エメラルド色の思い出 (綾凪九尾)
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キングヘイローとの出会い(第1R)

「パパ!パパ!」

 

「どうした?イチリュウ」

 

「このパパの隣で笑ってる人がママ?」

 

「そうだな。この時の写真は『高松宮記念』だったかな?」

 

「ねぇねぇ!ママとの思い出聞きたい!」

 

俺は思い出を語ろうと子供を椅子に座らせ、口を開こうとすると台所から

 

「あなた、恥ずかしいからやめて欲しいのだけど。」

 

と言われたが、俺は「別にいいだろ?減るものじゃないし。それにヘイローとの思い出は今日だけじゃあ語りきれないじゃないか。」と言い返す。ヘイローは「まあ…そうね。語る権利をあげてもいいわよ?」と答えた。

 

「やった!パパ!早く早く!」

 

「そうだな…どこから話すか…」

 

俺はどこから話すか悩んでいるとヘイローが話に入ってきた。

 

「普通は初めからよ…年取ってきたじゃないかしら?」

 

「年取ってねぇよ。じゃあ思い出話のはじまりはじまり〜。」

 

(以下回想)

今日の選抜レースで俺の担当ウマ娘が決まる。そのため、俺はレース場に来た。ほかのウマ娘はスカウトされているが1人だけポツンと準備運動している。番号は7番。俺は配られた書類に目をやる。次のレースは第3レースで3レースの書類を見る。7番の子が気になり、名前を探す。

 

「(7番7番…あった。『キングヘイロー』か。にしても、どうして1人なんだ?)」

 

俺は1人でレースが始まるまで考えた。すると近くのトレーナー達の話が聞こえてきた。

 

「この7番のキングヘイロー?って子。人気ないよな。」

 

「なんでも、性格に難ありらしいぞ。だから、誰にもスカウトされてないんだと。」

 

「そこまでやばいのか?」

 

「やばいらしい。噂曰く『このキングの横に立ってみなさい。』って言うらしい。」

 

「うわぁ。それはきついな。」

 

俺は「なるほど。」と思い、キングヘイローを見た。

キングヘイローは集中してゲートの中に入っていった。出走するウマ娘が全員ゲート入りし、ゲートが開いた。キングヘイローは好スタートをし、好ポジについた。俺は双眼鏡でキングヘイローを追いかけた。この日は雨上がりでターフは稍重だった。キングヘイローの服は前を走るウマ娘の泥で泥だらけになっていた。それでも、諦めず最終コーナーで一気に抜きに掛かった。しかし、先頭はかなり離れておりキングヘイローは惜しくも2着。しかし、俺はキングヘイローの末脚を見逃さなかった。最終コーナーで見せたあの末脚を鍛えれば、こんな結果にならないはずと思いキングヘイローをスカウトすることにした。

しかし、キングヘイローはどこにも居ない。すると、後ろから話しかけられた。

 

「トレーナーさん。」

 

「ん?えっ?」

 

「後ろですよ〜。」

 

「き、君は…グラスワンダー?確か、今葉先輩の担当ウマ娘でURAマイル初代優勝ウマ娘だったかな?」

 

「はい〜♪ところでキングちゃんどうでした?」

 

「ん〜。最後末脚がいい。是非ともスカウトしたいのだが…」

 

「難しいと思いますよ。キングちゃんは意志の固い娘ですから。もし、トレーナーさんがキングちゃんに合う一流になれば話は別ですが〜♪」

 

「なるほど…にしてもどうして俺が探してるってわかった?」

 

「そうですね〜。私のトレーナーさんの力…でしょうか?」

 

「え?今葉先輩いるんですか?」

 

「はい。あっちにハヤヒデ先輩と一緒に。」

 

「すごいな…『不死鳥』と『ビワハヤヒデ』と一緒に居るなんて…」

 

「それより、キングちゃんの行方教えましょうか?」

 

「知ってるんですか?」

 

「えっと…確か、校舎の方に行ったはずです。」

 

「ありがとうございます。探しに行って来ます。」

 

俺はグラスワンダーにお礼を告げ、トレセンの校舎に向かった。

 

「校舎ってこの中を探すのか…うわぁ…広いな…」

 

