ロードランに剣聖あり (ポン酢おじや)
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剣聖、召喚失敗する

古い時代

世界はまだ分かたれず、霧に覆われ 灰色の岩と大樹と、朽ちぬ古竜ばかりがあった。

 

だが、いつかはじめての火がおこり 火と共に差異がもたらされた。

 

熱と冷たさと、生と死と、そして光と闇と。

そして、闇より生まれた幾匹かが火に惹かれ、王のソウルを見出した。

 

最初の死者、ニト

イザリスの魔女と混沌の娘たち

太陽の光の王グウィンと、彼の騎士たち

そして、誰も知らぬ小人

 

それらは王の力を得、古竜に戦いを挑んだ

 

グウィンの雷が、岩のウロコを貫き

魔女の炎は嵐となり

死の瘴気がニトによって解き放たれた

そして、ウロコのない白竜、シースの裏切りにより、遂に古竜は敗れた

 

火の時代のはじまりだ

 

だが、やがて火は消え、暗闇だけが残る

今や、火はまさに消えかけ

 

人の世には届かず、夜ばかりが続き

人の中に、呪われたダークリングが現れはじめていた…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は戦国末期

場所は日の本の奥地にある葦名の国

そこではある二人の男が燃え上がる城を背景に、野原で一騎討ちをしていた。

 

「がはっ...!」

 

大弓を抱え黒い両刃の刀を持つ男は目の前にいる左手が義手の忍び『狼』に負けていた。

彼は燃える城から火の粉が舞う暗闇の空を見て絶望を抱く。

 

「俺は、結局、何もできなかった.....」

 

しかし右手に持っている黒い両刃の刀を見て、強く握り直す。

 

「だが...竜胤が、この国を生かす」

 

刀を自らの首の横に構えると、男は安心したような表情で呟いた。

 

「これで葦名の夜は、明ける」

 

男は刀で自らの首を斬り裂き、そこで意識が途絶えた。

狼は自害した目の前の男の首から、何やら怪しげな赤い血のようなものが溢れ出ているのに気づく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし結局いくら時が経っても何も出ず、自害した男はそのまま倒れてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここは北の不死院

この国では呪われた不死者の証『ダークリング』を持つものは全員ここに送られ、世界の終わりまで閉じ込められる。

 

そしてその建物の奥にある牢屋には、この辺りの国の生まれではない男がいた。

その男はいきなり牢屋の中に現れ、しかも不死人であった為そのまま収監された。

 

不死人を閉じ込める事が目的の建物なので、いきなりやって来た男でも不死ならば出す気は無し。

 

 

そんな状況に陥った男は、今日も牢屋で座禅し脱出の方法を考えている。

 

「...この場所に来て早数日か...」

 

この男の名は葦名一心。

日本の奥地にある葦名という場所に生まれ、そこを支配している葦名家の前当主であり、剣聖と恐れられた刀の達人である。

 

一心は最早何度見たかわからないこの牢屋の檻を見る。

鍵は解錠出来ず、檻は堅いため素手では壊せない。

 

彼は牢屋を見るのをやめて、自分の腕を見る。

 

「...しかしこの体には驚いてばかりよ...腹も減らず、眠くも疲れもない...不死とは何と便利なものか」

 

一心は葦名の国にて孫の弦一郎の命と引き換えに、全盛の体と不老不死を望んではいなかったが手に入れた。

かつて病魔に犯されていた老人の体の面影は全くない。

 

 

しかし全盛の体に戻れたとは言え錠前はどうにもならない。

彼はため息を吐き、どうしたものかと手で顎を触る。

 

 

 

するといきなり天井から他の牢屋に閉じ込められた囚人と同じような痩せた男が落ちてきた。

 

「む?」

 

一心は落ちてきたその囚人に近づくと、腰元に鍵を持っていることに気づく。

 

一心は鍵を奪うと、天井を見た。

 

そこには日本では見慣れぬ鎧を着た男が一心を見ており、しばらくすると何処かへと行ってしまった。

 

「あやつは...いや、今はまたとない好機...ありがたく貰おう」

 

一心は日本では見たことのない形状の鍵に少し戸惑ったが、何とか檻を解錠し出ることに成功する。

 

「さて、ようやくか!早く葦名に戻らねば...!」

 

一心は牢屋からずっと見えていた通路を歩いていく。

近くにはずっと座っていたり、何もせず立っている痩せた囚人がいたが何もしてこない。

 

というより脱獄した一心を見ても気にしないあたり、精神が正常なのかどうかも怪しい。

 

 

通路を越えた先には梯子があり、一心は登っていく。

そして広間に出ると、真ん中には真っ白な人の骨と灰で出来た小さな砂山に剣が突き刺さっている奇妙なオブジェのようなものがあった。

 

「何じゃあれは...」

 

一心はそのオブジェに近づくと、それが妙に気になってしまう。

 

そして剣に触れようとした瞬間、砂山から炎が吹き出し小さな篝火のような物になった。

 

「ほう...いきなり火がでよった。それにしても...見ていると妙に落ち着くな...」

 

