拙僧、蘆屋道満にて (マッカーサ軍曹∠( ̄^ ̄))
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ンンンンンンッ!!

お久しぶりです。マッカーサ軍曹です。
初めましての方は初めまして。
今回、不定期ではありますが、東方Projectの小説を書いてみました。
ブランクはありますが、楽しく読んで頂ければ幸いです。
それではどうぞ。


蘆屋道満を知っておられるか?

…そう、あの蘆屋道満でございます。

蘆屋道満と言えばFate/GrandOrderにて異星の神陣営のアルターエゴの1騎。

あらゆる形での不幸や災禍を周囲にばら撒き、高みの見物を決め続ける悪の陰陽師と呼ばれておりまする。

蘆屋道満は饒舌で軽薄、しかも自身の思考に絶対の自信をお持ちで、他者の苦痛と絶望を弄んで愉悦するまさしく外道でございます。

 

そして、常に権力者の参謀に居座り、さも忠節を重んじる腹心のように振る舞うそのお姿は、裏では黒幕気取りで権力者さえ手玉に取り、一挙一動を嘲笑う。

 

ンンンンンンッ!!まさに悪そのものッ!!

 

…はい?どうして蘆屋道満のような喋り方をしておられるのかと?ンンンン……これは困りましたねぇ。実は拙僧、この喋り方しかできませぬ。

 

何故なら拙僧は──

 

「すみません道満さん。手伝わせてしまって……」

 

「いえいえ お気になさらずに小鈴殿。これくらいのこと何も問題ありませぬ」

 

「いや、本当に助かりました。流石にこの本を整理するのは大変で…今度お礼をさせてくださいッ!!」

 

「ンフフフ、ではお礼はまた会う機会に」

 

その蘆屋道満のお姿で転生を果たしてしまいましたぞッ!!ンンンンンンッ!! まさに驚愕ッ!!

 

これには流石の拙僧も始めの内はその姿が嘘だと考えてはみたものの、日を過ごしてゆく中で嘘ではなく現であることに納得。そして、この幻想郷で生活を始めましたが…さて、これからどうなることやら。

 

「さて、これからどうしましょうかねぇ?」

 

「──でな、そしたら鍋の中でキノコが爆発したんだよ。いやー、流石にあれはやばかった」

 

「それは家を片付けない魔理沙が悪いのよ。失敗したくないならまず、片付ける所から始めることね」

 

「ゔっ…痛い所をついてくるぜ。…だ、大丈夫なんだぜアリスッ!!今度は片付けるからッ!!」

 

「…本当かしら?」

 

「…全く、奇妙なものですねぇ」

 

幻想郷。

拙僧が知る限りそれは前世の知識では人と妖が共存する世界だとか。

…何故、拙僧がこの世界に転生したのかはもう覚えておりませぬが、きっと前世の儂はこの世界でちいとなるものではーれむを築きたかったのでしょう。

前世の拙僧、少し昂ぶりすぎでは?

…まぁ、よいでしょう。

 

今はもう転生され、この世界の知識と少ししかない記憶しか残っておりませぬが前世の儂の願い、この拙僧が叶えて差し上げ……たいのですが、今はもう少し、もう少しだけ……拙僧は普通に過ごしてみたいのです。

 

古への記憶が何故消えてしまったのかは、きっと拙僧を転生させた神が蘆屋道満をあまり良しとしなかったのが1番の原因でしょう。

 

フム、よもやこの蘆屋道満がここまで神に嫌われているとはンンン、残念。

ですが、この道満ッ!!幻想郷に幻想入りした蘆屋道満の偽物であろうとも、拙僧は拙僧……あらゆる平和を成して、儂の進む道を開いてみせましょうぞッ!!

 

「…見つけた」

 

「おや?これはこれは慧音殿。一体どうし──」

 

──ヒュッ

 

「のぅーわッ!!…け、慧音殿?何かありまし…お止めなされ。慧音殿、一旦深呼吸をなさるのです。まずは説明を──」

 

「説明…だと?…お前の式神のせいで私は……恥をかいたんだぞッ!!授業中にわざわざあの本を持ってくる奴があるか馬鹿者ッ!!」

 

「ンフフフ、フフフフッ!別に書物ならば問題はありませぬぞ?慧音殿。拙僧、これでも宮中に近しかった身なれば、机仕事の寵人なぞもあれこれ見て学んでおりますゆえ」

 

「知るかぁッ!!授業中に私と妹紅の……」

 

「ンン、お気になさらなかったのならば申し訳ありませぬ。では、次の書物でも──」

 

「ッ!!あ、あ…蘆屋道満ッ!!」

 

「フフッ、ハハハハッ、ハハハハハハハハッ!では、拙僧はこれにて」

 

「なッ!?に、逃げるなぁッ!!」

 

ンンンンンンンンンンンンンンン〜〜〜〜〜〜ッ!!誠に愉快愉快ッ!!

これほどまでに簡単に引っかかるとは…慧音殿もまだまだお若い。羞恥心で暴れ回るそのお姿はまさに獣ッ!!良いですねぇ…とても良い。

 

「ンンッ、また後ほど慧音殿」

 

「道満ッ!!」

 




蘆屋道満(転生者)
体と思考は完全に蘆屋道満だが、中身は転生者である。
死因は本人も分かってはいないが、幻想郷で暮らし始めて段々そんなことはどうでも良くなってきた。
ただ、思考が完全に蘆屋道満なので……うん、アレである。

上白沢慧音
寺子屋の教師。
出会いは偶然道満が倒れている所を目撃し、家に連れて帰った。
現在は蘆屋道満を居候兼臨時教師として住まわせている。
最近の悩みは蘆屋道満。


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魔理沙殿、お止めなされ

道満の構文が難しい……勉強も難しい……ンンンンンンッ!!


