伝説になるかもしれない話 (三郎丸)
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1章:伝説の始まり
1.そして伝説となる(挿絵追加)


作者の脳内でクソスレが立つ程度に色々と溢れ出したので書いてみちゃった(処女作)。転生者がたくさん元気にわいわいしてます。対戦ありがとう御座いました!色々可笑しいことが起きているかもしれないけど気にしたら負け精神で読んでいって下さい。優しい感想待ってます。


時は平成。2018年10月1日、時刻にして丁度00:00分に東京住みの誰かが言った。あれ、ここ呪術廻戦じゃね?と。

 

 

────これは記録である。彼等がこの1ヶ月悩み苦しみ、葛藤の最中に出した意地と魂の結論。ひとりひとりが勇気をもって動いた。それらがどのようなものであれ、名無しの彼等は歴史の影と化すだろう。それで良いのだ。彼等もきっとそれで良かった。称賛など無くて良いのだ。ただ次の時代へ、次の世界へ、次の…令和への道が彼等にとって一番の名誉であるのだから。そう、彼等は守りたかった。

 

 

サブカルチャー溢れる日本を守りたかった。

 

 

後にこれは伝説となる1ヶ月間の物語。

人知れず始まった1ヶ月間の彼等の戦争。

 

それは10/1午前2時、

とあるネットの掲示板へと投稿された。

 

スレ名はとてもシンプルで平々凡々だった。それこそ本当に暇な奴らしか見ないようなそんなスレ。だからこそ彼等は運が良かった。この末端の末端、もはやゴミクズとも言えるような場所ゆえに誰も重要視しなかったから、誰も見ていなかった。そう、名無しの彼等以外は不思議と誰も彼も見ていなかった。

 

 

 

スレ名『大変なことに気付いてしまった』

 

1何処かの名無しさん

俺、大変なことに気付いてしまった。

 

2何処かの名無しさん

そうだな、今日は月曜日だ。

 

3何処かの名無しさん

おっ、そうだな。

 

4何処かの名無しさん

お前ら寝ろ。

 

5何処かの名無しさん

マジで大変なことなんだよ…

 

6何処かの名無しさん

みんな!イッチが物言いたげだよ!

優しく聞いてあげて!!

 

7何処かの名無しさん

あくしろ

 

8何処かの名無しさん

意外と人がいてワロタ

 

9何処かの名無しさん

しょーもないスレwww

 

10何処かの名無しさん

俺転生者かもしれない。

 

11何処かの名無しさん

 

12何処かの名無しさん

シッ!見ちゃいけません

 

13何処かの名無しさん

いたたたたwwwww

 

14何処かの名無しさん

イッチ、疲れてるんやな…もう寝ような

 

15何処かの名無しさん

いや、ほんとほんと。

なんか知らない記憶がめちゃくちゃあるもん。

 

16何処かの名無しさん

ぬしさん貴方疲れてるのよ…

 

17何処かの名無しさん

突如溢れ出す存在しない記憶…!

 

18何処かの名無しさん

こんな深夜からハジケてんな!

 

19何処かの名無しさん

もしもし、ポリスメン

 

20何処かの名無しさん

>>17

お前、呪術廻戦知ってるだろ

 

21何処かの名無しさん

おやぁ…?

 

22何処かの名無しさん

は?

 

23何処かの名無しさん

流れ変わったな。

 

24何処かの名無しさん

この世界に呪霊がいて呪術師がいる。

 

25何処かの名無しさん

え、なになに??

 

26何処かの名無しさん

オカルトスレかな?

 

27何処かの名無しさん

いちさん、次の年号は?

 

28何処かの名無しさん

呪霊ってそんなファンタジーや

メルヘンじゃないんですから

 

29何処かの名無しさん

それはそう

 

30何処かの名無しさん

>>27

令和

 

31何処かの名無しさん

あ、

 

32何処かの名無しさん

 

33何処かの名無しさん

なにこれ

 

34何処かの名無しさん

まって

 

35何処かの名無しさん

皆どうしたの?

 

36何処かの名無しさん

何時から此処はホラースレに…

 

37何処かの名無しさん

待って俺んちファンタジーだったわ

 

38何処かの名無しさん

いやいやいや、世界がファンタジー

 

39何処かの名無しさん

ワイらがもはやファンタジー

 

40何処かの名無しさん

花京院ーーーー!!!!!

 

41何処かの名無しさん

残念だが此処は呪術廻戦だ

 

42何処かの名無しさん

アーーーーー!!!!

 

43何処かの名無しさん

終わったわ…

 

44何処かの名無しさん

来世に期待

 

45何処かの名無しさん

寧ろよく此処まで生きてた

 

46何処かの名無しさん

次は平和な世界が良いな…

 

47何処かの名無しさん

何が起こってるんです?

 

48何処かの名無しさん

>>47

俺らが聞きたいレベル

 

49何処かの名無しさん

イッチの言う通り、

皆大変なことに気付いたんだよ

 

50何処かの名無しさん

41に答えが出てる。

で、多分此処にいる奴ら同胞。

 

何の同胞って?令和の同胞だよ。

 

 

 

 

 

 

オッス、みんな!こんばんは!俺はスレ主。今仲間が居たっぽくてテンションぶち上げてる最中。何で俺がこんなスレを立てたか気になるかい?気になるよね!

 

 

じゃあ少し回想に入ろうか。

 

俺は今日重大なことに気が付いたんだ。それはふと偶然ジャンプを読んでいる間、何か物足りないなと…そう思った時だった。あれ?もっとジャンプって曇らせ率高くなかったか…?と言うかそもそも鬼滅ってもう完結してたよな?何かが可笑しい。いやまて、そもそも今の年代から可笑しい。俺は令和に生きるその辺の一般人の筈だ。今の年代は…年号は平成。そう、平成なのだ。え?と俺は盛大に混乱した。そこから怒涛の存在しない記憶───否、かつての存在した記憶が溢れ出した。一時間くらい呆然とした。

 

どうやら俺は転生したらしい。そして嫌な予感が走った。それは先程のジャンプの違和感。何かが足りない。その何か…それはやがてはジャンプの看板を背負うほどの人気作となり、映画化もしたダークでシビアな世界の漫画…そんなまさかあり得ないと思いつつ俺はとあるキーワードをネットで検索した。

 

 

『東京都立呪術高等専門学校』

 

 

結果、この世にその名が…その建物が存在することが判明した。それ即ち俺の原作知識から導き出した東京の運命は…!

 

 

吐くかと思った。前世?の記憶だけでももう十分なほどにあれなのに、恐ろしすぎる未来予知とも言える知識。さらに言えばその東京壊滅までの期限が1ヶ月である。そう、本日は2018年10月1日。そして後の渋谷事変は2018年10月31日に発生。その後死滅回游とか言う意味不明なクソゲーが開催される…と言うことを思い出した。

 

今すぐ引っ越す?いや、仕事あるし。命の危機だぞ?それもそう!と言うか日本のインフラぶっ壊れるんだぞ。さながら世紀末のようになるし原作が今後どのようになるかも分からないから逃げたところで駄目かもしれない。じゃあ原作キャラの方々に力を貸してもらう?…伝手ないしそもそも俺呪霊見えてないじゃん!何も関係ねぇ奴が行きなりこう言う事情でとか無理だろ!ただただ怪しまれるだけでは?

 

 

これは…これは…詰みでは?

 

 

いや、まだだ!まだ死にたくない。おれ、おれはまだアニメや漫画を楽しみたい。令和の時代…確かに苦悩の連続だった。でも、それでも楽しかったんだ。前世の俺が最期どんな風に死んだのかよく分からないけど、それでも鬼滅の映画楽しかったしエヴァの呪縛から解き放たれたしウマ娘に萌えたしチェンソーマンは超やばかったしダイパリメイクやアルセウスに盛り上がった(遊べなかったけどな!)。FGOでは爆死しまくりながらも楽しくストーリーを進めてわいわいしてた。そして仮面ライダーは平成が吸い込まれていた。…あれ凄かった。日々の日常ではTwitter、支部等に流れる二次創作に毎回心踊ったなぁ。

 

 

この世界には呪術廻戦はない。あの単眼猫と評された作者はこの世界の神、または観測者となった。されど、ジャンプは存在する。ポケモンもエヴァも任天堂もきのこもニチアサも…そしてあまねく一般人のなかにいる神絵師や神文字書き、神レイヤーもまた存在する。

 

 

渋谷事変、またの名を渋谷のハロウィン。彼処にはきっと名だたるレイヤー達が集まっていただろう。もしかしたら神絵師や神文字書きもいたかもしれない。いや、その枠組みが無くともそこに居た一般人達は日本を支える存在だった筈だ。そんな人々を…そんな日常をぶち壊す例のあの人を野放しにして良いのか?いいや良くない。全くこれっぽっちも良くない。

 

 

じゃあどうする?どうしたら良い?何処に相談すれば良いんだ?家族?友人?Twitter?それとも…あっ。

 

そこで俺はとある記憶を思い出した。それはとある掲示板のあるスレに書かれていた内容。

 

 

『どうせ信じないと思うけどお前らハロウィンの渋谷だけには行くなよ』

 

 

もしかしたら、ほんともしかしたらだけど仲間が居るんじゃないか?同じ令和を生きた仲間があの掲示板に。

 

多分ハイになっていたんだと思う。冷静に考えれば俺転生者とか言うスレ立てたら釣り乙で終わる。誰だって本気で掲示板の言葉を信じる訳がない。でもその時の…深夜2時近くのテンションは頭が可笑しかった。そして同様に頭が可笑しい奴らが集い奇跡的な事が起きた。ジョジョ風に言うならば転生者はひかれ合う運命とも言うべきか。

 

はい、回想終了!

 

 

 

正直、釣られてる可能性が高い…と頭の冷静な部分が言ってくる。そりゃ当たり前か。だって可笑しい。こんなにポンポン転生者出てくるなんてあり得ない。いや、そもそも俺自体が色々可笑しくなっているだけかも。…自分を疑いだしたらキリがない!てか、平日の深夜のこんな掲示板のこんなスレタイ。はっきり言って馬鹿の所業である。

 

でも、それでも。もし、もしもこの記憶が正真正銘正しくてあんな未来が起こって誰かが死んでしまったら…きっと俺は悔やむ。それは嫌だった。それだけは駄目だ。だから道化でも良い。杞憂ならそれで良いんだ。

 

 

身近に死が近付くのはなんて恐ろしいのだろう。呪い呪われた彼らはこんなものをずっと感じているのか。そりゃイカれるだろうなとそう思った。イカれてないとやってけないだろう。俺は静かにある覚悟を決めた。多分そうじゃないと俺は簡単に死んでしまうから。それでも彼等に比べたら全然覚悟なんてないかもしれないけどね。

 

 

…さて少しの望みを賭けて

令和トークしてみるか。

 

 

 

 

 

 

51何処かの名無しさん

なぁ、お前らの知ってる未来話してみて

あんまり話すとあれだから断片だけな

 

52何処かの名無しさん

生姜焼き

 

53何処かの名無しさん

PS5

 

54何処かの名無しさん

ダイパリメイク

 

55何処かの名無しさん

コロスケ…

 

56何処かの名無しさん

ワクワクチンチン

 

57何処かの名無しさん

千と千尋越え

 

58何処かの名無しさん

密です!

 

59何処かの名無しさん

>>52

確かに未来だな…でも初っぱなそれ?

 

60何処かの名無しさん

まってまって転生者どれだけ居んの?

 

61何処かの名無しさん

主は分かりにくいのでコテハン付けてどうぞ

 

62何処かの名無しさん

転生者パラダイスで草

 

63何処かの名無しさん

草生えねぇよ…何か突然記憶溢れたんだけど

 

64何処かのスレ主さん

これで良いかな?

 

65何処かの名無しさん

安直過ぎだけど良いじゃね?

 

66何処かの名無しさん

ところで此処マジで呪術?ジャンプなの?

 

67何処かの名無しさん

高専で検索してみ

 

68何処かの名無しさん

オワタ

 

69何処かの名無しさん

ワイ氏子供の頃から見えた謎グロ生物の

正体が呪霊と判明、無事SAN値直葬

 

70何処かの名無しさん

此処にいる奴ら軒並みSAN値直葬な件について

 

71何処かの名無しさん

なにこれぇ…

 

72何処かの名無しさん

あwwwワイは5乗の分家wwwww

 

73何処かの名無しさん

【速報】俺ん家お化け屋敷ーーーー!!!!!

背後振り替えったら呪霊居たんやが????

 

74何処かの名無しさん

えっまってあたい、人外かも…

 

75何処かの名無しさん

>>72>>73>>74

なにこれぇ…

 

76何処かの名無しさん

怒涛の展開に何か笑いが出た

 

77何処かの名無しさん

え、え、なに此処…てか何この記憶

 

78何処かの名無しさん

うっはwww明日も仕事ww

なのにそれどころじゃないんだけど???

 

79何処かの名無しさん

ちょちょちょちょ

 

80何処かの名無しさん

収拾つかなくて草

 

81何処かの名無しさん

>>79

どうした?もうこの場は話題しかないぞ!

 

82何処かのスレ主さん

仲"間"が"い"る"よ"

 

83何処かの名無しさん

スレ主はこの場をまとめてくれ…

 

84何処かの名無しさん

>>81

GLGコンビニ来たなう

 

85何処かの名無しさん

コンビニ事変ですかね?

 

86何処かの名無しさん

>>84

コテハンつけて実況してどうぞ

 

87何処かの名無しさん

もはや此処が呪術なのは確定なのか…

 

88何処かの名無しさん

もっと焦ろう?GLGだよ??

FGOで言う人権キャラだよ???

 

89何処かの名無しさん

我々もう既に瀕死なのだ…

 

90何処かの名無しさん

存在する記憶で正直頭ぱあぁ

 

91何処かのコンビニ店員さん

今休憩中で裏方にて監視カメラ眺めてたんすけどあのアイマスクに黒い姿、色合い…間違いねぇ!

 

92何処かの名無しさん

コンビニ店員がんばえー

 

93何処かの名無しさん

と言うかハロウィン…

 

94何処かのスレ主さん

>>93

良いこと言ったな。

それが本題、俺らの日本インフラ生存戦略

 

95何処かの名無しさん

誰か状況まとめてぇ…

 

96何処かの名無しさん

場がカオス極めてる

 

97何処かの名無しさん

まかせろ

 

98何処かの名無しさん

ふぇ~もうすぐ4時だよ…

 

99何処かの名無しさん

一睡もできず朝が来る

まぁ俺今日休日だけどな!

 

100何処かの吸血鬼さん

私は吸血鬼現状を纏めるおじさん。

 

101何処かの名無しさん

>>100

吸血鬼現状を纏めるおじさん!?

 

102何処かの名無しさん

なんか新キャラ出てきたぞ

 

103何処かの名無しさん

このスレ…スレ主の影が薄い!

 

104何処かの吸血鬼さん

【スレについて】

ある日スレ主はこの世界が呪術廻戦な世界だと気が付いた転生者。そしてスレを立てると不思議と他にも転生者が現れたのであった。

 

今のところの登場人物

・スレ主:影が薄い。どうやら日本インフラ生存戦略なるものを企てているらしい。

・72:5乗家の分家らしい。

・73:呪霊が家に居るらしい。

・74:人外らしい。

・コンビニ店員:休憩してたら店にGLGが来たらしい。ただいま実況中。

・私:吸血鬼現状を纏めるおじさん。

 

105何処かの名無しさん

ありがとう!吸血鬼現状を纏めるおじさん!

 

106何処かの名無しさん

え、これ73大丈夫??死んでない?

 

107何処かの名無しさん

気になる奴が多すぎる

 

108何処かの名無しさん

73です。

呪霊と殴り合ってたら一緒に飯食ってました。

 

109何処かの名無しさん

!?

 

110何処かの名無しさん

もう訳が分からないよ…

 

111何処かの名無しさん

ワイは72!此処だとそこまで詳しく書けないが例のお目目に近いものを持ってるwwwww

 

112何処かの名無しさん

情報が…情報が多い!!!

 

113何処かの名無しさん

72~74もコテハンつけて

 

114何処かの分家さん

じゃあワイこれで、ところでスレ主さん。

多分このスレ術式だと思われ。

 

115何処かの名無しさん

マ?

 

116何処かのスレ主さん

マジで???俺にも不思議ぱわーが…?

 

117何処かの名無しさん

はえ~(何も分かってない顔)

 

118何処かの分家さん

お目目ぱわーで何となくわかった範囲をお前らに教える。スレ主さんを見ないと詳細は分からんがこのスレ自体に呪力が見える。当然術式もな。結論から言うと、このスレは転生者にしかたどり着けない。正しく言えば転生者にしか興味を抱かれない。こんなクソスレ普通は見ない筈のワイが見た原因は術式のせいや。そんで、記憶がなく普通の一般人してたお前らが思い出したのも術式のせい。前世関連の言葉をキーワードにして強制的に思い出させた…と思われる。

 

119何処かの名無しさん

衝撃的な内容ーーーー!!!!!

 

120何処かの名無しさん

此処で影が薄かったスレ主が

めちゃくちゃ個性出してきたな

 

121何処かの名無しさん

いや、個性ってか…ある意味個性ではあるが

 

122何処かの名無しさん

分家さんめちゃくちゃ凄い方なのでは?

 

123何処かの名無しさん

誰か…釣りって言ってくれ…

 

124何処かのスレ主さん

釣りじゃないよ…この事件どう考えても…

(URL)(URL)(URL)

 

125何処かの名無しさん

アッがっこう

 

126何処かの名無しさん

それ発火事件か…

 

127何処かの名無しさん

変死…映画館…この世は地獄です

 

128何処かの呪霊とフレンズさん

73です。呪霊とフレンズになりました。

 

129何処かの名無しさん

突っ込みどころしかねぇ~

 

130何処かの名無しさん

え?なに?フレンズさん世界観可笑しくない?

 

131何処かの名無しさん

何がどうなってそうなったの…

 

132何処かの龍さん

74です。

 

133何処かの名無しさん

>>132

そのコテハンはなんだ

 

134何処かの名無しさん

>>132

龍?龍!?え?ドラゴン的な???

 

135何処かの龍さん

スレ開いて頭いてぇとか思って一瞬意識が遠退いたと思ったら何か強そうな龍人になってた

【挿絵表示】

(※龍人の写真イメージ図)

 

136何処かの名無しさん

あばばばばばb

 

137何処かの名無しさん

本物?????え???ID添えてある…え?

 

138何処かの名無しさん

ワンピの最強生物的な

要素を感じる風貌…強い(確信)

 

139何処かの名無しさん

実質クロスオーバーしてるやんけ

 

140何処かの分家さん

ワロタwww術式ってレベルじゃねぇwwww

 

141何処かの名無しさん

これ一応術式なのか(困惑)

 

142何処かの名無しさん

コテハンが軒並み世界観可笑しい(可笑しい)

 

143何処かのスレ主さん

やっぱ俺が一番影薄い説

 

144何処かの名無しさん

>>143

そもそも発端がスレ主だから安心しな

 

145何処かの名無しさん

>>143

お前が始めた物語だろ!

 

146何処かの名無しさん

そういや、コンビニ店員どうした?

 

147何処かの名無しさん

此処まで流れが激しすぎて忘れてた…

 

148何処かの名無しさん

休憩終わったんかな?もう5時やし…朝…

 

149何処かの名無しさん

コンビニ店員出ておいで~

 

150何処かのコンビニ店員さん

何かGLGの連絡先貰った…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────────────────────────

 

「皆さんごきげんよう、

私は吸血鬼現状を纏めるおじさん」

「吸血鬼現状を纏めるおじさん!?」

「では今回の登場人物を纏めていこう!」

 

○今回の登場人物

 

・スレ主

今回の多分主役級。なんと深夜2時にクソスレを立てて後の伝説になるかもしれない人のひとり。スレ主が偶然前世の記憶を思い出し、掲示板特化の術式に覚醒したことが物語の発端となる。お前が始めた物語だろ!?と言われまくる未来が待っている。内に秘めてる意外と熱い想いと覚悟が今後どのようにして渋谷事変を変えていくのか期待される。転生仲間がたくさん居て凄く嬉しいみたい。スレ主として影が薄い。

 

術式:転生者を引寄せるクソスレ(仮称)

転生者だけを引寄せ、それ以外にはクソスレとして興味を全く持たれない効果を発揮する。また転生者(記憶無し)に対して転生前のキーワードを認識させることで記憶を思い出させたりも出来る模様。他にも何かしら効果があるかもしれないしないかもしれない。

 

 

・5乗の分家…もとい五条の分家の人

普通に凄い人っぽい。よく草を生やすが真面目な時はとても真面目に解説してくれる。普段はこんなクソスレを見ないらしいがスレ主の術式効果によって引き寄せられた。本家とどのような関わりがあるのか、そもそも呪術師なのかその辺まだ不明な人。取り敢えず六眼擬きを持っているとのことで術式とかを看破できる。

 

 

・呪霊とフレンズの人

深夜に寝れなくてクソスレに引き寄せられたら呪術師として覚醒したかもしれない人。どうやら住んでいた家に先住民(呪霊)が居たので咄嗟に殴り合ったとのこと。その結果何故か一緒に夜食を作り食べることになった。喧嘩して一緒に飯を食ったら気付くと呪霊とフレンズになっていたらしい。呪術とは別系統のジャンプしているかもしれない。今後友達の呪霊がスレに現れる事もあるかも。

 

 

・龍の人

もはや既に伝説となった。この人は寝てたけど起きて寝れなくなったのでネットサーフィンしてた。クソスレに引かれてスレを開いたら意識が遠退いた。目が覚めたらワンピの最強生物の龍人形態(ちゃんと普通の人間サイズではある)になっていた!?前世云々よりも衝撃がでかすぎてあたい、人外だったの???となった。混乱のあまり取り敢えずIDを書いたメモ片手に写真を撮って上げたみた。どうやら術式らしいのでひと安心…?なのかなぁ。

 

 

・コンビニ店員の人

深夜帯を働くバイトマン。休憩中に暇だったのでネットサーフィンしてたらクソスレに引き寄せられた。前世を思い出してうおおおってなっていた所に五条悟がコンビニに来て動揺しまくっている。実況しようと思ったがスレが怒涛の展開だし、普通に休憩終わったので真面目に頑張って働いてた。どうやら五条悟から連絡先を貰ったらしい…?

 

 

・私こと吸血鬼現状を纏めるおじさん。

他のコテハン組や他の名無しの転生者と同じくクソスレに引き寄せられたおじさん。別に某吸血鬼がすぐ死んでしまう漫画とは関係のない転生者。実は私も術式が開花しているっぽい。

 

 

・その他名無しの転生者

何処かの誰かたち。皆こんな平日のド深夜なのに術式効果によってなんやかんやでクソスレへ引き寄せられた。どうやら令和の時代を生きていた記憶がある模様。また、呪術廻戦に対して一定の知識量があるかもしれない。何人存在するのかは分からないがこのスレに居るものは漏れ無く全員転生者。呪術師、非術師関係なく存在している。また、前世を思い出すことによって謎の覚醒を遂げたりもする。割りと可能性を持った人々。でも可能性を持ってしてもこの世界は呪術廻戦なので普通に死亡率高い。今のところ皆キャラを助けたいとかよりも何この状態?と言うか日本ヤバいってな感じで混乱している。此処から更にコテハンが生まれるかも。

 

 

 

 

 

 




果たして、彼等は来る10月31日の地獄から日本のインフラを守ることが出来るのか?彼等の運命はどうなるのか?そもそも本題に突入出来るのか?スレ主の覚悟とは?分家の人の詳細とは?呪霊とフレンズの人は何で呪霊と友達出来たのか?龍の人は存在自体がマジで何なの?吸血鬼現状を纏めるおじさんも結構謎だな?そしてコンビニ店員に何が起きたのか!?謎と謎がぶつかり合い最早混沌と化すクソスレの明日はどっちだ!!!


これ作中10/1の午前2時から5時までの話だぞ??大丈夫かな?話進むかな?取り敢えず主役はコテハン組です…(多分恐らくきっと)。

頼んだぞコテハン組!
君達がどうにか物語を終幕へ導いてくれ!


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2.呪霊とザリガニと少年〈前編〉

続いたは良いが早速脱線していくぜ!

いきなり掲示板要素を凪払い、コテハン組から何処かの龍さんを選抜。龍さんに何が起こったのか、そして本題に何時入るのか…それは作者にも分からない。対戦ありがとう御座いました!



ど、どう言うことだってばよ。皆さん、こんばんは…いや、最早おはよう御座います。本日、とんでもないことが起きてしまった。今日は月曜日だし普通に仕事の日であるのだが、何故か目が覚めて引かれるようにクソスレを開いてしまったのだ。すると意識が遠退き目が覚めたら…龍人になっていた!見た目は龍人!頭脳は大人!その名はコテハン何処かの龍さん!

 

 

──は?背後に宇宙を背負いひたすら無量空処をしていた。なおもクソスレは止まることを知らず新たなコテハンが誕生したり、スレ民が混乱したりと、場は混沌を極めている。あたいも混沌を極めて意味不明。何か前世の記憶が甦ったとか此処が呪術廻戦だとかそれらを置き去りにするよく分からない現象。なんで?どうして?私はただこのクソスレを開いただけなのに何故こんな強そうな龍人になっているの?訳も分からず、取り敢えずIDをメモり写真を撮った。そして脳死でスレに投下する。場はどうやら五条の分家の人や呪霊と戦って飯食ってフレンズになった人達が居るみたいだった。キャラが濃いッ!

 

 

そして投下された私の姿にスレ民はもう何か分からない感じになっていた。助けて…助けて私も分からない。分からなすぎてこれ、どうしたら良いの?唯一良かった事はパソコンやスマホを器用に打ち込める事だ。この、鳥脚みたいな鋭い爪でも反応してくれるんだなぁ…と文明の勝利を確信した。そして更にスレは進む。どうやらこれは一応術式らしい。これが?これ…これ術式?実は悪魔の実の能力だったりしないか?私だけ世界観違うジャンプに移行してない?と思ったけどフレンズさんも世界観可笑しかった。いやそもそもスレ主さんも可笑しいし、吸血鬼現状を纏めるおじさんは謎だし、コンビニ店員はコンビニ店員だな。つまり相対的に呪術してるコテハンが分家さんだけじゃんか!

 

 

めちゃくちゃスレが気になるけど一旦閉じる。いやだってそろそろバイトから弟が帰ってくる。私は東京で大学生の弟と二人暮らしをしているのだが、マジで弟にどう説明しよう。えー、実は前世の記憶があります?転生者でした?何か龍人になりました?全部意味が分からない。説明しても全てが謎である。ほんと、どう言うことだってばよ。と、取り敢えずこの術式(?)を解いて人間に戻らなければ!どうしたら良いんだ?何かこう、祈れば良いのかな。戻れ~的な感じで。

 

 

「ねーちゃん~!ただいま!」

 

 

 

アッ!弟帰ってきてしまった。不味い不味い不味い。何が不味い言ってみろ。はい!弟にモーニングコール頼んでますッ!つまり部屋に来る!やべぇ!この混沌とした状況に弟が投下される…それだけは避けなければ!うおおおおお!戻りやがれッ!

 

 

 

────瞬間扉が開く。

 

 

 

「ね…うわ眩しッ!」

 

 

 

「…お帰り、そしておはよう」

「…ねーちゃん、何か生えてるよ」

 

 

弟は見た。何って私の頭を。私はちゃんとした人間の手で頭付近を確認するためそっと添えてみた。すると、何か生えていた。それはとても硬く鋭い…まるで角みたいだなぁ。不思議なこともあるものだ。私に角なんて生えてる筈がない(震え声)。いや、これセーフセーフ。ほら、土壇場で人間に戻れてるから!あからさまに弟がなんやこれみたいな感じで引いてる気がしなくもないけども!これは、その、あの!

 

 

「弟よ、これはハロウィンの為のコスプレだ。生えてるんじゃあない…着けてるんだ」

「そっか、うん」

 

 

弟は何故か憐れみの目線を向けてから何か痛ましい者をみたかのようにそっと扉を閉めて去っていった。私の大切なものが無くなったような気がする。やはり、何かを得るためには何かの代償が必要なんだなぁと思いました。

 

取り敢えず第一関門突破と言ったところか。何とか弟にバレずに済んだ。代わりにとても心にダメージを負ったが致し方ない。しかし、この角どうやったら引っ込めるんだろうな?何とか気合いを込めても何も変化がない。何この角。折れば良いのかな??それとも削る??流石にこの状態で出社、出来ないよ。会社行ったら首になっちゃう。絶対頭可笑しい奴って目で見られまくって死ぬ。てか、家から出た瞬間死ぬ。

 

は…!そうだ、これは術式(?)だ。つまり一般人には見えない筈。実は問題無いんじゃないか!?いや、まて!弟には普通に見えてた。弟も普通の一般人の筈…だけど実は呪術師の才能持ってる説出てきたな?でもこれ弟がマジで普通の一般人だったとしたら…あー!もう!何だよこの状態!くそがっ!何でこんなクソスレを開いたばっかりに。しかし、スレ開いてなかったら前世を思い出せていなかったな。でもこんなのってあんまりだよ…。

 

 

つ、詰んでる…これ、詰んでる。くそー!と言う思いで軽めに頭を壁にぶつけた。

 

 

人はどうしようもない時、気が狂ったような行動をする。コテハン:何処かの龍さんははちゃめちゃに気が狂っていた。と言うか他のコテハン組も名無しの転生者達も気が狂っていたのだ。故に平日のそれも月曜早朝6時、朝日と共に小鳥が囀ずる最中様々な場所で様々な事が起こっていた。

 

あるものはスレを追いかける為に辞表届けを書いていた。あるものは屋敷にて高笑いをしていた。あるものは呪霊とジャンプを読んでいた。あるものは帰宅後頭が真っ白になっていた。あるものはやはり現状を纏めていた。

 

 

 

そしてあるものは家の壁に穴を空けた。

 

 

「───────え」

 

 

瞬間、コテハン:何処かの龍さんの脳内に溢れ出す存在しない記憶…の筈。

 

 

それは幼少期の頃。

何処かの用水路での出会い。

 

 

その日、龍は暇を持て余していた。暇すぎてその辺の用水路でザリガニ釣りをしている。釣り餌兼おやつとしてさきいかを口に咥えつつ虚空を眺める姿はさながら海辺で釣りしているおっさんだった。バケツには既にキモい量のザリガニがいるのを見るといかにこの用水路が外来種パラダイスなのかが分かる。別に飼うつもりはない。近所の伏黒さん家のミシシッピアカミミガメ(名前:玄武)の餌としてプレゼントするつもりだ。伏黒さんは何時もザリガニをプレゼントすると爆笑していた。爆笑しつつさきいかをくれるいい人だ。そして、そのさきいかでまたザリガニを釣る。これの無限ループであった。こうして社会って回っていくんかなぁと幼き龍は考えている。控えめに言って意味の分からない幼児だ。

 

 

その日は普段と違っていた。それまで用水路でボケッとしていた龍であったが、急に空が薄暗くなってバケツのザリガニ達が一斉にピタリと止まる。何だ?と思った龍は立ち上がった。雰囲気が何時もと違う。ザリガニ達の様子も可笑しい。まるで夜みたいに辺りが暗くなっている。これが噂の皆既日食!馬鹿な!?ニュースでそんな事言っていなかったぞ。無駄に知識を蓄えていた龍はそんな事を思いながらこの貴重な体験をどうしようかなと思っていた。そんな時である。用水路の傍らにある廃墟からめちゃくちゃ凄い物音が聞こえた。最早破壊音、轟音とも言えるそれに龍は反射的にそちらを見ると信じられない光景が広がっている。

 

 

そこには何かどろどろとしたキモい祟り神みたいなものがいた。なんやあれ!と思った龍。内心パニックが起きていたが口に咥えたさきいかで冷静さを何とか取り戻していた。落ち着け…落ち着け…奴は私に気が付いていない。私のミッションは奴から離れつつ無事にザリガニを伏黒家に届けること…とそう頭で唱えつつバケツと釣具をそっと持って後ずさる。が、瞬間その祟り神と誰かが相対しているのが見えた。おあ!?あぶねぇぞ!と言った気持ちでめちゃくちゃハラハラした龍。なんと、そこには少年がいた。それも同じくらいの年頃。マジかよ!?こうしちゃ居られねぇ!当初、龍はヒーローに憧れていた。ニチアサを見て変身ポーズを真似する程度にかなり憧れていたのだ。

 

 

 

そして、無謀な勇気と特大な馬鹿を持ち合わせていた。更に言えば転生者としての知識の破片が既に存在していたのだ。つまりちょい賢い行動力のあるやべぇやつ!

 

 

───故に場は混沌を極めた。

 

 

ふっ…相手は祟り神(仮称)か。初バトルとして十分な大物だな?これは腕がなる。相手は私に気が付いていない。ならば奇襲のチャンス!本来なら正々堂々とバトルすべきだろうが人命救助優先!あの少年を逃す事が第一だ。ならばどうするか…私の手持ちは釣具、バケツ(inザリガニ)、さきいか。

 

…釣具でバケツ投げよう!(圧倒的馬鹿)

 

そうと決まれば良い感じの場所までステンバイ~ステンバイ~!龍のテンションは訳が分からないレベルまで上がっていた。もう、誰にも止められねぇところまで来ている。

 

 

 

それはそうと少年sideはどうなっているかと言えば、可もなく不可もなくって感じであった。何故ならばその少年は普通の存在ではなかったからだ。読者諸君にはこう言えば分かるだろう。かの少年は後の世で最強に至る人物であると。だから割りと余裕の表情で祟り神と相対していた。彼の表情から察するに「ふ~ん、この呪霊そこそこやるじゃん、まぁ俺に敵わないだろうけど」って感じである。

 

が、次の瞬間呪霊に向かって大量のザリガニが降り注ぐ姿を見て彼は固まった。

 

 

「は?」

「おう!少年逃げっぞ!」

「は?」

 

 

後に彼は語る「今思えば僕の領域展開に似てるよね~情報が何時までも完結しない…マジで何が起こったか分からなかったよ。だって普通いきなり呪霊にザリガニが降り注ぐとかあり得なくない?控えめに言って狂ってるよ」イカれてると評される呪術師達…その最強に龍は真顔で狂ってるよと言われる未来が待ち構えている。

 

 

「おっし、此処まで来れば大丈夫か…やべフラグ立てたかも」

「…なぁ」

「ザリガニ君達ごめんなぁ…成仏しろよ」

「おい」

「てか、まだ皆既日食してんの?地球終わったな」

「おい!」

「あ、ごめん。ちょっと爆発してた」

 

 

ボーイミーツガールなんて存在しなかった。そこに居るのは馬鹿と馬鹿に巻き込まれた後に同級からクズと評される少年がいただけである。龍はふぅと一旦落ち着くように息を吐き出すと改めて手を引いて一緒に逃げてきた少年を眺めた。

 

何かアニメとか漫画で居そうな容姿してんなが龍の感想だった。未来の最強は語る。「いやいやいや、もっと何かあるでしょ!ほら!こうときめくとかさ!こんなGLG早々にいないよ?」残念ながら龍は不思議な生態の生き物だった。

 

 

「お前何?」

「え…(考えてなかった、盲点だ。良い感じのセリフ~!)」

「言えないわけ?」

「か…」

「か?」

「皆既日食」

「は?」

 

 

あぶねぇ~仮面ライダーって言うところだった。流石に仮面ライダーは無いよな。うん、ないない。とか思っているが実際上、皆既日食もあり得ない。しかしそんな事は龍に関係ないのだ。此処まで突き進んだからにはもう後戻りは出来ない。龍は謎の覚悟を持っていた。

 

 

「取り敢えずさ、さきいかでも食えよ」

「何こいつ」

「あの祟り神なんだったんだろうな。と言うかこの皆既日食って祟り神のせいだったり?少年よく無事だったね。あれ、絶対殺る気に満ちてたよ。危なかったわ~」

「何話進めてんの?」

 

 

龍はハイになっているので話を勝手に進めていた。そしてさきいかも少年に勧めている。少年は意味が分からないと言った表情のままさきいかを手に持たされた。本当に何だこいつ。二人は何故かさきいかを片手に用水路でひたすら駄弁っている状況であった。

 

 

「…はぁー、もういい。お前さ、呪霊とか知ってんの?呪術師の家系とか?」

「呪霊?呪術師?…めちゃくちゃ和風だね」

「お前非術師なの?それにしては何か…」

 

 

龍は幼児であるが博識であった。理由は転生と言う特殊な出自。この頃はまだ思い出してはいなかったがその片鱗は確実にあったのだ。

 

ところで少年はどうやら龍に"何か"を見たらしい。その空色の目をじっと龍に向けている。暫く見詰めていたが不意に反らした。

 

 

「意味わっかんねぇ~。お前マジで何なの?」

「皆既日食の人だよ、少年」

「いや、これ皆既日食じゃねぇし。帳だし」

「そういやさ、少年。めちゃくちゃ気になっていた事があるんだけど、何で後方にある筈の廃墟が前方にあるんだろう」

 

 

そう、彼らが何故その場に留まっていたのか。それは本来なら後方にある筈の廃墟が前方に存在しているからだ。可笑しい…これは異常事態だ。まさかループでもしていると言うのか?あの祟り神にそんな力が!?これ序盤のそれも初回に出ちゃいけない敵じゃん!仮面ライダーだったら初めはしっかりと仮面ライダーが頑張れる敵じゃないと!残念ながら此処はニチアサ時空ではない。此処はジャンプだ。それも呪術廻戦なので普通に格上が出まくる。

 

 

「お前に言ってもわかんねぇと思うけど」

「分かるのか少年。解説頼んだぞ少年」

「その少年少年言うの止めろ。何か腹立つ」

「え、じゃあ名前is何?」

「…はぁ、五条悟」

「じゃあ悟少年よろしく」

「お前馬鹿にしてるだろ?てか、お前も名乗れよ。何で俺だけ教えてお前は教えねぇの?」

 

 

龍は戸惑った。ヒーローが本名教えて良いのだろうか。隠れて戦うヒーローだからこそ、人知れず戦うヒーローだからこそ良いのだ。じゃないとあれじゃないか。かっこ良くない。しかし挨拶には挨拶を、自己紹介には自己紹介をしなければ礼儀がなっていない。どうしようかな。

 

せや…!

 

 

「悟少年、この戦いが終わったら教えてあげよう。それまで内緒だ」

「殺すぞ」

 

 

めちゃくちゃ衝動的に殺意が出た悟少年。これは普通に怒って良いと思う。サムズアップまでして此方をドヤ顔で見詰めているのだ。誰だってムカつく。でもこのままだと話が一向に進まないので悟少年は何とか怒りを抑えた。流石最強。頑張れ最強。それ行け最強。

 

 

「…いいか、術式が付与されていない生得領域──まぁ簡単に言えば結界みたいなものがあるせいで俺らは此処から出られない」

「なるほど、つまり祟り神を殺れば良いんだな」

「そうだけど、ほんとお前なんなの?」

 

 

ただのよく居る転生者(只今自覚無し)らしい。

 

 

「お前は此処で待機しておけ」

「なんで?」

「足手纏いにしかならない雑魚だから」

「それはそう」

「何で自信満々なのお前」

 

 

龍はハイなテンションではあるが此処まで来て漸く自分の力量を分かってきた。確実にこの悟少年より私クソザコだろうなと。あとどうやら悟少年はああいう化物退治の専門家的な奴っぽい。もしかして:余計な事した。とか過ったけど私クソガキだからノーカンノーカン!

 

後で菓子折り持っていこうかな。良心の呵責!

 

 

「じゃ、絶対に来るなよ」

「任せておけ」

「来ても助けないからな」

「さきいか食べつつ待機しとくよ」

「…」

「殴るなよ!」

 

 

悟少年は思った。あいつ、何かめちゃくちゃムカついたけれども何かめちゃくちゃ楽しかったなと。あそこまで気軽に話し掛けてくる奴なんて今まで周囲にいなかった。ましてや初対面の何も知らない奴を利益無しで命を懸けて助けようとするとか馬鹿すぎるだろ。何と言うか…面白い奴。取り敢えず、あの呪霊を祓ったらあいつの名前絶対聞こう。そう決意した悟少年は手に持っていたさきいかを食べた。

 

 

「…うま」

 

 

そのさきいかは伏黒家のお手製であった。

誠に不思議な縁である。

 

 

 

 

 

 

何処かの龍の過去回想編

 

 

 

───────後編へ続く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─────────────────────────

 

 

「皆さんごきげんよう、

私は吸血鬼現状を纏めるおじさん。」

「吸血鬼現状を纏めるおじさん!?」

「では今回の登場人物を纏めていこう!」

 

○今回の登場人物

 

・龍

今回の主役。正直、転生してひゃっはーだとか原作がどうとかキャラを救うだとかよりも今日の出社どうしようかについて悩みまくっている様子。実は弟が居た。咄嗟に人間へ何とか戻れた。しかし、角がそのままだった為ハロウィンのコスプレとか言い張って場を納めたがその結果心に傷を負った。そして、うわーって感じで軽く頭を壁にぶつけたら壁に穴が空いた。その衝撃で幼き頃の出会いと冒険を思い出す。

 

術式(?):龍人になる?

龍人の姿になる。どうやら手先は割りと器用らしい。その力は未知数であり、少なからず人間(角付き)の姿でも軽く壁に穴を空ける程度のパワーを持つ。謎が多い。

 

 

 

・龍の弟

大学生の弟。どうやら姉である龍と二人暮らしらしい。どっかで深夜バイトしている。帰ってきたら姉が何故か立派な角を生やしていた。意味が分からな過ぎて頭真っ白。この後、部屋に戻るが姉の部屋で何故か破壊音がして何か全てがどうでも良くなる。もう、僕寝るわ。

 

 

 

・幼き頃の龍

転生者の片鱗が垣間見得る博識と意味不明な行動。それ即ち馬鹿である。近所の伏黒さん家に懐いており、そこで飼われているミシシッピアカミミガメ(名前:玄武)の為にザリガニをよく釣っている。ニチアサが好きで変身ポーズを決め込んでいる。近所でさきいかが似合う流離いの釣り人として評判になっているとかいないとか。どうやら術式(?)は既にあったらしい。

 

 

 

・少年こと五条悟少年

幼き頃の五条悟その人である。今回呪霊を祓いに廃墟へ訪れたのだが、突然呪霊の頭上に大量のザリガニが降り注ぐ光景を見て呆気に取られた。更に現れた変人にペースを乱されまくる。龍に対して何こいつとずっと思っている。何かこいつの呪力が可笑しい…ほんと何こいつと思いつつ何だか話している内に楽しくなってきた。確実に今まで周りに居なかったタイプかつ俺に対して対等に話すし何か助けようとしてくれたし(余計な世話だったけど)…何かが芽生えた。取り敢えず名前絶対に聞き出すわ。

 

 

 

・ミシシッピアカミミガメ(名前:玄武)

めちゃくちゃでかいミシシッピアカミミガメ。どうやらザリガニが大好物みたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




龍は過去に原作キャラと会っていた!?作者も何故こうなったのか分かりません。何処へ着地するのかも分かりません。本当にハロウィンまでたどり着けるかな。そもそも11/1に行けるかな。

目標はみんなで煉獄さんを
応援するスレを開くことです。


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3.呪霊と馬鹿と少年〈後編〉

何故かザリガニがキーアイテムに!?
まだ掲示板要素はお預けだけど許してくれ…。


少女は用水路でさきいかを食いながら体操座りをしていた。何故かって?少年に待機命令を出されたからだ。相変わらず空は暗い。そして、少女は思い出す。あ、バケツ回収してねぇ。

 

 

─────人はそれをフラグと言う。

 

 

 

【前回までのあらすじ】

時は平成2018年10/1(月)の早朝に事件が起きた。クソスレを開いたコテハン:何処かの龍は何と前世を思い出した。龍は転生者だったのだ!さらに意識が遠退いたと思ったら龍人の姿になっていた。意味不明だぜ☆何とか人間の姿に戻るも角が消えない。出社まで残り時間がそんなに無いことに絶望し、軽い気持ちで頭を壁にぶつけた。すると不思議なことに壁に穴が空いた。その衝撃音によって龍の弟はもう全てがどうでも良くなり寝床に入っていった。一方龍はと言うとあまりの事態に幼き頃の記憶を思い出していた。その記憶とは五条悟に出会い、何故かさきいかを渡したと言うこれまた意味不明な記憶!更に過去回想は継続中…!

 

 

 

 

 

 

 

バケツ、それはものを入れる道具だ。こう見えて幼き頃の龍さんは流離いの釣り人としてその辺で有名だった。そう、釣り人とは道具を大事にするものだ。龍もまた道具を大事にしてきた。それを祟り神がいる場所に人命救助の為とはいえ、放り投げて置き去りにしたのは何とも気分が悪い。此処でおさらいしておこう。この龍はクソガキである。クソガキとは基本的に何かやりたいとか何かほしいと思えば大体即動く好き勝手な生き物である。

 

 

つまり何が言いたいかと言うと、

待機命令なんて守れる筈がなかった。

 

 

 

さて、此方はside悟少年。前回、何か良い感じに物語を締めていたがそれはそうと呪霊狩り。さっさっと祓ってあいつの名前聞こ~と身軽に廃墟に再び侵入する。廃墟の解放的な空間に座す祟り神は己の頭上へ降り注いだザリガニを不思議そうに眺めていた。どうやら未知との遭遇をしていたらしい。うごうごと祟り神の上を彷徨っているザリガニとそれを複数の眼球で追いかけて観察しているキモい呪霊。クソどうでも良いな。そう思った悟少年は早々に祓おうと術式順転「蒼」の構えを取る。

 

 

しかし此処でイレギュラーが発生する。それも今の五条悟では対処しかねる程のヤバいやつ。

 

 

クソガキ到来かと思いきや来たのはもっと不味い奴だった。話は変わるがこの祟り神の等級は準1級相当だ。そんじょそこらの呪術師では祓うのにめちゃくちゃ苦労するであろう存在。ただ、五条悟は幼少期であろうが強者である。普通に祓うことが可能であった。

 

だが、此処へ…大変不味いことに特級相当の呪霊が顕れたとなったら話は変わる。

 

 

五条悟は強者である。それは全く持って正しい事実だろう。しかし今の五条悟は最強ではない。彼が最強に至るのはまだ先だ。それ故に隙が多い。強いけれどもまだまだ未熟な存在。

 

だからこそシンプルに言えば

めちゃくちゃピンチな状態になった。

 

 

 

それはいきなり顕れた。気配がまるでしなかったのだ。そう言う術式なのかもしれない。悟少年は咄嗟に身体を横へ反らした。それほどの殺意が籠った一撃、割りと余裕ぶって無下限を解いていたのでマジで危なかった感じである。思わず冷や汗が出た…あのプレッシャーは特級相当かもしれない。その攻撃は廃墟の床下を抉り、余波がザリガニと戯れていた祟り神にまで届いた。空中に何匹ものザリガニが舞って落ちていく。祟り神は何故か物凄くぶちギレた。

 

祟り神がおそらく特級相手に攻撃を仕掛けようとしていることを察知した悟少年は背後の窓からこの場を一時脱する事にした。流石にこんな妖怪大戦争の最中祓うのは御免被る。

 

 

無事に脱出すると同時に背後で轟音が鳴り響く。あの祟り神、ザリガニが吹き飛ばされてそんなに切れてるの?可笑しくない?とか思いつつチラリと振り替えれば祟り神と特級が互いに縺れ合いながら争っていた。割りと均衡している。そして、辺りに散らばるザリガニたち。それを見て更に怒る祟り神。何あれ?ザリガニでバフ付けて殴り合ってるの?意味が分からない。

 

廃墟はますますぶっ壊れて建物としての原型を消し去っていく。争う呪霊達、飛び交うザリガニ、そして悟少年。場は前回同様混沌としていた。なんだこれ。

 

 

そして、そこに現れる混沌の申し子。

 

 

そう、我らが転生者こと龍である。

颯爽と現れた龍は悟少年を肩ぽんする。

 

 

「悟少年、首尾はどうだ」

「…お前何で居んの?」

「クソガキだからだ」

「は?」

 

 

やっぱりこいつムカつくなと思う悟少年であった。案の定、待機出来てねぇこいつマジでどうしてくれようかと真面目に切れ掛けているが、今は近くに呪霊が居る。それも特級相当の奴が居るので油断なら無い。落ち着け俺。今怒るべきではない。後で殴ろう、そうしよう。賢明な判断である。

 

 

「何かやベェ奴と祟り神がバトルしてるな?あいつら仲間同士じゃないの?仲間割れ?てかザリガニが辺りに散らかってるな」

「はぁ、呪霊は別にそう言う感じじゃない」

「へー、それで殺らないの?」

「すぐに祓えたらそうしてるけど、あの特級…ヤバい方におそらく探知されて簡単に祓えない。それに祟り神の方も邪魔。せめてどっちか消えないと下手に動けば両方相手にしないといけない」

 

 

結構場は緊迫している筈なのだがいまいち龍は緊張感足りていなかった。これで大人の龍だったら普通にやべぇと冷や汗だらだらでマジもう無理状態だったかもしれない。でも此処にいるのはクソガキの龍だ。クソガキはメンタルがあり得んくらい強かった。

 

 

「よし、じゃあ祟り神は任せろ」

「ふざけてんの?」

「真面目だ、奴は私が殺る。因縁の敵だ」

「さっき出会ったばっかりだろ…」

 

 

龍はノリと勢いで戦う事を決心していた。何と言うか馬鹿だ。命を大切にしてくれ。こう言うところが転生者なのかもしれない。色々と制限がどっか行っている。生存本能が散歩中なのかな?この場は物凄い殺気と呪力に包まれているので一般人ならきっと動けずにただただ怯えていただろうに。先ほどまで呪霊とか関係ない世界で生きていた龍は普通に適応していた。呪術師はイカれてなきゃやってけないってこう言うことなのかも。

 

 

「いいか、呪いは呪いでしか祓えない。お前は確かに呪力を持ってるっぽいけどド素人。控えめに言ってもクソザコ。例えるならお前は彼処で舞っているザリガニと同程度の雑魚だから無理」

「確かに私はクソザコだ。でもあのザリガニ達よりは強い。何故ならあのザリガニは私に負けた敗北者。あと一回祟り神の気を反らした実績あるからワンチャン…」

「ない。それに反らせたのザリガニのお陰だろ」

「ザリガニは私だったか」

「もうそれで良いから余計なことするな」

 

 

何だこのクソガキと思っている悟少年だが、言うて悟少年もクソガキである。この場では比較的真面目にやっているが、普段は唯我独尊してるので実態はどちらもクソガキだった。更に言えば未来の大人になった悟少年は相変わらず自由にしているので社会人として普通にしていたらしい龍よりもレベルが高い。流石最強だぜ!

