瞳に映る3年間 (くるみさん)
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第零話 登場人物紹介 プロローグ
第零話 登場人物紹介
石田紗夜 (いしだ さや)
高校1年生。オッドアイを持つ。小学校時代はオッドアイが原因でいじめられていたが、それを受け入れてくれた友達もいた。基本頼まれた事はほぼ断らない真面目な性格。悪心を持たない純粋な子。
橘 光莉 (たちばな ひかり)
紗夜と同じオッドアイを持つ高校生。誰とも仲良く接するクラスの人気者。会話を交わせば誰とも仲良くなっていた。
天野多愛 (あまの たえ)
紗夜と光莉の通う高校の生徒会副会長。2人の所属するテニス部の先輩。オッドアイである2人とは部員として普通に接している。2人の唯一の理解者。
澄風結々花 (すみかぜ ゆゆか)
紗夜と光莉の同級生。吹奏楽部に所属。担当はサックス。勉強はクラストップの成績。吹奏楽では中学時代に全国大会に出場する程の腕前。
鹿島来愛 (かしま こあ)
紗夜や光莉の通う高校の図書委員長。図書室の管理をしている。1日に5冊本を読む程の無類の本好き。図書室の利用者が増えてほしいと思っている。
榎本咲月 (えのもと さつき)
紗夜達の通う高校の卒業生。元陸上部所属。卒業後は整骨士になった。高校2年生の時、肉離れを起こして、整骨士に救われたことから、陸上選手ではなく、整骨士になることを決意したらしい。
一ノ瀬桃華 (いちのせ ももか)
紗夜と光莉の担任兼テニス部顧問。担当教科は国語。テニスの得意サーブはスライスサーブ。最近は盲目となってしまった母のために点字を猛勉強中。
何事にも全力投球で挑む。そのせいで失敗することもある。
石田邦典 (いしだ くにのり)
紗夜の父親。紗夜が4才の時に母親を亡くして、男手1人で紗夜を育てて来た。母が得意料理だったメンチカツサンドを作って食べて笑う紗夜を見ると、嬉しくなる。
プロローグ
都会。それは技術の進んだ町。充実した物が揃う都会には、噂が簡単にSNSで広まってしまう。その噂に対する誹謗中傷などもすぐ飛び交ってしまう。
田舎。都会とは技術の違う場所。都会から離れた者達の住む田舎でも、田舎なりのいい所も必ず存在する。
これはそんな田舎に住むある家族の1人娘の物語。
石田家の1人娘、石田紗夜は、父、石田邦典と夜ご飯を食べていた。そんな時、邦典が、口を開いた。
「紗夜、実はな、父さん、東京に転勤になったんだ。」
「へぇ~、でも何で急にそうなったの?」
急な転勤の話に紗夜は驚かずに理由を聞いた。
「実は俺の会社の社長が、{君のその仕事っぷりなら、東京でもやって行けるよ、東京でもしっかりやっていくんだよ!}って言って東京に転勤することが決定したんだ。」
邦典は町の工場で働いていた。そんな彼が東京に転勤ということは相当腕が凄いということだと紗夜は思った。
「だから、東京に引っ越すってこと?」
「そういうことだ」
紗夜の質問に邦典は間髪入れずに答えた。すると、
「嫌に決まってるじゃん!急にそんなこと言われてもわかんないんだけど!まだ友達にその事話してないのに、受け入れるわけないじゃん!」
紗夜の怒鳴り声が家中に広がった。そして、紗夜は言った。
「そんなに言うんだったら私1人でここで暮らす!」
紗夜はそう言ったが、そんな話が通るわけもなかった。
引っ越す準備を終え、電車で東京に向かう前に駅で友達が、見送りに来た。
「今まで友達でいてくれてありがとう!」
「手紙出すからね!」
沢山の感謝の言葉を貰い、紗夜と邦典は電車で東京に向かった。
石田紗夜、新たな3年間を歩み始める。
こんな感じでまったりやっていくのでよろしくお願いします。次回から本格的にストーリーが進みます。お楽しみに。
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第一話 約束の前奏曲
