スターセイバープリキュア!-Star Saviour Precure!- (星龜少将)
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あれから20年
その1



 

聖星界―。

 

この聖星界は

星剣士(プリキュア)

という

星剣(せいけん)と呼ばれる剣を武器に戦う、6人の少女』

によって護られていた。

 

しかし…

 

ある日、聖星界は

『悪魔伝の七騎士』

と呼ばれる、悪の剣士達が率いる軍勢に侵略された。

 

星剣士(プリキュア)達は、悪魔伝の七騎士に立ち向かうも、苦戦を強いられ…

 

ついに

空の剣士・キュアシエル

水の剣士・キュアドゥロー

雷の剣士・キュアトネール

の3人が、異世界に飛ばされてしまった…。

 

残った

火の剣士・キュアフラム

土の剣士・キュアテール

風の剣士・キュアヴァーン

の3人が抵抗を続けていたが…

 

戦いに敗れ…

 

聖星界は、悪魔伝の七騎士の軍勢に征服されてしまった…。

 

 

そして―

 

20年の月日が流れた―。

 


 

人間界―。

 

 

鶴城(つるぎ)市に住む空良(そら) 桃花(とうか)は、鶴城中学校の2年生だ。

 

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朝、桃花は目を覚ますと、制服に着替えて、リビングに向かう。

 

「お母さん、お父さん、おはよう☆」

と、元気よく挨拶をする桃花。

 

「おはよう、桃花。

悪いんだけど、お姉ちゃん、お起してきてくれない?」

と言う、桃花の母・茉莉花(マリカ)

 

「ゑっ…。」

と、怪訝な顔をする桃花…。

 

桃花には、高校2年生の姉である凛花(りんか)という姉がいるのだが…

 

 

桃花は、再び2階に上がり、凛花の部屋のドアをノックする。

 

凛姉(りんねぇ)、朝だよ〜。」

と、桃花は呼んでみるも、反応は無い…。

 

まぁ、いつものことなのだが…。

 

「凛姉、入るよ…。」

と、桃花は凛花の部屋のドアのドアノブをまわす。

 

鍵はかかっていなかった。

 

「り…凛姉…。」

 

凛花の部屋に入るなり、目に飛び込んできた光景にあきれる桃花…。

 

 

桃花の姉・凛花は…

 

ベッドの上で…

 

全裸で、大の字になって寝ていた…。

 

しかも、凛花の傍らには…

 

子供の目に触れさせない方がいいモノが2つもころがっていた…。

 

いくら姉妹(女同士)とはいえ、正直、正視に堪えない光景だ…。

 

 

「凛姉、起きてよ。

朝だよ…。」

と、凛花をゆすって起こそうとする桃花。

 

凛花の体をゆするたびに、凛花の胸がプルプルと揺れる…。

 

(なんか…朝から、ヘンな気分になっちゃうよ…★)

と、揺れる凛花の胸を見てしまい、顔を赤らめる桃花…。

 

やがて…

 

「あン…

マキぃ…

もっと…

もっと激しく…♡」

と、凛花は、うわ言を言い出した…。

 

「何言ってるのよ!?

ちゃんと目ぇ覚ましてよ!!

てゆ〜か、マキって誰?

何を激しくするのよ?」

と愚痴りながらも、桃花は凛花の体をゆすって起こそうとする。

 

ようやく…

 

「あれ?

マキは…?」

と、凛花が目を覚ました…

 

…が、まだ、寝ぼけているようだ…。

 

「あれ、桃花…?

そっか…

夢か…★」

と、上半身を起こし、頭を掻く凛花。

 

「おはよ、凛姉。」

 

「おはよう、桃花☆」

 

ようやく、目が覚めたようだ。

 

「さて…☆」

と、ベッドから降りて、シャワーを浴びるため、全裸のまま、部屋から出ていく凛花。

 

桃花も一緒に降りていき、リビングに向かう。

 

 

シャワーから出てきた凛花も一緒に、家族4人で朝食を食べたあと、桃花と凛花は一緒に家を出た。

 

凛花は、ガレージに停めてあるオフロードバイクに乗り、ヘルメットをかぶる。

 

「気をつけてね☆」

 

「凛姉もね。」

 

走り去っていく凛花を見送ったあと、桃花は逆方向にあるいていく―。

 

 

バス停に着くと―

 

「ももちゃん、おはよう☆」

と、桃花のことを『ももちゃん』と呼ぶ少女は、水崎(みずさき) 南海(なみ)

 

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そして、もう1人―

 

「おはよう、桃花。」

と挨拶するボーイッシュな少女は、稲妻(いなづま) れもん。

 

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南海も れもん も、桃花とはクラスは違えど、小学校の頃からの付き合いで、家族同士でも付き合いがある。

 

バス停で談笑していたら、まもなく、バスが来たので、バスに乗る桃花達―。

 

 

今日も、いつもの日常が始まる―。

 

誰もが、そう信じて疑わなかった…。

 

 

3時間目の、体育の授業の時だった―。

 

今日は運動場で、50メートル走を行っていた。

 

空が、にわかに曇ってきた…。

 

「何だぁ?

今日の天気予報で、雨降るなんて言ってたか?」

と言う男子生徒…。

 

「困ったな…。

傘持ってきてないよ…。」

と嘆く桃花…。

 

 

しかし、この曇り空は、雨が降る前兆ではなかった…。

 

 

桃花の家では…

 

(この気配は…!?)

 

何かの気配を感じ取った茉莉花が、庭に飛び出し、空を見上げた―。

 

あぁっ…!!

 

暗い空を見て、絶句する茉莉花…。

 

(ついに…

ついに、彼らが…!!)

 

ポケットに入っている、スマートフォンの着信音が鳴った。

 

着信画面には、友人にして、南海の母親・静流(シズル)の名前が表示されていた。

 

電話に出る茉莉花。

 

「もしもし…」

 

『もしもし、マリカ?

空、見てる?』

 

「えぇ…見ているわ…。」

 

『とうとう、アイツらが、この世界に侵攻してきたんだわ!!』

 

「そうね…。」

 

『今から、ライカと一緒に、そっちに行くわ!!』

で、電話は切れた。

 

ライカとは、れもん の母の名前だ。

 

(シズルとライカが、ここに来る…。)

 

なぜか、茉莉花は沈痛な面持ちで、うつむいた…。

 

 

まもなく、桃花の家の前に、1台の青いRV車が停まり、2人の女性が降りてきた。

 

水崎 南海の母・静流

稲妻 れもん の母・ライカ

だ。

 

2人は、桃花の家の庭に向かう。

 

庭には、茉莉花が沈痛な面持ちで立ちつくしていた。

 

「マリカッ!!

子供達を迎えに行くわよッ!!」

と、茉莉花に言う静流。

 

静流の声を聞き、2人の方に顔を向ける茉莉花。

 

しかし、静流とライカが右手に持っている物を見て、顔をこわばらせる茉莉花…。

 

「さぁ、マリカも星剣を持って…!!」

と言うライカ。

 

 

静流とライカが右手に持っている物…

 

それは星剣―!!

 

そう…

 

茉莉花(マリカ)静流(シズル)、ライカは、20年前、聖星界で悪魔伝の七騎士との戦いで、異世界に飛ばされてしまった

光の剣士・キュアルミエール

水の剣士・キュアドゥロー

雷の剣士・キュアトネール

だったのだ―。

 

 

「急げ、マリカ!!」

と叫ぶライカ。

 

しかし…

 

「無理…。」

と、うつむく茉莉花…。

 

「無理…って?

どういうこと、マリカ?」

と訊く静流。

 

「私は…

星剣を捨てたの…。」

 

「「ゑゑゑゑゑ…っ!?」」

 

茉莉花の驚愕の発言を聞いた静流とライカの絶叫が響きわたった…。


 

「捨てた…って…

どういうことなのッ!?」

と詰問する静流。

 

「どういうことって、言葉通りの意味よ…。

私はもう、星剣士(プリキュア)ではないわ…。」

 

「何、バカなことを言ってるんだ、マリカ!!

星剣士(プリキュア)の力を、凛花に継がせなかったのか!?」

 

七騎士(あいつら)から、逃げおおせられるとでも、思っていたのッ!?」

と怒鳴るライカと静流。

 

「えぇ…!!

もう、あんな辛い戦い、懲り懲りだわ…!!

凛花にも、桃花にも、あんな辛い思いなんて、させられないわっ!!」

 

「マリカ…。」

 

涙を流しながら叫ぶ茉莉花に、言葉を失う静流…。

 

「だったら何だ?

この世界も、聖星界のように、滅ぼされてもいいと言うのか!?」

と、ライカは茉莉花を叱責するが

 

「6人でも勝てなかったのに、たった3人で、どうやって勝つのよっ!?」

 

「それは…。」

と、茉莉花に反論され、言いよどむライカ…。

 

「もういいわ…ッ!!

こんな臆病者、放っておきましょッ!!」

と、静流は出ていった。

 

ライカも、うずくまって泣いている茉莉花を一瞥した後、静流についていった…。

 

 

静流の車で鶴城中学校に向かう道中、ライカが

「6人でも勝てなかったのに、たった3人で、どうやって勝つの…か…。」

と呟いたが

 

「臆病者の詭弁よ…!!」

と、静流は斬り捨てた。

 

「七騎士から世界を守るためなら、鬼でも悪魔にでもなるわ…ッ!!」

という静流の言葉を聞いたライカは

 

「鬼はともかく、悪魔にはならないで★」

と苦笑した…。

 

 

鶴城市の上空には

紫のロングヘアーに青白い肌、黒と赤に彩られた鎧を着た男・ベネトナーシュ17世

シルクハットをかぶって、燕尾服を着た、青白い肌の小太りの中年男性・アルコル

が浮遊していた。

 

「ここか?

昔、親父達が逃しちまったという、星剣士(プリキュア)がいる世界は…。」

と訊くベネトナーシュに

 

「さようでございます、ベネトナーシュ17世様。」

と答えるアルコル。

 

「…で、星剣士(プリキュア)はどこにいる?」

 

「正確な居場所まではわかりませんが、この街にいるのは確かです。」

 

「何か、策でもあるのか?」

 

「そのお言葉、お待ちしておりました☆」

と、アルコルはニヤニヤしながら、懐から

 

七騎士が使役する怪物・オソロシー

 

の卵を取り出した。

 

オソロシーの卵に、七騎士が魔力を送り込むことで、オソロシーが生まれるのだ。

 

 

「では、17世様…☆」

 

「うむ…!!」

と、ベネトナーシュは、アルコルからオソロシーの卵を受け取ると、右手に持ち、魔力を送り込む。

 

ベネトナーシュの魔力を送り込まれたオソロシーの卵は、赤く、禍々しく輝く。

 

「いでよ、オソロシーッ!!」

と、オソロシーの卵を投げ落とすベネトナーシュ。

 

オソロシーの卵は、落下中に殻に亀裂が入り…

 

空中で爆発し…

 

爆煙が晴れると…

 

オソロシィ〜ッ!!

 

バイオリンのような姿をした、身長は20メートルはあろうかという、巨大な怪物…

 

バイオリンオソロシーが誕生した―!!

 

 

オソロシィ〜ッ!!

という雄叫びをあげながら、住宅地に降り立ったバイオリンオソロシー。

 

「何だ、あの怪物は…ッ!?」

 

「逃げろぉーッ!!」

 

鶴城市内は、たちまち大パニックになった―!!

 

 

「あれは…オソロシー…!?」

 

バイオリンオソロシーの姿を見て、絶句する茉莉花…。

 

疑いようがない…。

 

悪魔伝の七騎士による、人間界への本格的な侵攻が始まったのだ…。

 

(し…知らない…!!

もう、私は星剣士(プリキュア)じゃないのよ…!!)

と、茉莉花は、目の前で起きている現実から目を逸らした…。

 

 

鶴城中学校に向かっている静流の車からも、バイオリンオソロシーの姿が見えた。

 

「あれはオソロシー!!」

と驚くライカ。

 

「急がないと…ッ!!」

と、静流はアクセルを踏み込んだ―。

 

 

鶴城中学校も、バイオリンオソロシーの出現で、大パニックになっていた。

 

「助けてぇーッ!!」

 

「逃げろぉーッ!!」

 

「みんな、落ち着いて、体育館に避難するんだァーッ!!」

と、逃げ惑う生徒達を、教師達が必死になって、生徒達を体育館に避難誘導している…。

 

しかし、南海、れもん の2人は、体育館に避難せず、教職員用の駐車場に来ていた。

 

ライカが れもん に、教職員用の駐車場に行くよう、LINEを送ったのだ。

 

「ここで、何をするの?」

と訊く南海に

 

「わからない…。

お母さんから、ここに来いって、LINEが来て…。」

と答える れもん。

 

「あ、お母さんの車だ…。」

と、駐車場に入ってきた静流の車に気づく南海。

 

「南海!!」

「お母さん!?」

 

「れもん!!」

「お母さん!?」

 

自分の母親のもとに駆け寄る、南海と れもん。

 

「お母さん…

あの怪物は…!?」

と訊く南海に

 

「あれがオソロシー…

悪魔伝の七騎士が使役する化け物よ…!!」

と答える静流。

 

「悪魔伝の七騎士…!?

小さい頃から、お母さんが話してくれてた…?」

 

「そうよ!!」

 

「ウソや作り話じゃなかったんだ…!!」

 

ライカと同じようなやり取りをしていた れもん と、顔を見合わせる南海…。

 

 

南海も れもん も、小さい頃から、母親から悪魔伝の七騎士の話を聞いていた。

 

ただの、作り話だと思っていた…。

 

しかし、現れたオソロシーを見て、本当の話だと知った。

 



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その2


 

「じゃ…星剣も…!?」

と訊く南海に

 

「えぇ!!」

と静流は答え、右手に持つ星剣を、南海に渡す。

 

れもん も同じく、ライカから星剣を受け取る。

 

「これが星剣…。」

 

「重いね…。」

 

南海と れもん が、星剣を手にした感想を述べる。

 

「南海の星剣は

水星剣(すいせいけん)・ドゥロー

と言う静流。

 

「れもん の星剣は

雷星剣(らいせいけん)・トネール

と言うライカ。

 

「水星剣・ドゥロー…。」

 

「雷星剣・トネール…。」

 

星剣の名を口にし、鞘から星剣を抜く南海と れもん。

 

ドゥローは水色の刀身の細みの剣

トネールは黄色の刀身の、ドゥローよりかは、やや刀身の幅が広い剣

だった。

 

「今から、星剣士(プリキュア)の誓いを立てるわ。

お母さん達についてきて!!」

と言う静流。

 

「うん。」

と、南海と れもん が、同時に返事をし、星剣を正面にかまえる。

 

そして、静流とライカが、声をそろえて、星剣士(プリキュア)の誓いを述べていく―。

 

「「星剣士(プリキュア)は勇気を旨とし」」

 

「「星剣士(プリキュア)は勇気を旨とし」」

 

「「その心を善にささげる」」

 

「「その心を善にささげる」」

 

「「その剣を悪しき者に向け」」

 

「「その剣を悪しき者に向け」」

 

「「弱き者を守り助ける」」

 

「「弱き者を守り助ける」」

 

「「その力は闇を打ち砕き」」

 

「「その力は闇を打ち砕き」」

 

「「世界に光をあたえる」」

 

「「世界に光をあたえる」」

 

「「その言葉は慈愛に満ちて」」

 

「「その言葉は慈愛に満ちて」」

 

「「人々に勇気をもたらす」」

 

「「人々に勇気をもたらす」」

 

「「汝、星剣士(プリキュア)にならんことを」」

 

「「ここに誓います!!」」

 

すると…

 

ドゥローとトネールの刀身が光り輝きだした…!!

 

「何…!?」

「これは…!?」

 

驚く南海と れもん。

 

「やったわ☆」

「新しい星剣士(プリキュア)の誕生だわ☆」

 

驚く南海と れもん と対照的に、歓喜の静流とライカ。

 

「南海!!

あなたは、星剣に認められ、星剣士(プリキュア)になったのよ☆」

 

星剣士(プリキュア)…!!」

 

同じく、星剣に認められ、星剣士(プリキュア)になった れもん と顔を見合わせる南海。

 

「でも、南海…

あなたは残りなさい★」

と、南海を止める静流。

 

「どうして…!?」

 

「南海の力じゃ、あのオソロシーには勝てないのよ…。」

 

「何でよッ!!」

 

「お願いだから、お母さんの言うことを聞いてッ!!」

と、静流に強く引き留められたため、南海は引き下がる。

 

 

一方で、ライカは れもん を送り出す。

 

 

プリキュアッ!!

セイバー・オンッ!!

と れもん が雷星剣(トネール)をかまえて叫ぶ。

 

すると、れもん の体は、雷星剣(トネール)の刀身から放たれた激しい光に包まれ…

 

光が消えると、星剣士(プリキュア)となった れもん が名乗りをあげる―!!

 

轟く(いかづち)の剣士!!

キュアトネール!!

 

【挿絵表示】

 



 

稲妻 れもん がキュアトネールに変身する時間は、わずか7/100ミリ秒にすぎない。

 

では、もう一度、見てみよう―!!

 

 

プリキュアッ!!

セイバー・オンッ!!

という、れもん の掛け声とともに、雷星剣(トネール)の刀身が黄色の雷光を放ち、れもん は雷星剣(トネール)の刀身が放った、黄色の雷光につつまれる。

 

すると、れもん の着衣は、黄色の光に分解される。

 

黄色の光に分解された れもん の着衣は

星剣士の鎧(プリキュアーマー)

に再構成され、れもん に装着されていく。

 

理由は不明だが、星剣士の力の源(エネルギー)は頭髪に蓄えられるため、その影響で、れもんの頭髪は、通常の倍以上に伸びる。

 

同時に、れもんの体をつつんでいた黄色の雷光も消えることで…

 

稲妻 れもんは、わずか7/100ミリ秒で、キュアトネールへの変身を完了するのだ!!

 



 

オソロシィ〜ッ!!

と暴れまわるバイオリンオソロシーの前に―

 

やめなさいッ!!

と、バイオリンオソロシーを一喝するキュアトネール。

 

オソ…?

と、動きを止めるバイオリンオソロシー。

 

「これ以上、お前の好きにさせない!!」

と、雷星剣(トネール)の剣先をバイオリンオソロシーに向けるキュアトネール。

 

オソロシー〜ッ!!

と雄叫びをあげて、キュアトネールに襲いかかるバイオリンオソロシー―。

 

 

むむッ!?

あれは…ッ!!

と、キュアトネールの姿を認めたアルコル。

 

17世様ッ!!

現れましたッ!!

星剣士(プリキュア)ですッ!!

 

何だとッ!?

 

「ご覧くださいッ!!

ただいま、オソロシーと交戦中にございます…ッ!!」

 

ベネトナーシュが、アルコルが指差す方を見れば…

 

キュアトネールとバイオリンオソロシーが戦っていた。

 

「よし、オレも行こうッ☆」

 

「わかりました☆

ご武運を☆」

 

「見ていろッ☆

オレの剣さばきをッ☆」

と、降下していくベネトナーシュ―。

 

 

はああ…ッ!!

 

オソロシィ〜ッ!!

 

雷星剣(トネール)でバイオリンオソロシーの体を斬り裂くキュアトネール。

 

くらえ!!

 

オッソロシィ〜ッ!!

 

今度は、雷星剣(トネール)の刀身から放たれた雷光で、バイオリンオソロシーを撃つ。

 

オソロシィ〜…ッ!!

と、仰向けに倒れるバイオリンオソロシー。

 

「これが…星剣士(プリキュア)の力…ッ☆

これなら、いけるかも…☆」

と、歓喜に震えるキュアトネール。

 

だが、そこに赤い光弾が飛んできた―!?

 

おっと…!?

 

ジャンプして、赤い光弾をかわすキュアトネール。

 

ビルの屋上に着地したキュアトネールが顔を上げると…

 

「人間が…浮いている…!?」

と、驚くキュアトネール。

 

上空には、紫のロングヘアーに青白い肌、黒と赤に彩られた鎧を着た男が浮遊していた。

 

「オレの名は、悪魔伝の七騎士が一人ッ!!

荒魔剣(コウマケン)のベネトナーシュ17世ッ!!

と名乗るベネトナーシュ。

 

「悪魔伝の七騎士…

ベネトナーシュ…!?」

と、驚くキュアトネール。

 

「お前が星剣士(プリキュア)かッ!?

このオレが相手だッ!!」

とベネトナーシュは、荒魔剣(コウマケン)の刀身から、赤い光弾を放つ。

 

ベネトナーシュが放った光弾を、ジャンプしてかわすキュアトネール―。

 

 

離れた場所で、静流と南海とライカが、キュアトネールの初陣を見守っていた―。

 

「シズル…聞いた?

あの男…ベネトナーシュだって…。」

と、驚くライカ。

 

「私達も娘に力を継がせたように…

悪魔伝の七騎士も、次の世代に力を継がせたのね…。」

と静流は言い、空に浮遊しているベネトナーシュを見据えた。

 

「あいつが…

悪魔伝の七騎士…?」

と訊く南海に

 

「えぇ…。

私達の…いえ…

貴女達が戦う敵よ…。」

と、静流が答えた―。

 

 

キュアトネールとベネトナーシュが戦っているところに…

 

オォソロシィ〜ッ!!

と、バイオリンオソロシーは、右手の弓で、体の弦を弾き始めた。

 

すると、強烈な破壊音波が発生した!!

 

きゃあッ!!

 

ぐわ…ッ!?

 

破壊音波をくらってしまった、キュアトネールとベネトナーシュ…。

 

 

「ぬおお…ッ!?」

 

もちろん、上空で文字通り、高みの見物をしていたアルコルも例外ではなかった…。

 

 

(なんとかして、この音を止めないと…ッ!!)

 

キュアトネールは雷星剣(トネール)を振るい、雷光を放つ。

 

オッソロシィ〜ッ!?

 

雷星剣(トネール)から放たれた雷光が、バイオリントネールの体の弦を斬った!!

 

これで、バイオリンオソロシーは、破壊音波を放てない!!

 

キュアドゥローは、雷星剣(トネール)を、一度、鞘に納める。

 

すると

SABER CHARGE

という音が鳴った。

 

再び、雷星剣(トネール)を抜くと、刀身が金色に輝いていた。

 

そして…

 

「プリキュア・トネール・スパークッ!!」

 

と叫んで、雷星剣(トネール)を振り下ろす…!!

 

雷星剣(トネール)から放たれた金色の雷光がバイオリンオソロシーに命中し―

 

オソロシィー…ッ!!

という雄叫びをあげながら、バイオリンオソロシーは金色の光となって消滅した…。

 

 

「オソロシーが…!!

おぼえていろッ!!」

とベネトナーシュは空に飛び上がって、撤収した…。

 

ベネトナーシュが去ったことで、暗く曇っていた空は、青く、晴れわたっていた―。

 

 

桃花の家の庭では、茉莉花が青く晴れわたった空を見上げていた…。

 

オソロシーを倒した証拠だ。

 

(そう…。

シズルとライカの娘が、新たな星剣士(プリキュア)になったのね…。

だったら、凛花が戦う必要なんてない…。

でも…

私達6人でも勝てなかった悪魔伝の七騎士相手に、たった2人で、どうやって戦うつもりなの…?)

 

茉莉花は首を横に振り…

 

家の中に入っていった…。

 

 

やったわ☆

見た、シズル☆

れもん がやったわ☆」

と、れもん の勝利に、ライカが喜びをあらわにする。

 

「お母さん!!」

 

変身を解除した れもん が、ライカのもとに駆け寄る。

 

「よくやったわ☆」

と、れもん を抱きしめ、初陣の勝利を称賛するライカ。

 

「本当は、れもん に、こんなことはさせたくなかったんだけど…。」

 

「それ以上は言わないで…。

私は…

星剣士(プリキュア)になったんだから…☆」

 

「れもん…!!」

と、れもん を抱きしめるライカ。

 

「ところで、この星剣は、どうすればいいの?