一心はしばらくその篝火の前に立っていたが、ハッとして直ぐに辺りを見渡す。

 

「いや、こんな事をしている場合ではない...ここから出なければ」

 

一心はまず篝火の近くにある巨大な扉に注目する。

 

彼は重い大扉を力を込めて開ける。

その先には壺が大量にある広間があった。

 

 

 

 

一心はゆっくりと前に歩くと、目の前に巨大なこん棒を持った怪物が現れる。

人の中では高身長の一心すら小さく感じる程の身体に、巨体に似合わぬ細く小さな羽、そして鬼すら顔負けする何本もの角が生えていた。

 

そして何より驚くべきなのは、怪物の皮膚が石で出来ている事だ。

 

一心もその巨大さに驚き、顔を上げて怪物の顔を見る。

 

「ほぉ......何というでかさか!」

 

怪物は唸り声を上げながらこん棒を一心目掛けて振り下ろす。

 

一心は素早く移動し怪物の攻撃を避けると、素手で思いきり怪物の腹を突く。

 

「むん!」

 

しかし石の皮膚には対して効果はなく、逆に一心の拳からは血が流れていた。

 

「カッカッカッ...なんと摩訶不思議な生き物よ...石の皮膚を持つ怪物か!」

 

 

怪物は空中へ飛び上がると、一心目掛けて全体重で押し潰すため落下する。

 

しかし彼は余裕で避け、怪物と距離を取る。

 

「ふぅむ...このままでは決着がつかぬか...む?」

 

すると広間の奥にある檻がまるで一心を誘うように開き始める。

 

彼はこのままでは倒せないと判断し、その檻を潜り抜けて怪物から逃げ出した。

 

 

一心が潜り抜けると檻はしまり、怪物から彼を遠ざけた。

 

「これで一安心か...さて」

 

 

 

 

 

 

一心は奥へと進むと、再び牢屋がいくつもある通路へとたどり着く。

そして近くに死体が転がっており、その死体には武器が突き刺さっていた。

 

一心はその武器を引き抜くと、それはボロボロだが刀だと気づく。

 

「ほぉ、こんな所に刀か...しかし刃はあまり手入れされてはおらぬな」

 

一心は刃を見ていると、遠くから矢が飛んでいることに気づく。

彼はボロ刀で矢を弾き、弓を持つ敵を見る。

 

「...ここの囚人か。しかし儂に矢を放つとは...どうやら余程命知らずと見える」

 

一心は死体の近くにあるボロボロの鞘も拾い、刀を鞘にしまう。

 

囚人は次の矢を準備し、彼の喉元に狙いを定める。

 

 

しかし次の瞬間囚人は一心の居合いの餌食となり、その首は通路の奥へと転がっていった。

 

「遅い。第一の矢が弾かれたのならば、素早く第二の矢を放たねばならんぞ」

 

一心は刀を片手にゆっくりと歩みを進める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一心は歩いていると、近くにある階段から丸い石が転がってくる。

 

しかし彼はボロ刀で粘土のように石を一刀両断し、別れた二つの石が壁に激突した。

 

「む...」

 

一心は石が激突した壁の向こうに気配を感じ、ボロ刀で壁を破壊してから行ってみると、奥に見慣れぬ鎧を着た男が倒れていた。

彼は鎧を見た瞬間直ぐに先程鍵をくれた男だと気づき、近寄って話しかける。

 

「お主、先程の...如何した」

「.....おお、君は亡者じゃないんだな...」

「亡者...?」

「...よかった...私はもうダメだ...」

 

一心は鎧を着た男の言葉を聞いて、彼の体を見る。

すると鎧に穴が空いて腹が貫かれており、そこから血が大量に溢れ出て地面の水溜まりに流れていた。

 

この出血の量では最早救えないと一心も気づいた。

 

「...弱気な事を言うでない」

「いや...私はもうすぐ死ぬ。死ねばもう...正気を保ってはいられない...だから君に願いがある」

「.....」

 一心は目の前の男から死という単語を聞いて、彼の話を聞くことにした。

 

「同じ不死の身だ...観念して聞いてくれよ」

「不死...?お主も..いや、よかろう。話してみよ」

「よかった...恥ずかしい話だが、願いは私の使命だ」

「使命...とな」

「それを見ず知らずの君に託したい...」

「.....」

「私の家に伝わっているんだ...『不死とは、使命の印である。その印あらわれし者は、不死院から古い王達の地にいたり、目覚ましの鐘を鳴らし、不死の使命を知れ』」

「.....」

「よく、聞いてくれた...これで希望を持って死ねるよ...」

 

一心は彼の言葉を遺言として聞いていた。

すると鎧を着た彼は懐から何かを取り出す。

 

「ああ...それと、これも君に託しておこう」

 

鎧を着た男が取り出したのは、黄色く光る液体が入った瓶であった。

一心はそれを受けとると、その中身をジッと見つめる。

 

「これは...何とも奇妙な物だ」

「それは不死者の宝...エスト瓶だ」

「えすと...びんとな」

「それと、これも...」

 

