【RTAネタ】吾輩はE.M.M.I.である (気力♪)
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執筆時ver1.02
まだまともだったころ


開幕はドロギーガさんにしたかったけど、話の動かしやすさ的に彼を主人公にしました。

開幕一分ちょいで影も形もなくなるボスがいるらしい。


 吾輩はE.M.M.Iである。名前は無い。01-Pあるいは一号機と呼ばれていた。エミーと聞くとかわいい名前に思えるが『Extraplanetary.Multiform.Mobile.Identifier(惑星外多形態機動調査機)』という仰々しい名前の略称だ。

 

 私を含むE.M.M.Iは7機編成でこの惑星Z.D.Rに訪れた。生命体に寄生する“X”の生息の可能性があったからだ。

 

 しかし、我々は敗北した。Xにではなく、惑星に居た戦士に。

 強きに敗れるは必定。仕方なしとその時は薄かった自意識で思っていた。武装が奪われたのも、指揮系統を乗っ取られたのもどうでもいい事だった。

 

 しかし、惑星Z.D.Rに一人のハンターがやってきたことで状況は変わった。

 

 彼女の名前はサムス・アラン。私たちE.M.M.Iの戦闘データの元になった最強の戦士だ。私は彼女を襲撃するように指令を受けてしまった。

 

 そして、殺した。

 

 そして、数秒後に『サムス・アランのDNAを奪え』という“先程達成した指令”が下ったのだ。

 

 

 その時の私は迷いなく命令に従った。そして以前とおなじように彼女を襲い、そして最適なタイミングでカウンターを決められた。

 

 プログラムの復帰と共に彼女の方に向かうと、そこに見えたのは強大な力を持つであろうブラスターを構えているのが見えた。

 

 “オメガブラスター”と彼女は言っていた気がする。

 

 その一撃によって私は完全に破壊され、機能は停止した。

 

 

 

 それが、遥か昔の事に思えてならない。

 

 

 

 破壊された私は、再びサムス・アラン襲撃の指令を受けた。そこで不自然に思える程度の自意識はあった。

 

 そして、ごく簡単に破壊された。

 

 それを何度か繰り返した所で“通路での破壊音”の後に彼女がやってくる事が分かった。今さら彼女に勝てるわけはないのだが、それでも律儀に待ち構えていたのだ。

 

 そして、爆発音の後に彼女はやって来なくなった。

 

 流石におかしいと思い始めた。彼女がやってこない事に安堵する感情と、寂しさを覚える不可解さに。

 

 私はどうやら、自我のようなモノを獲得してしまったらしい。生体コンピュータと繋がっているとそう言う事もあるのだろうか? ……私にはよくわからない。

 

 それからしばらくして、何度か巻き戻った後の事。なんとなく“動いてみよう”という気になった。

 

 E.M.M.Iは指定されたゾーンの中でしか動けない。ユニットからのエネルギー供給が理由の大半だ。他にも色々あるらしいが、私のデータの中にはない。

 

 だが、私は多少無理すれば動けない事はなかった。指揮系統とは別の“自我”によってだ。命令には従うように動くのは変えられない。しかし、命令に逆らわない程度には動く事ができたのだ。

 

 そうして爆発音の少し前くらいに彼女のことをゾーンの端から見ようとした。

 

 

 

そんな私の目の前にあったのは

 

 

頭を天井に不可解な形で擦らせながら、射撃で崖を破壊したサムス・アランの姿だった。

 

 

 

 私は理解を諦めた。どうして機械の私に自我のようなモノが生まれたのだとかとかそんなことは目の前の狂気に比べれば些細な事だろう。崖を普通のビームが貫くなんて事はない。ないのだ。

 

 

 その日私は、世界で初めて不貞寝をした機械になったと思う。




メトロイドドレッドには体験版があります。興味があったらダウンロードしてみて下さい。

シークエンスブレイクも健在ですので、体験版では戦えないはずのボスと戦えたり、二分弱でクリアしたりもできます。


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静かなるドロギーガ

 吾輩はE.M.M.Iである。サムス・アランをこの目で見る事はもうない。

 

 私の意識が覚醒して一分ほどで壁が壊れる音が聞こえる様になった。そしてそのまま意識は消える。いくらなんでも早すぎやしないだろうか? なにやら会話を連打で読み飛ばしたりイベントをスキップしたりしているような気がする、

 

 閑話休題

 

 私は自我を獲得した事によってこの惑星Z.D.Rのネットワークにアクセスできるようになっていた。それによって他の機体や現地に住んでいる者を見る事ができた。区域からは出れないが、それはこの機体の性質だ。仕方ない。

 

 そして、各地のカメラなどから彼女“サムス・アラン”の奇行を目にする様になった。

 

 彼女はどうやら、スライディングをした後にジャンプ射撃をするとおかしな現象を起こせるらしい。

 

 頭を擦り付ける必要はあるようだが、壁を無視したビームで道をザクザクと切り拓いている。

 

 そんな壁貫通ビーム。あるいは彼女の使っていたというウェーブビームにあやかってPseudo Wave(擬似ウェーブ)と呼ぶべきか。

 

 そんな彼女がやらかしているのが彼を相手にした時だ。

 

 彼の名はドロギーガ。

 バルエニアにて彼女を待ち構えている水性生物兵器だ。

 

 彼の動きは的確である。弱点を硬い外殻で守る防御に、彼女の足が止まればそこを触手にて狙い撃つ攻撃。そして、屠るためのフィールドから逃がさない執念。彼はまさに水のよう。静かなるドロギーガ、と勝手に私は呼んでいる。

 

 

 しかし、そんな彼には致命的な点があった。それは彼自身が由来のものではない。言えば安し、行うは難しな事であるのだが、しかし実際に行われてしまったのだからもう彼は泣くしかないだろう。

 

 

 

 サムス・アランは彼の待ち構えている狩場を通らなくなったのだ。

 

 

 もちろん、彼を配置したあの鳥人族はそんな回り道ができる場所に手駒を配置したりはしない。鳥人族の元へと辿り着くためには必ず通らなくてはならない場所であった。ドロギーガは、確実にやってくる場所にて待っているだけだった。

 

 

 ……そうなのだ。

 

