違うっ!俺はただ配達に来ただけなんだ!! (オットマン)
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バイオ村ヘ行こう!!
基本的にホラーっぽくもギャグっぽくもある冒険話にしようと思ってます。
大変なことになってしまった......
事の発端は今朝のことだ。
俺はいつものように朝起きて歯を磨いていると、友達から電話が来たんだ。
「もしもし?なんだよ、どうしたんだこんな朝に電話かけるなんて」
『なぁ......お前って今、北海道に住んでるよな?』
「ああ、そうだけど」
俺は去年大学に合格して地元から北海道に引っ越したんだ。
『あのさー......その......なんていうかな............』
「どうしたんだよ、やけに元気ないな。お前らしくないぜ」
『いや、実はな......俺の大学のサークル仲間が北海道に旅行に行ったんだよ』
「いや、それが何なんだよ。」
『1週間で帰るって言ってたんだけどな、もうひと月は経ってるのにまだ帰ってこないんだよだよ......』
「は......?」
彼によると、その人達は北海道の函館に4人で観光に行ったらしい。そして最初の夜に電話で話して以降、音信不通になってしまい、警察にも話したが全く見つからないそうだ。
そして今俺が住んでいるのがその函館という訳なんだが......
「おいおいふざけんなよ?いきなり電話してきたと思ったらなにそんな不謹慎な話してきやがって。今から食う朝食が不味くなるんだけど?」
『いやそれは申し訳ないけど......なぁ頼むよ。暇があったら探してくんない?幸いアイツらが忘れていった観光マップにちょくちょく印が付いてるんだよ。多分そこになにか手がかりがあると思うんだ。写真送るから見といて。』
ピコンッ
送られてきた写真を見ると確かになにか印がついていた。
でも少し変だ。印の付けられている所は観光スポットとかではなく、路地裏や墓地、トンネルなどだった。コイツラは何を目的にそこへ行こうとしたんだろう。
「別に手伝ってやってもいいけど、警察のほうが頼りになるんじゃあねぇの?」
『それがな、変なんだよ』
「変って何が?」
『行方不明になったことを伝えて、さっき送ったマップを見せたら、
《......残念だけど諦めた方がいいね......》
って言うんだぜ?ふざけんなだよマジで。俺たちの税金で生きてるっつうのになんだよそれ。そんなわけであまり警察は頼りにならねえんだ』
流石にそれには耳を疑った。警察がそんなことを言うのか。
きっと印にあった所にはなにか重要なものがあるに違いない。俺の好奇心は少しながら高まっていた。
「なるほどなぁ...でもゆうて俺もあまり時間が空いてるわけじゃねえんだ。勉強もしなきゃいけねぇし、それに今日はこれから
『はぁっ!?お前そっちでもアレやってたのかよ!いくらお前がもと競輪部だったとしても、函館なんかでオーダーなんかこねぇだろ』
「それが来るんだよ。今は冬が近づいてきて人が外に出たがらないから頼む人が多くてね」
『はぁ、事故起こさないように気をつけろよ?それじゃあなにか進展があったらまた連絡してくれ』
そう言って電話を切り、朝食を食べ終えて着替えて家を出る。
玄関を開けると冬の北海道の冷たい風が襲いかかる。しかしそれに負けてはならない、今日はしっかり稼がないと今月の生活がカツカツになってしまう。
そして俺は仕事を始めた。
「どーも〜、ウー○ーイーツで〜す」
そう、仕事とはこの事、ウー○ーイーツである。
高校では競輪部に入っていて、脚力には自信があった。地元でもよく時間があったらやっていて、小遣い程度には稼いでいた。ここに越してきて、あまりバイトを雇っているところが無かったので愛用の自転車、そして長年使っている立方体のリュックで配達をしている。
冬の北海道は当たり前だがクソ寒い。マジで凍る。こないだ知り合いの持っていたロレ○ックスが寒さで壊れたらしい。
そんなわけでこんな寒い中出かける人なんてそうそういない、そこがチャンス。これでこないだも結構稼げていた。
そして今日も順調に配達を行っていた。あの時までは
ピコンッ
早速新しい配達リクエストが来た。マク○ナルドか、よし受けよう。
そしてお店まで行って商品を受け取る。