鎧を着た男はもうひとつ一心にある物を手渡した。

それは牢屋とは別の鍵であった。

 

「鍵か」

「ここのデーモンが守っている外へと繋がる扉の鍵だ...」

「...でーもん?あの怪物か...言われてみればあやつの後ろに扉があったか...」

 

一心は聞き慣れない単語を聞いたが、とりあえずエスト瓶と鍵を懐にしまう。

 

「じゃあ、もうさよならだ」

「.....」

「死んだ後、君を襲いたくない...いってくれ」

 

一心は立ち上がると、彼に背を向けて歩き始める。

そして鎧の男は最後に小声で一心に言葉を伝える。

「ありがとうな」

 

一心は一瞬彼の言葉で止まるも、破壊した壁から再び外に出る。

そして鎧の男の小さな呻き声がした。

 

一心は彼がどうなったか簡単に予測できていた。

 

 

「...牢屋での恩、忘れぬぞ」

 

 

一心は階段を下り、再びあの怪物の元へと向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一心は先程の大扉を通ると、再び上からデーモンと呼ばれていたあの怪物が現れる。

 

「...さて、前の儂だとは思うな...刀を得た儂は鬼に金棒じゃ」

 

一心は刀を構えると、不死院のデーモンはこん棒を勢いよく振り下ろした。

しかしその瞬間大きな金属音が響き渡り、デーモンはこん棒から伝わるその衝撃に驚く。

なんとデーモンの攻撃を一心は弾いたのだ。

 

「ふむ...何とか耐えたれたか。さて、面白き技を見せよう」

 

すると一心はボロ刀を鞘にしまうと、力を溜め始める。

デーモンは高く飛び上がり、一心を自らのその巨体で踏み潰そうとする。

 

「でやぁぁぁぁっ!!」

 

一心は大声と共に刀を抜いて神速の速さで斬り下ろす。

すると刃から目に留まらぬ速さで真空波を生み出し、デーモンの石の皮膚に当たる。

 

「.....」

 

デーモンは何が起こったか理解もできなかった。 何故ならばいきなり視界が二つに割れたのだ。

 

そして自分の体が地面に落ちてようやく状況が理解できた。

 

 

自分の体は真っ二つに斬られたのだと。

 

 

 

「カカカッ...石の皮膚とて儂に斬れぬものはないわ」

 

 

 

一心はボロ刀を鞘にしまい、デーモンが守っていた大扉の錠前を貰った鍵を使い外す。

 

そして扉を開けると、ようやく外に出れた事に彼は安堵した。

 

「...ようやく出れたか...」

 

一心は進んでいくと、途中で道が途切れていることに気づく。

 

「!これでは...さて」

 

一心はどうするべきかと辺りを見渡し考えていると、遠くの空から黒い何かが飛んでくるのを発見する。

 

「...」

 

一心は刀を抜こうとするも、その何かは急降下して見えなくなってしまった。

 

一心は刀をしまうと、その何かはいきなり彼の前に現れた。

 

その何かの正体は巨大なカラスであり、一心に近づくと彼を軽々と持ち上げそのまま空へと飛び始める。

 

「ぐぉぉぉっ!?何をするか!!離せぇい!」

 

カラスが一心の言葉を理解できる筈もなく、持ったまま何処かへ飛んでいった。

 

 




よろしくお願いします。

一心にレベルをつけるなら、一週目がヌルゲーになるくらいのレベルだと考えてます。
ステ振りは技術特化です。
体力とかは無限ではないですけどかなり多いです。隻狼だと三ゲージあるからね。

ボロ刀も本編では出ません。一心の力を押さえるためのオリジナル武器です。折れた直剣よりはまぁマシ程度の武器と考えて頂ければと。


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剣聖、ロードランへ

カラスは一心を掴んだまま飛んでおり、彼も抵抗はやめて景色を楽しんでいた。

 

 

「カカカッ.....空を飛ぶのも...中々じゃ。しかしそろそろ下ろしてほしいものよ、一体何処へ向かうつもりじゃ」

 

 

 

 

 

 

 

一心は唖然としていると、急にカラスはスピードを緩め降下し始める。

カラスが降下し見えてきたのは巨大な城壁に囲まれた街であった。

よく見るとボロボロな家や建物が多いが、この規模の街となると相当な権力をもった者が建てたとであろうと簡単に予測できる。

 

カラスはそこから少し離れた場所に降下し、地面に近づくと一心を下ろして何処かへと飛んで行ってしまった。

 

「おう、ご苦労であったな」

 

一心はカラスを見送ると辺りを見渡す。

そこは廃墟であり、墓場や奥には橋のような者も見える。

 

どれも日本では見たことないものばかりだ。

 

一心は廃墟を通り抜けると広い場所に出て、その中心には不死院で見た篝火があった。

 

「ここにもあるか...ん?」

 

一心はその篝火の近くに座る男に注目する。

 

その男は鎖帷子で全身を包み、盾と剣を背負っている戦士であった。

 

しかしかなり暗い雰囲気を出しており、彼も一心に気づいて話始める。

 

「ようあんた。よく来たな...新しい奴は久しぶりだ」

 

