桜才学園での生活 (猫林13世)
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桜の下の才女たち

二作目です。
コッチはゆっくりと更新して行こうと思ってます。


「タカ兄~早く早く~!」

 

「平気だって、一駅だから。」

 

「そう言う事じゃ無いの~!」

 

「はいはい。じゃ、行ってくるよ。」

 

「もう!緊張感無いんだから。」

 

 

妹に見送られ、俺津田タカトシはとある場所へと向かう。

本日より晴れて高校生になった俺は、これから3年間通う事となった私立桜才学園へと歩いて通う事になったのだ。

この桜才学園は去年まで女子高だったが、近年の少子化の影響で今年から共学となった。

さて、何故俺が桜才を選んだのかと言うと、もう一つ受けた高校と桜才では、桜才の方が近いからである。

しっかし暑いな・・・教室に着くまでネクタイを緩めておくか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

家から徒歩20分、ついに桜才学園が見えてきた。

見渡す限りの女子の制服。

さすが元女子高、女子の比率が高いなぁ~。

確か男子28人に対して女子が524人だっけか?

これだけ女子が多かったら、肩身狭いだろうな。

 

「おはよ~!」

 

「ああ、おはよう。」

 

 

同じ中学だった女子が挨拶をしてきた。

あの子もここだったんだな。

などとしみじみと思っていたら・・・

 

「こら、そこの男子!ネクタイがだらしないぞ!」

 

 

校門で服装検査に引っかかった。

しまったな~、ネクタイ緩めっぱなしだった。

 

「スミマセン、暑かったんでつい・・・」

 

「そうか。確かに今日は4月にしては暑い。だが、校則違反だ。」

 

「はい・・・」

 

 

桜才学園の校則は厳しいことで有名だったが、まさか初日から怒られるとはな・・・

 

「どれ、私が直してやろう。」

 

「いえ、自分で出来ます。」

 

「遠慮するな。ついでに校則違反に対する罰を実行する。」

 

「ウェ!」

 

 

思いっきりネクタイを締められ、情けない声を出してしまった。

 

「これで少しは反省しただろ。」

 

「スミマセンでした。」

 

「しっかりとした身なりなら気持ち良く授業に望めるだろ。ちなみに私はしっかりと締めている。」

 

 

確かにこの女子生徒の身なりはしっかりとしている。

あっ、今気付いたけど生徒会の人なんだ。

てっきり風紀委員かと思ってた。

 

「しまりの悪い女だと思われたくないからな!」

 

「・・・・・はい?」

 

 

何を突然言い出すんだ?

真面目な話をしていると思ったらいきなり変な事を言い出した。

 

「でも、こう言うのってすぐにまた緩めちゃうんですよね。」

 

「なら出来ないようにもっときつくしてやろう。」

 

「ウェ!」

 

 

こ、殺す気か!

十分締まっているネクタイを更に締められ、俺は大慌てで女子生徒から離れた。

この人は危険だ。

 

「我々生徒会の活動は行動する事に意義がある。やるだけ無駄なんて言うのは理想に向かって行動出来ない怠け者の逃げ道。アンタみたいな小さい人間、きらいなのよ!」

 

 

いきなり背後から声を掛けられた。

確かにやるだけ無駄なんて思うのは良くないな。

そう思い謝ろうとしたが・・・

 

「あの?このお子さんは?」

 

 

小さな女の子がそこに居た。

 

「貴様!言ってはならない事を口にしたな!」

 

 

そう言って飛び蹴りを放つ女の子。

・・・とどいて無いんだが。

そう思っていると、カポッと音がして靴だけ跳んできた。

 

「おっと!」

 

 

手で受け止めて靴を返す。

 

「私は萩村スズ、アンタと同じ一年生!」

 

 

靴を返したら、少し顔を赤らめて自己紹介をしてきた。

同い年だったのか。

 

「IQ180の帰国子女、英語ペラペラ、10桁の暗算だって朝飯前、ど~おこれでもまだ私を子供扱いする!?」

 

「でも夜9時には眠くなる。」

 

「子供だ。」

 

「こ~の野郎この野郎!」

 

 

ポカポカと俺の腰辺りを叩く萩村。

見た目通り大した力ではないので痛くは無い。

 

「こらこら二人共、新入生を困らせちゃ駄目よ?」

 

 

またもや背後から声がかかった。

 

「アリア。」

 

 

振り返るとそこには、お嬢様と言う感じの女子生徒が居た。

 

「スミマセン助かりました。」

 

「ううん、面白かったからずっと木陰から見てたの。」

 

「うわ~助かんね~。」

 

 

この人もまともではなさそうだ。

 

「ところで、どうして貴方はこの学校に?」

 

「家が近いからです。」

 

「そうなんだ~。ほら、共学化したらハーレム目的で来る男子が居るじゃない?」

 

「それは漫画の世界・・・」

 

 

ですよ、と言おうとしたが、校門付近で女子生徒の多さに顔をだらしなく緩ましている男子を見て言えなかった。

 

「でも、それ無駄なのに。ここの娘たちは女の子にしか興味ないのに。」

 

「?」

 

「すまない。彼女は重いジョークが好きなんだ。ちなみに私はノーマルだ。」

 

「はぁ・・・」

 

 

随分と厄介な人たちと知り合いになってしまったな。

 

キ~ンコ~ンカ~ンコ~ン

 

 

HR開始のチャイムが鳴った。

って!

 

「こんな所で油売ってたから、俺遅刻しちゃったじゃん!」

 

「ああ、すまない。お詫びに君を生徒会に入れてあげよう。」

 

「会長!コイツを生徒会に入れるんですか!?」

 

「何か問題あるか?」

 

「だって男子ですよ!くさそうですし・・・」

 

「偏見だよ~。」

 

「そうよスズちゃん。この子は平気そうだよ、真面目そうだし。」

 

「どうも。」

 

「イカくさくなるかもしれないけど。」

 

「ヒィ!」

 

「しねえよ!」

 

 

大丈夫なのか?この生徒会。

 

「では改めて自己紹介。私が生徒会長、二年の天草シノだ。」

 

「同じく二年、書記の七条アリアよ。」

 

「アンタと同じ一年、会計の萩村スズよ。」

 

「そして君には、私が元いた副会長の席をやろう。右手として頑張ってくれ。」

 

「右腕では?」

 

「右手じゃある意味恋人ね。」

 

 

これって決まりなの!?

俺、一年なのに副会長!?

 

「あの~辞退って・・・」

 

「出来る訳無いだろ。」

 

「ですよね~。」

 

 

出来れば関わりたくなかったんだが・・・

こうして入学初日、俺は生徒会に入る事になった。




今回は生徒会役員共です。
四コマ漫画を文字上げするのは大変ですね。
前書きにも書いた通り、コッチは気まぐれで更新していきます。
原作でもヒロインは決まってないので、この作品でも当分はヒロインポジションはありません。


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初仕事

津田のツッコミは字として読むより声で聞きたいです。


少子化の影響で共学化した私立桜才学園。

そこに入学していきなり生徒会に入れられた俺、津田タカトシ。

正直言って生徒会なんて荷が重過ぎる。

そう言ったら・・・

 

「何を軟弱な事を、私なんて月一で重い日があるんだぞ!」

 

 

などと言われた。

正直しったこっちゃない。

現在生徒会室で話し合いをしている。

 

「共学化にあたって、我々は様々なものを共有する事となる。」

 

「例えば?」

 

「う~む・・・プールの水とか。」

 

「今年の夏はドキドキね!」

 

 

・・・辞任したい。

 

「ん?如何した、津田。」

 

 

生徒会長の天草シノ先輩。

半ば強引に俺を生徒会に入れた張本人、だが面倒見は良い。

 

「会長、ここなんですけど・・・」

 

「!?」

 

 

な、何だ?

 

「君は私の右腕なんだから、右側に立て~!」

 

「ええ~。」

 

 

とても変な人だ。

 

「シノちゃん。そこまで徹底しなくても良いんじゃない?」

 

「そうか?アリアがそう言うなら・・・」

 

 

彼女は七条アリア先輩。

共学して間もないのに、既に男子生徒の憧れ的な先輩だ。

 

「近頃イジメが流行ってるらしい。」

 

「イジメはいけないこと?」

 

「当たり前だろ。」

 

 

うん、会長の言う通りイジメは良くないな。

この学校ではそんな事無いんだろうが、最近イジメが原因で自殺する人も居るくらいだ。

何事も行き過ぎは良くないんだろうな。

 

「でも、家の父は母に毎晩イジメられて喜んでるわよ。」

 

 

・・・それは意味が違うのでは。

 

「うむ、仲睦まじいんだな。」

 

 

天然?

今の発言、学校でして良いものなのだろうか。

しかも会長もあっさりその話題に乗るし・・・

 

「ふわぁ~」

 

 

おっと。

ついついあくびが出てしまった。

 

「午後って何で眠くなるんでしょうね。」

 

「そうだね~。私も眠いよ~。」

 

「お昼の後だからだろう。」

 

「そうですかね?」

 

「ああ、お腹が溜まれば眠くなるものだ!」

 

「そうだね~。」

 

 

確かに一理あるかもしれない。

人間、空腹が満たされれば眠くなるのだろう。

・・・あれ?さっきから萩村が会話に入ってこない。

 

「萩村?」

 

「・・・・・・」

 

「あれ?」

 

「すーーすーー」

 

 

寝てる!

まさか本当に寝てる人が居るとは思わなかった。

 

「ちなみにスズちゃんは本当にお昼寝をしないと持たないの。」

 

 

・・・やっぱり子供だ。

しかし、気持ちよさそうに寝てるな。

何だか俺も寝たくなったぞ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

午後の授業が終わり再び生徒会室。

そこに居たのは俺と同い年の萩村スズ。

身長控えめだが学年トップの頭脳の持ち主だ。

・・・だがなんか偉そうな感じがする。

 

「何?」

 

「いや、何で腰に両手を置いてるのかな~って思ってさ。」

 

「ああ。私、こんな見た目だからナメられないようにこのポーズをとってるのよ。」

 

「へぇ~。」

 

 

小さいとそんな悩みがあるんだな~。

俺は幸いにして身長には恵まれている。

同学年の中でも大きい方だ。

そんな事を考えていると・・・

 

「でも、このポーズには大きな問題がある。」

 

「それは?」

 

 

あのポーズの問題と言えば、偉そうに見えるしか無いと思うんだが。

それ以外に何か問題でもあるのだろうか。

 

「前にならえの先頭を髣髴とさせる。」

 

 

・・・はい?

 

「このジレンマ、如何すれば良いの!」

 

「すげー如何でも良い。」

 

 

前にならえなんて小学校以降した事も無い。

しかも先頭なんて縁の無いものだったし、思いつかなかったわ。

 

「別に誰もそんな事思わないから、気にしなくて良いんじゃない?」

 

「それは私しか先頭を経験してないって言うのか~!」

 

「落ち着きなさい。」

 

 

フォローしたのに怒られたー。

少し気にしすぎのような気がするんだが・・・

まあ、萩村には萩村にしか分からない悩みがあるんだろう。

俺だって全部分かろう何て思わないし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくして会長と七条先輩も生徒会室にやって来た。

 

「より良い学園を作るためには生徒の声を聞くのが大切だ。」

 

 

確かに、共学化するに当たって色々と問題があるな。

例えば男子トイレの少なさとか、女子が多いので女子同士での会話に遠慮が無いとか、他にも色々あるだろう。

 

「そこで、目安箱を設置しようと思う。」

 

 

目安箱か・・・

徳川吉宗が庶民の声を聞くために設置したのが有名だが、実際に学校に投書している人を見たことが無い。

 

「でも会長。目安箱って以前にも設置しましたけど、あんまり投書無かったですよね。」

 

 

あっやっぱり投書されなかったのか。

 

「うむ、なので今回は入れたくなるように一工夫してみた。」

 

 

そう言って会長は目安箱を取り出した。

その目安箱の入れ口には、一本の線が引いてあった。

 

「これは?」

 

「ついつい入れたくなるだろ?」

 

「いや、不信任ものだろこれは・・・」

 

 

発想が思春期過ぎますよ・・・

 

 

 

 

 

 

 

翌日

 

「今回は随分と投書が来たぞ!これもあの工夫のおかげだな。」

 

「違うと思いますけど・・・」

 

 

とりあえず投書を読んでいく。

なになに、社会科の先生にカツラ疑惑、食堂のおばちゃんは実は若い、何だこれは・・・

 

「あっ、これ津田君宛てだね。」

 

「俺に?」

 

 

生徒会に入ってまだ日が浅い俺に、いったいなんの要望だ?

え~と・・・

 

「会長に手を出したら、穴ぶち抜きます。」

 

「・・・・・」

 

「シノちゃんのファンからね。あっこれもそうね。」

 

 

神様~。

俺はいったい何をしたって言うんですか。

普通に高校に通ってるだけなのに、何故こうも狙われなきゃいけないのですか!

っと、現実逃避をした所で何も変わらないだろうな。

 

「津田君の初めてが狙われてるのね!」

 

「何!?津田の初めてだと!」

 

「うん!しかも後ろの!」

 

「おお!津田はそう言う趣味なのか。」

 

「ちげーよ!」

 

 

こうしてまた一日、ツッコミで終わっていくのか・・・

萩村、お前も少しは手伝ってくれよ。




次回は伝説の校内案内です。
どうアレンジして行こう・・・


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校内案内

伝説のあの案内です。


「明日は大事な会議をするから遅れずに来るんだぞ。」

 

 

そう言われたのだが・・・

 

「スミマセン、遅れました!」

 

 

指定された時間に遅れた。

まったく情けない、自分が・・・

 

「遅い!今日は大事な会議だと言っただろうが!」

 

 

生徒会室には俺以外の役員が揃っていた。

まあ当たり前か。

既に集合時間から5分過ぎてるもんな。

 

「いや・・・道に迷いまして」

 

 

完全に言い訳だが、事実なので正直に話す事にした。

 

「そうか、津田はまだ入学して日が浅いからな。」

 

「ええ、まあそう言う事でして・・・」

 

 

予め下見に来ていないし、生徒会に入るつもりも無かったので生徒会室までの最短距離なんて分からない。

これは早いところ覚えないとまた同じ失敗を繰り返しそうだぞ。

 

「よし!今日は私が津田のために校内を案内してやろう!」

 

「あの、大事な会議は?」

 

「そんなもの、移動中にすれば良いだろ!」

 

「それってそんなに大事じゃないよね!」

 

 

思わずツッコミを入れてしまった。

 

「ほら津田君?行くわよ。」

 

「ええ!案内するのって決定なんですか!?」

 

「だってまた迷子になったら大変でしょ?」

 

「それはまあ・・・」

 

 

確かにこの年で迷子になるのは恥ずかしいしな。

会長が大丈夫と言うのなら大丈夫なんだろう。

そう思う事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、それじゃあ行くぞ!」

 

 

気合の入った会長に連れられ、急遽決まった桜才学園案内ツアーに出発した。

 

「此処が保健室だ。」

 

 

何故一番が保健室?

 

「此処が女子更衣室だ。」

 

 

此処を案内されて如何しろと?

 

「此処が普段使われていない無人の教室だ。」

 

 

使ってないなら何故案内した・・・

 

「男子生徒が聞くとドキッとする場所から優先的に案内してるんだが・・・不満か?」

 

「うん。」

 

 

現在地は体育倉庫。

普通は体育館が先じゃないのか?

そもそも男子生徒が全員そんな事ばっか考えてる訳じゃないですよ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「此処が私とシノちゃんが在籍している教室よ。」

 

「そうなんですか~。」

 

 

2-Bの教室前。

天草会長と七条先輩は同じクラスのようだ。

 

「何か分からない事があったら気軽に聞きに来てね。」

 

「ええ、もし何かあったら聞きに来ます。」

 

 

恐らくは無いだろうが・・・

 

「でも、こうして見ると少子化が悪いって事も無いわね。」

 

「へ?」

 

 

何故いきなり少子化の話に?

 

「3年になってP組まであったら大変だもの。」

 

「クラスのイメージカラーはピンクだな!」

 

「もう何いってるの!?」

 

 

往来の場所でなんちゅう事言い出すんだ、この二人は。

見ると萩村も呆れて口をポカンと開けている。

如何やら萩村は正常な思考の持ち主らしい。

良かった、俺だけじゃツッコミきれないからな・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

「此処が女子専用トイレだ。男子は教職員用のトイレを使用するように。」

 

「じゃあ何で案内したんですか・・・」

 

 

そもそもトイレの場所は真っ先に確認したから知っている。

共学したてだからしょうがないが、もう一個くらい男子トイレを作ってくれないかな?

 

「ちなみに、此処では用を足す以外にナプキンを装着したりする!」

 

「聞いてませんよそんな事・・・」

 

 

またおかしな事を言い出したぞ、この人・・・

 

「チョッとシノちゃん!」

 

 

おお!七条先輩がツッコミをしてくれるのか?

 

「私はタン○ン派よ!」

 

 

・・・はい?

 

「すまない。つい自分を基準に考えてしまった。」

 

「い~いシノちゃん、私は・・・」

 

「もういい!」

 

 

再びおかしな事を言いそうになったので強制的に打ち切った。

 

「毎回続くの?この感じ。」

 

「私はもう慣れた。」

 

 

俺は慣れたくないんだが・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「会長、お疲れ様です。」

 

「ああ。」

 

 

移動中に会長が挨拶された。

変なとこがあるけど、やっぱり会長は尊敬されてるんだろう。

 

「挨拶されるなんて、さすが会長ですね。」

 

「まあ慕われなければ人の上に立てないからな。君も尊敬される副会長になれるように頑張るんだね。」

 

「いやぁ~俺はそう言うのチョッと苦手でして・・・」

 

 

はっきり言って、俺は誰かに尊敬されるような人間では無い。

しかも半ば強引になった副会長だ。

一応は頑張るが、尊敬されるような副会長にはなれないだろうな。

 

「もしかして蔑まれたいのか?Mなのか?」

 

「発想が極端すぎるんだよ!」

 

 

そもそも俺はMでは無い。

少なくとも蔑まれて喜ぶような変態的思考は持ち合わせていないはずだ。

 

「それじゃあ君はSなのか?」

 

「しらねえよ!大体なんでこんな所で聞くんだよ!!」

 

「好奇心のなせる業だな!」

 

「そんな思考は怠けてしまえ。」

 

 

本当そう思う・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「此処が屋上よ。」

 

「まあ見れば分かるよ。」

 

 

屋上に来て萩村がイキイキとしている。

 

「高い場所好きなの?」

 

「まあね。人を見下ろせるから。」

 

「ふ~ん・・・」

 

 

見下ろせるね・・・

確かに高場所に居れば見下ろせる(みお)が、その内見下す(みくだ)にならなければ良いけど・・・

 

「笑いたきゃ笑えば良いじゃない。」

 

「別に笑わないよ。」

 

 

考え方なんて人それぞれだからな。

 

「ところで会長はコッチ来ないんですか?」

 

「いや、私はいい。」

 

「ひょっとして高い場所苦手なんですか?」

 

「な!?そ、そんな訳無いだろ!」

 

 

そう言ってコッチに来る会長。

足がガクガク震えている・・・

 

「でも、足震えてますよね?」

 

「こ、これは・・・」

 

「これは?」

 

 

さて、どんな言い訳が飛び出すかな。

 

「た、楽しくて膝が笑ってるのさ!」

 

「上手い事言ったつもりでしょうが、それほど上手くないですよ。」

 

 

そもそも膝が笑うって疲れて膝が言う事聞かないって意味だよな。

屋上に来て疲れた・・・正直意味が分からないぞ。

 

「もしかしなくても高い場所苦手なんですね。」

 

「シノちゃんにも苦手なものはあるのよ。」

 

「まあそうでしょうね。」

 

 

人間誰しも苦手なものくらいあるか・・・

 

「いきり立った肉の棒とか!」

 

「その口閉じろ!」

 

 

何でこの先輩はそっち方向に話を持っていきたがるんだ?




うん、この話は漫画よりアニメで見たほうが面白いな・・・
しかし、実際にこんな案内されたら引くぞ。


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副会長とは

下ネタは難しい・・・


生徒会の仕事もある程度こなせるようになったある日・・・

 

「さて、明日は全校集会だ。その全校集会でスピーチを行う、当然津田にも壇上に上がってもらうからな。」

 

「ええ!?」

 

はっきり言って人前に立つのは苦手だ。

 

「大勢の前に立つのって緊張しそうだな~。」

 

「なんだ情けない。」

 

 

情けないと言われても・・・

会長みたいに慣れてる訳じゃ無いんですよ?

 

「私は大勢の人に見られると非常に興奮するぞ!!」

 

「それも駄目でしょ!」

 

 

興奮って・・・

会長はそんな趣味があるんですか・・・

 

「おっと、職員室に用があるんだった。」

 

「そうですか、では留守は任せてください。」

 

「ああ、頼んだぞ。」

 

 

そう言って会長が出て行った。

正直相手をするだけで疲れる・・・

 

「あれ?シノちゃんは?」

 

「会長なら職員室に用があるって今さっき出て行きましたけど。」

 

「そうなんだ~。」

 

 

会長が出て行ってすぐ、七条先輩がやって来た。

この先輩も相手するだけで疲れるんだよな~・・・

 

「津田君、もう副会長の仕事には慣れた?」

 

「まあ一応は。でも副会長って具体的に何をすれば良いんですかね?」

 

「ん~・・・会長の補佐役なんだからシノちゃんが困ってる時に助けてあげれば良いんじゃない?」

 

「そんなものですかね~。」

 

 

正直『副』ってなんなんだ?

会社や部活の顧問とかじゃないんだからあんまり必要性が感じられないんだが・・・

 

「でも、シノちゃんって勉強出来るし運動神経も良いし、礼儀や作法、家事も完璧・・・特に手伝う事なさそうね。」

 

「え~・・・」

 

 

まさかそこまで完璧な人だったとは・・・

 

「それじゃあ辞任しても良いですかね?」

 

 

それなら俺は必要無いだろ。

 

「それは駄目ね。」

 

「何故です?」

 

「それは私もシノちゃんも津田君に興味があるからよ。」

 

「え!?それって・・・」

 

 

何だか嫌な予感がするのは気のせいか?

 

「だって、保健体育の教科書だけじゃ限界があるじゃない?」

 

「やっぱりそんな事だろうと思ってましたよ!」

 

 

変な勘違いをしそうになった自分が恥ずかしいよ、本当に・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいま。」

 

「あ、お帰りシノちゃん。」

 

「お帰りなさい会長。」

 

 

暫くして会長が職員室から戻ってきた。

 

「うむ。そう言えば此処に戻ってくる途中で財布を拾った。」

 

「そうなんですか?」

 

「ああ。非常に心苦しいが持ち主が特定出来る物が入ってないか調べさせてもらおう。」

 

「そうね~。」

 

 

財布を落としたのなら気が付きそうなものなんだが・・・

もしかしたら必死に探してるのかも。

 

「持ち主は女だな。」

 

「何で分かるんですか?」

 

 

化粧品でも入ってたのか?

それとも学生証が?

 

「ゴムが入ってない。」

 

「それじゃあ俺も女になっちゃうよ・・・」

 

「そうなの!?津田君の財布にはゴム、入ってないの?」

 

「男が全員持ち歩いてると思うなよ。」

 

 

そもそも高校生が持ち歩くものじゃないでしょうが・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ふらふらと歩いていたら喉が渇いたので食堂の自販機に向かった。

あれ?あそこに居るのは・・・

 

「萩村?」

 

「何よ?」

 

 

やっぱり萩村だった。

いや、何って・・・

 

「萩村、いったい何してるんだ?」

 

「見て分からない?ストレッチよ。」

 

「それは分かるけど何でこんな所で?」

 

 

自販機の前でストレッチをする必要があるのだろうか。

 

「何でって・・・」

 

 

ごくり・・・

 

「足つらないためよ。」

 

「ご苦労様です・・・」

 

 

そうか、萩村の身長じゃ自販機の上の方に手が届かないのか。

でもそれなら誰かに押してもらうか、それこそ椅子に乗れば良いのに・・・

 

「萩村、俺が押そうか?」

 

「いや、結構。私は自分の力でこの困難を乗り越えるのよ!」

 

「本当にご苦労様です・・・」

 

 

上から目線だが今は良いだろ。

実際萩村も気付いてないしな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、これから会議を始める。」

 

「シノちゃん、スズちゃんがまだ来てないわよ?」

 

「本当ですね。萩村が来てないなんて珍しい気がします。」

 

 

バタン!

 

「こんな身体でも、来てるわー!!」

 

「ええ~!」

 

 

何か理不尽に怒られた気がするんだが・・・

 

「あっ、スズちゃん二日目なの?」

 

「二日目?」

 

「うん、つまりね・・・」

 

「余計な事言わないでください!」

 

「??」

 

「萩村の周期は兎も角、会議を始めるぞ。」

 

「そうね~。」

 

「はぁ・・・?」

 

 

何か萩村に睨まれてる気がするんだが。

 

「萩村、如何かしたのか?」

 

「何でも無いわよ!」

 

「ええ~!」

 

 

また理不尽に怒られた~。

 

「さて、今日は校則を確認するぞ。」

 

「え~と何々・・・校内恋愛禁止、髪染め禁止、買い食い禁止、廊下を走るの禁止、ジャージで下校禁止・・・やっぱり厳しいですね~。」

 

「当たり前だ!学校とは勉学に励む場であり、学生として逸脱した行為は一切認めない!」

 

 

会長たちの発言は逸脱してないのか・・・

 

「しかし、何でも駄目と言うのは、生徒の積極性に支障をきたす可能性があります。」

 

「そうだな・・・」

 

 

そもそも校則をしっかりと守る高校生って居るのか?

 

「では、恋愛は駄目だがオ○禁は解禁しよう!」

 

「凄い緩和宣言!そんな校則ありませんけど・・・」

 

 

う~ん・・・正直覚えられる気がしないな・・・

 

「あれ?津田君って爪噛むのクセなの?」

 

「え?・・・ああまたやってしまった。」

 

 

完全に無意識だった。

みっともないから止めたいんだが、クセって言うのは中々如何して止められないものだ。

 

「まあクセは一度つくと厄介だから気をつけた方が良いよ~。」

 

「そうですね。」

 

 

これからは気をつけなくては・・・

 

「私も、お尻の穴いじるのクセになりそうだけど、なんとか踏みとどまっているわ!」

 

「・・・褒めるべきですか?」

 

 

自信満々に言う事じゃ無いと思うんだけど・・・

そっか、七条先輩はそっちの趣味なんですね・・・

 

「それじゃあ津田君のお尻をいじって良い?」

 

「良い訳ないだろ!」

 

 

こうしてまた、ツッコミで一日が終わる。

副会長ってツッコミが職務なのか!?




原作ネタのシノがタカトシに興味あると言うネタを忘れたので今回使いました。
原作に無いネタを考えるのは大変ですね・・・


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登場!新聞部

タイトル通り、あの人が登場します。


なんだかんだで生徒会の仕事にも慣れ始めたころ、

 

「お前、生徒会に入ったんだってな。すっげえじゃん。」

 

「まあ、半ば強引にだがな。」

 

 

クラスメイトの柳本ケンジと昼食を共にしていたら、そんな事を言われた。

凄いのか?

 

「だって、ここの生徒会の女性のレベルは相当だぞ!まあ、一人子供が居たが・・・」

 

「それ、本人を目の前に言うなよ。絶対怒るから。」

 

「ああ、言わないさ。」

 

 

萩村は容姿を気にしてるからな。

見た目が子供でも中身は誰よりも大人なんだから気にする必要は無いと思うんだけどな。

 

「俺が調べた限り、生徒会長と七条先輩はAAランク+だな!」

 

「何だそのランクは?」

 

「だってあの見た目だぞ!しかも会長は貧乳を気にしているし、七条先輩はあの巨乳だ!マニアにはたまらないだろ!!」

 

「・・・ゴメン、俺に近づかないでくれるか。」

 

「チョッ!何で距離を取ってるんだよ!!」

 

 

だって同類だと思われたくないし。

 

「兎も角、お前は男子生徒から羨ましがられてるんだ。正直代わってほしいくらいだぞ。」

 

「えっ!じゃあ代わる?」

 

「え?いや、それは遠慮する・・・」

 

「何だよ!やる気が無いならやるって言うなよ!この鬼畜め!!」

 

「す、スミマセン・・・」

 

 

しかし、確かに見た目だけなら十分魅力的な先輩たちだからな。

まあ、中身は思春期真っ盛りなんだが・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ありがとうございました。」

 

「うむ。」

 

 

放課後、生徒会室に悩みを抱えた女生徒が会長に相談を持ちかけた。

会長はしっかりと話を聞き、的確なアドバイスをしてその女生徒の悩みを解決した。

 

「さすが会長、人望ありますね。」

 

「まあ生徒会長として、当然の責務だ。私は口が堅いからな。」

 

「生徒会の仕事内容をバラしたら大変ですしね。それに悩み相談する相手が口軽かったら嫌ですよ。」

 

 

実際カウンセラーにも守秘義務があるんだし、口の堅さは重要だろう。

 

「ちなみに、私は下の口も堅いぞ!ガードが!!」

 

 

この人いっつも一言多いんだよな・・・

それがなきゃ素直に尊敬できるのに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「チョッと津田!」

 

「ん?何、萩村。」

 

「アンタが作ったこの報告書、3箇所も誤字があったわよ!」

 

「え?嘘、ゴメン・・・」

 

 

気をつけたんだけど、やっぱり携帯やパソコンに慣れた現代っ子である俺は誤字が多いんだな。

 

「アンタたるんでるんじゃないの!?チョッとそこに座りなさい!」

 

 

萩村に言われ大人しく椅子に座る。

自分に非があるから、ここは素直に従おう。

 

「・・・・・」

 

「萩村?」

 

 

何で黙ってるの?

怒られるより怖いんだけど・・・

 

「そこにひざまづけ!!」

 

「ええ!?」

 

 

いったい何があったんだ?

そう思い萩村の方を見る。

・・・あれ?座ってるのに、目線が下がる・・・

ああ!これか。

 

 

 

 

 

 

 

 

「新聞部から取材のオファー?」

 

「はい。」

 

 

生徒会に取材するのか?

それって普通なのかな?

 

「するとインタビューされるのか・・・練習しておく必要があるな。」

 

「津田君、インタビューの指導してあげたら?詳しいんでしょ?」

 

「え?何で俺が?」

 

 

インタビューの指導なんて出来ないですよ。

しかし、何で七条先輩は俺が詳しいと思ってるんだ?

 

「AVによくあるでしょ?インタビューのシーン!」

 

「よろしく頼む!」

 

「何でそっち方面で話が進んでるの?てかしらねえよ!」

 

 

この前まで中学生だった俺をなめんなよ!

そんなモン持ってないわ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうも、新聞部の畑です。今日はよろしくお願いします。」

 

「う、うむ、よろしく。」

 

「あまり緊張なさらずに、楽にしてくれて良いですよ。」

 

「ん?そ、そうか。じゃあ失礼して・・・」

 

「あの、会長?何で机の上で寝転んでるんですか?」

 

「何だ、津田。分からないのか?」

 

「ええ・・・」

 

 

そんな事分かるはずないですよ。

そもそも寝転がる心理が分からないんですから。

 

「今日は多い日でな!立ってても座ってっても辛い。」

 

「それじゃあ仕方ないですね。では、インタビューを始めます。」

 

 

慣れろ、慣れるんだ俺!

この生徒会で過ごす以上、ある程度の慣れは必要なんだ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃ、次は写真撮影を行います。」

 

「ええ~。恥ずかしいな~。ポーズとかとった方が良い?」

 

「ノリノリですねー。」

 

 

うん、萩村。

気持ちは分かるぞ。

でも、もうチョッと感情を込めた方が良いぞ。

 

「いえ、紹介記事として使うので、皆さんは生徒会室をバックに普通に立っててください。」

 

「なるほど。」

 

 

ただ立ってれば良いのか。

でも俺、写真撮られるの好きじゃ無いんだよな。

 

「ギャルゲー式画面撮りと言うやつだな!」

 

「そんなの初めて聞きましたよ・・・」

 

 

そもそもギャルゲーなんてやった事ねえよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「では最後に、男子代表として津田副会長に一言抱負を。」

 

「え!?俺って男子代表なの!?」

 

「何を言ってるんですか。共学していきなりの副会長なんですよ?自分が如何思おうがすでに代表になってるんですから。」

 

「はあ・・・それじゃあ男女とも隔たりの無い関係を築いていきたい思ってます。」

 

 

抱負って言われても、そう簡単には思いつかなかったので当たり障りの無い答えだった。

もう少し気の効いた事を言えるようにならなくては・・・

 

「つまり更衣室やシャワー室の壁を取っ払う気か。」

 

「エロスね!」

 

「性欲の塊。」

 

「ええ!?」

 

 

何でそんな風に捉えるかな・・・

俺はそんな事思って無いですって!

 

「なるほど・・・副会長はエロいっと。」

 

「ええ!?アンタもそっち側!?」

 

 

大丈夫なのか?ここの生徒会と新聞部は。

入学して間もないが、不安しか無いんだが・・・




今回初めて声優ネタを入れました。
分からない人のために念のため。
使ったのは涼宮ハルヒに出てきた谷口です。


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柔道部発足!

寝不足で頭が回らない・・・


例のインタビューを記事にしたと新聞部に言われたので確認しに部室に向かったのだが、まさかあそこまで脚色してるとは思わなかった。

もちろんそのまま発行させる訳にも行かないので畑さんをこってり絞って書き直させる事を約束させた。

新聞部も来期の予算をカットされると言われれば書き直させざるを得ないようだったが、そもそも書く前に止めてほしかったぞ・・・

 

「ほら、来たよ!」

 

「ほらムツミ!」

 

「え!?今!?」

 

 

何だ?

廊下を歩いていたら前が騒がしいのに気付いた。

あれは・・・クラスメイトの三葉だっけ?

 

「せーの!」

 

「わ!」

 

 

何がしたいんだ?

いきなり三葉の背中を押す3人。

そして三葉は、俺の前に押し出され固まっている。

 

「えーっと?」

 

「あの、津田君!いや、タカトシ君!」

 

「何?何で言い直したの?」

 

 

やけに気合の入ってる三葉に気おされ気味な俺。

正直何言われるのか不安だ・・・

 

「あの、私・・・創りたいの!」

 

 

何を?

主語を言ってくれないと分からないぞ。

まさかこの娘も会長たちと同じなのか!?

 

「柔道部を!」

 

「・・・え?」

 

「だから!柔道部を創りたいの!」

 

「それで、何で俺に?」

 

「だってタカトシ君、副会長でしょ?協力、してくれないかなって?」

 

「・・・ああ!そう言う事か~。緊張した~!」

 

「私も、緊張した~!」

 

 

確か創部届けは生徒会室にあったな。

とりあえず生徒会室に行くか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの、会長。」

 

「おお津田!如何だった、新聞部は?」

 

「ちゃんと指導してきました。」

 

「?」

 

 

まあ、あれは処分するだろうから会長に言う必要は無いだろうな。

 

「それと、会ってほしい人が居るんです。」

 

 

そう言って三葉を生徒会室に入れる。

何か言い方ミスったか?

 

「何だ?結婚するのか?」

 

「?」

 

「俺の言い方も悪かったですが、あんたは俺の何なんですか。」

 

 

やっぱりこうなったか・・・

会長は俺の不安通りの反応をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで?いったい何のようだ。」

 

「はい!私、タカトシ君のクラスメイトの三葉ムツミです。実は、新しい部を創りたいと思いまして。」

 

「それで、何の部活?」

 

 

七条先輩が興味を示した。

 

「柔道部です!」

 

「知ってる!」

 

 

へえ~、七条先輩でも知ってるのか・・・

 

「寝技が48個あるやつね。」

 

「うん、全然知ってませんね。」

 

 

男子が言うなら兎も角、女子の七条先輩がそんな事言うとは・・・

あまりにも思春期過ぎやしません?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「本当はムエタイにしたかったんだけど、メジャーなところで柔道を。部員も集めやすいしね。」

 

「三葉って格闘技好き?」

 

「うん!!己の技を磨いた身体と身体のぶつかり合い、熱いじゃん!!」

 

 

随分と入れ込んでるんだな・・・

夢想の世界に旅立った三葉を見てそう思った。

会長も何か考えてるようだが・・・

何故だろう、もの凄く嫌な感じがするのは?

 

「うん!確かに熱いな!!」

 

「あの会長?何か違うこと考えてませんか?」

 

「新しい部を発足させるには部員が5人以上必要よ。それに満たない場合は愛好会と言う事になるわね。」

 

「・・・何で子供がこんな所に?」

 

 

三葉!それは禁句!!

 

「津田!!」

 

「は、はい!」

 

「肩貸しなさい!!」

 

「え?」

 

 

萩村がジェスチャーでしゃがめと言っている。

これはつまり・・・

 

「良い!?よーく聞きなさい!!」

 

 

ですよね~肩車ですよね~・・・

身長控えめの萩村は俺に乗って三葉に対峙する。

 

「私は萩村スズ!!アンタと同じ16歳!!しかもIQ180の帰国子女!!英語ペラペラ、10桁の暗算だって朝飯前!!どう!?これでも私を子供扱いする!?」

 

「へーーー凄いねーーーー。」

 

 

三葉が何を思ったのか俺も分かった。

それは如何なんだ?

 

「もっと複雑な計算にしろーーー!!」

 

 

萩村さん、人の頭上で叫ばないでくれますか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「とりあえず、部員5人のところ、4人にまかりません?すでに3人はキープしてあるんですけども。」

 

「却下に決まってるだろ。」

 

「ちゃんとした理由があるんです!」

 

「ほ~う・・・聞こうじゃないか。」

 

 

何故悪役風?

 

「ほら、ストレッチの時に二人組みを作るじゃないですか。でも5人だと一人余っちゃうんですよ。仲間はずれみたいで嫌でしょ?なので偶数の4人に・・・」

 

「なるほど一理あるな。」

 

 

あれ?意見が通った?

 

「それじゃあこれからは6人にしよう。あと2人頑張って見つけて来い。」

 

「あっれ~?ハードル上がったよ~?」

 

 

確かに偶数ですけど・・・

結局この後1人が入って柔道部はめでたく発足した。

それにしても柔道か・・・

 

「そう言えば津田君は以前に部活動をやってたの?」

 

「俺ですか?」

 

「うん!興味あるな~。」

 

 

七条先輩に甘ったるく聞かれた。

この先輩は自分の魅力に気付いて無いのだろうか?

 

「小学生の時は野球、中学ではサッカーをやってました。」

 

「ほーーー。」

 

「男の子ね。」

 

 

別に男子が全員野球とサッカーに分類される訳では無いんですが・・・

そもそも何故下半身を見る?

 

「津田は玉遊びが好きなんだな!」

 

「だって男の子だもん!」

 

「何か引っかかるぞ?」

 

 

会長と七条先輩の事だから、どうせ違う玉遊びだと思ってるんだろうが、それを俺が言うのは駄目な気がするのでこれ以上はツッコまない。

 

「でもシノちゃん、津田君はまだ未経験のはずよね?」

 

「つまりは自家発電か!」

 

「玉もイジルなんてなんだかテクニシャンね!」

 

「そうだな!」

 

「お前らその口を直ちに閉じろ!」

 

「ご苦労様で~す・・・」

 

 

先輩2人がボケて俺がツッコミに萩村が俺を労う。

嫌な事だが、これが今の俺の日常になりつつあった。




三葉登場で柔道部が発足。
個人的に三葉は嫌いじゃ無いです。


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中間考査

アレンジを加えましたが、無理無いはずです。


桜才学園に入学してから暫く経ったある日、

 

「さて、来週から中間考査な訳だが、知っての通り我が校は試験結果が張り出される。」

 

 

そう言えば試験なんてあったな~・・・

正直俺は中の上くらいなら十分だな。

 

「そして、我々生徒会役員は学年20位以内に入る事がノルマとなっている。各自、しっかりと勉強しておくように。」

 

 

・・・え?

学年20位以内ってかなり大変じゃ・・・

 

「大丈夫よ~。」

 

「問題ありません。」

 

「ええ!?」

 

 

そんな自信あるんですか!?

 

「何だ津田、自信ないのか?」

 

「まあ、平均より上なら良いかなって・・・」

 

 

しっかりと勉強すれば何とかなると思うが、正直面倒くさい。

 

「そんなんでよく生徒会に入ろうと思ったな。」

 

「俺の記憶では貴女の所為です。」

 

 

そもそも俺は生徒会になぞ入る気無かったのに・・・

入学初日に会長たちと知り合ってそのままズルズルと今に至るのだが・・・

 

「それじゃあ私が勉強を見てあげよう!」

 

「良いんですか?」

 

「ああ、君の有る事無い事噂を流すのも可哀想だからな。」

 

「え?何それ?」

 

「20位以内に入れなかった時の罰だ。」

 

「うわ~止めて!」

 

 

これは本気で勉強しなくては・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私が勉強を見るからにはビシビシ行くからな!」

 

「お願いします。」

 

 

厳しく教わった方が頭に入るかもしれないしな。

 

「時に君はSか?それともMか?」

 

「え?何ですいきなり・・・」

 

 

勉強中に何故その話題に?

 

「Mならビシビシ行かない!!悦ばすだけだから!」

 

「別にMでも無いですがSでも無いですね~。」

 

 

正直良く分からない・・・

大体勉強に関係ないだろ・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え~とこれは・・・」

 

「津田は電子辞書を持ってるのか。」

 

「ええ、便利ですよ。」

 

 

紙の辞書も家にあるが、それを鞄に入れて持ってくるのは大変だ。

なので学校では電子辞書を使用している。

 

「私はそう言うのは好かないな。」

 

「会長は紙の辞書派ですか?」

 

 

随分アナログなんだな・・・まあ人の事言えないが。

重さが同じなら俺だって紙の辞書を使いたい。

あっちの方が調べた気になるかなら。

 

「だって、人に貸しにくいじゃないか。」

 

「確かに、高価なものですからね。」

 

 

高校生にとって電子辞書は非常に高価だ。

もし貸して返ってこなかったら困る。

万が一壊されたらもっと困るからな。

 

「いや、調べたものの履歴が残るだろ?」

 

「分かりやすい思春期ですね~。」

 

 

履歴なんて消せば良いのに・・・

いや、そう言う事じゃないか。

辞書で何を調べるのかは知らないが、そう言った事を調べるためのものじゃねえよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「萩村、チョッと聞きたい問題があるんだけど。」

 

 

授業でしていた説明ではイマイチ分からなかった問題があるので、IQ180の萩村に質問する事にした。

会長はアレだからな・・・

 

「良いわよ。でも、教えるなら二人っきりになれる場所で・・・」

 

「え?」

 

 

何だこの空気・・・

俺はただ勉強を教えてもらいたかっただけなんだけど。

 

「人に見られると私が教わってるように思われるのよ。」

 

「萩村も大変だな~・・・」

 

 

まあこんな事だろうと思ってたよ。

萩村の能力を知らない人が見たら、そうなるよね。

俺だって生徒会で知り合ってなくて誰かと一緒に勉強している萩村を見たらそう思うだろう。

 

「ほらそこ!間違ってるわよ!」

 

「え?・・・あっ、本当だ。」

 

 

余計な事を考えてたからかイージーミスをしていた。

集中しなくては!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

別の日。

またまた分からない問題があったので、今度は七条先輩に教えてもらう事にした。

別に萩村でも良かったんだが、変な噂がたったら嫌だろうから今回は遠慮した。

それに、生徒会メンバーで七条先輩は優しいから色々聞きやすいのだ。

まあ、中身は会長と肩を並べるくらいの思春期真っ盛りだが・・・

 

「あの~ここなんですけど・・・」

 

「ん?どこかな~?」

 

 

七条先輩が密着してくる。

この人は本当に自分の事を理解してないのか?

 

「ぐぬぬ・・・何でアイツが七条先輩と!」

 

「アイツって副会長だっけ?何と羨ましい・・・」

 

「あれ!絶対当たってるだろ!!」

 

 

遠目で見ている男子生徒たちの嫉妬の視線が突き刺さる。

俺はただ勉強を教わりたいだけなんだが・・・

 

「よ~し!お姉さんが優しく教えてあ・げ・る・!」

 

「お願いします。」

 

「あれ~?津田君、ここはドキッてする場面だよ?」

 

「ドキッとはしましたけど、今は勉強の方が大事ですから。」

 

 

変な噂など流されたくないからな。

 

「そうなんだ~、良かった。」

 

「何がです?」

 

「ううん、何でも無いよ。」

 

「はあ・・・」

 

 

七条先輩が何に安堵したのかは気になるが、今はこの状況を何とかしなくては!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして試験開始・・・・・・・・・終了。

 

「いや~途中で解答欄一個間違えてたのに気付いて焦ったよ。」

 

「ドジね・・・」

 

「あらあら~。」

 

「ズラすのは、スク水の秘所だけにしておけ!」

 

 

ん?

会長がボケたのは分かったが意味が分からない。

 

「旧スク水ってもう無いわよ。」

 

「そうか、すまなかった。」

 

「いや、謝られても・・・」

 

 

正直ボケを拾えてなかったんですが・・・

 

「ねえ津田君?テストの出来は如何だったの?」

 

「え?まあ皆さんのおかげで上々です。」

 

「そう、それなら今度御褒美でも如何?」

 

「御褒美ですか?」

 

 

嫌な予感が・・・

 

「うん!鞭で打ってあげる!!」

 

「結構です!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、試験結果発表・・・

 

一位 萩村スズ

二位 轟ネネ

十位 津田タカトシ

 

「へえ~意外とやるのね、アンタって。」

 

「いや~、皆のおかげだよ。」

 

 

正直ここまで出来るなんて思ってなかったぞ。

ん?こっちは二年生の順位か・・・

 

一位 天草シノ

二位 七条アリア

 

 

マジか!

十位でも生徒会内ではビリなのか・・・

 

「またシノちゃんにトップ取られちゃった。」

 

「まあ、こんなものだろ。」

 

「うーん、こっちのトップはシノちゃんより上なんだけどな~。」

 

「ハハハハ、相変わらずアリアは面白い事を言う。なぁ?」

 

 

そこで俺に振るんですか・・・

これは萩村が対処するべき話題では?

 

「本当ですねー。ねぇ?」

 

「ええ!萩村も!?」

 

 

せっかくテスト頑張ったのにこの仕打ち。

誰か本当に代わってくれ!




この津田は原作より頭良いです。
でも、生徒会メンバーはもっと良かった・・・頑張れ!


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呼び出し方法

久しぶりに更新します


生徒会に入って、早くも一月が経とうとしているある日、

 

「本当に可愛かったんだって!」

 

「あっそ……」

 

 

相変わらずの日常を過ごしていた。

クラスメイトとダベリながら休み時間を過ごす。

男子が少ないので、自ずと仲良くなった柳本ケンジ。

女性に対して拘る変人だ。

 

「何でお前は冷めてるんだよ!」

 

「お前が熱過ぎるんじゃ無いのか?」

 

「本当に可愛かったんだって!!」

 

「そうなんだ…」

 

 

如何やら昨日見た女の子が可愛かったらしいのだが、正直如何でも良い。

 

「顔も可愛かったが、髪をツインにして、服の上からでも分かる巨乳!あれはAAランクだったぜ!」

 

「ふ~ん…興奮するのは良いが、出来れば俺から離れてくれますか?」

 

「何で他人行儀なんだよ!?」

 

「いや、お前と一緒に思われたくないからな」

 

 

周りは女子だらけなのだ。

そんな大声で話していれば、注目されるのも無理は無い。

 

「そう言えば、何処と無くお前に似てたような……」

 

「俺に?」

 

 

もしかしてコトミの事だろうか?

コイツが何処でコトミを見たのかはしらないが、妹がコイツの毒牙にかからないようにしておかなくては…決してシスコンでは無いが、妹がこんなヤツにかどわかされるのは勘弁してほしいからな。

 

「1年A組津田タカトシ君、至急生徒会室へ来てください」

 

「タカトシ君、呼ばれてるよ」

 

「そうだな…」

 

 

何故校内放送で呼び出すんだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「会長、わざわざ校内放送使って呼び出さないでくださいよ」

 

「じゃあ如何しろと言うのだ?わざわざ教室まで呼びに行けと言うのか?」

 

「校内放送するよりは楽でしょ。その場で用件も言えますし」

 

「生徒会の用を他の生徒に聞かせる訳にはいかない!」

 

「なら昨日言ってくれればよかったじゃないですか」

 

「今朝思い出したのだ!」

 

「はぁ……」

 

 

こう言った時、携帯の校内使用禁止って校則は面倒だよな…

 

「なら今度からは君の下駄箱に手紙を入れておこう」

 

「誤解されそうなので、別の案でお願いします」

 

「それじゃあこのピンク○ーターを!」

 

「何のイジメですか!!」

 

「兎に角、昼休みに生徒会室に来るように!」

 

「はぁ…」

 

 

それだけなら教室に来たほうが早いでしょうが……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして昼休み。

生徒会室には既に俺以外の役員が揃っていた。

 

「遅かったわね?」

 

「お茶買いに行ってたから、皆さんもどうぞ」

 

「おお、済まないな」

 

「津田くん、ありがとね」

 

「アンタにしては気が聞くわね」

 

「アハハ…」

 

 

最後の一言が余計だったが、此処は良しとしよう。

 

「それで会長、何の用で生徒会室に呼んだんですか?」

 

「ああ。来週の高総体の事でな。行事があると忙しくなるからこうして昼休みも使う事にしたんだ。まったく祭りがあると大変だな…」

 

「俺は祭り、好きですけどね」

 

 

授業は無くなるし……

別に問題なく付いて行けているが、やっぱり勉強は好きじゃ無いのだ。

 

「会長は学園のイベントで好きなものは無いんですか?」

 

「う~む……」

 

 

そんな考え込むほどの質問じゃ無いんですが…

 

「学校を遅刻しまいと走って、曲がり角で運命の人とごっつんこ」

 

「パンを咥えてが抜けてるわよ」

 

「怪我しますよ!」

 

「萩村、そのツッコミは適切ではない……」

 

 

恐らくギャルゲーのイベントなんだろうが、良く分からないのでスルーした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そう言えば、この近くに雉が居るんですよね?」

 

「そうね」

 

「小中学校では学校で動物飼ってましたけど、さすがに高校じゃ居ませんね」

 

「私としてはありがたいわね」

 

「何で?」

 

「動物嫌いだから」

 

「へぇ~…」

 

 

萩村、動物嫌いなんだ……

 

「も~う!スズちゃんはツンデレなんだから~!」

 

「何故そうなるんですか?」

 

 

今の話題の何処にツンがあった?

 

「良く動物がプリントされてるパンツはいてるじゃない?」

 

「その口閉じろーーーーー!」

 

 

……聞かなかった事にしよう。

それが一番安全だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日の昼休み。

再び生徒会室に集まって企画を考えながら昼食をとる。

 

「会長の弁当は自分で作ってるんですか?」

 

「ああ」

 

「本当に何でも出来るんですね」

 

 

弁当を作るのが面倒で、ウチの親は冷凍食品や昨日の余りモノを入れている。

 

「そうだな、口だけの安い女になりたくないからな」

 

「そう言うものですか」

 

「だが、お高くとまっても鼻について嫌な感じだから、と言うわけで手ごろな女を目指している」

 

「結局安っぽくなってますよ……」

 

「ねえねえシノちゃん」

 

「何だ、アリア」

 

「鼻につくって、何だかエロスじゃない?」

 

「そうだな!」

 

「何故そう思えるんだ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「萩村の弁当はお母さんの手作り?」

 

「まあね、昨日の残りだけど」

 

「俺も同じだよ。弁当なんて普通はそんなもんだよな」

 

「そうだね~私も昨日の残りだよ」

 

 

七条先輩の箸に挟まれているのはステーキ……それも結構分厚い。

やっぱ金持ちって食ってるものも俺たちとは違うんだな~……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後、資料を戻すために会長と職員室に向かう。

 

「会長って何でも完璧にこなしますよね?失敗なんてした事無いんじゃないですか?」

 

「そんな事無いぞ。私だって失敗の1つや2つくらいあるさ」

 

「へぇ~」

 

 

どんな失敗なんだろうか?

もしかして下発言か!?

 

「あれは中学の英語のテストだった」

 

「テスト?」

 

 

テストの失敗って、解答欄をズラして書いてしまうあれか?

 

「鉛筆のスペルがシャーペンに書いてあってな。カンニングをしてしまった戒めとして、空欄で出した」

 

「それって会長悪くないよね!」

 

 

偶然の産物なんだし、回答しても良かったんじゃないだろうか…

そもそも会長は答え分かってるんだし…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日の生徒会室。

如何やら昨日七条先輩が誰かに付けられてたらしい。

まあ、結局は勘違いだったらしいが…

 

「背後から近づいてくる足音ってドキドキするよね」

 

「そうですね」

 

「アンタもそんな事あるの?」

 

「俺だって部屋でオ○ニーしてる時に近づいてくる足音にはドキドキするさ!」

 

「………」

 

「何考えてるのかしりませんが、俺はそんな事言いませんからね!」

 

「何を言わないのかな~?」

 

「ちゃんと言ってくれなきゃ分からないよ~?」

 

「良く分かりませんが、このやり取りって立ち位置逆じゃないですか!?」

 

 

こうしてまた、無為に昼休みが過ぎていく……




次回あの人が登場。
ネタも仕込みたいと思ってます


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顧問登場!

今回は声優ネタが結構あります


「各空き教室にものが溜まっている…そこで生徒会でその荷物を必要な場所に運ぶ事になった」

 

「期間はどれくらいなの?」

 

「3日だ!」

 

「随分と長いですね」

 

「何勘違いしてるんだ」

 

「はい?」

 

「空き教室は全部で9つだ」

 

「そりゃ大変ですね…」

 

 

そこまで多いとは思わなかった…

 

「大変だが、困ってる人のために働くのが、我々生徒会役員の使命だ!」

 

「あの~会長?」

 

「何だ?」

 

「恥ずかしいなら言わなければ良いのでは?」

 

「なっ!赤くなったのは欲求不満だからだ!!」

 

「その言い訳駄目じゃね?」

 

 

兎に角9つもの教室に置かれたものを移動させなきゃいけないんだし、無駄な時間を使ってる余裕は無いな…さっさと運んじゃおう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これは生徒会室ですね」

 

「うむ。それじゃあ半分は私が持とう」

 

「お願いします」

 

 

1つ目の空き教室から荷物を運び出す。七条先輩と萩村もそれぞれ必要としている場所へ荷物を運び出している。

 

「それにしても、何で此処まで溜め込んだんです?これって絶対去年から置きっ放しですよね?」

 

「色々あったんだ!」

 

「はぁ……」

 

 

その色々を聞いてみたかったが、また余計な事を言われてはたまらないのでスルーした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺が開けますね」

 

「ああ、頼む」

 

 

生徒会室の着いた俺たちは荷物を部屋に入れるためにドアを開けたのだが、そこには見慣れない女性が居た。格好からして生徒ではない…教師なのだろうか?

 

「誰?此処には関係者以外入れないはずよ?」

 

「あの~……貴女こそどちら様です?」

 

「私は生徒会の担当顧問よ」

 

 

そんな人居たんだ……今迄1ヶ月くらい生徒会で仕事をしてきたが、そんな人が居るなんて聞いてなかったな…

 

「お!天草、お疲れさん!」

 

「……ここは関係者以外立ち入り禁止ですよ」

 

「あれ~!?」

 

 

……如何やら会長も忘れていたらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「改めて…私が生徒会顧問の横島ナルコよ」

 

「そう言えば横島先生がうちの顧問でしたね…」

 

「全然来なかったからすっぱり忘れてたわ」

 

 

……会長だけでは無く七条先輩も萩村も忘れてたらしい。何て残念な人なんだろうな…

 

「それで、アンタが新しい生徒会役員?」

 

「はい、そうですが…」

 

「何処かで聞いたことある声なのよね……」

 

「はあ……」

 

 

初対面のはず…だよな?

 

「試しにこのセリフを読んでくれない?」

 

「はあ……え~っと何々……俺が誰かに似てる!?それは幻想だ!!そのふざけた幻想をぶちk……」

 

「ストーーーーーープ!!」

 

「何ですかいったい…」

 

「これ以上は危険な気がしたわ」

 

「先生が読めって言ったんでしょ……」

 

 

最後まで読む前に先生に止められた……いったい何だって言うんだ…

 

「今、類人猿の声が聞こえましたわ!」

 

「うわ!畑さん、何処から現れたんですか!?」

 

「……おや~?私は今、何を言ってたんですかね?」

 

「類人猿が如何とか……」

 

「気のせいですわね……それでは私はこれで~」

 

「如何やって現れたんでしょうね、あの人は…」

 

 

ドアを開けた形跡など無かったぞ……

 

「しらないのか?畑にはテレポート能力があるんだぞ」

 

「本当ですか!?」

 

「もちろん嘘だ」

 

「何だ……」

 

 

ちょっぴり期待しちゃったじゃないですか……

 

「そうだ!萩村」

 

「何ですか?」

 

「ど忘れして分からない問題があるんだ。代わりに解いてくれんか?」

 

 

この人は本当に教師なんだろうか?

萩村に渡されたのは穴埋めクイズの本だ。教師が学校でこんなものやってて良いのだろうか…?

 

「え~っと……」

 

 

何々……□肉□食……これって難しいのか?ど忘れしたからって萩村に聞くような問題では無いと思うんだが…

そんな事を思ってると萩村がペンを動かした……

 

お肉お食べ

 

「四字熟語だーー!!」

 

「何よ津田……」

 

「萩村!それはボケなのか!?それともマジなのか!?」

 

「何を言って……何、これ?」

 

 

書いた本人もビックリの回答に、生徒会室に居た全員が覗き込んだ。会長も横島先生も驚いて若干引いている。

 

「スズちゃんが如何してこんな間違いをしたのか………私、気になります!」

 

「七条先輩?」

 

 

胸の前で手を組み、上目遣いでこっちを見つめる七条先輩。その姿が他の男子には見せない方が良いですよ……

 

「メニアーーック!」

 

「会長?」

 

「腕で挟まれたアリアの胸……これはメニアックだわ!」

 

「如何した天草……」

 

「……ハッ!」

 

 

今日は全員が疲れてるんだ……俺はそう解釈して片付けの続きをするために生徒会室から逃げ出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、昨日の事は全員気にしない事が暗黙の内に決められているようだったので、俺も特に気にせずに生徒会室で昼飯を食べる事にした。

 

「七条先輩の家のご飯って、豪華そうですね…」

 

「でも、私は以外と庶民じみたものが好きで、高級料理は苦手なの」

 

「そうなんですか?」

 

 

そう言いながらも七条先輩の箸に挟まれているのは伊勢海老…しかも丸々一尾だ。

 

「特にアワビは苦手ね」

 

「何でです?」

 

「共食いしてる気分になるから」

 

「うおっほ、今日も先輩のジョークは重いぜ」

 

「本当よ?」

 

「ジョークじゃなかった!?」

 

 

そもそも何で共食いなんだろうか……女性にはアワビに似た何かがあるのか?それとも七条先輩だけ?

確認しようにも、もの凄い地雷臭がするので、迂闊には聞けなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そう言えば、俺が通っていた小学校、今度廃校になるらしいんですよ」

 

「私のところも入学した生徒が2クラス分しか居なかったみたいなの……改めて少子化を実感するわね」

 

「そうですねー」

 

 

唐突に話題を振ったのは俺だが、もの凄い嫌な予感がするのは気のせいなのだろうか?

そう思いながら会長を見ると、何か発言するようだった。

 

「この少子化問題、我々生徒会も出来る限りの事をしよう」

 

「と言うと?」

 

「将来性行為をする際は常に○出しだ!」

 

「俺の嫌な予感はこれか!!」

 

 

よく恥ずかしがらずに言えるものだ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、今日も片付けをするとしようか!」

 

「「はい!」」

 

「うん」

 

 

放課後になって片付けの続きを始める。

 

「そう言えば津田、お前少し縮んで無いか?」

 

「気のせいでしょ。そう言えば俺の妹も来年此処を受験するんですよ」

 

「へぇ~………」

 

 

それ以降は無駄話せずに片付けを進めていった。これだけ片付けば明日には終わるだろう…

 

「一応確認するが…」

 

「何です?」

 

「想像上の妹じゃ無いよな?」

 

「実際に居るっての……」

 

 

想像上の話をして意味なんかあるのだろうか……




分からない人のために説明すると……
津田のボケはにゃんこい!のアイキャッチでのアドリブのセリフで、畑さんはとある魔術の…並びにとある科学の…で登場する白井黒子で、萩村のボケはハヤテのごとくの瀬川泉の夏休みの宿題で書いた解答で、アリアは氷菓の千反田えるで、シノは妖狐×僕ssの雪小路のばらです。
ちなみに次回に続くネタもありますので……


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芽生える気持ち

10話目です


片付け2日目、俺たちは朝や昼休みも使う事にした。

 

「この荷物重いわね……」

 

「七条先輩、俺がその荷物運びますよ」

 

「そう?」

 

「ええ、これくらいしか役に立てませんからね」

 

「そんな事無いけど……でもやっぱり男手があると助かるわね」

 

「力仕事なら任せてください」

 

 

自分で言ってて情けないが、生徒会の中で俺が役に立てるとしたらこれくらいしかな無いからな……本当に自分で言ってて情けないよ……

 

「なら君のその力、試させてもらおう!」

 

「会長?」

 

 

荷物を生徒会室に運んだら会長が後ろから話しかけてきた……さっきからつけて来ていたのは分かってたが、用があったのか?