しかしそこで違和感に気付いた。
「アレ?変だな、推定時間が表示されない......」
スマホでマップを見ると、目的地や経路は表示されるのだが、そこまでの時間が表示されないのだ。
バグかなにかだろう。そう思ってマップを閉じようとすると、あることに気が付いた。
「これ......どっかで見たな」
映し出されているマップに既視感を覚えた。ここらへんはよく配達をしてるが、そういうことではなくなにか別にこのマップが記憶のどこかにあるのだ。
そして思い出した。これは朝友達に送ってもらった、行方不明になったやつらが残したマップの形とそっくり、いや
そして目的地、それは送られたマップに印がついていたトンネルだった。
全身に寒気がした。しっかり防寒具はしているがそういうのではない、背中をゾワッとさせるような気味の悪いなにか。
しかしそれと同時に好奇心が湧いた。警察が諦めろというほどのものがそこにある。そこになにか真相に繋がるヒントがあるかもしれない。探したい、それを探してみたい。
気付いたら俺は自転車を漕いでいた
空が雲に包まれて、あたりが少しづつ暗くなっていく。
「着いた......」
ツタやコケが鬱蒼と生えた狭い道を抜けると、ボロボロに朽ち果てたトンネルが現れた。トンネルの先は暗くて何も見えない。
マップでは確かにここを指している。とは言っても到着したわけではなく、この先に目的地があると表示されている。
キャンセルしたほうがいいだろうか。この先には一体何があるのかわからない。でもこの先にあの事の手がかりがあるはず。でも手がかりがわかっても帰ってこれるのか、もしそこで何かあったら僕はどうなるんだろう。
怖い、とても怖い。全身が震える、一歩前に出ようとしても足が震えて動かない。しかしここで怖気づいてどうする。高校では成績トップでビビったりなんかしない性格だったこの俺だぞ?こんなのでビビってたまるか。
意を決してトンネルの中ヘ入っていった。
暗い道を歩く。
自転車で進んでもいいのだか、とてもそんなスピードで進む気は起きなかった。
しばらく進んだが出口も何も見えない。誰かいるのかと声を出してみたが、帰ってくるのは自分の声の反響音だけだった。
トンネルに入ってから十数分、まだ何も見えてこない。
いよいよ俺の精神も限界だ。背中に背負った立方体のリュックが異様に重く感じる。
二十分、まだ何も見えない、
三十分、ようやく目線の先に光が見えた。
やっと外に出れる。
気づけば俺は走り出していた。息を切らしながら、自転車を押しながら向こうに見える外の世界へ全力で走った。
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「おい!やっとくるぞぉぉ〜!!ついにここまでウー○ーの範囲になったかぁー」
「たかが出前でそんなに喜ぶとは、やはりあなたは貧乏な人ですわねハイゼンベルク」
「あぁなんだとぉ!?そういうお前も喜んで注文してたじゃあねぇか!ちょっと体がでけぇからってうかれるなよ吸血女ぁ!!」
『ちょっとアンタ達うるさいわよ!!ヴェェェェェイッ!!!アァーーもうッ!ちょっとブサイク!!まだ来ないの!?』
「い、いや......今この村に来た所だよ...ちょうど畑のあたり。
そ、そういえば今ウー○ーが来てるんだから村のライカン達は片付けたの?」
「『「あっ....................................」』」
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「えぇぇぇぇぇぇぇ.............................??????」
トンネルを抜けて外に出ると、そこは雪が降っている村だった。
GWAAAAAAAAAAAAAAHHHHHHHHHH!!!!
目の前には、
どうでしたか?
いまいち四貴族のセリフを表現できていたか不安でした。
良ければ評価お願いします。
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ようこそバイオ村ヘ!
若干コメディ調になってしまいました。まあそのほうが軽い気持ちで見てもらえるかな。
「いやいやおかしいってこれぇぇぇぇぇぇ!?」
ありのまま今起こったことを話すぜ!!
