願いの先、道に迷った時の歌 (火野ミライ)
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誰かが君を呼んでいる

星全体が宝石などの天然物質で構成されている【惑星:ジュエル】

この星は生物が生息するには不適切な星だが、資金源として【インダスト】と呼ばれる星人連合に目を付けられていた。

 

「………」

 

惑星の持つ重力場は地球と比べてかなり弱いのか、あちこちに大地が浮かび上がっており、それを足場に様々な種族がこの星に立っている。彼らこそがインダストのメンバー。

 

そもそもインダストと言うのは、生まれた星・地位関係なしに宇宙開拓ビジネスを行う組織。

これだけ聞くと何も問題ないが、実際にやっているのは自分たちよりも弱い種族の侵略or破壊をゲーム感化で行っていく連中だ。

 

様々星の技術が集結しているだけあって、宇宙進出どころか惑星内の戦争が行われている星の住人では到底かなわず、彼らに狙われた星は死に物狂いで反撃しながらゆっくり崩壊するか、降伏し彼らの傘下の労働者(奴隷)になるか。基本的にはそのどちらかの選択肢しかなかった。

 

「………」

 

しかし、ここ数年で状況は一変。

それはなんの前触れも無く現れた。太陽系の第三番惑星:地球。文明が滅びそうな水際、絶望の闇の中、光と共に現れ地球を救った。

 

『………ッフ………』

 

インダストの視線が一か所に向けられている。その視線の先には赤と青のから出に銀のライン、胸部にはプロテクターと青く光り輝く発光部。頭部には二本の武器、左腕には銀色のブレスレット。瞳は鋭く黄色に輝き、額には緑色に発行する小さな丸、他の部位…鼻や口・耳など全体的に地球人似た顔。

 

表情は変わらないが、彼は余裕そうに親指で鼻を一撫。

 

「……………」

 

『……………』

 

数ではインダストの方が勝っているが、彼らは一向に動く気配を見せない。

いや、動くことが出来ずにいる。

 

赤と青の身体を持つ巨人、彼の名は【ウルトラマンゼロ】

こことは違う可能性世界、パラレルワールドからやって来た光の戦士。彼……いや彼らは現在、後に【インベイジョンスペース】と呼ばれるこの宇宙のあちこちでで、とある調査をしながらインダストの野望を阻止している。

 

誰か……

 

緊迫した状況の中、ノイズ混じりのテレパシーがゼロの元に届く。

 

『どこの誰だか知らないがこっちは今、お取込み中だ!』

 

テレパシーの主に返答するゼロ。その一瞬の隙をついてインダストから集中砲火、小規模の爆発が起きる。爆発の炎からゼロが飛び出し花火の様な光線【ファイヤースパーク】が放たれ、連続した大爆発で複数の敵を撃破、ゼロめがけてて放たれる光線を空を自由自在に跳ぶことで回避。近くの足場に着地する。

 

お願いします、力を貸してください!

 

『力を?………ッ!』

 

まるで藁にすがるような少女に声に疑問を浮かべたゼロだったが、敵は待ってくれるはずもなく光線は放つ。なんとか体を逸らすことで回避したものの、視線に入って来たのは分身能力を持つ種族が分身し、分身体がゼロに向けて突撃してくる姿。

 

思考が反応するよりも体が席に反応し、腕のブレスを迫りくる敵に向ける。ブレスレットから強烈な光の風が放たれ、次々と吸収・圧縮して敵を撃破する必殺技【サイクロン光線】を発動、分死体を撃破。

 

どうか私達を………私の友達を絶望の未来から救ってください……

 

『絶望の未来?いったいどう言う事だ。』

 

少女とテレパシーを交わしながら、頭部の武器を胸の発行体に装着。光のエネルギーをチャージして放つ必殺光線が放たれ、次々と大軍を撃破していゆく。

 

説明している時間はもうありません。これを道しるべに私達の星、地球に来てください。

 