 

 

 

閑話休題。

 

 

 

「ならプランOね」

「プランO?っておい!」

 

 

プランOと言い残した龍は既に廃墟へ走っていった。意外と速い動きだ。そして龍はそのまま助走で祟り神にライダーキックをしながら大声で叫ぶ。

 

 

「囮になるからさっさっと殺ってくれ!じゃないと私死ぬぞッ!おら!祟り神来いや!」

 

 

「あいつ馬鹿か!?くそっ!馬鹿だろ!」

 

 

全くその通りだ。正真正銘馬鹿である。それもただの馬鹿じゃない。特大の馬鹿であり無謀な勇気と行動力を併せ持つアルティメットな存在だ。めちゃくちゃシビアでダークな世界だが龍は転生者。普通よりも知恵ある者であり賢かった。世界はそんな賢い馬鹿が好きである。

 

 

呻き声を上げながら祟り神はターゲットを龍の方へ定めた。いきなり攻撃してきた明らかに特級よりも弱い存在。すぐに殺せるだろうと言う判断だ。さっさっと殺して特級を殺そうそうしよう的な感じである。一方、特級はと言えば龍の存在に当然気が付いている。だがどう考えても自分よりも遥かに弱いので特に気に止めてなかった。しかし、呪霊相手にあの活きの良さは嬲ったら良い悲鳴を聞かせてくれただろうに…勿体無い事をしたかもなと思ってたりしている。

 

さてどうしたものかと特級が首を捻った時、特級がいた場所が盛大に抉られた。何が起きたのか、それはとてもシンプル。

 

 

「術式順転:蒼」

 

 

悟少年による術式での攻撃。虚空を生み出し引き寄せる収束の力。五条家の相伝である無下限呪術のひとつ。それを喰らえば特級と言えどもひとたまりもないだろう。喰らえばの話であるが。

 

 

「チッ…さっさっと失せろ呪霊が」

 

 

此処にて特級VS悟少年開幕である。

 

 

 

 

 

 

しかし、これは彼等がメインの話ではない。メインは今絶賛爆走中の龍。祟り神とのデスレースを開催しているこの人が現在の主人公だ。

 

 

「おあーーーーー!」

 

 

主人公こと龍はただただ叫びながら用水路を周回していた。無論、この叫び声は祟り神の気を此方に持ってくるためのものだ。決して祟り神が怖いだとかそんなんじゃあない。違うからね。

 

今用水路は呪霊によってまるでドーナツのように無限ループをしている。なので延々と走り放題周回し放題!やったね!と言うわけで悟少年が来るまで地獄のデスレース。追い付かれたら死亡。呪いが廻ってるし、龍にとっては命を懸けた戦いなのである意味呪術廻戦している。それはそうと、何故龍がずっと逃げ続けられているのか疑問ではないだろうか?いくら足が割りと早めであっても幼児、体力なんてそんなにない。普通なら既に祟り神に追い付かれているだろう。

 

 

しかし、此処は用水路。用水路にはあるものがいる。そう、ザリガニだ。祟り神はザリガニに何か知らんが興味を持っている。むやみやたらと殺したく無いし、ザリガニの為に怒れたりもする。祟り神は祟り神らしくそれなりにでかい容姿をしていた為、用水路に所狭し状態。故にザリガニを気遣いつつ龍を追うと結構速度が落ちていた。不幸中の幸いである。

 

 

 

でもこの世界は厳しかった。だって当然だ。相手は格上。格上と当たったものは容赦なく死ぬ。これがこの世界の理。そして龍はこの場ではただの弱者にしか過ぎなかった。弱者には選択肢はない。それ即ち"死"あるのみ。

 

 

「ぐっ…はは、やっばいなぁ」

 

 

手足を祟り神の触手で捕縛された。力を込めても解けそうにない。これは詰みか…。正直身体の節々が痛くて痛くて仕方がない。本当は泣き叫びたいし、本当はめちゃくちゃ怖かった。でもそこは意地で保つ。せめてもの虚勢だ。ぜってぇ泣いてやらねぇし!…待って待ってやっぱ痛い。死にたくない。何で此処にいるんだっけ?此処に来なければ良かったかな。いや、考えてももう遅い。ifなんて来ないのだ。

 

目前で祟り神が嗤っている。笑顔で口を大きく開けた。食べるつもりらしい。すんげぇ歯が生えてるし痛いだろうか。即死なら楽に逝けるかな?最期に食べたのがさきいかだったなぁ。もっと違うもの食べたかったかも。それにしても悟少年は無事だろうか。彼は私よりもめちゃくちゃ強そうだったけど心配だ。まぁ、もう私死ぬんだけどな。何とか時間稼げてたら良いんだがどうだろうか。

 

 

…いやいやいや、は?私死ぬの?何受け入れようとしているんだ?馬鹿じゃねぇの?こんなキモい祟り神に喰われて死ぬ?あり得ないな。全く持ってあり得ない。私がこんな奴に喰われる道理などないのだ。こんな祟り神"程度"に。

 

 

 

 

 

 

五条悟の周りには何時も死が溢れていた。例えば護衛、彼等は賞金首として命を狙われた五条悟の代わりに死んでいくのだ。例えば呪術師、彼等は五条悟よりも弱く簡単に呪霊によって殺されてしまった。例えば非術師、彼等は呪霊が見えずそれ故に呪霊の危険がわからない。呪霊と遭遇してしまえばたちまちに惨殺されてしまう。五条悟はまだ幼いがそれでも多くの死を見てきた。多くの死を看取ってきた。特にそれへ感傷はない。ただそう言うものだと見てきただけ。だけど、でもあいつは…彼女は何となく死んでほしくないと思った。まだ名前すら聞いていない。何も知らない。けれど、だからこそ…。

 

 

何とか特級呪霊を祓い、急いであいつのもとへ走る。嫌な予感がして堪らない。早く、早く!

 

 

だが、現実は非情なのだ。次に見たのはあいつが祟り神に喰われようとした瞬間だった。嗚呼、あれは間に合わない。術式で祓おうとしても巻き込む。どのみち助からない。名前も知らないから呼ぶことも出来ず、目の前でさっきまで楽しげに話していた奴が死ぬ。弱い奴はすぐ死んでいくのだ。これだから雑魚は…。救われる準備くらいしとけよ。せめて呪霊に喰われるくらいなら俺が殺そうかと印を組んだ時だった。

 

 

「…は、」

 

 

それは突然の出来事。圧倒的な殺気とも言えるか。まるで"強大な生物"が目の前にいるかのようなそんな存在感を五条悟は感じ取った。その存在感を出していたのは龍その人である。

 

 

彼女は四股を拘束され身動きを取れない状態であったが頭は真っ直ぐに祟り神を睨み付けていた。異様なのはその目だ。彼女の目は黒色のよくいる日本人の筈だ。少しの間とはいえ見間違える筈がない。だが今は黄金に妖しく光っていた。まるで夜空を彩る星でいて、獣のように鋭くそして何とも美しい人ならざるものの目だ。その恐ろしい目は祟り神を凍り付かせていた。格下だと思っていた人間のそれも子供が此処までの圧力を醸し出すとは祟り神も予想できなかっただろう。それ故に恐れ慄いているのだ。

 

 

「お前が私を喰らうだと?嗤わせる」

 

 

祟り神は狼狽えた様子で彼女を放り投げた。咄嗟に構えていた印をそのまま蒼を放つ。祟り神は原型を留めることなく虚空へ塵となって消え失せた。それと同時に生得領域も解かれる。帳は降りたままだが此処は現実世界だ。もう此処に呪霊の気配はしない。それを確認すると悟少年は用水路の側にある草むらに落下した彼女へ警戒しながらも駆け寄った。

 

 

「おい、起きろ」

「…」

「おい!」

 

 

彼女はぼろぼろになっていた。四股は先ほどの拘束によって赤い痕が出来ている。また草むらに放り投げられたせいか所々切り傷もあるようだ。でも生きてはいる。良かったと安心しても良いが先ほどの様子が不安を煽る。あれは何だったのか…明らかに一般人が出して良いものでないことは分かるのだ。悟少年には一瞬だったからよく"見えなかった"。今は先ほどまで話していた時のように変化を感じられない。術式だったのだろうか?でも見たところこいつに術式は存在してなかった。呪力は何か可笑しかったけども。

 

 

「…おぁ…生きとる…」

「お前さ…ほんとふざけやがって」

「はは、無事でなにより」

「何処が無事なんだよ。お前めちゃくちゃぼろぼろじゃん。しかも死にかけたし。雑魚は雑魚らしく大人しくしとけよ」

 

 

 

 

 

 

龍はいや~何とか生き延びれました。ピースピースと言う感じで生還出来てハッピーしている。そんな彼女は未来でクソスレを見て前世を思い出す事が確定しているのが何とも不思議だ。兎も角、龍は謎の覚醒によって生き残ったのであった。

 

 

「で、あれなんだったの?」

「…?」

「いや、だからさっきのやつ」

「え?何かしたの?」

「は?お前しらばっくれてんの」

「マジで記憶無いけど」

 

 

マジで記憶が無かった。あの時、龍はすんげぇ祟り神に対して怒りを抱いたことは確か。こんな奴に喰われてたまるかとめちゃくちゃ腹が立っていた。さながら"龍"の逆鱗に触れるが如く怒りに狂っていたのだ。そして暗転、目が覚めると何か助かっていた。てっきり悟少年が土壇場で殺ってきてくれて助かったのかと思っていたのだがどうやら一悶着あったらしい。龍はその話を聞いて思ったことはひとつ。

 

 

「私、特撮に出れるわ」

「なに言ってるのこいつ」

 

 

龍はどうしようもない程呑気だった。

 

 

その後の話。悟少年は龍にこれ以上聞いても意味無さそうだなと判断、お目当ての呪霊はしっかり祓ったしこいつ一般人(仮)だし怪我してるから外で待っている家の者に投げることにした。今回、突然の特級乱入に加え何かよくわからん奴もいたしで散々な目に遭ったなとため息をつく少年。そして、その様子にそっとさきいか(袋入り)を渡す龍。それ、まだあったのかと何とも言えない気持ちで一応受け取った悟少年は思い出した。そう言えばこいつの名前聞き出すんだった。よくわからない現象のせいで忘れてたのだ。

 

 

「おい、お前名前は?」

「ん?あー、そういや戦い終わったもんね」

 

 

二人は用水路をさきいか(袋入り)片手に駄弁りながら歩く。ほんと色々あったなと感慨深いようなそうでないような気持ちで龍は名乗る。丁度用水路から表の道へ出たところだった。外は夕暮れ時で烏が鳴いている。もうこんな時間だったのか。ご飯時だな。

 

 

「水稀って言うんだ。良い名前だろ?」

「みずき…」

 

 

悟少年はそれを聞いてゆっくりと確かめるように名前を繰り返した。龍───水稀はその様子に何だこいつと思いつつ何も言わない。表の道には車が一台停まっていた。そこから大人の人が此方に気が付いたようだ。その大人は悟少年を確認すると此方へ寄ってきた。

 

 

「悟様!御無事で」

「あー、お前…」

 

 

何か話している様子。と言うか悟様?え、何あの少年金持ち的な?車高そうだしな…いや、少年マジで設定山盛りじゃないか。化物もとい呪霊退治の専門家で、白髪碧目で、多分偉い立場かつ強いとか漫画の主人公かなにかか?と水稀は思った。惜しい、主人公じゃなくて作中最強キャラだ。そして、現在この物語の主役は水稀である。

 

 

そんな水稀を呼び掛ける人物が現れた。

 

 

「あー!ねーちゃん居た!飯出来てるよ!てかねーちゃんめちゃくちゃぼろぼろじゃん。何やらかしたの?」

「おー、弟よ。ねーちゃんはな生死をかけたバトルに勝ってきたんだよ」

「そっか、飯出来てるよ」

「さっき聞いた」

 

 

弟は冷めた目線で此方を見ている。えー、マジで生死をかけたバトル(なお、悟少年が戦った)してきたんだけどな。ふっ、これが人知れず戦うヒーローの気持ちか。結構くるわ…。

 

弟は、目線は冷たかったが釣具を持ってくれた。一応怪我を心配してくれてるらしい。あ、バケツ忘れた。流石に今日は疲れたしまた次で良いか。多分バケツ盗む奴いないだろ。道具を大切にする心意気は気分で変わる水稀だった。

 

そして帰るぜムーヴの最中その様子に悟少年は気付いたようだった。目線を此方に向ける。悟少年はチラリと横にいる弟を見ると少し顔を歪めた気がした。多分気のせい。

 

 

「…みずき、そいつは?」

「おっと、悟少年。此方は弟だ」

「…ども」

「んで、私は家に帰る。世話になったな」

「は!?お前この流れで帰るの?」

「帰る、飯の時間だ。去らば悟少年」

 

 

じゃあな!と家路へ進むため悟少年に背を向ける。勿論カッコつけるため片手を上げて良い感じに別れを告げる。夕日をバックにめちゃくちゃ格好いい感じだな。決まったわこれ。しかし今日はほんと凄かったなぁ。気分はエンディングシーン。今スタッフロールが流れていることだろう。弟は何も言わずに着いてくる。

 

 

「待てよ!」

 

 

振り返らず立ち止まる。弟は止まらない。こいつ、さては私を置いていくつもりか…?

 

 

「苗字も教えろよ」

 

 

うーん…。

 

 

「…また、今度な」

 

 

やっぱヒーローって名前教えない方が何かカッコよくない?私の今回の立ち位置ヒーローじゃないけども…まぁよし。背後で騒ぎ声が聞こえるがそれでも立ち去る。きっとまた遭えるだろう。そんな気がする。あと今日の出来事もそうだし、悟少年自体も目立つので絶対忘れない自信があるわ。と言うか弟歩くの速い!待って!おねーちゃんマジでぼろぼろなんだけど!死に瀕してたんだけど!?ちょ、待ってくれ。

 

 

 

 

 

─────過去回想終了

 

 

 

「何これ私うっざ」

 

 

 

え…え?え!?私の過去こんな感じだったけ?こんな風にやベェ奴だったのだろうか?てか、過去に衝撃的な事がはちゃめちゃに起きてないか?まずがっつり原作陣営と関わってる。それも五条悟。しかも、私馬鹿な事しかしてない。何こいつ~!そんでもって呪霊と既に遭遇しているだと!?今まで呪霊見たこと無かった筈なんだけど!過去の私出会ったら死ぬ系のクラスに遭ってるよね。何でザリガニで対抗しようとしたの?なんで、どうして。あと謎の覚醒みたいなことやってるのそれなに。まさかこの龍人術式(?)の片鱗だったとか?ホントに何が起きたの…そしてどうしてこんなにも壮絶な過去を忘れていたの?過去の絶対忘れねぇって考えていたことがフラグだったのかな。

 

 

「あ"~わっかんねぇ!」

 

 

角生えたままだし壁に穴空いたし…今日は会社休んでいいかな。良いよね。私会社に電話したらもう寝るわ。考えないといけないことが増えすぎた脳味噌は瀕死だよ。自分の事もそうだしスレも日本の未来も…寝た後に考えよう。思考が沼ってく、うあーー!

 

きっと寝た後は思考が

良くなるよねハム太郎!ヘけっ!

 

 

 

 

 

 

 

龍の過去回想編おわれ!

 

 

 

 

─────────────────────────

 

 

 

「皆さんごきげんよう、

私は吸血鬼現状を纏めるおじさん」

「吸血鬼現状を纏めるおじさん!?」

「では今回の登場人物を纏めていこう!」

 

○今回の登場人物

 

 

・名前が判明した龍こと水稀

過去の記憶が蘇ったけど、とんでもねぇことをしていた。めちゃくちゃ強い呪霊と遭遇していたし五条悟にも遭遇していた。さらに余計な事をやってたり謎の覚醒を遂げてたりもしていた。この謎の力、クソスレ関係なく元から存在していたの!?色々と情報が濁流のように流れ込んだ結果、本日は会社を休むことにした。過去の記憶にかなり重要な事があったりしたが寝たら多分忘れてる。過去の思い出ってそう言うもの。

 

術式(?):龍人になる?

龍人の姿になる。どうやら手先は割りと器用らしい。その力は未知数であり、少なからず人間(角付き)の姿でも軽く壁に穴を空ける程度のパワーを持つ。謎が多い。どうやら幼き水稀もこの力が使えたっぽい。力を使うと黄金に目が輝くらしい。眼力で凄い迫力を出せる。星を宿す者。

 

 

 

・弟

過去回想の最後に出てきた。幼きころから姉って結構奇行してたから、角のコスプレ()にそっかと優しく返事をしたと言う衝撃的な事実。彼に過去の記憶があるのか無いのか不明。でも、めちゃくちゃ幼い頃だから多分無いと思う。今は私室で力尽きている。

 

 

 

・五条悟少年

まだまだ未熟故に最強ではなく強者と言った所。それでもその辺の呪術師より圧倒的に強い。前回からずっと振り回されてた。最初から最後まで何だこいつ成分たっぷりの水稀に色々な感情が出てきまくり。雑魚かと思えば何かよくわからない威圧感を出して呪霊を畏れさせたとかマジで何者なのかと疑問符だらけだったし、色々聞きたいことが多かった。最後は良い感じ風にじゃあな!された。え?この流れで別れんの?もっと何かあるだろ…。この後、彼は水稀の家を特定しようとするが見付けるより先に水稀が町を去る。敗因は名前の漢字を教えてもらわなかった事とこの時の少年にそこまでの力が無かったこと。次に遭えるのは何時だろうね。あいつふざけやがって…。ほんとそれ。

 

 

 

・祟り神(準1級呪霊)

水稀から多分祟り神と判断された呪霊。正解。この辺りで奉られてた水関連の神様だった。水の生き物が好きらしくザリガニに興味津々。奥さん、それ外来種です。呪霊に在来種とか外来種とかわかんねぇので関係ない。意図せぬ攻撃とは言え水の生き物が傷つけられてぶちギレた。なんやあの呪霊!ぶっ殺すぞ!!と言う気持ちで殴り合ってた。このまま殴り合ってたら色々合った末に意気投合する可能性もあったので早めに別れさせて討伐したのは良い判断。最期は圧倒的な生物としての威圧感に畏れ慄き水稀を離した瞬間、術式順転「蒼」による収束で塵となって祓われた。

 

 

 

・突如顕れた未登録の特級呪霊

報告されていなかった特級呪霊。術式が隠れることに特化していると思われる。しかし、一度それを目撃した五条悟からは逃げられない。祟り神と特級が同時だったら流石に厳しいが特級一体ならば何とか単独で祓うことが出来た。勿論、現在に置ける最強に成った五条悟だったら纏めて瞬殺。君ら雑魚だね認定される。子供を中心に殺していく系の呪霊だった。かなり悪質。おそらく神隠しとかその辺の具現化かもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 




龍sideでこうなのに他にもコテハン組が居て大変だなぁ(他人事)。そして中々進まない作中時間。まだ始まって数時間しか経過していないぞ!!嘘やろ!!朝の時点で事件が起きすぎや!!此処からハロウィンまで本当に行けるのか?

一応目標は令和を迎えることなんだけど…大丈夫かな。



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【小話】彼等の思い出(挿絵追加)

短い話を3つ詰め合わせた番外編的な奴です。
水稀関連の思い出を皆が語ってます。

番外編もう書いちゃうの?とか思ったりしたけど、もう書いちゃう。でも安心して下さい。次回はちゃんと掲示板が登場します。


これは過去と未来の話。

水稀が関わった思い出話。

未来が確かに変わっていった話である。

 

 

この呪術ワールドに居る転生者達は皆、初めから前世の記憶を思い出していた訳ではない。しっかりと思い出した者はクソスレを経由した奴らでほとんどだ。だが、記憶を思い出していない状態でも転生者としての片鱗が存在していた。例えば行動だったり、知識量だったり、思考や倫理観と言ったもの。彼等は既に一度人生を経験している。故に彼等は普通とは異なる。また、彼等は一度死を経験している。そして世界までも越えてしまっていた。だからこそ彼等の行動はバグのようであり、本来あった筈の流れを変えていく。そう、変えられる力を持つ。

 

知らず知らず彼等は既に流れを変えていた。クソスレを立てる以前から彼等はもう世界に変化をもたらしていたのだ。これはその変化のひとつ。違う世界の誰かであった存在がこの世界に影響を与えた結果である。

 

 

 

 

【水稀弟の思い出話】

 

 

あの日姉はめちゃくちゃぼろぼろだった。なんでぼろぼろなのか聞くと生死をかけたバトルをしていたらしい。意味が分からなかった。なんでザリガニ釣りしていたらそんな生死をかける事態になるのか…姉だからなのか。そう言えば姉は常日頃から言動可笑しかったな。日常的に近所の方の亀へザリガニを貢いでるし…。

 

 

ふと姉の名前を呼ぶ人がいた。この辺でまず見掛けたことがない容姿の僕より年上の少年だった。丁度姉と同じくらいの年齢だろうか。何か漫画とかに出てきそうな感じの姿だなと言った感想を持った。

 

 

その少年が僕をチラリと見た。いや正確には多分睨んできた。コワ、なにこの少年怖いんだけど。姉は平気な顔で僕を少年に紹介した。弟だと聞いた少年は少しホッとしたようなそんな表情を見せた気がした。

 

その後怒涛の姉トークによって会話は終わり家路へと急ぐ。あの少年とはあまり関わるべきでは無いと思う。姉を何処かへ連れ去ってしまいそうなそんな気配を感じてしまうから。途中、また姉に声がかかる。姉は振り返らず立ち止まった。僕はそんな姉をさっさっと家に帰らすため早足で置いていく。姉は苗字を名乗らなかった。賢い。あれなら簡単に家はバレないだろう。

 

 

こっそりちゃんと姉が来ているか確かめるために後ろを見た。そしたら姉はよろよろと着いてきていた。ひと安心…でもその後ろでじっと此方を眺めている白い少年が怖かった。あの目を僕は知っている。何かを欲しがる目だ。

 

 

姉は数刻の間に一体何をしたんだろうか。

結局分からないままだった。

 

 

 

 

 

 

 

その後の話。姉は帰宅後ぶっ倒れた。結構重症だったみたいだ。さすがに僕も焦った。直ぐに緊急搬送された姉は翌日には目が覚めていた。わりと元気じゃんか!でも姉は何故か昨日のことを覚えていないみたいだった。念のため頭の検査をしていたが至って健康体との事だった。どうしてザリガニ釣りをしていたらそんな記憶が飛ぶ程の怪我をしてしまったのか、そしてあの白い少年は誰だったのか。何も分からないまま僕らはその町を引っ越すことになる。

 

 

やがてその記憶も僕の中から薄れていった。

 

 

 

 

 

 

 

【五条悟の思い出話】

 

 

 

───五条先生が探してる人って?

 

 

 

えー?僕とあの子の話?聞きたい?そんなに聞きたい?そこまで言うならしょうがないなぁ~!…いやいやいや!!ここまで来たら聞いて言って!無視するなよ。ほら、お土産あげるからさ。はい喜福餅。ほんとは僕一人で食べる予定だったんだけど特別にプレゼント!僕ってば優し~。

 

 

ちょっとちょっと~皆もっと僕を敬うべきじゃない?めちゃくちゃ頑張ってるんだよ?もっと尊敬してよ。は?尊敬に値しない?僕最強だし最高な教師じゃん!しかもGLGだよ。これを尊敬しないとか人生損してるね。

 

 

はいはい、それであの子の事ね。色んな意味で僕にとって特別な子なんだ。もうね、やることなすことめちゃくちゃでさ。すっげぇ馬鹿。何でそんなことするの?って事を物凄く真剣にやるからマジで意味分かんない。めちゃくちゃムカつくけどめちゃくちゃ楽しい子だよ。

 

え?貶してないよ。これ褒めてんの。

 

 

 

───その人とは何時出会ったの?

 

 

 

あの子との出会いね…僕が小さい頃に実戦経験として呪霊を祓いに行ってたら急に現れたんだよ。しかもあの子ったら、初手に呪霊目掛けてザリガニを投げ付けたんだよね。それもバケツいっぱいの数を…アレは控え目に言ってもイカれてた。当時の僕はその光景に唖然としてね。それはもう意味が分からなかったからさ。さながら僕の領域展開みたいな状態だったよ。マジで情報が完結しないの。そんで、僕が固まっていたらあの子が手を掴んできてね。その場から引っ張って行ったんだ。どうやら僕が呪霊に襲われていると勘違いしたみたいで助けようとしてくれたんだ。

 

 

ほんとそれ、はちゃめちゃだったよ。行動もそうだけど言動も意味不明で何コイツってずっと思ってた。今も思ってるしね。

 

 

色々とムカついたりしたけど僕はあの時、凄く嬉しかったんだと思う。僕って色々と特別だったからさ。当然呪術界隈の奴等は畏縮するし、非術師はこのGLGな僕の見た目に畏怖しちゃう。全く僕って罪な男だよね~。

 

…だからあんなにも対等に接して当然みたいな感じで余計な世話だとしても命を課してまで助けようと頑張っちゃってくれてさ。

 

 

 

───五条先生にとってその人は?

 

 

 

ん?あぁ…さっきも言ったけど、

僕にとってあの子は特別かな。

 

 

 

 

───…まだ見付からないの?

 

 

 

それがさっぱり!全然見付からなくてね。頑張って探してるんだけど不思議と見付からない。全く何処にいるんだか…。とは言え仕事の片手間に探してるからね。僕めちゃくちゃ忙しいし、そう簡単に見付かるわけ無い。

 

 

 

────見付けたらどうするの?

 

 

 

…考えたこと無かった。見付けたら、見付けたらそうだな。まずは自己紹介だね。僕あの子から下の名前でしか名乗られてない。しかも互いのことほぼ何も知らないしね!そしたら、一緒にスイーツ巡りでもしてさ~。

 

意外と普通だって?あはは、それもそうだね。でもきっと昔の僕はそれをしたかった。だからきっちりとやりたいんだよ。でもまぁ、その後はどうしようかな。大人の僕がしたいことか。

 

 

僕は…あー、やっぱ言わない!

これは内緒にしとこ。

 

 

まぁまぁ…ほら、任務行くよ。

 

 

 

 

 

 

【 ──の思い出話】

 

 

今思えばあの辺りで我輩は目が醒めた。我輩は今までずっと此処で眠っていた。だが、あやつのお陰で受肉することが出来た。その恩を返そうと思う。故に我輩はこの人間に飼われ続けることにした。あやつはこの人間のことが大事にしていた。だからあやつの代わりに我輩がこの人間を少しの間守ってやろうと思う。

 

 

これはただの恩返しだ。役目を終えたらまた己の本能がままに生きよう。そう思っていた。そう思っていたのだ。

 

 

 

人間とは酷く脆いものだった。少し側に居なかっただけで死んでしまう。なんと儚い生き物なのだろうか。我輩は昔に比べて力が格段に落ちていた。守れると傲っていたのだ。我輩は弱い。これでは恩返しが出来ない。

 

 

 

あの残った人間こそは守ろうか。それで帳消しとは行かないまでも少しは恩を返せるだろう。今度は側から離れないようにしなければ。でも、普段から守っていては我輩の力を削いでしまう。それに我輩は今力が全く無い。

 

ならば縛りを設けよう。あの人間に死の危機が迫った時、その瞬間まで我輩は眠りに就く。その時が来るまで我輩は力を溜めておこう。そしてあの人間を一度の死から守り抜く。

 

今度こそ守れたら、

我輩は此処から離れるのだ。

 

 

 

全く人間とは弱い生き物だ。だからこそ精一杯生きているのだろう。それは素晴らしいものなのかもしれない。我輩には分からないものだが、あやつは楽しそうに話していたからきっとそうなのだろう。

 

 

 

我輩の意識はゆっくりと眠りへと落ちていく。

 

 

 

 

次に目が醒めた時、我輩は茈の花を見た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




意味深な話を突っ込んでおく。これらが今後どんな感じに物語へ食い込んでいくのか未知数である。本編とは少し逸れた話。でも本編に繋がる話でもある。何か水稀が凄く主人公してる。でも他の面子もきっと濃いキャラしてる。個性で殴り合っていく転生者たちの今後に期待。個人的にフレンズさんと呪霊コンビが強い。

ちなみに五条悟がどういう感情を持っているのかは定かではない。作者もよく分かってない。しかし、ひとつだけ言えるのはクソデカ感情を抱いていると言うことだけ。五条は一度、懐に入れた者にはめちゃくちゃ甘いよな…。

【挿絵表示】
※これは思い出語ってる図

あと最後の謎の存在は一応既に作中で名前が出ている。


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4.コンビニ事変

お帰り、クソスレ。
と言うことで漸くコンビニ店員のターンが来ました。長かった…此処まで来るの長かった…。

遂に溜めてたストックが消えました。此処から更新スピードは低下します。対戦ありがとう御座いました。


【前回までのあらすじ】

龍さんこと水稀は過去に五条悟と出会っていた。だがそれをスレ民が知るのはまだ先の話。何故なら水稀は会社に休むことを告げ、そのまま眠りに就いた為だ。さて、水稀が過去回想していた間クソスレでは何が起きていたのか。そして、コンビニ店員は何故五条悟から連絡先を貰ったのか。まだまだ10月1日(月)早朝の話である。

 

 

 

 

 

151何処かの名無しさん

コ、コンビニ店員ーー!?

 

152何処かの名無しさん

何が起きてそうなったの?

 

153何処かのスレ主さん

はわわ

 

154何処かのコンビニ店員さん

俺もう力尽きそう。昼に詳細書く…

 

155何処かの名無しさん

起きて戦えー!!!

 

156何処かの名無しさん

え!?此処で落ちるの??!

 

157何処かの名無しさん

もう、休ませてやれよ…

 

158何処かの名無しさん

もう直ぐ6時だぜ?

奴は深夜を戦い抜いたんだ。

寝かせてあげよう…俺らはこれから戦場だ(仕事)

 

159何処かの分家さん

ワイも離脱するわ。多分昼頃にまた来る

 

160何処かの名無しさん

そういえば今日平日だった(絶望)

 

161何処かの名無しさん

みんな働いていて偉いなぁ…

 

162何処かの名無しさん

>>161

働け

 

163何処かの名無しさん

>>161

おら!働くんだよ

 

164何処かの名無しさん

辛辣で草

 

165何処かの名無しさん

皆転生仲間やろ優しくしてやろう…?

 

166何処かの吸血鬼さん

私は情報収集しておこうと思います

 

167何処かの名無しさん

有能

 

168何処かの名無しさん

吸血鬼現状纏めるおじさんありがてぇ

 

169何処かの名無しさん

てか、スレ主さんの言ってた

日本インフラ生存戦略って何?

 

170何処かの名無しさん

怒涛の展開で忘れてたわ

 

171何処かの名無しさん

スレ主~?

 

172何処かの名無しさん

…寝たのか?

 

173何処かの名無しさん

仕事?

 

174何処かのスレ主さん

すまね、退職届け書いてたわ。

 

175何処かの名無しさん

!?

 

176何処かの名無しさん

なん…だと?

 

177何処かの名無しさん

スレ主早まるな!!

 

178何処かの名無しさん

なんで退職届け…

 

179何処かのスレ主さん

俺の覚悟だ…このスレを見届けるために俺は仕事を退職する。どのみちハロウィンが大惨事になってしまったら渋谷にある職場も潰れる。なら、俺は仕事を辞めてこのスレを通してどうにかする。日本のインフラを守る。それが俺の日本インフラ生存戦略だ。

 

180何処かの名無しさん

…スレ主さん

 

181何処かの名無しさん

冷静に考えたら今後日本ヤバイもんな

 

182何処かの名無しさん

スレ主本気なのか?

 

183何処かの名無しさん

スレ主さん、退職届けって

1~2ヶ月前に出さないと駄目なのでは?

 

184何処かの名無しさん

>>183

せやな!!

 

185何処かの名無しさん

>>183

スレ主の覚悟が死んだ!この人でなし!

 

186何処かのスレ主さん

はたらきながらがんばう

 

187何処かの名無しさん

可哀想に…頭が混乱して規則を忘れてたのね

 

188何処かの名無しさん

7時だよ!出社まであと少し!

 

189何処かの名無しさん

もうぐだぐだだよぉ

 

190何処かの名無しさん

お昼まで保守…

 

191何処かの名無しさん

でぇじょうぶだ、簡単にこのスレは落ちねぇ

 

192何処かの名無しさん

語りたい奴ら多いだろうしな…

むしろ無駄話はあまりしない方が良いかも

 

193何処かの名無しさん

コテハン組皆落ちたかな

 

194何処かの名無しさん

取り敢えず昼まで続報待つぞ

 

195何処かの名無しさん

未だに此処が呪術とか信じられん…

 

196何処かの名無しさん

俺らも覚悟しといた方が良いだろうな

 

197何処かの名無しさん

知っちゃったもんね

 

198何処かの名無しさん

日本を守る…か。

 

199何処かの名無しさん

日本…俺らの日常を俺らが守るって事だな

 

200何処かの名無しさん

何か出来ることが無いか探してくる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突如立てられたクソスレによって10月1日の深夜から早朝まで転生者達は大騒ぎだった。各々がその信じられない事実に直面し、混乱していたがそれでも日常はやってくる。彼等は既にこの世界へ根付いた住民なのだ。彼等には彼等の日常があり、それぞれがそれぞれの場所で遊んだり学んだり働いたりして暮らしている。

 

急に自身が転生者だからとか、この世界が実は漫画の世界だからとかで此処を生きる彼等の生活は止まれない。だって此処が彼等の現実世界なのだから。彼等は此処で生まれ此処で育った。故に事はそう簡単ではない。それでも彼等は動かざるを得ない。そうしなければ彼等の愛すべき日常は消えてしまう。

 

 

クソスレに集った転生者達は各々多かれ少なかれ何処かで覚悟をした。もう知らない自分には戻れない。知ってしまったからには、それ相応の荷物を背負わなければならない。笑っても泣いても状況は変わらないのだ。

 

誰かが動かなければ…大勢の人が死ぬ!

自分達の日常が壊される…!

 

 

 

 

───多くの転生者たちは決意した。

 

 

 

 

一度死んで世界を渡った彼等は知らず知らずの間、その精神性を普通とは異なる形で歪めていた。人は簡単に死ぬ。それを身をもって痛感している転生者達は何処かしら可笑しい。普通を過ごせているのは今まで普通に暮らしてきた経験があったのと記憶を忘れていたからだ。また、彼等は未来を知っている。それは二つの意味がある。ひとつは原作知識。もうひとつは原作が作られた基盤である彼等の元の世界の令和と言う時代。彼等はそこで大変だったけど楽しく暮らしていた。それが消える…?そんなの…そんなのあり得ない!許してなるものか!

 

転生者が一人だけだったら彼等はそこまで動こうとはしなかっただろう。だって妄想かもしれないよく分からない知識だ。それにやっぱ怖い。でも此処には仲間が居る。知識を共有する同胞が居る。同じく日常を愛するものが居る。皆がいれば怖くとも少し動ける。ならば答えはひとつだ。

 

 

何処かの名無し達は世界を変えることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなシリアスな事を思ってたり思ってなかったりしているスレ民一向。シリアスしているけど、簡単に言えば自分達の日常が壊されることに対して「え?無理なんだけど」と思っているだけである。ほぼ確実とも言える渋谷壊滅や死滅回游とか言うデスゲーム…他人事ならまだしもめちゃくちゃ日常生活に関わってくる。それを知ってる状態で呑気出来るわけ無いしそりゃどうにかするために動くしかない!と言うわけで本日をもって、スレ民一向は何か出来ることねぇかなとこそこそ動き始めた。

 

そう、こそこそである。みんな転生者ではあるし精神性が可笑しくなっている場合はあるけれども、元はガチの一般人。今からテロリストどもをカチコミ往くぜ!なんて出来る筈がない。

 

 

勿論、スレ民の中には行動力が可笑しい

コテハン組とか言う例外も存在するけども。

 

 

そんなコテハン組の一人。その中でも常識人であり、実はスレ主よりも個性が薄い奴。そう、コンビニ店員。彼はコンビニで五条悟と何を話したのか、何故連絡先を貰ったのか。昼までひたすら眠り続けた彼目線で話を進めていこう。

 

 

 

 

 

 

 

おはようございます。とは言えもうお昼。今日は夕方に講義があるけどそれ以外は何も予定はない。僕が誰かって?コテハン:コンビニ店員だよ。その実態は深夜でコンビニバイトしている大学生。深夜のバイトホント大変だった。休憩時間にクソスレを開いたばかりにとんでもないこの世の真実に気がつき、前世が蘇って物凄くパニックった。しかもその直後にこの世界の重要人物:五条悟と遭遇とか…運あるんだか無いんだかさっぱり分からない。でもしっかり業務を終えてきたから僕はとても偉い奴だと思う。

 

あの時何が起きたのか…スレ民はとても興味を持っていたけれど、そこまで大した事はなかったと思う。今思えばだけどね。だって、あの時はマジで頭混乱していたし、深夜バイトで疲れてた。それに家帰ったら同居人が頭可笑しい事やってたりで此方も頭可笑しくなりそうになっていた。うん、思考が真っ白になってた気がするよ。

 

さて、スレで詳細を書き込むと約束した昼だ。僕は深夜の事を思い出しながら文章を打ち込んでいった。

 

 

──深夜に何があったのか、遡ること数時間。

 

 

僕は今日も今日とて、深夜アルバイト。特に面白いこともなにもない。いや、たまに変な奴が客として現れるからそれを観察して楽しんでいる。それでも暇であることには違いない。そんな日々の中、僕は休憩時間に何となく目についたクソスレを開いた。そこで僕は今までの人生をひっくり返す程の衝撃を味わう。

 

 

「は?」

 

 

思わず声が出た。そんな…!?僕が転生者?

 

そんな、なろう小説や支部みたいな展開があり得るのか?いやでもスレで流されていく情報は全て身に覚えがあるものばかり。嘘だと言って欲しかった。でも現実はそんな僕に嘘じゃないぜと呼び掛ける。蘇る前世の記憶。令和と言う年号。その時代を生きた僕。全て僕にとって真実であり、スレにいる転生者達にとっても真実であった。そして今を生きる僕らもまた真実。

 

スレを直視出来なくなって目線をスマホから上げる。ちょうど監視カメラの映像が見えた。そこに映っていたのは黒い服装に黒いアイマスク、そして白い髪…これってまさか!?

 

 

「ご…じょ…って、は?」

 

 

五条悟ッ!?間違いない!これ間違いないだろ?これ間違いしようがないだろ!?いやいやいや、でもさ!ほら、ド深夜にコスプレでコンビニ訪れる奴とかでワンチャン無いかな?実は転生とかそんな事実なくてとか…無いかな?取り敢えず僕は脳死でスレに書き込む。スレ民は僕同様に疲弊しており死にかけていた。死にかけながらも実況してくれと言われた。

 

 

…夢だったりしないかな?

 

 

僕はまだ現実を受け止めきれなかった。だって普通にこれまで暮らしてきたんだ。今さら実は貴方は転生者です?此処は漫画の世界でした?ふざけんなよって話。でも此処は正しく現実であり、僕はコンビニ店員。休憩時間は終わりを迎える。

 

 

うっそだろ?このタイミングで休憩時間終わるとか…五条悟(仮)まだ会計してないぞ。すげぇ量のスイーツをかごに入れてるんだけど。あれ全部一人で食べるのかな?とか何とか現実逃避しながらレジへ立つ。どんな表情して此処に立ってれば良いんだ?僕何時もどんな顔でレジしてたっけ?

 

 

「なぁ、あの人すげぇ格好してるな」

 

 

隣のバイト仲間な田中が話し掛けてきた。おいよせ、万が一五条悟(仮)が此方にアクション取ってきたらどうしてくれるんだ!?でも、無視するわけにもいかないので会話するしかない。後で絶対、田中に何か奢らせる。

 

 

「あ、あぁそうだね」

「あれ、見えてるんかな?」

「見えてるんじゃない?迷わず商品取ってるし」

「ファッションセンスまじウケるよね」

 

 

ウケねぇよ!マジでウケねぇから田中半笑いするの止めろ。その顔ムカつく。あと、此方は五条悟(仮)に反応されたくないんだよ。無闇にそんなこと話題にするな。それにお客様に対して態度どうなってんだよ田中。あれで目をやんごとなき理由でアイマスクしてたらどうするんだよ。実際五条悟の場合は目を保護する役割でアイマスク着けてるし。

 

でもサングラスでも良いんだよな?

…そっとしておこう。

 

 

「めちゃくちゃスイーツ入れてるおもろ」

「どうでも良いだろ…」

「と言うか銀髪とかヤバイね」

 

 

店長店長!こいつ首にした方が良いよ。いくら人が居ないからってどんだけ五条悟(仮)ディスって行くんだよ。さては死にたがり屋か?田中一般人だもんな。五条悟(仮)のヤバさ分かんないもんな。…いやいやあれが五条悟と決まった訳じゃない!違うよな?

 

 

 

その時だった。コンビニの奥、場所で言えば飲み物が配置されている列の横の扉──つまりはトイレから物音がした。

 

 

「ん?何か今あっちから音聞こえた?」

 

 

田中が横で何やろうなぁと口走っている。

 

僕はそれどころじゃなかった。トイレがある扉から"何か"が這い出てきている。あれは何だ?あの黒い物陰は何なんだ?嫌悪感がする。何かとてもおぞましいものを見てしまったかのような…あれは…あれが呪霊なのか?なんで僕に見えている。どうしてだ?今までのそんなもの見たこと無い。何故急に見えるようになった?考えられる理由はさっきのスレと転生者としての記憶!いや!それよりも…何よりも!

 

 

 

見えてるってことは

つまりこの世界は───呪われた世界。

 

 

「何か倒れたんかな?見に行ってくるわ~」

 

 

あ…。

 

 

「まて、田中ッ!」

 

 

田中は静止の言葉を無視してレジの側から離れていく。不味い…!あれがどういうものか分からないが確実に悪影響を与えてくる存在だ!もしも田中に何かあったら僕は…!

 

 

 

「え」

 

 

焦ってレジから出ていこうとした瞬間、呪霊が消し飛んだ。中途半端な体勢で僕は動きを止めた。田中は消し飛んだ呪霊など知らぬ顔でトイレへと入って行く。

 

 

そうか、この場には居たのだった。

現代最強の呪術師足る、五条悟が。

 

五条悟があんな呪霊如きで焦る筈もないし、見逃す筈もない。そっと五条悟の方を見ると彼はまだ商品を選んでいた。今のは術式だろうか?一瞬で呪霊が消し飛んだ。あれが呪術師、あれが最強、あれが五条悟なのか。そうか、僕はこの世界で生きているのだな。認めざるを得ない。此処はあの呪術廻戦と呼ばれた物語の世界なのだ。これが僕の暮らしてきた世界だったのだ。

 

 

「店員さん大丈夫?面白い格好で固まってんねぇ~ウケる。それはそうとこれ、会計よろしくね」

 

 

気づけばレジに五条悟が居た。そして馬鹿にされた。デリカシー無いのかな?この人確か無かったね。取り敢えず僕はコンビニ店員、今はバイト中、ならば職務を全うしなければならない。

 

 

「…申し訳ありません。ちょっと同僚がいきなりお手洗いに行ったもので。会計ですね、少々お待ち下さいませ」

 

 

とんだアクシデントがあったが田中は無事だろうし、呪霊は祓われた。五条悟はただ会計をしにレジに来ただけだ。何も問題はない。

 

 

「店員さん、君アレ見えてたでしょ」

 

 

それは疑問系ではなく断定であった。問題ないとか言った奴誰だよ…僕だわ。五条悟は口角を上げて此方を見詰めてくる。アイマスクをしているため表情はよく分からないが多分楽しんでる気がする。どう答えるのか反応を伺って楽しんでるんだろうなぁ。

 

何で僕はこんな深夜からコンビニバイトで心理戦みたいなことをしないといけないんだ。僕が何したって?ただバイトしてただけだろ。休憩時間にクソスレを見た罰がこれなのか?罪に対して罰がえげつなさ過ぎる。

 

 

「…何の事でしょうか」

「あはは、しらばっくれるなよ。あの黒い影が見えていたから同僚くんを止めようとしたんだろ?安心して、あれは僕が祓ったからもう大丈夫」

「そう…ですか」

「えー、警戒してる?そう怪しむなよ。ま、そう言っても怪しがるのは仕方がないか」

 

 

うんうんと納得する五条悟と冷や汗だらだらな僕。商品が多いため会計もなかなか終わらない。この場から逃げることは不可能だ。助けてくれ!もう田中でも良いから助けてくれ!田中おせぇよ!何してんの?トイレ見に行っただけだよな。あいつ絶対トイレしてるだろ。トイレ見に行っただけなら直ぐ帰ってくる筈だ。此処から無事生き残れたらあいつに高いもの奢らせよう。

 

 

「…」

「あれ、何も聞かないの?」

「何をですか?」

「ほら、さっきの影の事とか僕の事とかさ。普通気になるくない?」

「今仕事中ですし」

「…ふーん、君真面目だね」

 

 

怖い怖い怖い。その間は何?何ですか?何で含みを持たせたんですか。やめろください。五条悟のビジュアルや身長とか諸々合わさってとんでもない威圧感が出ている。僕脅されてんのかな?

 

 

「ああいうのが見えてる人間って少ないんだよねぇ」

 

 

え、何々。何か語りだしたんだけど。何が始まるんですか。僕にとっては終わりの始まりなんですが。くそ~!何でこんなにスイーツ買い込むんだよ!こんなに要らねぇだろ。

 

 

「僕らの業界は何時も人手不足でね。君がもし良ければ此方で働いてくれると助かるんだけどなぁ。なに、簡単な仕事だよ。あれらを見付けたら僕らに報告するだけ」

 

 

え!まさかの勧誘だと!?そう言えば人手不足で悩んでいる描写あったもんな!でも僕非力だぞ?あ…でも報告だけって…窓か!そう言えば窓とか言う仕事があったな。と言うかめちゃくちゃ怪しい奴じゃん。これ僕が何も知らなかったらやベぇ裏の仕事と勘違いするぞ。いやでも、どのみちこれはやベぇ仕事である。

 

 

「君だってあれのこと知りたいだろう?この後僕任務だし詳しく話す時間が無いからこれあげる。後で連絡すると良い。絶対失くすなよ」

「いや、ちょっ…」

 

 

何か名刺渡された。これ…これは!?

 

 

「あぁ、忘れてた。僕の名前は五条悟。あれ──呪霊って呼ばれる奴らを祓ってる専門家。そんでもって東京都立呪術高等専門学校の教師をしている最強の呪術師だよ。今後ともよろしく」

 

 

彼はそう言い残すと袋いっぱいのスイーツ片手に爽快とコンビニを去っていった。外には窶れた感じのスーツ姿の男がいる。あれは伊地知さんか!?

 

待て待て待て、これ!これは!?この名刺はまさか高専の名刺なのか!?何で僕は五条悟から連絡先貰ってんだよ!いや、分かるけどさ!分かるけど何で?