トンネルから出たらそこは車や電車も電灯も何もない中世の村のような所だったんだ。
周りには家、とは言っても、俺がいつも見るコンクリートで出来た家ではなく木で作られた古臭い家が所々に見えるだけ。畑にはボロボロになったカカシや柵があり、とても現代とは思えない世界だった。
それよりも!そんなことよりもだ!今目の前にいる人のように2本足で立っているオオカミらしき者が誰かの死体を食い荒らしてるんだ!
グチャグチャと生々しい音をたてながら腕や足にむさぼりついているそいつの歯、いや牙や爪は鋭く尖っていて、今にもその死体を噛み切ろうとしている。
いや待てよ...?アイツ服を着てるぞ?オオカミが服を着ている?いや......もしかして、アイツは人間!?
よし!戻ろう!!
そう思ってさっき通ったトンネルの方に振り返ると、
そこにはトンネルはなく、さっき見た人型オオカミ達の群れががこちらを向いていた。
「グルルルルルルルルゥゥゥゥ........」
あ....................えっとぉぉ〜............
「ど~もー...ウー○ーでーす......」
「グルルルルルルゥゥゥゥアアアアアアア!!!!!!」
よし!逃げよう!
急いで自転車にまたがって猛スピードで駆け出した。
いやー一応北海道に引っ越すから砂利道でも走れるグラベルロードの自転車を買っといて良かったぜ!
変速をガシャガシャと軽いギアに変えて思い切りペダルを漕ぐ。一気に坂を駆け上がって下り坂でも重いギアに変えて漕ぎまくって下っていく。
息が切れてきた...脚もだんだんキツくなり、冷たい風に吹かれながらも身体中に汗が垂れてきた。
流石にここまでアイツらは追ってこれないだろう。いくらオオカミとは言っても、あんなにスピードを出して走ったんだ。
それにしてもここはどこなんだろう。明らかに俺が住んでいる街とは全然違う景色だし、それに人が住んでいた形跡はあるのに肝心な住人が全く見当たらない。
そういえばあのオオカミ人間達、服を着ていたな......それもよくRPGの村で見る農民のような服だったり、エプロンだったり......てことは、アイツらはもともとここに住んでいた人達なのか!?
「グルルルルルルルルゥゥゥゥ............」
はっ......マズい!!追いつかれた!!!
気付いたら目の前にいたオオカミは今にも俺を襲いかかろうとしている。
くそったれ......!!!こんな事になるんだったら、来るんじゃなかった。
バァァァンッッッ!!
突然、銃声が響いた。
「オイ、アンタ!!早くこっちへ来いっ!!!」
音が鳴った方を見ると近くの建物のドアにショットガンを構えた還暦くらいの男性が立っていた。
慌ててその建物へ駆け込むと男性はドアにの鍵を閉めて、木の板でさらに抑え込んだ。あぁ...さよなら俺の自転車......
部屋の中はだいぶ荒れていて、本や雑貨、さらに銃の弾丸が転がっていた。海外の映画でよく銃は見るが、実際に見たのは初めてだ。
「ここは危ない。アンタもコレ持っとけ」
そう言って男性が渡してきたのは、拳銃とナイフだった。
初めて銃を持つがこんなに重いのか。小さい頃エアガンで遊んでたりしたがその比じゃない、手にズッシリ来る重量感。
......っていやそんなこと言ってる場合じゃない。
一旦状況を整理しよう。
まず俺はマ○クを届けるためにトンネルに入ったらオオカミ人間......というよりゾンビが沢山いる村ニ来てしまい、今現在そのゾンビに囲まれた家の中で銃を持って立っている。いや意味分かんないわかんない。
「なぁおじさん、ここは一体どうなってるんだ!?」
「あぁ......我々はついに神を怒らせてしまったのか.........」
「ヘ...?おいおい何言ってるんだ?」
「俺たちはこの村の神の逆鱗に触れてしまったんだァァ!!!」
「おい!話を聞いてくれよ!!」
「マズい...今にもヤツらがく
その瞬間、天井を突き破って来た何かがおじさんの首を掴んでそのまま上に持っていってしまった。
「あ〜クソっ!!どうなってるんだよここはよぉ!?」
ドンッッッ!!ドンドンッッッ!!!