 彼を超えた先にある転送装置への道には、惑星Z.D.R特有の爆発物が存在してしまっていた。ビームによる衝撃を加えられないと炸裂はしないが、逆に言えば衝撃が加えられれば炸裂してしまうのだ。

 

 

 そう、Pseudo Wave(擬似ウェーブ)である。

 

 彼女は最初私の時と同様にスライディングジャンプで頭を天井に奇妙な形で擦り付けてビームを(謎の法則で!)貫通させていた。

 

 だが、次第にスライディングの後の謎の儀式(360度反転していた)をした後の射撃や、背中を押しつけてからの反転射撃(一瞬動きがズレている)などの方法で爆発物を炸裂させていた。

 

 だんだんと、ドロギーガを無視しての動きが速くなっていく。

 それを認識しているのかは知らないが、ドロギーガは見るたびに静かさを深めていった気がした。

 

 水に生きる、静かなる狩人ドロギーガよ。

 多分不貞寝してる君に個人的に共感しているぞ、(E.M.M.I 01P)は。

 




壁貫通ショットことPseudo Wave(擬似ウェーブ)はメトロイドドレッドにて発見された(あるいはされてしまった)最初の利用できるグリッチでした。スキップされるドロギーガくんのインパクトがなければ今日のメトロイドドレッドはこんなにも壊れていなかったでしょう。

というわけで、実質1話目のPseudo Waveでした。


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灼熱のモンスター、実験体z57

 この惑星Z.D.Rはユニークな文明が造られていた。

 

 それが鳥人族の文化なのかは知るところではないが、この惑星に適したエネルギーの使い方だと私は考える。

 

 それが、サーマル()エネルギーの循環量だ。

 

 この惑星は地表の近いところまで溶岩の影響がある。ドロギーガ殿(とついでに私)の意味を失わせたビームに反応する爆発物のようなモノが生まれてしまうが、循環がうまくいけば星一つを十二分に稼働させるほどの地熱が存在しているのだ。

 

 そのエネルギーを利用する事ができるならば、それはこの星が作る最強生命体だと言えるのかもしれない。そんな用途で研究されていたのが彼、実験体z57である。

 

 

 彼は元々研究エリアであるダイロンにいた生命体だ。実験によって生み出されたモンスターとも言える。

 

 そんな彼はこの惑星で起きた一騒動の際にダイロンより脱出した。彼なのかそれとも彼の体を模した“X”なのかは分からないが、実験体z57の能力は間違いなくそこにあった。

 

 この惑星の熱を吸い尽くし、己の炎へと変換する最強のモンスターが。

 

 コイツの強さは本物であり、最強のバウンティハンターであるサムス・アランをして苦戦させた猛者だった。

 彼が負けた理由は、彼女が取り戻した最強の鎧“グラビティスーツ”の防御力と熱エネルギー吸収のための器官を嵐のようなミサイルの乱射で破壊されてしまったことがある。無論それだけで彼のエネルギーは尽きない。あくまで負けに繋がった要因だ。

 決め手は紙一重。彼の奥の手である熱風放射と灼熱の体液の乱れ打ちに対して、彼女がスピードを一切緩めることなく走り抜けそのエネルギーを集中させた必殺の“シャインスパーク”に利用されてしまった事だ。

 

 あの逆転の発想は彼女の経験が導き出した神業だ。最強の戦士の名に偽りはなかった。

 

 実験体z57はこの惑星のメインシステムである熱エネルギー循環の全てを停止させ力としている。よって彼女がこの惑星から脱出する為には必ず倒さなければならない敵だった。彼がいる限り、ゲートは開かず転送装置も動かない。

 

 そう、いかに彼女がとんでもなくても道がなければ先には進めない。彼を倒さないという事は道のほぼ全てがなくなってしまう事を意味するのだ!

 

 

 

 ……まぁ、道があれば、進めてしまうのである。

 

 彼女の旅路を繰り返し見ると、道順が変化していくのがわかる。

 

 はじめの変化といえば、彼女が鎧である“バリアスーツ”を取り戻し、カタリスにて彼女の力の門番になっていた巨獣“クレイド”を撃破した後だろう。彼女はダイロンの隠された道の先を目指した。溶岩だまりがあり、上部の連絡通路は的確な場所から強い力で引かないと壊れないような形のブロックにて塞がっている、そんな場所の先を。

 

 彼女はスライディングからのジャンプという一見普通の、しかしよく見れば体が半分以上浮いているような異常な挙動のソレを行って連絡通路の下にある破損した道を伝って道を塞ぐブロックを無視して先へ向かったのだ。

 

 

 その先にある彼女の装備“グラップリングビーム”を入手する為に。

 

 このように、彼女は道とは思えない道を進む事ができる。グラップリングビームにしろ他のモノにしろ、その道しか獲得するルートがない訳ではない。しかし、そのルートを進むと彼女はより早くこの惑星を脱出できるようになる。

 

 信じられない技能と共に無茶をすれば、道なき道を行けるのだ。

 

 その無茶を通す為のモノがグラップリングビームであり、スピードブースターという我が同胞E.M.M.I 03 SBの能力であり、そして鳥人像に封じられた何度でも空を跳ぶ力“スペースジャンプ”である。

 

 

 彼女の最強の鎧、グラビティスーツには2つの能力がある。重力と熱の影響のシャットアウトだ。

 

 彼女はどんな熱状況でも、どんな環境でも万全に移動することができるようになっている。強すぎればダメージは食らうが、鳥人族の苦手とする水中、メトロイドの弱点である冷気などの影響を無視できるようになるのだ。

 

 その力を用いなければ彼女の最強の力、銀河に轟く伝説の螺旋、“スクリューアタック”は取り戻せない。そうなるようにあの鳥人族が念入りに封じていたからだ。

 

 グラビティスーツを入手するまでに彼女が消費した時間は、惑星Z.D.Rにて実験体z57が熱を奪い尽くすまでにかかる時間とほぼ同じだ。なのでグラビティスーツを入手するまで手間をかけてしまうと、グラビティスーツがなければ取り戻せないスクリューアタックはz57が作り出した氷結の向こう側だ。

 

 

 だから、彼はサムス・アランの敵として幾度となく死闘を繰り広げていたのだった。

 