一心も彼に近づいて、話始める。

 

「...お主は何者じゃ...葦名では見ない鎧や武器を持っているな」

「くくく...どうでもいいじゃないか。それより...お前もどうせあれだろ?不死の使命がどうとか...皆一緒さ」

「不死の使命...」

「呪われた時点で終わってるんだ。不死院でじっとしてればいいものを...ご苦労なこった」

「呪われた...?何の事じゃ」

「...そういえばお前、不死院から来たのに姿は普通だな。まぁいい、暇だし教えてやるよ」

すると戦士は手を使って説明し始める。

 

「不死の使命にいう目覚ましの鐘ってのは二つある」

「目覚ましの鐘...あの鎧の男がそう申していたな」

 

戦士はまず階段の先にある橋のほうを指差した。

 

「ひとつはこの上にある不死教会の鐘楼」

 

次に戦士は地面を指差す。

 

「もうひとつはこの遥か下にある病み村の底の古い遺跡に」

「不死教会...病み村の底の遺跡」

「両方鳴らせば何かが起こるって話だが...どうだかね...少なくとも俺はその先の話は聞いたことがない」

「ふむ...」

 

戦士は手を戻し、不気味に笑いながら話す。

 

「さぁ行けよ。その為に来たんだろう?この呪われた不死の地に...ハハハハハ...」

「.....不死の地」

 

一心はこれからのことを少し考えていた。

 

葦名に帰らなければ

 

一心の目的は変わらないが、鎧の男が牢屋を出してくれた恩を忘れたわけではない。

そしてあの彼の最後の願いを聞いた以上、武士として約束を破る訳にもいかない。

 

鎧の男との約束を果たして、葦名に戻る。

 

そう一心は目標を変更し、行動することに決める、

 

しかしまず目の前の男に聞かなければならないことがあった。

 

「お主...葦名は何処じゃ」

 

約束を果たすにもまずここはどこか、そして葦名からどれ程離れているのか聞かなければならなかった。

 

「アシナ...?そんな場所聞いたことないね...」

「ない...?ならば甲斐や尾張などは?」

「...知らないね」

 

一心は悩み始めると、恐る恐るある質問を戦士にした。

 

「...ここは...日の本であるな?」

「日の本?...おいおい、あんた亡者になりつつあるんじゃないだろうな」

 

戦士が嘘をついているようにも思えない。

ということはここは日本ではないということになる。

それなら次にする質問はひとつ。

 

「ではここは何じゃ」

「.....ここはロードランだ。からかっているのか」

「ろーどらん?聞いたことのない地名じゃ...」

「...からかってるならさっさと行けよ」

 

戦士は顔を落とし、一心を無視し始めた。

これ以上の情報は得られないとわかった一心は、近くの篝火で休み始める。

 

ここは日本ではない

 

戦士によるとロードランという場所らしい。

 

日本という単語も聞いたこともない戦士の様子から察するに、ここは日本からかなり離れた場所と一心は予測していた。

 

「...随分遠くまで来たものじゃ...だが、まずは使命を果たすが先か」

 

一心は目を綴じであの不死院にいた鎧の男の話と戦士の話を思い出す。

 

(『不死とは使命の印である。その印あらわれし者は、不死院から古い王達の地にいたり目覚ましの鐘を鳴らし不死の使命を知れ』)

 

(そしてあの者によると目覚ましの鐘は二つあり...それは『不死教会』と『病み村の底』...そして不死教会はこの先であったな)

 

一心は先程戦士が指差していた橋を見る。

 

「ならば、行くか」

 

一心は刀を抜き、階段を登り始める。

 

 

 

 

 

 

階段を登っていると、上から剣と盾をもった男数人が彼に襲いかかってくる。

 

「む」

 

一心は彼らの攻撃を弾き、反撃する。

 

「...脆いな」

 

一心のボロ刀は彼らを鎧ごと斬り落とし、彼らは階段から転げ落ちたりその場で倒れ息絶えた。

 

そして一心は彼らの死体を見ると、不死院から気になっていた事を考える。

 

(...牢屋にいた奴らもそうであったが...ロードランの者は妙に痩せておるな...そして戦い方も餓えた獣のように振り回しているだけとみえる...そしてこの黒い輪のような物は...)

 

一心はしばらく考えていたが、やがては歩きを再開してさらに階段を登っていく。

 

 




ちなみにDLCをやるかどうかは現時点でもかなり迷ってます。
タイミングもどうしよって感じですし、本編と関係はあまり無いですし...