 

「今日の私は重い日だからな!」

 

「……それが何かは知りませんが、1月に1回あるって言ってたのでそろそろだとは思ってましたよ」

 

 

本当に何が重い日なんだろうか……

 

「ところで津田」

 

「何です?」

 

「お前やっぱり縮んで無いか?」

 

「気のせいですよ」

 

「そうか……?」

 

 

この歳で縮む訳無いのに、会長っておかしな人だな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昼休み、弁当を食べながらのおしゃべり。

 

「最近ドライアイでな」

 

「大変ですね」

 

「シノちゃん、それって何?」

 

「何だ、アリアは知らないのか。では教えてやろう」

 

 

そう言ってホワイトボードに文字を書き始める会長……口で説明するのは駄目だったのだろうか……

 

「当てはまる文字を答えなさい」

 

ま○こが濡れにくい

 

 

何故にクイズ形式……しかも悪意が感じられるのは気のせいだろうか……

 

「シノちゃん!」

 

「如何したアリア」

 

「さすがに津田くんを前にアレを言うのは勇気が居るよ」

 

「ハッハッハ、アリアは引っかかったようだな」

 

「?」

 

「津田、答えは何だ」

 

「な、ですよね」

 

「そうだ。答えは(まなこ)が濡れにくいだ!」

 

「そうなんだ~勉強になったよ。てっきりマン……」

 

「「うわ~~~~~~~」」

 

 

萩村と声を揃えて七条先輩の発言を止める……片付け前に疲れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「萩村、フランス語の勉強してるの?」

 

 

七条先輩が食べ終わるまで各自自由にして良いと言われたので、俺は課題を片付けていたのだが、萩村は別の勉強だったようだ。

 

「高校卒業したら留学しようと思ってね」

 

「大学は行かないの?」

 

「入学してすぐ留学出来る大学に行くのよ」

 

「なるほど……」

 

「フランス語以外にも英語、イタリア語、スペイン語と5ヶ国語話せるわ!」

 

「俺は英語で手一杯だよ……」

 

 

やっぱり萩村は頭良いんだな……

 

「国際化の世の中ですものね。私も2ヶ国語話せるわ」

 

「へぇ~……」

 

 

この人居たんだ……2ヶ国語って事は英語かな?この人は英語教師だし、英語が話せてもおかしくは無いもんな……

 

「はぅ~ご主人様、ゴメンなさいですぅ~~~~」

 

「……何語?」

 

「……異次元語よ」

 

「……つまり2次元?」

 

「そうね……」

 

 

国じゃ無くて次元を超えたのか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「シノちゃん、昨日のドラマ見た?」

 

「ああ、主人公の母親が実母では無かったのは驚きだった。まぁ、ああ言った出生の秘密はドラマの中だろうな。実際にあったらさぞかし辛い事だろうし……」

 

「私は出生の秘密聞かされたよ」

 

「何と!」

 

「私が○付けされた時って青△だったんだって」

 

「アリアのご両親はアウトドア派なんだな」

 

 

……会長、ツッコミがなってませんよ……作業中に偶々近くを通ったらとんでも無い話をしていた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして翌日……

 

「かいちょう、おはようございます!」

 

「津田……だよな……」

 

「なにいってるんですか。おれはつだたかとしですよ」

 

「鏡……見た方が良いぞ?」

 

「かがみですか?」

 

 

私は津田と名乗る子供をトイレまで抱えていき鏡の前に立たせた。

 

「べつにおかしなところはありませんよ?」

 

「嘘吐け~!」

 

「会長?如何しました」

 

「シノちゃん?」

 

「萩村、アリア、この子は誰だと思う?」

 

「誰って、津田ですよね」

 

「どっから如何見ても津田君よね」

 

「へんなかいちょう」

 

「さっきから漢字変換されて無いんだぞ!?」

 

「シノちゃん、そう言うメタ発言は駄目よ?」

 

「私がおかしいのか……?」

 

 

朝の片付けの間、私は津田だと名乗る男の子の事を観察していたが、誰1人として疑問に思う人は居なかった……絶対おかしいのは津田の方だと思うんだが……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして昼休み……

 

「会長……」

 

「津田!?」

 

「な、何です……」

 

「元に戻ったのか!?」

 

「……はい?」

 

「それとも今来たのか!?」

 

「何言ってるんですか、俺は朝から居ましたよ」

 

「あら津田君、そんな所に立って何してるの?」

 

「いや、会長が変な事聞いてきたんで……」

 

「変な事?」

 

 

やっぱりアリアも普通にしている。……あれは夢だったのだろうか。

 

「あら津田、アンタの方が先だったのね」

 

「まあ、男と女じゃ移動スピードが違うからな」

 

「それは私が小さいって事か~!って誰が小さいか~!!」

 

「何も言ってないだろ!?」

 

 

津田と萩村がコントをしているがそんなの気にしてる余裕は私には無かった。あの小さい津田は何だったんだろう……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふう、重いな……」

 

 

シノちゃんやスズちゃんみたいに小さかったら楽なんだろうけど、如何して私の胸はこんなに大きいんだろう……

 

「先輩、重いんなら俺が持ちますよ」

 

「ええっ!津田君、それはセクハラだよ!!」

 

「ん?……荷物を持つのがセクハラなんですか?」

 

「え?……ゴメンなさい。私が重いって言ったの、胸の事なの」

 

「そうだったんですか。それなら俺が持ったらセクハラですね」

 

「そうね。……別に津田君なら良いけど(小声)」

 

「七条先輩、何か言いましたか?」

 

「ううん、この荷物持ってくれるって言ったのよ」

 

「そうですか……それじゃあ荷物は持って行きますね」

 

「お願いね~」

 

 

津田君が教室から居なくなってから私は1人ため息を吐く……私ってば、何を言うつもりだったのかしら……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「皆、片付けご苦労だった」

 

「これ、アイス」

 

「ええ!!」

 

「何先生っぽい事してるんですか……」

 

「先生だよ!?」

 

 

横島先生をからかって追い返したあと、カレンダーにチェックをしている会長を発見っした。

 

「さて、明日から我々2年は修学旅行だ!生徒会長の私が学校を離れるのは不本意だが、行事なので仕方ない」

 

「……仕方の無い事ですか?」

 

「うん」

 

 

……すっごく楽しみなんだろうな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「会長って意外と子供っぽいんだな」

 

 

廊下で萩村と2人で話している時に、さっきの会長の事を話題にした。

 

「そうね……大人っぽい人が子供っぽい仕草をすると可愛らしいけど、子供っぽい人が大人っぽい仕草をすると小生意気に思われるのは何でかしら……ねぇ?」

 

「別に思って無いよ……最近は」

 

 

会長と七条先輩が明日から居ないなら、少しは楽出来るかな……ツッコミ的な意味で!




1番にフラグが建ったのはアリアでした。原作では漸く建ったアリアフラグですが、この作品ではさっさと建てちゃいました。

ちなみに身体が縮んだ津田の元ネタですが、明日のよいち!の鳥谷恵太です


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修学旅行 2年生編

修学旅行の話です。


「到着だ!」

 

「シノちゃん楽しそうだね」

 

「せっかく京都に来たんだ、楽しまなきゃ損だろ」

 

「そうだね~」

 

「金閣寺、本能寺、銀閣寺、そして大人の遊び……」

 

「ねぇシノちゃん、大人の遊びで思い出したんだけど、野球拳ってあるじゃない?」

 

「あるな」

 

「あれって下から脱いでいっちゃ駄目なのかな?」

 

「上からだろ、普通は」

 

「でもこう、扇情的じゃない?」

 

「なるほど……これは男子の意見も聞きたいな」

 

「ツッコミの津田君不在のため、ボケが止まらない会長と七条さん……アリね!」

 

「ママーこのお姉ちゃん変だね~」

 

「見ちゃいけません!」

 

 

誰がモノローグ担当するんだ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これが金閣寺かー」

 

「凄い綺麗だねー」

 

 

津田君が居ないから、モノローグは私が担当します。シノちゃんは金閣寺に見とれてるけど、実際全部が金ぴかだと、意外と感動しないのよ?

 

「せっかくだし写真撮る?」

 

「良いのか!」

 

「良いよー。それじゃあ金閣寺をバックに……」

 

「如何した?」

 

「自分で言っててエロスを感じてたの」

 

「なるほど……確かにエロスだな!」

 

 

津田君が居ればツッコミがあったかもしれないけど、私たち2人だとこうなっちゃうよね。

 

「じゃあ、撮るよ~」

 

「ああ!」

 

 

シノちゃんがピースをして準備万端、シャッターを切ろうとしたら鳥がシノちゃんの後ろにとまってしまった。

 

「少し場所を移すか……」

 

「そうだね~」

 

 

鳥さんには悪いけど、今はシノちゃんと金閣寺の写真を撮りたいの、邪魔しないでね?

 

「はいチーズ」

 

「クェー!」

 

「むっ!」

 

 

再び鳥さんがシノちゃんの後ろにとまる……ひょっとして狙ってるのかな?

 

「仕方ない、諦めよう」

 

「そうだねー」

 

 

そう言うと鳥さんは何処かに飛んで行っちゃったの……今がチャンス!

 

「はい!」

 

「クェー!」

 

「何なんだ、この鳥はー!」

 

 

結局写真は撮れなかった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「本能寺だ!」

 

「シノちゃん、随分と浮かれてるね」

 

「何を隠そう、私は織田信長のファンなのだ!」

 

「そうなんだ~」

 

 

歴史上の偉人のファンって、本当に居るんだね~。

 

「鳴かぬなら 殺してしまえ ホトトギス」

 

「本当に殺しちゃ駄目だよ?」

 

「信長を例えた時の有名な一句だ」

 

「それくらい知ってるよ~」

 

 

シノちゃんは浮かれすぎておかしくなってる……

 

「いざ、本能寺へ!」

 

「こっちだよ~」

 

「おっと!」

 

 

シノちゃんと一緒に本能寺を見に行く。正直私はそんなに興味無いんだけどな~……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こ、工事中……だと?」

 

「あらあら~」

 

 

せっかく来たのに残念ね~。シノちゃんは見られないショックで工事現場のおじ様に襲い掛かってたけど、それは駄目よ。

 

「偶に居るんですよ、こう言った人が」

 

「そうなんですかー」

 

 

そんな頻繁に居たら、工事現場も大変ね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本能寺は残念だったけど、その他は概ね満足出来る内容だった。明日は奈良公園で鹿と戯れるのよね、楽しみだわ。……あれ?鍵が見当たらないわね~……

 

「ねぇシノちゃん、私の鍵、知らない?」

 

「鍵?……何のだ?」

 

「貞○体」

 

「さすがに知らん」

 

「おかしいな~」

 

 

鞄の中を全部確認したけど、結局鍵は見つからなかった……しょうがない、予備の鍵を持ってきてもらおう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なあアリア、さっきからボケーっとして、如何したんだ?」

 

「あっそうか!」

 

「何だ?」

 

「自分で洗わなきゃいけないのよね!」

 

「お嬢様過ぎる……」

 

「なるほど、普段は自分で身体を洗っていない……これはスクープ!」

 

 

さっきから誰かに見られてる気がするのよね……津田君は、私の裸、見たいのかな……あれ?私、何で急に津田君の事を思ったんだろう……

 

「アリア、如何したんだ?」

 

「ちょっと興奮しちゃって……」

 

「気分は野外露出だな!」

 

「そうだね~」

 

「………」

 

「………」

 

「ツッコミが居ないと、何か調子狂うな」

 

「そうだね~」

 

 

津田君って偉大だったのね。改めてそう思ったわ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「旅館のご飯って美味しいわね~」

 

「そうだな、これも旅行の醍醐味だな」

 

 

お風呂から出て、晩御飯を食べていたら……

 

「脱衣所にあった忘れ物でーす!」

 

「!?」

 

 

忘れ物を見て、シノちゃんが何故かショックを受けている……あっ!

 

「あれ、私のだ~。普段は着けてないから忘れちゃった~」

 

「着けない方が良いのか!?」

 

「何が~?」

 

「次の忘れ物でーす!」

 

 

まだ忘れ物があるんだ。皆意外と子供なのね……あっ!

 

「それも私のだー。家では穿かないから忘れちゃった」

 

「「「!?」」」

 

 

あれ?クラスメイトも、シノちゃんも、そんな顔して如何したんだろう?

 

「次の忘れ物でーす///」

 

 

次はさすがに私のじゃ無いよね……あっ!

 

「私の貞○体」

 

「ちゃんと管理しろよー!」

 

 

シノちゃんのツッコミって、何だか新鮮ね。

 

「次の忘れ物でーす!」

 

 

明らかに誰のものか分かる忘れ物だった……

 

「私のじゃ無いですよ?」

 

「なら、データ消しても良いよね」

 

「うわーん!」

 

 

やっぱり畑さんのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2日目、夜に枕投げをして進入してた畑さんのカメラを没収した事件はあったが、その他は特に問題無く朝を迎えた。

 

「今日は鹿との戯れね!」

 

「戯れって、何だかエロいよな!」

 

「そうね!」

 

「………」

 

「……津田君とスズちゃんが居ないと何だか締まらないわね」

 

「ア*ルは締まってるがな!」

 

「そうだね!」

 

 

結局グダグダだった……津田君に会いたいな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これが鹿煎餅か」

 

「上に挙げるとお辞儀してくれるのよ」

 

「そうなのか。ならば……」

 

 

シノちゃんは鹿の前で煎餅を高く上げた。すると鹿が頭を下げて煎餅を強請った。

 

「おお!」

 

「可愛いわね~」

 

「くすぐったいぞ」

 

 

シノちゃんの持っていた鹿煎餅を食べ終えて、その指に残っていたカスも舐め取る。

 

「意外とテクニシャンだな」

 

「興奮するわね」

 

「「「………」」」

 

 

鹿が一斉に呆れたように見えたけど、きっと気のせいだね。

シノちゃんの指を舐めていた鹿が急に飛び上がってシノちゃんに跨って腰を降り始めた。

 

「も、もう満腹なのかー!?」

 

「おなかいっぱいになったら今度は運動だよね!」

 

 

思わぬ光景を目に出来て、私は奈良公園を満喫した。明日には帰るけど、お土産も買ったし、津田君やスズちゃんにも会えるし、これで良かったんだよね。




2年生の話は、原作ではアニメだけだったので、あやふやな記憶で書きました。何かおかしな点があるかも知れませんが、ご了承くださると幸いです。


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修学旅行 1年生編

連続でいきます!


「おかしいわね」

 

 

生徒会室に来たら、萩村がドアの前で唸っていた。

 

「如何かした?」

 

「七条先輩から預かった鍵、このドアのじゃないみたいなのよ」

 

「ちょっと見せて」

 

 

萩村から鍵を受け取り、鍵穴を覗き込んで型を確認する。確かにこのドアの鍵じゃ無いようだ。

 

「いったい何の鍵なんだろう」

 

「これじゃあ仕事出来ないわね」

 

「どっちかの家でする?」

 

「各自、家ですれば良いでしょ」

 

「そうだね」

 

 

生徒会室に入れないので、今日の仕事は各自が家で処理する事になった。こんな時間に家に帰るのは久しぶりだな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、やるか!」

 

 

部屋の机に向かい、生徒会の仕事を始めようとしたら……

 

「タカ兄、お母さんが餃子包んでってさ」

 

「え、俺生徒会の仕事が……」

 

「よろしくー」

 

 

何だよ……せっかく人がやる気だしたって言うのに。思いっきり出鼻を挫かれたぞ……

 

 

 

 

 

 

「我ながら見事な包み具合だ!」

 

 

結局餃子を包んでしまった……まあ、俺も食べるから良いんだけどね。

 

「タカ兄、次はお風呂掃除だって」

 

「お前が言われたんじゃ……」

 

「よろしくー」

 

「おい!」

 

 

コトミのヤツ、絶対に俺じゃ無くって自分が頼まれたんだろ……

 

 

 

 

 

 

 

「汚れなく、綺麗になった!」

 

 

こっちも結局掃除しちゃうんだよね……

 

 

 

 

 

 

 

「よし、今度こそやるぞ!」

 

 

夕飯を食べ、今度こそ生徒会の仕事に取り掛かろうとしたら……

 

「タカ兄ぃ」

 

「今度は何だ!」

 

 

見計らったようにコトミが部屋を訪ねてきた。若干涙目なのは何故だ……

 

「部屋の模様替えしようと思ったら……」

 

「何で今、しようと思ったんだ……」

 

 

コトミの部屋はグチャグチャに散らかっていた。

 

「明日、小テストがあるの……それで気分転換にと思って……」

 

「ちゃんと勉強しろよ……」

 

 

現実逃避のために模様替えをしようとしたのか……現実はそんなに甘くないんだぞー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「終わった」

 

 

結構あった書類だったけど、私の手にかかればこんなものよ!

 

「津田はちゃんとやってるんでしょうね?」

 

 

真面目だけど、何処か抜けてるのよね。津田って。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで、何でこんなに終わってないの!」

 

「ゴメン……」

 

 

結局あの後2時間くらいコトミの部屋の片付けをして、その後少しは仕事をしたんだけど終わらなかった。萩村はさすがに全部終わってるみたいで、俺は素直に怒られているのだ。

 

「何か理由でもあるの?」

 

「言っても言い訳にしかならないよ……」

 

「いいから」

 

 

萩村に促され、俺は昨日あった事を素直に話した。

 

「……なんて言うか、アンタって不運なのね」

 

「同情してくれてありがと……」

 

「でも、これじゃあ今日も同じ事になりそうね……」

 

「教室に残ってやってくよ」

 

「また何か起こるわよ?」

 

「ありそうだね……」

 

 

先輩たちは居なくても、まだあの先生が居る。

生徒会顧問横島ナルコ先生。今、この学園の中で1番問題のある人だ。

 

「それじゃあ私の家に来る?」

 

「萩村の?」

 

「私の家なら資料もあるし、誰にも邪魔されないと思うけど?」

 

「そうだね……それじゃあお邪魔します」

 

「じゃあ、行きましょうか」

 

 

萩村と一緒に教室を出て下駄箱に向かう。それにしても、女の子の家って初めてかも知れないな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっ、コンビニ寄っても良い?」

 

「良いけど」

 

「ルーズリーフがきれてたの忘れてたわ」

 

「行ってらっしゃい」

 

 

萩村の家に向かう途中、コンビニに萩村が寄った。俺が悪いんだから、そこまで気にしなくても良いのにな……

 

「スミマセン(スペイン語)」

 

「ん?」

 

 

何か話しかけられてるんだけど、何を言ってるのか分からない……英語と日本語し分かんないよ……

 

「津田、如何したの?」

 

「萩村。多分道を聞かれてるんだろうけど、英語じゃ無くて分かんないんだ」

 

「あれはスペイン語ね。任せて」

 

 

そう言って萩村は男性にスペイン語で対応し始めた。やっぱり天才なんだな……

 

「ありがとう、お嬢ちゃん(スペイン語)」

 

「私はお嬢ちゃんじゃなーい!」

 

「!?」

 

 

いきなり日本語で騒ぎ出した萩村に、ちょっとビックリした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「此処が私の家よ」

 

「デカイな~」

 

 

コンビニから少し歩いて、萩村の家に着いた。

 

「お帰りなさ~い」

 

「お邪魔します」

 

 

お母さんだろうか。萩村に似ている女性が奥から現れた。

 

「……娘が何時もお世話になってます」

 

「タメだよ!」

 

 

萩村って、家でもこんな扱いなんだ……

 

「上がって」

 

「ああ、お邪魔します」

 

 

リビングに通され、萩村は着替えるために部屋に向かった。つまり此処で待ってろって事か…… 

リビングの柱には、何かを測ったような傷跡がある……萩村も容姿相応な事を……ん?

 

目標

 

 

泣ける……

 

「お待たせ」

 

「え、ああ」

 

「?」

 

「それじゃあ仕事しよっか」

 

「そうね。こっちよ」

 

 

萩村の後ろについていき、階段を上がって部屋に通される。

 

「………」

 

「………」

 

「「ボケる人が居ないと、調子狂う」」

 

 

まさか萩村と同じ事を思ってたとは……

 

「そう言えば、萩村の私服姿って初めて見たかも」

 

「ちなみに、そこらへんの服じゃ無いわよ」

 

「ブランド品?」

 

「すべてオーダーメイド!」

 

「そっか……」

 

 

涙が出てきそうなのはキット気のせいだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これはあの資料がいるわね……」

 

 

萩村が椅子を引っ張ってきて高い場所を探している……探しているんだけど……

 

「ふー!」

 

「萩村?」

 

「手出し無用!」

 

「そうじゃなくって、高さあわせるから、一旦降りなよ」

 

「え?」

 

「俺が取るなんて野暮な事しないから」

 

「あ、ありがとう……」

 

 

ん?何で萩村の顔が赤くなってるんだ?

 

「え、っとっとっと……」

 

「萩村?」

 

 

バランスを崩し、萩村が俺の上に降ってきた。見た目通りなので、そこまで重くないが、これを誰かに見られたら誤解されそうだ……

 

「津田君、何か食べたいものは……」

 

 

何でこうタイミング良く現れるのかな……

 

「………」

 

「あ、あの。これは、その……」

 

「もう、満腹かー!」

 

「「他に言う事あるだろうがー!!」」

 

 

こうして色々あったが、何とか仕事も終わり、明後日には会長たちも戻ってくるから、生徒会室の鍵も見つかるだろう。

 

「何だか悪かったわね……」

 

「気にしないで良いよ。元はと言えば、俺が仕事を終わらせられなかったのが原因だし」

 

「そっか……」

 

「萩村?」

 

「何でもない///」

 

「そう?」

 

 

顔が赤い気がするけど、それを指摘すると怒られそうだから止めとこう。

こうして先輩たちの居ない生徒会はしっかりと仕事を終え、問題無く生活出来た……いや、何か面倒な事になった気もするんだよな……




スズフラグも建ちましたね……2年生編で完全にアリアがタカトシの事を意識してますが、スズはまだ気付いていません。
これから如何なるのか……お楽しみに。


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お土産と新発見

京都のお土産かー……高校で京都って変ですよね?しかも私立で。


先輩たちが京都から帰ってきて、再び4人で生徒会の仕事をする事になった。

 

「修学旅行のお土産だ」

 

「ありがとうございます」

 

 

あれ?昼休みに呼ばれたのって、お土産を渡すためだったの?

 

「それで、津田になんだが……その、異性にお土産を渡すのが初めてでな。君の好みにあうかどうか……」

 

「別に気を使わなくとも、心が篭ってればなんでも良いですよ」

 

 

異性だからって別段気にしなくても良いのに……会長も意外と初心なんだな。

 

「そうか。ならこの、『舞妓のおしろいは白濁液』と言う小説を……」

 

「悪意が篭ってますね……」

 

 

何の嫌がらせなんだか……

 

「それじゃあ津田君、これは私からのお土産よ」

 

「ありがとうございます」

 

 

七条先輩から手渡されたのは紙袋……何でこれだけで嫌な予感がするんだろうか……

 

「えーっと……布?」

 

「それは、私が修学旅行初日につけてたブラジャーとパンティーよ」

 

 

これをもらって如何しろと?

 

「シノちゃんの小説でムラムラして、私の下着でスッキリしてね♪」

 

「さすがアリアだ。お土産にもユニークさを忘れないとはな!」

 

「あんたら順番に説教だよ!」

 

 

当然受け取れないので返した。……萩村の視線が鋭くなってるのは気のせいだと思いたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昼休みは津田君に怒られちゃったけど、私はしっかりと見ていた。私のブラジャーをまじまじと見ていた――

 

「大きかったですね……」

 

「ああ、初日に見てへこんだぞ……」

 

 

――スズちゃんとシノちゃんの姿を!

 

「そう言えば私たちが居ない間、何も無かった?」

 

「七条先輩から預かった鍵がこの部屋のじゃ無かったので、それぞれの家で仕事しましたが、それ以外は大した事は無かったですね」

 

「スズちゃん、本当?」

 

「……ええ///」

 

 

スズちゃんの顔が赤くなった。これはつまり……

 

「津田君!」

 

「はい?」

 

「私たちが居ない間、スズちゃんと何があったの!?」

 

「萩村と?……まぁ、萩村の家には行きましたが」

 

 

お家に行ったですって!?

 

「ナニをしたの?」

 

「はい?」

 

「ナニをしたの!?」

 

「さっきから『何』のイントネーションおかしくないですか!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

書類の整理をしていたら畑さんがやってきた。

 

「記事用の写真が余ったので献上しにまいりました」

 

「見せて見せてー」

 

「私も見たいです」

 

 

七条先輩と萩村が畑さんに近づいていく……俺の腕を引っ張って。

 

「えっと、何ですか?」

 

「ん?如何したのかな?」

 

「いや……萩村も如何した?」

 

「何がよ?」

 

「だって、2人とも俺の腕を引っ張ってるし……」

 

「「あっ!」」

 

「……もしかして無意識だったんですか?」

 

 

俺に指摘され慌てて手を離す七条先輩と萩村……これは無意識っぽいな。

下手に意識するのもアレなので、俺も写真を見ることにした。え~っと……

 

「会長は何処に写ってるんですか?」

 

「此処に居るではないか」

 

「何処?」

 

「ほら、此処に」

 

 

会長もこんな風に笑えるんだなー……てっきりドS風かドM風にしか笑えないと思ってた……意味はよく分からないが、柳本がそんな事を言っていたのを思い出したのだ。

 

「あっ、会長が寝てる」

 

「こら!人の寝顔を勝手に見るとは何事だー!」

 

「スミマセン!」

 

 

写真を捲ってたら出てきたんだけど、確かに勝手に見ていいものでは無かったな……

 

「そうよ、それは有料よ」

 

「え?」

 

 

まさか、この人商売してるんじゃないだろうな……

 

「ちなみにどれくらい売れました?」

 

「ざっと50は行きましたかね」

 

「よし押収だ!」

 

「新聞部で売ってたんですか?それとも貴女個人で売ってたんですか?」

 

 

萩村も畑さんの尋問に加わってくれた。正直俺1人では荷が勝ちすぎていたからな……萩村が加わってくれて心強いな。……なんだか俺って情けない。

 

「うわーん!せっかく売れたのにー!!」

 

「正直に白状すれば予算カットだけは勘弁してあげますよ?」

 

「1人1人にお金を返してくださいね」

 

「それで、写真の方は……」

 

 

萩村と目を合わせて頷きあう……

 

「「そのままに決まってるでしょうが!」」

 

「うわーん!焼き増し代掛かってるのにー!!」

 

 

畑さん、赤字決定の瞬間だった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

畑さんを追い出し、置いていかれた写真を見る。

 

「やはり、清水寺に行けなかったのが心残りだな」

 

「シノちゃん高いところ苦手だもんねー」

 

 

そう言えばそんな設定あったな……清水寺は思いのほか高いところに建っているし、会長は駄目だったのか……

 

「でも、そんなに高いところ駄目なんですか?」

 

「高いところに行くと、身体の力が抜け、全身が震えだすんだ」

 

「そうなんですか、大変ですね」

 

 

此処で会話を終わらせないと、何か面倒になりそうな気がしたので、強引に終わらせようとしたが……

 

「それはまるで、常に絶頂状態!」

 

「それはそれで良いんじゃない?」

 

「良くねぇーよ!」

 

 

この2人には俺の気持ちなど分からないか……せっかく強引に終わらせようとしたのにな。

 

「本当、アンタは良くやってるわよ……」

 

「うん、同情ありがとう……」

 

 

萩村に慰められてしまった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シノちゃんがお土産を渡した相手から感想を聞いている。スズちゃんには生八ッ橋、横島先生には木刀、後輩Aには携帯ストラップ……など、シノちゃんは沢山の人にお土産を渡していたのだ。

それにしても、木刀って何処のお土産屋さんでも見かけるけど、使い道ってあるのかしら?

 

「七条先輩、何してるんですか?」

 

「あっ、津田君。私のあげたお土産は如何?」

 

「……返しましたよね?」

 

「コッソリと鞄の中に入れたの!」

 

「は?……うわっ、マジで入ってるよ!」

 

「それを被って津田君が……」

 

「被んねぇよ!」

 

「じゃあ穿くの?」

 

「穿きもしねぇっての!」

 

「………」

 

「七条先輩?」

 

「何か、罵倒されるのも悪く無いわね」

 

「……処置無しだな」

 

 

津田君は紙袋を置いていって何処かに行っちゃったけど、津田君になら私、罵倒されても良いかもしれないわね。

 

「しかも、津田君ってMだと思ってたけど、意外とSなんだな~。これは新たな発見かも♪」

 

 

私はどっちでもいけるし、津田君が望むなら何でもするつもりよ。……やっぱり津田君の事を考えると濡れるわね。




完全にアリアとスズはタカトシを意識してます。
もう少しでシノフラグも建つかな?


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気崩した結果

眠いです……


生徒会書記、七条アリア先輩。いいところのお嬢様らしいのだが、良くありがちな近づきにくさは無く、綺麗で優しくスタイルの良さで共学間もないにも関わらず男子の間で人気の高い人だ。

 

「(でも、あの発言をされるとそんな風に思えないんだよな)」

 

 

普段の七条先輩は、如何やら下ネタ発言しないらしく、俺がいくら言っても男子たちは信じてくれない……夢見るのも良いが現実も見ようぜ。

そんな事を考えていたら、階段下に七条先輩が居るのに気付けなかった。手を振ってるが、もしかしてさっきから振ってたのだろうか……それだったらかなり失礼だったよな。

 

「スミマセン先輩、ひょっとして結構前から手を振ってくれてました?」

 

「ううん、今さっき気付いたとこだよ」

 

「そうですか……ちょっと考え事してたもので」

 

「そうなんだ~」

 

「ところで、先輩は何をしてるんですか?」

 

 

階段の前で立ち尽くす理由が分からなかったので、俺は素直に聞くことにした。

 

「あっそっか!」

 

「何です?」

 

「学校はエスカレーターじゃ無いんだよね」

 

「よく今まで気付かなかったな……」

 

 

貴女2年生でしょうが……天然なのか、お嬢様過ぎるのか分からない発言をされ、俺は盛大にため息を吐いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

廊下を歩いていたら今度は会長と出会った。生徒会室に向かう廊下だから出会っても不思議では無いので、俺は会長と一緒に生徒会室に向かう事にした。

 

「それにしても暑いですね~」

 

「そうだな~」

 

 

5月なのにこの暑さ……地球温暖化か此処まで進んでしまったのか。本当なら思いっきり着崩したいのだが、校則違反を生徒会役員自らする訳にも行かないので我慢している。

 

「会長は暑くないんですか?」

 

「私だって暑いと思ってるさ」

 

「じゃあ着崩しても良いですか?」

 

「それは駄目だ」

 

「暑いんですよね?」

 

「だからと言って生徒会役員がそれでは示しがつかんだろ」

 

 

会長は普段と変わらない顔で普段通りの服装をしている。本当にこの人も暑いと思ってるんだろうか……

 

「だから私は校則に違反する着崩しはしない!」

 

「生徒の長ですもんね」

 

 

生徒会長は伊達じゃないんだな~。

 

「したがって、見えないところで着崩している///」

 

「照れるなら言わなきゃ良いのに……後、暑過ぎて頭おかしくなってません?」

 

 

見間違えじゃ無きゃ頭から湯気出てるし……やっぱり暑いんですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

生徒会室に着いたら、萩村が机に突っ伏していた。

 

「萩村、寝ちゃってますね」

 

「仕方ないだろう……会議だが休ませてやるか」

 

 

萩村は昼寝しないと体がもたないって言ってたし、寝てるのを無理矢理起こすのも気が引けるからな……

 

「では今回の議題だが」

 

 

会長は萩村の事を気にしながらも会議を始めた。まあ、俺と七条先輩のどちらかが後で教えれば良い事だしな……

 

「よし、今回はこんなところかな」

 

 

会議も終わり、会長がふぅっと一息吐いた丁度その時……

 

「では部費の予算の割り当ては私がやっておきます」

 

 

起き抜けに萩村がそう言った。

 

「そうか、任せるぞ」

 

「分かりました」

 

「さすが天才……」

 

 

睡眠聴取出来るとは……会長も特に気にした様子も無く会話してたから、最初から知ってたんだろうな。あれ?……じゃあ何で寝てる萩村を心配そうに見てたんだ?

聞こうと思ったが、また変な事を言われたら大変なので、此処はスルーしておこう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後、見回りのためにウロウロしていたらクラスメイトの三葉が居た。

 

「あっ、タカトシ君!」

 

「三葉、柔道部の調子は如何?」

 

「おかげさまで順調だよ」

 

 

そっか。発足まで色々あったが、今では順調に事が進んでいるようで安心した。

 

「でも、部長ってポジションが大変でね~」

 

「何か問題でも?」

 

「備品そろえるために部費のやりくりとか」

 

 

ん?

 

「胴着の他に何か必要なのか?」

 

 

必要経費なら生徒会に申請してくれれば幾分考慮してくれるんだが……柔道部が胴着以外に何が必要なんだろう……畳は学校が準備してくれたはずだし、照明も武道場に完備されてるよな?

 

「ひもぱん」

 

「は?」

 

 

それが柔道に如何繋がるんだ?

 

「下着のライン隠すのに必要だって」

 

「……それ、誰に聞いた?」

 

「七条先輩」

 

「またあの人か!」

 

 

あの人の発言を真に受ける三葉にも少なからず問題があるが、それ以上にあの人のテキトー発言の方が問題だ。

俺は三葉にそれは必要ないから気にしなくて良いと言ってその場から移動した。もちろん七条先輩に説教するために……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの後七条先輩を見つけ軽く説教して生徒会室に戻ったら、そこには三葉が居た。如何やら会長に相談してるようだな。

 

「先日2年の先輩が入部してくれたんですが、部長を代わった方が良いのでしょうか?」

 

「無理に年功序列にする必要は無いだろ。それに君は経験者なんだろ、それなら君が部長のままで良いんじゃないか?」

 

「そうですかね?」

 

「未経験のチェリーが百戦錬磨のお姉さんをリードしても様にならないからな」

 

「?」

 

「アンタいきなり何言い出すんだよ!」

 

 

ピュアなのか、三葉は会長の発言を尊いものだと思って頷いたが、途中までは兎も角最後は頷くところでは無い。俺はたまらず大声でツッコミを入れた。

 

「だってそうだろ?」

 

「そう言う話をしてんじゃねぇよ!」

 

 

結局グダグダで相談は終了した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

生徒会室で作業しているが、此処って暑いんだよあ……無理しても仕方ないしネクタイ抜いて上着を脱ぐか。

 

「あっ、津田君」

 

「何です?」

 

「そんな風に気崩してたらシノちゃんに怒られるぞ」

 

「無理して倒れた方が問題ですよ。今は室内に居ても熱中症になるんですから」

 

 

それに、此処なら殆どの生徒には見られないので問題にはならないだろうな。

 

「そっか、じゃあ私も」

 

 

そう言って七条先輩も上着を脱ぎ、リボンを外し、更にボタンも外して行く……って、ちょっと待て!

 

「何処まで脱ぐんですか!」

 

「津田君なら見られても平気だし」

 

「そう言う問題じゃねぇよ!」

 

 

俺はたまらず生徒会室から逃げ出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

生徒会室に向かっていたらネクタイを抜き、上着を脱いだ津田が生徒会室から走り去って行った。何があったんだ?

 

「あ~あ、逃げられちゃったか」

 

 

アリア~……お前、神聖なる生徒会室で何をしようとしたんだ。




原作ではアリアが逃げ、タカトシが誤解されるんですが、この作品ではタカトシが逃げてアリアが疑われるようにしました。


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幕間での出会い

今回は原作に無い話です


生徒会室から逃げ出して暫くした後、自分の格好が思いっきり校則違反だと言う事に気が付いた……仕方ない、生徒会室に戻るか。

 

「ちょっとそこの男子!」

 

「はい?」

 

「服装がだらしないわよ!」

 

「ああ……」

 

 

やっぱり注意されたか……噂では今の風紀委員長は校則違反者には厳しいって言うからな、風紀委員に見つかったのなら此処は素直に怒られよう……

 

「って、貴方は生徒会の……」

 

「ん?」

 

 

俺の事を知っているのか?

 

「何処かで会った事ありましたっけ?」

 

「何言ってるんですか、貴方はこの学園で一番有名な男子生徒なんですよ」

 

「俺が?」

 

 

特に目立つような風貌をしてる訳でも無いし、飛びぬけて運動や勉強が出来る訳でも無いのに、何故だ?

 

「あの~ところで……」

 

「何ですか?」

 

「遠くないですか?」

 

「!?」

 

 

近づこうとしたら近づいた分だけ逃げられてしまった……何でこの人は俺を避けるんだろう……知らない間に何かしてしまったのだろうか。

 

「おや~?」

 

「あっ、畑さん……」

 

「これはこれは風紀委員長、早速噂の生徒会副会長をチェックですか~?」

 

「噂?」

 

 

てか、あの人が風紀委員長だったのか……

 

「学園で一番ツッコミ上手な苦労人副会長津田タカトシ、見出しはこれで如何かしら?」

 

「あながち間違っては無いですが、内容が酷いので没収です」

 

「うわ~ん、結構渾身な出来だったのに~」

 

「それで、俺にまつわる噂ってどんなのですか?」

 

 

どうせろくな事では無いんだろうがな……

 

「次々と女子生徒を落としていく無自覚ラブハンター」

 

「その噂の出所は?」

 

「ん」

 

「おや~私ですか~?」

 

「ちょっと別室で話しましょうか?」

 

「いや~ん犯される~」

 

「そんな事しねぇよ!」

 

 

何で生徒会以外でもこんな人が多いんだ、この学園は……いや、生徒会でも居ちゃいけないんだろうがな……

 

「その前に貴方、服装がだらしないわよ!」

 

「スミマセン、生徒会室で作業してたら暑くって……」

 

「ですが、外に出るのならちゃんとした服装をしてくれないと困ります!」

 

「慌てて逃げてきたものでして……」

 

「逃げてきた?」

 

「ええ実は……」

 

 

俺は生徒会室であった出来事を事細かに風紀委員長に伝えた……

 

「またあの人ですか……」

 

「七条先輩の本質をご存知なんですか?」

 

 

俺の周りの男子に言っても信じてもらえないのに……

 

「1年の間では如何なのか知りませんが、2年以上の生徒なら誰でも知ってると思いますよ」

 

「そうなんですか……」

 

 

あの人、自重するつもり無いのか?

 

「そう言った事情があるのなら今回は見逃しますが、次からは気をつけてくださいね」

 

「分かりました……それで、何でそんなに離れてるんですか?」

 

「何でも無いですよ……」

 

「はぁ……」

 

「風紀委員長は男性恐怖症なのよ」

 

「男性恐怖症?」

 

 

何かトラウマでもあるのだろうか?

 

「それに、貴方は就任直後に更衣室やシャワー室の壁を取っ払うと宣言してますから」

 

「それはアンタの捏造だろうが!」

 

「えっ、それは本当なの?」

 

「当たり前ですよ!」

 

 

そもそもそんな事実行出来る訳無いでしょうが……しかも風紀委員長さんは俺が本当に言ったと思ってるみたいだったし……俺ってそんなに危険な男に見えるのか?

 

「えっとそれで風紀委員長さん……」

 

「それ、呼びにくく無い?」

 

「若干……え~っとお名前聞いても良いですか?」

 

「2年の五十嵐カエデです」

 

「五十嵐先輩ですか、一応俺も自己紹介しておきますね。1年、副会長の津田タカトシです」

 

「それじゃあお2人、手を握ってください」

 

「何でです?」

 

「こう見えても風紀委員長は男子の間で人気が高いんですよ」

 

 

それが如何して俺と手を握らなきゃいけないんだ?五十嵐先輩にいたっては既に震えてるし……だから俺はそんなに危険に見えますか?

 

「そして貴方は男女問わず人気ですし」

 

「せめて男女は問えよ!」

 

 

確かに女顔だとは言われた事はあるが、せめて人気があるのは女子だけにしてほしかった……

 

「その2人の仲の良い感じの写真が撮れれば、マニアにはたまらないでしょうからね」

 

「けだものー!!」

 

「今から生徒会室で説教ですね」

 

「さらば~」

 

「「逃がすか!……え?」」

 

 

五十嵐先輩も畑さんに手を伸ばしていて、同じく畑さんに手を伸ばしていた俺の手をぶつかった。

 

「きゃ!」

 

「あぶない!」

 

 

咄嗟に手を引いてバランスを崩した五十嵐先輩の手を引っ張って体勢を戻し、その勢いで今度は俺がバランスを崩した。

 

「痛っ……」

 

「シャッターチャンス!」

 

「何処が?……ああ!?」

 

 

俺の手を離さなかったのか、五十嵐先輩が俺の上にのしかかってる感じになっている……これはあらぬ誤解を生むぞ……

 

「津田君、大丈夫?」

 

「大丈夫ですが……先輩の方こそ平気なんですか?」

 

「何が……!?!」

 

「グエッ!」

 

 

鳩尾に体重の乗ったパンチを喰らい、俺はそのまま意識を手放した……何で俺が……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっ、あれ?」

 

「おやおや~津田副会長は気絶してしまいましたね~」

 

 

自分の体勢を自覚して、私は慌てて津田君を殴ってしまった……津田君は私を助けてくれただけなのに……

 

「如何しよう、津田君を保健室に運んだ方が良いですよね?」

 

「私に聞かれても困りますよ~。後はお若い2人に任せます」

 

「何を言って……」

 

「では、邪魔者は去りますね~」

 

「ちょっと!」

 

 

畑さんはいつの間にか居なくなってしまいました……てか、貴女も同い年でしょうが。

 

「如何しよう……とりあえず生徒会室に応援を呼びに行かないと」

 

 

私1人では運べないし、津田君のブレザーとネクタイはそこにあるみたいだしね。

 

「あら?」

 

「五十嵐、お前津田を襲ったのか?やるじゃん!」

 

「横島先生!?」

 

 

今一番会いたくない教師がドア越しに覗いていた。

 

「そっか、男嫌いな五十嵐が津田をね~……」

 

「違いますよ!」

 

「でも、津田を触っても平気なんだろ?」

 

「えっ?」

 

「だって今津田のこと揺すってたし」

 

 

そう言えば何処も鳥肌立ってないわね……

 

「風紀委員長にも春が来たってか……畜生、私にだって何時かは春がくるもんね!」

 

「教師が廊下を走らないでください!……とりあえず事情説明して生徒会メンバーに手伝ってもらうか……」

 

 

横島先生の言う事は大抵信じられてないので放っておいても平気でしょうし、それよりも今は津田君を如何にかしないとね。

 

「そう言えば、触られても平気だった……」

 

 

私は自分の手を見ながら生徒会室に向かった……事情を話したら会長と七条さんは案の定誤解したが、萩村さんが宥めてくれたおかげで暴走しないで済んだ。津田君のブレザーとネクタイは何故か七条さんが鞄に入れていたが、詳しく聞いて卑猥な話になったら嫌なのでスルーした。

津田君の気絶している教室に戻ったら、七条さんが上に跨ろうとしたので全力で萩村さんと2人で止めた……その騒ぎのおかげで(?)、津田君は意識を取り戻したのだった。




自分がカエデ好きなので早めに登場させました。この作品では最初から津田にだけ触れる設定にしましたが、基本的には原作通り男性恐怖症です


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メロンパンの行方

前回カエデを出したので、今回も登場します


休み時間に、俺は気になった事を柳本に聞くことにした。

 

「五十嵐先輩って知ってるか?」

 

「名前と写真では知ってるが、直接は会った事は無いな。きっと本物はもっと綺麗なのだろうな……」

 

 

聞いておいてなんだが、これ以上ヒートアップするようなら距離を取らせてもらおう。

 

「お前もついに女子に興味を持ったのか。そうかそうか……」

 

「勝手に納得するな。それに、唯単に知ってるか聞いただけだろうが」

 

「お前から女の名前を聞かれたのは初めてだからな」

 

「……五十嵐先輩って男性恐怖症みたいなんだが」

 

「何!?」

 

 

ん?柳本の目が見開かれたが、何かおかしな事言ったか?

 

「お前……それ、誰からの情報だ」

 

「誰って、新聞部の畑さんからだが……」

 

 

この前聞いて、この目で確認したからな……俺だけに震えてるのならちょっとショックなんだが……

 

「俺ですら知らない情報を……さすが畑先輩だ」

 

「なんだ、知らなかったのか」

 

「何て言ったって、五十嵐先輩を直接見た男子生徒は居ないからな!」

 

「直接見る以外で如何やって見るんだよ?」

 

「畑先輩から写真を買ってるんだ」

 

「またか!」

 

 

俺は柳本との会話を打ち切り、昼休みに新聞部に行く事を決めた……後で萩村にも言って一緒にいってもらおう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昼休みになり、萩村を探すためにまずは生徒会室にやって来た。中から声が聞こえるな……

 

「萩村は牛乳が好きなんだな」

 

「ええまあ」

 

 

如何やら中に萩村が居るようだ。一発で見つかってよかった

 

「牛乳は成長を促すからな」

 

「そうですね」

 

「お~い萩村、ちょっと一緒に……」

 

「会長は牛乳、嫌いですか」

 

「よくも目線を下げてくれたな」

 

 

何でこんな気まずいんだよ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

津田君が来てスズちゃんと一緒に何処かに行ってしまってから暫くして、シノちゃんが何かを探している様子……

 

「無い、無い、此処にも無いか……」

 

「ひゃあ!」

 

「ただいま戻りまし……」

 

「……アンタってタイミング悪いわね」

 

「俺もそう思ったよ……」

 

 

シノちゃんに胸を揉まれてるタイミングで津田君とスズちゃんが戻ってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

タイミング悪く生徒会室に戻ってきてしまった俺と萩村だが、会長がさっきからキョロキョロと何かを探している様子なので一応聞くことにした。

 

「何か探してるんですか?」

 

「私が買って置いておいたメロンパンが見当たらないのだが……」

 

「そんな所にねぇよ!」

 

「津田君も揉みたい?」

 

「今はそういう冗談は言わないでください!」

 

 

会長にツッコムのだけで精一杯なんですから、七条先輩もボケないでくださいよ、まったく。

 

「置いておいた時には鍵が掛かってたはずなのだが……」

 

「なるほど……」

 

 

つまりは内部犯って事か……

 

「津田君、何か分からないかな?」

 

「全ての謎は俺が解く、推理タイムの始まりだ!」

 

「何言ってるの?」

 

「……俺、何か言った?」

 

 

今一瞬だけの記憶が無いんだけど……

 

「アンタまで壊れたのかと思ったわよ」

 

「ゴメン……」

 

「横島先生、私のメロンパン食べたでしょう」

 

「一直線に来た!?」

 

 

会長は最初から誰がメロンパンを食べたのか分かってたようで、横島先生にパン代を請求している……無言で手を突き出して。

 

「まぁ、確かに私が天草のメロンパンを食べたんだがな。ほら、これお金」

 

「生徒のものを勝手に食べないでくださいよ」

 

「いや~、だって辛いもの食べた後って甘いもの食べたくなるだろ?」

 

「辛いもの食べたんですか?」

 

「だからと言って生徒のものを食べないでくださいよ」

 

 

珍しく会長がツッコんでる……明日は雨なのだろうか

 

「いや、私の場合は辛いものじゃなくって苦い飲み物なんだけどね」

 

「これからは気をつけてくださいね」

 

「この人は一生気をつけないので言っても無駄ですよ……」

 

 

教師なんだから自重しようとか思わないのだろうか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それにしてもシノちゃん、良く先生が犯人だって分かったわね」

 

 

横島先生を説教して追い出してから七条先輩が会長に聞いていた。確かに良く一発で言い当てたよな……

 

「君たちは私のメロンパンの行方を捜そうとしてくれた。つまり知らないって事だったのだろう。そして、私は君たちが嘘を吐くような人間だとは思って無いからな」

 

「シノちゃん……」

 

 

何だかいい感じな雰囲気が出てるが、そもそも俺と萩村は生徒会室から出て行ってたし、その前からメロンパンは無かったような気がするんだが……

 

「………」

 

「会長?」

 

 

何さっきから萩村をちらちらと見てるんだ?

 

「言っておきますが、年齢偽ってませんからね」

 

「分かってるさ。ただ、万が一と言う場合があるかも知れないからな」

 

「だからねぇっての!」

 

 

今日も会長は何時も通りだった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後、廊下を歩いていたら会長と七条先輩が居た。

 

「さっき枝毛見つけちゃったの。ショックだよ~」

 

「うむ、キューティクルが痛んでるんだな」

 

 

やっぱり女子ってそう言う会話してるんだな。

 

「気にする必要は無いと思いますよ。人の髪の毛は10万本あるそうですから」

 

 

おっと、あれは風紀委員長の五十嵐先輩。また震えさせたら悪いし、此処は素通りして行こう……

 

「違うのカエデちゃん」

 

「何が違うんですか?」

 

 

確かに、何が違うと言うのだろうか……

 

「陰○の話だよ」

 

「!?」

 

「普通の生徒が大勢通る場所で何て話をしてるんですか、貴女は!」

 

 

素通りするつもりだったが出来なかった。

 

「津田、女の子の話を盗み聞きか、関心しないぞ」

 

「そうだよ~」

 

「俺よりアンタたちの方が問題でしょうが!」

 

 

五十嵐先輩は気絶しちゃってるし……

 

「津田君も見たい?」

 

「そう言う事を言ってるんじゃねぇよ!」

 

 

五十嵐先輩が意識を取り戻したのは、それから結構な時間が経ってからだった。一応見張っては居たが、盗撮者は現れなかった。

 

「あれ、私……」

 

「気が付きました?」

 

「つ、津田君!?」

 

「その反応は傷つくぜ……」

 

 

俺は何もしてないのに……

 

「会長と七条先輩には俺からキツク言っておいたので」

 

「そっか……私気を失って……ッ!?」

 

 

五十嵐先輩は慌てて下半身を確認し始めた……

 

「何もしてねぇから!」

 

「良かった……」

 

「何で信用されてないんだろうか……」

 

 

五十嵐先輩の中の男は如何言ったものなのだろうか……次の日に会長と七条先輩に改めて五十嵐先輩に謝罪させて、この件は終了した。この学園には変人しか居ないのだろうか……




早くウオミーも出したいです。


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そのアングルは……

アレンジ加え過ぎて少し話しが飛びました……


生徒会の仕事の1つに校門での服装検査がある。朝早くから校門に集合で全員の服装をチェックしなくてはいけないのだが、七条先輩がまだ来ない……

 

「何かあったのでしょうか?」

 

「アリアが遅れるなんて珍しいな」

 

「私はてっきり津田が遅れてくるものだと思ってました」

 

「酷いな……」

 

 

ちゃんと来たのになんて扱いだ……そんな話をしていたら七条先輩がやって来た。

 

「ゴメンなさい」

 

「遅いぞアリア!」

 

「何かあったんですか?」

 

「七条先輩の事ですから、道が混んでたとか?」

 

 

萩村の予想に、七条先輩は笑顔で首を振った。

 

「違うの、もうちょっとでイケそうだったんだけど、あと少しが長くて……」

 

「それじゃあ仕方ないな!」

 

「……ツッコミなさいよ」

 

「俺が!?」

 

 

生徒会でのポジションは確か副会長だった気がするんだが……何時の間にかツッコミが仕事になっている気がする……

 

「あら、おはようございます」

 

「おお、五十嵐!」

 

「カエデちゃん、おはよ~」

 

 

風紀委員長である五十嵐先輩もやって来たので、服装検査開始!……と行きたいところだが、現在の時刻は7時20分……朝練のある人以外はまだ来ないよ……

 

「ところで、さっきの七条さんの話って如何言う意味です?」

 

「ちょっ!」

 

「五十嵐先輩、それは!」

 

 

止める俺と萩村を他所に、七条先輩と会長はさっきの話しの意味を五十嵐先輩に話す……この人、ワザと聞いた訳じゃ無いよな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朝の問題も説教済みで、俺は生徒会室で萩村に相談していた。

 

「あの授業分かり難いよね」

 

「そうかしら?」

 

『ちゅー』

 

「萩村は良いけど、もう少し分かり易く出来ないのかな?」

 

「なら、参考書でも買えば?」

 

『ちゅー』

 

「うわぁ!」

 

「「ん?」」

 

 

生徒会室に入ってくるなり大声を上げる会長……何かあったのか?

 

『ちゅー』

 

「何だ、牛乳を飲んでるだけか……てっきり萩村が津田の……」

 

「何思ってくれてるんですか!」

 

 

さっきから音がしているのは、萩村がストローで牛乳を飲んでいるからだ。如何やらあそこからのアングルだと会長が思ってるように見えるようだ……

 

「それで萩村、何か良い参考書知らない?」

 

「そうね~……」

 

『ちゅー』

 

「………」

 

 

事情を知っている会長だが、何故か顔を赤らめて萩村の後ろから俺たちの会話を見守っている……まだ勘違いしてたかったのだろうか?

 

「おお!」

 

「きゃ!」

 

「「ん?」」

 

 

今度は横島先生と七条先輩が生徒会室にやって来た……多分会長と同じ勘違いをしてるんだろうな……

 

「やぁ!……これはスクープ!」

 

「「違うから!」」

 

「何だ……牛乳を飲んでただけなのね。でも大丈夫、ちゃんと脚色するから!」

 

「「大丈夫じゃない!」」

 

「あら、風紀委員長」

 

「畑さん」

 

「この写真を見てくれます?」

 

「どれどれ……不届き物ー!」

 

「どんな写真なんだよ……」

 

 

逃げていった五十嵐先輩が見たものが気になって畑さんからカメラを没収した。

 

「うわ……あの一瞬で良くこんなのが撮れたな」

 

「ある意味天才ね……」

 

「返してー」

 

「「………」」

 

 

萩村と視線を合わせ頷く……

 

「削除っと」

 

「はい、返します」

 

「せっかく上手く撮れたのにー!」

 

 

泣きながら生徒会室から出て行った畑さん……後で五十嵐先輩の誤解を解いておかなくては!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

色々あったが、昼休みに話し合う予定だった議題に取り掛かる事が出来た……横島先生は何処かに行ってしまったが……あの人何しに来たんだ?

 

「校則で定められていた携帯電話の校内での使用禁止だが、生徒からの要望が多いために解禁される事になった」

 

「持ってた方が安心出来ますしね」

 

「そうだね。何時何があるか分からないしな」

 

 

携帯くらいは持ってても風紀は乱れないだろうしな。

 

「だが、携帯を持った事によって問題が起こらないか心配だ」

 

「例えば?」

 

「授業中の携帯の使用」

 

「あー……」

 

 

それはありそうだ。退屈な授業だとついつい携帯を弄りたくなるって違う学校に行った友達が言ってたしな……俺はその気持ちが分からないが。

 

「ハメ撮りの横行」

 

「会長の頭の中ほど乱れないので大丈夫です」

 

 

なんて事考えてるんだ、この人は……

 

「津田君、私としない?」

 

「しねぇよ!」

 

 

終わったと思ったのにもう1発……この生徒会は気の休まる時間が少ない……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後に鞄の中身を整理していたら、借りていたDVDが出てきた……しまったな、返すの忘れてた。

 

「あっ、津田君。DVDを学校に持ってきちゃダメだよ?」

 

「スミマセン。返そうと思ってたの忘れてて」

 

「これって今話題のヤツでしょ?」

 

 

七条先輩でも知ってるのか。

 

「如何だった?」

 

「良かったですよ。特に後半はティッシュが手放せませんでした」

 

「えぇ!?そんなにいやらしかったの?」

 

「そう言う意味じゃねぇよ!」

 

「溜まってるんじゃ無いの?」

 

「ハンカチ持ってない俺が悪かったです……」

 

 

この人相手にティッシュと言う単語もNGだったか……想像力豊かですね、皆さん……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、何故か会長が鬱入ってる感じがした……

 

「如何かしたんですか?」

 

「いや、畑に相談されている途中に眠くなってな。何言われたのか分からないまま返事をしてしまったのだ」

 

「いったい何を言われたんでしょうね……」

 

 

畑さんの事だから、きっと無茶な事だろうが、無茶の度合によっては此方で止めなくてはな。

 

「それにしても、今月も生徒会は忙しいですね」

 

 

カレンダーには無数にしるしがつけられている。

 

「それだけ生徒会が頼られてる証拠だ!」

 

「なるほど……あれ、このしるしは何です?」

 

 

6月の12日に何の行事か分からないしるしが付いている……他のとは違い、何でこれだけは花丸なんだろう……

 

「その日はねーシノちゃんの誕生日だよ~」

 

「なるほど……やりますか、誕生会?」

 

「べ、別に催促した訳じゃ無いぞ!本当だ!」

 

 

焦ってる時点で本音は丸分かりですが、此処は会長の言い分を信じてあげよう。それにしても誕生日か……何かプレゼントを考えないとな。




次回シノの誕生会……タカトシのプレゼントは何にしようかな


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誕生日パーティー

シノの誕生日回です


今日は6月の12日、天草会長の17回目の誕生日だ。

今日の放課後は生徒会室で誕生日パーティーを開催する予定だ……一応プレゼントは持ってきたが、異性にプレゼントなんて初めてだからな、これで良かったのだろうか?

 

「おはよ、津田」

 

「おはよう、萩村」

 

「アンタってでっかいから遠くからでもすぐ分かるわね」

 

「そう?」

 

「何食べたらそんなにデカくなるのよ?」

 

「う~ん、なんだろうね?」

 

 

特別何かをしてた訳でも無いのだが、順調に背は伸びている……別に萩村に対するあてつけじゃないからな!

 

「そう言えば萩村はプレゼント、何にした?」

 

「ちゃんとしたものよ」

 

「うん、それは分かってる」

 

「ならアンタは?」

 

「俺もちゃんとしてるよ」

 

「それは分かってるわよ」

 

「「……ハァ」」

 

 

もう1人の生徒会役員の顔を思い出し、萩村と同時にため息を吐いた……あの人もさすがにふざけないよな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日は何だかあっという間に授業が終わった気がする……時刻は既に放課後、つまり生徒会室で天草会長の誕生日パーティーが始まったのだ。ホワイトボートには色々と書かれているが、これと言って不審なモノは無い……さすがに七条先輩も自重したか。

 

「それじゃあシノちゃんの誕生日を祝して、乾杯!」

 

「乾杯!」

 

 

チン

 

「会長、おめでとうございます」

 

「ありがとう、津田」

 

 

チン

 

「ぐ、ぐぬぬ……」

 

「大丈夫か、萩村?」

 

「私に合わせてもらわなくって結構です」

 

 

……チン

萩村が精一杯背伸びして漸く全員と乾杯を済ませた会長……何故かグラスを見てうっとりしてる気が……

 

「シノちゃん?」

 

「なあアリア、連続で乾杯してみないか?」

 

「?」

 

 

そう言いながらグラスを軽くぶつける2人……

 

チン、チン

 

「おお!」

 

「これは!」

 

「「?」」

 

 

何かに感動してる2人だが、俺と萩村にはさっぱり分からない……そんなに感動する事なのだろうか?

 

「もう1回だ!」

 

「間髪入れずにいきましょう!」

 

 

チンチン

 

「「この音かー!!」」

 

 

何に感動してるのか分かってしまう自分が嫌だ……だがスルーと言う選択肢はこの場に存在しなかったのだ。

 

「さぁお待ちかねのプレゼントよ」

 

「会長、まずは私のから!」

 

「いえ、俺のからどうぞ!」

 

「お、おぅ……」

 

「あらあら、シノちゃんモテモテね」

 

「「(この人(金持ち)の後には出せねぇ……)」」

 

 

結局順番は萩村、俺、七条先輩の順になった……萩村の後もなんだか緊張するな。

 

「これは!」

 

「貯金箱?」

 

「これからは貯蓄ですからね」

 

「ありがとう。大事に使わせてもらうよ」

 

「次は津田君ね」

 

「えぇ、どうぞ」

 

「随分と小さいのね?」

 

「でも高さはあるわね」

 

「どれどれ……」

 

 

会長が包み紙を剥いでいく……何だか緊張するな。

 

「これは、アロマキャンドル?」

 

「津田君が買ったの?」

 

「ええ、まぁ……」

 

「随分とまともなものを買ったわね」

 

「だから言ったろ、ちゃんとしたものだって」

 

 

最初は妹に相談したのだが、ろくなアイディアが無かったので自力で決めた……やっぱりあの妹は1度徹底的に説教したほうが良いのかもしれない……

 

「ありがとう、早速家で焚くとしよう」

 

「それじゃあ最後は私……あっ、そうそう横島先生から預かってたんだった」

 

「え、あの人から……」

 

 

会長が嫌そうな顔をしている……おそらく俺と萩村も同じ顔をしてるのだろう。

 

「こ、これは!?」

 

「2穴タイプね!」

 

「「やっぱりか!」」

 

 

横島先生のプレゼントは案の定ろくなものでは無かった……だが会長が嬉しそうにしてるのは見間違えだろうか?……そうだと思いたい。

 

「それじゃあ私からのプレゼントね」

 

「デカイな」

 

 

大きな箱を開けて中身を取り出す会長……あれは、耳?