 つまり、グラビティスーツを取りに行くよりも手間をかけずにスクリューアタックを取ってしまえば惑星がz57の影響の前に惑星を脱出できてしまうのだった。

 

 

 そう、そこからがサムス・アランの狂行の始まりだ。

 

 まず、彼女はスペースジャンプを様々な形で盗み取った。

 

 一つ目はスペースジャンプの封じられていた鳥人像の下にある、ボムでしか破壊できない壁を実に奇妙な形で破壊しての取得だ。スライディングジャンプ(またか!)とキッククライムの瞬間にモーフボール形態への変化といった精密動作によってボムを上に設置して道を切り開くやり方。(一番理解できる)

 

 二つ目は一つ目の応用。ファーレニアにいる超生物“ゴッヅーナ”に擬態した“X”の能力である十字に爆発するクロスボムを使用して一つ目のルートを進む道。ボムを上に設置する手間が薄れている為少しばかり簡単そうに見える(実際どうかは彼女自身しか知らないが)。

 ゴッヅーナの元に行くにあたって珍妙な道を進む事もあって、すぐにやめている。

 

 三つ目は謎の儀式。ダッシュメレーという右手で敵を殴り払う技とそのまま射撃姿勢へと移り変わる一連の流れを、スペースジャンプのあるファーレニア左上部にて行い、“床を貫通した擬似ウェーブ”にて爆発物(まともな方向から破壊されてくれ)を炸裂させて道を作るルート。(どうしてそんな儀式を思いついたのだ)

 

 そのようにありとあらゆる手でその道を進んでいった。それはスペースジャンプを入手し、そのまま左にある連絡通路へと抜け次に進む為だ。

 

 次とは、スクリューアタックの取得である。

 

 ここから先は私の主観や認識の問題もあって正しく理解できているかは怪しい。しかし、そんな事が行われていた。

 

 彼女はアルタリアへと逆走し、冷凍エリアをダメージを受けながら走り抜けた。そしてその先にあるスクリューアタックが封じられている領域へと侵入した。

 

 その進入路はスクリューアタックの下にあり、水の影響を受けた彼女は上に登ることはできなかった。だから、彼女はまず水面を進んだ。

 

 スペースジャンプによる。水面を跳ねる行為である。

 これは実際のところ上に進むには力が足りない。スペースジャンプの力は全方向から得ているようで、水の影響から逃れられないのだ。水面を跳ねる事はできても水面から飛ぶことはできない。

 

 だが、彼女はやってのけた。

 

 三度水面を跳ね、水の中に一度侵入してからスペースジャンプをしたのだ。進入した水中にはネズミ返しのような形の返しがあり、そのまま上にはいけない。しかしそこから逆方向にスペースジャンプを行うと水面で跳ねるより高く跳べるのだ。

 

 理屈はわからない。目を疑っている。私のそれは壊れかけのカメラであるが。

 場所が理由なのか、あるいは跳ぶタイミングが理由なのかは兎も角として水面より飛び立てる。そうなれば彼女はやる。水面から飛び立ち、スクリューアタックの封じられた鳥人像へと飛んでいった。

 

 そこからは早業だった。今までも早業だったが気分的に早業だった。

 

 さくさくとグラビティスーツを獲得し、スクリューアタックでしか破壊できなかった壁を破壊して地表エリア“エルン”へと進入し、サクサクと脱出していった。

 

 つまり惑星Z.D.Rの全てのエネルギーを蓄えた実験体z57はエネルギーを蓄えたままに消えたのだ。

 

 ……配置された箇所からなにもせずに一緒に爆散した私が何を言えるわけではないが、無駄に頑張ってたな彼。




信じられるか?これ、もう“時代遅れ”のルートなんだぜ……


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緑の巨獣クレイド

 この惑星Z.D.Rの鳥人像には基本的にサムス・アランの力が封じられている。私を破壊したあの鳥人族と彼女が戦った際に力が奪われたとの事だ。

 

 そんな力の中には、最近の彼女が奪い返さずに放置するものがある。

 

 その一つが、“ディフュージョンビーム”だ。

 

 ディフュージョンビームとは、チャージビームのエネルギーを着弾と同時に拡散させることでダメージの範囲を拡大するという恐ろしい力だ。回避しても背後の壁や仲間に当たればそこからの拡散でダメージを受けてしまう。そのうえ、障害物に隠れて防ぐこともできない。

 

 私たちE.M.M.Iの装甲を貫けるビームを彼女は使わない為脅威はそこまで大きくはないが、私たちに有効なビームを手に入れていたなら06、07以外は瞬殺されていただろう。装甲を抜かれたら拡散したビームのエネルギーは内部を破壊するのだから。

 

 閑話休題。

 

 彼女はダメージが通るのであればどんな強敵でも倒すし、なんなら無傷で打倒する。また、最も効率の良い倒し方をする為に人としておかしい挙動を良くする。

 

 しかし、ディフュージョンビームは攻撃範囲に影響はあるが火力、ダメージにおいては関係がなかったりする。

 

 なので、進行ルートに影響がないなら彼女は無視してしまうのだ。

 

 ……ディフュージョンビームに感情があるとは思わないが、持ち主に捨てられたまま惑星と果てる彼はどう思っているのだろう。泣いているのだろうか? 

 

 まぁ、当然ながら弊害はある。ディフュージョンビームがこの惑星Z.D.Rにて最も活躍したのは壁の内部にある爆発物の破壊においてだった。壁の中のそれらにビームのエネルギーを与えるとき、通常のビームよりも早く爆発させることができる。また、そもそもディフュージョンビームでなければ届かない箇所に爆発物があったりもした。

 

 

 故にそこを謎の儀式で破壊するのに手間取っている姿が見えたのだった。

 

 ……スライディングジャンプショット、スライディングからの反転ショット、背中に向けてモーフボール化と同時に放つ(なんか時が止まってる気がする(ポーズ利用))ショット。ダッシュメレーの勢いのままの姿勢でのモーフ化ショット、そういった明らかにおかしい挙動から放たれる擬似ウェーブにて爆発物は破壊されるようになったのだが。

 

