スペシャリストでナンセンス (強烈ミントのキセル)
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お兄さんはサージェント

硝煙臭く、多数の銃声が響く荒野……そこは今まさにレジスタンスと連合軍が争う戦場の真っ只中……

 

「弾薬をあるだけ寄越せ!!!」

 

「りょ、了解!!!」

 

レジスタンスを鎮圧する連合軍の先頭で銃(只のハンドガン)を正確に乱射する男……

彼の撃つ弾丸は全てレジスタンスの命を刈り取り、天……否、地の底へと引きずり込んだ。

しかしどんなに彼の腕がよくても相手が悪い……相手のレジスタンスは人員が多く、彼の所属する連合軍は生憎硝戒部隊であったために人員が少なく、応援待ちである。

 

「弾薬はまだか!!!」

 

「弾薬、手投げ弾共に切れました!!!」

 

「ちっ……仕方ねぇか……応援は?」

 

「残り五分、間に合いそうにありません……」

 

「撤退も已む無し……か……」

 

「シキ殿!!!」

 

「なんだ!」

 

「衛生電話です!」

 

「このタイミングでか……誰だ?」

 

「アメリカから……織斑様、妹様からです……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

寄越せと一言言い放ったシキと呼ばれた男は衛生電話を受け取ると、一言二言話し……そしてレジスタンスへと走り出した。

片手には耳に当てたままの衛生電話……そして左手には何の変鉄もないナイフ……俗に言うマチェットを片手に……

 

「なっ何だコイツ!?」

 

ひとりは首の頸動脈を寸分の狂いなく斬られ、

 

「こ、このっ」

 

ひとりは心臓をひと突きに……

 

「相手はひとりでナイフだ!!!撃ちまくれ!!!」

 

ひとりは眉間を貫かれ、

 

「ひ……ばっ化物!!!」

 

ひとりは喉を貫かれた……

 

「来るな……来るな~!!!!」

 

またひとりは狂い銃を乱射し、

 

「なっおいやめ……」

 

そしてひとり、またひとりと流れ弾にその体を貫かれ、

 

「化物が、道ずれにしてやる!!!」

 

そして最後のひとりは自爆した……

 

 

爆発の煙が晴れ、そして残った男は電話にこうに呟いた……

 

「今どこだ?」

 

男の名は織斑 四季……職業傭兵……世界で最も強い女性の兄であり、これより始まる物語の主人公である……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「雑兵しかいねぇじゃねぇか……こちとら高い金貰って仕事してんだぞ!!!」

「報酬に合った仕事しねぇとスッキリしねぇんだ!!!」

「さっさと政府の頭痛の原因出てこいや!!!」

 

このチンピラの様な物言いをする男、織斑四季は傭兵である。

報酬に合った仕事をするのがポリシーであり、座右の銘でもある。

そして稼いだ金の約八割は遠く離れた妹と弟へと仕送りしている。

尚妹と弟も離れて暮らしているので、厳密には妹四割弟四割である。

 

「…………んだよ、ここもハズレか……」

 

ちなみに襲撃したのはここで五回目……なかなか親玉へと辿り着けていない様子だが、五つも政府の頭痛のタネを潰した訳だしもう結構な働きぶりな気もする。

 

「しゃぁね……今日はこれで終いにすっか……」

 

夜も更け、流石に疲れてきた四季はその場に腰を降ろすとポケットラジオを取り出しスイッチを入れた。

 

「情報収集は仕事探すのに便利だからな……」

 

流れるのは全てワールドニュース……しかもスポーツが始まるとすぐに周波数を変えて別のニュースを聞き始めた。

数回周波数を変え、ニュースを聞き、満足したのか電源を切ろうとしたその時である。

 

『臨時ニュースをお伝えします……』

 

「ん?」

 

『今日未明、日本政府が男性初のIS適合者を発見したことを発表しました……』

 

「政府の頭痛のタネがまた増えたな……難儀なこった……」

 

『……尚発見されたのは織斑一夏15歳……あの織斑千冬の弟で……』

 

「ん゙?」

 

ピリリッと四季の携帯電話が鳴る……

 

「…………はぁ」

 

臨時ニュースを流すラジオのスイッチを切り、四季は電話に出た。

 

「はい、こちら四季……何用か」

 

眉間にシワが寄ってる彼の表情は、少々苦笑いを含むものだった……

面倒な奴だが、それでも放っておけない……それなりに大切だし、邪険に扱ったことはない…………そう彼は語る。

 

「束……今度は何の面倒事だ?」

 

その知人の名は……

 

『あれ?わかっちゃいます?』

 

「当たり前だ……何年お前の面倒を見てやったと思ってる……」

 

篠ノ之束……又の名を、

 

『あはっ♪そうですよね~♪』

 

天災ともいう……

 

「用件を言え、また匿ってくれとでも言うのか?それとも気に入らない研究施設をぶっ潰して欲しいのか?」

 

『も~……束さんはそんなに物騒なお願いしませんよ~……』

 

「何度もしてるから言ったんだがな……」

 

『う……確かにそうですけど……』

 

「まぁ、大体の見当はついちょるけん……日本に向かうとするべ」

 

『さっすがシキさん♪束さんのお願いが言わなくてもわかるんですね~♪』

 

「阿呆、お前からお願いされんでも行くわ……ほんに二人が心配で仕方ない……」

 

『ちーちゃんも寂しいって言ってましたよ~』

 

「さよけ……」

 

プチっと電話を切る四季……まだ話の途中に見えたのだが……そこには触れないでおこう。

それはともかく四季は突然周りをキョロキョロと見渡し始めると、周りに物がない開けた場所に移動した。

 

「エーミル……起動しろ」

『…………おはようございます、サージェント』

「残念だがこんばんは……だ」

『失礼しました……寝ぼけていたようです……』

「そうかい……だがまぁ、しっかり起きてくれよ?」

『サー……システム、オールグリーン……通常モードで起動……完了しました』

「よし、フライトシステム不可視モードで起動……オゾン臭は控えめな」

『サー……システム、フライトシステムに移行……装甲を展開します』

 

四季の姿が装甲という名の鎧に包まれた刹那……装甲に包まれた四季の姿は消え、代わりに砂埃が辺り一面を覆った。

四季が会話をしていたのは、彼が傭兵活動によって集めた僅かな資金で作製した自己進化AIである。

そもそもAI、なんて簡単に作れるものでもないのだが……それができるから四季なのである。

ただのAIではなく自己進化ってところがまた凄いとこなのだが……

今や普通に四季と会話するし、感情の欠片が見え隠れしている。

…………先程の謎の会話についてはまた追々説明することにしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうも……俺だ。

さっさと仕事を終わらせ日本へと移動した。

束の事だから俺の身内には知らせていないんだろうが……所謂サプライズってやつ?

そんな必要ないと思うのだが……さて、

 

「エーミル、行くぞ……IS学園に」

『サー……入学式までおよそ2時間……』

「おう」

 

束の追記メールによれば、なるべく入学式が終わるまでに目的地に到着してほしいとかなんとか……

まぁ、二時間もありゃ余裕だろ。

 

「今回の仕事は長くなりそうだな……」

『…………およそ3年はかかるものと思われます』

「さよけ……3年もありゃ腕が鈍るかもしれんな……」

『…………射撃訓練場等の施設があるので、腕の鈍りを抑える事はできそうです』

「実践じゃないと気休め程度だがな……」

『肯定……』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やれやれ……なんだあの警備員は……失敬な奴だったな」

『サージェントが男性だったことからあの態度だったものと思われます……』

「嫌な世の中だね……」

『そしてサージェントがそれなりの立場にある人物である事を知り、態度を一転させたものと思われます』

「束の親友であり噂の姉弟の兄ってか?」

『肯定……所謂ゴマスリ…ですね』

「知らねぇよんなこと……」

 

IS学園に到着した俺は手厚い歓迎(笑)を受け、嫌な気分である中……着々と束の思惑は進行するのであった……サプライズな。

 

「で、何か?良さげなタイミングで教室に飛び込めば良いのかね?」

『肯定……追記メールにはそう書かれています』

「さよけ……」

 

良さげなタイミングってのは……別に今でもいんじゃね?

 

「自動ドアか……突入に適していないが……ま、どうとでもなるか」

『サポートはお任せを』

「任せた」

 

どうやらエーミルが自動ドアを開けてくれるらしい。

 

「じゃ、突入……」

『サー……』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私の命令には全てはいかYESで答えること」

 

彼女は織斑千冬……このIS学園の教師である。

ドヤ顔で喋っているが、様になっているので特に言うこともないだろう。

 

そんな中の話である……

 

プシュッと音がしたと思いきや……ひとりの男が教室に飛び込んできた。

男は前転を一回すると、手にしたハンドガンを構えた……しかしまぁ、すぐに下ろしたが。

 

「オールクリア……どうだ?」

『サー……オールクリア』

 

男の名は……まぁ、もうわかるだろうが織斑四季である。

 

「お兄ちゃん!?」

 

「兄ちゃん!?」

 

そして噂の姉弟の……

 

「おう、久しぶりだな」

『初めまして、織斑姉弟様……』

 

世界最強の兄である……



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ハイセンス ナンセンス

お気に入りとメッセージやコメント本当にありがとうございます!!!
期待に応えなければ……


「人を殺して得た金で妹弟を養うのは間違ってる?」

「そんな綺麗言で俺が傭兵職辞めるとでも思ったんか?」

「ヒャハハハハハハハハハハハハハ…ははは…はは…フゥ……アホ臭……」

「まァ…君は家族を守る為の選択肢が山ほどあるもんなァ……勝者の余裕ってやつ?良いよねェ……」

「俺は、俺のやり方で妹や弟を助けるのさ……俺には殺すしか才能ないもんね……」

「てなわけでさ……」

「死ねや」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お、お兄ちゃ……なんでここにいるの!?」

 