 

 

「ふぁ~、あの人帰ったの?」

「…田中お前高級焼肉奢れや」

「なんで!?」

 

 

僕はその後スレに五条悟から連絡先を貰ったと言い残して家へ帰り、力尽きたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クソスレでの反応編へ続く!

 

 

─────────────────────────

 

「皆さんごきげんよう、

私は吸血鬼現状を纏めるおじさん」

「吸血鬼現状を纏めるおじさん!?」

「では今回の登場人物を纏めていこう!」

 

○今回の登場人物

 

・コンビニ店員

今回の主役。深夜で一番気を張っていたかもしれない人。五条悟登場で大変混乱したけど、バイトとして真面目にレジへ向かった。同僚が五条悟をディスるので冷や汗出まくるしストレスゲージが止まらねぇ!!田中マジでふざけんなよってしてた。でもいざ田中が危なくなったら心配する普通の感性。クソスレの影響なのか、はたまた転生者と自覚したせいなのか呪霊が見えるようになっちゃった。SAN値チェック!その後五条悟との会話で心臓バクバク。生五条悟こえ~!

 

 

・田中

コンビニ店員の同僚。何かムカつく奴と評される。五条悟をディスれる精神性をしている。何気なくメンタル強い。でも五条悟(高専生)だったら多分死んでた。この後、コンビニ店員に高級焼肉を奢る未来が待っている。根は優しい奴らしい。

 

 

・スレ主

この話で特に出番はない。この度覚悟として退職し、クソスレを責任もって見届けることにした。しかし退職届は前もって提出しないといけないのでスレ主は今月中はまだまだ社畜だ!つまり働きながら頑張って生存戦略を練らなければならない!!常識を持っているからこそ社会に縛られている…仕方がない彼は一般人だったもの。引き継ぎもしないといけないしいきなり退職したら迷惑掛かるもんなぁと冷静になった頭で考えつつ出社していった。おしごとがんばう!がんばれ!

 

 

・その他のコテハン組や転生者達

流石に朝だし仕事だったり単純に力尽きていたりでそこまで元気じゃない。でもみんなこの現実を受け入れようと頑張っている。そして、それぞれ世界を変える為の覚悟をしていくことになる。お前らに未来が掛かっているぞ!

 

 

・五条悟

前回幼少期が出たと思ったら大人バージョンも出てきた人。呪術廻戦の主人公より活躍する作中最強キャラ。この人がいると敵味方関係無く場がかなり掻き乱される。最強ってすんごい!偶々寄ったコンビニに呪霊が居た。サクッと祓った所どうやら見えてる店員がいるみたい。こんな時まで人材勧誘を行うとか僕って偉くない?とか思ったり思わなかったり。おそらくその後伊地知にダル絡みするんだろうな。あと、コンビニ店員に対して気になることがあるっぽい。

 

 

・伊地知さん

1gだけ登場。こんな早朝から五条悟にダル絡みされる地獄を味わう。とても可哀想。

 

 

 

 

 

 




つ、続いたぞ!!!!やった!何とか書けた。おめでとう自分。ありがとう自分。でもまだまだ10/1は終わらない。なかなか話が進まなくて死にそう。これが群像劇ってやつか。労力半端ねぇ!!そりゃみんな主役を少なくするわ!描写するシーンめちゃくちゃ増えていく~。

でも転生者達がわちゃわちゃする所が
見たいのでがんばる…がんばる。
次回は多分戦略会議が始まる…と良いな!!!


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5.分家の出費(挿絵追加)

戦略会議…?知らない子ですね。

今回は分家さんが活躍します。
そして特殊な設定があったり無かったり。
あと原作キャラ出てこない…ひたすらクソスレ。

話が進まなくて作者死にそう。
更新スピードは徹夜で頑張った。
寝惚けてたから矛盾とかあったら修正します…


【前回までのあらすじ】

遂に明かされたコンビニ店員、深夜の出来事。でもそれはコンビニ店員の過去回想なのでスレにはまだ報告していない!と言うことで昼間まで寝ていたコンビニ店員は今度こそスレに詳細を上げていく事に…。

 

 

 

 

 

206何処かの名無しさん

マジだって!あの呪霊

ポンデリングの呪霊だよ絶対そう!

あのポンデリング感は間違いないって!

くそっ!呪霊写真に写らねぇかな~

色もポンデだったもん!ホントだもん!

 

207何処かの名無しさん

ミスドに居たからってポンデリングはねぇだろ

 

208何処かの名無しさん

それはそうと昼だな、そろそろじゃないか?

 

209何処かのコンビニ店員さん

ハロー、しっかり約束通りに来た

 

210何処かの名無しさん

コンビニ店員!待ってたぞ!

 

211何処かの名無しさん

朝から昼までコンビニの件が

気になりすぎて仕事場で怒られたぜ☆

 

212何処かの名無しさん

>>211

お前は反省しろ

 

213何処かの分家さん

ワイも待ってたぞ

 

214何処かの名無しさん

おぉ!分家さんだ!キャッキャッ!!

 

215何処かの名無しさん

分家さんファン…?

 

216何処かのコンビニ店員さん

話出しても良いか?

 

217何処かの名無しさん

何時でもどぞー

 

218何処かの名無しさん

wktk

 

219何処かのコンビニ店員さん

①コンビニにGLG来る

②俺氏クソスレで発狂するも休憩終了レジへ

③トイレから呪霊発生

(見えてなかった筈なのに何故か見える俺氏)

④同僚が見に行こうとする

(静止振り切りやがった)

⑤GLGが術式か何かで祓う、固まる俺氏

⑥会計時にGLGから見えてるよねと断言される

⑦うちの業界何時も人手不足だから

働いてくれ的な事を言われて自己紹介される

⑧手元に置かれる高専の名刺

⑨俺氏疲労で力尽きお昼にクソスレ←今此処

 

220何処かの名無しさん

まさかの勧誘…!?

 

221何処かの名無しさん

コンビニ店員からグレードアップじゃん!

死亡率もグレードアップするけど…

 

222何処かの名無しさん

コンビニ店員まさか術式持ってんの?

 

223何処かの分家さん

ようこそブラック企業へ(^^)

 

224何処かの名無しさん

ひぇ

 

225何処かのコンビニ店員さん

>>222

いや、何も言われてないし多分持ってない。

呪霊見たら報告してほしいみたいな感じだったから窓の仕事だと思う。もしくは補助監督。

>>223

嫌だー!!!!

連絡せず無視して良いですかねこれ…!?

 

226何処かの名無しさん

絶望が染々と伝わってくる

 

227何処かの名無しさん

連絡せず放置してたら家特定して来そう

 

228何処かの名無しさん

押し掛けられそう感あるわな

昼だし今から連絡してみようぜ!

 

229何処かの名無しさん

スレ主ほったらかしての

行動だけどまぁええやろ!

 

230何処かの分家さん

GLGから直接貰ったし諦めて連絡した方が良いと思う。その方が面白いしwwwww

 

231何処かの名無しさん

よし!やれコンビニ店員!!

 

232何処かのコンビニ店員さん

マジで?これやるパターン?

 

233何処かの名無しさん

もはや報告待ち

 

234何処かの名無しさん

いってこい!!

 

235何処かのコンビニ店員さん

いってきまーす(白目)

 

236何処かの名無しさん

骨は拾ってやろう…

 

237何処かの名無しさん

でも連絡するだけなら問題ないと思われ

 

238何処かの名無しさん

そういや他のコテハンいないな

 

239何処かの名無しさん

昼間からクソスレ見ないやろ

内容も結構アレだしな

 

240何処かの名無しさん

フレンズさんとか龍さんとか続報が気になる

 

241何処かの名無しさん

フレンズさんの詳細めちゃくちゃ欲しい

 

242何処かの名無しさん

龍さんは…あれは何だろうな?

人間に戻れてると良いけど

 

243何処かのコンビニ店員さん

10/3に高専で説明会だってやったー(白目)

 

244何処かの名無しさん

おめでとう(パチパチ)

 

245何処かの名無しさん

おめでとう(パチパチ)

 

246何処かの名無しさん

職業説明会ですかね?

 

247何処かのコンビニ店員さん

連絡したら何か職員さんに繋がった。そんで色々話して詳細説明するから行ける日言ったらじゃあその日でとなり申した。ひとりで行くのマジで嫌なんだけど。誰か道連れにしたい。

 

248何処かの名無しさん

楽しそうじゃん!行ってこいよ!

俺は絶対行かないけど

 

249何処かの名無しさん

やったねコンビニ店員!聖地巡礼出来るね!

俺は特に行きたいとは思わないけど

 

250何処かの名無しさん

そもそもいきなり部外者連れてけないだろうし

 

251何処かの分家さん

ワイが一緒に行ってやろうかwww

東京住んでるしすぐ行けるで!

 

252何処かの名無しさん

おぉ!!此処で援軍が!?

 

253何処かの名無しさん

分家さん分家だから行けそう

 

254何処かの名無しさん

遂にコテハン組が現実で合う?

 

255何処かの名無しさん

遂に(クソスレ立ってから1日経ってない)

 

256何処かのコンビニ店員さん

>>251

え!良いんですか!?

分家さんが居ると何か心強い

 

257何処かの名無しさん

コンビニ店員めちゃくちゃ嬉しそうで草

 

258何処かの名無しさん

そりゃ仲間が居ると安心だろ

それに忘れかけてるが転生者仲間だぞ

 

259何処かの名無しさん

一気に現実思い出したわ…此処呪術やん

 

260何処かの名無しさん

原作マジでどうするんや

 

261何処かの名無しさん

そこはスレ主待ちだろうなぁ

何か考えがあるのかもしれないし

 

262何処かの分家さん

原作云々はスレ主が来るかもしれない夜にした方が良いと思うぞ。まとめ役のスレ主が居ないと意見がバラバラになるだろうしな。

>>256

ワイはどの程度スレ主の術式が効果あるのか判断しかねてる。何時術式が破られて此処を見られるのかも分からない。お前らもどの程度信用して良いか微妙だ。それと此処掲示板だし連絡先を乗せるのはアレだから専用の鍵垢作った。これな(@5_bunke)。そこで色々打ち合わせしよう。お前らもフォローして良いけどその前に念のため前世に関するキーワードとかDMで送れ。FF0の鍵垢しか通さないからそこはよろしく。悪ふざけしてるような奴は通さん。真面目にやれ。

コンビニ店員は取り敢えず名刺の個人情報が特定されない範囲でIDと共にDMへ写真送れ。ワイも詐欺とかじゃないって言う証拠写真送るけど正直そこら辺はもう頑張って信用して貰うしかない。

此処まで書いておいてなんだがワイが分家と言う証拠も見せられてないしワイ自身もマジで信用そこまで無いんだよな…

 

263何処かの名無しさん

分家さん本気だ…

 

264何処かの名無しさん

すごくしっかりしてらっしゃる

 

265何処かの名無しさん

一応此処スレ主の術式とは言え掲示板だもんね

 

266何処かの名無しさん

信用か…確かにそうだな

此処だと匿名だしROM専もいて色々アカン

 

267何処かの名無しさん

うーん、縛りとかでどうにか出来ないのかな

此処で人狼ゲームしてたら不味いと思う

 

268何処かの名無しさん

スレ主が頑張ればどうにかならない?

 

269何処かの名無しさん

これは要相談事項だな

 

270何処かのコンビニ店員さん

>>262

ありがとう御座います!

そして自分が色々考え足らずでした。そこまで考えて下さるとは恩に着ます。今から垢を作成しますので少しお待ちして下さると幸いです。あと少なからず自分は分家さんを信用したいと思ってます。

 

271何処かの名無しさん

>>270

考え足らずは俺らもだ…

正直画面の向こう側って感じだった

 

272何処かの名無しさん

非日常…何かまだそんなに実感湧かなくて

これまで生きてた世界がまさか漫画とかさ

 

273何処かの名無しさん

本当に起こるのか…

 

274何処かの分家さん

偉そうな事言うが…お前らしっかりしろ。まだ何も始まってないぞ。兎に角お前ら、今は日常を優先しとけ。考えても良いが議論するのはスレ主が来てからだ。それまで各々何時も通り過ごせ。

>>270

おk。あと別に敬語じゃなくても良いぞ。

ワイは流れで敬語使ってないからwwwww

それと信用しようとしてくれてありがとう。

 

275何処かの名無しさん

分家さんが頼もしすぎる

 

276何処かの名無しさん

もう分家さんが分家じゃなくても良いレベル

 

277何処かの名無しさん

スレ主来るまで日常業務頑張ります!

 

278何処かの名無しさん

分家さんに惚れるわ

 

279何処かの名無しさん

よし!切り換えてこうぜ!

取り敢えずスレ主待ちだな

 

 

 

 

 

 

 

 

和室にてクソスレを見ながら唸る青年が居た。青年は黒髪をかきむしりため息をつく。深夜の時間帯は色々とハイになっていて笑いが止まらなかったが今は昼間。冷静になった頭で考えると問題は山積みである。それと青年は眼の調子が普段と違うことに気付いていた。これを六眼擬きと仮定していたのだが、もしかしたら何か違うものなのかもしれない。

 

 

「どうしたもんかな…」

 

 

絶賛悩み中の青年──そう、分家である。分家は本当に五条の分家であり、東京にその屋敷があったりする。そしてクソスレで言っていた通り六眼に近しい何かを持っていた。その近しい何か、それは生まれつきから持っている夜明け色に染まった眼だ。生まれた当初は六眼かと騒がれ、ある程度大きく育ってから術式が看破出来るのか呪力が見えるのかと問われた。その問いに彼は出来ないとはっきり答えたのだ。何度も何度も聞かれたがその度出来ないと言いまくった。やがて家の者は諦めたようで訪ねることは無くなっていく。実際のところはその眼で何となく術式は見えていたし呪力も見えていたけど。でも分家はそれを知られたら、ろくなことにならないだろうなと記憶が無いながらも転生者の感で悟る。当時幼児だったけど分家さんはほぼ大人の思考回路だった。

 

そこから呪力はわりとあるが術式が無いと判明した分家は屋敷の雑用係と化した。雑用だけど五条の分家と言うことで呪術師的な訓練もある。彼はそれをこなしながら実家クソだな呪術師もクソだろうなと毎日のように考えていた。普通ならそんな考えに至らなかっただろう。しかし、彼は転生者だったので既に倫理観や自我がある。故のやさぐれ、故の反抗心。

 

 

彼は必死に金を貯めた。それこそ年単位で頑張った。そして金が貯まるとこっそり自分のパソコンを購入し、将来この家を出るための知識を蓄えていく事にしたのだ。この家の良いところはWi-Fiを管理してる奴が居ないことである。

 

 

 

 

 

そんな分家さんの現在、つまりはクソスレ経由でコンビニ店員とDMをやり取りしているところであるのだが。

 

 

 

 

 

「高専側に見学連絡と家の者にも連絡。はぁ…めんどくせぇ。あとサングラスも用意しないと"これ"かなりキツい。あー、DM返信結構来てるな。店員以外は後回しで良いか」

 

 

何故俺はこんなにもめんどくせぇ事をしようとしているのだろうか。いや、理由は判明してるしこれはやっていた方が良い労力だ。それを加味してもやっぱめんどくせぇ。

 

 

俺はコテハン名:分家としてスレで通している。その名の通り五条の分家なんだが、術式は無いしこの眼については誰にも話していない。なので実質、俺は雑魚でありそこまで価値がない。でも五条の分家と言えど五条なので呪術の名門だ。呪力をある程度持っているなら呪術師になれと言われる。マジで嫌なんだけどな。普通に死の危険がない場所へ就職したい。故に俺は高専に行かず普通の高校とかにいく予定で家の者を説得していた。

 

しかし事態は大きく変動する。そう、あのクソスレの存在だ。そしてそれによって呼び起こされた前世の記憶、さらにはこの世界の未来とも言える記憶まで。それらの記憶によって考えられる自身の将来、いや自身と言うより日本か。高校通うとか就職がどうとかそんなの関係無く呪術界隈へ巻き込まれる。自分は分家とは言え五条の者だ。その五条の好き勝手やってた当主が封印されるし、禪院家は滅びるし、東京は終わるしどうにかしないと俺も普通に巻き込まれて死にそう。だから俺はスレ主達と協力して何とか渋谷事変を攻略したい。さらに言えば黒幕張ってる羂索を渋谷事変にて討伐したい。あれがいる限り渋谷事変をどうにかしようが問題の先送りになるだけだ。

 

正直、今のところは攻略出来るのか分からない。でも上手く行けば何とかなりそう感はある。スレとそこにいるコテハン組、そして転生者達。これらのイレギュラーは羂索一派も仮想敵として考えていないと思う。これで知られてたら…まぁ諦めるしかないかもだが。どういう風になるかはスレ主がやってきてから議論するとして今の現状整理としよう。

 

 

 

 

まずコンビニ店員について。

10/3に東京某所で待ち合わせ予定で進める。そこで色々話し合いたい事や確認したいことがあるから高専側との予定時刻より早めが良いな。その後は念のため一旦別れるか?一緒に行くのは良いが俺と店員との間に接点は本来なら無い筈だし高専サイドにはおそらく羂索側の目や耳がある可能性が高い。少しでも不安要素を減らすために高専近くで店員と偶然出会い迷子になってた店員を案内してたら割りと仲良くなったってシナリオで行くか。そんで高専の状況を知りたいな。今何処まで何が原作通りに起きてるのか確認しないと下手に動けない。転生者がいる時点でもしかしたら何か変わってるかもしれない。

 

 

高専と家の者への連絡について。

これは楽勝だな。家の者は俺に呪術師となって働いて欲しいから高専見学したいと言えば一発OKくれるだろう。家の者を通して高専側へ連絡したら新規入学生候補な俺は歓迎されると思うしな。そこまで心配はしてない。でもいきなり見学したいは軽率か?何か理由付け欲しいな。思い付かねぇ…社会科見学とでも言っとくか。

 

 

眼について。

この眼は俺が思ってた以上にヤバい存在かもしれない。記憶を思い出す前は術式が何となく見える程度だった。だが今は違う。術式だけじゃなく呪力も前よりはっきり見える。その上なんだろうな…魂的な何かも見える。もっと言えば深夜にハイになって俺覚醒したわ的なテンションで「今なら見える気がする。よし!魔眼覚醒wwwww」とか言い放って自室から隣のさらに隣部屋が見えてしまった。我ながら可笑しい事をやったから見えた瞬間爆笑してしまったんだよな。ついでにその部屋では親戚がスマブラやってた。意外と操作が上手くてさらに笑った。

で、実際笑い事じゃない。明らかに六眼とは違う何か別の眼と思われる。だって緻密な呪力操作とか出来た試しないし。でも六眼同様に今の…言うなれば覚醒した感じの眼は色々と見えすぎる。流石に人混みの中を裸眼で歩きたくない。一応眼を隠して周りが見えるか実験してみたが普通に見えてしまった。スレとかにも報告したいが…タイミング的に後にした方が良いかもしれない。それに信用問題も残ってるしな。兎も角今後の日常生活のためにサングラスを早急に買わないといけない。アイマスクはダサいので論外。

 

 

スレについて。

これはスレ主が来てから進める。今後の方針とかもそこで話し合うべきだろう。あと他のコテハン組の状況が知りたい。何だよあの龍人。俺も人の事言えないけどマジで何だよ。多分術式…だよな?あんなもの見たことも聞いたこともないんだが。文献とかにも載ってなかった筈だし…高専でも調べてみるか。

あとフレンズさん。何で呪霊と殴り合った末に飯食って友達になってんの?そう言う術式なんだろうか。これで術式じゃなかったらフレンズさんは真面目に違う世界観の人だと思う。龍さん同様そんな話聞いたこと無い。呪霊操術の線が濃厚かな。違ったらもう知らねぇ。

しかし記憶が呼び覚まされてから呪霊が見えるようになったとか術式が発現したとか何か覚醒したとか一体どういう現象なんだろうか。脳味噌に何か変化があったとかそこら辺かもしれない。色々気になる点はあるが一先ず置いとくか。

 

 

 

いや、考えること凄まじく多いな。あとずっと思ってたことなんだけど期限短すぎないか?何だよ1ヶ月って。可笑しくない?転生でどうにか頑張る系はもっと前からスタートが普通じゃないかな。手遅れになる1ヶ月前スタートは難易度高くね?いくら仲間が居るからってどうかしてるだろ。

 

…文句言おうが自分にとって此処は正真正銘現実世界。何とかしないと本気で不味い。四の五の言わず頑張るぞ俺。まずは近所の眼鏡市場でサングラス買うか。さよなら俺の貯金。

 

 

「あー、吐きそう」

 

 

そもそも俺、近所の眼鏡市場まで吐かずにサングラス買えるかな?出掛けた瞬間から情報量多すぎて死にそうなんだが。でもアイマスクだけは付けたくない。絶対俺は付けないからな。此処で吐こうが死にかけようがアイマスクだけは付けない。俺は五条悟の様になりたくない。あの格好で街中歩くとかホント無理。

 

 

 

 

「…しにそう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

286何処かの名無しさん

でさ!ポンデ呪霊がポンデ食べてたんだよ!

 

287何処かの名無しさん

いや、絶対嘘だろ!!

 

288何処かの名無しさん

そもそもポンデ呪霊って何なんだよ!?

 

289何処かの名無しさん

そこまでミスドに負の感情が??

 

290何処かの名無しさん

ミスドに覇権取られた

他社ドーナツの呪霊じゃないかな?

 

291何処かの名無しさん

他社ドーナツの呪霊(パワーワード)

 

292何処かの名無しさん

え!じゃあ、あのポンデ呪霊は

ミスドに対しての刺客なの?

 

293何処かの名無しさん

ポンデ型呪霊でミスドを

襲わせた呪詛師がいるかもしれないな

 

294何処かの名無しさん

でも襲ってんのミスドと言うかミスドに売ってるポンデじゃん!ポンデがポンデを共食いしてるだけじゃん!

 

295何処かの名無しさん

いや店で売ってるポンデを減らすことで

売り上げを下げようと企んでるんだよ多分

 

296何処かの龍さん

あの怒涛の流れから此処では

ポンデ呪霊が賑わってるのか…

 

297何処かの名無しさん

あー!龍さん!!!!

 

298何処かの名無しさん

生きとったんかワレ!!

 

299何処かの名無しさん

そういやもう夜だ

 

300何処かのスレ主さん

待たせたな!みんな!!

さて、第一次国家戦略会議といこうぜ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回、遂に作戦会議が始まる!!

(と良いな!!!!)

 

 

─────────────────────────

 

「皆さんごきげんよう、

私は吸血鬼現状を纏めるおじさん」

「吸血鬼現状を纏めるおじさん!?」

「では今回の登場人物を纏めていこう!」

 

○今回の登場人物

 

・コンビニ店員

スレに名刺や勧誘の件を話してみると連絡してみようぜの流れになった。電話越しに「五条さん説明不足過ぎる…」「ほんとそれなー!」と言う声が聞こえたとか聞こえてないとか。そのまま高専についてや呪霊についての簡単な説明を受けた。そして呪術界隈の詳細だったり頼みたい仕事についての説明や書類関係のために高専へ行く流れに。渋谷事変の事を考えたコンビニ店員は出来るだけ早めの日程が良いだろうと思い10/3を指定。後から段々とひとりで行くのが心細くなってきたのでスレで道連れ欲しいと言ったら分家さんが着いてきてくれる事に。

 

 

・分家さん

確実にスレ主よりも多くの事を想定して事態を解決しようとしている。スレ民は大人を想像しているがまだまだ中学三年生。でも中身は転生者なので倫理観や知識量がしっかり詰まった実質大人。呪術師と言うより呪術師見習い的な立ち位置なのでそこまで呪術界隈の情報に詳しくない。本人的にも呪術師絶対クソだろ(本家の当主がまずヤバいヤツ)とか思っていた為そんなに深く関わろうとしてこなかった。

眼については生まれつき。六眼じゃないかと言われたけど頑なに「何も特別なもの見えてないし、ただの綺麗なおめめです」と真顔で言いまくった。一応五条悟が見に来たりもしたけど特に変わった様子は無かったのでそこから接触はそこまで無い。ちなみにその時、五条の見た目(包帯目隠し)にドン引きした。此処から彼は呪術師よりも一般職を目指す。しかし記憶が戻ったせいでそうも言ってられなくなった。

眼:特殊な眼。夜明けの色をしている。覚醒前は術式や呪力が何となく見えてた。覚醒後はしっかり見えるようになったし人間に宿る魂的な奴も見えるようになった。さらに少し遠くの場所まで千里眼的な感じで見えちゃった。どうやら緻密な呪力操作とか呪力ロスを減らすとかは出来ないみたい。あとそもそも分家さんは術式を持ってない。

【挿絵表示】

※眼のイメージ図

 

 

・他のコテハン組や転生者達

平日の昼間なので仕事だったり学業だったりでそんなに集まってない。ある程度の覚悟や決意をしたとしてもまだまだ転生者としての自覚がそこまで無かったり実感湧いてない。でもみんな多かれ少なかれ巻き込まれる事になる。だからこそ頑張らないとヤバい!これから本格的に動き出すことになる。

 

 

・ポンデの呪霊

ポン・デ・リング型の呪霊らしい。スレ民によると働いているミスドに生息しているようで人に危害を加える様子はないっぽい。でもポン・デ・リングを盗み食いしてるので業務妨害してる。スレでの考察によるとミスドの業績に恨みを持った他社ドーナツが送り込んだ刺客説が上がっている。かなりどうでも良い話。

 

 

 

 

 




分家さんのターンでした。彼はクソスレ陣営のブレインとして頑張ってくれることでしょう。そして前回のあとがきで戦略会議する的な事を言ったけど無理でした。そこまで話が進まなかった…まだまだ10/1は終わらねぇぜ!!!

次回は10/1夜の部が始まると良いな!!!!いい加減10/2を迎えたい!!!でも渋谷事変攻略一日目だから物凄くチュートリアルがあるんや!!



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6.第一次国家戦略会議始動

夜の帳が下りたら合図だ…

未来を変えるための作戦を考えるクソスレ陣営。
だが、それは様々なものを"選択"しなければならない。自分達の手札をもってして、何を選び何を捨てるのか。彼等にとって此処は現実…それは原作陣営やこの世界に生きるもの全て例外無いのだ。

でもあれそれ考える前に
作戦会議が中々進まないぞ(白目)



【前回までのあらすじ】

コンビニ店員は高専の説明会へ行く事になった。ひとりが心細かった彼に分家さんが同行してくれることになる。そんな分家さんは自身の六眼擬きな眼が何か覚醒してしまいめちゃくちゃ色々なものが見えちゃう様になったのでサングラスを近所の眼鏡市場で買うことに…。そして時刻は流れ夜となり、スレにスレ主がやって来たことによって遂に作戦会議すると思われたが…?

 

 

 

 

 

300何処かのスレ主さん

待たせたな!みんな!!

さて、第一次国家戦略会議といこうぜ!

 

301何処かの名無しさん

>>300

待ってたぞスレ主!

 

302何処かの名無しさん

>>300

待ちくたびれてたぜ!

 

303何処かの名無しさん

>>300

スレ主さん!お仕事お疲れ様!

 

304何処かの名無しさん

>>300

スレ主、スレ見返したか?

作戦会議前に懸念事項とかあったから

見て貰えると助かる

 

305何処かのフレンズさん

俺も登場!

 

306何処かの名無しさん

>>305

フレンズさん!フレンズさんじゃないか!

 

307何処かの名無しさん

>>305

あの後どうなったかめちゃくちゃ気になってた

 

308何処かの吸血鬼さん

私もこっそり居ます。

 

309何処かの分家さん

>>305

マジで詳細欲しいわ

 

310何処かの名無しさん

>>308

吸血鬼現状纏めるおじさん!!

 

311何処かのコンビニ店員さん

自分も待機してました!

 

312何処かの名無しさん

おいおいコテハン組全員揃ってんな!

 

313何処かの名無しさん

始まった感ヤバい

 

314何処かのスレ主さん

>>304

おk、しっかり見てきたぜ

その上で俺はある実験をしてきた!!

 

315何処かの名無しさん

実験…?

 

316何処かの名無しさん

例の分家さんが語った

スレ自体の信用とか術式の問題か

 

317何処かのスレ主さん

術式の運用?みたいな実験をしてきたぜ!

試した実験は以下のやつ

・スレの複数立て

・術式発動の有無

・その効果とか範囲確認

俺の信用出来る友人達へ試しに「面白いスレ見付けたんだが」的な感じでこのスレを見せてみた。するとクッソおもんなと言われた!なんで?と聞いたら「スレタイから興味失せるし、内容が痛すぎる。見てたら共感性羞恥を感じるわ。見るに堪えないクソスレ。ネタにも出来ない奴」と評された。他の面子もだいたい似たような事言ってた。

そんで他に立てたスレも見て貰った。一つ目は術式とか転生とか何も考えずに同じ題名でスレを立てたやつ。ちなみにこれね(URL)。平日の昼間に立てたからスレ数少ないしすぐ落ちたけどな!内容は此処と同じで俺転生者ってスレ。で、友人に見せたら「さっきのよりは何かマシ。クソスレではあるが見せられたら見る。でも間違いなくクソスレ」と言われた。

2つ目は「おら!!術式発動!!集え転生者ども!」って気合い入れて鬼滅スレ立てた。場所は此処(URL)。そして内容は鬼滅の未来予想だ。これも割りとすぐに落ちたけどな!!でも未来予想図で何か的確に当ててくる奴がちらほらいた。そして友人に見せたら「何か…こう絶妙にクソスレ感漂うな。最初の見るに堪えない奴と同じ雰囲気してる」と言われた。後お前の面白判定の感性死んでんなと言われた!ちげぇし!

これどう思う???どうなってると思う??

 

318何処かの名無しさん

>>317

なげぇ!なげぇけどよくやった!!

スレ主何も考え無しかと

思ったけど考えてたんやな!!

 

319何処かの名無しさん

>>317

つまりどう言うことだってばよ?

纏めてくれ誰か!

 

320何処かの名無しさん

>>317

まってまって!その鬼滅スレ居たんだけど!?

立てたのスレ主さんだったの!?!!

 

321何処かの名無しさん

>>317

炭治郎が鬼の王的な奴に

なるんじゃねって書いたの俺なんだけど…

 

322何処かの名無しさん

>>317

無惨が巨大化してそこに車アタックとかwww

って書いたの私です…

 

323何処かの吸血鬼さん

【スレ主実験まとめ】

スレ主の友人達が被験者

①このスレに対しての反応

②同名スレ術式発動無し(と思われる)への反応

③別名スレ術式発動での反応

 

①:見るに堪えないクソスレ

②:見せられたら見るけどクソスレ

③:見るに堪えないクソスレ

また③のスレに転生者が混ざってる疑惑。

 

324何処かの名無しさん

>>323

吸血鬼現状纏めるおじさんナイス!!

 

325何処かのコンビニ店員さん

なるほど?ちょっと

同居人で確認してみようかな

 

326何処かの名無しさん

家族確認気になるからやってみる

 

327何処かの分家さん

>>317

他のスレを確認してきた。②には呪力も術式も存在してないマジでただのクソスレ。でも③にはある。あと③が何か呪物みたいな事になってる。何と言うか…そのスレに縁あるものしかたどり着けないみたいな呪いかな弱めだけど。スレ主の術式かなりヤバい代物だな。術式の効果を拡大解釈したらおそらくもっと色んな事が出来る筈だ。

それこそ転生者以外書き込み出来ないと言う効果も付けられると思うので念の為やってくれ。

あと今まで気になっていた点。これだけの術式を継続的に展開し続けられてる理由が③を見て分かったわ。呪物(仮)となったスレに色々な呪力が混ざってる。スレ主の呪力は此処のスレ見てきたから分かる。

結論から言うとこの術式はスレに参加しているものから呪力を一部貰って展開し続けてると思われる。

…てっきり眼のせいでワイの呪力微妙に減ってんのかなと思ってたけどこのスレのせいだったわ。流れてる呪力量はお前らの生活に支障出ない程度だから安心しろ。

 

328何処かのフレンズさん

山じいにこのスレ見せたら山じいが昔のヒト過ぎて言葉が意味不明って言われました。あと何か面白くなさそうな雰囲気醸し出してるとも言ってました。

 

329何処かの名無しさん

分家さんの解説になるほどってなったけど、スレが呪物化すると言うパワーワードで駄目だった。

 

330何処かの名無しさん

スレの呪物化!?

あとスレ主の術式すげぇ!!!

 

331何処かの名無しさん

>>328

フレンズさん、山じいってどなた?

 

332何処かの名無しさん

おかしい…会議が始まったと

思ったらまだ始まってなかった

 

333何処かの名無しさん

作戦会議の為の事前確認大事大事

 

334何処かのフレンズさん

>>331

あ!言ってなかった。山じいは烏天狗な呪霊です。俺と飯友になったから折角なんであだ名付けました。

 

335何処かの名無しさん

>>334

なんて?

 

336何処かの名無しさん

え、フレンズさんそんなめちゃくちゃ気軽な感じで呪霊とフレンズしてるの???しかもあだ名まで付けてるって?それも飯友???

 

337何処かの名無しさん

烏天狗な呪霊!?しかもフレンズさんの言った内容から察するに昔から居た呪霊かつ言葉が通じて話せるとかそれ特級じゃ…

 

338何処かの名無しさん

爆弾発言過ぎる…

 

339何処かの名無しさん

ホントに何が起きたの?

あとフレンズ家になんでそんなのが居たの?

 

340何処かのスレ主さん

話題がフレンズさんに全部取られたぜ!

やっぱ俺影薄いかもしれない

>>327

分家さんありがとう!!何かぐあ~術式発動!ルール追加ーー!!!転生者以外書き込み不可あと見るのは転生者限定うお~としてみた!すげぇ疲れたけど何か変わった???

 

341何処かの名無しさん

>>340

スレ主、安心しろ。

コテハン組全員が影濃い過ぎるから。

 

342何処かの名無しさん

このドタバタ感、深夜と同じテンションやん!

 

343何処かの分家さん

>>334

フレンズさんマジで何者?気になることが増え続けるんだけどwwwwwその山じいの詳細とか何が起きてそうなったのか話してどうぞ。

>>340

スレ主さんありがとう。スレ主さんの340発言以降スレの術式効果に変動があった。言うなればスレにルール追加って感じだな。転生者以外書き込み不可観覧禁止。かなり強力なルールだからさっきよりも呪力が取られてる。そこまでの支障はないけどな。スレ主の術式はあれだな…縁を操る系統かもしれん。

 

344何処かの名無しさん

ルール追加か!なんかすごい!

 

345何処かの名無しさん

家族にスレ見せようとしたら

スマホ落として画面割れたぜ☆

先月買ったばかりなのに…

 

346何処かのコンビニ店員さん

聞いて聞いて聞いてwwwww

 

347何処かの名無しさん

>>345

おっ早速ルール判定効果??

 

348何処かの名無しさん

なんかコンビニ店員がはしゃいでる

 

349何処かのコンビニ店員さん

自分の同居人、龍さんだったwwwww

 

350何処かの名無しさん

ゑ?

 

 

 

 

 

 

 

 

時はコンビニ店員が同居人にスレを見せるところまで遡る。彼は折角同居人がいるしスレに対しての反応がどのようなものになるのか確かめるために"姉"の部屋へ向かった。

 

 

そう言えば今日姉は何故か仕事を休んでいた。理由を聞いたら確か、疲れた表情で偏頭痛的な奴と言われたのだ。自分自身も高専の事やスレの事があったのでそこまで姉の様子を見ていなかったが今更ながら大丈夫だろうか?それに朝方何故か角生やしたコスプレやってたし謎の破壊音がしていた。何かすごく心配になってきたな、変な薬とかやってないよね?

 

 

「ねーちゃん、入るよ!」

「あっちょっまって!!」

 

 

待ての声が聞こえたけど変な薬物を摂取してる疑惑がある為、問答無用で入る。

 

まず、姉は薬物をやっていない様だった。代わりにしていたのは壁の補修作業。ホームセンターで買ったであろう道具片手に頑張って壁と格闘していた。まさか今朝の破壊音はその大穴をぶち開けた音だったのか?なんて威力してるんだ。思いっきり壁にライダーキックでもしたのか?なんでそんなことを?日頃のストレス…いや姉なら何かやりたかったでやりそうだしな。

 

 

「ねーちゃん、その壁さ」

「あぁ…うん、ちょっとね」

「何したの?」

「いや…なんかその、頭当たった的な?」

 

 

頭…?頭!?いやいやいやこんな手のひらサイズのでかい大穴を頭で??嘘だろ、そんな馬鹿な…!?頭突きで朝方に凄い破壊音を出してたって言うのか。あり得ない…え、だから偏頭痛だったの。それ偏頭痛じゃないよ。脳震盪って言うんだよ。真面目に病院行かないと不味い奴だろ!何やってんのこの姉!?馬鹿じゃないか!馬鹿だったわ!病院行ったのかな?壁直す前に己自身のメンテナンスして欲しいな!?

 

 

「ねーちゃんすぐ病院行ったの?絶対怪我してる奴だって!壁補修してる場合じゃない奴だって!」

「あー、ウン。大丈夫だったよ」

 

 

絶対行ってない奴だろこれ!大丈夫じゃない奴だからな。人間の繊細な脳味噌にダメージ行ってるんだぞ!?何か起きたらどうするんだ。今から病院…大きめのところなら空いてるか。あまり歩かせるのは良くないだろうしタクシー呼んだ方が良いかもしれない。見た感じ怪我してなさそうだけど何か起きてからじゃ遅いし早急に病院送りにした方が良いだろう。

 

 

「ねーちゃん病院行くぞ、今すぐだ!」

「え!?いやこれマジで大丈夫な奴だから!ホントに大丈夫な奴だから!元気元気!!ほら!それよりも何か用事あったんでしょ?そっち優先しようや!」

 

 

優先…優先すべき事柄じゃ無さすぎる!!僕の用事クソスレを見せることなんだけど?これを優先…?控え目に言って頭可笑しい奴じゃないか!いや、でも誤魔化すのも何か嫌だしな。何で僕はこんなことを真面目に考えないと行けないんだ。僕にとってこのクソスレは本気で一大事なんだけど、姉にとっては紛れもなくクソスレになる筈。本当にタイミングが今じゃ無さすぎるな!

 

 

でもまぁ姉だし良いか…。

 

 

「僕の用事マジでどうでも良いことなんだけどそれでも良い?あとこれ終わったら病院ね」

「別に良いけど、病院は無しで」

「ちょっとこのスレ見てくんない?」

「病院はマジで無しで…うん?待って」

 

 

姉はクソスレを見ると表情を変えた。スレ主から聞いていた反応と全く異なる。どう言うことだろうか。姉の表情はおいおいおいマジかよみたいな表情だ。いや、これはあまりのクソスレ過ぎてこんな用事で来るとかマジかよ的な感じかもしれない。

 

 

「聞きたいことがあるんだけどさ」

「何?」

「このコテハン…コンビニ店員ってあんただったりする?」

「…なんで?」

「もし、もしもだよ。私がコテハンの龍さんだったらどうする?」

 

 

その言葉を聞いた瞬間過る今朝の出来事。姉の謎のコスプレ。あの角はかなりのクオリティーだった。まるで頭から直接生えたのではないかと思える程。そして偽物感が全く感じられない生物の息吹きを何処となく見てとれた。今に思えばクソスレで見た強そうな龍人の角に似ている。さらに謎の破壊音と壁の大穴。そして姉の頭を当てたら破壊したと言う証言。全てが繋がった気がした。そんなことあり得るのか…?

 

 

「ねーちゃんさ、来年発売されるポケモンに出てくる新規の伝説言ってみてよ」

「ザシアンザマゼンタムゲンダイナブリザポスレイスポスバドレックスレジ…」

「もう大丈夫!!大丈夫…うん」

「私からも良いかな?」

「どうぞ」

「ゾロア及びゾロアークのリージョンフォームの生息地とタイプをどうぞ」

「ヒスイ地方、ノーマル・ゴースト。発売前に死にました!!」

「私もな!!」

 

 

【速報】姉弟揃って転生者。

 

 

 

 

 

 

 

 

354何処かの龍さん

めっさ驚いたよね~

(ID付きの二人分のピース写真)

 

355何処かの名無しさん

いや、そうはならんやろ!

 

356何処かの名無しさん

なっとるやろがい!!

 

357何処かのコンビニ店員さん

まさかの展開だよね~

(ID付きの二人分のふぁっく写真)

 

358何処かの名無しさん

わいの家族もワンチャン転生者…?

 

359何処かの分家さん

いや、流石にレアケースだろwwwww

スレ見せたらルール判定で分かると

思うから試したら面白いかもなwww

 

360何処かの名無しさん

話題に溢れすぎて作戦会議進まねぇ~

 

361何処かの名無しさん

手札が判明してきてるからセーフやろ!

 

362何処かのスレ主さん

お前らが面白すぎるのがいけない!

そんなミラクルあんの???ずるい!!

 

363何処かの名無しさん

そう言えばフレンズさんの詳細は…?

 

364何処かの名無しさん

あれから続報無いね

 

365何処かのフレンズさん

詳細まとめてきました!

我が家に代々伝わる錫杖に封印されてた烏天狗こと山じい。最近封印が解けてきて家の中を夢遊病みたいな感じで徘徊してたみたい。そんな時に俺が呪霊見えるようになっちゃったから目が合って山じいの意識が覚醒。封印しやがってと怒った山じいと反射で殴り合いになった。その後何か倒せた。でも先に殴ったの俺だし封印してたのも俺んちだから、お詫びとして料理を振る舞うことにしたんだ。罠とか疑われたのでなら一緒に料理しようぜと言ってミートパイ作った。そんで一緒に食べてたら山じいがミートパイにものすごく感動したの。平安生まれらしいから色々現代のご飯について語ったら仲良くなった。今後も料理一緒に食べようぜって事で飯友になったよ!その時フレンズの証としてあだ名を付けた感じ!

(凄く美味しそうなミートパイと明らかにヤバそうな錫杖の写真)

 

366何処かの名無しさん

>>365

おかしい…絶対何かおかしい

 

367何処かの名無しさん

>>365

フレンズさんの時空だけ

別のジャンプしてない???

 

368何処かの名無しさん

>>365

え?何でそんな料理で分かり合えてるの??

前世は美食家か何か???あとミートパイめちゃくちゃ美味しそう。隣の奴はオーラが凄いけどミートパイで相殺されてる…

 

369何処かの分家さん

イカれてやがる…

 

370何処かの名無しさん

ほら分家さんもドン引きしてる!!!

 

371何処かの名無しさん

俺もポンデ呪霊と仲良く…?

 

372何処かのフレンズさん

>>368

惜しい!俺の前世は料理人。割りとその道で頑張ってました。創作料理をメインにやってます。今世でも自分の店を持ちたいですね。と言うか記憶を思い出す前も店を持ちたかったですし、料理の修行も続けてました。

 

373何処かの名無しさん

>>372

つよい…確実に世界が違う

 

374何処かの名無しさん

呪霊を唸らせるミートパイ…

 

375何処かの名無しさん

よくよく考えたら飯テロじゃん!!

横の呪物のせいで相殺されてるけど!

 

376何処かの名無しさん

このスレ話題しかないっ!

 

377何処かのスレ主さん

みんなーー!!!

作戦会議しようや!

 

378何処かの名無しさん

忘れてたわ作戦会議

 

379何処かの名無しさん

>>377

スレ主さん概要とかあったりする?

 

380何処かの名無しさん

もう22時か、早いな

 

381何処かのスレ主さん

>>379

あるぜ!まずこの作戦の第一目標は今までの日本を存続させることだ。つまりは日本の要である東京を壊滅されないこと。これが大前提。

その事を踏まえて皆に考えて欲しい事がある。俺らの勝利条件ってなんだと思う?

 

382何処かの名無しさん

>>381

GLG封印阻止

 

383何処かの名無しさん

>>381

メロンパンの消滅

 

384何処かの名無しさん

>>381

呪霊一派の討伐

 

385何処かの名無しさん

>>381

両面テープ覚醒阻止

 

386何処かの名無しさん

>>381

人命救助も大事じゃない?

 

387何処かの名無しさん

>>381

呪詛師もどうにかしないと

 

388何処かの名無しさん

俺らの勝利条件難易度高くね?

 

389何処かの名無しさん

あとは命大事に!

 

390何処かの吸血鬼さん

前提条件:東京壊滅阻止

上がった勝利条件まとめ

・GLG封印阻止

・メロンパン消滅

・呪霊一派討伐

・両面テープ覚醒阻止

・人命救助

・呪詛師討伐

・命大事に

 

391何処かのスレ主さん

>>390

サンキュー吸血鬼現状纏めるおじさん!!

皆もありがとうね!

よし、これらの勝利条件をクリアするために上から順へひとつひとつ確認していこうぜ!

 

392何処かの名無しさん

まずGLG封印阻止か~

 

393何処かの名無しさん

高専サイドにぶっちゃけられない?

こう、未来見えちゃったぜ☆的な

 

394何処かの名無しさん

>>393

怪しまれないかそれ?

ただの頭可笑しい奴か何か不気味な程情報知ってるやベェ奴判定されて尋問されそう

 

395何処かの名無しさん

俺ら特に高専サイドへ

関わってきた人じゃないしな…

 

396何処かの名無しさん

分家さんは?

 

397何処かの名無しさん

>>396

うーんどうだろ。それでも何で知ってるの?って感じで疑われそう。だっていきなり前世思い出した感じだし、そこから予知しちゃったとか今までそんなのしたこと無かったのに色々可笑しい奴扱いになるわな…呪術がある分余計に。

スピリチュアル的なヤバい奴扱いが妥当と思われ…俺らだって記憶思い出す前は前世とか(しかも漫画に転生)あたおかって思ってたし。

 

398何処かの名無しさん

手紙とかで情報流すとかは?

 

399何処かの分家さん

>>398

それは悪手だ。メロンパンの手下が万が一その情報を知ったら不味い。渋谷以外で作戦を展開させられたり他の作戦を練られたらワイ達ではもう知る術がない。だから同じ理由で高専サイドに情報を話せば何処からそれがメロンパンに漏れるか分からないので危険だ。話すとしてもかなり信用できるかつ限られた一部にしとかないといけない。それとこの話を本気で信じてくれる奴でなければ無理だと思う。GLG本人も当然マークされている可能性高いし、あの人信じてくれなさそう。かなり親しい身内以外は事前に話していても罠とか思われそうだしな。あとワイ高専関係者じゃないから親しい奴いねぇ。

メロンパンは正直敵としてマジでヤバいぞ。マスターボールを持ってるのもそうだけど、その気になれば何処でも無差別テロを起こせるしひとりで戦力を膨大に保有するポケモンマスター。完全に高専側が後手になってる。しかも用意周到かつかなり慎重で時間と言う制限もほぼない。あと潜伏場所も分からない。向こう側に情報アドバンテージが多すぎる。呪霊一派もいるし意味不明な程クソゲー。

 

400何処かの名無しさん

>>399

うわ、そう考えるとメロンパンマジでヤバいな…GLGマスボでやれば高専サイドより戦力も情報も上じゃん

 

401何処かのフレンズさん

でも俺たちは情報ではアドバンテージを取ってますよね。つまりあとは戦力があればどうにか出来るのでは?

 

402何処かの名無しさん

戦力…高専サイドは今から信用勝ち取って未来の云々を話しても正直無理そうだしメロンパンに情報漏れたらアウトでリスク高い

 

403何処かの名無しさん

どっかに勧誘出来る戦力転がってない?

 

404何処かの名無しさん

一つ目の勝利条件の時点で

難易度ルナティックなのマジで止めて欲しい

 

405何処かの龍さん

術式(?)を鍛えたらワンチャンない??

 

406何処かの名無しさん

>>405

龍さん!?確かに強そうだけど厳しくない?

 

407何処かの名無しさん

俺らの中で戦力ありそうなの龍さんくらい説

 

408何処かの分家さん

すまん、ワイは術式ないしそんなに強くない

 

409何処かの名無しさん

しかしその場合龍さんに

負担大きすぎるし龍さん自身が危ないよ!

 

410何処かの名無しさん

ちょうど良い仲間…勧誘出来そうなやつか

それも高専サイドじゃないやつとかいる?

 

411何処かの名無しさん

そんで俺らが接触出来そうなやつだろ?

 

412何処かの名無しさん

フリーのあの方は?

 

413何処かの名無しさん

>>412

金次第だな…でもどう接触するんだ?

連絡先分からなくないか?それに金によって方向性が変わるから微妙かもしれん。

 

414何処かの名無しさん

あ、居るじゃん

 

415何処かの名無しさん

>>414

え、いる??誰???

 

416何処かの名無しさん

>>414

マジで誰????

 

417何処かの名無しさん

主人公の兄弟…お兄ちゃんズ!

橋で勧誘しようぜ!!

 

418何処かの名無しさん

>>417

ま?

 

419何処かの名無しさん

>>417

まさかのそこ!?

メロンパンの所からヘッドハンティング!?

 

420何処かのスレ主さん

>>417

さてはお主、天才か!!!??

