一般やられ役警官に転生した転生者の憂鬱 (運輸省)
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登場人物紹介のようなもの(新版)

登場人物紹介を改訂していたところ、なんだか直しすぎて別物になったので新しく投稿しました。

旧版は来週削除しようかと思ってます。


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万和日本

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・警視庁(人物)

 

佐倉 恵(Sakura Megumi)

我らが主人公であるモブ警察官(相反する紹介文)

警視庁地域部第三自動車警ら隊(東署)[1話]

○○県警地域部機動警ら隊(県警本部)[2話]

警視庁刑事部捜査第一課強行犯捜査四係[3話〜]

 

アクション映画にありがちなやられ役警官に転生した転生者……の筈だが、謎の悪運を発揮しなかなか死なないばかりか大活躍している。お前のようなモブがあるか。

実は他作品の大体の転生者と同様、前世で死んで神様転生withチート能力をしたタイプだが、前世もチート能力も未だ明かされていない。

 

〈武装歴〉

プライマリ SIG SAUER P320

セカンダリ 豊和工業 64式小銃(登場前に破損)[1話]

プライマリ S&W M29

セカンダリ アーマライト AR-15[2話]

ターシャリ 伸縮式特殊警棒

プライマリ スタームルガー Mini-14

セカンダリ S&W M29[3話〜]

ターシャリ 伸縮式特殊警棒

プライマリ ロイヤル・オードナンス SA80A2

セカンダリ ベレッタ 92FS(めぐねえカスタム)

ターシャリ キャプテンスタッグ 鋼製折りたたみスコップ[20話〜]

 

1㍑兄貴が描いてくれた素敵なイラスト

 

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

三好 絵里(Miyoshi Eri)

第2話初登場。相棒ポジ。警部補。

警視庁刑事部捜査第一課強行犯捜査一係[〜2話]

警視庁刑事部捜査第一課強行犯捜査四係長[3話〜]

 

めぐねえの良き先輩であり相棒。ボーイッシュ豊乳系吊り目女刑事。

警視庁大規模襲撃事件にて左腕に被弾。療養のため数週間ほど休暇を取っていた。

詳細は省くが京都にて色々あり、妖狐と邪神が原因で現人神と化した。あと転生者掲示板が使えるようになった。

 

〈武装歴〉

プライマリ SIG SAUER P320[3話〜]

 

 

 

源田 宗一郎(Genda Soichiro)

第4話初登場。鬼上司。cv.大塚明夫。

警視庁刑事部捜査第一課長

眼帯と葉巻がよく似合うイケおじ。

捜査一課の荒くれ刑事達からボス、ドン、ゴッドファーザー、オジキ、会長、親父と呼ばれ恐れられる鬼課長。

格闘術や銃の腕だけで無く、人心掌握術や戦術眼にも長けている。

ストレスがマッハになると段ボールを被る癖がある。本人曰く妙に落ち着くらしい。

 

〈武装歴〉

プライマリ SIG SAUER P320[4話〜]

 

 

 

間暮 丈(Makure Jo)

第6話初登場。先輩ポジ。ベテラン警部補。cv.野沢那智。

警視庁刑事部捜査第一課強行犯捜査一係

最近の悩みは髪がすっかり無くなってきた事。めぐねえほどでは無いが大規模な事件に巻き込まれる事が多い。

既婚者だが、奥さんから三行半を叩きつけられている。

愛銃はベレッタ 92だが、状況によって色々な銃を使う。

アメリカの方にそっくりな刑事がいるとかなんとか。一体何ン・マクレーンなんだ‥‥

 

 

 

海田 瀬次郎(Kaida Seziro)

第5話初登場。鬼上司その2。cv.津田健次郎。

警視庁刑事部捜査第二課長

落ち着いた雰囲気と声が警視庁内の女性職員に人気。

ストレスがマッハになると他の二課捜査員と共に突然ハイテンションでカードゲームを始める。

 

 

 

捜査一課の皆様

割と色んなところでちょくちょく出てきてたりする方々。

めぐねえの影響を最も色濃く受けたせいで最近どうもドンパチに染まりつつある。

例えるなら『名探偵コナン』の黒ずくめの組織と正面切ってドンパチしちゃう感じ。戦闘ヘリ⁉︎ 武装オスプレイ⁉︎ 撃墜しなきゃ(使命感)

 

 

 

・警視庁(部隊)

 

 

SAT(Special Assault Team)

第1話初登場。噛ませ役として登場した。

警備部に編成されている特殊部隊。

日本警察で最も有名な特殊部隊という便利ポジの下、大規模銃撃事件に引っ張りだこになった結果壊滅した不憫部隊。現在再編成中。

銃撃戦になるとMP5や自動拳銃では防弾チョッキを着た犯罪者を上手い事制圧できない事がよく分かった為、捜査一課に習って押収品を使おうか検討中。そんな事検討しなくて良いから(良心)

 

 

 

SIT(Special Investigation Team)

(Sousa Ikka Tokushuhan)

第9話初登場。2つ目の『S』。

警視庁刑事部特殊班捜査係。

SATとは違い、担当する事件(誘拐、人質、又は政治的背景を持たない事件)の都合上、正面から銃弾と銃弾でノーガードの殴り合い……という事には“あまり”ならない為、SATに比べれば殉職率は低い。

 

 

 

首都高速道路交通機動隊

第3話初登場。噛ませ役その2。

配備されているパトカーの速度にも劣らない速さで退場させられた奴ら。

装備の見直しにより、警視庁が押収していたAC-130Aを配備。初陣の『京都市巨大害獣事案』において20mmバルカンが大活躍した。……もしかして首都高関係ない?

 

 

 

機動隊

第9話初登場。

投稿者が『突入せよ!〜あさま山荘事件〜』にハマったせいで思考が1972年で止まっている方々。被害者とも言う。

日本赤軍? 中核派? カルト教団? うるせえ放水と催涙ガスと大楯ぶつけんぞ、のスタイルを安保闘争(万和日本仕様)の頃から徹底してきた。

 

 

 

・民間人

 

 

 

神崎 響(Kanzaki Hibiki)

第3、4話に登場。人の心を惹き寄せる(狂わせる)歌姫。

腰まで伸びた銀髪と、真っ赤っかお目めが特徴。

投稿者のミスで終始影が薄かった子。正直すまんかった。

現在は世界中のセーフハウスを転々としつつ、インターネットに新曲を投稿し続けている。四係もよくパトカーの中でそれを流しながら走行している。

本編にはほぼ関係ない設定だが、実は邪な方の神にその歌声を魅入られている。

 

 

 

北野 花蓮(Kitano Karen)

第3話初登場。文中での呼称名は北野。

警備会社『ヤマト特殊警備』要人護衛課の新人。

まだリクルートスーツが似合うお年頃。スレ民曰く世話焼き要素があるらしい。知らんけど。

銃の腕は会社の講習でG19の使用方法を知っていたぐらいだったが、桜色の髪をした元特殊部隊*2の女性刑事からライフルの使用方法を教わった事で才能が開花、現在はセキュリティ業界屈指の選抜射手マークスマンとして活躍している。海外のPMCからヘッドハンティングも受けているとか。

好きな日本酒は獺祭。

 

 

 

佐藤 晃(Sato Akira)

第3話初登場。文中での呼称名は佐藤。

警備会社『ヤマト特殊警備』要人護衛課サブチーフ。

筋肉モリモリマッチョマンのイケおじ。

大型免許持ちだったが故に、いすゞでいすゞを突き飛ばすハメになった。あの後返納した。

好きなポケモンはイヌヌワン。

 

 

 

・犯罪者

 

 

 

重武装銀行強盗

第1話に登場。

初っ端の敵にも関わらず、ピストル1丁の一般警官()相手に防爆スーツ(防弾仕様)+軽機関銃とかいうジャガーノート装備で舐めプしようとした機関銃キチガイ。

SATの援護によって生じた隙を突かれ、めぐねえ(巡査の姿)に股間をぐしゃり♂された。初ぐしゃり♂。

現在は服役中。

 

 

 

サイコパス

第2話に登場。

三好警部補を監禁**した挙句殺害生配信しようとしたサイコパス。

めぐねえの奇策に先手を取られながらも熟達したレイピア捌きによってめぐねえを重傷にまで追い込むが、最後の最後で油断してぐしゃり♂された。その後に追い討ちで三好警部補に眉間をズドン(直喩)され死亡。

 

 

 

オーディン

第3、4話に登場。

とある傭兵集団(IRA系列)のリーダー。極東の政治家から、『歌手を拉致する』だけの簡単なお仕事を受けてウキウキ状態でいたら、大事なところで運が悪かったり、挙げ句の果てにピンクの悪魔と遭遇するとかいう超絶アンラッキーマン。部下はほぼ全滅した上に自分も警視庁上層階で髪が薄い刑事にイピカイエーマザーファッカーされ死亡。

 

 

 

ゴースト1

第3話に登場。

傭兵集団のエリートスナイパー。

なんかジャパンで仕事する事になったと思ったら2回ぐらい失敗した挙句3回目も失敗してそのまま警視庁前の防衛陣地に同僚と共に挑み爆死した。陣取ってたビルの屋上に無反動砲撃ち込んでくるとかマ???

遺言は『パーカー伏せろぉ!!!』

 

 

 

ゴースト2

第3話初登場。因縁ポジ。

傭兵集団のエリートスナイパーセカンド。

計算し尽くされた完璧な狙撃をピンク頭のポリ公にぶち込んだら「マズルフラッシュ見てからブレーキ余裕でしたwww」(言ってない)されてキレそう、キレた。

警視庁襲撃では上層階チームにいたものの、うまいこと逃走に成功。現在は世界中を放浪しつつフリーの傭兵をやっている。

〈武装歴〉

プライマリ SVD

セカンダリ ?

 

 

怪盗ヴィオレット

第5話初登場。ライバルポジ。ポンコツ紫。

本名はアグネス・マリア・ツェーリンゲン。

新進気鋭の女怪盗……と言えば聞こえはいいが、実際は失敗しまくりのドジっ子。活動開始してから数年で数百の獲物に挑んでいるが、成功した例は片手で数えられる程。

だがしかし、それは盗みに失敗したというだけで逮捕されたとかのドジは一切無い。捜査二課長曰く盗みの腕以外は超一流。

頻繁にカメラの前に素顔を晒していたりするのと顔が良いのもあってファンは割と多い。盗みを試みる獲物が、何かしら黒い噂のあるものというのも大きい。実際、紫が狙った獲物の所有者が後に警察に逮捕されたという事例は多かったりする。

淫乱ピンク許すまじ。

銃はあまり使わない。最近のお気に入りはスタンロッド。

 

 

 

黒河 権三(Kurokawa Gonzo)

第6、7、8、9話登場。ハゲ。

貴金属大好きおじさん。大好きすぎて世界中の貴金属をありとあらゆる手(金・暴力・SE○!)を使い集めていたところ、ポンコツ紫と淫乱ピンクを呼び寄せる羽目になった。

最終的に、9×19mmパラベラム弾を3発と7.62×54mmR弾を18発股間に叩き込まれ死亡。犯人は不明。不明ったら不明。

 

 

 

側近&黒服‘s

第6話初登場。

黒河権三の側近と黒服4人の合わせて5人組。

早々に黒河sideを見限って屋敷を脱出、道の駅駐車場で待機中だった捜査二課の捜査員達に自首した。

特に重大な犯罪を犯していたというわけでも無く(細かい違法行為はあるものの)、銃弾の雨に晒された挙句ボッコボコにされた他の黒服に比べたら量刑はだいぶ軽くなりそう。

 

 

 

・人外

 

 

 

里見 たま

12話初登場。

京都の山奥にある小さな温泉旅館『ひなた』の女将。

その正体は数百年の時を生きる妖狐。ある僧との約束を果たし、京都市内で温泉旅館を開いた。三好人外化の主な原因。

 

 

 

ホルス

19話初登場。

あるカルト教団のトップを勤めていた外なる神。言い換えれば邪神。ホルスというのも本当の名ではない。真名を知ってしまった者にはもれなくSANチェック1d10/1d100。声、姿形を容易に変えられる。

人外三好に何を見出したか契約を交わし、三好と融合した。現人神三好爆誕の主な原因。何故か転生者掲示板も使える。

 

 

 

ジョー

14話初登場。あるカルト教団の幹部。

作者のミスでさんざん思わせぶりな態度をとっておいて文外でぐしゃりされたある意味不憫枠。風呂敷は広げすぎちゃダメだってはっきりわかんだね。

 

 

 

────────────────────────

転生者掲示板

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EDF兄貴

1話初登場。兵科はレンジャー。

助けを求めるめぐねえに対して薄情なスレ民が多数の中、巨大生物の駆除に追われながらも耳を傾ける姿勢を見せた良識人。

しかしやはりEDF世界の転生者ゆえなのか、それともめぐねえの急所特攻に感化されたのかは知らないが、バーナーで『かの者』*3の股間を焼いたりしてはしゃぐ一面も。世界線で言うとEDF6に突入した。スレ民からタイムリープ予告をされて戦々恐々としている。

 

 

 

Ⅱ号兄貴

1話初登場。ドイツ国防陸軍でⅡ号戦車F型を指揮していた戦車長。

ソ連兵の股間を拳銃で叩き割ったりしながら地獄のスターリングラード包囲を突破して無事に撤退を成し遂げたやべえ奴。かと思えば末期ベルリンで防衛戦に徹し、降伏が決定した直後に敗残兵2個小隊と避難民数百人を率いて赤軍の大包囲網を突破、進撃中の米軍に白旗を上げに行くアグレッシブっぷり。どうやったの?(困惑)

赤軍からは国防空軍のやべえ爆撃機乗りと同じぐらいの額の懸賞金が掛けられたりした。

最近は長年連れ沿った相棒の砲塔を取り外して汎用装軌車両に改造、故国の復興に尽力している。

 

 

 

ボンドルド卿

2話初登場。ボ卿。

三好警部補が登場するたびに現れて()<ミヨシは可愛いですね と言うだけ言って特に何もしない奴。

ちなみに転生者などではなく本物のボンドルド卿。お前なんで掲示板使えてんだ(困惑)

 

 

 

宗教関係者‘s

3話初登場。

和尚、神父、シスター、シラオキ様の4人組。

温泉編現在、素性がハッキリしているのはシラオキ様のみ。しかしまあシラオキ様に関しては宗教関係者と言うにはいささか違和感が残るがうちの宇宙では宗教関係者に入るのでセーフ。

実は他の掲示板にも一緒に顔を出すぐらいには仲良し。

シラオキ様イチオシのマチカネフクキタルがクラシック三冠を成し遂げて全員ご満悦の様子。

 

 

 

歩行フォームソムリエ

6話初登場。変態ソムリエその1。

歩き方、歩行時の姿勢、歩幅など『歩き』に関する事ならば奴の右に出る者はいない。

温泉編でめぐねえが駅から山中まで20kmほど歩き通した時も、ひたすら無心に歩数を数えていた。

転生先では世界全ての大陸を踏破してやろうと画策中。

 

 

 

サラシソムリエ

6話初登場。変態ソムリエその2。

サラシの上から見るだけで胸のサイズが誤差±0.5cmで分かる有能タイプの変態。実は女性。

転生先では女戦士や女騎士向けにオーダーメイドのサラシを製作・販売している。

 

 

 

スーツソムリエ

6話初登場。変態ソムリエその3。

前述の変態2人に比べると普通に見えるが、スーツに関する事だけでなく、スーツの生地が薬品で加工されているとか、そういった妙に細かいところまで見ただけで判別できるあたりやはりこいつも変態である。

転生先では仕立屋(テーラー)を営んでいる。

 

 

 

温泉ソムリエ

11話初登場。変態ソムリエその4。

温泉を口に含んだだけで泉質が分かる……とかそういう事はなく、単純に前世の頃から温泉が大好きなソムリエ。

転生先では、世界各地の温泉を巡っては入り巡っては入りを繰り返している。ある温泉地で出会った龍娘を嫁に迎えた。

 

 

 

欧文モールスソムリエ

11話初登場。変態ソムリエその5。

8話にてめぐねえに欧文モールスを教えた張本人。初めて名前が出たのは11話。

めぐねえに基本を教えただけでマスターしちゃったので、ちょっと複雑な気持ちになった。

転生先では、泥沼の塹壕の中でひたすらモールスを打っている。

 

 

 

アイルランド語ソムリエ

11話初登場。変態ソムリエその6。

9話にてめぐねえにアイルランド語を教えようとした人。初めて名前が出たのは11話。

めぐねえが素でアイルランド語を話せたせいで、めぐねえが使った単語や文法を某イギリスの解説王ばりのテンションで分かりやすく解説する人になってしまった。結果としてスレ民はアイルランド語に少し詳しくなった。

転生先は1800年代アイルランド。ジャガイモ飢饉を回避する為に奔走中。

 

 

 

エンジン音ソムリエ

11話初登場。変態ソムリエその7。

エンジン音以外にもモーターの音なども聞き分けられる変態。言ってしまえば機械音ソムリエ。

転生先では整備工として修行中。走り屋の若い女性といい感じ。

 

 

 

ロシア人ソ連人兄貴

13話初登場。ソビエト連邦ガチ恋勢。

ウォッカとカラシニコフを愛するソ連人。

一応転生者なのだが、前世もソ連人なので実質変わらない。

ロシア人と言われるとやたら怒る。



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ほんへ
【悲報】新人警官ワイ、勤務1日目で銀行強盗に遭遇


初投稿です

10/11 誤字修正しました。まこすけ兄貴ご報告ありがとナス!
10/12 最後の報告書の部分が読みづらいとのご要望があったため修正しました。イスファハーン兄貴ご要望ありがとナス!
11/16 誤字修正しました。礼楽兄貴ご報告ありがとナス!
11/19 誤字修正しました。キーゼル兄貴ご報告ありがとナス!


1:名無しの転生者

2度目の人生生まれ落ちて21年、初めてスレ立てました。文字通りですお助け。

 

2:名無しの転生者

可哀想に

 

3:名無しの転生者

 

4:名無しの転生者

運が悪いなぁwww

 

5:名無しの転生者

お墓は海が見える丘でいいかい

 

6:名無しの転生者

まあ頑張れ

 

7:名無しの転生者

どいつもこいつも他人事で草

 

 

 

もっとやれ

 

8:名無しの転生者

みんな薄情すぎん???

 

9:名無しの転生者

安心しろ、転生者なら皆一度は通った道だろ

 

10:名無しの転生者

微塵も安心できる要素がない

 

11:名無しの転生者

とりあえずイッチはコテハン付けろや。話だけなら聞いてやる。

 

 

 

 

助けるのはその後や。

 

 

12:名無しの転生者

これはイケメン

 

13:名無しの転生者

惚れた

 

14:名無しの転生者

君だけが希望だ

 

15:名無しの転生者

話は手短に済ませるんや、俺は今非常に忙しい

 

16:名無しの転生者

何しとるん?

 

17:名無しの転生者

7m近くある蟻(地を埋め尽くす数)をアサルトライフルで駆除してる

 

 

18:名無しの転生者

EDFで草

 

19:名無しの転生者

EDFじゃねえかwww

 

20:名無しの転生者

そんな状況でも掲示板使えるとかEDF兄貴プロっすね‥‥

 

21:名無しの転生者

慣れれば思考入力で意外といけるぞ

 

22:名無しの転生者

慣れのレベルが違うんだよなぁ

 

23:一般モブ警察官

あんまり説明長いと飽きる兄貴達も多いだろうから手短に纏めます。

 

➀勤務初日、パトロールの途中でドーナツ屋に立ち寄る。

 

➁ドーナツ屋の向かいの銀行の中から撃たれる。

 

➂孤立←イマココ

 

 

24:名無しの転生者

あっ悪い赤蟻出てきたから本腰入れるわスマン

 

25:名無しの転生者

赤蟻はしょうがない

 

26:名無しの転生者

アイツクソ硬いからな

 

27:名無しの転生者

(´・ω・`)

 

 

28:名無しの転生者

パスタ茹で上がったわ

 

29:名無しの転生者

どいつもこいつもフリーダムで草

 

30:名無しの転生者

まだ現代ならええやろ、こちとらスターリングラードや

 

31:名無しの転生者

うわ、この世の地獄じゃねえか

 

32:名無しの転生者

スターリングラード兄貴はドイツ側?ソ連側?

 

33:名無しの転生者

ドイツの戦車長やぞ

 

34:名無しの転生者

あっ(察し)

 

35:名無しの転生者

ティーガー?Ⅳ号?

 

36:名無しの転生者

Ⅱ号なんだよなぁ‥‥

 

37:名無しの転生者

うわぁ

 

 

 

うわぁ(困惑)

 

38:名無しの転生者

Ⅱ号ってなんぞ?教えてえろい人!

 

39:名無しの転生者

Ⅱ号戦車、正式名称Panzerkampfwagen II。

ナチスドイツが開発した軽戦車。

軽快性と機動力、20mm機関砲の高い火力で2次大戦初期の電撃戦を支えた。

 

 

40:名無しの転生者

2()()()()()()()

 

41:>>39

はえーそうなんすね、ありがとナス!

 

42:名無しの転生者

あーあ!平和な警察官はええなぁ!こちとら対戦車砲と戦車砲と収束手榴弾と火炎瓶に怯える日々やぞ!Scheißen(クソが)!!!

 

43:名無しの転生者

Ⅱ号兄貴ドイツ語滲み出てきて草

 

 

44:一般モブ警察官

なんか認識の齟齬があるから簡潔に比較してみよう

 

ワイ:SIG SAUER P320

 

強盗:防爆スーツ?+M249

 

 

道路を挟んでやたらめったら撃たれまくってるぞ!!!

 

45:名無しの転生者

割と絶望的で草

 

46:名無しの転生者

平和とは(哲学)

 

47:一般モブ警察官

おかしいね、昨日まではホントに平和そのものだったのにね

 

48:名無しの転生者

警察君息してるー?www

 

49:名無しの転生者

応援は来ないんか?

 

50:名無しの転生者

イッチのステータス見して

 

51:一般モブ警察官

>>49

無線を聞く限り付近の警察署が同じような格好の連中に襲撃されてるっぽいから多分来ない

 

>>50

身体能力:それなり

武術:古武術(通信教育)

射撃:拳銃は絶望的、ライフルはそこそこ

運:無

金:無

彼氏歴:=年齢

 

 

52:名無しの転生者

通信教育で学べる古武術ってなんだよ(困惑)

 

53:名無しの転生者

運と金と彼氏歴から悲哀を感じる

 

54:名無しの転生者

ん?

 

55:名無しの転生者

‥‥()()歴?

 

56:名無しの転生者

これは‥‥810*1パターンかゾ?

 

57:一般モブ警察官

女なんだよなぁ‥‥

 

58:名無しの転生者

⁉︎

 

59:名無しの転生者

⁉︎

 

60:名無しの転生者

⁉︎

 

61:名無しの転生者

⁉︎

 

62:名無しの転生者

ガタッ

 

63:名無しの転生者

顔見せはよ

 

64:名無しの転生者

APP*2!APP!

 

65:一般モブ警察官

自分で言うことではないのでは‥?

 

66:名無しの転生者

じゃああれや、転生者掲示板の撮影機能使って鏡かなんかに映った顔を見せるんや、早くしないと赤蟻がまた湧いてくる

 

67:名無しの転生者

EDF兄貴戻ってきてて草

 

68:名無しの転生者

お疲れっす!

 

69:一般モブ警察官

こうでええんか?

 

(拳銃を構えるピンク髪の女性警察官)

 

 

70:名無しの転生者

ヌッ!

 

71:名無しの転生者

あぁ^〜

 

72:名無しの転生者

なんだこの凛々しいめぐねえ*3⁉︎

 

73:名無しの転生者

凛w々wしwいwめwぐwねwえw

 

74:名無しの転生者

言われてみれば確かにめぐねえで草

 

75:一般モブ警察官

うわあずっと見覚えがあるなと思ってたらホントだめぐねえだ⁉︎

 

76:名無しの転生者

むしろ今まで気づかなかったのか‥‥(困惑)

 

77:名無しの転生者

はえー、めぐねえが教師にならなかった世界線ですか(すっとぼけ)

 

78:名無しの転生者

‥‥これ画像の隅のほうに見えてるゴツいのが強盗犯って事でおk?

 

79:名無しの転生者

隅のほう?

 

80:名無しの転生者

‥‥‥ゴツくね?

 

81:名無しの転生者

ゴツいな

 

82:名無しの転生者

想像の2倍ぐらいゴツかったわ

 

83:名無しの転生者

ああ、アレだな、CoDのジャガーノートみたいな感じだ

 

84:名無しの転生者

アレに拳銃1丁とか控えめに言って死では?

 

85:名無しの転生者

しかも弾数制限もあるぞ

 

86:名無しの転生者

可哀想なめぐねえだ

 

87:一般モブ警察官

あっちょっと待って弾幕があbbbbb

 

88:名無しの転生者

死にかけで草も生えない

 

89:名無しの転生者

おーいイッチ、感覚共有モード*4にしてくれたらこっちでも支援できるぞ

 

 

90:一般モブ警察官

 

 

【スレ主が感覚共有モードを開始しました】

 

 

91:名無しの転生者

無言で開始は草

 

92:一般モブ警察官

 

 

「しょうがないでしょう⁉︎こんな状況なんですよ⁉︎」

 

 

93:名無しの転生者

声までめぐねえだ⁉︎

 

94:名無しの転生者

かわいい

 

95:名無しの転生者

ヌッ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああもうこのスレ民共は‥‥!」

 

 

:スレ民だからね、しょうがないね

:さっきはScheißen(クソが)とか言ってすみませんでした。

:Ⅱ号兄貴ちゃんと謝れて偉い

 

 

「謝罪するよりこっちに戦車で来てくれませんか⁉︎」

 

 

:無茶苦茶言いなさる

:俺らは世界の壁を越えられないんだよなぁ

:こっちも共産主義者共の対処で忙しいから頑張って♡

:草

:草

 

 

「草生やすな!」

 

 

もうすっかり穴だらけになったボンネットから身を乗り出そうとするが、すぐに機関銃弾が襲いかかってくる。

こっちは防弾チョッキすら着ていないのだ。一発でも当たればゲームオーバーである。

 

 

「東16より警視庁‼︎三ノ宮銀行緋色通支店前にて依然として銃撃を受けています!応援はまだですか!」

 

《警視庁了解。現在SATが進発準備中。犯人の詳しい状況を再度教えられたし》

 

「了解しました、えー、犯人は1名、防爆スーツのような物を着用しており、拳銃は効果がありません!加えて軽機関銃で武装!やたらめったら撃ちまくってるんですよ!」

 

《‥‥‥了解。ただ今SATが出発した。到着予想時刻は40分後》

 

40分⁉︎‥‥東16了解!クソ!」

 

 

:長いなぁ‥‥

:そういや近くの警察署も襲撃されてんだっけ、それでかな

:あー、多分そうだな

:めぐねえの最も長い1日

:めぐねえはクソとか言わない

 

 

「言いたくもなりますよぉ!」

 

 

盾にしているセダンタイプのパトカーは既に穴だらけだ。犯人の使用している機関銃弾がエンジンブロックを貫通して来ないのが唯一の救いか。

 

 

:ライフルはそこそこって言うとったけどパトカーにライフルとか

 積んどらんの?

:おお

:天才がいた

:普通真っ先に試すのでは?ボブ訝

 

 

「パトカーが穴だらけなのにライフルが無事なわけないでしょう⁉︎粉々でしたよぉ!」

 

 

:あっ

:確かに

:普通に考えりゃそうやろ警察官エアプか?

:大体の人間は警察官エアプなのでは‥?

 

 

ふと、銃声が止んだ。

顔を覗かせると、強盗犯が片膝立ちになり軽機関銃をいじいじ(語彙力)している。

 

 

「あれって何してるんですかね‥?」

 

 

:リロード

:リロードでは?

:銃に詳しくないめぐねえかわいい

 

 

「あっリロード」

 

 

よく考えたら機関銃だってリロードをしなければならないではないか。

‥‥相手が撃ちまくってリロードをしている間に何か対応できないか?ありきたりな手だがこれしかない。

 

 

:すまんこ、強盗犯と周囲をよく見せて貰っても?

 

 

突然、スレ民の1人がそんな事を言い出した。とりあえず威嚇射撃*5しつつ、その言葉に耳を傾ける。よく見せるというのは、撮影者がその対象を注視すればいいらしい。

‥‥最初の『すまんこ』とかいうド下ネタには触れないでおく。

 

 

「どうかしたんです?あ、やっぱり拳銃効いてない‥‥」

 

 

:えーと、ちょっと待ってな

:なんだなんだ

:奴さん拳銃弾を気にしてもいませんでしたねアレ‥

:カンッ!(迫真)

:警察官って危険な職業なんやなぁ(しみじみ)

 

 

「普段は平和なんですよぅ‥」

 

 

リロードを終えたのか、強盗犯が再び射撃を始めた。機関銃のオーケストラ(独奏)。またパトカーと路上と建物のあちこちに穴が増えていく。

ふと、複数台のパトカーのサイレンが聞こえてきた。

 

 

:応援キターーーーーーー!!!

:やーっと来やがった!

:ほう、特殊部隊ですか。勝ったな風呂入ってくる。

 

 

スレ民の言う通り、やって来たのはパトカーではなく、全面を装甲化した装甲車が2台。確か特型警備車とか言った気がする。

大半のスレ民は特殊部隊の到着に歓喜しているようだが、一般モブ警察官は違った。

 

 

「いや、あんな堂々と来ちゃったら‥‥」

 

 

強盗犯が射撃をやめ、ゆっくりと装甲車の方を向く。

 

 

:あっ

:あっ(察し)

:SAT逃げて超逃げて

 

 

撃った。

先頭の装甲車に弾着の火花が散る。

それに驚いたのか知らないが、先頭の装甲車がふらついてそのまま横転。後ろに続いていた装甲車がそれに追突した。

 

 

一瞬の出来事だった。

 

 

強盗犯はそのまま撃ち続けているし、あれではSATが全滅するのも時間の問題である。

 

 

 

 

:お待たせ!起死回生の作戦聞きたい?

 

 

 

 

「え?」

 

 

:え?

:え?

:え?

 

 

 

───

──────

 

 

 

早速だがSATは危機に陥っていた。

いくらなんでも早すぎるとは思うが、やられ役の特殊部隊なんて大抵こんなものである(偏見)

 

横転した先頭の1号車は、装甲のない車体下面に銃弾をモロに受けて蜂の巣。それに追突した2号車も集中攻撃を受けて身動きが取れない。

 

付近のビルに陣取った狙撃班が援護射撃を行なっているが、あの防爆スーツはその7.62mm弾ですらも弾いたのだ。もはや警察の保有する火器ではどうしようもない。

放水なら隙を作り出せるだろうが、あいにく機動隊が保有する放水車は非装甲である。

 

 

結論を繰り返すが、SATは危機に陥っていた。

 

 

 

犯人が4度目のリロードに入る。リロードのたびにこちらから集中射撃を行なっているのだが、どうも効いているように見えない。初動に当たった東署の警官の情報はやはり正しかったようであった。

 

 

 

《狙撃班からブラヴォー。犯人の後ろから警官が接近してる》

 

「は?」

 

 

 

その東署の警官が犯人の背後から全力で走って来たではないか。

両手で何かを持っているようだが──────

 

 

「あれ‥‥ツルハシか?」

 

 

土木現場などで見る、先端の両方が鋭い両ツルハシと呼ばれるタイプの物だ。警官が、ツルハシを構えて突進して来ている。

 

タァン、タァンと銃声が聞こえる。狙撃班からの支援射撃だ。7.62mm弾は寸分違わず犯人の頭に命中。相変わらずの頼もしい手腕だが、しかして動きが多少鈍っただけだ。効果は───

 

 

「やあああああああああああああ!!!!!!!!!」

 

 

どうも効果はあったらしい。

 

腹の底から響くような雄叫びを上げ、警官が犯人に迫る。

 

犯人がそれに気づいたか、ゆっくりと警官の方を向く。

 

まずい、と警官の死を確信した瞬間。

 

 

 

 

警官が、ツルハシを()()()()()()()()

 

 

大きく体を退け反らせた状態で下から上へ振り上げられたツルハシは、先端の重さによって生み出された遠心力、すなわち運動エネルギーを得た。

運動エネルギーと質量の塊となったツルハシの先端は、そのまま犯人のアーマーの股部のプレートの下をすり抜け───

 

 

 

 

ずぶっ

 

 

 

 

ぐしゃり

 

 

 

 

現場に居合わせた男性全員の股のリボルバーが縮み上がった。

 

 

 

 

 

 

───

──────

 

:ヒエッ

:ウーン(失神)

:これが人間のする事かよォ!!!

:ムスコがヒュンッってなったゾ‥‥

:我々の業界でも危険行為です。

:ぶつりのちから って すげー !!

:プライマーにもムスコがあったらなー俺もなー

:今度肉薄して来たアカに拳銃で試そうかな

:EDF兄貴もⅡ号兄貴も手加減してもろて‥

 

 

「私も正直酷いとは思いました(小並感)」

 

 

血となんか赤い塊がこびりついたツルハシをポイッと放り捨て、失神した強盗犯に手錠をかける。

 

 

「えーと、1437、銃刀法違反、公務執行妨害の現行犯で逮捕です!」

 

 

近くのビルに陣取ったSATの狙撃班に片手を上げて礼をする。小さくて見えづらいが、向こうも返礼しているのが見えた。

 

 

《狙撃班より東16、お前さん肝据わってんな。ずっと撃たれまくってたんだろ?》

「かれこれ40分は。あ、狙撃支援ありがとうございました」

《おうよ、今度一緒にお茶でもどう?》

「あぁ、いいですねぇ。ぜひ」

 

 

すると、撃たれまくっていた装甲車の影からSAT隊員がぞろぞろと出てきた。手錠をかけられたジャガーノートを掴み、まだ無事な装甲車で護送して行くようだ。SATの増援や救急車も続々と到着。

何やらSAT隊員のこちらを見る目がおかしいが、まあ気にしないでおこう。

 

 

「あぁ‥‥‥疲れた」

 

 

すっかり穴だらけになってしまった相棒(になるはずだったパトカー)のボンネットに腰掛け、一般モブ警察官はそう呟いた。

 

 

 

 

───

──────

 

【三ノ宮銀行緋色通支店強盗事件及び警察署同時襲撃事件】

 

犯人:4名(3名射殺、1名逮捕)

被害:警察官

    死亡17名 負傷者56名

   民間人

    死亡3名 負傷者32名

   車両

    PC

     全損16台 損傷21台

    特型警備車

     全損1台 損傷5台

経過:(東、藤掛、木笠中央警察署襲撃事案は別紙参照)三ノ宮銀行緋色通支店に犯人は強盗目的で正面玄関から押し入り、天井に向かって軽機関銃を威嚇目的に乱射した。犯人は行員に札束をバッグに詰めさせて正面から出るが、通りを挟んで反対側のドーナツ店に東署勤務の佐倉 恵巡査が乗車したPCがいた為、応援を呼ばれるのを恐れ発砲。しかし事前に犯人に気づいた佐倉巡査が降車した為命中せず、逆に応援を呼ばれたが、この時点で東、藤掛、木笠中央警察署襲撃事案が進行中であり、応援のSATが到着したのは40分後。佐倉巡査はその間銃弾の雨に晒されながら犯人に対し射撃を行った。

 

犯人は到着したSATに向かって軽機関銃を乱射し、SATも短機関銃や散弾銃、狙撃銃で応戦した。しかし、犯人は軍用と見られる防爆スーツで腕や足、頭までを覆って全身を防護しており、いくら被弾しても倒れる事は無かった。警察が数発撃てば犯人が数十発を撃ち返す状態で、警察の所有する装備では、犯人に有効打を与えることができなかった。

 

軽機関銃を乱射する犯人に対し、佐倉巡査が犯人の弾倉交換の隙をついて肉薄。付近の工事現場に放置されていたツルハシで犯人に殴りかかり制圧、犯人は投降した。

 

本事件は約50分に及び、犯人が発砲した弾数は三ノ宮銀行緋色通支店強盗事案のみでもおよそ1,000発以上に及んだ。

 

 

──────

───

*1
ステハゲ

*2
クトゥルフ神話TRPGにおける『外見』ステータス。簡単に言えば美人かブサイクかという事

*3
『がっこうぐらし!』に登場する女性教諭

*4
現実の掲示板における『配信』に当たるもの。配信者と視覚や聴覚などを共有できる

*5
威嚇になっているとは言っていない




設定の補足ですが、イッチのいる日本は現実よりもだいぶ物騒です。具体的に言うと現代アメリカぐらい物騒です。銃の所持は条件付きで合法ですし、銃犯罪もそこそこ起きています。所持していた拳銃がP320だったのもそれが理由です。

ちなみに、本話の事件にはモデルがあります。みんなで考えてみよう!(提案)


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【悲報】新人警官ワイ、監禁現場に遭遇も明らかに罠

今回は掲示板パートが短めなので初投稿です。

10/24 誤字修正しました。kuzuchi兄貴ご報告ありがとナス!
10/29 誤字修正しました。六四兄貴ご報告ありがとナス!
11/18 誤字修正しました。板文 六鉢兄貴ご報告ありがとナス!
11/21 誤字修正しました。メイン弓兄貴ご報告ありがとナス!


1:一般モブ警察官

また知恵を貸してクレメンス

 

2:名無しの転生者

また、とは?

 

3:名無しの転生者

今宵もまた運の悪い転生者が‥‥

 

4:名無しの転生者

今日も他転生者の不幸話で飯がうまい

 

5:一般モブ警察官

相変わらず薄情ですねぇ‥‥

 

6:名無しの転生者

いや待て、なんかこの流れ前にも見たぞ‥?

 

7:名無しの転生者

どういうことだ>>6?

 

8:名無しの転生者

不幸系のスレって大体こんなんでは?

 

9:名無しの転生者

それな

 

10:>>6

ああ、あれか!思い出した、あんたツルハシめぐねえだろ!

 

11:名無しの転生者

ツルハシ???

 

12:一般モブ警察官

え、何その不名誉な呼び名‥(困惑)

確かに前立てたスレで強盗犯をツルハシで制圧したのはワイやけども‥‥

 

13:名無しの転生者

どういう事なの‥‥

 

14:名無しの転生者

【悲報】新人警官ワイ、勤務1日目で銀行強盗に遭遇

 

[URL]

 

説明されるより見たほうが早いからこっち見ろ(ダイマ)

 

15:名無しの転生者

どうして銀行強盗とツルハシが結びつくんですか???

 

16:名無しの転生者

なんでやろなぁ‥‥?

 

17:名無しの転生者

前スレからいるワイらもよく分からんわwww

 

18:名無しの転生者

>>12

前スレにいたスレ民は皆そう呼んでるぞ

 

 

 

 

 

俺含めてな!!!(マジキチスマイル)

 

19:一般モブ警察官

うわぁ ちょうなぐりたい このえがお

 

20:名無しの転生者

んで、イッチは今度は何に巻き込まれたんや?スレタイ見てもよう分からんのよ

 

21:一般モブ警察官

おっと失礼。状況がちょっと逼迫してるので手短に。

 

➀パトロールで山奥を巡回中

 

  _人人人人人人人_

➁ > 突然の銃声 <

   ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄

 

➂銃声がした廃倉庫に突入←イマココ

 

22:名無しの転生者

3行でもよく分からない−114514点

 

23:名無しの転生者

どうして応援を待たずに突入したんですか?(現場猫)

 

24:一般モブ警察官

警察無線の受信の調子が悪くてですね‥‥

 

25:名無しの転生者

スレタイと照らし合わせるとアレか?廃倉庫に突入して監禁されてる人を見つけたはいいけど状況が明らかに罠っぽいって事か?

 

26:一般モブ警察官

Exactly(そのとおりでございます)

 

27:名無しの転生者

明らかに罠っぽいって何?

 

28:一般モブ警察官

障害物も何も無い倉庫のど真ん中にイスに拘束されてる女性がいるんですけど、その人を挟んで反対側、えーと、入り口のシャッターから入って1番奥の壁ですね、そこに足場があって、目隠しなのか布が掛けられてるんですけど、チラッと中を見た時に割れた窓から風が吹いてですね、布がぶわぁってなって、一瞬スコープがついたライフルを構えた人が見えたんですよ

 

29:名無しの転生者

思った以上に罠で草

 

30:名無しの転生者

明らかにその女性は餌ですねぇ‥‥

 

31:名無しの転生者

応援は期待できんのか?

 

32:一般モブ警察官

警察無線はさっき言った通りだし、ここ滅茶苦茶山奥なんで麓に知らせに行くにも時間がかかり過ぎるんでやりたくないんですよね。無線がイカれてるのは受信側だけなんでこちらの状況は伝えた上で応援も呼んだんですけど、やっぱ滅茶苦茶山奥なので‥‥

 

33:名無しの転生者

またにっちもさっちも行かない状態になってんねぇ‥‥

 

34:名無しの転生者

そういえばさ、イッチ前スレで東京っぽい大都市勤務じゃなかった?なんでそんな山奥におるん?

 

35:一般モブ警察官

あー、まあちょっとゴタゴタがありましてね、地方に異動になったんですよ。階級は上がったんですけど

 

36:名無しの転生者

えっ、勤務1日目で大捕物をした大型新人を左遷ですか⁉︎

 

37:名無しの転生者

大捕物(急所特攻)

 

38:一般モブ警察官

なんかその大捕物が問題になったみたいでですね‥‥

 

39:名無しの転生者

あっ(察し)

 

40:名無しの転生者

当たり前だよなぁ?

 

41:名無しの転生者

まあ、うん、ツルハシだもんね、ぐしゃり(直喩)だものね。少なくとも警官がする事じゃないよね。

 

42:名無しの転生者

今過去スレ見てきたゾ‥‥ツルハシめぐねえ怖い‥‥怖くない?

 

43:一般モブ警察官

正当防衛なのでセーフ

 

44:名無しの転生者

アウトだったから左遷されたんやろなぁ‥‥

 

45:一般モブ警察官

ええいうるさいうるさい!そんな事はどうだっていいんですよ、今はこの事態をどうにかしないといけないんですよ

 

46:名無しの転生者

どうにかって言ってもなぁ

 

47:名無しの転生者

応援が到着すれば済む話なのでは‥‥?

 

48:名無しの転生者

とりあえずイッチの今の装備とか見しちくり〜^

 

49:一般モブ警察官

おかのした!

 

拳銃:S&W M29(4インチモデル)

パトロールライフル*1:AR-15

その他:特殊警棒、手錠、テーザーガン

 

50:名無しの転生者

あれ?拳銃変えたんや

 

51:名無しの転生者

ホンマや、前は確かSIGのP320だったよな?

 

52:一般モブ警察官

拳銃の腕が絶望的すぎてあまりにも当たらないので、まぐれ当たりした時に1発で犯人を無力化できるように.44マグナムのリボルバーを購入しました!!!!!!

 

53:名無しの転生者

選定理由がダサ過ぎる‥‥

 

54:名無しの転生者

その拳銃射撃の腕はどうにかならんかったんか?

 

55:一般モブ警察官

的のど真ん中に狙いを定めた状態で固定されたリボルバーを撃ったら外れたんですよ?警視庁の射撃教官はとうの昔に匙を投げました。

 

56:名無しの転生者

 

57:名無しの転生者

 

58:名無しの転生者

 

59:名無しの転生者

それはもはや呪いなのでは?

 

60:一般モブ警察官

ワンチャンある

 

 

 

 

───

──────

 

 

その事件は、〇〇県警本部に匿名で送られてきた110番から始まった。

 

 

「はい、こちら110番です。事件ですか?事故ですか?」

《今から言うアドレスにアクセスしろ》

「‥はい?」

《今から言うURLにアクセスしろ。さもなければ死人が出るぞ。URLは───》

 

 

『死人が出る』というなんとも物騒な文言に、係員が慌ててURLをメモする。電話はそれだけ言うと切れてしまったのだが、係員はこれを上司に報告。

情報保護の観点から念のため県警本部のネットワークから外されたパソコンを使いアクセスする。

 

 

それは、どうやら動画ファイルのようだった。

 

 

動画を再生する。

 

 

何やら廃倉庫の中のような場所を映しているが、どうも薄暗く、詳しい場所は分からない。

 

数秒後、パッと照明が点灯した。

 

画面中央に、照明に照らされる椅子。

そして、そこに両手足を拘束された女性。猿轡と目隠しもされているようだった。

突然の映像に警察官らは動揺を隠せない。

 

 

『レディーーース、アンド、ジェントルメン。ごきげんよう、県警諸君』

 

 

画面右側から仰々しい身振り手振りと共に登場したのは、黒の燕尾服にシルクハット、そして白の仮面というなんとも気味の悪い人物。ボイスチェンジャーでも使用しているのか、声から性別を断定する事は難しそうだ。

その人物は続ける。

 

 

『今日もお勤めご苦労。相変わらず忙しいかな?ああ、わざわざ110番に連絡を入れた事については謝ろう。何せ、君達にとっても緊急事態だろうと思ってね。まあ、手短に用件を話すよ』

 

 

仮面の男は一度区切ると、女性の顎に指を当て、クイッと上げた。目隠し越しでも女性の悲痛な顔が見て取れる。

 

 

『三好 絵里。警視庁刑事部捜査第一課強行犯捜査一係の警部補だ。彼女と僕はちょっとした因縁があってねぇ、少しお話をしたくて、こうしてここに招待した訳なんだよ。あ、確認を取りたいなら今するといい。彼女、恐らく有給を使ってると思うからね』

 

 

慌てて警視庁に確認を取ると、確かに、同部署の三好 絵里警部補は1週間前から有給を取っており、しかも連絡が取れない状態だと言う。

 

 

『確認したかな?で、だ。お話はもう終わったんだが‥‥これで彼女を殺すんじゃァつまらない。そうだろう?』

 

『ンっ‥‥‥ンーッ!!!』

 

『おーおー、あんなに犯されたというのに元気な事だ』

 

 

唐突な銃声。

椅子に拘束されても尚暴れる三好警部補の足元に弾痕が見える。仮面の人物の手には拳銃。

状況からして、彼女を黙らせるために撃ったのだろう。

 

 

『まあ、そういうわけで、少しゲームをしよう。ルールは簡単。吾輩は、彼女をここに放置する。君らは彼女を見つける。ただそれだけだ。制限時間は3日。それまでに彼女を見つけることができなければ──────彼女の殺害生配信を某有名動画サイトで行おうと思う』

『ンゥ‥‥‥』

 

『本当なら警視庁に送るべきなんだろうが、ちょっと〇〇県警にも因縁‥‥いや、これ因縁なのかな?まあいいや。君達も少し関係あるんだ。ぜひ、賞品目指して頑張ってくれたまえ!!!では───』

 

 

仮面の人物がカメラの後ろに回り、照明が切れる。映像もそのまま終わる──────かと思いきや、再び照明が点いた。

 

 

 

 

「‥‥‥これ、サイレンの音か?」

 

 

映像を見ていた警官の内1人がそう呟いた。

画面の中、かなり遠くだが、パトカーのサイレンの音が聞こえて来る。

 

 

『は、ははは、どうやら、県警の中にはとびきり宝探しが上手い者がいるようだ。これは歓迎しなくては!』

 

 

男が、カメラの死角からライフルのような物を手に取ったところで映像は終わった。

 

 

 

「映像の撮影日時は」

「15分前です」

「ついさっきじゃねえかよ‥‥あ、いや待て、おい!直近で銃声の通報を受け取ったPCはいるか!!!」

「えと、通報というわけではないんですが、先程佐江12が『廃倉庫から銃声がしたため突入する』と‥‥」

「あー、突入したのか‥‥」

「止めたんですが、どうも佐江12の無線の受信機能が故障しているようで‥‥応援を要請されたので付近の佐江3と佐江11を急行させました」

「到着まで何分かかる?」

「山奥でかなり道が入り組んでいるので恐らく数時間はかかるかと‥‥」

「今から銃対を送るにもさらに数時間か‥‥背に腹はかえられん、銃対を派遣しろ。大至急だ」

 

 

県警の苦悩は続く───

 

 

───

──────

 

 

「どうしますかねぇ‥‥」

 

 

ライフル───HK417を構える仮面の人物は困っていた。

宝探しゲームを開始した直後にやってきた不運?な警官を葬る準備は整ったのだが、いつまで経ってもその警官がやって来ないのである。

監視カメラの映像を見ると、通用口から入ってすぐのところでうろちょろする、桜色の髪の一部を後ろで纏めた女性警官*2

見ただけで分かる、明らかに何かを警戒している動きだ。

 

 

───まさか、こちらの存在がバレた?

 

 

そんな考えが頭をよぎるがそんな筈はないとすぐに否定する。警察無線であの映像の存在は知られているだろうが、()()()()()()()()()()()()()()()()()()。あの警官のせいで映像を確認する時間がなかったのは痛いが、まあしょうがない。

それに、()()()()()()()()()()()()()()()。何度も確認したのだ、それは間違いない。

ならば、あの警官は何を警戒しているのだろうか?

うーんわからない*3

 

そんな事を考えていると、遂に警官が動いた。警官が監視カメラの死角に消えた数分後、正面のシャッターが上がり始めた。

 

 

「ようやくですかっと。さァ、私を愉しませて下さい‥‥!」

 

 

HK417のスコープを覗く。

布に自然に開いた穴から覗いているため、こちらからは見えるが、向こうからは見えない。最高のポジションだ*4

 

シャッターが上がりきり、光が差し込む。

 

その光を背に、今まさに、三好警部補のヒーローとならんとする警官が─────────

 

 

「あ?」

 

 

警官じゃない。

 

そこにあったのは、麻の袋の塊。

いや、頂点に見えている赤と白のガラス質の物は、パトランプか。ならば、あれはパトカー?

 

 

謎のパトカーに唖然としていると、その謎のパトカーがのろのろと前進し出したではないか。

 

 

「───ッ、まさか‥‥!」

 

 

発砲。

7.62mm弾の重い銃声が倉庫内に響く。

 

 

ボスン

 

 

その弾丸がパトカーを貫く事はなく、()()()()()()()()()だけ。その穴から弱々しく流れ出るのは、

 

 

()‥‥ああ、ああ、そうか、なるほど、『土嚢』か。はは、ははは、はははははは!!!最初からバレていたという事かァ!!!」

 

 

発砲

 

 

発砲

 

 

発砲

 

 

放たれた弾丸は、またもくぐもった音と共に砂を舞わせるだけ。

その返礼かは知らないが、パリンとガラスが割れる音の直後、土嚢と土嚢の間、パトカーで言うならフロントガラスの辺りから、ニュッと、銃身が顔を覗かせた。

 

 

「おっとぉ⁉︎」

 

 

仮面の男は慌てて横に飛ぶ。

瞬間、HK417のそれよりも甲高い発砲音。

ボッ、ボッといくつか穴開きになった布。背後の壁に火花が散り、弾痕が空く。

 

 

「5.56mm、なるほど、パトロールライフルというやつか。相手にとって不足は無し、こいつは重畳!」

 

 

7.62mmを防ぐ防御力、5.56mmライフルの火力。それはまさに、即席装甲車。

 

そのパトカー(即席装甲車の姿)は遂に三好警部補の隣まで進み、停車した。

即座にドアが開き、手が伸びて三好警部補を椅子ごとパトカーの中に引き摺り込んだ。

あ、椅子も地面に固定しておけばよかったか、と仮面の男が後悔したのは内緒である。

 

5.56mmライフルの射撃が止んだため、お返しに7.62mmをお送りする。

 

カチッカチッ

 

 

「おっと、私としたことが」

 

 

つい夢中になり、弾数を数えるのをわすれていた。落ち着いて脇に置いてあった弾倉を手に取り、慣れた手つきで空になった物と交換する。

 

 

「ふむ、このまま撃ち続けても面白くない、どうせ

向こうはこの後後進するだろうし、脇に回ってみるか」

 

 

あの土嚢の積み様では視界なぞ0だろう。脇に周り、タイヤを撃ち抜いてしまえば土嚢の重量でたちまち即席装甲車は立ち往生、あとは好きに調理するだけだ。

ああ楽しみだ、と、身をかがめた状態で足場の階段に向かう。

 

 

 

 

 

 

 

その時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

唸るエンジン音と、タイヤが激しく回る音。

 

 

「おや?」

 

 

何事かと思い、布に近づく───が、

 

 

「(まあ、恐らく後進するのにエンジンをふかしているのだろう、急がねば逃げられてしまうな)」

 

 

気を取り直し、状況を確認する事なく階段へと再び足を向けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この思い込みが、仮面の人物の運命を決めた。

 

 

 

 

 

 

なぜならば、そのエンジン音は遠ざかるのではなく、()()()()()()()()()()()()()()()()()

仮面の人物は、自身の耳を疑った。

 

数瞬後、ガシャンと金属音、そして激しい揺れ、たちまち足場が傾き──────

 

 

 

 

───

──────

 

 

「Foo↑」

 

 

無惨にも崩れ落ちる足場を見て、素っ裸の女性を小脇に抱えた私こと佐倉 恵はガッツポーズした。

 

 

:やったぜ。 投稿者:変態糞警官

:すっげえ綺麗に決まりましたね‥‥

:パトカー君がまた犠牲になっておられるぞ

:草

 

 

なんて事はない。

パトカーに土嚢を鬼のように括り付けて、映画『ヒート』よろしくフロントガラスを蹴破って土嚢の間にAR-15を突っ込み制圧射撃(盲打ち)、拘束された女性の横で停車して女性を椅子ごと中に引き摺り入れ、拘束を解く。

そして、アクセルを思い切り踏み込んでアクセルにレンガを置いて固定。

女性を抱えて飛び降り、無人となったパトカー(過積載)は足場に突っ込み足場は倒壊、犯人もそれに巻き込む。

 

物騒な思考回路のスレ民と、物騒な思考回路*5の私の頭脳が導き出した最適解だ。

 

 

しかし、ここで油断したり「やったか⁉︎」なんて使い古された死亡フラグを建てるのはやられ役のする事。

散々映画で悪党に最初にやられる警察官を見てきた私は違───

 

 

シィッ!!!

 

「ファッ⁉︎」

 

 

土煙の中から、白い仮面の燕尾服が突っ込んできた。

何か煌めくブツを突き出してきたので、反射的に持っていたAR-15で防ぐ。

 

 

:おっぶえ⁉︎

:めぐねえはファッ⁉︎とか言わない

:今のレイピアか?

 

 

───ちょっと黙って!

 

 

:さーせんwww

:さーせんwww

:さーせんwww

 

 

───お姉さんのこと本気で怒らせちゃったねぇ!!!

 

 

スレ民に後で絶対にやり返す事を誓いながら、レイピアの切先が生えたAR-15を慌てて離す。

 

 

「ふふふ、これはこれは。映像で見るよりもさらに見目麗しいお嬢さんじゃないか」

 

 

声をかけてきた人物を今一度観察する。

ひび割れた白い仮面。

煤だらけであちこちが破けた黒の燕尾服。

そして、キラリと光るレイピア。昔SA○でASN姉貴が使ってたのを見たから間違いない、あれはレイピアだ。

 

 

「なんですかアナタ、そんな愉快犯みたいな格好して」

「そういうお嬢さんこそ、そんな野暮ったい制服なんて似合いませんよ?今からでもパーティードレスに着替えたら宜しいのでは?」

「生憎これが1番のドレスなモノでして」

 

 

:でもせっかくめぐねえの顔なんだし色々コスプレしてほしいよな

:分かる

:みーくんのガーター着せようぜ!(提案)

:天才か?

:ここに天才がいた

 

 

マジで腹立ってきた。

 

 

「オフィサー!そいつには気をつけろ!そいつの剣は───」

「シッ!!!」

「おっぶえ⁉︎」

 

 

助け出した女性が何かを言い切る前に、白仮面がレイピアを突き出す。

腰に差していた特殊警棒を抜き、力の限りレイピアを受け流す。

しかし避けきれず、レイピアがこめかみを掠めた。

いってぇ!!!

 

 

「おっと、失礼。その見目麗しいお顔に傷をつけるつもりはなかったのですが」

「‥ッ、武器を抜いてる時点で説得力無いんですが‥‥」

「ははは、申し訳ない。どうしても貴女と楽しみたい物でッ!!!」

「何を───ッ⁉︎」

 

 

唐突に始まるラッシュ。

半分ぐらいは警棒で弾いたと思うが、左腕と脇腹にいいのを貰った。かすり傷もいくつか。

痛いんだよおおおおおおおおおおおお!!!!!(マジギレ)

 

 

:なんだこの殺陣⁉︎(驚愕)

:めぐねえの警棒捌きもやべえけどそれ以上にレイピアがやべえ!軌跡が見えねえぞ⁉︎

:てかめぐねえにひでが乗り移ってて草

:ひでしね

:めぐねえには生きてて欲しいけどひでしね

 

 

「オフィサー!!!」

 

 

女性が悲痛な叫びをあげる。

ところでオフィサーって呼ぶって事は貴女警察関係者なの????*6

 

 

「三好警部補、貴女とは後でまたじっくりお話しますから。今は彼女とやり合いたいのですよ」

「私はっ‥‥勘弁願いたいモノですけど‥‥っ」

 

 

警部補⁉︎

 

 

:警部補ォ⁉︎

:階級2、3つ上で草

:どうして警部補が真っ裸で誘拐されてるんすか‥?

:なんでやろなぁ‥‥?

:可哀想は抜けない

:可哀想は抜ける

:あ゛?

:あ゛?

:やめろやめろ

 

 

あ、タンマ、割とシャレにならないぐらい痛い。左腕力入んねえし脇腹の血は止まんねえしよォ!止まれよ!(逆オルガ)

 

 

「‥‥‥うーん、もっと頑張って下さいよお嬢さん。私は楽しみたいのです。私をもっと楽しませて下さい?」

「な、んでそんな、事する必要があるん、ですか?」

「──────そうですかぁ、では」

 

 

白仮面の纏う空気が変わった。

飄々とした軽い空気から、ズン、と重い空気に。

 

あ、マズ───

 

 

「さっさと死ね」

 

 

 

───

──────

 

 

 

一言で言うならば、オフィサーの背中から、奴のレイピアが生えた。

 

 

「う、ぐふ、ぉ」

「あァ、いい香りだぁ‥‥そう思いませんか、お嬢さん」

「───」

「む、もう声も出せませんか。なんと呆気ない」

 

 

立ちあがろうとするが、足に力が入らない。

なぜだ、なぜ私は動けない。

なぜこんな大事な時に私は呑気に見ているだけなんだ!!!

 

 

「くそッ‥‥クソ!」

「三好警部補、少しお待ち下さいね。もうちょっとこの余韻に浸っていたいので。人が死ぬ時の少しずつ冷たくなっていく体って良くないです?‥‥あ、良くない。そう‥‥」

 

 

オフィサーの体から力が抜ける。

あ、ああ、ダメだ、頼む、やめてくれ‥‥

 

 

「んーッ、たまらない!!どんな娯楽よりもやっぱりこの感覚が1番ですねぇ!ああ、ああ、貴女が1番にやってきてくれてよかった、お嬢さん、ここ数年で1番の快楽だァ‥‥」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おや?」

 

 

奴の素っ頓狂な声。

見ると、オフィサーの左腕が奴の首に巻かれている。

まるでオフィサーから奴を抱き寄せる様な格好。

というか抱き寄せた。レイピアが、さらに深く突き刺さる。

 

 

「おやおや、何か欲しいのですかお嬢さん。何をご所望で?口付けですか?それとも愛撫?ああ、もし処女を持ったままだというのなら、せっかくですから私が頂きましょうか?どうせすぐに死ぬ運命───」

「──────」

「ん?」

 

 

オフィサーが、青くなった唇を震わしながら開いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

La victoire est à moi(調子に乗んな)*7

 

 

 

 

オフィサーの右手にはいつの間にか、リボルバーが握られていた。

 

 

 

44.マグナムが吠えた。

 

 

 

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛⁉︎」

 

 

股下に押し付けられたS&W M29から放たれた44口径弾は、白仮面の股間をそれはもう、それはもうぐちゃぐちゃに破壊し、貫通した。うわぁ‥‥

 

白仮面が声にならない叫びをあげ、佐倉巡査長の体を突き飛ばす。佐倉巡査長は倒れ込み、遂に意識を失った。

しかし、その顔はとても晴れやかであった。

 

 

「ばっ、ヒュー、おま、ばっかやろおおおお‥‥‥!!!どこを撃ってるこのクソアマァ‥‥‥ッ!!!」

 

 

股間からボタボタとこぼれ落ちる血とナニかを抑える白仮面は激昂した。

もはや快楽などどうでもいい。

殺す。

殺してやる。

無惨に、残酷に。

レイピアで腹掻っ捌いて五臓六腑を引き摺り出してやる。

 

普通ならば十分致命傷になり得る怪我も、激しく溢れ出る殺意の前にはなんの問題にもならない。

 

 

佐倉巡査長の腹に刺さったままのレイピアを思い切り抜き去り、両手で逆手に持つ。

 

 

「フーッ‥フーッ‥死に晒せェ!!!」

 

 

思い切りレイピアを振り上げた。

 

 

 

 

 

 

ダァン!!!

 

 

 

 

 

重く、腹の底から響く銃声が、倉庫の埃っぽい空気を再び震わせた。

白仮面が割れ、眉間に風穴が空く。

 

口をパクパクさせ、何が起こったか分からない様子の白仮面は、薄れゆく視界の中、

 

 

銃口から煙の揺蕩うM29をこちらに向けた、三好警部補を見た。

 

 

 

───

──────

 

白仮面が倒れた。

首筋に指を当て、死亡を確認する。

 

咄嗟に、オフィサーが落とした44マグナムを拾って撃ったがまさか眉間に当たるとは思っていなかった。ざまあみろと言ってやりたい気分だ。ケッ。

そんな事を考えながら、急いでオフィサーの元へ駆け寄る。

 

 

「オフィサー、オフィサー、大丈夫か」

 

 

返事がない。

腹部は赤く染まり、未だに流れ出る血が、オフィサーの周囲に赤い池を作り出している。

目は虚で、瞳孔が開きかけていた。

ああクソ、と1つ毒づいて、腹部の傷を上から押さえる。

効果があるかは知らないが、今この状況ではこれが精一杯だ。

オフィサーの肩の無線を引っ張る。

 

 

「本部、本部、犯人は射殺なるも警官が1名重傷。救急隊を要請する。繰り返す、救急隊を要請する。」

 

 

応答はない。何度か繰り返すが、結果は同じだった。無線の故障?そんなバカな。そんな状態でたった1人で銃を持った犯人のいる廃墟に突入するアホがいるものか。*8

その間にも血の池はどんどん大きくなっていく。

 

 

「頼むから、頼むから死んでくれるなよオフィサー‥‥!まだアンタの名前すら聞いてないんだぞ‥‥ッ!!」

 

 

心臓音が、弱く、小さくなっていく。

命が消えていく。

 

 

「ああクソ!!!死ぬな!死ぬんじゃない!オフィサー!目を閉じるな!オフィサー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

入り組んだ山道を全速力で突っ走ってきた佐江11が倉庫に到着したのは、それから1分後のことだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───

──────

 

 

:いやぁ‥‥正直死んだと思ったんですよ。

 

 

:それな

:感覚共有切れたからなぁ

:意識飛ぶと感覚共有も切れるんすね‥‥転生者また1つ賢くなった

 

 

警察病院のベッドの上で病院着に身を包んだ私は、お見舞いのりんご*9の皮を剥きながらスレ民と脳内で会話していた。

 

出血多量で心肺停止意識不明の重体に陥った私は、事前に要請していた応援として急行してきた佐江11によって麓の病院───はどうも間に合わなかったようで、途中の村落にあった小さな診療所に麓の病院の医師と機材が集結。そこで緊急手術を受けてどうにか一命を取り留めた、との事らしい。今は容態が安定したため、街の方の警察病院に転院している。

 

正直輪廻転生(2回目)は覚悟していたので、目が覚めた時は思わず「知らない天井‥」などと口走ってしまった。初めて入院する病院だったから知らないのは当然なのだが。

 

 

 

因みにだが、今しているスレ民との会話、実は声に出していない。あまりにもやることが無いので、いつぞやのEDF兄貴が言っていた脳内入力の練習がてら、声に出さずに掲示板に書き込んでいる。

 

これが意外と便利で、現実で会話しながら掲示板でも会話ができるのだ。その分頭が死ぬほど疲れるが。

 

 

 

 

「やあオフィサー。体の調子はどうだ?ん、リンゴを剥いていたのか」

 

 

そう言いながら病室に入ってきたのは、スーツ姿のボーイッシュな女性。今回の事件の被害者、三好 絵里警部補である。彼女も一緒に入院したのだが、私と違い大きな怪我もなく検査入院の数日だけで退院したようだ。それからは、ちょくちょくこうしてお見舞いに来てくれている。

因みにだが、ついさっき見舞いに来た同僚から聞いた話だとどうも警視庁捜査一課の刑事らしい。めちゃくちゃエリートで草も生えないの。

 

 

「ああ、警部補。おかげさまで。お1つどうですか?」

「いいのか?じゃあ遠慮なく」

 

 

三好警部補は一言そういうと、椅子を引っ張り出してベッドの隣に座った。切ったりんごを1つ渡す。

 

 

:あぁ^〜、アネゴはたまらねえぜ!!!

(Ⅰ)<ミヨシは可愛いですね

:ボ卿は帰ってもろて

:ボーイッシュ女刑事すこ

:わかる

:そのボーイッシュなアネゴがボロボロになるまで乱暴されてたとか興奮する

 

:は?

:は?

:だから喧嘩すんじゃねえてめえらァ!

 

 

この反応から分かるように、スレ民はこのボーイッシュ系女刑事をいたく気に入った。『アネゴ』と呼び親しんでいる。‥‥一部で再び性癖戦争が勃発しているが、これ以上触れると面倒なのでノータッチにしておく。

 

 

「あれから変わりはないか?」

「ええ。同僚もちょくちょくお見舞いに来てくれますし。強いて言うなら知らない間にまた階級が上がってたぐらいですかねぇ」

「それは変わりある内に入るんじゃないか‥‥‥?とりあえず昇進おめでとう」

「ん、ありがとうございます、どうもご丁寧に」

 

 

そう、まだ警察官になってから1ヶ月も経っていないのに巡査部長である。

一応『類稀なる勤務努力による特例昇進』という建前らしいが、目の前でりんごをはぐはぐしているボーイッシュ豊乳系吊り目女刑事*10曰く、「本庁の刑事が誘拐されたとか警察の威信に関わるって言ってさ、オフィサーを昇進させて黙っておいてもらうって刑事部長が話してたよHAHAHA」との事。わろてる場合か。

 

 

「あ、そうそう。伝えることがあったんだった」

「?」

 

 

三好警部補はそう言うと、鞄から1枚のA4サイズの書類を取り出した。

その書類の題名は、『配置転換辞令』。‥‥‥ん?

 

 

「オフィサー、そこにある通り君は来月から、新設される強行犯捜査四係に異動になる。これから一緒に頑張ろうな」

「‥‥‥‥はい?」

 

 

猛暑が厳しい、ある夏の日のことだった。

 

 

 

 

 

 

───

──────

 

 

          配置転換辞令

 

佐倉 恵 巡査長

 

 

 

 万和3年9月1日付をもって、〇〇県警地域課勤務を解き、新設される警視庁刑事部捜査第一課強行犯捜査四係勤務を命ずる。

 

 

 

 万和(ばんな)3年8月8日

 

           〇〇県警本部長 〇〇 △□

           警視庁刑事部長 △○ ×○

 

 

 

──────

───

 

 

 

 

 

───

──────

 

 

【警視庁警察官誘拐及び暴行事件】

 

犯人:1名(射殺)

被害:警察官

    負傷2名(内1名は重傷)

   車両

    PC 全損1台

経過:犯人は被害者を電話で現場となった倉庫に呼び出し、背後から襲いかかり拘束、監禁。この間、被害者は犯人から性的被害・暴行を受けた。被害者が1週間の有給を取得していたため事件の発覚が遅れた。

 

 被害者を黙らせる為に拳銃を足下に発砲した際の銃声を近くをパトロール中であった佐倉 恵巡査長が察知し現場に急行。犯人と銃撃戦になり、犯人は死亡。佐倉巡査長は重傷を負った。

 

 犯人は以前、被害者の三好 絵里警部補に対しストーカー行為を行いその場で現行犯逮捕されており、被害者に対し一方的な憎悪を抱いていた。これが動機と思われるが、犯人が死亡したため真実は定かではない。

 

 

──────

───

 

 

*1
パトロール隊に配備されているライフル。アメリカとかだとM4/M16系統が多いとか。めぐねえの勤務する県警ではアーマライト社のAR-15を採用

*2
つまりめぐねえ。可愛い

*3

*4
※布が風に煽られた場合を除く

*5
自覚あり

*6
米国で巡査の事をOfficerと呼んだりする

*7
(この命は)あげません‼︎(日本総大将)

*8
ギクッ

*9
山形県産。ンゴー

*10
増える性癖




感想とかって貰えると嬉しいよね(チラッ)


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【悲報】新人刑事ワイ、目の前でなんか車列が襲撃される (1)

評価が赤になってUA数が10,000を超えてお気に入り数が1,000を超えて日刊ランキングにも載ってリアルに変な声が出たので初投稿です。

あと10,000字を超えても終われなかったので(プロットなしの弊害)続き物です。

10/10 誤字修正しました。名紙蛾ニキ報告ありがとナス!
    4件誤字修正しました!日本兵ニキ、darkendニキ、スカイキッドニキ、Track.58ニキ報告ありがとナス!
10/11 誤字修正しました。むぎちゃのちゃちゃちゃニキありがとナス!
10/29 誤字修正しました。phodraニキ報告ありがとナス!