俺は恐る恐る中に入る。どっちに行こうか悩んでいたらどこからか泣いている声が聞こえた。俺は声が聞こえる方に向かうとそこにはキングヘイローが床に座って大泣きしていた。

 

「こんな…こんな結果じゃ…なかったのに…」

 

「君がキングヘイローなのか?」

 

「何よ…笑いに来たの?」

 

「まさか、あれは前に邪魔されてた。俺は君をスカウトしに来たんだ。」

 

「私に?このキングに?」

 

「そうだ。君だ。キングヘイロー。俺は君の走りをバカにしない」

 

「ふ…ふん!あなたにこのキングに並ぶ程の一流なる気はあるの?」

 

「なる。なってみせる。」

 

「そう!ならこのキングに付いてきなさい!」

 

「ああ。」

 

俺とキングの二人三脚の日々が始まった。

早朝からキングのランニングの距離を決めた。そしてトレーニングのする日程を決め、デビュー戦の日にちも決めた。

ある日、トレーナー室で書類整理とトレーニング設定をしているとキングが入ってきた。

 

「ちょっといいかしら?」

 

「キング?どうした?」

 

「あなた。少しトレーナーとして成長したのかしら?」

 

「そうか?俺なんか今葉先輩とか変な先輩に比べたら全然だ。」

 

「その今葉先輩って誰なのよ。」

 

「誰って…グラスワンダーとビワハヤヒデのトレーナーだが…」

 

「グラスさんの!?えっ…グラスさんの付き合っている疑惑のあるトレーナーの後輩なの?あなた!」

 

「トレーナー育成学園の先輩だ。良くしてもらってたんだ。」

 

「そうなのね。少しトレーナー育成学園の時の話が気になるけど、その前にお母様に電話しようと思うわ。」

 

「えっ?」

 

「私ってお母様によく『あなたには無理。トレーナーなんて付かないから早く帰ってきなさい。』って言われるのよ。だから、トレーナーが付いたって報告と驚かせようと思うの。」

 

「なるほど…?とりあえず、意気込みを言えばいいのか?」

 

「そうね。掛けるわよ。」

 

キングは深呼吸をして、電話に出た。

 

「お母様!聞いて驚きなさい!私にトレーナーが付いたわ!さぁ!貴方も意気込みを言いなさい?」

 

「しっかりと、キングさんをトレーニングしますから応援お願いします。」

 

キングはドヤ顔で俺の方を見る。電話の向こうからは「貴女には無理だと思うけど、やれることはやりなさい。」とだけ言い、電話を切った。

キングは笑って、

 

「ねぇ、貴方!一流には一流のやり方があるのをご存知かしら?」

 

「もちろん、レースに出て圧勝することだ。」

 

「そうよ!この私キングヘイローはキングとしてレースを勝たなければならないの。だから、貴方もしっかり付いてきなさい。貴方に私の伝説に付いてくる権利をあげる!」

 

キングは大きな声で俺に伝説について行く権利を渡してくれた。これは気合を入れてトレーニングをしなければならないと思い、そしてしっかりキングの親を見返すことをしなければならないと思った。

 

翌朝、キングと朝練をしていると後ろから話しかけられた。

 

「おはようございます〜♪」

 

「えっ?あっおはようございます。グラスさん。」

 

「はい〜♪どうですか?キングちゃんは。」

 

「熱心でしっかりとする子ですよ。」

 

「そうですか。次のレースは何を?」

 

「もちろん。東京優駿です。」

 

「日本ダービーですか。」

 

「何か問題でもあるんですか?」

 

「問題と言いますか…ハヤヒデ先輩も出る予定なんですよ?日本ダービーに。」

 

「大丈夫です。キングなら、勝ってくれますから。」

 

「そうですか。こちら、日本ダービーを出走するウマ娘達です♪要注意ウマ娘達も居ますから気をつけてください♪」

 

「こんなもの渡して大丈夫なんですか?」

 

「大丈夫も何も。乱雑に置かれてましたから〜♪」

 

「そうですか。それなら貰っておきます。」

 

俺はグラスワンダーから今葉先輩が集めたであろう情報を受け取った。その情報には「マルゼンスキー」、「アグネスタキオン」、「ビワハヤヒデ」と書かれた書類だった。

主に勝負所やスタミナが高いなどしっかり書かれた書類だった。

キングが一周して帰ってきた。

 