こんなの、学校に持っていけないよ?」

と訊く れもん。

 

「こうするのよ☆」

と、れもん から星剣を受け取ったライカは…

 

れもん の影に、星剣を入れた。

 

「「ゑゑっ!?」」

 

れもん の影に星剣が沈んでいくのを見て、驚く南海と れもん…。

 

南海も、れもん と同じように、星剣を自分の影に沈めてみる。

 

「なんか…こわい…★」

 

星剣が自分の影に沈んでいく光景は、かなり異様だった…。

 

 

「じゃ、私達は、体育館に行くわ。」

 

「私と南海がいないから、きっと騒ぎになってると思うから…。」

と言う、南海と れもん。

 

「いい言い訳を考えておきなさいよ☆」

 

「じゃあね。」

と、静流とライカは車に乗って、去っていった―。

 

 

南海と れもん が体育館に来ると、避難が解除されたので、全員、体育館から出てきているところだった。

 

「南海!!

れもん!!」

と、桃花が駆け寄ってきた。

 

「2人とも、どこにいたの?

姿が見えないから、心配してたんだよ!?」

 

「ごめん、ごめん。

ももちゃんとはぐれちゃって…

それで、校舎の裏に隠れていたの…。」

と、桃花に言う南海。

 

「ごめんね、桃花。

心配かけさせて…。」

と謝る れもん。

 

「2人が無事ならいいよ☆

それにしても、あの怪物、何だったの?」

と言う桃花。

 

「え…映画の撮影だったんじゃないかな…★」

と、あまりにも苦しい説明をする南海…。

 

(いくらなんでも、無理ありすぎ★)

とツッコむ れもん。

 

(んなこと言われたって、どう説明すりゃいいのよ!?)

と、れもん のツッコみに反論する南海。

 

しかし…

 

2人の心配をよそに…

 

「そっか…

映画の撮影だったんだ…☆」

と、桃花は納得していた…。

 

 

鶴城市郊外の山中にある洞穴が、ベネトナーシュのアジトだ。

 

アジトに撤収してきた、ベネトナーシュとアルコル…。

 

 

「マズいことになりましたなぁ…。」

と言うアルコル。

 

「な〜に☆

すんなりと、この世界を滅ぼせても、つまらんだろう?

これくらいの刺激は必要だ☆

それに、星剣士(プリキュア)の首の1つや2つを持って帰れば、オレの評価も爆上がりするってもんだ☆」

と言うベネトナーシュ。

 

「しっかし、星剣士(プリキュア)の強さは侮れねぇな…。

親父が苦戦したのもわかるぜ…。」

と、ベネトナーシュは星剣士(プリキュア)の実力に舌を巻いた。

 

それを聞いたアルコルは

「何をおっしゃいますか、17世様。

あの雷の星剣士(プリキュア)は、先代の娘。

まだ、力を受け継いだ者ばかりのヒヨっ子です☆

ならば、17世様の足元にも及ばないザコにございます☆」

と言う。

 

「おぅよ!!

だからこそ、今のうちに討たねぇとなぁ…。」

と、ベネトナーシュは洞穴の奥に入って、横になった。

 

「ごゆっくりとお休みください。

これからは、休んでいるヒマなどございませんでしょうから…★」

 

「おぅよ…。

これから忙しくなるぞ…。

一応、お前のことは頼りにしてるんだからな…。」

と、ベネトナーシュは眠りについた…。

 



 

こうして、20年の月日を経て、場所を変え、再び、悪魔伝の七騎士と星剣士(プリキュア)達の戦いが始まった。

 

稲妻 れもん は、母のライカから星剣を受け継ぎ、新たなキュアトネールとなった。

 

 

しかし、空の星剣士(プリキュア)・キュアシエルは…

 

先代のキュアシエルであった茉莉花(マリカ)が、娘を戦いに巻き込むことを拒否し、星剣を捨ててしまったという…。

 

キュアシエルの星剣を受け継ぐ者は、現れるのだろうか…?

 

 

聖星界を征服した悪魔伝の七騎士も世代が変わり、先代ベネトナーシュの息子・ベネトナーシュ17世が人間界に侵攻してきた…。

 

 

そして、聖星界に残って抵抗を続けていた

火の剣士・キュアフラム

土の剣士・キュアテール

風の剣士・キュアヴァーン

はどうなったのか―?

 



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登場人物の紹介 1


 

星剣士《プリキュア》

 

星剣(せいけん)と呼ばれる武器を使って聖星界を守護する

空の剣士・キュアシエル

水の剣士・キュアドゥロー

雷の剣士・キュアトネール

火の剣士・キュアフラム

土の剣士・キュアテール

風の剣士・キュアヴァーン

の、6人の少女。

 

しかし、悪魔伝の七騎士との戦いで

キュアシエル

キュアドゥロー

キュアトネール

の3人が、異世界 (人間界) に飛ばされてしまう。

 

残った

キュアフラム

キュアテール

キュアヴァーン

の3人で、悪魔伝の七騎士に抵抗を続けていたが、奮闘むなしく、聖星界は悪魔伝の七騎士に征服されてしまった…。

 

 

星剣《せいけん》

 

星剣士(プリキュア)の武器にして、変身アイテム。

 

非使用時は、所有者の影の中に沈めている。

 

空星剣シエル

水星剣ドゥロー

雷星剣トネール

火星剣フラム

土星剣テール

風星剣ヴァーン

の6本。

 

しかし現在、空星剣シエルは、所有者が破棄してしまったらしい?

 

 

聖星界《せいせいかい》

 

星剣士(プリキュア)が守護していた異世界。

 

20年前、悪魔伝の七騎士と呼ばれる魔物達によって、征服されてしまった。

 



 

空良 桃花《そら とうか》

制服

【挿絵表示】

 

私服

【挿絵表示】

 

本作の主人公。

 

鶴城中学校の2年生。

 

明るく、元気な少女。

 

 

空良 凛花《そら りんか》

 

桃花の姉で、高校1年生。

 

桃花からは『凛姉(りんねぇ)』と呼ばれている。

 

学校へは、オフロードバイクに乗って登校しているらしい。

 

寝る時は全裸*1…。

 

 

空良 茉莉花《そら マリカ》

 

桃花と凛花の母。

 

じつは20年前、悪魔伝の七騎士との戦いで、人間界に放逐されてしまった星剣士(プリキュア)の1人・キュアシエルであり、本名はマリカ。

 

そのため、同じく、人間界に放逐されてしまった星剣士(プリキュア)である静流とライカからは『マリカ』と呼ばれている。

 

聖星界での戦いは、彼女にとってはトラウマらしく*2、人間界に侵攻してきたベネトナーシュとスラッシュに怯える姿は、もはや、かつて星剣士(プリキュア)だった者の面影は無く、静流とライカを失望させた。

 

さらに、桃花と凛花を戦いに巻き込むことを拒否*3し、星剣を破棄してしまったらしい。

 



水崎 南海《みずさき なみ》

制服

【挿絵表示】

 

私服

【挿絵表示】

 

鶴城中学校の2年生。

 

桃花の友人で、桃花のことを『ももちゃん』と呼ぶ。

 

桃花、れもん とはクラスは違うが、小学校からの付き合い。

 

母の静流からは、小さい頃から星剣士(プリキュア)のことや悪魔伝の七騎士について話を聞いていた*4

 

静流から星剣を受け継ぎ、水の星剣士(プリキュア)・キュアドゥローとなった。

 

 

水崎 静流《みずさき シズル》

 

南海の母で、先代の水の星剣士(プリキュア)・キュアドゥロー。

 

本名はシズルで、茉莉花とライカからも『シズル』と呼ばれる。

 

いつの日か、人間界に悪魔伝の七騎士が侵攻してくる事を予測しており、そのため、娘の南海の小さい頃から、星剣士(プリキュア)のことや悪魔伝の七騎士についての話を聞かせていた*5

 



 

稲妻 れもん《いなづま れもん》

制服

【挿絵表示】

 

私服

【挿絵表示】

 

鶴城中学校の2年生。

 

ボーイッシュで、クールな性格。

 

桃花と南海の友人で、クラスは違うが、小学校からの付き合い。

 

母のライカから星剣を受け継ぎ、雷の星剣士(プリキュア)・キュアトネールとなった。

 

 

キュアトネール

 

【挿絵表示】

 

れもん が、雷星剣トネールを使って変身した、黄色を基調としたコスチュームの星剣士(プリキュア)

 

変身時の掛け声は『プリキュア・セイバーオン』

 

属性は雷。

 

トネールとは、フランス語で『雷』。

 

 

【雷星剣トネール】

 

キュアトネールの武器にして、変身アイテム。

 

黄色の、やや幅広な刀身の剣で、れもん も持った時に『重い』と述べている。

 

雷の星剣ゆえ、刀身から雷光を放てる。

 

 

【トネール・スパーク】

 

キュアトネールの必殺技。

 

星剣を振り下ろし、刀身から黄色の強力な雷光を放つ。

 

一度、星剣を鞘に納めて*6、エネルギーをチャージしてから放つ。

 

 

稲妻 ライカ《いなづま ライカ》

 

れもん の母で、先代の雷の星剣士(プリキュア)・キュアトネール。

 

本名はライカで、茉莉花と静流からも『ライカ』と呼ばれる。

 

いつの日か、人間界に悪魔伝の七騎士が侵攻してくる事を予測しており、娘の れもん に星剣を継がせることに何の疑問も持っていなかったが、その事を茉莉花に指摘*7され、動揺する*8

 



 

悪魔伝の七騎士《あくまでん の ななきし》

 

20年前、聖星界を征服した、7人の魔物。

 

聖星界を征服した後、人間界に落ちのびたキュアシエル、キュアドゥロー、キュアトネールを追って、人間界に侵攻を開始した。

 

 

ベネトナーシュ17世

 

悪魔伝の七騎士の1人。

 

赤いロングヘアーに青白い肌、黒と赤に彩られた鎧を着た青年風の男の姿をしている。

 

荒魔剣(コウマケン)と呼ばれる魔剣を武器にしており

『悪魔伝の七騎士が1人、荒魔剣(コウマケン)のベネトナーシュ17世』

と、名乗りをあげる。

 

父である先代は20年前、聖星界征服時に活躍したようで、父の功績を吹聴する。

 

普段は、アルコルとともに、鶴城市郊外の山中の洞穴に潜伏している。

 

 

なお、ベネトナーシュとは、おおぐま座 (というよりも北斗七星) のエータ星*9の名前である。

 

 

アルコル

 

ベネトナーシュの付き人を務める、黒のシルクハットに黒の燕尾服を着た中年男性。

 

ベネトナーシュの事を『17世様』と呼んでいる。

 

ベネトナーシュ17世の父である16世にも付き従っていた。

 

 

アルコルとは、おおぐま座 (というよりも北斗七星) のゼータ星ミザールの脇にある星*10の名前である。

 

 

オソロシー

 

悪魔伝の七騎士が使役する怪物。

 

『オソロシーの卵』に魔力を注ぎ込むことで誕生する、身長が20メートルにもおよぶ、巨大な怪物である。

 

『オソロシー』という雄叫びをあげながら暴れまわる。

 

 

《バイオリンオソロシー》

 

ベネトナーシュが誕生させた、バイオリンを模した姿をしたオソロシー。

 

右手の弓で体の弦を弾いて、破壊音波を発生させる*11

 

キュアトネールの星剣で体の弦を斬られて破壊音波を発生させることができなくなり、最期はキュアトネールの必殺技で倒された。

 

*1
桃花が起こしに行った時、ベッドの上には『子供の目に触れさせない方がいいモノ』がころがっていた。

*2
静流とライカに向かって『6人でも勝てなかったのに、3人で、どうやって勝てるのか』と言い放っている。

*3
この事から、茉莉花自身も、いずれは人間界に悪魔伝の七騎士が侵攻してくるであろう事を予測していたようである。

*4
ただし、南海は、静流の作り話だと思っていた。

*5
ただし、南海は、静流の作り話だと思っていた。

*6
その際、『SABER CHARGE』という音が鳴る

*7
茉莉花は、静流とライカに『自分の子供を戦場に立たせるなんて、親のする事ではない』と言い放っている。

*8
ただし、静流は、茉莉花の指摘を『臆病者の詭弁』と斬り捨てている。

*9
柄杓の柄の後端部分にあたる場所。

*10
わかりやすい表現で言えば、【北斗の拳】の死兆星である。

*11
この破壊音波は、敵味方関係無く、無差別にダメージをあたえてしまう欠点がある。



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空星剣はどこにあるの?
その1



 

土曜日―。

 

静流、ライカ、南海、れもん の4人は、静流の車に乗って、桃花の家に向かっていた。

 

その道中、静流とライカは、南海と れもん に、桃花の母・茉莉花が、かつての星剣士(プリキュア)・キュアシエルであったこと…

 

しかし現在、星剣を継がせず、あろうことか廃棄してしまったことを説明した。

 

南海も れもん も、茉莉花が星剣士(プリキュア)であったということよりも、星剣を捨てたということに驚いた。

 

「ていうか、星剣なんて、どうやって捨てたの?

資源ゴミにでも出したの?」

と言う、助手席に座る南海。

 

「無理よ。

星剣は、溶岩の熱でも溶けないわ。」

と言う、車を運転する静流。

 

「じゃ、どこに捨てたんだろう?」

と、後部座席に座る れもん が言う。

 

「それを、今から、マリカに訊きに行くのよ。」

と、れもん の右隣に座るライカが言う。

 

 

まもなく、桃花の家に到着し、車から降りる静流達。

 

静流が、インターホンを鳴らす。

 

『はい…。』

と、インターホンのスピーカーから、茉莉花の声がした。

 

「私よ、静流よ。」

と静流が言うなり

 

『帰ってっ!!』

と言う茉莉花。

 

「何言ってるのよッ!!

今日、行くって言ったでしょッ!!」

と怒る静流。

 

『星剣は捨てたって言ったでしょっ!!』

 

「だから、どこに捨てたのか、それを訊きに来たのよッ!!」

 

『知らないわっ!!

捨てたのは、もう、10年も前の話よっ!!

たとえ、覚えていたとしても、教えないわっ!!』

 

「つまり…

捨てた場所を覚えてる

ってことね…。」

 

『っ…!?』

 

静流の指摘に、絶句する茉莉花…。

 

すると、ドアが開いて、青ざめた表情の茉莉花が出てきた。

 

「何をするつもり…?」

 

「マリカも星剣士(プリキュア)だったんだから、わかるでしょ?

星剣と星剣は引かれ合うって―」

という静流の言葉を聞いた茉莉花は

いやぁぁぁ…っ!!

と悲鳴をあげて、静流にすがりついた。

 

お願い、やめてっ!!

星剣を探さないでっ!!

何でも言うこと聞くからっ!!

何でもするからっ!!

だからお願いっ!!

星剣を探さないでぇっ!!

と、静流にすがりついて泣き崩れる茉莉花の姿に、静流、ライカはもちろん、南海と れもん も凍りついた…。

 

茉莉花の叫び声を聞いたのか、家の中から、桃花と凛花も出てきた。

 

「すみません…

近所迷惑なんで…。」

と、凛花が、全員、家の中に入るように促した…。

 

 

家に入るなり、茉莉花は再び静流にすがりついた。

 

「ねぇ、お願いっ!!

考え直してっ!!

星剣を探さないでっ!!」

 

「どうしたのよ、マリカ…。

何で、そんなふうになっちゃったの?」

と、茉莉花のあまりの変貌ぶりに困惑する静流…。

 

「お願いだから、泣くなら、こっちで泣いて…。」

と、リビングに行くよう促す凛花…。

 

 

リビングで、静流とライカが、桃花と凛花に

 

聖星界のこと…

 

星剣士(プリキュア)のこと…

 

悪魔伝の七騎士に、聖星界が滅ぼされたこと…

 

…を話した。

 

 

ウソつき★

と、南海に言う桃花。

 

な…何よ、いきなり…!?

と、突然、桃花にウソつき呼ばわりされてキレる南海。

 

「この前のあの怪物…

映画の撮影だったって、言ったじゃない★」

と、ジト目で南海をニラむ桃花…。

 

「だから言ったでしょ、南海…。

もっとマシなウソをつけと…。」

と言う れもん…。

 

ゑッ!?

私が悪いの…ッ!?

と、なぜか、悪人にされてしまった南海…。

 

 

一方、茉莉花は、まだ静流に、星剣を探さないでほしいと泣きついていた。

 

「私はね…

ここで手にした幸せを手放したくないの…!!

凛花にも、桃花にも、あんな辛い思いはさせたくないのっ!!

でも、星剣があったら、この幸せがなくなってしまう…!!

だから、私は星剣を捨てたのよっ!!

だからお願いっ!!

星剣を探さないでっ!!

私の幸せを奪わないでっ!!

 

「まさか…

そんな理由で、星剣を捨てたの…!?」

と、あきれるライカ。

 

泣き崩れる茉莉花を見た桃花が

「あの…おばさん…。

お母さんって、どんな人だったんですか?」

と、静流に訊く。

 

「マリカは、本当に強い剣士だったわ。

いつも前向きで…

諦めることを知らない…

私達の、頼れるリーダーだったわ。」

と、回想する静流。

 

「だから、私もライカも驚いてるのよ…。

マリカが、こんなふうに変わってしまって…。」

と、泣き崩れる茉莉花を見る静流…。

 

 

「だいたいの事情はわかったわ。

私は、その、星剣士(プリキュア)とやらになるわ。」

と言う凛花。

 

「凛花!?」

と、驚く茉莉花。

 

「中坊にできて私にできないなんて、格好がつかないでしょ★」

 

「凛花!!

これは、遊びじゃないのよ!?」

 

「わかってるわよ、そんなことっ!!

てゆ〜か、何なの!?

さっきから1人、オロオロして…

みっともないっ!!」

と、茉莉花を一喝する凛花。

 

「私だって、この前の騒ぎは知ってる。

携帯(スマートフォン)のニュースでも見たし…。

だから、静流さんの話がウソとは思えない。」

と言う凛花に

「ありがとう。」

と礼を言う静流。

 

「礼なんて言われる筋合は無いわ。

悪いけど、お母さんの、私を戦いに巻き込みたくないという気持ちも、まったく理解できないわけでもないんだから…。」

と、静流を睨む凛花。

 

続いて、茉莉花に向き合い

「お母さんの言ってることは、けっして間違っちゃいない。

でもね…

お母さんの言う『幸せ』をなくそうとしている者がいるのなら…

私は、その『幸せ』を守りたい…。

だから、お願い。

星剣を捨てた場所を教えて。」

と言った。

 

しかし…

 

茉莉花は、首を横に振った…。

 

そんな茉莉花を見た凛花は、あきれた顔をして立ち上がった。

 

「自力で探すしかないみたいです…。

行きましょう…。」

と言う凛花。

 

「えぇ。」

と、静流達は、桃花の家から出ていくことにした…。

 

「桃花…。

お母さんをおねがい…。」

 

「うん…。」

 

桃花に茉莉花のことをまかせ、凛花は静流達について行った…。

 

 

残った桃花と茉莉花…。

 

「桃花…。」

と、桃花に泣きつく茉莉花…。

 

桃花はただ…

 

泣きつく茉莉花の頭を、優しく撫でることしかできなかった…。

 

 

「探すったって、どうやって探すの?」

と、静流に訊く南海。

 

「さっき言ったように、星剣と星剣は引かれ合うの。

2人とも、星剣を出して。」

と言う静流。

 

「わかった。」

と、地面に映る影から、星剣を取り出す南海と れもん。

 

「あれが星剣…。」

と、星剣を見て驚く凛花。

 

星剣をかまえ、目を閉じ、精神を集中させる、南海と れもん…。

 

2人の星剣の刀身が、ほのかに輝き出した。

 

「こっち…?」

と、南海が向きを変えた。

 

南海が向いた方向には、山があった。

 

「南海の星剣に反応があった…

…ということは

水に関係がある

のかも…?」

と言う静流。

 

「山…

水…

そういや、あっちの山の中に

があったな…。」

と言う凛花。

 

「なら、行くわよ。」

と、静流、ライカ、凛花、南海、れもん が、静流の車に乗り、茉莉花が星剣を捨てたと思われる池のある山に向かった。

 

しかし、その山は…!?

 

 

一方、鶴城市郊外の山中の洞穴では―。

 

 

「アルコル。

ちょっと、気になっているんだが…。」

と、ベネトナーシュが洞穴の奥で寝転んだまま、アルコルに話しかける。

 

「何ですかな、17世様?」

 

「この世界に逃げ込んだ星剣士(プリキュア)は、3人なんだよな?」

 

「さようでございますが…。」

 

「しかし、この前、現れたのは1人だけだった…。

どういうことだ?」

 

「たしかに…。

しかし、いないならいないで、それでいいじゃないですか☆

敵が少ないほうが楽ですし☆」

 

「そりゃそうだ☆

だったら、この前の、あの雷の星剣士(キュアトネール)を始末しに行くぞ☆」

と、ベネトナーシュは立ち上がった。

 

「承知いたしました☆」

と、ベネトナーシュとアルコルが出動しようとしたら…

 

上空から、青い、大きな光弾が降ってきた―!?

 

上空から降ってきた、青い、大きな光玉は、ベネトナーシュとアルコルの前に落着した。

 

星剣士(プリキュア)の攻撃ですか…ッ!?」

と驚くアルコル。

 

「いや、違う…!!」

と言うベネトナーシュ。

 

ベネトナーシュとアルコルの前に落着した、青い、大きな光玉の光が消えると…

 

そこには

青い髪に青白い肌の、黒と青で彩られた鎧を着た少年

がいた。

 

アリオトか…☆」

と言うベネトナーシュ。

 

はいっ☆

悪魔伝の七騎士が1人っ☆

滅魔剣(メツマケン)のアリオト15世ですっ☆

と、やたらと元気よく名乗る、アリオト15世。

 

「これは、これは☆

アリオト15世様☆」

と、アリオトにひざまづくアルコル。

 

「やぁ、アルコルおじさん

それと、べヌゥの(アニ)☆」

と、アルコルとベネトナーシュに挨拶するアリオト。

 

「よく来たな、アリオト。」

と言うベネトナーシュ。

 

「この世界に通じる(ゲート)を通るのに、苦労したよ★

べヌゥの(アニ)ィには、簡単だったろうけど…☆」

と、人間界に来る時の苦労話をするアリオト。

 

「あ、ところで、アルコルおじさん☆

『オソロシーの卵』ある?」

と、アリオトに訊かれたので

 

「ありますよ☆」

と、アルコルは懐から、オソロシーの卵を出す。

 

アルコルからオソロシーの卵を受け取ったアリオトは

いっただっきまぁ〜すっ☆

と、オソロシーの卵を食べてしまった。

 

な…何をなさるんですかぁぁぁッ!?

15世様ァァァッ!!

これは食べ物ではございませんぞォォォッ★

と激怒するアルコル。

 

「ゴメン、ゴメン☆

腹減ってたからさ…☆」

と、アルコルの怒りに意を介さないアリオト。

 

しかし、すぐに真面目な顔をして

「でも、今度こそマジだから☆

この近くに

ボクのオソロシーを育てられるような水場

ない?」

と訊いた。

 

この山の麓に、池がある。」

と言うベネトナーシュ。

 

「ありがとう、(アニ)ィ☆

じゃ、おじさん、行こう☆」

 

「かしこまりました☆」

と、アリオトとアルコルは空を飛んで、ベネトナーシュの言う、山の麓の池に向かった。

 

しかし、そこは…!?

 



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その2


 

車で、桃花の家を出発してから、30分ほど…

 

目指す池に到着した。

 

「けっこう、大きな池だね…★」

と言う南海…。

 

「あの…どうして、ここに池があることを知っていたんですか?」

と、凛花に訊く れもん。

 

「バイクで、いろんな所走ってるからね☆」

 

「なるほど…☆」

と、凛花の返答に納得する れもん。

 

「で、どうやって探すの?」

と訊く南海。

 

「南海が変身して、池の中に入って探してくるのよ★」

と、しれっと言う静流。

 

は?