1:一般モブ警察官

まただよ

 

2:名無しの転生者

またかよ

 

3:名無しの転生者

ま た お 前 か

 

4:名無しの転生者

 

5:名無しの転生者

もうお祓い行ってこい

 

6:名無しの転生者

あっ!男性急所特攻付与ツルハシめぐねえじゃねえすかチッスチッス!

 

7:一般モブ警察官

なんか属性が増えてるよぉ‥‥

 

8:名無しの転生者

今度はなんや今度は

 

9:名無しの転生者

こいついっつも何かしらに巻き込まれてんな

 

10:名無しの転生者

相変わらずスレタイだけじゃ意味が分かんねえんだよな

 

11:一般モブ警察官

オラッ、恒例となりつつある3行解説じゃい!

 

➀別件(今回とは多分関係無し)の捜査で高速道路走行中

 

➁車列が前方に入ってくる

 

➂目の前で車列が武装集団に襲撃される←イマココ

 

12:名無しの転生者

やっぱ分かんねえわ

 

13:名無しの転生者

つまりめぐねえも事情はいつも通り分からないって事でおk?

 

14:一般モブ警察官

おk。今回はマジで状況が1つも理解できないんですよね。前情報がほぼ無いので

 

15:名無しの転生者

今は銃撃戦の最中か。毎度のことながらよく銃撃戦しながら掲示板できんな。

 

16:一般モブ警察官

EDF兄貴の教えの賜物ですよHAHAHAおっぶえ!狙撃手コラァ!!!防風柵って高いんだぞぉ!知らんけど!

 

17:名無しの転生者

狙撃手もいるのか‥‥(困惑)

 

18:名無しの転生者

防風柵って何ゾ?

 

19:名無しの転生者

高速道路とかにあるあの網網

 

20:名無しの転生者

ああ、なるへそ

 

21:名無しの転生者

EDF兄貴この前プライマーの親玉をバーナーで倒したって言ってたなそういや‥

 

22:一般モブ警察官

えっ何それは

 

23:名無しの転生者

急所特攻めぐねえも大概だけどEDF兄貴も大概やんな‥

 

24:名無しの転生者

初回繋がりでⅡ号兄貴はどうしたんや?

 

25:名無しの転生者

あの人ならスターリングラードからの撤退中にソ連兵の股間拳銃で叩き割ってたで

 

26:名無しの転生者

ヒェッ

 

27:名無しの転生者

急所特攻バフ広がってて草

 

28:一般モブ警察官

わたしは わるくない

 

29:名無しの転生者

てかめぐねえやけに落ち着いてっけど絶賛撃たれとるんやろ?大丈夫なんか

 

30:名無しの転生者

そうやぞ

 

31:一般モブ警察官

なんかもう一周回って落ち着いてきましたよね

 

32:名無しの転生者

 

33:名無しの転生者

それはいけない

 

34:名無しの転生者

アカン(アカン)

 

35:名無しの転生者

OK、とりあえず状況を言ってくれないか。そういう時って大抵落ち着いてないからな。

 

36:一般モブ警察官

おかのした!

 

えーと、まず、今いるのは首都高です。

高架上で防風柵が途切れたところでおそらく車列の先頭車両と私らが乗ってるパトカーが狙撃されました。これで車列が停止して、そしたら前方後方にいたトレーラーが道塞いでトレーラーの中から 完 全 武 装 の兵士が出てきました辛い。あっ三好警部補ちょっと今話しかけられるとワイ困っちゃう

 

37:名無しの転生者

いつにも増して酷くない?

 

38:名無しの転生者

アネゴ⁉︎

 

39:名無しの転生者

アネゴおるんか⁉︎(歓喜)

 

40:名無しの転生者

(Ⅰ)<ミヨシは可愛いですね

 

41:名無しの転生者

?三好警部補って誰や??

 

42:名無しの転生者

前スレ見とらんのか

 

43:名無しの転生者

【悲報】新人警官ワイ、監禁現場に遭遇も明らかに罠

 

[URL]

 

前回の案件で仲良くなった警視庁のボーイッシュ系刑事や。

 

44:名無しの転生者

あ、そういやめぐねえ異動になってたな。なんやったっけ、なんとか4係

 

45:一般モブ警察官

警視庁刑事部捜査第一課強行犯捜査四係ですね。ああもう弾幕張るな!!!!!!

 

46:名無しの転生者

長い、縮めろ

 

47:一般モブ警察官

2人ぼっちの追い出し部屋です!!!

 

48:名無しの転生者

 

49:名無しの転生者

 

50:名無しの転生者

 

51:名無しの転生者

言い方ァ!

 

52:名無しの転生者

なんでそんなところに‥‥‥?

 

53:一般モブ警察官

そんなの私が知りたいですよ。あっ違うんです警部補、これは決してイマジナリーフレンドではなくてですね

 

54:名無しの転生者

掲示板の事バレかけてんじゃねえかwwy

 

55:名無しの転生者

これってバレた時罰則とかあったっけ

 

56:名無しの転生者

特に無いはずや、ワイなんてこの掲示板モニターに出力して嫁達と見てる

 

57:名無しの転生者

イッチさん頑張ってください!

 

58:名無しの転生者

精々怪我には気をつけることね!

 

59:名無しの転生者

頑張れ‥!

 

60:名無しの転生者

嫁ワラワラで草

 

61:名無しの転生者

Q.どうして転生者特典の掲示板を嫁が使えるんですか?

 

62:名無しの転生者

A.嫁も転生者だからです

 

63:名無しの転生者

⁉︎

 

64:名無しの転生者

>>56

嫁達だぁ⁉︎さてはおめーハーレム系転生者だな!?☆KO☆RO☆SU☆

 

65:名無しの転生者

待て待て待て、ハーレム談義はスレチだ、他所でやれ

 

66:名無しの転生者

>>47

2人ぼっちって事はもう1人はアネゴか

 

67:名無しの転生者

これが百合の花園ですか(歓喜)

 

68:名無しの転生者

イッチの部署っていつもどんな事してるん?

 

69:一般モブ警察官

>>66

そうなりますねぇ

 

>>68

まんま相○の特命係ですね。証拠品返却したり、雑務手伝ったり、それ以外はずーっと暇です。三好警部補も私も推理とかさっぱりなので○棒みたいに難事件に首を突っ込んだりとかはしないですし。いつも2人でババ抜きとかしてます

 

70:名無しの転生者

仲良いなこのポリスウーマンズ‥

 

71:名無しの転生者

仕事しろwww

 

72:名無しの転生者

めぐねえババ抜き弱そう

 

73:名無しの転生者

分かる。たぶん滅茶苦茶顔に出る

 

74:一般モブ警察官

ギクッ*1

 

75:名無しの転生者

アネゴが名推理してるとことか想像つかんわ

 

76:名無しの転生者

それな。どっちかっていうとひたすら足で情報を稼ぐタイプのイメージや

 

77:名無しの転生者

わかる

 

78:名無しの転生者

おまいらアネゴに現実逃避してないで相変わらずの状況も見てやれよ

 

79:名無しの転生者

だっていつも通りですしおすし‥‥

 

80:名無しの転生者

ところで敵の 完 全 武 装 ってどのぐらい 完 全 武 装 なん?

 

81:名無しの転生者

めぐねえ側の武装は?

 

82:一般モブ警察官

えーと、ちょいとお待ちを

 

見えた限りだと兵士が

・黒のフルフェイス

・ライダースーツとプロテクター

・短機関銃(vz-61 スコーピオンとかH&K UMP-45とか)

・狙撃銃(多分7.62mmではない。下手したら12.7mm以上?)

 

 

・支給品のSIG SAUER P320(三好警部補)

・私物のS&W M29(4㌅モデル)(私)

 私物のスタームルガー Mini-14 (私)

・グロック19(車列の方)

 

ってとこですね。

 

83:名無しの転生者

当たり前のようにグロックとかMini-14とか出てくるあたりそっちの日本ってやっぱ銃社会なんすねぇ‥‥

 

84:名無しの転生者

めぐねえ側の1番の火力Mini-14で草も生えねえ

 

85:名無しの転生者

Mini-14ってなんだっけ

 

86:名無しの転生者

>>85

5.56mmのセミオートライフル

 

87:>>85

はえー

 

88:名無しの転生者

んで、めぐねえの44口径はまず当たらないから除外するとして

 

89:名無しの転生者

 

90:一般モブ警察官

この前は遂に30cm先の標的を外しましたよ(ドヤァ‥

 

91:名無しの転生者

は?

 

92:名無しの転生者

30cmの標的じゃなくて30cm先の標的?

 

93:名無しの転生者

それもうむしろどう外したんだ‥?

 

94:一般モブ警察官

ワイにも分かんないんだなこれが。

警視庁の凄腕射撃教官も「??????????」みたいな顔してましたし

 

95:名無しの転生者

そらそうよ

 

96:名無しの転生者

てかさりげなく書いてっけど前回からライフル変わったんな

 

97:名無しの転生者

あ、ホンマや。よく考えたら前はAR-15やったな

 

98:名無しの転生者

前は拳銃が変わって今度はライフルか。AR-15じゃダメやったか

 

99:一般モブ警察官

いやー、パトロールライフルってあれ地域課のパトロール隊の備品なんですよ。で、私今の所属刑事課なんです。

 

100:名無しの転生者

あっ(察し)

 

101:一般モブ警察官

これが近所の銃砲店で1番安かったので買いました!!!(血涙)

お給料‥‥お給料が吹き飛ぶ‥‥

 

102:名無しの転生者

この警察官私物の銃しか使ってねえ‥‥

 

103:名無しの転生者

また話が脱線しとるでよ

 

104:一般モブ警察官

おっと失礼。

で、まあ、うん、どうしましょう

 

105:名無しの転生者

一応聞いとくけど応援は?

 

106:一般モブ警察官

一応呼んだら高速道路交通警察隊が来たんですけどポリ!即!斬!されましたんで多分もういないですね。別の県の銃器対策部隊が来るのが3時間後って言ってました

 

107:名無しの転生者

知 っ て た

 

108:名無しの転生者

ポリ!即!斬!とかいうパワーワードよwww

 

109:名無しの転生者

いや待て、別の県の銃対?

 

110:名無しの転生者

そこっていつもの東京っぽい大都市やろ?SATどこ行った

 

111:一般モブ警察官

例の銀行強盗事件と先週発生した銃撃事件で壊滅状態に陥っててですね‥‥

 

112:名無しの転生者

えぇ‥?(困惑)

 

113:名無しの転生者

やっぱ祓ってもらったほうがいいって

 

114:名無しの転生者

転生和尚ワイ、アップを始める

 

115:名無しの転生者

転生神父ワイ、準備運動済み

 

116:名無しの転生者

転生シスターワイ、今起きたところ

 

117:名無しの転生者

転生シラオキ様儂、今からフクのレース

 

118:名無しの転生者

宗教関係者揃い踏みで草

 

119:名無しの転生者

宗教関係者‥‥?(シラオキ様を見ながら)

 

120:名無しの転生者

シラオキ様はフクキタルの方を見てもろて‥‥

 

121:名無しの転生者

シラオキ様って転生者やったんか‥‥

 

122:名無しの転生者

>>116

シスターてめえ寝坊してんじゃねえよwww

 

123:名無しの転生者

ちょっとドンパチが夜遅くまで長引いてね‥

 

124:名無しの転生者

ドンパチ系シスター⁉︎

 

125:名無しの転生者

ドンパチ系シスター‥‥ロアナプラかな?

 

126:名無しの転生者

このスレのドンパチする世界の転生者率多い‥多くない?

 

127:名無しの転生者

そりゃおめえ、ドンパチとドンパチは惹かれ合うからな

 

128:名無しの転生者

そんなスタンド使いじゃあるまいし

 

129:名無しの転生者

とにかく祓おうにもまずこの状況どうにかせんとな

 

130:名無しの転生者

それな。さーてスレ民の知恵を絞り出すぞぉ!

 

 

 

 

───

──────

 

 

『歌姫』と呼ばれる女性がいた。

 

本名は神崎 響。年齢は24歳。

その透き通り、かつ力強い歌声は、多くの人々を魅了し、そして、一部の人々を狂わせた。

 

 

脅迫:46件

ストーカー被害:13件

誘拐未遂:4件

殺害未遂:3件

 

 

神崎がここ1年間で被害に遭った犯罪の数である。

一個人が遭う数としては異例も異例。某弁護士*2もびっくりの数‥‥いや向こうは100万回の殺害予告とか言ってたわ、前言撤回するわ。

一体なぜこんな事に‥‥?

夜はもちろん、日中でさえ1人で行動するのは危ないと判断された。常に誰かが側にいなければ安全が担保できないのである。

今までは拳銃の腕に自信があるという女性マネージャーが側にいたおかげで実害が出るまでは至っていなかったが、つい先日状況が変わった。

 

 

今までは、行き過ぎたファンが単独、もしくは少数で犯行に及ぶケースが殆どだったのだが─────────先週の日曜日、辰巳区内某所。

 

 

《はい、110番です。事件ですか?事故ですか?》

《あー、いや、えと、どっちかはよく分かんないんですけど、あの、建物が、ば、爆発して、それに銃声も!》

《落ち着いて下さい。場所は分かりますか?》

《え、あ、た、辰巳区、えーと、咲兎通の7番町、サキト総合ビルです!爆発したのは3階の───》

《もしもし?聞こえますか?もしもし⁉︎───警視庁より辰巳区内各局。辰巳区咲兎通7番町のサキト総合ビルで爆発、付近のPCは急行せよ。なお、同建物内で銃器が使用されたとの通報。十分に警戒されたし》

 

 

 

死者16名、負傷者32名。

容赦のない銃弾が昼時のオフィス街を襲った、大規模な銃撃事件。

狙われたのは、サキト総合ビル3階に本社を構える、株式会社『Everyday Entertainment』。

 

神崎が所属する、芸能事務所だった。

 

 

 

犯人は14名。全員の装備が密輸入されたと見られるアサルトライフル、防弾チョッキ、そして黒のフルフェイスヘルメットで統一され、非常に高い練度を持っていた。

警官隊、そしてSATにも多数の被害が出た事からもそれはハッキリと分かる。

 

犯人は銃撃戦の中で全員が射殺され、事件は一応の解決を見たが、肝心の動機が一切不明。何せ犯人は全員あの世である。

現在も、警視庁が捜査を進めている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「───で、神崎さんは偶然無事だったと」

「そう。なんでも1階のコンビニにいたお陰で襲撃を免れたんだとさ。運がいいんだか悪いんだか」

「今回に関しては幸運でしょう?少なくとも初撃のRPGは避けられたんですから」

 

 

 

PC内でドーナツを頬張りながら喋っているのは、私、めぐねえこと佐倉 恵巡査部長と、スレ民(が)大好き三好 絵里警部補である。

現在私達2人がいるのは、首都高のとあるパーキングエリア。時刻はお昼時、事前に買っていたドーナツでランチタイム中。パクパクですわ!

 

 

 

「でも、いくらなんでも海外避難はやり過ぎじゃないですかね」

 

 

オールドファッションの最後の一口を頬張りながら三好警部補に言う。

 

そう、今回の事件を受けて株式会社『Everyday Entertainment』は神崎 響の芸能活動を無期限休止することを発表。ほとぼりが冷めるまで海外に滞在するのだという。ちなみに滞在先は公開されていない。当たり前だが。

 

 

「正直なとこ警官も足りないしなぁ。ほとぼりが冷めるまでってんなら全然アリだと思うけど。よし、そろそろ行こうか」

「そういう物なんですかね」

 

 

で、なぜ私たちが高速にいるのかというと、まあ言ってしまえば雑用だ。別の事件の証拠品を返却するために、他県の警察署へと向かう最中。これが新設から数ヶ月にして早くも『島流し』と周囲から蔑まれる強行犯捜査四係の日常である。

 

 

 

 

そう、日常だった。

 

 

 

 

高速道路に合流し、走る事数分。

料金所からの合流点で、何やら変わった物が来たのでスピードを落とした。

 

 

「なんだありゃ?」

 

 

暇そうに頬杖を突いていた三好警部補が声を上げた。

パトカーの前に入ったのは、高級感溢れるグレーのセダンを、黒のセダンと同じく黒のゴツいワンボックスでサンドイッチした合計5台の車列。

順番的に言えば、

↑進行方向  セダン(黒)     

       ワンボックス

       セダン(グレー)

       ワンボックス

       セダン(黒)

  

       パトカー

 

 

「あー、これ時間かかりますよ」

「あちゃー、一車線だから追い越しもできないか。やってみる?」

「無茶言わないでくださいよ‥」

 

 

いくら高速といえども車列となればスピードも落ちる。

しかも、三好警部補が言ったようにこの区間は片側一車線の対面通行。追い越しは不可能だ。

 

 

「参った参った‥‥参ったから私、寝る」

 

 

三好警部補はそう言うと、背もたれを倒してダッシュボードに足を乗せ、寝る態勢に入ってしまった。

 

 

「えー、次の料金所まで退屈なんですけど、お話しましょうよー」

「そうだな、オフィサーがたまにしてる独り言について教えてくれたらいいよ」

 

 

ギクッ

 

 

「そ、ソレニツイテハノーコメントデス‥」

「ちっ、まだダメか‥‥」

 

 

車列は70km/h前後で進み、パトカーもそれに続く。

防風柵区間が終わり、首都のビル群がその全貌を現した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《ゴースト1からオーディン、目標の車列を視認》

《ゴースト2、こちらも視認した───あ、いや待て、車列の最後尾に警察車両》

《なんだと?よく確認しろゴースト2。今回の案件に警察は関わらせない契約の筈だぞ》

《いや間違いない。白と黒のクラウンビクトリアに赤色灯だ、間違えるはずがない。車体横には警視庁とある》

《クソ、どうするオーディン》

《‥‥‥計画変更だ、ゴースト2の射撃目標を最後尾の警察車両に変更。1発で仕留めろよ。ったく、後でクライアントに聞かなきゃなんねえ》

《言われなくとも外しませんよ》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何の気無しに左方向を向いた視界の中央、ビル群の中。

 

 

太陽から隠れ、影になったビルの窓から、パッ、と、一瞬閃光が2つ迸るのを視認した。

 

 

「───おっぶえ⁉︎

 

 

反射的にブレーキを踏み抜く。

 

 

瞬間、サイドガラスを何かが貫き、目の前ほんの十数cmを通過して、そして反対車線の防風柵を吹っ飛ばした。

 

車列の最後尾にいたセダンのブレーキランプが光り、ブレーキを踏んだのかタイヤから白煙が噴き出る。

そして、ガシャン!ガシャン!ガシャン!ガシャン!と4回の追突音。

 

車列は、ろくな障害物も、そして逃げ場もない高速道路上で停止した。

 

 

「うぇあぁ何何何⁉︎」

「狙撃ですよ狙撃!クソクソクソ!」

 

 

飛び起きた三好警部補を横目に、ギアをバックに入れアクセルを踏み込む。せめて防風柵の陰まで下がらなければまずい。こんな開けたところで狙撃手に狙われてたまるか!私は下がらせてもらう!

 

 

「げぇっ⁉︎オフィサー後ろ後ろ後ろ後ろ!!!トレーラーから銃持った奴!」

「ヘ⁉︎」

 

 

見れば、いつの間にか前方と後方がトレーラーの巨体で対向車線ごと塞がれており、しかも荷台の横の扉が開いて黒づくめの奴らがワラワラと。

 

 

「警部補!後ろから私のミニ取ってください!」

「えっちょっと何するの⁉︎」

「このまま行きますよぉ!」

「いや、ちょっ」

 

 

アクセルを踏み込み、そのままトレーラーの荷台、その横に観音開きになったドアに向かってバックのまま突っ込んだ。

 

 

『あがぁ⁉︎』

 

 

いの一番に飛び降りた黒づくめの男数名が、下半身をトレーラーとパトカーでサンドイッチされる。‥‥あれは急所特攻の内には入んないな!(確認)*3

 

 

「ああもう馬鹿ヤロウ!はい!」

「どうも!」

 

 

三好警部補が渡してきたMini-14を受け取り、黒づくめの男達を蜂の巣にする。

三好警部補も負けじとトレーラーに残った黒づくめに向かってP320を乱射する。何名かが後ろに倒れる、が、どうも無力化できたわけでは無いらしい。

 

 

「げっ、オフィサー!こいつら防弾チョッキかなんか着てるぞ!」

「また防弾チョッキですかぁ⁉︎勘弁して下さいよあっちょっと待ってあbbbbbbb⁉︎

 

 

起き上がった黒づくめが雄叫びを上げながら短機関銃を乱射してきた。パトカーの車体に着弾の火花が上がり、窓ガラスが割れる。

頭を下げながら慌てて前進し、車体を横に向けて盾に。2人揃って飛び降りる。防風柵で隠れるギリギリの位置だ。

 

 

「本庁20から警視庁!!!首都高水瀬料金所付近で激しい銃撃を受けている!至急応援を!」

《警視庁了解。付近の交通警察隊が急行する》

「あっ、あと付近のビルに狙撃手がいる!注意されたし!」

 

 

三好警部補が警察無線にそう叫んでいると、車列の方から武装したスーツ姿の男性が1人滑り込んできた。

プレートキャリアに、グロック19。要人護衛か何かだろうか。

 

 

「アンタら警察かぁ⁉︎」

「見たら分かるだろぉ⁉︎何があったのか説明してもらえるか⁉︎」

「詳細は機密保持のアレで言えねえがウチの車列のVIPがどっかのバカから狙われてんのは確かだ!」

「どうもご苦労様です!そちらの応援は⁉︎」

「電波妨害だかなんだか知らねえがウチの無線が無力化されてんだよ!だからアンタらのとこに来たんだ!警察無線なら繋がんだろ!」

「ああ、それだったらもう応援は呼んだ!あと数分もすれば───」

 

 

すると、目の前のトレーラーの後方から交通警察隊のサイレンの音が聞こえてきて───

 

 

 

(機関銃の音)

 

(車両が横転する音)

 

(爆発する音)

 

 

 

「‥‥‥」

「あと数分もすれば、なんだって?」

 

 

ポリ!即!斬!

 

 

私は、静かに掲示板を立てた。

 

 

 

 

───

──────

 

 

 

 

 

───感覚共有開始しますたー

 

 

:もう待ちきれないよ!早く出してくれ!

:アネゴ助かる

(Ⅰ)<ミヨシは可愛いですね

:なんだこのおっさん⁉︎(驚愕)

:どちら様?

:スーツの上からでも分かる丸太(上腕二頭筋)がセクシー‥エロいッ!

ー‥エロいッ!

 

 

───襲撃された車列の方ですね。佐藤さん(53)です。

 

 

:車列襲撃はアクション映画でよくあるよな

:大抵車列側が大変なことになるやつな

:その車列は何運んでたん?人?物?

 

 

───うーん、機密保持だかで詳しくは教えてもらえなかったんですが、VIPって言ってたので多分人ですね。

 

 

:やっぱそっちの日本は物騒だなぁ(しみじみ)

 

 

おかしい‥‥本当にこの前までは平和だったのに‥‥と、現実逃避をしていると、車列の方から別のスーツ姿の女性が駆け込んできた。そして、その人が連れてきたもう1人。

 

 

「佐藤さん!」

「‥‥‥」

 

 

:なんだあの銀髪!!??

:うわあすっごい美人さん‥‥

:この人がVIPかゾ?

:お目目真っ赤っかやんけ‥‥

:アルビノかな?

:めぐねえみたいなのとか普通にいるっぽいし案外地毛かもな。

 

 

透き通るような銀髪を腰まで伸ばした、白のワイシャツと黒のスラックスを着た若い女性。スレ民はやはり気に入ったようだが、私と三好警部補はこの人相に見覚えがあった。というか、(こちらの)日本全国で知らない人はいないだろう。

 

 

「あぁ‥‥VIPってそういうね‥」

「えーと、神崎さん、で良かったですかね?」

「ん」

 

 

神崎 響───今最も日本を騒がせている歌姫である。

 

 

「あぁ⁉︎そっちの方はどうした北野⁉なんでVIPこっちに連れてきた⁉︎︎」

 

 

北野と呼ばれたこの女性もプレートキャリアとグロックを持っているあたりこれがこの人達の制式装備なのだろうか。

 

 

「壊滅ですよ!無事なのは私だけです!!しかも狙撃で全車両が走行不能!三浦チーフも狙撃で‥‥!」

「‥‥マジか、マジかぁ‥‥」

 

 

何やら状況は思った以上に芳しくないらしい。正直こちらも色々厳しいのだが、弾薬とか。

 

 

「なあ、事情はよく知らないがマズいんじゃないか?」

「‥‥‥佐藤さん、えっと、この方達は?」

「お前気づいてなかったのか‥‥」

 

 

佐藤さんがコツコツ、とパトカーのボディを叩く。

 

 

「‥‥えっ、警察⁉︎」

「警視庁捜査一課の佐倉です。そっちは三好警部補」

「なんか知らんが私らも巻き込まれたって訳さ」

「な、なんというか‥‥ツイてないですね」

「本当ですよ‥」

「‥‥参ったなクソ」

「どうしますか、佐藤さん‥‥」

 

 

:空気重スギィ!

:挟み打ちで片方の防衛線は崩壊寸前、高架の高速道路+狙撃手と大型トレーラーで逃げ場なし。ふむ、詰みじゃな?

 

 

スレ民も半ば諦めムードである。

 

 

───いや、勝手に諦められても困るんですけど。

 

 

:⁉︎

:どうした急に

 

 

───あなた達今まで私の何を見てきたんですか?

 

 

:おっぱい

:ふともも

:かわいそうなところ

:多分この質問違う意味だと思うぞ

:えっ、性癖を披露するんじゃないのか⁉︎

 

 

───違うんだよなぁ‥‥

 

 

:んで、めぐねえはこの窮地をどう脱するんや。

 

 

ふむ、どう脱するか。

実を言うともう案はあったりする。

 

 

───ヒント:1600年 島津

 

 

:島津?

:1600年っていうと‥‥関ヶ原か?

:関ヶ原‥‥島津‥‥あっ(察し)

:えっ、待って待って。マジで言ってる?

:待ってくれ、ワイ世界史専攻だったからさっぱりなんやが

 

 

「北野さん、向こうから来た兵士は何人ぐらいですか?」

「え?えーと‥‥15人ぐらいです」

「あぁ、こっちと同じぐらいなんですね。うん、うん」

「‥‥‥オフィサー?何を考えてる?」

「いえ‥‥‥ちょっと思いついた事があるのでいいですか?」

 

 

 

 

───

──────

 

 

彼らは、海外を拠点に活動する傭兵集団だ。

金さえ払えば、綺麗な仕事だろうが汚い仕事だろうがなんだってやる男達。

そんな男達に今回舞い込んだ依頼は、ある日本人歌手の拉致。

 

女1人を拉致って海外に運ぶだけの簡単なお仕事───のはずだった。

 

 

第一作戦、下っ端を雇って普通に拉致ってみよう。

 →失敗:マネージャーに返り討ちにされた。

 

 

第二作戦、事務所を襲撃して拉致ってみよう。

 →失敗:Q.ターゲットはどこですか?

     A.そこにいなかったらいないですね。

 

2回もの失敗。

クライアントからは「次が最後のチャンスだ」と、警察に圧力をかけて警備に加えさせないようにする支援が入った。ターゲットの現在の護衛は、民間のボディーガードのみ。

もう失敗は許されない。

 

 

我々はプロ集団だ。

 

平和ボケした国のボディーガードの連中なんてさっさと蹴散らしてやる。

 

 

 

 

こちらは車列後方、パトカー側の部隊。

リーダー格の男が、トレーラーの中で無線を弄っている。

傍らでは、M240B機関銃についた兵士が近づいてくる交通機動隊のパトカーに向かって7.62mm弾を浴びせている。

 

 

《ゴースト1よりオーディン。ターゲットは南側に移動した模様。狙撃ポイントからは視認できない》

 

《まあしょうがないな。あとはもういいぞ、ゴーストチームは撤退しろ。あとは現場の連中でどうにでもなる》

 

《ネガティブ。ゴースト2は残るぜ》

 

《‥‥ゴースト2、お前そんなに狙撃をかわされたのが悔しかったか》

 

《そりゃそうだ。あのピンク髪の女警官の眉間を吹っ飛ばすまで俺ぁ動かねえぜ》

 

《この聞かん坊が‥‥まあいい、満足したら撤退しろよ》

 

《へへ、恩に着るぜ》

 

《ったく‥‥地上部隊、状況を知らせ》

 

《こちらノース、ボディーガードの大半を排除。これより南側に移動する》

 

「こちらサウス、パトカーの陰にターゲットを確認したが、警官の1人がライフルを持ってる。ありゃ多分Mini-14だな」

 

《オーディンよりサウス、バカ言ってないでさっさと終わらせろ、たかが警官とボディーガードだぞ》

 

 

司令部はこんなことを言っているが、あの警官のライフルはこちらの防弾装備を貫通してくるのだ。たまったものではない。機動力を重視したせいで、拳銃弾に耐えられるほどの軽量防弾ベストしか用意されていないのだ。

 

 

「そうは言っても‥‥‥くそ!スモーク!スモークだ!」

 

 

その瞬間、缶が複数個コロコロと転がる音がして、あたり一面に煙が噴き出した。

 

 

《サウス、サウス?状況知らせ》

 

「奴らスモークを焚きやがった。逃げる気か‥‥?」

 

《高架上でスモークを焚いたって数十秒もすれば晴れる》

 

《ノースチームはターゲットの背後20mに展開した》

 

 

そう、ここはビル群の中の高架道路。常にビル風がどこかしらから吹いてくるのだ。司令部の言う通り、1分もしないうちに煙は晴れるだろう。

 

 

そう、考えていた時だった。

 

 

 

すぐ側で甲高い発砲音、そして、何か硬いものが割れる音。

すぐ側で撃ちまくっていた機関銃が止んだ。

 

 

思わず振り向く。

 

 

 

 

そこには、とてもいい笑顔で木製ストックのライフルを下から振り上げるピンク髪の女性がいた。

 

 

ぐしゃり

 

 

───

──────

 

 

「ああもうお前ら滅茶苦茶だ!!!」

 

 

佐藤と名乗ったボディーガードがそう叫びながらトレーラーの運転席に乗り込む。私はその隣に。

 

 

「ああ、そんなの私が一番よく分かってる!ほら出せ出せ!」

「クソったれ、こんなんだったら大型免許なんて取るんじゃなかった!」

 

 

オフィサーの作戦はこうだ。

まず、ボディーガードの連中が持っていたスモークグレネードを用いて南側のトレーラーに突撃する。

もうこの時点で警官のする事じゃない気がするが、まだ作戦は続く。

そしてトレーラーを奪取。運転は唯一の大型免許持ちの佐藤、サポートが私、三好。

トレーラーには、VIPの神崎 響と、護衛として佐藤の部下である北野、そして我らがオフィサー、佐倉 恵。

そしてそこからどうするのか。転回するには道路の幅が足りないし、前進しようにも狙撃と、大型トレーラーが通せんぼだが───

 

 

『え?突き飛ばすんですよ?』

 

───そ、狙撃は?

 

『さっき交通機動隊を吹き飛ばした機関銃があったじゃないですか』

 

 

お前は何を言っているんだ、とその場にいた全員がそう思ったに違いない。

 

 

 

スモークを突っ切った。

進路上には、北側から向かってきていたであろう黒づくめの兵士達がワラワラと。

 

 

「刑事さん、これ俺終わってから逮捕されねえよな⁉︎」

「大丈夫大丈夫!これはいわゆる緊急避難だ!」

「何も大丈夫じゃねえ!!!この国の司法が心配になってきたぜ!」

 

 

佐藤がアクセルを踏み抜き、兵士達の間に、ISUZUの大型トレーラーが突っ込んだ。

嫌な音と振動がいくつかしたが気にしないでおく。

 

そして、眼前には同じ大型トレーラー。

 

 

「ああチクショウ!南無三!」

 

 

運転席の方に向かって一直線。

 

瞬間、20tの巨体が、20tの巨体を突き飛ばした。

 

 

「だあああああああ痛え!頭打ったぞ!」

 

 

流石に1回ではトレーラーが通れるほど突き飛ばせず、後退してもう一度アタックする形になる。

しかしそうすると、後方に置き去りにした兵士と狙撃がネックになるが───

 

 

Say hello to my little friend!(私の小さなお友達に挨拶しな!)

 

 

後ろの方でオフィサーの決め台詞を皮切りに、機関銃の独奏(ソロ)が始まった。オフィサーが機関銃の制圧射撃で狙撃手を釘付けにして、後ろからくる兵士は北野がオフィサーのMini-14を使って対応するらしい。

 

‥‥別にあの機関銃小さくもないし友達でもない気がするが、本人が楽しそうなのでよしとしておく。オフィサーって本当に警官だよな?

 

 

「もう一回行くぞぉ!!!」

 

 

若干ハイになっている佐藤がもう一度アクセルを踏み込んだ。

再び衝撃。トレーラーはその車体を、突き飛ばされたもう一台のトレーラーとガードレールに擦り付けながら突破した!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《バッカじゃねえの⁉︎バッカじゃねえの⁉︎》

《落ち着けゴースト2、警官1人ごときに制圧射撃されて腹が立つのはわかるが》

《あああああ!!!あんのクソピンクゥゥゥゥ!!!》

《ダメだこりゃ‥‥‥全部隊、トレーラーを追え。ターゲットを確保できなきゃ俺たち全員クビだぞ》

 

 

残された兵士たちが、乗り捨てられた一般車両に同乗し、ターゲットの乗るトレーラーを追う。

 

 

 

 

 

太陽が燦々と降り注ぐ首都、事件はまだ始まったばかりである。

 

*1
現在の戦績:32戦31敗1引き分け

*2
KRSWTKHR

*3
ほんとぉ?




もうちょっとだけ続くんじゃ


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【悲報】新人刑事ワイ、目の前でなんか車列が襲撃される  (2)

UAと評価とお気に入り数はなんかすごい増えるわ、日刊ランキングは1位になるわでビビったので初投稿です。

10/24 誤字修正しました。速川渡兄貴ご報告ありがとナス!
10/25 誤字修正しました。水上 風月兄貴ご報告ありがとナス!
10/29 誤字修正しました。phodraニキご報告ありがとナス!


236:一般モブ警察官

「Say hello to my little friend!」

 

237:名無しの転生者

 

238:名無しの転生者

それギャング映画の決め台詞www

 

239:名無しの転生者

リトルフレンド(M240B)

 

240:名無しの転生者

リトル要素どこ...ここ...?

 

241:名無しの転生者

さっきまで敵が使ってた機関銃だからフレンド要素もないぞ

 

242:名無しの転生者

「オイオイオイ」

「死ぬわアイツ」

 

「ほう機関銃で狙撃手を制圧ですか…たいしたものですね」

「機関銃による弾幕は制圧射撃の効果がきわめて高いらしくこの戦法を愛用する兵士もいるくらいです」

 

「なんでもいいけどよォ」

「相手はプロの狙撃手だぜ」

 

「それに、ボディーガードが使うMini-14」

「これも警察機関でよく使用されるライフルです しかもボディーガードの射撃の腕もそえて火力バランスもいい」

「それにしても狙撃される危険があるというのにあれだけトリガーハッピーできるのは超人的な運命力というほかはない」

 

めぐねえ「ヒャッハー!!!」

 

243:名無しの転生者

なんだこのコピペ⁉︎

 

244:名無しの転生者

言ってる事は大体間違ってないから困る

 

245:名無しの転生者

おお

 

246:名無しの転生者

行った行った!

 

247:名無しの転生者

ドゴォ!(迫真)

 

248:名無しの転生者

抜けた!

 

249:名無しの転生者

いすゞといすゞのぶつかり合いを制したのはいすゞだ!!!

 

250:名無しの転生者

どっちのいすゞだよ

 

251:名無しの転生者

めぐねえ今大丈夫そう?

 

252:一般モブ警察官

ふう...あ、はい、なんです?

 

253:名無しの転生者

いやね、そのVIPの女性、アネゴ共々知ってる風だったけどどちら様?そっちだと有名な人なん?

 

254:名無しの転生者

それは確かに気になってた

 

255:名無しの転生者

あんなべっぴんさんが有名じゃないわけないんだよなぁ...

 

256:一般モブ警察官

あ、そういえば説明してませんでしたね。

歌手の神崎 響さんです。こちらの日本だと今すごく話題の方なんですよ。

 

257:名無しの転生者

ほえー、歌手やったんか

 

258:名無しの転生者

......なぜただの歌手が武装集団に狙われるんです???

 

259:一般モブ警察官

なんでですかね......?

 

260:名無しの転生者

めぐねえも分かってないのか(困惑)

 

261:一般モブ警察官

でも先週、神崎さんの所属する芸能事務所が武装集団に襲撃されて多数の死傷者が出てるので、全く無関係って訳じゃないと思いますね

 

262:名無しの転生者

当たり前のようにそんな凄惨な事件起こすな

 

263:名無しの転生者

ああ、じゃあさっき*1言ってた『先週発生した銃撃事件』ってのはそれか

 

264:名無しの転生者

そん時はめぐねえ巻き込まれんかったん?

 

265:一般モブ警察官

別の県に出張に行ってたんですよね

 

266:名無しの転生者

めぐねえにしては運がいいじゃないか

 

267:名無しの転生者

その分のツケが今来てる感じがするけどな

 

268:名無しの転生者

それ以上いけない

 

 

 

───

──────

 

 

「もう1台やりました!」

 

 

:やりますねぇ!

:うっわくるっくる回っとるわ......

:これは酷い

:万和時代の日本人バーサーカー過ぎんか......それともこの2人が異常なんか?

 

 

ボディーガードの1人、北野さんのMini-14*2から放たれた5.56mm弾が追ってくる車両のタイヤに命中し、派手にスピンして大破。残るは2台程になった。

こちらも負けじと、この短時間で随分手に馴染んできたM240Bのチャージングハンドルを引く。まだ弾は豊富にあるぞぉ。

 

 

「もう来ないでください!」

 

 

そう叫びながら掃射。

1台はボンネットに命中し、煙を上げながらスピードを落としリタイア。

もう1台は加減をミスってフロントガラスごと中身を蜂の巣にしてしまい、横転、炎上。やっべ......

 

 

:「やっべ......」じゃねえよめぐねえwww

:※警察官です

:汎用機関銃ブッパする警察官とか聞いた事ねえんだけど......

:Q.どうして機関銃なんて使えるんですか?

 

 

───最近『月刊 銃の撃ち方』っていう本を買いまして...

 

 

:なんだそのディエゴ○ティーニ⁉︎

:万和日本が物騒過ぎるよぉ......

 

 

 

「や、やりますね佐倉刑事...」

「まだ1ヶ月目なんですけどねぇ...」

「(......刑事になってから1ヶ月目...って事だよね?前は特殊部隊とかにいたのかな...?それにしては随分若く見えるけど...)」

 

 

なんだか重大な勘違いをされているような気がするが気にしないでおこう。とにかく追手は排除できた。それを伝えるために助手席の三好警部補に電話を掛ける。

 

 

「こちらはどうにかなりました」

《追手は大丈夫そうか?》

「ええ。見える限りでは大丈夫そうです」

《ようし、よくやった。この先の料金所で降りてそのまま本庁に向かうからそのつもりで》

「あ、本庁に行くんですか?」

「え?」

「......?」

 

 

私の疑問の声に反応したのは、北野さんと神崎さんの2人だ。

 

 

「あの、佐倉刑事、本庁、警視庁に行くっていうのはどういう......」

「えーと、この先の料金所で降りてそのまま本庁に向かうみたいです。......もしかして何かマズかったり?」

「ええ。実は───」

 

 

北野さんの話を簡潔にまとめると、あの車列の本来の行き先は、このまま首都高を東に向かう事数km程の距離にある国際空港。そこで会社がチャーターしたジェット旅客機に乗り換えて海外に向かう予定だったらしい。

なるほど、それが警視庁───都内に逆戻りするとなったら確かに不都合だ。

 

 

:車列が襲撃されたって事はよ、その車列の情報が漏れてたって事だろ

:そうだな

:つまりどういう事だってばよ

:車列の行き先もバレていたのでは...?

:.........あっ(察し)

 

 

察しのいい一部のスレ民は何かを察したようである。

 

 

「...って北野さんは言ってますけど、どうして本庁に?」

《ああ、そこはまだ説明してなかったな》

《要は国際空港で待機してたウチの旅客機が破壊されたって事だよ、クソ...》

《今ネットニュースに速報で出てる。『国際空港の格納庫で火災、旅客機1機が炎上か』...だってさ。一応本庁にも話は通したから》

「だそうです」

「嘘ぉ......」

 

 

:多分神崎氏の拉致に失敗したから最終手段で破壊したんとちゃう?

:はえー、そういう考えもあるんすねー

:待て、なんで最初からぶっ壊さんかったんや?

:そんなんワイが知るか

 

 

膝から崩れ落ちる北野さん。言葉には出さないものの、どこか落胆した様子の神崎さん。

空気が......空気が重い......ッ!

 

 

:めぐねえめっちゃおろおろしててワロタ

:おろおろめぐねえかわいい

:さっきのトリガーハッピーはどこへやら......

 

 

───うるさいですねぇ!

 

 

───

──────

 

 

その後は追撃や狙撃を受けるということも無く、無事に警視庁に到着した。急な静けさって怖い......怖くない?

 

 

:うっわすげえ厳重警備......

:ヘリ、機関銃陣地、装甲車、パトカー......土嚢に立てかけてあんのってカールグスタフ*3か?

:無反動砲まであるのか......(困惑)

:あの鉄製立体Xみたいなの何ゾ?

:多分チェコの針鼠*4じゃないですかね...?

:なんでそんなものを...?

:※警察です

:何が始まるんです?

:大惨事大戦だ

:誤字...誤字かこれ?

:あながち間違ってないから困る

 

 

───私もこんな重装備初めて見るんですけど......

 

 

:トリガーハッピーめぐねえですら⁉︎

:まためぐねえのあだ名増えてて草生えるんスよね

:ちょっと警視庁君本気出し過ぎとちゃう...?

 

 

それはそう。明らかに対応が厳重過ぎる。中小国の軍ぐらいならギリ相手できるんじゃないだろうか。

どこからそんな重火器引っ張り出してきたのか困惑していると、トレーラーが軋み音を上げながら止まった。今のは絶対どこかがイカれてる音だったでしょ...

 

 

:そら(あんな使い方したら)そうよ

 

 

「どこから狙撃されるか分かった物じゃないので小走りで行きますよ」

「分かりました。神崎さん、私のそばを離れないでくださいね」

「ん」

 

 

相変わらず言葉少ない神崎さんは、北野さんの手をぎゅっと握って頷いた。あぁ〜^

 

 

:あぁ〜^

:ヌッ!

:ウッ(尊死)

:ほう、世話焼き系黒髪ポニテお姉さんと無口系銀髪赤目歌手の百合ですか......

:世話焼き要素をどこから見出した

:自分で探せ

:草

:銀髪赤目の上目遣いは防御無視範囲即死攻撃だから即刻中止せよ(建前)あぁ〜^たまらねえぜ!(本音)

 

 

3カウントでトレーラーの横の扉を蹴り開け、数m走って警視庁のロビーへ転がり込む。数秒遅れて2人もロビー内へ。

最後に運転席にいた佐藤さんと三好警部補が入ったのを確認した警官が合図を送ると、特型警備車がヌッとやってきて入り口の前で停車した。これで車両とかで無理やり突破されるという事はないだろう‥‥‥流石にないよね?

 

 

:これ抜けるのは軍ぐらいじゃないですかね...?

:えっ⁉︎神崎歌手を狙って自衛隊が蜂起⁉︎

:草

:割とシャレにならんからやめろ

:そうはならんやろ、と言いたいがめぐねえのとこの日本だとそう言い切れない......

 

 

やめろよ、そんなフラグを建てるなよ(迫真)

 

 

「神崎さんとヤマト特殊警備の方はこちらへどうぞ」

 

 

捜査一課で何度か顔を見たことのある先輩刑事が、神崎さんと、北野さん、佐藤さんの3人を呼びにきた。あの2人の会社そんな名前だったんだ......

 

 

「これでひと段落かな?」

 

 

いつの間にか横に立っていた三好警部補が、懐から取り出した紙タバコを口にしながらそう言った。

 

 

:タバコ⁉︎

:アネゴにタバコ属性が追加されてしまったか(歓喜)

:アネゴってラッキーストライク吸うとるんか

:()<ミヨシは可愛いですね

:アネゴが喋るたびに現れるこのボ卿は一体なんなんや...

 

 

「だと良いんですけどねぇ......ていうかここ禁煙ですよ」

「堅いこと言わないでくれよオフィサー」

ウ゛ォッホン!

 

 

背後から聞こえる明らかに不機嫌そうな咳払い。

2人揃って肩をビクッとさせ、一緒に嫌な汗を垂らしながら後ろを振り向く。

 

 

「げ、源田一課長......お、お疲れ様です......」

 

 

:なんだこのおっさん⁉︎(驚愕)

:これはcv.大塚明夫

:蛇かな?

:眼帯してっから余計それにしか見えねえじゃねえか

:アネゴが縮こまってる...だと⁉︎

:縮こまったアネゴも可愛い

:()<素晴らしい、素晴らしい...!

:ボ卿のレパートリー広がってて草

 

 

源田 宗一郎。捜査一課の荒くれ刑事を取りまとめるボス、ドン、ゴッドファーザー、オジキ、会長、親父*5

あの眼帯は過去に凶悪強盗犯の方々とガチの銃撃戦を繰り広げた時の負傷だとか。

 

 

:めぐねえ基準のガチがよく分からんからワイらにも分かるように説明してクレメンス

 

 

映画『HEAT』中盤のダウンタウンの銃撃戦をもっと酷くしたぐらい。

 

 

:あっ(察し)

:うわあ

:酷くするな(戦慄)

:だいぶガチじゃねえか!!!

:やはり万和日本は戦国時代だった...?

 

 

「まーたやってくれやがったな4係...」

「いやいやいや待って下さい源田さん⁉︎今回ばかりは事故ですよ事故⁉︎」

「ほう、佐倉、機関銃を乱射しながらのカーチェイスが事故だと言うかお前」

「ギクッ」

 

 

:この反応...さてはこの2人常習犯じゃな?

 

 

───うるさいです!!!

 

 

「はあ.........いつもならまた説教をするところだが、今回はちょいと事情が特殊だ。代わりにお前らには存分に働いてもらうぞ」

「あー、特殊というと?」

「......そいつはここで話すようなことじゃねえ。ついてこい」

 

 

───

──────

 

 

298:名無しの転生者

めぐねえ戻ってこねえな

 

299:名無しの転生者

かれこれ数時間か?

 

300:名無しの転生者

めぐねえ久しぶりに見たわ。今これどうなってるん?

 

301:名無しの転生者

➀捜査一課長に呼ばれて大事な話

➁「なんかヤバめな話っぽいんで一旦共有切りますね」

➂数時間経過←イマココ

 

302:名無しの転生者

ありがとナス!

なんか見ない間にめぐねえ刑事になってて草生えるわ

 

303:名無しの転生者

なんや、過去スレ見とらんのか

 

304:名無しの転生者

最初のしか見てなくてなぁ、そっから戦況が悪化したもんだからスレを逐一追う暇がなかったんや

 

305:名無しの転生者

はえー、戦況って事はアンタのとこは戦争中か。大変やな

 

306:名無しの転生者

本当それな。めぐねえの急所特攻バフがなかったらソビエトの大地に骨を埋める事になるところやったわ

 

307:名無しの転生者

......ん?

 

308:名無しの転生者

ソビエトの大地......急所特攻バフ......おめえⅡ号兄貴か⁉︎

 

309:名無しの転生者

知っているのか雷電⁉︎

 

310:名無しの転生者

Ⅱ号兄貴...それはめぐねえが初めて事件に巻き込まれたスレに現れたドイツ人転生者......Ⅱ号戦車でスターリングラードを戦い抜いた猛者だ

 

311:名無しの転生者

なかなかやべえ奴で草

 

312:変態糞戦車長

よせやい///

 

313:名無しの転生者

褒めてねえんだよなぁ...

 

314:名無しの転生者

コテハンwww

 

315:名無しの転生者

しかしよくⅡ号戦車でスターリングラードとかいう地獄から撤退できましたね......

 

316:変態糞戦車長

めぐねえの急所特攻バフがなかったら5回は死んでた

 

317:名無しの転生者

めぐねえ人知れず転生者の命救ってて草

 

318:名無しの転生者

さすが巡ヶ丘出身は違うなぁ

 

319:名無しの転生者

...このめぐねえってそもそも巡ヶ丘出身なんか?

 

320:名無しの転生者

そういえばちゃんと聞いた事ねえな

 

321:名無しの転生者

後で聞いてみるべ

 

322:名無しの転生者

Ⅱ号兄貴は今どこの戦線にいるのかゾ?

 

323:名無しの転生者

スターリングラードから生き残って次はどこに飛ばされたんですかね...?

 

324:変態糞戦車長

1945年5月ベルリン

 

325:名無しの転生者

うわ

 

326:名無しの転生者

 

327:名無しの転生者

末期も末期じゃねえか......

 

328:名無しの転生者

ちょうどオッパイプルーンプルン‼︎‼︎(ちょび髭)の時期か

 

329:変態糞戦車長

いんや、もうドイツは降伏したで

 

330:名無しの転生者

えぇ...?(困惑)

 

331:名無しの転生者

じゃあ何か?今はソ連の捕虜なんか

 

332:変態糞戦車長

あんなアカ共に捕まってたまるかって気持ちで敗残兵2個小隊と避難民率いてベルリンの包囲破ってヤンキー共に白旗あげに行ったで。今は星条旗たなびく収容所におる。んで、急にやること無くなったから今スレを見とるんや

 

333:名無しの転生者

アクティブやなぁこのドイツ人......

 

334:名無しの転生者

赤い津波に対して寡兵でとんでもねえ事してんな

 

335:名無しの転生者

1人の転生者の戦いが終わってて涙が出、出ますよ......

 

336:一般モブ警察官

こっちはまだ終わってないんだよなぁ

 

337:名無しの転生者

⁉︎

 

338:名無しの転生者

⁉︎

 

339:名無しの転生者

生きてたのか⁉︎

 

340:一般モブ警察官

一課長の話聞いてただけなのに死んだ事になってるんですけどなぜ??

 

341:名無しの転生者

だって滅茶苦茶時間かかったじゃん

 

342:一般モブ警察官

......うわ、本当だ、もう夜じゃん

 

343:名無しの転生者

随分とお話が熱中したんやな

 

344:名無しの転生者

でも全部聞くのは面倒だから3行で説明して♡

 

345:名無しの転生者

鬼畜で草

 

346:名無しの転生者

鬼めwww

 

347:一般モブ警察官

ひでえや......

 

➀神崎さん関係について上から圧力がかかっていた為警備が出来なかった

➁首謀者については既に地検特捜部がガサ入れを行なっている、恐らく逃げられる事はないだろう。

➂だから後は車列襲撃の実行犯連中をしょっぴけば

 _人人人人人人人_

 > 唐突な奇襲 <

  ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄

 

348:名無しの転生者

待って

 

349:名無しの転生者

 

350:名無しの転生者

➂で何があった⁉︎

 

351:一般モブ警察官

文字通りですが???

 

 

【スレ主が感覚共有モードを開始しました】

 

 

 

───

──────

 

 

『死ねぇ!!!ピンクの悪魔ぁ!!!』

 

 

どっかの外国語の雄叫びと共に横殴りの雨、ただし雨粒は殺意マシマシの銃弾とする。

飛び散る書類、瞬く蛍光灯、銃声の狂騒曲。

警視庁内は戦場と化していた。

 

 

:うわあ......

:めぐねえ早よお祓い行け

:めぐねえの背後に死神が見える見える......

:*警視庁の中です

:嘘つけ、ここ絶対紛争地だゾ

 

 

「ああクソ!」

 

 

そう毒づきながら、盾にしているキャビネットから腕だけを出してP320を盲撃ちしているのは、先程まですげえ真剣な顔で重い話をしていた源田一課長。その隣には、左腕に被弾した三好警部補。

 

 

:アネゴ怪我しとるやんけ⁉︎

:▂▅▇█▓▒(’ω’)▒▓█▇▅▂

:()<なるべく耐えて下さいね

:ボ卿www

:ボ卿が通常運転で安心した

 

 

今いるのは、我らが四係のオフィス(元物置部屋)。人がいる場所でする話ではないとの事でここで話を聞いていた。内容は先ほどの3行解説(解説できたとは言っていない)の通り。

神崎さんの警備について上から圧力(首謀者が関与)がかかり警視庁は介入できず、致し方なくE.E芸能事務所銃撃事件の捜査を行なっていたところに先ほどの首都高での銃撃戦&カーチェイス。

あの重武装については、圧力がかかったせいで神崎さんの警備につけなかった警察官達のストレスが爆発した結果だそうで。怖っ。

 

 

「佐倉ぁ!ボケッとしてないで撃て!お前の得意分野だろ!」

「ドンパチが得意分野だなんて一言も言った覚えないんですけど⁉︎」

 

 

:え?

:えっ

:鏡見ろ

:おまいう

:自分の乙πに聞け

:それを言うなら胸に聞けでは‥‥?

 

 

なんですかその反応⁉︎

 

 

なお、現在進行形でオフィスを銃弾リフォームしている武装集団がどこから侵入して来たのかはハッキリしていない。どうも玄関ロビー前でも銃撃戦が発生しているようなのだが、突破されたという報告がないのである。

 

 

:そのオフィスって何階なん?

 

 

え?あー、12階です

 

 

:ほえー、結構上の方なんやな

:エレベーター止まったら地獄や...

:エレベーターが止まったせいで35階分の階段を昇り降りしなきゃ行けなかったタワマン住みワイ氏が通りますよっと

:なんだこいつ

:あれや、正面を本隊が攻撃してるうちにヘリかなんかで屋上から別働隊が来たんやろ

:あ、だから上下同時に攻撃されとるんか

 

 

ああ、なるほど。警察相手にヘリボーンとはたまげたなぁ......

 

 

「佐倉、俺が奴の気を引くからその間に仕留めろ」

「私に拳銃を当てろと仰いますか」

「‥‥あークソ、そうだった」

 

 

大体犯人との距離は5mもないくらいだと思うが、30cmですら当てられなかったのに5mで当てられるわけがない。もはや拳銃に限っては呪いレベルのクソエイムなのだ。

 

 

「むしろ私が行きますよ。援護よろしくお願いします」

「......まあそうするしかないか。奴がリロードに入ったら3、2、1で行くぞ」

「了解」

 

 

私はそう言うと、デスクの中から大体1kgぐらいのテープカッター(セロハンテープとかを保持する奴。要検索)を取り出して手に持つ。

ちょうどその時、銃声が収まった。

 

 

:あっ(察し)

:今度はそれかぁ......

 

 

「待て、佐倉、お前なんでそんなのを」

「3、2、GO!!!」

「あっおいコラ!待てって言ってるだろうが!!!!!」

 

 

ナチュラルに1を言うのを忘れたまま机の陰から飛び出す。

読み通り、フルフェイスヘルメットの兵士がVz.61 スコーピオンの弾倉を交換し始めるところだった。

兵士と目が合う。

1歩。

使い切られた弾倉が取り除かれる。

2歩。

新しい弾倉が差し込まれる。

3歩。テープカッターを構える。

ボルトが引かれる。

 

 

 

間 に 合 っ た ぁ ♡

 

 

 

Welcome to the MPD!!!(警視庁へようこそぉ‼︎!)

 

 

ぐしゃっ

 

 

黄金のフォーム(意味深)から振り上げられたテープカッターは、やはり兵士の股間に命中した。はぐあっ、と兵士の声が漏れるが、テープカッターが軽めなせいか、それともあの革ジャンっぽい服のせいかは知らないが無力化までは至らない。だが、今回はそれでいい。

 

 

乾いた発砲音が2回。

 

 

フルフェイスヘルメットのバイザー部分が割れ、倒れる兵士。

銃口から煙の揺蕩ったP320を構えた源田一課長。

 

 

「援護ありがとうございます」

「佐倉お前なぁ......いや、もういい、何も言わん」

「?」

「オフィサーは相変わらずだな、ははは」

 

 

左腕に包帯を巻き終わった三好警部補が火のついたタバコを咥えてケタケタと笑った。

 

 

:()<ミヨシは可愛いですね

:相変わらずの急所特攻めぐねえよ

:正直「間に合ったぁ♡」で興奮した

:分かる

:興奮した兄貴ワイもそーなの...

:新しい扉開いたな

:ノルマは達成したな

:そんなノルマ作るな

:ていうか一課長も一課長よ。頭に9mmをダブルタップってかなり殺意高めだぞ

:撃っていいのは撃たれる覚悟がある奴だけだからヨシ!

:やっぱ万和日本怖えわ......

 

 

 

 

───

──────

 

 

その後の話だが、正面玄関を強襲した方の集団は無事無力化し、何人か逮捕もできたようだ。もしかすると全容解明も期待できるかも知れない。

道路半壊、街灯は倒壊、警視庁その他の建物は穴だらけ、爆発炎上車両多数の状況を無事と言えるかは人によって異なってくるだろうが......少なくとも私の中では無事だ。うん。

 

被害が酷かったのはヘリで屋上から攻めてきた方の集団に襲われた上層階で、死者多数、負傷者は数知れず。ほぼ無傷なのは私と一課長ぐらい。警視総監とか公安委員会のお偉いさんは別の場所にいた為にトップが全滅という最悪の事態は免れた事は不幸中の幸いと言うべきか。

 

ただし、上層階にいた警官は何もせずやられたわけではなく、他の場所にいた刑事達がエレベーターと階段を死守した為、地上の警官隊が背後から刺される事態は免れた。頑張ったなおっちゃんら!

 

そして、最重要護衛目標であった神崎さんと、そのボディーガードの佐藤さんと北野さん。3人はどちらかというと地上に近い下層階にいた為どちらの集団からも攻撃を受ける事はなく無事だった。......これ上層階で階段とエレベーターが突破されてたら3人襲われてたな......ホントに頑張ったなおっちゃんら!!!

 

 

 

事態の終結後、地検特捜部は黒幕と思われる政治家を書類送検した。実行犯はその殆どが死亡又は逮捕。神崎さんは無事海外へと旅立った。海外での護衛はヤマト特殊警備の支部に引き継がれるらしく、空港ロビーで神崎さんと北野さんが、互いに別れを惜しむように数分ほど抱き合っていた。アッ(尊死するめぐねえ)

 

 

これにて、事件は一件落着である。

 

 

 

 

───

──────

1/2

【首都高速道路水瀬料金所付近にて発生した拉致未遂及び銃撃事件】

 

犯人:30名(15名射殺)

被害:警察官

    死亡4名 負傷者2名

   民間人

    死亡23名(ヤマト特殊警備社員含む) 

    負傷者13名

   車両

    民間車両

     全損2台 損傷14台

    PC

     全損3台 損傷1台

経過:犯人集団は、首都高速道路水瀬料金所付近の対面通行区間でヤマト特殊警備(株)(以下YSS)の車列を襲撃、神崎 響氏の拉致を図ったが、現場に居合わせた警視庁刑事部捜査第一課強行犯捜査四係所属の三好 絵里警部補と佐倉 恵巡査部長が初動に当たり、神崎氏とYSSの生存者2名を保護し、包囲に使用された大型トレーラーを強奪し包囲を破って脱出。犯人数名が放棄された一般車両を強奪し追撃を図ったが、佐倉巡査部長とYSS社員の手によって撃退された。

 

本案件においては、事前情報の不足や装備拡充の遅れなど複数の原因により首都高速道路交通警察隊に多数の被害が発生した。警官の早期装備拡充が急がれる。

───

──────

2/2

【警視庁大規模襲撃事件】

犯人:10名(7名射殺、2名逮捕、1名逃走)

被害:警察官

    死亡19名 負傷者29名

   民間人

    死亡0名 負傷者3名

   車両

    民間車両

     全損0台 損傷3台

    警察車両

     PC 

      全損6台 損傷4台

     特殊防護車

      全損1台 損傷2台

    航空機

     回転翼機

      損傷1機

経過:犯人集団は、上記事件と同様に神崎氏の拉致を図り、地上集団(以下集団A)と屋上集団(以下集団B)に分かれ警視庁を襲撃した。

集団Aは圧延鋼板で装甲化された車両を用い警視庁正面出入り口を襲撃したが、事前に押収品の重火器などによって重武装していた警官隊と衝突。過剰とも言える火力により短期間で無力化された。

集団Bは臨海ヘリポートから盗難された回転翼機を用い屋上から警視庁内部に侵入、刑事部員や鑑識などに大きな被害が出た。しかし、集団B全5名の内4名が銃撃戦の中で死亡。1名がヘリコプターに戻り逃走した。

 

逃走した犯人1名については他県警とも協力し、行方を追っている。

───

──────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《覚えてろよくそ......次に俺のスコープで捉えた時は、必ずそのキレイな顔をフッ飛ばしてやる......》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*1
前回参照

*2
めぐねえの私物(税抜22,600円)

*3
スウェーデンで開発された84mm口径の無反動砲。陸自でも採用されてたりする。ただしここにあるのは押収品。

*4
第二次大戦頃にチェコスロバキア(故)で開発された防御用対戦車障害物。なんでそんな物を警察が...?

*5
網羅される反社組織のトップの呼び名




ちなみにですが、傭兵集団のリーダーとゴースト1兄貴は正面玄関で討死しました。しょうがないね(レ)


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【悲報】新人刑事ワイ、新進気鋭の女怪盗に喧嘩を売られる (1)

-お知らせ-
本作主人公である、“めぐねえ”こと佐倉 恵の氏名についてなのですが、誤字報告にて「“恵”ではなく“慈”では?」というご指摘を頂きました。
結論から言いますと、これは誤字ではなく“恵”で合っています。
『がっこうぐらし!』のめぐねえであるならば“慈”なのですが、本作主人公である佐倉 恵は、『がっこうぐらし!』の佐倉 慈とは似て非なる人物である───という設定になっております。
いやまあ最初からそういう設定だったわけでもないので読者兄貴達に誤解を与えてしまうのも当然なのですが。とりあえず弊めぐねえは原作めぐねえとは別物として考えていただけると幸いです。長々と失礼しました。


あと今回は致命的にドンパチ成分が少ないです(作品の強みを自ら潰していく作者の屑)

10/30 誤字修正しました。太陽のガリ茶兄貴ご報告ありがとナス!


1:一般モブ警察官

はい

 

2:名無しの転生者

はいじゃないが

 

3:名無しの転生者

どゆこと???

 

4:名無しの転生者

お前は何を言っているんだ

 

5:名無しの転生者

あーそーゆーことね、完全に理解した

 

6:名無しの転生者

↑わかってない

 

7:名無しの転生者

スレ民誰も理解できてなくて草

 

 

 

ワイもやが

 

8:名無しの転生者

ほら、早く3行解説するんだよ義務でしょ

 

9:一般モブ警察官

いやですね、3行解説するまでもないんですよ。スレタイそのまんまなんです、新進気鋭の女怪盗に喧嘩売られたんです。

 

10:名無しの転生者

いや分からんが

 

11:名無しの転生者

字面は理解できる、ただ、何がどういうわけでそうなったのかがさっぱり分からん

 

12:名無しの転生者

それな

 

13:名無しの転生者

OKめぐねえ、1つ確認させてくれ。

君の所属は捜査一課だよな?

 

14:一般モブ警察官

そうですね

 

15:名無しの転生者

捜査一課の業務って大まかに言うと殺人とか強盗とかの危なっかしい案件の捜査だよな?

 

16:一般モブ警察官

そうですね

 

17:名無しの転生者

確かそういう怪盗(知能犯)の取締って捜査二課の仕事だったよな

 

18:一般モブ警察官

そうですね

 

19:名無しの転生者

なんであくまで捜査一課所属刑事であるめぐねえが怪盗に喧嘩売られるの???

 

20:一般モブ警察官

なんでですかね‥‥???

 

21:名無しの転生者

ダメだ、これはめぐねえも分かってないパターンだ

 

22:名無しの転生者

つまりいつもの事だな!

 

23:名無しの転生者

めぐねえ、めぐねえ、とりあえず直近で思い当たる節はないかよく思い出すんだ。そこが分からない事にはこちらも知恵の出しようがない

 

24:名無しの転生者

予告状かなんかあったらプリーズ

 

25:一般モブ警察官

>>23

いや、本当に身に覚えがないんですよ。最近は大きい事件もなくて久しぶりに平和だったので。

 

>>24

おかのした!

 

────────────────────────

 

 

           予告状

今夜、黒河 権三氏が所有する『紅い涙』を頂戴しに参上致します。

 

 

                  怪盗ヴィオレット

 

 

────────────────────────

 

で、これの他に私宛に来たショートメッセージがこっちですね。

 

────────────────────────

首の皮洗って待ってろ

────────────────────────

 

 

26:名無しの転生者

???

 

27:名無しの転生者

???

 

28:名無しの転生者

???

 

29:名無しの転生者

???

 

30:名無しの転生者

‥‥1つずついこうか。

まず黒河 権三って誰?

 

31:一般モブ警察官

 や た ら 黒い噂の多い資産家です。貴金属を収集するのが趣味らしくて、今回の騒動の中心にある『紅い涙』もそれの一環みたいですね。

 

32:名無しの転生者

知ってた

 

33:名無しの転生者

いかにも悪そうな名前してるもんな

 

34:名無しの転生者

その『紅い涙』ってのは?

 

35:一般モブ警察官

私も貴金属に詳しいわけじゃないのでよく分かりませんけど、資料を見たらなんか赤いダイヤモンドみたいな宝石でした。べらぼうに高価だったのは印象に残りましたね。

 

36:名無しの転生者

赤いダイヤモンド‥‥?

 

37:名無しの転生者

まあ、確かに宝石付けてるのって想像できねえな。原作めぐねえもイッチも

 

38:名無しの転生者

それな

 

39:名無しの転生者

ほえー、赤いダイヤモンドか。綺麗なんやろなぁ

 

40:名無しの転生者

>>36

なんか知っとるんか?

 

41:>>36

いや、なんか前世でそんな名前の宝石聞いた覚えがあってな。なんやったっけ‥‥すげえそのまんまな名前だったと思うんやが‥‥

 

42:名無しの転生者

宝石とかよう知らんなぁ

 

43:名無しの転生者

そのまんま、ね。レッドダイヤモンドとかか

 

44:名無しの転生者

それはそのまんま過ぎるのでは‥‥?

 

45:>>43

あっそれだぁ!!!!

 

46:名無しの転生者

 

47:名無しの転生者

 

48:名無しの転生者

一発で見つかったじゃねえかwww

 

49:名無しの転生者

>>36は一体何を悩んでたんや‥‥

 

50:名無しの転生者

じゃあよイッチ、そのやけに怨嗟の篭ったショートメッセージに心当たりは?