けどアルトリウス格好いいしなぁ


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剣聖、城下不死街へ

一心はしばらく敵を薙ぎ倒しながら進んでいた。

でかい鼠や痩せた兵士達がいたものの、剣聖と呼ばれた彼にとっては刀の餌にしか過ぎなかった。

 

 

 

一心はゆっくりと歩きながら進んでいると、空から巨大な生物が彼の前に降り立つ。

 

「ぬぉっ!」

 

その生物が巻き起こす風に一心も後ろに下がり、腕で顔を隠しながら生物の全体を見る。

 

「これは...竜か...!」

 

一心の前にいたのは巨大な赤い皮膚をもった竜だったのだ。

 

竜は一心の姿を見ることもなく、再び羽を動かし飛んでいってしまった。

 

「.....カ、カカカッ...まさか竜までいるとは...面白き地よロードラン...!」

 

一心は驚きつつも、胸を踊らせながら前に進む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一心は敵を倒しながら進むと、大きな木の板の上に立つ。

彼はその木の板は薄く、下は空洞ということに気づいた。

 

「むぅ...?」

 

一心は木の板を破壊すると、下へと続く階段を見つける。

 

試しに下に降りて探索していると、色々な物に囲まれた骸骨のような顔を持つ男に会う。

 

「...おや?この辺りでは見ない顔だな」

「お主は何者じゃ」

「俺は物を売ってるただの商人さ」

「商人...カカカッ、商人の顔には見えぬな」

「何だよ冷やかしか?冷やかしなら帰れよ」

「わかったわかった。何を置いておるのだ?」

「この不死街で集めた武器防具さ...品質も中々のものだよ」

「ふぅむ...」

 

一心は商人が見せる武器防具をまるで珍しそうに見る。

なんせどの武器も日本では見られない形状や素材で出来ているのだ。

 

彼にとっては全ての物が見たことのない品々ばかりである。

 

すると一心はある武器に注目する。

 

「お主、これは...」

「おっと、これは売り物じゃねぇ」

一心が見つけたのは刀であった。

 

「...出来れば貰いたいが」

「ダメだダメだ」

「ふぅむ、仕方ない。では...」

 

一心は他の物を探していると、鍵を見つける。

 

「この鍵は...何処の物か」

「さぁな、この辺りで使えるんじゃねえか?ヒヒヒ」

「...」

 

一心は何処かで使えればと思い、鍵を掴んだ。

 

「これを貰おう、いくらじゃ」

「いくら?まさか金出すんじゃねぇだろうな」

「む?金では不服か」

「俺が欲しいのはソウルさ。この地では最早金なんて何の役にも立たねぇよ」

「そうる...か。しかしそんなものは持っておらんな」

「何言ってんだ。持ってるじゃねぇか」

 

すると商人は一心の手首を掴み、彼は体の中の何かが吸いとられる不思議な感覚を感じた。

 

商人は手を離すと嬉しそうに笑い出す。

 

「ヒヒヒ...毎度あり」

「...何をした」

「ソウルを支払って貰ったのさ...さぁ、鍵はあんたのものだ。もってきな」

「.....」

 

一心は掴まれた手首を見るが、何も変わっていない。

彼は貰った鍵を懐にしまい、その場から去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

再び一心は敵を倒しながら進んでいくと、階段の上から火のついた樽が転がってくる。

 

しかしそこは剣聖である。

 

刀で弾き飛ばし樽を奈落へと落とした。

そして罠を仕掛けた敵を斬り、さらに先に進む。

 

 

 

 

 

 

一心は塔のような場所に入ると、辺りを見渡す。

回りにはボロボロな樽があるばかりで、敵もいなかった。

 

「.....さて、上がるとするか」

 

一心は上へと続く階段を上ろうとした瞬間、後ろから殺気を感じて振り向いた。

 

すると後ろには全身を分厚い岩のような素材でできた鎧を着て、巨大な一本の牙を振り下ろす男がいた。

 

一心はすぐにボロ刀で防ぐも、あまりの力の強さに後退してしまう。

 

「ぐっ.....何者じゃ」

 

一心の問いかけに目の前の男は答えず、後ろに背負っていた盾を構える。

この戦士は岩で作られた超重量の鎧と盾、そして古竜の牙で作られた大槌を装備する『ハベルの戦士』である。

 

「カカカッ...盾まで岩か!随分と面白き鎧よ!ならば...お主の事は岩の武士と呼ぼう!」

 

一心はボロ刀を構え、大きく振り上げる。

 

「その岩ごと叩ききってやるわ!」

 

一心はボロ刀を勢いよく振り下ろし、片足も共に強く踏みつける。

 

剣聖 一心が編み出した葦名流の基礎ともいえる技

『葦名一文字』である。

しかしハベルの戦士は岩の盾を軽々と持ち上げ防御する。

一心の攻撃は弾かれるも、もう一度力強く振り下ろす。

 

一撃が弾かれたならばもう一度叩き込む。

 

『葦名一文字 二連』である。

 

しかしハベルの戦士は葦名一文字 二連すら簡単に防ぎ、右手に持った古竜の牙を振り回す。

 

一心はすぐに後退して攻撃を回避し、ボロ刀を鞘にしまい居合いの型をとる。

 

そして一瞬でハベルの戦士に近づき、ボロ刀を抜いて十字に斬り裂く。

 

『葦名十文字』である。

 

ハベルの戦士は盾を構える暇もなく、一心の攻撃を受けてしまう。

 

岩の鎧は一心の十文字でも斬れなかったが、ハベルの戦士は後ろに吹き飛び壁に叩きつけられる。

 

