものでアポロンが譲り受けてその息子オルペウスの手に渡るんだ、オルペウスは琴を演奏して有名な演奏家になるんだけど、冥神ハーデスに亡くなった奥さんを戻してくれるように交渉する事に失敗して悲嘆にくれて川に身投げして死んじゃうんだ、琴は川を流れていってそれをゼウスが拾って星座にしたんだ」

「やっぱりひ〜くんそういうの詳しいよね!じゃあ今日のレポートに纏めよう!」

そうして日菜が天文部としての活動レポートを書いていると

花火が上がった

「花火!」

「上がったね!絶景じゃん!」

「でしょ!去年はタイミングが合わなかったけど今回はと思ったんだ!」

「そっか、じゃあ、星座と花火が歌詞に入ってる曲を演奏しようかな」

「曲名は?」

「プラネタリウム」

 

俺は曲名を告げてキーボードを演奏し歌っていく

 

『夕月夜顔だす消えてく子供の声

遠く遠くこの空のどこかに君はいるんだろう

夏の終わりに2人で抜け出した

あの公園で見つけたあの星座なんだか覚えてる?

会えなくても記憶をたどって同じ幸せを見たいんだ

あの香りとともに花火がぱっと開く

 

行きたいよ君のところへ今すぐかけだして行きたいよ

まっ暗で何も見えない怖くても大丈夫

数え切れない星空が今もずっとここにあるんだよ

泣かないよ昔君と見たきれいな空だったから』

 

日菜視点

「まさに星空と花火だけど、昔を懐かしむような感じかな?」

悲しいような少し寂しいような星空の下にいるような感覚に

胸が疼いた

 

『あの道まで響く靴の音が耳に残る

大きな自分の影を見つめて思うのでしょう

ちっとも変わらないはずなのに

せつない気持ちふくらんでく

どんなに想ったって君はもういない

行きたいよ君のそばに小さくても小さくても

一番に君が好きだよ強くいられる

願いを流れ星にそっと唱えてみたけれど

泣かないよ届くだろうきれいな空に』

 

日菜視点

「これもひと夏の恋で思い出なんだ」

願いを流れ星にそっと唱えてみたけれどか

「きっと届かない届くと信じるしかなかったんだ」

とても儚くて綺麗な思い出がよぎった。

 

 

『会えなくても記憶をたどって同じ幸せを見たいんだ

あの香りとともに花火がぱっと開く

行きたいよ君のところへ小さな手をにぎりしめて

泣きたいよそれはそれはきれいな空だった

願いを流れ星にそっと唱えてみたけれど

泣きたいよ届かない想いをこの空に…。』

 

演奏を終えた俺のところに日菜が近寄ってきて俺の腕を引っ張る

「ひ〜くん!こっちで一緒に花火観よう!」

「わかったから引っ張らないで今行くよ」

俺達は屋上にある給水タンクのある一段上に上がり

そこから2人花火を観る

そして花火が終わったタイミングで日菜が握っていた俺の手に少しだけ力を込めた

「日菜?」

「ひ〜くん、さよならはやだよ!」

「え?」

「まだまだ先だとしても、卒業なんてあっという間だよ!だけど…卒業したらひ〜くんとはさよならなんでしょ?」

「サヨナラじゃないよ、電話だってなんだって出来るしさ

卒業したって繋いだこの絆が消えるわけじゃないしさ

それに…歌っていればまた会えるよ」

「本当に?」

「本当に!」

今日という日を忘れられない夜にするために演奏する

「日菜、少なくとも今日という夏の夜は君がくれた夏の夜だから、せっかくだし聴いてくれる?君がくれた夏」

俺はギターを弾いて歌っていく

『君の描いた未来の中に僕はいないその時代もない

 

まだ少しだけ傷を抱えたふたりは夢の続き探していた

 

思うままに色付いてくと思ってた

 

答えなんか見つけられずにそれでもこの世界廻り続けて

 

君がくれた夏その奇跡僕は忘れないoh溢れそうな想い

 

あの夕日に隠してsowhy…気づいていたtrueLovetrueLove』

 

 

 

日菜視点

夢の続きを探して思うままに色付いてくそんな未来があったらいいなと思うけど、この夏の日は一つの奇跡なんだと思いながら歌を聞いていく

 

 

 

『時の隙間に流れ込む風教室のその片隅で揺れる前髪

 

ただ見とれていた僕は君に恋をしたんだよ

 

まるで空を歩いてるみたいな日々

 

当たり前にそばにいたこと

 

未来なんていつもそう疑いもせず

 

君がいた夏にこの気持ちうまく言えなくて

 

Ohふたつの心は何故に離れていくの?

 

Sowhy届かなくて 愛情の罠だって気づいた時は遅すぎて

 

捻れた感情は光求め彷徨う

 

叶わない願い置き去りのままで君がくれた夏

 

その奇跡僕は忘れない

 

Oh溢れそうな想いあの夕日に隠してsowhy…

 

気づいていたtrueLovetrueLove』

 

「ひ〜くん…その…約束しようよ!卒業してもまた会うこと!また一緒に星を見ることを」

「もちろん!また2人で夏の大三角を探そう!」

俺達の中に確かな約束が生まれた。

 

 

 




72話目です。天体観測件学校から見る花火という設定で書きました。会話に優里の曲をいれました。正直優里の曲は使いたくて使いたくて考えました!まぁ、結構前の話で川崎鷹也さん使ってますし、曲については過去2年以内の曲なら使っていく感じで考えてますのでどんな曲が使われるかどんな
ストーリーになっているのかそれもお楽しみに

次回「夏祭りと夏の終わりに」


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第73話夏祭りと夏の終わりに

夏祭りで行われる野外LIVEで光と高人は夏の終わりを感じる曲を演奏する


夏休みも中盤から終盤に向かいつつある今日

夏祭りのLIVE予定について話し合いがあるからと俺と高人は

つぐみの家を訪れていた。

「えっと、とりあえずLIVEやるのは決定でいんだよね?」

「はい!問題は去年のメンバーが出られるかってどうかって事なんですけど、ハロハピの皆は大丈夫そう?」

はぐみに問いかける

「ハロハピは大丈夫だと思うよ!あとでこころんには確認してみるけど」

「光さん、パスパレはどうですかね」

「さぁ?なんで俺に聞くの?」

「去年は光さんがお願いしたからOK出たんじゃないですか?」

「また頼んでみろよ光、日菜に言えば1発だろ」

「いやいや、マネージャーさんとか他の皆にも聞いてみないとダメだって」

「じゃあ、パスパレは1時保留で、ポピパは?」

「大丈夫だと思うよ!」

「夏祭りでもポピパさんの演奏が聞けるんですね!」

「ロックには願ってもない話だね」

「Afterglowは問題無いんでしょ?」

「元々長老さん達に頼まれてますから」

「太鼓演目もあるんでAfterglowもついでに出るかってなったんですよ!」

「なるほどね」

「光さんと高人先輩は大丈夫ですよね?」

「俺も高人も乗り気だから大丈夫」

「おう!やるからには全力だ!」

「先輩達もう曲決まってたりします?」

「光が今回はZONEオンリーで行きたいって

アンコールあれば別だけどって言ってたぜ」

「まぁね、夏祭りってさ夏真っ盛りにやる場合と夏の終わり頃にやる場合とがあるでしょ、前回は夏祭りと花火って感じで演奏したけど、今回は夏の終わりを意識して歌ってみようかなって」

「良いかもしれないですね!良かったら聞かせてくれません?候補にしてる曲」

「もちろん」

俺はウォークマンを操作し曲を再生する

1曲目はHANABIだ忘れられない夏を歌い振り返るような曲調のこの曲は夏祭りにもピッタリだろうと思う

「まさに忘れられない夏ですね」

「先輩達こんな曲もカバーしてるんですね」

「いいかも〜」

「演奏した後に残るちょっと淡い気持ちって言うかがこの曲のいい所だぜ」

「確かに、忘れられない夏だからこその一曲って感じがします」

「気に入ってくれたみたいだね、じゃあ2曲目にいくね

2曲目はsecretbase〜君がくれたもの〜」

これは夏の終わりを彩る代名詞とも言える曲だろう

まさに夏の終わりに相応しい1曲だ

「これ、去年アンコールで歌ってた曲ですよね!」

「こんな序盤というか早い段階で演奏していいんですか?」

「まぁね次の曲がそのアンサーソングだから」

「あぁ〜あったな〜」

「是非聞きたいです!」

「じゃあ、3曲目!約束〜August,10yearnlater〜」

俺は3曲目を再生する

再会を約束しながらも叶わずに手紙だけが残りそれでも再会を望むそんな曲だ

「とりあえず、この3曲の予定だよ」

「いいんじゃないですかね、まさに夏の終わりって感じで」

「意義な〜し」

「私もOKです」

打ち合わせメンバー皆からOKが出て俺達の演奏する曲は決定した。

そして俺はパスパレの皆に夏祭りのLIVEに今年も参加出来るか聞いてみるとあっさりOKが出た。

「パスパレOKだって」

「あっさりですね、光さんがお願いしたからかましれませんが」

「ただ単にスケジュールに余裕があるからOKなんだってさ」

「なるほど」

演奏順は去年と同様で俺達が最後になるらしくそれなりに余裕を持って演奏に挑めるなと思いつつ2人で頷き合った

その後打ち合わせを終えた俺達はそのままバイトに向かった

そしてcircleに着くとポピパが来ていた。

「あっ!先輩!練習見てください!」

「もちろんいいよ!曲は決めてるの?」

「ときめきエスクペリエンスと8月のifとDreamersGOの3曲に決めました!」

「じゃあ、とりあえず1曲ずつ練習していこう!」

「お願いしますね!」

「じゃあ、俺受付にいるから終わったら声掛けて」

「任せるよ高人」

そうしてポピパの練習を見てアドバイスしていく

そして練習に一区切りつけて休憩していた時高人の話になった。

「先輩、高人先輩は教えるのとかどうなんです?」

「う〜んそっち方面には向かない気もするな〜あいつは手本を見せてそれに近付けるように演奏したりとかはできるけど、自分独自の世界観って言うか…上手く言えないけど、とにかく教えるのには向かないかな」

「じゃあ、光先輩は高人先輩と一緒に演奏しててキラキラドキドキしたりしますか?」

「キラキラはわかんないけど、楽しくて高鳴るって意味ならドキドキはするかな」

「高人先輩ってギターもベースも弾けますよね?元々ベース弾いてたんならギターを覚えるのって大変だったんじゃないですか?」

「あぁ、それね!俺も聞いたんだよ、大変じゃなかったかって、同じ弦楽器とはいえベースを弾ける人がギター覚えるのも逆の場合でも大変だろうって」

「高人先輩はそれでなんて?」

「キーボードってかピアノ覚えるよりマシだったあんなチマチマしたの覚えるくらいなら多少苦労してもギター覚える方が楽だと思ったから覚えたってさ」

「じゃあ光先輩は?」

「俺?」

「はい、バンドでやる楽器一通りできるじゃないですか!」

「俺は特別って言うか、両親のおかげかな」

「両親の?」

「どっちも音楽関係者なんだって前に言わなかったっけ?

忘れてるかもだからもう1回言っておくとね、父さんがスタジオミュージシャンで母さんが元歌手で今は引退して音楽教室の先生なんだ、父さんが幼い頃から俺を連れ回してくれたから色んな演奏家の人に会えてさ、元々バンドをやってた人とか、父さんみたくスタジオミュージシャンの仕事がしたいって演奏してる人とかに会ってね色々教えて貰えたおかげかな」

「そうなんですね、あの!あれから曲って作ってるんですか?」

「一応ね、納得出来たやつだけ譜面に残して保存はしてる

まぁ、でも今の夢はカバーアーティストだし、オリジナル曲

は演奏するつもりは無いんだよね、もちろん演奏するのが嫌って訳じゃ無いんだけどさ」

「いつか…聴けますか?」

「そのうちね、さて、俺達の話はここまで!練習再開しよう!」

そうしてポピパの練習に付き合った後ポピパの皆と入れ違いになる形でRoseliaの皆がやってきた

「練習2時間で、光も参加ね!」

「言うと思った、じゃあ、高人引き続き受付任せるからな!」

「行ってこい」

手をヒラヒラさせて高人がそう言ったのを確認して俺はRoseliaの練習に参加した。

「光、今年も夏祭りLIVE出るのよね?」

「うん、曲も決めて高人と合間見て練習中」

「今回は夏の終わりがテーマだってあこから聞いたけど、そうなの?」

「そうだよ、今時期は夏の終わりってより夏休みの終わりが近付く感じだけどね」

「確かにそうね、でも光が演奏するカバー曲はその場その場に適してると思うから楽しみよ」

「そう言ってくれて何よりかな、まぁ楽しみにしててよ」

「そうするわ」

そうして時間までRoseliaの皆と練習した後俺と高人はそのまま練習に勤しんだ。

 

そして迎えた当日

 

俺達は商店街を見て回っていた

「結構屋台はあるのな」

「去年もこんな感じだったしね」

そうして一通り屋台を巡った俺達はLIVEが行われるステージに移動した。

「やぁ、こんばんは皆、今日はよろしく」

「こっちこそ!また夏祭りLIVE誘ってくれてありがとう」

「今回も楽しい演奏期待してるね」

「頑張るよ!」

「私達も最高の笑顔を届けてくるわ!」

「あたし達はいつも通りやるだけです」

「私達もキラキラドキドキするような演奏しますから見ててくださいね!」

「もちろん!俺達がラストを飾るためにしっかり盛り上げてきてね!」

そしてLIVEが始まった

 

1番手はポピパの皆だ

「Poppin’Partyです!」

「1番手は私達です!」

「1番最初だからちょっと緊張してます!」

「でも、全力で盛り上げんぞ!」

「もちろん!」

「じゃあ、いきます!8月のif!」

そうしてポピパの皆が演奏していく

8月のif、ときめきエスクペリエンス、DreamersGOと3曲演奏しポピパの出番は終わる

「ありがとうございました!次はハローハッピーワールドです!こころん!お願いね!」

「任されたわ!」

そうしてハロハピの皆がステージに上がる

「皆〜ハロー!」

こころが挨拶すると観客も挨拶を返す

「良い笑顔ね!私達も行くわよ!」

「笑顔のオーケストラ!」

ハロハピの皆は笑顔のオーケストラ、

せかいのっびのびトレジャー、えがお・シング・あ・ソング

と続き演奏を終える

「次はPastel*Paletteよ!皆お願いね!」

そしてパスパレの皆がステージに上がる

「Pastel*Paletteです!」

「今回も夏祭りLIVEに呼んでもらえて光栄です!」

「あたし達もポピパやハロハピに負けないくらいるんってする演奏をするよ!」

「参りましょう!」

「 いつでもどうぞ!」

「じゃあ聴いてください!もう一度ルミナス!」

パスパレの皆はもう一度ルミナス、きゅ〜まいFlower

ゆら・ゆらRing-Dong-Deaneと続き演奏が終わるとAfterglow

に引き継がれる

「Afterglowです!今年も夏祭りLIVE盛り上げていくんでよろしく!1曲目ON YOUR MARK!」

Afterglowの皆はON YOUR MARK!、Y・O・L・O!とScarletSky

と演奏しいよいよ俺達の番になる

「ラストを飾ってくれるのはGOフェスと七夕祭りでも演奏してれたこの2人!光さんと高人先輩です!」

俺達は紹介を受けステージに立った。

「改めまして、光です」

「相棒の高人です!」

「今回もラストを飾る事になりました!今回は夏の終わりをテーマに演奏していきます!じゃあさっそく聴いてください!H・A・N・A・B・I〜君がいた夏〜」

俺が曲名を告げると高人が演奏を始めそれに合わせて俺も演奏し歌っていく

 

『君がいた夏

夜空に咲く向日葵見て儚く散り孤独な星だけが

涙ぐんだ目に映る姿今頬をつたわった

あの夏を忘れない…

 

待ち合わせした神社の石段早くつきすぎて

「カタカタ」合図ですぐにわかるよ君が来たことを

 

久しぶりに会う またあの笑顔見せよう

明日になればたぶん そう夢の中に…

 

君がいた夏

夜空の下 手をつないで砂利道走り抜ける僕等に

遠く聞こえてるHANABI達の声セツナク響いた

永遠の夏

「もういやだよ」こんな気持ち君の後姿見る僕に

流れ星の様につたう雫には全てが映った

 

あの夏を忘れない…

 

あれから何度もフッとあの場所に誘われ目を閉じ

耳を澄ました聞こえないはずの合図

僕の胸にだけ確かに届いた

 

君がいた夏

夜空の下 手を繋いつないで砂利道走り抜ける僕等に

遠く聞こえてるHANABI達の声セツナク響いた

永遠の夏

「もういやだよ」こんな気持ち君の後姿見る僕に

流れ星の様につたう雫には全てが映った

あの夏を忘れない…』

 

パスパレ視点

「忘れる事ができない夏…」

「彩ちゃん?」

「もしかして彩ちゃんにも見えた?」

「日菜ちゃんも?」

「うん…」

「何が見えたんですか?」

「「光君が(ひ〜君が)いなかった」」

それが何を意味するのか皆が自ずと気付いていた。

 

 

『君がいた夏

君といた夏…

夜空に咲く向日葵見て儚く散り孤独な星だけが

涙ぐんだ目に映る姿今頬をつたわった

 

君がいた夏

夜空の下 手を繋いつないで砂利道走り抜ける僕等に

遠く聞こえてるHANABI達の声セツナク響いた

 

永遠の夏

「もういやだよ」こんな気持ち君の後ろ姿見る僕に

流れ星の様につたう雫には全てが映った

あの夏を忘れない…

 

あの夏をもう一度…

君がいた夏

永遠の夏

君がいた夏

永遠の夏』

1曲目を終えて俺は話し出す

「1曲目はHANABIでした。いつか誰かと見た花火を思い出して貰えたらと思い演奏しました。次の曲にいきます」

「光、次は?」

「secretbase〜君がくれたもの〜」

「はいよ!じゃあ聴いてください」

俺達は再び演奏しながら歌っていく

 

『君と夏の終わり将来の夢大きな希望忘れない

 

10年後の8月また出会えるの信じて最高の思い出を…』

 

 

 

俺達は観客皆をイメージの世界へ引き込んでいく今度は夏の終わりに再会を約束した友人と作った最高の思い出の世界へ

 

 

 

『出会いはふとした瞬間帰り道の交差点で

 

声をかけてくれたね「一緒に帰ろう」僕は照れくさそうに

 

カバンで顔を隠しながら本当はとてもとても嬉しかったよ

 

あぁ花火が夜空きれいに咲いてちょっとセツナク

 

あぁ風が時間とともに流れる嬉しくて楽しくて

 

冒険もいろいろしたね2人の秘密の基地の中

 

君と夏の終わり将来の夢大きな希望忘れない

 

10年後の8月また出会えるの信じて君が最後まで心から

 

「ありがとう」叫んでたこと知ってたよ涙をこらえて笑顔で

 

さよならせつないよね最高の思い出を…

 

あぁ夏休みもあと少しで終わっちゃうから

 

あぁ太陽と月仲良くして悲しくて寂しくて喧嘩もいろいろしたね2人の秘密の基地の中

 

君が最後まで心から「ありがとう」叫んでたこと知ってたよ

 

涙をこらえて笑顔でさよならせつないよね

 

最高の思い出を…

 

突然の転校でどうしようもなく手紙書くよ電話もするよ

 

忘れないでね僕のことをいつまでも二人の基地の中

 

君と夏の終わりずっと話して夕日を見てから星を眺め

 

君の頬を流れた涙はずっと忘れない

 

君が最後まで大きく手を振ってくれたこときっと忘れない

 

だからこうして夢の中でずっと永遠に…

 

君と夏の終わり将来の夢大きな希望忘れない

 

10年後の8月また出会えるの信じて君が最後まで心から

 

「ありがとう」叫んでたこと知ってたよ涙をこらえて笑顔でさよならせつないよね最高の思い出を…最高の思い出を…』

 

「2曲目はsecretbase〜君がくれたもの〜でした。去年はアンコールの際にこの曲を演奏しました。でも、今回はこの曲の次、ラストの曲がこの曲のアンサーソングになっている曲なのでこの曲を2曲目にしました。それじゃあ最後の曲聴いてください

約束〜August,10yearslater〜」

俺達はラストに据えた曲を歌っていく

 

『風のはじまる場所語った夢ノカケラ

君はどこで今この空見てるの?

「さよなら」は言わないと笑って見せた君が今も…

 

夏の星願い掛けた言葉に出来なかった思い

夕立に消えていった後姿忘れはしない

今もまだボクの側に君がいるから

 

 

夜空舞う白い花をそっと手にのせて

嬉しそうな君の横顔

 

にじむ文字涙のあと僕の手紙がここに今も…

 

巡る風季節は過ぎ僕達の約束色あせない

君と見たあのH・A・N・A・B・Iが今はこの空に咲いてるよ

「綺麗だね」今年こそは君にみせたい

 

一緒にいたかった1人で泣かないで僕にできることはないの?今もこの胸には君がくれたものが10年たってもかわらずに

気付いた瞬間そっと一雫 涙頬を伝う

 

遠い夏駆け抜けてく最後の言葉を忘れない

僕達はきっといつか約束の場所でまた会える

 

巡る風季節は過ぎ僕達の約束色あせない

君とみたあのH・A・N・A・B・Iが今はこの空に咲いてるよ

「綺麗だね」今年こそは君にみせたい

 

描いてたその未来を君にみせたい』

 

「俺達からの演奏は以上です!ありがとうございました!」

「楽しかったです!ありがとうございました」

観客から拍手が巻き起こる中でステージ袖にいた出演メンバーからアンコールの声がかかる

「ひ〜くん高くんアンコール!」

「もう一曲お願いします!」

「夏の終わりの音がまだありますよね!」

「皆も、まだ聴きたいわよね!」

こころが観客に問いかけると観客も沸き立つ

「じゃあ、リクエストに答えてもう一曲!夏音

高人!ギター任せるよ」

「あいよ!」

 

俺はキーボードを弾きながら歌っていく

 

『夏が終わる音がするずっと傍に居たいと思った

遠く打ちあがった花火気持ちが重なって弾けたんだ

 

ダンボールがまだ散らかるこの部屋

君と今日から歩いていく

趣味が違ったり好き嫌いがあったり

知るほどにさ嬉しくなるんだ

 

退屈を持て余してくすぐったり背中を寄せたり

何もなくても構わないさただ君がそこに居るなら

 

夏が終わる音がするずっと傍に居たいと思った

遠く打ちあがった花火気持ちに重なって弾けたんだ』

 

ポピパ視点

「夏の終わりと2人だけの空間かな?」

「かもな、ずっと傍にいたいって感じてるみたいだし」

「夏の終わりって感じするね」

「そうだね」

「まさに夏の終わりの音だね」

皆でそう話しつつ曲を聴いていく

 

 

『ひとつひとつと覚えていくよ何を笑い何を怒るのか

色とりどりの花束隠していたプレゼントは何故

バレていたのらしいねってさこんな時間が続いたら

 

夏が終わる音がするずっと傍に居たいと思った

遠く打ちあがった花火気持ちに重なって弾けたんだ

 

花火の音に掻き消されてしまわぬように

抱き寄せてお互いの心音を聞こう

息を吐いて君の眼を見つめながらキスをした

もう何もいらない

 

夏が僕らを駆けてくずっと傍に居たいと思った

遠く感じた恋花火

二人のこの部屋で始まってく』

 

「アンコール含め4曲聴いてくれてありがとうございました!」

観客からの惜しみない拍手で夏祭りLIVEは幕を閉じた。

 

帰り道

「先輩!今日選んだ曲全部素敵でした。ドキドキしました」

「気に入ってくれたみたいだね」

「でも、夏の終わりって切ないなって思っちゃった」

「まぁ、あくまでも夏が終わるってだけだから深く考えない方がいいぜ」

「ここは高人に同意かな」

「でも、後半年ちょっとで私達も光君も卒業だよ」

「長いようで短いわよ、半年ちょっとなんて」

「大丈夫だよ、進路の関係でバラバラになってもまた会えるからさ、10年後の8月とは言わないけどさ、また会えるよ」

「先輩!夢叶えてまた会えるって信じてますよ!私達」

「俺も信じるよ!夏の終わりの約束」

「「「約束!(だからね!)(しましたよ!)」」」

そうして新たな約束と共に夏祭りの夜は終わりを告げた。

 

 

 

 

 

 




73話の夏祭りイベント終了です!曲をメインに書いたのでお祭り描写は無いんですけど、曲から雰囲気を感じ取って貰えたらと思います。
次回は誕生日イベントを書いて行きますのでお楽しみに

次回「誕生日とラブソング」


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第74話誕生日とラブソング

誕生日に贈る曲にあえてLovesongを選び最高の演奏と時間を届けるのだった。


今日は夏休み最後の日でそしてリサの誕生日でもある

「去年もだったけど、やっぱりリサの誕生日が夏休み最終日だからこそちょっとバタバタするよね」

1人そう呟きながら着替えを済ませ家を出る

今日は自分の愛車に乗り車を走らせリサを迎えに行く

自転車よりも早く着くのは当たり前だが迎えに行くと伝えていた時間よりも早く着いてしまったので一応メッセージを入れるとすぐに返信が返ってきた。

「まぁ、早く来すぎたし当たり前か」

内容は後5分待っての連絡だった。

そしてきっかり5分たってリサがやってきた

「お待たせ光」

「全然いいよ。さぁ乗って!」

「助手席失礼!」

リサが乗ってシートベルトをしたのを確認して俺は車を発進させる

「そういえば光、どこ行くの?」

「とりあえず普通に映画、その後はそのままプラネタリウムかな」

「そのままって?」

「あぁ、ごめん説明不足か、プラネタリウムで星をテーマにした映画を上映してちょうど今時期夏の終わりから秋にかけての星をテーマに星の話が観れるんだって」

「何それ超楽しそう!映画観たあとにそのまま星が観れるんでしょ!?退屈してる暇なさそう!」

「それは同意する。その後はゲームセンターかな?」

「光、どこかスポーツ体験出来るとこ知ってたりしない?」

「あぁ〜ゲームセンターにかなり大掛かりで簡単なスポーツ体験出来る施設があるよ」

「じゃあ、そこで!ちょっと長い時間座るだろうしその後はある程度身体動かしたいかなって!」

「了解、遅くなるけどその後昼食で良いかな?」

「異議なし!それで行こう!」

「了解!」

「そういえば光、映画のタイトルって?」

「あぁ、そこのダッシュボード開けてパンフレット入ってるから」

「準備良いね!」

リサはダッシュボードからパンフレットを取り出し軽く目を通す

「面白そうだね、思い出の星空を探す話なんて」

「俺も気になったからパンフレット買って簡単なあらすじ知った時さ、余計に気になるなって思ったよ!」

「光、こういうの好きだもんね」

「めっちゃ好き」

などと話しつつ車を走らせて目的地へと到着した。

プラネタリウム内に入り受付の人にチケットを見せた後

俺達は飲み物を買って席に着いた

席に着いてまもなく映画が始まった。

主人公の女の子は美術品に囲まれて育つが美術商だった両親は出張がちで離婚も秒読み。

優しかった彫刻家の祖父も亡くなり居場所がなくなった少女は

ある日スケッチブックを抱え街を彷徨う不思議な転校生と出逢う

子供と大人の世界の真ん中、心に傷を負った2人は旅に出る。

あの寂しくて眩しい星空を見るために…

子供と大人のちょうど真ん中に位置する年齢の頃に体験するひと夏の思い出儚くも切ない世界観に俺達は引き込まれた。

そして映画が終わると少しの休憩を挟みそのまま夏の終わりから秋の空に観える星をその星に関する神話を交えて紹介され時間を忘れ聞き入っているうちにあっという間に終わりを迎えた。

その後売店でお互いの星座のキーホルダーを購入したあと俺達はプラネタリウムを後にした。

「映画面白かったね、星の話も聞き入っているうちに終わってあっという間だったよ」

「映画は俺達の年齢が近いこともあって感情移入できる部分多かったよね」

「わかる!超良かったよね!」

先程の映画や星の神話に関する話を話題にしつつ次の目的地へと向かっていた。

そして次の目的地であるゲームセンターに到着した。

俺達は時間が許す限り色んなスポーツをゲーム感覚で体験し体を動かして遊んだ。

その後お昼を近場のファミレスで済ませた俺達はショッピングへと興じる

「秋の新作も色々出て来てるし目移りするな〜」

「俺は全然だな〜やっぱり善し悪しは分からないや」

「光は普段から黒系ばっかりだからね、紗夜達に明るい系のコーディネートしてもらったんでしょ?」

「白だ水色だって明るすぎて落ち着かないよ!季節的にはもう着れないよ春先から夏前くらいがちょうどいいし」

「じゃあ、今回はお互いにコーディネートし合うってのは?」

「俺のセンスに期待しすぎじゃない?」

「大丈夫だよ!光はいつもオシャレなんだから」

「まぁ、そこまで言うなら選んでみるけどさ、ホント期待しないでね」

「そう言われると期待したくなるな〜」

俺は肩を竦めてからリサと一緒に店内を見て回り

無難にワンピースとベスト、ジーンズにベルトをチョイスした

「こんな感じ?」

「良いね!可愛いだけじゃなくてしっかり女子が喜びそうなポイント押さえてるよ!」

「なんとなくだよ」

「それでも!アタシは気に入ったよ!」

「じゃあ、プレゼントするよ」

「待って!アタシがまだ光に選んでない!」

「全てお任せします」

俺は降参のポーズを取りながら言った

「安心して光!無難に白のワイシャツとグレーのパーカーと少し装飾派手なネックレスだから」

「そのくらいならまぁ、良いか」

そうして服を購入した俺達は早速着替えた

「リサ可愛いね、似合うじゃん」

「光のセンスが良いからね!光もカッコイイじゃん!」

「そうかな?やっぱり着慣れない感じがあって落ち着かないよ」

「まぁまぁ、とりあえずお昼にしよう!そんでもってカラオケいこう!」

「じゃあ、さっきのゲームセンターにいこうか、カラオケもあるし近くにファミレスもあるから」

「OKそうしよう!」

話が纏まり俺達はさっきまで遊んでいたゲームセンター近くのファミレスまで移動し昼食を済ませた後カラオケをするため店に入った

「さて、今回は何を歌うの?」

「特に決めてないよ!でも、せっかくなら光にキミ記念日歌って欲しいかな」

「あれは俺の演奏で聴かせてあげるよ」

「じゃあ、Lovesong!それも光が本気で好きな相手に気持ちを伝えるために演奏したいって思ってる曲が聴きたいな」

「じゃあ、2曲だけね」

「候補って言うかそれだけで何曲あるの?」

「その季節にも合わせて選んだりするから決めてないよ、

ただ俺の気持ちは全部曲に乗せるだけだから」

俺は曲を選択し歌っていく

 

『百万回の「愛してる」なんかよりも

ずっとずっと大切にするものがある

俺何も言わずに抱きしめるから

おまえは俺の腕の中で幸せな女になれ

 

Uh hold me tight. You make me happy shalala la la.