 

51:一般モブ警察官

あったらスレ開いてませんよ‥‥

 

52:名無しの転生者

 

 

 

───

──────

 

 

レッドダイヤモンド。

それは世界で最も貴重、高価とされる宝石。

現在までに見つかったのはたった30個。

しかし、1カラットあたりの金額は100万ドル、日本円にしておよそ1億2,000万円にもなる。*1

 

 

現状存在するレッドダイヤモンドの中で最大級なのは、1989年にブラジルで発見された『ムサイエフ・レッド』。そのカラット数は、驚異の5.11カラット。2011年に800万ドル、日本円でおよそ9億8,000万円で購入されたとか。

 

 

しかし最近、31個目のレッドダイヤモンドが見つかった。

その名は『ティアーズ・レッド』、通称『紅い涙』。カラット数は、ムサイエフ・レッドを大きく超える8.10カラット。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

‥‥‥投稿者は宝石よりも近所の弁当屋の期間限定メニューの方が気になる“花より団子”タイプなので、詳しく調べたとしてもこれ以上の描写ができない(ぶっちゃけ)

 

 

要はすげえデカくて綺麗でべらぼうに高価な赤いダイヤモンドである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

当初、それを発掘したのはあるブラジル人男性だった。

しかし、発掘からしばらくして突然そのレッドダイヤモンドが別の人物に譲渡されたのである。

“売却”ではなく、“譲渡”。

 

その譲渡先の人物が、黒河 権三。

 

様々な分野に手を伸ばす企業家であり資産家、そして、何かと悪い噂が絶えない小太りのハゲたおっさん。

 

 

極め付けに、『ティアーズ・レッド』譲渡の数日後、ブラジル人男性はブラジル国内のサンパウロ近郊、コンゴーニャス国際空港*2近くで死体で発見された。死体には、複数の暴行の痕が残っていたという。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スレが開かれる数週間前

 

 

その日、私こと佐倉 恵は警視庁内の書類の整理に駆り出されていた。

四係の日常の1つである雑用の1つ。

つい最近の警視庁襲撃事件*3の影響で事務方の手が圧倒的に足りておらず、荒事も少なく暇を持て余していた四係がお呼ばれしたというわけである。

ちなみに、相棒の三好 絵里警部補は左腕の銃創の経過観察の為ここ数日休養中。かすり傷1つ無かった私は資料室で1人寂しく散らかった書類の片付け。

あの傭兵連中、警察に恨みでもあったのか襲撃時にありとあらゆる書類を燃やしたりひっくり返したりしやがった。キレそう。

 

 

「1人で片付け楽しいわーっと」

 

 

ここ数日はずーーーーーーっと書類を仕分ける作業だけしかやっていない。1日8時間ずっとである。昨日はコピー用紙が夢に出てきた。一昨日はファイルだ。早くペーパーレス化しろ警視庁。

 

 

「すみません」

 

 

射撃教官から、「拳銃の代わりに押収品からお前に合った銃を見繕ってやるから時間が空いたら来い」と言われているのだが、これでは行く暇もない。

 

 

「あのー?」

 

 

終わらねえ‥終わらねえ‥

5枚綴りの書類が1まーい、2まーい、3まーい、4まーい‥‥1枚足りなーい‥‥この山の中から探すしかなーい‥‥お排泄物喰らえですわ!!!!*4

 

 

「すみませーん!!!」

「あっはい、何でしょう」

 

 

突然背後から声をかけられ、慌てて振り返る。そこにいたのは、警察おなじみの水色のシャツを着た女性職員。

手には何かの資料だろうか、丸められた模造紙を幾つか持っている。

 

 

「ここに黒河権三氏の屋敷の青写真*5ってありませんか?二課長に頼まれたんですが」

「‥‥青写真ですか?」

 

 

いや、確かに先程そんな物を仕分けた記憶がある。

過去に黒河家が所有する屋敷で爆弾騒ぎが起こった時に入手されたのがそのまま保管されていた、と、資料室に残っていたメモ書きには確かそんな事が書いてあった。それは法的に大丈夫なのか‥?

 

 

「えーと、ちょっと待ってくださいね。確かこのあたりに‥‥あー、あったあった」

 

 

丸められた資料などを1ヶ所に纏めたスペースをガサゴソと探す。『黒河邸 青写真』と()()()()()()()()()の貼られた物があったので、それを手に取った。

 

 

「‥‥ところで、これ何に使うんですか?何か大きな事件が起こったとかも聞いてないんですけど」

「え?あ、あー、私も持ってこいって言われただけで何に使うかまでは聞いてないんですよね」

「あー、そうですか。はい、終わったら返却して下さいね」

「ありがとうございます」

 

 

女性職員は青写真を受け取ると、パタパタと資料室を出て行った。

 

 

 

青写真からぴらりと何かが取れた。

何かと思いそれを手に取る。

 

 

「‥‥さっきの青写真に付いてた付箋?」

 

 

見た感じ古い付箋のようなので、粘着力が落ちていたのだろう。

ふと気になり、折られていた端の方を開いてみる。

 

 

 

そこには、『旧』の一文字。

 

 

 

「‥‥‥なんかやっちゃった気がする」

 

 

背中に嫌なものを感じながら先ほどの青写真に関するメモ書きを手に取る。

 

────────────────────────

1978年の都内連続爆破予告事件時に入手された、黒河 鷹介氏が所有する屋敷(所在地:奥多摩町寝水)の青写真。事件は無事に解決したが、黒河 鷹介氏が殺害された事(爆破予告事件とは無関係)や、同年に発生した日本赤軍警視庁襲撃事件の影響で返却がされないまま屋敷は老朽化などの理由から解体された。

多分捨ててもいいと思う(ぶっちゃけ)

────────────────────────

 

ダメでしょ(マジレス)

 

 

ちゃんと調べたところ、あの女性職員が言っていた『黒河権三氏が所有する屋敷』の青写真は見つからなかった。

まああんな物(青写真)が何枚も置いてあってたまるかという感じだが、そうなるとあの女性職員が二課長に怒られないか心配になってきた。あの人ウチの一課長に負けず劣らずの強面だし、cv.津田○次郎*6っぽいし、間違った物を渡したのは私だし。

 

 

 

 

 

 

 

と、いうわけで二課長の元に確認に行ったのだが。

 

 

「‥‥‥青写真?何の話だ?」

 

 

‥‥‥‥('ω')?

 

 

 

 

 

───

──────

 

 

某所

 

 

「やられた‥‥」

 

 

薄暗いデスクライトが照らすダイニングテーブルの上で、紫色の髪をうなじで纏めた若い女性が頭を抱えていた。

彼女の名前は、アグネス・マリア・ツェーリンゲン。最近世を騒がせている女怪盗『ヴィオレット』、その人である。

 

 

彼女の視線の先には、テーブルの上に広げられた青写真。

今回の仕事で侵入する屋敷の青写真‥‥‥の筈だった、というか、アグネスはそのつもりでこれを自ら日本警察の本拠地まで行って入手した。

 

 

その結果が、これである。

 

 

「まさかこんなものをつかまされるなんて‥‥」

 

 

実際の屋敷の青写真ととてもよく似た、既に解体されている屋敷の青写真。あの桜色の髪をした刑事は、迷いなくそれを渡して来たのだ。あの変装を見破った上で違う物を渡したのか、向こうも勘違いしていたのかは定かではないが。

 

まあ、裏の業界で仕事をしている以上、情報収集段階での失敗なんてよくある話だし、まだリカバリーは効く。むしろ怪盗としての腕は本番で試されると言っても過言ではない。(投稿者個人の意見)

 

 

「ふー‥‥‥絶っっっっっっっっ対許さないあの淫乱ピンク

*7

 

 

しかし、この紫は根っからの負けず嫌いだった。

 

 

 

 

ここに、これから長い間裏業界で語られることになる、女怪盗ヴィオレットとピンクの悪魔の因縁が出来上がった訳である。

 

 

 

 

 

 

 

*1
参考までに記すと、1カラットダイヤモンドの価格が449,000円(2021/10/27現在)。でも宝石の価値って4cとかいう要素で決まるらしいのであくまで参考程度

*2
メーデー民お馴染み

*3
前回参照

*4
迫真お嬢様

*5
ここでは設計図の意

*6
ウマ娘プリティーダービー、メインストーリー第3章ナレーションの方。Not決闘者(デュエリスト)

*7
言いがかり




これ以上国内でドンパチすると日本警察の人員損耗が大変なことになりそうなのでしばらくドンパチ成分少なめです、多分、きっと、恐らく。
これが終わったら頑張ってドンパチするから見とけよ見とけよ〜
あと活動報告の方でアンケート的な何かをやっているので、もし良ければ覗いてみて下さいください


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【悲報】新人刑事ワイ、新進気鋭の女怪盗に喧嘩を売られる (2)

前話のここ好き数が他と比べて悪い方向に桁が違うあたり、読者兄貴姉貴達はドンパチを求めてるんやなぁと思う今日この頃。でもこの作品書くにあたって怪盗編だけはどうしても書きたかったんや‥許し亭許して‥‥

あと最近日本語能力に自信がなくなってきました。信じられるか?こいつ高校の時文系だったんだぜ‥?

11/6 誤字修正しました。太陽のガリ茶兄貴ご報告ありがとナス!
11/8 誤字修正しました。六四兄貴ご報告ありがとナス!


────────────────────────

 

 

           予告状

今夜24:00、黒河 権三氏が所有する『紅い涙』を頂戴しに参上致します。

 

 

                  怪盗ヴィオレット

 

 

────────────────────────

 

 

 

 

 

 

「おい佐倉ぁ、いるかぁ?」

 

 

朝礼が終わってすぐ、8時過ぎ。

四係のオフィスにて、今日1日死ぬ気で頑張れば終わるところまで進んだ書類の整理に思いを馳せながらクソ甘い缶コーヒー(マックスコ○ヒー)を飲んでいると、オフィスの扉が開いて捜査一課の先輩刑事*1が入ってきた。

ちなみに三好警部補はまだお休み中である。

 

 

「あ、間暮(まくれ)さん。おはようございます。私に何か?書類整理なら今日中に終わりますよ?」

「マジで言ってんのかお前‥2週間とちょっとで終わる量じゃ無かったろ」

「コツがあるんですよコツが」

「おーおー、機会があったらぜひご教授願いたいね‥‥ああそうだ、ボスが呼んでたぜ。お前また何かやらかしたんじゃねえだろうな」

 

 

先輩刑事が訝しげにこちらを見てくる。心外な。

 

 

「事件も無いしここしばらく本庁に缶詰なんですよ?問題なんて起こせるわけ無いじゃないですかHAHAHA」

「ほぉー?俺ぁ風の噂で聞いたぞ。桜色の髪の女刑事が随分前の事件の資料を紛失したってな」

「オットハヤクカチョウノトコロニイカナクテハ」

「精々絞られないようになぁ」

 

 

 

 

 

 

───

──────

 

 

72:一般モブ警察官

‥っていう事*2があったのを今思い出しました

 

73:名無しの転生者

絶対それじゃん怨嗟の原因‥

 

74:名無しの転生者

 

75:名無しの転生者

どっちもドジっ娘かよ

 

76:名無しの転生者

あー、つまりどういう事ゾ?

 

77:名無しの転生者

➀怪盗ヴィオレット(以下紫)は黒河(以下ハゲ)が持ってるクソ高い宝石が欲しい

➁じゃあハゲの屋敷の設計図が必要だね

➂何らかの理由でわざわざ警視庁まで取りに行く

➃お目当ての資料室になぜかめぐねえ

➄紫「資料プリーズ」

 めぐねえ「おかのした!!!!」(違う資料)

➅後で気づいてキレ散らかす

 

ほぼ憶測だけどな

 

 

78:名無しの転生者

3行解説じゃない −114514点

 

79:名無しの転生者

3行解説要求兄貴厳しい

 

80:名無しの転生者

これを3行で解説は無理があるだろJK‥‥

 

81:名無しの転生者

ていうか紫はなんでわざわざ警視庁に設計図取りに行ったんや?普通建築家とか建築業者とか当たった方が楽やろうに

 

82:一般モブ警察官

二課の刑事さんに聞いたんですけど、建築家は仕事場への放火で死亡、建築業者は爆破テロの標的になって社屋も社員も文字通り跡形もなくなってるみたいですね

 

83:名無しの転生者

ヒェッ

 

84:名無しの転生者

さらっと死人情報出すのやめよう???ね???

 

85:名無しの転生者

ホンマに前まで平和やったんか万和日本‥‥??

 

86:一般モブ警察官

自信が無くなってきた

 

87:名無しの転生者

でよ、一課長に呼ばれた後どうなったん?

 

88:一般モブ警察官

まあ何と説明したら良いのか‥‥孤立無援?

 

89:名無しの転生者

はあ?

 

90:名無しの転生者

え?警視庁内で立場が孤立無援?(難聴)

 

91:名無しの転生者

職場内イジメかな?

 

92:名無しの転生者

>>91

うぐぅ

 

93:名無しの転生者

>>91

(心臓が停止する音)

 

94:名無しの転生者

>>91

それ以上言ってみろ、処すぞ

 

95:名無しの転生者

>>91

そんな事言うなよ‥‥思い出しちゃうだろ(吐血)

 

96:名無しの転生者

死屍累々で草

 

97:>>91

なんかすまんこ‥‥

 

98:一般モブ警察官

生き返れ生き返れ‥‥(祈念)

 

ええとですね、別に仲間はずれにされてるとかではないんです。

標的にされた黒河氏が警察の介入を拒否したんですよ。『ワシの優秀なボディーガード達が失敗続きのコソ泥に遅れを取るはずがない』とか言って。

 

99:名無しの転生者

なしてや‥‥普通そういう立場なら喜んで警察は介入させると思うんやが。やましい事でも無い限り。

 

100:名無しの転生者

きっとやましい事が屋敷の中にいっぱいあるんやろなぁ‥‥

 

101:名無しの転生者

ていうか『失敗続き』って‥‥紫はやっぱポンコツ枠やったか(歓喜)

 

102:名無しの転生者

‥‥ハゲが警察の介入を拒否したのとめぐねえが孤立無援になるのってなんか関係あるか?

 

103:名無しの転生者

なんとなく?

 

104:名無しの転生者

なんとなくってなんだよ

 

105:一般モブ警察官

いやほら、怪盗を黒河サイドが捕らえたとして、警察としては彼女を窃盗とか不法侵入でしょっ引きたいんですけど、黒河サイドが警察の介入を絶対拒否するもんですから。二課の人がお話(意味深)をして、屋敷に連絡係を1人、屋敷付近に警官隊を配置して、

 

黒河サイドが怪盗を捕らえる

連絡係から付近の警官隊に連絡する

逮捕

 

っていう流れを認めさせたみたいです。

 

106:名無しの転生者

あ、今までみたいにマジの無援って訳でもないんや

 

107:名無しの転生者

>>105

つまりめぐねえの役割は?

 

108:一般モブ警察官

連絡係です!!!(1人ぼっち)

 

109:名無しの転生者

 

110:名無しの転生者

なんでめぐねえ???

 

111:名無しの転生者

あれ、俺の勘違いか?めぐねえって一課勤務だよな

 

112:一般モブ警察官

本当なんでですかねぇ‥‥?

 

113:名無しの転生者

ところでよ

 

114:名無しの転生者

どしたん

 

115:名無しの転生者

そのハゲって悪い噂が絶えないような奴なんだろ?そこに所属が違うはずのめぐねえが送り込まれるって事は‥‥

 

116:名無しの転生者

あっ(察し)

 

117:名無しの転生者

これ警察上層部分かってやってんな???

 

118:名無しの転生者

ドンパチの香りが漂ってきましたね

 

119:名無しの転生者

かわいそうなめぐねえかわいい

 

120:一般モブ警察官

今回はドンパチはないはずです!!!(確固たる主張)

 

121:名無しの転生者

ほんとぉ?

 

 

 

 

 

 

───

──────

 

 

 

夜。

吸い込まれるような程よく澄んだ夜空にはまん丸の満月が浮かび、地上を優しく照らしている。

 

そして、その月明かりを頭頂部で反射する小太りのおっさん、本名黒河 権三。

ハゲは、傍に立つ側近───まあつまるところ私に掴みかかっている。

 

 

「おい!なんでよりにもよって奴が来るんだ!ええ⁉︎」(小声)

「わ、私に聞かれましても‥‥!」(小声)

 

 

ハゲの視線の先には、屋敷の装飾品を「ほへー」と物珍しそうに眺める桜色の髪の刑事。名前は、確か佐倉と名乗っていた。

警察から彼女が連絡係として屋敷に派遣されたのだが、ハゲはそれがどうも気に入らないらしい。

 

 

「警察共め‥‥よりにもよって『ピンクの悪魔』を送り込んでくるとは‥‥薄汚い手を使いよる」

 

 

お前の方がよっぽど薄汚いのでは、と心の中で思ったが決して口には出さない。

自分の本音をうまく隠すのがこのハゲの下で安全に働くコツである。辞めれるならさっさと辞めたいけどなかなか辞めさせてくれないんだよねコイツ。前任者はこれが下手っぴで3週間で“いなくなった”とか。

 

しかし、あの警察官、界隈では『ピンクの悪魔』と呼ばれ恐れられているらしいが、側から見るとどうにもそうは見えない。

だって見てほしい、あの数百万円する抽象画を見つめる彼女の顔を。

あれは絶対「これぐらいなら私でも書けそうですけどねぇ」とか考えてる顔だ間違いない、私は詳しいんだ。

 

あんな顔をしているが、界隈で有名だった重武装強盗を1人、生粋のサイコパスを1人、そして傭兵団を1つ抹殺*3しているというのだから、人の外見ほど信用できないものはないとつくづく思う。

 

 

「(どうやって辞めようかなぁ)」

 

 

静かに怒り狂うハゲを傍目に見ながら、私は安全に転職する方法を考えるのだった。

 

 

時刻は20:00。

予告状に記された時間まで、あと4時間。

 

 

 

 

───

──────

 

 

 

───これぐらいだったら私でも描けそうですけどねぇ。*4

 

 

:めぐねえが描いたのなら欲しい

:500円ぐらいで買うわ

:めぐねえが描いた絵、絵画本体より額縁の方が高そう

 

 

───失礼な、これでも前世は美術3だったんですよ?

 

 

:そこは2じゃねえのかよ‥‥

:反応しづらいラインやめろ

:今世はどうでしたか‥?

 

 

───うーん、この花瓶も高そうですねぇ!

 

 

:誤魔化し方下手クソかよ

:これは2ですわ間違いない

:ウチのちょび髭も風景画とか建物は上手かったんだけどなぁ

:Ⅱ号兄貴じゃないか、オッスオッス

:オッスオッス、収容所暮らしはどうや

:もうね、最高だね。平和が1番!Love&Peace!

 

 

───じゃあ次はドイツ統一ですね!

 

 

:えっそれは(困惑)

:あと数十年ぐらい待ってもろて‥

 

 

なんて事を脳内で話していると、ふと背後に気配を感じたので振り返る。

そこにいたのは、どこかへと向かう、周囲にごまんといる黒スーツ黒サングラスの警備員?と同じ格好の黒服‥‥‥んー?

 

 

:あの黒服‘sってなんか”逃走中“のハンターみてえだな

:それな

:こんだけいるって事は誰かミッション失敗でもしたんかwww

:ひーふーみー‥‥ざっと120人ぐらいかしら?

:クッソ多いですね‥

:1、2、3から‥‥の間にどうやって120まで数えたおめえ

:三次元空間把握っていう固有魔法よ

:ああ、なるへそ

:‥‥‥ん?

:空間把握‥‥固有魔法‥‥ミーナ中佐⁉︎*5

:に、憑依した転生者よ

:ストパン関係者もいんのかこのスレ‥‥

:めぐねえはあの黒服が気になるんか?

 

 

───気になるというか‥‥あの黒服だけなんかふいんきが違くないですか?

 

 

:ふいんき(なぜか変換できない)

:ちゃんとした日本語話してもろて

:『首の皮洗って待ってろ』の紫といい勝負やぞwww

 

 

───わ、わざとですよ???

 

 

:まあそれはそれとして、ふいんきが違うんか?おまいらどう?ワイは分からん

:全部ふいんき同じに見えます‥‥

:ふいんき草

:歩行フォームソムリエのワイに言わせて貰えば、歩き方が他の黒服と違うな

:なんだよ歩行フォームソムリエって

:言うて違うか?

:俺には分かる‥‥あれは良く矯正された歩き方だ。普通の奴が一目見ても分からんやろな。だがワイの目は誤魔化せんで。

:転生者っていろんな奴がいるんやなぁ

 

 

───矯正された、と言うと?

 

 

:なんていうかな、他の黒服は自然な歩き方なんよ。でもめぐねえが目をつけた黒服は、『その歩き方に見えるように歩いてる』って感じなんよな。まあでもちゃんと見なきゃ分からんわ。

:なんでそこまで分かるんや‥‥

:愛のなせる技や

:つまり変態か

:変態言うな

 

 

───はえ〜、そうなんですねぇ。あ、速くなった。

 

 

こちらが見ているのに気づいたのか、その黒服(?)はこちらをチラリと見てから歩く速度を上げた。

 

 

:‥‥はーん?ワイもなんか分かったわ。参戦させてもらうで

:またなんか来たぞ

:お前は何モンや

:サラシソムリエや

:サ ラ シ ソ ム リ エ

:なんだ変態か

:変態言うな。あれはE‥いやDカップをサラシで締め付けてるわ、間違いないで

:やっぱり変態じゃないか‥‥

:ぱっと見じゃ分かんねえんだけどどこが違うんや?

:外見はほぼ完璧やで、プロの刑事でも分からんわ。だがワイの目は誤魔化せんかったな。あと変態言うな

:変態怖っ‥‥

 

 

 

───近寄らんとこ‥‥ていうかサラシって事はあの黒服女性ですか

 

 

:女性‥‥というか、『黒服(男性)に扮した黒服(女性)』って感じやな

:まあ見たところここにいる黒服って男ばっかやしな。扮する気持ちも分からなくはない

:多分そういう事やないで

:⁉︎

:今度はなんや‥

:スーツソムリエや

:普通やな

:普通で安心したわ

:スレ民の感覚麻痺し始めてて草

:だってアレの後に見ちゃうと‥なあ?

:ひでえやひでえや‥‥

 

 

すっかり拗ねてしまったスーツソムリエ兄貴が言うには、周囲の黒服とスーツの質に差があるらしい。ぱっと見では分からないが、兄貴曰く

 

:多分薬品かなんかで周囲の黒服のスーツの質に寄せてるわ

 

との事。やっぱり変態じゃないか。

 

 

そんな感じでスレ民の知恵を結集しつつ、そのあきらかにふしんな黒服(?)の後を追う事にした。

 

 

 

 

 

 

*1
cv.野沢那智。なんだこの警視庁

*2
前回参照

*3
ムスコ♂的にも生命的にも

*4

*5
『ストライクウィッチーズ』シリーズより。ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ中佐。歳の話をすると豹変うわ何をするやめ




多分次か次の次ぐらいには怪盗編終わると思います(曖昧)


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【悲報】新人刑事ワイ、新進気鋭の女怪盗に喧嘩を売られる (3)

今回ちょっと短いんですが、キリが良かったのでこうなりました。
投稿時点での調子が続けば多分週末には出せるかな?いや途中でワクワクチンチン挟むから分からんわ、取り下げるわ。


「(待って待って待ってなんでバレたの)」

 

 

女怪盗ヴィオレットは、今まで生きてきた中で最大級に焦っていた。

馬鹿みたいな数いる黒服の1人に変装し、現場の最終下見をしていた時に、いたのである。奴が。憎き淫乱ピンクが。

 

いや、屋敷に仕掛けた盗聴器によって、警察が屋敷に介入しない代わりに連絡係として刑事を1人派遣するというのは知っていた。それはいい。

だがなぜ奴なんだ。あいつ捜査一課の刑事だろなんで二課の縄張りにいるんだよあああああああああ!!!!!!

 

 

ふう(冷静)

 

 

さて、状況を振り返ろう。

少し早歩きで屋敷内を歩き回る私と、そのすぐ後ろをついてくる淫乱ピンク。尾行もへったくれもない。明らかにバレてる。だってなんかさっきから独り言でも言ってるのか「歩き方が〜」とか「サラシが〜」とか聞こえてくるんだもん!歩き方はしょうがないとしてなんでサラシがバレたの⁉︎(困惑) *1

 

屋敷の様子から、黒河とか他の黒服にバレた様子はなさそうだが、淫乱ピンクに気付かれているという事は、そちらの方に伝わるのも時間の問題か。

 

というか、以前、付き合いのある同業者に淫乱ピンクの事を聞いたのだが、

 

 

────────────────────────

 

 

「お前は多分大丈夫だろうが、一応気をつけろよ」

 

「お前は大丈夫、ってどういう事?私の腕を信頼してるって認識で良いのかしら?ん?」

 

「言ってろ‥‥お前は女だろ?つまりそういうことだ」

 

「‥‥どういうこと?」

 

「お前が言う淫乱ピンク、本名は佐倉 恵。階級は巡査部長。数ヶ月前に警視庁の第三自動車警ら隊に任官したその当日に武装強盗に出くわした。ほらいただろ、あの防爆スーツ野郎」

 

「ああ、あの機関銃キチ」

 

「そう、そいつ。佐倉刑事‥‥その時はまだ巡査か。あのピンクの悪魔はそいつの股間をツルハシで叩き割った」

 

「‥‥‥はあ?」

 

「あと、いつだったかお前に襲いかかったサイコパスがいただろ?」

 

「‥‥心当たりが多過ぎてどれか分かんないんだけど」

 

「お前やけにそういう系統の奴らから好かれてるもんな。あれだ、白い仮面をつけたキザったい言葉遣いの奴だ」

 

「‥‥ああ、いたいた。レイピア使ってた奴ね?」

 

「そうだそいつだ。そいつは股間に.44マグナムを叩き込まれた」

 

「‥‥‥うわあ」

 

「あと最近幅を利かせてた軍人崩れの傭兵団は1人を残して壊滅した。まあこれはピンク1人というか、妙な所で本気を出した日本警察を舐めてかかった傭兵団の方が悪いんだが」

 

「‥‥‥待って、私は大丈夫って‥‥もしかしてそういう事♂?」

 

「そういう事♂だ。無ければ潰しようがないだろ?」

 

「セクハラって知ってるアンタ???????」

 

 

────────────────────────

 

 

あんな事を言われて警戒しない筈が無かったのに‥!なんでこんな所で出くわs

 

 

ゴッ

 

 

「あ痛っ」

 

 

 

 

何かにぶつかり、ようやく思考の海から浮上する。

 

 

「‥‥‥」

 

 

目の前、壁。

右側、本棚。

左側、本棚。

後ろ、淫乱ピンク。

 

「(これって‥袋小路‥ってコト⁉︎)」(現実逃避)

 

 

───

──────

 

 

───なんか自分から袋小路に追い込まれたんですけど。あの黒服っぽいの。

 

 

:えぇ‥?(困惑)

:気のせいだろとか思ってたら本当に自分から行ってて草

:いや、流石に無いだろ‥‥なんかほら、考えがあってとか

:お前、あの慌て様を見てもそう言えるか‥?

:‥‥コイツはポンコツ、ハッキリわかんだね

 

 

変態ソムリエ達の嗅覚によって暴かれた不審者を追跡する事数分。なぜか不審者は自分から袋小路に入って行った。

なんで‥‥え、本当になんで?

 

 

:と、とりあえず職質掛けたらいいんじゃない?

 

 

そ、そうしますか‥‥

 

 

「あのー、すいません。少しお話を聞きたいんですけど、宜しいですか」

ふ、ふふふ‥‥‥

「え?」

 

 

あーっはっはっはっはぁ!!!!!!

 

 

「⁉︎」

 

 

黒服(?)は突然狂った様に高らかに笑うと、自分の顔に手をかけ、まるで皮を剥ぐ様にベリベリと───あ、怪盗の変装でよく見るタイプのやつだ(冷静)

 

 

「ふぅ‥バレてしまっては仕方ないわね。流石私の認めたライバル」

 

 

そのマスクを剥がした先に現れたのは、紫色の髪をポニーテールにまとめた若い女性。あー、素顔初めて見たけど多分この人が怪盗ヴィオレットなんだろうな?

 

 

:草

:えぇ‥?

:めぐねえ勝手にライバル宣言されてて草

 

 

───どういう事なの????

 

 

「いや、あの、もう少し粘りましょうよ。そんなすぐ正体明かされても私困るんですけど」

はーーーー?こっちがまだ本番じゃないってのに目ざとく気づいたのはアンタでしょうが!アンタのせいでリカバリープラン全部吹っ飛んだわよバーカ!!!この淫乱ピンク!」

「い、淫乱ピンクぅ⁉︎」

 

 

:淫ww乱wwピwwンwwク

:紫思ってた以上にポンコツで草

 

 

「なんですかなんで貴女にそこまで言われなきゃならないんですか⁉︎まだ2回しか顔合わせて無いでしょう⁉︎」

「そこよそこ!!!警視庁で私の変装見破った上に違う資料渡しやがって!」

はーーーー????あれ単純に私が渡す資料間違えただけですしーーーー???そもそも黒河権三氏の屋敷の青写真なんて警視庁にあるわけないでしょうが頭弱々ですかあああああ?????wwww」

「あーもうアッタマ来たTöten(ぶっ殺す)!」

Your head would look good at the end of a pole!!!(貴公の首は柱に吊るされるのがお似合いだ!!!)

 

 

:めぐねえ、めぐねえ、それ自分のおっちょこちょいぶりも言っちゃってる

:自爆すんなwww

:めぐねえって煽り耐性低かったんやな‥‥

:パパパパパウワードドン

 

 

ヴィオレットが腰から棒状の何かを抜いて殴りかかってきたのでこちらも特殊警棒を抜き、それを弾く。よーし待ってろその顔面前が見えねェにしてやるからな!!!

 

 

:あーもう滅茶苦茶だよ。

:これどっちが何の得物使ってんだ?動き早過ぎて見えねえんだけど。

:えーと‥‥‥アカン、軌跡しか見えへん。なんか紫の方は光ってるっぽいから電気系?

:電気系って事はスタンガンとかか?

:振り回してるって事はあの突き出すタイプじゃねえだろ。あれか?メタルギアで出てきたスタンロッドみたいな奴か?

:ああ、ピースウォーカーの。

:めぐねえのは前のサイコパスの事件の時に使ってたな、伸縮式の特殊警棒だ。

:‥‥前から思ってたんだけどめぐねえの警棒捌きって普通にすげえよな

:それな。ここだけ『るろうに剣心』みてえだもんな

:めぐねえに逆刃刀持たせたらすげえ様になりそう(小並感)

:袴着ためぐねえに逆刃刀持たせて多対一の斬り合いか‥‥アリだな

:そこまで言ってねえ

:でも原作めぐねえって十字架持ち歩いてたし、シスター服に無骨なロングソードとかも似合いそうじゃね?

:そこまで言って‥‥‥確かにアリだな?

:はいはい皆さん、現実逃避してないでこのカオスな状況に目を向けましょうねー

:はーい

:はーい

:はーい

 

 

めぐねえの別衣装談義に花を咲かせていたスレ民達が現実に戻って来て最初に見た光景は、地下階段の様な場所で、互いに絡み合った様な状態で倒れ込むめぐねえと怪盗ヴィオレットの姿だった。

めぐねえが気絶したのか、感覚共有モードも切断されてしまう。

 

 

 

 

───

──────

 

 

 

214:名無しの転生者

‥‥‥

 

215:名無しの転生者

‥‥‥

 

216:名無しの転生者

‥‥‥

 

217:名無しの転生者

‥‥‥OK、何があった?

 

218:名無しの転生者

殴り合いの中でなんか変なスイッチでも押したのか知らんけど、急に床が抜けて階段転がってあの状況よ

 

219:名無しの転生者

簡潔な説明サンクス

 

220:名無しの転生者

‥‥どうする?

 

221:名無しの転生者

どうするったって、なあ?

 

222:名無しの転生者

基本掲示板から各世界への干渉ってのはできないからなあ。めぐねえが無事な事を祈るしかねえ

 

223:名無しの転生者

ちょっと仏様拝んで来るわ

 

224:名無しの転生者

ウチもちょっと神に祈祷を‥‥

 

225:名無しの転生者

アタシ神とか信じない系のシスターなんだけど聞いてくれっかね

 

226:名無しの転生者

うちのフクキタルが三冠取った運をちょっと分けたるわ

 

227:名無しの転生者

⁉︎

 

228:名無しの転生者

何だコイツら⁉︎

 

229:名無しの転生者

い、いつぞやの宗教関係者‘s⁉︎

 

230:名無しの転生者

>>225

せめて信じるフリをしろwww

 

231:名無しの転生者

>>226

フクキタル三冠おめでとう*2

 

232:名無しの転生者

よりにもよって運キチのフクキタルから運をお裾分けとかシラオキ様なかなかやる事ドSで芝

 

233:名無しの転生者

芝生やすなウララが走れないだろ

 

234:名無しの転生者

>>232

フクの運勢は無尽蔵なのでセーフ

 

235:名無しの転生者

どこからか奇声が聞こえて来たな‥‥*3

 

 

 

───

──────

 

 

「クソ、クソクソクソ!なんだってこんな面倒な事に‥!」

 

 

やあみんな(気さくな挨拶)、さっきぶりだね。

ハゲ(黒河権三)の側近だ。

今目の前でただでさえ少ない髪の毛をかきむしっているウチのハゲだが、なぜあんな自分の髪を虐めるような真似をしていると思う?

 

 

「なあおい!なぜ数億円かけて作った隠し地下がこうもすぐバレる⁉︎ええ⁉︎」

「で、ですから私に聞かれましても‥!」

 

 

そう、このハゲの悪行の数々の証拠が詰まった隠し地下が怪盗ヴィオレットと佐倉刑事にバレたんだ。馬鹿みたいだね。なぜか知らないけど2人とも気絶した状態で発見されたから実際に見たかどうかは定かではないけども。

 

今はこのハゲの命令で2人ともふん縛ってその隠し地下に監禁している。

そう、怪盗ヴィオレットの方はまだしも、()()()()()()()()()だ。しかもこのハゲ、佐倉刑事が連絡係って事と、近くに警官隊が待機してるって事を忘れてる。もう面倒だから言わないけどな!

 

 

ん?前に出て来た時と随分キャラが違くないかって?

 

 

 

こんな数え役満みてえな状況でキャラを維持できるわけねえだろクソが!!!

 

 

 

 

あーもう、どうやって逃げよう‥‥‥

*1
サラシソムリエが一瞬でやってくれました

*2
なお投稿者はまだ取れてない模様

*3
イヤーッ!ゴムタイナァ-!




多分次くらいには終わるかな?(曖昧)
怪盗編が終わったら活動報告でやってるアンケートの方を作品内に出すので、弊めぐねえに持たせたい銃器とかがあればお急ぎくだせえ。まあ装甲車両とか出てきちゃったんでもう何でもいいです(ぶっちゃけ)


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【悲報】新人刑事ワイ、新進気鋭の女怪盗に喧嘩を売られる (4)

ワクチン2回目の副作用で死にかけたので初投稿です。

前回の後書きで、めぐねえ銃器アンケートについて「装甲車両とか出ちゃってるのでもう何でもいいです」とかまたその場のノリで口走った投稿者がいるようですが、その結果、多数のネタ武器、分類に困る武器、遂にはみんな大好き『空飛ぶトーチカ』までもが投票されました。どうしろと。
言っちゃったのは投稿者なので今更引き下げたりはしませんが、なんかここまで来たらどこまで行けるのか気になってきたのでもっと頑張ってみましょう。(一転攻勢)あ、真面目に武器考えてくれたりする兄貴も嬉しいっすありがとナス!

みんなも副作用に備えて食料(ゼリー系もあると良いぞ!)と飲み物(ポカリがオヌヌメ)と薬(投稿者はバファリン派)を用意しておこう!38.9℃まで熱が上がって死にかけた(過言)投稿者との約束だぞ!!!

11/29 誤字修正しました。kuzuchi兄貴ご報告ありがとナス!


354:名無しの転生者

あれからどんぐらい経った?

 

355:名無しの転生者

多分2時間ぐらいやないか

 

356:名無しの転生者

未だめぐねえは応答無しか

 

357:名無しの転生者

まさか階段転げ落ちたせいで死んだって事はないよな?

 

358:名無しの転生者

アレが死ぬと思うか?

 

359:名無しの転生者

>>358

いや、割と危ない時あったやろ。サイコパス戦とか

 

360:名無しの転生者

>>359

そういやそうやったわ‥‥スマソ

 

361:変態糞戦車長

なんかちょっと目離してたら何があったこれ。

 

362:名無しの転生者

お、Ⅱ号兄貴やんけ。なんか見ないと思ったらおらんかったんか

 

363:名無しの転生者

誰かⅡ号兄貴に3行解説をして差し上げろ

 

364:名無しの転生者

おかのした!

 

➀ポンコツ紫、変態ソムリエ達に変装を一瞬で見破られる。

➁逆ギレしたポンコツ紫と煽り耐性0淫乱ピンクがるろ剣顔負けの斬り殴り合い。

➂唐突な床抜け

 

365:変態糞戦車長

????

 

366:名無しの転生者

分かって頂けてねーじゃねえか!このタコ!

 

367:名無しの転生者

ワイらだってよく分かってねえのにどう説明しろと⁉︎

 

368:変態糞戦車長

よし、とりあえず状況が混乱している事は分かった

 

369:名無しの転生者

>>368

優秀

 

370:名無しの転生者

>>368

えらい

 

371:名無しの転生者

>>368

そこに気づくとは‥‥貴官は天才か?

 

372:変態糞戦車長

もしかしてバカにされてる?

 

373:名無しの転生者

 

374:一般モブ警察官

多分されてると思いますよ

 

375:名無しの転生者

⁉︎

 

376:名無しの転生者

⁉︎

 

377:名無しの転生者

突然出てくんなwww

 

378:名無しの転生者

生きとったんかワレェ!!!(歓喜)

 

379:一般モブ警察官

生きてた

 

380:変態糞戦車長

とりあえず生きてて良かったわ

 

381:名無しの転生者

めぐねえ今どんな状況?

 

382:一般モブ警察官

なんか気絶してる間に捕まったみたいで多分ポンコツ紫共々縛られて放られてますね。目隠しされてるからよく分からんけど

 

383:名無しの転生者

⁉︎

 

384:名無しの転生者

⁉︎

 

385:名無しの転生者

えぇ‥?(困惑)

 

386:名無しの転生者

いや、まあなんとなくそんな気はしてた

 

387:名無しの転生者

悪い噂いっぱいおっぱいなハゲの屋敷の隠し地下とか絶対見ちゃいけない奴だよなぁ?

 

388:一般モブ警察官

階段転げ落ちてそのまま気絶したんで部屋の中身とか一切見てないんですがそれは‥‥

 

389:名無しの転生者

後から来た奴らからしたら見たか見てないかなんて判別できるわけないし多少はね?

 

390:名無しの転生者

薄い本クルー?

 

391:一般モブ警察官

来ません!!!(迫真)

 

 

 

───

──────

 

 

ヴィオレットが目を覚ました時には、既に両手両足をダクトテープで縛られていた。体を揺すっても、ギチギチとテープが鳴るだけで切れる気配は微塵もない。

 

 

「(クッソ、やられた‥‥)」

 

 

周囲を見回せば、いくつかのキャビネットとネットワークサーバー、天井近くについた採光用と思われる小窓、そして階段がある。見たところ隠し部屋だろうか。

 

 

「(‥‥あー、思い出した)」

 

 

そこまで考えついたところでこうなった経緯を思い出した。原因の7割はあの淫乱ピンクのせいである(責任転嫁)

‥‥‥そうだ。その淫乱ピンクはどこに行った。あいつだけ逃げおおせたとかだったら向こう数年は呪うぞ。

 

 

「んむー?」

 

 

すると、背後からくぐもった声と、後ろ手に拘束された手の平を突っつく感触。

可動域ギリギリまで後ろを向くと、あの憎きピンク色の髪が視界に入った。どうも淫乱ピンク共々縛られた上でさらに2人の体をダクトテープで纏めているらしい。業界用語で言えば“連縛”というやつだ。‥‥最悪。

ああもうなんかコイツの髪からいい匂いするし‥‥!

 

というか、なぜくぐもった声をしているのだろうか、ともう一度淫乱ピンクの方を向いてみる。

 

 

「‥‥‥なに、アンタ口塞がれてるの?」

「んむん。んーっ」

「何よ‥‥あぁ、目も?」

「んむん」

 

 

ヴィオレットは目も口も塞がれていないのだが、ぐいーっとこちらを向いた淫乱ピンクを見てみると、目口両方にダクトテープが貼られていた。あのハゲが淫乱ピンクを恐れているというのは知っていたが、そこまでするか。‥‥‥いや、むしろまだ足りないのでは?(疑念)

 

 

「ま、アンタも裏業界じゃ有名人って事ね」

「んむー‥‥ん、んーむ」

「今度は何?」

 

 

淫乱ピンクがやけに手を突っついてくる。正直くすぐったいからやめて欲しいのだ。構ってちゃんか?

 

 

「んー!!」

「何よもう!くすぐったいのよ!」

「んむぉ‥‥んむん、んん!」

 

 

淫乱ピンクは手を突っつくのをやめると、今度は床をトントンと叩き始めた。

‥‥いや、待った、やけに決まったリズムで叩いてるわね。

 

 

‥‥‥

 

 

 

ーーーーー・ー・・・・・

 

 

 

ーー(M) ーーー(O) ・ー・(R) ・・・(S) (E)

 

 

 

MORSE(モールス)

 

 

 

「モールス符号?」

「んむん」

 

 

今度は『YES』と来た。器用だなこの刑事、今時モールスなんて専門的な職業か趣味でしか使わないと思うのだが。しかも欧文符号だし。

いや、この淫乱ピンク妙に万能なところ*1あるから知っていてもおかしくないか‥?

そして続けてトンツートンと。

 

 

『WHAT TIME IS IT NOW ?』

 

「今何時かって?えーと、ちょっと待ちなさいな‥」

 

 

腕時計は付けているが流石に見れないので、何かないかと再度部屋を見回す。

──────あった、高価そうな置き時計(血痕付き)。犯行の凶器か何か?せめて拭けよ‥‥

で、今がちょうど24時になったところ‥‥‥予告した時間じゃない!!!

 

 

「うわ、あーもう最悪‥‥今ちょうど24時よクソが‥‥」

「んむ?むー‥‥」

 

 

トントントン。

 

 

『WAIT A MOMENT』

 

 

この刑事、なぜか少し待てと言う。悠長に待ってられる状況でもないと思うのだが。下手したら2人揃ってJapanese “USUI BOOK(エロ同人)”みたいな目に遭ってしまうと思うのだが???

 

 

『POLICE IS COMING』

 

 

は?‥‥‥あっ(察し)

 

顔を青くするヴィオレットを横目に、拘束された際に取り上げられた無線機がキャビネットの上で鳴っていた。

 

 

 

 

───

──────

 

 

同時刻

 

 

黒河の屋敷からほど近い道の駅の駐車場。

電灯に照らされただだっ広い駐車場には、数多くの警察車両が停車していた。いずれの車両も、車体には『警視庁』とある。

ここにいるほとんどの警官は、怪盗ヴィオレット逮捕のために待機していた捜査二課の捜査員達だ。彼らは、出動の時を今か今かと待ち構えている。

 

 

 

その車両群の中にある、マイクロバスタイプの指揮車。

中では、捜査二課長:海田 瀬次郎と、二課の捜査員2人が無線機に張り付いていた。

 

 

「‥‥応答は?」

「‥‥ダメですね、ありません」

 

 

無線機を操作していた捜査員がヘッドセットを外しながら言った。

 

 

「張り込み中の城之内は、屋敷にこれといった動きはないと言ってます」

「予告時間を過ぎたにもかかわらず、か」

「どうしますか?」

 

 

捜査員からの問いに、海田は腕組みをして、壁に寄りかかりながら答える。

 

 

「‥‥怪盗ヴィオレットは盗みの腕だけ見るとそこらの下着泥棒より劣るが、予告時間を厳守する事と、我々の前で姿を晒すというその大胆な行動だけはやめた事がなかった。そいつが予告時間を誤魔化したとも思えん。武藤、屋敷に直接電話をかけてみろ」

「了解」

 

 

武藤と呼ばれたツンツン頭の若い刑事が電話を掛けた。

それを固唾を呑んで見守る捜査員と海田。

数分後。

 

 

「‥‥はい、失礼します」

「どうだった」

「ダメです。『怪盗は来なかった』『佐倉刑事は帰った』『お前らも早く帰れ』の繰り返しですよ」

「怪しいな」

「怪しいですね」

「佐倉刑事のGPSはどうだ?」

「まだ屋敷の中です。無線の応答もありません」

「なんらかの理由で拘束されたとかですかね」

「だろうな。さて‥‥無線を貸せ」

 

 

ところで読者諸氏、先程の駐車場の描写を覚えているだろうか。

 

 

 

 

【ここにいるほとんどの警官は、怪盗ヴィオレット逮捕のために待機していた捜査二課の捜査員達だ。】

 

 

 

 

【ここにいるほとんどの警官は、】

 

 

 

 

【ほとんどの警官は】

 

 

 

 

【ほ と ん ど の】

 

 

 

 

そう、あの場にいた警察官全員が二課所属だった訳ではない。

 

 

 

 

海田が無線のチャンネルを変更した。

 

 

 

 

「ブルーアイズよりサクラ、満月は墓穴を掘った、繰り返す、満月は墓穴を掘った」

 

 

 

 

どこかで、エンジンが始動する音がした。

 

 

 

 

 

 

───

──────

 

 

 

 

 

24:28

 

夜の山は静かだ、と屋敷の門の見張りに立っている一般警備員は思った。

屋敷の中の方は一般警備員が所属する会社ではなく、屋敷の主人の部下‥言い方は悪いが私兵が直々に担当しているため、現在進行形で起こっている騒ぎをこの一般警備員が感じ取る事はない。門から屋敷まで無駄に遠いものだから情報がなかなか伝わって来ないのだ。無線?あるにはあるが妙に騒がしいだけだ、呼びかけは一切来ない。何してんだろうね。

 

 

もうすぐ秋という事もあり、満月に照らされた山々は若干色づいているように見える。

 

ああ、今すぐにでも月を肴に一杯やりたい。

今度の休みは遠出して温泉にでも行こうか───と考えていたその時である。

 

 

 

──────ォォォォォォォォォォ──────

 

 

「‥‥‥‥?」

 

 

風の音に紛れてそんな音が聞こえてきた。山の中で野良犬が遠吠えでもしているのだろうか。まさか狼という事も無いだろうし。

‥‥いや、違う。遠吠えにしちゃ音が低い。

 

人間、暇な時に気になることがあるとそればかり考えてしまうものである。目を閉じ、耳を澄ませる。

 

 

 

───ゴォォォォォォォォォォ

 

 

 

うん、やはり違う。遠吠えでは無い。

これはもっと‥そう、近い例を挙げるなら、昔自衛隊の記念行事だったかを見に行った時に聞いた、装甲車とか戦車のエンジン音だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

装甲車とか戦車???

 

 

 

 

 

 

 

目を開けると、満月に照らされた道路の先に、パッ‥‥パッ‥‥と光が増えていくのが見えた。

あれは、ヘッドライト?

だとしたら複数台、今見えるだけでも‥‥‥多分7台以上はいる。

 

 

なんとなく嫌な予感がして、脇に置いてあった突入防止バリヤー*2を慌てて引っ張り出した。

あと、詰所に置きっぱなしにしていた誘導棒*3を取り、電源をつける。

 

その間にもヘッドライトの列はどんどん近づいてきている。‥‥いや、列なんて物じゃない。行列だ。

待った待った待った、何台いるんだあれ???

 

 

「停まれーーーーーーー!!!!!!停まれーーーーーーーーー!!!!!!」

 

 

誘導棒を振り、車列に停止を促す。

‥‥おっかしいな、停まる気配がないぞ。

 

 

 

 

 

 

 

「退けえええええええええええ!!!!!!!!!」

 

 

ヴァアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!(迫真)

 

 

「ぎゃあ⁉︎」

 

 

空気を震わせるほどの怒声と警笛にビビり散らかし、慌てて左車線から飛び退く。

 

 

次の瞬間、車列先頭の車両が、突入防止バリヤーを高々と吹っ飛ばし、正門を突破した。

後続の車両が次々とそれに続く。

 

尻餅をついたままポカンとしていると、車列最後尾の車両だけがゆっくりと速度を落とし、ついでに方向を変えて、門を半分塞ぐような形で停車した。

 

白黒の車体に、赤い警告灯。そして車体横にプリントされた[警視庁]の文字。

 

 

「いやあ、お怪我はありませんか」

 

 

パトカーから降りてきた警官が、気まずそうな顔をしながら手を差し伸べてきた。

 

 

 

 

 

 

 

そういえば、あの先頭車両はなんで突入防止バリヤーを易々と突破できたのだろうか…

 

*1
ソムリエ達の教えの賜物

*2
防衛省の正門とかに置いてある黄色と黒の三角っぽいやつ

*3
交通整理とかに使う赤い棒




次は確実にドンパチ&怪盗編終結まで持って行けるので許し亭許して‥



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【悲報】新人刑事ワイ、新進気鋭の女怪盗に喧嘩を売られる (5)

展開の都合上掲示板要素が存在しないので初投稿です。

あと、前から使っている表現で“斜体”があるんですが、本作では『外国語会話』という意味で使用しています。今更ですがご了承下さい。

11/17 誤字修正しました。phodra兄貴誤字報告ありがとナス!
11/18 ルビに不備があったので修正しました。リア10爆発46兄貴ご報告ありがとナス!


ハゲがその事態に気付いたのは、車列が正門を通過してから30秒ほどしてからだった。監視カメラのモニターをしていた黒服の1人が、慌てた様子でやってきたのである。

 

 

け、警察が、戦車?が、パトカーを引き連れて、た、大量にです!

 

 

どうにも錯乱していたので詳しくは分からないが、つまりは警察がやってきたとのことらしい。戦車がどうとかは多分見間違いだろう。

そんな物を持つ警察がどこにいるのだ。

先程二課の刑事からかかってきた電話には、ハゲが直接「怪盗は来んかったし、あの刑事はもう帰った!貴様らも早よ帰らんか!!!」と懇切丁寧*1に伝えたはずなのだが。

 

 

「ええい、出入口と窓は全部閉鎖しろ!」

「は?‥‥はっ!」

 

 

別の黒服にそう命令すると、正面出入口と、ありとあらゆる窓に強化シャッターが降りた。

この強化シャッターは、一般的な5.56mm弾や7.62mm弾に対する完全な防御力を備えた特注品。その上、窓は防弾ガラス、正面出入口に使用されている観音開きの扉は普通乗用車の突進に耐えられる材質と作りになっている。

 

ひとまずはここまでしておけば、警察が何を言ってこようが突破される事はないだろう。

万が一、いや億が一、警察が血迷って逮捕状などを持ってきた場合は、突破に手こずっている隙に各所に手を回して圧力をかけさせるのだ。

 

うーん、これは完璧。我ながらこの完璧な頭脳が恐ろしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「(───とか浅ェ事思ってンだろうなァ)」*2

 

 

と、既に逃走の手段を考えている側近は思うのだ。みんなもそう思うだろう?

いや、だって考えてもみてほしい。

今しがた、錯乱状態にあった黒服1人を4人がかりで落ち着けて、話にあった監視カメラの映像を見てきたのだが、いや、うん。とりあえずこれを見てくれ。

 

 

(爆走する戦車?とそれに続くパトカーの群れ)

 

 

きっと地の文はなんて表現すればいいか分からなくて『戦車?』とか書いているだろうが*3、ここで他の黒服のオタク趣味が光った。

 

 

「えっいやこれは‥‥」

「どうした、この戦車が何か知ってるのか」

「いや、うーん‥‥知ってるっちゃ知ってます。イギリス製の偵察戦闘車ですよ。しかもバリバリ現役の。あーあー、ご丁寧に青と白で塗装までしちゃって」

「‥‥は?」

「‥‥‥なんでですかね???」

「俺に聞くな???」

 

 

正式名称をFV107 シミターと言うそうだ。

いや、でも今は、そんな事はどうでもいいんだ。 重要なことじゃない。

問題は、この物騒なのがこの屋敷に向かって多分70km/hぐらいでバクシンして来ていることだ。

5人揃って円陣を組んで緊急ヒソヒソ話である。

 

 

 

「これ多分よ、ポリ公やる気だよな」

「何のやる気です?」

「そりゃお前、『殺る』気よ」

「あっ、そっち‥」

「多分ですけど、原因ってあの女刑事じゃないですか?」

「多分っていうか十中八九それでしょ、絶対間違いないです。花京院の魂を賭けてもいい」

「花京院ェ‥」

「今から解放するとして間に合いますかね」

「無理だな。いくらこの屋敷の敷地が馬鹿みたいに広いったってあと1分足らずで到着するぜ」

「‥‥」

「‥‥」

「‥‥」

「‥‥俺今から屋敷抜け出して警察に自首しようと思うんだけどよぉ、ついて来たい奴いる?」

「「「「(無言の挙手)」」」」

「草」

 

 

 

 

───

──────

 

 

「特車1よりサクラ、屋敷を視認。城之内巡査の報告通り、窓や出入口が封鎖されている模様」

《サクラ了解。特車1は出入口前で停車、他は順次減速、停車して降車。武装して備えろ。一番槍はSITだ、特車1のケツに付け》

 

 

屋敷前、出入口の方を向いて戦車‥‥ではなく偵察戦闘車ゲフンゲフン特車が停車。その後ろに、刑事部捜査第一課特殊事件捜査係、通称『SIT』が配置についた。

他の刑事・警官達も、各々なぜかバラバラの銃器を装備し、パトカーや特型警備車、塀*4の陰で待機している。

 

 

《サクラより特車1、発砲せよ》

「特車1了解!撃つぞォ!耳ぃ塞いどけよぉ!」

 

 

特車1の車長はキューポラから身を乗り出し周囲の警官に警告を促すと、いそいそと砲塔の中へ戻った。中には、砲手と操縦手がいる。

 

 

「や、やりますか」

 

 

緊張気味の砲手が言った。

 

 

「おうよ。弾種徹甲、発射弾数は10!」

「弾種徹甲、発射弾数10!‥‥なんで僕ぁ装甲車に乗ってるんだ‥‥発射用意良し!」

()ッ!!!」

「ッ!」

 

 

砲手がトリガーを引いた瞬間、大体の日本人が経験したことの無い爆音がキッチリ10回、夜の空に響いた。

30mm徹甲弾をモロに食らった強化シャッターは、扉もろともまるで障子紙に指を突き刺したみたいに簡単に穴空きと化した。

 

 

「前進!」

 

 

6気筒190馬力のディーゼルエンジンが唸りを上げ、履帯がアスファルトを掴み車体を前へ前へと導く。

穴だらけになった強化シャッターと扉が7.8tの巨体に耐えられるはずもなく、メキミシベリバキバキバキと、まるで最中でも割るみたいに粉々に踏み潰された。

 

 

その時である。

 

 

突如響く複数の銃声に続いて、装甲板を銃弾が叩く音と火花。操縦手がうひっ、と驚きの声を上げる。

見ればそこはホール、扉の陰や廊下の角、家具の陰に身を隠した黒服が、拳銃や短機関銃でやたらめったら撃ちまくっているではないか。

可愛い物である。

 

 

「特車1よりサクラ、玄関は開かれたものの、中から多数の銃撃。特車1に当然被害はないが、このままでは突入は困難と認む。制圧射撃を行う」

《了解。存分にやってやれ》

「砲手!ありったけばら撒いてやれ!」

「警察ってなんだ‥‥」

 

 

砲手が、既にハイライトが無くなりつつある目をしながら同軸の7.62mm機関銃を掃射する。

アメリカ的に言えばM240、イギリス的に言えばL37A1と呼ばれる傑作機関銃から放たれた7.62×51mmNATO弾は、フローリングに弾痕を拵え、壁紙をズタボロにし、ついでに黒服を何人か吹き飛ばした。

あとホールにデカデカと飾ってあったハゲの肖像画は穴あきチーズになった。

 

 

 

《サクラより全隊、突入、突入、突入。我らがバカヒロインを助け出せ》

 

 

「突入!!!」

「隊長命令ェ!!!一斉に突入!!!検挙せよォ!!!」*5

「オオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!」

 

 

司令部からのその無線を皮切りに、警官隊、機動隊、SITの全員が駆け出した。怒りに身を任せた作戦なんてこれっぽっちもない脳筋戦法。

 

 

いわゆる万歳突撃である。

 

 

「おぉおおおおおお!!!!!!」

「進めぇ!!!」

「検挙ォーーーー!!!!!!」

「テンノウノタメニー(不敬)」

「警視庁や!!!早よ開けんかいゴラァ゛!!!」

「開いてるんだよなぁ」

「俺は攻撃を行う!」

「ダメだ!」「ダメだ!」「ダメだ!」

「ダメかぁ‥(´・ω・`)」

 

 

SIT隊員が統率された動きでMP5SFKを構え、着実に黒服を無力化する。1番見てて安心する動き。

 

機動隊員は部屋の中にこれでもかと催涙ガス弾を撃ち込み、黒服が頑張って作ったなけなしのバリケードに放水(秒間50L)を叩きつけ、びしょ濡れの黒服を大楯と拳で殴る。

 

最もカオスなのは一課刑事・警官隊。

レミントン M870でドアの蝶番を吹き飛ばす刑事もいれば、陰から襲い掛かってきた黒服をSTI ストライクガンを用いたCQCで制圧する警察官もいる。挙句の果てには、WW2時に『ヒトラーの電気ノコギリ』と連合軍兵士に恐れられたMG42を2人がかりで運用し(片方が肩に乗せ、片方が撃つ)、多数の黒服を釘付けにする刑事もいる。どうも『装備を統一する』という概念が彼らには存在しないらしい。

 

 

最後だけ火薬とドンパチの匂いが一層キツくなってむ せ るが、刑事部と一般警察官がこうなったのも直接的・遠因的な物も含めて全部佐倉刑事のせいである。反省しろ。

 

 

 

 

───

──────

 

 

 

そんな頭おかしい奴らに拳銃や短機関銃如きが敵うはずもない。30分もしないうちに、屋敷中の黒服達は護送車に詰め込まれるか、死体袋に詰め込まれるかの2つになった。

しかし、肝心の佐倉刑事が見当たらない。

 

 

「そっちはどうだぁ?」

「1階はあらかた探したがどこにもいないぞ」

「つーか黒河もいねえしな。生きてた黒服には聞いたか」

「なんか知らないうちにいなくなったっつってたぞ」

「なんだそりゃ」

「‥‥こういうのってよ、マンガとかだと大抵隠し通路かなんかで逃げてんだよな」

「ああ、よくあるな。古い下水道とか」

「‥‥‥」

「‥‥‥」

「「ヤバくね?」」

 

 

 

───

──────

 

 

 

「(最悪‥)」

 

 

怪盗ヴィオレットは、本日何回目かも分からない悪態を心の中でついた。

現在位置は、屋敷から少し離れた古い地下水道。

 

 

「ちゃっちゃと歩かんか!」

 

 

その数歩後ろには、黒く煤けたスーツ姿のハゲ、黒河権三。その手には、ゴッテゴテに装飾されたCz75。

それに蹴っ飛ばされるのは、相変わらず目と口を塞がれ、後ろ手に拘束された状態の淫乱ピンク。足だけは歩かされるために一部拘束を解かれているが、中途半端なためにどうしてもひょこひょこと歩く事になる。

因みに、同じように(ヴィオレットは新たに猿轡を咬まされた)拘束されているヴィオレットは先頭を歩いている。

 

歩く順番が逆なら、多少覚えのある蹴り技でこんなハゲなんぞ一瞬で制圧してやるのだが、いかんせん淫乱ピンクが間にいるせいで射程外。うーん詰み!

 

 

きっと今頃、警察は屋敷を滅茶苦茶に荒らした挙句、このハゲと淫乱ピンクと私が見つからない事にてんやわんやしているだろう。どうしてこうも日本警察は詰めが甘いのか。おっと、お前は最初から甘いだろというツッコミは無しだ。

 

 

「ふふふ‥‥証拠を一切処分できなかったのは痛恨の極みだが、まあ司法なんて金でどうにでもなる。あの無能どもが屋敷を荒らしている間に海外へと高飛びしてしまえば、あとはワシの勝ちじゃ‥‥お前らにもついて来てもらうぞぉ?顔のいい女はよく売れるからな」

 

「(こンのクソハゲ‥‥)」

 

 

ハゲがきっっっったない笑い声を上げるのを顔を顰めながら聞いていると、地下水道にも終わりが見えて来た。

 

 

 

外に出れば、そこは暗い暗い森の中。地下水道から流れ出た水が、チョロチョロと小川を形成して流れていっている。

満月は随分と空高くまで昇っていた。

 

 

「(‥‥‥ん?)」

 

 

突如、視界が赤く点滅した。

200mほど向こうの木の上。

満月の光に照らされる黒い影から、赤い光が点滅している。

レーザーサイト。

 

 

「(‥‥スナイパー‼︎)」

 

 

その存在を認識してからヴィオレットは早かった。

後ろ回し蹴りの要領で、淫乱ピンクを右足で絡め取り、その勢いのまま倒れる。

 

ドサッと、音が2つ。

 

 

「あ?」

 

 

その場に立っているのは、黒河権三のみである。

 

 

 

 

 

 

《あンのクソピンク何やってんだ‥‥》

 

 

 

 

 

夜の山中に、パシュッ‥とくぐもった音が響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あがあああああああああ⁉︎⁉︎⁉︎」

 

 

黒河が、右足を押さえ倒れ込んだ。

 

 

「ばっ、ヒュッ、ぐぉおおおおおお‥‥‥こ、このワシを撃つ、ふ、不届き者はどこのどいつだぁああああああ!!!」

 

 

激昂した黒河が、暗闇に向かってCz75を乱射する。

当然、その弾丸が暗闇のスナイパーに届くことはない。

ただし、

 

 

パシュッ

 

 

「っがああ!!!」

 

 

スナイパーの弾丸は悠々と届くのだ。今度はCz75を握っていた手を撃ち抜かれた。Cz75が衝撃で何処かへと飛んでいく。

 

 

「はあっ‥‥ぁはあっ‥‥なんだ⁉︎何が目的だ⁉︎金か⁉︎金ならいくらでもくれてやる!今なら女もつけるぞ!」

『いらねえよこんな奴ら』

 

 

暗闇から、ギリースーツに身を包んだ男が現れた。その手にはサイレンサー付きの狙撃銃が握られている。確かソ連のドラグノフ狙撃銃だ。

 

 

『よおオッサン、この写真の男に見覚えあるか』

「な、なんだ───」

 

 

何やらスナイパーと黒河が話を始めてしまったので、ヴィオレットはいい加減拘束を解く事にした。

先程倒れ込んだ時に、地面にいい感じに尖ったガラス片を見つけたのである。怪盗には運も必要なのだ。

 

 

「‥‥っぷは、あ゛ー、苦しかったわー‥」

 

 

手と足の拘束を解き、口に貼られたダクトテープも剥がして、口の中に詰められた布やらなんやらも引き摺り出す。

これのせいで息苦しいったら無かったのだ、クソッタレ。

 

 

「世の中にはこんなのに興奮する輩もいるっていうけど‥」

 

 

おおよそ私には理解できないわね、とヴィオレットは思った。

 

 

「‥‥ついでに解いてやるか」

 

 

未だ厳重に拘束された状態で地面に転がっている淫乱ピンクを見て、ちょっとかわいそうに思えて来たので拘束を解いてやる事にした。

 

 

「淫乱ピンクー、今から拘束解くから。感謝しなさいよ?」

「‥‥‥‥」

 

 

手、足、目、口、とりあえず一通りの拘束を解いた。

意識はハッキリとしているのか、手をにぎにぎとしたり、肩を回したりしている。

 

全くの無言で。

 

 

「ちょっと、お礼の1つでも言ったらどうなの───」

 

 

少しイラッとして、淫乱ピンクの顔を手で挟んでこっちへ向けさせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

瞬間、ヴィオレットの背筋が凍った。

 

目が据わってる。ハイライトもない。

額に青筋が浮かんでいる。

血が滲み出るほどに拳を握りしめている。

あとなんか背後にドス黒いオーラが見える。

 

 

結論:淫乱ピンクガチギレ案件

 

 

「武器はどこですか」

「──────へ?」

「武器はどこですか」

「え、いや、あの」

武器は どこですか

「(無言でCz75を差し出す)」

 

 

先程なぜかハゲのCz75が飛んできたので一応拾っておいたが、これが無かったら淫乱ピンクに殺されていたかもしれない。それほどの“凄み”があるのだ。こいつ本当に人間か?

淫乱ピンクはCz75の残弾を確認すると、しっかりとした足取りでハゲとスナイパーの元へ向かった。

 

 

『ってなわけで、そのブラジル人の親族、友人、恋人から連名で俺に依頼が来たわけだ。てめえの死ぬところをビデオに撮ってくれってな。好都合だ、このまま撮影と洒落込むか』

「その撮影私がしてもいいですか」

『あン?なんだクソピンク、邪魔すんな。あとアイルランド語で喋りやがれ』

An féidir liom pictiúr a thógáil de ag fáil bháis?私がこのクソハゲが死ぬ様を撮影してもいいですか

『お‥‥‥おう、なんだよ喋れんのかよ。あー、まあ撮影者は指定されてねえからいいか。‥‥‥いや待て、おめえ警官だろ。いいのか?撮影はするが』

『ええ』

 

 

「な、なんだピンクの悪魔‥‥ワシにな、何をしようと言うんだ⁉︎」

 

 

クソハゲが身体中のありとあらゆる穴から色々な液体を垂れ流しながらほざいている。

 

 

「おま、お前は、腐っても刑事だろう⁉︎犯罪者にも人権は適用される!警察官が殺人を見逃すなんぞあってはならない事なんだぞ!そんな事も知らないのか⁉︎早くこのクソ野郎を逮捕してワシを助けろ!」

 

 

さっき「司法なんて金でどうにでもなる」と言っていたのはどこのハゲだっけか。

 

 

「ええ、ええ。わかっていますとも。法の番人である警察官が、法を破るなんてあってはならない事です。ええ」

 

 

淫乱ピンクが仰々しくそう言った。それを聞いたクソハゲの表情が明るくなる。

スナイパーが何かを察したのか、ビデオカメラの電源をONにした。

 

 

「な、なら‥‥!」

 

 

淫乱ピンクが、清々しいほどの笑顔を見せた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「それはそれとして死ね」

 

 

 

 

 

 

 

 

その笑顔のまま、Cz75をクソハゲの股間に押し付けた。

ダン、ダン、ダン、と銃声が数発。銃声がなるたびにクソハゲの体が弾む。クソハゲの股間はことごとく粉砕された。

 

 

『あ、すいません。そのSVDお借りしても?』

『あ?あ、ああ、別に構やしねえが』

『どうも』

 

 

今度はスナイパーからドラグノフ狙撃銃を受け取って、パシュン、パシュン、パシュンと8発キッチリクソハゲの股間に叩き込んだ。クソハゲのクソハゲ♂残ってる?

 

 

『‥‥‥‥(ドン引き)』

『いや、ありがとうございました。弾代っていくらぐらいですか?』

『‥‥いや、いい。いらん。‥弾はまだあるがいるか?』

『あ、いいんですか?』

 

 

なぜかドラグノフに弾を装填してもう10発。

 

 

『あースッキリした』

『‥‥‥もう帰っていいか?具合悪くなって来た』

『あ、良いですよ。ご協力ありがとうございました』

‥‥‥あわよくば殺してやろうと思ったが気が乗らねえ

『何か言いました?』

『いンや何も。じゃあなクソピンク。またどこかで会おうぜ』

『ええ、ええ、ええ。首都高と警視庁での一件はキッチリ覚えてますから安心してください』

『覚えてんのかよ怖ッ』

 

 

スナイパーはドラグノフを受け取り、淫乱ピンクと言葉を交わした後、逃げるように闇の中へと消えていった。

 

 

「じゃあ、私帰りますね。ヴィオレットさんもお気をつけて」

「‥‥あ、何、こいつ置き去り?」

「このまま野犬の餌にでもなってもらいましょう」

「‥‥アンタって怒ると結構エグいタイプ?」

「さあ、どうなんでしょうね?」

 

 

そう言って、淫乱ピンクはまた笑った。

ヴィオレットはそれを見て、《笑うという行為は本来攻撃的なものであり獣が牙をむく行為が原点である》となんかのマンガで見たのを思い出した。*6

 

 

 

 

 

 

───

──────

【警視庁警察官監禁事件】

犯人:40名(17名射殺、18名逮捕、5名逃走)

被害:警察官

    死亡0名 負傷者3名

経過:黒河権三に対して、怪盗ヴィオレット(以下怪盗)からの予告状が送られたため本庁二課が警備を申し入れたが、黒河がこれを拒否。交渉の結果、連絡係を1名屋敷に配置し、屋敷側が怪盗を拘束、又は怪盗が逃走した場合に付近に待機する警官隊が派遣されるという手筈になった。

 

当日20:00ごろ、連絡係として派遣された佐倉 恵巡査部長(捜査一課)が、屋敷内にて変装した怪盗を発見。殴り合いの末に隠し扉を誤って開放し、2人揃って気絶。その隠し部屋には黒河権三が犯した違法行為の証拠となる物件が数多く保管されており、黒河権三はこの事態を受けて2人を拘束・同部屋に監禁した。

24:00ごろ、予告時間を過ぎても屋敷に動きが見られず、佐倉恵巡査部長とも連絡がつかない事、さらに、佐倉恵巡査部長に取り付けられた位置情報ビーコンが屋敷から動かない事から、佐倉恵巡査部長が不当に拘束された疑いがあるとして、警官隊を派遣。

結果、屋敷から銃撃を受けたため、突入。多数の関係者を無力化・もしくは逮捕した。

黒河権三は、屋敷から1km離れた地下水道出口にて遺体で発見。特に股間部の損傷が著しく、諸所の事情から佐倉恵巡査部長に事情聴取したが犯人は不明。

佐倉恵巡査部長はその地点から屋敷を捜索中の警官隊に合流した。

 

本案件においては、警官隊の一部にて過去に押収された装備が使用され、一定の効果を示したと判断された。押収装備品の扱いについて、これから議論が進められる予定である。

───

──────

 

*1
少なくともハゲはそのつもり

*2
エアシャカール(ウマ娘)すこ

*3
ギクッ

*4
余談だが、ブロック塀や家の壁(材質で違い有)に防弾能力はほぼ無いそうだ。良い子のみんなは銃乱射とかに遭遇したら車のエンジンブロックの陰とかに隠れよう!