魔法の森。

幻想郷に存在する原生林で幻想郷に唯一存在する森のこと。

地面まで日光が殆ど届かない森の中は闇のように暗く、拙僧の衣もジメジメするほどの湿気が充満しておりまする。

 

慧音殿からの話では茸が多数生息していると聞いておりましたが、森には化物茸なるものが胞子を飛ばし、普通の人間は息をするだけで体調を崩してしまう最悪の環境。

……ンン、この道満、元々法師にて陰陽師。この森とは相性が良いので、拙僧は昂ぶっておりまするッ!!

この胸の高鳴り、如何にお伝えしたものかッ!!

 

…さて、そんな拙僧は今、魔法の森と呼ばれる異界の森の中で茸を採取しておりまする。

何でも最近、人里での茸の数が少ないとのことで、慧音殿に使いを任されたのです。

茸の採取ならば式神を用いて簡単に集めることが可能ですが、今はこの道満、少しだけ困っておりまする。

 

「なぁなぁ道満。そんなに茸を取ったんなら私に少しだけ譲って欲しいんだせッ!!」

 

「魔理沙殿。茸を少しだけなら構いませぬが、その量を少しとは言いませぬぞ?」

 

「え〜…いいだろ少しぐらいさぁ」

 

「魔理沙殿、お止めなされ。拙僧の衣を剥ごうとするのはお止めなされ。拙僧の服は一点物にて破られては拙僧、とても困り……お止めなされッ!!」

 

この魔法の森に住む人間の魔法使い、魔理沙殿にせっかく拙僧が式神を用いて集めた茸を少しではなく、多くの茸を奪われそうなのです。

いやはや、そのお姿はまるで…いえ、これは拙僧の記憶違い。いや、ただの勘違い。

拙僧の記憶ではなく、儂の体の記憶が呼び起こした違和感でしかございませぬ。

 

「道満はケチだな」

 

「魔理沙殿は強欲なことで。しかし、拙僧は慧音殿から遣わされている身。少しなら良いのですが、全ては魔理沙殿に与えられませぬ」

 

「……なら、仕方ないか。なんか悪かった」

 

「いえ、納得して頂ければそれで良いのです」

 

もし、魔理沙殿が納得して頂けなければ我が術を行使し、穏便に終わらせる予定でしたが、ンンン、残念ですぞ。

…おや?もうこのような夕刻に……では、この辺りで拙僧は退散致しましょうぞ。

 

「少しではありますが、どうぞ魔理沙殿」

 

「わりぃな道満。ありがとなんだぜ」

 

「では、拙僧はこれにて」

 

十分な茸の量も無事確保。

これで慧音殿に拙僧は何か言われることはありませぬが……魔理沙殿はあの様子から見るに、もう少し魔法の森におられるようで。

…ならば、1つ。この道満が魔理沙殿と同じ寸分違わぬ式神をこさえて差し上げ──

 

「なぁ、道満」

 

「……ンンンン、どうされたのですか魔理沙殿。拙僧に何か──」

 

「お前、異変なんて起こさないよな?」

 

「……はて?異変とは一体何のことでしょうか?」

 

「あぁ、そう言えば道満は最近幻想郷に来たばかりだったから知らないのも無理ないか。異変はその名の通り妖怪達や神、人間が起こした問題みたいなものなんだぜ」

 

「異変……つまりそれは人災や厄災のようなものでおられるか?」

 

「それで合ってるんだぜ。ふと霊夢に言われたことを思い出したんだが……私の考えすぎか」

 

「霊夢……それは確かこの幻想郷の守護者、でしたか」

 

「そうなんだぜッ!!……って、引き止めて悪かったんッ!!じゃあな、道満ッ!!」

 

「えぇ……では」

 

…ンフフフ、フフフフ、ははははははははッ!!魔理沙殿ッ!!なんと勘が優れているようでッ!!……いえ、これは巫女のお導きというものでしょうな。

でなければたあっぷりと呪を込めたる蟲の式神を凝らして寿いで差し上げる筈でしたが……本当に魔理沙殿は運が良い。ンンン、残念。

 

…しかし、魔理沙殿が言っていた幻想郷の守護者の巫女、確か霊夢と魔理沙殿は申しておられましたな。

……ンッフフフフフ。次にその巫女とお会い出来る時にはこの道満が──。

 

 




霧雨魔理沙
普通の魔法使い。
道満とはよく人里で出会う。コミュ力がとても高いので、道満に会う度に話をしたりしている。
ただ、霊夢から道満には気をつけろと忠告されているが、実害があまり無いのでまだそこまで気にしていない。
道満の服を引っ張るのは反応が面白いから


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なに? 拙僧と遊びたい?