 

my honeyお前は俺の腕を掴み

ついてこいや俺の行く夢の中に

泣いたり笑ったりもあるだろうが

まじ愛のない歌を俺は歌わない

今すぐに信じろなんて言わない

ただもっとそばにおいで そうStand by me

ラブソングなんてのはちょっと恥ずかしい

しかし歌わずにはいられない

 

とっておきの言葉を 熱く甘い言葉を

日常の真ん中で口に出来ないんだよ

だからせめてこうして できるだけ等身大で

いつもの喋り言葉で 伝えたかったんだよ

百万回の「愛してる」なんかよりも

一度ギュッと抱きしめた方が早いだろう なぁ

俺みたいな恥ずかしがりは

こんな伝え方しかできないけど

本気で人を好きになった時に

台詞じみた愛の言葉なんていらないさ

俺は何も言わずに抱きしめるから

おまえは俺の腕の中で幸せな女になれ

 

Uh hold me tight. You make me happy shalala la la.

 

my sweet sweet honey 俺は今タバコをふかし

空想するんだ幸せな二人を

お前も同じ夢物語 考えてくれてるといいな

Iaughin' Iaughin' on笑ってたい

 

楽しい暮らし 上がり下がりする未来

ヤなことがありゃいい事もあるはずだし歌いながら歩こうよ

 

とっておきの言葉を熱く甘い言葉を

おまえがほしがってるんならできるだけ等身大で

いつもの喋り言葉で伝えていきたいんだよ

百万回の「愛してる」なんかよりも

ずっとずっと大切にするものがある

おまえのために何ができるだろう

一人暗い部屋で考えてたけど

本気で人を好きになった時は

頭ひねるより腹くくるしかない

始まりはいつも抱きしめたいっていう気持ち

それを行動に移すこと』

 

リサ視点

「まさに不器用な男の子のラブソングって感じ」

不器用だからこそ日常でいつものように自分らしい言葉で伝えようとするそんな不器用さが目立つけれど、本気で好きになったら一生懸命相手のことを考えてくれる事が素敵だと思った

 

 

『おまえがなにかに傷ついた時に

おまえが自分を責めてしまう時に

俺はギュッと強く抱きしめるだろう

そして耳元でこう言うだろう

「人間ってそんな立派なものかい

人生ってそんなかっこいいものかい」

誇れるものだけじゃないさ人間だろう

全部抱きしめてほら顔上げなよ

 

百万回の愛してるなんかよりも

そばにいるだけで温もり感じられるから

百万回の愛してるなんかよりも

抱きしめ合うだけで強くなれる気がするから』

 

歌い終えるとリサが拍手を送ってくれた

「盛大な拍手をありがとう」

「いや〜嬉しいよな〜ってあんな不器用ながらにも自分の言葉で精一杯等身大で伝えようとするって良いな〜って光らしさもあって光がそれを誰かに届けたら相手は間違いなく嬉しいだろうなって」

「そうだといいけどね〜、この曲は好き嫌いあるからさ」

「アタシは好きだよこの曲」

「まぁ、あえてこう言う言い方するけど、もし仮にリサに告白するなら違う曲を選ぶね」

「どんな曲?」

「福山雅治の蛍とか、それこそ魔法の絨毯とかね」

「backnumberは?」

「オールドファッションかな?」

「それがいい!それ聴きたい!」

「じゃあ、歌うね」

俺はデンモクを操作し曲を入れて歌っていく

 

『よく晴れた空に雪が降るような

あぁ そう 多分そんな感じだ

変な例えだね僕もそう思うよ

だけど君はそんな感じだ

 

一体どこから話せば君と言う素敵な生き物の素敵さが

今2回出た素敵はわざとだからねどうでもいいか

 

単純な事なんだ比べるまでもないよ

僕に足りないものを全部

君がもちあわせていたんだ

悲しくなるくらい あぁ それを今数えていた所だよ

 

不安とか迷いでできている僕の胸の細胞を

出来るなら君と取り換えて欲しかった

花は風を待って月が夜を照らすのと同じように

僕に君なんだ

 

デコボコしてても並んで歩けばこの道がいいと思った

お祝いしようって君が

なんにも無い日に言い出すのは決まって

僕がバレないように落ち込んだ時だ不甲斐ないね

 

肝心な所はいつも少し君の真似をして

はずれでも優しい答えが出せるように

鳥は春を歌って

いつだってそれに気付いている君に

僕はなりたかった

 

君と見た街は夜空はどう映っていたんだろう

君は後悔してないかな

ねぇちょっとそんなのどうだっていいの

ドーナツ買ってきてよって君ならそう言うだろうな

 

単純な事なんだ誰がなんと言おうと

どれだけの時間が巡ったとしても

風は花を探して

夜と月が呼び合うのと同じように君には僕なんだ』

 

「やっぱり良いね!光が選ぶ曲って不器用だけど、気持ちはストレートに感じるような曲ばっかりでさ」

「俺は何かを伝えるのってすごく苦手だから、曲を使って演奏で伝えるんだ」

「前にも言ってたもんね!さて、光にばっかり歌わせてないでアタシも歌おっと」

そうして俺とリサは交互に色んな曲を歌い時間5分前となる

「光、最後にbirthdaysong1曲お願い!」

「了解」

 

俺はbirthdaysongを選択し歌っていく

 

「タイトルは誕生日」

 

『誕生日のことは覚えていますか?

ろうそくのにおい胸にためた

あなたのことをお祝いしましょう

あなたである今日と明日のために

 

生きてきたようで生かされてる

そんな私であってあなたである

おめでとう今日まで辿りついたんだよ

つらいことの方がよくあるけれど

ありがとう理由は何もないんだよ

あなたという人がいることでいいんだよ』

 

リサ視点

 

「どうせならこれも本人の演奏で聴きたかったな」

目を閉じて聴こえてくる歌声に耳をすます

 

 

『もらったものを覚えていますか?

形ないものもありました

特別ではないものが特別になって

あなたを幸せにしたこともあったでしょう

 

何もできないなんてことは私にもないしあなたにもない

 

おめでとう奇跡があなたなんだよ

暗闇に灯ってる火のように』

 

リサ視点

「誕生日に歌って貰えたら超嬉しいやつじゃん!」

最高のbirthdaysongだと思いながら曲を聴いていく

 

 

 

 

『ありがとう手のひら合わさられるのは

あなたがこうしてここにいるからなんだよ

 

おめでとう今日まで辿りついたんだよ

思い出がまたひとつ増えました

 

ありがとう理由は何もないんだよ

あなたという人がいることでいいんだよ』

 

birthdaysongを最後の1曲にカラオケの時間は終わりを告げた

 

「あぁ〜歌った歌った!光の歌うLovesongもbirthdaysongも最高だった」

「気に入って貰えて良かったよ、演奏でしか伝えられないものってあるだろうしね」

「光がLovesongやbirthdaysongを大切にする気持ちがわかった気がする」

「それが伝わってよかったよ、この後どうしたい?」

「今年もプリクラ撮りたい!」

「じゃあ、ゲームセンターに行ってプリクラ撮ってその後俺の家で夕飯とケーキ食べてキミ記念日演奏してって感じかな?」

「それでいいよ!光、夕飯は?」

「ビーフシチューかな」

「超楽しみ!もう仕込んであるの?」

「あとはルーを入れるだけ、ルーも拘って厳選したから楽しみにしてて」

「至れり尽くせりだ」

2人で話しつつゲームセンターに行きプリクラを撮った

今回もラスト1枚はお姫様抱っこで撮影し落書きタイムを終えて2人で写真を共有した。

「お姫様抱っこってやっぱりちょっとこわいよね」

「やる方もやられる方もお互いね」

「でも光はアタシの事軽々持ち上げてくれるよね」

「リサは軽いから」

「アタシ女子の中では平均より身長も体重もある方だよ?」

「女子の平均を知らないからだけど男子と女子で筋肉の付き方とか違うだろうし、俺は楽器色々やる分それなりに力も必要なんだよ」

「あぁ、納得。光はそうだよね」

「俺に限ればね、さぁ行こう!」

「うん!」

そうして俺達は車に乗り俺の家に向かった

しばらく車を走らせて俺の自宅に到着した

車を停めエレベーターで部屋のある階に行き自宅の鍵を開けて家に入る

「くつろいで待っててなるべく早く準備するから」

「なんかDVD観てもいい?」

「デッキに江ノ島プリズム入ってるからそれ観てたら?」

「どんな話だっけ?」

「江ノ島が舞台のタイムリープ系青春映画」

「切ない?」

「ラストはかなり」

「観てみよう!」

そうしてリサが映画を観ている間に俺は鍋を火にかけ沸騰するのを待ちつつ付け合わせの準備をする

そして鍋の中身が沸騰したのを確認してルーを入れていき完成したビーフシチューを皿によそいテーブルへと運ぶ

「出来たよ、付け合わせにパンとサラダね」

「美味しそう!いただきます!」

「召し上がれ」

「美味しい!風味がしっかりしてて後味もくどい感じしないし超美味しいよ!」

「お気に召したようで何よりだよ」

そうして2人で映画を観つつ夕飯を食べた後いよいよケーキタイムとなる

「birthdayケーキの時間だよ」

「待ってました!」

俺はロウソクに火をつける

「さぁ、火を消して」

「うん」

リサがロウソクの火を吹き消す

「これは俺からのプレゼント」

俺はリサにバースデーカードとCD、そして羽の飾りを一つ渡す

「ありがとう!大事にするね!バースデーカードのメッセージ見てもいい?」

「どうぞ」

メッセージには忘れられない年になりますようにと書いてあった

「やっば!感極まって泣きそうなんだけど」

「泣くのは演奏の後ね、じゃあ演奏しますキミ記念日」

 

『Happybirthday! ずっとずっと一緒に祝ってゆこうこの

キミ記念日1/365主役は大好きな君

生まれて来てくれてアリガトウ!』

 

リサ視点

 

「生まれて来てくれてアリガトウって言われたら誰でも嬉しいよね」

誕生日に贈られるBirthdaysongとしては最高だと何度聴いても思う

 

『宝くじを買って一等が当たるより奇跡的な確率の中

2人は出会えたんだそれなのに

「生まれてこなきゃ良かった。」なんて泣いてたコトも…。

今日は忘れよう何より大切な日

「君が居れば他になにもいらない!」と本気で思ってんだ

って君に伝えようか でも笑うだろう?

Happybirthday!ずっとずっと一緒に祝ってゆこうこのキミ記念日1/365主役は大好きな君

だから何度だってhappybirthday!ずっとずっと

「おめでとう」を贈るよもっと幸せの涙君に訪れるように

生まれて来てくれてアリガトウ』

 

リサ視点

「幸せの涙君に訪れるように…か、幸せの涙はどんなだろう?」

きっと素敵な仲間に囲まれてこうして祝ってもらえた時に出るものだろうと感じた。

 

 

『You&I 逢えない時もあるけれど

いつも君の変化には気付いてるよ

いっぱいいっぱい状態のクセに「平気だって」の一点張り

大丈夫だよ帰る場所はここにあるよ

君が生きていてくれるだけで

変わらないでそこにいるだけで

泣けるくらいに愛しいってことを忘れないでいてよね

Happybirthday!ずっとずっと一緒に祝ってゆこう

このキミ記念日1/365主役は大好きな君

だから何度だってHappybirthday!!!ずっとずっと

「おめでとう」を贈るよもっと幸せの涙君に訪れるように

生まれて来てくれてアリガトウ!

生んでくれたパパママに感謝今日くらいは素直になろうよ

出会えた大好きな人達に乾杯!

辛い時は朝までとなりで分かち合って支えあって来たよね

午前0時1番に笑顔を君に… キャンドルの光消しても

想いは絶対消さない

Happybirthday!ずっとずっと一緒に祝ってゆこう

このキミ記念日1/365主役は大好きな君

だから何度だってHappybirthday!ずっとずっと

「おめでとう」贈るよもっと幸せの涙君に訪れるように

生まれて来てくれてアリガトウ!』

 

リサ視点

演奏が終わるとアタシは光に向けて盛大に拍手を送った

「光自身の演奏で聴かせてくれてありがとう最高の誕生日だよ!」

「喜んで貰えて良かったよ、年に一度の大切な時間を独占させてもらうわけだからね、最大限楽しんで貰わないとね」

「超楽しかったよ!」

「ならよかった、さぁ、ケーキ食べよう!」

「うん!」

そうしてケーキを食べた後私は光に家まで送ってもらった

「今日は本当にありがとう」

「リサが喜んでくれたならそれが一番だよ」

「うん!本当にありがとうね!」

アタシは今日何度目かになるお礼を言った

「別に気にしなくていいって!じゃあ、またね」

「うん!また明日!学校で!」

光が車に乗って帰っていくのを見送って家に入る

「おかえりなさい」

「友希那!来てたんだ」

「光と出掛けるのは聞いてたから私からも簡単にお祝いするつもりだったのよ」

「ありがとう!一緒にケーキ食べよう!」

「えぇ、そうね」

アタシ達は部屋に行きケーキを食べながら光がくれたCDを聴いている

今回も光は色々考えて頑張れって気持ちと味方だよって想いを込めて曲を選んでくれていた

1曲目がHappiness

サビが特に印象的でどんなに小さなつぼみでも

一つだけのHappinessって歌詞が素敵だなと思った

2曲目が夢ノート

これはまさに夢物語って言うかタイトルのまんまだなと思った。

最後は夢で埋めた1ページを紙飛行機で飛ばすシーンが浮かんできた。

3曲目はかけがえのない詩

 

そばにいてや泣かないでと何度も告げるそれが全て自分に向けられてるようでそれがすごく嬉しかった

そして同時に懐かしい気持ちにしてくれる曲だと思った。

 

4曲目は蒼く優しく

時には立ち止まっても良いよ、それでも夢を追う事を諦めないでって言われているようなそんな曲だった。

 

「ここまでの4曲は考えられてるわね、1曲目は前向きに頑張れと応援しているような感じがあって2曲は積み重ねの大切さや夢を持つ事の大切さ、3曲目で味方がいることの大切さと後ろ向きな気持ちとの向き合い方、4曲目でその全てを思い返しつつ立ち止まって考える事、諦めない事を歌っているのね」

「光なりに考えてくれてたんだよね、友希那が言った通りの意味が込められてるならさ」

「ラストの曲が教えてくれるわよきっと」

そしてCDから光の声が聞こえてきた

『ラストの曲はなんにしようか本当に悩みました。

そしてこの曲に決めました。聴いてください、RAM WIREで歩み』

 

『言葉を探しては諦めて自分の無力さをまた思い知るよ

僕らは思うよな大人になれなくて

新たな段差につまづいては擦り傷をつくってる

 

とっくに折れてたものをなにくわぬ顔で隠し続けてたね

もういいよ立ち止まってもいいよ

少し休もう

 

上手く歩かなくていいから

一歩ずつ君らしくあれ

僕らはしゃがみ込む度にそう

そこに咲く花を知る

 

ここはあの日見てた陽炎の向こう

どうしようもない事があるのを知ったよ

知らぬ間に僕ら遠くへきたんだね

時間に諭されながら引き返せない道を

 

西陽が落とす影が誰かに踏まれて何故か痛みが走る

大丈夫間違っててもいいよ信じてゆこう

 

ためらいながら一歩踏み出す

君の歩みよ強くあれ

長雨でぬかるんだ道に足跡を刻みゆこう

 

Hey you時に立ち止まり深く深呼吸季節の調べに

耳すませ身休ませ風まかせの明日へ

Ah生きてると実感湧く瞬間

浴びるsunshineと日々に感謝

降り注ぐこの街にも燦々

泥濘の中にパッと咲いた

On like a soul flower

僕らはそれぞれ違うから鮮やかなカラーで

新たな日を染め泣き笑うMy life

分かち合える喜び思わず綻び

その心に添える彩り手を取り

どこまでも共にさぁ、行こう

 

雨雲が過ぎ去って次第に辺りは晴れわたって

青く澄んだ空に重ね合うシンフォニー

 

 

うすむらさきの夜明け君を

撫でる風よ優しくあれ

消えゆく星に別れを告げ遥

な道をゆこう

 

上手く歩かなくていいから一歩ずつ君らしくあれ

僕らはしゃがみ込む度にそうそこに咲く花を知る』

 

「誕生日おめでとう。これからも前を向いて夢に向かって頑張ってね!俺はいつでも味方だよ!」

 

「このメッセージずるすぎでしょ!めっちゃ最高じゃん!」

「そうね、光らしいけれど、誰かに寄り添える演奏家であろうとする光という人間の一個性のような思いが詰まった曲ばかりだったわ」

「あぁ〜早く光に会いたいな〜会ってまた声が聞きたいな」

「明日が楽しみね」

2人で笑い合いまだ見ぬ明日へと思いを馳せるのだった。

 

 

 

 

 

 




74話誕生日イベントです。書くの大変でした。使った曲も誕生日イベントにしてはかなり多かったです
次回以降も主人公が色々関わっていくのでお楽しみに

次回「モニカと新たな挑戦」


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第75話モニカと新たな挑戦

目標としていたサークルのLIVEに出ることになったモニカに光がエールを送る


-光視点-

 

バイト中、受付カウンターの椅子に座り高人と2人楽器のメンテをしているとスタッフルームからまりなさんが1枚の紙を持ってやってきた。

「2人共、ちょっといいかな?」

「何かありました?」

「俺達に手伝える事ですか?」

「うん、またそろそろcircle主催のブッキングライブでしょ!そのLIVEに新しい子達呼ぶ事になったの」

「RASの皆ですか?」

「あの子達じゃなくて、別の子達だよほら!前に来てたモニカちゃん達」

「あぁ、あの子達ですか」

「そうそう!もう通達はしてるんだけど、順番的に最初になっちゃうの」

俺は何となく察しがついたが高人の方はまだピンと来てないような感じだった

「俺たちは何すればいい訳?」

「モニカにエールを送る!演奏でな」

「あぁ!なるほど!つまりあれか!モニカよりも先に出てエールをって事な!」

「そういう事!」

「2人共お願い出来る?」

「「もちろんです!」」

「頼もしい!さすがだね」

「とりあえず、LIVEに出る皆に招待状っていうかは送らないとダメですよね?」

「それはもうやってるよ!当日までに光君達は曲決めて完璧にしておいてね」

「了解です。」

「腕がなるぜ!」

俺と高人はさっそく演奏曲を決めるための打ち合わせをする

「何が良いと思う?」

「やっぱりエールになるような曲ってのは大前提だろ?前にやったバタフライはどうよ?」

「ん〜もう一声欲しいとこ」

「風はどうだ?」

「藤井風さんの?」

「いや、バタフライと同じ人のやつ」

「あぁ、和田さんの!良いかもね!」

「後、どうする?高人がもう一曲くらい決めてくれると助かるんだけどね」

「お前ほど音楽聴かないからな〜今のも何となく聞いた覚えが…って感じだった訳だしよ」

「でもさ、聴いたこと無くても弾ける?」

「1回普通に聴いて、その後は要所要所を聴きながら演奏していくし大丈夫だ」

「なら、wacciの宝物と、緑黄色社会のアーユーレディかな」

「OK!その3曲な!てか、光はもう弾けるのか?」

「1人ならなんとでもなるよ、高人と2人でやる時はまた別で周りの音しっかり聞かないと」

「まぁたしかにな、1人でやる場合と2人だったり大勢だったりするとまた違うからな」

「そういう事、だから高人も最低限弾けるようにしておいてね」

「任せろ!」

そうして曲を決めた俺達は改めて練習時間を相談することにしてバイトに勤しんだ。

 

 

 

-モニカ視点-

 

私達のところに嬉しい知らせが届いた。

「サークルのLIVEの招待状が届いたよ!」

「やっとか!結成してからの目標がやっと1つ達成されたな!」

「そうだねぇ〜でも、出番は初出場の人が1番最初ってなってるよ」

「ホントだ!どうしよう!?今から緊張する!」

「今から緊張しても仕方ないわよ、それよりも、サークルに行って事前にステージの環境とか色々知っておいた方がいいんじゃないかしら?」

「とは言っても今日はここに集まっちゃったし、時間的にも明日の方が良いんじゃない?」

「そうね、明日からLIVEまでの間はサークルで練習しましょう。おそらくあの人もいるはずだし」

「また練習見てもらおう!夏休みにあの人の演奏聴いて以来だから半月ぶりくらい?」

「そうなるわね、また演奏聞かせて貰えるかな」

「きっとLIVEに参加するわよ」

そう話しつつ皆で練習するのだった。

 

 

-次の日・学校-

 

俺達は今日もイツメンで集まり話している

 

「今回もLIVE出るんでしょ2人共」

「出るよ」

「もちのろん!」

「新しい子達も出るのよね?」

「その子たちがバンド演奏の1番最初だからね、俺達が先頭に立ってちょっとだけ応援するつもりなんだよ!」

「今回はその子達や皆に演奏頑張れって曲を通して伝えるつもり」

「楽しみ!」

「どんな曲を使うのか、どんなイメージが見えるのか楽しみだよね」

「そうね」

「まぁ、期待しててよ」

そんな話をしながら1日を過ごし学校での1日を終えて俺はバイトに向かった。

 

そして受付にいて演奏する曲を聴きながらぼーっとしているとモニカの皆がやってきた

「こんにちは、光先輩!」

「こんにちは、練習して行くんだよね?」

「はい、circleで演奏する感覚って言うかを知っておきたくって」

「なるほどね、ならステージ使わせて貰えるよう頼んでみるよ」

「良いのか先輩!?」

「聞くだけタダだから気にしないで」

俺はスタッフルームにいるまりなさんにステージを使わせて貰えないか交渉するとあっさりOKが出たのでモニカの皆をステージに案内する

「ここで演奏するんだよね」

「だな」

「楽しみな反面緊張が……」

「リラックスリラックス〜」

「今から緊張してどうするのよ」

「そうなんだけどね〜」

「大丈夫だよ!当日は緊張してる暇なんて無いからね」

「どういう事?」

瑠唯が問いかける

「俺が緊張なんて吹き飛ばしてあげるよ」

「それは貴方も出るということ?」

「俺、ここのLIVE普通に出てるし」

「そういえば前も最後に演奏してましたよね」

「今回は1番最初だからね、楽しみにしてて!さぁ、練習しよう!見てあげる」

それからしばらく練習しモニカの皆は帰っていき俺達もその後時間をもらい練習に勤しんだ。

 

それからLIVE前まではモニカの皆の練習を見てアドバイスし

たりと日々を過ごして当日を迎えた

 

 

-LIVE当日-

 

circleで行われるLIVEには毎回参加するメンバー達の他にモニカの皆が揃っていた。

「出番まだなのに緊張する!」

「目標だったからねここでのLIVE」

「目標達成おめでとう会しよっか!終わったら」

「良いね〜!」

「終わってから考えましょう」

そうして皆で話していると香澄先輩が声をかけてきた

「皆緊張してる?」

「香澄先輩!ちょっと緊張してますけど、楽しみでもあって」

「楽しむのはいい事だよ!キラキラドキドキしよう!」

「キラキラ…ドキドキ」

「そう!それにね!私達も含めて''バンドとして''1番最初に出るのは確かにましろちゃん達かもしれないけど、本当の意味で1番最初はあの人達だよ!ステージ見てて」

言われて私達はあの人がいるステージに目をやった

 

 

光視点

俺達は準備万端でステージに立つ

「高人、準備は?」

「何時でもいいぜ!相棒!」

「じゃあ、改めて行くぜ!」

俺達をスポットライトが照らす

「こんにちは、サークルのLIVEにようこそ!今回は俺達2人

光と」

「俺、高人が1番最初に演奏します。」

「じゃあ、1曲目!風!」

 

『雲を抜ける強い風になろう

純粋(まっすぐ)な気持ちになれるはず

大人ってなんだろう常識ってなんなんだろう

もっと大切な事あるんじゃない

 

flytotheSkyこの気持ち

現在(いま)時空(とき)を超えて

YourLuck悠長に待ってるだけじゃつまらない

 

Take achance

誰より早く掴みにゆこう

溶け出すほど今熱くなれ

生まれたての翼を見せつけるんだ

その瞬間にすべてに始まるmyheat』

 

 

モニカ視点

 

「チャンスは掴んでこそって事かな」

「待ってるだけじゃつまらないか」

「良いね!緊張なんて吹っ飛ぶじゃんか!」

「初めて歌ってくれた曲とは違うけどワクワクしてくるね」

「狙ってるのよきっと緊張なんて忘れさせようってね」

私達は既に緊張を忘れていた

 

 

 

 

『空を包む夢の風になろう

本当の光気づくはず

世間なんてさムードない話題の後

盛り上がってはまた愛想笑い

 

breakin'a timeこの街じゃ…

まだ見つかんないけど

never mindそれでもね

どこまでもねゆくんだよ

 

Take a chance

心のままに確かな鼓動

その未来を感じていたい

眩しい光の中を突き抜けるんだ

その瞬間にすべてが変わるmyheat

 

モニカ視点

もうすぐ1曲目が終わってしまうけど、楽しみでもある

 

「終わっちゃうね」

「だな〜」

「まだ先があるって思うとワクワクするよ〜」

「きっと素敵な曲が待ってるよ」

「決まってるわね」

終わってしまうのが惜しい反面楽しみでもあった。

 

Take a chance

誰より早く掴みにゆこう

溶け出すほど今 熱くなれ

生まれたての翼を見せつけるんだ

その瞬間にすべてが始まるmyheat』

 

1曲目を歌い終えた俺は話し出す

 

「1曲目は風、皆さんに盛り上がって欲しかったのと、この後に控えてる皆へのエールになればと思い歌いました。」

「ちなみにこの曲は俺が選びました!楽しんで貰えましたか?」

歓声が上がったので皆楽しんでいるようだ

「じゃあ、次の曲にいきます!」

「次はどっちだ?」

「宝物!」

「OK!」

「俺はキーボードとギター兼任するから任せるよ!」

「あいよ!」

高人がリードしていきそれにのせてキーボードを弾いて行き

歌っていく

 

『泣きながら励ましあったあの夜のことを覚えてる

名前を呼び合うだけで一人じゃないんだと思えたんだ

 

夢はいつだって近づけは近づくほど

遠く感じるもの だけど君とならきっと

 

君との出会いが君の笑顔が

僕を強くしてくれたんだ

小さな勇気を差し出しあって

乗り越えた日がいくつもあったね

広い世界で見つけた僕の宝物だよ君は』

 

モニカ視点

今でも簡単に思い出せる私達が過ごした長いようで短い時間

「いいなこれ!」

「私達のためなんだよね」

「皆の為だよ」

「だとしても、思い出の曲になりそう」

「そうなりそうね」

実際に私達にとっては思い出の曲になると感じていた。

 

 

『誰かが見てくれているってそう思えるようになったのは

頑張ってるねってあの時君がそっと言ってくれたからだよ

 

君にとって僕もそんな人になれてるかな

まぶたを閉じれば浮かぶ一筋の光

 

君との出会いが君の笑顔が

僕を強くしてくれたんだ

そばにいるんだって思えるだけで

暗闇の中手探りでも立ち上がれる』

 

モニカ視点

 

お互いが頼れる存在だと歌われているようなまさにそんな感じの曲だと思った。

 

「いい曲だよね」

「ホントな」

「私達の思い出の曲になる事間違い無しだね」

「そう思える曲だもんね」

「大事にしたくなる曲ね」

皆にかけがえのない曲になるなと全員が思った。

 

『君との時間が君の言葉が

僕の背中押してくれたんだ

いつの日か僕ら変わっていっても

決して消えない大切な日々よ

 

 

君との出会いが君の笑顔が

僕を強くしてくれたんだ

この先にどんなことがあっても

心の中じゃきっと繋がってる

広い世界で見つけた僕の宝物だよ君は』

 

「ここまで2曲演奏してきました。この曲は人と人とが出会ってその出会いが宝物になっていくそんな曲だと思ってます」

「まぁ、そんな曲だわな」

「高人との出会いだって俺にとっては宝物だよ」

「もちろん俺もだ!」

そう言って拳を打交わすと歓声がさらに大きくなった

「それじゃあ、ラストの曲アーユーレディー」

「行くぜ!」

俺達はツインギターで演奏し歌っていく

 

『アーユーレディー僕らは夢をたぐり寄せて

旅を始めようまだ迷うってしまうけど

世界へ未来へ飛び出していこう』

 

モニカ視点

ラストの曲はまさに旅立ちそして気分を最高にあげてくれる曲だった

「テンション上がる!」

「ノってきた!」

「テンション上げ上げだ〜」

「気分が上がる!」

「間違いないわね」

そう言いながら皆曲を聴いていく

 

 

『声に出せば言霊があるね

君とふたり薄暗い部屋の中

 

恥じらいながら語り明かした夜を放て

アーユーレディー僕らは夢に怯えていたから

繋がっていたんだね

 

どうしたいの?息が止まったとき

最期が迫ったとき

やり残してしまえば何を思うの?