 

返事は『は』じゃなくて『はい』★

と、南海を叱る静流。

 

「いや…そうじゃなくて…

私1人で探してこいって言うの!?

 

当たり前でしょッ!!

水の中で自由に動き回れるのは、南海だけなんだからッ!!

 

「どういうこと?」

と、静流の叱責に、首を傾げる南海。

 

水の星剣士(プリキュア)は、水の中でも自由に動き回れるのよ☆

と説明する静流。

 

「そうなの…?」

と、にわかに信じられないといった顔をする南海…。

 

「あとは、星剣が導いてくれるわ☆」

 

「わかった☆

お母さんを信じる☆」

と、水星剣(ドゥロー)をかまえる南海。

 

そして、星剣士(プリキュア)に変身する―!!

 

プリキュアッ!!

セイバー・オンッ!!

 



 

水崎 南海がキュアドゥローに変身する時間は、わずか7/100ミリ秒にすぎない。

 

では、もう一度、見てみよう―!!

 

 

プリキュアッ!!

セイバー・オンッ!!

という、南海の掛け声とともに、水星剣(ドゥロー)の刀身が水色の光を放ち、南海は水星剣(ドゥロー)の刀身が放った水色の光につつまれる。

 

すると、南海の着衣は、水色の光に分解される。

 

水色の光に分解された南海の着衣は

星剣士の鎧(プリキュアーマー)

に再構成され、南海に装着されていく。

 

理由は不明だが、星剣士の力の源(エネルギー)は頭髪に蓄えられるため、その影響で、南海の頭髪は、通常の倍以上に伸びる。

 

同時に、南海の体をつつんでいた水色の光も消えることで…

 

水崎 南海は、わずか7/100ミリ秒で、キュアドゥローへの変身を完了するのだ!!

 



 

水の星剣士(プリキュア)!!

水星剣・キュアドゥロー!!

と、名乗りをあげるキュアドゥロー―。

 

【挿絵表示】

 

池の淵に立つキュアドゥロー。

 

しかし…

 

そこから、一歩も動く気配が無い…。

 

「どうしたの、南海?」

と、キュアドゥローに訊く静流。

 

「お母さん…

私…

カナヅチなの…★」

と、キュアドゥローがカミングアウトした…

 

が!!

 

つべこべ言わずに、さっさと行けェッ!!

と、無慈悲にキュアドゥロー(自分の娘)の背中を蹴って、池に蹴り落とす静流…!!

 

おがあざぁぁぁん…っ★

と、池に沈んでいくキュアドゥロー…。

 

母親が、自分の娘を池に蹴り落とす…

 

…という、あまりにも衝撃的な光景を見て凍りつく、凛花、ライカ、れもん の3人…。

 

(シズルって…

悪魔伝の七騎士以上の悪魔

だわ…★)

と、ライカは思った…。

 

 

一方、静流に蹴り落とされたキュアドゥローは…

 

(い…息が…息ができ…あれ…!?)

 

水の中だというのに、普通に息ができるのだ…!!

 

(すごい…☆

これが、星剣士(プリキュア)能力(ちから)なんだ…☆)

と、自身の能力に感動するキュアドゥロー。

 

しかし、感動ばかりしているわけにもいかない。

 

カナヅチなのに

母親に蹴落とされて

までして池の底に来たのは、ここに沈んでいるはずの空星剣シエルを探しだすためだ。

 

キュアドゥローは、水星剣(ドゥロー)をかまえて、精神を集中させると、水星剣(ドゥロー)の刀身が、ほのかに水色の光を放ち始めた。

 

すると…

 

(あっ…!?)

 

向こうの方で、何かが光った…!?

 

(あった☆)

と、キュアドゥローは、何かが光った方へと泳いで…

 

…いこうとしたら…!?

 

池の中に、何かが飛び込んできた…!?

 

(な…何…!?)

 

キュアドゥローの前に飛び込んできたのは、かなり大きな物体だった。

 

しかも、その物体が

オソロシーッ!!

と叫んだではないか!!

 

(オソロシー…!?)

 

 

オソロシー…

 

それは、悪魔伝の七騎士が使役する怪物―。

 

 

キュアドゥローの前に飛び込んできた大きな物体は、魚の姿をしたオソロシーだったのだ…!!

 

しかし、なぜ、オソロシーが…?

 

 

静流が、キュアドゥローを池に蹴り落とした直後…

 

池の上空に、アリオトとアルコルが来たのだ。

 

「な…何、あれ…?

人間が…空を飛んでいる…!?」

 

初めて見る悪魔伝の七騎士に驚く凛花。

 

「シズル!!」

「こんな時に…ッ!!」

と、アリオトとアルコルを見据えるライカと静流…。

 

「れもん!!」

 

「まかせて!!」

 

ライカに促され、れもん は雷星剣(トネール)をかまえ、キュアトネールに変身する―!!

 

プリキュアッ!!

セイバー・オンッ!!

 



 

稲妻 れもん がキュアトネールに変身する時間は、わずか7/100ミリ秒にすぎない。

 

では、もう一度、見てみよう―!!

 

 

プリキュアッ!!

セイバー・オンッ!!

という、れもん の掛け声とともに、雷星剣(トネール)の刀身が黄色の雷光を放ち、れもん は雷星剣(トネール)の刀身が放った、黄色の雷光につつまれる。

 

すると、れもん の着衣は、黄色の光に分解される。

 

黄色の光に分解された れもん の着衣は

星剣士の鎧(プリキュアーマー)

に再構成され、れもん に装着されていく。

 

理由は不明だが、星剣士の力の源(エネルギー)は頭髪に蓄えられるため、その影響で、れもんの頭髪は、通常の倍以上に伸びる。

 

同時に、れもんの体をつつんでいた黄色の雷光も消えることで…

 

稲妻 れもんは、わずか7/100ミリ秒で、キュアトネールへの変身を完了するのだ!!

 



 

雷の星剣士(プリキュア)!!

雷星剣・キュアトネール!!

と、名乗りをあげるキュアトネール―。

 

 

15世様ッ!!

星剣士(プリキュア)ですッ!!

 

何だって!?

 

キュアトネールの登場に驚く、アリオトとアルコル。

 

「ま…まずは、オソロシーを育てましょうッ!!」

 

「わかった!!」

 

アルコルから、オソロシーの卵を受け取ったアリオトは、卵を両手でつかんで、魔力を送り込む。

 

そして

「育て、オソロシー!!」

と、オソロシーの卵を池に落とす。

 

すると、池の中央から、巨大な水柱が上がった。

 

池の中で、オソロシーが誕生したのだ―!!

 

 

「水の中にオソロシーを…!?」

 

「じゃ、あいつはアリオト…?」

 

池の中で誕生したオソロシーを見据える静流と、池の上空に浮遊しているのがアリオトだとみるライカ。

 

「南海ちゃんは、大丈夫なの?」

と訊くライカに

「問題ないわ☆」

と、ドヤ顔をする静流。

 

 

池の上空では―。

 

 

出てこい、オソロシー☆

星剣士(プリキュア)を食い殺すんだ☆

と言うアリオトだったが、オソロシーが出てこない…。

 

「おじさん…

オソロシーが出てこない…。」

 

「はて?

どうしたのでしょうな…?」

と、アルコルは、懐から『魔法の双眼鏡』を出して、池の中を覗くと…

 

大変です、15世様ッ!!

池の中にも、星剣士(プリキュア)がいましたッ!!

 

何だって…!?

 

「やむをえませんな…。

池の中の星剣士(プリキュア)はオソロシーにまかせて、岸にいる星剣士(プリキュア)は、15世様が直々にお相手を…!!」

 

よしきたぁっ☆

と、岸にいるキュアトネールのもとに向かうアリオト。

 

そして、岸に降り立つアリオト。

 

「あなたも、悪魔伝の七騎士なの?」

と訊くキュアトネールに

「あぁ☆

悪魔伝の七騎士が1人っ☆

滅魔剣(メツマケン)のアリオト15世っ☆

と答えるアリオト。

 

「私は、雷の星剣士(プリキュア)

雷星剣・キュアトネール!!」

と、雷星剣(トネール)をかまえる。

 

そんなキュアトネールを見て

「フフフ☆」

と笑うアリオト。

 

「何がおかしいの?」

 

「なっちゃいないねぇ☆

死んだ父さんの遺言さ☆

剣士の強さは、かまえを見ればわかる

ってね☆

お前…

ド素人

だろ☆」

 

「たしかにね…。」

 

「だったら…

ボクの勝ちだねェ☆

と、アリオトはキュアトネールに斬りかかった―!!

 

 

一方、池の中では、キュアドゥローとフィッシュオソロシーが戦っていた―。

 

 

オソロシーッ!!

と、高速でキュアドゥローに突進し、すれちがいざまにヒレで攻撃するフィッシュオソロシー。

 

「く…ッ!!」

 

フィッシュオソロシーの攻撃を、なんとか水星剣(ドゥロー)で受け流すキュアドゥロー。

 

いくら、水中でも地上と変わらず動けても、相手が水中戦に特化したオソロシーでは分が悪い。

 

しかも、フィッシュオソロシーの体は硬い鱗に覆われており、キュアドゥローの反撃は、ほとんど効いていなかった…。

 

(どうしよう…?)

 

ダメージをあたえられないことに苦悩するキュアドゥロー…。

 

 

一方、池の上空では…。

 

(しかし、解せん…。

なにゆえ、この山に星剣士(プリキュア)が?)

と、アルコルは疑問に思った。

 

そもそも、この山は、ベネトナーシュがアジトとしている場所だ。

 

そこに、星剣士(プリキュア)が来た…

 

(まずい…!!

私達の潜伏場所が知られたんだ…!!)

と誤解するアルコル…。

 

(急ぎ、17世様に報告を…!!)

と、アルコルはベネトナーシュのもとに向かった―。

 

 

フィッシュオソロシーの攻撃は、単純な突進攻撃だけだが、体を覆う鱗の防御力が、対処を困難にしている…。

 

(こうなったら…

イチかバチか…!!)

 

オソロシーッ!!

と、突進してくるフィッシュスラッシュの真正面に来るキュアドゥロー。

 

そして…

 

オソッ!?

 

なんと!!

 

キュアドゥローはフィッシュオソロシーの口の中に飛び込んだのだ―!!

 

(鱗が無い場所…

それは口の中…!!)

 

キュアドゥローは、水星剣(ドゥロー)を一度、鞘に納める。

 

すると

SABER CHARGE

という音が鳴った。

 

再び、水星剣(ドゥロー)を抜くと、刀身が水色に輝いていた。

 

そして…

 

「プリキュア・ドゥロー・スプラッシュッ!!」

 

と叫んで、水星剣(ドゥロー)を振り下ろす…!!

 

水星剣(ドゥロー)から、激流のような水色の光波が、フィッシュオソロシーの体内に放たれた―!!

 

オォソロシィィィ…ッ!!

 

体内にドゥロー・スプラッシュを撃ち込まれたフィッシュオソロシーは、水色の光となって消滅した―。

 

 

(さて…空星剣を探さなきゃ…★)

 

場所を見失ったので、再び、水星剣(ドゥロー)をかまえて、精神を集中させ、星剣を共鳴させる…。

 

さっきとは、ずいぶんと離れた場所で光った。

 

キュアドゥローは、そこに向かって泳いでいった―。

 



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その3


 

キュアトネールと戦っていたアリオトだったが…

 

 

「オ…オソロシーが…!?」

と、フィッシュオソロシーの気配が消えたため、アリオトは池の方を向いてしまう。

 

「戦闘中によそ見って、余裕だね…!!」

と、アリオトが池の方を向いた隙をついて、雷星剣(トネール)を横薙ぎに振るうキュアトネール。

 

ぐわ…ッ!!

と、雷星剣(トネール)で斬られ、火花を散らして吹き飛ぶアリオト。

 

「ちくしょう…」

ちくしょう…ッ!!

と、滅魔剣(メツマケン)の刀身から、青い光弾を放つアリオト。

 

「あのさ…

剣戟(チャンバラ)で勝てないっからって、光線(飛び道具)出すの、やめにしない?」

と、アリオトの滅魔剣(メツマケン)から放たれる、青い光弾を回避するキュアトネール。

 

「ま、私も、人のこと言えないけどね…!!」

と、キュアトネールも雷星剣(トネール)から雷光を放つ。

 

ぐわぁぁぁ…ッ!!

 

アリオトは、キュアトネールの雷星剣(トネール)から放たれた雷光をくらい、全身から火花が散る。

 

とどめよ!!

とキュアトネールは、雷星剣(トネール)を一度、鞘に納める。

 

すると

SABER CHARGE

という音が鳴った。

 

再び、雷星剣(トネール)を抜くと、刀身が黄色に輝き、雷光を帯びていた。

 

そして…

 

「プリキュア・トネール・スパーク!!」

 

と叫んで、雷星剣(トネール)を振り下ろす…!!

 

振り下ろされた雷星剣(トネール)から、雷鳴とともに放たれた怒涛のような雷光が、アリオトに直撃した―!!

 

ぐわぁぁぁ…ッ!!

 

鎧が砕け散り、全身から火花を散らしながら吹き飛ぶアリオト…。

 

ヨロヨロと立ち上がるアリオトだが、なおも全身から火花が散っている…。

 

と…父さぁぁぁん…ッ!!

とアリオトは叫んで、うつ伏せに倒れ、大爆発をおこした…。

 

 

「シズル、やったわ☆」

と、静流と凛花と一緒に、離れた場所でキュアトネールとアリオトの戦いを見守っていたライカが喜ぶ。

 

「す…スゴい…☆

七騎士の一人を…☆」

と、静流も喜ぶ。

 

しかし…!?

 

 

キュアトネールがアリオトを倒した数分後…。

 

きゃあ…ッ!?

 

キュアトネールの周囲に、突如、爆発が起きた―!?

 

「な…何なの…!?」

と、キュアトネールは、ふと、空を見上げた。

 

あっ…!?

 

上空には…

 

ベネトナーシュとアルコルが浮遊していた―!!

 

 

「あ…あれ…?

15世様は…ッ!?」

と、アリオトの姿が無いことに、あわてふためくアルコル…。

 

「やられたようだな…。」

と言うベネトナーシュだったが、その言葉に、悲しみの感情は無かった…。

 

「お前は…

ベネトナーシュ…!?」

と、空に浮遊しているベネトナーシュを見据えるキュアトネール。

 

ベネトナーシュとアルコルも、地上に降りてきた。

 

「お前は…

たしか、キュアトネールとかいったな…。」

と、キュアトネールを見据えるベネトナーシュ。

 

「お前も倒す…!!」

と、ベネトナーシュに斬りかかるキュアトネールだったが…

 

なんのぉ!!

と、レイピアを持ったアルコルが、キュアトネールに挑む。

 

キュアトネールとアルコルが戦っている間に、ベネトナーシュは、ある場所へと歩いていく。

 

向かったのは、アリオトが死んだ場所…。

 

そこには、アリオトの滅魔剣(メツマケン)が落ちていた。

 

ベネトナーシュは、滅魔剣(メツマケン)を拾うと…

 

池の中に投げ込んだ

 

ベネトナーシュが滅魔剣(メツマケン)を池に投げ入れた数分後―。

 

をろあ!!

と…

 

アリオトが、池からあがってきた―!?

 

 

「ウソ…

生き返った…!?

と、アリオトが復活したのを見て驚くキュアトネール…。

 

 

「あ…ありがとう、(アニ)ィ…☆

もうちょい遅かったら、マジにヤバかったよ…☆」

 

「間に合ってよかった。」

と、アリオトに声をかけると、キュアトネールの方に向き直り

「さぁ…

やろうか…ッ!!

と、荒魔剣(コウマケン)を抜くベネトナーシュ。

 

(くっ…!!)

 

キュアトネールの相手は

ベネトナーシュ

アルコル

復活したアリオト

の3人になってしまった…。

 

さすがに、3対1は不利だ…。

 

しかし…

 

(アニ)ィ…!!

キュアトネールは、ボクに殺らせてくれ…ッ!!」

と言うアリオト。

 

しかし、ベネトナーシュは

「ダメだ。」

と却下する。

 

「どうして…ッ!!」

と食い下がるアリオトに

 

「あいつは

雷の属性

だ。

水の属性のお前では不利だ。」

と説くベネトナーシュ。

 

それを聞いて、引き下がるアリオト…。

 

「オソロシーも倒されてしまった…。

どうやら、オレ達の負けのようだ…。」

と、ベネトナーシュも引き下がる。

 

(アニ)ィ…!?」

 

「退くぞ…!!」

と、空に飛び上がるベネトナーシュ。

 

「ま…待ってよ、(アニ)ィ…!?」

と、アリオトも空に飛び上がる。

 

「17世様〜★

15世様〜★」

と、アルコルも空に飛び上がった…。

 

 

(助かった…のかな…?)

と、キュアトネールは変身を解いた―。

 

 

ベネトナーシュ達が撤退した数分後…。

 

あったよ☆

と、キュアドゥローが空星剣(シエル)を持って、池から出てきた。

 

よくやったわ、南海ッ☆

と、手放しで自分の娘(キュアドゥロー)を称賛する静流。

 

キュアドゥローは、空星剣(シエル)を凛花に渡す。

 

「これが…星剣…。」

と、空星剣(シエル)を見つめる凛花。

 

「さ、これを持って帰って、星剣士(プリキュア)の誓いをたてて、マリカから星剣士(プリキュア)の力を引き継ぐわよ☆」

と、凛花に言う静流―。

 


 

「ただいま。」

と、空星剣(シエル)を持った凜花を先頭に、桃花の家に入る静流達―。

 

凛姉(りんねぇ)

みんな。

おかえり。」

と、出迎える桃花。

 

「マリカは?」

と訊く静流。

 

「お母さんなら、リビングにいます。」

と答える桃花。

 

 

リビングに来る静流達。

 

「見つけてきたわよ、マリカ。」

と言う静流。

 

凛花が、茉莉花に空星剣(シエル)を渡した。

 

凛花から受け取った空星剣(シエル)を、複雑な顔をして見る茉莉花…。

 

そして、空星剣(シエル)を抜いた。

 

十数年間、池の底に沈んでいたとは思えないほど、空星剣(シエル)の刀身は、美しく、ピンク色に輝いていた…。

 

「私はまだ…

星剣士(プリキュア)なのね…。」

と言って、空星剣(シエル)を鞘に納める茉莉花。

 

「どういうこと?」

と、ライカに訊く れもん。

 

「星剣は、星剣士(プリキュア)じゃないと抜けないの。

だから、私はもう、星剣は抜けないの。」

と教えるライカ。

 

「そうなの?」

と、れもん は、影の中から雷星剣(トネール)を出し、ライカに渡す。

 

ライカは雷星剣(トネール)を抜こうとするが、ビクともしない。

 

逆に、ライカから返された雷星剣(トネール)を…

 

れもんは、簡単に抜いた…。

 

「それが、れもんが星剣士(プリキュア)であることの証…

雷星剣(トネール)を抜くことのできる、世界で唯一人の存在…。

と言ったライカに続いて

 

「でも、覚えておいてほしい…。

星剣を抜くことができるという、その意味を…。」

と、茉莉花が言った。

 

それを聞いたライカが

「どうしたの?」

と訊く。

 

「ごめんなさい…。

私…

どうかしていたのよ…。」

と、ライカに謝る茉莉花。

 

「いいのよ…。

自分を取り戻せたなら…。」

と、ライカは茉莉花を許した。

 

茉莉花は、凛花に

「凛花。

これを凛花に―。」

と、空星剣(シエル)を渡そうとしたら

 

「ごめんなさい…!!」

と、凛花は、受け取りを拒否した。

 

凛花…!?

 

「ごめんなさい…!!

こわいの…!!」

と、泣き出す凛花…。

 

「偉そうなこと言っておきながら…

でも、さっきの戦いを見て…

今でも、こわくて足の震えが止まらないの…!!

ごめんなさい!!

私には無理…!!」

と、泣き崩れる凛花を、優しく抱きしめる茉莉花。

 

「これじゃ…

凛花ちゃんには無理ね…。」

と嘆く静流。

 

「じゃ、桃花が?」

と訊く南海に

 

「そうなるわね。」

と答える静流。

 

「私が…星剣士(プリキュア)に…?」

と、戸惑う桃花…。

 

「でも…

私の個人的な意見だけど…

桃花が星剣士(プリキュア)になるのは、反対かな…。」

と言う れもん。

 

「どうして…?」

と訊く桃花に

 

「何て言ったらいいのかな…?

桃花は、こういうことをするような娘じゃないと思う…。

正直、巻き込んだことに、罪悪感あるのよね…。」

と答える れもん。

 

それを聞いた桃花は怒る。

 

「ひどいよ、れもん…!!

南海や れもんが、こんな大変なことをしているのに、私だけを除け者にするなんて…!!」

 

「だからこそ、巻き込みたくないのよ!!

こんなことするのは、私と南海だけでいいのよ!!」

 

「私だって…

星剣士(プリキュア)の娘だよ…っ!!」

 

「…っ!!」

 

「れもん。

桃花ちゃんに謝りなさい。」

と、れもん と桃花のやり取りを見ていたライカが、れもん を諌める。

 

「お母さん…。」

 

「少なくとも、桃花ちゃんの方が、多少の覚悟はあるみたいだわ…。」

と、れもん を諭すライカ。

 

「桃花…ごめん…。」

と、頭を下げる れもん。

 

「いいの…。

ありがとう、れもん。

私のこと、本気で心配してくれてて…。

でも…」

と、れもん の手を取る桃花。

 

「2人よりも3人の方が、ちょっとは楽できると思うよ。」

 

「そうかもね…☆」

と笑いあう、桃花と れもん。

 

 

そして、桃花は、星剣士(プリキュア)の誓いをたてる―。

 

星剣士(プリキュア)は勇気を旨とし」

星剣士(プリキュア)は勇気を旨とし」

と、茉莉花に続く桃花。

 

「その心を善にささげる」

「その心を善にささげる」

 

「その剣を悪しき者に向け」

「その剣を悪しき者に向け」

 

「弱き者を守り助ける」

「弱き者を守り助ける」

 

「その力は闇を打ち砕き」

「その力は闇を打ち砕き」

 

「世界に光をあたえる」

「世界に光をあたえる」

 

「その言葉は慈愛に満ちて」

「その言葉は慈愛に満ちて」

 

「人々に勇気をもたらす」

「人々に勇気をもたらす」

 

「汝、星剣士(プリキュア)にならんことを」

 

「ここに誓います!!」

 

しかし…

 

空星剣(シエル)の刀身は輝かなかった…。

 

 

「ど…どうして…!?」

と、戸惑う桃花…。

 

「やっぱ、次女は成功率低いか…★」

と嘆く静流。

 

「どういうことですか?」

と訊く桃花に

 

「星剣を引き継げるのは、たいてい、長女と相場が決まっているの。」

と答えるライカ。

 

「これは…

ちょっと困ったわね…。」

と、静流は頭を掻いた…。

 



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空の星剣士(プリキュア)・キュアシエル!!
その1



 

翌朝―。

 

鶴城市郊外の山中の、ベネトナーシュのアジトでは…

 

 

「おじさぁん☆

オソロシーの卵、ちょうだい☆」

 

「はいはい、ただいま…。」

と、アルコルは懐からオソロシーの卵を出して、アリオトに渡す。

 

「しかし、よかったですなぁ☆

15世様のオソロシーを育てる事のできる水場が―」

いっただっきまぁ〜す☆

と、アルコルを無視して、オソロシーの卵を食べるアリオト…。

 

だぁぁぁ…ッ!!

だから、オソロシーの卵を食べないでくださいィィィッ!!

と、激怒するアルコル…。

 

「いやぁ〜☆

ハラへってたから…☆」

 

これは、食べるモノじゃないんですよッ!!

