貴方の病んだ幻想入り (回忌)
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始まり
幻想入り


大和の方が飽きた時に書きます。
なので、期間が開きます


貴方は夢を見ている

 

そう、それはシアワセな夢

 

シアワセだった時の夢

 

そして…

 

何もかもが狂い咲いた時

 

貴方は目を覚ました

深い森の中、何も見えない暗闇で目を覚ました

上を見ると夜空が広がっている

白く、赤く、青い、星々

それは現代でよく見る夜空ではなく何百年も前の夜空に見えた。

そうやって、目を覚ました時に近くにあった木に縋る

腰を落として、縋る

傍らに自分のリュックがある

貴方は今自分が何処にいるか、今までの記憶を探った

 

貴方は1人で、息抜きにキャンプに来た。

 

貴方はナイフを持って木をケガいていた

 

貴方は肉を焼いて、その味を噛み締めていた

 

そんな記憶を思い出して、貴方はふと立ち上がる

今の今まで気づかなかったが自分は崖の近くにいたらしい。

ここは山だ、と貴方が理解すると共に目から情報が入る。

 

 

所々明かりの点いた人里、霧に包まれた湖と紅い館

 

大量に竹の生えた竹林、霧の様な空気に包まれた森

 

僅かな月明かりに光る向日葵畑、山の途中にある神社

 

そんな情報が入って来た

ここは日本か?と貴方は思った

貴方は山から降りる為に崖から離れる事にした

リュックを背負って

 

 

…それを食い入る様に見ている、狼を知らずに

 

「あの人だぁ…貴方が帰って来たんだァ…ァハハ…」

 

…貴方をカメラで何回も取っていた鴉を知らずに

 

「ずっと待っていたんですよ?誇り高き天狗をこうした

 責任を取ってくださいね」

 

 

 

 

貴方は山を下る、視線に全く気づかずに

月明かりが貴方と周りを照らす。

黄色く、幻想的に。

そんな事を思っているとズキンと頭が痛くなる。

ここは確か、ケンソウ…ゲンソウ…

貴方の頭の中で、記憶がパズルの様に作られていく

貴方は思い出した、此処が幻想郷という名前だと

 

ただ、それだけだけど

 

そんなことに時間を掛けているから貴方は気づかなかった

自分に迫る異形に、迫り来る怪物に

 

それの見た目はゲテモノだった

もう少し詳しくいうなら人間が脱いだ後の靴下の様に

中をぐちゃぐちゃとさらけ出せばこうなるのだろう

血が所々垂れ、それに負けない程、涎を垂らしている

貴方は自分が死んでしまうと思ってしまった

 

それが飛びかかる

 

貴方は自分よ鮮血が辺りを舞うのを幻視した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

貴方は体を捻り、それをかわすとナイフを持ってそれに飛びかかる

先程その異形がしたように、この前貴方が見た

宇宙人の幼体のように、ナイフを構えながら、

 

異形が目の前にくると、貴方は慣れた手つきで目を潰す辺りに叫びが木霊する

貴方はするりと攻撃を抜けると右足を捌く

鮮血が飛び散り、異形は少ししか動けなくなった

貴方は再生する前に方をつけることにした

貴方は異形に馬乗りになり、ナイフを刺す

異形が暴れ、貴方をとばそうとする

貴方は踏ん張り何度も背中を刺す。

 

二度と動けない様に

 

50回程だろうか、妖怪の動きが鈍る。

貴方は少し前に擦り、ナイフを両手で掲げ、刺す

 

異形の頭にナイフが――

 

異形は最後の叫びをあげ、二度と動かなくなった。

貴方とトッと地面に着地すると、それを見る

 

貴方は自分に違和感を感じた

あの戦い方、明らか人間では無い

そして何故、貴方は異形が再生する事を知っていたのか

まるで、貴方はここに住んでいたかの様な…

ズキンとそれを阻害するように頭痛がする。

貴方は考える事を止めた

どうせ考えても無駄と考えたのだろう

そうやって貴方は過去と向き合うことは無い

貴方はナイフを上腕三頭筋で拭うとベルトのホルスターにナイフをしまう

それはとても慣れた手つきだった

貴方は山を下ろうとしたが、何故か動かない

貴方は今気が付いた。

 

 

 

 

異形の鋭い爪が貴方の腹部を貫通していることに

 

貴方は似合わない舌打ちをするとナイフを抜き、切る

爪はヒビだらけだったので簡単に切断することが出来た

貴方はナイフを地面にポロリと落とす。

ナイフを地面の岩に当たり、カラーンと甲高い音を出す

 

貴方は爪を見つめた

 

ドクドクと血が服を濡らし、赤く染める

このままでは出血多量でお陀仏するだろう

貴方は爪を両手で持ち、引き抜く

体から刺さる何かが消える

爪は思っていたより小さかっただからまだ生きている

貴方はリュックを降ろす。

先程までは全く震えなかった指が少し震える

貴方はジッパーを開き、中から包帯を取る

貴方は気のそばに腰を下ろすと体に包帯を巻く

貴方は少し痛みがマシになった

貴方はほぅ…と溜息をつく

自分が名前を知っている土地に来たと思えばこれだと

溜息をついてしまうのは仕方ないことだろう

貴方は先程眠った筈なのにまた、眠気が貴方を誘う

貴方はウトウトと、首をカクカクする

怪物から呻き声がしたが、風が、突風が、怪物を

吹き飛ばす。…辺りに舞う黒い羽根

それは見たことがある気がした

 

「貴方はそうやって無茶ばっかりするからいつも

 怪我を負うんですよ。…私がいる限りそんなこと

 をさせません」

 

そしてそれが自分が意識を離した時に聞いた

最後の言葉だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

貴方は夢を見ている

 

黒い羽根が生えた女の子と共に飛んでいる貴方、

でも貴方には羽根が生えていない

貴方は彼女の顔を見たが、後光でよく見えない。

貴方はとても幸せだった、それはとてとてとも。

 

貴方は彼女の顔を見て理解した。

この幸せはもう来なくて、シアワセが来るのだと

その彼女の顔は、濁った瞳に三日月の様笑みを浮かべ…

 

 

 

 

貴方の意識は覚醒した。

 

但し、暖かい布団の中で



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暖かく、寒い

とても暖かい布団

 

起き上がった貴方は暖かい布団の中で色々考えた。

 

ここは何処か。

 

あのあと自分はどうなったのか

 

貴方は自分の体を見た。お風呂場の鏡でよく見る自分の姿

貴方の体には、所々古傷があったが、今は包帯が

巻かれていてあまり見えない

 

貴方はふと、布団の匂いを嗅いだ(なんてこった)

自分の匂いに混じって、別の女性の匂いがする

花の様に華麗で、凛とした匂い

貴方はこの匂いの主を知っている気がした

貴方は立ち上がる隣に畳まられた自分の服を羽織って。

貴方は此処が誰かの日本家という事を察した

貴方はキョロキョロと周りを見る

 

 

 

 

 

「そんなに歩いて痛くないんですか?」

 

と、誰か聞き覚えのあるような声がした

貴方は後ろを振り返った

服装は比較的シンプルで黒いフリルの付いたミニスカートと白いフォーマルな半袖シャツを着た女性が居た

それだけ見ればただの人間であるが、背中に黒い羽根が

生えている為、貴方はこれが人間でないと思った

 

そして貴方は彼女を凝視した、それは何処かで

見たことある姿で……

 

「あややや、そんなに見られると恥ずかしいです」

 

貴方は聴覚をシャットダウンすると記憶を探る

貴方は視覚を使ってその女性を見る

貴方はなんとか思い出すことが出来た

この女性は文という名前で、普通の仲だったと思う

貴方は名前を聞いた。自分は知っていて

相手は知らないなんてよくある事である

「私の名前は清く正しい射命丸文です。これからよろしく

 お願いしますね!」

貴方は手を差し伸べてくれた文に対して握手をしようと

したが、痛みと違和感に襲われ膝をつく。

痛みは純粋に貴方に襲った痛みだった。だから文は

歩いて痛くないか聞いてきたのだ

そしてもうひとつが、これからよろしくお願いしますということ。

貴方は怪我が治るまで居るだろう。だが怪我が治れば

ここから出ていく。文はどちらの意味で言ったのだろう

 

 

 

 

純粋に治るまでか

 

 

 

逃がさない為か

 

「それにしても貴方は結構仲がよかったのにリセット

されてますねぇ。でも大丈夫。私があの頃よりも

もっと仲良くしてあげますから」

 

貴方が倒れた後に見えた文の顔

 

貴方が記憶を失う前に何度も見たことがある様な顔

 

それは、濁った瞳と三日月の様な笑みを浮かべて…

 

貴方は意識を手放した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

貴方は意識を取り戻した

先程は朝だったのに、もう夜だ

貴方は布団から出ようとすると左腕に違和感を感じた

少しの時間で慣れてきた夜目で目を凝らすと文がいた

しかも左腕にガッチリとホールドしており離すことが

出来ない。貴方の左腕は文がガッチリとホールドしている。しかも本人は無意識なのか、胸の谷間に

貴方の左腕が挟まっている

貴方はすこし頭がほわんとしたが、これよりも柔らかい胸を貴方は知っている気がした(なんでだよ)

貴方は頬を抓るとその無意識の誘惑から脱出する

貴方はキョロキョロと周りを見た。

窓から月が見え、そこから月明かりが射す

その月明かりは貴方を優しく包み込んだ

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

貴方は夢を見ている

 

文との記憶

 

意識の底

 

絡め合う文と貴方

 

文は幸せそうに見える。それはとてもとても

 

対する貴方は悲鳴をあげていた

 

恐怖。恐怖で屈服した後にこの行為をしているのだろう

 

次の日。貴方はここからいなくなった

 

文は泣いていた。

あの濁った瞳で

 

「今度は逃さない。」

 

機械的な声を、出しながら

 

 

 

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 

「絶対に外に出ないで下さいね。

まあ、出られないでしょうけど」

 

足枷が右足にはまっている貴方を見ながら文はワラッタ

文は貴方をひとしきり眺めると、満足そうな顔をした後

鉄格子を開けて仕事に行った。

「仕事なんて無ければ愛を注げるのに」と貴方は言われたが

貴方は心から思った、あの夢の様になるなんて嫌だと

貴方は部屋を眺めた。

 

特に何も起こらなかった

仕方なく貴方は立ち上がり、部屋を探索する事にした

痛みはもう来ることは無い。

来ることがあっても、貴方はそれを無視するだろう

貴方はまず状況確認をした。

木造の部屋。だが窓とドアが鉄格子になっており

逃がさないという意思がありありと見える

中心に柱があり、それに貴方を繋ぐ鎖が繋がれている

部屋の隅にタンス、貴方はそれには届くと思った

チャリチャリと音を立てながらタンスへと近づく

3段構造の一般的なタンス。貴方はそれの中身を見た

 

ビンとゴム…?と貴方は直観で思った

貴方はこれらに対してあまりいい思い出がないようだ

貴方は1つだけ白くドロドロな液体が入ったビンを

見なかった事にして次の棚を開けた

 

今度は自分の服が入っている。

貴方は鳥肌が立った、それも当たり前である

貴方は今着ている服以外、リュックに入って無かった筈だ

文が持っているはずが無い。何故だろうか

気味が悪くなった貴方はスっと棚を閉めた

 

最後の棚を開けると今度は当たりのようでリュックが

入っていた。貴方は柱の近くにリュックを投げると

他に何かないか探すことにした

貴方はふと、腰に目を当てる

貴方は今そこで気づいた…ナイフがホルスターごと無く

なっているのだ。貴方は少し硬直した後、気分を紛らわす為

鉄格子から外を覗こうとした所だった。

鉄格子付近にホルスターに入ったナイフと鍵を見つけた

貴方は希望を抱き、鉄格子に近づこうとして転んだ

どうやら鎖がちょうど届かないように調整してあるらしい

痛みを感じたが、直ぐに感じることは無くなった。

時間はどんどんと過ぎてゆく

 

 

 

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

あれから時間は夕方になったが文は帰ってこない

時間が何故かかなりかかっているのだろう

放心状態の貴方は甲高い音を聞いた

それは窓の鉄格子…では無くそこから手が届く範囲に落ちた

自分のナイフと鍵だった

貴方は鉄格子に目を向けた、するとそこには銀髪のケモ耳の女の子がいた

 

「それで脱出して下さい。」

 

貴方は立ち上がるとナイフを手に取りホルスターを腰に差す

ナイフを足首付近の足首…の鎖が1番短くなる様に切った

 

鉄が、鉄を斬る音が響く

 

キリキリと甲高い音

 

パキンと鎖が取れると貴方ははすぐさま鍵を鉄格子に

差し込み、部屋から出た

 

 

 

 

 

 

「生きてください。私の愛しい貴方…」

女の子の呟きを聞かずに

 

 

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

貴方は結論から言うと外に脱出することは出来た。

しかし今、

「ゼッタイに逃がさない!」

狂った文と突風が飛び交う鬼ごっこだ

無論のこと捕まれば移動手段を無くすどころかダルマに

されてしまうかもしれない

貴方は駆け出した。林を抜け、貴方が最初に目覚めた崖に

 

崖に。

 

「追い詰めましたよぉ〜ふふふふ。」

 

狂った笑い声を出しながら近づく文

貴方は後ろにすり足で移動するしかなかった

ふと、貴方は音を耳に拾った

ドドドドと何かが流れ落ちると音、すぐ後ろから聞こえる

貴方は走りだした。崖の先に向かって

 

「待って!行かないで!」

 

泣き叫ぶ声が聞こえたが貴方のケツイは変わらない

 

貴方は

 

崖から身を投げ出して

 

凄まじい勢いの滝へと

 

姿を消した

 

ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!

 

文の叫び

それは愛する人に逃げられたからか

それとも、あの時と同じ逃げ方だったからか

知るものは、居ない

 




戦艦録はもうやらないと思います
Uaが即超えるってどーよ


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紅魔の館

貴方の感覚は全て、水の冷たさとそれが流れていく

感覚だけだった。

貴方は川で流されながら、ぼ〜とした頭で記憶の一部

を思い出すことに成功した

 

貴方は幻想郷の里の住民で、妖怪退治を仕事に

していた。貴方の実力は異変に参加出来る

ほど強く、またそれのせいで今までの狂った愛が

生まれるきっかけにもなった。

貴方は今まであった人の顔だけを思い出すこと

が出来ない。服装も、名前も少し、思い出せるのに

顔だけが綺麗に記憶から無くなっている

 

そんなことをずっと考えていると、流れが弱まり

貴方は海月のように浮く。水面上から見えた景色は

霧に包まれた湖だった。貴方の体が浮き沈みを

繰り返す。貴方は息をありったけ吸い込み、

なんとか浮かぼうとしたが、数秒後には

ズブズブと体が沈んでいく。

下半身に人魚の様な物が付いているが、

それどころではない遂に貴方の顔面が水中に沈み

 

貴方は最後の悪あがきで

 

腕を水上に伸ばしてサムズアップして、沈んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

…その手を誰かが掴み、貴方は沈まなくなった

朦朧とする意識の中、水中で目を開くと、

歪んだ銀髪の女性が貴方の手を掴んでいた。

先程の女性では無い、と貴方が思うととも

に女性を懐中時計をカチッと押し

貴方の意識は暗くなった

 

 

 

 

 

 

 

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

ベッドの中で貴方は目が覚めた

文の布団の様な日本式ではなくバリバリの

洋式である貴方は内装を見たあと、

ここは紅魔館…だったかと思った

壁が全て赤く、この館の所有者の性格が透けて見える

そうやって部屋を眺めているとコンコンと

ノックがした。貴方が入室の許可をすると

銀髪を女性が入ってくる

 

「体は大丈夫ですか?寒かったら言ってください」

 

と、スープを横の机に置くと、近くの椅子に座った

貴方は「貴方が十六夜さんですか?」と聞くと

女性は少し驚いたような顔をするとこちらに質問する

 

「…そうですが、いいですか?…ここの所有者の名前は?」

 

貴方は頭に手を当て、思い出そうとした、が貴方が

辛うじて思い出すことが出来たのは

ここの所有者にカリスマなど無く、

幼女ということだけだ貴方がそれをありのまま話すと

「あら、そこだけ覚えているのね。

異変のことは覚えて無いのかしら」

と少し笑いながら言った

異変。確か幻想郷で異常な自体が起きる事だったか。

貴方はここの所有者は誰なのか聞くことにした

 

「この館の所有者はレミリア・スカーレット。言い忘れたけど、私はそのメイドよ」

 

と所有者の名前を告げた

貴方の頭の中で何かのピースが嵌った

 

紅い槍と紅い月

 

金髪の︎︎ ︎︎ ︎︎"︎︎妹様︎︎ ︎︎ ︎︎"︎︎

 

貴方の戦術

 

この館での記憶

 

その全てが蘇った

貴方がそんなことに惚けていると咲夜がこちらに笑み

を浮かべて「思い出した?」と聞いてきた。

貴方はそれにこっくりと頷くと咲夜は

 

「今から会いに行きましょう。この館で世話になるでしょう?」

 

貴方はベッドから立ち上がり、ドアに向かう

…その前に自分の装備品を見た

ナイフとホルスターもある。リュックは壁に

かけられている。特に没収品は無さそうだ、

と貴方は思うとドアを開けて外に出た。

咲夜が「ついてきて」と前を歩いたので

貴方はそれに続く。

貴方はコツコツと足音を響かせながら進む咲夜を

見ながらこの館はとても広いと思った

なんせ先が見えないし、ドアがあり過ぎる

そんなことを考えていると、目の前に巨大な扉が

現れる。さっきまで無かっただろという

貴方の視線を無視して咲夜は言う

 

「お嬢様に挨拶をお願いね」

 

大きな音を立てながらト扉が開く

咲夜がレミリアに言う

 

「お嬢様。今連れてきました」

 

「ありがとう。下がって良いわよ」

 

咲夜はお辞儀をすると消えた。文字通りに消えたのだ

そういえばこの館のメイドには時間を操る能力を

持っていたなと貴方は思い出した

 

「こんにちは。…唐突だけど、貴方は今から

どうしたいのかしら」

 

威厳のある声でこちらに語りかけてくる

貴方はレミリアがこんなに威厳のある奴だったか、

と疑問に思ってしまった。

貴方はその考えを振り払うとレミリアに

この館で世話になることは出来ないか、と聞いた

するとレミリアは

 

「そうね、こちらの言いつけを守る代わりに

この紅魔館で暮らしてもいいわ」

 

貴方は安堵すると言いつけが何なのか聞いてみた

 

「それに関しては明日言うわ…自分の起きたあの部屋が貴方の部屋よ」

 

貴方はお礼を言うと扉に向かって歩き始めた

そんな貴方にレミリアが質問する

 

「貴方は私…私達の事を覚えているのかしら」

 

貴方はレミリアについては覚えている

運命を操る能力。妹を持つ吸血鬼。

 

…幼女。カリスマブレイカー等。

そんなことを思っている貴方を見透かした様にレミリアは

 

「貴方は変な所を覚えているのね…」

 

呆れたように呟いた。貴方は他の人も会えば

思い出すだろうとレミリアに言った

 

「そう…それじゃあゆっくり休みなさい」

 

何か運命が見えているのかそんなことを言う

貴方は二つ返事で扉を開けると、待っていた咲夜に

自分の部屋まで案内して貰った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「運命は運命。絶対に拒否することは出来ないわ」

 

そんなレミリアの面白そうに言う言葉は、貴方には聞こえなかった。

その顔は、まるで文と同じような顔だったというのに




読みにくい所を修正していってます
…え?本文書け?
書いてますよ(最初だけ)


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紅魔館での出会い

貴方は夢から覚めた。貴方はその夢を忘れた

貴方は背伸びをするとベッドから降り、クローゼットからある服を取り出す。それは貴方が昔、ここで着ていたものにとてもよく似ていた。

それは紺色の燕尾服だった。貴方は此処で執事のような仕事をしていたのだろうか

貴方はそんな考えを捨て、ドアを開けて外に出た

 

「あら、なかなか久しぶりに見るわ。その格好」

 

と、咲夜が廊下にいた。

貴方は礼を言うと、今からなにをすればいいと咲夜に聞いた。すると咲夜はこう言う

「今から大図書館に行ってそこで本の整理をして。あそこには司書もいるけどそれじゃ足りないから」

と、行って貴方に手を差し伸べた。貴方は首を傾げた

そんな貴方に少し苛立ったのか

 

「手を繋いで」

 

と凛とした声で言った。貴方は少し押されながらもゆっくりと咲夜の手を取った。

すると、全てが灰色の世界になる

貴方は止まっている。

当たり前だ。なんせ時間が止まっているんだから

咲夜は動かない。それどころか貴方の指を

腕をゆっくりと撫でるように触る

 

「あぁ…とても逞しい腕。」

 

恍惚な表情をしながら撫で回す咲夜

それは彼女が堪能するまで、飽きるまで続いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

貴方は気付くと本が大量にある大図書館にいた

貴方は近くの本棚に近寄ると、本の背表紙を見た

 

「パチュリー様、連れてきました」

 

貴方は興味がありそうで、無さそうな顔をしている

貴方の顔は変わる。1つでは無いように。

それは人格で変わるのではなく。

全てが変わるのだ

 

「…ねぇ聞いているかしら」

 

そんな貴方に少し低い声が聞こえる

振り返ると長い紫髪の先をリボンでまとめ、紫と薄紫の縦じまが入った、ゆったりとした服、さらにその上から薄紫の服を着てドアキャップに似たZUN帽を被っている。また服の各所に青と赤と黄のリボンがあり、帽子には三日月の飾りが付いている女性が椅子に座って本から目をこちらに向けていた

貴方は顔を見て、彼女がパチュリーと思い出した

 

「まず、ここでの仕事だけど、本の整理。」

 

貴方はそれにこっくりと頷く

話はまだ終わっていない

 

「それから私の手伝い。魔法とかを扱うから、霊力を使う貴方には関係ないけれど、一応ね」

 

貴方は少し驚いた。貴方には霊力があるなんて知らなかったからだ。

 

「霊力についてはまた後で考えましょう…あと最後に」

 

貴方は最後に何を言われるのか待った

 

「時たま。人間の魔法使いが来て私の貴重な本を盗んでいくの。名前は霧雨魔理沙。

 貴方にはそれの防止をしてもらいたいの」

 

貴方は確か、金髪の死ぬまで借りていくが口癖の魔法使いを思い出した。

彼女とは異変でのつきあいが多かったが、まだそんなことをしていたとは

貴方は少しお灸を据えてやるかと意気込んだ

 

「いい顔ね、それならいつでも対応出来そうだわ…それじゃあ本の整理、よろしくね」

 

貴方にそう言うと、こちらから目を本に向けた

…貴方は時々こちらに視線を感じながら本の整理を始めた

 

 

 

 

 

 

 

 

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

貴方は最後の本を本棚に差すと背伸びをしてコリを解した

そんな貴方に声がかかる

 

「ねぇ…もしかして、貴方は」

 

そんな幼い声に貴方は私は…と言いながら振り返ると

そこには狂気の目をした幼女がいた、しかも金髪の

貴方は魔理沙では無いなと思いながら借り物の剣を抜いた

レミリア曰く、自分を倒しに来たバンパイアハンターの物らしい

が貴方の腕にはよく馴染まない。西洋刀だからだろうか

剣を抜いた理由は語る意味も無い。その莫大な妖気と狂気。

それだけで剣を抜く理由になった

「遊ぼうよ!貴方!あの時のように!貴方も狂気に溺れて!」

見た目も子供。性格も子供。恐らくこれはこの幼女、フランドールだからこそなのだろうか。

貴方は他にこれとは違う無意識の狂気を知っている気がする

フランドール。見た目は姉と少し違うようだ

全体的に赤が多い。手につく血は人間のものだろうか

何よりも1番姉と違うのが羽だろう

シャンデリアの様な棒に色ガラスのひし形が付いた物というような感じだ

そんなことを考えているとフランが突進とともにねじ曲がった針の様なものを刺そうとしてくる

貴方はそれを剣で受け流すとすれ違いざまに横一文字にフランの横腹を斬る。

貴方はすれ違ったあと振り返るとフランは自分の手を舐めていた。

貴方はその奇怪な行為に違和感を感じた、がそれは違う違和感だった。

「貴方の血…甘くておいしぃ〜」

それは痛みだった

フランの言葉で貴方も横腹を浅く突かれていた事に気づいた。

貴方は剣に霊力を込めた。

その霊力は主に何かを吹き飛ばす為の力に変換されていた。

貴方は剣を構え、フランからの攻撃を待った

それにしても、弾幕を使わないな。と貴方は思った

今の幻想郷では弾幕ごっこという遊びか主流だった筈だ。

確か血を流さずに戦いを美しく、だったか貴方はハッキリといってあまり意味があるように思えなかった

猛者達なら楽しく美しく出来るのだろうだが、貴方の様に武器等を好む者や

そもそも弾幕が出来ない者も沢山いる。

貴方はそんな考えを捨てた。なぜなら目の前からフランがこちらに向かって突っ込んで来るからだ

フランを野球の様に飛ばす

フランはホームランの軌道をして、本棚に突っ込んで行ってしまった。

貴方は一旦剣を床に突き刺す。

貴方は腰のポーチから包帯を取り出すと、腰に巻く

出血が収まり、意識が少し回復する

貴方は少し咲夜に事情を話して休もうとした―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわぁ…一体何があったんだコレ」

 

そんな男口調の女の声がした

貴方は大きいため息をつくと、立ち上がった

かなり近くに居たようで、ソイツはビクリと驚いた

 

「な!?居るなら居ると言え…」

 

何故かソイツはこちらの顔を見ると固まった

貴方は少し首を傾げる。何かあったか?

 

「お前…名前」

 

そいつは低い声でそう言う

貴方は素直に名前を教えた

 

「…生きていたのか」

 

そう言うと貴方の肩を揺さぶりながら叫ぶ

 

「今までお前はどこに行っていたんだ!?心配したんだぜ!?」

 

貴方は少しソイツを退けると、「名前は?」と聞く

 

「私か?私の名前は霧雨魔理沙だぜ!」

 

と胸を張りながら言った、胸は無いくせに

と、貴方の眉毛をピクリとさせた情報があった

…霧雨魔理沙だって?

貴方は剣の所に戻るそして引き抜いた

 

「…へ?」

素っ頓狂な顔をしている魔理沙にこう、貴方は言う

 

「こんな事をまだしているなんて、関心しないな」

 

貴方は剣を愛でるように触る

 

「だが、分かる。知識は必要な物だ」

 

レミリアが貴方に渡した剣は仕込み武器というもの

武器に様々な機能をつけ、狩りをやりやすくする為に、様々な武器に、様々な機能が付けられた。

貴方の剣には柄に短剣が付けられており

折るようにして、二刀流になる

バキンと、何かが折れる音がする

貴方は二刀流になった。

 

それは魔理沙にとって久しい姿であり。

 

「だからこそ、こうやって罰を与え、それを抑制しなければならないのだ。…愚かな行為を忘れるようなね」

 

魔理沙にとって、彼が本気を出した姿だった

 

貴方は気がついていない

 

フランの莫大な妖気によって

 

貴方は既に狂気に溺れて居ることを

 

貴方は気がついていない





さぁ、魔法少女をぶっ飛ばそう!



初めての戦闘がこれって大丈夫か


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異変の仲間

貴方は飛び切りを放つと、魔理沙はバックステップで

避ける。貴方はゆっくりと魔理沙に近づいていく

 

「くそっ」

 

魔理沙は弾幕を放ちながら箒に乗りそのまま上へ

向かう。貴方は霊力を足に込めた

すると、貴方の体が宙に浮き、貴方は魔理沙

を追いかけるようにして飛んでゆく

ただ空中浮遊するのではなく、魚がスイスイと海を

泳ぐように、空中を進んでいくのだ。

 

「くらえ!」

 

そんな貴方をうち落とそうと魔理沙が光と熱を多様

した弾幕を放ってくる。

貴方は避けれる弾は全て躱し、避けきれない弾は

全て切り裂く。

どうやらこれは貴方の基本的な戦術らしい。

貴方はまるで弾幕なんてうんざりする程見てきたと

言わんばかりに避け、切り裂く

カンカンと剣で弾く音に魔理沙は焦った

 

「異変の時に使われたら厄介といったが…本当に厄介な奴だぜ!じゃあこれならどうだ!

 魔符、スターダストレヴァリエ!」

 

そんなことを言ってこちらに振り返ると星型の弾幕を放った。

貴方は量が多いと少し面倒に思った

星型の弾幕が貴方に向かう。貴方は剣を構える

ドゴムという重い音がすると、貴方は煙に包まれた。

 

「やったぜ!」

 

魔理沙の声が聞こえた。何をやったのだろうか

貴方はそんなことを思いながら剣を構え、突撃した

 

「な…!」

 

貴方は接近戦を魔理沙に挑む。

剣を水の様に斬撃を加える。魔理沙はそれを紙一重で

躱していく。

 

「危ないぜ…この!」

 

貴方は後ろに吹き飛ぶ。が足に霊力を加えて貴方の体

を止める。どうやら魔理沙が貴方の腹部を蹴った

貴方の腹部がジンジンと傷んでいる

貴方は剣を持ち直し、再び魔理沙へと突っ込む

魔理沙は近寄らせない為か、こちらにレーザーを

含む弾幕でこちらを牽制する

貴方はその間にも反復横跳びする様に弾幕を避ける

レーザーが貴方の前に迫る、貴方は剣を添える

すると、レーザーが竹の様に2つに裂けていく

貴方は図書館の壁を蹴って加速すると剣に霊力を

込めて、貴方は技を発動する

 

幻想符「消える幻想」

 

それを唱え、ゆっくりと剣を振る

 

「…?何をやったん…だぜ!?」

 

魔理沙の弾幕が光の結晶になり散ると、魔理沙が落ちていく。

貴方が唱えたこの符は幻想を消す事が出来るスペルカードだ。

武器を好むとはいえ、使う時には使うようだ、貴方は

 

幻想。それは調べると根拠のない空想。

とりとめのない想像と出てくる

つまり、現実には存在しないモノ

弾幕だって幻想だ。あれが現代社会出れば大変な事に

なってしまうだろう。

にしても中年のおじさんが弾幕を撃つところを想像

してみると、魔理沙達の様な者たちが撃つからこそ

美しくなるのだろう。と貴方は思った

貴方は魔理沙に向かって急降下する

 

確実に仕留める為に

 

生物を消す霊力まで剣に込めて

 

貴方の剣先が魔理沙の喉元に刺さりそうになった

その瞬間だった。

 

 

 

 

「やっぱりお前は突っ込みすぎなんだぜ!くらえ!

 恋符!マスタースパーク!」

 

と、貴方の視界を覆い尽くす程の大きなレーザーが

放たれ、貴方は吹き飛ばされた

全身を襲う痛み。恐らく手加減されなかったのだろう

こちらも手加減をした覚えは無いのだが。

貴方はドスンと地面に落ちる

貴方は膝をつく

 

「やっぱり弾幕はパワーだぜ!」

 

そんな魔理沙の声を聞いた

貴方は朦朧としている。頭痛もして、痛い

貴方は目の前にいる魔理沙に言う

お前と自分が異変で一緒に戦ったのかと

する魔理沙は頷きながら

 

「おう!お前と私は最強のタッグだったぜ!早く里に戻ろうぜ!」

 

と貴方を担ぐと図書館から階段を上がり、紅魔館の

エントランスまで運んでいく

 

「あともうちょっとだぜ」

 

そして扉を開けようとした

 

 

 

 

「貴方はやっぱり盗人よ、魔理沙」

 

貴方は立てるくらいに包帯が巻かれ、誰かと一緒に立っていた。

 

「なっ!邪魔をするな咲夜!」

 

魔理沙がこちらを振り向いて叫ぶ

咲夜は飄々として顔で

 

「邪魔なんてしてないわ。ただ私達の物を守ろうとしているだけ」

 

それに魔理沙は反論する様に

 

「お前達の物じゃ無いぜ!」

 

と叫ぶ

貴方はどちらの物でも無い、と思った

そして、鳥肌がたった。

 

なぜなら

 

咲夜が

 

文と同じような、狂った目をしていたから

 

貴方はここに居るのは不味いと感じ、狂った目をして

いない魔理沙を選び、ドアに向かって飛ぶ

が、貴方の足が掴まれる

いつの間にか咲夜が足を掴んでいた

理科の実験でする磁石の気持ちを、貴方は分かった

様な気がした。そんな貴方に希望の手が

 

「いくぜ!お前!」

 

魔理沙が

 

貴方の手を掴んで

 

扉を壊しながら

 

飛んでゆく

 

「…咲夜」

 

咲夜は振り向いて膝をつく、そして

「申し訳ありませんお嬢様。逃してしまいました」

と、ものすごく悔しそうに言う

そんな咲夜の肩に手を置くレミリア

そして、安心させるようにこう言う

 

「大丈夫よ、彼は戻って来るわ。まぁ、もう私達は普通になっているかもしれないけど」

 

 



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我が家

「ここまでならもう追ってこないぜ」

 

魔理沙はそう言うと地面に着陸する。

周りには霧の様なものが沢山あり、大きなキノコやらが生えている森のようだ

貴方は魔理沙にここが何処か聞いた

「ここか?ここは魔法の森だぜ」

魔法の森、確か魔理沙の家があってそこで何か店を開いていた気がする

…ハッキリいって、ここに来るのは相当の物好きなのだろう。

貴方が森の瘴気に咳き込んでいると魔理沙が言う

 

「そういえば、お前は自分の家を里の近くに

建てていなかったか?」

 

貴方は自宅の場所を大体思い出しそこに

少し行ってくると魔理沙に伝えた

 

「おう!アイツらに捕まらない様にな!

じゃあな!」

 

 

そう言うと森の奥に消えていった

うっすらとツタにまみれた家が見えたので

貴方は魔理沙が家に帰ったと思った

貴方は足に霊力を込めると、魔法の森から飛んで

自宅がある大体の場所まで飛行して行った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ…あれ?これは…何で私がアイツの髪の毛を持っているんだぜ?」

 

人間の魔法使いはそんな事を考えながら

魔法の壺に、貴方の髪の毛を入れた。

 

「私も、アイツらと変わらないか…」

 

そんな、何かを悲しむ声を出しながら

 

 

 

 

 

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

貴方は飛翔しながら周りの景色を見た

…美しい、貴方はそう思った

 

湖に反射する光、黄金色に輝く向日葵

 

そして絶妙に光が漏れる山、竹林。

 

空を見上げれば、浮かぶ空島、何かの穴

 

今の現代では到底見れない物だろう。

貴方は富士山に登って美しく湖と景色を見たが

それ以上に、此処はとても美しい

 

…愛に狂った者達が居なければ、もっといい

貴方は大体の場所の丁度上に行くと、急降下する

スッと着陸すると、少し奥に家が見える

木の枝をかき分けながら進むと、我が家が見えた

貴方は家の前に立つ。

貴方の家は立派な和風だ。the和風と言わんばかりに

建っている。貴方はガラガラと戸を開けると中に入った。

中も立派な和風で、囲炉裏を囲う様に座布団がある

上の階に続く階段は江戸時代によく見る箪笥のようだ

貴方は座布団に腰を降ろすと背中に手をまわした

 

…無い

 

貴方は今、自分のリュックを紅魔館に忘れた事を思い出した。

燕尾服も少し、この家には似合わない。

しかも、武器も魔理沙と戦って落としてしまっている

マスタースパークを当てられた時、どこかにいったな

と貴方は思いながら階段箪笥に向かった

貴方の服が何着も入っている

貴方は妖怪を退治するときに散る、血を洗うのが

面倒だったからこうしたのか、と思った

貴方は和風やパジャマがある棚から和服を引き出し、

その場で燕尾服を脱いで和風を着た

今日は里に行く予定の為、なるべく目立たない和風で

行こうと思った。貴方は恐らく家の中や狩りの時には

フード付きのジャケットでいるのだろう

貴方は和服を着て外に行こうとすると

あるものが飾ってあった。

 

 

 

 

 

 

…刀。

 

刀掛けに、短刀と長刀が掛けられていたのだ

貴方はそれに近づくと刀掛けから取った

馴染む。貴方はそれだけ思った

 

狩りの時、よく使った刀。

するりと鞘から刃を抜くと、刀身が現れる

貴方は刀身を見つめた。

それは刀特有の波紋をつけ、貴方の姿が歪んで写った

貴方はだらりと刀を下げ、力を持ち手に込めた

すると、刀身がうっすらと青くなり、覆う

貴方はこれが自分の霊力だと、理解した

それを鞘に仕舞う。多分短刀にも同じような事が

出来るのだろうと貴方は思った

それを腰に差すとそれはよく馴染んだ。

貴方は戸を開けて閉めると里へと向かった

 

 

 

 

 

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

かなり賑わっているな、と貴方は思った。

人々がガヤガヤと商いをしている様はかなりいい

貴方はどんどんと歩を進める

途中で貴方は刀研ぎを売っているのを見つけた

確か、貴方の家には刀研ぎは無かった気がした

水は近くに湧き水があったので、そこは何とか出来る

貴方は懐から硬貨を数枚取り出すと店主に渡した

店主はいい声を出すと、刀研ぎを渡してくれた

貴方は礼を言うと、まま歩きだす

貴方は里は平和だと思った。

この平和がいつまで続くのだろうか

貴方はふと、子供たちが何か言うのを聞いた

「こっちこっち!アリスお姉ちゃんの劇があるの!」

貴方の足は自然と子供たちが走っていった方向へ

進んで行った。

 

そこには子連れが沢山おり、劇を見ている様だ

その劇は勇者が姫を助けにいくものだろう

貴方はそれをずっと見ていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…かくして、勇者と姫は結ばれましたとさ」

 

どうやら劇が終わったようだ。

貴方はくるりと背を向けると里が平和だと思いながら

帰ろうとした。

 

「ねぇ貴方もしかして…」

 

が、そううまく行かないのが人生である

貴方が振り返ると先程劇をやっていた金髪の女性が

こちらに歩み寄ってきた、貴方は名前を聞いた。

 

「アリス・マーガトロイドよ 」

 

貴方は自分の名前をいうと、さっきの劇は

見事だったと伝えた

すると、アリスは少し頬を赤くして

 

「あ…ありがとう…」

 

と俯きながら言った。もしかして人見知りなのか?

貴方達は無言のまま向き合っている

貴方はそこまで余計な事を言う訳でもないし

どちらかというと聞く方である

そんな無言の空間が続くかと思われた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…村人達の悲鳴がそれを切り裂いた

貴方の反応は劇的だった。貴方は空へ飛行すると

悲鳴の方向へ飛んでゆく

すると、貴方が幻想入りした時に襲ってきた化け物が

村人達を襲っていたのだ

 

舞う血飛沫

 

全てを切り裂く悲鳴

 

貴方はそれに体当たりする

化け物は数メートル吹き飛ばされ、怒りの声を上げる

貴方は刀を引き抜くと、炎の様に激しい剣撃で

化け物の爪や足等を切り裂いていく

 

「これは…!」

 

6面体の帽子を被った女性が駆けつけたが、貴方は

気に止める事無く化け物を斬る事を止めない

貴方の和服は血にまみれ、元の色が分からない位になっていた

貴方はあの時の様に馬乗りになると、愛用の刀を

両方とも、背中に思いっきり突き刺す

皮膚を貫き、それは心臓まで達する

霊力を大量に込めていたお陰か化け物は動かない

化け物から刀を抜くと鞘に戻した

貴方はストッと地面に着地する

 

 

 

 

 

 

 

 

…着陸した瞬間、貴方はバタリと地面に倒れる

 

「おい!?お前!」

 

先程の6面体女性だろうか、彼女が走った時だった

 

彼女が

 

あの、博麗の巫女が来たのは

 

 

 

 

「あーあ全く派手にやっちゃって、本当に誰がやったのかし…」

 

彼女はこちらを見ると目付きが変わった

 

「――!」

 

そして貴方の名前を叫ぶと、そのまま貴方を抱え

何処かに飛び去ってしまった

辺りを包む静寂

 

聞こえる音は、化け物が塵になる音だけだった




|*・ω・)チラッ

|ω・`)じー

|(っ'-')╮ =͟͟͞͞ヤンデレブォン

|'ω')スッ


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博麗神社

貴方は暖かい布団の中にいた

チュンチュンという鳥のさえずりで目覚める

ぬくぬくとして暖かい、今は冬では無かったと思う

貴方が起き上がろうとすると何かがそれを止めた。

誰かが腕を抱きしめている…?

貴方はペラリと布団をめくった

 

…巫女装束に身を包んだ女性がいる

貴方はその顔を見て、彼女が博麗霊夢と思った

自分は霊夢と一緒に仕事していたような

頭がモヤモヤとして、何も分からない。

貴方は水を浴びようと霊夢にバレないように

そっと腕を引いた。

 

「…ん」

 

貴方は氷を背中に当てられた様な感覚を味わった。

ぼんやりとした貴方の前で霊夢は起き上がる

そして、こう言う

 

「あら、おはよう。よく眠れた?」

 

貴方は途切れ途切れに返答しながら立った

すると、それに合わせるように霊夢も立つ。

貴方が困惑していると、霊夢が顔を寄せる

「どうしたの?」

彼女の息がかかる程近い

貴方は自分の顔を見ることは出来ないが、多分

真っ赤になっているのだろう

そんな貴方に霊夢は言う

 

「何か言えないことがあるの?」

 

うん?と貴方はなった。

何がどうなって何か言えないことになるのか

霊夢の頭がブラックボックスしていると

貴方が考えている間にズイと霊夢が顔を寄せる。

 

「他の女の事かしら…?」

 

その目は文と同じ…

貴方はガクガクと震えていた

ガクンと視界が揺れる

手は押さえつけられ、霊夢に乗られている。

どうやら押し倒されたらしい

モゾモゾと体を動かす貴方に霊夢は顔を寄せる

 

「次、考えたら…ね?」

 

鳥肌が立つような、同じ人間の筈なのに

 

妖怪と同じ誘惑の声が、貴方の脳内に響く

 

耳の穴から入り、鼓膜を通って頭の中へ

 

こんな声を聞いていたら、狂ってしまいそう…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…」

 

それを阻む様に貴方のお腹と、霊夢のお腹から

何とも言えない気の抜けた音がでる

そういえば貴方は川流れをしてから1回も

食事をした覚えが無い。

それを改めて認識すると、更に気の抜けた音が響く

霊夢が何とも筆舌に尽くし難い顔でこちらを見ている

霊夢は溜息をつくと、貴方から降りる

 

「あなた、食事してないのかしら。仕方ないわね

私が作ってあげる。」

 

そう言うと霊夢は障子を開けて行ってしまった

霊夢に食事をしていないなんて言ってもない。

貴方はこれが博麗の巫女の勘かと思った

貴方は起き上がると、霊夢が進んだ方向に進む

外では桜と思われる木が生えている。

貴方は園側に座るとよく観察した

外の世界でよく見る桜とは違うらしい

外の桜よりも大きく、立派だ。

開花したらさぞかし美しいのだろう

そうやって考察する貴方に声がかかる

 

「出来たわよ。早く来なさい」

 

振り返ると、エプロン姿の霊夢が居た。

貴方は巫女装束の上に着ていいのか、と

考えてしまったが、ここは幻想郷。

常識に囚われてはいけないのだ

が、霊夢は貴方の考えていた事を理解したらしく

 

「別に良いじゃない。」

 

と手で誘いながら言ってきた。

貴方は立ち上がると誘いにのる

食卓を見ると、いかにも和食という物があった

湯気をたてる味噌汁と白米に、

お焦げが付いた美味しそうな銀鮭。

鮭に関しては誰かから頂いたのだろう

この巫女は守銭奴だ。

貴方はじょじょに彼女との思い出がでる

 

「何してんのよ。手を合わせて、ほら」

 

が、霊夢に邪魔される。

貴方は手を合わせると、言う。

日本人が食事をする前に言うその言葉を

 

『いただきます。』

 

箸でご飯を挟むと、口に運ぶ。

口の中でホクホクとした米の美味しさが、伝わり

貴方は頬を綻ばす。

霊夢も美味しそうにご飯等を食べている。

貴方は味噌汁、鮭、ご飯と順番に食べていく

貴方は久々の食事に嬉しさを隠せていなかった

気分が高揚していた。

だから気づかなかったのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

歪んだ目で、ウットリと貴方を見る霊夢に

 

 




霊夢が料理下手といつから勘違いしていた?()
最近モチベがよろしく無いので
期間が開きそう


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日常(?)

貴方食べ終えると、食器を運ぶ。

それについて行く様に霊夢も食器を運ぶ

貴方は台所に食器を置くと、洗おうとした

すると、霊夢も並ぶ様にして洗う。

貴方は自分が洗うと霊夢に言った。

 

「いいのよ、別にこれくらい。」

 

そういうと、洗うのを続ける

貴方は皿を持ち上げると、キュキュと音を立てながら

皿を洗っていく

貴方は数枚皿を洗うと、包丁を手に取る

 

…ツ

 

貴方はピリと指先に痛みを感じた。

見ると、包丁の切っ先が貴方の指先を

少し切ってしまっている。

貴方は絆創膏でも貼ろうと思ったが、リュックは

置いてきてしまった。

貴方がどうしようか迷っている間に、霊夢は

こちらに近づく。

そして、貴方の手を取って低く屈んだかと思うと、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん…んぅ…はう…」

 

恍惚とした表情で貴方の指先を舐め始めた。

指先は暖かく粘着的な舌に包まれる。

少し、切れた部分がピリピリとする。

貴方はどう声を掛けるか迷ってしまった

こんな事をされたのは初めてだ。

フランは吸血鬼だからまだ分かる。

しかし、霊夢は人間だ

どうして、こんな事をするのか貴方は

理解する事が出来なかった。

 

「…ん」

 

指先から暖かい感覚が離れ、霊夢は立ち上がる

貴方が戸惑っていると、霊夢は言う

 

「ほら、治っているでしょ?」

 

貴方が指先を見ると、先程まであった切り傷が無くなっている。

うっすら線が見えるので、恐らく再生したのだろう

貴方が突っ立っていると、霊夢は口笛を吹きながら

「掃除でもするかしら」と言いながら外に出ていってしまった。

貴方は正気に戻るとこれから何をしようか、

頭を悩ませる事になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

貴方は今縁側で桜と思われる木を眺めている

あれからいろいろと考えてみたのだ、貴方は。

自分は彼女とどういう関係だったのか、

そして、幻想郷で貴方はどの様に過ごしたのか

貴方はずっと頭を悩ませていた。

そして、貴方は考えるのを止めた。

 

考察はしていてはキリが無い。

 

犯罪の後に残るのは証拠と結果だけ。

 

どんなに考察がおかしくても

 

証拠と結果が合っていればいいのだ

 

貴方は何かをブツブツと呟くと

立ち上がり、霊夢に会いに行った

気晴らしに買い物がしたかったのだろう

何も入っていない賽銭箱を尻目に境内に立つ

霊夢が誰かと話しているのを見つけた。

金髪ロングの癖のある傘を差した女性。

貴方は彼女達に近づいていく

 

「…」

 

「…!」

 

何かを話し合っているらしい小声で

よく聞こえないが霊夢が怒鳴っている様に見える

貴方は「霊夢、人里に行きたい。」と話す

すると、今気づいたのかハッとした顔でこちらに

顔を向けてくる。

霊夢は金髪ロングを少し睨むと

 

「少し準備してくるわ」

 

不機嫌な様子で神社の中に入って行った

そんな彼女を見ていた貴方に声がかかる

 

「貴方…気を付けなさい」

 

え?

 

いきなりの警告に貴方は戸惑い、理由を飛ばして振り向いた。

 

 

 

 

 

…物凄く胡散臭い

まず、貴方が思った容姿だった。

立ち姿もそうだが、何も言わずにいきなり警告を

してくるのが分からない。

中身を伝えず結論しか伝わらない

そんな貴方の感情を呼んでかこちらに頭を下げて

 

「自己紹介も無しにごめんなさいね…私の名前は八雲紫。

 あの子の一応の親かしら。」

 

貴方も名前を言うと、何故先程の警告をしたか紫に質問する。

それにくるくると傘を回しながら

 

「いずれ分かるでしょう」

 

なんて言って、そのまま境内から去って行った。

貴方は慌てて追いかけたが、まるで消える様に

姿が見えなくなった。

立ちすくむ貴方に後ろから声が掛かる

 

 

 

 

 

 

「幻想郷は全てを受け入れるのよ。

それはそれは残酷な話ですわ…

 

 

 

 

 

 

 

 

…貴方は前世に何をしたのかしら。」

 

貴方は慌てて振り返ったが、そこには霊夢が

立っていただけだった。

 

「何してるの?早く行くわよ。」

 

霊夢に引っ張られ、貴方は人里へと向かう…




ネタが思い浮かばない


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買い物

2人で空を飛ぶ

空を飛べるというのは本当に便利だ。

にしても、あの言葉は何だったんだろう

 

「前世で何をしたのか」

 

貴方には何も分からない。…分かりたくも無い

そんなローテンションの貴方に気付いたのか

霊夢は気軽な感じに

 

「あれのいう事を真に受け止めない方がいいわ」

 

貴方はそう言われると確かにそうだと思った

顔は胡散臭い。滅多に現れないくせ言う事も

よく分からないことだらけだった。

貴方はそれを思い出すと霊夢の言うとうり

あれを真に受け止めない事にした。

 

「着いたわよ」

 

そうこうしているうちに里に着いたようだ

貴方は里の入口に着地すると門番に一礼した

門番はこちらに敬礼すると槍を持って警備に戻る

 

「行きましょう」

 

霊夢は手を出てきた

貴方はそれを握ると里の中を歩き出す──

 

それは懐かしい様な気がして

 

あの時は楽しいと思っていた

 

だから今は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この感覚だけを味わっていたい。

 

 

でも、すぐ壊されるとも知らずに

 

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

貴方と霊夢は人里を歩いている

人里は活気で溢れ、声が絶えない。

人々は笑顔で真正面から話し合い、笑い合う

貴方はふと、外の世界でもこうなればと思った

そんな何を達観しているような貴方に霊夢は

 

「何してるの?」

 

貴方は「なんでもない」と言うと買い物を霊夢に促す。

 

「そうね、早くしましょう」

 

そして、霊夢は「いい店があるの」と言って

貴方の手を掴んで行った

 

「らっしゃい!」

 

若い男が大きな声で言う

貴方は品揃えを見てみた。

…山菜、米、果物が沢山。それに少し魚がある

何故魚介類が少ないと聞きたかったが、ここは

幻想郷。海なんてないからあの霧の湖だったか…

そこから釣って来たのだろう。

…貴方は霧の湖には人魚がいることを思い出し、

自分が湖に引き込まれそうになったのを忘れようとした。

貴方がそうしている間に霊夢は食材を買っていく

霊夢は頭を抱えている貴方に寄り添う

 

「大丈夫?」

 

貴方はしっかりしないと、と思い悩みを振り払う

霊夢は食材の入った袋を肩に持つ

 

「それじゃ帰りましょう」

 

そう霊夢が言った瞬間だった。

貴方と霊夢のお腹から気の抜けた音がした

2人は目を合わせた

 

「お2人方!いい店が近くにありまっせ!」

 

店主はそういうと、本当にすぐ近くにある

お店を教えてくれた。

 

「もうお昼時かしら…あら?」

 

霊夢は財布を確認した。

 

無い

 

「え?」

 

無い

 

…スられたようだ

 

「嘘でしょ…」

 

ガーンとピアノの音が聞こえそうなくらい肩を落とす霊夢。

貴方はそんな霊夢にこう声をかけた

「奢るよ」と、すると霊夢はいやいやと首を降って

 

「それはちょっと…」

 

そんな霊夢を見て貴方は少しイラついたのか

霊夢の腕を掴んで店まで連れていく

 

「…分かったわ」

 

霊夢はそういうと店の中に入っていく

貴方はその後に続いて入る

 

「いらっしゃい」

 

若い男性の声。

見ると、赤いジャケットを着た赤い瞳の男性が

カウンター越しにこちらを見ていた。

貴方はカウンター席に霊夢と座る。

 

「あら?ここはうどん屋だと思ったのだけど。

 それに人も違うし」

 

品物を見ている霊夢が疑問そうに言う

すると、その男性は首元のマフラーを手で弄りながら

 

「あぁ…あの人やらかして居なくなったんですよ。

その跡地に店を開いてます」

 

「見た感じこーひー?とかけーき?とかあるけど」

 

霊夢と男性の会話を聞きながら貴方は店内を見渡す。

店内にはテーブルがいくつかありその内数個は客が座っているようだ。

…青のジャケットと水色カッターシャツは

この店内では異様に目立つ。

貴方は他の場所を見ると、注射器や包帯が売られて

いるのを見つけた。

 

「あれかい?」

 

貴方が興味津々に棚を眺めている時に男性から

声が掛かった

 

「あれは何なのか?そうだね、まぁ外で言う

風邪薬とか胃薬とか蘇生剤かな」

 

前者2つは分かるとして蘇生剤ってなんだ

どうみても危ない薬の注射器だぞあれ

男性は注射器を持ってくるとこちらに渡す

貴方は近くで見てよく分かったがどうやら

針がかなり短いようだ。

 

「針が短いのはね、戦いの時直ぐに打てるように

改造を重ねた結果だよ」

 

確かにこれなら直ぐに打てるだろう。

貴方は店主に値段を聞いた

 

「値段?えーとこれくらいかな」

 

貴方は提示された値段を見ると注射器三本と

包帯4個買うことにした。

 

「まいど、帰る時に渡すよ」

 

そういうと男性はカウンターに戻る。

霊夢はどうやら何を選ぶか決めたらしい。

貴方に表を渡す。

元外の住民だった貴方にとっては馴染み深い料理

が結構ある。

先程外で言うと例えていたので彼も外の住民

の1人だったのだろう

貴方は自分の好きな料理と飲み物を選ぶ

 

「決まったかしら?」

 

霊夢はそういうと貴方は決めたと答える

 

「決まったかい?じゃ何にする?」

 

「私はぱすぅたとこぅひーで」

 

貴方は一瞬吹きかけたが堪えて男性に料理を伝える

どうやら男性も同じだったらしい

 

「それか…君はマニアック?それとも普通?

…僕にはよく分からないよ」

 

男性はよく分からない事を言うと厨房へ行く

 

「ねぇ──。」

 

霊夢は貴方の名前を呼んだ貴方は「何」と答える

 

「──は私を覚えてるのよね?」

 

貴方は覚えていなければ一緒に朝ごはんや

昼ごはん、それに買い物に付き合ったりしないと霊夢に言った

 

「そうなの…ありがとう」

 

「…?何か言った」

 

「な、なんでも無いわ!」

 

霊夢は頬を赤くするとプイッと明後日の方向を見た

貴方は少し笑った後、見てしまった。

 

 

 

 

 

…窓越しにこちらを見る文に。

 

「!」

 

頭の上にエクスクラメーションマークが見えそうな

くらいに驚いた貴方はガタンと椅子から立ち上がる

 

「──!?どうしたの!?」

 

霊夢にそう言われ霊夢を見てしまうが

それどころじゃなかった。

貴方は直ぐに窓を見るが文はいなかった

心臓が未だにバクバクと動いている

 

貴方は頬をつねった。

 

お願いだから、夢なら覚めてくれと

 

 

 

 

 

…でも、ここは夢じゃない。

現実というナイフは貴方を血まみれに切り裂く

 

「落ち着いて──!」

 

貴方はカウンター席に座る。

霊夢がトントンと背中を叩く。

どうやら無意識の内に噎せていたようだ。

貴方は何とか落ち着くと溜息をつく。

 

「どうしたの?本当に」

 

貴方は少し外の世界が恋しくなっただけと言った

 

「え…?」

 

霊夢の反応は歴然だった。今にも泣きそうな…

貴方は少し思っただけと霊夢に伝えた。

 

「うん…そうだよね…でも…やっぱり牢に…」

 

貴方は霊夢に声をかける

 

「──…なんでも無いわ。それに料理が来たわよ」

 

見ると、男性がぱすぅたとこぅひーを持ってきた

 

「どうぞ」

 

そういうと男性は霊夢の前に2つを置く

 

「…?あれ?──のは?」

 

貴方も思ったが自分のが来ていない。

すると男性はそれのことかと言って

 

「料理で両手が塞がっているからね、今から持ってくるよ。」

 

そういうと男性は厨房に戻る。そして直ぐに

貴方の頼んだ料理が届く。

貴方は待ってくれていた霊夢に礼を言う

 

「いいわ。それじゃ食べましょう」

 

そして貴方と霊夢は手を合わせる

 

「「いただきます」」

そして、それを口に運ぶ。

…懐かしい。ただ一言。それだけだ

その1口、1口が外の世界そのもの。

所々人里の人用に味が少し違うが

それでも外の世界でも1口となんら変わりは無い

貴方は喉の乾きを癒す為に飲み物に手を伸ばす

…懐かしい。

これも人里の人用に味が少し変わっているが

料理と同じように大体外の世界と同じ味だ。

霊夢もぱすぅたがおいしいのかまるで

某最近映画になった一狩りゲーの主人公と

全く同じ食べ方をしている。

しかしあれで何も飛び散らないのが流石である。

貴方は料理を食べるそれにしてもここが

洋風と和風を兼ねていて本当に良かった

貴方が食べたい物が大体揃っているのもいい

そんなこんなしている内に霊夢は食べ終わった。

こぅひーをズズズと吸っている

…それお茶じゃないんだぞ。

貴方ももう少しで食べ終わりそうだ。

この味と別れるのは寂しいがさっさと食べて

しまおう。

 

 

 

 

「「ご馳走様」」

 

貴方と霊夢は同時に礼をする

2人は立ち上がると店を後にしようとする

 

「あー──!」

 

すると男性がこちらに紙袋を持って走る

貴方が首を傾げていると男性は

 

「これ!」

 

貴方は男性から紙袋を受け取ると中を確認する

包帯と注射器、そういえば男性は帰る時に渡すと

言っていた。

貴方は礼を言う

 

「また来てくださいよ」

 

「そうね…あんたの名前は?」

 

貴方の変わりに霊夢が答える

そして、男性は霊夢の問にこういう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「僕の名前はダイナダレイット!これからもこの店をご贔屓に!」




長めにしてみた


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日常の終わり

貴方は今、牢に居る

理由は単純霊夢がぶち込んだからだ。

決して貴方は犯罪をした訳では無い

決してブラシャーを被ったとかじゃない

これはそう…あの時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────────

「ふぅ…美味しかったわ」

 

貴方は頷きながら暖簾をくぐる

腹もいい感じに膨れた。やはり故郷の味はいい

貴方がそう思っていると霊夢から声がかかる

 

「それじゃ神社に帰りましょ」

 

貴方の手を引いてウキウキに歩く霊夢

どこの世界でも絵になる女は居るもんである。

…おい、お前ら羨ましそうにこちらを見るな

意外と美人の相手はキツいんだぞ

主に財布が。

霊夢に片手を引っ張られながら貴方は財布を見て

トホホと声が出てしまう

 

「何か言った〜?」

 

あかん今財布が空っぽなんて言ったら半殺しにされてまう。

貴方はなんでも無いと言うとあ、と言う

 

「どうしたの…あぁ」

 

この前見た劇が前の広場で行われている

遠くからじゃよく分からないが、この前とは

別の物語だろう。人形が違う

 

「別の道から行きましょう」

 

貴方は頷くと今度は貴方がリードする

 

「貴方は方向音痴じゃ無かったわよね」

 

貴方はどうかな、と笑いながら手を

引っ張って行った

 

 

…なんで

 

「?」

 

貴方は誰かの呟きが聞こえた様に感じるが

恐らく気のせいだろうと思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────────

里の入口に着いた

 

「お疲れ様です、霊夢さん」

 

「ありがとう、そちらこそ門番平気?」

 

「これで皆の安全が守れるならお安いもんです」

 

「そう、それじゃあ」

霊夢と貴方は門番に手を振ると、門番も手を振る

貴方はいい人だなと思いながら空を飛んだ

貴方の体にかかる風、下を見れば森だった

霊夢は未だに貴方の手を掴んでいる

貴方はあまり女性に手を掴まれるという

体験をした事がないので、体が暑い

そう思えば、この風は心地よい。

 

「風が気持ちいいわね」

 

霊夢が目を瞑って言う。

貴方はそろそろ手を話したらと言った

 

「あら、私を地面に落とす気かしら」

 

いや霊夢は浮いているでしょう…

もしかして離した途端に浮力が無くなるのか?

 

「そんな事ないわよ」

 

心を読んできた。コイツもしかしてサトリか?

貴方がそんな顔をしていると、霊夢は溜息を出して

隣に近寄ってくる…手を離さずに。

近い、もの凄く近い。

貴方が離れようとすると霊夢は近づく

貴方が離れようとすると霊夢が近づく

不浄な戦いが繰り広げられる空中。

それは貴方が諦める事で方がついた

それと同時に神社にも着いたようだ

 

「それじゃ私は夕飯を作ってくるから」

 

貴方は依頼の為に武器を整備してくると言った

 

「それじゃ…絶対に帰ってきてね?」

 

それに対して貴方はいつもどうりに返事をした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

我が家に帰るのはいつぶりか

少なくとも一週間は過ぎている

戸をガラガラと開けて貴方は中に這入る。

靴を脱ぎ、畳に上がる。

貴方は囲炉裏に火を付けて部屋を明るくすると

手に持っている紙袋を畳に置く、そしてその横に

ナイフの入ったホルスターも置く。

貴方は立ち上がると階段の様な箪笥に向かう

中を開けて箪笥からウエストバッグを手に取る

再び囲炉裏の近くに行き、座る

愛刀を腰から抜き出し床にコトンと置く

ウエストバッグの中には最低限の金に最低限の食料

そして、幻想郷の地図だ

貴方は紙袋から注射器と包帯を取り出しそれを

緩和材で包む。もっとも包んだのは注射器のみだが

そしてそれらをバックの中に入れる。

注射器はいつでも取れる位置に入れて置いた

これで大丈夫───カタン

ふと隣から何か金属が倒れる音がした。

ウエストバッグを地面に置く。

貴方はホルスターからナイフを抜き取ると

音のした壁に駆け出し、耳を当てる

…物音がしない

というより、今気づいたがこの壁取り外すことが

出来るみたいだ────コトン

貴方はナイフを構え直し、壁にタックルする

壁から木材の悲鳴があがる

もう一度、タックルすると、壁はガコンと外れた

壁と一緒に倒れる貴方。しかし貴方は瞬時に立つ

ナイフを構えたが、特に何かの気配は無かった。

貴方はウエストバッグにライターがあるのを

思い出し、囲炉裏に向かう…その時だった

─────ガラガラ、ガタン

なんと入り口の戸が独りでに開いて、閉まったのだ

貴方は開いた口が塞がらなかったが

気を取り直してナイフを構える

 

 

 

…が待とうと待とうと何も来ない

貴方はナイフを仕舞うとライターを撮るために

ウエストバッグへ向かった。

ライターはバックのすぐ近くに落ちていた

はて、ライターは外に出したか…

貴方は家にはポルターガイストでもいるのかと

呟きながらライターを手に取る 。

そして、例の物音がした部屋に入ってライターを

カチンとつけた

 

 

 

 

武器がいっぱいある

この部屋に入って最初に思った事だった。

刀は絶対に20以上、弓も20以上、矢は100以上は

絶対にある。それに…銃。様々な銃が大量にある

貴方が見た事の無いような異国の武器から

博物館にあるような武器まで大量にある

ここは武器庫か…にしては多すぎだ

戦争でもするのか

取り敢えず貴方は近くの棚にあった銃を手に取る

それは麻酔銃という奴だった

弾丸の弾頭が丸く無く麻酔針だ。

後で試してみたが、妖怪が眠るレベルの強さだった

貴方はマガジンと銃本体をバックに入れた

そして、その部屋を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

貴方は愛刀を忘れたので我が家にUターンした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

博麗神社に戻ってだが、貴方は思ったことがある

霊夢は貴方が他の女に近寄るのを好いていない

「女に絡まれてない?」とか「女が居た?」とか

貴方は別にガールフレンドくらい…と思ったが

どうやらあちらは死活問題らしい

この前「どうだろうねぇ〜」と行ってみたら

膝から崩れ落ちた。その後呟きで

 

「やっぱり…牢…私──が…嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘…そうしたら…うん…そうね」

 

なんて聞こえたので取り敢えず嘘だと言った。

あの時自分か1番恐ろしかったのが彼女の目が

文や咲夜と同じ光を全く反射しないあの

黒曜石の様な黒さを持つ瞳。

あれが1番怖かった。

 

 

…それと別に今、問題がある

 

 

「──が貴方のような怠惰巫女の横に居たらーー怠惰になりますよ。

 だから返してもらいます」

 

「うるさい、パパラッチ。落ちろ」

この様に、あの時から文が貴方を攫おうと

神社に襲撃を仕掛けてくる

それにいつも霊夢が対応してくれる。

貴方が出てもいいのだが、もし負けた時のリスク

が大きすぎると霊夢に言われ仕方なく、貴方は

縁側でその戦い(弾幕ごっこ)…いや、殺し合いを見ているのだ

ハッキリ言って自分が霊夢に迷惑をかけていないか

心配である。

毎日文が来るから肉体的疲労は物凄いだろう

だからこそ、貴方は彼女に言うことにした。

しかし貴方は知らなかった

 

…霊夢が貴方の思うより依存していた事に

 

「ふう…今からご飯、っていう所に来ないでほしい

あのパパラッチ…」

 

霊夢が作った和食を口に運びながら貴方は

霊夢の愚痴を聞く

彼女の愚痴を聞いていてもこれといって不快感は無い

貴方はいつ言おうと思ったが、どうやら今しか無い

様な気がする

だから、貴方は箸を置いて「霊夢」と呼んだ

 

「どうしたの──。急に畏まって。」

 

貴方はバクバクと鳴る心臓を抑え、口を開く

 

 

「ここから去る」

 

 

 

「え…冗談は辞め…たら?」

 

貴方はもう一度霊夢に言う

「ここから去る」と、すると霊夢は俯いた

貴方はそんなリアクションをする程でも…と

心の中で思いながらウエストバッグを身に着けた

 

「…ない」

 

 

「させない…!」

 

霊夢が顔を上げた。その瞳はあの時と同じ…

貴方は本能的に後ろに下がった

霊夢が卓を隅に押しのける。ガチャガチャと

音がなって卓は移動する。

貴方は更に下がる。

霊夢がまるで 怨霊の様に ゆっくりと近づく

 

「私が何かしたの…?私の何がいけなかったの!?」

 

動作もゆっくりであれば言葉もゆっくりだ

だが、迫力が伝わってくる

自分がこうやって退くことができる事に驚きだ。

そして、貴方の視界を霊夢が包む

 

「スンスン…スンスン…」

 

貴方の髪から肩にかけて、匂いを吸ってくる

 

「…ふーん」

 

霊夢は何か、確信した顔で貴方の耳に囁く

 

 

「あの天狗に、何か吹き込まれたんだ」

 

 

「え…いや、そんな訳が」

 

「そうなの…へぇー…」

 

貴方はまるでイタズラがバレた子供の様な言い訳

をした、霊夢は貴方はから少し顔を離して…

 

いつの間にか押し倒されていた

 

「!?」

 

貴方は藻掻く。なのにこの少女は全く剥がれない

同じくらいの年齢を相手にしている筈なのに

全く、剥がれない

 

「抵抗したって無駄よ…少し術を仕込んだから」

 

霊夢が憐れむ様に貴方の胸に手を置く

その後貴方の手をがっちりと掴む

 

そして

 

貴方の唇に

 

霊夢の唇が

 

重なった

 

「んん!?ぐぁ…んんー!」

 

「…くちゅ…くちゃん…」

 

それは貴方の歯を磨く様に舐めた後、口内に

侵入する。貴方の舌は逃げる様に移動するが

勘なのかそれに気づいて這わす。

今まで住をともにしてきたが、こんなことは

今まで無かったし、これからも無いと思った。

 

「じゅるるる…」

 

あぁ、汚されていく。

霊夢と食をともにしたこの部屋が。

下品な水音によって。

 

「…ぷは」

 

「かは…!あぁ…」

 

貴方は危険を最大に感じた。だから

 

「うわああああああああぁぁぁ!」

 

逃げ出そうとした。口から零れる霊夢の涎を

そのままにして 全力で

 

「あ…?」

 

プスンと何かが刺さる音と共に痛みが走る

それと共に貴方の意識は消えていく

その意識と共に僅かに聞こえた声。

 

 

 

 

 

 

「おやすみなさい…私の───」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────────

…というのが経緯である

近くから川の音がするので恐らく洞穴だろう

霊夢に何故こんなことをするのか聞いたが

 

「幻想郷から帰る気でしょ?」

 

とだけ教えて貰った。

 

貴方はこの時だけ祈った

誰か助けてくれと。




貴方の家にポルターガイストが起きれば
もしかしたら無意識の少女が居るかも?


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善意の白狼

あれから何日が経過したのか。

取り敢えず壁にある横1文字に縦線4本の数を

目測で数えただけで10以上はある

恐らくこれからもどんどん増えていくのだろう

貴方は射し込む光が月のソレである事を確認した

それにしても博麗霊夢はいやらしい性格だ

鉄格子の向こうに机があるのだが、そこに貴方の

ウエストバッグに愛刀、そして黒光りする銃が

見えるのだ。貴方は最初取りに行こうとしたが

手が届きそうで届かない。

本当にいやらしい性格をしている

ここに何か書き記すか?

…いや、どうせ閉じ込められるのは貴方以外に

いる筈が無いだろう。それに眠気も凄い。

だから、貴方は祈る事しか出来なかった

これまでの道程を見て、神は何を定めるのか。

 

 

 

 

 

 

…ヒュン

貴方はその風を切る音に眠気が覚めた

それが机に突き刺さって貴方は初めてそれが矢

だと認識した。

それに加えて机が今にも倒れそうじゃないか。

というか今ガタンと音を立てて倒れた。

それと共に愛刀が手が余裕で届く位置に落ちる

貴方はそれを手にする

…偶然か?こんな事、あるのか?ご都合主義か?

机が倒れて刀が手の届く位置に来るって…

まぁ運が良かったのだろう。そう思いながら貴方は

鉄格子をガリガリと削る

幾らか削ると貴方は鉄格子を押す、すると鉄格子は

カランと音を立てて石畳に倒れた

もう1つの鉄格子を削れば脱出する事が出来るだろう

貴方はガリガリと音を立てながら鉄格子を削る

数分した後、鉄格子は自然に倒れた

やっと出る事が出来る…!貴方は鉄格子から足を

踏み出して外に出る。

地面に落ちているウエストバッグを腰に装着し

使う事はあってほしく無いが、麻酔銃のスライドを

引いていつでも撃てるようにする

…ここの住民に撃っても避けられるような。

でも初見殺しにはなるだろう…いや眠るか。

貴方は愛刀を腰に差すと久しぶりに背伸びをする

やっと自由か。

今は夜だ、彼女は寝ている筈。今すぐ脱出しよう

 

 

 

 

…なのに

 

「何処に行こうというの?もしかして逃げようとしてた?」

 

彼女は起きていた。

貴方は体が震えて一瞬身動きが出来なかったが

それを抑えて銃を構える

 

「はぁ…あんたそれでどうにかしようっての?」

 

何処か嘲笑を含めた声で問いかける霊夢

貴方は首を傾げる。それにしても何故か軽い

あれ?まさか…そんな事

 

「あんたが欲しいのはこれかしら」

 

霊夢が握った手をこちらに見せびらかす

…まさかその中に、いやそんな事は無い

彼女は銃なんて知らない筈

 

「私はこの武器の使い方や使い道なんて全く知らない。

 でも私の勘がこれを取り出せって言ってたの。

 勘はあんたの次に信用できるから。」

 

カララと地面に麻酔弾が転がる

え?じゃあ今持っているのは銃の形をした鈍器じゃないか…

貴方はスライドを引いた

 

そこには黄金色の弾丸が見えた

…?これだけ入っているのか?違和感を感じたが

貴方は気にせずに銃を構える

 

「意味のない事をするわね、もしかしてふざけているのかしら」

 

霊夢は面白い…という顔。それにあの黒曜石の様な

光を反射しない黒い瞳

貴方はそれ以上近づいたら撃つと言った

 

「撃ちたいなら撃ってみなさい。どうせ出ないから」

 

霊夢は手を上にあげて降参のようなポーズをする。

これ以上近づいて来るのは流石にダメだ、彼女の

攻撃範囲に入る(もう入っている様なもの)

貴方は「眠れ!」と言うと目を瞑ってトリガーを引く

乾いた音と共にスライドがフルオープンになる

カランと薬莢が地面に落ちた音がした

 

目を開けたら仰向けに倒れた霊夢。

その左横腹…その辺から巫女服が赤きシミを広げる

 

つまり

 

貴方は

 

霊夢を

 

撃った

 

貴方は喘ぎに近い声を出して、霊夢に近づく

先程左肩辺を狙ったのだがどうやら眼を瞑った

時にズレたらしい。

…でもズレてよかったと思っている

もしそのまま撃っていれば霊夢を

貴方はそれ以上は考えず、彼女に一応の応急処置

を施す。このままに逃げても寝覚めが悪いだけである

貴方は霊夢をお姫様抱っこして牢に入れる

…入れても貴方と同じ方法で出るだろうケド。

さて、急いで脱出しよう。そうしないと今度は

何をされるか分かったもんじゃない…

取り敢えず自分の家だ。

貴方は洞穴から体を飛び出すようにして空を駆けた。

 

数分後、貴方の家に着く

貴方は術を発動して今の場所とは違う場所に

家自体をテレポートさせる

ガタン、と家が揺れる。どうやら着いたらしい

外に出ると、ムワッと瘴気が貴方を襲う。

どうやら魔法の森に出たようだ

貴方は顔をムッとさせるだけだった

上を見上げると、とても高い山が見える。

やらかしたかもしれない

あれはどう見ても妖怪の山。

 

つまり文の住処…

貴方は首をブンブンと振って家に入る

そして、囲炉裏に火も付けずに横になった

夜の空気は冷たい。でも、今すぐ寝たい

そんな貴方の願いを叶える様に睡魔は

貴方の意識を刈り取った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────────

貴方は何か起きなければいけない気がした。

ガバリと体を起こす。

窓から差す月明かりを見るにそう時間は経っていない

貴方は未だに付けていたウエストバッグと愛刀を

すぐ側に置いて背伸びをした。

いくら座布団があるといえど硬い畳の上で寝ると

体中がジンジンと痛む。

貴方は外の空気を吸おうと外に出ようとした

まず、靴を履いて戸に手を…

当てる前にガラ…と少し開く

白い手が、添えられて。

あの黒曜石の様な瞳がこちらを見ていて

「よクも……………してクレたワね…」

貴方は怯む、そして次の言葉で。

 

 

 

 

よくも鉛玉をプレゼントしてくれたわね………よくもよくもよくもおおおおお!!!!」

 

 

 

 

 

 

──────────

 

「うわあああああああああああぁぁぁあああああ!!!!」

 

「大丈夫ですか──さん!?」

 

貴方は飛び起きた。あの瞳、声で

死ぬかと思った…とはこういうことを言うのだろう

事実貴方はショック死しかけた。

…にしても貴方は何かフサフサの物が太ももに

当たっているように感じる。

それに加えて貴方の頭の右側…布の感覚とムチッと

した、太ももの感覚。

どうやら誰かに膝枕されているらしい(人生初)

それにいつも間にか囲炉裏に火がついている

貴方は太ももの主に顔を向ける

銀髪に獣耳、赤い瞳にどこか巫女めいた和服。

彼女は貴方を落ち着かせる様に撫でてくる

貴方は「君は…誰だ…」と絶え絶えに言う

 

「私は椛、犬走椛です。椛と呼んでください」

 

「…どうして、ここに」

 

「千里眼で見張りをしていたらいきなり家が…」

 

確かに家が、突然PON☆と出てきたらそりゃあ

探索に来るだろうな…

確かこの術を試験運用した時里で騒ぎになったか…

いやいつの話だよ。

貴方は起きようとするが椛に止められる

 

「待ってください。今貴方は極度の興奮状態です

 少し落ち着くまでゆっくりしましょう」

 

何故か椛の声が遠く聞こえる。そういえば、貴方は

いつ耳かきをしたのだろう

もう覚えていない。

すると椛が貴方は耳が聞こえにくいと感じ取ったのか

 

「ゆっくりするついでに耳かきしましょう

 何処に耳かきがありますか?」

 

貴方はウエストバッグから竹の耳かきを取り出すと

椛に手渡す「痛くしないでくれ」と言いながら

 

「大丈夫。これでもお父さ…いえ、彼の耳かきを

 してみてかなり出来るものですから」

 

そういうと、貴方の左耳穴に耳かきを入れる

耳毛にコリコリと当たりながら掻かれる耳の中。

貴方は大体自分で耳かきをしていたので

こういう経験は無かった。確かにこれは気持ちいい

ペリリと剥がれる耳垢にそれを掻き出す耳かき

 

「大きいのが取れましたよ」

 

椛は近くのゴミ箱にそれを入れながら言う

自分からは見れないけど多分入れているだろう

残りの浅い所にある耳垢を全て取っていく

 

「浅い所は大体取れましたね、それじゃあ…」

 

貴方の耳に生暖かい息がかかる

ピクンと跳ねたがそれも一瞬。

 

「ウフフ…それじゃ反対ですね」

 

ゴロリと寝返り彼女のお腹に顔が当たる

…右側に何か柔らかい物が重力に従ってこちらに…

 

 

そこから先は理性との戦いだった。

 

 

 

 

 

 

────────

「これでおしまいですね」

 

最後の耳垢を取り出し、一仕事した後の様に

フゥーと息をつく椛

…何故か鼻が、ムズムズッ

 

「どうしました──さん?」

 

貴方は離れてと言おうとしたが、時既に遅し

 

「ひゃあ!?」

 

貴方の大きなくしゃみと共に椛の悲鳴が上がる

しかもそれが鼻水が出るver.だったから大変だ

土下座する勢いで謝る貴方(膝枕から退いて)

 

「私は大丈夫ですから…」

 

と椛は言うが服がベトベトだ。

取り敢えず着替えないと

 

「では私の家に来ます?」

 

椛はそう言った。いやいや、いくら膝枕して

くれたからっていくら何でもそれは…

 

「霊夢さんが来るかもですよ」

 

よし行こうすぐ行こう。貴方は速攻で決めると準備をする。

 

「ついてきてください」

 

貴方は戸を開けて、椛についていった。




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妖怪の山

最近幻想郷(小さい)が自分の部屋に出来る夢を見た
もしかしたら書くかも。


「私の家です…まぁ上がってください」

 

貴方は靴を脱いで上がる

いかにもという感じの和風家だ

戸を開けてくれた椛と共に家の中に入る

漂う木の匂い。

確か親父の家で同じような匂い

貴方は居間(と思われる場所)に入る

居間には貴方の家にある囲炉裏と同じような囲炉裏

があり、その他は扉の奥に台所もあって

見張りの時に使う大剣を手入れするための

道具が置いてある、綿とか。

貴方は囲炉裏の前にある座布団に正座する。

正座する貴方の囲炉裏の向こうの座布団に椛も座る。

 

「崩してもいいんですよ?」

 

貴方はここで世話されるからと断る

すると椛は怒った様な顔と声を出して

 

「家主が崩してって言ってるんですから」

 

貴方は分かったと2回言うと姿勢を崩す

椛は怒った顔から笑顔に変わった。

崩す意味あるのか…?