君と選んだから君と望んだから

始まってもないこの世界が愛しいんだよ

届きそうだどんな未来も君となら

 

握りしめた無名のパスポート

ここから僕ら何者にでもなれる

 

痛む日々よ翔け上がる羽となれ

 

ただ怖い怖いと夢を隠した

だってだってねこの命は

1度きりだけど1度きりだから

どうかどうかこの道の果て

幸か不幸か秤にかけて

心のどこかで迷ってる

(アーユーレディー僕らは

アーユーレディ僕らは)

 

アーユーレディ僕らは夢に踊らされながら

本気のステップでまだ見ぬステージへ

 

どうしたいの?

息苦しい夜に

生きがいがあったなら

始まってもない朝日がきっと昇るよ

君を選んだから

君を望んだから

取るに足らないこの世界も愛しいんだよ

届きそうだどんな未来も君となら』

 

「俺達からの演奏は以上です。次は初登場の子達が演奏しますので楽しんで行ってください」

 

俺達はステージ袖に下がるとモニカの皆に声を掛けられた

「先輩!ありがとうございました。緊張吹き飛びました!」

「俺達は演奏しただけ、ここからは任せたよ」

「見てろよ先輩!ぎゃふんと言わせてやるからよ」

「最高のステージを見せてあげます」

「見ててちょうだいね!」

そう言ってステージへ向かっていった

 

そしてまだ少したどたどしい自己紹介と共に演奏が始まった

 

そして俺の隣にイツメンが並んだ

「ひ〜くんあの子達って…」

「光が口説いた子達ね」

「いやいや、違うって!」

「まぁ、でも光が背中を押してあげた子達でしょ?」

「俺はきっかけを作ったに過ぎないよ、それから頑張ったのはあの子達だから」

「お前はいつもそうだよな、なんつーか自分はにもしてませんって感じでよ」

「良いんだよ、きっと俺がいてもいなくても本当の仲間なら向き合い方とかで変われたさ」

「そうだとしても、少なからず影響を与えているわよ」

「だといいけど」

そう話しつつモニカの皆の演奏を聴く

そして3曲演奏し終えると会場は大きな拍手に包まれた。

「ありがとうございました!」

モニカの皆が礼をしてステージ袖に戻ってきた

「どうでした?」

「良かったよ!なんて言うか、凄くモニカらしさに溢れてたよ」

「私達らしい演奏だったって事かしら?」

「そうだね瑠唯のバイオリンがより世界を幻想的にしてた」

「なら嬉しいわね、私の演奏が世界を広がってるってことだもの1度貴方のバイオリンも聴いてみたいわね」

「さすがに瑠唯には適わないかな」

「貴方は本気を出せばこの場の誰より凄いじゃない」

「そんな事無いよ、俺は俺にしか出来ない事をしてるだけだから」

「まぁ、なんにせよ貴方には今回も助けられたわ、いつか何らかの形で返すわ」

「まぁ、期待しておくよ」

そして全バンドの演奏が終わりLIVEは成功モニカにとっても良い思い出になったのだった。

そしてモニカの次の目標はサークルのLIVEのトリを飾ることに決まったそうだ。

「難しいだろうけど頑張ってね」

店の前の掃除をしながら空に向かって呟くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 




75話目になります。他のバンドメンバーがあまり登場してませんしモニカの曲も使われてないですけど、一応モニカメインです。
ゲームで最低限を知ってるだけなので上手く書けてるかわかりませんしモニカファンの皆さんにはごめんなさい
次回はパスパレのイヴをメインにパスパレメンバーとの交流を書いていきますのでお楽しみに

次回「パスパレとコスプレイベント」


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第76話パスパレとコスプレイベント

光は相棒を巻き込みパスパレメンバーと共にコスプレイベントに参加する


とある休日、俺はパスパレのサブマネージャーのアルバイトを頼まれてパスパレが普段から練習に使っているスタジオに顔を出した。

「おはよう。今日一日よろしく」

「おはようひ~くん!そんでもって遅〜い!」

「あのさ、一応はマネージャーなんだし今だけひ〜君呼びやめない?それに時間はピッタリだと思うけど」

「えぇ〜ひ〜くんはひ〜くんだし~良いじゃん!」

「公私の区別は大事だよ、きっちりするとこしないとね」

「一理あるわね、まぁでも、同い年だし多少遠慮が無くなるのは許してね光」

「まぁ、言葉使いをある程度気を付けて貰えれば良いからさ」

「当然ねさすがに私達は大丈夫でしょうけど、日菜ちゃんが一番心配ね」

「同意」

「ひ〜くんも千聖ちゃんも酷~い!」

なんて話しながら皆で笑い合う

「とりあえず今日って何するの?俺、バイトで呼ばれはしたけど、特に撮影とか入ってないよね?」

「今日は練習見てもらうつもりだったのよ、それと…」

千聖は苦笑しながら少し奥に座っているイヴを指さす

俺は視線を向けると何やらため息をついているイヴ

「あれ、なんかあったの?」

「あぁ~実はね、楽しみにしていたイベントがあったらしいんだけど、急遽オフの予定だった日に仕事が入っちゃって行けなくなっちゃったの」

「あぁ~それで落ち込んでるってこと?」

「それだけじゃないみたい」

「というと?」

「そのイベントで時代劇体験も出来るらしくてそれが一番楽しみだったらしいんだ」

「なるほどねぇ〜つか、それの何が問題無わけ?」

「「「「え!?」」」」

「光、話は聞いていたわよね?」

「もちろん!」

「……とりあえず今の説明を理解してるのか確認していい?」

「急な仕事が入ってオフの日がダメになったって言うか別な日になったんだよね?それで楽しみにしてたイベントにイヴが行けなくて楽しみにしてた分ショックが大きいくて今も引きずりがちって事でしょ?」

俺は皆から聞いた説明を繰り返す

「それでなんで問題ないって言えるのよ!」

「まず確認するけど、イヴって日本の侍とか忍者とか好きなんだよね?」

「えぇ、そうね」

千聖に続き皆も頷く

「ならさ、別なイベントでせめて衣装だけでもいいから着せてあげられたら多少なりとも満足出来るんじゃない?」

「他のイベントって?」

「コスプレイベント!」

「「「「あぁ!!」」」」

「まずもってなんでそんな単純な事に思い当たらなかったの?」

「そこまで思いつかないわよ普通」

「でも、光君そのコスプレイベントって出るのには会場はもちろんだけど、衣装も必要だよね?」

「市販である程度売ってるし、専門店行けば手作りする必要も無いけどある程度手作りしたいなら俺と、高人の姉貴に頼めばなんとかなるかな?」

「光、裁縫も出来るの?」

「ちょっとだけね、俺こっちに来る前1年だけ地元の高校にいたのは皆知ってるでしょ!」

皆が頷く

「その時結構な頻度で高人の家出入りしててさ、高人の姉貴にね『あんた、ギターやベースできるくらいに器用ならウチの愚弟より使えそうね』って簡単な裁縫術仕込まれたんだそれ以来暇が出来たら指のトレーニングがてらにちょっとした小物くらいなら作れる様にはなるからやってる」

「「「「…」」」」

「光、あなた完璧過ぎやしない?」

「どこが?」

「ひ〜君、勉強出来るよね?」

「そりゃね、一応学校が進学校な訳だし」

「スポーツもそれなりに出来るよね光君」

「多少の得手不得手はあれど」

「それで楽器は色々出来るよね?出来る楽器上げてみて」

「バンドでやる楽器全部にバイオリンとハーモニカ、後は三味線と…あ!夏休みの間にアコーディオン覚えた」

「あなたねぇ~…ハァ、まぁいいわ、他に料理も出来るわよね?」

「多少は?」

「これで裁縫が出来る時点で完璧と言う以外何があるのよ」

「興味があること以外に無頓着なろくでなし?」

「ろくでなしじゃなくてこの場合鈍感と言うべきかしらね」

「ん〜ひ〜君の場合気付いててあえて乗らないというか…計算尽く?」

「「納得だよ(だわ)」」

「なんかディスられてない?」

「「「気の所為ね(だよ)」」」

「う〜ん…」

俺はなんとも言えない表情を浮かべ苦笑する

「とりあえず、光君、イヴちゃんに声を掛けてあげて欲しいですね、光君から説明と言うか提案すればイヴちゃんも多少は元気になるんじゃないかと」

「了解、多少の助け舟はお願いね」

「任せてください」

麻弥さんと打ち合わせして少し離れているイヴに声をかける

「イヴ、ちょっと良いかな?」

「なんでしょう?」

「あぁ~イヴ元気なさそうだったから事情聞いたんだ、それでさ、提案なんだけどさ、コスプレイベントに興味無いかな?」

「コスプレイベントですか?」

「そうそう!イヴさ忍者とか侍とか好きだよね?アニメにももちろん忍者や侍があるのはわかるよね?」

「はい」

「その衣装着て、イベント出てみないって提案なんだけどさ

忍者や侍の衣装なら市販の買ってちょっとだけ調整すればそれなりのものが用意できると思うんだ、もちろんイヴが楽しみにしてたイベントに比べたら楽しみにしてた分残念さと言うかは残るだろうけどさどうかな?」

「それは楽しみです!忍者か侍の衣装が着れるんですよね!」

「そうだね、もちろん忍者か侍かは選んで貰わないと、アニメを選定しないとパスパレの皆にある程度そのキャラを知ってもらう必要があるし、別々の衣装を用意しないといけないからね」

「なるほど、私は忍者希望です!」

「了解、ちなみにその髪を隠すことになるけど平気?」

「大丈夫です!忍者なら仕方ないと思います!」

「あぁ~その侍っていう感じじゃないけど、男性キャラならこっちでその髪を活かせるんだけど」

俺はスマホで画像を見せる

「素敵ですね!こっちも捨てがたいです!」

「まぁ、とりあえず考えててね!皆は?」

「例えばだけど、魔法少女とか出来る?」

「彩ならまどマギの主人公で問題ないよ」

「何それ?」

「あぁ、知らない?」

「アニメの名前は知ってるけど、どの子がどんな名前なのかはちょっとわかんない」

「あぁ~それもそっか!わかった!じゃあこうしよう!イベントそのものまで今日入れて後、約2週間あるから衣装の事を考えて大雑把で良いからさこんな格好してみたいっての決めておいて!それにあったアニメ教えるから話数長いのもあるからある程度そのキャラの事を知ってくれる程度の認識で良いよ!」

「了解よ」

「あたしもOK」

「私も大丈夫!」

「私も問題ないですね」

「ドンと来いです!」

「じゃあ、切り替えて練習ね!ダメな所はその都度指摘していくからビシバシ行くよ!」

俺は眼鏡をかけて腕を組む

「ひ〜くん本気モードだ!皆覚悟しておいてね」

「どういう事?日菜ちゃん」

「友希那ちゃんやりさちーから聞いて知ってる程度だけど練習の時にひ〜くん眼鏡かけてる時は超厳しいんだって!」

「それって…」

その後私達はちょっと泣きそうになるレベルのスパルタ指導を夕方までみっちり受けてかなりクタクタになった。

その分自分達の演奏のクオリティがかなり上がったのはかなり自覚出来た今日だった。

 

それから私達は皆でどんな衣装が良いか話し合ってそれぞれが着てみたい衣装を決めたイヴちゃんはひ〜くんに見せて貰ったキャラが気に入ったみたいでそれに決めたみたい

彩ちゃんは魔法少女で千聖ちゃんが女騎士、麻弥ちゃんが忍者であたしは銃を使うキャラに決めた。

ちなみにひ〜くんは高くんを巻き込んでアニメの学校の制服を着るみたいでどんな感じになるのかちょっと楽しみだ

とりあえずキャラの要望をひ〜くんに送ってから私達は解散した。

 

 

-光side-

 

練習の後、俺はすぐパスパレメンバーと分かれ高人に連絡を入れてまっすぐ高人の家に向かった。

車で約一時間くらいで高人の家に到着し高人の家の駐車場に車を停めて高人の家のインターホンを鳴らすと高人がすぐに出迎えてくれた。

「来たか!とりあえず入れ、姉貴には話通してあるから」

「助かる!お邪魔します!」

家に上がりリビングに行くと高人の姉さんがソファーに座りファッション誌を読んでいた。

「姉貴!光来たぞ!」

「ん?もう来たの?早いね!久しぶりだな我が弟子よ」

「弟子入りしたつもりはないんですけどね、麗菜さん」

「何言ってるか!私がちょっと手ほどきしただけで簡単な物なら作れるようになったくせしよってからに!」

「まぁ、それは置いといて、高人から聞いてますよね?協力してくれません?」

「いいよ!最近大学の課題ばっかで退屈してたしこう言っちゃなんだけど腕試しにはちょうどいいってもんさ!」

「それで麗菜さん、見返りは何を要求します?さすがにタダでは無いですよね?」

「もちろんダダじゃないよ!私からの要求は私の学校の芸科祭にアンタら2人がモデルとして出てくれたらそれで良いよ!」

「俺もかよ!正直俺要らなくね?光いれば十分だろ!」

「何言ってんの!協力の見返りなんだからアンタも協力する!」

「へいへいわぁーったよ!面倒な事巻き込みやがって」

「さすがに俺1人コスプレすんのもね」

「パスパレいるだろうが!」

「男子一人なのが嫌なんだよ!良いから付き合え!」

「とりあえず、皆、それぞれ着てみたい衣装は決めたみたいなんでそれにあったキャラですね!」

「そうね、じゃあ一人一人写真付きで名前教えて」

それから俺と高人と麗菜さんで打ち合わせし皆のキャラが決まった。

それから俺は高人と一緒にパスパレの皆に皆がコスプレするキャラが出ているアニメを進めまずは目を通して貰いその後衣装または衣装用の生地やら小道具やらを皆で買い集めた。

それから皆に麗菜さんを紹介し麗菜さんに衣装制作を頼み俺は小道具の作成と衣装の最終調整を担当し高人には力仕事を任せた。

そして麗菜さん協力の元イベントまでに全員の衣装を揃えた。

 

イベント当日

 

俺達はイベント会場に到着した。

「さすがに人多いね」

「そりゃな、こういうイベントはかなり人多いぜ衣装を着る人をレイヤーって言うんだけどレイヤーさんだけじゃなくて

特定のレイヤーさん目当てに来てるカメラマンさんとかもいるし好きなキャラをそれなりに撮りたいってカメラマンさんとか、後はレイヤーさん同士で写真撮り合ったりもするからかなり人は多いだろうな」

「高人君詳しいね」

「衣装の勉強の一環だって姉貴にこういうイベントにも付き合わされることあるんだよ」

「へぇ〜それで詳しいんだね」

「あぁ、ちなみに光はちょくちょく姉貴の服のモデルやってるぜ」

「そうなの?」

「たまにね、今回はアレだけど、普段は小遣い稼ぎのちょっとしたアルバイトになるからね」

「高人君、あなたのお姉さんって服飾系の大学生よね?私の勝手な思い込みなのかもしれないけど、学校の課題の時はこの生地を使ってとか指定されるからアレなのかもしれないけどそれこそ芸科祭?だったかしら?その時とかは衣装代とか自腹なのよね?」

「ん?あぁ、白鷺、遠回しに言ってるけど姉貴の金銭面の事気にしてる?」

「えぇ、ストレートに聞くのもはばかられると思ったのよ」

「そう言う事か、姉貴確かに普通のアルバイトはしてるけど、それ以外でも自作の服ネットで売ってたりするから光のバイト代位は問題無いんだよ、バイト代ったって日雇いバイト扱いだからそんなに大金貰うわけじゃないからな」

「納得したわとりあえず各自衣装に着替えてまたここ集合で良いわよね?」

「俺達は構わないよ」

「あぁ問題ない」

「ならそうしましょう!」

そうして俺達は更衣室に向かった

「光、俺達は2着あるけど、どのタイミングで着替えるんだ?」

「演奏するからその前だねそれまではこっちの家庭教師ヒットマンの並盛の制服な」

「アレ、設定上は中学生だぞ!高校生の俺らが着て良いのか?」

「そこ気にするのかよ!なんなら逆にするか?今日演奏予定の曲はこの家庭教師ヒットマンのオープニングの曲2曲とイノハリのエンディングのアレグロだからな」

「そうすると難しいところだよな、イノハリは設定上学校の軽音部って名目があるからいいんだろうけどよ演奏曲考えるとこっちの方が良いような気もするしな」

「なんなら俺と高人で衣装分けるか?」

「あぁ、それいいな!演奏の時は俺、イノハリの学校の制服着れば良くね?お前はイノハリのスーツ着てくれたらいいんじゃないか?」

「じゃあそれで行くか!」

「だな!てか、光はキャラ何のキャラのつもりだ?」

「主人公かな」

「無理あんだろ!俺は一応雨の剣士のつもりだけどさ」

「て言ってもそのつもりだったし嵐の守護者とか晴れの守護者にも向かないぜ他2人は衣装の問題で無理だろ」

「…消去法で主人公しかないわな…」

「だろ!まぁ、とりあえずグローブも用意してハイパー死ぬ気モードでやるつもりだからさ」

「聞いてねーよそこまで!」

その後も2人でやいのやいの言いながら着替えを済ませパスパレの皆と合流する

「皆、おまたせ!」

「やっと来た!ひ〜くん遅い!」

「まぁまぁ、とりあえず皆完璧みたいだね」

「名目上は仕事だもの!演技の仕事として頑張るわよ」

「まぁ、当然だね、さぁ!イベントを楽しもう!」

「「「「「おお!」」」」」

そして皆はイベント会場を歩き回りながら時々写「写真良いですか?」と声を掛けられ対応したりしながらイベントを楽しんでいる。

俺の方もかなりの頻度で写真を撮られた

時にはセリフ付きで動画撮らせてくださいという要望もあり俺はそれに応える

「絶対に助ける!!誇りに懸けて!!」

「ゼロ地点突破firstエディション!」

そうしてイベントを楽しみつつ俺と高人は頃合を見て抜け出し演奏の準備をしてステージに立ち軽くギターを鳴らすと

視線が集まる

「こんにちは!この場を借りて3曲程演奏します。まずは1曲聴いてください!Drawingdays」

俺はギターを高人がベースを響かせながら音に合わせ歌っていく

 

『羽根がない天使はぼくに言った

家へと帰る地図をなくした

非力なぼくは絵筆を執って

乾いた絵の具に水を注す

 

この目が光を失ってもぼくは描いてみせる

この手が力を失ってでもぼくは描いみせる

 

威張ってる捨て猫が笑ってた

あがいて生きるぼくを笑ってた

 

狭く小さいパレットの上で

混ざる事無き強き意志を

 

暗くて冷たい世界でも

ぼくは描いてゆける

赤く燃える陽が突き抜ける絵を

ぼくは描いてゆける』

 

パスパレ視点

 

皆イベントを楽しんでいた時演奏が聴こえてきて

何人かが話してるのを聞いて光達が着ていた制服の

アニメのオープニングだと言うことがわかった。

こういう場所だからこそわかる人にはわかる曲なのかもなと

思った。

 

『誰かの為に何ができるって

それだけでまたこれからも

 

この目が光を失っても

ぼくは描いてみせる

この手が力を失ってでも

ぼくは描いてみせる

 

全てを包み込む様な色に

全ての願いを込めた祈り』

 

1曲目の演奏を終えた俺は話し出す

「次の曲は同じアニメからBOYS&GIRLSを演奏します」

「知ってる人結構多いと思うけど続編のオープニングだから

楽しんで聴いてね!」

「じゃあ、いきます!BOYS&GIRLS!」

俺達は再び演奏し歌っていく

 

『教科書(マニュアル)通りの毎日なか飛び出した君は男の子

大人になれずにでも子供でもいられない時もあるだろう

 

誰もが急ぎ足で過ぎて行く世界で

僕らは流れ星に立ち止まった

 

ゆずれないものを一つたった一つで強くなれる

怖がりな君の手を引いて歩いて行く

勢いを増した向かい風の中を

 

無邪気な笑顔で恋に恋して夢を見る君は女の子

誰にも言えずに独りで抱えた悩める事もあるだろう

 

誰もが愛想笑うモノクロな世界で

描いた夢に嘘はつけなかった

 

ゆずれないものを一つたった一つで強くなれる

怖がりな君の手を引いて歩いて行く

勢いを増した向かい風の中をもう邪魔するものは

何一つないさ』

 

パスパレ視点

 

「なんか良いね!青春って感じ」

「そうね、男の子らしさ女の子らしさが伝わってくる感じがするわ」

「ゆずれないものがたった一つあるからこその強さって言うのもカッコイイよね!」

「わかります!確かにカッコイイですよね!」

「テンションが上がります!」

演奏を聴きながらみんなでワイワイと盛り上がる

 

 

 

『手を伸ばせばいつかあの星に手が届くと本気で思っていた

誰もが急ぎ足で過ぎていく世界で僕らは流れ星に立ち止まった

祈るように。

 

ゆずれないものを一つたった一つで強くなれる

こわがりな君の手を引いて歩いて行く

勢いを増した向かい風の中を

 

迷いながら戸惑いながらそれでもかまわないさ

 

ゆずれないものを一つたった一つ

勢いを増した向かい風の中を

 

(BOYS&GIRLS be ambitious

BOYS&GIRLS keep it real

BOYS&GIRLS be ambitious

BOYS&GIRLSkeep it)』

 

2曲目の演奏を終え俺は話し出す

「2曲目のBOYS&GIRLS盛り上がって貰えましたか?」

「結構テンション上がる曲だし盛り上がってくれると俺らも嬉しいです!」

「そんな中で申し訳ないけど次がラストの曲なんだよね」

聴いてくれた人達からは残念そうな声が上がる

「本当はもう少し演奏してたいんですけど、ステージの使用時間もあるのでごめんなさいその代わり!ラストも全力で演奏していくんで聴いてくださいラストの曲はアレグロ」

 

曲名を告げると俺は演奏を始め高人の音が重なったタイミングで歌い出す。

 

『三日月降る夜には窓越しきみに触れていた

こびりつく笑顔と声と匂いが

僕の朝も昼も夜も夢も侵してくんだ

叫び散らしても消せやしないんだよ

空仰ぎ波間走ってく焦がれる夜の隣へ

 

ほらもつれる足で探すたとえきみが見えなくても

ふるえる指で願うたとえきみに触れなくても

ただあふれる喉で祈るたとえきみに言えなくても

星すりぬけ三日月かすめ走れ

「きみにあいたい」』

 

パスパレ視点

 

「これ、星見ながら聴きたかったな〜」

「また歌えってもらえば良いわよ」

「光君嫌って言わないよ」

「日菜ちゃんに甘いですしね」

「そうなんですよね〜」

誰かの姿が見えなくても触れることができなくても

何かを伝えられなくても常に隣に居ることができるから

 

『こころ零す夜には窓越しきみと奏でてた

ひからびる記憶と熱の欠片で

ぼくの歌も音も詞も千切てくんだ

声を嗄らしても此処にはいないんだよ

星の海呑まれ走ってく

さまよう夜の終わりへ

ほらゆらめく足で探すたとえきみが見えなくても

こごえる指で願うたとえきみに触れなくても

ただかすれる喉で祈るたとえきみに言えなくても

星追い越せ三日月遙か走る

「きみがこいしい」

見上げてごらん同じ夜の同じ空の同じ月を』

 

パスパレ視点

 

自分の存在が確かにあると感じる歌詞に私達の胸は高鳴る

もつれる足で探しふるえる指で願う

あるれる声で祈りこぼれるような声でここだと告げる

そんな切なさあふれる歌詞に胸の高鳴りは激しくなって行った。

 

 

 

 

『さらさらゆらぐ砂にぼくらは

ぶくぶくと沈んで

きらきらひかる星がぼくらを

ふわり誘うよ

もつれる足で探すふるえる指で願う

ただあふれる喉で祈るこぼれる声で告げる

「ぼくはここだよ」』

 

曲はラストに差し掛かる高人を一瞥し目で告げる

ラストまで全力でいくぞと高人はそれにただ頷きで答えた

 

『さあ速く星消える前に

走れきみへとさあ速く

月消える前に伸ばせきみまで手を』

 

全ての演奏を終えた俺達は礼をしてからただ一言告げる

「聴いてくれたありがとうございました」

観客からワァーッと歓声が上がり俺達のLIVEは幕を閉じた

 

そしてその後も他の皆でコスプレイベントを楽しみイベント終了と同時に皆でその場を後にした。

 

 

-帰り道-

 