 

「おお!」

 

「練習がてら作ってみたんだ」

 

「これは芸術だな!」

 

「「?」」

 

 

全容が見えないので俺と萩村にはその感動が伝わってこない……耳からして熊だよな。

 

「熊だよね?」

 

「熊よね?」

 

 

萩村も熊が芸術だと評される理由が分からないようで俺と顔を見合わせる……すると会長がその箱の中身の全容を露わにした……縄?

 

「名づけて、緊縛熊!」

 

「待てアリア、小さいつを入れるのは如何だ?」

 

「緊縛ッ熊」

 

「ああ!読み方はきんばっくまだな!」

 

「あのリラ……」

 

「「言わせねぇからな!」」

 

 

あれ以上は色々危ない気がしたので全力で七条先輩の口を塞いだ。

 

「そう言えば津田の誕生日は何時だ?」

 

「来月ですが」

 

「「おめでとー」」

 

「はぁ……」

 

 

何だこのなげやりな感じは……

 

「萩村は何時だ?」

 

「4月に済みました」

 

「「おめでたー」」

 

「!?」

 

「それで過去形になると思うなよ」

 

 

手抜き感満載の祝辞に思わずツッコんだ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パーティーも終わりに差し掛かった時、外から雨音が聞こえてきた。

 

「あら、雨ね」

 

「困ったな、私は傘持ってきてないぞ」

 

「置き傘がありますよ」

 

「あっ、俺もありますね」

 

 

忘れてたが、こんな事もあるかと思って置いておいたんだった。

 

「それじゃあ入れてもらおうかな」

 

「じゃあ私は津田君と……」

 

「待て!私と津田の方が良いだろ」

 

「何で~?」

 

「ほ、方向が一緒だから」

 

「一理あるわね~」

 

「いや、七条先輩もどっちかと言えば方向一緒ですよね?」

 

「私だけ逆方向……」

 

 

結局七条先輩は迎えに来てもらうようで、萩村だけ1人で帰っていった。

 

「誰かに見られたら勘違いされそうですよね、会長人気ですし」

 

「そうだな……」

 

 

所謂相合傘だからな……

 

「畑さん、これは違いますからね?」

 

「ギクッ!」

 

「やはり居たか……」

 

 

雨合羽を着て尾行していた畑さんに釘を刺して会長と一緒に帰る……あの人の事だから絶対に誤解した上に脚色するからな、先に注意しておかないと面倒な事態になりかねないから。

 

「私はこっちだ」

 

「俺はこっちです」

 

「じゃあ此処までで良い。すまなかったな」

 

 

分かれ道で会長が傘を差し出してくる。元々俺のだから遠慮してるのだろう。

 

「その傘は会長が使ってください」

 

「だが……」

 

「せっかくの主役を濡らして帰す訳にはいきませんから」

 

「濡らす!?」

 

「雨で、ですからね」

 

 

盛大な誤解をしてそうだったのでとりあえず言っておく。

 

「それに、俺は大丈夫ですから」

 

「そうか、ならこの傘は明日返そう」

 

「では」

 

 

そう言って駆け出した……駆け出したのだが、信号が青から赤に変わってしまった……

 

「……変わるまで入ってるか?」

 

「うん……ハクション!」

 

 

あれ、何だか寒気がするぞ?




ボツネタ

「ほ、方向が一緒だから」

「あっ、俺折りたたみもあるので使ってください」

「「………」」



これだとシノフラグが建たないのでボツに……用意周到も必ずしも善しでは無いと言うことですね。


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お見舞い 前編

1話に収まらなかった……


昨日の会長の誕生日パーティー、楽しかったけど相変わらずのツッコミ所満載の所為で、最近疲れてるんだよな……でも今日も校門で服装チェックがあるし、そろそろ起きないと間に合わないな……

 

「タカ兄ぃ、今日も生徒会の仕事あるって言ってたよね。そろそろ起きないと」

 

「あぁ……」

 

「タカ兄ぃ?」

 

 

あれ?何か世界が回ってるような……

 

「ハァハァ……」

 

「タカ兄ぃ、何興奮してるの?」

 

「ちげぇよ!……あっ」

 

 

これは駄目だな……今ツッコんだ所為で完全に熱が身体中に回った。立とうとしたが足に力が入らずにその場に倒れこむ。

 

「えっ、タカ兄ぃ?」

 

「ゴメン……風邪引いたっぽい」

 

「大変!すぐにベッドに入って!」

 

「おぅ……」

 

「それから氷枕持ってくる!」

 

 

朝から騒がしい妹だな……まぁ、それだけ心配してくれてるって事だよな……とりあえず萩村と柳本にメールしておこう……生徒会の仕事出来ないのと、学校行けないのとでメール送る相手が違うのも、何だか面倒な話だがな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

遅い……普段ならとっくに来てる時間なのに。津田のヤツ、今日に限って遅刻かしら……

 

「萩村、さっきから携帯なってるぞ」

 

「えっ?」

 

「メール?」

 

「電話ですね」

 

 

イライラしてて気付けなかった……津田のヤツ、来たらただじゃおかないんだから!

 

「もしもし?」

 

「あっ、萩村……俺」

 

「津田?」

 

 

声に力が無いけど、この声は間違いなく津田の声ね……何かあったのかしら。

 

「メールしたけど返信無かったから一応電話したんだけど……」

 

「メール?」

 

 

言われて確認したら、確かにメールが届いていた……これもイライラしてて気付けなかったわね……

 

「俺、風邪引いたっぽいから今日行けないって連絡したんだ……」

 

「風邪?それで、大丈夫なの?」

 

「38.9℃、多分明日も駄目……」

 

「分かったわ。会長と七条先輩には言っておくから、ゆっくり休みなさい」

 

「うんありがとう……」

 

「お大事にね」

 

 

電話を切って会長と七条先輩に伝える。

 

「津田が熱出して今日明日は無理だそうです」

 

「何!?」

 

「津田君が!?」

 

「そんな!?」

 

 

……あれ?今、1人多かった気が……

 

「おや~津田君が熱を出して何故風紀委員長が驚くんですかね~?」

 

「五十嵐!?」

 

「それに、畑さんも」

 

「や!」

 

 

五十嵐先輩は兎も角、何で畑さんがこんな時間に……またある事無い事探してるのかしら。

 

「それで~、何故風紀委員長が津田君が風邪引いたってだけでそんなに驚くのか、お話聞かせてもらえませんかね~」

 

「それは……」

 

「それは~?」

 

「せっかく仕事を覚えてもらったのに、居ないんじゃ無駄骨だったなって……」

 

「はい、ダウト!」

 

「ヒッ!」

 

「風紀委員長が嘘吐いて良いんですか~?」

 

「う、うぅ……」

 

 

畑さん、ここぞとばかりに攻撃的ね……スクープの匂いでも嗅ぎつけたのかしら。

 

「なら皆で津田君のお見舞いに行きましょう」

 

「お見舞い?」

 

「えぇ!」

 

「そっか……お見舞いか!」

 

「それって私も?」

 

 

津田を家に招いた事はあるけど、津田の家に行くなんて思ってもみなかったわね……

 

「もちろんカエデちゃんもよ?」

 

「わ、私も!?」

 

「シャッターチャンスはお任せあれ!」

 

「何も無いわよ!」

 

「おや~?風紀委員長は何を思い浮かべたのですかね~?」

 

「正直に言った方が良いぞ~」

 

「さぁ、カエデちゃん!」

 

「「「さぁ!!」」」

 

「ヒィ!何か増えてる!!」

 

「………」

 

 

津田、アンタが熱出した理由が分かったわ……これじゃあ疲労も溜まるわよね……

 

「そ、そんな事よりも、放課後に津田君の家に行くって言っても、誰も場所知らないんじゃないですか?」

 

「それなら大丈夫だ!」

 

「会長?」

 

「畑が追跡して津田の家の場所はバッチリだからな!」

 

「……追跡?」

 

「おホホホホホホ」

 

 

畑さん、何で津田を尾行したんですか……

 

「それじゃあ、放課後は津田君のお見舞いね」

 

「途中でお見舞いの品を各自購入しよう」

 

「そうね」

 

「そうですね」

 

 

会長と七条先輩と畑さんの見舞いの品って何だか心配だけど、そこまではしないわよね……さすがに場をわきまえるくらいの常識は持ってると信じますからね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何だか下が騒がしい……この声はコトミと……えぇ!?

 

「何でこんなに大勢で!?」

 

 

聞き間違いじゃなきゃ5人来たって事だよな……お見舞いにしては大げさってか随分と大勢で来てくれたな……嬉しいようなちょっと不安なような。

 

「タカ兄ぃ、起きてる~?」

 

「あぁ」

 

「お見舞いだよ~。しかも美人さんが!」

 

「からかうなよ」

 

 

コトミがドアを開けて、想像通りの5人が部屋に入ってきた……会長たちは兎も角、何で五十嵐さんと畑さんが?

 

「津田、大丈夫か?」

 

「本当は私の主治医を連れてこようとしたんだけど……」

 

「さすがに大げさです!」

 

「……それ、私も言ったわ」

 

「そうなの。スズちゃんに止められちゃったの」

 

 

萩村、ナイス!七条先輩はやっぱり世間からズレてるな……普通の高校生が風邪引いただけで主治医なんて呼ばないでくださいよ……しかも七条先輩の主治医って事は相当な腕の持ち主だと想像出来るし……恐れ多くて頼めませんよ。

 

「わ、私は来る予定じゃ無かったんだけど……」

 

「そんな事言って、一番真剣にお見舞いの品を選んでたくせに~」

 

「畑さん!?」

 

「私が見てないと思ったんですか~?」

 

「こ、この人は……」

 

 

五十嵐さんの気持ちが良く分かる……畑さんは他人の迷惑をまったく考えませんからね。

 

「ゆっくりしていってくださいね」

 

「そうですね、もてなせませんが、せめてゆっくりしていってください」

 

「あっ!」

 

 

コトミが大きな声を上げて口を押さえる……何かあったのか?

 

「ゆっくりって言っても……兄が遅○って訳じゃ無いですからね!?」

 

「……これがアンタの妹なの?」

 

「……恥ずかしながら」

 

 

コトミの発言を聞いて、会長と七条先輩は何故か喜び、畑さんはメモを取り、萩村に同情され五十嵐さんは気絶した……本当に残念なんだよ、俺の妹は。




なるべく早く次を投稿するつもりです。


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お見舞い 中編

久しぶりの連日投稿!また終わらなかった……


熱を出して学校を休んだ。そうしたら放課後にお見舞いに来てくれた……5人も。

 

「妹の言ってた事は気にせず、ゆっくりしていってください」

 

「何だ、違うのか」

 

「アンタはもっとしっかりした方が良い……」

 

 

生徒会長なんだから、もう少し生徒の見本になってもらいたいぞ……まぁ、生徒の前ではちゃんとした生徒会長の姿だから、誰に言っても信じてもらえないんだがな、こっちの姿は。

 

「五十嵐先輩、大丈夫ですか?」

 

「……ハッ!」

 

「あ、起きた」

 

 

コトミの発言で気を失っていた五十嵐さんだったが、萩村が呼びかけた事によって現実に戻ってきた。

 

「津田君はその……遅いの?」

 

「何がです?」

 

「だからその……イクのが///」

 

「貴女もそっち側の人間なんですか!?」

 

「ち、違うわよ!」

 

 

本当だろうか……男性恐怖症なのは間違い無いようだが、この人の中身は会長たちと肩を並べるくらいの思春期じゃないだろうか。

 

「今の発言……当然記事にします。風紀委員長が副会長に遅○か如何か聞く……っと」

 

「アンタは少し黙ってろ!」

 

「いや~ん、襲われる~」

 

「襲わねぇよ!……あっ」

 

 

ツッコミを連発した所為で再び全身に熱が回る……

 

「ほら津田君、ちゃんと寝てなきゃ駄目だぞ~?」

 

「スミマセン……」

 

「ほら、しっかり布団掛けて」

 

「すまない……」

 

 

七条先輩に倒され、萩村に布団を掛けてもらう……非常にドキドキするが、非常に情けないぞ、俺……

 

「畑さんもあんまり病人をからかったら駄目だよ?」

 

「会長も五十嵐先輩もですよ」

 

「「は~い」」

 

「ゴメンなさい……」

 

 

七条先輩と萩村に注意され、会長と畑さんは反省してるのか如何か分からない返事をして、五十嵐さんは本気でへこんでいる……ちょっと可哀想だな。

 

「おっ、メールだ」

 

「シノちゃん、私たち以外からメール来るんだ」

 

「人を悲しい女子高生だと決め付けるな!」

 

「それで、誰からなんですか?」

 

「どれどれ……おお!ウオミーだ」

 

「「ウオミー?」」

 

「って誰?」

 

 

聞いた事無い名前だ……親しげな呼び方をしてるけど、違う学校の友達かな?

 

「この前本屋で似た趣味をした人を見つけてな、ついアドレス交換をしてしまった」

 

「あら、このアドレス素敵ですね~」

 

「ほんとだ~」

 

「アドレス?」

 

「どれどれ……」

 

 

萩村と一緒に会長の携帯を覗き込む……五十嵐さんも興味があるようで反対側から見ている、え~っとなになに……

 

『69de1919@……』

 

「ろくじゅうきゅうでせんきゅうひゃくじゅうきゅう?」

 

「意味が分かりませんね……」

 

「……!」

 

「おっと、此処で差が出たな」

 

「カエデちゃんは耳年増ね」

 

「風紀委員長はエロいっと」

 

 

五十嵐さんの反応を見て会長たちが喜んでいる……五十嵐さんはあのアドレスの意味が分かったのだろうか。

 

「津田君とスズちゃんは分からないみたいね~」

 

「修行が足りないぞ、2人とも!」

 

「「はぁ、スミマセン……」」

 

「タカ兄ぃ、お茶持ってきたよ~」

 

「ありがとう」

 

 

コトミがお盆に乗せて人数分のお茶を持ってきた……こいつも気が使えるようになったんだな。

 

「それで、何の話をしてたんですか?」

 

「このアドレスの話だ」

 

「ふむふむ……このアドレスの持ち主はかなりやりますね!」

 

「おお!」

 

「分かるんだ~!」

 

「逸材ですね!」

 

「「?」」

 

 

コトミはあのアドレスの意味が分かったらしい……何で俺と萩村は分からないんだろう?

 

「シックスナインでイクイクなんて、ストレートながら素敵なアドレスですね」

 

「エロいわよね~!」

 

「ああ、エロいな!」

 

「エロエロですね~!」

 

「「そう言う意味か!!」」

 

 

意味が分かったが、分からない方が良かったな……あれ、でも五十嵐先輩が分かったって事は、やっぱりこの人も会長側!?

 

「そうだタカ兄ぃ」

 

「何だ?」

 

「これお見舞い」

 

「お見舞い?」

 

 

コトミも気にしてくれてたのか……早く治して安心させなければ!

 

「私たちからもあるぞ!」

 

「はいこれ」

 

「では私からも~」

 

「スミマセン……」

 

 

会長、七条先輩、畑さんから立て続けに貰ったお見舞いの品……コトミのもあわせて、何で4人とも角ばったものなのだろう……

 

「えっと……これは?」

 

「「「「疲れるとアレなんでしょ?ア・レ!」」」」

 

「……アンタらもっとしっかりした方が良いぞ」

 

「「「「?」」」」

 

 

4人のお見舞いの品は所謂エロ本……なんてもの持ってきてるんだコイツらは。

 

「淫猥~!」

 

「おや~?風紀委員長は中身を見たんですか~?」

 

「やっぱり五十嵐はエロだな!」

 

「カエデちゃんもこっちの世界の住人なのね!」

 

「ち、違っ!」

 

「「………」」

 

 

焦ってる五十嵐さんを、俺と萩村は生暖かい目で見つめる……しっかりとしてる人だと思ってたのに、実態度は会長たちとさほど差が無いとはな……

 

「津田、私からはこれ」

 

「栄養ドリンクか」

 

「それ飲んで早く治しなさいね。そうじゃないと今度は私が……」

 

「うん、なるべく早く復帰するよ……」

 

「栄養剤なら私たちも買ったぞ!」

 

「へぇ……」

 

 

会長たちに渡されたのは、マカ、すっぽんエキス、高麗人参など精力剤だった……何処で買ってきたんだか……

 

「それじゃあ、私からはこれ……」

 

「これは?」

 

 

また角ばった紙袋を渡された……まさか五十嵐さんもおかしな本を持ってきたんじゃないだろうな……

 

「あっ、普通の小説だ」

 

「当たり前です!私はあの人たちと違うんだから!!」

 

「……そんなに強調されると逆に疑っちゃいますよ」

 

「信じてよ!」

 

「まぁ、五十嵐さんはあそこの4人とは違ってまともなものを持ってきてくれましたし」

 

「じゃあ!」

 

「信じますよ……一応は」

 

 

五十嵐さんが持ってきたのは普通の推理小説、ここら辺はあの4人と違ってちゃんと分別がつけられるらしい……

 

「一応って何よ!?」

 

 

だって五十嵐さんはあのアドレスの意味がすぐに分かったんですもん……完全には信じられませんよ……




名前だけですが、ウオミー登場!アドレスはテキトーです


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お見舞い 後編

しれっと20話突破してました


五十嵐先輩が変態か如何かはさておき、お見舞いに来てもらったからには早く治さないとな。

 

「津田、無理はしないでと言いたいけど、なるべく早く復帰してよね」

 

「何だ、萩村は津田が居ないと寂しいのか?」

 

「ち、違いますよ!」

 

「そうなんだ~、私は津田君が居ないと寂しいけどな~」

 

 

そう言って七条先輩は俺にしな垂れかかって来る……豊満な胸が俺の腕に押しつぶされ形を変えていく……この人はワザとこんな事をしてるのだろうか、それとも天然?

 

「アリア、津田に襲い掛かろうとするな!」

 

「七条先輩、男にそんな事したら襲われちゃいますよ!」

 

「七条さん、そんな事して津田君を誘惑しちゃ駄目です!」

 

「……流れ的に私も何か言った方が良いのでしょうか?」

 

 

俺に聞くな……あの畑さんですら動揺するなんてな。やっぱり五十嵐さんは少なからず俺に好意を持ってくれてるようだ。嬉しいけど、変態的な好意ならノーサンキューだ!

 

「あらあら~?シノちゃんもカエデちゃんもスズちゃんも、何でそんなに必死になってるのかな~?」

 

「それは……」

 

「なんて言うか……」

 

「つまり……」

 

 

何故誰も即答しない……これじゃあ本命の彼女が居るのに遊び呆けている彼氏みたいじゃ無いか。

 

「タカ兄ぃ、ご飯如何するの~って……」

 

「コトミ、ご飯は別にいらないよ」

 

「………」

 

「コトミ?」

 

 

何だか硬直してしまっている妹の目の前で手を振る……やはり反応は無いようだ。って!

 

「人の妹の下着の写真なんて撮って如何するつもりですか?」

 

「い、いや~お金になるかと……」

 

「アンタとはじっくり話し合う必要がありそうですね、畑さん」

 

 

やはりこの人は油断ならない……

 

「お~いコトミ、いい加減現実に戻って来いって」

 

「……ハッ!」

 

「何で硬直なんてしてたんだ?」

 

 

確かに七条先輩が腕に絡みついてたが、それだけで硬直するような柔な精神の持ち主では無いはずなのだが……それが本意か如何か聞かれれば、間違い無く不本意だと答えるだろうがな。

 

「だってタカ兄ぃが誰かに取られちゃうと思ったら目の前が真っ暗に……」

 

「……はい?」

 

 

何でコトミが俺に彼女が出来たからって目の前が真っ暗になるんだ?……そして彼女なんて出来てないし取られるって表現は正確では無いと思う。だって俺はコトミのものでは無いのだから。

 

「私は、タカ兄ぃでオ○ニーする変態だよ!?」

 

「……そんな赤裸々に語られても反応に困るんだが」

 

「つまり実の兄で興奮する……」

 

「いや、それはもう言わなくて良い」

 

 

聞きたくも無い……

 

「つまりコトミちゃんは私に津田君を取られたと思ったのね?」

 

「違うんですか?」

 

「今はまだ違うかな~」

 

「アリア、我が学園の校則を忘れたのか!」

 

「そうですよ、七条さん!」

 

「校内恋愛禁止ですよ、七条先輩!」

 

 

それに何でこんなにも必死なんだ、この3人……いや、何となくは分かるのだが、それを簡単に信じられるほど、俺は自惚れて無いし自分に自信がある訳でも無い。

 

「ふむふむ、これはスクープですね」

 

「もちろん取材した内容は全て没収のうえ、新聞を発行しようものなら新聞部ごと潰してやりますよ?」

 

「い、嫌ですね~、そんな事する訳無いじゃないですか~……おホホホホホホ」

 

「ですよね~そんな事しませんよね~?」

 

「そうですよ~」

 

 

俺が作れる最高の笑顔で畑さんに詰め寄った。何時ものようにふざける余裕も無いくらい、畑さんは俺に恐怖してくれたようだ。

 

「とりあえず七条先輩」

 

「ん、な~に?」

 

「何時までもしがみついてると会長たちが怒ってしまうので離れてください」

 

「津田君は離れても良いの?」

 

「別に構いませんが」

 

「う~ん、津田君の息子も反応してないようだし……」

 

「その発言はお嬢様として如何なんだ……」

 

「七条先輩だもの……」

 

「そうだな……」

 

 

俺のつぶやきを萩村が拾ってくれた……同じツッコミポジションとして同情してくれたのだろう。

 

「シノちゃんたちの気持ちも分かったから、今日は離れてあげる」

 

「風邪がうつったら大変ですし、早急に離れてください!」

 

「そうだぞアリア、迅速に離れろ!」

 

「津田君から速やかに離れてください!」

 

「……3人共、言ってる事は同じなのに、言葉を変える辺り天才なのでしょうね」

 

 

他の人と同じ表現を、同じ言葉を使いたく無かったのだろうな……3人とも妙に意地っ張りで我が強いっぽいしな。

 

「タカ兄ぃの風邪は私が余す事無く頂きますから!」

 

「「「黙れ変態妹!」」」

 

「あらあら~」

 

「津田副会長は近親○姦がお好きっと……」

 

「アンタも懲りないな……」

 

 

畑さんのメモ帳を奪い、睨みを利かせる……変態共の相手をすると風邪が悪化すると考えて、この場では放置する事にした。もちろん後で退散願うのだが。

 

「てか萩村、お前も会長たちに毒されてないか?」

 

「……認めたく無かったのに!」

 

「ゴメン……」

 

 

毒されてる事を自覚しながらも、認めたく無かったようだった……余計な事を言ってしまったので素直に謝った。

 

「津田が謝る事じゃ無いけど……」

 

「あら~スズちゃんがデレたわ~」

 

「萩村がデレただと!?」

 

「デレた?」

 

「会計の萩村さん、津田副会長にデレる」

 

「タカ兄ぃ、ツンデレさんをデレさせるなんて、何時の間にそんな技術を!?」

 

 

こいつら、俺を見舞う気があったのだろうか……此処に来るまでは確かにあったのだろうが、終始こんな感じじゃ、治るものも治らないと思うのだが……

 

「津田、何だ急にプルプルと震えだして」

 

「おしっこ漏れそうなの?」

 

「それとも大きい方?」

 

「タカ兄ぃの聖水なら私飲む!」

 

「放水の瞬間はお任せあれ!」

 

「……津田ー耳塞いでるから私に構わないで良いわよ」

 

 

萩村だけが俺の気持ちを理解してくれたようだった……では、許可も貰ったことだし遠慮無く……

 

「とっとと出てけー!!」

 

 

もちろんこの叫びが原因で、再びベッドに倒れこむ事になったのだが、変態共を退散出来たので善しとしたのだった。




お見舞いの話はこれで終了。完全に何本かはフラグが建ちましたね


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復活の天才ツッコミ

津田が回復しました~


風邪も治り、今日からまた生徒会の仕事に復帰。ついでに授業にも復帰するのだが……それにしても元女子高だけあって女子の格好が凄いな……あの人、ブラジャーが透けてるのに気付いて無いのか?

 

「「「おおぅ!」」」

 

「………」

 

 

男子たちが興奮して声を上げている……あの中に自分が居なかったのが嬉しいのか?

 

「津田」

 

「はい?」

 

「何処を見ている」

 

 

一緒に作業してた会長にあらぬ誤解を抱かれてしまった……別に俺はじっくりと見てた訳では無いんですが。

 

「そうか、津田はショートカットが好みか」

 

「はい?」

 

 

何故そんな話になったんだ?

 

「確かにショートカットだとブラ透け見放題だからな!」

 

「何言ってるの?」

 

「それとも、津田はブラでは無くおっぱいに目が行っていたのか!」

 

「誤解ですよ……まぁ、ちょっとは見ましたが」

 

 

俺だって男の子だからな……ついつい目が行ってしまう事だってあるのだ。

 

「やっぱり胸か!胸なんだな!?」

 

「だから何の話ですか~!」

 

 

桜才学園生徒会会長、天草シノは今日も通常運転だった……いや、他の人から見れば異常なのかもしれないがこれが会長の通常なのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

生徒会室に向かっていると、部屋の前に誰かが立っていた……あれは七条先輩?

 

「先輩、如何したんですかドアの前に突っ立って」

 

「あっそうか!」

 

「何です?」

 

「学校は自動ドアじゃないんだったね」

 

「アンタ今までよく学園生活を送れてたな……」

 

 

今更だがこの人はもの凄いお嬢様なのだ。この前も階段をエスカレーターと勘違いしてたり、無事に学園生活を送れてるのが不思議でならないのだが……

 

「七条先輩って、家でもそうなんですか?」

 

「そうって?」

 

「家でも天然をかましてるのかな~って」

 

「津田君!」

 

「は、はい」

 

 

しまった、怒らせちゃっただろうか……

 

「津田君は天然萌えじゃ無いの!?」

 

「……は?」

 

「違うならアピール方法を変えなきゃ」

 

「アピールだったのか……」

 

 

なにやらおかしな事を言っていた気もしたが、とりあえずはスルーしておく事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

授業中、隣の席で柳本が寝ている……てか、さっきあれだけ盛り上がってたのにもうエネルギー切れかよ。

 

「………」

 

「先生?」

 

 

横島先生が教科書を筒状にして柳本に向けた……あれで叩くのだろうか?

 

「あっ、そこ、だめぇ~」

 

「……何してるんですか?」

 

「いや、夢○するかなと思って……うん、もう少しね」

 

 

筒状にした教科書を柳本の耳元に向け、おかしな発言を繰り返す横島先生……この人、よく教員採用試験に受かったよな……

 

「おぅ!」

 

「おっ、逝ったな」

 

「サイテーだこの人……」

 

 

柳本を逝かせた横島先生は、ズボンのチャックを下ろそうとしていた……って、それは駄目だろ!

 

「何してるんですか、アンタは!」

 

「だって、このままじゃ気持ち悪いだろ?」

 

「知りませんよ……」

 

「だからスッキリさせてやろうかと思ってな」

 

「他の女子たちの事を考えてください……」

 

「よし、今から保健体育の授業だ!」

 

「黙れ、この変態!」

 

「ぐぼゎ!」

 

 

横島先生に鉄拳制裁を加え、柳本を起こす。

 

「おい柳本、起きろ」

 

「うぁ?」

 

「授業中だぞ」

 

「あぁ悪い……って何か下半身が気持ち悪い」

 

「トイレ行ってこい」

 

 

顔を赤くしてる女子もいたので、なるべく言葉を選んで柳本を退場させた……次は変態教師を起こして授業を再開してもらおう。

 

「横島先生、授業を再開してください」

 

「むにゃむにゃ……もっと叩いてください」

 

「……自習!」

 

 

俺に何の権限も無いが、この人は放っておいた方が良いと判断した。女子たちからはお礼を言われ、寝たふりしてた男子からは冷たい視線を向けられた……そんなに変態に捕食されたかったのか、ウチのクラスの男子共は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

休み時間、私はのんびりと過ごしていた。

 

「ねぇスズちゃん」

 

「何?」

 

 

津田のクラスメイトの三葉ムツミが話しかけてきた。

 

「スズちゃんってすっごく頭良いんでしょ?」

 

「まぁ」

 

「じゃあ、1289451+3293876は?」

 

「4583327」

 

「………」

 

「分からないならやるな!」

 

 

この後、薔薇を漢字で書けと言われ、ワザと間違えて書いたのにも気付かなかった……試すならちゃんと準備してから試せば良いものを……津田ならもっと上手くやるはずよ。あれ、私何で津田の事を考えてるんだろう……まさか、いやそんな訳無いわよね。

 

「スズちゃん?」

 

「ムツミ、アンタもっと勉強した方が良いわよ」

 

「あぅ……だって嫌いなんだもん」

 

「私ほどとは言わないから、せめて平均点くらいは取れるようにしなさいよ」

 

「頑張ってみるよ……」

 

 

自分の考えを否定するために、ムツミをからかってその考えを頭の中から追いやった……だって私が津田をなんて……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後、生徒会室で作業してたら津田君が立ち上がった。

 

「スミマセン、ちょっとトイレ……」

 

「あぁ」

 

 

シノちゃんに断りを入れて津田君が生徒会室から出て行った。

 

「津田のヤツ、如何かしたのか?」

 

「お腹が痛かったんじゃないの?」

 

 

だってお腹の辺りに手を置いてたし……

 

「果してそう言いきれるかな?」

 

「ん~?」

 

 

シノちゃんは立ち上がってこう宣言した。

 

「巨○だったら、あの位置に手があってもおかしくはない!」

 

「まぁ、溜まってたのね!」

 

 

それなら言ってくれれば私が……

 

「ありえないでしょ」

 

 

スズちゃんの冷静なツッコミで私は現実に戻ってこれた。そうよね、津田君があんなに巨○だったら、私が耐えられないものね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

急に皆生徒会室から居なくなってしまった……そう言えば来週から水泳の授業だったな。

 

「如何やったら胸が大きくなるのだろう……」

 

 

聞いた話では揉めば大きくなると言ってたな……やってみるか。

 

「おぉ、これは……」

 

 

自分で揉んでも気持ち良いのだな。

 

「スミマセン、戻りまし……」

 

「いや、これはその……」

 

 

生徒会室に戻ってきた津田が固まってしまった……何か良い言い訳は無いものだろうか。

 

「欲求不満なだけだ!」

 

「その言い訳、駄目じゃねぇ?」

 

 

言葉のチョイスを間違えて、更に気まずくなってしまった……津田は黙ってドアを閉め、見なかった事にしてくれたようだった……明日、津田になんて言い訳しよう。




次回水泳の授業、カエデも出るかも?


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プール開き!

五十嵐さんが活躍します……多分


桜才学園生徒会室、そこは学園でも限られたものしか入れない場所……では無く、用があれば誰でも入れるのだ。

 

「あの、『アレ』はなんですか?」

 

「明日はプール開きだろ」

 

「はぁ」

 

「最近めっきり暑くなってきたから丁度良い」

 

「ですね」

 

「だが降水確率は40%だ」

 

「楽しみなんですね、水泳」

 

「いや、皆がな」

 

 

窓際のてるてる坊主は会長が作ったものだった……犯人が内部に居るのは何となく分かっていたが、あえて外部犯の可能性も感じさせたのに……

 

「失礼します」

 

「畑さん」

 

 

外部犯だった場合、もっとも怪しかった人が生徒会室に現れた。この人は何で何時もぬるっと現れるのだろうか?

 

「明日の水泳の授業で会長の撮影を行いますので、その後報告に。授業ウチのクラスと合同ですから」

 

「何!?」

 

「会長?」

 

「この間約束したでしょ。まさか会長に二言は無いですよね」

 

 

それだけ言って畑さんは帰っていった……何がしたいんだあの人は。

 

「この間畑に言われたのはあれだったのか」

 

 

そう言って会長は窓際に移動した……てるてる坊主を逆さまにして雨を祈っている。さっきまであんなに楽しそうにしてたのに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、降水確率40%だったが思いっきり晴れた。つまりプール開きは何の問題も無く行われる事になったのだ。

 

「晴れてよかったね~」

 

「そうだな……」

 

「ん?」

 

 

アリアが楽しそうに話しかけてくるが、今の私にはそれに付き合う余裕が無い……

 

「シノちゃん、如何かした?」

 

「いや、大丈夫だ」

 

 

まさか畑が写真を狙ってるとは言い出せないし……

 

「会長」

 

「畑!?」

 

「では早速撮影を始めたいと思います」

 

「あ、あぁ……」

 

「緊張しなくてもほしいのは普通の授業風景ですから」

 

「そ、そうか……」

 

 

自分のスタイルを気にしてたのに、授業風景がほしいのなら最初からそう言ってくれれば良かったじゃないか!

 

「じゃあ最初は、男子生徒に視○されて身体が火照るシーンから」

 

「それって一般的なのか?」

 

「そんな訳無いでしょうが!」

 

「あら、五十嵐さん」

 

 

そう言えばコイツも畑と同じクラスだったな……

 

「それじゃあ風紀委員長も一緒に」

 

「私も?」

 

「会長と七条さんと風紀委員長のスリーショット……これは高く売れる!」

 

「没収します!」

 

 

畑の目論見を聞いてカメラを没収する五十嵐……しかし何でみんな私より胸が大きいんだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ふと窓の外を覗くと、会長がプールの飛び込み台の上に立っていた。

 

「大丈夫かな……」

 

「会長さんって泳げないの?」

 

 

同じように窓の外を見ていた三葉が俺のつぶやきに反応した。

 

「いや、高いところ苦手なんだよ」

 

「確かにあそこって意外と高く感じるよね」

 

「あっ、震えてる」

 

 

その横では五十嵐さんが普通に飛び込み泳ぎ始めた。あの人も普通に運動神経良いんだな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

飛び込むのに苦労してたシノちゃんだったけど、私との競争ではそんな事を感じさせない泳ぎで勝利を収めた。

 

「負けちゃった~、シノちゃんには勝てないな~」

 

「そんな事無いさ。私にだって勝てないものはある」

 

 

それってなんだろう……シノちゃんは成績優秀だし運動神経抜群、礼儀作法も完璧にこなせる人なんだから、そのシノちゃんが勝てない相手って誰だろう。

 

「夕べもカミソリに負けたし……」

 

「あらー」

 

 

あれはヒリヒリするのよね~。

 

「でもシノちゃん」

 

「何だ?」

 

「あえてその痛みを楽しむのよ!」

 

「なるほど!」

 

 

如何やら津田君はSっぽいし、痛みに普段から慣れていればすぐに快楽に変わるでしょうからね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アリアとプールサイドで雑談をしながら休憩をしていた。その間ずっと目に付いていたが、如何やったらアリアのように胸に栄養が行くのだろか……

 

「シノちゃん、そろそろ泳ごっか?」

 

「そうだな……」

 

 

立ち上がると音がしそうなほど揺れるアリアの胸……私なんか揺れるほど無いしな……って誰が貧乳だ!

 

「会長、如何かしましたか?」

 

「五十嵐か……いや、何でも無い」

 

「はぁ……」

 

 

そう言えばコイツも結構胸が大きいではないか……私って同い年の子から見ても発育が遅いのか……ん?

 

「会長?」

 

 

さっきまで座っていた場所を見れば、私とアリアのお尻の跡が出来ている……何故お尻は私の方が大きいのだろうか?

 

「会長ってばやっぱり何かあったんですか?」

 

「五十嵐」

 

「はい?」

 

「如何やったら胸は大きくなるんだ!」

 

「知りませんよそんな事!」

 

 

五十嵐は秘訣など無くとも大きくなったと言う事なのか……それなら私はいったい如何やれば良いのだ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後、プールではしゃぎすぎたのか会長と七条先輩は何時ものような騒ぎはしていない。水泳って全身運動だからな、疲れるんだよ……

 

「お疲れ様です、会長」

 

「本当に疲れたー」

 

「だね~」

 

「そうそう、男子の写真もほしいから、明日貴方の授業にもお邪魔するわね」

 

「え、俺も!?」

 

「ちなみに横島先生のリクエストだから」

 

「はぁ……」

 

 

またあの教師は……

 

「でも何で俺なんですか?」

 

「何でって?」

 

「だって他にも男子は居ますが」

 

「モブなんて撮っても面白く無いし……」

 

「モブ?」

 

 

何の事だろう……

 

「あの、私は?」

 

 

萩村が畑さんに尋ねる……萩村も撮ってほしいのだろうか。

 

「貴女は大丈夫」

 

「何故です?」

 

「最近世間の風当たりが強いから……」

 

「んな!?」

 

 

萩村が絶句して気絶した……そこまでショックを受ける事なのだろうか。

 

「津田君には報酬の先渡しをしとくわね」

 

「報酬?」

 

 

そんなものもらうつもりは無いんだが……

 

「はいこれ」

 

 

そう言われて手渡されたのは1枚の写真、何だこれ?

 

「会長と七条さんと風紀委員長の胸のアップ写真よ」

 

「いらねぇよ!」

 

「マニアの間では高値が付くのに~」

 

「アンタ、また商売してるんじゃ無いだろうな」

 

「じゃ!」

 

「待て!」

 

「失礼しま……キャ!」

 

 

逃げ出そうとした畑さんと、入ってこようとした五十嵐さんがぶつかった。

 

「丁度良かった」

 

「つ、津田君!?」

 

「今から畑さんを説教するんですが、五十嵐さんもご一緒に如何です?」

 

「何で私も?」

 

「原因がこれだからです」

 

 

五十嵐さんに例の写真を渡す。

 

「なるほど、それじゃあご一緒させてもらいますね」

 

「うわ~ん、結構頑張って撮ったのに~」

 

 

泣き言を言ってる畑さんを左右から取り押さえ、生徒会室につれていく。疲労困憊の2人と気を失っている萩村の横で、畑さんを説教した。




アニメで見たけど、五十嵐さんはエロい感じがしました(身体付きが)


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津田の実力

プール開き、津田編です


さっきの写真は全部没収して処分は五十嵐さんに任せた。何時焼き増ししたのか分からないが、畑さんはあの写真を50枚は持っていた……新聞部の部室に調査を入れた方が良いのだろうか?

 

「まったく畑さんには困ります……」

 

「アンタも大変ね~」

 

「萩村だって他人事みたいに言ってるけど、被害を被ってるんだろ?」

 

「どうせ私の体型は倫理に反するからね」

 

「何時まで自虐ってるんだよ……」

 

 

明日の水泳の授業に畑さんが来ると言っていたが、萩村はまぁ色々問題があって撮られないのだ。その事を自虐って落ち込んでいるのだ。

 

「体育合同なんだから、しれっと入り込めば良いだろ?」

 

「そうか、その手があったわね!」

 

「……言わなければ良かったか?」

 

 

何だかもの凄い地雷臭がした気がしたんだが、きっと気のせいだよな。

 

「そう言えば津田君は泳げるの?」

 

「ええまぁ、人並みには泳げるつもりですが」

 

「ちなみにどれくらい?」

 

「そうですね……400は軽く」

 

「それって凄いよ~」

 

「そんなものですか?」

 

 

別に大した事では無いと思うんだけど……

 

「津田って結構ズレてるわよね」

 

「えっ、そうかな?」

 

「良い意味でだけどな!」

 

「確かに~」

 

「えっ?……えっ?」

 

 

会長や七条先輩にもズレていると言われた……俺はズレているのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昨日生徒会室でズレていると言われたので、柳本にも確認してみた。

 

「なぁ柳本、お前ってどれくらい泳げる?」

 

「そうだな……50くらいかな」

 

「それって普通なのか?」

 

「水泳を真剣にやってない人間には普通だろ」

 

「そうなんだ……」

 

 

やっぱり俺はズレてるのか……

 

「何々~何の話~」

 

「三葉はどれくらい泳げる?」

 

「私は100くらいかな~」

 

「やっぱ三葉はスゲェな」

 

「そうかな~?」

 

 

あの三葉でも100だと……やっぱり俺はズレてたんだな。

 

「そう言う津田はどれくらい泳げるんだよ?」

 

「……さぁ」

 

「もしかしてタカトシ君、泳げないの?」

 

「泳げるが……どれくらい泳げるのかは分からない」

 

 

実際限界まで泳いだ事なんて無いからな……

 

「じゃあ今日限界まで泳いでみてよ!」

 

「俺も気になるな」

 

「……期待してもらうほどでは無いと思うが」

 

 

泳ぐ事によって、俺は変人だと思われてしまうんではないか……そんな不安が頭をよぎった。生徒会の仕事は主に事務作業だし、運動部でも無い俺が三葉以上の距離を泳いだら絶対におかしな目で見られそうだな……かと言って手を抜くのは失礼だろうし、俺は如何すれば良いのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

頭を悩ませたが、結論が出る前に水泳の授業になってしまった……気が進まないなぁ、一昨日の会長の気持ちが何となく分かる。雨でも降って中止になれば良かったのに……

 

「それじゃあ津田副会長、まずは1枚普通に撮ります」

 

 

約束通り畑さんが授業に参加している……この人2年生なのに1年の授業に参加するなんて、学園側は良く許可したよな。

 

「それじゃあ次は本気で泳いでください」

 

「泳ぐんですか?」

 

「泳いでるところを撮りたいので」

 

「……全力でですか?」

 

「ムービーも撮りますから」

 

「何に使うんだよ!」

 

 

動画まで撮られるなんて聞いてない。俺は断固として抗議する事にした。

 

「写真だけだって言ってましたよね!?」

 

「いいえ~私は授業にお邪魔するって言っただけですよ~」

 

「会長たちは写真だけだったじゃないですか!」

 

「だってこれは学園からの指示ですから~」

 

「学園から?」

 

 

なんだって学園がこんな事を畑さんに頼むんだ……

 

「来年からの生徒確保に、生徒会の皆様には一肌脱いでいただこうと」

 

「客寄せパンダか……」

 

 

学園もこんな事で生徒確保しようとするなよな。

 

「なので思いっきり泳いでください。むしろ限界まで!」

 

「如何なっても知りませんからね……」

 

 

学園の後ろ盾があるんじゃ、俺1人の力では如何しようも無い……俺は諦めて言われるがまま泳ぐ事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はっきり言って、津田があそこまで泳げるとは思って無かった……今からでも遅くないから、水泳の日本代表にでも名乗り出ればと思うくらいの泳ぎだった。

 

「あの人って、確か生徒会の人だよね?」

 

「そうそう、中間テストでも上位に名前があったよね」

 

「それに結構カッコいいしね~」

 

「他の男子とは違う感じがするわよね~」

 

「「「分かる~」」」

 

 

クラスメイトの女子たちが、津田の事を見てそんな事を言っている。確かに津田は他の男子とは違う感じはするし、頭も悪く無い。それに加えて運動まで出来ると来れば、これは会長並に人気が出てもおかしく無いのだろう……だけど何故か面白く無いと感じてしまうのは何でだろう?

 

「ムツミ~アンタ津田君をスカウトした方が良かったんじゃないの?」

 

「私もそう思ったよ……」

 

 

運動が得意だって豪語してた三葉さんも、津田に圧倒的な差を見せ付けられて落ち込んでいる様子だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後、津田君が帰った後に私とシノちゃん、そしてカエデちゃんは畑さんに呼び出され視聴覚室に来ている。

 

「お待たせしました」

 

「何の用ですか?」

 

「何だ、五十嵐も聞いてないのか」

 

「それで畑さん、何で私たちは呼ばれたのかな~?」

 

「まずはこれをご覧ください」

 

 

そう言ってスクリーンに映し出されたのは、学校のプールで個人メドレーをしている男子生徒の映像だった。

 

「これは?」

 

「今日撮った津田副会長の泳ぎです」

 

「これ、津田君なの!?」

 

「所々畑の声が聞こえるのだが」

 

「泳法を変えてもらったんですよ。普通にクロールだけだとつまらなかったので」

 

 

最初津田君はクロールで泳いでいたんだけど、畑さんに言われて背泳ぎ、バタフライ、平泳ぎと泳法が変わっていっている……普通なら始めに背泳ぎなんだろうけど、津田君はメドレーをするつもりは無かったんだろうな。

 

「しかし良くクロールから背泳ぎに変えられるな」

 

「津田君の運動神経の良さが分かりますね」

 

「カッコいいね~」

 

「そこで皆さん、この映像を買いませんか?」

 

「何!?」

 

「そう言えばスズちゃんを呼ばなかったのは何で?」

 

「萩村さんは生で見てますから」

 

 

そう言えばスズちゃんは津田君と合同で水泳の授業だったのね。

 

「お3方にはお安くしておきますよ」

 

「ちなみに、おいくら?」

 

「本来ならこれくらいですが、特別価格でっと」

 

 

畑さんの提示してきた額は、それほど高い値段では無かった。シノちゃんもカエデちゃんも迷ってるみたいだけど、私は即決した。

 

「じゃあもらう~」

 

「毎度あり~」

 

「なっ、アリア!」

 

「ん~?」

 

 

だって津田君のカッコいい映像なら、それだけでおかずになるもの。

 

「私も買う!」

 

「会長!?」

 

「後は風紀委員長だけですね~」

 

「私は……」

 

 

カエデちゃんは買うか買わないか迷っているようだった。それなら私が決心させてあげようっと。

 

「早速お家で使うわね」

 

「つ、使うって?」

 

「もちろんおかずによ!」

 

「なっ!」

 

「うふ」

 

 

カエデちゃんは焦っているようだった。まさか私も津田君に好意を寄せているとは思って無かったのだろうな。

 

「買います!」

 

「はい、毎度~」

 

 

結局カエデちゃんも津田君の映像をお買い上げになった。後日この事が津田君にバレて、畑さんはお説教されてたけど、誰に売ったかは最後まで言わなかったようだった。

さすがに津田君に知られるのは恥ずかしいからね、畑さんは顧客の情報は漏らさなかっただけ立派なんだろうな。




実際400M泳ぐのって大変なんでしょうね。


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アリアの気になるコ

今回はあまりアレンジを加えませんでした。


 今日は生徒会の仕事で早めに登校しなくてはいけないのだが、少し寝過ごしてしまった……時間的にはまだ余裕はあるが、朝食を食べている時間は無さそうだ。

 

「悪いコトミ、俺は先に出るから片付け頼む」

 

「まだ時間あるよ?」

 

「生徒会の仕事があるんだ。ゆっくり食べてる余裕は無いから俺はパンだけで良いから」

 

 

 トーストを咥えコトミに後片付けを任せて家を出ようとしたらコトミがテーブルを叩いて立ち上がった。

 

「まってタカ兄ぃ!」

 

「何だよ?」

 

「男がパンを咥えて登校って邪道じゃない?」

 

「いや、意味分からないから……」

 

 

 朝からコトミの相手をしている余裕も無いので、テキトーに流して家から出る。恐らく何かの知識なのだろうが、そんな事を気にする事は無いだろうが……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 朝の仕事には何とか間に合って怒られる事無く放課後を迎えた。今日は横島先生も暴走する事無く授業が進んだので良かったなぁ……

 

「おはようございます?」

 

 

 生徒会室に入ると、何時もとは違う場所に座った会長と七条先輩が居た。何か深刻そうな顔をした七条先輩と、何かを待っている感じの会長だった。

 

「あの、何かあったんですか?」

 

「いや、お悩み相談だ!」

 

「あぁ……って! 七条先輩が今日の相談者なんですか?」

 

「そうだ! だがアリア、改まって相談とは何だ?」

 

 

 会長もまだ用件は聞いてなかったんだ……

 

「実は私、この学園に気になるコが居るの」

 

「「………」」

 

 

 まさかの爆弾発言だった……

 

「アリア! 我が校の校則を忘れたか!!」

 

「会長」

 

「何だ?」

 

 

 少し興奮気味の会長の隣にしゃがみ、耳打ちをするように小声で俺の意見を伝える。

 

「『校内恋愛』は禁止ですが、場所を弁えれば別に良いのではないのでしょうか」

 

「津田!」

 

「は、はい?」

 

 

 俺、何かおかしな事言ったかな……急に大声を出して立ち上がった会長に驚き、自分が何か失言をしたのではないかとちょっと脅えた。 

 だが……

 

「私は耳が性感帯なのだから耳元で話すな!」

 

「………」

 

 

 そんな事で大声をだすなよ……

 会長の提案を受け入れ、改めて会長に耳打ちをする。紙を筒状にして十分な距離を取って……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アリアの相談は、私にとって衝撃的なものだった。てっきりアリアは津田の事が好きなのだと思っていたが、如何やら私の勘違いだったようだな。

 

「でも相手はなかなか私の気持ちに気付いてくれないんだ~」

 

「そうなのか」

 

 

 生徒会長としては恋愛を認める訳にはいかないが、1人の友人として何とかアリアの力になりたい。

 私も色恋沙汰はさっぱりだが、此処は的確なアドバイスをするのが友人として私が出来る事だろうな。

 

「そうだな、そんな時は攻め方を変えてみたら如何だ?」

 

「変えるって如何やって?」

 

「俗に言うだろ。押して駄目なら……押し倒せ!!」

 

「わお!!」

 

「それ、俗に言わない……」

 

 

 津田のツッコミが入ったが、じゃあ俗に言うのは何だと言うんだ。

 

「会長が言いたいのは押して駄目なら引いてみろじゃ無いんですか?」

 

「だが、引いたら負けだろ」

 

「何の勝ち負けなんだよ……」

 

 

 津田は呆れているが、恋愛は勝ち負けの勝負だろうが!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さっきからガヤガヤと五月蝿いわねー、人が寝てるの分かってるのにそんなに騒ぐ事無いでしょうが。

 

「それで、名前は何て言うんですか?」

 

「ん? しらなーい」

 

「知らないんですか」

 

「うん」

 

「じゃあ何組ですか?」

 

「何組とか無いんじゃないかなー」

 

「? それじゃあどんなヤツなんですか?」

 

「毛深いよー」

 

「ナニがー!?」

 

 

 ……多分会長が言った『ナニ』は私が思ってる『何』とは違うのだろうが、此処で起き上がってツッコミを入れると私まで会長と同じ思考だと津田に思われちゃうだろうから此処は我慢だ。

 

「それじゃあ何処に行けば会えますか?」

 

「んー? それじゃあ今から見に行く?」

 

「そんな簡単に会えるんですか?」

 

「うん! それじゃあ寝たふりしてるスズちゃんも一緒に見に行こうか」

 

 

 バレてる!? 七条先輩の発言に驚いた感じで私を見てくる会長……津田は特に気にした様子が無いって事は気付いてたんでしょうね。

 

「萩村ー行くぞー」

 

「あ、うん……」

 

 

 やっぱり気付いてた津田は、普通に私が動きやすいように呼んでくれた。もしこの場で気まずい雰囲気になったら、七条先輩の思い人を見に行くって気分じゃ無くなってたでしょうから、結果的に津田はフォローしてくれたのだ、全員を……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アリアの気になるヤツを見に行くために、全員で外に出た。もしかして部活をやってるヤツなのだろうか……だが男子が出来る運動部などあったかな?

 

「最近住み着いた野良なんだー」

 

「「「うわぁー微笑ましいー」」」

 

 

 気になってるヤツは人間では無く野良猫だったのか……それならそうと最初から言ってくれれば良いものを。まったくアリアのヤツはこう言ったお茶目が偶にあるから困る……

 

「津田」

 

「はい?」

 

「お前のおかげでアリアの気持ちを踏みにじる事無く済んだ、ありがとう」

 

「まぁ、猫だったんですけどね……」

 

「だが、私は融通のきかない石頭だからな。あの時津田の意見を聞かなかったら校則に則って頭ごなしに否定していただろう」

 

「そんな事は無いと思いますけど……」

 

「いや、きっと同じ事を相談されてもまた否定してしまうだろう。だからその……」

 

「何です?」

 

「これからも君の柔軟な――」

 

「はい?」

 

亀頭(かめあたま)を生かして私を支えてほしい」

 

「勝手に言葉を作るな!」

 

 

 津田のツッコミは相変わらずの切れの良さだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌日、今日は生徒会の仕事も無いしゆっくりと出来るな。

 

「寝過ごした~!!」

 

「まだ平気だろ?」

 

「今日日直なんだよ~!」

 

 

 相変わらずおっちょこちょいな妹だな……どうせ日直なのを考えて早めに寝ようとしたがゲームに夢中になって遅くなったから寝坊したってとこだろう。

 

「こうなったら!」

 

「何だよ?」

 

「私も、パンを咥えて登校しなきゃ!」

 

「今日はコッペパンだぞ?」

 

 

 俺には余裕があるのでコトミの趣味に付き合ってあげる事にした。意味は良く分からないけど、確か食パンじゃなきゃいけないんじゃないのか?

 

「大丈夫、タカ兄ぃ!」

 

「何が?」

 

「コッペパンなら遠目から見ればお○ん○ん咥えてるように……」

 

「遅刻するからさっさと行った方が良いぞ」

 

「せめて最後まで聞いてよ~!」

 

 

 訳の分からない事を言い出した妹を追い出し、俺はゆっくりとコーヒーを飲んだ。何処を如何間違えたらあんな妹が育ってしまったんだろう……




何処でウオミーを登場させようか悩みどころです……


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生徒会のホームページ

お気に入り登録が200を突破! のんびり更新してる割には結構多いですね


 桜才学園でももう時期期末テストが行われる……学年20位までに入らなければある事無い事噂を流されると脅されているから、それなりに頑張らなければ!

 

「俺全然勉強してねぇよー」

 

「あっ、私も全然してないよ~」

 

「赤点さえ取らなければ問題無いだろ」

 

「だよね~」

 

「「あはははははは」」

 

 

 柳本と三葉が大きな声で話してるのを聞いて、少しは気が楽になったと言うか落ち着いてきた。

 そうだよな、まだ勉強してない生徒の方が多いんだよな!

 

「おはようござい……」

 

「もう時期テストだが、皆大丈夫か?」

 

「問題ありません!」

 

「私も大丈夫かな~」

 

「そもそも失敗する要素が見当たりません」

 

 

 此処に来ると焦るよな~……2年生の1位2位と、1年生の1位が居るから比べられると胃が痛くなるんだよな……もう少し頑張るか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 期末テストも大切だが、生徒会の仕事もそれなりにあるのでそっちもやらなければならない。私と会長で大体終わるのだが、津田にだって仕事をさせなければいけないのよね。

 

「どう津田、生徒会の仕事には慣れた?」

 

「うん、おかげさまで。あっでも……」

 

「何よ?」

 

 

 中途半端で区切られると気になるじゃないの! その事を知ってか知らずか津田は少し考え込んでから言った。

 

「変な意味じゃ無く、周りが女の子ばっかだから少し緊張するかな」

 

「如何言う意味で?」

 

「ほら、会話に加わって良いのか如何かとかさ。良くついていけないんだよ」

 

「気にしすぎじゃない?」

 

「そうかな? 男と女じゃ一般的な会話も違ってくるだろ?」

 

「そうなのかしらね」

 

 

 津田と別れて私だけ生徒会室にやって来た。津田は職員室に居る横島先生に呼び出されてたので仕方ないかな。

 

「夏場になるとブラ暑苦しいよね~」

 

「そうだな」

 

「………」

 

 

 ゴメン津田、私もついていけなかったよ……果してこれが一般的な会話か如何かは疑問だけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 横島先生に呼ばれて職員室に行ったら、如何やら資料室の整理を手伝ってほしいらしいのだが、それなら何故俺個人に頼んだんだ? 何時もなら生徒会に頼むのに……

 

「いや~悪いわね~」

 

「はぁ……」

 

「あっ、この教室よ」

 

 

 鍵を開けて教室に入ると、確かに散らかってるのが分かる……やっぱり生徒会でやった方が早そうだと思ったが、部屋の散らかり具合に違和感を覚えた。

 

「(普通にものを置いただけで此処まで乱雑になるのか? 何か人為的なものを感じるのは気のせいなのだろうか)」

 

 

 資料室と言う名前から分かるように、此処に置かれているものの大半は紙だ。紙なら大切に保管されてるのが普通だろうし、資料なら尚更だ。

 

「横島先生、此処って本当に……」

 

 

 がちゃ。

 何かが閉まる音が聞こえた。この空間で閉まるものと言ったらドアぐらいしか……ってまさか!

 

「何で鍵閉めたんですか?」

 

「いや、深い意味は無いのよ。ちょっと雰囲気を出そうと思って」

 

「何の雰囲気ですか! あと息荒立ててこっち来るな!」

 

「大丈夫。ほんの先っぽだけだから」

 

「あんたそれでも教師か!」

 

「保健体育の実習だと思えば良いのよ」

 

「良い訳あるか!」

 

「ぐぼぁ!?」

 

 

 腹部に強烈な一撃を喰らわせ横島先生を倒した。教師相手にこんな事をしたら停学ものだろうが、今回は完全に正当防衛だと思ってる……過剰では無いよな?

 

「う~ん……もっと殴ってください……」

 

「うん、過剰防衛では無いな!」

 

 

 殴られた本人が恍惚の表情で倒れてるんだから、これは過剰防衛にはならないだろう。俺はそう決め付けて足早に資料室を後にした……もちろん片付けは手伝ってない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ちょっとお散歩していたら前から津田君がやって来た。何だか急いでるようにも見えたけど、私に気付くと会釈してくれた。

 

「津田君、如何かしたの?」

 

「いえ、ちょっと変態から離れてただけです」

 

「ん~?」

 

「ぶっちゃけると横島先生です」

 

「そう言えば呼ばれてたね~」

 

 

 横島先生の事だからきっと津田君の事を食べようとして逆に気絶させられちゃったのかな? それにしても教師を気絶させちゃうなんて、津田君は本当にSなんだな~

 

「先輩?」

 

「ねぇ津田君」

 

「はい?」

 

「この学校って創立50年なのよ」

 

「はぁ……?」

 

 

 私が唐突に切り出した話題に、如何反応すれば良いのか困っている津田君……Sを困らせるのって結構快感なのよね~。でも津田君はそんな事で焦らないでしょうけど。

 

「それが如何かしたんですか?」

 

「50年もあると、色々と伝説があるのよ」

 

「例えば?」

 

「あの木」

 

「木……ですか?」

 

「うん。あの木の下で告白すると恋が成就すると言われているわ」

 

「……去年まで女子高でしたよね?」

 

「うん」

 

 

 それが如何したと言うのかしら……津田君は少し考えてから私の目を見て来た。そんなに見つめられたら濡れちゃうわよ。

 

「女子しか居ない学園で、如何やって恋が成就するんです?」

 

「……そう言われればそうね」

 

 

 恋愛は男女でするものだから、去年まで男子が存在しなかったこの学園で恋が成就するはず無いのよね……レズでも無い限り。

 

「深く考えるのは止めておきましょう……」

 

「面白そうだけどね~」

 

「いや、絶対に面白くは無いと思うんですが」

 

 

 津田君は呆れながらも生徒会室へ向かう速度を落とす事無く進んでいく……そう言えば私、何処に向かってたんだっけ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 生徒会室に戻ってきたら、会長が難しそうな顔をして腕を組んでいた……何か問題でもあったのだろうか?

 

「学校のホームページに我々生徒会のページを作る事になった」

 

「へー」

 

「そうなんですか」

 

「でも、何で今更?」

 

「……今日ほど信頼と言う言葉を重く感じた時は無い!」

 

「出来ないんですね……あと質問に答えてください」

 

「そんな事私は知らん! 気になるなら学校に聞け!」

 

 

 出来ない事を指摘され少しキレ気味の会長を七条先輩が宥め、俺と萩村で構図を考える事にした。

 会長にも出来ない事があって安心したが、生徒会のページって何を書けば良いのだろう?