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

意外!それは発想の逆転!!!

作戦会議は白熱しながら次回へ続く!!

 

 

 

─────────────────────────

 

「皆さんごきげんよう、

私は吸血鬼現状を纏めるおじさん」

「吸血鬼現状を纏めるおじさん!?」

「では今回の登場人物を纏めていこう!」

 

○今回の登場人物

 

・スレ主

昼休み中にスレを掘っ立てて検証したり、作戦のこととかどうしようかなとずっと考えてて仕事中虚空を見詰めてた。この度術式の事がわりと分かってきた。内心俺すげぇ!!!と思って興奮しているが作戦会議中なので静かにしている。

あと、術式を結構使ったので疲れた感じ。フルマラソン並みの体力消費でキーボード叩く時マジでおじちゃんみたいに震えてる。でもスレ主として意地を見せたいので作戦会議が終わるまで耐えて見せるぜと思ってるみたい。

 

術式:転生者を引寄せるクソスレ(仮称)

転生者だけを引寄せ、それ以外にはクソスレとして興味を全く持たれない効果を発揮する。また転生者(記憶無し)に対して転生前のキーワードを認識させることで記憶を思い出させたりも出来る模様。

NEW↓

転生者以外には見るに堪えないほどのクソスレと判明した。複数のスレ立ても可能。しかしスレの継続にはスレ民の協力が不可欠でありレスポンスがなければ普通に落ちる。そしてスレが落ちるとそのスレは電子上の呪物みたいになる。縁がないとたどり着けないと言う呪いを発しており都市伝説みたいな感じになるっぽい。

またスレ上にスレ主がルールを宣言する事でそれを適応させる事が出来る。めちゃくちゃ疲れるらしい。今のところルールは転生者以外書き込み禁止、転生者以外閲覧禁止。ルール違反しようとすると偶然何かが起きて阻止される様子(例:スレを見せようとしたらスマホが落下)。

どうやらスレに参加しているものから呪力を貰う事で術式が展開し続けている。まだまだ謎が多い。

 

 

・コンビニ店員&龍

まさかの姉弟だった人たち。クソスレのせいで互いに大変な事になっていたけど普通こんな意味分からない現象家族にだって話せない。故に互いに事実を知らなかったけどこの度どちらも転生者と判明した。この姉弟は何故か五条悟と縁があるみたい。今後は二人で相談しながらクソスレへ参戦すると思われる。ちなみに姉弟共にポケモンエンジョイ勢。ランクマは少しやってすぐ止めた。BDSPのダブルパックとアルセウス2セットを予約していたし、龍さんはトランセルの寝袋を持っていたみたい。つまり彼らは前世から姉弟やってた。

 

 

・分家さん

スレ主の術式を分析した。直接スレ主に刻まれている術式を見た訳ではないので不明瞭な点があるけどヤバい術式だなと思っている。スレ内で一番羂索を警戒している人でもある。羂索はかなり慎重だろうし一度取り逃がしたらどうなるか分からないので必ず渋谷で仕留めたいと思っている。渋谷事変と言う情報アドバンテージを何とか活用したいが高専サイドには羂索から情報が筒抜けだろうしなぁとほぼ期待してない。信じれるのは取り敢えず此処にいるものたち。

 

 

・フレンズさん

分家さんにイカれてる認定された人。家にある呪物に封印されていた烏天狗(特級と思われる平安生まれの呪霊)と殴り合って負かした上、その詫びに料理を振る舞うと言う常識とか何かを置き去りする行動をした。前世がプロの料理人であり、世界に通用する凄腕の人だった。そんな人類の中でも最上級の料理スキルから繰り出されるミートパイは烏天狗を唸らせる程の味。その結果烏天狗と和解し、飯友とか言うあり得ない関係を成し遂げた偉人。スレ内で一番イカれてるかもしれない。

 

 

・吸血鬼現状纏めるおじさん

スレの現状を纏めてました。一応色んな情報とか調べて纏めてたけど出すタイミングがありませんでした。スレの流れが勢い良すぎますね。

 

 

・他の転生者たち

作戦会議に気合いが籠っている。深夜から時間が経っているしある程度思考回路が戻って本格的にどうしようかと考え出している様子。みんな未来が懸かっているので本気。

 

 

 




作者達が生きる世界では10/31を迎えましたね。
そしてちょうど渋谷へ帳が下ろされた時刻です。

我々が日常を送っている中、向こうの世界は時間が経過すればする程地獄絵図に変容していくんですよね…。


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7.第一次国家戦略会議終了

更新、お待たせ致しました。

今回は割りとシリアスしてます。
あと相変わらず原作陣営が出てきません。
出てくるまで何話かお待ち下さい…

掲示板機能頑張ったけど仕様がまだ分からん。


【前回までのあらすじ】

ついに始まった第一次国家戦略会議!判明するスレ主の術式効果。更には龍とコンビニ店員が姉弟だったりフレンズさんが特級と思わしき呪霊と飯友になっていたり何かスゴい!そして真面目に議論は進んでいるが端から見れば意味不明過ぎる勝利条件…!果たして彼等はどんな作戦を企てていくのか?作戦会議絶賛継続中…

 

 

 

 

 

 

417:何処かの名無しさん

主人公の兄弟…お兄ちゃんズ!

橋で勧誘しようぜ!!

 

420:何処かの名無しさん

>>417

ま?

 

423:何処かの名無しさん

>>417

まさかのそこ!?

メロンパンの所からヘッドハンティング!?

 

424:何処かのスレ主さん

>>417

さてはお主、天才か!!!??

 

426:何処かの名無しさん

待て待て待て誰が勧誘すんだよ

 

428:何処かの名無しさん

そもそもどうやって勧誘?

場所は分かるけど日付分からないし…

 

431:何処かのフレンズさん

俺に考えがあります!

 

433:何処かの名無しさん

>>431

フレンズさん!ホンマですか?

 

435:何処かの名無しさん

>>431

その考えとは?

 

436:何処かのフレンズさん

山じいに協力してもらって2人で説得します

 

438:何処かの名無しさん

>>436

山じいに協力…?つまりそれは特級的な呪霊と合同で説得ロールするってこと!?

 

440:何処かの分家さん

フレンズさんやっぱ可笑しいよ…

でもそれはアリだ、出来ればの話だが

 

442:何処かの名無しさん

仮に山じいに協力して貰ったとしてさ

どのタイミングで来るか分からなくない?

原作での日付とか覚えてねぇ…

 

443:何処かの名無しさん

確かに、たぶん10月上旬のどっかと思うけど

正確な日付はよく分からんし難しくないか?

 

445:何処かのフレンズさん

俺埼玉在住で橋行こうと思えばわりと行けるし、橋付近でキャンプして張り込みます。準備とか山じい説得で張り込めるのは3日からになりそうですが間に合いますかね?

 

447:何処かのスレ主さん

>>455

フレンズさんマジか!?え、マジで?恐らく間に合うとは思うけど色々大丈夫??仕事とか予定とか準備とかあと命の危機的なあれとか!!

 

449:何処かの名無しさん

はり…こ…み?やる事が探偵とか警察じゃん!

 

450:何処かの名無しさん

予想外の方法と言うかめちゃくちゃ原始的

 

453:何処かの名無しさん

俺ら高専関係者じゃないから任務行く日とか分からないし、じゃあどうするかって言われたらまぁそうなるかもしれないけど…!!

 

456:何処かのフレンズさん

>>447

店の準備のために予定を空けてたので大丈夫です。キャンプの準備自体は前から野営をよく趣味でやってたのでそこまで。命の危機的な奴は山じいとタックを組んでどうにかしようと思います。スレ主さんこの件を俺に任せて貰えませんか?

 

459:何処かの名無しさん

えぇ…(困惑)

 

461:何処かの名無しさん

山じい呪霊だろ?いくら飯友って

言ってもそんなに信頼出来るのかよ

 

462:何処かの分家さん

>>456

フレンズさん何か策でもあるのか?

 

464:何処かの龍さん

流石に危な過ぎるのでは?

それに一年ズと遭遇したらどうなるか分からないだろうし…呪霊とコンビ組んでる一般人(キャンプ中)とか明らかにヤバいって!

 

465:何処かの名無しさん

呪霊とキャンプしてる一般人とか

どう考えても高専送りになると思う

 

467:何処かのフレンズさん

>>456

はい、まず山じいに一年ズがお兄ちゃん2人をボコったタイミングで拐って貰います。それからお兄ちゃんズを俺と山じいで説得ロールする予定です。名付けて『天狗の仕業じゃ大作戦』です。山じい神隠し得意らしいからいけるかなって思いまして…勿論山じいとしっかり約束した状態で挑むつもりです。

 

470:何処かの名無しさん

>>467

いけ…いける!?これいけるか!??

なにその天狗の仕業で

不思議な事が起こった感じの作戦!?

 

471:何処かの名無しさん

想像の斜め上かっ飛ばした作戦過ぎる

 

474:何処かの名無しさん

相手を神隠しして勧誘するとか絵面がヤバい

 

476:何処かのスレ主さん

>>467

俺はフレンズさんに懸けてみたい

でも命が危なければ必ず逃げて欲しい

 

478:何処かの名無しさん

うーん、フレンズさんやスレ主が

承諾してるなら良いけども

 

480:何処かの名無しさん

どうだろうなぁ…高専や

メロンパン達からも追われたりしない?

 

481:何処かの分家さん

フレンズさん

この点を行けるならやって欲しい

・山じいの残穢を残さないようにする

・山じいとの間に接点を見せない

・人間を積極的に襲わない感じに見せる

・山じい共々変装か何かをしておく

・説得出来ないなら2人は殺せ

殺せないならこの作戦は無しだ

 

483:何処かの名無しさん

殺す…か、

 

485:何処かの名無しさん

殺すってそんな…でも

 

486:何処かのフレンズさん

>>481

要点把握しました、全て出来ます。

どうせ我々は死を背負う事になりますしね。

 

488:何処かの名無しさん

死を背負うって…?

 

491:何処かの名無しさん

なるほど、確かにそうだわ

俺達は渋谷事変で決着をつけるつもりではあるけど、渋谷事変自体を止める事はしようとしてない。言い換えればそこで犠牲となる多くの人々を見殺しにすることになる。

 

493:何処かの名無しさん

>>491

確かにその通りだね…

幾ら敵を倒すためとは言え、その犠牲を見て見ぬ振りすることには違いない。

 

496:何処かの名無しさん

どうにか助けられない?

 

497:何処かの名無しさん

不可能に近いだろ…俺ら一人一人がGLG並みの力を持っていれば行けたかも知れんけどそんな力持ってない。

渋谷の人々をどうにかするとか事前に国家権力クラスの事や爆破テロ予告とかしないと無理と思う。でも仮に実行したとしてもメロンパンが表に出なくて詰み。

 

498:何処かの名無しさん

ままならんな

 

499:何処かのスレ主さん

ごめん、俺のせいでみんなに背負わせた

 

501:何処かの名無しさん

>>499

スレ主のせいじゃない

 

504:何処かのコンビニ店員さん

>>499

思い出させてくれて感謝してる

だから謝らないでスレ主さん

 

507:何処かの名無しさん

>>499

知らなかったら訳も分からず死んでたと

思うしスレ主は俺らを助けたんだよ。

 

510:何処かの分家さん

>>499

スレ主さん、俺達は確かに多くの死を背負う事になると思う。これから俺達は俺達の我が儘で命の選択をしないといけない。助けられる命と助けられない命が天秤に多く乗るだろう。でも今此処で動けるのは俺達しかいない。そのチャンスをくれたのは紛れもないスレ主さんだよ。

 

511:何処かの龍さん

じゃあ、みんな共犯か

 

514:何処かの吸血鬼さん

>>511

黙して戦う事を選んだもの達ですか

 

516:何処かの名無しさん

>>511

みんな共犯、確かにその通り

 

519:何処かの名無しさん

>>511

皆で背負って行こう

 

521:何処かのスレ主さん

ありがとう

 

522:何処かの名無しさん

湿っぽくなっちゃったな

 

524:何処かの名無しさん

元気だして作戦会議続けようぜ!

 

526:何処かの名無しさん

今思ったんだけど勝利条件

満たす為の作戦何一つ話し合ってなくね?

 

529:何処かの名無しさん

>>526

ホンマや!!!

戦力の話しかしてねぇ!!

 

531:何処かの名無しさん

つまり何をするにも戦力ないと無理

 

534:何処かの龍さん

分家さん、コンビニ店員との会合へついでに行って良い?高専には着いて行かないけど私の術式がどんな感じなのか見て欲しい

 

535:何処かの名無しさん

龍さん…

 

538:何処かの吸血鬼さん

あっ私も鑑定して欲しいです

何か胃潰瘍が急に治ったんですよね…

その日行っても良いですか?

 

539:何処かの名無しさん

吸血鬼現状纏めるおじさんも術式あんの!?

あと胃潰瘍だったんだ!?

 

542:何処かのスレ主さん

え!俺も行きたい!有給で何とかするわ

 

545:何処かの名無しさん

なになに??コテハン大集合する感じ??

 

546:何処かの名無しさん

術式わいも持って…そもそも呪霊見えねぇ!

 

547:何処かの名無しさん

術式って何か自覚とか出来たりする感じ?

 

549:何処かの分家さん

>>534>>538>>542

一気に来たなwwあと吸血鬼もかwww

おーけー、任せろ。なら時間帯は高専行った後の方が良さげだな。連絡はTwitter通してやるからよろしく。纏めてDM招待するわ。

>>547

基本的に何らかの自覚があるのが通説。

何も無さげならほぼないので潔く諦めろ。

 

552:何処かのフレンズさん

めちゃくちゃ行きたいですが張り込みしないと何時来るか分からないので、埼玉からキャンプしながら見守ってますね。

 

554:何処かの名無しさん

フレンズさんはもうリモートで参戦しな

 

556:何処かの名無しさん

リモート会議とか時代先取りじゃん!

 

559:何処かの名無しさん

リモートなら参戦したいけど

人多すぎてもグダりそうだから止めとくわ

 

561:何処かのスレ主さん

リモート会議良さそうだけど人多いと話大変だもんね…取り敢えず他のコテハンが良いのならフレンズさんだけでもリモート参戦させたい。あと話した内容とかはちゃんとスレに報告するぜ!

 

562:何処かの名無しさん

ついにコテハン組が

ほぼ全員現実で会うのか

 

563:何処かの名無しさん

ついに(スレ立てから3日後)

 

564:何処かの分家さん

>>561

リモート参戦フレンズさんね、良いと思う。

取り敢えずコテハン組全員DM招待したからそこで話し合おう。スレでは勝利条件を加味しつつ今後の原作の流れをどうするか考えようぜ。

 

565:何処かの名無しさん

原作の流れか…えーとどんな内容だっけ?

細かいところは覚えてないや

 

568:何処かの名無しさん

うーん、日付とか意識したことなかった

10月上旬:一年ズvsお兄ちゃんズ

上旬?:内通者の話

上旬?:一年ズ何か任務

10/19:メカ○と手の人

10/31:渋谷事変

 

570:何処かの名無しさん

小説版もあったよな?

 

571:何処かの名無しさん

流石にそこまで記憶ないぞ

 

573:何処かの名無しさん

>>568

大体こんな感じと思われ…

と言うかメカ○どうする!?

どうしたら良いの!?!!

 

574:何処かの名無しさん

メカ○…本当にどうしたらいいんだ

場所分からないし、かと言って事前にどうこうしようとしても内通者として活動してるから厳しい。縛りもあるから不味い

 

576:何処かの名無しさん

今の段階ではどうにかする術はないと思う

俺らの持ち得る手段では無理だ

 

579:何処かの吸血鬼さん

皆さん今は実現が困難な事より可能な事から攻めましょう。例えば皆さんの記憶を頼りに渋谷事変での各自行動ルートや破壊箇所などをマップとして出したりしませんか?

 

580:何処かの名無しさん

>>579

今出来る事か…おっし任せろ!

 

583:何処かの名無しさん

そうだね、Google先生と共同で頑張るわ

 

584:何処かの名無しさん

待ってもう12時越えてるじゃん

 

587:何処かのスレ主さん

みんなごめん俺力尽きそう

明日の夜に浮上するわ

なので一旦会議は御開きで…

全然話し合えなくてまじでごめん

 

588:何処かの名無しさん

>>587

スレ主さんお疲れ様…もうゆっくり休んで

 

589:何処かの名無しさん

>>587

そう言えばスレ主術式使ってたよな?

実はめちゃくちゃ疲れてたんじゃ…

あとは残った面子で地図作っとくわ

ともかくお疲れ様

 

592:何処かの名無しさん

>>587

よくよく考えたら1日でかなり話したと思うよ

今後の事は明日考えようぜ!乙~!

 

593:何処かの名無しさん

じゃあ居残り組で渋谷事変の

タイムスケジュールとか地図作成やるぞー!

みんな覚えてること纏めて出してけ

 

596:何処かの名無しさん

あいよー

 

597:何処かの名無しさん

明日の夜には地図完成させたいね

 

598:何処かの名無しさん

書き出してくるわ

 

600:何処かの名無しさん

唸れ俺の記憶力…!!

 

 

 

 

 

 

 

 

俺はスレ主として本当にこのスレを立てて良かったのだろうか。1日目にして後悔し始めている自分が居た。ひたすらどうにかしないといけないと思ってスレを立ててみたが結果的にそれは皆を巻き込む事に繋がってたなんて必死すぎて気が付かなかったんだ。皆が…仲間が居ればどうにかなるかもしれないと思っての行動だったけどこの世界は随分厳しい。そうだよな、そうだよ。俺や皆は当たり前のように普通の暮らしを送ってきた人間だったんだ。皆が居たとしても一部は変えられるかもしれないけどそれでも誰かは死んでしまう。そしてそれを俺や皆は知ってる上で見殺しにしてしまう。それだけじゃない。巻き込んだことで危険な目にも合わせてしまう。

 

皆…みんなを共犯者に仕立て上げたのは他ならぬ俺である。俺が皆の記憶を思い出させた。俺がどうにかしたいと言った。だから皆はどうにかしてくれようと頑張っている。勿論彼等にも彼等なりの事情があって動いてくれているとは思うけど、それでも切っ掛けは俺だ。

 

 

「…むずかしいなぁ」

 

 

むずかしい…とても難しい問題だと思った。きっと俺がスレを立てなければ彼等は何も知らずに生きてただろう。そして俺はスレを立てなければ何も行動しようとしなかったかもしれない。それこそこの記憶を妄想だと思い込んで蓋をして見なかった事にしていたかも。そしたら渋谷事変はそのまま起きてスレに居た皆や俺は呆気なく死んでた可能性があっただろうか。いやもしかしたらそんなことは起きなくて普通の日常が続いてた事もあるかもしれない。

 

if、もしもが頭をたくさん過る。まだ思い出して1日目だと言うのに様々な考えが巡って情緒がぐちゃぐちゃになってきた。

 

 

「あーー!!!寝よう、今日はもう寝る!」

 

 

術式を使った影響なのかそれとも記憶を思い出した影響か、身体の節々が酷く重い。頭は痛いしめちゃくちゃ疲れたし正直しんどい。これで明日も仕事かー!有給申請するためにも会社には行かないと…あぁ辛いなぁ。一人暮らしってこう言う時とても心細い。でも家族にもこんな話相談できないからどのみち駄目か。

 

 

 

 

──遠い昔、昔と言うか前世かな。支部やハーメルンで見たオリキャラが主人公の2次創作を思い出した。そこで原作を変えようとした主人公達はどう言った気持ちだったのだろうか。彼等は全てを承知の上で命の選択をしていたのかな。誰を生かし誰を見殺しにするか。自分の命を懸けて戦ってそれで…それで彼等は幸せになれたんだっけ?もうそこまで思い出せない。

 

俺がどうするべきなのか、いやそれはもう決まってる。あとはどう行動しどう割り切れるか。

 

 

「イカれてる方が良いってそう言うことか…」

 

 

そうか、そう言うことか。呪術師もこう言う風な気持ちなのかもしれない。呪霊と言う死を呼ぶ存在を知っている彼等。目に見えて人を殺そうとする存在。それらを犠牲覚悟で殺さなければならない呪術師は早々に割り切れなければ到底続けるのは無理だろう。善人や常識人であるほどそれは酷く心に亀裂が走るはずだ。命を選べるほどイカれていなければやっていけない。

 

…。

 

 

「ダメだ余計寝れない考えしてる。一旦リセット!アマプラでポプテ1話見て寝ようそうしよう。クソアニメで癒されて寝る!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スレ主が情緒不安定な状態でまさかのポプテピピックを視聴することによって癒されている一方、とある家ではプレゼンが開かれていた。

 

 

 

 

 

「山じい、今から俺の飲食店で働いた際の利点を話していく。分からない用語があったら直ぐ聞いてね」

「なんでわしが働かないといけないのだ」

 

 

そこは埼玉県某所のフレンズ家である。フレンズの実家ではあるもののフレンズの両親は北海道に憧れて夫婦仲良く引っ越していた。そして残った実家はフレンズが管理しており、どんなにフレンズが実家で奇行をしようが問題ない。そう、呪霊相手に就職説明会を開こうが何しようが誰も気に止めない。

 

 

「そもそもな、主とは確かに飯友ではある。飯友ではあるが主の命令には従わんぞ?」

「おう、それは当然だ。友達に命令はしない。だからこれは俺が店長として優秀な人材…呪霊人材?を勧誘してるだけに過ぎない」

 

 

フレンズはスレ民からイカれていると評されていた。その評価はとても正しい。彼は一夜にして呪霊と飯友とか言う訳の分からない関係性になっただけでなく今度は自身が開業する予定の飲食店でその呪霊を雇おうとしているのだ。全く持って意味が分からない。恐らくそんなことを考えたのも実践しようとしているのもフレンズが世界初ではないかと言う程度にはイカれていた。

 

フレンズはとても真剣だった。そして物凄く真面目に呪霊をスカウトしている。店のオーナー店長としてしっかりと雇用契約書も机に用意してある周到さ。どうやら給料や休暇なども人間同様で扱う予定らしい。間違いなく呪術師とは別方向でイカれている。

 

 

「まず俺の所で働くと毎日賄い飯が付く」

「ほぉう…それだけか?」

「いや、まだまだ利点はあるよ」

 

 

フレンズは今、ビジネスをしていた。それと同時にクソスレで話していた天狗の仕業作戦の為の説得だったりもする。何故スカウトが作戦の為の説得になるのかは今のところ不明だ。

 

 

「給料、休暇も勿論あるし働く際の服装は自由だ。さらに今なら家賃無料で我が家に住める。あと従業員、今は俺だけだから物凄く自由に働ける楽しい職場でもある」

「主は阿呆か?呪霊に給料や休暇、住みかなど関係無いであろう。しかも本気で働けると思っておるのか?」

 

 

呪霊──烏天狗の姿をした嗄れ声の山じいは、心底呆れたような顔付きでフレンズに語りかける。山じいの言ったことはもっともだ。呪霊に金銭や休日が必要か?普通に考えて要らない。そもそも多くの者に呪霊は見えない。金銭なんて盗み放題だし、毎日が休日みたいなものだ。それに住みかだってその辺に勝手に住めば家賃は無料である。と言うか目に見えない呪霊が従業員とかどんなホラーレストランだろうか。

 

 

「山じい分かってないな…山じいさ、料理美味しかった?」

「分かってないのは主だろう?しかし料理は大変美味であった」

「なんで美味しかったと思う?」

 

 

フレンズは問い掛けた。何故深夜のミートパイが美味であったかを…意図が分からず山じいは困惑したがかなり真剣に訪ねてきたので真面目に考える。あれはとても美味であった。封印される以前も彼処まで美味なものは食べたことがなかったはずだ。

 

 

「単純に主の料理が巧みなだけか、素材自体が良いものを使っていたのではないか?」

「それもあるけど、そこだけじゃないよ」

「ぬぅ…」

 

 

山じいは腕を組んで唸る。料理が美味しかった理由がそこまで重要な事なのか?フレンズは料理人であるからその道の専門家としての意識が強いだけではなかろうか。山じいには、これ以上よく分からなかった。フレンズはそれを見て強かな声で語り出す。

 

 

「俺が思うに、"価値"こそがこの世を統べる総評ではないかと考えてる」

「それが料理とどう関係するのだ?」

 

「"価値"はありとあらゆるものに付属する。例えば俺が使っている包丁やこの机にもある。それだけじゃなく山じいにも俺にも価値は存在しているし、言ってしまえばこの世に存在する有機物、無機物そして目には見えない存在等も含めて全てに価値があるんだ。さらに価値は主観や客観で大きく変わる。代わりのあるものから代わりがないものまで価値によって様々なものがこの世を往き来している」

「…主は何が言いたいのだ」

 

「俺と山じいの料理にも価値があるって事。あのミートパイ、俺と山じいが時間をかけて特別に作った料理だったんだよ。それだけでかなり素敵じゃないかな。俺は山じいと料理出来て楽しかったし一緒にご飯を食べれて楽しかったよ。山じいは違った?」

「む、まぁ主との宴は楽しくはあったがのう。しかしそこから何故呪霊を雇う話になったのか分からぬ」

 

「え、まだ分からないんです?」

「わしを馬鹿にしとるのか?…いや、一日の付き合いで主はそんなことを出来る頭をしておらんと分かっておる。分かっておるからそんなあからさまな傷付いた顔をするな」

 

「"価値あるもの"は総じてその人にとって入手難易度が割りと高めだったり時間をかけて手に入れていたりするものだ。呪霊には確かに無銭飲食とか不法占拠は可能だろう。でもそれをやって本当にそれらに"価値"を見出だせるか?簡単に手に入るものへ喜びを感じ取れるのか?なぁ、呪術には縛りってものがあるだろう。縛りは制限すればする程強力な効果がある。これってそう言うことだろ」

 

 

山じいは何かに気付いたようにハッとする。縛りをすればする程それだけ強力なリターンが来る。それは呪術に置いて常識だ。そして、それは普通の世界に置いても同様な事が言える。劇的とは言えなくとも確実に存在するその効果。縛ることで価値を上げるその行為。知らず知らずに人類がやってきたことだ。

 

 

「一丁俺と人生縛りプレイ、もとい呪霊生縛りプレイしてみない?一緒にこの世のまだ見ぬ価値を知っていこうよ!」

 

 

自信満々のその表情、その目は既にまだ見ぬ価値へ向けられていた。さながら探求者とも言える。人間とはこうも夢に満ち溢れているものであったか。山じいは思案する。この人間とは飯友ではある。そうであるが殺さないとは確約していない。故にこの希望に溢れた表情を絶望に変えて殺すのもまた一興である。

 

 

──しかし、憧れてしまった。その者がこうも語る"まだ見ぬ価値"とやら…焦がれ惹かれる。これまでしてきた殺戮と悪逆無道の数々。それらを昔のように続けるのも確かに愉しかろう。だが、それらを続けるだけでは決して出逢えぬ数多の"価値"。嗚呼何とも魅力的ではないか…!!

 

 

「カカッ…カカカカッ!!!」

「うゎ…山じい鳴いた。近所迷惑、いや呪霊だしセーフか」

 

 

山じいは笑いが止まらなかった。こんなにも心の底から笑ったのは何時ぶりだろうか。いや、そもそも嘲笑以外でここまで笑ったことはなかったかもしれない。この目の前の『凄い烏じゃん』と言い放つ男が何とも愉快すぎる。

 

 

「えぇい!これは鳴き声ではない!笑い声だ。まぁ良かろう。主の提案、誠に面白い」

「え!働いてくれるの!!」

「その"価値"とやらを知るためなら、ある程度は耐えてやろう。その前に一つ聞いて良いか?」

 

 

これまで出逢った人間や呪霊にもこんなことを言う奴は居なかった。大体が殺すか殺されるかになる。この男も最初はそうだった。それなのにこいつは何を思ったのか、共に飯を作りそれを囲んだ。

 

 

「先程のぷれいとは何だ?」

「あっそこね」

 

 

山じいは深夜の出来事を思い出す。

己が数百年振りに目が覚めたその時の出来事を。

 

 

…深夜に作ったミートパイの美味しさを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回!

フレンズと山じいの出逢い

+雇用契約編…始まると良いな!

 

 

 

─────────────────────────

 

 

「皆さんごきげんよう、

私は吸血鬼現状を纏めるおじさん」

「吸血鬼現状を纏めるおじさん!?」

「では今回の登場人物を纏めていこう!」

 

○今回の登場人物

 

・スレ主

本日だけで何回SAN値チェックしてるか分からない人。クソスレ術式を通して転生者の記憶を呼び覚ましたと言うことは、『多くのものが死ぬと言う未来を知ってしまった責任』を各々の転生者に振り掛けたことになる。自身の事で精一杯だったけどクソスレで議論された"命の選択"の話で責任感や罪悪感を実感してきた。渋谷で巻き込まれる人々に対しても冷静に考えたら自分等の我が儘で生死が別れると言う事実。それに加え、記憶を思い出した影響や術式の行使で心身共に疲れはてていてめちゃくちゃ弱ってる。

 

 

・フレンズ

何故か覚悟が決まっている人。今回壊相と血塗を八十八橋で勧誘するべく『天狗の仕業作戦』を提案し、実行するために即行動し始めた行動力の化身。命の選択をしなければいけない事を理解した上で作戦を提案してた。彼自身の考え方は独特で"まだ見ぬ価値"を探し求め冒険する事が自身の行動原理。その価値を探すメインの手段が料理だった。まさしくクレイジージャーニー。前世は世界を飛び回る料理人(狂人)。

山じいに殺される可能性も視野に入れているけど、リスクを犯さないとリターンは無いので博打しているやべぇ人。

 

 

・山じい

烏天狗の呪霊。見た目もしっかりと烏天狗で笑い声も烏してる。何故フレンズと飯友になったのかはまだ不明だが一日過ごすだけでフレンズの狂人レベルを感じ取った。所謂おもしれぇー男判定をフレンズにしている。フレンズが真剣に語る"まだ見ぬ価値"に心が惹かれた。自らを縛らなければ出逢えない可能性達。それを想像したら憧れが止まらない!狂人に魅せられて就職先が決まりそう。

 

・他コテハン組とスレ民達

"命の選択"について、覚悟が決まっている人や決まってない人各々居るけどスレ主さんには皆感謝している。知らないまま死ぬより、知って何とか守れるものだけ守ろうって考え。それが例え地獄への道であろうがこの日常が守れるなら一肌脱ごうじゃないか。全員が共犯であり、知らなかったじゃもう済まされない程度には責任を感じている。

あとコテハン組は10/3に全員集合することになった(フレンズさんはリモート参加)。




知ってるって事は責任が伴う事にもなる。
そこに罪悪感を感じるか否かは人それぞれ。
割り切れるかどうかも人それぞれ。

知らないまま死ぬのと
知ってそれを背負い続ける。
どちらの地獄が良いのかどうなんだろうね。

フレンズさん…?彼は狂人です。


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8.契約(挿絵追加)

前回同様、原作軸なのに全く原作に掠りません。何故なら原作場面に遭遇すればする程、原作が進行してあっという間に渋谷事変へ突入してしまうからです。

可笑しいな…原作へガンガン突っ込もうぜ方針なのに原作が遠い。作者は一体何を書いているのだろうか。今回はマジで誰得状態。


【前回までのあらすじ】

"命の選択"を我が儘で行うと自覚をしたスレ民達は全員共犯となった。そして10/3に分家とコンビニ店員が高専説明会へ行った後にコテハン組全員(フレンズはリモート参戦)が現実で会うことに。一方フレンズは壊相と血塗を拐って勧誘すると言うファンキーな『天狗の仕業作戦』を実行するため山じいとあだ名を付けた烏天狗の呪霊を自身の飲食店の従業員として誘ったのであった。山じいはその誘いを承諾しながらイカれたフレンズとの初対面を思い出していく…。

 

 

 

 

 

時刻は10/1(月)深夜まで遡る。丁度スレ主によってクソスレが立てられた時刻だ。次々と前世の記憶を思い出して様々なアクシデントに見舞われているスレ民(転生者)。所謂深夜の発狂タイムであり、当然フレンズも発狂しているかに思われた。

 

だが、この男は発狂していなかった。寧ろ納得すらしていのだ。己の中で何故か眠っていた知らない経験や知らない技術。前世を思い出すことでこれらの出所を知ってとてもすっきりな気分とも言える。前世の自分なら信頼出来るなと本人的に今後も活用出来そうでにっこり。

 

やはりこの男は既に狂気の向こう側に行ってしまっている人間。切り替えが速いとかそう言う次元ではない。己に眠る経験や技術が確かなものなのか、それに対して重きを置いている。

 

 

勿論、フレンズは呪術廻戦と言う原作を知っているし読んでいた。原作が大変な事になることも知っている。それをどうにかしなければ今後の日本がヤバいことも把握済みだ。その事を考えてもフレンズは特に動揺しなかった。

 

 

だって前の世界…自身が生きていた時代だって絶妙な均衡の上で偶々国を滅ぼす戦争が日本へ訪れていないだけで何処かでは国が疲弊する程の争いがあった。そしてフレンズ自体もそう言った地域へ訪れた経験や未開拓の地で襲われたことも麻薬や鉱石を巡った争いにも巻き込まれたことがある。

 

 

フレンズにとって死は身近な存在だった。未知なる"価値"を知るためにはそう言った場所に赴かなければならない時もある。例えるなら死の危険がある険しい山頂へ登り見ることが出来る風景。その人にとってそれは美しく気高い価値となるのだろう。そう言うものをフレンズは前世から探し求め旅をし続けてきた。

 

 

では今世の未知なる価値とは何か?

今一番求め焦がれる価値とは何か?

 

 

それは転生者(読者)が知らない未来、もしもの結末と言う類稀な価値。それをフレンズは是非とも見てみたいし知りたいしこの手にしたい!

そう言った狂気とも言える欲望を持ってフレンズはスレ民達が前世の記憶を思い出して騒いでる間、世界を変え命を選びそれを背負う覚悟を決め込んだ。控え目に言ってどうかしている。

 

 

そうして覚悟を決めたフレンズはふと背後に気配を感じて後ろを振り返ったのだ。

 

 

「おっと…うーんこれは報告」

 

 

 

 

 

 

 

 

夢を見る。

気付けば山頂へ立っていた。

 

夢を見る。

僧侶が話し掛けてきた。

 

夢を見る。

僧侶が食べ物をくれた。

 

夢を見る。

僧侶の寺が燃やされた。

 

夢を見る。

…醜い人間を見た。

 

夢を見る。

村を燃やし人間達の悲鳴が聞こえた。

 

夢を見る。

童らを拐い惨たらしく殺した。

 

夢を見る。

都を襲い平民貴族関係無く虐殺した。

 

夢を見る。

住みかにしていた山へ呪術師どもが来た。

 

夢を見る。

血潮と臓物が辺りへ散らばった。

 

夢を見る。

僧侶が封印した。

 

 

 

 

『烏、ほらお食べなされ』

 

 

 

 

 

夢を見た。

何処かの屋敷を彷徨う。

 

夢を見た。

誰かが此方を見る。

 

 

ゆめが…。

主は…主は、何故だ、何故裏切った?わしを殺そうとしたのか?あの人間等と共に結託しわしを…!主もやはり人間だ。人間とは醜い生き物だ。殺しておけば良かった。惨たらしく臓物を引きずり出し竹にでも突き刺しておけば良かったのだ!恨めしい恨めしい恨めしい!!!

 

 

 

 

夢が醒めた。

男が…あの僧侶に似た男が此方を見ている。

 

 

 

 

「嗚呼、今此処で惨殺してやろう」

 

 

迷いなく男の腹を掻っ切る為、鋭く尖った爪で襲い掛かる。漸くあの忌々しい封印から目が覚めたのだ。この男の臓物で宴でも開こうか。

 

だが、伸ばした爪は男の素早い動きで避けられた。その早さはまるで獣のようだ。呪力を身体に込めた様子はなかった。つまり、これは男の素の力と言う事。こいつ、まさか天与呪縛か?いや、それよりも思ったより身体が動かぬ。封印が解けきっていないだけではない!己自体が弱体化している。何たることか!

 

 

「嗚呼、憎し…わしの前からぁ!?」

 

 

男は一片の躊躇なく烏天狗の顔面を右ストレートで殴った。素早いかつ重心を込めた一撃は烏天狗をフレンズ達が居た六畳の和室から障子を突き破り、更には庭へと続くガラス張りの引き戸へ叩き付けた。引き戸は防弾ガラスだった為ギリギリ粉砕することは無かったがあと一発でも衝撃を加えれば脆く壊れ逝くことだろう。

 

 

「あ、ごめん。反射で殴った」

「…去ねっ!」

 

 

烏天狗はその場から滑空するようにフレンズの元へ殴り掛かる。その風圧で障子は吹き飛び、花瓶は倒れ、部屋に置かれていた小物は大体何処かへ転がっていく。そしてその勢いのまま烏天狗は突っ込んでいき、今度はフレンズが障子を突き破り庭とは反対側の中廊下を挟んだ居間へ吹っ飛ばされる。

 

 

激しい騒音が響き渡るが此処は埼玉のど田舎。辺りは大体自然豊かな山や田畑に囲まれ、お隣さんがめちゃくちゃ遠い。更に言えば秋に差し掛かり虫達が全力で騒いでる。騒音と騒音が相殺し合いご近所さん(めちゃくちゃ遠い)に気付かれなかった。不幸中の幸いと言える。

 

 

一方居間へ吹き飛ばされたフレンズは思いっきり畳に叩き付けられていた。だが、瞬時に身を起こし、上へのし掛かっていた烏天狗の首根っこを片手で掴み位置を取り替える。烏天狗は咄嗟に首を掴むフレンズの腕を両手で剥がそうとするが剥がれない。烏天狗の爪は腕の肉へ食い込み流血しているが、しかしそれでもフレンズは離さない。

 

フレンズは叩きかける様に再び右で烏天狗の顔面を殴り付ける。ゴッと言う鈍い音が殴る度に辺りへ響き烏天狗は血反吐を吐く。フレンズの右手は烏天狗の血潮で黒々く染まり、その場の凄絶さを物語っていた。

 

だが、烏天狗もやられっぱなしではない。

 

 

フレンズの身体で抑え込まれていた脚を絡み付け、その脚にある鉤爪でフレンズの足を裂いた。肉を剥ぎ取る勢いで繰り出された鉤爪での攻撃であったがフレンズの肉を削ぐ事はなく流血だけに留まる。けれど、その痛みで烏天狗を押さえ付ける力が一瞬弱まりその隙に烏天狗はフレンズを蹴飛ばし拘束から逃げた。

 

 

そして瞬時、お互いに距離を取る。

 

 

「汝、やはり天与呪縛か」

「やっぱそう?俺も今そうかなって思った。初戦闘これって面白いよね」

 

「…は?」

 

 

フレンズの発言によって

居間へ奇妙な空気が流れ始めた。

 

 

「おい、今自覚したと言う事か?それだけではなく呪霊と戦った事が無い等とふざけた事を言うでないぞ」

「え?そもそも呪霊見たの初めてだけど」

 

「…は?」

 

 

烏天狗には意味が分からなかった。この男の言い分が正しければ、呪霊を見たのは今日が初めて。つまりは呪霊との戦闘経験全く無し。それなのに何故か即反応してきて殴り合ったと言うことである。この男、何なんだ?怒りに燃えていた思考が冷や水を掛けられたように冷静へなっていく。そして今になって思う、あの坊主に似たこの男は何者なのか。

 

 

「…汝のその意味が分からぬ発言は一先ず置いておく。それよりも汝はわしを封印した者の末裔か?」

「封印?えっと見た目的に烏天狗か…あ、もしかしてあれかな。我が家に伝わる烏坊の話。うーん、現状確認のためにも一旦休戦しようぜ。取り敢えずこの居間にいる間は互いに傷付けない殺し合わないって事で」

 

 

烏天狗はこの男の態度に酷く屈辱的な気分へ陥ったが、情報を手に入れるため仕方がなく承諾した。利用した後、すぐさま殺せば良いのだ。

 

 

 

こうして深夜に座卓を囲んで呪霊と話し合うフレンズの構図が出来上がった。先程まで殺し合いが行われていたが互いに礼儀正しく座蒲団へ座り込んでいる。飲み物は休戦地帯の隣にあるダイニングへ行かなければ無いので座卓の上には煎餅だけが置かれていた。

 

フレンズはまずティッシュで血を拭き取った。ついさっき傷つけられた手足は既に血が止まっておりそこまで重症ではない(フレンズの独断)。見た目的にはだいぶ痛々しいので明日ご近所さんと会えばかなり騒がれることだろう。ちなみに烏天狗は血を拭き取る様子を引き気味に見ていた。

 

 

その後フレンズは居間の端に置かれた御仏壇の引き出しから幾つか古びた巻物や書物を取り出す。これ等にはフレンズ家へ代々伝わる逸話や慣わしが書かれており、現在北海道へ移住した両親から家を継いでいるフレンズも当然のごとく内容を把握していた。

 

 

 

 

 

その中に『烏坊主』と言う話がある。

 

 

〈平安時代の頃、楓山と言う場所に霊験あらたかなとある坊主が住んでいた。その坊主が修行の為鞍馬山へ訪れた際、山頂で一羽の烏の雛と出会った。飛びもせず地べたを歩く烏の雛に憐れみを持った坊主は話し掛ける。

 

『烏、どうした?主の親御は居らんのか?』

 

烏の雛は鳴きもせず翼をはためかせるだけ。坊主はその様子に見棄てられたのかと思い、烏の雛を寺へ持ち帰る事にした。それから暫く坊主は烏の雛を養護した。しかしある日、貧しさに耐えかねた麓の村人達が坊主の留守を狙って寺へ盗みに入る。だが金目のものが少なく、烏の雛が鳴いてるだけ。それに怒った村人達は寺へ火を点けた。

 

その後村人達に災いが起こる。数日の間に村で大火災が発生したのだ。村人達は烏を飼っていたあの坊主の祟りだと恐れをなした。更にその災いは辺りの村々へ広がっていく。近辺の山で遊んでいた童子らが神隠しに合うようになったと言うのだ。

 

その噂は烏坊主として都まで行き届いた。そして噂が蔓延る最中、都で暮らす平民が坊主の格好をした烏に襲われた。それを切っ掛けに平民貴族関係無く皆同様に烏へ襲われ惨殺されたと言う。事態を重く見た宮中に仕える陰陽師達は噂の元となった山へ赴いた。すると、そこには一羽の烏天狗が居り人々の血肉を啜っていた。

 

そして烏天狗は陰陽師達に襲い掛かりあっという間に皆殺しにしてしまう。その報せを聞いた宮中の人間は烏天狗を恐れ、これを退治出来る者は居ないかと人々に呼び掛けた。そこへ一人の坊主が手を上げ私が退治してみせましょうと言った。坊主はたった一人で烏天狗が住まう山へ行くとその手に持つ錫杖に烏天狗を封印したのだ。そしてその錫杖を麓の村人に祀るよう言葉を残すと何処かへと去っていった。〉

 

 

 

 

 

その錫杖は祀られていた村が無くなったり、戦火や盗難で巡りに巡ってフレンズ家の倉へ眠っている。この伝承はフレンズ家の何代か前の者が各地へ聞き取り調査や古書を読み漁って新たに纏められたものだ。故に信憑性は不明瞭。しかしフレンズ家の者はこう言う不思議なものが大好きだったので、錫杖は埃無く大切に仕舞われている。

 

 

「この伝承の烏坊主ってもしかして貴方だったりします?」

「…そう伝わっておるのか」

 

 

烏天狗は形容しがたい顔付きで呟く。何処か怒りを抱いたような懐かしさを感じたような…何とも言えない感情が言葉に込められている。

 

 

「始めに言っておくがわしは烏坊主と言う名ではない。わしは鞍馬山より生まれた楓来焔靖坊(ふうらいえんせいぼう)と言う名の烏天狗だ。そして災いの数々はあの坊主ではなく、全てわしがやったもの。わしの正体は烏坊主ではなくそれに飼われていた烏の雛だ。それを坊主のせいにするとは人間は誠に愚かな存在であるな。もっと殺しておくべきだった」

「うわぁ…村人達の自業自得感凄いや。あと、とても気になってたんだけど烏を飼っていたお坊さんは何処へ行った?」

 

 

烏天狗は忌々しいものを思い出したかのように顔を歪ませた。心なしか烏天狗の全身に生えている羽毛が逆立っている。

 

 

「あの坊主がわしを封印した。あれはわしを裏切り、このわしを殺そうとしたのだ。人間なぞろくでもない!」

「そうなのか?」

「そうに決まっておる。わしを退治すれば宮中から賞金が貰えたであろうな。…おい汝、いきなり煎餅を食らうとはどういう了見だ。話の途中であろう」

 

 

フレンズは烏天狗の話を真剣に聞いていたもののめちゃくちゃお腹が空いていたので普通に煎餅を食べた。パリパリと軽快な音を響かせている。

 

何故煎餅を食べ始めたのか。それはフレンズが夜0時頃に帰宅、そこから家事や風呂の準備を終え少しの休憩中にそのままスレ主による転生者ホイホイなクソスレへ引き寄せられたのだ。つまりまだ夜ご飯を食べてない。

 

 

「本当に失礼だとは思っている。でもどうしてもお腹が空いてね。俺は此処の家主だし茶請けとして煎餅置いてたから良いかなって。まぁ肝心のお茶ないけども。あ、この煎餅近所の長谷川さん家の商品なんだけど美味しいよ。お米の甘味が優しくて舌触り抜群。はい、おすすめ」

「先程まで殺し合いをしておったのに呑気過ぎではないか?」

「ほら、腹が減っては戦ができぬ的なやつ。正直煎餅だけじゃ足りない。そして喉渇いた。提案なんだけど休戦地帯、直ぐ隣の台所まで伸ばして良い?ご飯の後しっかり情報提供するからさ」

「ぬぅ…勝手にせい」

 

 

場は居間の隣にある台所へと移る。プロの料理人と言えるフレンズの台所(戦場)は、この屋敷の古めかしい風貌と打って変わって最新設備を整えたモダンシックな美しいカウンターキッチンが出迎えてくれる。また整頓された調味料が戸棚へお洒落に飾り付けられているだけでなくワインセラーも当然のように存在した。更にカウンターキッチンの後ろには業務用と思われる冷蔵庫が鎮座。最早此処で飲食店開けるレベルである。実際のところ不定期でちょっとした古民家カフェをやってたりもしてた。

 

 

「お茶出すから天狗さんはそこに座ってて。この狭山茶、丁度今日貰ってきたんだ。そんで今からミートパイ作るけど食べる?」

「人間の食い物など食べるわけなかろう。何が入っているのか分かったものではない。それにみーとぱいとはなんだ?」

「天狗さん、なら一緒に料理しよう」

「汝は何を言っておるんだ…?」

 

 

フレンズは意気揚々と烏天狗をキッチンへ案内しエプロンを投げ渡す。本人もエプロンを装着し颯爽と手を洗い出している。幸いなことに流血したのは腕と足首だけだったので雑菌とかは問題なかった。一方烏天狗は渡されたエプロンを持って呆然としている。この男は何がしたいのか?これは何かの罠なのか?そういった具合に意味が分からなかった。

 

そこへフレンズがエプロンの付け方はこんな風にするよと言った感じに烏天狗へ話し掛けたがそれでも烏天狗は動揺で固まっていた。

 

困ったフレンズは仕方がなく烏天狗を煽った。

 

 

「今時の幼子でもミートパイ作れるんだぜ。このままだと天狗さんは幼子以下」

「あ"?みーとぱいくらい作れるわ!」

 

 

Let's cook!

