逃走中inヴンダー (小説七つ球)
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逃走中inヴンダー

碇サクラの動画を見ていたら急に思いついた。
単発です


「少尉、彼に官位姓名を」

 

「ハイっ」

 

14年ぶりに目覚めた碇シンジ。彼は周りの人々から睨まれながらこの硝子とカメラに囲まれた部屋に連れてこられた。そして紆余曲折あった後、フォースインパクトのトリガーを引き起こし、第三村で暫く過ごしてからヤマト作戦においてアディショナルインパクト及びネオンジェネシスによってエヴァのない世界を創り出す筈の少年。しかしその運命はいきなり崩れ去った。

 

「今更ですが…碇さんの管理担当医官、()サクラ少尉です。よろしくです」

 

「はぁ、碇………は?」

 

「碇サクラです」

 

「………?????ミサトさん、僕は結婚した覚えはないのですが…」

 

「……」

 

「…じょ、冗談ですよね?というか僕の今の保護者(?)はミサトさんですよね!?」

 

いきなり皆から睨まれた挙句いつの間にか結婚していることになれば誰だって混乱するだろう。というよりしない人は存在するのだろうか…

 

「えと…それじゃあ、葛城ミサトさん、私に碇さんをください!」

 

「なんでだよ!つかだめでしょうよ!「いいわよ」うおぉぉぉい!!!」

 

「…何か文句でもあるの?」

 

「大有りですがな!駄目だからね!」

 

「そうですか‥‥‥」

 

流石に諦めてくれたか…しかしシンジは侮っていた。サクラの異常すぎる執着を!

 

「でしたら無理やりにでも既成事実をば」

 

「不味い、不味い不味い不味い!こうなったら…三十六計逃げるに如かず!逃ーげるんだよーー!」

 

叫びながら硝子を勢いのまま突き破り、リリスの子孫、使徒リリンとして覚醒した力を以て全速力で逃げ出した。少なくともタダのヒトに追いつかれることはない。―――筈だった。

 

「碇さーーーん!!!」

 

見つかったァ…

 

「うっそだろおい!!」

 

どうやら碇サクラはその範疇ではなかったようだ。愛の力はいとも容易くヒトを超えられるらしい。逃げる途中アスカがいた気がしたが今はどうでもいい。自分の貞操をあんなどこの馬の骨とも知れない女に奪われてたまるか。その一心で彼は逃げ続けた。

 

 

 

二時間後、ヴンダー艦内を逃げ回り、碇サクラの魔の手から一時的に逃れたシンジ。そこに現れた風変わりな少女。

 

「何をしておるのかにゃ?」

 

「アァ…えっと…屋上の人…」

 

「覚えてくれたんだねわんこ君。どうしたよそんなに息を切らして。後君どうやって部屋からでたのさ?」

 

「…火事場の馬鹿力?はっ!こんなことをしている場合じゃない!このままじゃ僕の貞操が!」

 

「ホントに何があったの?ま、ちょっとついてきてほしいにゃ」

 

 

 

「ここは?」

 

「カタパルト。ヴンダーの場合ここからエヴァが出撃するのにゃ」

 

「そう…っ!来る!」

 

シンジがそう言って何処かに身を隠してから数十秒後、碇サクラがやってきた。マリはとぼけてくれたようだが彼女のセンサーは見逃してくれなかったらしい。ものの数分で見つかり、止む無く壁を蹴破って外に出た。そのまま甲板上を疾走。しかし、やっぱり追いかけてくるサクラ氏。最早身のこなしがヒトのそれではない。仕方がないので再び壁を突き破る。どうやら艦橋だったようだったがどうでもいい。

もうなりふり構っていられない。壁を突き破り、脊髄の様な部分を半ば跳びながら疾走し、挙句の果てには天使の輪(エンジェルハイロゥ)まで無理矢理だして空へ逃げた。ここまでは流石に追いかけてこないだろう。そう思いながら眼下を通り過ぎる零号機似のエヴァを見送った。

 

―Sideシンジ―

あの後、適当な場所で地上に降り、散策していた。どうやらここはヒトが過ごせるような場所ではないらしい。それもこれも僕がやったこと…。そう自分の罪を刻み付けていた所…。

 

「碇さーーーーーん!!!」

 

見つかったァ…

 

まさか追いかけてくるとは思わなかった。富士山が見えるので恐らくネルフ本部が近い。そこに逃げ込むことにしたシンジは、すっかり真っ赤になった青木ヶ原樹海にて再び彼女を撒き、(貞操)からがらネルフ本部へ滑り込んだ。こうして僕の逃走中はようやく幕を下ろしたのであった。

 

 

 

 

 

しかしセントラルドグマにて第二ラウンドが始まるとは思っていなかったが。




シンジが艦橋に逃走(ダイナミックエントリー)してきたときのクルーの反応

日向「…?!」
青葉「何があったんだ…?」
北上「…は?」
長良「…何今の」
高雄「何故あの少年がここに…?」
リツコ「…現在ヴンダーの損壊43%」
ミサト「どうしてこうなったのよ…」


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