「光君、今日はお誘いありがとうございました。楽しかったです!自分が自分の好きな物になれるって良いですね!」

「私達も新鮮な気分ですっごく楽しかったよ」

「普段の撮影と違って色々自由だったし、変な窮屈さが無くて本当に楽しかったわ」

「私もね、すっごくるん♪ってした!」

「たまにはこういうのも良いかなと思いました!」

「皆が楽しんでくれたなら良かったよ」

「楽しんでくれなきゃくたびれ損だぜ!」

「まぁ、そう言うなよ!なんだかんだ言ってもイヴに楽しんでもらう前提なんだからさ」

「そうなんだけどよ」

「大体ほとんど俺とお前の姉貴じゃん衣装制作したの!」

「資材調達したのは俺だ!」

「まあまあ2人とも親身になってくれたのは間違いないんだから!」

「まぁ、それもそうだな」

「さっきも言ったけど私達皆楽しかったわよ!ありがとう2人とも」

「あぁ、うんどういたしまして」

「お易い御用!」

そうして皆でワイワイとしながら家路を辿りそれぞれの家に帰って行った。




76話目です。後4話で80話行くんですね。正直この後の展開をどうしようか色々迷ってます。
バンドリシリーズは全13話あるので次の1話を書いて78から
シーズン3に行こうかとは思ってはいますが主人公達の卒業とその後の話まで書くつもりでいますので今後ともお楽しみに
次回は夏の始まりから終わりを振り返るLIVEを主人公とその相棒が行いますのでお楽しみに

次回「季節の終わりとLIVE」


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第77話季節の終わりとLIVE

光と高人はひと夏の始まりから終わりまでの時間を曲により再現する。


夏が終わり本格的に秋を感じる気候になりつつある今日

俺達はイツメンプラス麻弥さんの6人で昼食をとっていた

「すっかり涼しくなってきたね!秋って感じする」

「そうね、あの暑さが嘘のようだわ」

「あの暑さも鬱陶しいと思いながらも終わるとしみじみするね」

「俺はむしろ今くらいの方が過ごしやすくてすきなんだけどな」

「多分みんなそうだと思いますよ?」

「あたしは夏も好きだけどな~お祭り行ったり、海やプールではしゃいだり、後LIVE!」

「LIVEか~光、高人、LIVEしてくれたりしない?」

「「は?」」

唐突に話題を振られポカンとする俺達

「いきなり言われても困るよ」

「場所やらLIVEのテーマやら曲やら日時やら決めないといけねんだぞ!」

「場所はcircleでいいじゃん!それかGALAXY」

「光が頼めばそれなりの値段で貸してくれるんじゃない?」「circleなら従業員割引と学割があるしGALAXYにはますきってコネがあるだろ!」

「簡単に言うけど頼むの俺だからね!」

「ひ〜くんLIVEするの?ならテーマは夏にしよう!ちょうどいいじゃん!季節の始まりから終わりまでを演奏するの!」

「良いかもですね!」

「日菜それいいじゃん!」

「やるのは確定なの?俺まだうんって言ってないけど…」

「諦めなさい、それだけあなたの演奏を望まれてるのよ」

そこまで言われて悪い気はしないが俺は項垂れながら両手を上げて降参のポーズを取った

「わかった!俺と高人で細かいところは詰めるとして会場はせっかくだから俺らのバイト先でやろう」

「って事はcircleか?」

「高人は反対?circleで良くない?」

「キャパ考えると招待するのはRoselia筆頭にいつものバンドの子達だろ?ならそんなにキャパなくても良くね?」

「circleなら従業員割引と学割があるし常連割もつくんじゃない?」

「場所からなにから後で決めよう!今ここで話しても話が前に進む気がしないよ!それにやるにしても高人と俺はさっきも言ったけど曲も決めないとなんだから!」

俺はそう言って強制的に話題を終了させた。

 

その後午後の授業を終え俺と高人はcircleでのバイト中だ。

と言っても今日はまだRoselia含め俺達が関わりのある人達は来ていないので俺と高人は受付でLIVEでやる曲について話してた

「やるにしても曲だけは決めておかないと」

「だな、光候補は結構あるんだろ?」

「そりゃあねとりあえずは夏の始まり、七夕、夏祭り&花火、夏の終わりって感じで演奏していこうと思ってる」

「夏の始まりは曲だけならすぐ決まりそうだな」

「夏色、Invitation、SummerNUDE13かな、高人、やりたい曲ある?」

「なんでもいいなら遊助のひまわりか米津玄師と菅田将暉の灰と青かな」

「灰と青は採用!夏の終わりの曲に入れようひまわりはまた別の機会があったらその時に」

「あいよ」

「2人で何話してんの?」

声をかけて来たのはまりなさんだ

「えっと、LIVEやって欲しいって言われてやるなら曲は決めとかないとって」

「ここでやる?」

「まぁ、ここかGALAXYかしかないんですけど」

「なんならここでやる?学割、常連割、従業員割引を2人分でこのくらいの値段でいいよ」

そう言ってまりなさんが電卓を見せてくる

「このくらいのなら俺達2人で余裕でなんとかなるな」

「確かに、じゃあここにするか?」

「逆にここの方が広々しててやりやすいかも」

「ポピパの主催LIVEにあやかってと思ったけどここが良いか!」

「だな」

「となったら曲決めちまおうぜ」

「花火と夏祭りか〜Whiteberryの夏祭りだろ?わたがしにDAOKOと米津玄師の打上花火に、あ〜3代目の花火も捨て難いよな〜」

「なぁ、まふまふの曲、演(や)りたくね」

「鏡花水月とか夢花火とか?」

「なんならHOTLIMITやるか?」

「俺にあの格好しろと?」

「面白いだろ!」

「面白がるな!」

「夏色、Invitation、SummerNUDE13

わたがし、花火の魔法、夏祭り、3代目の花火に

まふまふの鏡花水月、夢花火、

あぁ〜七夕入れなきゃな〜」

「実際何曲できそう?」

「2時間として、MC入れながらだと15曲が限度かな、3時間としても18曲」

「じゃあ18で行こう!」

「お前、着いてこれる?」

「任せろ!」

「言ったからには全力な!曲はこっちで全部決める!文句言うなよ!まふまふは入れてやる!」

「よっしゃ!ZONEの3曲も頼むな!」

「あいよ、入れて欲しい曲あるか?灰と青以外で」

「シャッターと夏音」

「わかった!」

「テーマは夏なの?」

「まぁ、皆たっての希望で夏を思い出したいというか振り返りたいって事で」

「いいと思うよ!わたしも近くで聴かせてもらうからね」

「まぁ、音響やらなんやら任せますからね特等席でどうぞ」

「じゃあ、チケットとかどうするの?」

「手書きで簡単に招待状みたいなの送って終わりですよ、別に観客呼び込もうってわけじゃなくて仲間内だけですから」

「光君、1度普通にLIVEしてみたら?」

「お客さんあんまり来ないですって!路上ライブしてるとはいえまだまだですよ」

「そうかな〜?」

「とりあえず日取りは曲決めてからなんで諸々の事は決まったら教えますからその時はお願いします。」

「了解、決まったら教えてね!」

そう言ってまりなさんはまたスタッフルームに引っ込んで行った。

俺はLIVEで演奏する曲を考えることに没頭する

「夏色、Invitation、SummerNUDE13は確定として

七夕祭りに夜空のクレヨンに君の知らない物語を使うとして〜」

俺はシャープペンで額をコツコツと叩きながら曲を書き出していく夏祭りと花火は思い付く曲がそれなりにあるので候補を少し絞る必要があるので悩みどころだ

「Whiteberryの夏祭りは確定としてわたがし、花火の魔法、シャッター、これでとりあえず10曲として〜ZONE3曲、灰と青で15、後3曲どうしようかな?君がくれた夏と中島美嘉の流れ星に…風に薫る夏の記憶かな?とりあえずあとは高人と相談して確定させよう」

そうしてしばらく受付でボーッとしていると掃除を終えた高人が戻ってきた。

「曲決まったか?」

「こんな感じ」

俺は紙に書き出した曲リストを見せる

高人は一通り目を通してから言った

「ラストの3曲は順番変えないとだよな」

「どこに組み込むか相談しようと思ってさ」

高人は紙を見ながら考える

「流れ星は七夕の辺りでいいと思うぜ君の知らない物語の後にでも演奏すればいいんじゃねぇか?」

「君がくれた夏はシャッターの後が良いかな?」

「だな、それでいいと思うぜ」

「じゃあ風に薫る夏の記憶はどうする?」

「最後の方で良いだろ!」

「ん〜どうせなら夏祭り曲の後にやりたいけどねぇ」

「じゃあ夏音でスタートしてZONE3曲の後にこの曲入れてラスト灰と青でどうよ?」

「乗った!その順番にしよう!」

「じゃあ曲順確認するぞ!」

俺達は演奏する曲を確認し合う

 

1曲目 夏色 2曲目Invitation 3曲目Summernude13

 

4曲七夕祭り 5曲目夜空のクレヨン 6曲目君の知らない物語

 

7曲目流れ星 8曲目夏祭り 9曲目わたがし 10曲目花火の魔法

 

11曲目君がくれた夏 12曲目シャッター 13曲目夏音

 

14曲目 HANABI君がいた夏

 

15曲目Secretbase君がくれたもの

 

16曲目約束〜August,10yearslater〜

 

17曲目風に薫る夏の記憶

 

18曲目灰と青

 

「こんな感じかな」

「だなぁ〜2曲くらいアンコール曲考えてた方がいい気もするがな俺は」

「こんだけあってまだなんか演奏させられんの!?」

「有り得なくはない」

「マジかぁー」

「まぁ、やっても2曲までそれ以上はやらないって」

「ちなみに可能性高そうな曲は?」

「さユりのミカヅキか3代目の花火かDAOKO×米津玄師の打ち上げ花火かな?金魚花火と線香花火も有り得そう」

「そうなると去年出たばっかのソナポケの花火も有り得そうだな」

「あぁ〜有り得るね〜そうなると一通り練習した方が良いかな?」

「だな、何が来てもいいようにある程度はな〜」

「仕方ない!候補にない曲も色々練習するか!」

「だな!LIVEの予定を日曜としても後5日しかないぞ!」

「高人、しばらく俺の家泊まれる?」

「……って事は…」

「お前の想像通りだよ!」

「やっぱり…そうなるよな…わかった!とことん付き合うぜ!」

こうして俺と高人のLIVEに向けた強化合宿が決定した。

それからはかなり忙しい日々が続いた。

俺達は暇を見つけては音合わせをして夜も完全防音で長い時間練習に勤しみ予定している18曲以上の曲を完璧にした。

 

 

 

-そしてLIVE当日-

 

 

俺と高人はLIVEの準備をし皆を出迎える

一番最初に来たのはRASの4人だった。

「お招きに応じてあげたわよ光!」

「来たぜ!」

「今日は楽しみにしてる」

「お招きありがとうございます!」

「ようこそ!」

「今回のLIVEの趣旨は夏を振り返ろうって感じなんだよそれなりに曲は用意してるから楽しんで行ってね!」

「楽しませてもらうわ!」

「一足先に始まるの待たせてもらうわ!」

RASの皆はチュチュを筆頭に店内に入って行った。

そして2番手はRoseliaとAfterglowが同時到着した。

「やっほー光!今日は楽しみにしてるね!」

「しっかり夏を感じさせてください!」

「楽しみにしているわ」

そうしてRoseliaとAfterglowの皆も店内に入っていき

その後も続々と招待したメンバーが集まり最後にパスパレメンバーがやって来た

「ひ〜くん!やっほ〜」

「こんばんは日菜!」

俺は日菜とハイタッチを交わす

「こんばんは光君!ちょっと遅かったかな?」

「いや時間大丈夫だよ!」

「今日は楽しみにしてるわね!」

「もう皆揃ってるから入って待っててよ」

「ではでは音楽を通しての夏を楽しみにしてますね」

「ひ〜くん!あとでね〜」

そうして招待したメンバーが全員集まったのを確認し俺達は衣装に着替えてステージに立った。

スポットライトに照らされて俺達のLIVEが始まった。

 

「皆さんこんばんは、カバーアーティストルミナスです。

今回は夏の振り返りLIVEと言うことで夏の始まりから終わりまでを演奏を通して感じでください。さっそく曲に行きます

1曲目は夏色」

俺達ははアコギを演奏しながら歌っていく

 

『駐車場のネコはアクビをしながら

今日も1日を過ごしてゆく

何も変わらない穏やかな街並

 

みんな夏が来たって浮かれ気分なのに

君は1人さえない顔をしているね

そうだ君に見せたいものがあるんだ

 

大きな5時半の夕やけ子供の頃と同じように

海も空も雲も僕等でさえも染めてゆくから

 

この長い長い下り坂を君を自転車の後ろに乗せて

ブレーキいっぱい握りしめてゆっくりゆっくり下ってく

 

風鈴の音でウトウトしながら夢見ごごちでヨダレをたらしてる

いつもと同じ網戸ごしの風の匂い

休日でみんなもゴロゴロしてるのに

君はずいぶん忙しい顔をしてるね

そうだいつかのあの場所へ行こう

 

真夏の夜の波の音は不思議な程心静かになる

少しだけ全て忘れて波の音の中包み込まれていく

 

この細い細い裏道を抜けて誰もいない大きな夜の海見ながら

線香花火に二人でゆっくりゆっくり火をつける

 

いつかの泪がこぼれおちそうになったら

何もしてあげられないけど少しでもそばにいるよ

 

この長い長い下り坂を君を自転車の後ろに乗せ

ブレーキいっぱい握りしめて

 

ゆっくりゆっくり下ってくゆっくりゆっくり下ってく

ゆっくりゆっくり下ってく』

 

一曲目の夏色の演奏を終えた俺はアコギをスタンドに立てかけキーボードの前に立ち高人は自分のギターを手に取り音を確認した後こちらを向いて頷いたので

俺は2曲目のInvitationを演奏し歌っていく

 

『うだるような地も静まりほの暗い日の出まえ

いつもの通り道で待ち合わせみんなでしよう

 

夏だからボーダーか焼けた肌かワンピース

個性はないけれど可愛くてうらやましい

みんな前見てるすきにぎゅっと手を引いてほしいんだ

 

路面電車に乗りどこまで走り抜けよう?

どうせ海岸かそこらあたり

花火でもしましょう手に持ってはいけないのに

振りまわし気を引くよくある構図(けしき)がアツイ

 

去年の誕生日には黒いTシャツをくれた

わざと穴があいている袖をとおしてみようか

今年は何がいい?したたか応えられず

見つめてくれていることに満足している

どこから恋になったのか…

痩せた身体抱きしめて

懐かしのラムネは「?(はてな)」味でも美味しい

甘いくせに潔(いさぎよ)くて好き

口の中であばれ弾(はじ)けとぶカプセルたち

なんにも出来ない僕の気持ちの表れ

-またみんなでこよう

-きみなしでもへいき

たまに不健康に朝まで忘れるのもいいね

たまに健康的に朝思い出すのもいいよ

 

きっと電車に乗り君だって来てくれるでしょう?

書き途中のCOOLなInvitation

最高の音と生まれたこの日利用する

歌い足りないだからまだ帰らない-

路面電車に乗りひたすら揺られてみたら

「過ぎた夏の記憶」に収まる

もしかしたら僕ら最後かもしれないけど

頭の中ではずっと続いてゆくoneTime』

2曲目を終えた俺達はそのまま3曲目を演奏していく

 

『何か企んでる顔最後の花火が消えた瞬間

浜には二人だけだからって波打ち際に走る

Tシャツのままで泳ぎ出す5秒に一度だけ照らす灯台の

ピンスポットライト 小さな肩 神様にもバレないよ地球裏側で

僕ら今はしゃぎすぎてる夏の子供さ胸と胸絡まる指

ウソだろ誰か思い出すなんてさ』

 

 

 

Roselia視点

 

「前にも歌ってたよね確か去年の夏だよね?確かひと夏の淡い恋愛」

 

「そうね、初めて光が私達の合宿に来た時よ」

 

「やっぱり素敵ですよねこの曲」

 

「イメージとしては大人の恋愛って感じするよねやっぱり」

 

「ひと夏の淡い恋愛、儚くて素敵だよね」

 

ひと夏の経験が人を大人にするという事を伝えたかったのかもしれないとこの曲を聞くとそう思うからなんだか不思議だ

 

 

 

『響くサラウンドの波時が溶けていく真夏の夜

 

夜風は冬からの贈り物止まらない冗談を諭すように

 

着いてくるお月様走る車の窓に広げはためくTシャツよ

 

誇らしげ神様さえ油断する宇宙の入口で目を伏せて

 

その髪の毛でその唇でいつかの誰かの感触を

 

君は思い出してる僕はただ君と二人で通り過ぎる

 

その全てを見届けようこの目のフィルムに焼こう』

 

 

 

ポピパ視点

 

「光先輩に見えてる世界ってどんなのだろう?いつも違うからこそ気になるって言うか」

 

「多分今は、ひと夏の経験なんじゃね?それが人を大人にするって言うかさ」

 

「やっぱり優しくてカッコイイよねこの曲」

 

「そうだね、それにとっても綺麗な歌詞」

 

「なんか、光先輩がこの曲を選んだのって特別な意味があるんだろうね」

 

いつだって光さんは誰かのため皆のためだきっとこの曲も誰かのためなんだろうなと改めて思うのだった。

 

 『そうさ僕ら今はしゃぎすぎてる夏の子供さ

 

胸と胸絡まる指ごらんよこの白い朝

 

今はただ僕ら二人で通りすぎるその全てを見届けよう

 

心のすれ違う時でさえも包むように』

 

3曲目を終えた俺は再びアコギを手に取り話し出す

「ここまで3曲、夏音、Invitation、Summernude13と聴いたもらいました、まずは夏の始まりを感じて貰えたらと思います」

「次は七夕から夏祭りと花火って感じに夏のイベントを演奏を通して感じてくれよな!」

「それじゃあ、いきます!七夕祭り」

 

『東京の空には星がないんだってね

 

君からの手紙にはそう書いてあったけど

 

こっちは相変わらずさ何も変わりない

 

この時期になると祭りの準備さ

 

 

 

駅前の商店街の笹かざり君も知ってる景色さ

 

子供たちは はしゃいで走り回るあの頃と変わらないよ

 

 

 

七夕祭りが近づく夜は並んで歩いたこと思い出す

 

覚えているかなふたりで眺めた

 

満天の星空に会いにおいでよ

 

 

 

蛙の鳴くわだちを歩いて笹を取りに行ったね覚えている?

 

君はいつも青色の短冊選んだこと覚えている?

 

 

 

七夕祭りが近づく夜は並んで歩いたこと思い出す

 

覚えているかなふたりで眺めた

 

満天の星空に会いにおいでよ

 

 

 

がんばりすぎるのが君だけどさ

 

たまには立ち止まってみたら

 

昔短冊に書いた''願い''を一緒思い出そうよ

 

 

 

七夕祭りが近づく夜は

 

並んで歩いたこと思い出す

 

覚えているかなふたりで眺めた

 

満天の星空に会いにおいでよ

 

満天の星空に会いにおいでよ

 

満天の星空に会いにおいでよ』

 

僕達は七夕祭りの演奏を終えそのまま夜空のクレヨンを演奏していく

『世界中のクレヨンを振りまいた夜の上

 

君に聞こえぬように夜空へ呟いた

 

ねえ 御大層なストーリーや

 

誇れるような未来じゃなくたって

 

君との明日を 探してた星空』

 

 

 

俺達は演奏を通してイメージの翼を広げていく

 

君との明日を探してた星空を音に乗せて

 

 

 

 

 

『晴天の空も寝静まるような静寂と今日は 七夕の夜

 

火照る頬を気づかれぬように君の前を歩いている

 

 

 

夏風 月影 慣れない下駄の音夜空に響く

 

 

 

世界中のクレヨンを振りまいた夜の上

 

そんな恋に気づくのは 少し先だった

 

ねえ 御大層なストーリーや

 

誇れるような未来じゃなくたって

 

君との明日を 探してた星空』

 

 イツメン視点

 

 「この曲は1曲目2曲目共にGOフェスの時のじゃない」

 

「そうだね、やっぱり七夕って感じするもん」

 

「高くんとも息ピッタリでイメージがどんどん伝わってきてとってもるんってするし!」

 

七夕の日にピッタリな曲だからこそのイメージの中で私たちは一人一人が曲の世界を自分に重ねて聴いていく

 

 

 

 

 

『巡り合いはいつかの奇跡

 

待ち合わせはボクらの軌跡

 

どの未来もわかっていることは

 

どの未来もボクらの前にあるってこと

 

長髪 かき分け 振り向く仕草に胸は高鳴った

 

星河に寝そべって語らって

 

笑いそうな君の夢

 

時の箱舟の中彼方で佇んだ

 

恋い慕う今日日 後悔

 

幾度待つ宵 どんな感情も

 

君の隣で気づけたらよかったなあ

 

初めて感じた気持ちに行く宛てはないよ

 

どんな理由で どんな言葉で どんな顔して

 

君の手を取ればいいんだろう』

 

 

 

Afterglow視点

 

「やっぱりずるいよね光さんこんないい曲を当然のようにすぐ演奏できる辺りがさ」

 

「ひかるん先輩相変わらずパな〜い」

 

「季節感とか時期とかそういうのであえて歌わなかった曲だけどやっぱり七夕のイメージにはピッタリだもんね」

 

「そうだよね、光さん季節にあってたり私達やほかの皆にピッタリな曲を必ず見つけてくるもんね」

 

「だな!やっぱりあの人最高だよ!」

 

私達はイメージの世界で七夕の夜の星空を見上げながら曲を聴いていく

 

『世界中のクレヨンを振りまいた夜の上

 

君に聞こえぬように夜空に呟いた

 

ねえ御大層なストーリーや

 

誇れるような未来じゃなくたって

 

夢の続きを探していた

 

それは最後の君と見た星空

 

 

 

天体の星祭を 君と歩いた満天を 憧憬を

 

もう後悔はひとつだってしないように

 

星屑の降る夜に 君に伝えるために

 

会いに行くよ 約束しよう』

 

2曲続けての演奏を終えた俺は再びキーボードの前に達話し出す。

「七夕は次が最後です。聞いて下さい。君の知らない物語」

 

 

俺はキーボードを弾きながら歌っていく

 

『いつもどおりのある日の事 君は突然立ち上がり言った

 

「今夜星を見に行こう」』

 

七夕、星のテーマで真っ先浮かんだのが隣に誰かがいて一緒に星を観る光景をそのまま歌にしたら多分こんなだろうと思いながら歌っていく

 

 

 

『「たまには良いこと言うんだね」

 

なんてみんなして言って笑った明かりもない道を

 

バカみたいにはしゃいで歩いた抱え込んだ孤独や不安に

 

押しつぶされないように真っ暗な世界から見上げた

 

夜空は星が降るようでいつからだろ

 

君の事を追いかける私がいたどうかお願い

 

驚かないで聞いてよ私のこの想いを

 

「あれがデネブ、アルタイル、ベガ」

 

君は指さす夏の大三角 覚えて空を見る

 

やっと見つけた織姫様だけどどこだろう彦星様

 

これじゃひとりぼっち 楽しげなひとつ隣の君

 

私は何も言えなくて本当はずっと君の事を

 

どこかでわかっていた見つかったて届きはしない

 

だめだよ泣かないでそう言い聞かせた

 

強がる私は臆病で興味が無いような振りをしてた だけど

 

胸を刺す痛みは増してくあぁそうか好きになるって

 

こういう事なんだね』

 

 

 

パスパレ視点

 

「ひ〜くんと初めて一緒に星を観た時に聴いた曲だ!」

「日菜ちゃんには思い出の曲なんだね!」

「曲は誰かと一緒に星を観るそんな曲だものね」

「幾つもの星が綺麗に空を彩ってます」

「曲を通じてイメージが溢れてますからね」

そう話しつつ曲を聴いていく

 

 『どうしたい?言ってごらん心の声がする君の隣がいい

 

真実は残酷だ言わなかった言えなかった二度と戻れない

 

あの夏の日きらめく星今でも思い出せるよ

 

笑った顔も怒った顔も大好きでしたおかしいよね

 

わかってたのに君の知らない私だけの秘密

 

夜を越えて遠い思い出の君が指を指す無邪気な声で』

 

僕等は7曲目の流れ星を演奏していく

 

 

『流れ星ねぇキミは何を想ってみているの?

 

見つけた星今ボクの中で確かに輝く光

 

夢に描いてた場所はもう夢じゃないけど

 

窓に映ってるボクらは似ているのかな?

 

君はなんて言うだろうな?

 

願い事ひとつだけで何処までも行ける気がした

 

伝えたい事も伝えきれない君はもう知っているかな

 

ねぇ心の深い場所で今キミを探し出したよ

 

それはまるで一瞬の魔法

 

YOUSTAYFOREVER

 

流れ星今キミは何を言おうとしたの?

 

見上げた空つないだ手同じ未来を見つめていたい

 

振り出した突然の雨 キミを待つ改札前

 

小さすぎる傘に肩が濡れてしまうけど

 

いつもより寄り添えたね

 

ねえ子供みたいに泣いたりねえまたすぐ笑いあったり

 

ボクらはもう一人じゃない

 

YOUSTAYFOREVER

 

ふ流れ星失くしたもの失くしちゃいけないもの

 

どんな時も一番近くでキミを感じていたい

 

流れ星ねえ二人過ごしてく日々の中で

 

見上げた空つないだ手同じ未来を見つめていたい』

 

 

 

ポピパ視点

 

「1番近くにいるよってメッセージ…」

「だよな、あたしもそう感じたわ」

「2人だけの時間かな」

「たった1人の人に近くにいるよって伝えるメッセージなんだね」

「きっとそうだよ」

皆でそう話しながら曲を聴いていく

 

『流れ星ねえキミは何を想ってみているの?