「おう、千冬……ちょいと野暮用でね……3年ほどこの学園で働くことになったん………だっ!」

 

追い掛けてきた職員に束が珍しく手書きで書いた許可証を叩き付けておく。

これで俺が職員であることを証明できる筈だ。

職員吹き飛んだが気にしない。

 

「てかおい一夏~……おめぇ面倒な事になったな……」

 

「兄ちゃ……えぇ!?」

 

先程受付で現地調達した折り畳み椅子を組み立て、座る。

流石に飛び続けていたから腰が痛い……

 

「ねぇ誰?」

 

「織斑先生凄い取り乱してたけど……」

 

「お兄さん……なのかな?」

 

「え、でも千冬様にお兄さんがいるなんて情報ないよ?」

 

「何か怖そうだし……」

 

好き放題言いよってからに……

 

「おう、千冬……ここじゃ先生か?」

「先生、話続けな……授業中…なんだろ?」

「ちゃちゃっと終わらせねぇと……ほれ、あと五分だぞ?」

 

「あ……ご、ゴホン…えっと……」

 

「ほれ、どした~……ドヤ顔演説もっと聞かせろ~」

 

「へ?お兄ちゃん聞いてたの!?」

 

「おう、バッチリ聞いた……」

『ちゃっかり録音させていただいております』

 

「さっきから誰なの!?お兄ちゃんの彼女?」

 

「いや?俺の作成したAI……女みてぇな声なのは……知らん」

 

もともと中性的な声だったんだが……いつの間にかこうなっていた。

成長するのは良いが……ここら辺は妙な感じでなんとも言えん。

 

「恥ずかしい……です……」

 

「はいはい……」

 

そのまま授業終了……もうちょいしっかりしてくんねぇかねぇ……うちの妹。

戦友の間じゃぁクールビューティーだとか騒がれてたが……これじゃぁなぁ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どした……千冬」

 

受け取った衛生電話を耳に当て、敵の数を数える……いち

 

『お゙にいぢゃん……グスッウェェエン……』

 

電話から溢れる泣き声はいつも通り、平常運行の千冬の声……に、

『おにいちゃん……ひとがいっぱいいるよ………こわい~……!!!』

「さようか」

『おにいちゃんおなかいたいよ~……』

「一夏になんとかしてもらえや」

『おにいちゃん怖いテレビやってた~……!!!』

「知るか……テレビ消せ」

これ、なんとかならねぇものか……さん、

 

「何だ……」

 

どうせいつも通りしょうもねぇ事だろうが……まぁ、無下にもできねぇだろ。

何より泣かせておくわけにもいかねぇ……可哀想だ。

俺の年齢からして子供だと思うやつもいるようで、甘やかすのはいけないとか言われるが……なあ?

俺らには親いねぇし、せめて頼れる人間がいても良いんじゃねぇかな……と思うんだ。俺は。

俺?俺はほら、正直硝煙の匂いで癒されてる節あるしな……しぃ、ご……こりゃ長期戦覚悟だな、

 

『一夏が……さらわれたぁ……ウェエェエン……ヒック』

 

…………こりゃ、さっさと仕事済ませにゃいかんな。

ここで足止めくらってる場合でもなさそうだ。

 

 

いち、に、さん、し、ご、ろくのしち……煙たっ……とはち……

 

「今どこだ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「でも兄ちゃんがここの職員になったんだとしても……何の役職なの?」

 

「あれ、カウンセラーだべ……いい役職がなくてさ…ま、基本非番だろうなぁってこと……」

 

「へぇ……あ、兄ちゃん柿の種食べる?」

 

「お……サンクス…………うみゃ~……ハハッ」

 

休憩時間……弟の席。

折り畳み椅子が案外便利なもので、対面する形で座っている。

一月に一度は通話してんのに久しぶりに弟の声を聞いた気がするのは、妹からの着信回数が多すぎるからか……

まぁ、コイツもコイツで妹に負けず劣らずな性格だが。

 

「えっと……エーミル…さん?はどしたの?」

 

「エーミルは基本寝てる……バッテリーの消費を抑えとかねぇといざというときに起動できねぇからな」

 

「へ~……バッテリー式なんだ……」

 

ちなみに単3の乾電池一本分の電力で12時間動く。

通常モード以外……例えばアーマー展開したらそうともいかないが。

 

「そろそろ授業か……頑張れよ~」

 

「う、うん……兄ちゃんはどうするの?」

 

「俺?俺は……まぁ、後ろで見てらぁな」

 

「そっか……」

 

暇だし銃のメンテナンスくらいするが……基本は授業適当に聞きながらヘビーダート(刃先の重心が重いダガーナイフ)の手入れだな。

常に切れ味を心配しておかないと使い物にならなくなるからな……血で錆びたりとかさ。

コイツは俺が傭兵職初めてから今の今まで使い続けてきた大切な得物だ。

エーミル(AI)の自己進化によってアーマーシステムが構築されてからも、コイツは肌身離さずいざという時以外生身で戦うことを続けている。

束の開発したISは便利だが、あれを装備して戦場に出るようじゃ急襲を受けたとき、対処できなくなってしまう。

女性しかISを装備できないらしいが、いくら訓練したと言えど女兵士を大量投入するのはナンセンスだ。

別に能力的問題でも、差別しているわけでもない。ただ単にナンセンスというだけだ。

実際に俺は何人も殺したが、気分の良いものではなかったし、弱かった。

倒し方?何てことはない……対戦車用に俺が特殊配合した爆薬を2個ほど使うだけだ。

一発で戦車を鉄粉にする爆薬をな……そりゃ、もう、肉が焼ける酷い臭いがしたさ。

できればここにいる生徒と対峙するような事にはなりたくないものだ。

 

「あのぉ……織斑さん?」

 

ヘビーダート手入れしながらそうこうしてるとオドオドした教師が近寄ってきた……

 

「あ?」

 

こういう場合ははっきり言って欲しい。

別に怒ったりするわけでもねぇってのに……

 

「ひゅぇっ!?……え、えっと、その……」

 

逆にこういう畏まった態度の方が腹立つし、気分悪い。

 

「はっきりせぇや……ほふるぞコラ」

 

元々こういう性格なのかもしれないが、俺の前だけで良いからシャキッとして欲しい。

 

「は、はい!そのナイフは本物なのでしょうか……?」

 

なんだ……そんなことか……

 

「ああ、本物だが何か?」

 

「そ、ソウナンデスカ……失礼シマシタ~……」

 

そう言うと女教師はコソコソと前の方へと行ってしまった。

 

「なんだったんだ……」

 

まぁ、手入れを続けるとしよう。

研いてオイルを塗って……布が切断できるかどうか……ふむ、美しい。

 

「ヘビーダート……フフ、血に染めてやりたいな…だが、3年お預けだ」

 

 

「血……血!?」

 

「え、ねぇ……どうゆうこと?」

 

 

…………なんかマズッたか……?

 

「言い忘れていたが私のおに……兄は現在進行形で傭兵だ……大抵の言動については気にしないでくれ」

 

(ナイスフォローだ千冬よ)

 

(お兄ちゃんの為なら太陽の中海溝の中だよ!)

 

あ~……千冬よ、いい年した大人がその口調はナイと思うぞ……?

 

「よ、傭兵?」

 

「雇われの兵士だ……まぁ、汚い仕事はしていないから安心しろ」

 

嘘ではない。

仕事は選んでいるつもりだ。

束からの依頼だって、気に入らない研究施設といっても大抵は非道徳的な実験を繰り返すモノだったりしたからな。

まぁ……そんな中何人もの傭兵からは殺人鬼と呼ばれたし、立ちはだかった者からは間違っていると言われた。

お前達も全員人殺しだろうに……勿論、全員殺してやったさ。

俺は誰も救いの手を差し伸ばさなかったあいつらの為にこれからもいつまでも、それこそ殺されるまで傭兵職を続ける。

それが他の誰かにとって間違っていることであろうと、それは俺の正義。

2人がそれを望んでいると思うのか!?とか言うやつもいたが、そういう問題じゃないんだ…………

 

「…………ん?……ちゃん?兄ちゃん?」

 

「あ、あぁ……一夏か……何だ?」

 

「何って……授業もう終わったよ?」

 

「あぁ……そうか……お疲れさん……」

 

久々にこいつらに再会して感性がおかしくなってるな……疲れてるのかもしれない。




束、千冬、お姉さんs、一夏、箒で下の子達共に性格改編。
主人公の前だと若干残念な事になっています。


原作通り天災でマッドだが、ISコアと妹、千冬に純粋な感情を宿している。
ちなみに主人公には本当に残念な意味で不純な感情を持っている様子……
彼に匿ってもらうこと約37回……とんでもねぇな。

千冬
主人公の前ではとんでもねぇお兄ちゃん大好きなヘタレ
威厳保てねぇ、弱い、口調がヘロヘロリン……
でも応援されたら本気で頑張っちゃうらしい……世界一になれたのも大会直前の電話一本、四季の『頑張れよ』の一言のおかげらしい。


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笑えない笑える話

お気に入りとコメントありがとうございます!