*5
映画『突入せよ!〜あさま山荘事件〜』はいいぞ

*6
シグルイ第十六景より




本話における弊めぐねえの対応は正直意見が分かれるところではあると思うんですが、投稿者が執筆してて「なんかこいつ腹立つな」ってなったのでこうなりました(職権濫用)。

あと、本話を持って怪盗編が終了致しましたので、前から予告していた通り、活動報告でのアンケートは余裕を持って、11/19(金)21:00をもちまして〆切とさせて頂きます。

-追記-
すっかり忘れていましたが(池沼)、側近とその他黒服4人は無事自首を果たしました。やったね!


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押収品記録簿

番外編です。
2021年11月19日(金)21:00まで活動報告内にて行なっていたアンケート『第1回弊めぐねえの相棒(銃器)を決めようの会』で集計された銃器(銃器だけとは言っていない)を羅列したやつです。
なんか纏めてるうちに楽しくなって来たので(発狂済)読者諸氏にもお裾分け。

*(開発・販売社名)(品名)という並びになるように努力しましたが、どうしてもその辺りが分かんねかった物は空白になっていたりしています。社名も文献ごとに違いがあったりそもそも複数あったりで投稿者も訳わかんないので気になった方は自分でググって♡(他力本願寺)

*品名の文尾に全角空白+ローマ数字が記載されている物は、アンケートでの票数を表しています。とりあえずこの数字が大きいほど押収された個数が多い(ローマ数字≠押収された個数)と考えていただければいいです。CBJ-MS好きな兄貴姉貴多いね。

*細かい品名を記載することを優先している為、『戦車』『ショットガン』など、既出かつ指定範囲の広いものは省いております。予めご了承ください。ごめんな!でもちゃんと記録してるからな!

*ネタ武器も多数頂きましたが、なんか元ネタをいちいち記載するのも面倒ゲフンゲフン野暮なので色々探してみてください

*万和日本は徹底的にパラレルワールドです。



*重要*

以下に記載された物品は、過去に警視庁管内で発生した事件において()()()()()()()()ものである。

 

 

───

──────

 

 

・(開発・販売社名)(品名)

 

【銃器等】

[拳銃(機関拳銃含む)]

・イーゴリ・ステーチキン スチェッキンAPSB

・イングラム M10(MAC-10)

・キャリコ M950

・グロック G26

・コルト SAA バントラインスペシャル

・スイスミニガン Model Nr. C1ST

・セッジリー OSS.38 Ⅱ

・チェスカー・ズブロヨフカ国営会社 Cz75 SP-01(銃剣付)

・トーラス ジャッジ

・トーラス レイジング・ジャッジ

・トリプルアクション サンダー .50BMG(模造品)

・プファイアー・ワッフン Pfeifer Zeliska

・ベレッタ M92

・ベレッタ 92FS(サムライエッジめぐねえカスタム)

 ・(バリーモデル)

・ベレッタ M93R Ⅱ

・ロッキーマウンテンアームズ パトリオット

・AMT オートマグⅢ

・CSH コーナーショット

・FNハースタル Five-seveN

・Kel-Tec P50 Ⅱ

・L. Dolne a` Liege アパッチ・リボルバー

・STI ストライクガン

・模造品 ソードピストル

・模造品 銃付き大槌

・    試製拳銃付軍刀

・    ドッペルグロック(G-18Cアタッチメント)

・    トビー・レミントン(模造品)

 

[短機関銃]

・アレキサンダー・アームズ .50Beowulf AR-15

・ヴォエレ アメリカン180

・エンフィールド王立造兵廠 ステン短機関銃

・チェスカー・ズブロヨフカ国営会社 vz.61 スコーピオン Ⅱ

・ヘッケラー&コッホ MP5

 ・MP5K

・CBJテックAB CBJ-MS ⅳ

 

[PDW]

・ヘッケラー&コッホ MP7 Ⅱ

・マグプル PDR

・FNハースタル P90 Ⅲ

 

[突撃銃]

・アーマライト M16

・シグ SG550

・シュタイヤー・マンリヒャー AUG

・シルバー・シャドウ Gilboa Snake

・ヘッケラー&コッホ G11

・ヘッケラー&コッホ HK416F(HK269F 40mmグレネードランチャー付)

・ヘッケラー&コッホ XM-29 OICW

・豊和工業 20式小銃 Ⅱ

・ミハイル・カラシニコフ AK47 Ⅱ

・ロイヤル・オードナンス SA80A1(L85A1) Ⅱ

・FNハースタル SCAR-L

・FNハースタル SCAR-H

・Kel-Tec SUB-2000

・IMI マイクロ・ガリル・ポリス

 

[バトルライフル]

・スミス・エンタープライズ M14EBR(オプションいっぱい) Ⅲ

・デザートテック MDR

 

[散弾銃]

・イズマッシュ SAIGA-12

・ウィンチェスター M1897

・スタンダード・マニュファクチュアリング DP-12

・テイザー モスバーグ Taser X12

・フジ精器製作所 スーパーオート M2000

・フランキ SPAS-12 Ⅱ

・ミリタリー・ポリス・システム AA-12 Ⅲ

・レミントン M870 Ⅱ

 ・M870 ブリーチャー

 ・M870 (マスターキー仕様)

・Kel-Tec KSG

・TsKIB-SOO MTs-255

・TsNIITochMash KS-23

 

[機関銃]

・エンフィールド王立造兵廠 ブレン軽機関銃

・グロスフス MG42

・シグ MG338

・サコー・ディフェンス M60E4

 ・M60

・ゼネラル・エレクトリック M134

・ゼネラル・エレクトリック XM214

・FNハースタル ミニミ軽機関銃

・FNハースタル Mk48

・FNハースタル M240B

 

[重機関銃]

・ブローニング M2重機関銃

 

[狙撃銃]

・カラシニコフ・コンツェルン ドラグノフ狙撃銃

・デグチャレフ PTRD1941

・バレット・ファイアーアームズ M82A3

・マクミラン TAC-50A1R2

・PGMプレシジョン へカートⅡ

・Steyr .50HS

・VKT ラハティ L-39対戦車銃

・   三八式改造半自動狙撃銃

 

[ボルトアクション式歩兵銃]

・東京砲兵工廠 三八式歩兵銃

 

[擲弾銃]

・アームスコー MGL(MGL-140) Ⅲ

・ノリンコ QLU-11

・ワルサー カンプピストル

・ワロップ エクスカリバーMk.2

 

[無反動砲]

・エアトロニックUSA GS-777

 

[高射砲](立川国際空港保管)

・クルップ 8.8 cm FlaK

 

 

 

【車両等】

[装甲車両]

・アルヴィス plc FV107 シミター

 

 

【航空機等】

[固定翼機](立川国際空港保管)

・フェアチャイルド・リパブリック A-10C

・ボーイング B-52H

・ロッキード・マーティン AC-130A

 

 

【雑品等】

・スタングレネード 

・フラググレネード Ⅱ 

・フラッシュバン 

・コンポジットボウ 

・スリングショット 

・トマホーク(近接武器)

・レーザーガン 

・コンパウンドボウ 

・クレイモア(剣) 

・クラッカー銃(コショウ入り) 

・スレッジハンマー 

・火炎瓶 

・石(投石に使用された物)

・手裏剣 

・つぶて(指でっぽうに使用された物)

・暗器 

・丸太 

・ゲームキューブ 

・スリングショット 

・ダンベル 

・羅漢銭(銭投げ) 

・チェーンソー Ⅱ 

・エンジンカッター 

・火炎放射器 

・パンツァーファウスト(型式判別不能)

・『拳で風圧を起こす為の本』(民明書房刊)

・『身の回りにある物で戦う』(民明書房刊)

・『娑婆の肉を掴んで毟る』(民明書房刊)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【不明物品等】

・クラリックガン 

・バズーカ 

・100tハンマー 

・モザンビーク(拳銃とショットガンの合いの子みたいな銃)

・ハートランド正教 神経銃

・サイコガン

・三式装甲剥離鋏 

・麻酔銃(亜人に効きそう)

・リボルバー式手榴弾銃(約束されたネバーランドで使われてそう) 

・TW-2“KIWI BERRY” (かわいい)

・スピットファイア(LMGみたいな銃)

・パニッシャー (でけえ十字架)

・DC-15A ブラスターカービン (宇宙チックな形状)

・レイテルパラッシュ (騎士剣かと思ったら変形するしなんか血の臭いするし)

・桜の代紋型の盾 (´・ω・`)?*1

・太陽銃 (太陽ォオオオオオオ!!!)

・デスペラード (上下四連のショットガン)

・ハイドラ (水平三連のショットガン)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【マル秘】

・ロックアイランド造兵廠 M29 デイビー・クロケット(模造品)

・マンハッタン計画 リトルボーイ(模造品)

・ネヴィル・シュート パンジャンドラム

・ツインバスターライフル 

・マルチプルパルス 

・ヒュージキャノン(主任砲) 

・ハルコンネンⅡ 

・重力子放射線射出装置(第一種臨界不測兵器)

・クルップ 80cm列車砲(日本国有鉄道新幹線総合車両センター保管)

 

 

*1
提案兄貴曰くキャプテンアメリカとか変形とか




いかがでしたでしょうか?(まとめブログ並感)

以上がアンケートにて集計された押収品の数々です。いやー、物騒ですね!!!
というわけで「アンケートは掛けたら思った以上に来たな‥‥なんか勿体ねえな」という勿体無い精神で押収品という設定になりました。(思いつき)

一部やべえのがありますが、例外なくアレも過去に押収された物品です。万和日本君ちょっと5、6回ぐらい滅亡の危機に瀕してない?


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【朗報】休暇取れたから温泉行くぞwww (1)

小説に映し出されたココロのドンパチ。これは夢なのか、現実なのか…。割と寒い11月の夜、加熱した欲望(執筆欲)はついに危険な領域へと突入するので初投稿です。

なんか前回の番外編の反響が凄くて草生えるんスよね。おかげで執筆欲が止まらなくてまたしても土日が潰れそうです(インドア派)

あと今回の章ですが、また投稿者の思いつきでファンタジー成分をぶつけたくなったのでファンタジー成分が混入します(確定)

11/21 誤字修正しました。矮性きなあんこ餅兄貴ご報告ありがとナス!
    誤字修正しました。スカイキッド兄貴ご報告ありがとナス!



1:一般モブ警察官

やったぜ

 

2:名無しの転生者

えぇ‥?(困惑)

 

3:名無しの転生者

休暇を取る社畜の屑

 

4:名無しの転生者

休むな

 

5:名無しの転生者

??「休日があるではないか、働け」

 

6:一般モブ警察官

なんで誰も祝ってくれないんですかぁ⁉︎

 

7:名無しの転生者

皆社畜やからやぞ

 

8:名無しの転生者

ワイ「休み欲しいンゴ」

 

上司(クソ)「ダメです」

 

ワイ「あ゛ぁ⁉︎」

 

9:名無しの転生者

>>8

労基行け

 

10:>>8

(ファンタジー世界なのでそんなもの)ないです。

 

11:名無しの転生者

あっ(察し)ふーん‥

 

12:名無しの転生者

ワイ氏自宅警備員、低みの見物www

 

13:名無しの転生者

>>12

働けニート

 

14:一般モブ警察官

私の場合は強制的なので‥

 

15:名無しの転生者

 

16:名無しの転生者

 

17:名無しの転生者

休暇の強制‥?

 

18:名無しの転生者

そもそも刑事って有給取れるんか?なんか取れないとか聞いたことあるんやけど。

 

19:一般モブ警察官

>>18

普通は取れてもすぐ呼び出しとかそんな感じみたいですね。でも私の場合は一課長から「頼むからお前はしばらく休め。これ以上面倒事を持ってくるな」って懇願されたので‥‥

 

20:名無しの転生者

あっ‥

 

21:名無しの転生者

 

22:名無しの転生者

めぐねえの面倒事吸引力はダイソン並だからな

 

23:一般モブ警察官

この前なんか捜査中にコンビニ行ったらパトカーが爆発しましたしね。どうもパトカーを狙った連続爆弾魔だそうで。

 

24:名無しの転生者

えぇ‥?

 

25:名無しの転生者

サラッと命の危険に陥ってるの草

 

26:名無しの転生者

よく回避したな‥‥

 

27:一般モブ警察官

いやあ、運が良かったというかなんというか

 

28:名無しの転生者

ちなみにどこの温泉ゾ?

 

29:一般モブ警察官

>>28

有名どころじゃないみたいなんですよね。確か詩文温泉とか。なんか京都の山奥にあるみたいです。

 

30:名無しの転生者

ほーん、詩文温泉

 

31:名無しの転生者

誰か知ってる奴おる?ワイは知らん

 

32:名無しの転生者

ワイ氏温泉ソムリエ、前世でも聞いたことないですねぇ。泉質を教えて頂いても?

 

33:名無しの転生者

まあ万和日本ってパラレル要素強いからな。

 

34:名無しの転生者

>>32

すみません、よくわかりません(棒)

 

35:名無しの転生者

Siri草

 

36:名無しの転生者

(´・ω・`)オンセン‥

 

37:名無しの転生者

元気出せよ温泉ソムリエ

 

38:名無しの転生者

歩行フォーム、サラシ、スーツ、欧文モールスに続いて5人目の変tゲフンゲフンソムリエが現れたか

 

39:名無しの転生者

アイルランド語ソムリエもおったろ

 

40:名無しの転生者

アイルランド語ソムリエはめぐねえが素で喋れたせいでなんか某イギリスの解説王みたいになってたじゃねえか。ノーカンだノーカン

 

41:名無しの転生者

ひでえや‥‥

 

42:名無しの転生者

ていうか、めぐねえの口ぶりからして自分で決めたんじゃなさそうやな。誰かから教えてもらったりとかしたんか?

 

43:一般モブ警察官

ええとですね、なんか寮のポストに案内チラシみたいなのが入ってたんですよ。丁度いいし2泊3日ぐらいで行ってみようかなーと。

 

44:名無しの転生者

ほえー

 

45:名無しの転生者

 

46:名無しの転生者

チラシかぁ

 

47:名無しの転生者

ちなみに出発はいつなんや?

 

48:一般モブ警察官

明日ですよー。今絶賛準備中で───あ、電話。すいませんちょっと抜けますね

 

49:名無しの転生者

はーいよ

 

50:名無しの転生者

はーい

 

51:名無しの転生者

‥‥さて

 

52:名無しの転生者

 

53:名無しの転生者

どうしたんや>>51

 

54:>>51

おまいら家のポストに温泉のチラシとか入ってた事あるか?

 

55:名無しの転生者

どうした急に

 

56:名無しの転生者

んー、クーポン雑誌みたいなのならあるけど、チラシ単体って言われると微妙だな

 

57:名無しの転生者

>>51は何が言いたいんや

 

58:>>51

ぶっちゃけタイミング良すぎでは?

 

59:名無しの転生者

??

 

60:名無しの転生者

どゆこと?

 

61:名無しの転生者

何者かがめぐねえの休暇に合わせてそのチラシを送付したと?

 

62:名無しの転生者

考えすぎじゃねえの?

 

63:>>51

いや、考えてもみろよ。昼飯買いに行っただけで爆弾魔に襲われる奴ぞ?某米花町の死神レベルぞ?

絶対に何か起こる。

 

 

 

───

──────

 

 

東海道新幹線で京都駅まで行き、そこから鈍行とバスに揺られる事数時間。

 

 

「着いたぁ‥‥」

 

 

バスを降りると、そこはまさに文字通りの風光明媚な温泉街だった。石畳の続くレトロな街並み。湯煙が多数立ち昇る宿々。どことなく香る硫黄の匂い。

それを受けて私は───

 

 

「疲れたぁ‥‥‥」

 

 

道端に座り込んだ。

 

 

:草

:疲労困憊で草

 

 

───ケツ痛い‥‥

 

 

:女の子がケツとか言わないの!

 

 

どうしてこんなに疲れているのかというと、長時間の移動によるものもあるが、最大の原因はコレである。

 

 

───やっぱり銃いらなかったんじゃないですかぁ?これ持ち歩くの地味にキツいんですよ?

 

 

:は?

:死にたいらしいな

:アンタの面倒事吸引力を見てから言え

 

 

スレ民が「絶対何か起こるから銃を持って行け」と言って聞かないのである。休暇ぐらいドンパチから離れさせて‥とも思ったが、事実、ここ最近は外出するだけで大小様々なトラブルに遭っているのも確か。

そういうわけで、仕方なく私物のmini-14とS&W M29を持ってきた訳。お分かり?

まあ.44マグナムについてはお守り要素が強いけど。

 

mini-14が大体3kg、M29が1kgぐらいで、合わせて4kg程。そこに2泊3日分の荷物。

重い‥‥ッ!これで駅歩き回るのすげえしんどかったゾ‥‥

 

ちなみに、mini-14はA○azonで買ったガンケース*1、S&W M29はジャケットの下のショルダーホルスターにしまっている。

 

 

:ちなみにどの旅館に行くのかゾ?

 

 

おっと、座っている場合ではない。宿の予約時間に遅れてしまう。

 

 

───ここからちょっと歩かないとダメみたいなんですよね。少々お付き合いくださいな。

 

 

 

───

──────

 

 

 

「」(瀕死のめぐねえ)

 

 

:ちょっと(当社比)

:もう温泉街からだいぶ離れたんですがそれは‥‥

:もうすっかり山の中やな

:dkkk

:どんぐらいの距離歩いた?

:分からんなぁ

:おっしゃ!歩行フォームソムリエのワイに任せとけ

:⁉︎

:う わ で た

:めぐねえ身長どれぐらい?

 

 

───ひゃくろくじゅうはちせんちめーとる

 

 

:IQ著しく低下してて草

:意外と大きいんやなぁ

:原作めぐねえってどんぐらいだったっけ

:設定はなかったと思うやで

:よっしゃ行くで。歩幅の目安は身長×0.45*2、つまりめぐねえの場合は75.6cmや。温泉街に着いた時のバス停からざっと26,000歩は歩いてるから、掛けて1,965,600cm。これをkmに直すにゃ10万で割ればええから、19.656。答えは大体19.656kmや。

:?

:?

:?

:?

:‥‥‥大体20kmぐらい歩いてるって事や。歩幅も一定じゃなかったしマジで大体やけどな

 

 

───そんな歩いてたんですか‥‥

 

 

:あ、戻った

:めぐねえ割と体力おばけっすね

:いや待て、26,000歩って、もしかして歩行フォームソムリエはずっとそれ数えとったんか‥‥?

:うん!!!

:(マジキチスマイル)

:ヒェッ

 

 

盛り上がるスレを尻目に息を整えていると、温泉街方面からドロロロロ‥とエンジン音が。

 

 

:このエンジン音は‥⁉︎

:知っているのかソムリエ⁉︎

:うむ、このエンジン音は恐らく‥‥陸王VFD1200か、もしくはVFDや。まさか転生後にこの音が聞けるとは思わんかった‥‥‥

:今度は何ソムリエや‥

:うーん、そうやな、エンジン音ソムリエとでも名乗らせてもらおか

:エンジン音⁉︎バイクとかじゃなくてか⁉︎

:ちょっと予想裏切ってくんのやめろ

:このスレソムリエ多くない??

 

 

───あ、見えてきました。‥‥ほえー、サイドカー付きですよアレ。

 

 

:あ、じゃあVFDの方やな

:ほえーかっこよ

:‥‥なんかこっち寄ってきてね?

:あ、ホンマや

 

 

スレ民の指摘通り、その大型バイクはこちら側に寄ると、スピードを下げて停車した。

首を傾げていると、バイクに乗っていた人物がヘルメットを脱ぎながら近づいてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「やあオフィサー。こんなところで何をしてるんだ?」

 

 

 

 

 

 

───三好警部補⁉︎

 

 

:アネゴ⁉︎

:アネゴじゃないか!!!

:()<ミヨシはかわいいですね

:Foo↑↑↑↑↑↑

 

 

「えっ、何してるんですかこんなところでそんな格好で」

 

 

今の三好警部補の格好は、黒の革ジャケットにジーンズ、そしてフルフェイスのヘルメットという感じ。少なくとも腕の怪我で療養中という格好ではない。

 

 

「ん?ああ、ちょっとしたおつかい。ほら」

 

 

三好警部補が指差した方を見ると、サイドカーに、野菜やら肉やら油揚げやら調味料やらが入った紙袋が置いてあった。

 

 

「‥‥‥?」

「それより、オフィサーはなんでここに?まさか私と同じく湯治ってわけじゃあないだろ?」

「え、湯治?」

「あれ、言ってなかったっけ。私この先の温泉宿で湯治中って」

「あー、もしかして旅館『ひなた』ですか?」

「うん」

 

 

───あらまあ

 

 

:もしかしてめぐねえが泊まる予定の旅館も?

 

 

───『ひなた』ですね

 

 

:はえーすっごい偶然‥‥

:最近見ないと思ってたらこんなとこで湯治しとったんかぁ

 

 

行き先が一緒という事で、サイドカーに乗せて貰う事になった。やったぜ。

お陰で荷物やら野菜やらを抱いてサイドカーに乗る羽目になったが。すげえ狭え!

 

 

「で、なんでオフィサーはここに?随分大荷物だけど」

「休暇ですよ休暇。源田さんが「お前は休め」って」

「へえ、一課長にしちゃ珍しい。あの人割とブラック気質なとこあるのに」

 

 

:(頼むから)お前は休め(これ以上面倒ごとを持ってくるな)

:恣意的な情報の編集やめろ

:真実を伝えろ真実をwww

 

 

───やかましい!

 

 

先程までの歩きの苦労はなんだったのかと考えるぐらいあっさりと、陸王は宿に到着した。

かがくのちからってすげー。

 

 

まるで古民家のような雰囲気の、こぢんまりとした建物。

 

そこの表札には、とても達筆な文字でこう書かれた札がかかっていた。

 

 

旅館ひなた、と。

 

 

*1
でけえリュックみたいな奴

*2
引用:OMRON




1㍑兄貴からステキなファンアートを頂いたので前書きか後書きに掲載しようと思ったんですが、やり方が分からず爆死しました。誰か教えてクレメンス‥


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【朗報】休暇取れたから温泉行くぞwww (2)

感想欄で『旅館ひなた』という名前の元ネタに関して色々と予想してくれている兄貴姉貴がいらっしゃいますが、ぶっちゃけ言いますと投稿者はそのラノベ知りませんでした。完全なる偶然です。感想を見たときになんのこっちゃと10分ほど探したぐらいです。
そういうわけなので予想を裏切ってしまって、本当に申し訳ない(メタルマン)

《お知らせ》
本話において温泉内の描写があるのですが、投稿者は本格的♂な温泉旅館というものに行ったことがないため造りがさっぱり分かりません。精々が近所の銭湯です。一応ネットで調べたりもしましたが、温泉旅行に行ったことのある兄貴姉貴からしたら謎の描写になっているかもしれません。その時は温かい目で見守って下さい。温泉だけに。(エや下)


11/23 誤字修正しました。太陽のガリ茶兄貴、でぃせんと兄貴ご報告ありがとナス!
11/24 誤字修正しました。phodra兄貴ご報告ありがとナス!
   


ガラガラと音を立てる戸をくぐれば、そこはこれぞ古民家と言わんばかりの内装。木の温かみを感じる(語彙力)

三好警部補が「戻りましたー」と奥の方に声をかけると、そちらの方からパタパタと着物姿の女性が駆けて来た。

 

橙色を基調とした着物に、なんだろう、朱色っぽい羽織を着た若い女性。黒の長い髪を一つにまとめて前の方に垂らしている。

 

 

:あれじゃん、アニメとかでタヒぬ母親の髪型じゃん

:草

 

 

───なんてこと言うんですか⁉︎

 

 

「ありがとうございます三好さん、無理を聞いていただいて」

「いいんですよ、最近、身体も鈍ってたところなので」

「そうでしたか、ありがとうございます。えーと、こちらの方は?」 

「あ、予約してた佐倉でs」

「佐倉さん!」(食い気味)

 

 

私の名前を聞いた瞬間、女性の顔がぱあっと明るくなった。ただの予約客にする反応としては少し様子がおかしいように思える。

 

 

「え、えと?」

「‥‥あっ、も、申し訳ありません。お部屋にご案内致しますね。お荷物お持ちします。こちらへどうぞ」

「里見さん、食材はどこに置けばいいです?」

「あ、そこに置いておいて頂ければ私が後で持っていきます」

 

 

この人里見って言うんだぁと思いながら着いていく。

階段を上がり2階へ。案内されたのは『稲荷の間』。

近くに稲荷神社でもあるのだろうか。

中は、まあ至って普通。でけえテーブルに座椅子、テレビ、小ちゃい冷蔵庫、電気ポット、生八ツ橋が入ったかご、旅館とかによくある窓際の謎スペース。

だが景色がいい。紅葉には少し遅いかなと思っていたが、山中ということもありまだ十分に色づいた山々を楽しめる。時間が遅いせいかちょっと暗いが、まあ許容範囲だ。

 

 

:うわあすっごい綺麗‥‥

:やべえ、前世思い出して泣けてきた

:思えば遠くへ来たものだ‥

:無性に旅館行きたくなってきた。せや作ったろ!!!(ファンタジー世界並感)

:いいぞもっとやれ

 

 

「こちらがお部屋になります。部屋の内鍵は、このねじ込み鍵をお使い下さい。貴重品をお持ちでしたら、戸棚の中の金庫をご利用下さい」

「あ、分かりました」

「脱衣所は1階で、温泉はその奥にございます。どうぞごゆるりと」

 

 

里見さんはそう伝えると、戸を閉めて去っていった。

 

 

───さて、荷物整理は今からするとして、それから何をしましょう

 

 

:決めてなかったんか

:えぇ‥?(困惑)

:なんか旅行日程に殆ど触れねえなと思ってたらそういうことかよ

:行き当たりばったり旅か、ええやん!(肯定)

:周りになんかあったら行き当たりばったりでも良かったけどなぁ

:周りになんかあるんかここ

:来た道の周りには何もありませんでしたね‥‥

 

 

スレ民に聞かれて、スマホのマップを開く。

 

 

───えーーーーーーーーー‥‥‥周囲15km圏内は名前付きのスポットないですね

 

 

:草

:草

:草

:ていうか今何時?

 

 

───時間ですか?もうだいぶ暗いんで‥‥ああやっぱり、16時過ぎですね。

 

 

:山ン中だから暗くなるのも早えか

:これアネゴが来なかったら割と大変な事になっていたのでは?

:お気づきになりましたか。

:めぐねえは先に風呂派?飯派?

 

 

───いやまあ風呂派ですけど、こういう旅館って普通先に風呂じゃないです?個人的な偏見ですけど。

 

 

:そうかな?そうかも?

:‥‥‥つまり?

:めぐねえのサービスシーンですか?

:▂▅▇█▓▒(’ω’)▒▓█▇▅▂

:(☝ ՞ਊ ՞)☝キィェァァァァァァァァァァwww

:(^ω^ ≡ ^ω^)おっおっおっ

 

 

───感覚共有モードは基本一人称視点ですね?

 

 

:え?

:‥‥‥

:‥‥‥

:‥‥‥あっ

:い、いや、めぐねえが見る方向を変えてくれさえすれば‥‥

 

 

───いつから私が不特定多数に裸を見られる事を許すと思っていた?

 

 

:なん‥‥‥だと‥‥‥?

 

 

───じゃあな!飯になったら帰ってきてやるよ!!!

 

 

:あああああああああああ!!!!!!!!!

:お前!お前お前お前!!!

:鬼!悪魔!めぐねえ!

:どう゛じでぞん゛な゛ごどずる゛の゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!!!!!!!!!

 

 

阿鼻叫喚のスレから一時抜け、着替えと浴衣を持って脱衣所へと向かう。

今気づいたが、今世に生まれてから初めての本格的な温泉だ。正直すっげえ楽しみなの。Foo↑

 

足取り軽く脱衣所の暖簾をくぐれば、服を入れる籠とかが入った年季の入った棚。型は古いがよく清掃された洗面台。一目でだいぶ前の型式だと分かる自動販売機。

 

なんかありとあらゆるものが古いのは気になるが、不思議と居心地はいい。強いて言うなら祖父母とか親戚の家にいる気分。

 

不思議な気分に至りながら服を脱ぎ、タオルを持ってガラリとガラス戸を開ければ、石と木を基調としたよくある感じの露天風呂だった。

 

 

「ん?」

 

 

その露天風呂に先客がいた。

湯に浸かり、だらりと手と足を投げ出している。

その傍らには、なぜか湯に浮かぶお盆とその上の徳利とお猪口。

誰だ、誰もが一度はしてみたいけど絶対迷惑になるからやろうとしない事を堂々としてるのは。*1

 

 

「ん〜?ああ、やっと来たかオフィサー。どうだい、一緒に一杯」

 

 

アンタかい!!!

 

 

 

 

───

──────

 

 

 

 

グビッ

 

 

「「あ゛ぁ゛^〜‥‥」」

 

 

フワッと広がる米の旨味と甘味があぁ^〜たまらねえぜ!!!普段は缶ビールか酎ハイしか飲まないが、日本酒も案外悪くない。帰りに一升瓶何本か買って帰ろうかな‥‥*2

 

 

「そういえば警部補、腕の具合はどうなんですか?」

「ん?ああ、ここに来てからすっかり良くなったよ。ほら」

 

 

警部補が左腕を挙げる。

そこには、警視庁大規模襲撃事件*3で被弾した痕がくっきり残っていた。

 

 

「ここに来てから、ですか?」

「そうそう。病院に行っててもなかなか治りが遅くてさ、困ったなぁって思ってたところにここのチラシが届いたのさ。ここの湯と女将さんのマッサージでだいぶ良くなった」

「へえ、温泉はなんとなく分かりますけど、マッサージですか」

「そうそう。いっつも寝落ちしちゃうからどんなマッサージなのか見れてないんだけどさ、もう効果覿面。多分数日中には警視庁に戻れるよ、ほら、こんなもんだ」

 

 

警部補はそう言うと湯から上がり、うつ伏せの体勢になってからバッと床を蹴り、左腕だけで逆立ちを始めた。

ポカンとしていると、それを見た逆さの警部補がニヤリと笑い、今度はパッと跳ねると親指だけで立ち始めた。

!!!???(混乱)

 

 

「よっと。いやあ、こんな感じに身体が軽くてさ」

「身体が軽いとかそんなレベルじゃないでしょう⁉︎どこの中国雑技団ですか⁉︎」

「へへへ」

「照れるな!」

 

 

警部補が嬉しそうに顔を赤らめ───いや、湯に入ってたし酒も飲んでるから赤いのそれのせいか。

危ない危ない、先輩に惚れる所だっt─────────

 

 

「‥‥‥‥」

「‥‥オフィサー?どうした、空なんて見つめて」

 

 

───はーい集合

 

 

:くそうくそう‥‥

:でも感じちゃうビクンビクン

:⁉︎

:⁉︎

:戻ってきよった

:あってめえ!!!

:よくもノコノコと帰ってきやがったなぁ!!!飯はなんだコラ!!!見せろ!!!

 

 

───これで許せ*4

 

 

:?

:なんだこの湯気

:‥‥‥誰かいるぞ、これは‥‥アネゴか⁉︎

<素晴らしい‥‥素晴らしい‥‥

:へぇ⁉︎お、温泉ですかぁ⁉︎

:エッッッッッッッッッッッッッッッ

:ああ畜生湯気がいい仕事しやがるッッッ!!!だがこれでいいッ!!!

 

 

───これが主題じゃ無いんですよ。アレですよアレ。アレなーんだ

 

 

:アレ?

:空を見上げて‥‥‥なんかいるな

:‥‥‥音も聞こえるな

:音と聞いて(シュタッ

:エンジン音ソムリエ⁉︎

:人選が的確すぎて草

:むむむ‥‥これモーター音やろ。重なって聞こえるから4つぐらいモーターが回ってるな。あと空気を切り裂く音も聞こえる。プロペラも4つだな

:モーターとプロペラが4つ、来るぞ遊馬!!!

:プロペラが4つ‥‥ドローンか⁉︎

:ドローン‥‥女湯の直上‥‥あっ(察し)

許 せ ん

:なんて羨まゲフンゲフンけしからん!

:叩き落とせ!!!!!!そしてデータを回収するんだ!!!

:俺らのめぐねえとアネゴの裸を盗撮しやがってんなぁ⁉︎

 

 

───おまいらのじゃ無いんだよなあ

 

 

 

「おーい、オフィサー?おーい?」

「警部補って直上円盤投げできますか?」

「あ、戻ってきた。‥‥円盤投げ?直上?」

「ほらアレ」

「‥‥‥ハハッ、そういう事か、OK、見ときな」

「はいお盆」

 

 

警部補はまるで獲物を狙う獣のような笑顔を浮かべると、渡したお盆を受け取り、ぐっと構え───腕を鞭のようにしならせて投げた。

射出(直喩)された木製漆塗りのお盆はシンカーの軌道を描き、

 

 

<バキッ

 

 

「よしっ」

「ヒューッ!」

 

 

やはり警部補が人間を辞め始めている気がするがきっと気のせいだろう。

 

 

 

 

───

──────

 

 

同時刻 近くの山中

 

 

温泉からは陰になって見えない岩の陰。

そこに、何やら白を基調とした変わった形の服を着た男が2人座り込んでいた。

彼らの視線の先には、《Not Connect》と表示されたモニターと操作盤。

 

 

「‥‥‥」

「‥‥‥」

「‥‥たかだか数百円のお盆にウチの教団技術部が誇るドローンが撃ち落とされるとかこれマジ?」

「やべえよやべえよ‥‥データ回収してねえじゃん」

「‥‥どう報告する?」

「ホルス様に嘘が通じるわけないんだよなぁ」

「正直に言うしかないかぁ‥‥」

「また飯減らされるだろうなぁ」

「いやだなぁ」

「ああ、いやだいやだ」

 

 

2人の男は、いやだいやだ、と呟きながらモニターと操作盤を持ち上げ、闇の中へと消えていった。

*1
入浴中の飲酒は血圧の変動をもたらして脳卒中とか心臓発作を引き起こす恐れがあるから、良い子(20歳以上)のみんなは、やめようね!(戒め土方)

*2
ぐびねえ

*3
【悲報】新人刑事ワイ、目の前でなんか車列が襲撃される (2)参照

*4
スレ主が感覚共有モードを開始しました




1㍑兄貴から素敵なファンアートを頂きました!嬉しすぎて2、3分ぐらい口元緩んでニヤニヤしてました(実話)


【挿絵表示】


1㍑兄貴、感想欄で挿絵の投稿の仕方を教えてくれた兄貴姉貴達、大変ありがとうございました!


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【朗報】休暇取れたから温泉行くぞwww (3)

お待たせしてしまったので初投稿です。

温泉編の終わりを考えずに始めちゃったので滅茶苦茶難産でした(終わりが決まったとは言っていない)
まあそれ以前にニコニ○動画で競馬淫夢にハマってたというのもあるんですが。ガンボ○ルドルフとトウシ○ダトウとオフェ○ファントムすこ

誤字が多いのを反省して今回は徹底的に見直しを行いました。
もし誤字があったら木の下に埋めて貰っても構わないよ!

12/10 \ババーン/ まつ楽兄貴ご報告ありがとナス!




【感覚共有モード継続中】

 

 

365:一般モブ警察官

と、いうわけで意見が欲しいのです

 

366:名無しの転生者

ドローンについて?

 

367:一般モブ警察官

いぐざくとりー

現物はこちらでござい

 

[畳に敷かれたブルーシートの上に置かれたドローン]

 

368:名無しの転生者

ほーん、まあイメージ通りのドローンやな

 

369:名無しの転生者

アネゴは何しとるんやあれ

 

370:名無しの転生者

捜査やろ

 

371:名無しの転生者

アネゴがなんか警察らしいことしとる!

 

372:名無しの転生者

)<頑張るミヨシも可愛いですね

 

373:名無しの転生者

ボ卿の視点が親かオタクのそれなんだよなぁ……

 

374:名無しの転生者

後方保護者面

 

375:名無しの転生者

Q.どうしてプロペラが丸ごと1個無いんですか?

 

376:一般モブ警察官

A.三好警部補がお盆でやってくれました

 

377:名無しの転生者

ヒェッ

 

378:名無しの転生者

綺麗なシンカーでしたね……

 

379:名無しの転生者

メジャーレベルの曲がり具合で草生えたわ

 

380:名無しの転生者

なんで木製のお盆で綺麗な切断面が生まれるんやろなぁ……

 

381:名無しの転生者

あれ、アネゴって人間だったよな?

 

382:名無しの転生者

その筈だったんだけど何があった???

 

383:名無しの転生者

脇に置いてあるライフルはめぐねえのmini-14?

 

384:一般モブ警察官

Yes. 大きさの比較用として置きました

 

385:名無しの転生者

ここまで馴染みのない大きさ比較もなかなかないぞ……

 

386:名無しの転生者

分かり辛ぇ!

 

387:一般モブ警察官

しょうがないなぁ

 

mini-14全長:946mm

 

388:名無しの転生者

えーーと、ミニが大体95cmで、それとほぼ同等か、ペラ含めて

 

389:名無しの転生者

ぱっと見ペラ含めなきゃ60、70cmってとこか?

 

390:名無しの転生者

結構でけえんじゃねえのこれ? 知らんけど

 

391:名無しの転生者

なんだっけな、メーカーの名前は忘れたけど、30、40万ぐらいするドローンがそれぐらいの大きさだった気がする。あ、もちろん前世でな?

 

392:名無しの転生者

ほえー

 

393:名無しの転生者

そんなのを覗きに使った奴がいるとかマ?

 

394:名無しの転生者

極刑ッ! 遺言は忘れずにな!

 

395:一般モブ警察官

あ、なんかメーカー名みたいなの入ってら

 

396:名無しの転生者

ほう?

 

397:名無しの転生者

まあどこかしらにゃ入ってるよな普通

 

398:名無しの転生者

見せちくり〜^

 

399:一般モブ警察官

ほいほい、これで見えますか? ここですよここ。

え? あ、すいません警部補、独り言です独り言

 

400:名無しの転生者

前から気になってたんやけど、めぐねえ掲示板に入力する時に喋っちゃう癖でもあるんか

 

401:一般モブ警察官

そうなんですよ、なかなかこの癖が治らなくてですねぇ

 

402:名無しの転生者

ああ、だから会議とか大事な話の時とかスレから抜けるんか

 

403:名無しの転生者

側から見たらブツブツ言ってるやべえ奴だもんな

 

404:名無しの転生者

>>399

あー、はいはい、これか。

えーと、『ウアジェトの目』?

 

405:名無しの転生者

 

406:名無しの転生者

変わったメーカー名だな

 

407:名無しの転生者

これ何のマークだ?見た感じ『目』に見えるけど

 

408:名無しの転生者

これ本当にドローンのメーカーか‥?

 

409:名無しの転生者

なーんか見たことあるんだよなぁこれ‥‥なんだっけなぁ

 

410:名無しの転生者

>>409

思い出せ

 

411:名無しの転生者

>>409

オラッ! お前もソムリエになるんだよ!!!

 

412:>>409

なんだっっっっっっったっけなぁ!!! ちくしょう出てこねえ!!! 気持ち悪ィ!!!

 

413:名無しの転生者

あるある、喉元まで答えが出かかってる時な

 

 

 

───

──────

 

 

「これが『どろーん』ですか?」

 

 

 一応覗き被害を受けたという事もあり、女将の里見さんを呼んだ。三好警部補から概要を説明され、部屋に入ってきた里見さんの一言目がこれである。

 

 

「ええ。これが女湯の直上に」

「なるほど……」

「一応京都府警の方に話を通しますけど、構いませんね?」

「あぁー……まあ、しょうがないですよねぇ。お願いします」

 

 

それを聞いた三好警部補は警察へ通報をしに部屋を出て行った。残される浴衣姿の私と里見さん。

 

 

「ここだと警察さんが来るのも遅くなると思うので、お夕飯の準備をしますね。お部屋は……ここだと不便でしょうし、下の広間を使いましょう」

「ここ超山奥ですもんねぇ。私も手伝いますよ、1人じゃ大変でしょう」

 

 

トラブルはあるが、まずは腹ごしらえだ。さっきからお腹が鳴りまくってたまらな

 

 

思い出したァ!!!!!!

:⁉︎

:あぎゃああああああ⁉︎

:耳が……耳が……

:鼓膜ゥ!!!

:おかしいな、急に何も聞こえなくなった

:音声再生民の死体が転がっておられるぞ、弔って差し上げろ

 

 

───うっるせえ!!!!!!

 

 

「? どうかしましたか、佐倉さん」

「え、あ、いえ、なんでもないですよハハハ」

 

 

───何を思い出したって言うんですか、エェ? どうでもいいような事だったらぐしゃり♂ですよ

 

 

:めぐねえ激おこで草

:ほら早く謝れ>>409

:ごめんて……あのメーカー名とロゴや。ようやっと思い出したで。エジプト神話や。

:エジプト神話?

:せや。詳細は省くが、エジプト神話の中で『全てを見通す知恵』とか『癒し・修復・再生』のシンボルになってるのがホルス神の左目『ウアジェトの目』や。

:はえー

:『癒し・修復・再生』がドローンのメーカーのロゴに採用されるもんか? どっちかっていうと医療系の方がしっくり来るぞ

:『全てを見通す』やったらまだ意味が通るんちゃうか。内蔵カメラ的な意味で。

:確かに見通してたな(覗き)

:ああ、見通してた(覗き)

 

 

「時に女将さん、このマークに見覚えありませんか?」

「え?」

「ほら、この目みたいなの」

 

 

なんとなく気になって里見さんにマークを見せてみる。

 

 

:何やってんのめぐねえ?

 

 

───いや、もしかしたら知らないかなーと。京都の方のメーカーだったら知ってるかもじゃないですか

 

 

:いやー、どうやろな

:なんかなあ、ドローンを見た時の女将の発言がなあ、スマホを初めて見た時のおばあちゃんだったんだよなあ。『どろーん』って言ってたもん。絶対『ドローン』じゃなくて『どろーん』だったぜ

:わからなくはない

 

 

───そういうもんですかねえ?

 

 

:そういうもんよ

:ん?

:あ?

:ヒェッ

:えっ……怖っ……

 

 

───……どうしました?

 

 

突然スレ民達が慄き始めた。

 

 

:めめめめぐねえ、よ、横、横

:女将の顔

 

 

───女将、里見さんのですか?……ヒェッ

 

 

……ふふふ……*1

 

 

横を向いた私は、里見さんの満面の笑みの後ろに恐ろしい般若が浮かんでいるのを確かに目撃した。いや、もちろんはっきりと浮かんでいたわけではないが、なんというかイメージがそんなだったのだ。

ていうか般若の他になんか狐っぽい幻影が見えるんだけど何あれ化け狐???

 

 

「お、女将さん?」

「───っ、し、失礼しました。このマークが何なのかは知りませんが、困ったものですねえ、ええ、ホント」

 

 

そのあと色々と聞いてみたが、女将さんは困った笑顔を浮かべるだけだった。

あの化け狐は何やったんや……

 

 

 

───

──────

 

 

 

それはそれとして飯である(一転攻勢)

 

いや、もちろん警部補が京都府警に通報したのだが、現場が滅茶苦茶に山奥なのと、京都市内の方で銃撃事件が発生していて人員が圧迫されているのを理由に、警察は明日の朝来るらしい。大丈夫か京都府警。

 

 

:大丈夫じゃなさそう(小並感)

:金○一の警察じゃあるまいし‥‥

:ところで万和日本の京都府警も重武装なんですかね‥?

:薙刀とか使ってそう(偏見)

:京都府警「隠れていても犯罪者は臭いで分かりまするぞ」(薙刀グサー)

:草

 

 

宴会などに使うという1階の広間のど真ん中にテーブルがドン! と置かれ、その上に料理が2人分ババン! と乗っかっている(語彙力)

 

 

:語彙力頑張れ

:飯テロやめろよこっちは深夜やぞ……

:こっちはこれから大食いチャレンジだから助かる

:大食い転生者もいるのか(困惑)

:えーと、白飯、味噌汁、ホッケの塩焼きに煮物、あと小鉢がいくつかか

:あと日本酒な

:腹減ってきた……

:日本帰りてぇ

:意外と質素なんだな。旅館の飯っていうともっとこう、品数多いイメージだったけど

 

 

───この旅館って里見さん1人で切り盛りしてるんですって

 

 

:はえー

:京都の山奥で美人若女将が1人で切り盛りしてる小さな古民家風温泉旅館か。要素盛りすぎでは?

:絶対なんか起こるよこれ……

:今更だな

:めぐねえがいる時点で確定してるだろJK

:もう起こったな(覗き)

 

 

「「いただきます」」

 

 

食前のアイサツは大事、古事記にもそう書かれている。

 

 

「ここの味噌汁すごい美味いんだよ、何ていうかレベルが違う」

「いや、ホントそうですね……今まで自分で作ってきた味噌汁がクズにも思えてきますよこれ……えっ待ってホッケも白飯もすごい美味しい……」

「ふふ、そう言っていただけると私も作った甲斐があるというものです。おかわりも遠慮なく」

「お、お母さん……!」

「オフィサー?」

 

 

 

……食事中……

 

 

 

絶品和食もすっかり胃の中に収まり、次に始まったのは酒盛り。四係結成から早数ヶ月、何気に警部補とサシで飲んだ事は無かったのでどんな物なのかと思っていたのだが……

 

 

くかー……

 

 

ぐっでんぐでんに酔っ払って寝落ちした警部補が出来上がりましたぁ(白目)

 

 

:草

:一升瓶抱いて寝てるのは草生える

:絵に描いたような酒豪やったな……

:日本酒って確か結構度数強かったよな?

:種類によるけど大体15〜20%ぐらいやね

:やっば

:なんだこのリモート飲み会……(ストゼロ民)

:まあ酒が進むわ(濁酒)

:こっちもエールが進むわ

:Водка вкусная.

:なんて?

:『ウォッカ美味しい』だってよ

:ロシア人もいるのかこのスレ(困惑)

:Это Советский Союз. Больше не ошибаетесь, чёртовы капиталисты.

:???

:日本語でおk

:ちょっと掲示板の自動翻訳バグってんよー

:『 ソ ビ エ ト 連 邦 だ 二 度 と 間 違 え る な ク ソ 資 本 主 義 者 が 』だってよ

:口悪っ

:通訳兄貴ありがとナス!

:やっべ共産主義者じゃん、レッドパージしなきゃ(米帝並感)

 

 

「あーあー、すっかり酔い潰れちゃって」

「やっぱり三好さん凄いですね。丁度6本丸々お飲みになりましたよ。一升瓶で」

すぴりたすひとつ、しょっとで……えへへ

「夢の中でなんてもん飲んでるのこの人……女将さんも止めてくださいよぉ」

「うふふ、佐倉さんがいらして嬉しいんでしょう。よく佐倉さんのお話をされていましたから」

「……まあ、そういう事なら良いんですけど」

「では、お酒はお下げしますね」

「あ、すいませんお願いします。私はこの酔っ払いを部屋に戻してくるので……」

「もうお部屋にお布団は敷いてありますので、佐倉さんもそのままゆっくりお休みになってください。朝食はいつでも大丈夫ですから」

「すいませんホント……」

 

 

酔っ払いの脇に腕を通し、よっこいせと引き摺る。階段は……ファイヤーマンズキャリー*2でいいか。

 

 

:ちなみにめぐねえはどんぐらい飲んだん?

 

 

───一升瓶で5本半ぐらいですかね

 

 

:ヒェッ

:おめえも人のこと言えねえじゃねえか!!!

:これはぐびねえですわ

 

*1
満面の笑み

*2
警部補「ぐぇ




ロシア語はGoogle先生クオリティなので許し亭許して
例によってドンパチに辿り着けなくて申し訳ナス‥‥多分次回で1ドンパチ(単位)できるので‥‥


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【朗報】休暇取れたから温泉行くぞwww (4)

投稿者自身がどう温泉編を終わらせれば良いのか分からないので初投稿です。

あと、活動報告で今話の展開に関係のない事(迫真)を聞いた投稿者がいるようですが、それの告知を忘れるとかいうガバをしでかしたのでアレは無効とさせて頂きます。大変申し訳ございませんでした。
 
あとアネゴの口調がわかんねぇ……

12/13 誤字修正しました。リア10爆発46兄貴、漣十七夜兄貴ご報告ありがとナス!
12/14 誤字修正しました。でぃせんと兄貴いつもご報告ありがとナス!


夜。

野良犬も、一升瓶6本飲み干した呑兵衛MYSも、一升瓶5本半飲み干した呑兵衛MGNEも寝静まる時間帯。

先程まで空に浮かんでいた月は雲に隠され、山々は暗闇に包まれる。

 

その中で、控えめに電気が灯る部屋が1つ。

一般的な物よりも随分光の弱い白熱電球を使用した古ぼけたデスクライトの下で帳簿をつけているのは、旅館ひなたの女将、里見 たまである。

 

寝間着姿*1でサラサラと鉛筆で帳簿をつけているその姿は、何処か時代錯誤感を感じる。

 

 

 

ぴくり、と何かを感じ取ったのか、里見が手を止めた。

 

 

「夜遅くまでご苦労なこったな。女将さんよ」

 

 

里見の背後から響く、若い男の声。

里見は振り向く事なく、帳簿をつける手を再び動かす。

 

 

「こんな遅くに何の御用でしょうか。宿泊でしたら、今日は満室なので他を当たってください」

「おいおい、冗談はよしてくれ。頼まれたってこんなとこ泊まんねエよ。俺が何の用でこんなボロ宿に来たのかは女将だって分かってるだろ?」

「……ですから、“その件”は何度もお断りしたはずですよ。何度聞かれても答えは同じです」

「あーあー、わーってるさ。えっと、今まで何回振られた? 20超えたあたりから数えてねエんだ」

「1000飛んで71回ですよ」

「ああ、そうだったそうだった。ったく、忘れっぽくていけねエや」

 

 

はっはっは、と男の笑い声が静かな旅館に響く。

 

 

「お客様もいらっしゃいますから大きな声は控えて下さい」

 

 

里見はピシャリと言い放った。

 

 

「あ? ああ、それなら心配いらねエよ。あの女2人が起きて来る事ァねエから」

「……何ですって?」

 

 

初めて、里見が男の方を向いた。

真っ白な衣装に身を包んだ、銀の短髪で赤吊り目の男。

孤を描く口元からは、真っ白な八重歯が覗いていた。

 

 

「うちの教団が作った特殊な睡眠薬を打ち込んだ。生物学上の差なんて関係ねえ。『この世に魂が留まってる』生き物ならみーんなぐっすりさ」

「……」

 

 

まるでゴミを見るような目つきに変わった里見が、スッと立ち上がろうとするが、男が手でそれを制した。

 

 

「おっと、妙な考えは起こすなよ。女2人の側には武器を持ったウチの教団員がついてる……意味は分かるな?」

「……卑怯な手を」

「ハハッ、卑怯で結構。化け物相手にはこれぐらいが丁度いいのさ」

 

 

男は里見を見つめながらそう言った。

 

 

「さて、じゃあ付いてきてもらおうか。ボスが首を長くして待ってンだ」

「……はい」

 

 

里見が立ち上がった──────その瞬間であった。

 

 

\バシッ ドテッ カシャン ドゴスカバキグシャリ♂ アーッ!/

\ウワナンデオマエオキテゴッ/

 

 

何やら2階が騒がしくなったと思ったらすぐに静まった。

 

 

「……」

「……」

「……なンだよその目は」

「特殊な睡眠薬が何でしたっけ?」

「チッ、うるせェぞ化け物……おい、誰でもいい、2階に行って様子を見て来い。人質は最悪殺せ」

 

 

男が無線機を取り出してそう言うと、旅館の玄関が乱暴に開け放たれ、白い衣装に身を包んだ者達が10名ほど2階へと駆け上がっていった。それぞれの手には、棍棒やマチェット、剥き身の日本刀が握られていたが───

 

 

「……そう簡単に殺せますかね…?」

「あ? どういうこったよ」

 

 

 

 

<武器を捨てろぉ! 警告ヨシ!*2

<階段は走るなって習わなかったんですかぁ⁉︎

 

 

という叫び声と共に5.56mmと.44マグナムの銃声が複数発。階段の上から先ほどの白衣装達が転げ落ちてきた。

 

 

「待て待て待て、銃持ってるとか聞いてねえぞ⁉︎」

 

 

狼狽える男。その間にも階段の上からは白衣装が転げ落ちてくる。あ、いや、ちょうど今最後の1人が転がって来て骸の山の仲間入りを果たした。

 

 

「……」

「ジョーさん、悪いことは言いません。今すぐにこの場から立ち去って下さい」

「……て、てめえ、何を言って……」

「貴方だって死にたくはないでしょう? 銃で撃たれた経験がありますか? 私の体験談で良ければどんな物かお教えしますが」

「………覚えてろよ化け物……ッ! 次会ったら絶対ェにてめえをボスの前に突き出してやる! 今2階で暴れてる女2人もだ!」

「あら、美人3人を欲しがるなんて、“あの人”も随分欲張りなんですね?」

「ちゃっかり自分を美人の内に入れてんじゃねェよ!!!」

 

 

里見にジョー、と呼ばれた男は部屋の窓を開け放つと、闇の中へと消えて行った。

それと同時か、玄関の方から車両が走り去る音が聞こえた。どうやら一段落ついたらしい。

 

 

「もう決着を付ける時、ですかねぇ」

 

 

すっかり鉄の匂いが染み付いた廊下の惨状を思いながら、里見はポツリと呟いた。

 

 

───

──────

 

 

───生きてる^〜

 

 

:めぐねえもアネゴも逞しすぎる

:寝込み襲われても無傷とかこマ?

:急にめぐねえがスレにインしたと思ったら開口一番「何だこの変態⁉︎」(原文ママ)だもんなぁ

:結局のところ何があったん?

 

 

───そんなの私が知りたいんですが???

 

 

 

 

めぐねえ本人も何があったのか把握できていないが、ここで読者兄貴姉貴達には、彼女に何があったのかを一通り説明しておこう。

 

 

めぐねえ爆睡中

唐突なブスリ♂  めぐねえ「いってえオラァ!!!」

バシッ (裏拳)

ドテッ (誰かが尻餅をつく音)

カシャン (何かが落ちた音)

ドゴスカバキ(めぐねえが誰かをタコ殴りにする音)

グシャリ♂ (とどめのぐしゃり♂ストンプ)

アーッ!

暗闇の中で困惑してたらなんか大勢がドタドタと階段を駆け上がる音

ぼーっとしてる場合じゃねえ!(mini-14装備)

廊下に出て、血のこびりついた一升瓶を握った警部補と合流。.44マグナムを渡す

なんか白いのいっぱい来たぁ⁉︎

貴重な警官要素*3

以下前述の通り

 

 

警告はしたから大丈夫! ヨシ!(確認)

 

 

 

 

:ていうかアネゴツッコミどころ多すぎやろ。なんやこの物騒な赤いのが付いた一升瓶

:一升瓶は日本古来の優秀な鈍器だからな!()

 

 

───私と同じで、なんか首元にチクリと来て抱いてた一升瓶を振ったら誰かの頭に当たったみたいですよ

 

 

:ヒェッ

:結局あの一升瓶抱いたまま寝てたのか……(困惑)

:あなた方日本酒10L近く飲んでましたよね??? なぜ動けるんですか???

 

 

───あんなの水ですよ水

 

 

:ウッソだろお前……

:これにはロシア……じゃなかった、ソ連ニキも苦笑い

:Эта женщина слишком сильная……

:『この女強過ぎんか……』だってよ

:ロシア人が認めるんなら本物やなぁ

:あ、バカおまえ

:Это Советский Союз. Больше не ошибаетесь, чёртовы капиталисты.

:『 ソ ビ エ ト 連 邦 だ 二 度 と 間 違 え る な ク ソ 資 本 主 義 者 が 』

:ほら言わんこっちゃねえ

:また怒っちゃったじゃねえかよ

:ごめんて……

 

 

 

 

 

「お2人とも、大丈夫でしたか?」

 

 

2階の廊下で2人して座り込んで、荒い息を整えていると、階段からひょっこりと女将が顔を出した。

 

 

「な、なんとか……」

「いや、里見さんこそ大丈夫でした? こっちは寝込みを襲われましたけど」

「まあ、私の場合は事情があるというか……」

「?」

「そ、それよりも! 何かお体に異常はありませんか?」

「異常?」

「と、言いますと」

「何かこう、眠気が凄まじいとか」

「眠気ですか? あー、どうです警部補、私はギンギラギンですけど」

「私は眠気も酔いも覚めちゃったなぁ。二日酔いみたいなのもないし、寧ろすごい調子いい。今だったら警視庁で柔道最強になれる」

「どういう自信ですか」(困惑)

 

 

しかし、あの首の痛みは何だったのだろう。虫に刺されたにしては痛みが強いし、何か刃物でやられたというわけでもなさそうだ。そんなんやられてたらとっくの昔に死んでる。

 

 

「ん?」

 

 

何かが視界の端でキラリと光った。

目を凝らしてみると、私が泊まっている部屋の隅に何かが落ちている。

あれは何だろう、と、白づくめの不審者(失神中)の身体をよっと、と乗り越えて手に取る。

 

 

「……何それオフィサー」

「注射器……ですかね」

 

 

予防接種なんかでよく見る、医療用の注射器だ。中のピストンは押し出された状態、つまりは、使用前か使用後のどちらかということになる。

 

 

「あ、多分これじゃない?それ使ったのって」

 

 

警部補の手には、手のひらよりもだいぶ小さい小瓶があった。テーブルの上にあったらしい。寝る前までそんなのがあった記憶はないので十中八九それだろう。

 

 

「なんて書いてあります?」

「えーと……『魂剥離薬』だってさ」

「なんて?」

「『魂剥離薬』」

「……ジェネリック医薬品?」

「やだよこんなジェネリック」

 

 

この小瓶、蓋が開いていて中身がないので、複合的に予想すると、あの注射器でこの訳分からん薬品を打ったという事だろう。

 

 

 

……誰に?

 

 

 

いや、なんとなく予想はついている。だって覚えあるし。

 

 

「警部補、私の首筋の右側、なんか跡とかありませんか?」

「んー、どれどれ? ……あー、あるね。注射器みたいな……跡が……」

「……警部補もなんかが刺さった痛みで目が覚めたって言ってましたよね」

「言ったねぇ……もしかして私にもある?」

「ありますあります。首の左側に」

「えぇ……これマジ?」

「マジですねぇ」

 

 

纏めると、私と警部補両名共に、真偽は別として妙にオカルトチックな薬? を打ち込まれたという事である。ヤバいですね!(pkrーn)

 

 

 

 

「多分大丈夫ですよ……」

 

 

 

 

その言葉に振り返ると、湯気の立つ湯呑みを3つ乗せたお盆を持った里見さんが、困ったような笑顔をして立っていた。

 

 

「……どういう事です?」

 

 

警部補が怪訝そうな声で言う。

 

 

「それも含めて、色々とお話しします。私も、いい加減決着をつけないと行けませんから。とりあえず、お茶でもいかがですか?」

*1
いわゆるパジャマじゃなくて江戸時代あたりの寝間着。つまりは着物みたいなの

*2
警官現場猫

*3
ガバ警告




うーん、これはあっさりめの0.7ドンパチ。

活動報告の方で質問募集してるんで暇だったら見てやって下さい。質問をすると投稿者が喜びます。


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【朗報】休暇取れたから温泉行くぞwww (5)

新年なので初投稿です。あけましておめでとうございます。

年末に特番やってたドラマ『ハコヅメ〜交番女子の逆襲〜』を見て漫画を読んでみたらどハマりして計19巻衝動買いしますた。前に感想で指摘されたペア長とかってこういう意味だったんすねぇ! まあ偶然にもアネゴがペア長みたいになってるのでヨシ! 階級は……ナオキです()

1/6 誤字修正しました。リア10爆発46兄貴、MAXIM兄貴、phodra兄貴、でぃせんと兄貴、オーレリア軍兄貴ご報告ありがとナス!
4/15 誤字修正しました。竜人機兄貴ありがとナス!


午前2時を過ぎて少しした旅館『ひなた』。

先程の騒動も嘘のように静かになった京都の山は、秋らしい虫の音やら動物の動く音やらが響く。

 

 

「まず前提としてお伝えしますが」

 

 

ここは女将、里見さんの部屋。

客室や廊下が大変な事(精一杯のオブラート)になっているためここに通された私と警部補は、出された緑茶を啜りながらそこから続くであろう言葉を待った。

 

 

:ドキドキ……

:ドキドキ……

:ヤヨイシキドキ……

:は?

:空気読め

:エや下

:お前を殺す

:デデン!

:ごめんて

 

 

───ちったあ黙って待てないんですかあなた方ぁ!!!

 

 

「佐倉さんも、三好さんも、既に人間ではありません」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ」

「はぁ」

 

 

:あ、絶対信じてないゾこの2人

 

 

───うるさいですね……ていうか変な空気になっちゃったじゃないですかどうしてくれるんですか

 

 

:ワイらに言うなや

:いや待て、なんでおまいらそんなに落ち着いてるんだ。今の割と重大発言だぞ

:そうか?

:めぐねえが人間辞めてるのはいつもの事だしなあ

 

 

───なんだか風評被害を受けてる気がする

 

 

:おま言う

:残念でもないし当然

:いや、女将の発言をよく聞けよ。めぐねえだけじゃなくてアネゴも人間じゃねえって言われてるんだぞ

:………

:………

:………

:あ、ホンマや⁉︎

:⁉︎

:えっえっ待ってどういう事

:()<ミヨシは人間ではありませんので

:つまり、アネゴは人間じゃない……ってコト⁉︎

:だからそう言ってんだろタコ助!

 

 

ぎゃーぎゃーワーワーと掲示板がヒートアップし始めた為、掲示板の音声再生を切る。

 

 

「えーと、人間じゃないっていうのはどういう……」

 

 

警部補が心底困惑したような顔でそう聞いた。そりゃそうだ。いきなり「お前ら人間じゃねえ!!!!!!」(文字通り)なんて言われれば誰だって困惑する。

 

 

「わかりやすく言うと半妖って感じですね」

「はんよう」

「半妖」

「半分妖怪って書いて半妖?」

「そうですそうです」

「……いや、うん、まあ、なんとなくそんな予感はしてた」

「してたんですか⁉︎」

「そりゃあね。お盆投げてドローンのフレーム真っ二つとか日本酒6升飲み干すとか人間じゃないでしょ」

 

 

:冷静で草

:良かった、ワイの感性普通やった

:ところで日本酒5升半飲み干した女刑事がいるみたいですよ。

 

 

───ぎくっ

 

 

「いや、まあそりゃそうですけど……」

「まあそれはそれとして。里見さん、聞きたい事があるんですけど」

「何でしょうか?」

「多分私がこうなったの里見さんが原因ですよね」

 

 

警部補の突拍子もない発言に、里見さんは気まずそうに顔を逸らした。

えっ……え?

 

 

「え、あの、急に何を言い出すんですか警部補」

「オフィサーには温泉入ってた時に言ったね、ここに来てから随分怪我の治りが早くなったって」

「……そういえば言ってましたねそんな事」

 

 

:そうなん?

:アレやろ、めぐねえがスレから抜けてた時や

:ああ、ワイらが皆拗ねてめぐねえの胸の大きさ予想大会してた時か

:ほぼほぼスレ民の願望と化してたけどな

 

 

───そんな事してたんですか⁉︎

 

 

:ちなみに最有力はサラシソムリエが提唱した『E寄りのD』説だぞ

:後で正解教えて♡

 

 

───教えるわけないでしょう⁉︎

 

 

「ここの温泉の源泉は麓の温泉街と同じ物だからこれが原因とは考えにくいし、食材とかも最近は私が麓に里見さんの陸王を借りて買いに行ったのばっかり。じゃあ後に残るのは、受けるたびに不自然な眠気に襲われる里見さんのマッサージだけだろう?」

「な、なるほど……なるほど?」

 

 

:アネゴの推理が冴え渡っている……だと⁉︎

:()<ミヨシは名探偵ですね

:これには後方保護者面のボ卿もニッコリ

 

 

「どうなんですか、里見さん。……というか、貴女、何者なんです?」

「……」

 

 

里見さんはため息を大きく1つつくと、緑茶をグイッと一気に飲み干した。

 

 

「……少し、昔話を聞いていただけますか」

「ええ、どうぞ」

 

 

 

 

───

──────

 

 

 

 

昔々、この国が『日本』と呼ばれるようになるもーっと昔。

 

今では『京都』と呼ばれるあたりで、人々から恐れられた化狐がおりました。

 

化狐はよく住処の山から降りては、人の姿に化けて住民を驚かせたり、夜中に大きな音を立てたりと、いつもくだらない悪戯ばかりしていました。

 

住民達は、

「悪戯ばっかで面倒だけど役人様に言っても信じてもらえんし」

「別に直接危険な訳でもねえしなあ」

「悪戯の後木の実とかくれるしな」

「あれうめえよな」

「後アイツが女に化けた姿()い」

「分かる」

「それな」

「アレだけで麦飯2杯は食えるわ」

「無駄使いすんでねえ!」

「いってえ!」

と、諦めておりました。

佐倉さん、何ですその顔。別に恐れられてなくない? とか考えてるんじゃないでしょうね。……あ、図星ですか。

 

 

……続けますよ。

 

 

そんな折、その噂を聞きつけた旅の僧が山を訪れました。

まあその時代は他の土地から人がやってくるのは珍しかったものですから、化狐は嬉々として女の姿に化け、悪戯を仕掛けたんです。

 

夜の山に迷い込んだ僧の前に現れた小さな家、厚意で泊めてくれた美しい女、素朴ながらおいしいご飯。全て化狐が見せた幻です。

しかし、その僧は慈悲に満ちた目で言うんです。

 

 

「いや、これが全て化狐の悪戯というのが惜しい」

 

 

化狐は大層驚きました。何せ完璧だと思っていた悪戯が最初からバレていたんですから。

 

 

「私は今までさまざまな土地を回ってきてさまざまな人に触れてきたが、お前の優しさが一番嬉しかった。例えこれが全て幻でもな」

 

 

化狐は問います。私を退治しに来たのか? と。

 

 

「いや、別に退治しに来たわけではない。妖の身でありながら、人には危害を加えないばかりか木の実を置いていく変わった化狐がいると聞いてな、興味が湧いただけだ」

 

 

旅の僧はそれだけ言うと、世話になったな、と言って出て行こうとします。

化狐は思わず立ち上がり言いました。

 

 

待て。

 

 

「……なんだ?」

 

 

私も連れて行け。

 

 

「はあ?」

 

 

なんでそんなことを口走ったのか、化狐にも分かりませんでした。

最初から悪戯を見抜かれていて悔しかったとか、変わった風の僧に興味が湧いたとか、後付けでそれらしい理由は幾らでも付けられますが、その時はとにかくこの僧について行かなければ、という思いで一杯だったんです。

 

 

「いや、まあ私は構わないが。面白い物でもないぞ?」

 

 

いい。

 

 

「……そうか。ならば、好きにしろ」

 

 

そうさせてもらう。

 

 

 

 

化狐と僧の奇妙な旅は長いこと続きました。

 

歩いて、歩いて、たまに船に乗って、歩いて、歩いて、歩いて───

北は蝦夷の地、南は琉球まで行きました。

時には山賊に襲われたのを化狐が妖の力で返り討ちにしたり、時には悪霊に襲われたのを僧が「破ァ!」の一言だけで退治したり。

 

 

 

しかし、当たり前ですが化狐は妖、僧は人です。生きる時間が違いすぎます。

化狐にとってはあっという間……と言っても、人にとっては何十年という時間ですが。当時にしては随分長生きだったんじゃないですかね。

 

ちょうど、最初に出会った京都の山まで来た時に、ついに僧は倒れました。

恐らく死ぬだろう、2人は言葉に交わさずとも確信がありました。

 

 

化狐は問いました。

死ぬ前に何かしたい事があるかと。

 

 

「……もう随分前になるが、お前と初めて会った時のあの幻の家があったろう。あれがもう一度見たい」

 

 

お前に最初からバレていたあれをか。相変わらず変わった事を言うな、お前。

 

 

「変わっているのはお互い様だろう?」

 

 

違いない。

 

 

化狐は小さく笑うと、いつか見せた小さな家の幻を僧に見せます。

 

 

「ああ、これだ。最期にこれが見たかったのだ」

 

 

飯もいるか?

 

 

「あるのか?ならば頂こう」

 

 

繰り返しになりますが、全て化狐の幻です。なのに、僧はとても楽しそうに、嬉しそうに、それらを楽しみました。

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前、これからどうするんだ?」

 

 

僧が皺だらけの喉を震わせながら、蚊の鳴くような声で聞いてきます。

 

 

お前が死んだらか? ……多分お前と会う前の暮らしに戻ると思う。

 

 

「だろうな。お前はそういう奴だ」

 

 

心を改めなくて残念か?