 

見つけた星今ボクの中で輝き出した

 

流れ星Imake a With upon ashooting star,Iwant tobeWith you

 

 見上げた空つないだ手同じ未来を見つめていたい』

 

 

「次は花火がテーマの曲を演奏します。去年の夏祭りでも演奏した曲なので皆楽しんでくださいじゃあ曲にいきます。

一曲目は夏祭り」

 

 

『君がいた夏は遠い夢の中空に消えてった打ち上げ花火』

 

俺は歌っていくただ今この瞬間をただ楽しむために

 

『君の髪の香りはじけた浴衣姿がまぶしすぎてお祭りの夜は胸が騒いだよはぐれそうな人ごみの中

 

「はなれないで」出しかけた手をポケットに入れて握りしめていた

 

君がいた夏は遠い夢の中空に消えてった打ち上げ花火』

 

 

 

Roselia視点

 

「光~!最高だよ~!」

 

「落ち着きなさいよ、確かに盛り上がる曲ではあるけど」

 

「やはりこの曲には恋人と言うよりはまだ好きと伝えられないもどかしさがありますよね」

 

「夏祭りの思い出って感じかな?」

 

「そうかもだね」

 

光はいつもその場にあった曲を選ぶ今回もそうだ、今この瞬間をただ光は曲に込めている

 

 

 

『子供みたい金魚すくいに夢中になって袖がぬれてる無邪気な横顔がとても可愛いくて君は好きな綿菓子買ってご機嫌だけど少し向こうに友だち見つけて離れて歩いた

 

君がいた夏は遠い夢の中 空に消えてった打ち上げ花火』

 

 

 

Afterglow視点

 

「この曲の時のさ間奏のギターヤバくない?あそこまで、できる?あたし、無理だよ!それなりに難しいフレーズとか弾いてるつもりだけどさ」

 

「多分無理~指動かな~い」

 

「光さんはこのくらいなら無問題って言って笑ってたよねこの曲やるってなった時」

 

「そういえばそうだったな言ってわそんなこと」

 

「なんでか光さん達だからで納得できる私がこわい」

 

そのくらい間奏の間の2人のギターは凄かった

 

 

 

『神社の中石段に座り ボヤーッとした闇の中で

 

ざわめきが少し遠く聞こえた線香花火マッチをつけて

 

色んな事話したけれど好きだって事が言えなかった

 

君がいた夏は遠い夢の中 空に消えてった打ち上げ花火

 

君がいた夏は遠い夢の中 空に消えてった打ち上げ花火

 

空に消えてった打ち上げ花火』

 

俺達はそのまま2曲目の演奏に入る

 

『水色にはなびらの浴衣がこの世で1番似合うのは

 

たぶん君だと思う よく誘えた泣きそうだ

 

夏祭りの最後の日わたがしを口で溶かす君は

 

わたがしになりたい僕に言う 楽しいねって

 

僕は頷くだけで気の利いた言葉も出てきやしない

 

君の隣歩く事に慣れてない自分が恥ずかしくて

 

想いが溢れたらどうやってどんなきっかけタイミングで

 

手を繋いだらいいんだろう どう見ても柔らかい君の手を

 

どんな強さでつかんで どんな顔で見つめればいいの

 

 

 

君がさっき口ずさんだ歌にもたまに目が合う事も

 

深い意味なんてないのだろう 悲しいけど

 

君が笑ってくれるただそれだけの事で僕はついに

 

心の場所を見つけたよ うるさくて痛くてもどかしくて

 

想いが溢れたらどうやってどんなきっかけタイミングで

 

手を繋いだらいいんだろう どう見ても柔らかい君の手を

 

どんな強さでつかんで どんな顔で見つめればいいの

 

 

 

もうすぐ花火が上がるね君の横顔を今焼き付けるように

 

じっと見つめる』

 

 

 

ハロハピ視点

 

「聴くのは今回で2度目だけど素敵な曲ね、光が歌うからこそなのかしら?」

 

「そうかも!ひかるんって言葉より曲で伝える方が得意って前に言ってたことあったし」

 

「確かにね!彼はその方がしょうに合ってるいるのだろうさ」

 

「でも、本当に素敵な曲だよね、光君にもそういう経験があるから、ここまで綺麗に見えるのかな?」

 

「どうなんだろうね?光さんに聞いてみたら?」

 

「きっと答えてくれてないよ笑ってはぐらかすんだ」

 

他のメンバーに今のこの曲のイメージがどう映ってるのかわからないけど、少なくとも私と花音さんには何日かにわたって開催される夏祭りで初デートする恋人になりたての2人が映っていた。

 

『この胸の痛みはどうやって君にうつしたらいいんだろう

 

横にいるだけじゃ駄目なんだ もう君の気を引ける話題なんてとっくに底をついて 残されてる言葉はもうわかってるけど

 

想いが溢れたらどうやってどんなきっかけタイミングで

 

手を繋いだらいいんだろうどう見ても柔らかい君の手を

 

どんな強さでつかんでどんな顔で見つめればいいの

 

 

 

夏祭りの最後の日わたがしを口で溶かす君に

 

わたがしなりたい僕は言う楽しいねって』

 

 

俺達はそのまま夏祭りと花火をテーマにした3曲目の演奏に入る

 

『花火の魔法にかかってしまえ

 

あなたの心を燃やしてしまえ あぁ花火消える前に』

 

 

 

俺はイメージを膨らませていく、心地いい高揚感が体を包む中、俺は観客席にいる皆を、舞台袖から見ている皆をイメージの世界へ引き込んでいく

 

『夏休みの最後の日に来た電話

 

「みんなで花火しようぜ」あなたの声

 

友達のひとりだと思われてても

 

ふたりきりの会話がうれしかった

 

橋の下でカラフルな火花が咲くあなたも赤 青 ピンク

 

わたしの火をあなたにあげたときに本気で願ったの

 

花火の魔法にかかってしまえわたしの病を患ってしまえ

 

夏の暑さがわたしを狂暴にする

 

花火の魔法にかかってしまえあなたの心を燃やしてしまえ

 

あぁ花火消える前にあなたのこと火傷させたいです』

 

 

 

ポピパ視点

 

「光先輩やっぱり凄いね!キラキラしてカッコイイ!」

 

「いや、まぁ確かに演奏してる姿はカッコイイかもしれないけど、まずもってあの人、どんな声帯してんだよ!」

 

「まぁ確かに、普通あそこまでの声出ないよね」

 

「どれだけ練習したらあそこまでの引き込まれるような演奏が出来るのかな?」

 

「どうだろう?光さんに聞いてみたら?」

 

「教えてくれるかな?」

 

「大丈夫じゃない?」

 

そんな会話をしながら私達は光さんが見せるイメージの世界に引き込まれる

 

 

 

『白く煙った橋の下あなたの手を引き

 

抜け駆けしたいなんて思ってても

 

どんな顔でなんて言えばいいかわからないまま

 

花火も夏も終わりに近づいてく

 

はっきりしてるはずの気持ちも

 

あなたの前ではオレンジみどり

 

あたしの火はあなたにあげる時に少し弱くなる

 

花火の魔法にかかってしまえあなたの心を燃やしてしまえ

 

あぁ花火消える前に もう夏が終わるまだ終われないよ

 

さあ いま 火を付けて

 

あなたの心目指して夢中で走り出したの

 

花火の魔法にかかってしまえわたしの病を患ってしまえ

 

夏の暑さがわたしを狂暴にする

 

花火の魔法にかかってしまえあなたの心を燃やしてしまえ

 

あぁ花火消える前にあなたのこと火傷させたいです

 

あなたのことがずっと好きでした』

 

3曲連続での演奏を終えた僕等は軽く深呼吸してから話し出す

 

「ここまで3曲連続で演奏してきました。この3曲は去年聴いたメンバーもいるかと思います。次の曲も誰かと過ごす夏を歌った曲です。聴いてください君がくれた夏」

俺はアコギを高人がそれに重ねるようにエレキを鳴らし音が1つとなった瞬間に歌い出す

 

『君の描いた未来の中に僕はいないその時代もない

 

まだ少しだけ傷を抱えたふたりは夢の続き探していた

 

思うままに色付いてくと思ってた

 

答えなんか見つけられずにそれでもこの世界廻り続けて

 

君がくれた夏その奇跡僕は忘れないoh溢れそうな想い

 

あの夕日に隠してsowhy…気づいていたtrueLovetrueLove』

 

 

 

モニカ視点

 

優しい音色が耳に心地いい夢の続きを探して思うままに色付いてくそんな未来があったらいいなと思うけど、多分歌詞にもあるように答えなんか見つからないだろうな、なんて思いながら歌を聞いていく

「凄く…綺麗な曲」

その呟きは誰の耳にも届かない

 

 

 

『時の隙間に流れ込む風教室のその片隅で揺れる前髪

 

ただ見とれていた僕は君に恋をしたんだよ

 

まるで空を歩いてるみたいな日々

 

当たり前にそばにいたこと

 

未来なんていつもそう疑いもせず

 

君がいた夏にこの気持ちうまく言えなくて

 

Ohふたつの心は何故に離れていくの?

 

Sowhy届かなくて 愛情の罠だって気づいた時は遅すぎて

 

捻れた感情は光求め彷徨う

 

叶わない願い置き去りのままで君がくれた夏

 

その奇跡僕は忘れない

 

Oh溢れそうな想いあの夕日に隠してsowhy…

 

気づいていたtrueLovetrueLove』

 

君がくれた夏を演奏し終えた僕は呟くように言った

「そろそろ、夏が終わりに近付きます。その前に誰かと一緒に過ごす時間や見た景色を振り返って見てください。それじゃあ次の曲シャッター」

 

僕等は曲名を告げると歌っていく

 

 

『君と見るはずだった花火が夜の隙間を埋めてく

感傷にひたっちまうからTwitterは閉じた

 

棚の上に置いたカメラも今距離を置きたいくらい

僕は今日全て失って1日中泣いていた

 

本当の気持ちはやっぱりわからないけど

君のアルバムにいる僕を全部消したんでしょう

 

シャッターが落ちるみたいに君を切り取って恋に落ちて

心のアルバムに全部そっとため込んでた

だからさだからさ仕草も匂いも覚えている

シャッターを切る時間も君に触れていれば良かった

全ての時間を君だけに使えばよかった

 

お決まりのデートコーストお決まりの愛の言葉

見栄えの良いものばかりがインスタに残った

棚の上に置いたカメラじゃ映せないものが

君と僕との間にあってそれに気づけなかった

 

今でも気持ちはやっぱりわからないけど

君のアルバムにいる僕は全部いらないんでしょう

 

シャッターが落ちるみたいに君を切り取って恋に落ちて

壊したくなくて無難にきっとやり過ごしてた

だからさだからさ映りの悪い僕だったろう

シャッターを切る時間も君に触れていれば良かった

全ての時間を君だけに使えばよかった

 

どんなに綺麗で美しい宝石みたいな思い出も

そこに僕がいなきゃ 君がいなきゃ

なんの意味もないのに

 

シャッターが落ちるみたいに君を切り取って恋に落ちて

壊したくなくて無難にきっとやり過ごしてた

だからさだから映りの悪い僕だったろう

シャッターを切る時間も君に触れていれば良かった

 

シャッターが落ちるみたいに君を切り取って恋に落ちて

心のアルバムに全部そっとため込んでた

だからさだからさ仕草も匂いも覚えてる

シャッターを切る時間も君に触れていれば良かった

全ての時間を君だけに使えばよかった』

シャッターを演奏し終え本格的に夏の終わりに向かうために僕達は話し出す

「そろそろ本格的に夏の終わりに向かいます」

「一曲目は今年の夏祭りで演奏したアンコール曲からのスタートだ!ラストまでノンストップでいくから楽しんでくれよな!」

「じゃあ曲にいきます。夏音」

 

『夏が終わる音がするずっと傍に居たいと思った

 

遠く打ちあがった花火気持ちが重なって弾けたんだ

 

 

 

ダンボールがまだ散らかるこの部屋

 

君と今日から歩いていく

 

趣味が違ったり好き嫌いがあったり

 

知るほどにさ嬉しくなるんだ

 

 

 

退屈を持て余してくすぐったり背中を寄せたり

 

何もなくても構わないさただ君がそこに居るなら

 

 

 

夏が終わる音がするずっと傍に居たいと思った

 

遠く打ちあがった花火気持ちに重なって弾けたんだ』

 

 

 

RAS視点

 

「夏の終わりと2人だけの空間かな?」

 

「かもな、ずっと傍にいたいって感じてるっぽいしよ」

 

「夏の終わりって感じがするわね」

 

「まさに夏の終わりの音ですね!」

 

皆でそう話しつつ曲を聴いていく

 

 

 

『ひとつひとつと覚えていくよ何を笑い何を怒るのか

 

色とりどりの花束隠していたプレゼントは何故

 

バレていたのらしいねってさこんな時間が続いたら

 

夏が終わる音がするずっと傍に居たいと思った

 

遠く打ちあがった花火気持ちに重なって弾けたんだ

 

花火の音に掻き消されてしまわぬように

 

抱き寄せてお互いの心音を聞こう

 

息を吐いて君の眼を見つめながらキスをした

 

もう何もいらない

 

夏が僕らを駆けてくずっと傍に居たいと思った

 

遠く感じた恋花火

 

二人のこの部屋で始まってく』

 

夏音の演奏を終え俺達はそのまま今年の夏祭りで演奏したZONE3曲の演奏に入る

 

 

 

『君がいた夏

 

夜空に咲く向日葵見て儚く散り孤独な星だけが

 

涙ぐんだ目に映る姿今頬をつたわった

 

あの夏を忘れない…

 

 

 

待ち合わせした神社の石段早くつきすぎて

 

「カタカタ」合図ですぐにわかるよ君が来たことを

 

 

 

久しぶりに会う またあの笑顔見せよう

 

明日になればたぶん そう夢の中に…

 

 

 

君がいた夏

 

夜空の下 手をつないで砂利道走り抜ける僕等に

 

遠く聞こえてるHANABI達の声セツナク響いた

 

永遠の夏

 

「もういやだよ」こんな気持ち君の後姿見る僕に

 

流れ星の様につたう雫には全てが映った

 

 

 

あの夏を忘れない…

 

 

 

あれから何度もフッとあの場所に誘われ目を閉じ

 

耳を澄ました聞こえないはずの合図

 

僕の胸にだけ確かに届いた

 

 

 

君がいた夏

 

夜空の下 手を繋いつないで砂利道走り抜ける僕等に

 

遠く聞こえてるHANABI達の声セツナク響いた

 

永遠の夏

 

「もういやだよ」こんな気持ち君の後姿見る僕に

 

流れ星の様につたう雫には全てが映った

 

あの夏を忘れない…』

 

 

 

モニカ視点

 

「忘れる事ができない夏…」

 

「誰かと一緒に見た景色」

 

「凄く切ないな、なんか」

 

「うんせつないね〜」

 

「それにとっても儚いわ」

君がいて君といた夏で忘れられない夏がそこにはあった

 

 

『君がいた夏

 

君といた夏…

 

夜空に咲く向日葵見て儚く散り孤独な星だけが

 

涙ぐんだ目に映る姿今頬をつたわった

 

 君がいた夏

 

夜空の下 手を繋いつないで砂利道走り抜ける僕等に

 

遠く聞こえてるHANABI達の声セツナク響いた

 

永遠の夏

 

「もういやだよ」こんな気持ち君の後ろ姿見る僕に

 

流れ星の様につたう雫には全てが映った

 

あの夏を忘れない…

 

あの夏をもう一度…

 

君がいた夏

 

永遠の夏

 

君がいた夏

 

永遠の夏』

 

俺達は軽く深呼吸して再び演奏しながら歌っていく

 

『君と夏の終わり将来の夢大きな希望忘れない

 

10年後の8月また出会えるの信じて最高の思い出を…』

 

 

俺達は観客皆をイメージの世界へ引き込んでいく今度は夏の終わりに再会を約束した友人と作った最高の思い出の世界へ

 

 

『出会いはふとした瞬間帰り道の交差点で

 

声をかけてくれたね「一緒に帰ろう」僕は照れくさそうに

 

カバンで顔を隠しながら本当はとてもとても嬉しかったよ

 

あぁ花火が夜空きれいに咲いてちょっとセツナク

 

あぁ風が時間とともに流れる嬉しくて楽しくて

 

冒険もいろいろしたね2人の秘密の基地の中

 

君と夏の終わり将来の夢大きな希望忘れない

 

10年後の8月また出会えるの信じて君が最後まで心から

 

「ありがとう」叫んでたこと知ってたよ涙をこらえて笑顔で

 

さよならせつないよね最高の思い出を…

 

あぁ夏休みもあと少しで終わっちゃうから

 

あぁ太陽と月仲良くして悲しくて寂しくて喧嘩もいろいろしたね2人の秘密の基地の中

 

君が最後まで心から「ありがとう」叫んでたこと知ってたよ

 

涙をこらえて笑顔でさよならせつないよね

 

最高の思い出を…

 

突然の転校でどうしようもなく手紙書くよ電話もするよ

 

忘れないでね僕のことをいつまでも二人の基地の中

 

君と夏の終わりずっと話して夕日を見てから星を眺め

 

君の頬を流れた涙はずっと忘れない

 

君が最後まで大きく手を振ってくれたこときっと忘れない

 

だからこうして夢の中でずっと永遠に…

 

君と夏の終わり将来の夢大きな希望忘れない

 

10年後の8月また出会えるの信じて君が最後まで心から

 

「ありがとう」叫んでたこと知ってたよ涙をこらえて笑顔でさよならせつないよね最高の思い出を…最高の思い出を…』

 

 

約束〜August,10yearslater〜

僕達はZONEのラスト曲を歌っていく

 

 

 

『風のはじまる場所語った夢ノカケラ

 

君はどこで今この空見てるの?

 

「さよなら」は言わないと笑って見せた君が今も…

 

 夏の星願い掛けた言葉に出来なかった思い

 

夕立に消えていった後姿忘れはしない

 

今もまだボクの側に君がいるから

 

夜空舞う白い花をそっと手にのせて

 

嬉しそうな君の横顔

 

にじむ文字涙のあと僕の手紙がここに今も…

 

 巡る風季節は過ぎ僕達の約束色あせない

 

君と見たあのH・A・N・A・B・Iが今はこの空に咲いてるよ

 

「綺麗だね」今年こそは君にみせたい

 

 一緒にいたかった1人で泣かないで僕にできることはないの?今もこの胸には君がくれたものが10年たってもかわらずに

気付いた瞬間そっと一雫 涙頬を伝う

 

遠い夏駆け抜けてく最後の言葉を忘れない

 

僕達はきっといつか約束の場所でまた会える

 

巡る風季節は過ぎ僕達の約束色あせない

 

君とみたあのH・A・N・A・B・Iが今はこの空に咲いてるよ

 

「綺麗だね」今年こそは君にみせたい

 

 描いてたその未来を君にみせたい』

 

「残すところあと2曲になりました。そろそろ夏が終わります。じゃあ、2曲続けていきます。風に薫る夏の記憶、灰と青」

 

高人がギターを演奏して僕がキーボードを演奏しながら歌っていく

 

『風に薫る夏の記憶想い出は遠きSummerDays

永久を誓う淡い気持ちはじまりはそんなSummerNight

 

恋は偶然と必然との狭間でまるで突然に目覚めるもので

瞳を奪って僕を夢中にさせた髪を束ねた浴衣姿の君に

 

夕闇の空に踊る夏祭りの灯火の群

また次の夏も君と二人で来たいな

 

十年後の夏の記憶刻みたい君とSummerDays

一夜一夜 一つ一つ

永遠はそんなSummerNight

もう二度とこの夏は巡ることはないから

ただ君の手を強く握るしかできなくて

 

風に揺れ頼り無く懐かしい香りが…

(Youknow I...)

あの日からひとひらの祈りが

優しく心を満たす

(Now and Forever...)

君といる今

 

愛は漠然と抱くものではなくて

まるで運命がみちびくように

海が見たいって淋しげな君の声

守りたくなってハンドルを切った

 

砂浜に寄り添いながら細く伸びた足跡のように

また次の夏も君の隣にいたいな

 

風に薫る夏の記憶想い出は遠きSummerDays

永久を誓う淡い気持ちはじまりはそんなSummerNight

どんな未来にも迷うことはないから

ただ僕の手を強く握るだけでいいから

 

手の平を伝う様に紡ぐストーリー

この夏がもうすぐ終わりでも

何度目かの初めてを始めよう

君がくれた過去を彩って

明日へ渡そう

 

十年後の夏の記憶刻みたい君とSummerDays

一夜一夜一つ一つ永遠はそんなSummerNight

 

風に薫る夏の記憶想い出は遠きSummerDays

永久を誓う淡い気持ちはじまりはそんなSummerNight

もう一度あの夏にめぐり逢えたとしても

また君の手を強く握りしめていいよね』

 

「ラストの曲です」

それだけ言って僕等は演奏し歌っていく

 

 

『袖丈が覚束ない夏の終わり

 

明け方の電車に揺られて思い出した懐かしいあの風景

 

たくさんの遠回りを繰り返して

 

同じような街並みが通り過ぎた窓に僕が映ってる

 

 

 

君は今もあの頃みたいにいるのだろうか

 

ひしゃげて曲がったあの自転車で走り回った

 

馬鹿ばかしい綱渡り膝に滲んだ血

 

今はなんだかひどく虚しい

 

 

 

どれだけ背丈が変わろうとも

 

変わらない何かがありますように

 

くだらない面影に励まされ

 

今も歌う今も歌う今も歌う

 

 

 

 

 

忙しなく街を走るタクシーに

 

ぼんやりと背負われたままくしゃみをした窓の外を眺める

 

心から震えたあの瞬間に

 

もう一度出会えたらいいと強く思う

 

忘れることは無いんだ

 

 

 

君は今もあの頃みたいにいるのだろうか

 

靴を片方茂みに落として探し回った

 

「何があろうと僕らはきっと上手くいく」と

 

無邪気に笑えた日々を覚えている

 

 

 

どれだけ無様に傷つこうとも

 

終わらない毎日に花束を

 

くだらない面影を追いかけて

 

今も歌う今も歌う今も歌う

 

 

 

 

 

朝日が昇る前の欠けた月を

 

君もどこかで見ているかな

 

何故か訳もないのに胸が痛くて

 

滲む顔 霞む色

 

 

 

今更悲しいと叫ぶにはあまりに全てが遅すぎたかな

 

もう一度初めから歩けるなら

 

すれ違うように君に会いたい

 

 

 

どれだけ背丈が変わろうとも

 

変わらない何かがありますように

 

くだらない面影に励まされ

 

今も歌う今も歌う今も歌う

 

 

 

朝日が昇る前の欠けた月を

 

君もどこかで見ているかな

 

何も無いと笑える朝日がきて

 

始まりは青い色』

 

全ての演奏を終えた俺達は軽く礼をしてから話し出す

 

「聴いてくれてありがとうございました。本当はアンコール貰ってもう少し演奏したいんですけど皆いい感じに満足そうなんでこのまま終わろうと思います。本当にありがとうございました。」

 

「聴いてくれてサンキューな!次は冬にやるかもしれないからその時はよろしく〜」

 

そして皆からの拍手喝采でLIVEは幕を閉じた。

 

 

 

 




77話です過去最大の文字数かもです。
読者のみなさんも曲を通して夏をもう一度体感してください
次回からSEASON3の内容に入っていきますのでお楽しみに

次回「新たなチャレンジと最高の夢」


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第78話新たなチャレンジと最高の夢

光と高人はガールズバンドの仲間達の新たな挑戦の手助けし応援していく


本格的に秋を感じる気候になりつつある今日俺はまりなさんと一緒にとある企画の会議に参加していた。

手元の資料にはBANG Dream!ガールズバンドチャレンジと書かれている

「イベントエントリーは10月開始。予選会場はいくつかのライブハウスに掛け合っています。」

「決勝うちで大丈夫ですか?予選と同じだとあんまり決勝感ないというか…」

「サークルさんはこの辺で一番人気のライブハウスですから」

「イベント規模的にも丁度いいですよね」

「どうでしょうか?オーナー」

「私はただのアドバイザーだよ。皆さんのしたいようにすればいい。ただ1つ言わせてもらうなら…」

オーナーは1度言葉を区切り続ける

「その企画やりきったかい?」

その言葉を聞くのは久しぶりだった。

「あの!決勝なんですけど!」

「まりなちゃん?」

「武道館でやりたいです!」

俺も挙手し賛成する

「俺も賛成します!仮にもしも武道館が無理でも東京ドーム公演なんかで大規模にやるべきだと思います!確かこの辺で一番人気なのはサークルです自分もそれには同意します。

でも、せっかく大きなイベントなんですから夢の舞台を用意すべきだと思います」

「そんな…有志のイベントで…」

「彼が言ったようにバンドで頑張ってる子達を夢の舞台に立たせてあげたいんです。」

「撃ち抜くなら最高の夢ですよね?」

そうしてまりなさんの働きかけによって決勝は武道館という事になった。

そして会議が終わった後俺はオーナーと少しだけ話をした。

「久しぶりだね宮村光、あいも変わらずって感じもするが一回り成長したんじゃないかい?」

「光栄です。オーナーも元気そうでなによりです。もう会うことは無いと思ってました。いつか自分の夢が叶ったらあなたをLIVEに呼ぼうと思ったくらいです。」

「その時はしっかりやりきったと思える演奏を期待するよ!それとね、この企画の間全力で参加する子達をサポートするんだよ!」

「もちろん1スタッフとしても演奏家としてもそのつもりです。夢の舞台で待っていてください」

俺はオーナーと握手を交わしその場を後にした。

「付き合って貰ってありがとうね光君」

「いえいえ、この企画は殆どまりなさんの頑張によるものですよ!」

「でも、光君の後押しもあったから武道館でってなったわけだし」

「大袈裟ですよ」

「この後どうするの?学校は休み取ったんだっけ?」

「一応公欠扱いにしてもらいましたからちょっと顔出しておきたい所もありますしそっちに行きますよ」

「そう、じゃあまた後でね!」

俺はまりなさんと別れ車に乗るとチュチュ達のいるスタジオに向かった。

 

マンション件スタジオのチュチュの家の駐車場に車を止めてマンションに入るとオーディションに来ていたと思われる人とすれ違った。

「また不合格かな〜」

そう呟きエレベーターでチュチュの部屋に向かった。

部屋に入るとちょうどさっきのギタリストの事を話していた。

「さっきの子結構良かったと思うけど」

「どこが?RAISE A SUILENは最強のバンドなの。中途半端なギターはNoThank you」

「けどこのままずっと光君頼りでライブするの?彼だって予定あるんだよ!それにあくまでもサポートだって!」

「もちろんずっとじゃない。But私のためだけに奏でるギターじゃないとRoseliaはぶっ潰せないでしょ!」

「それにしては基準が厳しくないかな?」

「光君!」

「よく来たわねヒカル!」

「どうも、ってかぶっ潰すって何?なんのこと?」

「私も前から聞きたかったけどぶっ潰すって何?危ない事考えてないよね?」

「off course!ぎゃふんと言わせるの!」

「具体的には?」

「どうする気?」

「ピッタリのステージを見つけてある!」

「只今戻りましたー」

話しているとパレオが戻ってきた

「とにかく最強のギタリストを見つけるまでオーディションは続ける。あなたたちはLessonに専念してもちろんヒカル、あなたもよ!」

「はいはい」

「パレオ」

「はいチュチュ様!ジャーキーですね!」

「No!次のギター候補者を呼んで!come on!」

「ん?さっきの方が最後ですが」

「あぁ〜だと思った待ってる人とかいなかったし」

「Really?」

「大マジ」

素っ頓狂な声を上げて固まるチュチュに対し苦笑するしか無かった。

 

その頃ポピパは

 

「蔵練♪蔵練♪」

「てかパン買いすぎじゃね?」

「お腹空いて」

「1匹じゃ寂しいかなって」

「匹?」

「ミッシェルパンのこと?」

「秋の新作」

「あ、ロックいるかな?」

「お裾分けしよう」

「ちょっと待ってて」

香澄がGALAXYへと入っていく

「ミッシェルパン後で味見する?」

「うん。ありが…」

「うわぁぁ!」

「香澄ちゃん!」

「なにっ!?」

「曲者!?」

「すごい!すごい!」

「すごい!」

「えっと…」

「BANGDream!」

「武道館!」

香澄達ははしゃいでいた。

 