流石に姉弟の性格がアレ過ぎる気もしますが……このまま突っ走ります。


「何してんだメルサ……」

 

「何してるんだ?じゃないよシキ……ペンを持ってきてくれって言ったじゃないか……」

 

「は?ペン?」

「いつ言ったんだよそんなこと……」

 

「いつって……12時間前に確かに言ったよ」

 

「12時間って……俺はその時何してたと思う?」

「お前ならわかるだろ……」

 

「…………出掛けてたのか……そうか」

 

「そゆこと……考え事してたら周りが見えなくなるのは悪い癖だな……」

 

「今回の依頼が少々難航しているんだ……すまないね」

 

「天才科学者も大変だな……」

「俺も大変だよ……知り合いに天才が二人もいるってのはね」

 

「煩いなぁ……僕の前では他の人間の話をしないでもらえるか?」

 

「あ~ぁ、へいへい、さいですか……」

「こりゃ失敬」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「四季さん!!!」

 

「煩っ……んだ、箒か……どうした」

 

本日二度目の休み時間……一夏と久しぶりの対話をしていると、束の妹…箒がやって来た。

コイツは姉と違ってテンションが高い……姉も姉で妙なテンションな時もあるが、こちらは常時このテンションだ。

以前姉と折り合いが悪かった時期もあったが、俺が説得した結果、

 

殴り合うという形で仲直りした。

 

悪く言えばバカ……よく言えば熱血である。

大分人懐っこい熱血……俺じゃなけりゃぁ死んでるかもしれない連続マラソンに付き合わされたり、山本武蔵ごっこと称した試合を行い近くの道場の門下生をめった打ちにしたりと……この姉も姉なら妹も妹と、かなりぶっ飛んでいる。

 

「お久しぶりです!会いたかったです!!!」

 

「あ~……そうかい」

 

どうも……俺は人一倍コイツに懐かれている気がする。勘弁してほしい。

 

「あれやってくださいあれ!!!」

 

「あれってのはどのあれだ?」

 

「高い高いするやつです!!!」

 

「お前さ……いい歳してんだからそれはやめとこうぜ?」

 

「いえ、やってください!!!」

 

「…………こい」

 

「はい!!!」

 

まぁ、できなくもないが……前やったのは……まだ歳が一桁だった頃だぜ?

天井に頭ぶつけかねない気もするんだが……

 

「ほれ、高い高い……自重して高~い……」

 

「高っあれ?低い?四季さん!低いです!!!」

 

「アホ、流石に自重しねぇとおめえ天井に頭ぶつけるべ?」

 

「あ……それもそうですね……ちょっとがっかりです!!!」

 

「っだ~!うるせぇ!!!」

 

「あ……すいません……」

 

「兄ちゃんは人の声が苦手だからね……」

 

人の声ってか……頭に響く騒音は苦手だ。銃声等は除くが。

 

「まぁ、静かにしてりゃ大和撫子ってやつなんだからそこんところ意識しとけ……」

 

「へ?大和……撫子?……ふぇ!?」

 

「はいはい、百面相ごっこはお終い終い……さっさと席につけ、授業が始まるぞ~……」

 

「あ、うん……ほら、箒も……」

 

「私が、大和撫子……エヘッエヘヘッ」

 

「ダメだこれ……」

 

俺は知らねぇ……何も見てねぇし言ってねぇ……だから千冬に威嚇したリスの様な目で見られる筋合いは全くねぇ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それは本物の拳銃なのでしょうか?」

 

「あ?あぁ……何の変鉄もねぇが愛用してるコルトだが?」

 

「本当に傭兵なんですね……」

 

「まぁな……てか千冬の授業聞いてなくて良いのかよ」

 

現在は2時間目(LHRの後に休憩、さっきのが1時間目後の休憩……で、今2時間目な)の授業中である。

例のオドオドしたキョドってる女教師より再びコンタクトがあり、先程より少々会話が続いている状態にある。

この教師……LHRからずっとこの教室にいるのだが……はて?

 

「あ、私副担任なんです……山田真耶と申します……えっとですね、授業の進行の仕方などの復習をしようと見学していたので、聞いていなくても問題は、ないです」

 

「さよけ……」

 

コルトを分解して整備しつつ、少々会話をしていたら、あっという間に授業は終了してしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………!…!………!」

 

「…………!………!……!」

 

何やら一夏と女子生徒がもめている様だ……喧嘩するほど仲が良いとも言うし、そっとしておくとしよう。

にしてもしかし……下手したらあの女子生徒よりも一夏のがべっぴんさんかもしれねぇな……こりゃ。

盆で帰省したときに男子に告られたとかなんだとかで泣きついてきた事もあったなそういや……ふむ。

もしかして一夏ってのは女性よりも女性ってやつか?俺に似て家事とサバイバル能力(生活能力)高いし。

嫁の貰い手にゃ困らねぇな!ハハハッ!

…………何考えてんだ俺は……こりゃ、本格的に疲れてきてるな。俺。

よし、少し寝よう……ま、少しだ。十分十分……一分間の深イイ夢が十本立て……豪華だな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そこで寝ている男こそ日本がいかに遅れをとっているか証明していますわ!!!」

 

十分と言わず数十分に渡る俺の駄眠は、突如甲高い俺のもっとも苦手とする騒音によって妨害されることとなる。

 

「【脳が受け付けてくれません】!!!」

「【アーアー聞こえねぇ……】!!!」

「【あれだべ、所謂ふじこってる?】!!!!」

「【俺をイラつかせるプロだな】」

 

何言ってんだコイツ……

 

「あ~……傭兵してると変人って人種をよく見かけるもんだが……」

 

殺す事に快感を覚えてるヤベェのとか、「帰ったら○○するんだ……」とか言ってものの数秒で死ぬやつとか、「俺は今まで撃ち漏らしたことはねぇ!」とか言っておきながらあっさり的を外すスナイパーとか……

まぁ、そんな個性的な変人の中でも、

 

「お前みてぇなヒステリックな奴ってのは大抵映画でも何でも次のシーンには惨殺体で発見されるもんだ……わかるか?今お前は日本人全員を敵に回したんだ……この意味、わかるよな?夜道に気を付けな……ビーケアフリー……アーユーオケー?」

 

「な、脅迫ですか!?傭兵だなんて野蛮だと思っていましたが「うるせぇな……こちとら一睡もしとらんのじゃ……要人警護の仕事明けて間髪入れずに仕事入ったもんだから休まずに済ましたもんだから13日な?ギネス大幅に更新しとるべ?一仕事済ませてビジネスホテルで一休みしようと思ったらこんなところに呼び出されてよ?そりゃ可愛い可愛い妹と弟、それからあれだべ、友人の為だから文句なんてないし兄としての責任があるべ?これくらいなんともねぇし痛くも痒くもねぇ、それこそ目に入れても痛くねぇからな?俺の妹と弟、それから友人は。でもよ、ちいとばかし疲れてるんだわ……わかる?おつむ大丈夫?ちょいと休みたいの、わかる?妙な考え事しちまうまで本格的におかしくなってた訳、わかるよな?で、休んだよ……流石に錯乱して生徒刺したくねぇしな。でもよ、お前がそれを邪魔したんだよ!!!!!!ふざけんなし……人がせっかく家族三人と他三人で砂の城ほったててる夢見てたのによ、おめぇ何してくれてんだよ!?お前だってさ、安眠を邪魔されたらさ、キレるよな?キレないってか?じゃあ早朝寝起きドッキリしてやろうか?元気になるテレビじゃねぇけどさ、使うのはバズーカじゃねぇよ?手榴弾使って吹き飛ばしてやるよ……何なら対戦車用の特殊配合した爆薬使ってやらぁ、汚ねぇ花火が見れるだろうよ。ただ単に起こされただけなら別にここまで怒らねぇよ?でもよ、起こし方がもう最悪……代表候補生だかなんだか知らねぇけどよ、英国淑女なら俺と違って使って良い言葉と悪い言葉の区別くらいつくべ?メルサのがまだまともだったわ……はぁ……あ、ヤベ……血管がプチっと逝った……」

 

「に、兄ちゃ!?」

 

「お兄ちゃ!?」

 

そして俺がめを閉じる寸前に見たのは、涙目でワタワタする妹と弟……お前ら……保健室ってのを忘れてないか……?




文中の他三人ってのが誰なのかわかった人は流石です。


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勝手に殺すな弔い合戦

お気に入りありがとうございます!

この場をもってコメント返しをさせて頂きます。
コメントは度々物語に反映させて頂きます故、ご了承ください。

[応援の数々]
ありがとうございます。中には評価してくださった方もいるようで……私には勿体ないです。

[名前がシキでナイフ無双してたから某殺人貴が……]
いつの間にかそうなっていた。反省はしていないし後悔もしていない。
夏、冬、これよりも強いのは……と考えたら全部引っくるめた四季って最強じゃね?と、安易に考え、
作者がゲームで必ず近接武器しか使わない厨だったことで四季の主な武器がナイフになった結果がこれです。

[四季ってどう見積もっても27~30代前半なのに発言に説得力ありすぎね?]こちらは友人からです
傭兵を15年以上続けているので経験豊富です。
その経験は庭のお手入れから戦略核の奪取まで……シャレにならないことまでやっております。
妙に機械に詳しいのはどこかの誰かさんを匿っていた影響か?それとも前回冒頭に出てきた謎の科学者からか?
全ては今後の展開にご期待……あ、まって……あんまり期待しないでください。

[山本?宮本じゃないの?]
この指摘、嬉しかった……今後予定している箒のターン(現在は三人のターン)にて出てくるのですが、IS世界における宮本さんという解釈で間違いないです。
ではなぜ山本にしたのか?
正直なんでもよかったのですが、友人がたまたま読んでたリボーンに山本姓で刀使う登場人物がいたので安直に決定しました。

ツッコミ入るかな?と思っていた最中のコメントでした。


「なぁ、シキ……質問して良いか?」

 

「ん、なんだ……藪から棒に……」

 

「…………俺は……あと何人殺せば良い?」

 

「…………正義のヒーローが言うには悪が滅ぶまで、俺に言わせてみれば、自分の気が済むまで」

「…………その気になりゃ足は洗えるべ」

「なんならその拳銃寄越してみ?」

「どたまぶち抜いてやっから……」

 

「それも良いかもしれないな……」

「宇宙に手が届くかもしれない……」

 

「…………そういやお前、昔スペースシャトルのパイロットを目指してたんだよな……」

 

「あぁ、ISの登場で候補生の殆どがお役御免さ……」

 

「それで……軍に入ったら入ったでお払い箱たぁ……府に落ちねぇな」

 

「おうよ……お国のために働いたってのによ……」

 

「違いねぇ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いてっ……つ~……」

「…………ん?」

 

軽いしフワフワした毛布に異様にフカフカしたベッド、至って清潔でどことなくセンスを感じる室内、空調が効いていて涼しい……ここは……何処だ?