と、本気で怒るアルコル。

 

「アリオト。

オソロシーの卵も、無限にあるわけじゃねぇんだ…。」

と、ベネトナーシュも、アリオトを諌める。

 

「わかったよ、(アニ)ィ…。

おじさん、ごめん…★」

と、アルコルに頭を下げるアリオト。

 

「今回は17世様に免じて許しますが、今度やったら、15世様とて、許しませんからね…ッ!!」

と、アリオトに釘を刺すアルコル。

 

「まったく…

ん…?」

と、何気なく、空を見上げるアルコル…。

 

上空から…

 

緑色の光球

が降下してくる。

 

星剣士(プリキュア)の攻撃…ッ!?」

と慌てるアルコル。

 

「んなわけないだろ…!!」

と、アルコルを叱るベネトナーシュ。

 

緑の光球は、ベネトナーシュの前に落着する。

 

光が消えると…

 

フェッフェッフェッ…☆

と、老婆の笑い声がした。

 

「もしかして…

メグレスばあちゃん!?

と喜ぶアリオト。

 

「さよう☆」

と答えたのは、全身を緑色のローブで包み、青白い肌にシワだらけの顔…

 

右手に、鞘に納めた魔剣を杖代わりに持つ老婆―

 

悪魔伝の七騎士が1人☆

乱魔剣(ランマケン)のメグレス13世ぢゃ☆

と、老婆は名乗った―。

 

「ばあちゃんも、この世界に来たんだ☆」

と喜ぶアリオト。

 

「フェッフェッフェッ☆

来るのに、ずいぶん苦労したがの★」

と言うメグレス。

 

「しかし…

なぜ、メグレス様もこちらに?」

と訊くベネトナーシュに

 

「聞けば、20年前に、異次元に消し飛ばした星剣士(プリキュア)が、この世界にいるそうぢゃないか☆」

と答えるメグレス。

 

「いや、そうではなく、聖星界の方はよろしいのですか?」

 

「あぁ…★

かまわんよ…★

聖星界(あっち)じゃ、ワシの仕事など、無いからの…★」

と言うメグレス。

 

(そう思うんだったら、とっとと跡目を継がせろよ…。)

と思うベネトナーシュ。

 

「これ、アルコル坊や☆

オソロシーの卵をお出し☆」

 

「は…はい、ただいま…★」

と言いつつも

(私を坊や呼ばわり…?

クソババアが…ッ★)

と、アルコルは、懐からオソロシーの卵を出し、メグレスに渡す。

 

オソロシーの卵を受け取ったメグレスは…

 

うまいッ☆

 

オソロシーの卵を食べて、至極の笑みを浮かべる…。

 

「・・・・・・。」

 

言葉を失うアルコル…。

 

ついさっき、オソロシーの卵を食べたアリオトを叱ったばかりなのに…。

 

 

「ところで、アルコル坊や☆

ホヘィの種はあるかい?」

と、アルコルに訊くメグレス。

 

「はぁ…いくらでもありますが…★」

(次、坊やって言ったら、ブン殴ってやる…ッ★)

と、スボンのポケットから

ホヘィの種

を取り出す。

 

「それじゃ、ちょいと、この世界を楽しませてもらうかの☆」

 

「ばあちゃん☆

僕も一緒に行くよ☆」

 

「優しいねぇ、アリオト☆」

坊やは、どうするんだい?」

 

「私は、ここで17世様をお守りいたします☆」

(感謝しろよ、ババア★

私は、老婆とはいえ、女性は殴らない主義なんですよ★)

 

「じゃ、行くよ、アリオト☆」

 

「うん☆」

と、メグレスとアリオトは出撃した。

 

 

「ところで…

どうして、お前は行かなかったんだ?」

と、アルコルに訊くベネトナーシュ。

 

「15世様がご同行されましたので…。」

(あんなババアの面倒なんて、見てられますかってぇの★)

と答えるアルコル。

 

「そうか…。

てっきり

あんなババアの面倒なんて、見ていられないから

だと思ったんだがな…。」

 

「・・・・・・★」

 

ベネトナーシュとアルコルの間に、ビミョウな空気が流れた…。

 

 

学校に行くため、一緒に家を出る桃花と凛花―。

 

 

「昨日は、ごめんね…。

私に、もっと勇気があったら…。」

と、謝る凛花。

 

「そんなことないよ…。

誰だって、こわいよ…。」

 

「私が…桃花の後に生まれるべきだったね…。」

 

そう言って、凛花はバイクに乗り、走り去っていった。

 

(違うよ…。

凛姉(りんねぇ)は、私のお姉ちゃんじゃなきゃ…。)

 

凛花を見送って、桃花はバス停に向かって歩き出した―。

 

 

バス停に着くと、れもん と南海がいた。

 

「おはよう、桃花。」

「おはよう、ももちゃん。」

と、挨拶する れもん と南海。

 

「それよりも…

ももちゃんが星剣に選ばれなかった理由が、次女は成功率低いって…★」

と愚痴る南海。

 

「でも…

昨日の凛花さんのあの様子じゃ…。」

と言う れもん。

 

「なんか…

長女じゃないと星剣士(プリキュア)になれないなんて…

けっこう、いい加減なシステムね…★」

と、呆れたように言う南海。

 

「聖星界と人間界とじゃ、モノの価値観が違うのかもね…。」

と言う桃花。

 

 

そうこう話しているうちに、バスが来たので、桃花達はバスに乗る―。

 

 

鶴城市・駅前の大通り上空―。

 

 

「さて、ここいらでいいかの☆」

と、メグレスはホヘィの種に、魔力を込める…。

 

そして…

 

「ほれっ☆」

と、種をバラまく…。

 

 

地面に落ちた種から…

 

ホヘェ〜イッ!!

と、人骨の怪物…

 

スケルトンホヘィ

 

…が誕生した…!!

 

 

な…何だぁ!?

 

怪物だぁ!!

逃げろぉっ!!」

 

突如、現れたのスケルトンホヘィの集団に、駅前大通りは大パニックになった。

 

ちょうど、出勤ラッシュの時間でもあったため、混乱に拍車がかかった。

 

 

ホヘェ〜ィ!!

と、スケルトンホヘィが骨を投げる。

 

人間に、スケルトンホヘィが投げた骨が当たったら…

 

「ぐわぁぁぁ…。」

 

骨が、体内に侵入していき…

 

肉体が溶けて、骨だけになり

 

新たなスケルトンホヘィとなる…!!

 

 

どんどん増殖していくスケルトンホヘィ…。

 

ばあちゃん、スゲぇや☆

と、地獄絵図と化した駅前大通りの惨状を見て、メグレスを称賛するアリオト。

 

「フェッフェッフェッ☆」

と、笑うメグレス。

 

 

桃花達の乗ったバスが、駅前大通りにやって来た。

 

交差点で信号待ちをしていると…

 

「な…何だ、あれは…!?」

と、乗客の一人が叫んだ。

 

桃花も、バスのフロントガラス越しに見える、異様な光景に息をのんだ。

 

「な…何…あれ…!?」

と、青ざめる桃花。

 

「どう見ても、映画の撮影じゃないわねッ!!」

と言う南海。

 

迫りくるスケルトンホヘィの集団に、バスの中は大パニックに陥った。

 

「逃げろぉーっ!!」

 

バスの昇降口のドアを開け、乗客達は逃げ出すが、スケルトンホヘィに襲われ、新たなスケルトンホヘィにされていく…。

 

それを見て、恐怖で体が震える桃花。

 

「ももちゃんは、ここを動かないでッ!!」

 

「うん…。」

 

「行こう、れもんッ!!」

 

「あぁ!!」

と、南海と れもんは、影から星剣を取り出す。

 

そして南海が、バスの中に入ってこようとしていたスケルトンホヘィを蹴り飛ばし、れもん と一緒に、外に出る。

 

やぁぁぁ…ッ!!

 

水星剣(ドゥロー)を抜き、スケルトンホヘィを斬っていく南海。

 

はぁっ!!

 

同じく、雷星剣(トネール)を抜き、スケルトンホヘィを斬り捨てていく れもん。

 

 

「何ぢゃ、あの2人は?」

と、上空で、スケルトンホヘィを次々と薙ぎ倒していく南海と れもん を見て、驚くメグレス。

 

「ばあちゃん!!

あの2人、星剣士(プリキュア)だよッ!!」

 

「何ぢゃと!?

あの2人が…!?」

 

降下していくメグレスとアリオト。

 

そして、スケルトンホヘィを薙ぎ倒していく南海と れもん の前に浮遊停止する、メグレスとアリオト。

 

「お前はアリオト!!」

と叫ぶ れもん。

 

「で、あなたは誰…ッ!?」

と訊く南海。

 

「ワシか?

ワシは悪魔伝の七騎士が1人

乱魔剣(ランマケン)のメグレス13世ぢゃ☆

と名乗るメグレス。

 

「ばあちゃんは強いんだぜ☆」

と、メグレスを称えるアリオト。

 

「お前達…星剣士(プリキュア)なのかい?」

と訊くメグレス。

 

「えぇッ!!」

と答える南海。

 

「ならば…

死ねぇぇぇ…ッ☆

と、メグレスが乱魔剣(ランマケン)を掲げると、スケルトンホヘィが一斉に南海と れもんに襲いかかった!!

 

「いくよ、れもんッ!!」

 

「えぇ!!」

 

「「プリキュア!! セイバー・オン!!」」

 

水色と黄色の閃光がきらめき、スケルトンホヘィの集団が吹き飛ぶ!!

 

水色と黄色の閃光が消えると―

 

そこには、キュアドゥローとキュアトネールの姿が―!!

 



 

水崎 南海と稲妻 れもん がキュアドゥローとキュアトネールに変身する時間は、わずか7/100ミリ秒にすぎない。

 

では、もう一度、見てみよう―!!

 

 

プリキュア!! セイバー・オンッ!!

という、掛け声とともに

水星剣(ドゥロー)の刀身からは水色の光

雷星剣(トネール)の刀身からは黄色の光

が放たれ、2人の体は光につつまれる。

 

すると

南海の着衣は、水色の光

れもん の着衣は、黄色の光

に分解される。

 

光に分解された南海と れもん の着衣は

星剣士の鎧(プリキュアーマー)

に再構成され、2人の体に装着されていく。

 

理由は不明だが、星剣士の力の源(エネルギー)は頭髪に蓄えられるため、その影響で、南海と れもん の頭髪は、通常の倍以上に伸びる。

 

同時に、南海と れもん の体をつつんでいた光が消えることで…

 

わずか、7/100ミリ秒で

水崎 南海はキュアドゥロー

稲妻 れもん はキュアトネール

への変身を完了するのだ!!

 



 

名乗りをあげる2人―。

 

水の星剣士(プリキュア)!!

水星剣・キュアドゥロー!!

 

雷の星剣士(プリキュア)!!

雷星剣・キュアトネール!!

 



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その2


 

「ぬぬ…ッ!?

あの2人は、キュアドゥローとキュアトネールの力を受け継いだ者か…ッ!!」

 

メグレスは、乱魔剣(ランマケン)を掲げる。

 

ゆけッ!! ホヘィどもッ!!

星剣士(プリキュア)を殺せッ!!

 

スケルトンホヘィの目が赤く輝き、キュアドゥローとキュアトネールに襲いかかる―。

 

しかし!!

 

 

やあああ…ッ!!

 

キュアドゥローが横薙ぎに振るった水星剣(ドゥロー)から放たれた水色の光波が、スケルトンホヘィの集団を押し流すように薙ぎ払う。

 

 

はぁっ!!

 

キュアトネールが雷星剣(トネール)を掲げると、周囲にシャワーのような落雷が発生。

 

スケルトンホヘィの集団を吹き飛ばしていく。

 

 

(すごい…

あれが、星剣士(プリキュア)―☆)

 

バスの中で、キュアドゥロー(南海)キュアトネール(れもん)が戦っているのを見て、興奮する桃花。

 

だが…!!

 

バスの中に再び、スケルトンホヘィが入ってきた事に、桃花は気づいていない…!!

 

 

「やっぱ、ホヘィじゃ星剣士(プリキュア)に勝てないよ…ッ!!」

と、キュアドゥローとキュアトネールによって、スケルトンホヘィが次々と蹴散らされていくのを見て、悔しがるアリオト。

 

「フェッフェッフェッ☆

当然ぢゃ☆

ホヘィごときに、星剣士(プリキュア)の相手など、つとまるものか☆

ホヘィは、あくまで星剣士(プリキュア)の力を見極めるため…。

しかし、なかなかやりおるわ☆

どれ、ひとつ、相手をしてやろうかの…☆

アリオト、手伝っておくれ☆」

 

「よしきたぁッ☆」

 

 

地上から5メートルの高さに浮遊して、キュアトネールを見下ろすメグレス。

 

「お前さんが、キュアトネールの後継者かい?

悪いけど、死んでもらうよ☆」

と、メグレスは乱魔剣(ランマケン)を抜き、刀身から、小さな緑色の光弾を連射した。

 

きゃあ…ッ!?

 

無数の小さな緑色の光弾を回避できず、攻撃をくらって、吹き飛ぶキュアトネール…。

 

小さいながらも、光弾には、かなりの威力があったようで、キュアトネールの上半身の星剣士の鎧(プリキュアーマー)に亀裂が入る。

 

「フェッフェッフェッ☆

その程度かい☆」

と、キュアトネールを嘲笑するメグレス―。

 

 

ハァッ!!

と、滅魔剣(メツマケン)を振り下ろすアリオト。

 

「くっ…!!」

と、振り下ろされた滅魔剣(メツマケン)を、星剣で受け止めるキュアドゥロー。

 

しかし…

 

くらえッ☆

 

切り結んでいる状態で、滅魔剣(メツマケン)の刀身から、青い光弾を放つアリオト。

 

きゃあああ…!!

 

至近距離からの攻撃だったので、キュアドゥローはアリオトの攻撃を回避できず、まともにくらって吹き飛んだ。

 

至近距離からの攻撃をうけ、キュアドゥローの上半身の星剣士の鎧(プリキュアーマー)に亀裂が入る。

 

 

キュアトネールが吹き飛ばされた先に、キュアドゥローがいた。

 

「トネール、大丈夫?」

 

「なんとかね…。

それにしても、星剣士の鎧(プリキュアーマー)が…。」

と、星剣士の鎧(プリキュアーマー)の亀裂の入った部分に触れるキュアトネール。

 

「お母さん、言ってたんだけどね…。」

と、前置きするキュアドゥロー。

 

「何の話?」

 

 

静流の話によると、星剣士の鎧(プリキュアーマー)は、 変身者の衣服が、星剣の力によって変化した物であるが、じつは

星剣士の鎧(プリキュアーマー)の防御力は、着ていた服の数で大きく左右される

のだという…。

 

 

「つまり何?

厚着をしていりゃ硬くなるってこと?」

 

「単純に言えば、そういうことっぽい…★」

 

「冗談じゃないわ…★

夏でも冬服着てろっての?」

 

南海と れもん が着ていたのは、制服の夏服…。

 

それだけでも、星剣士の鎧(プリキュアーマー)の防御力は低くなるのに、あろうことか、南海は

ノーブラ

だったので、キュアドゥローの星剣士の鎧(プリキュアーマー)の防御力は、さらに低下している…。

 

明日から、ブラしてくるわ…★」

 

「ぜひ、そうして…★」

と、立ち上がるキュアドゥローとキュアトネール…。

 

 

バスの中では、桃花が、圧されているキュアドゥローとキュアトネールを、心配そうに見ていた。

 

南海ぃーっ!!

れもんーっ!!

がんばれぇーっ!!

と、声援を送る桃花。

 

大声を出せば、敵に見つかってしまう危険はあったが、しかし、キュアドゥローとキュアトネールを勇気づけるためにも、桃花は大声でキュアドゥローとキュアトネールに声援を送った…

 

その時だった!!

 

ホヘ〜ィ!!

 

スケルトンホヘィが、バスの中に入ってきたのだ…!!

 

きゃあああ…っ!!

 

悲鳴をあげる桃花―。

 

 

桃花の悲鳴は、キュアドゥローとキュアトネールにも聞こえた。

 

しまった…桃花ッ!!

 

ちくしょう…!!

 

助けに行きたくても、正面にはメグレスとアリオト―

 

まわりは、いつの間にか、スケルトンホヘィの集団に包囲されていた…。

 

「おやおや☆

あの中には、お友達でもいたのかい☆」

 

「ホヘィになっちゃったお友達と、感動の再会なんてウケるゥ☆」

と、キュアドゥローとキュアトネールを嘲笑するメグレスとアリオト。

 

「どうせなら、お前達もお友達と一緒に、ホヘィになるがいい☆

かかれぇーッ☆」

と、乱魔剣(ランマケン)を掲げるメグレス。

 

すると、スケルトンホヘィの集団が、一斉にキュアドゥローとキュアトネールに襲いかかった…

 

その時!!

 

一台の車が、スケルトンホヘィを撥ね飛ばしながら走ってきて、キュアドゥローとキュアトネールの前に停まった!!

 

何事ぢゃッ!?

と驚くメグレス。

 

一方、キュアドゥローとキュアトネールの前に停まった車の運転席から

大丈夫?

と言って降りてきたのは―

 

お母さん…!?

 

南海の母親の静流だった―!!

 

静流だけではない。

 

後部座席から、ライカと…

 

星剣を持った茉莉花も降りてきた。

 

「あいつはメグレス!?」

 

「ホヘィがいるから、まさかとは思ったけど…。」

と言う、ライカと静流。

 

「何者ぢゃッ!!

お前達は…ッ!?」

と叫ぶメグレスに

 

「先代のキュアドゥローよッ!!」

「先代のキュアトネール!!」

「キュアシエル…!!」

と名乗る静流、ライカ、茉莉花。

 

なんぢゃと…ッ!?

生きておったのか…ッ!?

と驚くメグレス。

 

「そういうアンタも生きていたのね。

驚いたわ☆」

 

「私達が現役の頃でもバァさんだったのに…

ますますバァさんになったわね☆」

と言い放つ静流とライカ。

 

黙れェーッ!!

ワシの気にしている事をーッ!!

と、激怒するメグレス。

 

「ここは、私達にまかせてッ!!

バスの中に、ももちゃんがいるのッ!!

と叫ぶキュアドゥロー。

 

桃花が…!?

と驚き、バスの方を見る茉莉花。

 

「なら、ここは、南海と れもんちゃんに任せるわッ!!

マリカ、いくわよッ!!」

 

「えぇっ!!」

と、空星剣(シエル)を抜き、桃花を助けに行くため、スケルトンホヘィを斬り払っていく茉莉花―。

 

静流とライカは

金属バット

で、スケルトンホヘィを打ち倒していく―。

 

いくよ、トネールッ!!

 

えぇ!!

と、キュアドゥローとキュアトネールは、メグレスとアリオトに立ち向かう―。

 

 

桃花は、前の乗降口から逃げ出した。

 

桃花!!

と、茉莉花の声がしたので、右を向けば…

 

星剣を持った茉莉花が走ってきた。

 

お母さん!!

と、茉莉花のもとに走る桃花。

 

追いかけてきた3人のスケルトンホヘィは、茉莉花に斬り倒された。

 

「お母さん…。」

 

「桃花…。」

 

向き合う、桃花と茉莉花―。

 

「お母さん…星剣を…。」

 

茉莉花が、桃花に空星剣(シエル)を渡す。

 

空星剣(シエル)を受け取った桃花は、茉莉花の前に膝まずく。

 

「私…星剣士(プリキュア)になる…!!

星剣士(プリキュア)になって…

みんなを…

この世界を守りたい―!!

と、星剣士(プリキュア)になる決意をする桃花。

 

それを聞いた茉莉花が、厳かに、星剣士(プリキュア)の誓いを述べていく―。

 

星剣士(プリキュア)は勇気を旨とし」

星剣士(プリキュア)は勇気を旨とし」

 

「その心を善にささげる」

「その心を善にささげる」

 

「その剣を悪しき者に向け」

「その剣を悪しき者に向け」

 

「弱き者を守り助ける」

「弱き者を守り助ける」

 

「その力は闇を打ち砕き」

「その力は闇を打ち砕き」

 

「世界に光をあたえる」

「世界に光をあたえる」

 

「その言葉は慈愛に満ちて」

「その言葉は慈愛に満ちて」

 

「人々に勇気をもたらす」

「人々に勇気をもたらす」

 

「汝、星剣士(プリキュア)にならんことを」

 

「ここに誓います!!」

 

すると…

 

空星剣(シエル)の刀身が、ピンク色に光り輝やいた―!!

 

桃花っ!!

 

うんっ!!

 

叫ぶ桃花!!

 

プリキュア!!

セイバー・オン!!

 

空星剣(シエル)の刀身から放たれた、ピンク色に光につつまれる桃花―!!

 

そして、光球となって、空に飛び上がり、バスの屋根の上に降り立ち…

 

光が消えると…

 

そこには…

 

キュアシエルの姿があった―!!

 

【挿絵表示】

 



 

空良 桃花がキュアシエルに変身する時間は、わずか7/100ミリ秒にすぎない。

 

では、もう一度、見てみよう―!!

 

 

プリキュアッ!! セイバー・オンッ!!

という、桃花の掛け声とともに、空星剣シエルの刀身がピンク色の光を放ち、桃花は空星剣シエルの刀身から放たれたピンク色の光につつまれる。

 

すると、桃花の着衣は、ピンク色の光に分解される。

 

ピンク色の光に分解された桃花の着衣は

星剣士の鎧(プリキュアーマー)

に再構成され、桃花の体に装着されていく。

 

理由は不明だが、星剣士の力の源(エネルギー)は頭髪に蓄えられるため、その影響で、桃花の頭髪は、通常の倍以上に伸びる。

 

同時に、桃花の体をつつんでいたピンク色の光も消えることで…

 

桃花は、わずか7/100ミリ秒で、キュアシエルへ変身するのである―!!

 



 

空の星剣士(プリキュア)!!

空星剣・キュアシエル!!

と、名乗りをあげるキュアシエル―。

 



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その3


 

バスの屋根の上に立つキュアシエル―。

 

そして、腰の後ろのリボンを広げ、両足の足首をピンク色に光らせ、キュアシエルは空に舞い上がった―!!

 

 

「ももちゃんが星剣士(プリキュア)に…!?」

 

「あれが、空の星剣士(プリキュア)・キュアシエル…!!」

 

空に舞い上がったキュアシエルを見たキュアドゥローとキュアトネールは、驚きと喜びが混じったような顔をする。

 

 

「ばあちゃんッ★

3人目の星剣士(プリキュア)だよッ★」

と、うろたえるアリオト。

 

「うろたえるんぢゃないよッ!!

まだヒヨッコさねッ!!」

と、余裕を見せるメグレス。

 

 

「不思議ね…。

何だか…晴れやかな気分だわ…。」

と、空に舞い上がったキュアシエル(自分の娘)を見て、呟く茉莉花。

 

「マリカが、ずっと背負ってきた物を降ろしたからよ。」

と言う静流。

 

「私が背負ってきた物を、桃花に背負わせたのに…?」

と言う茉莉花に

 

「でも、それをしっかりと背負っていける力を、あの娘達は持っている…!!

桃花ちゃんにも…

南海ちゃんにも…

れもんにも…!!」

と答えるライカ―。

 

 

空に舞い上がったキュアシエルは、空星剣(シエル)の刀身からピンク色の光波を放ち、スケルトンホヘィの集団を一掃する!!

 

 

「あれが、ももちゃんの…

キュアシエルの強さ―!!

と、キュアシエルの強さに驚嘆するキュアドゥロー。

 

よそ見している場合さね…ッ!!

とメグレスが、乱魔剣(ランマケン)から緑色の光線を放つ。

 

たしかに…

よそ見してる場合じゃないね…ッ☆

と、水星剣(ドゥロー)をかまえるキュアドゥロー。

 

そして

プリキュア・ドゥロー・ヴォルティスッ!!