その頃circleでも

「わぁー武道館だって武道館!」

「お姉ちゃん!武道館!」

「おぉ!祭りだな!」

「祭りですなー」

「まりなさんこれって…」

「この辺りのライブハウスとかみんなで企画したイベントなんだ光君も後押ししてくれてさ!武道館頑張って押さえちゃった」

「さっすがー!」

「すごいね蘭ちゃん!」

「うん。決勝まで勝ち残らないとだけど」

「よーし!えい!えい!おー!」

「……」

「ってなんで誰もやらないのー!?」

「友希那さん!友希那さん! 」

「興味ないわ」

友希那の発言に肩を落とすあこちゃんを見ていた高人は友希那に問いかける

「出ねーのかこれ?」

「出ないんですか?」

蘭も問いかける

「えぇ」

「FUTURE WORLD FESに向けての準備がありますから現を抜かしてる時間はありません」

「そっかぁ…」

「あこ、興味あったんだ」

「あこちゃんロックの聖地だよ」

「そうなの!?」

「えー!じゃあ出たいよ!出ましょうよ!」

それぞれ話していると光がやって来た

「お疲れ様です。」

「おう!来たか!光」

「ヤッホー光!今日学校来なかったよね?なんで?」

「まりなさんの付き添いなんかわかんないけど呼ばれたからね」

「だって光君もサークルの代表だよ!そりゃ行かないと!」

「いつからそうなったんです?俺バイトですよね?」

「一応社員扱いだよ?」

「えぇ〜初耳なんですけど?」

「言ってなかったっけ?」

「言われてないです。」

「まぁ、その辺は置いといてよ!光、友希那達出ないみたいだぜこれ」

そう言ってポスターを指差す

「出ないんだ!って当たり前か!そろそろFUTURE WORLD FESの準備があるもんね」

「今回も協力してもらいたのだけれど厳しいかしら?」

「いや、大丈夫じゃない?ステージこそ予選会場の1部として貸し出すから使えないけど、練習とかは別だろうし」

「光君はステージの手伝いとかもあるんだよ?」

「高人がいますし」

「俺に押し付けんな!」

「何度か一緒にやってるし大丈夫だろ?」

「ふざけろ!1社員がイベント放ってそっちに付きっきりになるつもりか?」

「調整するって!何も俺が出る訳じゃないのに」

「何言ってるの?もしもFWFの舞台に立てたならあなたは1番前で私達の演奏を見届けるのよ」

「それも初耳なんだけど?」

「一応あなたもメンバーなのよ光」

「そう言われてもな〜」

「Roseliaだけじゃなくて私達も忘れないでくださいよ!」

そう言って腕を引っ張るひまり

「わかったからちょっと待って俺は1人しかいないんだから全部やれるよう調整はする!一応シフトもイベント期間はずっと入ってるし!多少融通効くでしょ!」

その様子を遠巻きに見ている高人は

「まりなさん、この場合人気者の光が悪いのかはたまた取り合いしかけてるあっちが悪いのかどっちだと思います?」

「私に振らないでよ!高人君はどうなの?」

「アイツが悪いです!良くも悪くもアイツは器用過ぎるんですよ!ちょっとくらい失敗しやがれって感じです!」

「それは…ある意味光君へのやっかみ入ってるよね、ところで今日は光君バイトなかったはずだけど?」

「シフト表だけ出しに来たんですよ!この後、RASの方で打ち合わせがあるんで」

「光、今日はあっちに行く日?」

「チュチュがなんか企んでるっぽくてね、とりあえずそっち言ってヤバそうな事なら全力で止める面白そうなら乗っかるかも」

「なんでも良いけど無理しないようにね光!」

「わかってる!じゃあ、行くね!」

俺はサークルを後にし再びチュチュ達の所へ向かった。

チュチュのところに戻るとRoseliaの文化祭の時の演奏が流れていた。

「戻ったよ!」

「光さん、おかえりなさい。お疲れ様です。」

「ありがとう、チュチュは?」

「あちらでRoseliaの演奏を観ています」

俺はチュチュの所に行き隣でRoseliaの演奏を眺める

「Sweets!Excellent!」

「本当にいい演奏するよねRoseliaは」

「YES…ヒカル!いつ来たのよ!」

「今さっき」

「Roseliaのこと大好きですよねチュチュ様」

「No!」

「でもチュチュ様ずっとRoseliaの映像見てますよ?」

「私は敵の研究をしてるの!確かにSweetsでExcellentなバンドだけど強ければ強いほど倒し甲斐がある」

「そういえば友希那言ってたねプロデューサーはいらないって」

『私たちは私たちの音楽でトップを目指す。プロデューサーなんて必要ないわ』

チュチュも友希那の言葉を思い出しているようで少しムスッとしていた。

「湊友希那!よくもコケにしてくれたわね!」

「別にコケにしたとかじゃないと思うけどな〜」

「Sharap!ヒカル!」

「はいはい、わかりましたよぉ〜」

「嫌い嫌いも好きのうちって…」

「言うね」

「Noパレオ!ヒカル!邪魔するならあっち行って!」

「邪魔しないでお傍に!」

「ジャーキー」

「YESパレオ!」

「楽しそうだね2人とも、俺自主練してるから」

「はあ…さぁ次は…」

チュチュは一本の動画に目を止める

「ん?文化祭…新しい動画?」

俺も気になったので少し後ろで動画を見る

「見つけた」

「ロックじゃん!」

「知ってるの?」

「後輩だよ、同じ学校の」

「ならちょうど良いわね!ヒカル!パレオと一緒にこれを渡してきて」

そう言ってライブのチケットを渡された

「ロックに渡せば良いの?」

「ポピパとRoseliaにもよ!」

「なるほど、俺がいれば受け取らない訳ないと」

「そういう事よ!」

「もっと別な事に頭使いなよ」

「Sharap!別に良いじゃない!」

「まぁ、良いけどさ!とりあえず、行こうか」

「わかりました!光さん!少々お待ちください」

そう言ってパレオは奥に引っ込んで行った。

「こういう待ち時間ってさ、大人ならタバコでも吸って待ってたりするのかな?」

「知らないわよそんな事!あなたまさか…」

「ないない!第一未成年だって!」

「別に良いけど、ここは禁煙だからね!」

「だから吸ってないって!」

少し馬鹿みたいな会話をしているとパレオが戻ってきた。

「おまたせしました!」

パレオは白黒の髪と服装に変わっていた。

「別にいいよ、さぁ、行こう」

「ではではエスコートお願いします」

パレオが腕を組んできた

「腕組む必要ある?エレベーター降りて少し歩いたら車だよ」

「せっかくかっこいい男性が隣にいるのにエスコートしてもらわないともったいないです」

そう話しながらエレベーターに乗り駐車場まで降りる

「パレオ、君から見て俺ってかっこいいかな?」

「歌ってる時なんかはものすごく素敵です!普段着もオシャレな感じですし!パレオはかっこいいと思いますよ」

「そっか、そう言って貰えると嬉しいな、やっぱり男子はさかっこいいって思われたいからさ」

「わかる気がします。パレオも可愛いって思われたいですから」

そんな話をしながら俺達は有咲の家に向かった。

その間車でもパレオとたくさん話をして打ち解けられたと感じた。

有咲の家に着くとおばあちゃんが出迎えてくれて蔵まで案内してくれた。

蔵の中からは賑やかな声が聞こえてきた。

 

「召し上がれ」

『いただきまーす』

「武道館ライブかー!」

「いや気が早いって」

「イメージトレーニングは大事」

「えっ?私全然イメージわかない」

「武道館なんて夢みたいだもんね」

「だからバン!ドリ!」

「うっ!やられた…」

「お姉ちゃんにもう一度会いたかった…バタン」

「逮捕だー!」

「あぁ!ご勘弁をー!」

「バンドリってそういう意味か」

「お戯れ中失礼します」

「お邪魔するよ!」

「うわっ!」

「出た!」

「ご声援ありがとうございます」

「多分驚いてるんだと思うよ」

「不法侵入!?」

「ちゃんとおばあちゃんに案内してもらってきたよ今日は俺付き添い」

「きちんと門から入ってお祖母様に案内していただきましたので!」

「アポイントメントを省略し大変申し訳ありません」

「突然来てごめんね、驚いたでしょ!」

「あぽい?」

「面会の約束」

「おぉー」

「驚くところじゃないよ香澄」

俺は苦笑する

「パレオ…今度は何?」

「そんなに警戒しないでください。こちらを届けに来ただけなので」

「ありがとう」

「ではまた」

「あれ?もう行くの?」

「後が使えてますからー」

「まぁ、仕方ないか、じゃあまたね!」

そうして次の目的地である旭湯に向かった。

中に入るとちょうどロックが番台に立っていた

「初めまして」

「…じゃないですよね?」

「覚えていただき光栄です。改めてチュチュ様のキーボードメイドパレオと申します」

「何それ?」

「ご丁寧に。私は…」

「朝日六花様7月17日生まれ。蟹座のA型。岐阜県出身。

こちらの銭湯へは春から住み込み朝は浴室の掃除、昼は学校夜は…」

「あのどうして」

「調べました!」

「パレオは調べ物とか凄く早いんだよ」

「なるほど…」

「こちら招待状です!」

「招待状?」

「あなたを新しいステージにお連れします」

「あっ…」

「Poppin’Partyもいらっしゃいますので!」

「ポピパさん!?」

「では!」

「会場でね!」

「RASさんのワンマンライブ!?」

私はなんで自分が呼ばれたのかわからないけど行ってみようと思うのだった。

 

 

-ライブ会場-

 

会場はかなりの人で溢れていた。

「お客さんいっぱいだね」

「前も凄かったけどそれ以上だな」

「あ、沙綾達もうすぐ着くって」

「うん」

皆が合流するのを待っていると友希那先輩とリサ先輩に会った

「こんにちは」

「おぉー来てたんだ。2人?」

「いえ、5人です」

「もしかしてポピパも招待された?」

「え?Roseliaもですか?」

「えぇ」

「何度も来るからさ」

「まぁ…大ガールズバンド時代のニューリーダーとなる存在ってのも気になるし、光もいるしね!」

「大ガールズバンド時代の…」

「ニューリーダー?」

なんて話しているとおたえが合流した。

「お待たせ」

「おたえ」

「りみと沙綾は?」

「物販見てる、光先輩のはなかった」

「あったらあったで驚きだけど」

そしておたえの後ろからロックが顔を覗かせた

「こんにちは…」

「ロック!どうしたの?」

「人混みで溺れていたらたえ先輩に助けていただいて…」

「一本釣り」

「本当は来るの迷ったんですけどせっかく招待していただいたので」

「ロックも!?」

「は、はい…」

「あの子…何を…」

そうしているうちにLIVEが始まった。

LIVEはかなりの熱量だった。

サポートとして参加してる光の音が多分更に1弾上の演奏を可能にしてるのかもしれないと感じた。

そして演奏が終わると聞こえてくるファンの声

「RAS! RAS! RAS!」

「RAS! RAS! RAS!」

「マジか。想像以上だな」

「ギターは光君の担当でしたよね?」

「えぇ、実際どのくらいの実力なのかわからないけど、光自身も自分の実力をある程度出せてるように感じるわ」

「やっぱりすごい…」

「たえ先輩あの中で弾いてたんですか?」

そうして話しているとマスキング事ますきがドラムを打ち鳴らす

「キングー!イェーイ!」

そしてスポットライトがチュチュを照らし出す

「Hello、Everyone!」

『ハローチュチュ!』

「OK,OK アンコールの前にSweet'sなお知らせよ!

私のバンドRAISEASUILENはBANGDream!ガールズバンドチャレンジに出場します!」

歓声が高まる

「OK,OK。重要なのはここから、そのバンドリでRoseliaとポピパをぶっ潰す!」

「えっ!?」

「……」

(お団子!)

「そのために…」

チュチュはロックにてスポットライトを向ける

突然の事に驚くロックを無視してチュチュは続ける

「六花朝日あなたを!スカウトする!」

「あわわわ」

戸惑うロックに対し俺はマイクのスイッチを入れて話し出す

「まずは前向きに検討して欲しい!俺じゃあRASをガールズバンドチャレンジの舞台には上げてやれない!RASには君の力が必要だから!」

「その通りよ!ルミナス!貴方の演奏力はかなりものも!それはわかってるでも、ガールズバンドチャレンジと銘打ってる以上貴方の力には頼れない!でも、この瞬間だけはあなたはRASのギタリストよ!アンコール2曲!好きになさい!最っ高の音を期待するわ!」

「OK!じゃあ皆!力貸してね!」

ますき達が頷いて俺はレイと場所を変わり話し出す

「じゃあ!今回のガールズバンドチャレンジに向けて参加する皆にエールを送ります!まずは雄叫び」

俺はギターを弾きながら歌っていく

 

『前に前に前に 走れ運命よ 次々向かい風くぐり抜ける

ゆらゆら燃え上がる魂でもっと…勝利の雄叫び1 2 Hi!』

 

『金色になびくたて髪が僕の仲間光らせてくんだ

青くゆらめく時の炎が赤い情熱照らしてくんだ

電光石火 正面突破

どんな扉もぶち破る

日進月歩 百花繚乱

 

前に前に前に走れ運命よ次々向かい風くぐり抜ける

ゆらゆら燃え上がる魂でもっと…勝利の雄叫び1 2 Hi!

 

 

銀色に染まるこの剣が僕の敵を黙らせてくんだ

淡い夢のかけらの1つが確かな今の架け橋なんだ

順風満帆 天真爛漫

甘い罠には気をつけろ

切磋琢磨 さっさと行くさ

 

前に前に前に走れ運命よ次々向かい風くぐり抜ける

ゆらゆら燃え上がる魂でもっと…勝利の雄叫び1 2 Hi

 

殺風景な景色だってみんなの声音色になって

鮮やかにその未来の光を掴んだれ!

不安なんてないぜ罵声なんて蹴っ飛ばせ

OhYeah! 盛り上がれ!

ぶるんぶるん 震え上がる使命に

しゅりんしゅりん 竜巻を巻き起こす

ざわざわ山と海抱きしめて

もっと…

 

前に前に前に走れ運命よ次々向かい風くぐり抜ける

ゆらゆら燃え上がる魂で

もっと…勝利の雄叫び 勝利の雄叫び

勝利の雄叫び1 2 Hi!』

 

「次の曲はRISE」

 

『終わらない夢を胸に抱えて

駆け抜けて行け荒野というダイヤモンドへと

 

RISE Up against…

RISE Up against With you migty LEFT!

 

戦う時ライバルは手強くて

多いほどタフになれるから

 

流す涙悔しさも明日への

エネルギーに変えてしまえ

 

自分の生き方を貫いてゆけ

不器用なままでいいさ

 

きらめくPRIDE その手でつかめ

向かい風にもまっすぐに立ち向かうのさ

 

終わらない夢を胸に抱えて

駈け抜けて行け 荒野というダイヤモンドへと

 

RISE Up against…

RISE Up against With you migty LEFT!

 

100マイルの情熱とこだわりで

新しい時代(とびら)開けろ

 

孤独のマウンドが教えてくれた

ひとりきりじゃないことを

 

未来(あした)は誰にも渡しはしない

信じていたい 愛だけがここにあるから

 

終わらない夢を胸に抱えて

駆け抜けて行け荒野というダイヤモンドへと

 

どんな勲章(メダル)なんかより

倒れても立ち上がった数こそが俺の自慢だから

 

自分の生き方を貫いてゆけ

不器用なままでいいさ

きらめくPRIDE その手でつかめ

向かい風にもまっすぐに立ち向かうのさ

 

未来(あした)は誰にも渡しはしない

信じていたい 愛だけがここにあるから

 

終わらない夢を胸に抱えて

駆け抜けて行け荒野というダイヤモンドへと

 

RISE Up against…

RISE Up against With you migty LEFT!』

 

演奏を終えると会場は歓喜に包まれる

 

「OK!OK!どうだったかしら?私達からのガールズバンドチャレンジに参加する皆へのエールは?」

 

チュチュが問いかけると観客が更に沸き立つ

「気に入って貰えたようね!LIVEはこれで終わるけれど、皆、どんな事にもchallengeする事を忘れないようにね!それではごきげんよう!」

 

そうしてLIVEは終わりを告げた。

 

-控え室-

 

「見事だったわヒカル!」

「そりゃどうも!」

「あなたには今後も裏方で色々サポートしてもらうけどよろしくお願いね!」

「贔屓はしないからね」

「もちろんよ!あなたが私の理想に答え続ける限りそれで構わない!」

「じゃあ、今後ともよろしく!」

「よろしくな!」

「よろしくね光君」

「お願いしますです」

 

そうしてみんなの新たな挑戦が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 




78話目SEASON3突入です!かなり内容変えてますしアニメ本編は3分の1くらいかなと思ってます。こんな感じで多少中身は変えさせてもらいますが今後ともお楽しみに。

次回「小さな怯えと臆病な気持ち」


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第79話小さな怯えと臆病な気持ち

チュチュからかなり大胆なスカウトを受けた六花困惑する中彼女の出した答えは…光は彼女に対しどう行動するのか


六花視点

 

私は驚きと同時に少し悩んでもいた。

「ああ〜さっきはビックリしたわ。人生何が起こるかわからんもんやなぁ〜」

私はあの瞬間を思い出す

「ロッカ・アサヒ!あなたをスカウトする!」

「ご、ごめんなさい!」

正直な所今、私はどうするのが正解なのかわからないままだった。

 

 

-ポピパ視点-

LIVEの後、私達は光先輩にも時間を取ってもらいロックの事について聞いてみることに

 

「ビックリしたよね」

「凄かったね。なんか劇みたいでドキドキした」

「なんでロックがスカウトされてんだ?アイツら知り合いだったっけ?」

「チュチュちゃん私たちの主催ライブに来てくれてたけど」

「ロックと喋ったことないよね」

「直接の面識はないよあの二人」

「GALAXYのホームページ見たとか?」

「あのページうちらのことばっかでロックについては何も載ってないだろ」

「そっかー」

「ロックがすごいギタリストだから」

「そっか!」

「いやいや。ロックがすげぇヤツだってどこで知ったんだよ?」

「発見したとか」

「正解だよ、ギター不在の中で色んな人をオーディションしてもしっくり来なかったらしくてその時たまたま文化祭の動画を見つけて目をつけたんだ」

「それなら納得です。確かにあの子なら自力で見つけてもおかしくないかも」

「沙綾ちゃん?」

「ちょっと強引なところはあるけどバンドへのやる気がすごいし、本当に音楽が好きなんだって思う」

「うん。私もレイも知らないような曲いっぱい聴いてた。

モーティンのシークレットライブ音源も持ってた」

おたえは言葉を区切りその先を続ける

「チュチュは上手なだけじゃなくて痺れる演奏を求めてる。

きっとどこかでロックのギターに痺れたんだと思う」

「でもロックのやつスカウト断ってたよな?」

「あの状況で私だったら断れないかも…」

「ロックだよー」

「多分敵に周りたく無いとか考えたんじゃない?ロックはポピパの皆大好きでしょ?だからこそ皆をライバル視してるし敵になりたくなかったんじゃない?」

「まぁオッケーしたらしたでビビるけど…」

「私達はどうする?BANGDream!ガールズバンドチャレンジ」

「もちろん出る!」

「だよな!」

「だよね」

「え?なになに?」

「多分、ロックについてはこのガールズバンドチャレンジに関係してると思うよ、俺は一応サポートって形でRASに出入りしてるけど、ガールズバンドチャレンジともなれば俺は参加出来ないからね、もちろんそれでおたえに戻れとか言ってるんじゃないよ、代わりが必要だったんだよ、俺でもおたえでもなくってちゃんとRASの音を奏られる存在がね」

話を聞いて私達の中に色々ストンと落ちてくるものがあった。

 

「でも、あの!ぶっ潰すって言われちゃったけど大丈夫かな?」

「テーブルの下に入れば…」

「おおっ!おたえ〜!こちょこちょこちょこちょ〜!」

「あれ!?効かない!?」

「効かないよ!」

「なんか豪華な大会になってきたな」

「確かにね」

「友希那先輩たちはどうするのかな?」

「出ないと思うよ!」

前に出ないと言っていたから余程、そしてきっと気が変わらないと出ることは無いだろう

 

-Roselia視点-

 

BANGDream!について話をしているが私達の意見は変わらない

「出ないわ」

「ではFUTUREWORLDFESに向けたスケジュールはこれで決定ということで、光君には定期的に練習に参加してもらいアドバイスを貰うと言う形にしましょう彼は忙しいですから」

「オーケー」

「あーあ。出たら絶対負けないのに」

「でも練習日を増やしたから…」

「そうそう。これ以上何か増やすとゲームの時間無くなっちゃうかもよ!」

「それはあこちゃんには大ダメージだな」

受付にいて話を聞いてる高人がただただ可笑しそうにしていた。

 

-次の日・ロック視点-

 

次の日になっても私の憂鬱な感じは抜けてない

「はぁ…」

「どうしたの?」

「昨日はもう何が何やら…」

歩きながら話していると校門の前に人集りが出来ていた。

「ん?」

「なんだろう?あれ?」

人集りの方に行くとチュチュが囲まれていた。

「えっヤバ!RASのチュチュじゃん!」

「えーカワイイ!なんでここにいるの!?」

「あなたたち下がって!」

「あれセロシア女子の制服だよ。偏差値高くて有名なインターナショナルスクール」

「いたー!」

チュチュが声をあげこちらに近寄ってきた。

「ひぃっ!」

「私RAISE A SUILENのプロデューサーのチュチュと申します」

名刺を差し出すチュチュの前に明日香ちゃんが進み出る

「うちの六花に何か用ですか?」

「マネージャー?なら話が早いわ。改めてロッカ・アサヒをスカウトに来たの」

「すみませーん!」

「待ちなさーい!」

六花を追いかけようとするも1度立ち止まるチュチュ

「Oops !アポイントメント無しはマズイわね」

そう言ってチュチュは電話をかけ学校見学の許可を得て校内へ足を踏み入れた。

 

-昼休み光sid-

 

いその日はなぜかいつも以上にクラス内が騒がしいと感じた俺はイツメンの所に行き話しかける

「いつにも増してなんか騒がしいけど何があったの?」

「光!、1年にGALAXYのバイトの子いるじゃん、RASにスカウトされて、今校内はその噂で持ちきりだよ」

「あぁ〜なるほどね、もしかして、チュチュ来てる?」

「来てるみたいだな!」

「じゃあ、ややこしくなる前に行くとしますかね〜」

「光も大変ね、バイトして私達含め色んなバンドの練習見て、RASのサポートもでしょ!」

「無理ない範囲でやってるから平気だよ」

その後生徒会室で日菜と合流しとりあえずロックを呼び出してもらった。

そしてしばらくしてロックがやってきた

「失礼します。あの…1年A組の朝日六花です。あの…お呼びでしょうか?」

「Hello!」

「出たー!」

「失礼ね!人をオバケみたいに!」

「部外者の方は勝手に入ったらダメなんですよ!」

「学校見学の許可はもらってるわ」

「そうそう。お客さんなんだよ」

「チュチュはこう言うとこだけはしっかりしてるからね」

「一言余計よ!ヒカル!」

「はいはい、ごめんね」

俺は苦笑しながら謝罪する

「あの…学校は…」

「単位を取り終わった私に登校義務はこれっくらいしかないの」

人差し指と親指の間で隙間を作り説明する

「チュチュはこう見えて頭良いからね、多分その気になれば飛び級する事も出来るんじゃないかな?」

「そんな事はいいから!さっさと私のバンドに入りなさい!」

「そ、そんなぁ…」

「ちょっと性急過ぎやしない?」

「No!私は目的のために行動しているだけよ!」

「なんだかなぁ〜」

「あの、光さんともですけど、どういうご関係なんですか?」

「MyGuitarist&Bestサポーターよ!」

「違います!」

「俺の方は当たらずとも遠からず」

「おもしろーい!」

「面白くないですよー!」

「確かに、面白がってる場合では無いんだけどね〜」

俺は一応は必要なら行動を起こすつもりではあるがチュチュを止められる気は正直していない。こういう時のチュチュは言っても聞きやしないからだ

チュチュは相変わらずと言うかこちらに目もくれずロックを勧誘している

「私の最強バンドに入れるチャンスなのよ?」

「最強?」

「YES!私の音でガールズバンド時代をぶち壊す!」

「怖い…」

「怖くなんかない!」

「ひぃ!」

「BeginningNEW World!新しい世界の始まりよ!」

俺はチラリと時計を確認し日菜に目配せする

「時間だよー」

「ん?」

「午後の授業が始まりますので」

「そこまでだよチュチュ」

「ここまでか」

「ん?」

「授業頑張ってね」

「嵐が去った後みたいだな…」

俺はそう呟きチュチュが出ていった入口の方に視線を向けていた。

-放課後-

 

授業を終え帰宅するため昇降口に行くとロックと会った

「やぁ、ロックに明日香ちゃん。今帰り?送ろうか?」

俺はポケットから車の鍵を出して指先でクルクルと回す

「先輩、車なんてどこに置いてきたんです?」

「教職員の駐車場の端っこ、バレないもんだよ!」

「はぁ…」

「大変だねぇ」

気分転換にと思ったがロックは絶賛お悩み中みたいだ

そして案の定と言うかお決まりというかで現れる小さな嵐とカラフルな旋風

「迎えに来たわよ!」

「パレオもいます!」

「チュチュ!パレオも!」

「あわわわわわ!」

「逃げるよ!」

逃げるロックと明日香ちゃん

「Goパレオ!」

チュチュの命令で追いかけるパレオ

「あっ!ちょっ…!あぁ!もう!」

俺はとりあえず屋上から状況確認をするのがいいと判断し屋上に向かう

屋上ではAfterglowの皆が話していた

「まさかBANGDream!の決勝と大地蔵祭りの日が一緒だったなんてね」

「本当に出なくていいの?」

「商店街の一大イベントだし私たちが出なくて誰が出るのって感じだよね、光さんも出てくれたら良いんだけど、あっちのスタッフだろうし無理だよね」

「そうだね、まぁ、光さんのことはともかく私たちは私たちのやり方で武道館に行けばいいよ」

「商店街あるところにモカちゃんありー」

話していると屋上の扉が開いて光さんがやってきた

「光さん!どうしたんです?」

「ロック達の鬼ごっこどうなってる?」

私達は下の様子を伺う

「六花じゃん!」

「また来てる…」

「あの人たち何やってんの?」

「勧誘という名の鬼ごっこ」

「なるほど?」

「そこだー右!右!」

「逃げて逃げてー!」

「ロック!校門の方に走れ!」

「小さい方結構鈍臭い」

「逃げ切れよー!」

「チュチュはともかくパレオ足速いからな〜」

俺はAfterglowの皆に挨拶し屋上を後にし車で先回りしチュチュ達に追いつく

「チュチュ!パレオ!」

「光さん!」

「ヒカル!道中ロッカアサヒは見かけた?」

「いや、見てないけど?居ないの?」

「居ないわ」

チュチュは店番しているはぐみに話しかける

「いらっしゃーい」

「こっちにメガネGirl来なかった?」

「メガネGirl?」

「ロック、見なかった?」

「朝日六花様です」

「六花なら…」

「あ、匿ってって言われてたんだった」

チュチュはパレオに肩車してもらい探すがチュチュ達からは死角の位置にロックが居たため見失ったと判断したようだ。

「いない!逃げたのね!」

「日を改めますか?」

「NO!やっと見つけたの!文化祭のロッカ・アサヒの映像パレオも見たでしょ!最初の音でRASに必要だってわかった!」

チュチュの言葉を聞いて「はっ」となるロック

「あの子のギター力は本物よ」

「なら、強引な手段じゃなくて正攻法の方がいいんじゃないの?」

「チュチュ様あちらにも行ってみましょう」

「パレオ!ちょっといい?」

「なんでしょう?」

「チュチュの事は一旦任せて貰えない?ロックと話してきてよ!」

「光さんがそう仰るなら」

俺はパレオにロックの事を頼みチュチュと合流する

 

-ロック視点-

 

2人を巻いて帰ってきた私だけどまだ警戒が抜けない

「さすがにここまでは…」

「六花様」

「いやぁぁああああ!」

声をかけられ驚く私にパレオさんが淡々と告げる

「チュチュ様は光さんにお任せして休んでもらってます。

六花様はバンドに興味がないのですか?」

「え?」

その質問に答えをすぐに返すことが出来なかった。

 

-光side-

 

チュチュと合流したらチュチュは自販機と格闘していた。

「ふぬぬぬ…!」

「パレオ!パレオどこ!?ぐぬぬ…Drinkも買えない世界なんて…!」

遠目にその様子を見ている俺はそれが可笑しくて笑ってしまう

そして俺の後ろから声が掛かる

「光、何しているの?」

「あぁ、友希那!あれ」

俺はチュチュの方を指差す

「飲み物が買いたいのかしら?」

「多分ね、背伸びしたり怒ったりしてるのがなんか子供っぽくてちょっと可笑しくてさ」

「声掛けてあげなさいよ」

「じゃあ偶然装って2人で声掛けない?」

「何か考えがあるのかしら?まぁいいけれど」

俺達はチュチュに声をかける

「チュチュ!やっと見つけた!飲み物買おうとしてた?」

「ロイヤルミルクティーがいいの?」

「えっ?光!湊友希那!」

「友希那はフルネームなんだね」

「そんな事よりお財布忘れたの?」

「現金は持ち歩かない主義なの!」

「じゃあ、俺が出すよ!友希那も!」

「お言葉に甘えるわ」

「何飲む?」

「ブラックコーヒー…」

「友希那は?」

「私はこっちのコーヒーをお願いするわ」

俺は2人に飲み物を渡すと自分の分のコーヒーを開ける

「苦い…」

「ブラックなんだから当たり前だよ」

「敵にコーヒーを奢られるなんて…」

「敵?」

「もしかして俺も?」

「光は完全に私達の味方じゃないもの」

「まぁ、そりゃそうだ」

「返事を聞きたいんだけど?」

「ん?」

「あぁ、挑戦の件か」

「言ったでしょ。挑戦受けるわよね?RASはあなたたちRoseliaをぶっ潰すバンドなの。ついでにPoppin’Partyも潰す予定だけど」

「あなたのプロデュースを断ったのはRoseliaはあなたの音楽を奏でる場所じゃないからよ」

「私の音楽を求めて何が悪いの?音もメンバーもperfectなバンドを作るのに妥協なんて必要無いでしょ?」

「どっちの意見もわかるよ俺はどっちのバンドにも関わってるからね」

そう話していると電車が到着しリサが降りてきた。

「友希那おまたせ、光もいたんだ」

「偶然ね、声かけてくれれば車で送ったのに行先circleでしょ?」

「でも光、今日もRASの方に顔だしてから来るんでしょ!入れ違いなるって!」

「それもそうか…」

「ごちそうさま、偉そうにしてられるのも今のうちよBye」

缶をゴミ箱に放るが外し慌てふためくチュチュを俺が笑いながら追いかけるのだった。

「またあの子か。友希那も…」

その後友希那から

BANGDreamガールズバンドチャレンジに出場するとメッセージが入っていた。

「どういう風の吹き回しなんだかな〜」

俺はとりあえず必要な時に必要な事をやるだけだと思った。

 