マズい!今にもアイツらが入ってくる!!
クソっ!!何なんだよあのジジイッ!!!こんな時になんか神がなんとか言ってたし、本当にどうなってるんだよここは。
どこかに裏口はないのか?裏口ではなくてもなにか出られる所。
必死になって探していると、隣の部屋の窓の外にはまだゾンビ達が来ていなかった。
よし、今なら出れる!
窓を開いてなんとか家を脱出した。
急いで走り出し、家から距離をとる。
ベキィィッッッ!!
とさっきの家のドアが破壊されてゾンビ達が入ってきた音が聞こえた。
ん?あの部屋にある赤い樽...なんか書いてあるぞ?
「危険!火気厳禁」......火薬かぁ。
手に握られている拳銃を見る。
よく映画でこんなシーンあるよなぁ、禿げた警察官が終盤で相手を一掃するときのヤツ、憧れたよなぁ。実際にできるのかな。
いっちょやってみるか。
「おぉい!!クソゾンビ共ぉ!!!」
両手で銃を握り、樽に照準を合わせる。
「
引き金をひいて、銃弾を樽ヘ向かってぶっ放した。
BOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOM!!!!!!!
見事樽に命中し、たちまち大きな爆発が起きた。家全体に火がついて、ものの数秒で巨大なキャンプファイヤーとなった。
にしても痛え。実銃って打つとこんなに衝撃が来るのかよ。先が思いやられるな。
グルルルルルルルルゥゥゥゥ
おっと、まだ生き残ってる奴がいたか。
また銃を構えて、ゾンビに向かって引き金を引く。
カチャッ......
「へっ............?」
拳銃のマガジンを取り出して中身を確認する。
中身は、スッカラカンだった。
よし!逃げよう!!
ひぇ~、危なかった危なかった、なんとか逃げ切れた。
しばらく道を進んでいくと、遠くに大きな洋風の城が見えた............城!?
なんで北海道のこんな村に洋風な城があるんだよ!
いやもうここは北海道、というより日本とは考えないほうがいいな。
とりあえずあそこに行けばなにかあるかな。
もう配達とかはどうでも良くなってきた。このリュックもどこかに置いていこうかな。ただでさえ立方体で邪魔だし走ったりするのにも妨げになるし、だいたいこんな所に注文したやつなんかいるのかよ。えっとぉ...?ビックマ○クのセットにえびフィレオ、月見バーガー、チーズバーガー......こんだけ量があるんだから一人ではないな、普通に考えると4人か。こんなところに家族で住んでるやつでもいるのかな。
まあいい、とりあえず中に入るか......
_____________________
???「いま誰かが入ってきたな......ついに来たか、お前に私のエヴァは渡さない!覚悟しろ!!
イーサン・ウィンターズ!!」
((((ヤバい.......!!ミランダ(様)に言うの忘れてた............!!!))))