と叫ぶ。

 

すると、キュアドゥローのまわりに、渦潮のようなバリアが展開され、メグレスの乱魔剣(ランマケン)から放たれた緑色の光線をかき消した。

 

なんぢゃとぉ…ッ!?

と、攻撃を防がれて驚くメグレス。

 

今度は、こっちの番よ…ッ☆

と、水星剣(ドゥロー)を振るい、刀身から水色の光波を放って、メグレスを攻撃するが―

 

なんのぉぉぉ…ッ★

と、メグレスは乱魔剣(ランマケン)で防ぎ、自身のダメージを最小限にとどめた…。

 

 

キュアトネールは、アリオトと戦う―。

 

「属性なんて、関係あるものかッ!!

くらえぇぇぇ…ッ!!

と、滅魔剣(メツマケン)から、青い光球を放つアリオト。

 

しかし…

 

もう、それは見切ったよ!!

プリキュア・トネール・ゲージ!!

と、キュアトネールが雷星剣(トネール)をかまえると、雷鳴とともに雷光のバリアが発生し、アリオトが滅魔剣(メツマケン)から放った青い光球をかき消した。

 

そんな…ッ!?

と、驚くアリオト。

 

仲間の忠告は、ちゃんと聞いた方がいいよ!!

と、雷星剣(トネール)の刀身から、雷鳴とともに雷光を放つキュアトネール。

 

うわぁぁぁ…ッ!!

と、キュアトネールの攻撃をくらうアリオト。

 

 

「えぇ〜いッ★

こうなったら…

ぬンッ!!

と、気張り始めるメグレス。

 

「ばあちゃん…

無理しないで…ッ!!」

と、心配するアリオト。

 

しかし、それでもなお、気張り続けるメグレス。

 

「ぬ…ぬぬぬ…

ふンッ!!

と、メグレスの股間から…

 

オソロシーの卵が落ちた…!!

 

ハァッ…ハァッ…ハァッ…!!

と、オソロシーの卵を出し、息を切らせるメグレス。

 

「大丈夫かい、ばあちゃん?」

 

「な〜に…これしきのことで…ッ!!

それよりも、お前は、私の生み出したオソロシーと一緒に、星剣士(プリキュア)を殺すんだよ…ッ!!」

 

「わかったよ、ばあちゃん…!!」

 

ぬン…ッ!!

と、メグレスは、オソロシーの卵に魔力を込める。

 

いでよ、オソロシーッ!!

と、メグレスはオソロシーの卵を空に向かって投げる。

 

すると…

 

オソロシーの卵から、緑色の雷光のようなものと、大量の白い煙が発生した…!!

 

そして、雷光と白い煙が消えると…

 

オソロシーッ!!

という雄叫びとともに、サーベルタイガーの骨のオソロシー―

 

タイガーボーンオソロシーが出現した―!!

 

 

いくぞ、オソロシーッ☆

と、アリオトはタイガーボーンオソロシーの頭の上に立つ。

 

しかし…。

 

 

「「はあああ…ッ!!」」

と、タイガーボーンオソロシーの前足を、星剣で斬るキュアドゥローとキュアトネール。

 

オソロシィ…ッ!!

と、前足を失い、倒れるタイガーボーンオソロシー。

 

 

うわぁ…ッ!?

と、アリオトは、倒れたタイガーボーンオソロシーの頭の上から落ちた…。

 

 

今よ、シエルッ!!

と、上空にいるキュアシエルに向かって叫ぶキュアドゥロー。

 

わかったっ!!

と、キュアシエルは、空星剣(シエル)を一度、鞘に納める。

 

すると

SABER CHARGE

という音が鳴った。

 

再び空星剣(シエル)を抜くと、刀身がピンク色に輝いていた。

 

そして…

 

「プリキュア・シエル・フラァァァッシュッ!!」

 

と叫んで、空星剣(シエル)を振り下ろす…!!

 

すると、空星剣(シエル)の刀身から、巨大なピンク色の光球が放たれた―!!

 

オォソロシィィィ…ッ!!

と、ピンク色の光につつまれて、消滅するタイガーボーンオソロシー…。

 

 

「なんぢゃと…

そんなバカな…ッ!!

と、タイガーボーンオソロシーがあっけなく倒されたのを見て、驚くメグレス…。

 

ひ…退くよ…ッ★

と、メグレスは瞬間移動して撤退した…。

 

「ま…待ってよ、ばぁちゃん…ッ!!」

と、アリオトも瞬間移動して撤退した…。

 

 

「あのオソロシー…

なんか…

メチャメチャ弱くなかった?

と言うキュアドゥロー。

 

「たしかに…。

あまりにも、弱すぎたね…。」

と言うキュアトネール。

 

「それよりも…☆」

「うん…☆」

と、キュアシエルを見るキュアドゥローとキュアトネール。

 

「空の星剣士(プリキュア)

キュアシエル…か…☆」

と言うキュアトネール。

 

「ももちゃんも、星剣士(プリキュア)になれたんだね☆」

と言うキュアドゥロー。

 

「ちょっと遅くなったけど…

私も、星剣士(プリキュア)になれたよ。

2人の足を引っ張らないように、がんばるよ!!」

 

「えぇ、シエル☆」

 

「これからも、よろしくね、キュアシエル。」

と、キュアドゥロー、キュアトネールと握手するキュアシエル。

 

 

「南海ぃ〜!!」

と、キュアドゥローを呼ぶ静流。

 

「あっ、お母さん!!」

と、水星剣(ドゥロー)を影に沈めて、変身を解除した南海が、静流のもとに向かう。

 

「ああやって、変身を解除するのね。」

 

「そうだよ。

私達も行こっか。」

と、変身を解除して、自分の母親のもとに向かう、桃花と れもん―。

 

 

「どうして、ここに?」

 

「ニュースで見たのよ。

駅前に、ドクロの怪物が出たってね。」

と、南海の質問に答える静流。

 

「それにしても…

ずいぶん、ハデにやられたわね…。」

と、南海の姿を見た静流があきれる。

 

「何が…って…

あああ…ッ!?

と、自分の姿を見て驚く南海。

 

れもん も、同じように驚いていた。

 

2人の制服の上着は、破れてボロボロになっていた…。

 

「ど…どうして…ッ!?」

 

星剣士の鎧(プリキュアーマー)が破壊されたからよ。

星剣士の鎧(プリキュアーマー)は、着ている服が変化した物なんだから、破壊されたら、そうなっちゃうのよ。

つ〜か、ブラぐらいしなさいよ!!」

と、星剣士の鎧(プリキュアーマー)についての説明ついでに、ノーブラの南海の頭を叩く静流。

 

「それじゃ、2人とも、学校に行けないね…。」

と、桃花が言うが

 

「大丈夫よ。

この騒ぎで、今日は学校休みよ。」

と、静流が言った。

 

「それにしても…。」

と、周囲を見渡す桃花。

 

駅前には、大勢の人が倒れていた。

 

「倒れている人達は、あのガイコツに…」

 

「心配ないわ。

周りに倒れている人達は、星剣士(プリキュア)の力で元に戻った、ホヘィにされた人達よ。

みんな、気絶しているだけだから、大丈夫よ。」

と、桃花に説明する茉莉花。

 

倒れている人達が無事だと知って、笑顔になる桃花。

 

 

まもなく、パトカーや救急車のサイレンの音が近づいてきた。

 

「さて、あとは警察の方々にまかせて、私達はずらかるわよ☆」

と、車に乗る静流。

 

全員、静流の車に乗ると、静流は車を走らせた―。

 

 

鶴城市郊外の山中のベネトナーシュのアジトに戻ってきた、メグレスとアリオト…。

 

 

「な…なぜじゃ…!?

なぜ、ワシが生んだオソロシーが…

あれほど、あっけなく敗れたのぢゃ…ッ!!」

と、悔しがるメグレス…。

 

「ばあちゃん…。」

とアリオトが、メグレスに声をかけたが

 

だァまらっしゃいッ!!

と、乱魔剣(ランマケン)の鞘でアリオトを殴るメグレス。

 

「ば…ばあちゃ」

ワシは、お前のばあさんなんかぢゃないわァッ!!

それなのに、ワシのことを『ばあちゃん、ばあちゃん』って、馴れ馴れしく呼びおってッ!!

ワシは、老人なんかぢゃないッ!!

ワシは悪魔伝の七騎士が1人、乱魔剣(ランマケン)のメグレス…

乱魔剣(ランマケン)のメグレス13世ぢゃあ…ッ!!

と、アリオトを折檻するメグレス…。

 

「わかった…

わかったよ、ばあちゃ…

メグレス13世…ッ!!

 

「なんぢゃと…!?

もう一度、ワシの名を言ってみろッ!!

 

「だ…だから、メグレス13世…」

メグレス13世様ぢゃろうがあああ…ッ!!」

と、さらにアリオトを折檻するメグレス…。

 

 

う…。

とメグレスに、乱魔剣(ランマケン)の鞘で叩かれ続け、失神するアリオト…。

 

 

お…おぼえておけ…

ワシは、老人なんかぢゃない…ッ!!

ワシの名は、メグレス13世…

悪魔伝の七騎士が1人、乱魔剣(ランマケン)のメグレス…

メグレス13世ぢゃあ…ッ!!

と、陽が沈み、暗くなり始めた空に叫ぶメグレス…。

 

 

洞穴の前で、ベネトナーシュとアルコルが、メグレスの、アリオトへの折檻の一部始終を見ていた…。

 

「じゅ…17世様…。」

と、メグレスの慟哭を聞いたアルコルが、ベネトナーシュの顔を伺う。

 

ベネトナーシュは、メグレスの慟哭を、ただ、冷ややかに見ていた―。

 



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登場人物の紹介 2


 

空良 桃花(そら とうか)*1

制服

【挿絵表示】

 

私服

【挿絵表示】

 

本作の主人公で、鶴城中学校の2年生。

 

南海や れもんとは、小学校の頃からの付き合い。

 

当初は、星剣士(プリキュア)と七騎士との戦いについて、あまり関心を持っていなかった*2*3が、幼馴染みの南海と れもんが星剣士(プリキュア)である事を知り、また、2人の戦いを見て、自身も危機に陥ったことで、世界を守るために、茉莉花から星剣を受け継ぎ、空の星剣士(プリキュア)・キュアシエルとなった。

 

 

キュアシエル

 

【挿絵表示】

 

桃花が変身した姿。

 

ピンク色を基調とした星剣士の鎧(プリキュアーマー)を着ている。

 

属性は光。

 

変身する時間は、わずか7/100ミリ秒。

 

シエルとは、フランス語で『空』。

 

空の星剣士(プリキュア)の名の通り、空を飛ぶことが可能で、飛行の際は、腰の後ろのリボンが広がり、両足の足首がピンク色の光に包まれる*4

 

戦闘時は、常に空を飛んでおり、地上に降りて戦うのは稀。

 

 

空星剣シエル

 

キュアシエルの武器にして、変身アイテム。

 

ピンク色の刀身の剣。

 

刀身から、ピンク色の光波を放つ。

 

普段は、桃花の影の中に沈めている*5

 

戦うことを忌避した茉莉花が、鶴城市郊外の山中*6の池に遺棄していた。

 

 

必殺技

 

【シエルフラッシュ】

 

一度、星剣を鞘に納めて*7、エネルギーをチャージしてから放つ、キュアシエルの必殺技。

 

空星剣の刀身から放たれる、巨大なピンク色の光球。

 


 

空良 茉莉花(そら マリカ)

 

桃花と凛花の母親。

 

元は聖星界の人間で、本名はマリカ*8

 

先代のキュアシエルであり、20年前、聖星界における、悪魔伝の七騎士との戦闘中、何らかの方法で、静流、ライカとともに人間界に放逐されてしまう。

 

その後、人間界に帰化し、結婚して凛花と桃花を産むが、幸せな生活を送るうちに、戦いを忌避するようになり、いつの日か、悪魔伝の七騎士が侵攻してくることを予見しながらも、自身の幸せを守るためと言って、 空星剣(シエル)を鶴城市郊外の山中の池に破棄していた。

 

その後、静流とライカの説得、および娘の凛花と桃花の奮起もあり、かつての自分を取り戻す。

 


 

空良 凛花(そら りんか)

 

茉莉花の長女で、桃花の姉。

 

高校生であり、オフロードバイクに乗って登校している*9

 

茉莉花の過去を知り、星剣士(プリキュア)になる決意をするも、星剣士(プリキュア)と七騎士の戦いを目の当たりにし、恐怖心から星剣士(プリキュア)になることを断念する。

 



 

水崎 南海《みずさき なみ》

制服

【挿絵表示】

 

私服

【挿絵表示】

 

鶴城中学校の2年生。

 

桃花の友人で、桃花のことを『ももちゃん』と呼ぶ。

 

桃花、れもん とはクラスは違うが、小学校からの付き合い。

 

母の静流からは、小さい頃から星剣士(プリキュア)のことや悪魔伝の七騎士について話を聞いていた*10

 

静流から星剣を受け継ぎ、水の星剣士(プリキュア)・キュアドゥローとなった。

 

 

キュアドゥロー

 

【挿絵表示】

 

南海が変身した姿。

 

水色を基調とした星剣士の鎧(プリキュアーマー)を着ている。

 

属性は水。

 

変身する時間は、わずか7/100ミリ秒。

 

ドゥローとは、フランス語で『水』。

 

水の星剣士(プリキュア)だけあって、水中でも活動可能*11

 

 

【水星剣ドゥロー】

 

キュアドゥローの武器にして、変身アイテム。

 

水色の刀身の細身の剣。

 

刀身から、水色の光波を放てる。

 

 

【ドゥロー・スプラッシュ】

 

一度、星剣を鞘に納めて*12、エネルギーをチャージしてから放つ、キュアドゥローの必殺技。

 

星剣を振り下ろし、刀身から水色の光波を放つ。

 

 

【ドゥロー・ヴォルティス】

 

水星剣ドゥローをかまえることで、キュアドゥローのまわりに渦潮のようなバリアが展開され、メグレスの乱魔剣(ランマケン)から放たれた緑色の光線を打ち消した。

 


 

稲妻 れもん《いなづま れもん》

制服

【挿絵表示】

 

私服

【挿絵表示】

 

キュアトネール

 

【挿絵表示】

 

鶴城中学校の2年生。

 

ボーイッシュで、クールな性格。

 

桃花と南海の友人で、クラスは違うが、小学校からの付き合い。

 

母のライカから星剣を受け継ぎ、雷の星剣士(プリキュア)・キュアトネールとなった。

 

属性は雷。

 

トネールとは、フランス語で『雷』。

 

水属性に強い雷属性の持ち主であるため、アリオト相手に有利に戦い、一度は倒している。

 

 

【トネール・ゲージ】

 

キュアトネールが雷星剣(トネール)をかまえると、雷鳴とともに雷光のバリアが発生し、アリオトが滅魔剣(メツマケン)から放った青い光球をかき消した。

 



 

星剣士(プリキュア)の戦力】

 

星剣士の鎧(プリキュアーマー)

 

星剣士(プリキュア)が着用している服。

 

変身時に、変身者の着衣が、星剣から放たれるエネルギーによって分解・再構成された物。

 

鎧と呼ばれるだけあって、その防御力は非常に高いが、反面、変身者の着衣の数や、衣服の生地の厚さによって、防御力が左右される*13

 

第3話で、南海と れもんは夏の制服姿で変身したが、着ている服の数が少なかったのと、制服の生地が薄かったので、星剣士の鎧(プリキュアーマー)の防御力も低く*14なり、アリオトとメグレスの攻撃で、星剣士の鎧(プリキュアーマー)に亀裂が入った。

 



 

滅魔剣のアリオト15世(メツマケンのアリオト15せい)

 

悪魔伝の七騎士の1人で、青い髪に青白い肌の、黒と青で彩られた鎧を着た少年のような姿をしている。

 

属性は水。

 

オソロシーの卵が好物。

 

魚のオソロシーを生み出す。

 

キュアトネールと戦うも、属性の都合*15により、一度、倒されてしまう。

 

しかし、一定時間内に、滅魔剣(メツマケン)を水に入れたら復活することができる*16

 

 

滅魔剣(メツマケン)

 

アリオトの武器。

 

青い刀身の魔剣で、刀身から青い光球を放つ。

 


 

フィッシュオソロシー

 

アリオトが生み出したオソロシー。

 

茉莉花が空星剣シエルを捨てた池の中で誕生し、空星剣シエルの探索をしていたキュアドゥローと交戦する。

 

ヒレを武器に戦う。

 

全身を覆う鱗の硬度は非常に高く、水星剣ドゥローをもってしても、キズをつけることすらできなかった。

 

しかし、口の中に飛び込んだ*17キュアドゥローが放ったドゥロー・スプラッシュで倒された。

 


 


乱魔剣のメグレス13世《/b》(ランマケンのメグレス13せい)

 

悪魔伝の七騎士の1人で、全身を緑色のローブで包み、青白い肌の老婆。

 

属性は土*18

 

しゃべる時は、語尾が「〜ぢゃ」

 

笑い声は「フェッフェッフェッ」

 

感情の起伏が非常に激しい。

 

老人扱いされることを、なによりも嫌う。

 

アリオト同様、オソロシーの卵が好物。

 

自ら、オソロシーの卵を産むこともできる。

 

 

タイガーボーンオソロシー

 

メグレスが産んたオソロシーの卵から生まれた、サーベルタイガーの骨のオソロシー。

 

キュアドゥローとキュアトネールに前足を斬られたのち、キュアシエルのシエルフラッシュで倒された。

 

キュアドゥローいわく「メチャメチャ弱いオソロシー」。

 

 

スケルトンホヘィ

 

『ホヘィの種』と呼ばれる物から生まれる、メグレスが使役する怪物。

 

ホヘィに襲われた人間は、ホヘィになってしまう。

 

大勢の人間がホヘィにされてしまい、駅前通りが大パニックになった。

 

ホヘィにされた人間は、星剣の光波で、元の人間に戻れる。

 

*1
『とうか』は、女の子らしくない名前という、南海の勝手な理由で、南海は『ももちゃん』と呼んでいる。

*2
茉莉花が、自分の過去を娘に話していなかった事も一因。

*3
そのため、1回目の星剣士(プリキュア)継承の儀式に失敗している。

*4
実際に推進力をうんでいるのは両足の光であり、腰のリボンは、いわゆる補助翼の役目を果たしている。

*5
そのため、曇りや雨、地下街といった、影ができにくい環境では、星剣を出すことができない。

*6
奇しくもそこは、ベネトナーシュ達が潜伏している場所であり、空星剣の探索に来た静流達を見たアルコルは、潜伏場所を嗅ぎつけられたと勘違いした。

*7
その際、『SABER CHARGE』という音が鳴る

*8
作中では『茉莉花』と表記されるが、静流やライカが呼ぶ時は『マリカ』と表記される。

*9
ただし、本当にバイクに乗ったまま、学校まで行っているのかは不明。

*10
ただし、南海は、静流の作り話だと思っていた。

*11
ただし、南海自身はカナヅチである。

*12
その際、『SABER CHARGE』という音が鳴る

*13
極端な話、厚着すればするほど防御力が高くなる。逆に、全裸では変身できない。

*14
南海にいたっては、ノーブラだったため、さらに防御力が低くなった。

*15
水属性は雷属性に弱い。

*16
第2話のアリオトのセリフから、あまり時間が経つと、復活できないらしい。

*17
鱗に覆われていない場所だったため。

*18
土属性は水属性に弱い。



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力を合わせて トリニティセイバー
その1



 

ある休日の昼下り―。

 

南海、静流の水崎母娘

ライカ、れもん の稲妻母娘

は、茉莉花の家に来ていた―。

 

 

茉莉花の家のリビングに集まる

水崎母娘

稲妻母娘

茉莉花

桃花

そして、凜花の7人―。

 

「さて…

今日、みんなに集まってもらったのには、理由(わけ)があるの。」

と言う静流に

 

「何勝手に仕切ってるのよ!?

しかも、ここ、マリカの家でしょ!?」

とツッコむライカ。

 

「まぁまぁ…

おばさん、落ち着いて…★

私のお母さん、こ〜ゆ〜人だから…★」

と、ライカをなだめる南海。

 

「まったく…★

シズルから、こんな、いい娘が生まれてくるなんて…★」

と言うライカ。

 

「2人とも、それくらいにして。

今日は、大事な話をするために、みんなに集まってもらったんだから…。」

と、静流とライカに注意する茉莉花。

 

「そうだったわね…。」

「ごめん★」

と謝る、ライカと静流。

 

「まず…

私達が何者なのか…

ちゃんと話さないとね…。

私、シズル、ライカは20年前

聖星界(せいせいかい)

という、異世界から来たのよ。」

と言う茉莉花。

 

南海と れもん は、一応、静流とライカから、その話を聞いて育ったため、知ってはいたが…

 

桃花と凜花は、茉莉花から、その話を聞いていなかったため、驚いていた。

 

「異世界から来たっていうのが、よくわからないのよ…。

わかりやすく言えば…

地球人じゃないってこと?」

と訊く凜花。

 

「少々、語弊はあるけど…

でも、それが一番、理解しやすい認識かもね。」

と言うライカ。

 

「聖星界において、私達は聖星界を守る戦士―

星剣士(プリキュア)

だったの。」

と言う茉莉花。

 

星剣士(プリキュア)は6人いた

のよ☆」

と、口を挟む静流。

 

「6人?」

と訊く桃花に

 

「そ☆

私達の他に

火の星剣士(プリキュア)・キュアフラム

土の星剣士(プリキュア)・キュアテール

風の星剣士(プリキュア)・キュアヴァーン

がいるの☆」

と言う静流。

 

「でも、聖星界にある日…

悪魔伝の七騎士

と名乗る、7人の悪魔が侵略してきたの。」

と言う茉莉花。

 

悪魔伝の七騎士…!?

あの

ベネトナーシュ

アリオト

メグレス

達…!?」

と言う れもん。

 

「あいつら、何者なの?」

と訊く南海に

 

「わからない…。」

と答える茉莉花。

 

「わからないって…?」

と訊く桃花に

 

「本当に、わからないの…。

彼らは、ある日、突然、何の前触れもなく、聖星界に現れた…。」

と言う茉莉花。

 

「そっか。

それで、お母さん達は、そいつらと戦ったのね?」

と言う凜花。

 

「えぇ。

だけど…。」

と、目を閉じる茉莉花。

 

「なぜ、お母さん達は地球(ここ)に?」

と訊く れもん に

 

「私達と七騎士との戦闘中…

私とシズルとライカは

この世界に飛ばされた

のよ…。」

と言う茉莉花。

 

「それって…

マンガとかアニメでよくある

次元の扉

みたいなやつ?」

と訊く南海に

 

「まぁ…そういうことかな★」

と言う静流。

 

「え?

じゃ、今、聖星界に星剣士(プリキュア)

キュアフラム

キュアテール

キュアヴァーン

の3人しかいないの?」

と訊く れもん に

 

「そういうこと。

もっとも、20年も経ってるから、新しい人が星剣を受け継いでると思うけどね。」

と言う静流。

 

「じゃ

ベネトナーシュ

アリオト

メグレス

の3人は、なぜ、この世界に来たの?」

と訊く桃花。

 

「わからないわ…。」

と、首を横に振る茉莉花。

 

「なによぉ★

わかんないことばっかぢゃん★」

と愚痴る南海に

 

「しょうがないでしょ!!

本当に何もわからないんだから!!」

と叱る静流。

 

「つまり…

真実を知るために、お母さん達は戦ってきた…。

そして、その戦いを、私達が引き継いだ…

…ってとこかな。」

と言う れもん。

 

「さすが、我が娘☆」

と、れもん の頭を撫でるライカ。

 

「それって…

つまり

お母さん(先代プリキュア)達の尻拭い

をしてるってこと?」

と言う南海を

 

「南海、言い過ぎ!!」

と、たしなめる れもん。

 

「それについては、たしかに悪いと思うわ…。」

と言う静流。

 

「あのさ…

ちょっと、気になったんだけど…。」

と言い出す凜花。

 

「どうしたの、お姉ちゃん?」

と訊く桃花。

 

「てきがここに来た…ってことは

聖星界は滅んでいる

んじゃないの?」

と言う凜花。

 

「どうして、そう思うの?」

と訊く茉莉花に

 

「もし

聖星界が健在なら、敵も戦力をこっちに送る余裕なんて無いはず

でしょ?