囲炉裏から暖かい空気が伝わる

直火だからかストーブよりも暖かい気がする

そうやって温かさに耽っているとお腹から

気の抜けた音が鳴る。

…そういえば最近食ったのは霊夢から出された

乾パンと水だけだ(本人曰く罰らしい)

 

「そういえば鮎が余っているので食べませんか?」

 

貴方は塩焼きでと頼んだ後、壁に立てかけてある

大剣の手入れ道具を指さして

「アレを使わせてくれ」と頼んだ。

椛は「いいですよ」と言うと立ち上がって道具を

持ってくる。貴方はそれを受け取って手入れを始めた

 

「それじゃあ塩を付けて鮎を持ってきますね…

 あ、それと着替えてきます」

 

椛はそういうと襖を開けて入った後、閉めた

貴方はポンポンと綿で愛刀の汚れを落としていく…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─────────

 

「よいしょ…」

 

私は愛しい人の鼻水が付いた服を脱ぐ

それを身につけていた時はしっとりとした感覚が

腹部に当たって荒い息になりかけた。

箪笥から新しい服を取り出して着る

いつもの服。愛しい人が始めて来た時から変わらない

あの人が来たのは何時だったか。

そうだ、あの異変だ。

湖と神社が山にいきなり出現したあの異変。

私が見張りをしている時に霊夢と一緒に来たのだ。

彼は霊夢に撃ち落とされた私をキャッチして

私の自宅で介抱してくれたのだ。

介抱時の彼の言動に私の心は動かされたのだ

その日から、私の心の中は愛しい人でいっぱいに…

彼は時たま私の家に来て将棋をしながら会話した。

 

でも、いきなり彼は来なくなった

 

私は彼を探した、千里眼で幻想郷の隅々まで。

確かに見つけたけど、スキマ妖怪が彼をスキマに

入れているところだった。どうやら彼を一旦

外の世界に避難させると口の動きから分かった。

彼との会話で分かっていたが、いつもいろんな女が

絡んできていてそれが行き過ぎてああなった。

私も、彼をストーカーの様に追い回したり

将棋の途中で出たくしゃみをワザとこの身に受けて

着替えて来ると嘘をついた後、ぺろぺろと…

いつの間にか口の中に広がる塩見。

あぁ…彼の体液が、体の中に…

 

「!?おええぇぇええええええええ!!!!」

 

私はさっき脱いだ服の上に透明のドロドロとした

液体がビチャと音を立てて落ちる。

何をしているんだ私!

あの時!あの時約束したじゃないか!

彼は言った、見守ってくれと。

だから今の今まで彼を見ていたのだ。

彼の幻想入りから牢獄入りまで。

だから…同じ過ちを犯す事は許されないのだ。

襖の向こうから彼の心配する声が聞こえる

その声、その声が皆を狂わせている。

でももうどうしようもない。

 

 

 

 

 

私も狂ってしまったから…

 

 

──────────

先程椛の苦しそうな声が聞こえた。

貴方が声をかけると椛が着替えた姿で出てきた

…若干やつれた顔だが。大丈夫か?

 

「私は大丈夫です…鮎に味付けしてきます」

 

大丈夫とは正反対の声で言う椛。

貴方は自分がやろうかと提案したが椛は首を振る

無理はしないでくれと言っておいた

 

「分かってます…」

 

椛は扉の中に入っていった

貴方は一通り手入れが済んだので道具を元の場所に

置いていおいた。

そうした後囲炉裏で暖を取っていると椛があみ籠に

塩のついた鮎(竹串で貫かれた)を持ってきた。

 

「さぁ、焼きましょう」

 

貴方は竹串を持つと囲炉裏の周りに刺してゆく

ザクザクと灰に突き刺してゆく。

籠の中にあった鮎を全て刺し終えると椛は

 

「ご飯を用意してきます」

 

貴方は立ち上がると手伝うと言った。

さっき大丈夫と言ったがやっぱりどう見ても

フラフラしてるし顔色も悪い

貴方はオロオロしている椛を連れて台所に行った

 

 

 

…台所では何も無かったことにしておく。

 

 

 

 

ご飯と鮎を盛る皿をお盆に置く。

鮎もいい感じに焼けた様だ

 

「それでは…いただきます」

 

貴方も遅れていただきますと言って竹串を掴んで

引き抜く。そして鮎を齧る

塩見が効いた身だ、とても美味しい。

米があるとさらに美味しいのだ、これが

椛は丁寧に身を取ってご飯に乗せている

それも美味しいのだろうなぁと貴方は思い

同じ様に鮎の身を取ろうとするが、難しい

 

「私がやりましょう」

 

椛が手を差し伸べてきたので鮎を盛った皿を椛に渡す。

手馴れた箸捌きで身をどんどん米に盛っていく。

 

「いつも食べている食べ物に鮎を入れていますから

 これは得意なんです。」

 

鼻歌を歌いながら動かす椛。

…どこかのゲームで聞いた事のあるような。

その鼻歌を聞いていると終わったのか

こちらに鮎の白い身が乗ったご飯をこちらに

渡してくれた。

 

「美味しいですよ」

 

…美味い。下手に料理を作るよりは椛に任せた方が

よろしいかもしれない。

 

 

 

 

「ご馳走様でした」

 

貴方は眠気が急に襲ってきたのを感じた。

 

「先に眠っていて下さい。あっちに布団があります」

 

お皿はこちらで片付けておきますと椛は皿を持って

台所へと消えた。

お風呂を沸かすにはもう遅すぎる。

貴方は椛の指さした部屋…つまり先程椛が出てきた

襖へ入ると二つの布団が出迎えてくれる

誰かに見られたら絶対からかわれるな…と思いながら

布団の中に入り、そっと目を閉じた

 

 

 

 

──────────

 

「はぁ…はぁ…」

 

愛しい人が使った箸をぺろぺろと舐めながら

ベトベトの股に手を伸ばす

 

「──さん…私を、私を…!」

 

 

止めて…




これスマホ編集なんで文字が左寄りに
なっています。
ご了承ください。

Pcでしたいけど高いのよ…


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来襲

朝、起きると何かに抱きつかれている感覚がした

貴方はその主を見てみると、椛だった

椛が寝ている布団は吹っ飛ばされており

隅っこで白くなっていた。

 

「えへへ…旦那…様」

 

可愛い。尻尾を振りながらそれは可愛い

ケモナーは既にご臨終しているのでは?

貴方はどうしようか考えた。

とりあえずどうにかして離そう…

 

「う…ん?」

 

 

「あ…」

 

一瞬で頬が赤くなる椛。なるほどこれが天狗か

貴方からすぐに離れると立ち上がって

 

「ごめんなさい…!何故か…こう…!」

 

手をブンブンと振りながら首も振る

まぁ、いつも抱き枕でも抱いていたのだろう

貴方は特に問題無いと言うと椛は赤い顔をして

 

「わっ、私は朝御飯のの準備をしてきままます!」

 

まるでゲームがバグったかの様に言葉を続ける

椛はスパーンと襖を開けて台所に行ってしまった

貴方は自分の布団を畳んだ後、隅っこにある布団も

手繰り寄せて更に畳む。それらを箪笥に仕舞い込む

それにしても、服に白い毛が沢山付いている

椛が料理を用意している間に落としてしまおう

まず、腕に付いた毛を全て取っていく

一つ一つピンセットで取るように。

 

さて、両腕の毛は全て取り除いた 

…そこで貴方は重大な事に気付いた。

椛が抱きついていたのは背中、つまり背中に毛が

大量に付いているということ

貴方はおもむろに服を脱ぎ、両腕にしたように

また一つ一つ毛を取っていく

それにしても多い…友人だったか自分か忘れたが

犬を飼っていた。その子がじゃれてきてもこんなに

毛が付くことは無かった。

丁寧に傍に毛を山積みにする、銀の山だ

貴方は服を椛が来ないうちに着た。

 

「──さん。出来ましたよ」

 

丁度その時椛が襖を開けた。

貴方は布団を片付けておいたと言った

 

「え?あっありがとうございます!私がやる筈だったのですが…」

 

泊めてもらっているからと貴方は言い、逆に礼を言いたいくらいだと付け足した。

 

「それじゃあ食べましょう。早く食べないと私は仕事に遅れます」

 

今日はどうやら仕事があるらしい。貴方の家を

見つけた時の様に見張りだろうか

貴方と椛は居間に出て囲炉裏を囲う

今日は味噌汁とご飯、それに沢庵というThe日本風だ

鮭の塩焼きがあればもっと日本風なんだけど。

まぁ、霧の湖に鮭は(多分)生息していない筈

御託はここまで、さぁ食べよう

 

「いただきます」

 

今度は貴方が先に言った後椛が後に言う

ご飯は昨日と変わりなくホカホカで美味しい

沢庵は酸味がかなり効いている。

味噌汁は旨みがとても出ている

それは貴方の箸の動きを止めることは無かった…

 

 

 

 

 

 

 

 

「ご馳走様でした」

 

先程の合唱のように貴方が先に言って椛が後に言う

皿を重ねていると椛が今気付いたように

 

「あ!?私遅れそうなのでもう行きます!」

 

もの凄く慌てて大剣と盾を持って身だしなみを整え

携帯食糧も持って飛び出す様に戸から出る

…取り敢えず彼女の食器も片付けておこう。

それにしても、気のせいか椛が悔しそうにしていた

多分幻覚か何かなのだろう

貴方は椛の皿と自分の皿を持って台所に行った

 

皿は大体洗い終えた。

その証拠に拭きあげた皿がもの凄くキラキラしている

貴方はガチャガチャと音を鳴らしながら棚に皿を

戻し、椛が使っていたと思われる包丁を持って見る

包丁は窓から射し込む朝日に反射し、鈍い光を出す

貴方にとっては見慣れた光だ。

丁重に布で拭い、戸棚に片付ける。

これで一通り終わった。さて…どうしようか

今日は椛ぎ帰ってくるまで何をするか

ハッキリ言って外には出れない。

もし文に見られでもしたら、…いや何とか力で

対抗する事が出来るだろう(頑張れば殺傷)

だが、それよりも厄介な事が1つ。

 

…多分霊夢は貴方を探している

弾丸を食らって牢に入れたがそれで無力化出来るか

と言えば無理である…ていうかあれ博麗の牢だし。

足が無くなっても、なんなら四肢が無くなっても

這っでも来るだろう…あの目は。

今日は椛宅でじっとしておこう…

もうあんなこと(牢にぶち込み)はされたくない

貴方は囲炉裏の傍で横になり、目を閉じる

ここだけ聞いたらただのニートだ…

まぁ本当にやることがないから仕方ないのだけど

人というものは暗闇で目を瞑っているだけで

眠れたり、最悪眠れなくても疲れはとれる

貴方の場合文か霊夢が来るかもという恐怖で

あまり眠れそうにないのだが。──コンコン

驚きで飛び起きた。誰や誰やお祭り騒ぎ

おっと…取り乱してしまったようだ…

落ち着こう、じゃないと判断が鈍くなる

貴方は一旦座り直し囲炉裏に手を伸ばす

暖かくなった脳みそで考えてみよう

もう見つかったの?早くない?

確かにPON☆と家を転移させたけど文か霊夢は

椛程目はよろしく…無いと…思う。

まぁバレたなら仕方ない、潔く投降しよう

 

「椛ー?ちょっと話があるんですよー?」

 

あ、駄目だわ椛さん本当にすみません自分なんかが

来なければ良かったですわ

…でもやり過ごせるかもしれなi

 

「FBI OPEN DOR!!!!」

 

もの凄く男らしい声と破壊音と共にドアが

吹き飛んでしまった、椛さん本当にごめん

そして、そのドアが玄関から廊下…そして閉めていた

襖にダイレクトアタックして襖も飛ぶ。

というか何故彼女はFBIを知っているんだ?

 

「もーみーじー?」

 

そして居間に入ってきて貴方と目が合う

数秒後、文の口が開く

 

「あややや、彼女は私のモノを取っていたんですね」

 

まって違うこれはただ単に彼女に保護してもらって

 

「さて帰りましょう──さん?」

 

そんな貴方の言い分()を最後まで聞かない文

その顔があの時と全く変わらない妖艶の笑み…

貴方の頭がクラクラする…もう寝たい。

それも文が乱暴に手を掴んで覚める

 

「私の──。あははは────」

 

ベチンと言う音共に文が倒れる

貴方はまるで汚物を避けるように体を逸らす

 

「全く、椛さんの扉を吹き飛ばして…あれ?」

 

その緑髪の少女は風祝の巫女服を着ていた

 

「もしかして──さん!?もの凄くお久しぶりです」

 

ぺこりと頭を下げる少女…早苗は顔を上げた

 

「にしてもどうしたんです?これ」

 

貴方は取り敢えず早苗の神社行っていいかと伝える

「えぇ!大丈夫ですよ!」

 

そうなれば椛にも伝えるべきだろう…

 

筆にサラサラと「緊急事態、守矢神社行ってくる明日の早朝迎えに来て」と書いて置いた

 

「さて行きましょう!」

 

彼女の目を見てみたが、純白そのもの。

少なくとも文や霊夢のような邪悪は感じない

それに貴方は酷く、安心した───




アンケートは本作が終わるまでします
誰の作品を書くのかな?

…誰が全員病んでいると言った?
という感じで一部は病んでいません
まぁ後に病む奴もいるけどな!

追記 8500UA もの凄く嬉しい!これからも頑張って投稿していきますぜ!


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守矢神社での戦い。逃走

身体で1番嫌いなもの

無意識の小指


「着きましたよ!」

 

早苗の元気な声と共に雲で隠されていた視界が

クリアになる…かなり豪華な神社だな

彼女が移動中に教えてくれたがたしか名前は

守矢神社だったか。

兎も角さっさと境内に入って隠れてしまおう

 

「よいしょ」

 

「おー早苗ー帰ったのー?」

 

境内で2人で着地すると同時に誰かから声が掛けられる

見ると帽子にギョロ目が付いた幼女がこちらを見ていた。

 

「ん?そいつは誰?」

 

「この人は──さんですよ!」

 

早苗はこちらを指さしながら言う

幼女はこちらを見ると目を薄めながら言う

 

「よろしく──。私の名前は知っているね?」

 

当たり前だ…先程移動中に早苗からこの幼女…

洩矢諏訪子の魅力(?)をPRされたところだ

 

『ええそうですよ!諏訪子様は私を小さい頃から

 とても大切に育ててくれてしかも私を手助け

 してくれた上に信仰をとても多いんです!

 外の世界でもまだ信仰が続いているようですし

 やはり諏訪子様は最高で素晴らしいのです!

 んん?その顔信じていませんね!?ならば

 仕方がありません!証明してあけましょう!

 どれだけ諏訪子様が偉大なのかを!(以下略)』

 

なお、以下略の所を書き記すと軽く小説が

出来るレベルで長かったのだ。

知りたい人の為に言うと…Suwako is God

この一言で事足りる。

中盤辺りから無意識にナイフに手が伸びていた…

もしあれ以上話していたら武力行使してでも止めた

…気を逸らした傘の妖怪。ありがとう

 そして安らかに眠れ

大幣の杖で往復ビンタの後、右ストレートで飛んだ

まぁ妖怪だし心配無用だろう。

が、妖怪が吹き飛ばされた後も話を続けようと

していたのでそろそろ飛ばしてやろうかと

青筋を立てていた時に神社が見えたのだ

とりあえず名前は言っておこう

 

「いい名前。それじゃあ私は戻るから」

 

諏訪子は境内から飛んでどこかへ行ってしまった

 

「何かが用事があるのでしょうか」

 

早苗が知らなかったら私が知るわけ無いだろう

コホンと咳をした後早苗は

 

「取り敢えず中に入りましょう」

 

と言った後御本殿に入って行った。着いていくか

にしても新しい神社だ、某紅白巫女の神社より綺麗だ。

確か外でも信仰が続いているのだったか

…殺気を感じた気がするが、気のせいだろう。

貴方は早苗について行った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

で、今貴方達は机を囲んでいる。

目の前にしめ縄の円が背中にある女性…いや神だな

早苗は貴方の隣に居る

沈黙を破ったのは女性だった

 

「…取り敢えず名前は名乗っておく。──よ

 八坂神奈子。神だ」

 

んなもん見りゃ分かるだろう。しめ縄が中に浮く訳が無い

名前は既に早苗が伝えているので言う必要は無い

先程沈黙していたのは早苗が貴方を保護すると

言い出した時だ。…多分神奈子には知られている

ハッキリ言って家に帰りたい。

名乗った後はまた沈黙だ

早苗がもの凄く気まずそうな顔をしている

貴方は取り敢えず壁の木目を数える事にした…

 

87…88…89…⑨…

さて、あれから何分掛かっだろう

軽く1時間は過ぎている気がする。

そして、瞑っていた目を開き言葉を放つ

 

「…すまないがここで保護する事は出来ない」

 

「え?なんでですか!?」

 

早苗が食いつく様に言う。

 

「彼がここにいると不味いんだよ早苗」

 

どこからかふらりと現れる諏訪子。

そして彼女は貴方にある事を耳打ちした

 

彼女達が動き出しているぞ、と

 

貴方は今すぐここから脱出する必要があると

本能的に感じた。

荷物はウエストバックに入っている物とナイフだ

これらがあればサバイバルは何とかできる

後は自宅に帰って迷いの竹林の様に迷う術を

我が家に掛けてしまえばいい。

 

「そうなんですか…残念です」

 

ガックシと肩を落とす早苗。

貴方は暇な時に来れれば来ると言った

 

「暇があればですね!よろしくお願いします!」

 

早苗は残念そうな顔から笑顔に戻った

取り敢えず脱出しようここに長居したら不味い

霊夢が来るか、文が来るかだ。

ところが貴方の予想を神は裏切った

 

「ここに──さんは居ますか!?」

 

ガタンと戸が乱暴に開けられる。椛だ

脱出すると言い神社から出る

 

「早く脱出しましょう!何処へ行き…」

 

が、目の前に現れた妖怪によって言葉は遮られる

紅葉の形をした扇子を持って古臭い天狗の衣装とは

違い現代のカッターシャツ。しかし彼女は天狗だ

その姿を見て貴方は即座にナイフを構え、椛は

大剣と盾を構える。

 

「さて、私の物を返してもらいますよ!椛!」

 

戦闘開始。

まず、もの凄いスピードで突っ込んで貴方の腕を

掴もうとする。貴方は横へスライドして避ける

隙が出来た所に椛が大剣を振るが避ける

扇子を大きく振ると竜巻が発生する

椛は飛んで避け、貴方は霊力を纏わせた

斬撃型の弾幕で竜巻を切り裂く

ナイフの刃渡りでは竜巻を完全に斬ることは無理だ

せめて愛刀があれば…あ、忘れちまった。

まぁいい、無理をすればナイフで文を無力化出来る

ナイフを振った後の硬直を無理やり無くし跳ぶ

文が見えたので牽制として弾幕を張る

すると彼女も撃ち返してきた。

そのスピードを活かしてあらゆる方向から弾幕が放たれる。

椛は弾幕ごっこに慣れているからかサクサクと

避けていくが貴方はごっこなんて久しぶりだ

この頃は殺し合いしかしていない気がする

 

「援護します!1発やってください!」

 

椛は後ろから弾幕を張って文を動きにくくする

その隙に貴方はナイフを振る

 

 

…が腐っても幻想郷最速。避けること避けること

Missという文字が10回見えたところで文の蹴りが

貴方の腹に当たる

口からカエルが潰れたような声が出る

貴方はそれに堪えて文に飛んでいく

この頃幻想郷の住民に肉弾戦はあまり無かった筈だ、

今の感覚が鈍っている時なら無力化はやり易い。

まず、扇子を蹴り飛ばす。

 

「っ!」

 

文は後ろに下がった後、弾幕を展開。

貴方はウエストバックから拳銃を握り、撃つ

乾いた音が5回、それの後に何かが弾かれる音が5回聞こえた

 

「本当に底がありませんねぇ…そのバックッ!」

 

それが文が弾丸を蹴ったという事は即座に判断出来た

この化け物が。

貴方は弾切れになって用無しの拳銃を文に投げる

文は風を操って拳銃をこちらに飛ばしてくる

ナイフで拳銃を切り裂いて文に突撃する

 

「させませんよ!」

 

文は拳を放つが、下からの弾幕に邪魔される

 

「今です!──さん!」

 

貴方は全身全霊の一撃を文に放った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

境内に降り立つ3つの影。

結論から言ってしまえば文を斬ることに成功した

…だからと言って無力化に成功した訳では無い。

 

「アタタタ…痛いじゃないですかーーさん」

 

これ以上の戦闘は不可能に近い

先程の全身全霊の攻撃は僅かに外れたのだ

霊力はほとんど切れた…がまだ使えるだろう

気絶する事を頭に入れておく

さてどうしようか…と貴方が悩んでいる時にそれは来た

 

「さて帰りましょう?──?」

 

それは上からかけられた

見てみればあの時と同じような表情の霊夢が居た

見たくない顔だ…だから貴方は立ちくらみがした

その時、あの3人が貴方と椛の前に躍り出た

神奈子、諏訪子、早苗の3人だ

早苗はこちらを振り返って言う…いや、叫ぶ

 

「早く行ってください!」

 

「──さん!後方は任せて下さい!」

椛は貴方の後ろに着く。

貴方は鳥居を抜けて、我が家へと飛び出した。





さぁ、クソッタレを斬り殺そう!


貴方の口調 ○○じゃないか…とかはワザと
ではなくちゃんとした物です。

ヤンデレ?これは戦闘ものだよ()


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戦闘

彼女達の戦闘回です


貴方は我が家へと走り出す。

椛はあの後彼女達の援護へ回った

後は逃げおおせるだけである…運が良ければな。

坂を早く下るとコケて怪我をする事があるが、

貴方には関係ない。四肢が無くなっても逃げる。

途中、秋の神姉妹(なんか倒れている)と

「私に近づいたら厄が…」とか言っていた厄神を

シカトしてダッシュて我が家に向かう。

今のところ安全なのは我が家だけだ

一種のセーブポイントかもしれない

まさか、ゲームじゃあるまい。

貴方は考えをどこかへ吹っ飛ばし、走る。

周りは木だらけだ。妖怪の山と言うだけある

しかし、所々岩肌が見えるところもある

霊力が切れているからと言って体力が無い訳では無い

今倒れないのは霊力では無く体力を使っているからだ

それでも少し気を抜けば倒れそうな位には疲労

している。貴方は木に凭れて呼吸を整える

さて今頃彼女達は何をしているのだろう。

死傷者が出ていないか気がかりだ…

貴方は想像してみた。

 

 

 

 

 

 

両者睨み合う。

ある者は愛する者ため。

ある者は邪魔者を排除するため。

ある者は…神社の威厳にかけて。

それぞれに共通の思いは、負けられないということ

最初に攻撃したのは霊夢だった。

札が霊夢を中心として円状に放たれる

文は自慢のスピードを活かして全て避ける

そしてその後に照準を霊夢に向けて発射、弾幕が

霊夢を狙って飛んでくる。

どこからが針を取り出し投げる、弾幕は針によって

全て相殺された。

霊夢は文に急接近、近接戦闘を試みる。

左ストレート、右フックを文にするがそれらは

避けられるか防がれるかだった

文は足払いを霊夢に行い、霊夢はバランスを崩す

そこに渾身の蹴りが発動。霊夢はモロに食らって

木に激突した。

霊夢は満身創痍だろう、文はほくそ笑んだ。

そこに椛の大剣が襲いかかる

まず上から叩きつける様に大剣を振るが

文はそれを避ける。お返しと言わんばかりに

蹴り飛ばすが盾よって防がれる

大剣を横、縦、と様々な方向から叩き込む。

 

「ぐっ…!が…!」

 

何回か避けることに成功するが、2回斬られる

場所は右足と左腕、なんてことは無い

 

「やってくれますね…!」

 

「かはっ!?」

 

文の右ストレート、それにより盾が飛ばされる

攻撃を受け止める為の盾が飛ばされたのは痛い…

でもまだ諦める訳にはいかない!

 

「ふぅー…」

 

息を吸って、吐いて、吸って、吐いて

これで心を落ち着かせる。

 

そして、私は大剣を上に横に掲げて、手を当てる

剣の根元から刃先まで手を滑らせる。

すると、それを追いかけるように赤い光が

大剣を包んでゆく。

それを私は確かめた後、上司兼糞野郎に刃先を向ける

 

「なんですか?それは」

 

顔も困惑していれば声も困惑している

当たり前だろうな この世界ではありえないから。

私が奴…いや、幻想郷の住民より強いなんて

やり方にはコツは無い、ただ妖気を纏わせるだけ。

デメリットは妖気の消費が高くなるくらいか。

この世界線の私にはあまり妖力は無い

だって天狗の下っ端だから、ロクな力は無い。

だから私は獣性を解放していく。

 

「ううううぅ…!」

 

理性を本能か破壊しそうになる直前で止める

私は大剣を片手で構え、姿勢を低くして手を地面に

付ける。口から歯軋りと唸りが止まらない

まるで獲物を身の前にした狼のよう

 

「ガァ!」

 

私は大剣を思い切り振る。

その刃先は奴の頬っぺに切り傷を付ける

何かを言おうと口を開いていくるが、関係ない

むしろ好都合。殺りやすい

 

だが、1番違う事がこの世界ではある

それは椛が経験豊富ということではないからだ

それも…戦闘に対しては

 

「読みやすい!」

 

「ぎゃ!?」

 

風に煽られて隙が発生、そこで殴り飛ばされる

素直に一直線に突っ込めばそれは読みやすい。

人間でも出来ることだろうな。

しかし、椛には味方…がいる

 

「そこ!」

 

「イッタ!」

 

文の腕を鉄の輪が切り裂く。

インド人等が使うチャクラムという武器に近い

ボトリと右腕が境内に落ちる

ギリ…と歯軋りする音が口から聞こえた

 

「大丈夫ですか椛さん?」

 

「ありがとう早苗さん。私は大丈夫です」

 

椛は赤い光を失った大剣にまた光を灯す。

先程と同じ手順。

大剣を上に横に掲げて、手を当てる

剣の根元から刃先まで手を滑らせる。

そして、それを追いかけるように赤い光が

大剣を包んでゆく。

私は今度は理性を保ったまま戦闘に参加した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、続きは我が家に着いてからにするか。

貴方は立ち上る。

そして魔法の森目指して走り出した。

山ももう少しで降りきるだろう。

そうしたら椛だけが通れる様に術をかけておこう

彼女の髪の毛はあるからそれで何とかできる

そういっていたら魔法の森が見えてきた

貴方は思い切りジャンプして魔法の森に入った

霧の様な物が辺りを覆っている

早いところ我が家を見つけて寝よう

そしてその後を見てみよう…いや途中か?

そういっていると我が家が見えてきた

貴方は走るスピードをもっと上げた

戸を開けて乱暴に閉めて鍵も付ける

ここでドッと疲れの波が押し寄せてきた。

貴方は囲炉裏に火を付けると目を瞑った。

もぅ疲れきっていたから…休みたかった

夢の中で、あれの続きを見ることが出来た…





さぁ、継続して斬り殺そう!


今脳裏に浮かんだもの

Mh4gの我らの団のハンター幻想入り

幻想郷縮小異変(そして現代入り。誰かの家に作る)

でもこれが終わってから…あ、アンケートもあるわ

椛の大剣に妖気を纏わせるのは月光の聖剣って
検索して見たらわかりやすい…かも
俺は椛好きじゃないからな!?(オドオド)
ちなみに本文2021文字です


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行先

私は大剣を握り直して奴を睨む

妖気の消費量が多くなって少し疲れるけど

あれを倒せばいいのだ

服には泥が付いていたり所々ボロボロだ

これが終わったら着替えようか

 

「はぁ!」

 

あ、早苗さんが先に突っ込んで行った

大幣を使って叩くように攻撃をしている

それって確かそういう使い方では無かった気がします

でもあれが倒せるならなんでもいいですよね

これも彼の為なんですから

二柱は早苗さんの援護をしておますね

私の能力はこういうところで役に立ちます

後ろに回られてもあまり関係ないですから。

まず距離を詰める!

 

「っ!」

 

おっと気づかれてしまいました。

特に問題は無いので気にせずに攻撃をしましょう

大剣の持ち手を奴の鴨居にぶち当てます

 

「ぐがっ」

 

まるでカエルが潰れたような声ですね

ついでにこいつも喰らえ

 

椛は鴨居に持ち手の柄をぶち当てると今度は

左フックを顔面に当てる

 

「ヘブシッ!」

 

文は変な声を上げながら後ずさる

そして殴られた頬を擦りながら笑う

 

「いいパンチですねぇ…でも私には効きませんよ?」

 

そして風を操って椛達を怯ませると思い切り突っ込む

それは見るものには黒い線にしか見えなかった

つまりそれ程早いのだ。

援護していた二柱はそれを見て避けた

近接戦闘を仕掛けていた椛と早苗はもろに食らった

 

「ぐっ」

 

「あわぁ!?」

 

椛は左腕の骨が折れたのかプラーんとぶら下がっている

恐らくこれからは遠心力に任せることになる

右腕だけでは攻撃力は大幅に下がるだろうな

大妖怪はこんな怪我は即座に治るのだろうけど

椛は下っ端の天狗。そんな力は無い。

数日しないとこういうのは治らないのだ

早苗は"奇跡的"にも何の怪我もない

それどころか擦り傷も無い上に服には汚れが

ひとつもなく、新品同様だ。

顔を少し焦った表情だがそれ以外は特に無い

椛からしたら羨ましい限りである…

能力は千里を見通す程度の能力であるが

頑張れば誰でも習得…出来るのかな?

言ってしまえば強い能力では無い。

しかし無いよりかはマシと言ったところ

椛は大剣の背を右肩に当てて支える

そして文に大剣を叩きつける為に踏み出す

辺りの景色が流れてゆく。

そして片手で思い切り上から叩きつける

 

「はっ」

 

それは文が横に避けることで境内にめり込む

後で何か言われそうだが気にしない

すぐさま大剣を抜いて切りかかる

流れるように4回、縦、横、左右からだ

それをスレスレの所で避けていく文、顔は笑っている

 

「このパパラッチがぁぁぁぁぁぁ!」

 

数年前なら絶対に言わなかったである言葉。

言っていたら殺されていたか追放だ

なおそれに本人は気づいていない

 

「誰がパパラッチやぁぁぁぁぁ!」

 

プチンと切れる堪忍袋の緒。

いや元から切れていたとかそこ言わない。

真っ向勝負。

椛の叩きつけるような攻撃を避けていき

隙が出来た時に拳をぶつける

武器の扇子は既に貴方に蹴飛ばされている

今の文が出来るのは拳か蹴り、そしてかまいたちなど

の風で出来る攻撃のみだ

ただしそれだけでもかなり厄介なのだ

風がいつも纏われているから近寄ると

風にあおられて隙が出来る

その隙ができた時に蹴りか拳を入れられ

後ろに退却する。そして攻撃しようとすると

風にあおられて…といループができている

椛達は考えた

どうすればこの状況を打開出来るか

兎にも角にもあの風をどうにかしなければ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やってくれるじゃない。少し気を失ったわ」

 

 

 

 

 

 

あの巫女が、現れたのは

そう考えた時だった。

 

巫女服は裾や袖がボロボロで服中に土が

着いている。少しよろついている

しかし、それでも大幣はしっかりと握り

霊力を貯めている

殺意の霊力に文…いやそこにいた霊夢以外の全員が

恐怖を覚えた。

椛は大剣を落としそうになり、文は冷や汗。

早苗は霊夢の変化に追いついていない

神奈子は歯を食いしばって諏訪子は苦笑いしている

霊夢の顔から感情というものが消えている

あるのは愛する者を奪われた怒りだけだ

貴方から見れば周りから"浮いている"ようにしか

見えなかったようだけど。

 

霊夢の体がふわりと浮かぶ

それはどんどん高くなり、ついには本殿の屋根を越える

そして、霊夢は陰陽玉を自分を囲うように発生させると

感情を無くした声で、高らかに宣言する

 

 

 

本来なら言わない○符というのを使って

 

 

 

 

 

 

滅符「夢想天生」

 

瞬間、霊夢の周りある陰陽玉から1000を越える弾幕が

発生して文におそいかかる

何故か 椛と早苗、神奈子と諏訪子も忘れずに

 

「なっ!?」

 

「ちょっと!?」

 

「なんだこれは…」

 

彼女達は仰天した、文に弾幕が行くかと思えば

何故か自分達にも来たのだ。

少し驚いたが、狙いはやはり文。

大体の弾幕は文に向かって飛んでゆく

が、たまにこちらに飛んでくる、すごい量で。

 

「夢想天生ってこんなのでしたっけ!?」

 

「もっと神聖だっと思いますよ椛さん!」

 

そう、彼女の言うとうり今の霊夢が放つ夢想天生は

紅く光る札が華やかで最強だった。

しかし今の霊夢は黒いオーラに包まれており

紅い札も黒ずんでいる。

何処からどうみてもおかしい。

そして彼女達がとった行動、それは

 

 

 

 

 

 

「文を置いて逃げるぞ!」

 

神奈子のその言葉と共に椛と早苗は離脱。

諏訪子が土壁を使って弾幕を防いでいる間に

二柱は離脱した。

 

文がどうなったかは知らないな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

貴方は目を開けると出入口の戸に近づいた

とりあえず外を出歩きたいのだ。

文と霊夢は戦闘中だから襲われる事は無い

そうと決まれば行動は早い。

いつものウエストバックを身につけて

ナイフをホルスター事持っていく

外に出たら、人里に行ってみるか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やっぱり釣りしよう

 

 

 

 

 

 

「こんにちは、──さん」

 

で、霧の湖で釣りをしようとしたらこれだよ

咲夜がいつの間にか貴方の肩に手を置いている

振り返って彼女の顔を見たが、普通だ

狂った目でも無く、普通の完璧なメイド

そういえばPAD長って誰かが言っていたような

待ってそんな軽蔑の目で見ないで咲夜さん

貴方の考えている事は顔に出やすいようだ…

 

「最近大変らしいですね、どうです?紅魔館に戻られては。」

 

どうしようか、でもまあいいか、霊夢と文から

離れることが出来そうだし。

そうして貴方は懲りずに紅魔館へ咲夜と向かう

 

 

 

 

 

 

 

…それにしてもあの悪趣味な紅色変えてくれないかな




評価、感想をお願いします。

後ココアシガレットって美味しいですよね


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紅き吸血鬼
眠りにつく重装備


次からは過去回です
これからこんな感じに貴方の記憶が戻ってきます


貴方は釣りの道具を家に持ち帰りそこから準備して

紅魔館に向かった。貴方の今の装備は何かというと

いつも着ている服にウエストバック、肩から

100式機関銃から伸びるライフルスリングをかけて

ベルトの間にパンツァーファウスト100が2本。

それに加えて九九式手榴弾を3個持っているのだ

ウエストバックに弾薬が入っているのでかなり重い

というか上記の物の時点で重すぎるのだ。

ちなみに貴方のスペルカードは大体が銃やらの武器を使用している

何故こんなゴテゴテ装備で咲夜と一緒に飛んでいるかというと

ただ単に信用できていないからである…主にフランが。

門番はそもそも会ったことがないしパチュリーは動かない図書館。

その司書さんにも会ったことがない咲夜は上司だった。

レミレア?あんまり話をしたことがない

どうやら咲夜は既に主に話を通してあるらしい

なんでも私を見つけた時に自身の能力を使って紅魔館に

帰投して貴方が紅魔館に戻る許可を頂いたそうな

ともかく館に急ごう、いくら霊力があるといえども

こんなに荷物を背負っていちゃぁ体が持たない

 

「やい人間!ここはアタイの縄張りだ!」

 

で、霧の湖まで行けたかと思えば絶賛⑨の洗礼を受けている

咲夜とあの後どうなったのかやら楽しく会話しながら飛行していると

水色の妖精と緑の妖精に絡まれた。

何故か紅魔館に行こうとしていたのに「領空への侵入だー!」と叫び声が

聞こえたかと思えば下から氷の柱が飛んできたのだ。

「出てけー!」なんて腕をブンブンさせながら弾幕を撃っているのは

普通なら可愛いと思えただろう

しかし文と霊夢のおかげで疲労MAXだ、家で少し眠れたといえども。

もはやそれが新手の煽りに見えてきて腹が立ってしまい

つい100式をぶっ放してしまったのだ。

水色の妖精…チルノに弾丸は向かっていったが氷の冷気によって

気圧が下がり弾道がズレてそれらは妖精…大妖精に全弾直撃。

胸から血を出しながら湖に落っこちていったのだ

我に返って追いかけようとしたが咲夜曰く妖精は自然が

なくならない限りは蘇るらしい。便利なものだ。

貴方は100式のグリップを強く握るとチルノに向ける

 

「なんだそー」

 

何かをいう前に額にナイフが刺さっていた

そのままチルノは自由落下していく

 

「行きましょう」

 

貴方は頷くと咲夜と共に紅魔館へと急いだ

 

 

 

 

 

 

 

今貴方と咲夜の目の前に門番がいる

静かに、腕を組んで佇んでいるのだ

これだけみると強そうに見えるが…鼻からとて大きな水風船を

膨らませている上に涎がだらしなく開かれた口の端から流れている

これが紅魔館の門番か。そりゃ魔理沙に入られるのも納得だ

先ほどから黒い気が貴方の横から溢れ出している

ドス黒い気を纏った咲夜はキュキュっとナイフを磨いた後

門番…美鈴の眉間に思い切り投げた

 

「イッタぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああ!」

 

美鈴の悲痛な叫び声があたりに響く。

君が普通に仕事をしていればそうはならなかったと思うよ。

刺さったナイフを貴方は抜いた後咲夜に返す

返されても困るという顔をしていたが腿のホルスターにナイフを収納した。

 

「何するんですか…ってこれはこれはお久しぶりです!」

 

眉間を血を払いながらこちらを見る美鈴。

ハッキリ言って覚えてなどあまり無いのだが

一応覚えている事にしておこうと貴方は思った

 

「えぇ挨拶はいい事よ中国」

 

「あれ?なんか呼び名が戻ってないですか?」

 

貴方は美鈴に気づけと言いたかった

今の咲夜の顔は人を殺せそうな笑顔である

本当にニコニコだ。

 

「先にお嬢様の所に行ってください…少しやる事がありますので。」

 

貴方は二つ返事で横を通りすぎる

後ろから弁明する声と感情の篭ってない声の後、

叫び声が聞こえたのは気のせいだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こんにちは──。とりあえずお疲れ様と言っておくわ」

 

レミリアはスカートの端っこを持って低く礼をする

おそらく貴方の運命をみて起こったことを全て知っているのだろう。

エントランスに入った時に貴方の顔を見て本気で同情の目を向けられた。

 

「それにしてもその鉄の棒達はフラン対策かしら?」

 

貴方は意味は無いようなものだけど、と言った。

フランのありとあらゆる物を破壊する能力によって簡単に制圧されてしまう。

ハッキリと言えば意味は無いが持っているのと持っていないのはかなり違うのだ。

分かりやすく例を言えば寝る前に人形を抱き締めて

寝たり、自分の匂いがついた毛布を自分にかけて寝たりすると安心して寝られるだろう

つまりは銃を持っていると安心すると言う訳である

物騒だな。

 

「まぁフランも最近は大人しいから、安心していいわよ」

 

一応頭の片隅に置いておく事にしよう

あの子の狂気のスイッチはいつ何処で入るかあまり分からない…ことも無い

戦いが長引くと興奮してスイッチが入ったりする。

 

「今は休みなさい。自分の部屋は分かるでしょう?」

 

貴方は頷くと礼を言って自分の部屋へと向かった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

久しぶりの紅魔館での自分の部屋だ。

貴方が2人程寝れそうなベットにクローゼットがある

その横には箪笥が2つありその上に花瓶がある

バラがその花瓶に入っている

この部屋だけ壁や天井が白い漆喰だ。

ただし床は赤い。

いつも我が家の和室しか見ていなかったから

こういうのは新鮮である。

貴方はベットの傍にある丸い机に100式を置いた後

ウエストバッグをそっとそれの横に置いて

パンツァーファウスト100を箪笥の横に置く。

にしても爆発物が多いなこの部屋。

貴方はベットに腰掛ける。

ふかふかなベットだ。直ぐに寝れそう…

 

と思った貴方の額に何かが当たる

それと共に全身の力が抜けていく

その作り物の様に美しい腕は禍々しい裂け目に繋がっていた

ベットに倒れる貴方。裂け目はどんどん大きくなる

そしてそこから1人の女性が現れた

博麗神社で見たあの女性…八雲紫

 

「貴方は記憶を思い出すべきよ。」

 

そう言うと共に貴方は夢の世界に誘われた。

 

 

 




できればmg42とかキツツキとか持たせたかった
(貴方の負担は考えないものとする)

感想、評価等お待ちしております


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紅霧の記憶

アンケートを見た感じ一匹狼が一番多かったので
ぼちぼち描いていきます

優先はこっちですけど。


貴方は今神社の縁側にいる

ミーンミーンとセミが木々から忙しくないている。

そしてその隣には巫女…霊夢が扇子をパタパタとさせながら涼んでいた

 

「暑いわねー」

 

貴方はそうだねと言葉を返す。

人里で生まれた身としては少し気温が下がったように感じるが

この腋巫女はそんな事は気にしないらしい

貴方は近くに置いてあるお盆から湯呑みを取る。霊夢は既に

冷たいお茶をずずずと飲んでいる様だった

普段飲むのは井戸水とか川の水とかだったからこういうのは新鮮だ

…外の世界では筒から汚れが一つも無い水が栓を捻るだけで出るらしい

多分そこまで技術が発展しているなら妖怪なんて信じられていないのだろう

香霖堂から買ったり無縁塚で入手する銃やカラクリを見てみれば

幻想郷と外の世界なんて死ぬほど違うのだろう

外来人だったか、彼らがここに来れば即下界への帰還を願うだろうな

不便な暮らしをしてでも暮らすメリットが無い。

ある奴にはあるのだろうか

貴方の仕事は妖怪退治。

里の友人や慧音とかの人から追い払ってくれとかやっつけてくれとか

それで任務をこなしていき報酬で暮らす

楽な暮らしでは決して無いけれどそれでも楽しい生活だ

暇な時はこうやって博麗神社に来てお茶を頂いでいる。

10銭を入れるだけであれだけ喜んでお茶をくれるのだから

1文なんて入れたらどうなることやら。

ちなみに霊夢がいないときにはレミントンm700とかいう猟銃を持って

猪やら兎やらなんやらを狩って帰るのだ。

はっきりいえば刀で斬った方が早いけれど銃の方が

いちいち動かなくて済むのだ。つまり面倒くさい

余った干し肉とかは友人だったり里の子供達に渡したりしている

これでも信用されている方だ、貴方は。

 

「ぷは…今日もいい天気ね」

 

貴方は空を見上げた。

雲一つない青々とした空がどこまでも続いている

太陽は爛々と今日も自分の仕事を全うしている

…赤いジャージの男がいるような、いや赤ん坊の顔か?

背後に太陽神とかまさに外道とか見える気がするが貴方は気にしなかった。

ともかく今日は本当に晴れ晴れとしているのだ、不自然なくらいに。

このまま何も起きてほしくないものだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

と言った瞬間だった。

青い空に急に雲がかかったかと思うとそれが全て赤くなった。

見るもの全てがものの見事に真っ赤っかである

貴方がペチンと額に手を打ち付けた、霊夢も同様である

 

「何をどうしたらこうなるのよ…全く」

 

ものすごいイライラした表情の霊夢。

おそらくこれからあいつが来るだろうと考えていた、それは貴方も同じだ

こういうことがあるとすぐに来る

 

 

「れえええええええいいいいいいいいむうううううううううう!」

 

 

ほら来た

普通の魔法使いこと霧雨魔理沙。

なんでもマジックアイテムに触れて髪の色が金色に変わり

そこから魔女になりたいと願い、親とは勘当という形で

縁を切っている。と言っても仲良く話をする姿がよく見られているが。

 

「うるさいわよ」

 

「私はそんなの気にしないぜ!お?ーーもいるじゃないか!」

 

貴方はお邪魔しているとだけ言っておいた

そして貴方はこの後に起きることが何かもう大体わかっている

 

「霊夢!ーー!こりゃ異変だ!」

 

「そうね」

 

貴方はぶっきらぼうに返事をする

 

「だから解決しようぜ!」

 

「いやよ。1人でやってなさい」

 

右に同じく。

はっきり言って異変解決なんてそんな大層な事したくない

…のは建前で普通に面倒だからである

こういうことができるのは大のつく妖怪くらいだ

つまりすごく強い。

さて、ここいらで話を切り上げてさっさと家に帰ろう。

貴方は里の様子を見てくるというと立ち上がる

そしてそのまま去ろうとー

 

「お、待てい。そう簡単に逃げられるとでも?」

「そうよ。あんただけ逃げるのは癪だわ」

 

多数決によって全員で元凶を探すことに決定した

ともかく早く探さなければ。

魔理沙の話によればこの紅霧には有毒な物質があるらしい

このまま放置すれば妖怪の賢者が何か言って来そうだ

 

「来る前に終わらせるわよ」

 

「それじゃあいくぞー!」

 

なぜだろうか、昨日の妖怪狩りの疲れがとれない。

ため息をついて縁側に置いてある二振りの刀を手に取り

帯に差すとその横に置いてあるソーコムを手に取り

スライドを引く青い透明の弾丸が供給されたのを見ると

カチャリと魔理沙に向ける

 

「にしてもお前はおかしいカラクリをよく扱えるな…後眩しいぜ!」

 

ピカピカライトを光らせて遊ぶ貴方

 

「じゃ行きましょう」

 

「いくぜー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で?どこにいくんだ?」

 

「アンタがいうな」

 

勢いよく空に飛び出したのはいいものの当人がこれである

そう、魔理沙は無計画of無計画なのだ

そういえばこいつのモットーは当たって砕けろだったか

貴方は思い出さなくていいことを思い出す

こいつの家に行った時は酷かった。

内装は魔女らしく壺やら本やらたくさんあったが

むしろそれらのせいで部屋が汚かった…ごちゃごちゃしているという意味で。

足の踏み場なんて人1人入れるか怪しいくらいだ。

この前なんて自分の本棚に勝手に押し倒されていた

はっきり言って自業自得だが死んだらもう悲しくなるなんて

非じゃないくらいになる

 

「多分こっちじゃないかしら」

 

「お!そうだな」

 

しかし貴方たちには秘密兵器がある

そう、霊夢の勘だ。

彼女の間というのは恐ろしいほど当たる。

それは未来予知でもしているのかというくらいには。

そうやって霊夢についていっていると真っ黒い球体が出てきた

 

「なんだぜ?あれは」

 

それは宙にゆらゆらと浮かんでいる。

が突然それが弾けた

 

「!」

 

霊夢は札を構えて迎撃体制。

魔理沙はミニ八卦炉を構えていつでも撃てるようにする

貴方はソーコムとナイフを逆手に取り出して構える

 

「う〜ん」

 

中から出て来たのは幼女だった。

 

金髪の幼女だった。

 

「もしかして、ルーミアか?」

 

「そうなのだ〜」

 

ルーミアは伸びた声で応える

 

「私たち急いでるから邪魔しないでね」

 

「それは無理なのだ〜」

 

「どうしてだぜ?」

 

貴方は近づく

 

「なぜなら〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ルーミアに食われr」

 

貴方はルーミアの顔面…主に目ん玉に向けてソーコムのライトを

焼き付けるように点けた。

 

「いやあああああああ!?目が!目があああああ!」

 

ものすごい奇声を上げながら地面で目を押さえながらジタバタと転げ回る。

慧音先生かルーミアは闇を操るからその逆で行けば問題ないと言っていた

でもなぜか先生はどこかやっちまったなぁという顔をしていたのだがなぜだろう

にしてもすごい効果だ、逆に可哀想…なわけあるか

相手は妖怪。腕が再生するような奴が可哀想もあるか

これが貴方が時たま依頼で殺す人型妖怪からの罪悪感を無くす方法だった。

しかも女性率高すぎて笑えない。

 

行こう

 

「お…おう」

 

「そうね、雑魚に手間をかける必要はないわ」

 

珍しく今日は霊夢と意見が合致する

なおその理由は“早く帰って寝たい“という庶民的なものだった。

 

 




ソーコムは貴方の愛用銃です。
決して作者に趣味ではありません
初期案がグロックだったとか死んでもいえない


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睡眠を貪る門番

とある常闇の妖怪を気絶させた後森を進み続けた

森を抜けるとそこは広すぎる湖だった。

所々水面から岩が顔を出している

にしても広い湖だ、もしかしてここが霧の湖だろうか

 

「ここら辺に元凶が居るわ」

 

霊夢は己の勘からでた結果を口にする

にしてもここら一帯はとても涼しい。

夏であるのを忘れるくらいには快適な気温だ

と目を瞑りながら歩いていたのだがある違和感に襲われる

足音が何故か違うのだ

先程まではザッザッと砂を踏む音だったが今ではカツカツと氷を

踏んでゆく音しか聞こえない

そして後ろから貴方に追いついた霊夢の声が聞こえる

 

「おかしいと思っていたら、全部水が凍っているじゃない」

 

目を開けて見てみると透き通った氷が貴方の足元にあった

近くで見なければ見えないほどに透明な氷だ…

こんなこと出来るのは大妖怪くらいでは?

ところでここらは妖精達の縄張りらしい。

 

「おい!人間!」

 

上から声がかかる

見てみれば青い氷をあしらった服を着て背中に六つの氷が羽のように

宙に浮かんでいた。妖精といえば白みがかった羽なんだけども

 

「チ、チルノちゃん!やめようよ!」

 

「ははー!アタイは最強だ!」

 

すると緑髪の妖精が出てくる…片言じゃないってことは

それなりの力はあるようだな。

どうやらこの妖精はかなり頭が残念なことになっているようだ

例えるならば脳内お花畑ってところ取ろうな、うん。

ともかく構っている暇は無い、さっさと終わらせて寝たい

霊力を右手に集中させる。すると少し捻れのある形に霊力が光を出して集まる

そしてそれを脳内でイメージしたものと同じものにする…具現化。

するとそれは一丁の銃へと変わる。少し捻れた部分がグリップへ

そこから長い方が銃身に変わりグリップから短い方がストックに変わる

光が散るとそこには三八式歩兵銃の姿があった

霊夢と魔理沙はこれから起こることを理解して背を向けて雑談した

 

「今日はいい天気だなー」

 

「何言ってるのよ物凄く赤いじゃ無いのよー」

 

「あははーそうだなー」

 

槓桿を引いてこれまた出来立て霊力ホワホワの弾薬クリップを差し込む

親指で弾丸を押し込むとカチャンと槓桿を戻す

カランと氷に鉄の板が落ちる。

そして銃口をチルノとかいう妖精の眉間に向ける

ダァンという乾いた音とともにチルノは倒れた

すぐさま緑の妖精が駆け寄る

 

「チルノちゃん!どうしたの!?チルノちゃん!チルノちゃぁぁぁぁぁぁあああん!」

 

ダァン

 

 

2人は光の結晶となって散った。

だが何も心配することはないのだ

彼女達は妖精、妖精は自然が無くならない限り消えることは無い

貴方は三八式歩兵銃を放り投げると霊夢達に終わったと伝える

 

「終わった?それじゃ行きましょう」

 

顔は凄く飄々としているのに声は何故か震えているように感じた

 

 

 

 

 

「あいつは怒らせてはならない」

 

 

ちなみにあの妖精はまた撃たれる事をまだ知らない

 

 

 

 

霧の湖を進み続けること数分、ようやく館の前にたどり着いた。

かなり大きな紅い館だ、見たところ大きな洋風屋敷で大きな時計塔が目立つ。

空から見た様子では綺麗な庭園もあった…見たこともない花ばかりだが。

屋敷は煉瓦の塀と大きな鉄の門で囲われている

今その大きな門の目の前に来たところだ

 

「よっと」

 

 

「何よこの館。悪趣味ねぇ」

 

否定はしない

何せ壁から屋根に窓硝子でさえもが赤いペンキをぶちまけたかのように

物凄く赤いのだ。赤くないところと言ったら庭園の芝生と花程度しかない。

時たま現れるスキマ妖怪のスキマくらいに…いや、あちらの方が悪趣味だ

どちらかといえば気持ち悪いな本当にあのババー

 

ゴン

 

いきなり貴方の頭部に走る痛み。物凄く痛い

目の前に何かが落ちて来たのでそれを見た

鉄製のタライがキラキラと光っている…

じゃなくて。

反射的に貴方は上を見てしまった

そこには先ほど気持ち悪いと心の中で言ったスキマがあった

それだけならいいのだ。そこから出ているあるものが問題だ。

そこから細くて美しい腕が伸びている

そしてその拳は思いっきり握りしめてあった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…中指以外だったが

 

 

瞬間貴方の中の何かが吹っ切れた

ソーコムに実弾を装填後、拳に向けて照準を向け発射。

しかしその腕は華麗に右左に動いて避ける

カチンとスライドがフルオープンになる。弾が飛んでこないと

その腕の主は悟るとさらにブンブンとうざいくらいに振る。

ブチっと貴方の中で堪忍袋の尾が切れる。

懐からM67手榴弾を手に取ると歯でピンを抜く

これだけでは爆発はしない。セーフティレバーが外れることによって

初めて信管に火がつくのだ

弾倉を装填しソーコムのスライドを歯で咥えて引いた後、乾いた音が

さらに重なる。

先程と同じように避けること避けること。

もう飽きてしまったのか手を広げて左右に少し振るとスキマの中に入っていく

 

そうだ、それを狙っていたのだ。

貴方は不敵に笑うとポーンとm67をスキマに投げ入れる

それが入るのとスキマが消えるのは同時だった…バーカ。

 

「何してんのよあんたら」

 

ソーコムを仕舞いグッと背伸びをしている貴方に霊夢が

呆れたように…というか呆れているのだろう。

あんなことをしていれば普通そうなるだろう

側から見れば何もないところに弾丸を放っている変質者だ。

それはそうと、門番も今の銃声で目覚めたらしい

サプレッサーをつけておくべきだったか、でもコイツ明らか戦闘中寝ていたような。

 

「何ですか!?今の音!?」

 

ここの世界では銃なんて種子島くらいしかないだろう

もしくはフリントロックくらいか。

この妖怪を見るにニッポンの妖怪ではない

緑の長い前かけに手首足首に装着された鉄の輪っか。

そして赤く伸ばされた髪に星に龍と書かれたエンブレムのある帽子

里の本屋で見た外の世界にあるらしい国の服装だ。

まぁ関係ない

 

「じゃ、通るわねー」

 

「門番ご苦労様だぜ」

 

「(貴方はこの妖怪にお疲れ様と言った)」

 

「ありがとうございます、これで今日も頑張れます」

 

驚いた顔から笑顔に変わる妖怪。

 

「って何普通に入ろうとしているんですかー!?」

 

からの大絶叫である

 

「私達は先に行くわ。ーー。よろしく」

 

貴方は二つ返事で返すと二振りの刀を構える

その間に霊夢と魔理沙は門を越えて館に向かった。

そして宣言する。ここからの戦いは弾幕ごっこではないと

幻想郷が誕生した時のように、または平安などの太古の時代の時に

西洋東洋問わず人間と化物が血みどろに戦ったように。

 

「はぁ…お嬢様から教えられた意味がないですよぉ…でも久しぶりに楽しめそうですね」

 

ため息をつきながら腰を低くして構える妖怪。

それは中国という国で伝えられる格闘技の構えだ

貴方に構えなど関係ない。“自分のやり方“でやるだけだ。

「私の名前は紅美鈴。一応死んでしまう前に名前は聞いておきましょう」

貴方は自分の名前を告げると刀に霊力を込める

込められた霊力は薄い青い膜となって二刀を覆う

 

「いい気ですね、先程の巫女に勝りそうなくらいに」

 

無駄口を叩く暇があるか?

 

「ないですね…では、行きますよ」

 

拳と刀がぶつかり合う。

 

 




とあるマヨヒガにて



「ふふふ、仲良くやっているわねぇ」

八雲紫は扇子を扇ぎながら彼女達の様子を見ていた
主に見ているのはあの青年だ
いじって見たけれどなんの問題なく彼女と接触している
今のところ何も異常は起きていないけれどこれから
何がどうなるかは全くわからない。
スキマから見ているとどうやらあの館に着いたようだ

『よっと』

『何よこの館。悪趣味ねぇ』

確かにそうだ
最初霧の湖に突然館が出来たと式神に言われて
今日はエイプリルフールだったかしらーっと言ってみたら
無言で腹パンして来た後スキマで見せてくれたのだ。
いくら私の能力が使えるからって…
まぁいいだろうここからはこの子達に任せればー


『スキマ妖怪のスキマくらいに…いや、あちらの方が悪趣味だ
 どちらかといえば気持ち悪いな本当にあのババー』


そんな心の声が聞こえたので即座にタライを取りに行った
この時のスピードは天魔にWowと言わせるくらいに早かった
このお若い女性の前で(検閲)なんて言ったら転生できなくなる…らしい
そしてスキマをーーの真上に開いた後タライを落とす

「おお、かなり景気のいい音ね。じゃあ…えい☆」

なお、ここで調子に乗ったのがよろしくなかった
ぴーんと伸びる中指。
すぐさま銃声が聞こえてきたのでサッサっと左右に避ける

「ファ〜そろそろ寝ようかしら」

そろそろ飽きてきたので手を抜いて寝ようとした
スキマを消した後寝床に歩こうとする紫。
がコトンと畳に何かが落ちてきたので振り返る
それは球体だった。なのだがそれに書いてある文字で身が凍った

『FA○K YOU son of a Bitch!』

この後、マヨヒガは半壊した




さぁ、拳と刀で語り合おう!





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拳法対剣法

今回は少し雑かも


まず美鈴が一歩で貴方の前に来て拳を振る

 

「ふんっ」

 

貴方はそれを横に躱す美鈴の体に刀を振るが

それを美鈴はジャンプして避ける。

 

「なかなかの腕ですね」

 

美鈴からの賞賛の声を貴方は行動で返す

避けた先に刀を振り、さらにそこから剣撃の乱舞をする

それを避けるかあるいは拳で美鈴は対応する

右、左右、上上下下とあらゆる方向から刀を振る。

貴方の我流であろう斬撃を交えながら、さらにそこに

片手に握る短刀を先程から振っている刀とは違う方向から

霊力を蒼く薄く纏わせて斬る。

 

「練り上げられた気ですね、そこらの雑魚なんて目じゃ無いほどの」

 

カンカンとおおよそ手から出るとは思えない音が火花とともに放たれる

いくら妖怪だからってこんなに堅いわけがないだろう

霊夢が周りから浮くように美鈴も能力を使っている可能性がある

しかしそれがわからない、でも“勝てないわけじゃ無い“

 

「ぐっ…」

 

まず利き手であろう右腕を切り飛ばす。

その後に足を払ってそのまま頭に…

 

「甘い」

 

は、と貴方は声に出してしまった

足払いを仕掛けたのにいつの間にか森の木に体が尻からめり込んでいる。

長い方の刀は右手にしっかりと持っているが片方の短剣は地面に刺さっている

美鈴は正拳突きの格好のままだった

おそらく足払いは当たったのだろう。

だが彼女は怯む事なく耐えてそのまま貴方の腹を突いた。

その証拠にジンジンと腹が痛む

 

だけどこれくらいどうってことは無い。

木から体を起こして短刀…と言っても肩から指先ぐらいには長い刀を

地面から抜いてそのまま構える。

貴方は自分にそう言い聞かせて美鈴に突っ込んでいった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

貴方は掛け声を出しながら後ろから足を曲げて、振りかぶって

刀と長刀を思い切り振る。

美鈴は手をクロスして防ぐがその刃は半分程その腕に食い込む。

いつの間にか再生していた…おそらく貴方が吹き飛ばされていた時に

再生でもしていたのだろうよ思ったが今も切られた部分が再生している

そこであることに気づいた。

もしかして美鈴はそこまで再生力は高くないのでは?

妖怪特有の生命力がそこそこ高いのでは?

ならばやることはただ一つ。

 

「っ!」

 

先程と同じように右腕を斬る。

今度は少し離れたところに腕を切り飛ばしたのでもし

再生能力が以上に高ければここで腕が生えるハズだ。

だが、美鈴は予想通りに即座に腕を回収する。

切断面を押し付けて数秒するとそれは元に戻っていた。

やはり再生能力はそこまでらしい。

ならばやることはただ一つ。

霊力を足と刀に集中。

それらが溜まりきると貴方は思いっきり池を蹴る。

コンマ数秒なんて何それと言わせる程加速して

美鈴の前に来る。目はこれまたコンマ十数秒で見開かれる

まず右足から切り飛ばしていく

 

「ふん!」

 

バランスを崩しかけているようだが左足でなんとか立っているようだ

そのまま立って居させるほど貴方は甘くない。

長刀を斜め上に滑らせて左足を斬る

すると上に切り飛ばされた衝撃で美鈴は上に飛ぶ

 

「しまー」

 

ったと言わせる前に霊力を全力で刀と長刀にかけて

右腕左腕を切り飛ばしてダルマにする。

そして地面に落とされた紅美鈴は

 

 

 

 

 

「嘘おぉぉぉぉおおお…」

 

 

人間がごっこ以外でこんなに強いということを知るのだった

 

 

 

 

 

 

 

「ありがとうございますー」

今貴方はダルマの美鈴に腕と足を取り付けている

例えるならばガンプラの最後の工程だろうか

ただしこの美鈴キットは腕を切断部分にピトッと合わせるだけで

再生が始る。若干切られた後が残るがそれでも綺麗な事だ・

切られた全ての部分をくっつけると美鈴は晴れ晴れとした笑顔で

 

「久しぶりに貴方のような強者に会えました!どうぞお通りください」

「誰が通して良いと言ったかしら」

 

サッと青ざめる美鈴。背後にはいつの間にか銀色の髪をもつメイドがいた

新手か、貴方はそう認識すると刀に手を伸ばす。

それを見たメイドは表情を少しだけ困ったようにして言う

 

「警戒しないでください。私はお嬢様から貴方を連れてくるように

 命令されたので。」

 

そして付け加えるように「霊夢に負けたから襲う気は無いのよ」と言った

スペルカードルールでは負けた側は勝った方の命令を聞くとかあったと

思うのでそれに従ったのだなと貴方は推測した。

彼女は手を伸ばして「着いてきてと言った」

ともかく着いていく理由は無いが断る理由もない

貴方は彼女の手を握るとそのままメイドに連れて行かれた

 

それと彼女は十六夜咲夜というらしい

名前で呼んでおこうと貴方は思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの咲夜さんが説教を放棄…?」

私はその姿がいつもと違ったように感じた

あのレミリアに忠誠を誓って他には他人的な態度の咲夜が

こんなにも友好的だなんて。

 

何かがおかしい。




メインの刀は長刀。サブは刀です。


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紅魔の館

ぬわああああん疲れたもぉぉおおおん
てな感じで投稿です


足元に広げられた絨毯によって柔らかな感触が伝わってくる

今は入ってすぐのフロントでこれだから咲夜が言うお嬢の部屋とやらは

かなり豪華なものになっているのだろう。

しかし何故このフロントは壁やら地面やらに切り傷とかがあるんだ?

バタンと後ろで玄関の大きな扉が閉められた後咲夜は「こっちよ」と

貴方をお嬢の部屋へと誘導していく。

ちなみに咲夜に何故フロントがボロボロなのか聞いてみると

そこで霊夢と弾幕ごっこをしたという。

先程から太ももあたりに見えるホルスターに入ったナイフは

もしかして弾幕で用いるのだろうか

貴方にはよくわからない。だって真剣勝負の方が性に合うから。

「だから貴方は幻想郷で暮らし辛いのよ。やけに強いし」とあの

妖怪の賢者は言っていた…今頃マヨヒガの修理に追われているだろう。

なんならc4でもよかった気がする。

まぁ弾幕ごっこができないなんて些細なものだ。

どちらかというと妖怪と対等になれる程であるこの腕前が幻想郷の

人間全てに付与されてほしいものである。

これでも貴方は有名な方…ただし妖怪の方であるが。

あの古来の風習にへばりついて柔軟な考えができない可哀想な老害がいて

人間は勿論、野良妖怪も寄せ付けない排他的な妖怪の山と繋がりがある。

繋がりといってもいつもこき使われている可哀想な白狼天狗の愚痴を

聞きながら酒を飲んだり将棋をしていたりした。

天狗との関わりはこの娘以外にはうざったらしい文屋だけだ。

貴方が主に通っているのは河童のところだ

彼ら…彼女らは無縁塚で拾った武器などを渡すと瞬く間に修復される。

無論のことタダで修理されるわけが無い。これの為にわざわざ胡瓜を

タネから我流で育ててきた。

でも最近はお金だったり物々交換等で胡瓜を大量に渡すことは無くなった。

河童達から武器を得て里の我が家に持って帰る。

これらの武器の一部…刀とか槍とかフランベルジュとかを里の自警団に

渡したしりしているので里人は友好的だ。

それを数年前からやってきたが今は軽く妖怪の山は壊滅まではいかないものの

かなりの痛手を負わせるくらいには武器が集まった。

といっても扱う人がいなければ意味がない

妖怪の山に痛手を負わせるレベルというのも我が家の武器全てを

一人一人が持って大人数ならばってところだ

まぁ今のところ妖怪の山を滅ぼす予定なんて無いしそもそも

今河童がいなくなると物凄く困る。

貴方の剣術は我流で習得したものなので癖がある

それは強すぎることだ…ナマクラの刀なんて持たせて切らせれば

パキンと刀が折れてしまう。

河童達が鍛えてくれているからこそ使えるのだ。

今度この二刀に名前でもつけてやろう。

 

「着きましたよ。御無礼の無いように」

 

ギギギと扉が開く

視界が開けると、そこは教会の様に広い空間だった。

違うところは祭壇が紅の椅子に変わっているのと長椅子が全て

何処にもないということだった

 

「はぁいこんにちは人間。早速だけど貴方には大図書館に向かってもらうわ」

 

スカートの裾を持って優雅に一礼する幼女。

その目はこちらを値踏みするような感情の読めない(胡散臭いよりかは読める)ものだった

モブキャップに赤いリボンがあって青いような紫のような髪色、服はとてもピンクだ

これだけ見たらただの幼女だが背中から生える蝙蝠の翼と口から覗く長い犬歯を見て

即座に人間ではないと知る…妖力の時点でわかっていたけれども。

でもなんの妖怪だろうか見当がつかない

 

「私の種族は何って顔ね、教えてあげるわ」

 

そうしてバッと手を掲げると高らかに言う

 

「私はレミリア・スカーレット。吸血鬼だ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

あっそう

 

「え?いや…え?」

 

ん?これで終わり?

 

「ちょっと…全く驚かないのね、美鈴を倒す程なら納得だけれど」

 

帰っていいかな?

 

「まだやってもらいたいことがあるんだけど」

 

帰っていいのか、ありがとう

 

「んぇ?待って!ちょ、人間!」

 

No☆No☆No☆No☆

 

「うー☆咲夜あぁぁぁぁぁああ!」

 

「お嬢様…」

 

 

貴方は彼女が落ち着くまでレミリアをよしよししている咲夜を見ていた

 

 

 

 

 

10秒程で復帰したレミリアは目元をないとキャップで影を作って隠しながら

貴方と会話することにしたようだ

とりあえずご機嫌斜めの様なので話を聞いてあげよう

 

で、要件は

 

「大図書館に行ってほしいの」

 

図書館に行くだけか、ならば簡単だろう

そこで何をするか今はわからないが行けばどうせわかるだろう

 

「そこで少し手伝ってほしいことがあるの…妹の相手よ

 少し気が触れているけど美鈴に勝った貴方ならできるわ」

 

こいつに妹なんていたのか、と貴方は驚いた。

 

「牢に入れていたけれど最近は館内なら自由にしたの

 狂気がなければ里にでも行けたでしょうに」

 

こいつは自分から異変を起こしておいて何を言っているんだ

と言うか部外者に話を漏らしすぎだろう。

もし自分がこんなのの妹だったら狂気で人を傷つけるよりも

変な奴の仲間認定されない為に引きこもるわ、と思った。

まぁここまで言うなら仕方がない引き受けよう

 

 

「ありがとう人間。咲夜、案内よろしくね」

 

最初ここまできた様に咲夜にまた誘導されていった。



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動かない図書館

今貴方は大図書館の2階にいる

この大図書館は名前通りに大きいのだ

壁は下から天井まで本棚だし、明らか飛ばないと手が届かない所まである

一階と二階に分かれていて本棚の数は古本屋なんて目じゃないくらいだ

上から大きなシャンデリアが三つ程ぶら下がって光っている

 

「ちょっと待って、パチュリー様を探してくるから」

 

そういうと咲夜の姿がブレて消えてしまった

彼女がいうには時を操る能力を持っているらしい

時を止めて敵をナイフで囲って針の筵にしたり

自分の時を早めて常人にはなし得ないスピードで

パンチキックなどをすることができる。

と言っても何処かに弱点はあるはずだ

本人が言うには数時間しか時を止められないらしい

にしても同じ能力を持つ人外が登場する本を香霖が持っていた

ような気がするが気のせいだろうか。

些細な問題だ

貴方は階段を見つけると、そこから下の階層へと降りる

途中壁の背表紙を見てみたがよくわからない物だらけだ

なんというか掠れて読めないというか

下の階層も二階となんの変わりもなく本棚でいっぱいだ

強いて言うならば2階のように飛行能力を必要とする本棚が無く、

全ての本棚が地面に設置されている

 

「やっと見つけた。さ、こっちよ」

 

いきなり横に咲夜が現れたかと思いきや手を引っ張られて

何処かに連れて行かれてしまった

 

今貴方の目の前に長机が置いてある

そこには本がこれでもかと言うくらいに本が重ねられている

ただ、椅子には誰も座っていなかった

 

「どこに行かれたのかしら」

 

「パチュリー様ですか?」

 

「ええ、どこへ行ったの?」

 

「わかりません」

 

ぶんぶんと首を振る誰か

ブレザーを着ていて赤髪の女性だ

ただし背中と頭にあるコウモリの羽が人外であることを示しているのだ

 

君は?

 

「私は小悪魔です!」

 

名前は?

 

「小悪魔です!」

 

…名前。

 

「こあです!」

 

で?味は

 

「最高です!」

 

「何やってるのよ貴方たち」

 

「パチュリー様、一体どちらへ?」

 

パチュリーと呼ばれた女性がいつの間にか後ろにいた

見た目は全体的に紫っぽい色合いだ

でもそのネグリジェのような服とナイトキャップには

黒いすすのようなものがついている

貴方がそれをみているとパチュリーはそれに気がついて言う

 

「私の名前はパチュリー・ノーレッジ。これは鼠とやっていただけよ」

 

「鼠?」

 

「アイツ勝手に私の物を盗ろうとしたのよ!」

 

貴方の脳裏に金髪の自称魔法使いが思い浮かんだが、多分別人だろう

まさかアイツが盗みを行うわけが…ありそうだ。

いつも人里で団子を食っていたらそれを横取りするような奴だ

そして奴は魔術に貪欲だった

いつも友人の魔法使いのところに行っていたから

こんな数の魔導書を見せられたら興奮するだろう

簡単にいえば目の前に大金があったらじっとしていられるかだ

大体が博麗の巫女と化すかもしれない。

そんな貴方はまらさを探すために歩き出した

 

 

 

 

 

 

そして今は本棚の前にいる

児童用とあったから魔理沙がいるとは思えないけど物は試しだ

背表紙には『ウラシンマタロウ』『鉄太郎』『METAL GE AR SOLID』

探偵はもう死んでいる』『スーパーマリオブラザーズ』『逆てん裁判』

『北斗の』『一匹狼の幻想郷帰還』『白玉楼での出来事』

『モンスターハンター4g』などが書いてあった

擦れていてよくわからないのも多かった

ただ、なんとなくこの世界の物語ではないだろう

彼らも、彼女たちも自分の物語で活躍している

貴方だってそうだ

にしても少し中を見る感じでは絶対に児童用ではない気がするのだ

内容がひどいものがあるし…大体人が死んでいるし。

そこから出ると小さな広場になっていた

本棚がそこだけ綺麗もなかった

それでも本は重ねられている

にしても静かだ、やけに

今まで気がつかなかったが、安楽椅子で揺れながら本を読んでいた誰かがいた。

今のところ鼻歌を歌いながら読んでいるから気づかれないだろう

…あれ?気づかなかったけど魔理沙が真ん中でヤムチャしている

貴方は静かに姿勢を低くして後ずさった

 

ところでホラーにはお約束の展開がある

主人公がヤバそうなやつと遭遇してなんとかやり過ごすか

隠れるか逃げれるかの選択を迫られる展開である

そして大体が逃げようとして小枝やらなんやらを踏んでバレる

 

それと同じことが起こった

貴方の足が重ねられていた本にぶつかって雪崩を起こす

それがかなり大きな音を発した

 

「うるさいなぁ…誰?』

 

その幼女が本をパタンと閉じてこちらを向く

貴方はその容姿が姉に似ていたのだ

全体的に姉を赤くしたような姿だ

セーラー服に似た服は赤く、ネクタイは黄色い

そして髪の色は金髪に加えて羽には宝石のようなものをぶら下げていた

こちらを見ると何故か笑顔になった

 

「強そう!ねぇねぇ私と遊んで?」

 

ポーンと投げられた本よ、安らかに眠れ。

ともかくここの住民の遊ぶはどこかおかしいので

恐らく、と言うより殺意を溢れ出しているから十中八九殺し合いだ

空中に浮かんでいくフランを睨みながら貴方は言う

 

 

 

 

 

 

 

喜んで

 




最近息抜き程度に投稿している作品

https://syosetu.org/novel/274189/

r18だから夜とかに見るんだぜ


さぁ、狂気に溺れよう!