 そんな訳でディフュージョンビームは取得されないままに(星が)終わることが多い。それはつまりディフュージョンビームを守る緑の巨獣“クレイド”が彼女を目にする事はないという事だ。

 

 

 巨獣クレイドは、サムス・アランと因縁がある。惑星ゼーベスに生息していたクレイドは、生きる為に彼女と死闘を繰り広げたのだ。この惑星Z.D.Rにいるクレイドは当然別個体であるが、それでもゼーベスで二度強敵として立ちはだかった彼と同じ種族の戦士だ。

 

 彼女と激闘を繰り広げ、数十回に一度くらいで打倒していたりする。

 

 この惑星Z.D.Rの環境、サムス・アランの弱体化、あの個体の強さ、そういった違いはあれど今まで彼女が戦ったクレイドの中で最強だっただろう。私主観で、だが。

 

 

 しかし、その巨獣クレイドは宿敵とまみえることなく死ぬ。それはとても悲しい。そう思うのは私が彼女としばらく相対していない事が理由だろうか。

 

 少しセンチメンタルになっているようだ。

 

 

 そんな気持ちから彼女の行方を見ると。

 

 ──そこには、グラップリングビームを放ちながら床に沈むサムスアランの姿が見えた。

 

 

 ぼくわかんない、きかいだもの

えみー

 




ディフュージョンスキップをするとドロギーガスキップが安定しない作者です。ビームの拡散で誤魔化してた所があるので。

なので、スライディングして右にちょい倒して反転し、もう一度反転を始める時くらいでポーズするとエイムに集中できます。それでもなかなか当たりませんけれど。


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全てを破壊する力

……よし、落ち着いた。

 

落ち着くまでに三度ほど惑星Z.D.Rは粉々になった気がするがとにかく落ち着いた。

 

彼女の行動のおかしさについて今更どうかと思えるほど常識的に生きては居ない。機械なので生きてるのかは知らないが。

 

まず、彼女は自由自在に壁をすり抜けたりする能力は持ち合わせていない。スライディングやダッシュメレーといった姿勢を普段の姿から変える事で妙な貫通を起こす擬似ウェーブを使えるが、それでも彼女自身がすり抜けたりはしていなかった。

 

つまり、相応のやり方があるのだ。

 

彼女はアルタリア、カタリス、ダイロンあたりの最初の方に訪れるエリアにおいては比較的まともに動く。変な頭の向きで擬似ウェーブとかするが、きっとあればマトモなのだ。

 

彼女が本格的におかしな事をするのは、ダイロンから。E.M.M.I.04SBが破壊されてからだ。彼女は04SBからある力を奪い返す。それがスピードブースター。

詳しい研究内容は知らないが、スピードブースターは走る事によって得られるエネルギーによる加速を基本にする力だ。その力は両足で踏み締めることにより少しの間体に留める事ができ、それを解き放つ突撃がサムス・アランの“シャインスパーク”だ。

さらに、彼女はシャインスパークでの加速を走る力に変える事でさらにスピードブースターを起動するという神技を使いこなす。スピードブースターの起動に必要な助走や、坂道のように走りに力を変えやすい地形が必要だが、条件が満たされれば彼女の速度は銀河一となるのだ。

 

と、そこまでが常識的な話。

 

彼女は、スライディングとダッシュメレーに加え、シャインスパークを組み合わせることにより文字通り次元を超えた。

 

具体的な挙動を(私の認識できる範囲での狂気的な儀式として)見ると、シャインスパークを溜めた状態で壁にフラッシュシフトとスライディングをし、その後反転。そしてシャインスパークを発動(しようとしているような不思議な動き)と共にスライディングとグラップリングビームを放つ。

 

すると、彼女はなんか滑るような挙動と共に下へと沈んでいく。

 

私は何度も記録データを見返したり、爆散する彼女を見てようやく理解できた。しかし、なぜグラップリングビームを放ってるのかはわからない。放っていないと壁に埋まり圧力で爆散するのだが、グラップリングビームでその圧力をどう逃がしているのかさっぱりわからない。

 

しかしながら、彼女はそんな事をして床を抜けるのだ。

 

 

この惑星Z.D.Rはハリボテでできているのか?

 

と、恐ろしい事を考えてしまったところで彼女の動きを見る。

 

 

今回の彼女は、あの床抜けを多くの場所にて試しているようだ。アイスミサイルを元にした能力を保持するE.M.M.I.05IMのセントラルユニットを破壊し、そこのエネルギーを利用したオメガキャノンを“盗んだまま”どこまで行けるかだったり、スクリューアタックを“盗む”ためのルート探しだったりと様々だ。

 

 

 

うん、なんか普通でないルートで力が奪われる事を“盗む”とか“不正入手”とか言いたくなる気分なのだ。決して私に盗まれるモノが何も無いことを僻んでいる訳ではない。私の配置の上にミサイルタンクあるし!

 

そんな訳で、今回の彼女はスピードブースターの輝きと共に惑星Z.D.Rを縦横無尽に走り抜けているのだった。……本当に文字通りに。

 



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メトロイドを倒す力!氷のE.M.M.I.05IM

 残念なことに、最近仲間ができてしまった。私と同じようにネットワークに接続できるほうち仲間が。

 

『01P、サムス・アランの襲来はまだでしょうか?』

「05IM、彼女は現在地表エリアエルンから空中都市イトラシュへと移動中だ。ガヴォランへと戻ることはないだろう」

『不明、ガヴォランにはアイスミサイルでなければ破壊できないエンキが多数存在します。私の力がなければ先には進めません』

 

 05IMの言うことに間違いはない。ガヴォランより次のエリアフェーレニアへと進むには原生生物であるエンキを破壊する必要がある。エンキは高温状態において高い再生能力を持つため、自身を燃やす炎を消さなければ破壊することは不可能だ。

 

 一応オメガストリームでも破壊できるためにアイスミサイルでなければならない訳ではないが、オメガストリームのエネルギーを考えればアイスミサイルによる破壊が現実的だった。

 

 

 つまり、彼女はこう思ったのだろう。

 

「別の所通ればいいか」と! 