 

『おはようございます、サージェント』

 

「…………わかるように説明しろ」

 

『サー……サージェントは3日前、イギリスの代表候補生に向かって正論を叩き付けた後、一時的に絶命しました……その後約52秒で各器官の活動が復活し……』

 

「おい待て待て……今聞き捨てならぬ報告があったぞ……何?絶命した?俺がか?」

 

『肯定、その後サージェントの妹様、弟様、ご友人の妹様の手によってここまで運ばれた事を報告します』

 

…………まぁ、傭兵してたらよくある話だし……スルーしても問題はないだろう。

 

「そうか……ここは何処だ?」

 

病院では無さそうだし、かと言って保健室でもなさそうだが……

 

『サージェントと妹様の部屋です』

 

「そうか……俺と千冬の部屋か」

 

下手な他人と相部屋じゃなくて良かったと言うべきか……まぁ、手を回してくれたのだろうから束には感謝しておくか。

 

「にしても……結局その3日前は寝てから記憶が無いんだよな……」

 

『あれは……正論の混ざった悲痛な愚痴でした』

 

「んだそりゃ……」

 

『家族三人その他三人で砂の城ほったてる夢見てたってのに!!!……とくにここの辺りが……悲痛です』

 

「げ、なんだそりゃ……」

 

確かにそんな夢は見てたが……

 

『弟様は件のイギリスの代表候補生に試合を申し出たそうです……弔い合戦だそうで』

 

「勝手に殺すな……」

 

『…………妹様がそれは危ないと申し出た後、結果サージェントが試合に出ることに決定したことを報告します』

 

「…………は?」

 

『尚イギリス代表候補生がドヤ顔でそれを了承し、一分でかたをつけると宣言までしたことをここに報告します』

 

「そりゃ……ムカつくな……」

 

『妹様と弟様、ご友人の妹様三名がこの3日間まともに寝ていない事を報告します』

 

「そうか……心配かけたな」

 

『メルサ様からメールが届いています……読み上げましょうか?』

 

「あ?なんでアイツから……後でゆっくり読ませてもらうさ」

 

『先程からこの部屋を覗いている女子生徒がいることを報告します……』

 

「…………気づいてたさ、だからメールを読ませなかった」

 

『過ぎたことでしたか?』

 

「いや、注意深く警戒するのは護身術の初歩の初歩……過ぎたことじゃないさ」

 

『そうですか……』

 

「まぁ、俺に気配を殺して近寄ろうなんて自殺行為だけどな……」

 

『流石サージェント……格好いいです』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あいつがメール……ねぇ?ナいな~……これ」

 

数年前要人警護の際に警護した要人、メルサ……某探偵で有名な国の天才科学者である。

その知能指数は束並みだが……いかんせん某探偵を彷彿させる程に変人である。

 

「何々……君のAIのスペック……あぁ、君のことだから面倒で飛ばしそうだから以下略しておくよ。とりあえず………」

 

 

“「とりあえず一言書いておこう……君のAIは不完全だ」”

 

 

「何を今更……」

 

 

“「そこで僕はアーマードモード時に使用する後付け装備を開発することにしたよ……他でもない君の為にね」”

 

 

「何故に今……」

 

見事に時期を見計らった様なタイミングだな……

何々……

 

 

“「君はこの見計らった様なタイミングに驚いてるかもしれないけど、僕は君のことを君以上に知っているからね……」”

 

 

「自己評価よりも客観的な評価の方が正確ってのはよくある話だしな……成程、流石天才だな」

 

下の方やけにダラダラ長文が書いてあるが、別に読まなくても何ともないだろう。

もしかしたらあいつのことだから読まないってわかってて長文書いてるのかもしれねぇしな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時間としては夕刻……授業が終了し、生徒は各々のすべきことをする時間だ。

エーミル曰く俺が寝込んでいる間毎日あの三人が見舞いに来てくれているらしい。

 

「兄ちゃん!」

 

「おう、おはようさん……いや、まぁ、こんにちは…か?」

 

最初は一夏、

 

「四季さん!!!!」

 

「病人がいるから静かにな……」

 

一夏経由で箒……

 

「お兄ちゃん!!」

 

そして大分遅れてやって来た千冬……様子から察するに仕事を全て済ませて戻ってきたようだ……仕事お疲れ様。

 

「おう、心配かけたな……って、うぉ!?」

 

「お゙にいぢゃ~ん゙………」

 

「病人にタックルとはいい度胸だコノヤロ……」

 

いや、まぁ……数年前の起きて~と言いつつボディプレスされた時よか遥かにマシだが……なぁ?

 

「仕方ねぇな……ん?」

 

「オニイチャ……スゥ……」

 

「寝てるし……病人の上で寝るか?普通……」

 

それとも普通じゃねぇとでも言いてぇのか……世界最強は伊達じゃないね!って、やかましいわ。

…………まぁ、疲れてるんだろう……まともに寝てねぇらしいし。

 

「ま、朝までグッスリねんねしな……」

 

さて……と、だ。

 

「お嬢様はベッドに寝かせてっと……仕事仕事……エーミル」

『…………』

「エーミル?」

『…………』

「エーミル起きろや!!?」

『ふわっ!?……おはようございます…サージェント……ジュルリ……』

「おはようじゃないし涎も垂れてねぇから……」

『……ゴホン、何用でしょうか?』

「…………、まぁ良いだろう。改装するぞ」

 

改装と言ってもリホームという意味ではない。

エーミルの武装の見直し……改装だ。

流石に工事用の路面粉砕機とチェーンガンじゃ妹と弟に恥をかかせかねないからな。

メルサが後付け装備を開発するらしいが、アイツの事だから手加減を考えていない筈だ。

普段ならそれでも別に構わないのだが、今回ばかりは不殺……つまるところ殺してはいけない。

 

「ISの勉強……ねぇ…………ん、おいエーミル」

『何用でしょうか?』

「束に連絡しろ」

『サー……次いで周囲の索敵を行います』

「あぁ、頼まぁ……さて、どうするか」

『束様がリンク致しました……』

 

とりあえず聞くことはひとつだけだ……

 

『はいは~い、束さんですよ~?』

 

「ISの装備で俺に合いそうな得物はあるか?」

 

『ISの事なら束さんにお任せくださ~い……えっとですねぇ……』

 

まあ、この手の話なら束に敵う奴は居ないだろ……?

 

『あ、えっと……その……』

 

「どうした、何か不具合でもあったか?」

 

『あ、いえ……それ以前に束さんが四季さんの為に開発してるモノがあるんですけど……それを使っては如何でしょう?』

 

「…………聞かせてもらおうか?」

 

『は、はい!!!』

 

夜は更けていくが、俺の1日はまだまだこれから……話を聞いて束にその得物を試合当日までに送るよう伝え、その得物の設計図をより俺に扱い易いように改良設計する……と。

元から完成されたモノが果たして自分に合ったものなのか……それはわからない。

合わないなら合うようにしてしまえば良い……そうだろ?

 

得物に認められない兵士はナンセンスだ。

だがしかしそれでも得物と付き合う兵士はハイセンスだ。



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不運が踊ると死神が歌を唄う

お気に入りありがとうございます!

前回は会話のみで進む展開が多かった気がする……もうちょい地の文を増やさないと……


「暗い顔してんなぁおい……」

「んな顔されてたら折角の水羊羹が不味くなるじゃねぇかよ……」

 

「あ、あぁ……すまない」

 

「…………」

「……そんなに殺された女が忘れられねぇか」

 

「…………」

 

「…………そうか」

「ならいっぺん死んでみっか?」

「敵さんの前に飛び出せば蜂の巣であの世に直行だ……今のうちなら会えっかもよ?」

 

「…………」

「……いや、止めとくよ。俺は多分地獄行きだからな……彼女には会えないさ」

 

「なら、辛気臭い顔してないで制圧すッぞ……」

「とりあえず弾薬寄越しな……話はそっからだ」

 

「…………あぁ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「エーミル、この状況をわかりやすく、かつ、俺が納得するように解析しろ」

『サー……ナンデコノオンナガ…』

 

現在俺は、受け入れがたい事実を目の当たりにしている。

 

「ふむ……ここがIS学園の整備室か……さ、エーミルに追加兵装を装備させようか?」

 

何故……何故だ?

何故……コイツが………

 

『クソおんナ……ゴホン、メルサ様がサージェントの前に立っております……後付け装備とやらを持ってきたものと思われます』

「あ、ああ……そうだな、わかった」

 

試合前日の今日の事だ、メルサが俺の前に現れた……どういうことだ?俺が警護の契約期間を終了し、別の傭兵を雇ったらしいが……?

 

「案外、傭兵を出し抜くのは楽でね……君に挑戦して勝ったことは一度もなったけどさ」

 

「つまり逃げてきたってことか?」

 

「その表現が正しいね」

 

「そうか……居ても良いがおとなしくしてろよ?」

 

「勿論さ……」

 

メルサは俺が警護していた頃何度か逃げ出した……と、言うべきか研究に行き詰まると黙って外出することが多かった。

大抵は少しそれに付き合ってから引き戻したが……今の警護役は何してるんだか……解約されてもしらねぇぞ?