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狂気

モンスター3本ラッパ飲みで連投です
カフェインで眠れない夜がある


「ほらほらほらー!」

フランの凄まじい弾幕が視界を覆う

二つの刀でなんとか切り裂きながら接近する

本棚の角や側面で勢いをつけながら

切れない弾幕は避けていく

避けた弾幕は本棚にぶち当たり紙吹雪をあげる

どこからともなく司書の悲鳴が聞こえたが気の性だろう

そうやって近づくとフランの笑みが深まる

 

禁忌『レーヴァテイン』

 

いきなりフランの手にねじれた針のようなものが現れる

その両端からものすごい長さの熱でできた刃が出て来たかと思うと

今度はそれを凄まじい速度で回し始める

斜め。横。縦。

それのおかげで貴方は一旦フランから離れなければならなくなった

舌打ちをしてバックステップ。

先程いたところを熱の刃が焦がす。

よく見るとあの刃にも弾幕がある

時たまこちらに飛んでくる弾幕を弾きながら相手の様子をよく見た

見たところ攻撃で全てねじ伏せる戦い方だ。

生半可な策であれば簡単に燃え尽きる

白くなるどころか、黒い灰になってしまうだろう

一応隙を生み出す高火力の攻撃はあるがこちらも好きが生まれる

弾幕に安置でもあれば話は別なのだが。

 

「貴方がコンティニューできないのさ!」

 

ようやく終わったかと思えば弾幕が飛んでくる

最初とは違って円状ではなくこちらに全てが向かってくるパターンだ

今度は本棚の残骸を盾にしながら…すぐに吹き飛ぶけれど。

 

ああ。

 

これだ

 

この弾幕だ

 

今までのやつとは違って殺意がある

 

そこらへんの雑魚妖怪や妖精とは全く違う

 

ははは

 

楽しくなってきた。

 

 

左手の刀を収納。

瞬時に霊力を集めてp90を創る

足に力を込めて蹴る。周りの景色が流れていく

迫る弾幕を刀で弾いて、もしくはp90で撃ち落として

フランまではあと少しだ。

と思った瞬間にp90は弾が切れる。

貴方はそれをフランに投げて牽制、同時に刀を鞘から抜く

フランに向かって行ったp90はフランが瞳の前で手を握ると共に爆散

爆炎を通り抜けてバッテン印に剣を切り裂く

フランの胸にX型の切り傷が生まれる

やったか、と貴方は思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

禁忌『カゴメカゴメ』

 

緑の弾幕が四角形を何度も重ねたようにはられる

次の瞬間ある辺は斜めに。ある辺は縦に

あそこの辺はどこかへと飛んでいく

その複雑な弾幕を避け切れるわけもなく被弾。

体が思い切り吹き飛ばされて本棚に穴を開ける

 

「グリモワールがぁぁぁぁぁああああ!?」

 

尻が床に食い込んで危うく出られなくなるところだったが

気合と大和魂によって立ち上がる

慧音先生が大和魂は弾幕を跳ね返す上にとてつもないスピードで

動けると言っていた。先生に間違いは無い

少しフランを見て思ったが今なら隙を生み出せるんじゃないか?

今のところカゴメカゴメに集中している

ならば。

 

無縁塚で見つけたロストテクノロジーを使うときだ

 

主砲四十六三機九門

 

目の前に莫大な霊力が集まっていく

 

かつて帝国によって作られ、世界最強と言われた船。

 

しかし、時の流れは既に変わっていた

 

今の技術では再現不可能。

 

それは今、目の前に再び現れた。

 

無縁塚で瓦礫の一部となろうともレミリアより威厳を保っていた

 

今は河童にほぼ全てのパーツが回収された

 

でも貴方は幻想郷生まれだから知らない。

 

その船の名前は

 

 

 

 

大和型一番艦 大和。

 

 

その主砲が再び現世に現れた。

 

 

貴方は静かな声で、それでもって遠く離れたフランに聞こえる声で。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

砲符『三式弾』

 

 

 

 

 

 

 

 

瞬間、全てを振るわせる轟音が“幻想郷中“に響き渡る

その轟音は取材に忙しいブン屋を衝撃で落とし

船で寝ぼけていた死神を強制的に現実に戻させて

趣味に没頭する河童を驚かせ

里を軽い大混乱に陥らせ

フラワーマスターにうるさいなぁと思わし

自宅で人形を作っていた魔法使いが弾みで針を指に刺したり

本を読んでいた本屋の少女の手から本が滑り落ちて

繋がっていないはずの冥界も震わせ

覚りの少女の自作小説の執筆を邪魔したり

鬼には地上何してんだよと言わせ

天界では一つの浮島が地上に落ちていくほどだった。

 

室内でこれなら屋外どうなるんだ…

 

その砲弾はフランの目の前で破裂し、まるで流星の尾のよな弾幕がはられる…弾幕だと貴方は信じている

目の前には大図書館のように煙をあげるフランが倒れている貴方はそれに近づいて…

彼女をうつ伏せから仰向けにさせる

ふと、彼女の腕が目に移動させられる

ゆっくりとした動きで。

何をしているのかわからなかったが次の瞬間貴方は驚いた

 

いつの間にか本棚に吹き飛ばされ、血まみれなのだ

 

「あはは!壊れない!一回で壊れないイィい!あはははハはハハ!」

 

いつの間にか立ち上がったフランがこちらを見ながら狂ったように笑っている

足から少し離れたところに二刀が突き刺さっている

左手を伸ばして取ろうとしたがなぜか痛い

見てみるとあらぬ方向に腕が曲がっている

 

「じゃあね!バイバイ!」

 

そうやってまた瞳の前で拳を握ろうとした途端に

フランが前のめりに倒れる

その後ろには見慣れた姿があった

大幣を持っている人物といえばアイツ以外居ない

 

 

ずいぶんと遅かったじゃないか

 

「仕方ないじゃない。吸血鬼が手強すぎたのよ」

 

霊夢は血まみれの貴方に手を伸ばす

貴方はそれを握って立ち上がる

 

「その腕じゃ当分は仕事は無理かしら?」

 

そんなことはないだろう

 

そうやって笑いながら会話している2人を物陰から見ていたパチュリーとレミリア。

それに加えて小悪魔と咲夜が壁ぴょこで見ていた

 

「何よあれ…」

 

「私の本が…」

 

「職場が…」

 

「修理費が…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

余談だが、貴方の放った三式弾のうち一つが天井を貫通。

しかも運の悪いことにとある悪戯好きの妖精メイドが集めていた

黒火薬の溜め込まれていた部屋に砲弾が入り込んだ上信管が作動。

紅魔館の一部分の風通しが死ぬ程良くなった

…これから冬だけど。

 

 

 

 

 

 

 




Haha ... was it all a lie?
All the words so far?
Haha… I'll kill you
... This is a referee
Discuss your sins
Die



慧音ェ…大和魂の意味間違えとるゥ…
四十六㌢砲が入る大図書館ってどれだけ広いんですかねェ…
紅魔館なら爆破がないとおかしいよね()


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宴会

あれから数日後、博麗神社で宴会が開かれた

死にかけたが出るのに問題はなかったから出た

霊夢に担がれながら我が家に帰ることができてよかった。

なお運悪く家の前にいた慧音に見つかり説教と頭突きをされかけた

怪我人にするとか鬼だっ!と言ったところなんとか頭突きは避けれた

あの痛みは見度と忘れることはないだろうナ…一度死んだ叔父が見えた。

一通り包帯を慧音に巻かれた後夕飯を作ってくれた

右手だけで食べるのは行日悪いな…

そして今は周りがとても賑やかである

人と人が飲み比べをしていたりしている

妖怪がわいわいがやがや騒ぎながら食ったり飲んでいる

少し離れたところでレミリア一行も食べているようだ

フランが貴方をみるなり「あそぼうよ!」と言って殺意マシマシの弾幕を

ぽんぽん放って来たのは…忘れておこう

尚あれでも丸くなった方らしい。小悪魔がいつもぎゅっとしてどかーんされてたらしい

物凄く同情してしまったのはここだけの話だ。

 

「これ結構いけるでしょう?」

 

なかなか

 

異変の一番初めとしては結構な数が集まったと思う

霊夢の渡してきた徳利から酒を注いで飲む

外の世界ではもう少し年齢が高くないと飲めないらしい

不憫なものだ。

左手で刺身の乗っている皿を手に取ると箸で食べる

やっぱり自分の好みはいい。

 

「…骨折ったんじゃないの?」

 

治った

 

「嘘言うな」

 

貴方は露骨に霊夢から視線を外した

言えるはずがないのだ、近くに慧音と妹紅もいるし。

妹紅は竹林で知り合った仲だ。

貴方が筍を採りに行く時迷いの竹林で案内してくれた。

その日から時たま我が家で酒を飲んで会話をしていた

慧音とも仲がよかったのでどちみちにしろ会うのは確定だった

なんでも因縁の相手がいてそいつを殺すために不老不死になったとか

まぁあまり深く聞くわけでもない。

 

「で?本当は?」

 

…無理はしてない

 

「お前…顔に出てるぞ」

 

「慧音の言う通りだ」

 

実の所無理矢理元の方向に捻って矯正したのだ

やった時は何も聞こえなくなったが

なんとか動くようになって来たのだ

はっきり言って動かすたびにギチギチ痛い

それと外見的にわからないから隠しているが…

右腕の小指に肋骨、足の中指を折っている。今は霊力で痛みを緩和して

なんとかしているが少しでも緩んでしまえば激痛がくる

霊夢が顔を覗き込んでくる

 

「…貴方、無理矢理治したでしょ」

 

な…

 

「それだけじゃない。それ以外も骨折しているだろう」

 

慧音さん…!?

 

「貴方、面白いほどかまをかけられているわね」

 

紫さ…あ

 

紫から視線を霊夢と慧音に向けると、霊夢は呆れていたが

慧音はなぜか額をさすっている。

 

 

先生…?

 

 

「怪我人といえど嘘はよくないぞ?ん?」

 

 

えっ…いや、その

 

 

「ふぅん!」

 

 

(貴方の悲鳴)

 

物凄く痛い額をさすっていると

 

パシャリ

 

何かの音がした

見上げてみるとブン屋…射命丸文が写真を撮っていた

 

「ふっふーこれでネタは確保できました!タイトルは『異変の解決者、このザマ』なんて…」

 

ゆらりと幽鬼のように立ち上がる貴方

多分あれにはものすごいアホ顔の自分が写っていることだろう

紫は何をするか察したようで邪魔な物を片付けてくれた

貴方は霊力を集中させる

 

「あやや…!これはまずい雰囲気です…!では!」

 

一瞬のうちに境内から消える外道。

だが意味はない。

幻想郷は広いようで狭いのだ

40‘5kmまで届く砲弾だ。それに相手はここまでは追ってこれまいと

油断した愚かな天狗だから狙いやすい

なぜか創造した四十六㌢砲を見てレミリア一行は物陰に隠れた

レミリアだけが蹲って動かなかったが…なんか変な気が見えるな。

慧音と妹紅は貴方の殺意に本能的な危険を感じたのか神社の中に入って行く

霊夢はずずずとお茶を吸って…耳栓してる。

まっいいか

 

 

 

 

 

砲符『三式弾』

 

 

 

 

再び轟音が幻想郷を震わせた

ただ、置かれた机や食材、本殿と鳥居は不思議なことに吹き飛ばなかった

誰かが吹き飛びの境界を操って吹き飛ばないようにしたのだろう

その後、三式弾の発火が花火みたいだと宴会のたび打ち上げられるようになるのは

後の話であるが、気にすることはない

 

ただ、ここでも航空主義は勝っていたというか。

確かに弾幕()が文を襲ったがそれを間一髪で回避

生命の危険を感じたために写真を処分したらしい

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

貴方は次の日、頼んでもないのに置かれていた新聞に目を通した

 

   文々。新聞

『紅魔の館 爆破事故』

 

 

今回の異変の黒幕、レミリアスカーレットによって宴会が開かれた

この時酔った客の中に砲弾型の弾幕を放ったものがおり、それは空中で炸裂した。

どうやら砲弾の中に不発弾があったらしく空中で爆発することなく

とある屋敷に突き刺さった。その時“なぜか“信管が作動。

結果的にその赤い館のシンボルのような存在である時計塔に大穴が空いた

帰ってきた一行は唖然としたという

 

 

 

 

 

 

館の主:インタビューより抜粋

 

ーー。もう砲弾を放つのをやめてくれ

 

 

 

館のメイド:インタビューより抜粋

 

上に激しく同意です

 

 

館の図書館管理人:インタビューよ(以下略

 

魔法を使うのも疲れるのよ?ーー

 

 

館の図書館司書:インタビュ(以下略

 

それよりも給料上がって欲しいです

 

 

館の門番:インタ(以下略

 

ZZZ…

 

 

館の主の妹:(以下略)

 

楽しいからもっとやって!

 

 

 

 

 

 



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Sneaking mission

貴方は目が覚めた

あたりを見渡すと、紅魔館の自室だった

ここで寝たから当たり前だろう、変わっていたらびっくりだ

ただおかしいことがあるのだ。

室内の至る所に火がボウボウと燃え上がり煙が吹き上がる

赤い絨毯は黒く焦げていて見る影もない

パンツァーファウストは一本が倒れて横になっている

弾頭が発射されていないのを見るにおそらく火災の原因はこれじゃない

貴方は火が回ってきたベットから降りるとウエストバックを身につける

この際九九式手榴弾は二つ取って他は火のない部屋の隅に置いておいた

ベット横にある丸い机から100式を取りマガジンの中を確認する

中には黄金に輝く拳銃弾が見えた。それを給弾機構に挿入

槓桿を引くと中で慣れ親しんだ音がなる

これで引き金を引けば相手は蜂の巣だろう…メイドみたいな能力がなければ

するとドンドンと扉が乱暴に叩かれる音がした

貴方は箪笥をドアから見て縦にあるなるように移動させると

九九式手榴弾のピン兼糸を引き抜くとそれから煙が少量出てくる

それを貴方は目的の場所に投げた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あのーーさんでしたっけ?脱出するので開けてくだs」

 

 

B O O M!!

 

 

突然扉が爆発して扉の前に居た妖精メイド数名を吹き飛ばす

「何が…ヘブゥ!?」

突っ立っていた妖精の顔面に靴の底がめり込む。

貴方は思い切り足に力を込めて壁に飛ぶ。

そのまま外の世界でよく見た漫画やアニメのように霊力を噴出してウォールラン

壁に手をつけながら、そして片手で100式を放つ。

パタパタと倒れていく妖精達、ここで一回休みだ

手をつけていた壁が燃えているところまで来たので貴方は廊下に着陸する

廊下の床に手がついたと同時にローリングで着地する

そしてマガジンを抜くとウエストバックから弾薬を装填。槓桿を引く

ここまでの時間わずか10秒。その手つきは明らかに手慣れていた

夢とはいえ感覚はあるしなんなら貴方自身が行動することだってできる

あれで妖怪を退治するものとしての感覚は戻ってきた気がする

ただし、あんなので外の世界にいたブランクはそう埋まるものではない

それでもやらないよりかはマシと言ったところだろう

ここで貴方は今の状況を把握する

貴方が走った反対側の壁は穴ぼこまみれになっていて火が燃えている

黒いすすが壁や天井を汚して火から黒い煙が上がる

口の辺りに霊力を集中させるとガスマスクを作り出す

何処かの部隊が着けていそうな丸い円形が二つあるものだ

いつもの服装にガスマスクとは似合っているかわからないが

ともかく煙の対応は完了した。次は目の前の問題である…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーを何処にやった!」

 

「紅白の巫女…ついに狂ったか」

 

「お嬢様、この鳥はお任せください」

 

「戦闘中によそ見?私を舐めているんですか?」

 

「…フランの相手をするなんて考えてもいなかったわ」

 

「ジャマジャマ!アハハは!ーーのタめにヤルンでしょ?そレナら文句なイもん!」

 

六人の少女たちが弾幕ごっこといえない…むしろ殺し合いをしていた

この紅魔館の被害を見るにおそらく彼女達が攻め込んできたのだろう

今でも弾幕が放たれ穴を増やし、火災を巻き起こしている

煙は天井の穴から出て行っているため室内に篭る心配は無用のようだ

貴方はガスマスクを取るとそのまま火の中に投げ込む

なぜこんなことをするかと聞かれれば単純明快、証拠隠滅である

まぁ脱出するからあまり意味はないのだけれど

先ほどから聞こえる声から察するに敵味方に分かれているらしい

霊夢と文が何故か結託しフランもその仲間に入っている

それに対してレミリアと従者の咲夜、そしてパチュリーは味方のように感じる

敵三人、味方三人ってところか。対等なのかはわからない

 

 

 

 

 

 

 

 

「火災だー。さっさと消さんか」

 

「誰かあれを止めろー!」

 

「オレニハデキナイ(^p^)」

 

「馬鹿者ー!」

 

「妖精魂を見せてやるぅ!」

 

「俺に撃つなー!俺は味方だー!」

 

「逃げろー!」

 

「警告する。お前は戦いから逃げようとしている。

 逃亡者は銃殺される」

 

「とんでもんねぇ、待ってたんだ」

 

「爆発するぞー!」

 

「何が始まるんです?」

 

「大惨事大戦だ」

 

「敵の潜水艦を発見!」

 

『『『駄目だ!』』』

 

 

…ものすごく賑やかだ。

見たところ彼ら彼女らはあまり気にする必要は無い

と思った瞬間に戦場からの流れ玉が100式に激突。

バレルから真っ二つになってしまった

こうなれば使い物にならない、ガラクタを投げてウエストバックを漁る

ついでにいらなくなった弾薬を出していると底からあるものが出てきた

それはソーコムだった。

マガジンは今入っているのも含めて三個。

装弾数は12発だったから今は36発の弾丸がある

貴方はそれを構えると、気づかれないように玄関へ向かおうとした

 

 




ローリングはmgsと付属すれば出ます
検索なんて面倒DA☆な人に簡単にいえば
でんぐり返し。以上。


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Alert 99.99

♪encounter


『いたぞ!』

 

 

 

瞬間に銃を持った妖精メイドに出くわした

貴方は踵を返して廊下を走る、後ろから銃撃音が聞こえるので

くねくねと体を捩って回避しようとする。数発は刀で弾く

主から殺すなとか言われていないかのようにバンバン撃ってくる

おそらく妖精ゆえそんな命令なんて忘れているだろうけど…

持っている武器はFA-MAS。30発撃つことが出来るアサルトライフルだ

にしてもこの妖精は元兵士か何かだったのか、かなりのエイムをしてくる

服装も緑色の戦闘服だ。

中にはデザートイーグルを両手で撃っている者もいる

彼女はブラジャーより付き合いが長いかもしれない。

貴方は余計な事は忘れてさっさと逃げることにした

エントランスに続く階段を降りようとした

 

「神槍「スピア・ザ・グングニル」」

 

「「「「ハズレー!バーカ!それだからお兄様に色々言われるの!m9(^Д^)プギャー」」」」

 

「うー☆咲夜あぁぁぁああああ!」

 

「お嬢様、目の前の敵に集中してください」

 

「はっ、そうね。増えて罵倒されても!」

 

「話す暇があんのかしら」

 

「霊夢の言う通りですよぉ?」

 

その避けられた槍が天井を直撃。

結果的に階段が潰されて貴方は回り道せざるを得なくなった

心の中で悪態をついていると後ろから走る足音が聞こえてきた

貴方は他に階段がないか確認したところ三階から直で続いている階段を見つけた

そこなら一階に降りることが出来るはずだろう

階段は上に行く方は無事のようだ…少し燃えているけれど

ただし、道を塞ぐほど大きいわけではないのだ

貴方は覚悟を決めると階段を登り始めた

学校で急いでいるときによくやった段差を一つ飛ばして行く登り方をする

 

 

 

ゴガン!

 

 

 

 

いきなり爆発が起きたかと思うと貴方は最上段に吹き飛ばされる

壁にめり込んでしまったがなんとか脱出した

見てみるとどうやらフランの分身の1人がキュッとしてどかーんしたらしい

階段に目なんてあるのかなぁ…

 

「ドコイクノォ?」

 

貴方は踵を返していこうとした途端にカチャンと嫌な音がする

階段から聞こえたので登ってきた階段をみると、妖精が肩で支えながら

棒に持ち手がついた物を向けていた。

それを見て体が固まったと同時に36.5くらいに熱が下がった

RPG-7。

外の某国で発明された対“戦車“用兵器。

貴方は兵器だとでも言うのだろうか、あながち間違ってはないのだけれど。

引き金が引かれたときにそれを思い出していたせいで動けなかった

気づけばダンボール箱をかぶっていた。意味が分からない

 

 

 

 

 

 

ドカーン!

 

 

 

 

 

 

ただ、何故か爆風をものともしないまま廊下に出る

後ろを手掛け穴から見てみると物の見事に燃えて跡形もない

貴方は近くにダンボールが大量に積まれていたのでそこの近くに座った

側から見ればただのダンボールの山である

その中で貴方はあることを試してみることにした

手のひらに霊力を集めて創造。すると手のひらにマガジンが出来る

ここまでは想定内だ。今度は違うもの…そうだコップなんてどうだろう

手に霊力を集めて創造…してみるが何も起きない

はて、何かおかしいことでもあったか。と思ってもう一度するが結果は同じだ

今度はフォークを作ってみようか…

 

 

あれから数分経ってわかったことがある

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『配置に戻れ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

貴方は兵器以外を作ることができない…簡単に言えば凶器しか作れない

ただし、火とか水とか雷などは違うらしい

コップやフォークに目覚まし時計を作ろうとしても何も起こらなかった

銃や刃物に爆発物は創ることができた

これからわかることは生活には無縁と言うことだ

弾丸を使って猟をするなんてこの頃していないし。

貴方はダンボールを霊力にして消すと廊下を駆け出した

 

『いたぞ!』

 

今度は無視する。

と思った瞬間に窓側から光が漏れる

紅魔館の窓は塞がれているかカーテンがあるかのどっちかだ

ただ、RPGと同じような死の匂いがしてきたので駆け出した

瞬間貴方が立っていたところに嵐のように銃弾が叩き込まれる

窓に貼られていた鉄板がガタンと廊下に落ちる

 

ハインドD…!?

 

またしても某国の兵器が出てきた。今度はヘリだ

にしてもここの兵士は兵装がバラバラだ。

が、それを考える間も無くヘリが“撃ちながら“貴方の方向にくる

無論の事止まれば即蜂の巣にされてしまう

反射的に駆け出す。ダッシュだ。

ドガガガガと一瞬も止まらずに鳴り響く銃声。

それと共に壁や窓、そこら辺の箱を吹き飛ばす

哀れな妖精メイドの数人が巻き込まれていた

ずっと走っていると鉄の板が貼られている窓があった

そこの裏に隠れると、凭れて座った

息を整えていると何かが飛んでくる音がした

後ろで爆発。貴方は炎と共に吹き飛ばされた

吹き飛ばされて反対側の壁にぶち当たったがそのまま

突き破って空中に放り出される。

 

 

 

あぁ…久しぶりに空を飛んd

 

 

瞬間カーペットに叩きつけられる

その際に腕が何かに激突してひん曲がる。

キーンと耳鳴りがするしものすごく痛い

右腕を守るようにして支えて愕然とした

霊夢に後ろから抱きつかれたからだ

 

「痛いよね…でも、もう気にしなくていいから。」

 

が、いつの間にか空中でお姫様抱っこされていた

 

「あんな貧乏巫女より私の方がいいですよ?」

 

今度は爆発で吹き飛ばされる

 

「貴方ガ死ンデ一緒ニナレバイインダ!」

 

貴方は立ち上がると玄関を見た

瓦礫が塞いでしまって出ることは叶わない

近くに地下への階段があった。

死力を尽くして足を上げると階段へと向かう

 

「待て!」

 

「させない…!」

 

貴方が入ると同時に魔法陣が展開。

追いかけようとした彼女達を妨害する

 

「さて、時間稼ぎよ…!」

 

 

 




(咲夜)
フランがプギャーとか言うのは貴方が教えたからよ…?
「カリスマブレイクの為だ」とか言ってね。
まぁ、私は貴方が好きだからどうでもいいんだけど

余談だけど感想無しで評価出来るようになっているから
評価の方、よろしく頼むわね。貴方


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逃げて

基本キャラ目線が少ないです
私がめんど…思いつかないから少ないだけです
にわかだからいちいち調べているんですよね。スペカとか


貴方はなんとか大図書館に逃げ込めることができた

本当なら玄関から出ることができていたが邪魔されていたし

そもそも瓦礫のせいで出ることもできなかった

振り返ると紫色の魔法陣ができていたので助かったようだ

後でパチュリーに礼を言おう…生きていれば

記憶が正しければレミリアは一回弾幕ごっこで退治されている

今回は本気だからどうなるかわからない。

でも、考察なんて意味がない

貴方は考えを振り払うと狭い階段をとぼとぼと歩いて行った

無論事腕を支えて、痛さを食いしばって紛らわせて。

 

大図書館は四分の1が吹き飛んでいること以外は変わりなかった

司書と管理人がいないだけでこんなにもシーンとしている

確か隠し階段が何処かにあって、そこから脱出できた筈。

貴方はあらぬ方向に曲がっている腕に手を伸ばす

そして手のひらを持つと、思い切り曲げる

耳鳴りがして周りの景色が白っぽくなる。

曲げた後に店主…たしか名前はダレナだったか…

彼から貰った注射器を腕に刺す。

すると心拍数が下がり、腕が動くようになる。

あまり気持ちが良くないが、これでいい。

不快感は拭えないけれどあのままよりはマシだ

といってもドカンゴガンと爆発音が鳴っている時に

出てしまえば見つかって捕まるかもしれない。

何とかして暇を潰す必要がある。貴方は辺りを見渡した。

相当慌てていたようで本が所々ばら撒かれ、本棚が倒れている

あの魔法陣はかなり上位である事が魔法素人の貴方にも

直ぐに分かったので直ぐには来ない筈だ。

それも彼女達が奮闘して食い止められればの話だが

今のところ戦闘の破壊音が聞こえてくるのでまだ

攻めてくることは無いだろうな。

貴方はここで読みたかった本を片手に本棚を起こしたり

ばら撒かれた本を本棚に戻したりした。

 

何かをしながら何かをするのは難しい

例を上げればゲームをしながら勉強する。

寝ながら運転に動画を見ながら仕事。

ピアノ両手で引く等。

人間…主に男子が苦手傾向にあり女性はその反対だ。

それは貴方も例外では無く普通のスピードどころか

亀かナメクジのようなスピードで本を動かしていた。

本を読みながらやると言うのは難しものだ

貴方は飽きたのか棚に戻す途中の本を投げて読んでいた本を

片手ではなく両手で、本棚に縋って。

最初の目次しか見た時に興味が湧いた。

そして見てみるとこれまた面白いのだ

 

私のココロの中に

 

いつの間にか出来てしまったもの

 

どんなに調べても分からなくて

 

でも

 

分からない気持ち悪さではなくて

 

むしろ心地よい気持ちなの

 

誰か早く私に

 

これの名前を教えて…

 

どさり

 

貴方は何かが倒れた音に気づいて振り向く

すると、ボロボロの咲夜が倒れていた

貴方は本を机の上に置くと近くに行く

 

ちなみにその本の作者名はパチュリーだった

題名はポエム集。

 

 

「ごほ…げふっ…」

 

所々に青いアザができており口の端からは血が流れている

黒いタイツには大小の穴が空いていて片方は膝から切れて亡くなっている

銀色で美しかった髪ももう汚れている

しかし咲夜は気にせず、もしくは耐えながら口の血を拭った後言う

 

「そろそろ…限界…です…あれが…」

 

隠し扉?

 

「どうし…て…もしかして…」

 

咲夜はあることに気づくと軽く笑った

 

「わかった…わ。なんとかして…食い止めるから…!…逃げて!」

 

 

貴方は頷くと、隠し扉へと向かう

ドゴンと入り口が爆発すると同時に霊夢が入ってくる

 

「…何処に隠した」

 

「答える…義務はない…わ」

 

「退きなさい。さもないと私はあんたを殺さないと行けなくなる」

 

咲夜はナイフを太腿のホルスターから抜いて構える

 

「私は…何処にでもいる完璧なメイド…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

貴方は本棚の裏側にある隠し通路から逃げる

もう、息も絶え絶えだけれども鞭打って。

また捕まったら、何をされるか分からない

彼女たちが時間を稼いでいるうちに逃げないと。

 

光が見えてきた。

 

もうすぐだ

 

もうすぐで逃げられる

 

外に出た。

 

瞬間に風切り音が聞こえたんので貴方は咄嗟に避けた

見てみれば、それは佇んでいた

誰と言う必要はなかった。ただ浮かぶのは疑問

どうして美鈴は正面じゃなくて隠し扉を守っているのか

 

「お嬢様が出すなと言われたので…と言うのは建前」

 

恐らく外は危険だから出すなとかそういうものだったんだろう

この門番はその仕事を全うする気がないように見えるのだ

寝ている間に認識が変わったにかもしれないっておい待て

 

 

「本当は危険だからと言われましたが個人的に戦いたいので」

 

お嬢様の命令無視どころか完璧な妨害である

もし戦闘音でバレたら美鈴を囮にしようと考える貴方

その間にも話は進んでいく

 

「私は能力を一切使わずにいく、覚悟しろ」

 

口調がいつものうっかりさんからコマンダーのようにキビキビとした口調。

それに加えて声も何処か渋い声になる

片足を上げて中国独特の構えをした後言う

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「来い!」

 

 

 




研究結果

蘇生剤について


兄さんに言われて作ってからかなり経つこの薬だが
実のところこれに再生能力はないと書いておく
この蘇生剤はあくまで心臓付近の再生力を促進させるのだ
それでそこだけが常時と何も変わらない状態になる
足や腕が線切れたり骨が折れたりしたときにこいつを使っても
意味はない。
精神が治ると信じていたら多少はマシになるかもしれないといった所。
モーティマーを使って実験した時も治ったのは心臓付近だけだった
なお、これの効果があるときは槍で突こうが銃で撃たれようが
何をしても生きているのだ
ただし、これは相当精神の強い者でないと効果はない
なぜかというと痛みや視覚的精神攻撃などによって
ショック死してしまうからだ
腕が切り飛ばされたくらいで死ぬなんて…もっと鍛えようよ
唯一この心臓以外を治せないという欠点を治す方法がある




それは人間をやめることである
妖怪化したモーティマーにこれを与えたのち腕を切り飛ばすと
瞬く間に再生を始め、数秒で完璧に再生し終わる。
ただこれは

(紙はここで破られている)



さぁ、拳で語り合おう!


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拳対拳

♪encounter


どこからともなく聞こえた何かが湖に落ちる音でそれは始まった

貴方が滑るように踏み込んで拳を2回顔面に放つ

美鈴はそのときに怯んだので回し蹴りをした後その慣性に従って

一回転し、さらに回し蹴りを顔に向けて蹴っ飛ばす

 

「ぐぶぁ!」

 

悲鳴をあげたがすぐに美鈴は立ち上がって構える

 

「そうだ、それでいい。」

 

美鈴は満足そうな顔で続ける

 

「戦いの基本は格闘だ。武器や装備に頼ってはいけない。」

 

 

その姿がまるで虫のような強化骨格に覆われた戦士に見えた

それも一瞬で次にはそれの上半身裸の男性が見えた

貴方は困惑したがいつの間にか美鈴が突っ込んできていた

拳が叩き込まれるが霊力を纏わせた腕を交差させて防ぐ

それに休む暇も無く蹴りが下から来る。

体を捻って避けると後ろに下がる

 

「やはりそこらの雑魚とは違う」

 

殴られた頬を手の甲で拭う

そしていつもの役立たない門番がするとは思えない

口が三日月の様に獰猛な笑顔になる。

 

「久しぶりだよ、こんな充実した接近戦は…」

 

口調は男そのものだが、声は美鈴だ。

彼女が男の様に(何処とは言わないが)平たく

体つきががっしりとして髪が短ければ男としか

貴方は思えないくらいのものだった。

 

「さぁ、そろそろ本気を出していこうか!」

 

というか弾幕ごっこが普及した今では拳対拳なんて

そうそう無かったのだろう。

接近戦をしたのは右手で事足りるくらいだ。

好奇心で寄ってくる野良妖怪や貴方。

逆に言えば彼女は常に不利な条件で戦っているのだ

美鈴の得意な分野は接近戦の上に拳法。

どちらも遠距離からの攻撃になる弾幕ごっことは

相性が良くないのだ。

例えれば、大艦巨砲主義と航空主兵主義である。

帝国がずっと戦艦を極めたのに対して

合衆国は空母を極めた。

結果的に帝国は敗北して合衆国は勝利した。

量より質ではなく、質より量だ。

大きな昆虫が小さな蟻の集団に負けるように。

彼等も空母を研究したが、慣れない物をするべきでは無い

しかも自国で不仲だったのであきつ丸なんてものがある

任せておけんとかそういう問題ではないだろうて…

ともかく攻撃力に重点を置いた上にそれが殺し合いなどに

使われるものになるとごっこには使えない。

だから慣れない弾幕を放って負ける。

 

「考え事をしている場合か!」

 

顔面に右ストレートを思い切り食らう。

ものすごく早かった。

残像なんて見えない程の速さ。

人が殴る時にはまず構えて腕を曲げて殴る

この手順が普通である…と思う。

しかし美鈴はそれらを無視するというよりそれらが

構えた時点で既に殴っている程早いのだ。

つまるところ構えているのが分からないほど早い

貴方はそれに怯むと共に驚愕した為に追撃が入る

脇腹に右の拳が入り、左肩に左の拳。

そして回転蹴り。

3回の追撃によって貴方は倒れ込みそうになった。

これらも予備動作は一切無い。

改めて思うとこれが門番の実力である。

外敵から守る為に戦闘に特化したのだからそりゃ強い。

貴方は蘇生剤を左胸に思い切り刺して注入。

途端に体の負傷部分が再生し、戦えるようになる

 

貴方は構える。

 

「面白い薬だな?」

 

何も答えずに疾走。

右ストレートを顔面に入れようとするが左腕で防がれる

それは想定済みなので今度は横から体制を崩すように左を回り込む形で殴る

それは右腕で弾き飛ばされ、更に右腕のパンチが来る

貴方は身体を捻って交わすと頭を蹴り飛ばすように蹴る

その考えが珍しく一致したのか美鈴もおなじように蹴った

2回立て続けに蹴って回転蹴りと予備動作の無いパンチ。

お互い力を打ち消し合いながら、譲らない。

連続したパンチを腕で流しながら美鈴は反撃を入れる

それを右足で蹴り飛ばすと左足で顔面を狙う

しかし、後ろに下がる事で避けられる

 

睨み合い。

 

だが、それも数秒で終わった

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーーーーーーーーーーーーー!!!!」

 

霊夢が貴方の名前を叫びながら出てきた、隠し扉から。

もしかして咲夜はやられたのだろうか。

少し不安になりながらも構える

が、美鈴が前に出る。

 

「私が足止めする、早くいけ」

 

どうして

 

「せっかく戦える相手出来たのに奪われるのはいやだからな…

 まぁ、私の心配はしなくていいですから。」

途中からうっかりさんの口調に戻る

 

後を頼む

 

「任せてください。」

 

貴方は空へ駆け出した。

その道筋は、無意識にとある場所へと向かっていた

 

 

 

 

 

太陽の畑。

 

この時は何も思わなかったけど。

 

行って良かったと、後に思った。




咲夜のその後は死亡以外でご自由に想像を。
おぜうに永遠亭に運ばれたもよし
パッチェに回復魔法をかけられたもよし。


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人里に紛れて

霧の湖に一直線の波ができる

それはまるで飛行機雲のようにしかし速く進む。

それを作っているのは…貴方。

急いでいる理由は単純で捕まりたくないから。

貴方が愛用していた二振りの刀も今や椛の家に忘れた

早苗というマトモな人間に会えたから安心したというのもあるが

それでも忘れてはいけないだろう。

今のところ持っているものは注射器と残弾の少ないソーコムだ。

 

少し振り返って紅魔館を見た

 

紅魔館は至る所から黒い煙が出ていて象徴的な時計塔も

今や止まってしまっている。

 

裏口付近ではこんなに離れていても見える程明るく黒い弾幕が見える。

時折「破ッ!」と聞こえた後に衝撃波がここまでくる。

やはり美鈴は接近戦では屈指の強さなのだろう。

彼女は心配しなくていいといっていたが大丈夫なのかと心配したくなる程

弾幕の殺意は高く、本当にごっこなのか分からないほどだ。

 

というより見ている暇なんてない。

何処か、奴らが干渉したくてもできないところに行かなければ。

貴方は考えて一つの案が頭に浮かぶ。

 

 

 

 

 

 

 

 

人里に紛れればやり過ごせるかもしれない。

貴方はそんな希望を胸に秘めて、飛んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐふっ…あ…」

 

「はい、楽勝ッと…速くしないと誰かに取られるかもしれない…

 させないから、絶対に誰にも渡さない」

 

「おやー?それじゃあ同盟は破棄と言うことで?」

 

「はっ、元からあんたと同盟なんて組んでないわ。

 くたばりなさい鴉天狗。」

 

「あややや…やはりあなたとは相入れない存在みたいですねぇ。

 人間ごときが、天狗に敵うとでも?」

 

『死ね!』

 

 

 

 

 

 

 

 

久しぶりに人里へ来た。

ただ、今は紅魔館から黒い煙が上がっているので小さなお祭り騒ぎになっている

野次馬が屋根に登って「ア、アレハナンダー」「!!ああああああわう」なんて

意味のわからない単語ばかりを叫んでいる。

貴方は「ざわ…ざわ…」と口で言っている野次馬の1人を足で転かすと人混みに紛れて

そこから退散したのだった。

 

あそこにだけ人が集中していたらしく他はガラーんとしている

そのおかげでいつもは結構人がいる居酒屋さんが空いていたので

みたらしと三色団子を頼んだ(居酒屋で)

 

「どうも。ピッタリ勘定もらったよ」

 

赤い服で身を包んだ女将は奥に行った

赤蛮奇という名前で妖怪だ。

たまたま枝垂れ桜の下で見てしまったのだ。

あれは不可抗力だと貴方が言っても納得してくれるまでに時間がかかった。

今は美味しい酒やつまみなどを(金を払えば)ちゃんとくれる。

それと時たま車椅子に乗った人魚がやってくる

貴方を見るたびに引きずって霧の湖まで連れて行こうとする変人。

ぼっちだからってあそこまでしないと思うと貴方は思う。

 

「はいどうぞ。」

 

貴方は礼を言うと串を手に取って食べる

この時貴方は疲れた体には美味しいものが一番染み渡ることを理解した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

団子を全て食べ終えると立ち上がって店から出る

 

「あいどうも、またよろしく。」

 

 

 

 

 

 

 

店を出た後にしばらく歩いていると二振りの刀を腰に下げた女の子と出会った

その子は貴方の前で止まるとこちらを覗き込むようにして見てきた

感情の読めなくて、深い青色の目。

こちらを見るのをやめると何かをぶつぶつと呟いて飛んでいった。

 

…幽々子様に報告ってどう言うことだろう。

 

それからあまりにも人がいなかったので路地裏を通ることにした

にしてもなぜ貴方はこんな目に遭っているのだろう。

おそらく博麗の巫女やブン屋は普通だった筈だ。

なのに何故か貴方という一個人に依存している。

貴方はいつもどうりに会話しただけだ。

それを繰り返すだけでこうなってしまった

心のそこから怒りが湧いてくる

しかしその怒りは誰にもぶつけることができない

仕方なく長屋の壁を殴っていた

 

「おい」

 

それでも怒りは収まらずに

 

「おい」

 

ただ力が強くなっていくだけ…

 

「おい!」

 

その声ではっとした。

見てみると、無精髭を生やして帽子を深く被った男がいた

着ているものは布を使ったフードのある燻んだ色のジャケットを着ていて

ズボンはダボっとしていて靴も相当履いているのかヨレヨレだ

ただ、両太腿に刀と両刃剣があるのを見て独特な鞘の付け方だなと思った。

彼は口を開く

 

「俺はシェードって名前だ。ダレイット・シェード。

 とにかくこれで落ち着いたらどうだ?」

 

シェードはあるものを貴方に差し出す。

それは一本の棒。指と指の間で挟めるくらいの

つまりはタバコである。

彼も点火済みのタバコを咥えている。

 

「ふぅ…とりあえず吸ったらどうだ?落ち着くぞ。」

 

貴方はタバコを受け取ると咥える

タバコが体に悪いとわかっているけど、この時だけはそれを忘れていた。

ピンと水平に伸ばすとクイクイと指を数回曲げる

何をして欲しいのか察したのかシェードはポケットからジッポーを取り出す

そして親指で蓋を開けるとそのまま火を点ける。

金属が擦れる音がした後親指くらいの長さをした火が点く。

その火の先っぽをタバコの先端と合わせる。

すると口の中に煙が充満してくる

それが吸収されると、心が落ち着いてくる。

そろそろ息が続かないと感じた頃にタバコを指で挟んで、息を吐く。

すると、蛍光色の煙が貴方の口から出る

それに驚いているとシェードが笑った。

 

「はっはっは…皆最初は同じような顔をするもんよ。」

 

彼は顔を近づけると言う。

この時だけ少ししか見えなかったが瞳が見えた

まるで貴方の心の中を読むような

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「タバコは程々にな?ニコチンあるからな。それ」

 

遅いぞお前…

 

貴方は軽く笑うと路地裏を後にした

と言うより、里を後にした。

霊夢が野次馬を蹴散らしているのが見えたから。

 




刀の名前何にしよう…
それから評価は感想みたいなの書か無くてもできます。

それからカタカナを無くしてみました。
悪ければ感想で言ってください

余談ですが時たま出てくるオリキャラ、一回出るとその作品では
もう出てこなかったリたまに出てきたりします。
うちの作品はパラレルワールドのようになっていて別作品のキャラがいたり。
例を言えばダイナ君とかですな。彼は愉快で危険な仲間たちのキャラですし。
このキャラは…!ってなったりする(かも)
まぁ完結したらもっと面白くなるんでしょうけど。


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安全地帯

貴方は門番に一礼した後門を出る

彼は蹴飛ばされている野次馬達を遠目でみると

こちらの心情を察してくれたのか何も言わずに通してくれた。

こう言う時はそういう対応が一番嬉しい。

ここから見てみれば先程野次馬がいた場所は既に土煙に変わっていて

時たまそこから人が飛び出してくるのだ。

その勢いは遠く離れたこの門まで飛んでくるほどである。

「ありがとうございます!」と何回も聞こえてくるのは幻聴だ

ともかくここから逃げなくてはならない。

貴方は少し早足で道を歩いて行った。

兎にも角にも身を潜めることができる場所に行かなければ。

今のところ貴方が接触していない所に行かなくてはならない

となれば、とウエストバックから地図を取り出す。

河童が開発してくれた物のようでホログラムを使ってより立体的かつ

細かく生成される地図だ(なんでも開発に10年かかったらしい)

素晴らしいデザインで小型だから持ち運びもしやすい。

そういえば椛が「河童がやけに出費するおかげで予算が予定の三倍に

なりました…全く。始末書を書かされる身にもなって欲しいです」と

みすちーの居酒屋で愚痴っていたのでもしかして関係があるかも?

まぁ、そんなことはどうでもよくて

見てみると三段の地図が開かれる、下から地底、地上、天界だ。

測定ができなかった所は所どころあるがそれでも完璧な地図だ

地底は不可侵条約が結ばれているらしいからダメだ。

となれば後は地上か天界だが、飛び続けるのは疲れるので却下だ。

地上で人が寄り付かない場所といえば魔法の森に、迷いの竹林

それに彼岸と太陽の畑や冥界だ。

魔法の森は魔理沙やアリスがいるから候補に入るが山と近い・

迷いの竹林は貴方自身が迷う可能性がとても高い。

彼岸と冥界は死者が集まる場所、生者が行くところでは無い

多分門番や船頭が熱烈な歓迎をしてくれるだろう

そんなことを考えていたが貴方は振り返って手にガバメントを創造し構える

右手にガバメント、左手にナイフだ。

なぜこんなことをしたかと聞かれれば見てみれば丸わかりだ

 

野良妖怪の群れが来ているのだ

何かの気配がするなーっと貴方は思っていたがそれは単体ではなく団体だった

狼の群れで戦闘に一際大きな狼が座っていた。

それはこちらを選別するように見ていた。

よく見てみると右目に切り傷があり、失明していた。

先制してガバメントをソイツの眉間に向ける

鏡のように磨き上げられたフィーディングランプ。

強化スライドだ。

更にフレームとの噛み合わせをタイトにして、

精度を上げているのだ

しかもサイトシステムもオリジナル、サムセイフティも

指を掛け易く、延長してある

トリガーも滑り止めグルーヴを付けたロングタイプだ

リングハンマーにハイグリップ用に付け根を削りこんだトリガーガード

 

それだけでなくほぼ全てのパーツが入念に吟味され

カスタム化されている

普通、銃というのは戦場で落として無くしてしまったり

もしくは壊れてしまったりする消耗品だ。

しかし、貴方が作り出したこのガバメントとはそれらを

ちゃんと頭に入れながらもカスタムを盛っているのだ。

といっても貴方が作ったので貴方の考えだが

 

片目狼がクイッと首を振ったかと思うと

それに反応して部下(と思われる)狼が2匹、こちらに走る

貴方は銃口を向けると、そのまま撃った。

2発の乾いた音が日の暮れる幻想郷に響く。

こちらに走ってきた狼2匹は倒れた。

貴方は狼の群れが驚いている隙に思い切り駆け出した。

 

太陽の畑へと

 

 

 

 

 

 

 

 

「──さん。そんなところに…」

 

赤い2つの瞳が、貴方を遠くから捉えていた

 

 

 

 

 

 

 

それに気づいた片目が天に向かって遠吠えをした

すると、先程驚いて混乱していた群れが一瞬で静かになった。

そして群れがこちらに向かって走り出した。

貴方は人間だから、動物の速さに勝てる訳が無い。

しかし、目の前に向日葵の畑が広がっていた。

貴方はその中に飛び込んだ。

入ったのがバレないように向日葵の茎を折らずに。

しばらくすると狼達の息遣いが聞こえてきた

ガウガウとこちらに向かって吠える

終わった、と貴方が思った瞬間

 

「キャウ!?」

 

いきなりビームが狼の足元に着弾する

ソイツは傘を構えてこう言った。

 

「…斬鬼。狩りをするのは良いけど、ここまではこないでっていったわよね。」

 

「そうか?獲物が居たのでな、逃げるのでここまで追いかけてしまった」

 

「この子は私がどうにかするから他の獲物を探しなさいな」

 

「そうかよ…」

 

片目は軽く舌打ちしてこちらを見た。

 

「命拾いしたな。小僧」

 

くるりと踵を返すと群れを率いてどこかに行ってしまった

…日本オオカミって絶滅していなかったか?

貴方は銃を緑髪の女性に向ける。

追い払って(?)くれたとはいえここは彼女の縄張りかもしれない

物凄い妖気だし。

 

「貴方、安心しなさい別に取って食いはしないわ」

 

 

「信用ならないって顔ねぇ…ま、いいわ」

 

クイクイと手を降ってくる女性。

 

「貴方は花達から聞いているわ、お疲れ様ね

 私は風見幽香、フラワーマスターよ」

 

どうやら敵意は無いようだ。

貴方は銃をウエストバッグに入れると幽香に近づく。

 

「これからよろしくね──。」

 

貴方と幽香は握手を軽くした。



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太陽の畑

幽香ってこんな感じなのかな?
よくワカラナイ


幽香に匿われてから数日がたった。

彼女は聞いていた情報と全く違ってとても優しかった。

残忍でサディスティック…そんな噂とは裏腹に

快く貴方を迎えてくれたのだ。

会った時赤い目が細くなった時殺されると思ったが

普通に笑っただけだった、どうやら警戒しすぎていたようだ。

兎も角保護してくれるのはありがたいがタダで保護してくれるわけも無い。

という事で今日から幽香の手伝いをする事になった。

花の手伝いは1部のみだがそれ以外はほぼ貴方がやっている

料理に洗濯、皿洗いと風呂沸かし。

流石にパシリなんてされないがそれでもかなりの家事をやらされることになった。

「こんな傷と泥だらけの人間にこれ以上の事はさせられないわ」と

太陽の様な煌めく笑顔で言ってくれたのだ。

今のところ椛の次に信頼出来る。

ちなみに貴方の今1番信用ならないのが紫だ。

彼女たちが狂った恋に走っているのに止めもしない。

それどころかおそらくニヤニヤしながら見ているのだろうか

まぁ今襲いに来ても幽香が相手をしてくれるらしいので

今のところ安全地帯だ。ここは。

太陽の畑にポツンと立っている幽香の家の中でそんなことを思っていた。

そういえば、幽香がいうにはあの片目が言っていた狩りというのは

獲物を狩って食べるのではなく、はぐれた人間や外来人を保護するためという

保護の為とはいえやり方があれだろうと言うとあれは畏れの確保もしているという

確かに喋る片目の狼に襲われたら否が応でも畏れるよな…

 

「あら、今日は和風料理かしら」

 

いきなり後ろから、しかも耳元で話しかけられたので

ビクンと跳ねてしまった。暖かい…

貴方は今日はこれを作りたかった気分だったと言った。

すると幽香は笑顔になって続ける

 

「私は花に関係する料理を食べることが多いの。ハーブとかエディフルフラワーとか

 だから久しぶりに和食が食べれるわ。」

 

はにかみながらお皿を出してくれる幽香

貴方は皿にご飯を盛り付けたあと味噌汁をもう一つの皿に入れた

それをテーブルへ置いてくれる幽香に礼を言っておいた

すると幽香は首を少し振って

 

「これくらい大丈夫よ…それよりいただきましょう」

 

貴方と幽香は席に着くと手を合わせ言う

 

『いただきます』

 

これをするだけで飯は美味しくなる

 

ご飯を食べている途中に幽香が突然貴方のご飯を取った

すると自分の使っている箸でご飯を掴んだかと思えば

こちらに突き出してくる。

目が病人を介抱するときと同じ顔だ。

 

「ほら、あーん」

 

あの

 

「あーん」

 

すみません?

 

「あーーん?」

 

 

有無を言わさない笑顔によって貴方は渋々ご飯を食べた

幽香がこれまでに無いくらいに笑顔になる。

さて、おふざけはこれくらいにして…

幽香がまたご飯を箸で取って

 

「あーん」

 

今日、貴方は羞恥刑に処された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Δ

 

「御馳走様。また食べてみたい味ね…」

 

しみじみと言う幽香の顔には何処か悲しみが混じっていた

貴方は自分の食器と幽香の食器を持つと台所へと向かう

皿同士が当たりあって甲高い音が響く

 

「少し手伝うわ」

 

幽香は貴方から三枚ほど皿を取ってくれた

豪華な食事ではなかったから皿の数は少ない

それでも手伝ってくれた幽香に貴方はまたしても礼を言った

 

「そんなに礼を言わなくていいわ…それじゃ洗いましょうか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これで最後ね」

 

最後の皿を洗い終えてカタンと置く幽香

この序はこちらをみると少し困ったような顔をした

 

「貴方随分と疲れたいるみたいね。それなら早く寝ましょうか」

 

幽香は貴方に向けて手を差し出す

少し警戒したけど強引に連れて行く気配がなかったのでそのまま手を握った。

暖かい。

太古から生きている大妖怪で普通人間が関わらない物なのに

こうやって優しく寝床に連れていかれていると何か、

何かがとても感慨深いってちょっと待てや

なぜに貴方と幽香は寝床に行っているんだ?

 

「今から寝るでしょ?」

 

そうも言っても

 

幽香はベットに寝転がるとまるでこちらを誘うように手を広げ

笑顔で言ってくる

 

「おいで?」

 

口からは困惑の声しか出ない

フラワーマスターに抱きしめられるとか殺されるのかな?

でも、これをやらなきゃ寝れなさそうだ

事実紅魔館で昼が過ぎるまで寝かされていたので

疲労はそこまでだがあの狼の群れがよくなかった

妖怪化もしていたからか深い傷を負った

ただこの時は包帯で我慢した

 

「うふふ…いい子ね」

 

いつの間にか幽香の顔が目の前にあった

急いで離れようとしたが両手ががっちりとホールドしてある

窓からは既に沈んだ太陽の代わりに月が浮かんでいた

その光が窓から差し込んでいた

 

…布団の中に男女1組、何も起きないはずがなく。

 

「あら米粒が付いているじゃない」

 

!?

 

ヌメリとした感覚が頬を襲う

先程ご飯がついていたところをゆうかが舐めていた

暖かい吐息と暑い舌先。

少し殴ってしまいそうになったがそうしたらどうなるかわからない。

それに今気づいたが、匂いが強制的に鼻に入ってくる

それもそのはず舐められたのち思い切り抱きしめられているからだ

何がとは言わないが当たっている。

いつも花の世話をしているのか、はたまた自分で放っているのかわからないが

ふわりと様々な花の匂いが漂ってくる。

それに加えて幽香自身の匂いも…

これらが貴方に眠りを促してくれた

目が段々と閉じていくのがわかる。

 

気づけば夢の中だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふふふ…」

 

幽香は笑っていた

だって、久しぶりに会うことができたから

彼の頭に顔を近づけて匂いを嗅ぐ。

すると、あの時と変わらない匂いが匂ってくるのだ

あの時幽香は自分に殺し合いで自分に勝てる者は居ないと思っていた。

だから霊夢との弾幕ごっこは仕方ないと思った

 

でも彼は違った。

 

2振りの刀を使っていた彼に勝てなかったのだ。

霊力は霊夢と同じかそれ以上。

幽香はあの後彼と話す為だけに人里に友好的になった

といってもあくまで不干渉だ

花を摘み取られたら容赦は無い。

あれほど興奮した時は無かった。

幽香は顔を彼の顔に近づけて

 

幽香はゆっくりと貴方に唇を重ねた

 

 

 



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お花

幽香ってこんなに優しかったか?
もう少しsを入れなければいけないかなぁ
どちみちにしろifでsにするんだけども


朝起きてみると、貴方は顔に違和感を感じた

少し触れてみると頬が湿っている

なぜこうなっているかわからないがおそらく気にすることでも無いだろう

布団を剥がし、起き上がる。

幽香は既に居なくなっており、その代わりにドアから朝食の匂いが

貴方まで漂ってくる。

それに何故かとても体がダルいのだ。

全速力で走って少し休憩を取っている時…のような

ともかく不快感が貴方を襲っているのだ。

ベットから降りると軽く背を伸ばす

コキコキと体の至る所で硬化した骨が柔らかくなっていく

幽香の料理は美味しいのだろうか

リビングに向かう途中、貴方は不意に思った

そして、ドアを開けてみると食卓の上に色とりどりの料理があった

彼女が言っていた食べれる花というのを使っていたり普通のご飯や

味噌汁だったりで貴方とは違って和洋折衷だった。

 

「おはよう、できてるわよ」

 

妙にツヤツヤしている幽香がエプロンを脱いでいた

貴方は礼を言った後席に座る。

 

さて、いただこうか

 

「それじゃあ」

 

『いただきます』

 

この国の食事はこの言葉で始まる

古事記にも書いてある

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ご馳走様』

 

幽香はハンカチで口元を拭った。

貴方は立ち上がると食器を台所に持っていった。

そして幽香の食器も洗うとそれを棚にしまう

これくらいはこの数日で慣れたものだ

借り物のエプロンを畳むと幽香に渡す

そしていつも通り洗濯物を洗おうとしていると

 

「あ、待って頂戴」

 

いきなり幽香から声をかけられる

貴方は返事をして振り返る

すると心配そうな顔をした幽香が立っていた

少し間が空いたのち口を開いた幽香

 

「…私の花の水やりをして欲しいの」

 

それは

 

貴方は戸惑った

彼女にとって花というのは家族、いやそれ以上だろう

何故ならいつも水やりだけは彼女がやるからである。

どんなに貴方が頼もうと幽香は絶対に断った

少し殺気を感じた事だってある

だが、何故か今こうやって託されたいる

 

「これを使ってやって。水は無限に出るから」

 

…どんなじょうろなんだ。

ともかくこれで水やりをすればいいらしい

端から端までと付け加えられたので骨が折れそうだ

貴方はじょうろを少し撫でると、花畑へとドアを開けて行った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これでしばらくは帰って来ないわね…さ、出てこい」

 

「こちらから呼んだのにその言い草、ひどいですわ〜」

 

瞬間ドアの辺りから歪な音がして空間が裂ける

その中から1人の女性が顔を覗かせる

年齢不詳見た目はおねーさん。この妖怪の名は

 

「で?早く彼について教えろ、八雲紫」

 

「はいはい、すぐ教えますわ」

 

上半身をスキマという裂け目から出す紫

だが、幽香は目を細めた。

 

「…何故出てこない」

 

「こっちの方が快適よ、おかげで足が炬燵の中に…」

 

「今日はもやしの紫和えか…」

 

「ゆかり?それなら持っているでしょう?」

 

「目の前にあるわ」

 

「ちょっとイダイイダイイダイイダイ!」

 

「あら、まだ欲しいのかしら…って」

 

「おお、怖い怖い」

 

「…そろそろ本題に戻ろうか?」

 

手にひらをあげて天井にいる紫に幽香は言う

紫はスキマから出て向かい合う

 

「さて、彼は一体なんなんだ?」

 

「彼は…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、家の周りにあるバラやチューリップなどの水やりは終わった

何故この季節にこれらが生えているかわからない。

おそらく幽香の能力によるものだと思う。

ここでこんなことを言っている場合では無いのだが

何故ならこの広大な向日葵畑全体に水やりをしなければならない

幽香は大体やってくれた後は自分がやると言っていたので

まずは道に沿って(獣道みたいな)水やりをしていこう

不意に石に躓く。

じょうろはなんとか守れたが服に汚れがついてしまった

舌打ちをしながら立ち上がった

 

…チリン

 

不意に鈴の音が鳴った

足元を見てみるとお守りが落ちていた

そういえば外の家に置いたままだった、これは

もしかしたら賢者が気を利かせてくれたかもしれない

幼少期から持っている大切なものなのだ

それをポケットに入れた後、見上げる。

今の貴方にとって目の前で咲いているこの花たちが羨ましかった

こいつらは血ように向かってぐんぐんと成長していく

太陽の光に反射して輝く姿が羨ましかった

それに比べて貴方は…見窄らしい。

本当なら幻想郷で普通に退治職をしながら暮らしていた

 

でも、今は違うのだ

 

今は追われている

椛と幽香にレミリアや咲夜などの信用できる者は少しはいるが

この先愛に狂った奴が増えそうだ

これのおかげでこそこそと暮らしている

幽香がいなかったらあの斬鬼とやらに攫われていた

見たところ狼だった。保護なんてどうやるんだろう

 

「妖怪の山に連れて行くんだよ」

 

…!

 

「…警戒すんな。早くそれを降ろせ」

 

創造した銃を霊力に戻す

目の前に男が居た

それだけで銃を向けるかと言われたらそれはない

声があの狼と同じだったからだ

見た目は若い男。

白の和服を着ており袖に赤い糸が通されている

肩に小さな鎧があり腰に二つの刀。

帯が朱色の黒い袴を着ている

ただ、それが下から地獄の業火に焼かれたかのような

いや今も焼かれているような炎の模様がある

極め付きに右目の眼帯に尻尾と獣耳だ。

貴方はどうしてここに来たか聞いた

 

「この前の謝礼だ。向日葵たちが怖がったとかだ」

 

顔のどこかに疲れが浮かんでいる

 

「こいつはお前にだ、小僧」

 

持っていた風呂敷を貴方に渡す

中を見てみると数個の和菓子と一緒に蘇生注射器が二つあった

貴方は驚いて彼を見た

 

「俺がお前にしてやれるのはこれくらいだ

 後は自分で解決するんだな。元凶」

 

貴方が引き止める前に彼は煙のように消えてしまった

聞きたかった、最後の言葉について

 

元凶?

 

これは全て貴方のせい?

 

貴方が全てを狂わせた?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…違うよ

 

不意にそんな声が響いた

貴方は辺りを見渡すが、誰もいない

 

…違うよ

 

また響く声

この時貴方はこの声が声帯から出ているものではなく

直接脳内に響いているものだと分かった

 

君が狂わせたんじゃない

 

 

君が狂ったんだ

 

 

不思議な顔をしているね

 

 

無理もないだろう。こんなことを言われればな。

 

声がどんどんと増えていく

男の声や女の声に子供の声まで…

 

貴方は羨ましがっている。私達を

 

 

仕方ないよねー人間ってそう言うものだもの

 

 

自分が不遇な立場にいると他人が羨ましくなる

 

 

今までは貴様がその逆にいたのだよ

 

 

俺は…俺たちはこうすることでしか自分を表現できなかった

 

 

あたいらは普通のことをやっているんだよ

 

 

育つことが罪ならば…貴方は?

 

 

殺しを依頼だと言って背を向け続けた貴方は?

 

違う。

 

何がだ?

 

背を向けてなんていない

 

そうか?

 

ちゃんと向き合って依頼をこなしていたんだ!

 

じゃああのザマはなんだ?

 

 

いつも君は自分のせいじゃないって言ってたよねー

 

いや…それは…

 

お前は人殺し…いや、妖怪殺しなんだよ

 

…普通だろ

 

妖怪は人を害する。だから人間が退治する

 

当たり前だ

 

それは人間の勝手なんだよ

 

 

彼ら彼女らは普通に生きているだけねん

 

 

でも君を責める動機にはならない

 

 

あんたは今のところ操り人形さ

 

どうしたら…

 

泣けばいいと思うよ

 

…どうして

 

吐き出したい感情を今吐き出すんだ

 

 

じゃねーとお前は大変なことになる

 

う…

 

 

 

 

 

貴方はこれまでにないくらいに泣いた

向日葵たちが太陽ではなく貴方を見下ろす中で

思い切り泣いたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「そう、そう言うことね…」

 

「これが彼についての全てよ」

 

「ピースが全てハマったわ、アレのー」

 

「それ以上は言わないことを勧めるわ」

 

「仕方ないわね」

 

「さっきは斬鬼に聞かれて、そして今も聞いているのがいるわね」

 

「どうする?」

 

「何もしないわ。」

 

「…どうしてかしら」

 

「彼も死んでしまうから、よ」

 

「そう。じゃ、また」

 

「そうねぇ」

 

紫はどこかへと消えていった

静かな家の中に幽香の息遣いだけが聞こえた




Q何故体がダルいのか?

A夜の大運動会があったからです。

無論の事初めては紅白の巫女



別作品のキャラが出ているだけで影響はありません()
物語が別作品準拠になったりとかの影響はね。
若干の矛盾が生まれるくらい。


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戦闘狂と貴方と鴉天狗と
花映塚の記憶


ななななんと評価に色が!
ここまで見てくれた方々に大感謝です!
これからもよろしくお願いします



あれから幽香の家に戻り、残りの花達への水やりを任せた

どこかしら疲れたような顔だったがそれもわからなくなった

こちらを見た途端すぐに駆け寄って「乱暴されてない?」とか

言われたので大丈夫と伝えたのだ

しかし、幽香は休んだほうがいいと言ったのだ

こちらとしては匿ってもらっているので手伝いたいところだ

しかし、どんなに言っても譲ってくれなかったので

渋々彼女の言った通りにすることにしたのだった。

ともかく彼女から少し休んでいていいと言われたので

貴方は幽香から借りている部屋に戻って椅子に座った

この部屋にはベットと机に椅子しかない

窓際に花瓶が置かれているがそれがなかったら

ここは少し高級な牢獄だろう…鉄格子がないけど。

今からやることは何かがあるわけでもない

ともかく疲れたのだ、とてもとても。

あいつらに励まされて、泣いていいと言われた

だが、あいつらは同時にこうも言っていた。

 

吐き出したい感情を今吐き出すんだ 

 

 

じゃねーとお前は大変なことになる

 

そう言っていたのだ

もしかしてだがこれらの出来事がまだ続くと言うのだろうか

貴方は泣きたくなった。涙は既に枯れていると言うのに。

 

もうたくさんだった

 

散々だった。

 

今この感情の濁流を乗り切るのは困難だ

怒り、哀しみ、恐怖、畏怖。

これ以外にも様々な感情が渦となって貴方に押し寄せる

心の傷と言うものは治りにくいのだ。

それは本人に本人の自覚以上の傷を深く負わせて忘れない。

ひどい時にはそれが原因で死んでしまうこともある。

こいつを治すには己と向き合うしかないのだ

自分が壊れていて、自分しか治し方を知らないのなら

他人に他人の心を修復することはできない

できるのはこれ以上壊れないようにすることだけだ

どんなに励ましても本人が向き合わない限りは

心の病というのは治ることはないのだ

しかし、貴方は目を背けた

あの花たちのいう通り殺しを依頼だと言って心の負担を少なくした

妖怪たちを殺すのは簡単だった。

 

ただ刀を振っていれば相手は死ぬ

 

これが今までだった。

 

そしてこれからも変わらない

 

限界だったのだ

 

これ以上は見たくなかった

どんなに耳を塞いでも、目を閉じても聞こえてくる。見えてくる

だったら逃げるしかないじゃないか

夢と言う、他人が干渉できないところに。

人間は嫌なことがあればふて寝する。

寝てしまえば幾分か気持ちが楽になるからだ

貴方も例外ではない

寝れることがどんなに幸福か知ってる。

ふかふかのベットに倒れると意識はすぐになくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数十年に一度、それはやってくる

外からの大量の霊が押し寄せ、幻想郷に花を咲かせる

人間でも一生に一回見られるかどうかの周期だ。

ただ、人間の寿命を超えているならばそれは見れる

貴方はそれが起きる時にたまたま生きていたのだ

そして霊夢と仲違いをしてしまった時でもある

 

おかしい

 

貴方はそう思ったのだ

今は春なのだ。だから桜が咲いている

貴方自身何を言っているかよくわからないのだ。

ただ決定的におかしいと言えるのはこの光景だ

桜と紅葉が二つとも咲き誇っていることだった。

よく見ると鈴蘭や百合にハイビスカス。

たんぽぽ、松に竹に梅、イチョウ。

コスモスにつくしに薔薇とか。

他にも向日葵にジンギスカン…

 

いや、それだけではなさそうだ

博麗神社の屋根に登り、幻想郷を見渡す

見てみるとそここらじゅうがペンキを撒き散らしたかのように

ぐちゃぐちゃな色合いになっているのだ。

 

「こんにちはー!ーーさん」

 

風が吹いたかと思うと文の声がしてきた。

貴方は彼女に顔だけを向けた

文はかしゃかしゃとカメラというもので撮っている。

新聞を一度見てみたがその出来に感服した

…捏造がなければだが。

そこだけを除けばかなりいい新聞だと思う

貴方は質問を文に投げた

この状況はいったいなんなのかと

すると文は別段驚くこともなく平然という

 

「これは自然的に起きるんですよ」

 

首を傾げてしまった

 

「詰まるところこれは異変ではないんですよ。

 かなり前に見ましたが、このタイミングですか…」

 

少し面倒そうな顔をしている

実際面倒なのだろう

おそらく山の面倒事から逃げてきたのだろう

と、思っていると絶叫が迫ってくる

 

 

 

「あぁぁぁぁぁヤァぁぁぁっぁさぁぁぁぁぁぁまぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 

 

見てみると椛が大剣を振り被りながら迫ってきた

狙いは文のようなので心配はない

カメラを急いでしまうと文はこちらに指を指した後撃つような仕草をする

 

「邪魔が入った。また会おう!」

 

くんな

 

貴方がそれを呟く頃には文は既にいなくなっていた

ぜいぜいと肩で息をしている椛が横に降りる

 

「あの人…だけ…なんですよ…会議に…出てないの!」

 

どうやら文の給料天引きと降格処分が決まってきているらしい

一応上司だからかこうやって連れてこようとしている

そんなお疲れ気味の椛の頭に貴方は手を乗せて撫でる

 

「わふ…」

 

それきり椛はこちらに体を預けてくれた

しばらくしたのち彼女は文を追いかけに行った

 

貴方は境内に降りると縁側に座った

しばらくすると巫女服姿の霊夢がきた

 

「ーー。異変よ」

 

は?

 

「これは異変よ」

 

思わず声が出てしまった

もしかして彼女はこれが異変ではないと知らないのか?

貴方はこれが異変では無いと言ったが

軽く笑われるだけだった

 

「もしかして行きたく無いのかしら?腰抜けねぇ」

 

貴方は立ち上がった

今ので何か吹っ切れた

 

俺が先に解決する

 

「へぇ、青二歳の癖によくいう」

 

お前のほうが青二歳だ

 

「…いいわ。言ってるがいい。後悔するわよ」

 

黙れ

 

貴方は軽く霊夢を睨んだ後飛んだ

目的地は彼岸。魂が運ばれる場所だ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…あんなこと、言いたくなかったのに」



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情報収集

クルシミマスは何をして過ごしてます?
私は藁人形に釘刺しています
こういうとき優しい言葉を掛けてながら耳かきしてくれる
犬〇いちごさんの東方asmrは良いぞ
声優が違う!〇ね!っていう人は聞かない事をオススメする


博麗神社からバックれてから貴方はこれからを考えた

この異変(現象)には元凶がいない。

だから偽りの元凶を探す必要がある

貴方は霊夢に謝ることも考えたが、それだと何か負けた気がする。

ともかく今は謝りたくない気持ちなのでどうにかしよう

何事においても初めにする事がある。

戦いでも勉強でも買い物でも。

 

そう、情報収集である。

 

 

 

 

 

そんなこんなで貴方は人里に訪れた。

ここには自分の家に戻ったりする時や買い物の時に来ている

八百屋のおっさんは時にオマケしてくれる。ありがたい

まずは慧音を探そう。

人里に住んでいるのが一番長い彼女なら何か知っている筈

それなら里の中心にある慧音の家を目指そう。

貴方は目的地を決めると進んだ。

時たま人里の人がこちらに顔を向けて誰か認識すると

こちらに挨拶をしてきた。

一応名のある退治屋として活動しているのでほとんどの人に

貴方の顔と名前は知れ渡っている

知らないのは赤さんくらいだ。

 

「こんにちは──さん」

 

こんにちは

 

「今日はどちらへ?」

 

慧音の所に

 

「依頼ですか?」

 

いや、用があるだけだ。

 

「なるほど、お気をつけて」

貴方は軽く手を振るとまた歩き出す

何故か今日の足が重い気がする。

あの時の事がまだ頭から離れないのだ。

心が空っぽになるというのはこういう事か。

和服と袴を履いていて通気性は抜群の筈なのに汗が出る

先程から刀同士が当たり合う音が妙に響く

と何も考えずに歩いていると目的地に到着する

見ると貴方の家くらいの大きな木造建築だ

履いている袴を締めている帯を弄りながら扉の前に立っていると

後ろから話しかけられる

 

「どうした?──。私に何か用か?」

 

振り返ると慧音が居た

どうやら今帰宅したところなのだろう

手に下げている袋の中に野菜等の食料が見える。

貴方は慧音に用があると言った

 

「そうか、話は中で聞こうか」

 

そういうと門を開けて中に入って行った。

門に囲われた屋敷に向かって歩く慧音について行った

やけに静かに感じたが、どうやら今日は寺子屋は無いらしい

いつもこの時間にはチルノやルーミアが騒いでたりしていたが。

ともかく今はいなくて良いと思える

 

「ほら、座りなさい」

 

机を挟んで対面している

さて、何から話そうか

まずはどうしてここに来たのかを貴方は言うことにした

この花が咲き狂う状況は一体何なのかということ

すると慧音が苦笑した。

 

「成程、そういうことか」

 

どういうことなんです?

 

貴方は此処で育ったので、無論寺子屋に通っていたので

彼女に対しては敬意を払って敬語にしている

にしても何故頷きながらこちらを見ている

どうしてだろうか

 

「多分これが異変だのどうの言って霊夢と喧嘩したのだろう?」

 

…おっしゃる通りです

 

深々と頭を下げる

何だかこうしているのがみっともなく思えた

何秒かそうしていると慧音が顔を上げるように言った

貴方は言われた通りに顔を上げた

 

「まぁ、なんだ…その」

 

物凄く歯切れ悪い

次の言葉が出てこないようだ

 

閑話休題

 

「それで、この現象だったか」

 

いったい何なんです?

 

「説明すると長くなるが…」

 

さて、慧音が言う通りに長かったので要約しよう

まとめてみれば三途の川にいる死神の仕事が追いついていないらしい。

外で大きな災害…もしくは戦争が起きてその時の死者が

結界の裂け目からなだれ込むように入るという

それで仕事が多すぎて処理が追いつかなくなる訳だが

その時に暇を持て余した霊が幻想郷各地に広がり

色んな花に取り憑いてそれを咲かせる

よく考えれば季節違いの花は勿論のことこの季節の花にも

それらは混じっていることになる。

現在の幻想郷を見る限りかなりの人数が死んだようだ

一応黙祷はしておこう。

 

では、死神がそれに追いついたら

 

「あぁ、これは終わるさ」

 

むぅ

 

「まぁまぁ、家宝は寝て待てというだろう」

 

…分かりました

 

貴方は立ち上がるととある場所へ向かうことにした

恩師の言葉を守りたい気持ちもあるが、もう知らん

幻想郷で今、見た感じ怪しいのは何処だろうか

彼岸や三途の川等は行く必要は無い

ならば、年中向日葵が咲いている彼処が怪しい

確かそこに住んでいたのは花を操る能力持ちが居た

この異変だと思っていない霊夢は直行しているだろう

もししていたら謝っておこう

花屋に言って適当な花を探す

すると、シンプルな花があった

白の花弁の何処にでもありそうな花

名前はカモミールという花らしい

金を払った後太陽の畑へと向かう。

空を飛んでいる最中にある奴と出会った

ちょうどいい、霊夢の行方を聞こうか

 

「こんにちは──さん!どこへ?」

 

文、霊夢を知らないか?

 

「対価が欲しいです」

 

何が欲しい

 

「久しぶりに貴方と戦いたいのです」

 

こっちは花を持っているんだが

 

「一種のハンデですよ、貴方強いですし」

 

仕方無い

 

「…ハッ!」

 

文の紅葉型扇が風を切り裂く音が開戦の合図だった

行動がしにくいが、どうにかしてやる!






さぁ、空の王者を叩き落とそう!