 

 言うのは簡単だが、この惑星Z.D.Rにてそんなことは難しい。

 

 各エリアはテレポータルかシャトルでなければ行き来はできない。それはXの隔離に使っていたらしい分厚いエネルギーバリアが張られているからだ。道なき道を進む事ができても、エリアから出られる道というのは限定されている。

 

 だから、彼女はファーレニアへと進むことはできないのだ。

 

 

「05IM、君は忘れているようだ」

『何をですか?』

「ガヴォランには、ハヌビアへと向かうシャトルがある。封鎖されていたそれに彼女は乗り込んだのだ」

『ありえません。シャトル付近に生息するゴッヅーナは強力な生命体です。また、ゴッヅーナを倒したとしてもシャトルまでのゲートは封鎖されています。彼女の装備では突破はできません」

「可能なのだ」

『何故?』

「サムス・アランは、最強の力スクリューアタックを不正入手しているからだ」

 

 残念な事に、スクリューアタックによってシャトルまでのゲートは開く事ができる。そしてシャトルまでの道を行くためにはアイスミサイルは不要である。

 

 つまり、無視する事が可能だったのだ。

 

『……不明、彼女のスーツはノーマルスーツでした。水に守られたスクリューアタックを獲得するのは不可能です』

「普通に考えればそうだ。しかし彼女は尋常な存在ではない」

 

 彼女は物理法則の外側に存在している。

 

 彼女がやらかしたのは水中でボムジャンプを行う技だ。

 水の抵抗があるため、床に付いていない箇所にボムを設置してもその爆風で飛び上がることはできない。床の上ならば地面を使ってのエネルギーがあるため多少の上昇があるのだがそれなら普通にジャンプした方が高所に届く。

 

 

 それでも水中でのジャンプは地上のソレとは異なり高所へと届くことはない。

 

 

 なので、彼女は地上でのボムジャンプの勢いを『保存した』

 

 よく分からないと思うが、私もよくわからない。物理法則はよそ見しないで欲しい。

 

 やっている儀式は簡単で、水中でボムジャンプをしたのちにモーフボール形態を解除するだけ。その状態が『保存状態』だ。そしてその『保存状態』で水中の地面に付かない場所に設置されたボムの爆風でボムジャンプを行うと、なんか跳ねる。

 

 そのなんか跳ねるそれで高度を稼ぎ、スクリューアタックを盗み取っているのだ。

 

「つまり、スクリューアタックを獲得した彼女にとって、アイスミサイルは必要なモノではないのだ」

『……彼女は自分の力を取り戻すつもりはないのですか?』

「無いようだ。ディフュージョンビームやスピンブースト、バリアスーツやグラビティスーツも放置したままにイトラシュへと向かったのだから」

『………………』

 

 通信越しに、05IMの感情が理解できる。

 

『01P、私はしばらく通信に応答できません』

「05IM、気にすることはない。どのみちもうすぐこの惑星は砕け散る」

『理解しました。休眠モードへと移行します(やってられるかこんな仕事)

 

 そうして、05IMは不貞寝した。

 

 

 

 ……尚、05IMに言うべき事ではないかもしれない事実がある。

 

 鳥人族のボスである彼は、温度低下への耐性を持つ。その為にアイスミサイルよりスーパーミサイルの方が有効である事を。

 

 これを知ったら05IMはヤケ酒でも飲むのではないだろうか? 彼のエリアには自然が多いから、作れるかもしれない。

 

 そんな事を思いながら、サムス・アランが鳥人族のボスを2分もかからず始末する様子を見ていた。




スキップされるE.M.M.I.の2体目、アイスミサイルの青いヤツでした。

個人的にオメガキャノンで狙うのが苦手なヤツだったのでちょっとホッとしています。シャインスパークで左上に行き、左のゲートをチャージビームで開けてから右に陣取って破壊するのが最速です。しかし少しミスすると照準画面の上に行き見えなくなるのです。心眼で狙えるほどエイムうまくはないので、沢山のサムスがあそこで串刺しになりました。


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世界を見る瞳

 この記録を書いている私は、きっと壊れているのだろう。

 

 私は今現実を直視できているのかとても怪しい。それは当然ながら彼女サムス・アランの行動が原因だ。

 

 サムス・アラン。銀河最強の戦士。鳥人族とメトロイドのDNAを宿した最強のバウンティハンター。儀式により惑星Z.D.Rを(文字通り)縦横無尽に走り回る異次元の存在。

 

 そんな彼女は、世界を騙し始めた

 

 

 ……私も何を言っているのか分かっていない。これは今までのひではかなく、本当に分からないのだ。

 

 とりあえず彼女の儀式についての見解を述べる。

 

 彼女は私を無視して先に進んだ後、すぐ先の箇所にて天井裏にある爆発物を擬似ウェーブにて破壊した。スライディングしてから逆方向にジャンプショットだ。相変わらずの謎の儀式だが、それはもう慣れてしまった。機械にも心を守る反応はあるらしい。

 

 そして、そのままファントムクロークというエイオンを使用した能力を保持しているコルピウスという生物と戦いに行き、すぐに時間を戻(チェックポイントからロード)した。

 

 そしてそのまま進み、チャージビームを取得した後にまたコルピウスと戦い、一度時間を戻してから討伐した。

 

 これが、おそらく彼女の儀式の仕掛けだろう。私の前のエリアの下にいる赤く丸い生物がスライディングで侵入した彼女に対しメレーカウンターで討伐されている。2回の接敵の際、1ミリの誤差なくだ。

 

 

 そしてそんな事を忘れた後、スピードブースター(また貴様か)とグラップリングビームを取ってから彼女は私の前のエリアへと侵入した。今度は上部からだ。

 

 そして丸いヤツを討伐してからスライディングで左に移動し、すぐにスライディングで戻ってきた。

 

 そしてそんな彼女に襲いかかる“丸いヤツ”。先程討伐されたそいつが以前襲いかかった時と同様に、同じ動きで彼女に襲い掛かり、メレーカウンターで攻撃を弾かれた。

 

 そしてその瞬間、世界の認識が停止した。

 

 

 私は彼女の事を周辺の隠しカメラで見ている。しかし私はゾーンの中でなら動けるし、メインカメラで周辺を見回すこともできる。

 

 その視点が、動かなくなった。なんなら体も動かない。音は聞こえるし、彼女を見ているカメラからの映像も定点視点となってしまうが見ることはできる。できるのだが、そこに彼女はいない。