ンン、ンンンンンンッ!!水着ななぎこさんだってぇッ!!……貯めるしかないやろがいッ!!(勉強から目を逸らしつつ)


拙僧は今、寺子屋の子供達に読み書きを教えておりまする。

それは、慧音殿が拙僧を寺子屋に泊める対価として臨時教師をご下命され、こうして師の真似事をしているのですが──

 

「なに? 拙僧と遊びたい?」

 

「そうだぞどーまんッ!!あたいは道満と遊びたいんだぞッ!!」

 

「ちるの殿。元気が有り余っておるのは結構ですが、今は読み書きの時間。遊びはそれを終えてから──」

 

「『凍符』パーフェクトフリーズッ!!」

 

「ンンンンンンッ!!致し方なしッ!!急急如律令ッ!!」

 

「おー。流石どーまんだッ!!あたいが認めただけはあるぞッ!!」

 

「そーなのかー」

 

「ち、チルノちゃんッ!!寺子屋での弾幕勝負はダメだって慧音先生に言われたでしょッ!!ご、ごめんなさい蘆屋先生ッ!!」

 

「チルノ殿は全く元気が良いですな。後少しで拙僧は氷漬けになる所でしたよ。ただ、拙僧は今身動きも取れませぬが……」

 

「あ、蘆屋先生ぇッ!!」

 

チルノ殿に拙僧、とても苦戦を強いられておりまする。

そもそも、この寺子屋には人間の子供達が勉学に励むのですが、拙僧が請け負っている子供達は妖に妖精と人外ばかりが集まっているのです。

そして、何よりも拙僧が何よりも苦戦を強いられているのはチルノ殿。他の妖や妖精なれば読み書きをお教えするのは簡単ではありますが……チルノ殿は少々元気すぎますが、仕方なし。

 

「道満は美味しそうなのだー……」

 

「ルーミア殿。拙僧は美味しくはありませぬぞ。ええ、ですからルーミア殿、拙僧の腕に噛み付いてはなりませ……ンンンンンンッ!!ルーミア殿お止めなされッ!!」

 

「る、ルーミアちゃんッ!?蘆屋先生を食べちゃダメだよッ!!チルノちゃんも座って勉強を──」

 

「あたいってば最強ッ!!」

 

「ぢ、ヂルノちゃん…ぞれ以上…はガチで、ヤバい…僕、冬眠…しちゃう……」

 

「リグルッ!?だ、誰か〜ッ!!リグルにお湯ッ!!」

 

ふむ。このままではもう読み書きどころの騒ぎではありませぬな。

…既に左腕にはルーミア殿が拙僧を捕食しようと噛みつき、チルノ殿は暴走。大妖精殿はミスティア殿と一緒にリグル殿を温めておられる。

…ンン、拙僧は他者の矜持、信念、その手のものを踏みに躙るのは、好きですが少々──

 

「侮ってましたな」

 

──パチンッ

 

「チルノちゃ…ぁ……」

 

「え、先せ…ぇ……」

 

「最、きょ〜……」

 

「寒い…ょ……」

 

──ドサッ、ドサッ

 

「…ンンン、安らかにお眠りを」

 

いやはや、この道満久方ぶりにこの法術を行使いたしましたが、上手くいってなにより。

…ですが、チルノ殿が使っておられたのはよもや仙術・道術を行使して……いえ、違いますな。

確か拙僧の古き記憶にて、この幻想郷では能力なるものを行使出来る力が妖や人には存在するとか。

力を行使する姿は初めて目撃しましたが…ええ、ええ、とても厄介な力で。

…さて、しばらくはこの荒れた寺子屋は我が式神で証拠隠滅を。

…いや、しかし──

 

「妖と妖精……ンフフフ、ええ、致し方ありませぬな。妖と妖精は人ならざるもの……ならばこの儂がより良い駒として──」

 

「そいつらに触るな」

 

……ふふ、ふふ、ふふふふふゥフフフフフフゥゥウッ!!やはり幻想郷は面白いッ!!まさか拙僧の術が破られようとは。

 

「……これはこれはルーミア殿。これまた随分と成長を。妖はこれほどまでに成長した話は聞いたことはありませぬが?」

 

「元々私は封印されてあの姿でいたんだ。別に成長した訳じゃない」

 

「封印術式……ルーミア殿はただの妖と思っておりましたが、拙僧は勘違いを。ルーミア殿、貴殿は……いえ、これ以上の言葉は語らずにおきましょう」

 

「ええ、その方がいいわよ。そうでなくても今は気分が悪いの」

 

「左様で。……しかし、ルーミア殿。そんなに睨まれては拙僧、身動きも取れませぬ。フフフフ……」

 

「……まぁ、いいわ。もうすぐ私の封印がまた施されるけど、もしあの子達に何したなら……殺す、か…ら……」

 

「……」

 

「…そー…なの、かー……」

 

ルーミア殿、いいでしょう。拙僧はルーミア殿が大切になされておられるチルノ殿や大妖精殿には手を出しませぬ。……ええ、ええ、今は決して──。




チルノ
天才⑨。あたいってば最強ねッ!!

大妖精
最近チルノちゃんが色々な人に迷惑かけすぎてて……はぁ。

リグル・ナイトバグ
( ˘ω˘ ) スヤァ…

ミスティア・ローレライ
り、リグルぅッ!!