 

「あ~……、それにだ、今回お前の開発した装備は使わないことにした」

 

「使わない?それは一体どういう意味だい?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「使わない?どういうことだい?」

 

メルサはピクリと体を震わせると四季に問いかけた。

対する四季は、

 

「あぁ、それがな……「僕の開発した物が気に入らないのかい?」……あ?」

 

説明する前に話を展開すんじゃねぇ……とでも言いたそうな表情をする四季をそっちのけにして、メルサは機関銃の如く言葉を吐き続ける。

 

「見たところ君は自分で開発したようだね」

「でも設計図を見る限り所々修正がされているね」

「君は修正したんだね」

「でも元の案は君のものではないようだ」

「もしかしてあれかな?」

「僕の前でちょくちょく話していた女の案なのかな?」

「僕の天才的な発想の基に誕生した唯一無二の兵器よりもその女の兵器の方が良いって言うのかい?」

「ふざけてるのかい?」

「君は戦いとなったらふざけるような性格ではないと思ってたんだがね」

「僕の見誤りかな?」

「でも大丈夫さ」

「僕は間違いを認める性格だからね」

「僕の見解違いだとするなら僕は考えを改めるよ」

「君は冗談が上手でとても強い人間だ」

「これであってるだろう?」

 

「さっきから言ってることが理解できないし、冗談でもない……お前の開発した兵器はどれも強力すぎて今回の件では使えない……以上だ」

 

四季はそれでも尚ブツブツ言い続けるメルサを引き摺り整備室を出たのであった……何処へ向かったのかって?

勿論、自室……自分と妹、千冬の部屋へだ。

 

 

が、しかし……千冬にこれを見られるのはかなり不味かった。

 

 

「お、兄ちゃ……?誰?その…人……」

 

「あ、あぁ……千冬か……コイツは「も、もしかしてか、彼女とか?お兄ちゃに彼女……ふぇ……」なっ……お、おい!?」

 

涙目でプルプルする千冬、暗い表情でブツブツ喋り続けるメルサ……これらに挟まれた四季。

何とも形容しがたい……いや、この際はっきり言おう、形容したくない状況におかれた四季は、珍しくオタオタしていた。

殺すのは得意だがあやすのは苦手なのである。

 

「ち、千冬……コイツはメルサといってな、仕事でちょっとあった仲だ……そんな付き合いはない……言ったろ、お前が結婚するまで俺もそういった浮いた話は有り得無いって」

 

「ほ……んと?…嘘じゃない?」

 

「あ、あぁ……勿論だ、だから泣き止んでくれ……頼む……」

 

「グスッ……うん、私はお兄ちゃんの妹だもん……泣かないよ!」

 

なんとも絞まらないが……明日は試合である……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「不本意だけど僕の兵器は威力絶大だからね……確かに対戦相手を殺しちゃうかもだから他の武器を使うことについては納得するよ」

 

「そうか……試合開始直前に納得されても俺が言えるのは“知るかそんなこと”くらいしかないな……」

 

試合当日四季の立つその場所、エーミル専用に改造されたピットはカタパルトデッキと言うべきか……

四季は管制室に居座るメルサを相手にしつつ、今回の相手について考えていた。

 

(今回の相手は殺さずに倒さなければならない……ここが一番俺の勝率を格段に落としているポイントであり、越えなければならない試練でもある……と)

「エーミル、起動しろ」

『サー……システム、通常モードで起動』

 

サポート重視のオペレーティングモードから汎用的な活動を行う通常モードへとシステムを移行したエーミル……いよいよ戦いは始まる。

四季の表情も、妹や弟を想う兄の顔から、ひとりの戦場を駆ける傭兵としての顔へと変化しつつあった……

 

「バトルシステム、タクティクスモードで起動……不可視は……ナシだ、発生したオゾンによる二次被害の可能性はは抑えたい」

『サー……システム、アーマード起動……バトルシステム、タクティクス起動』

 

バトルシステムの種類は三種類……様子見と小手調べのタクティクス、向かってくるモノを排除するパニッシング、センサーに捕らえたモノ全てを抹殺するデストロイ……

今回は本当に殺さないようにするために、タクティクスで起動したようだ。

 

『フライトモードは如何しましょうか?』

「飛ばなくても、跳べるさ……」

『サー……このまま出撃しますか?』

「おう、出撃だ」

『サー……出撃します、Gにお気をつけを』

「今更注意するか?馴れてるさ……」

 

言わせてみれば嫌な馴れである……馴れてしまったのはいつだったか乗っていた戦闘機や、降下作戦の繰り返しによる影響だ。

 

『四季』

 

「あ?」

 

『必ず勝ってくれ、戦闘に勝利したエーミルのデータが見たい』

 

「お前は……はぁ……」

「グットラック……、アイツらの為にも勝ってやるさ」

 

そう言うと、アーマーを展開したエーミルを装備した四季(以後シキ)はダッシュしてアリーナへと跳び出した……戦いの幕開け、これより物語は本格的に動き始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『逃げずに来「ご託は良いからさっさと始めろ!!!」……っ』

 

シキの言葉に答えるように直後試合開始のブザーが鳴り響き、試合が始まったことを両者に知らせる。

まず始めに動いたのは相手のセシリア・オルコット(以後セシリア)……手にした得物、スターライトMk-2によるチャージショット……試合開始前にチャージしていたのだが……

 

「不意討ちはもっと上手にな……」

 

それで殺られるようならここにシキは存在しない。

シキは巧みに避けると、

 

「エーミル、ブースター点火……ホバーしろ」

『サー……』

 

滑るようにセシリアの周囲を移動し、撹乱すると……

 

「エーミル、ブーストチャージ」

『サー……ブーストチャージ』

 

その全てが軽く硬い合金の装甲で形成されたその巨体を、一時的にブースターの制限を軽々と超えたフルスロットルにすることによって弾丸にし、セシリアにタックルした。

 

「エーミル、ポストガン」

『サー……ポストガン展開』

 

シキが手にしていた大きいブロックが変形し、形を成していく……

ポストガン……巨大な杭を相手に撃ち込む銃器(一回きり)である。

 

「コピーウェポンも具合が良いみたいだな……」

『肯定、当社比3割増でオールグリーンです』

「なら良し……だ」

 

シキは直ぐ様体制を崩したセシリアにポストガンの銃口を押し付け、躊躇いなく杭を撃ち込んだ。

先程のタックルも含め、セシリアのシールドエネルギーがかなり大きく削れた。

 

「続いてイーグルダート……重心はヘビーダートと同設定で」

『サー……イーグルダート展開』

 

ポストガンが再びブロックに戻り、イーグルダートへと再構成された。

 

「気づいているか、エーミル」

『気づいています、サージェント』

「狙えるか?」

『私はサージェントのサポートAIですよ?できます……』

 

シキが後退し大きく跳び上がると肩部のカバーが外れ、小型スプレーミサイルがその弾頭を露にした……

小型スプレーミサイルは、全てセシリアのある一部を狙い発射された。

 

「塗装で誤魔化してるが、俺とエーミルの目は騙せないさ……残念」

『ミサイルの破壊を確認……サージェント、トドメを』

 

 

 

 

 

 

試合結果は……言うまでもない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「慢心、お馬鹿な物の考え方、長く伸びすぎた鼻は……破滅を呼び込む……不運はそれが可笑しくてダンスを踊り、それを見て死神は陽気に歌を唄う。そいつの魂を刈り取りながら………シャルウィダンス?」




本作の千冬は四季の前だと少々幼い容姿に変身します……

(具体的な説明)
生徒の前だとドヤッキリッ……っと言った感じですが、四季の前だと丸く小さくデフォルメされます。

何故セシリアが攻撃される中手を出すことすらできなかったのか……次回公開される予定です(単にシキが強すぎたってのもありますが)


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廃センスな設定資料集

四季に色々としてもらいます
原作(主に登場人物)ブレイクな作品になりつつあるので、そこら辺御了承していただけると有りがたいです。


よう、四季だ。

今日は自己紹介ついでにいろいろと紹介していくぞ~……

 

【織斑家】

まぁ、言うまでもなく俺、妹、弟で構成された一家だ。

親は知らねぇし、俺が高校に上がるまで俺達を預かっていたやつらのことは……まぁ、追々話してくから待ってな。

 

【織斑四季】

これもまた言うまでもなく俺の名前だ。

好きな食い物は日本食……実は肉が苦手で魚が好物なのさ……まあ、出されたら文句言わないで食うがね。

 

身長は……確か179cmだったか?で、痩せ型……身長と職業のわりにあんまガッチリしてないんだなこれが。

 

職業は傭兵……報酬に合った仕事をするのがポリシー。

いままでやってきた仕事は……まぁ、一般家庭の庭掃除から某国から戦略核を奪取と幅広く、俺から見てむかっ腹が立つ仕事や、装備なしで海溝に飛び込めだとかそんな無理な仕事じゃない限り仕事は引き受けるようにしている。

仕事の都合上殺してきた人の数は星の数……女も子供も、老人だって殺した事がある。

仕事場では“シキ”と呼ばれているし、“冥王(ハデス)”なんていう大袈裟な通り名だってある。

 

愛用している得物は改造なしのコルトと、ヘビーダート……

ヘビーダートは一見普通のアーミーナイフだが、重心が刃先にある……つまり先端が非常に重い。

クセが強いし初心者には扱い辛いだろう……。

 

まぁ、自己紹介はこんなもんか……

 

【エーミル】

俺の相棒、自作のサポートAI……

どういう訳か自己進化プログラムが詰められており、勝手に進化する。

感情も芽生えている上に、妙に人間臭くなっているような気もする……

アーマードモード等か主なプログラムによる進化の結果だ。

 

バトルシステム アーマードモード解説(?)