 

「萩村、何か案ある?」

 

「とりあえず年間の予定表は載せておきましょう」

 

「それだけで仕事量が分かるからな」

 

「後は質問コーナーでも作っておけば大丈夫でしょう」

 

「……誰が管理するんだ?」

 

「ん!」

 

「えっ、俺!?」

 

 

 指差され焦る……普通こう言うのって会長が……あぁ、そうか。

 

「俺、副会長だった……」

 

「会長のフォローはアンタの仕事でしょうが」

 

「はい、頑張ります……」

 

 

 忘れがちだが俺は副会長、会長の補佐が主な仕事なのだ。

 今までフォローする必要も無かったので様々な仕事をしてきたが、副会長として初の仕事がこれですか……何か情けないなぁ。




そろそろ津田の相手を考えなければ……


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怪談と猥談

もうすぐ原作1巻が終わります


 期末試験も近づいてきた頃の生徒会室、この場所はテスト前だからと言って何も変わらない平常運転だ。

 

「1年用の女子トイレには、昔自殺した生徒の霊が出るらしい……と言う噂を最近耳にしたんだが」

 

「眉唾物ですね」

 

 

 試験前だと言うのに会長は余裕だな……俺なんか結構必死に勉強してるんだけど、こんなに余裕な態度なんて出来ないんだけど……

 

「そうなんだー。でも一応気をつけてね?」

 

「俺が如何言う状況で女子トイレに入ると?」

 

「非常にくだらないですね。高校生にもなってそんな作り話で盛り上がるなんて」

 

 

 萩村は特に気にした様子も無く生徒会の仕事をこなしている。怖い話とか苦手だと思ってたんだけど、見た目に反して大丈夫なんだな。

 

「……何よ?」

 

「ううん、何でも無い」

 

 

 思い込みは良く無いな。これからは気をつけなくては……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 数日後

 

「最近萩村さんと良く会うのだけど」

 

「何処でです?」

 

「2年用の女子トイレで」

 

「あ、私も最近会います」

 

 

 萩村~……やっぱり怖かったんじゃないか。

 

「津田副会長は平気なんですか?」

 

「……何がです?」

 

「いえね、萩村さんが2年用のトイレを使う理由は何となく分かるんで、津田副会長は気にしてないのかな~って」

 

「……七条先輩にも言いましたが、俺が如何言う状況で女子トイレに入るんですか?」

 

「津田君……貴方まさか!?」

 

「だから入らねぇっての!」

 

 

 如何してこの学校には人の話を聞かない人が多いんだ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 放課後、萩村と中庭を歩いている時にフト思い出したので聞いてみる事にした。

 

「なぁ萩村」

 

「何よ?」

 

「最近2年用のトイレを使ってるって聞いたんだけど、やっぱり怖いの?」

 

「んな! そんな事無い!!」

 

「おや~津田副会長に萩村さんじゃないですか~」

 

「ひぃ!?」

 

「畑さん?」

 

 

 こんな所で何してるんだこの人……

 

「こんな所で2人は何を?」

 

「見回りです。畑さんこそ何を?」

 

「桜才学園七不思議特集を組もうかと思って……聞きたい?」

 

 

 何処の学校にもあるんだなそんなの……

 

「………」

 

「萩村、何してるんだ?」

 

 

 横に居る萩村が耳に指を突っ込んでいた……もしかしなくてもそうなのだろうか?

 

「耳が痒いのよ。私に気にせず続けて」

 

「ではお言葉に甘えて……これは実際にあった話なのだけど、女子生徒が気分が悪くて保健室で寝ていたのよ。暫くしてから目を覚ましたら、シーツが血で染まってたそうよ」

 

 

 結構怖いな……畑さんが何時ボケるか気になって話しよりそっちに注意がいってしまう。

 

「何でも○理が近いの忘れててあててなかったみたいなの。うっかりよね~」

 

「やっぱりボケたな! ……それで今の話の何処が怖いんですか?」

 

「大丈夫! ちゃんと怖くなるように脚色するから」

 

「駄目じゃん新聞部!」

 

 

 畑さんが話せばそれなりに怖い話に思えるけど、文字になったらそうでも無さそうだぞ……

 

「もう1つ取っておきの話があるんだけど」

 

「どうぞ」

 

「音楽室から夜な夜な女のすすり泣く声が……」

 

「あえぎ声ってオチじゃ無いですよね?」

 

「………」

 

「おい!」

 

 

 口を尖らせてつまらなそうな顔をした畑さんに思わずツッコんだ……これは特集が組まれた新聞はちゃんと検閲しなければ駄目そうだ。

 畑さんが居なくなってから、俺は萩村に気になってた事を聞く事にした。

 

「萩村、やっぱり怖い話苦手なんだな」

 

「そうよ……悪い!?」

 

「いや別に悪いなんて思って無いけど……」

 

「じゃあ私の事を子供っぽいって思ってるんでしょ!?」

 

「まぁちょっとだけ……でもそれ以上に萩村の事を知れて嬉しく思ってるよ」

 

「………」

 

 

 顔を赤くして頬を脹れさせる萩村……あれ? 俺何か変な事言ったか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 生徒会室の戻ると、横島先生と五十嵐さんが居た。何か用事だろうか?

 

「学校にこんなものを持ち込んでた男子生徒が居てさ~ほれ、これがそのブツなんだけど」

 

「ふむふむ……」

 

「あら~」

 

「い、淫猥です!」

 

 

 横島先生が取り出したエロ本を読み始める3人……五十嵐さんも苦手なら見なければ良いのに。

 

「確かにいかがわしいですね」

 

「だから今から呼び出して……」

 

「注意するんですね。私もご一緒します!」

 

「いや、生身の良さを教えてやらなきゃと思って」

 

「!?」

 

 

 あらら、五十嵐先輩が気を失ってしまった……何を想像したんだか。

 

「何て冗談よ」

 

 

 笑って誤魔化す横島先生だが、息が荒い……つまり興奮してるって事だろうな。

 

「冗談だと言い張るなら、まず息を整えてから説得力があるように言ってください」

 

「津田も一緒に如何だ?」

 

「行かねぇよ!」

 

 

 まったく……何を考えてるんだこの変態教師は。まさか本当に呼び出して襲う気じゃねぇだろうな……

 

「萩村、横島先生の監視を頼めるか?」

 

「アンタがやれば……あぁそう言うこと」

 

「察しが良くて助かるよ」

 

 

 俺が監視してたら、最悪巻き込まれる可能性があるのだ。あくまで可能性だが、この人ならやりかねないからな。

 

「それじゃあ私は監視を終えたらそのまま帰るので」

 

「おう! ご苦労」

 

「頑張ってねー」

 

 

 会長と七条先輩は未だにエロ本に興味津々で、気持ちの篭ってない言葉で萩村を送り出した。

 

「津田、お前は読むんじゃないぞ!」

 

「読みませんよ……それより五十嵐さんを起こすの手伝ってくださいよ」

 

 

 会長が注意してきたけど、俺は別に興味無いんだが……

 

「シノちゃん、津田君は読まないわよ」

 

「アリア?」

 

 

 七条先輩が自信満々に否定してくれた。だが何で嫌な感じがしてるんだろう……

 

「使うのよ!」

 

「おぉ!」

 

「原因はこれか! てか使わねぇっての!」

 

「ん……」

 

「五十嵐さん?」

 

 

 俺が怒鳴った所為で(おかげで?)五十嵐さんが意識を取り戻した。

 

「五十嵐、お前ももっと見るか?」

 

「これなんか凄いよ~」

 

「ヒィ!?」

 

「止めろお前ら!」

 

 

 会長と七条先輩に、申し訳ないが一発ずつ拳骨を喰らわす……これ以上事態を悪化されたく無かったのだ。

 

「痛いぞ……」

 

「でも、新しい快感に目覚めそう……」

 

「逃げなきゃ!」

 

「待って! 私も逃げる!」

 

 

 廊下を出来る限りの速度で移動しながら生徒会室から逃げ出した。何でこんなに変態なんだうちの生徒会は……




そろそろウオミーの出番かな……


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誤解と期末テスト

後半はオリジナル展開です


 期末試験前日、勉強してく為に学校に残ろうとして食堂に向かったら、三葉が昼食を摂っていた。

 

「三葉の飯、随分と質素だな」

 

「金欠でね……あっ!」

 

 

 何か思い出したような声を出して、三葉がジッと俺の事を見てくる……何か顔についてるのか?

 

「男の子をおかずにすると体が満たされるって聞いたけど、そうでもないね」

 

「多分『体』じゃなくって『身体』だと思うが……誰から聞いた?」

 

 

 大体三人くらいは想像つくんだが……あっ、もう一人居た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 三葉と別れて生徒会室に行くと、七条先輩が食事をしていた。相変わらず豪勢な弁当だな。

 

「津田君も一口いかが?」

 

「良いんですか?」

 

「もちろん! はい、あ~ん……」

 

 

 恥ずかしいが、別に誰も居ないので気にする事も無いか……そう思って口を開けたら、丁度同じタイミングで扉が開いた。

 

「………」

 

「………」

 

「津田君、如何だった? 私が舐ったお箸は?」

 

「感想聞くのそこ!? あと箸は舐るな!」

 

 

 会長と目が合って気まずかった空気が、別の意味で気まずくなった……

 

「アリア、手皿は一見上品だがれっきとしたマナー違反だからな。気をつけるように」

 

「会長もツッコム箇所が違うような……まぁ良いか」

 

 

 下手にツッコんで墓穴掘るのも馬鹿らしいし……

 

「でもシノちゃん、○液だと妖艶さが増すと思うのだけど」

 

「……論破されてしまった」

 

「他にツッコムところあるでしょ。あと、生徒会室でそんな話をするな!」

 

「同感ね」

 

「萩村……」

 

 

 居たのに全く気付かなかった……寝てたのかな?

 

「何よ?」

 

「いや、別に……」

 

「そう……これはあの資料が要るわね」

 

 

 そう言って棚の中を物色しようとした萩村だったが……

 

「んー!」

 

「スズちゃん、私が取ろうか?」

 

「大丈夫です……あっ!」

 

 

 手が届いたのだが、上に乗っていた箱が滑って七条先輩目掛けて落ちていく……

 

 『ポヨン、ガン!』

 

 

 七条先輩の胸で跳ね返った箱は、萩村の後頭部に直撃した。あれは痛いぞ……

 

「あ、あの……」

 

「大丈夫です……自業自得ですから」

 

「でも……」

 

「七条先輩の優しさに甘えればよかったんです……会長だったらこんな思いはしなかったでしょうが……」

 

「ケンカウッテンノカー!」

 

「何故片言!? あと萩村もその目は止めた方が……」

 

 

 完全に会長に喧嘩売ってるような目をしてたので、俺は軽く注意しておいた。こんなんで明日のテスト、大丈夫かな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 心配してたテスト期間も無事終わり、今日からまた部活が再開するようなので、生徒会で柔道部の見学に行く事にした。

 

「三葉、やっぱり大会とか出るの?」

 

「もっちろん! 大会で優勝して名を上げて、皆でオリンピックで金を取ろうって誓い合ってます!」

 

「素晴らしい団結力だな!」

 

「感動したよ~!」

 

 

 良い話なんだろうが、階級とか一緒じゃないのか?

 

「三葉、あれは何だ?」

 

「あれは腹ばいと言って、腹を地に着けて手足で移動するトレーニングです」

 

「キツそうだな……」

 

「そうですね……」

 

 

 あれは筋肉付きそうだな……

 

「津田がやったら、きっと摩擦でイってしまうだろうな」

 

「そう言う話してんじゃねぇよ!」

 

 

 トレーニングの話なのに、何でそっちに話を持っていきたがるかな会長は……

 

「でも、津田君ならあれくらいじゃイケないんじゃない?」

 

「何故だ、アリア?」

 

「だって毎日やってれば……」

 

「いい加減にしろ!」

 

 

 最近この二人に拳骨を喰らわせる事が多くなってきたような……

 

「君、津田君だよね?」

 

「え、あぁそうだけど……確か中里さんだっけ?」

 

「良く知ってるね」

 

「まぁ一応は……でも、そっちだって俺の事知ってるじゃんか」

 

「だってムツミが良く君の事話すから……」

 

 

 三葉が? 何を話してるのか気になるが、今はそれどころでは無い。

 

「タカトシ君は気にしないでね」

 

「分かったから、そろそろ離してやって。死んじゃうから」

 

 

 首を極められた中里は、今にも死にそうな顔で俺に助けを求めてきたのだった。この部活も色々ヤバイな……

 

「津田、あっちの二人の処理は任せるわよ?」

 

「あっちの二人? ……ゲッ!」

 

 

 拳骨を喰らわせた二人が、何故だか嬉しそうな顔してコッチに向かってきた。あれはヤバイ、逃げなくては!

 

「あっ、逃げたぞ!」

 

「津田く~ん! もっと強く殴っても良いんだよ~!」

 

 

 デカイ声で余計な事を言うな!

 

「きゃ!」

 

「あっと、スミマセン」

 

 

 逃げていたら誰かとぶつかってしまった……怪我とかしてないよな?

 

「つ、津田君!?」

 

「あっ、五十嵐さんでしたか。スミマセン、急いでるのでこれで!」

 

「え、ちょっと!?」

 

「アリア、あっちだ!」

 

「待ってよ津田く~ん!」

 

「あ、そう言う事……」

 

 

 背後から追いかけてくる二人と、妙に納得したような感じの五十嵐さんの声が聞こえてきたが、今はそれどころでは無いのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 桜才学園では、試験の結果が張り出されるのだ。そして生徒会役員のノルマとして、学年20位以内に入らなければ、ある事無い事言いふらされるそうなのだ……これが伝統だったら嫌だな……

 

「津田ー結果見に行こうぜ!」

 

「自信あるのか?」

 

「900点満点だろ? 半分くらいは取れてると思うぜ?」

 

「それって駄目じゃね?」

 

 

 900の半分じゃ450だぞ……それで満足するなよな。

 

「おっ、あったあった」

 

 

 廊下に張り出された紙に大勢の生徒が群がっている。上位50人しか名前が載ってないのに、皆興味あるんだな……

 

「おい、あれお前の名前じゃね?」

 

「どれ?」

 

「あれ!」

 

 

 柳本が指差す先には……

 

 1位萩村スズ  897点

 2位津田タカトシ  856点

 3位轟ネネ  848点

 

 

「頑張った甲斐があったよ」

 

 

 萩村には負けたけど、前回2位の轟さんには勝てたようだ。でも、900点満点で897点って、どれだけ頭が良いんだよ萩村は……

 

「あっ、柳本の名前もある」

 

「何!?」

 

「ほら」

 

 

 俺が指差した先には……

 

 補習生徒

   ・

   ・

 柳本ケンジ

   ・

   ・

 

 

「ウゲ!」

 

「頑張れよ」

 

 

 赤点補習の生徒の欄に、柳本の名前があったのだ。半分も取れなかったって事だな……哀れなり。

 

「津田、アンタやれば出来るのね」

 

「萩村には勝てないけどね」

 

 

 結果を見に来ていた萩村が、話しかけてきたが、如何やればあんな点が取れるんだか……ん?

 

 二年結果

 1位天草シノ 890点

 2位七条アリア 885点

 3位五十嵐カエデ 867点

 

 

 ……俺の知り合いは化け物ばかりだった。もっと頑張ろう……




タカトシ頑張った! でも生徒会メンバーには勝てない……


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試験後の評価

ほぼオリジナルの話です


 期末試験が終わってから、俺の周りからの評価はガラッと変わった。前までは結構やる男子だったらしいのだが、期末試験後はかなり出来る男子になったとか……正直自分的にはまだまだだと思ってるので周りの評価など気にしてないのだけど。

 

「タカトシく~ん! 勉強教えて」

 

「三葉? もしかして補習か?」

 

「部活補正で何とか補習は免れたけど、もう後が無いからね~」

 

「なるほど」

 

 

 このようにクラスメイトから勉強を教えて欲しいと頼まれる事が多くなったのだ。俺から言わせて貰えば、俺なんかより萩村に聞いたほうが確実だと思うのだが、このクラスに萩村と知り合いな生徒は何人いるか分からないんだよな……迂闊に断って調子乗ってるとか思われたくないので教えてるが、俺だってテスト前に必死になって勉強してあの点数を取ったのだから、何でもかんでも分かる訳では無いのだ。

 

「津田ー! 俺の代わりに補習受けてくれー!」

 

「いや、お前が駄目だったから補習なんだろ? それを俺が代わりに受けたら意味無いだろ。そもそも代わりに行ったところでバレて追い返されるのがオチだって」

 

「もう勉強したくねーんだよ!」

 

「いや、してないから補習なんだろ……」

 

 

 クラスメイトの男子から、泣きつかれる事もしばしば……俺が補習に出たからと言って、お前らの頭が良くなる訳じゃ無いんだけどな……

 

「お前は良いよなー、勉強も運動も両方優れてて、しかも見た目まで良いんだから」

 

「勉強も運動も努力した結果だ。見た目は俺の力関係無いし、そもそも自分が優れた見た目をしてるとは思って無いよ」

 

「ケッ、モテる男はこれだからな」

 

「何不貞腐れてるんだよ」

 

 

 頼りにされる反面、こうやって嫉妬される機会も増えた気がする……何時俺がモテたと言うんだ……好意をもたれてるかもとは思ったことはあるが、その相手の中身は殆どが思春期真っ盛りなんだぞ!

 

「津田……頼む! この課題の意味を教えてくれ!」

 

「柳本……お前、大丈夫か? 随分とやつれてるが」

 

「補習に出ても意味が分からないんだよ……」

 

「授業中に寝てるからだろ……」

 

 

 そもそも授業ちゃんと聞いてれば赤点補習になどならないと思うんだけどな……中学の時にそう言ったら友達に殴られたっけ……お前だけだそんなのは! とか言われて。

 

「それで、何が分からないんだ?」

 

「……ぶ」

 

「は?」

 

「全部だよ!」

 

 

 聞き取れなかったのでもう一回聞いたら、柳本は泣きそうな声ではっきりとそう言った。全部ですか……そりゃ泣きたくもなるわな……先生が。

 補習は恐らく分かりやすく説明してくれてるんだろうが、それでも全部分からないってなると、相当なおバカと言わざるを得ない事になるんでは無いだろうか……

 

「それじゃあ説明してくがな……」

 

 

 一個ずつ丁寧に分かりやすく説明していくと、柳本の周りに他のクラスメイトも集まり始めた。男子も女子も今だけは隔たり無く集まってるのを見ると、このクラスの大半の生徒は授業では理解してなかったのだと分かった。

 

「えっと、今の箇所までで質問はあるか?」

 

「いや、大丈夫だ。さすが津田だな! 先生より分かりやすいぜ!」

 

「多分先生も同じように説明してると思うんだが、先入観で分からないと思い込んでるんじゃないか? 先生の言ってる事は難しいから無理だって」

 

「……そうかもな。考えた事も無かったぜ」

 

 

 中学の時にも同じ事を言ってやった次の日には理解出来るようになった友達も居たし、これで少しは補習内容が頭に入ってくれるだろう。

 

「じゃあ説明はもう良いな? 俺は生徒会の仕事が……」

 

「もうちょっと教えてくれ!」

 

「津田君、私からもお願い!」

 

「もうちょっと! もうちょっとで良いから!」

 

 

 何だかおかしな展開になって無いか? 俺は柳本に教えてただけなのに、何時の間にか周りのクラスメイトにまで教えてる事になってる……いっそのこと全員補習授業に出れば良いのに……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 クラスでの即席授業を終えて、俺は急いで生徒会室に向かっていた。そしたら……

 

「今日は津田副会長にインタビューしたいと思います」

 

 

 いきなり現れた畑さんに捕まってしまった……てか、インタビューって何に使うんだろう?

 

「ずばり、津田副会長の好きな女性のタイプは?」

 

「……答えなきゃ駄目ですか?」

 

「もちろんです!」

 

「……あっ! 笑顔の素敵な子とか良いですね」

 

「アヘ顔の素敵な子だそうです」

 

「ワザとらしく聞き間違えるな! 後アヘ顔ってなんです?」

 

 

 この人の事だから恐らく卑猥な事なんだろうけど、さっぱり分からないな……コトミに聞けば分かるのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 畑さんの質問攻撃を追い払って、俺は漸く生徒会室に辿り着いた。

 

「終わったー!」

 

「今日は大変だったね~」

 

「スミマセン、俺が遅れたから……」

 

 

 仕事を終え伸びをしている会長と七条先輩に謝る。萩村は用事だとかで来れなかったし、俺もクラスメイトに頼まれて解説とかしてたから、実質今日の生徒会作業は会長と七条先輩の二人だけで終わらせたのだ。

 

「事情が事情だからな、気にする事は無いさ」

 

「そうだよ~……あっ! ホック外れちゃったよ~このブラもう合わないな~」

 

「グヌヌ……」

 

「会長、そんなに悔しがらなくとも……」

 

 

 如何やら小さいのを気にしてるらしい会長は、七条先輩の胸を羨ましそうに見て、もの凄い勢いで歯噛みをしている。

 

「津田君」

 

「なんでしょう?」

 

「このブラ欲しい?」

 

「いらねぇよ!」

 

 

 外したブラを取り出して人に押し付けてくる七条先輩……如何してこの人はこんななんだろう……

 

「てかアリア、○首が透けてるぞ」

 

「此処なら大丈夫でしょ~? それに、帰るときは車だから~」

 

「じゃあ平気だな!」

 

「いや、駄目だろ……」

 

 

 居ずらい雰囲気の中、俺はコッソリと生徒会室を出た。仕事が終わってるのならこれ以上あの空間に居たくなかったのだ。

 

 




実際授業をちゃんと聞いてれば、テスト前に焦る事は無かったですね。それが普通なのか如何かは知りませんが……


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一学期終了

30話目です。そしてついにあの人が……


 本日を持って、一学期が終了する。と言う訳で今は体育館で終業式の真っ最中なのだが、相変わらず人前に立つ時は緊張するな~。

 

「如何した? 津田、顔が赤いが……まさか人前に立って興奮してるのか!?」

 

「緊張してるんですよ!」

 

 

 何で興奮するんだよ……でもあれ? 良く見たら会長や七条先輩も顔が赤いような……

 

「二人も緊張してるんですか?」

 

「いや、興奮してるんだ!」

 

「私も~!」

 

「何でだよ!」

 

 

 いくら舞台袖とは言え大声を出すのはマズイので小声でツッコミを入れる。萩村は完全に我関せずを貫き通すようだ。

 

「それでは、生徒会長に一言お願いします」

 

「おっと、出番だ」

 

「シノちゃん、壇上で絶頂しないようにね~!」

 

「そんな励まし方があるか!」

 

「おう!」

 

「何でガッツポーズなんですか……」

 

 

 七条先輩の訳の分からないエールに、会長が力強く応えた。本当になんなんだこの生徒会役員共は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 終業式を終え、HRも終わったが、俺たちはまだ生徒会での仕事が残ってる為に生徒会室に集まった。

 

「は~早く帰って身体を洗いたいな~」

 

「七条先輩は潔癖ですね」

 

「そうかな~?」

 

「綺麗好きは良い事だと思いますよ」

 

 

 確かにこの暑さだ、汗で気持ち悪くなっても仕方ないだろう。

 

「そうだよね! ア*ル洗浄は素敵だよね!」

 

「……あれ? 身体……あれ?」

 

「何時から話が摩り替わった!?」

 

 

 俺たちは何の話をしてたんだろう……正直話がかみ合って無い気が……

 

「さて、残りの仕事を片付けてしまおう」

 

「そうだね~」

 

 

 何事も無かったかのように進められる会話に、俺と萩村は肩を落とした。

 

「アンタが居てくれて助かってるわ……」

 

「うん、俺も萩村のおかげで何とかなってるよ……」

 

 

 ツッコミポジションである俺たちは、どちらかが欠けたらきっともう一人も駄目になるだろうと思ってる。それだけに相手を気遣う気持ちは忘れないのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 残ってた仕事も終わり、漸く帰れるのだが、俺は鞄の中にある大量の宿題を見てため息を吐いた。

 

「進学校だけあって、宿題多いですね~」

 

「これくらいなら五日もあれば十分だな」

 

「私はお稽古があるから一週間かな~」

 

 

 相変わらず次元が違いすぎるな……俺は一ヶ月くらいなきゃ終わりそうに無いぞ……主にコトミの相手があるから……

 

「私はもう終わりました」

 

「はぁ!?」

 

 

 この量をもう終わらせたって言うのかよ……学年一位と二位の差は思ったよりあるようだな。俺ももう少し頑張るか……主にコトミを更生させるのを。

 

「それで済まないんだが、君たちには何日か学校に来てもらう日があるのと、この日は海水浴に行くので予定を空けておいてくれ」

 

「海水浴?」

 

「ああ、親睦を深める為にな。一人くらいなら友人を誘っても構わないが、参加は自由だから気軽に来てくれ」

 

「参加自由ねぇ……」

 

 

 俺の手元には、会長直々に作ったと思われる旅のしおりがあるのだが、もしこれで参加しないって言ったら怒られるだろうな……

 

「それで会長、登校日の時に何か持ってくるものはありますか?」

 

「いや、特に無いな」

 

「それじゃあ手ぶらで良いんですね」

 

 

 荷物が無いのはありがたいな。大した距離じゃないけど、手ぶらと荷物ありじゃ気分が違うからな。

 

「いや、服は着て来い」

 

「………」

 

「ん? ……あぁ、グラビア用語の方じゃねぇよ」

 

 

 事務的なツッコミを入れて、今日は解散になった。

 

「ねぇねぇシノちゃん、この後水着買いに行かない?」

 

 

 終わって早々そんな話をするなんて、やっぱりノリノリなんだな……ますます行きたくなくなってきた。

 

「如何しよう……私サイズ代わらないからもったいないし……」

 

「で、でもシノちゃん、腕も腰もお尻も脚もスマートじゃない? 四勝一敗で勝ち越しだよ」

 

「五連勝のアリアには敵わないから……」

 

 

 あの空気、誰が如何すれば良いんだか……

 

「津田、アンタが何とかしてきなさいよ」

 

「俺が!? 何で!?」

 

「私は方向が逆だから」

 

 

 そう言えばそうだったな……会長も七条先輩も、方角的には一緒だったっけ……

 

「会長、七条先輩、良かったら途中まで一緒に帰りませんか?」

 

「じゃあ津田君に選んでもらお~!」

 

「そうだな!」

 

「は?」

 

 

 いきなりなんだ……もしかしなくてもあれだろうな……俺には荷が勝ちすぎてると思うんですが。

 

「それじゃあ私はカエデちゃんに電話するね~」

 

「五十嵐さんに? 何故です?」

 

「海水浴に誘うからだよ~。その後で一緒にお買い物~」

 

「じゃあ私はウオミーだな!」

 

「……確か会長のメル友の」

 

 

 俺はいったい何人の水着を選べば良いんだ……

 

「それじゃあ出発!」

 

「カエデちゃんは校門で待ち合わせだよ~!」

 

「……萩村、怨むからな」

 

「ゴメン、チョーゴメン」

 

 

 恨みがましい目を向けると、萩村は必死に謝ってくれた。仕方ない、覚悟を決めるか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 校門で五十嵐さんと合流し、店の前で噂のウオミーさんと合流した。あの制服って確か、英稜高校のだよな……意外と近所だったんだ。

 

「やあウオミー」

 

「こんにちは、シノッチ」

 

「貴女がウオミーさん?」

 

「YES! 英稜高校二年、生徒会役員の魚見です」

 

「桜才学園二年、生徒会書記の七条アリアです」

 

「桜才学園二年、風紀委員長の五十嵐カエデです」

 

「よろしく……あら、そちらの方は?」

 

 

 少し離れていた俺に気付いて、魚見さんは近付いてきた。

 

「どうも、桜才学園一年、生徒会副会長の津田タカトシです」

 

「何処かで……お会いしましたっけ?」

 

「いえ、初対面だと思いますけど……」

 

「いえ、絶対何処かで……ちょっとこれを読むのに付き合ってもらえます?」

 

「はぁ……」

 

 

 渡されたのは一冊の本、なにやら台本のようだが、何に使うつもりだったんだろうか……

 

「えっと……汚れますよ、良いんですか?」

 

 

 何で汚れると言うんだ……

 

「良いのよ! タカ君良いの! 先生、今日は汚される覚悟で来てるから!」

 

 

 た、タカ君!? 何だその呼び名は……でも、何故だか近しい名前で呼ばれてた気がするし、魚見さんがアラフォー教師に見えた気が……

 

「先生の水田に、タカ君の種籾を直播きしてー!」

 

「きゅ~!」

 

 

 ……今、五十嵐さんが鳴いたような気が……なんだったんだろう?

 

「ふう、ありがとうございました」

 

「はぁ、お役に立てたのなら……」

 

 

 良く分からないコントをして、俺は結局四人分の水着を選ぶ破目になってしまった……正直俺のセンスなんて当てにならないんだがなぁ……とりあえず、会長は赤、七条先輩は白、魚見さんは青、五十嵐さんは黄色の水着に決まった。俺が決めたんだけどね……




ウオミー登場! ちなみにネタは「のうりん」です。


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海水浴でのハプニング

余裕があったので今週もう一話投稿します


 明日は生徒会の親睦を深める目的で海水浴に行くのだが、風紀委員長と他所の学校の人もくるんだから、生徒会の親睦を深めると言う目的からは外れてるんだろうな。

 

「良いな~タカ兄ぃは、私も海に行きたいな~」

 

「お前は今年受験生だろ。遊んで無いで勉強してろ」

 

「タカ兄ぃ、やろうとしてる人間に『やれ』って言うのは逆効果だよ! エッチの時も……」

 

「お前は言われなきゃやらないんだから良いんだ」

 

「だから最後まで言わせてよ~!」

 

 

 如何して口を開けばおかしな事しか言わないんだ、この妹は……

 

「帰ってきたら勉強見てやるから、それまで大人しく一人で(勉強)してるんだな」

 

「うん! タカ兄ぃが帰ってくるまで一人で(オ○ニー)してるよ!」

 

 

 ……何か致命的にズレたような気がするんだが……まぁ良いか。妹の事は兎も角これで如何にかなった。問題は明日だ。

 元々は横島先生の車で行く予定だったのだが、人数が増えた為に七条先輩の家でも車を出してくれるようなので、二台で分乗していくようなのだが、どちらに乗るかは当日決めるとの事なのでちょっと不安だ。比率とか大丈夫だよな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌朝、6時に桜才学園校門前集合との事なので、俺は電車を使って行く事にした。さすがに荷物を持って一駅分を歩くのは疲れるからな。

 

「あら、津田さん」

 

「魚見さん。おはようございます」

 

 

 電車に乗り込んだら英陵の魚見さんがちょうどその車両に乗っていた。面識はあるが、殆ど初対面の人相手に何を話せば良いんだ……

 

「昨日はシタんですか?」

 

「? 何をです?」

 

「オ○ニーを!」

 

「してねぇよ! あと公共の場所でそんな事を言うな!」

 

 

 さすが会長と趣味があうだけある、この人も変態畑の人だった。

 

「そのツッコミ、ウチの生徒会役員にも匹敵しますね」

 

「そうですか……」

 

 

 結局グダグダのまま駅から学園までの道程を過ごした。如何して俺の周りにはボケばっかり集まるんだろう……

 

「おはよう津田、魚見さんもおはようございます」

 

「二人共、おはよ~」

 

 

 校門に着いた時には、七条先輩と萩村が既に来ていた。

 

「おはようございます」

 

「あれ? シノッチは」

 

「会長と五十嵐先輩はまだ……」

 

「私は居ます!」

 

「カエデちゃん、おはよ~」

 

 

 如何やら会長が最後のようだ。何だか会長が最後って珍しい気がする……

 

「待たせたな!」

 

「会……長?」

 

「シノッチ、さすがですね!」

 

「シノちゃん分かってる~」

 

 

 イルカの浮き輪を膨らませた状態で持ってきた会長は、その場で浮き輪に跨って上下運動を始める……俺はツッコまないからな。

 

「それじゃあ横島先生の車と、出島さんの車、どっちが良い?」

 

「メイドの出島です」

 

 

 本当に居るんだ……さすがお嬢様だけある。

 

「此処は公平にジャンケンと行こう」

 

「勝った人が津田さんの上に……」

 

「はいはい、勝った人から順番に選びましょうね」

 

 

 道中で魚見さんの扱いに慣れた俺は、ボケを途中で流して元の話の流れに戻した。

 

「津田のスキルが上がってる……」

 

「随分扱いに慣れてますね……」

 

 

 萩村と五十嵐さんが何故だか面白く無さそうな目で見てきてるけど、何か俺やらかしたか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ジャンケンの結果、横島先生の車に俺と魚見さんと五十嵐さんが乗り、出島さんの車に桜才生徒会メンバーが乗る事になった。

 

「助手席には荷物が置いてあるから、アンタらは後部座席ね」

 

「それでは津田さんが真ん中で」

 

「いや、五十嵐さんは俺と接しない方が良いんじゃないですか?」

 

「だ、大丈夫です!」

 

 

 だって既に震えてるじゃないですか……そもそも何で俺と一緒の方を選んだんだろうこの人は……

 

「それじゃあ津田、アンタが真ん中で良いのね」

 

「そうみたいですね」

 

 

 結局五十嵐さんが大丈夫と言い張ったので俺が真ん中に……泳ぐ前から疲れてきたぞ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 海に到着して、女性人の着替えが終わるのを待ってる間にパラソルなどを設置しておく。横島先生も意外と準備が良いんだな。

 

「待たせたな!」

 

 

 会長が腰に手を当てて立っているが、正直何故あそこまでテンションが上がってるのか理解出来ない。人ごみは苦手なんだよ、俺は……

 

「津田さんに一つだけ忠告を」

 

「はい?」

 

 

 メイドの出島さんが何時の間にか背後に立っていた。

 

「お嬢様にもしもの事があったら、責任取ってもらいますからね」

 

「責任?」

 

「貴方の息子を引き抜きます」

 

「はぁ……」

 

 

 息子? 息子ってなんだろう……俺はまだ子供なんて居ないんだが……

 

「それじゃあ引率の横島先生から一言」

 

「皆羽目を外しすぎないように、ハメるのは良いけど」

 

「どっちも駄目だろ」

 

 

 何でこの人が引率なんだか……あっ、生徒会顧問か。

 

「よし! 遠泳でもするか!」

 

「負けないよ~」

 

「シノッチには勝ちますからね」

 

「えっと、私も?」

 

「やりますか」

 

「私は遠慮します、足が届かない場所では泳がない主義なので」

 

 

 ほう……

 

「誰だ今ビニールプールを想像したのは!」

 

 

 萩村に追いかけられる形で全員が逃げ出した。多分俺だけじゃなかったのだろう……てか、五十嵐さんもか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 萩村から逃げ切った私たちだが、津田の姿が見当たらない……何処に行ったんだ?

 

「シノちゃん、あそこに居るよ~」

 

「何!?」

 

 

 アリアの指差したのは、遊泳区域ギリギリのブイだった。そうか、アイツは泳ぎが得意だったんだな……

 

「さすが津田だな……」

 

「まるでお魚さんだね~」

 

「一応見たことありますが、もの凄い泳ぎですね」

 

「私は初見ですが、津田さんって運動得意なんですね」

 

 

 結局遠泳勝負は津田の勝ちか……せっかく勝って津田に何か言う事を聞かせるつもりだったのに……

 

「あっ、戻ってくるよ~」

 

 

 アリアが無邪気に津田の事を見ていたら……

 

「あ、足が!?」

 

「五十嵐!?」

 

 

 五十嵐が足を攣って溺れかけた。如何しよう、此処から浜辺まで結構あるし、私たちじゃ五十嵐を引っ張って向こうまで泳ぐ自信が無いぞ……

 

「お、おちちゅいてください!」

 

「ウオミーが落ち着け!」

 

「如何しよう……」

 

 

 私たちが慌てている間に、五十嵐が沈んで行った。と、とりあえず五十嵐を引っ張り上げなくてはいけないな。

 

「プハァ! ケホッ!」

 

「五十嵐!」

 

 

 意を決して潜ろうとしたら、五十嵐が出てきた。自力で出てきたのか?

 

「何してるんですか! 溺れた人を放って置くなんて!」

 

「津田君!?」

 

「様子が変だから慌てて来てみれば、普段ふざけてるくらい余裕な感じなんですから、こう言った時も冷静に対処して下さいよ!」

 

「スマナイ……」

 

「ゴメンなさい……」

 

 

 如何やら津田が慌てて五十嵐を引っ張り上げたようだった……それにしてももの凄い心肺能力だな。

 

「一先ず浜辺に戻りましょう。五十嵐さんは俺が運びますから」

 

 

 そう言って津田は五十嵐の手を引っ張ってゆっくりと泳いでいった。

 

「津田さん、かなりカッコいいですね」

 

「ウオミー!?」

 

「カエデちゃん、良いな~」

 

 

 ウットリと津田を見つめているウオミーとアリアを見て、私はもの凄く焦った。まさか二人がライバルになるなんて思って無かったぞ……




完全にウオミーとアリア、シノはタカトシを意識してます。もちろんカエデも……
意外とタカトシは性知識に疎いです。


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しつこいナンパの撃退法

お気に入り登録が300を越えました。平均で一話につき10人ペースですね


 五十嵐先輩が溺れかけた時、私は浜辺でそれを見ているしか出来なかった。流れで参加させられた遠泳では、早々にリタイアしてたので、傍に居なかったのもあるが、私はきっとあの場に居ても何も出来なかっただろう。

 

「……村、萩村!」

 

「えっ!」

 

 

 急に呼ばれて私は飛び上がりそうになるのを堪えて呼ばれた方を向く。そこには五十嵐先輩を抱きかかえた津田が居た。

 

「な、何よ……」

 

「悪いけど五十嵐さんの介抱を頼めるか?」

 

「良いけど、アンタは?」

 

「いや、だって五十嵐さんは」

 

「……そうだったわね」

 

 

 緊急事態だったから忘れてたけど、この人は男性恐怖症だった……今は気を失ってるようだが、もし起きてたら如何なってたんだろう。

 

「じゃあよろしく」

 

「何処行くの?」

 

「とりあえず説教してくる」

 

「いや、あの状況で取り乱すのは仕方ないと思うけど……」

 

「そっちじゃなくて、あの二人」

 

「へ? ……あぁ」

 

 

 よく見れば浜辺で男を襲ってる横島先生と七條家メイドの出島さんが居た……生徒の緊急事態に何やってるんだあの教師は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 カエデちゃんが溺れた時はかなり焦ったけど、津田君が居てくれて良かったな。もし居なかったら私たちじゃ助けられなかったかもしれないものね。

 

「ねぇ彼女、一人?」

 

「え?」

 

 

 見ず知らずの男の人に話しかけられた。これが世に言うナンパと言うやつなのかな?

 

「スゲェ良い事教えてあげるから、あっちの岩場まで行こうぜ」

 

「良い事?」

 

「あぁ。スゲェぜ」

 

「う~ん……」

 

 

 この人の言ってる良い事が何なのか分からないけど、付いていったらいけないような気がするのよね……でも、男の人に掴まれたら抵抗出来ないだろうし……

 

「良いから来いよ!」

 

「きゃっ!」

 

 

 如何やら短気だった男の人は、私の腕を掴んで強引に岩場まで連れて行こうとしてるみたい。如何しよう、もしかして私、かなりピンチかも知れない……

 

「何してるんです?」

 

「あ?」

 

「あっ!」

 

 

 聞き覚えのある声が近付いてきて、私は安心してきた。私が知ってる男の子で、最も頼りになる声の持ち主だ。

 

「誰だテメェ?」

 

「そちらこそ何方です?」

 

「関係ねぇだろ! 俺は今忙しいんだよ!」

 

 

 そう言って津田君に殴りかかる男の人、随分と暴力的で短絡的な人なんだ……これじゃあモテ無いのも頷けるわね。

 

「ほっと」

 

 

 軽くステップを踏む事で男の人の拳をかわし、そのまま相手の足に自分の足を引っ掛けて転ばせた。

 

「人の連れにちょっかい出さないでくれます?」

 

「何!?」

 

「アリアさん、行きましょう」

 

「え、うん」

 

 

 伸ばされた手を掴み、私は津田君と男の人の横を通り過ぎる。そうか、津田君は私の恋人を演じる事でこの場を治めようとしてるんだ。

 

「何だよ男連れかよ」

 

 

 如何やら津田君の思惑通り勘違いしてくれたようで、男の人は何処かに行ってしまった。

 

「大丈夫ですか?」

 

「うん。津田君が助けてくれたから」

 

「偶々近くを通りかかったから良かったですけど、これからは気をつけてくださいね。七条先輩は美人なんですから」

 

「あっ……うん、気をつける」

 

「?」

 

 

 名前で呼んでほしかったけど、あれは演技だもんね。後で聞いた話だと、私をナンパしてきた男の人は、横島先生と出島さんに襲われたようだった。自業自得かしらね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 気が付いたらパラソルの下だった。足を攣って溺れたはずの私は、如何やら助かったようだった。

 

「……萩村さん?」

 

「あっ、気が付きましたか」

 

「えっと……どれくらい気を失ってたの?」

 

「五十嵐先輩が溺れてから、まだ一時間くらいしか経ってませんよ」

 

「そう……ところで誰が助けてくれたの? 会長かしら」

 

 

 あの場で咄嗟に行動出来そうなのは天草会長くらいだし、きっとそうよね。

 

「いえ、津田が五十嵐先輩を浜辺まで運んできました」

 

「津田副会長が!?」

 

 

 も、もしかして人工呼吸とかされたのかしら? それってつまりき、き、……って! 妄想してる場合じゃ無い!

 

「浜辺まで五十嵐先輩を運んできて、その後何処かに行っちゃいました。自分が居たら気が休まらないだろうからって」

 

「……そう」

 

 

 津田君がこう言う人だって分かってるのに、如何して私は妄想で悪い方に考えちゃうんだろう……他の男子と違って、津田君は私の事をあんなに気遣ってくれるのに。

 

「あっ、帰ってきたみたいですね」

 

「本当ね」

 

 

 津田君の傍には、七条さんと魚見さんが寄り添うように居たけど、津田君は少し疲れ気味のような表情で二人を見ている。如何やら二人が津田君と腕を組もうとして後ろに居る天草会長に止められてるようだ。

 

「おかえりー」

 

「うん……疲れた」

 

 

 萩村さんの横に転がり込んだ津田君は、そのまま動かなくなった。如何やら本当に疲れているらしい。

 

「まあ津田、これでも飲んで……おっと、零してしまった」

 

「水なら目立たないんじゃ無いですか?」

 

「本当に目立たないか?」

 

 

 天草会長が零したのはスポーツドリンク、零した場所は股周辺……

 

「んなっ!?」

 

「乾くまで隠してなさい」

 

 

 絶句した私の代わりに、津田君が会長にツッコミを入れた。疲れていても相変わらずのキレの良さだった。

 

「ふと思い出したのだが、サメが人を襲う映画があるだろ」

 

「あーありますねー」

 

 

 萩村さん、何だかやる気が無い?

 

「もしあれがサメでは無くタコやイカだったら、十八禁になるよな!」

 

「シノッチは触手がお好きなんですね!」

 

「ヌルヌルして気持ち悪そうね! でもきっと快感なんでしょうね!」

 

「「………」」

 

 

 私と萩村さんは、無言で津田君の方を見る。疲れているところ可哀想だけれど、この状況にツッコミを入れられるのは津田君しか居ないのだ。

 

「アンタら順番に説教だよ!」

 

 

 残ってた力を振り絞って津田君がツッコミを入れ、説教を始める。助けてもらったお礼をするタイミングを逃しちゃったな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 日が暮れるまで説教をした津田だったが、ついにエネルギー切れを起こしその場に座り込んだ。

 

「そろそろ帰るか」

 

「そうだね~」

 

「中々楽しかったですよ」

 

「会長、横島先生が寝てます!」

 

「じゃあ起こして……」

 

 

 横島先生の周りには缶ビールの空き缶が転がっていた。

 

「アリア、出島さんの車に私たち全員乗れるよな?」

 

「乗れるよー」

 

「じゃあそっちで……」

 

「会長、出島さんも寝てます!」

 

「それじゃあ起こして……」

 

 

 出島さんの周りにも缶ビールの空き缶が転がっている……

 

「宿、探すか」

 

「そうだね~」

 

「と、泊まるんですか!?」

 

「仕方ないだろ。運転手が酔って寝てるんだから」

 

「誰がこの二人を運ぶんですか?」

 

 

 萩村がつぶやいた当然の疑問に、私たちは全員で一人の男を見る。

 

「……分かりました、運びますよ」

 

 

 両肩に横島先生と出島さんを寄りかからせて、津田がとりあえず運び出した。着替えがあるからまずは更衣室に連れて行かなければいけないからな。

 

「津田ーアンタ今日グッスリ寝れるんじゃない?」

 

「もう寝たいよ……」

 

 

 更衣室に二人を放り込んだ津田は、浜辺にあるゴミとパラソルを片付けに行った。宿、見つかると良いんだがな……




お泊りフラグは健在です


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旅館で一泊 前編

今週も二話目投稿します


 酔いつぶれた二人を津田君が支えながら運び、私たちは旅館に到着した。

 

「一部屋とは言え、空いてて良かったね~お姉ちゃん」

 

「そうだな」

 

「シノ姉、何か楽しそう」

 

「そうか?」

 

 

 色々と問題がありそうなので、私たちは姉弟妹と言う設定になっているのだ。

 

「とりあえず姉さんたちを部屋に寝かせよう」

 

「そうね~。それじゃあつ……タカトシ君、お願いね」

 

「お願いね、お・に・い・ちゃ・ん」

 

「スズ、怖いって……」

 

 

 自分が末っ子の設定である事が不満なスズちゃんは、津田君を睨みながら言っている。それにしても津田君、完璧に設定をこなしてるわね。

 

「よしアリア、私たちも部屋に行くぞ」

 

「そうね、お姉ちゃん」

 

 

 設定は上から横島先生、出島さん、シノちゃん、魚見さん、私、カエデちゃん、津田君、スズちゃんの順なのだが、如何見ても一番しっかりしてるのは津田君ね。

 

「重かった……」

 

 

 部屋に二人を寝かせた津田君が、座り込んで息を整えている。

 

「津田、何興奮してるんだ?」

 

「疲れてるんだよ! 見て分かれ!」

 

 

 部屋の中と言う事で、普段の話し方に戻ったシノちゃんに、津田君が容赦のないツッコミを入れた。

 

「それで会長、この後如何するんですか?」

 

「一泊して早朝に帰るしか無いだろ」

 

「それじゃあ家に電話しないと」

 

「あの、それなんですが」

 

 

 電話しようとしたら、津田君が気まずそうに手を上げていた。

 

「如何した?」

 

「男と外泊って大丈夫なんですか? いくら不可抗力とは言え、ご両親が納得するか如何か」

 

「津田君は安全だし、大丈夫じゃないかな? それに、これは出島さんの落ち度だからね」

 

「ウチも平気よ。アンタの事はお母さんも知ってるから」

 

「私の親もそこらへんはゆるいから安心しろ! あっ、ゆるいと言っても股の事じゃ」

 

「分かってるから」

 

 

 シノちゃんのボケをサラリと流して、津田君はカエデちゃんと魚見さんを見た。

 

「お二人は大丈夫ですか? 何なら俺は車で寝ますけど」

 

「駄目よそんなの!」

 

「そうですね。津田さんだけを追い出すのは忍びないですし」

 

「事情を話せば分かってくれると思うわ」

 

「ウチの両親もガバガバ……じゃなかった、ゆるいですから安心して下さい」

 

「出来ねぇよ」

 

 

 魚見さんのボケに、津田君は肩を落としながらツッコミを入れた。それにしても『ツッコミを入れる』ってなかなかエロスな表現よね!

 

「アンタも何考えてるんだよ!」

 

「あら」

 

 

 思考を読まれちゃったのかしら。津田君に怒られてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 せっかく旅館に泊まる事になったのだがら、温泉を楽しまなくてはな! と言う事で我々は今温泉に浸かっている。

 

「シノちゃん、この旅館混浴があるみたいよ?」

 

「そうなのか? 混浴と聞くと緊張するな」

 

「だね~」

 

「ですね」

 

 

 ウオミーとアリアとで盛り上がってると、五十嵐と萩村がジト目でコッチを見ていた。

 

「ちょっと見てくる」

 

 

 その視線に負けた訳では無いが、私は混浴風呂を覗きにその場から移動した。

 

「ふぉ!?」

 

 

 そして慌ててアリアたちの傍に戻った。

 

「シノッチ?」

 

「如何かしたの?」

 

「いや……お取り込み中だった」

 

「「まぁ!」」

 

「「ッ!?」」

 

 

 アリアやウオミーは分かるが、何故五十嵐と萩村まで向こうに泳いでいったのだろう……

 

「これはこれは……」

 

「凄いわね~」

 

 

 私も見たいぞ! 再び泳いで覗きに行くのだった……津田が居たら全員怒られてたな、ここが混浴じゃなくて良かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 風呂から上がったら丁度津田君も出てきた。

 

「五十嵐さん、もう平気ですか?」

 

「大丈夫……って、此処では姉弟の設定よ」

 

「そうでしたね」

 

 

 津田君は溺れた事を気にしてくれてるようで、心配そうに足を見ていた。

 

「良いお湯だったね、カエデ姉さん」

 

「そ、そうね」

 

 

 津田君に名前呼ばれちゃった! 興奮してた私を眺めていた津田君だったが、急に背後に手刀を放った。

 

「おっと!」

 

「畑さん? 何故此処に……」

 

「私は新聞部の合宿で此処に。お二人は婚前旅行ですか?」

 

 

 こ、婚前!? 私と津田君がけ、け、結婚!?!?

 

「違いますよ、実は……」

 

 

 冷静に畑さんに事情説明をする津田君……一人舞い上がってるのが恥ずかしくなってきて落ち着きを取り戻した。

 

「なるほど、そう言う事情でしたか。でも安心して下さい、しっかりと曲解して脚色しますから!」

 

「如何やら新聞部を潰したいようですね?」

 

「い、嫌ですね~冗談ですよ」

 

「そうだと思いましたが、念の為にね」

 

「おホホホホホ……」

 

 

 津田君の目が、冗談では無く本気だと言っている事が分かってる畑さんは、乾いた笑いをして居なくなった。相変わらず神出鬼没な人ね……

 

「これ以上誤解されないうちに部屋に戻りましょう」

 

「そ、そうね」

 

「カエデ姉さん?」

 

「な、何!?」

 

 

 設定を守ってるだけなのに、津田君に名前を呼ばれるとドキッとする。もしお付き合いとかしたら名前で呼ばれるのよね……

 

「いえ、ボーっとしてるので……のぼせましたか?」

 

「だ、大丈夫よ! それよりも湯冷めする前に部屋に行くわよ……た、タカトシ」

 

 

 如何しよう! 津田君の事名前で呼んじゃった!

 またしても舞い上がった私を、津田君は呆れたような目で見ている……津田君は何も感じないのかしら……

 部屋に戻ってから津田君に聞いてみると……

 

「異性に呼び捨てにされるのって、母親以外では初めてだな~とは思いましたよ」

 

 

 との事……つまり私が津田君の初めてを……

 

「五十嵐、お前顔が赤いぞ?」

 

「ひょっとしてエロい妄想でもしてるんじゃないですか?」

 

「そうなの、カエデちゃん?」

 

「違いますよ!」

 

 

 何でこの人たちは私を同類に仕立て上げようとするのかしら……

 

「ひょっとして混浴カップルを思い出してたのか?」

 

「あれは凄かったもんね~」

 

「いつか私もしてみたいですね」

 

「違います! てか、私はじっくりと見てませんから!」

 

「……何の話?」

 

「わ、私も分からないわよ」

 

「スズちゃん、嘘は駄目よ?」

 

「お前もじっくり見てただろ」

 

「だから何をだよ……」

 

 

 この部屋でただ一人あの状況を見ていない津田君は、頭に疑問符を浮かべながらも深く追求してくる事は無かった。多分本能的に危険だと判断したんだろうな……

 

「兎に角! 私は何も考えてませんから!」

 

「何だ、つまらん……」

 

 

 天草会長たちは諦めてくれたようで、とりあえずは良かったけど、津田君や萩村さんがジト目で私を見てるのが気になる……だから私は会長たちとは違うのに!




一話で終わらなかった……


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旅館で一泊 後編

十一月ですね。今年も後二ヶ月で終わるのか……


 夕食を済ませ、後は寝るだけなのだが、やっぱり俺は離れて寝るか車で寝た方が良いのかも知れないな。

 

「会長、やっぱり俺は車で寝ますよ」

 

「そこまでしなくても、私たちは君を信用しているぞ」

 

「そうだよ~」

 

「津田さんは信用出来る男性だと思います」

 

 

 そう言ってもらえて嬉しいのだが……

 

「でも俺は、何時の間にか俺の隣を陣取っているこの二人を信用出来ません……何か脱いでるし」

 

「「ギク!」」

 

「横島先生、そこは私が」

 

「出島さん? そこは私が寝るからね~」

 

 

 俺が使う予定の布団の両隣を陣取っていた変態共を簀巻きにして、会長と七条先輩が隣で寝る事になったのだが……

 

「そもそも、何で俺が真ん中になるんですか? 端っこにすれば問題無いのでは……」

 

「べ、別に寝ぼけたフリして布団に忍び込もうなんて思って無いからな!」

 

「そ、そうだよ~! 私は寝てる津田君を襲おうだなんて考えてないからね」

 

 

 あっ、この二人も簀巻きにした方が安全かもしれないな……結局二人を説得する事は出来ずに、俺が真ん中になる事が決定した……萩村も五十嵐さんも説得を手伝ってくれても良いじゃないか。魚見さんに至っては自分は俺の布団で寝るとか言い出すし……今日はもう疲れてツッコめる状態じゃないんだよ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私は凄腕新聞部部長、畑ランコ。さっきはあまりの恐怖に引いたが、せっかくのスクープを逃す手は無いわね。

 

「津田副会長たちの部屋は……あそこね」

 

 

 望遠レンズ付きのカメラで津田副会長の爛れた生活を激写して記事にすれば、新聞部始まって以来最高の部数が出るでしょうね。

 

「えっと津田副会長は……あら?」

 

 

 布団が六組あるのに、ふくらみは五個しか無い。これはもしや誰かが津田副会長と合体を!

 

「何してるんですかね?」

 

「ッ!?」

 

 

 さっきまで何も感じなかったのに、今は背後に人の気配が……私はゆっくりと背後を振り返ろうとしたのだが、あまりの恐怖に身体が動かなかった。

 

「さっきので諦めてくれたと思ったんですがね。如何やら本当に新聞部を潰したいらしいですね」

 

「見逃してくれたりは……」

 

「一度は見逃しましたが、二度目は無いですよ」

 

「ですよね~……ギャー!」

 

 

 この後の記憶は、私には無い。次に気がついたのは新聞部で借りている部屋の前の廊下で寝ていたのを新聞部の仲間に起こされた時だったから……首筋に鋭い痛みを感じたのは、恐らく津田副会長にやられたのでしょうね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 夜中に誰かの気配を感じ目を覚ますと、両隣の布団で寝ていたはずの会長と七条先輩が俺の布団に入って寝ていた。漸く寝れたと思ったのに、厄日かよ……

 

「あの会長? 七条先輩?」

 

 

 寝ている他の人を起こすのは可哀想だったので、小声で話しかける。

 

「ん……津田!? 私たちは姉弟だ! 近親○姦はいけないぞ!?」

 

「でもシノちゃん、津田君が実は血の繋がらない弟だとしたら?」

 

「……ありだな」

 

「無しだよ!!」

 

 

 畑さんに喰らわせたのと同じ攻撃を二人にも喰らわせ、気を失ったのを確認して布団から追い出す。クソッ、やっぱり厄日だな……

 結局この後もろくに寝れずに、うとうとし始めたと思ったら外が明るくなってきたのだった。

 

「仕方ない、散歩でもしてくるか」

 

 

 寝るのを諦めて布団から出て、俺は着替えを済ませて旅館から外に出る事にした。夏休みだし、一日くらい寝なくても大丈夫だろうしな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 見慣れない天井を見て、私は一瞬自分が何処に居るのかが分からなかった。

 

「そっか、昨日海に来てそのまま……」

 

 

 横島先生と出島さんが酔っ払って車が運転出来なくなった為に、近くの旅館で一泊したんだった……津田君と同じ部屋で。

 

「浴衣は乱れてない、と言う事は津田君に襲われたなんて事は無かったのね」

 

 

 普段から私を気遣ってくれてる津田君だけど、男は皆狼だって言うし津田君ももしかしたらって事もあるかもだしね。

 

「あれ? そう言えば津田君が居ない……」

 

 

 起き上がって全体を見回したが、津田君の寝ていた布団は既に畳まれており、津田君が着ていた浴衣も綺麗に畳まれていた。

 

「何処行ったのかしら……」

 

 

 いくら津田君がしっかりしてるとは言え、土地勘の無い場所をうろついて迷子にでもなったら大変よね。

 

「探しに行かなくちゃ!」

 

 

 急いで部屋から出ようとして、私は何かに躓いた。

 

「ムギュ!? ……何事ですか?」

 

 

 如何やら魚見さんを潰してしまったようで、その圧迫感で魚見さんは目を覚ました。

 

「ごめんなさい」

 

「いえ、私は女性もありだと思ってますよ?」

 

「ヒィッ!?」

 

「冗談です」

 

 

 心配した津田君だったが、特に問題無く皆が起きて着替え終わったのを見計らったかのようなタイミングで帰ってきたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 帰りの車でもジャンケンをして、今度は私とカエデちゃんと津田君が横島先生の車に乗る事になった。出島さんが寂しそうな顔をしてたけど、何時も乗ってるから偶には違う車に乗りたかったのよね~。

 

「いや~面目無い。逆レ○プに成功して祝杯を挙げてたらつい」

 

「そもそもそんな事してないでくださいよ! 仮にも教師でしょ、貴女!」

 

「教師である前に一人の女だよ。良い男が居たら食いたくなるだろ?」

 

「知りませんよ!」

 

 

 さっきからカエデちゃんがツッコミを入れてるけど、津田君は随分と静かね?

 

「津田君?」

 

「……スー……」

 

 

 如何やら津田君は寝ているようだった。

 

「津田君は寝てるんですか?」

 

「疲れちゃったんじゃないかな? 昨日は色々あったから」

 

「そうですね……」

 

 

 カエデちゃんが溺れたのもそうだけど、一日中ツッコミを入れてたのも疲れた原因だと思うのよね~。

 

「あら?」

 

 

 津田君がゆっくりと私の肩に頭を預けてきた。こうして見ると随分と可愛い顔してるんだと良く分かるわね。普段は凛々しい顔してるから、余計に可愛く感じるのかもしれないけどね。

 

「もうちょっとずれたらおっぱい枕ね」

 

「ビクン!」

 

「津田君?」

 

「今のはジャーキングと言って、身体に負担の掛かる寝方をしてるとなる現象だよ。決して夢○したわけじゃ……」

 

「イってねーよ! ……あれ?」

 

 

 ツッコミと共に目を覚ました津田君は、不思議そうに周りを見渡してそのまままた寝てしまった。その後は私にもカエデちゃんにも寄りかからずに学園に着くまでずっと寝ていたのだけれど、私もカエデちゃんもずっと津田君の寝顔を見ていたのは津田君には秘密ね。




いけそうなら連日投稿します


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津田家の日常

タカトシが海に行ってる時のコトミがメインです


 タカ兄が外泊すると聞いて、私はお母さんに喰いついた。

 

「お母さん、あんなに簡単に許可しちゃって良いの!?」

 

「良いも悪いも、タカトシだってもう高校生なんだから大丈夫でしょう」

 

「そうじゃなくて!」

 

「何よ」

 

 

 私が言いたい事が分からずに、お母さんは眉をひそめて私を見てきた。

 

「タカ兄が大人の階段を上ったら如何するのよ!」

 

「帰ってきたら赤飯かな」

 

「お母さん!」

 

「心配しなくてもタカトシなら大丈夫だ! あの子はちゃんと段階を踏んでからする子だろうからね」

 

 

 お母さんのタカ兄への信頼感はハンパ無いものだと私は思ってる。普通女七人に男一人の状況で何も無いと核心が持てるほど息子を信頼出来る親がこの世に何人居るのだろう。

 

「アンタも馬鹿な事ばっか言ってないで少しは勉強しなさい」

 

「タカ兄が心配でそんな事出来ないよ」

 

「そんな事ってアンタ、来年高校に通えなくなっても知らないからね」

 

「そうなったら身体売ってでも稼ぐから大丈夫!」

 

「ハァ……誰に似たんだろうねこの子は……」

 

 

 これ見よがしにため息を吐かれたが、私はお母さんに似たんだと思ってる。お父さんが言うにはお母さんも昔は私みたいに思春期真っ盛りだったらしいし。

 

「ほれ、さっさと部屋に戻って勉強しなさい! タカトシはもう宿題終わらせてるって言ってたよ」

 

「えっ? だってまだ夏休み始まって二週間も経ってないよ!?」

 

「あの子は出来る子だからね。毎年アンタの相手をしてなかったらこれくらいには終わってたんだろうよ」

 

 

 タカ兄ってそんなに出来る人だったんだ……じゃあ何でもっと高いレベルの高校を受験しなかったんだろう……

 

「ねぇお母さん」

 

「今度はなんだい」

 

「タカ兄って如何して桜才を選んだの?」

 

「そんな事私に聞かないで本人に聞きな。私は知らないよ」

 

「聞いてないの?」

 

「アンタと違ってタカトシはちゃんと考えて選んでるでしょうからね」

 

「兄妹なのに、何だこの信頼の差は……まさか仕組まれた世界の理だとでも言うのか!」

 

「そう言った馬鹿みたいな事を言ってるからアンタは信頼されてないんだよ」

 

 

 お母さんに冷たい目で見られて、ちょっと興奮してきた。

 

「その目、もっと私を見て! お母さん」

 

「タカトシが年々ツッコミ上手になった理由が良く分かるわ……今度あの子が欲しいものを買ってあげるか」

 

「え~! お母さん、私には~」

 

「アンタは昔から好きなものを買ってやってただろ」

 

「そうだっけ?」

 

 

 昔の事は思い出せないけど、そんなにお母さんに物を買ってもらった覚えは無いんだけど、覚えてないだけなのかな?