ルーミア
道満は美味しそうな見た目だけど、実際味はイマイチ。なんか混じってるから美味しくない。

ルーミア(──)
次に会う時は……


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この御仁は一体……

紅魔館のお話を考えたが……やっぱり寺子屋にいるなら彼女を出さなければ


良いですねぇ…とても良い。甘露な味わいです。美しき獣とて、脳を酷使すれば糖は必要。

……ええ、やはり糖を摂取するには団子は必要不可欠でありますゆえ。

 

「慧音。筍を持ってきたぞ〜」

 

「すまない妹紅ー。今、少し手を離せないから置いてそのままにしてくれたら助かるー」

 

「分かったよ慧音」

 

……おや?客人ですかな?しかし、慧音殿は今とてもお忙しいようで。ならば、拙僧が代わりにお相手を致しましょう。

 

「失礼。宜しいかな」

 

「ん?……えっと」

 

「失礼。まこと、失礼と存じながら声を掛けました。そこなる御仁」

 

「……誰?」

 

「お初お目に掛かります。拙僧、蘆屋道満と申す者。法師でございますれば」

 

「蘆屋道満……確か、蘆屋道満って京の都にいた陰陽師だったような?」

 

…ほう。儂のことを知っておられるようで。もしや、同じ京の都の者……いえ、そんな筈はありませぬ。

拙僧がいくら京の都に住んでいたとしてもここは幻想郷。

もし、知っておられるのであれば妖や神化した人、もしくは英霊でなければ分かりませぬ。なれば──

 

「ええ、ええ。その通りでございます。拙僧は陰陽師。どのような術も儂にかかれば──」

 

「でも、陰陽師って京の都では蘆屋道満より安倍晴明がの方が人気だったなー……」

 

…安倍晴明?今、この御仁は晴明と申されたか?しかも、拙僧より晴明の方が人気、ですと?

……の、れ……おのれ、おのれェ……晴明ィ!晴明!晴明!晴明ィイイイイイイイイイイイ!

 

「…晴明。安倍晴明。彼奴だけはッ!!ンンンンーッ!」

 

「ッ!?び、びっくりしたぁー……もしかして、自分に人気が無いこと言われて怒ってる?」

 

「フゥ、フウウウウゥゥゥゥゥ……いやはや取り乱しました。失礼。拙僧は別に晴明の方が人気と言われ申しても決して、決してッ!!取り乱したりはしませぬッ!!」

 

「お、おう。わ、分かった……」

 

いやはや。

まさか拙僧がここまで熱くなろうとは。何とも……いやしかし、この御仁。

晴明や拙僧を知っておられると言うことは、京の都の縁のある人物と見られる。

…だが、この儂にもこの御仁が妖でなければ神でもない。ただの人間の様にも見られる……この御仁は一体──

 

──ドタドタドタッ!!

 

「妹紅ッ!!大丈夫かッ!?」

 

「あ、慧音。もう終わったの?はいこれ。筍」

 

「え、あ、あぁ……ありがとう。……って、そうじゃないッ!!こいつに何かされなかったかッ!?」

 

「ンン、慧音殿。拙僧に対して些か失礼なのではないかと」

 

「お前が余計なことばかりするからだろッ!!」

 

慧音殿はやはりからかいがあって、拙僧はとても楽しいでございます。……しかし、この様子ではこれ以上の詮索は無粋、ですな。

 

「……じゃあ、そろそろ私は帰るよ」

 

「おや?もうおかえりに?」

 

「妹紅。道満の話は聞かなくていい。早く帰るんだッ!!」

 

「慧音はその男が嫌いなの?」

 

「当たり前だッ!!……いや、こいつは優秀で頭が良すぎるから余計に──」

 

「私はその人面白いから結構好きだけど」

 

「なッ!?」

 

…面白い、とな?この拙僧が?…何故でしょうな。この御仁はまるで、誰かに近しいようで。まるで──

 

『ヘイ、大将ッ!!今日も元気してるー?』

 

……これ以上は止めましょう。ええ。これ以上は。

 

「じゃあね。慧音と…道満だったけ?また来るよ」

 

「妹紅ッ!!今の話は──」

 

「あ、そう言えば言い忘れてた。私は妹紅。藤原妹紅。これからよろしくね」

 

「ッ!?……いやはや。そうでしたか……藤原の者」

 

「じゃあねッ!!また筍を持ってくるよッ!!」

 

「妹紅ッ!!……はぁ。道満、お前妹紅に何か変なことしてないだろうな?」

 

「いえいえ、この道満そのような無粋なことは決していたしませぬ。ましてやあの藤原の者であれば、拙僧は手を出すことも難しいでしょうな」

 

「……ならいい。私はまだ仕事が溜まってるから後の家事。……分かった?」

 

「ええ、ええ。慧音殿、拙僧にお任せを」

 

…いずれまた、お会いしましょう。藤原妹紅殿。その時は今度は拙僧が、とびきり甘露な団子を包んで訪ねましょう……京の都の公家の者よ。

 




藤原妹紅
迷いの竹林に住む女。
久しぶりに京の都の話が出てきた時はびっくりしたらしい。
後、彼女から見た道満は不気味から面白いと印象が変わってしまった。
これも晴明のせいである。


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致し方なし。人形として差し上げましょうッ!!