いきなりダイ・ハードのセリフとか入れてしまいすみません。
僕自身あの映画みたいなアクションとギャグが混ざった感じが好きなので、今後もあるかも
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予定外の配達人
ただあの世界観が好きでこれを書いてるんで原作のゲームの内容と矛盾が生じるかもしれません。できるだけ減らしたいとは考えてますが、もしあったときは「まぁそんな事もあるよね」と温かい目で見ていただけると幸いです。
感想、評価くださった方々ありがとうございます!マジで励みになります。
これからもよろしくおねがいします。
「お待ちしておりましたぞイーサ......あれれ、どなたですかな?」
城の入り口付近まで行くと門のあたりに馬車があり、その荷台からとても大きな、いや太った男性が現れた。
俺のことを尋ねる前にイーサ...とか言ってたけどなんだろう。
「そういうアンタこそ誰なんだ?」
「これは失礼、私はデュークと申します。ここで武器商人を営んでおります。さて、予定ではあなたとは別の方がこちらに来るはずなのですが、あなたは予定外ですねぇ。一体どちら様でしょうか。」
「俺はここら辺にマ○クの注文を受けて配達しに来ただのウー○ーイーターだ。」
「ほぉ、マク○ナルドですか。あそこのハンバーガーは安くてとても美味いと話を聞いたことがありますが、この村でそれを注文された方がいらっしゃるのですか。いやぁ、わかりませんなぁ。」
そう言ってポットを取り出し、お茶を飲み始めるデューク。
そういえば村中にゾンビがいる中、なぜこの人は隠れもせずなんの装備もしないでここにいる事が出来るんだろう。ただでさえあの体で動くのは難しそうだし、馬車もあまりスピードが出ないだろうに。
あ、今のうちにここのマップを見とこっと。
ん?なんだこれ。何も映らない、現在地も目的地も出てこない。
いよいよいよいよ本当に不味くなってきたな、ただでさえこんな危険な状況にいるのに、届ける相手の場所もわからない。
全く誰なんだよ俺をこんな目に合わせるきっかけを作った注文者は。えーと......
「..............ハイゼンベルク」
「ゴフッッッ!?!?」
「えっ!ちょ、ちょっとどうしたんだよデュークさん!」
注文したやつの名前をつぶやくといきなりデュークがお茶を吹き出した。
「い、今...ハイゼンベルクとおっしゃいましたか?」
「え?あぁ、そうだけど」
「なるほどぉ、あの方が絡んでいたのですかぁ。」
「おいおいこの人がなんかしてるのか?」
「いえいえ、別にそういうことではありませんが、この方は
「四貴族......」
「ええ、この村の統治者であるマザー・ミランダに従える4人の村の権力者です。村の各所に拠点となる施設を構えておりまして、村の人々から恐れられています。
そしてこの城がその四貴族の一人、オルチーナ・ドミトレスク婦人の拠点です」
なんか色々とややこしい事になってきたな。
四貴族とか言う人達のうちの一人が注文したのが原因で、今目の前にある城がまた別の四貴族の一人の城と......
あ、確か商品がビックマ○クのセットにえびフィレオ、月見バーガー、チーズバーガーだったな。なるほど、どうやらその四貴族で食べる予定なのかな。
そのドミトレスクとかいう人に会えばとりあえず配達は完了か、よし、行こう。
「分かった。ありがとなデュークさん。じゃあそのドミトレスクさんに会ってみるよ」
「そうですか、ではまたどこかで会いましょう。お気をつけて......」
そしていよいよ俺は城の中へ入っていった。
_____________________
「それにしてもあの人はなぜこんなところにやってきたのでしょう......まぁ、私にはあまり関係無さそうでしたから、自分の仕事に戻った方がよろしいですかな」
立方体の独特なカバンを背負った男が城に入っていったのを見て、改めてデュークは彼のことを考えた。
本当はここでイーサン・ウィンターズが来るはずだったのに、現れたのは知らない男性だったのだ。デュークは表情はあまり変わっていなかったが、内心とても驚いていた。マク○ナルドやウー○ー等の言葉は少しは聞いたことはあったが、顔はここらの人ではないし、さらには配達のために来たと言っていた。こんなところにに配達が来るわけはないし、来ても生きては帰れないだろう。
注文者がハイゼンベルクと言ったときはまた驚いた。さらには他の四貴族の方達も食べようとしているのかと思うと少し可愛らしいところもあるのかと笑えるが、おかしい。まずまず彼はどうやってこの村ヘ来たのだろう。ここらへんは山々に囲まれていて、マク○ナルドと言ったような店からは相当離れている。彼の格好を見たが車では来ていない、頭に被っていたヘルメットの形状から考えるにバイクでもない、
自転車?こんな山々に囲まれた所に彼は自転車でやって来たと言うのか。
ありえない。
とても重装備で来たのなら考えられなくもないが、それ程の装備ではなかった。ただ冬の寒さをしのぐ程度。そんなのでココまでやって来たと言うのか。
ますます謎が深まるばかりだが、考えすぎていてもしょうがない。一旦忘れて、自分のやるべきことをしなければ。
「おや?向こうに見えるのは......あぁ、やっと
そしてデュークは本命の男とやっと出会った。
イーサンが自分の商品の武器を買っている時、
(あれ?さっきの彼は武器は持っていたのでしょうか?彼にも売ってあげればよかったかもしれませんね...)