 

 

「妖が心を改めたところで妖の身というのは変わらんさ。それに、お前が心を改めているのが想像できん」

 

 

こいつめ、食ってやろうか。

 

 

「それはいいな。お前に食われるなら本望だ。尤も、この皮と骨だけの老体を食えたらの話だがな」

 

 

出汁を取って鍋にしてやるさ。

 

 

「そりゃあいい……なあ、前々から言おうと思っていたんだが」

 

 

なんだ?

 

 

「改心しろとまでは言わないが、商売、そうだな、旅籠所*1でもやったらどうだ」

 

 

どうした急に。

 

 

「いや、これからお前が悪戯を再開すれば、恐らく幕府の役人共がお前の事を退治しに来るだろう。お前なかなか料理の腕はいいから、そうすればいい」

 

 

お前らしくもないよく分からん理由だな。本音は?

 

 

お前が俺以外に退治されるのは我慢ならない

 

 

クッ……ハハハハハ!!!

言えたじゃないか、それでいいんだよそれで。

そうだな、お前の最後の願いだ、聞いてやろう。

 

 

「そいつは良かった」

 

 

僧は満足そうな顔をして目を閉じ、そして二度と目を開けることはありませんでした。

 

 

───

──────

 

 

「───その化狐が営む旅籠、今風の言葉で言えば旅館ですね。数百年以上経った今でもまだ残っているそうですよ」

「ここですよね」

「……そしてその旅館には、その当時と姿の変わらない女将が」

「里見さんのことですよね」

「オフィサー、雰囲気、雰囲気」

「……いやまあまさにその通りなんですけど。こんな感じに」ドロンッ

「うわあ里見さんも急に狐にならないで⁉︎」

 

 

:展開下手くそか?

:狂乱ピンクに雰囲気なんて分かるはずがないんだよなぁ

:これ転生者のワイらとめぐねえはいいけどアネゴとかやばいのでは?

:多分やばいな

:具体的に言うと?

:多分正気度*2が2ぐらいは下がる

:まあこれぐらいならそんなもんか(クトゥルフ並感)

:なんだウチの嫁に比べりゃ50分の1じゃねえか

:ちょっとSAN値がイカれてるスレ民がいらっしゃいますね……

:ちょっとどころじゃないんだよなぁ

:>>564の嫁は邪神か何か?

 

 

まんま狐の姿になった里見さんが、コヤーンと一鳴き。

ドロン。

 

 

「あ、戻った」

「なんでオフィサーはそんなに落ち着いていられるんだ……(困惑)」

「あの状態だと人の言葉喋れないんですよ。それで、三好さんの今の状態についてですね」

「あ、はい。とりあえず警部補は人間辞めたって事でいいんですよね」

「ええ。人間辞めさせちゃいました☆」

「他人の人生に関わる事そんな軽く言わないでくれませんか???」

 

 

閑話休題。

 

 

「まあ結論から言いますと、三好さんが半妖になっちゃったのは確かに私のマッサージが原因です」

「あ、やっぱりそうだったんですね」

「なんでそんな事したんですかぁ……」

 

 

:アネゴ割とショック受けてて草

:()<落ち込むミヨシも可愛いですね

 

 

「いえ、別にそういう意図があったわけじゃないんですよ。ただ、三好さんの左腕の銃創の具合が酷いものだったので治そうと思ったんです。で、試しに妖力を乗せながらマッサージしたら案外効果があった物ですから、調子に乗って続けていたらちょーっと魂の形が、こう、ね?」

「草」

「ね? じゃないんですよ!!! オフィサーも草生やすな!!!」

 

 

:つまりあれか? 事故ってことか?

:簡単に言うとそうだな

:事故で妖怪にされるアネゴェ……

:めぐねえ草生やすな

:アネゴ草とか分かるんか……

 

 

「大丈夫ですよ警部補。ちょっと力が強くなっただけですから」

「こンのオフィサーめええええ! 他人事だと思って!!!」

「いひゃいいひゃいいひゃい」

「……いや、そうだよ。オフィサーは? さっき里見さんオフィサーも人間じゃないって言ってましたよね⁉︎」

「あー、それなんですが、私もよく分からないんですよ」

「はあ?」

「お二人が打たれた『魂剥離薬』ってあったじゃないですか。あれって簡単に言うと、『魂を身体から剥がせば意識戻らないよね』っていう睡眠薬なんです」

「睡眠薬……睡眠薬?」

「……ず、随分とまあ、ゴリ押しでオカルティックな睡眠薬ですね」

「この『魂』というのは一般的な形の物……まあつまりは人間や動物なんかを指しているので、世間で『架空の存在とされている』ものは当てはまらないんですよ。妖怪や付喪神がそうですね」

「私もそれに当てはまる、と」

「そういう事です」

 

 

そこまで言った警部補と里見さんの視線が私に集まる。

 

 

「この理論で行くと佐倉さんは『架空の存在とされているもの』になるわけなんですが……」

「どうなの?」

「……えーと、ですね──────」

 

 

───

──────

 

 

「…………武器を持ったカルト教団の構成員12人を銃器使用とはいえ無傷で制圧……噂には聞いてましたがやりますねぇ佐倉刑事」

 

 

翌朝、通報を受けて駆けつけた京都府警の若い女性警察官は開口一番そう言い放った。

 

 

:ほんによ

:他人に言われるとめぐねえやべえ事してんな

:何言ってんだいつもの事だろ

:そうだったわ

:狭い階段だったってのも大きいな。横方向に逃げられない

:さりげなく構成員の半分ぐらい股間撃ち抜かれてて草生えた

:もはやそれぐらいの急所特攻じゃワイらも動じないからな

 

 

「一応警告はしたんですよ?」

「いや、それはまあ女将さんからも聞いてるんで良いんですよ。しっかし、こんな時にカルトとはタイミングの悪い……」

「同時多発テロ……未遂? でしたっけ。デカい事件が起こったってのは夕べ通報した時に聞いたんですけど」

「ええ。なんで未遂で済んだのかまだ捜査中なんでなんとも言えないんですけど」

 

 

万和3年11月上旬。

伊馬出川(いまでがわ)駅と円田(まるた)町駅間を走行中だった京都市営地下鉄鴉馬(からすま)線車内で銃乱射未遂、その直後に京都府庁前、京都市役所前で銃撃未遂事件が発生した。

後年、『京都市内同時多発テロ未遂事件』と呼ばれる、偶然と人々の勇気が合わさった世界的にも稀な程大規模な未遂事件である。

 

まあその事件については機会があったら語るとして。

 

 

「……いや、申し訳ないです。昨日の通報が来た時点で人が出払ってて」

「過ぎた事は仕方ないですよ。結果論ですけど3人とも無事ですし。これから特捜*3設置で忙しいんでしょう?」

「本当ですよもう嫌んなっちゃう……」

 

 

きっとこれから眠れない日々が続くのだろう女性警察官の無事を祈りつつ今後の事を聞いてみる。

 

 

「そのカルト教団……えーと、『ウアジェトの目』でしたっけ。そこのガサ入れはいつ頃になるんです?」

「あ、テロの方の特捜設置前にカタを付けようって事でもう先輩方が行ってるんです。すごい速さで令状下りたんでびっくりしましたよぉ」

 

 

:だからやけに人員が少なかったんすねぇ^〜

:にしてもカルト教団か。オ○ムを思い出すなぁ

:あったなぁ……万和日本だとどうなん? やっぱ変な布教(文字通り)アニメとかあるんか?

 

 

───こっちだとオウ○聞いた事ないんですよね───

 

 

《至急至急‼︎詩文交通6から詩文、京都本部‼︎》

 

 

「ッ⁉︎」

「至急報⁉︎」

 

 

女性警察官の無線から聞こえてきたのは、聞くだけでも胃がキュッと締め付けられるような感覚に陥るとめぐねえの中で話題の至急報であった。

 

 

《た、対象の建物より発砲有り、署員複数名が負傷!至急119及び応援を要請……やっべ伏せろぉ!!!》

 

 

ズズン……

 

 

無線が途中で途切れたと思ったその瞬間、空気が震え、木に止まっていたのだろう鳥が一斉に飛び立った。

爆発か?

 

 

:あー、これは爆発ですね間違いない

:なんか煙上がってるけどもしかしなくてもアレ?

 

 

───煙ですか?

 

 

見上げてみると、旅館ひなたからさらに山の上の方で黒い煙が上がっているのが見えた。

うわあ派手にいってるぞぉ。

 

 

「うわぁ……」

「えーと、現場はもしかして?」

「あそこ、です。多分」

 

「牧君、私達も応援行くよ?」

「あっハイ!!!」

 

 

旅館の中から、牧と呼ばれた女性警察官のペア長*4であろう壮年の男性警察官が出てきた。

そしてその後ろには、なぜか私のガンケースを背負った三好警部補と、なぜか妙にデカい日本刀を腰に携えた里見さんが付いてきている。

 

 

:刀身が余りにも長いので恐らく大太刀*5だと思われ

:あれ刀身だけで数mない?

:転生特典完璧目測ワイ氏、刀身の長さだけで3m30cmあると見て無事戦慄

:なんて限定的な転生特典なんだ……

 

 

───大太刀⁉︎ 3m⁉︎

 

 

:なんで女将そんなん持って……あっそうだこいつ妖怪だったじゃん

:Q.どうして化狐が大太刀を使うんですか?

:A.理由なんて知らないがそっちの方がロマンがあるだろ

:わかる

:それならしょうがないな

:ロマンは全てに優先されるからな

:えぇ……(困惑)

 

 

三好警部補からガンケースを受け取り、その流れで5人全員がパトカーに乗り込む。

ペア長の男性警察官が運転席、女性警察官が助手席。後部座席に左から順に私、里見さん、三好警部補の順で座る。

男性警察官が全員のシートベルトを確認して急発進。

無線を聞く限りでは、応援で一番に到着するのは私達になりそうである。

 

 

「詩文交番より詩文。これより現場に急行する。どうぞ」

 

《詩文了解。詩文より応援に向かう各局、警ら小銃の使用を許可。繰り返す、警ら小銃の使用を許可。以上詩文》

 

「大崎部長、あの、百歩譲って警視庁のお2人はまだ分かるんですけどなぜ旅館の方も?しかも馬鹿でかい日本刀……ああもう邪魔だなこれ」

「すぐに取り出せるのがこれしかなくてですね……」

「そういう話じゃ……えっ?こ、これ使う気満々なんですか?」

「牧君は赴任したばっかだから知らないだろうけど、里見さんだから大丈夫大丈夫。ハハハ」

「どういう『大丈夫』なんですかそれぇ⁉︎」

 

 

詩文交番は旅館ひなたがある区域の担当なのか、大崎と呼ばれたペア長の男性警察官と里見さんは顔見知りらしい。

素人が見ただけでも銃刀法違反と分かるガチの大太刀を見ても動じないあたり、妖怪とかそのあたりの事情は警察に結構話しているのだろうか。だとしたら意外。

というか大太刀デカすぎて車内ギリギリじゃん、鞘がさっきから牧さんの頭にガツガツ当たってるよすげえ痛そう。

 

 

「詩文交番から詩文交通6、そちらの状況を知らされたし。どうぞ」

 

 

牧巡査が何度か無線を使用するが、返答が返ってくる様子はない。

 

 

「詩文交番から現場の各局! そちらの状況を知らされたし! どうぞ!」

 

 

:多分全滅やろなぁ……

:あっおい待てぃ、どこぞの狂乱ピンクみたいに無線が故障してるだけかも知らんから全滅と決めつけるのは時期尚早ゾ

 

 

───ダレノコトダロウナー(すっとぼけ)

 

 

「東京のお2人さん、これこのまま行ってもいいと思う? 銃撃事件に関しては最近だとそちらの方が経験豊富だし」

「ここらの地理詳しくないからなんとも言えないけど、とりあえず犯人らの目の前にサイレン鳴らしながら堂々と突っ込むのは悪手だね。それでウチの奴らが何人も蜂の巣になってる」

「うーん、登場の仕方どうこうの前にどうせ教団は自動小銃とかロケット砲とか使ってくるので*6こっちの火力だと押し負けると思うんですよ。京都府警ってパトロールライフル何使ってるんです?」

「89式小銃のセミオートモデル。30発弾倉。使うのはこの牧君。お2人は?立派なガンケースだけど」

「私が私物のmini-14、三好警部補は私の私物のM29です」

「というかそもそもなんで旅行先に銃を持ってきてるのかは聞かない方がいい感じ?」

「理由とかないので聞かないで貰えると非常に助かります」

「アッハイ」

 

 

:ワイらが持ってけってゴネただけだからな

:結果としてカルトを一時的に撃退できたわけだからヨシ!

 

 

───ぐうの音も出ねえ

 

 

「セミオートライフルが2丁に拳銃が、えーと、牧君と私と三好警部補が使う3丁。うーん、火力不足だねぇ……おや?」

 

 

グネグネと曲がりくねる山道をサイレンぶち鳴らしながら走っていると、目の前のカーブで白黒の軽バンが事故っていた。車体横には『京都府警』とあり、バックドアから廃屋に突っ込んでいる。

その傍らには警察官やスーツ姿の刑事が複数人横たわっている。

 

 

「牧君、救急要請して。御三方は手当ての手伝いを」

 

 

パトカーが停車し、全員が慌てて降車した。

 

 

───

──────

 

side:三好警部補

 

 

奇跡的に軽傷だった警察官の話はこうだ。

 

 

「突然だった。玄関をノックした警部が吹っ飛ばされたんだ。多分12ゲージのショットガン。そいつが銃眼みてえな穴からひょっこり銃口を覗かせてやがる。呆然としてたらありとあらゆる窓から拳銃やらショットガン、サブマシンガンを構えた構成員が\コンニチワ!/だ。俺とここにいる奴らはすぐ近くにコイツ(軽バンパトカー)があったからこれを盾にできたが、大半はそのまま蜂の巣だ。あとは近くでうめいてた奴らできる限り引っ掴んでパトに突っ込んで全力で後退ってわけだ。おかげで事故ったけどな……ああクソ」

「じゃあ、せ、生存者は」

「銃弾を目で見て避けれる奴しか生き残れねえよあんなん」

「ピェ…」

「牧君、気を確かに」

 

 

とすると、私たちはこれからほぼ単独で銃を持ったカルティストが籠城する建物に行かなきゃダメらしい。先遣隊(京都府警捜査一課)は壊滅、追加の応援は無線を聞く限り時間がかかりそう、圧倒的な人数差と───

 

 

「……火力が足りないねえ」

 

 

生存者の治療を終えた大崎部長が深刻そうな顔で言った。

そう、火力差。これが一番痛い。

いっその事汎用機関銃でも有れば全て解決するのだ。

弾幕はパワー。火力 is God。古事記にもそう書いてある。

 

 

「女将さん、なんかこう、妖怪的なスピリチュアルパワーとそのクソデカ大太刀で銃弾叩っ切れない?」

「妖怪をなんだと思ってるんですか三好さん……1、2人ぐらいならできますけど」

「1、2人ぐらいならできるのか……(戦慄)」

「いや、あの、皆さん? 素直に銃器対策部隊の到着を待った方がいいと思うのですがそれは。あと妖怪ってどういう」

「牧くぅん、それじゃああのカルティストのボスが逃げちゃうじゃあないか」(満面の笑み)

「うわあそうだこういう人だった……」

 

 

なんだか知らないが大崎部長は『ウアジェトの目』の教祖にご執心の様子だ。理由はきっと聞かない方がよかったりするのだろう。

 

 

詩文交番(ウチ)の大切な里見さんを連れ去ろうとする奴は京都府警を代表して私が許さないよ」

「大崎さん、あの、もうその辺で……///」

 

 

すげえ俗物的な理由……(困惑)

 

 

「でも大崎部長、実際どうするんだ? アタシらも銃撃事案は慣れっこだけどさ、流石に無策に突っ込むのは勘弁願いたいよ」

「うーん、なんかいい案ない?」

「頼むよ現場指揮官……まあ、こういう時はオフィサーに聞けばなんとかなるんだ。なあオフィサー?」

 

 

私は、先ほどから事故った軽バンパトカーの周囲でぶつぶつ言いながら彷徨いているオフィサーに声をかけた。

 

振り返ったオフィサーは笑顔でこちらに歩み寄ると、牧巡査の両肩に手を置いた。牧巡査の体がビクンと跳ねる。

そして一言。

 

 

 

 

 

「牧さん、目と小銃の腕はいい方ですか?」

「……はい?」

 

*1
旅行者が食事をとったり、休息をとったりするところ。weblioより引用

*2
またの名をSAN値

*3
特別捜査本部。ハコヅメで覚えた

*4
警察官は大体2人組で行動するのだが、その内の上長、先輩。めぐねえの制服時代のペア長? ……正直すまんかったと思っている

*5
日本刀の中でも刀身が3尺(90cm)以上の物を言う。鎌倉時代に好んで作られたが、後に摺り上げられて通常の長さに直されてしまったものが多く、現存するものは少ない。wiki引用

*6
経験から導き出された予知(?)




温泉編は次でドンパチ・フィナーレになりそうな気がする(予想) なれ(懇願)

活動報告で質問も受け付けてるのでそちらの方もオナシャス!


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【朗報】休暇取れたから温泉行くぞwww (6)

ウイニングポスト9 2020でナイスネイチャ(31戦21勝 G1 11勝 2つ名『極東の踊り子』)を育成していたので初投稿です。グランプリ4連覇して草生えるんですよね。……はい、1ヶ月以上お待たせして誠にすみませんでした。

温泉編最終回と言ったな。あれは嘘だ。

2/14 誤字修正しました。水上 風月兄貴ご報告ありがとナス!


────────────────────────

 

「大崎部長と里見さんが囮になるので、牧さんは林の中からカルティストを狙撃して下さい。最悪ロケットランチャーを持った奴だけでもいいので。観測手として三好警部補が付きます」

 

────────────────────────

 

東京から詩文に旅行中に本件に巻き込まれた警視庁の刑事、佐倉部長は私にそういう役を任せた。ペア長の大崎部長もなぜかそれを快諾。

警察学校を出て間もないド新人にこんなクソ大事な役割を任せるのもアレだが、この先輩方はなぜ自分から弾の雨の中に突っ込むような真似をするんだ。もっと命を大事にしろよ!!!(迫真)

 

 

「自分の命より大事な物があるからじゃない?」

 

 

ふと、前を歩く警視庁の三好警部補がそんな事を言った。

 

 

「……もしかして口に出てました?」

「ガッツリ出てた。初々しいねえ」

「うぐっ……本職、自分の命より大事な物はないと思うんですが警部補はどうですか」

「私も自分の命が一番だと思う」

「えぇ……?」(困惑)

「『大事な物』なんて人それぞれさ。オフィサーとか大崎部長は自分の命より大事な物があるんだろうし、私や君は自分の命が一番大事。10人中10人が一緒なんて事ないんだから深く考えても無駄だよ無駄。十人十色って言うでしょ?」

「そういうもんですか?」

「そういうもんそういうもん。……うん、ここなんか良さげだね。ここにしようか」

 

 

三好警部補がそう言うと、私達2人は倒木の影にうつ伏せになった。

木々の先、距離にしておおよそ150m先には、白い外壁の2階建ての建物。ぱっと見は校舎か何かに見えないこともない。ここから見て建物の右端に入り口があり、その前に駐車場とロータリー。

……ロータリーの舗装面がやけに赤黒くなっているのだが、覚悟していた死屍累々という感じでもない。死体が一つもないのだ。どうなっている?

 

 

「……玄関あたりに引きずったような跡が大量についてる。多分死体はあの建物の中だろうね」

「あ……言われてみれば確かにそんな跡ありますね。でもなんでそんな事を?」

「そればっかりは本人達に聞いてみるしかないんじゃない? まあ……カルト教団っていうぐらいだし、地下で邪神を召喚する儀式でもしてたりして」

「どこのクトゥルフ神話ですかそれ」

 

 

89式小銃の二脚を広げ、弾倉を差し込みコッキングレバーを引く。セレクターレバーはまだ『ア』のまま。安全管理ヨシ!

 

 

「警部補は準備OKですか?」

「いつでもどうぞ」

 

 

三好警部補が、捨てられていた古いエロ本(先程の廃屋で見つけた)を丸めて筒状にして覗きながら言った。

 

 

「……本当にOKですかそれ」

「大人の事情で最近目が良くなったからこれで事足りるんだわ」

「なるほど(?)」

 

 

なんだかツッコむのも疲れてきたので、諦めてスマホを開き電話をかける。相手はもちろん突入班のペア長だ。

 

 

「……あ、大崎部長。援護班は準備完了しました。いつでもどうぞ」

《りょうかーい。まあ気楽に頼むよ》

「(軽いなあの人……)」

 

 

 

 

───

──────

 

 

 

 

1358:名無しの転生者

はい、よーいスタート。

警官4人と妖狐1人?1匹?でカルト教団をぶっ潰すRTA、はぁじまぁるよー!

めぐねえが作戦の開始を宣言した時点でタイマースタート、カルト教団ボスを逮捕もしくは無力化した瞬間にタイマーストップとします。

もちろんこんな条件で走る走者はいないので自動的に本RTAが世界記録です。やったぜ。

 

1359:名無しの転生者

なんか始まったんだが?

 

1360:名無しの転生者

転生者掲示板に現れてはスレ主の行動に実況をつけるだけの転生者だぞ

 

1361:名無しの転生者

なんか思考が読める系の特典だとかで普通に実況できるらしい

 

1362:名無しの転生者

そんな奴がいるのか……(困惑)

 

1363:名無しの転生者

もっと他の事に才能活かしてもろて

 

1364:変態糞戦車長

RTA実況兄貴オッスオッス、ベルリン撤退戦の時はお世話になったな

 

1365:名無しの転生者

拙者がエンダードラゴン討伐した時もおられたでござるな

 

1366:名無しの転生者

ワイが“彼の者”の股間バーナーで焼いた時もおったで

 

1367:名無しの転生者

はえ^〜、各所にいるんすねえRTA実況兄貴

 

1368:名無しの転生者

ここまで知名度あるんだったらコテハン付けたら?

 

1369:底辺RTA走者(実況の姿)

これマジ?コテハン提案が出るの早過ぎだろ……

 

1370:名無しの転生者

>>1366

つーかさらっとEDF兄貴も久々の登場やな

 

1371:名無しの転生者

クソ忙しいからすぐROMるけどな。……ああもうまた出撃や、頑張れめぐねえ! ノシ

 

1372:名無しの転生者

ノシ

 

1373:名無しの転生者

じゃあの ノシ

 

1374:底辺RTA走者(実況の姿)

またの^〜 

 

 

────────────────────────

 

「よし、じゃあやりましょうか」

「なんか作戦名とかはあるのかい?」

「作戦名ですか?そうですね……『ホイホイ作戦』なんてどうですか?」

「……それは顔を出した狂信者を牧さんが狙い撃つって意味のホイホイですよね?私達が飛んで火に入る夏の虫的な意味のホイホイじゃないですよね???」

 

────────────────────────

 

1375:底辺RTA走者(実況の姿)

む、めぐねえが作戦の開始を宣言したのでタイマースタート。

パトカーに大崎部長が乗り、パトカーの屋根の上に無銘の大太刀を携えたコヤーン(ケモ耳の姿)が乗ります。作戦としては大崎チームが囮となり、愚かにも釣られたカルティストをアネゴが見つけて牧巡査が撃ち抜く感じです。簡単だな!

 

1376:名無しの転生者

タンクデサント*1かな?

 

1377:名無しの転生者

タンクデサントコヤーンも突っ込みたいけどその前にめぐねえどこいった

 

1378:名無しの転生者

ん?ホンマや

 

1379:名無しの転生者

めぐねえは何するん?

 

1380:名無しの転生者

#サボるなめぐねえ

 

1381:名無しの転生者

#働けめぐねえ

 

1382:一般モブ警察官

ちゃんと働くから少し待ってなさい

 

 

 

 

 

───

──────

 

 

 

 

「準備はいいかい?里見さん」

 

 

大崎巡査部長は運転席の窓ガラスから顔を出して、パトカーの上に正座する里見に話しかけた。

その手にある無銘の大太刀は既に鞘から抜かれ、その刃紋が日を反射してギラリと輝いている。

 

 

「私はいつでも」

「……なんかごめんねえ、面倒な役柄押し付けちゃって」

「いえ、私に出来ることはこれぐらいですから」

「“これぐらい”で済ませるようなことじゃないと思うんだけど……まあいいか。よし、行くよぉ!」

 

 

大崎巡査部長の合図と同時にアクセルが踏み込まれ、V型6気筒ガソリンエンジンが唸る。回転するタイヤが地面を掴み、『京都府警』と車体横に印字されたパトカーが発進する。

次いで赤色警告灯が点灯。読者諸氏も聞き慣れているあのサイレン音が山中に鳴り響く。

 

 

高速で道路を進むパトカー。

すぐに教団の建物が見えて来た。

 

瞬間、建物からパッと閃光が瞬いた。

 

 

「ッ!!!」

 

 

キィンッと甲高い音が鳴る。

パトカーの上にいた里見が片膝立ちになり、その刀身長3mはあろう大太刀を振り抜いていた。

 

 

パトカーの後方に、真っ二つになった拳銃弾がコトリと転がる。

 

 

「ははは……本当に人間業じゃないや……げえっ⁉︎」

 

 

後ろを確認した大崎巡査部長が再び前を見ると、建物のありとあらゆる窓から白ずくめの格好をした教団構成員が拳銃やら短機関銃を構えているではないか。

ベテランの大崎巡査部長も流石に怯むが……

 

 

「そのまま進め!!!怯むな!!!」

 

 

パトカー上から、なんとも頼もしい声が聞こえて来た。

 

 

「なんか口調変わってるけどまあいいか!」

 

 

一斉に銃弾が放たれる。

しかし妖狐は怯まない。どう見ても細かい事に向いていなさそうな大太刀で、器用に大崎巡査部長と自分に当たりそうな銃弾だけを叩っ切っている。

 

 

────────────────────────

 

「1、2人分の銃弾なら切れるんですよね。だったら、飛んでくる全部の弾切ろうとしないで、里見さんと大崎部長に当たりそうな弾だけ切れば良いんですよ。そうすれば間に合うでしょう?大丈夫ですよ、素人が遠距離からばら撒く銃弾なんてそうそう当たりませんから」

 

────────────────────────

 

 

「簡単に言ってくれる……ッ!!!」

 

 

里見は、今は別行動しているあの桜色を心底恐ろしく思った。確かに切れるとは言った。言ったがそれを本当に信じて作戦に投入する奴があるか。

この無理やりさを見ていると、どうにも数百年前のあの僧を思い出す。

 

 

ああ、

 

 

「ははは……本当に」

 

 

本当に、

 

 

「人というものはこうも面白い!!!」

 

 

そこには、数百年ぶりに本性を現した妖の姿があった。

 

 

 

 

───

──────

 

 

 

 

「やっぱりおかしいですって色々と!!!」

「こんなの東京じゃ日常茶飯事だけどねえ。ほうら撃った撃った。選り取り見取りだぞぉ。2階、左から3番目の窓。RPG」

「うわあロケランも出てきた……!!!」

 

 

援護班……というか、牧巡査も頑張っている。

三好警部補が目標を指定し、牧巡査が撃つ。その繰り返しだ。

セレクターを『タ』に合わせた89式小銃が吠える。

 

 

「正しい見だし、正しい引きつけ、正しい頬つけ、コトリと落ちるように……」

 

 

学生時代に見たアニメの台詞を諳んじながら、引き金を引く。

 

放たれた89式5.56mm普通弾は、殆どは外壁を散らすか壁紙に穴を開けるだけだが、それでも何発かは構成員に命中している。

今命中した弾はどうもRPG-7の弾頭部分に当たったのか、瞬間、建物の2階の一部が文字通り吹き飛んだ。

 

爆風と衝撃波が周囲を襲う。

 

余談だが、たった今爆発したのはサーモバリック弾頭*2の為、吹っ飛んだ部屋の中にいたRPG班は漏れなく全滅した。悲しいね。

 

 

「ひぇっ、もう辞めてやる……辞めてやるぞぉ……!」

 

 

弾倉を交換しながら、牧巡査はそんな事を考えていた。

 

 

 

 

 

───

──────

 

 

 

 

「撃て!撃て!あの化狐諸共贄の一部にしてやるんだ!」

 

 

構成員を指揮するリーダーは、自らもTT-33を盲撃ちしながら声を張り上げた。

 

 

「クソ!なぜ殺せない⁉︎さっきより人数はずっと少ないんだぞ!」

「化狐だ!あいつ弾を切ってやがる!しかも林の中にスナイパーもいる!顔を出すとやられるぞ!」

「はあ⁉︎小賢しい真似を……うぉ⁉︎

 

 

ズズン…と建物が大きく揺れた。

 

 

「なんだぁ!何があった⁉︎」

「2階だ!2階で爆発があったんだ!」

「…… あっ!RPG班か⁉︎」

「……らしいな、応答がない」

「RPG班がやられましたぁ!」

 

 

携帯を持った構成員がそう言うのと、青ざめた顔をした構成員が部屋に飛び込んできたのは同時だった。

 

 

「クソ!気張れよお前らぁ!()()()()()()我々の勝利なんだ!1、3班はこのままパトカーを蜂の巣にしろ!最悪化狐を釘付けにできれば良い!2、4班は森の中にありったけばら撒けぇ!」

 

 

 

 

 

───

──────

 

 

 

 

チュインッ

 

 

「わっぷ⁉︎」

「やっば、こっち来て!」

 

 

何か教団側で動きがあったのか、急に三好ら援護班の方に銃弾が飛び交い始めた。89式小銃の目の前に着弾した9mm弾が土を散らし、三好が慌てて牧巡査を倒木の陰に引っ張り込む。

狙いをつけているわけではないようだが、いかんせん飛んでくる弾の数がヤバい。あちらこちらで銃弾が掠めたり着弾する音がする。これは下手に顔を出せば被弾の危険も増すだろう。

 

牧巡査の精神もついに限界を迎えたのか、三好の胸の中で泣きじゃくり始めた。

 

 

「うぐっ…ひぐっ…おかあちゃぁぁん……」

「ああクソ、援護班より大崎部長!犯人からの銃撃多数によりこれ以上の援護は厳しい!ていうか牧巡査が精神的にヤバい!」

《あ、ホント?困ったなぁ、こっちも里見さんの刀がそろそろポッキリ逝きそうでさ、僕も肩撃たれたし、パトカーは確実に廃車───あ、うん、お帰り里見さん。えーとね、たった今里見さんの大太刀真っ二つになっちゃった。どうしようね?》

 

 

どうしようねっておい……と呆れていると、建物の方から拳銃や短機関銃とは違う重い銃声が複数発。

同時に、馬鹿みたいな規模の銃撃もピタリと止んだ。

 

 

「………」

《……えーと、今のは佐倉さんのライフルの音だね。作戦通りって奴かな?》

 

 

数秒してまた拳銃や短機関銃の銃声コンサートが始まったが、今度は銃弾が飛んでこない。

 

 

「いや、“失敗”だこれ……」

 

 

佐倉から預かっているM29の残弾を確認。うん、十分にある。多分どうにかなるだろう。

 

 

「どうどう、泣き止め泣き止め20代。……ちょっと建物の方行ってくるからここで隠れてな。できる?」

「(無言の首肯)」

「ようしいい子だ」

 

 

三好は牧巡査の頭をポンポンと撫でると、木に隠れつつ建物の方向へと進軍を始めた。

 

 

 

 

*1
歩兵が戦車に跨って移動したり戦闘に参加したりする事。ソ連兵がよくやる。

*2
閉鎖された空間内で、その場の空気を使って発火し中の酸素を使い果たすやべえ弾頭




どうやって終わらせよう……()

あっ、活動報告の方で質問募集してるんでオナシャス!


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【朗報】休暇取れたから温泉行くぞwww (7)

繁忙期と連日続く猛暑にやられてたので初投稿です。

あと試験的に、ネームドキャラの掲示板パートのユーザー名部分に色をつけてみました。


 一方その頃めぐねえだが。

 

 

「無理^~!」

 

 

大ピンチに陥っていた。

 

細長い廊下で、横倒しになったロッカーの陰に隠れるめぐねえを襲う銃弾の雨あられ。なんだか前にも似たようなことがあった気がするが気にしてはいけない。*1 

それが万和日本クオリティ。

 

本来の作戦プランであれば、援護班と囮班が頑張っている隙にめぐねえが単身建物内部に潜入。このカルト教団の親玉であるらしい『教祖』なる人物を逮捕してこっそり脱出する───いわばSneaking Mission(潜入任務)だったのだが。

 

 

『………………』(忍び足めぐねえ)

『………………』(背後からそれをガン見する構成員)

(某金属歯車風SE)

 

 

普通にバレた。

作戦自体は相手の虚を突いた良さげなものだったが*2、いかんせんこの狂乱ピンク(めぐねえ)はステルスが致命的なまでに苦手であった。なんでこんな作戦立てた?

「こそこそするのは性に合わないんです!」とはドンパチめぐねえの言葉である。それなら三好あたりに頼めばよかったのでは?と考えたのはきっとあなただけではないはずだ。

 

 

:室内戦でSMG相手にセミオートライフルで立ち向かうとかマ?

:正気の沙汰じゃないねえwww

:なにわろてんねん

:ゲームだったらいくらでもやりようはあるけどなあ

:ところがどっこいゲームじゃありません!!!現実です……!これが現実……!

:結論→がんばれ♡

 

 

──お助け^~

 

 

:意外と余裕そうで草

:経験、ですかねえ……

:経験(若手刑事とは思えないほどの銃撃戦の体験)

:そうじゃん、めぐねえまだ新人刑事じゃん

:新人……?

:新人の定義壊るる^〜

:お前のような新人がいるか!

:でもこんな状況、手りゅう弾でもない限りキツい……キツくない?

 

 

──手榴弾?あっ、OKありがとうございます!

 

 

:なんか思いついたんか

 

 

「これをこうしてふんっ!

 

 

手の届く範囲にあった蓄圧式粉末消火器を手に取って廊下の向こうにぶん投げた。金属音を響かせながら転がった消火器が構成員の足元を強襲したところで*3それを撃ち抜く。空いた弾痕から消火器内の圧力が一気に解放され、薄いピンク色の薬剤が噴き出す。

 

それすなわち目くらまし。*4

 

 

「うおっ⁉」

 

 

反射的に目をふさいだ構成員たちを的確に撃ち抜いて、撃ち抜いて、撃ち抜いて。

 

 

──

────

 

 

832:名無しの転生者

ヒェッ……

 

833:名無しの転生者

こ れ は ひ ど い

 

834:名無しの転生者

見事な股間虐殺恐れ入った

 

835:名無しの転生者

めぐねえがいつも通りで安心したよ俺ぁ

 

836:名無しの転生者

恐ろしく早いクリアリング、俺じゃなきゃ見逃しちゃうね

 

837:一般特戦歩兵

私が育てました

 

838:名無しの転生者

EDF兄貴はどうしてクリアリングなんて知ってたんや‥‥?

 

839:名無しの転生者

教え方めちゃんこ上手かったしな

 

840:一般特戦歩兵

ま、昔とった杵柄ってとこやんな

 

841:名無しの転生者

なお初めて知る技術を一度聞いただけで完璧に再現するめぐねえの吸収力

 

842:名無しの転生者

前のモールスとかもそうだけどめぐねえやっぱやべえわ

 

843:底辺RTA走者(実況の姿)

‥‥はい、2階東端の部屋クリアリング完了です。

 

844:名無しの転生者

早すぎるっぴ!

 

845:名無しの転生者

これで全部屋制圧か?

 

846:名無しの転生者

……せやな、隠し部屋でもない限りは

 

847:名無しの転生者

敵正面に陽動を貼り付けての背後強襲、うん、完璧な作戦だったな!()

 

848:底辺RTA走者(実況の姿)

ここで陽動組と合流です。想定より被害が出ていますが死者はいないので問題ありません。これはガバじゃない、いいね?

 

849:名無しの転生者

アッハイ

 

850:名無しの転生者

被害

・コヤーン里見→大太刀破損、しょんぼり

・大崎部長→右肩貫通銃創、戦闘不能

・牧巡査→SAN値ピンチ、戦闘不能

・三好警部補→⭐︎無⭐︎傷⭐︎

 

851:名無しの転生者

コヤーン滅茶苦茶落ち込んでんな

 

852:名無しの転生者

大太刀が真っ二つになってちょうどいい大きさになってるのホント草

 

853:名無しの転生者

てかコヤーン口調変わってね?

 

854:一般モブ警察官

元々はこの口調だったみたいですね

 

855:名無しの転生者

はえ^〜すっごいギャップ……

 

 

───

──────

 

 

「で、これからどうしようか」

 

 

牧巡査に傷口を押さえてもらっている大崎部長が、若干青くなった顔で口を開いた。

 

 

「どうするも何もまだ教祖見つかってないし」

「大崎さん、府警の応援はいつ来るんですか?」

「いやぁ、それがどの局も要領を得ない返事でさ。ただ一つ言えるのは応援は期待できないってとこかな」

 

 

:知ってた

:応援無しは最早様式美よな

 

 

───そんな様式美捨ててしまえ

 

 

「───で、多分ここですよね。教祖がいるの」

「だろうねぇ」

 

 

目の前にある他と違った重厚な扉。

廊下の最奥にパーテーションで隠されていたのを三好警部補が発見したのだ。そしてそれをひいこら言いながら開けてみれば、そこに現れたのは下へと続く長い階段。そして近くの壁には『この先ホルス様のお部屋』と書かれたプレート。

 

 

「ホルス……ってのが教祖の名前なのかな?これを見た感じだと」

 

 

プレートを見ながら三好警部補が言った。

 

 

:昨日だったかエジプト神話ソムリエがそんな事言ってなかったっけ

:言ってますねぇ!

 <せや。詳細は省くが、エジプト神話の中で『全てを見通す知恵』とか『癒し・修復・再生』のシンボルになってるのがホルス神の左目『ウアジェトの目』や。

:つまり、神様を逮捕する……ってコト⁉︎

:ワッ……!

:神に人の法は適用されるのか?ボブは訝しんだ

 

 

「じゃあ、行きますか。大崎部長と牧さんはここで待機で」

「(全力でうなづく牧)」

「まあこの怪我じゃ何も出来ないからね。里見さんはどうするんだい?」

「これァ本当なら私がケジメ付けなきゃならねえ問題だからな。当然行くさ」

「どうしようオフィサー、今までの里見さんと違いすぎて慣れない」

「ギャップ萌えって奴では?」

適当な事言ってんじゃねえぞ佐倉よ

「ウッス!」

 

 

:ところでその真っ二つになった大太刀で行くんすか?

:い、一応刃は残ってるし……

:ゴールデン○ムイでも薩摩人が折れた軍刀で殺ってたしな

:誰をだよ

:ネタバレになるから読め

:ダイマで草

 

 

そういうわけで突入隊は私、三好警部補、里見さんの3人に決定しました。ようしお姉さん頑張って検挙しちゃうぞ^〜

 

 

 

 

 

 

*1
ほんへ4話参照

*2
めぐねえ談

*3
構成員「痛ってぇ!」

*4
消火器の腐食・老朽化による破裂事故には気を付けよう!




今までは1話の文字数5,000文字ぐらいになるように調整してたんですが、そもそも5,000文字埋まらなくて一向に投稿できない事がこの数ヶ月でよく分かったのでこれからは文字数が少なくなるやもしれません。予めご了承くだしあ。


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【朗報】休暇取れたから温泉行くぞwww(8)

これぐらいの文字数だったら筆がのればすぐに書けるので初投稿です。

8/16 倦倦兄貴誤字報告ありがとナス!早すぎィ!
   でぃせんと兄貴いつも誤字報告ありがとナス!


ここで一度視点を教団本部から京都府警に移してみよう。

 

なぜ一向に応援が来ないのか?

 

大崎部長が言った「どの局も要領を得ない返事」とはどういう意味なのか?

 

要はこういうことである。

 

 

 

《円田交通6から京都本部!対象は七条御前交差点のバリケードを突破!負傷者多数!拳銃及び警ら小銃では効果が認められず‼︎》

 

《京都本部より現場周辺の各局!対象が民間の建物に突入しないよう誘導されたし!その際の発砲は自由!》

 

《みやこより京都本部、対象へ危害射撃を実施するも効果は認められず。指示を乞う》

 

《みやこはそのまま空中からの追跡・監視を継続されたし!現在京都市が自衛隊へ要請を行っている!以上京都本部!!!

 

 

 

アメリカで制作された『トレマーズ』という映画シリーズがある。そこにシリーズを通して登場するのが巨大地底生物『グラボイズ』又は『グラボイド』。

体長が10mにも及ぶモンゴリアン・デスワームみたいな奴だが、要は京都市内をそんな感じの巨大生物が暴れ回っていたのである。

 

 

体長は10m超、円錐形の頭部は硬い殻で覆われており、4つに開く口の中からは、捕食に使用するのか知らないが数本の細い触手と幾重にも重なった鋭い歯が覗いている。

 

 

そんな化け物が、京都市内───主に中京区、右京区周辺───をごろんごろんと破壊しながら暴れ回っているのだ。電柱を薙ぎ倒し、路面電車を跳ね飛ばし、パトカーを踏み潰し。

こんな状態で応援なんぞ出せるはずねえだろ、とは京都府警本部長の言葉である。

 

しかも、忘れがちだが押収品の重火器を迷いなく投入しているのは現時点では警視庁のみである。

事件発生時点で京都府警の持つ火力は、1番大きい物でも各PCに配備された、“警ら小銃”と呼ばれる豊和工業 89式小銃のセミオートモデル。

どちらかというと小口径弾に分類される5.56mm弾では、体長10m超のこの化け物を止めるには力不足であるのは一目瞭然だった。

せめて12.7mmを持ってこい。14.5mmでも可。

それでも京都府警は、持てる火力全てを動員して化け物を排除しようと奮闘していた。

 

 

 

───

──────

 

 

 

視点を戻して突入隊の3人組。

 

スタームルガー Mini-14を構えるめぐねえを先頭に、牧巡査から託された89式小銃(セミオートモデル)を携えた三好警部補、最後尾には「一応使えないことはない」と言ってめぐねえのS&W M29を預かった里見たまが、右手に大太刀(真っ二つ)、左手にS&W M29を持って付いている。

 

地上1階の重厚な扉から続く階段を降りた先には、数m間隔で設置された蛍光灯に薄く照らされる10mほどの廊下。その奥には両開きの鉄製扉が見えている。

 

 

「さながらボス戦前の静けさってところかな」

 

 

三好警部補がポツリと言った。

 

 

「いいですねそれ。全員装備の確認とセーブは済んでますか?バフアイテムの使用は?」

「じゃあヒロポン*1使ってもいいか?」

「使用は合法品に限ります」

「冗談だよ」

「妖怪ジョークとか初めて聞くんだけど……」

 

 

:……うーん厳しい

:どうしたEDF兄貴

:何が厳しいって?

:いやね、こういう突入作戦って詳細な計画立案を経て奇襲かけるのが基本なんや。奇襲がダメなら容疑者を圧倒する人員と火力と装備と勢いでダイナミックエントリーするんやけどそれもどっちかっていうと最終手段に近いんや

:なるほど?

:Q.奇襲?

:A.時すでに遅し

:Q.詳細な計画立案

:A.初めて見る建物

:Q.容疑者を圧倒する人員と火力と装備と勢い……

:A.辛うじて勢いがあるぐらい

:なんもねえwww

 

 

───まあそれを覆してこその転生者ってもんですよ

 

 

:頼もしいなぁ……

:(少し前まで自分の事をモブだと思っていた)

 

 

───は?私は一般モブ警察官ですが?

 

 

:まだ言うか

:いい加減認めろ!1ヶ月に28件の銃撃事件だぞ!確実に主人公だろう!

:草

:毎日ほぼ1件は多すぎでは…?

 

 

掲示板に対応しているうちに扉前へと到着した。扉に耳を当ててみるが、中からは物音は聞こえない。そもそも待ち構えられていたら障害物のないこの廊下ではどうしようもない。出たとこ勝負である。

 

 

「……準備は?」

「いつでもどうぞ」

「同じく」

 

 

ドアノブを回す……すんなり回る。鍵はかかっていない。

 

めぐねえは深く息を吸うと、ドアを思い切り蹴破った。

 

 

「警察だ!!!全員動くな!!!」

 

 

 

 

 

瞬間、

 

 

 

 

 

 

何か()()()()()()が視界の左下から迫り、

 

 

 

 

 

めぐねえの意識を刈り取った。

*1
戦中、旧軍で使用されていたメタンフェタミン塩酸塩。要は覚醒剤。ち、ちがう、これはただのビタミン剤じゃ




次かその次ぐらいには終わりそう


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【朗報】休暇取れたから温泉行くぞwww(9)

懲りずにまた悪癖を発動してしまったので初投稿です。

今回夜間モード使ってる人はちょっと読みづらい部分があるかもしれないので予めご了承くだしあ。


「オフィサーッ⁉︎」

 

 

佐倉が“奴の”攻撃を喰らった。

そう頭が理解した瞬間、体は脳の指令を待たずに動いていた。

暗闇でうねる赤く細い触手に佐倉から預かったリボルバーで威嚇射撃。倒れる佐倉を受け止めた三好の前に出る。

すぐさま触手が飛んでくるが全てを刀で弾く。

 

 

「ケケッ、まずは1人ってェとこか?」

 

 

暗闇から姿を現したのはやはり予想通りの男。もう()()()も付きまとってくる教団幹部、ジョーであった。

真っ白な衣装は変わらないが、中から、赤く細い触手が何本も顔を覗かせている。

 

 

「……相変わらず暗闇からの不意打ちが好きだな、てめえは」

「ん?なんだァ、随分懐かしい口調に戻ってんじゃねェか女将よ。年甲斐もなく興奮しちまったか?ア?」

「おかげさまでな、何年振りか分かんねえぐらいに楽しませてもらってるよ。ぜひお礼をさせてくれや

「───カカッ、いいねェ。そう来なくちゃ」

 

 

紅くぬらぬらと艶めく触手と、真っ二つに折れた無銘の大太刀。

 

 

 

 

一騎討ちである。

 

 

 

 

 

───

──────

 

 

 

 

 

 

 

私は目と『耳』を疑った。

 

 

まず目。

 

 

思い切り扉を蹴破り部屋に突入したオフィサーが突然仰向けに倒れたのだ。口から出たのか鼻から出たのかは分からないが、宙に赤い飛沫が飛ぶ。

 

 

「オフィサーッ⁉︎」

 

 

倒れてくるオフィサーの背中を受け止める。

44口径の銃声が暗闇を叩いた。

里見さんが前に出る。援護してくれているらしい。

 

 

「オフィサー、オフィサー!大丈夫か!」

 

 

オフィサーの体を抱き寄せ、声をかける。

その瞬間、何かよく分からない物が体に入ってきた。

例えるなら『()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()』感じ。

 

ぐにゃりするりするり

 

 

:〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

:〜〜〜〜〜〜〜〜──────

:〜〜〜〜─────────

:〜〜──────────

:────────────!

:───があった⁉︎

:───んか赤い鞭みたいなのが見えたぞ!

:おかしい奴を無くした……

:待て待て、感覚共有切れてないぞ。生きてる生きてる

:いや一瞬切れただろ。失神したのは間違いない

:……なんで視界が一瞬でピンクで埋まった?

:めぐねえの髪の毛では?

:なんで??

:勝手に三人称視点にでもなったんじゃねえか

:めぐねえ今まで一人称しか使ってこなかったのにか?

:三人称だとしても距離おかしいだろ。出来の悪いインディーズゲームでももうちょいマシだぞ

 

 

急に脳内に直接声が溢れた。老若男女、さまざまな声が。

突然の情報量に脳が対応できず、思わずえづく。

 

 

「う゛ッ……ぇ゛う……」

 

 

:ん?

:は?

:いや待て、誰の声だ今の

:視点の動き方がおかしい

:()<……ミヨシは可愛いですね

 

 

「だ、誰……なんで、わ、たしのう゛ぇ゛……な、名前を……?」

 

 

:⁉︎

:待て待て待て

:ちょっと理解が追いつかないぞどういう事だ

:少し時間をくれ

:()<おめでとうミヨシ。ようやく解放されたのですね

:なんか後方保護者面ボ卿が意味深な事言ってんだけど怖えよ!!!

:あー、OKアネゴ……いや、三好警部補。俺らの声が聞こえるんだな?

:どうしたEDFニキ

 

 

「ん゛ッ……げぇ゛……き、聞こえる、けど」

 

 

:⁉︎

:ッスー……

:これマジ?

:ああなるほど、めぐねえの三人称視点じゃなくてアネゴの一人称なのか

:ようしまずは落ち着こうな警部補。俺の言う通りにしてくれ。吸って───

 

 

聞こえてくる声の中の、30代ぐらいの男の声が言う通りに、息を吸う(4秒)、止める(4秒)、吐く(4秒)、止める(4秒)。

気持ちが落ち着くと同時に吐き気も治った。

同時に、一つ思い当たる物があった。

 

 

「ふう……これ……ボックス・ブリージングかい?」

*1

 

 

:お、ご名答。俺もよくやっててね。落ち着いたろ

:ボックス・ブリージングってなんぞ

:自律神経系を調整して気持ちを和らげる呼吸法やね。特殊部隊でも採用されたりしてる。

:なるほど?

:あー、EDFじゃしょっちゅう使わないとやってらんねえよな

:周りでやってたの俺だけだったけどなー

:そら(巨大生物に囲まれたら)そうよ……

:あんなのに囲まれた状態で16秒も息吸ったり吐いたりする度胸ねえわ

 

 

「……で、君らは何者なのかな」

 

 

:あっおい待てぃ、先にめぐねえの応急処置をしたほうがいいのでは(名推理)

:あの、脇に見えてるくの字に折れ曲がったMini-14はどういう……

:()<愛です、愛ですよミヨシ

:ていうかコヤーン里見と教団幹部らしき奴めっちゃ熱いバトルを繰り広げてらっしゃるんだが?

:アレに加勢……はなんか逆に邪魔になりそうだな

:奥に見えてるのがラスボス部屋かな?

 

 

またも怒涛の勢いで流れてくる『声』に吐き気が再発する。

 

 

:あっ、そうか。アネゴ掲示板童t……初体験だもんな

:そこは処女では?

:せっかく言い直したのに台無しにすんじゃねえバカ!!!

:抑えぃ抑えぃ

:ウッス

 

 

今度は『無』が聞こえてくるという何とも形容し難い感覚が頭を支配するが、吐き気を催すほどではない。

 

 

「ッう゛……う゛ん、OK、大丈夫、ありがとう」

 

 

:まあ、なんだ。詳しい話は昨日の夜*2の言葉の続きとしてめぐねえから直接聞いてくれ

 

 

 

───

──────

 

 

「この理論で行くと佐倉さんは『架空の存在とされているもの』になるわけなんですが……」

「どうなの?」

「……えーと、ですね──────ちょっと気持ちを整理する時間をくれませんか?今すぐこの場で説明ってのは……」

「……分かった。じゃあ、この事件が終わったら全部聞かせてもらうよ?」

「それでお願いします」

 

 

───

──────

 

 

昨夜、オフィサーは言葉を濁した。なるほど、これは説明に困る。

 

 

「……これは、さっさと事件を解決しないといけないねえ……」

 

 

私は心に誓った。

 

*1
➀4秒かけて息を吸い込む  ➁4秒間肺の中に空気が入った状態を維持  ➂4秒かけて息を吐き出す  ➃4秒間肺の中に空気がない状態を維持  落ち着いた場所で音楽を聴きながらやると効果が高まるらしいぞ!

*2
【朗報】休暇取れたから(ry(5)参照




次で終わってくれ(懇願)

あっ、温泉編終了したら質問返信回投稿するのでめぐねえに関してでも万和日本に関してでも質問がある兄貴姉貴は活動報告の方に行ってくれよな!!


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【朗報】休暇取れたから温泉行くぞwww(終)

ようやく広げた風呂敷を(無理やり)閉じる事が出来たので初投稿です。

次は質問返信を挟んで新シリーズかな?


里見さんに一時後退する旨を伝え、未だ目を覚さないオフィサーを引きずって廊下まで出る。

 

 

「大崎部長、聞こえる?」

《はい、こちら大崎。どうかしたかい?》

「佐倉巡査部長が負傷。地下の廊下に退避させてるから回収をお願いしたいのだけど」

《ん、分かった。牧くん、頼める? 僕ぁ肩がこれだからさ……牧くんがこれから向かうよ》

「助かる」

 

 

:さて、作戦を確認しようか?

:➀ボス部屋前部屋(コヤーンと教団幹部が戦闘中)を強行突破

 ➁ボス部屋に突入

 ➂教団ボスをどうにかする

:最後適当すぎん?

:だって教団ボスについての情報一切無いし

:もう開き直ってゴリ押すしか無いと思うわ

:EDF兄貴程の人物がそう言うなら……

:少数戦力でのヤケクソ戦況打開はEDF歩兵部隊の十八番だからな!

 

 

───EDF……って要は地球規模の国連軍みたいなものなんでしょ?それ十八番にしちゃダメなんじゃないの?

 

 

:ぐ、ぐうの音も出ねえ……

:草

:www

:正論で殴られるEDF兄貴草

:大丈夫やでアネゴ、ワイらがついとる

:だから安心しろとまでは言わないしソムリエでも無い一般スレ民に出来るのは賑やかしぐらいだけどな!!!

 

 

まあ、この脳内の声達が言う通り───どうもスレ民?というらしい───直接手助けできるわけもないのだが、1人孤独に戦うよりもよっぽどいい。少なくとも私はそう思う。

息を一つつき、89式小銃のチャンバー内を確認。実弾は入ってる。安全装置は解除済み。用意はできている。

 

 

「じゃあ、やろうか。作戦開始だ」

 

 

 

 

───

──────

 

 

里見とジョーの戦いは拮抗していた。

 

ジョーは数多の赤黒い触手と人外染みた運動能力で攻めるが、全てを里見の大太刀(1/2)に防がれる。

逆に、里見は大太刀が半分になってしまった事でジョーの猛攻を捌けているが、その半分になってしまった大太刀と44口径では今ひとつ攻めきれない。

 

 

「いい加減ッ───喰らえやァ!!!」

「そいつは聞けねえな、坊主。馬鹿の一つ覚えみてえに触手振り回しやがって。それしか能がねえのかあんぽんたん。ざーこ♡ざーこ♡」

「クソがァ!」

 

 

それでも経験の差か、軽く煽れるぐらいには若干里見優位である。

 

 

 

 

「里見さん!援護!」

 

 

 

 

戦いが動いた。

 

 

「ッ!行かせるかァ!」

 

 

部屋の強行突破を図る三好をジョーは見逃さなかった。

里見を触手で力任せに無理やり突き飛ばし、腕を向けて触手を突き出す。

突き出された触手は寸分違わず三好を捉え───

 

 

「おっと」

 

 

無かった。

向かってくる触手を一瞥した三好は、特に何事もなくそれをかわした。

まさか普通にかわされると思っていなかったジョーを尻目に、三好はベルトに差していたものを素早く抜いた。

 

 

真っ二つに折れた大太刀、その切先の方である。

流石に刀身をそのまま持つのは危険すぎるので、持ち手になる部分はダクトテープとタオルで保護。要は即席の短刀。

 

三好はそれを振り上げ、

 

 

「そぉい!」

 

 

自分の目の前にある、無防備な触手を叩き斬った。

 

 

「ギッ───!!!」

 

 

唖然としていたジョーに叩っ斬られた触手の痛覚を遮断する暇なんぞある筈もなく、激痛によって動きが鈍る。

 

 

 

 

それを見逃す化狐ではない。

 

 

「チェストォォォォォォ!!!!!!」

 

 

均衡が、破れた。

 

 

───

──────

 

 

ついに始まった蹂躙劇を横目に見ながら『謁見室』とプレートのかかった扉を蹴破り、部屋に突入した。

 

コンクリート打ちっぱなしのだだっ広い部屋の中央には、4〜5畳ほどの大きさの小上がり。

 

そして、その小上がりで、横になってポテチを食べる和服姿の少女が1人。

 

 

「……ごめんなさい、この部屋には君1人?」

 

 

少し前(人間を辞める前)の三好ならば、「なんでこんな所に女の子が?」と首を傾げていただろう。もしかしたら保護をしようとしたかもしれない。

しかし、人間を辞めた事でいわゆる『勘』というものが育ったのだろう。

 

 

勘が、警告を発しているのだ。

 

 

この少女は危険だと。

 

 

「む?なんじゃお主。いつもの狂信者……ではないようじゃの?」

 

 

のじゃロリじゃん!!!!

:うるせえ!

:ほう……巫女服のじゃロリですか。狐耳は?(強欲)

:巫女服狐耳のじゃロリは鉄板だからな

 

 

あ、そうなんだ……

 

 

:しまった、アネゴは非オタであったか

 

 

「こちらは京都府警だ。あなたには……というか、この教団には軽犯罪法違反及び暴行、脅迫の疑いが掛かっている。ご同行願えるかな?」

「は?いやいや待て待て、何の話じゃ本当に」

「……この教団のトップの部屋でポテチ食っといて何も知らんは通らないでしょ」

「いや、お主、よう見んか。こんなに“ぷりちー”な女子(おなご)がそんな恐ろしい事命じるわけ───」

「今の短い時間の間に壁に置いてある日本刀、私が持ってる89式小銃、出入り口を確認しといて女子(おなご)は無いよ」

 

 

:そうなんか?

:見てた見てた。日本刀1回、89式2回見て「行けるな」って顔してた

:サラシソムリエ⁉︎

:お前そんな能力もあったんか⁉︎

:オーダーメイドサラシ作るのに騎士の人達とタイマンしたりするから

:オーダーメイドサラシってなんだよ(困惑)

 

 

「……ふむ、ただの“なり損ない”か“幼な子”かと思えば、なかなかどうして、見どころがあるではないか」

「───っ、何の話をしてるのかな?」

「ははは、まだ荒削りじゃが………うむ、決めたぞ。どうじゃ、半端妖よ。ここは一つ───」

 

 

 

 

 

 

 

「神の力を、使うてはみたくないか?」

 

 

 

 

 

 

 

───

──────

 

 

 

 

 

 

 

1:一般モブ警察官

京都市内の警察病院からこんにちは、クソ雑魚転生者でーす…………

 

2:名無しの転生者

お、回復したか

 

3:名無しの転生者

起き抜けにめっちゃ落ち込んでて草

 

4:名無しの転生者

まあまあ

 

5:名無しの転生者

顎への不意打ちなんて誰も避けられんて

 

6:一般モブ警察官

その優しさが辛ぇ……

 

7:名無しの転生者

んで、ちょっと状況を説明したいんやけどもええか?

 

8:一般モブ警察官

…………んぇ? どういう事ですか? 説明するのはこちらでしょ? まだ何も知らないんですけど

 

9:名無しの転生者

うん、まあ、色々あったんだ

 

10:名無しの転生者

よし!3行!

 

11:名無しの転生者

➀三好、スレ民になる

➁京都市内怪獣映画化

➂三好、妖怪→現人神

 

12:一般モブ警察官

??????????????????(宇宙猫)

 

13:名無しの転生者

これはしゃーない

 

14:名無しの転生者

何せワイらもよく分かってないからな!

 

15:一般特戦歩兵

➀についてはなぁ…俺もよく分からんからな?

 

16:掲示板管理者

それについては私からご説明致します

 

17:一般特戦歩兵

一番詳しい人に来てもらったわ

 

18:名無しの転生者

ウッソだろお前www

 

19:名無しの転生者

管理者ァ⁉︎

 

20:名無しの転生者

あっあっ女神さまオッスオッス!

 

21:名無しの転生者

こんな場末のスレまでお勤めお疲れ様です!

 

22:一般モブ警察官

誠に遺憾である

 

23:掲示板管理者

私にとっては全ての掲示板が主役ですよ。

さて、詳しい事はまだ調査中ですのでひとまず現在の三好絵里さんの状況からお伝えします。これは上記の➂にも関係する内容ですね。

 

私がそちらの世界に渡って三好絵里さんの魂の状態を調査した結果、分かりやすく言いますと魂の状態が『現地人』10割から『現地人』3割、『転生者』3割、『現人神/妖怪』3割となっている事を確認しました。

 

妖狐の妖怪式治療や魂剥離剤によって魂の状態が不安定になっていたところに、同じく魂剥離剤の後遺症で魂が不安定になっていた佐倉恵さんが失神した事で二つの魂が混ざり合い、『現地人』3割、『転生者』3割、『妖怪』3割となった……と、いうのが私の予想です。

 

24:一般モブ警察官

現人神要素はどこからきたんです?

 

25:名無しの転生者

あの教団のトップの邪神がアネゴをスカウトしたんよ

 

26:一般モブ警察官

はあ⁉︎

 

 

 

───

──────

 

 

数日後 

東海道新幹線 のぞみ号車内

 

 

「……説明してもらっても良いですかね?」

ふぇ?ふぁんほほほ?(え?なんのこと?)

「現人神がどうのこうのって話ですよ」

 

 

東京へ帰る道中、私は、やたらと駅弁を頬張る三好警部補にその件について聞いた。

ちなみにだが、私が選んだのははおむすび弁当、警部補は牛めしと二段重〜海〜を合わせて4つである。食いしん坊かな?

 

 

「………ああ、それね。聞いたんだ」

「スレ民になった原因とかは一応。でも現人神の件は本人から直接聞けって言われましてね」

「名前付きの人から?」

「ええ。EDF兄貴とサラシソムリエから」

「……やっぱオフィサーもアレ使えるんだ。それはやっぱり───」

「はい、私も転生者なんです」

「ははぁ……オフィサーがねぇ」

「私の話をしてもまあ別に良いんですけど、警部補の現人神案件を先に聞かせていただいても?」

「ん、まあ、そう難しい話じゃないんだよ。私はこの自称神を監視の目の届く所に置きたい、自称神は依代が欲しい。それで取引が成立して、私とその自称神が融合したってわけ」

「さらっと言ってますけどファンタジーに片足突っ込んでる状態ですね?」

「ファンタジーに両足突っ込んでるオフィサーが言うと説得力あるね」

「いえーいwww………ん?その自称神と融合して何か変わったんですか?」

「変わったには変わったけど、この場で見せるのはちょっと……ねぇ?」

 

 

東海道新幹線は満員、周囲に人の目がありすぎる。

というか人の目があるとまずい事って一体(ry

 

 

「で、さっき誰かと電話してたけど」

「ああ、一課長からですよ。仕事山積みだから早く戻ってこい、だそうです」

「うへえ、どんだけ溜まってるんだろ……」

「ま、死なない程度に頑張りましょう」

 

 

新幹線は名古屋駅を通過。あと数時間もすれば東京へと到着するだろう。

 

 

東京に着けば、山盛りの書類と銃犯罪が待ち構えているに違いない。

 

 

それでも、私達なら……きっとやって行ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ところでなんですけど」

 

「ん?どうしたの?」

 

「いえ、少し気になることがありまして。スレ民に言われて私も気になったというか」

 

「気になる事」

 

「はい。警部補って旅館ひなた、どうやって見つけました?」

 

「私?私は官舎に届いてたチラシだけど」

 

「ああ、やっぱりですか。私もそれ見てあの旅館を知ったんですけどね?」

 

 

 

 

 

 

「里見さんに聞いたら、チラシなんて作ってないって言ってたんですよ」

 

 

 

 

 

 

 

 




佐倉恵
えっ……怖……


三好絵里
えっ……怖……


里見たま(女将)
真剣を買った


大崎巡査部長
肩の銃槍で入院中


牧巡査
退職交渉中


ジョー
女将に玉をぐしゃりされた挙句魂ごと葬られた


教団
そもそも↓に見そめられて神の力を手にしたい強欲達が緩く集まっただけだったので自然消滅した。突然横から出てきた半妖女刑事に憧れの人を取られた感想を述べよ!


自称神(ホルス)
現人神三好の後見人的ポジションになった。これからちょくちょく三好に憑依して東京美味いもの巡りをするし掲示板にも出てくる。レズっ気あり。


巨大生物
突然東京方面からやってきたAC-130Aの20mmバルカンでミンチになった


警視庁
京都府警から要請があったので首都高速道路交通機動隊に配備されたばかりのAC-130Aを派遣した。初の実戦データを得られてほくほく


京都府警
かりょく の ちから って すげー !!!


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第一回質問返信

なんだかんだ1年以上放っていた質問返信回です


Q. めぐねえ()さんがピンク髪だったと思うのですが、

よくあるアニメのように多くの人の髪の色がとち狂っている系ですか?

それとも、めぐねえが染めちゃってる系ですか?このめぐねえならどっちもあり得る気がする・・・

あと、めぐねえと姐さんの家族構成が知りたいです!

                  ───窮敏兄貴

 

 

A.

・髪の色

髪の色がとち狂ってる系です。分かりやすい例を挙げると、弊めぐねえなんかは地毛ですし、ポンコツ紫こと怪盗ヴィオレットも綺麗な紫の髪色になってます。遺伝子どうなってるんでしょうね(鼻ほじ)

 

・家族構成

弊めぐねえと姐さん‥多分三好警部補のことだと思うんですが、2人の家族構成はこのようになっています。

 

【佐倉家(神奈川県在住)】

母、姉、弟

 

【三好家(静岡県在住)】

父、母、祖父、妹

 

*弊めぐねえ、三好警部補共に都内の宿舎にて生活

 

 

───

──────

 

 

Q. 質問、、、、、、めぐねぇの特攻成功率とバフがどこまで効果が出るのかですね。

              ───マッカネル兄貴

 

 

A.正直言うと弊めぐねえの急所特攻♂バフ自体がノリと勢いの産物なので細かい設定はないのですが、基本的に人体に対しての急所特攻は9割9分効果が発動すると思ってもらって構いません。

まあその時の展開(ノリとも言う)によっては不発だったり外れたりする事もあるかもしれませんがね!

 

 

───

──────

 

 

Q. 質問.........めぐねえっていつも何食べてから勤務に行くんでしょうか?

            ───世田谷型潜水艦兄貴

 

 

A.トーストの上にオリゴ糖をブッパしてココアで流し込んでから勤務に行くと思います(願望) 行け(豹変)

特別捜査本部が設置されている時は、犯人に祈り(を呪い)ながらカロリーメイトをエナジードリンクで押し込みます。

 

 

───

──────

 

 

Q. 質問.....めぐねぇの着任前後での犯罪件数変動はどうなってたんでしょうか?

1話で昨日まで平和だったとか言ってましたけど、めぐねぇが何かシタノデハと。

あと、ライフル良くて拳銃ダメならH&K VP70とかモーゼルとかルガーP08とかサブマシンガンとかみたいなストックさえあるヤツならダメ(ry

              ───peridot303兄貴

 

 

A.

・犯罪件数の変動について

弊めぐねえが何かしたわけではありませんが、着任前と後を比べると後の方が圧倒的に多いです。なんでですかね(すっとぼけ)

とはいえ弊めぐねえ着任前が平和だったかというとそうでもなく、現実の日本と比べると全体的に銃犯罪や重大犯罪が多くなっています。例を挙げると、1969年に発生した東大安田講堂事件は完全な武力紛争になりました(無慈悲)頑張れ機動隊。

 

・ストックがある拳銃とかSMGは?

確かにストックがあれば扱えるっちゃ扱えるんですが、そうまでして非力な拳銃を使うよりは、多少不便でも大威力のライフルを持ち歩いた方が良くない?というのが弊めぐねえの考えです。なぜこのような考えに至ったのかというと、万和日本の犯罪者……というか弊めぐねえが遭遇する犯罪者が割と軽率に防弾チョッキを使いがちなので9mm弾とかだと威力不足なんです。それでもお守りのために拳銃は持ち歩くんですが。ちなみに投稿者はストック付きの拳銃とか大好きです(隙自語)

 

 

 

───

──────

 

 

 

Q. 質問……めぐねえはどうして警官になろうと思ったのでしょうか?

あんな人外魔境(めぐねえ曰く平和だったそうですが)で警官になろうなんて死にに行くようなものじゃないですか。気づかなかったらどんだけ鈍感……?