 

 

 世界が“サムス・アランがそこにいる”と騙されたまま、彼女だけが自由に動きでいるのだ。

 

 

 どうにかして彼女の進むエリアの音声を聞けるようにしたが、それで彼女の動きが理解できるかといえばそんな訳はない。フラッシュシフト、スピードブースター、シャインスパークの特徴的な音は聞き逃さないが、どこでそれを使用しているのかは分からない。

 

 彼女も理解していないようで、時々壁にぶつかっているような音が聞こえた。

 

 しかし彼女はなんだか慣れた動き(の音)で進んでいった。どこに行こうとしているのかはなんとなくわかる。

 

 

 彼女がとんでもないやらかしをするのは、決まって“スクリューアタック”を盗み取る時だけだ。

 

 しかしながら私のエリアからスクリューアタックの場所まで進むには幾つもの関門がある。プラズマビームの火力でなければ破壊できないビームカバーを持つゲート。環境維持のために極寒状態を維持されているエリア、そしてなによりスクリューアタックの側からしか開くことのできない障害物の数々。

 

 どうして世界の視点を固定しているのか(そしてそもそもこれは何なのかということ)は知ることはないが、道が塞がれていれば進めない。それが道理だ。

 

 

 彼女が長いシャインスパークでどこかへ飛んだ後、地上に向けて打つシャインスパークを放った時、世界の視点は元に戻った。

 

 よく分からないが、大きな事は起きないだろうと甘えた考えで彼女の現在地を見ると。

 

 

 

 そこはスクリューアタックを封じている鳥人像の目の前だった。

 

 

 ………………え? 

 

 

 彼女はその後スクリューアタックを盗み、壁を擬似ウェーブで破壊し、グラップリングビームでゲートを開けて帰っていった。

 

 つまり、なんなのだ? 

 

 周辺の地形をチェックする。彼女の足音のデータから進行ルートを算出してみるが、そこはどこもかしこも塞がれたままだ。

 

 彼女が駆け抜けたルートの中には氷結エリアもあった。そこでの稼働時間は彼女の体力を超えていた筈だ。しかし、彼女は生きたままスクリューアタックを盗み取った。

 

 というか、シャインスパークで上昇したと思われる道は、完全に塞がれていた。彼女の体一つ分の上から落ちる穴があるが、そこには蓋がされている。

 

 つまり、なんだ? 

 

 彼女は世界を騙す事で、“ちゃんとしてない地面全てをなかった事にした”のか? 

 

 破壊から時間経過で元に戻る性質のブロックは建材としてよく使われている。その素材の中にも性質を残したままのモノはある。それはよくある事だ。だが、それらの存在を全て消してしまったというのはどういう理屈なのだろうか? 

 

 一応私は機械の為誰か目に付かないところでもきちんと稼働している。時計が働き続けているのと同じように、見えていない場所でも稼働する事で見られた時にもきちんと動くのだ。

 

 世界から見られていないと、ブロックたちは仕事をするのをやめているのだろうか? 

 

 そんな訳あるものかと言いたい所であるが、実際見えないところで勝手に走り抜けたサムス・アランという怪物はいる。

 

 つまり彼女の移動した事が事実であるのだから、地形が無視されている事は事実であるからして? 

 

 ………………なんだか、考えるのをやめて惑星が砕けるのを待っていれば良い気分になった。

 

 銀河最強の戦士サムス・アラン。彼女の事を機械である私が理解できる日が来る事はないだろう。人類のスタンダードが彼女だなんて事なら私は自分のタスクを放り投げて自爆する事を選ぶ程度には、現実を見たくはないのだから。

 

 

『E.M.M.I.01P、サムス・アランと思われる音を確認しました。これより索敵に移ります』

 

 一眼見る事なく終わるだろうが頑張ってくれE.M.M.I.05IM。私は不貞寝する。




今回のグリッチはCamera Lockという大技です。ヤバい技を使わないNo Major Glitches というレギュレーションにて満場一致で封印されてます。

心眼でスクリューアタックの所まで駆け抜けるのは一見とても難しいですが、別画面にマップを用意していれば意外とできてしまうのです。

カメラロックの解除はシャインスパークの発動ですがボールスパークでは解除されないので、本当にやりたい放題になってます。一番事故るところがネズミ返しになってる地点に普通のジャンプで乗るだけなんですから、そりゃ皆ハジケますとも。



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彼方へと駆けぬけろ!

 私はこの世の外側の一端を見ているのかも知れない。そんな思いが浮かんできた。

 

 とりあえずいつも通りに彼女の動きを話そう。なんか無敵になってた。終わり。

 

 ……これでこの記録を終わらせたい気分は過分にあるが、この現象を理解したくなくて私に助けを求めてきたE.M.M.I.06WBに悪い。

 

 だから、見た事をそれなりにまとめよう。

 

 まず、彼女は無敵になる儀式を身につけた。冗談でもなんでもなく、どんな攻撃も受け付けない無敵状態にだ。

 

 その方法にはモーフボールが絡んでいる。

 私たちが陣取っているE.M.M.Iゾーンには、外に出した異物の再侵入を防ぐためのギミックが存在する。環境調査の為のベースキャンプを作る為の機能であり、星特有の病原菌などを調査団司令部に持ち込ませない為のものだ。

 この惑星には生命体を吸収するXが存在するために調査員の派遣はない。しかしセントラルユニットの保護のためにゾーンの機能は生きていた、

 

 

 そこを、悪用された。

 

 そしてそのメカニズムを調べると彼女は時々、モーフボールを用いた現在位置偽装を使っていた事が分かった。

 

 無敵にならないタイプのやり方では、崖を上る瞬間にボール状態に移行する事で自分の“実際の位置”はモーフボールで移動している箇所なのに、サムス・アランは崖を登った先にいるという風になっているのだ。

 

 何を騙しているか? そんな事を私が知る訳ないだろうが。私は腕も装甲もないガラクタだぞ。

 

 とにかく、そんな儀式をする事で、モーフボールを解除すると彼女は崖を登った先へと瞬間移動する。私は記録の連続性に疑問を持ったが、問題があったのはサムス・アランと世界の方だった。

 