滅んでいないのなら、こっちに戦力を送れるくらいに、敵の戦力は余裕があるってことでしょ?」

と凜花が答えると…

 

静まりかえる一堂…。

 

「ごめん…。

失言だったわ…。」

と、謝る凜花。

 

「そっか…

そうだね…。」

と、うつむくライカ。

 

「6人でも勝てなかったのに…

3人じゃ、勝てるわけないよね…。」

と言う静流。

 

「そんなことない…!!」

きっと、聖星界は無事だよ!!

本当に滅んでいるんだったら、7人全員で来るはずだよ!!」

と、立ち上がる桃花。

 

「なるほど☆」

と喜ぶ南海。

 

「ただし、戦力を割いてきたということは、敵には、それだけの余裕があるってことだから、聖星界の状況は芳しく無いってことだけどね。」

と言う れもん。

 

「それでも…

私は戦う…!!

この世界を守るために…!!」

と言う桃花。

 

「私も☆」

「私もだ!!」

と南海と れもん も立ち上がる。

 

そして、れもん が差し出した右手に、南海と桃花が右手を重ね、3人で力を合わせて戦うことを誓いあった。

 

それを見た茉莉花、静流、ライカは、顔を見合わせて笑顔を見せた―。

 

 

一方、ベネトナーシュのアジトでは…

 

 

「この世界に星剣士(プリキュア)どもがおったとはな…★

まったく、厄介な話ぢゃて★」

と愚痴るメグレス。

 

次元移転球(ジゲンイテンキュウ)

を用いても、来るのが厄介な世界だもんね…★」

と言うアリオト。

 

星剣士(プリキュア)どもの星剣を破壊しなければ、聖星界の生命を奪えんのだからな…。

戦力分散は、やむをえん。」

と言うベネトナーシュ。

 

「幸いなのは、星剣士(プリキュア)どもは、星剣を受け継いだばかりのヒヨッ娘ども☆

倒すのは楽ぢゃて☆」

と楽観視するメグレスに

 

そのヒヨッ娘に負けて、逃げ帰ってきたのは誰だ?

とベネトナーシュがツッコむと

 

だァまらっしゃいッ!!

と、メグレスは乱魔剣(ランマケン)を振るい、緑色の光波を放つ。

 

フッ…!!

と、ベネトナーシュも荒魔剣(コウマケン)を振るって赤い光波を放ち、メグレスが放った緑の光波を相殺した。

 

このガキャアッ!!

それが年長者に対する態度かァッ!!

と、ベネトナーシュに斬りかかるメグレス。

 

「まさか★

オレは、老体の身を案じているのだが★」

と、メグレスと鍔迫り合うベネトナーシュ。

 

しかし、単純な力勝負なら、若いベネトナーシュの方が上だ。

 

押し返されて、仰向けに倒れるメグレス。

 

「あわわ★

おやめください、メグレス様!!」

「兄ィ、やめてよ!!」

と、アルコルとアリオトが止めに入る。

 

「えぇ〜いッ★

アリオト14世もベネトナーシュ16世も、年長者たる、このワシに敬意をはらっておったのに…ッ★」

と、ベネトナーシュをにらむメグレス。

 

「もちろん、オレも

メグレス13世様

には、敬意をはらっていますよ★」

と言うベネトナーシュ。

 

「フンッ★

しらじらしぃ★」

と言いつつも、ベネトナーシュから

メグレス13世様

と呼ばれて、内心、喜ぶメグレス…。

 

「ならば

ベネトナーシュ

アリオト

このワシに、ついておいで☆

プリキュアを血祭りにあげに行くよ☆」

と、出撃しようとした…

 

その時―。

 

空から、淡い緑色の光球が降下してきた―。

 

「プリキュアの攻撃ですかッ!?」

と驚くアルコル。

 

「違う!!

誰かが聖星界から来たんだ…!!

と言うベネトナーシュ。

 

はたして、地上に降りた光球の光が消えると…

 

「おばあちゃん!!」

と、1人の少女が姿を現した。

 

「お前は メグル !?

何をしに来たッ!?」

と怒鳴るメグレス。

 

聖星界から来たのは、メグレスの孫娘の

メグル

だった。

 

「おばあちゃん、もうやめて!!

おばあちゃんはもう、戦えるような体じゃないわ!!」

と言うメグルに

 

だァまらっしゃいッ!!

乱魔剣(ランマケン)に認められなかった者が、誰に向かって、何をぬかすかァッ!!」

と怒鳴るメグレス。

 

「べヌゥ、アリオト!!

おばあちゃんを止めて!!」

と、メグルはベネトナーシュとアリオトに頼むが

 

「そう言われてもな…。」

「ボク達に、そんな権利は無いからね…★」

と断る、ベネトナーシュとアリオト。

 

「アルコル坊やッ!!

このバカ女を、どうにかしなッ!!」

と、メグレスから言われたアルコルは

 

「メグル様。

こちらへ…。」

と、メグルを退げる。

 

「アルコルおじさん!!

おばあちゃんを止めて!!」

と、メグルはアルコルに頼むが

 

「そう申されましても…。」

と困惑するアルコル。

 

「じゃ、行くよッ!!

ベネトナーシュッ!!

アリオトッ!!」

と、メグルのことなど気にもかけず、メグレスは緑色の光球となって、空に飛び上がった。

 

「アルコル。

メグルを頼む。」

と言って、赤い光球となって空に飛び上がるベネトナーシュ。

 

「じゃ、言ってくるね☆」

とアリオトも、青い光球となって、空に飛び上がった。

 

「おばあちゃん…。」

と、メグレスが飛び去った方を、メグルは悲痛な表情で見ていた…。

 



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その2


 

鶴城市の市街地―。

 

 

ビルの屋上に降り立つ

メグレス

ベネトナーシュ

アリオト

の3人―。

 

「さて、始めるかのォ…

ぬンッ!!

と、気張り始めるメグレス。

 

「ぐぬぬ…

ふンッ!!

と、メグレスの股間から…

 

ヘンなニオイがする粘液に濡れたオソロシーの卵

が、3つ落ちた…。

 

ハァッ…ハァッ…ハァッ…!!

と息を切らせながら、ベネトナーシュとアリオトに、オソロシーの卵を渡すメグレス。

 

「大丈夫かい、ばあちゃん?」

と、メグレスを気遣いつつも、オソロシーの卵に付着している粘液のニオイに、顔をしかめるアリオト。

 

「ムリをするな…。」

と、ベネトナーシュも、メグレスに気遣いつつも、オソロシーの卵に付着している粘液のニオイに顔をしかめる…。

 

「フンッ★

ワシを年寄り扱いするんぢゃないよ…ッ!!」

と、自ら産み落としたオソロシーの卵に、魔力を込めるメグレス。

 

メグレスの魔力が注入されたオソロシーの卵が、緑色に発光する。

 

そして…

 

いでよ、オソロシィィィッ!!

と、メグレスはビルの屋上から、オソロシーの卵を地面に投げつける。

 

大通りの道路に落ちたオソロシーの卵から、緑色の雷光と、大量の白い煙が発生した。

 

雷光と煙が消えると…

 

オソロシィィィッ!!

という雄叫びとともに、マンモスの骨のオソロシー―

 

マンモスボーンオソロシーが出現した―!!

 

突如出現したマンモスボーンオソロシーに、大通りは大パニックになった。

 

「お前達も行きなッ!!」

と、ホヘィの種もバラ撒くメグレス。

 

地面に落ちたホヘィの種からスケルトンホヘィが出現し、パニックに拍車をかけた。

 

オソロシィィィッ!!

と、マンモスボーンオソロシーの両目から、緑色の光線が放たれる。

 

マンモスボーンオソロシーの両目から放たれた、緑色の光線が当たった人間は失神し…

 

そこに、スケルトンホヘィが骨を投げつける。

 

スケルトンホヘィが投げた骨が人間に当たると…

 

骨が人間の体内に侵入し…

 

スケルトンホヘィに変化した!!

 

この方法で、どんどんふえていくスケルトンホヘィ。

 

いまや、大通りは、スケルトンホヘィであふれかえっていた…。

 

 

「オレもやるか…!!」

と、ベネトナーシュも、オソロシーの卵に魔力を込める。

 

ベネトナーシュの魔力が注入されたオソロシーの卵が、赤色に発光する。

 

そして…

 

行け、オソロシーッ!!

と、ベネトナーシュはビルの屋上から、オソロシーの卵を地面に投げつける。

 

裏通りの道路に落ちたオソロシーの卵から、赤色の雷光と、大量の白い煙が発生した。

 

雷光と煙が消えると…

 

オソロシィィィッ!!

という雄叫びとともに、トランペットのオソロシー―

 

トランペットオソロシーが出現した―!!

 

 

アリオトも、オソロシーの卵に魔力を込める。

 

アリオトの魔力が注入されたオソロシーの卵が、青色に発光する。

 

そして…

 

育て、オソロシーッ☆

と、アリオトはビルの屋上から、オソロシーの卵を川に投げつける。

 

川の中に落ちたオソロシーの卵から

オソロシィィィッ!!

という雄叫びとともに、メダカのオソロシー―

 

メダカオソロシーが出現し、空に飛び上がった―!!

 

 

茉莉花の家では…。

 

 

「あれ?

天気、悪くなってきたね?」

と、窓の外を見る凜花。

 

しかし―

 

この気配は―!?

 

凜花以外の全員が感じた気配―。

 

「もしかして…敵…!?」

と訊く凜花に

 

「そうよ!!

凜花は、ここにいて!!」

と言う茉莉花。

 

「行くわよ!!」

と、静流を先頭に出ていく一堂。

 

「行ってくるね、お姉ちゃん。」

と行く桃花を

 

「気をつけてね…!!」

と見送る凜花。

 

 

路駐

してあった静流のランドクルーザーに乗り込む一堂。

 

「行くわよッ☆」

と、アクセルを踏み込む静流―。

 

 

市街地に向かって、車を走らせること数分―。

 

「来たわよ…ッ!!」

と言う静流。

 

「うわッ!?」

と、助手席に座る南海が驚く。

 

前には、大勢のスケルトンホヘィがいたのだ。

 

その、スケルトンホヘィの集団に、容赦無く突っ込む静流のランドクルーザー。

 

「いやぁ〜ッ!!」

と、スケルトンホヘィが次々と撥ね飛ばされていく光景に、目を覆う南海…。

 

スケルトンホヘィを撥ね飛ばしながら進んでいくと…

 

「いたわッ!!」

 

見えてきた、マンモスボーンオソロシーの異容―。

 

「降りるわよッ!!」

と、ランドクルーザーから降りる一堂。

 

そこに襲いかかるスケルトンホヘィ。

 

空星剣(シエル)!!」

水星剣(ドゥロー)!!」

雷星剣(トネール)!!」

と、影から星剣を召喚する桃花、南海、れもん。

 

そして、星剣でスケルトンホヘィを迎え撃つ。

 

茉莉花、静流、ライカは、金属バットでスケルトンホヘィを殴り倒していく。

 

「ここは私達にまかせて!!

桃花達は、オソロシーを!!」

と叫ぶ茉莉花。

 

「わかった!!

行こう、南海、れもん!!」

と、マンモスボーンオソロシーに向かって走る桃花、南海、れもん。

 

そして―

 

プリキュア!!

セイバーオン!!

と叫んで、星剣士(プリキュア)に変身する―!!

 



 

空良 桃花

水崎 南海

稲妻 れもん

星剣士(プリキュア)に変身する時間は、わずか7/100ミリ秒にすぎない。

 

では、もう一度見てみよう―!!

 

 

プリキュア!!

セイバー・オン!!

という掛け声とともに、星剣の刀身が光り輝き、その光に包まれる。

 

すると、桃花、南海、れもん の着衣は光に分解される。

 

光に分解された着衣は

星剣士の鎧(プリキュアーマー)

に再構成され、体に装着されていく。

 

理由は不明だが、星剣士の力の源(エネルギー)は頭髪に蓄えられるため、その影響で、頭髪が通常の倍以上に伸びる。

 

同時に、体をつつんでいた星剣の光も消えることで…

 

星剣士(プリキュア)への変身は完了するのだ!!

 



 

空の星剣士(プリキュア)!!

空星剣・キュアシエル!!

 

水の星剣士(プリキュア)!!

水星剣・キュアドゥロー!!

 

雷の星剣士(プリキュア)!!

雷星剣・キュアトネール!!

と、名乗りをあげ、マンモスボーンオソロシーの前に立ちはだかる―。

 

 

「現れたね、星剣士(プリキュア)ッ!!」

と、マンモスボーンオソロシーの頭の上に立つメグレス。

 

「あなたはメグレス!!」

と叫ぶキュアシエル。

 

「ボクもいるよ☆」

と、マンモスボーンオソロシーの左隣に来た、メダカオソロシーの頭の上に立つアリオト。

 

「お前はアリオト!!」

と叫ぶキュアトネール。

 

「オレもいるぞ!!」

と、マンモスボーンオソロシーの右にあるビルの屋上に立つベネトナーシュ。

 

トランペットオソロシーは、マンモスボーンオソロシーの右隣に来る。

 

「アンタは…

…って、アイツ、誰?」

と、キュアシエルとキュアトネールに訊くキュアドゥロー…。

 

「あいつがベネトナーシュだ。」

と、ベネトナーシュに会ったことのあるキュアトネールが教える。

 

「聖星界は、どうなっているの!?」

と叫ぶキュアシエルだったが

 

「死んでいくお前達には、知る必要は無いッ!!

やれッ、オソロシーッ!!」

と、ベネトナーシュがトランペットオソロシーに命令する。

 

オソロ・シィ〜!!

と、トランペットオソロシーが破壊音波を放つ。

 

きゃあっ!!

ぐわっ!?

と、耳をふさぐキュアシエルとキュアトネールだったが…

 

いやぁぁぁ…ッ!!

と、キュアドゥローが悶絶する。

 

それだけではない。

 

キュアドゥローの星剣士の鎧(プリキュアーマー)に亀裂がはいっていく―。

 

「キュアドゥロー!?」

「そんな!?

どうして、キュアドゥローだけ…!?」

と、キュアドゥローだけ、トランペットオソロシーの破壊音波で苦しんでいるのを見て、驚くキュアシエルとキュアトネール。

 

今度はボクの番だッ☆

やれ、オソロシーッ☆

と、メダカオソロシーに命令するアリオト。

 

オソロシーッ!!

と、高速で突っ込んでくるメダカオソロシー。

 

「なんのッ!!

プリキュア・トネール・プレッシャーッ!!

と、雷星剣(トネール)の刀身から雷光を放つキュアトネール。

 

オソロシイイイイイッ!!

と、雷星剣(トネール)の刀身から放たれた雷光をくらったメダカオソロシーが、大ダメージをうける。

 

それを見たキュアトネールは

(変ね…?)

と、疑問を持った。

 

だが、今は…

 

「トネール!!」

「あぁ!!」

と、キュアシエルとともに、倒れたキュアドゥローを連れて、一度、退がる…。

 

 

「南海…!?」

と、キュアシエルとキュアトネールに抱えられているキュアドゥローを見て、驚く静流。

 

「お母さん…。」

と、弱々しく言うキュアドゥローに

 

「ベネトナーシュのオソロシーと戦ったんでしょ!!

バカッ!!」

と叱る静流。

 

「バ…バカって何よ…!?」

と怒るキュアドゥローに

 

水は、音をよく伝えるのッ!!

だから、あんたはベネトナーシュのオソロシーには不利なのよッ!!」

と叱責する静流。

 

「えっ?

だから、ドゥローだけ、こんな大ダメージを…?」

と驚くキュアシエル。

 

「そ…そんな…。」

と、うなだれるキュアドゥロー。

 

「キュアドゥローを助けるためにも、まずはベネトナーシュのオソロシーから倒しなさい!!」

と言う茉莉花に

 

「わかった!!」

と答えるキュアシエル。

 

「れもん!!

アンタは

水属性に有利な雷属性

だから、アリオトのオソロシーを倒しなさい☆」

と言うライカに

 

「わかったッ!!」

と答えるキュアトネール。

 

「待っててね、ドゥロー!!」

「しばらく、見学してな☆」

キュアシエルはトランペットオソロシーに

キュアトネールはメダカオソロシーに

立ち向かっていく。

 

「冗談じゃないわ…!!

休んでなんていられるか…ッ!!」

と、立ち上がるキュアドゥロー。

 

「おとなしく休んでいなさいッ!!」

と怒る静流。

 

「気持ちはわかるけど、まずは、桃花がベネトナーシュのオソロシーを倒すまでは、ここにいて!!」

と、キュアドゥローを引き止める茉莉花。

 

「わかった…。」

と、思いとどまるキュアドゥロー。

 

そして

トランペットオソロシーに立ち向かったキュアシエル

メダカオソロシーに立ち向かったキュアトネール

を見守った―。

 



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その3


 

その頃、ベネトナーシュのアジトでは…。

 

 

「アルコルおじさん!!

私達も行きましょう!!

何だか、胸騒ぎがするんです…!!」

と言うメグルに

 

「いや…

そう申されましても…。」

と、困惑するアルコル。

 

「なら、私だけでも行きます!!

おばあちゃんを助けに…!!」

と、メグルは淡い緑色の光球に変化して、空に飛び上がった。

 

「あぁっ!!

お待ち下さい、メグル様ぁ…っ!!」

と、アルコルもメグルを追って、空に飛び上がった…。

 

 

鶴城市の市街地―。

 

 

空を飛んで、トランペットオソロシーに立ち向かうキュアシエルだったが…

 

キュアシエルの目の前に、ベネトナーシュが立ちはだかる。

 

「そういや初対面だったな。

オレの名は、荒魔剣(コウマケン)のベネトナーシュ17世だッ!!」

と、荒魔剣(コウマケン)を振るって、赤い光波を放つ。

 

「く…っ!!」

と、ベネトナーシュが放つ赤い光波を回避するキュアシエル。

 

プリキュア・シエル・シュートォッ!!

と、空星剣(シエル)の刀身から、ピンク色の光線を放つキュアシエル。

 

「そんなモノッ!!」

とベネトナーシュは、キュアシエルからの攻撃を相殺しようと、荒魔剣(コウマケン)を振るって赤い光波を放つが…

 

なんだとッ!?

 

キュアシエルが放った光線は、ベネトナーシュが放った赤い光波を粉砕した!!

 

チッ!!

と、キュアシエルの攻撃を回避するベネトナーシュ。

 

その隙に、キュアシエルはトランペットオソロシーに立ち向かう。

 

キュアシエルは、空星剣(シエル)を一度、鞘に納める。

 

すると

SABER CHARGE

という音が鳴った。

 

再び空星剣(シエル)を抜くと、刀身がピンク色に輝いていた。

 

そして…

 

「プリキュア・シエル・フラァァァッシュッ!!」

 

と叫んで、空星剣(シエル)を振り下ろす。

 

すると、空星剣(シエル)の刀身から、巨大なピンク色の光球が放たれた。

 

オォソロシィィィ…ッ!!

と、キュアシエルの必殺技をくらったトランペットオソロシーは、ピンク色の光につつまれたあと、ピンク色の粒子となって消滅した…。

 

 

メダカオソロシーに立ち向かったキュアトネールだったが、属性において有利だったので、とくに苦戦することなく、撃破することができた―。

 

 

「プリキュア・トネール・プレッシャーッ!!」

と、雷星剣(トネール)の刀身から雷光を放つキュアトネール。

 

オソロシイイイイイッ!!

と、雷星剣(トネール)の刀身から放たれた雷光をくらったメダカオソロシーが、大ダメージをうける。

 

とどめだッ!!

と、キュアトネールは雷星剣(トネール)を、一度、鞘に納める。

 

すると

SABER CHARGE

という音が鳴った。

 

再び雷星剣(トネール)を抜くと、刀身が金色に輝いていた。

 

そして…

 

「プリキュア・トネール・スパークッ!!」

 

と叫んで、雷星剣(トネール)を振り下ろす。

 

すると、雷星剣(トネール)から、雷鳴とともに、金色の雷光が放たれた。

 

オソロシィー…ッ!!

と、キュアトネールの必殺技をくらったメダカオソロシーは、金色の雷光につつまれたあと、金色の粒子となって消滅した…。

 

 

「えぇーいッ!!

不甲斐無いヤツらがッ!!」

と、トランペットオソロシーとメダカオソロシーが倒されたのを見て、憤慨するメグレス…。

 

 

トランペットオソロシーとメダカオソロシーが倒されたのを見たキュアドゥローが立ち上がる。

 

「じゃ、行ってくるね☆」

 

「おぅッ☆

行ってこいッ☆」

と静流に激励されて、キュアドゥローはキュアシエルとキュアトネールのもとに向かった―。

 

 

メグルとアルコルが鶴城市の上空に到着した。

 

「何をしに来たッ!?」

と怒鳴るベネトナーシュ。

 

「もうしわけございません…。

メグル様が、どうしてもとおっしゃいまして…。」

と、言い訳するアルコル…。

 

「べヌゥ、おばあちゃんは?」

と訊くメグルに

 

「無事だ。」

と答えるベネトナーシュ。

 

メグルが下を見ると、たしかに、メグレスは健在だった。

 

しかし…

 

この後のメグレスの行動を見たメグルは

 

おばあちゃん、やめてぇっ!!

と叫んだ―。

 

 

「お待たせ☆」

と、キュアシエルとキュアトネールのもとに来たキュアドゥロー。

 

「あとは、あなただけよ!!

メグレス!!」

と、空星剣(シエル)の剣先をメグレスに向けるキュアシエル。

 

「フンッ!!

お前達みたいなヒヨっ娘どもに負けるものかッ!!

見よッ!!

ワシの能力(ちから)をッ☆」

と、メグレスはジャンプすると…

 

全身が緑色に光り輝き…

 

ルー・ナーニ・ツトヒィィィ…ッ!!

と叫んで…

 

マンモスボーンオソロシーと融合した―!!

 

メグレスと融合したマンモスボーンオソロシーは、目が緑色に輝き、体が2倍ほどに巨大化した。

 

「なんか…ヤヴァそう…★」

と、恐れおののくキュアドゥロー。

 

「ビビってんじゃないわよッ!!」

と、恐れおののくキュアドゥローを叱咤するキュアトネール。

 

「フェッフェッフェッ☆

これが、ワシの力ぢゃぁぁぁ…ッ☆」

と吠えるマンモスボーンオソロシー。

 

身構える、キュアシエル、キュアドゥロー、キュアトネール。

 

「いくぞ、プリキュ…

うッ!?

なんぢゃ!?」

と、突然、マンモスボーンオソロシーの動きが止まる。

 

そして…

 

「な…なんぢゃッ!?

ワ…ワシに従え、オソロシーッ!!

ワ…ワシに逆らうか…ッ!?」

と、マンモスボーンオソロシーから、何やら、口論しているような声が響く。

 

「何…?」

「さぁ…?」

と、呆気にとられるキュアシエルとキュアトネール。

 

「何だか、よくわかんないけど…

どうやら

私の出番ね☆

と、キュアドゥローは水星剣(ドゥロー)を鞘に納める。

 

すると

SABER CHARGE

という音が鳴った。

 

再び、水星剣(ドゥロー)を抜くと、刀身が水色に輝いていた。

 

そして…

 

「プリキュア・ドゥロー・スプラッシュッ!!」

 

と叫んで、水星剣(ドゥロー)を振り下ろす。

 

水星剣(ドゥロー)から、激流のような水色の光波が放たれた。

 

しかし!!