長時間の移動で、東京に着いた紗夜と邦典。紗夜は東京の人盛りを見て思ったことがある。
【異…異次元すぎる…】
東京の人盛りのおかしさに呆然としてた…。脳が追いつかないのだ。それに対して邦典は涼しい顔をしていた。普通に順応していたのだ。紗夜は邦典のコートの袖に子供の様に捕まって歩いた。そして、暫く歩いて、東京での新居に到着した。紗夜は辿り着いて、ベッドをすぐに置いて布団に横になった。
【うぅ…なんか人酔い…】
人の多さに三半規管が耐えられなかったのだ。そして暫く眠った。
「紗夜…紗夜、起きなさい」
邦典に起こされて、紗夜は目を覚ました。まだちょっとだけ人酔いが残っていた。そして、晩御飯にした…。
翌日。紗夜は東京の高校に転校した。新しい学校での生活にちょっと邦典は心配になっていた。
「紗夜、大丈夫かい?着いてった方がいいか?」
「大丈夫だから。いいよ」
心配しないで欲しいと紗夜は思っていながら、邦典はまだ心配していた。更には何故か応援をしていた。紗夜は親の恥だと思った。
【本当にやめてくれ…】
そう思いながら、新しい学校生活の第1歩を踏み出した。
「え?何あの子?もしかして、転校生?」
「もしかして、あの子転校生じゃね?」
「マジで!?ちょっと可愛いな!」
「あの転校生、ちょっとダサくない?」
「そんなこと言っちゃダメだよ~」
「光莉って本当優しい性格だよね」
紗夜に関する声が複数飛び交っていた。そして校内に入った紗夜にある人が声をかけた。
「もしかして、転校生?だったら職員室にお願いします」
「え?あ、はい…」
急に声をかけられて、反応した。
「あの…申し訳ありませんが、どなたですか?」
「名前を申し上げてませんでしたね。あなたの担任の一ノ瀬桃華です」
声をかけたのは、紗夜の担任の一ノ瀬桃華だった。そしてここから紗夜の新たな生活が始まるのであった。
……数十分後
「というわけで、皆さん、紗夜さんと仲良くするように」
「は〜い」
「…よろしくお願いします」
桃華先生に生徒へ紹介された紗夜は東京の高校の変さに引きながらも挨拶をした。返事をした生徒は何人かが退屈そうに返事をしていた。
「えっと~、紗夜の席は~…あ、じゃあ来愛の横ね」
【先生の話を無視してすげー本読み続けてるし…】
キーンコーンカーンコーン…
朝礼の終わりのチャイムが鳴って、先生は教室を出た。そして、1限目の予鈴が鳴って、1限が始まった。
「はい、じゃあ教科書17ページ開いて~」
1限の国語の教科担任が教科書を開くように言うと、他の生徒は教科書を開き始めた。しかし、紗夜は東京の高校の教科書を持っていないために開けない。隣の来愛から借りるしかなかった。紗夜は仕方がなく、来愛から借りることにした。
「あのぉ、教科書を…」
「………」
来愛は授業中にも関わらず、教科書ではなく、本を読んでいた。そして、紗夜のお願いを聞いていなかった。遅く反応した来愛が教科書を紗夜に貸した。
「あ、ありがとうござ…」
お礼を言おうとしたら、来愛はぷいっとそっぽ向いた。
【感じ悪ぃ~、長髪のくせに】
紗夜は心の中で、嫌味を言った。そんな紗夜の事を来愛はなんも気にせずに本を読み続けている。
「勝手に使えば」
そう言って来愛はまたそっぽ向いた。
学級日誌
ここでは学級日誌と言う、この話の裏話、裏設定などをお話します。
桃華先生が紗夜の席は来愛の隣って決めてたけど、名簿順って五十音順だから教卓側から見て左側にあります。紗夜の名簿番号は6番、来愛の名簿番号は12番です。席の縦1列は6人分あるので、2人は1番後ろに2人で座っています。ちなみに光莉の名簿番号は22番なので、右から3列目の前から4番目に、結々花は17番なので、左から3列目の後ろから2番目の席となっています。でも、来愛は眼鏡っ娘なのに1番後ろにいるから、来愛は黒板が見えにくい。来愛はそれを利用して授業中にも読書をする。
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