 

 

 

 

以下ダイジェストcooking。

 

「天狗さん手の雑菌とか大丈夫?鳥類の爪とか凄く汚そうなんだけど。まって俺の傷口消毒してないわ」

「わしは汚くない!」

 

 

「大丈夫?包丁使える?人参ごと手を切らないようにね」

「包丁くらい扱える。汝はさっさと他の準備をせい!」

 

 

「赤ワインやブイヨンで炒めま~す」

「む、嗅いだ事のない香ばしい匂い」

 

 

「卵割れる?粉砕しない様に気をつけて」

「ぬぅ、力の入れ加減が難しいの」

 

 

「こんな感じに具材の上へ網掛けしながらパイ生地を乗せる」

「中々興味深い模様であるな」

 

 

「卵黄を生地へつけて艶出し」

「これをつけるとそこまで色が変わるのか?」

 

 

「オーブンで30分!」

「今更だが竈ではないのだな」

 

 

「折角だから待ち時間にスープ作ろうか」

「すーぷとはなんだ?」

 

 

「10月だしかぼちゃスープで!」

「見たことない野菜だ」

 

 

「あはは!!え?かぼちゃ片手で粉砕とかマジ?俺も出来るけどヤバイわ」

「笑い事ではない、南瓜が弾け飛んでおる!」

 

 

「あ、ミートパイ出来た」

「此方も良い煮込み具合だぞ」

 

 

「良い感じだよ天狗さん!」

「ほう…これはこれは」

 

 

 

そして座卓がある居間でミートパイと南瓜スープの宴が開かれた。もちろん酒もある。ただしフレンズさんは流石に呪霊相手へ酒を飲むのは色々と不味いのでジュースにしている。

 

料理が出来上がり席に着いた頃には烏天狗の殺意はかなり削がれていた。削がれざるを得ないと言うべきか。

烏天狗はずっとフレンズを観察していた。だが怪しい動きもなければ術式を使うような真似もしない。他に仲間でもいるのかと思えばそうでもない。そういう訳で警戒するのも馬鹿らしくなってきたのだ。

 

 

「うん、最高に旨い。今が食べ頃だね」

 

「…旨いな」

 

 

烏天狗は今まで食べたことがないとても美味しくて忘れ難い味を噛み締めた。

 

それと同時にあの坊主を思い出す。あれは(呪胎)だった烏天狗へ話し掛け餌をくれた。そしていつの間にか消えて最後は烏天狗を封印し、再び姿を消した。

 

 

「何故あの坊主はわしを封印したのだと思う?」

「さぁね、俺には分からない。俺よりもお坊さんについては余程天狗さんが詳しいだろ」

「そうか…そうか」

 

 

この目の前の男を見ていると人間の事が分からなくなってくる。

 

烏天狗は人間が醜い生き物だと思っていた。あれらは何もせずとも殺し合いをするし、ならばと殺せば、更に喚き散らす。あれらを殺すのは愉快だったが、幾ら殺せど蛆のように湧いて出る人間どもに何処か虚しさすら感じる。

 

そんな人間と飯を共に作り囲うことになるとは俄には信じがたい。

 

 

「天狗さん、俺と飯友にならない?貴方とご飯食べるのとても楽しいわ」

「は?」

 

 

本当に信じがたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時刻は10/2午前1時、現在の時間帯へ戻る。

 

あのフレンズによる『飯友になろう』発言から更に一悶着あったが彼等は不思議と絶妙な綱渡りで和解(?)をした。そこから彼等は一日間、フレンズによる奇行と山じいの平成ドキドキツアーでボケ倒したのである。そして一緒にジャンプを読んだりテレビを見たりクソスレ検証したりまた料理したりと平成ライフを満喫していた。

 

満喫後、フレンズによるプレゼンが唐突に始まったのだ。山じい(和解の印として山じいとあだ名付けられる事を許した烏天狗)はフレンズの奇行に慣れたのでそこまで驚かなかった。その後怒涛の御誘いにより山じいはフレンズの元へ就職することを承諾。

 

 

「はい、これ雇用契約書。隅から隅まで確認していくよ!具体的な仕事内容は今日俺と過ごした作業が本格的になった感じね。給料は埼玉の平均時給より高く付けとく。期待の新人社員第一号おめでとう」

「雇用…要は主従制約みたい解釈であっているか?」

「うーん、呪霊的なあれそれならそうかもしれない。呪霊に法律ないから縛りを便宜上法律として使用するけど」

 

 

山じいは平安生まれのおじいちゃんなので、平成生まれの契約内容をフレンズが代わりに音読しつつ詳細説明をしていく。

 

 

「それで特典として、あと封印解除ね」

「主はやはり阿呆だろ。幾ら承諾したとはいえ気軽にわしの封印解こう等愚行過ぎやせんか。わしにとっては利点になるが確実に力関係がわし優位になるぞ?」

 

 

封印解除──呪霊を寄せ付けない程強力な封印が施されている錫杖。呪霊には封印を解くことは困難だが人間だとある程度力があれば解けるものである。此処にいる山じいは完全にはまだ封印が解けきれていない。故に二級相当まで弱体化しており、術式も使用できない。その為、天与呪縛によるフレンズパワーで何とか出来た。それを解くと言うことは、フレンズではもう山じいを抑えきれなくなる。山じいは呪術最盛期生まれにして実際に当時災いをもたらした烏天狗なのだ。実力的に言えば紛う事なき特級クラスと推定される。

 

 

「その下の米印、仮にこの契約を破った際の罰則項目がある。まず前提として俺を殺しても特に問題はない。オーナー店長足る俺の力不足だったで終わる」

「そこを一番どうかした方が良いと思うが」

「でも俺の知り合いや店のお客さんを害するような真似があれば問答無用で弱体化すると言う縛りをつける。勿論これは俺が山じいを従業員として解雇しない限り続く。言っとくが俺の知り合いは全国各地に点在するから無差別に人を殺すような事をすれば山じい詰むぞ」

 

 

フレンズはわりとえげつない永続トラップを雇用契約書に縛りとして記載していた。山じいはそれを聞いてマジかよと思いつつも此処まで来たなら引き返す事はない。だってこんなおもしれぇ事態今後もう無いかもしれないし。互いに契約へ認知の相違が無いか細かく確認し、時刻が早朝4時を回った所で契約が相成った。

 

 

そして契約が相成った

その5秒後にフレンズは告げる。

 

 

「じゃあ新たな従業員候補(壊相&血塗)を勧誘するために3日から遠征するので山じいの封印解除した後に予定確認ね。取り敢えずもう眠いから昼頃起こして。山じいの寝床は…客室に布団とかあるからそこでよろしく。では、お休み」

「待て待て待て!」

 

 

山じいは此処からオーナー店長であるフレンズの無茶に振り回され続ける事になる。こうして埼玉に眠る特級仮想怨霊:楓来焔靖坊はとある開業予定の飲食店の優秀な従業員:山じいとして新たな道を進むことになったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回、そろそろ原作陣営と接触したい!

東京都立呪術高等専門学校説明会編始まれ!!

 

 

─────────────────────────

 

 

「皆さんごきげんよう、

私は吸血鬼現状を纏めるおじさん」

「吸血鬼現状を纏めるおじさん!?」

「では今回の登場人物を纏めていこう!」

 

○今回の登場人物

 

・フレンズ

実は天与呪縛で性機能が死んでると言う種の保存的な意味合いで失われたものが大きい人。代わりにフィジカルが強く、呪力もある程度持ち合わせている。でも宿儺の指1本分には普通に負けると思われ。今回雇用契約に法律が作用しないので縛りを法律代わりにした。全国に知り合いが多数いるし、世界にも多数いるのでえげつねぇ縛りと化す。呪霊を飲食店の従業員として雇ったやべぇ奴なので正しい意味で破天荒。

初手殺し合いや山じいの殺伐とした過去について『まあいいか!!よろしくなあ!』で済ませた。

 

 

・山じい、もとい楓来焔靖坊(ふうらいえんせいぼう)

(出身的な意味合いだと鞍馬天狗)

フレンズ家に伝わる錫杖に封印されていた烏天狗の呪霊。鞍馬天狗の系統であり、その力を継ぐ者。封印が解けきれて無かったのでフレンズさんにでも殴り飛ばせた。封印解除前は術式も使えなかったし弱体化もしていたので二級相当。封印解除後はしっかり特級仮想怨霊の烏天狗するはず。どの程度強いのかはまだ未知数だがきっと活躍してくれる。人間は醜い蛆みたいなものと思ってたけど、フレンズを見て違う側面に可能性を感じた。呪霊の本能として人間への殺意はあるが、それよりも烏の本能(知的好奇心)が今回上回った感じ。烏坊主に色々と思うところがある。

【挿絵表示】

※山じいのイメージ図

 

 

・雇用契約

一般的な飲食店の雇用契約+α

法律の代わりに縛りを持って契約としている。しっかり機能するか不明だがお互いに呪術的な合意をしているので効果はあるはず。前代未聞過ぎて謎の多い契約書。

 

山じい側のメリットは封印解除、給料、賄い、社宅、未知なる価値(冒険)等々。罰則発動条件は"フレンズの知り合い及び店の客へ害をなす事"。罰則自体は本人の弱体化。つまり暴れれば暴れるほど確率で雑魚になる呪い。雇用主であるフレンズから解雇されない限り縛りは有効のまま。

 

フレンズ側のメリットは料理がわりとできて空も飛べる一般人には見えないおもしれぇー従業員。渋谷事変を乗り越えたら多分アマゾンの奥地とか一緒に連れていくと思う。此方の罰則発動条件は"従業員としての山じいの働きに報酬を提供しない"。罰則自体は契約無効。つまりは報酬を払わないと山じい側の罰則が発動せずフレンズの知り合いとか殺し放題。

 

 

・烏坊主

名を与え烏を可愛がっていた。最期まで後悔し続けた人生。フレンズの祖先かどうかは不明だが、フレンズと似ているらしい。

 

 

 

 




フレンズさんは呪胎九相図を
従業員として雇うつもりらしいです。
怪談レストランでも作るつもりか…?

ちなみに烏天狗の話は作者が無から観測した奴です。どう言った経緯で爆誕したかは活動報告で書いときます。


次回は原作陣営が出てくると良いなぁ。
その前に作者の気合いが死にそう。


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9.東京高専説明会〈前編〉(挿絵追加)

此処まで来るのにかなり時間かかった。
高専行くまで10話も費やすとかヤバい。



【前回までのあらすじ】

フレンズさんと山じい(烏天狗)は深夜に殺し合いをしてミートパイを一緒に作り飯友になった。そして開業予定の飲食店の雇用主と雇用者にもなった。彼等は新たな従業員として壊相と血塗を勧誘するべく鯉ノ口峡谷遠征へ向かうことに。その頃、コンビニ店員と分家さんは東京高専へ訪れ情報収集しに行く予定だが…?

 

 

 

 

 

現在の日時は10/2(火)23:50。

 

この一日間、スレ民達は渋谷事変で起こる事件を纏めた地図と各キャラのタイムスケジュールを書き出していた。また呪霊に対しての対抗手段講座や目撃した呪霊の観察報告、この世界の歴史についての考察など様々な情報が飛び交い立派なコミュニティと化している。もはや此処は一般人や呪術界隈とは別枠の新たな視点を持つ第三者の組織のようなものだ。

 

 

777:何処かの地図作成班さん

おっし、何となく渋谷事変地図(仮)完成!

タイムスケジュールはわりと適当!!

(地図画像)(タイムスケジュール画像)

 

778:何処かの名無しさん

乙~、流石に前世の漫画知識は

此処が限界だろうな

 

779:何処かの名無しさん

作成班、丸一日お疲れさま~

しかしスレ民東京住み多くね?

 

780:何処かの名無しさん

地図完成してる!すげぇや!

スレ主達も東京住みだし謎の因果を感じる

 

781:何処かの名無しさん

ところでこの地図にポンデ型呪霊や昼頃に発見されたハンバーガー型呪霊の生息地を記載する意味あるの?此処だけポケモンみたいな感じなんだけど??

 

782:何処かの名無しさん

>>781

必要だろ!

 

783:何処かの名無しさん

>>781

みんなもジュジュモンゲットじゃぞ!

 

784:何処かの名無しさん

あとその辺でそれっぽい

呪霊見付けたら御三家揃うな

 

785:何処かの名無しさん

渋谷○○店のスタバに

フラペチーノ型呪霊居たぞ

 

786:何処かの名無しさん

>>785

フラペチーノ型呪霊!?

なにそれどういう造形してるの??

 

787:何処かの名無しさん

>>785

え、フラペチーノ型呪霊?

ハンバーガー型呪霊のように

ハンバーガーを襲ってるタイプ?

 

788:何処かの名無しさん

強欲の壺風なキモいフラペチーノ造形

フラペチーノを頼むと一定の確率で

フラペチーノを攻撃してくる呪霊っぽい

御三家で言ったら水タイプだと思う

 

789:何処かの名無しさん

>>788

ハングリーバーガー擬きの

次は強欲の壺擬きか…

 

790:何処かの地図作成班さん

フラぺ呪霊も追記しとくわ!

 

791:何処かの名無しさん

結局本日のメインは地図と

タイムスケジュールの話だけで終わったな

 

792:何処かの名無しさん

明日はコンビニ店員と分家さんが

高専行ってその後にコテハン組が集合するし

今後の大枠は明日決まると思う

 

793:何処かの名無しさん

そろそろ夜も遅いし地図作成班達は寝てどうぞ

 

794:何処かの名無しさん

コテハン組じゃないけど何か緊張してきたわ

 

795:何処かの名無しさん

高専か~漫画でしか知らないけど

実際はどんなところなんだろうね

 

796:何処かの名無しさん

原作軸がどの程度進んでるんだろ?

 

797:何処かの名無しさん

ネット検索や新聞紙、警察関係者の情報源によれば盤生教は存在してたし、去年12/24に京都新宿は一時的に広範囲で立ち入り禁止にされた。それに今年の杉沢第三高校での校舎倒壊、英集少年院の封鎖、ファミレスで謎の発火事件、神奈川キネマシネマ変死事件や桜里高校の集団昏睡事件が既に発生してる。

 

798:何処かの名無しさん

分家さんは呪詛師としてサマーオイルが

高専に処理された事を聞いてたみたいだしね…

 

799:何処かの名無しさん

呪術関連は秘匿されてるし、表向きには解決された事件だからつい最近まで気にしてなかった

 

800:何処かの名無しさん

もうあれもこれも呪術関連の事件に見えてきた

 

801:何処かの名無しさん

怪死事件大体呪霊の仕業説

 

802:何処かの名無しさん

某心霊スポット巡りの

YouTube命懸け過ぎやしませんか??

 

803:何処かの名無しさん

今までは普通に暮らしてきたから楽しく見れたけど、マジもんの奴がいることを知った側からしたら笑えない

 

804:何処かの名無しさん

高専サイドがそう言うところへ間接的に

関わって事前に安全確認してるんじゃない?

有名じゃないただの一般人とかは知らない

 

805:何処かの名無しさん

更新が突如途絶えた心霊系のYouTuberが

恐ろしすぎて死にそう

 

806:何処かの名無しさん

旧○○村の都市伝説トップレベルでヤバい

都市伝説じゃなくてガチの事件じゃん

 

807:何処かの名無しさん

>>806

あれオカ板で何個か

スレ立てられたけど消されてるよな

 

808:何処かの名無しさん

オカ板の何割か本物混じってるどころか

そこから新たな呪霊発生してる事実

 

809:何処かの名無しさん

何年か前に立てられた宗教系のスレで友人が五条袈裟着てるイケメン教祖に嵌まりすぎて破産したとかあったな。最終的にスレ主が2次元へ友人を沼らせて課金先を変えたやつ(結局破産不可避)。

 

810:何処かの名無しさん

>>809

五条袈裟イケメン教祖も実質二次元やんけ

 

811:何処かの名無しさん

掘れば掘る程闇が出てきそうな案件多くね?

 

812:何処かの名無しさん

この世界怖すぎ

 

813:何処かの名無しさん

確かに呪霊とか言うやべぇ存在を

公開したら心の平穏とグッバイするわこれ

趣味に廃墟巡りしようと思ったけど止めます

 

814:何処かの名無しさん

目に見えない脅威ってところが致命的

避けようと思って避けれないのがクソ

 

815:何処かの名無しさん

>>813

怯えすぎるのも良くない。特に呪術師の才能ない人達は呪力が垂れ流し状態だから負のパワーぶあーすると呪霊がぶあーなる。

 

816:何処かの名無しさん

ネットの叩き合う地獄絵図見ると呪霊発生を

抑えることは無理やろなとよく分かる

 

817:何処かの名無しさん

総人類悟りを開かないと駄目ですねぇ

 

818:何処かの名無しさん

呪力と言う概念を根本的にどうにかしないとなんとも。そもそも呪力って何なんだ?何処から湧いて出てるのこの不思議ぱわー…

 

819:何処かの名無しさん

ブラザーの師匠が言ってた呪力からの脱却が俺らにとって良い気がする。そもそも俺らの居た世界に呪力とかねぇし。

 

820:何処かの名無しさん

人間と呪霊の関係性も謎多いよね

仮に人類が滅んだら呪霊はどうなるのか

 

821:何処かの名無しさん

負のエネルギーである呪力を掛け合わせると正のエネルギーが生まれるらしいが正のエネルギーって何なんだよ!

 

822:何処かの名無しさん

正のエネルギーで何とかインチキできんのか?

 

823:何処かの名無しさん

呪術界隈ブラックボックスだらけじゃねぇか!

何がどうなってるんです???

 

824:何処かの名無しさん

絶対上層部とか何か隠してるだろ

 

825:何処かの名無しさん

渋谷事変どうにかしないと

ゆっくり研究する事も出来ねぇ

 

826:何処かの名無しさん

ともかくも渋谷事変優先!

そこに向けて各自準備や!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

10/3(水)10:00 東京某所ファミレス

 

 

本日は分家とコンビニ店員が高専に行き、その後に吸血鬼おじさんおすすめの浅草橋にあるとある居酒屋でコテハン組が集合する手筈だ。

 

ファミレスは時間帯も相まって客が疎らであり店内は穏やかな雰囲気を醸し出している。そこに黒いサングラスをかけた黒髪の青年が一人、約束相手を待っていた。彼は丁度紅茶を嗜んでいる。そしてティータイムを楽しんでると背後から声が掛かった。

 

 

「分家さんですか?」

 

 

彼──分家はその方向へ振り返ると思い切り紅茶を噎せた。ついでに声を掛けた人物ことコンビニ店員はめちゃくちゃ驚いて肩にかけていた荷物を地面に落とす。二人の初対面はそんな感じであった。

 

 

「…コンビニ店員さんに色々言いたい事あるんですが、まずは自己紹介しますか」

「僕もとても気になることがありますが自己紹介からしましょう」

 

 

ネット世界で出会った彼方の同胞にして今世の仲間とも言える二人(知り合ってまだ三日目)。珍妙な空気が流れる中、コンビニ店員が注文したカフェラテが来たところで分家が切り出す。

 

 

「俺は五条(さとり)。書いてた通り分家で呪術師見習いみたいなことをしてます」

「僕は東西水渚(とうざいみずな)と言います。コンビニ店員してる大学生です。あ、敬語無くても大丈夫です。今日はよろしくお願いします」

 

 

俺も敬語無しで良いと分家が言った後、コンビニ店員は聞きたかったと言うかめちゃくちゃ言いたかった感じの事をぶっちゃけた。

 

 

「失礼かもなんですが、分家さんすごく五条悟顔では?」

 

 

分家はかなり五条悟に似ていた。さながら五条悟の2Pカラー。分家はそれを聞くとしかめっ面でよく言われると話す。ちなみに分家は五条悟との初対面時に超だる絡みされた+五条悟の格好から態度まで全部ヤバいと言うことでドン引きした経緯がある。記憶を思い出す前は五条悟に遭遇したくないのもあり、出来る限り高専に近づきたくなかった。でも今回は緊急事態なので我慢あるのみ。

 

コンビニ店員はそれを聞くと憐れみの目で分家を見た。分家は高専へ行ったら更に2Pカラーって言われるんだろうな。純粋に可哀想。

 

 

「じゃあ今度はこっちの番な。コンビニ店員、術式持ってる自覚ある?」

「え、ない…え?」

 

 

分家はそれを聞くと掛けていたサングラスを外し、夜明けに染まった眼でコンビニ店員を眺める。暫くすると、とても難解そうな顔付きでサングラスをかけ直した。

 

 

「結論な、確実に術式がある。それも降霊術みたいに降ろすってよりもそれそのものを自身で顕現する感じの奴。あんたはコンビニ店員じゃなくて虎だね。しかも霊獣。あんたの生得領域どうなってんだ。白虎でも飼ってんのか?…確かコンビニ店員の家族は龍だったな。おめでとう、人間卒業ファミリーしてるよ」

「まって」

 

 

コンビニ店員はただのコンビニ店員じゃ無かった。分家の術式看破によって"霊獣としての虎を自らの身体をもって顕現できる"生得術式を持っていると判明。分家が推測するにコンビニ店員の家族である龍の術式は、龍顕現バージョンである可能性が高い。

 

 

「いや、まって。ほんとまって。え?でも僕は術式の自覚してないし六眼センサーに引っ掛かってない」

「うん、そこが一番ヤバいし意味不明な点な。生得術式は通常肉体に刻まれてるものだ。だからこそメロンパンの人は肉体を乗っ取る事で相手の術式を使えるんだと思う。でもあんたは肉体じゃなくて"魂"的なのに刻まれてる。六眼は呪力を詳細に見ることが出来ても魂的な奴を見ることは出来ないはずだ。俺は何か見えちゃってるからいけた…こわ」

「怖いの僕もなんですが」

 

 

肉体ではなく、魂的なのに刻まれた生得術式。分家には魂がよく分かってない。今まで見たことがなかったからだ。そもそも魂とは何なのか。それすらもよく分かってないからこそ魂的なやつ。原作でも魂とは何なのか、どういう感じに存在しているのか羂索と真人では解釈が違っていた。

 

肉体の先にあるのが魂なのか?

肉体は魂であり魂は肉体なのか?

 

人類にとっての未知なる要素。でもここには肉体が既に死に絶え、再び生まれ変わった突然変異種とも言える転生者達がいた。

 

転生者の解釈はいったいどうなるのだろうか。

 

 

「ま、俺らは次元規模のバグみたいなものだしそう言うことがあり得たって可笑しくないのかもな。あんたの生得術式が刻まれている場所を一応魂として定義しておこう。おそらくその術式が発動すれば魂へ直接作用して肉体を物理的に変容させる。さながら自己完結型無為転変、変身先が固定されてるメタモン的なやつだ」

「なにそれ怖い。ちなみに元の姿に戻れる奴ですか?一方通行じゃないよね?」

「…龍は戻れてるみたいだし、やり過ぎなければ多分」

 

 

下手に扱えば余裕で人類卒業出来ちゃう術式。末恐ろしい術式である。しかもコンビニ店員の姉である龍もおそらく似たような術式。つまりあのクソスレで上がっていた龍人写真は、魂を変容させ自らを龍へ無意識に顕現したガチやべぇ状態だった可能性が高い。今思えば誰も見えない等と言ってなかったので、スレ内にいた非術師にも見えていたかも。

 

あの深夜の時間帯、本気で龍が人間卒業への瀬戸際だった疑惑浮上である。コンビニ店員と分家は内心笑った事に罪悪感が芽生えた。この術式、詳細が分かってなかったら何が起きてるかマジで不明な仕様で終わってる。

 

 

「あー、取り敢えず高専行くか」

「もう疲れたんすけど」

 

 

彼等の本日予定は高専へ行って、その後浅草橋の居酒屋でコテハン集会である。どちらも終わってないし寧ろそれらがメイン。何故かメインの前に衝撃的な事実にぶち当たっている。しかし、更に怒涛の展開が訪れることになるとは彼等はまだ知らなかった。

 

 

 

 

 

 

 

──時刻は10/3(水)13:30

場面は東京都立呪術高等専門学校へ移る。

 

 

 

 

「想像以上に山奥、交通の便めちゃくちゃ悪い。車ないと職場としては良くないね。仮に事務員になったとしたら此処に通うのは厳しい。あと夏場は蝉煩そう」

「呪術師は出張多いし、補助監督も同様。死の危険が伴う上、機密事項だらけで民間や国から色々な事を言われる。ついでに権力を振りかざす上層部や御三家の厄介な奴等にもな。人手も少ないし、更に職場がこれじゃあ就職場所としては紛う事なきブラック企業だ。難しいとは思うが、正直もっと柔軟な対応や手厚い公的扶助が必要だと思う。そう言うことも加味して俺は呪術師とは別の道を行きたかった」

「ボロクソですね」

「先月に俺の親戚殉職したしな。あと顔見知りの呪術師が病んで事件起こして捕まった」

「地獄じゃん」

 

 

二人は高専付近で合流し、そこで初対面と言う体で行動している。お互いにどう言った知り合いなのか悟られない為のカモフラージュだ。暫くすると彼等の前に東京都立呪術高等専門学校の校門が見えてきた。校門前には職員と思わしき黒服の人物が待ち構えている。

 

 

「おっ、来たっスね。五条…覚君も一緒なんスね。じゃあついでだし途中まで二人とも一緒に行きましょう。まずは東西さんの呪力を一時的に登録するっス。此処は結界があるんで基本的に呪力を登録した関係者以外入れないんっスよね~」

 

 

待ち構えていた人物は補助監督の新田明。彼女は新田新の姉であり、京都高専出身の現東京高専所属の補助監督。原作では数日後虎杖達を任務へ連れていく筈である。開幕早々に情報源との遭遇ではあるものの、いきなり任務の日程とかを聞くのは流石に可笑しいので分家とコンビニ店員は互いに目配せした後に新田へ挨拶をした。

 

 

そして雑談しながら高専内部へと入っていく。分家は一応以前も此処へ訪れたことがある。わりと前だったので、そこまで記憶に残っていないし呪術師になるつもりが無かったので真剣に観察していなかった。しかし今は以前とは状況が違う。それは前世の記憶的な意味合いもあるが"眼"の能力も変化している。

 

彼の眼には今や多くのものが見える。故に彼は高専に張り巡らされている天元の結界も見えた。後に分家はそれを見た感想として芸術性を深く感じたと述べる。此処は結界の美術館なのかもしれない。

 

 

一方、コンビニ店員は内心はしゃいでいた。これまで兎に角怒涛の展開だったし、五条遭遇の際は一人でその状況下だった事もあり焦りに焦りまくっていたが今回は違う。彼には心強い分家と言う味方がいる。その為、心に余裕が出来たので『原作場所だ~すげぇ!』とわくわくしていた。さながらテーマパークへ来た奴である。これが一人だったら沈んでたと思う。

 

 

新田の先導で事務室へ向かう二人。そこで首から学校とかによくある入校許可証を掛け、応接間へ案内された。新田はコンビニ店員にそこで待つように指示する。残念ながら分家とコンビニ店員とでは来た理由が違う。分家は高専入学の為の見学で、コンビニ店員は窓としての仕事説明会。つまり此処でお別れである。

 

 

「じゃあな、東西さん」

 

 

笑顔で去っていく分家にコンビニ店員は置いてかないでと縋りつきたかったが、にこやかに手を振って見送った。此処から分家とコンビニ店員は互いに一人である。原作視点で言えば、敵陣地ではなく味方陣地なのに何故か謎の緊迫感を感じながらコンビニ店員は閉じた扉を眺めた。

 

 

 

 

 

「しかし、五条覚君ってかなり五条さんに似てるっスね。まさに2Pカラーって感じ」

「よく言われます。あと名字呼ばなくても良いですよ」

 

 

やはり分家は五条悟に似ているのでその話になった。実は事務室へ訪れた際も、そこにいた事務員が小声で『え、五条さん?』と言っていた。仮に分家の髪色が銀髪だったら背が縮んだ五条悟の出来上がりである。これで高専生に遭遇すれば確実に何か言われるだろう。本日は平日だし、何処かへ任務とかに行ってるだろうと願うしかない分家であった。

 

新田に案内されたのは学長室。つまりは此処に夜蛾学長がいる。どうやら新しい入学候補生を見たくて時間を割いてくれたらしい。分家的には高専に入るかどうかは正直決めてない。ひとまずは渋谷事変を何とかしない限り、その選択肢すらたどり着けないからだ。扉の前で新田はあとは学長が話してくれるからと去っていく。コンビニ店員の元へ行ったのだろう。

 

 

さてとと分家は扉を開けた。

そして扉を瞬間的に閉じた。

 

 

「おい、何故扉を閉めた。入ってこい」

「あー、すみません。見えてはいけないものが見えた気がして衝動的に閉じてしまいました」

 

 

分家の眼にはあり得ないものが映った。此処に本来なら存在しない筈のもの。存在してはいけないと言っても過言ではない。再び扉を開けて中に入り、夜蛾学長を見る。いや、正確には夜蛾学長の後ろにいる存在を分家は視ていた。

 

 

「そんなにこの呪骸が気になるのか?」

「…そう、ですね。独創的で驚きました」

 

 

ガッデムと口走る夜蛾学長は背後の存在に気付いていないのか?チクチクとぬいぐるみを縫っている姿を見た感じ気付いてる様子はない。そして背後の存在は何故か此方をじーと眺めてくる。どう言うことなんだ。何故、お前がいる?

 

分家は内心どういう事だってばよ状態に陥ったがそんなことを知るよしもない夜蛾学長は普通に話し掛けてくる。内容としては入学した際、呪術師としてやっていける覚悟があるかとか五条悟についてとか今の高専生の事についてとか色々。分家はしっかりと聞いて受け答えはしていたがどうしても"奴"の存在が気になってしょうがない。しょうがないけど反応したらいけない気がしてなら無いので全力で無視している。

 

 

「しかし、君は見た目は悟に似ているが中身はまるで別物だな。悟にも見習ってほしい」

「当主には無理だと思います。夜蛾学長、もう少し当主のデリカシーどうにかなりませんか?」

「アレでもかなり丸くなってはいる。これ以上私には無理だ」

『まぁ、丸くはなっているね。夜蛾学長には散々拳骨喰らってたよ』

 

 

 

「…」

 

 

"奴"がナチュラルに会話へ混ざって来た。

御盆は疾うに過ぎてるはずなんだけどな。

 

 

『ところで君、私が見えてるだろ?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回、東京高専説明会後編!

 

 

 

 

─────────────────────────

 

「皆さんごきげんよう、

私は吸血鬼現状を纏めるおじさん」

「吸血鬼現状を纏めるおじさん!?」

「では今回の登場人物を纏めていこう!」

 

○今回の登場人物

 

・コンビニ店員─ 本名:東西水渚(とうざいみずな)

実は術式持ってた系男子大学生。分家さんの見た目があまりにも五条悟に似ていてどひゃーっとなった。失礼なことを聞いた自覚があったのでファミレスで分家を奢ってる。高専行く前から疲れたけど高専へ着くと『すげぇ!原作の場所!』とはしゃぐ程元気になった。ただ、術式の事を考えないようにしているだけである。現在、新田から窓の仕事を説明されている途中。

 

術式:霊獣としての虎を

自らの身体をもって顕現できる奴(仮称)

肉体ではなく魂に生得術式が刻まれてる意味不明な存在。その影響の為か六眼でも看破されなかった。だが、術式を行使すれば呪力によって目視することが出来るかも。術式としての実態は魂を変容させ、肉体を物理的に虎の姿へ顕現させる。例えるなら、真人の無為転変が自身に限定されるかつ人間から虎への変化で固定されてるバージョン。当然変化後は非術師にも見えるので仮に街中で完全変異したら警察や猟友会不可避。

 

 

・分家─本名:五条(さとり)

五条悟の2Pカラーな見た目を散々言われまくってる人生であり、呪術界隈へ本格的に参入すれば更に言われるだろうから余計に一般職に就きたかった人。学長室にとんでもねぇ爆弾案件が居たので余裕が粉砕した。

【挿絵表示】

※2Pカラー分家の図

 

 

・スレ

クソスレから進化して有益な情報や考察を流したり作戦会議したりする超有能スレになった。でも転生者以外にはクソスレである。そもそも術式で見ることを叶わないから幻の存在。

現在、ファブリーズ除霊法と食べ物系呪霊の発見観察が空前絶後の大ブーム。渋谷事変に向けて準備もしているが折角なので呪術ワールドをどうにか楽しんでる。

 

 

・見えてはいけない"奴"

夜蛾学長の背後に何か居た。

 

 

 




本格的に原作陣営と関わり始めます(多分)。しかし10話も費やしたとか作中時間遅すぎる。コテハン組のえげつねぇ個性と状況整理に時間かけすぎた。反省。でも無個性にすると確実にその辺で即死するから変化球投げまくる。何で長編も掲示板も群像劇も2次創作も初心者なのに何十話と書こうとしてるのかな?作者めっさ阿保じゃん。あとオリキャラ複数と言う事態に自己批判しながら書いてる。原作厨のもう一人のぼくと殺し合ってる毎日。


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10.東京高専説明会〈後編〉(挿絵追加)

当社比で今回は文字数少なめ。
そして掲示板は吹き飛びました。


【前半までのあらすじ】

遂に対面するコンビニ店員(本名:東西水渚(とうざいみずな))と分家(本名:五条(さとり))。なんとそこで判明したコンビニ店員の術式は"魂を変容させ物理的に肉体を虎に変化させる"と言う人間卒業不可避なものだった。更には魂に術式が刻まれてると言う意味不明な状態。それは置いといて高専へ向かった2人だったがそこで分家はとある爆弾案件を目撃してしまい…?

 

 

 

 

 

10/3(水)14:45 東京高専応接間

 

 

「あっ」

「おっ茶柱とは縁起が良いっスね」

 

 

コンビニ店員は応接間で新田から窓としての仕事の説明や手続きを終えていた。窓の仕事や呪霊の説明などを前世由来の知識で把握していたのでスムーズに話が進んだのだ。そして現在はコンビニ店員が疑問に思った事や高専についての話をしている。

 

始めの心細かった気持ちは新田の親しみやすい性格によって絆され意気揚々となったコンビニ店員。でも任務の日程については聞けていない。と言うか聞くタイミングが無いし良い感じの言い訳も思い付かないので分家さんに情報収集を任せようかなと思っていた。

 

 

「そう言えば変な質問なんスけど、東西さんのお姉さんは小さい頃銀髪の少年に会った事ないっスか?」

「銀髪の少年…?そんな話は聞いたこと無いですね。我が家の姉がそんな目立つ人と出会ってたら絶対僕に話すと思いますし」

 

 

銀髪の少年と聞くとコンビニ店員の中で思い浮かぶのは五条悟である。しかし五条悟に会っていたらインパクト強そうだし流石に覚えているだろう。そう考え答えたコンビニ店員であったが、実際は過去に遭遇している。

 

コンビニ店員の姉である龍は幼き頃、悟少年と出会ってザリガニを呪霊にぶん投げたりザリガニを囮に呪霊とデッドレースを繰り広げていた。その後、龍を迎えに来た幼きコンビニ店員は悟少年と対面している。しかし十年以上前の話だし数分にも満たない時間しか出会ってない。更に言えば龍本人がそこから記憶を失ってる。今は術式発動時の発狂で思い出しているが内容が馬鹿過ぎて誰にも話してない。つまり真相は闇の中。

 

 

「そうっスか~。東西さんに名刺を渡した五条さんが探している人と東西さんのお姉さんの名前が一緒だから確かめてくれって言われたんスよね」

「五条さんって先程説明されてた最強の呪術師ですよね。その人が探しているなんて…その方はどういった人なんですか?」

「なんかザリガニを呪霊にぶん投げたりしてたらしいっス」

 

 

ザリガニを呪霊にぶん投げる…?なんだその珍獣。流石に我が姉は呪霊相手にそんな阿呆な事をしないだろう。しかしこんな話原作では聞いた事がなかった。もしかしたら、原作に番外編的な感じでザリガニぶん投げる系の珍獣を探してる五条悟の話があるのかもしれないがどうだろうか。あまりにも阿呆過ぎる話である。

 

 

「じゃあ正式な手続が終わったら郵便で登録書が届くので、そこに書かれた連絡先から呪霊報告をよろしくするっス。くれぐれも近づきすぎないよう気を付けて行うっスよ」

「はい、承知しました。本日は態々お時間を割いて下さりありがとうございました」

「いやいや、此方こそ窓としての仕事を引き受けてくれるだけで助かるっス」

 

 

扉を開けて廊下へと2人は出る。コンビニ店員の高専へ来た目的は果たされた。情報収集的な意味合いでは特にこれと言った成果を上げていないが…まぁ問題はない。

 

そこへ丁度通り掛かる人影が現れた。

 

 

「おっ新田さんだ!丁度良かった、これ任務の報告書」

「虎杖君じゃないっスか。報告書確かに受け取ったっス」

 

 

コンビニ店員は心の中で叫んだ。それはもう全力で叫んだ。ついでにテンションもぶち上がった。何故ならそこに居たのはこの世界の主人公である存在。

 

──虎杖悠仁じゃんッッ!!!!

 

宿儺を身に宿し、呪い呪われた世界へ誘われた苛烈な運命を背負った少年。その悲惨な運命を思うと心が傷む。いやそもそもこの世界はコンビニ店員やその姉、他の転生者な仲間達も住んでいる現実なのだ。誰もが主人公であり、誰もがその世界で生きている。コンビニ店員は瞬間的にその様な事を考えて情緒がぶっ壊れそうになった。

 

 

「そこの人大丈夫?」

「あ、うん。大丈夫…大丈夫です」

「いや、ぜってぇ大丈夫じゃないやつ!はい、これプレゼントするから元気だして」

 

 

虎杖はポケットの中からお菓子を出し、それをコンビニ店員の手のひらへ置いた。それは皆様ご存知の喜久福である。おそらくお土産として貰ったか買ったかのどちらかだろう。

 

 

「甘いもん食べたら少しは元気になる…はず」

「えっと、ありがとうございます。ところで君は此処の学生さん?」

「そうだけどあんたは?」

「僕は…僕は東西水渚。窓としての仕事を承りました」

「俺虎杖悠仁、1年生やってる。東西さんは窓ってことは呪霊祓えない感じなの?」

 

 

流れで虎杖との会話が始まった。虎杖のコミュニケーション能力の高さによってポンポンと会話が弾む。コンビニ店員が自主的に話し出さなくても虎杖が良い感じに会話を先導してくれるのだ。これが作中一とも言えるコミュ強の虎杖がなせる技。コンビニ店員はその手腕に思わず震えた。その様子をにこやかに見守っていた新田はじゃあ報告書持っていくんでついでだし虎杖君が校門まで送って行ってくださいっスと去っていく。職務放棄じゃないのかそれ?

 

 

「東西さんのねーちゃんそんなやべぇ事してたの!?玄武って言ったらアレだよな、あの亀の神様みたいなやつ。そのミドリガメすげぇ強そうな名前だし何かご利益がありそう」

「やっぱヤバいよな。普通亀の為に池へ素潜りしないし毎日ザリガニ捕ってこないよね。しかもうちで飼ってない人ん家の亀だし」

「そのねーちゃん会ってみたいわ」

 

 

姉の激ヤバエピソードを話してみたり、虎杖の呪術師としての活動を聞いてみたり(宿儺関係の話はされなかった)東京の隠れた名店についての話をしたりと盛り上がった。コンビニ店員は話ながらも一応、原作場面であろう任務の話や死者が出ている為か触りだけの交流会の話もしっかりと聞き出す。概ね原作通りの流れなのだろう。今は明るく笑顔で話してくれている目の前の少年は本来数週間後に絶望を携えた顔付きをすることになる。

 

変えなければならない。この善人で明るい少年がどうかそのままで生きていけるように変えていかなければ。コンビニ店員は深くそう思った。だって目の前でこんなにも楽しそうに話してくれている少年を漫画の世界の住民として見れない。五条悟との遭遇時は何処と無く隔たりを感じていたし新田との会話も事務的な話だった為そこまで現実と言う実感が湧かなかった。でも此処に居るのは確かなる生身の人間。命を懸けて戦っている者がいる。

 

 

「虎杖君はさ、もしも未来を知っていて自分とは直接関係ない悲劇的な事件が起きるとしたらどうする」

「んー、それを事前に防ぐとか。これって心理テスト的なやつ?」

「まぁそんな感じ。続きなんだけど、その悲劇は既に事が大きすぎて防げない。でも自分の命や仲間の命も懸ければ被害を最小限に出来るかもしれない」

「うーん、俺ならその事を知ってるし見捨てられないや。知ってる時点で関係ねぇって放置してたら絶対後悔すると思う。仲間は…あいつらなんやかんや手伝ってくれそうだし。俺の仲間みんな頼もしいしきっと変えれる。いやまてよ、俺より仲間の方が強いわ」

「…そっか、うん。君は困難な道へ進むけど確かなるものを得ると思う」

「心理テストの結果?」

 

 

コンビニ店員は本当は怖かった。渋谷事変と言う恐ろしい悲劇へ立ち向かうのが怖くて堪らなかった。自身の死の危険もあるし、"唯一"の家族である姉も死ぬかもしれない。コンビニ店員は前世のように姉を死なせたくないし寿命まで生きていて欲しい。だからスレ民達を裏切って姉と共に逃げようかと思案していた。でも、そんな姉やコンビニ店員が愛していた日常は此処にある。此処には多くの日常が存在している。それらを守れる可能性があるのは、他ならぬ未来を知っているコンビニ店員達だ。

 

そうだよなと内心コンビニ店員は頷いた。虎杖に感化されたと言えばそうだろう。きっと此処で逃げ出せば一生後悔して幸福なんて訪れない。ずっと暗闇に包まれた生活になる。でも立ち向かえば惨たらしく死ぬかもしれない。どっちの地獄がましなのか?

 

なら、楽しい地獄へ行けば良い。

 

 

「虎杖君、もしよければ友人になってくれないか?」

「え、此方こそ良いの?よっしゃー!LINE交換しようぜ!後東西さんはねーちゃん居るし下の名前で呼んで良い?」

 

 

コンビニ店員の愛すべき日常に虎杖と言う友人が加わった。それが意味するのは、虎杖の周囲で起こる悲劇がコンビニ店員にとって直接関係あるものになったと言うことだ。これはコンビニ店員なりの決意であり、逃げないで戦うと言う宣言である。

 

心の内の白虎が静かに吼えた。

 

 

 

 

「じゃあ今度店連れていってなー!」

「季節限定の良いメニューがあるところへ連れていくよ。じゃあ、またね」

 

 

行きとは違い高専を一人で去るコンビニ店員。彼の心持ちは明確に変わっていた。地獄へ往く覚悟が完了したとも言える。

 

 

 

そんな彼を見送る虎杖は嬉しそうにニコニコしていた。虎杖は東京に来てから基本的に高専が中心の暮らしだ。高専内は人口が少ない。まず学生数がマジで少ない。教師も少ないし、職員もそこまでいないのだ。高専には呪術師や補助監督も居たりするが基本的にみんな忙しいしフレンドリーな人もそういない。とてもじゃないが友達を作れるような環境ではなかった。

 

地元では勿論友達がいた虎杖。でもあの頃はスマホを持っていなかったし向こうの連絡先も知らない。故に虎杖は東京での友達GETにめちゃくちゃワクワクしていた。相手が大学生と言う年上ではあるが、話していて楽しかったし東京に詳しいし呪霊の存在も知っている一般人な友達とか激レアである。虎杖は伏黒達に自慢してやろうと思う程度に浮かれていた。

 

 

「うおっ!出てくんなよ」

 

 

浮かれていた虎杖の顔に宿儺の眼が出てきていた。ぺしりと虎杖がその部分を叩くと宿儺は何も言わず消えていく。その様子へ不思議そうにした虎杖であったが特に文句を言ってこないなら問題ないかと思い自身の寮へ戻っていった。

 

 

果たして宿儺は何を見ていたのか。

今は誰にも分からない。

 

 

 

 

 

 

 

10/3(水)15:00 東京高専グラウンド

 

 

分家の眼は完全に死んでいた。辛うじて表情は生きているものの瀕死である。死んだ眼は幸いな事にサングラスをしているため誰にもその事に気付いていない。何故彼の眼が死んでいるのか。それには大きく二つの要因が存在する。

 

まず一つ目は目の前の先輩達だ。右から順に禪院真希、パンダと並んでいる。狗巻棘はどうやら任務に行っていて居ないらしい。二人は分家を興味津々で見詰めている。その時点で何を言われるか予想がつく。

 

 

「お前マジで悟そっくりだな!ボコし甲斐がある。オラ、さっさと構えろ」

「覚って言うのか。ところで写真撮って良い?」

 

 

完全に見世物と化している。ぜってぇそうなるだろうなと思ってたけど案の定言われてる。何故対面することになったかと言えば夜蛾学長が折角だし先輩達に体術でも見て貰えと此処へ寄越されたのだ。分家はやめろ…どう考えても玩具にされるだろと思いながらも半ば強制的に搬送された。控え目に言って地獄である。

 

 

『私も君が何処まで戦えるのか見たいなぁ』

 

 

はい、眼が死んでいる理由二つ目。こいつが分家にとって厄介な存在なのだ。"奴"は今のところ分家以外には見えていない。存在を完全に認知されておらず、例えるならば幽霊。そう、こいつは推定:幽霊なのだ。分家は今まで幽霊なぞ見たことがない。でも見えるようになった心当たりはめちゃくちゃある。例の魂まで見えちゃう機能がついた夜明け色の眼だ。どう考えてもアレのせいだろう。しかし、この推定:幽霊が幻覚とか妄想説もあり得る。と言うかそっちの方がまだマシかもしれない。

 

 

だってこいつの見た目"夏油傑"なのだ。

 

 

何故親友によって何か良い感じに死んでいった夏油傑が幽霊なんかになって此処に居るんだと分家はひたすら疑問を携えた。あまりにも謎が多すぎる存在。そもそも幽霊がこの世界に居るのが驚きなんだがと言った具合。目が合わないようにしていたのに不思議と夏油は此方が見えていると勘づき学長室を出た後もこうして、ついてきている。姿は死亡時の五条袈裟を着ており、半透明で呪力を感じない。そんでもって執拗に分家へ話しかけてくる。こいつに反応したら完全に頭可笑しい奴になるから無視するしかないのだ。おそらくそれを分かってやってる節がある。その態度にとてもムカついている分家であった。

 

 

「なかなか動けるじゃないか。でも足元がら空きだぜ!」

「おぉ、派手に飛んだな~」

『悟が飛ばされてるみたいで笑っちゃうね』

 

 

「…帰りてぇ」

 

 

分家は高専へ来たことを後悔しまくっていた。別に呪術師へなりたくて此処に来たわけじゃないし、入学するかどうかも決めてない。と言うかそこまで呪術界隈に参入しようと言う意志がない。その上でこの仕打ちはあまりにも酷ではないだろうか。分家はマジで家に帰りたかった。でも家に帰っても実家は呪術界隈に染まっている。しかも本日の予定はまだ残されている。そう、コテハン集会だ。その集会予定時刻まで体力が持つのかとても不安になるしかない分家であった。

 

 

切実な帰りたいと言う呟きは誰にも届かず真希からしばかれる分家。そこまで戦闘力がない分家は当然真希に叶うはずもなく、ポイと投げ捨てられる。戦ってる最中はパンダと夏油による野次が飛んでくるし、投げ捨てられた後はパンダには写真を撮られ(許可してない)、夏油には挑発されると言う糞な状況。パンダもムカつくが夏油の方が何倍も表情や言葉使い、手の動きで腹立つ。手をやれやれと言った風に動かしてため息混じりに全然なってないねとか言われた時は思わず持ってた武器を故意に離して夏油の方角に飛ばした。

 

それは夏油を貫通し地面に落下するのみ。全くのノーダメージ。当の夏油は何かありましたか?みたいな表情で分家を見詰めている。分家はこの場に塩があれば夏油に向けて全力投球するだろうなと思った。

 

 

そして何回か投げ捨てられた末、分家は漸く先輩達から解放された。主に夏油の精神攻撃によって分家のストレスは爆発的な急上昇を記録し、それまでナンバーワンだった五条悟との出会いより更に上へ登録された。流石五条悟の親友だった男だ。類希なクズパワーを死後も見せ付けてくれるとは大したものである。分家は死んだ目と死んだ表情で悟った。

 

 

「じゃあな、オマエの入学楽しみに待ってるぞ」

「今度は悟と並べて撮らせてくれよ」

「先輩方ありがとう御座いました。あと、当主と写真はNGなんで本気でやめて下さい」

 

 

散々な目にあったなぁと高専の校門へ続く道のりを歩く分家。そして当然のようにその後をついてくる夏油。何処までついてくるんだろうなと分家は相変わらず無視する。

 

暫くして校門へたどり着いた二人。そこで夏油はピタリと立ち止まった。不審に思いつつも立ち止まれば反応してしまうことになるので無言で夏油を置いていく。ともかくこの一件はスレに持ち帰ることにしよう。さて、コンビニ店員の方はどうなったかと考えていた分家に背後から声が掛かった。

 

 

『これまで敷地内から出られなかったけど、どうやら君について行くと出れるみたいだ』

 

 

この瞬間、分家は俺の私生活終わったなと理解した。夏油は分家についていく気満々だ。敷地内から出られなかったと言うことは一種の地縛霊だったのかもしれない。夏油が死んだ場所は高専敷地内だ。つまり彼はこれまで誰にも目撃されず高専内を彷徨っていたと言うことになる。そして分家が目撃したことでその目撃者に取り憑き、縛られていた場所から離れることが出来たと推測された。

 

 

『いや~久しぶりに外の景色を見るなぁ。相変わらずこの世界には猿が蔓延ってるみたいだね』

 

 

街中を歩く分家とその背後の夏油。誰も明らかに不審者な格好(五条袈裟)をしている夏油の姿に突っ込まない。それどころか避ける様子もなく、本当に誰にも見えていない様子だった。夏油は分家の周囲をうろうろしているが一定の距離から先は離れない。いや、離れられないのかもしれない。分家は考察しながらカラオケ店へ入って行った。別に歌うつもりはない。誰にも見られず誰にも会話が聞かれないような空間が偶々カラオケ店だっただけだ。

 

 

そして飲み物片手に一室へ入り込む。此処でコテハン集会の時間まで居座るつもりだ。分家は部屋に置かれたソファーへ座るとメロンソーダを一口飲んでから切り出す。

 

 

「あんた、夏油傑であってる?」

 

 

夏油は対面のソファーへ腰を

下ろすとにこりと笑顔で肯定した。

 

 

『漸く会話してくれて嬉しいよ』

 

 

分家と夏油による一対一の対面が開始される。

 

シュワシュワと音を立てたメロンソーダだけが黒色に染まった二人へ彩りを乗せていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回、スタンド使い分家さん爆誕!?