 

キュアドゥローの必殺技は、マンモスボーンオソロシーには効かなかった!!

 

うそぉっ!?

と、驚くキュアドゥロー。

 

 

一方で、マンモスボーンオソロシーの、謎の口論は続いていた。

 

「言うことを聞け、オソロシーがッ!!」

と、メグレスの声が響くが…

 

その声は、次第に勢いを失っていく…。

 

「よせ…

よさんか…ッ!!

やめろ…

やめてくれぇ…ッ!!

い…意識が…

乗っ取るなぁ…ッ!!」

と、メグレスの悲痛な叫び声が響く…。

 

 

「何か…

様子が変だよ…?」

と、訝しむキュアトネール。

 

「2人とも…

油断しないで…!!」

と、身構えるキュアシエル。

 

 

やがて…

 

「や…やめろ、オソロシー…

ぃギャアアアアア…ッ!!

というメグレスな悲鳴とともに、マンモスボーンオソロシーは緑色の光に包まれる。

 

その光は、輝きを増しながら、一点に集束されていく。

 

「うっ…!?」

と、まぶしさに目を閉じる3人の星剣士(プリキュア)

 

集束された光が消えると…

 

そこには、メグレスがいた。

 

「あれ?

オソロシーは?」

と言うキュアドゥローに

 

「わからない…。」

と答えるキュアトネール。

 

メグレスが顔を上げ、目を開くと…

 

目が真っ赤に光り

「オソロシィィィ…ッ!!」

と叫んだ―。

 

 

上空で様子見していたベネトナーシュ達も、メグレスの変化に絶句していた。

 

「兄ィ…

あれは一体…?」

と訊いてくるアリオトに

 

「オソロシーの体を乗っ取るはずが

メグレスの方がオソロシーに乗っ取られた

んだ…ッ!!」

と言うベネトナーシュ。

 

「おばあちゃんを助けないと…!!」

と、降下していくメグル。

 

「おい、待てッ!!」

とベネトナーシュは止めるが、無視するメグル。

 

「やむをえん…

オレ達も行くぞッ!!」

と、降下する

ベネトナーシュ

アリオト

アルコル

 

 

離れた場所で様子見をしていた茉莉花、静流、ライカは、逆に、メグレスの変化を喜んでいた。

 

「あのババァ☆

オソロシーに乗っ取られてやんの☆」

と、メグレスを嘲笑する静流。

 

「このままいけば…

メグレスを倒せるかもしれない…☆」

と、期待するライカ。

 

「でも…

それほどまでに、メグレスは衰えてしまったのね…。」

と、茉莉花はメグレスを哀れんだ―。

 

 

「おばあちゃぁぁぁん!!」

という声が聞こえたので、キュアシエルが上を向くと…

 

「えっ、誰?」

と、レイピアを持ったメグルが降下してきた。

 

キュアシエルの前に着地したメグルは、そのまま、キュアシエルに斬りかかる。

 

「だ…誰…!?」

と、メグルの斬撃を受け止め、鍔迫るキュアシエル。

 

「おばあちゃんはやらせない!!」

と、キュアシエルを蹴飛ばすメグル。

 

アリオトはキュアドゥローと

ベネトナーシュはキュアトネールに挑む。

 

「メグレス様!!

お気を確かに…!!」

と、オソロシーに乗っ取られたメグレスに声をかけるアルコルだったが…

 

「オソロシーッ!!」

と、アルコルを殴り飛ばすメグレス。

 

「ぐえっ★」

と、メグレスに殴り飛ばされたアルコルは失神した…。

 

続いて、メグルと戦っているキュアシエルに殴りかかる。

 

「おばあちゃん!?」

と振り返ったメグルを

 

「オソロシーッ!!」

と殴り飛ばすメグレス。

 

メグレスに殴り飛ばされたメグルは失神した…。

 

「きゃあ…っ!!」

と、キュアシエルもメグレスに殴り飛ばされる。

 

今度は、アリオトと戦っているキュアドゥローに殴りかかる。

 

「ばあちゃ…

ぶうッ!?

と、メグレスに殴り飛ばされるアリオト。

 

痛ぁぁぁ…ッ★

と、メグレスに殴り飛ばされるキュアドゥロー。

 

そして、ベネトナーシュと戦っているキュアトネールに殴りかかるが…

 

ジャマだッ!!

と、荒魔剣(コウマケン)でメグレスを斬り飛ばすベネトナーシュ。

 

オソロシィィィッ!?

と、火花を散らしながら吹き飛ぶメグレス。

 

(そんな…!?)

と、味方をも平気で攻撃したベネトナーシュに戦慄するキュアトネール。

 

オソロシィィィッ!!

と、両目を真っ赤に光り輝かせながら咆哮すりメグレスに、キュアシエルは必殺技を放つ。

 

「プリキュア・シエル・フラァァァッシュッ!!」

 

キュアシエルの必殺技をくらったメグレスは、ピンク色の光につつまれたが…

 

オォソロシィィィ…ッ!!

と、ピンク色の光をかき消した。

 

そんな…!?

と驚いているキュアシエルを蹴飛ばすメグレス。

 

「大丈夫、シエル!?」

と、蹴飛ばされたキュアシエルのもとに駆け寄るキュアドゥローとキュアトネール。

 

さらに、茉莉花、静流、ライカも駆けつける。

 

「お母さん、どうして…?

私の必殺技が効かない…。」

と、苦しそうな声で茉莉花に訊くキュアシエル。

 

「あれは

メグレスの力を得たオソロシー

よ。

そこに

オソロシー自身の力も加わることで、信じられないほどのパワーアップをしている

んだわ。」

と言う茉莉花。

 

「じゃ、どうすればいいの?」

と訊くキュアシエルに

 

3人の力を、1つに合わせるのよ!!

と言う茉莉花。

 

「わかった…!!

行こう、ドゥロー、トネール!!」

と、立ち上がるキュアシエル。

 

そして、キュアドゥロー、キュアトネールとともに、メグレスに立ち向かう。

 

 

メグレスの前に立ちはだかった

キュアシエル

キュアドゥロー

キュアトネール

は、星剣を鞘に納める。

 

SABER CHARGE

という音が鳴り、再び星剣抜く。

 

空星剣(シエル)!!」

水星剣(ドゥロー)!!」

雷星剣(トネール)!!」

と、各自の星剣の名を叫んで、光輝く星剣を上にかかげる。

 

すると、星剣の刀身から光が伸びる。

 

「「3つの力を1つに!!

プリキュア・トリニティセイバァァァァァッ!!」」

と叫んで、星剣を振り下ろす。

 

すると、星剣の刀身から伸びた光が1つになり、巨大な光の刃となった。

 

オォソロシィィィ…ッ!!

と、光の刃をくらったメグレスは、まばゆい光につつまれたあと、ピンク、水色、金色の粒子となって消滅した。

 

 

その直前…

 

メグルが、失神から目覚めた。

 

そして…

 

メグレスが消滅する光景を見た…。

 

いやぁぁぁ…ッ!!

おばあちゃぁぁぁんッ!!

と、絶叫するメグル。

 

「チッ…ここまでか…ッ!!

退くぞ、アリオトッ!!」

と、撤退を命じるベネトナーシュ。

 

「わかった!!」

と、泣き崩れるメグルを抱えて空に飛び上がるアリオト。

 

「いつまで寝てやがる、アルコルッ!!」

と、いまだ失神しているアルコルを蹴り起こすベネトナーシュ。

 

「退くぞッ!!」

と、空に飛び上がるベネトナーシュ。

 

「ひえっ!?

お…お待ちを〜ッ★」

と、アルコルも慌てて空に飛び上がった…。

 

 

メグレスの消滅により、ホヘィ達も消滅していき…

 

ホヘィにされた人達も、元に戻っていった。

 

空も、すでに夕焼け空になっていた…。

 

 

変身を解いた桃花達は、茉莉花達のもとに駆け寄る。

 

「お母さん!!」

と、茉莉花に飛びつく桃花。

 

「よくやったわ、桃花!!」

と、桃花を抱きしめる茉莉花。

 

「でも…

メグレスの魔剣が…。」

と言う静流。

 

「たぶん、回収されたね。

いつの日か、メグレスの魔剣を受け継いだ者が、新たなメグレスとして出てくるわね…。」

と言うライカ。

 

「大丈夫だって☆

出てきたって、またやっつけちゃうから☆」

と言う南海に

 

「調子に乗らないッ!!」

と、南海の頭にチョップを叩き込む静流。

 

それを見て、みんな笑うのだった―。

 

 

夕闇が迫るなか…

 

ベネトナーシュのアジトでは…

 

 

メグレスの死に泣き崩れるメグルを、アルコルがなだめていた。

 

「アリオト、乱魔剣(ランマケン)は?」

と訊くベネトナーシュに

 

「いや…ボクは…」

回収していないと答えるアリオト。

 

「あの抜け目のないババァのことだ。

剣ごと消滅したとは思えん。」

と言うベネトナーシュ。

 

その時…

 

泣き崩れているメグルの前に…

 

空から乱魔剣(ランマケン)が落ちてきて、地面に刺さった。

 

「これは?」

と、立ち上がったメグルは、地面に刺さった乱魔剣(ランマケン)を抜こうとするが…

 

「ぬ…抜けない…?」

と、驚くメグル。

 

「それは、ただの剣ではない。

それは、我ら『悪魔殿の七騎士』の証たる乱魔剣(ランマケン)。」

と言うベネトナーシュ。

 

乱魔剣(ランマケン)…。」

と、ベネトナーシュの方を見るメグル。

 

「そうだ。

騎士の資格無き者は、その剣を抜くことはできない。」

と言うベネトナーシュ。

 

メグルは、目を閉じ…

 

乱魔剣(ランマケン)の柄を握る―。

 

 

『メグル…。』

と、誰かの声がした。

 

(おばあちゃん?)

 

『そうじゃ。

ワシじゃ。』

 

声の主は、メグレスだった。

 

『すでにワシの体は滅び、いまや、魂だけの存在…。

この姿のまま、この世界に留まり続けることはできぬ…。

しかし…

この世界から去る前に、やることがある…。』

 

(おばあちゃん…?)

 

『お前に…

騎士として、戦う覚悟はあるか?

騎士としての誇りはあるか?

悪魔王様に忠誠を誓うか?』

 

(うん…!!)

 

『なら

騎士として戦う覚悟と

騎士としての誇りと

悪魔王様への忠誠を

示してみよ…!!』

 

 

乱魔剣(ランマケン)の柄を握る手に、力を込めるメグル。

 

すると…

 

乱魔剣(ランマケン)の宝玉と刀身が、緑色に輝き…

 

地面から抜けた―!!

 

 

『メグル…

たった今から、お前は

悪魔殿の七騎士が1人

乱魔剣(ランマケン)のメグレス14世

じゃ…!!』

 

 

「私は…」

と、メグルは目を開き、乱魔剣(ランマケン)をかかげ

 

「私は

悪魔殿の七騎士が1人

乱魔剣(ランマケン)のメグレス14世!!

と名乗りをあげた―。

 



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バレた!? 星剣士(プリキュア)の秘密
その1



 

メグレス達と戦ってから3日後―。

 

 

学校に行くため、一緒に家を出る桃花と凛花。

 

「じゃ、気をつけてね。」

と、バイクにまたがる凛花。

 

「うん☆」

と答える桃花。

 

走り去る凛花のバイクを見送ると、桃花はバス停に向かって歩き出した―。

 

 

バス停で、南海と れもん と出会う桃花。

 

「おはよう☆

南海、れもん☆」

 

「おはよう、ももちゃん☆」

 

「おはよう、桃花☆」

と、挨拶をかわす桃花、南海、れもん。

 

「あれから3日経つけど…

何も無いね?」

と言う桃花。

 

「そうね…。」

と答える南海。

 

「なまじ、静かにしてるってぇのが、かえって不気味よね…。」

という れもん の発言を聞いた南海が

 

「尻尾を巻いて、逃げ出したのかしら?」

と言う。

 

「んなわけないでしょ。

どうせまた、出てくると思うよ…。」

と言う れもん―。

 

 

学校に着くと…

 

「何だ、ありゃ?」

と、校内掲示板前に人だかりができているのを見た れもん。

 

「行ってみよっか。」

と、桃花、南海、れもん も、掲示板前に行く。

 

その掲示板には…

 

桃花、南海、れもん にとって

衝撃的な内容

の校内新聞が貼られていた。

 

 

突如現れた謎の怪物に挑む3人の美少女戦士!!

 

 

校内新聞の見出しを見て、言葉を失う桃花達…。

 

しかも、3日前の、メグレスとの戦いの時の写真までもが掲載されていた…

 

 

人だかりから抜け出した桃花、南海、れもん は、額を寄せ合う…。

 

「あれ…

私達だよね…?」

と言う桃花に

 

「当たり前じゃない★」

とツッコむ南海。

 

「ま、いつかは話題になるんじゃないかと思ってたけどね…。」

と言う れもん。

 

と、そこに

「あら?

空良さんじゃない☆」

と、2人の少女が現れた。

 

背の高い少女は、カメラを持っている。

 

「ま…

眞呉(ますこ)先輩…。」

と言う桃花。

 

桃花達の前に現れた、カメラを持った、背の高い少女の名前は

新聞部の部長

眞呉(ますこ) 美佐(みさ)

 

「新聞部が、私達に何の用?」

と訊く れもん。

 

「もちろん、あるわよ☆

空良さん☆」

と、桃花に声をかける美佐。

 

「な…何ですか?」

と訊く桃花に

 

「来週、ハンドボール部の試合だけど…

空良さん、出るの?」

と訊く美佐。

 

「そういえば、そうでしたね…。

出られたら出ます…。」

と答える桃花。

 

「なるほど…☆

ところで、あなた達…

あの、謎の美少女戦士について、どう思う?」

と訊く美佐。

 

「どう…って言われても…。」

と、答えに困窮する桃花。

 

「あの、デッカい怪物に立ち向かう、正義の味方としか言えないわね…。」

と言う れもん。

 

「だいたい、何でそんなことを、私達に訊くのよ?」

と訊く南海。

 

美佐は、一緒にいる少女からタブレットを受け取る。

 

そして

昨日のあの場所に、あなた達がいたからね。」

と、3日前の戦いで、マンモスボーンオソロシーに向かっていく光景の画像を見せる美佐。

 

!!

 

それを見て、驚く桃花達…。

 

「あの場所にあなた達がいたから、あの美少女戦士について、何か知っているんじゃないかと思って、あなた達に訊いてるんだけど?」

と言う美佐。

 

「あの日…

何が起きているのか見に行ったんだけど…

デッカい怪物がいたから、恐くなって逃げたのよ。

だから、あの美少女戦士の姿は見ていないわ。」

とごまかす れもん。

 

「そう…。」

と、れもん の回答に納得したのか、タブレットを一緒にいる少女に返す美佐。

 

「あの…

もうすぐ、ホームルームの時間だから…

私達、行くね…!!」

と、逃げ出す桃花。

 

「あっ!?

こら、待てぇー★」

と、桃花を追いかける南海。

 

れもん は、一礼してから、桃花と南海の後を追った―。

 

 

走り去っていった桃花達を見て

「綾香。」

と、一緒にいる少女に声をかける美佐。

 

「何ですか?」

と訊く綾香に

 

「空良さんの『こちらの質問』とかけて『心ここにあらずな返事』ととく

そのこころは?」

と言う美佐。

 

(また始まったよ…★)

と、あきれつつ

「その、意味不明な質問の仕方、やめてくれませんか?

ちなみに、答え、わかんないです★」

と言う綾香。

 

「『こちらの質問』とかけて『心ここにあらずな返事』ととく。

そのこころは

『今は、それどころじゃない』

ね。」

と言う美佐。

 

「どういうことですか?」

と訊く綾香。

 

「空良さん…

もうすぐ試合だというのに

試合よりも優先すべきことがある

ってことよ。」

と言う美佐。

 

「何ですか、それは?」

と訊く綾香に

 

「『綾香の質問』とかけて『私の推理』ととく。

そのこころは?」

と言う美佐。

 

綾香はあきれながら

「わかりません★」

と答える。

 

「『綾香の質問』とかけて『私の推理』ととく。

そのこころは…

『今から調べる』

のよ…☆」

と、美佐はアヤしく微笑んだ…。

 

 

昼休み―。

 

中庭で弁当を食べる桃花達―。

 

 

「これから、どうしよう?

オソロシーが現れるたびに、新聞部も…

いや、眞呉先輩も来るんだよね…?」

と言う桃花。

 

「毎回ってことはないだろうけど…

しかし、毎回来るとしたら、本物の新聞社だね。

あいつらはプロだから、写真撮影の腕は眞呉先輩以上だよ…。」

と言う れもん。

 

「バレないように戦う方法って、ないのかな?」

と言う南海。

 

「そんな、都合のいい方法があればねぇ…。」

と嘆く れもん。

 

「それはそうと…

ももちゃん、来週の試合、どうなの?」

と、話題を変える南海。

 

「どうって?」

と訊く桃花。

 

「だから、試合に出るのかどうかよ?

ももちゃん、一応、レギュラーなんでしょ?」

と言う南海。

 

桃花はハンドボール部に所属しており、1年生ながら、一応、レギュラーの座を獲得している。

 

「ホント、一応だからね★

出られるかどうかは微妙だね★」

と言う桃花。

 

「ま、出なくても、ちゃんと応援には行くよ☆」

と言う れもん。

 

「うん、ありがとう☆」

と喜ぶ桃花―。

 

 

その頃、鶴城山にある、ベネトナーシュのアジトでは…

 

 

「ベネトナーシュさま〜☆

アリオトさま〜☆」

と、走ってくるアルコル。

 

「何だよ、オッさん★」

と言うアリオト。

 

「ごらんください☆

メグレス様がお産みになられた、新鮮なオソロシーの卵にございます☆」

と、メグレスが産んだオソロシーの卵を見せるアルコル。

 

「ほぅ…。

2つあるのか…。」

と、アルコルから卵をひったくるベネトナーシュ。

 

そして…

 

その内の1つを食べた…。

 

なんてことをするんですかァッ!?

ベネトナーシュ様ァッ!!

何度も言わせないでくださいッ!!

これは食べ物じゃないんですよォッ!!

と、烈火の如く怒るアルコル。

 

しかし、ベネトナーシュは

腹ごしらえ

も済んだ。

行ってくる。」

と、アルコルの怒りなど、全く意に介さなかった。

 

「ボクも行くよ、兄ィ!!」

と言うアリオトだったが

 

「お前は来るな。

また、雷の星剣士(キュアトネール)にやられるのがオチだ。」

と、ベネトナーシュに断られてしまった。

 

属性の都合で、アリオトはキュアトネールに不利だ。

 

その証拠に、アリオトは2度もキュアトネールに敗れている。

 

「わかったよ…。」

と、引き下がるアリオト。

 

お前はメグレスのそばにいてやれ

行くぞ、アルコル!!」

と、赤い光球となって、空に飛び上がるベネトナーシュ。

 

「あぁっ★

お待ちください、ベネトナーシュ様ぁ★」

と、ベネトナーシュを追いかけるアルコル…。

 

 

ベネトナーシュとアルコルがいなくなると…

 

(そばにいてやれ…か☆)

と、アリオトは卑下た笑みを浮かべた…。

 

そして…

 

 

アジトから少し離れた茂みの中に、メグレスが寝ていた…。

 

そこに、アリオトが来た。

 

「何しに来たのよ…。」

と訊くメグレス。

 

「何だ…

起きてたのか…★

具合はどう?」

と訊くアリオト。

 

「いいわけないでしょ…。

初めての産卵だったんだから…。

それよりも、何しに来たのよ?

産卵終えたばかりの女のそばに来るなんて…

アンタ、デリカシー無さ過ぎよ…。」

と言うメグレス。

 

「仕方がないだろ★

兄ィに言われたんだ。

そばにいてやれって★」

と言うアリオト。

 

「アンタねぇ…

そばにいてやれって言葉の意味を取り違えてない?」

と言うメグレス。

 

「そんなことないよ…☆

さっき、兄ィとオッさんが出撃したよ。

つまり…

今、ここには、キミとボクしかいないんだ…☆

と、卑下た笑みを浮かべるアリオト。

 

「はぁっ!?」

と、目を見開くメグレス。

 

「キミって…

かわいいねぇ…♡

と、アリオトはメグレスに…

 



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その2


 

鶴城市上空に来た、ベネトナーシュとアルコル―。

 

 

「大丈夫なんだろうな?」

と言うベネトナーシュ。

 

「何がですか?」

と訊くアルコルに

 

「メグレスが産んだ卵だ。」

と、懐からオソロシーの卵を出すベネトナーシュ。

 

「メグレス樣が、初めてお産みになられた卵です。

生まれてくるオソロシーも、それほど強くないでしょう。

ですから、ベネトナーシュ様がオソロシーと一体化する必要があるでしょう。」

と言うアルコル。

 

「結局は、そうなるのか…。」

と、卵に魔力を込めるベネトナーシュ。

 

そして…

 

奏でよ、オソロシーッ!!

と、地上に向けて卵を投げるベネトナーシュ。

 

道路に落ちた卵は割れ砕け、電光と赤い煙が噴き出す。

 

煙が晴れると…

 

オォソロシィーッ!!

と、クラリネットのオソロシー

クラリネットオソロシーが出現した―!!

 

突如、巨大な怪物が現れたことで、街は大パニックになった。

 

「オ〜ソロシィ〜」

と、破壊音波を放つクラリネットオソロシー。

 

しかし…

 

その威力は、ビルや車の窓に亀裂が入る程度だった…。

 

「ダメですね…。」

と、困り顔をするアルコル。

 

「チッ★

オソロシーと融合なんて、あんま、やりたくないんだがな…。」

と、ベネトナーシュは赤い光球に変化すると、クラリネットオソロシーの体内に飛び込んだ―。

 

「オ…

オ…

オソロシィィィ…ッ!!

という唸り声をあげながら、クラリネットオソロシーの目は赤く輝き…

 

体も1.5倍ほど、大きくなった―。

 

オ ソ ロ シィィィ…ッ!!

と、破壊音波を放つクラリネットオソロシー。

 

その威力は、先ほどとはケタ違いだった―!!

 

ビルや車が、次々と爆発していく―!!