やはり水着イベでも道満はDOUMNだった……


「はぁ……はぁ……」

 

「ンフフフ。随分と時間が掛かってしまいましたか……ええ、ええ。この道満の術を強引に跳ね除けるとは。いやはや些か、少しだけ驚きましたな」

 

あれは何だと、私は感じた。

私が門番としての仕事をするのはお嬢様の為だ。

だから私はこの紅魔館の門番として長い間守ってきた。いかなる侵入者からも、だ。

幻想郷に来たとしても私は自分の役目を果たそう……そう思っていた。

最初の人間はまさか空から侵入してくるとは思っていなかったので油断したが、次は絶対にこの紅魔館に侵入させないと固く誓った。

だけど、それは──

 

「がはっ…ぜぇ、はぁ……お前、だけ…は、絶対に通させ、ないッ!!この、紅…美鈴が、命を懸けてもッ!!」

 

「貴殿の主にし仕えるそのお気持ち、拙僧はとても美しい。……ええ。ですが、拙僧も慧音殿から「この月をどうにかしろ」と言われ申されておられるゆえ」

 

この人間によって私は既に瀕死の状態に陥っていた。……最初はただの人間だとそう思い込んでいた。確かに、私は妖怪だが人の気ならば、感じることが出来たから。

…だけど、この人間は……いや、あれは人間じゃない。あれはただの化け物だ。

しかも、あの化け物は戦ってすぐに分かった。もし、紅魔館の門を通せば確実にお嬢様は殺されるッ!!

 

「ッ……絶対に、お前はッ!!お前、だけは…お嬢様の所に、は行かせないッ!!……ぐふっ」

 

「…ンン、ンンンンンン、ンンンンンンンンンンンンッ!!貴殿の働きは実によかった!愚かの極み、無様の果てとはまさにこの事でしょう!

素晴らしい──嗚呼、嗚呼、ソレでこそ忠義とは素晴らしいものッ!!」

 

「あがっッ!?…がはっ……」

 

「では、大盤振る舞いにてッ!!……拙僧の人形にして差し上げましょう。ええ、ええ。拙僧の目的は紅美鈴殿…貴殿なのですから」

 

「ッ!?わ、わた…し……?」

 

私は選択を間違えた。

あの時、咲夜を呼んでおくべきだった。

この化け物の目的は私だった。でも、もう気もほとんど残っていない、体はボロボロ、術のせいで意識も朦朧としている。

私は、逃げることさえ出来ない。

 

「では、紅美鈴殿。おやすみを……次目覚める時には──」

 

あの化け物の声が段々遠くなる。

意識も薄れて何も見え、なく…なってく、る。

あ、ああ……お嬢、様……

 

 

忘れもしませぬ。あれは先程、拙僧が趣味で始めた機械いじりを始めた頃のこと。

突然慧音殿が異変の様子を見てきてくれと拙僧に頼んできたことが始まり。

……しかし、拙僧は1度始めたことはきちんと終わらせるまで趣味に徹底したい気分でしたので、今回は式神に異変の様子を任せました。

 

「いやはや、これが異変……また何とも奇妙で美しい」

 

この幻想郷では空を飛翔する妖怪や人間が多数存在致しますが、拙僧はそもそも空など飛べはしませぬ。

なので、拙僧がその場所に向かうには術を用いての移動しか出来ないのです。ええ。

 

「…やはり、式神はとても便利です。いくら死のうが替えがききますからなッ!!……さて、あの紅き城が慧音殿の言っていた異変の発端、ですか」

 

慧音殿からは様子を見てきてくれと頼まれましたが……これはこれは。ンフフフ、実に面白い。

今回、拙僧は手を出す予定では無かったのですが、この道満。少しではありますが、少しだけ異変の手助けを致しましょうぞ。

 

「……誰ですか貴方は」

 

「お初にお目にかかります。拙僧、蘆屋道満と申す法師にて陰陽師でございますれば」

 

「そうでしたか。しかし、ここは通す訳には行きません。この紅魔館の門番、紅美鈴がお相手いたします」

 

「左様で。……しかし、拙僧は別にこの異変とやらを解決しようとは考えていませぬ」

 

「そうですか。なら、早く帰った方がいいですよ……貴方の為になりませんから」

 

拙僧が見つけたこの御仁。名を紅美鈴と申されたか。

そのお姿、その立ち振る舞いはまさに清を彷彿とさせる。

…ンフフフ、フフフフッ!!実に素晴らしいッ!!拙僧の手足となるに十分ッ!!

…では──

 

「左様、ですか」

 

「ええ。別に私も紅魔館に侵入しようとしなければ危害は加えませんから安心してください」

 

「…ではお一つだけお聞きしてもよろしいでしょうか?」

 

「……はぁ。手短にお願いしますね」

 

「ええ、ええ。では……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

死なない程度にいたぶって差し上げあげましょう」



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ええ、致し方ありませぬ。

何も……出なかった。どうして、どうして……
──ガシッ
ッ!?
(試験)やぁ( *・ω・)ノ
い、嫌だッ!!俺はまだバーサーカーを出してないんだッ!!離せッ!!離せえええええぇぇぇぇぇッ!!!!!


拙僧はこの幻想郷に幻想入りし、退屈な日々を過ごしていた。慧音殿をたまにからかい、寺子屋の妖や妖精に読み書きを教え、たまに魔理沙殿や小鈴殿と談笑を交わす……ええ。何とも退屈な日々だったか。

…ええ、ええ。とても退屈でしたとも。

しかし、拙僧はやはり美しき獣にて。異変という催しがあるにもかかわらず、何もしないとは何とももったいな……退屈ではありませぬかッ!!