そしてチュチュの家兼スタジオに着くなりチュチュはご機嫌

斜めと言った様子でジャーキーを貪り始める。

「パレオジャーキー!」

「荒れてんな

「逃げられたのよ!?」

「追いかけ回すからだろ?」

「同意、逃げるが勝ちって言うよりはすげー必死に逃げてたよ!チュチュも1歩も引かなかったけども」

「追わなきゃ捕まえられないでしょ!」

「強引にじゃなくて正攻法でって言ったじゃんか」

俺達のやり取りを聞いてますきは肩をすくめると踵を返して扉の方に向かった。

「おかえりですか?」

「おう!光はどうすんだ?」

「来たばっかだしもう少しだけいるよ!レイともちょっと相談したい事あったし」

「あぁ、例のカバー曲の話な」

「そうそれ、それとさ今度またドラムドスドス来るやつ一緒にやろう」

「期待してるぜ!」

そうしてますきは帰って行った。

 

-ロック視点-

「さすがにここまでは来とらんやろうな?」

家にまで来ていたのでどうしても警戒させてしまう

「六花ちゃん」

「うわぁぁああああ」

声を掛けられ驚き相手も驚かせてしまう

「いきなり声かけちゃってごめんね。掃除終わったらここ使っていいから」

許可を貰ったのでさっそく使わせてもらう

「今日も何が何やら。大変やったなぁ…

まさか学校にまで押しかけてくるなんて」

私はパレオさんと話した事を思い出す。

 

「六花様はバンドに興味がないのですか?」

「そんなことは…」

「チュチュさまは誰よりも強烈にあなたの才能を求めていらっしゃいます。私達も六花様を還元します。いつでもおいでください」

私はあの時のLIVEを思い出しギターを弾く

「アイツ…」

私は弾く事に集中していたので気付くのが遅れた

「あっ!ますきさん!練習ですか?」

ますきさんは何も言わず近寄って来ていきなり腕を掴まれた

「んんっ!」

「来いよ!」

「ひぃぃ!」

「こねる気ですか!?こねるんですね!」

「なんだよそれ。方言か?」

私はバイクに乗せられてどこかに連れて行かれる

「ひぃぃ!寒い寒い!あの!どこに!?ひぃぃぃ!」

連れていかれた先はかなり高級そうなビルだった

「高級なビルやぁ〜」

「ひっくり返んぞ」

「行くぞ」

「ひぃぃぃ!」

「うぃーす!」

「え?まっすーさん?お帰りになったのでは?」

「あぁ…」

「連れてきた」

「いらっしゃいませ!」

「ここは!?」

「ここはチュチュ様のプライベートスタジオです!」

「大丈夫?」

「大丈夫じゃないです!」

「怯えてるじゃない」

「入る気になったのね」

すごい勢いで首を横に振る

「どうだか。音は嘘つかねぇ。セッションだ」

「ひぃ!」

「お前さっきから''ひぃ''しか言ってないけど大丈夫か?」

「ひぃぃぃ!」

「まっすーさん楽しそうですね」

「なんの騒ぎ?ってロックじゃん」

ちょっと席を外していたら騒がしい超えが聞こえてきたので

そっちに行ってみるとロックが居た

「ひぃぃ!…って光…先輩?」

「あぁ〜もしかしてますき、拉致って来た?」

「拉致ってねー!引っ張って来た!」

「威張るとこじゃないんだけどな」

俺は苦笑しながら返答する

「どうするの?」

「そうね、好きなだけ暴れるといいわ」

「演奏するの?じゃあ遠慮なく!」

俺はギターを手に取りスタジオに続く扉を開けたタイミングでストップが掛かる

「光、STAY!STOPよ!」

「なんで?」

「ロッカ・アサヒの音が聞きたいわ」

「ん、そういう事なら」

俺はチュチュの横に並ぶ

「1歩下がりなさい」

「俺は執事じゃないけど?」

「良いから!」

「へいへい」

そして皆がスタンバイするのを見つつ演奏が始まるのを待つ

「お隣失礼します…」

「何弾こうか?」

「RIOTだ。そいつ1回聴いた曲は耳コピしてる」

「じゃあいけるわね」

そうして演奏が始まるがギターの音色に俺は違和感を覚える

周りに合わせるかのような音で自分らしさが無いというか

もっと引き込むような音が欲しいと感じた。

そして違和感はそのままに演奏が終わる

「いいんじゃない?合わせやすかった」

「はい!お上手でした!」

「んん…おかしいなぁ…」

「……」

「あ、あの…」

「他人の顔色を伺うような音はいらない」

「はっ…」

「Sorry不合格よ」

それだけ言うとチュチュは俺の方を向き言った

「光、いけるわよね?」

「誰に言ってんの?ちょうど良いや!チュチュ、聴いてから判断してくれない?この曲のカバーをレイにやらせるかどうかさ」

「良いわ、あなたの演奏次第では検討してあげる」

「ん、じゃあ交渉成立ね」

そう言ってスタジオに入りロックに告げる

「よく見てて、これが音の世界だよ」

俺はロックとポジションを代わり皆に告げる

「レイ、前話してた曲1度歌ってみせるからさレイ自身も検討しておいてね」

「わかった」

「じゃあ、行くよ!君の思い描いた夢集メルHEAVEN」

 

『君の思い描いた夢集メルHEAVEN無限に広がってゆけ

 

大切なものをなくして哀しみにただ心が枯れ

君が誰かを傷つけたとして責めること出来るでしょうか

君が大人になってゆくその間中

傍にいたいけれど一人きりで旅立つ君を遠く見守っているよ

 

あの夢この夢君にもみえるかな

青い花を咲かすノーヴァリスの扉を

明日が生まれるのは僕ら次第だって

世界がつながるよ

 

無防備に周りを信じて傷ついてたこと隠しながら

夢中になれる何か探してね.笑っていたんだね

人々はそれぞれの正しさをもって生きているからとても

幸せの形さえもどこかとりとめもなく

君の心の中へすべり込めるなら

哀しい記憶を奪ってゆきたい

迷わず君か思い描いた場所へと

辿り着けるように』

 

レイ視点

 

光君が私に歌わせたいと言っていたのが何となくわかった

サビの部分『青い花を咲かすノーヴァリスの扉を』の部分が結構好きだなと思った。

 

『君の思い描いた夢集メルHEAVEN

青い花を咲かすノーヴァリスの扉へ

明日が生まれるのは僕ら次第だって

すべてユメとなる』

 

演奏を終えるとロックは下を向いていたがそれとは正反対にチュチュは満面の笑みを浮かべていた。

「気に入ったわ!レイヤ!あなたの為のカバー曲よ!」

「わかった、光君、ありがとう。それと…あの子の事よろしくね」

「あぁ、任されたよ」

惜しくも不合格となったロックは燻る気持ちを引きずるままとなってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




79話目です。最後どうしようか迷いましたが次の話でポピパのみんなとロックの為の行動を起こすのであえて気持ちが晴れない状態をイメージして描きました。
次回はseason3の3話目になります。出来れば今日中、悪くても年明けすぐくらいに
80話投稿しちゃいたいのでそのまま執筆に入ります。
月初めに投稿してる【鮮血の剣士と無敗のウィザード】は1月3日か4日辺りを予定してますのでそちらもお楽しみに

次回「踏み出す勇気と帰らない覚悟」



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第80話踏み出す勇気と帰らない覚悟

RASを不合格になってしまったロックに再び踏み出す勇気を持ってもらうためポピパの皆と一緒にロックを勇気付ける


-ロック視点-

 

あの後ますきさんに送って貰って旭湯に帰ってきた。

「悪かったな無理矢理連れてって」

「どうして…」

「RIOT弾いてただろ?」

「バンドやりたいんじゃないかと思ったんだ」

「…」

また私は答えを出すことが出来なかった。

 

-次の日-

 

本格的にガールズバンドチャレンジの予選が始まった

今日はcircleさんのお手伝いをしている

「始まったね!」

「私まで緊張しちゃうよー」

「お客さんたちもちょっときんちしてるみたいでした」

「自分の一票がバンドの順位を左右するんだもん。いつもとは違うよね」

「今日ってcircleさんだけじゃなくて色んなライブハウスさんで予選やってるんですね」

「そう!好きな会場の予選にエントリーできるんだよ!回数制限無し!楽器店の人とかライブハウスの人たちみんなで考えた企画だからね」

「何回出てもいいって凄いですね」

「やる気次第でいっぱいライブ頑張ればいっぱい票を入れてもらえるチャンスがあるってわけ」

「私達もスタッフとして頑張らなくちゃね」

「はい!」

「美子も今日はありがとねうちのバイト2人音響任せてるから受付とか細かいところ追いつかなくて」

「ううん気にしないで。今日GALAXYのエントリーないし他のライブもないし」

「もし人手が足りなくなったら言ってね!応援に行くから!うちのバイト2人がね」

「ありがとう」

 

-ライブ後-

 

「凄かったなRoselia」

「まさかRoseliaがバンドリに出るなんてね」

「しかもcircleでのライブなら音響や照明担当光さんだろ?」

「魅せ方がわかってるあの人のアシストがあったら多分票凄い事になるよね」

「まぁ、あんだけ宣戦布告されたらな」

チュチュがRoseliaとポピパをぶっ潰すと言った時の事を思い出す。

「でも、友希那先輩出ないって言ってたよね」

「投票終わった〜?」

「日菜先輩!」

「来てたんですね!」

「ちょうどRoseliaに入れたとこです。日菜先輩は?」

「当然入れたよ!お姉ちゃん最高だった!ライトの下でジャーンって!かっこよかった〜」

「うんうん。あこのドラム今日もきまってたなぁ」

「Roseliaの演奏だけじゃなくて魅せ方わかってるあの人がいるからね、多分凄い事なるよ!」

「だよねー!さっすがあたしのひ〜くん!」

「日菜先輩のじゃないですよね…」

「でもやっぱり」

「「Roseliaはいいよね!(な!)」」

「あ〜あ!なんで一票しか入れられないんだろう?」

「100票入れたいよな」

「投票数やばい事になっちゃうって」

「例えばだけど…光さんが参加してたらどうなってたかな?」

「ぶっちぎりじゃね?」

「絶対ひ〜くん1番だよ!」

なんて話しながら盛り上がった。

 

ーRAS視点-

 

私達はスマホで今日の投票結果を見ていた

「やっばーRoseliaぶっちぎってます!」

「ほんとだ、1位だね」

「No problem。RASがステージに上がるまでの短い栄光よ」

「チュチュ様かっこいい!」

「Roselia明日の予選も出るみたいだよ?」

「すぐ追い抜いてやるし!」

「つってもRoseliaやってるとこ光のバイト先だろ?おんきや照明をアイツがやるって事はよ、アイツのアシストを全面的に受けられるって事だろ?それかなりのアドバンテージだぞ」

「光さんもcircleスタッフとして参加するからRASのサポートできなくて申し訳ないってメッセージで言ってました。」

「そこもNo problem!光は音源だけだけれど、最高の活躍をしているわよ!だから気にするなと伝えなさい」

「でも、勝ち抜きじゃないって結構キツイよな」

「ライブいっぱい出なきゃですもんね」

「うん。想像以上にシビアな大会だね」

光君は表に出なくても私たちの大事な仲間だから彼の音と一緒に頑張ろうと思った。

 

ー次の日ー

 

今日は光先輩にも来てもらって予選初LIVEに向けての会議を行っていた。

「ウチもガンガンライブしてバンバンお客さんに見てもらわないとな」

「予選全部参加する!?」

「できるか!」

「確かに無理だね!」

「ライブハウス破りだ」

「私たちはGALAXYからエントリーだね」

「新曲作らなきゃ!」

「初めての予選ライブだしな」

「新曲も期待してるよ!俺もポピパの曲好きだし」

「光先輩、私達の曲カバーするって話どうなりました?」

「演奏はそれなりになったけど歌がね〜香澄達が歌ってる時とはなんか違くてさ違って当たり前なんだけど、こうじゃないって感じが抜けなくて」

「まぁ、いきなりカバーして再現されたら私達の立つ瀬がないんでこう言っちゃアレですけどめっちゃ悩んで納得言ったらカバーして聞かせてください」

「わかったよ!」

そうして話しつつ和気あいあいと会議は進む

「のんきだな。武道館はわけっこできないっていうのに。

行けるのは上位2バンドだけなんだぞ」

「でもさ、ポピパの良さってこういうとこだと思うんだよね俺はポピパのこういう雰囲気って嫌いじゃないんだ」

「まぁ、あたしも嫌いじゃないです。」

そんな中で心ここに在らずなロックは

「ロック?」

「あぁすみません!ボーッとして!」

「どうしたの?」

「いえいえ何でもないです!全然大丈夫です!元気です!」

「えっと…そうだ!Roseliaさんのライブ凄かったですね」

「なんというか気迫が凄いというか、いつもほんとカッコいいです!」

「本当に凄いですよね」

「まぁ、circleには光先輩がいますからね」

沙綾がそう言うと視線が俺に集中する

「えっと…?何?」

「Roseliaの票が凄い理由の一旦って先輩ですよね?」

「なんで?」

「音響とか照明とか色々担当光先輩ですよね?」

「circleのライブの時はいっつも演奏した後の高揚感とか半端ないんですよ!」

「そりゃそうなるように調整してるからね」

「そういう効果も相まって評価高いんじゃないかって」

「あぁ、まぁそうだね、でも、ポピパのライブの時はGALAXYに行くからその時は任せてよ」

「その時はお願いします!」

「んじゃ、俺そろそろ行くね!RASに顔だしてからバイト行かないとだから」

「忙しいですね先輩」

「大丈夫だよ、この大会が終われば落ち着くだろうからね」

そう言って先輩は帰って行った。

 

 

-RAS視点-

 

俺はチュチュのいるスタジオに行くとチュチュが真剣な表情で音を聞いていた。

「パレオoncemore!キメはもっと性格に!コンマ1秒も遅れないで!」

「もう指がガチガチですよぉ…」

「Shut up」

「ひゃ〜」

「パレオ大丈夫?指動かないなら軽くマッサージしようか?」

「お気遣いありがとうございますまだ頑張れますので」

チュチュは票を見ながら1人愚痴る

「一体何が足りないっていうの?初戦のperformanceは最高だったわ。なのになんでRoseliaが…」

「ギター本当に入れずにいくの?

この前の子は?六花ちゃんだっけ?チュチュもいいと思って声掛けたんでしょ?」

「そう思ったけど期待はずれだった」

「いっそ光さんが女装すれば良いのでは?」

「パレオ、不吉なこと言わないでやらないからね!」

「絶対美人さんになりますのに…」

「RASの綺麗所はレイがいれば十分でしょ!大体俺が女装したって色々無理があるって!」

「私を引き合いに出さないでよ光君!綺麗って褒めてくれるのは嬉しいし悪い気はしないけどさ」

「パレオが不吉なこと言うからさ」

そう話しているとレイのスマホが鳴った

「ん?はなちゃん!」

「タエ・ハナゾノ!?」

「今日はこれで、光君も良かったら行かない?光君とはなちゃんと3人でゆっくり話したいなってコッチ戻ってきてすぐの時以来全然じゃない」

「おたえに俺が一緒にいても良いか聞いてみて、なんなら帰り車で送るし」

「わかった、じゃあ行こう!」

「よろしくお伝えください」

「No!話はまだ終わってないー!」

俺はレイと一緒にスタジオを後にしおたえと合流した。

 

「駅前で買ったらオマケもらったの」

「はなちゃんからの呼び出しいつも突然だね」

「私も、光先輩一緒でいいかって言われた時ちょっとビックリした。」

「レイが気を利かせてくれたんだよ、パレオが女装がどうとか言い出したから」

「光先輩女装するんですか?」

「しないからね!RASには可愛い担当パレオと綺麗でカッコいいなレイがいて柱っていうか象徴的な感じのますきがいてそれを纏めるチュチュがいるのに俺がそこまでする必要無いでしょ!」

「2人とも忙しかった?」

「ううん。美味しい」

「俺もそんなに」

「バンドリ出るんだね」

「もうすぐ予選、光先輩も手伝ってくれる」

「どこで?」

「GALAXY」

「そっか。どっかの予選で一緒になるかもね光君とも」

「うん」

「そうだね、RASの音響とか照明とか担当してみたい」

「一緒に演奏もしたいけど…今は無理だもんね」

「そうだね、そういえばロックが来たよこの間」

「GALAXYのバイトの子がますきに連れられて来たねそういえば」

「ロックが?」

「なんやかんやでチュチュにダメ出しされちゃって、おたえそれとなくで構わないからさロックから心境とか色々聞いてて貰えないかな?多分踏み出す勇気とか必要だと思うんだよ」

「私からもお願いできる?はなちゃん」

「聞いてみるよ!」

そうしておたえ達と分かれ俺は俺で動く事にした。

 

-次の日-

「高人、近々付き合え」

「ヤダね!イベント中だ!2人揃って抜けれるか!」

「ルミナスとシャドウでやろうぜ!」

「無理だ!今度は何する気だよ!」

「踏み出す勇気をあげたいなって、色々ぐちゃぐちゃになって動けなくなってそうだから」

「確かに誰かからなんか言われた方がいい時もあるが、そうじゃないだろ!」

「悩んで立ち止まって動けなくなった後輩を導くのも先輩としての役目じゃないかな」

「お前は…前にも言ったよな?茨の道だろうが砂利道だろうがそれを取っ払っていうか舗装した道を歩かせるのがお前の役目か?違うだろ?」

「わかってるよ!でも、俺には音楽しかないんだよ!音楽で示してやれなきゃ、手助けにもならないんだよ!」

「…わかったよ!お前の言い分はな!ただし!今回はやるなら1人でやれ!さっきも言ったけどイベント中だ!2人とも抜ける訳には行かない!」

「わかった!」

 

-ポピパ視点-

 

私達は集まって新曲の相談をしていた。

「新曲なんだけどさ''空を道とし道を空と見る''っていうか感じどうかな?勝負事だけどさそういうのに囚われすぎずウチららしくやっていきたいよなって」

「ん?あぁ〜」

「すごくカッコいい!」

「おぉー!」

「そ、そうか!?じゃあちょっと書いとくな!」

「この新曲もだけどセトリも同時に考えないとね。バンドリ予選もう始まってるし。

RoseliaもRASも網バリバリやってるよ」

有咲は黙々とホワイトボードに書き出していく

「有咲、漢字ばっかりだよ?」

「ロックちゃんと相談しなきゃね」

「うん」

「ロックに会ったよ」

「ロックどうだった?」

「この前なんか元気なかったよね?」

「RASを不合格になったみたい」

「はぁ!?なんだそりゃ!?あんなに派手にスカウトしといて!?」

「ロック、RASと演奏したいんだと思う。でもポピパをこねる人だって」

「こねる?」

「そっか」

「ん?」

「多分色んなことを気にしすぎて動けなくなってるんだね

そういう時って自分じゃどうにもできないんだ。私の時は光先輩が勇気をくれて香澄が引っ張りあげてくれたけど…」

「ロックに元気になってほしい」

「うん」

「あのさ新曲なんだけど」

私達は沙綾意見を聞いてピンと来た

「いいなそれ!」

「すごく楽しそう!」

「うん!」

「やろう!みんなで!先輩にも手伝ってもらって!」

それから私たちは光先輩にも話をして色々と準備を始めて前日の打ち合わせ待てを完了させた。

「明日の予選よろしくね」

「はい!」

「お腹空いたー!」

「ちょっと食べる」

「今日は早く寝ようね」

「寝れるかな?」

 

私は店内に戻りステージを眺める

「ついに明日か。楽しみやな…遠いな…」

 

 

-LIVE当日-

 

「本日バンドリの予選です!ライブ見ていただいて良かったら投票数もお願いしまーす!」

「ポピパさん…じゃなくてPoppin’Partyさん出まーす!

もう始まりまーす!」

「私も見ないと」

 

-ポピパ&光視点-

 

「いよいよだね私たちの初めての予選ライブ」

「うん」

「おう」

「うん!」

「光先輩、私達の前にお願いしますね!その後私達からもエールを送りますから!」

「任されたよ!俺もロックには元気でいて欲しいからね!後輩が落ち込んでたら先輩としては力になりたいしね」

「じゃあ、行きますよ!」

『ポピパ!ピポパ!ポピパパピポパ!』

円陣の後俺がステージに立つ

会場がザワザワしているのでマイクをハウリングさせ静かにさせる

「皆さんこんばんは、ルミナスです。今日はPoppin’Partyの皆からお願いされてこの場に立っています。Poppin’Partyの皆にとって大切な友人が立ちすくんで動けなくなっていてその子が踏み出す勇気を持てるように一緒に励まして欲しいとお願いされました。まずは1曲聴いてください、輝きは君の中に」

俺はギターを弾きながら歌って行く

『楽しい事でも毎日続いたら

それと気付かずに退屈と変わらないね

幸せ悲しみ代わるがわるの波

心の不思議が判りかけてくる

 

人を愛したら不安も知るものだけど

淋しい心に深く優しさしみるよ

 

ZIG ZAG迷い続けてる近道なんてないのかな?

だけど楽しいだけならばきっと幸せ見失う

まっすぐ自分の言葉君に届かない時は

ふいに無口になるけれど

いつかどこかで感じあえる

 

悲しみを避けて笑うのは簡単

あきらめ上手な大人になりたくない

自分一人だけ空回りしてると

誰もが器用に生きてる気がする

 

人を傷つけて自分を守る弱さは

虚しさを残してやがて自分も傷つく

 

ZIG ZAG迷い続けても振り返ればキラめいてる

辛い別れのあと一人膝を抱えてた事も

まっすぐ自分の気持ち君に届いたその日は

きっと涙があふれるね愛を信じた答えだから』

 

ロック視点

 

迷い続けても近道はないとか悲しみを避けて笑うのは簡単とか、楽しい事も毎日続いたら退屈だとか全部私のこと歌ってるんだと思った。

「涙が溢れるのは愛を信じた答えか…」

それはきっと音楽を好きな気持ちを信じた先にある答えなんだろう

 

『逃げないここから真実をこの手にする

笑顔も涙も自分の色で輝け

 

ZIG ZAG迷い続けてる近道なんてないのかな?

だけど楽しいだけならばきっと幸せ見失う

まっすぐ自分の言葉君に届かない時は

ふいに無口になるけれど

いつかどこかで感じあえる…』

 

「もう一曲だけ聴いてください今、このとき。」

 

 

『今、瞬間(とき)を生きる君にこの唄を贈ろう

下ばっかり向いてる今の君に…』

 

さぁ、顔を上げて!こっちを向いて!今の君に必要なのは踏み出す勇気だよ

 

『君がどうして泣いているのか僕には何も解からない

無力な僕は君に一体何してやれるの?

僕は君じゃないから君の気持ちなんて解からない

「解かるよ」なんて言葉軽々しく口に出来ない

だから教えて君が苦しむ理由を

僕に出来る精一杯の事君にしてあげたいから

 

今、瞬間を生きる君にこの唄を贈ろう

精一杯生きる君にこの唄を贈ろう

時には泪を流してもいいさ

だけど明日は笑顔で行こうよ』

 

ポピパ視点

「光先輩、なんでこんないい曲今まで歌わなかったんだろ?」

「また誰かの為にって取っておいたんだろうね」

「光先輩はきっと誰かのための曲ならたくさん歌えるんだよ」

「だろうな、目に浮かぶよ」

「そうだね、今回もロックの為なんだもんね」

いつも誰かの為に曲を届ける彼だから曲がこころに響くんだろう

 

『いつも頑張る君だから

本当頑張りすぎる君だから

もう頑張らなくていい

たまにはズルだってすればいい

不器用にしか生きれないそんな君の生き方が好きさ

笑った時のその瞳が僕は本当に好きだよ

だからそんなに自分を責めはないで

時には誰かを頼り生きて成長する事もある

 

今、瞬間を生きる君にこの唄を贈ろう

傷だらけの君にこの唄を贈ろう

苦しい事から逃げてもいいさ

また新たに君が戦えるなら』

 

ロック視点

 

この唄が私の為に歌われてるってわかって胸がいっぱいだ

私はいつまでも立ち止まってはいられない!だって立ち止まって傷だらけになってる私に逃げでもいいよって言ってくれる

その気持ちが嬉しかった。

 

 

『嫌な事ばかりだけど

だからこそ君は小さな

良い事にも気付けるんじゃないのかな?

 

今、瞬間を生きる君にこの唄を贈ろう

笑う事さえ忘れた君にこの唄を贈ろう

今日までこんなに苦しんだから

明日からは楽しく過ごせるよきっと

だからきみよ独りで苦しまないで』

「聴いてくれてありがとうございました。この曲が良いなと思ったら自分の代わりにPoppin’Partyの皆さんに投票してあげてください、僕はあくまでも友人として頼まれたのでその友人の手助けになれるならと思います。それじゃあお待ちかねのPoppin’Partyの皆さんです。どうぞ!」

 

ポピパの皆が横一列で並ぶ

 

「Poppin’Partyです!」

「よろしくお願いしまーす!」

「初めての予選すっごくワクワクしてます!」

「ちょっとでも良いなって思ったら投票して貰えると嬉しいです」

「キーボードとドラムが…」

「いつもと違うね」

「じゃあ早速新曲いきます!」

「新曲!?」

「この曲はポピパの大切な友達のことを思って作りました」

「色んな悩みとかあると思うけどやりたいこと思いっきりやろうって、そう思ってくれたらいいなって気持ちを込めました。」

「私達が友達を励ましたいって言ったら先輩も協力してくれました!先輩!ありがとうございました」

俺はステージ袖から手を振り答える

「そんな友達の為に今日は5人で歌います!」

「step×step!」

『さぁstep×step!step×step!もう俯かないで』

『君の未来が呼んでるよ!』

『lockon!lockDream!』

『今を踏みしめて』

『立ちすくんで動けなくなった時私たちの大切な友達は』

『夢も好きも失ったりしないって信じてる』

『夢を止めないでね』

『好きを止めないでね』

『感じるままに』

『Go for it!』

『ひとりぼっちじゃないよ』

『思いのままに』

『走り出そうよ!』

『ほらstep×step!step×step!』

『そのシュシュを外してみせて』

『本当のキミになれるはず』

『諦めない挫けない誰かのためじゃない』

『キミの未来はキミのもの』

『lockon!lockDream!』

『夢を追いかけて』

ロックは走り出した自ら1歩踏み出したんだ

俺は車を走らせたがますきの方が1歩早かったようで任せろと親指を立てていた。

俺はますきの後に続いてチュチュのいるスタジオに到着した

 

「お願いします!もう一度!」

「あなたにRASでやる演奏力はない」

「パレオお客様がお帰りよ」

「帰らん!」

「With?」

「私ずっとバンドがやりたかった!特別って思える人たちと一緒に演奏したかった」

「其の特別の意味がこの前ちょっとだけわかった気がして」

「もう遅いかもしれんけど私RASさんと演奏したい!思いっ切り全力でぶつかりたい!」

「RASさんとバンドがやりたいんや!」

「もう一度だけチャンスをあげてくれないか?」

「コイツの本気聴いてやれよ」

「ブースに入って」

「あっ!」

「LastChanceよ」

ロックはブースに入る

「かけるわよ」

「はい」

「いこまい!」

ロックは本気の演奏を始めたのがわかった。映像越しとはいえ1度聴いたあの音だったから

「パレオ鳥肌立ってます」

「アイツベースもキーボードも1人でやる気か?」

「歌まで歌い出しそう」

「走り気味だしリードしてあげますか!」

「ったく」

俺達はブースに入り演奏を始める

初めて形になったと思う瞬間だった。

そして演奏が終えるとロックは息を切らしながら言った

「バンドってでらすっごい!」

「ギター走りすぎだよ」

「もうちょい音聴こうね」

「す、すみません!」

「良いわ!あなたのRAS入りを許可する」

「ただしRASのギター(仮)よ」

「はっ!」

「(仮)?なんだそりゃ?」

「このままじゃダメってこと。ロッカ・アサヒRASに相応しいギタリストになりなさい」

「はい!頑張ります!それと…光先輩!ありがとうございました!先輩とポピパさんのおかげで1歩踏み出せました!そして(仮)でもRASさんの仲間になれましたから!」

「俺はポピパの皆からお願いされたから演奏しただけ」

「照れんなよ!お前は事情はどうあれコイツの止まってた足を動かしたのはお前だろ!」

「ポピパの皆だよ!最終的にロックの足を動かしたのはね」

「先輩のおかげでもあるんですよ!光先輩の演奏してくれたあの2曲は私の心に響きました!」

「私はあの時のあの曲のおかげで1歩踏み出す勇気が湧いてきました!」

「私の時もそうだったよね、はなちゃんとの事悩んでた時歌ってくれたあの2曲は思い出深い曲だもん」

「アタシも同意だなレイと一緒に聴いてたけどさお前は多分人の心に寄り添う才能を持ってんだよ!」

「そんなんじゃないさただ単に出来ることを全力でやってるに過ぎないからさまぁ、困ったら言ってよ俺の音が響くなら力になるさ!」

「次に助けられるのは誰かな?」

「さあね」

俺に出来るのはこの先の事をただ見守り必要なら手を貸すことだけだと自分が出来ることを最大限やるだけだと俺自身がそう思っているからそれが最善だと感じていた。

 

 

 

 

 

 

 




80話目です。予定通りに何とか出せました。
時間が時間なので日付が変わかるまでに【私が好きな私だけの】を投稿出来れば良いなと考えています。が無理なら年明けすぐにでもと考えています。
次回はseason3の4話目MVの話を書きますのでお楽しみに

次回「MV撮影と皆での食事」


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第81話MV撮影と皆での食事

RASのギター(仮)として加入した六花。
慣れない環境に戸惑う中はじまるMV撮影の中
光は変わらず演奏で道を示す


六花視点

スマホのアラームで目を覚ました私は昨日の事を思い出す

「いいわ。あなたのRAS入りを許可する。ただしRASのギター(仮)よ」

言われた事を思い出し考える

「仮…(仮)ってなんやろ?」

そんな中スマホが着信を報らせ私は電話に出る

(すぐに来なさい!ロッカ・アサヒ!)