「ほう...儂の十文字でも斬れんか...ならば!」

 

ハベルの戦士が立ち上がろうとすると、一心の方から真空波が襲いかかる。

 

更に衝撃波がハベルの戦士を襲い、彼は再び吹き飛んだ。

 

一心が放ったのは『秘伝 竜閃』である。

 

流石の岩の鎧も防ぎきれず、灰色の鎧が血の色に染まっていく。

 

「そこじゃ!」

 

一心は破壊された鎧の部分を逃さず、ボロ刀で突き攻撃を仕掛ける。

 

ハベルの戦士は古竜の牙で反撃しようとするも、鈍重な武器では間に合わず彼の体はボロ刀に貫かれた。

 

「岩の武士よ...中々楽しめたぞ」

 

ハベルの戦士は壁に叩きつけられ、全身から灰を吹き出し消えていった。

 

 

 

 

 

 




『鍵か万能鍵が無ければハベルに会えない筈では』とお思いの方はおめでとうございます。
『DARK SOULSリマスタートロコンするまで寝られない』企画に参加です(強制)


本当はハベル大好きなので戦わせたかったんです...すみません。


追記
何故かサブタイトル入ってませんでした。申し訳ありません


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剣聖、灰の人と出会う

一心はハベルの戦士を倒し、階段を登っていくと霧の壁のような物の前に立つ。

 

「これは.....」

 

一心は霧に触れようとした瞬間、地面に白く光る文字が現れるのに気づく。

 

「何じゃこれは」

 

一心はその文字に触れると、ゆっくりと文字は消えていく。

 

そして消えた文字の場所から鎧を着た男が現れ、一心は驚き後ろに下がった。

 

厚い鉄板を組み合わせた鎧は少しボロボロで、青い羽織のような者も所々黒く染まっている。

茶色の布を首辺りに巻いており、腰には短剣や矢筒が装備されている。

 

鎧を着た男は全体的に白く光っており、顔は兜で隠されているので表情はわからない。

 

「.....」

「文字から人が現れおった...この地は驚きばかりじゃな...それより」

 

一心は目の前の男の装備をよく見ると、不死院で出会った牢屋から出してくれたあの鎧の男と同じ鎧を着ていることに気づく。

 

「お主...不死院で死んだのではなかったのか」

「...いや」

 

目の前の男から声を聞いて、一心は不死院で会った男ではないとわかった。

 

「そいつは俺じゃない」

「...確かに、声が違う」

「召喚してくれるとは思ってなかったよ。まだ呼ぶ方法もわからないのによく出来たな」

目の前の男は随分と気楽に喋り、無骨か鎧に包まれながらも楽しそうだ。

 

「お主は何者じゃ」

「そうだなぁ...『灰の人』って呼んでくれ」

「灰の人とな...」

「それにしてもあんた背が高いなぁ。見たところこの辺りじゃ見ない顔つきだが...生まれはどこだい?」

「...葦名じゃ」

「アシナ?聞いたことないな...」

「篝火の前にいた戦士にもそう言われた」

「あぁ、あいつか。暗い野郎だが悪い奴じゃないんだ...許してやってくれ」

 

一心は灰の人が不死院の男や篝火にいた戦士も知っていることに、少し驚く。

 

「さて、あんたこの霧の壁を越えようとしてたんだろ?」

「む?ああ、そうじゃ」

「この先は危険だ。化物が待ち受けてる」

「ほう...」

「俺が手伝ってもいいが」

「カカカッ!この一心...若造に心配されるほど弱くはない」

「なんだ、随分と強気だな」

「まぁ見ておれ」

 

一心は霧の壁に触れると、そのまま奥へと行ってしまう。

 

灰の人も一心に続いて霧の壁に触れて越えていく。

 

霧の壁を越えると、そこは街を囲んでいた城壁の上に続いていた。

 

一心はそのまま前に進むと、灰の人は霧の壁の横にある梯子を登っていく。

 

「何処へいく」

「まぁまぁ、お前は先に進んでな。俺は用があるんでね」

 

一心は梯子を登っていく灰の人を気にせず歩いていく。

 

すると奥の塔の上から巨大な怪物が飛んでくる。

現れたのは牛の頭を持つ巨人であり、さらにその巨体に相応しい大斧を両手で持っている。

 

「ここには巨大な者が多いな...長く生きてみるものよ」

 

一心はボロ刀を掴むと、居合いの型をとり力を込める。

 

牛頭の怪物は大斧を振り上げ、一心を真っ二つにしようと全力で振り下ろす。

 

しかし一心は一瞬で怪物の足元へ移動し、刀を抜いて両足を斬り払う。

怪物の両足からは血が溢れ、両膝を地面につけた瞬間一心は跳躍して怪物に乗り首に刀を突き刺した。

 

そしてそのまま刀を動かし、怪物の首を斬り落とした。

 

首を失った怪物はよろけなが城壁から落ちていく。

 

一心は城壁から落ちる前に地面に降りて、落ちていく怪物を見下ろした。

 

「カカカッ...この一心、化物如きに負けぬわ!」

 