「あら?貴方それは何かしら?」

 

「さっきグラスさんが来て渡して行ったんだ。」

 

「なるほどね〜。なかなかしっかりまとめられてるわね。これもあなたの先輩と言う今葉先輩の字かしら?」

 

「多分だがそうだと思う。」

 

「そう。なら、しっかりこのウマ娘達に負けないぐらいトレーニングしないとね。」

 

「ああ。」

 

(回想終わり)

 

「この話は一旦ここまで。ほら、イチリュウもう寝る時間だぞ。ヘイロー任せてもいいか?」

 

「もちろんよ。貴方に任せられる権利を今しっかり受け取ったわ。」

 

ヘイローがイチリュウを連れて寝室に入っていた。俺は、ヘイローとのアルバムを見てコーヒーを飲む。そして、泣きながらトロフィーを持つヘイローを見てあの頃を思い出していた。ヘイローの勝負服と同じエメラルド色の記憶を…

 




初めましての方は初めまして。
他を読んでいる人は…私だよ!と綾凪九尾です。
今回はキングヘイローの小説を書かさせていただきました。
本当は書く予定なかったのに書くことになった理由としましては、無性に書きたくなったと言うことです。見切り発車だと思ってくれていいです。
今回、この小説を書くに渡って難しかったことが沢山ありますね。
まず、「隣に寄り添う青き炎」に時間軸を合わせること。
この話はわかる人にしかわかりませんが、「横に寄り添う青き炎」でビワハヤヒデが担当になった時に選抜をしていた設定です。
このあとは日本ダービーですので、「隣に寄り添う青き炎」は皐月賞からですが、日本ダービーにキングヘイローが居ますので探してみてください。(まだ書けてないのでまた今度にでも。)
次にキングヘイローの話し方です。
「○○の権利を貴方にあげるわ!」や「このキングに着いてきなさい!」など話し方がよく変わるウマ娘ですので、難しかったですね。
あとは、ゴリ押しでやるのみですが…。
そろそろ次回予告…といきます。
次回は多分…6週間後になると思います。
「横に寄り添う青き炎」がその時日本ダービーですので、それに合わせようと思います。
それでは、そろそろ失礼いたします。
凪の中に言葉の綾あり。綾凪九尾でした。


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外伝 ガイドラインについて。

えっと今回、あるアプリからウマ娘のR-18画像が多すぎる件についてガイドラインが変更になったのはご存知ですか?

はい、そうですね。この小説はガイドラインに沿ってやっております。恋愛はあってもR-18はありません。

期待もしないでください。絶対に書きませんから。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「グラスにハヤヒデ、最近R-18画像が増えているらしいな。」

 

「そうですね。私たちの尊厳や両親に迷惑がかかってしまいますね。」

 

「そのためのガイドラインのはずなのだが…あまり守られているようには見えないな。」

 

「ハヤヒデは確認したのか?新ガイドライン」

 

「うむ。一応にはしておいたが、もしかしたら禁止される可能性もあるかもしれないな。」

 

「それは困るな。俺らの話が終わってしまう。」

 

俺は困った顔で話すと扉が勢いよく開く。

 

「それならこっちも困りますよ!」

 

「お前は!『愛しき名脇役はこうして主役になった。』の主人公秋水トレーナー!」

 

「僕も忘れられたら困りますよ。今葉先輩!」

 

「お前は!『エメラルド色の思い出』の主人公佐渡じゃねぇか。」

 

「俺達も忘れるな。」

 

「お前らは!『隣で寄り添う青き炎』の同期トレーナー!坂本桜花と中山翔夢!」

 

「私を忘れたのかい?」

 

「お前は…。『隣で寄り添う青き炎』の同期でデジタルの本を隠し持ってる年中無休発情発光野郎じゃねぇか。」

 

「私だけ…名前で呼ばれないのだが?松風華麟だ。」

 

「いや、皆さん集まりでどうしました?」

 

「どうしたこうしたもないでしょ。」

 

「そうですよ。僕たちの小説忘れてますよね?それで公開中止になったらどうするんですか?1話で終わりですよ?」

 

「いやいや、『名脇役』の方はUA800いったし『思い出』の方はUA215じゃないか。知ってる?この作者全UA合計すると2万超えるからね?」

 