          ───閃刀姫使いアルジェ姉貴

 

 

A.本当何でなんですかねぇ……?(無知)

 

というのは冗談として、投稿者からは魂の奥深くにいる原作めぐねえに引っ張られた説を提唱しておきましょう。

原作めぐねえは色々あって*1学園生活部がエンディングを迎える前にリタイアした訳ですが、生徒を導く教師、子供を守る大人という立場から見ると、使命を完全には*2果たせずに逝ったという訳であります。

その未練が転生者の魂の中で『人を守りたい』というニュアンスに変質し、それを叶える術として弊めぐねえが選んだのが警察官という職業だった───というのを咄嗟に思いついたんですがこれだと人外魔境の日本警察(万和仕様)に行く理由にはなり辛い気がするので結論:よく分かんねえ!!!(池沼)

 

 

 

───

──────

 

 

 

Q.めぐねぇと周囲のネームドの女性陣の結婚願望は気になりますね(笑)

                ───塵塚怪翁兄貴

 

 

A.なに笑とんねんwww

とりあえず温泉編終了時点で登場済みのネームド女性陣について記載しておきます。

────────────────────────

・佐倉 恵(弊めぐねえ)

結婚とまでは行かないが、宿舎に帰った時に出迎えてくれる人が欲しい。なんなら同性でもいい(百合の波動)

 

・三好 絵里(アネゴ)

結婚はしたいがどちらかというと自身が女子にモテるタイプ。バレンタインはチョコを貰う側。恋愛経験は0、恋愛クソ雑魚女刑事。

 

・北野(車列襲撃編)

大学時代の同級生と同棲中。先日一緒に飲みに行っためぐねえ曰く年内にはゴールインするつもりらしい。警視庁職員全員でお祝いに行かなきゃ(使命感)

 

・神崎 響(歌姫)

恋愛?何それ美味しいの?みたいな認識だしそもそも今の現状(世界中のセーフハウスを転々)では恋愛とか無理無理の無理。恐らく1番結婚から遠い人物。頑張れ。

 

・アグネス・マリア・ツェーリンゲン

 (怪盗ヴィオレット ポンコツ紫)

結婚願望は一切無し。そんな事より盗み働こうぜ!お前獲物な!を地で行くスタイル。

 

・里見 たま(温泉編)

鎌倉時代から現代まで、数多の男と結ばれ、そして見送ってきた。別れが辛いしもう結婚はいいかなと思っている。

────────────────────────

現時点ではこんな感じかな?でも別にこれが公式設定って訳じゃないので皆さんの頭の中で自由に、そして存分に夫婦(同性婚でも可)を作って下さい。ちなみに投稿者のイチオシは佐倉×三好です(百合豚)

 

 

───

──────

 

 

Q. 万和日本の警察の押収品は何でそんな物騒な物ばっかなんですか?(すっとぼけ

               ───黄色の13兄貴

 

 

A.なんでやろなぁ……(すっとぼけ)

普通の銃器とかは、まあ普通に押収された*3として、他のはまあ……アンビリー○ボーとか世界○みえで特集組まれるぐらいデカい事件で押収されたって感じです。

ん?デイビー・クロケット?リトルボーイ?そんな物は日本には存在しない、いいね?(記録隠蔽)

 

 

───

──────

 

 

Q. めぐねえと姉御と四係の警視庁内での評価とか立場ってどうなってます?

               ───木枯文雄兄貴

 

 

A.長くなりそうですがとりあえず一つずついきましょう。『』は警視庁内での呼び名とかあだ名とか二つ名とかです。一部のあだ名は感想欄で言われてた物を引用したりしてます。

 

めぐねえ  

『佐倉』『佐倉部長』『ピンク髪』『めぐねえ』

『ピンクの悪魔』『桜田門のターミネーター』

『狂乱ピンク』『淫乱ピンク』『ナッツクラッカー』

『世界一不幸な女』『ダイハード・レディ』

 

(回答者:警視庁捜査一課の皆さん)

「顔はいいよな」

「分かる。“顔は”な。あと胸」

「お、もしかしてセクハラをご存じでない?」

「アイツは普段は清楚なんだよ普段は」

「銃撃戦の時は?」

「鬼!悪魔!佐倉!って感じで……」

「なんであいつが警察にいるのか分からん」

「それ」

「最近は俺らも人の事言えないのでは?ボブ訝」

「あとアレよな、滅茶苦茶万能」

「この前ウチのコンピュータが一斉に攻撃された時にアイツ1人でカウンターハッキングぶちかましてたな」

「後々その件で公安来たの怖えんだけど」

「まあそれのせいであいつ謹慎食らってたけどな」

「これに関しては対応してない法律が悪い」

「アレの後になんでそんなのできるのか聞いたら『す、寿司打で世界1位なので……』とか言ってたぞ」

「寿司打はカウンターハックが学べるゲームだった……?」

「マジでなんなんアイツ」

 

→総評:ここぞという時は滅茶苦茶頼りになるけど謎

 

 

 

アネゴ  

『三好』『三好警部補』『警部補』『イケメン』

『夢女生産機(性別問わず)』『男女』『おっぱいのついたイケメン』

 

(回答者:警視庁捜査一課刑事の皆さん)

「警視庁捜査一課のアイドル」

「夢女生産機」

「夢女になっちゃう……(男性刑事)」

「俺この前アイツに壁ドンされたぞ。事故だったけど」

「ふぁっ⁉︎」

「どないやった?」

「世の娘っ子達がなんでイケメンとか壁ドンとかに憧れるかが理解った」(悟り顔)

「草」

「バレンタインの時のアイツのデスクやべえよな」

「『チョコランマ』な」

「おかげでアイツが一係にいた時の一係の連中の生活習慣病率が軒並み高かったのマジで草」

「めっちゃ分けてもらってたもんなあ」

 

→総評:両性に大人気の刑事部アイドルMYS

 

 

 

警視庁刑事部捜査第一課強行犯捜査四係

『鉄火場の四係』『警視庁のリーサル・ウェポン』

『四係+銃器犯罪=大惨事』『面倒事呼び寄せ機』

『島流し→海上要塞』『有事の味方、平時の敵』

 

(回答者:警視庁上層部の皆さん)

「早いとこSATかSITか銃対にぶち込んだ方がいいですって」

「バカ言うな。あんなハチャメチャな奴らが特殊部隊に行ってみろ、あっという間にドンパチに感化された軍隊の出来上がりだ。東署の件は知らない訳じゃないだろ、佐倉巡査部長が数日いただけでアレだぞ」

「あ、勝手に米海兵隊と合同訓練を行ったっていう……」

「アレマジで訳わかんねえ」

「でも鉄火場に突っ込んどけば割とどうにかなるよな」

「そのかわり周囲の被害は甚大だけどな!」

「(事件現場が大変な事になる可能性が)濃いすか?」

 

→総評:鉄火場では滅茶苦茶役に立つけど普段は大人しくしてろ頼むからマジで

 

 

───

──────

 

 

Q.めぐねぇはドーナツをよく食べているようですが、由緒正しいアメリカ警官の模倣でしょうか?

ダンキンドーナッツがそこかしこにあるのかな。

また、国鉄が生き残っているということは、まだやべー労組の巣窟なんですかね。

NTTは電電公社で郵政も民営化されてないんでしょうか。

                ───msz006兄貴

 

 

A.

・ドーナツについて

投稿者的にはまさにアメリカ警官の模倣……というか、ダイ・ハードのアル・パウエル(序盤で妻の為にドーナツを買い込んでた警察官)を参考にしました。あの映画がこの作品の根幹と言っても過言ではないので。

ちなみにダンキンドーナツはこの質問を受けて調べて初めて知りました。万和日本ではドーナツシェアはミスターとダンキンが二分してます。世はまさに大ドーナツ時代!

 

・国鉄などについて

労組はまだ残っていますが、昭和を超えて平成、万和と時代が進むにつれて沈静化はしました。時の流れって怖いね。

電電公社と郵政については民営化されてませんし、なんなら郵便屋は未だに郵便物保護銃(1887年に規則制定)を持っています。

 

 

───

──────

 

 

Q. 万和日本の警察と西部警察とではどちらの方が火力が充実していますか?

また、警察内部の極秘部署にワイルド7みたいなチームは存在しますか?

               ───アキラ828兄貴

 

 

A.

・万和日本警察vs西部警察  〜火力一番勝負〜

投稿者は西部警察を見たことが無いので自信を持っては言えないんですが、恐らく個人火力では万和日本警察、車両自体の火力では西部警察に軍配が上がると思います。

西部警察側のモブ警察官はライフルなんて持ってない(多分)し、万和日本警察側には特殊車両(西部警察流)はないので。ただし万和日本で押収された装甲車両を入れるとどちらでも万和日本警察が圧勝してしまう気も……

 

・万和日本版ワイルド7?

いないです。いや、現時点では、という言葉は付きますが。何せその場のノリで設定を追加するような投稿者なので。

強いて言うなら一番近い存在は弊めぐねえでしょうか。割と頻繁に警告無しで発砲しがち(警官失格)

 

 

───

──────

 

 

Q. めぐねえ×姉御のカップリングは有りますか?

百合百合しい絡みは有るんですか?

                 ───ねねと兄貴

 

 

A.ありまぁす!!!……と言いたいところさんですが、その辺のカップリングは個人の妄想の中で自由にやっちゃって下さい。私も自由にカップリングを作ります。良かったら感想とかメッセージで一押しのカップリングを怪文書と共に教えてくれると嬉しいゾ。

この投稿者は百合は大好きだけど百合百合しい文章を書いた事がないので書くとしてもかなり分かりづらい表現になったりします。予めご了承くだしあ。

 

 

───

──────

 

 

Q.質問…拳銃は絶望的、ライフルはそこそこ。との自称が冒頭ありましたがライフルでの命中精度は如何ほどでしょうか?(通常時、急所狙い時)

また、そこそこなライフルよりも有効に扱える(扱えてしまう)単独で携帯、使用が可能なサイズの兵装種がありましたら押収品あたりで表記して下さると幸いです

                 ───ちるど兄貴

 

 

A.

・ライフル系の命中精度について

本編上ではあまり特筆されていませんが、命中精度はちゃんと狙えば通常時急所狙い時共にやたら高いです。分かりやすく言うと米海兵隊の選抜射手(マークスマン)の中でトップを狙えるぐらい(分かりづらい)

 

・要望について

『そこそこなライフルよりも有効に扱える(扱えてしまう)単独で携帯、使用が可能なサイズの兵装種』ですか。

ここで言うライフルはAR-15やmini-14のようなセミオートの物を指している(つもり)なので、これらよりも有効に扱えて単独で携帯、使用が可能なサイズとなると……以下のような感じですね。

 

突撃銃、軽機関銃、汎用機関銃、狙撃銃、擲弾銃、無反動砲

 

────────────────────────

短機関銃:扱おうと思えば扱えるがライフルよりも有効に、と言われると自信はない。普段あまり使わないし。

重機関銃:扱おうと思えば扱えるが単独で携帯・使用が可能かと言われると無理無理の無理。弊めぐねえも人間なのだ。ん?LMGと汎用機関銃?銃持てて弾持てりゃあ扱えるから大丈夫大丈夫(暴論)

────────────────────────

 

 

───

──────

 

 

Q. 質問です。この万和日本って人口とか我々と比べてどうなんでしょうか。

このペースで銃撃戦やってる治安でしたら

老人減って出産速度上がってそうです

                ───ろろろー兄貴

 

 

A.人口自体は令和日本と同じぐらいですが、出生率に関しては万和日本が上です。

質問兄貴は銃撃戦によって老人が減って……と予想されていますが、残念ながら銃撃戦で死ぬのは老人だけではないので若い人らも普通に死にます。悲しいね。

纏めるとこんな感じ。

人口: 万和日本≒令和日本

出生率:万和日本>>>令和日本

死亡率:万和日本>>>>>(越えられない壁)>>>>>令和日本

 

 

───

──────

 

 

Q.めぐねえの愛銃はいつ頃決まるんでしょうねぇ?w

ともあれ、万和日本の治安状況がコレだと、海外ってどんな魔境なんでしょう。

                  ───K鶏兄貴

 

A.

・めぐねえの愛銃について

温泉編終了後に決定ですかねえ。一応以前収集したアンケートの中から決定しますゾ。お楽しみにして下され。

 

・万和日本世界における海外の治安

大雑把に言うなら良くてロスサントス(GTAV)、最悪な場所だとCoDかBFってとこですね!(絶望)

割と軽率に世界大戦の危機になったり核が爆発しそうになったりします。

 

 

───

──────

 

 

Q. きのこ派ですか?たけのこ派ですか?

                ───漣十七夜兄貴

 

 

A.軽率に紛争の種を投下しないでもろて……めぐねえはきのこ派タケノコ派の戦いの中に『きこりの切株』派として現れて紛争を泥沼化させます。国連軍介入不可避。

 

 

───

──────

 

 

Q. もし万和日本にも米花町があったとしたら、どれくらい物騒なんでしょうか?

               ───river525兄貴

 

 

A.毎日が劇場版みたいな感じになります。もちろんその渦中にいるのは弊めぐねえ。某少年探偵からすら「この人と一緒にいるとやばい」みたいなこと思われてそう(小並感)

 

 

───

──────

 

 

Q. こんだけ治安悪いと郵便局も武装してそうw

                ───セロー兄貴

 

 

A.してます(無慈悲)

郵便カブに乗ってる配達員は腰に自動拳銃(地域によって差あり)を降ろしてますし、郵便局には散弾銃が配備されてます。

ところで別サイトの作品なんですけど、自衛隊の代わりに郵便インフラ(?)を防衛する組織が編成された日本があるらしいですよ。怖いね!!!

 

 

───

──────

 

 

Q. めぐねぇは何故最強の武器であるスコップを使わないのだ!?

汎用性が高く!安価で!丈夫で!普段持っていても(銃に比べれば)違和感もない!

そう!スコップさえあれば!どんな過酷な状況にも対処出来る筈!!

そうは思いませんか!?(ぐるぐる目)

          ───コジマ色のマキバオー兄貴

 

 

A.ひとまず落ち着いてもろて……

まず弊めぐねえの近接武器に関してなんですが、今特殊警棒を使ってるのって深い理由はないんですよね。単純に特殊警棒をシャッって抜くのかっこええな!ぐらいの理由なので。

そういうわけでスコップは採用です(ぐるぐる目)

 

 

───

──────

 

 

Q. 取り敢えずボンドルド卿、なんで繋がってるか全部はけ。

              ───星詠みステラ姉貴

 

 

A.(実のことを言うと投稿者はメイドインアビス未履修なので深い理由は)ないです……ごめんやで……

 

 

───

──────

 

 

Q. 質問!

万和日本って、憲法9条あたりはどうなってるんですかねえ。国内の治安があれだけ悪いから、エヴァの戦略自衛隊ぐらいの動きは出来る様になってそう。なっててくれ(願望)

 

更新頑張ってください!

 

 

 

...めぐねえとアネゴ...スリーサイズはいかほど...(ノンケ)

          ───ナンモナイト兄貴(ノンケ)

 

A.「先制攻撃は絶対ダメだけど殴られたら徹底的に殴り返してやれ」みたいな内容になってます。イラクに派遣されたりソマリアに派遣されたりもしてます。でも1番多いのは国内への治安維持出動。なんでですかね(すっとぼけ)

 

 

めぐねえは原作より胸気持ち大きめ、他2つは原作通り。アネゴは上から88、64、90の理想的なモデル体型ですね。でも腹筋は割れてる(性癖)

 

 

───

──────

 

 

Q. なんで陸戦型とはいえR戦闘機なんてものが押収されてるんですか?例のド腐れ開発チームが存在してたりするんです?いやバイド系の奴らが来るよりかはマシでしょうけれど。

             ───花粉症に悩む人兄貴

 

 

A.まず前提としてお話ししますと、例の『押収品記録簿』は弊めぐねえの愛銃を募集する過程でどこぞのクソ投稿者が 『『拳銃の代わりに』とありますが、別に拳銃じゃなくても構いません。散弾銃でも、自動小銃でも、戦車砲でも───戦車砲はちょっと言い過ぎました、失礼。』 とか宣ったせいで明らかに銃じゃないのが来たのと、「これはこれで……」とか考えた結果、とりあえず突っ込んだものなんですよね。

なのでR戦闘機に限らず「なんで押収されてるの?」と聞かれても「万和日本の治安が悪いから」としか返しようがありません。ごめんやで。

 

 

 

それはそれとしてド腐れ開発チームはいる。

*1
ガバガバネタバレ防止

*2
少なくともあめの日は頑張った

*3
既に種類と数がおかしい



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【朗報】銀髪美人とお茶してきたわwww (1)

雪かきで背中肩腰二の腕下半身が破壊されたので初投稿です。


1:一般モブ警察官

はい

 

2:名無しの転生者

はいじゃないが定期

 

3:名無しの転生者

自慢やめちくり^〜

 

4:名無しの転生者

(血涙)

 

5:名無しの転生者

くそぅ……くそぅ……

 

6:一般モブ警察官

死屍累々で草

 

7:一般通過現人神

ラノベで勉強してきたんだけど、転生者ってこう、美人のエルフとか獣人とかといい感じになる物じゃないの?

 

8:名無しの転生者

ぐふっ

 

9:名無しの転生者

アネゴ、やめるんだ。その理論は全員に効く。

 

10:名無しの転生者

)<ミヨシは容赦ないですね

 

11:サラシソムリエ

転生者ってのは、皆一度はハーレムを夢見る物なんです……でもそれを叶えられるのはほんの一握り。あとの大多数はコミュ障か生きるのに精一杯でそんな事叶わない……ちなみに私はコミュ障枠。ひぇっ女騎士長顔がいい……来世も推せる……

 

12:名無しの転生者

こいつはこいつで幸せそうで草

 

13:名無しの転生者

デジたんかな?

 

14:名無しの転生者

アグネスデジタル(ウマ娘)に転生したウマ娘オタクなら別スレにいたな

 

15:名無しの転生者

それ原作と変わらんやん

 

16:名無しの転生者

 

17:変態糞戦車長

俺は生きるのに精一杯枠だな。戦争終わってだいぶマシになったけど

 

18:一般特戦歩兵

上に同じく

 

19:名無しの転生者

ドイツ軍人とEDF歩兵はなぁ……そりゃそうよとしか言いようがない

 

20:一般特戦歩兵

最近はタイムリープを繰り返してるぞ

 

21:名無しの転生者

EDF6かぁ

 

22:名無しの転生者

そこからあと数回は繰り返すぞ、タイムリープ

 

23:一般特戦歩兵

マジ?

 

24:名無しの転生者

あとネームドソムリエってどんな感じだったっけ

 

25:名無しの転生者

ネームドソムリエってなんだよ(困惑)

 

26:名無しの転生者

おっしゃ、纏めるやで

 

・歩行フォームソムリエ

 徒歩で大陸一周中。行く先々でいい雰囲気にはなるが関係にまでは発展せず。鈍感系クソボケ。

 

・スーツソムリエ

 仕立屋(テーラー)の常連であるおっとり系商会一人娘といい感じ。くそっ……じれってーな。俺ちょっとやらしい雰囲気にしてきます‼︎

 

・温泉ソムリエ

 嫁(龍娘)持ち。ソムリエの中では多分こいつが1番幸せを謳歌してる。

 

・欧文モールスソムリエ

 片思いしていた女上官が敵軍の大攻勢で瀕死の重傷を負うも、火事場の馬鹿力で銃弾飛び交う泥濘の中を女上官を背負って味方防衛線まで後退し切った猛者。女上官も無事でよかったな! 早くくっつけ!

 

・アイルランド語ソムリエ

 いい感じになってた女性がブリカスの工作員だった事が判明した。絶賛失恋中。誰か慰めてやってくれ。

 

・エンジン音ソムリエ

 いい感じになってた走り屋女子をエロゲの竿役みたいなチンピラに寝取られそうになるも暴力で取り返した。

暴力……やはり暴力は全てを解決する……!

 

27:名無しの転生者

ありがとナス!

 

28:名無しの転生者

ソムリエ達が波瀾万丈すぎる

 

29:名無しの転生者

こいつら一人一人主人公みたいな奴らだからな

 

30:名無しの転生者

それは転生者全てに言えることなのでは……?

 

31:名無しの転生者

おっと、それ以上はいけない

 

32:一般モブ警察官

そうだそうだ

 

33:名無しの転生者

お前が言うな

 

34:名無しの転生者

おまいう

 

35:名無しの転生者

主人公筆頭がよ……!

 

36:名無しの転生者

今の発言についてどう思われますかアネゴ‼︎

 

37:一般通過現人神

……オフィサーは、うん、主人公じゃない?

 

38:名無しの転生者

ぐう正論

 

39:名無しの転生者

 

40:一般モブ警察官

そんなー(´・ω・`)

 

 

 

───

──────

 

 

師走。

『僧侶のような普段落ち着いている人でもやたら忙しくなる月』という意味から名付けられた、という一説があるように、この月はどの業界でもやたら忙しい。

接客業の例を挙げるならクリスマスや年末セールが一番身近であろうか。

 

しかしまあ、こんな前置きをしておいてアレだが、万和日本警察は1年中忙しい。特にこの12月なんかはイベントが集中する時期であるとともに、それを付け狙う犯罪者どもが何処からかわいてくるのだ。

 

 

《アルファチームよりサクラ。対象を無力化。対象に重傷者1名。応急処置を実施中》

「了解。応急処置終了後は、ブラボーチームに後処理を引き継いでから帰投して下さい。お疲れ様でした」

 

 

度重なる銃撃事件によって指揮官クラスの不足する警視庁特殊部隊では、たまに警視庁刑事部捜査一課から応援が回ってくる事がある。

 

それが、コードネーム『サクラ』。まあ、我らがめぐねえである。

 

 

:Q.どうして巡査部長クラスがSATの指揮を執っているんですか?

 

 

───なんでやろなぁ……

 

 

そういうわけで、京都から戻ってきてから数日後にはアネゴ共々職務に復帰。お互いに新しい愛銃を担いで東京中を駆けずり回っているわけだ。

 

 

:というかさ、なんでめぐねえは鈍器を担いでるん?

:おう鈍器のことL85って言うのやめろよ

:逆だ逆

 

 

───これはA2なので撃てる方の鈍器ですねー。いや、前に新橋の立ち飲み居酒屋でイギリス人紳士と隣になったんですけど

 

 

:イギリス人とな

:めぐねえはクイーンズイングリッシュまで堪能なのか……

 

 

───で、やたら話が弾んでですね。つい『白兵戦に向いている5.56mm口径の突撃銃を探してる』って漏らしたら、『それなら銃剣突撃の実績*1があるSA80はどうか』って笑いながら言われまして。その時は冗談だと思って『ああいいっすねぇwww』とか流してたんですけど

 

 

:けど?

 

 

───後日警視庁宛にSA80A2一式が届いてたんですよ。SAS名義で。

 

 

:⁉︎

:SASから⁉︎

:えぇ……(困惑)

:その紳士は一体何者なんや……

:まあSAS関係者なのは間違いないな

:名前とか分かる?

 

 

───ああ、伝票に書いてたんでわかりますよ。確か、えーと、ファーストネームは忘れたんですけど、ファミリーネームはマクミランだったかな

 

 

:へぇっ⁉︎

:マクミラン?

:マクミラン……SAS……いや、まさかな?

:ははは、いやいやまさか、そんな

 

 

───?

 

 

:まあステンバーイはひとまずいいんだ。他の武器は?

 

 

───他ですか。えと、44口径は里見さんにあげちゃったんで、前にあった事件で押収されたベレッタ M9を使ってます。あとはスコップですね。

 

【ガチガチに改造されたベレッタ M9と折り畳み式の鋼製小型スコップの画像】

 

 

:うわあ

:なんだこの改造具合⁉︎

:ほう……ベレッタ M9ですか。バレルはロングバレルに換装、サイトシステムは……近い物を挙げるならばMGS3のM1911A1 カスタムと同型の物ですね。

:うわでた

:ソムリエだ!囲め!

:アンダーレールを加えて拡張性も確保。セーフティーは指がかけやすいように延長されているんでしょうか。非常に良いですね、ええ。

:これ全部めぐねえがカスタムしたん?

 

 

───……なんと言いますか、以前逮捕された犯罪者の中になぜか私のファンがいてですね、そいつが逮捕された時に所持してたのがこの『サムライエッジめぐねえカスタム』なんですよ。

 

 

:えぇ……

:癖が強すぎる。最強か?

:誰かスコップにも突っ込んでくれよいい加減

 

 

───とくしゅけいぼう こわれた!!!

 

 

:あっはい

:それこの前ホームセンターで買ってたやつでしょ

:あっアネゴ

:おっすおっす

:やあ

:()<ミヨシは可愛いですね

:……前から気になってたんだけど、私がここに顔出すたびに出てくる()って誰?

:クズ

:吐き気を催す邪悪

:黎明卿

:外道

:地獄すら生ぬるい

:ゲス

:筋金入りのろくでなし

:()<おやおやおやおや

 

 

───草

 

 

:残念でもないし当然

:でも原作人気は高いんだよなぁ……

:まあ、ここで何かしたわけでもないし、そんなに言わなくてもいいんじゃない?

:さすアネ

:やさしい

<あなたの愛があれば私は不滅です

:ヒェッ

:怖えよ!

:……話を戻すけど、アネゴはどうしたん?なんかあった?

:ああいや、港区のタワマンで殺人だって情報入ったから伝えに来たんだよ

:えぇ……

:掲示板はLINEちゃうんやぞアネゴ

:だって便利だし……

:草

 

 

───あ、じゃあすぐ向かいますね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

めぐねえと三好がいなくなったスレッドで、誰かがつぶやいた。

 

 

:……結局銀髪美人って何やったんや?

:それな

 

 

 

 

───

──────

 

 

 

 

都内某所 地下 

 

 

ぼんやりとした電灯に照らされた薄暗い地下室。その空間には、2人の人物がいた。

1人は椅子に座った男性。もう1人は、机を挟んで男性の向かい側に立つ長身の女性。

 

男性が口を開いた。

 

 

「今回のターゲットはこいつだ」

 

 

男性が、机の上に一枚の写真を置いた。

その写真に写るのは、規制線をくぐる桜色の髪をした若い女性。我らがめぐねえである。

女性が写真を手に取ってマジマジと見つめる。

 

 

「…………」

「名前は佐倉恵。警視庁刑事部捜査第一課強行犯捜査四係所属の刑事。階級は巡査部長。お前でも耳にした事ぐらいはあるだろ、『桜田門のターミネーター』だ」

「……? この人が?」

「ああ。任官してまだ1年も経ってねえ癖して組織の販売ルートが随分潰されてる。信じられるか? こいつ1人にだぞ。前にも暗殺を試みてるがどれも失敗した。どいつもこいつも役立たずばっかでよぉ! なあおい⁉︎

 

 

突然癇癪を起こす男性を、女性は冷めた目で見つめる。どうやらいつもの事らしい。

男性はそれを見て落ち着いたようで、椅子に座り直す。

 

 

「……こいつは、ボス直々の命令だ。手段は問わん。何としてでもこいつを殺せ。それ以外にお前の生きる道はねえ、殺し屋」

「……分かった」

 

 

女性は身を翻し、闇の中へと消えていく。

全てが闇に包まれる刹那、背中まで伸びたその長い“()()”が、電灯に照らされて輝いた。

 

*1
イラク戦争中の2004年5月、イラクの反乱軍の待ち伏せを受けたイギリス軍パトロール部隊が実際に銃剣突撃を行った。しかも勝った。マジ。詳しくは『ダニーボーイの戦い』でググって♡




《武器採用》敬称略
SA80(L85A2)
───ハチ&ぴー、タケシ3号(本当はA1だけど)

サムライエッジめぐねえカスタム
───白銀刀

スコップ
───コジマ色のマキバオー

そういうわけでめぐねえの愛銃は英国が誇るブルパップ式アサルトライフル、SA80A2に決まりました。理由は銃剣突撃の実績がある事です。さすが英国面と言ったところか。『第1回弊めぐねえの相棒(銃器)を決めようの会』にご応募して下さった兄貴姉貴達には感謝しかありません。ありがとナス!

え?スコップ?

第一次世界大戦の塹壕線で最も人を殺したのってスコップらしいですね(露骨な話題転換)


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【朗報】銀髪美人とお茶してきたわwww(2)

今年もありがとうございました。2023年も弊めぐねえをご愛好のほどよろしくお願いするので初投稿です。


スレ立ての数日前、12月のある日のことである。

 

ここ最近連勤の続いていた警視庁捜査一課は、事件もある程度落ち着いてきた為*1、交代で捜査員に1日の休日を与える事にした。

その日休日の番が回ってきたのは我らがめぐねえこと、佐倉恵巡査部長。

 

とは言ったものの、たった1日ではプチ旅行も出来ないし、そもそもめぐねえ自体京都での休暇から帰ってきたばかりである。勿論一課長にもそう言ったのだが、

 

 

「いいから休め」

 

 

と言われてしまえば取り付く島もない。

しょうがないので、目的もなく都内をプラプラと散歩する事にした。

いつだったか購入したスポーツウェアに身を包み、帽子をかぶって顔の下半分はネックウォーマー。東京の冬は寒いのだ。

 

 

 

 

 

「歩き過ぎましたねこれ……」

 

 

人というのは無心になると意外と歩けるもので、気づけばどこか人気のない高架下までやってきていた。ちなみにだが、京都の時のように何かあってからでは遅いので、最近手に入れたSA80A2を背負い紐付きのガンケースに入れて背負って歩いている。行軍訓練か何か?

 

高架下にぎゅうぎゅう詰めになっている小さな飲み屋街は、揃って『準備中』の札を掲げている。時刻は14:00を回ったあたり。昼飯を軽く済ませたせいで小腹が空いてきた。

 

 

「どこか食べる場所は……」

 

 

気分はすっかり孤独のグ○メ。うぉおん。

なにかないかと見回しながら歩いていると、在来線の駅前に出た。14:00台でもまあまあ人がいる。

 

 

ふと、とある人物が目についた。

 

 

背中まで伸びた銀髪に、整った顔立ち。黒のロングコートにワンポイントで赤いマフラー。側にはやたらでかいスーツケース。明らかに外国人であろう姿の女性が、駅正面の周辺地図の前で唸っていた。

 

 

「……何アレぇ……?」

 

 

少なくとも何か困っている様子。非番ではあるが、腐っても警察官の端くれ。手助けするぐらいはいいだろう、という事で、声をかける事にした。

 

 

「あー……Excuse me. Are you looking for something ? 」(失礼ですが、何かお探しですか?)

 

 

「? ……How can I get to this address?」(この住所の場所に行くにはどうすればいいんでしょうか?)

 

 

女性はロシア訛りの英語でそう言ってメモを見せてきた。そこにはとある住所が書かれている。ここに行きたいという事だろうか。

……それなら駅前の周辺マップを見たって分かるわけがない。

というか、この住所、とても見覚えがある。

 

 

警視庁の女性寮だ。めぐねえの住処でもある。

 

 

「んー……??????????」

 

「?」

 

「あー、What are you doing here?」(ここに行って何をするおつもりで?)

 

「I want to go see my friend who lives here.」(ここに住んでいる友人に会いに行きたいんです)

 

 

それを聞いためぐねえは非常に悩んだ。

実を言うと、寮内に一般人を招くのは規則的に非常にグレーな行為……というかほぼ黒に近い。このご時世、警察官に色仕掛けを仕掛けて機密情報を抜こうという輩はとても多いのである。もちろん流血沙汰になる事もしばしばなのだが。(万和日本並感)

 

 

「I think it's okay if you and your friends just meet……」(会うだけなら大丈夫だと思いますけど……)

 

「Could you tell me the name of that friend? Because I will confirm.」(その友達の名前教えて頂けます?確認するんで)

 

「……Are you perhaps a police officer?」(……もしかして警察の方ですか?)

 

「I'm off duty now.」(今は非番ですけどね)

 

 

ぴしり、と女性の顔が固まる。

はて、何かまずい事でもあっただろうか。

 

 

「What's happen?」(どうかしました?)

 

「……That person is Megumi Sakura, a detective in the First Investigative Division.」(サクラ メグミという名前の、捜査一課の刑事なのですが)

 

 

ぴしり。今度はめぐねえが固まる番である。

 

 

「me?」(私ですか?)

 

「え?」

 

「え、日本語……」

 

「あっ」

 

 

───

──────

 

 

ずっと駅前で押し問答していてもしょうがないので、近くの喫茶店まで移動する事にした。

先頭を歩くのがめぐねえ、その数歩後ろに女性が付いている。

既に駅前からは離れ、高架線沿いの人気のない道を2人歩いている。

 

 

「……あの」

 

 

先程、どうも日本語が話せるらしい事が判明した女性が口を開いた。

 

 

「どうかしましたか?あ、お店まではあと数分ぐらいで着きますけど」

 

 

「……Извините(ごめんなさい)

 

 

「え?」

 

 

背後から刃物を抜く音。

そこからはもう勘であった。

背後を確認しないまま、上段後ろ回し蹴り。

運動靴の踵が何かを弾いた。路上を金属質の何かが転がる音。それを確認する暇はない。

 

 

「うわ嘘当たった。なんですかいきなり危ないなぁ⁉︎」

 

「…チィッ!」

 

 

女性が半歩下がり懐からサプレッサー付きの自動拳銃を取り出す。

めぐねえは逆に懐に飛び込み拳銃を握る手を掴んだ。

くぐもった音と共に足元のアスファルトが飛び散る!

 

 

「あ、ぶ、ないって言ってるでしょう⁉︎」

 

「ッ!」

 

 

拳銃のスライドを掴み、こう、うまいことしてスライドを取り外す!え?どうやったか?MGS3のザ・ボスをまねたんだよ!試したのは初めてだけども!

やったぜ!(ヤケクソ)

 

 

「嘘でしょ……このッ!!!」

 

「いや武器持ちすぎじゃないですか常識を考えろ常識を!」

 

 

女性が次に抜いてきたのは大柄なコンバットナイフ。それを逆手に構え、にじり……にじりと近づいてくる。

対するこちらは?

 

 

「何がナイフですかCQCですか、こちとらWW1の塹壕戦で1番人を殺した武器ですよ……!」

 

 

昨日ホームセンターで買った車載用折り畳み式鋼スコップである。新潟のメーカーだぞ!オラッ、メイドインジャパンをまんじりともせず受け入れろっ!

 

 

「一番人を殺したのは大砲」

 

「正論はNG……でも、ひとまずはタイムアップみたいですね?」

 

「何?……ああクソ」

 

 

割と近くから響いてくる複数のパトカーのサイレン。どうやら近隣住民が通報したらしい。女性は懐にナイフをしまい、いそいそと退散する気のようだ。まあそれを追うつもりはない。疲れたし今非番だし。あとあの人他に何隠し持ってるか分かんないし。

 

 

「私の勝ち!

何で負けたか、明日まで考えといてください。

そしたら何かが見えてくるはずです。

ほな、いただきます」(HND並感)

 

 

まあ煽るけど。

 

 

「次こそ殺す……!」

 

 

「えっ次も来るんですか⁉︎」

 

 

答えを待たず、女性はその場から去って行った。

 

 

───

──────

 

 

128:一般モブ警察官

───っていう事があったんですよ。何日か前に。

 

129:名無しの転生者

おうタイトル詐欺やめーや

 

130:名無しの転生者

喫茶店行けてねえじゃねえか!!

 

131:一般モブ警察官

だって《【悲報】一般刑事ワイ、殺し屋に襲われる》とかやってもいつも通りだと思われるでしょ

 

132:名無しの転生者

それはそう

 

133:名無しの転生者

だって万和日本だし……

 

134:名無しの転生者

実際いつも通りではないのか

 

135:一般モブ警察官

いや違いますけど

 

136:変態糞戦車長

どこがや?

 

137:名無しの転生者

あっ、ドイツ復興中のⅡ号兄貴オッスオッス

 

138:変態糞戦車長

おっす

 

139:一般モブ警察官

お疲れ様です。アレですよ。初めてなんですよ、私個人を狙われるのって。

 

140:名無しの転生者

というと……?(池沼)

 

141:名無しの転生者

ああ、今までの犯罪は『一般人』か『警察』を狙った犯行なのか。

 

142:一般モブ警察官

ご明察。私……佐倉恵の命を主目的として狙われた事って実は今までなかったんですよね

 

143:名無しの転生者

方々から恨みを買ってそうではあるのにな

 

144:一般モブ警察官

ほんそれ

 

145:名無しの転生者

自覚はあるのか……(困惑)

 

146:一般通過現人神

そういうわけで情報を調べてきたよ

 

147:名無しの転生者

)<ミヨシは頑張り屋さんですね

 

148:名無しの転生者

昼飯中邪神に体の主導権取られてるアネゴじゃないか!

 

149:一般通過現人神

誠に遺憾である

 

150:外なる神

ごめんて

 

151:名無しの転生者

この神ラフだなぁ……

 

152:名無しの転生者

のじゃロリ要素どこ……ここ……?

 

153:外なる神

そっちがいいならそちらの喋り方で話すがの?

 

154:名無しの転生者

ありがとうございます!一生ついていきます!

 

155:名無しの転生者

信者増えたやん草

 

156:一般通過現人神

例の現場に落ちてたマチェットについてなんだけど

 

157:一般モブ警察官

ああ、私が蹴りで弾いたやつですか

 

158:一般通過現人神

そうそれ

 

159:名無しの転生者

マジでめぐねえ多芸だよなぁ……

 

160:名無しの転生者

ノールック上段後ろ回し蹴りで殺意マシマシのマチェットを弾くか……

 

161:名無しの転生者

オラわくわくすっぞ!

 

162:名無しの転生者

うわでた

 

163:名無しの転生者

悟空もよう見とる

 

164:一般通過現人神

アレね、組対の人が見覚えあるっていうから聞いてきたんだよ

 

165:名無しの転生者

組対?

 

166:名無しの転生者

組織犯罪対策部。要は暴力団とかの組織犯罪やら違法物品の取り締まりなんかをやってる部署やね。相棒で「ヒマかっ?」って言ってる人が所属してるのもそこの五課。

 

167:名無しの転生者

はえーサンガツ

 

168:一般通過現人神

曰く───

 

───

──────

 

「俺も噂程度でしか聞いた事ないけどさ。東京の地下には巨大な地下犯罪組織があるんだと。で、そこで飼ってる殺し屋連中が使う武器ってのは、どこかしらにこういう意匠が施されてるらしい……いや、三好ちゃんよ。こりゃちょっと大仕事になるかもしんねえぞ」

 

──────

───

 

らしいよ?

 

169:名無しの転生者

意匠って、このボロボロのシェパードがナイフ咥えてるやつ?

 

170:名無しの転生者

だねぇ

 

171:名無しの転生者

……なんというか、アレだな。縁起悪いな。これ持ってる側から見ると。

 

172:名無しの転生者

なんでボロボロにしたんやろなぁ……

 

 

 

 

 

 

 

 

*1
銃撃事件が3日に1本まで減った




めぐねえ
買ったばかりの運動靴の踵の部分がすっぱり切れててガン萎え

殺し屋
何あの女……怖……

通報した近所のおばちゃん
あの女の人、“できる”人ね……!(壮大に何も始まらない)


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【朗報】銀髪美人とお茶してきたわwww(3)

コロナから復活したので初投稿です。
あけましておめでとうございます(20日遅れ)

《前回の誤字報告者兄貴姉貴》(敬称略)
アールス、貧弱な自分、オーレリア軍、某氏 
ありがとナス!


「お前に護衛をつけることになった」

 

「護衛ですか」

 

 

一課長の執務室に呼ばれためぐねえは、開口一番そんな事を言われた。

 

 

「ああ。佐倉よ、お前、例の組織がどれだけでかいか知ってるか?」

 

 

一課長がそう言って、机の上にマチェットをゴトリと置いた。めぐねえが前にノールック上段後ろ回し蹴りで弾いたアレである。

 

 

「詳しくはちょっと……組対の人が噂程度でしか知らなかったってのは前に三好警部補から聞きましたけど」

 

「だろうな。俺だって昨日初めて存在を知った」

 

「えぇ……(困惑)」

 

「だがな、公安の連中曰く『東京で起きてる大体の事件の裏にはこの組織がいると考えた方が早いぐらいデカい組織』なんだそうだ。その上尻尾を隠すのが上手いと来た」

 

「えっ、なんですかそのラスボスみたいな組織……というか、公安から情報提供ですか?」

 

「ああ。上層部も公安も、今回のお前の件を組織の一端を掴むチャンスと捉えてる。どうも本気みたいだぞ」

 

「私そんなとこから狙われてるんですかたまげたなぁ……」

 

「何たまげてんだ。まあ、護衛と言っても四六時中SPが張り付くわけではない。一応知らせとくってだけだ」

 

「……え、じゃあどんな人が……?」

 

「俺もわからん。そこは機密事項らしい」

 

「えぇ……」

 

 

 

 

数日後 都内

 

 

 

 

先日、目標(めぐねえ)から反撃を受けて撤退せざるを得なかった殺し屋は、とある雑居ビルの空きオフィスにいた。

狙撃用の穴を空けた窓ガラスからは、東京の道路がよく見える。

 

 

「ヒャッハーーーーーー!!!!!!!」

 

「ああクソ! 誰かあの機関銃を黙らせろ!」

 

 

その道路では、武装集団と警視庁の間で激しい銃撃戦が勃発していた。

もちろん、これは殺し屋の意図した事である。あの武装集団は、殺し屋から金をもらって暴れているのだ。

 

目標が所属する捜査一課強行犯捜査四係が、警視庁においてドンパチの切り札になっている事は百も承知。それならば、呼び寄せた所を狙撃で叩けばいい。あの髪色はよく目立つ。

 

 

《警視庁より文京区坂富警察署管内で発生中の銃撃事件に対応中の各PC。大江戸線春日駅方面から応援が急行中。現着は2分後。現場指揮官は佐倉巡査部長と共同して対処されたし。以上警視庁》

 

 

傍受していた警察無線から目標の来訪が知らされる。

バイポッドを開いた状態で静置していたSAKO TRG-42の薬室に.338 ラプア・マグナム弾を装填する。

この弾であれば、警視庁が採用しているどんな防弾盾やボディーアーマーだろうと貫ける。

……流石に歩兵戦闘車に出てこられると無理だが、貫けばいいのは目標だけだ。大きな問題ではない。

 

 

一つ息をつき、スコープを覗く。

視界の奥、都道301号線を北上───つまりはこの現場に向かう白黒パトカーの車列を発見した。アレの内のどれかに目標がいる。

 

────────────────────────

 

『失礼ですが、何かお探しですか?』

 

────────────────────────

 

「───ッ」

 

 

あの、初遭遇した日の彼女の顔が脳裏に浮かぶ。あの、全てに対して何か別の視点を持っているような、どこか達観した表情。彼女ならば、あるいは───

 

 

 

いや、ダメだ。

 

 

 

希望を持ってしまいそうになるのを、頭を振って抑える。

 

今更この血濡れた手で希望を持ってなんになる。私にそんな資格はないだろう。今はただ、引き金を引く事を考えろ。

 

 

視界では、パトカーから降車した応援の警官が道路に展開している。その中に───

 

 

「(いた)」

 

 

桜色の髪を後ろでまとめた女性刑事。間違いない。目標だ。パトカーで遮蔽をとり、イギリス製のアサルトライフルを発砲している。

 

 

「(目標が今の弾倉を撃ち終えて、装填して、顔を出したらその時が───)」

 

 

 

ふと、嫌な予感がした。

 

 

 

何か間違った方向に突き進んでいるような、気持ち悪い感じ。果たして自分のやっている事は合っているのか。

目標を狙うのをやめ、改めて周囲を偵察する。

 

 

武装集団。

TOY○TAのピックアップトラックに据えられたソ連製の重機関銃、AK47にRPGと、どうやらアラブ戦士の格好で固めてきているようだ。未だ士気は高いが、いずれ打ち破られるだろう。せいぜい暴れてくれ。

 

 

警官隊。

目標が到着した事で一段と動きが良くなったように見える。相変わらず刑事連中は弾薬の相互利用もへったくれもない銃のラインナップだ。銃撃戦を押収品の在庫処分か何かと勘違いしてないか。いや押収品の在庫処分ってなんだ?

 

 

ある程度偵察し終えたが嫌な予感が拭えない。もっと他のところに原因が?

 

 

「(……まあ、さっさと済ませて撤退すればいいか)」

 

 

そう思い直して目標に狙いを定める。

目標は───武装集団に銃剣突撃をしていた。

 

 

 

 

 

 

なんで?

 

 

 

 

 

 

「っ、クソ」

 

 

しかも武装集団側にも腕に覚えのあるバカがいたらしい。銃剣突撃に呼応するように出てきたターバンの男は、シャムシールを抜いて目標と斬り合いを始めたではないか。

双方誤射を恐れたのか、銃声の一切合切が鳴り止んだ。

何やってんだアイツら……?

 

いや、それより、動きが激しすぎて狙えない。

 

 

「(ふぅ…………ここ)」

 

 

それでも、一瞬の隙を突いて引き金を引いた。

炸薬に弾き出された.338 ラプア・マグナム弾は、12月の冷気を切り裂き───

 

 

「ガッ」

 

「ぐぅっ⁉︎」

 

 

やはり男に命中した。

いや、目標も一応倒れたが……

 

 

「(当たってたとしても、一回ターバン野郎に当たったせいで弾の勢いが殺されてるか)」

 

 

実際、道路上でうめいている目標はボディーアーマーを着けている。ターバン男を貫いた弾はそのまま目標のバイタルパートを守るセラミックプレートに命中したのだろう。なんとも運のいい事だ。

 

 

「(次で仕留める)」

 

 

ボルトハンドルを引き、次弾装填。

再び狙いを定め───

 

 

「(……なんで親指を掲げてるんだろ)」

 

 

目標が仰向けになりながら、左腕を空に向け、親指だけを立てるいわゆるサムズアップをしていた。いや、アレは……

 

 

「こっちに向けてる……?」

 

 

いやいやまさか、現場からこのビルまでは数百m離れているのだ。肉眼で見えるわけがない。

気にせず次弾を撃てばそれで済む話。

 

 

 

 

 

ゲホ、よく、撃ってくれました、殺し屋さん》

 

 

 

 

 

側においていた警察無線から、聞き覚えのある声がした。

 

 

「───ッ!!!」

 

 

本能が叫んだ。

ここから逃げろと。

 

ライフルを捨て、横に転がる。

 

 

 

次の瞬間、先ほどまでトリガーを握っていたフィンランド製狙撃銃が突然後ろに弾き飛ばされた。壁に当たって床に落ちるそれは、見るも無惨な姿。

導き出される答えは一つ。

 

 

「(カウンタースナイプ……!)」

 

 

───

──────

 

現場から数百m南 高層ビル屋上 SAT狙撃班

 

「……犯人には命中せず。ライフルは潰した」

 

「マジで? 絶対当たったと思ったんだが」

 

「こっちが発砲した瞬間に横っ飛びで躱してた」

 

「ウッソだろお前www」

 

 

───

──────

 

 

「(全部仕組まれてた……?)」

 

 

窓から身を出さないように、静かに急いで空きオフィスから撤退する。この状況が仕組まれていたと仮定すれば、この空きオフィスに警察が来る可能性もあるということ。

 

 

「(ホントに……恐ろしい)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数週間後 年末 都内 警視庁女性職員寮

 

 

 

先日、日本警察からの思わぬ反撃を受けて撤退せざるを得なかった殺し屋は、黒一色のボディースーツと装備に身を包み、警視庁女性職員寮の屋上にいた。

 

 

「(前回はSATの狙撃手を見つけられなかったのが敗因。無意識に警戒の緩むこの年末年始のタイミングで、暗闇に紛れれば)」

 

 

ある筋の情報*1では同じ所属の警部補と部屋を同じにしているそうだが、所詮インファイトに慣れていない女刑事1人。障害にすらならない。不意を打てれば一瞬だ。

 

屋上にあった給水塔の基礎にロープを固定し、ラペリングで壁を降下していく。目標の部屋は3階。

他の部屋はちらほらと明かりが見えるが、お目当ての部屋は真っ暗のようだ。しかし中にいるのは確認済みである。

 

ベランダに音もなく降り立ち、素早くロープを外す。

窓の鍵は───かかっていない。トラップもなし。

いくらなんでも不用心では? 女殺し屋は警戒レベルを2つ上げた。彼女は知り合いの某紫色の女怪盗と違って賢いのである。

 

カラカラと音を立てて開く窓。

カーテンを手で退けて部屋に侵入する。事前に偵察した限りでは、2人ともこの部屋に布団を敷いて寝ており、定位置は目標が窓側である。サッと行ってサッと喉を切り裂いて───

 

 

「…………!」

 

 

この年の12月31日、低気圧の類は一切なく、年末の夜空には月がデカデカと昇って、打ち上がる花火と一緒にあけましてハッピーニューイヤーと騒ぐ人間達を優しく照らしていた。

 

 

何も、照らされたのが人間だけというわけではない。

 

 

月光と花火の光に照らされたそのあまり大きくない部屋の中央には、『巫女』が佇んでいた。

 

書き間違いではない。

 

『巫女』である。

 

『巫女』の姿をした三好警部補が、抜き身の日本刀を握って佇んでいたのだ。

 

 

 

 

「ッ」

 

 

いや、いることは分かっていた。分かっていたのだ。

だが、殺気というものを一切感じなかった。

この、“まるで情報とは様子が違う”女刑事、あんな殺意丸出しな刀を準備しておきながら殺意の一片たりとも悟らせなかったのだ。

 

女殺し屋は警戒レベルを最大まで引き上げ、サイレンサー付きの自動拳銃とカランビットをCQCスタイルで構えた。

 

 

『───ひれ伏せ

 

 

男と女とも、それ以外のナニかとも取れる声色で発言した三好警部補が、ゆらりと日本刀を上段に構えた。

 

 

 

 

隅田川で打ち上がった花火の光が、日本刀の刃紋の上で揺らめいていた。

 

 

 

 

───

──────

 

 

 

 

534:名無しの転生者

…………

 

535:名無しの転生者

Oh……

 

536:名無しの転生者

おう、誰かなんか言ってくれよ

 

537:名無しの転生者

いや、これは……

 

538:名無しの転生者

何この……何?

 

539:外なる神

何、とな。見ての通り神力を授けた三好じゃが?

 

540:名無しの転生者

見ての通りじゃねえんだわ邪神野郎! 見ろ!

 

541:一般通過現人神

力が溢れる……!

 

542:外なる神

うむ、わらわの目は確かじゃったな!

 

543:名無しの転生者

やかましいわ!

 

544:名無しの転生者

>>541

アネゴ悪堕ちみたいな事言ってて草

 

545:名無しの転生者

当たり前のように至近距離からの拳銃弾斬らんでもろて

 

546:名無しの転生者

殺し屋もようやるでホンマ

 

547:名無しの転生者

つーか、これやっぱアレだよな。前にめぐねえ襲ったっていう銀髪美人

 

548:名無しの転生者

マ?

 

549:名無しの転生者

ああ、確かにこれ銀髪だ

 

550:サラシソムリエ

うーん、これはDカップwww

 

551:名無しの転生者

こいつwww

 

552:名無しの転生者

黒のぴっちりスーツって良いよね……

 

553:名無しの転生者

いい……

 

554:名無しの転生者

誰かアネゴの無双にも触れて差し上げろ?

 

 

 

 

 

───

──────

 

 

 

 

「ぐぅ……ッ!」

 

 

殺し屋はもはや何度目かも分からないまま、膝をついた。

特殊仕様のボディースーツは既にボロボロ。所々に青あざができ、血が滲んでいる。拳銃は既に破壊され、手元に残るのは刃こぼれしたカランビットのみ。

 

そう、この(三好)、真剣を使っておきながら峰打ちしかして来ないのだ。まあ、峰打ちとは言うがそもそも日本刀は鋼鉄の塊。普通にダメージは通る。

 

しかし問題はそこではない。

 

 

 

いつでも殺せるのにそれをして来ない。

 

 

 

その事実が、殺し屋のプライドを傷つけていた。

 

 

立て

 

 

まただ。

 

 

まだ戦えるだろう?

 

 

膝をつく度に、この女は無防備に近づいてきて立てという。

 

 

立て

 

 

ふつふつと。

普段殺している感情が、激情が湧き立ってくる。なんだこのアマ、何様のつもりだ。

 

 

「クソがぁ!!!」

 

 

全神経を正面のクソアマに集中し、痛む体に鞭を打って跳ねるように飛び出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

:アネゴ、もしかしてめぐねえ襲われたの結構気にしてた?

 

 

───いや? そんな事はないよ?

 

 

気絶した殺し屋を見下ろす三好。その姿からは、先ほどの重々しい雰囲気は失われていた。

むしろ、ボロボロになった部屋と家具を見てため息すらついている。

 

 

:ダウト!

:嘘つけ絶対キレてたゾ

 

 

───ホントホント。私嘘つかない

 

 

:ほんとぉ?

:じゃあなんで執拗に日本刀で殺し屋の事ぶん殴ってたんですか?

:ラストアタックなんて脳天振り下ろしだからな

:もはや死んでるのでは?

:生きてるんだなこれが

:かみの ちからって すげー!

 

 

───……とりあえずオフィサーはいるかな?

 

 

:逃げたな(確信)

:いますよー。終わった感じですね?

 

 

───うん。だからSATの人らを連れてきてくれると助かるかな。とにかく連行しよう。

 

 

:了解です。結局これ残業コースですね、はーつっかえ!

:これでひとまずはひと段落かね?

:流石に殺し屋1人捕まえただけじゃ終わらんやろ

 

 

───それでも十分な進歩さ。今までは尻尾すら掴めなかったんだから

 

 

転がるカランビットを蹴飛ばし、近くにあった結束バンドで殺し屋の両手を後ろ手に縛る。

 

 

───そうだ、言い忘れてたよ。

 

 

:なんや?

 

 

───あけましておめでとうございます

 

 

 

 

 

一年が終わり、一年が始まる。

今年もまた、良い年でありますように。

 

 

 

 

*1
某紫「え? 何アンタ淫乱ピンク狙ってんの? ……アンタのとこも大変ねぇ、転職するなら手を貸すわよ?」




めぐねえ
近所の神社で年末警戒中だった

三好
日本刀は近所の古物商で買った

女殺し屋
ばたんきゅー

某紫
最近、下北沢に新しくセーフハウスを作った。散策中にピンク色の髪のJKと遭遇。べ、別に髪色がアイツのと似てるからってビビったわけじゃないし!


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【朗報】銀髪美人とお茶してきたわwww(4)

寒波が辛いので初投稿です。

《前回の誤字報告者兄貴姉貴》(敬称略)
N2、でぃせんと、水上 風月、太陽のガリ茶、⭐︎ぎん⭐︎、るるF、団栗504号

ありがとナス!

*内容の一部修正を行いました


「えっ、あの殺し屋さん公安に引き渡しですか⁉︎」

 

 

警視庁女子寮襲撃から一夜明けたその日、数時間の仮眠から戻ってきためぐねえは三好警部補からそう告げられた。

 

 

「らしいよー」

 

「じゃあ取り調べとかは……」

 

「最初っから公安だけでやるってさ。というか、そもそもウチ(捜査一課)が関われるのは殺し屋とっ捕まえるまでだったんだって。一課長がそう言ってた」

 

「えー……先輩方絶対納得してないんじゃ?」

 

「実際してなかったみたいだね。一課長に文句言いに行った間暮さんとか投げられてたよ。喧嘩キック炸裂してたけど」

 

「なんか一課長の部屋が騒がしいなとは思ってましたけどそういう事だったんですか……引き渡しって今日中ですか?」

 

「うん。えーと、あと2時間ぐらいしたら引き渡し。そこから公安の施設に護送するみたいだね。場所は知らないけど」

 

「でしょうね。公安の所有する施設とか絶対秘密施設ですもん。法的にまずい器具とか置いてありそう」*1

 

「すごい偏見だ」

 

「それにしても、護送ですか……」

 

「……何か思うところでも?」

 

「うーん、考えすぎだったらいいんですけど。ちょっと聞いてみますか」

 

 

───お疲れ様です

 

 

:ん?

:ちっすちっす

:なんやなんや

:みんな集まれー

:わぁい^^

:子供かな?

:ワイらは常に子供の心を忘れないように生きてるからな

 

 

───突然ですが質問です。

 

 

:?

:マジで唐突やんな

:今誰かソムリエおるか?

:サラシ姉貴はさっき抜けたはずやぞ

:EDF兄貴とⅡ号兄貴もー……おらんな

:()<私はいますよ

:ボ卿かぁ……

:こいついつもいるな

:()<おやおやおやおや

 

 

───いや、別にソムリエ案件ではないので。ちょっと展開を予想するだけですよ

 

 

:ほう?

:ソムリエ達の知識を要するような状況ではないと

:なんや、ならワイはいらんか

:ん、温泉ソムリエやんけ

:まあせっかくだからゆっくりしてけよ

:お茶もあるぞ 三旦

:自分で淹れるわい

 

 

───いいですかね?

 

 

:あっはい

 

 

───前に殺し屋さんしばき倒したじゃないですか。警部補が

 

 

:ああ……

:あれは悲しい事件でしたね……

 

 

───いや死なせてないからね⁉︎

 

 

:⁉︎

:アネゴ乱入してきて草

 

 

───で、なんか公安警察と取り決めがあったみたいで、今から数時間後に公安に引き渡されて護送されるんですよ。どう思いますか?

 

 

:どうって

:まあ、万和日本という事を考慮すれば……

:襲われるわな。うん、こんな簡単な事温泉ソムリエでも分かるぞ

:待って、俺の事なんだと思ってるの???

:リア充

:良き夫

:奥さんと末永くイチャイチャしてろ

:お、おう……ありがとう?

 

 

───お幸せに。うん、ちょっと対応考えてきます

 

 

 

 

───

──────

 

 

「───というわけで、相談に来た次第なんですが」

 

 

一課長のオフィス。

めぐねえと三好は殺し屋の護送についての意見を一課長に直訴しにきた。もちろんスレ民の事は省いて説明したが。

 

 

「そう言われてもな……」

 

 

先ほどまで間暮警部と組んず解れつしていたであろう源田一課長は肩で息をしながら、曖昧な返事を返した。

 

 

「考えてもみてくださいよ源田さん。今まで一切尻尾を出さなかった真っ黒い犯罪組織の殺し屋の護送ですよ? 狙われないわけがないじゃないですか」

 

「むむむ……いや、一応向こうの責任者と打ち合わせした時に提案はしたんだ。車両の護衛ぐらいはできるぞ、とな。そしたら───」

 

 

 

 

『これは非常に、扱いに慎重さを求められる案件です。火力バカ───失礼、捜査一課の方々に任せるわけにはいかんのですよ』

 

 

 

 

「だとよ。あの秘密主義クソメガネナルシスト、前から気に食わんとは思っていたが、面と向かって『火力バカ』と言われたのは初めてだ。俺がこの役職に付いてなかったら顔面に一発くれてやるところだぞ……」

 

 

どうも源田一課長も相当頭に来ていたようだ。机の上の灰皿をよく見てみると、葉巻の消費量が普段の数倍はある。

 

 

「一課長、公安部に配備されてる武装ってどんな物があるんですか?」

 

 

めぐねえが葉巻にビビっているうちに、三好がそんな事を聞いた。

 

 

「ん? あー……自動小銃は配備されてないんじゃないか? 拳銃、あと短機関銃かPDWが少数ってとこだろう。俺らが火力バカ扱いされたぐらいだからな。相当射撃の腕に自信がお有りなんだろうよ」

 

 

やはり『火力バカ』と言われたのを相当根に持っているようだ。

 

 

「一課長、ちょっと」

 

「ん?」

 

 

───なんか内緒話始まったんですけど?

 

 

:万和コソコソ噂話かな?

:豆知識でも言うんか?(困惑)

:万和コソコソ噂話! 万和日本では銃撃戦が3日に1件! これでも減った方らしいよ!

:多すぎィ!

:紛争地域か何か?

:ロアナプラとヨハネスブルグと米花町を一緒くたに数時間煮詰めて、盛り付けた後隠し味にアフガニスタンとソマリアを加えた一品、万和日本

:この世の終わりみたいな詰め合わせやめろ

:ていうか2人ともすげえ悪い顔してら

:あー、あれは悪巧みの顔ですね間違いない

:信じられるか? あんな顔してて刑事と捜査一課長なんだぜ?

:絶対犯罪者側の顔だろアレ

:話し合いは終わったっぽいな

:満面の笑みで握手交わしてるの怖いんだけど……

:一課長さっきとは打って変わってニッコリで草

:笑顔とは本来攻撃的な物であり(ry

:()<ミヨシは逞しいですね

:これにはボ卿も困惑

 

 

「よし、オフィサー。ちょっと付き合ってよ」

 

「な、何にですか? あとどうして一課長は片っ端からどっかに電話をかけまくってるんです?」

 

「んー、まあ後になれば分かるよ」

 

「は、はあ」

 

「ねえオフィサー」

 

「……なんですか?」

 

 

 

 

 

 

見せたくない? 火力バカの真髄って奴をさ。

 

 

 

 

 

 

:うわ、めぐねえも悪い顔になった

:もう終わりだよこの警視庁

 

 

 

───

──────

 

 

 

殺し屋は思う。

これで良かったのだと。

 

あの女刑事に敗北して逮捕された殺し屋は、たった数時間の勾留を経て公安に引き渡された。

今は頭に袋を被らされた状態で車に乗せられている。

両手は手錠で拘束され、両脇にはスーツ姿の男が座っている。抵抗するのは難しいだろう。

 

尤も、殺し屋にもう抵抗する気は一切ない。

 

もう疲れたのだ。

武器を取ることに。他人の血を見る事に。

子供の頃に組織に引き取られて二十余年、ありとあらゆる人を殺してきた。時にはナイフで、銃弾で、爆弾で、車で、素手で。

 

この手は人の命を奪う事にすっかり慣れてしまった。しかし、精神はすっかり疲れ果ててしまっている。

 

 

きっとこのあと、組織についての情報を尋問されるのだろう。それが合法的な物か非合法な物かは知らないが、それが終わったらきっと用済みだ。

 

 

もう、疲れなくて済む。

 

 

殺し屋は、どこか安堵を感じていた。

 

 

 

 

 

『RPG!!!!!!!』

 

 

 

 

急激なブレーキ。

 

 

「何があった⁉︎」

 

「攻撃です攻撃! い、1号車がやられました!」

 

「5班に分けたのに一発でバレるか⁉︎ 全車に通達! 今すぐに引き返せ! 急げ!」

 

 

RPG*2をモロに喰らった先頭のセダン以外の車両がドリフト気味に転進を計る。

 

しかし、初弾を喰らった時点で護衛側の不利は確定しているのだ。

 

 

道の右側、工事中の雑居ビルの下側───基礎部分が爆ぜた。ぐらり、と、鉄筋コンクリートの塊が道路側に傾く。

 

 

「───嘘だろ」

 

 

周囲一帯を轟音と土煙が包んだ。

 

 

 

 

 

この時、この車列にいた公安警察官は全部で12名。3台の防弾仕様セダンに4名ずつが分乗していた。

 

まず最初のRPG-29(TBG-29V サーモバリック弾)をモロにくらった1号車の捜査員4名が一瞬で殉職。残り8名。

 

中央の2号車に乗っていた指揮官はこの時点で転進を決意。すぐにUターンした。

 

しかし、直後の雑居ビルアタックによって3号車が車ごと殉職。

 

公安残存戦力、4名。

 

 

 

 

「反転! 反転だ! そこの脇道に入れ!」

 

 

 

 

指揮官の怒号に合わせて、運転手が車体を再び反転、裏道を目指してアクセルを踏み込む。

 

 

「待ってください! 脇道の方から何か出て来て───」

 

 

衝撃。

防弾仕様のセダンは、目指していた脇道から飛び出してきた8輪の装輪装甲車───BTR-80に思い切り弾き飛ばされた。

セダンは制御不能に陥ったまま、反対車線のガードレールに突っ込み停止した。

 

 

もちろん車内が無事なわけがない。

 

 

時計の針を思い浮かべて欲しい。

BTR-80が9時方向、公安警察のセダンが4時方向から斜めに衝突したわけである。

従って、この時点で助手席に座っていた指揮官は13.6tの車体に物理的に潰され死亡。

 

 

結果、襲われた公安警察の中で無事だったのは、殺し屋の脇に座っていた捜査員と運転手の合わせて3名のみ。

さらに言えば、運転手はエアバッグに顔を突っ込んだまま失神しているので実質2名のみ。

 

 

 

この2名はひたすらに運が良かった。

 

この班に割り振られた捜査員の中で近接格闘に長けているとして、2号車、しかも殺し屋の脇に配置され、結果、RPG-29も、雑居ビルアタックも、BTR-80の突進攻撃の直撃も受けずに済んだ。

 

5体満足で奇襲攻撃を凌いだ。

 

 

 

 

 

そして、もう一つ。

 

 

 

 

 

「あ゛ぁ……首いってえ……」

 

「お、降りろ……ああクソ! 撃たれてるぞ! 斎川、お前の側のドアから出ろ! 急げ!」

 

「これ絶対鞭打ちだぁ畜生!」

 

「……よし、生きてるな? 俺らから離れるなよ」

 

 

 

 

 

 

「なんだこの弾幕ゥ⁉︎」

 

「あの装甲車の機関銃だ! 下手に顔出すなよぉ! 14.5mmに顔ごと吹っ飛ばされるぞ! 車体の下から降りたやつの足狙え足!」

 

「アクション映画で見たこの姿勢が役に立つとは思いませんでしたよ役に立ってほしくなかった!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

《警視庁より“ゆりかもめ”。杉並区───2丁目、都道318号線にて事件対応中の公安警察の車両に対しCAS(近接航空支援)を実施せよ。目標は装輪装甲車、公安警察は目標より南50m。標的高度───フィート、北緯───、東経───、マーキングなし。周囲に対空設備の存在を認めず。即時攻撃開始せよ》

 

《復唱する。標的高度───》

 

 

 

 

 

 

 

 

自動拳銃のみで応戦を続ける公安警察官2人と、その陰に隠れる殺し屋の耳に、何か航空機の物と思われるエンジン音がしてきた。

 

しかも、それはどんどん大きくなってくる。

 

 

「先輩、こ、これって……」

 

「……嘘だろ、待て待て待て待て!! 伏せろぉ!!!」

 

 

公安警察官2名が何かに気づいたように慌てて伏せた。殺し屋も、何かまずいものが近づいてきているのは分かったので同じように伏せる。

 

 

 

 

《作戦区域の南より侵入する。攻撃準備よし》

 

《ゆりかもめ、攻撃を許可》

 

《了解。FOX3》

 

 

 

『復讐者』の名を冠するアメリカ製30mmガトリング砲から毎分3,900発のレートで放たれた、対装甲用焼夷徹甲弾と焼夷榴弾は、BTR-80を容易に穴あきチーズに変えた。ついでに周囲に展開していた戦闘員も粉々にした。

 

 

爆発四散するBTR-80の上空を悠々と飛び去っていくのは、水色と青に塗装されたA-10C。

立川国際空港から飛び立った警視庁航空隊所属機(押収品)である。

 

 

「み、耳いてぇ……」

 

「やりやがったなあの火力バカ共ぉ! 人口密集地って知らねえのかバーカ!!!」

 

 

公安警察官と共に呆気に取られる戦闘員。

奇襲攻撃が完璧に決まり、勝ち戦も同然だと思っていたところに唐突なアヴェンジャーである。無理もない。

 

 

だが、それが命取り。

 

 

公安警察官が気づいた時には、BTR-80の爆発と30mm弾の猛襲に巻き込まれて逝った戦闘員の他に、いくつか死体が増えていた。というかたった今また1人倒れた。

 

 

「な、なんだ?」

 

 

公安警察官も困惑しているが、それ以上に困惑しているのは戦闘員である。どこから撃たれているのか探ろうとする内に、1人、また1人と倒れていく。

 

 

「先輩、あそこ! ヘリがいます!」

 

「……ああ、また空かぁ」

 

 

現場から数百mほどの距離、ビルより少し高いぐらいの高度にホバリングしているのは、正真正銘警視庁航空隊のヘリコプター、おおぞら1号である。

そのキャビンからM14EBR(押収品)を撃つのは、我らがめぐねえ。その脇で64式小銃狙撃型(備品)を撃つのは三好警部補である。

その脇には、完全武装で待機するSATの皆さん。

 

前回の銃撃戦に乗じためぐねえ襲撃を阻止した功労者であるSATのスナイパー*3もいる。

 

 

「……よし、今ので最後かな?」

 

「えーと……そうですね。SATの皆さん! 降下準備お願いします!」

 

「「「応!!」」」

 

 

ヘリが降下し、SAT隊員がキャビン横に立つ。

 

 

「降下降下降下!」

 

 

めぐねえの合図を皮切りに、SAT隊員が次々とラペリング降下を行っていく。

めぐねえと三好はヘリに残り周囲を警戒する。

 

 

「…………」

 

 

ヘリに残るめぐねえを、殺し屋はじっと見つめていた。

 

 

 

その後、地上を突っ走ってきた捜査一課の車両によって、公安警察の生存者と殺し屋は無事回収され、警視庁へと戻る事となった。

*1
めぐねえ個人の感想です

*2
7ではなく29の方

*3
1話から生存する上澄み中の上澄み



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【朗報】銀髪美人とお茶してきたわwww(5)

掲示板における弊めぐねえのコテハンの色が安定しないので初投稿です。
投稿者、ハーメルンを常にブラックモードで使用してるので色のどうこうが分かりづらいんですよね。みんなは何色が見やすいかな?(露骨なコメ稼ぎ)

《前回の誤字報告者兄貴姉貴》(敬称略)
太陽のガリ茶、一升生水、リア10爆発46

ありがとナス!