 

「偶の休みに相手してやろうとしてもタカトシは私たちを気遣って『せっかくの休みなんだから無理しなくて良いよ』って言ってくれたのに、アンタはねぇ……」

 

「私だってそれくらい言えるよ」

 

「アンタは余計な仕事を増やすばっかりじゃないか」

 

「そんな事無い。この世に無駄な仕事など存在しないのだ」

 

「はいはい……馬鹿な事してないで勉強しなさい。そして少しでもマシなところに就職してお母さんとお父さんに還元しなさい」

 

「就職などせずとも生きていける。私は型にはまった生き方はしたく無いのだ」

 

「……本当に、誰に似たんだかねぇ」

 

 

 これ見よがしにもう一回ため息を吐いたお母さんだったが、追い払うように手を振って私の相手をしてくれなくなった。お父さんも相手してくれないし、しょうがないな。

 

「部屋でオ○ニーでもするか」

 

「「勉強しなさい!」」

 

「うおっ!」

 

 

 まさか両親にツッコまれるとは思わなかった……でも興奮する~!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 帰りの車中、如何やら俺はずっと寝ていたらしいんだが、途中で何かツッコんだ気がするんだよな……覚えて無いけど。

 学園前で解散した俺たちは、それぞれの家路についたのだった。

 

「ただいまー」

 

「おう、お帰り」

 

「お母さん? 珍しいね、こんな時間に家に居るなんて」

 

 

 普段は共働きで朝早くに家を出て夜遅くに帰ってくる両親が、この時間に家に居る事は年に何回あるか分からないくらいなんだが、本当に珍しいな。

 

「アンタが家に居ないんじゃ、あの子一人にするのは心配でね。早めに帰らせてもらったんだよ」

 

「そっか……何かゴメン」

 

「アンタが謝る必要は無いよ。元々は私たちがアンタにあの子の世話を押し付けちゃってるんだから」

 

「ありがとう」

 

 

 俺は何時かこの両親に恩返しが出来るのだろうか。

 

「タッカ兄ぃ~お帰り~!」

 

「ただいま」

 

 

 階段を駆け下りてきたコトミを見て、お母さんがため息を吐いた。また何かやらかしたんだろうな……

 

「宿題はやったの?」

 

「保健体育はバッチリ!」

 

「……ハァ」

 

「コトミ、明日から付きっ切りで宿題見てやるから覚悟しろよな」

 

「そんな!? さすがの私もタカ兄の前で絶頂するのは……」

 

「普通の勉強だからな。それ以外な事をしようものなら……分かってるよな?」

 

「は、はい!」

 

 

 睨みを利かせコトミを黙らせる。普段からこうすれば大人しくなるのだが、あまりやり過ぎるとおかしな展開になるのでこれは本当に最終手段なのだ。

 

「もうじきご飯だから、タカトシも手を洗ってきな」

 

「分かった。コトミ、ご飯が終わったら勉強見てやる」

 

「ええ~! 今日くらい良いじゃん~」

 

「アンタは昨日もやってないだろ」

 

「出かける前にちゃんとやれって言ったろ? 何でしてないんだよ」

 

「えっ? あれってオ○ニーしてろって意味じゃなかったの?」

 

「「……ハァ」」

 

 

 お母さんとため息がハモった。本当にこの妹は……

 

「今からご飯が出来るまで説教だ!」

 

「そんな~……」

 

 

 ろくに寝てないけど、この妹だけは何としても説教しなくては……

 家に帰って来ても外泊してても、何で俺の周りにはこう言った人ばかりなんだろうな……呪われてるんじゃないだろうか……




原作ではほぼ出番の無かった両親を登場させました。
ちなみにタカトシは親に興味が無いからあんな事を言ったわけでは無く、純粋に休んで欲しかったからああ言いました。


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津田兄妹の一日

三日連続投稿と二話続けてのオリジナル話です


 海に行って帰って来てから、俺は殆ど家から出る事無くコトミの勉強を見ていた。少しでもまともな学校に進学して、少しでもマシなところに就職してもらうのが、一番の親孝行になるだろうと考えたからだ。

 

「コトミ、また同じ間違えしてるぞ」

 

「………」

 

「コトミ?」

 

 

 間違えを指摘しても反応が無い、不審に思って目の前で手を振ってみたがまったく反応しなかった。

 

「お~い」

 

「……は!」

 

「あっ起きた」

 

「今お花畑が見えてたんだけど」

 

「………」

 

 

 何で死にそうになってるんだよ……

 

「タカ兄、少し休憩しようよ」

 

「休憩? あぁ、もうこんな時間か」

 

 

 時刻は午前十一時過ぎ、勉強を始めたのが九時前だから、もう二時間は経っていた。

 

「それじゃあ飯でも作るか。何食べたい?」

 

「さっぱりとしたものがいいな~」

 

「それじゃあ蕎麦か饂飩が良いかな」

 

「ブッカケ蕎麦が良い~……あっ! ブッカケと言っても……」

 

「あ~はいはい、分かったからお前は大人しく頭を休めてるんだな。その間に買い物に行ってくるから」

 

 

 余計な事を考える余裕があるのなら、もう少し詰め込んでも平気だな。

 

「アイス買ってきて~」

 

「アイス? 昨日お母さんが買ってきてただろ、もう食べちゃったのか?」

 

「だって暑いし頭使ってるしで甘い物を欲してたんだよ」

 

 

 確かに甘い物は脳に良いしな。仕方ない、一緒に買ってくるか。

 

「俺が居ない間におかしな事するなよ」

 

「大丈夫だよタカ兄! タカ兄の部屋でトレジャーハンティングなんてしないから」

 

「? 何だそれは」

 

「えっ!? 健全な高校生男子なら持ってるでしょ?」

 

「だから何を?」

 

「「………」」

 

 

 お互いが沈黙してしまった。コトミは俺が言ってる事が信じられなくて、俺はコトミが何を言ってるのかが分からなくてだ。

 

「とりあえず部屋から出ずに休んでるんだな」

 

「つまりお漏らしプレイを……」

 

「トイレは行って良いぞ」

 

「は~い……」 

 

 

 何不貞腐れてるのかは知らないが、コトミはつまらなそうに返事をした。まったく何がしたいんだこの妹は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 近所のスーパーで必要なものを買って家路に着いた。今日は両親共帰りが遅いので、夕飯も俺が作る事になっているのでまとめて買ってしまった。

 

「ふう、結構重いな」

 

「あら、津田副会長」

 

「ん?」

 

 

 知り合いの声が背後からしたので振り向くと、そこには五十嵐さんが立っていた。

 

「こんにちは。五十嵐さんもこの辺なんですか?」

 

「ええまぁ、それで津田副会長は……」

 

「普通に君付けで良いですよ? 海ではそう呼んでましたよね?」

 

「それじゃあ津田君は此処で何を?」

 

「見ての通りです」

 

 

 俺は手に持ったエコバッグを五十嵐さんに見せる。

 

「エコバッグですか、津田君も環境に気を使ってるんですね」

 

「見て欲しかったのはそっちじゃないんですがね……買い物です」

 

「わ、分かってます!」

 

「両親が共働きで妹は家事出来ませんからね。俺がやってるんです」

 

「えっ、津田君て料理とか出来るんですか!?」

 

「まぁそれなりに……そんなに驚かれるとさすがに傷つくんですが」

 

「ち、違っ! 意外とかそう言った意味じゃ無いからね」

 

「語るに落ちてますよ……」

 

 

 そりゃ男子高校生が料理が出来るなんて思わないよな……中学に上がる頃には親の手伝いでかなりやってたし、てか手伝いじゃ無くて居なかったんだけど……コトミにやらしたら散らかすだけ散らかして完成しなかったしな……

 

「それじゃあ俺はこれで。妹が変な事をしだす前に帰らなければいけませんから」

 

「そう……それじゃあまた」

 

 

 ちょっと寂しそうな感じがしたような気がしたけど、これ以上待たせるとコトミが変な事を仕出かしそうだからその事は指摘しないで五十嵐さんと別れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 タカ兄が居ない間に、少しでも発散しておかなければ本当に死んでしまう。タカ兄には変な事はするなと言われたけど、具体的に何が変な事なのかは言ってなかったんだから、オ○ニーくらいは良いよね。

 

「さっきまでタカ兄が座ってた椅子……」

 

 

 このままペロペロしたいけど、それはさすがにタカ兄にバレるから止めておこう。でも良い匂い……これがタカ兄の匂い……

 

「タカ兄ぃ……」

 

「ただいま」

 

「!?」

 

 

 玄関から今まさに思い描いていた人の声がして焦った。タカ兄は買い物早いんだったの忘れてた。

 

「お、お帰り!」

 

「おう……?」

 

「如何したのタカ兄?」

 

「いや、何か顔赤くないか?」

 

「!?」

 

 

 しまった! まだ興奮が冷めてなかったんだった。

 

「大丈夫! ちょっとオ○ニーしてただけだから!」

 

「……飯作るな」

 

「あ、あれ?」

 

 

 何時もならツッコミが来るはずなんだけど……ツッコミが来なかった事が不満で、私はタカ兄を追いかけてキッチンに行った。

 

「タカ兄! 何で無視するのよ!」

 

「お前を見てると心配になってくるんだよ」

 

「心配?」

 

「中学での酷さは聞けたから良いけど、このままだと高校でどんな酷い事になるか如何か」

 

「それじゃあタカ兄と一緒のところに行くから大丈夫だね!」

 

「は? お前桜才受けるの?」

 

 

 信じられないものを見るような目でタカ兄が私を見てくる……ちょっと興奮する。

 

「だって制服が可愛いし、家が近いから」

 

「そんな理由でかよ……」

 

「それじゃあタカ兄は何で桜才にしたの? タカ兄ならもっと高いレベルの高校でも行けたでしょ?」

 

 

 この前気になった事を直接聞く事にした。丁度タイミングも良かったしね。

 

「進学率の高さとその後の就職率の良さ。それから近所だから交通費も気にしなくて良いし運動も兼ねての通学だから体調面でも丁度良かったんだよ。英稜でも良かったんだけど、あっちはさすがに歩いては行けないからな」

 

「うへ~……そんな事まで考えてたんだ」

 

「でも最近は、萩村みたいに卒業したら留学するのも良いかもと思ってるけどな」

 

「留学? そんなお金無いよ?」

 

「だから大学に行ったらバイトしながら資金を貯めようと思ってる。今からでも良いんだけど、お前が家の事全然だからな」

 

「えへへ~」

 

「褒めてないから」

 

「でもタカ兄、タカ兄は英語なら既に結構話せるでしょ?」

 

 

 中学の弁論大会でも日本語と英語の両方で学校一位になってたし。

 

「それでも本場に勉強しにいくのは良い事だと思うんだ。もちろんお金が用意出来なければ諦めるけど」

 

「奨学金とかは?」

 

「あれは後で返すんだぞ? それだったら自分で工面した方が良い」

 

 

 タカ兄はしっかりと自分の事を考えてるんだな~。お母さんたちが信頼してるのが納得出来るよ、うん。

 

「タカ兄は良い男の人だね!」

 

「は?」

 

「結婚相手が羨ましいよ」

 

「何言ってんの?」

 

「この際近親○姦でも良いからタカ兄の……」

 

「黙って部屋に戻って勉強するのと、今すぐ意識を刈り取られるの、どっちが良い?」

 

「勉強してきまーす!」

 

 

 タカ兄の一撃は本気で痛いから嫌なんだよね。痛さの中に気持ちよさが無いんだもん。こうしてタカ兄に聞きたかった事は聞けたし、私の目標を知ったタカ兄はより厳しく勉強を見てくれる事になった……余計な事言わなければ良かったな。




この話が後に例の展開の伏線に……


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夏の終わりと新学期

次回からまた原作ありきに戻ります



 夏休みも終わりに近付いてきたのだが、目の前には終わっていない宿題の山がある。タカ兄が見てくれてたから少しは終わってるのだが、タカ兄だって暇ではないのでずっと見ていてくれていた訳では無い。生徒会の仕事だってあるし、宿題以外にもタカ兄は勉強してるんだし、ずっと私の勉強を見てくれていた訳では無いのだ。

 

「また溜めてしまった……」

 

 

 毎年恒例の事なのだが、今年こそはと思っては溜めてしまうのだ。

 

「受験勉強もしてたし、今年は仕方ないよね!」

 

「開き直ってないでとっとと終わらせちまいな」

 

「お母さん、手伝ってよ~」

 

「タカトシが帰ってくるまで一人でやってるんだね。帰ってきたらきっと見てくれるから」

 

「タカ兄に怒られる……宿題はちゃんとやってるって言ってたし……」

 

「アンタの嘘なんてタカトシはお見通しだろうよ。まったく、せっかくの休みだって言うのにこの娘は……何処が分からないんだい?」

 

「全部……」

 

「……自分で何とかするんだね」

 

 

 教えてくれそうだったお母さんだったが、私が全部分からないと言うと黙って教科書を机に置いた。

 

「さーて、今日の晩飯は何を作ろうかねぇ」

 

「お母さん!?」

 

「ただいま」

 

「お帰り。タカトシ、コトミの宿題見てやっておくれ」

 

「コトミの? アイツまた溜め込んだのか」

 

 

 ゆっくりと階段を上ってくる音が近付いてくる。タカ兄に何て言って謝れば良いんだろう。

 

「タカ兄、ゴメン!」

 

「……は? また何かやらかしたのか?」

 

「宿題終わってるって嘘吐いて……」

 

「いや、知ってたぞ」

 

「……何で?」

 

「だってお前の部屋で受験勉強してたんだし、宿題にまったく手をつけてないのくらい知ってるさ。そもそも毎年俺が言わなきゃやらなかったんだから、自主的に終わらせてるなんて思う訳無いだろ」

 

 

 その信頼は嬉しく無いけど、今は兎に角タカ兄の力を借りなくては!

 

「それでタカ兄、お願いがあるんだけど……」

 

「教えはしない。だが分からない箇所の説明くらいはしてやるから」

 

「さっすがタカ兄! 後で私の全部をあげるね!」

 

「いや、要らないんだが……馬鹿な事言ってないでさっさと手をつけろ。あと一週間も無いんだぞ」

 

「は~い!」

 

 

 タカ兄の手伝いもあって、残り一日を持ってして夏休みの宿題は終了した。私もやれば出来るんだな~。

 

「殆ど人に聞いておいてなんだその満足げな顔は!」

 

「だって本当に全部分からないんだもん!」

 

「……桜才を受けるのは諦めた方が良いんじゃないか?」

 

「えぇー! だって兄妹の学校プレイが……」

 

「そんな目的は達成出来なくて良い!」

 

「あっそっか! 別に他の高校でも忍び込めば……」

 

「コトミ、今から始業式の朝まで受験勉強だ」

 

「え? 今からってあと一日以上あるけど……まさか本気じゃないよね?」

 

「さっさと参考書とノートを開け! 時間は有限だぞ!」

 

「た、タカ兄? 何でそんなに気合が入ってるの?」

 

 

 さっきまで呆れ気味だったタカ兄が、何かのスイッチが入っちゃったように燃えている。

 

「お前を他所の高校に行かせて問題を起こされるくらいなら、桜才に入ってもらって目の届く場所に居てもらった方が、俺の精神は落ち着けるだろうしな。さぁコトミ、模試で合格判定もらえるように頑張るぞ」

 

「も、模試って、九月になってすぐだよ!?」

 

「だから今から勉強するんだろ! それともコトミは合格出来なくても良いのか!?」

 

「それは嫌だけど……」

 

 

 タカ兄の熱血指導のおかげで、私は残り一日の夏休みを満喫する事無く勉強に費やしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今日からまた学校が始まる。二学期も生徒会やら勉強やらで忙しいんだろうが、なんだか高校生活を送ってるって感じがするよな……

 

「さて、今日から二学期な訳だが」

 

「そうだね~シノちゃん」

 

「我々生徒会はちょこちょこと学校に来ていたから新学期と言う感覚が他の生徒より薄いかも知れん」

 

「そうかな……」

 

 

 別にそんな事無いんだが……

 

「そこで新学期だと感じられるように生徒会室を引っ越してきた」

 

「そう言えば前は三階でしたね」

 

「そんな理由で引っ越してきたのかよ」

 

 

 てっきりもっと他の理由があったのかと思ってたぞ……

 

「それでシノちゃん? 津田君の相手なんだけど……」

 

「ちょっと待って! 何だその話は」

 

 

 俺の相手って何だよ?

 

「あっ、津田君を誰とくっつけようかって話だよ」

 

「は?」

 

「アリア、それだと説明不足だ」

 

「そうだったね。津田君を主役にBL小説を……」

 

「速攻原稿を提出の上、コピーなりバックアップなりも全て渡して下さい。全て処分します」

 

「「えぇー!!」」

 

「何か文句でも?」

 

「「い、いぇ何でも無いです……」」

 

 

 まったく、人の事を想像でも男とくっつけようとするなよな……

 

「新学期早々五月蝿いですよ!」

 

「あら、カエデちゃん」

 

「五十嵐」

 

「また会長たちですか……ってあれ? 生徒会室は三階じゃ……」

 

「引っ越したんですよね~」

 

「ヒィ!?」

 

「畑さん」

 

 

 千客万来か? 何かまだ来るような予感がするんだが……

 

「お~い、生徒会役員共」

 

「横島先生、何か用ですか?」

 

「いや、暇だから遊ぼうかと」

 

「アンタそれでも教師かよ!」

 

「会長ー予算アップお願いします!」

 

「三葉」

 

「あっ、タカトシ君でも良いよ」

 

「いや、予算は萩村だから」

 

「失礼します。お嬢様、お昼をお持ちしました」

 

「ありがとう出島さん」

 

 

 ……新学期早々騒がしいが、なんだか漸く新学期だって気分になってきたな。これも会長のおかげなのかもしれないな。




さ~て、イベントが多い二学期に突入です。やりたい事が多くてちょっと困ってます


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希望のパン…

体育祭の競技決めです


 二学期になり、休み明けテストも終わった今日、生徒会では重要な会議があると言う事で新しくなった生徒会室に向かう。

 

「萩村、今から生徒会室か? 一緒に行かない?」

 

「そうね、目的地が一緒なら別々に行く必要も無いしね」

 

 

 廊下で萩村と会ったので一緒に生徒会室に向かう事にした。それにしても今回のテストも萩村に勝てなかった……

 

「萩村ってどんな勉強してるんだ?」

 

「何、急に?」

 

「いや、休み明けテストも萩村に勝てなかったし……」

 

 

 今回は自信あったんだが、萩村に15点届かず負けた。500点満点で500点なんてありえないと思ってたぞ……

 

「アンタだって十分凄い点数だったじゃない。三位と40点以上離れてるんだから」

 

「そうだけどさ……」

 

 

 何時か萩村に勝てる日は来るのだろうか……

 

「遅いぞ!」

 

「もう会議始めちゃってるよ~」

 

 

 ホワイトボードには体育祭の競技と思われるものが書かれているのだが……

 

「随分と酷い体育祭だったんですね」

 

「去年まで女子高だったからな」

 

「女子校生ばっかだったもんね~」

 

「アリア、誤字は駄目だぞ!」

 

「あっそっか! 公的には女子高生だったね~」

 

「……何の話?」

 

「私に聞かないでよ……」

 

 

 良く分からない事を言うのは何時もの事なのでスルーする事にした。

 

「おーす」

 

「横島先生」

 

「良いものがあるじゃない!」

 

 

 何だか楽しそうにホワイトボードに近付いて、徐にマグネットを手に取った横島先生。

 

「これでよし!」

 

 

 書かれていた高の字の上にマグネットを置き、満足そうに生徒会室から出て行った。

 

『女子○生』

 

 

 あの人は何をしたかったんだろうか……

 

「今年から共学だからな。新しく考えなければいけない」

 

「リレー、借り物競争、玉入れ……」

 

「何を言ってるんだ君は!」

 

「ん? 何かおかしな事言いましたか?」

 

 

 自覚無かったんだが、何か間違ってたのだろうか……

 

「入れるのは竿だろ!」

 

「……竿?」

 

 

 意味が分からないので萩村を見た。すると萩村は真っ赤になって視線を逸らした。

 

「七条先輩、会長の言ってる意味が分かりません」

 

「あのね……」

 

「うわぁ~!」

 

「「!?」」

 

「萩村、如何したんだ?」

 

 

 急に悲鳴のような声を出した萩村に、会長と七条先輩は驚いたようだった。

 

「会長! 男子が居るクラスと居ないクラスで戦力に違いが出ると思います!」

 

 

 何かを誤魔化すように一気に言い切った萩村を、俺は不審に思ったが、特に追求する事無く萩村の意見に賛同した。

 

「確かに一年には男子が居ますし、居ないクラスもありますからね。何かハンディを付けなければいけませんかね?」

 

「ハンディか……男子は前日限界まで自家発電を!」

 

「発電? 自転車でも漕ぐんですか?」

 

「津田君、ここはボケるところじゃないよ?」

 

「……面倒なんで、ツッコミ放棄したかったんですよ」

 

 

 さすがにそれくらいの知識はある。だが面倒だったから知らないフリで済まそうとしたんだから余計な事は言わないでほしかった……

 

「男子は参加競技に制限をつけるって言うのは如何です? リレーとかだとやはり男女差が顕著に出ると思うんですよ」

 

「そうだな! さすが津田だ! 桜才のパイオツマニアとして生徒会にスカウトした甲斐があったな!」

 

「……パイオツ?」

 

「スマン、パイオニアを噛んでしまった」

 

 

 随分と酷い噛み方をしてるな……

 

「だけど津田君は色々な競技に出ると思うよ~」

 

「何でですか?」

 

「だって津田君の運動神経の良さはクラスの皆は知ってる訳でしょ~? そうなると他の男子の代わりに出れる競技には全部津田君が出させられると思うんだけど」

 

「……ありそうで嫌ですね」

 

 

 柳本をはじめ、他のクラスメイトの考えそうな事だ……自分たちは応援で忙しいとか言い出しそうだな。

 

「パン食い競争では、色々なパンを試してみようと思うんだが」

 

「例えば?」

 

「メロンパンなんて如何だ?」

 

「シノちゃん、それってシノちゃんが好きなパンじゃない?」

 

「そ、そ、そ、そんな事無いぞ! メロンパンは皆好きだろ!」

 

「そうかな~? スズちゃんは何が良いと思う?」

 

「私は極長のフランスパンで」

 

 

 そっか、萩村は届かないのか……それだったら参加しなければ良いんじゃないのか?

 

「何か味付けるか?」

 

「フレンチトーストで」

 

「津田君は何か意見ある?」

 

「いえ、俺は特に……そもそも自分の意見を無理矢理通そうとは思ってませんよ」

 

 

 それこそ生徒に意見を求めるべきだと思うんだが。

 

「こう言う時こそ目安箱の出番だな!」

 

 

 そう言えばそんなものあったな……目安箱でパン食い競争のパンの希望を取った所……

 

「一番多かったのは津田のパンツなんだが」

 

「誰だふざけたのは!」

 

 

 パンだって言ってるだろうが!

 

「その次が七条先輩のパンツですね」

 

「あら残念。私穿いてないんだ~」

 

「穿けよ! てかまたパンツかよ!」

 

 

 もう駄目かもしれないな、この学校……パンだって言ってるのに、何故皆パンツを求めるんだよ……

 

「次に多いのが五十嵐先輩のパンツですね」

 

「それなら用意出来そうね!」

 

「する訳ねぇだろ! そもそもパンだって言ってるだろうが!」

 

 

 最早アンケート内容が欲しいパンツになってるんじゃないだろうな……

 

「会長! アンケートがパンツになってます!」

 

「スマン、寝不足でつい……」

 

「そんなに忙しいんですか?」

 

「そうじゃなくて、シノちゃんは遠足の前日とかに寝れないタイプだから」

 

「……は? だって体育祭は来月ですよ?」

 

 

 まさかもう既になんて事は無いだろ……

 

「ち、違うぞ! 楽しみだなんて思って無いからな!」

 

「……既にそうなってるんですね」

 

 

 早すぎるだろ……これから一ヶ月寝不足で過ごすつもりなのかよ……とりあえずアンケートは取り直しだな。




オチを寝不足での書き間違いにしました。


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生徒会密着取材

色々とオリジナル展開になってます


 部屋で英語の課題をやっていたらドアがノックされ、返事を待たずにドアが開いた。

 

「タカ兄、勉強教えてー」

 

「別に構わないが、ノックして返事を待たなかったらしてないのと一緒だぞ」

 

「タカ兄のなら顔にかかっても良いし」

 

「……何の話だ?」

 

「え? だってノックしないで入ってきたら絶頂の……」

 

「勉強だったな。それで、何の教科だ?」

 

「タカ兄って、最近スルースキルが上がってるよね」

 

 

 コトミを相手にしてれば良かった去年までとは大分環境も変ったからな。スルーしなければまたぶっ倒れる可能性だってあるのだ。

 

「で、何の教科だ?」

 

「英語」

 

「お前英語苦手だよな。そんなんで桜才の受験大丈夫か?」

 

「他の教科でカバーするさ!」

 

 

 ……他の教科も期待できないんだよな。模試も近いし何とか合格判定を貰ってほしいんだが、無理だろうな……

 

「私って生粋の日本人なんだろうね。横文字とかが全然駄目で、この前もクリーニングをク○ニリ○グスって言っちゃったし」

 

「それはお前が思春期だからだろ」

 

 

 そもそも何故そう読んだ……

 

「タカ兄は良いよね~英語得意だから」

 

「勉強したからだ。最初から出来た訳じゃないぞ、俺だって」

 

「でもさ~、タカ兄と私とじゃ頭の出来が違うじゃない」

 

「無駄な知識を詰め込んでるから必要な知識が入らないんだろ」

 

「無駄な知識など無い! この世に存在する事全ては必要な知識なのだ!」

 

「はいはい、ふざけてないでさっさと勉強しろ」

 

 

 厨二病+思春期の妹は変な知識ばかり詰め込んでるからな、それでなくても昔っから酷かったのに……

 

「タカ兄ぃ……」

 

「何だ?」

 

「問題が何言ってるのかが分からない……」

 

「……辞書を引く事を勧める」

 

 

 一度自分で調べる癖をつけさせれば勉強もはかどるのでは無いのかと思ってるのだが、辞書を引くのすら放棄しているからな……こんなんで、本当に桜才を受けるんだろうか……兄として心配になってきたぞ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌朝、生徒会の仕事で早朝から校門で服装検査をする為に早めに学校に来た。9月になってもまだまだ暑いな……

 

「おはようございます」

 

「おう、津田」

 

「津田君、おはよー」

 

「あれ? 萩村はまだですか?」

 

「此処に居るわよ」

 

「おはよう」

 

 

 七条先輩の影に隠れて見えなかった……とりあえず全員居るみたいだし、後は校門でチェックするだけか……

 

「なあ津田」

 

「はい?」

 

「最近シャツを外に出す生徒が多いと思わないか?」

 

「そうですね」

 

「だから今度の全校集会で注意しようと思ってるんだが」

 

「ちなみに何て言って注意するつもりなんですか?」

 

「うむ、外に出すのは性行為の時だけにしろ! って言うのは如何だろうか?」

 

「全力で阻止させていただきます」

 

「相変わらずですね、天草会長」

 

「五十嵐!」

 

「おはようございます」

 

 

 服装チェックだからな、風紀委員長の五十嵐さんが居てもおかしくは無いのだが、この人も何だかボケ側だしな……

 

「あ、あの津田君……」

 

「なんでしょうか?」

 

「これ、海の時のお礼……」

 

「お礼? 何かしましたっけ?」

 

 

 五十嵐さんにお礼されるような事をした覚えは無いんだが……

 

「溺れたのを助けてくれたでしょ」

 

「ああ、その事ですか」

 

「あの時は本当にありがとうございました」

 

「いえいえ、溺れた人を助けるのは当然だと思いますし、大した事でも無いですよ」

 

 

 実際すぐに引き上げたので何の問題も無かったし。

 

「ほう、風紀委員長が津田副会長に賄賂ですか」

 

「ヒィ!?」

 

「畑さん、賄賂ってこれですか?」

 

 

 俺は五十嵐さんに貰った包みを見せた。

 

「何だ、お金じゃないのか」

 

「当たり前です!」

 

「参考書ですか、ありがとうございます」

 

 

 丁度別の物も買おうとしてたので、これは素直に嬉しい。大事に使わせてもらおう。

 

「ところで畑さん、少し格好がだらしないですよ」

 

「徹夜でスクープを追い求めてたからね。少し汚いのは仕方ないのよ」

 

「……最近の部活はそこまでやるんですか」

 

 

 それとも畑さんだけが必死なのだろうか……

 

「それで、生徒会に一日密着取材をしたいのだけれども、良いかしら?」

 

「それは会長に聞いてください」

 

「既に天草会長たちの許可は貰ってるのよ。後は貴方だけ」

 

「会長が許可したのなら、俺も問題は無いですよ」

 

 

 どうせ断っても勝手にするんだろうし、それだったら目に見える範囲でやってもらった方が良いだろうしな。

 

「それじゃあ後ほど」

 

 

 それだけ言って畑さんはいなくなった。相変わらず神出鬼没な人だな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 放課後、ずっと会長に密着していた畑さんが、生徒会室で撮った写真のチェックをしていた。

 

「これだけあれば大分儲かるわね」

 

「そんな事したら容赦無く新聞部を潰しますからね」

 

「じょ、冗談よ……それじゃあ貴方にもインタビューしたいのだけれども、良いかしら?」

 

「構いませんが、ふざけようものなら……分かってますよね?」

 

 

 この人は海の件で散々説教したのにも関わらず、また同じ事をする可能性があるんだよな。一応釘を刺しておいてから、インタビューに答える事にした。

 

「ではまず、貴方にとって会長はどんな人?」

 

「会長ですか? そうですね、何時もお世話になってます」

 

「なるほど……会長はオ○ペット」

 

「捻くれた捉え方するな。それとふざけたので来年度の予算は覚悟しておいて下さい」

 

「ほ、ほんの冗談ですよ。ですから予算の件は何卒」

 

「次は無いですからね」

 

「それじゃあ次の質問ですが……ぶっちゃけ誰が一番好みですか?」

 

「「「!?」」」

 

「好みですか? そうですね、皆さん素敵だとは思いますけど、俺なんかに想われても嬉しく無いでしょうから、あえて答えません」

 

「津田! 優柔不断な答えは駄目だ!」

 

「そうだよ! 聞かれた事にはちゃんと答えないと!」

 

「津田のそう言うところが駄目なのよ!」

 

 

 ええー……何で怒られてるの俺?

 

「あえて選ぶとしたらで構わないので」

 

「そうですね……じゃあ七条先輩で」

 

「やった!」

 

「決め手はやはりあの巨乳ですか?」

 

「いえ、選ぶならって言われたので選んだだけで、皆さん素敵だとは思ってます」

 

「なるほど……津田副会長はハーレム野郎と」

 

「萩村ー新聞部は予算要らないってさ」

 

「ゴメンなさい、許して下さい!」

 

 

 まったく、選べって言うから選んだだけで、俺と七条先輩がつりあう訳無いでしょうが……自分で言ってて何だか情けなくなってきたな……もう少し頑張ろう。




本当はカエデを選ばせようとしたのですが、生徒会室に居る人間から選ばせました。


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生徒会役員共の弱点

40話目&お気に入り登録者数400を突破しました


 柔道部が今度他校との練習試合をすると言うことで、生徒会メンバーと共に柔道部にやって来た。

 

「三葉、調子は如何?」

 

「タカトシ君! うん、絶好調だよ!」

 

「でも、部設立以来初めてでしょ? 緊張とかしないの?」

 

「大丈夫! 私本番に強いタイプだから」

 

「そのわりにはテスト中に死にそうになってなかったか?」

 

「あはは、勉強は苦手なんだ……」

 

 

 如何やら三葉が強いのは格闘技の本番だけのようだ。

 

「いくら本番に強いからと言って、前戯は怠らないようにな!」

 

「ぜんぎ? 準備はしてますよ」

 

 

 そう言えば三葉ってピュアだったんだっけ……ボケとピュアは噛み合わないんだな……

 

「今から練習なんだけど、見てく?」

 

「少し見たら帰るよ」

 

 

 生徒会の仕事もあるし、何よりずっと見学してたら邪魔だろうしな。

 

「そう、じゃあ軽く準備運動しちゃうねーほっと」

 

 

 そう言って三葉は脚を開いて柔軟を始めた。

 

「うわぁ! そんなに脚開くの!?」

 

「別に痛く無いですよ」

 

「大丈夫? 膜……」

 

「へ?」

 

 

 天然とピュアも噛み合わないようだ……そもそも心配の仕方がおかしいだろ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 生徒会室に戻ってから改めて思ったのだが、七条先輩って良いとこのお嬢様なんだよな……何であんなに思春期全開なんだろう……

 

「ねぇ津田君、お花生けたんだけど何処に飾れば良いと思う?」

 

「そうですね……机の真ん中で良いと思いますよ」

 

「そうだね。そこが一番目立つものね」

 

「そう言えば先輩って、華道以外に何か稽古やってるんですか?」

 

「うん、お茶にお琴に……あと書道」

 

「書道ですか、書記にはピッタリですね」

 

 

 しかし随分と稽古事が多いな……さすがはお嬢様と言ったところか。

 

「書道の作品があるんだけど、見る?」

 

「良いんですか?」

 

「うん!」

 

 

 そう言って七条先輩が鞄から作品を取り出した。

 

『愛人』

 

 

 ……これは如何賞賛を送れば良いんだ?

 

「人を愛すって、素敵な言葉だよねー」

 

「間違ってないですが、あまり人に見せない方が良いと思いますよ……」

 

 

 込められた意味は兎も角、字単体ではあまり良い言葉じゃ無いですし……

 

「津田ー目安箱回収してきたわよー」

 

 

 タイミング良く萩村が生徒会室に来てくれたおかげで、気まずい雰囲気は感じずに済んだ。

 

「それにしても最近機能してないな……」

 

 

 体育祭のパンも、誤字だったパンツほど希望は無かったし……

 

「横島先生、何か不満があったら書いてくださいよ」

 

「不満…ねぇ……」

 

 

 さっきから何も話さずにただ座っていた先生に何か不満が無いか聞いてみる。この際サクラでも良いので目安箱を機能させたいのだ。

 

『欲求』

 

「はいそれシュレッダーに入れてください」

 

「何だよ! そこは『俺が解消してあげましょう』とか言うところだろ!」

 

「誰が言うか誰が! そもそもアンタの欲求不満なんて知ったこっちゃ無いんだよ!」

 

 

 結局今週は目安箱に入れられた学園の不満は一つも無かった……良い事なのかも知れないが、ちょっと寂しいのは何故だろう……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 最近廊下を走る人が目立つので、注意書きのポスターを貼る事にした。

 

「走っている生徒を見かけたら、各自注意するように」

 

「分かりました」

 

「でもシノちゃん、廊下を走らないと角で運命の人とぶつかるってシチュエーションが無くなっちゃうよ? 少子化が加速しちゃうわ」

 

「いや、それは無いだろ……」

 

 

 しかも何故そんな事を大声で言う……周りの人たちの視線が痛いんですが……

 

「うむ、一理あるな」

 

「え!? 納得しちゃうの!?」

 

 

 頷いた会長はポケットからマジックを取り出しポスターに追加の書き込みをした

 

『廊下は走らない! (曲がり角は可)』

 

「これで少子化は止められるな!」

 

「そこが一番スピード落とさなきゃいけない場所だろうが……」

 

 

 それと会長と七条先輩の漫画の趣味が何となく分かった気がする……随分と古典的なものが好きなんだな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 津田に職員室までお使いを頼んで、我々は生徒会室で作業していたら部屋の中に虫が現れた。

 

「うわぁ! 虫だ! た、助けてくれ……」

 

「シノちゃん本当に虫が苦手なんだね。腕が毛を剃った後の肌みたいになってる」

 

「鳥肌で良いでしょ」

 

 

 アリアのボケに萩村がツッコミを入れたが、今はそんな事を気にしてる場合では無い。

 

「だ、誰か何とかしてくれ!」

 

「私も現代っ子だから」

 

「大きさ一cm以上の虫は守備範囲外です」

 

 

 クソ、こんな時如何したら……

 

「そうだ! 窓を開けたらそのうち出て行くはず!」

 

 

 窓を全開にして虫が出て行くのを待つ事にした。だが……

 

「もう一匹入ってきた」

 

「うわぁーん!」

 

 

 何でこの部屋に入ってくるんだ! 入るならもっと良い場所があるだろうが! 具体的に何処かは分からないが……

 

『バシ!』

 

 

 泣きながら生徒会室を走り回っていたら、何かを叩いた音が生徒会室に響き渡った。

 

「退治しましたよ。生徒会室に入るやいなや騒いでたので、何事かと思いましたよ」

 

 

 さすが津田だ。我々の出来ない事をサラリとやってのける。

 

「お、おぉ! さすがだ!」

 

「ありがとう津田君! 凄く助かったわ!」

 

「さすが副会長ね! お手柄よ!」

 

「……虫退治くらいでそこまで感謝されると、今まで俺が役に立ってなかったように感じるので止めてもらえます?」

 

「そんな事は無いぞ! 君は生徒会で十分役に立っている!」

 

「だけど今回は本当に津田君が居なかったら駄目だったろうし、素直に感謝させてね!」

 

「本当に助かったわ。私も虫は得意じゃないのよ」

 

「う~ん、やっぱり何だか複雑だな……」

 

 

 私たちは心から感謝してるのに、津田は何故か納得してないような顔でしきりに首を捻っていた。如何やら津田は向上心があるようで、虫退治くらいで褒められるのは本意では無いようだ。

 

「では、改めて津田に礼を言って、この件は終わりとする。津田、本当にありがとう」

 

「いえ、これくらいならお安い御用です」

 

「じゃあこれからも虫退治、よろしく頼むな!」

 

「あれ? それって俺の仕事なんですか?」

 

「うむ! 君にしか出来ない仕事だからな!」

 

 

 我々生徒会に足りなかった力も手に入った事だし、これからも我々は邁進していくぞー!

 

「やっぱ納得いかねー!」

 

「津田、ちょっとは同情してあげるわ……」

 

 

 だがやっぱり津田は納得してないようだったがな。




原作よりも役に立ってるために、あのセリフはなしです


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コトミの模試結果

本来ならカエデ初登場会なんですが、既に登場してるのでオリジナル話です


 タカ兄に勉強を見てもらってたから、今回の模試は結構自信がある。前回は散々でお母さんやお父さんに怒られたからな。

 

「模試の結果を渡すぞー。順番に取りに来い」

 

 

 先生に結果の入った封筒を渡され、私はドキドキしながら中身を取り出した。第一志望は桜才で滑り止めで英稜の名前も書いておいた。

 

「……え」

 

 

 結果を開いて、私は自分の目を疑った。桜才学園、英稜と共に合格確率は30%。志望校変更を勧められている。

 

「何で! 結構自信があったのに!」

 

 

 前回の10%以下から比べれば確実に進歩しているのだが、今回の模試で結果を出さなきゃ志望校を変えろってお母さんに言われてたのでこの結果はかなり厳しい……タカ兄にも怒られるかもしれない。

 

「如何しよう……」

 

 

 今日結果が出る事はお母さんもタカ兄も知っている。見せられ無い結果だと言う事がバレたら説教されて志望校を変えろと言われるに違い無い。

 

「コトミー、アンタ判定如何だった? 私は70%だったよ」

 

「……30%」

 

 

 友達の明るい雰囲気に乗る事も出来ずに、私はどんよりとした空気を吹き飛ばせなかった。

 

「それってかなりヤバイよね? お兄さんやお母さんに怒られるんじゃない?」

 

「やっぱり前日にノンストップオ○ニーしてたのが原因かな…」

 

「絶対それでしょ。だからテスト中眠そうだったんだ」

 

「だってタカ兄が毎日付きっ切りで勉強見てくれてたからさ、まったく発散出来なかったんだよ」

 

「津田先輩は真面目だもんね」

 

 

 去年までタカ兄もこの学校に在籍していたし、女子生徒の間ではタカ兄は有名人だ。その原因の半分は私の所為なのだが、残り半分はタカ兄の実力で有名になったのだ。

 

「何で生徒会長やらなかったんだろうね?」

 

「タカ兄は目立つの好きじゃ無いし、自分はそう言う役職に就く器じゃないって言ってた」

 

「でも津田先輩以外には主だった候補は居なかったんだけど」

 

「タカ兄は生徒会長になって内申を稼ぐ必要も無かったし、多分そう言う事も絡んでたんだと思うよ」

 

 

 現にタカ兄は桜才の入試で上位入学をしてるしね……兄妹なのになんでこんなに差があるんだろうな……

 

「とりあえず来年も同じ学校に通えるように、コトミも頑張ってよね」

 

「このままじゃ冗談抜きで身体を売って生活しなきゃいけなくなる……」

 

「まだ言ってるの? まさか家でも言ってるんじゃないでしょうね」

 

「この前お母さんに言ったら呆れられた」

 

「そりゃそうよ……友達同士の冗談なら兎も角、親兄弟に言うような事じゃないでしょ」

 

「冬休みに猛勉強するしか無いかな……」

 

「また津田先輩に付きっ切りで勉強教えてもらうの?」

 

「それだとまたストレスが……」

 

 

 タカ兄に見られてるだけで興奮しちゃうし……それでなくてもタカ兄が部屋に帰った後でタカ兄の座ってた椅子の匂いを嗅ぐので忙しくなっちゃうし。

 

「コトミの変態も筋金入りだね」

 

「しょうがないでしょ、遺伝なんだから」

 

「そのわりには津田先輩は大真面目じゃない? 必ずしも遺伝って事は無いんじゃない?」

 

「タカ兄はお父さんに似たんだよ。それで私はお母さんに似たの」

 

 

 そうじゃなきゃこの兄妹の差は説明出来ないし。

 

「兎も角、私も残り半年で精一杯努力するんだから、コトミも頑張ってね」

 

「秘められた力を解放する時が来たようだな」

 

「厨二もいい加減にしときなよ」

 

 

 友達に呆れられながらも、とりあえず沈んでた気持ちは回復出来た。後はこれを如何やってタカ兄とお母さんに見せるかだ……怒られないようにするには如何するのが一番なんだろう?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 コトミの模試の結果を見る為に、リビングに呼び出された。この前は個々に見せてたのに、今回はお母さんやお父さんと一緒に見せるんだな。

 

「それでコトミ、結果は如何だったんだ?」

 

「これです……」

 

 

 素直に結果の入った封筒をテーブルの上に置くコトミ、雰囲気から察するに、あまり良く無い結果のようだ。

 

「それじゃあまず私から見るわね」

 

 

 お母さんが封筒に手を伸ばし、中身を見て愕然とした。そこまで酷い結果だったのか……次にお父さんがお母さんの持っている結果を横から覗き込んで天を仰いだ。

 

「タカトシ、これはコトミに諦めるように言うしか無さそうだよ」

 

 

 そう言ってお母さんが差し出してきた結果を見て、俺はため息を吐きたくなった。前回からは進歩してるようだが、これじゃあ桜才の受験は厳しいだろう。

 

「コトミ、お前自信あるっていってたよな? それがこの結果だった訳だが、お前は何が原因か分かってるのか?」

 

 

 前日は脳を休ませる為に早めに勉強を切り上げたのだが、完全に疲れが抜け切らなかったのだろうか。

 

「えっと、タカ兄との勉強が終わった後、ノンストップオ○ニーをしてまして、気が付いたら朝になってました……」

 

「「「………」」」

 

 

 コトミの衝撃告白に、俺はお父さんやお母さんと顔を見合わせた。つまりは寝不足が原因で問題の殆どを解く事が出来なかったと言う事なのだ。

 

「問題用紙もってるよな? 今からもう一回やってみろ。すぐ採点してやるから」

 

 

 コトミにもう一回模試と同じ問題を解かせる事で、本当の実力を知ろうとしたのだが、勉強をしてた本番と、既に忘れているだろう今とでは、大して結果は変らないだろな……

 

「タカトシ、これで駄目なら私たちはあの子に志望校を変えるように言うから」

 

「分かってる。さすがにこの時期に五割無いのはね」

 

 

 五割でも低いのだが、この前の一割未満よりかは十分に可能性があるのだ。だから五割以上なら俺たちはコトミの桜才受験を認めるつもりだったのだが、あのおバカ妹は大事な模試の前に徹夜したとか言い張ったからな……事の重大性がまるで分かってないのだ。

 

「終わりました……」

 

「それじゃあ少し待ってろ。すぐ採点するから」

 

 

 確か今回の桜才学園志望者で、合格確率五割以上の人の点数は500点中300点以上、つまり299点以下だとコトミに志望校を変えるように言わなければいけないのか。

 

「………」

 

 

 採点をしていくにつれて、コトミの表情は不安で塗り潰されていく。何だかんだ言ってもコトミは桜才を受けたいようなのだ。

 

「如何だい、タカトシ」

 

「うん、ギリギリかな」

 

「それって!」

 

「五割には届かなかったけど、十分可能性はあると思う」

 

 

 コトミの点数は295点。確率を出すなら約50%だ。

 

「とりあえずは認めるけど、これからもっと厳しく勉強を教えるから覚悟しろよ」

 

「うん! 私はドMだからむしろウェルカム」

 

「……やっぱ諦めろ」

 

 

 この危機感の無い妹は、何処を受験しても駄目な気がしてきた……




模試を受けた事が無いので結果や判定はテキトーです


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シノの通訳

何か天気が今一つ……


 私は風紀委員長の五十嵐カエデ、より良い学園作りの為に毎日校舎の見回りをしています。

 

「あら、萩村さん」

 

「五十嵐先輩、こんな所で何を?」

 

「校内の見回りです」

 

「そう言った仕事もされてたんですね」

 

「あら、生徒会役員でしたらそれくらい把握していて欲しいですね」

 

 

 萩村さんと津田君はしっかりしてると思ってたけど、萩村さんも意外とそうでも無いのかしらね。

 

「いやだって、一年のフロアで五十嵐先輩を見かけた事が無いもので」

 

「……男子が居るから」

 

 

 見回りだけとは言え、男子生徒と接近する恐れがある一年のフロアの見回りは他の風紀委員に任せているのよね……

 

「会長、七条先輩」

 

「おう萩村」

 

「カエデちゃんもこんにちは」

 

「どうも」

 

 

 萩村さんと雑談していたら廊下の向こう側から天草会長と七条さんがやって来た。

 

「はぁ……」

 

「シノちゃん、ため息は幸せ逃がしちゃうわよ」

 

「そうは言ってもだなアリア、出てしまうものはしょうがないだろ」

 

「じゃあため息吐けなくすれば良いんだね! 良いものがあるよ!」

 

「良いもの?」

 

 

 そう言って七条さんが鞄の中から何かを取り出した。

 

「これなら息は吐けてもため息にはならないよ!」

 

「すぴー」

 

「何て物学園に持ち込んでるんですか!」

 

「あらカエデちゃん、これが何だか分かるようね」

 

「そ、それは……」

 

 

 明らかに普通の生活で使うものでは無いし、だってあれってそう言うプレイで使うものですよね……萩村さんだって分かってるようだし、これくらいの知識は私にだってありますよ。

 

「皆さん、お疲れ様です……って、会長? 何咥えてるんです?」

 

「すぴー」

 

「ため息防止? それなら普通にため息を吐かないように心掛ければ良いだけでは?」

 

「すぴ~」

 

「癖になりつつあるのでこれで調整してるですか? でも効果あるんですかね?」

 

「すぴぃ~~」

 

「なるほど、やる前から諦めたくないんですか、会長らしいですね」

 

「ちょっと待って!」

 

「はい?」

 

 

 津田君が普通に天草会長と会話してたのだけれど、会長は息を吐いているだけで何も言ってなかったと思うんだけど……

 

「津田君は天草会長が何を言ってるのか分かったの?」

 

「ええまぁ。会長って顔に出やすいですし、息の感じもそんな風でしたし」

 

「相変わらず妙な特技を持ってるわね、アンタって」

 

「そうかな? 妹が似たような事してたからかな」

 

「妹ってあの変な?」

 

「変って……まぁそうだけど」

 

「すぴー! すぴすぴー!!」

 

「分かりましたよ。生徒会室に行けば良いんですね」

 

「すぴ!」

 

「それじゃあ五十嵐さん、俺たちはこれで」

 

 

 津田君に通訳され、天草会長は嬉しそうだった。それにしても津田君、相変わらずハイスペックなんだ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 会長も咥えていたものを外して普通に話すようになったし、生徒会室での作業も滞りなく進んでいる。

 

「あら? シノちゃん、蛍光灯が切れ掛かってるんだけど」

 

「本当だ」

 

「予備の蛍光灯ありました」

 

「それじゃあ誰かが交換するんだな、津田を使って」

 

 

 使うって……てか横島先生、居たんですね。全く気付きませんでしたよ。

 

「脚立とか無いんですか?」

 

「わざわざ取りに行く時間がもったいないだろ」

 

「そうね、でも津田君に負担を掛けない為にも軽い人が乗った方が良いわよね」

 

「そうですね。津田ばかりに負担を掛けるのは可哀想ですし」

 

「軽い人……軽い女か……」

 

 

 あれ? 意味合い変ってないか?

 

「横島先生、お願いします」

 

「おし任せろ! ……あれ? 私って軽い女なのか!?」

 

 

 会長たちに抗議してる姿を見て、何故この人が生徒会顧問なのかと考えてみた。顧問とは指導する立場の人であり、生徒会もまた例外ではないはずなんだが……あっ!

 

「そうか、そうだったんだ……」

 

 

 改めて生徒会の面子を見て理解した。完璧超人の天草会長、優秀なお嬢様で此方も完璧超人の七条先輩、帰国子女でIQ180の天才の萩村、つまり顧問は必要無かったからこの人が選ばれたんだろうな……ってあれ? もしかして俺って生徒会でういてないか?

 

「何だ津田その目は……興奮するだろ」

 

「そう言うのがダメなんじゃね?」

 

「何がよ?」

 

 

 やっぱりこの人は必要無いから生徒会顧問にされたんだろうな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 廊下で柳本と話していたらふと気になった事があった。

 

「柳本、ズボンのボタン取れかかってるぞ」

 

「え? ……あっ、本当だ」

 

「針と糸があれば直せるんだが……」

 

「私もってるよー」

 

「三葉、ちょっと貸してくれないか」

 

「良いけど、タカトシ君って裁縫も出来るんだねー」

 

「昔から妹の服が綻びたら直してたから」

 

 

 両親共働きだしそれくらいは出来るようになっていてもおかしく無いくらいコトミが派手にやらかしてたからな……

 

「へー津田君って器用なんだねー」

 

「七条先輩、こんにちは」

 

「なっ! 七条先輩だと!?」

 

 

 何だか柳本の様子がおかしいんだが、何があったんだ?

 

「こ、こ、こ、こんにちは!」

 

「こんにちはー、それじゃあ津田君、後でね」

 

「分かりました、それでは」

 

 

 いったい何をしに来たんだあの人は……

 

「津田! 後でって如何言う事だ!」

 

「何だよ急に……生徒会で会うからって意味だよ」

 

「そうだよな……良かった」

 

「何が……ほい、終わり。三葉、ありがとうな」

 

 

 針を三葉に返し、柳本の身体を軽く叩いてもう動いても良いと合図を送った。それにしても何だか嫌な予感がするのは何故だろう……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 急に津田に用事が出来てしまったのだが、生憎携帯の電源が切れてしまった……さて、何処に居るんだ……

 

「シノちゃん、如何かしたの?」

 

「アリア、良い所に!」

 

「ん~?」

 

「津田を探してるんだが何処かで見かけなかったか?」

 

「見たよ~」

 

「本当か!」

 

 

 良かった、これで余計な場所を探さずに済むぞ。

 

「向こうで男友達の下の世話をしてたよ」

 

「!?」

 

 

 まさか、津田がそっちの趣味だったとは……しかも堂々と!?

 

「ズボンのボタンが取れかかってたんだろうねー。それにしても凄く器用だったよー」

 

「……ズボンのボタン?」

 

 

 何だそう言う意味か……相変わらずアリアの冗談は破壊力があるな……




タカトシの新たな凄さが出た回でした


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初の練習試合

柔道部の試合です


 今日は柔道部初の練習試合と言う事で、生徒会メンバーと共に応援にやって来た。

 

「これ、必勝のお守り」

 

「わーありがとう!」

 

「頑張ってな」

 

「うん! 絶対に勝つからね!」

 

 

 随分と気合が入ってるな……空回りしなきゃ良いけど……

 

「私も今日の為にてるてる坊主を作ったよ~」

 

「それはあまり意味無いんじゃ……」

 

 

 柔道は室内競技ですし、よっぽどでは無い限り天気には左右されないんですが……

 

「それにしても、柔道って初めて見るよ~」

 

「そうなんですか? この前練習を見せてもらったじゃないですか」

 

「あれは練習でしょ? 試合は初めてって意味だよ」

 

「確かに……俺もテレビでは見た事ありますけど、直に見るのは初めてですね」

 

 

 滅多に見れるもんじゃないし、中学には柔道部無かったしな……

 

「津田君もそう言ったもの見るんだね?」

 

「はい? 国際大会とかはテレビでやってるじゃないですか」

 

「え……寝技の国際大会とかあるの!?」

 

「あれ? 俺たち柔道の話してましたよね?」

 

「うん。だから夜の柔道じゃないの?」

 

「……アンタもっとしっかりした方が良い」

 

 

 思春期なのは良いですけど、会話が成立しないくらいのボケは止めてもらいたい……

 

「痛っ!」

 

「如何したの? 大丈夫?」

 

「練習中受身失敗して、手首がコキって」

 

 

 うわぁ、痛そうだな……音を聞く限りだが骨折はしてないだろうけど、手首って意外と使うし捻挫でも相当私生活に影響が出るぞ……

 

「手がコキ!?」

 

「手○キか!」

 

「何か、大丈夫って感じるね」

 

「GO TO 保健室」

 

 

 ふざけてる場合じゃ無いでしょうが……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 見立て通り、手首の捻挫でドクターストップが出てしまった。これじゃあ練習試合は出来ないな……

 

「よし! 私が代わりに出ようじゃないか!」

 

「でも会長、受身も知らないですし危険ですよ」

 

「じゃあお前が出るか?」

 

「俺は男ですよ……」

 

「ちょっと化粧してウィッグつければいけるだろ」

 

「無理があるだろ……」

 

 

 いくら女顔だと言われてる俺でも、さすがに女装して女子柔道の試合に出るほど女顔じゃないですよ……出れたとしても組めないでしょうが……

 

「パッドもあるけど?」

 

「いや、使わないから……」

 

 

 何でこの人たちは俺を出したがるんだろう……

 

「あのーもう会長を代理としてメンバー表出してきちゃったんだけど」

 

「それが正解だろうな……本人がやる気なんだし」

 

 

 実はもう柔道着に着替えている会長は、既にやる気満々だったのだ……怪我だけはしないで欲しいけどな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 会長の出番まで少しあるが、試合は一進一退の白熱した展開になっている。

 

「畑さん」

 

「や!」

 

「新聞部も来てたんですね」

 

「柔道部初の試合ですからね。取材しない訳にはいかないわ」

 

 

 確かに、普段ふざけてるけど新聞部はしっかりと部活の取材をしたりして各部のモチベーションを上げたりしているのだ。今回のも次に繋がるように取り上げてくれるだろう。

 

「それに、こう言うのはネタになるから。女子高生同士がくんずほぐれつ、マニアにはたまらないでしょうね」

 

「……ちょっと別室でお話しましょうか?」

 

「いやね~、冗談ですよ。まさか男子生徒に売りつけたりなんてしてませんから」

 

「俺は何も言ってませんけど?」

 

「お、おホホ、おホホホホホ……」

 

 

 笑いながら徐々に俺から距離を取っていく畑さん……つまりは既に商売してたと言う事なのか。

 

「萩村、ちょっと良いか?」

 

「何よ?」

 

「新聞部が予算要らないみたいだから、来年の予算の割り振りをしなおさなきゃいけなくなった」

 

「それは面倒ね。でも新聞部が予算要らないのなら他の部活が潤うから仕方ないわね」

 

「ちょっとお待ちを!」

 

 

 冗談に感じなかったのか、畑さんが必死に俺たちの会話に割り込んできた。

 

「我々新聞部は桜才学園を盛り上げる為に必死になって活動をしています。その部活から予算を取り上げられたらやっていけませんよ!」

 

「だって独自利益があるんですよね? それを認めるのなら学園からは予算を出せませんよ」

 

「そうね。新聞部は独自予算で活動出来るでしょうし、学園側からの予算は認められません」

 

「これは、私個人でやってるものなので、新聞部自体には利益はありません! ……あっ」

 

 

 自白した事に気付いたが時既に遅し、俺と萩村は畑さんを連行して説教をする事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 畑さんを説教してる間に、練習試合は終わってしまった。見れなかったが、如何やら会長は勝ったようだった。

 

「おめでとうございます、会長。よく勝てましたね」

 

「ああ。押さえ込みとか言うので勝ったぞ!」

 

「一本ですか? 凄いですね」

 

 

 いくら会長が運動が得意だからって、素人が一本勝ちとはホント凄いな。

 

「私が貸してあげた小説が役に立ったよー!」

 

「小説?」

 

 

 柔道の試合に役に立つ小説っていったい何だろう……

 

「うん! 男の人を女の人が押さえ込んでくんずほぐれつする小説だよー」

 

「男の人を?」

 

「うん!」

 

 

 萩村が接続詞に引っかかりを覚えたようで、七条先輩に確認している。確かに「が」なら分かるが「を」って……いったいどんな内容なんだ?

 

「……くんずほぐれつ? ロクな小説じゃねぇな」

 

 

 さっき畑さんから聞いたばかりの言葉が七条先輩の口からも出てたのに気がついて、そう言った小説なんだと言う事が分かった。それにしても会長も七条先輩も何て小説読んでるんですか……

 

「ねぇ津田君、さっきの話じゃないけど、女装してみない? きっと似合うと思うんだけど」

 

「しねぇよ! そもそも似合うって言われたくねぇ!」

 

 

 したらしたで絶対何処かでカメラを構えている変態が居るだろうから。絶対にしたくねぇ!




タカトシ男の娘計画が早くも……


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津田君の悩み

実際にこんな生活してたらおかしくなりそうです…


 二学期が始まって一ヶ月、今日から十月だ。つまりは衣替えの時期だ。

 

「十月とは言え、まだまだ暑いな」

 

 

 冬服を着るとよりその感じが強まるような気がする……

 

「タカ兄ーおはよー」

 

「おう、おはよう……って、お前それ夏服じゃん、寝ぼけてるのか?」

 

 

 中学でも今日から衣替えのはずだし、いくら前後一週間は自由で良いからと言われていても、集会などではキチンと冬服を着てくるように言われてるはずなんだが……

 

「別に寝ぼけてないよ」

 

「じゃあ何で……月初めの集会があるだろ?」

 

 

 去年まで在籍していたから知っているのだが、間違えるともの凄い怒られるんじゃなかったっけ?

 

「キャラも衣替えしたんだよ! ドジッ娘にね!」

 

「……着替えてこい」

 

 

 コトミが怒られるだけなら別に構わないのだが、これ以上内申に影響が出そうな事はしないで欲しいのだ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 生徒会室に入ると、七条先輩が部屋の掃除をしていた。

 

「アリアは綺麗好きだな、埃一つ無いぞ」

 

「それほどでもー。あっ、でもあまり度が過ぎると潔癖症って思われちゃうから注意しないとねー」

 

「確かに、人間少しくらいだらしない部分があったほうが良いかもしれん」

 

 

 確かに、完璧だと近付き難い感じがして孤独になるとか聞いた事があるしな……だけど会長や七条先輩って結構完璧に近い存在なのにあまり孤独って感じがしないような気が……何でだろう?