「知っているよ。最初は艦これから始まり今では艦これは17000UAに読まれているんだろう?実に鼻が高いようで。」

 

「作者いじめて面白いかお前ら!」

 

「んー。そうだな。よく俺の前に来てガチャの音楽を流すのはどうかと思う。」(坂本の中の人とのふざけ。)

 

「そうだな。俺なんか最近アプリウマ娘してないから。」(中山の中の人情報。)

 

「おっと。リアルのことは禁止だぞ〜?」

 

「そうだな。あとは作者に任せるとしよう。」

 

そうゆって扉を開けたのは狐耳をつけた中性の人だった。

 

「どうも。作者の綾凪九尾でーす。今回の『隣で寄り添う青き炎』、『愛しき名脇役はこうして主役になった』、『エメラルド色の思い出』を読んで下さり、ありがとうございます。今回、新ガイドラインが発行されたとのことなので二次創作を書いている私からしてら他人事ではございません。なので、ウマ娘のR-18を書いている人は今すぐおやめ下さい。」

 

そうゆって作者の綾凪九尾はゆっくりドアを閉めた



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初デート?(2話)

日本ダービーは5着のギリギリ入賞だった。

キングは曇った空を見ていた。

 

「キング…。」

 

「ええ。わかってたわ。後でお母様のお説教ね。」

 

キングそう言って、控え室に戻っていた。マルゼンスキーの独壇場だった。スタートからマルゼンスキーは1回も先頭から落ちることなく、1着を取った。これは敵ながらあっぱれである。しかし、キングを励ますにはどうすればいいのだろうか?とりあえず控え室に向かった。

キングの控え室の前に着いたら中から泣いている声が聞こえた。

 

「…っ…トレーナー…っ。ごめんなさい…勝てなくて…っごめんなさい。」

 

「キング泣くな。キングに涙は似合わないぞ。」

 

「ヒック…そう…っ?でも…っ!」

 

「ほら泣かない。これからも辛いことあるんだから。」

 

俺はキングを抱きしめた。好きだからではなく、慰めるためにだ。そして、次のレースについて話した。

 

「キング。次のレースだが、短距離行ってみないか?」

 

「…っ…?何それ…?」

 

「高松宮記念だ。1200m。キングにも分がある。」

 

「そう…?」

 

「ああ。知ってるか?キング。」

 

「何よ…」

 

「キングの諦めない姿を見て頑張ろうって思う人が居るんだぞ。」

 

「…いないわ。そんなの。」

 

「目の前にいるじゃないか。俺はキングにいつも励まされてるよ。」

 

「……。」

 

「さて、落ち着いたな。電話はそろそろ鳴るかな。」

 

俺がキングの携帯に手を伸ばした時に携帯が鳴った。

 

「お母様だわ。ゴホン!もしもし。」

 

「ヘイロー言ったでしょ?あなたには無理って。」

 

「いいえ!これはこの先もっと挑戦するってことよ!」

 

「相変わらず、減らず口ね。」

 

「お母様譲りですわ!このキングがキングになる所をその目で見とくといいわ!」

 

「ふん、言うようになって、いいわ。見といてあげる。でも、次落としたらわかるわよね?」

 

「ええ!帰ってやりますわ!」

 

キングはそう言って電話を切った。しかし、キングの顔は暗いままだ。次のレースまで期間があるので、出かけようと思った。

翌日、トレーナー室で遊びに行くためにキングを誘う。

 

「キング、明日遊びに行かないか?」

 

「は?」

 

「だから、気分転換に。」

 

「なるほど。確かに、気を張りつめてたから疲れてしまったけど…どこか行く宛てあるの?」

 

「ノープランだ。」

 

「大丈夫なのかしら。まあいいわ。行きましょう。」

 

こうしてデート?の約束を取り付けた。俺は書類を片付けた。噂でよれば、今葉先輩は書類の山を1人で片付けたなどを聞いた。真実はどうかは知らないが。キングは雑誌とにらめっこをしていた。俺はそれを見て和み、外を見ると今葉先輩が居た。ビワハヤヒデとグラスさんのトレーニング中だろうか?書類をもってトレーニング指示している。それに夢中になっているとキングが話しかけてきた。

 

「あなたって…横浜行ったことあるの?」

 

「横浜?神奈川のか?」

 