 

様々な機能があるが、全て操縦者による起動宣言とAIによる起動が必要……多分並の人間には扱いこなせないだろう。

 

 

[ブースター]

起動するとホバー移動が可能になり、跳躍時の滞空時間が長くなる。

[ブーストチャージ]が可能になる。

 

[ブーストチャージ]

ブースターの出力は基本一定でありそれ以上に上げることも下げることもできないが、無理矢理フルスロットル……出力を全開にすることによって5秒間機体の移動速度を上げることができる。

これによるタックルの威力は絶大で、ISのあらゆるセンサーを狂わせ、搭乗者の意識を一瞬で刈り取ってしまう。

セシリアとの試合でタックル後セシリアが動けなかったのも、脳みそがシェイクされた上にセンサーがラリって使い物にならなかったからというわけだ。

まぁ、不意に後ろからISの絶対防御ですら殺しきれなかった強烈な衝撃がくりゃあ俺だって危ないわな。

 

[コピーウェポン]

束が俺用に開発した超兵装……まぁ、俺が手直ししたが。

簡単に言ってしまえばデータ登録した兵装に変形する兵装である。

俺の手直しによりコピーできる数が5つから無制限になった。俺もまだまだ棄てたモンじゃねぇや。

 

[ポストガン]

ISの……なんだったか?とりあえず単発式の使い捨てパイルバンカーだ。

メルサ作……開発してもらったのに使わないのはアレだったのでデータ登録する際に威力をいじってからコピーとして使わせてもらった。

 

[イーグルダート]

簡単に言うとでけぇアーミーナイフ……重心を変更できる。

恐らく俺の主力兵装になるであろう兵装だ………こちらは最初から登録されていたので束作だろう。俺のツボを突いてるし感謝しとかないとな。

 

まぁ、詳しいことは追々って事で……。

 

 

【織斑千冬】

俺の妹……花の二十代……ヘタレ。

世界一だそうだが……アレでどこが世界一なのだろうか?

事あるごとに電話をしてくるし、泣きついてくる。

酒は飲めるらしい。不思議な奴だ。

俺?俺は……そうだな……飲み会に行って二日酔いしないくらいだな(飲まないから二日酔いしないのか飲みまくっても二日酔いしないのかは想像に任せる)。

いい歳して熊さんパンツはどうかと思う…………そもそもどうやって自分に合うサイズのモノを入手しているのだろうか?謎だ。

職業はIS学園の教師……昔の作文によると『お兄ちゃのお嫁さん』だそうだ……恥ずかしい奴め。

甘いものが好き……にも関わらずブラックでコーヒーをドヤ顔で飲んだり、カカオ84%の超コレート(1120円)をこれまたドヤ顔で食べていたりする。

 

余談だが食べた後、涙目でプルプルしつつ激甘で有名な○○社のココアを飲んでいた事は黙っておこう。

 

 

【織斑一夏】

俺の弟……青春の十代後半……女よりも女らしい。

容姿から俺譲りの家事スキルまで全てがどこに嫁にやっても恥ずかしくないレベル……らしい。

冗談ではなく男から告白される事が多いらしく、帰省した際に千冬と共に泣きついてくることが多々ある。

千冬も千冬、コイツもコイツでゴキブリが苦手、ではなく絶望的な程に嫌いなんだそうだ。

千冬は世界一だし……一夏、お前は男だろう!?

 

【篠ノ之束】

ぶっ飛びシスターズの姉の方

自分の娘とも言えるISの為に世界に御迷惑をかけたり、妹と殴り合って仲直りする等頭が痛くなる事案が山程ある。

世界に追われる身である為、匿う事が度々あり、その度に不穏な事(ズッと一緒に居たいな……とか、俺をどうするつもりだ!?)を言って何処かに消える。

世界に御迷惑をかけることに関して何の悪気も持っちゃいないし関心すらないが、どうも悪どい事が気に入らないらしい。束、鏡を見てみろ、極悪人の顔が見えるぞ。

 

 

【篠ノ之箒】

ぶっ飛びシスターズの妹の方……常にハイテンションで、モンスターエンジンを積んだ人間。実際は積んじゃいないが。

煩い、とにかくもう、煩い。

姉と殴り愛(誤字にあらず)で仲直りしたり、学校の屋上から飛び降りて無傷だったりと……何かがおかしい。

山本武蔵ごっことやらが好きなんだとか……知るかっ

 

まぁ、煩いし面倒な奴だが、嫌いなわけではない。かといって好きというわけでもない。

親愛な親友の妹で昔からの馴染みというだけなのでそれが普通なのかもしれないが……

 

 

【メルサ・アイオア・ベル・マイクロフト・マッケンジー】

初対面の印象はながったらしい名前でめんどくせぇなコイツ……本当に面倒な性格だから……とりあえず面倒な奴だ。

それでいて所謂天才ってやつなもんだから手に負えない……

歳は……聞いたら薬品の入ったビンを投げられた。

背は……低いな。本人は気にしていたらしいが。

なんでもキスをするのに最適な身長差がどうのこうのだとか……相手もいねぇのにそんなこと考えんのかね?

 

天才だが中身は運動音痴のヘロヘロリン……襲ってきた敵を対処できない。

そこで警護役として腕利きの傭兵を雇っているらしい。彼女が所属する国がね。

で、俺はたまたまその網に掛かったというわけだ。

………で、長いからメルサと呼んでいる。

 

まぁ、こんなもんだろう……




情報が足りないと思った方はお申し付けください……今後の話に影響しないモノならば公開します。


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理不尽なんて敵じゃないお話

時間のある方はハデス、又はハーデスをwikiで検索してみてください
四季が冥王(ハデス)の異名を持つ理由がわかると思います。

お気に入りとコメントありがとうございます!!!
お気に入りが120件……だと!?

あ、あと後半会話多めです……てか会話しかありません


「降ろせこのやろう!!!」

 

「うるせぇ……」

「…………ん、そうだな……俺はお前をどんな形であれ連れて行けば報酬を貰えるんだ」

「このまま運ばれるかこの超強力スタンガンでビリッとされて運ばれるか……どうする?」

「ちなみに俺のお勧めは前者の方だ」

 

「えっと……前者でお願いするよ、ビリッとされるのは痛そうだから……うん」

 

「じゃあ大人しくしてろ……御嬢さん……俺は君のボディーガードじゃあないんだ」

 

「…………わかったよ……だからスタンガンしまってくんない?」

 

「…………こいつぁ小型のレールガンだ、護身用……大人しくしてな」

 

「じゃぁ何?あんたアタシをスタンガンじゃなくてれーるがん?だとかで脅したの?」

 

「…………ちなみにこいつは体に穴があくぞ……」

 

「あ、アハハ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「眠い、眠い……ふむ、しかし駄眠を貪るにはちょいと時間がない……しかし……あぁっクソッ……」

 

千冬が寝たのを確認してから射撃訓練場でコルトを乱射していたら、空がうっすら明るくなっていた。

正直これは予想外過ぎてコメントし辛い……俺は時間を忘れるほどに射撃訓練をしていたというのか?

 

『訓練とは言えない程度に満点を連続で叩き出してますけどね』

「エーミル……起きてたなら何故時報しなかった」

『おはようございます、サージェント……私は今起きたばかりですが?』

「そうかよ……」

 

部屋でブラックコーヒーがぶ飲みするか……言っておくが、俺は眠気を我慢できるだけで別段眠くならない訳ではない。

つまるところ普通の人間よりも長時間起きていられるだけであって、他は大して変わらないのだ。

 

「さてと……ん?」

 

コーヒー……煮出してろ過するタイプじゃないのか……何かCMで見たことあるな……ドリ、ドリ……ドリップ式だったか?

コーヒーは豆を挽いて煮出してろ過するモノだと思ってたんだがなぁ……こういうのにも馴れてくしかないか。

それにしても……抹茶……ラテ?

最近抹茶○○多いよな……何が良いのか知らんが。ブームか?

大人しく抹茶飲みゃ良いのに……抹茶チョコとか、抹茶アイスだとか……俺騙されて故郷の味だ~と、買って食って酷い目に逢ったのを覚えているよ。

全然抹茶の味しねぇし、甘いし、どう考えたって色だけじゃん……アレ。食って思わず手持ちのコルトぶっ放したくなった。

…………コーヒー止めて番茶にしよ。

茶ッ葉何処だったかな……急須と湯呑みはここにあるが。

 

「お、あったあった……」

 

電気ケトルは……そうそうこれこれ。

お湯は……よし、セットされてるな。

 

「新聞新聞……良いよなぁ……畳で胡座で煎茶飲みながら新聞読んで……平和だ……」

 

帰省してもちょくちょく問題が発生したりしていたからなぁ……こんなのんびりするのも何年ぶりだろうかね。

老後は縁側で孫(自分の孫とは言ってない)とひなたぼっこでもしたいもんさ……俺だってそんくらいの夢くらいあるさ。意外か?