「チュチュさん?」

((仮)と言ったってあなたはRASのメンバー!今すぐと言ったら今すぐよ!)

要件だけ伝えられて一方的に電話が切れる

私は時間を確認し呟く

「早過ぎん?」

私はとりあえず準備して出掛けることにした。

 

 

光視点

朝早くにスマホが着信を告げる

「何時だと思ってんだよぉ〜まだ5時過ぎだぞ!」

俺は文句を言いつつ電話に出る

「もしもし、何?こんな時間に」

(私よ!今から来なさい!)

「早過ぎない?」

(善は急げよ!わかったら今すぐ準備なさい)

「わかったよ…」

俺は仕方なく準備をして車に乗りチュチュの自宅兼スタジオに向かった

そして入口でロックと合流してスタジオ入りする

「来たよ〜」

「おはようございます」

「チュチュ様、ルームサービスが届きました」

「ロッカ・アサヒこれ使って」

「私ギターなら…」

「人の大切そうな楽器の音をいじる趣味はないの。これで何も気にせずRASの音を奏でなさい」

「俺っていう例外はいるけどね」

「あなたの場合はまた特別よ、なんせバンドでやる楽器は全部演奏できるんですもの、一通り用意した所であなたの場合はサポートに回る場合が殆どだもの」

「それもそうか」

「わかったら2人とも体を出して」

「か、体!?」

「採寸?」

「えぇ、その通り、MVの衣装よ」

「ミュージックビデオです!」

「ミュージックビデオ…」

「あぁ脱がなくても大丈夫ですよ!このままでも測れますから!」

「俺のも用意してくれるの?」

「一応よ!」

「ふーん、そっかとりあえずパーカーだけ脱ぐよ!あとはよろしく」

俺とロックはアプリによる採寸を受けつつMVについての説明を受ける

「今週末にRAISE A SUILENの宣伝用MVを撮影します。

大会の公式ホームページにあげるんですよ」

「そのためのNEWSongを作ったわ」

「作詞・作曲・編曲チュチュ様です。楽譜と音源共有しますねー」

「えっ!?全部1人で!?」

「さすがだね」

「ギターもベースもドラムもキーボードもDJも!?

なんでもできるんですね」

「…」

「似たようなことできる人が隣にいるじゃない」

「光先輩も出来るんですか?」

「楽器は一通りね、作詞作曲もやろうと思えば編曲も多分?」

「ほら見なさい」

チュチュは少しだけ曇った表情で告げパレオがMVの目的を説明する

「MVでギュッとハートを掴んだお客様にたくさんライブに来ていただく。RASの支持者そのものを増やすことがチュチュ様の狙いです」

「一度のライブで最強の成果を得るのよ。得票数を伸ばすためにできることはなんでもやるわ」

「そして必ずRoseliaとポピパをぶっ潰す!」

「危ない事じゃないならある程度は手伝うけど、最悪止めに入るからね」

「音楽でぎゃふんと言わせるのよ」

そう言ってジャーキーを齧るチュチュにパレオが苦言を呈する

「またジャーキーばっかり!健康に良くないですよ〜?」

「ジャーキー食べてたって長生きできるわ」

「ほんとですか?」

「真に受けちゃダメだって」

「こねる側の人になってまった…」

「なんて?」

「なんでもないです!気にしないでください」

「じゃあ、楽譜と音源共有してもらったし軽く練習しようか!」

「今から?」

「さっき楽譜と音源貰ってからワクワクが止まんなくてさ!眠気も吹っ飛んだレベル」

「スタジオ、好きに使っていいわよ」

「マジで!?良いの?」

「No problem.、好きになさい」

「じゃあ、ロック、ちょっと付き合って」

「はい」

俺は譜面スタンドにスマホを置いてギターを手に取り軽く弾いて音を確認し断りを入れてから演奏を始める

「一通り弾いてみるからとりあえず見てて」

「はい」

俺は譜面を見ながら演奏するあくまでも演奏のみで譜面を見ながらなので多少拙くなりつつも一通り弾き終える

「譜面見ながらだと思ったより難しい」

「その割にはつまずきはするもののミスなく演奏出来てたじゃない」

「そうかな?」

「あなたはさすがと言うべきね」

「うーん俺としてはまだまだ納得いかないからな〜」

「とりあえず私も譜面見ながら演奏してみますので光先輩、アドバイスお願いします」

「了解」

「光さん、後でパレオと一緒にキーボードも練習しましょう!」

「ギターが一段落したらね」

「光は後で個別にまた音撮るから全部perfectにしておきなさい」

「今から?」

「えぇ、余裕でしょ?」

「ハードル高いな〜」

なんてボヤきつつもやってやろうと思う俺だった。

その後家での練習中にロックが投票を忘れていた事に気付くのはまだもう少し後の話

 

 

ポピパ視点

 

私達は今日も皆で集まりあの後の事を話していた

「ギター(仮)?なんだそりゃ?」

「ロック一応RASに入れたみたい、あとポピパにごめんて」「ん?」

「ライブのあとの1票ポピパに入れられなかったんだって」

「気にしなくていいのに」

「よくねぇよ。ほら」

有咲はスマホの画面を皆に見せる

「1位のRoseliaは2615票。2位RASも1254票、私らはまだ83票だ。1票ずつ大事にしていかないと遠いぞ武道館」

有咲の言葉に皆で顔を見合わせ頷きあった。

 

 

次の日

私達は今、出来上がった衣装の試着をしてる

「うぅ…」

「んん…」

「サイズオーケーみたいですね」

「これ手作りですか?」

「いえ。これは裾直しをちょっとだけ」

「花さんの衣装を手直ししたんですよ」

「たえ先輩の!?嬉しいです!」

「良かったね、ロック」

「光さんはどうしてもそれじゃないとダメなんですか?」

「黒良いじゃん!」

「白だって似合うのにー」

「良いんだって!」

そう話しているとレイとますきが来た

「ういっす」

「おはよう」

「おはよう2人とも」

「おはようございます!」

「いい感じじゃねぇか」

「六花ちゃん似合ってる」

「光は相変わらず黒いのな」

「黒がトレードマークなんだよ」

「光って名前なのにね」

「レイ…それは酷い」

「チュチュ様そろそろ出発のお時間ですよー」

「ん?」

「あぁっ!」

「チュチュさん…?」

「いくわよ〜」

「チュチュ起きてんの?」

とりあえず下に降りるとバスが待機していた

「乗ろ」

「はい!」

「俺、車で行こうかな〜」

「何言ってんだよ!お前も来い!」

ますきに首根っこを掴まれる形で強制的に連行され仕方なく後ろの方の席を陣取りバスに揺られる

「寝ているチュチュ様も可愛いです」

手前の方ではまだ寝ているチュチュの様子をみて何やらワイワイしている

そうしてバスに揺られて俺達は目的地に到着する

「こ、こんな立派なところで!?」

「結構有名なスタジオじゃなかった?ここ」

「はい!その通りです。このスタジオで撮影したバンドは大人気になるっていうジンクスがあって半年先までスケジュールがいっぱいだそうですよ」

「今回はチュチュ様の伝手で何とか予約が取れたんです」

「Shut up!パレオ」

その後スタジオ入りしスタッフさん達と挨拶を交わす

「今日はよろしくお願いします」

「お願いしまーす」

「よ、よろしくお願いします!」

「今日1日お願いします」

その後各々準備気に入ると俺は着替え程度で特にやる事もないため楽屋の隅の方でギターをいじりつつ過ごす

「お、お化粧なんて…」

「メイクはとーっても大事なんですよ。照明に合わせて今日は濃いめにしますね」

「せっかくMVを撮っていただけるんです。可愛く映らないと。可愛さの追求に限界はありません」

「おい、もう外していいか?」

「ダメです」

「あ?」

「撮影の日に枕のあとを付けてくるなんて信じられません!」

「あー…」

「その辺無頓着なますきが悪いね」

「お前は良いよな〜殆どやることねんだもんよ!」

「俺は控えみたいなもんだから衣装こそ着ててもMVには映らないと思うよ」

「いえ、多分数カットは映るかと、一緒に演奏するシーンも撮るとおっしゃってました」

「えぇ〜俺って音源担当じゃないの?」

「サポートよ!必要ならあなたの音だって組み込むわ」

「まぁ、良いけど」

俺は肩を竦めて返答して裏方に回る準備をする中本番がはじまる

「はい本番!」

「回りましたー!」

「Readyアクション!」

撮影が始まりNGが無いままに進んでいく中チュチュが俺を呼んだ

「ヒカル!来なさい!」

「何?」

「その硝子の前に立ってちょうだい後で合成するから鎖に縛られてるような感じでお願いするわ」

「ん〜じゃあこんな感じ?」

俺は腕を後ろにやり体を前に出し首を少し下げる

「ちょっと違うわね、両手両足を縛られてる感じならどうかしら?」

「すると、こうかな?」

俺はポーズを変える

「良いわ!そこから目覚めて鎖を引きちぎるような感じで」

俺は腕に力を込めて鎖を引きちぎるような動作をする

「Excellent!良いわよヒカル!ロッカ!」

「はい!」

「え?指でピストル?」

「あのガラスを狙って撃って」

「Readyアクション!」

「バンッ」

「カット!恥ずかしがらないで

右手で押し出して左手で引いて!」

「ヒカル!貴方はギターをそのガラスから取り出すのよ!ロッカと同じように指でピストルよ!」

「了解!」

俺は指でピストルを作り撃つ動作をする

「バーン!」

「ロッカも続きなさい!」

「Readyアクション!」

「バンッ!」

ロックが撃ち抜く動作を取るとガラスが割れる

「ひぃぃいいいい!」

「YES!カット!オーケー!」

「なんで割れたんやろ…」

「これは撮影用のやつだから。本物じゃなくて飴細工だよ」

「このビックリしてるロッカの顔はカットね」

「すみません…」

「お昼休憩ですー!」

俺達はチュチュが用意したケータリングで昼食をとる

「めっちゃ豪華!美味しそう」

「いいお魚ですね!」

「分かんのか?」

「海育ちなのでー」

そうして会話と食事を楽しみつつ過ごす

「んーでらうまー」

「もしかして名古屋の方?」

「岐阜です。名古屋弁もちょっと交じってるかも」

「そうなんだ私名古屋にいたことあるんだ。親の仕事の都合でね」

「たこさんウィンナーだぎゃあ」

「疲れてんのか?」

ますきの言葉に俺は吹き出しそうになり思わず笑いを堪える

「和ませようと思って…」

「可愛い」

「可愛いですー」

「可愛いだってよ」

「良かったねレイ」

「ますき!光君まで!」

「チュチュ様お食事を」

「いらない」

「あの…チュチュさん、お昼ご飯代…」

「No problem。DadとMomのおかげだし。変なこと気にしないで撮影に集中しなさい」

「チュチュ様のご両親は音楽関係のお仕事をされていて海外にお住まいなんです。高校生になってからはずっとお一人で」

「チュチュさん高校生なんですか?」

「この秋高校2年生になりました飛び級しているので本当はパレオと同い年です!」

「若っ!」

「パレオもだけど、チュチュって13だったんだね、高校1年くらいかと思ってた」

「残念な事に皆さんより歳下なんです。この中で一番の歳上は光さんと言うことになりますね」

「それはそれで複雑だよ…」

「RASに入ったのはパレオが最初だよね」

「はい!」

「私とますきは元々音楽の仕事仲間でチュチュにスカウトされたんだ」

「俺はRoseliaの主催LIVEの後かな?Roseliaと一緒にスカウトされて、レイとますきからも一緒にやろうってそれからおたえと一緒に来て色々あっておたえが抜けて今に至る感じかな」

「そういえばそうだったな」

「花ちゃんとの事では光君に助けられたしね」

「俺は何もしてないよ」

「音楽…仕事…私も頑張らんと」

その後昼休憩を終え撮影を再開してしばらくして全ての撮影が終了した。

「オーケーよ!」

「本日の撮影はこれで終了ですー!」

「お疲れ様でした」

「お疲れ様です!お疲れ様です!お疲れ様です!」

「火曜日には収録するわよ。完璧にしておいて」

「はい!」

「えっ!?あと2日!?」

「余裕あるみたいで良かったよ」

「ロッカ・アサヒ。(仮)がとれるかどうかは新曲の出来を見てから判断するわ。perfectに仕上げてきなさい!ヒカルはよりperfectにしておく事!良いわね!」

「了解!」

「はい!」

打ち合わせが終了し俺達は帰宅した。

 

-その後-

 

ロック視点

その後私は猛練習してある程度形になったけど…

「皆さんもう完璧に…えらいバンドに入ってまった…」

私はまだ不安が残る中で収録が始まった

 

 

光視点

 

収録が始まり俺はとりあえず見学という事でチュチュの隣にいて様子を見る

「じゃあまずはテストから。個別で録る前に1回全体で合わせてみる」

「かしこまりましたー!」

「ヒカルは後で個別に録るからそのつもりでいて」

「ん、了解」

そうして全体での演奏が始まるが俺はどうにも納得の行くものとは違う感じがしていてチュチュも同じようでなんとも言えない表情をしていた。

「No。止めてもう一度今のところから」

チュチュがstopを掛けて再度演奏を再開するがまたすぐにstopがかかる

「stop!ロッカ・アサヒ、1人で演奏するつもり?」

「え?」

「これじゃあいつまでも(仮)のままね。今日は中止」

「チュチュ様お待ちください!今日録らないと間に合わないって言ってたじゃないですか!待ってくださーい!」

「チュチュ、良いの?」

「最悪の場合は貴方を起用する」

「それでいいの?せっかく(仮)とはいえロックを採用したんだしあの4人にチュチュを入れたメンバーでやりたいんじゃないの?」

「なら、任せるわ!あなたがなんとかなさい!こんな時のあなたでしょ!」

「……わかった」

俺はロックの元へ向かった。

 

ロック視点

 

「はぁ…なんでやろ…」

「大丈夫?」

「どうすれば…」

「駄目出しはされたけど、それだけロックを認めてるって事だと思うよ」

「光先輩…」

「チュチュはさ、ロックに可能性を見てるんだよ」

「私もそう思うよ」

「可能性…」

「飯行くぞ」

「え!?」

ますきがロックを連れて行く

「レイも来るだろ?」

「3人乗りは無理でしょ」

「車出そうか?」

「ちょうどいいじゃねーか!皆で行こうぜ!」

「まぁ、そう言うなら」

俺達は4人で食事に出掛けた目的地はますき行きつけのラーメン屋だ

「ラーメン銀河?」

「入るぞ」

「えっ?私ラーメン苦手で…というか食べるの遅くて焦っちゃうのであのあの!ラーメンは悪くないんです!」

「気にすることないって!」

そうして店に入りますきに注文を任せると少しして人数分のラーメンがカウンターに並ぶ

「へい!銀河ラーメンおまち!」

「美味しいから」

「確かに美味そう」

「そうだね」

俺達はラーメンを食べ始める

「ここの大将ギタリストなんだよ」

「えっ?」

「そうなの?」

「新情報」

「親父がやってたデスギャラクシーってバンド」

「デスギャラクシー…」

ロックの考えてる事が想像できた俺はロックに言った

「ロック、多分そういうのじゃないと思うよ」

「最近はお嬢バンドが忙しいみたいでさ、中々来てくれないんだよなぁ」

「あの…足を引っ張ってしまってすみません…

この前みたいに全力で思いっ切り弾いてみたんですけど…」

「私もさ楽しくなっちゃうんだよな、叩いてるうちに。

チュチュにしょっちゅう怒られんだよ」

「目に浮かぶ」

「確かにほぼ毎回だよねますき」

「思い切りやれる場所RASに来るまで無かったからさ」

「ギャラクシーで俺とはそれなりにやってるじゃん」

「あれはまた別ってーか違うからさ」

「えっ?」

「ゆっくり食べな。大将厨房借りるよ」

「おう」

「お嬢の昔のあだ名は知ってる?」

「俺は一応」

「私も知ってます」

「ん?」

「狂犬だって、狂犬。バンド入っても他のメンバー振り回したりやんちゃばっかりしてたからねぇ。どこも続かなくて」

「その時チュチュにスカウトされたんだ

最初は''なんだこのチビッ子''って思ったけどアイツの音楽への情熱は本物だよ」

「ほい、お嬢のまかない。残してもいいから、ほらお前らも」

「ありがとうございます」

「ありがとう」

「ありがとう、いただきます」

 

「私もずっと1人でやって来たけど…」

「一緒にやりたい」

「レイもパレオもさ思いっ切りやってもちゃんと聴いてくれるっていうか、夢中でやってもアイツらの音ってすごい聞こえてくるんだよ!お前もすげぇよ。足引っ張るようなヤツだったらチュチュがRASに入れるわけねぇって」

「同意」

「そうだね」

「はい!」

「あと光、お前は別だかんな!」

「確かに、光君はまた別かな」

「それってどういうこと?」

「自分の胸に手当てて聞いてみろよ」

「それがいいんじゃない?」

「え〜」

「よーし!やってやろうぜ!」

「はい!やってやります!」

それから俺達はそれぞれのペースで食事を楽しみラーメン屋を出る

「食べた食べた!」

「美味しかったね」

「気に入ってもらえてよかったよ」

「ますきさん、ありがとうございます」

「おう」

その言葉を聞いて俺は軽く笑ってから伸びをして話し出す

「戻る前に食後の運動っと!」

「あん?」

「なにかする気?」

「決まってる」

「え〜っと?」

「前回と同じ事!ますきの言葉で多少吹っ切れたんだろうけどもう1歩ね」

俺は車からキーボードを降ろしセットする

「ドア開けて適当に座ってて」

「じゃあ遠慮なく」

俺はキーボードの電源を入れて音を変えて何度か音出ししてからとりあえず髪を上げて目の前の3人に向けて話す

「じゃあ、1曲聴いてください、Grip!」

俺はキーボードを弾きながら歌っていく

 

『藍色に散らばる 七つの星よ

それぞれに今 想いは募り

打ち砕かれて 愛を叫んだ

逃げ出す事も出来ずに 夢にすがりつく

イカサマな日々などにはもう負けない

 

目覚めよう この瞬間を

やがて僕らを取り巻くであろう

むせかえるようなリアルな日常

大切なものは…何だっ?!

贅沢な世界の中に見え隠れする永遠の破片(かけら)

さわってつかんで僕らの今をきっちり歩いてこう』

 

レイ・ますき・ロック視点

 

「イカサマな日々には負けないか」

「むせかえるようなリアルな日常っていかにもだな」

「自分達の今をきっちり歩いてこうなんて凄いです」

歌詞に現実感を感じつつ曲を聴いていく

 

 

『「後悔はしない」と、先へ進んだ

笑うか、泣くか?幸か、不幸か?

結局 今も ワカラナイけど

変わり始めた未来に怯(ひる)む事はない

それが人生の醍醐味というものでしょう

 

ギリギリを生きる僕らの出した答えが

違ったとしても 思い込みでもっ

強く願えばいい

本物になれる日まで

冷酷な世界の中で潰されそうな愛情の芽吹き

さわってつかんで僕らの今にしっかり刻み込もう』

 

 

レイ・ますき・ロック視点

 

 

「私達の出した答えが間違ってても思い込みでもそれを信じて願えばいいんだね」

「みたいだな!なんか聴いてると前向いて信じて進めって言われてる気がするぜ」

「私も自分を…皆を信じて頑張らんと」

結局彼は誰かを勇気付けて無理矢理にでも前を向いて歩いて行けるように演奏してるんだなと私達は感じたのだった。

 

『目覚めようこの瞬間をやがて僕らを取り巻くであろう

むせかえるようなリアルな日常

大切なものは…何だっ?!

 

贅沢な世界の中に見え隠れする永遠の破片(かけら)

さわって つかんで 僕らの今をきっちり歩いてこう

 

最後に、笑うため僕らの今をきっちり歩いてこう』

演奏を終えた俺は3人を一人一人見て話し出す

「勇気出たかな?」

「それどころかやる気が漲ってるぜ!」

「さすがだよね!今回もまた音楽の力で勇気をあげたんだもん」

「ですね!前の時もそうでした!」

「まぁ、俺に出来るのって演奏する事だけだからさ、その力を誰かに届けられるならっていつも思ってるんだ」

「だからなのかもな」

「演奏が心に響くって言うのかな、私の時も花ちゃんとの事でちょっと後ろ向きだった気持ちを前向きにさせてくれた泣いても良いって言ってくれたそれがどれだけ嬉しかったか」

「まぁ、そうだったら嬉しよ!さぁ、戻ろう!」

「あぁ!」

「うん」

「はい!」

俺達はチュチュの所へ戻りチュチュにもう一度頼み込む

「お願いすします!」

「今日は中止って言ったじゃない。さっきの今で何が…」

「できるまでやります!一緒にやらせてください!」

「はっ…」

「チュチュ、ここまで言ってるんだからやらせてあげなよ」

「わかったわ」

そうしてもう一度チュチュを除く4人での演奏が始まる

さっきまでと違いこれこそがRASの音と言う感じがした。

「ヒカル!準備なさい!全部の音録るわ!必要ならあなたの音組み込むから」

「了解!」

それから俺はギターからドラムまで全ての音を録りその後帰宅した。

 

次の日早朝

いつかのようにスマホが着信を告げる

「またかよ…全く…はい、もしもし?」

(今すぐ来なさい!)

「何時だと思ってる?!早すぎなんだよ!」

(MV完成したわ!早く来なさい!)

「開口一番にそれを言うべきだよ!今すぐ行く!」

俺は準備し車を走らせチュチュのところに向かった

途中の信号でロックを乗せたますきと合流しチュチュの所に向かった

「光!」

「おはようますき、ロックも」

「おう!」

「おはようございます」

「言ってくれたら迎え行ったのに」

「じゃあそのうち頼むわ!」

「了解」

そう話しつつチュチュの自宅兼スタジオに入る

「来たわね!揃ったようだからMV観るわよ!」

そうして俺達はMVを観る

そしてMVの中に俺の演奏もしっかり入っていて俺も多少だが映っていた。

完成度が高く引き込まれる映像だったガラスを破るシーンは圧巻だと感じた。

そして俺も封印を破るようなシーンで登場していて全ての音を纏めあげるように出来ていた。

そしてMVが終了する

「あの…」

「Sweet's!Excellent!Unstoppable!いいアンサンブルだわ!でも、これはあくまでもヒカルが音を纏め上げたからこそのもの!ちゃんとしたのがあるから大会公式ホームページには違うのを載せるからこれは私達だけの特別なものよ!」

「えっと…」

「とっても素敵って事ですよ!」」

「あの…MV凄かったです!指鉄砲も箱に入ったのも!全部でらかっこよかった!」

「光があの鎖ぶち切るとこ上着てなきゃもっと反響あったんじゃね?」

「ヤダよ!なんで俺上着着ない前提なの?」

「なんとなくだ!」

「シーンが一つだけ立っていてもMVは成立しない全体が上手く重なり合ってようやく完成する。バンドも同じ」

「楽しかったな六花」

「はい!」

「光も!」

「あぁ!」

それから俺達はまだだった朝食をとることにした。

「朝ごはん急いで作って来たので。ケータリングみたいに豪華じゃなくてすみません」

「わーい!なんて素朴な塩むすび!」

「ロック、大丈夫だよ!俺も色々作ってきた!」

俺は重箱を出して中身を広げる

「おお〜!さすがだな!」

「抜け目ないですー」

「ありがとう2人とも。いただきます」

それぞれおにぎりとおかずをとり食べ始める

「うめぇな!」

「チュチュ様もどうぞ」

「いらな…」

〈グゥ〜〉

チュチュの腹の虫がなる

「食べなよ!」

「ふん!」

チュチュは最初はムスッとしていたが食べ始めたら年相応の顔になり食事していた

「次はジャーキー入りにしなさいロック」

「はい!」

「え?なんで知ってるんですか?チュチュさん私がロックって…」

「光さんが呼んでますし、ポピパの皆さんにも呼ばれてますね」

「No。私が付けた名前はL・O・C・K、LOCK。鍵のことよ」

「名前を…」

「それって…」

「まぁ、そりゃね」

「ロッカ・アサヒ、今日からあなたはロックよ!RAISEASUILENの正式メンバーとして迎える」

「ありがとうございます!」

「おめでとうございます!おめでとうございます!」

「そろそろ俺は御役御免かなぁ〜」

「何を言っているの?」

「正式にギタリスト決まったしさ」

「あなたにもRASのメンバーとしてルミナスを名乗ってもらうわよ!」

「それ、俺のカバーアーティストとしての名前なんだけど?」

「今はRASのルミナスよ!」

「改めてよろしくね2人とも」

「はい!」

「まぁ、了解!」

「良かったなロック」

「はい!」

「RASのギターやっと見つかりましたね」

「私の目に狂いは無かったのよ」

「さすがチュチュ様!」

「ラーメンどうだった?」

「美味しかったです!すっごく!」

「また皆で行こうか!」

「だな!光がいればレイも来るだろうし」

「花ちゃんとはよく行くんだけどね」

「あぁ!?」

「まぁまぁ、良いじゃん!今度はRASの皆でさ!」

「だな!それで良いか!」

こうしてロックが正式にRAS入りし俺もまた新しい音に出会えたのだった。

 

 

 

 

 




81話目ですね!シーズン3の4話目になります。なんとか今日中に出せて良かったです!
今回もかなり内容弄ってますが楽しんで貰えたらいいなと思います次回はシーズン3の5話目ポピブイの話を書いていきますのでお楽しみに!

次回「ポピパとMV作成」


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