さて、花を貴方は守れるかな?
私次第なんですけど()




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文との出会い

射命丸文は天狗だ

とりわけ速さに勝る烏天狗という種族に属する。

速さを追求するものも居れば引きこもりだっている

その中で文は新聞を発行しているのだ

彼女、彼らの中で初代と言われている通りコイツが始まりだ

元は幻想入りした古い新聞を見て感化されたという

そしてその新聞にある写真を取れる物を貴方が持っているという噂を

何処からか聞いたのかいきなり突撃された

その所為で自宅の天井に大穴が空いたのだった

 

「そのカメラ…?ですか?それを下さい!」

 

その前にお前は誰だ。そして天井を直せやコラ

 

「私は射命丸文です!ですからそれを下さい!」

 

何がですからだ。帰れ

 

「その古い奴くらいいじゃないですか!」

 

今すぐ天井直して帰れ

 

「むぅ…!絶対に貰いますからね!それ!」

 

そう言って結局天井を直さずに言ったのだった

天窓を作るにはガタガタだし直すのも面倒だ

にしてもアイツは誰だろうか、見た限り翼が生えていたが

貴方は応急処置として木の板を貼り付けて釘を刺すと

いつも愚痴っている椛の所に行くことにした

何、いつも愚痴を聞いているのだからこれくらい良いだろう

 

「それで私の所に来たんですか?」

 

あぁ、そういうことだ

 

将棋の駒を並べながら不服に言う椛

どうやらせっかくの休暇を潰されてご立腹のようだ

…尻尾ブンブン振っているから気にする事も無いようだ

今は椛宅にいる

洞窟を長方形に調整して木の板とかで部屋らしくした家。

下っ端らしくそこまで広くないが、狭くもない

ともかく中途半端な部屋だった

先行は貴方だ。

 

パチン

 

で、アイツは何なんだ

 

「私の上司です」

 

パチン

 

へぇ、成程。どんな仲だ?

 

「さぁ…私からじゃ分かりませんね」

 

パチン

 

個人的には?

 

「こう、言い方にイライラするというか。

 やり方が強引と言うか…飄々しているというか」

 

パチン

 

それは分かるぞ。天井を破壊したクセに直さずに行ったからな

 

パチン

 

「う…嫌な所に。」

 

アイツよりかマシだろう

 

パチン

 

「こうですかね」

 

そんな嫌な所でも無いだろう…で

 

パチン

 

「はい?」

 

アイツの偉さ…もとい位は?

 

パチン

 

「大天狗…の下…くらいですかね」

 

何処だよ

 

パチンパチン

 

「それは浅はかですよ」

 

ぐ…で、どのくらい職権乱用できる?

 

「うーん…烏天狗を指示出来るくらいです」

 

パチン

 

王手。

 

「いつの間に!?」

 

パチン

 

王手

 

「挟まれた!?」

 

王手

 

「ま、参りましたぁ…」

 

椛の玉は隅に追い詰められ飛車と角と金に囲まれていた

無論の事1つを潰しても直ぐに首を取られるだろう

ともかく勝てて気持ちが良い

 

「つ、次は勝ちますからね!」

 

実力は五分五分だろ

 

そして駒を自分の陣地に戻し、取った駒は椛に返す

今の所両者2連勝は叶ったことが無い

1回負ければ1回勝つのだ。それが続く。

全ての駒の配置が終わって第2回戦が始まろうとしたその時

 

「椛ー?ちょっと用が…」

 

「あ」

 

 あ

 

思い切り目が合った

見られなければ床下に隠れたりしてやり過ごしたのだが

ここは妖怪の山、そして貴方はお忍びでここに来ている

今まで誰もここに来なかったので油断していた

 

「成程?貴方はここに定期的に来ているようですねぇ」

 

な、なんの事かな?

 

「このクソ真面目が追い立てていないことですよ!」

 

「そういえば文様、今日会議が…」

 

「人間である貴方が何故ここに居るのです?」

 

どうやら言い逃れは出来ないらしい

しかし天狗どもに叩き出されるのは癪だ

ここで潰すか…

 

「まぁ、カメラをくれるなら見逃す事も無いですよ?」

 

 

思い切り借りを作ろうとしている上にこちらに利益が

ひとつもなさそうな提案をしてきやがった。

でも、悪くは無い案…なのだろうか

何故かカメラを持ってきていたし逃れは出来そうだ

 

 

「で、どうするんです?」

 

仕方ない…

 

貴方は懐からカメラを取り出すと投げる

せめてものお返しと言ったところか

しかし誠に残念な事にコイツは落とさずにキャッチした

こいつの笑顔が腹立つ。殴りたい

 

「あやや、怖い顔してますねぇ」

 

…そういえば俺の仕事は退治屋なんだ

 

「んん?」

 

ここで殺したら妖怪の動きを抑えられるかもしれないなぁ、ん?

 

「いやーそれはありえないと…」

 

死ぬがよい。

 

「いやー!?刀を抜くのが見えなかったんですが!?」

 

そら鍛えてあるからな

 

「うつ伏せになっておる人の背中に立つのは止めて!」

 

グリグリと腰と背中の間にある窪みの様な所に足を沈ませる

ちなみにダイレクトに背骨を攻撃している

そのうち文の声に艶のある声が入ってきた

 

「あ!あぅ…んん…!」

 

ほらどうだコノヤロウ。修理代キッチリ貰うからな?

 

「あ、あぁぁぁぁ…」

 

一瞬痙攣したかと思えば畳にひれ伏した

…もしかしてやりすぎたか?

まぁいい。

貴方は刀を抜くと、構える

 

スパーン

 

「文ー!ここに居る…」

 

…やらかしたわ

 

「なんだお前か!また文がやらかしたか!」

 

「天魔様。お疲れ様です」

 

「何、こいつに付き従っているお前の方が大変だろう」

 

天魔、コイツに何か用があるのか?

 

「あぁ、会議に来る気配がしなかったからな!」

 

男口調だが、この天魔は女である

先に言っておくがかなり強いのだ

ここにするりと入れるのは彼女のお陰でもある

 

「…は!私は何を!?」

 

「あ〜や〜?」

 

「ひぃ!?」

 

「お骨は取っておきますよ」

 

なんまんだぶ…

 

「助けてぁああああああああああ!!」

 

風が吹いたかと思うと、2人は居なくなっていた

おそらく今、想像を絶する程の事が起きているんだろう

 

「…」

 

…帰る

 

物凄く気不味くなってしまったので帰ることにした

そして、次の日

 

「こんにちは──さん!毎日私の新聞を見てくださいよ!」

 

帰れ

 

これがほぼ毎日繰り返されることになったのだった



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風神少女

鎌鼬が周りを切り裂く

貴方は刀を右手で抜き斬る

こちらに直撃コースの鎌鼬を叩き切るとそのまま離れる

辺りは竜巻が発生して今貴方と文はその中心にいるようだ

 

さて、どうするか

 

貴方は真っ先にそれを考えた

刀は長刀。それに対して相手は扇。

聞くだけなら大した事は無いだろうが恐らくそれは無い

貴方が霊力を刀に込めるように大体が妖力を込めているだろう

本当なら二刀流で行きたいところだが、花があるので無理だ

貴方は花を抱き抱えるようにすると構える

文の戦闘方法は大体分かっている

1回当てたら逃げて、1回当てたらまた逃げる

要するにヒットアンドアウェイである。

これは主に狙撃手やゲリラが好んで使うがこいつら天狗の場合はこれが通常戦法となるのだ

 

生まれつきの速さを活かして一撃離脱戦法を繰り返すのだ

攻撃に全振りした脳筋からすれば腹立つことこの上ない

誘導兵器のような攻撃方法…それこそ霊夢の様な弾幕があれば倒せる

今の貴方にはそれを作り出す事も出来るだろうが今するのは愚策だ

何よりあれは重いので的になりかねないのだ。

 

文が扇を振ると、そこから斬れる風が襲ってくる

それをきりもみ回転しながら移動して避けると刀を仕舞う

そして、手の中にマシンピストルであるスコーピオンを出す

ハッキリ言って対空には向いてないが無いよりはマシだ

なんならアハトアハト(8.8cmFalk)でも良かったくらいだ

しかしそれだと花を落としてしまう可能性があるのでこちらにした

文が放ってきた弾幕に照準を向けて引き金を引く

パパパパと乾いた音を連続させながら弾丸が飛ぶ

それらは数個の弾幕を相殺するがそれを超える数が飛んでくる

横に飛行して避けるとマガジンを交換する

これではこちらが弾丸を消費するだけだ。いつかやられる

地上付近を低空飛行しながら考えた

 

「隙あり!旋符「紅葉扇風」」

 

少し体が軽くなったかと思うと竜巻が自分を中心に発生。

そのまま天へ打ち上げられる

迫り来るGを歯を食いしばって耐えながら貴方は刀を横に降った

瞬間竜巻が横一文字にぶった斬られる。

クルクルと数秒回っていたが意識を何とか取り戻し構える

先程の竜巻でスコーピオンが吹き飛ばされた

 

「突符「天狗のマクロバースト」!」

 

かと思えばいきなり上から大小の弾幕が張られる

最早腹を括るしかないこれで風見とかいう奴に文句を言われても知らん

花を上に投げてその滞空時間の合間に左手でもう1つの刀を抜く

そして霊力を込めて胸の前で交差させると思い切り切り飛ばす

すると身長程の交差した刃の波動が飛ぶ

それらは弾幕を切り裂いて文に向かっていく

左手の刀を仕舞い落ちてくる花を取る

 

「突風「猿田彦の先導」!」

 

花を取った左手を掲げていたら腹に衝撃が加わる

腹に文の頭がめり込んでいる

内蔵がぐちゃぐちゃにかき乱されそうになったが

そうなる前に文を蹴飛ばす。

風を纏っていたので硬かったが何とか蹴った。痛い

食道から混み上がる血の塊を吐き出すとさらに嘔吐く

花にかすりもしてないのは不幸中の幸いか。

ともかく不快感が凄まじい。

そろそろ決着をつけなければいけない。

貴方は地上に急降下するとわかりやすい花の近くに花を置く(?)

そして、左手で刀を抜いた

お荷物が無くなったから、これで殺りやすくなった。

何、天狗だから切り傷くらいすぐ治るだろう

思い切り地を踏んで飛ぶ。

 

「やっと本気を出しましたか?さっこれはまだ序章ですよ!」

 

我ながらどうしてこうも妖怪に絡まれるのか分からない

ただ、普通に会話やらをしているだけなのだ

そんなことはどうでもいい…早く倒してしまおう

 

「風符「天狗道の開風」!」

 

目の前から大きな竜巻が横向きに飛んでくる

避ける事に問題は無い。貴方は刀をクルクルと回す

そして竜巻の白い風はまるで綿菓子のように刀に集まる

 

「な…!」

 

風符「人間道の開風」

 

…人間が使うとなったらこんな感じだろうか

貴方はそう思いながら文に向けて竜巻を飛ばす

無論の事自分が使っている技なので避けられる

それを狙っていたのだ…貴方は不敵に笑う

刀を仕舞い、手にある物を創る。

それは緑今の筒と箱が合体したような見た目だった

筒前方にある箱から持ち手が付けられている

その名はスティンガー(毒針)

1981年に採用された防空ミサイルシステムだ。

これが他のロケランと何が違うのかというと追尾能力があることである

追尾能力がある事で左右にフラフラと避けるヘリを撃墜するのだ

しかし赤外線妨害への抗堪性に問題があったが

ここの住民は赤外線なんて出さないだろう

スコープを覗いて文を中心に捉える

ピピピピという短間隔の高い音が鳴った後ロックオンマークが

赤くなったかと思うと高い音が鳴り続ける。

引き金を引くと小さな爆発音がした後ミサイルがヌルッと出てくる

そして少し落ちた後ブースターが点火される

発射されたミサイルは文に一直線に飛んでいく

文は自慢のスピードで逃げるがそれを追いかけるミサイル。

そしていきなり空中で文は静止した

貴方は瞬間持っていた弾切れのゴミ(スティンガー)を投げ捨て次のスティンガーを創る

文も黙っていはいない。怒涛の弾幕を放ってきたのだ

それを避けながら貴方は閃いたのだ

善は急げ、だと思いながらあるものを創る

後はタイミングを見計らって投げるだけだ

 

…今だ!

 

「きゃ…!?」

 

瞬間視界が白く染まる

いや、染まっているのではなく光っているのだ

 

M82スタングレネード

 

フラッシュバンや閃光発音筒とも呼ばれるものだ

最大180デシベル、100万カンデラ以上の閃光を放つ。

閃光についてはいきなり目の前でライトを付けるとか

したら立ちくらむだろう?それだ

音については耳がキーンとなる時があるだろう?それだ

ともかく体験してみれば全て分かる…いや、やるなよ?

 

閑話休題

 

妖怪であろうと聴覚や視覚は人間と同じくらいだ

種族によってそれは違うがフラッシュバンはそれを覆す

耳が良かったり目が良かったりすれば尚更だ

文でさえきりもみ回転して落ちているのだから。

スティンガーの照準を合わせ、発射。

 

目の前で起きる爆発に対して貴方は吐き捨てた

 

 

…汚ぇ花火だ




幻想の文屋(笑)

きめぇ丸

等いろいろなあだ名がある文。
物凄く皆から愛されているんですねぇ…


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親の顔より見たドS

貴方は地上に降り立つと花を探した

それはやけに目立つ金色の花の近くにあった

どこか汚花の雰囲気を漂わせている。

これ以上見ていると胸糞悪くなってくるので貴方は花を取ると

辺りを見渡したのだった

 

周辺は文の放った竜巻でめちゃくちゃだ。

直立しているのは戦闘範囲外のところだけだ

戦った場所は更地と化していた

木が根元から折れてぶっ倒れているし草も生えてない

どうやら少々やりすぎたようだ

貴方は凹んだ地面でヤムチャしている文を背負うと

一旦文の住処である妖怪の山に戻ることにした

確か今日はミスティアが店を開いていた筈。

これだけ派手にやったのだから奢られても文句は言えまい…

 

そういえば彼女は今何をしているのだろうか

 

 

貴方はふと、そう思ったのだった

 

 

 

 

「…はぁ」

 

私は飛行しながらため息をついた

あんなに酷く言うつもりはなかったのだ。

嘲笑して、酷く煽ってしまったけれども

あの時はその場の流れに流されてしまったけども…

でもこれは仕方無い事だと思ったのだ

彼は博麗霊夢の裏だ

里の人達はああやって普通に接しているけれど裏を知っている人は違う

いつの時代にも博麗の巫女には裏が居たのだ

弾幕ごっこでは無く本当の殺し合いとか…暗殺とか…

慧音は裏を全て知っている上で優しく接している

 

私は表で皆にチヤホヤされて妖怪のように畏れられる

 

彼は裏で全ての妖怪達に恐れられる

 

発音が同じでも実態は全く違うのだ。

畏怖の念が私の場合はあるけれど彼は恐怖の恐れだ

紅霧異変や春雪異変に萃夢想の時もそうだったのだけれども

彼は大体1体1を好むのだ

相手が誰であろうと1体1の決闘を申し込む。

大体がそれを受け入れて…負けていく。

そうなのだ。彼が負けたところを1度も見た事がないのだ

西行妖とかいう桜が暴走した時も彼が援護を受けながら…ほぼ1人で抑えた

そしてそのまま私の札を使って封印したのだ

 

無茶苦茶すぎる

 

あんな死を振りまく桜に接近する時点で自殺行為だ

ちゃっかり冥界の主と仲良くなってるし…

目の前でイチャイチャされると何故か胸が痛くなる

心臓を鷲掴みにされているような不快感を覚えるのだ

少し弾幕を加えたけれど、亡霊がこの程度でくたばる訳ないでしょうね

 

…そういっていたら見えてきたわね。

ここだけいつも向日葵が咲いている

もしかしたらここの主がやったのかもしれないのだ

 

疑わしきは罰せ。

 

これは私のモットーだ

畑の真ん中にある道に着地する

 

「あら、こんにちは」

 

後ろを向くと緑髪の女が居た

 

「…風見幽香?」

 

「そうよ。私がフラワーマスター」

 

私はその言葉を聞いて確信した

コイツはこの異変に絶対に絡んでいる

 

「早くこの異変を終わらせてくれないかしら?」

 

「あら?これは異変じゃ無いのよ?」

 

「はぁ?」

 

似たようなことを慧音が言っていたような気がする

意味が分からない

 

「まぁ、聞きたいのなら…」

 

「…弾幕ごっこって事?」

 

「そうよ…最近は雑魚しか来ないから。」

 

「それならさっさと終わらせるわ」

 

私は大幣と札を構えて姿勢を低くする

幽香は少し飽きた様子で言う

 

「本当なら殺し合いがいいのだけれど…ね」

 

「それなら妖怪で暇を潰しなさいよ」

 

「よく暇って分かるわね…まぁそこらのじゃ相手にならないの」

 

「私は弾幕ごっこなら骨はあるわよ?」

 

「面白い。」

 

「ふんッ!」

 

私は思い切り地を踏んで大幣を振りかぶった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「美味しいですねぇ」

 

「ウチの味はいいでしょう?」

 

美味すぎる。もっと食わせろ

 

「私が払うんですけど…」

 

敗者が何か言ったか?

 

「取り消して下さいよ…!今の言葉…!」

 

みすちー焼き鳥三本追加で

 

「烏天狗の横で鳥を頼むとはいい度胸ね?」

 

おん?やるか?また汚い花火になるか?

 

「…もうあれは懲り懲りよ」

 

屋台の椅子に腰をかける2人

貴方と文が酒を飲みながらツマミも食べている

戦いでお腹が空いたのでちょうど良かったのだ

ここの食べ物は完売したら次開店するまで食べれない

今日は運が良かったらしい

支払いは無論の事文が全額払うことになっている

 

人の金で食う焼肉は美味い。

 

「戦いを申し込まなきゃ良かった…」

 

爽やかな笑顔で焼肉を食べる貴方とは相対的に文は暗い笑顔だ

瞳からハイライトが消えているのを見ると相当らしい

ま、貴方は悪くないよね。

自業自得、インガオーホーって奴だろう

そろそろ本題に入ろう。食べに来たついでにだ

 

で、霊夢は。

 

「霊夢さんなら太陽の畑に…イデデデデデ!?」

 

思わず貴方は文の腕を九十度ひん曲げていた

コイツが言うには霊夢は太陽の畑に行ったと言った

つまりあの戦いの時かその後に霊夢は行った

無駄の戦いをしなければ会えたかも知れなかった

今すぐコイツの〇〇〇に刀突き立て子供産めなくしてやろうかと考えたが

やっぱり苦痛を与えるなら拷問の方がいいよね?

刀の峰を構えるながら聞く

 

お前はそれを承知の上で?

 

「ええ、そうで…イッタアアアアア!?」

 

峰で背中をぶっ叩きながら言う

 

お前…!今すぐ…!天狗達の前…で!アラレもない姿を…!晒されたい…か!?

 

「や、やめえてええええええええ!?」

 

50回程叩いていると何とか気が収まった

ともかく勘定はコイツに任せてさっさと行こう

置いていた花を持つと太陽の畑へと飛んでゆく

気が収まったとは言えムカムカとした気持ちは収まらなかった

誰か、自分と渡り合える強者はいないのだろうか。

 

 

 

 

 

 

「…あれ?ちょっと!?勘定は私が全部!?ええ!?」

 

 

 

しばらく…というか1時間くらいでようやく着いた。

やはり文の提案に乗るべきでは無かった。

しかし、そのイライラが無くなるほどこの景色は凄い

向日葵が絨毯の如く広範囲に広がっているのだ

所々違う花も咲いているがそれでもだ。

貴方は降り立つと近くの向日葵を見た…綺麗だ

この景色に見蕩れていたからか後ろから来る気配に気づかなかった

 

「あら?ここに人間が来るなんて、さっきぶりだわ」

 

…!?

 

貴方は思わず刀を右手で引き抜く

しかし緑髪のソイツは少しを手元の花を見ると目を細めた

 

「…霊夢のあれくらいどうって事無いわ」

 

…どうして分かった

 

「私は花と会話が出来る…といえば満足かしら…せん

 

コイツは貴方の事を知っている

退治屋の中でもあの天狗が異変解決者として新聞をばら撒くからか

自分が知れ渡っているというのはどこかむず痒い

花から聞いたとすれば何しに来たかも知っている

 

「礼なんて要らないわ…まぁ、受け取って置くけど」

 

と、何処からともなくツルが生えて花を何処かに攫う

風見幽香の能力は花を操る程度の能力…さしずめツルの花を操ったところか

ところでどうして花を攫ったのだろうか

まるでそれが戦うのに邪魔だと言わんばかりに

 

「貴方の事はよく知っている…博麗の影、博麗の裏の顔」

 

そういうこと…か

 

「全力で戦えるのは…ふふ、ゾクゾクしてきたわ」

 

仕方ない…な。こちらもゾクゾクしてきてしまった

 

「どうやら私たち…」

 

『…似た者同士』

 

幽香は傘を構え、貴方は2振りの刀を構える

両者とも歪な笑顔をしていた

 

 

 

 

 

 

久しぶりの殺し合いだ。楽しもうか






さぁ、ゲームを始めよう


滲んでいるのは貴方の名前です


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殺し合い

「先に言っておくけど私はスペルカードを1枚しか使わない」

 

何故だ?

 

「私位になればそうそうちょっかいはかけられないのよ」

 

強すぎて…か

 

「…そろそろ殺ろうかしら。」

 

その言葉を言い終わった後傘の先端をこちらに向ける

貴方はその先端に妖力が集まっているのを確認した

瞬間光が、緑の白っぽいビームがこちらに発射される

刀を交差させると竹を割るようにビームを斬る

 

「…ふふ、ははは…」

 

どこか艶のある笑顔で笑う

それは狂者の笑い声だった

 

「ふふふ…予想以上だわ。霊夢でさえ避けたのに」

 

期待以上で結構…じゃあこれは?

 

「あら…」

 

貴方はいつの間にか幽香の後ろまで駆け抜けていた

振り向くと幽香の胸に深い切傷が生まれていた

白いカッターシャツとチェック柄のベストを赤く汚す

 

「…貴方の事を舐めすぎていたようね。」

 

妖怪は傲慢だ、それくらいは軽いもんだ。

 

「いいわねぇ…その貴方をグッチョグッチョに犯してそんな事言えなくしたい程に…」

 

そう言っているうちに切傷は元の柔軟な皮膚に戻っていた

花を操る能力というのはオマケみたいなものだろう

本命はあの莫大な妖力と言ったところか。

さて、ここまで実力以下を見せたなら相手も本気になるだろう

 

「さ、ここから私も力も入れるわ…貴方もよろしくね

 どうせそれは本気じゃ無いのでしょう?」

 

さっさと殺ろうぜ。

 

それに答えるように傘で思い切り打ちつけてくる

貴方は右手の刀を振ってそれを弾く

するとこちらに手を向けて至近距離でビームを放ってきた

流石にそれは斬りきれない為避ける

その後手にナイフを三本出すと投げる

咲夜に投げ方を教わって良かった、今までは我流で当たりにくかった。

しかしそれごとビームで消し飛ばしてきた

どうやらコイツは思っていたより魔理沙寄りだ

全てパワーで解決の脳筋野郎…

もしかしてあのリスペクト上手はコイツの技を真似たのか

それとも自然にそうなったのか、分からないな

少し後ろに下がろう…いや愚策だ

後退しているうちにビームの餌食となる

というか霊力と妖力の差でこちらがガス切れする

 

ならば短期決戦。

 

両方の刀に霊力を込めて地を蹴る

単純に真っ直ぐ行くだけではただの的だ。

空中を飛んだりして複雑にしながら確実に接近する

傍から見れば人間とは思えない動きだ…貴方だけど

霊力の斬撃を飛ばしてビームを無力化しながら進む

そしてようやく幽香の前にたどり着いた

刀を左から三回と右から四回。

しかしそれは緑髪の先っぽを斬るだけだった。

全て避けられていた貴方はそれを理解すると縦から斬る

傘で防がれたかと思うと切りつけるように振ってきた

力に物を言わせたがむしゃらな切りつけだ。

このままだと不味い。貴方は少し策を練る為に飛んだ

すると幽香も飛んできた。嘘だろ。

貴方は刀を仕舞い、あるものを作った…それは大剣だった

ゲームによくある脳筋達が使う大きな剣。

しかしそれは月明かりのように透き通った刃をしていた

とこか伝説が、なにか曰くつきの剣に見えるものだった

月光を思わせる大剣を貴方は構えて飛んだ

 

「成程、、そういう手もあるわね」

今やっているのは高速で幽香の周りを飛び時たま突撃して攻撃するもの。

天狗達が好んでする技らしい…奴らっぽいな

妖怪ならともかくかかるGはとてつもないものだ

霊力を纏わないなら意識が飛ぶ

しかしこんな動き方は楽しい。

爽快感があるのだ

これだけ高速であろうとこちらを確実に視認する幽香は化け物だ

一番攻撃を加えられるのは突撃する時だがGも凄まじい

ともかく休む為に飛び回る事しか出来ないのだ

そして後ろから攻撃を与えようとした時

 

「…魔砲「マスタースパーク」」

 

一瞬目の前が真っ暗になったかと思うと墜落していた

戻った視界が赤くなって耳がキーンとなっている

仰向けになっていた体を起こして膝をついた。

そのまま手を地面について思い切り吐いた

血と混じった何かが地面に落ちる

貴方は立ち上がるとあらぬ方向へ向いた腕を強制的に直し、地面に刺さった刀を取る。

最悪だ。

 

「貴方は度重なるGのせいでロクな判断が出来てなかったのね…攻撃が単調よ。」

 

貴方は刀を構える。

あれがスペルカードならもうアイツは切り札を失った

なんとかして決着をつけなれければならない。

口の端についた血を拭って走る

そして思い切り右に刀を振り、左の刀で上から下へ斬った

傘と刀の攻防戦。聞いただけでは勝敗は目に見えてたが

実際にみるとそれは覆されそうだった

なんたって刀が押されている

 

貴方は叫び声を上げた。

 

これまでに無いくらいに本気で

 

神は微笑んだ

 

 

 

「あ」

 

傘が切れた

 

純粋な驚き

 

可憐な少女の可愛らしい声が聞こえた

 

幽香は忘れていたのだった

 

己の傘に妖力を込める事を

 

貴方は先程より叫んだ!

 

両肩を斬って攻撃力を無くして今度は足を斬る

幽香の体は物理法則に従って落ちてゆく

その間に貴方は体に向けて15回刀で貫きいた後に

幽香の首を切り飛ばした

 

肩で息をする貴方に笑い声が聞こえた

今までに無いくらい楽しそうな少女の可愛らしい笑い声だった

この時貴方は西行妖の次に死にかけた体験をしたのだった

貴方はプラモデルを組み立てるように各部をくっつけると

幽香の家に入り、ベットに寝かした

 

「…閻魔なら」

 

ふと幽香が口を開いた

 

「彼岸なら、偽の異変首謀者を立てられるんじゃないかしら」

 

…ありがとう

 

貴方はそう告げると妖怪の山方面に向かった

たしかあちらの方に彼岸へと続く道があったはずだった

 

 

 

 

 

 

異変解決後のある日…

 

「と、言うわけでお花を買うついでに世間話に来たわ」

 

帰れ、里中が大騒ぎだ

 

「あら?門番さんにせんに用があると言ったら通してくれたけど」

 

野郎…

 

同期を初めて憎んだ瞬間である

 

 



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怠惰な死神

彼岸へと続く道を進んでいると見えてきた

時たま骨が浮いていたりする三途の川だ

ここに来るのは初めてだ、というか後1回だけであってほしい

ともかくここに来るというのは死んだように感じるので早く帰りたい

と言っても閻魔を見つけないといけないから意味は無いけれど

三途の川は真っ黒だった。

阿求がまとめる長い名前の本にあったがここには死神が居るはず

ソイツに会ってまずは話を聞いてみよう

にしても船が忙しなく行き交っているところを見ると本当に霊が溢れているらしい

勝手に飛んでどこかに行く奴も居るし。

一部は尻尾を掴んで近くの死神に投げた

そして貴方は見つけた、資料通りの奴が居た

本で見た通りグータラ寝ている。

豊かな胸が見えそうなこの女性の名前を低く呟く。

 

…小野塚小町

 

「ひっ!?映姫さま!これは!その!」

 

起きたかと思えばこちらに土下座してきやがった

それ程までにコイツはサボりの常習犯なのだ。

少し嘲笑しておくか…

 

死神もこれか…

 

「…うん?あ?な…!」

 

ソイツは鎌を持つとえへんと言わんばかりに言う

 

「アタイは死神の小野塚小町、何か用があるのかい?」

 

映姫に合わせてくれ

 

「それは…それは…」

 

それを聞いた途端目が変わった

こちらの顔を見ると軽く笑った

 

「成程、この現象について聞く気かい?」

 

一応それもある…

 

貴方はそう言うと刀を抜いた

小町は鎌を構えた

 

「さて、死神の力を見せ…ぎゃあああああ!?」

 

瞬間小町が七色の光に飲み込まれ吹っ飛ばされた

そして綺麗に飛んだ後三途の川に落ちた

…確か三途の川って落ちたら上がれないって

 

せん

 

その声が聞こえた

振り返ると全身に衝撃があった

弾幕が着弾した痛みでは無く柔らかい痛み

貴方は霊夢に抱きつかれていた

思わず引き剥がそうとしたがその顔を見て止めた

顔を赤くして、目から涙を流すその姿を見て

 

「うぅ…私…私せんに酷い事を…」

 

貴方は優しく頭を撫でた。

もう怒っていないから安心しろと

すると霊夢はこちらを見た

 

「許して…くれる…の?」

 

貴方はこくりと頷いた

霊夢はさらに力強く抱き締めてきたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ええ確かに兄弟の仲直りは素晴らしいものですがこれとそれではものが違うのですよ分かりますか?

ん?分からない?それなら押してえてあげましょうか〇〇〇〇と博麗霊夢

まず初めに貴方達がこれを異変だと思わずに冷静慧音や阿求に聞けば自然に解決していました

なのに貴方達は自分達の意見を譲らずに言い合って結果的にはた迷惑を食らっている奴もいるのですよ?

え?私の説教の方が迷惑ですって?

言いましたね?貴方言いましね?せんよ、貴方は簡単に転生できると思わない方がよろしいでしょう。

まず貴方は妖怪を殺しすぎているのですよ

今までの博麗の裏は殺りすぎていましたが貴方はその中でも殺した数ではダントツで1位になれるくらいですよ?

何?これが役目だからだって?

御役目ならばしかたありませんが私は平等に裁く閻魔なので貴方がどれだけ強かろうとそこらの人間と変わらないのですよ?

博麗霊夢!寝ようとしてないで話を聞きなさい!

私は貴方とせんが抱き合っているのを5分ずっと見ていたのですよ?」

 

…そろそろ本題に入りたいのだが?

 

三途の川の硬い地面の上で星座をさせられ早5分。

当初のこの現象について聞くとい事が出来なかった

いやそれだけでなく慧音の授業より眠くなる事で有名な

お説教をされているのだ、眠気が来ていない貴方は凄い

そして貴方言葉でようやくお説教モードから戻ったようだ

 

「そうでしたね、さてこの現象について言いましょうか」

 

さて、ここからはようやくさせてもらおう

じゃないと「中略」となってしまうからだ

聞く限りでは慧音の話を長く細かくしたものだった

何故クソほど長くなるのかと言うと説教が混じるからである

聞く限り10言葉を発したら100説教が混じる

面倒だった

 

「さて、博麗霊夢。貴方は怠惰すぎる」

 

「ふーんだからなんなの?」

 

「少しお灸を据えようと思います…逃げないでくれませんか?」

 

 

軽く舌打ちすると映姫に向き直った

 

「来なさい、博麗の裏表」

 

「やってやるわ」

 

なれない弾幕を放つのは…

 

「援護して、よろしく」

 

 

 

 

 

 

 

斬撃をせんが援護として飛ばしてくれる

彼の力は弾幕ごっこ向きじゃないから

 

「ふんっ!」

 

「随分と荒いですね、大幣を武器にするなんて」

 

「その棒で防ぐあんたも大概だわ」

 

「それが貴方の罪です」

 

映姫は悔悟の棒を思い切り振った

すると張られていた弾幕が消えた

しかし霊夢は驚くこと無く聞いた

 

「…それがアンタの能力?」

 

「そう、私の能力は白黒ハッキリつける程度の能力。」

 

…厄介だ

これだといくら弾幕を張っても無かった事になる。

それは不味い。貴方は左手で刀を抜いて飛んだ

そして切りつけたが映姫はそれに対して片手で棒を構えた

刀は棒に切傷を生んだだけだった

そのまま弾幕を生成されて引かざるを得なくなる

 

「く…」

 

このままではジリ貧だ

どうにかして接近しなければならない。

左手の刀を仕舞ってグロックを作ると撃つ。

そのまま弾幕を相殺し、近づく

 

しかし現実そう甘く無かった

 

「行かせないよ!」

 

いきなり目の前に小町が現れたかと思うと鎌を振ってきた

面倒くさい。神なら治るだろうと思い

両足を斬って地面に倒すと何かを言わせる前に仕舞っていた

刀で顔面を貫いた

貫いた刀には目もくれずに映姫と接近する

 

「審判「ラストジャッジメント」」

 

悔悟棒をこちらに向けたかと思うとビームが発射される

数本のビームが霊夢を牽制、それに加え悔悟棒と弾幕が数個飛んでくる

いや、そんなことはどうでもいい

閻魔なら斬られても問題無い。

貴方はビームを霊力で切り裂きながら最後の1発をお見舞した…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

異変解決数日後

 

 

 

「今日から人里で有難いお話をすることにしましたので」

 

帰れ、お前のせいで人が全く居ない

 

「ん?お話を所望のようですね?」

 

厄日だ

 




やはりヤマザトゥの話は長くなければ

忘れているかもしれないですがこれヤンデレ作品です
作者自身戦闘モノだと思っていました
次は現実回です


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ifEND お前は誰だ

起きると外が騒がしかった

ベットから降りるといきなり声を掛けられた

 

せんさん!奴が!」

 

椛がいた事になんの疑問も無い

奴と言う事は霊夢が来たのだろうか

 

「逃げますよ!さぁ!」

 

貴方は椛に手を引かれるままに走った

ともかく、この時は何も考えていなかったけれど

何故か夢心地だったのは覚えている

外に出るとそこは地獄の様だった

霊夢と幽香に文が本気の殺し合いをしている

ともかく今そこに行くのは不味い

貴方はいつも着ていた服を迷彩柄に変更し、生成した塗料で

顔や手に茶色や緑の模様を描いた

 

「成程、向日葵の間を縫って行くんですね」

 

貴方はそれに頷いた

幸運な事に獣道のような所があったのでそこを通ることにした

花と会話出来る幽香は兎も角、文と霊夢はやり過ごせるだろう

 

「こちらには誰もいません、行きましょう」

 

先導する椛について行く貴方。

一度だけ後ろを振り向くとそれきり貴方は振り返らなかった

これ以上、スピードを落とす必要も無いのだから

 

 

 

 

 

 

「貴方の愛しのせんは言っちゃったわよ?」

 

「じゃあ早く退いてくれないかしら」

 

「それは無理な相談ね」

 

「霊夢さん」

 

「ええ分かっているわ」

 

やはり彼は全てを狂わしていくのね

初めて会った時でもこんなに殺気を感じた事は無いわ

でも何故かしら、全くゾクゾクしない…

 

「…そんな事はどうでもいいかしら」

 

『死ね』

 

「美しい花なのに…残念ね」

 

ビームと札に風が辺りを覆う

 

なんとか魔法の森に入ることが出来た

これなら身を隠しながら移動できる

 

「ふぅ、さて妖怪の山に行きましょうか」

 

辺りには瘴気が溢れ、人が入ることを拒んでいる

外の世界にあった樹海とは違いこちらは不気味だ

霧が溢れて規格外の大きさのキノコや派手なキノコもある

というかキノコ以外には草、木、水しか無い。

生物がいるとすれば妖怪かアリスor魔理沙なのだけど

今のところ彼女たちに会うという目的は無い

出来るだけ目撃情報は少なくしていたいのだ

草も生い茂っているし姿勢を低くする必要も無い

途中、妖怪に襲われそうになったがなんとかやり過ごした

夢の中で死闘の体験をしたとしても強くなれない

何かが邪魔をしているように感じた

 

「…せんさんが…いや…誰かに奪われるくらいなら…」

 

何か椛がブツブツと呟いているような気がするが、気の所為だ

妖怪の山が目前と言うところだった

 

…!?

 

いきなり倒された

倒した張本人…椛は大剣を抜いていた

 

何故

 

「こうしたら…良いと思ったんです」

 

椛は赤黒い目で言った

そして大剣を撫でた

 

「貴方は人間…早く死んでしまう…だったら」

 

その顔はなにか苦渋の決断をしたような顔だった

 

「貴方は殺して、その肉を食べたら、一生一緒じゃ無いですか…!」

 

そして大剣を構えた

 

「だから、抵抗…しないでください…ね?」

 

貴方は振り下ろされた大剣を避けた

だが、完全には避けきれなかった

左手に走る凄まじい痛み

苦痛の声が口から漏れる

しかし、最も泣きそうだったのは椛だった

 

「え…?私…え?あれ…あ…あ…あああ」

 

椛が壊れかけていた、そんな椛に貴方は右手に作ったあるものを向けた

シングル・アクション・アーミー

西部劇でよく見るリボルバーだ

その照準を椛の右目に定めた

 

…お返しだ。ごめん

 

「あ、ああああああああぁぁぁ!?」

 

乾いた銃声がなった後椛の叫び声が上がった

貴方は椛に近寄ると膝をついて目を押さえている椛にあるものを作って渡した

 

漆黒の眼帯

 

それは視覚を半分失った椛へのせめてもの償いだった

貴方は丁寧にそれを付けてあげた

 

せん…!」

 

椛は左目から透明な涙を、右目から赤い涙が流れる

貴方の後ろ姿にかかる声は無かった

左手首から流れる血を洗い流すように雨が降る

この日、椛によって貴方は左手を失った

 

 

 

 

 

 

ふと見つけた穴に貴方は入る

そこは洞穴のようだった

看板のようなものがあったが真っ二つに斬られていた

中には大きな穴があった

その中に飛び込もうとしたが、足が止まった

 

ここで落ちても意味はあるのか?

 

恐らく下は地底に繋がっている

落ちたら誰かに拾われる可能性がある

これ以上生きていて意味があるのか?

 

答えは否だ。

これ以上生きていても意味が無い

 

ならば。

 

貴方は洞窟の壁を背に座るとコルトのローディングゲートを開け、地面に置く

左手があればやりやすいのだけれども…貴方は苦笑した

あれは避けれたからな。

そして右手に弾丸を生成すると弾倉に入れ、ゲートを閉める

 

コルトを持つとハンマーを起こし、銃口をこめかみに当てた

引き金に人差し指をかける

 

頬に冷たい感覚があった

触らなくても分かった、それが涙だと

自分が何故泣いているのか分からない

もう疲れた。心が壊れそうだ

 

今までの出来事をフラッシュバックする

そして最後に見えたそれを見て呟いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…霊夢

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この日、幻想郷に1発の銃声が響き渡った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ」

 

「お疲れ様せん。調子は?」

 

「どうってこと無いぞ」

 

「嘘つけ!顔に書いてあるぞ!」

 

せんっていつも強がりよね〜」

 

「時には休憩も必要ですよ!飲みましょう!」

 

「ちょっと!?早苗!飛ばしすぎよ!」

 

俺達は小人が起こした異変を解決したので宴会を開いている

強ければ強い程弱くなるので面倒だったが

逆に考えると弱い攻撃が強くなっているので弱攻撃で潰した

今も幻想郷は平和だ。疲れを知らない奴らが多いけど

 

「あ、俺少し席を外す。」

 

「何よー嫁さんがいるのにー」

 

「へっ可愛い嫁さんで嬉しいよ」

 

「な…」

 

「それじゃ席外すよ霊夢」

 

「わ、分かったわよ」

 

そして視点は神社の裏へと変わった

せんはタバコに火をつけて咥えた

 

「よう、俺」

 

「俺はお前、お前は俺だ」

 

「俺が誰かといえばお前になるわけだが少し違うな」

 

「顔も同じで名前も同じ。体系も、だ」

 

「違うところと言えば思考回路くらいか?」

 

「まぁいい」

 

「お前は負担に耐えられなくて死んじまったからな」

 

「あそこでそうならなくてもいつかはそうなる」

 

「鬼に殺されるか覚に発狂させられるか…」

 

「兎も角な」

 

「俺はようやくお前を追い出すことが出来た」

 

「元はと言えばこれは俺の体だ。」

 

「それにお前がねじ込んで来たんだよ」

 

「俺はこれから幸せに人生を謳歌する」

 

「まぁ、俺も鬼じゃ無い。時間を少し戻してやる」

 

「また、こうなるかはお前次第だ」

 

「じゃあな、せん

 

ソイツから投げられたタバコの火が視界を覆い尽くした




さて一区切りです
終わった訳じゃないよ。


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橋姫

貴方は左手を拾って歩いた

雨が血を洗い直してくれた

 

洞穴の中に入って洞窟の壁の背に座る

そしてポケットの中から蘇生剤を取り出すと左腕に刺した

液体が体の中に入り込んでくる感覚は慣れないものだ

全て入ったのを確認すると注射器を投げ捨てた

注射器はバラバラに割れた

左手を取ると向きを直してくっつけた

数十秒した後動かしてみると、左手の指が動く

 

ふぅ

 

貴方はため息をついた。

 

もう疲れた

 

コルトのローディングゲートを開け、地面に置く

左手があるからやりやすい

そして右手に弾丸を生成すると弾倉に入れ、ゲートを閉める

 

 

 

コルトを持つとハンマーを起こし、銃口をこめかみに当てた

引き金に人差し指をかける

 

 

 

頬に冷たい感覚があった

触らなくても分かった、それが涙だと

自分が何故泣いているのか分からない

もう疲れた。心が壊れそうだ

 

 

 

今までの出来事をフラッシュバックする

そして最後に見えたそれを見て呟いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…霊夢

 

 

 

 

 

 

 

カチッ

 

 

貴方はその音に目を見開いた

そして弾丸の位置を調整してまた引き金を引いた

 

カチッ

どうして

 

貴方は思わず呟いた

 

カチッ

 

カチッ

 

カチッ

 

何度引いても弾が出ない

 

カチッ

 

カチッ

 

カチッ

 

カチッ

 

ガタン

 

コルトが地面に落ちた

貴方は思い切り壁を殴った

まだこの世界の神は死んではいけないと言っているのか

少し目を瞑ると貴方は立ち上がった

 

ならば生きてやろう

 

今の状況に抗って見せよう

 

心にそう違うと目を開けた

 

今出来る事はこれだけだ

 

大穴の縁に立つと、重心を傾ける

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「未来を変えてみせろ」

 

 

その声を聞いて落ちながら振り返ると貴方がいた。

紛れもないあの時の貴方だった

手を伸ばす頃にはその姿は小さくなって行き、やがて見えなくなった

いや見えなくなったのでは無い。

視界が真っ暗になっただけだった

貴方は浮遊感に身を任せると目をつぶった

 

 

 

 

 

「未来が変わってしまうかもしれない…が」

 

「今のお前さんならやってくれそうな気がするよ」

 

「んん?君はあの時何があったか知りたいのかい?」

 

「おお、分かった分かった。」

 

「俺が」

 

「僕が」

 

「ワイが」

 

「私が」

 

「説明してあげよう」

 

「まず、君は死んだよ」

 

「君の遺体は回収された」

 

「その後月の頭脳がお前さんの体を再生した」

 

「その後にな?亡霊の姫君がお前の魂を呼び戻した」

 

「本当なら転生もせずに地獄行きだが君は特別だったのですよ」

 

「そう、お前さんがこの物語の中心のようにな」

 

「まぁ蘇らせたら問題は起こる訳よ」

 

「そこで彼女達は考えた訳だ」

 

「そこで決まったのがアレだったという訳ですよ」

 

「まず一部以外の記憶からお前さんを消した」

 

「妖怪の賢者、博麗の巫女、フラワーマスター、亡霊の姫君、

 紅魔館の主、里の守護者、月の頭脳、隻眼の白狼天狗。」

 

「上記の奴ら以外は全員だよ」

 

「その後皆は元に戻った」

 

「お前さんと博麗の巫女は結婚して、後は流れに任せる」

 

「まぁ、それが一番平和な解決方法だった訳や!」

 

「そういうことだよ」

 

「それじゃ、未来を変えろよ」

 

貴方は軽く札を投げると、粒子となって散った

 

 

 

 

 

 

頭が痛い

体中がズキズキして上手く動かないのだ

視界が黒い茶色一色だった。

どうやらうつ伏せに着陸してしまったようだ

なんとか仰向けになると驚いた

それも向こうも同じだったようだ

 

「生きていたのね、生命力が強いなんて。妬ましい」

 

なんだろうか、こんなに意識が朦朧としていても面倒な事に

巻き込まれたというのはとても分かる

身体を起こそうとして、倒れる

その様子を見てかソイツは呆れたように言った

 

「その体じゃ無理ね…そこらに捨てて、奴らの餌にしようかしら」

 

そしてこちらに近づいて顔を見た

途端に顔色が変わった

 

「嘘…?貴方…」

 

そいつはしばらく考えるとこう言った

 

「家に運んだ後勇儀を呼ぼうかしら…」

 

貴方を抱えるとどこかへ行った

行先は何処か分からない。

 

 

 

 

 

でもまた、心が壊れそうな気がした

 

 

 

 

 

 

 

 

起きるとそこは知らない天井だった

どうやらベットに寝かされているらしい…ふかふかだ

辺りを見回すと女が椅子に座っていた

 

「…目、覚めた?」

 

貴方は先程の声と同じと確認すると頷いた

金髪で羽織のような服を着た耳の先が長い女

その瞳は嫉妬に満ちた緑色だけど

 

「皆に追いかけられ続ける貴方が妬ましい…」

 

その後ブツブツ呟きながら妬ましい妬ましいうるさかった

兎も角早く移動したい…ここらに安全な建物は無いものか?

そうこちらも呟くとソイツはこう言った

 

「地霊殿に勇儀が連れて行ってくれるそうだから」

 

「それとそこは安全だから」

 

貴方が質問する前に言った

 

「今頃酒を飲みながら来ているのでしょうね…妬ましい」

 

なんだろうか、最高に面倒臭い女と聞かれればコイツを1番に上げるだろう

それ程までに陰湿な妖怪だった…地底の妖怪とか皆損なものだと思うけど。

貴方はそう思いながらベットから体を出し、座った

 

「ちょっと…そんな体で大丈夫かしら」

 

貴方が問題無いと言うと

 

「そう…丈夫な体を持っている貴方が妬ましい」

 

もう面倒臭すぎる

早くその勇儀とか言う奴が来ないだろうか

こんな奴といるとこっちまで嫉妬にかられそうだ…と貴方は思った

しかし現実は非情だ。

早く時が進んで欲しいと思う時だけ遅く。

上手くいって欲しいと思えば失敗する

それから数時間貴方は女と一緒だった




もう中盤と言うことに驚いている
こりゃ100は行かないだろうな…


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オニ

お知らせ

地底人間の幻想入りを間違えて消してしまいました
やり直すというモチベーションが無くなってしまった事をお伝えした上でこの場で謝ります

楽しみにしていた方々本当に申し訳ない

URLには代わりの我らの団のハンターが幻想入りを置きました


幽香の家からなんとか持ってきたのはウエストバッグとナイフだけだった

これだけでも大きな収穫なのだがあまり意味は無さそうだ

ナイフだけでも過去の様な戦い方は出来る

といってもまだ心は追いついていないから無理だろうけど

それでも自己防衛くらいなら殺ることはできる

刃が15cmも無いナイフでどうしろと思った

これじゃ中級をやるのは結構かかりそうだ…

するとパルshe宅の扉が勢いよく開かれた

 

「よー!せんがここにいると聞いた!」

 

入ってきたの体操服の様な物を着た女だった

切れ目で手には大きな赤い杯を持っている

額から生える1本角のおかげで呼ばれた鬼というのはよく分かった

それにしても大きいな

 

「お前か…変わったな、私の事は覚えているか?」

 

こちらを視認すると少し残念そうな顔になった

恐らくここに来た時は違ったのだろうか。

貴方は首を振った

そいつは星熊勇儀と自己紹介をしてくれた

 

「あの時のお前は最っ高に強くていい顔だったのによ…今のお前ときたら青ニートだ」

 

…どこが

 

「顔がげんなりしている上に青くなっているそれにその様子じゃ心が折れたか?」

 

 

「まあいいさ、パルシィから地霊殿に送るように言われているからな」

 

貴方は何処にあるかを聞いた

すると勇儀はぐびりと酒を飲んだ後に言った

 

「なぁに行ったら分かるさ!ほら行くぞ!」

 

貴方をかかえて

 

 

 

 

 

 

 

 

 

┣¨┣¨┣¨┣¨と迫真の走る音が響く

というかその中心にいる

これだけ豪快に走っても全く揺れが無いというのは凄い

地底の都市が見えてきた。

光が数えるくらいしか無い暗い街だ…明かりはマグマくらいだ

その暗さが貴方の心くらいに暗い。

街の中に入ると「姐さん!」「そいつぁ…」「ほほお」とかの他の鬼達が出迎えてくれた…勇儀を

ともかく貴方の存在はかなり記憶に刻まれたらしい

貴方自身、覚えてなど居ないのだけれど

最近は欠けてはいるが記憶を思い出す事が出来ている

毎日の生活では無く、異変の事ばかりだが。

 

「そうだ、酒を飲もうか!」

 

 

瞬間視覚が真っ暗になった

その後に顔面から腰まで痛みが駆け回った

貴方が叫ぶのに時間はかからなかった

つまり今、何処かの床にぶっ刺さっている

思い切り体を引き抜くと酒を注文して椅子に座った勇儀に叫ぶ

 

殺す気か!

 

「殺す気だったさ」

 

…この

 

「まぁそれでおまえが死んでないということは鈍ってないようだ…ほら飲めよ」

 

勇儀が持っていた杯をこちらに向けてくる

貴方は肩を解しながら勇儀に対面するように椅子に座り、杯を受け取った

宴会で何度も飲んだけど、今は抵抗感があるな…

貴方はそう思いながら杯を傾けた

 

美味い…

 

「そうさその顔が見たかった…」

 

…?

 

「おまえのさっきの顔と比べてだいぶマシになった。さ、飲もうか!」

 

お、おう…

 

「なんだなんだ、ほらもっと飲めよ!」

 

ぎゃ…

 

 

 

 

 

 

数分後

 

 

 

 

 

「ほら飲むぞー!」

 

お"お"お"お"お"お"お"お"お"お"!!

 

「出来てきたな!もっと持ってこい!金は払う!」

 

飲み比べだァァうああんああ!

 

「おうさ、酒を飲むならこれは外せないさね!」

 

大きいジョッキを傾けながら飲み干す貴方。

ともかく数分で何があったか簡単に説明しよう

地底の酒を三本飲んだ後これだ

ここに住んでいるもの達は結構な数が鬼だ

そいつらを楽しませるためか度数が死ぬ程高い酒しかない

というか高すぎて一般人は普通に死ぬ

バクダンなんてめじゃない…それ以上だ

それに勇儀が頼むのもあるが周りの鬼達が次々に淹れるのだ

かなーり癖の強い奴らが。

 

「ビールビール!」

 

「バッチリ冷えてますよ〜」

 

「あっそうだ(唐突)おまえさっき酒に睡眠剤入れてただろ」

 

「いや…そんなこと…」

 

「絶対入れてたぞ」

 

「あっおいまてゐ。飲んでるのは姐さんだ」

 

「まぁええわ、今回は許したる」

 

「ありがとうございます…」

 

「ところでこの酒、なんぼなん?」

 

「こちら14万となっております」

 

「14万!?ぼったくりやろこれぇ!?」

 

「いえ…この店で一番良いものなので…」

 

という感じになんか見たことあるような光景だ

親の顔よりは見ていないがこんなビデオあったような…

ともかくそろそろ水が欲しい、喉が痛い

 

「そんな事言わずに飲めよ!」

 

勇儀さん…

 

「ん?まだ飲めないってか?ん?」

 

そんなにいうなら…!

 

貴方がぐびぐびとまた杯を傾けた

これで心が治るわけでも無いがそれでもマシにはなるだろう

それにしても外が暗いものだから中もそうなのかと思ったがそうでもないらしい

中はちゃんと照明が確保されている

それにしてもツマミの肉やらで酒が進むこと進むこと。

いつの間にか横に瓶のタワーが立てられていた

それで遊ぶ鬼の子供はカワイイナー

という現実逃避なんてゆ゛る゛さ゛ん゛!といわんばかりに(言われた。指先の無い革手袋の男に)入れてくる

逃げれないのは明白だった

抵抗しても無駄というのを理解したのか貴方は酒に溺れた

アルコール中毒なんていうのは無いがそれでも、だ

どんなに苦手でもこいつらは飲ませてくるだろう

吐いても止めないのだろうな…と思いながら貴方は酒を飲んだ



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ガルチェロの幻想入り書きたいなぁ


おろろろろろろろろろろ …

 

「…なんかせん。すまん」

 

思い切り、腹の中の物を全て吐き出さんばかりに吐く

原因は無論の事というか確実に酒である

頭がギンギンっに痛い

二日酔いとかがマシに思えるくらいに

勇儀が背中をさすっているのでもっとマシだ

今いるのはあの街から少し出たところである

街中で吐く程貴方の道徳心は薄れていない

 

「とりあえず水でも貰うか…地霊殿行こう」

 

…分かった、うぷ

 

それを言うのが精一杯だった

常に食道になにかが登ろうとしているのだ。

腹の中でぐちゃぐちゃになった酒がグルグルしている

本当に胃の中でチャプンチャプンと音を立てているのだ

タンクいっぱいの水を飲み干した気分だ…つまり最悪だ

歩こうとしたらフラフラとなってろくに歩けない

 

「私が担ごうか、ほら」

 

よろしく…

 

なんとか勇儀の背中に上がると周りの視界が移動する

このスピード感、最悪である

しかし揺れが少ない(無い訳では無い)ので吐き気は少ない

ともかく今は本当に最悪な気分だ

例えれば朝起きて歩いたらタンスの角に小指をぶつけ外に出て歩きスマホをしていたら電柱にぶつかって

さらに学校に来たかと思えば男と女が出会い頭していたり授業で朗読していたら盛大に噛んで恋人に会いに行こうとしたら元々カレと元カレが喧嘩していて何故か巻き込まれたり

そしてようやく放課後になり帰ろうとしたら彼女が浮気していたり

下校途中にガキやらヤクザに絡まれたり

いきなり頭に卵が降ってきたり

何故かホームランのボールがヘッドショットしたり

公衆電話で電話をかけようとしたら少女の声が聞こえたり

間違えたと認識したらなぞなぞしてきたり

間違えたと言って切って親に電話をかけて公衆電話から出ようとしたら後ろに緑髪の幼女がいて…

でその後勝手に気に入られて同棲されていたり

まぁ恋人がクズだと分かったので良かったけど…

ともかく気分は最悪である

上記のような例えが伝わればいいと貴方は思った

そして気づく頃には目の前に建物が見えてきた

 

「よー!さとり!こいつだ」

 

「勇儀…開けるならノックくらいしてください。別に良い訳がないでしょう」

 

…覚妖怪

 

「えぇ、そうです私がそれです…ともかく預かります」

 

「頼むよ」

 

「水はお燐に任せるとして…ともかく横になっては?」

 

 

「部屋には私が連れていきましょう」

 

貴方がなにか言う前に答えられた

会話が楽で助かる…そういえば彼女は

 

「私は古明地さとり。さとりで結構です」

 

さとりは大きな扉を開けると中に入っていった

貴方は腹を抑えながらついて行った

入った先はエントランスだった

紅魔館に似たような感じのそれだ

違うところは目に優しいのと照明が地面に埋め込んである色とりどりの石と電気だけだ

たしか妖怪の山の近くになんとかセンターってのがあったような…

それにしても動物が多いな

白いドットの犬や猫、それにニホンオオカミ(!?)とライオン

それだけでなく名前の知らない動物が多い

エントランスでこれだとそれ専用の部屋となるともっとだろう

いうてしまえば沢山だ…

 

「こちらへ…あとこれを」

 

…助かる

 

さとりが手渡してきた水を受け取ると腹に流し込む

腹の中でグルグルしていた汚物が浄化された気がした

ちゃんと消化しきれていないと思うけど。

一応1人で歩けるくらいには回復したので何とか階段を登る

赤いカーペットが敷かれているのは紅魔館と同じだ

しかし雰囲気はこう…もの悲しいというか…

 

 

 

似ている…というか…

 

 

 

 

 

物思いに耽っていながらさとりについていくと突然止まった

いや、止まったのではなく誰かにぶつかったのだ

視線を下ろしてみるとそこに緑髪の少女が居た

こちらをマジマジと見て止めない

どこかで見たような服装と顔をしているような

外の世界で同棲していた幼女に似ている気がする

貴方はチラリと見たあとその子の横を通ってさとりについていく

その子はいつの間にか貴方の袖を握って、離さなかった

 

「ここです」

 

さとりが部屋の前で止まった

貴方は用があれば呼ぶと心の中で言った

 

「わかりました…なにかあれば」

 

そういうと背を向けて…貴方は部屋の中に入った

中は普通の部屋だ、これと言って特徴的なものは無い

普通のベッドに机と椅子、明かりは既に点いていた

ウエストバッグとナイフの入ったホルスターを置いた

そしてベッドに腰掛けると隣の存在に問いかける

 

…誰だ、お前は

 

「わたしー?」

 

見てみると先程の緑髪の子が袖を弄っていた

そいつの顔を近くで見て、ようやく気づいた

外の世界で同棲を勝手にしていた

 

古明地、こいし

 

「そうだよ、私はここの生まれなの」

 

勝手に外の世界出て何も言われなかったのかよ

 

「地上で放浪していると思われているの…多分」

 

曖昧な…

 

貴方は無意識にナイフに手を伸ばしていた、確かこいしの能力は『無意識を操る程度の能力』だったはず

何をいつされるか分からない

人がそこらの小石を気にしないように、貴方も彼女を気にしない…事は出来ない

あの時…こいつの気分で殺されそうな身としては、だ

そんなに警戒していてもいつの間にか頭から抜けるのが厄介だ

貴方は下に向けていた視線をこいしに向けた

 

 

 

 

 

 

 

貴方は押し倒されていた

刹那の出来事だった…それこそ間髪を容れずという言葉の通りに。

顔を上げるとお腹の辺りにこいしが居た、「んふふー」と笑っている

何故こんな事をするのだろうか

困惑していると扉が開いてさとりが入ってきた

 

「どうして、という顔をしていますね」

 

「簡単です…少し思い出して貰うだけです」

 

「安心して!私が無意識にして、記憶に残らないようにするから!」

 

それと同時にさとりから伸びるサードアイが光ったかと思うと、貴方の意識は闇へ沈んでいった。



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本当の貴方
地霊殿の記憶


「お前がここの記憶を思い出すまで、札を貼るか」

 

吸っていたタバコを穴に投げ入れ札を追加で投げる

札はタバコこように落ちること無く中に浮き、陣を張った

五芒星が描かれたそれには、博麗神符の文字が書かれていた

そして、腕を組んで言う

 

「我ながら、よく出来たな…これで彼女達は入れない」

 

 

…温泉が出た?

 

「そうなのよ!本当にいきなり!」

 

貴方は興奮気味に話す霊夢に問いかけた

聞く限りではなにやら博麗神社の近くに温泉が湧いたらしい

境内を箒で掃いていたらいきなり吹き出たとか

それを使えば観光客が増えるぐふふふと笑っている霊夢

しかし貴方はとある疑問を感じていた

どうしていきなり温泉…もとい間欠泉が湧いたのか。

これは調査する必要がありそうだが…霊夢がこれならええか、貴方はそう思った

縁側からその湧き出た所は見えない、というか見たくない

関わったら面倒くさい事になりそうだ

 

「河童達に言って整備してもらおうかしら…!」

 

「はーい御二方?」

 

…紫

 

生き生きと箒を振り回していた霊夢の動きが止まる

恐らく邪魔されると思ったのだろう、紫なら言いかねない

貴方は縁側から刀を持って立ち上がると2人に近づいた

なにか面倒事を持ってきたに違いない、主にあの間欠泉についてのな

こいつが来たら大体異変だ、例外はあるといったらある

例外といってもそれら全てがほぼほぼ面倒事だからなんとも言えない

そして紫が口を開いた

 

「調査して欲しいの」

 

「温泉について?」

 

あの温泉…ん?あぁ、そういう事か…

 

「そういう事よせん

 

理解出来ていない霊夢が苛立った様子で聞く

 

「どういうことよ」

 

「よく見て見なさい」

 

霊夢は吹き出る間欠泉を見た

そしてあることに気づいて目を見開く

 

「…怨霊」

 

「そうよ、何故か怨霊が吹き出ているのよ」

 

…もしかして

 

貴方はそれについて心当たりがあった

それはどうやら霊夢も同じようだった

 

「…地底から出てきている?」

 

しかし、不可侵条約が

 

「それを含めて調査をやって欲しいの」

 

「面倒くさいわねぇ」

 

「温泉が出来たら観光客も増えるかもしれないわよ?」

 

「よし!」

 

…欲望に忠実

 

これで驚いていたらこれからは驚き続ける事になる

貴方はふと視線を空に向けた

とくに意味は無いような行動だった

そして例のごとく彼女が突っ込んできた

無論の事霧雨魔理沙だ

 

「おもしろそうだな!」

 

「とりあえず地底に行けばいいのかしら」

 

「屋敷の主に原因を聞けばいいと思うわ」

 

どこから行けばいい?

 

「妖怪の山にから地底に繋がる穴があるから、そこから」

 

「よし!行こうか!」

 

「はいはい」

 

貴方達は空を飛ぶと妖怪の山へ向かった

この異変は例外で無く面倒事だった、というか死にかけた異変である

その前に貴方は守矢神社に行くことにした

最近の異変…?で妖怪の山にPON☆と 出来た神社である

当初は天狗達がお祭り騒ぎしていたが今は落ち着いている

ウチの博麗神社に宣戦布告されたのでちょーっと石を3人に抱かせたが…

 

少し用がある

 

「そう、早く戻ってきてよ」

 

貴方は守矢神社の境内に降りた

すると掃いていた霊夢の2Pカラーの巫女が声を掛けてきた

 

「あ…せんさん…どうされました?」

 

早苗か、いやなに用はないんだが…

 

この緑と青カラーの巫女…もとい風祝の名前は東風谷早苗

外の世界からこの守矢神社と一緒に来た風祝だ

ここの神の言葉を誤解して博麗神社に宣戦布告した奴である

先程言った通り石を抱かせた為苦手意識がある

それを除けば仲は良好だ

 

「…」

 

…すまんそれだけだ、悪い

 

「おー私達に石を抱かせた奴じゃないか」

 

諏訪子?それはお前の言えた事じゃないだろう。お前も、その後ろに隠れているお前もだ

 

「う、でも私はそういう意味で言ったんじゃ」

 

洩矢諏訪子、ここの二柱の内1人をやっている

本人曰く大昔からいる祟り神らしい

そしてその後ろに隠れているのは八坂神奈子。

大和の軍神らしいのだがこんな小動物みたいな行動をされると…

ともかく2人とも偉い神様(笑)である

個人的にはた迷惑や神様である

 

ん?親のような事をしてきた癖にか?ん?

 

「…それで何しに来たんだ?」

 

それはここにいる3人共通の問題だった

どうして彼は用もないのにここに来たのか、という疑問だった

それに対して貴方は少し考えてから言った

 

あー…今起こっている異変に関係しているような気がしてな

 

「…異変?」

 

諏訪子と神奈子の顔色が変わった

 

「え?今異変が起っているんですか?」

 

貴方は頷いて続ける

その様子を神奈子と諏訪子は見ていた

 

あぁ、いきなり博麗神社の横から間欠泉が吹き出たんだ

 

「それは…でもそれだけだと」

 

怨霊も吹き出るんだぞ?

 

「それは異変ですね…」

 

だろう?な、あんたらもそう思うだろう?

 

「あ、あぁ!そうだな!十中八九異変だろう!」

 

「うん、そう、だね…」

 

どこかしら歯切れの悪い二柱だな

貴方は少し鎌をかけてみることにした

ちょっと芝居がかっているけど。

 

あんたらこの異変に関わっているのか!?

 

「そ、そんな訳ないじゃないか!だよな?諏訪子!」

 

「そうだよ、私達はもう反省したよ!」

 

「わ、私はもうあれはいやです!丸一日石を抱かせるなんて!」

 

…チッ

 

さすがにあれだけしたら懲りるか。

しかし何故だろうか…なにか腑に落ちない

そうだ、先に予告をしておこうか

 

これがお前らの仕業なら…ふふ、どうしてやろうか?

 

「物凄い邪悪な顔してますよ!?今の!」

 

「」

 

「神奈子ー!?神奈子が現実からフェードアウトした!」

 

そういうことだ、よろしく

 

警告はした

これでアイツらの仕業だったら…

早苗はもう懲りただろうな、石という単語が出ただけで震える程のトラウマになって(して)しまった

神奈子と諏訪子をどうしてやろうか

 

脳内で許しを乞う2人を想像して笑い声が漏れる

 

 

…アハハハハ八八ノヽノヽノヽノ\/\!

 

 

 

 

「ヒェッ…」

 

これをステルス迷彩を使う盟友に聞かれたのは知らなかった

「怨霊かなにかと間違えたのだろう」と嘘を言っておいたのは後の話




ステルス迷彩でいいですよね?
私の作品ではそれで統一しますケド


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待たせたな

 

「遅かったじゃないか…」

 

「以外と早かったじゃない」

 

洞窟の前で屯している霊夢と魔理沙

そこに貴方は着地する

そして肩を軽く回すと洞窟を見やる

奥まで光は入っていない

今気づいたがこれは洞窟では無く穴だ

少し斜めに穴が出来ている、そのせいか小さな明かりが見えた

曲がりくねっている訳では無さそうだ

ここに身を投げるだけで地底に文字通り一直線だ

穴を見下ろした貴方はあることを思いついた

最近、霖之助から貰ったゲームに似ている状況だ

 

魔理沙、どうやらこの先に宝があるらしい

 

「本当か!?」

 

ここら見下ろしたら分かる、ほら光っているだろう

 

魔理沙は穴の縁にいくと目を凝らす

そしてウキウキとした声で言った

 

「おーありゃ、宝か…なああああああああぁぁぁ!?」

 

思い切り尻をぶっ蹴った

魔理沙が回転しながら落ちていった

そして貴方は穴に言った

 

お前から剥ぎ取った物は高く売ってやるよ!

 

「あんた…」

 

霊夢は呆れたような顔をしたあと

 

「いいセンスだ」

 

もの凄い晴れやかな笑顔に変わった

そこに魔理沙への配慮は一切無かったのだ

昨日お饅頭を食べられていたからな

 

よし、行こうか

 

貴方は霊夢に呼びかけた

 

「はいはい」

 

霊夢はのそのそと縁に立つと、止まった

何故かというと

 

 

「まだだ!まだ終わってなーい!」

 

 

魔理沙が鬼のような顔で浮いていたからだ

貴方は思わず叫んでいた

 

 

 

 

魔理沙あぁぁあぁぁあぁぁあぁぁ!

 

 

 

「邪魔」

 

 

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!」

 

箒を蹴飛ばされ、今度こそ魔理沙は地底に落ちていった

というか大丈夫か?あいつ普通の人間だろう

そういう視線を霊夢に向けると霊夢は首を振った

今日か明日に魔理沙の葬式が行われそうだ

 

 

 

貴方は霊夢に聞いた

 

そんな装備で大丈夫か?

 

「大丈夫よ、万全を期しているわ」

 

そして穴の中心へ飛び…

 

霊夢はそのまま落ちていった

魔理沙のように回らずに、真っ直ぐ落ちていった

本当に浮く程度の能力は便利だなと思いながら貴方はその後に続いた

 

 

 

 

 

 

ところ変わってとある屋敷

ここ地霊殿では軽い騒ぎが起こっていた

 

「…ペット達が騒がしいと思えば」

 

「どうしたんですか?さとりさm…え?」

 

「なにかありました?」

 

「貴方よ、お空」

 

お空と呼ばれた女性は首を傾げた

背中から生えた翼はまるで宇宙のような模様があった

そして何よりも異様なのが胸にある赤い瞳だ

何故か右手に木の棒が装着されているのも気になる

前までの彼女にそんな物は無かった筈。いつの間に?

 

「ええ?何でこんなものがついてるのさ?」

 

「分からないけど…いつも間にか生えてたの!」

 

「…覚えてもいない」

 

さとりは馬鹿っぽくて愛らしいという気持ちが無くなりそうだった

ここまで頭がそれだともう…

しかも人の顔を覚えていないとか…

ペットとは言えこれはどうなのだろうか

 

「でも力が何故か湧いてくるの!」

 

「…お空」

 

「これでさとり様をこうしたあいつを殺してやる!」

 

「もう生きていないと…」

 

「地上を灼熱地獄にしてやる!」

 

そしてお空は主をこうした憎き敵の名前を叫んだ

 

 

 

 

 

 

 

 

「覚悟しろ…博麗せん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

…?

 

貴方はふと、寒気を感じた

仕事の時に時たま感じる死の雰囲気が一瞬感じられた

それも地面が近づいてきたところで消えた

霊力を纏わせ衝撃を緩和する

そこだ魔理沙が怒鳴りかけてきた

 

「お前ー!」

 

お?どうした、なにかあったのか?

 

「ぶっ蹴っただろ!」

 

違うな?怨霊と勘違いしたんじゃないか?

 

「しっかり聞こえたぞ!」

 

その言い争いを止める為に霊夢は聞いてきた

根本的な問題を

 

「暗すぎて何も見えないわ」

 

そう、暗すぎるのだ

穴の底を見た時には赤い光が見えていたが来てみるとこれだ

深すぎて太陽の光も差さない深いところだ

明かりを作る必要がある…そういえば便利な物があったな

貴方は懐中電灯を創造すると2人に渡す

そして貴方はSOCOMを作り出しライトを点ける

丸い光が洞窟を照らした

 

岩陰に白いなにかがあった

それに近づいて貴方はそれを拾い上げた

人骨だった

 

「うわ…」

 

貴方は洞窟の奥を照らした

定期的に人骨が放置されている

霊夢と視線を合わせ、同時に頷いた

魔理沙はそれを見て身震いをした

ここには、人食いのなにかが居るということが伝わったらしい

貴方は少し進んだ

音を立てないように踵からつま先の順で歩を進める

SOCOMを右手で構え、ナイフを左手で抜いた

この構え方は鈴奈庵に売ってあった本から学んだ

その戦術に貴方は深く関心し、マスターした

これを開発したThesoldierとBIGsoldierに感謝である

 

少し進んでいると比較的新しい人骨があった

左手のナイフを仕舞い、触れた

 

…ネバネバする

 

貴方は己の左手を見た、そこには白い糸が付いていた

地底、人骨、白いネバネバとした糸とくればあれだけである

不意に奥に気配を感じ、SOCOMを向ける

その光に驚いたのかソイツは逃げて行った

 

「土蜘蛛…」

 

そうだろうな

 

貴方は犯人を確信した

恐らくあの穴は元は土蜘蛛の住処だったのだろう

それが時代が進むにつれ変化していき、出入口になった

この穴を聞いた自殺者達の成れの果てだろうか?この人骨は

 

「そうだよ、私は土蜘蛛だよ」

 

そいつは貴方の後ろに突然現れた



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土蜘蛛

「危ない!」

 

霊夢が警告する

そいつは手を上げて…

 

貴方は一瞬で振り返り、そいつの上げた腕を逆手に取り

そのまま背負い投げの要領で投げる

狭い洞窟だったせいかそいつは洞窟の壁にビターンした

見て嘆息するような見事な大の字である…あ、落ちた

 

「どうして…私が…挨拶しようとしただけなのに…」

 

「…可哀想な奴だぜ」

 

何か呟いている土蜘蛛

魔理沙は合掌するとこちらを見た

その抗議するような視線を貴方と霊夢は無視した

ともかくこいつから何か有用な情報を得なければ

 

「ヤマメー何処に…」

 

上から声が降ってきた、と同時になにかが来る

貴方は煩わしい様子でSOCOMを向けて3回引き金を引く

ゴトン!という音ともになにかが落ちてくる

それは桶だった、緑色の頭が出ている

 

「今度は釣瓶落としねぇ…本当に忌み嫌われた者達がいるのね」

 

「…あの、これはどういう…ちょっと引っ張らないで…!」

 

中から白い着流しを着た幼い女が出てくる

貴方は無理やり引きずり出すと拘束し、ナイフを喉に当てる

 

「ひゃ…ひゃあ…!」

 

今から言うことに素直に答えてくれれば命は保証する

 

「もし、答えなかったら…?」

 

貴方はナイフで頭の上に星を回している土蜘蛛を指す

 

お前の喉を掻っ切った後あいつもだ、妖怪なら再生するだろう?

 

「わかった…!分かったから…!」

 

魔理沙と霊夢はやり過ぎじゃね?という視線を向けていた

無論のこと貴方はこれに意識を向けすぎて気づいてない

2人の照らすライトの光をナイフが反射する

その反射光がさらに少女の怯えを大きくしていく

 

ここで何をしている?

 

「自殺者とか…落ちてきたのを食べたり…」

 

妖怪は人間を食べる

それはこいつらが生きる上で必要な事である

自分達が肉や魚を食べて生きていくように、だ

これが人間と妖怪の共存を望む者にとって1番の邪魔物だ

人の心を食べる者と人を食べる者

前者はそこまで危険では無い。精々驚かせてくるくらいだから

後者は大問題である。

いくら殺人鬼が丸くなっても受け付けられない様に人食い妖怪は受け入れられないのだ

いくら綺麗でも中身は…

 

地底には何が居る?

 

「ここには…鬼とか…忌み嫌われた者達が静かに住んでいる…」

 

そうか

 

そう言うと貴方は少女を解放した

そしてSOCOMを突きつけながら聞く

 

お前は?

 

「私は…キスメ。釣瓶落とし。そいつは黒谷ヤマメ」

 

貴方は銃口を下げるとヤマメに近づく

ヤマメは未だに星を六個尻尾を追う犬の様に回していた

近くにしゃがみ、肩を叩く

 

起きろ

 

「うん…」

 

どうやら壁ビターンが相当効いたらしい

星が無くならないどころか増えている

逸話では星の数だけいい夢を見られるらしい

ならばこいつはいい夢を見られているだろうと貴方は思った

貴方はヤマメを抱えると顎で洞窟の先を指す

 

地霊殿まで案内しろ

 

「分かった…」

 

 

キスメはビクビクしながら先導した

貴方は振り向いて霊夢と魔理沙に付いてくるようにサインする

それまで八卦炉を弄っていた魔理沙が気づき走ってきた

霊夢は最初からこちらを見ていたらしい…何処か不満な顔をしている

そんな事はどうでもいい

そう言えば最近寺子屋の臨時教授をやることになった

1回フランを寺子屋に行かせた時慧音先生が休みだったからやったのだが

これが生徒たち結構好評だった

 

「先生の歴史面白い!」「短くてわかりやすい」「簡潔で良い」

 

等だった

ともかく慧音先生が休みの時にやっているのだが…

最近妙に先生が休むんだ

なんでも毎回部屋の墨が倒されてその片付けが忙しいらしい

ポルターガイストでも居るのか!?と叫んでおられた

毎回生徒たちが上手くいったね!と言っているがどういう事だろうか

要ハサミだ

そんな事はどうでもいい。どうでもいいと言っているだろう!