一心は笑いながらボロ刀を鞘にしまうと、後ろから灰の人が現れる。

 

「おいおい!あんたヤバイな!牛頭のデーモンを一瞬か!」

「む、お主か」

灰の人も何故か嬉しそうにテンションが高い。

 

「いやー、他の奴らとは違うと思ってたけど...まさかここまでとはなぁ」

「梯子を登っていたが...あの上には何かあるのか」

「いやいや、気にしないでくれ。あんたが勝負に集中できるよう見張ってたのさ」

「ほう、それは感謝しなければな」

 

一心は怪物が降りてきた塔を見ると、先に進む道を見つける。

 

「さて、先へ進むとしよう...お主も共に来るか」

 

一心は後ろを振り向くと、先程までいた灰の人がいなくなっていることに気づいた。

 

「おい」

 

一心は辺りを見渡すも、彼はいなかった。

 

「...まぁよい、進むか」

 

一心は塔へと入っていき、先に進む。

 




お分かりかと思いますが、灰の人はオリジナルキャラです。
役としてはいわゆるロードランの案内人ですね。
何も知らない一心の代わりに色々教えてくれます。
ずっと登場させる訳でもないので、暫くはお付き合いください。


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剣聖、太陽の戦士と出会う

一心は牛頭のデーモンを倒し塔の奥へと進む。

 

しばらく進むと右側に大きな橋が現れ、橋の上には盾と槍を持った兵士が数人いた。

 

一心は橋のほうをへと歩み始めると、橋の床に大きな焼け跡があることに気づく。

 

「これは.....!なんじゃ!」

 

一心は後ろに振り向き空を見上げる。

そこにはかつて不死街にて彼の前に降り立った赤い竜が口から炎を吹き出しながら突っ込んできたのだ。

 

炎は橋の上にいた一心と兵士達を巻き込み、波となって全てを焼き尽くす。

 

「ぬぅぅぅっ...!」

 

一心の身体は炎上し、炎に包まれる。

 

赤い竜は橋の奥にある建物の上に降りて、炎上する橋を見下ろす。

 

「とぉぁぁあぁぁっ!!」

 

しかし一心は炎に包まれながらも秘伝 竜閃を放ち、赤い竜の羽を傷つけ建物から落とす。

 

赤い竜は羽から血を流しながらも立ち上がり、大きく口を開けて炎を吹き出す。

 

一心は橋の中間にある壁に隠れ、炎から逃れた。

 

「ぬぅ...口から火を吹くか...厄介な」

 

竜は炎を吹き出しながら歩みを始めていくが、炎を吹いている間赤い竜は橋の上の状況がわからない。

そのため一心が壁に隠れていることに気づかず、彼の隣まで迫る。

 

一心はボロ刀を抜いて、壁から出ると赤い竜の足を斬り落とす。

 

赤い竜は片足を失い、羽も傷つき飛べないためそのまま橋の上に倒れてしまう。

 

倒れた瞬間一心は刀を大きく振り上げ、竜の首目掛けて強い踏み込みと共に振り下ろす。

 

しかし竜の硬い皮膚にボロ刀では断首とはいかず、血が出るだけであった。

 

赤い竜は首の一撃に驚き、足がなくともその場で暴れまわって抵抗する。

 

「ぬぅ...流石竜じゃ!」

 

一心はボロ刀を構え直すと、赤い竜の眼前まで移動する。

 

赤い竜は好機と口を開き炎を吐こうとすると、一心は飛び上がりボロ刀で上の口を突き刺しその勢いで下の口まで貫通させ無理矢理閉じさせる。

 

炎は行き場を失い、赤い竜の内蔵へと向かっていった。

 

竜の口からは黒い煙が吹き出し、肉の焼ける臭いが立ち込める。

一心はボロ刀を抜いて、竜の顔を歩いていく。

 

赤い竜は抵抗できず、内蔵の焼かれた痛みで動けなかった。

 

一心は先程つけた首の傷まで辿り着くと、ボロ刀を思いきり突き刺した。

 

今度は根本まで突き刺し、ゆっくりと抜いた。

 

竜は口から血を吐き、息絶える。

そして身体は灰となってその場から消えた。

 

「カカカッ...竜狩りを成した...か!」

 

一心はボロ刀を鞘にしまい、橋を歩いていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一心は橋の先にある建物に入ると、その中心には火のついていない剣が突き刺してある篝火があった。

 

彼は手を剣の上にかざすと、篝火に火がついた。

 

「...ふぅむ、何度見ても落ち着く火じゃ。不思議なものよな」

 

一心は篝火の前に座ると、ボロ刀を鞘から抜いて見る。

 

「.....流石に刃が削れてきたか」

 

一心はボロ刀の刃を見ると、ため息をついて鞘にしまう。

 

「さて、次は何処か」

 

一心は立ち上がると、近くの地面に牛頭のデーモン前にもあった光る文字を発見する。

 

「これは...」

 

一心は文字に触れると、文字はゆっくりと消えて再び灰の人が現れる。

 