 

「私が得た情報によると、下着は汚れている方が喜ばれるらしい」

 

「ろくな情報源じゃねぇな……っあ、なるほど」

 

「ん~? 津田君、如何かしたの?」

 

「いえ……漸く納得出来ただけです」

 

 

 会長や七条先輩が孤独な感じがしないのは、この二人がある意味欠陥だからか……

 

「よーす! 生徒会役員共……ファー」

 

「横島先生、寝不足ですか?」

 

「まぁな。だけどこれから大事な会議なんだよな」

 

 

 そう言って横島先生は自分の頬を力いっぱい叩きだした。

 

「目覚めました?」

 

「うん、新しい快感に」

 

「は?」

 

 

 この人何言ってるんだ?

 

「津田、もっと私を強くぶつんだ!」

 

「いや、意味が分かりませんよ……」

 

「つまり横島先生はMに目覚めたと言う訳ですね!」

 

「新しい快感に目覚めるって興奮するよねー」

 

 

 ……この場合俺が間違ってるのだろうか? 誰か味方がほしい……

 

「んー!」

 

「萩村、手伝う?」

 

「全然問題ないわ!」

 

 

 さっきから黙って作業していた萩村だが、完全に我関せずを貫き通してるからな……

 

「やっぱり手伝おうか?」

 

「……お願いするわ」

 

 

 欲しい資料に手が届かずに頑張っていたのだが、さすがに時間がかかりすぎているので手伝う事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さっきもそうだけど、背が小さいってろくな事が無いわね……

 

「津田、アンタ如何やってそんなにデカくなったの?」

 

「何、急に?」

 

「いえ、何か秘訣でもあればと思って」

 

「そうだな……三食しっかり摂って適度に運動して程よい睡眠を取れば良いんじゃない?」

 

「そんな事やってるわー!」

 

「お、おぅ……」

 

 

 私の剣幕に若干押され気味の津田、威圧感で押しても面白く無いのよね……見下ろす感じが欲しいのよ!

 

「ああ!」

 

 

 ん? なにやらグラウンドの方で悲鳴が聞こえたような気がしたんだけど……そっちを振り向いたけど、私の視界には何も事件は入って来なかった。

 

「ドギャス!」

 

「……ん?」

 

 

 なにやら隣から悲鳴のような声と何かがぶつかったような音が聞こえてきた。

 

「……背が低くて助かったなんて思って無いからね」

 

「良く分からないけど俺を労わって」

 

「すみませーん! って、津田君!? ごめんなさい、大丈夫?」

 

「は、はい……何とか大丈夫です」

 

 

 如何やら相手は先輩のようで、津田の事を知っているようだけど、何であんなに顔が赤いんだろう……

 

「怪我とかしてないよね? 何なら保健室まで付き添うけど」

 

「ホント、大丈夫ですから」

 

 

 ボールがぶつかった箇所を摩りながら津田が立ち上がり平気だとアピールする。それで納得したのか、先輩はもう一度謝ってグラウンドに戻って行った。

 

「本当に大丈夫なの?」

 

「一応鍛えてるから」

 

「そう……ちょっと待ってて」

 

「いいけど……」

 

 

 急に催してきたのでトイレに急ぐ事に。津田は首を傾げていたが、途中で何かに気付いたようでそれ以上は聞いてこなかった。

 

「あら、萩村さん」

 

「五十嵐先輩」

 

 

 トイレに駆け込むと丁度五十嵐先輩もトイレだったようだ。

 

「萩村さんも?」

 

「ええ」

 

 

 扉の前で別れ、それぞれ用を足す。すると五十嵐先輩の個室の扉がノックされた音が聞こえた。

 

「入ってます」

 

「タン○ン派ですか」

 

「いえ、そう言う意味では……」

 

 

 ノックの主は新聞部の畑さんのようだった……それにしても畑さんってホント神出鬼没よね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 萩村と合流し、生徒会室へと戻る。すると中から会話が聞こえてきた。

 

「アリアは何故泣いてるんだ?」

 

「ちょっと恋愛小説を読んでて」

 

 

 特に危なく無い会話だったので萩村と頷きあって生徒会室へと入る。

 

「運命の赤い糸とか、憧れるよね~」

 

「赤い糸か。そんなものがあったら、『へっへっへ、お前あそこから糸ひいてやがる』っと日常的に言われるんだろうな」

 

「言われますね」

 

「(ツッコミ放棄!?)」

 

 

 入るなりろくでも無い事を言われたのでそのままスルーした。横で萩村の肩がはねたような気もしたけど、そこは気にしないでおこう。

 

「そう言えば、津田君って付き合ってる人居るの?」

 

「恋人ですか? 残念ながら居ませんね。ご存知の通りモテませんから」

 

 

 正確に言えば普通の女子にモテ無いのだが……高校に入って変人たちに妙に好かれてるのは自覚している。

 

「それじゃあ右手が恋人なんだね!」

 

「は?」

 

「左手かもしれんよ」

 

「いえ、そうでは無く……って、横島先生、大事な会議は?」

 

 

 さっきあるって自分で言ってたような……

 

「それじゃあ口か!? どれだけ身体が柔らかいんだ君は!?」

 

「それも無いですよ。そもそも何の話なんですか?」

 

「え? オ○ニーする時どっちの手を使ってるかって話だよ」

 

 

 ……聞かなきゃ良かった……やっぱり普通の女子に好かれたいよな……




そろそろ体育祭ネタです。改変するぞー!


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生徒会新聞

無理が無いように改変するのにちょっと手こずりました


 体育祭まであと数日と迫った今日、生徒会室で会長が重大発表をすると言うので、放課後は生徒会室に向かう事になっている。

 

「津田、生徒会室に行きましょう」

 

「萩村? 分かった、じゃあな柳本」

 

 

 廊下から萩村がひょっこりと顔を出して俺を呼んできたので、柳本に挨拶をして俺は廊下に向かった。途中すれ違ったクラスメイト(女子)から、ロリ疑惑を掛けられたが、断固として違うと声を大にして否定しようとしたら……

 

「ロリって言うなー!!」

 

「!?」

 

 

 小声だったにも関わらず、萩村の耳にも届いていたようで萩村がキレた。名前は有名でも知らない人は居るんだな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ちょっとしたハプニングはあったが、特に問題は無く生徒会室までやって来た。

 

「「おはようございます」」

 

「うむ! これで全員だな」

 

「シノちゃん、重大発表って?」

 

「この度、生徒会新聞を発行する事となったのだ!」

 

「「「生徒会新聞?」」」

 

 

 この前のホームページと良い、生徒会の事を知らせるメディアなら、もっと前からあっても良かったんじゃ無いだろうか……

 

「そこで、新聞部にも協力してもらう事になった」

 

「やっ!」

 

「……アンタ、何処から現れた」

 

 

 何も無い空間から畑さんが現れ、萩村は驚いてすっ転んだ。

 

「萩村、大丈夫か?」

 

「ええ……ありがとう」

 

 

 転んだ萩村に手を差し伸べて、引っ張り上げた。やっぱり萩村は軽いな……

 

「新聞部に協力って、何をしてもらうの~?」

 

「写真などを頼もうと思っている」

 

「それなら既に大分ありますよ。普段からあなた方の事は写真に収めてますから」

 

 

 確かに、しょっちゅうカメラ持ち歩いてるしな……しかし真面目な写真なら兎も角、おかしな物は没収しておかないと面倒になりかねないからな……

 

「いくらで買います?」

 

「何撮ったんだアンタは!」

 

「冗談。お勧めはこれ」

 

「ん?」

 

「ドアをくぐろうとした際に上に頭をぶつけちゃった津田君」

 

 

 それの何処がお勧めなんだ……

 

「……を、ちょっと羨ましそうに見つめる萩村さん」

 

「ちょっと! これじゃあ私が身長にコンプレックスを持ってるみたいじゃないですかー!」

 

 

 写真を見るやいなやもの凄いスピードで抗議する萩村……そこまで必死だと持ってるって言ってるようなものなんだけど、此処は黙っておこう。

 

「まあまあ落ち着いて。そう言ってくるのは予測済みよ」

 

「……それで?」

 

「コラっときました」

 

「「コラー!!」」

 

 

 くだらない事をした畑さんに俺と萩村のツッコミが同時に入った。本当にろくな事しないな、この人は……

 

「それでシノちゃん、どんな感じにするの?」

 

「そうだな、やはり全ての内容に目を通してもらいたいな」

 

「それならいっそ、袋とじにでもしてみます?」

 

「袋とじ?」

 

「ページとページをくっつけて、中を見えなくする事ですよ。そうすれば興味持ってもらえると思いますよ」

 

 

 主に男子が……この間クラスメイトが持ってきて隅っこで見てたのを、俺はその集団から離れた場所で見て、女子にあれは何だと聞いた事がある……交ざりたいとは思わなかったが。

 

「ああ! イカ臭いエッチ本の事ね」

 

「イカ?」

 

「○液ってスルメのにおいがするでしょ?」

 

「……それは違います」

 

 

 この人の下ネタにツッコムのは大変だ……コトミ以上に何を言ってるのかが分からないぞ。

 

「会長、レイアウトはこんな感じで良いですか?」

 

 

 萩村が簡単に新聞をどんな形にするかをパソコンで作っているんだろう……作業が早いのは良いけど、少しはこっちも手伝ってくれないかな……

 

「うん、なかなか良いんじゃないか。だが、この写真がズレてるぞ」

 

「こうですか?」

 

「今度はこっちがズレてる」

 

「こう……ですか?」

 

「ここも」

 

 

 随分と拘ってるんだな……萩村が気にしないほどのズレを気にするなんて……

 

「会長、そんなに細かい事気にしてたら禿げちゃいますよ?」

 

「下の毛なら歓迎だ!」

 

「……そうですか」

 

 

 萩村が軽く流して、大体の見通しは出来た。後は内容を考えるだけだけど、俺にはあまり関係無いかな。

 

「津田、生徒会新聞に載せるエッセイを頼めるか?」

 

「エッセイ? 俺がですか?」

 

「うむ! 何となくだが、君なら出来るような気がするんだ!」

 

「何ですかその勘は……」

 

 

 結局断れずにエッセイを担当する事になったのだが、不評でも俺は責任取りませんからね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 数日後、津田が持って来たエッセイを読んだ会長と七条先輩が棒泣きした。

 

「二人共大げさでしょ」

 

 

 七条先輩から津田の書いてきたエッセイを受け取り、サラッと目を通した。男の癖に字が綺麗ね……ふむふむ……これは!?

 

「萩村まで!?」

 

 

 津田が驚いたので気がついたが、私も棒泣きしていた。津田ってこんな文才があったんだ。これなら何時でも物書きとしてやっていけそうだわ……

 

「やはり君に頼んだのは正解だったようだな!」

 

「こんなに胸を打たれた話、初めてだよー」

 

「悔しいけど、私じゃこんな話は書けないわ」

 

「そう? 良かった、喜んでもらえて」

 

 

 津田は照れくさそうに頭を掻いて、笑った。津田のこんな表情を見たのは初めてかもしれないわね……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そしてその後、生徒会新聞は無事発行され、好評を博した。主に津田のエッセイが人気のようだった。

 

「あんたって良い物書きになれるわよ」

 

「将来の選択の一つとして考えとくよ」

 

「文才か……私には足りないものね」

 

「萩村だって出来ると思うけど」

 

「あんたには勝てないだろうから止めとくわ。これからあんたのエッセイを毎月読めるって楽しみにしてる生徒も少なく無いようだしね」

 

「プレッシャー掛けないでよ」

 

 

 津田が半ば本気で嫌がってるのを見て、あれだけ凄いエッセイを書いてても自信を持ってないんだなと気付いた。

 

「津田副会長……」

 

「はい? あっ、五十嵐さん」

 

「貴方のエッセイ、楽しみにしてますから!」

 

「え? あっちょっと?」

 

 

 それだけ言って五十嵐先輩は顔を真っ赤にして走り去ってしまった……風紀委員長が廊下を走らないでとか、言いたい事はあったけど、私は五十嵐先輩の反応を見て、自分のライバルになるのでは無いかと思ってしまっていたのだ……それが何のライバルなのかは考えないようにして……




タカトシが真面目だと理解してるから、カエデの出番を如何しようか悩みましたが、ファンと言う事で登場させました。


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体育祭準備

アニメ版にのみあった話のアレンジです


 体育祭もいよいよ明日になり、今日はその準備に勤しまなくてはいけない。力仕事なら男手が必要なのだろうが、クラスメイトの男子は何故だか隅っこに集まって何かを話している。いったい何を話してるんだろうな……

 

「とりあえず此処にあるものは全部出してしまおう」

 

「分かりました」

 

 

 三葉たちに指示を送る会長の声で我に返ったが、体育倉庫と言うものは如何してこう粉っぽいのだろう……石灰がまってるのだろうか?

 

「色々な国の旗ねー」

 

「ベネゼエラ、ノルウェー、グァテマラ」

 

「良く知ってるな」

 

「常識です」

 

 

 うん、俺もそれくらいは分かるぞ。てか、高校にもなって万国旗って如何なんだ?

 

「ナプ○ンね」

 

「うむ、三日目か」

 

「……旗じゃねぇ!」

 

 

 てか、想像で何を万国旗に交ぜてるんだよ……今日も会長と七条先輩はアクセル全開のようで、ツッコミに勤しまなくてはいけないようだ……

 

「この玉転がしの玉は如何します?」

 

「うむ、それも出してしまおう」

 

「タマ転がし!? それって、十八禁になれるんじゃない!?」

 

 

 くだらない事を言った横島先生目掛けて大玉を転がす。

 

「あーれー……」

 

 

 程よく勢いの付いた大玉は横島先生を潰そうと転がっていった。無言でのツッコミも楽じゃない……

 

「次はグラウンドだな」

 

「そうだねー」

 

 

 グラウンドでの準備もかなりあるだろうけど、沢山の人が手伝ってくれてるからそれ程大変では無いのかな。

 

「まずは此処に運営用のテントを組み立てなければ」

 

「じゃあそれは俺がやります」

 

「そうか?」

 

「ええ、良く家族でキャンプに行った時には俺がテントを張ってますから」

 

「何!? 君は家族の前でテントを張ってるのか!?」

 

「ええ。親二人が使うのと俺とコトミが使うのとで二つ」

 

「二つ!? 君は二本も生えていると言うのか!?」

 

「? ……そう言う意味じゃねぇよ」

 

 

 会長のボケが漸く理解出来たのでツッコミを入れる。そう言えばさっきからこの人の視線は下半身に向いてたな……

 

「ところで津田君」

 

「はい、なんでしょう?」

 

「ご両親と兄妹で分かれてるの?」

 

「そうですね。いくつになっても仲が良い両親でして……普通なら母とコトミ、父と俺で分けるんでしょうがね」

 

 

 あのラブラブっぷりには俺もコトミもほとほと参っているのだ……

 

「つまり擬似○姦プレイをしてるんだね!」

 

「違げぇだろ……」

 

「それと津田君、近親○姦は駄目だよ~?」

 

「してねぇっての!」

 

 

 会長の次は七条先輩がボケ倒すので、一向に作業が進まない……この人たちは邪魔するだけなのだろうか? それなら大人しく帰ってほしいんだが……

 

「アンタも大変ね」

 

「そう思うなら手伝ってよ……」

 

 

 さっきから黙々と作業を進めている萩村に増援要請を出す。

 

「私じゃあの二人纏めては無理だから」

 

 

 しかしあっさりと断られてしまった……片方だけでもいいから引き受けてくれないかな……

 

「よし! 次は選手宣誓の練習だな」

 

「シノちゃん、頑張ってね!」

 

 

 練習なのに随分と気合が入ってるんだな……

 

「宣誓! 我々一同、スキンシップに乗っ取り、性交を堂々とする事を誓います!」

 

「完璧ね!」

 

「明日は俺にやらせてくれませんかー」

 

 

 酷い選手宣誓をした会長に、それに感動した七条先輩、やっぱりこの生徒会は駄目だ……

 

「ちょっと! 何ですか今の選手宣誓は!」

 

「五十嵐!」

 

「何処か駄目だった?」

 

「何処がって、駄目なところ以外あったんですか?」

 

 

 五十嵐さんの登場で少しはマシになるだろうと期待してたのだが、そう言えばこの人も色ボケが多かったような気が……真面目なのか、会長たちの同属なのか、はっきりしてほしいものだよな……

 

「会長、今の宣誓を着ボイスにしても良いですか?」

 

「畑!?」

 

「女子高生の○姦宣言、しかも堂々とすると……これは売れる!」

 

「もう帰れアンタら!」

 

 

 真面目に作業するつもりが無いのがはっきりと分かったので、纏めて追い払う事にした。居ても居なくても変らない……むしろ居ないほうが捗るのなら帰ってもらった方が良いだろう。主に俺の精神衛生上……

 

「津田ー、次はあっち手伝ってってさ」

 

「あっち? ああなるほど……」

 

 

 かなり重そうな荷物を運んでる女子一団が手招きしている……隅っこに固まっていた男子たちは何時の間にか居なくなっており、グラウンドに居る男子は俺だけになっていた……俺、帰っても良いかな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 津田の活躍もあり、体育祭の準備は恙なく終わった。途中で会長や七条先輩がフザケたのもあったけども、予定してた時間より少し遅れた程度で体育祭の準備は完成したのだ。

 

「これで後は明日を待つだけだな!」

 

「人前で運動するのはドキドキするよー。……あっ、貞○帯は外しておかなければ」

 

「そもそも学校にしてくんな!」

 

 

 津田がお疲れでヘバってるので、代わりに私がツッコミを入れる。こうして考えると私の負担を全部津田が代わりに背負ってくれてるんだと言う事が良く分かった。

 

「津田、いつもありがとう」

 

「何? 急に……」

 

「なんでもない」

 

 

 バテながらもこっちに視線を向けた津田の表情にドキッとして、私は慌てて視線を逸らした。

 

「完成してよかったですね」

 

「我々が本気になればこれくらい楽勝さ!」

 

「シノちゃんのカリスマ性は凄いもんね~」

 

「……じゃあ何で津田が此処までバテてるんですか」

 

 

 二人は途中から遊びだしてしまい、結局津田が殆どの準備の指示と手伝いをしてたのだ。バテてしまってるのも仕方ないだろう。

 

「津田、明日の本番、大丈夫か?」

 

「今日はオ○ニーしない方が良いよ~」

 

「しねぇっての……」

 

 

 キレが無いながらも津田のツッコミが入る。どんな時でも津田はツッコミなんだと思ったのと同時に、やっぱり津田が居てくれるから私の負担は少なくて済んでるんだと思った。

 

「よし! 我々も帰ろう」

 

「そうだね~、津田君」

 

「何ですか?」

 

「良かったらお家まで送ってあげようか?」

 

「出島さんか」

 

 

 会長がつぶやいたように、七条先輩にはメイドの出島さんが運転するお迎えがあるのだ。ついでに津田を送ってく事なんて容易いだろうが、かなり嫌な感じがするのは何故だろう……

 

「せっかくの好意ですが、大丈夫です」

 

 

 勢いをつけて立ち上がった津田は、七条先輩の申し出を断って更衣室まで歩いていった。

 

「やっぱり津田君は手ごわいな~」

 

「アリア、何を企んでた」

 

「ん~? 津田君を車に乗せて逆レ○プをしようとしてたんだ~」

 

 

 津田、アンタの危機察知能力は凄いわ……私は津田が歩いていった方角に視線を向け、そんな事を思っていたのだった……




記憶を辿りながらの作業でしたので、少し違ったかもしれませんが、アレンジだと思ってください。決して思い出せなかった訳では……


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体育祭前編

二大イベントの一つに漸く辿り着いた…


 本日は桜才学園の体育祭、晴れて良かったよ。

 

「選手宣誓! 我々はスポーツマンシップに乗っ取り、正々堂々と戦う事を誓います!」

 

 

 さすがに本番ではボケなかったな……心配してたけど杞憂で済んでよかった。

 

「正々堂々じゃないスポーツマンシップって何だろう?」

 

「ドーピングとかじゃないですか?」

 

 

 他に思いつかないし……それとも裏で不正工作でもしてるとかかな……でもどちらも体育祭程度でするはずも無いし、気にする事も無いか。

 

「確かに、Hな気分でスポーツするのは不純だもんね」

 

「多分そんな薬では無いと思いますよ」

 

 

 詳しい事は聞かないで良いや。どうせろくな事じゃ無いんだろうし……

 

「さて、宣誓も済んだ事だし、初めの競技は何だ?」

 

「玉入れだね~」

 

「津田、アタシたちも参加するやつよ」

 

「分かってるって。それじゃあ会長、本部を頼みますね」

 

「おう!」

 

「任せて下さい」

 

「……魚見さん、何故此処に?」

 

「来ちゃった♪」

 

「いえ、それは分かりますが何故本部に?」

 

「え? だって会長ですし……」

 

 

 魚見さんも生徒会長だったのか……英稜も二年生が会長なんだな……

 

「シノッチと二人で会長コンビなの」

 

「しっかりと盛り上げるからな~!」

 

 

 何でだろう、この二人が揃うと不安しか無いんだけど……

 

「津田、なるべく早く本部に戻りましょうね」

 

「奇遇だな萩村。俺も同じ提案をしようと思ってた」

 

 

 やはり萩村にも嫌な予感はしているようで、玉入れに集中出来るかどうか不安になってきたんだが……まぁ別に大局に影響する訳では無いから、本部の事は忘れても良いんだが、来賓も来ているので桜才の品位に関わるかもしれないんだよな……

 

「津田、始まるわよ!」

 

「分かってる」

 

 

 競技が始まってしまえば他の事を気にしてる余裕は無くなるだろう。兎に角集中だ。玉入れが始まって少し経った頃、誰かに手を握られた。

 

「ゴメン、タカトシ君……」

 

「三葉か。大丈夫だ」

 

 

 何故だか三葉の顔が赤くなってるような気がするんだが……まさかね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さっきの玉入れでタカトシ君の手を握っちゃった! 如何しよう、変な子だと思われてないよね……

 

「次は二年の徒競走か」

 

「位置について、よーい……」

 

『パーン!』

 

 

 あれ? 何かタカトシ君がキョロキョロし始めた……如何したんだろう?

 

「あの、私まだ鳴らして無いんだけど」

 

「え?」

 

「やっぱりか……」

 

 

 スターターの人がスタートした会長たちを止め自分は合図してないって言った。その発言にタカトシ君が納得したように頷いている。

 

「如何して分かったの?」

 

「スタートの合図に鳴らす音と、若干違いがあったんだよ。それで気付いた」

 

 

 タカトシ君っておかしな特技を持ってるんだな……

 結局徒競走は会長が勝ったようだった。

 

「次は借り物競争だね。借り物の札はウチのクラスが担当したんだよね」

 

「そうなのか? 俺には聞かれなかったんだが……」

 

「だってほら、タカトシ君は全体の指揮で忙しかったから」

 

 

 それに、考えたのは男子だしね……タカトシ君に聞きに行かなかったのは何か企んでたからだと思うよ。

 

「津田、一緒に来て」

 

「萩村?」

 

 

 スズちゃんがタカトシ君を連れて行った。お題は何だったんだろう……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 萩村に借りられて、俺はゴールを目指す事になった。

 

「お題は何なの?」

 

「目標にしてる人」

 

「目標? 俺が、萩村の?」

 

 

 いったい何が萩村の目標なんだろうか……

 

「この前アンタ、自販機であんこ茶買ってたでしょ? あれを自力で買うのが私の目標」

 

「俺ってやっすーい」

 

 

 あんこ茶買ってる人なら他にも居ただろうが……

 

「後はアンタの文才に少しでも追いつきたいなって」

 

「萩村ならすぐだろ」

 

 

 そもそも俺自身あそこまで感動してもらえるとは思って無かったんだが……萩村がゴールして、俺はクラスの場所まで戻った。すると……

 

「津田君、一緒に来てくれるかな?」

 

「また俺?」

 

「行ってらっしゃい」

 

 

 今度は七条先輩に借り出された……

 

「それで、お題は何です?」

 

「ん~? 調教してほしい人」

 

 

 ちょっと待て! 何だそのお題は……クラスの方を向くと、柳本がサムズアップしていた。アイツか……

 

「ちょっと津田君!? そっちは違うよ~」

 

 

 結局七条先輩に引き摺られるようにゴールまで連れて行かれた……

 

「それではお題を確認します……ッ!? そうなんですか?」

 

「うん!」

 

 

 何故満面の笑みを浮かべる……そして何故チェックする人が顔を赤らめるんだ……火の粉がこっちにまで飛んできたと感じながら、俺はクラスの場所に戻り、柳本たちを問い詰めるつもりだったんだが……

 

「津田君! 一緒に来て!」

 

「津田! 私と来い!」

 

「………」

 

「人気者だね」

 

 

 会長と五十嵐さんが俺を借りに来た。

 

「あの、お題は?」

 

「これ……」

 

 

 五十嵐さんの引いた札に書かれていたのは……

 

『男子生徒』

 

 

 なるほど……五十嵐さんは男性恐怖症だったな……でも何で俺だけ大丈夫なんだろう?

 

「それで、会長のは?」

 

「その……教えない!」

 

「じゃあ五十嵐さんと行きます」

 

 

 会長のお題が分からない以上、五十嵐さんについていくのが良いだろう。何せこの人はまだ代わりが居てもその代わりに頼めないのだから……

 ゴールして今度は自分が参加する番になった。なるべくおかしな物を引かないようにしたいんだけどな……

 

『生徒会役員』

 

 

 ……自分じゃ駄目だよな……さて、誰に頼むべきなのか……ん? 別に桜才の生徒会じゃなくても良いんだよな? 別に桜才生徒会とは書いてないし……そうなると魚見さんもありって事になるよな……そう言えば魚見さんの他にも誰か一緒に来てたような気がするんだが……

 

「まいっか」

 

 

 考えた結果、一番辺り障りの少ない萩村を選んで一緒にゴールまで来てもらった。

 

「津田、お題は何だったの?」

 

「生徒会役員」

 

「変なもの引いたわね」

 

「俺が一人で行っても良かったのかな?」

 

「借りてないじゃない」

 

「だよね……ところで、魚見さんと一緒に来てた人って誰だったの?」

 

「私もまだ聞いて無い」

 

 

 立て続けに競技に参加してたからな……後でちゃんと挨拶しておかないとな。




結局シノのお題はなんだったんだろう……


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体育祭後編

タカトシ大活躍! の予定です……


 本部に戻ると、何故か見知った顔があった……

 

「コトミ?」

 

「やっほータカ兄、応援に来たよー」

 

「タカ兄? 津田さんの妹さんですか?」

 

「妹のコトミです」

 

 

 魚見さんにコトミを紹介する。そう言えば魚見さんの隣に居るのは誰なんだろう……

 

「兄妹だけあって似てますね」

 

「そうですねー、共にまだ性体験もありませんしね」

 

 

 いや、そうだけど違うだろ……

 

「ですが、処女と童貞は同列には出来ませんよ」

 

「「いや、違うでしょ! ……え?」」

 

 

 魚見さんの連れの人とツッコミが被る。この人はまともな人のようだ。

 

「あっ、津田さんと萩村さんにはまだ紹介してませんでしたね。私の恋人です」

 

「違いますからね!」

 

「冗談です。英稜高校生徒会副会長の森です」

 

「森です。よろしくお願いします」

 

「ご丁寧にどうも。桜才学園生徒会副会長の津田です」

 

「同じく、会計の萩村です」

 

「桜才のツッコミマスターの津田さんと、合法ロリの萩村さんです」

 

 

 ツッコミマスター……そんなものになった覚えは無いんだが……

 

「ロリって言うなー!」

 

「萩村、私たちは二人三脚に出るから本部を任せるぞ」

 

「えっ、あっはい」

 

 

 萩村も忙しいな……

 

「津田さんも大変そうですね……」

 

「森さんもなかなか……」

 

「「ハァ……」」

 

 

 同じ苦労を体験してる身としては、初対面なのに妙な親近感を覚えた。この人も精神的苦労をしてるんだと思うと、仲良くなれそうな気がしてくる……

 

「そう言えばコトミ、勉強は良いのか?」

 

「……私は追い込まれないと本気を出せないのだ」

 

「厨二は程ほどにね……」

 

 

 森さんは魚見さんだけをツッコんでれば良いのだろうか? それとも他にも……

 

「津田さんの方が大変そうですね……私は自分以上に大変なツッコミポジションの人に会うのは初めてですよ」

 

「なんか釈然とはしませんが、分かってもらえる人に出会えたのは嬉しいです」

 

「津田ー、アンタも手伝ってよねー」

 

「ああうん。それでは」

 

 

 本部の仕事に向かう為に森さんたちと別れる。さてと、仕事だ仕事。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 津田さんと別れ、私は改めて魚見会長を見る。

 

「何ですか? ……もしかして本当に私とお付き合いを?」

 

「違いますから」

 

 

 ウチの会長にもツッコミを入れられる逸材。彼の周りにはボケが集まるようですね……もし私が津田さんのポジションだったら、きっと胃に穴が開いてしまうでしょうね。

 

「あっ、シノッチと七条さん」

 

「やっぱりあの二人は凄いですね~」

 

「「胸の差が!」」

 

「………」

 

 

 津田さんの妹さんも魚見会長と同類のようだった……

 

「そう言えば森さん、随分と津田さんの事を見てたようですが、もしかして濡れちゃったんですか?」

 

「違います! ただ……」

 

「「ただ?」」

 

「同じポジションとして、上手く生活していく方法を教えていただきたいと……」

 

 

 自分で言っていて何て説得力の無い言い訳だと自分で自分が嫌になる……そんな言い訳で納得してもらえる訳が……

 

「「なるほど! そうだったんですね!」」

 

「あれ? 納得しちゃうの?」

 

 

 よく分からないけど、納得してもらえたのならそれで良いですよね。私自身、何で津田さんをジッと見てたのか分からないのですから……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 最終対決は部活動対抗リレー、我々生徒会も参加する事にした。

 

「順番は萩村、私、アリア、津田の順番で行くぞ」

 

「俺がアンカーですか……緊張するなー」

 

「大丈夫でしょ。アンタさっきのクラス対抗でもぶっちぎってたから」

 

「だって相手は女子だったし……運動部でもなかったからさ」

 

「それでも、半周遅れをひっくり返したんだから、凄いよー」

 

 

 津田のクラスは、男子が居るのにも関わらず運動が得意なのは津田と三葉だけだったようで、先頭の三葉がトップでバトンを繋いだのだが、アンカーの津田にバトンが渡るまでにぶっちぎりの最下位だったのだ……

 

「さて、そろそろスタートだが、何か秘策は無いか?」

 

「秘策ですか? 重要なのは位置取りだと思いますけど」

 

 

 ……位置取りか。

 

「重要なんだな」

 

「ブリーフなら、位置固定出来るんじゃない?」

 

「何処見てる……」

 

「「え? チンポジの話でしょ?」」

 

「リレーの話だろうが!」

 

 

 津田のツッコミが炸裂して、作戦会議は終了した。後は本番でどれだけ結果を残せるかだな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 桜才生徒会メンバーが全員参加と言う事で、本部は我々英稜が留守を預かる事になった。

 

「森さん、さっきの津田さんの走り、貴女には如何映りました?」

 

「そうですね、運動部じゃ無いのがもったいないと思いました」

 

「そうですか……ちなみに私は津田さんの走りを見て興奮してちょっと濡れました」

 

「そんな事聞いてません」

 

 

 津田さんのツッコミもかなりのものですが、ウチの森さんだって負けてないと思うんですよね。森さんは私が鍛えた! なんちゃって。

 

「始まりますね」

 

「第一走者は萩村さんですか」

 

 

 津田さんが第一走者で勢い付けるかと思ってましたが、アンカーはそう言えば二周だったんですね。それなら津田さんがアンカーなのも納得です。

 

「第二走者が天草会長、第三走者が七条さんのようですね」

 

「アンカーが七条さんなら、胸の大きさでギリギリ勝利と言うシチュエーションが……」

 

「そんな事はありえませんよ」

 

 

 う~む、絶妙なツッコミ。さすがは英稜のツッコミクイーンの称号を持つ女……

 

「そんな称号はありません!」

 

「あら?」

 

 

 声に出てたみたいですね……

 

「七条さんが転んだ!?」

 

「胸の重さに引っ張られたのでしょうか」

 

「いや、違うと思いますが……」

 

 

 転んだ所為で、生徒会チームは一気に最下位に……それも結構離されています。

 

「津田さんがどれだけ巻き返せるかですね」

 

「いくら津田さんでも、運動部の精鋭に追いつくのは……あら?」

 

 

 さっきのクラス対抗の時以上のスピードで駆け抜ける津田さん、あっという間に差が無くなっていきます。

 

「……チートだ、チート」

 

「今だけは会長に同意します」

 

 

 森さんも納得の私の感想。だって明らかにオリンピックを目指せるくらいのスピードなんですもの……

 結局津田さんがぶっちぎって生徒会チームが勝利、そして体育祭は幕を下ろした。

 

「お疲れ様でした」

 

「津田、アンタのおかげで勝てたわね」

 

「まぁそれはね……七条先輩は大丈夫ですか?」

 

「うん、なんとかね。胸がクッションになったおかげで怪我しないで済んだよ」

 

「「クソゥ」」

 

「「ん?」」

 

 

 シノッチと萩村さん、津田さんと森さんの声が揃った。如何やら津田さんと森さんは息ピッタリのようですね……羨ましいとか思ってませんからね。




ついに森さんを登場させちゃいました。恋人候補として最有力の彼女ですが、原作では名前が出てない……勝手に考えようかな……


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津田の運動量

ぶっちゃけありえない……


 体育祭も終わり、各部活の面々と生徒会で片付けをする事になっていたので、コトミは先に家に帰した。

 

「そう言えば津田」

 

「なに?」

 

「アンタって普段運動してるの?」

 

「一応してるけど……何で?」

 

 

 萩村がそんな事を聞いてくるなんて珍しいな……

 

「いや、気になったから」

 

「ふーん……」

 

「私も気になりますねー」

 

「魚見さん……帰ったんじゃ?」

 

「シノッチとこの後約束があるから」

 

 

 だからって片付けをしてる傍で突っ立ってられると邪魔なんですが……

 

「津田君がどんな運動をしてるのか、私、気になります!」

 

「七条先輩?」

 

「私も気になるぞ!」

 

「会長まで……」

 

 

 てか、片付けは良いのだろうか……

 

「片付けが終わったら話しますから、今は片付けを終わらせましょう」

 

「そうね……その代わり後でちゃんと話してもらうからね!」

 

「分かったよ」

 

 

 別に大した事はして無いんだがな……

 

「津田副会長、こっちを手伝ってもらえますか?」

 

「分かりました」

 

 

 男手は俺だけだし、力仕事は自ずと俺の仕事になる……てか男子は手伝わないでさっさと帰りやがって……部活やってないからなのかもしれないが、手伝おうとは思わないのか?

 

「津田くーん! 次はこっちをおねがーい!」

 

「ちょっと待ってくださいね」

 

 

 これも結構運動になるんだよな……まあこれだけで済ませては無いけど……

 

「津田、こっちも頼む」

 

「横島先生? 今まで何処に居たんですか?」

 

「ちょっとな……悪いが保健室まで運んでくれ」

 

「何を?」

 

「私を」

 

「何処か怪我でもしたんですか?」

 

 

 見たところ怪我らしい怪我は無いようだが……

 

「下半身」

 

「……は?」

 

「やっぱり自分のサイズにあったものじゃなきゃ駄目ね」

 

「アンタ一日何してた!」

 

 

 この人は放っておいていいだろう……それよりもまだ片付けるものが沢山……

 

「何してるんですか?」

 

「片付けしてたら、なんか絡まっちゃったの」

 

 

 ありえないだろ……

 

「ローププレイか! 隙だらけの中に隙が無いな!」

 

「ベネゼエラ」

 

「萩村、国旗はもういいから……」

 

 

 生徒会もろくに働いてねぇな……

 

「津田副会長、あっちを手伝ってもらえますか?」

 

「はい、今行きます!」

 

 

 こうなりゃヤケだ。出来る限り一人で手伝ってやる!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 片付けも終わったようで、私と森さんも含めた生徒会メンバーはとりあえず生徒会室に向かう事となった。

 

「お疲れ様です」

 

「ありがとうございます……」

 

 

 森さんにお茶を淹れてもらった津田さんは、一気にそのお茶を飲み干しました。どれだけ水分を発散したんでしょうね……賢者タイムなのでしょうか?

 

「汗掻いたんだよ! アンタだって見てただろうが!」

 

「あら」

 

 

 如何やら声に出してたようですね。

 津田さんの言うように、片付けの殆どを津田さんが行っていて、残りの生徒会メンバーは遊んでましたしね。萩村さんは力仕事には向きませんし……

 

「……何か?」

 

「いえ、何でもありませんよ」

 

 

 間違っても身体が小さいなんて言えませんしね。

 

「着替えるか!」

 

「そうだねー」

 

「それじゃあ俺はトイレで着替えてきます」

 

「別に気にしなくても良いぞ?」

 

「……俺が気にするんです」

 

 

 津田さんは着替えの為に一時退室、その間生徒会室では津田さんの話題で盛り上がりました。

 

「凄かったですね、今日の津田さん」

 

「そうだな。まさかあそこまでやってくれるとは思わなかったぞ」

 

「そうだねー、津田君のおかげで勝てたしね」

 

「シノッチ、津田さんは何か部活をやってるの?」

 

「いや、生徒会だけだが?」

 

「もったいないですね」

 

 

 彼の実力なら運動部のエースにだってなれるでしょうに……

 

「ウオミーも知っての通り、桜才は去年まで女子校だったからな」

 

「男子が出来る運動部って、まだ無いのよね」

 

「そうでしたね……森さんは如何思います?」

 

「私ですか? そうですね……学外でも運動は出来ますし、そっちでやれば良いのではないでしょうか」

 

 

 確かにそうなんですが、それだと学園の知名度とかが上がらないんですよね……私には関係無いですが、学校側からすればかなりの損だと思いますよ……

 

「そう言えば、津田にどんな運動をしてるのか聞くの忘れてました」

 

「そう言えばそうだな」

 

「戻ってきたらちゃんと聞こうね」

 

「そうですね。普段からどれだけ運動をしてるのか気になりますからね」

 

 

 口には出してませんが、森さんもかなり興味があるような素振りですし、津田さんはどれだけ運動してるんでしょうね……

 

「そう言えばシノッチ」

 

「何だ?」

 

「自家発電は運動になるのでしょうか?」

 

「う~む……その点は男子を交えないと何とも言えないぞ……」

 

「そこも津田君に聞いてみましょうよ」

 

 

 萩村さんと森さんが呆れた顔をしてるけど、私たちは気になった事をそのままにしておけない性質なので、津田さんが戻ってきたら聞くんですけどね。

 

「津田からメールだ……そろそろ戻ってくるそうだ」

 

「そっか、じゃあ戻ってきたら意見交換を……」

 

「楽しみです」

 

 

 早く戻ってこないでしょうか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 着替え終えて生徒会室に戻ると、何故だか全員が興味津々の目を向けてきた。萩村と森さんは若干同情も混じってるような気がしたけど、何でだろう?

 

「津田、自家発電は運動になるのか?」

 

「は?」

 

「ほら、男の子って上下運動でしょ?」

 

「腕の筋肉とか鍛えられるのですか?」

 

「……萩村、帰ろう」

 

「そうね。話は帰りながらでも出来るし」

 

「じゃあ私も」

 

 

 馬鹿な事を聞いてきた三人をおいて、俺は萩村と森さんと一緒に帰る事に……

 

「「「待ってください!」」」

 

 

 逃げ出す事に失敗したようだ……

 

「とりあえず、さっきの質問だ。お前は普段どんな運動をしてるんだ?」

 

「普通ですよ。腕立て、腹筋、背筋をそれぞれ毎日200回くらい」

 

「結構大変だね~」

 

「それから一ヶ月で走る距離を決めて、その日の気分で走ったりしてますね」

 

「ちなみに、その一ヶ月に走る距離ってどれくらい?」

 

「そうですね……70キロから100キロの間ですかね」

 

 

 時間が取れる月とそうでない月で結構な差があるし、必ずしもその距離とは決まって無いしな……

 

「あれ? 如何かしました?」

 

 

 何だか全員が固まってるんだが……

 

「津田、アンタ凄いわ」

 

「そう?」

 

「津田君の事、ホントに凄いって思えたよ~」

 

「それだけ運動して、君は何か目的でもあるのか?」

 

「目的ですか? とりあえず体力を落とさないようにってのと、中学で運動してたので、余ったエネルギーを発散してるだけですね」

 

 

 高校では主に生徒会の事務作業だけだし、他に発散出来る機会も無いからな……

 

「それで、何時勉強してるの?」

 

「勉強? テスト前以外はしてないけど?」

 

「そうなんだ……」

 

「でも津田君は、学年二位よね?」

 

「萩村には勝てませんから……」

 

 

 手応えがあっても、それ以上の点数だからな、萩村は……

 

「ハイスペックツッコミマスターだったんですね、津田さんは」

 

「は?」

 

「今度私にもその極意を教えてください」

 

「え、極意って?」

 

 

 森さんに頼まれたのだが、極意って何だ? 何だかよく分からないままお開きとなり、俺たちは生徒会室から家路についたのだった……クールダウンも兼ねて走って帰るか。




これがどれくらい凄いのか、自分でもよく分かりません……


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翌日の身体

50話目ですね


 体育祭翌日、生徒会室で作業してたら会長が急にモゾモゾしだした。

 

「如何かしたんですか?」

 

「痒い……」

 

「背中ですか? 俺が掻きましょうか?」

 

「いや、あの日なんだ……」

 

「あっ……何かゴメンなさい」

 

 

 気まずい雰囲気になりそうだったので、俺は生徒会室から逃げ出した。ちょっとトイレにも行きたかったし、まあ不自然ではあるがそれ程気まずくなる事も無いだろうこれで……

 

「津田ー」

 

「ん? 柳本、何か用事か?」

 

「トイレ行こうぜ!」

 

「それは良いが、何でお前が今日学校に居るんだ?」

 

 

 今日は体育祭の代休で、一般生徒は休みなんだが……

 

「忘れ物を取りに来ただけだよ。それでタイミング良くお前と会っただけ」

 

「ふ~ん……」

 

 

 休日に取りに来るほど大事な物を忘れたのか?

 

「あれ、萩村」

 

「津田? アンタ生徒会室に居たんじゃ……」

 

「トイレだよ。萩村は何処に居たの?」

 

「私は軽く見回りに……ところで、アンタの連れは何で震えてるの?」

 

「震えてる? ホントだ。柳本、そんなに我慢してたのか?」

 

「違う……」

 

 

 何だ、漏れそうな訳では無いんだ。それじゃあ如何して……

 

「筋肉痛で足が……」

 

「お前、そんなに運動してたか?」

 

「情けないわね~」

 

「何でお前らは平気なんだよ! あれだけ動いてたのに」

 

「普段から運動してれば問題無いだろ」

 

「そうね、私も鍛えてるから」

 

 

 へぇ~、萩村も鍛えてるのか……俺は運動程度だけど、萩村はどんな事してるんだろう。

 

「こうやって、爪先立ちして歩いてるから」

 

「気付かなかった!?」

 

 

 そこまでして大きく見られたいのか……いつかその努力が報われると良いな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 津田と生徒会室に戻ると、七条先輩が花束を持っていた。

 

「それ、如何したんですか?」

 

「緑化委員の子から貰ったんだけど、飾っても良いかな?」

 

「良いんじゃないですか? 部屋も明るくなりますし」

 

「ですが、花瓶なんてこの部屋にありましたっけ?」

 

「ちょっと探してみよう」

 

 

 部屋中を探したが、花瓶は無く、代わりになりそうなものも見つけられなかった。

 

「じゃあこれで代用しよう!」

 

「どれです?」

 

 

 七条先輩が鞄から取り出したものを見て、私と津田は絶句した。

 

「何故花瓶は無くてオナ○ールはあるんですか……そもそも七条先輩には必要無いものですよね?」

 

「うん。これは津田君にあげようとおもってたものなんだけどね~」

 

「いりません……」

 

「私の形を完全に再現した特注品だよ~」

 

「だからいりませんって……」

 

 

 津田が必死に断ってる横で、会長が熱心にそれを見ていた。

 

「これがアリアの……なんて羨ましいんだ」

 

「良かったらシノちゃんのも作ってあげようか?」

 

「何!? ……っあ、いや……私は遠慮しておく」

 

 

 一瞬食いつきそうだったけど、会長は結局遠慮したようだった。

 

「やっ!」

 

「畑さん」

 

「今月の桜才新聞が完成したので報告に。注目の記事は、天草会長の支持率98%」

 

「さすがシノちゃん」

 

「いや、みんなのおかげだ」

 

 

 畑さんが作ってきた新聞を津田が検閲している。私でも出来るのだけども、津田の文才が発覚してからは津田に任せている。

 

「確かに高い支持率ですが、支持の理由が書いて無いのは何でですか?」

 

「おや~、書いてませんでしたか」

 

「畑、理由を聞かせてくれ」

 

「少々お待ちを……なるほどなるほど」

 

「畑?」

 

「部員が空気を読んで書かなかったのだと思いますが、私には関係ありませんね。支持の理由は自分では無ければ誰でも良いですね」

 

「………」

 

 

 新聞部と言うのは、畑さん以外は真面目なのかしら……しっかりと空気を読んで支持の理由を書かなかったのに、それをあっさりと暴露するとは……

 

「じゃあ私はこれで。支持の理由を書き足さなければいけませんし」

 

「それは大丈夫です。むしろアンタが空気を読んでこの場で謝罪しろ」

 

「貴方たちが理由を聞いたのよ~」

 

「それは……そうですが」

 

「じゃ、私はこれで」

 

 

 空気を悪くして畑さんは生徒会室から居なくなった……だれかこの空気を変えられる人はいないのだろうか……

 

「そう言えば津田君、その指如何したの?」

 

「へ? ああ、昨日コトミが割った皿で切ってしまいまして。大変でしたよ、血が沢山出て」

 

「痛い話は嫌いだー!」

 

「会長?」

 

 

 さっきまでへこんでいた会長が、津田の話を聞いて耳を塞いだ。これはこれで空気が変わったのかもしれないわね……

 

「よーす!」

 

「横島先生、その蚯蚓腫れは?」

 

「ああ、これは鞭の痕」

 

「痛いですか?」

 

「そりゃあね、痛いけどその中にも気持ちよさはあるものよ。例えば……」

 

「聞きっぱなし?」

 

「痛い話は嫌いなんじゃ……」

 

 

 横島先生の話に夢中になっている会長と七条先輩を見て、私と津田はため息をこぼした。

 

「飯でも食いに行くか」

 

「そうね。食堂に行きましょう」

 

 

 今日はお弁当持ってきてないし、食堂で何か軽く食べて作業の続きを終わらせないと。

 

「部活とかあるから、やっぱり混んでるな」

 

「まあね。私たちの方が部外者っぽいしね」

 

 

 津田と二人で食券を買い、カウンターで商品を受け取る。

 

「何処か空いてないかしら」

 

「あれ、タカトシ君?」

 

「三葉も食堂だったんだ」

 

「凄い量ね……」

 

「これくらい普通……あれ? 何だか急に食欲が無くなっちゃった」

 

「それはピュアだと……」

 

 

 一緒に居た中里さんにツッコまれたが、結局私たちが離れると三葉さんは残さず綺麗に平らげたようだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 生徒会室に戻ると、まだ横島先生が居た。

 

「難しく考える事は無いわよ。適材適所、自分に合った職業に就けば良いの」

 

「なるほど……例えばどんな?」

 

「そうね……エロい妄想が得意なら教師」

 

「ふむふむ……え?」

 

 

 よかった、会長も引っかかりを覚えてくれたようだ……今ので納得されると何と無く困るんだよな……

 

「だってそうだろ? 教師と生徒の背徳恋愛なんて、妄想が得意じゃなきゃ出来ないぜ」

 

「そうですね……ですが、それだけで教師がむいてるとは思えないのですが……」

 

「あくまで例えだからな。後は自分で考えて見つけるんだな」

 

 

 結局投げっぱなしかよ……あの人は進路指導にはむかないんだろうな……

 

「津田、作業を再開しましょう」

 

「そうだな……」

 

 

 馬鹿共は放っておいて、こっちはさっさと作業を終わらせて帰る事にするか……




津田は筋肉痛にはならないだろうと言う事だけで柳本を登場させました。ちなみに彼の忘れ物は思春期男子のバイブルです。


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訪問、七条家

お気に入り登録者数が500を突破しました


 七条先輩に誘われて、私たちは七条家に遊びに行く事になった。

 

「いらっしゃい。随分と遅かったけど……もしかして迷った?」

 

「いえ、家の場所はすぐに分かったんですが……」

 

「ん~?」

 

 

 私が言いにくそうにしてるのに気付いたのか、津田が続きを言ってくれた。

 

「門くぐってから迷いました……広いですね」

 

「そう? 私は慣れちゃったからそんな事は思わないけど」

 

 

 そりゃ自分の家だもんね……いまさら広いとか言われてもピンと来ないか……

 

「出島さん、皆を案内してくれる? 私はちょっとお手洗いに行ってくるから」

 

「畏まりました」

 

 

 リアルメイドの出島さんが、何処からか音も無く現れた。相変わらず不思議な人ね……

 

「此方です」

 

 

 出島さんに案内されて、私たちは七条先輩の部屋に向かう……

 

「迷いました。広いですね、この屋敷」

 

「「えぇー!?」」

 

「自分が仕えてる屋敷で迷うなよ……」

 

 

 津田が呆れ声でツッコミを入れると、向こうから七条先輩が手招きしてきた。

 

「お~い、こっちだよ~」

 

「スミマセン、実は最近このお屋敷に来たばかりで……正確にはこの仕事自体始めたのは最近なんです」

 

「そうなんですか」

 

「以前は何を?」

 

「開発関係の仕事をしてました」

 

 

 開発関係……意外と頭脳派なのかしら。

 

「具体的に何を開発してたんですか?」

 

「肛門です」

 

「こうもん……学校とかにある門の事ですか」

 

「いえ、おしりです」

 

「………」

 

 

 分かっては居たけど認めたくなかったのよね……同音意義語で誤魔化そうとしたけど、はっきりと言われてしまったらもう如何しようも無いわね……

 

「萩村、大丈夫?」

 

「何とかね……アンタこそ平気なの?」

 

「コトミが似たようなことを言ってたから」

 

「そうなの……可哀想な子ね」

 

「アハハ……」

 

 

 津田の乾いた笑い声が廊下に響いたのだった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アリアの部屋に到着して、その広さに驚いた。

 

「これが個人の部屋だと……」

 

「これでも狭いんだよ~」

 

 

 これが庶民と金持ちの差か!? 

 

「窓から立派な木が見えますね」

 

「あの木はね~、私の両親にとって思い出の木なんだって~」

 

 

 思い出……良い話が聞けそうだな。

 

「察するに、あの木の下でプロポーズしたんですね」

 

「ん~惜しい!」

 

 

 何だ、私もそう思ったが違うのか……

 

「正解は、あそこで○付けされて、私が生まれました」

 

「なるほど、以前言っていたのはこの場所なのだな!」

 

「そうだよ~」

 

「………」

 

「惜しい?」

 

 

 萩村は絶句し、津田は首を傾げてるが、そんなにおかしな話だっただろうか……感動的な良い話だったと私は思うんだが……

 

「皆様、お茶をお持ちしました」

 

「ありがとー」

 

「あっ! スミマセンお嬢様、コンタクトを落としてしまいました。ドジッ子メイドの如く」

 

「あら大変」

 

「みんなで探そう」

 

 

 出島さんのコンタクトを探す為に、全員で床を這い蹲る……今後ろから踏まれたら興奮するのだろうか……

 

「会長、もっと真面目に探して下さい」

 

「おろ」

 

 

 津田に心を読まれたようだ……私ってそんなに分かりやすいのだろうか……

 

「こっちにはありませんね」

 

「私の方にもありませんでした」

 

「私も~、シノちゃんは如何?」

 

「コンタクトは無かったが……縮れ毛は三本ほど見つけた」

 

「まぁ!」

 

「もっと必死に探せよな!」

 

 

 津田のツッコミの時に偶にあるタメ語がたまらなく興奮するんだよな……年下に罵倒される気分ってこんな感じなんだろうな……

 

「お嬢様、ありました」

 

「ホント~、良かったね~」

 

「何処にあったんですか?」

 

「目の中です」

 

「………」

 

 

 落としたんでは無くズレただけだったのか……そりゃ探しても縮れ毛しか見つからないよな。

 

「お詫びと言っては何ですが、津田さんの肛門を開発……」

 

「結構!」

 

「せめてボケは最後まで言わせてください……」

 

 

 津田のツッコミスキルは最近メキメキと上達していて、このように途中でぶった切るツッコミもあれば、完全にスルーするツッコミ、ノリツッコミもマスターしていてバリエーションが豊富なのだ。もちろんオーソドックスなツッコミもあるので、私たちはとても楽しく過ごせるのだ。

 

「そうやってワザとボケようとするの、止めてもらえません?」

 

「読心術ツッコミか!」

 

「ちげぇよ!」

 

 

 津田を萩村が慰めるような視線で見ている……萩村もどっちかで言えばツッコミだったな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 コンタクト騒動のあとは、特に問題も起こらずに過ごせた。時間を見るともう良い時間だったのでお暇しようとしたら……

 

「良かったらご飯食べてって。皆が来るから、滅多に食べられないご馳走を用意したの」

 

 

 と言われたのでご馳走になる事にした。

 

「滅多に食べられないものってなんでしょうね?」

 

「私が分かる訳無いだろ」

 

「私も、想像出来ないわ……」

 

 

 金持ちが滅多に食べられないものなんて、庶民の俺たちには想像出来なかった……

 

「お待たせしました」

 

 

 出島さんが持って来たものに、七条先輩が目を輝かせた。

 

「ありがとー!」

 

「……滅多に食べられないご馳走?」

 

「金持ちって、次元違うな……」

 

「そうですね……」

 

 

 出島さんが持って来たのは、誰が如何見てもカップラーメンだった……これがご馳走って、普段どんなものを食べてるんですか、貴女は……

 

「食べたら帰るか」

 

「そうですね……」

 

「明日も早いですしね」

 

 

 まだ七時になってないんだが、そう言えば萩村は夜早くに寝るんだったな……

 

「大丈夫? 門まで送るよ~」

 

「お任せ下さい」

 

「大丈夫ですか……」

 

「失礼な! 自分が仕えている屋敷で迷子になるとでも!?」

 

「うん」

 

「さっきなってた」

 

 

 出島さんが自信満々に言ったが、現にさっき迷子になってたんだよな……

 

「大丈夫です! 毎日目隠しして散歩プレイしてますから!」

 

「自力で帰りまーす!」

 

 

 この人と関わるのは良く無い気がする……俺たちはカップラーメンを食べ終えて即座に帰る事にした……玄関から門までの道程で、萩村がビクビクしていたのは気付かないフリをした。




アリアの縮れ毛、一万円から……え? いらない……まあそうでしょうね


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副会長の負担増

今年最後の投稿です。来年もよろしくお願いします


 今日は朝から忙しかった。まず朝会で壇上で立ち、授業中はやたらと指名され、昼休みと放課後は生徒会の仕事で空き教室の片付けと、休む時間があまり無かったのだ。

 

「いや~、今日は立ちっぱなしで大変でしたよ」

 

「何!? 早く処理してくるんだ!」

 

 

 そう言って会長が取り出したのはトイレットペーパー……今何処から出したんだろう?

 

「ところで、何でトイレットペーパー?」

 

「だってずっと立ってたんだろ? 溜まってるんじゃないのか?」

 

「……アンタ俺の活躍見てなかったのか!」

 

 

 意味が漸く分かったのでツッコミを入れる。何でこの人は全てを卑猥な意味として捉えるんだろうな……それが無ければ立派な人だと思うんだが……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 津田と七条先輩と廊下を歩いていると、窓から何かが動いたのが見えた。

 

「如何かしたの?」

 

「今何か動いたような……」

 

「犬だね。ほらあそこ」

 

 

 津田が指差した先には、確かに犬が居た。今の時代野良犬なんているのかしら……それとも何処かの犬が迷い込んできたとか?

 

「何処何処~? ……そんな人居ないよ?」

 

「いえ、本物の犬ですから。人って何ですか……」

 

 

 津田が呆れながらもしっかりとツッコミを入れる。今日も津田のおかげで私は楽が出来ていいわね。

 

「萩村、何か俺の顔についてるの?」

 

「いや、ただありがたいな~って思って」

 

「?」

 

 

 津田は不得要領顔で首を傾げたが、深くは追求してこなかった。

 生徒会室に戻ると、風紀委員長の五十嵐先輩が何かを持って待っていた。

 

「如何かしましたか?」

 

「カエデちゃんが来たって事は、何か問題でもあったの~?」

 

「いえ、委員会の活動報告書を持って来たのですが、天草会長が居なくって」

 

「会長なら今日は家の用事とかで遅れるって言ってました」

 

 

 五十嵐先輩に説明すると、何故だか津田の方を向いて頬を赤らめ始めた。

 

「何です?」

 

「あの……これ、受け取ってください!」

 

「はぁ……確かに受け取りましたが、何か誤解呼んでませんこれ?」

 

「え?」

 

 

 津田が指差した方には、カメラを構えてしたり顔の畑さんが居た。ホントあの人は神出鬼没な人ね……

 

「良い絵が撮れたわ。風紀委員長が副会長に愛の告白……見出しはこれで決まり! あら? 副会長が居ない……」

 

 

 言われればそうね……津田は何処に行ったのかしら……

 

「畑さん、貴女はホント懲りない人ですね」

 

「ッ!?」

 

 

 何時の間にか背後に回られて、畑さんは震え上がった。離れてた私でも怖いんだ、畑さんが感じた恐怖はどんなものなんだろう……

 そのまま畑さんを連行していった津田の代わりに、用事が済んだ会長が生徒会室にやって来た。

 

「おはよう! って萩村、そこ破れてるぞ」

 

「え……あっ、ホントだ。何時破れたんだろう」

 

 

 タイツの膝の辺りが切れていて、何時切れたのかも分からない。これはもう駄目ね……

 

「どれどれ?」

 

 

 何故か部屋に居た横島先生が、私の目の前でしゃがむ……そして徐に私のスカートをたくし上げた。

 

「別に破れてないわよ?」

 

「そっちじゃない!」

 

 

 津田が居なかったからそれほど被害は無かったけど、いきなり人のスカートをたくし上げるってどんな神経をしてるのかしらこの人は……

 

「そうだシノちゃん、これ風紀委員の活動報告書。カエデちゃんが持って来たのを津田君が預かってたんだけど、津田君も用事で居なくなっちゃったから私が預かったの~」

 

「そうか、確かに受け取った。だが津田の用事って何だ?」

 

 

 さっきあった事を説明しようとしたら、七条先輩が間違った説明を始めた。

 

「カエデちゃんが告白した場面を畑さんが写真で撮って、それで記事にしようとしたから津田君がドSなお仕置きをするからって畑さんを密室に連れて行ったんだよ~」

 

「何ッ!?」

 

「違いますよ……」

 

 

 かなり間違った説明を受けた会長が立ち上がり怒り出したが、私が正しい説明をすると冷静になって再び座った。

 

「だよな、あの五十嵐が津田に告白なんてしないよな」

 

 

 何だか安堵してるように思えるが、会長も津田の事が……

 

「あら? 雨が降ってきちゃったわね……」

 

「ホントだな」

 

「私、雨って好きなんですよね」

 

「そうなのか、自家発電の時の音を掻き消してくれるからな!」

 

「……やっぱり嫌いです」

 

「足音聞こえないから、おちおちと自家発電も出来ないもんね!」

 

 

 どっちを選んでも運命は変らなかったようだ……、てか、発電発電って、私はそんなにしないわよ!

 

「スミマセン、戻りました」

 

「津田君は雨って好き? それとも嫌い?」

 

「別にどっちでも無いですよ。でも何でそんな事を?」

 

「自家発電する時に困るかな~って」

 

「くだらない事言ってないで、さっさと仕事しましょう。今日は結構多いんですから」

 

 

 エロボケにも耐性がついてきたのか、津田はサラリと流して作業を始める。私もあれくらいのスルースキルがあればもっと楽なんでしょうけどね……

 

「そう言えば、文化祭には英稜の生徒会が視察に来る事になったからな!」

 

「視察って、単純に会長が招待しただけでしょうが」

 

「うむ! さすがは副会長、知ってたのか」

 

「……人に招待状作らせておいて何ですかそれ」

 

 

 そう言えば会長ってPC苦手だったんだっけ……津田が代わりに作ったんだね。

 

「それで、来るのは魚見さんだけですか?」

 

「いや、副会長の森さんも来るようだぞ」

 

「そうですか……よかった」

 

「萩村?」

 

 

 何故私が安堵したのか分からない会長と七条先輩は首を傾げたが、津田は分かったようで苦笑いを浮かべている。そう、彼女も来れば私のツッコミの負担は更に減るのだ!