 

「…ねえ」

 

どうした

 

急にキスメが話しかけてきた

彼女は前を見て歩きながら聞いてきた

 

「どうしてここに来たの」

 

仕事だ

 

「その仕事ってなんなの?」

 

人間に害をなす妖怪を懲らしめに来たのさ

 

「そうなの…」

 

それきりキスメは何も言わなくなった

聞こえてくるのは重低音、各個の息遣い、いびき、歩を進める音。

そしていびき、いびき、いびき…

 

「うるさい!」

 

「ぎゃあ!?」

 

遂に霊夢がキレた

大幣を振りかぶってヤマメのケツに叩きつけた

その衝撃が余程凄まじかったのか彼女は起きた

確認した後投げた

 

そぉい

 

「へ?…ブベラッ!?」

 

顔面から思い切り凸凹のある洞窟の地面に叩きつけられた

その時の姿と言えばマヌケその物である

まるで魔理沙が着地に失敗して博麗神社の目の前で醜態をさらしたような…

ように見えている。

 

「もうこいつほっといて行こうぜ」

 

せやな

 

「右に同じく」

 

3人はヤマメを置いて進み出す…

 

「待て待て待て待て待て待て!」

 

が、思い切りヤマメが跳ね上がって土下座した

足をきっちり合わせた、従来の土下座だ

 

「私なら!案内できるから!そこのとは違うから!」

 

「誰がそこのよ!?」

 

おう分かった騙したら生きて帰れると思うな

 

「まかせんさい!」

 

それにしてもこの土蜘蛛。何処かおばさんのような口調だな

長く生きているとこんなにも違和感があるのか?

いや、それなら紫は(この言葉はスキマ送りにされました)

 

なぁ

 

「どうした?紫の年齢の事か?」

 

それもあるが…口調が(削除)

 

「ん?」

 

「貴方規制かかっているわよ」

 

バカヤローあいつの年齢は(スキマ送り)

 

「(スキマ送りにされました)」

 

「口パクしか出来ないけど伝わるわね、これ」

 

「(スキマ送りにされました)」

 

「(スキマ送りにされました)」

 

「(スキマ送りにされました)」

 

 

 

 

「貴方達…」




まだだ!まだ終わってないっ!


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妬ま

某スキマ妖怪の年齢について議論していたら拳骨を落とされた

振り返ってみてもそこには誰もいなかった…霊夢や魔理沙も同じ被害に会ったそうだ

こんなことができるやつなんて限られるな

一体どこのスキーマの仕業なのだろうか

 

「こっちだよ」

 

ヤマメが指さした方向には薄い明かりが見えた

この先に異変の首謀者がいるのだろうか

なんだろうか、今回の異変はすごく嫌な予感がする

 

「私、帰る」

 

「また後でね、キスメ」

 

「また後で会えるのか?お前は」

 

無理そう

 

「右に同じく」

 

彼女が変なことをしようとしたら“また“は無い

洞窟を抜けると上下にすごく広く横にも広い空間に出た

真っ暗ではなく薄明かりが天井から照らしている

真ん中に大きな赤い橋があった

その下にからは水の流れる音が聞こえる

ここから落ちても死ぬことは無いだろうが…

 

「この先に地底の街が?」

 

「うん、今は旧都って言われているけど」

 

人が住んでいるのにか?

 

「ここは元地獄なの」

 

「そういうことかぜ」

 

その町まで案内しろ

 

「はいはい…そうせかしさんな」

 

最近の若者は…と言いながらヤマメは歩いた

 

「そうそう」

 

赤い橋の目の前に来た時ヤマメが振り返った

貴方は質問する

 

どうした

 

「この先少し面倒なのがいるけど気にしないでね」

 

「どんな奴なの?」

 

「会話が面倒」

 

意味がわからない

 

会話が面倒って文字通りなのだろうか

もしかしていつもハイテンションなのだろうか

脳裏に想像が浮かぶ

 

 

 

 

「YO!私の名前は〇〇!ここで橋を守っているZE☆

 ここを通りたいなら私と一緒にラップバトルゥ!

 もし勝ったら私は退くぅ、負けたらお前が退くぅ

 今の気持ちは最高潮!歓喜の頂きDA☆YEAH!

 そこでぼーっとしてないで来いYO!!

 さぁやろうZE☆」

 

 

 

 

「絶対無いと思うわ」

 

「同じくだぜ」

 

「そこまで…じゃないかもなぁ」

 

そうかぁ…

 

外から流れてきた本にあったパリピを想像してみた

なんでも騒ぎまくる若者の事を言うらしいのだがそれだと宴会の時は全員パリピなのだろうか

いや、ほぼ皆がその若者の年齢を超えているだろう

自分は酒は静かに飲むのが1番だと思う

 

 

…飲まされるのは例外だ

 

 

 

「まぁ、いいさ。おーい!」

 

ヤマメは手を振った

その先には腕を組んだ黄色髪の女が居た

通せんぼ、という事だろうか?

橋にいる妖怪なんて聞いたことが無い

 

よう

 

貴方は挨拶をした。妖怪で有ろうと人語が話せるなら言うべき礼儀である

それに対してその女は

 

 

 

 

 

 

 

「律儀に挨拶なんて、妬ましい」

 

は?

 

地下住人記念すべき3人目の第一声がこれである

どうやら妖怪に礼儀なんて無かったらしい

貴方は刀の持ち手に手を掛ける

 

が、霊夢が手を貴方の腕にそっと置いた

その瞳を見てみると「やめとけ」という思いが聞こえた

そして手を離すと1歩前に出る

 

「橋姫かしら?本当に嫉妬深いわね」

 

「よく知っているのね、妬ましい」

 

橋姫ねぇ…

 

元は橋の守護神みたいなものだったようだ

この橋を渡る時に女や他の神の事を話したり、名前は忘れたが歌を歌ったりすると恐ろしい目にあうらしい

ただ、今では神ということは忘れられ嫉妬だけが残ったようだ

人妖例外無く嫉妬を駆り立てる彼女は嫌われているだろう

 

「まぁいいわ、邪魔するなら容赦しないわよ」

 

「あぁ、怖い怖い。妬ましい」

 

最後要らないだろ…

 

「駄目よ、これは私の存在意義だから。妬ましい」

 

「パルも着いてくるかい?」

 

ハル?君もオタクかい?

 

「私は水橋パルシィよ」

 

名前は挨拶の後に聞くはずだったのにどうしてこうなった

いや、第一声が酷すぎたのだろう

ここまで嫉妬深い奴は初めて見たものだ

 

「それで?着いてくるのかしら?」

 

「暇だし行くわ」

 

守護神の性格は吹っ飛んだようだ…もう嫉妬神でいいんじゃない?

貴方はそう思いながら念の為に刀に手を掛ける

不意打ちには慣れているが無傷では済まない

 

「さぁて行こうかね」

 

「私、空気だな」

 

貴方達は赤い橋を渡り終えるとその光景を見た

 

「こいつは…すげぇな」

 

魔理沙が言葉を発したのも無理はない

そこには大きな都市が鎮座していた

旧地獄というだけあってかなり大きな場所だった

そこには跡地に建てられた様々な建物があった

燃えない様にする為か木造は意外と少ない

ただ、そこに居る鬼達の声が聞こえそうな都市だった

特筆すべきなのは数箇所から湧き上がる白い煙だろう

あそこにはおそらく温泉が湧いている

 

「帰るかい?」

 

ヤマメは最終確認をした

 

「そんな気はないわ」

 

そうだな

 

「帰る気なんてないぜ」

 

3人はそう答えた

それを見てヤマメは少し笑った

 

「そうかい、街の中に入ったらあそこを目指しな」

 

指さした方向には暗いが大きな建造物があった

 

「そこに地底の主…的存在がいるから、よろしく」

 

「ともかく行きましょうか」

 

肩を解しながら霊夢は言った

 

「パル、行くよー」

 

「はいはい、妬ましい」

 

2人はそう言うと都市に飛んでいってしまった

さて、今からあそこに行く訳だが大丈夫だろうか

なんだか嫌な予感しかしない

 

「鬼に合わなければいいな、私達じゃ死んでしまうかもしれないぜ」

 

「そうね、まぁよっぽどの事がない限り合わないわ」

 

空を飛んで行こう

 

「行くぜー!」

 

「あ…早いわねぇ」

 

全くだ

 

魔理沙に続くように飛んでゆく霊夢と貴方

地上から空中の相手に弾を当てるのは難しいと言う

ただ、この幻想郷ならどうだろうか

 

 

 

ここでは非常識が常識になり、常識が非常識と化す




ボートを用意しろ
水と食料は要らん。妖怪なら我慢出来るだろう


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飛行

「これは…凄いな」

「ああ、無縁塚にあったのを解体して組み立ててみたんだ」

「名前は何にするんだ?」

「そうだな…トマホークなんてどうだ?」

「良いねぇ、強そうだ…ん?」

「どうした?」

「ありゃ人間じゃないか」

「ほう…良いことを思いついた」

「うん?」

「トマホーク発射!」

「oh」


 凄いな

 

貴方はそう思った

旧地獄な上に嫌われ者が来る場所となれば凄まじい所かと思ったがそうでも無かった

むしろ地上よりも発展しているイメージがある

この辺りで地底を統括している二つの妖怪の説明を書いておこう

 

一つ目が鬼だ

地底、主にこの都市には鬼がかなり住んでいる

昔は地上で天狗達を従えていたらしい、凄い

強い人間を攫って行き決闘をさせたりすることもあるようだ

それで討伐隊が派遣されたが、全滅

真正面から戦かったら無謀ということを理解したのかそこから別の戦法を使い始めた

騙し討ちにヒットアンドアウェイ、罠etc…

力負けする近接戦を嫌うようになっていった

嘘が嫌いで正々堂々が信条の鬼からしたら失望である

それからというもの荷物をまとめてささっと地底に来たようだ

ここでのボス的な立ち位置にいそうな気がするが…

 

…そういえばある天狗を探して見つからなかったとか、どういうことだろう

 

二つ目が覚である

 

心を読むという性質から言葉を放つ全ての生物から嫌われている

動物などの話せない生物は嫌ってはいないらしい

唯一の会話相手と言ったところか

昔から色々な伝承のある覚だが、面白いところもある

それは無意識…つまり突発的なことに弱いことだ

焚き火の火が飛んで覚に当たったとか、そういうことだ

ここでは怨霊の管理をしているらしい

 

先ほどから怖い顔の幽霊が飛んでいるが、それだと思う

 

と言っても管理しているのは彼女のペットとのこと

あと、熱の調節などをしているみたいなのだ

どんな原理か知らないが、できるらしい

これが今回地霊殿に向かう理由なのだが。

 

 

 

 

 

「どうしたー?せん。辛気づらい顔して」

 

いや、特に何も無い

 

「もしかして、せんも同じ?」

 

霊夢もか?

 

そう貴方がいうと霊夢は頷いた

どうやら考えていることは同じらしい

 

「ふーん?また勘って奴か?」

 

そうだ、特に今回のは

 

「結構嫌な感じよ」

 

そう、何か嫌な予感がするのだ

筆舌にしにくく伝わりにくいのだが、厄神の時よりひどい

今回の異変はいつもと違う気がするのだ

霊夢も貴方も気づいていないだけで殺気立っているのだ

 

「私は何も感じないけどな」

 

「能天気」

 

 お前霧雨家の令嬢の方がよかったぞ?主に…

 

「まて、それ以上言うんじゃ」

 

「おほほほーとか寺子屋時代ほんと可愛かったわよねぇ」

 

 

 あ、壊れた

 

「ですわーとか本当に…くすくす」

 

「本当に兄弟揃って悪い奴らだなっ!」

 

「あははは」

 

 …

 

「…?」

 

せん?」

 

そこで貴方は気づいた

というか気づくのが遅かった

 

「どうしたせん…いやああああああああ!?」

 

ボカーンと派手な爆発が起こったかと思うと

魔理沙がその煙から錐揉み回転しながら落下していった

 

 霊夢!

 

「全く、これだから地底の連中は…」

 

貴方と霊夢はそれぞれ武器を構え、魔理沙の後を追う

武器を構えた理由は魔理沙の弾着地点に妖怪が集まってきていたからだ

 

 久しぶりに地獄を見ることになりそうだ、いや、ここは地獄か?

 

「そんなこと言っている暇があるなら早くしなさい」

 

ともかく面倒ごとに絡まれるのは、確定なようだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いててて…」

 

魔理沙は目が覚めた

さっき飛んでいたら急に落とされたのだ

原因は不明、爆発が起きてからは何も覚えていない

 

「っ…」

 

しかし、今の状況を確認するとそんなことはどうでも良くなった

周りには未知魍魎の奴らがいた

一番多いのは頭にツノが生えた連中だ

 

人間だ

 

どうしてここに

 

また何かやろうってか

 

 

ざわざわと声が聞こえると同時に何かがこちらに来る

そいつは他の奴らと違う感じだった

 

「ぷはっ、ここに人間はあまり来ないんだがな、珍しい奴さね」

 

金髪の、赤い角がある体操服の女

でも阿求の幻想郷縁起で見たことがある

 

「私は星熊勇義、お前は?」

 

「…霧雨、魔理沙」

 

私の口から出たのはそれだけだった

そして一番危惧していた言葉が聞こえた

 

 

 

「私と戦ってくれないかい?さっきも言ったが人間なんて滅多に来ない」

 

 

無意識に八卦路を握りしめていた

私、ここで死んでしまうのだろうか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そこは断りなさいよ、魔理沙」

 

 

 

上から声が聞こえたかと思うと針が私と勇義を囲うように刺さる

そして霊夢が私の隣に降り立つ

霊夢の姿を見た勇義は獰猛な笑みを作った

 

「ほう、博麗霊夢か、これは随分と強いのがきたね」

 

「私のことを知っているのかしら」

 

「もちろん…ぷはっ、萃香から聞いたからね」

 

「面倒なことを…」

 

霊夢はため息をついた

これから何をするか、感づいたらしい

 

「私に勝ったら、見逃してあげるよ」

 

「弾幕ごっこなら喜んでするけど、今はそれどころじゃ無いのよね」

 

「ふーん?嘘はよくないと思うね」

 

「それと…」

 

「?」

 

勇義は首を傾げた

霊夢は目を閉じて言う

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「貴方、もう負けているから」

 

「っ!?」

 

後ろからの殺気

しかし振り向く前に背中に痛みを感じる

そしてそれに怯んでいる間に蹴飛ばされる

そして宙を浮いているときに後ろから正確に4回の破裂音と四箇所の痛み

少し、ほんの少しの間にそれが起こったと認識する頃には勇義は

離れた場所でうつ伏せになっていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 間に合ったか

 

「ふ、2人ともすまん!油断していた」

 

「それよりも早く離脱す…っ!」

 

 ふんっ!

 

凄まじい速さで迫る物体に貴方は右手の刀を振るが避けられる

しかし、それで魔理沙たちに攻撃を加えることは失敗したようだ

移動先から感じるのは、殺気と…歓喜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はははははは!生まれて初めてこんな奴と出会ったよ!」

 

そこには無傷の勇義が立っていた

貴方はすかさず左手に持つソーコムピストルを撃つ

それを避けもせずに勇義は体で受け止める

 

「はん、弓もだいぶ進化したもんだ」

 

 …

 

貴方は半ば絶句していた

なぜなら勇義の着ていた体操服を貫通した弾丸は勇義の肌に止められていた

その証拠に体操服の裾から弾頭が八個落ちてくる

 

 …ここは任せろ

 

「わかったわ、死なないでね」

 

「頼むぜ、ろくなことはできないからな」

 

そういうと2人は地霊殿の方向に向かっていった

勇義は貴方を舐めるように見ている

 

「その霊力…なるほどお前が今代の…」

 

 ここからは、本当の殺し合いだ

 

ソーコムピストルを観客の中に放り投げる

…おい、そこの不良河童、速攻で取ってどこかに行こうとするんじゃない

それはともかく鬼なんて萃香以来相手にしたことがない

手探りでなんとかするしかなさそうだ

貴方は宣言する

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 博麗の刺客、博麗せん。全力で

 

「もちろん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





さぁ、力を見せてやろう!



魔理沙?生きてるよ

なお、最初のタイトルは「安心と信頼のカプコン式飛行術」でした
これバイオ関係ないだろうと言う事で変えてますけど。






タグ?私そんな子知らない


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 せいっ

 

まず貴方が小手調べに横一文字に長刀を振るう

しかし勇義は軽く受け流し、拳を振るう

貴方は肘をたて、なんとか防ぐが衝撃が骨に響く

それを見て勇義が少し感心した様子で言った

 

「ほう、思っていたよりも良い術じゃないか」

 

今貴方が行っているのは霊力を纏わせる術だ

これによって防御力や攻撃力などを増やすことができる

単純だが、貴方は大量に霊力を持っているためかなり強化される

こういう力を持つものにとって基本の技だ

対する勇義はそれすら使ってないらしい

腰を低く下ろし、拳を伸ばした体制になった

その体制は前にも見たことがある、美鈴の正拳突き…

貴方がハッとしたのを見てこちらに聞こえるくらいの声で言う

 

「この程度で死なないでおくれよ」

 

瞬間貴方は後ろに吹き飛ばされていた

何をされたのか一瞬わからなかったが、それは直ぐにわかった

飛ばされながら勇義をみてみると拳を突き出した姿で止まっていた

どうやら正拳突きで吹き飛ばされたようだ

貴方はそのことを理解すると長刀を地面に突き刺し止まり短刀を投げる

投げた短刀は勇儀の左胸辺りに突き刺さる

足に力を込めて蹴る、そして勇儀に着地すると短刀を上に切り上げる

貴方は切り上げた瞬間に勇儀を蹴り、離脱する

そしてスタッと地面に着地した

 

「いいねぇ、そうこなくっちゃ」

 

振り返るといつの間にか勇儀は元に戻っていた

いや、服は切れたままだ。肌が見え隠れしている

貴方は無意識に刀に力を込める

やはり、思っていた通りに再生力が強い

今まで通り、いや今回はさらに早く短期決戦しなければならないようだ

いくら霊力があるとしても所詮は人間だからな

 

 …

 

貴方は刀を交差して切る

そこから生まれた三日月型の衝撃波に随行するように走り、飛ぶ

勇儀は衝撃波をどこかに吹き飛ばし、貴方を迎撃した

まずあなたの長刀が勇儀の脇腹辺りに潜る

それを叩き落すと貴方の腹にパンチを入れる

貴方は短刀を勇儀の腕に刺すことで停止させる

勇儀は手を引っ込めると短刀を抜き、道端に投げる

 

「そんな顔あんたには似合わないよ」

 

どうやらしかめっ面をしていたらしい

貴方は長刀を突いて動きを制限しようとした

が、避けられて隙を晒してしまった

直ぐに手を引いて後ろに下がる

 

「ほう、掴みを嫌ったかね?」

 

貴方は何も答えずに長刀を仕舞う

そして構える

 

「そういうわけじゃないようだね…」

 

勇儀は獰猛な笑みを作った

 

「博麗の刺客がどこまでやれるか見せてもらおうか」

 

 丁度よい練習相手になってもらうぞ

 

貴方は瞬歩を使い勇儀の懐に潜り込む

そこからのアッパーカット。しかしすれすれで躱す

勇儀は貴方に思いきりタックルする

それを避けるとその無防備な背中に向けて蹴る

まるで当たり前かのように勇儀は見ずに躱す

貴方は打撃を与えるために走る

 

 な

 

貴方はたたきつけられていた、地面に

首元には勇儀の腕があった

どうやら掴んでたたきつけたらしい

貴方は足で二回蹴り、怯んでいるところを抜け出す

そして勇儀の後ろに回り込み回し蹴りを繰り出す

勇儀の後ろ首辺りにあたり、少し怯む

そこから左腕に霊力をため、殴る

が、するりと回避されたため貴方は勢いで躓いてしまう

それを逃さずに勇儀はスープレックスをする

首が折れそうな程の激痛が貴方を襲う

直ぐに体制を立て直し、構える

 

「よっこらせっと」

 

勇儀はスカートの汚れを払っていた

 

 …

 

「まだやるかい?博麗の刺客?」

 

 俺はせん

 

博麗の刺客とは、博麗の巫女の裏の存在だ

誕生した理由は初代がある失態を犯したからだそうだ

時代がたまたま姉弟だったため、作られたというのもある

一人っ子の場合は外からの拉致だそうだ

仕事は博麗の巫女の監視、連絡に護衛…

 

裏切り者の抹殺

 

蜂起や反乱の兆しがあるものを消すのも貴方たちの仕事だ

この役職についてはあまり知られていない

誰が知っていても関係がない

貴方の仕事は博麗の巫女(博麗霊夢)を守るだけだ

幻想郷の要である彼女を守ること、それが貴方の任務

それは全うしなければならない

 

 

 

…たとえ彼女を殺すことでも

 

 

 

勇儀はこちらを向く

しかし、何もしてこない。ただ立っているだけだ

古参などによくみられるものだ

 

風見幽香は傘を優雅に揺らす

射命丸文は写真を撮っている

レミリアは優雅に玉座に座っている

八坂神奈子は御柱に座っている

守屋諏訪子は蛙座り

西行寺幽々子と八雲紫は扇子を振る

八意永琳はカルテを見つめている

伊吹萃香は泥酔している

 

といったように構えをしているのかわからない

こちらを見定めているのかわかりにくいのだ

 

 

 

 

 

 

 

…らしいのだ

 

 

 

貴方が最初にぼこぼこにしてからというもの不意打ちなどが多くなった

瞬歩で懐に潜り込み刀を突きたててKO

瞬時に封印結界を発生させてノックアウト

疑似無想転生で場外…等

 

 なぜ、誰も最初から最強の技を使わないのか不思議でならんな

 

と毎回呟いたところ酷いことになった

皆が似たような事を呟いた後恐ろしい攻撃を繰り出してきたのだ

 

幽香はツルで拘束の後魔砲マスタースパーク

 

文は目視出来ない程のスピードで攻撃

 

レミリアは玉座の間に入った途端グングニル

 

神奈子は御柱フル装備

 

諏訪子は常に呪いを振りまいている

 

幽々子は常に反魂蝶を纏わせている

 

紫は不意打ちしかしない

 

永琳はドーピング×100(くらい)

 

萃香は巨人になって踏み潰そうとしてくる

 

なお、全て攻略済みである

一番辛かったのは幽々子だろうか

彼女の能力て死んだ者は彼女の下僕となる。

反魂蝶は幽々子の能力らしいので…

「私は別にそれでもいいのだけれど」と言っていたが貴方にとっては良くない

貴方は封印の効果がある札を勇儀に投げる

額に張り付いたと同時に動きが一瞬停止する

その隙を逃さずに首を切り落とす

 

 

 なぜ、誰も最初から最強の技を使わないのか不思議でならんな

 

「…いいねぇ」

 

髪を掴まれてもなお、その闘志は消えていなかった

だが、負けたのも事実だった




という訳で貴方は霊夢の兄です
伏線は張ったつもりです


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取り敢えず酒飲もうぜ!お前相手な!

記念すべき五十話目がこれとか大丈夫なのか?

投稿する度に閲覧者が増えてる、嬉しい
評価が上がれば作者のモチベーションupにも繋がるので、何卒


貴方は勇儀の首を彼女の体に向けて放り投げた

原理は分からないが首は上手く調整して体にハマる

そしてムクリと体を起こすとグギグギと首を回す

 

「いやー!久しぶりにいい相手と出会った!」

 

 そうだな

 

貴方は刀を仕舞うと踵を返す

その後ろ姿に勇儀は残念そうに話しかけた

 

「なんだ?もう行くのか」

 

 待たせてしまっているからな

 

霊夢達が今どうなっているのか分からないため早く安否を確認したい

そう思っていると勇儀は笑った

 

「いい兄だねぇ」

 

 褒めても何も出ないぞ

 

「嘘つけ、何か出るだろ」

 

 何だと思う

 

「そうだな、刀とかどうだ」

 

 当たり

 

風切り音を立てながら斬る

が、勇儀は刀を素手で受け止めた

貴方は少し納得した顔をした

 

 さっきは油断でもしていたか?

 

「否定はしない…ゴク」

 

少し笑うと盃を傾ける

その姿は誰かに似ていた気がした

その記憶辿って言ってみるとある事に気付いた

 

 そのまま吹かれちまえばいいのに

 

「どうした?疲れてるのか?」

 

 …

 

貴方はクイッと首で指す

勇儀がその方向に顔を向けて納得したような声を出した

 

「あー、たしかにそうだな」

 

 だろう?萃香

 

「いやだねー風程度には吹かれないよ」

 

目に見えるくらいに粒子が大きくなり、一点に集まる

人型のそれはやがて粒子を消した

そこにいたのはいつかの異変の元凶、伊吹萃香

記憶にある範疇だと人を萃めて宴会を連発したと言うことだ

なんでも冬が終わらない異変で宴会が短すぎるという意味分からん事を理由にやったらしい

目の下にクマができた人妖をみるとその能力は凄まじい事が分かる

嫌であっても行かなくてはならないという使命感を感じるのだろうか

それとも無意識にそう思っていくのだろうか

貴方には分からなかった

 

「ところでせん

 

 何だ

 

「もう少し飲んでいかないかい?」

 

 …少しだけな

 

貴方は座り直すとジョッキを傾ける

喉が焼けるような痛みが襲ってきた

その上夢心地な気分になってきてしまった

貴方は自分にビンタするとジョッキを置く

そんな貴方を笑いながら2人は見ていた

 

「はは!意外と酒に弱いんだな!」

 

 ここの酒がキツすぎるんだ

 

「上のと下のじゃ度数が桁違いだからねぇ」

 

ニヤニヤと萃香はこちらをみながらそう言った

コイツ多分どうなるか分かって見ていたクチだ

 

 最低なヤロー…

 

「そんなに言わなくても良いじゃないか、はは!」

 

 豪快に笑い上がって…

 

貴方はこの場をどうにかすべく話題を探す

そして、彼女達にピッタリな話題を見つけた

 

 そういえば2人はどうした

 

「二人?」

 

 四天王と言われていたらしいじゃないか、お前達は

 

「あー」

 

少し椅子を傾けて口から流れ出る言葉

そして数十秒後、元に戻して口を開ける

 

「私は星熊童子だっけか、懐かしい名前だな」

 

「私はー…酒呑童子だったか…皆酒飲みだけどねぇ」

 

 大層な名前だな

 

「所詮人間がつけた名前さね」

 

「で、残り2人だったか」

 

頬杖を着きながら萃香はいつの間にか椅子に座って言った

 

「茨城童子だっけな」

 

 それだ、そんな名前だった

 

「彼女はー腕を切られてどうしていたんだか…」

 

 …腕

 

一瞬脳裏に右腕が包帯に巻かれた仙人が見えた

いや、まさか…でもそんな名前だった気がした

貴方はそれを振り払い、続きを促す

 

 最後の1人は?

 

「「…」」

 

急に二人が黙り込んだ

その様子に貴方は少し驚いた

もしかして…いや、そんなはずは…

 

 忘れた…のか?

 

「そのとおり!忘れた!」

 

萃香が開き直って胸を貼って言った

勇儀は申し訳なさそうに言った

 

「悪い…コン…なんとかなのは覚えていたんだが」

 

 覚えてないじゃないか!

 

絶叫した

嘘を見抜く目を持っていても頭は違ったらしい

だが、うーんと唸りながら考えている姿から本当に忘れている…

 

 まぁあいつ旧作のキャラだし忘れても仕方ないか

 

「何か言ったか?」

 

 数百年も前なら仕方ないといった

 

「そうか…そうだよな…」

 

勇儀は納得したような顔で頷いた

貴方は立ち上がると立てかけていた刀を取り差す

 

「もう行くのか?」

 

 そうだな

 

「地霊殿はー…外出よう」

 

勇儀は勘定として金を置くとそのまま外にでる

いつの間にか萃香はいなくなっていた

どうせ、博麗神社のところに行っているのだろう

あそこには美味しい酒があるからな

外に出ると勇儀がどこかを見ていた

その方向を見ると色とりどりの光が点滅していた

 

 ありゃ…

 

「派手にやってるねぇ」

 

 説明するまでもなかったな

 

「は、どうかね」

 

 どういう事だ?

 

勇儀は指を差した

その方向をみると暗闇だった

…暗闇だった?

 

 もう終わったのか?

 

「いや、私らが途中から見たかもしれないね」

 

 むう

 

少し困った

このまま行けば迷う気がする

奇跡的に地霊殿の横を通るような気がする

しかし勇儀はそんな問題はないという顔だった

 

「地霊殿は見たらわかるさ」

 

 どんな感じか教えろ

 

「光ってる」

 

 何が

 

「窓とか床とか…見たらわかるさ」

 

もしかしてステンドグラスの事を言っているのだろうか

いや、それだったら光る床は意味が分からない

何かの光る鉱物を埋め込んでいるのだろうか

恐らくそうだと思う…確証はないが

 

 ともかく行かせてもらう

 

「行ってらー…グビ」

 

手を振って酒で喉を癒す、最高に意味が分からない

ともかく霊夢達をさっさと確認しよう、そうじゃないと…

 

「あ!せん!」

 

 うん?

 

聞き覚えのある声がした

振り返ると水色が居た

 

「にとりだよ!誰が水色だよ!」

 

 そうとも言うな

 

「それしかないよ!」

 

キー!と顔を赤くさせる河童

こいつは河城にとり、妖怪の山に住む河童だ

貴方が使う銃や家のコーヒーメーカーの点検等をしてもらっている

報酬として無縁塚から撮ってきた機械等を渡している

ただ、今はご機嫌ナナメの様だ

 

「あのfuckin'spiderが…クソッタレ」

 

 キャラが吹き飛んでるぞ

 

 「吹き飛んでなんてないさ!」

 

 水質が酷くなるのがそんなに嫌か?

 

「外の世界にある川には入りたくない」

 

どうやらあの蜘蛛人と戦争をしたようだ

かなり昔から土蜘蛛を敵視しているのは知っている

おそらく問答無用で吹き飛ばしたことだろう

 

「盟友が教えてくれた大和の46cm砲で吹っ飛ばしたんだ!」

 

 原寸大か?

 

「いや?小さくしてある、でも威力は同じだよ!」

 

これが河童クオリティ、出来ぬ事は無い

ともかく恐ろしい技術力だ

 

 ここに来るまでステルス迷彩を使っていたのか?

 

「そうだよ、一応盟友用にもう1つ取ってきたんだ」

 

そう言うと来ている服と全く同じ服が出される

貴方は服を脱ぎ捨てるとそれを受け取る

 

「内側の胸辺りに起動システムがあるんだ」

 

 なるほど、これは使えるな

 

カチカチとシステムを起動する

シュンッと言う音と共に貴方の姿が消える

実用的な機能だ、貴方はそう思いながら実態化する

 

 ありがとう、じゃ行くか

 

「そうだね、熱源を使ってやりたいこともあるし」

 

貴方は飛翔した




ふと、妖夢に憑依する作品がない事に気付いた
学園物もやりたい




…書くかぁ!(書くとは言っていない)


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心読み

飛ぶ、飛ぶ、飛ぶ

私と魔理沙はせんに鬼を任せ、飛んでいた

実をいえば私も戦おうと思ったが任せろと言われたから任せた

彼の実力は信頼出来る、殺し合いなら私は負けてしまうだろう

しかし今の幻想郷は弾幕ごっこが主流だ、出番は少ないように感じる

時たま幽香とか、レミリアとか、古参達と殺っているらしいけど

私も戦いたいけど一瞬で倒されそう

 

「悪いな霊夢」

 

横で魔理沙が謝る

多分油断したことを謝っているのだろう、さっきもだけど

そんな事気にするほどでもないと思うのだけれど

 

「大丈夫よ、気にしてないわ」

 

「それよりも気にかけている事があるだろ」

 

「彼なら…問題ないわ」

 

「確かに…あの幽香と対等以上に戦うくらいだし」

 

彼の実力はどのくらいだろうか

単純な殺し合いなら私を上回り、戦闘狂の幽香おも超える

というより彼が負けたところを見たことが無い

蓬莱人にも、妖怪にも、人間にも

彼には何か負けられない理由でもあるのだろうか

 

いや、あるのは使命だけだ

 

私を脅威から守る、それだけの為に

 

多分命も捧げてしまう

 

彼がこの世から居なくなるのは…

 

「…らしくないわね」

 

「ん?」

 

「いえ、なんでも無いわ…んん?」

 

「どうかしたのか?」

 

なんだろう、懐に何か入っている

私はそこをまさぐった

 

「どうした、何かあったのか?」

 

「…これは」

 

出てきたのは陰陽玉だった

白と黒の玉、しかし赤いオーラを放っている

それをじっと見ていると浮かびだした

数秒すると声が聞こえた

 

『 あーあー、マイクテス…マイクテス』

 

「…」

 

「えっ何これは…」

 

魔理沙は困惑した表情だった

当たり前だろう霊夢の懐から大きな玉が出てきたかと思えば喋りだした

本当なら「キェァァァェェェェァァァァァァァァァァシャァベッタァァァァァァァ!!!」と叫びたいところである

 

「紫…?」

 

『 聞こえてるわね、オッケー』

 

「何これ」

 

「私が聞きたい」

 

『 通信用に用意した物よ』

 

私は少し顔を顰めた

こんなものいつの間に懐に入っていたのだろうか

そう疑問に思った瞬間分かった、スキマで入れたんだ

 

「普通に入れなさいよ」

 

『 貴女がとっとと行くからでしょう』

 

「止めなかった貴女も悪いわ」

 

私は溜息をついた、今度からは確認しようかしら

いや、また同じことをされるだけだと思うわ

面倒だし止めておきましょう

 

「あれか?」

 

魔理沙が指を指す

その先には紅魔館とは正反対の建物があった

ステンドグラスで彩られた窓と館

ここに元凶が居ると私の勘が囁いている

 

「よっと」

 

地面に着地、そしてドアの前に立つ

魔理沙が珍しくコンコンコンとノックを正確に三回入れる

しかしなんの反応も無い、固く閉じたままだ

 

「そうだ、これを使うか」

 

そう魔理沙が言うと懐から針金を出した

何をするというのかしら

 

「何処に…あった」

 

「…」

 

鍵穴を見つけるとそこに針金を刺す

そしてカチャカチャと弄り始めた

 

「それは何かしら」

 

「ぴっきんぐって言う技術らしいぜ」

 

「どんな時に使うのよ、それ」

 

「私は紅魔館に入る時にたまに使うが…よし開いた」

 

「早っ」

 

話しているうちにかこんと音が聞こえた

軽く押してみるとギギギギとドアが開く

そこはエントランスだった

カーペットの左右に光る石がはめ込まれている

階段の辺りに女の子が居た、コードを伸ばした女の子が

 

 

「騒々しいですね」

 

ソイツは眠たそうな目でこちらを見た

なんだか、あまり良い気がしない

筆舌に尽くし難いがこう、不快感があるというか

 

「ええ、私は覚ですし」

 

「ああ、そういう事」

 

なら

 

「ならぶっ飛ばして異変解決ですか?貴女の方が吹き飛んでますよ」

 

「…厄介ね」

 

私は大幣を構える

早く彼に来てもらおうその方が

 

「好都合ですか?聞く限り私には手に負えませんね」

 

「あいつを上手く操れるのは心を読めるひとくらいかしら?」

 

「どうでしょうか?そこの空気もそう思うでしょう」

 

ハッと魔理沙が顔を上げる

 

「あ…あぁ!その通りだ!全くもってその通り!」

 

「聞いてなかったでしょう」

 

「聞いてないわね」

 

「う…まぁいい、さっさとやる!動くと撃つ!」

 

「動かなければいいじゃないですか」

 

そんな戯言と共に戦闘が始まった

 

──────────

 

 ゴロツキに襲われなかったのか?

 

「思っていたより優しかった…」

 

 そらよかったな

 

そんな会話をしながら空を飛ぶ貴方とにとり

地霊殿へと続く道があるが使わないことにしている

理由としてだが、道が無い

多分あったのだろうくらいの痕跡くらいしかない

霊夢と魔理沙が派手にやったらしいな

 

 そういえば何故ここに河童がいるんだ

 

「気になるかい?」

 

 ああ、勿論

 

河童は妖怪の山にて暮らしている

あそこだけ技術が異様に高いのはこいつらのおかげだ

何やら最近近代化が進んでいるらしいが…

誰だったか忘れたが妖怪の山の兵装を近代化している

武器や装備は見た目は変わらないが中身が凄まじいらしい

ステルス迷彩、高周波ブレード、レーダー、コンポジットボウ…

相手にしたら厄介な事この上無いだろう

聞くだけでも面倒な気持ちになってしまう

 

「見えてきたよ!」

 

 紅魔館の正反対、か

 

前述の通りの、建物が見えてきた

大きなドアは少し空いている

貴方はその隙間に体を滑り込ませた

にとりはいつの間にかステルス迷彩を発動している

 

「う…あ…」

 

そこには霊夢と対峙する貴方がいた

 

 霊夢

 

「…せんごめんなさい、交代してくれるかしら」

 

 あいわかった…魔理沙

 

「あいよ」

 

魔理沙に霊夢を預け幻影に体を向ける

その後ろには女が居た

覚妖怪、戦闘スタイルはそういう事か

 

「貴方はただの文って奴でしょうか、まるで読めませんね」

 

「"なにを言っている?"真実ですよ、貴方は知らないでしょうけど」

 

 …手加減はしない

 

貴方は刀を抜いた、霊力を込めた青い刃だ

目の前の幻影も同じ刃だった

 

 …想起

 

「そう、これがトラウマ。博麗霊夢という女のトラウマ」

 

 俺自身、か。面白いな

 

「貴方は色んな女の事を考えている、淫らですね」

 

 俺は俺だ、俺にはせんという名前がある!

 

「貴方はただのマリオネットです、ただの操り人形なんですよッ!」

 

 うるさああああぁぁぁい!俺の運命は俺が決める!俺は操り人形じゃない!

 

「貴方の運命は既に決まっている!変えることは出来ない!」

 

 あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!

 

貴方は咆哮した

 

自分の運命を変えるために

 

 

 

「貴方のトラウマ、存分にさらけ出せッ!」

 

 臟を引きずり出してくれるッ!

 

 




さぁ、トラウマを越えよう!



現実

こいし

んー記憶から消す方法なんてあったっけ…
無かったような気がするなー
でもまあいいや、そんなに気にするほどでも無いし
それよりも貴方達?見ているよね?
せんだっけ?同姓同名っているんだねー
回忌って人から伝言があるの
「作品を評価してほしい」、だって必死だねー
最近は失踪したようにかんじているからなー
私達、操り人形みたいなものだし、これらしか喋れないの
受験が3月8日に終わるから、それまで待ってみて、投稿するはずだから
といっても何故か投稿してるみたいだね、ふしぎー
まぁ、エイペックスとかWowsとかやりたい物は沢山あるらしいケド

それから誤字報告してくれた貴方、本当にありがとう


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マリオネット

幸運を!


 くたばれクソッタレがあ゛あ゛あ゛あ゛!

 

「めちゃくちゃな攻撃ですね、まるで駄々をこねる子供みたい」

 

貴方は滅茶苦茶に二振りの刀を振っていた

それこそ床、天井、壁に切り傷が生まれるほど大雑把に

幻影はなんとか受け流しているが切り傷が段々生まれ始めている

 

 Ypaaaaaaaaaaaaaa!(ウラァァァァァァ!)

 

「ようこそコサック、今すぐくたばってください」

 

その言葉と共に貴方の幻影は横に刀を振る

その太刀筋は貴方自身の物

だが、今の貴方の太刀筋はまるで素人だ

 

理性と殺意のまま獲物を振るだけの愚か者

 

貴方は刀を構え、疾走する

 

 突撃ぃぃぃぃぃぃぃぃ!

 

「潔く負けを認めなさい、帝国主義者が」

 

刀と刀が火花を散らす

幻影と戦っている筈が本物と戦っているみたいだ

だが、今の貴方には関係なかった

こいつを殺すことが出来れば、それで

 

「それで?そこからの言葉は用意されてないみたいですね」

 

 俺はちゃんと思考している!おれには心がある!おれには…

 

さとりは溜息をついた

そして決定的な事を言う

 

 

 

 

「貴様はただの人形だ!用意された事しか言えない、しかもまがい物だ!

 可哀想にな、私達と会うにはこれしかなかったのか」

 

どこか見透かした目でそう言う

貴方の何かが吹っ切れた

こいつだけは、こいつだけは!

 

 これ以上息をさせるかぁ!

 

「抗いますか、どうせ私が負ける」

 

刀を横一文字に振り、構える

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━

 

私には分かる

 

彼はこの世界の住民ではないと

 

目の前で私を殺そうとしている彼は特異点(シンギュラリティ)

 

この世界は物語だった

 

結末は変わらない

 

私もこうして喋らされているだけの人形だ

 

元々今代の博麗家には兄弟は居ないはずだ

博麗霊夢は外の世界に居た捨て子だった

その霊力を見込まれて八雲にひろわれたのだろう

ただ、回忌は歴史を改変した

彼は博麗の巫女の裏側を作ったのだ

どんどんと(原作)から離れていったのだ

この世界に紅白斬鬼やダレイットダイナ、狩人が居るのがいい例だ

時空が歪んで並行世界と絡み合っている

この世界ではどんなに強くても彼の駒だ

あの八雲でさえ、ただ用意されたセリフを言うだけの駒

 

と、説明している私でさえ駒なのだろう

 

これは言わされているだけだ

 

 

 

目の前で彼が刀を構える

怒りのあまり身体中に霊力と殺意を纏わせていた

左目は殺意に満ちた赤色に染まっていた

刀の刃も青から殺意の赤色に。

その燃えるような左目からは燃えるようなオーラが揺れていた

 

 殺すッ

 

そう短く叫ぶと彼の周りに赤いナイフが生成される

見ただけでもわかる、霊力の塊だ

今の彼の状態を見た限り刺さったら…死ぬ

 

「古明地さとり…私の名前は、古明地さとり」

 

ポツリと私は呟いた

多分名前を出すところが無かったのだろう

確かに名前を出す雰囲気では無い

 

 さとり、さとり、さとり、さとりさとりさとりさとりさとりとさとりさとりさとりさとりさとりとさとりさとりさとりさとりとさとりさとりさとりとさとりさとりさとりとさとりさとりさとりとさとりさとりさとりとさとりさとりさとりとさとりさとりさとりとさとりさとりさとりとさとりさとりさとりとさとりさとりさとりとさとりさとりさとりとさとりさとりさとりとさとりさとりさとりとさとりさとりさとりとさとりさとりさとりとさとりさとりさとりとさとりさとりさとりとさとりさとりさとりとさとりさとりさとりとさとりさとりさとりとさとりさとりさとりとさとりさとりさとりとさとりさとりさとり

 

「うるさいですね、そんなに私が好きですか」

 

 

 

何かを叫んで彼は刀をせんの幻影に突きつけた

瞬間赤いナイフが速いスピードで突っ込んでくる

そんなに自分が人形だと認めたくないのだろうか

確かに自分は自分で居たいだろう

だが、現実だから

 

「諦めなさい」

 

 ぐッ!?

 

幻影にナイフが刺さると同時に私は彼の顎に肘を入れる

彼は苦しそうな顔をした後倒れる

 

ガッ

 

…そのまま後頭部を打ち付けてしまった

カラーんと二振りの刀が床に落ちる

心が読めなくなったので恐らく気絶したのでしょう

記憶が吹っ飛ぶくらい強く打ち付けてしまっている

もしかして今言ったことも忘れたかもしれない…

 

 うう…ん

 

彼は起き上がった

そしてこちらを見ると首を傾げた

 

 …あんた誰だ?

 

その心は困惑で染まっていた

 

 

 

 

 

_______________________

 

 あんた誰だ?

 

河童とここに来たと思ったら倒れていたそれに女が居た

なにを言っているか分からないと思うがそういう事だ

 

「自己紹介をしておきましようか?私は古明地さとりです。」

 

「そうです、ここ地霊殿の主ですよ」

 

 なるほどな

 

つまるところ黒幕のところに一気に来たわけだ

今すぐ調理して帰ろう、それがいい

 

「あー私じゃないですよ、その地上の間欠泉とやらは」

 

 それじゃあ誰が

 

「私のペットですよ、ペット」

 

確かにここには様々なペットが沢山いる

それのうちどれかが地上に対して蜂起したのだろうか

 

「間違っていはいませんけれど…ちょっと、博麗に因縁がありまして」

 

 倒したら全て解決する、今回のは嫌な予感がする

 

「終わったかしら?」

 

霊夢が扉を開けて入ってくる

その服装はかなりボロボロだった

 

 今からが本番だ

 

「そう、じゃあ本気出さないとね」

 

 その…蜂起を起こした奴のところに案内してくれ

 

そいつは少し遠慮がちに言った

 

「分かりました…ついてきてください」

 

 




オッハー!オッハー!

受験が終わって最高な気持ちです

今ならなんでも出来る気がする


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ペット

さて、その…古明地さとりだったか…そいつについて行っている

最初はここ(地霊殿)の主であると知って警戒したが、犯人では無いらしい

ペットが凄い力を手に入れて地上を侵略しようとしているらしい

その凄い力が何か分からない…

貴方達は廊下を歩いていた

その…蜂起したペットの所にである

 

「にゃーん」

 

 ん?

 

ふと鳴き声がしたので見てみると猫が居た

見た限り普通の猫…

 

「そいつ猫又じゃないか?」

 

猫の後ろを見ると尻尾が2つあった

なるほどこれは妖怪だな

先程から普通の動物ばかり見ていて感覚が狂っていた

いや、動物に紛れてキメラのような奴も居たが…

 

「お燐?お空は今どうしてるの?」

 

「にゃにゃにゃにゃー」

 

「そう…少し急いだ方がいいかも知れませんね」

 

「にゃー」

 

心が読めると動物との会話も可能らしい

出来る人は出来るらしいが…知らんな

 

「にゃ!?」

 

「んん?」

 

猫が突然あらぬ方向に目を向け驚く

貴方達の視線はそちらに向いた

 

「何もないじゃないか、どうしたんだ猫ちゃん」

 

「いゃーそうでもないかもね」

 

「あぁ…そうだな…」

 

 …誰だお前!?

 

一瞬見逃していたが2度見してしまった

赤髪おさげのゴスロリ少女が目の前に居た

さっきの猫が変身したのだろうか

 

「そんな回りくどい…」

 

霊夢が思わず呟く

 

「変身している時を見せるのは恥ずかしいのさ」

 

「そういうもんかね」

 

変身する時にアレな姿(スッパテンコー)になることは無い

聞く話では煙が服とか一瞬で終わるとかそんなところである

 

「にしてもお燐もよくあんな事するわ」

 

「いやーあれしか方法がなかったというか」

 

 なんの事だ?

 

「間欠泉から出た怨霊ですよ」

 

その言葉で全てを察した

 

「なるほどあんたが間欠泉から怨霊出したのね死になさい」

 

「い、いやー」

 

「で、その…ペットととやらは何処にいるんだぜ?」

 

魔理沙が聞いてきた

貴方達も聞きたいことである、特徴とか

何よりも能力だ

 

「霊烏路空、私たちはお空って呼んでいます。種族は地獄鴉」

 

 地獄鴉だ?鴉にこんなこと出来たら今頃地上滅びてるよ

 

「でしょうね」

 

さとりは否定すること無くそう言った

そんな鴉が居たら地上どころか博麗大結界も吹っ飛ぶ

恐らく誰かが力を与えたのだろう

 

「私もそう思いますね」

 

「それだったらソイツに聞けばいいじゃない」

 

しかしさとりは首を振った

 

「彼女は…覚えてなかったので」

 

 凄まじい力を手に入れて何も覚えていない?阿呆ゥ

 

そこにお燐が付け加える

 

「あいつは…頭が少し…」

 

 なるほど、❾ってところか

 

頭が残念って事はそういう事だろう

恐らく力を与えた誰かも覚えていない

 

「…あ、でもある単語は覚えていましたね」

 

「単語?どんな単語かしら?」

 

「確か…守矢神社だったよ…う…な…」

 

 …ははは。成程、そういう事か

 

貴方はワラッタ

なるほどそういう事だったか奴らが関係していたか…

自分達は関係していないなんてほざいておきながら…

 

「ねぇ、せん?」

 

 どうした、霊夢

 

「死なないくらいにしておきなさい」

 

 分かった、

 

「…そうね」

 

霊夢は何処かしら諦めた顔で言った

何、神は信仰で生き返る

死んだ瞬間信仰が無くなるという事は無いだろう

早苗は多分知らないだろうから、止めておこう

 

 

「…ともかく、止めてください」

 

さとりは話を戻した

 

「止めればいいのかしら」

 

「そうです、バカですからスグ忘れます」

 

 少し面倒な予感がする

 

「さっさと帰って寝ましょう」

 

そこでさとりは何かを思い出したようだった

 

 

 

 

 

 

「それと天の火でしたか、そんな事を言っていました」

 

 

 

 

 

 

 天の…火

 

凄まじく嫌な事を聞いた気がする

 

「天の火?なんだそりゃ」

 

「もしかして…八咫烏かしら」

 

 …八咫烏

 

神だと言うことは有名だろう。火を操ると言わている…

ちなみに所以は武蔵の国に伝わる伝承だ

なんでも作物が枯れるほど晴天が続いたらしい

驚く事に太陽が2つ、天に浮かんでいたそうだ

天子という人が大層心を痛めてこう思った

 

あの2つの内どちらかが偽物だろう

 

んなもん当たり前だろという答えを出した天子は弓の名人を武蔵に派遣した

やっとこさ名人の大男が辿り着いたが暑さが急に強まったらしい

それも大男の髪が焼けるほどの、だ

進めば進む程暑くなり遂には服が燃える始末

 

…ここまでか

 

と大男が思っていると日が沈み、大男は助かった

次の日太陽が上がってくる時間に丘を上りどちらが偽物か判断しようとした

すると片方が大男を焼き殺さんとばかりに迫ってくるので大男は反射的に撃つ

すると大きな断末魔が聞こえ、何かが地面に落ちた

 

と、言う話である

神か、と聞けばどちらかと言えば妖怪だろというものだ

というか初めて聞いた時は神とは全く思っていなかった

 

「八咫烏ですか…確かに熱を使えるようになっていますが…」

 

 が?

 

「あれはどちらかと言うと…マグマというか、なんというか」

 

「八咫烏である事は間違いなさそうね」

 

能力が何であれぶっ飛ばすだけである

なんの問題も無い、いつも通りである

最早親の顔より見た光景である

 

「そうですね…貴方達の間ではそれが主流のようですし」

 

そう言うと歩を止めた

そこにはガラスがはめ込まれてあった

覗いてみると円筒状になっていた

底にはマグマと…雪の結晶のような足場ぎあった

その中央に女が居た、黒い翼、白いブラウス、緑の霊夢のようなリボン。

ここから見えたのはそれと左手の木の棒

 

 …核?

 

ぽつりと貴方は呟いた

 

「さ、やりましょうか」

 

 …そうだな

 

貴方達はガラスを開け、中に飛び込む

熱風が文字通り暑い歓迎をしてくれた

そして女の前に浮かぶ

 

「…誰だ」

 

女とは思えない低い声

胸の赤い目と緑のスカート

 

「さっさと止めてくれないかしら」

 

「無理だ、地上を灼熱地獄にするまではな」

 

そういうとこちらを見る

 

「…お前は」

 

 なんだ、知人にでも似ていたのか

 

そういうとお空は笑った

 

「お前の事を忘れたことは無い、博麗せん

 

 …お前が何故知っている

 

「私たちの主にあんな事をした事を後悔しろ、懺悔しろ!」

 

途中から叫び声に変わっていく

貴方は先祖に何かされたと理解した

 

 お前は昔に取り憑かれているだけだ!

 

「黙れ!貴様だけは殺す!」

 

 こうなったら実力行使だな、気を失ってくれよ

 

「やるしかないのかしら」

 

「こりゃやばそうだな」

 

魔理沙は冷汗をかいた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「地獄の業火に焼かれてしまえ!」

 

お空は叫んだ




さぁ、地獄の業火を鎮圧しよう!

紫…?そんな人いましたっけ


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FIRE

首が痛くなってきますね



 弾幕ごっこなんて関係無し、か

 

開幕放たれたぶっとい熱線を見て貴方は呟いた

あれに当たれば髪も残らない程に焼けるだろう

触れた部位だけ消えている、なんて事もありそうだ

 

「はっ」

 

針を数十本投げた後札を同じくらい投げる

それを右ロールで回避し、赤い弾幕が飛ぶ

 

「邪魔」

 

それをビームで薙ぎ払い、消す

その隙に貴方は後ろ側に回り込む

囲いこんで袋叩きにするのだ

 

「くらえ、「ブレイジングスター」!」

 

「魔理沙…」

 

 このバカ…

 

空気の読めない1人によって囲い込みは失敗した

彗星の如く魔理沙が突っ込む

 

「カモだな」

 

「くっ!?」

 

その正直な攻撃方向に弾幕が置かれるが止まり、弾幕で相殺する

体の体温がどんどん上昇していく

興奮、もあるだろうが下に溜まっているマグマのせいだろう

 

「弾幕で少しずつ削るわよ!せんは近距離攻撃!タイミングを合わせてよ!魔理沙!」

 

「そんな事朝飯前よ!」

 

 さっき突っ込んだバカは何処のどいつだ?

 

「恋符「マスタースパーク」!」

 

 おいこら

 

話を聞かない魔理沙からビームが放たれる

ただ、相手は神だ、それも核融合の、八咫烏

色は違うが同じようなビームで相殺される

よくみれば魔理沙の方が押されていた

 

「ツツ…ウチのは弾幕用だっての…!」

 

「夢想封印「瞬」」

 

霊夢から虹色の弾幕が展開、名前通り瞬時にお空に迫る

流石に避けないとよろしくないと判断したのかビームを、止めて避ける

 

 3人だ、お前が相手しているのは

 

「っ!」

 

そこに貴方が入り込み、切る

下、上、右、右、あらゆる方向から刀を振る

 

「痛っ…」

 

その内1つが太ももを掠める

一文字の傷から血がちろりと現れる

 

「離れろ!核熱「核反応制御不能」」

 

いきなり目の前で爆発のような…爆発だ、爆発がおきる

弾幕かと思ったがちゃんとした弾幕であった

 

 っ、危ない野郎だ…?

 

貴方の耳が何かを拾った

ギギギ…とまるで歯ぎしりをするような音がしている

 

 !?…グボエェ!

 

喉から上がる何かを吐き出した

なんとも言えぬ色の、しかもジェル状の何かが出てきた

 

 核…原爆症…?

 

それは自分の体を見て確信した

痣、口から出る血、怠さ、目眩。

それ以前に目のピントがぼやけている

 

せん!?大丈…」

 

 こっちに来るな!お前もそうなる!

 

貴方は永琳に貰った万能薬を使う

錠剤状のそれを口に放り込み、砕く

見る見る内に出てきた

先程の症状が全てなくなり、霊力も戻っている

 

 あー…

 

あまりいい気分では無い

 

「奴の攻撃したところには留まらない方が良いみたいね」

 

 そうだな

 

「遠距離しか出来ないのか?」

 

 …いや、それは無いな

 

「どうしてよ」

 

 あいつが放射線を発しているわけじゃない

 

「ほうしゃせん…?まぁいいか」

 

 それに…

 

「ん?」

 

 お返しも必要だろうな

 

貴方はピッと指を指す

 

 

 

Enemy East and west directions confirmed(敵の東西南北方向を確認)

Enemy East and west directions confirmed(東の方向へ照準開始)

 

貴方の後ろに霊力が集まる

 

Right gun, left gun, middle gun, loading(右砲、左砲、中砲、装填開始)

Finish your gun(主砲、敵に照準完了)

Everyone around you prepare for the shock(お近くの皆様は衝撃に備えてください)

Left right, good left, middle good, ready to fire(右良し、左良し、中良し、発射準備完了)

 

それは貴方の後ろに現れた

目を見張る巨大な機構

見たものを圧倒するそのサイズ

鈍く輝く三連の砲身

 

 

Fire! Gun sign 'typethreeBullet'(撃て!砲符「三式弾」)

 

 

 

 

 

 

 

 

「oh......」

 

「久しぶりだわ、こんな気分」

 

視界を覆う閃光と煙

 

 切り札はこれに限る(限るとは言っていない)

 

貴方はぽつりと呟いた

 

「いてて…」

 

煙の中からお空が出てくる

 

「っ…」

 

霊夢は大幣を構える

 

「まだやる気か?」

 

魔理沙は八卦炉を向ける

 

 やめとけやめとけ、復讐程醜い物は無いんだ

 

2振りの刀を構える

 

しかし、お空は首を傾げて

 

 

 

「え?何を言っているの?」

 

 

 

 

 

「「「は?」」」

 

 

 

 

 

 

そんな声が貴方達の口から出た

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「言ったと思いますが彼女、控えめに言ってバカなので」

 

「さとり様!私はバカじゃないです!」

 

「はい私がさっき言った言葉は?」

 

「何でしたっけ…」

 

 …バカだな

 

「バカね」

 

「バカだわ」

 

「馬鹿だねぇ…」

 

異口同音

いつの間にか実態化したにとりもそう言った

三歩で忘れるじゃないくて3秒で忘れる、か?

 

「そうともいいますね」

 

「それよりも、ちゃんと管理しておいてよ」

 

「はいはい分かりましたー」

 

手をフラフラ振りながらさとりはそう答えた

ジトりとした目がさらに苛立ちを呼ぶ

 

「…本当に管理するのでしょうね?」

 

「私、嘘は嫌いなので」

 

そういうとそのままどこかにいってしまった

 

「変な奴」

 

吐き捨てるようにそう言った

 

「さとり様を侮辱したなー!」

 

「1+1は?」

 

「それを答えるのはとても難しいわね

 普通の計算で行けば2でしょうけど

 相手によれば田んぼの田なんてあると聞くわ

 つまりこれは心理戦よ

 貴女が普通なのか巫山戯ているのか、どちらか決めるためのね

 貴女がひねくれていれば田んぼの田だし正常であれば2

 簡単な話でしょう?それに…」

 

「この前の会話は?」

 

「なにをいっているの?」

 

「…そういう事ね、かんっぜんに理解したわ」

 

霊夢は最早諦めたようだ…




終盤に入って…ると思う


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戦う少女

今回短め

Q︰1000ポッチしかないやん!どうしてくれんのこれ!

A︰次は戦闘なので長くします


 ん…

 

目が覚めた

パッチリと、目が覚めた

歯車がカチリとハマった感覚だ

分かりやすく言えば最後のパズルのピースがハマった感覚

 

全ての記憶…とまでは行かないが、思い出した

 

自分が何者で、役割は何か

 

貴方は博麗せん

 

博麗の者、彼女の兄

 

使命を全うしなければならない

 

幻想郷の要を治すのも、使命だ

 

壁に立てかけられた刀を取り、立つ

と言っても今すぐやる訳には行かない

この身を休ませ、戦いに備えなければならない

そう思っていると誰かが入ってきた

 

せんさん…」

 

あぁ、その眼帯は見覚えがある

その他にもその頭と腰にある尻尾と獣耳はもっと知っている

 

 椛

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女以外にも人は来ていた

フランドール、魔理沙の2人だった

 

「よぉ、せん

 

手を振って中に入ってくる魔理沙

魔理沙と会うのは久しぶりな気がする

記憶の中でなら何度でも会った

 

「お兄様…」

 

少し後ろめたいような顔で入るフラン

貴方は彼女にはにかんだ

 

 俺は大丈夫だ…大丈夫、全て思い出した

 

「全て…?」

 

「そうか…じゃ、今どんな気分だ?アイツの兄と知って」

 

魔理沙が単刀直入に聞いてくる

これと言って不快な気持ちは湧いてこない

気持ちは決まっているから

 

 …矯正してやる

 

「その意気だぜ」

 

「でも…」

 

フランが少し困った様子で言う

 

「少し邪魔者がいるのですよ」

 

椛が言葉を繋げる

曰く貴方を自分の物にしたい奴らだ

文と霊夢確定として他に誰がいるのだろうか

 

「お姉様…」

 

フランが蚊のような声呟く

なるほどそういう事か。

独占欲が強いのは文と霊夢の2人だがレミリアは…どうだろう

彼女の考えていることなんて分からない

 

 彼女達は

 

「今なにをしているか?こっちに来てますね」

 

椛が外を睨みつけた

成程もう場所はバレているのか

しかし、今のままじゃまともに戦えない

ならば、彼女達に頼むしかない

 

 …退けてくれるか、回復するまで

 

「分かったぜ、やってやる」

 

「分かりました、仕事の関係なんて関係ありませんね」

 

「お兄様の為なら、お姉様なんて…」

 

目的はなんであれ頼りになりそうだ

ここも騒がしくなるだろう

貴方は回復を待たなければならない

中途半端に戦っても意味は無い、邪魔ななるだけだ

 

 悪いな

 

「任せてくれ」

 

 

 

歪んだ彼女達を最終的に相手にするのは貴方だ

ここで魔理沙達が退けても意味が無い

 

己の業と向き合えせん

 

逃げていても意味はないのだ

 

 

「やるかー!」

 

「…絶対に負けない」

 

魔理沙はうぉーっと言う感じに

フランはグッと手を握る(ドカーン)

2人はそのまま地霊殿の外に出ていった

 

椛が部屋を出る前に振り返った

 

「行ってきます」

 

貴方は出来る限りの笑顔で

 

「行ってらっしゃい」

 

と、返した

 

 

 

 

 

 

 

 

少女達は向き合う

 

「魔理沙、今すぐ帰りなさい」

 

「はっ、そうもいかないな霊夢。私は託されてるんでな」

 

対面する巫女と魔法使い

 

「貴女とは戦いたくなかったわ」

 

「お姉様…先に言っておくわ、ごめんなさい」

 

対面する姉と妹

 

「あややーいつから貴女はそんなに偉くなったのでしょうかー?」

 

「これでも天魔の側近兼団の隊長、結構偉いですよ」

 

対面する上司と部活

 

その獲物が、交差する

 

戦いが始まった




さぁ、パワーを見せつけよう!


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「弾幕はパワーだと学ばなかったのか?」

寮のそれで忙しいので少し開きました


「先手必勝!くらえ、恋符「マスタースパーク」っ!」

 

「 先に負けるとも言うわね」

 

最早様式美と化した弾幕を張る

キラキラとしたそれは魔理沙の心の様だ

 

「はっ」

 

針をその弾幕分飛ばし、相殺、接近する

今の霊夢の思考は読める。

どうせさっさと終わらせるといういつものなのだろう

 

「おっと」

 

「ちっ」

 

「くらえ」

 

振り下ろされた大幣を避け弾幕を発射

吹き飛ぶ威力にだけ変えているので霊夢は吹き飛ぶ

気絶してくれれば時間が稼げる…が

 

「そうもいかない、か」

 

「全てが上手くいかないなんて思わないこと、親から習わなかった?」

 

「悪いが親とは縁を切っているんでな、ハハ」

 

思わず失笑してしまう

あの出来事はあまり思い出したくは無い

でも、両親はまだ自分に優しくしてくれる

人里がもう少し保守を捨てたら、勘当なんてしなかったのだろうか

 

それはどうでもいい

 

今は目の前に集中しよう

 

自分に託された物の意味を忘れる訳にはいかない

 

左に回り込みながら弾幕を放つ

星々が絡み合い、散る

散った弾幕にも勿論攻撃判定はある

しかしそれを容易く避けるのが博麗霊夢

 

「流石博麗の巫女と言ったところか…負けてられないな!」

 

「来なさいよ、私は早くせんのところに…」

 

「そう、急くなよ、お前」

 

そうして魔理沙は弾幕を止めずに懐から1枚の紙を取り出す

 

「こいつはパクリじゃ無い、オマージュだッ」

 

一瞬弾幕を止める

 

「証拠に威力が本家より強いぜ?

 

 恋符「ノンディクショナルレーザー」!」

 

魔理沙を囲うように5色のレーザーが発生、回転していく

その隙間に入り込む霊夢に魔理沙は弾幕を加える

 

「いやらしい弾幕ね」

 

「お?なんの事だ?」

 

「徐々にレーザーに寄せる弾幕…好きじゃないけど嫌いだわ」

 

「えぇ…そりゃないぜ」

 

少し残念そうにいうが、それに反してレーザーの光と弾幕は濃くなっていく

気に入られなかったのが嫌だったのか?知らんけど

 

「そこ、夢想封印・瞬」

 

「ぐわっ!?」

 

早い

 

虹色の大きな弾幕が発生したのまでは見えた

だが、それから向かって来るのは見えなかった

 

「厄介な…!」

 

「降参したら?危害は加えないわ」

 

「悪いがこちらにも引けない理由はあるんでね…!」

 

スペルカードを持った手のひらを返し、唱える

 

「魔符・スターダストレヴァリエ」

 

弾幕を展開する七つの、七色の弾幕が開く

霊夢は外側に居ると危険だと判断したのか内側に接近する

内側では七つの弾幕が花弁の様に広がっていた

 

「やられっぱなしは嫌いだわ」

 

スペルカードを掲げる

 

「夢符・封魔陣」

 

赤の弾幕と同じく赤の弾幕が発生する

大幣を魔理沙に向ける

赤と七色の弾幕がぶつかり合う

 

先に消えたのは七色の弾幕だった

 

「ちっ、蹴散らすか!」

 

二倍はいつだって強い

 

「彗星・ブレイジングスター!」

 

彗星の如く弾幕を撒き散らして突撃する

 

「彗星じゃなくて桜花がお似合いよ、魔理沙」

 

するりと横に避ける霊夢

おまけの弾幕もしっかり躱していく

 

「私は星が好きなんでな」

 

「そう?夜空が好きなのかしら」

 

「それじゃ夜空でも見てな」

 

ブレーキを掛けて止まるとそのまま足を振る

ガキんと足に衝撃が走った

見れば霊夢が大幣で攻撃を防いでいる

 

「やるな、だが終わった訳じゃないっ」

「上等よ」

 

「魔十字・グランドクロス」

 

「おい」

 

光の点が展開される

黄色の弾幕をまたおまけとして数十個配置する

 

「くっ」

 

刹那霊夢の腹に光の針が刺さる

光の点が十字に変わっていた、その先端が腹を貫いたのだ

 

「油断したわ、なかなかやるわね」

 

「お前とどれだけ異変解決したと思っているんだ、ん?」

 

「さぁ?星の数よりは少ないでしょうね」

 

魔理沙は苦笑する

 

「あんなに異変は怒って欲しくないな、はは」

 

霊夢は一旦弾幕を展開しながら下がる

それを丁寧に避けながら霊夢に魔理沙は近づいていく

 

「夢符・二重結界」

 

それを拒むように札が展開される

霊夢の周りに紫色の四角形が二重に生成される

スペルカードの通り結界だ

 

「くそ、近づけない!」

 

結界なので破壊するかブレイクするまで耐えるしかない

破壊するには火力が必要、なら…

 

「これは弾幕ごっこじゃないからな!恋符・マスタースパーク!」

 

ビームを発射する

 

これは殺し合いだ

 

ごっこではない

 

だから禁じ手だって使っていいのだ

光りすぎて最早白色に変わったビームが結界を破壊する

魔理沙のその行動にやっと気づいたらしい

 

「そうだったわね、これは殺し合いだったわ」

 

「降参したらどうだ?」

 

「いやよ、無想転生」

 

霊夢から陰陽玉が霊夢を囲うように6個出現

衛星の様に回り始めたかと思いきや今度は霊夢の姿がブレる

 

「ちっ、使いやがったか!」

 

「どうせこうなる事はわかっていたでしょうに」

 

「はっ、その前に倒すつもりだったさ」

 

魔理沙は構えた

今から霊夢は無敵状態になる

空を飛ぶ、だけじゃ無いのだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女はこの世から浮いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぬおおお!」

 

陰陽玉から発射される無数の弾幕

先程からグレイズしか出来ないこの状況

しかもその1つ1つに殺傷能力がある

もし気を抜けば、死ぬ

 

「手加減くらいっしろっ!」

 

魔理沙は叫ぶがそれに対しての反応は無い

霊夢は目を瞑り、宙に浮いている

髪や服はそれぞれがヒラヒラと舞っている

今は目の前の障害を退けることしか考えてえないのだろう

 

「霊夢がその気ならこっちだって!」

 

やるしかない

このまま避け続けているといつか落ちる

一か八か、賭けてみるしかない

 

「うおおお!彗星・ブレイジングスター!」

 

弾幕を潰しながら進むならこれが1番だ

 

「いっけぇー!」

 

彗星の如く、光の尾を引きながら突き進む

魔理沙を包むように弾幕が生成される

それにぶつかる多数の札

ガキンガコンと凄まじい音を発していた

 

「ぐぎぎぎ…」

 

札が大量に当たって徐々に速度が無くなっていく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…魔理沙は、無くなる前に、霊夢の懐に入り込んだ

 

 

 

 

 

 

「くらえ!恋符・ファイナルスパークッ!」

 

 

 

 

 

 

失明するかと思う程の閃光

気が付けば魔理沙は地面に落ちていた

顔を上げると大きなクレーターが出来ていた

 

 

その中心には…

 

 

 

「へっ、これで私の勝ちだな。霊夢」

 

 

うつ伏せになった、博麗霊夢

だが、死んだ訳じゃない

ファイナルスパークといっても弾幕ごっこ用、殺傷能力は無いに等しい

だから、多分気絶しているのだろう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「弾幕はパワーだぜ!」

 

 

魔理沙は得意気に言った

 



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「危険を冒すものが勝利する」

お ま た せ

後回しにしてたら死ぬ程期間が空いた


「前々から思っていたんですよ」

 

椛は呟く

 

「私は貴様の事が物凄く嫌いだったと」

 

「今更ですか?」

 

それに嘲笑するのは文

その顔が嫌いだ、その飄々としたその顔が

 

「サシでやり合おうといつも思っていたんですがね」

 

「上はそんな事ゆるさないですからねぇ」

 

決闘というのは許されていた

だが、戦力差が圧倒的だと許されなかった

強者が弱者を殺してしまう可能性があったからだ

今この場では、そんなこと関係無いのだけれど

 

「いざ」

 

「先手は譲ってあげましょう」

 

それに答えるのは椛の背負っていた大剣

抜いてから切りかかるまで見えなかった斬撃が文を襲う

その予想外に対抗出来る訳も無く、彼女はモロに斬撃をくらう

 

「ひぐぅぇ!?」

 

「舐めているからそうなるんですよ」

 

ぺっと悪態をつきながら椛はそういう

 

「…そのようですね」

 

「何時でも何処でも真剣に向き合えばよろしいのに」

 

「…ちょーと本気を出しますよ」

 

文は紅葉型の扇子を持ち直す

どうやら真剣にやるようだ

 

「旋符・紅葉扇風!」

 

文が扇子を振る

瞬間緑色の旋風が巻き起こり、土煙を上げていく

その全てが弾幕用の優しい風では無い

 

それは全てを切り裂く切れ味を持つ風の刃だった

 

「ふっ」

 

流石にそれは避けるしかない

時たま飛んでくる石の塊を盾で弾き飛ばしながら移動する

此処は少し私に有利だ

地底なので上下左右の制限がある

椛は速度を重きを置いてないのでそこまで問題は無い

だが文は違う、彼女はスピードに全てを置いている

それを制限されるのは少しキツいだろう

 

「牙狼・レイビーズネイド」

 

「くっ」

 

赤い大きな刃が周りから生成、文を取り囲む

それだけでなく大きな赤い玉がところどころ生成され弾ける

そこから手に持てる位の剣が全方向に飛び散る

 

「はぁ!」

 

扇子を仰ぎ、強風を発生させる

だが、それらは実態ではなくエネルギーなので煽られることはない

 

「がっ…」

 

風をすり抜けそれらは文に突き刺さる

刺さった瞬間それらは淡い光になって散った

 

「こりゃ不味いですねぇ…」

 

「まだまだありますよ」

 

「その前に殺る!」

 

文は扇子を構え直し、スペルカードを唱える

 

「岐符・サルタクロス!」

 

文を中心として、白の弾幕が生成される

円が7つ重なった弾幕の上に更にポツポツ配置された弾幕

それらが絡み合い、回避を困難にする

 

「邪魔っ!」

 

「嘘っ!?」

 

それらを赤い妖気を纏わせた大剣で切り裂く

目の前の闖入者は排除しなければならない

そのためには全力で行かないと

 

「くっ…寒符・天上天下の照國」

 

今度は黄色の弾幕が文の周りに円形に生成される

先程と違うのは円形の弾幕が等間隔に発車されること

それと追加の弾幕として拡散する弾幕が追加されている

速度も先程と違って早い

 

「近づきすぎたっ…」

 

あまりにも近づきすぎた、弾幕が椛を襲う

それを盾で防ぐが、下級が持つ物など破壊し易い

ヒビの入る音が嫌でも聞こえてくる

 

「こうなったら…!」

 

盾を文に向けて投げる

そしてその後ろにきっちりとついて行く

盾は弾幕の圧力に耐えきれず、粉々になった

 

「やぁっ!」

 

大剣を右上から左下へ斬る

 

「そんなっ!?」

 

そこの弾幕だけ、全て切り裂く

文が慌てて弾幕を追加生成するが、間に合わない

 

「ぐわっ」

 

目の前に飛び散る鮮血

それは切りつけた椛の清楚な顔を赤に染める

大剣で胸を切りつけられれば妖怪と言えど、耐えられない

文はきりモミ回転をしながら地面へ落ちていく

 

「…以外と、早く終わりましたね」

 

落ちていく文を見ながら椛は呟いた

 

「さてせんに終わった事を報告しますか…」

 

「誰に、ですって?」

 

「!?」

 

後ろからする声

振り向く時には遅かった

 

「がはぅ!?」

 

胸に何かが刺さった感覚

見てみれば文の腕が突き刺さっている

 

「いやー所詮白狼と油断していました、以外と強いんですね、貴方」

 

「ぐっ…が…」

 

口からは嗚咽と血しか出ない

刺された部位から血が滲み出す

 

「哨戒の隊長どころか小隊隊長にまで特進出来るわ」

 

文はニヤっと笑った

 

「私を楽しませた礼に特進させてあげる、感謝しなさい」

 

「うぐ…」

 

どさり、と地面に落ちる

文は地霊殿に視線を向ける

 

「さて、邪魔者も居なくなりましたし、行きますか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

瞬間、文の意識は闇に落ちる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ…はぁ…」

 

椛は息が絶え絶えの状態で大剣を地に刺し、縋る

峰打ちだ、死にはしない

 

「これで…いい…筈」

 

椛は視線は別の方向に向けた

そこには何も無い、ただ荒れた平地があるだけだ

 

だが、椛は知っていた

 

最初からこの戦いも見ていた1人の友人の名前を呼ぶ

 

その名前は──

 

 

 

 

 

 

 

「にとり…文を、姫海棠様に」

 

「分かったよ、君は少し休みな」

 

肩をトンと叩かれる

椛は力無く笑った

 

「そうですね…少し眠っていきます…よ」

 

「あれま、寝ちまった」

 

にとりはお疲れの友人に笑顔を向けた後、文を担ぐ

 

「全く、盟友は罪深い奴だよ」

 

そう言うにとりの顔は笑顔で満ちていた

 

「そこが魅力的でもあるんだけど…ね」

 

そしてまた姿を消す

そこに残るのは大剣に身を預けて寝る白狼の姿ただ1つだった



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「そして誰も居なくなるか?」

今日からこの作品ともう1つの作品を重点的に投稿します
…消した理由はあまり聞かないで下さい


吹き荒れていた風が止む

あの天狗達の戦いが終わったようだ

残るのは…

 

「私達だね、お姉様」

 

「フラン、もう一度言うわ、もう戻る気はないのね?」

 

フランは固いケツイを持った瞳で言う

 

「うん、もう戻る気はないし…戻れない」

 

「そうだったわね、愚問だったわ」

 

レミリアは少し表情を崩し、言った

 

「どっちが勝っても、恨みっこ無しよ?」

 

「負けたら負けたで仕方ないもん」

 

レミリアは紅い槍を手にする

 

グングニル

 

その紅き神槍に貫けぬ物は無い

 

「私は負けない、絶対に!」

 

フランは捻れた針のような物を手にする

 

レーヴァテイン

 

その信念は全てを貫く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「行くわよ!」

 

「壊れないでね!お姉様!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「神槍・スピア ザ グングニル」

 

 

先手はレミリアだ

神速の槍がフランに向けて放たれる

 

「ふっ」

 

それを横に避け、接近戦を仕掛ける

レミリアもそれに備え、新たなグングニルを生成する

 

「やっ!」

 

「ふっ」

 

紅と赤が弾け合う

どちらとも譲り合う気の無い、本気の戦いだ

 

「燃え尽きろ!禁忌・レーヴァテイン!」

 

知らないでは無い、燃え尽きてしまえ

そんな信念を込めて針を音速に回す

 

「くっ…」

 

両端から赤いビームが持続的に発射される

その回転する軌道上に赤い弾幕が追加生成される

この速度だと軌道上で避ける事も困難だ

レミリアはそう判断し、後退する

そして充分な時間がすぎるとレミリアは宣言する

 

「紅符・不夜城 レッド」

 

十字状のとても大きなレーザー弾幕が1つ展開される

そしてそのレーザーの中心から全方向に弾幕が放たれる

 

「その密度なら攻めれる!」

 

フランは確信した声で叫び、翔ぶ

近距離に行けば行く程十字と弾幕で大変だが、だからなんだ

その位で負けてたまるか

 

「禁弾・スターボウブレイク!」

 

「くっ」

 

フランの背中にある宝石が光り、弾幕が飛び出る

それぞれその宝石と同じ色の弾幕だ

スタタタタと横に厚く貼られていく

 

「危ないわね」

 

「これもの為だもん」

 

「私も、同じよ」

 

「私達って何処で道を間違えたのかしら」

 

「そうね…」

 

レミリアは悲しそうに笑った

 

 

 

 

 

 

「生まれた時から、かしら?」

 

「そう…そうかもね」

 

少し…納得出来る事だった

あの時からフランは自分の力に気づいた

…母親を殺してしまったあの日から

その日からずっと地下室に篭って、篭って、篭って…

 

気づけば400年以上経過していた

そして、彼があの日に来た…母の誕生日に

私はまた彼を殺してしまうと思ってしまっていた

狂気はあの時彼の霊力を見て、出てしまった

 

だから彼も死んだと思った…

けど生きていた、彼は強かった

それが私にとって嬉しかったのだろう、彼と合う度遊んでいた

 

ある時変な感情が湧いてきた

私にとってわからなかった感情…恋だ

最初は彼を見る度心が温まっていく感じだったけど…

なぜだか彼がほかの女とつるんでいるとイライラするのだ

狂気が殺せ殺せと叫んでしまう程に

 

でも…それで彼は喜んでくれるのだろうか

 

ある時それを彼に告白したのだ、その気持ちを

 

貴方が他の女とつるんでいると殺してしまいたくなると

 

すると…彼は言った、笑顔で

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…それをしたら、お前はお前じゃない、俺は退治するだろうな

 

 

 

 

 

 

「私が私じゃないなら…しない方がいいわ」

 

「それじゃあ今やっている争いを止める?」

 

フランは首を振った

 

「今止めてもまたするだけ、それじゃあここで終わらせた方がいいわ」

 

 

どんなに後伸ばしにしてもそれはいつか立ちはだかる

いつか必ず、だ

それならば…

 

「今終わらせた方がいいわ!」

 

「さぁ!第2ラウンドよ!」

 

フランは叫ぶ

 

「舐めプで瞬殺してあげる!」

 

レミリアは不敵に笑う

 

「それは此方のセリフよ!地べたを舐めさせてやる!」

 

 

再び弾幕がぶつかり合う

 

 

 

 

 

 

 

私はせんの部屋に居た

彼はベットに寝て、霊力を蓄えているようだった

 

「ここじゃ…ダメね」

 

私はそう思った

ここに居るだけでは何の影響も無い

スキマを開き、私は友人の元に彼を送る

彼は何の抵抗も…無いわけではなかった

いきなりの奇襲に驚いたのだろう。バッと目を開き、スキマの端を掴む

 

…八雲…紫?