「え…ええ。」

 

「いや、行ったことないな。」

 

「そう。なら、明日は横浜に行くわよ。」

 

「えっ?あ〜。わかった。」

 

そう言って行く場所が決まった。

時間的にターフが空いている頃にトレーニングを開始した。次のレースは1200mってことなのでスピードを中心的に強化する。

 

「はぁ…はぁ。タイムは…?はぁはぁ…。ふぅ。」

 

「ん。早くなってる。さすがキングだ。」

 

「ふん。私にできないことは無いのよ。それに、貴方が支えてくれるからよ。」

 

「照れる。ははは。」

 

「いいから、もう一度測って。走るから。」

 

「わかった。行くよ!」

 

こうしてこの日のトレーニングが終わり、トレーナー寮に向かう時話しかけられる。

 

「こんばんは〜♪」

 

この落ち着いて話す方は1人だけだ。

 

「お疲れ様です。グラスさん。」

 

「そろそろ敬語やめて欲しいですが。まあ…いいです。」

 

「どうしました?」

 

「いえ、見かけたので話しかけただけです。」

 

「そうですか。」

 

「キングちゃん、残念でしたね。」

 

「相手が悪かったって言えばいいんですかね。」

 

「そうですね。それと、明日のデート頑張ってください♪」

 

「えっ…あっはい。」

 

「キングちゃんやる気ですからね。」

 

「何を…ですか?」

 

「何をってそれは一つだけですよ。これはご自分で考えてください♪それでは。」

 

グラスさんは俺にモヤモヤを残して、ウマ娘寮に入っていった。俺はグラスさんが言ってた事を考えながら自分の部屋に入る。

 

「んー?どうゆう事だ?さっぱりわからん。何をやる気なんだ?」

 

そう考えながらご飯を食べ、風呂に入り、布団に入った。

翌朝、早く起き用意を進める。集合場所は駅。トレセンにしなかったのは周りの目だろう。とりあえず、俺はオシャレだと思う服を着る。そして、デートの基本として早めに着いておくことが男の暗黙のルールである。俺は早めに家を出て、駅に向かった。季節は夏で、クソ暑い。これも全て地球温暖化のせいだと思いながら、駅へ歩いていく。タクシーは使えるが高いから使わない。バスの方が安いからバスに乗る。そして、集合場所の駅が見えてきてわかりやすいシンボルを写真に撮り、キングに送り俺は少し離れた所で待機していると。

 

「だーれだ。」

 

目を隠された。匂いや手の感触でわかると思っていたが予想外で香水の匂いに柔らかい手の感触。わかるはずもなく。

 

「だ…誰だ?」

 

「担当である私のことを忘れたのかしら?」

 

どうやらキングも早めに来ていたらしく、俺にイタズラをしたらしい。少し、膨れているように見えるが何故だろう。もしかしてさっきのだろうか?とりあえず謝る。

 

「すまん。わからなくて。」

 

「いいわ。その代わり、キングをエスコートする権利を差し上げますわ! 」

 

「それはありがたき幸せ。行きましょう姫。」

 

「あなたは何を…/////」

 

「照れるな!俺だって照れかけてるだからな!」

 

そう言ってホームに入り、横浜行きの電車に乗った。

俺とキングは他愛のない話をする。

 

「貴方って、彼女いたことあるの?」

 

「えっと…お恥ずかしながら…居ません。」

 

「そう。」

 

キングは髪をくるくる自分の指に巻き付けてたりしてそっぽを向く。俺は、揺れる電車が心地よく感じ外を見ていた。

数十分間電車に揺られてやっと横浜に着いた。

 

「んゥーん!ここが横浜よ!」

 

「もんげぇ。バリ高いビルあるばい。」

 

「色んな方言言う必要ないでしょ。ここに来たら行かないといけない場所があるのよ。」

 

「それは? 」

 

「赤レンガ倉庫よ!」

 

「お土産屋か?」

 

「そうね…まあ、そんな感じよ。」

 

「なら見に行こう。」

 

俺とキングは赤レンガ倉庫へ向かった。

赤レンガ倉庫は沢山あり、中にはたくさんのお土産屋さんや雑貨屋があって普通に面白い建物になっていた。

 

「これ、貴方に似合うと思うのだけど…どうかしら?」

 