『地球だと!?』

 

敵の一掃が終了した時、少女から放たてた言葉に今まで以上の驚きを示すゼロ。

聞き返したゼロであったが返答の言葉は来ず、代わりに桃色の光が何処からともなくゼロのブレスへと伸びてくる。

 

『……今の声、こことは別の宇宙から来ていた……』

 

ブレスへと伸びてきた光の筋を見上げながら、言葉をこぼす。

 

『あれこれ考えてても仕方ねぇ。行ってみるか、地球へ!』

 

ブレスを天へ掲げると光と共に上昇、ゼロの頭上で銀色の鎧と変化。その鎧を身にまとい、右腕に装着された刀身を左手で一撫、声の主が示す別次元に向けて飛ぶ。




次回予告

近代化が進む町、見滝原市。
この街にやって来た響は中学生に押し迫る集団を目撃する。
子ども相手に拳を振るうなんて、いけ好かない奴らだな!

次回『やさしい想いが涙にならぬように』


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やさしい想いが涙にならぬように

見滝原市(みたきはらし)】と書かれた看板を見上げるのは、金よりオレンジに近い黄色の髪を靡かせる女性。グレーのポンチョを羽織っており、左手首の部分からは光が布越しにうっすらと輝く。

身長は160センチ越え170未満で、目つきは悪く、威圧感すら感じられ彼女の横を通る人は彼女をよけて歩いている。

 

変な注目を受けている彼女の名は【響】

先程、地方都市であり都市開発が進められて最先端技術も数多く導入さた事により、近未来型都市ともいえる景色が広がる見滝原市にやって来たばかりなのだ。もっとも、彼女は街の風景に興味を示しておらず、その視線は電光掲示板に表示されたカレンダーに集中している。

 

(2011の秋……)

 

そんな事を考えながら、手元に持つ桃色の宝石を見つめる。ほんの僅かだけ考えんだ後、歩を進め街中を見て回る。談笑している人々には笑顔があり、公園では子供たちが走り回り、鳥は雛へエサを運び、猫は日向で眠る。そんな当たり前の日常風景。それを物珍しそうに横目で眺めながら、どこか嬉しそうに頬を小さく緩める。

 

「ごめんなさい!」

 

そんな時だった、常人よりも強力な聴力が怯える少女の声を拾ったのは…

響が声の聞こえてきた方向に視線を向けると、二人の女子学生がガラの悪い男数人にからまれている姿が目に入る。

 

元より人間離れをした視力に加え、()()()()()()()()を持つ響だからこそ確認出来ているのであり、他の人は当然、気が付く余地は無い。そして最悪な事に、場所には彼女達を除くと他の通行人はおらず、男たちもそれを知っているからからんでいるんだろう。

 

「……ッ!」

 

一人の男性が拳を握り締め振り上げた光景が目に入った瞬間、響は足に力を入れて音を置き去りにして地を駆ける。数秒後、響が立ってい場所に突風が吹き荒れた。

そんな数メートル向こうの出来事なんて当然知る由も無く、男が拳を振りおろされる。青い髪の少女が桃色の髪をした少女を庇うように前に立つ。勇気を振り絞り友達を庇った少女だが、眼前に迫りくる拳の恐怖に目を瞑り、桃髪の少女は手で顔を覆う。

 

誰しもが少女を吹き飛ばす光景を予想する次の瞬間、風も音も置き去りにしまるで光の速度で拳と少女の顔に割り込む腕が…

 

「っな!」

 

「……え?」

 

拳が受け止められたことに驚きの声をあげる男性。少女達もいつまで来ぬ痛みに疑問を覚え瞼を開く。この場に居る全員の視線が一か所に集中する。

 

「………首を突っ込む気は無かったけど、」

 

先程とは違う意味での注目をあびている響は不愛想に口を開きながら腕に力を入れ始める。

 