_____________________
城の中に入ると、正面の向こうの壁に3人の綺麗な姉妹の絵画が飾られていた。
周りにはいかにもアンティークな品々が置かれてあり、部屋の角などには
いかにも「壊せ!」って感じのツボだが、俺は人のものをそんなぞんざいに扱う人ではない。それに別に壊したって中に何か入ってるなんてことないだろうし。
さっきから歩いているのだが、全くもって人の気配がない。
時々、「誰かいませんか」と声を出してみるが静寂を返されるだけで、なんの変化も無かった。異様に不気味で居心地が悪い。
そしてある一室に入った時、妙なものがあった。
閉じられた謎の大きな扉だった。その扉に石版が付いていて、何か文章が刻まれていた。
「えーと......あ、だめだこれ全然分かんない」
石版に刻まれた文章の解読に苦戦していたその時、
「ローズを捜してるのぉ?」
突然女性の声が聞こえた。
「アハハハハハハハハハァァァ!!!」
高らかに笑い声を上げているが、肝心のその女性の姿が見えない。しかし、妙なことに気が付いた。
数百匹はいるだろうその虫たちの羽音が俺の耳を塞がせた。
(うわぁ...俺虫は大の苦手なんだよなあ......)
そしてその虫たちが集まっていくと、3人の黒い修道服のような物を着た女の姿に形を変えた。
その女達、いや女というより魔女みたいなそいつらは、鋭く尖ったナイフを片手に血がべっとり付いた口を大きく開けて笑っている。
いやなにコイツら?明らかに俺を殺そうとしてるんですけど!?あっ、意外と顔は整ってて美型...だけどその血とナイフはいただけないな。俺はそういうメンヘラとかヤンデレっぽい女は好みじゃないんだよね。いやそんなこと言ってる場合じゃあないか。
「えっとぉ...ローズって言ったっけ?申し訳ないけど俺はそいつの事は全く知らないよ」
「嘘をついても無駄よぉ!あなたがここに来るのはすでに知らされているの!!」
「おいなんかさっきのデュークさんみたいなこと言ってんなぁ...」
どうやらコイツらはと俺とは違う人間を狙っているらしい。多分デュークが出合い頭に言っていた、イーサ...なんとかっていう人なんだろう。
とは言ってもこの3人は信じてないっぽいけど。
「そんなことどうでもいいからさぁ?」
そう言って一人が俺を押し倒し、他の2人が手足を押さえつけた。なんて力なんだ。俺も結構力には自信があるけど、コイツラのは尋常じゃあない。人間とは思えないくらいの力だ。
一人が俺の上に跨がる。いわゆる騎乗○位...いやいや俺はなんてことを想像してんだ。たとえ彼女いない歴=年齢の俺でもこんな時にそういうふうに考えるのは流石にマズい。
あれ?なんか首筋に冷たい感触が......
首筋に当たるヒヤリと冷たい感触をおぼえてゆっくりそこを見ると、廊下を照らす明かりが反射するナイフが目の前にあった。
「あのー...これってどういう......」
「ねぇねぇイーサン君、私達と遊ばない?」
そう言ってナイフを振り上げて今にも俺の体めがけてそれを振り下ろそうとした。
「違うっっっ!!俺はただ配達に来ただけなんだぁァぁぁぁ!!」
「「「.................................................え?」」」
ナイフは俺の心臓のギリギリで止まった。
イーサンを出してみたはいいけどそれによってより話が難しくなっちゃったなぁー。
だんだん書くのがキツくなって最終的に全部夢でしたオチみたいなことにならなきゃいいけど...
あまり主人公を理不尽に悲惨な目に合わせるのも僕の心が痛むので、イーサンみたいに手を切られたり色々犠牲にすることはさせないようにしようと思ってます。
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