 

「んぅ……おにぃちゃぁぁあん……」

 

「おう、おはよう千冬……よく眠れた……おい」

 

気づけば6時前……千冬がボサボサ寝癖の暗闇で模様が光るパジャマを着用した状態で外に出ようとしていた。寝ぼけているらしい。

 

「おい、お前さんはその格好でどこへ行こうというのか?」

 

流石にこれ以上生徒やその他大勢の千冬のイメージをぶち壊しにするのはナイだろう。

兄として止めるのは必然であり当然の行動である。

 

「ふぃ~……おにぃちゃぁのにおぃぃい……スゥ」

 

「こら、二度寝したら起きねぇだろ……起きろい」

 

以前一時期仕事仲間で寝たらなかなか起きない奴が居たが、その時は氷水をぶっかけるかその場でコルトを天井にぶっぱするかしたりで起こしたが……流石に千冬にそれをするのは可哀想だ。

優しく揺すり起こしてやろう。

 

「お~い、もしも~し?」

 

「…………んぅ?おにいちゃ……ウピャツ!?」

 

起きたと思ったら跳び跳ねた……これが世に言う飛び起きるって奴か……初めて見た。

 

「よし、その勢いで顔洗って歯ァ磨いて来い」

 

「はぁひ……おにいちゃの膝の上で起こされるなんて思わなかった……」

 

「寝ぼけて抱き付いて二度寝なんてするからだ……馬鹿者めが」

 

「抱きつ……!?ピャ~……」

 

髪をセットしてやったのは誰だと思っているんだ……失敬な。

起こしつつ寝癖をブラシで解かしておいたのは、千冬には秘密である……極秘事項なので発言した者は軍法会議ものである。

勿論、俺式軍法会議なので問答無用で蜂の巣の刑だがな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺を呼び出したぁ……偉い塵ぶんですなぁ」

 

「…………何の用件で呼び出されたかはもうわかっているだろう?」

 

「さてね……エーミル、わかるか?」

『サージェント、私にもわからないことがあるようです……システムを学習モードに移行します』

「その旨を了承する」

『ありがとうございます』

 

IS委員会の悪趣味な基地に呼び出された俺は、よくわからねぇババァやら老害共の相手をさせられている。

用件については検討がついちゃいるが、簡単に話を進めちゃ面白くないし、ばっくれる事にした。

エーミルは言わなくても俺の意図を理解しているらしい……ナイスだ。

 

「で?用件は何よ?」

 

「君のAIを私達に提出してもらいたい」

 

「は?」

 

「それが世に出てしまえば我々政府や軍の信頼が薄れ世界の均衡が崩れてしまう……それは困るのだよ」

 

「…………は?お前達馬鹿かい?」

 

「な……」

 

「世の中が軍や政府の力で均衡が保たれてると思ってんの?」

「馬鹿言っちゃいけねぇよ……」

「世界はな、俺達傭兵のおかげで均衡が保たれてんだ……」

「どこにも所属せず金の力のみで動く……軍や政府とは違う俺達がいるから世界は安泰なのさ……」

「あんたらの悩みの種を潰してんの俺達だからな?」

「それにな……」

「そもそも俺はあんたらが嫌いなんだ」

「束を追いかけるわISをこっそり悪用するわ……もう最悪だね」

「そもそもISは軍用兵器じゃねぇからな?」

「イライラするな……首を刈っ斬ってやるぞコラ……」

『サージェント』

「んだよ……」

『束様、メルサ様より同時着信です……スピーカー設定となっていますがどうしますか?』

「気になるから出ろ」

『サー……出ます』

 

『『四季(さん)を敵にしたら僕(束さん)を敵にすることになるよ』』

『な、台詞をパクるんじゃないよオバサン』

『は?君こそ何で四季さんの味方ぶってんのかな?』

『彼は僕の生涯の警護役なんだ、彼の味方なのは当然だよ』

『束さんだって四季さんに匿ってもらったことあるし?何より寝顔の写真とか持ってるもんね~だ』

『な!?寝顔……!?僕の時は一度も寝なかったのに……!』

『へへ~んだ、四季さんの右腕な束さん大勝利?』

『…………僕は彼に手を繋がれた事があるよ』

『え!?………な、なら……束さんは頭を撫でてもらった事があるよ!』

『僕はお姫様抱っこしてもらったことがある』

『束さんは四季さんの手料理食べさせてもらったよ!アーンしてもらったもんね!』

『ぼ、僕なんか寝るまで医学書を読んでもらった事があるよ!ポンポンって優しく叩いてもらいながらね!』

『束さんは髪を洗って貰った事あるよ!乾かす所までやってもらったもんね!』

『僕はおでこピタってされたもんね!おでことおでこだよ!』

『な……か、勝てない……おでことおでこに勝るのはチューしか……ない……』

『ふふん、僕の勝ちだね』

 

「…………コイツらは……一体?」

『サージェント、面倒です……この女共は放っておいて話をしっかりと締めることを提案します』

「そうだな……ふむ…とりあえずだな、エーミル、左腕のみバトルシステム タクティクス コピーウェポン ヒュージガン で頼んだ」

『サー……』

 

「な、何を……」

 

「何って……わかるだろ?」

「わからないってんならお前たちの頭はアホウドリ以下ってこったな」

「おっと……基準にしちまったらアホウドリに失礼か」

『…………展開完了』

「ま、次ちょっかい出してみろ……」

 

天井に向かってヒュージガンを撃つ。

ヒュージガンより放たれた天井を軽々と突き破った光はビルの最上階まで伸び、突き破り……人工衛星をひとつ宇宙のゴミにした。

まぁ、気象衛生だし?天気の情報が入りにくくなるってだけで問題はねぇだろ。

それはともかくあけた穴からさっさとおいとましねぇと。

 

「次はあんたらの体に穴があくかもな……んじゃ、そういうことで」

 

ちなみにコレは、冗談ではなく……マジである。




まさかの千冬ではなく四季からの馬鹿者発言……


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空のたもと

お気に入りありがとうございます!

にしてもね……無言で低評価はやめてもらえませんかね。
大体どこが悪いかはわかってるつもりじゃいるんですがね、書いてもらわなくちゃわからないんです。
察しが悪いと思ってくれちゃって構いませんよ、文がくどいだとか台詞が多いだとかは把握済みなので。


「革命を興すつもりなら外に出な」

「自分が正しいと思うなら怖がるな」

「そんな所に引き隠る貴様に誰が着いていくと思っている?」

「俺は御免だね……」

 

『うるさい!!!貴様に何がわかる!!!』

 

「はぁ?何でお前の事なんかわからねぇといけねぇんだよ」

「俺の不幸加減を察してくれとかお前バカじゃねぇの?」

「お涙頂戴は感動ドラマだけの話なんだよ……流行らねぇって」

 

『死ねっ死ねぇぇぇぇえ!!!!!』

 

「死なねぇよ……」

「ここで死んでちゃいられねぇんだよ!!!!」

「お前を殺して旨い飯を食ってやらぁ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日も元気だ茶が旨い」

 

相変わらずカウンセラーとしての仕事はないが、一年一組の幻の副々担任として定着しつつある。

ああ、そうそう……いつの間にやら一年一組の代表は弟になっていた。

兄と姉(俺としては疑問にしか感じない)があんなにも強いのだから弟もそれなりのものだろうと、いう遺伝的な理由による決定である。

涙目でこちらを見てくる一夏は少々可哀想だったが、あんな圧倒的な力の差で勝ってしまった以上俺は何も言えない。

いざとなったら俺がなんとかしてやるとしよう……束にも全力で一夏の専用機を開発するように伝えておいたしな。

 

「兄ちゃ」

 

「ん、どうした?」

 

いつも通りのポジション、教室の後ろにて茶を飲んでいると、一夏がやって来た。

はて、何かあっただろうか……

 

「えっと、次……ISスーツに着替えて外でやる授業なんだけど……」

 

「ん、それがどうかしたか?」

 

「一緒に更衣室まで来てくれない?」

 

「…………んだ、それだけか。おう、別に構わんぞ」

 

確か、ここから結構離れた場所にあるんだよな……まぁ、一夏はイレギュラーだしな。

容姿が女っぽいからといっても同じ女子更衣室で着替える訳にもいかないからなぁ……さてと。

 

「兄ちゃ」

 

「ん、どうした?」

 

「僕、迷惑かけてないかな?」

 

「ふぅん……別に、迷惑をかけられた覚えはないがな」

 

「本当?」

 

「そうだな……無いな」

 

「良かった……」

 

「…………ほれ、そろそろ到着だぞ」

 

「あ、うん!」

 

俺は特に着替える事も………そうだな……仕事服に着替えるってのも良いかもしれないな。

話に聞いたところじゃ千冬も山田先生とやらも着替えるらしいし……俺だけ普段通りの私服ってのもな。

仕事服は灰色ストリート迷彩の軍服……ちなみに俺が某国に雇われた際にオーダーメイドで作ってもらった。

その国の国旗が刺繍される場所(左胸と背中)には冥王(ハデス)のマークが刺繍されている。

所々赤茶けて汚れているが、断じて反り血ではない。

 

「兄ちゃ!?」

 

「おう、一夏……どうした?」

 

「か……格好良い!!!」

 

「お、おう……そ、そうか?」

 

恐れられる事はあったがまさか格好良いと言われるとは思わなかった……まぁ、冥王シキを知らないからな……一夏は。

 

「んじゃ、行くぞい」

 

「はぁい!」

 

まぁ、そう……冥王シキを知ってる奴がいたらマズいだろうね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お兄ちゃ……その格好は……」

 

「おう、お前が着替えるのに俺が着替えねぇってのも可笑しな話だからな」

 

「もしかして……仕事服?」

 

「おうよ……必要なら雑用として呼べや」

 

「お、お兄ちゃんが雑用!?」

 

慌ただしくなった千冬は放っておいて……とりあえずフェードアウトするか。

生徒の死角と言えば、列の後ろ……まぁ、常識だな。

それにしてもISスーツってのはなんでこんなに……スケベな奴等が騒ぎそうなデザインなんだろうか。

もっとこう……ジャージとかさ、軍服とかで良いんじゃないか?