 

 

 

─────────────────────────

 

 

「皆さんごきげんよう、

私は吸血鬼現状を纏めるおじさん」

「吸血鬼現状を纏めるおじさん!?」

「では今回の登場人物を纏めていこう!」

 

○今回の登場人物

 

・コンビニ店員

正式に窓としての仕事に就くことへなった。これで一応高専関係者ではあるが関わりは薄いし少ない末端。任務についても特に聞けなかった。廊下で偶然虎杖と遭遇し流れで会話をする。その最中虎杖がこの世界にしっかりと生きていることを認識し、目を反らせなくなる。故に虎杖を自身の日常の一部(友人)にしてそれを守ろうと決心した。実は前世も今世も成人前に姉以外の家族を亡くしている。

 

 

・分家

本日ストレス最大瞬間風速の記録を更新した。先輩達から玩具みたいに投げ飛ばされたり写真を撮られたりした人。更に夏油傑(幽霊)も居たし、煽られるわ挑発されるわ自己主張激しすぎて分家は目と表情が死んだ。ついでに肖像権も死んだ。可哀想。高専に来たことをとても後悔している。炭酸系の爽やかなものが好き。甘いものは種類によるけどわりと好き。珈琲は砂糖よりミルク派。

 

 

・虎杖(と宿儺)

友達が出来て嬉しい。同級や先輩は少ないし、知り合いの呪術師や補助監督も少ない。故にコンビニ店員にはしゃいでる。虎杖、そのコンビニ店員の姉が五条の探し人なんだぜ…。

コンビニ店員を宿儺が無言で見詰めていた。

 

 

・真希とパンダ

悟にそっくりでまじウケる。

棘憂太一年ズに写真送ろ~

(学生内で有名になる分家さん)

 

 

・夏油傑(幽霊の姿)

推定:地縛霊。誰にも姿が見えないし、呪力も特に感じられない。死に際まで着ていた五条袈裟の格好のまま。高専の敷地内から今まで出られなかった様子。だが分家さんに取り憑く事で外へ出れた。娑婆の空気が旨いぜ!うわ、猿じゃん…とか色々反応しながら分家さんの周囲を探索してたっぽい。どうやら分家さんを煽るのが愉しいらしい。クズの本領発揮してる。

【挿絵表示】

※分家を煽る夏油の図




今週の本誌で『うっ…』となった。
一話と最新を見比べたらより悲しい。

一方本作では渋谷事変開催前なので比較的平和。今後どうなるかはスレ民と原作陣営次第。頑張れ頑張れ!


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11.存在証明(挿絵有り)

とんでもねぇごった煮な本作品。マジで誰に需要あるのか不明。自己満で書いてたけど見てくださる方々とか言う超レア生物が居たので神に感謝。たぶんこれが今月最後の更新です。


【前回までのあらすじ】

正式に窓へ就任するコンビニ店員。その帰り道に虎杖と出会い友人へなった。その頃分家は真希パンダらの先輩に投げ飛ばされるわ夏油傑(幽霊の姿)からは煽られるわで散々な目に合う。そして高専を後にした分家と憑いてきた夏油はカラオケ店にて対話を開始する…。

 

 

 

 

 

 

 

 

10/3(水)16:17 東京某所 カラオケ店の一室

 

 

 

 

ズゴーとメロンソーダをストローで飲んでいる分家。その真向かいのソファーには半透明の笑顔な夏油。彼等は別々の雰囲気を持ってその場に座っていた。一方は何処と無くめんどくさそうな、疲れたような表情。目が見事に死んでいる。もう一方は何を考えているのかよく分からない女受けが良さそうな笑顔。眼を細めて狐のように笑っている。その光景は分家の"眼"のフィルターがなければ一人のサングラスをかけた黒髪青年が気怠げにメロンソーダを飲んでいるだけであろう。

 

 

「夏油傑は元高専所属の特級呪術師であり旧○○村で100人以上の非術師を殺害した後、両親も殺害。呪詛師に転身して行方を眩ませていた。そんで去年の冬に京都と新宿で百鬼夜行を企てる。だが、その目的は高専側の学生に阻止され最期は当主…五条悟によって死亡した」

『それで大体合っているよ。いやぁ随分と有名人になってしまった』

 

 

夏油は、たははと朗らかに笑っているが内心どう思っているのか定かでない。死んだことによって何か心境が変化しているのか、そもそも幽霊とか言う存在に成長性が存在するかどうかも怪しい。率直に言って不気味なのだ。分家はそれらを加味した上で開幕早々ぶっちゃけた。

 

 

「あんたの死体、悪用されてるけど自覚ある?とある人物が物理的に乗っ取ってるぜ」

『…ん?』

 

 

夏油は笑顔な表情のまま固まった。場の空気が凍り付く。分家は夏油のその様子に「あっ何も知らないんだな」と確信した。この幽霊な夏油は肉体との繋がりが全く無いのだろうか。そこら辺を聞かないと何も分からない。

 

 

『何を根拠にそう言える?』

「根拠か…誰もが納得し信じてくれる根拠はない。でも確信はある」

『へぇ、偉く自信があるな』

「高専を襲った徒党を組んだ未登録の特級呪霊の存在、それらに協力していた呪詛師、そして宿儺の器である虎杖悠仁。あんたの死体を悪用しているやつはこれ等を利用して日本を呪術最盛期である平安時代に勝る魔境にしようと企んでる」

 

 

分家は高専に赴いた際、京都姉妹校交流会での出来事や宿儺の器についての資料を読んでいた。それに加え12年前の五条、夏油による星漿体を護衛する任務の失敗。間違いなくあの場面で伏黒甚爾が現れ星漿体である天内理子は殺害された。その後の伏黒甚爾についての記述が秘匿にされていた件が気になるが、それを考えるよりも先ずは目の前の夏油への説明だと分家は思案する。

 

 

夏油側もまた思案していた。去年の12/24に死亡した夏油はそこからずっと高専敷地内に縛られている。高専内とは言え天元様のいる薨星宮や呪物が保管されている忌庫にはたどり着けず基本的に学生やかつての仲間達の近くにいた。故に夏油は高専を襲った特級呪霊や呪詛師を目撃しているし、宿儺の器足る虎杖悠仁についても知っている。それらの裏で何者かが暗躍していると夏油は考えていた。

 

夏油は自らの大義の為、親友である五条と袂を分かつ。しかし、死んだ今となっては何も出来ないし何故か成仏も出来なかったので親友の行く末を見守っていた。だからこそ今年に入ってからの不穏な事件の数々に少なからず危機感を感じている。理想とした世界はあったが、だからと言って親友の理想を応援しない理由もないのだ。仮に自身の肉体が奪われ悪用されているとなれば色々と困る。

 

 

『それが仮に事実だったとすれば、君はそれをどうするつもりだい』

「当然阻止するに決まってんだろ。奴は多くの人間が死に絶える未曾有の呪術テロを発生させる。呪力の最適化とか言うワケわからん事の為にな」

『呪力の最適化?』

 

 

呪力の最適化──羂索の計画にある日本国民を天元と同化させ強制的に進化させると言うもの。天元が話していた内容のため実際はどのような思惑を持ってそれを実現させようとしているのかは不明だ。しかし、それらが分家や他の転生者達にとって限り無く悲劇に繋がる計画であり、原作陣営にとっても同様。準備段階で人と人が殺し合うことを当たり前に行われるのだ。本番の同化の際どんな悲惨な事が起きるか想像すらも出来ない。

 

しかし、呪力の最適化は夏油の目指していた理想である呪術師だけの世界とも言える。

 

 

『私の身体を勝手に使われてるのは非常に遺憾だが、その最適化で非術師(猿共)が消えるなら構わないけどね』

「そうも言ってられない。あんたは呪術師の世界を目指してたんだろ。奴は呪術師と言うより人間の持つ呪力の可能性に興味を持っている。つまりは呪術師が不幸になろうが死のうが関係ない。非術師も呪術師も呪霊さえもな。あんたの家族だって既に巻き込まれてるぞ」

 

 

夏油は家族と言う言葉を聞いて身体をほんの少しだけ強張らせた。共に理想を目指し過ごしてきた家族。美々子や菜々子なんて夏油が手ずから救いだし、守り育てた存在だ。そんな家族達が巻き込まれているとなれば話が変わる。

 

しかし、夏油にとって分家は初対面。更に言えば根拠もない情報を簡単に信じるわけない。

 

 

『それで信用を勝ち取れると思っているのか』

「いや、思ってない。そもそも信用されなくても問題ないしな。あんたは現状誰にも認知されてない。そして高専や高専外の行動を見るに特にこれと言って現世に何か影響を及ぼすことが出来るとは思えない。極論俺があんたを無視しとけばマジで無害な存在だと思うぜ」

『君は随分酷いことを言うな』

 

 

ファーストコンタクトはその存在感もあってかなり驚いていた分家であったが冷静に考えていく内にそこまで思案するべき事案ではないと判断した。夏油が死亡してから今月まで誰にも見えていないと言う根拠は周囲の反応と幽霊夏油本人の反応から推測される。仮に五条が見えていたとしたらそのまま取り憑きそうだし、高専内で留まってない筈だ。

 

 

「あんたが協力してもしなくても俺がやることは変わらない。でも協力してくれるならあんたの家族を守るし、あんた自身の身体を取り戻せるよう出来る限り尽力する」

『私に選択する権利はないってことか』

「そもそもあんたは死者だしな。今生きる存在を見届けれるだけでもボーナスステージみたいなもんだろ。ま、どちらにせよ取り憑かれてるなら俺のプライバシーは消えたし、俺の秘密教えてやろうか?」

『その"眼"についてかな…いや、それよりも君が話していた情報を何処で手に入れたのかが気になるね』

 

 

夏油の目線は鋭く分家を注視している。先程の発言によって分家を警戒しているのだろう。分家はそれを横目にバッグからスマホを取り出した。そしてテーブルに乗せると夏油に画面を見るよう促す。

 

その画面に表示されているのは例のスレだ。このスレは術式によって転生者以外閲覧禁止とされている。しかし死者であり、幽霊となった夏油なら見れるかもしれないと置いてみたのだ。独断での行動だが今スレで相談している暇もないし、どうせ取り憑かれてるのならいつかバレてしまう。ならいっそ始めから説明しておくかとの判断である。

 

 

『これは?』

「見えてるのか、それが俺の…俺達の秘密ってやつ。俺達はちょっとした平行世界の住民で、この世界の可能性をひとつだけ知っている。何故此方に生まれ落ちてるのか全くもって謎だが俺達の知っている未来だと確実に東京は阿鼻叫喚になり、あんたの家族もそこで死ぬ」

 

 

夏油は無言で画面を眺めた。自動スクロールで流れていくスレには転生者達の混乱や驚き、発狂に覚悟や罪悪感と様々な感情が蠢いている。夏油にとって見慣れない単語も多々溢れていたが何となくニュアンスで理解していた。夏油は平行世界と言う存在や転生者と言うイレギュラーに驚きつつも自身の存在自体、非現実的なものであるが故にそこまで動揺はせずに済んだ。それに加えまだ分家の事をこれっぽっちも信用してないと言うのもあるため冷静さを保ったままだ。

夏油はそのまま様々なパワーワードやとんでもねぇ事実が飛び交っているスレを読み進めていく。そして中でも彼が気になったのはGLG封印と言う文字。スレでも一際目立っている。

 

 

『このGLGってもしかして悟で合ってる?』

「もしかしなくとも、うちの当主だよ」

『悟を封印なんて出来るとは思わないな』

「普通ならそうだろう。でもあまりにも条件が揃いすぎた。相手はハロウィンの渋谷で事を進める気だ。狭い空間に多くの人間の命と複数の特級呪霊、そこへ殺した筈の夏油傑が現れたら幾ら当主だとしても…いや当主だからこそ油断が生まれる。そして特級呪物:獄門疆と言うクソチートアイテムで詰み」

 

 

獄門疆は半径4メートル以内で相手の脳内上1分思考させると発動する定員1名様の結界だ。発動すれば相手を拘束する肉片が対象に生え、呪力や身体能力ではどうすることも出来ない。それらを解除出来るとしたら天遡鉾か黒縄、もしくは術式を消滅させると言う「天使」来栖華の存在。前者は五条によって処理されてるし、後者は死滅回游がスタートしているので論外。

五条さえ何とかすれば大体あとはどうにか出来る可能性が原作でも比喩されている。よってチームスレ民にとって五条封印阻止は何よりも優先順位が高い。

 

 

『…これが本当だとすればかなり不味い状況じゃないか?』

「そーだよ、かなりどころかめちゃくちゃ不味い状況だよ。期限1ヶ月切ってるし俺達に高専サイドの信用が無いから相談しても微妙。しかも高専には内通者が既にいるから寧ろ悪手となり得る」

『君らだけで何とかするつもりか?無茶だ、助けるどころか君達が死ぬ』

「無茶だし無謀だよ。それは重々承知の上でやるつもりだ。それに一応協力者は何とか集められるよう行動する予定ではある。例え死ぬ可能性があろうが、死よりも辛い地獄が待っている未来を変えた方がよっぽど健全だろ」

 

 

分家はもちろん、スレ民達も無茶苦茶な事をやろうとしている自覚はある。夏油が言った通り渋谷事変阻止に成功しても無惨に死ぬかもしれないし、そもそも助けられないかもしれない。最悪、失敗して死ぬと言う事も大いにあり得る。でも何もしなければどのみち死ぬ可能性が高いし、今までの日常は等しく死んでしまうのだ。家族も友達も同級生も同僚も何処で地獄に巻き込まれるか分かったもんじゃない。ならば最善は今此処で動くと言う行動あるのみ。

 

 

『…ひとつ聞きたいことがある。君は何故呪術師を目指した?』

「あ"?目指してねぇよ」

『目指してないのに高専へ見学しに来たのかい。じゃあ君は呪術師へなれるのにならない道を選ぶわけだ』

「高専へ来たのは情報収集の一環だからね。そもそも呪術師なんて死亡率が高い仕事普通はやりたくねぇよ。それを一般出身の癖してやってたあんたは本当に勤勉だったんだな。逆になんであんたは呪術師なんてやろうとしたんだ」

 

 

分家は原作を通して夏油についてある程度把握している。しかし目の前の夏油傑の事は知らない。どんな想いで戦って、どんな表情で死んでいったのか分からない。確かにこの世界は呪術廻戦に近しい存在であることに相違無いのだろう。だが、それとこの世界で生きている人々の想いが画面上や紙上でない魂の結露であることもまた真実なのだ。故に分家は目の前の夏油から言葉や想いを聞きたかった。

 

 

『なんだろうね…始めは強者(術師)としての責務を果たすためとか弱者を救うためとかそんな事を考えていたよ。でも多くの醜いもの(非術師)を見てきてしまった。あれらのせいで私達が死んでいくのが堪えられなかったんだ。それで私が選んだ本音は呪術師だけの世界。その結果この様さ』

「真面目過ぎるな、自分の日常だけ守ってれば良かったのに。そんな疲弊した最中態々他人まで救おうとするなんて己を滅ぼすだけだ。あんたは力を持ちすぎたし極端過ぎたんじゃないか」

『ふふ、私がそんな風に真面目だなんて言われるとは思わなかった。極端ね…私にとってあれが正しい道だったんだよ。あれには意味があり、意義もあった』

 

 

夏油は様々な感情が綯交ぜになった表情で語っていた。この様と揶揄する言葉なんか自身を嘲笑うかのようである。語った言葉達に込められたものは悔恨か懐古かそれとも別の感情なのか分家には読み取れなかった。これが夏油の親友である五条であったのなら何か読み取れたのかもしれない。

 

 

分家は夏油の思想に肯定も否定もしない。非術師ぶっ殺してぇと言う想いも分かるしその逆も然り。呪術師なんて言う職業に就いていたら命の価値なんて揺らぐだろうし倫理観など崩れゆくのも当然だろう。だから夏油傑と言う人物は揺らいだのかもしれない。

 

始めから常識を持っているからこそ、当たり前にしてきたものや守ってきたものの裏側を見て幻滅したんだろう。五条は呪術師の家系だったし家入はその辺一線を上手く引いていたが夏油は違った。それが分岐点。もしも誰かが夏油の導になっていたらとも考えた分家だが過去のifを考えるのは野暮だと思考を振り払う。

 

 

「呪術師はヒーローじゃないし、救世主でもないのによくやったよ。あんたの行動に称賛や賛同はしないけど敬意は示す。その事を含め、あんたは自身の清算をするべきだと思うぜ。きっとあんたはもう関係ない自身の死体だとしても、それが守りたかったものへ危害を加えるとなったら許せないだろう?」

『はは、よく分かってるな』

 

 

分家は此処までの夏油の言葉を聞いて、彼は今回の件に関わるべきだと思った。夏油自身の肉体を悪用し尊厳破壊、更には家族もそれに巻き添えになるどころか利用され死んでいく。親友である五条も夏油の肉体で油断を生み、封印される。こんなにも存分に肉体を利用されて好き放題されるのを目の前の男が許容出来るとはとてもじゃないが思わない。きっとぶちギレる。

 

 

「で、どうする。同盟でも組むか?ちなみにあんたに呪力感じねぇから縛りは出来ねぇぞ」

『口約束か…信用ならないね』

「互いに信用も信頼もほぼないが同時にデメリットも特に無い。何よりあんたは基本的に何も出来ないだろ?」

『それはどうかな』

「…いや出来ないと思う。出来てたらもっと既に行動していただろうし此処まで大人しく話を聞いてないと思うね」

 

 

現状、情報アドバンテージで言えば確実に分家の方が上である。まだ肉体があれば実力的に夏油の方が勝っているが今は幽霊。舌戦で挑もうにも分家は冷静に事態を俯瞰しているため揺さぶれない。結果死者となった夏油が出来ることは少ないのだ。

 

 

『は~、分かった降参する。でも君を信用しないし私が不利になる事は教えないけどそれでも良いのかい?』

「構わない。出来る限りの協力で充分だ」

 

 

言葉だけの同盟。口約束だけの協力。これが今後どのように戦況へ関わってくるかは分からない。でも少なからず、何かしら前進している筈だとそう信じるほか無かった。

 

期限は残り28日間。刻々と迫る未曾有の災いへ分家とスレ民達、そして新たに加わった夏油は思考を巡らせ立ち向かわなければならない。

 

互いに守りたいもののために。

互いに前へ進むために。

 

 

「じゃあ、一応同盟組んだ事だし外だと夏油の名前を下手に口外出来ないから、あんたにコードネームでも付ける事にする」

『どうぞ』

「イニシャルGで良いか」

『別に構わないよ』

「触角あるし黒いからいけるな」

『待ってくれ、それ別のGじゃないか!?』

 

 

夏油と分家の厳正なる議論によって安直ではあるが妥当な"夏"と言う呼び名になった。

 

彼らの間には現在、信用や信頼関係がない。分家はそれで良いと思っている。理由は知識の証明が自ずと判明していくことになるし、行動で示していくつもりだからだ。また、夏油側から何か有害な事が出来るとは思えないので基本的に放置して問題ないとの考えである。勿論、夏油を活用することで"見えない"と言う利点から周囲の盗聴が可能だ。しかし見る限りあまり分家自身から離れられない様子なので役に立つか分からない。

 

 

「…役に立つのか?」

『君かなり辛辣だよね』

 

 

 

かくしてスタンド使い分家の爆誕である。

なお、スタンドが役に立つとは言ってない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

950:何処かのスレ主さん

このスレそろそろ終わるし新たに立てた!

〈大変なことに気付いてしまったその2〉

 

951:何処かの名無しさん

>>950

スレ主ナイス!

 

952:何処かの名無しさん

>>950

ありがとう!!

 

953:何処かの名無しさん

このスレも呪物化(?)するのか…

 

954:何処かの名無しさん

俺達って現在進行形で都市伝説作ってるよな

 

955:何処かの名無しさん

もうそろそろ時間的に

高専組帰ってきてるかな?

 

956:何処かの名無しさん

何事もないと良いんだけね

 

957:何処かの名無しさん

フレンズさんは既に

鯉ノ口渓谷入りしてるんだっけ?

 

958:何処かの名無しさん

>>957

鯉ノ口付近の私有地持ちの方と話をつけて連日そこで野宿するらしいね…遡ったら現地で焼き芋作ってる写真あるよ。ついでに焼き芋が宙に浮いてるポルターガイストが起こってる

 

959:何処かのコンビニ店員さん

主人公と友人になった。あと自分術式あった

 

960:何処かの名無しさん

>>958

見てきたけど凄く

ホクホクしてて美味しそうだった

 

961:何処かの名無しさん

>>959

コンビニ店員!?

なんでそうなったの!?

 

962:何処かの名無しさん

>>959

術式あったの!?それに主人公ってマジかよ

 

963:何処かの名無しさん

>>959

詳細くれ

 

964:何処かの名無しさん

今日は事件が多そう

 

965:何処かのコンビニ店員さん

主人公とは偶然出会って話してたら友人になった。そんで術式は魂を変容させて肉体を物理的に虎へ変える感じのやつと判明。どうやら魂に術式が刻まれてるって分家さんから言われた

 

966:何処かの名無しさん

>>965

魂を変容させる…?

なにその自己無為転変

 

967:何処かの名無しさん

>>965

前者もビビったけど後者が更にえげつない

コンビニ店員の術式どうなってんの???

 

968:何処かの名無しさん

>>965

え、つまり龍さんも同じ術式説浮上ってこと?

 

969:何処かの名無しさん

文ストの敦くんやん!!

 

970:何処かの名無しさん

異能力と違って魂変容ギミックが怖すぎる

 

971:何処かの名無しさん

虎へ完全変身したら戻れる?

大丈夫?暴走とかしない??

 

972:何処かの名無しさん

虎もヤバいけど龍が完全変身して

暴走とかあったら色々不味そう

 

973:何処かのコンビニ店員さん

>>971

変身してみない事には分からない…

具体的にどう言った能力使えるのかも不明

 

974:何処かの名無しさん

監督いないと術式使うのリスク高過ぎる

 

975:何処かの名無しさん

フレンズさん宅なら行けるんじゃね?

山じいさんに協力してもらってさ

 

976:何処かの名無しさん

フレンズの所は今絶賛野営中だし

天狗作戦次第だろうね

 

977:何処かの名無しさん

高専側のサポートすんげぇ欲しい~

 

978:何処かの名無しさん

でも高専に行くってことは高専側のルールに縛られる事になるから動きにくくなるんだよな。何よりもメロンパンに意表を突けない。

あと術式が特殊過ぎて呪術界隈ざわつきそう

 

979:何処かの名無しさん

呪術師スレ内に居なさすぎる

マジでマイノリティなのが分かるわ

 

980:何処かの名無しさん

俺らもマイノリティではあるけどな

 

981:何処かの名無しさん

実際転生者がどのくらい居るのか謎

 

982:何処かの名無しさん

ROM専とかそもそもスレに

気付いてない奴も居るんじゃないかな

 

983:何処かの名無しさん

実は今日スレに気付いた民

 

984:何処かの名無しさん

>>983

ようこそ、地獄へ

 

985:何処かの名無しさん

仲間が増えてたみたい!

 

986:何処かの名無しさん

なぁ聞きたかったんだけどこのスレを見る前に

前世の記憶あった奴とかいる?

 

987:何処かの名無しさん

>>986

時々未来の語録呟いてたっぽい

 

988:何処かの名無しさん

>>986

前世より成績良かった気がする

 

989:何処かの名無しさん

>>986

ナチュラルに映画のストーリー覚えてた

ちなみに『君の名は。』

当初は監督の脳内読み取れたとか

俺神やんとか思ってたけど痛すぎる…

 

990:何処かの名無しさん

拙者は何も覚えておらぬ

 

991:何処かの名無しさん

某はピースサインやLemonを聴いて

そうそうこれこれ!!ってなり申した

 

992:何処かの名無しさん

拙僧はただのクソガキでした

 

993:何処かの名無しさん

個人差激しいな

 

994:何処かの名無しさん

やっぱ明確な切っ掛けがないと思い出せない奴なのかな?スレ主どんだけジャンプに思い入れあったんだよ

 

995:何処かの名無しさん

前世は定期購読+紙で買ってたんじゃね?

 

996:何処かの名無しさん

ジャンプガチ勢か…

 

997:何処かの名無しさん

読み切り漫画もしっかり読んでそう

 

998:何処かの分家さん

前髪の幽霊と同盟組んだ

 

999:何処かの名無しさん

 

1000:何処かの名無しさん

なんやって!?

 

 

 

このスレは過去ログに格納されました。

 

このスレは蜻ェ迚ゥ蛹されました。

 

 

 

 

 

 

 

次回、遂にコテハンの集い!

 

 

 

─────────────────────────

 

 

「皆さんごきげんよう、

私は吸血鬼現状を纏めるおじさん」

「吸血鬼現状を纏めるおじさん!?」

「では今回の登場人物を纏めていこう!」

 

○今回の登場人物

 

・コンビニ店員

虎杖との出会いによって決意し、早急に力をつけなければと言う思いが出てきた。スレ民には虎杖と自分から友人になったとは言ってない。

 

 

・フレンズ&山じい

鯉ノ口渓谷入りしてる。

現地で野営しつつ焼き芋しているらしい。

 

 

・分家

この度夏油傑と言う名のスタンドが背後に憑き纏う事になった。メロンソーダのチョイスは夏油に対しての当て付け。高専での煽りに細やかな反撃として心の中で煽ってた。また夏油の態度(煽り)に礼儀とか要らねぇなと思いタメ口で話してる。呼び方についても細やかな嫌がらせ。嫌がらせが十分出来たので高専での出来事を水に流した。

 

 

・夏油傑(幽霊の姿)

信じられない話を聞いた。マジで?状態。情報源が眉唾物故にそこまで信じてはいないが、数々の不穏な事件との因果を感じて今後も憑いていくことにした。目の前で羂索(夏油の姿)を見たら確定でぶちギレる人。久々に人類と話したのでわりと上機嫌ではある。幽霊なので基本的に無力かもしれない。あるいは何かの役に立てるかも。一応チームスレ民の協力者的立ち位置へなった。

【挿絵表示】

※G呼びされた時の様子

 

 

 




毎回非公開にするべきやろかと悩んでるけどなんやかんや続けてます。そして猛者だらけの日間ランキングに連日載るとか言うやベぇすげぇイベントあってビビり散らかしてる。こんな尖った作品なのに、人口密度が増えてる…こわ。あと本誌皆見て(布教)。


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12.境界線(挿絵有り)

今まで別々に居た奴等が
集合すると何かわくわくしますよね。

裏話なんですが、スレ民達の原作知識は個人差があります。主に単行本勢や本誌勢で分かれてます。また完全に追いきれてない人もいます。ちなみに最新情報は2021年11月初旬で止まってる。



【前回までのあらすじ】

なんと分家は夏油(幽霊)にスレの事をぶっちゃけると言う暴挙に出る。なんやかんやあった末、信用信頼がない口約束の同盟関係を締結することに相成った。そこから少し時が経った頃スレは遂に1000を迎え呪物化。ついでに1000間近に分家が爆弾発言を投げたせいでスレ民達が騒ぐ中、コテハン集会の時間がきたる…。

 

 

 

 

 

 

10/3(水)18:10 浅草橋 食べ処小鳥箱

 

 

 

 

夜間(よるま)で予約していた者ですが…」

「はい、夜間様ですね。お席は此方になります」

 

 

4人の男女が食べ処"小鳥箱"へ入っていく。勿論その4人とは本日集会予定のコテハン達だ。どうやら夜間と言う眼鏡を掛けた中老の人物が店を予約していたようで奥の個室へと案内される。店内は仕事帰りのサラリーマンや酒を飲みに来た人達で賑わっていた。

 

奥の部屋へ全員が入ると途端に彼等の纏う空気が変わる。彼等は何処か緊張しているのかそれとも現状の進展に沸いているのか何とも言い難い顔付きをしていた。その最中ポツリと4人中たった1人の女性が話し出す。

 

 

「スレ主さん仕事でまだ来れてないけど、自己紹介始めときますか?」

「あと30分ほどで来るらしいですが、その間無言と言うのも何ですから少しだけ自己紹介しておきましょう」

 

 

女性に賛同したのは中老の夜間だ。彼等の意見に残りの2人も賛同する。そこから何品か料理を注文し、お通しであるポテトサラダとドリンクがやってきたところで自己紹介タイムへ突入していく。ちなみに全員、ドリンクがノンアルコールである。居酒屋ではあるが真面目な話をしに来たので酒を誰も頼まなかった。

 

 

「じゃ、トップバッター行きます」

 

 

そう買って出たのは先程の女性。彼女の席にはトマトジュースが置かれている。

 

 

「コテハン龍こと東西水稀(とうざいみずき)。動物関係の仕事へ就いてます。名前は何でも結構!龍とか龍さんで呼んでもらっても大丈夫です。敬語も特に要らないのでフラットに行きましょ」

 

 

彼女こそクソスレ目撃から早々に術式が暴発し、一時的に龍人へ変化する等と意味不明な現象に合っていた龍だ。彼女の此処3日間は家の壁破壊を隠蔽するためにホームセンターへ行く事から始まり職場で何時角が生えないかビビりながら過ごすと言う日程である。まるで人間界に潜む人外のような不思議な生活を送っていた。

 

次に手を挙げたのは龍の隣に居た人物。彼の席には無難なオレンジジュースが置かれている。

 

 

「僕はコンビニ店員です。横にいるのは姉で僕が弟。本名は東西水渚(とうざいみずな)と言います。呼び方は自分も何でも良いですし同じく敬語無くて大丈夫です」

 

 

彼は本日虎へ変化すると言うとんでもねぇ術式が判明したり、高専へ出向いて窓に就任したり、虎杖と友人になったりと大忙しなコンビニ店員だ。高専から帰ってきた彼は姉を仕事場まで迎えに行き、一緒に浅草橋の待ち合わせ場所へと赴いた。どうやら姉にも虎杖と自分から友人になったとは話していないらしい。それだけ色々と想うところがあったのだろうか。

 

三番手はコンビニ店員の真向かいにいる中老の夜間だ。彼の席には龍同様トマトジュースが置かれている。コテハン内ではトマトジュースが人気らしい。

 

 

「私は夜間紅雀(よるまこうじゃく)と申します。コテハンは吸血鬼現状を纏めるおじさんで通ってますね。普段は大学教授として働いてます。呼び名は何でも構いません。敬語については各々自由にしてくれると助かります」

 

 

今まで表舞台に出てこなかった謎の存在吸血鬼現状を纏めるおじさん。彼の正体はなんと中老の大学教授と言うかなりの身分な人だった。周囲の3人が内心どよめく。吸血鬼の風貌は何処と無くかの有名なY談の方に似ているような気がする。しかし彼は立派な社会人をしている吸血鬼現状を纏めるおじさんなのでY談等一切しない。もしもそんなことをすれば教授として様々なものを失うことになるだろう。ちなみに彼は以前から患っていた胃潰瘍が治ったらしい。その事も知りたくてこの場へ訪れている。

 

吸血鬼の自己紹介が終わると3人の目線が4人目へ向かう。その4人目の席にはジャスミン茶が置かれていた。彼はカラオケ店で甘いものに飽きていたようだ。

 

 

「どうも、分家です。本名は五条(さとり)。何とでも呼んで構わない。敬語はそもそも俺がこの中で一番年下だし使わなくて結構。本日はよろしく。背後にスタンドが居るが、見えてないだろうから基本的に気にしなくて良い」

 

 

4人目は本日コンビニ店員以上に色々あった分家だ。彼はコンビニ店員の意味不明な術式を目撃した後、高専内で夏油(幽霊)と遭遇。そのまま憑き纏われ真希パンダらに投げ飛ばされる間ずっと煽られていた。そして高専から出ても憑いてきたのでカラオケ店で話し合いをし、一応同盟と言う形でスタンド使いになっている。また本来ならば今日の出費は大変痛いが夜中にスマブラをしていた親戚を説得(脅し)して遠征費用を貰ってきているので何とかなった中学三年生だ。

 

此処にいるメンバーは分家のスタンドの存在についてスレその2で話されているので、ある程度把握しているもののやはり動揺している。3人とも分家の背後を見るが特に何も見えないし何も感じない。やはり分家しか見えないのだろうか。普通ならそんな幽霊の存在を信じないと思うがスレ民やコテハンにとって分家は既に仲間。仲間の言ってることは信じる。それに分家の今までの行動からして嘘をつくメリットが何もない。よって彼等は分家の背後にほぼ確実と言って良い程夏油がいるだろうなと思っている。

 

 

スレ主を除いた全員の自己紹介が終わりかと思われたがまだ此処には1人存在する。そう、リモート参戦のフレンズだ。

 

テーブルの壁際に置かれた吸血鬼の最新鋭パソコンからリモートの画面が見える。辺りは暗闇に包まれランプと焚き火の灯りだけがフレンズを照らしていた。そして目には見えないが何かが暗闇の中に居ると感じ取れる。おそらくそれがフレンズの言う山じいと言う存在なのだろう。と言うか頻繁に画面内でポルターガイストが起こっている。それに何も言わずフレンズは現地で作ったであろうミネストローネを一口飲むと話し出した。

 

 

『あっあー、聞こえてるかな。ん?これがさっき言ってたリモートって奴だよ。遠くの人と顔を合わせて話せるんだ。あー、たぶんそんな感じのやつかもしれない』

 

 

フレンズは山じいと話しているらしいが傍らから見ればただのホラーである。何も知らない人が見ればフレンズは夜の野営中に1人で虚空に向かって話しているやべぇ奴だ。コテハン組はフレンズさんやっべーと思いつつフレンズさんはそう言う生き物なんだろうなと不思議と納得する。そしてコテハン組はフレンズのインパクトによって夏油の存在感へ意識が薄れた。

 

一方分家の背後に壁へ背を預けて傍観していた夏油はその様子にドン引きしていた。スレ内でそう言う存在がいるとは知っていたがそこまで信じていなかった為だ。いざガチのフレンズが登場したことによって動揺を隠せていない。でも分家以外には彼が見えないのでそのドン引き具合を知るものはいない。

 

 

『後でミネストローネをパスタにするから残しておいて…えーと、こんばんは。フレンズと言うコテハンの者です。本名は勅使河原晴彦(てしがはらはるひこ)って言います。でもフレンズの方が言いやすいと思うのでそっちでどうぞ。俺も敬語は特に大丈夫です。あと今のところ呪霊や人の気配がないみたいなので引き続きこのまま参加します』

 

 

以上、スレ主以外の濃い面子の自己紹介終了。本題に入るのは取り敢えずスレ主が到着してから始めるとして、各自注文した料理を摘まむことにした。もつ煮やまぐろブツ、ポテトサラダとモグモグと食べていく。吸血鬼お勧めの名は伊達ではなく本当に美味しいようだ。あの目が死んでいた分家に光が宿っている。

本日の店を指定した吸血鬼はたまにこの店へ行って酒を嗜んでいるとの事だ。確かにこの摘まみがあれば酒が進むだろうなと龍はトマトジュースを飲み進めた。

 

皆が摘まみを食べている最中、パソコンの画面上ではポルターガイストクッキングが行われており、冗談みたいな光景が広がっている。その光景に分家はこれが新たな呪霊との関り合いかと感心(?)を抱いていたり、龍虎姉弟はYouTubeの面白動画を眺めるように見守っていたりした。吸血鬼は久々の小鳥箱の料理に舌鼓を打っている。コテハン組はコンビニ店員と分家以外初対面だけどもめちゃくちゃ自由に過ごしていた。

 

 

『私は何を見ているんだ…』

 

 

ただ1人夏油だけが謎の疎外感を感じている。呪術師とも非術師とも言い難い第三の存在。それを夏油はどのように受け入れれば良いのか分からずにいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、スレ主は漸く食べ処"小鳥箱"へたどり着いていた。秋なのに少し汗をかいている。仕事のちょっとした残業で予定時刻から遅れてしまった事に焦り、走ってきたようだ。

 

そしてそのまま一息ついた所で小鳥箱の暖簾を潜る。直ぐに店員がやってきて待ち合わせをしていた予約席の場所を言えば「どうぞ此方です」と案内された。

 

スレ主は始めてきた居酒屋の店内を見渡しながら、これから出会うコテハン組に対して内心緊張で心臓がドクドクと脈打っている。スレ主こそが事の発端であり、この物語を始めた人物だ。故にどう言った表情で彼等に会えば良いのか未だ分からずにいた。

 

 

そんな冷や汗ダラダラのスレ主はふと席への道を案内されている道中、一人の女性とすれ違った。あっ綺麗な人だなとスレ主は一瞬思ったが数秒後慌ててその後ろ姿を凝視する。だってその姿にとても見覚えがあったからだ。スレ主はその人物を知っている。

 

その人物は白衣を身に纏い、黒茶色の髪で目元には疲れているのか隈が出来ていた。何より特徴的な右目下の泣きぼくろ。気怠げなその女性はスレ主の記憶が正しければ"家入硝子"その人である。

 

 

「お客様どうなされましたか?」

「…アッ、何でもないデス」

 

 

家入硝子との遭遇でスレ主は五秒ほどフリーズした。心の中はもうそれはそれは大パニックだ。何で店が奇跡的なマッチングしているのか意味が分からない。コテハン組に対しての緊張感でどうにかなりそうだったスレ主はこの遭遇によって何かが吹っ切れた。もしくは最後の止めを刺されたとも言う。

 

 

 

 

 

なるようになれ精神、心の平静を失ったスレ主は案内された座席へ意気揚々と向かう。一周回った状態のスレ主はクソデカボイスで元気よくコテハン組に挨拶をする。

 

 

「みんな~!!お待たせ!!!遅れてごめんね!!!!」

 

 

開かれた障子の先に広がっていたのはつまみと共にコテハン組がフレンズさん主催のリモートお料理教室講座で盛り上がっている光景だった。丁度家庭で役立つお料理雑学を披露している場面らしい。しかしスレ主が入ると共に場は一気に静まる。スレ主は完全にテンション間違えたとまた冷や汗を垂らした。第一印象、終わったかもしれない。

 

 

「スレ主さんですね、待ってましたよ」

 

 

静まり返った室内で龍がスレ主に話し掛ける。ささっどうぞとそのまま龍の隣へ座らせた。スレ主はごくりとぶり返した緊張で喉を鳴らしながらそっとコテハン組を見渡す。

 

現在此処にいるメンバーは呪術師見習いの中学生、教授、コンビニ店員な大学生、動物系の仕事をしている人、イカれた料理人、平安生まれの呪霊…あと幽霊がいる。そして転生者達の記憶を思い出させ、彼等を繋いだサラリーマンであるスレ主。今後、渋谷事変攻略主要メンバーであるもの達が出会った瞬間である。此処から彼等は死地へ赴き、命を懸けて家族や仲間が生きている自身の日常を守るべくして往く。

 

そう、命を懸けて…。

 

 

 

それはそうとスレ主が来たからにはコテハン組による作戦会議が始まる。先に顔合わせを終えていたコテハン組が各々スレ主に自己紹介をしていく。スレ主は各自の意外な経歴に驚きながら皆が優しそうなので一安心した。緊張したり安心したり忙しい奴だ。

 

 

「みんな自己紹介ありがとう。俺は田代将司(たしろしょうじ)、東京でサラリーマンをしている者だ。気軽にスレ主とかで呼んで。今回は集まってくれて本当にありがとう」

 

 

スレ主の言葉と共に姿勢を正すコテハン一向。分家以外には見えていないがその様子を幽霊夏油は興味深そうに眺めている。普通であれば"未来を知っている"や"転生した"などあり得ない事を信用し、此処まで人が動くのだろうか。夏油は彼等に少なからず心惹かれる何かを見出だし始めていた。

 

 

「改めて見るとスレ主に吸血鬼、コンビニ店員や龍さんと各々ヤバい術式持ってんな」

「そう言う分家さんもヤバい目持ってるじゃないすか。私も大概"龍"とか言うわけわからんもん持ってるから言えた義理ないけど」

 

 

分家の目にはコテハン組に刻まれた錚々たる術式が見えている。それぞれがもし呪術界隈に見付かれば大騒ぎになるだろう。きっと御三家や上層部が黙ってない。各陣営に引き入れようとするか、それとも危険分子として閉じ込めるか殺すかするかもしれないと分家は思った。コンビニ店員の術式が魂に刻まれていて却って良かった。肉体に刻まれていたら五条悟に見付かってしまい、そこから行動が制限されていたことだろう。分家は各自の術式について詳細を話そうとしたがスレ主から待ったがかかる。

 

 

「作戦会議の前に少し待って。さっき部屋の外で俺の見間違いじゃなければ高専関係者らしき人物を見掛けたんだ」

「高専関係者?どんな人だったんです…?まさか主要人物とかじゃないですよね。流石にそんな人が居れば僕ら困りますよ」

 

 

コンビニ店員がそう疑問に思ったことをスレ主に話す。スレ主はコンビニ店員の言葉に露骨な反応を示した。効果音を付けるならばギクリと言う音が相応しいだろうか。

 

 

「え、嘘ですよね。主要人物じゃないですよね?」

「あー、あはは」

「…スレ主、マジで誰と会ったんだ?」

 

 

コンビニ店員に続き分家もおいおいと言った風にスレ主を見る。そしてその様子を本日の店を選び予約した吸血鬼がやらかしてしまったのかと絶望顔でどんよりしていた。龍さんとフレンズは大変やなと何故か他人事を貫いている。更にそれらを俯瞰して幽霊夏油が面白そうに事の成り行きを見守っていた。個室はちょっとしたカオス。

 

 

「…家入硝子」

「マジ?」

「ウン、まじ」

 

 

めちゃくちゃ小声で呟くように発言された名前に個室内が一気にざわついた。全員の視線が何処と無く吸血鬼を貫く。吸血鬼は無言で首を振りながらわざとじゃないとアピールをしている。本当に吸血鬼はわざとではない。ただの奇跡的なブッキングをしただけだ。分家とスレ主はそのまま会話を続ける。

 

 

「マジなのか確認させにいく」

「うん?誰に?」

「この背後にいるスタンドに」

『え"』

 

 

役に立つのか謎だった幽霊夏油の活用方法。誰の目にも見えないと言うメリット。射程距離が短いがこの居酒屋程度なら行けるだろうと言う分家の試み。突然の指名に傍観を決め込んでいた夏油は地味に驚いていた。此処まで幽霊と言うこともあり誰にもそこまでのリアクションを取られなかったから尚更びっくり。

 

 

「分家さんの言ってたスタンドか!確かにスタンドなら恐らくごじょ…目隠しの人にも見えないっぽいもんね。分家さんそれ名案!」

「スレ主の許可が出たし、偵察行ってこい」

『私は承諾してないんだけど』

「別にスパイしに行ってこいって訳じゃない。単純に誰がいるのかの確認だ。俺達よりもあんたの方が高専の顔触れをよく知ってんだろ」

 

 

分家と夏油が話している傍ら龍とコンビニ店員は吸血鬼を励ましていた。パソコンの中ではフレンズが「誰にでも失敗あるよ」と山じいが仕出かした黒こげの焼き芋写真を見せ付けている。その背後ではフライパンが宙に浮く等のポルターガイストが発生していた。山じいが何らかの抗議をしているのだろう。

 

 

『仕方がないな』

「そうだ、仕方がないからさっさと行って確認してきてくれ」

『君、もっと私を労う気持ちが無いのか』

「ない」

『あっそう』

「分家さんとスタンドとの会話何かすげぇ~!」

『スタンドって言うの止めてくれる?』

 

 

スレ主はジョジョを見ていたのでスタンド(と言う名の幽霊)との会話に目をキラキラさせている。もちろん夏油の世代にもジョジョはあった。かつて少年だった夏油の青春の傍らにジョジョは確かに存在感を醸し出していたようだ。でもスタンド呼びは解せないらしい。

 

そんなことより偵察。分家とは一応同盟関係を結んだので渋々個室から出ていく。正直に言えば夏油が居ない間に、コテハン組が何か怪しい事でも話し合わないのか疑っている側面がある。そう言うこともあって渋っていた。だが、そうすると何時までも話が進まないので本当に仕方がなくこうして偵察をしに行っている。

 

 

3つ個室を挟んだ場所に彼等はいた。それはかつての学びを共にした仲間達。メンバーは後輩にあたる伊地知潔高、同級生の家入硝子、そして親友の五条悟。外でこうして飲み会をしている彼等の姿を見ることになるとは思わなかった。夏油が揃った事で構図的には高専同窓会が出来上がっている。でも夏油の姿は彼等には映らない。夏油は既に彼等の中で死んでいる。

 

 

「チーズに酒盗をのせてね、おっかけて酒。やってみろ」

「あ、美味しい。アンチョビで飲んでるみたい」

「えー、チーズに塩辛いものを載っけるその感覚僕わかんないな」

 

 

彼等は居酒屋らしくどうでも良い話で酒とつまみを嗜んでいた。当然のごとく五条は酒ではなくメロンソーダ。そう言えばカラオケ店で分家もメロンソーダ飲んでたなと夏油も釣られてどうでも良い事を考え込んだ。

 

 

『君達は変わらないね』

 

 

届かない独り言を呟く。彼等は彼等で変わっているものがあることは知っている。でもそう言う事ではない。芯の部分だ。数多の死を乗り越えて尚、彼等はこの世界を見捨てていない。夏油はこの世界を諦めた。今ある世界を放棄し、自分達(呪術師)が上手く生きれるような世界にしようと選択したのだ。

 

夏油はこれ以上居ても意味がないと彼等に背を向ける。偵察と言う役目は果たした。戻ってコテハン組の行く末を見守ろう。ふと夏油の口から言葉が漏れる。

 

 

『私が未だに此処へいる意味は何だろうね。硝子や悟ならなんと答えるかな』

「そんなの知らないよ」

 

 

五条の返事が返ってきて慌てて振り返る。視線は合わない。どうやら彼等の会話の流れで偶然噛み合ったらしい。

 

 

『悟、私は私の道へ往くよ』

 

 

彼等の道はとうに違えた。もう言葉を交わすことも同じ世界を見ることもない。それを残念に思うのは傲慢な考えだろうか。きっと夏油は彼等と…。いや、その言葉は言えない。夏油は憂いを纏いコテハン組の元へ去っていく。

 

 

「ねぇ硝子、伊地知」

「なんだ五条」

「なんですか?」

「…いや、気のせいだったかも」

 

 

 

 

 

 

 

帰還した夏油の報告によりコテハン組のいる個室はマジでどうしようと言う雰囲気いっぱいになっていた。

 

 

「まず当主にスレ主や吸血鬼が見られたら一発アウトだと思う」

「分家さんそれマジ?俺の掲示板ヤバいの?」

「うん、術式が一般のそれと違う」

「僕と姉はどうだろうか」

「龍さんとコンビニ店員は呪力が可笑しい」

「全員アウトじゃないですか…」

 

 

下手に個室から出られなくなり、五条悟が帰るまで動けない状態に陥った。更に言えば此処で術式発動の確認をしようものなら六眼センサーに引っ掛かる可能性がある。五条悟と言う存在が味方ならこれ以上ない程頼もしいのだろうが敵とも味方とも言えない今の状態だと頗る厄介だ。そしてその状況へ導いてしまった吸血鬼おじさんは懺悔の気持ちを吐いた。

 

 

「皆さん、此処の会計は私が責任持って奢ります。誠に申し訳ありませんでした」

「…ドンマイ!」

 

 

スレ主の苦し紛れの励ましがただただ心に響いて痛かった10月3日(水)午後19時半。未だに作戦会議は始まらなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

次回、作戦会議出来ると良いね。

 

 

 

 

─────────────────────────

 

「皆さんごきげんよう、

私は吸血鬼現状を纏めるおじさん」

「吸血鬼現状を纏めるおじさん!?」

「では今回の登場人物を纏めていこう!」

 

○今回の登場人物

 

・龍虎姉弟─本名:東西水稀(とうざいみずき)東西水渚(とうざいみずな)

龍とコンビニ店員は自宅が一緒なので基本的にセット。龍は元からネジ飛んでるしコンビニ店員は覚悟完了したので最早一般人卒業してる。

 

 

・吸血鬼現状を纏めるおじさん─本名:夜間紅雀(よるまこうじゃく)

長いので略して吸血鬼と呼ばれるようになる。おじさんとしての余裕なのかやべぇ光景を見ても普通に飯食ってた。この度お勧めした店に家入五条伊地知が居たのでめちゃくちゃ申し訳なくなる。

 

 

・フレンズ&山じい─本名:勅使河原晴彦(てしがはらはるひこ)

鯉ノ口渓谷からリモート参戦。野営ポルターガイストクッキングを披露した。分家や龍虎姉弟にウケた様子。夏油にドン引きされてるが、本人達はミネストローネパスタが上手く出来て喜んでる。

 

 

・分家─本名:五条(さとり)

ジャスミン茶より紅茶の方が好き。此処まで色々ありすぎて悟りを開いてる。コテハン組を見ても仏のように心穏やか。龍だけは術式の方の"龍"と混合してしまうため、さん付けしている。中学生だけど精神年齢は大人。

 

 

・夏油傑(幽霊の姿)

イカれた光景とイカれた面子にやべぇとこ来ちゃったと今更ながら自覚した。分家の方を見たら仏の顔をしていたのでこれがずっと続くのかと悟る。あり得ない事を本気で信じて動こうとしている人々を見て心惹かれる何かを見出だす。嘗ての仲間達が飲み会してる姿に想う所ありまくり。

 

 

・スレ主─田代将司(たしろしょうじ)

家入を見て『え(;゚Д゚)どひゃー(^o^)』となった人。その後コテハン組の面子を見て迷子の表情をした。感性が一番まとも説がある。

【挿絵表示】

※家入と遭遇シーン

 

 

・飲み会してる3人

仕事帰りに飲み会している。彼等の3個隣の個室でナニコレ珍百景が繰り広げられていることを知らない。知ったら高専へ連行不可避。

 

 

 

 




小鳥箱でのシーンは呪術廻戦小説第2弾の第3話『浅草橋哀歌』で出てきます。外伝ではありますが、実質原作場面に遭遇。以前から出していた"浅草橋の居酒屋"と言う単語で気付いた人が居たら超能力の類いなので自身を誇って下さい。

あと1話くらいで一章が終わります。


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13.暗夜行路(挿絵有り)

彼等の道は暗闇に満ちている。
往けば地獄、往かなくても地獄。
どちらを選んでも誰も責めないけど
己自身がきっと後悔するのだろう。


【前回までのあらすじ】

スレ建築から3日目で集まったコテハン組。彼等は同郷と言う共通点からお互いに気を許し合い、渋谷事変と言う未曾有の災いへ立ち向かうべく作戦会議をしていく。しかしその作戦会議場では奇跡的に原作サイドの方々が飲み会をしていたので作戦会議どころじゃなかった…。

 

 

 

吸血鬼おじさんドンマイ事件から

時刻は21時を過ぎた頃のスレ。

 

『大変なことに気付いてしまったスレその2』

 

 

34:何処かの名無しさん

なんか集会場で原作サイドと遭遇したらしいな

 

35:何処かの名無しさん

コテハン組今日で事件起こしすぎ!