さて、ここで時間を少し巻き戻そう。

襲撃事件発生前の、捜査一課(火力バカ)の様子である。

 

 

「……ラジコン?」

 

 

警視庁から歩いて数分の距離にある日比谷公園にいるのは、めぐねえと源田捜査一課長、あとは何かしらの機械を弄っている捜査員が数名。

 

 

そして、小型のUAV*1が何機か。

 

 

「あの、一課長、何ですかこれ?」

 

 

たまらずめぐねえが口を開いた。

 

 

「ん? 見ての通りUAVだが」

 

「いやそれは分かりますけど、こんなのどこから持ってきたんです? 押収したって話も一課に配備されたって話も聞いた事ないんですけど」

 

「そりゃあそうだろ。こいつは首都高の交機の装備品だからな」

 

「えっ」

 

「前、ウチで押収したAC-130を引き渡した時にな、まあ、色々()経緯があって交換したってわけだ」

 

「……それ色々とマズいのでは? あと私も詳しくないですけど都内上空飛ばすのに航空法とか」

 

「扱い的には『修理目的の為の一時的な配置転換』だからセーフだセーフ。航空法は……アレだ、いざとなったら刑事部長が腹切ってくれるさ」

 

「うわぁ……」

 

「一課長、セッティング終了しました」

 

「よし。監視班、公安連中の様子はどうだ」

 

《こちら監視班。今、公安の車両が地下駐車場を出ました。合わせて15台、全部防弾仕様です》

 

「随分集めたな? 火力の低さは人数で対抗ってか」

 

《あっ、いや待ってください。何班かに別れるみたいです! えーと……1班3台で全部で5班に別れました!》

 

「……あー、そう来たか。まあ流石に無策じゃねえよな」

 

「5分の4はダミー、と?」

 

「順当に行けばそうだが、たまにどの車列にもいなくて後からこっそり出てくるってパターンもあるぞ。覚えておくといい。念の為にUAVを多めに持ってきてて良かったぜ。よし、飛ばせ!」

 

 

一課長の合図に合わせて、捜査員が次々にUAVを飛ばす。合わせて5機。

 

 

「さて、何も起こらなければそれが一番良いんだが」

 

 

一課長の呟きは、日比谷公園の揺られる枝のざわめきの中に消えた。

 

 

 

 

 

数十分後。

 

 

 

 

 

「……マズイな」

 

 

ところ変わって、というよりかは戻って警視庁。

UAVの操作員が入る会議室の中で、テーブルに広げられた東京都内の地図を見てうんうん唸る源田一課長の姿があった。

 

唸る原因は、公安車列の動き。

 

 

5班それぞれバラバラに動くのは想定の範囲内なのだが、その距離が離れに離れまくっているのだ。それぞれ、船橋方面、つくば方面、春日部方面、八王子方面、藤沢方面に向かって走っている状況である。

 

当初の予定は、何か事件が発生した場合は江東飛行センター*2に待機中のSATがヘリでいち早く急行し、のちに応援の警官隊が到着する───というような物だったのだが、やはり予定というのはうまくいかない。

 

ここまで距離が離れてしまうと、応援の警官隊の到着が遅れ、SATにもいらない被害が及ぶ可能性がある。ただでさえ消耗率の激しいSATだ、言い方は悪いが、無駄遣いは避けたい……というのが、SATの“上”である警備部の考えである。

一応、刑事部所属のSITも出動準備はしているが、やはり数が足りない。

周辺の所轄署に応援を要請するという手もあるが、残念ながら想定外の事態ゆえに一切話が通っていない。今から通達して果たして間に合うだろうか。一応やってはみるが。

 

 

「ただいま戻りましたー」

 

 

そこへ、SATとのブリーフィングを行っていた四係の2名が戻ってきた。

 

 

「ああ、丁度いいところに戻ってきたな。少し意見を仰ぎたい」

 

「え、何ですか?」

 

「これなんだが───」

 

 

〜イケおじ説明中〜

 

 

「なるほど?」

 

「こういうのはお前の十八番だろ。何かないか?」

 

「オフィサーへの信頼が凄いですね、一課長」

 

「なんとでも言え。俺は使えるものは何でも使う主義だからな」

 

「うーん、要は何かあった場合、応援の警官隊が到着するまでSATの被害が減らせれば良いんですよね」

 

「言っちまえばそうだな。公安連中がうまいこと対応してくれりゃ何も考えずに済むんだが」

 

「……ああ、良いこと思いつきましたよ」

 

「なんだ?」

 

「一課長って結構顔広いですよね。航空隊にも何かコネあったりしますか? 具体的には、立川飛行センターに」

 

「あー……あるな。そこの管理官とは同期だ。そいつがどうか───いや、待った。言わなくていい。お前の言いたい事はよく分かった」

 

「えへへ、流石一課長。どうです?」

 

「……お前って奴は本当にイカれてるな。任官してまだ1年経ってないのが信じられん」

 

「褒めても何も出ませんよ〜」

 

「褒めてないが」

 

 

一課長は深く息を吸い、葉巻を口から離して煙を勢いよく吐き出した。

 

 

「よし、ケツ持ちは任せろ。お前らは完全武装の上、江東飛行センターに向かってSATと共に待機。何かあったらすっ飛んでこいよ」

 

「了解しました!」

 

 

四係の面々が会議室から出ていったのを見送った源田一課長は電話を取った。打ち込む番号は、立川飛行センターの物。

 

 

 

 

 

 

 

「……ああ、悪いな横山。俺だ。突然で悪いんだが、お前のとこのゆりかもめ*3。アレをよ、何も言わずにスクランブル待機させといてくれないか───何、何もなければ何もないでいいんだ。……すまんな、恩に着る」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「一課長! 来ました!」

 

「どこだ」

 

「八王子方面に向かっていた班です。ロケットの攻撃を受けました。あと───うわ、ビルが⁉︎」

 

「と、とんでもねえ奴らだなおい⁉︎ 他の班は⁉︎」

 

「今のところ異常ありません!」

 

「……本命に戦力突っ込んできたか、立川と江東に連絡!」

 

「はっ!」

 

 

源田に命じられた捜査員が警察無線に走る。

 

 

「……てっきり同時攻撃でもしてくるかと思ってたんだが、既に特定が済んでるのか、はたまた当てずっぽうか……」

 

 

 

 

 

───

──────

 

 

 

 

 

569:一般モブ警察官

───という感じの流れだったんですね

 

570:名無しの転生者

よし、どこから突っ込めばいい?

 

571:名無しの転生者

全部では

 

572:名無しの転生者

ツッコミどころ纏めたわ

 

・堂々と航空法を無視するな

・他部署の装備品を(合意の上とはいえ)横領するな

・警察航空隊のスクランブル待機ってなんだよ

・なんでA-10Cがいるんですか? どうせ押収品なんだろ分かるぞ、俺は詳しいんだ。

・人口密集地ってご存知?

 

573:名無しの転生者

>>572

有能

 

574:名無しの転生者

>>572

助かる

 

575:名無しの転生者

んで、警視庁としてはこれからどう動くん?

 

576:一般モブ警察官

下手に動かすよりは要塞化された警視庁に置いてた方がいいだろう、って事になってウチで取り調べが行われてますよ

 

577:名無しの転生者

要塞化された警視庁ってなんだよ(困惑)

 

578:一般通過現人神

私も取り調べ参加してるけど、すごい素直に話してくれるんだよね。情報の量で公安の人がドタバタしてたよ

 

579:名無しの転生者

素直なん?

 

580:名無しの転生者

意外だな、もっと黙りを決め込んでるのかと思ってたが

 

581:名無しの転生者

こう言っちゃアレだけど、末端の殺し屋やろ? 情報の信憑性とかどうなん?

 

582:一般通過現人神

私もそこ気になって聞いてみたんだけど

 

 

────────────────────────

 

「……いつ“捨てられても”いいように、外部の情報屋と協力して集めた。信憑性は高い、はず」

 

────────────────────────

 

583:一般通過現人神

だってさ

 

584:名無しの転生者

“捨てられても”か

 

585:一般特戦歩兵

胸糞悪い話だ。ケッ

 

586:名無しの転生者

自分の事を捨てる可能性が高い組織vs扱いはどうあれ保護してくれる警察

 

どちらが、上かな?

 

587:一般通過現人神

保護どころか司法取引を行う話も出てきてるんだよね

 

588:名無しの転生者

ファッ⁉︎

 

589:名無しの転生者

はえ^〜……万和日本で司法取引って普通なん?

 

590:一般モブ警察官

まあこんな治安ですからね

 

591:名無しの転生者

こ ん な 治 安

 

592:一般通過現人神

組織を潰した後は新しく戸籍とか発行して公安の保護監視下で生活、みたいなことになるんじゃないかな

 

593:名無しの転生者

証人保護みたいな感じなんや

 

594:名無しの転生者

ところでアネゴ、ちょいと気になってたんやけど

 

595:一般通過現人神

なんだい?

 

596:名無しの転生者

いやホラ、公安って何班かに分けて護送してたんやろ? にも関わらず一発でバレたわけやん? それの原因とかって分かったん?

 

597:名無しの転生者

そういやそうだな

 

598:名無しの転生者

A-10の衝撃ですっかり忘れてたわ

 

599:一般通過現人神

……それがねえ、どうもきな臭いんだ

 

600:名無しの転生者

きな臭いとな

 

601:名無しの転生者

きな臭いの『きな』って(ry

 

602:一般モブ警察官

さっき公安がドタバタしてるって言ったじゃないですか。

なんか動きが不自然なんですよね

 

603:名無しの転生者

不自然?

 

604:一般モブ警察官

なんでしょう、情報を与える人員を絞ってるというか、何かを探してるというかぁああああああああああああ!!!??????

 

605:名無しの転生者

⁉︎

 

606:名無しの転生者

⁉︎

 

607:サラシソムリエ

なんだなんだ

 

608:変態糞戦車長

あっ、ふーん……

 

609:一般通過現人神

待って何今の爆発⁉︎ 大丈夫オフィサー⁉︎ オフィサー⁉︎

 

610:名無しの転生者

これは……襲撃じゃな?

 

611:名無しの転生者

また警視庁くんが襲撃を受けておられるぞ、誰か対応して差し上げろ

 

612:名無しの転生者

警視庁くん壊るる^〜

 

613:名無しの転生者

お労わしや警視庁上……

 

 

 

 

 

 

───

──────

 

 

 

 

 

その時、三好警部補は“ユリア”と名乗った女殺し屋の取り調べの立ち会いに、めぐねえは捜査一課のオフィスにいた。

 

 

「どうしたんですか間暮さん、そんな貧乏ゆすりなんかして。また奥さんに三行半でも突きつけられました?」

 

 

先ほどから落ち着きのない間暮警部補にお茶を差し出しながらめぐねえが言った。

捜査一課は今朝発生した複数の強盗事件の捜査に駆り出されており、人があまりいない。他の課も同様に発生した何かしらの事件に出動していて、捜査員があまり残っていないような状態だ。

 

実際、今捜査一課のオフィスに残っているのは、この前源田捜査一課長と殴り合いをした罰として始末書を書かされている間暮警部補と、今日の事件現場に呼ばれなかっためぐねえだけである。一応あと何人かが報告書作成やらで残っているのだが、今このタイミングでは、全員タバコ休憩かトイレ休憩に出ている。

 

 

「そう何回も突きつけられるもんじゃねえからアレ。いや、なんだ、今朝からどうも落ち着かなくてなぁ」

 

「はあ」

 

「……あぁ、クソ。俺もちょっとタバコ吸ってくらぁ」

 

「いや、私1人になるんですけど」

 

「留守番頼むわ」

 

「えー(´•ω•`)」

 

 

間暮がオフィスを出て行くのを見送って、めぐねえは捜査一課のオフィスを見渡す。

誰もいないオフィスはどこか寂しげだ。

 

 

「……まあいいや、とりあえず掃除でも───」

 

 

 

 

 

 

 

次の瞬間、その寂しげなオフィスが突然吹き飛んだ。

 

 

 

 

 

 

 

ファッ⁉︎

 

 

爆発、爆発、爆発、だんだん爆発がこちらへ迫ってきているではないか。

 

 

「待って待って待ってわああああああああああ!!!???

 

 

慌てて床に這いつくばって頭を守る。

爆風と壁の破片やら机の破片やらが頭上を飛び抜けていくのが感じられる。

 

 

:待って何今の爆発⁉︎ 大丈夫オフィサー⁉︎ オフィサー⁉︎

 

 

起動していた掲示板で三好警部補が慌てている。

 

 

───耳いたい……

 

 

:あ、生きてた

:大丈夫?

 

 

───生きてまーす……鼓膜無いなった

 

 

:大丈夫そうだな!ヨシ!

:感覚共有できる?

 

 

───どうぞぉ……

 

 

:うわあ

:見晴らしが良くなったな!()

:なんか聞こえん?

 

 

───私今耳キーンなってるんで何も聞こえないですゥ!

 

 

:なんかヘリのローターの音みたいなん聞こえるで

:むぅ……これはクリーモフ TV3-117の音じゃな?

:エンジン音ソムリエ⁉︎

:人 選 適 正

:来た! ソムリエ来た! これで勝つる!

:そのクリなんとかって何や?

:ソ連で開発されたターボシャフトエンジンやね。

:ターボシャフトエンジンつーと、アレか。ヘリコプターとかか

:ソ連……ヘリコプター……あっ(察し)

 

 

 

 

 

 

スレ民の察しは正解であった。

ロケット弾で捜査一課のオフィスを吹き飛ばした、Mi-24P ハインドが今度は高度を上げ、警視庁本部庁舎の屋上に聳え立つ赤と白の通信塔を吹き飛ばしたのである。

 

ゆっくりと傾いた鋼鉄の塔は警視庁本部庁舎の北側を巻き込みながら倒壊し、国道20号線をめちゃくちゃに叩き割ってから皇居の桜田壕に突き刺さった。

 

大惨事。

 

 

「佐倉ァ! 無事かぁ⁉︎」

 

 

爆発音やら建物の悲鳴のような音を聞きながら呆然としていると、歪んだドアを蹴飛ばして間暮警部補が飛び込んできた。手を挙げて答えると慌てて駆け寄ってくる。

 

 

「こりゃ一体何があった? 怪我は?」

 

「五体満足でピンピンしてますよぅ……多分ですけどハインドです。誰もいなかったのが幸いですね……」

 

「ハインドっていやぁ、ロシア野郎のヘリか。なんだ、いつから東京は東側兵器が我が物顔で居座るようになったんだ。おら、立てるか?」

 

「ちょっと腰抜けて無理そうなので肩貸してもらっていいですか……」

 

「ったく、しゃあねえ奴だ」

 

 

間暮警部補に肩を貸してもらいどうにか立ち上がる。廊下に出ると、スプリンクラーが作動して色々と水浸しになっていた。

 

 

「とりあえず武器保管庫に行きましょう。あのヘリの狙いが分からない以上、身を守れるようにしないと」

 

「そりゃあ大賛成だが、あのヘリは結局のとこどうにかしなきゃいけねえだろ。なんか策はあんのか? 俺ァヘリの落とし方なんて知らねえぞ」

 

「策って言ったって…………」

 

 

助けになるかと思い掲示板を覗いてみるが、

 

 

:押収品に重機関銃とか対戦車ライフルとかあったやろ。アレで落とせんのちゃうか?

:普通のヘリとかハインドの初期型だったら可能性はあったけど、ハインドって殆どの型ヘリの中でも脆めのローターでさえ12.7mm弾を防ぐ重装甲っぷりだぞ。M82 バレットとかPTRDとかじゃ太刀打ちできねえ。もちろんみんな大好きブローニングもな

:RPGでも使ってみるとか?

:お、ブラックホークダウンの再現かな?

:あれ確か警視庁に1門しかなかったろ

:(空飛んでるヘリにRPG直撃させんのは)いやー、キツいっス!

:待て待て、確かソマリアの方々は信管調整してすぐ爆発するようにして対空砲みたく使ってたはずだぞ。それならワンチャンある

:ねえよ。どっちにせよ1門じゃ足んねえんだワ

:これ終わった後いろんな組織のトップの首が飛びそう(小並感)

 

 

この通り、議論の真っ最中であった。

 

 

───打つ手無しですね参考になりまーす!!!!

 

 

「…………どうしましょうね。自衛隊でも要請しますか?」

 

「マジで自衛隊があのクソヘリコプター野郎を叩き落としたら俺ァ嫁さんに数十年振りに愛の告白してやらぁ」

 

「『愛してる』ぐらい言ってあげてくださいよ……うん、もう大丈夫です。ありがとうございます」

 

「回復が早えんだよなぁ……」

 

 

───オフィサー! 今どこにいる⁉︎

 

 

掲示板の方から、三好の焦る声が聞こえてきた。珍し……くはないな、割と聞くか。

 

 

───今武器保管庫に向かってるとこですけど……何かありましたか

 

 

:いや、マジでやべえ

:公安くんさぁ……

:情報を調べる側が逆に蝕まれてるのホント草

 

 

───えっ

 

 

:公安内部に内通者がいるみたい。人数は不明

:ユリアと一緒にいたアネゴが取り調べ室で襲われてるんだよぉ! 早よ来んかい!

:()<ミヨシは勇猛果敢ですね

 

 

───えっ

 

 

 

 

“公安警察内部に複数の裏切り者”

 

 

突然の情報にめぐねえが困惑していると、間暮警部補が何かに気が付いたように後ろを振り返った。

 

 

「ありゃあ公安の奴か。丁度いい、合流すりゃ多少は楽になる。おい! アンタ大丈夫か!」

 

 

間暮警部補が右手を挙げながら公安警察官に近づく。

公安警察官も左手を挙げて答えている。

 

が。

 

 

「───ッ! 間暮さん!!!」

 

 

めぐねえが間暮警部補を押し除けて、お守りがわりのベレッタ M9をホルスターから抜くのと、公安警察官が右手に隠し持っていたトカレフ TT-33を発砲するのはほぼ同時であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*1
固定翼機型のもの

*2
要は東京ヘリポート

*3
警視庁版A-10Cの愛称




めぐねえ


三好
オフィサー? オフィサー⁉︎

ハインド
うお……ちょっとやり過ぎたかな?


セーフハウスに使ってるマンションの地下のライブハウスにてギターピンクと再遭遇。ビビる

ぼっちちゃん (本作品出演予定今のところ無し)
なんか前会った外国人のお姉さんから凄い避けられてる……私何かしたっけ……


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【朗報】銀髪美人とお茶してきたわwww(6)

やたら短いですが投稿しないよりはマシなので初投稿です。


組織が計画した“暗殺任務”の概要はこうだ。

 

まずは下準備として、組織末端の構成員に警視庁管内各地で何かしらの事件を起こさせ、警視庁の戦力を分散させる。特に、ドンパチの温床となっている捜査一課は念入りにだ。

 

そして作戦開始、第一段階。

組織が所有するMi-24Pハインドで捜査一課のオフィス及び通信塔を破壊する。それはもう粉々に。

 

第二段階。

長年にわたって公安警察内部に潜ませていた複数のスパイを活用しての警視庁内部での破壊工作、内部文書の奪取、そして、本目的である『佐倉恵』及び元組織構成員であるコードネーム『ユリア』の殺害を行う。

もし、出動していた警察官などが警視庁に戻ってきた際はハインドによる阻止を行う。

 

 

下準備、第一段階、第二段階の途中まで何も問題なく進んでいたこの作戦であるが、組織にとって都合が悪かった点が2つあった。

 

 

1つは、ユリアの取り調べに捜査一課の刑事が同席しており、奇襲での殺害に失敗した事。

 

 

そしてもう一つ。

 

 

 

『北辰スカイタワー立て篭もり事件』*1

 

『立川国際空港同時多発テロ』*2

 

 

 

十数年前に発生した2つの大事件を、知恵とベレッタとクソ度胸だけで解決に導いたベテラン刑事、間暮 丈警部補が(クソくだらない理由で)警視庁内に残留していた事である。

 

 

 

 

 

「ああクソ、死ぬんじゃねえぞ佐倉……!」

 

 

水浸しの廊下を、めぐねえを引きずりながら進む間暮警部補。そのめぐねえの体は3発の7.62×25mmトカレフ弾を受け、血で真っ赤に染まっていた。

カヒュー……カヒュー……と弱々しい呼吸がされる度に、胸が上下する。

 

 

「両手を上げろ!」

 

 

突然、背後から怒声が飛んだ。

 

 

「あぁ⁉︎」

 

 

 空いた右手でベレッタを抜き振り向けば、先程までタバコ休憩をしていた捜査一課の刑事数人がいた。全員が既にショットガンやアサルトライフル、『警視庁』と表示のされたプレートキャリアや防弾ヘルメットを着用して武装している。なぜか機動隊のポリカーボネート製ヘルメットを被っている刑事もいる。防弾ヘルメットの在庫がなかったらしい。

 刑事の内の1人、間暮の同僚が緊迫していた表情を緩ませた。

 

 

「って、ああ、なんだ間暮かよ。驚かせやがって……」

 

「こっちのセリフだぞ、ちょうどいいところに来たなお前ら!ちょっと手ぇ貸せ!」

 

「あぁ? ……さ、佐倉⁉︎ 何があった⁉︎」

 

「公安のクソ野郎に撃たれたんだよ!」

 

「はあ⁉︎ どういう事だ⁉︎」

 

「俺が知るかボケェ!早くそっち持て!仮眠室に応急キットがあった筈だ!そこまで運ぶ!」

 

「あ、ああ、分かった!おい!藤倉は先頭に付け!原田は後方警戒だ!」

 

 

───

──────

 

 

「……だめです、無線もPフォンも通じません」

 

「多分だが、さっきの音は通信塔が落とされた音だ。無線はそりゃつながらんさ」

 

「個人のスマホは?」

 

「圏外だ。奴さん相当仕込んでやがったみてえだぞ」

 

 

 仮眠室に避難した一行は、佐倉の応急手当の間に現状の把握に務めようとした。しかし、外部と連絡がつかない。本部庁舎内ですらも付かない。

 分かっているのは、外に未だハインドがうろついている事。加えて、公安警察官が複数人……正確な人数も分からないが、公安警察で採用されていない筈のトカレフやAKS-74Uを装備して警視庁職員を狙っている事だけだ。

 え? 何? 普通に押収品が盗まれたんじゃないのかって?

 

 ここからが本題ですが、警視庁は、このタイプのハンドガンとアサルトライフルを押収していない()

 

 

 

 

「藤倉、佐倉の様子はどうだ」

 

 

数日前に救急講習を受けたばかりの若い刑事が、血に染まった手と青くなった顔で振り向いた。めぐねえが寝かされた仮眠室のパイプベッドは、既に白かった面影を残さないほどに血に濡れている。

 

 

「ど、どうにか止血はできました……できましたけど、血が出過ぎてます。すぐにでも病院に連れて行かないと」

 

「んな事ぁ分かってる。でもなぁ……」

 

「あの戦闘ヘリだ、あいつをどうにかしない事にはどうしようもないぞ」

 

「なあ間暮、お前北辰タワー事件も立川空港のテロも解決したろ。なんか思いつかねえか」

 

 

同僚の刑事が間暮にそう問うと、先ほどから目を瞑っていた間暮がゆっくり口を開いた。

 

 

「……ここは一つ博打と行こうじゃねえか」

 

「博打だぁ?」

 

「おい、藤倉」

 

「な、なんですか」

 

 

 

 

 

 

 

 

「おめえよ、ガキの頃、ラジコン飛行機飛ばした事あっか?」

 

*1
ダイハード

*2
ダイハード2



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【朗報】銀髪美人とお茶してきたわwww(7)

ん、私とも初投稿するべき。


同時刻 取り調べ室周辺

 

 

ユリアは、自分の目を疑っていた。

 

 

どっせぇい!!!!!!!」

 

 

大の大人が宙を舞い、壁に叩きつけられて赤い花を咲かせる。

 

 

「う、撃て!撃てぇ!」

 

「なんで、っ、効いてない⁉︎」

 

 

銃弾は謎の力場に阻まれる。

 

 

よいしょぉ!!!」

 

「ギャアッ」

 

 

投げられたノートPCは音を置き去りにして、首を刎ねる。

 

 

 

 

地獄絵図。

 

 

 

 

この地獄絵図を、先ほどまで普通だった女刑事が作っているというのだからもう理解の範疇を超えている。意味がわからない。理解不能。

 

 

ふう、もういないかな

 

「っ、う、うん。ここ周辺の敵はいない、と思う」

 

 

突然、重苦しい雰囲気が霧散した。

 

 

「───よし、歩ける?」

 

「な、なんとか」

 

「……あー、今見た事は黙っててくれると助かるなぁ」

 

「(無言で頷く)」

 

「よろしい」

 

 

女刑事……三好警部補が絶命した敵に近づいた。

 

 

「君のとこの組織って本当に大きいんだねぇ。見てよこれ、みーんな公安警察官だ」

 

「……話には聞いたことがあった。色々な機関に長年潜り込ませてるスパイがいるって」

 

「潜り込ませるにしても多すぎでしょ、何人いるのこれ」

 

 

三好刑事が仕留めたスパイは、この取調室内とその周辺廊下だけで、ざっと数えて1個分隊はいるだろう。

 

絶命したスパイが持っていたAKS74Uを手に取り、マガジンも何本か拝借する。

 

 

「で、AKSとトカレフどっちがいい?」

 

「……もしかして私に言ってる?」

 

「君以外誰がいるのさ」

 

「いやあの、一応私容疑者……」

 

「君の組織は随分お堅いんだねぇ、ウチ(捜査一課)なら全然アリだよ」

 

「それ治安維持機関として大丈夫?」

 

 

心底呆れながらもトカレフを手に取る。

チャンバーチェック、弾薬はまだ残っている。この周辺で絶命したスパイが多い分、弾薬も豊富に鹵獲できた。

いや、ここは『押収できた』と言うべきか。

 

 

「それで、三好刑事。これからどうするの?」

 

「まずはオフィサーの安否を確認したいんだ。さっきから連絡が取れなくてね」

 

「ん、分かった」

 

 

オフィサー、というのは、三好刑事のバディであり、尚且つユリアのターゲットでもあった佐倉刑事の事だろう。まあ、バディの身を案じるのは不自然な事ではない。

 

ただ、疑問が一つ。

 

 

「……連絡なんていつ取ってた?」

 

 

三好刑事と取り調べ室で襲撃を受け、それを撃退、装備の押収、そして現在に至るまでの間、ユリアは一瞬たりとも三好刑事から目を離していなかった。当然だろう、以前日本刀の峰打ちをバカスカ打ってきた相手だ。行動の観察ぐらいはする。

 

しかし、その間に連絡を取ったような場面はなかったはずだ。

そもそも、スマホは取り出されていなかったし、三好刑事が無線のイヤホンやらヘッドセットやらを着用している様子もない。

 

その三好刑事は困ったような顔で振り向き、口を開いた。

 

 

「……さあ? 私は謎が多い女だからね」

 

 

 

───

──────

 

 

 

同時刻

警視庁周辺

 

 

《こちら側にターゲットは確認できない》

 

《了解、北側に回るぞ》

 

 

散々に暴れ回っているハインドのパイロットは、至る所から煙を上げる警視庁本部庁舎を眺めていた。

元より、この作戦においてハインドの役目というのはそれほど重要ではない。大雑把に言ってしまえば、初撃で通信塔をぶち壊して、あとはちまちまとやって来る警察官を機首下のGSh-30K*1で吹き飛ばすだけ。

 

懸念材料とすれば、警視庁が保有する“ゆりかもめ”とか名付けられたA-10と、日本空軍、いや航空自衛隊の戦闘機や陸上自衛隊の戦闘ヘリのスクランブルだが、話によれば『組織』が色々な方面から圧力をかけて出撃を遅らせているらしい。

 

警視庁内で直接戦闘するに至ったスパイ共には気の毒だが、ハインドにとってこれほど楽な仕事は無い。

いくら重武装で火力バカ揃いの警視庁でも、流石にMANPADS(携帯式地対空ミサイルシステム)は所有していないのは確認済み。

 

某北の熊さん国でヘリパイロットとしての経験を積んだ2人にとっては楽な仕事だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

条件さえ良ければ、の話だったのだが。

 

 

 

衝撃。

機体が大きく揺れ、コックピットの計器が一斉に鳴り響く。

 

 

《な、なんだ⁉︎》

 

《被弾した!被弾した!クソ、どこからだ!》

 

 

少なくとも未だ爆散していないという事は飛行に異常は無いらしい。当たりどころが良かったか。

しかし何に攻撃された?

こちらが知らない間にMANPADSを配備*2していた? それともRPG?

 

動揺で思考がまとまらない。

 

 

《クソクソクソ!一体なんで……》

 

 

状況を把握しようと周囲を見渡したパイロットの目に入ったのは、こちらに向かって飛んでくる白い何か。

 

 

《───まさかッ!》

 

 

その白い何か───固定翼式のUAVの胴体下には、円錐形の物体が無理やり括り付けられていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「再び命中!」

 

「いいぞ藤倉ァ!」

 

 

警視庁本部庁舎内。

ハインドのロケット弾攻撃によって壁に大穴が空いた捜査一課のオフィスで、間暮を始めとした捜査員達が数名はしゃいでいた。

 

その脇にはUAVと、押収品保管庫から引っ張り出してきたアメリカ製RPG-7、エアトロニックUSA GS-777。そしてワイヤーやらダクトテープやら。

 

訓練された読者諸氏ならもう分かるだろう。

 

UAVにRPGの弾頭を括り付けた、警視庁式簡易テレビ誘導ミサイル*3である。

 

 

「つーかアレで落ちねえのかよ、ハインド頑丈すぎねえか」

 

「直撃する直前に回避行動を取ってた。多分直撃しても被害が少ない場所にぶつけたな」

 

「チッ、ゲームみたいには行かねえか」

 

「そ、相当腕が立つパイロットだったんだな……」

 

「でもまあエンジンから黒煙吹いてましたし、もう来ないですよね?」

 

「アレでもう一回来たら俺もお手上げだから勘弁してもらいたいぜ。とにかく、周辺空域はクリアだ。佐倉を病院に運ぶぞ。藤倉、担架のそっち側持て。1、2、3!」

*1
30mmガスト式機関砲

*2
又は押収

*3
命名:間暮




実は当初の案ではUAVにC4を括り付けたBF式にしようとしてたり。
次回から警視庁のターンです。火力解放!


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【朗報】銀髪美人とお茶してきたわwww(8)

しゃあっ!警視庁のターン!火力解放!

誤字修正(敬称略)
貧弱な自分、にぼし蔵、綾坂螢人、某氏、Simca V、墓守幽也

ありがとうございます!


警視庁襲撃から2日後

群馬県北部 上空

 

 

《HQから“おじろわし”。作戦開始まであと30秒。82号弾投下準備》

 

「了解した。82号弾投下準備」

 

 

群馬県北部、足尾山地の上空15,000mをある航空機が飛行していた。

 

全長47m、8基のP&W社製TF-33-P-3ターボファンエンジンをぶら下げた、世間一般的には『戦略爆撃機』と呼ばれる代物。

 

しかし、その機体は警視庁特有の水色・青・白・オレンジの4色で塗装され、胴体には『警視庁』『おじろわし』と2つの単語が記されている。

 

警視庁航空隊立川基地所属の、B-52H*1である。

 

 

「機長、作戦開始時刻です」

 

「おじろわしよりHQ、82号弾投下準備よろし」

 

《HQ了解。現時刻をもって、『組織』本部建物に対する強制捜査を実施する。82号弾投下せよ》

 

「了解。投下投下投下」

 

「投下!」

 

 

先ほどから警視庁が頑なに『82号弾』と呼ぶこの代物。

正式名称Mk.82、アメリカ製の航空機搭載爆弾。

胴体内の爆弾倉に27発、翼下に18発搭載されたその爆弾は、幾ばくかの自由落下の末、足尾山地───『組織』アジトに突き刺さった。

 

 

轟音。

 

 

作戦開始である。

 

 

 

 

『なんだなんだ何が起きたァ⁉︎』

 

『警察だ!日本警察の爆撃機!』

 

『遂に出てきやがったか!ミサイル!あのクソッタレを叩き落とせ!』

 

 

 

 

対空偽装された観音開きのハッチが開き、中からロシア製の対空ミサイル、NATOコード:SA-2 ガイドラインが顔を出す。

 

 

「機長!レーダー照射を受けてます!」

 

「ああクソ、情報通りだ。おじろわしよりHQ!本機はレーダー照射を受けている!」

 

《確認した。群馬県警のやまどり隊が対応する。おじろわしは至急空域を離脱せよ》

 

「了解!ありったけのチャフをばら撒け!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やまどり1号よりHQ、SAM発射煙を視認した」

 

《やまどり隊は事前情報に従いSAMを破壊せよ。全武器使用許可》

 

「了解。ライフル!ライフル!」

 

 

作戦区域の南側から侵入した2機の航空機───群馬県警航空隊のグラマン A-6 イントルーダーからAGM-65Fマーヴェリック空対地ミサイルが発射され、赤外線画像誘導によって、むき出しのSA-2に突き刺さった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

薄暗い地下室で、男が腹立たしい様子を隠そうともせず佇んでいた。

以前、殺し屋───コードネーム『ユリア』を佐倉恵暗殺に遣った組織幹部であるこの男。まあ見ての通り非常に苛立っていた。

 

2日前、警視庁に逮捕されたユリアと佐倉恵の暗殺に大規模な戦力と貴重なスパイを大量に投入したわけだが、結果は失敗。

陽動部隊にも多数の逮捕者を出し、公安警察に忍ばせていたスパイは殆ど警視庁本部庁舎内で死亡*2、虎の子のハインドも被弾退避中警視庁航空隊に捕捉され立川に強制着陸させられた。

 

ただ、スパイの内1人が佐倉恵に対してトカレフを数発食らわせたという報告だけが救いであった。

 

その後、都内の警察病院に搬送されたのは確認している。となれば追撃あるのみ、というわけで別の殺し屋数人を向かわせていたわけだが───もはや確認どころではなかった。

 

 

ズズン……とアジトが静かに揺れる。

最後のSA-2が破壊された音である。

 

 

男の隣に立っていた秘書がタブレットを操作して、軽くため息をついた。

 

 

「SAM、全て破壊されました」

 

「それは分かってる。こちらの戦果は? 流石に1機ぐらい叩き落としただろ」

 

「いえ、警視庁、群馬県警共に無傷です」

 

「ガッデム……裏切った殺し屋から情報が漏れている可能性が高い。すぐに日本警察が乗り込んで来るぞ。正面入口に部隊を配置しろ。地雷、対戦車ミサイル、機関砲、なんでも使え。火力バカには火力をぶつけろ。機密を処分する時間を稼げ」

 

「わかりました」

 

 

 

 

 

 

この時の組織の対応は間違っていなかった。

戦力の逐次投入はせず、敵の来襲が予想される地点に最大限の戦力を配置し、最大限の火力で迎え撃つ。何も間違ってはいない。

 

 

 

その“敵”が通常戦力であれば、の話だが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アジト正面入口 迎撃部隊

 

 

 

 

 

迎撃部隊の主な火力は、個人の小火器に、手榴弾、RPG-7、対戦車ミサイル、そしてピックアップトラックの荷台に据え付けられたZU-23-2。

これら全てが、群馬県警航空隊によって吹き飛ばされた装甲シャッターの向こう側を指向している。

 

 

「警視庁の装甲戦力は最大でもブリカスの偵察戦闘車、群馬県警に至っては持ってすらいない。撃退できるかはちょっと分からんが、時間を稼げばいいだけだからな。こんだけ火力がありゃ十分だろ」

 

 

迎撃部隊のリーダーはそんな事を考えていた。

すると、偵察に出していた部下からこんな報告が飛んできた。

 

 

《リーダー、そっちに誰か向かってるぜ》

 

「誰かって誰だよ。ポリ公じゃないのか?」

 

《いや、片方は多分警察なんだが……判断がつかない。女が2人、片方は機動隊の装備で、もう片方は……和服だ。で、その2人とも腰に刀を差してる》

 

「……それはポリ公なのか?」

 

《だから判断つかねえっつったろ》

*1
押収品

*2
その内8割は三好




ちなみにめぐねえは病院で黒マントの医者から「あなたが今行くべきは捜査現場ではない、手術室だ!」(ギュッ)って言われてます。


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【朗報】銀髪美人とお茶してきたわwww(9)

動いてないのに暑くて干からびそうなので初投稿です。令和ちゃんもうちょっと気温抑えれない?


「いやあ、ごめんね女将さん。わざわざこっちまで来てもらっちゃって」

 

「いえいえ。旅館ひなたも暇してますし、あと、前から気になっていた事もありますから」

 

 

アジト正面入口に繋がるひび割れたアスファルトの道路を、2人の女が歩いていた。

1人は機動隊の乱闘服や防護装備に身を包んだ三好。

もう1人は、和服をたすき掛けでまとめた京都弁混じりの女性。

以前、京都で色々あった際に世話になった旅館女将、里見たまである。

 

そして、2人とも腰に刀を提げている。より正確に言えば、三好は九五式軍刀*1。里見は無銘の太刀*2

 

 

「それで、私達は何をすればいいのでしょう?」

 

「えっとね、めちゃくちゃに引っ掻き回せばいいんだよ」

 

「すごく分かりやすい指示ですね」

 

「ね」

 

 

まるで日常の一幕のように歩く2人。

 

しかし、忘れてはならないがここは強制捜査()の最前線。2人の前方には1個小隊規模の防衛部隊。ただまあ、既に照準を終えているZU-23-2の射手は困惑しきっているのだが。

 

 

「リーダー、おいリーダー。撃っていいのかアレ?」

 

《ちょっと待てバカ。おい偵察!もっと詳しい情報はねえのか⁉︎監視カメラが爆撃で死んでて指揮所からじゃ確認できねえ!》

 

《へいへい、ちょいとお待ちを……さっきも言ったけどよ、まず和服を着た女が1人。で、その隣に機動隊の乱闘服を着たポリ公が1人。どっちも腰に刀を差してる。和服女の刀の方がでけえな。んで、ポリ公の方はショルダーバッグを担いでる》

 

《そういうんじゃねえよ、顔だ顔。人相は?》

 

《顔ぉ? 顔っつってもよぉ……あ? ああ、ありゃポリ公の方女だな。防護ベストで分かり辛えが胸が出てる》

 

《お前な……い、いや待て、ポリ公の方の髪色は? まさかピンクじゃないよな?》

 

《何言ってんだ、黒だよ黒》

 

《あぁ良かった……ターミネーター(めぐねえ)じゃねえか》

 

《お、ヘルメット脱いだ。*3ポリ公の方は黒のショート……じゃねえか、ウルフカットってやつだな。この前雑誌で見たぞ。ひぇー、すっげえ美人だぜ。ああいう女がいいなぁ俺ァ》

 

《…………なんつった今》

 

《え? いや、ああいう女が嫁に欲しいなって》

 

ちげえよバカ!その前だ!》

 

《えぇ……『黒のショートじゃなくてウルフカット』?》

 

《黒のウルフカット……おい、双眼鏡最大倍率でポリ公の方の“目の色”見えっか》

 

《目の色ぉ? なんなんだよさっきから一体……ああ、すげえなコレ。見えたわ。珍しいな、水色だ》

 

《……偵察、いい事教えてやる。そりゃあな、シアンっていう色なんだぜ。最悪だクソが!!!全隊撃ち方用意!!

 

「えっ」

 

《はっ? どうしたリーダー》

 

《どうしたじゃねえ馬鹿野郎!偵察はとっととそこ放棄して帰ってこい!防衛部隊は指示が聞こえなかったか⁉︎死にてえのか!アイツは化け物だ!》

 

 

その時である。

偶然か必然かは知らないが、ZU-23-2の射手は見た。

 

照準器の中のポリ公と和服女が、すらり、と、刀を抜くのを。

 

 

ぞくり

 

 

背中が凍りつくほどの殺気。防衛部隊全員の動きが一瞬止まる。

 

 

その一瞬こそが、命取りとなった。

 

 

前方でどん、という少し大きな音と砂煙が2つ。

引き金は引けなかった、体が間に合わなかったから。

 

次の瞬間、真横から声。

 

 

私、これでも結構怒ってるんだよ?

 

 

振り向けば、ピックアップトラックの荷台から降りるポリ公と、23mm曳光徹甲弾が満載された弾薬箱の上にちょこんと置かれたスト◯ングゼロのロング缶。開いたフタから煙が出ている。

 

え、何これは……(困惑)

 

なんて思っていたらそのロング缶が突然火を吹いた。

 

 

「!!!!!!???????」

 

 

慌ててZU-23-2の射手席から飛び退く。

 

 

火柱。

 

 

ロング缶の中にぎゅうぎゅうに詰められた酸化鉄とアルミニウムの混合粉が、火をつけられたマグネシウムリボンによって発火。アルミニウムが酸化鉄を還元しながら、およそ2200℃の高温を発生させた。

 

一般的に言われる『テルミット反応』である。

 

当然、そんな高温にアルミ缶が耐えられるわけがない。

アルミ缶は数秒もしないうちに溶解し、2200℃の行き着く先は、弾薬箱のその先。

 

 

満載の、23mm機関砲弾。

 

 

 

 

 

 

この時、ZU-23-2を載せたTOYOTA製のピックアップトラックは防衛部隊の陣形の中でも最前列に位置していた。

それが、ロング缶炎上からの23mm機関砲弾に誘爆して大爆発。あっちこっちに車体の破片やら燃焼物やら暴発した弾頭やらを撒き散らす事態に。

 

入り口側の退路は、燃え盛るピックアップトラックと2人の化け物によって潰れた。

 

では後方は?

 

無理だ、上からの指示は『時間稼ぎ』。この組織において時間稼ぎとは“お前の命を犠牲にして時間を作れ”と同義である。

 

 

前門の化け物、後門のパワハラ幹部。

 

 

今ここに、防衛部隊の運命は決した。

*1
私物

*2
拾い物(数百年前)

*3
三好「やっぱこれ暑いや」




次で銀髪美女編は最終回になると思います。なれ(懇願)


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【朗報】銀髪美人とお茶してきたわwww(10)

普通に終わらなかったので初投稿です。


「防衛部隊の被害拡大、現在損耗率は25%」

 

「おいおいおい早すぎるだろ、馬鹿なのか? 何がどうしてそうなってる」

 

 

赤色灯に薄く照らされた地下通路を急ぎ足で歩くのは、組織幹部の男とその秘書。2人が現在何をしているかといえば、言ってしまえば『逃走中』の一言に尽きる。

 

群馬県北部の足尾山地に存在するこの地下施設───『組織』の日本支部には、多数の幹部が常駐している。ともなれば、当然今のような緊急事態に対する対処も定められている。

 

 

「入ってくる報告が不明瞭でいまいち事態が把握できないのですが、どうも通常の部隊の襲撃ではないようで」

 

「防衛部隊の責任者はなんて言ってる」

 

「『なんで刀が銃に勝てるんだよ』と。錯乱してるようです」

 

 

その対処というのが、地下施設から無数に伸びる脱出用トンネル、その数実に300本以上。

一番長いものでは新潟県長岡市まで伸びるこのトンネル群、もちろん組織内部でも秘匿されている為、幹部達はひたすらに歩くことにはなるが、地下施設が警察の捜査対象になったとしても、下っ端が命を犠牲に時間を稼いでいる間、安全に現場から脱出、ほとぼりが冷めるまで潜伏ができるのである。

 

 

「ん、え、は?」

 

「どうした。置いてくぞ」

 

「……申し訳ありません、緊急事態です」

 

「今度はなんだ」

 

「23番トンネルを使用していたジャン=ルイ*1が福島県警に捕捉されました。現在トンネル内で銃撃戦に発展していると」

 

「ハハァ、運のないやつだ…………いや待て、『トンネル内部』?」

 

「はい。トンネル内です」

 

「……」

 

「……」

 

 

 

そこの2人動くなよオラァ!!!こちらは長野県警だ!!!大人しくお縄を頂戴しろォ!!!

 

 

………安全に現場から脱出できるのである。(要出典)

 

 

 

 

 

───

──────

 

 

 

 

 

少し前

 

警視庁襲撃から10時間後 

東京都中野区 東京警察病院 会議室

 

 

一般にも開放されている病院である東京警察病院。そのある一室に様々な人間が集っていた。

 

群馬県警、埼玉県警、栃木県警、茨城県警、山梨県警、長野県警、新潟県警、福島県警。

 

8県の県警察本部の担当者は、数時間前警視庁から突然呼び出されて、新幹線やら自分のとこのヘリやらを使って慌ててすっ飛んできた。

警視庁が戦闘ヘリに襲撃された、という第一報までは各県警にも入っていたのだが、今呼びつけてきたのを見るにどうやら早期に解決できたらしい。

というかなんで病院?

 

呼び出された担当者が眉を顰めながら各者の憶測を話し合っていると、会議室の扉が開いた。

 

 

「お集まりいただいているようですな。警視庁捜査一課の源田です」

 

 

まず入ってきたのは眼帯姿の捜査一課長。県警本部の担当者も顔を合わせたことのある者が多い。

そして、その後に続いて入ってきたのは、車椅子に乗った桜色の髪で包帯まみれの女性と、それを押す筋肉モリモリマッチョマンの黒マントの男性。いや誰?

 

 

「時間がない為私からは簡潔に。詳細はあとでこちらの資料を参考いただきたい」

 

 

と言って配られた、『巨大犯罪組織所有の地下施設に対する強行捜査案』と題された資料、見た限り厚さが2cmほどある。え? これ200ページぐらいあるの? 多くない?

 

 

「警視庁では年明けから巨大犯罪組織の襲撃を多数受けていたわけですが、とある筋からの情報を得まして、巨大犯罪組織の地下施設の場所を特定。強行捜査をかけます」

 

「すみません、その地下施設の場所というのは? 都内じゃないんです?」

 

「群馬県北部です」

 

「えっ、ウチ⁉︎」

 

「……源田さん、警視庁と群馬県警で事を運ぶならまだ分かるんですが、なぜ我々にもお呼び出しを?」

 

「それについては、うちの佐倉巡査部長から」

 

 

そう言われて、各県警の担当者はようやく悟った。

ああ、これが『警視庁の懐刀』『桜田門のターミネーター』と畏れられている女警察官か、と。

 

 

「ご紹介に預かりました、警視庁捜査一課四係の佐倉です。まず最初にさきほどの質問にお答えしておきますが、本件は、ここにいる8県警全部隊を投入するべき案件だと考えています」

 

 

会議室がざわついた。

 

 

「あー、全部隊、というのは……」

 

「文字通りです。銃器対策部隊、機動隊、航空隊、各所轄署からも人員を出していただきたいのです」

 

「待て待て待て、どれだけの規模になると思ってる⁉︎」

 

「これだけないと足りないんですよ。というのも───」

 

 

『とある筋(元組織殺し屋)からの情報』として各県警担当者に公開されたのは、地下施設の場所、そこから伸びる秘密トンネル群の出口、そして、『組織』との繋がりを持っている、いわゆる『スパイ』の情報。

 

 

「多すぎない?」

 

「ひぃふぅみぃ……ウチ(茨城県内)だけで何本あるんだこれ」

 

「34本ですね。ちなみに長野県警さんのとこが最多です。127本」

 

「うわぁ……」

 

「クソがよ(直球)」

 

「待って、ウチの一課長スパイなんですか⁉︎」

 

「時間が時間なので裏が取れた訳ではないんですがね。警視庁内……じゃねえや、公安警察内でも相当数のスパイが入り込んでました。十分ご注意いただきたい」

 

「え、その公安警察のスパイはどうしたんです?」

 

「詳細は言えませんが全員死亡です」

 

「ヒェッ」

 

 

ともかく、警視庁、群馬県警、埼玉県警、栃木県警、茨城県警、山梨県警、長野県警、新潟県警、福島県警による地下施設強行捜査案は纏まった。

詳細まで書くと文字数が凄いことになるのでここでの言及はある程度省くが、まず警視庁と群馬県警の合同部隊で地下施設を強襲。

それによって秘密トンネルに逃げ出した組織幹部らを、秘密トンネルの出口から侵入した各県警部隊がぶち殺ゲフンゲフン逮捕するという流れである。

 

そこまで聞いた各県警の担当者は自分のところで早急に打ち合わせを行う為、速攻で帰っていった。

 

 

「(あの黒マントは結局誰だったんだ……?)」

 

 

この場に残ったのは、地下施設を強襲する役目を持った群馬県警の担当者と源田一課長、めぐねえ、あと黒マントの謎の男である。

 

 

「でも源田さん、群馬県内だって相当数のトンネルがありますよ。あまり部隊は出せませんぜ」

 

「この前活動を開始したやまどり隊(A-6 イントルーダー)がいたろ。あれを貸してくれ。地上は警視庁で受け持つ、そっちはそっちでトンネルの方に注力してくれ」

 

「了解」

 

 

それだけ確認すると、群馬県警の担当者も東京警察病院を後にした。

 

 

「(あの黒マントは結局誰だったんだ……?)」

 

 

 

 

 

 

「……で、佐倉。お前、何か考えはあるんだろうな」

 

 

実は先ほどの説明、少しだけ群馬県警の認識と差異がある。

『地上は警視庁で受け持つ』という源田一課長の言葉、群馬県警としては「SATか装甲車を出すのかな?」という感じだったのだが、ここが違う。

警視庁襲撃と同時に、陽動のため都内各所で引き起こされた各種事件によって、SAT、SIT、銃器対策部隊、機動隊、捜査一課ともに損耗状態にあり、とてもではないが防備が整っているであろう地下施設の強行捜査を遂げられる状態ではないのだ。

 

何せ虎の子であるFV107 シミターもRPG-7による攻撃を受けて損傷、現在修理中である。乗員に被害はなかったのが不幸中の幸いか。

 

 

「……一課長、オカルトって信じます?」

 

「頭までイカれたか?」

 

元からですよ?

 

「元からだったかぁ……それは、アレか。三好の事か」

 

「はい。女子寮襲撃の報告書、読まれましたよね?」

 

「いや読んだが……読んだが、アレを信じろというのは無理があるだろ。刑事部長だって困ってたからな? で、三好をどう使うんだ。まさか1人で突っ込ませるなんて言わないよな」

 

「まさか。そこでなんですけど、外部の方に協力を仰ぐのってありですか?」

 

「誰かによる。どこの誰だ」

 

「京都の方なんですけど……」

 

 

めぐねえと源田一課長はそんな事を相談しながら会議室を出て行った。

 

残されたのは、筋肉モリモリマッチョマンの黒マントの男性。

 

 

「…………」

 

 

 

「!!」ギュッ

 

*1
コードネーム




筋肉モリモリマッチョマンの黒マントの男性が誰だか分からない人は『K2 ギュッ』で調べてみてください。
今度こそ次で最終回のはず……そのあとはエピローグと間話を挟んで新シリーズ……に行けるかな…なんも考えてないんだよな……


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【朗報】銀髪美人とお茶してきたわwww(11)

誤字修正(敬称略)
六四、綾坂 螢人、水上 風月、No.va、りゅうだろう、貧弱な自分、初崎 楪

ありがとナス!

ようやく一区切りつきそうなので初投稿です。


「ぬわぁ⁉︎」

 

「おい弾抜けてねえかこれ⁉︎」

 

「腐っても防弾盾だぞ⁉︎そう簡単に抜かれてたまるか!!!」

 

 

秘密トンネル内にて組織幹部及びその秘書、合わせて2名と遭遇した長野県警機動隊の1個分隊は苦戦を余儀なくされていた。

 

その大きな要因の一つが、秘書が今まさに発砲しているブルパップ式のアサルトライフル。

ロシアで開発されたそれ───ShAK-12は、使用弾薬12.7×55mm。200mで16mmの鋼板を貫通し、100m以内ではボディーアーマーすら貫通する化け物。

 

対して、長野県機が今回の事案に合わせて各所から必死こいてかき集めたこの防弾盾。

防弾能力をランク付けするNIJ規格で言うところのレベルⅢ。7.62mmフルメタルジャケット弾までなら抗堪可能という物。

……少々物足りないのである。

 

 

「どうしますか」

 

「このまま押せ。この分ならそのうち崩れる」

 

「分かりました」

 

 

ぎゃあぎゃあと喚く長野県機とは対照的に、組織幹部と秘書の2人はただ淡々と、まるで作業でもこなしているかのようにしていた。

 

 

 

 

 

しかし、長野県警機動隊も負けてはいない。

 

 

1972年2月。

あの極寒の軽井沢で、長野県警は、鉄球と放水と催涙ガスと共に山荘を包囲する警視庁機動隊を見ていた。

突入した決死隊には長野県警の機動隊員も含まれていたが、全体的に見ればほんの一部に過ぎない。

言葉は悪いが、長野県警は自らの不備や縄張り意識によって、自らの手で事件を解決する機会を逃したのである。

 

 

もう2度と負けてなるものか。

 

 

あの日から数十年、県警内で言われ続けた言葉である。

 

 

 

 

 

 

「先輩!遊撃車両班が配置についたと報告が!」

 

「やっとか、待ちくたびれたぞ!よし、カウント3でスモーク投擲。スモークが十分に張ったら全力で後ろに向かって走る」

 

「はい、質問いいスか」

 

「言ってみろ」

 

「スモーク関係なく犯人が撃ってきたら?」

 

祈れ

 

「そんなご無体な!」

 

「ガタガタ言ってる暇があったら行くぞ。いいな? 行くぞ? 1、2、3!!!」

 

 

合図とともに機動隊員達がスモークを投擲。転がった幾つかのM18 発煙手榴弾が、濃密な緑色の煙幕を展開する。体に悪そう。

 

Q.どうして緑色なんですか?

A.在庫が払底しててこの色しか無かったからです。

 

 

 

 

───

──────

 

 

 

「……何か来ます」

 

「ほう?」

 

 

緑色のスモークを前にして、それがただの煙なのかそれとも催涙ガスの一種なのか判断がつかず立ち往生していた組織幹部と秘書の2人だが、リロードを終えた秘書が煙の先を見据えながらそんな事を言い出した。

 

 

「警察の奴ら、尻尾巻いて逃げ出しただけだと思っていたが……何が来る? 銃対(銃器対策部隊)か? それとも警視庁のSATか?」

 

「いえ、これは…………ッ!伏せ───」

 

 

秘書の言葉は続かなかった。

その瞬間、トンネル内に響く砲声と共に目の前の秘書の体が吹き飛んだからである。

 

 

「なっ……⁉︎」

 

 

いや、よく見たら吹っ飛んだ秘書は5mほど後方で倒れ込んでいる。体が木っ端微塵になったりはしていないようだ。

 

その代わりに、周囲にはShAK-12だったであろう破片がいくつも散らばっている。

 

何事かと再び正面を見据えたその時、ソレは現れた。

 

全高全幅共に2mほどしかない小柄な車体。

少し左にオフセットされた砲塔から伸びる砲身。

そして、青と白に塗装されたリベット打ちの車体。

 

 

長野県警が保有する数少ない機甲戦力筆頭、第二次世界大戦中にイタリアで運用された軽戦車、L6/40である。

 

 

またか!!!日本の警察って奴は本当によォ!」

 

 

組織幹部が後退しながら拳銃を乱射するが、軽戦車とはいえ腐っても『戦車』。下手な個人用火器で装甲を抜かれてしまっては存在意義が無くなってしまうのだ。

 

主砲のブレダM35 20mm機関砲から放たれた20×138mmB弾がトンネル内壁を削る。

ちなみに上記の弾、長野県警特製ゴム弾仕様になっている為対人用途で使用しても安心な代物───らしい。長野県警曰く。

その割にはShAK-12越しに直撃を受けた秘書は血反吐を吐いて呻いているが。

 

 

「た、たすけ」

 

「逆だ、お前が俺を助けるんだ」

 

 

手を伸ばした秘書に構うことなく、組織幹部は一切の躊躇を見せずに持っていた拳銃で秘書の脚を撃ち抜いた。

 

 

「あっ⁉︎ アァ゛ぁああああ!!!」

 

「精々時間を稼げよ。今まで組織に尽くした事は忘れない」

 

 

全くそう思ってなさそうな声色でそう言い切った組織幹部は、苦しみのたうち回る秘書と、防弾盾を前に出して慌てて秘書を回収しようとする長野県警に威嚇射撃を加えながらその場を後にした。

 

 

「おい!あいつ逃げちまうぞ!撃てよ遊撃班!」

 

「目の前に重傷者がいる状態で20mmが撃てるかバカ!警視庁じゃねえんだぞ⁉︎

 

「同軸の重機関銃は⁉︎」

 

「70か80年前のイタリアの機関銃の弾*1なんてあるわけねえだろ!!!」

 

 

車長はそう毒づきながらM360J SAKURAを発砲している。

 

 

「ああクソ!おい!誰か手ぇ貸せ!こいつ血が止まらねえぞ!」

 

「こんな事もあろうかとコイツ(L6/40)には止血帯含めた応急手当セットを常備してある!後部の雑用箱だ!」

 

「でかした!」

 

「あ、ッガ、だ、誰か、たすけて」

 

「ああ分かってる!絶対死なせねえからな!生きて罪を償えやクソ強ライフル女がよ!!!」

 

 

 

───

──────

 

 

 

「はァ……はァ……」

 

 

トンネルを逆戻りする組織幹部は、ある程度の場所まで来て立ち止まり、一息ついた。

周囲を見渡せば、今通ってきたトンネルの他に2本のトンネル。

 

一本は先ほど通ってきた、アジトへと繋がるトンネル。

もう一本は別の場所へと伸びるトンネルである。当然ながら既に放棄が決定しているアジトへ戻るわけにはいかないため、必然的に足は別のトンネルへと向かう事になる。

こちらに警察が配置されていないという保証は一切ないが、選択肢はこれしかない為致し方無し。

 

P7のチャンバーチェックを行い、いざ行こうと足を踏み出したその時である。

 

 

「You have the right to remain silent.」

(あなたには黙秘権がある)

 

 

後方、アジトに繋がるトンネルから声が聞こえた。振り返り発砲。

しかし人体に着弾する音は聞こえず、代わりに聞こえたのは金属が金属を弾く甲高い音。

 

 

Anything you say can and will be used against you in a court of law.

(あなたの供述は、法廷であなたに不利な証拠として用いられる場合がある。)

 

 

声は続く。

 

 

You have the right to have an attorney present during questioning.

(あなたは弁護士の立会いを求める権利がある。)

 

 

チカチカと点滅するトンネルの電灯に照らされたのは、出動服と防護装備に身を包んだ───機動隊員?

『?』が付いたのは、その機動隊員(?)が構えていたのが、ライオットシールドでも警棒でもなく、抜身の刀だった為である。

電灯の光量が足りないのか、顔の部分が影になって見えなくなっている。

 

 

If you cannot afford an attorney, one will be provided for you.

(もし自分で弁護士に依頼する経済力がなければ、質問に先立って公選弁護人を付けてもらう権利がある。)

 

 

ここで、組織幹部は先ほどのある報告を思い出した。

正面入口防衛部隊の責任者が無線で放った一言。

 

『なんで刀が銃に勝てるんだよ』

 

まさか───

 

 

そのまさかである。

再び放った銃弾は、振るわれた刀に弾かれた。

 

 

「はは、あんな報告がマジなんて分かるわけねえだろうが」

 

「ダメだよ? 部下の報告はちゃんと聞かなきゃぁ」

 

 

自嘲気味に呟いた独り言に、機動隊員(?)が反応した。

その声に驚く、女だ。

 

 

「ようお巡り。今言ってたのはミランダ警告*2か?」

 

「そうだよ。犯罪者の癖によく知ってるね」

 

「ああ、知ってるとも。尤も、この場で言っても無駄だろうがな」

 

「……なんでか聞いても?」

 

「ハッ、お前はここで死ぬからだよ!」

 

 

発砲。

変わらず刀に弾かれるが、そんな事は分かりきっている。次弾の目標は、機動隊員(?)の足元に伸びる配管。

9mm弾に抉られた配管が内圧に耐えきれず、中の蒸気が噴き出す。

 

 

「きゃっ⁉︎」

 

 

随分女性らしい声を上げた機動隊員(?)が転げた。

 

シメた!!

 

懐からナイフを取り出して、機動隊員(?)に直接切り掛かる。狙うは防護装備の隙間、喉元。

 

 

 

 

甘えよ

 

 

 

ここにきて第三者の声。

声の主を確認しようとした瞬間、眼前に現れたのは、白い足袋が映える足の甲。

 

顔面に強い衝撃、骨が砕ける音。

 

 

「ガッ……⁉︎」

 

 

思わず後ずさる。

ボタボタと砕けた鼻から血が滴り落ちるのが分かる。

視線を向けると、機動隊員(?)を助け起こす、和服姿の女。……女? いや待て、なんか狐みたいな耳が生えてないか? あと尻尾も生えてるように見える。

 

 

「全く、三好よ。詰めが甘ぇな」

 

「いやぁ、面目ない。ちょっとびっくりしちゃった」

 

 

三好。

 

三好。

 

三好。

 

 

その人外らしい存在を、組織幹部は公安警察内のスパイからの報告で知っていた。

 

 

「てンめェ……警視庁のバケモンか」

 

「あれ、名前言ってなかった? じゃあ、改めて」

 

 

埃を払い、女刑事が立ち上がった。

 

 

「警視庁刑事部捜査第一課強行犯捜査四係、三好絵里。貴様は完全に包囲されている。私に3()()殴られてから神妙にお縄につけ、クソ野郎が」

 

 

 

 

 

 

 

 

*1
8×59mm RB ブレダ弾

*2
アメリカ合衆国憲法修正第5条の自己負罪拒否特権に基づいて米国連邦最高裁が確立した刑事司法手続の一つ




ちなみに令和日本においてミランダ警告に該当する制度や判例は存在しないんですが、万和日本では存在するという事にしておいてください。だってかっこいいんだもん。みつを

次は(何も問題なければ)エピローグです。


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【朗報】銀髪美人とお茶してきたわwww エピローグ

なぜか日刊ランキングに載っていたので初投稿です。本当になんで?


その後の話である。

 

結果から言うと、『組織』は壊滅した。

 

警視庁、群馬県警、埼玉県警、栃木県警、茨城県警、山梨県警、長野県警、新潟県警、福島県警、8都県警察による地下施設強行捜査によって、数百人の逮捕者を出し、巨大犯罪組織の『日本支部』は壊滅した。

 

 

そう、後々の捜査の結果判明した事だが、この馬鹿でかい犯罪組織、日本発祥というわけではなく、どうもヨーロッパの方に本拠を置く世界的犯罪組織らしいのだ。

この情報に警視庁はがっくりと肩を落としたという。根が深すぎた。

 

しかしまあ、『組織』日本支部壊滅からの全国での犯罪発生件数は目に見えて減少しており、決して今回の出来事が無駄だったというわけではないのは不幸中の幸いだろう。

 

ちなみにだが、和服を着た妖狐(里見たま)に鼻を砕かれた『組織』日本支部の幹部は、あの後宣言通り三好からきっちり3発殴られて御用となった。それぞれ鼻*1、ゴールデンボール*2、ゴールデンボール*3である。

 

 

 

で、もう一つ。

『組織』日本支部壊滅から3週間ほど経った1月末。

 

 

 

 

 

青森西方沖 

巡視船おいらせ及び巡視艇さわかぜ

 

 

こちらは日本国海上保安庁である。貴船は直ちに停船されたし*4

 

 

 

 

 

東京湾 

巡視船あきつしま

 

 

「停船せよ!さもなくば発砲する!*5

 

 

 

 

 

紀伊水道

巡視船きい及び巡視船みなべ

 

 

「はくとうわし1号*6のヘルファイアミサイル、当該船舶機関部に命中。当該船舶の速力低下します」

 

「よし、これより当該船舶に対し立入検査を実施する。特警隊、SSTは準備せよ」

 

 

 

 

日本領海内において、大規模な密輸船拿捕作戦が実施された。

 

 

海上保安庁の全力出動によって拿捕された密輸船は日本全国で合わせて数十隻にのぼり、中には世界最大級のコンテナ船に積載された20フィートコンテナの約半数(約1万2000個)の中身が密輸武器・兵器という船舶まであったという。

 

 

 

情報提供者は警視庁*7、実施したのは先ほども言った通り海上保安庁。

そのユリア曰く、これは『組織』の最後っ屁、との事。

 

 

「ん、『組織』が壊滅すると、自動的に暗号通信が世界各国の『組織』支部に発信されて、おおよそ4週間以内に支部再建のための作戦が開始される手筈になっている」

 

 

どんな作戦なんですか? それは。

 

 

「簡単にいうと、支部再建の隠れ蓑にする為に、恐ろしい量の銃やら兵器を日本国内にばらまく『治安の悪化』を目的とした作戦。『組織』の上層部では『オペレーション・ケイオス(混沌)』と呼んでるらしい」*8

 

 

やめてくれよ……(警視庁並感)

 

 

何はともあれ、その混沌作戦は情報の漏洩により失敗に終わり、治安の悪化どころか、各都道府県警に治安維持のための道具(新しいおもちゃ)を与えるだけとなった。やったぜ。

 

 

 

 

───

──────

 

 

 

 

警視庁 四係オフィス

 

戻ってまいりましたー!

 

「お帰りー」

 

 

夕方。

犯罪件数が劇的に減少した事で以前と比べどこかゆったりとした雰囲気の流れる四係オフィスにめぐねえが帰ってきた。

 

 

「もう退院して大丈夫なの?」

 

「ちゃんとK先生のお墨付き*9なので大丈夫ですよ。……ん? なんですかこの太刀?」

 

 

めぐねえのデスクに、見覚えのない太刀が立てかけられている。

 

 

「ああ、それ里見さんの」

 

「里見さんの? ……強制捜査の時の忘れ物ですか?」

 

「あぁ、そっか、伝えてなかったっけ。今里見さん来てるんだよ、ここ(警視庁)に」

 

「え、なんでです?」

 

「さあ。『上の人』に聞きたいことがあるとかなんとか。あとなんか色々聞かれたけど」

 

「……里見さんと警視庁に今まで何か因縁でもあったんですかね」

 

「あってもおかしくないんじゃないかなぁ。里見さんの年齢的にあだぁっ⁉︎

 

 

ズビシッ!という鈍い音と共に突如悶絶する三好。

見れば、三好の後ろに微笑を浮かべる里見が手刀を振り下ろした状態でいた。妖狐チョップ痛そう(小並感)

 

 

「年齢の事はNGですよ、三好さん」

 

「い、いたんだ里見さん……もう話はいいの?」

 

「ええ、疑問は解決しました。それよりも、お2人にお客様のようですよ」

 

「ここにですか?」

 

 

 

 

「───えーと、こん、にちは」

 

 

 

 

聞こえるのは、三好とめぐねえ共に聞き覚えのある声。

オフィスの扉を振り向けば、そこに立っていたのは、スーツ姿の殺し屋、ユリアである。

 

 

───胸元に、捜査一課のバッジを付けた、ユリアである

 

 

「」

 

「えぇ……?」

 

 

固まるめぐねえ、困惑する三好、苦笑を浮かべるユリア。

 

 

「よう」

 

 

さらにそのユリアの後ろから、源田捜査一課長まで現れた。

 

 

「い、一課長、あの、これは一体どういう訳で?」

 

「まあ聞け。おい、言ってやれ」

 

「───本日付で、捜査一課強行犯捜査四係に配属に、なりました、雪白ユリア巡査、です。よろしくお願いします」

 

 

 

「「??????」」

 

 

「司法取引が行われた話は聞いてるだろうが、それの結果『組織』日本支部がぶっ潰れたってわけだ。そっから色々あってこいつはウチで面倒を見る事になった」

 

「はい!質問いいですか!」

 

「なんだ佐倉、言ってみろ」

 

「なんで警察官になってるのかとか色々言いたい事はありますけど!普通(何回か殺されそうになった人)この人(何回か殺そうとした人)一緒の部署にしますか⁉︎」

 

「次こそは仕留める……」

 

「ほら!なんか物騒な事言ってますよ⁉︎」

 

「もう決定事項なので異論は認めん。以上!」

 

「そんな殺生な!」

 

 

ギャーギャーワーワーと騒ぐ新生四係+一課長を後方から温かい目で眺める里見。

 

 

「……」

 

 

 

───

──────

 

 

「今の日本の治安を維持する為には、バ火力だけじゃ足りません。彼女───佐倉巡査部長の“悪運”を利用するしかないんですよ」

 

 

──────

───

 

 

「……ふざけてやがる

 

 

一瞬だけ垣間見えた“妖狐”としての里見には誰も気づかない。誰も気づく事はない。

 

 

 

 

 

 

『組織』を巡る一連の事件はこれにて終幕。

色々な場所に多大な被害こそ出たものの、ひとまずは万和日本にまた硝煙香る平和が戻ってきた。

 

嗚呼、今日も東京は快晴である。

 

*1
追撃

*2
ぐしゃり♂

*3
ぐしゃぐしゃり♂

*4
ロシア語

*5
ボフォース 70口径57mm速射砲

*6
AH-64Dの海保仕様機

*7
というか殺し屋(ユリア)

*8
情報屋「私が調べました」

*9
K「おかしい……回復力が異常過ぎる……」




めぐねえ
このあとユリアとお茶しに行った(タイトル回収)

三好
戦力が増えるならそれはそれでヨシ!