と、以前束に聞いたら顔を真っ赤にして知らないと即答されてしまった……何が気にくわなかったんだろうか。

 

そうこうしていると授業が始まったらしい。

 

「成程…ISの仕様を実物を使って解説しているのか……タメになる授業だな」

 

モデルは以前戦った代表候補生……既に和解済みである。

まぁ、相手は俺が某天才御用達のシークレットサービス兼某政府御用達のヤバイ級の傭兵やってるとは思わなかっただろうし、そこら辺をオブラートに包んで話して、別にオルコットが弱かった訳ではないことを納得させた。

束御用達のシークレットサービスだと言ったら殆どの生徒が納得していたし……束の知名度はやはり凄いな。

 

「お兄ちゃぁぁあん」

 

「ん、なんだぁ?」

 

千冬が手を大きく振っている……オルコットが小さく御辞儀をした。

生徒達は凄い目でこちらを見ている。

何なのだろうか……

 

「こっち来て、エーミルさんを見せてあげてぇぇえ!」

 

「おう、わかった」

 

未だ話が読めないが……まぁ、とりあえず向かうとしよう。

 

「どうした?」

 

「生徒がね、エーミルさんの解説をしてほしいって……良い?」

 

「別に構わんが……」

 

とりあえず……前に出るか……




長くするとだれてダメそうなので2000字辺りに落とします。
書いてる途中で決定しているので今回もやはり文がくどいしだれてます。

あ、あと……もういっこのIS作品も安定してきたのでこちらも再開させます


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まるで人間の様なスマイル

お気に入り、感想……あと評価ありがとうございます。

きちんと指摘していただいています……全てを突然改善することはできそうにないので、少しずつ改善していきます。

とりあえずのところは改行を少なくすることからですね。


「おい、まだくたばってねぇよな?」

 

「誰に口きいてやがる……」

 

「はは、その調子なら問題ねぇな……」

 

「…………ジャベリンだ」

 

「おう……援護は任せな」

 

「4秒、4秒だ……4秒でかたをつけてやる」

 

「よろしく頼むよ……」

 

 

●◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇●

 

 

「じゃ、どうしようか」

 

前に出たは良いものの、どうしたら良いものやら……期待の目?みたいなのが突き刺さる上に、エーミルについては説明するのは難しい。

こういうところ、先生ってやつはスゲェなぁと思う。

 

「ふむ、よしエーミル……とりあえず挨拶しろ」

 

ひとまず生徒たちに軽くエーミルに慣れてもらおう。

挨拶するプログラムなんて積んじゃいないが、『私はエーミルです』と、それくらいならできるだろう。

 

『サー……皆さんこんにちは、私はサージェント四季のサポート兼パワードスーツ管制AI、エーミルです……以後お見知りおきを』

 

やけに丁寧に挨拶するエーミル。

パワードスーツ管制AI?いや、そんな肩書きなんてあったか?

 

「「「よろしくお願いします」」」

 

中々に良い返事が返ってくる。

千冬の指導の結果か?するとなると千冬は先生としては中々腕が良いようである。

何故って、俺が指導してもこうはなりそうもないからだ。

 

「じゃあ、とりあえず起動、そこからバトルシステム タクティクスだ」

 

『サー……システム、通常モード起動 続いてアーマード展開、バトルシステム タクティクス起動』

 

装甲が展開され、軽く感嘆の声が上がる。

エーミル(アーマード)はISよりも重量感を感じるゴツい装甲の鎧で、ISで言う“フルスキン”に該当する感じだ。

フルスキンってのは珍しいらしいし、それもあってか生徒たちは更に食い入るように注目し始めた。

 

試合で一度見たんだろうが、如何せん早く動きすぎた上に決着を早くつけてしまったのでじっくり見る事ができなかったんだろう。

そう考えると、こうも見られている事に説明がつくし、気が楽になる。

 

「これがエーミル(アーマード)だ……この時点で何か質問は?」

 

数人ほど手が上がる。然程時間を取るような人数でもないので答えるとしよう。

 

「じゃあ、そこの……あぁ、布仏さんだね?」

 

ピョンピョン手をあげながら跳び跳ねていたので嫌でも一番最初に指名するしかない。

名前を言うと生徒たちがざわついた。呼ばれた彼女は彼女らしく(?)驚いている。

 

何か問題でもあったのか?

 

「せんせ~、先生は私の名前知ってるの~?」

 

名指しした彼女の口から飛び出したのはエーミルの質問ではなく別の質問。

まぁ、答えられないこともない。

 

「クラスの生徒の名前は全部覚えている。で、質問は?」

 

「あ、えっと~……エーミルさんって誰が開発したんですか?」

 

「俺だが?」

 

「「「え!?」」」

 

普通に答えたら驚かれた。何だこの腑に落ちない異様な感覚は……。

そうこうしていると突然エーミルが口(?)を開いた。

 

『私はサージェントに独自開発されました。ちなみに篠ノ之氏の開発したパワードスーツ、インフィニット ストラトス、通称ISにはサージェントの技術も入っています』

 

確かに夏休みの宿題の工作気分で手伝いはしたが、何かあったっけ?

すると俺の気持ちを代弁する様な発言が別の生徒から飛び出した。

 

「例えば、何ですか?」

 

『絶対防御領域、つまりシールド技術です。私には外付けも含め5つ程シールド発生装置が取り付けてあります。それぞれにエネルギータンクがあるので、皆さんの使うISの約5倍以上のシールドエネルギーがありますので、あしからず』

 

絶対防御…シールド…あ、そんな事もあった気がする。

束がISを人類の宇宙進出の為に使いたいとか言ってたから、「じゃあお前、ただの装甲じゃこころもとないべ」って事で日曜大工のお父さんの気分で開発してやった。

そういや大喜びしてたなぁ、アイツ。

 

「じゃあ、エーミルさんはISの親戚なんですか?」

 

『そうですね……そうなるかもしれません。そうなると私が一番下の妹ということになります』

 

エーミルは妹の千冬や弟の一夏への仕送りのその余りで開発してたもんだから予定より大分遅れて完成した。

本当ならISよりも前に完成させるつもりだったんだが、ほら、その時期は二人とも食べ盛りだったし。仕送りは多目にな?

まぁ、そんな事は言い訳にもならねぇし。

そんな事を考えている暇があるなら次だ次。

 

「次は……ん、オルコットな」

 

「ありがとうございます……その、武器を見せて貰いたいのですが」

 

成程、確かに先程まで山田先生が乗っていたラファールの武器をコールしたりしていたしな。

どうやら他の生徒たちも興味があるようだし、できる範囲内で公開しておこう。

 

「そうだな……よしエーミル、ポストガンだ」

 

『サー……ポストガン展開』

 

目の前に金属製で長方形のブロックが現れ、形を変えていく。

 

「実際は超高速で変形するんだが、今回はあえてゆっくり変形させるぞ」

 

暫くするとブロックだったモノは変化しなくなった。

ソレの見た目は巨大な筒、片方の穴は見た感じ腕に填めることができそうな穴で、もう一方は片方とは違い、鋭い杭が顔を覗かせていた。

 

目の前で浮かんでいるポストガンを手に取り、腕に装着。

生徒によく見えるようにする。

 

「これがひとつめ、ポストガンだ」




少し改善している……とは思います。主に改行が。


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世界の中心はIS学園にある

少しずつ直ってれば良いんですがね……

お気に入りとコメントありがとうございます


「ポストガン、えっとね……そう、パイルバンカー。俺らの業界じゃブローケン ランスって呼ばれてる。ISの装備にもあるんじゃないか?」

 

歓声が上がる。

ポストガンを開発したメルサもこりゃ、鼻高々だな。

するとエーミルが何故か自信満々に解説し始めた。

 

『……薬が連続して炸裂し、セットされた鉄杭が超高速で射出されます。通常のパイルバンカーとは違い、杭は撃ち込まれると刺さったままになります。尚弾数はこれにより一回使いきりです、使い捨てです』

 

何故俺よりも詳しく知ってるんだ……ビックリ。

 

『一回きりの使い捨てなのでデッドウェイトの心配もありません……射撃武器として使えなくもないです。この場合はネイルガン、ニードルガンと運用方法は然程変わりません』

 

え、そんなこともできんの?

俺知らなかったんですけど……え?

生徒たちは熱心にエーミルの解説を聞いているし、エーミルってもしかして教師肌なのか?

 

どれ、ちょっと撃ってみるか。

 

「ここに特注の的がある。ちなみにこれを開発したのはメルサだ」

 

「先生、メルサって誰ですか?」

 

生徒の一人が挙手して質問してきた。そういやメルサ知らないんだったかな……どう説明しようか。

変態?脱走するやつ?面倒なやつ?これを説明するのは難しぃぞぉ?

 

「あ、私知ってる。第二の天才って呼ばれてるなかなか表に出てこない人だって……」

 

お、知ってる生徒もいるらしい。

 

「仕事の知り合いだ……ちなみに整備室に住み込んでるぞ」

 

これくらいなら言っても別に構わないだろう。

 

「これにポストガンを撃ち込むから、少し離れてくれ」

 

生徒たちはそれに従って後ろに下がる。

ある程度距離がとれたのを確認したら的にポストガンを撃ち込み、その威力を披露した。

鉄杭は的を貫通し、すぐ後ろの地面に突き刺さった…こりゃ、凄い。

 

「安心しろ、模擬戦の時に使用しているのは火薬の量を調整した訓練用だ…一応これも訓練用だが、これよりも遥かに威力は抑えてある」

 

パラパラと拍手の音が続きそれも止むと、生徒たちはもう良いだろうと元の位置に戻ってきた。

 

「次はイーグルダート…ダガーと同様短剣ではあるが、こちらは重心が先端部分にある」

 

ポストガンが元のブロックに戻り、続いてイーグルダートへと変形していく。

 

「あれだ、短剣型の斧みたいな感じだな…斬りつけた時に深く斬り入れる事ができる。ISじゃ関係無いがね」

 

イーグルダートが完成し、それを手に取る。

 

「よく見ればわかるとは思うがこの通り先端は尖っておらず、扇型になっているので突き刺す事は普通じゃできない。攻撃方法は斬りつけるか、突貫するかのどちらかだ」

 

的をイーグルダートで斬りつけて見せる。

深々とイーグルダートは斜めに刺さり、的に深く大きい切れ込みを作った。

 

「ちなみにこれも、ここじゃ刃のないただの鉄板同然のモノを使っている。じゃないとシールドが破れるからな……」

 

一通り解説し終えると、黙っていたエーミルが突然口を開いた。

 

『前回の試合では以上二つの兵器のみが使用されました…次は私が解説させていただきます』

 

続いてエーミルが試合で使用した兵装を解説するらしい。



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