 

36:何処かの名無しさん

コンビニ店員が術式あって主人公と友人になり

分家は夏の幽霊と同盟組んだとか…なに…この

 

37:何処かの名無しさん

3日目にしてこの騒ぎだけど

今後更に突撃していくんだよね?

 

38:何処かの名無しさん

近日中にフレンズと九相図がぶつかる予定

 

39:何処かの名無しさん

何事も起きないと良いけど絶対何かあるだろ

 

40:何処かのスレ主さん

吸血鬼おじさん宅に移動する!

 

41:何処かの名無しさん

>>40

まさかの吸血鬼宅!?

 

42:何処かの名無しさん

>>40

実質二次会じゃん!!

 

43:何処かの分家さん

取り敢えず原作の方々が

解散したのを見計らって移動する

 

44:何処かの名無しさん

公共の場より個人宅の方がそりゃ良いもんね

 

45:何処かの名無しさん

会議結局深夜帯では…?

 

46:何処かの名無しさん

コテハン組の睡眠が削られてく~!!

 

47:何処かの名無しさん

吸血鬼おじさん宅そんな大人数行けるの?

家族とか大丈夫??

 

48:何処かの吸血鬼さん

今は一人暮らしなので大丈夫です。

自宅は都内の1LDKです。

 

49:何処かの名無しさん

>>48

良いところに住んでそう

 

50:何処かの名無しさん

>>48

コテハン組今日はそこで宿泊?

 

51:何処かのスレ主さん

>>50

会議次第では泊まらせてもらうかも

 

52:何処かの名無しさん

出会って三日目で

自宅訪問からのお泊まりは強すぎる

 

53:何処かの名無しさん

こんなこともあるんやな

 

54:何処かの名無しさん

これが同じ都内で起きてる事なの信じられん

 

55:何処かの名無しさん

行動力の化身…

 

56:何処かの名無しさん

動かないと終わるからね

 

57:何処かの名無しさん

会議報告待機!

 

58:何処かの名無しさん

俺達の戦いはまだまだこれからだ!!

 

 

 

 

 

10月3日(水)21:53 都内某所のマンション

 

 

「すげぇエントランスだった。俺こんなマンション初めて入ったんだけど」

「スレ主薄給そうだよな」

「分家さん!?否定はしないけどさ!」

「吸血鬼教授の自宅お洒落すぎて目が潰れそう…どうしよう我が弟よ」

「どうもしなくて良いと思う」

『君達ずっと呑気だね』

 

 

コテハン組はあれからこのまま居酒屋で会議をするかどうか審議した結果、吸血鬼の「我が家を会議場にして下さい」との申し出に満場一致し五条達へかち合わない様にあの場を後にした。個人宅の方が誰かに見られることも聞かれることもほぼ無いと言える。その様子を本当にこいつら初対面なのかと疑惑の眼差しをしていた夏油。しかし念のためお泊まりグッズを買いにドンキへ寄ってアホみたいにはしゃいでいるコテハン組を目撃した夏油はただの馬鹿達だと判断した。

 

 

「私ドンキ行ったの初めてでした」

「吸血鬼教授ドンキ処女だったのね」

「ねーちゃんもドンキ行ったことなくない?」

「それな、あとドンキに呪霊居たのビビった」

「ああ言う場所は色々と変なのが集まりやすいからな。閉店後に呪術師を派遣して祓ったりなんか良くあることだ」

「分家くんの為になる呪術雑学ありがたい。はい、お礼に私のきびだんごあげる」

「ども」

 

 

吸血鬼の広々としたリビングに各自、正座だったり胡座をかいたりして喋り込むコテハン組。結果的に居酒屋では親睦を深めただけであった。しかしそれは今後戦友となる彼等にとって決して無駄ではないものだ。何気無い会話、何気無い絡み、そう言った積み重ねが信用と信頼を紡ぎ、時に奇跡を手繰り寄せる。

 

 

「だらだら喋ってないで術式の話を進めるぞ」

「うっす、分家さん任せた」

「スレ主が一応リーダーみたいなもんなんだからしっかりしてくれ」

「お腹痛くなってきた」

「スレ主さん正露丸要ります?確かあそこの棚に置いていたはず…」

『君達、特級呪霊と戦う自覚ある?』

 

 

あまりにもノリが馬鹿な会話だった。夏油は真面目なのでいちいち突っ込みを入れてしまいたくなる。高専時代も隣に馬鹿をやらかす白いのが居たが、此処にいる馬鹿はベクトルの違う馬鹿だ。それも馬鹿が複数いる。馬鹿と馬鹿が出逢えば相乗効果でより次元の違う世界が広がっていく。広がった結果が現在のコテハン組だ。

 

 

「で、術式についてな。まずスレ主から行くぞ。あんたはスレを通して自身と縁あるものを手繰り寄せる。今回のスレで言うと"同郷"と言うこの世界において特殊な繋がりを元に広範囲の術式効果を発動させた。更に縁を強固に繋げることで連鎖的に俺達の記憶も手繰り寄せたんだろうな。呪力も縁繋ぎで解消しているコスパ良い術式だ。拡張次第では更に化けるぞ」

「俺そんな高度な事やってたん…」

「はい、次コンビニ店員。スレでも言ったけど魂に術式が刻まれているニュータイプ。魂に直接作用することで虎に変化出来る山月記だ」

「僕は李徴だったのか」

『頭可笑しい奴しかいないな』

「それには同意する」

 

 

分家による一般人でも分かりやすい解説によって術式が開示されていく。此処にいる術式を持っている4人中、2人が既に呪術界隈的に意味不明のイレギュラーだ。夏油はマジで此処にいる奴等狂ってんなと思うほか無かった。高専から呪詛師時代までの間、様々な術式を見てきた夏油もこれ程に"理"をねじ曲げるような規格外に出会ったことはない。

 

 

「そんで吸血鬼は…なるほどバランス良いな。例えるなら回復キャラ。術式発動時に自然治癒力を高める。そのお陰で胃潰瘍が治ったんだろうね。努力次第で色んな病も治せると思う。医者に転職すると頂点取れるぞ」

「反転術式みたいな感じですか?」

「んー、少し違うな。反転術式は術式と名が付いているけど呪力操作の類いだ。負と負を掛けて正のエネルギーを生み出し、それを治癒に活用している。あんたの術式はデフォルトで治療に特化しているから負のエネルギーでそれが出来てしまう」

 

 

反転術式とは異なる治癒のプロセス。それは呪力操作を何も知らない彼等にとって貴重な存在になるだろう。

 

 

「ほう、治れと念じたら良いんですかね」

「え、はいはい!俺の疲労感治してみて!」

「じゃあスレ主さん行きますよ」

「よしゃ!来い!!!」

 

 

吸血鬼がスレ主に向かって手をかざした瞬間、スレ主は燃えた。さながらキャンプファイアーのように燃え盛っている。その光景にジュースを飲みながら胡座をかいていた龍は噎せた。

 

 

「スレ主くん燃えてる!消火せな!みずは?野菜生活でもいいか!?」

「龍さん落ち着け、あれは術式の炎だ」

「あっつ…くない!俺燃えてる!燃えてる!」

「私、人燃やした…?」

『何起きてるんです?画面上ではスレ主が阿波踊りしてる風にしか見えないんだけど』

 

 

リモート参戦中のフレンズは呪力で出来ている炎を目視できていない。その為、吸血鬼がスレ主に向かって手をかざしたと思えばいきなりスレ主が阿波踊りをし始めた感じになっている。非術師やカメラ越しから見れば狂気の沙汰だ。

 

 

『なに…この…なんだろう』

「夏が言わんとしてる事は何となく分かるけどまだ後控えてるからな」

『そう、まだ一人居たか』

 

 

夏油と分家は燃え盛るスレ主を囲ってやべぇすげぇとはしゃぎまわる龍や炎をつんつんするコンビニ店員、人を燃やしてしまったショックで腰を抜かした吸血鬼、それらを画面越しに見ながら爆笑しているフレンズを見守った。居酒屋での混沌とした光景を上回る状況に夏油は何かを言いたかったがそれを表せる言葉は出ない。

 

 

「うぉおおお!モンエナより力が漲る」

「すんげぇ、吸血鬼教授実質温泉施設だね」

「ねーちゃんその例えわかんねぇよ」

「私は温泉施設」

「ほら何か変な感じになっちゃった」

 

 

分家は彼等の様子を暫く見ていたい気持ちもあったが、いい加減作戦会議を始めたいので一拍してコテハン組を集合させる。コテハン組だけでも此処まで自由奔放ゆえ、他のスレ民も集合すれば収拾がつかずに延々と馬鹿騒ぎしていたことだろう。

 

 

「はいはい、最後の龍さんね。龍さんは見た感じコンビニ店員と似ている。魂に術式が刻まれていて"龍"へ身体を変化させる類いだ。正直なところ"龍"と言う特性上、何がどの程度出来て龍さん自体がどうなるか実際の術式発動を見てみないと何とも言えねぇ。勿論それはコンビニ店員にも言えることだがそれ以上に未知だ」

「分家くん解説ありがとう。つまり実践あるのみと言うことだね」

「まぁそうだな」

「ちょい試してみて良い?」

「ちょっとだけだぞ」

 

 

皆が見守る中リビングの中央で龍は集中する。初日は完全に無意識で術式を発動していた。そして過去の呪霊との遭遇時も生命の危機に呼応しその片鱗が表へ出てきている。つまり龍の意思で術式を発動したことはない。

 

集中する。変化無し。集中が足りないのか?変容時に何を考えていた?命の危機、記憶の濁流、それらが術式を呼び覚ましていたはずだ。膨大な記憶の中に何がいた?確か…青い"龍"、いや他にも"龍"は沢山いた。"龍"と言うイメージ、それらが龍自身の中で蠢いている。龍は何となくそれを理解した。術式は"龍"を顕現させる。言うなれば絵を描く液晶タブレット。呪力と言う電気で稼働させることができる。そして絵として完成させるには龍自身のイメージ、空想を術式に描く。思考、思考、思考…。

 

空想を現実へ、虚構を事実へ。人を龍へ。

 

 

「…マジか」

「龍さん本当に龍人なってる!やべぇ!」

『画面上でも姿を確認出来る、いやまさか人が龍へなるとかまるで神話だ』

 

 

黒かった髪は白い髪…否、白い鬣になり毛先は紅く染まって風もないのにたなびいている。頭部は荘厳な1対の枝分かれした角が生え揃い、その下にある皮膚には艶やかな青い鱗が所々浮かび上がっていた。何よりも眼が人間のそれではない。黄金に輝く眼は獣のように鋭く気高さに溢れていた。瞳の中には数多の星が沈んでいるかのように夜空を思い浮かばせる。スレで見た龍人よりも人に近い姿をしているが、ただならぬ雰囲気を発していた。

 

 

「人間キャンプファイヤーより此方の方が凄くないですか?ね、スレ主さん」

「吸血鬼さん、そんな死にそうな顔で人間キャンプファイヤーと比べたら駄目だって!」

 

『君達ほんと意味がわからない。状況を…?そんな深刻そうな顔してどうしたんだ』

 

 

夏油は龍の術式を見てあまりにも常識外れな様子へ分家の解説を求めた。だが分家は"龍"を見て黙り込んでいる。"龍"に何を見ているのかは分家しかわからない。夏油はそれに焦りにも似た感情が湧いた。可笑しい、彼等と出会って1日も経ってないのに愛着のようなそんな何かが宿っている。おそらく彼等を見ていて単純に愉快なのだ。そして彼等は夏油の存在を知っていて分家は言葉を交わしてくれる。約一年の間、誰にも話し掛けられず誰にも知られなかった夏油にとってそれはとても嬉しかった。故に馬鹿騒ぎしていた奴等へ暗い影が射してその空気が壊れるのが嫌なのだろう。

 

 

『君、何を視て…』

「ねーちゃん、ご感想どうぞ」

 

「…めっちゃもさもさ」

「良かったね」

 

 

龍虎姉弟は夏油や分家の様子に気付くことなく呑気に会話をしていた。その姿に夏油は一安心するが分家の表情は曇ったままだ。そして分家は無表情で龍に話し掛けた。

 

 

「どした分家くん、顔死んでるよ」

「今どんな感覚だ」

「うーーーん、何かなんでも出来るようなそんな感覚かな。今ならビーム出せそう」

「なら別に良い」

「…そう?所で聞きたい事あるんだけどさ」

「なんだ」

「分家くんの背後の黒靄ってスタンド?」

「見えるのか…?」

 

 

龍の眼には分家の背後で何処と無く縦に長い黒い靄が見えていた。先程まで何も見えていなかったが"龍"の眼による影響か、分家以外誰にも見えていない夏油の姿を少しだけ目撃することが出来たようだ。

 

 

『まさか今日だけで私が見える者に2人も会えるとはな』

「何か喋ってる?ノイズに聴こえる」

「ちゃんと喋ってる。認知に格差があるのか」

「これもドラゴンぱわー?」

「まぁ…そうかもな」

『もっと考えろ』

「今突っ込まれた気がする。そんなノイズだ」

「正解」

『君達何なの?』

 

 

シリアスな雰囲気が数秒で粉砕した。それが良いことなのかそれとも悪いことなのか夏油にはよくわからない。ただ夏油を認識できる者が増えたのは確かだ。

 

 

「よし、弟よ。お前も人外にならないか?」

「それだと僕死ぬ。試してみるけどさ。何かコツとかあるの?」

「あんた絵上手人(えうまんちゅ)じゃん?脳内で虎の絵を思い浮かべてそれを出力する感じ」

「ねーちゃんも絵上手人(えうまんちゅ)じゃん。スケブで依頼やってんの知ってるからな」

「ちょちょちょまって、私の垢バレてる!?」

「え!凄い!龍虎姉弟は絵描き人なのか!今度良かったら見せて~!」

「はい、スレ主さんこれねーちゃんの」

「あ"ーーー!やめろー!」

「はわ!うめぇ!!!神絵師やんけ!」

『え、え、俺も見たい。画面此方向けて。山じいも見たいよね…見たいって!』

「私も見たいです」

 

「お前ら早く会議しろ」

『うわぁ…学級崩壊みたいだね』

 

 

──閑話休題。

 

 

先程の龍のようにリビングの中央へ立つコンビニ店員。固唾を呑む龍とめちゃくちゃわくわくしているスレ主、吸血鬼、フレンズ。それを後方で静かに見守る分家と夏油。コンビニ店員は完全に見せ物と化していた。

 

コンビニ店員は眼を閉じる。姉に教わった通り自らが思い描く虎を想像した。大きくて鋭い牙と爪を持ち、此方を見詰めてくる…そんな想像を脳裏で考えていく。その時、コンビニ店員はぽつんと水面に雫が落ちる音を聞いた。その方向へ向いてみると美しい金属の装飾に彩られた真っ白な虎が紅い炎を携え眠っている。白い虎はコンビニ店員に気付いたのかゆっくりと眼を開け、空色の瞳を此方に向けた。

 

はっと目が醒めた感覚と共に何かが変わったようなそんな違和感を持ったコンビニ店員は眼を開ける。すると、周囲のコテハン達は驚いたような顔つきをしていた。

 

 

「白虎だ!敦くんやん!!私の弟、山月記!」

「水色の眼してる!半獣人だ!ケモ耳!俺リアルケモ耳見たの初めて!すごーい!!」

「漫画に出れそうな見た目ですね」

「いや、吸血鬼も人燃やせるんだから十分漫画に出れるぞ」

『おお、龍虎が揃った。荘厳…え、山じい何か見覚えあるの?…やっぱ気のせい?…そうなの』

 

 

コンビニ店員の姿は半獣人と化していた。黒髪は白に染まり、所々黒い模様が入っている。手足は人と獣の間を彷徨うような形だ。また人の耳がある場所には虎の耳が生えており、眼は空色に染まっている。その姿に龍とスレ主がテンション爆上がりし、盛り上がっていた。

 

 

「うわ、えっすご…なにこの感覚」

「違うかもしれない」

「え、分家さん今なんて?」

「…何でもねぇ、ところで夏は見えるか?」

「うーん、何か黒い霧が見える。あの辺りだけ黒い霧がかかってるようなそんな感じ」

『龍より見えていないのか』

「今微かに物音がした?」

「今、夏が喋った。龍さんより店員は魂の認識能力の様なものが低いのかもな」

 

 

分家は当初、龍とコンビニ店員の術式は変容対象が違うだけで大枠自体は同じものだと考えていた。しかし、実際に術式が発動している時に目撃した過程が異なることに気が付く。何か、何かが違う。結果はどちらも魂に直接作用することで変容を遂げるが、何処か違和感がある。

 

──それにこの呪力は…。

 

 

『呼ばれてるよ』

 

「あ"?…いや別に切れてる訳じゃないからそんな顔するなスレ主」

「ウッス…あの、会議開こうぜってことで」

「あぁ、漸く開くのか」

 

 

リビングにそれぞれが適当に座って集まる。話し合いの内容は今後についてだ。それは渋谷事変に介入する事への最終確認。命を懸けて戦う意志があるのか、何のために戦うのか、命を殺すことが出来るのか、それらを含め実際に行動し遂行することが可能なのか。後から出来ないや止めると言った行動は仲間の致命傷になり得る。だからこそ此処で主要メンバー足る彼等は決めなければならない。

 

スレ主が重々しく口を開く。

 

 

「まず一つ目に皆の戦う理由を教えてほしい。俺の戦う理由は俺自身の日常を諦めたくないから。東京には俺の馬鹿やってる友達や同僚がいる。それ以外にも知り合いはいるし、俺は此処で生きてきた。それらを失いたくない。そもそも俺が事の発端だし投げ出したくないんだ」

「戦えば死ぬかもしれないぞ」

「分家さんの言う通り死ぬかもしれない。そりゃ怖いし死にたくないよ。でも俺はこの事実を知って生き延びれる程強くない。多分廃人になっちゃう。だから俺は俺のために戦う」

 

 

誰かの為ではなく、あくまでも自分の為。自分自身がどうしたいのか。他者に理由を求めることは簡単だ。でもそれは他者の存在が揺らげば自分自身も揺らいでしまう。故に重要な分岐点では己自身が何を求め、何を自身に還元したいのかを決めた方が真っ直ぐ進める。そう判断しての発言だった。

 

 

「じゃあ次は俺が理由を話す。俺は知っての通り五条の分家だ。どっぷりと呪術界隈に浸かっている家で俺自身も一応呪術師見習い。そんでこのまま渋谷事変が起きれば当主は封印、東京は堕ちて主要な政治拠点も潰れるし、呪術師も多く死ぬ、呪霊もわんさか。ついでに死滅回游が起きて殺し合いの儀式とか俺は無理だね。死んでもそんな地獄を受け入れたくない。俺はそんな殺伐とした世界は見たくないしそんなところで生きたくもない。理由はそれ。要は平和に暮らしたいんだよ」

「海外なら平和じゃない?」

「龍さん突っ込んだ質問してくるね。確かに海外なら平和かもしれんが俺は別に故郷を見捨ててまで平和な暮らしを求めてるんじゃない。俺は此処で平和な暮らしを送りたい。それに俺は海外で一人暮らし出来る程技量はないぞ」

「分家くんはありそうだけどな」

「まぁあるかもだが、今を変えれるチャンスがあるなら試したくなるだろ?」

 

 

地獄の中で生きたくない。そのために一時的に地獄へ浸かってやろうと言う分家の意志。海外へ逃げることも一応どうにかこうにかすればまだ可能だ。だがそれは渋谷事変を改変する可能性を放棄する事と同義。分家は可能性に賭けてみたかった。

 

 

『チャンス、良い言葉だね。俺はこの世界が辿るかもしれない道とは別の道を見たい。未知なる世界のその先を俺は知っていきたいんだ。だから変えようと思った。それに困難なものほど手に入れた時の価値は何ものにも代え難いさ』

「フレンズさんらしいですね。私は大学で都市開発の一環として東京に人生を投じて来ました。今まで私達が積み上げてきたものを何もせず見ている事など出来ません。私達が血の滲むような努力で生み出した今の街を殺させない」

 

 

一方は未知なる世界を知る為に新たな未来を求め、戦うことにした。一方は積み上げてきたものを壊させない為に新たな未来を求め、戦うことにした。

 

理由を話していないのはあと龍虎姉弟。

 

 

「私はスレ主くんと似てるかな。私は私の愛してる日常を守りたい。私の延長線上にいる大事なものが消えてなくなるなんて許せない。知らない不幸ならまだ許せた。とても悲しいし怒りは湧くだろうけど私ではどうしようもない。でも今回は違う。先の不幸を知っているし、それを変えることが出来るかもしれない。私はこれから起こる自身や私に纏わるもの達の不幸を消し飛ばしたいね。勿論死ぬ危険性しかないだろうけど、それこそ大事なものが消えたら死ぬ程後悔して人生全部真っ暗だから戦う」

 

 

知ってしまったが故、知らなかった頃には戻れない。渋谷事変が起きれば多くのものが不幸のどん底へ堕ちるだろう。そこには龍や龍の大切なもの達も含まれている。今から動けばまだ何とか出来るかもしれない。それは一筋の希望でありとても儚い願望。でも此処には志を同じくする仲間達がいる。仲間とならこの望みを現実へ変えることが可能性だと龍は思った。

 

 

「…ねーちゃん」

「あんたの番、本音を言えば戦って欲しくない」

 

「僕は」

 

 

コンビニ店員は言い淀む。姉の言葉を聞いて動揺してしまったのだ。あの発言は言うなれば、唯一の家族が死地へ飛び込むと言う宣言に他ならない。姉にとって弟は守るべき対象である。でも弟からすれば姉こそ守るべき対象だ。戦って欲しくないなんて言葉はコンビニ店員が言いたい事だと思った。

 

 

「僕は、僕や姉が愛したものを守りたい。僕の懐に入れたものは取り零したくないんだ。誰だって見捨てたくない。僕の好きな人達には幸せになってくれなきゃ困る。そうじゃなきゃ僕は幸福になれない」

「ねぇ水渚(みずな)。あんたは今日、虎杖悠仁くんと友達になったんだよね。それってつまり」

「僕は絶対行くからな」

「止めない、だから友達はしっかり守れよ」

 

 

此処に集まった6人の戦う理由を聞いた夏油は無言だった。誰も彼もが死ぬ可能性を理解している。彼等は夏油同様一度死を経験しているがそれでも再び死へと向かっていくことを選択した。決して死を恐れていない訳ではない。死ぬことへ恐怖がある。戦う事も怖い。でもそれよりも"今"を守れる可能性を見出だしてしまった。その精神性は一般的なものより異常だ。普通なら逃げて当然、最悪精神が壊れてしまうだろう。だが、彼等はそうならなかった。彼等を突き動かしているのはその特異な精神性なのかそれとも他に原因があるのかわからない。

 

夏油はどうにかなりそうな気持ちに陥った。彼等は本気で、本当かどうか怪しい記憶を元に命を懸けて戦おうしているのだ。さっきまであんなにもはしゃいで楽しく話していたのに、互いに身勝手な重いものを背負ってる。

 

──私自身もそうだった。

身勝手な野望を抱き戦って死んでいった。

 

出会って数時間と言う短い間で彼等は夏油の心を突き動かしている。彼等には時間がない。彼等には余裕がない。彼等には悪意がない。だからこそ正直な言葉が飛び交い、真っ直ぐにそれらは夏油へ響く。つまりは疑うのが馬鹿らしくなる程の馬鹿達を多少なりとも気に入った為、心配になってしまった。

 

 

『もし、本当に渋谷事変が起こるとするなら君達は今のままだと』

「今のままだと俺達は九分九厘死ぬ。渋谷へ行っても無駄死にするだけになるだろう。もしくは改造人間にされてしまうかもな」

「分家くんの言う通り特級呪霊や呪詛師、それに改造人間が相手になるだろうからそりゃ死ぬわな。何も対策なしに行けば無意味になる」

 

 

夏油の言葉を辿るように分家が言葉を続け、龍がそれに肯定する。当たり前の事実だ。先日まで戦いを知らなかった者がいきなり戦える訳ない。相手の方が力も技量も経験も何もかも勝っている。それを素人である彼等が行ってもただの自殺行為だ。故にその大きな格差を埋めるために彼等は工夫を凝らさなければならない。一人なら思い付かなくても複数ならその方法が見付かる可能性がある。スレ主は口火を切った。

 

 

「うん、俺たちの"呪術廻戦"を始めるために今から命のやり取りの話をしよう」

 

 

 

 

 

 

 

 

次回、呪いの世界へ続く…

 

 

─────────────────────────

 

 

「皆さんごきげんよう、

私は吸血鬼現状を纏めるおじさん」

「吸血鬼現状を纏めるおじさん!?」

「では今回の登場人物を纏めていこう!」

 

○今回の登場人物

 

・龍虎姉弟─本名:東西水稀(とうざいみずき)東西水渚(とうざいみずな)

姉弟は前世からとても仲が良い。一緒にゲームしたり出掛けたり旅行に行ったりしてる。逃げることよりも守ることを選んだ。懐に入れた者をめちゃくちゃ大事にする奴等。

 

 

・吸血鬼現状を纏めるおじさん─本名:夜間紅雀(よるまこうじゃく)

本日の出費が高い。初めて家に人を上げた。都市開発の研究をしている大学教授であり、その人生の大半を東京と言う街へ費やしている。

 

 

・フレンズ&山じい─本名:勅使河原晴彦(てしがはらはるひこ)

ただいま鯉ノ口渓谷からリモート参戦中。ちなみに山じいは今のところ、店長であるフレンズがやりたいならやれば良いスタイル。

 

 

・分家─本名:五条(さとり)

視ることに特化した眼なので色々見えた。嫌なものは基本的に見たくないしその中で生きるのは無理。でも故郷を捨てる程薄情じゃない。

 

 

・夏油傑(幽霊の姿)

本日の情緒がジェットコースター。馬鹿達を怪しんだりドン引きしたり突っ込んだり心配したりと忙しい奴。

 

 

・スレ主─田代将司(たしろしょうじ)

一応リーダーかつ素直な馬鹿。重要な事は把握しており、それが何を意味するのか理解している。それでも戦うことを選んだ。

【挿絵表示】

※コテハン集会の様子




待ち受けるのは希望?それとも絶望?
彼等の勝機は果たしてあるのだろうか。
呪いの世界に彼等は進んでいく…。

案の定、また話が分割されました。
次でおそらく1章が終わって2章が開幕するはず。


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14.死生契闊(挿絵有り)

誰も知らない彼等の呪術廻戦。
裏側で密かに立ち上がった彼等は
あまりにも脆く頼りない。

だが彼等の意思は
強い呪い(想い)を帯びていく。


【前回までのあらすじ】

吸血鬼宅で騒ぎまくるコテハン組。漸く各メンバーの術式が判明、更に術式を発動した龍虎姉弟は夏油(幽霊)を靄として認識することが出来たようだ。そして始まる会議、各々が戦う理由を語り彼等の呪術廻戦が幕を開けた。

 

 

 

 

 

 

10月3日(水)23:12 都内某所の吸血鬼マンション

 

 

 

「俺達の呪術廻戦か…スレ主、大きく出たな。だがその言葉通りなんだろう。俺たちは俺たちのやりたいようにするってやつ。正義を振りかざすつもりもなければ単純な人助けとも違う。各々が自身の譲れないものを持ってして戦う。争う理由としては事足りてるな」

「此処から私達は奴等とお互いの目的のために命を奪い合う…と言うことか。本当にやれるかどうか議論していこうぜ。まず私たち呪霊やれるかな。ドラゴンぱわーで殴ればいける気がしなくもないけど、めちゃくちゃ呪術戦素人なんだよなぁ。そもそも明確な殺意を持ってでかい生き物を殺した事ない」

「此処で呪霊と戦ったことある人、フレンズさんと分家さんだけだよね。俺の術式はスレ特化なんだけどいけると思う?ちなみに俺はゴキブリも殺せない」

「龍さんは兎も角、スレ主は戦闘に参加しない方が良いと思うぞ。あんたは言うなれば情報戦の要だ。その術式は帳の中でも通用する可能性がある。仮に通用しなくとも互いの連絡手段及び司令塔として活用した方が結果的に俺たちの生存率を上げるはず。あとスレ主自体戦闘向けの性格をしてない」

「俺が司令塔…?」

「スレ主くんには凄く失礼なんだけど、何処と無く不安感がある」

「俺も不安しかない。分家さん一緒に司令塔してくれない?」

「おい、戦場にマジの素人しか居なくなるぞ」

「はい、コンビニ店員からの質問。そもそも僕らの戦闘力どうなってる?」

 

 

コンビニ店員からの質問、コテハン組内の戦闘力はどうなっているのか。吸血鬼宅にあったホワイトボードに分家はコテハン組のおおよそな戦闘力ランキングを書いていく。分かりやすいように横へ呪霊の等級も書かれており、遊び心なのかデフォルメされた呪霊のようなものが絵として添えられていた。ものすごく下手。

 

 

「まず俺は精々三級呪霊が祓える程度、二級だと普通に死にかける雑魚だ。そしてスレ主と吸血鬼はほぼ一般人。呪具があれば四級呪霊はいけると思うがそれより上は今の状態だと死ぬ。次にフレンズ、話を聞く限りその山じいと言う呪霊は封印された状態だと二級相当だったと思われる。呪霊との初戦闘で二級と普通に殴り合えたのは純粋に強い。戦い方を学べばそこそこいけるはずだ。あとフレンズ社員の山じい。現段階で一番強い。平安生まれの術式持ちで意志疎通が可能な特級呪霊って事でまぁ、雑魚な訳がない」

『山じい高評価だよ、やったね。流石鞍馬山の天狗!よ!烏天狗!…事実だろって?うん、その通り!』

「はいはい!私達姉弟は?」

「それはよくわからない。真人の無為転変による改造人間達は大体三級から二級弱だ。ただの一般人が代償は大きいとはいえそれぐらいの力になる。それを個人で限定的に術式として発動させるかつ神話に連なる存在へ変化するなんて戦ってる場面を見ないとなんとも言えん」

「うーん、夏大先生は私達の術式に近いものを見たことないの?」

『そこで私に聞くのか?それに大先生って…今まで私もそう言った術式は見たことがない。残念だけど有益な情報はないよ』

「夏大先生でも見たことないそうだ」

「ねーちゃん、その呼び名は夏さん困惑したと思うよ…山じいさんの方は?」

『どう?山じい…なるほど、此方は直接見ない事には何ともだとさ』

 

 

ここまでの話し合いの通り彼等は対呪術戦どころか戦闘経験者が少ない。命のやり取りを知らずしてまともに呪霊や呪詛師と戦えばまず勝ち目はないだろう。期限が年単位であれば準備と策略を巡らせて余裕とは言えなくともそこそこの作戦を立てられていたかもしれない。しかし今は兎に角時間がないため着実な作戦はほぼ不可能だ。でも此処にはそんな窮地に立たされた戦況をひっくり返せる要素が残されている。

 

龍とコンビニ店員の術式は誰も見たことがない未知数の力だ。ある意味可能性の塊、故に奇跡を引き寄せる縁となるかもしれない。それらを約1ヶ月で戦場へ使いこなすのは通常無理だろう。だが此処には無理を通せる吸血鬼の回復系の術式やスレ主の多くの他者との意見交換や相談ができる縁繋ぎの術式がある。それに加え、呪術におけるエキスパートが揃っていた。

 

龍はその事に気づいたからこそ、先陣を切って彼等に頼む。

 

 

「じゃ、私は山じいさんに弟子入りしようかな。あと分家くんと夏大先生にもご教授頂きたい」

『──は?』

「龍さんやばい事言うな。まぁ、今ある力を伸ばしていくのは堅実だと思う。でも色々と大丈夫か?」

『お、埼玉来る感じ?良いよ来な来な。我が家広いし、私有地の山あるから合宿場として気軽に使ってよ。まぁ九相図達によるけどね』

「私やスレ主さん、コンビニ店員さん達も出来ればそれに同行した方が良さそうです」

『わは、うん皆埼玉に来なよ。俺の家を一時的に拠点地へすれば良い』

「マジで?フレンズさんありがたや~!俺早急に長期休暇取れないか会社とバトルしなきゃ」

「これ大学どうしよ」

 

『嘘だろ、呪霊に弟子入り?君たち本気で言ってるのか』

「そりゃ使えるものは使わないと損だろ。一応同盟結んだし、あんたにも当然働いて貰うぞ」

 

 

無茶苦茶な事をやろうとしているのは承知ではあるが時間がないので即決。四の五の言ってる場合ではない。最早やれるやれないと言う話は過ぎ去り「やれない…?なに言ってんだ、やるんだよ」精神。つまりは術式及び戦闘技術を磨きつつ情報収集、仲間も勧誘して同時並行で作戦を臨機応変に練っていくと言う無謀過ぎる計画を実行していく他ないだろうとの判断だった。言うなれば渋谷事変の推奨レベルにたどり着いてない処か何もかも準備不足な状態。なのでそれらをかき集めつつレベル上げをして作戦を練っていくしかないのだ。

 

彼等は敵サイドと会ったことすらないのにかなり追い詰められているのが現状だ。また敵サイドと遭遇することは出来る限り控えなければならない。接敵する際は絶好の機会で無いと勝機はほぼ無く死滅回游ルートへ進むことになる。

 

彼等の中で共通する接敵の機会は概ね一つ。渋谷事変開幕時、五条悟と特級呪霊達の戦闘に介入することだ。五条悟を封印される前に獄門疆の破壊もしくは奪取、それが最優先事項。羂索の居場所が分からない以上、渋谷を救うにはそれが一番手っ取り早い。このチャンスを狙うと言うことは渋谷事変自体を回避しないことを意味する。当然犠牲は多く出る事だろう。それでも0に近い勝率を上げるためにはこの機会が適している。

 

それに対して彼等は罪悪感が無い訳じゃない。おそらく一生の後悔を抱くだろう。しかし彼等は弱い。全てを救える程、力も知恵も時間も何もかもが足りないのだ。だからせめて自分達の延長線上にいる日常を守ると決めた。

 

 

 

そして始めの関門はフレンズが九相図達と上手い具合に交渉成立出来るかどうかだ。仮にフレンズがミスをやらかして高専サイドに存在がバレれば間接的に羂索サイドにも此方がバレるのでピンチ。でも上手く勧誘出来れば羂索サイドの情報を入手できる他、戦力になる可能性がある。しかもワンチャン脹相を釣れるかもしれない。色々と大丈夫なのか不安しかないフレンズによる九相図を誘拐し勧誘すると言う破天荒な"天狗の仕業作戦"は結果的に日本の未来が懸かっていた。

 

 

「フレンズさん作戦頼んだ!頼むことしか出来ない俺だけど、今日のフレンズさん見てたら成功する気がしたよ」

『はは、スレ主にそう言って貰えると助かる。でも俺と言うより山じいの方が頑張るからなぁ…うんうん…へー!流石鞍馬天狗!…意気込みバッチグッ!みたい』

「フレンズ、山じい共々細心の注意を払ってくれると助かる。武運を祈ってるぞ」

「僕からもよろしくお願いします…あ!気づけばもう4日になってる。ねーちゃん目死んでるけど大丈夫?」

「いや眠くてな、一旦纏まったみたいだしそろそろ寝た方が良くないか。何人かは普通に仕事あるし、フレンズさん達は特に英気を養おうぜ」

「ええ、それが良いと思います。寝不足の状態で話し合っても良いものは出ませんし今後の予定はある程度決まりました。じゃあ各自の寝床を決めて下さい」

 

 

 

 

 

10月4日(木)5:23

『大変なことに気付いてしまったスレその2』

 

 

79:何処かの名無しさん

おはようございます

4日目か、ずっと胃が痛いわ

 

80:何処かの名無しさん

おはよ…俺らより

コテハン組が胃腸粉砕してるだろ

 

81:何処かの名無しさん

夜通し作戦会議したんだって?

 

82:何処かの名無しさん

遡ったら話し合いの内容あるよ

 

83:何処かの名無しさん

要約したら

・埼玉呪術戦合宿開催予定

コテハン組全員参戦、夏大先生と分家先生、山じい先生による呪術のあれそれを詰め込む

・今後について

レベル上げしつつ仲間集めて情報手に入れ作戦を並行して決めていく。わりとフレンズ作戦次第のところある。攻め時は渋谷事変開幕の際じゃないかなと言う認識。五条悟の封印阻止で最悪の事態は回避可能ではとの見解

 

84:何処かの名無しさん

決まっているようで決まってない気が!?

これ特級パラダイスに突っ込む…ってこと?

 

85:何処かの名無しさん

仕方がない、ほぼ初心者パーティーだもの

しかも出会って3日だから決めるの無理じゃね?

それに渋谷事変開幕の瞬間が獄門疆を

なんとかするのが一番確実だしな

 

86:何処かの名無しさん

誰がどの様に行動するか、個々の能力を

把握してある程度伸ばしてから決めるって事か

 

87:何処かの名無しさん

確かにそうなるわな。術式判明したの

最近と言うか昨日の人もいるし…

それに特級呪霊と直接相対せず

死角から奇襲もワンチャンいけるかも

 

88:何処かの名無しさん

フレンズの作戦も実際にしてみないと

どうなるか分からんしね

 

89:何処かの名無しさん

あれもこれも全部未知過ぎる

渋谷事変、結局どうなるかわからん

 

90:何処かの名無しさん

俺らの存在がどう響くかによるな

この世界は原作によく似たどっかの世界だろうし

既に何処かでイレギュラーが起きてる可能大

原作基準で物事を考えすぎるのも不味い。俺達にとって此処は紛れもない現実だから慎重大事

 

91:何処かの名無しさん

慎重に、でも時に大胆にいかないと厳しそう

 

そういや誰も突っ込んで無かったんだけど

幽霊と転生者と呪霊が先生ってヤバい

 

92:何処かの名無しさん

>>91

それ思った

生徒漏れ無く全員転生者は厳つい

 

93:何処かの名無しさん

>>91

ドリームチーム来たな

 

94:何処かの名無しさん

しかしこのまま高専サイドと

繋がり薄いのはキツいな

 

95:何処かの名無しさん

確かに、渋谷事変に介入するとして

その事後処理色々な意味でやばくないか?

 

96:何処かの名無しさん

誰かしら口が堅くて信用出来る人いないかな

 

97:何処かの名無しさん

この場に呪術師が居ればもっと状況が

変わってたんだろうけど呪術人口少ないもんね

 

98:何処かの名無しさん

とりあえず今後の展開はフレンズの作戦次第か

 

99:何処かの名無しさん

失敗したら結構不味くない?

 

100:何処かの名無しさん

べりーべりー不味いと思う

 

101:何処かの名無しさん

そこら辺何とか頑張って貰うしかない

俺たちが行っても逆に足手まといだしな

 

102:何処かの名無しさん

現状我々スレ民が出来ることない感じ?

 

103:何処かの名無しさん

あれ作ったじゃん渋谷事変マップ

あのマップを更新し続けようぜ

 

104:何処かの名無しさん

>>103

確かにあれ一時的な完成だもんな

随時必要な情報詰め込むか

 

105:何処かの名無しさん

>>103

実際に東京住みのスレ民中心に

渋谷を巡回して確かめていくのも良いかも

 

106:何処かの名無しさん

>>103

危険ゾーン的な場所とセーフゾーン的なのが

一発で分かる感じにしたい

 

107:何処かの名無しさん

>>103

そのマップを見たら何が起きていて

何処が不味いのか分かると助かる

ハザードマップみたいな奴

 

108:何処かの名無しさん

よし、マップにこれ付け足そう情報

その度に言ってどんどん更新しようぜ!

 

109:何処かの地図作戦班さん

マップの編集は任せろ

情報は誰か適度に纏めて欲しい

 

110:何処かの名無しさん

うーんそうだなぁ

情報纏めサイト的なの欲しくね?

ここだと流れちゃうしそう言うジャンル分け

された話し合いの場みたいのあると嬉しい

 

111:何処かの名無しさん

>>110

それ!それ良いな!

話し合う内容が内容だからこのスレに入れたものしかアクセス出来ないみたいなやつだと安心

 

112:何処かの名無しさん

このスレに入り口置く感じにするか?

でも手違いで外にリンク漏れしたら怖いな

 

113:何処かの名無しさん

スレ主の術式を上手いこと作用させれんの?

 

114:何処かの名無しさん

出来るのかな…呪術に関しては

知識がある程度持ってるとはいえ俺ら素人だし

 

115:何処かの名無しさん

はいはい!あたいIT企業のエンジニアしてる人材です!サイト作りたい!何かメガ盛りに趣味ごりごりしたい!

 

116:何処かの名無しさん

>>115

なんか人材現れた

 

117:何処かの名無しさん

>>115

趣味メガ盛りサイトどうなるか

よく分からんがスレ主に許可取ってやればヨシ

 

118:何処かの名無しさん

え、なら私そのサイトの

デザインとか描きたい

 

119:何処かの名無しさん

わいも関わりてぇ~!!アプリ化させてぇ~!!実は既に構築していたやつあるからそれを皆のと組み合わせて使えば迅速に実装できるはず!やりてぇ~!!

 

120:何処かの名無しさん

さらに人材が続々集まってきたぞ

 

121:何処かの名無しさん

アプリ化!?近代化凄まじいな、おい

あと119さん何者なん??

 

122:何処かの名無しさん

スレ主来たら纏めて相談しようぜ!

 

123:何処かの名無しさん

俺も何かしたい!何もしてない!

クラウドファンディングしたら良い??

 

124:何処かの名無しさん

>>123

わいの財布で日本の未来

守れるとかするしかねぇじゃん!

 

125:何処かの名無しさん

ある意味ビッグプロジェクト

 

126:何処かの名無しさん

呪術関連の情報アプリ

渋谷越えた後もめちゃくちゃ活用出来そう

 

127:何処かの名無しさん

俺らなりの戦い方やんけ、良いね!

 

128:何処かの名無しさん

多分書類上でやってる処理とか楽になりそう

技術革命起こしてくスタイル楽しいな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

10月4日(木)6:39 都内某所の吸血鬼マンション

 

 

 

 

スレ主は結局眠れずに吸血鬼家のバルコニーで黄昏ていた。ここで煙草を吸っていたら何となく格好がついたかもしれないが手に持っているのはドンキで買ったココアシガレット。ただ呆然と都会の景色を眺めココアシガレットを齧っている。

 

スレ主にとってここ数日は人生観を変える程の出来事ばかりだった。突如甦った前世の記憶に、呪術と言う存在、起こるかもしれない悲劇的な未来、そして志を共にする仲間。今までアニメや漫画の世界しかなかった筈の物語が現実となって押し寄せて来ている。それらは知らなかっただけで既に始まっており、極めて近くに居たのだ。昨日…いや今日の話し合いで漸くそれらを実感し、現実を受け入れ始めた。

 

覚悟を言葉にすることは容易い。

だがそれを実行するのはとても困難なことだ。

 

 

「おれ、やれるかな」

 

 

不安や恐怖、負の感情と呼ばれたそれらは決して無くなることはない。だからこそこの世界には呪霊が溢れているのだろう。それでもやるしかない。やらなければならない理由がある。故に境界線の向こう側だったはずのもの達へ抗う。スレ主はこれからの未来を想像しながら二本目のココアシガレットを取り出した。

 

 

「冷えますよ、ホットミルクをどうぞ」

 

 

背後から吸血鬼がスレ主にマグカップを差し出す。スレ主は反射的にマグカップを受け取り、その後慌ててお礼を言った。

 

 

「ホットミルクにはリラックス効果があるのでよく飲むんです。私の年下の友人にも勧めてます」

「確かに落ち着くや…吸血鬼さん、その友人は東京の方ですか?」

「所属は岩手弁護士会ですね、でも連絡を取り合ったり東京へ仕事をしに来ますよ。大学で知り合ったのですが、彼の話ついつい楽しくて聞いちゃうんですよね」

「へぇ~弁護士の話とか面白そう」

「ええ、面白いですよ。今が落ち着いたらゆっくり話したいものです」

「俺も面白い友達いるな~。そいつ芸人やってるんだけど中々面白い!なのに売れてないの何でだろ?」

「その方個性豊かそうですね」

 

 

スレ主と吸血鬼は早朝の東京を眺めながらお互いに言葉を交わす。会話内容は何でも良かった。今の気を立て直すにはそれで十分。これからのことを考えるとどうしても不安に押し潰されそうになるが、共に立ち向かってくれる仲間達が居るのだ。まだまだ彼等の物語は始まったばかり。どうしようもなかった未来の行く末は現在未確定のまま。ならば変えられると信じて進むだけである。

 

 

 

 

 

 

そんな2人の様子を夏油は部屋から静かに見詰めている。夏油は夏油で思い悩んでいた。彼はコテハン組と出会って様々な事実を知り、その事について思索に耽ていたのだ。自身の知らない所で行われていた策略、多くの呪いを招くおぞましい思惑、影に隠れた夥しい悪意…それらは夏油とは無関係なものではない。寧ろ利用され、貶められていた。夏油自身も世間一般的には悪側であった事は承知の上である。しかしこれ程までに善悪関係無く全てを巻き込み、混沌へ落とし込む所業は看過出来ない。

 

それが自己矛盾を孕んだとしていても今この瞬間、夏油は彼等の協力者として力を貸したくなっている。今を必死に生き愛すべき日常を守り抜こうと足掻くもの達を見放すほど彼は冷徹な心ではない。むしろ冷徹の逆だ。彼は真面目で優しかったからこそ親友と訣別した過去があり今がある。そして夏油の心を揺さぶったのは何時だって人間だった。

 

 

そう、人間だ。

非術師と呪術師。

猿と人間。

 

そう思いたかった。

そう思い込みたかった。

 

明確な違いがあるのだと、だからこそ

呪術師だけの世界には救いがあるのだと。

 

 

『分かっていたさ。それでも進むしかなかった。今や私は終わってしまったけどね。だから後世に託すしかない。それで彼等の道が私と違っても、まぁ仕方がない』

 

 

夏油は変化を許容する事にした。変化を拒む行為はあの村で見た奴らの行動そのものだと言うことに気が付いていたからだ。世界は変わっていく。彼等(コテハン組)や夏油の家族達、そして親友らが変えていってくれる。その助けになるなら夏油は今までの己を曲げて、自己矛盾上等精神になってやっても良い。

 

もう時間はない。踏ん切りはついた。彼等と共に再び戦場へ戻ろう。これがきっと夏油が幽霊としてこの世に留まり続けていた理由だ。

 

 

 

 

 

渋谷事変まで残り27日間。

各自は本格的に動き出し始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

162:何処かのスレ主さん

つまりIT技術と俺の術式を融合合体!?