「俺も似合うと思ってた。」

 

「買う?」

 

「んー。キング決めてくれ。」

 

「そうね。それならこの服とかどう?」

 

「確かにこの服なら俺のセンスにも合うから大丈夫そうだな。」

 

「なら、買ってくるわ。」

 

「いやいや、自分で買うよ。」

 

「いつも応援してくれてありがとうの気持ちよ。」

 

「なるほど。なら、お言葉に甘えて。」

 

キングはご機嫌で俺の服を買った。俺はキングになにか恩返しをと思い雑貨を見ているとキングが帰ってきた。

 

「これ買ってきたわって何見てるのよ。」

 

「キングに似合うものは何かなって思ってな。」

 

「ふん。そんなの決まってんじゃない。」

 

「なんだ?欲しいのあるのか?」

 

「高松宮記念の1着よ!」

 

「……。わかった。その意思受け取ったぞ。」

 

俺は今度こそキングを勝たせるように決意し、誓った。何があろうとキングを勝たせるって。

 

「そんな覚悟決まった顔しても勝つに決まってるわ。だって、キングだもの!おーっほっほっほっ!」

 

「そうだな。勝ってくれる勝利の女神だもんな。」

 

俺はそう言ってキングを撫でた。キングは少し照れ下をむく。キングが下を向いている間俺はずっと頭を撫で続けた。それからキングが俺の顔を見て一言。

 

「ええ!私は貴方の勝利の女神よ!!」




どもども綾凪ですぅ。
今回も短い!
本編にしたら短い!短すぎてこれでいいのか?と思ってしまいますね!
本編と言えば「横で寄り添う青き炎」(次から青き炎と呼ぶ。)が長いからこそ悩んでしまいますね。
さて、今回の話ですけど言えばデート回です。
しかし、まだ好きって感情のない時ですから難しいものですね。まだ好きじゃない人とデートって。
体験しとくべきでしたかね?ははは…。
とりあえず、今回読んでください。
面白くなかったらそれはそれです。
それではそろそろ行かないと…
次回は未定です。まあ…不定期なんで首を長くしてゲートインしといてください。
それでは失礼します。


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夏だ!海だ!合宿だ!(3話前編)

「暑いんですけど…。」

 

「ほんとね。これじゃ焼けちゃうじゃない。」

 

俺とキングは初めての夏合宿に来ていた。キングは初めての合宿で少し気分がいいらしい。さっきまでハルウララやスペシャルウィークと話していた。俺は今日のトレーニングを確認する。

 

「ちょっと、あなた。今日は休みにしない?」

 

「どうして?菊花賞があるんだぞ?」

 

「菊花賞って言われてもね。去年セイウンスカイさんが1着を取ってたじゃない。それに、私は日本ダービー5着だったの忘れたとは言わせないわよ?」

 

「そう言われても…菊花賞を外すのは無理かなぁ…?」

 

「なら、こうしましょう。今日は休んで明日からトレーニングするのはどうかしら? 」

 

「それなら…うーん。いいと思うが…?」

 

「はっきりしないのね!早く決めなさい!」

 

「初めてトレーナーだからなぁ…。」

 

「ほら、行くわよ!」

 

「どこに!?」

 

「海の家よ!」

 

キングは俺の手を持って海の家へ走り出す。俺は引っ張れるように後について行く。海の家ではゴールドシップが焼きそばを焼いており、砂浜では今葉先輩らが競走していたりしていた。俺はそれを見ながら山盛り焼きそばをキングと食べる。

 

「相変わらず…松風先輩は人間かわからなくなる…。」

 

「ええ…そうね。あの人…さっき海泳いでたのよ?なんか『ガチャの出が良くなかった』からとか言ってね。」

 

「何それ…普通に引くんだけど。」

 

「一応先輩だから敬意を表しなさい…。」

 

「それもそうか…。」

 

砂浜での、出来事を見ながら山盛り焼きそばを食べきり夕焼けに染まる海を見て合宿一日目が終わると思っていた。俺は自室で明日のトレーニング方法を考えているとドアからキングが入ってきた。

 

「キング?どうした?」

 

「ちょっと聞いてくれる?」

 

「なんなりと。」

 

「さっき、ウララさんと話していたら…『森の方で炎が見えた』って言うのよ。それで…この先は言わなくても察しなさい!」

 