 

「ッ……このッ!!」

 

「ンンンンンンッ!!当たっておりませぬぞ。急急如律令」

 

「なっ、がふッ!?……じゅ、呪詛…」

 

…初めは拙僧もこの異変の手助けとして少しだけ、少ーしだけつまみ食いをする程度に押しとどめておきたかったのですが──

 

「ええ、ええ。拙僧は肉弾戦は出来るには出来るのですが、我は陰陽師であり呪術師。そちらの方が本業であれば」

 

「はぁ…はぁ……あの時、不意打ちを上手く躱してれば、こんな…」

 

「目の前に敵がおられるのに不意打ちは卑怯?残念ながら拙僧は武人や英雄ではありませぬゆえ」

 

「ごはッ、うっ……」

 

幻想郷の妖はあまりにも駒として優秀な者が多すぎる。……ンン、ンンンンンンッ!!致し方なし。拙僧、昂ぶっておりまするッ!!

 

「あ、がっ……っああッ!!」

 

「……おや?おやおやおやおや?」

 

「はぁ……はぁ……」

 

「ンフフフ。随分と時間が掛かってしまいましたか……ええ、ええ。この道満の術を強引に跳ね除けるとは。いやはや些か、少しだけ驚きましたな」

 

紅美鈴殿。貴殿は実に良いッ!!拙僧は近接戦闘は出来るには出来るのですが、近接戦闘が可能な駒はとても魅力的。ですので、拙僧は貴殿が欲しいのです。

 

「がはっ…ぜぇ、はぁ……お前、だけ…は、絶対に通させ、ないッ!!この、紅…美鈴が、命を懸けてもッ!!」

 

「貴殿の主にし仕えるそのお気持ち、拙僧はとても美しい。……ええ。ですが、拙僧も慧音殿から「この月をどうにかしろ」と言われ申されておられるゆえ」

 

…慧音にはそんなことを一言も言われておりませぬ。しかし、既に実行に移してしまえば言い訳などいくらでもできますゆえ。……ええ。決してバレないようにしなければ。

 

「ッ……絶対に、お前はッ!!お前、だけは…お嬢様の所に、は行かせないッ!!……ぐふっ」

 

「…ンン、ンンンンンン、ンンンンンンンンンンンンッ!!貴殿の働きは実によかった!愚かの極み、無様の果てとはまさにこの事でしょう!

素晴らしい──嗚呼、嗚呼、ソレでこそ忠義とは素晴らしいものッ!!」

 

「あがっッ!?…がはっ……」

 

「では、大盤振る舞いにてッ!!……拙僧の人形にして差し上げましょう。ええ、ええ。拙僧の目的は紅美鈴殿…貴殿なのですから」

 

「ッ!?わ、わた…し……?」

 

「では、紅美鈴殿。おやすみを……次目覚める時には──」

 

──バシュッ

 

「……これは?」

 

「邪魔」

 

「ッ!?まさか巫女の──」

 

「消えなさい」

 

 

拙僧にとって陰陽師とは京の都を守る者。

守護者として認識していた。

陰陽師でもあり、呪術師としての才を所持していた儂にとってそれは美しきものだと実感していた。

…しかし、そんな時現れたのは安倍晴明。能力も知識も並外れた最強の陰陽師であった。

あやつだけは…安倍晴明だけは決して、決してッ!!……相容れないでしょうな。

 

そして、拙僧の邪魔をした幻想郷の守護者。巫女殿。あやつのその振る舞いはまるで安倍晴明に似たような何かを持っていた。

…幻想郷の巫女よ。この道満、あの時は式神でしたが本体ではそうはいきませぬゆえ。

…さて、慧音殿──

 

「道満……私が言ったこと覚えてるか?」

 

式神を飛ばして、幻想郷の巫女に式神が破壊された後。拙僧は慧音殿に儂が見た異変の様子を説明する手筈でした、が──

 

「慧音殿勿論覚えておりますれば。拙僧はちゃんと指示通りに行動致しましたぞ」

 

「ああ。知ってる」

 

「では慧音殿。そろそろ拙僧に土を被せるのはお止めなされ」

 

「霊夢から聞いた話では異変中に問題を起こしたと聞いたが?」

 

ンンンンンンッ!!バレていらっしゃるッ!!おかしい。拙僧は余計なことは何一つしていない筈が、まさか慧音殿にバレているとは……まさか拙僧以外の陰陽師が?いえ、そうであれば儂が気づく筈が──

 

「いいえ、いいえッ!!そのようなことは決して、決してありえませぬッ!!慧音殿、拙僧にはそもそも問題など起こす筈が──」

 

「悪いが、紫が一部始終を私に見してくれたから全部知ってるからな。……なぁ道満。私は様子を見てこいとだけ言ったよな?」

 

何とッ!?あ、ありえぬ、ありませぬッ!!この蘆屋道満が見落とすなどッ!!…もしや、もしやッ!!妖の類かッ!!されど、今は逃げねば──

 

「ッ!?……お、お止めなされ慧音殿ッ!!拙僧が悪か──」

 

「問答無用ッ!!天誅ッ!!」

 

「ンンッ、また後ほどっ──」

 

そして拙僧は地面に埋まった。




紅美鈴
今回は戦闘スタイル的に勝てなかった。「不意打ちとは卑怯ですッ!!次会った時は確実に首から殺りますッ!!」……っと、本人は言っている模様。尚、異変後に道満が菓子を持って謝りに行くそうな……。