 

「英稜に馬鹿にされない文化祭にするぞー!」

 

「おー!」

 

「別に馬鹿にはされないと思いますよ」

 

 

 津田にウチのボケを担当してもらって、森さんには魚見さんを任せれば、私は当日ツッコミに悩まされる事は無い。これはかなり嬉しい事ね。

 結局浮かれきった私が仕事の殆どを片付けたので、今日は意外と早く帰れることになった。不安材料が無いって素晴らしい事だったのね。




文化祭に英稜の二人も登場させます


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新感覚クッキー

明けましておめでとうございます、今年もよろしくお願いします。


 新聞部部長の畑さんは何時スクープ現場に遭遇してもいいように何時もカメラを持ち歩いている。大抵は脚色と曲解をしてボツにされているのだが、偶にまともなスクープを撮ってくるのだ。

 

「さっき会長が虫から逃げている場面を撮ったんだけど、見る?」

 

「見ませんよ……」

 

「カリスマ貧乳会長は虫が苦手。タイトルはこれで如何かしら?」

 

「『貧乳』っていらねぇんじゃね?」

 

 

 会長が居たらブチギレそうな事を平然と言ったぞ、この人……

 

「しかしカメラを常時持ち歩いてるって凄いですよね」

 

「もはやカメラは私の身体の一部」

 

「プロ級ですね」

 

 

 そこまでの根性を高校の部活動に注げるのが羨ましい……

 

「具体的に指すと○器の部分」

 

「重要性を表現したかったんだろうが、何故そこ……」

 

 

 もっと他の部分でもよかったでしょうに……

 

「スクープの為なら張り込みだってするわよ」

 

「そんな事まで……」

 

 

 そう言えばこの間ボロボロになって学校に来てたな……あれは張り込み明けだったのだろうか……

 

「だからカメラ以外にも色々と所持してる」

 

「へー……傘に防寒具、飲食物……あれ? これ空ですよ」

 

 

 鞄の中に空のペットボトルが入っていた。この前の張り込みで空になったのだろうか……

 

「それ用足し用」

 

「色々と犠牲にしすぎ……」

 

 

 女子高生がなんて事を……今日日部活動ってそこまでするのが普通なのだろうか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 放課後、私は会長と津田と一緒に生徒会室へと向かっていた。

 

「津田、君のクラスの男子だが」

 

「はい」

 

「校歌をちゃんと歌えてなかっただろ」

 

「気付きました? 俺も壇上から見て口パクだなと思ってました」

 

 

 私は気付かなかったわね……そもそも興味も無かったし。

 

「さっき聞いたら、校歌って堅苦しかったり難しい言葉があって覚え難いとか言ってました」

 

「それは気分次第だろ。アニソンだと思い込めば大丈夫だとアドバイスしておけ」

 

「全員がそんなキャラ設定ではないだろ……」

 

「じゃあゲーソン」

 

「一緒じゃね?」

 

 

 津田のツッコミに会長が満足したのか、何処かに行ってしまった……

 

「何処行ったんだろう……」

 

「さぁ? でもどうせ後で合流するんだし」

 

 

 部活動予算会議があるので、生徒会室に向かわなくとも直接会議室に行けば良いんだし……

 

「鍵が開いてる」

 

「七条先輩が居るんじゃないかしら」

 

 

 生徒会室に着くなり、津田が首を捻ったので、私は何事かと思った。

 

「如何かしたの?」

 

「萩村、これ四時半からだよね」

 

「あ、いけない」

 

 

 昼にホワイトボードに書いておいた会議の時刻を間違えていたようだ。

 

「それにしても、よく私が書いたって分かったわね」

 

「そりゃ位置で……」

 

「ん?」

 

「字で分かるし、それに書いてる時俺も此処に居たんだけど……」

 

 

 そうだったかしら? 津田は居なかったような気もするんだけど……

 

「や!」

 

「畑さん?」

 

「ちょっと生徒会室を貸してほしいのだけど」

 

「何するんですか?」

 

 

 畑さんの後ろには五十嵐先輩も居る。何でこの二人が一緒に居るんだろう……

 

「ちょっと風紀委員長にインタビューしたくって」

 

「何故此処で?」

 

 

 私の疑問はスルーされ、畑さんはインタビューを始めた。

 

「聞くところによると風紀委員長は相当な男性恐怖症だとか」

 

「そんなにじゃないですよ。若干です」

 

「本当に? 噂では一年のフロアを見回り出来ないくらいって聞いてますが」

 

 

 そう言えばそうだったわね……五十嵐先輩の見回りルートは二年と三年のフロアのみ、一年のフロアは別の人が担当してるらしい。

 

「それで、本当は如何なんですか? 男性恐怖症なんですよね」

 

「そうです……」

 

「なるほど、それで経験を生かして風紀委員長になられたのですね」

 

「は?」

 

 

 経験って何だろう……

 

「それで、何人の男に騙されたんですか?」

 

「そう言った過去はありません……」

 

「さっ、退場願います」

 

 

 津田が畑さんの首根っこを掴んで生徒会室から追い出した。片手で人一人持ち上げられるって、どれだけ凄いのよ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 職員室に日誌を持っていったら、横島先生が項垂れていた。

 

「如何かしたんですか?」

 

「ちょっと開いた口が塞がらなくて」

 

 

 何があったんだろう……あの横島先生の口が塞がらない出来事って興味があるな……

 

「どんな事です? 学校問題とか?」

 

「そっちじゃないわ」

 

「と言うと?」

 

「だから、デカイのとやったら緩んだの」

 

「……私の口が塞がらなくなった」

 

 

 職員室で堂々とそんな事を言い切れる辺りが凄いが、いったいどれくらいデカイのを咥えこんだのだろうか……

 

「やっぱり自分のサイズとあったヤツとやらなきゃ駄目ね」

 

「戻るんですか?」

 

「鍛えれば大丈夫よ。その為にも新しい相手を見つけないと」

 

「先生の場合はそう言う相手では無く人生のパートナーを見つけないといけない年齢では?」

 

「ウルセェ! 私はまだそんな歳じゃない!」

 

 

 怒鳴るって事は、先生も焦ってるんだろうな……私は日誌を置いて生徒会室に戻る事にした。予算会議まではまだ時間あるしな……

 生徒会室に戻ってくると、アリアが津田に何かを手渡している。

 

「アリア、それは何だ?」

 

「これはね~ピリ辛クッキーだよ~」

 

「ピリ辛?」

 

「うん! クッキーにわさびを入れてみたの~」

 

「大丈夫なのか?」

 

 

 何だかミスマッチなような気がするんだが……

 

「ちょっと騙されたと思って食べてみて~。例えば、幼馴染のヒロインが非処女だったような感覚で」

 

「……ビッチか」

 

 

 幼馴染がビッチ……新しい感覚だな。

 

「だがアリア、私たちは女だ。幼馴染が非処女でも別に良いんじゃないか?」

 

「それじゃあ津田君が非童貞だった感覚で」

 

「何ッ!?」

 

 

 津田は童貞じゃないのか……

 

「津田! 相手は誰だ!」

 

「シノちゃん、たとえ話だよ」

 

「……そうだったな」

 

 

 慌てて居住まいを整えたが、津田はかなり怖い雰囲気を醸し出していた……出来れば怒られたくないんだが、無理だろうなぁ……




ボケを考えるのは大変です……


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文化祭目前

準備期間もボケ倒します


 生徒会室で、会長と七条先輩が話していた。

 

「来週はいよいよ文化祭だな!」

 

「秋の一大イベントだから胸が躍るね!」

 

 

 そう言って七条先輩は胸を弾ませた。

 

「踊らすなー!」

 

「会長?」

 

「おぉ、津田か。如何かしたのか?」

 

 

 丁度部屋に入ってきた津田が、会長の叫び声に反応した。

 

「如何かしたかじゃないですよ。廊下まで叫び声が聞こえてましたよ」

 

「スマン……だがアリアが苛めたんだ」

 

「七条先輩が?」

 

 

 津田が不思議そうに七条先輩に視線を向けた。

 

「何をしたんですか?」

 

「何もして無いよ~? 私はただ文化祭が近付いてきたから胸が躍るって言っただけだよ~」

 

 

 そう言ってもう一度胸を弾ませる七条先輩……正直私も会長と同じ気持ちなのだが、声に出したら負けだと思っている。

 

「何で怒ったんですかね?」

 

「分かんないよね~?」

 

「「クソッ」」

 

 

 思わず漏らした声が、会長とハモる。如何やら無自覚の言葉だったらしく、会長も驚いていた。

 

「なるほど、話は聞かせてもらった」

 

「畑さん……何処から出てくるんですか貴女は……」

 

 

 テーブル下から畑さんが顔を覗かせてきた。

 

「つまり七条さんの巨乳が揺れた事に嫉妬してるんですね」

 

「「!? ち、違う!」」

 

「慌てて否定すると余計そう思われちゃいますよ~?」

 

「「ウグゥ」」

 

 

 図星を刺された私と会長は何も言えなくなる。そして漸く納得したのか、七条先輩が胸を隠した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 何となく気まずくなったので、俺は見回りに出た。本当に何となくだが、あの空間に俺が居ちゃいけないような気がしたのだ。

 

「やっほータカトシ君」

 

「三葉、如何かしたのか」

 

 

 見回りをしていたら三葉に声を掛けられた。何かポスターみたいなものを持ってるが、何だろうな……

 

「今度の文化祭では、私たち柔道部は招待試合を行います! 応援よろしく」

 

「今度は何処とやるんだ?」

 

 

 最近結構試合をしてるが、よく相手してくれるところがあるよな……そんな事を思ってると、徐にポスターを広げてきた三葉。そこには……

 

 桜才学園柔道部

   VS

 英稜高校空手部

 

 

 と書かれていた。

 

「異種格闘技です! 盛り上げて部員増!」

 

「……無事に帰ってこいよ」

 

 

 それしか言葉に出来なかった……英稜って事は魚見さんたちも当然見るんだろうな……招待したし、何より会長と息が合う人だから、きっと余計な事を言うんだろうな……

 見回りを終えて生徒会室に戻ってくると、七条先輩が本を見ながら唸っていた。

 

「如何かしたんですか?」

 

「うん、先輩に演劇を手伝ってくれって言われちゃって……チョイ役だけどセリフがあるからさ……」

 

「大変ですね」

 

「津田君、ちょっと手伝ってくれないかな?」

 

「セリフあわせですか? それくらいなら構いませんが」

 

「ホント! じゃあさっそくこのご主人様と犬が戯れるシーンを」

 

「……一応確認しますが、どっちがどっち?」

 

 

 てかこれは演劇部の人の役じゃ……七条先輩はメイド役だし……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 津田を探して見回りをしてみたが見つからずに、私は生徒会室に戻ってきた。すると……

 

「お手」

 

「わん!」

 

「おかわり」

 

「わんわん!」

 

 

 何故か生徒会室からワンワンプレイの声が聞こえてきた……しかも津田がご主人様でアリアが犬だと……

 

「お前たち! 神聖な生徒会室で何を……あれ?」

 

 

 扉を開けて怒鳴り込んだが、そこには想像していた光景は無く、代わりに台本を持った二人がそこに居た。

 

「何してるんだ?」

 

「演劇の練習だよ~」

 

「関係無い箇所なので、何でつき合わされてるのかが分かりませんが……」

 

「だって衣装が来ないと練習出来ないでしょ~?」

 

「別にそこは気にしなくても……衣装?」

 

 

 津田が首を傾げると、私の背後に誰かの気配が現れた。

 

「お嬢様、演劇で使いたいと言うメイド服をお持ちしました」

 

「ありがとー」

 

「やっぱり貴女でしたか、出島さん……」

 

 

 津田は何となく分かっていたのか、出島さんが現れたのを見てため息を吐いた。だが私としてはいきなり背後に現れられてそれどころでは無い。

 

「ビックリしたぞ……少し漏れてしまったじゃないか」

 

「それは失礼しました。責任を取って舐めさせていただきます」

 

「いや、それは結構だ!」

 

「……ところで出島さん、メイド服着て来ちゃってますけど、帰りは如何するんですか?」

 

 

 確かに、アリアにメイド服を貸したら、出島さんは何を着て帰るのだろう……まさかアリアの制服じゃないよな……

 

「ご心配なく、全裸で帰りますので」

 

「貴女の頭が心配……」

 

 

 津田の哀れみを含んだ声に、出島さんは興奮したようで、股から何かが垂れてきている……敏感なんだな。

 

「おーす、生徒会役員共」

 

「あら?」

 

 

 タイミングが良いのか悪いのか、横島先生が生徒会室にやって来た。

 

「ウチの顧問の横島先生よ」

 

「そうですか。お嬢様が何時もお世話になっております」

 

「いやいや、それほどでも」

 

「ん?」

 

「まぁ……お世話になってます?」

 

 

 津田もアリアも横島先生の謙遜に首を傾げてるが、正直私も同じ気持ちだ。横島先生には、どちらかと言えばお世話になってるよりかはお世話してるような気がするのだ……

 

「ところでアンタ、何で濡らしてるの?」

 

「津田さんの哀れみに満ちた視線に感じてしまいました」

 

「あ~分かるわ~。津田のあの視線、たまらないよな~」

 

 

 何故か意気投合した二人を、津田は鉄拳で沈めた。あれも痛いが興奮するんだよな~。

 

「会長、そろそろ全校を見回る時間です」

 

「おお、そうだったな」

 

 

 萩村が呼びに来たので、私たちは生徒会室から移動する。撃沈してる二人は放っておく事にした。

 

「にわかに活気付いて来ましたね~」

 

「そうだな」

 

「皆期待に胸を膨らませてるんだね」

 

「そうですね。うちのクラスも既にお祭り気分ですし」

 

「膨らむ訳が無い!」

 

「そうだ!」

 

 

 萩村と二人で、無意識に私たちを苛めてくる二人に抗議する。そんなに簡単に胸が膨らむのなら苦労なんてしないぞ!

 

「分かってるとは思いますが、比喩表現ですからね」

 

「そうだよ~。踊ったり膨らむって言っても、実際にそうなる訳じゃないんだし~」

 

 

 そう言ってアリアは胸を揺らす……やっぱりイジメだ!




いよいよ次回は文化祭に突入です! 如何英稜を絡ませるかが悩みどころですね……


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文化祭 前編

何か文化祭デートみたいになった……


 学園祭当日、眠い目を擦りながら開催の宣言を済ませた私は、ウオミーとの待ち合わせ場所に向かった。

 

「会長、目の下に隈が出来てますよ」

 

「そう言う津田こそ、随分と眠そうじゃないか」

 

 

 私の隈を指摘した津田だが、私以上に濃い隈があった。

 

「実は昨日作業が間に合わないって事で遅くまで借り出されてまして……その後家でコトミの勉強を見てたら何時の間にか朝になってまして……」

 

「す、スマン!」

 

「会長?」

 

 

 私は楽しみで眠れなかっただけなので、前日まで忙しく働いていた津田の隣に居るのが恥ずかしくなって、私はウオミーのところまで駆け出した。

 

「おやシノッチ、そんなに急いでこなくても良かったですけど」

 

「今日はよろしくお願いしますね」

 

 

 待ち合わせの場所には既にウオミーと森さんが来ていた。

 

「よし! それじゃあ行くとしようか!」

 

「あの、津田副会長は?」

 

「津田なら萩村と見回りをしてるはずだが」

 

「そうなんですか……」

 

「後で合流出来る……と言うか今から合流してしまおう!」

 

「さすがシノッチ! 分かってる~」

 

 

 ウオミーと盛り上がってると、何故だか森さんが困った表情を浮かべていた。あの表情、偶に津田がしてるのと似てるな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 風紀に反してる出し物が無いかを萩村と見回っていたら、何故だか会長たちが合流してきた。まぁ邪魔しなければ良いんだけれども……

 

「って、萩村行き過ぎ、ここだよ」

 

 

 オバケ屋敷を通り過ぎて行く萩村を呼び止める。

 

「……ああ! 私、背が低いから見えなかったわ」

 

「………」

 

 

 自らタブーに触れるほどここが嫌なのだろうか……

 

「シノッチ、オバケ屋敷の楽しみ方と言えば」

 

「うむ」

 

「「暗闇の中でのセクハラ!」」

 

「「そんな訳ありません」」

 

 

 ツッコミが森さんと被る……彼女も普段から苦労してるんだろうな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 結局私は会長と魚見さんを見張る事になって、見回りには津田と英稜の森さんが行く事になった。

 

「何だか津田と森さんがデートしてるみたいだな」

 

「つまりNTR状態を楽しんでるんですね」

 

「さすがはウオミーだ」

 

 

 ……津田についていけばよかったな。

 

「あれ~、天草会長じゃないですか」

 

「コトミ? お前も来てたのか」

 

「はい! 来年受験するからその下見に」 

 

 

 そう言えば津田の妹、コトミちゃんは来年桜才を受験するんだったわね……

 

「ところで会長、私の記憶違いじゃなければ、会長ってもっと巨乳だったような……」

 

「奇遇だな、私もお前はもう少し貧乳だったと思ってたんだが……」

 

 

 何この空気……会長とコトミちゃんの間で火花が散っている中、魚見さんが余計な事を言った。

 

「私は両方で巨乳ですけどね」

 

「「あぁん?」」

 

 

 誰か助けて……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 何故か見回りを任された私は、桜才学園の副会長と二人でオバケ屋敷の中に居た。

 

「何かスミマセン、来て早々にご迷惑を……」

 

「いえ、ウチの会長も早速アクセル全開でしたし……」

 

 

 出口に差し掛かり、互いに頭を下げていると、外が随分と騒がしいのに気がついた。

 

「何でしょう?」

 

「さぁ……でも、あまり良い感じでは無さそうですね」

 

 

 津田さんは何となく予想がついてるようで、早くも頭を押さえていた。

 

「何してるんですか、全く……」

 

 

 廊下に出てすぐ、津田さんは三人に声をかけました。天草会長と魚見会長、それと……誰でしょうあの子は?

 

「コトミ、何でお前まで居るんだよ……」

 

「見学だよ~。来年通うかもしれないんだし」

 

「それで、何で鈴なんて持ってるんだ?」

 

「タカ兄、これはただの鈴じゃ無い。鳳凰の絵が描いてある鈴だよ」

 

 

 津田さんの事を「タカ兄」と呼ぶからには、彼女は津田さんの妹なんでしょうね。でも何故鈴……

 

「そして会長は何で箒なんかを……」

 

「これはただの箒ではない! 私の私物だ!」

 

「ほう、それで?」

 

「つまりは、シノの箒だ!」

 

「……魚見さんのそれは短剣ですか? でも、そのタイプなら普通は楯があるんじゃ……」

 

「私に楯は必要ないんですよ、津田さん。魚見に楯は無しです」

 

 

 天草会長の武器は箒、魚見会長は短剣、そして津田副会長の妹さんは鈴……何か意味があっての事なのでしょうか……

 今にも戦いが始まりそうだったのですが、それぞれ一発ずつ、津田さんに拳骨を喰らって沈みました……

 

「スミマセン森さん、見回りを続けましょう。萩村も行くぞ」

 

「あっ、はい」

 

「分かった……」

 

 

 三人を沈めた津田さんは、何事も無かったかのように見回りを再開した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 出し物で喫茶店をする事になったのだが、何でこんな格好をしなくてはいけないんだろう。

 

「カエデ、二番におかわりお願い」

 

「分かった」

 

 

 そう言われて二番テーブルに行くと、そこには……

 

「こっちこっち!」

 

「ッ!?」

 

 

 なんと他校の男子生徒が手を振っていた……接客しなくてはいけないんだけど、あまり近づけないし如何すれば……そうか!

 

「はいー!」

 

「うおぅ!?」

 

 

 中国のパフォーマンスで見た遠距離からのお茶汲みを実戦し、私は何とか接客をこなした。その後で廊下の方に視線を向けると……

 

「頑張るわね……」

 

「あの人、何か事情があって男子生徒に近付かないんですか?」

 

「若干男性恐怖症なんですよ、五十嵐さんは」

 

 

 津田君と萩村さんが見た事無い女子生徒と一緒に私を見ていた……呆れられちゃったかもしれないわね……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 萩村と別れ、再び森さんと二人で行動する事になった。

 

「外も活気付いてますね」

 

「そうですね。皆忙しそうです」

 

 

 露天もやってるので簡単な食事ならここで済ませる事が出来る。

 

「チョコバナナ頂戴な」

 

「はい、ありがとうございます」

 

 

 視界にあの問題教師が……

 

「津田、その人は?」

 

「英稜高校の生徒会副会長の森さんです。会長の魚見さんと、ウチの会長は訳あって別行動中なんです」

 

「ふ~ん……」

 

 

 興味を失ったのか、横島先生がチョコバナナを食べ始める。

 

「これ食べるのも久しぶり……!」

 

「如何かしたんですか?」

 

 

 森さんが横島先生に話しかける。どうせろくな事じゃねぇんだろうな……

 

「久しぶりのはずなのに、最近口にした覚えがある!」

 

「あ~、口にしたんじゃね?」

 

 

 事務的に流して、俺は森さんを連れて体育館に移動する事にした。七条先輩から絶対に劇は見てほしいと頼まれてるんだよな……

 

「あの、津田さん」

 

「はい?」

 

「その……手を」

 

「手? あっ、スミマセン」

 

 

 無意識に森さんの手を握っていたようで、俺は慌てて離した。だけど、森さんの表情は妙に恥ずかしそうだったんだけど、もしかして森さんも男性恐怖症だったんだろうか……




三人のボケが分からない人は『IS』で検索して下さい。


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文化祭 後編

無理矢理詰め込みました


 途中まで津田さんに手を引かれてここまで来ましたが、大丈夫ですよね? 表情に出てませんよね?

 

「七条先輩、津田です」

 

『どうぞ~』

 

 

 劇直前の控え室に来られるなんて、結構ドキドキしますね……

 

「あれ? 会長たちも来てたんですね」

 

「うむ!」

 

「何時までも快楽に溺れてる訳にもいきませんし」

 

「「はぁ……」」

 

 

 魚見会長のボケに、津田さんとため息が被る……この人も相当苦労してきてるんだと言う事がこれだけで伝わってくるのは、私も似たポジションだからなんでしょうか……

 

「そろそろ本番だから、ドキドキしちゃってるよ~」

 

「ほーどれどれ」

 

 

 天草会長が徐に七条さんの胸に手を当てる……女子同士だとこれが普通なんでしょうか? 少なくともウチの高校では見かけない光景ですが……

 

「胸が大きくて鼓動が聞こえない! 嘘吐いちゃ駄目だぞ!」

 

「嘘じゃないよ~!?」

 

 

 何て理不尽な怒り……でも、七条さんの胸は羨ましいと思わざるを得ないですよね……私もせめてもう少しくらい……

 

「森さん? 如何かしましたか?」

 

「い、いえ! 何でも無いです」

 

 

 横に津田さんが居るの忘れてた……危うく自分で揉むところだったわ……

 

「それじゃあ皆、そろそろ本番だから」

 

「ああ、客席で見てるぞ」

 

「本番に興奮して漏らしちゃ駄目ですよ」

 

「大丈夫! 視姦されて濡らすかもしれないけど」

 

 

 三人がサムズアップしてるのを見て、津田さんが一人一発ずつ拳骨を振り下ろす……私にもそのスキルがあれば、もう少し楽が出来るのでしょうか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 七条先輩の演技は、本番前ふざけてた人と同一人物だとは思えないほどしっかりとしたものだった。

 

「七条さんって演技上手なんですね」

 

「何でもDVDを見て参考にしたらしいぞ」

 

「そうなんですか……」

 

 

 何故だか知らんが、もの凄い嫌な予感がしてきた……森さんは気付いて無いようだが、萩村が何となく気付いてるようで、アイコンタクトで俺に処理を押し付けてきた……偶には萩村が処理しようぜ……

 

「それで、その参考にしたDVDの内容は?」

 

「何でも、ロー○ーを入れたまま接客してたらしい」

 

「それは興奮しますね!」

 

「うむ!」

 

 

 大声出して馬鹿な事を言ってる両会長を沈め、俺は舞台に目を向ける……本当にやってねぇだろうな……

 

「津田、ご苦労」

 

「疲れるって分かってるなら偶には萩村が代わってくれたって良いだろ」

 

「……私じゃ会長たちの頭に手が届かないから」

 

「……何かゴメン」

 

 

 気まずい雰囲気が流れる中、劇が終了し周りからは拍手の音が聞こえてきた。如何やらこの場所の事は無視を決め込んでるらしい……まぁそれが妥当な判断だろうな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 劇が終わり再び控え室へとやって来た。さすがに着替え中と言う事は無く、アリアは既に制服に着替え終わっていた。

 

「出島さん、これありがとう」

 

「いえ、では着替えて帰ります」

 

「一応クリーニングに出した方が良いのでは?」

 

 

 確かにそうだな。いくらアリアが清潔だからと言って、別の人間が着た物をそのまま着るのは衛生面でよろしくないような……

 

「いえ、メイドの私服はメイド服ですから! それに、お嬢様の使用後はそそります」

 

「えっ?」

 

 

 出島さんは如何やら両刀のようだな……いや、私たちに刀は無いからこの場合何と言えばいいんだ?

 

「またくだらない事考えてますね……」

 

「ほっとけば良いよ……」

 

「お二人はかなり苦労してる様子ですね」

 

 

 ツッコミ三人が私を見て蔑んだ……何だ、何故私はこんなにも興奮してるんだ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 会長たちと別れ、私は津田と森さんと見回りに出た。それにしてもこの二人デカイわね……私が子供みたいじゃないの……

 

「って! 誰が幼児体型だー!」

 

「「!?」」

 

「あっ……」

 

 

 自分の思考にツッコミを入れたら、津田と森さんを驚かせてしまった……

 

「あ、あれ! 出島さんじゃない?」

 

 

 咄嗟に話題を変える為に、私は偶然視界に入ってきた出島さんを指差した。

 

「……確かに出島さんだな」

 

「……そうですね」

 

 

 いぶかしむような目ではあったが、二人は深く追求してくる事は無かった。

 

「アイスキャンディをください」

 

「はい」

 

 

 秋なのにアイス食べるんだ……まあ人の好みだしね。

 

「えっ!? 何で泣いてるの?」

 

「最近ご無沙汰でして……」

 

「……聞かなきゃ良かったのに」

 

「うん……私も思った」

 

 

 津田が呆れたように私に言ってきたけど、私には津田のようなスルースキルは無いのよ!

 

「お、萩村! 丁度良かった」

 

「横島先生?」

 

「ちょっと付き合え!」

 

「えっ? ちょっと! 津田~!」

 

 

 横島先生に拉致られるように引っ張られてる私を、津田と森さんは手を合わせて見送っていた……別に死にはしないけど、ちょっとは助けようとか思いなさいよね!

 

「これで人数が揃ったわね」

 

「人数? 何をするんですか?」

 

「3on3よ」

 

「……あまり私は適当な人選だとは思えないのですが」

 

「良いのよ。この際人数が居れば問題なし!」

 

 

 そう言って横島先生一人で大体の試合の流れを決めた。普通に運動させる分には優秀なのかも知れないわね。

 

「いや~さすがは男の子ね。えらい汗掻いちゃったわ」

 

「ですが、見たところそれほど汗を掻いてるようには見えませんが……」

 

「そりゃそうよ。上じゃなくて下の汗だし~」

 

「津田は? ツッコミの津田は? 津田~!」

 

 

 居ないと分かってるのに、私は津田を探した……このボケは私には荷が勝ちすぎている……津田じゃなきゃ処理できないボケに、私は何も出来ずに撃沈したのだった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 森さんとの見回りも一段落して、少し休憩の為に二人でベンチに腰掛けた。五分くらいなら休んでも良いよな……

 襲い来る睡魔に身を任せたようで、俺より先に森さんが寝た。そしてそれにつられるように俺も睡魔に身を任せた……

 

「あら~? これはスクープかしらね~?」

 

 

 ……平和的に終わらせる事を許してはくれないようだな。

 

「桜才&英稜の副会長、学内で堂々と同衾! 見出しはこれで決まりね」

 

 

 また古臭い言葉を……しかも正確には間違ってるし……まぁ、根底から間違ってるから今更なんだがな……

 

「まずは一枚……あら? 津田副会長が消え……ッ!?」

 

「事情説明は必要ですか?」

 

 

 背後に回り畑さんに威圧する。観念したのか畑さんはその場で土下座をしてメモした事を全て廃棄して許しを請うてきた……もちろんそれだけで許す訳も無く、会長たちに喰らわせたの以上の拳骨で意識を刈り取り、今見たことは全て夢と言う事にしておいた。

 

「ちょっとだけなら良いよな……」

 

 

 さすがに疲れてたので、俺も大人しく休む事にした。五分だけ……それなら問題は無いはずだから……

 

「津田!」

 

「森さん!」

 

「「……ん? 会長?」」

 

 

 声をかけられて、俺たちは同時に目を覚ました。

 

「もう夕方だぞ」

 

「そろそろ帰りますよ」

 

「「えぇ!?」」

 

 

 まさか休んでいる間に文化祭が終わってるとは……まぁ、これはこれで思い出になるか……

 

「それにしても、まさか津田さんが森さんに膝枕してあげてるとは」

 

「「……はい?」」

 

 

 魚見さんに言われ、俺たちは今更ながら自分たちの格好に気付く……なんだか凄い勢いで森さんが立ち上がったんだけど……俺、そんなに危険に見えるのか?




津田と一番自然にいられるのが森さんとか……まぁ確かにお似合いなんですがね……


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タカトシの虫の居所

お気に入り登録者数が600人を突破しました。ありがたいですね


 部屋で課題をやっていたら、いきなりドアが開かれた。

 

「タカ兄、勉強してるの見てて」

 

「見てて? 見てるだけで良いのか?」

 

「やっぱ見られて無いと集中出来ないと言うか……見られて無いと興奮しないと言うか」

 

「ゴメン、何の話?」

 

 

 今日もコトミは絶好調だった……

 

「うわっ! タカ兄の机、勉強の本しか無い」

 

「普通だろ? 勉強机なんだから」

 

「普通の高校生はトレジャーの一冊二冊……」

 

「さっさと勉強しろ。受験までもう日が無いんだから」

 

「ボケを最後まで言わせてもらえない……」

 

 

 桜才を受験する事をギリギリで認めてもらってるコトミなんだから、もう少し緊張感を持ってほしいんだがな……

 俺が去年受けた問題を思い出しながら、そこに更に手を加えた問題集をコトミに解かせてる隣で、俺は自分の課題を終わらせた。

 

「そう言えば桜才は面接もあるぞ」

 

「忘れてた。タカ兄、面接の練習をしよう!」

 

「ああ」

 

 

 随分とやる気だが、面接以前に不合格が決定してなければ良いんだがな……

 

「我が校に入学したら何をしたいですか?」

 

「あー、その質問考えて無かった」

 

「普通で良いんだよ。コトミが入学してしたい事を答えれば良い」

 

「そう? じゃあ教師との背徳恋愛」

 

「真っ先に出るのがそれかよ……」

 

「じゃあ実の兄との禁断の……」

 

「真面目にするつもりが無いなら帰れ」

 

 

 コトミと遊んでる余裕は無いんだよ。

 

「別の質問にして」

 

「別の? ……我が校を志望した理由を教えてください」

 

「………」

 

「おい!」

 

 

 答えが返ってこずに思わずツッコミを入れる。こいつ、何も考えてないな……

 

「あっ! 家に近いからです!」

 

「……本番ではちゃんと答えろよ」

 

 

 そんな志望動機で合格出来る高校があるなら、高校浪人なんて存在は消えてなくなるんじゃないだろうか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 生徒会室に向かう途中で、なにやら疲れ気味の津田を見つけた。

 

「如何したの?」

 

「ああ萩村……ちょっと妹の事でね」

 

「そう言えばウチを受験するんだっけ?」

 

「そうなんだけど……勉強もさることながら面接も心配になってきて……昨日から胃がキリキリと鳴ってるんだよ……」

 

「大丈夫なのそれ?」

 

「多分大丈夫じゃないと思うけど……でもまぁ何とかやってるから大丈夫」

 

 

 明らかに大丈夫そうではない表情の津田を見て、私は今日一日ツッコミを頑張ろうと思った。

 

「会長と七条先輩が中に居るね」

 

「そうなの? 声が聞こえたとか?」

 

 

 生徒会室に近付いてきたところで、津田がそんな事を言った。私には声なんて聞こえなかったけど……

 

「いや、気配がしたから」

 

「……普通の人間の範疇で感じろよ」

 

 

 達人とかそのくらいにならなきゃ、気配なんて探れないわよ……

 

「お昼食べてるみたいだね」

 

「そうなんだ……」

 

 

 津田の人間離れした特技に驚きながら、私は生徒会室へと入っていく。

 

「アリア、早く食べないと昼休み終わっちゃうぞ?」

 

「まだ大丈夫だよ~」

 

「そうは言ってもな……そのペースじゃ確実に食べ終わらないだろ」

 

 

 七条先輩のお弁当は、相変わらず豪華で、そして量が多い……会長が懸念するように昼休みの間に食べ終わるかは微妙なところだ。

 

「私お口小さいから食べるのが遅いんだ~」

 

「そうなのか……恋人出来たら大変だな」

 

 

 ……この会話にツッコミを入れるのは、私の技量では無理ね……本調子ではない津田に任せるのもあれなんで、ツッコミを放棄する事にした。

 

「よ~す……」

 

「横島先生、如何かしたんですか?」

 

 

 妙にテンションの低い横島先生が生徒会室にやって来た。

 

「いやね、さっき外のベンチに座ったんだけどさ……そこにガムが捨ててあったのよ」

 

「まさか、踏み潰したんですか?」

 

「そうなの……結構お気に入りだったのに」

 

「でも先生、ガムがくっついて伸びるのって、何だかエロくないですか?」

 

「……その発想は無かった。確かに○液って伸びるからな!」

 

「つまり先生はズボンに○液をブッカケられたって事になるんですね!」

 

 

 三人のテンションが上がっていく一方で、私のテンションはだだ下がり……何でこんな場所に私は居るんだろう……

 ツッコミを入れる気力すら残って無い私は、縋る思いで津田に視線を向ける。私では無理でも、津田ならこの状況を如何にかする術を持ち合わしてるはず!

 

「何なら津田にブッカケて貰うか!」

 

「さすがシノちゃん! 津田君、今すぐブッカケて!」

 

「津田の○液を飲むのは始めてだな!」

 

 

 妙な流れになっていたが、津田が徐に三人に近付いてそれぞれ一発ずつ膝蹴りを喰らわせて気絶させる事で事態を収拾した……ストレスが溜まってる分、何時もより攻撃が過激だ……

 

「萩村、馬鹿共は放っておいて教室に戻ろう」

 

「そ、そうね……」

 

 

 見間違いじゃなきゃ三人の口から何か出て行ったような気が……きっと気のせいよね!

 私は自分に言い聞かせるようにそうつぶやき、生徒会室を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 津田に蹴られて意識を失い、次に気がついたのは放課後だった。つまり私とアリアは午後の授業をサボったのか……

 

「シノちゃん、起きてる……」

 

「ああ、なんとかな……」

 

「まさか津田君があんな威力がある攻撃を繰り出すとは思って無かったよ……」

 

「そうだな……痛いだけで気持ちよくなかった……」

 

 

 何時もの拳骨は痛みの中に気持ちよさがあるのだが、今日の膝蹴りは十割が痛みだったのだ。

 

「何であんなに怒ったんだろうね……」

 

「さぁな……オ○禁中だったんじゃないか?」

 

「発散出来なくてストレスが溜まってたんだね……それじゃあ私がスッキリさせてあげよう」

 

「待て! それは会長である私の仕事だ!」

 

 

 副会長の体調管理は会長である私がしなければならないしな! アリアと競うように津田の教室に向かい、スッキリさせてやると大声で言ったら、再びもの凄い激痛が私とアリアの身体を巡った……二回目でも気もち良く無いな……

 結局次に気がついたのは自分の部屋のベッドの中で、私は如何やって帰ってきたのかも分からないまま部屋を見渡した。そう言えば、如何やって着替えたのかも分からないな……まさか津田が!?

 慌てて部屋から駆け出そうとしたらお母さんに呼び止められ、馬鹿な事は控えるように怒られた。如何やら津田がここまで運んできて、お母さんに今日の事を事細かく伝えたらしい……こっぴどく怒られた私だったが、それで反省する訳も無いと自分でも分かっていたのだった。明日は如何やってからかうかな……




虫の居所以前に怒るかな、あれじゃあ……


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やつれゆくタカトシ

原作に無い話です


 この間は少し荒んでいたが、翌日には普段の津田に戻っていた。と言っても胃の痛みはそのままらしく、何だか弱ってるようにも見えた。

 

「津田、アンタそろそろ試験だけど大丈夫なの?」

 

「あぁ……何とかね。でも、今回は萩村を目標にはしないかな」

 

「ふ~ん……如何して?」

 

 

 いつもなら高みを目指す事に貪欲とまで言える津田が、今回は私に対抗意識を持たないなんておかしいわね……

 

「高みを目指す余裕が無いから、せめて足場を固めようかと……」

 

 

 そう言って津田はお腹を押さえながら歩いていく……よっぽど妹の勉強で弱ってるんだ……

 

「お~い津田、帰りに何処か寄ってかないか?」

 

「ゴメン、生徒会の仕事……それに早く帰ってあの馬鹿の勉強を見てやらないと……」

 

「お、おぅ……何か悪いな」

 

 

 クラスメイトのお誘いを断ると、そのクラスメイトは津田に同情していった……

 

「萩村、早く行かないと会長に怒られるぞ」

 

「そ、そうね……ねぇ津田」

 

「なに?」

 

「妹さんの勉強、私も見てあげようか?」

 

 

 何となくだが、これ以上津田が弱っていくのを見たくないと思った。このまま放っておいたら、この前みたいに荒んでしまうんじゃないかって。

 

「良いの? でも萩村にこの痛みを味わってほしく無いんだけど」

 

「大丈夫よ! 私だってそれくらい覚悟してるわ」

 

「その覚悟は買うけど、アイツは相当な問題児だぞ」

 

「……どれくらい?」

 

 

 津田の目があまりにも本気だったので、私は若干たじろぎながら聞いた。

 

「保健体育の保健だけが得意で、性的妄想なら誰にも負けない自信があって、人に見られると興奮するタイプらしい」

 

「……ゴメン、私には無理だ」

 

 

 匙を投げるのは性に合わないのだが、今の説明だけで胃が痛くなってきたのだ……津田はこの痛みと戦いながら妹の面倒を見てるのね……

 

「だから今回は萩村に対抗心を燃やしてる余裕は無いんだ……せめて学年二十位には留まらないと……」

 

 

 津田がこんなにも弱ってるなんて思って無かった……一学期期末、夏休み明けテスト、この前の中間でも学年二位だったのに、今回の目標は二十位以内。会長たちに頼んで津田の仕事減らしてもらったほうが良いのかしらね……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 生徒会の業務を終えて、俺は走って家に帰る。少しでも時間を有効活用しないと、あの妹は高校受験に失敗するかもしれないのだ。

 

「コトミ、今日も勉強するぞ」

 

「え~、今日くらい良いじゃん! 偶には遊ぼうよ」

 

「お前、過去問だって一回も合格ラインに到達してないのに、何でそんなにお気楽で居られるんだよ」

 

「四択なんだから、最悪勘で埋めれば大丈夫だよ!」

 

「……その四択問題で散々間違えてるのは何処の誰だよ」

 

 

 ここ数日、コトミに過去問を解かせてるのだが、結果は散々……合格点どころか半分にも到達してない正解数……日に日に増していく胃の痛み……妹じゃなきゃ投げ出してると思う。

 

「タカ兄は少し気を抜く事を覚えなきゃ駄目だよ」

 

「それならお前は気を入れる事を覚えろ」

 

 

 こんな事なら前回の模試の時に諦めさせれば良かったとか思いだしてしまってるのだ。コトミの前に俺の心が折れるかもしれないのだ……そうなったらコトミはほぼ確実に受験に失敗する。自分の事なのにまるで危機感を抱いていない妹に、両親はほぼ諦め状態だ。

 

「タカ兄、いざとなったらどっかのお金持ちのおじさんの愛人でもするから大丈夫だよ!」

 

「その思考が既に大丈夫じゃない……」

 

 

 こうしてまた今日もコトミの相手をしながら一日が終わっていく……もちろん今日のテストも合格点には程遠い結果だ……

 コトミが寝て、リビングで伸びていたらお母さんとお父さんが帰ってきた。

 

「ただいま……大丈夫かい、タカトシ?」

 

「うんまぁ……何とか大丈夫」

 

「コトミ、受かりそうか?」

 

「如何だろう……運だけはいいから、本番なら何とかなるかもしれないけど……今のままじゃ駄目かもしれない……」

 

 

 残業から帰って来て早々にこんな事を言いたくはなかったけど、コトミの結果を見る限りでは奇跡でも起きない限りこのままでは無理なのだ。

 

「アンタ少し痩せた?」

 

「やつれたんだと思う……ろくに食べて無いし」

 

 

 食べて無いというか食べられないのだが……

 

「それで、コトミは?」

 

「もう寝てる。明日朝早くから勉強するって言ってたけど、本当か如何かは分からないけど」

 

 

 やる気を見せてくれたからとりあえずは寝かせたのだが、本人がやると言う以上、俺がとやかく言える訳無いのだ。

 

「そうか……それと悪いんだけど、また明日から出張になった」

 

「忙しいね……こっちは大丈夫だから」

 

「悪いね……今度は長期出張になりそうだから、暮に帰ってこれるか如何かも分からない」

 

「分かった。家の事は任せてくれていいからさ」

 

 

 これ以上迷惑をかけられないし、仕事じゃしょうがないよな……

 

「ご飯は? まだなら温めるけど」

 

「それくらいは自分でするよ。アンタは少しでも休んでおきな」

 

「ゴメン……ありがとう」

 

 

 正直起きてるのがやっとの状態なので、二人の申し出はありがたかった。コトミの事で心配してるだろうし、これ以上心配はかけたくないからな……俺は自分の部屋に引っ込み、ベッドに横になった。夢でもいいからコトミが真面目になってくれないかな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌朝、目が覚めて時計を確認する。午前五時……さすがに早いな……

 

「コトミのヤツ、何時から勉強するんだろう」

 

 

 土曜日と言う事で学校は休みだ。お父さんたちは朝早くに出かけると言ってたし、せめて見送りだけはしておこう。

 

「いってらっしゃい」

 

「起きてたのか?」

 

「まぁね……こっちは心配ないから」

 

「悪いわねホント……」

 

「いいよ、気にしなくて……何とかコトミをまともにするから」

 

 

 正直まともに生活するコトミを想像出来ないんだけど、それでも何とかするしか無いのだ。

 

「頼んだよ。いってきます」

 

「お願いね」

 

 

 二人を見送り、俺はコトミを起こす為に部屋に入った。

 

「コトミ起きろ、勉強するんだろ」

 

「う~ん……あと五時間……」

 

 

 寝言でも酷いだろ……

 

「桜才に通うんだろ? もう少し努力しろよな」

 

「むにゃむにゃ……タカ兄と学校でイチャイチャする為に頑張る……」

 

 

 ……理由はこの際如何でもいいや。コトミがやる気になるのなら、それに水をさす事も無いしな……

 多少楽観的にならなきゃ駄目になりそうだ……

 

「よし! さぁタカ兄、ご飯食べよう!」

 

「……準備するからその間勉強してろ」

 

 

 朝食の準備をしながら少し考える……自分のテストは大丈夫なのだろうかと……




このままじゃ死ぬんじゃないだろうか……


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高校生のテスト

タカトシの胃痛は解消されるのだろうか……


 試験まで日数があまり無い状況でも、生徒会の仕事はある。さすがに試験期間中は無いのだけれども、前の週には多少なりとも仕事が存在するのだ。

 

「これで終わりだな」

 

「そうだね~。やっと帰れるよ~」

 

 

 週明けから試験だというのに、私たち生徒会役員は放課後遅くまで学園に残って作業をしていたのだ。

 

「覚えてると思うが、生徒会役員のノルマは学年二十位だからな! もし二十位以下だった場合はある事無い事言い触らすように畑に頼むからそのつもりで」

 

「大丈夫だよ、シノちゃん。シノちゃんとスズちゃんは学年トップで、私と津田君は学年二位なんだから」

 

「その事ですが、津田の状況を鑑みて、もう少しノルマを下げてあげる事は出来ませんか?」

 

 

 津田は作業途中で具合が悪そうになっていたので会長が先に帰したのだが、正直家に帰した方が状況が悪化すると思うのだが……

 

「事情は萩村から聞いたが、それでも生徒会役員のノルマは学年二十位だ。それに、津田なら難なくクリアー出きるだろう」

 

 

 会長の中でも津田は出きるヤツだという認識なので、私の提案は却下された。もちろん私も津田なら二十位くらいならクリアー出来ると思ってるのだが、あのコンディションで実力を発揮出来るかが不安なのだ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 会長たちの好意で早めに帰ってきたのだが、コトミの勉強を見るのには変わりないのであまり早退の意味は無かった……

 

「寒い……寒くて勉強集中出来ないよ」

 

「大げさだろ。それに、寒いのは俺も同じだ」

 

「じゃあタカ兄、温め合おう!」

 

「お断りだ」

 

 

 馬鹿な事を言い出したコトミに呆れ、解決策を考える……暖房はまだ早いしな……

 

「てな訳で炬燵を用意した」

 

「やったー!」

 

 

 正直コトミに付き合うのは辛いのだが、受験に失敗されると今までの苦労が無意味になってしまうので、ここまできたら最後まで付き合って合格してもらいたいのだ。

 

「じゃあコトミ、勉強再開するぞ」

 

「………」

 

「コトミ?」

 

「グー……」

 

 

 ……状況が悪化した。炬燵に入って寝てたら意味が無いだろうが……

 

「おら、起きろコトミ」

 

「……ふぁい」

 

 

 欠伸をしながら何とか目を覚ましたコトミだったが、集中するのか如何かは正直微妙なところだな……

 

「タカ兄、これって如何解くの?」

 

「ああ、これはだな……」

 

 

 漸くスイッチが入ったのか、コトミは真面目に勉強をし始めた。集中しだすまでに時間がかかるが、集中してくれればそれなりに勉強はしてくれるのだ。まぁ答えが合ってるか如何かはまた別の問題なんだが……

 

「コタツちょっと暑いな~」

 

「温度下げるか?」

 

 

 炬燵のスイッチに手を伸ばそうとして、目の前のコトミの動きが不自然な事に気がついた。

 

「何してるんだ?」

 

「んしょ……これでよし!」

 

 

 モゾモゾと動いてると思った次の瞬間に、穿いていたズボンを取り出して放り投げた。

 

「ちょっと……待ってくれるか?」

 

「タカ兄、コタツの中覗いちゃ駄目だよ? オ○ンコ丸見えだから」

 

「……パンツは如何した?」

 

「一緒に脱いだ!」

 

 

 胃痛と同時に頭痛が……この場合は何の薬を飲めば良いんだろうか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 テスト期間などあっという間に終わり、結果が貼り出されているので私は見に行くことにした。津田は大丈夫だったんでしょうね……

 

「あれ? 萩村も結果見に行くの?」

 

「一応ね。アンタの結果が気になって」

 

「何かゴメン……」

 

 

 コトミちゃんの勉強に付き合ってた所為で、自分の勉強が少し疎かになってるとは聞いてたけど、さすがに二十位を下回る事はないと思っているのだ。

 

「自信は如何?」

 

「何時も通りとは行かなかったかな……途中で胃痛に悩まされたし」

 

「病院行った方が良いんじゃない?」

 

「どうせ分かりきってる事しか言われないから良いよ」

 

「分かりきってる事?」

 

 

 津田は自分の状態を正確に把握してるようで、病院に行っても意味が無いと言った。

 

「ストレスから来る胃の痛み、ストレスの原因を解消すれば治るとしか言われないだろうし、胃薬もらって終わりだろうからね」

 

「それでも、市販の薬よりかは効くんじゃない?」

 

「病院行ってる時間があるなら、コトミに単語一つでも覚えさせた方が有意義だ」

 

「……そこまで追い詰められてるのね」

 

 

 年が明ければ受験シーズン到来なので、この時期は追い込みを掛けるのだけども、何故受験生じゃない津田が追い込まれてるのだろうか……

 

「そろそろ結果が見えるな」

 

「……アタシは前まで行かないと見えないわね」

 

「付き合うよ」

 

 

 人がごった返している為に、津田も遠くからでは見えないようで私と一緒に最前列まで人を掻き分けて進んでいく。

 

「どれどれ……」

 

 

 結果の書かれた紙の一番上には、何時も通り私の名前が書かれていた。

 

「今回も萩村がトップだな」

 

「当然ね」

 

 

 だが私が気にしてるのは自分の順位ではない。目線を下げていくと、見たかった名前はすぐに見つかった。

 

 一位 萩村スズ 800点

 二位 津田タカトシ 745点

 三位 轟ネネ 737点

 

 

 何時もより点数は離れてるが、私の下には津田の名前があった。

 

「アンタ、やっぱり凄いわね」

 

「全教科満点の人に凄いって言われても……」

 

 

 津田の体調で私が試験を受けたとしたら、もっと点数は低いと思うのだが、津田はこの点数では納得してないようだった。

 

「二年のも貼ってあるわね」

 

 

 一年の結果の隣には、二年の結果も貼り出されている。

 

 一位 天草シノ 788点

 二位 七条アリア 779点

 三位 五十嵐カエデ 760点

 

 

 相変わらずのスリートップだった。見知った名前では、十八位に畑さんの名前がある。あの人の事だから事前に問題を知ってた可能性もありそうよね……

 

「今回もシノちゃんに負けちゃったか~」

 

「これだけはアリアには負けられないからな」

 

 

 会長が七条先輩の胸を見ながら言う……そこで対抗しようとしても無理ですよ……

 

「試験も無事終わったし、冬休みにみんなでウチの別荘に来ない?」

 

「皆と言うと我々生徒会役員か?」

 

「それと英稜の二人も誘いたいんだけど、シノちゃんにお願いしても良い?」

 

「任せろ! ウオミーにメールすれば森さんにも伝言を頼めるだろうしな!」

 

「ちょっと! それって津田君以外全員女子って事ですよね! 不純異性交遊は認められません!」

 

「それじゃあ、カエデちゃんも来る? クリスマスパーティーみたいな事もするから、プレゼントは持ってきてね~」

 

 

 何だかなし崩し的に予定を入れられちゃったけど、津田は大丈夫なのかしら……津田の事だから大丈夫なんだろうけども、何だか心配だわ……




元々点数が高い為に、少し下がっても順位はそのままで……


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生徒会室の大掃除

60話目です


 冬休みに七条先輩の家が保有する別荘でクリスマスパーティーをする事になり、俺はプレゼントを選ぶ為にアクセサリーショップに来ている。

 ちなみにパーティーの事がコトミにバレて、アイツも参加すると言ってきたので、丁度いい機会だから萩村にもアイツの勉強を見てもらう事にしたのだ。萩村には伝えてあるが、コトミには教えてない……楽しいパーティーだと思ってついて来たのを後悔させてやる……

 

「(何か最近思考が黒いな……)」

 

 

 胃痛の原因であるコトミに対してだけでは無く、クラスメイトの泣き言にも嫌気がさしてきてるのかもしれないな……

 

「あら? 津田さん?」

 

「森さん。何故此処に……って、おかしいのは俺のほうですね」

 

 

 ここは女性用のアクセサリーがメインのお店だ。森さんの方が居ても違和感の無い場所であって、俺が居るのがおかしいのだ。

 

「もしかしてプレゼント選びですか?」

 

「もう聞いてるんですね」

 

 

 会長が魚見さんに連絡をしてるので、森さんが知っててもおかしくは無いか。

 

「まさか誘ってもらえるとは思ってませんでした」

 

「大勢の方が楽しいと思ったんじゃないですか?」

 

「そうですね。そうか……女の子用って考えじゃ駄目ですね」

 

「ん?」

 

「あっいえ、津田さんにプレゼントが当たる可能性も考えて買わないとって思いまして」

 

「俺は普通に女性用のプレゼントを考えれば良いんですが……そうか、俺が居る分プレゼントを考えるのが面倒になってるんですね……何かスミマセン」

 

 

 自分の事をすっかり忘れていた……自分で自分に贈る訳じゃないから考えなかったけども、他の人は余計に考えなければいけないのか……

 

「それじゃあまた後日」

 

「ええ、気をつけて」

 

 

 森さんと別れ、俺は一つのネックレスに視線を固定する。可愛いとは思うけど、誰に当たるか分からないからな……萩村やコトミにはあまり似合いそうじゃないし……かといって指輪じゃサイズが分からないしな……

 

「(もう少しシンプルなデザインのヤツを探そう)」

 

 

 そもそも異性にプレゼントを贈るなんて、会長の誕生日以来だな……

 

「(あまり高価なものだと引かれるだろうし……このくらいが妥当かな)」

 

 

 さっき目をつけたネックレスよりも若干控えめなデザインで、値段もそれほど高くは無い。誰に当たるかは分からないけども、これなら全員に似合うだろうしな。

 

「すみません、これをください」

 

「はい。プレゼント用ですか?」

 

「ええ」

 

「では、包装紙をお選び下さい」

 

 

 

 なるほど、今はそういったサービスもあるんだな……彼女とか出来たら大変そうだな……

 俺は包装紙を選んで包んでもらったネックレスを鞄にしまい、家に帰る事にした。冬休みまではまだ少し時間があるし、コトミの勉強を見なければいけないのに変わりは無いからな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 学校も今日で終わりの為、私たちは生徒会室の大掃除を行う事になった。

 

「ねぇスズちゃん」

 

「はい?」

 

「パンツも穿いた方がいいかな~?」

 

「それは最初から穿いてるものでは……ッ!?」

 

 

 まさか七条先輩……

 

「萩村、これって捨てていいのか?」

 

「どれ? ……そうね、取っておいても使わないだろうし、捨てちゃいましょう」

 

「了解。でもいざ捨てるとなるともったいないと思っちゃうのは何でだろう」

 

「あ~その気持ち分かる」

 

 

 七条先輩の事を思考から追い出すのに、津田との会話は非常に役に立った。

 

「駄目駄目、思い立ったら捨てないと。そうやって躊躇してると一生捨てられないわよ」

 

「横島先生……居たんですね」

 

 

 相変わらず存在感の無い生徒会顧問ね……

 

「ちなみに私は最近、羞恥心を捨てたわ!」

 

「えっ、最近なの?」

 

 

 津田のツッコミが入り、横島先生は生徒会室から出て行った……何しに来てたんだあの人はまったく……

 

「あっこれ俺の消しゴム」

 

「棚の奥に入っちゃってたのね」

 

 

 ものを落としてそのまま隙間に……なんてよくある事だし。

 

「あっ、ロー○ーのリモコン。こんなところにあったのね~、やっと止められるよ~」

 

「驚かなきゃいけないのに平然としてられる自分が怖い」

 

「そうね……私もあんまり驚いて無いわ」

 

 

 生徒会室になんてものを持ち込んでるんだ、とか思わなきゃおかしいのに、何故だか七条先輩だからという事で納得出来ちゃってるのよね……慣れって怖いわね~

 

「シノちゃん、その箒はこの前の私物?」

 

「いや、これは学園のだ。だが箒を見てると思い出す事があるんだ」

 

「ん? な~に~?」

 

「魔法少女が箒に跨って空を飛ぶシーンがあっただろ」

 

 

 そんなのもありましたね……もしかして箒で空を飛んでみたいとか思うのかしら。

 

「あれは気持ち良さそうだった」

 

「分かるよ!」

 

「分かるな」

 

 

 私よりも先に津田のツッコミが炸裂する。具合悪そうなのに相変わらずの切れの良さよね。

 

「さて、こんなものか」

 

「後はこのゴミを収集所に持ってくだけだね~」

 

「俺が持ってきますよ」

 

 

 結構な量があるのにもかかわらず、津田は簡単にゴミを持ち上げて収集所に持っていった。

 

「さすがは津田だな」

 

「力持ちだよね~」

 

「うむ! 五月に重い日の私を軽々持ち上げただけはあるな!」

 

「そんな事もありましたね」

 

 

 あの時はまだ津田の事を誤解してたけど、今は安心して付き合えてるものね。

 

「そういえばシノちゃん、プレゼントは用意した?」

 

「当然だ! ウオミーや森さんにも連絡はしておいたからな!」

 

「私もカエデちゃんに連絡しておいたから、当日は家まで迎えに行くからね」

 

「そんなに大勢乗れるんですか?」

 

「大丈夫、出島さんは大型車も運転出来るから」

 

「なら安心だな! 後は当日を待つだけだ!」

 

「シノちゃん、楽しみにしてるのはいいけど、また寝不足にならないでね」

 

 

 そういえば会長って、遠足とかの前日寝れないタイプなんでしたっけ……よく見れば隈があるよな気も……

 

「クリスマスパーティーも大事だが、各自冬休みの宿題を忘れないようにな!」

 

「大丈夫だよ~。別荘で一緒にやれば」

 

「そうですね。参加メンバーを見れば問題は無さそうですしね」

 

 

 気になるのは津田の妹のコトミちゃんだ……津田が具合悪そうにしてる原因だけど、何故だかこのパーティーに参加するようなのだ……津田からは勉強を教えてやってくれと頼まれたけども、正直不安しかないのだけども……

 

「戻りました」

 

「よし! それでは今年の生徒会はこれにて終了だ!」

 

「お疲れ様~」

 

「次はアリアの別荘で会おう!」

 

 

 張り切ってるわね~……まぁ楽しみなのは私も同じだけども、あそこまではしゃぎはしないわよね。

 

「では俺はこれで。妹の成績を確認して冬休みにスケジュールを組まないといけませんので」

 

「頑張れよ」

 

「お迎えに行くから、当日は準備して待っててね」

 

 

 校門で別れ、私たちはそれぞれ帰路についた。会長と津田が同じ方向なのが気になるけど、あの二人なら何も無いわよね。




次回別荘へ……待ち受けるのは誰に対しての地獄なのか……


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悪魔タカトシ

指が冷たくてキーボードが押せてない……


 七条先輩の家の車に乗り込み、私たちは七條家が保有する別荘に向かっている。

 

「今日はお招きいただきありがとうございます」

 

「いえいえ~大勢の方が楽しいでしょ?」

 

「そうだぞウオミー! 感謝するのは良いが、あまり遠慮するとかえって失礼だからな!」

 

「そうですね。では我々も思う存分楽しみたいと思います」

 

 

 元々あまり遠慮してる風では無かった魚見さんだが、会長と七条先輩の言葉で踏ん切りがついたのか、ハッチャける宣言をしたのだった……大丈夫よね、森さんいるし……

 

「ところで皆、冬休みの宿題は持ってきたか?」

 

「当然持ってきてるよ~」

 

「私もです。シノッチたちと一緒に勉強するのも面白そうでしたし」

 

「私も一応は」

 

 

 五十嵐先輩や魚見さんたちは二年生として一緒に勉強するようだ。

 

「私もとりあえずは持ってきました」

 

「俺も」

 

 

 森さんと津田も遠慮がちに会話に加わる。ちなみに私は既に終わっているので、勉強道具は持ってきていないのだ。

 

「私は持ってきてないな~。せっかくのパーティーに勉強道具なんて必要ありませんから」

 

 

 津田の妹のコトミちゃんは、笑いながら高らかに宣言した。だが……

 

「安心しろコトミ。お前の宿題や参考書は俺が持って来たから」

 

 

 この兄がそれを許す訳がなかったのだ……最近やつれ気味で思考が黒くなってると宣言してた津田が、人の悪い笑みを浮かべながらコトミちゃんの宿題と勉強道具を取り出した。

 

「折角成績優秀者が揃ってるんだ。この際ミッチリ勉強してもらおうと思ってるから覚悟しとけよな」

 

「成績優秀者って……皆さんどれくらいなんですか?」

 

 

 顔を引きつらせながら、コトミちゃんが私たちに質問してきた。

 

「私は学年一位だ!」

 

「私は二位だよ~」

 

「私は三位です」

 

 

 これが会長と七条先輩と五十嵐先輩。

 

「私は学年一位です」

 

「私は五位です」

 

 

 これが魚見さんと森さん。

 

「私は一位よ」

 

「俺は二位」

 

 

 これが私と津田。

 つまりこの車内で問題児はコトミちゃんだけなのだ。

 

「で、でも……折角のパーティー、楽しみたいな~って」

 

「もちろん遊ぶ時は遊んでも良いが、しっかりと勉強して、年明けの受験に備えてもらうからな。ただでさえギリギリなんだから」

 

「ギリギリにまでなったの?」

 

「……正直ギリギリと表現するのもギリギリな成績なんだよ」

 

 

 津田のつらそうな表情を見て、私たち全員に気合が入る。津田を困らせている諸悪の根元をここで正せば新学期からは前の津田に戻ってくれるかもしれないからね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 車で移動する事数時間、七条家の別荘に漸く到着した。

 

「立派な建物だな」

 

「りっぱー!」

 

 

 会長とコトミがはしゃいでるのを見て、俺はとりあえずは来てよかったと思えた。

 

「ホント、立派だわ」

 

 

 二人につられて、萩村も建物の感想を口にした。

 

「萩村! その位置でそのセリフは駄目だ!」

 

 

 ん? 会長が萩村の位置を気にしてるようだが、俺の目の前に萩村が居るんだよな……

 

「実際タカ兄のは立派だよ」

 

「そうなのか!?」

 

「その話詳しく」

 

「あらあら~」

 

 

 会長と魚見さんと七条先輩がコトミの発言に興味を示してるが、正直コトミに見られた覚えは無いし、こんなクソ寒い外で盛り上がるような事でも無い気がしてるのだが。

 

「寒いんでとっとと中入りませんか?」

 

「そうだな! アリア、案内してくれ」

 

「いいよ~」

 

 

 正直これくらいなら耐えられるのだが、森さんや萩村が寒そうにしてたのでさっさと中に入る事に。正直殴って気絶させるのも面倒なんだよな……

 

「さすが津田ね。あっさりと話題を変えるなんて」

 

「そのスキルが羨ましいです」

 

「……ほしくて手に入れた訳では無いんですがね」

 

 

 萩村に褒められ、森さんに羨ましがられたが、俺の仕事はツッコミでは無い! 断じて違うぞ……きっと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 室内に入り、私はアリアの許可を貰い別荘を探検する事にした。もちろんウオミーも一緒だ。

 

「コトミちゃんも来たそうでしたがね」

 

「津田と森さんに捕まってはしょうがないだろ」

 

 

 ギリギリと表現するのさえギリギリの成績のコトミは、津田と森さんに捕まり、さらにそこに萩村を加えた三人に勉強を見てもらう事になったのだ……助けようとも一瞬思ったのだが、津田の目が笑ってなかったのでやめておいたのだ……

 

「しかしシノッチ、津田さんの目……ゾクゾクしませんでした?」

 

「したぞ! さすがウオミー! 分かってくれたか」

 

「もちろんですよ! あの目……完全にサディストの目でした」

 

 

 実際津田はドSと言われるだけの事があり、ツッコミの時も拳骨などの物理攻撃もあるのだ。あれがまた気持ち良いんだ……

 

「津田の攻撃性は兎も角、今度あの目をした津田に罵ってもらいたいぞ」

 

「そうしたら本格的にMの道に目覚めそうですよね」

 

「この伊達眼鏡をかけてもらえば」

 

「鬼畜眼鏡ですね、分かります」

 

 

 ウオミーとハイタッチして探検を続ける事に。これが別荘のお風呂だと……ウチのとさほど広さが変わらないでは無いか……

 

「何か金持ちって実感させられるよな、この別荘見てると……」

 

「今更では? シノッチは七条さんと同じ学校なのですから」

 

「そうなのだが、普段アリアと接してると忘れがちになるんだ」

 

 

 何せお嬢様って感じがしない会話ばかりしてるのでな……

 

「ところでシノッチ、あの五十嵐さんももしかして……」

 

「だろうな。男性恐怖症の癖に……あのビッチが!」

 

「それは言い過ぎですよ。せめて雌猫で止めておきましょう」

 

「ウオミーも大概だと思うぞ?」

 

「そうでしょうか? でもそうですか……やはり競争率は高めなのですね」

 

「あれで文才まであるからな。学園に非公式のファンクラブまで存在してるとの噂まであるからな」

 

 

 畑から聞いた話だが、結構信憑性は高いと思うのだがな……如何すれば会員になれるのだろうか……

 

「聞くところによると、シノッチや七条さんのファンクラブもあるとか」

 

「噂の範疇だがな」

 

「では何故萩村さんのファンクラブが無いのでしょうか?」

 

「それは決まってるだろウオミー」

 

「やはりそういう事ですか」

 

 

 ウオミーと揃って息を吸い、言葉を揃える。

 

「「最近ロリへの風当たりがキツイから」」

 

 

 声が揃った事で再びハイタッチをして、私たちは探検を終了させた。




コトミよ、みっちりと勉強して、受験に備えろ……


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ボードゲーム

お泊り初日の夜の話になってます


 コトミちゃんの勉強を津田と森さんと一緒に見ていたら、ちょっと催してきた。

 

「あの七条先輩、お手洗いは」

 

「そこを出て突き当たりよ」

 

「ありがとうございます」

 

 

 津田と森さんが居れば、とりあえずコトミちゃんは逃げ出せないだろうし、今の津田から逃げ出そうものなら……身内だけに手加減しなさそうね。

 

「えっと突き当たりだから……ここね」

 

 

 リビングから少し歩いたところにお手洗いを発見した。やはりお金持ちだけあって無駄に広い間取りね……

 

「さっさと済ませて戻り……え?」

 

 

 便座の蓋をあげ、ようを済まそうとしたら、便器に書かれた落書きを発見した。その文字というのは……

 

『肉』

 

 

 何故この文字がこの場所に書かれているのだろう……最近七条先輩が書いたとか、そんなところよね……

 

「戻ったら聞きましょう」

 

 

 とりあえず使う分には問題無いのでさっさと済ませてリビングへと戻った。

 

「あの、七条先輩、あの落書きって……」

 

「ああ、あれは私が子供の頃に書いたものなの。ゴメンなさいね」

 

「それ聞いて五倍ドン引きです」

 

「「?」」

 

 

 事情を知らない津田と森さんが同時に首を傾げたが、二人共心得ているのか詳しく聞いてくる事は無かった。

 

「さてと、そろそろ終わりにするか」

 

「ホント!」

 

「ああ、ただしこのテストで七十点以上取れたらな」

 

 

 上げて落とす、さすが真性ドSと謳われている津田ね……コトミちゃんの表情が絶望に染まってるわよ。

 

「これくらいなら出来るだろ」

 

「そうですね。今日教えた箇所の復習と応用が主になってますし」

 

「どれ? 確かにこれなら簡単よね」

 

「優秀な三人と私を一緒にしないでくださいよ~……」

 

「泣き言言ってる暇があったら、見直ししたら如何だ? 問題なければ今すぐにでも始めるんだが……」

 

「待って! 後十分はほしい」

 

「三分だ」

 

「うわ~ん!」

 

 

 宣言と共に時計に目をやった津田を見て、コトミちゃんは泣きながら今日の復習を始めた。

 

「津田さんって、もしかしてかなりサドい人なんですか?」

 

「最近ストレスで胃がやられてるからね。そのお返しじゃない?」

 

「なるほど……確かに体育祭の頃と比べるとやつれた感じがありますしね」

 

 

 森さんと話していたら、背後から人の気配を感じた。

 

「何してるんだ?」

 

「コトミちゃんの最終試験です」

 

「問題はどんなです?」

 

「これだそうです」

 

 

 探検を終えた会長と魚見さんが森さんが預かっていたテスト用紙を覗き込む。

 

「これなら満点楽勝だな!」

 

「十分もあれば終わりますね」

 

「どれどれ~? ホントだ~」

 

「確かに簡単ですね」

 

 

 そこに七条先輩と五十嵐先輩も加わり、問題を見て盛り上がった。

 

「優秀な人たちが憎い! 神は何故私に才能を与えてくれなかった!」

 

「後三十秒」

 

「うわ~ん!」

 

 

 厨二発言で現実逃避をしようとしたコトミちゃんに、津田の無慈悲なる宣告が下された。結局コトミちゃんは合格点に届かなく、この後一時間追加で勉強する事になったのだった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 散々勉強して、今日はもう頭を使いたくない。パーティーは明日だし、今日はもう寝ようかなとも思ったけど、折角これだけの人が居るんだから、遊ばなきゃ損だ!