「流石に女の子の顔を殴るのはどうかと思うよ。」

 

淡々と言葉を発している響だが、170を超える男性を悠々と押し込み無理やり下がらせる。男は本気で抵抗が無意味に終わった。その事実を知っているのは実際に響に押し出された男のみ。

 

他の男たちは突然現れた響に怒り混じりの視線を向ける。

 

「おい、姉ちゃん!自分が何やったのか分かってるんかぁ!!」

 

この中で一番派手な衣装に身を包むガラの悪い男性が鋭い眼光を響に向ける。

 

「だったらなに?」

 

何でもないように答える響だが、元々鋭い目つきをさらに鋭くし男性を睨みつける。

 

「このアマ、一丁前に睨め付けやがって!お前らこいつからやっちまえ!」

 

「「「「はい!」」」」

 

そんな響の態度が気にくわなかったのか、顔に青筋を浮かび上がらせ部下に命令。命令を受けてすぐさま戦闘態勢に入る。

 

その様子に小さくため息を吐き、ポンチョを脱ぎ捨てる。グレーのパーカーとダメージジーンズに身を包む響がゆっくりと足を進め、少女達から離れながら自信を囲い込む男たちに視線を向け警戒。

 

響が足を止めた瞬間、響の後ろにい男Aが拳を振るう。まるで後ろにも目が有るかのように受け流し、続けざまに放たれた男Bの蹴りを後ろに回避。男Cが拳を振るうが顔を少しずらして回避、腕を掴み押さえつけ迫り来ていた男Dに向かって蹴りを放ち牽制、男Dが後ろに下がったのを確認し男Cを少女に拳を振るった男Eに向かって投げ飛ばす。未だ放心状態っだった男Eは受け止める無く男Cと共に倒れこむ。

 

倒れこんだ男たちを心配する男Aの胸部に向かって蹴りを放ち、まともに受けた男Aは近くに積まれていた段ボールの所まで吹き飛ばされる。たまたま近くに落ちていた鉄パイプを拾い上げた男Bが奇襲を仕掛けるが難なく回避。手の甲を蹴り、その痛みで鉄パイプを離す。

 

男Bが手の痛みで悶えている間に男Dが鉄パイプを拾い上げ、響の頭部めがけて叩き落す。腕を頭上でクロスする事で受け止め、そのまま鉄パイプを左脇に抱え込み右手で叩き切る。鉄パイプは形を一切崩さず真っ二つとなり、響は抱えてい部分を投げ捨て、目の前の光景に脳の処理が追いついた男Dはゆっくりと倒れこむ。

この時、彼のズボンの股部分が湿っていたのは気にしてはいけない。

 

「……すごい。」

 

桃色の髪の少女が思わず声をこぼす。青髪の少女も頷き同意する。

 

「うぉぉぉぉ!!!!」

 

1分も掛からずに部下が全滅したのを目の当たりにした派手男は叫び声を上げながら、懐から取り出したナイフを手に響に向けて走り出し、その様子を見た青髪に少女が響に向かって叫び、桃色髪の少女は手で顔を覆い隠す。

 

そして二つの影は交差する。ゆっくりと倒れるのは派手男。

響の右腕は伸びきっており、左手には派手男が持っていたナイフが握られている。

 

「……………」

 

ゆっくりと立ち上がった響はナイフを折りたたみ、男達に視線を向ける。

 

「これ以上やるなら、命の保証は出来ない。」

 

その一言を聞いた瞬間、男たちは一斉に立ち上がり派手男を回収してこの場を去る。

そんな彼らの姿を眺めながらホッとため息を吐く響。そこか安心した表所を浮かべる彼女の心中を知るのは彼女自身と()()()()()()()()()だけだろう。




次回予告

昼食をとりながら自己紹介をする響達。
少女の提案を受け、ある場所へと向かう。

次回『新しい希望、新しい輝き』


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