 

「こんにちは、そしてさようなら」

 

…何故

 

彼は落ちる前にそう呟いた

私は妖怪らしい笑みを作り、言う

 

 

 

 

「貴方がここに居られては、幻想郷に刺激がありませんので」

 

その時の彼の顔は…

 

 

何故だか、笑っていたような

 

 

 

「貴方も、狂ってる、皆狂ってる…ふふふ…あはははっ」

 

私も何故だか笑いが出てしまった

 

 

「このっ!やぁ!」

 

「ぐぎっ…らぁっ!」

 

「うぐぅっ!?」

 

戦いは既に終わりを迎えようとしていた

双方防御を捨て、殴り合いに走っている

フランの拳がレミリアの頬を飛ばす

それに耐えて鴨居に正拳突きを当てる

それでもなお、彼女達の闘志は消えず、逆に燃えていた

 

「なかなかやるじゃない」

 

「お姉様も、ね!」

 

拳が交差し、蹴りがぶつかり合う

それはいつしかの蓬莱人の戦いのようだった

服は最早ボロ切れと化し、防御力なんて無かった

 

「これで…最後よ…フラン」

 

「奇遇だね…私もそう言おうと思っていたの」

 

息は絶え絶え、最早立つことも困難だ

それなら、最後の一撃に全てを託そう

 

「終われ!」

 

「貴女がよ!」

 

2つの正拳突きがぶつかり合う

辺りを更地にし、それでも飽き足らず窪地を作るほどに

 

煙が辺りを覆い尽くす

 

その煙が晴れ、立っていたのは…

 

 

 

 

狂気の妹だった

 

 

「終わった…終わったよ…貴方…」

 

「妹様」

 

咲夜が現れる

 

「ごめんなさい…少し運んで…」

 

「承知しました」

 

次の瞬間、彼女達は跡形もなく消えていった




今後の流れ

主人公、いつの間にか冥界→幻想郷オールスター→霊夢と和解→ハッピーエンド

以上!閉廷!解散!



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幻想郷オールスター ―全員ぶっ飛ばせ―
昼寝は、終わりだ


幻想郷オールスター、始まります

ここから戦闘しかありません

あるのは閑話くらいです


貴方は目覚めた

背中の感触が一瞬のうちにして消えたのだ

本能に従いそれの端を持つ

そこで周りの状況がようやく飲めた

 

己を飲み込もうとする目が沢山ある空間

 

最後の抵抗として端を持つ貴方を見下ろす誰か

 

こんな能力を持つ者なんて、幻想郷に1人しか居ない

 

…八雲…紫?

 

貴方は困惑した

何故彼女がここに居る?何故貴方をスキマに落とそうとしている?

 

「こんにちは、そしてさようなら」

 

貴方は彼女に向けて質問した

当たり前の質問だった

 

…何故

 

貴方はどうせ殺されるのだろうと、思った

彼女からの返答は思いもよらぬ物だった

 

「貴方がここに居られては、幻想郷に刺激がありませんので」

 

その瞬間スキマが広がり貴方は落ちていく

貴方はどうも出来なかった

 

何も…何も…

 

何故か自然に笑いが出てしまった

 

それは普通の笑いではなかった

 

見なくてもわかる、聞けばわかる

 

不規則で、口端が歪んでいて

 

 

 

 

貴方は狂気に陥っていた

 

そんなこんなで数分落ちていると背中から冷気を感じた

おそらく地上と地下世界では温度差があるのだろう

 

でも…そろそろ気づくべきだ

 

その地面に貴方の後頭部がガツンとぶつかって…

 

貴方の意識は闇に染まった

 

 

私は庭の手入れをしていた

盆栽を鋏でチョキチョキと切っていた

その時変な雰囲気を感じ、庭園に目を移す

 

「…八雲」

 

そこにはスキマ妖夢の代名詞であるスキマが開いていた

どうしてあそこに開くのだろうか

もしかして紫が来るのだろうか

私は柄に手を当て、ジリジリとスキマに近づく

 

「へ」

 

落ちてきたのはせんだった

というより後頭部から思いっきり落ちてきた

彼は全く動かない

 

「…布団で寝かせないと」

 

私はそう思い、彼を持ち上げ、運んだ

 

「妖夢ーごはん…」

 

「あぁ、幽々子様…庭先に彼が」

 

「今日は赤飯かしら♪」

 

「幽々子様っー!?」

 

あれ?幽々子様が彼を見た時一瞬固まっていたような

でも彼女に限ってそれは無いだろう…私はそう思った

だが、次の命令で私も動きを止めることになった

 

「妖夢…─────」

 

「えっ…あえ…?」

 

「ごめんなさい、本当はこんなこと言いたくないの」

 

 

 

─────────────あ

 

あぁ、そうだった

私は彼対するこの気持ちを忘れていたのか

 

彼を引き止めないと

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…彼を殺して、白玉楼の住民にしないと

 

 

…うん

 

貴方は布団から起き上がった

どうやら何処かの和室らしい

あの後気絶して、誰かが起こしてくれたらしい

立ち上がり、襖を開けて外の景色を確認する

 

そこは地上ではなく、冥界だった

 

…ここは白玉楼か

 

貴方は現在地を更新する

今は礼を言ってここをでなければ

 

「起きましたか?」

 

…妖夢?

 

後ろから声が聞こえたので貴方は振り返る

銀色のボブカットヘアー

水色よりの緑の服を着た女、魂魄妖夢が居た

 

「今すぐここを出発しますか?」

 

そうだ、すまないな、礼は後で…

 

「出させない」

 

…っ!?

 

そこで貴方は気付いた

彼女の目が濁ってハイライトが消えている

 

おいっ!妖夢!どうした!

 

「黙って獲物を構えて下さいっ」

 

いつ間にか2振りの刀を持っていた

明らかにこちらを殺すつもりでいる

 

くそっ…死んでも文句いうなよ!

 

「…はぁっ!」

 

斬撃が飛ぶ

当たれば即真っ二つの攻撃だ

 

っ…手加減くらいしろっ

 

貴方は二振りの刀を抜き、構える

霊力は戻っている…刃が青い霊力に包まれる

 

「それでいいのですよ、簡単に死んではつまらないので」

 

死ぬなよっ!

 

貴方は最初に防御しにくい突きを使う

それを妖夢は横から弾き、更に横から切り上げる

突きをしなかった右の刀で弾き、後ろに退く

 

「甘いですね、貴方本物ですか?ガッカリしますよ」

 

口の利き方に気をつけておけ

 

苦戦している訳では無い

むしろ圧すことは出来る

それが出来ないのは彼女が仲間であるからだ

彼女を上手く気絶させなければならないが、それは向こうも分かっているだろう

 

「来ないならこちらから行きますっ!」

 

くっ

 

瞬時に迫り来る斬撃

それは全て見えない程速く、速く、速く…

青の線を残すほど速かった

 

…っ、離れないと…ぐっ!

 

それに気付くまで時間がかかってしまった

青い線が貴方を囲うように作られていたのだ

そして、妖夢が呟く

 

「人鬼・未来永劫斬」

 

数多の斬撃が貴方を襲う

…だが、それが妖夢の弱点でもあった

彼女は刀を鞘に仕舞う動作に気を取られすぎたのだ

 

武士の心に反するが…先に破ったのはお前だっ!

 

「ぐがっ」

妖夢の首に向けて刀を両方とも叩きつける

彼女は重力に従い、庭の地面に倒れた

 

桜が揺れ、花びらが落ちてくる

貴方は妖夢を操った犯人の名前を叫ぶ

 

 

 

…西行寺幽々子っ!何処に居るっ!

 

「ここよ」

 

それは風を伝い、貴方の耳に入る

聞こえた声の方向を向く

そこには他の桜とは違う桜が咲かずに揺れていた

 

西行妖…そこでやり合おうってか

 

貴方は不敵に笑い、歩を進める

 

彼女を倒して…後は

 

 

 

 

 

 

 

…全員、ぶっ飛ばす

 

素直に謝っても、此処では言論で解決しない

全て、これで解決する

此処では勝者に敗者が従うのだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここは封印されし桜の下

この白玉楼の主である西行寺幽々子は扇子を仰いでいた

貴方は彼女の前に立つ

彼女はいつものふわふわとした様子で言う

 

「こんにちは、せん。今日は、いい天気ね」

 

どうして妖夢を操った

 

貴方には確信があった

妖夢は自らそういう事をするタイプ…では無いと思う

恐らく幽々子からの命令を拒否したかなんだかで操ったのだろう

 

「私、貴方が好きなの」

 

えらく直球だな

 

何故全く分からない

どうしてこうなるのか、全く

 

「貴方の魂がどんなものより純白で…欲しくなっちゃったの」

 

そりゃ勘弁してほしいな

 

幽々子は妖々しく笑い、扇子を広げる

 

「ここで死んでほしいの」

 

悪いが、まだ死ぬ訳にはいかなのでね

 

まだやる事は山ほどある

こんな"チュートリアル"で死ぬ訳にはいかない

貴方は叫ぶ

 

 

 

容赦はしない!覚悟しろ!

 

 

「華やかに散りなさい、愛おしき者」

 

 




さぁ、悪霊退治といこう!


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亡霊のお姫様 ―西行寺幽々子―

反魂蝶と斬撃が飛び交う

青い刃が紫色の反魂蝶を斬り消す

 

「貴方の魂は死に瀕する時が一番輝いているの」

 

それは何故だか嬉しい…ねぇ!

 

弾幕を避けたり切り飛ばしたりしながら接近する

その密度はかなり濃い

だが即死するのは蝶本体のみだ、散らす粒子に即死性は無い

それならば戦うことは可能だ、不可能では無い

 

「ふふ、早く死んでしまうと面白くないもの」

 

なるほど、妖夢のはお前のセリフか?

 

しかし幽々子はそれに少し首を振る

 

「それは半分正解、というところよ」

 

…どういうことだ

 

「あの子も貴方に思う所があるという事よ」

 

そう…か

 

心当たりは一応ある

貴方との会話でいきなり顔を赤らめたりとか、背けたりとか

変に何度もあう事があるとか、だ

 

そんな事より、集中しろ

 

「貴方、がね?」

 

くはっ…

 

会話をしていると通常弾幕が腹にめり込んでくる

しかし、貴方は何処か余裕そうに言う

 

へっ、通常弾幕とは…舐めてるのか?

 

「貴方はまだ本気を出していない…早く出しなさい」

 

「亡舞・生者必滅の理」

 

…ぐおおおおお!

 

幽々子から回転するように弾幕を発射

時折大きな泡のような弾幕を織り交ぜ、避けにくくする

貴方はかなり幽々子に接近していた為にほぼ全弾命中する

 

…ぐ、あが…

 

「哀れな事ね」

 

貴方は重力に従って西行妖の根元へ落ちていく

 

ドスッ

 

貴方はうつ伏せに倒れる

二振りの1つは地面に横倒しになり、片方は地面に突き刺さる

貴方はピクリとも動かない

 

「あぁ…もう貴方は…ここで終わるのね」

 

幽々子は少し歓喜した様子でそう言った

彼女の目には人魂がより一層光るのが見えたのだろう

 

…まだだ

 

「…あら」

 

貴方は膝を立て、手を刀に持っていく

地に伏した刀を拾い上げ、突き刺さった刀を抜く

ここで倒れるわ訳にはいかない

 

お前如きで止まってたら霊夢には勝てないっ…!

 

「無駄な抵抗をするものねぇ、まぁその方が楽しみがいがあるけど」

 

「桜符・西行桜吹雪」

 

幽々子より桜の花弁の見た目をした弾幕がヒラヒラと飛ばされる

それは桜から花が散るような光景に見えた

 

いきなり難易度を下げるな

 

「貴方にはちょうどいいくらいでしょう?」

 

ニヤリと笑う幽々子に貴方は不貞腐れた顔をする

接近しながら貴方は呟く

舐めやがって

 

「私達なんて、そんなものでしょう?」

 

貴方は何故だか、それが納得出来るような気がした

長く生きた者は寿命の短い者を下に見がちだ

天狗がそれだ、人間を見下し、狡猾で、ウゼェ!

 

お前達はいつも変わらないなっ!

 

斬撃を飛ばし、花弁を切り裂く

さも当たり前かのように幽々子は言う

 

「変わらないわ、これからも、今からも」

 

変わる素振りは見せてくれ

 

貴方は弾幕の間をすり抜けて行く

弾幕の間隔が一瞬大きく開いたのを確認する

そこに向けて刃型の斬撃をとばした

 

「く…やるわね」

 

隙があれば誰であろうとする筈さ

 

「確かに…じゃあ、これは?」

 

「反魂蝶ー参分咲ー」

 

…反魂蝶っ

 

思わず体を右に逸らす

幽々子から全方向に飛んで行くのは反魂蝶の群れ

彼女からビームが六本出ている

当たれば即幽々子の抱き枕と化すだろう

魂は…恐らく彼女と同化する

 

早く落ちろっ!

 

「そう言われても、落ちたくありませんわ」

 

反魂蝶を縦だったり横だったり切っていきながら貴方は進む

今の貴方は最高に興奮している様な気がする

こんなに死に瀕した事は無いだろう

 

へへへ…

 

自然と笑いが出てきてしまう

死に対する興奮など不謹慎すぎる

だが、この世界の、この時の貴方だから許される事

 

まずは一発!

 

「きゃ…野蛮ねぇ」

 

幽々子の腹横一文字に切り傷が生まれる

だが、幽霊がこの程度でダウンするのは有り得ない

 

まだまだやれるだろう?

 

「この程度では倒れませんわ」

 

「リポジトリ・オブ・ヒロカワ―偽霊―」

 

この程度で倒れろ!

 

バツの形に反魂蝶を並べ、飛ばす

それを円形に配置して、蝶たちの進行方向に飛ばす

やる事は変わらない

 

ただ―――斬るのみ

 

心を無に還し、何も考えず、目の前の脅威を斬り続ける

 

「貴方って本当に単純ね」

 

 

貴方は答えない

目からは既にハイライトが消えている

その姿はまるで幽鬼の様に恐ろしいものであった

 

「貴方の場合…こうして」

 

…っ!

 

「ほらかかった」

 

斬る、という思考に取り憑かれていると正常な判断が出来なくなる

そう幽々子は判断したのだろう

その判断は間違っていなかった

現に貴方は囮として出された反魂蝶を斬り、それは斬られれば大量に増える反魂蝶だった

ただし、彼女が誤解している事が1つある

 

 

 

 

 

 

 

…この程度、斬れなければ博麗の巫女は守れない

 

 

 

 

 

「嘘…」

 

…シィッ!

 

それを全て切り裂き、幽々子の元へ飛び込む

幽々子は観念した声で言った

 

「…確かに、貴方は強い」

 

「それじゃあ…これを受けてなお、私に斬撃を加えるなら…」

 

「私は、貴方を諦めてあげる」

 

「でも、友達には…なってもらうわよ」

 

貴方はそれを構えで返答する

どんな攻撃であろうと、絶対に受けれる構えで

幽々子は唱えた、最後のスペル…ラストスペルを

 

 

 

 

 

 

―西行寺無余涅槃―

 

 

 

 

 

幽々子の背景に幽々子の愛用している扇子に描かれた模様が浮かび上がる

瞬間体温が下がる感覚を感じた

いや、下がった様に感じたのだ

 

 

突き刺ささる殺気によって

 

 

最後に相応しい、死を呼ぶ亡霊ならではの、殺気

 

これで終わりだ

 

「これで終わり、ね」

 

幽々子から小さな反魂蝶が大量に放出される

それらは3匹1組に全方向に散らばる

そして3秒間隔程に大きな反魂蝶が出現する

回避不可能といっても差し支えないこの弾幕

しかも耐久スペルに分類される為長いこと、長いこと

 

 

 

 

 

 

…しかし、そんなことは関係ない

 

 

 

 

 

っ!邪魔だぁぁぁぁー!

 

「ひゃっ」

 

霊力を刀に込め、幽々子が居る場所に放つ

それは反魂蝶を消し飛ばし、桜の花びらを舞い散らせて…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私の…負け…ね」

 

お前の負けだ、だが…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これからは、"ただの"友人だ

 

「…それは、少し、無理かも…ね」



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紅き館

貴方は階段を下りる

長く、先が見えない階段

しかし冥界と現界の出入口は以外と早く現れた

そこから見えるのは人里などの幻想郷の風景だ

何処に居ようと変わらない、幻想郷

 

…貴方が居るから、変わった幻想郷

 

シンギュラリティなんて、必要か?

 

必要だ、退屈な妖怪には必要な者だ

 

それが幻想であったって

 

彼女達も彼等も、今もなお、幻想郷を歩む

 

その穴から飛び降りる

 

行先は決まっている

 

悪魔が支配する紅き館

 

運命を読む吸血鬼の姉

 

狂えし吸血鬼の妹

 

そこに向かって、全てを終わらせる

 

今から幻想郷は騒がしくなるだろう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…ショータイムだ

 

貴方はそう、1人呟いた

 

 

 

 

 

 

 

「…そうするの」

 

「ええ、彼と戦うなら"平等"でしょう?」

 

「そうだね、これが一番…だね!」

 

吸血鬼の妹は嬉しそうに言う

あれから姉妹の仲は改善された

会えば唾を吐き合う…みたいな事は無い

翼が無ければ、外国人の仲のいい姉妹…にしか見えないのだ

 

やる事は単純明快だ

 

「でも、いきなり私達っていうのは…」

 

「そうね…咲夜」

 

「はい」

 

瞬時に銀色のメイドが現れる

吸血鬼の姉は命令する

 

「小手調べね、お願い」

 

「承知しました」

 

メイドが消える

門番には通すように言っているが…

まぁどう転げようとあれくらい乗り越えないと困る

そうじゃないとこの先挫折しかしないだろう

 

 

 

 

 

「さぁ…貴方の実力を証明してみなさい」

 

「何時でも、来ていいから」

 

 

 

 

 

 

 

霧が晴れぬ湖を通過する事三分、ようやく見えてきた

空中でも赤くて見える魔の館が

 

…っと

 

門の前に門番が居た

彼女は何時ものように眠りこけることなく仁王立ちしている

 

「こんにちは、」

 

…通してくれないか

 

貴方は一応尋ねた

レミリアから指示を受けているなら簡単に通してくれるが…

 

「レミリア様から指示を受け取ってはいる…だが」

 

…お前も、か

 

貴方は二振りの刀を抜く

美鈴は拳を構える

 

前座に構っている暇は無いっ!

 

「かかってこい!」

 

刀の突きをまず初めに入れる

それを拳の裏で逸らしたのを確認すると左の刀を振る

 

「はっ!」

 

そこっ

 

それに反応して片腕で防ぐ、つまり両手を使っている

逸れた右の刀を振りかぶって思い切り振る

刃は美鈴の横腹に切り傷を生む

 

「ぐっ…はっ!」

 

うおっ

 

それの反撃か、妖力を込めた正拳突きが飛んでくる

紙一重で躱して硬直の隙が出来た美鈴の腹に刺さった刀の柄を掴む

そして美鈴の横を刀を持ったまま走り抜け、止まる

 

ごとり

 

「…やっぱり、駄目ですか」

 

この程度じゃ止まってられない

 

貴方は真っ二つの美鈴にもう目を向けること無く歩く

上半身と下半身は2つとも分かれている

血は辺りに飛び散り、今もなお吹き出す

この程度で美鈴が死なない事は貴方は知っていた

 

門を軋ませながら開く

 

中庭の花達は貴方を歓迎しているように揺れる

 

貴方は門と同じ様に扉を軋ませて、中に入った

 

 

 

 

 

…来た

 

私は直ぐに分かった

あの時と同じ、彼女達と彼が来た時と同じ扉が軋む音

 

あぁ、どうしてこうなったのだろう

 

あぁ、どうして私は彼に味方したのだろう

 

あぁ、どうして

 

 

 

 

 

 

どうして、独占したくなるのだろう…

 

 

思わず溜息が出てしまう

こんな気持ち、抱いた事が無かった

レミリア様だけにも抱いた事が無かった

 

これが、これが

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

           "恋の力"

 

 

 

 

 

 

これがあれば、いつもは出来ない事が出来たりする

でも、行き過ぎると彼女達みたいに狂ってしまう

 

狂ってしまう?

 

 

 

 

 

「あはっ、あははは…!」

 

 

 

 

 

何を言ってるんだ?

 

もう既に皆狂ってる

 

…敵も味方も、皆狂ってる

 

時を止め、エントランスの階段の中腹に立つ

目の前には扉を開けた状態で止まった彼

 

さぁ、始めよう

 

 

…よぉ

 

「こんにちは」

 

貴方は扉手を離し目の前の存在に注意を向ける

銀髪の時を操るメイド、十六夜咲夜

彼女は腰に手を当ててこちらを見下ろしていた

 

「…貴方は」

 

 これでいい

 

貴方は彼女の言葉を遮り、柄に手をかける

今目の前に居るものは貴方にとって障害物でしかない

早く、倒して、倒して、倒して…

 

「良いでしょう」

 

彼女はナイフを指の隙間に余りなく挟み、構える

その表情と気配はあの時から凄く変わっている

 

その場が時を止めて、再始動したように一瞬で殺気に満たされる

 

「…行きます」

 

 来い

 

 

まず初めの攻撃は咲夜からだ

挟んだナイフを時を止めて飛ばし、再始動し、また投げる

これをあらゆる方向から繰り返す

 

 ふんっ!

 

「…まだ想定済み」

 

貴方がナイフを全て弾くのは計算の内のようだ

彼女を倒すには"想定外"を作り出す他無い

 

 はぁ!

 

「くぅ!」

 

二振りの刀を同時に咲夜に向けて振り下ろす

それをナイフで受け止めるが一瞬のうちにヒビが入る

咲夜は時を止めて離れ、牽制のナイフを投げておく

そして再始動する

 

 …

 

「化け物ね…」

 

貴方は飛んでくるナイフを弾きながら接近する

貴方の射程圏内は近距離、得意な戦法は近距離戦だ

咲夜はそれを理解すると、スペルカードを発動する

 

「幻符・殺人ドール」

 

時を止め、あらゆる場所にあらゆる方向に飛ぶナイフを投げる

それは攻撃というより錯乱の運用に近かった

やがて、時は動き出す

 

 …シィ!

 

「…!?」

 

貴方の方向に来るナイフだけを的確に落としていき、時を止めたかのようなスピードで迫る

咲夜がラストワードを構える頃には首に刃が当てられていた

 

「…降参です」

 

 悪いな

 

貴方は謝っておき先にすすむ

刀は既に仕舞ってある

咲夜が時を止めて貴方の位置を移動させたのだろう、目の前に大きな門がある

そこの中から、殺気が溢れ出ている

 

貴方は躊躇せずに扉を開けた

 

「はぁい、久しぶりね」

 

「こんにちは、お兄様」

 

…始めよう

 

貴方は刀を構える

心の中から全ての感情が消え失せる

 

「そうね、御託は必要ないかしら…じゃあ先行は私から」

 

「頑張って!お姉様!」

 

レミリアが足を踏み出す

手に持たれるは紅き槍、グングニル

緊張がこの場を支配して止まらない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 Come on!(来い!)紅魔の吸血鬼!

 

 

「やってやるわ、It looks fun today(今日は楽しくなりそうね)

 

 

 




さぁ、姉を切り飛ばそう!


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紅魔の吸血鬼―レミリア・スカーレット―

投げられたのはレミリアのグングニル

それは一直線に貴方に向かってゆく

 

 危ないな

 

「小手調べよ」

 

レミリアは挑発的にそう言う

これが小手調べなら咲夜と美鈴はそれ以下と言うことだ

 

 あいつら泣いてるよ

 

「彼女達も承知の上でしょう?」

 

 最もだな

 

もし来客を殺す様に言われたら速攻退職するだろう

それをしないということはそういう事だ

 

 忠実だな

 

「完璧なメイドだもの、これくらいね?」

 

 そうか、ならお前は諦めとけ

 

貴方はそういいながら走る

レミリアは妨害として弾幕を発射する

それらを避け、斬り、走り続ける

 

「貴方は止まるということを知らないのかしら」

 

 止まれないだけだ

 

最も、止まれば死ぬだけだが

どいつもこいつも高火力の弾幕をぽんぽん飛ばす

当たれば致命傷だと言うのに、はぁ

 

 ほらほら最も激しく行けよ!

 

「仕方ないわね…紅符・不夜城レッド」

 

ようやくレミリアがスペルカードを発動する

バツ型の大きなレーザーが配置される

そこから更にビームがピュンピュン発射される

ともあれそれを越えれば一撃は与えられる

 

「させない」

 

 …!

 

横からのナイフの群れ

それが何かは嫌でも分かる

 

 2体1か?卑怯者め

 

「これはちゃんとした戦法よ、残念ながら」

 

「すみません」

 

こうした戦法は過去にもあった、天狗がその一例だ

だが、まぁそれらには弱点は必ずある

天狗の場合は統率があまり取れていない所を突く

もしくは頭を叩く、するとあら不思議勝手に散っていく

 

 面白くなりそうだ

 

「私はラストスペルを発動するだけですので」

 

「まだまだ私のスペルカードは続いているわよ」

 

こうしている間にもビームやらなんやらが飛んで来ている

それらは時たま頬に赤い線を残すだけで何もしてこない

これだけなら止まっていられる

 

「さて…」

 

 問題は、それか

 

咲夜のラストスペル

それが何なのか、あまり知らない

どんな効果があるのか、何をされるのか、全く分からない

貴方は刀を握り直す

何をされようが狙うはレミリアただ1人だ

 

「デフレーションワールド」

 

それが唱えられる

 

一瞬貴方はナイフの檻に閉じ込められたのかと思った

 

それは違った

 

連続したナイフの線があらゆる場所からあらゆる方向に伸ばされている

それの密度が濃すぎて檻に見えたのだ

 

 チェーンソーかよ

 

「即死はしません…即死は、ね?」

 

咲夜のその顔を見て、よく理解した

 

その瞳の色と笑顔はよく知っている

 

彼女も狂っている

 

線が徐々に動き出す

それらはナイフで出来たチェーンソーと変化していた

当たれば、無数の切り傷が出来るか、輪切りにされる

 

 く…

 

当たるのは覚悟の内だ

これだけの弾幕だ、グレイズは当たり前

…この場合グレイズすると切り傷が生まれる

掠っているからだと貴方は理解した

 

「…っ、すみませんお嬢様」

 

「いえ、十分よ」

 

十分だった

咲夜のラストスペル、レミリアの弾幕が重なり不利だった

レミリアの弾幕の避けようとすればナイフが邪魔をする

咲夜の弾幕を避けようとすればレミリアの弾幕が邪魔をする

それの一つが終わるならばありがたい

貴方は咲夜のラストスペルが終わった瞬間に翔ぶ

 

「そう来ると思っていたわ」

 

 …く

 

紅き槍を構え、貴方を待ち受けるレミリア

刀ではリーチで負けてしまう

ならば懐に入り込んで殺るしかない

 

一旦貴方は槍と刀の打ち合いをする事にした

 

「く…馬鹿力ね」

 

 この

 

手と手首に掛かる重さは尋常なものでは無い

それは㌧と言うものを軽く超えるものだった

少しでも力を緩めれば刀は飛ばされ、槍で貫かれる

 

 はぁ!

 

「なっ」

 

下からの切り上げで槍を真っ二つにし、レミリアを斬る

それは下から上に一文字の赤い線を産む

 

「…いいわね」

 

レミリアは己から出た血を舐める

 

 まずは一発

 

これが最初の一発だ

次の攻撃で諦めさせる

 

 っ!

 

蹴りを入れられ、強制的に離される

その動けない僅かな隙にレミリアはスペルカードを唱える

 

「神槍・スピア・ザ・グングニル」

 

貴方は身を捻り、その紅い槍を躱す

一瞬世界がスローモーションになった気がした

紅い槍が貴方の前髪を焼きながら直進し、通り過ぎてゆく

数センチ上にズレていたら頭がパーンしていただろう

 

 危ない事だ

 

貴方は体勢を空中で直し、翔ぶ

レミリアは気分が高くなっているようだ

 

「いいだろう、お前がそこまでするならラストスペルをお見舞いしてやる」

 

 何時でも来い

 

レミリアが一枚の紙を翻す

それが淡い光となって消えてゆく

 

「スカーレット・デスティニー」

 

バババババと赤い刃が何本め現れ壁となって進む

時折円型の弾幕がレミリアから等間隔で発射される

そして10秒の1回程、大きな泡のような弾幕が発射される

 

これが…レミリア・スカーレットのラストスペル

 

 はっ!

 

「やるわ」

 

赤い刃を弾き、泡のような弾幕を切り裂き、進む

貴方は横からの攻略は不可と見たか、下から攻撃する

弧を描くように下から向かう

 

「な…」

 

 シィッ!

 

どうやら下から来るというのは彼女の予想外だったようだ

そして彼女は目を瞑り、笑いながら言う

 

「あぁ、見た事あるわ、この光景」

 

目の前に、蒼き刃が迫る

 

「あの運命は…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私の負ける運命は、間違ってなかったのね」

 

 斬っ!

 

バツ印の切り傷がレミリアに生まれる

その傷は貴方が二振りの刀で斬った事を意味していた

 

「私の、負けよ」

 

レミリア・スカーレットは潔く負けを認めたのであった




ラストスペルはロスワドから取ってきてます


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狂気の吸血鬼―フランドール・スカーレット―

 次は…お前だ、フラン

 

「よろしくね、お兄様」

 

フランが軽くお辞儀をする

レミリアは玉座で手当をされていた

咲夜は働き者だ、それにプロポーションもよろしい

貴方はそう思いながら柄に手を伸ばす

 

 やる事は、分かっているな

 

「分かってる、始めましょう」

 

ふわりとフランが浮かぶ

そして彼女が最初のスペルカードを発動した

 

「フォーオブアカインド」

 

 分裂か…分身?

 

「分身だよ」

 

「分身!」

 

「皆分身」

 

「寝たい」

 

フランが4人に増える

分身を三人作るスペルカードの様だ

どうやらそれぞれが意志を持っているらしい

 

つまり…別々が違うスペルカードを使う事も可能…?

 

貴方は首を振る

そんな事は考えていられないと

 

 さぁ、来い

 

「行くよ!禁忌・レーヴァテイン!」

 

「行くよ行くよー?」

 

「きゃっきゃ!楽しくなりそう!」

 

「あはっ!やろうよやろう!」

 

炎の大剣が凄まじいスピードで回転する

熱気とオレンジ色の弾幕が散っていく

貴方はそれを避けながら分身に近づいていく

 

…ハッキリ言ってどれが本物か分からないけど

 

それを阻止する為か、分身達は弾幕を放つ

下にロールして避けたり止まって避けたりと忙しい

こちらの身はひとつなので同時に何かをする事はあまりできない

 

「禁弾・スターボウブレイク」

 

 …!

 

フランの翼にある宝石が発光し、そこから宝石と同じ色の弾幕が放たれる

その威力が軽く消し飛ぶ事を察すると貴方は刀を構える

 

「…へぇ」

 

 ふんっ

 

自分に向かって来る弾幕を切り消し、進む

ある弾幕は受け流し、ある弾幕は弾き飛ばす

とてつもなく力が働いていると言っても、斬るのは簡単だ

なんなら赤子の手をひねることより簡単だ

 

…ただ、斬れる場所に刃を置くだけ

 

竹がパッカーンと割れるように、筋を狙えば斬れる

 

「やっぱり面白い!」

 

「強い!」

 

「楽しいわ!あはっ」

 

「ひゃー!」

 

 …

 

少し動きが止まったが、何の問題もない

貴方は分身の一人を斬る

するとそいつはパッと消えた

 

「わぁー!一人ヤラレチャッタ!」

 

「凄いすごーい!」

 

「きゃっきゃっ!」

 

一人やられたというのに楽しそうにしている

どうやらコレが純粋に楽しいらしい

 

 ほら、まだ始まったばっかりだ

 

「たーのしー!」

 

「凄いぃ!あははっ!」

 

「きゃっきゃ!」

 

子供の様に騒ぐフランと分身達

無邪気なのがこれまた厄介だ

 

 来い

 

「いっくよー!」

 

分身の一人が突っ込んでくる

アレは来る前に目配せをしていたので、タイマンをするつもりだ

捻れた針のような物を創り、突っ込んでくる

斬れるかは兎も角防がなくてはならない

 

「やぁ!」

 

 っ…

 

強い

吸血鬼の純粋な力が響く

腕が一瞬動かなくなっていた

獲物を持ち直し、斬る

 

「ひゃあ!危ないなぁ」

 

それを後ろに動いて避ける

そこを突きで攻撃する

 

「うわぁ!?」

 

悲鳴を上げて、分身は消えていった

チリも残さずに粒子を散らして

貴方は刀に血が着いていない事を確認すると、構える

 

 …

 

「いくよー?禁忌・禁じられた遊び」

 

フランの…多分分身からパパパと弾幕が飛び散る

そして7個ほどの光る物体が飛んでいき、各々の場所で制止する

そこから十字のバーナーが発射される

 

 …厄介な

 

絶妙な位置に配置されている為避けにくい

それに飛び散っている弾幕も絶妙にウザイ

まぁ良けれない訳ではないので、やろうか

 

 …

 

「んんーいい動きねぇ」

 

左ロール、右ロール

回避行動を続けざまに発動していく

今貴方は空中戦(ドッグファイト)をしているのかと思った

いや、これはここ(幻想郷)では当たり前だ

何の不思議な事でも無く、供述するまでもなかった

貴方はそう自己解決をしてフランに近づいていく

そして、射程圏内に彼女が入った

 

 喰らえ

 

「ああっ!」

 

しまった、という表情をして分身は消えた

これで分身は全て消えた、つまり…

 

 お前で、最後

 

「…そうだね、私で最後」

 

少し悲しそうな顔した、吸血鬼

彼女も、貴方の被害者だろう

といっても仕方の無い事だ

惚れ、というものは誰にだってあるのだから

 

「…これが、最後のカード」

 

 …お前の全力を見せてみろ

 

刀を空中で低く構え、攻撃に備える

彼女はカードを掲げて宣言する

 

「…閉じゆくシュワルツシルト半径」

 

フランの背後に黒い丸が生まれる

それが徐々に大きくなって行く

 

 …!

 

最初は疑惑だった

自分の髪が風に煽られているなと

 

しかし…

 

ここは室内、何故風が吹くのだろうか

そう思った時に、気づいたのだ

 

徐々に大きくなっているそれがブラックホールだと

 

貴方は地面に降りていく

何処からか生成された弾幕がブラックホールに吸い込まれていく

 

吸い込まれれば…

 

どうなるか…分からない

 

地面に着地、刀を一本突き刺して柄を持つ

その頃には体が浮くほどの吸引力を発揮していた

 

 ぐぐぐ…

 

「早くしないと腕がもげちゃうよ…」

 

貴方は思考していた

 

刀で弾幕…ダイソンに吸われる

 

一か八かの攻撃…避けられてダイソン

 

降参…可愛い嫁の出来上がり

 

まてこら最後の選択肢要らぬわ

貴方はそう思い、別の事を考える

 

「早く降参して!苦しむ姿は見たくないの!」

 

 …?

 

頭の斜め上後ろ辺りで何かの音がした

振り返ると青のワープホールぎあった

そして…そこからSOCOMが出てきていた

貴方は手を伸ばす

 

そして、その手のひらに…

 

SOCOMが、着地して

 

 終わりだ

 

フランの胸に正確に4回、引き金を引いたのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…私の、負けか」

 

フランはぐったりと座っていた

貴方はSOCOMをホルスターに戻す

 

 …残念だったな

 

「…そうだね」

 

貴方は手を伸ばす

 

 だがな、お前を嫌いになった訳じゃない

 

「…ありが、とう」

 

ポロリと涙が落ちる

それはやがて決壊をおこし、洪水を呼んだ―



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隻眼の白狼

湖を渡る

その木で出来た船はギギギと軋んだ音を時たま出す

行くところは一つ、妖怪の山だ

 

霧の湖を進む

 

波が湖を裂いて進んでいく

 

振り向くと、紅魔館が見えた

紅い建物はドンドンと霧に阻まれていく

窓から吸血鬼の姉妹がこちらを見ていた

その表情は見えなかった

 

…例え、見えていても関係無いのだけれど

 

貴方は合わないタバコを咥え、火をつける

苦い煙の味が貴方を現実へと戻していく

先程まで、夢だと思っていたものが本物になる

 

貴方はそれらを煙にして吐いた

 

「アンタも大変だね」

 

後ろから声がした

 

 煩い、この出オチ野郎が

 

「…止めておくれ」

 

赤い髪、大きな刃が捻れた鎌

見てわかる通り彼女は死神だった

 

…小野塚小町

 

 この依頼は誰から…まぁ大体察せるが

 

「聞かなくていいさ」

 

八雲の力が働いている事だろう

…驚きなのはそれを映姫が許可した事だが

小町は乾いた笑いを零す

 

「閻魔の心を動かすアンタは何なのかね…」

 

 俺が1番聞きたいね

 

貴方が思っている事だ

普通に生活しているのに、狂う

何もしなくても、狂う

狂う

 

 …どち道にしろ、か

 

「…さ、ついたよ」

 

ガコンと船が揺れる

横には桟橋があった

 

 ありがとよ

 

「いいってことよ、死んだ後に請求するから」

 

 …はは

 

貴方は乾いた笑いを零し、歩き始める

小町はずっと見つめていた

 

「…」

 

少し、面白く無さそうな顔で

 

 

川がすぐそばに流れている

貴方はそれに刀を浸す

こびりついていた血がトロトロと溶けだしていく

そして数秒後にはそれは綺麗な波紋を生み出していた

外の世界で刀を何度も見たことがあるが、このような波紋は見たことが無い

 

幾つもの層が重なって、常に炎の様に揺らぐ

 

人目で名刀と分かる代物

 

貴方は山を登る

川は途中で滝に繋がっている

サクサクと、葉っぱを踏みしめる音が響く

たらりと汗が落ちていった

 

「…せんさん」

 

 椛

 

森を抜け、広場に入った瞬間声を掛けられる

その声は幻想入りした時から助けられ、危害を加えた声だった

妖怪、天狗になのにも関わらず治らない右目

それを覆い隠す黒い眼帯

へその空いた少し巫女服に似た天狗装束

 

「…せんさん」

 

 …なんだ

 

椛が貴方に声を掛ける

 

「…貴方は、後悔していますか」

 

 …

 

何も言えなかった

自分が後悔しているなんて、考えたことも無かったからだ

そんな貴方に対して椛は目を瞑る

 

「それでは、質問を変えましょう」

 

少しだけ、威圧を加えて

 

「…貴方は、止まる気は…ないのですか」

 

 無い

 

貴方はキッパリと答えた

今ここで止まる訳にはいかないのだ

椛は説得を諦めたようだった

 

「…ごめんなさい」

 

彼女は誰かに謝った

 

「これだから約束は嫌いなんです」

 

場を静寂が支配する

小鳥が囀り、花が咲き誇っている

こんなに素晴らしい一日が、あるだろうか

 

「…こんな日には、戦闘が似合っていますね」

 

大剣を引き抜く

貴方も応え刀を抜く

両者の刃がぎらりと光る

 

貴方と、椛の目も同じだった

 

…負けられない目

 

実力は貴方にあっても、それを上回る心

今から貴方は己の恩を倒す

それがどれだけ心に響くだろうか

貴方はそれだけを考えていた

 

「…」

 

 …

 

己の気配がこの戦場に溶け込むようだった

悲しい雰囲気は身を引いて、殺気が辺りを満たす

 

「…シィッ!」

 

 っ!?

 

いつの間にか大剣の刃が貴方の目の前に迫る

何とか刀を胸と大剣の間に挟み込み、止める

ギギギと二振りの刀と大剣は火花を散らす

 

 …成長したな

 

貴方はポツリとそれをこぼした

白狼の彼女がここまで食いついて来るとは思わなかった

大剣は拳で弾けるくらいと思っていたのに

 

「修行ですよ、生まれがどうであろうが伝説に誰でなれる」

 

 お前はなれるか?

 

「貴方はどうでしょう?」

 

それに答えずに刀を振る

右から捻るように放ったそれは柄で弾かれる

それならばと左から刀を振るう

しかし、それも大剣によって軽くいなされてしまった

 

 なかなかやるじゃないか

 

「これくらい、序の口でしょう?」

 

そう言って上から叩きつける様に大剣を振り下ろす

貴方はそれを横に避ける

大剣は地面に突き刺さった

 

それを好機と見て刀を振る

椛は無理矢理地面を抉って大剣を振る

土が天然の煙幕を貼った

 

 …あがっ!?

 

「最初の一発は私ですね」

 

体の前に感じる痛み

見てみれば服が斜めから裂け、そこから血が出ている

左の刀を仕舞い、傷口を抑える

 

 やってくれるな

 

「油断大敵、ですよ」

 

 違いない

 

まるで痛みなど最初からなかったかのように刀を抜いて構える

それを見て、椛は少し冷や汗をかいた

 

「貴方は痛みを感じないのですか」

 

 痛みは感じる、それを如何に表現するかだよ、痛みは

 

椛は会話が噛み合わないと思った

だが、同時に負けるかもしれないと感じた

それであっても諦める訳にはいかない

彼が痛みを表現しないならするまで、斬ってやる

椛はそう心に決める

 

 っは!

 

「ぐっ」

 

大剣を盾にして二振りの同時攻撃を防ぐ

それは少し両者の腕を震わせる

しかし、若干貴方の方が長かったようだ

 

隙が生まれ、腹に鈍痛を覚える

 

肺から息が居場所を無くして飛び出る

恐らく峰で腹を殴ったのだろう

それを顔に出さず、歯を食いしばる

落としかけた刀を握り直して振りかぶる

舞う様に一、二、三と右、左と流れるように連撃する

それを椛は大剣を軽々と扱って防いでいく

まるで手足の様に火花を散らして防いでいる

貴方は少し、戦慄を覚えた…のかもしれない

 

 お前…椛か?

 

「白狼だからって舐め過ぎです」

 

椛は言葉を繋げる

 

「生まれがどうこうじゃありません、それからでこうなるんですよ」

 

 …面白い

 

貴方は獰猛な笑みを浮かべる

まだ、終わっていない

どちらかが倒れるまで、続ける

 

また大剣と刀が交差する

辺りの木が揺れ、切り傷が生まれる

小鳥達は既に居なくなり、かわりにカラスが居る

花は垂れて元気が無さそうだった

 

 

 

「はぁ、はぁ!」

 

 ぐっ…ぜぁっ!

 

両者とも殴り合っていた

二振りの刀は片方は地面に落ち、片方は岩に突き刺さっている

椛の使っている大剣は地面に横たわっていた

 

貴方の拳が下から椛の顎を狙う

彼女はそれを拳で相殺し、蹴りを入れる

避けきれずに横腹を蹴られる

 

 っ…

 

「まだ、まだぁ!」

 

双方完全に燃料切れの筈なのに、動いている

 

双方に負けられない理由がある

 

貴方はこれまで以上に追い詰められていた

 

足はふらふらとして、視界もぼやけている

 

それは椛も同じだった

 

彼女の足取りもふらふらとしていて、目の焦点は合っていない

 

消費に消費し、立つのがやっと、という所だ

 

カタツムリより少し早いスピードで二人は歩み寄る

そして思い切り拳を振りかぶって…

 

 っ!

 

「っ…」

 

両者の頬に拳がめり込む

先に倒れたのは貴方だった

そんな貴方に跨り、襟元を掴む

 

「や!はっ!いやっ!」

 

 ぐわっ!あばっ!いぎぇっ!

 

何度も、何度も殴りつける

この視界がどんどんと黒に塗られ変えていく

意識が朦朧としてくる

 

ここで、貴方…博麗せんの物語は終わる…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…まだだ

 

貴方は最後の力を振り絞って椛を押し倒す

そして、椛がやったように馬乗りになって…

 

 はぁ!おらっ!うりゃぁ!

 

「いぐっ!?あがっ!?ああっ!?」

 

拳を何度も、何度も、何度も

そうやって何回殴ったのだろうか

椛と同じ位、殴って、殴って、殴って…

 

気付けば、椛にもたれかかっていた

2人とも荒い息をしたまま、動かない

 

 

そして…椛が口を開いた

 

 

 

 

「…私の、負け…です」

 

 …お疲れ様

 

貴方は口だけを動かして言う

もう、何も動かない

椛の豊かで柔らかな乳房は呼吸する度貴方の胸板に当たり、形を変える

それから双方とも、息が落ち着くまでその状態だった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ごめんなさい」

 

 こちらのセリフさ

 

あれから貴方達は立ち上がり、向かい合っていた

双方の目には迷いは無かった

 

2人とも、目的が違ったから、こうなったのだ

 

貴方は背を向ける

 

 またな

 

最後の言葉として、それを送った

 

「またね」

 

椛は嬉しそうな声でそう言ったのだった




何故弾幕が無いかと言うとそれが彼女の誠意だからです

弾幕という戦法を使わず、純粋に戦う

それを認めて貴方はSOCOMを使わなかった…という設定

なお閑話戦闘の中で一番戦闘が長い

というかヘマしたらボスより長い


さぁ、風神を殴ってしまおう!


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幻想の文屋―射命丸文―

椛と別れた後、更に山を登る

体力は完全に回復し、傷も大方塞がった

昔から貴方の傷の治りは早かったものだ

途中で喉が乾いたが、運のいい事に川があったので水分補給をした

恐らく椛と会う前に見えた川の上流だろう

感覚的にあれは繋がっている気がするのだ

 

と、幻想郷が一望出来る崖に到達する

 

今まで見てきた建物が広がっている

 

そして、それは突然吹いてきた

 

…彼女の操る風が

 

「こんにちは、せんさん」

 

 よお

 

貴方は突然現れた文に驚くこと無く挨拶をする

今から殺し合う、というのにだ

 

「いやー、見せつけてくれますね、貴方は」

 

 仕方の無い事さ

 

「あそこで離れれば済むことでしょう」

 

 そんな体力は無かった

 

「そう、そういう事にしておきましょう」

 

文は溜息をついてそう言った

内心ではそんな呆れて無いくせに、だ

彼女は紅葉の扇子を構える

貴方も応呼して刀を抜き、構える

 

辺りを一瞬で殺気が支配する

 

先程から盗み見ていた哨戒天狗達も逃げ、ここには誰もいない

 

…血腥い戦いにはピッタリだった

 

足が動く

 

貴方は崖を蹴り、空を飛ぶ

 

そこには何の縛りも無かった

 

そう、まるで鳥のように…

 

 

 

 

 

 

先手は、貴方だった

 

空を飛んで文を切り付ける

彼女は右に避けて刀を躱す

そのかわりに反撃として扇子を煽る

それは風を巻き起こし、さらに巻き起こしていく

風速は人間を吹き飛ばす程となっていた

 

…人間である貴方が飛ばされるのは不思議では無い

 

飛ばされ、煽られながらも体勢を立て直す

空中で飛びながら貴方は考える

どうすれば倒せるのか

どうすれば文字数が増えるのか

考えながら弾幕を避ける

彼女から弾幕が牽制として飛ばされてきている

少し考える事の邪魔だ

 

 …らぁ!

 

「っ…」

 

斬撃を飛ばし、文の注意を逸らす

文はそれを避ける

その時弾幕の隙間が生まれた

あの隙間なら十分に考える時間を稼げる

 

見てわかる通り常に風を纏い、防御力を高めている

といっても刀の1太刀で切れる程の薄い風だ

だがしかし、近付くまでが容易ではない

ナンパくらいに難しい…どうだか

 

 …倒せない訳ではないな

 

貴方はポツリと呟くと弾幕の間を縫っていった

 

弾幕が激しい…ならば避ければいい

 

そんな理論を組み立て、貴方は文に接近する

接近すればする程弾幕は濃くなり、風も強くなる

 

ただ、風は踏ん張れば吹き飛ばされる事は無い

 

貴方は刀を二つ持っていると、一つは邪魔だと感じたのか鞘に仕舞う

右の刀の柄に両手を付け、しっかりと持つ

こうすると余程の事が無い限り離れる事はない

そして十分に近づき上から下へ刀を振り下ろす

それは文のシャツを赤く汚した

 

「ぎゃ…容赦ありませんねぇ…」

 

 慈悲は無い

 

貴方は何の抑揚も無くそういう

こうやって斬るのに何の躊躇いも無くなってきていた

人として、大丈夫だろうか…

 

いや、なんの問題もない

 

始めから貴方は狂っているから

 

「一旦…旋符・紅葉旋風」

 

風が巻き起こり、貴方を飛ばす

文を中心として竜巻が発生したようだ

竜巻と同じ方向に回り、弾幕を回避する

嵐の様に激しい弾幕だった

 

 …ふぅ

 

竜巻から抜けた貴方は思考する

まず一撃を最初に与えられたのはデカい

これからどうやって"ラストスペルを使わせずに"行動するかだ

あれは彼女達にとって最後の切り札に近い

それを使わせないのは一種の罪悪感を産んでしまうが…

 

そんな事はどうでもいい

 

貴方はそう思い、手にあるものを生成する

 

PSG-1

 

H&K PSG1は、ドイツのH&K社が対テロ特殊部隊向けに同社のG3をベースに開発した

セミオートマチックの狙撃銃である。

 

いつしかのテロに対抗する為に作られた狙撃銃

 

射程距離は700m、ただし霊力の為無限に飛ぶ

 

高精度の狙撃銃で黒い点であろうが当てることが出来る

 

といっても最終的に物を言うのは狙撃者の腕

なので貴方の腕前が試されることだろう

今は竜巻の壁が作られているので射撃不可だ

スリリングベルトを肩から掛けて、移動する

 

風がドンドンと強まっていく

精密狙撃などあまりした事がない

紫から頼まれて大天狗を狙撃した事はある…重要そうな会議だった

貴方はスナイパーでは無い

隙を見て、そこを撃つしかないのだ

 

風は弱まる事をしらない

 

竜巻は少し緩くなっていた

それは目では分からなく、感じる事でしか無理だった

全ての物事は目ではわかない事が多い

ようやく顔を現した、と思えば手遅れだったりする

そうならない為にしなければならない

 

風は少し、弱まった気がした

 

竜巻が更に緩む

これが無くなったら、彼女はラストスペルを発動する

貴方はPSG-1をのグリップをしっかり持つ

そして軽くコッキングをした

黄金色の弾丸が装填されたのを見る

 

その時、ポタリと何かが降った

 

雨だ、雨が降っているのだ

グリップを握る手のひらや、PSG-1本体にも落ちている

それは自分の弾丸が落ちているかの様に感じた

 

貴方は首を振る

 

これを命中させないと、後々不利になるだろう

 

風が収まっていく

 

文の声が聞こえる

 

「さぁ…これが私のラストスペル…」

 

風が完全に収まる

竜巻の壁は徐々に消えていく

文の姿がようやく視認出来た

貴方はスコープを覗き込む

ガラスに雨が当たり、少し視界を歪ませる

そるが、文が歪んだ笑顔をしているようだったから、怖かった

竜巻の壁が、消えた

 

「…シャッター・チャンスっ!?」

 

 Checkmate

 

ガァンと、狙撃の音が響いた

 

 

 

 

 

スコープ越しに見える、左胸から出血する文

 

貴方はようやく、ターニングポイントにたどり着いたのだった




次は休憩…かな?

地底組は…ないです


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つかの間の平和

貴方は山を降り、人里に向かっていた

あれから文がどうなったか確認はしていない

ただ、こちらに向かう時にシャッター音が聞こえたので生きているだろう

気にする事は無い

 

人里で一息尽きたい

 

あれから一睡もせず、戦い続けた

 

疲れは溜まり、ストレスも溜まっているだろう

 

なら、少しくらいパッとやっても誰も怒るまい

 

そう思って人里に歩を進めていたのだ

やがて人里を囲う堀と壁が見えてきた

門の前に降りて、門を通過する

とくに止められる事も無かった

人里は変わることなく賑やかだ

 

「…せん

 

 …先生

 

慧音が声を掛けてきた

その表情は今まで見たことの無い程鬼気迫る表情だった

 

「お前と言う奴は…本当に」

 

 …これしか能がない男なので

 

事実だった

貴方には戦う事以外に能は無い

戦法を考える事は得意だが勉強は苦手だ

裁縫とか、そういうものも不器用で、あまり上手くない

 

それに…

 

それに、生きているのを感じるのは、戦っている時だけだ

 

そんな呟きを聞いて、慧音は目をキツく瞑った

そして、貴方の手を引く

 

「ちょっとこっちに来いっ!」

 

 っ!?

 

いきなり、しかも全力の引きが貴方を襲う

慧音は貴方を路地裏へ連れていった

 

響く快音

 

それは慧音が貴方をビンタした音以外他ならなかった

その痛みは不思議と感じる事は無かった

慧音は泣いていた

 

「お前はっ!そうやって…自己解決してっ!」

 

どがっ、がごっ、みぎっ。

 

殴る

 

全力で貴方の事を殴る

 

手加減なんて無かった

 

 …無駄

 

「っ!?」

 

貴方は腕を捻る

慧音は嗚咽をこぼした

その隙に貴方は足に足を掛け、こかす

くるりと慧音が一回転し、地面に叩きつけられる

 

「あがっ…」

 

 諦めて下さい、先生

 

「まだ、まだぁ!」

 

そうやって掴みかかる慧音をまた掴み、転がす

転がすといっても遅くなく、逆に早く叩きつけられている

 

「う、が…」

 

 …ごめんなさい、先生

 

貴方はポツリと呟く

 

せん…お前、お前ぇぇ…」

 

 また会ったら、酒で仲直りでも、しましょう

 

そう言って、貴方が振り返ることは無かった

慧音はその後ろ姿を悲しそうに、恨めしそうにみていた

 

 

腹が減った

()()()()()()()無駄に腹が減った

時間も食ってしまったし、早めに終わらせてしまわないと

その時視界にある店が入ってきた

 

「山の舞」

 

貴方は蛾のようにそれにふらふらと近づいて行く

そして、店内に入った

 

「いらっしゃいませー」

 

店内には椛によく似た白狼の女性が居た

椛の服に紅葉模様を色々な所に描いた服

とても特徴的な服だ

 

「お腹が減っていらっしゃるのでは?お腹抑えたままですよー」

 

 …あぁ、おにぎりを頼む…味は

 

貴方が一番好みの具を頼む

すると彼女はニッコリ笑い、店の奥に消えた

好きな具の香ばしい匂いがここまでくる

背伸びして見ると、店員の白狼がおにぎりを握っていた

数分店の中をウロウロしていると、出てきた

 

「どうぞ、召し上がれ」

 

 …ありがとう

 

貴方はそう言って、おにぎりを食べる

それは他人が握った筈なのに母親が握ったような味がした

多分久しぶりに食べたからそう感じているだけだ

極限状態で食べるココナッツが美味しい様に

 

 美味しかった、これ代金

 

「頂戴致します…またのご利用を」

 

ニッコリと笑ってそう言った

貴方は店から出る

行く場所は既に決まっている

 

幻想郷、ある黄金の向日葵畑

 

そこには幻想郷で最強と呼ばれる妖怪が居る

 

先程の文はターニングポイントでは無かった

 

本当のターニングポイント

 

…風見幽香が住まう、場所

 

貴方は歩く

向日葵畑がある方向には人里の出入口である門がある

そこから先は荒れているが、どんな遠くからでも見える黄金がある

それは触れる者をほぼ即死させる、恐ろしい黄金

 

貴方は近づいて行く

黄金が近づいて来るごとに死が近づいている気がした

 

 …ふぅ

 

貴方は息を吐く

もうすぐ目の前にそれはあった

向日葵達は風に揺れ、言葉を喋る事は無い

あの時のは、幻聴だったのだろうか

 

「いえ、違う…それは貴方が花と会話出来た証拠よ」

 

 …風見幽香

 

向日葵達が自然と避ける

その隙間から幽香が現れた

貴方は柄に手を置く

それを見て幽香は人差し指を振った

 

「ま、ず、は、会話から…でしょ?」

 

 …失礼

 

貴方は少し謝り、柄から手を離した

それに加え幽香は背中のPSG-1も指す

 

「それも、よ…物騒だから」

 

 本当は花達に当たりたく無いからだろう

 

「それもそうね…ふふっ」

 

貴方は言われた通りにスリリングベルトの留め具を外す

するとガタリと音を立ててPSG-1が地面に落ちた

ハッキリ言ってもう使う事は無いだろう

持ち主を失った物がどうなるか、知らない

 

多分、このまま錆び付いて使われなくなるだけ

 

 …さて、やろうか

 

「やりましょう?私はこの瞬間を待っていたのだから」

 

幽香の声に歓喜が混じる

ああ、そういう事か

 

己の愛する"物"と戦うのが、そんなに昂るか

 

彼女だって最初はただの花妖怪に過ぎなかったに違いない

向日葵を荒らされない為に力をつけて行って、追い返して

気付けば、恐れられて一人ぼっち

どんなにプライドが高かろうが、寂しさは生まれる

花と会話しても埋められない程の寂しさがあった

 

多分彼女は霊夢にも惹かれたのだろう

 

どんなに恐れられていてもびょうどうに接する彼女に

 

…でも、貴方が男だったのがいけなかったのかもしれない

 

 

 

 

 

 

 行くぞ

 

「来なさい」

 

それと同時にビームが視界を覆い尽くした…




本編完結まで、あと少し

なお終わればifEND祭りです

さぁ、ターニングポイントを乗り越えよう!



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フラワーマスター―風見幽香―

光を裂いて進む

刀はビームに溶かされる事無く斬れている

それを確認して貴方はさらに進む

 

「あら、消し飛ばなかったのね」

 

 この程度じゃ死なないさ

 

「承知の上だった」

 

最もだった

再生速度は人間の中ではかなり早い方だ

骨が折れても七日でほぼ動かせる

切り傷なんて1日で塞がる

異常に治りが早いが、多分紫辺りに弄られている

 

…と、いうかより男である貴方が博麗の力を使いこなせる時点でおかしいが

 

博麗の力は女性に謙虚に出る

初代博麗巫女が人里に居た女の子だったように、だ

 

確か妖怪と協力して内なる博麗の力を出した…らしい

 

試行錯誤して、女に宿りやすい事が判明した

 

それから何代か変わった後、双子が生まれた

その双子は兄妹だった

驚くべき事に2人とも博麗の力を持っていた

 

人々の親しみ易いように妹を博麗の巫女に

 

規律を守らない妖怪を殺す為に兄を博麗の刺客に

 

一人っ子の場合はどうしようも無かった、攫うしか無い

だが、双子の可能性が高かったので安心出来た

貴方のお母さんだって、博麗巫女だった

人里で、平和に暮らしていて…それから

 

それから…どうした?

 

貴方はズキンと頭に痛みを覚えた

 

何かに阻まれていてそれ以上を思い出せない

 

「ほらほら!考えている暇があるかしらっ!?」

 

 っ!

 

そうこうしている間にビームは飛んでくる

アホみたいなビームの数だ

「僕が考えた最強の弾幕」、という感じだ

だが、それが幻想郷の基本だ

そこにオリジナリティーを追加して、美しくする

 

簡単なことだ

 

貴方はそう思い、刀を握り直す

ビームの1つを横から切って威力を無くす

 

横、下、突き、切り上げ…

 

何回も刀を振る

ビームを大量に撃ったクセに彼女は涼しそうな顔だった

それが貴方の癪に障るように感じた

 

 イライラするな…

 

「短気ね」

 

 仕方ない

 

貴方はそう呟く

ビームに阻まれながらであるが、着実に幽香に近づいていた

刀の射程圏内に入ればこちらの物だ

 

「甘い」

 

 はぁっ!?

 

息が吐き出されるような声が出る

足に違和感を覚え、つんのめる

見てみれば足にツタが絡まっていた

 

 …そうだった、お前はそんな能力だった

 

「思い出したかしら?」

 

 そうだな

 

彼女能力があまりに地味過ぎて覚えていなかった

「花を操る程度の能力」も伊達では無いということ

飾りでは無いと言うことを貴方は思い知っていた

 

…あの時の戦いから、何も学んでいない気がする

 

貴方は毒づきながらそう思った

だが、ここで悩んでいても仕方がない

ツタを切り落とし、進む、進む

 

地面から突き出すように生えた岩を足場にして飛ぶ

そして、上からの切り下げ

幽香はツタでガードしようとしたが、霊力には無意味だ

 

「んぐっ…油断したわ」

 

 まだまだ

 

貴方は呟く

まだまだこれからだ

彼女にラストスペルを吐き出させるまで、終わらない

 

貴方が限界を迎えるまで、終われない

 

…その前に終わらせればいいのだけれど

 

そもそもラストスペルとは"あくまで"弾幕ごっこでの切り札であって

戦闘で使う必殺技では無いのだ

 

威力は強いか弱いかで聞くと弱い

 

…そこは妖怪によるけど

 

それを幽香は分かっているのか、笑みを作る

 

「大丈夫、ラストスペルなんて使わないから」

 

 舐めてるね

 

貴方は一旦横に走る

貴方がいた場所をビームが削る

そこに生きた生物などいなかった

 

 …

 

貴方は冷静に幽香の動きを見極める

肉体というのは口程に物を言う

 

筋肉が緩み、引っ張られの動きで何をしてくるか分かる

だが、妖怪には時たま骨格が違う奴が居るから、厄介だ

 

…大抵は人型だから良しとして

 

「ほらほら、見てる場合かしら」

 

 っ!?

 

呑気に見ていたら消し飛ばされる

その後は…生け花にでもされるのでは無いだろうか

貴方はそう思いながら刀を握り直す

額から垂れた汗が持ち手に落ちて、散る

 

 はぁっ

 

「ふん」

 

上から切り掛る斬撃を傘で受け止める

 

 その傘は何製だ

 

「さぁ?もう何処で貰ったかも忘れたわ」

 

妖力が貼られたそれは簡単には壊れないであろう

遠い昔、大事な誰かから貰った物なのだろうか

 

気にせず斬撃を続ける

1、2、3…とリズムよく、水の様に斬撃を加える

それを避けたり傘で防いだりする幽香

 

 やるな

 

「んっんー…どうかしら」

 

否定するような声を出して幽香は答える

妖怪とはどいつもこいつも回りくどいな

特にスキマ妖怪

 

貴方はそう思いながら霊力の出力を上げる

このまま傘を叩き切る為だ

それを察したのか幽香は避けに徹するようになった

貴方は刀を振り上げ、思い切り振り下ろす

 

「そこ」

 

 …!

 

それが地面に突き刺さった瞬間ビームが放たれる

貴方が痺れを切らすのを待っていたのだろう

刀を思い切り振り下ろすその瞬間の為にわざとらしく避けていた

 

 巫山戯た真似を…!

 

「貴方も案外、短気なのね」

 

実際そうらしい

感情の制御が出来る分、爆発したさいの反動も大きい

周りから情緒不安定と言われた事も珍しくない

得物を握り直す

 

 

…貴方はふと、あることを思いついた

 

己の出生を考えると、それを使える可能性は高い

だが、失敗した時にどうなるか分からないが

そもそもアレンジ技となってしまう可能性も高い

 

…やるしかない

 

弾幕とビームを潜り抜ける

まるで宇宙戦争に参戦した気分だ

それらが途切れたところで刀を掲げる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

         斬符・夢想斬波

 

 

「っ!?」

 

貴方は刀を数回振る

それから虹色の斬撃波が幽香に飛んで行った

 

「あっ」

 

幽香がその場で避けようとするが、それの元は夢想封印

追尾機能も、ちゃんとあるのだ

演技でも無い本当に不覚を取られた声を幽香は出した

 

戦いは終わった

 

黄金の花畑に倒れていたのは幽香だった

 

「やっぱり、届かなかった」

 

幽香は笑みを浮かべながら言う

 

 通じないさ、こんなの

 

貴方は宥める訳でもなく、事実を言う

それを聞いて更に幽香は笑みを深めた

 

 何か、面白い事でもあったか

 

「いえ…本当に、貴方は変わっていないんだって」

 

幽香はちらりと博麗神社のある方向に目を向ける

森だったそれが、枯れて貴方を導く道となった

 

 礼は言っておく

 

「私は…少し眠るわ」

 

幽香は目を瞑る

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「せいぜい"奴ら"を楽しませてやりなさい

 私も貴方も、ただの駒なのだから」

 



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最後の戦いの準備

森の中を歩く

森が一直線に枯れていくのはかなり見ものだ

後ろは木が直ぐに生えて引き返す事をさせない

 

貴方の脳裏に今までの道筋が現れる

 

キャンプをしに山に来て、幻想入りして

 

妖怪に襲われて、文に助けられて、閉じ込められて、滝に飛び込んで

 

川を流れて、霧の湖にたどり着いて、咲夜に拾われて

 

紅魔館で思い出して…

 

この森は過去を思い出させる不思議な森に思えた

今までの事が鮮明に思い出せるのだ

彼女達の会話一言一句、正確に思い出せる

 

それが、嬉しいような

 

それが、悲しいような

 

貴方にはそれが分からなかった

何度も戦いに身を投じている内に感情が磨り減っていたようだ

 

…ただ単に貴方が鈍感なだけかもしれないのだけれど

 

森は長い

何歩歩いたかもう覚えていなかった

 

 

 

 

気がつくと、霧が出ていた

魔力を含んだ、湿気の多い霧

 

ここは魔法の森だ

 

木の根元にキノコが無数に生え、大きなキノコも生えている

生ける者を拒む瘴気が辺りに漂っていた

貴方はそれを気にせずに進む

相変わらず森は進む事に枯れていた

妖怪の山が遠くに見えた

幻想郷は、意外と狭いものだった

ここであんな出来事があっただなんて信じられなかった

 

誰かに言っても、きっと夢だと笑われる

 

幻想郷の女がお前1人に固執することは無いと、笑いながら

 

そういう妄想こそが真実になりやすいのだ

 

正論より通りにくいものは無いように、だ

 

気がつけば日が暮れていた

月は既に真上に浮かび、妖々しく光っている

満月の光には人を狂わす魔力が込められているらしい

それは人を問答無用に魅了する光に違いない、と貴方は思う

 

「よお」

 

突然声が掛けられる

瞬間七色の光が目の前を包む

 

 おっと

 

貴方は後ろに下がる

目の前に魔女が降りてきた

白黒のエプロンの様な服と、魔法使いがよく被る帽子

箒に腰掛け、こちらを見ていた

 

「久しぶりだな、せん

 

 熱烈な歓迎だな、待ち伏せとは

 

貴方は面白そうに言う

因みに今の行為は「スゴイ・シツレイ」にあたる

アイサツは如何なる場面においても必須とされている

そう古事記にも書いてある

 

 やる気か?

 

貴方は正気じゃ無いような者に問いかける様に言う

魔理沙は至って正常だと言わんばかりに胸を軽く叩く

 

「わたしゃ正常さ、お前はどうだか」

 

 さぁ?

 

どっちも正気じゃない

幻想郷に居るものなんて価値観が五ぐらいズレている

いつの間にか森が広く枯れていた

まるで闘技場の様だった

 

…成程、幽香も随分粋な事をする

 

「2人きりだ、邪魔するものは何も無い」

 

魔理沙は自分に酔ったように言う

 

 そこを退け

 

「私を倒したら考えてやる」

 

貴方は刀を構える

十分に警戒しよう、彼女は異変解決組だ

一筋縄では行かないだろう

 

「行くぞ!」

 

 いざ

 

 

私、博麗霊夢は神社の縁側であの人を待っていた

彼…博麗せんは今日ここに来る、絶対に

私の勘がそう騒いでいる

 

彼が来ると思うと嬉しい

 

会って抱きつきたい

 

いっぱいキスをしたい

 

…でも無理そうな気がする

 

私はお茶を喉に流し込む

今回のは三番煎じではなく、高級な緑茶だ

戦いの前なら、これくらいの贅沢は許されるだろう

 

「ふぅ…」

 

熱い息が出てくる

苦味が口の中を渡り歩く

 

「…よいしょ」

 

重い腰を上げ、立ち上がる

机の上にある大幣を握り、外に出る

 

外はいい天気だった

 

雲ひとつ無い、綺麗な晴天

 

生える桜の木は緑色の葉を生えはやしている

 

「…」

 

無意識に大幣を握り直す

 

懐にある札の状態を確認する

特に異常が無いのを確認して、姿勢を自然体にする

 

ひゅう、と風が舞い込んできた

 

それに混じる、彼の雰囲気

 

…私の大好きな、兄の匂い

 

どうやら魔理沙が立ちはだかったらしい

微かに魔力が確認出来た

ちょっと許せない

 

でも、これくらいは許容範囲だ

 

彼…の気配が近づいてくる

 

私の心は歓喜で満たされる

 

 

「はぁ…はぁ…」

 

場面は戻りて、魔理沙との戦い

血に伏していたのは魔理沙だった

お気に入りの箒は真っ二つに斬れ、八卦炉は落ちている

貴方は軽く刀を振り、鞘に戻す

 

 先に行かせてもらう

 

「ぐ…あ…!」

 

魔理沙は行かせたくないようだった

目がそう訴えていた

貴方は冷静に言う

 

 もっと強くなるんだな

 

「っ…!」

 

異変解決組の実力は凄まじい

だが、それは弾幕ごっこだけだ

本当の殺し合いには向いていない、当たり前だ

 

あくまで、ごっこ遊び

 

貴方は歩を止めず進む

 

「待て…!」

 

手を貴方に向けるが、森が生えてそれを阻む

魔理沙の体力が解決する頃には既に貴方は射程圏外だった

 

 

それは石造りの階段まで続いていた

コツリ、と靴が音を立てる

 

階段を登る

 

一段一段登っていく事に体が軽くなっている気がした

 

今から、霊夢を倒すらからだろうか?

 

それは分からなかった

 

ただ分かるのは…霊夢が待っている事だけだ

 

静かなる気がここまで伝わってくる

 

そうしているうちに階段の登りきり、鳥居をくぐった

 

 

「こんにちは、」

 

 久しぶりだな

 

貴方達は対峙していた

上記の挨拶とは裏腹に、目は鋭い

 

「待っていた、この瞬間、貴方に認められるこの時を」

 

 待っていた、この瞬間、全員を正常に戻すこの時を

 

同時に言う

これだけで彼女に伝わる

 

 行くぞ、妹

 

「来なさい、兄さん」

 

刀を鞘から抜く

 

大幣を構える

 

戦いが始まった




魔理沙の戦闘?

…各自の想像にお任せします


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楽園の素敵な巫女―博麗霊夢―

最初の攻撃は貴方

刀を構え、霊夢に向かって飛びかかる

 

「はあっ」

 

それを大幣で防御する

彼女の霊力がみなぎっているのを、幻視した

右の刀を上から振り下ろし、左から刀を振る

流石に防げないと感じたのか後ろに避ける

そこに蹴りをいれるが、さらに避けられる

 

「…」

 

 …

 

双方、無言だ

当たり前だろう、言葉なんて発せない

疲れている訳では無い

むしろ高揚していて、疲れが吹っ飛んでいる

 

「はっ」

 

 せいっ

 

小競り合い

弾幕を交えて近接戦をこなす

刀で攻撃していると、陰陽玉から弾幕が放たれる

それを斬るのは簡単な事だ

 

だが、霊夢が厄介だったのだ

 

見てわかる通り、既知の攻撃が通じない

 

だが、時たま通る攻撃がある

まちまちすぎて分からないが、やるしかない

 

「封魔陣」

 

 っ…

 

目の前を覆い尽くす光

地面なら光の柱が立っていた

霊夢のスペルカードだ

 

それを切り裂いて攻撃する

 

「…」

 

体を捻り、それを回避すると大幣を振るう

それを蹴飛ばしさらに攻撃を加える

 

「危ないわね」

 

 いつもの事だ

 

そう、これはいつもの事だ

ここでの仕事での、日常茶飯事

何度も見た光景だ

 

「さ、行くわよ」

 

 来い

 

攻守交替

今度は霊夢が攻める

陰陽玉を援護として使い、攻めてくる

手を捻り弾幕を生成する

それらを斬るか避けるかしていなす

 

「流石」

 

 言う程

 

そういう事だった

これくらいできて当たり前だ

 

「まだまだ」

 

大幣を刀の鍔に当てる

それに意味は無いように思う

 

 …あっつ!?

 

驚いた熱が流し込まれていた

 

「貴方が使う熱の術よ」

 

 そこまで使った覚えは無いが

 

反動で短刀を落とす

刀に両手を添える

 

 いざ

 

横からの斬撃

それは意図も容易く大幣を斬る

そんなに驚くことも無く、刀を霊夢は殴る

余りの強さに刀を落とす

 

「肉弾戦よ」

 

 いいね

 

拳を握る

もはや空を飛ぶという事はしなかった

簡単な事だ、"卑怯だから"だ

今あるのはわかりやすく言えば男の友情だ

それを貴方と霊夢に当てはめただけだ

 

右手をしならせるように殴る

それを左手で防ぎ、下からアッパーをかます

後ろに避け、追撃よ蹴りを蹴りで相殺する

 

「中々」

 

 得意じゃないだろう?