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宴会、ですか。では、拙僧は帰りますゆえ

……公務員試験マジで長スギィッ!!勉強じだくないぃぃぃいッ!!
俺は遊びたいんだあああッ!!
──ガシッ
……ハハ、いやいや俺公務員試験終わったばかりだよ?まだある訳が──
公務員試験(県)( *・ω・)ノ( *・ω・)ノやぁ
……( -ω- `)フッ……に、逃げ──
※今回は試験があったから遅くなりました。ショートケーキみたいな短さ。ゆるして……ゆるして……


異変の間に手を出してしまったのが運の尽き。拙僧は後悔をしておりまする。……いえ、拙僧は別に慧音殿に埋められ、解放された後は大人しく寺子屋で静かに過ごしていたのですが──

 

『道満』

 

『ンン?おや、慧音殿。おかえりなさいませ。買い物はもうよろしいので?』

 

『ああ。お前が優秀で役に立つのが腹が立つが、まあいい。道満、明日予定は空いているか?』

 

『我が主のご命令とあれば拙僧、いかようにも動きますゆえ。……しかし、明日に何か用でも』

 

『ああ。宴会だ』

 

『……はい?』

 

『だから宴会だと言っている』

 

『…フフ、ははははははははははははァ!!宴会ですか。……では、拙僧はこれにて』

 

『なッ!?待てぇッ!!』

 

……と、拙僧は慧音殿を振り切ろうとしたのですが、まさか入口に藤原妹紅殿がおられるとは……逃げる選択を間違えましたな。

その結果、拙僧は幻想郷の守護者の巫女が住まう神社で宴会に慧音殿に強制参加を命じられてこの場におりまする。

いやはやなんとも。拙僧、ここまでこの場から立ち去りたいと願ったことは今まで晴明以外の人物でなかなかいませぬぞ。

なにせ、拙僧は──

 

「……何であんたがいんのよ」

 

「ンン、いやはや生身の体ではお初にお目にかかる。拙僧は蘆屋道満慧音殿に強制参加を命じられ、宴会に参った。では、拙僧は帰りますゆえ」

 

──ガシッ

 

「逃げるな。馬鹿者」

 

「ンンンンンン。慧音殿。手を離してくださいませ。拙僧とあの巫女の相性は最悪。これ以上拙僧が巫女と接触するのは……わかりますね?」

 

「知らん。逆にお前を霊夢の近くで監視させた方が1番安全だからな。だから、座れ道満」

 

「……どうなっても知りませぬぞ?」

 

あの巫女の近くで慧音殿に強制的に座らせられているのです。いやはや何とも、気分が悪い。何でしょうな?この苦虫を噛み潰したような優れぬ気分は。

 

「……はぁ。全く散々だったわ。異変なんてしばらくは見たくもないわね。誰かさんのせいで余計に頭使ったし」

 

「まぁいいじゃねぇか。そのお陰で酒も美味しく頂けるってもんだッ!!」

 

「美味しく、ねぇ……」

 

「ンフフフ、拙僧を睨むのはお止めくだされ。拙僧は何も悪くありませぬ。……魔理沙殿それは拙僧の団──」

 

「ん〜〜♪やっぱり甘いものはいいなッ!!」

 

「……左様で」

 

魔理沙殿と巫女殿はやはり仲がよろしいのでしょう。だが、それも相まって隙がない。やはり、複数の式神を……いえ、それも無駄でしょうな。

 

「……ぷはぁッ!!いや〜やっぱ酒は最高だ……って、どうしたんだよ道満。そんな胡散臭い顔をして」

 

「…魔理沙殿。拙僧がそんな胡散臭い顔をしてるとでも?」

 

「してるわね」

 

「してるぜ」

 

「ハッハッハ。お戯れを。……とはいえ、困った者です。まさか、拙僧の式神のほとんどが破られようとは」

 

拙僧はこの宴会に訪れた際に拙僧の式神を数体用意し、一つは美鈴殿の詫びの団子を渡し、残りの5体の式神はこの宴会に参加している妖や妖精を観察し、調べる手筈でしたが、いやはやなんと恐ろしい……これほどとは。

 

「式神?……もしかして、あんた私の神社に何かしようって話じゃないでしょうね」

 

「とんでもございませぬ。巫女殿。拙僧はただ、宴会での用事を済ませようとしただけ。…それ以外には何もございませぬ」

 

「……あっそ。なら、あんたの式神に何が起きたって言うのよ」

 

「拙僧の式神が切り刻まれ、破壊され、燃やされ、殴られ、切断されました」

 

「……あー。うん、分かった。大体誰がやったか分かったわ」

 

「ドンマイ道満ッ!!」

 

「……拙僧、嫌われているのですかね?」

 

「……さぁ?」

 

……しばらくは大人しくしておいたほうがよろしいですね。まさか式神が全て破壊されるとは……しかし、式神を破壊した1人の妖。…いえ、あれは鬼でしょうな。あれはおそらく──

 




巫女さん
天才で誰かと同じタイプの強者。まるで、某安倍なんちゃらさんと似ている。
決して誰とは言わないが、最近よく思わない人物が現れたとか。
その人物は本人曰く胡散臭くて生理的に無理……だそうです。


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文々。新聞『射命丸文は見た』

いいかッ!!とっておきだッ!!俺の貯めた全てを今ッ!!全てを捧げるぜッ!!コオオオオオォォォォォーーーーーッ!!出てきてくれなぎこぉッ!!
(爆死♪)
……うわあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あああああぁぁぁぁぁーーーーーッ!!
⊂( *・ω・ )⊃


新聞は私にとってとても大切な物。

今では私生活の一部となっていると言っていいほどだろう。

だから、そんな新聞を作る為に私は毎日のように幻想郷を周り、情報収集を行う。

最初は皆、私のことを嫌がってあまり協力的ではない。……いや、別に嫌われるようなことは何もしていないのですが、何ででしょうね?