「...不思議な現れ方よな」

「さっきは悪かったな。その辺の主が倒されると俺は消えるんだよ」

「主とな」

「あそこら辺の主は牛頭のデーモンだったわけさ」

 

すると灰の人は背中から緑の植物の根が描かれた盾と、腰にある鞘から剣を抜いた。

 

「さて、これからどうするんだ?」

「ふむ...気になるのだが、あの塔を出て左に行くと何がある」

「...行ってないのか」

「うむ」

「...なら行くか」

 

灰の人は武器と盾を構えると、橋へゆっくりと警戒しながら向かっていく。

 

「気をつけろよ...この辺りには竜が出るからな」

「竜ならば斬った」

「.....へ?」

「カカカッ!あやつはよい敵であった」

「.....初見で倒したのか...お前何者だよ」

 

灰の人は唖然としているのか、向かってくる槍と盾を持った兵士に気づいていない。

 

一心はボロ刀を構え、兵士を一人突き攻撃で吹き飛ばす。

灰の人は兵士の攻撃をローリングして避け、剣を兵士の腹に突き刺す。

 

兵士達は全滅し、二人は橋を渡っていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

橋を渡りきると、灰の人は急に動きが止まった。

 

「どうした」

「...俺はここで待ってるよ」

「何故じゃ」

「...いいじゃないか。早く行けよ」

 

一心は仕方なく、灰の人を置いて階段を降りていく。

 

 

降りた先には一人の鎧を着た男が空に輝く太陽を見ていた。

 

鉄の足甲、鉄の首輪、バケツのようにみえる兜、灰の人と同じような長剣。

そしてなにより目立つのは、鎧の上から着た布の服に描かれている謎の顔が描かれた太陽である。

 

「.....」

 

一心は彼に近づくと、気配を感じたのか男は一心の方に振り向く。

 

「ん?おお、貴公、亡者ではないのだな」

「お主は」

「俺はアストラのソラール。見ての通り太陽の神の信徒だ」

「太陽の神とな」

「太陽の神を知らないのか?...貴公の身なりを見るにこの辺りの生まれではなさそうだ。なら知らなくて当然か」

「...」

「俺は不死となり、大王グウィンの生まれたこの地で俺自身の太陽を探しに来たんだ!」

「大王グウィン...とな」

「変人って思うか?まぁその通りだが。ウワッハッハッハッハ!」

「...カカカッ...面白き男よ」

「しかし太陽の神も大王グウィンも知らないとは...貴公も変人...いや、常識知らずだな」

「この地に来てから日が浅くての。無礼は許せ」

「構わないさ。そうだ、少し思ったことがあるんだが...時間はあるかな?」

「構わん」

 

するとソラールは一心の答えに少し安堵すると、話始める。

 

「いや、貴公とは奇妙な縁があると思ってな」

「縁か」

「亡者ばかりのこの地で貴公と出会った...だからどうだろう。貴公と俺、互いに旅の助けにならないか?」

「旅の助けか...よかろう」

「そりゃあよかった!ならこれを渡しておくよ」

 

ソラールは懐から小さな白い化石のような物を取り出し、一心に渡す。

 

「これは...といっても貴公は既に知っているかな」

「?いや知らぬ」

「そうなのか?貴公は既に仲間を白霊として呼んでいたからてっきり」

 

ソラールは上から見下ろしている灰の人の方を向く。

 

「.....」

「...まぁいいか。とにかく俺は太陽の戦士だからサインも光輝く特別製だ。よく目立つから呼んでみてくれよ」

「ふぅむ、見つけたら触れてみよう」

「いつでも呼んでくれ。貴公を手伝うよ」

一心は白いサインろう石を懐にしまう。

 

「お主、これからどうする」

「俺はしばらく太陽を眺めていくよ...それにしても、太陽は偉大だ...すばらしい父のようだ」

「太陽か」

「俺もいつかあんな風にでっかく熱くなりたいんだよ」

「...カカカッ...不思議な考えじゃ」

「貴公も...なんだが不思議な人だ。つい話してしまうな」

「さて、そろそろ行くか。では、また会おう...ソラールとやら」

 

一心はソラールに背を向け、階段を登り始める。

すると彼は何かに気づき、一心に大声で話しかける。

 

「貴公の名前を聞くのを忘れていたよ!名前は!」

「...葦名一心!」

「イッシンか...旅の成功を祈るよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一心が階段を登りきると、灰の人が待っていた。

 

「待たせた」

「.....」

「どうした、灰の人」

灰の人は空に輝く太陽を見ているソラールをじっと見下ろしたまま動かない。

 

「...あの男が気になるか」

「.....何でもない。行くか」

 

灰の人は橋の方へと歩いていく。

 

一心もソラールを一度見てから、橋へと向かっていった。

 




太陽万歳!
ソラールさんはDARK SOULSのメインヒロインです。
よく攻略でも助けてもらいました。


UA1000突破!!
ありがとうございます!!
お気に入り、感想、しおり、評価してくださった方々には感謝しかありません!
お礼に『噛み締め』と『故も知らぬ不死のソウル』をあげます!
更新遅いかもしれませんが、これからも読んでいただくとありがたいです!


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