「はいはい。怖いんだな?それなら俺のベット使って寝ていいから。」

 

「べ…別に怖いわけじゃないわよ。あなたが寂しいかもしれないと思ってた来てあげたのよ。」

 

「んで?ウララは?」

 

「ぐっすりよ。神経だけは図太いのよあの子。」

 

キングが俺の自室にあるベット座る。少し驚いて「意外と柔らかいベットね。」と呟く。俺はトレーニング方法を組み立てるためにパソコンとにらめっこをする。キングは持ってきていた携帯を触って時間を潰していた。少しして、俺がベットの方を見るとキングが静かに寝息を立てて寝ていた。

 

「プライド高くても…寝顔だけはプライドも関係なしに可愛いんだけどなぁ。俺の担当は…。」

 

1人呟きながら、寝ているキングに風邪を引かないように布団を掛ける。そして、俺は気分を変えるために外の空気を吸いに行く。

何気に海と山が近いから星が綺麗に見える。俺は空を見て「おー。」と感心していると後ろから話しかけられた。

 

「やぁ、トレーナーくん。君も星を見に来たのかな?」

 

「あなたは…シンボリルドルフ会長!こんな時間までお疲れ様です!」

 

「いや、生徒のためにも生徒会がしっかりしないといけないからね。」

 

「しっかりしてますね。」

 

「ふふっ。私よりもしっかりしてるトレーナーは居るだろう?」

 

「いえ、居ませんよ?」

 

「そうだな。例えば今葉トレーナーとかはどうだろうか?」

 

「今葉…先輩ですか?」

 

「ん?その感じから知っているようだね?後輩かな?」

 

「はい。今葉先輩の後輩です。」

 

「それはそれは…。君から見た今葉トレーナーはどう見える?」

 

「しっかりして、俺の目標です!」

 

「ふむ。いい答えだ。さて、私は寝るよ。早めに寝ることをおすすめするよ。」

 

「はい!このあと部屋に戻る予定です。」

 

シンボリルドルフ会長はそう言って校舎に消えていった。俺は1人また空を見る。

 

「あれが…デネブ?アルタイル?ベガ?いや?ベガのところがデネブ?どこだったっけ?」

 

俺は1人で星を観測するが分からない。何せ、天体の授業をしたのは中学生以来で覚えているわけないからだ。俺は考えながら星を見ていると…。

 

「夏の大三角で1番上がベガ。そして、左側の星がデネブ。反対側の星がアルタイルよへっぽこトレーナー。」

 

俺は聞こえてきた方を見ると寝巻きで外に出てきたキングが立っていた。

 

「誰がへっぽこだ。」

 

「あなたじゃない。まあ、いいじゃない?こんな時間に天体観測。私は結構好きだけど? 」

 

「望遠鏡担ぐべきだったか?」

 

「どこに持っていくのよ…。」

 

「踏切かな?」

 

「踏切で天体観測は危ないわよ…。」

 

「ちゃんとラジオで雨が降らないか確認してだな。」

 

「待ちなさい。それ『天体観測』よね?関係ないわよ!」

 

「そのツッコミを待ってました!」

 

「このキングをツッコミに使ったことを後悔させてあげるわ!」

 

「やれるもんならやってみな?」

 

そう言って俺は走って自室に戻った。キングも俺を追いかけるように自室に入り「私がベットで寝るからあなたは下で寝なさい!」とベットに入りながらそう言われる。俺は「仕方ない」と思い、床で寝ようとした。すると、キングかベットから俺のことを見て、話してきた。

 

「無理矢理でもベットに入ろうとはしないのね。」

 

「押し倒しかぁ?キングにしても楽しく無さそうだから遠慮しとく。」

 

「あら?やってみたらいいじゃない?」

 

「キングがそう言うのなら。」

 

俺はキングをベットに押し倒す。

 

「ふ…ふーん。意外とその勇気はあるのね。」

 

「キング声が震えてるぞ…。」

 

「なっ…なにを言ってるのかしら…おほほほ…」

 

キングは嘘笑いをするが静かな時間にその声は消え、顔を手のひらで隠す。俺はその赤面キングから降り、パソコンをカタカタと打つ。キングは赤面して動かない。俺はそのキングを横目に俺はまだパソコンとにらめっこし続ける。その間キングはやっと座り直し、顔を手で隠しながら俺の事を見る。