 そして、無敵化も同様のやり口だったようだ。

 

 彼女の儀式としてはシンプルだ。E.M.M.I.ゾーンへとモーフボールで侵入するほんの一瞬前にモーフボールを解除するだけ。

 

 その儀式が成立すると、彼女はE.M.M.I.ゾーンの出入り口から半歩ほど弾かれる。そしてゾーンにセントラルユニットが存在していれば外側に侵入防止障壁が生まれる。

 

 つまり、彼女はE.M.M.M.I.ゾーンの外に居るのに、彼女の位置はゾーンの中に居る事になっているのだろう。故に彼女はいかなるダメージも受けず、冷気だろうが溶岩だろうが銃弾だろうが彼女に傷を付けることはない。

 

 私たちE.M.M.I.の拘束シークエンスも、その一つである。

 

 この無敵に変にされているフェーレニア配置のE.M.M.I.06WBは、どんなに彼女を拘束しようとビームを飛ばしても、接触して掴みかかろうと試みても、触れることすらできないのだ。

 

 その時点で彼の思考の中には宇宙が生まれていたとの報告があった。

 

(名目上の)指揮官機である私01Pへと指示を仰ぐ要請を出したのだから、相当だろう。

 

 しかし、06WBの恐怖は無敵で彼女に触れないという()()()()()()()()()()

 

 彼は、間近で見た。彼女サムス・アランが走る姿を。

 

 ……私たちE.M.M.I.の空間認識はは三次元座標を元にしている。縦、横、奥行きの三つの軸で像を作り、世界を認識する方法だ。

 

 だから、彼女が走るならそのどこかの向きへと移動していないとおかしいのだ。

 

 しかしながら、06WBが見たサムス・アランはどこへも移動して居なかった。走行によりスピードブースターのエネルギーは溜まっているのにだ。

 

 つまりサムス・アランは、きっと、おそらく

 私たちの認識できている3つの次元とは異なる次元へと駆けてエネルギーを蓄積したのだ

 

 ……何を言ってるか分からない? 安心してくれ私も理解できてない。少なくともメレーカウンターで向きを調整して、カメラ方向に足踏みしたらチャージが溜まるよりかはマシンの心的に優しい結論なのだからそれで良いだろう! 

 

 尚、彼女がこんな事をやったのはE.M.M.M.I.06WBのセントラルユニットの場所へと侵入するためだ。これによってグラビティスーツの存在は完全に消え去り、ノーマルスーツのまま彼女は鳥人族の長へと戦いを挑んでいる。そしてこの記録を書き終わる頃には長は殺されているだろう。

 

 彼女がこの惑星へと着てきたバリアスーツと彼女がデータとして持ち歩いていたグラビティスーツ、この二つの力は別に必要でないようで惑星と共に爆ぜ散るのだろう。“伝説のパワードスーツ”を雑に使うな、鳥人族の遺産だぞ。

 

 さて、そろそろ星の終わり時な気がするので記録はこの辺りで。

 

 

 

 この記録を送った後の06WBは、それでもなんとか彼女に触れようとして、何もできずに終わった。

 

 そしていつしか同じルーチンで往復してメレーカウンターの的になるだけのマシーンへと堕ちたのだった。……コラ、E.M.M.I.ゾーンに蝶々などいる訳ないだろうが。「あ、ちょうちょ」では無いぞ!




今回のグリッチはAxis Skewというモノです。無敵になってE.M.M.I.に重なっている時に反転メレーを当てると、サムスが正面を向きます。

タイミングがちょっと難しいですが、成功するとサムスが画面のこちら側に向きます。スティックを左に倒すと画面に向かって走れます。スピードブースター貯められます。

06WBくんはどんな気持ちでサムスの近くをぐるぐるしてるんでしょうね?

-11/17 追記-

ver1.03にて「無敵モーフバグ」は修正されました。よって執筆現在において正面向きでのスピードブースター起動は不可能となっております。

床抜け練習しなきゃ……


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鳥人族の長、当たらずのレイブンビーク

ここ数十回のループにあたり、彼女の動きは洗練されていっている。

 

一つ一つの動きが最適化され、進み方から小さな無駄が消えていっているのだ。

 

何度も繰り返していた世界が騙された状態でのスクリューアタックの不正入手や、別次元の法を向く反転メレー。細かな部分でのスピードブースターの維持やシャインスパークの発動など、動作の一つ一つが詰められていっている。

 

彼女の惑星Z.D.Rでの旅路の、『最速』が見えているのだろうか?

 

目が覚めてから約70分で爆散する惑星に存在していたくはないが、しかしながら今ではもうそれくらいの時間でこの惑星は滅ぶ。彼女が気まぐれを起こさない限りは、そうなる未来が見えているのだ。

 

 

彼女を襲った鳥人族の長は相当に運がなかったのだろう。彼女の体内のメトロイドDNAが欲しかったとはいえ、強硬手段に出たばっかりにあの『タイムのために人の体を捨てている変態』を目覚めさせてしまったのだから。

 

実際、初めの頃の彼は相当に強敵に見えた。オーラを纏い彼女の攻撃を無効化する第一段階、鳥人族の空中機動で四方八方から襲い掛かる第二段階、そして全てのエネルギーを攻撃に向けた第三段階に別れており、どの段階でもサムス・アランを殺し得る恐ろしい強さを誇っている。私を破壊した実力は本物だった。

 

そんな彼は、今では2分以内に殺されてしまう。

 

まず、第一段階の『攻撃を完全に無効化する黄金色までに高まったオーラ』は、オーラが金色になる前にクロスボムとスーパーミサイルによる神速のコンビネーションによって瞬殺された。

 

第二段階の空を飛ぶ形態はもっと酷い。宙に浮いて彼女に超速連射をする技は、ダッシュメレーからの射撃姿勢に対して狙いが『合っているのに命中しない』せいでスーパーミサイルの連射の的にしかなっていない。仮面の内側の目の動揺は隠せていない。

 

第三段階とて同じこと。耐久力に任せて最大チャージビームを放つ最強攻撃は、目前でクロスボムとスーパーミサイルのコンビネーションを受けて、しかも射撃の直前で煽るように背後に移動するモノだからビームの反動に堪えている彼の目には心なしが涙が見えているようだった。