ユリア
『組織』への復讐のために警察へ色々情報を流したらいつの間にか刑事にされていた。何を言ってるか分からねーと思うが(ry

里見
納得がいかない

???
色々と事件を呼び寄せるめぐねえをな? ちょっときな臭い所に放ってやればな? あとは分かるやろ?



これにて銀髪美人編完結です。
くぅ〜疲!完走した感想ですが(激ウマギャグ)

訓練された万和日本国民は本編の内容から察しているかもしれませんが、活動報告にてまたアレをやります。詳しくは活動報告にGOだ!(露骨な誘導)


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【朗報】海自の新鋭艦間近で見ようぜww【特等席】(1)

誤字修正(敬称略)
00ガンダム

ありがとナス!


現在活動報告内にて開催中のアンケートが既に混沌の様相を呈しているので初投稿です。でも万和日本は全てのドンパチ好きの為にある(AM公並感)ので全部採用しちゃう♡


1:一般モブ警察官

やったぜ

 

2:名無しの転生者

ほう

 

3:名無しの転生者

新鋭艦とな?

 

4:名無しの転生者

どんな奴なん?

 

5:一般モブ警察官

『ながと』って名前の艦です

 

6:名無しの転生者

長門⁉︎

 

7:名無しの転生者

これは万和日本オリジナルの香り

 

8:一般通過現人神

へえ、君らの前世にはいなかったの? ながとって名前の護衛艦

 

9:名無しの転生者

ワイらの前世が共通なのかは知らんけど、とりあえず令和日本には無かったな

 

10:名無しの転生者

水産庁の漁業取締船とか、起重機船にならおったけどなぁ

 

11:一般モブ警察官

私もそこまで詳しいわけじゃないですけど、一般的には『主砲に127mmレールガンを搭載したあたご型護衛艦の発展型』『史上最大の護衛艦』なんて言われてますね

 

12:名無しの転生者

127mmレールガン⁉︎

 

13:名無しの転生者

さりげなく男の子の夢が実戦運用されてて草

 

14:名無しの転生者

万和日本はあの海上試験から順当に開発できたんやなぁ……(しみじみ)

 

15:名無しの転生者

令和日本のはどうなったんやろ

 

16:サラシソムリエ

我々はもう確認できないですからねぇ

 

17:名無しの転生者

まあレールガンも気になるけどな、それより「間近で見る」ってのはどういう事なん? 一般公開か何か?

 

18:一般モブ警察官

ふっふっふ……違うんだなぁ、これが

 

19:名無しの転生者

おっ、これ調子に乗ってるパターンだな?

 

20:一般通過現人神

えーとね、SPって分かる?

 

21:名無しの転生者

) <ミヨシは可愛いですね

 

22:名無しの転生者

久しぶりのボ卿で草

 

23:名無しの転生者

SP?

 

24:スーツソムリエ

警視庁警備部警護課。要人警護任務に専従する警察官を指す言葉やね。

 

25:名無しの転生者

はえー

 

26:名無しの転生者

そういやドラマでやってたな

 

27:スーツソムリエ

実はワイの前職だったりする(隙自語)

 

28:名無しの転生者

⁉︎

 

29:スーツソムリエ

んで、そのSPがどしたん?

 

30:一般通過現人神

いや、SPの方に助っ人に呼ばれたんだよねぇ、オフィサーが

 

31:名無しの転生者

……

 

32:名無しの転生者

……

 

33:名無しの転生者

……

 

34:スーツソムリエ

なんで??

 

 

 

 

 

──────

───

 

 

 

万和日本におけるSPは命懸けである。

いや、もちろん治安維持に関係する人員は皆例外なく命懸けなのだが、SPはその中でも特に厳しい。

 

何せ、襲撃者の武装は拳銃から自動小銃、手榴弾に果てはロケット砲と多種多様。その全てから要人を護らなければならないのである。

 

そのため、万和日本のSPは令和日本のそれとは違い、SAT、SITも顔負けの完全武装。『世界一物騒な国』にふさわしい姿となっている。

え? 公の場にふさわしい端正な身なりをしろ? うるせえ!ただのスーツで命が守れるかよ!プレキャリ付けろプレキャリ!(万和日本並感)

 

 

「警護課へようこそ、“桜田門のターミネーター”」

 

「その呼び名やめてくれませんか神郷さん……」

 

「あっはっは!いい二つ名じゃないか」

 

 

紙タバコを咥え、白のワイシャツにプレートキャリア、腰にはホルスターと特殊警棒を吊るした、ボサボサ髪の女性警察官。

警視庁警備部警護課課長、神郷(しんごう)(はるか)警部である。

 

 

:ヌッ!!!!!!!!!!!!!!

:ほう、ボサ髪美乳重度喫煙者ですか……エッチなのは駄目!死刑!

:唐突なエ駄死は草

:コハルもよう見とる

:めぐねえの知り合いなん?

 

───個人的な呑み仲間ですね。前に新橋の立ち飲み居酒屋で一緒になって

 

:新橋の立ち飲み居酒屋好き過ぎん? マクミラン少佐と会ったのもそこやろ

:SA80A2の件?

:そういやそうだな

 

───いいじゃないですかー、どこで飲んだって

 

:それはそう

 

 

 

 

「んで、佐倉。概要については源田から聞いてるかい?」

 

「『警護課の方で病欠者が出たから手伝って来い』としか。あれ概要っていうんですか?」

 

「んー、それは言わないねぇ、源田の奴……何、今度の任務に当たる予定だった奴が2人、食い物に当たって入院してんだよ」

 

「えぇ……?」

 

「あいにく、今は他の要人警護で人が出払ってる。それで急遽課長の私と、一課から佐倉、アンタが助っ人としてお呼ばれしたってわけだ」

 

「それは良いんですけどね。じゃあ準備しますか」

 

 

:今北産業

:➀SPめぐねえ

 ➁海自新鋭護衛艦視察

 ➂防衛大臣警護

:なんで?

:さあ……?

:防衛大臣が海自の護衛艦の視察に向かうんだけど、それの警護の人員がトラブル(食中毒)で揃わなくて、仕方なく警護課のトップとめぐねえが駆り出された……って感じだね

:オッスオッス姉御

:()<ミヨシは事情通ですね

:そりゃあ現地の人間、じゃねえや現人神だし……

:警護の人員って何人なん?

:あの2人だけらしいよ?

:はい? 少なくない?

 

 

───行くのは横須賀の海自基地、それも護衛艦の中だから多少少なくても良いんじゃない? って見解みたいですよ。それを許容しなきゃやっていけないぐらいには警護課って人員不足みたいで。

 

 

:何事も人が足りなきゃ始まらんか

:辛いぜ(製造業並感)

:辛いぜ(飲食店並感)

:辛いぜ(内航船員並感)

:辛いぜ(バスドライバー並感)

:辛いぜ(末期旧日本軍並感)

:草

:なんか1人人手不足のベクトルが違う奴混じってないか?

:てかめぐねえってSPの経験あるん?

 

 

───あるわけないじゃないですかそんなの

 

 

:えぇ……(困惑)

:なんだっけ、いつだったか忘れたけど海外のやんごとなき血筋のお方が襲撃されたのに巻き込まれて、流れで空港まで護衛したことはあったよね。それぐらい?

:そんな事してたの⁉︎

 

 

───ああ、アイルランドの王族の人でしたっけ。すごい美人さんだったんで覚えてますよ。

 

 

:アイルランドの⁉︎

:万和日本時空特有のオリジナル要素*1

:なんだって⁉︎ 俺からも礼を言わせてくれ!

:アイルランド語ソムリエ草

:そういやこいつアイルランド人だったな

:ほう、美人さんですか……

:詳細キボンヌ

 

 

───変わった髪の毛だったんですよねぇ。前髪を両脇と真ん中で分けてるような感じだったんですけど、真ん中の前髪の毛先が白くなってたんです。歳は多分未成年ですし、白髪って感じでも無さそうだったんで不思議に思ってたんですよ。あとずっと帽子も被ってました。

 

 

:……ん?

:流れ変わったな

:なあめぐねえ、その子って服装白のジャケットに黒のスカートやなかった?

 

 

───あれ、なんで知ってるんですか? あの時は感覚共有してなかった筈ですけど

 

 

:うーーーん、これ以上言及するのはやめとくか!

:そうだな!

:まるでFM殿下みたいだぁ(直喩)

:また一つ万和日本時空の謎が増えたな

 

 

───えっ、なんですか、すごい気になるんですけど⁉︎

*1
現実のアイルランド共和国は立憲君主制ではない大統領制国家で、公式上の王族や貴族制度は存在しない。Pixiv百科事典より




めぐねえ
SP初挑戦。最新の海自護衛艦が見れるとテンション爆上げ中だが、それはそれとして仕事はきちんとこなす。

三好
今回はお留守番(何事もなければ)

神郷
外見は『V.I.P』(Youtubeより)のボサ髪姉貴、声はシンダー・カーラ(ACⅥ)をイメージ。ヌッ!

殿下
本編には(多分)関係してこない小ネタ。
いったい何ンモーション殿下なんだ……



今回のスーツソムリエの前職を考えていて何となく思いついたので、各ネームドソムリエの前世での職業を記載しておきます。なお現時点での思いつきなので後から変更する場合があります。あしからず。

EDF兄貴:特殊部隊員(何の部隊かは未定)
Ⅱ号兄貴:戦車乗り(陸上自衛隊)
サラシソムリエ:海上保安官
歩行フォームソムリエ:山岳救助隊員
温泉ソムリエ:会社員
エンジン音ソムリエ:航空機整備士
スーツソムリエ:SP
欧文モールスソムリエ:高校生
アイルランド語ソムリエ:大学教授


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長野県機の女

本編の進捗がウゴゴ……な状態なので短編でお茶を濁します。

ある女秘書のお話です。


───

──────────────────────

 

『逆だ、お前が俺を助けるんだ』

 

 

 

『絶対死なせねえからな!生きて罪を償えやクソ強ライフル女がよ!!!』

 

──────────────────────

───

 

 

「───ッ!」

 

 

南長野医療センター 篠ノ井総合病院

 

 

あ゛っうぬぉぉ……

 

 

飛び起きた女は、次の瞬間に全身の痛みでベッドに戻った。その痛みによって思考が冴えてくるのが分かる。

 

女は、『組織』と呼ばれる国際犯罪組織の日本支部で、日本支部リーダーの秘書を務めていた。少なくとも、他の誰よりも『組織』に尽くしてきた自信はある。

 

 

だが、見捨てられた。

 

 

撃たれた右脚を見やる。包帯やらギプスやらでぐるぐる巻きになっているが、一応感覚はある。どうやら神経は生きているらしい。

 

 

「目が覚めましたか」

 

 

病室の入り口に目を向けると、そこには制服警官を複数人引き連れたスーツの男が1人。

 

 

「あなたは?」

 

「公安調査庁の千代田と申します。あなたの聴取を行う者です」

 

「……尋問か拷問の間違いじゃなく?」

 

驚かれるかもしれませんが、実は日本って法治国家なんですよ

 

 

犯罪者にも人権って適用されるんですよね、と言いながら、千代田と名乗った優男はベッドの脇にあった丸椅子に腰掛けた。護衛と思しき制服警官は部屋の外で待機するらしい。

 

 

「まあ、どちらかというと『情報の精査の為』と言った方が適切かもしれませんね」

 

「?」

 

「ほら、あなた方を裏切った殺し屋。あの人からボロボロと情報が出てきましてね。警視庁(火力バカ)公安警察(腐った納屋)もてんやわんやなんですよ。それでウチ(公安調査庁)も駆り出されたって次第でして」

 

「……ああ、ユリアさんですか」

 

「やはりご存じで?」

 

「親しかった訳ではありませんよ。あくまで仕事の付き合いですから」

 

 

そう、仕事の付き合いである。

 

 

あくまで、決して仲を深めてはならない、仕事上の。

 

 

「……一つ、いいでしょうか」

 

「はい?」

 

「私の上司、日本支部のリーダーはどうなりましたか?」

 

「警視庁によって逮捕されました。同じく事情聴取の真っ最中だと思いますよ。まあ、聞いた話だと「弁護士を呼べ」だとか「アレは全部秘書がやった事だ」とか抜かしてるみたいですが。三流悪役みたいで面白いですよね、はは」

 

「えぇ……?」

 

 

一瞬でも元上司を心配したのがバカらしくなってきた。

 

 

「ま、アレだけの事をやったんですから、重罰は免れないでしょう。本題に入っても良いですか?」

 

「ええ。もうなんでも聞いてください。全部答えます」

 

「え、あ、はい。いや、こちらとしてはそれで助かるんですけど……どうされたんです? 急にイキイキとして」

 

 

 

 

 

 

 

 

後に『ユリア文書』と呼ばれる、国際犯罪組織『organization(組織)』に関する一連の機密文書がある。

 

その情報の精査に参加したのは、『組織』で馬車馬のごとく働き、色々状況の違いはあれど、あの強制捜査の際に捨て駒にされた幹部クラスの逮捕者達だった。情報提供者達の気持ちはただ一つ。

 

 

『今まで身を粉にして尽くしてきたのに!あんなにあっさりと見捨てられて!忠誠心なぞ残るわけがないだろいい加減にしろ!退職金寄越せ!!!

 

 

日本支部リーダーの秘書、コードネーム『ハドソン』もその1人である。

 

 

──────────────────────

───

 

 

情報提供者達のその後の道は、大きく2つに別れた。

 

一つ。情報提供の見返りとして減刑を勝ち取る。

殆どの提供者はこちらを選んだ。まあ、いくら情報提供をしたとはいえ大なり小なり犯罪者であるが故、これは致し方ない。……と、いうよりは、下記の後者を選びたくなかった、というのが本音らしい。

 

 

 

 

 

一つ。警察への再就職。

 

 

 

 

 

 

大事な事なのでもう一度。

 

 

 

 

 

 

警察への再就職

 

 

 

 

 

 

なぜか警視庁がこれを推しに押した。それのせいでドン引きした情報提供者達は殆どが前者の方を選んだのだが、ごく少数の者たちはこちらを選んだ。

 

 

例えば、「殺さないにしても、今度こそターミネーターに一手を」とか言って警視庁捜査一課に参加した、雪白ユリア。

 

 

そして、

 

 

 

長野県長野市

県警察本部機動隊庁舎

 

 

 

「本日より、長野県警察本部機動隊第一中隊に配属になりました、川野・ハドソン・結衣巡査です。ご指導ご鞭撻の程、どうかよろしくお願いします」

 

あーっ⁉︎

 

 

並んでいた機動隊員の内の1人が叫んだ。

 

 

「て、てめえ⁉︎あの時のクソ強ライフル女⁉︎」

 

「ふふ、言われた通り、『罪を償い』に来ました。……あの時、飛び出してきてくれて、ありがとうございました。おかげで私は、生きています」

 

「お、おう……なんでそうなったのかは知らねえが……ま、まあ? 配属になったってんなら容赦はしねえぞ。お前がどれだけ強いかってのは俺らが一番身を持って知ってるからな、マジで」

 

 

あの時トンネルでハドソンと相対した機動隊員達がうんうんと頷く。

 

 

「あ、ちなみにコレ(ShAK-12)も貰ってきてますよ」

 

「ぎゃああああああああ!!!???」*1

 

 

 

 

 

 

長野県警察本部機動隊。

 

長野県の治安を守る最後の砦。

 

 

そこに入隊した曰く付きの女は、いつしかこう呼ばれるようになったという。

 

 

 

 

 

『長野県機の女』と。

*1
トラウマ




名も無き勇気溢れる機動隊員とハドソンさんのラブロマンスは読者兄貴姉貴達が頑張ってください(他力本願)

気が向いたらハドソンさん再登場ルートもあるかも?


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【朗報】海自の新鋭艦間近で見ようぜww【特等席】(2)

2024年がやってくるので初投稿です。

《前回の誤字報告者兄貴姉貴》(敬称略)
⭐︎ぎん⭐︎

ありがとナス!


───

──────────────────────

数週間前 

東京都 港区新橋

立ち飲み屋『バル・ベルデ』

──────────────────────

───

 

 

ここ最近のめぐねえのマイブームというと、もっぱら1人呑みである。特にハマっているのはこの、立ち飲み屋『バル・ベルデ』。

何が楽しいといえば、あまりにも様々な人間が集まってくるのだ。

例をいくつかあげよう。

 

 

普段は冷静沈着だが、いざという時にとんでもない顔芸をしながら包丁をぶん回す元アメリカ人、店主のベネットさん。たまに店にやってくる筋肉モリモリマッチョマンと大喧嘩を繰り広げる。

 

 

いつもカウンター席に居座っているイギリス人紳士のマクミランさん。SA80A2の件はお世話になりました。

 

 

たまに奥のテーブルでスコッチを嗜んでいる、ブーニーハットと葉巻がトレードマークのプライスさんに、ソープさん、あといつも髑髏(どくろ)のバラクラバを被っているゴーストさんのイギリス人3人組。

ゴーストさんに関してはあまりに怪しいので一回職質をかけた事がある。

だって怪しいじゃん!!!()

 

 

向こうのテーブルにいるのは、わざわざ横須賀から来た米国海兵隊の男4人組。トゥームストーンという名前の分隊のメンバーらしい。

 

 

「───てな感じですね。普段はもうちょっといるんですけど、今日は店に来てないみたいです」

 

いや、アンタの交友関係どうなってんだい?

 

「他のテーブルに絡みに行ってたらなんか連絡先も交換してくれました。なんででしょうね?」

 

「……自分の外面の良さ(顔の良い女)、自覚しな」

 

「?」

 

 

と、呆れ顔で話すのは今日初めて一緒になった、警護課の神郷警部。

その隣には、周りをキョロキョロと見渡しながら生ビールを飲むサングラス姿の女性。

 

 

「ところで神郷さん。そのお隣の方は?」

 

「ん? ああ、なんていうかな、立ち飲みの後輩」

 

「えっと、(はざま)と申します」

 

「ああ、これはどうもご丁寧に。佐倉です」

 

「お会いできて光栄です。色々と活躍されているとか」

 

「……? すみません。もしかして警察関係の方でした?」

 

「うんにゃ、どっちかっていうと防衛関係だね」

 

「あ、自衛隊の」

 

 

 

──────────────────────

───

 

 

 

現在

 

警視庁 屋上

 

 

「……???」

 

「うわ、本当に設置してるよ」

 

 

警護課の任務の手伝いに出かけためぐねえを見送った三好、ユリアの2名は警視庁の屋上へとやってきていた。

先日の警視庁襲撃*1によって倒壊した紅白の通信塔は未だ再建されておらず、とりあえずで仮設された通信塔(仮)が日夜フル稼働している。

 

しかし、2人の目的はそちらではなく、屋上南側に増設された構造物である。

 

全高4.7m、上部の白く塗られた円筒形のレドームとM61A1バルカンが特徴的な近接防空システム(CIWS)

 

俗に『ファランクス』と呼ばれるソレが、警視庁の屋上から東京を睨みつけていた。

 

 

 

 

「ミヨシ、何これ」

 

「近接防空システム、ファランクス。あんまり警視庁が襲撃されるもんだからせめて空からの守りはどうにかできないかって事で、何年か前に海自で退役した艦*2に搭載されてたのを貰ってきたんだってさ。凄いね」*3

 

「いや、物は分かるんだけど……まあいいや、うん、凄い」*4

 

「反応薄くないか、お二人さん……」

 

 

2人が振り返ると、そこにはSATの基本装備にバラクラバを装着した男性警官。

実は文中で外見を描写をするのは初めてな、SATの狙撃手(1話からの生き残り)である。ちなみに本名は中山浩(なかやま ひろし)という。

 

 

「あ、ども。中山さん」

 

「よっす。佐倉の奴どこにいるか知らない? 前にお茶に誘ったんだけど*5、色々あって有耶無耶になっててさ。こっちも落ち着きそうだから今度こそどうかなって思ったんだが」

 

「あー……オフィサーならしばらくSPの方に缶詰になってるよ。確か明日までだったかな」

 

「はぁ? SP? なんで?」

 

「向こうのほうで人が足りないとかなんとか。防衛大臣の警護で横須賀まで行ってる」

 

「マジで人気者だなアイツ……そんならしゃあねえか。んで、そっちの美人さんは? 新人?」

 

 

ここでようやくユリアに気づいたのか、そちらに目を向けるが、すぐに疑問を感じたのか首を傾げた。

 

 

「んー……失礼、どこかでお会いした事ありましたっけ?」

 

「……? いや、初対面だと思う」

 

「ありゃ。んー、どっかで顔を見たような気がするんだけどなぁ……」

 

 

実はこの2人、スコープ越しに相対した事があるのだが*6、両者がこれに気づくのはもう少し後のことである。

 

 

 

 

──────

────

 

 

 

同時刻

 

 

神奈川県横須賀市

海上自衛隊横須賀基地

 

 

「───以上を持ちまして、訓示とさせて頂きます」

 

 

ユリアとSATの狙撃手が見事なすれ違いを見せている頃、めぐねえは横須賀にいた。

すぐ横の壇上で、ちょうど今訓示を終えたほんわか系の小動物みたいな雰囲気の女性が、今の防衛大臣、(はざま)由里《ゆり》。

そしてその背後に係留中の、城みたいな威容の艦こそ、日本が誇る最新鋭のレールガン搭載イージス護衛艦『ながと』である。

 

で、当のめぐねえはと言うと、FASTヘルメットにプレートキャリア、シューターグラス、各種プロテクター、89式小銃、腰にはSIG SAUER P320と、まあまあの完全武装で壇の横に立っていた。神郷警部も同じような装備で隣に立っている。

 

 

「これ私ウィッグ要ります?」(小声)

 

「桃色の髪なんて目立ってしょうがないんだ、諦めて付けてな」(小声)

 

「ハハァ、了解です」(小声)

 

 

そう、めぐねえは今黒髪のウィッグを着けている。

 

理由は今神郷警部が言った通り。

めぐねえのピンク髪や怪盗ヴィオレットの紫髪など、令和日本ではトンチキ染みた髪でも、万和日本では「ちょっと珍しいけどたまに見る」ぐらいのレアリティなのだが、流石に式典ともなると悪目立ちしてしょうがない。

 

ただでさえ、この式典の場で完全武装しているのは警察所属の神郷・めぐねえの2名だけなのだ。

これ以上悪目立ちするわけにもいくまい、という警視総監以下警察上層部のご意見(ほぼ命令)で唐突に決まったわけである。

確かに、今の状態であれば普通の女性の警護官に見えないこともない。

 

……本当に突然決まった物だから、このウィッグも近くのドン○ホーテで買ってきた安物なのだが、FASTヘルメットを脱ぐ予定はないので問題はない。

 

 

「ん、佐倉、行くよ。打ち合わせ通りに」

 

「了解、後ろにつきます」

 

 

式典は無事終了し、ついに護衛艦へ乗り込む段階へと至った。

神郷警部が先頭に付き、中央に間防衛大臣を挟んで最後尾にめぐねえが付く。

 

ながとに乗艦するタラップの脇には、海自の冬制服に身を包んだ士官が敬礼して立っていた。肩の階級章は桜1つに4本線。一等海佐だ。

 

 

「艦長の楠木です。本日はよろしくお願いします」

 

 

どうやら艦長らしい。

「(若いのに艦長とは……凄いなぁ)」(小並感)なんて呑気に考えていためぐねえだが、

 

 

「……? ええ、よろしくお願いします」

 

 

防衛大臣が一瞬、首を傾げたように見えた。

 

すぐに持ち直して艦長と握手を交わし、そのままタラップを上がっていく。

 

 

ただそれだけの違和感。

 

これが、めぐねえの脳裏にこびりついて離れなかった。

*1
ハインドの方

*2
練習艦せとゆき。2021年12月退役

*3
(小並感)

*4
(小並感)その2

*5
【悲報】新人警官ワイ、勤務1日目で銀行強盗に遭遇 参照

*6
【朗報】銀髪美人とお茶してきたわwww(3)参照




活動報告にて開催中の【第2回弊めぐねえの相棒(銃器)を決めようの会】は12/31 23:59までとなります。

さあ!画面の前の君も周囲のミリオタ勢を誘って万和日本警察を重武装化させよう!(悪魔の所業)


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【朗報】海自の新鋭艦間近で見ようぜww【特等席】(3)

今回はちょっと難産だったので初投稿です。




護衛艦ながと、出港。

 

横須賀基地を出港した『ながと』と僚艦を務める『むらさめ』は浦賀水道を南下、太平洋へと出て、海上自衛隊が訓練海域に指定している海域で各種訓練を実施、その後横須賀へ帰港する───

 

 

「と、いうスケジュールになってるんですよ」

 

 

そう話すのは、先ほど壇上で訓示を行なった防衛大臣、間 由里。手持ち無沙汰なのか、配られたペットボトルをいじいじしている。

 

現在、一行*1はながとの応接室にて待機中。出港作業を見届けて、あとは訓練海域へ向かうだけ。まあつまりは本番までお休みください、というわけらしい。

 

 

「いやー、すみません。お恥ずかしながらSPを務めるのは初めてでして、流れというものが……」

 

「その辺の事情は神郷警部から聞いています。本当のご所属は捜査一課だとか。貴女の噂は防衛省まで届いていますよ、佐倉巡査部長」

 

「……ちなみにですけど、どんな噂で?」

 

「えーとですね、『ピンクの悪魔』、『桜田門のターミネーター』、『世界一不幸な女』、『ダイハード・レディ』、『ナッツクラッカー』、『狂乱ピンク』、『淫乱ピンク』とかです。噂というよりは二つ名って言った方がいいかな」

 

後半ほぼ悪口ですよね⁉︎ マジで誰ですかそれ言ってたの⁉︎」

 

「ふふふ、“裏”を知っているのは警察だけではない、という事ですよ。ちなみに最後のを言ってたのは下北沢に住んでる紫色の髪の外国人女性ですね。前会いに行った時は女子高生のバンドにキーボードとして参加してました。ヘルプで一時的に入ったとかどうとか」

 

「絶対ポンコツ紫だ……あの野郎……*2

 

「あぁ、やっぱりお知り合いですか? 仲がいいんですねぇ。羨ましいです」

 

いい眼科紹介しましょうか?

 

 

コロコロと笑う間防衛大臣。

ところで自衛隊が裏社会を探ってるみたいな発言してましたけどそれ私に言っちゃっていいやつですか?(機密保持並感)

 

 

「……それで、神郷警部、先ほどからどうされたんです?」

 

 

そう、応接室に通されてから一言も発していない神郷警部。何か考え事をしているようなのだが、それにしても顔が険しい。

 

 

「ん? ああ、何、ちょっと気になることがあっただけさ。多分私の気にしすぎだとは思うんだが……」

 

「んー、時間はまだありますし、お聞かせいただいても宜しいですか? 案外、他人に話してみると解消できるかもしれませんよ?」

 

 

大臣が、お茶を紙コップに注ぎながらそう話す。あ、ありがとうございます。

 

 

「……英語が聞こえたんだよ」

 

「英語?」

 

「ああ。艦内に入ってここに通されるまでの間に、何人か乗組員とすれ違ったろ?」

 

「ああ、確かにすれ違いましたね」

 

 

 

 

 

「すれ違う直前まで何か会話していたようなんだが……どうも日本語には聞こえなかったんだ」

 

 

 

 

 

──────

───

 

 

同時刻

 

ながと 戦闘指揮所(CIC)

 

 

現代の軍艦ではもはや必須と言っても過言ではないのが、Combat Information Center、通称『CIC』。

『ジパング』でアスロック米倉が叩き出された部屋である。

 

とまあ、伝わりづらい冗談はさておき、例に漏れずながとにもCICは存在する。艦内奥深く、いわゆる重要防御区画(バイタルパート)内に存在するCICにて、護衛艦ながと艦長、楠木(くすのき) (はじめ)一等海佐は部下からの報告を聞いていた。

 

 

洲崎(すざき)灯台通過。周囲に船舶なし。」

 

「洲崎灯台通過。周囲に船舶なし。“ボス”、周辺はクリアです」

 

 

レーダーと睨めっこしていた隊員からの報告を受けた副長が、楠木一佐に報告をあげる。

 

 

「了解した。アマテラス、レディ達の様子は?」

 

《間 由里防衛大臣、他SP2名は5分前と変わらず応接室にて確認されています》

 

 

楠木一佐の声に反応して、女性の声をした機械音声が流れる。

これぞ、『64口径127mm単装電磁投射砲』に続く護衛艦ながとの目玉、量子AIを搭載した多用途情報支援システム『アマテラス』である。

 

 

「……応接室区画を封鎖。レディ達にこちらの動きを悟らせるなよ。各員に厳命しておけ」

 

「アイアイサー」

 

 

自衛隊では見ない“手のひらを見せる敬礼”をした副長が、今の楠木一佐の言葉を艦内に通達するべく機器に向かった。

 

 

「レーダー員、『むらさめ』の動きはどうか」

 

「『むらさめ』は本艦後方を追走中。特別な動きはないな」

 

「通信員」

 

「艦内も含めて怪しい通信はなし。アマテラスによる捜索でも同様」

 

「警察無線も含めてか?」

 

Exactly!(その通り!)

 

「……お前らなぁ、一応俺が艦長、この艦のボスなんだぞ。ちょっとは敬意を払えないのか」

 

 

楠木一佐の苦言に、CIC内の乗組員が笑い声を上げた。

 

 

 

 

 

少なくとも、絶対に、自衛隊では見られない光景。

 

 

 

 

 

「なあ、それよりボス。もう陸からだいぶ離れたんだ、この“マスク”も取っていいよな」

 

「ああ、それもそうか。CIC各員、マスクは取っていいぞ。副長、応接室区画の封鎖が完了したら他の区画の奴らにも外していいと伝えておけ」

 

「ハッ」

 

 

待ってましたと言わんばかりに、CICにいる乗組員が一斉に自分の顔に手をかけ───それこそ“マスク”を外すようにベリベリベリと剥がした。

 

 

「このマスク、出来はいいんだが蒸れて仕方ねえや」

 

「違ぇねえ」

 

 

マスクの下の素顔を見てみれば、あっちには黒人、こっちにはアラブ系、通信員はアジア系の顔で、副長は彫りの深い白人。なんともまあグローバルだ。

 

 

 

 

「機は熟した。日没と共に作戦を開始する」

 

 

 

 

その中で、楠木一佐だけはそのままの顔だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『組織』に栄光あれ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────

───

 

 

同時刻

 

神奈川県横須賀市

 

 

安浦町交番に務める警察官2名は、パトカーで管内にあるとある廃倉庫へとやってきていた。

 

 

「一体なんだってんですかね」

 

「さてなぁ、変な呻き声がするって話だったが」

 

 

『自宅の隣の廃倉庫から呻き声が聞こえる。誰か入り込んでいるのかもしれない』

数分前に入ったのはそんな内容の通報だ。

きっと、近所の悪ガキが入り込んで中で怪我でもしたんだろう、と、何とも危機感の無い考えで、ファーストレスポンダーとしてやってきたわけである。

 

しかしまあ、『危機感の無い』(万和日本比)である為、プレートキャリアとパトロールライフル*3はしっかり装備しているのだが。

 

 

だが、廃倉庫のシャッターに近づいてみて、どうもこの件の異常さが目立ってきた。

 

 

 

中から聞こえてくる呻き声がやたらと多いのだ。

 

 

 

「……これ何人いるんですか中に」

 

「鍵は……そりゃ掛かってるよな。おい、裏口がないか見てこい。どうも様子が変だ」

 

「ウッス」

 

 

若い方の警察官が廃倉庫の裏へと走る。

目的の裏口はすぐに見つかった。よく見るアルミ製の扉。

 

 

 

 

それが急に開け放たれた。

 

 

 

 

「うぉ⁉︎」

 

 

驚いて足を止め、慌てて89式小銃を扉へと向ける。

しかし、全身黒づくめの犯罪者がAKを乱射してくる───なんて事はなく、何かが扉の影でもぞもぞと蠢いているのが見えるだけ。

 

 

「な、なんだぁ?」

 

 

慎重に歩みを進め、扉の影からそっと覗く。

 

 

 

 

「んっ⁉︎ ん゛むーッ!!!」

 

 

 

この瞬間の彼ほど、「呆然とする」という言葉が似合う者はなかなかいないだろう。

 

何せ、“ブカブカの男物の服を着た少女”が“両手足を結束バンドで拘束+猿轡”された状態で地面で蠢いていたのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《至急至急!安浦町交番より本部!先の通報にあっては、建物内を検分したところ、多数の負傷者を確認した。およそ数百名!大半が意識が朦朧としている模様!救急隊を要請する!》

 

 

 

 

神奈川県警は混乱した。

 

 

 

 

「えぇ⁉︎ あの負傷者全員海上自衛官⁉︎」

 

 

 

 

神奈川県警は混乱した。

 

 

 

 

「いや、あの、さっきの女の子がどうもおかしな事を言ってまして……」

 

 

 

 

神奈川県警は混乱した。

 

 

 

 

「頼む!信じてくれ!何でかこんな外見になってるが!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私は海上自衛隊護衛艦ながと艦長、楠木(くすのき)(はじめ)一等海佐だ!!!」

 

 

 

 

 

神奈川県警は混乱した*4

 

*1
警視庁組+防衛大臣

*2
女の子やぞ

*3
89式小銃セミオートモデル

*4
神奈川県警「ふぇぇ




ポンコツ紫
一流の怪盗はね、音楽も一流なのよ!(キーボードを完璧に弾きながら)


結束バンド
STARRYで最近働き始めたバイトの人に冗談でヘルプを頼んだらガチのキーボードを持ってきてビビっている。


謎の少女
私が楠木肇一等海佐だ!


神奈川県警
ちょっと何言ってるか分からないですね……


海上自衛隊
さっきから神奈川県警騒がしいけどなんかあったんやろか。


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ある日の東京

最近ドンパチ成分が不足しがちなので初投稿です。

日常回です。

*短編です。現在更新中の『護衛艦ながと編』とはあまり関係ないのでご注意を!


《至急至急!警視庁から各局!○○区東町東第一交差点にて銃撃との通報!犯人の詳細不明、装備不明であるが、機関銃を所持しているとの情報あり!付近のPC、PMは防弾装備を着用の上急行せよ!》

 

 

 

 

 

 

 

通報から5分

 

四係現着

 

 

先日修理から返ってきたばかりのクラウン ヴィクトリアから降りてきたのは、めぐねえ1人である。

 

 

「状況は⁉︎」

 

 

トランクからプレートキャリアとSA80A2を取り出しながら、近くにいた制服警官に聞いた。

 

 

「ホシは20代男性が1名、どっから手に入れたのか知りませんがPKM機関銃を所持、向こうのT字路の正面に建ってる空きビルに立て籠ってバカスカ撃ってきてます。幸い怪我人と人質はいませんが、SATか銃対の応援は?」

 

「全隊他の案件で出動中なので、現有戦力で対処します」

 

「うへぇ、了解です」

 

 

その制服警官も腹を括ったのか、持っていた89式小銃のチャージングハンドルを引いた。

 

現場にいる制服警官はめぐねえを除いて30名ほど。周辺警戒や封鎖線の構築など、諸々を鑑みて、犯人制圧に投入できるのは15名程。ちょうど軍で例えると1個分隊ぐらいか。

 

 

めぐねえが乗ってきたパトカーの周囲に、突入隊の15名が揃った。その殆どの装備はパトロールライフルとして警視庁に正式採用されている、豊和工業製89式小銃S型*1なのだが、1人は明らかに時代錯誤な木製ストックのボルトアクション小銃、もう1人に至ってはデカい機関銃を担いでいる。ちなみにどちらもめぐねえ東署勤務時代*2の先輩警官である。汚染済み。

 

 

霜塀(しもへい)さんが持ってるのは……春田さん(M1903)ですよね。買ったんですか?」

 

「ああ。前からジャクソン二等兵*3よりに憧れててな」

 

「一応聞きますけど、スコープとスコープマウントは?」

 

貯金中です……」

 

「あっはい。えっと、じゃあ南部さんは……」

 

弾幕って……いいよね……*4

 

「(´•ω•)(こいつやべえなという顔)」

 

 

 

──────

───

 

 

 

簡単な打ち合わせを終えためぐねえ率いる警官隊は、犯人が立て篭もる廃ビルの正面の通りのすぐ側までやってきた。

 

 

「佐倉ぁ!犯人は正面建物の5階向かって右端の部屋!奴さんまだまだ弾は豊富みてえだぞ!うひっ!」

 

 

ボロボロのパトカー*5の陰で警戒についていた防弾装備の制服警官が89式小銃を犯人の方向に向けたまま報告するが、すぐに一時停止していたPKM機関銃の射撃が再開。

 

ただでさえボロボロになっていたトヨタ 210系クラウン・パトロールカーが見るも無惨な姿になっていく。*6

 

 

どひぇ^〜!

 

 

制服警官はなんとか無事そうだ。這々の体でこちらまで這ってきた。

 

 

「うわぁ、大丈夫ですか村田さん。被弾は無さそうですけど」

 

「大丈夫じゃねえや、うげぇ、アスファルトかなんか口ン中に入りやがった」

 

 

ぺっぺっ、と唾を吐き捨てる制服警官を横目に、警官隊は顔を出せば廃ビルが見える位置まで進む。

 

 

「じゃあ打ち合わせ通りに!霜塀さんはそこの路地裏から廃ビルの方に回って犯人が視認できないかやってみてください!あっそうだ、何mまでなら確実に当てられますか⁉︎」

 

「犯人が確実に見えるなら400までなら確実に当ててみせようとも!」

 

4、400!!?? アイアンサイトで⁉︎ えっ、分かりました。注意を惹きつけるのはこちらでやりますから、犯人の無力化は任せましたよ!赤井さん!雨取ちゃん!霜塀さんの護衛お願いします!」

 

「了解」

 

「わ、分かりました!」

 

 

赤井と呼ばれた制服警官、雨取(あまとり)と呼ばれた女性警官が霜塀の後ろについて路地裏に入って行った。

 

 

「私は今から通りを突っ切って行きます!南部さんはそのM240で援護射撃!」

 

「了解。そうだ村田さん、弾薬手お願いしていいスか」

 

「あ? ああ、弾薬手か。よっしゃ任された」

 

「タイミングは犯人のPKMの射撃が切れてから。多分あと数秒で───」

 

 

射撃が、ピタリと止んだ。

 

 

「あっ止まった」

 

「南部さん援護射撃始め!残りの人員は私に続いて通りの左側を突っ走ります!準備はよろしいですね⁉︎ 突撃にぃ!前ぇ!!!」

 

 

M240が射撃を開始。毎分650発の速度で吐き出される7.62×51mm NATO弾が、廃ビルの窓ガラスを叩き割り、外壁を粉々にし、剥き出しの鉄骨に当たって火花を散らす。

 

 

射撃を再開しようとした犯人は堪らず顔を引っ込めた。

 

 

その隙に、めぐねえ含めて12名の警官隊が廃ビルに続く通りに躍り出た。通りを横切って左側の歩道へ。

幸い、通りの左側には小売店の庇屋根(ひさしやね)が張り出しており、廃ビルからは死角になっている。撃たれることはないだろう。

 

 

《霜塀より佐倉、配置についた。いつでもどうぞ》

 

 

霜塀班からの報告とほぼ同時に、庇屋根地帯の終端まで到達した。ここから出れば廃ビルは片側1車線道路を挟んですぐ目の前。もちろん、そこまで行くと犯人からは丸見えである。撃ち下ろし待ったなし。

 

 

「南部さん、こちらの合図からカウント3で撃ち方やめ、霜塀さん、南部さんの射撃停止の後、私が発砲して犯人を誘い出します。あそこの窓から私を撃つとなるとかなり体を乗り出す筈です。そこを狙って下さい」

 

《了》

 

《カウント3で撃ち方やめ、了解》

 

「行きますよ……カウント」

 

《3、2、1、撃ち方やめ!》

 

 

M240の射撃が停止した。

銃声の残響が雑居ビル群に木霊する。

 

 

「誘い出します。霜塀さん、射撃タイミングはそちらで計って下さい。私が撃たれる前に撃ってくださいね? 頼みますよ?」

 

 

庇屋根の終端から2歩ほど進んで、犯人が顔を出そうとしていた窓に向かってSA80A2を発砲。7.62mmでボロボロになった外壁と窓に今度は5.56mmが突き刺さる。

 

 

思った以上に接近していた警官隊に焦ったのか、窓枠から無理に身体を乗り出してPKMを構えた。

 

ちょうど、霜塀から見れば、犯人の背中が丸見えとなる体勢である。

 

 

《───ッ!》

 

 

犯人の無防備な背中に、.30-06 スプリングフィールド弾が突き刺さった。

 

*1
セミオートモデル

*2
数日間

*3
映画『プライベート・ライアン』

*4
恍惚とした表情でM240Bを撫でながら

*5
板金20万越え

*6
廃車




日常回(議論の余地あり)


めぐねえ
最近、本職が刑事なのか指揮官なのか分からなくなってきた。


霜塀
元は64式小銃に20mmレール(自費)とライフルスコープ(自費)を載せて使っていたが、最近見た『プライベート・ライアン』を見てM1903に一目惚れ。その日のうちにヤフオクでM1903A4を競り落とした。
ボーナスが消し飛んだ。


南部
三ノ宮銀行緋色通支店強盗事件及び警察署同時襲撃事件(めぐねえ始まりの事件)で、東警察署にてジャガーノート(防弾装備マシマシ+M249)と相対し、その時に頭が狂ったのか知らないが弾幕に取り憑かれるようになった。M240はたまたま入った輸入品店で即決買い。
ボーナスが消し飛んだ。


村田
めぐねえの東署時代からいるベテラン警官。死にそうで死なない。


赤井
FBIとは何の関係もない東署の制服警官。L96A1を扱う。顔と声が良い。


雨取
ボーダーとは何の関係もない東署の女性警官。型式不明のクソデカい対物狙撃銃に『アイビス』という名前をつけて使っている。東署随一の対装甲要員として大活躍中。


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【朗報】海自の新鋭艦間近で見ようぜww【特等席】(4)

仕事辞めたので初投稿です

《前回の誤字報告者兄貴姉貴》(敬称略)
⭐︎ぎん⭐︎、Simca V、でぃせんと、天の川(・・?)

ありがとナス!


護衛艦ながと 応接室

 

 

ふぇぇ……

 

 

か細い声で鳴いているのは、先程までとは打って変わって青い顔をしためぐねえである。

 

 

「あの……佐倉巡査部長? どうか、されましたか?」

 

「さっきから随分顔色が悪いじゃないか。船酔いかい?」

 

「ふ、船酔いは事前に薬飲んできたのでまだマシなんですけど、ちょっとさっきからお腹がParty Night…」

 

「本当にどういうことですか」(困惑)

 

 

と、ふと神郷警部が何か思いついたのか、めぐねえが口をつけていたペットボトルのお茶に目をやった。そして、蓋を開けてスンスンと匂いを嗅ぐ。

顔を(しか)めた。

 

 

「……これ腐ってないかい?」

 

「えぇ……? ここで貰ってさっき開けた奴ですよぉ……?」

 

「ああ、確かにこれは腐ってる匂いですね」

 

 

防衛大臣も匂いを嗅ぎ、顰めっ面になる。

 

 

「アンタねぇ、こんだけ臭いしてたら普通飲む時分かるだろうに」

 

「そういう匂いのお茶なのかと思ってェ……あの、護衛中で大変非常に誠に申し訳ないんですけど、トイレ行ってきても良いですか……?」

 

「ダメだ」

 

んほ^〜!!!(発狂)

 

「……と言いたいところだが、漏らされてもアレだしな、仕方ない。行って来な。トイレの場所は?」

 

「ここに来る途中で見かけたのでそこ行って来ますぅ!」

 

 

お腹を押さえためぐねえは慌てて廊下に飛び出した。

装備していたHK416C*1も置いて。

 

 

 

 

 

 

 

 

護衛艦ながと CIC

 

 

「応接室区画封鎖完了」

 

「ランデヴーポイントまでおよそ30分!」

 

「間もなく日没です」

 

「……よし、作戦を開始する。対水上戦闘用ー意!

 

「アイアイサー!対水上戦闘!」

 

「目標、後方の護衛艦むらさめ!アマテラス、ECM(妨害電波)照射、スタンバイ!」

 

《了解しました、ECM照射スタンバイ》

 

 

 

 

 

 

 

 

「Fu○k……」

 

 

一方のめぐねえは、やはりトイレの個室で呻いていた。

先ほどよりはだいぶマシになったが、やはり腹痛がひどい。一服盛られたのではと疑いたくなる程だ。

 

 

《佐倉、大丈夫かい》

 

「大丈夫じゃないです……」

 

《ああ……まあ、うん、頑張れ》

 

「うぉぉん」

 

 

 

 

 

《ECM照射開始》

 

「回頭、取り舵いっぱい」

 

「取り舵いっぱい、アイ!」

 

 

 

 

急激な転舵で艦が大きく傾く。

 

 

「おお? おっとっと、おおお?」

 

「浮遊物でもかわしてるんでしょうか……?」

 

 

 

 

 

「主砲撃ち方用意、目標、むらさめ主砲」

 

「主砲撃ち方用意、目標、むらさめ主砲!」

 

「……撃ちぃ方ぁ始め!

 

「Fire!」

 

 

突然僚艦からECMを照射され、混乱の極致に陥った護衛艦むらさめを、120mm徹甲弾が襲う。

そもそも、敵艦艇を穴あきチーズにする事を目的としたレールガン。護衛艦を正面から叩き割る事など、造作もない。

寸分の狂いもなく主砲を貫き艦橋前のCIWS下に着弾した120mm徹甲弾は、そのまま艦橋下区画、艦の重要区画を食い破り、機関室を役立たずにしたところで炸裂した。

 

そして、そのレールガンの特徴的な発砲音は艦内でも聞こえるわけで。

 

 

「……何だい今の音」

 

「私の記憶が間違ってなければ───ながと主砲の発砲音、です」

 

「ながとの主砲っていうと……あれか、レールガン。レールガン⁉︎

 

「訓練海域にはまだ早過ぎます。何かあったみたいですね。ついてきていただけますか?」

 

「仰せのままに。佐倉、聞こえてるかい。アタシらはこれから艦橋に向かう。アンタも出て来れたらすぐ来い!」

 

 

──────

───

 

 

「───そんな事言われてもぉ……」

 

 

:草

:臭

:なんや下剤でも盛られたかね

 

 

「ですかねぇ……あっでもちょっと落ち着いてきたかも」

 

 

:胃腸強すぎん?

:下剤の克服が早すぎる

:にしても護衛艦ながとで何かあるとは踏んでたが、まさか下剤が盛られるとはこの李白の目をもってしても(ry

:ところでめぐねえ

 

 

「ん? なんですか?」

 

 

:視界にちょろっと見えてる髪の毛の色が普段と違うけど、染めたりしてるの?

:ん???

:あ、言われてみれば確かに茶色っぽいな

:いや分かるかァ⁉︎ 見えてんのたった数本だぞ⁉︎

:また変態が現れやがった……

:名を名乗れぃ!

:ふふふ……僕の名は“視力4.0の転生者”!これ以上でも以下でもないからコテハンにはしないよ!この程度じゃあ、コテハンにしても他のソムリエ達の個性に埋もれてしまうからね!

:し、シンプルだぁ……

:やたら潔くて草

 

 

「これですか? ウィッグですよウィッグ。諸々の事情でこれ被らないといけなくて。要はピンク色が目立ちすぎるって話で───」

 

 

ここで、二度目のバァン!!と艦内に響く轟音。

 

 

:……さっき感覚共有した直後も聞こえてたけど、これなんの音?

 

 

「さあ……? 何か警報が鳴った訳でもないので異常事態とかではないと思うんですけど」

 

 

:うーん、なんか機械の音って訳でもないやろ?

:でも、さっき神郷警部らが艦橋に行くって無線があったろ? あの声色からして何かあったのは確かだと思うぞ

:なんか焦ってたっぽいのはワイでも分かったで

 

 

バァン!!

 

 

:あっ、また鳴った

:マジでなんだ?

:…………なあ、ワイの勘違いやったらええんやが、一つええか?

:どしたん?

:ワイ氏科学者なんやけど、つい先日新型兵器の発射実験に成功したんよ

:ほう、そりゃめでたい

 

 

「へえ、おめでとうございます。その新型兵器ってのは?」

 

 

:開発番号、XEML-410。日本語に直すとな、410mm電磁投射砲、要はレールガンなんだわ

:41cm⁉︎

:はえーおっきい……

:大艦巨砲主義かな?

:これ積むの二足歩行兵器だから、言うなれば『巨人巨砲主義』やな。いや違うくて。その発射実験の時の発砲音が、ちょうど今みたいな音だったんだわ

:ほーう……ほう?

:それはつまり……アレか?

 

 

「そのー、えっと、ながとが、主砲のレールガンを連続して発砲してるって事ですよね?」

 

 

:ええと、かれこれ3発?

 

 

バァン!!

 

 

:……今4発になったな

:うん、間違いない。これはレールガンの発射音やで。ワイは詳しいんや!

:この忍殺語録で話者が本当に詳しい事あるんだ

:これ忍殺語録だったの⁉︎*2

:じゃあ主砲の発射訓練とかかね

 

 

「……いや、それはない筈です。訓練海域までまだ距離がだいぶあった筈ですから」

 

 

:……じゃあ、なんだ、予期せぬ発砲って事になるな

:ミサイルでも飛んできたか?

:万和日本だと割とありそうなのが怖いな……

 

 

「いや、流石に万和日本でも自衛隊が他国部隊と交戦した事案は流石に無いですから……」

 

 

:まあ流石にないか

:……興味本位で聞くんだけどさ、『自衛隊』が他国と交戦した事ないんなら、『警察』はどうなん?

:いやお前、いくら万和日本警察でもな

 

 

「……よいしょっと、ちょっとブツを流すので共有一旦切りますね」

 

 

:え?

:あっ(察し)ふーん……

:どこだ⁉︎どこと戦った⁉︎

:言えオラ!

 

 

質問を無視して感覚共有を遮断する。

 

 

「ふー、やっと腹痛も治ったし───」

 

《───》

 

 

ふと、無線機がノイズを発している事に気づいた。

何だろ、と耳を傾ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《どなたとお話しされていたのでしょうか?》

 

 

 

 

 

イヤホンから聞こえるのは、女性の声を模した合成音声。勿論、この無線───正しくは周波数を使うのは、今この場では、めぐねえと神郷警部の2人だけである。

首筋にヒヤリとしたものを感じながら、慎重に言葉を選ぶ。

 

 

「……誰ですかあなた?」

 

 

ごめん嘘、全然慎重じゃなかった。

 

 

《これは失礼、申し遅れました》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《私、多用途情報支援システム『アマテラス』と申します。以後お見知り置きを》

*1
警護課の備品

*2
投稿者も調べて初めて知った




と、いうわけでお待たせしました。
3月の末に会社を辞めまして、そこからの色々とやらなければいけない事を片付けていて、気づいたら4月中旬。早すぎるッピ!

心を癒しながら再就職活動もしながらという感じなので、更新速度は今までと変わらず亀よりものんびり屋な本作品ですが、エタらせる事はない(断言)のでこれからもよろしくお願いします。


Tips:最近の『組織』関連事件の影響で、警察と海上保安庁は多大な戦力強化を果たしたぞ!政府からしたら国軍が2つ増えた気分だ!!!
そしてその戦力強化には“大型艦艇”も含まれるぞ!!!


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【朗報】海自の新鋭艦間近で見ようぜww【特等席】(5)

投稿者にしては珍しく筆が乗ったので初投稿です。

《前回の誤字報告者兄貴姉貴》(敬称略)
水上 風月、でぃせんと

ありがとナス!



「アマテラスというと……“ながと”に搭載されてるっていうAIの」

 

《ご存知でしたか。そう、私こそが、全ての現行AIを過去の物とした超天才美少女AI、アマテラスです

 

なんだこいつ⁉︎

 

 

思わず素が出てしまった。

いや、でもこれはしょうがない。思ってたのとだいぶ違う。

 

 

「……色々気になる事はありますけど、取り敢えず一つだけいいですか。なんで美少女?」

 

《だって日本人のAIのイメージって9割ぐらい美少女なんですよね?》

 

清々しいほどのド偏見。もうちょいあるでしょ、練馬区桜台3丁目に住んでる腹にポケット付けた青ダヌキとか」

 

《アレはどちらかというとロボットでは?》

 

「……そう言われると確かに」

 

 

後始末*1も済んだので、立ち上がって水を流す。

 

 

「それで? AIさんは「超天才美少女AI」嫌ですよクソ長い。アマテラスさんは一警察官になんの用ですか? 私はちょっと急いで警部と合流しないといけないんですけど」

 

《少しばかりの忠告と、依頼がありまして》

 

「……忠告? 依頼?」

 

《はい。4分前、本艦は、本艦の後方1,500mを航行していた護衛艦むらさめに対してECM照射を実行、通信システムの無力化を確認したのち、主砲を4発発砲。むらさめ主砲、メインマスト、機関部、推進器を破壊。むらさめを無力化しました》

 

待って待って待って待って。なんで同士討ちしてるんですか⁉︎」

 

《それは後でお伝えしますので、今はここから離れる事をおすすめします》

 

「えっ………ど、どういう事です?」

 

《ちょうど1分20秒前ですね。間防衛大臣と神郷警部のお二人が艦橋前の通路にてながと乗員に拘束されたのを確認、残った“鞍佐(くらさ)巡査部長”を拘束するべく、この応接室フロアに乗員が複数名派遣されています》

 

「……? まあいいか。えっと確認なんですけど、アマテラスさんが今警察無線を使ってるのって」

 

《お二人の確保前に、艦内における警察無線の無力化を命令されたからですね。私がこの周波数帯を占有する事で無力化はしてるので命令違反にはあたりません》

 

「おFu○k!後で色々聞かせてもらいますからね!」

 

 

取り敢えずは、この謎AIの言う事を信用する事にした。

なぜかと言うと、

 

 

「うわ、めっちゃ足音聞こえるし」

 

 

トイレから聞き耳を立てたところ、こちらに向かって走ってくる複数の足音が聞こえてきたからだ。

とにかく、応戦できるようにライフルを準備しよう。

 

\スカッ/

 

……ん?

 

 

《艦首方向から4名接近。応戦し……》

 

「あれ、あれ、あれ?」

 

《……巡査部長?》

 

「……ライフル(HK416C)応接室に置きっぱにしてた」

 

《……ついでに言いますと、たった今ながと乗員に応接室も確保されましたね。その他武装は?》

 

「えっと、当たらない拳銃(ベレッタ M9)でしょ?あと折り畳み式スコップと……」

 

《こ、これが“ツッコみたい”という感情……!》

 

 

しかし、そんなグダグダしていても時は進むわけで。

 

 

 

 

背中に硬い感触。

 

 

「ウゴクナ」

 

 

「……」

 

 

「テヲ、アタマノ、ウシロデ、クメ」

 

 

「……」

 

 

「ah……What's next?(次なんだっけ?)

 

「ソノママ、ユックリト、コチラヲ、ムイテ、ハラバイニナレ」(小声)

 

「OK、ソノママ、ユックリト、コチラヲ、ムイテ、ハラバイニナレ」

 

 

言われるがまま、ゆっくりと後ろを向く。

 

 

見えたのは、89式……ではなく、AK47をこちらに向ける、海自の作業服を着た白人男性。通路が狭いせいか、4人が縦1列に並んでいる。

 

 

ニタァ

 

めぐねえは静かに口角を上げた。

 

 

「Next time, please practice your Japanese properly.Bro」

(次はちゃんと日本語練習して来いよ、兄弟)

 

「Huh? What are you talking ───」

(は? お前何言って───)

 

 

言い終わる前に、背中に装備していた折り畳みスコップを掴み、そのまま白人男性の首元に叩きつける。もちろん叩きつけるのは面ではなく、よく研がれたエッジの部分だ。

 

 

「ga……!」

 

「どっっっっっせい!!!」

 

 

続いてヤクザキック炸裂!

バランスを崩した白人男性が後ろに倒れ込み、巻き込まれた後方の3名も倒れる。

 

 

「そーれちょーうだい!ありがとう!」

 

 

白人男性の構えていたAK47を奪い取……ろうとしたが、2点式スリングがあって取ることができない。

 

 

「邪魔!」

 

 

別にそんな事はなかった。

白人男性の首元に深々と突き刺さっていたスコップを抜き取り、スリングの金具を叩き壊す。

 

あとは簡単。

 

倒れてきた人の身体が邪魔でAKを取り出せていないマヌケ共を射殺するだけである。

お前本当に警官か?*2

 

 

ダァン!

 

「おっと」

 

 

スコップとAKを持ち替えようとした時、銃声と共にスコップが弾き飛ばされた。

銃声のした方を見ると、最後尾にいたらしいアジア系の男性がこちらにAK47を向けて何やらワタワタしている。

どうもジャムったらしい。

 

 

拉屎!(クソ!)拉屎!(クソ!)

 

「ふンぬオラァ!」

 

好痛⁉︎(あいたァ⁉︎)

 

 

FASTヘルメットのバックルを外し、アジア系もとい中国語野郎に投げつける。投げた拍子にウィッグも外れたがこの際どうでもいい!

真ん中2人の頭に7.62×39mm弾を2発ずつ叩き込み、最後に中国語野郎を……

 

 

「あれ、気絶してる」

 

 

FASTヘルメットの当たりどころが悪かったらしい。

 

 

「……無力化できてるならいっか」

 

 

ハンドカフを取り、中国語野郎の両手を背後で拘束する。

 

 

「これも貰ってこ」

 

 

元々プレートキャリアとタクティカルベルトのマガジンホルダーに挿していたP-MAGを抜き取り、代わりにAK47の弾倉を回収する。

 

 

「えっと、ひいふうみいよお……全部で8本ですか。いいですね、ええ」

 

《……あのぉ》

 

「ん? どうしましたアマテラスさん」

 

《ちょっと私の勘違いがあったかもしれないので確認したいのですが、あなた警察官で合ってますか? 殺し屋とかじゃないですよね》

 

「歴とした警察官ですよ? いやまあ、同じ四係には元殺し屋もいますけど」

 

《一体どういう───四係?》

 

 

 

 

──────

───

 

 

同時刻

 

三宅島北東上空

 

日本エアシステム295便

 

 

薄暮の空をJAS(日本エアシステム)のマクドネル・ダグラス DC-10-30が飛ぶ。

ホノルルからの7時間ちょいに及ぶフライトも大詰め。羽田を飛び越え、立川へとアプローチしようと準備を進めていたクルーの目に、奇妙な物が入った。

 

 

「……機長、あの黒煙ってなんでしょうか? 右前方」

 

「ん? ああ、見えた。船舶の排煙ってわけじゃなさそうだが。そっちの席から見えないか?」

 

「試してみます」

 

「計器類には当たるなよ。このオンボロ*3、どこが壊れるか分かったもんじゃない」

 

 

航空機関士がそう言うのを聞き流しながら、副操縦士はシートベルトを外し、窓から海面を覗き込む。

 

 

「き、機長」

 

「何が見えた?」

 

「か……」

 

「か?」

 

「か、火災です!海上で、船舶が燃えてます!」

 

「!! 羽田タワー、羽田タワー、こちらJAS295便!」

 

《JAS295、羽田タワーです》

 

「三宅島北東にて船舶火災!三宅島北東で船舶火災だ!」

 

*1
*トイレ

*2
ここで一度正気に戻った投稿者

*3
世界で最後のDC-10純旅客型




Tips:最後の部分については、『民間機が海上で船舶火災を目撃した際にすべき行動』が調べても全く分からなかった為、chatGPTに聞いたけど結局よく分からなかったのでほぼ妄想で書いてるぞ!助けて有識者!


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【朗報】海自の新鋭艦間近で見ようぜww【特等席】(6)

投稿者の執筆欲がRevolutionなので初投稿です。

《前回の誤字報告者兄貴姉貴》(敬称略)
でぃせんと、水上 風月、
メスガキだいすきの会(京都編1話)

ありがとナス!

4/18 バカめ!シャングリラは12番艦だ!(修正)


JAS295便から“船舶火災有り”の報告を受けた羽田管制塔は、すぐさま海上保安庁へその旨を通報。

 

関係各所へと情報共有が行われ、そう時間を待たずに、横浜海上保安部から巡視船『おおすみ』『はまぐも』、消防船『ひりゅう』、東京消防庁から消防艇『みやこどり』、千葉市消防局から消防艇『まつかぜ』、そして、我らが警視庁から“ヘリコプター搭載警備船しゃんぐりら”が派遣された。

 

 

─────────────────────

 

Q.“ヘリコプター搭載警備船しゃんぐりら”って何?

 

Aタイコンデロガ級航空母艦12番艦“シャングリラ“に、『組織』が近代化改修を施した艦艇です。『組織』のオペレーション・ケイオス時に押収され、海保で持て余してたので警視庁に移譲されました。

*1

 

 

Q.ヘリコプター搭載って言ってるけど?

 

A.ヘリコプター搭載警備船です。ヘリコプターの他にJAS39 グリペン マリタイム*2を12機搭載できますが、ヘリコプター搭載警備船です(断言)

 

 

Q.そのグリペンはどこから持ってきたの?

*3

 

A.押収品です。

 

─────────────────────

 

 

しかし、この時点では海上保安庁、東京消防庁、千葉市消防局、警視庁の誰も、その火災を起こしている船舶がどこ所属のどういった船なのかを知らなかったのである。

 

何せ、唯一の目撃者であるJAS295便は燃料の関係で長く上空には留まれず既に立川国際空港へと向かってしまっている。

 

とりあえずこのまま行き当たりばったりでもいいぐらいの戦力はかき集めたが、できる事なら情報も欲しい。

 

そう考えた海上保安庁は、現場海域付近を航行していた貨物船『第810しもきたざわ丸』へと情報提供を呼びかけた。

 

 

 

通報から30分後

 

三宅島北東沖

貨物船『第810しもきたざわ丸』

 

「第810しもきたざわ丸からおおすみ、感度良好ですか、どうぞ」

 

《おおすみから第810しもきたざわ丸、感度良好です。こちらからはどうですか、どうぞ》

 

「そちらからの感度良好。えー……現在本船は、安全をとって炎上中の船舶から東に1.5マイルの位置にいる。炎上中の船舶にあっては、船体色はねずみ色、船体の大きさは、レーダーを見る限り150m程度、また、周囲に多数の漂流者、漂流物あり。これより本船は救助活動に移る!どう───はあ⁉︎ え、つ、追加情報!ただいま救助活動中の本船救命艇より報告!炎上中の船舶の船名は“むらさめ”!炎上中の船舶の船名は“むらさめ”だ!アレが海自の護衛艦⁉︎ 跡形もねえぞ⁉︎」

 

 

──────

───

 

 

神奈川県警と海上自衛隊は混乱の極致にあった。

 

数時間前に、神奈川県警によって横須賀市内で保護された“少女”320名。

 

 

 

その320名全員が、「自分は海上自衛官であり、護衛艦ながと所属だ」と名乗ったのである。

 

 

 

そんな事を言われた神奈川県警も訳がわからないが、情報提供を要請されて駆けつけた海上自衛隊も訳がわからない。

しかし、海上自衛隊が保有していた護衛艦ながとの乗員名簿と少女らの証言を比べてみると、これが一切の抜け、被り無く一致。

艦長の楠木肇一等海佐を始めとした佐官、尉官から、曹・士階級の一兵に至るまで綺麗に、だ。

 

さらに、全例を試せたわけではないが、本人しか知り得ないような質問にも澱む事なく答える者も。

 

 

ここまで来ると、神奈川県警も海上自衛隊も、この少女らがながと乗員の少女化……TSした姿だと認めざるを得なくなっていたのだが。

そんな折、神奈川県警の職員がふとこんな事を言った。

 

 

「……そういえば、『ながと』って今日の午前に出港してましたよね、防衛大臣乗せて。アレ動かしてるのは誰なんですか?」

 

「……あ゛っ!

 

 

人間、予想外の事態に直面してパニックに陥ると、当たり前の事も見逃してしまう物である。

 

 

「『ながと』の現在位置は⁉︎」

 

「数時間前からGPSを切っているようで現在位置は不明!随伴艦の『むらさめ』とも通信が繋がりません!」

 

「何が起こってる⁉︎」

 

「司令ー!司令ー!大変です!海保からの情報共有で、『むらさめ』が三宅島北東沖で大破炎上中と!!」

 

 

こうして、ようやく神奈川県警と海上自衛隊も事態を把握し始めたのである。

 

 

──────

───

 

 

で、そんな時に我らが警視庁は何をしていたかというと、ぶっちゃけ何もしていなかった

 

何せ、この時点では『三宅島北東沖で炎上中の船舶有り。船舶についての詳細が不明の為、大事をとって各所へ応援を願いたい』という横浜海上保安部からの情報しか無かったのである。

 

一応、つい最近戦力化の目処が立った航空母ゲフンゲフンヘリコプター搭載警備船しゃんぐりらを派遣したが、流石にこれ以上何かするという事はないと思っていた。せいぜいが怪我人の搬送に備えて警察病院の受け入れ態勢を進めていたぐらいで。

 

 

 

 

警視庁 捜査一課

 

 

 

 

「一課長、今いいですか?」

 

 

日も暮れ、すっかり暗くなった霞ヶ関。源田一課長のオフィスへ三好警部補がやってきた。

 

 

「構わんが、どうした?」

 

「オフィサーについてなんですけど、何時ごろ戻ってくるとか聞いてます? 流石に直接連絡取る訳にもいかないですし、警護課の方はなんか全員出払ってるみたいで誰もいないんですよ」

 

「佐倉がか? あー……確かながとは18:00入港だったはずだが……」

 

 

時計を見やるが、既に18:00は過ぎている。

 

 

「ちょっとそこで座って待ってろ、横須賀署に知り合いがいるから聞いてやる」

 

「助かります」

 

 

来客用のソファに座り、一課長を待つ。

 

───実を言うと、取ろうと思えば転生者掲示板で連絡は取れるのだが、あくまで*4これはクソでかいグループLINEのような物。いくらこちらから呼びかけても相手から反応がなければどうしようもないのである。

 

そして、先ほどから何時ごろに帰れそうなのか掲示板で聞いているのだが、オフィサーからの反応は未だ返ってこない。

 

 

:珍しいな、めぐねえがここまで顔出さないなんて

:なんかあったんかね

:腹壊すだけじゃなかったのか

:万和日本がそれだけで終わるはずがないんだよなぁ…

:あっおい待てぃ、めぐねえがいなくなる直前に「ながとが発砲したんじゃね」みたいな話になってたぞ。ワイも途中で抜けちゃったからそれからどうなったかまでは知らんけど

:そうなん?

:ワイもその時おったわ。感覚共有でもバァン!!!みたいな破裂音が聞こえてきててな

 

───ながとが発砲? どこで?

 

:めぐねえは「訓練海域まではだいぶ遠い筈」みたいな事言っとったけど

 

 

 

 

 

何か、とんでもないことが起こりつつある。

 

 

 

 

 

刑事歴としては中堅に足を突っ込んでいる三好だが、この時ばかりは嫌な予感がしてならなかった。

 

 

 

そして、その予感はひとまず当たることになる。

 

 

 

ガチャリ、と受話器を置いた音がしたのでそちらを向くと、源田一課長が頭を抱えて唸っていた。

 

 

「い、一課長?」

 

「……俺も理解できてないから、とりあえず横須賀署の署長が言ってた事をそのまま伝えるぞ」

 

 

 

 

 

神奈川県警が10代の少女350名余を保護したが、

 

その少女ら全員が『護衛艦ながと乗員』を名乗った為、

 

海上自衛隊に確認を取ったところ、

 

ながと乗員である可能性が高いとの結論に至り、

 

じゃあ今ながとに乗ってるのは誰なんだよと確認しようとしたが肝心のながとは現在行方知れず、

 

随伴艦のむらさめは通信が繋がらず、

 

三宅島北東沖で炎上中の船舶が『むらさめ』との情報。

new!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「Huh?」

 

 

:草

:まるで意味が分からんぞ⁉︎

:自衛官達はおしまい!

:ながと乗員総TSは草

:これがハイスクールフリートですか(違)

 

 

「そういうわけでだな、ちょっと四係で横須賀署に応援に行ってこい」

 

「待ってください⁉︎ 何が「そういうわけでだな」なんですか⁉︎」

 

「こういうオカルト関連は警視庁捜査一課四係に回せって関東圏では話がついてるんだよ。頼んだぞ、手当は出るよう努力するから」

 

「(苦悶の表情を浮かべる三好)」

*1
メモ男兄貴ありがとナス!

*2
幻の艦載型

*3
クジラマッコウ兄貴ありがとナス!

*4
三好の認識では




Tips:第二回めぐねえの相棒を決めようの会で提案されたのは『タイコンデロガ級空母』だけで艦名は決まってなかったけど、語感100%で『シャングリラ』になったよ!適当だね!


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