 

左手で真っ直ぐにパンチ

右足で腹を蹴る

 

霊夢は少し顔を苦痛で歪ませたあと、同じ技で攻撃する

小鳥の囀りは止まることが無かった

戦闘中、一定のリズムで鳴る

 

「はっ!」

 

 ぐばっ

 

思い切り顔面に蹴りを頂く

受身をとり、態勢を立て直す

 

横腹に蹴りを入れる

それを右手で撃ち落とし、追撃する

激痛が走る、呻き声を漏らす

 

だが…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この時、思い切り霊夢の胸に拳を入れていた

 

倒れる楽園の巫女

 

貴方は思わず手を差し伸べていた

 

それに構わず、彼女は仰向けに倒れていた

 

 

 

「…やっぱり、勝てないか」

 

私は諦めた声で言う

最初から、兄に勝てる訳がなかった

 

幻想郷最強には弾幕最強は勝てなかった

 

彼は私の横に膝立ちになっていた

 

 …諦める気になったか

 

なれなかった、とは言えなかった

どうしても言いたくなかった

諦めた、なんて言いたくなかった

だから私は無言を使った

 

 …そうか

 

彼は私の体に手を回す

 

あぁ、安心する

気持ちいい、ずっとこのままでいたい

でも、もう無理なんだろう

 

 …霊夢

 

そんな私の絶望を打ち砕くように彼は言う

 

 好きだ、昔も、これからも

 

「…いいの?」

 

私は聞く

本当に、いいのか

私の様な女が一緒でいいのか

 

それに対して、貴方は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 大好き

 

 

 

いいよ、の代わりにこの言葉で答えた

私の見ているものがブレる

 

いや、違う…これは涙だ

 

「あ…あぁ」

 

 好きだよ、ずっと

 

「…私も!大好き!」

 

思い切り彼を抱きしめる

その心は、とても暖かった



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おしまい

「おめでとう、霊夢」

 

「おめでたいぜ!霊夢!」

 

「おめでとうございます」

 

「ありがとう、皆」

 

 ありがとう

 

2人はこの式に立ち会ってくれた皆に感謝の言葉を飛ばす

この2人が結婚するという話は直ぐに広まった

皆、祝いの服装だ

いつもの奇天烈な服をした者なんて何処にも居ない

 

ましてや、貴方を奪おうとするものなんて

 

「貴方」

 

霊夢な貴方の方に顔を向ける

 

「私に、永遠の愛を誓ってくれるかしら」

 

 もちろん

 

合間を入れず、瞬時に答える

その答えに嬉しそうに言う

 

「ありがとう、それじゃあ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

         「「「「乾杯!」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの後、貴方は博麗神社に居た

無論の事霊夢を介抱するためである

色んな所の骨が折れ、重症だった

あれを治してくれた永琳達に感謝である

 

「…」

 

 お粥だよ

 

「食べさせて」

 

 分かったよ

 

貴方が作ったお粥を霊夢に食べさせる

口に運び、入れる

 

「…美味しい」

 

 ありがとう

 

貴方は礼を言った

 

「…ごめんなさい」

 

霊夢は突然謝る

なぜ謝るか、それは大体把握できる

 

「私、貴方に盲目になっていたみたい」

 

「貴方の事を考えていると、幸せになれるの」

 

「いつ、どんな事を、どんな風にするか」

 

「私の楽しみだった」

 

霊夢の顔が少し悲しくなる

 

「でも、それを貴方は…」

 

 …

 

嫌、だと思っていたのは否めない

なぜなら記憶が無かったからだ

あれば把握は出来ただろう

記憶が無いから、それは不可能だった

 

「嬉しかったのは、貴方が変わっていないこと」

 

「貴方の姿形、どれも変わっていない」

 

「貴方の中が何であろうと…私は貴方を信じる」

 

霊夢は貴方に抱きつく

 

「…好き、大好き」

 

耳元に口を寄せて、熱い息を吐く

 

「もう、絶対に手離したくない」

 

舌を首筋に這わせる

 

「だから、ね?」

 

袴を上げて、貴方に跨る

 

 まだ、式を上げてないぞ

 

「大丈夫よ、何の問題もないわ…ちゃんと気持ち良くさせるから」

 

 …お手柔らかに

 

その日、貴方は生きている中で最高の日を過ごした

 

 

 

 

 

 

 

「美味いぜ!いつもより美味い!」

 

今回の宴会は白熱していた

それもそのはず、博麗霊夢の結婚祝いだからだ

 

「いつもより手を入れたわ、美味しいはずよ」

 

咲夜は自慢げに言う

 

 すまないね

 

「この程度、朝飯前です」

 

「すみませーん!貴方に結婚の感想を聞きたいんですけどー!」

 

 はいはい、己は最高に楽しいですよー

 

貴方は適当に返す

霊夢は少し気に入らなかったようだ

 

「何よー恥ずかしがり屋ねー」

 

ほんのりと赤面している

酒が効いているみたいだった

 

 身重なんだから控えろよ

 

「やーだ」

 

「…さん、もしかして」

 

椛が聞いてきた

 

 察してくれ

 

「…ズルいですよぅ」

 

…それからというもの毎日誰かに襲われるようになったのは別のお話

それはともかく、楽しい

 

「こんなに楽しいのは初めてですね!」

 

早苗が楽しそうに言う

 

「あぁ〜霊夢さんと〜彼が〜結ばれてぇ〜」

 

妖夢は泥酔して変な踊りを踊っている、コワイ

 

「たまには白玉楼にも顔を出して頂戴」

 

幽々子がふわふわと言う

 

 気が向いたらな

 

貴方はそういうと食事をする

 

「まずは腹ごしらえか?」

 

 そうだな

 

腹が減っては戦は出来ぬ、これは古事記にも書かれてる

空腹では何も出来ない

 

 美味しい

 

「今回は食材も料理の方法も最高だ!飲め飲め!」

 

萃香や勇儀が杯を振るう

みんな楽しいそうだ、楽しい

 

 いい風景だ

 

いままで貴方を狙っていたものたちが仲良く宴会をしている

これは貴方がささやかに思っていた事だ

 

…仲良く、宴会をしたい

 

「わーい!肩車だぁー!」

 

こいしがいつの間にか肩に乗っていた

 

「わたしもするー!」

 

霊夢が膝に倒れ込む

 

「わ、私も!」

 

椛が背中から抱きついた

 

「お兄様ー!」

 

フランが万円の笑みをして、腕に

 

「人気ものだな」

 

魔理沙が笑っていう

貴方は苦笑した

 

そして、天を見上げる

 

星々が輝くその様は、まさに美しい

 

これから、貴方"達"は幸せな毎日を送る

 

 

 

俺は、祝福する

 

 

 

ありがとう、友よ

 

 

 

これからはお前が、俺になる

 

 

 

 

幸せに暮らしてくれ




完結?


まだなんだなこれが


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昔話

昔、ある所に博麗の巫女という女性が居ました

彼女は外の世界から来た男と恋仲になりました

 

幻想郷の番人である彼女はそれを心の奥にしまいます

 

ですが、会う度に大きくなる恋心

 

ついに耐えきれずに彼を無理やり犯してしまいます

 

愛を囁きながら、彼の顔に自身の顔を近づけます

 

彼はどこか悟った顔をして、それを受け入れました

彼女は妖怪の賢者と話し合い、式を上げます

 

昔からの友人や、妖怪

皆が彼女達を祝ってくれました

 

そして、ある日ついに彼女は子供を産みます

 

それは奇跡的な事に双子でした

 

今代の博麗の巫女は一人っ子でした

 

彼と彼女は我が子に付ける名前を考えます

男の子と女の子、とても悩みます

 

そして何日も経ったある日、彼は思いつきました

 

彼は仕事を終わらせて神社に急いで帰ります

 

「こんな名前はどうだい?」

 

それは男の子の名前だった

彼女は少し驚いた顔をします

 

「女の子名前はこんなのでどうかしら」

 

何と女の子の方の名前を思いついていたのです

 

そして、彼女と彼はこう名付けられます

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

博麗霊夢と博麗せん…と

 

 

 

あれから何日も経ちました

2人はすくすくと成長していきます

 

「大きくなった」

 

彼はにこやかにそういいます

 

「…そうね」

 

少し複雑な顔をした彼女

それもそのはず、彼にとって望まれた子では無いのですから

それを感じ取ったのか、彼は笑います

 

「気にしてないよ、大丈夫」

 

「…貴方」

 

「おかーさん!」

 

そこにせんが声を掛けます

子供の幼い声が2人を癒します

 

「どうしたの?」

 

「あのね!今日霊夢に術で勝ったの!」

 

「…まけた」

 

霊夢は不機嫌な顔で、せんはニッコリと言います

 

「本当、貴方に似た笑顔ね」

 

「霊夢の性格も似てるよ」

 

「んー?」

 

霊夢とせんは睨み合います

 

「つぎはかつ」

 

「何時でもどうぞ!」

 

言葉はせんが覚えるのが早かった

博麗の術で言えば五分五分だ

だが、せんは剣術に長けていた

2人はワタワタし合う2人を見る

 

「…彼も」

 

「僕と同じようになるだろうね」

 

「…そうね」

 

博麗の刺客として、それは鍛えられる

また紫が来て二人を鍛えるというのをこの夫婦は知っていました

なんなら自分達が教えたい、でも仕事で忙しい

 

あの妖怪に教えるのは気が進まないようですけど

スキマ妖怪というのは十の言葉を放てば八は嘘と言われる妖怪です

彼女には妖怪としての威厳、があるのでしょう

ですが、それが逆に仇になっていると、皆思っています

 

噂をすればほら…

 

「はぁーい、呼んだかしら」

 

「呼んでない」

 

「うーわ、子供見て癒されていたのに」

 

思わず引く2人

妖怪は見た目によらず、物凄く歳を取っています

この妖怪の場合、何1000年を生きてきたのか

それを知っているからこそ、2人はこのような反応をするのです

 

「気持ち悪い、早く帰れ帰れ」

 

「嫌われたものですねぇ」

 

扇子で口を隠し、笑う紫

それは知る人にはとても気持ち悪い笑でした

 

「…貴方、仕事よ」

 

「場所は」

 

紫の顔が真剣になったのを見て、彼は真顔になります

 

「魔法の森の近く、左腕を怪我している奴よ」

 

「了解」

 

次の瞬間には彼は居なくなっていました

父親が消えたのを見て、せんは聞きます

 

「お父さんは?」

 

「お仕事よ、坊ちゃん…ぎゃ!?」

 

感情の無い目で紫を斬る

そこに慈悲などなかった

いや、こいつに掛ける慈悲なんてあるだろうか

 

「ひ、酷い」

 

「もっとやったら今日はご馳走よ」

 

「わーい!」

 

「いや!?ちょっと!?見えな」

 

甲高い音を立てて紫は散ります

これは弾幕ごっこでGAME OVERになった時の演出です

せんの実力は妖怪の賢者にまで及ぶのでしょうか

 

「いたーい…」

 

「腹立つなぁ…」

 

「まって、構え直さないで」

 

せんはイライラした顔で刀を構え直します

紫には傷1つありませんでした

それが彼にとって気に入らなかったのでしょう

言葉や術を覚えるのが早くても、心は成長していないのです

 

「お兄ちゃん」

 

「どうしたの」

 

「針のむしろにしようよ」

 

「賛成」

 

「え」

 

霊夢が眠そうな顔でとんでもない事を言います

2人の年齢は約10歳

まだまだ、慈悲の心が育っていない頃です(?)

 

「拘束して」

 

「分かった」

 

「ひゃ」

 

せんは紫を押し倒します

 

「これで動けないね」

 

「ちょっと…破廉恥よ…」

 

赤面する紫

 

「「「うわきっも」」」

 

「…」

 

撃沈する紫

その間にも体に針が刺さっていきます

 

「わ、ちょ…あれ」

 

「紫様…何をしていらっしゃるのだ…」

 

「尻尾、触る」

 

霊夢が目の色を変えて九尾の尻尾に抱きつきます

彼女の名前は八雲藍、紫の式です

 

「あー!ズルい!」

 

せんも同じように抱きつきます

 

「全く、困ったものだ」

 

「紫に?」

 

「どっちもだ」

 

「あらそう」

 

藍は針のむしろにされた紫を見て、ため息をつきます

当たり前でしょう、己の主人が情けない姿を晒しているのですから

 

「天狗辺りにばらまいて貰おうか」

 

「手伝いますよ…って消えましたね」

 

パッと瞬時に消える紫

どうやら恥をかくのは嫌だったようです

 

「はぁ…」

 

「もふー」

 

「もふー!」

 

暖かそうに顔を緩める2人

その顔は確かに幸せに染まっていました

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…そう、染まっていたんだ



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それは来る

弾けるような乾いた音

 

飛び散る血

 

辺りに撒き散らされた脳漿

 

それは一瞬にして灰に変わる

 

貴方は次の目標に狙いを定める

 

"「…」"

 

「や、やめてくれ…!」

 

その男…いや、"人間を止めた男"は慈悲を乞う

だが、貴方は冷徹に言う

 

「お前が妖怪の肉を食ったり、妖怪から術を受けて妖怪になったなら分かる」

 

それは仕方ない事だった

外から来た外来人が極限状態の中で妖怪の死体と知らずに食べる事はある

例として人里に半妖と化した外来人が居た

 

…人里に隠れ住んでいるらしい

 

「お前は禁術を使った、転生先を妖怪にするという禁術をな」

 

銃を仕舞い、刀を抜いて掲げる

月夜に刀が輝く

その独特な模様が歓喜するかの様に蠢く

 

貴方は刀を構えた

 

こいつに二刀も使う必要は無い

 

「お、俺は人は襲わねぇ!し、信じてくれ!」

 

頭を地面に擦り付け、懇願する

しかし、それは貴方にはまるで届いていなかった

 

 

 

 

 

貴方はきっちりと、そいつに伝えた

 

 

 

 

 

 

「運が悪かったと自分を恨むんだな、愚か者」

 

スパンと、首が飛ぶ

体は糸の無くなった操り人形の様に倒れた

 

 

 

「お疲れ様」

 

月明かりの下、霊夢が迎えてくれた

どうやら博麗神社からここまで来たようだ

 

「おいおい、飲み物くらい用意しておけよ」

 

「やだね、自分で入れなさい」

 

「…ちぇっ」

 

貴方は刀を一振し、血を飛ばす

刀は元の波紋をよく移すようになった

パチン、と鞘に戻す

 

「水の変わりにお酒を用意してあるわ」

 

「何処だ?」

 

「お家」

 

「帰るか」

 

貴方は顔に付いた血を袖で吹く

顔の血は取れたが、袖が真っ赤に染まった

 

「はぁ、洗濯物が増えるな」

 

「面倒ね」

 

「こういうのは女がやるべきだろう」

 

「知ってる?外の世界じゃそれ男女差別っていうのよ」

 

「…なんだか」

 

昔からのイメージが定着すると、自然とそう思うのだ

癖というのは抜けずらい

 

貴方はそう思いながら帰宅した

 

 

境内に着陸する

そして縁側の傍に靴を脱いで揃える

中に入ると自分の部屋に向かう

 

「着替え終わるまで、入るなよ」

 

「入らないわよ」

 

一応警告はした

貴方はするりと服を脱ぐ

血に濡れたそれを畳の汚さないように桶にぶち込む

洗濯は明日やればいいだろう

そう思い、箪笥から予備の服を出す

 

神主さんが着るような服

ここでは博麗カラーになっている

着るだけで厳かな雰囲気が出る、スグレモノだ

 

貴方はそれを着ろうとして気づく

 

…今から寝るんだった

 

貴方は寝看着を取り出して、すぐさま着る

神主の服はちゃんと畳み、置いておいた

 

障子を開けて、出る

 

「こっち」

 

キョロキョロとしていた貴方を霊夢が呼ぶ

縁側で月を見上げて座っていた

 

「失礼」

 

お酒が置かれたお盆を間に座る

霊夢が杯にお酒をつぎ込む

その酒を見て少し嬉しくなった

 

「良い酒じゃないか」

 

霊夢は褒められたのを嬉しそうに言う

 

「祝いよ、貴方の」

 

カラン、と杯を乾杯する

 

「乾杯、ね」

 

ゴクリと酒を飲む

旨みが喉を通り、少しの辛さが後から通る

しかし、まるでそれが無かったかの様にさっぱりしている

 

「どこのだ?」

 

「紫から」

 

ぶんどったのだろう

あの面倒な奴が簡単にこちらに渡す訳が無い

よく見ると、服に汚れやほつれがあった

 

「無理するなよ」

 

「大丈夫よ」

 

霊夢は笑う

この程度、大丈夫と言うが兄として心配だ

貴方はそう言おうとしてそれを飲み込んだ

 

「…月見酒でもするか」

 

「季節合ってるのかしら」

 

「知らんがな」

 

貴方は杯に酒を入れる

そして、その水面に月を写した

今日の月は運のいいことに満月だった

 

「それでは」

 

「頂きます」

 

クイッと杯を傾ける

それは先程よりほんの少しだけ美味しい気がした

 

「んん…」

 

「いい感じに酔ってきたわね」

 

「お前もな」

 

霊夢の頬は赤くなっていた

それは決して赤面している訳ではないと言うのを知っていた

 

「ねぇ」

 

不意に霊夢が顔を近づける

 

「何──っ」

 

「ん…」

 

顔を向けた瞬間口に感じる異常

その柔らかさは霊夢の唇以外に他ならない

 

「んく…んんん…」

 

「あ…っ…んんっ…」

 

 

「ぷはっ」

 

唇を離す

霊夢の顔は更に赤くなっていた

 

「破廉恥」

 

「体は正直ね」

 

貴方は不貞腐れた様子でお盆を持ち、立ち上がる

 

「さ、夜も深いから寝ろ」

 

「えー」

 

「そんな顔しない、寝るっ!」

 

スパンと障子を閉める

お盆は台所に持っていき、置いた

貴方は自分の部屋に戻って布団に入る

 

と、背中に温もりを感じた

 

「…霊夢」

 

「ん…?」

 

「離れてくれ」

 

霊夢は背中から離れない

 

「…そんなに添い寝したいか」

 

「うん!久しぶりにお兄ちゃんと寝たいの」

 

霊夢は酒のお陰で幼児退行していた

それはまるで駄々っ子の様に、だ

 

「…はぁ、今日だけだぞ」

 

「わーい!」

 

ギュッと霊夢が貴方を抱きしめる

貴方の首元に熱い息がかかる

スンスンと、臭いを嗅ぐ音が聞こえた

 

「獣か」

 

「お兄ちゃんがね」

 

「はっ…」

 

否定出来ないのが辛い

 

自分は獣だ

 

起きて、狩って、食べて、寝る

 

それを繰り返すだけの…

 

「大丈夫だよ、お兄ちゃん」

 

霊夢が耳元に声を掛ける

それは貴方にとって、とても嬉しかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私は、貴方の味方だから」

 

 

 

 

 

 

そう、ここまでは良かった

 

彼女達が狂っていったのはここから…

 

いや?最初からか?

 

ともかく、貴方…お前が外の世界に行く原因が生まれたのはここからだった

 

 

 



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全ての始まり―グラウンド・ゼロ―

これが全て始まり

ここから全てが始まるのだ

…なあ、そろそろ返してくれないか

返せ、俺の体を

返してくれ、俺の存在を




その日も、普通に暮らしていた

 

"俺"はいつも通り縁側で景色を見つめていた

 

幻想郷の風景は美しい

 

外の世界は言葉に出来ないほど汚いらしい

俺個人としては、そんな所に行きたくはない

なんならこの生活を続けていれば行くことは無いだろう

外に妖怪が逃げる訳でも無し

畏れが少ない外の世界に行けば瞬く間に力を失う

それこそ術をかけでもしなければ力は保てない

 

なぜなら、我らは忘れられし存在だから

 

妖怪、神、その他もろもろ含めて忘れられた存在

 

ここはそいつらが集う、最後の楽園

 

ここのに住む者は全員この楽園を幻想郷と呼ぶ

 

だが…俺は思うのだ

 

外の世界という天国はある

侵略でもして畏れを増やせばいい

だが、それは出来ないようだった

 

…ここは、天国の外側

 

人知れず、俺は此処をこう呼ぶ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

        OUTER HEAVEN(天国の外側)…と

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日も今日とて縁側に居た

天気は雨模様、雨が降り注ぐ

その雨の音を聞くのが、好きだった

俺の心を癒してくれる少ない存在

戦闘で廃れた心は永遠に癒えないが、無いよりかマシだ

 

「よぉ、元気か?」

 

「普通、いつも通りだ」

 

魔理沙が境内に着地する

いつものエプロン、トンガリ帽子、箒

毎日見る友人の姿だった

 

「何用だ」

 

「特に無いが」

 

「そうか」

 

そういうと魔理沙は縁側に上がって障子を開け、中に入っていった

 

「魔理沙?ちゃんと入る時は何か言いなさいよ」

 

「面倒だからやだね」

 

「…はぁ」

 

その溜息には同感だ

こいつには礼儀は無いのか

 

個人的スゴい=シツレイな奴である

 

俳句を詠め

 

…それはともかく

 

「今日もいい天気だ」

 

俺にとって雨はいい天気だ

戦闘で熱くなった体と心を冷やし、冷静にさせる

体の温度を奪われても、それが良いと思った

 

「…?」

 

音が、した

風を斬る、ひゅんと言う音が

 

「こんにちは!」

 

「射命丸か」

 

現れたのは射命丸文

雨のお陰で着ていたカッターシャツはずぶ濡れだ

 

「縁側に来いよ、雨宿りくらいはさせてやる」

 

「ありがたやー」

 

縁側に座った彼女にタオルを投げた

 

「おおっ、気がききますね」

 

「一応の礼儀だ」

 

そういうと、また俺は空を見つめる

相変わらず雨が降り注いでいた

 

「雨を見るのが好きなんですか?」

 

不意に文が聞いた

俺は頷く

 

「あぁ、役職柄雨は好きなんだ」

 

「そうですか…分からないですね」

 

「昔はかなり保守だと聞いたが」

 

「さぁ、いつの話だか…忘れちゃたわ」

 

ふっと文が笑う

彼女が覚えていないくらい昔の事だろう

もしくは、思い出したくないかの二択

 

「…そうだ、私の家に来ないかしら」

 

「なんでだ?」

 

「久しぶりに妖怪の山に来てみたくない?」

 

「まぁ…そうだな」

 

俺は少し思う

妖怪の山に仕事で来ることはあった

だがしかし、私的な用事で来た事はあまりない

 

「そうするか、エスコートを頼むよ」

 

「男がやるものですよ?」

 

「言っとけ」

 

俺は飛んでいく文に続いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…後ろから見る視線に気づかずに

 

 

「いやー!気持ちいいですね!空を飛ぶというのは」

 

「お前は何回も飛んでるだろ」

 

俺たちは雲の上を飛んでいた

地面は雲の合間から見えている

それよりも、空を飛ぶという気持ちよさが上回っていた

 

爽快感は誰おも魅了するものだ

俺はそう思う

 

「ねぇ」

 

不意に彼女が俺の名前を呼ぶ

 

「どうしたよ」

 

黒い羽根が生えた女の子と共に飛んでいる俺

 

でも俺には羽根が生えていない

 

俺は彼女の顔を見たが、後光でよく見えない。

 

俺はとても幸せだった、それはとてとてとも。

 

その彼女の顔は、濁った瞳に三日月の様笑みを浮かべ…

 

「ごめんなさい」

 

その言葉が聞こえた後、俺の意識は消えた

 

 

「…」

 

霊夢は立ち上がる

 

「どうした?霊夢」

 

「ダメよ」

 

「んぇ?」

 

霊夢は大幣を持つ

 

「渡さない」

 

「お、おい…れい」

 

魔理沙は絶句した

彼女の瞳に光がない

その口はうわ言を吐き出す

 

「絶対に彼は渡さない」

 

「…あぁ」

 

全てを魔理沙は理解した

その瞬間、深い闇が魔理沙の心を覆う

 

彼を、奪おうとする者が居る

 

たったそれだけで、こんな気持ちになれるんだ

 

…怒り

 

これまで感じたことのない、深い怒り

 

「殺そう」

 

「殺すわ」

 

2人は飛び立つ

向かうところはただ1つ

 

…妖怪の山

 

 

目が覚めると、俺は床に倒れていた

 

胸に感じる重み

 

絡み合う、誰かの体

 

その後ろに見える黒い翼

 

 

 

「…あ…や」

 

「ん…?おき…ましたか?」

 

自分でもびっくりするほどのかすれた声

同時に感じる恐怖

 

…どうして、こんな

 

「…お前」

 

「何故か?」

 

文はうっとりとした顔で言う

俺の顔を撫でながら、蕩ける声で

 

「私は貴方が好き、どんなものよりも、大好き」

 

ぎゅうと抱きしめる

きつい、痛い、痛い

 

「見た時から、強くて、かっこよくて…一目惚れでした」

 

首筋に熱い感覚が這う

粘液を感じる…舌と認識するまでに時間はかからなかった

 

「だから、独占したい、巫女から奪いたい」

 

「…」

 

俺は恐怖を覚えた

 

今日初めて、恐怖を覚えた

 

「離れろ!」

 

文を蹴飛ばし、乱れた服を直す

コルクの抜けた様な音と、文が壁にぶつかった音がする

 

「っ…!」

 

拳を構え、臨戦態勢に望む

刀は博麗神社に置いてきてしまった

 

「酷いですねぇ、こんな…こんな」

 

ゆらゆらと文が歩み寄る

 

「来るな」

 

「どうしてですかぁ?貴方も望んでいるでしょう?」

 

「来るなっ!」

 

叫ぶ

だが、恐怖には勝てなかった

その油断のお陰で俺は押し倒されていた

 

「あはっ!幻想郷最強の存在が!私に押し倒されて!」

 

「ぐ、ぐぐぅ…!」

 

「貴方は私の物…わ、た、し、の物!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

瞬間、銀の線が見える

 

「ちっ」

 

文が舌打ちをして離れる

俺は首を動かして、それを見た

 

あぁ、毎日見る姿だ

 

いや、違う

 

俺は知らない

 

そんな…そんな…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

黒曜石の様な目をした霊夢は知らない…!

 



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さようなら

おしまい


「…」

 

「…」

 

視線が交差した

何も言えない、動けない

 

「…魔理沙」

 

「お易い御用…!?」

 

体が、中を浮く

楓の扇子がよく見える

文が暴風を引き起こしたのは言うまでもない

 

「くそっ!」

 

「させない!」

 

「応戦しなさい」

 

それが最後に聞こえた言葉だった

俺は何とか空中制御を図ろうとする

だが、精も、霊力も搾り取られたこの体にそんな力は無い

 

「あ、ああ」

 

人生で出したことのない間抜けな声

それを認めたくなかった

 

というより、こんな敗北を認めたくなかった

 

強大な敵に負けるのは納得出来た

 

たが、これは…

 

否定しても、事実は変わらない

それが俺にとっていやだった

 

ガン

 

「あ」

 

それが俺が最後に出した言葉

空中制御が出来なくなった俺は地面に向かった

そして運悪く地面に叩きつけられた

 

さらに運の悪いことに後頭部を強く打ち付け…

 

これが、俺としての最後の記憶だった

 

 

 

文の家はボロボロになっていた

同様に3人はボロボロだ

 

「そろそろ諦めなさい」

 

冷徹な声でいう霊夢

 

「羨ましいですか?私があんな事をしたこと?」

 

おどけた口調で文が言う

 

「許さない、許さないぜ…!」

 

静かに怒りを放つ魔理沙

 

その緊張は一瞬で静まった

文が突然倒れたのである

 

その後ろには裂けた空間から伸びる手

 

「紫」

 

「霊夢…魔理沙」

 

紫は彼を抱えて現れた

その後ろには藍も居る

 

「…もう、どうしようも無いわ」

 

諦めの言葉

 

「…本当に?」

 

「…彼が記憶を失った」

 

絶句

 

気配だけでも分かるほどの大きな絶句

 

「きっかけで治るでしょうけど、ここに置いておけない」

 

「そんな…じゃあ!」

 

魔理沙は叫ぶ

 

「外の世界に送るしかない…?」

 

霊夢が呟く

 

「その通り、案ずるな…世話は先代が行う」

 

「…もう、会えないのかしら」

 

彼に手を伸ばそうとする

 

「いえ、それは無いわ」

 

紫は否定する

 

「彼は幻想の存在、必ずこちらに来る」

 

「その時を…待つ?」

 

そういう事だった

彼が幻想に戻るのを待つ

 

…それが最適の手段だった

 

「…でも」

 

「問題無いわ」

 

そうすれば、少なからず不味いことになる

紅魔館の連中やらが好意を寄せているのは確定

その存在が居なくなれば…

 

「こちらで抑えるから」

 

紫は安心させるように言う

 

「…信じても、いいのよね?」

 

確認

 

「ええ、信じて」

 

お願い

 

今、この時

 

貴方の物語が始まったのだ

 

「…戸籍を作らないと…あぁ、それに…」

 

そう言いながら紫は隙間に消えていく

それを最後まで、2人は見ていた

 

 

 

 

 

 行ってきます

 

貴方はドアを開けてそう言った

返される声は無い

母と父は行方不明になっていたからだ

原因は不明、知らぬ間にふらりと消えていた

キャンプ用具を持ち、歩く

 

久しぶりに山に行きたかったのだ

 

小鳥の囀りと葉の音は心を癒す

雨が降ればなお良しな事だった

 

 

山の中程に来ると、貴方はキャンプ用品を展開する

テントを置いて、薪を置く、その後に木の枝を探す

入手したら薪の周りに置いた木に座る

そしてナイフを使ってけがく

大体をやり終えると、薪に火をつける

そこに鉄網を置いて、肉も置く

 

じゅーと肉の焼ける音

 

香ばしい匂いが鼻に入ってくる

 

それを何回かひっくり返した後、口に入れる

 

ジュウシーな肉の味

食べ終えると、テントの中に潜る

既に真っ暗になっていた

 

 

 

 

 

 

 

 

貴方は目を瞑り、眠った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

物語の、始まり

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




https://syosetu.org/novel/270843/1.html

終わった…全て終わった




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絶望、希望、"もしも"の世界線
離さない


貴方は倒れていた

木の根元に腰を深く座らせて

 

刀は手前に1本、在らぬ方向に1本だ

 

目は血が入って赤い

体には鎌鼬による無数の傷があった

腕は右が明後日の方向を向いている

 

「あはっ私の勝ちですね!」

 

胸の傷以外目立った外傷の無い文が嗤う

ゆっくりと彼女は近づいてきた

 

「あははっ!こんなにも!呆気なく!」

 

本当にその通りだった

1発目を与えて、油断して、このザマだ

 

情けなかった

 

死にたかった

 

そんな貴方の耳に、熱い吐息がかかる

 

「安心してください」

 

肩に手を置かれる

彼女の顔が貴方の顔と相対する

その瞳は、深く紅く、貴方しか移していなかった

 

「貴方はもう、私だけの物」

 

彼女の唇が、貴方の唇に近づく

 

「愛しています」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チュ、と音を立てて唇が塞がれる

 

数秒それが続いた後、唇が離れる

 

「私だけの、私だけの、貴方…くふっくふふふふ」

 

彼女の哄笑があたりに響く

貴方はもう、動けない

 

「あはっあははっーはははは!」

 

狂ったように嗤う

背中の翼が歓喜するように動いた

 

 

 

 

それから、あなたを見たものはいなかった

 

「兄さん」

 

博麗の巫女は、空に手を伸ばす

すると、直ぐに来てくれる

 

 …霊夢

 

「…兄さん」

 

そこには、鴉天狗が居た

もう役目を終えることの出来ない兄が

 

 …もう

 

「戻れないわ、私たちは」

 

霊夢は背を向ける

 

「…私達が普通に話すのは、これが最後よ」

 

 …

 

妖怪でありながら、妖怪を殺す者として、貴方は居る

その異例さから妖怪達から変な目で見られることがある

だが、確実に入っているのが畏敬の念

 

「こんな事になるなら」

 

巫女は心底残念そうに呟く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私が殺せば良かったわ」

 

 

 

 

 

 

 

彼女はそれっきり何も言わなくなった

貴方も居心地の悪さに帰ってしまう

 

「…ごめんなさい」

 

霊夢は膝をつく

からんと箒が倒れた

 

「ごめん…なさい…ごめん、なさいいいい…」

 

涙をポトポトを落としながら、許しを乞いていた

 

それは他の誰でもなく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

兄をこうしてしまった自分への後悔だった

 

 

 

 

 

 …ただいま

 

「おかえりなさいー、どうでしたか」

 

 駄目だったよ

 

貴方は目を逸らした

文はとんとんと肩を叩く

 

「まぁまぁ!気晴らしに酒でも飲みましょう!」

 

 …そうだな

 

あの日、貴方は妖怪に変えられた

妖力を一晩中流し込まれたのだ、成らない訳が無い

妖怪を殺す人間だった貴方が殺される側に行くとは、なんという皮肉だろうか

 

 …はぁ

 

溜息は尽きない

なぜなら、彼女とはもう合わないかもだからだ

己が知らないうちに死んでいるかもしれない

 

「どうしました?」

 

 …なんでもないさ

 

貴方は妻を安心させるように言う

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 いい妻が居るもんだ、と思ってね

 

己が全く思っていないことを



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新たな人生

時間軸は太陽の畑から逃げる所


なんとか魔法の森に入ることが出来た

 

これなら身を隠しながら移動できる

 

 

 

「ふぅ、さて妖怪の山に行きましょうか」

 

 

 

辺りには瘴気が溢れ、人が入ることを拒んでいる

外の世界にあった樹海とは違いこちらは不気味だ

霧が溢れて規格外の大きさのキノコや派手なキノコもある

というかキノコ以外には草、木、水しか無い。

生物がいるとすれば妖怪かアリスor魔理沙なのだけど

今のところ彼女たちに会うという目的は無い

出来るだけ目撃情報は少なくしていたいのだ

草も生い茂っているし姿勢を低くする必要も無い

途中、妖怪に襲われそうになったがなんとかやり過ごした

夢の中で死闘の体験をしたとしても強くなれない

 

何かが邪魔をしているように感じた

 

 

 

「…せんさんが…いや…誰かに奪われるくらいなら…」

 

 

 

何か椛がブツブツと呟いているような気がするが、気の所為だ

 

妖怪の山が目前と言うところだった

 

 

 

…!?

 

 

いきなり倒された

 

倒した張本人…椛は大剣を抜いていた

 

 

 

 …何故

 

 

 

「こうしたら…良いと思ったんです」

 

 

 

椛は赤黒い目で言った

 

そして大剣を撫でた

 

 

 

「貴方は人間…早く死んでしまう…だったら」

 

 

 

その顔はなにか苦渋の決断をしたような顔だった

 

 

 

「貴方は殺して、その肉を食べたら、一生一緒じゃ無いですか…!」

 

 

 

そして大剣を構えた

 

 

 

「だから、抵抗…しないでください…ね?」

 

 

貴方は振り下ろされた大剣を避けた

 

だが、完全には避けきれなかった

 

左手に走る凄まじい痛み

 

苦痛の声が口から漏れる

 

しかし、最も泣きそうだったのは椛だった

 

 

 

「え…?私…え?あれ…あ…あ…あああ」

 

 

 

椛が壊れかけていた、そんな椛に貴方は右手に作ったあるものを向けた

 

シングル・アクション・アーミー

 

西部劇でよく見るリボルバーだ

 

その照準を椛の右目に定めた

 

 

 

…お返しだ。ごめん

 

そして、その引き金が引かれた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

引かれ、た

 

引かれ…?

 

 …なんで

 

貴方は思わず呟く

その人差し指は決して動かなかった

 

 動けっ…動け…!

 

そう叫んでも、動かない

完全に人差し指はストライキをしていた

 

「…ねぇ、せんさん」

 

 っ…

 

ゆらりと椛が近づいてくる

 

「私、私は…あ、あうあ」

 

彼女の目線は貴方の顔をと左手を行き来している

その姿はなんとも情けなくて、可哀想で

 

「今、くっつけますから…!」

 

己の指を切り、血を貴方の左手にある断面に注ぐ

 

そして左手をくっつけようとしていた

 

体の何かが変化していた

 

 あ?あぐ…あ、ああああああああぁぁぁああ!?

 

せんさん!?」

 

最初は熱を感じただけだった

それが今は体が燃えるように熱い

頭が、腰が、体が…

貴方は叫ぶことしか出来なかった

シングル・アクション・アーミーは地面に落ちていた

 

その熱さが無くなった時、貴方は違和感を覚えた

 

腰と頭に異物があるような気がするのだ

 

 …!?

 

触れてみれば、ふさふさとしたものがある

 

それは…尻尾と獣耳

 

 あ…あ…あぁ

 

「…せんさん」

 

もう、博麗の者として、生きていけない

その事実が頭をよぎる

 

絶望

 

それを安心させるかのように椛がよりそう

 

「安心して下さい」

 

 

 

 

彼女の豊かな乳房が貴方の腕に当たって柔らかく変形する

その柔らかさに貴方は蕩けそうだった

椛は顔を近づける

その桃色の唇が妖艶に光る

 

 

「貴方は、私が何があってでも守りますから」

 

 

その唇が貴方の唇を塞いで…

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから貴方と椛は人里で暮らしていた

妖怪の山で追放処分を受けたからだ

 

これはマシな方である

 

3人の戦闘中にこの姿で出てきたらビームを幽香から放たれた

 

霊夢から御札、文から竜巻と

 

落ち着いた時に会話をして、なんとか平和にやっている

 

時たまでいいので家に来いと言われた

素直に従っていけば美味しく頂かれたのは最悪な思い出だ

しかも最近は夜に這入ると美味しく頂こうとしてくる

無理に抵抗すると後々面倒なので抵抗していない

 

 

「旦那様?」

 

 うん?

 

貴方は目を開ける

そこには愛しの妻の顔

どうやら膝枕で長いこと寝ていたらしい

 

「仕事ですよ、慧音さんが呼んでいました」

 

 自警団か、分かった

 

貴方は立ち上がるといつもの武器を持つ

博麗として生きていた頃に使っていた刀

いまやそれは名残として残っている

 

 …妹

 

ポツリと貴方が呟いた

 

「旦那様?」

 

 すぐ行く

 

彼女の唇を少し奪う

数秒抱き合いながらキスしあった後、離れる

 

「ふふ、行ってらっしゃいませ」

 

 行ってくるよ

 

 

貴方達は世にも珍しい人里に住む白狼天狗

その珍しさは人里に住む者ならよく知っている

誰もが知っていて慧音のように信頼している

人脈も広くて、安心出来る夫婦

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 …今日も今日とて、異常無し



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あれから何日が経過したのか。

取り敢えず壁にある横1文字に縦線4本の数を

目測で数えただけで10以上はある

恐らくこれからもどんどん増えていくのだろう

貴方は射し込む光が月のソレである事を確認した

それにしても博麗霊夢はいやらしい性格だ

鉄格子の向こうに机があるの

そこに貴方のウエストバッグに愛刀、そして黒光りする銃

 

貴方は最初取りに行こうとしたが手が届きそうで届かない。

本当にいやらしい性格をしている

 

ここに何か書き記すか?

 

…いや、どうせ閉じ込められるのは貴方以外にいる筈が無いだろう。

それに眠気も凄い。

 

だから、貴方は祈る事しか出来なかった

 

これまでの道程を見て、神は何を定めるのか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、ああぁ…!」

 

「ええ、椛、あんたのやろうとした事はよく分かるわ」

 

私の手があらぬ方向に曲がる

体がゴミのように投げられた

 

「彼を守るため、彼を逃がすのは分かるのよ」

 

「じゃあ…どうして!」

 

「逃げたら、捕まえるのが面倒だから、よ」

 

怠惰な彼女からおなじみのセリフが出てくる

 

面倒だから

 

常に浮いている彼女らしいセリフだった

 

「ぐ…」

 

「あんたが協力するなら、命の事を考えてあげない事もないわ」

 

私の頭に足を置く

既に服はボロボロだった

弓は弦が切れて、しかもバラバラに折れている

刀の置かれた机に矢を打とうとしたら襲撃された

あっという間だった、私は未熟だ、ごめんなさい

 

「何を…」

 

せめてもの時間稼ぎに問う

 

その答えは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私が彼を拘束する事、異議はあるかしら?」

 

「…っ!」

 

思わず拳を握り

 

「あがっ!?」

 

手の甲に針が突き刺さった

更に逃げられないように両足にも針が刺さる

 

「うぐ…うぐぐう…あぅ…」

 

その退魔の力が込められた物に対抗出来る筈がない

私は唸るような、呻き声しか出せなかった

 

「協力してくれたら、触れ合うことだって許してあげる」

 

「彼を、出させない…気、でしょう…」

 

それに首を振る巫女

 

「彼とこの世界を見て回りたいもの、時が来れば解放するわ」

 

「…」

 

私は迷った、迷ってしまった

彼の事を思えばここで首を振りたい

だが、彼を自由に…"触れ合うこと"ができる

 

「…触れ合うことの、内容って…」

 

「あら?協力してくれるのかしら?」

 

「あぅ…」

 

何も言えなくなる

素直に内容が言われるかと言えば、ないだろう

こちらが頷くのを待っているのだ

 

頷かなければ、殺される

 

私は、私は…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…内容を、教えてください」

 

恐怖と、己の欲望に勝てなかった

 

「彼を自由にしていいわ、でも、優しくしてあげてね?」

 

「ヤっていいんですか?」

 

「言ったでしょ?優しくしてって」

 

…ごめんなさい

 

どうか私を許してください

 

…貴方

 

 

もう、どれだけここにいるかわからない

 

おりのそとからきこえるこえ

 

そばからかんじるといきとささやき

 

だいすき、だいすき、だいすき

 

あなたは、あなたは、あなたは

 

わたしのもの、わたし"たち"のもの

 

もうたんじゅんなことしかかんがえられない

 

あなたになにかがいつもおおいかぶさる

 

それからかんじるかいらく

 

あぁ、もう、うごけない

 

だれか、だれか、だれか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…貴方はもう、逃げられない

 

だから、大人しく"こう"なって?

 

私の、私の、大好きな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お兄ちゃん?              旦那様?




次回作かぁ…アンケートしよう!


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私の時間

紅魔館に亡命してから二週間

今のところ彼女達には見つかっていない

椛が時たま確認に来るくらいで、それ以外は特に、だ

襲撃の如く文と霊夢が来るが一種の脅しだろう

 

普通に暮らしている

 

フランが布団の中にいつも居て

 

みんなと笑って食事して

 

執事としてベッドメイキングして

 

夕飯の手伝いをして

 

フランと遊んで

 

大図書館で仕事して

 

ベッドで眠る

 

ちょっと前ならありえない事だった

外の世界でやっていた仕事も仕事だ

ただ、こんな仕事はやったことが無い

 

…そんな事は今関係無かった

 

そんな事よりも

 

そんな事よりも

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

十六夜咲夜に入れられたこの監禁部屋から脱出する

 

それだけを、考えなければ

 

 

この部屋に入れられたのはある時だった

 

 …これくらいか

 

貴方は最後のベッドメイキングを終わらせる

手で額の汗を拭き取り、部屋を出る

 

「お疲れ様」

 

咲夜がドアの前にいた

いつの間に、という驚愕があなたを襲う

 

 そちらこそ

 

反射的にその言葉が出る

大体の事をしているのは咲夜だ

それ故に貴方は彼女に敬意を表す

 

「今から寝るの?」

 

 仮眠かね

 

フランが遊びを強請るだろう

 

「…そう」

 

貴方は背筋をぐっと伸ばし、己の部屋へと向かう

 

その足が三歩目を踏み出したその時

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お休み、私の」

 

 え

 

貴方は何処かの部屋に居た

長方形の部屋だ、ベッドや机等の家具が置かれてある

 

それよりも、ここは

 

「何処か?でしょう?」

 

目の前に現れる咲夜

 

 これは、どういう

 

困惑を隠しきれない

そんな表情をした貴方に咲夜は微笑む

 

「大丈夫です、妹様と遊ぶ時には出してあげます」

 

 …

 

「ええ、勿論…それ以外では出しませんけど」

 

嗤う

 

 何故

 

「貴方が好きだから、本当に好きだから…」

 

顔を赤らめてそういう咲夜

何が何か、まだ飲み込めない

 

貴方は隙を見て、部屋の状況を把握する

 

どうやら、背にしている壁にドアがあるようだ

 

「…貴方の事を、愛したい、抱きつきたい」

 

貴方は彼女が見ていない隙に扉に手をかけ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこには、扉は無かった

 

 んな…

 

ありえない、どうして扉が無いんだ

 

「無駄、無駄ですよ、」

 

直ぐ後ろから彼女の吐息と、声がする

 

震えで体が動かない

 

声からは怯えの呻きがたれ流される

 

「今、私から逃げようとしましたね」

 

 ち、ちが

 

「そんな貴方にお仕置をしないと」

 

首元に当たる冷たい感触

それが咲夜のナイフとわかるまでに時間はかからなかった

 

 ひ、はひぃ!

 

「まずはこうして…」

 

咲夜の持っているナイフが腕に向かう

そのまま間をおかずに刺さる、痛い

 

 あがっ!?

 

また刺される

 

 いぐっ!?

 

痛覚が悲鳴を上げる

 

 うきがぁ!?

 

何度も、何度も何度も

 

また、意識が無くなるまで、ずっとそれは続いた

 

 

 

「ねぇ!」

 

「なに?」

 

妖精メイドが、友人を呼ぶ

その友人が行くとワラワラと妖精が集まっていた

 

「あの部屋いこうよ!」

 

「禁じられた部屋?」

 

「そう!」

 

この紅魔館には開かずの扉がある

そこには主である姉妹が毎日通う他情報が全く無い

 

だからこそ、好奇心の塊である妖精が興味を寄せるのは当たり前だ

 

「この中でジャンケンに負けたのが行くの!」

 

「わーい」

 

「いぇーい」

 

妖精達が輪になって、手を出す

 

「さーいしょーはぐー」

 

拳を握る

 

「じゃーんけーんぽん!」

 

開いたり、閉じたりした

 

「あー!?」

 

「わーい!1人負け!」

 

「うわーん!」

 

そして、哀れな妖精メイドは、1人で向かった

 

「…うぅ」

 

しかも夜にである

雨が降り、時々雷も鳴る

それが怖くて仕方なかった

早く終わらせて帰ろう

 

「っと、ここかぁ…」

 

辿り着いたのは一角にある部屋

 

妖精は意を決して鍵を開ける

 

「…え?」

 

困惑

 

その部屋を開けると居たのは

 

男…ただ一人の男

 

机に座り、何かを書いているようだ

 

 …

 

彼がこちらを見る

 

「あ、えっと…」

 

 …

 

彼は何も言わずに手元に目を戻す

少し不気味だ、機械なのだろうか、この男は

よく見ると半袖と長ズボンだ

机の上にウエストバッグが置かれている

鉄の筒に横から鉄の棒が生えて木が付けられた物もある

式001の刻印が見えた

書いているものは…日記?

 

「あ、あのー…」

 

「何をしているの?」

 

「ひ、ひ!?」

 

後ろから聞こえる声

 

「め、メイド長!こ、これは!」

 

「ええ、大丈夫、全て分かってるわ」

 

「じゃ、じゃあ!」

 

その言葉を放った後には妖精の首にナイフが刺さっていた

血を散らさず、パタリと"部屋の外"に倒れる

 

バタンと扉が閉じた

 

「ただいま、貴方」

 

 おかえり、今日はどうだった?

 

「いつも通りよ」

 

コツコツと音を立てて貴方に近づく咲夜

そして後ろからぎゅうと抱きしめる

 

「じゃあ、今日もしましょう」

 

 激しいね

 

「始めるわよ?」

 

時を止めてベッドに2人で入る

そして、2人を襲う快楽

 

これが、日常だった




ヘビースモーカー君(fnf)

多分短い

100式の刻印に関しては…知らん


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「はぁ!」

 

2人の拳がぶつかり合う

真正面からの肉と肉のぶつかり合い

それは人間にとって直視できるものでは無い

 

「…」

 

それをレミリアは窓から眺めていた

この光景はもはや何時ものものになっている

 

「お兄様頑張れー!」

 

無邪気に応援するフラン

彼女達は2人が付き合っている事を知っている

 

恋愛では無い

 

…戦いの時に、付き合っているのだ

 

恋愛の感情は戦いの時のみに生まれる

 

「…むぅ」

 

それが分かっていても、モヤモヤとした感情が生まれる

まだ、彼に固執している証拠だろうか

 

いや、無いだろう

 

博麗の巫女と既に結婚している

 

彼は純粋な戦闘を求めていた

 

それと同じようなのが美鈴だった、だけだ

 

美鈴の蹴りが放たれる

それをしゃがみ、躱すと下から拳を振り上げる

足払いで貴方をこかしてそれを回避する

 

 いい判断だ

 

後ろに回転し、立ち上がる

 

 だが、まだ始まったばかりだ

 

また、構え直す

美鈴と貴方はあまり言葉を戦闘中に交わさない

 

全て"分かる"のだ

 

相手が何を思うか

 

どうしたら気分が高揚するか

 

貴方は飛び蹴りを行う

それを拳で止める

少し飛び退き、そこから攻撃を行う

 

「…楽しそうね」

 

両者の顔には歓喜が浮かび上がっていた

それもその筈だろう

 

殺し合いを見ているのに、スポーツを見ている気分だ

 

両者にはスポーツの様な一体感があったのだ

 

殺意は無い

 

単純に戦い合う、善も悪も無い戦い

 

「非合理的ね」

 

パチュリーはその意図を察し呟く

男同士の仲、では無い

異性同士版の男の友情とでも言おうか

ともかく説明がしにくいものだ

 

「彼も彼ねぇ、浮気かしら」

 

「貴方が1番しそうね」

 

「そんなこと…ないわ」

 

少し自信が無くなる

そんな間にも戦いは続いていた

 

…それはもう最後だったけど

 

貴方のパンチが顔面にめり込む

そのまま吹っ飛ばされ、土煙が上がる

 

貴方は煙草を咥え、ZIPPOで火を付けた

 

「…負けたぁ」

 

 今回はいい動きだった

 

煙を吐き出す

 

 それじゃあ、また今度な

 

「いつでもきなさい」

 

 覚えておくよ

 

そう言うと貴方は神社へと飛ぶ

美鈴は汗を拭う

 

「さて、仕事の続きをしますか」

 

いつもとは、打って変わって仕事をし始める

どうやら気分が同じままのようだ

 

「毎日あれだったらいいのに」

 

「この幻想郷なら、あれくらいがいいわ」

 

殺し合いの必要ない幻想郷なら、だ

勿論無知の妖怪を追い返す為にある程度の実力は要る

彼女はその実力を持っているからこそここに居る

その光景はいつも、見るものとなっているのだ

 

そして、彼女はこう思うのだ

 

空を見上げて

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

晴れ渡る空に、虹が煌めいている…と

 




アンケートの終わりは十票溜まった時かなぁ


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体の感覚がおかしい

なぜだか動けないのだ

周りには貴方を囲うように向日葵が並んでいる

そして円の模様を描くように色とりどりの花も咲いている

 

さくさくと地面を踏みしめる音が聞こえてきた

 

「兄さん」

 

霊夢だ、彼女が来てくれた

 

「…話せないよね」

 

そうだ、話せない

それを伝える為に案山子のように貼り付けられた腕をパタと振る

これを見て霊夢は少し悲しそうだった

 

「そう…もう話せないんだ…」

 

彼女は貴方の足元の辺りに花束を置いた

そして持っていたお酒を撒く

 

「ほら、兄さんが好きだったお酒だよ」

 

ああ、美味しい

口の辺りにお酒が掛かり、美味さが伝わる

 

「お花にお酒は毒よ?」

 

「うるさい、まだ生きているわ」

 

幽香がふらりと現れる

傘を優雅に回し、霊夢に近づく

 

「"それ"は私の物だから、困るの」

 

「貴方の"もの"であっても、私の兄よ、退く通りは無いわ」

 

「それじゃあ…」

 

幽香が傘を構える

それに合わせて霊夢も大幣を構えた

 

「ねぇ、兄さん…どっちが勝つと思う?」

 

貴方は霊夢の方にある腕をパタパタさせる

 

「へぇ…今夜は楽しみね」

 

幽香が妖艶に笑う

 

「その口の聞き方、普通に暮らせると言う事かしら?」

 

「否定はしないわ」

 

「勝ったら、そうさせてもらうわよ」

 

「勝ってみなさい」

 

頑張れ、貴方は見守る他無い

 

動けるけど、場を刺激したくないから、ね?

 

 

 

 ぐっ…

 

膝をつく

刀を突き立て、なんとか倒れない

 

「上々、惜しかったわね」

 

 畜生

 

なんとか立ち上がり、刀を構え直す

それを見て幽香は嗤う

 

「まだやるのかしら?」

 

 まだ、やれる…さ

 

左腕は吹っ飛び、足にもダメージがいっている

頼みの右腕もフラフラとしている

それはあまり見たくなかったのだろう

幽香は首を振った

 

「腕は後でくっつけるけど、これ以上消失したくないわ」

 

 勝つ前提で…話を進める…なっ!

 

刀を振る

それは虚しく空を斬った

 

 くそっ…

 

「お返しよ」

 

 …ぐあっ!?

 

幽香の手が心臓辺りに刺さる

そのままゴソゴソと何かを弄られる

 

「…ここくらいかしら」

 

 〜!?ー!!!

 

声にならない叫びを叫ぶ

 

数秒の後、ようやく引かれる

 

 ごふっ…

 

口から大量に血が溢れる

 

「どう?」

 

 何をした…?

 

「種を植え付けたの、私に従順になる、ね」

 

 …なんだそれは

 

「大体分かるでしょう?」

 

聞かなくても分かる

恐らく脳に根が到達して幽香の思い通りにされる

ある程度の自由はあるだろう

 

「まず最初は花になってもらうわ」

 

十字の木板をどこからが持ち出す

 

 案山子にする気か?

 

「間違っていないわね」

 

体が持ち上げられた

 

 

 

 

 

 

 

そこからの意識は無い

気付けばこんな姿にされ、太陽の畑ど真ん中に植えられている

何度も言うが自由がない訳では無い

ちゃんと移動も出来る、喋れる

 

それを幽香が許可していないと言うだけなのだ

 

「はぁ!」

 

「諦めろ!」

 

2人の弾幕を見ながら、腕を動かす

ポケットから煙草を取り出し、咥える

そしてZIPPOで火を付ける

 

何をするにも、これが1番だ

 

貴方はそう1人で思っていた



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運命

「あがっ…」

 

 帰れ

 

貴方は諭す

目の前にいる狩人に

しかし彼は銃と剣を手放さない

 

「死んで…たまるか」

 

そしてまた立ち上がる

 

 …仕方ない

 

貴方は"背中の翼"を広げる

それに羽は生えず、皮膜だけの翼

そこだけを見ればコウモリだ

 

もはや名残となった刀をそいつの首に当てる

 

「ひっ…!」

 

戦意は既に消え、怯えが彼を縛る

刀はそこに転がり銃はこちらに向けてある

 

「やめ、止めてくれ!」

 

 

 

「う、うわあああああああ!」

 

絶叫のまま彼は首を斬られる

首を失った体は独りでに倒れた

 

 …帰るか

 

人間を殺すというのは気持ちのいいものでは無い

元はと言えば貴方は人間だ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…レミリアに吸血鬼に変えられた、あの日まで

 

 

 

 

 

「スカーレット・デスティニー」

 

 

 

バババババと赤い刃が何本め現れ壁となって進む

時折円型の弾幕がレミリアから等間隔で発射される

そして10秒の1回程、大きな泡のような弾幕が発射される

 

 

 

これが…レミリア・スカーレットのラストスペル

 

 

 

 はっ!

 

 

 

「やるわ」

 

 

 

赤い刃を弾き、泡のような弾幕を切り裂き、進む

貴方は横からの攻略は不可と見たか、下から攻撃する

弧を描くように下から向かう

 

 

 

「な…」

 

 

 

 シィッ!

 

 

 

どうやら下から来るというのは彼女の予想外だったようだ

そして彼女は目を瞑り、笑いながら言う

 

 

 

「あぁ、見た事あるわ、この光景」

 

 

 

目の前に、蒼き刃が迫る

 

 

 

「あの運命は…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私が勝つ運命だったかしら」

 

 …!

 

体…主に胸に感じる違和感

何かが突き刺さっているのかの様な痛み

 

それもそのはず、グングニルが貴方を貫いているから

 

 ぁがっ…

 

空中でそれを引き抜こうとするが、抜けない

 

 力が…

 

何か細工がされている

力が抜けていく

飛行する力が無くなり、貴方は落下した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ごがん、と槍が地面に刺さる音がする

 

貴方は足をつける

槍が支えになり、完全に倒れきれない

手はプラーンと重力に従い揺れている

 

 …

 

「もう口もきけないからしら」

 

レミリアが降り立つ

その手には貴方の刀がしっかりと握られている

 

「これは貴方の物ね」

 

カラン、と長刀が置かれる

 

短刀は懐に仕舞ったらしい

 

「あれは彼女の、私とて鬼じゃないわ」

 

 吸血"鬼"の癖に…

 

ふふふ、と笑いながらレミリアが近づく

 

「さ、始めましょう?」

 

首元にレミリアの顔が近づく

その熱い吐息が首にかかり、体が震える

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

かぷっ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んく…ん…んくっ…」

 

 あっ…んっ…いっ…

 

口から予想もしない声が漏れる

己はこのような声を出せたのか、貴方は少し驚く

その吸血が気の遠くなるくらいに長い

 

「ぷはっ」

 

 あっ

 

更に体が沈みこんだ気がする

そんな貴方の頬をレミリアは撫でる

 

「明日には貴方は立派な吸血鬼」

 

「これからは私の妻として居てもらうわ」

 

「だから、これからもよろしくね?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私の、ダーリン?」




女嫌いが死ぬ程伸びているのですがそれは…(困惑)

こっちの思想的に銃と刀をメインにしてます

銃はM500を、刀は刀を(?)


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壊れるまで

「…」

 

館が揺れ、天井から埃が落ちる

レミリアは紅茶に入りそうな埃を息で飛ばす

 

「はあ」

 

この現象もいつもの物だ

慣れないといけないが、難しい

最初の方こそ驚いたがもう驚愕しない

 

「お代わりを、咲夜」

 

「承知しました」

 

無くなった紅茶をまた淹れる

その水面に自分の顔が映る

 

…それが妹に見えて体をこわばらせる

 

「どうかしましたか?」

 

「いえ…二人も飽きないのねって」

 

「そうですね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あはははははははは!」

 

 ひふっ!ひゃっはははははは!

 

二人は狂ったように戦う

方や刀を、方や捻れた針を

火花が散り、時たま頬や腕を斬る

しかしそれらは一瞬にして治る

 

「えいっ!」

 

 あ!腕が…でもこれくらい治るね!はははっ!

 

飛ばされた腕を取り、切断面にくっつける

さっとそれはくっつく

 

「まだまだやれるね!」

 

 はははっ!まだまだ!ひはっ!あファッ!

 

刀を握り直してまた攻撃する

両者にとってこれが普通だ

いつもこんな感じだ

 

夜は体を絡め合い

 

朝は起き

 

そこからは夜まで戦う

 

それの繰り返し

 

そんなものを続ければ、狂う

 

ほら、貴方だってもう狂ってる

最初は理性があった

でももうフランの狂気が覆い尽くしてる

本当の心は夜の運動会にのみ出てくる

 

「ね、辛かったでしょ?泣きたかったでしょ?」

 

「もう泣いていいの、貴方はもう"博麗"じゃない」

 

あの日、初めて泣いた

子供の時から我慢していた分を、全て

 

今でもあの日のことはよく思い出せる

 

 

 

 

 

しまった、という表情をして分身は消えた

これで分身は全て消えた、つまり…

 

 

 

 お前で、最後

 

 

 

「…そうだね、私で最後」

 

 

 

少し悲しそうな顔した、吸血鬼

彼女も、貴方の被害者だろう

といっても仕方の無い事だ

惚れ、というものは誰にだってあるのだから

 

 

 

「…これが、最後のカード」

 

 

 

 …お前の全力を見せてみろ

 

 

 

刀を空中で低く構え、攻撃に備える

彼女はカードを掲げて宣言する

 

 

 

「…閉じゆくシュワルツシルト半径」

 

 

 

フランの背後に黒い丸が生まれる

それが徐々に大きくなって行く

 

 

 

 …!

 

 

 

最初は疑惑だった

自分の髪が風に煽られているなと

 

 

 

しかし…

 

 

 

ここは室内、何故風が吹くのだろうか

 

そう思った時に、気づいたのだ

 

 

 

徐々に大きくなっているそれがブラックホールだと

 

 

 

貴方は地面に降りていく

 

何処からか生成された弾幕がブラックホールに吸い込まれていく

 

 

 

吸い込まれれば…

 

 

 

どうなるか…分からない

 

 

 

地面に着地、刀を一本突き刺して柄を持つ

その頃には体が浮くほどの吸引力を発揮していた

 

 

 

 ぐぐぐ…

 

 

 

「早くしないと腕がもげちゃうよ…」

 

 

貴方は思考していた

 

 

刀で弾幕…ダイソンに吸われる

 

一か八かの攻撃…避けられてダイソン

 

降参…可愛い嫁の出来上がり

 

 

 

まてこら最後の選択肢要らぬわ

貴方はそう思い、別の事を考える

 

 

 

「早く降参して!苦しむ姿は見たくないの!」

 

 

 

 …?

 

 

 

頭の斜め上後ろ辺りで何かの音がした

 

振り返ると青のワープホールぎあった

 

そして…そこからSOCOMが出てきていた

 

貴方は手を伸ばす

 

そして、その手のひらに…

 

 

SOCOMが、着地して

 

 

 

 終わりだ

 

 

 

フランの胸に正確に4回、引き金を引いたのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

それはブラックホールに吸い込まれる

 

 あ

 

失念だった

弾丸の様な軽い物がブラックホールに吸われない訳が無かった

フランの口が三日月に歪む

 

「私の勝ち、フォーオブアカインド」

 

 ひ…

 

4人に増える

動こうにも刀から手を離せばブラックホールに吸われる

それぞれがスペルカードを持つ

 

「レーヴァテイン」

 

「スターボーブレイク」

 

「禁じられた遊び」

 

3人が唱える

勿論、その猛攻を刀1本で防げるわけも無い

しかも移動制限付きだ

 

炎の大剣が体を焼く

 

色とりどりの弾幕が体を貫く

 

弾幕に挟まれる

 

筆舌に尽くし難い激痛が体を襲う

焼かれ、貫かれ、すり潰された体が手を開いた

 

同時にブラックホールが消える

 

 …ぁ

 

蚊の鳴くような声しか出ない

 

「私の勝ちっ…ふふふふ…はははっ!」

 

3人が体を押さえつける

貴方にはまだ力は残っていた

 

 ―!―!!

 

「むー…抵抗しないでほしいなぁ…」

 

困った顔する

 

「あ!そうだ」

 

そういうとフランは顔を首元に近づける

その意図を察し、全力で暴れる

 

 

が、既に犬歯が首の皮を貫いていた

 

「はむ…ずず…じゅる…」

 

 ――!――!!!!!

 

体から力が抜けていく

抵抗していた腕は徐々に動かなくなる

 

「んんー…美味しい!」

 

 ―――…

 

声が出ない

ただ、体が再生しているのは分かった

血を大量に飲まれて体が吸血鬼になっていっているのだ

吸われる時に変化のそれでもしたのだろう

 

「これで!兄様は私のモノ!あはははははははは!」

 

フランの笑い声が響く

それは永遠と思える時間続いていた



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心読み

館の中を歩く

地霊殿は思ったよりも明るい

そしてなにより目に優しい

ここに来てから何日だろうか

彼女達も来なくてかなり平和だ

 

「そうですか、気に入りました?」

 

 一応

 

さとりがこちらに歩み寄る

今までで自宅の様に安心する

これまでが酷すぎただけかもしれない

 

「そうかもしれないせんね」

 

こうやって賛同してくれる奴がいるのも初めてだ

少し…嬉しい

 

「…そうだ」

 

さとりは踵を返す

そして首をこちらに向ける

 

「紅茶でもいかが?」

 

 頂こう

 

貴方はさとりについて行く

絵画が所々貼られている

どれもこの地底をモチーフにしているようだ

 

鬼が人間と戦っている絵

 

お空が熱を管理している絵

 

お燐が猫車で死体を運んでいる絵

 

様々な絵が並んでいる

 

絵の大きさは大体同じだ

そう思いながらついていくと、さとりの部屋に着いたようだ

 

「こちらへどうぞ」

 

かちゃり、と扉を開けて中に入る

そこは意外と普通の部屋だった

 

「ここは私の私室です、公室ではないので」

 

そういうと彼女は椅子に座り、紅茶の入ったポッドを持つ

その対面に椅子があるのを確認して、それに座る

 

「粗末な味かもしれませんが」

 

 気にはしない

 

その会話中にカップに紅茶が注がれる

スコーンがあれば、英国人の気分になれるな

 

「なりたくはないですね、それ」

 

カップを傾け、彼女は先に紅茶を飲む

貴方はそれを見た後に紅茶に口をつけた

 

 …美味しいな

 

「粗末ではないようで」

 

にっこりとさとりが笑う

それにつられて口が緩む

 

「良かったです」

 

 …口にあっ…

 

そこで体の異変に気付く

 

震えが止まらない

 

ヒトが太古から持つ1つの本能が声を上げている

 

それは…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

         「恐怖、ですよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あ…ひぃ、ひぃいいい…

 

口から怯えた声が出る

目の前に見えるのは、幻覚だ

そう分かっていても拭いきれない

 

「そう、それが貴方のトラウマ…面白い」

 

彼女は手を顎に当てる

 

 な…にをした…!

 

それに怯えながら貴方は聞く

彼女は簡単に答える

 

「貴方の心が不安になる薬を入れただけです」

 

 それだけで…

 

「覚である私にはそれで十分です」

 

カップに亀裂があれば、そこから内容物は漏れる

逆に言えばそこから入れる事もできる訳だ

 

 ぐあ、!ああああああああ!

 

心が軋みを上げる

これ以上、心を抑えられない

 

 やめ…やめろっ

 

「いやです、これが私の性なので」

 

 …あ

 

 

 

 

 

その恐怖が最大になった瞬間、心が割れた

 

 

 

 

 

糸が切れた人形の様になった彼を見る

その瞳は何も移さず、心は助けてと叫んでいる

私はその心に温もりを与えた

 

 …あ

 

「どうでしょう?暖かいですか?」

 

今までの美しい記録

楽しい記録を彼の心に流す

ヒトは、これだけで心が安定する

 

「貴方は、私のモノ」

 

その耳に声を掛ける、体が震える

その目から涙がツゥーと流れる

 

「心」

 

私は呟く

 

「貴方の心は本当に面白い…」

 

覚としての本能が疼く

 

彼を暴きたい

 

彼を正直にさせたい

 

体から生えるコードの一部を引き抜く

そのサードアイのコードの先端ががその首に迫る

 

…刺さる

 

 ―――!?!!!!!??!

 

おそろく激痛が走っている

 

「あはっ、その姿、顔をよく見せて」

 

私は彼に跨る

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

        「私の、大事な人?」




女嫌いになりそうだからそろそろ書くか…

にしても何故女嫌いなのだろう(素朴な疑問)


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永遠の無意識

次回作、女嫌いのあべこべ幻想郷入り


 …?

 

いつの間にか、貴方は地霊殿の外に出ていた

地霊殿では何か騒ぎ声が聞こえる

だが、そんな事はどうでもいいと貴方の脳は思った

 

眠い様な感覚が体を支配している

 

起きそうで、起きないような

 

眠りそうで、眠らないような

 

なんとも言えない不思議な感覚が支配している

彼女達に襲われる前に地霊殿に戻らないと

歩く方向を地霊殿に変更する

 

 …こっちだよ

 

その声が聞こえた瞬間、足はその方向へ向いた

もはや地霊殿に戻るという意思は無くなっていた

あるのはその声の主に会うことだけ

 

それを考えていると、意識がシャットダウンされた

 

 

「…彼は何処よ」

 

地霊殿のエントランスで霊夢は尋ねる

辺りは酷い有様だった

お燐は地面に倒れ、お空は翼を広げたまま壁に横たわっている

レミリアとの戦闘で疲弊したフランは小さな呼吸だけを仰向けでしていた

魔理沙は胸に箒が突き立てられ、壁に貼り付けられている

その胸元が小さく動いていることから、まだ生きている事が分かる

 

「…さぁ」

 

霊夢の前に倒れたさとりはそう言う

本当は分かっている

 

「嘘は承知よ、早く言いなさい」

 

「…」

 

霊夢の心がドス黒く染まっているのをさとりは確認する

やはり、彼女は彼に依存している

これは今更の事実だった

 

「は…はぁっ!」

 

「遅い」

 

「ぎっ」

 

椛が後ろから攻撃を仕掛けるが、大幣でいなされる

 

「暫し動かないでちょうだい」

 

「く」

 

それからの声は出ない

金色の札が椛の動きを封じてしまっているからだ

 

「ヒントでも教えましょうか」

 

「早くしなさい」

 

「私の妹に聞いてみるのですね」

 

「…」

 

それだけで霊夢は察した様だ

辺りを一瞥したのち地霊殿を出ていった

 

「よ、よぉ、さとり」

 

「ああ…勇儀…ちょっと手を貸してください」

 

「分かったよ」

 

勇儀が入れ替わるように入ってくる

彼女はさとりに手をかして立ち上がらせる

 

「これは…いったい?」

 

パルシィが爪を噛みながら聞く

 

「これですか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いわば戦争ですね、恋の」

 

 

 

いつの間にか、地上に出ていた

 

またこれだ

 

空には月が浮かび、辺りは月に照らされている

いつものように綺麗な月、と思うことは無かった

 

 こっち

 

またその声が聞こえたからだ

まるで水面に浮かんでいるかのような感覚に囚われながら進む

不思議な事に妖怪達は貴方に気付くことは無かった

皆アホズラを晒してすれ違うだけだ

 

そして、目の前にあったのは我が家

 

なんの躊躇うことも無く戸を開く

 

「おかえり、随分早かったね」

 

そこには緑髪の少女が居た

囲炉裏に火をつけて暖を取っている

前屈の体制だ

緑の目に、黄色の服

そして紫のサードアイコード

 

なにより、サードアイが閉じている事が興味を引く

 

彼女は横に置いた帽子を撫でるように触る

 

貴方は何言わずにその横に座った

 

「疲れた?」

 

貴方は疲れた、と返した

実際にはそんな感覚は無いのだけれど

 

「やっぱり、貴方って私と同じだね」

 

古明地こいしはニコリと笑って言う

何が、と聞くまでもない

 

「貴方の体はあるけど、心は無いの」

 

足をプラプラと揺らしながら言う

 

「いつもここから浮かんでる」

 

彼女はどこかを指した

それは、幻想郷自体…いや、それどころじゃない

もっと"次元の違う物"な気がした

 

「貴方にやっぱり惹かれちゃう」

 

いつの間にか彼女は目の前に居た

そのハイライトの消えた緑目がすぐ目の前にある

 

「貴方の目、いつも光がないの…知らなかったでしょ」

 

目を見開く

それはこいしにとって嬉しい反応だったようだ

 

「あはは、やっぱり知らなかったんだね」

 

貴方の頬を愛部するように撫でる

 

「まぁ、もうこんな会話必要ないよね」

 

彼女は貴方を抱きしめる

ふーっ、ふーっ、と興奮する吐息が聞こえる

よく見なくても彼女の頬は紅潮していた

 

「これから、私達はひとつになるんだから」

 

彼女は顔を貴方の目の前に移動させ、頬を舐める

熱い舌が頬をなぞった

 

「ん…」

 

そのまま口内に舌が侵入する

貴方は抵抗しなかった

むしろ、その快楽に身を任せる

 

「ちゅぅー…ずず…むちゅう…」

 

口内だ舌と舌が触れ合う

 

「…んふー」

 

口から彼女が離れる

 

「ほら、そのままでいいよ」

 

数本のコードが彼女のサードアイから抜け、貴方に接続される

そこからナニかが注入されていく

 

「貴方は私と同じ存在になる」

 

「そして無意識で私と一緒になるの」

 

ふわんふわんと揺れる声

その声は貴方に快楽をもたらす

 

「気持ちいい?」

 

「気持ちいいならもっとやってあげる」

 

「さとり妖怪になっても、同じことをしてあげる」

 

こんなに意識が揺らいでいてもその言葉はよく聞こえた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「その"目"は私がちゃんと縫ってあげるね、貴方」



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戦う者

ちょいエロス


…うん

 

 

 

貴方は布団から起き上がった

どうやら何処かの和室らしい

あの後気絶して、誰かが起こしてくれたらしい

立ち上がり、襖を開けて外の景色を確認する

 

 

 

そこは地上ではなく、冥界だった

 

 

 

…ここは白玉楼か

 

 

 

貴方は現在地を更新する

 

今は礼を言ってここをでなければ

 

 

 

「起きましたか?」

 

 

 

…妖夢?

 

 

 

後ろから声が聞こえたので貴方は振り返る

 

銀色のボブカットヘアー

 

水色よりの緑の服を着た女、魂魄妖夢が居た

 

 

 

「今すぐここを出発しますか?」

 

 

 

そうだ、すまないな、礼は後で…

 

 

 

「出させない」

 

 

 

…っ!?

 

 

 

そこで貴方は気付いた

彼女の目が濁ってハイライトが消えている

 

 おいっ!妖夢!どうした!

 

 

 

「黙って獲物を構えて下さいっ」

 

 

 

いつ間にか2振りの刀を持っていた

明らかにこちらを殺すつもりでいる

 

 

 

くそっ…死んでも文句いうなよ!

 

 

 

「…はぁっ!」

 

 

 

斬撃が飛ぶ

 

当たれば即真っ二つの攻撃だ

 

 

 

っ…手加減くらいしろっ

 

 

 

貴方は二振りの刀を抜き、構える

 

霊力は戻っている…刃が青い霊力に包まれる

 

 

 

「それでいいのですよ、簡単に死んではつまらないので」

 

 

 

死ぬなよっ!

 

 

 

貴方は最初に防御しにくい突きを使う

 

それを妖夢は横から弾き、更に横から切り上げる

 

突きをしなかった右の刀で弾き、後ろに退く

 

 

 

「甘いですね、貴方本物ですか?ガッカリしますよ」

 

 

口の利き方に気をつけておけ

 

 

苦戦している訳では無い

むしろ圧すことは出来る

それが出来ないのは彼女が仲間であるからだ

彼女を上手く気絶させなければならないが、それは向こうも分かっているだろう

 

 

 

「来ないならこちらから行きますっ!」

 

 

 

くっ

 

 

 

瞬時に迫り来る斬撃

 

それは全て見えない程速く、速く、速く…

 

青の線を残すほど速かった

 

 

 

…っ、離れないと…ぐっ!

 

 

 

それに気付くまで時間がかかってしまった

青い線が貴方を囲うように作られていたのだ

 

そして、妖夢が呟く

 

 

 

「人鬼・未来永劫斬」

 

 

 

数多の斬撃が貴方を襲う

…だが、それが妖夢の弱点でもあった

 

彼女は刀を鞘に仕舞う動作に気を取られすぎたのだ

 

 

 武士の心に反するが…先に破ったのはお前だっ!

 

「甘い!」

 

その2つ刀は簡単に防がれる

 

「もう芝居は結構、本気で行きます」

 

貴方は少し警戒する

どの程度の本気か分からな――

 

 あ…?