 

「……おばか…。」

 

キングは小さく呟く。俺はキングの方を見て「なんだって?」と聞く。キングは言葉に詰まりながら「なっ…な…何も無いわよ。」と小さい声で言う。俺は立ち上がり、部屋を出ていく。キングは顔から手を動かして寂しそうな顔で目線は俺の事を追いかけていた。

俺は部屋に出て自販機に来た。あんまり夜の買い食いは宜しくないがキングを落ち着かせるために「午前の紅茶」を買う。自販機から「ガダン!」と音を鳴らし、「午前の紅茶」が出てきたので取る。俺は自室に戻る。部屋に戻るとキングはベットの布団にくるまって寝っ転がっていた。

 

「キング?大丈夫か?」

 

「……何よ。」

 

「落ち着いたか?」

 

「……おばか/////」

 

「そっか。これ飲み物飲んでて。」

 

「ありがとう…。」

 

俺はキングを部屋に置いて、ある人に会いに行った。

少し歩いて、ある人の部屋のドアをノックする。

 

「はい?どうぞ?」

 

俺は「失礼します」と言って部屋の中に入る。そこの部屋の持ち主は『たづなさん』だった。

 

「お疲れ様です。どうされました?」

 

「すいません!デートの仕方を教えてください!」

 

「えっと…佐渡トレーナー?急にどうされました?」

 

「キングと夏祭り行こうと思うんですが…どうしたらいいですか?」

 

「そう言われましても…今葉トレーナーに聞くのはどうですか?グラスワンダーさんと婚約しているので、わかっていると思いますが…?」

 

「そうですか?でも…なかなか会えなくて…。」

 

「あっ、今葉トレーナーは明後日には札幌に行ってますね…。」

 

「明日…んー。」

 

俺は考えて、自分の考えで何とかしようと思いたづなさんの部屋を出ていく。自室に戻るとキングが眠っており静かに床に寝っ転がって眠りにつく。

翌朝、何故か暑いので目を覚ますとキングと一緒に床に寝ていた。

 

「んぁぁ!?」

 

俺は飛び起き、頬を引っ張る。夢でなくしっかりと痛覚がある。俺は頬を撫でながら状況を飲み込む。

 

「…夜中に入ってきた?ぐらいしかないか。」

 

俺はだいたい理解し、キングを起こさないように顔を洗いに行く。共同洗面所に聞くと松風先輩がいた。

 

「やぁ、佐渡くん。おやぁ?頬が赤いね?担当の子と何かあったかな?」

 

「松風先輩…会いたくなかったです…。」

 

「はっはっは!何か嫌われることしたかな?」

 

「噂で嫌いです。」

 

「ふぅん。噂か…困ったね。」

 

松風先輩はそう言って共同洗面所から出ていった。俺は歯を磨き、顔に水を掛けた。自室に戻るとキングが起きていて、目を擦っていた。

 

「どうして…トレーナーがここに居るのかしら?それに…どうして床に?」

 

キングは不思議そうに俺を見て、頭が活性していきキングは昨日の自分の行動を思い出し俯く。

 

「待って!トレーナーと私一緒に寝てた?」

 

「それは知らん。俺が起きた時には横にいたな。」

 

「なっ!?/////」

 

キングは立ち上がり「ウララさんが心配だから…も…戻るわ。トレーナーも用意しときなさいよ!」と言って俺の自室から出ていった。俺は3秒間絶句していた。

 

「えっと…なんだったんだ?」




ども不定期投稿する綾凪ですぅ〜。
今回多分…題名あれですよね。「横に寄り添う青き炎」から取った題名です。
「夏だ!海だ!合宿だ!」は合宿の時に使えるやつなのでこれからも使っていこうかなと思いつつ、題名ケチってすいませんでしたッッ!!
とりあえず、今回はイチャラブ…系?になってたらいいですねぇ〜。
私久しぶりに小説出すんで…。とりあえず、説明することもないのであとがきを締めさせて貰います。絞めませんからね?締めますね。
お疲れ様でした。次回も不定期ですが…だいたい1ヶ月後の予定です!予定(強調)です!
大事なことなので2回書かせていただきました。
それでは次回もよろしくお願いします。


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