 

鶴城市は、地獄絵図と化した…。

 

 

鶴城中学校では、午後の授業が始まろうとしていた時だった。

 

街に巨大な怪物が現れたとのことで、全校生徒に避難指示が出された。

 

もちろん、桃花達は街に向かう…

 

と同時に、美佐と綾香は…

 

桃花達を追いかける―。

 

「先輩…

どうして、空良さん達は、街に向かっているのですか?」

と訊く綾香。

 

「『街に怪物が出現』とかけて『街に向かう空良さん達』ととく。

そのこころは?」

と言う美佐。

 

「わかりません★」

と、ため息をついて答える綾香。

 

「『街に怪物が出現』とかけて『街に向かう空良さん達』ととく。

そのこころは『謎の美少女戦士と関わりがある』と思うのよ☆」

と言う美佐。

 

桃花達に気づかれないように追いかけていたが…

 

「ん…!?」

と、前方に見える光景を見て、驚く美佐。

 

桃花達の前に、右から走ってきたランドクルーザーが停まり…

 

桃花達がランドクルーザーに乗ったのだ―。

 

 

走り去っていくランドクルーザーの後ろ姿を、小さな双眼鏡で見る美佐。

 

「鶴城302 な 35-79」

と言う美佐。

 

「何ですか、その数字?」

と訊く綾香。

 

「あのランクルのナンバーよ☆」

と言う美佐。

 

「見えたんですか!?」

と驚く綾香。

 

「あとで、そのナンバー、ググってみて☆」

と、綾香に双眼鏡を見せながら言う美佐。

 

「ところで…

これから、どうしますか?」

と訊く綾香。

 

「『街で暴れる怪物』とかけて『やっぱり恐い』ととく。

そのこころは?」

と言う美佐。

 

「わかりません…。」

と、あきれながら答える綾香。

 

「『街で暴れる怪物』とかけて『やっぱり恐い』ととく。

そのこころは

『私達の出番はここまで』

学校に戻りましょう。」

と、学校に向かって駆け出す美佐。

 

「ちょっと待ってよ〜★」

と、美佐の後を追う綾香―。

 

 

静流のランドクルーザーで、鶴城市に向かう桃花達―。

 

 

「また楽器のオソロシーか…。

と、いうわけで、南海は、今回もお留守番★」

と言う静流。

 

「お母さんの時はどうしてたの?」

と訊く桃花。

 

風の星剣士(プリキュア)能力(ちから)で、楽器のオソロシーの能力を無力化

していたの。」

と言う茉莉花。

 

「どういうこと?」

と訊く南海。

 

音って空気の振動

なの。

だから

風の星剣士(プリキュア)の風を操る能力(ちから)で、楽器のオソロシーの周囲を真空状態にして、オソロシーの能力を無力化

していたのよ。」

と言う静流。

 

「風の星剣士(プリキュア)に、そんな能力(ちから)が…!?」

と驚く れもん。

 

「みんな…

無事かな…?」

と、生き別れになった

火の星剣士(プリキュア)・キュアフラム

土の星剣士(プリキュア)・キュアテール

風の星剣士(プリキュア)・キュアヴァーン

のことを思い出すライカ。

 

「きっと…

元気ですよ…☆」

と言う桃花。

 

「そうね。」

と、微笑む茉莉花。

 

 

やがて、静流のランドクルーザーは、市街地の大通りに出る。

 

「じゃ、行ってくるね…!!」

と車から降りる桃花と れもん。

 

「気をつけてね…!!」

と、悔しそうな顔をする南海…。

 

 

暴れまわるクラリネットオソロシーに向かって走る、桃花と れもん―。

 

「シエル!!」

「トネール!!」

と叫ぶと

桃花の影から空星剣シエルが―

れもん の影から雷星剣トネールが

飛び出す。

 

星剣を手にした桃花と れもん は

プリキュア!!

セイバーオン!!

と叫んで、星剣士(プリキュア)に変身する―!!

 



 

空良 桃花

稲妻 れもん

星剣士(プリキュア)に変身する時間は、わずか7/100ミリ秒にすぎない。

 

では、もう一度見てみよう―!!

 

 

プリキュア!!

セイバー・オン!!

という掛け声とともに、星剣の刀身が光り輝き、その光に包まれる。

 

すると、桃花と れもん の着衣は光に分解される。

 

光に分解された着衣は

星剣士の鎧(プリキュアーマー)

に再構成され、体に装着されていく。

 

理由は不明だが、星剣士の力の源(エネルギー)は頭髪に蓄えられるため、その影響で、頭髪が通常の倍以上に伸びる。

 

同時に、体をつつんでいた星剣の光も消えることで…

 

わずか、7/100ミリ秒で、星剣士(プリキュア)への変身は完了するのだ―!!

 



 

空の星剣士(プリキュア)!!

空星剣・キュアシエル!!

 

雷の星剣士(プリキュア)!!

雷星剣・キュアトネール!!

と、名乗りをあげ、クラリネットオソロシーの前に立ちはだかる、キュアシエルとキュアトネール。

 

『現れたか、星剣士(プリキュア)ッ!!』

と叫ぶ、クラリネットオソロシーに融合しているベネトナーシュ。

 

「オソロシーが、しゃべった!?」

と驚くキュアシエル。

 

「あの声はベネトナーシュ…?

なるほど…

この前のメグレスと同じで、オソロシーと一体化しているんだ…!!」

と言うキュアトネール。

 

『その通りだッ!!

もっとも

死んだ

メグレスのババァと違って、オレはしっかりとオソロシーを支配しているがな…ッ!!』

と、破壊音波を放つクラリネットオソロシー。

 

「「うわあああああああっ!!」」

と、クラリネットオソロシーが放った破壊音波をくらい、耳をふさぎ、うずくまるキュアシエルとキュアトネール。

 

街路樹が折れ砕け、車が爆発し…

 

2人の星剣士の鎧(プリキュアーマー)にも亀裂が入っていく…。

 

「トネール、どうする!?」

と訊くキュアシエル。

 

「これじゃ、近づくこともできない…!!

いったん退がろう…!!」

と言うキュアトネール。

 

2人はジャンプして後退する。

 

すると…

 

「やっぱりね…。

離れたら、多少は緩和されたわね…。」

と言うキュアトネール。

 

やはり、クラリネットオソロシーの攻撃の本質は『音』なので、距離が離れるにしたがって、威力も落ちてくる。

 

しかし…

 

「でも、これじゃ戦えないよ…。」

と言うキュアシエル。

 

クラリネットオソロシーとは逆に、星剣士(プリキュア)の基本戦術は接近戦なので、距離が開くと不利になる。

 

「アイツの音は

攻防一体

だから、接近戦は愚の骨頂ね…。

だから

遠距離攻撃をしかけて、隙をみて斬り込む…!!

と、星剣をかまえるキュアトネール。

 

そして

プリキュア・トネール・シュゥトォッ!!

と、星剣から雷光を放った。

 

キュアシエルも

プリキュア・シエル・シュゥゥゥトッ!!

と、星剣からピンク色の光弾を放った。

 

2人の攻撃は、クラリネットオソロシーに直撃したが…

 



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その3


 

キュアシエルとキュアトネールの攻撃は、クラリネットオソロシーに直撃したのだが…

 

クラリネットオソロシーは、まったくの無傷

だった…!!

 

「そんな…!?」

と、驚くキュアシエル。

 

「ぬかったね…。

そういや、この前の時、キュアドゥローの必殺技が効かないんだった…。」

と言うキュアトネール。

 

キュアシエルのシエルシュートも、キュアトネールのトネールシュートも、あくまで牽制用の技だ。

 

騎士と融合し、星剣士(プリキュア)の必殺技すら効かないくらい強化されたオソロシーに、牽制用の技など、通用するわけがない。

 

「どうすればいいの?」

と訊いてくるキュアシエルに

 

「どうやら、アイツを倒すには、この前みたいに、3人そろわないとダメみたいね…。」

と言うキュアトネール。

 

「でも…南海…

キュアドゥローは…。」

と言うキュアシエル。

 

「うん…。

キュアドゥローは、音に弱いからね…。」

と言うキュアトネール。

 

 

水は音を伝える…。

 

水の星剣士(プリキュア)・キュアドゥローも、その性質(弱点)のせいで、楽器のオソロシーの攻撃をくらうと、倍のダメージをうけてしまうのだ…。

 

 

音を遮断する方法

があればいいんだけど…。」

と悩むキュアトネール。

 

しかし、ビルすら破壊するほどの威力の破壊音波を放つオソロシーが発する音を遮断する方法など、あるはずがなかった…。

 

 

その時…

 

雨が降ってきた…。

 

 

静流のランドクルーザーの中では―。

 

 

「南海ッ☆

出番よッ☆」

と叫ぶ静流。

 

「どういうこと?」

と訊く南海。

 

この雨を使って、あのオソロシーを水の中に閉じ込めるのよ☆

と静流が言うが

 

「だから…どゆこと?」

と、南海には、まったく合点がいかない…。

 

「南海は水の星剣士(プリキュア)なんだから

水を操る能力

があるのよ☆

雨を集めて水の牢獄を作り、その中にあのオソロシーを閉じ込める

のよ☆」

と静流が説明するが

 

「じゃ、どうなるの?」

と、まだ、南海は理解できない…。

 

「水は音を伝える。

けど

楽器は水の中では音を出せない

でしょ☆」

と静流に言われて、ようやく、南海も理解した。

 

「ただし、あのオソロシーの攻撃によるダメージは倍になるから…

辛いけど、耐えるのよ…!!」

と言う静流。

 

「うん…!!」

と、うなずく南海。

 

そして、星剣を出そうとしたが…

 

「あっ…。」

 

曇空なので、地面に影ができないため、星剣が出せない…。

 

「車の前に来なさい!!」

と、南海を呼ぶ静流。

 

ランドクルーザーの前に来た南海に向けて、ヘッドライトをつける静流。

 

すると、地面に南海の影ができた。

 

「ありがとう、お母さん☆

ドゥロー!!」

と、静流に礼を言い、星剣を召喚する南海。

 

そして、星剣士(プリキュア)に変身する―!!

 

プリキュアッ!!

セイバー・オンッ!!

 



 

水崎 南海がキュアドゥローに変身する時間は、わずか7/100ミリ秒にすぎない。

 

では、もう一度、見てみよう―!!

 

 

プリキュアッ!!

セイバー・オンッ!!

という、南海の掛け声とともに、水星剣(ドゥロー)の刀身が水色の光を放ち、南海は水星剣(ドゥロー)の刀身が放った水色の光につつまれる。

 

すると、南海の着衣は、水色の光に分解される。

 

水色の光に分解された南海の着衣は

星剣士の鎧(プリキュアーマー)

に再構成され、南海に装着されていく。

 

理由は不明だが、星剣士の力の源(エネルギー)は頭髪に蓄えられるため、その影響で、南海の頭髪は、通常の倍以上に伸びる。

 

同時に、南海の体をつつんでいた水色の光も消えることで、水崎 南海は、わずか7/100ミリ秒でキュアドゥローへの変身を完了するのだ―!!

 



 

水の星剣士(プリキュア)!!

水星剣・キュアドゥロー!!

と、名乗りをあげるキュアドゥロー。

 

そして、クラリネットオソロシーに苦戦しているキュアシエルとキュアトネールのもとに向かっていった―。

 

 

降りしきる雨の中…

 

 

オ ソ ロ シィィィッ!!

と、破壊音波を放つクラリネットオソロシー。

 

「「うわあああああああっ!!」」

と、クラリネットオソロシーが放つ破壊音波を防ぐ手段が無いキュアシエルとキュアトネールは、ひれ伏すしかなかった…。

 

そこに

「シエル!!

トネール!!」

と、キュアドゥローが来た。

 

「バカッ!!

何しに来たのよ…ッ!!」

と叫ぶキュアトネール。

 

「逃げて…!!」

と叫ぶキュアシエル。

 

「何言ってんのよっ!!

私は、2人を助けに来たのよ…っ!!」

と、星剣をかまえるキュアドゥロー。

 

『ハッハッハッ!!

何のつもりかは知らんが、音に弱いお前に、何ができる!?』

と、キュアドゥローを嘲笑するベネトナーシュ。

 

「知れたことっ!!

お前を倒すっ!!

と、啖呵を切るキュアドゥロー。

 

『寝言は寝てる時に言えッ!!

やれ、オソロシーッ!!』

と叫ぶベネトナーシュ。

 

オ ソ ロ シィィィッ!!

と、破壊音波を放つクラリネットオソロシー。

 

うわあああああああっ!!

と、クラリネットオソロシーが放つ破壊音波をくらい、悲鳴をあげるキュアドゥロー。

 

「うぅ…

負けるもんかぁ…っ!!」

と、星剣士の鎧(プリキュアーマー)が亀裂だらけになりながらも、キュアドゥローは星剣をかかげた。

 

「雨よ…

集まれぇぇぇ…っ!!

とキュアドゥローが叫ぶと、星剣の刀身が水色に光り輝き…

 

雨が星剣の先端に集まってきた―!!

 

「す…すごい…!!」

と、雨がキュアドゥローがかかげる星剣の先端に集束されていく光景を見て、驚嘆するキュアシエル。

 

やがて…

 

キュアドゥローの頭上に…

 

直径50メートルはあろう巨大な水の玉

ができあがった…!!

 

それを…

 

いっけぇぇぇ…っ☆

と、クラリネットオソロシーに向けて放つキュアドゥロー。

 

『なにぃッ!?』

「オソロシ!?」

と、キュアドゥローが放った巨大な水球に包まれるクラリネットオソロシー。

 

『こんなものッ!!

やれ、オソロシー!!』

と叫ぶベネトナーシュ。

 

しかし…

 

オ ゾ ロ ジ…ッ!?

と、クラリネットオソロシーは破壊音波を放とうとしたが…

 

音が出ない…!?

 

 

「あれは…!?」

と驚くキュアシエル。

 

「水の中なら、満足に音も出せないでしょ☆」

と、ウィンクするキュアドゥロー。

 

「よ〜し…!!

行こう、ドゥロー、トネール!!」

キュアシエル

キュアドゥロー

キュアトネール

は、星剣を鞘に納める。

 

SABER CHARGE

という音が鳴り、再び星剣抜く。

 

空星剣(シエル)!!」

水星剣(ドゥロー)!!」

雷星剣(トネール)!!」

と、各自の星剣の名を叫んで、光輝く星剣を上にかかげると、刀身から光が伸びる。

 

星剣の刀身から伸びた光は1つになり、巨大な光の刃となった。

 

「「3つの力を1つに!!

プリキュア・トリニティセイバァァァァァッ!!」」

と叫んで、星剣を振り下ろす―!!

 

 

「チィッ!!

ここまでか…ッ!!」

と、クラリネットオソロシーの体内から飛び出すベネトナーシュ。

 

一方

オォソロシィィィ…ッ!!

と、光の刃をくらったクラリネットオソロシーは、まばゆい光につつまれたあと、ピンク、水色、金色の光の粒子となって消滅した…。

 

 

「おぼえておれ、星剣士(プリキュア)ども…ッ!!」

と捨て台詞を残してテレポートするベネトナーシュ。

 

「あぁっ★

待ってください、ベネトナーシュ様ぁっ★」

と、ベネトナーシュを追ってテレポートするアルコル…。

 

 

光の粒子が降り注ぎ、破壊されたビルや車が…

 

ボロボロになっていた桃花達の制服も、元に戻っていく…。

 

雨もいつの間にかやみ、青空が広がっていた―。

 

 

「これでもう、楽器のオソロシーが出てきても、隠れる必要はなくなったわね☆」

と、ふんぞり返る南海だったが

 

「何言ってんの★

あれは

雨が降っていたから使えた手

であって、晴れてる日には使えないのよ★」

と、南海を諌める静流。

 

「えぇっ★

そんなぁ…。」

と、しょげかえる南海…。

 

 

「眞呉先輩達…

来てたのかな?」

と言う桃花。

 

「たぶんね…。

どっかで、私達を見ていたと思うよ…。」

と言う れもん。

 

「何の話をしてるの?」

と訊いてくるライカに

 

「じつはね…」

と、れもん は事情を話した…。

 



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その4


 

「なるほど…。

新聞部が れもん達の秘密を追っているのか…。」

と、れもん から事情を聞いたライカが言う。

 

「今の戦いも、どっかで見ていたと思う。

お母さん…

どうすればいいと思う?」

と、静流に訊く南海。

 

「いや…

私に訊かれても…★」

と、言い逃れる静流…。

 

「だったら

あえて秘密を教える

のも手よ。」

と言う茉莉花。

 

「どういうこと?」

と訊く桃花。

 

「秘密が気になって戦いに集中できないんだったら、いっそのこと、相手に秘密を教えた方が、桃花達もスッキリするでしょ?」

と言う茉莉花。

 

「なるほどね…。

たしかに☆」

と納得する れもん。

 

 

その後、学校に戻った桃花達は放課後、新聞部の部室に行った。

 

そして、自分達が星剣士(プリキュア)であることを話した。

 

事の重要性を理解した美佐は

「『今日、あなた達は、ここには来ていない』とかけて『私は、あなた達とも会っていない』ととく。

そのこころは『今の話は聞かなかったことにする』☆」

と言った。

 

(つまり…どゆこと?)

と、小声で れもん に訊く南海。

 

(まぁ…ようするに

秘密は守る

ってことを言いたいみたい…。)

と、小声で南海に教える れもん。

 

その後、桃花達は

「ありがとうございます☆」

と礼を言い、新聞部の部室をあとにした―。

 

 

一方、ベネトナーシュとアルコルが、鶴城山のアジトに戻ってきたら、メグレスがアリオトの滅魔剣を持っていた。

 

「何で、お前がアリオトの滅魔剣を持っているんだ?」

と訊くベネトナーシュ。

 

「本人に訊けば?」

と、ベネトナーシュに滅魔剣を渡すメグレス。

 

しかし、ここに、アリオトはいない…。

 

「お前…

アリオトと何かあったのか?」

と訊くベネトナーシュ。

 

「だから、本人に訊いてよ…!!」

と苛立つメグレス。

 

メグレスの態度に、ただならぬものを感じたベネトナーシュは、麓の池に向かった…。

 

 

陽が沈み、夕闇が迫りくる頃…

 

麓の池に来たベネトナーシュは、滅魔剣を池に投げ入れた。

 

数秒後…

 

「をろあ!!」

と、池からアリオトが上がってきた。

 

「ちくしょう!!

あの女…

ふざけやがって…!!」

と、悪態をつくアリオト。

 

「お前…

メグレスに何をした?」

と訊くベネトナーシュ。

 

「聞いてくれよ、兄ィ★

ボクは、兄ィに言われた通り、メグレスのそばにいてあげたんだよ★

でもさ…

メグレスって、けっこうカワイイじゃん☆

で、ボクだって男だからさ、カワイイ女の子と2人っきりになったらさ、ガマンできないわけよ☆

と言い出すアリオト…。

 

 

ベネトナーシュも男。

 

アリオトがメグレスにナニをしたのか理解した―。

 

 

けど、ちょっとこっちがふざけただけなのに、メグレスのヤツ、本気になりやがって…★

と、まだ、自分勝手なことばかり言っているアリオトに、ベネトナーシュは―

 

 

空がすっかり真っ暗になった頃…

 

ベネトナーシュが、滅魔剣を持って戻ってきた。

 

そして

「これは、お前が預かっていろ。」

と、アルコルに滅魔剣を渡した。

 

「えっ?

どういうことですか、ベネトナーシュ様?」

と訊くアルコル。

 

アイツに騎士の資格は無い…!!

と言うベネトナーシュ。

 

「へぇ…。

ベヌゥには資格あるんだ…★」

と言うメグレス。

 

「どういう意味だ?」

と、メグレスを睨むベネトナーシュ。

 

おじさん(アルコル)から聞いたよ…!!」

と、メグレスは乱魔剣を抜いて、ベネトナーシュに駆け寄り―

 

ぬぐッ!?

 

ベネトナーシュの腹部に乱魔剣を突き刺すメグレス―!!

 

何のつもりだ

メグレスゥッ!!

と、うめくベネトナーシュ。

 

私が産んだ卵を食べた

んですってね…!!

私は

ベヌゥに食べさせるために卵を産んだんじゃないのよ!!

と叫んで乱魔剣を抜くメグレス。

 

き…貴様…ッ!!

と両膝をつき、うつ伏せに倒れたベネトナーシュは…

 

まもなく、息絶えた…。

 

 

「ベ…ベネトナーシュ様ぁ…!!」

と、メグレスがベネトナーシュを殺害する光景を見て、腰を抜かすアルコル。

 

おじさん(アルコル)

これ…。」

と、荒魔剣をアルコルに渡すメグレス。

 

「メ…メグレス様…。

こ…これから…

どうなさるおつもりで…!?」

と訊くアルコル。

 

「どうもこうもないわ。

星剣士(プリキュア)どもは、私が倒す…!!」

と言うメグレス。

 

「そういうことではございません!!

このことを

ドゥーベ様

に、何とご説明なさるおつもりですか!?」

と言うアルコル。

 

ドゥーベ様

は、話の分かるお方…。」

と言うメグレス。

 

そして、鶴城市を見下ろし

この世界は、生命力に満ちあふれている

この世界の…

いや…

この星の生命(いのち)を手に入れることができれば、アクマスター様をよみがえらせることができる…!!

と言うメグレス。

 

「そ…その通りでございます…!!」

と言うアルコル。

 

「すでに

この世界と聖星界を結ぶ道はできている

わ。

私が星剣士(プリキュア)を倒し

ドゥーベ様をはじめ

メラク

フェクダさん

ミザール様

を呼びよせて、この星の生命(いのち)を手に入れるのよ…!!」

と言うメグレス。

 

「な…なるほど…☆

しからば、このアルコル…

微力ながら、メグレス様にお力添えをいたします☆」

と、メグレスにひざまずくアルコル。

 

(待っていなさい、星剣士(プリキュア)ども…!!

おばあちゃん(先代メグレス)の仇…

とらせてもらうわ…!!)

と、メグレスは夜空を見上げた―。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

聖星界―。

 

 

「オソロシーッ!!」

と、トカゲのオソロシーが尻尾を振り回す。

 

その攻撃を、ジャンプしてかわす2人の星剣士(プリキュア)―。

 

着地した、緑の星剣士の鎧(プリキュアーマー)星剣士(プリキュア)・キュアテールが、星剣を地面に突き刺し

「プリキュア・テール・アッパー!!」

と叫ぶと…

 

トカゲのオソロシーの真下から、突如、地面が隆起し、トカゲのオソロシーを上空に飛ばし上げた―!!

 

「ヴァーン!!

今よ!!」

と叫ぶキュアテール。

 

背の低い、紫の星剣士の鎧(プリキュアーマー)星剣士(プリキュア)・キュアヴァーンが、星剣を鞘に納める。

 

すると

SABER CHARGE

という音が鳴った。

 

再び星剣を抜くと、刀身が紫色に輝いていた。

 

そして…

 

「プリキュア・ヴァーン・トルネードー!!」

 

と叫んで、星剣を振り下ろす。

 

すると、星剣の刀身から、巨大な紫色の竜巻が放たれた―!!

 

ヴァーントルネードをくらったトカゲのオソロシーは

オソロシィィィ…ッ★

と、紫の光の粒子となって消滅した…。

 

 

「ぬぅぅ…★

不甲斐ないオソロシーだ…★」

と嘆くのは、悪魔殿の七騎士の一人

争魔剣(ソウマケン)のフェクダ13世

 

身長が2メートルをこえる大男だ。

 

「今日は、このへんで勘弁してやろう★」

と、撤収しようとするフェクダ。

 

しかし

「逃げられると思うな…ッ!!」

と言い放つのは、フェクダと対峙している、赤い星剣士の鎧(プリキュアーマー)星剣士(プリキュア)・キュアフラム。

 

「むっ!?」

と、フェクダが後ろを振り向けば、キュアテールとキュアヴァーンがいた。

 

「しつこい女は嫌われるぞ★」

と、争魔剣をかまえるフェクダ。

 

「大きなお世話です!!

プリキュア・テール・ホールド!!」

と、星剣を地面に突き刺すキュアテール。

 

すると…

 

なっ!?

 

フェクダの足が岩で固められた!!

 

「う…

動けんぞ…★

と叫ぶフェクダ。

 

「終わりだ、フェクダッ!!」

と、叫ぶ星剣を鞘に納めるキュアフラム。

 

すると

SABER CHARGE

という音が鳴った。

 

再び星剣を抜くと、刀身が紅く輝いていた。

 

そして…

 

「プリキュア・フラム・インフェルノォォォッ!!」

 

と叫んで、星剣を振り下ろす。

 

すると、星剣の刀身から、巨大な火球が放たれた―!!

 

なんのこれしきィィィ…ッ★

と、キュアフラムが放った火球を争魔剣で受け止めるフェクダ。

 

すると…

 

「うおっ★

あっちィィィ…ッ!!

と火だるまになるフェクダ…。

 

その時!!

 

フェクダの腰の右から、強烈な閃光が放たれた―!!

 

「うおぉっ★

なんということだぁッ★

次元移転球が誤作動

したぁッ★」

と叫ぶフェクダ。

 

「な…何だ、一体…!?」

と、フェクダの腰から放たれる強烈な閃光に顔をそむけるキュアフラム。

 

そして…

 

フェクダの腰から放たれる強烈な閃光が広がり…

 

 

光が消えると…

 

フェクダ…

 

キュアフラム…

 

キュアテール…

 

キュアヴァーン…

 

の姿が、その場から消えていた…。

 



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