 

「ほら見たことか」

 

胸から生える2つの刃

それは己が持つ刀とよく似ている

…刃渡りが全く違うが

 

 ぐが

 

刃が抜かれ、地面に倒れる

妖夢が膝を曲げ、こちらを見た

 

「くすくす、やっぱり油断しましたね」

 

嘲りを隠すことをしない顔で嗤う

貴方は怒りと羞恥心でいっぱいだった

だが、立つことは出来なかった

 

「よいしょ」

 

体を起こされ、向かい合うような状態にされる

 

「それじゃあ…1つになりましょうか?」

 

 何を…する

 

「魂を共有するんですよ、分かるでしょう?」

 

貴方にはさっぱりだった

そんな貴方を見て彼女はため息をつく

半霊を彼女と貴方の間に挟み込んだ

半霊に妖夢の乳房が押され、歪む

 

「この半霊に貴方の魂の半分を入れて…共有するんです」

 

妖夢はにっこりと笑う

耳元に口を近づける

舌が耳の溝を舐める

 

「じゃあ…行きますよ」

 

耳から頬、そこから唇に舌が移動する

 

「んー…んー…」

 

 ――!――!!!

 

固く閉じた口は無理やりこじ開けられ、口内に舌が侵入する

それは口内の余す所なく舐め回す

 

「じゅう…ずるるる…くちゅ…」

 

下品な音が庭に響く

離れようとするが手をがっちりと捕まれ離れられない

 

 

 

 

数分、だろうかもう覚えていないくらいにようやく解放された

 

 

 

「…ぷは…くすっ…」

 

彼女は目を細くして笑う

貴方は庭に倒れ込んだ

息が荒い、落ち着かない

 

体の半分が…無いような…

 

いや、魂だ

 

魂の半分が無いのだ

 

「これで…これで貴方は私のモノっ!」

 

ぎゅうと貴方を抱きしめる

そしてまた濃厚なキスを交わす

貴方に抵抗する力があるわけが無い

瞳は何も写さず、暗い

そのまま快楽へと溺れていった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あははは、その可愛い顔、もっと見せて?」



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ちょっーと人を選ぶヤンデレかな?

あ、マニアックとかそう意味では無いです


反魂蝶と斬撃が飛び交う

青い刃が紫色の反魂蝶を斬り消す

 

 

 

「貴方の魂は死に瀕する時が一番輝いているの」

 

 

 

それは何故だか嬉しい…ねぇ!

 

 

弾幕を避けたり切り飛ばしたりしながら接近する

その密度はかなり濃い

だが即死するのは蝶本体のみだ、散らす粒子に即死性は無い

それならば戦うことは可能だ、不可能では無い

 

 

 

「ふふ、早く死んでしまうと面白くないもの」

 

 

なるほど、妖夢のはお前のセリフか?

 

 

 

しかし幽々子はそれに少し首を振る

 

 

 

「それは半分正解、というところよ」

 

 

 

…どういうことだ

 

 

 

「あの子も貴方に思う所があるという事よ」

 

 

 

そう…か

 

 

 

心当たりは一応ある

貴方との会話でいきなり顔を赤らめたりとか、背けたりとか

変に何度もあう事があるとか、だ

 

 

そんな事より、集中しろ

 

 

「貴方、がね?」

 

 

 

くはっ…

 

 

 

会話をしていると通常弾幕が腹にめり込んでくる

しかし、貴方は何処か余裕そうに言う

 

 

 

へっ、通常弾幕とは…舐めてるのか?

 

 

 

「貴方はまだ本気を出していない…早く出しなさい」

 

 

 

「亡舞・生者必滅の理」

 

 

 

…ぐおおおおお!

 

 

 

幽々子から回転するように弾幕を発射

時折大きな泡のような弾幕を織り交ぜ、避けにくくする

貴方はかなり幽々子に接近していた為にほぼ全弾命中する

 

 

 

…ぐ、あが…

 

 

 

「哀れな事ね」

 

 

 

貴方は重力に従って西行妖の根元へ落ちていく

 

 

 

ドスッ

 

 

 

貴方はうつ伏せに倒れる

二振りの1つは地面に横倒しになり、片方は地面に突き刺さる

貴方はピクリとも動かない

 

 

 

「あぁ…もう貴方は…ここで終わるのね」

 

 

 

幽々子は少し歓喜した様子でそう言った

彼女の目には人魂がより一層光るのが見えたのだろう

 

 

 

…まだだ

 

 

 

「…あら」

 

 

 

貴方は膝を立て、手を刀に持っていく

地に伏した刀を拾い上げ、突き刺さった刀を抜く

ここで倒れる訳にはいかない

 

 

 

 お前如きで止まってたら霊夢には勝てないっ…!

 

 

 

「無駄な抵抗をするものねぇ、まぁその方が楽しみがいがあるけど」

 

 …はぁ…ふぅ

 

息は絶え絶え、先程の攻撃は意外と芯を捉えていた

魂を直接攻撃したとでもいうのだろうか

…まさか、な

 

「…生きとし生ける者よ、ここで眠りなさい」

 

 …っあ!

 

幽々子は扇子をばっと広げる

その後ろに大量に紫色の煌めく物が見えた

一瞬魅了されたが、貴方は刀を構える

 

ニヤリと幽々子が笑った

 

「私の、勝ちね」

 

 ――ああああああぁぁぁああああああぁぁぁ!!!

 

それは大量の反魂蝶以外、他ならない

瞬く間に貴方は濁流に襲われ、その意識を失った

 

 

…ここは

 

目を開けるとそこは和室の部屋だった

貴方は体をむくりと起こす

なぜだか体が凄く軽い気がする

 

…そうか

 

そうだ、貴方は負けてその命を奪われたのだ

でも何故だかこの体には違和感を感じる

 

手が磁気の様に白い

そしてその手は枝のように細い

 

何より、声が、貴方のものでは無い

 

…一体何が…

 

「起きたかしら?」

 

 ――な

 

襖を開いて入ってきたのは…"貴方"

その姿は鏡で見る貴方の姿だった

 

「あらあら、困惑しているのね」

 

口調は幽々子、声音は貴方という意味のわからない状況

 

「ほら、鏡よ」

 

 ――これは

 

そこには驚愕で染まった幽々子の顔があった

その頬を撫でたり、唇を触ったりする

 

「ふふ、どうかしら?私になった感じは」

 

 何を…した?

 

「簡単よ、私が貴方になって貴方が私になったの」

 

意味がわからなかった

でも、貴方が幽々子になれたなのなら彼女を殺せるはず

貴方は貴方(幽々子)を指さした

人差し指から反魂蝶が生まれる

 

「貴方は私の能力を使える…でも本当にいいのかしら?」

 

 …どういう

 

幽々子と変わりない笑顔を貴方の姿の幽々子がする

あの本心が見えない何時もの笑顔を

 

「あなたが私を殺せばそこでこの生活は終わり

 貴方は亡霊としてここで暮らす

 勿論そのカラダは返してもらうけど」

 

どちみちにしろ、変わりないのだ

どうせ、彼女のものになる

 

「…それじゃあ、"幽々子"?お夕飯にしようか?」

 

 …そうね

 

それじゃあ、今から西行寺幽々子を演じるか

 

 

「久しぶりね、貴方…いや、"西行寺幽々子"」

 

私の目の前に妹が居た

でもそれは生前の話で、しかも男だった時だ

 

"「そうね、私はもう西行寺幽々子よ」"

 

「貴方の姿をした彼が死ぬまでその姿かしら?」

 

「そうね…なんなら私が殺すわよ?」

 

「いいわ、私が死んだらここで貴方と暮らすから」

 

「良いわ、許可してあげる」

 

今の主権は私にある

まぁ、彼にやられたら意味が無いのだけれど

 

「お前が死ぬのなんて先だろう」

 

言っていると彼が入ってきた

 

「アンタはお呼びじゃないわ、消えなさいよ」

 

「そうかい、じゃ…死後は楽しい話が出来そうね♪」

 

「…っ」

 

殺意が一瞬霊夢に芽生えた

貴方・幽々子は襖を開けて消えた

 

「…すまない、霊夢」

 

貴方は土下座をする

 

「いいや、過ぎたるは及ばざるが如し…しょうがないわ」

 

溜息をつくと彼女は立ち上がった

 

「また、逢いましょう」

 

「さようなら」

 

そういうと彼女は飛んで行った

 

これから貴方は西行寺幽々子だ

 

彼が死ぬまで、西行寺幽々子なのだ






まぁ簡単に言えば意識を取り替えただけです、ハイ


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同級生

貴方が博麗の者ではなく

外の世界の者の世界線――


貴方はこの町に住む高校生だ

親も普通の、一般ピープル

 

ただ、一つ言うならば

 

この守矢神社の神主であることくらいだ

 

せん君!お掃除お疲れ様です!」

 

 あ、早苗

 

笑顔で駆け寄って来る同い年の子

 

東風谷早苗という風祝だ

風祝といっても巫女と変わりはない

 

「いつも仕事熱心だねぇ、せんは」

 

「私たちにとっては貴重な男手だからな

 それに料理も出来るし」

 

 諏訪子さん、神奈子さん、こんにちは

 

この2人はこの神社の神様である

はっきりと言ってその存在感は無に等しい

このような性格だからこそ見えたのかもしれない

 

…ちなみにこの場にいる3人の女は皆料理が出来ない

 

それこそ舌をシビラセル薬でも飲まない限りだ

こいつらの料理センスはハワイで長期休暇中だ

その期間なんと生きている限り、驚きである

 

せん君も最初より穏やかになりましたね!」

 

 あー、マシになった気がする…

 

 

親は事故で死に、1人で全てを片付けてきた

税金だの相続だの色々なものだった

高校生活で必要な金は全て遺産で払えた

 

だが、親が死んだ事は貴方に深い傷をつけた

 

あれから1人で全てを片付ける人間になってしまったのだ

薄暗い服と目を深く隠す帽子、長ズボン

そして火のついたタバコがフリーの姿となっていた

 

高校では他と関わりを持たない人間に

 

最初こそ「辛い?」とか言われたけど、もはや視界に無い

それが貴方にとっては好都合だった

このまま誰も自分を注目しないでくれと

 

―――それは簡単に破られた

 

「東風谷早苗です、よろしくお願いします」

 

そいつは美少女だった

無論すぐにハイエナが群がった

彼女はすぐに人気になったが、すぐに潰えた

 

そして腫れ物のような扱いをされるようになったのである

 

理由は単純「神様を信仰して下さい」である

まぁ宗教勧誘としか思えない言葉である

 

そして彼女は貴方と同じ図書委員に入った

ちょうど奇数だったクラスメイトが偶数になったのだ

1人しか居なかった図書委員に配属されたのも無理はない

 

 …この本を

 

「…はい」

 

貴方が渡した本を彼女が受け取って棚に戻す

これの繰り返しだ

 

「これをあそこに」

 

 了解

 

派手な見出しを人気な本の横に置く

そのPOPは派手に目立った

 

「…帰ります」

 

 お疲れ様

 

そして仕事が終わり彼女は先に帰る

俺は姿が消えたのを見て窓を開ける

そしてタバコを咥えて火をつけるのだ

 

 …ふぅ

 

煙が外に出ていく

火災報知器は鳴らない

 

これがいつものだったのだ

 

―――

 

「帰ります」

 

 お疲れ様

 

もはやテンプレとなったセリフを言う

彼女はドアを開けて外に出ていく

俺はまた彼女の姿が消えたの確認し、煙草に火をつける

 

 ふぅ…――!?

 

「忘れ物をしま――!?」

 

見られた

俺は即座にタバコをもみ消し、ココアシガレットに持ち替える

彼女がジリと迫る

 

「今、吸ってましたよね」

 

 なんの事だか、これはシガレットだ

 

「煙草じゃないですか…ココアシガレット?」

 

彼女は箱の文字に気づく

少しの間赤面し、コホンと咳をする

 

「失礼しました、本当に吸っているのかと」

 

 余程ストレスがないと吸わんよ、煙草は

 

彼女は扉に向かった

そしてそのドアを開けて姿を消した

 

 …は

 

俺は鼻で笑う

 

 ストレスがないと吸わない?ストレスしかねぇよ

 

タバコを咥えてまた火をつける

 

 俺はこれ以外にストレス発散方法を知らないんでね

 

ふぅと煙を吐く

 

 …俺の気持ちも分からない癖に、はぁ

 

心はどんよりとしていた

煙草の煙が更に口を開かせる

 

 俺はもう疲れたぜ…人生が決まっている美少女はいいよなぁ

 

貴方は嫉妬の声を零した

あの顔、体、性格(?)、どれもが良い

 

 俺の両親は死んだ、もう信じる奴なんて居ねぇ

 

また煙を吹き出した

 

 

「こんにちは、せん君」

 

 よお

 

挨拶が普通になって来た頃だ

貴方はいつも通りに本を指さす

 

 あれ、よろしく

 

「そんな口きいて良いんですか?」

 

 …あ?

 

今日、早苗の様子がおかしい

なんだかニヤニヤしているような気がする

 

 なんだなんだ…そういうのに付き合ってる暇は――

 

その瞬間、ある音声が聞こえた 

 

『ストレスが無いと吸わない?ストレスしかねえよ――』

 

 ばっ…!

 

思わず飛びかかるが彼女は軽く横に避ける

すぐに体制を立て直す

 

「あ、煙草落ちましたよ」

 

 んな…

 

見てみると綺麗な床があるだけ

煙草などどこにも無かった

 

 …嵌めたな

 

「なんのことでしょうか」

 

そういうと彼女は近くの椅子に座る

 

「さて、吐いてください、これでも吸ってないといいますか」

 

彼女は沈黙を許さないトーンで話しかける

このような彼女を見たことがない

あれから髪がやけに目立つ奴としか思っていなかったのだが

 

 …吸ってるさ

 

タバコを取り出し、火をつけて口に咥える

 

 こう見えて地獄を見てるんだ、快楽は無いと始まらない

 

「…何があったのですか?」

 

 は、俺は喋ら…分かった、喋ろう

 だからその携帯を置いてくれ

 

スッと取り出したケータイを手で制す

そして俺は語り出した

 

今まで、1人で生きていた事

 

親はもうこの世にいない事

 

疲れたということ

 

それを東風谷に話すと、彼女はうんうんと頷く

 

「私も分かります、親は居ないので」

 

 居ない?

 

「親代わりというか…その、神様です」

 

 …はぁ

 

意味が分からなかった

こいつはいつも神神言っているが…

 

「?どうしたんですか?」

 

 お前の神社に行くんだよ、真偽を確かめに行くのさ

 

「霊感がある程度ないと…」

 

 煙草よりかマシだ、いくぞ

 

 

 ここが守矢神社…

 

そこは寂れた神社だった

人が来ていないことがまるわかりだ

 

 はあ、本当にいるのかね

 

俺は罰当たりだと分かっていながら煙草を咥える

火はつけていない、怒らせるのには十分だ

 

「…人の子」

 

 …

 

oh......本当に出てきた…

後ろから聞こえる声

だが、それに反応する訳にはいかない

 

「あ、神奈子様」

 

「早苗、私はこいつに話があるんだ」

 

 神奈子?誰だそれ

 

貴方は自然に振り返る

目の前に赤い球があった…いや、鏡

それが豊かな胸と分かるまで時間は掛からない

だが、それで声を上げるほど弱くはない

 

「あー、この神社の神様です、目の前に居ますよ?」

 

 居るか…?お前しか見えない

 

俺は首を傾げた後振り返ってまた歩き始める

 

「人の子、ここで煙草を吸おうなどという…」

 

 スパー

 

煽るように煙草を吸う真似をする

それが神奈子の神経を逆撫でしたのだろう

怒りの声がうしろからした

 

「この…!」

 

 あー――「ふぅー」―ひやっ!?

 

耳に感じた暖かいもの

それは誰かの吐息だった

 

「あはは、やっぱり見えてたんだね、君」

 

「え、見えてたんですか!?」

 

 …やったわ

 

貴方は煙草を箱に戻した

ここで反応しなければ良かったのにな…

どちみちにしろ追いかけられそうだが

 

「…お前誘ったな」

 

煙草について八坂神奈子が怒ったように言う

 

 神なんて信じなかったんでな…お前は

 

「私は洩矢諏訪子、ここのもう1人の神だよ」

 

カエルの目玉がついた帽子を被った女の子

それこそ早苗より幼ない…でも年齢は凄いBBA…

 

「呪うよ?」

 

 祟り神かよ

 

そんなたわいも無い会話をしていた

 

 

「ここが…幻想郷」

 

「こらー!ここは天狗の領域だぁー!」

 

「おいおい、なんだこりゃ、すげぇな」

 

「斬鬼が前言ってたわね、でかいのが来るって」

 

「これは大きすぎますねぇ…」

 

天狗達が呆れたように言う

 

「阿呆!斬鬼だって想像できだろ!」

 

「神奈子、文句は幻想郷の管理者兼妖怪の賢者に言え」

 

「私は洩矢諏訪子、君はだれかな?」

 

「私は紅白舞、こっちは同期の射命丸文よ」

 

「清く正しい射命丸文です!最初にインタビューを…」

 

「こっちにもジャーナリストなんているんだねぇ」

 

風神録の始まり

 

 

 早苗、好きかもしれない

 

「私は貴方が好きですよ」

 

天狗と神の言い争いを見ながら貴方達は抱きつきあった

 

 

ふふふ、彼はもう私のものですね

タバコももう滅多に吸っているところを見ません

 

彼との一時はとても気持ちが良いです

 

時たま霊夢さん達がくるのが気に食わないですが…

 

彼の優先順位は私から変わらないですからね!

 

これも全て"奇跡"のようですね…

 

ん?あぁ、聞いていますか

 

私は貴方を撫でています

 

私が好きなのは貴方自身であって"貴方"ではありません

 

それを、分かっていてくださいね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

わたしの、せん

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

貴方を膝枕をしながら私は撫でた

その寝顔が、とても可愛いものだった



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操り人形

いつまで、ここに居るのか

 

辺りにはおびただしい数の目玉

 

紫色の空間に貴方は漂っている

 

ここは、賢者のスキマの中

 

地面の感覚はあるようで無く、このように浮く事も出来る

貴方はここに入ってからこうやって漂っていた

最初は出口を求めて歩き回った

スキマを斬って、脱出したこともあった

 

だが、あの女は追ってくる

 

何処まで行こうと、世界の果てであろうと

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だから、諦めた

 

貴方はこうして、漂う

 

幻想郷の危機や彼女の機嫌次第で出る事も出来る

彼女の言いなりになったら、幻想郷で自由になれるのだろう

でも、いつ自由になれるのだろうか

 

そう思いながら、目を閉じた

 

 

こうなったのは、いつだったか

彼をスキマに閉じ込めたままにするのはいつからだったか

 

「―――ふふ」

 

目を閉じ、水死体の様に手足を下にする彼を見て私は笑う

何故か分からないが、嬉しい

彼が抵抗しなくなってきたのが、とても嬉しい

 

最初は大変だった

博麗霊夢を完全に沈静化した彼は境内で空を見上げていた

死んだ訳では無く、倒した彼はやる事が無くなったのだ

これから彼と霊夢はただの兄妹だ

 

そんな彼を私は攫った

 

マヨヒガに連れ込んで、拘束した

どういう原理か分からないけれど逃げ出したりもした

 

私は藍に頼んだり、自分から調教をした

 

だが、彼は簡単には屈しなかった

 

爪剥ぎ、四肢欠損、失明、骨折、被弾

 

彼を弄って、そう簡単には死ねないようになっている

さて、それをしたのはいつだったか?

 

だが、それはかなり小さなものだった筈だ…

 

小さな切り傷が再生するくらいの、小規模な物

 

だが、目や骨を放置して自然に再生する位にはしていない

 

それどころか、腕の切断面をくっつけて、注射で再生する

 

私はそこまで彼を化け物にした覚えは無い

 

何故…

 

だが、精神は普通の筈だ

 

だから、色仕掛けも使った

 

無駄だった

 

出さないで居られるなんて、先代はなんて化け物を作ったのだろうか

 

そして私は放置した

 

スキマの中に彼を閉じ込めて、そのまま

最初は逃げ出したりしたけれど、今は大人しい

出ても意味が無いと気づいたということだろう

 

「ふふ」

 

スキマを開き、中に入る

何の身動ぎもしなかった彼が動き、楽な姿勢になってこちらを見た

 

「アンタか、暇人だな、お前は」

 

「コレを待ち続ける貴方も、十分暇人…よ」

 

そう言って彼の傍に歩み寄る

彼は何も映さない瞳でこちらを見るばかりだった

 

「疲れたかしら?」

 

「十分、疲れたかもな」

 

「暇?」

 

「見て分からないか?」

 

彼は目に見えて疲れていた

余程体に堪えたらしい、震えている

 

「そろそろ、諦めてくれないかしら」

 

「無理だな、俺は絶対に諦めない、知っているだろう」

 

「ふふ、そういう貴方も私は好きよ」

 

「俺は、嫌いだ」

 

そういうと彼は首を私から背けた

ぎこちない動き、私はカラカラと嗤う

 

その言動が面白可笑しくて、笑いが止まらない

 

彼が睨むようにこちらを見た

指を私に指しながら、言う

 

「こんな事をして、楽しいのか」

 

「ええ、楽しいですわ」

 

「この…」

 

彼はイライラした様子で言うが、動かない

動くのは口だけだった

 

「あはっははははははははっはっっは!」

 

そろそろ飽きてきた、私はそう感じると腕を曲げ、蟷螂の様にする

そして、指を動かした

 

すると、彼が浮いた

 

両肘が勢いよく肩より上に上がった

正面から見れば頭部をそこにしたM字型だ

 

さながら、人形劇の操り人形

 

「ひふ、ふふふひ…」

 

おかしな笑いが止まらない

彼は睨むだけで何も言わない

 

「もう食料も尽きて気力だけで意識を保って…ひはは!

 それでもなお!私に屈しようとしない!」

 

そう、彼は何も食べていない

それこそ半年も何も食べていない

最初こそジョークを言ったりしていたが、もう片言になっている

妖怪にとっての半年なんて、短すぎる

 

「それでこそ、私のモノ、ヒヒヒ…」

 

「―――」

 

もはや口も開かない

気力も限界を迎えてきているのだ

 

「ふふふ、このまま死ぬの?

 私は死なせないわ!絶対!ふふふふふ」

 

そういうと、糸が切れたかのように彼が落ちる

見えない床に落ちて、うつ伏せのまま、動かない

 

私はその下に行く

 

すると彼は"仰向けになった"

 

「さぁ、時間よ」

 

私は紙を持つ

その白い紙には複雑な黒い模様が描かれている

 

「これが何か分かる?分かるわよねぇ?」

 

見たら分かる

正六角形の中心にある1文字

 

 

 

 

 

 

 

―――式―――

 

 

 

 

「これを付けたら貴方は自由

 私の元で、永遠に働き続ける」

 

「まぁ、アナタに拒否権なんてないんですけどね!アハハ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう言って、"彼女"は貴方の額に札を貼り付ける

フッと光るとそれは粒子になり、貴方の体に吸い込まれる

 

たった、それだけ

 

それだけで、貴方は紫の式となったのだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ようやく、あれほど望んでいたアナタを遂に…!」

 

紫の声が響く

その後に、彼女のものとは思えないような笑い声が響く

それはスキマに反響して四方八方から聞こえてきた

紫から、空腹を満たすかのように"力"が送られてくる

 

それは、霊力でも、妖力でも無い、ナニか

 

その空腹感が、貴方を眠りへと導いて行った



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歴史

いつまで人を死を見るのだろうか

 

この身はそれを何回も考えた

 

最初はとても悲しかった

 

愛していた人間が先に死ぬ

種族の違いをあれほど恨んだ事は無い

 

2回目も、悲しかった

 

何度も、それを見た

人間達に化け物と言われ、追われて、別の村に行って

受け入れてくれる場所を探して私は何度も彷徨う

 

そして、さまよっていても、人間の死は付き纏った

 

焚き木にあたっているときにボロボロの若い人間が現れた

そいつはかなり衰弱して、助けるのは無理だった

 

「あんたの膝元で、逝かせてくれ」

 

そいつは最後の頼みに、そういった

私はそれを承諾した

 

それで彼が幸せなら、それでいい

 

私は、そう思った

 

膝の上に男の頭が乗る

そいつは懐かしい目をした

 

「奇妙…だな、アンタ、何処かで…」

 

男は、気づいたようだった

私は最初から気づいていた

 

 

その男が、自分の教え子であったと言うことに

 

寺子屋で、生き残る術だけ、優秀だった教え子

 

それが目の前で息絶えようとしていた

 

「そうか、先生か…懐かしいな」

 

そいつは銀の…透明な線を目の端から流していた

男は謝る

 

「悪かった、俺だけ、勝手な事をして」

 

「…大丈夫さ、だから、口を閉じていてくれ

 早く死んでしまうぞ」

 

彼は力なく笑う

 

「俺はもう駄目だ…肺をやられてなぁ…」

 

そういうと、ゴボッと血の塊を吐き出す

そして、腰からL字の何かを取り出した

 

「これは…」

 

「アンタがそれを知っているなら…分かるな」

 

ああ、分かるとも

この木に鉄の筒が嵌った武器

 

私を追いかけた物が持っていた奴らが持っていた銃

 

フリントロック式の、ピストル

 

「そいつは俺の…はは、いいや」

 

男は自ら地面に落ちる

膝から重みが無くなった

 

「あんたは…素晴らしい人間…いや、妖怪…」

 

透明な線は段々と太くなっていく

男の肩が震える、笑ったのだ

 

「膝で逝くより、いい死に方だぁ…」

 

幸せな死を迎えることに、感動しているのだ

 

「…逝かないでくれ」

 

私は銃を突きつけてそう言う

だが、冷酷にも、男は首を振った

 

「俺が妖怪なら逝かなかったかもな

 先生と俺は違う、種族が決定的にな」

 

はは、と乾いた笑い声が耳に入る

 

「先生を愛してくれる男は1人でいい

 俺はもうダメだが…ソイツは先生を幸せにしてくれる」

 

その瞳は何も映さなくなってきた

銃が震える、引き金に人差し指を掛ける

 

「死ぬ前に先生を見れるなんて…嗚呼、幸せだ」

 

 

 

 

引き金を引く

 

目の前に大きな煙が充満した

 

男の声は聞こえなくなった

 

それから、私は深く凍った

 

 

それを解凍してくれたのは、彼だった

 

今、机で書類と睨めっこしている彼

 

本当は博麗の仕事をしている筈だが、今日は休みらしい

といっても、私の妻だ、人間は等の昔に止めている

 

「旦那、少し休んだらどうだ」

 

「これで最後だ、すぐ終わる」

 

彼は最後までやらないと気が済まないタイプだ

途中で投げ出すことはあまり無いと私は思う

 

「そういって前も五徹したじゃないか」

 

「その程度じゃ死なん」

 

彼の言う通りではあるのかもしれない

傷は全て一瞬で治る

半妖の私でも10分はかかるというのに

半妖の更に半分の力

 

それであっても、再生力は大妖怪のそれを超えた

 

ただ、精神的な物は治りにくい

 

彼はそれを押し潰しているだけだ

 

博麗の仕事の時もそうだったに違いない

 

私は彼の背中に覆い被さる形になる

そのままその靱やかな手で抱きつく

 

「お願いだからこれ以上無理をしないでくれ

 私は君がこれ以上己を潰す姿を見たくないんだ」

 

「…そんな事を言われてもな」

 

彼は紙を机の上に置いた

そして面倒そうな感じで呟く

 

「先生…アンタは説教が好きみたいだ

 あの路地裏でもそうじゃなかったか?」

 

そういうと、彼は立ち上がり台所へ向かった

台所…というより居間だろうか

既に日は暮れて外から月の光が入っていた

彼は囲炉裏に霊力で火を付ける

そして、そこにいつの間にか下準備の済んだ鮎の串を刺した

私は囲炉裏に手を広げる

 

「あの時は君が悪い

 己の事を何も考えていなかった君が」

 

「…だからか?」

 

盃に酒を淹れる彼が尋ねる

私は少しはにかみながら聞く

 

「なんの事かな」

 

「こうやって、俺がアンタの婿になった事さ」

 

「―――はは」

 

やっぱり、分かっているか

彼は私の枯れた声が肯定と認識したようだ

怒りとも似つかない顔のまま、盃をあおった

 

「霊夢が職務に戻った

 俺に少しは執着はあったが、そこまでじゃない

 それこそ、今までの執着具合が嘘なくらいな

 

 …俺はその後、アンタに求婚された

 

 俺は何度も断ったが、あまりに執拗いから承諾した

 霊夢が許す筈が無いと思ったが、彼女は何も言わなかった

 仕事をしている時と同じように、「そう、おめでとう」だけだ

 アイツがそんなに薄情な訳が無い

 

 俺は直ぐに結論が出たよ

 

 

 アンタが歴史を変えた

 何故か分からないがアンタは俺が欲しかった

 俺は全く理解出来ないがな、アンタには何かがあった

 歴史を変える程に欲する何かが

 

 

 

 なぁ…"先生"、アンタは俺の推理が間違っていると思うか

 

 アンタが何と答えようと良い

 

 俺は歴史を書き換えた事に何も文句は無い

 

 俺はそんなものさ」

 

「…それだ」

 

私は掠れる位に呟く

そして、彼を押し倒した

 

「―――」

 

「私は!君がもっと自分の事を考えてほしいんだ!

 分かるか?私の気持ちが!私の感情が!」

 

叫ぶ

 

これ程までに激情を顕にした事があるか?

 

「君があの路地裏で言った言葉に私は泣いた

 そして君を殴ったんだ!分かってくれないからだ!

 君が何をしたか私はよく知っている

 

 だからこそ止めたかったんだ

 それ以上、他人を救わなくていい

 

 あれは全部他人事だ

 

 お前は!自分を救ってくれと!私は思った!」

 

そこでは、私は四つん這いのようになる

己の頭…額を彼の胸板に落とす

 

「…だが、君は私を振った

 また、酒でも飲んでやり直そうと言った」

 

顔を上げ、私は叫ぶ

 

「そうじゃない!"私"とやり直すんじゃない!

 "自分"とやり直すんだ!

 

 そう思ったけど…目が覚めると、全てが終わっていた」

 

彼は何も言わずに話を聞いてくれていた

何も文句や反論を言わずに素直に、静かに聞いていた

 

「…私は、もう嫌だったんだ

 人が身勝手に破滅して、死ぬのが」

 

何時だったか、教え子を撃った事を思い出す

 

あの時の気持ちは忘れる事は出来なかった

 

手をどんなに洗っても、その鮮血は手から取れない

 

落ちない、いくら洗っても、どんなに拭いても…

 

「…なぁ、赦してくれ

 

 こんな私を赦してくれ」

 

懇願する

 

彼に向けて、許しを乞う

 

彼は、上半身を起こす

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…もう、いいんだよ」

 

「…え」

 

彼は軽く私を抱きしめる

 

「既にアンタを…先生を許している」

 

「…あぁ…ありがとう…ありがとう…ありが…うううぅ」

 

嗚咽が口から溢れる

閉じ込めきれない悲しみと嬉しさが溢れる

わんわんと泣く私を、彼は更に強く抱きしめた




どうも、皆さん、私です

最近は小説の熱が抜け駆けていたので失踪気味でした

一匹狼の方も更新していますので、ご覧下さいませー

不定期更新が1番都合がいいな、うん


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叩き潰せ、不死の火種

大剣を振り下ろす

既に肉塊となりえし者は更に潰される

 

グチャり、ずぶり、グシャッ、グリ――

 

「グッ…!」

 

だが、その肉塊から足が生えたかと思えばそれが彼を蹴り飛ばす

蹴り飛ばされた彼は既に人とは思えない姿と化していた

 

白い髪、赤い目、それでもって隻腕

彼の左手は肘から先が動かなくなっていた

いや、"無くなっていた"のだ

 

何かに引きちぎられたかのように、血を垂らす

 

尻もちをついた彼は銀色の大剣をを支えに立ち上がる

その頃には肉塊は既に人型に戻っていた

 

白髪、赤目、モンペに白服

その顔は狂気の笑顔に染まっていた

 

「いいよぉ、この殺し愛、最高だぁ…!」

 

「叩き潰す、このクソッタレが…!」

 

敵の名を、藤原妹紅

 

貴方を不死の人外へ引き込んだ張本人

 

某日、貴方は妹紅に食事を奢られた

それを良きと思い食べたのが全ての終わりだった

 

モツ鍋

 

それを食べた瞬間、体が燃え上がるような痛みを感じた

実際に燃えてはいないのだが、それほどの痛みが襲ってきた

 

その痛みが止まる頃には白い髪が視界に映っていた

何より、その前にある、妹紅の濁った笑顔

 

貴方は思い切り彼女を殴り飛ばす

だが、蓬莱人は死ぬ事は無い

彼女は戦いを行った

 

死闘、だが、死ぬ事は無い

 

刀では火力が足りなかった

 

故に貴方は刀を捨て、大剣を持った

銀色の、凝った装飾がされた大剣

だがその装飾も今や肉塊に汚れ、主と同じ有様になっている

 

大剣を振るい、強い怨念により怯む事は無い

 

貴方の姿も肉塊に汚れ、酷いものとなっている

その目は怨敵を完全に滅殺せんとする深淵に飲まれている

 

大剣の重みを乗せた振り払い

右から左と、重さをものともせず振るう

 

彼女は火の術を使わず、拳を振るう

腹筋、胸、脇腹、あらゆる所に拳が刺さる

 

だが、怯む無い――

 

「そこ」

 

「ッ――」

 

妹紅の腕が胸に刺さる

ああ、貫通したな

 

鼓動が背中で聞こえてらぁ…

 

ぐじゃり、ぐちゃっ

 

意識が無くなる

消えてなくなる

 

だが、体は新しい心臓を作り出す

 

故に、意識が永遠に途絶えることは無い

 

「ッア"!!!」

 

「うぐぶっ…」

 

大剣を思い切り妹紅に突き刺す

それは心臓を確実に捉え、貫通する

 

彼女は貴方を抱きしめた

 

その顔は血に濡れて、笑顔だった

 

「ふふ、はははは…君の温かさが…直に…」

 

「死ねよ!なんで死なないんだよ!」

 

「その仕組みは永琳に聞いて欲しい…なぁ!」

 

蹴り飛ばす

彼女はゴウと手から炎を出す

片手で大剣を構える

 

こんなの、まだまだだ

 

貴方と妹紅は永遠に戦い続ける

 

博麗霊夢が死のうと

 

八雲紫が死のうと

 

幻想郷が滅びようと

 

 

そして、この世界が滅びるその日であろうと

 

 

いつまでも、お互いを潰し合うだろう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてまた、火が、消えた



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故に半人前

 

…うん

 

 

 

貴方は布団から起き上がった

どうやら何処かの和室らしい

あの後気絶して、誰かが起こしてくれたらしい

立ち上がり、襖を開けて外の景色を確認する

 

 

 

そこは地上ではなく、冥界だった

 

 

 

…ここは白玉楼か

 

 

 

貴方は現在地を更新する

今は礼を言ってここをでなければ

 

と、気配が後ろにあった 

 

 

「起きましたか?」

 

 

 

…妖夢?

 

 

 

後ろから声が聞こえたので貴方は振り返る

銀色のボブカットヘアー

水色よりの緑の服を着た女、魂魄妖夢が居た

 

 

 

「今すぐここを出発しますか?」

 

 

そうだ、すまないな、礼は後で…

 

 

「出させない」

 

 

 

…っ!?

 

 

 

そこで貴方は気付いた

彼女の目が濁ってハイライトが消えている

 

 

 

おいっ!妖夢!どうした!

 

 

 

「黙って獲物を構えて下さいっ」

 

 

 

いつ間にか2振りの刀を持っていた

明らかにこちらを殺すつもりでいる

 

 

 

くそっ…死んでも文句いうなよ!

 

 

 

「…はぁっ!」

 

 

 

斬撃が飛ぶ

当たれば即真っ二つの攻撃だ

 

 

っ…手加減くらいしろっ

 

 

貴方は二振りの刀を抜き、構える

霊力は戻っている…刃が青い霊力に包まれる

 

 

 

「それでいいのですよ、簡単に死んではつまらないので」

 

 

 

死ぬなよっ!

 

 

 

貴方は最初に防御しにくい突きを使う

それを妖夢は横から弾き、更に横から切り上げる

突きをしなかった右の刀で弾き、後ろに退く

 

 

「甘いですね、貴方本物ですか?ガッカリしますよ」

 

 

口の利き方に気をつけておけ

 

 

苦戦している訳では無い

むしろ圧すことは出来る

 

それが出来ないのは彼女が仲間であるからだ

彼女を上手く気絶させなければならないが、それは向こうも分かっているだろう

 

いや、違う、彼女の場合は生死はどうでもいいのだろう

 

 

 

「来ないならこちらから行きますっ!」

 

 

 

くっ

 

 

 

瞬時に迫り来る斬撃

 

それは全て見えない程速く、速く、速く…

 

青の線を残すほど速かった

 

 

 

…っ、離れないと…ぐっ!

 

 

 

それに気付くまで時間がかかってしまった

青い線が貴方を囲うように作られていたのだ

そして、妖夢が呟く

 

 

 

「人鬼・未来永劫斬」

 

 

 

数多の斬撃が貴方を襲う

 

多分、貴方はこの程度、と油断していたのだろう

その斬撃を余裕で避け、次に備えた、瞬間だった

 

血が、舞っていた

 

―え…―

 

見えたのは、居合の状態の妖夢

不味い、このままじゃ、斬られる――

 

 

「おしまいです、コレで」

 

銀色の線が、貴方の腹をかっさばいた

 

 

体から力が抜け、倒れる

持っていた刀もカランと地面に落ちる

 

「あが、あああ…」

 

出たのは、無念の声

こんな、こんなところで、こんな…

 

「な、…こ…ちくしょう…」

 

「残念でしたねぇ、貴方」

 

妖夢が、貴方を抱え上げた

そして、どこかに連れていく

 

どこか、といってもそこは白玉楼のどこかだった

一室、その中心に貴方を下ろす

 

そして、目の前から抱きついた

服と肌に血がつくのも気にせず

 

いつやったのか分からないが、半霊がお腹に挟まっていた

冷たい感覚が、腹越しに伝わる

 

「こうしていると本当、落ち着きます」

 

ふと、妖夢が目の前で言う

耳に甘い言葉を這わせて、笑いながら

 

「ね、今、貴方とひとつになれてるの」

 

彼女はぎこちなく笑う

 

「幽々子様には悪いけど…貴方の一部、私が貰う」

 

妖夢は、そう言うと立ち上がった

時はいつの間にか3時間を進み、ソレが終わった事を示していた

 

何かが、抜けた

 

体を構成する筈の、何かが

 

「…これで良し、では」

 

スラリと刃が抜かれる

それは血が拭き取られておらず、ヌメリとしている

 

それを介錯の構えに

 

貴方は、黙って首を差し出す他、何も選択肢は無かった

 

「これは別れではありませんよ」

 

ふと、妖夢がそんな事を言い出した

 

「これは、儀式なのですから」

 

「貴方が、生まれ変わる、亡霊に」

 

何かが、言う

 

妖夢か?幽々子か?

 

それとも…紫…

 

 

 

 

 

いや…レイ、ム…?

 

 

「おやすみなさい」

 

 

意識は、何を認識することも無く、途絶えた

 

 

白玉楼には、現在"4人"の入居者が居る

そのうち2人は後から入居したものである

 

博麗せんと博麗霊夢

 

博麗せんは直々に招かれた者として知られている

なぜなら、主の従者が直々に首を切り落としたから

それを西行妖の根元に埋めて楔とした、故に彼はこの白玉楼から成仏することは出来ない

 

だが、博麗霊夢は、後を追った者である

彼女が自害した事により幻想郷が揺らいだ事件もある

 

だが、それはとある魔法使いが博麗巫女として就任した事により事なきを得た

荒れ果てかけた幻想郷に彼女は反省をしている

 

尚、その魔法使いは霊夢の親友だったとの事である

 

4人は白玉楼で幸せに暮らしている

 

 

 

 

そう、幸せに

 

 

 



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戦争で荒んだ心は

これは、貴方が外の人間で戦争に参加していた話――


荒れ狂う銃弾の嵐

かつて建物があった都市は都市としての機能を停止する程破壊された

そして、そこかしこで戦いが起こっている

先程まで戦友や同士と呼んでいたものは物言わぬ肉塊と化す

戦争というのは実にシンプルで、勝ち負けしか存在していなかった

 

生きるか、死ぬか

 

ここで銃を構える貴方は勝者である

だが、油断をすれば直ぐに撃ち殺される

 

「大尉」という階級でここに居るのもどうかと思うが…

まぁ、もうかなり戦局は不味い方なのだ

友軍が来る事も無く、ただ敵の攻撃を耐えるだけ

 

だが、死ぬ訳にもいかない

 

だからこそ貴方は敵を撃つ

 

遮蔽物から飛び出し、走り抜けざまに敵を撃つ

 

そして、建物に滑り込んだ

そのまま階段を駆け上がる

 

建物の中には複数の気配を感じた

 

敵は居る

 

味方は、死んだ

 

多分、皆、殺された

 

生きてるのは、自分だけ?

 

「…ちくしょう」

 

階段を登りきり、廊下の様子を伺う

案の定兵士が3人程居た

サプレッサーを装備、ハンドガンで敵を撃つ

正確に3回、引き金を引いた

 

敵は脳漿をぶちまけながら倒れる

 

そして、その死体を窓から投げ捨てた

 

ふと、耳に異音がした

それは革靴の、大量の革靴の音だ

 

「…くそ」

 

近くの部屋に入り、鍵を閉める

その部屋は普通の、生活痕があった部屋だった

包丁が置かれ、切られた肉にハエが集っていた

 

「吸うか、最後の」

 

懐から手のひら程の箱を取り出し、中から煙草を取る

ジッポーの良い音がした後、火が付く

 

「…終わりか、これも、あれも」

 

革靴の音がハッキリ聞こえる、素人か

とはいえその人数は…確実に5以上、10は居るだろうか

煙が、肺を通り、気管に戻り口から吐き出される

 

「…やるしか、ないのか」

 

俺はそう言うと、煙草を投げ捨てる

そして、蹴り開けられた扉に向けて手榴弾を投げた

 

爆発

 

それで数人吹っ飛ぶ

 

「諸君、ご苦労だった」

 

コンバットナイフとデザートイーグルを持ち、突撃する

 

 

「…はは、調子に、乗りすぎた…な」

 

腹から流れる血を押さえ、壁を背に座る

結局居た兵士は15人だった

その人数相手にこれだけの傷というのも凄いな

二階級特進とか、無いかね

 

「…無いよな、人ッ…居ないし…」

 

最後の一人が悪あがきでナイフを突き刺してきた

これが驚くことに深く入ったこと入ったこと…

 

ふと、さっき捨てた煙草が目に入った

 

「…本当の、最後、だ、な…」

 

それを指に挟み、吸う

その快感に勝るのは人を撃った時だけだろう

 

もう、満足した

 

もういい、これで十分だ…

 

「こんにちは、貴方」

 

誰かの声がした

顔を上げなかった

 

「貴方の戦闘力は博麗の補佐に相応しい」

 

ソイツは勝手に話を進める

胡散臭い声だ、もうちょいどうにか出来んのかね

 

「それに、彼女達も…」

 

顔を上げると、そこには女が居た

いや、達…だ

 

そいつの後ろに、禍々しい空間があり、そこから女達が、こっちを見ていた

 

巫女が

 

魔法使いが

 

メイドが

 

半人が

 

風祝が

 

二柱が

 

九尾が

 

白澤が

 

不死人が

 

亡霊が

 

鴉天狗が

 

隻眼の白狼が

 

大量の、色とりどりの目が貴方を見つめていた

 

「あんたの事、ずっと見てた」

 

「私は好きだぜ、お前の戦い方」

 

「私としては、少し痛々しいですけど」

 

「私は少し荒々しいと思います」

 

「体に毒ですよ、そんな戦い方」

 

「祟られちゃうよォ?」

「軍神としてはなんだが、心配になるぞ」

 

「昔と変わらんな、お前は」

 

「本当に、頭突きして矯正してやろうか」

 

「お前は私と違って死があるんだ、無茶しないでくれ…」

 

「うふふ、私は…その命を削る姿…大好きよ」

 

「写真ではとてもいいですが…ねぇ、如何せん…」

 

「戦いに生きる者と理解出来ますが、周りを見てください」

 

…なんだこれは

俺は、夢でも見てるのか?

 

それとも、死んだとでも?

 

幻覚か、そうか、そうだな…

 

俺はそう思うと、心が安心した

かくりと、首が傾く

 

簡単に、意識は飛んで行った

 

 

そしてまた、貴方自身も、異界に飛ばされたのだった

 

「「「「「私達が、愛してあげる」」」」」

 

「その荒んだ心」

 

「戦争でボロボロになった心身」

 

「全部」

 

「ぜーー〜んぶ」

 

 

「「「「「私達が、直して上げる」」」」」」

 

 

うふふふ

 

あはははははは

 

うふふふふふふふふふふ

 

 

ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!




複数って血塗れた未来しか見えないんですよ

どうしてですかね


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人物(設定等)

――貴方

 

博麗せん

 

博麗霊夢の兄であり、博麗の刺客

スペルカードに反する者達を排除する役目を担っている

その始まりはいつかの巫女が双子だった事に由来する

 

片方が博麗を担い、片方が刺客を担う

 

その刺客は隕鉄で作られた鎌を愛用していたという

仕掛けにより曲剣にも変じ、あらゆる障害を取り除いてきた

スキマの妖怪が心を寄せた事もあり、今は彼女が持っているそうだ

 

博麗の影とも言えるだろう

 

彼はとある事件により外の世界に飛ばされたが、戻ってきた

それ以降失われた記憶を取り戻しながら幻想郷を闊歩した

 

あらゆる人間からあらゆる妖怪に好かれ、夜な夜な襲われている

基本的蹴っ飛ばすの一択である

 

服装は紅白の和服であり、仕込み武器等は特にない

基本的に二刀流で、時折銃を使う事もある

武器の使用方法について熟知しており、大抵の物は扱える

 

初代博麗巫女は一振の刀を愛したという

その刀がどこに行ったか、定かでは無い

 

 

 

――博麗霊夢

 

現博麗巫女

楽園の素敵な巫女とも言われる人間である

 

妖怪が起こした異変は基本的に彼女が解決する

兄とは違う、光の部分である

基本的に弾幕で戦い、ルールはスペルカード準拠である

ウェットワークは殆ど兄がやる事が多く、その後に酒を送ったりする

 

尚、本人は殆ど煙草を吸っていることが多い

 

兄であり、貴方とは夫婦でもある

元々幻想郷にいた頃から好いていて、あなたに負けてから夫婦になった

 

その過程はろくなものでは無いが、幸せなものだろう

 

彼女にとって貴方は2つと無い大切な夫である

その夫が様々な奴らに襲われるのは気に食わないものである

 

能力は空を飛ぶ程度の能力

とはいえ本質は全てから"浮く"事にあり

脅し、拘束と言った彼女を縛り付ける行為は意味を成さない

 

 

 

――犬走椛

 

妖怪の山に居る下っ端天狗

 

が、貴方との稽古のおかげで普通に強い

もっぱら貴方と将棋をしており、ときたま稽古をする

職場は妖怪の山であるが、特にやる事が無いので貴方の元に行っている

基本的に人に無害で人里で菓子を食っていることもしばしば

 

お前もう人里に住めよ

 

妖怪の山は今は平和を保っていると思える証拠でもあるだろう

 

それと戦闘が長い、上司より普通に長い

 

能力は千里を見通す程度の能力

普通に妖怪の山は千里以下の為、見回る必要が無い

これによってサボっているとも言えるだろうか

 

 

 

――八雲紫

 

楽園の創設者兼妖怪の賢者

なーんて壮大な肩書きだが本質はただの悪戯好き

とはいえその頭は月の頭脳にも劣らない物だ

 

博麗巫女を誕生させた妖怪で、幻想郷を作った妖怪

捕食対象である人間を好いたおかしな妖怪だ

 

初恋は初代博麗の刺客と言われており

その刺客が使っていた武器を今も持っているらしい

彼女が特別に仕上げた逸品であり、使用も楽なものであるらしい

 

彼女自身、彼を生まれ変わりか何かと思ったのかは定かででは無い

 

ただ、1人の女として心を寄せたのだろう

 

能力は境界を操るというものであり、あらゆる境界を操る

その能力は反則級で、まさに"妖怪の賢者"として相応しいものだろう

 

 

 

――西行寺幽々子

 

冥界に住む亡霊のお姫様

貴方と詩を交わす文通相手のようなもの

ただ直接会ってベラベラ言葉遊びをしていることもある

一時期貴方を"お仲間"にしようとしたこともある

 

彼女の能力によって死ぬと、死後魂を操られ、永遠に尽くさなければならないらしい

彼女次第で永遠にこき使われる、ということでもある

 

そんな彼女の能力は死を操る程度の能力

文字通り死を操り、他人を死なせる事が出来る

ただ、人を死なすとはそれなりの覚悟が必要であり

激しい念程度では人を殺すことなぞ出来るはずも無い

 

 

 

 

――その他もろもろ

 

上記以外にも貴方に心を寄せる人物は死ぬほど居る

とはいえ全て説明していると気が滅入るので、ここまでにする

 

気が向けば番外編、のような感じで何かを投稿するかもしれない

 

 



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とある日の幻想郷
ハロウィーン


(激遅)


外の行事にハロウィンというものがある

仮装をした子供達が家々を訪ね、菓子を強奪していく行事である

 

…少し簡略化しすぎか

トリックオアトリート、お菓子をくれなきゃイタズラするゾと脅してくる

とはいえそれがいつからそのようになったか分からない

 

元は外国で化け物を脅かすため〜やらなんやら言われてたらしいが…

 

ともあれそれはどうでもいい

 

…ただ、何故かそれが幻想郷に伝わっていて――

 

「トリックオアトリート!お菓子をくれなきゃ悪戯するぞー!

 霊夢っち!お菓子を寄越すのだ!」

 

「蓮子、私に菓子があると思うかしら?」

 

十中八九この女子学生の仕業である

コウモリの羽を背中に、犬歯を出した女

 

宇佐見蓮子、最近の異変の元凶である

ともあれあのなんとかボール異変は直ぐに終わった

 

 暇なんだな

 

「何を言うか!私は暇じゃないよ!」

 

 年中仮装している奴らの所でよくやるよ、ほら

 

貴方はそういうと、キャンディを投げ渡す

この日に備えて用意したものである

本来なら10月31日くらいにあるのだが、幻想郷故に時差がある

蓮子もまぁ、時差くらいは仕方ないだろう

 

作者が緋色の交響曲でもしていたのだろうか

 

まぁ、特に問題ない

 

「驚けー!」

 

「そーなのかー」

 

「アタイ最強!」

 

と、妖精組が来たようだ

小傘(妖精?)は白い袋を被り、お化けの仮装をしている

ルーミアは…誰かさんの腕を咥えていた

チルノは雪の女王でもイメージしているのかドレスに氷の冠だった

 

「ほら、キャンディ、肉、かき氷」

 

「やったー!」

 

「美味そうなのだー」

 

「頭痛い…」

 

キャンディは直ぐに小傘の口の中に消えた

誰かさんの腕は何処かに投げ飛ばされ、新鮮な肉にかぶりつく

かき氷を早食いしたチルノは頭を抱えた

3人はキャッキャと楽しんだ後、帰って行った

 

月が綺麗だ

やはりハロウィンは夜にやる物だろうか

 

いや、年中仮装野郎しか居ないから年中ハロウィンか

 

「ガオー!狼…女です!」

 

「ど、どうです?マミーを意識してみたんですが…」

 

「フランケンシュタインー!取材をさせろぉー!」

 

肌色の多い奴らが現れた、天狗…と守谷組か

椛はいつもの清楚から離れ、少し破廉恥な姿になっている

胸、下乳が丸見えで、上はタンクトップで隠れている

袖黒の奴で黒い手袋、指先には爪がある

とても短い白のショートパンツにブカブカの足から膝までにしかないズボン

 

なんだこいつ…エロい

とはいえ白狼だから狼男というのもベタだとは思うが

 

早苗は…包帯ぐるぐる巻きのマミーだ

言ってしまえば物凄くエロい

胸の先端と秘部は包帯で隠されているものの、肌色が多い事多い事

ついでに顔も赤いしで本当に背徳感がヤバい、死ぬ

 

文はトレンチコートとジーンズを履いたフランケンシュタイン

頭は四角く、ボルトが締められている

肌はどうやったのか緑で、ゾンビみたいだ

…背丈はそんなに変わってない

 

 はいはい菓子菓子

 

ポイポイとキャンディを投げる

キャンディ以外無いのか?ねーよンなもん

プランBと同じだよ

 

ちなみに今の貴方の姿は骸骨だ

ちょいと適当な妖怪から骨をお借りして身につけている

身につけているだけでそんなでも無い

 

「こんにちは…」

 

「どーもー」

 

「元気かしら?貴方」

 

「こんにちは、トリックオアトリート」

 

「トリックオアトリート!」

 

来たのは亡霊組と八雲組

…いや、あの、言いたいことは色々ある

特に亡霊組

 

幽々子は黒のカチューシャを頭にしている

そしてその服は緑で、緑のスカート

手に扇子は無く、代わりに腰に刀がある

 

妖夢はZUN帽を被り、水色の着物を着ている

刀を持っている筈の彼女は扇子を持ち、顔を隠している

 

 

 

 

 

 

亡霊組、服装入れ替わっただけやん

確かに年中仮装野郎とは思ったがそれは無いだろ

ちなみに八雲組は何も変わっていなかった

 

 仮装は

 

「妖怪だし、年中仮装しているようなものだから良いでしょ」

 

それはそうか

彼女も同じ結論にたどり着いたらしい

 

…だが

 

 仮装してない奴らにやるもんはねぇ、帰れ帰れ

 

「いただきますーす」

 

 幽々子ォー!!!

 

するりと横を抜けて食いに行きやがった!

というか服装が妖夢なおかげで妖夢がバリバリ食っているようにしか見えん

 

ただし、1番の相違点は胸である

元々まな板である妖夢の服は小さい

故に幽々子の巨乳がめっちゃ押し上げている

というかボタン弾け飛びそう

 

逆に妖夢の着ている着物は胸がある人の為と言わんばかりに胸囲が大きい

故にすごいダボダボに見えてしまう

 

…ま、いいか

にしても、外のハロウィンよりとても騒がしい

渋谷の交差点なんかよりもずっと、騒がしい

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

\パァンッ!!!/

 

 

 

 

 

 

あ、ボタン弾けた

 

 

 



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紅と白

「…んんっ…ん…」

 

 …

 

とある一室

博麗神社のとある一室

そこで二人の男女が重なり合っていた

既にお互い体を貪り合った後だ、ほぼ自己満足のキス程度だった

 

貴方はいつも貪られ、キスする体力も無かった

 

そういえば、そうらしいだろう

本当は、貴方が彼女を狂わせてしまった為の償いとして抵抗していないだけ

霊夢をずっと浮かせることが出来ず、錨となってしまった自身を懺悔する為

 

そう、自分に言い聞かせた

 

変な所で頑固なのが行動から分かる

貴方自身、それが何なのかも

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう、貴方はただ、快楽に溺れることに対しての言い訳をしているだけ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全てを投げ出して、相思相愛で体を貪り合うことなんて出来ない

貴方の、貴方の"霊夢を妹と思う気持ち"がそれを許さない

 

しかし、全ての終わりとして、彼女と身を交えたい

 

そんな矛盾が貴方の頭を駆け巡り、ぐちゃぐちゃにしていく

ふたつの感情に板挟みにされた貴方が選んだのは、言い訳

 

己が霊夢を壊したから、そんな理由で

 

頭はそれで納得して、快楽を受けて入れてしまっていた

だが、体は…自分から貪りに行こうともしない

体は言い訳だと知っているから、動こうともしない

 

「良いのよ」

 

甘い口付けが止まった時、言われたことがある

優しい笑顔で、どことなく嬉しそうに

 

「貴方は私を赦した、だから私は貴方を赦した

 今も私は貴方を赦して…貴方のモノになっている

 …だから、あなたも」

 

貴方はそれに直ぐに答えられなかった

というより、それが直ぐに理解できなかった

 

どうして赦されている?俺が?私が?この自分が?

何故?何故何故何故何故何故何故何故何故?

何故に私が赦されなければならないのだ

それに何で私が謝られている?

 

馬鹿が、謝るのはこちらの方だろうが

 

彼女をこうしたのも、荒らしたのも、全部私のせいじゃないか

どうして…どうして私が謝られている…

 

意味がわからない、謝らければならないのは私の筈なのに

 

心の中でそれがずっと、渦巻いていた

言葉には出さなかった

 

出したらたぶん、霊夢は泣いてしまうから

 

それでも勘のいい彼女は察した…察してしまったのだろう

私を軽く抱きしめ、顔の横に顔を落とす

耳の傍で、悲しい嗚咽…いや、鼻をすする音がする

こんな素晴らしい妹…妻を召しとって、いいのか

私ではない他の人間、私よりもいい人間は居る

 

「それでも、貴方が良いの」

 

口から漏れていたらしく、彼女は私を強く抱き締めた

柔らかい乳房が私の胸板に押し付けられる

彼女は目の端から透明な雫を落としながら体を絡める

 

 

 

 

 

 

「私には、貴方しか居なくていい程、貴方が好きなの」

 

 

 

狂おしい程綺麗な黒曜石色の瞳を私の瞳に重ねる

私の瞳の中に霊夢が写り、そして霊夢の瞳に私が写る

写し鏡の様に増殖するそれと共に、ある感情がムクムクと芽生えてくる

 

 

 

 

 

このまま、沈んでいきたい

 

 

 

 

もう、全てを赦て、この感情を終わらせてしまおう

そう考えてると全ての考えはそっちに向かう

先程まで思っていた拒絶の感情は既に見えなくなってしまっていた

 

ただ、彼女を犯したい気持ちが、湧いてくる

 

私は彼女の腕を掴み上下反転した

一瞬、戸惑いの表情を浮かべた彼女だが、直ぐに笑顔に変わる

嬉しそうな顔でコチラを待っていた

 

「そう、それで良いの」

 

私は彼女をぎゅっと抱き締めた

それと同時に、失神しそうな快楽も襲ってきたのだった

 

 

「お盛んねぇ」

 

「もう最近居住区に入りたくないんだけど

 折角の酔いが覚める」

 

片方はくすくすと扇子で口を隠しながら

片方は不満を隠さずに瓢箪の酒を呷る

 

八雲紫と伊吹萃香である

 

片方はただの居候の穀潰しだが最近お盛んなせいで入りずらいらしい

というか最近は若干敵意がある

直ぐに御札やら針やら投げてきおる

 

「あれだけの好意を受けるとか私しゃゴメンだよ」

 

「私も遠慮しときますわ」

 

右手を大袈裟に振る

萃香としてはコレが気に入らないのだろう

彼、ではなく居候で飯が食えない事だが

 

「陰と陽、よく言えたもんだよ」

 

「文字通りの存在でしょ?」

 

陰と陽

博麗に昔から存在する者

今現在の者で言えば陰は彼、陽は博麗霊夢だろう

 

影と光、陰と陽

 

昔から相容れない存在とされている

ただ、それは皆が、周りがそう言っているだけだ

同調圧力、それによって真実が歪められた

 

実際は陰と陽はたがいを求め合っているのだ

 

陰は陰には無い光を陽に

陽は陽には無い影を陰に

 

ふたつが交わるとき、全ては調和に向かうとされている

混沌を生む訳でもない、ただ全てがいつものどおりになるだけ

むしろ単体であることが問題なのだ

 

陰は混沌を生み出し、辺りを憂鬱にさせる

 

陽は調和を生み出し、辺りを快くさせる

 

しかし、その片方だけでは完全あとは言えない

不幸があるからこそ、不完全であるからこそいいのだ

 

 

 

「面倒だねぇ、紅白にしたのもそういう事かいな」

 

「陰と陽、光と影、紅と白

 全ては二つに分けられる、良いか、悪いか

 …ここではただそれだけに分けられるのよ」

 

それが、この幻想郷に丁度いい

単語に溢れた現代社会より、数単語の方がこの都に丁度いい

ここではそんなに頭を悩まさずに生きていける

学歴なんて関係ない、全ては1つの為に、1つは全ての為に

 

 

それが、ここの摂理だ

 

 

2人はそう思いながらピンクに変わる紅白を眺め続けるのだった




一人称は阿呆みたいに多いので「私」で統一しています
色々あると面倒だからね、仕方ないね


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亡霊こわい

「はぁ、幽霊ってのは自由でいいよな」

 

「私は亡霊で縛られているけどね」

 

白玉楼にて貴方はため息をついた

それに反応して言葉を返したのは白玉楼の主、西行寺幽々子

私は彼女に招かれてここに居る

 

この春、どうやら桜が咲いたらしい

 

とても素晴らしいらしいので来てくれと手紙で伝えられた

達筆で恐れ入ったがほぼ無駄な言葉遊びで引きちぎりそうになった

どういう育ちをしたらあんな言葉遊びが…

そういえば幽々子はお嬢様だったな…

彼女が大食いなせいで忘れていた

 

「花より団子とは言うが、これを見せられちゃ反対になるな」

 

「そうよね、そう思ってくれてうれしいわ」

 

彼女は笑顔になった

その笑顔はまた私を変な気持ちにさせてくれる

霊夢とはまた違う、儚く優しい笑み

少しドキリとしたが私は咳をして誤魔化した

 

「わざわざ私を呼ぶくらい、お前には勿体ないものなのか?

 私にはお前に桜というのはピッタリだと思うがな」

 

「ううん、違うわ」

 

彼女は首を振ってソレを否定した

また団子をお上品に食べながら彼女は言う

 

「私は前までそうだったわ、紫なんて呼ばなくてもこの桜で満足できた」

 

「だろうな」

 

彼女が桜好きなのは知っている

その儚さに魅入られたのかただ単に綺麗だからかなのか知らない

ただ、桜に思いやりがあるのは確実だった

私も桜は好きな花に入るがそこまででは無い

 

彼女は少し、動悸を感じる為に胸に手を置いた

 

「貴方と会った後から何か足りなくなるのよ」

 

「おつまみが足りんな」

 

「それもそうだけど…もっとこう…楽しめる人が欲しくなったの」

 

少し息が荒くなっているように感じた

どうやらその胸の高まりを抑えているらしい

確かに一人で桜を眺めるのはいつしか足りなくなるだろう

私はそれを埋めた誰かを察しながらため息をついて知らないふりをした

 

「だったら、妖夢を呼べばいいじゃないか」

 

「あの子は面白いけど、弄るのは飽きてきたの」

 

「従者だろ?酷い事いうぜ」

 

「従者だからこそ、よ」

 

彼女はカラカラと笑った

その度揺れる部分を見たくなるが、顔を見る

ただその顔もいつの間にかこちらに向けられて桜色の瞳は私を写していた

その視線も恥ずかしくて、視線を顔から外す

そうすると揺れる部分を見てしまう

それを振り切って上を見れば幽々子と目が合う

 

私は状況打破の為に紫をダシに使うことにした

彼女には悪いがまぁ、自業自得としておこう

 

「紫が居るじゃないか、彼女とは私より古い付き合いだろう」

 

「さっき紫なんてって言ったでしょうが」

 

「すまん」

 

キッと睨まれてしまった

反射的に貴方は謝ってしまった

後どこからかしくしくと嘘泣きらしい声が聞こえたような

なんか最近紫と幽々子の仲が悪い様に感じる

私としてはハッキリ言ってどうでもいい事なのだが

 

「分からない?」

 

その音色にドキリとした

 

わざとらしく、事実から目を背ける貴方に質問してくる

貴方は首を振って団子を取ろうとした、意識を逸らしたかった

 

しかし幽々子は、その腕を掴んだ

 

「本当に、分からない?」

 

貴方はそれに頷いた

 

「本当に?」

 

また頷いた

彼女の顔は少し揺らいだ

そして聞いてくる

 

「本当に?」

 

また、頷いた

そう答えれば答えるほど彼女の顔は揺らぐ

貴方は次の質問も、同じように答える――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「 本 当 に ? 」

 

息が止まった

答えようとして、しゃくりあげたような声になった

ゴホゴホと、喉に詰まった唾を除こうとする

 

「うふふ、ごめんなさいね」

 

幽々子は貴方の背中をゆっくりと叩く

優しく、貴方が呼吸出来るように。

 

そうして、何秒経ったのか

 

ともかく貴方がまた呼吸出来るようになった時だった

 

「ごめんなさい、さっきは驚かしちゃって」

 

幽々子はまた謝る

それに貴方は答えることが出来なかった

許せなかった訳じゃない、ただ言えなかったのだ

これに関しては貴方は悪くないと胸を張って言える

 

 

だって

 

 

その、後ろの反魂蝶の群れを見れば誰だって何も言えなくなる

幽々子の嬉しそうな顔も見れば、尚更

 

「私、あまり"そういうの"は好きじゃないの」

 

幽々子が立ち、こっちに歩いてくる

ゆっくりと、早くも遅くもない

 

ただ、ゆっくりとこちらに歩いてくる

 

いつの間にか貴方は部屋の中に誘われていた

 

「まどろっこしい言葉遊びは楽しい。

 でもこれはまた話が違う」

 

幽々子は貴方の横を通り、貴方の後ろに立つ

どうのような顔をしているか…何も分からない

ただ、立っているということだけが分かっていた

 

だから、それがただたただ恐怖だった

 

「そうやって何もかも誤魔化す」

 

背中に幽々子がしだれかかってきた

キュッと、その細い腕で貴方をがっちりと挟む

背中に柔らかくて暖かい物が当たる

さっき程からの攻撃で顔が熱い

 

「貴方、私のことは友達って言ってたでしょ?」

 

確かに、"あの戦い"が終わった時にそう言った

それが何か今足を引っ張ることでもあるのか

幽々子は貴方の首筋を軽く舐める

 

ひんやりとした舌が首筋を這って…くすぐったい

 

「それに私はね…少し無理って…私言ったわ」

 

あっ、と口から言葉が盛れた

あの時は何も気にしていなかった

 

あの、あの最後の言葉

 

 

 

 

 

『…それは…少し、無理かも、ね』

 

 

 

 

 

 

 

 

「ダメよ」

 

動かそうとした足が動かなくなる

ゴロリ、と二人共々いつの間にか用意されていた布団の上に横倒しになる

幽々子に手足で絡められて、拘束されて――

 

「貴方を死に誘えない、そういう約束だったもの

 貴方は勝者だもの、敗者は何も言えない」

 

けど、と彼女は付け足した

彼女に動かされて、ようやく幽々子の顔が見ることができた

 

執着

 

爛々に光る桜色の目を見て貴方は最初に思ったことだろう

あの巫女に渡したく無かったという意思がヒシヒシと感じられる

 

「今は」

 

「今だけは」

 

彼女はニッコリと、もう口が裂けそうなくらいに笑う

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「貴方は、私の物、そう、今夜は自由にさせてもらうわ」

 

そう言って、スルスルと着ている服を脱がす幽々子"様"

なんだか頭がぼぅっとしている気がする

酷い感じだ、でも、それは幽々子様のせいだと分かった

 

そして、それを治すことが出来るのは幽々子様だけだとも分かった

 

貴方に抵抗という選択肢は残されて居らず、ただ事が終わるのに身を任せるだけだった

 

―――羨ましい

 

どこからが、そんな声が聞こえてきたのは気の所為だったか

 

もうそんなことも、どうでもいい事なのだが



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歪む認識

「久しぶりね、いつぶりかしら?」

 

神社の中でぬくぬくしていると、横から声がした

目を開けずにそのまま私はこたつに入っていた

誰も、私の妹もいない中でこんな現象は現実なはずがない

 

が、ここは幻想郷である

 

不思議なことは当たり前、常識は非常識に、非常識は常識に

全ての認識の境界が曖昧になり、混ざり合っていく

ここの連中はドイツもこいつもイカレ野郎しか居ないのだろうな

 

後、ついでだが常識もなってない

他人の家に入るならノックか挨拶はしろよ

 

私は横にいる彼女に目を向け、口を開いた

 

「…さぁ…長すぎて忘れたよ、それはそうと久しぶりだな、紫」

「あら…悲しいわねぇ、嫁さんとお熱だからかしら」

 

彼女はみかんを食べながら嬉しそうに言う

そのみかんは確か椛からの差し入れだったはずである

貰ったミカンが多いので分けてくれたのである、嬉しい

やはり持つのは人脈であるか…

 

まぁ、この時期はコタツに入ってぬくぬくしながらみかんを食うに限る

 

 

――尚このコタツについては霊夢が香霖堂から強奪したものだ

 ︎︎ ︎︎嘘は何もついていない、本当のことである…というか香霖堂か定かでは無いが

 

…私が外の世界での生活を思い出した時だった

冬の寒さがあまりにも寒く、部屋で霊夢と凍えていたのだ

その時にふと口から漏れてしまったのだ

 

『クソ…炬燵がありゃ便利なのに』

 

…今思えば俺が言ったのが悪かったかもしれない

寒いこの季節だからこそ、外の生活を思い出してしまったから

冬にあの魔の道具を使ってしまえば後戻りは出来ないのだから

 

『こたつ?どんなように便利なの?』

『あぁ、机に布が覆いかぶさってるような見た目をしててな

 その中はこのクソ寒い地獄な今の季節なら極楽の空間があってなぁ…』

『…へぇ』

『いや懐かしい、こっちの世界じゃもう入ることは無いだろうがね』

『ちょっと取ってくるわ』

『はい?』

 

急にスクッと霊夢が立ったかと思えば急にどこかに飛び出した

俺はその背中を追いかけるのは面倒だった(決して寒いからじゃない)ので待つことにした

数分…本当にカップラーメンが作れそうな時間で霊夢が帰ってきた

 

『ああ帰ってきた…ってコタツ!?アイエエエエエナンデ!?片手で!?兄ちゃん怖い!』

『入りたいんでしょ?ほら』

 

ぽーいと元々あった卓袱台が蹴っ飛ばされ、ひっくり返る

宙に浮かび上がったみかんが落ちてくる前に霊夢はコタツを置いた

その中に霊夢はずっぷりと入っていく

 

しかし、直ぐに不満そうな顔をした

 

『…そんなに変わらないと思うけど』

『そら電気が無かったら動かんわ』

『でしょうね?だからこうしたわ』

 

パチンも彼女が指パッチンをすると1人の少女が出てくる

赤いショートヘアーは黒く汚れ、元の綺麗さはどこかに飛んで行った

黒い生地の上に赤いチェックが入った上着の上に白いジャケットを羽織っているようだがところどころ破れてしまっている

ちぎれたピンクのネクタイを付け、ところどころ黒い白のラップスカートを穿いている。

本来なら左手に2本のドラムスティックを持ちバスドラムに乗っているらしいが…どちらも無い

本体の和太鼓を捨て、外のドラムを手に入れたという噂通りロックバンドのドラマーのような現代的な格好をしている

 

…堀川雷鼓

確か和太鼓の付喪神だっけ…?覚えてないな

 

…が、全て焼け焦げている

いや何かの比喩ではなくマジで全部焼け焦げている

綺麗な豚の丸焼き…いやこの場合雷神の丸焼きか…

というかこれ本当に堀川雷鼓なのか…?

 

『ら、雷鼓なのか?…ま、まさか』

『えい』

 

大幣でコツーンと霊夢が雷鼓の頭を叩く

すると雷鼓が頭を叩かれた衝撃で雷を振りまく

どうもちょうどいいレベルの電圧に調整したらしく、少し熱を感じた

 

…なんか少し感動した

久々に熱に触れられたのもそうだが、電子機器を使えるとは…

 

…ん?だったら

 

『霊夢、ちょっと貸してくれ』

『はい』

 

 

「あらあら、誰かさんの教育のおかげで野蛮人じゃない」

「知っているか?性格の大半は幼少期の教育によるものらしい」

「…、………あぁ!幼少期って外の世界に居た頃の事ね!

 ︎︎まさかここに来てからの私の教育と言うんじゃ────」

「それしかないだろ」

「ですわよね」

 

彼女に真顔でそう言った

霊夢の性格はどうも現実的じゃないって言うか…

普通に育っていたらあんな尖った性格にはならないはずだろう

幼少期は紫に育てられたと聞くからな…

 

「…ふふ」

「どうした」

 

紫が口元を抑えて笑う

上品な、見た目相応の笑い方である

俺は急に笑ったのが気になったので聞いてみることにした

思い出し笑いの類か?だとしたらあまり気にしないが

 

「いえ?彼女は欲しいものを得られたんだと…」

「まぁ…彼女にとってはこれが望みだったんだろうな」

 

霊夢にとっての幸せ

それは兄である俺とこうして結婚生活をすること…

 

 

俺たちは兄妹だ

外の世界で兄妹が結婚するというのは禁忌に当たる

近親相姦という物に含まれてしまうかららしい…

何回も繰り返せば産まれてくる子供は悲惨なことになるんだとか

 

…んまぁこの世界にそんな"常識"は存在しないのだが

 

 

それはそうと

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あなたは紫に対して、急に何故そんなことを思ったのか聞いてみることにした

それで笑う意味も分からなかったので、ついでにだ

 

 

「いえ、私も欲しかった"者"がありましてね」

 

彼女がパチンと指パッチンをすると…襖が全て閉じた

ピシャリと全ての襖が同時に閉まり、光が急に入らなくなる

 

真っ暗だ…何も見えない

あなたは少しの恐怖を覚えながら当たりをキョロキョロ見渡している

 

パラリ、という音ともにあかりが着いた

紫が扇子を開く音だったようだ…灯りは蝋燭一つだけ

 

 

欲しかった"物"は何など聞く

 

紫はあらあらと悪戯のように笑った

 

「私が欲しかった者は…えぇ、ある意味では物かもしれませんが…」

 

彼女は扇子で口元を隠しながら目を細めた

あなたは、その目に無数の感情が沸き渦めいていることに気づいた

 

…そう、あの時…幽々子の時と同じような─────

 

 

 

 

 

 

「あなたが、あなたが欲しかった」

 

 

 

 

 

 

紫はいつの間にかあなたを押し倒していた

凄まじい妖怪の力で、あなたは身動ぎしか出来ない

目の前に紫の顔がある…光を失った瞳、上気した頬…

 

魔性とも呼べる美貌がめのまえに存在した

人間としては当たり前に存在しないもの

 

「人目見た時から…あなたが欲しかった、血肉を貪りたかった、その首元に食らいついて…その体を犯して…」

 

ふふふふふと彼女が笑う

正しくあなたの目の前にいるのは太古から生きる大妖怪

妖怪としてのあり方を纏めたような…権化

 

「でもね、気付いたら貴方は手のひらにいなかったの

 ︎︎いつの間にかあの子が…盗っていっちゃったのよ」

 

博麗の巫女を何よりも大事にする彼女が…この時ばかりは敵意を向けた

盗っていったという所だけ、明らかに怒意を含んでいた

 

しかし、その顔は聖母のような…美しい顔になっていた

 

 

「しかないけどね…でも…奪うのもまた一興」

 

 

彼女はあなたの頬に手を添えた

濡れた瞳があなたを舐めつけるように動く

柔らかそうな唇がすぐ目の前に存在した

 

霊夢とは違う、また別方向の魔性の美

 

若い霊夢と違い…育ち切り、尚且つ誰も踏み荒らしたことの無い花畑

太古から生きた大妖怪らしい…いや、大妖怪であるからこその美貌

 

霊夢より実り、さらに大きな乳房

霊夢より太い、服越しでも分かる太もも

霊夢より─────

 

「我慢は毒よ…それに霊夢は今日は帰ってこない…」

 

彼女はたのしそうに言った

今…この瞬間だけはあなたは霊夢のものでは無い

 

この時だけは…紫の…妖怪の賢者のものである

 

 

気付けば、部屋にはびっしりと御札が貼られていた

見たことも無い量だ、隙間がないレベルの密量である

 

「帰さないわ」

 

彼女は耳元で囁いた

術か何かを仕込まれたのか体が動く気配がない

 

全てを彼女に任せることになるだろう

 

なすがまま…このまま…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

笑い声が響く

可愛らしい、その年に相応の…少女の声が




大体終わりか…?
「このキャラやれやカス!」ってのがあれば作るかも、多分


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