 

163:何処かの名無しさん

そう言うことやな

 

164:何処かの分家さん

出来るかどうか未知数では

あるがやってみる価値アリだ

対呪術に特化したアプリは今まで無かったものだし、スムーズに情報交換出来るのは助かる

 

165:何処かの名無しさん

それ間に合うんですか??

 

166:何処かの名無しさん

期限1ヶ月切ってる

 

167:何処かのスレ主さん

いや、頑張る!

術式はイメージ大事らしいから

オタクの妄想力でやったるわ!

 

168:何処かの名無しさん

GOGOGOGO!!!!

 

169:何処かの名無しさん

よっしゃー!チームエンジニア出番だぞ!

 

170:何処かの名無しさん

アプリの作成はチームエンジニアがして

実用段階でスレ主が術式をかけるって感じか

 

171:何処かの名無しさん

そんで出来れば早急に作成と…

一週間くらいが目安だけどいける???

 

172:何処かの名無しさん

いけるいける(白目)

 

173:何処かの名無しさん

わい今実質ニートしてるから大丈夫やで

やり甲斐めっさあるし基礎は既にある

 

174:何処かの名無しさん

じゃあクラファン設立任せた

 

175:何処かの名無しさん

おうよ、まさかクラファン

募集するとは思わなかったぜ

 

176:何処かの名無しさん

それまではここで情報交換で良き?

 

177:何処かの名無しさん

他のサイトやアプリを使っても良いけど、あまり分散させると管理大変そうだしスレ主の負担ヤバそう。今はここで良いんじゃないかな。情報纏めは適度にやっとこう

 

178:何処かの名無しさん

じゃあ早速取り掛かるか

チームエンジニア諸君に

連絡網回したから確認ヨロシクな

 

179:何処かの名無しさん

無理そうだったら早めに言ってくれよな!

 

180:何処かの名無しさん

地図作戦班、情報纏め班、

エンジニア班、コテハン組と勢揃いしてきたね

 

181:何処かの名無しさん

総動員しないと渋谷事変は乗り越えれん

 

182:何処かの名無しさん

頑張ってこうぜ!

 

183:何処かの名無しさん

フレンズさん大丈夫かね

 

184:何処かの名無しさん

そう言えばフレンズさん

特級呪霊とキャンピングしてるんだった

 

185:何処かの名無しさん

今さらだけど本当に大丈夫???

 

186:何処かのフレンズさん

大丈夫、楽しく料理してる

作戦任してくれ、新入社員絶対確保する

 

187:何処かの名無しさん

>>186

ん?新入社員…?

 

188:何処かの名無しさん

>>186

え?

 

189:何処かの名無しさん

>>186

それ、聞いてない話

 

190:何処かのフレンズさん

あ、言ってなかった

折角だから俺の店の社員

になってもらおっかなって思ってて

 

191:何処かの名無しさん

>>190

なにそれこわい

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

10月6日(土)午後 鯉ノ口渓谷 八十八橋

 

 

 

「ん?お、来たっぽい」

「む、漸くわしの出番か…このきゃんぴんぐ暮らしとお別れはちと名残惜しいがの」

「はは、キャンピングはまたしよう。今度は新入社員(壊相・血塗)も含めてさ。じゃあ頼んだ山じい」

「あいわかった。新入社員を捕獲してこようぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回、第2章開幕!

 

 

─────────────────────────

 

「皆さんごきげんよう、

私は吸血鬼現状を纏めるおじさん」

「吸血鬼現状を纏めるおじさん!?」

「では今回の登場人物を纏めていこう!」

 

○今回の登場人物

 

・龍虎姉弟─本名:東西水稀(とうざいみずき)東西水渚(とうざいみずな)

姉弟揃って呪霊と幽霊と中学生に弟子入り。

眠くなると目が急に死ぬ特性を持つ。

 

 

・吸血鬼現状を纏めるおじさん─本名:夜間紅雀(よるまこうじゃく)

みんなの温泉施設になると決意。

弁護士の友達が居るらしい。

 

 

・フレンズ&山じい─本名:勅使河原晴彦(てしがはらはるひこ)

埼玉術式合同合宿開催場所提供者フレンズ。

山じいは龍虎姉弟の師匠へ。

遂に次回作戦決行か…?

 

 

・分家─本名:五条(さとり)

15歳にして門下生が爆誕。

絵が下手くそっぽい。画伯。

 

 

・夏油傑(幽霊の姿)

奇しくもコテハン組の先生になった。生前の信念を曲げて今を生きる者へ力を貸すことに。

※スレ主と吸血鬼を見詰める夏油の図

【挿絵表示】

 

 

・スレ主─田代将司(たしろしょうじ)

拡張術式使えるかなRTA開始。

芸人の友達が居るらしい。

 

 

・スレ民s

様々な人材が埋まってる。芽を出していない者から現場で活躍している者まで色々いる模様。呪術の才能が無くとも技術だったり人脈やコネで渋谷の戦場とは別の戦いを繰り広げるかもしれない。彼等なりの呪術廻戦である。

 

 

 

 

 




第1章終幕、次回第2章…ではなく登場人物纏めを投稿予定です。各自の術式や関係性が複雑化してきているので分かりやすいように開示されたものだけ書きます。その後第2章"動き出す世界"が開幕していくはず。


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1章メイン登場人物紹介

※注意
此方は1章のネタバレが盛りだくさんです。
その事を念に入れて、閲覧して下さい。

登場人物がとんでもなく多いので改めて振り返え。主に作者の情報整理と現状把握の為。


この物語は誰もが主人公であり己や誰かのために戦う、ただそれだけである。善悪関係ない。大事なものを守りたければ死力を尽くせ。まだまだ物語は序章。彼等の呪い呪われた世界の往く末は果たして…?

 

 

 

 

「どうも、吸血鬼現状を纏めるおじさんです。渋谷事変まであと27日間ですが、この時点までの現状を纏めていきますよ」

 

 

【コテハン組】

言うなれば実動部隊。彼等がメインで動いていく。共通の記憶と共通の目的を持っている為出会って3日目で意気投合しているやべぇ奴等。

 

▼スレ主─本名:田代将司(たしろしょうじ)

事の発端。渋谷攻略戦のスタートを切った張本人。10月1日午前0時頃にふと記憶を思い出し、他の仲間を求めてスレを掘っ立てた。東京住み東京育ちの社畜なアーバンボーイ。都内に友人や知り合いが沢山いるため今回の事態は見逃せないしスレ民達にスタートを切らせたしで逃げ出せば確定で廃人になる。戦闘向けの性格では無いがここぞと言う決断力はある…かも。基本的にわちゃわちゃしてる賑やかな奴。芸人の友人も居る模様。

 

術式『縁繋ぎの奴(仮称)』

今のところスレを通して縁繋ぎを行う術式。この術式によって前世の記憶が引き寄せられた。複数のスレ立ても可能。しかしスレの継続にはスレ民の協力が不可欠でありレスポンスがなければ普通に落ちる。そして落ちれば電子上の呪物になり、縁がないとたどり着けない都市伝説みたいな感じになるっぽい。またスレ上にスレ主がルールを宣言する事でそれを適応させる事が出来る。めちゃくちゃ疲れるらしい。今のところルールは転生者以外書き込み禁止、転生者以外閲覧禁止。ルール違反しようとすると偶然何かが起きて阻止される様子。スレに参加しているものから呪力を貰う事で術式が展開し続けている。

 

▼分家─本名:五条(さとり)

頼りになる中学三年生。五条の分家であり、呪術師の家系。呪力はそこそこあるが術式はない。3級呪霊なら倒せるが2級呪霊は無理。普通に死ぬ。本人は呪術師になる気はなく、ホワイトな一般職に就きたいと思っている。現在、コテハン組の参謀みたいになっている。また夏油と同盟を結んだのもこの人。故郷が実質全壊して殺し合いが開催されるとか嫌すぎるので渋谷事変へ介入することにした。趣味はこじんまりした店を巡る事。

 

特殊な眼『なんか色々見える奴(仮称)』

夜明け色をしている。覚醒前は術式や呪力が何となく見えていた程度。だが覚醒後はしっかり見えるようになったし人間に宿る魂的な奴も見えるようになった。さらに少し遠くの場所まで千里眼的な感じで見えたらしいが試す機会が無いので放置してる。どうやら緻密な呪力操作とか呪力ロスを減らすとかは出来ないみたい。

 

▼フレンズ─本名:勅使河原晴彦(てしがはらはるひこ)

埼玉のド田舎在住な料理人。記憶を思い出すと共に家で封印されていた呪霊と殴り合い、飯友になって社員として雇った猛者。その後も普通に呪霊と生活を共にし、楽しんでいる模様。どうやら天与呪縛持ちらしく身体能力が高め。代償に性機能が死滅している。一章では自ら九相図達を仲間に勧誘すると提案した。渋谷事変の事を考えての発案だが、呪霊とレストラン経営とか絶対楽しいだろなと思ってやっているのが大半。大きなリスク無きして大きなリターンはないだろ精神。

 

▼吸血鬼現状を纏めるおじさん─本名:夜間紅雀(よるまこうじゃく)

東京の都市開発を専門に研究している大学教授であり、都内の高そうなマンションに住んでいる。コテハン組で一番年長のおじさん。コテハン集会の為の店を予約したら原作サイドとブッキングすると言う事態を発生させた。懺悔の意味も込めて初対面のコテハン組を家にあげ、更には泊めた人。弁護士の友人がいるらしい。

 

術式『人間キャンプファイヤー(仮称)』

呪力の炎で対象を燃やし自然治癒力を高める術式。反転術式と違って-のエネルギーで稼動する。この術式のお陰で吸血鬼本人の胃潰瘍が治ったらしい。

 

▼コンビニ店員─東西水渚(とうざいみずな)

大学生。深夜のコンビニバイトの最中に前世を思い出した。其処に五条悟がやってきて焦った人。龍とは姉弟であり、二人暮し。なんやかんやあって分家と一緒に高専へ向かい"窓"になった。本当は姉を連れて逃げ出したい気持ちでいっぱい。しかし虎杖悠仁と遭遇し直に会話をしたことで現実から目を剃らせなくなり戦うことを決意。そして決意の証として自身の日常の延長線上(友人)へ虎杖を迎い入れた。

 

術式『霊獣としての虎を自らの身体をもって顕現できる奴(仮称)』

肉体ではなく魂に生得術式が刻まれてる意味不明な存在。その影響の為か六眼でも看破されなかった。術式としての実態は魂を変容させ、肉体を物理的に虎の姿へ顕現させる。例えるなら、真人の無為転変が自身に限定されるかつ人間から虎への変化で固定されてるバージョン。当然変化後は非術師にも見えるので仮に街中で完全変異したら警察や猟友会不可避。

 

▼龍─東西水稀(とうざいみずき)

記憶が甦ったら何故か人類卒業してた都内で働いている人。その衝撃で過去の思い出も走馬灯のように過る。実は小さい頃任務中の五条悟と遭遇しており、その際呪霊に襲われた。しかし術式の片鱗らしきものが発動し、何とか死なずに済んだが術式の反動なのかあの日の記憶が飛んだ。今回、渋谷事変と言う未曾有のテロに自らの日常が脅かされているので戦うことにした。大事なものがなくなる事を知っていて逃げたら絶対後悔してそれこそ死にたくなるので頑張る。

 

術式『霊獣としての龍を自らの身体をもって顕現できる奴(仮称)』

コンビニ店員同様、魂に刻まれているタイプの似たような生得術式。龍へ肉体を変化させることが出来るっぽい。しかしコンビニ店員の術式とは何かが違うと分家は思っている。謎に包まれた未知の術式。

 

 

【スレ民の協力者】

強力な存在(人外)

 

▼山じい─楓来焔靖坊(ふうらいえんせいぼう)

特級仮想怨霊の烏天狗…と思われる。フレンズ家に伝わる錫杖に封印されていた。鞍馬天狗の系統であり、その力を継ぐ者。封印解除前は術式も使えなかったし弱体化もしていたので二級相当。人間は醜い蛆みたいなものと思ってたけど、フレンズを見て違う側面に可能性を感じた。呪霊の本能として人間への殺意は勿論あるが、それを抑えれる理性とフレンズの言う未だ見ぬ価値への好奇心が勝っている。フレンズの店(開店準備中)に就職しており、彼と数日過ごすうちにかなり社員としての生活を楽しんでいるようだ。一応縛りを通した雇用契約に基づいて働いている。またフレンズ提案"天狗の仕業作戦"の要。本人は新入社員が来ることを心待ちにしているらしい。この度勝手に人間の弟子が爆誕した。

 

・天狗の仕業作戦

フレンズ提案の大作戦。九相図である壊相、血塗を拉致して仲間に引き入れようぜと言う無茶苦茶な内容。

 

▼夏油傑(幽霊の姿)

元高専所属の特級呪詛師。2017年12月24日に百鬼夜行を企てた。その後五条悟によって殺されるが、高専内にて地縛霊になっていたらしい。今のところ分家にしか姿や声が認識されない。龍やコンビニ店員も術式を発動すれば霞として認識することは一応可能。姿を認識することの出来る分家に憑いて行ったら混沌としたスレ民達の事情を知ることになった。彼等の覚悟を聞き、完全には信用してないが力を貸す気になったっぽい。分家達と同盟を結んでいる仲。今後はコテハン組の呪術専門の先生として働かされることになる。夏油は夏油で思うところ色々あるが緊急事態かつ自身がもう死んでるので対人コミュニケーションが生前よりゆるくなった。

 

 

【転生者もといスレ民s】

現状何人いるかよく分かってない愉快な仲間たち。呪霊を見える人と見えない人達が両方混じっている。前世を思い出した際、見えるようになった人も何人かいるらしい。不思議と民度がものすごく高い。また前世由来の知識をスレが掘っ立てられる以前から無意識に宿していた者が居たり居なかったり。記憶が甦り大混乱が起きていた。しかしうだうだ考えていれば、あっという間に渋谷事変開催日へ突入するので前世の悔恨とか懐古等は取り敢えず放置。考えてる暇ねぇ状態。都内在住が多い。

 

▼地図作成班

渋谷事変のタイムスケジュールや実際の渋谷マップを参考に何処で何が起きるのか書き記した地図を作成している班。

 

▼エンジニア班

呪術に特化した情報アプリを作成するために新たに発足された班。既にアプリの基盤はあるらしいので一週間を目処に完成を目指している。寝れない日々が続くことでしょう。

 

▼情報纏め班

各スレ民達が話し合った内容や考察、呪術に関する新たな情報等を小まめに纏めている班。吸血鬼も此処にいたりする。

 

▼その他スレ民

各自思い出した記憶や実際に経験した呪霊関連の話、見たり聞いたりした役に立つかもしれないものなど日夜話し合いを行っている。中には呪霊を観測して記録し始めた者もいるらしい。またチームエンジニアの為にクラウドファンディングを開始した。

 

 

【その他関係者】

原作で出ている皆さん。

 

▼五条悟

各陣営から色んな意味で注目されている最強戦力。羂索達は五条を封印すればほぼ勝ち。高専側やスレ民達からすれば五条を封印されたらほぼ負け。親友が幽霊になっていたり、身体が乗っ取られていたりと大変な事になっているが何も知らない。また幼き頃、龍と任務中に出会いかなり興味を持った。今も覚えているし探している。再開したら何したいとか特に考えてないが、取り敢えずまた会いたい。コンビニ店員が高専訪問する切っ掛けを作った人。

 

▼虎杖悠仁(+宿儺)

高専訪問時にコンビニ店員が遭遇した。原作の呪術廻戦の主人公であり、呪い呪われた世界の中心に立つ者。その類稀なコミュニケーション能力であっという間にコンビニ店員と友人になった。LINEも交換するという手慣れ。既にコンビニ店員に今晩の飯写真を送っている。あと伏黒や釘崎に友人出来た報告した。

一方宿儺は不気味な静けさを持ってコンビニ店員を眺めていた。何を考えているのか不明。

 

▼他呪術高専の方々

今のところ新田明、夜蛾正道、パンダ、禪院真希、伊地知潔高、家入硝子が登場。

直接スレ民達が対面した人物は新田、夜蛾、パンダ、真希である。高専訪問した分家とコンビニ店員が彼等と話した。しかし特に関わり合いはなく、顔見知り程度になったくらい。でも分家はパンダに写真をばらまかれ、高専生内で五条悟顔として有名になっている。

 

▼羂索一行

まだ一度も出会ってないはずの敵。具体的な思想や目的はまだよく分かっていない。遭遇すれば確実に不味いし、転生者とバレればどう考えても地獄が待っているとスレ民達は共通で思っている。またスレ民達は羂索を討伐する事に関しては向こうもその気なら此方も出るとこ出るぞ的な感じで今のところ罪悪感がそんなにない(ただし渋谷事変の被害者には罪悪感ゲージMAX)。現状潜伏場所も実際の戦力も何もかもわからない。呪霊一派も含め、原作知識に基づく通りなのか今のところ不明である。

 

 

 

※現在のコテハン周りの相関図

【挿絵表示】

 

 

 

─────────────────────────

 

"──"の独白

 

 

やれやれ、我輩としたことが随分と眠りこけてしまった。あの小僧中々やってくれる。だが役目は無事果たせた。しかしあれらと余計な縛りを結んでしまったがどうしてくれようか。今更離れる訳にもいかぬしな。我輩は人里離れた場所で隠居暮らしをしたいだけなのだが。

 

しかし、この人間は丈夫だが如何せん活力がない。もっと胸を張って生きてくれぬと我輩が護った意味がないではないか。あやつの為の恩返しなのに何故此処までこやつを気に留めないといけぬのだ。これだから人間は厄介極まりない。もう少し自立してほしいものよ。あやつならそれもまた人間の面白い点だと言うだろうか…言うであろうな。

 

 

それにしてもあやつは元気だろうか。少し前に見た際はこじんまりとした身体になっておったがどうであろうな。時代が移り変われば我輩らの在り方も変容するとはいえ縮みすぎではないか。他の奴等も何処ぞへ散らばったのか分からぬし、誠に好き勝手な奴等よ。

 

まぁあやつらも何処かしらで本能のまま存在しているだろうな。

 

人の世から忘れ去られる時まで。

 

 

「来たよ…生きてる?はいお土産」

「こんにちはー!」

 

 

嗚呼またあの人間達がやって来た。こやつらも飽きずによく来るな。この人間は最早心が折れきっていると言うのに、何度も此処を訪ねては土産を持ってきている。我輩としては様々な供物を運んでくれる故役に立つ存在ではあるが、そもそも我輩が此処に居る原因を作った一端なのだ。この人間達はどうも扱いに困る。

 

 

「また日向ぼっこ?」

「確かに、何時もそこに居るよね!」

 

 

…やはり人間は分からぬな。

 

 

 

──次章へ続く。

 




1章を無事終わらせることが出来た奇跡。
改めて読者の皆様へ感謝!!

舞台は遂に第2章へ移行します。
更なる波乱と混乱が起きる最中、スレ民達が選択する未来とは…?そして新たな出会いと戦いが開幕していく!

どうぞ、今後ともお楽しみに!


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2章:動き出す世界
15.神隠し(挿絵有り)


遂に第2章開幕。

舞台は原作場面へ。
人知れず動き出した彼等に
待ち受ける運命はいかに…!



【前章までのあらすじ】

10月1日に突如前世を思い出したスレ主。そして彼の掘っ立てたスレ(術式)によって記憶を思い出した転生者達は来る10月31日の渋谷事変に絶望する。だがスレ主を含む彼等は己の日常を守るため、強大な敵へ立ち向かうことした。兎に角戦力も経験も何もかも足りない彼等だが決意を胸に各自行動し始めたのである。

 

 

 

▼10月3日(水)午後 鯉ノ口渓谷付近の山中

 

コテハン集会が行われる前、勅使河原晴彦(てしがはらはるひこ)ことフレンズと特級呪霊だと思われる烏天狗こと山じいは山中で焚き火を囲っていた。彼等の手前にはテントが張ってあり、此処で野営する準備が整っているらしい。勿論土地の所有者から許可を貰っている。ゆえに端から見れば独り言を喋っているであろうフレンズが通報される事はない。仮に呪術師がこの特級呪霊らしき存在と焚き火を囲う姿を目撃したのなら、ドン引きされる事だろう。

 

 

「山じい、これから俺達は新入社員候補(壊相と血塗)を捕獲してそのまま勧誘と言う作戦を実行する予定だ。勿論強制ではないから山じいが嫌なら正直諦めるよりではある。なので報酬は高級食材をふんだんに使用した懐石料理なんてどうかな」

「うむ、それは理解したくなかったが概ね把握した。だが前提としてその呪霊と人の間の子は本当に存在するのか?晴彦の言っていた話がにわかに信じがたい。あとその報酬、承諾した」

 

 

パチリと火花が宙を舞う中、フレンズと山じいは焚き火へ放り込んでいたサツマイモを取り出しながら話し合う。アルミホイルに包まれたそれはほくほくに焼かれ、香ばしく甘い匂いが辺りへ広まる。フレンズが焦げ目の付いた焼き芋を2つに割ると黄金へ輝く中身が見えた。片方を渡された山じいはごくりと息を飲み、それにかぶりつく。

 

平安時代では食べたこともなかったしっとりとした食感にほろほろと解けていくような甘さ。なんと美味なことか。山じいはフレンズと出会ってから現代の食材に感動を覚えていた。

 

 

「一人なら俺自身信じなかったと思う。でも実際に同様の知識を持っている者達が不特定多数存在しているから否定はできない。勿論集団幻覚かもしれないけど、それにしては妙に知識が偏っている。そして呪霊と術式、更には分家の存在であまりにもこの前世由来の知識と現状がリンクし過ぎてるんだよね。今まで知らなかった事実を此処まで妄想するかと言われたら俺はないかなって」

「成る程。しかしな、晴彦が使っているその四角い箱。それでその前世を持つと言う人間達と連絡を取り合っているとは言え、顔すら合わせたことのないもの達であろう。何故それらを信用する?わしと主のように縛りを結んでない。危険を冒すには曖昧過ぎる関係性だ」

「逆だよ逆。曖昧な関係性、匿名だからこそ何でも話せる。現実世界だとあまり理解者がいない事多々あるんだよね。そして異端は除け者だ。でもこの箱、インターネットと言うもうひとつの世界はありとあらゆる場所に存在し、これまたありとあらゆる人が活用している。顔を合わせたことのない関係は今では当たり前なんだよ。まぁ、山じいが言った通り危険も多い関係性だ。簡単に裏切ることや消えることが出来る」

 

 

少しフレンズの昔話をしよう。フレンズは幼い頃から変わった少年だった。普段から片手に図鑑を装備し、休みの日は料理の研究をすると言う日常生活を送っていたのだ。しかし周りの子供達はそんな彼の熱意を怖がり仲間外れにしたこともよくあった。

 

そして周囲と話が合わない事からインターネットを使用するようになった。そこでフレンズは遠い国の人へレシピを贈ったことがある。当時の彼にとって最高傑作の代物だ。その異国の人はレシピを見るとこれは凄い、君は素晴らしいものを考えたと喜び褒めてくれた。何より嬉しかったのはフレンズがこだわった細部まで読み解いてくれたことだ。

 

始めて自分と同じ領域にいる生物と話しているような感覚。フレンズはこの時漸く世界に認められたような気がしたのだ。こんな自分を受け入れてくれる場所や仲間は確かにあった。勿論、虚偽や虚構も多々あるだろう。だが、インターネットの繋がりは決して嘘偽りだけでない。此処だからこそ繋がれた世界があり、此処だからこそ生まれた未来がある。

 

 

「結論から言えば、やってみないと分からないって事。前へ進みたいなら積極的に動かないと機会は中々訪れない。使えるものは何でも使うべきだ。それを実感したからこそ俺は危険を承知で飛び込むことにした。何たってその方が面白いし」

「くっ、かか!その思考、無謀な愚か者である。だが傍観者より余程愉快極まりない!主の生き方実に潔いな。一先ず記憶の是非は良いだろう。この作戦引き受けようぞ」

 

 

こくりと山じいは頷いた。この時点でかなりの無茶振りを吹っ掛けられている。しかし数時間後、龍を筆頭にフレンズの愉快な仲間達から更なる無茶振りが追加されるとは思いもしていなかっただろう。のちに山じいは彼らの事を"伊達や酔狂ではないとは言え狂気の沙汰"と真剣な声で語った。

 

 

「そりゃ良かった。あとさっきの報酬、うちの知り合いに旨い懐石料理を出す旅館があるんだ。ちなみにこれがその写真。気に入ると思うよ」

「ぬぅ!これまた良き趣あるものを出しよってから…無論、温泉付きか?」

「勿論、源泉掛け流し」

 

 

フレンズと山じい、人間と呪霊。縛りを通しての主従制約があるとはいえ此処まで意気投合することは度重なる奇跡によって成されている。ふとフレンズはこれらが本当にただ奇跡なのか疑問が浮かんだ。

 

スレ主から始まった一連の出来事は全て偶然の産物なのだろうか。それとも"何か"によって織り成された必然か。熟考しようが今の段階では埒が明かない。フレンズはこの思考を振り払った。

 

そこへ3個目の焼き芋を食べ終えた山じいが話し掛ける。

 

 

「しかし、主らは誠に珍妙な人間よな。真否は定かではないが乗りかかった船だ。わしの興味が尽きるまでは付き合ってやろう。さて、残りの焼き芋も食べて良いか?」

「おう、改めてよろしく。次の芋にはこのバターを付けると良いよ。更に美味しくなる」

「それを早く言わぬか…!」

 

 

何はともあれ、この奇跡に感謝を。今この瞬間を後悔せぬよう最善を尽くそう。フレンズは密かに心で呟いた。

 

 

 

▼10月5日(金) 某スレにて

 

241:何処かのエンジニアさん

あははは!!!!こりゃ良いもん出来るぜ

 

242:何処かのデザイナーさん

うっひょ~!!!!!たのち~!!!

 

243:何処かの名無しさん

狂ってやがる

 

244:何処かの名無しさん

アプリ開発チームのテンション既にヤバい

 

245:何処かの名無しさん

何か情報まとめアプリかつ

新しいSNS的な要素があるらしいな

 

246:何処かの名無しさん

マジか…つまり新規の

コミュニティーってこと?

 

247:何処かのエンジニアさん

そんな感じになる…多分。

今日の呪霊目撃情報トピックとか

呪霊とあった時の対応策もいれようかなと。

目撃情報を地図上に表示できたりアプリを通して伝達網を構築できたり色々やってる

 

248:何処かの名無しさん

呪術用SNS!?と言うかアプリ制作班精鋭すぎる…!歴戦の猛者かな?

 

249:何処かの名無しさん

そのアプリ渋谷事変終わった後、呪術界隈に売り込もうぜ。運営費ぶん取ろう!時代はデジタル化。書類上のやり取りより高速で動けるインターネットだわ。特に人命がかかっている呪術絡みの緊急案件は迅速な対応が求められてる筈や!

 

250:何処かの名無しさん

それもう制作班で起業じゃん

 

251:何処かの名無しさん

確か呪術高専は国がお金出してるんだったよね。つまり呪術界隈は政府公認、そこへ仮にアプリが導入されたら公式アプリ(?)になるのでは

 

252:何処かの名無しさん

それ国家プロジェクトの域だわ…

いや、そもそも渋谷事変攻略は

規模で言えば国の存続懸けてるから同じか

 

253:何処かの名無しさん

全国で呪霊見えちゃってる系な人達が気軽に相談できる窓口としても存在できたら良いよね。

私、実は前世関係無く幼い頃から呪霊が見えてたけどこうして仲間がいるとほんと心強いよ。まぁ今はその機能無くても大丈夫だし作成班さん達が過労で倒れるから現時点で必要最低限の機能があれば良いと思う。

 

254:何処かのエンジニアさん

我々は夢を創ってるんだな

 

255:何処かのデザイナーさん

すげぇ社会貢献!?尚更力入る

 

256:何処かのエンジニアさん

てかクラファン数十万円集まってはわわ

 

257:何処かのスレ主さん

俺もはわわしてる!!どうしよ!?

 

258:何処かの名無しさん

>>257

スレ主がアプリの要だぞ。術式拡張のために

最強の自分をイメージしてけ!

 

259:何処かの名無しさん

俺達は俺達で引き続き情報収集だな

事前に出来ることは可能な限りしていこう

 

260:何処かの名無しさん

避難ルートや籠城できる箇所とか確認しときたくない?改造人間や呪詛師、呪霊からの被害をなるべく抑えたい。

 

261:何処かの名無しさん

何か革命前夜みたいだな

 

262:何処かの名無しさん

>>261

ある意味当たってると思う

渋谷事変後の世界大きく変わるかも

特に呪術界隈はめちゃくちゃじゃね?

 

263:何処かの名無しさん

今まで隠していたものが公になるかもしれないってことだよね。これからの現代社会はSNSがどんどん発達していって呪霊っていう見えざる脅威を隠し通すのが難しくなってきてる筈。隠蔽してきたことへ誰もが世界中に疑問として発信できるんだ。既にそう言った疑問を検索したらかなりの件数ヒットするよ

 

264:何処かの名無しさん

プロパガンダや情報規制をしているんだろうけど、世間の発信能力が上回って来るだろうな。何時の時代もそう言う抜け道を掻い潜って来た奴ら居るし。科学や技術の発展が呪術の存在を解き明かす時が来るかも…?

 

265:何処かのエンジニアさん

もしかしてそれの先駆者、私達的な感じ?

 

266:何処かの名無しさん

かもしれない…知らんけど

 

267:何処かの名無しさん

科学と呪術の融合!浪漫の塊やな

 

268:何処かの名無しさん

>>267

これメカ丸やんけ!

 

269:何処かの名無しさん

>>268

…確かに!メカ丸はパイオニアだった!?

 

270:何処かの名無しさん

メカ丸パイセンの力を御借りしたら

更なる科学と呪術の技術革命起こるのでは

 

271:何処かの名無しさん

つまり…?

 

272:何処かのスレ主さん

何か凄いことが起こる…ってコト!?

 

273:何処かの名無しさん

>>272

もっと考えろ

 

274:何処かの名無しさん

渋谷事変後の世界か~

 

275:何処かの名無しさん

漫画とかアニメでよくあるヒーローが救ってめでたしめでたし…なんてもんは現実だと難しいからねぇ。問題山積みだろうよ…!

 

 

 

 

▼10月5日(金)午後 分家宅

 

コテハン集会の後、分家を含むコテハン達はどうにか渋谷事変までの約1ヶ月間を家族、知人、学校や仕事等から邪魔されないようにしなければならなかった。そうは言っても急に学校や仕事を休んだり辞めたり出来ないので各々どうにか対応するしかない。

 

吸血鬼宅から帰ってきた後、分家は学校を休む為にやむを得ず家の者へ呪術高専に行くと言う意思を話した。元々は呪術高専ではなく普通の高校へ通う計画をしていたのだ。しかし、今の現状では残念ながら厳しいと判断した。ならば呪術師へなると宣言し、その為の特訓だとでも言って自由時間を取った方が余程建設的だろう。話し合いは無事終わり、呪術師になって欲しいと願っていた家の者はそれを承諾した。

 

 

 

現在、分家は屋敷の一角にある自室でイヤホンを着けながらスーツケースへ荷造りをしている。コテハン集会で話していた合宿の準備中だ。ちなみに合宿では術式を分析できる"眼"とこれまで培ってきた呪術の知識を買われ先生役をすることになっている。

 

そして彼の背後には半透明の五条袈裟を着た男が壁へ寄り掛かっていた。勿論その男は夏油傑の事だ。あの同盟をしてから分家と夏油は大体何時も一緒の空間にいる。理由としては対渋谷事変の協力関係であるため。また夏油(幽霊)の姿や声を視たり聴けたりする者が分家しかいない。更に言えば夏油が憑ける対象も彼を見聞きできる者のみに限られている。つまりどう足掻いても夏油は分家とセットなのだ。

 

 

『五条覚君』

「その呼び方、寒気がする。呼び捨てで良い」

 

 

話しは合宿の件に戻る。呪術の先生役は分家以外にも二人。一人は特級呪霊の烏天狗こと山じい。山じいと雇用契約を結んでいるフレンズによると先生役を前向きに検討してくれているらしい。今まで呪霊と殺し合いをしてきた分家はそれを聞いてなんとも言えない気持ちになった。もう一人の先生役である夏油はその術式も相まってもっと複雑な気持ちだろう。故に不満が出てくるのも無理はない。

 

 

『そう、じゃあ覚。君は本当に呪霊と人間が分かり合えると思っているかい』

「基本的に彼等(呪霊)と分かり合うなんて理想論は無理だろう。あれは本能的に此方をやりに来ている様に見える」

『思ってないのに後押ししたんだ。薄情だね』

「確かに思ってない。だが理性で本能を抑えられる例外は存在する可能性があると思う」

『あの天狗が?』

「それもあるが間の子(呪胎九相図)、彼等にも理性と知性がある。ま、例の知識通りならの話だが』

 

 

分家は誰がこの会話を聴いても良いように言葉を変えつつ話をしている。耳に着けているイヤホンもカモフラージュのためだ。仮に問い詰められても知り合いとゲームや漫画の話をしていたのだと言い訳出来るようにしている。

 

それにしても夏油は分家の予想以上にお喋りだった。割りと頻繁に話し掛けてくる。元々の性格か、もしくは約一年間誰にも認識されず孤独にぼっち生活を送ってきた反動かもしれない。

 

分家はそれもあって日常生活へサングラスと共にイヤホンも欠かせなくなった。絵面が大変悪い。

 

 

『…気になっていたけど、君達が言う前世の世界はどんなものだった?』

「知らない方が良いこともあるだろう。そんなものを知ってどうするんだ」

『どうもしないさ。私はもとより死んだ身。どうこうすることは出来ないよ』

 

 

分家の言葉に諦観を感じる微笑みで答えた夏油。それを尻目に違う世界を知れば辛くなるのは夏油自身だろうと分家は考えていた。隣の芝生は何時だって青く見えるものだ。

 

 

「何も出来ないなら余計知らない方が良いだろ。巧く成仏出来なくなっても知らないからな」

『はは、何を今更な事を…私のような人間が綺麗に成仏できる訳ないだろ』

 

 

分家に夏油の心情ははっきりとはわからない。でも生前の行動を顧みれば自ずと察せるものがある。だからと言ってどうしようもないのがこの世界だ。平気な顔をする裏で苦しんでいる奴なんて大勢存在する。夏油だってその一人に過ぎない。

 

 

「自虐的だな。じゃあ話すが、前提として彼処に超能力と言うものは明確に存在しない。此方で言う(呪力)、言うなれば異能もおそらく無い。当然彼等(呪霊)も居ないな。それ以外は大体此処と似たようなものだろう。彼方は彼方で色々と大変ではあった」

『…へぇ、呪霊が居ない世界か。とても良い世界だ。その世界で"私達"は物語だったらしいね。つまり君達にとって此処は決まり切った運命を辿る娯楽と言う訳か』

「そうだな、物語だった。娯楽と言われればそうとしか言えない。批判は甘んじて受け入れよう。だが俺が考えるにあの話(原作)と此処は似て非なるものだ。あれは可能性の一端。あくまでも此処と似た何処かの世界。未来は定まっていないと思う。それに俺達は最後まで話を知らない」

 

 

分家はそこまで言って、とある違和感に気が付く。今此処で確認が取れている転生者達の知識や記憶が2021年の10月頃で止まっているのだ。つまり多くの者がその時期に死亡し、此方へ来たことになる。

 

節目にある10月と言う存在。死んだ時期、記憶を思い出した時期、そして渋谷事変と言うこの世界での転換期。此処まで来ると因果関係を疑わざるを得ない。

 

何故この世界に分家達は存在しているのだろうか。何故このタイミングで連鎖的に記憶を思い出したのか。何故心許ないとは言え対抗するための力を持ち合わせているのか。

 

分家達が動くことで誰が得をするのだろう。分家達転生者の目的は渋谷事変の終息及び、その原因である羂索の討伐。ならば羂索を敵対視している何らかの存在にでも呼ばれたのか?いや、そんなものが居ればもっと早くに接触してきても可笑しくない筈だ。

 

思考に陥りかけた頭へ冷めた声が響いた。分家は即座に思考を切り替える。

 

 

『改めて聞くと気味が悪い話だ。私達の過去も知られているのだろう?』

「知っている過去なんて末端の末端だけと思うし記憶通りだとも考えてない。それに俺達はあんたらの日常を知らない。あんたらの大切な思い出もな。仮に読み物だろうが此処で生きている事実は変わらん。誰もが此処で血を通わせて生活している。残念ながらあんたは過去形だが」

『皮肉好きかい?嫌われるよ』

「あんたもな」

 

 

分家自身、お前の人生は物語だと言われれば気持ちが悪いと思うだろう。此処にいるものは皆生きている。それを実感しているからこその発言。それに向こうの世界はもはや過去の出来事であり此方から観測するのは困難だ。これ以上彼方の話をしていてもお互いにそこまでメリットはない。

 

分家は話題を変える為、違和感について気になっていた質問を投げ掛けた。

 

 

「ひとつ聞いて良いか。時空間に影響を与える事は偶発的、または故意的に可能?」

『良いけど、急な質問だね。呪力の事なら場合によって可能だ。稀な現象だが限定的な領域で時空間への歪みが生まれる事がある。でも故意的に呪力を作用させるのは至難の業だよ』

「さっきの話題を続けても特段良いこと無いからな。ご教授どうも」

『そこ正直に言っちゃうんだ。それで何か分かったことでも?』

「いや、何も。それに今は関係ない事だ」

 

 

正確な事は何もわからない。ただ、分家は幾つかの仮説を立てた。おそらくまだ議題に上げるべきものではないだろう。今は個々の能力を底上げし、それに対応した策を講じるのが先である。

 

それにしても分家達へ協力的な姿勢になった夏油の真意を読み取れなかった。分家はこの内情が分からない男と今後も私生活を共にしなければならない。分家は渋谷事変開催前にストレスで己が倒れないか心配になってきた。

 

 

 

 

一方、夏油は思案している分家の姿を見て何だか可笑しな気分になっていた。それもそのはず、分家の姿は五条の2Pカラー。真面目に受け答えする五条とは大変面白いものである。

 

 

『君ってさ、悟に見た目は似てるけどまるで別人だ。重要な事は言葉にしないタイプかな。私の様に二の足を踏むよ』

「あっそ」

『ふふ、今のは似てた』

「懐かしむのは良いけどちゃんと働けよ」

『私も今の状況は本意じゃないし希望通りに働くさ。でもまさか呪霊やさる…おっとそう睨むなよ。非術師とも協力するとはね。君達にとって私は大量殺人犯だと思うけど良かったのかい?』

 

 

夏油は己が死ねば必ず地獄へ堕ちるだろうと確信していた。後へ引き返さないように両親を殺し、多くの非術師を虐殺。過去の自分からすれば弱きを淘汰する大罪人だろう。決して許されることではない。しかし地獄にも行けず、現世に留まってしまうとは思わなかった。更には死者である己を受け入れ、同盟を結ぼう等と言う者が現れるのも予想外。死んでから新たな可能性が溢れているなんて世界は残酷極まりない。

 

もうその世界に夏油傑は居ない。だと言うのにどうして希望が目の前へ現れるのか。

 

分家は何ともないような顔で夏油に背を向けた。そしてスーツケースへ蜂蜜紅茶を大切そうに詰めながら話す。

 

 

「善悪の話なら切りないぞ。人殺しも大多数にとって正しいと認識されれば正当化されてしまう。誰が正義とか何が悪だとかそんなもの主観にすぎない。ある程度の倫理観があったとしても結局は生き残ったもん勝ちだろ。その為にあんたを利用するだけ。お互い様って奴。俺は俺の日常を守る事ができれば良い。あとは何時も通り行き付けの喫茶にでも行って紅茶を嗜めればそれで満足。俺は今の世界も好きなんだよ」

 

 

もっと早くに出会っていれば何か変わっていたのだろうか。あの時…いや、こんな考えをするなんて全てを否定することになる。夏油にとって此処が今まで生きてきた世界なのだ。後は夏油の大切なもの達が幸せになれるよう動くだけ。今の夏油の存在意義はそれだけで良い。

 

 

『…今時の中学生はそんなことを考えてるのか。ずいぶんと達観しているね』

「二度目だからな。合計すれば此方が上だ」

『えー、なら敬語使おうか』

「それはやめろ。絶妙に腹立つ」

 

 

それと死んでから一頻り想うことがある。それは誰かと対等に話すのはとても楽しいと言うことだった。

 

 

 

 

▼10月6日(土)午後 鯉ノ口渓谷付近の山中

 

数日間の野営を経て、遂にその時が来た。

 

山じいが連絡用にと懐柔していた渓谷周辺へ生息する烏達から報せを受けたのだ。フレンズ達は急いで野営設備を片すと道路沿いへ向かう。

 

 

「思ってたより派手にドンパチしてる」

「ぬぅ、あれが呪霊と人間の間の子。なんとも奇妙な存在だ」

「インパクトめちゃくちゃあるね。是非ともウェイターになってもらいたい。間違いなく!絶対!面白い!」

 

 

フレンズは木々の隙間から双眼鏡を使い戦闘を覗き込む。例の原作場面、丁度虎杖達が壊相らと戦うその辺りだ。ちなみに山じいは双眼鏡無しで眺めていた。老眼とは無縁の存在らしい。

 

 

「そして彼処に居るのがあの宿儺の器か」

「みたいだね。山じいは直接対面した事はないらしいけど、宿儺の力とか感じたりする?」

 

 

山じいは先程よりも目を細め険しい顔付きになる。警戒心からか羽毛も逆立っているようだ。それほどまでにおぞましい何かを感じるのかとフレンズは虎杖へ注視する。しかしフレンズには何も感じ取る事は出来なかった。

 

 

「強力な悪意の気配が居るわい。昔、坊主から聞き及んで居たが…成る程、これがかの有名な宿儺か。其処らの悪鬼と比べ物にならんな。しかし此処まで晴彦の記憶通りとはのう。本当にその様な術式を持っておらんのが未だに信じられん」

「俺からしたら山じい達の存在が信じられないくらいだよ。でもこうして現実にあり得ないが散々起きてるんだからホント面白い。だからもっと探求しないと損だ。こりゃまだ見ぬ価値がたくさん眠ってるぞ。さて、機会は一度きり。瀕死になった二人を山じいが神隠しする。どうかな、いけそう?」

「…ふむ、可能だ。予定通り裏山で落ち合うことにしよう」

「じゃ、後程」

 

 

フレンズは山中へ潜むように入っていく。反対に山じいは"漆黒の翼"を広げ天に駆け昇った。その身体は暗闇へ溶け込んでいく。さて、これから天狗の仕業作戦開始である。

 

 

 

 

▼同日同時刻 鯉ノ口渓谷 八十八橋付近の道路

 

虎杖と釘崎は特級相当の呪霊と会敵していた。本来であれば橋下の呪霊を伏黒も含めた3人で祓う予定だったのだが、突如二体の呪霊が乱入してきたのだ。伏黒はその場に残り、虎杖達は乱入者とそのまま戦う事になったのである。

 

橋下から場所を変えつつ戦っていく最中、呪霊の術式が判明した。その呪霊達はどうやら強力な分解の術式を持っているようだ。普通なら有毒の効果を持つそれに、そのままなすすべなく殺されていたかも知れない。しかし毒に強い耐性を持つフィジカル特化の虎杖と芻霊呪法が使える釘崎は両者共にその呪霊達と相性が抜群に良かったのだ。

 

虎杖と釘崎は互いの場所を入れ替わり各々先程とは異なる呪霊と相対していた。より相手と相性の良い同士で一気にけりを付けるつもりだ。そして相手を揺さぶり分解の術式を解かせる事にも成功。あとは思う存分呪いを祓うだけである。

 

極限の状況下での命を懸けた戦い。そのやり取りの刹那、研ぎ澄まされた意識によって黒い花火が飛び散る。2人の黒閃は相手の命を瀬戸際まで追い詰めていた。

 

そのまま止めを刺そうとした時、一陣の風が戦場を囲む。そして瞬く間に彼等の間合いへ一体の"純白の烏天狗"が姿を現した。

 

 

「あ"?んだこの烏みてぇなのは。こんな奴も居るなんて聞いてないわよ」

「このタイミングでまた別件!?」

 

 

虎杖と釘崎は突然現れた呪霊に警戒を強める。これまで彼等は二体の呪霊へ何とか優位に立てていた。しかしそこにイレギュラーな存在が出てくるとなれば話が変わる。負傷した2人で果たして倒せる相手なのだろうか。否、倒さねばならない。

 

烏天狗は空中に留まったまま人間の姿に近い呪霊の方を指差した。

 

 

「そこの無様に片腕が捥げた呪霊。汝がこの地へ毒を撒いたな」

「…っ!いきなり酷い言い様を」

「術式の痕跡が見える。見窄らしく転がるその呪霊もだ。やはり汝らの仕業で間違いない」

「先程から何を言っている」

「汝等は我が気に入った土地を汚した。見よ、この地へ毒が滲み草花が枯れ果てた姿を。この大罪どうしてくれようか」

 

 

このまま混戦状態へ縺れるかと思いきや烏天狗の呪霊は二体の呪霊に対して怒っている様だった。まるで虎杖と釘崎に興味が無い。その点も気になるが、問題は烏天狗の呪霊が流暢に言葉を話す知能を持つこと。つまり、そんじょそこらの呪霊とは一線を画す。特級相当の可能性が高い。

 

 

「アレ、もしかして呪霊同士で喧嘩してる感じか。それにあの烏の呪霊ってかなりヤバい?」

「私にもそう見えるわ。チッ、次から次へとめんどくせぇな。虎杖、警戒を緩めんじゃないわよ」

「おう…!」

 

 

虎杖達の表情へ冷や汗が落ちた。極めて不味い状況だ。先手を取られないように烏天狗の呪霊の一挙一動を注視する。それでも烏天狗の呪霊は此方に目線すら向けない。

 

 

「それで私達に何か?」

「分からんのか。ならば簡潔に話してやろう」

 

 

烏天狗の呪霊はゆっくりと地へ降り立つ。それと同時にとてつもない威圧感。虎杖達もそして二体の呪霊もその凄まじい呪力に圧倒され狼狽える。

 

それはこの場にいる全員が烏天狗の呪霊を明確な脅威だと認識した瞬間だった。

 

虎杖は火山の呪霊と相対した時の事を思い出す。これは駄目だ。この烏天狗の呪霊は生物としての格が異なる。圧倒的力の格差。だが体が動くより先に烏天狗の呪霊が場を制する。

 

 

「早う去ね」

 

 

呪詛と共に呪いの暴風が吹き荒れた。

 

 

 

 

 

 

 

次回、場を引っ掻き回す純白の烏天狗…!

 

 

 

─────────────────────────

 

「皆さん我々のスレへようこそ、

私は吸血鬼現状を纏めるおじさん」

「吸血鬼現状を纏めるおじさん!?」

「では今回の登場人物を纏めますよ」

 

○今回の登場人物

 

・フレンズ─本名:勅使河原晴彦(てしがはらはるひこ)

今回の作戦発案兼実行人。大衆の思考回路と感覚が異なり、色々な意味で異端を認めるやべぇ奴。

 

・山じい

作戦実行の重要呪霊。人間全体を殺意の対象として見ていたが、フレンズやコテハン組と言う存在を通して人間面白いかもと楽しくなってきた。

 

・分家─本名:五条(さとり)

夏油によってプライベートが死滅した。お気に入りの喫茶で買った蜂蜜紅茶でストレスを相殺している。

 

・夏油傑(幽霊の姿)

約一年ぶりに話し相手が出来たのでお喋りが止まらない。死んである意味解放されたかも。

 

・虎杖悠仁(+宿儺)&釘崎野薔薇

突然現れた純白の呪霊へ警戒を強めている。

宿儺は何をしてるか不明。

 

・伏黒恵

橋下の呪霊と戦闘後、気絶中。

 

・壊相&血塗

虎杖達と戦闘した二体の呪霊。壊相は片腕が取れ、血塗は瀕死。そんな状態で突然純白の呪霊に喧嘩を吹っ掛けられた。

 

・スレ民達

科学と呪術の可能性について語っていた。呪術サイドに染まっていないからこその発想。彼等が時代の最先端になるかもしれない。それと渋谷事変で生き残れるかは別。

 

 

 




原作場面へ堂々と乱入!?

まともな呪術合戦が始まると良いな!
今のところスレでお喋りして
飯食ってキャンプしてるだけの転生者。

次話どうなる…?

※山じいの評価高くて喜びの挿絵
こんなイメージ
【挿絵表示】


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