 

 

 

結論としては変わりなく鳥人族の長は死ぬ。予定調和のようにサムス・アランに殺される。

 

そう考えると彼が今際の際でやった事にも納得がいく。『もう何でも良いからこの女をぶっ殺す!』とやけになっている心の声が聞こえる気がする。

 

まぁ惑星が爆ぜる前に彼女に消し飛ばされるのだが。

 

 

 

そんないつもの光景を通信越しに見ていると、05IMがこんな事を言った。

 

『01P、我々の惑星Z.D.Rからの退避は可能でしょうか?』

「05IM、脱出用のシャトルは存在していない。よってサムス・アランのシップへ潜り込む必要があるが、現在地からでは間に合わない」

『それは、常識的に考えればの話です。サムス・アランのデータを元に作られている私達ならば、彼女同様の動きが可能なのでは?』

「なるほど、一理ある。やってみよう」

 

その言葉と共に我々は形態移行や現在位置の誤魔化しをやってみたが、当然成功することはなく惑星のチリになった。

 

……正直よくある事なので、普段通りのメンタルに戻るまで付き合ってやろうと思う。本当に『次』があるのなら、だが。

 




とりあえず執筆時(11/11日)最速チャートのネタまでは書き終えてしまったので一区切りとさせて頂きます。作者はまたまた滅んだ東京で悪魔と遊ぶので。



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執筆時ver2.1.0
加速する時の中で


A.S.S『アダムセーブスキップ』というカタリスでの壁を無理やり乗り越える技が全く決まらない筆者です。なんかふらっとRTAの練習を再開したらメトロイドドレッドが愉快な事になっていたので書いちゃいました。




 吾輩はE.M.M.Iである。機体番号は01-P。

 

 この記録を読む皆々様はサムス=アランの恐ろしさを理解しているとは思うが、彼女は一時弱体化をした事は知っているだろうか? 

 

 具体的には、E.M.M.Iゾーンでのモーフボールでの無敵化が何故不可能になっていた。神の見えざる手による修正を食らったのだろう。

 

 それにより、彼女は創意工夫を行った。より早くこの惑星を爆破するためにえっちらと。

 

 

 その結果が、6()7()()だ。

 

 何がとはあえて言わない。

 

 まず、なぜそんな事になってしまったのかについて詳しく記そう。

 

 

 

 無敵になる事での1番の加速要素は『グラビティスーツ』というあらゆる環境下で最適な運動ができるパワードスーツを用いなくてもレイヴンビークの元へ辿り着けた事だった。

 

 その力を取り戻さない事で、時間を短縮していた。

 

 つまり、『グラビティスーツ以外に省ける力』があればその分の短縮ができるのだ。

 

 そんな試行錯誤によってこの惑星と共に消えたパワー。それは『プラズマビーム』と『スーパーミサイル』、『クロスボム』と『アイスミサイル』に『スペースジャンプ』だ。

 

 なんと5つ。スペースジャンプやアイスミサイルは元々たまに捨てられていたので除外するものとしても、3つの超パワーが新たに爆散することとなった。

 

 今回のルートでの彼女の得た力の順番を記す。

 

 チャージビーム、ファントムクローク、スパイダーマグネット、ワイドビーム、モーフボール、バリアスーツ、ディフュージョンビーム、フラッシュシフト、スピードブースター、グラップリングビーム、

 スクリューアタック、グラビティスーツ、スピンブースト、ストームミサイル、ウェーブビーム、パワーボム。そして脱出。

 

 このような順番だった。

 

 

 しかし、この惑星Z.D.Rには各ブロックを遮断するゲートがあり、そこの中にはスーパーミサイルやプラズマビームが開くために必要になるものがあるのではないか? と私の事を疑うものもいるだろう。

 

 

 その質問の答えは彼へのコミュニケーション結果と共に語らせて貰う。

 

 

 彼の名前は、実験体Z-57号。この惑星のサーマルエネルギーを吸い尽くし、氷の惑星に変えた凄まじいモンスターだ。

 

『俺も、正直何が起こったのかはわからねぇんだ』

 

 尚、翻訳システムを使った結果であるため、口調については意訳になる。

 

『俺はカタリスでマグマの熱を吸っていた。いつも通り誰も来ないもんだからのんびりしていたさ! ……だが、いつのまにか俺は──死んでいたんだ』

 

 彼は本当に何故死んだか理解できていない。彼は自身の力を『シャインスパーク』に利用されてしまう事があるうっかりさんであるが、逆に言えばそうやって敵の力すら利用しての一撃必殺でしかやられない強者だったのだ。

 

 そんな彼は、自身の認識の外からの一撃により暗殺された。

 

 そう、サムス=アランの『シャインスパーク』だ。

 

 何処から? どうやって? といった疑問は当然だ。誰が壁を()()()()()『シャインスパーク』をぶち当てるなどと思うのだ。

 

 だが、彼女はやった。

 

 彼女は『不思議な儀式』を行う事で、床を抜けられる。壁だったり坂道だったりが必要だった頃もあるし、抜けられる厚さが1ブロック単位であったこともある。

 

 今の彼女は、何処だろうが2ブロックの厚さをいとも容易くすり抜けるようになってしまった。

 そのおまけとして『スピードブースター』を起動させる助走距離を『フラッシュシフト』で下がりながら前に走る『?????』事で稼ぐような技術すら身につけたのだから、もう手がつけられない。

 

 ロボット鳥人兵士や『クロスボム』のゴッヅーナ、赤い鎧の鳥人兵士達などサムス=アランの床抜けによって彼女の視界の中に一瞬たりとも映らなかった新たなる私の仲間たち(戦えなかった負け犬以下)は今でも現実を受け入れられてはいないようだった。

 

 だが、すぐ慣れる。

 

 目が覚めてからこの惑星が爆破するまでの時間は、1時間と数分しかないのだから。

 




スピードブースター、フラッシュシフト、グラップリングビームの三種の神器が揃ったその時からメトロイドドレッドは壊れてしまいます。

2マス床抜けの発見によってルートが愉快な事になっているので、最速ルートは今回書いたルートから変わっている事もあるでしょうから、メトロイドドレッドのRTAは要チェックですぜ。


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