この前は霊夢さんの記事を載せたら本当に退治されるのではないかとヒヤヒヤしましたよ。

…まぁ、細かいことは気にしないで今回の取材対象を観察しなければッ!!

 

「……一応ある程度情報収集を行ったつもりですが、あまり良い成果は出ませんね」

 

私が今回取材する人物は蘆屋道満。

最近幻想郷にやって来たばかりで噂では様々な話が飛び交っていたが、その内容は正しいのか、正しくないものなのかとても曖昧であった。

なので、私は蘆屋道満に接触した人物に色々と話を聞いたのですが……

 

『道満?あいつは確かに家事や教える立場等を考えると優秀だが……性格があれだ。なんか腹が立つ。お陰で私がどれだけ迷惑をかけられたことかッ!!最近もあれだけ私の──』

 

『道満?あぁ。なんか面白い奴だな。慧音と一緒にいる時は大抵慧音にイタズラばかりしてるけど、私の場合はなんか他人行儀みたいな……気の所為かな。まぁ、なんだかんだで見てて面白いってことだよ』

 

『道満?なんか楽しい奴だせッ!!この前もたまたま会ったんだが、せっかくだから私の調合した魔法薬を飲ませたんだが、平然としてたんだ。……ん?いやいや何も起きなかった訳じゃねぇぜ。しばらく様子を見てたんだが、突然道満の頭に…猫耳、が……だ、ダメだ。これ以上は思い出しただげで……』

 

『蘆屋道満。正直あまり良い印象を持ちませんね。私、紅魔館の異変の時あの人に負けましたから。不意打ちとはいえさすがにあそこまでやるのは酷くないですかね?……まぁ、宴会の時に妹様があの人を破壊した時はびっくりしましたが、ちょっとスカッとしましたね』

 

『あんた何しに来たのよ。退治するわよ?……あの胡散臭い奴のこと?できる限り会いたくないわね。そもそも来ないで欲しいわ』

 

あまり参考になりませんでしたね。話を聞いた限りでは共通する内容が少なかったこと、表裏のある人物?のようなイメージしか持てませんでした。

 

「しかし、文々。新聞の記事の為。どんな人物であろうともこんな面白そうなネタを逃がす訳には行きませんッ!!」

 

……と、そんな訳で寺子屋の前までやって来ましたけど、今日は妖精達はいなさそうですね。

まぁ、その方が私的には仕事がしやすいので万々歳なんですけどね。

さて、いざ突撃ッ!!

 

「こんにちはーッ!!文々。新聞でーすッ!!」

 

まず、寺子屋に入る方法は一つ。

私が仕事として寺子屋に勝手にお邪魔させて貰うこと。

元々、慧音さんには新聞配達をしているので中に入っても怪しまれずに済みますし、蘆屋道満さんを探すチャンスッ!!

ですが、ここは慎重に行動しなければ。

……って、あれ?

 

「あのー。誰かいませんかー?」

 

……どうやら寺子屋には誰もいないらしい。

鍵は開いているので近くにはいるんでしょうが、もしかしすると聞こえていないかも知れませんね。

なら、少しお邪魔しちゃいましょう。

 

「お邪魔しまーす……」

 

よし。まず靴を脱いで慧音さんを探さないと……って、なんだか足音が聞こえる?

もしかして、慧音さんが私の声が聞こえたのかな?

なら、まずは挨拶をしないと。

 

──ドタドタドタ

 

「あっ、慧音さんこんにち──」

 

「ンン、失礼。拙僧は今湯浴みの途中でして」

 

「わ……うぇッ!?」

 

え、あ……わ、私が慧音さんと思っていた人物に挨拶をしようとした時に現れたのは、下を布で隠して出てきた男だった。

いや、そもそもほとんど裸だった……ってえええええぇぇぇぇぇッ!?

い、いや。確かに今日は蘆屋道満さんの取材目的で寺子屋にやって来たきたけど……そ、その……。

 

「……?どうかいたしましたか?」

 

「あっ、えっと、その……」

 

──ファさぁ〜……

 

「あ」

 

「…………ふぇッ!?」

 

え、う、嘘……あんなにその…う、うわあああああぁぁぁぁぁーーーーーッ!!!!!

 

「……これは失礼」

 

「え、あっ、で、でっかい……」

 

「……これは拙僧の美しき獣にて」

 

無理無理無理無理ィッ!!あれを見て取材なんて出来るわけないじゃないッ!!そもそもあんなの美しき獣じゃないッ!!ただの獣じゃないッ!!あんな…あ、あんな……ひゃあああああぁぁぁぁぁーーーーーッ!!!!!

 

「し、失礼しましたあああああぁぁぁぁぁッ!!」

 

今日の所は退散ッ!!今日は無理ッ!!絶対無理だからぁーーッ!!

 

「……」

 

「…………」

 

「………………」

 

「あの鴉は一体何だったのでしょうな?」

 




射命丸文。
すごく……大きかったです。


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