 

「てな訳で、ゲームしましょう!」

 

「いいな! お泊りの定番って感じがするぞ!」

 

「シノッチハシャギすぎですよ! でも面白そうですね」

 

「ゲームって何するの~?」

 

「そこはご心配なく! こんな事もあろうと色々と用意してます!」

 

 

 勉強道具そっちのけで詰め込んだボードゲームたちを鞄の中から取り出す。本当は一日中やるつもりだったのに、まさかタカ兄が私の勉強道具まで持ってきてたとは……

 

「よし! それじゃあ五十嵐と萩村と森さんも参加だ!」

 

「今夜は寝かせませんよ」

 

「わ、私もですか!?」

 

「私、もう眠いんですが……」

 

「スズ先輩はお子様なんですか?」

 

「よ~し! 朝までやってやろうじゃないか!」

 

 

 私の挑発にまんまと乗ってきたスズ先輩は、眠い目を擦りながら参戦を表明した。

 

「私は遠慮したいんですが……」

 

「これは桜才VS英稜なんですよ、森さん! 文化祭の異種格闘技の借りを返す時なのです」

 

「……全然趣旨が違うじゃないですか」

 

 

 英稜の二人は何だか燃えてるけど、それでこそ徹夜で遊ぶ醍醐味だと私は思う。

 

「どうせならタカ兄の部屋でやりません?」

 

「それがいいな! 津田だけ仲間外れはかわいそうだ」

 

「津田君の部屋……」

 

「カエデちゃんは何を考えてるのかな~?」

 

「何も考えていません!!」

 

 

 きっと大人な事を考えていたんだろうなと、私たちは勝手に思った。だって五十嵐さんの顔が真っ赤に茹で上がったんだからね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 昼にコトミの勉強を見ていたせいで、自分の宿題がまったく進んでない。だから俺は一人部屋なのを良い事にさっさと宿題を終わらせる事にしたのだ。

 

「人が居たら灯りを点けっぱなしにするのは憚られるからな」

 

 

 男が一人しか居ないのだからしょうがないんだろうが、こんな大部屋に一人ってのも申し訳無い気分になってくる。

 

「コトミは迷惑かけてないだろうな……」

 

 

 生徒会メンバーに五十嵐さん、英稜のお二人と同部屋なのは良いが、アイツが失礼を働いた場合すぐに制裁出来ないのが不安だ……

 

「まぁ皆さんしっかりしてる人だし、コトミも普段の言動のままでは無いだろうしな」

 

 

 俺は自分にそう言い聞かせ宿題を進めていく。これなら徹夜するまでもなく終わるな。そう思っていたら扉をノックする音が聞こえた。

 

「はい?」

 

 

 まだ夜更けという時間では無いが、こんな時間に誰だいったい……

 

「フッフッフ」

 

「お邪魔しますね」

 

「今夜は寝かせないからね~」

 

「さぁタカ兄! 遊びの時間だ!」

 

「「「………」」」

 

 

 

 ノリノリの会長、魚見さん、七条先輩、コトミの後ろで、五十嵐さん、萩村、森さんが申し訳無さそうに手を合わせている。どうやら暴走を止められなかったらしい……

 

「俺宿題片付けてたんですけど……」

 

「そんなの何時でも出来るじゃん! 今は遊ぼうよ!」

 

「なら今すぐコトミは終わらせる事が出来るんだな?」

 

「……タカ兄なら何時でも出来るでしょ?」

 

 

 俺の反撃に窮したコトミは、舌の根も乾かないうちに前言を撤回した……

 

「十二時までだからな」

 

 

 それ以降は萩村や森さんが可哀想だから……

 

「「「「ヤッター!」」」」

 

「ハァ……」

 

 

 部屋に七人を招きいれ、ボードゲームで遊んだ。これはこれで楽しかったけども、頼むから人が使う予定のベッドに入らないでくれませんかね……




スズが挑発に乗りやすいのは何故なんだ……


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入浴の目的は……

またプレゼント交換まで行かなかった……


 パーティ当日の朝、私たちは皆で宿題を片付ける事にしたのだが、既に終わらせてきた萩村と、昨日騒いだ後終わらせた津田は二人で何か話してる。一体何を話してるというのだ……

 

「これって間違ってない?」

 

「問題に不備があるのよね。私も気になってたのよ」

 

 

 如何やら宿題で出された問題に間違いがあるようだ。良く見ると英語の宿題なので、横島先生の不備だな……まったくあの先生は……

 

「シノッチ、さっきから津田さんたちを凝視してますね」

 

「まさかスズちゃんを視○してるの!?」

 

「シノ会長はペドなんですかね~?」

 

「せめてロリって言えって前も言っただろうが!」

 

 

 コトミの発言に萩村がキレた。やはり身長ネタには過激に反応するんだな……

 

「それでシノちゃん、何で津田君とスズちゃんを凝視してたの~?」

 

「確かに気になりますね」

 

「いやなに、私たちが抜けても生徒会は安泰だなと思ってな」

 

「そうですね。津田さんと萩村さんのお二人が居る桜才が羨ましいです。うちは森さんしか頼れませんし……」

 

 

 急に話しを振られた森さんが慌てて手を左右に振る。彼女は本当に真面目なようだな。五十嵐とは違って……

 

「あの天草会長、何だか変な事を思われてるような気がしたのですが……」

 

「別に何でも無いさ。ただ五十嵐は隠れスケベだなと思ってただけだ」

 

「隠れてるの?」

 

「昨日のアレを鑑みるに、五十嵐さんは私たちと同類ではないかと」

 

「タカ兄の部屋に行くってだけで何処まで妄想したんですか~?」

 

 

 私の発言に、アリア、ウオミー、コトミが続いた。やはり五十嵐の事をそう思ってるんだな。

 

「お前ら……真面目に勉強するんじゃなかったのか……」

 

「「「「あっ……」」」」

 

 

 五十嵐をからかっていたら、背後からもの凄いプレッシャーが迫ってきた。やはり津田は怒らせるものでは無いな……

 

「コトミ、特にお前は全然進んでないじゃないか!」

 

「ひゃう!? ゴメンタカ兄……」

 

「会長と七条先輩も、ふざけてるから間違えてますよ!」

 

「何ッ!?」

 

「ホントだ~」

 

 

 まさか津田も二年の内容を理解してるとでも言うのか……萩村といい津田といい、今年の一年は皆これほど優秀なのだろうか……

 

「そして魚見さん……解答にネタを仕込むのはやめなさい」

 

「おや、さすがはツッコミマスター、しっかりと気がつきましたか」

 

「これを見る先生が可哀想ですよ……」

 

 

 ウオミーの解答には、縦書きで今日の下着の色が書かれていた。まさか文章問題にそんな遊び方が存在したとは……

 

「さすがウオミー!」

 

「この問題、私だとノーパンって書かなきゃいけないわね」

 

「そもそもの趣旨が違う!」

 

 

 津田の拳骨が炸裂し、私たちは大人しく宿題を進める事にした……今回の拳骨は気持ちよくなかったな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 宿題をある程度終わらせて、パーティーまでは部屋でまったり過ごす事になった。もちろんコトミちゃんは津田が作った問題集を必死に解いているのだが……

 

「津田さんの妹さん、かなり成績酷いようですね」

 

「そのせいで津田がストレスMAXで危険なのよね」

 

「受験生では無いのに、津田さんが追い込まれてますものね」

 

 

 下ネタで盛り上がってる会長、七条先輩、魚見さんをサクッと無視して、私は森さんと会話を楽しんでいた。五十嵐先輩はコトミちゃんの監視役だ。

 暫く話していると扉がノックされて、七条家メイドの出島さんが現れた。

 

「パーティーの前に入浴されては如何でしょうか?」

 

「そうだな!」

 

「皆一緒に入りましょ」

 

「それじゃあタカ兄も一緒に!」

 

「ッ! そんな事は私が許しません!」

 

 

 さすが風紀委員長、そこはしっかりツッコんでくれたわね。

 

「入浴の際には、身体は念入りに洗ってください」

 

「どうして~?」

 

「女体盛り出したいので」

 

「「「「あ~」」」」

 

「何故誰もツッコまない……」

 

 

 五十嵐先輩は固まり、森さんは偶に津田が見せるような目をして、出島さんを見ていた。

 

「それからワカメ酒も」

 

「私たちは未成年ですよ!?」

 

「この前剃っちゃった」

 

「同じく」

 

「まだ生えてないので」

 

 

 お酒にはちゃんとツッコムんだ……てか更に五十嵐先輩が固まったような気が……

 

「コトミ、お前ちゃんと終わったのか?」

 

 

 騒いでたのに気付いたのか、津田も廊下から顔を覗かした。

 

「もうちょっと……」

 

「終わらないとお前はパーティに出られないからな」

 

「そ、そんな~……」

 

「津田、それはちょっと厳しすぎるんじゃ……」

 

「会長は黙っててください!」

 

「あっはい……」

 

 

 津田の視線と言葉の威力に負け、会長はすんなりと下がっていった……今の津田を下手に刺激するのはマズイわね……

 

「萩村」

 

「な、何よ……」

 

「五十嵐さんは何で固まってるんだ?」

 

「へ……あぁ、出島さんがね……」

 

「それでは私は夕食の準備がございますのでこれで」

 

 

 危機を察知したのか、出島さんがもの凄い速度で逃げ出していった……あの人もやられたくないようね……

 

「さて、それじゃあコトミは俺の部屋で勉強してもらうか」

 

「そんな!?」

 

「それじゃあ私たちは風呂にでも行くか」

 

「そうだね~」

 

「私は後で五十嵐先輩と入りますので、会長たちだけでどうぞ」

 

「それじゃあ私も」

 

 

 森さんも遠慮したので、お風呂には会長と七条先輩と魚見さんが、女子部屋には私と森さんと固まっている五十嵐先輩が、そして津田の部屋には津田兄妹が……何であの兄妹はあそこまで性格も能力も違うのかしら……

 

「そういえば森さん、貴女プレゼントは何を買ったの?」

 

「私は実用性のあるものでタオルを」

 

「タオル……」

 

 

 まぁ確かに実用性はあるわよね……それに誰に当たっても使えるし……

 

「それで、萩村さんは?」

 

「私は参考書を」

 

「参考書……」

 

 

 もちろん、誰に当たってもいいように対応はしてあるので問題は無い。ただコトミちゃんに当たったら解けないかもしれないのだが……

 

「何だか私たち、高校生なのにそれらしく無いですね……」

 

「そうね……私も薄々感付いていたわ……」

 

 

 高校生のクリスマスプレゼントだっていうのに、全然それらしくないものをプレゼントとして選んでるんだからね……そもそも高校生らしいプレゼントって何よ。

 

「ハッ!」

 

「気付きました?」

 

「あれ? 会長たちは……」

 

「お風呂に行きました。ところで五十嵐先輩はプレゼント、何買いました?」

 

「私はお気に入りの作家の小説を数冊と、その本のサイズにあったブックカバーを」

 

「「………」」

 

 

 如何やら五十嵐先輩も高校生らしいプレゼントとは程遠いようだ……

 

「会長たちは何にしたのかしら……」

 

「ウチの会長もですが、そちらのお二人もまともなプレゼントを選んでるような気がしないのですが……」

 

 

 津田、アンタだけが良心よ。こうなったら津田のプレゼントが高校生らしいものである事を願うだけね……




次回お泊り会終了予定


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プレゼント交換

あの人にアレが……


 勉強も一区切りがつき、リビングに下りていくと机の上には皆が持って来たプレゼントが置かれていた。

 

「津田さん、お疲れ様です」

 

「森さん、まぁ妹ですから」

 

 

 ちなみにそのコトミは俺の部屋で頭から湯気を出している。それほど詰め込ませたつもりは無いのだが、許容量を超えたらしいのだ。

 

「津田さんはプレゼント、何にしたんですか?」

 

「ペンダントですよ。俺以外全員女の子ですからね」

 

 

 誰に当たっても良いように、あまり個性の強いものは選んで無い。シンプルなデザインのものだ。

 

「誰に当たるんでしょうね」

 

「如何でしょう、自分に当たるなんてオチはいらないですね」

 

「大丈夫じゃないでしょうか? 丸くなって回すって言ってましたし」

 

「誰がです?」

 

「七条さんが」

 

 

 主催者が言ってたなら確実だな。だが何だか動いてる箱が沢山あるのは何でなんだろう。

 

「あれ?」

 

「如何かしました?」

 

「いえ、数が……」

 

 

 参加者に対して一個多い気が……

 

「それは私のです」

 

「あっ、出島さんも参加するんですね」

 

 

 それなら丁度だ。

 

「でも、何で動いてるんですか?」

 

「大丈夫です、男性でも使えますから」

 

「「………」」

 

 

 森さんと二人で、無言のツッコミを出島さんに入れる。

 

「あぁ! その目、たまらなく興奮します!」

 

 

 駄目な大人なんだな……俺と森さんの中で出島さんはそう位置づけされたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 いよいよパーティーとなり、何と私が乾杯の音頭を取る事となったのだ。

 

「今日は無礼講だ! だからS男の都落ちもありだぞ!」

 

「S『男』って俺だけじゃねぇか! 何か見られてるし……」

 

 

 普段ドSな津田が私たちに罵倒されて興奮する姿を想像して、私は少しパンツにシミを作った。如何やらウオミーやアリアも同じような想像したようで、二人共私同様クネクネと足を動かしている。

 

「おや? 何で五十嵐さんもクネクネしてるんですかね?」

 

「魚見さん、カエデちゃんは私たちの同類だから」

 

「まったくけしからん風紀委員長だ!」

 

「勝手に同類にしないでください!」

 

「大丈夫ですよ、五十嵐さん! 私もタカ兄がMだったらって想像しましたから!」

 

 

 さすがは次世代を担うと期待されてるだけの事がある。コトミも想像してたとはな。

 

「津田、アンタが如何にかしなさいよね」

 

「ゴメンなさい、私もちょっと無理そうです……」

 

「ハァ……全員正座」

 

 

 津田が偶に見せる本気で蔑んでる目を見て、私たちは軽くイキそうになる。あの目、眼鏡でも掛けてれば完璧だったんだがな……

 

「あの、津田君……私も?」

 

「貴女も想像してたんですか?」

 

 

 射抜くような視線で見られた五十嵐は、男性恐怖症とは別の理由で気を失った。

 

「おい、五十嵐のヤツ下着濡らしてるぞ」

 

「津田君に睨まれてイッちゃったんだね」

 

「やはりエロスですね」

 

「タカ兄! 私にも冷たい視線ちょうだい~!」

 

 

 もちろんこの後私たち四人は津田に鉄拳制裁をされた後で長々とお説教された……これが愛のムチなのか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 気を失っていた五十嵐先輩も復活して、いよいよプレゼント交換の時間になった。ちなみに私が用意したのは大人の玩具だ。ネット通販は便利だよね。

 

「それではお待ちかねのプレゼント交換で~す! 真っ暗な部屋で音が止むまでプレゼントを回し続けるルールです! それじゃあ、灯り消すよ~」

 

 

 さっきタカ兄に殴られた箇所がジンジンするけども、これはこれで快感だよね。

 

「何だか暗闇の中って興奮するね~」

 

「分かるぞ! 何時触られるか、また誰に触られるかを想像すると……」

 

「シノッチ、そこは津田さんが触ってくると想像しなくては」

 

「そうだったな!」

 

 

 さすが私が認めた先輩たち、しっかりと別の楽しみ方をしてるよ。それにしてもタカ兄って、こんなに美人な先輩に囲まれてるのに全然自家発電してないなんて……ひょっとして若くして枯れちゃったのかな……

 

「はい、今持ってるプレゼントがあなたので~す!」

 

 

 音楽が止まり明かりを点けると、私の手には何だか重たいものがあった。

 

「えっと……参考書?」

 

「あっ、それ私のだわ」

 

「何でよりによって参考書なんですか~! クリスマスプレゼントですよ!!」

 

「あれ、これ誰の?」

 

「スズ先輩のは私のですね~」

 

 

 ちゃんと分からなくなるようにシャッフルして回したのに、何で私がスズ先輩のでスズ先輩が私のなんだろう……

 

「これ、津田さんのですよね?」

 

「あっ、森さんに当たりましたか」

 

「何ッ!?」

 

「森さん、是非私のと交換を!」

 

「これって魚見さんの?」

 

「これはお嬢様からの蝋燭と○ーター!」

 

 

 そして五十嵐先輩には、天草会長からのプレゼントであるバ○ブが当たったようだ。

 

「それで、タカ兄のは何だったの?」

 

「タオル」

 

「あっ、それ私のです」

 

 

 ちなみに、天草会長には出島さんからのプレゼントであるバ○ブが、魚見さんには五十嵐先輩からの小説が当たっていた。

 

「一つ確認なんですが、何故皆さん変なものをプレゼントに?」

 

 

 タカ兄が言うへんなものと言うのは、きっと五十嵐先輩が持ってるようなものを指してるんだろうな……

 

「特にコトミ、お前如何やって買ったんだ?」

 

「最近はクリック一つで何でも届くんだよ!」

 

「それじゃあ先輩たちも?」

 

「私は自分で店に行ったぞ! 機械操作は苦手だからな!」

 

「私も~。普段から愛用してるお店から選んだのよ」

 

「恥ずかしながら、私は始めて専門店に足を踏み入れました」

 

 

 如何やらネットショップは私だけで、後の三人はちゃんとお店に行ったらしい……クッ、これがJCとJKの差なのか……

 

「まぁ、変なのが当たらなくてよかった」

 

「そうね……って、私は十分変なのよ!」

 

「スズ先輩でも使えますよ~?」

 

 

 いくらロリでもちゃんと感じられるんだから……おっと、タカ兄が怖い目をしてるからこれ以上考えるのは止そう。

 

「そういえばシノちゃん、小さい頃靴下ぶら下げなかった?」

 

「おお! そういえばやったな!」

 

 

 天草会長たちの会話を聞いたタカ兄が、遠い目をしていた。

 

「如何かしたの?」

 

「いや、昔のお前の奇行を思い出しただけだ……」

 

「ああ!」

 

 

 そういえば五歳の時に、サンタさんの性癖をタカ兄に聞き、サンタさんを喜ばせようと靴下じゃなくってパンストをぶら下げてたっけ。今思えばお父さんを喜ばせてもしょうがなかったな。

 

「それじゃあ改めて……」

 

 

 天草会長がグラスを持ち上げ、二回目の乾杯をする。

 

「「「「「メリー・クリ○○ス」」」」」

 

「津田、アンタが処理してよね……」

 

「私は魚見会長にしか出来ませんので……」

 

「お前らもう一回正座だー!」

 

 

 こうして、クリスマスパーティーは賑やかに幕を下ろしたのだった。




タカトシ以外プレゼント感ゼロ……


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年末年始

そろそろコトミの試験が近付いてきました。


 クリスマスを七条家所有の別荘で過ごして暫く、今日は大晦日だ。部屋やリビングの掃除を終えて俺は年越し蕎麦の準備をしていたのだが、二階から凄い音がしたので一旦手を止めてコトミの部屋へ行く。

 

「如何かしたのか?」

 

「タカ兄ィ……掃除してたのに余計に散らかっちゃった……」

 

「……まずこれだけのものを何処にしまってたんだよ」

 

 

 明らかに収納スペースに収まらないくらいのものが、コトミの部屋に散らかっていた。

 

「いらないものは捨てろ」

 

「だってどれもまだ使えるんだよ?」

 

「……何に使うんだ、こんなの?」

 

「それはもちろん……はい、捨てます」

 

 

 思春期発言をしかけたコトミを睨みつけ、大人しく掃除を再開させた。コイツ、小遣いの殆どをこんなのにつぎ込んだんじゃねぇだろうな……もしそうなら高校に入学した後の小遣いを考えないとな……

 

「さっさと終わらせないと年が明けるぞ」

 

「それはないよ~。だって困ったらタカ兄に手伝ってもらうから」

 

「……計画性が無いから直前になって焦るんだろうが」

 

 

 俺はクリスマスパーティーの後、家に帰って来てからちょこちょこ掃除をしておいた為に、今日は自分の部屋に掃除機をかけただけで大掃除は終了した。リビングやお風呂、トイレ掃除に専念出来たのは大きいからな。

 

「こんなんじゃ受験も危ないかもな」

 

「それは言わない約束だよ~……」

 

 

 年明けに萩村が手伝ってくれるらしいのだが、それで滑り込んでくれるのを祈るか……

 掃除を何とか終えたコトミが、リビングのコタツで寝転がってテレビを見ている……ホント家事しないヤツだな……

 

「ほら、年越し蕎麦出来たぞ」

 

「おう、ご苦労」

 

 

 頭の上に蕎麦をぶちまけてやろうか……でも片付けるの俺だからやめておこう。

 

「タカ兄の来年の目標って?」

 

「そうだな……もう少し萩村に近付きたいな」

 

「それって性的な意味で? やっぱりタカ兄はペドなんだね~」

 

「成績の事だよ……」

 

 

 何でもかんでもピンク的な意味に捉えないで貰いたいんだが……

 

「そういうコトミの目標は?」

 

「私は一日一エロ! ちなみに今は十エロくらいね!」

 

「……思春期過ぎるだろ」

 

 

 こうして、今年最後も妹のエロボケを聞かされて終わっていく……来年は少しは真面目になってくれる事を祈ろう……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 初詣に出かける為に、私たち生徒会役員は駅で待ち合わせをしていた。

 

「諸君、今年もよろしくな!」

 

「おめでとー」

 

「あけましておめでとうございます」

 

 

 会長、七条先輩、津田がそれぞれ挨拶をしてきたので、私もそれに返事をした。

 

「そうだ! 家にもう年賀状が届いていたぞ」

 

「早いですね」

 

「アリア、豪華な年賀状をありがとう」

 

「いえいえ」

 

 

 確かに七条先輩の年賀状は豪華だったわね。

 

「萩村、可愛らしい年賀状をありがとう」

 

「うん、可愛かったわね~」

 

「津田、積極的な年賀状だったな」

 

「はい?」

 

 

 津田の年賀状は、いたって普通だったような……でも字は上手かったわね。

 

「新年開けオ○コに落とし玉というメールが……」

 

「俺の年賀状とスパムを一緒にしないで!」

 

 

 こうして、新年初ツッコミが発生した。今年も津田の胃は荒れそうね……

 

「では姫始めに……」

 

「初詣に行くんだろ!」

 

 

 早くも新年二発目のツッコミが炸裂。ボケのペース速いわね……

 

「そういえば七条先輩、晴れ着似合ってますね」

 

「ありがとー。着るの大変だったけどね」

 

「そうなんですか?」

 

 

 七条先輩なら着物も着慣れてそうなんだけどな……やっぱり苦戦したのだろうか。

 

「出島さんに手伝ってもらおうと思ったんだけど、彼女着付けは心得てなかったのよ~」

 

「そうなんですか」

 

「うん。『脱がすのは得意』なんだって~」

 

「……大変というより危機でしたね」

 

 

 同情ツッコミが炸裂。津田のツッコミバリエーションは今年も豊富ね。

 

「思ってたより人多いな」

 

「スズちゃん、逸れないように手を繋ぐ?」

 

「子供扱いしないでください!」

 

「でも逸れると面倒だぞ。この人込みじゃ携帯もあまり役に立たないし」

 

 

 そうね……かといって探し回るのも面倒だし……

 

「津田!」

 

「ん?」

 

 

 私は津田の腕にテールを巻きつけて妥協した。

 

「シュール……」

 

 

 言いたい事は分かる。でも手を繋ぐよりかはこっちの方がマシなのよ……手を繋いだら恋人では無く親子に見られるかもしれないから……

 

「おっと、すいません」

 

「つ、津田君ッ!?」

 

「五十嵐さん、あけましておめでとうございます」

 

 

 津田は冷静に新年の挨拶をしたが、五十嵐先輩は震えている。津田には男性恐怖症以外の理由で触れられない五十嵐先輩、さすがピュアむっつりと影で言われてるだけの事はあるわよね。

 

「では、また学校で」

 

「そ、そうね……」

 

 

 五十嵐先輩と別れて、私たちは集合場所に向かった。

 

「皆は何をお願いしたんだ?」

 

「俺は少しでも皆が普通に過ごせますようにと」

 

「私は皆が健康で過ごせるようにって」

 

「萩村は?」

 

 

 津田が流れで私に聞いてきたけど、私は答える代わりに最高の笑みを見せた。

 

「聞きたい?」

 

「いや、別にいいや……」

 

「そういえばシノちゃん、初夢って見た?」

 

 

 七条先輩が空気が重くなったのを察したのか、話題を変えた。

 

「見たぞ! ……アレ? ど忘れしてしまった……」

 

「ありますね、そういうの」

 

 

 津田が同意して、会長は嬉しそうに続けた。

 

「ここまでは出ているんだが」

 

 

 会長の手がお腹付近から下へと降りていく……普通は喉らへんに手を置くんじゃないのかしらね……

 

「それは何処から出る予定なんだい?」

 

「もちろんし……」

 

「「うわぁー!!」」

 

 

 周りに他の人が居るのにも関わらず、会長は変な事を言いそうになった。なので私と津田が二人掛かりで会長を抑え、そして人気の少ない場所へと移動した。

 

「公の場で何を言うつもりだったんですか、貴女は!」

 

「ゴメンなさい……」

 

 

 砂利道にも関わらず、会長は津田に正座を命じられ座っている。新年早々大変な目に遭ったのは、果して会長なのだろうか? それとも津田なのだろうか? 少なくとも私は津田だと思ってる。

 

「シノちゃん、砂利って刺激的じゃない?」

 

「ちょっと痛いがそれが良い!」

 

「少しは反省しろ! アンタそれでも生徒会長か!!」

 

 

 津田が我慢出来ずに拳骨を振り下ろした。まさか新年一発目の拳骨が元日に炸裂するとは思って無かったわね……津田、今年も私の代わりにツッコミ頑張ってね。




トッキーは如何しようかな……


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さりげない仕草に

再びアレを装着するシノ……そして新刊発売です!


 冬休みも終わり、我々生徒会はますます忙しくなってきた。

 

「最近肩こりが酷くてな」

 

「えっ? シノちゃん肩凝るほど胸あったっけ?」

 

「……デスクワークで凝ってるんだ!」

 

 

 アリアの天然毒に若干のダメージを負いながらも、私は何とか返事をした。

 

「まぁ大変だもんね~。私が、もんであげようか?」

 

「えっ、胸を!?」

 

「肩だよ~。シノちゃんの胸は自分で揉んだら~?」

 

「そ、そうだよな。生徒会室で胸を揉むなど破廉恥な行為は私が許さんからな」

 

 

 津田がジト目で私たちを見ていたが、すぐに作業を再開した。生徒会が何とかなってるのは、津田の功績が大きいだろうな……

 

「じゃあいくよ~」

 

 

 何時の間にか背後に回っていたアリアが、私の肩をもみ始める……これはなかなか。

 

「気持ち良いな。あまりの気持ちよさに、身体が、喘ぎ声を、あげそう、だ……ハァハァ」

 

「本当に出てるよー」

 

 

 津田のツッコミで自分が喘ぎ声を出していた事に気が付く。だが気持ちよくて我慢出来ないな。

 

「そんな時はコレ!」

 

「すぴー」

 

「まだ持ってたのかよ!」

 

 

 二学期にため息防止で使ったものを再び取り出したアリアに、津田がタメ口でのツッコミを入れた。相変わらず津田のタメ口は興奮していかんな。

 

「すぴ~」

 

「アンタも大概にしろよな」

 

 

 さすが津田、私が何て言ったのか理解してるようだ。

 

「おはようございます」

 

「萩村、何処行ってたの?」

 

「ちょっと職員室に。それにしても寒いわね~」

 

「そうだな。確かに寒い」

 

「すぴ~!」

 

「そんな事言われても、寒いものは寒いですよ」

 

「すぴ! すぴすぴ~!」

 

「そんな訳無いでしょ」

 

「ねぇ津田、会長は何て言ってるの?」

 

 

 津田にしか分からないようで、アリアも萩村も頭の上に疑問符が浮かんでいる。

 

「いや、寒いというから寒いんだって」

 

「ん~……エロス、エロス、エロス! ……エッチな気分にはならないね~」

 

「すぴ~~、すぴすぴ!」

 

「いや、自分の意見に自信を持ってくださいよ……」

 

「だから何て言ってるのよ……」

 

「前言を撤回するって」

 

 

 津田が居てくれれば、私はしゃべらなくて良いんじゃないだろうか。

 

「そんなところで楽しようとしないでください」

 

「すぴ!?」

 

 

 さすが津田だな。読心術もバッチリだ。これなら本当にしゃべる必要が無くなるのではないだろうか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌日、職員室に用が出来たので会長と二人で横島先生を訪ねた。もちろん今日はおかしな物を咥えてない。

 

「横島先生……如何かしたんですか?」

 

「ちょっとね……」

 

「風邪ですか?」

 

「そうね……食欲も湧かないし、性欲も湧かないし」

 

 

 何故その二つが同列で? だがあの横島先生がねぇ……

 

「重症だな」

 

「そんな時はお尻にネギを刺すと良いらしいよ~」

 

 

 何処からか現れ、また何処からか持って来たネギを掲げている七条先輩に、珍しい人がツッコミを入れた。

 

「医学的根拠ないでしょ、それ」

 

「本当にマズイな」

 

「すぐに病院に」

 

「あの、俺風邪薬持ってるので、とりあえず気休めにどうぞ」

 

 

 ポケットから薬を取り出し横島先生に手渡す。この人、体調悪いと常識人になるみたいだし、負担が減ると考えればこのままにしておくのが一番だが、なんか調子狂うんだよね。

 

「まさか横島先生がツッコミを入れるとはな」

 

「ビックリしてちょっと漏れちゃったよ~」

 

「それは無い。絶対に無い」

 

「遅れました……如何かしたの?」

 

 

 別行動をしていた萩村が合流してすぐに俺を気遣う。結局負担は減ることが無いんだなと思った瞬間だった。

 

「それじゃあ俺たちはクラブの見回りにいってきます」

 

「あっ、それじゃあコレ園芸部に返してきて」

 

「園芸部のネギだったのかそれ……」

 

 

 七条先輩からネギを受け取り、萩村と二人でクラブの見回りに出かける。

 

「津田、そのネギは何に使ったの?」

 

「ああ、実は……」

 

 

 萩村に事情説明すると、納得したように何度も頷く。萩村も大分耐性が出来てきたな……

 

「確かに今は風邪が流行ってるものね。コトミちゃんに気をつけるように言っておいてね」

 

「大丈夫だろ。アイツが風邪引いたなんて、俺の記憶では無いからな」

 

「そうなの? 健康なのね」

 

 

 いや、如何だろう……何とかは風邪引かないとも言うし……

 

「やっ!」

 

「畑さん」

 

「実は私も風邪引いちゃった」

 

「大丈夫ですか?」

 

 

 畑さんがマスクしてるのを見ると、何となく変な感じがするな……日夜スクープ目指して張り込みなんてしてるから風邪を引いたんだろうか?

 

「でもこれはマスコミの性よね」

 

「マスコミ? 風邪とマスコミって何か関係あるんですか?」

 

「流行りものに弱い!」

 

「……これって上手いのかしら?」

 

「とりあえず、愛想笑いしとこ」

 

 

 畑さんのよく分からないボケに、俺と萩村は揃って愛想笑いを浮かべた。だってそれ以外に反応しようがなかったし、ホントに風邪を引いてるのでさすがに殴って終わらせる事も出来なかったからだ。

 

「あら、津田君……クシュン」

 

「五十嵐さんも風邪ですか?」

 

「違うと思うけど……クシュン」

 

「ちょっと失礼しますね」

 

 

 五十嵐さんのおでこに手をあて、自分との差を測る。ちょっと熱いか?

 

「微熱ってところでしょうか。一応家に帰ったら体温計で熱を測る事をお勧めします」

 

「そ、そうね……」

 

 

 何だかますます赤くなってるような気が……やっぱり風邪が流行ってるのだろうか?

 

「萩村、何で頬を膨らませてるんだ?」

 

「別に、何でもないわよ」

 

「何でもない訳ないだろ。いきなり膨らませたら何かあったって思うのが普通だろ」

 

「じゃあ何かあったんじゃない? 自分で考えてみたら」

 

 

 何で若干怒ってる風なんだろう……俺、何か怒られるような事したかな……

 その後も萩村の機嫌が直ることなく、何となく居心地が悪いままクラブ活動を見回ったのだが、ホントに何をしたんだろう……ぜんぜん思いつかないんだよな……




スズが明らかにカエデに嫉妬してます。


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一般的な恥じらい

映像がほしいと初めて思った回です……


 生徒会の仕事で廊下にポスターを貼らなければいけないのだが、生憎誰も傍を通らなくて困っていた。

 

「横島先生、丁度良かった」

 

「お? 天草、如何かしたか?」

 

 

 タイミングよく横島先生が通りかかってくれたのでこの際贅沢は言わないでおこう。

 

「ポスターを貼るので椅子を押さえててくれますか?」

 

「それくらいなら構わないぞ」

 

 

 この間は風邪を引いていて常識人だったけども、すっかり元の横島先生に戻っている。

 

「よっと」

 

「天草、こういうのは津田の仕事じゃないのか?」

 

「津田は別の仕事をしてます」

 

 

 椅子に上りポスターを貼っていると、横島先生がスカートの中を覗いてきた。

 

「あの、いくら女同士とはいえ覗かないでくれますか?」

 

「ゴメン、汚れてるの?」

 

「一般的な恥じらいです」

 

 

 大体私は学校でパンツを汚した事など無い! ……あっいや、津田に蔑まれて濡らした事はあったかもしれないが……

 

「会長、そろそろ見回りに……何してるのアンタ」

 

 

 タイミングよく別の仕事を終えた津田がやってきて横島先生に蔑みの視線を向けた。そう、あの目で興奮してパンツを濡らしてしまったのだよ。

 

「とりあえず柔道部から行くか」

 

「そうですね」

 

 

 津田が持っていた荷造り用のビニール紐で横島先生を椅子に縛り、そしてその椅子を柱に括りつけて私たちは見回りに行くことにした。

 

「おい、これ如何やって解くんだ? 津田ー! 縛るならちゃんと襲えー!!」

 

 

 背後からよく分からない声が聞こえてきて、津田は頭を押さえていた。

 柔道場に到着すると、津田の頭痛も治まってたようで頭を押さえる事も無くなっていた。

 

「三葉、君は何時も元気だな」

 

「鍛えてますからね」

 

「きっかけがあるのか?」

 

 

 ここまで必死になれるなんて、きっと凄い理由があるんだろうな。

 

「実は、私小さい頃身体が弱くって、それで鍛え始めたんです」

 

「それは凄いな! 人間性感帯も鍛えられるとは!」

 

「?」

 

「あー今のその弱いじゃない」

 

 

 津田にツッコミを入れられてこの会話は終了した。三葉には私たちのボケが通じないから津田が居てくれて助かるな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 昼休み、生徒会室で作業してると萩村と七条先輩がやって来た。如何やら此処で弁当を食べるようだな。

 

「おっ、雷か?」

 

 

 外で稲光が見えたと思ったらもの凄い音がした。随分と大きいな……

 

「津田ッ!」

 

「えっ? 何、如何したの?」

 

 

 急に萩村が抱きついてきて、俺は一瞬状況が飲み込めなかったが、如何やら雷が怖いらしいな……容姿相応というか何というか……

 

「凄い、大きい……」

 

「七条先輩、何かおかしい感じに聞こえるので、その表情やめてもらっても良いですかね?」

 

 

 右手を口にあて、少し赤らんだ頬でそんな事を言うと、よからぬ事を考える男子がいるかもしれないからな……生徒会室は原則関係者以外立ち入り禁止だけども……

 

「津田君は興奮した?」

 

「いえ、別に」

 

 

 作業が残ってるし、この人のエロボケを一々真に受けていたら精神がもたないしな……

 

「ところで萩村、何時までくっついてるんだ?」

 

「もう大丈夫、ありがとう」

 

 

 萩村が腕から離れたので、俺は作業を再開する。会長から今日中に終わらせるように言われたんだけど、これ期限昨日までなんだよな……さては会長忘れてたな。

 

「何だか熱いわね~」

 

「暖房が効いてますからね。温度下げますか?」

 

「でも津田君はこの温度が良いんでしょ?」

 

「そうですね、あんまり寒いと作業出来ませんし、逆に熱いと寝そうになりますしね」

 

「だから大丈夫。脱げば良いだけだから」

 

「ぬっ!?」

 

 

 萩村が過剰に反応を見せたが、俺もこの人が脱ぐとか言うと身構える。

 

「嫌だな~全部脱ぐ訳無いよ!」

 

「ですよね」

 

 

 さすがの七条先輩も学校で脱ぐ訳無いか……

 

「制服は半脱ぎが相場だよ!」

 

「やっぱ駄目だこの人……」

 

 

 しょうがないから無視をする事にした。だって今日中に終わらせなければいけない仕事がまだ残ってるんだから……エロボケに付き合ってる暇は無いのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 休日になり、俺はコトミをつれて萩村の家に来ていた。理由はコトミの家庭教師。俺の胃痛を気にしてくれて萩村が手伝ってくれる事になったのだ。

 

「お願いします!」

 

「ん」

 

「ちなみに、私は褒められると伸びます!」

 

 

 ……そうだっけ? いくら褒めても成績は伸びなかったような気がするんだが……

 

「そして、罵倒されると興奮します!」

 

「どっちもしない」

 

「ゴメン萩村、これがコイツなんだ……無視して良いから」

 

 

 残念な妹を任せるのは心苦しいけど、せっかくの好意を無碍にするのも悪いから連れて来たけど、早速後悔してるよ……

 

「とりあえず数学から行くわよ」

 

「はーい」

 

 

 コトミの勉強を萩村に任せてる間、俺は畑さんに頼まれているエッセイを書く事にした。何で毎月掲載なんだろうな……

 

「――というわけ。分かった?」

 

「はい! 教え方上手ですよね」

 

「そう?」

 

 

 暫く集中していたら萩村の説明を聞いて納得してるコトミの声が聞こえてきた。いかんな、集中すると周りの音が入ってこないんだよな……

 

「ここも教えてください、スズ先輩」

 

「………」

 

「萩村、クリスマスの時も思ったけど、何だか嬉しそうだね」

 

「そ、そんな事ないわよ! 年上っぽいなんて思って無いんだから!」

 

 

 語るに落ちてるよ……そんなに先輩呼びが嬉しいんだろうか……

 

「タカ兄は何してるの?」

 

「新聞部の手伝いでエッセイを書いてるんだ」

 

「ふ~ん……読んで良い?」

 

「まだ途中だぞ?」

 

「息抜きだよ~」

 

 

 時計を見ると勉強を開始してから一時間も経ってない……ホントコトミの集中力は持続しないな……

 

「ふむふむ……タカ兄!」

 

「な、何だよ?」

 

 

 エッセイを読んでいたコトミが、いきなり大声を出した。萩村がビックリしてるじゃないか。

 

「タカ兄ってこんな才能まであるの!? 何で私には何にも才能が無いの!」

 

「いや、俺に言われても……」

 

 

 そもそも俺は文才があるとは思って無かったんだが……連載を始めてから少し自信を持つ事が出来てるけども……

 

「みんな~ご飯食べてってね~」

 

「あっ、スミマセン」

 

「美味しそ~」

 

 

 萩村のお母さんが差し入れを持ってきてくれた。そうか、もう昼時か……

 

「これ美味し~」

 

「お袋の味って感じですね」

 

「でも津田だって料理するんでしょ?」

 

「俺のは普通に作ってるだけだから」

 

「え~でもタカ兄のご飯も美味しいよ?」

 

「でも、やっぱり主婦の方には負けるよ。年季が違うから」

 

「よかった。隠し味で入れた母乳が利いてるのね」

 

「「!?」」

 

「えっ、スズ先輩のお母さん母乳出るんですか?」

 

 

 コトミが変な事に食いついて、結局その後は勉強にならなかった……萩村には悪い事をしたな……今度埋め合わせしとこう。




雷ネタは映像ないしは絵がほしいです……字だけじゃ難しい……


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モテ男のバレンタイン

受験開始にまで行くと中途半端だったので、今回のネタはバレンタインで。


 入試間近と言う事で、生徒会の業務は何時にも増して大変だ。そんな中で暖房で部屋が暖まってるので会長が欠伸をした。

 

「ふわぁ~」

 

 

 それにつられるように、七条先輩と萩村も欠伸をする。みんな眠いんだな……まぁ部屋が温かいのもあるんだろうけども。

 

「欠伸って人に移ってしまうな」

 

「そうですね」

 

「でも津田君はしてなかったよね?」

 

「適度に気を抜いていたからでは? 緊迫した雰囲気で欠伸をされたら移ってたかもですがね」

 

 

 最近会長が俺に仕事を回してくる量が増えてるので、こうして四人で作業する時は怒られない程度に気を抜いてるのだ。だから移らなかったのだと俺は思ってる。

 

「だが君は欠伸を活用するべきでは無いのか?」

 

「如何いう事です?」

 

 

 欠伸を活用って、俺は別に酸素が足りてない訳じゃ無いんですが……

 

「だって、欠伸を利用すればイ○○○オも簡単だろ? 開いたところにズドンと!」

 

「君は何の話をしてるんだい?」

 

 

 欠伸の話をしてたら猥談に変わっていた……まぁ何時もの事か。

 

「そういえばシノちゃん、入試の前にバレンタインだね」

 

「そうだったな。今年はもらう側じゃなくなれば良いんだが……」

 

「去年はシノちゃんが学園トップだったもんね~」

 

「畑め……何処で数を数えたんだ?」

 

 

 あの人はまったく……ジャーナリズムを履き違えてるんじゃないんだろうか。

 

「だけど今年は男子も入学してますし、会長がトップじゃなくなるんじゃないですか?」

 

「でも津田、会長の人気は高いし、それほどモテてる男子って居たっけ?」

 

「………」

 

 

 萩村の冷静な分析に、俺は言葉を無くした……そういえば柳本も他の連中もあまりそう言った話題を出してこなかったような……

 

「畑さんに言って、今年は集計しないように頼みます?」

 

「だが、如何やって調べたかも分からないんだ。止めようがない」

 

「大丈夫ですよ。最悪新聞部を脅せば……」

 

「萩村、怖いから止めてあげて」

 

 

 俺の黒さが移ったのか、萩村が真っ黒な事を言い出した……この間コトミを任せたのが失敗だったのだろうか。

 

「今年もシノちゃんがトップだったら、もうシノちゃん男の子で良いんじゃない? 胸もあまり無いし」

 

「ケンカウッテンノカー!!」

 

「片言!?」

 

 

 何故七条先輩は会長に喧嘩を売るようなことを言うんだろう……普段仲良しなのに、此処らへんが良く分からん。

 

「やっ!」

 

「畑さん」

 

「今月分のエッセイをもらいに来ました」

 

「あれ? 締め切りまだですよね?」

 

「津田君は何時も早めに上げてくれるから、もう出来てると思って」

 

「はぁ……まぁ一応出来てますが」

 

 

 畑さんに完成したエッセイを手渡そうとしたのだが、途中で会長に取られてしまった。毎月ながら何故先に読む……

 

「相変わらず胸打ついい話じゃないか」

 

「感動だよ~」

 

「これだけは津田に勝てないわね」

 

「いや、他の分野で萩村に勝ててないから……」

 

 

 そもそも萩村が本気出したらきっと俺より凄いものを書ける才能はあると思う。凡才は頑張っても天才にはなれないのだから……

 

「これは早めに今月分を仕上げなくては! バレンタイン前に発行するのでこれで!!」

 

「……何が狙いだ、あの人?」

 

 

 何時もは月の中頃過ぎに発行するはずなんだが、今月はまぁ日数少ないし早くても仕方ないのかもな。

 

「シノちゃん、対抗馬が出てきたかもね」

 

「強敵だ……」

 

「?」

 

 

 誰が対抗馬で、何が強敵なのか分からずに、この日は生徒会業務に没頭する事にした。どうせくだらない事だろうしな。

 そしてバレンタインの三日前、新聞部が校内新聞を発行した。最近新聞本来の内容よりエッセイ目当ての人が増えていると聞いたが、果して本当なのだろうか? 畑さんが俺を調子に乗せて何かネタを狙ってる可能性を考えてしまうのは俺が歪んでるから?

 

「津田君、毎月感動をありがとう」

 

「共学したての時は男の子なんてって思ってたけど、津田君が入学してくれてホント良かったわ!」

 

「これが毎月タダで読めるんだからね!」

 

「……まさか学外に販売してるとか?」

 

 

 だとしたらあの人を懲らしめないと。

 

「でも学園から許可出てるってランコが言ってたけど」

 

「………」

 

 

 敵は俺が思ってたより強大だった……学園公認で商売してるとは……

 

「何でも英稜高校が大量に仕入れてるって聞いたけど」

 

「あの人か……」

 

 

 脳内に英稜の生徒会長である魚見さんの姿が浮かぶ。何買ってるんですか貴女は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 エッセイ販売が発覚してから数日、何だか今日は校内がざわついてるような……

 

「おはよう、タカトシ君!」

 

「……誰だお前」

 

 

 目の前に髪の毛をオールバックにし、眼鏡を新調した柳本が立っている。コイツ、何でこんなに気合が入ってるんだ?

 

「おいおい、随分と冷めてるな。今日はバレンタインだぜ?」

 

「だから? 今日気合入れても作ってもらえないだろ?」

 

「ガビーン……そうだった!」

 

 

 バカは放っておいて早く教室に行かないと遅刻扱いにされる。俺は靴居れを開けると中から大量の箱が降ってきた。慌てて避けると、その箱はいじけていた柳本の脳天に次々と落ちていく……痛そうだな。

 

「何だこれは?」

 

「ま、まさかこれは……下駄箱にチョコ!? しかも大量に!?」

 

「やはり津田か! 津田なのか!!」

 

 

 てかお前ら、何処に居たんだよ……

 クラスメイトの男子を引き連れ教室に向かうと、俺の机が酷い事になっていた……

 

「これ全部?」

 

「笑うしかないな、こうなると」

 

「……持って帰れと?」

 

 

 如何頑張っても持って帰れない量なんだが……

 

「大量だね~津田君」

 

「今年のトップは津田だな」

 

「会長? 七条先輩も……何か用事ですか?」

 

「いや、君にチョコを持ってきたんだ。何時も世話になってるからな!」

 

「私も津田君にはお世話になってるからね~」

 

「そんな、俺は大した事してませんよ」

 

「「主に夜!」」

 

「……はい?」

 

 

 夜って何だ? 俺は会長や七条先輩とは学校でしか会ってないんだが……

 

「津田、これあげる」

 

「あっ、どうも」

 

 

 通り過ぎるついでに萩村からもチョコを貰った。そういえばあの大量のチョコ、如何やってお返しすれば良いんだ?

 

「津田君」

 

「あっ、五十嵐さん。何かありました……よね」

 

 

 あの大量のチョコは風紀的にアウトだろ。

 

「こ、これ!」

 

「あ、どうも」

 

「それじゃ!」

 

「五十嵐さん、廊下は走っちゃ駄目ですよ」

 

 

 風紀委員長が校則を破ったらマズイだろ……

 

「何故津田ばかりモテるんだ……」

 

「それは多分、俺たちが物語りに関係無いからだよ」

 

「「「「なるほど、関係無いな、俺たち!」」」」

 

 

 変なところで結束するな! 結局チョコは持って帰れないので、七条先輩に協力してもらい車で運ぶ事になった……当分はチョコ買わなくて良いな……

 

「津田さん」

 

「こんにちは」

 

「魚見さん、それに森さんも」

 

 

 帰り道で英稜の生徒会二人と出合った。丁度良いから説教するか。

 

「魚見さん、ウチの新聞部から大量に新聞を購入してるそうですが、何が目的です?」

 

「もちろん津田さんのエッセイです。我が校にも津田さんのファンは多いんですよ」

 

 

 何て事だ……これ以上胃に負担を掛けたく無いから、来年からエッセイをやめさせてもらおうと思ってたのに……この期待に満ちた眼差しは……俺には無理だ。

 

「それとこれ、英稜高校の女子生徒全員から津田さんにチョコです」

 

「……これを運べと?」

 

「それとは別に、これは私からです」

 

「ついでに私からもあります」

 

 

 ……英稜の女子って、何で大きいチョコ一つで済ませたんだ? 小さいので良いから分けろよ……運べないじゃないか。

 結局チョコは勉強のし過ぎ(コトミ談)で脳が糖分を欲したコトミが大体片付けてくれた。お返し如何しよう……




モテ過ぎだよ……


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コトミの受験

さっきは失礼しました。お詫びではないですが新しい話を更新します


 桜才学園もいよいよ明日から入試が開始する。そのために入試で使われるクラスに対する説明が行われたのだ。

 

「私たちのクラスも、入試で使われますね」

 

「そうですね」

 

「……男子が使うかも知れませんね」

 

「ッ!?」

 

「まぁ、深い意味は無いですよ」

 

「苛めないであげてください」

 

 

 想像しただけで五十嵐さんが固まってしまった……どんな想像したかにもよるが、この人は相変わらずだな……

 

「そういえばコトミちゃんも桜才受験するんだよね?」

 

「ええ。俺と萩村が家庭教師をやって。でも大変ですよ。受験生の前では落ちるとかは縁起が悪いので気をつけないといけませんでしたし」

 

「そうだよね、今が一番大事だもんね……でも可哀想よね」

 

「? 何でですか?」

 

 

 七条先輩が泣き出すほど苛めた覚えは無いんだがな……

 

「だって快楽に落ちる事も出来ないなんて」

 

「泣く所そこなの!?」

 

 

 萩村が驚きながらツッコミを入れたが、俺は無視する事で今のやり取りを無かった事にしたのだった。

 説明も終わり、特にする事も無かったのでそのまま帰宅。家ではコトミが必死になって勉強している。だけど直前にこれだけ焦ってるのはマズイんじゃないだろうか……もう少し余裕をもって受験に挑ませたかったんだが……

 

「タカ兄、これって如何解くの?」

 

「お前……これは前に教えただろうが」

 

 

 やっぱり駄目かも知れないな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 受験当日、タカ兄についてきてもらって私は桜才学園にやって来た。なんだか緊張でドキドキする。

 

「落ち着けば絶対に分かるはずだから、最後まで諦めるなよ」

 

「うん。タカ兄、今凄いドキドキしてる」

 

「程よい緊張感をもって挑めば大丈夫だろ」

 

「この緊縛感がたまらなく興奮するよ~。 ……あっ、緊迫感だった。やっぱり緊張しちゃてるよ」

 

「何時も通りじゃないか」

 

 

 タカ兄に送り出してもらい、私は受験会場へと歩を進めた。えっと私の番号は……あれ? 誰か座ってる?

 

「あの~、そこ私の席じゃ?」

 

「え? あ、ホントだ……一個後ろだった」

 

「……ドジっ子?」

 

 

 なんだか緊張が解けたような気分になったな~。この人には感謝しなきゃ。

 桜才の入試はマークシート。タカ兄とスズ先輩に教わった問題が多く出題されたので、ある程度は埋める事が出来た。それと開始前に緊張が解けたってのも大きな要因だったんだろうな。これなら予定していた穴埋めをする事もなさそうだな~。

 

「(3Pだなんて、マークシートでも恥ずかしいものね)」

 

 

 きっとタカ兄に知られたら殺されるだろうし、お母さんにはお小遣いを減らされるし、お父さんには遊んでもらえなくなるしね。

 

「残り五分、名前の書き忘れがないか確認してください」

 

 

 今時テストの名前を書き忘れるなんてあるのかな? 私の周りではそんな人居なかったけどな。

 

「ッ! ヤベー、忘れてたぜ」

 

 

 やっぱり後ろの彼女はドジっ子なのかな? 一緒に通えるようになったらお友達になりたい感じだな~。

 

「そこまで! 答案を回収し、その後は面接になります。気持ちを落ち着かせて望むように」

 

 

 とりあえずやれるだけはやった。後は面接でどれだけ好印象を与えるかによるね。タカ兄との練習では怒られてばっかだったけども、ありのままの自分で行けば問題ないよね!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 面接官だなんて面倒な仕事、ホントはやりたく無いのよね。だってクソ真面目な答えなんて聞いても面白くないし。

 

「はーい、次の人」

 

『し、失礼します!』

 

 

 誰か面白いやつ来ないかしら……

 

「津田コトミです!」

 

「はいよろしく」

 

 

 『津田』ね……珍しい苗字でも無いし、気にする事も無いかな……でも、何処と無く似てるわよね、纏ってる雰囲気とか。

 

「えっと、我が校を志望した理由は?」

 

「家に近いからです!」

 

「……まぁ、大切よね。家に近いってのは」

 

 

 でもバカ正直にそんな事答えるかしら? なかなか面白い子が来たわね。

 

「得意な科目はありますか?」

 

「保健……保健体育です!」

 

「……まぁ、大事よね。保健体育」

 

 

 普通は主要五教科から答えるだろうに、やっぱりこの子面白いわ。

 

「それでは我が校に入ったら何をしたいですか?」

 

「タカ兄との禁断の恋」

 

「タカ兄? 兄貴が通ってるのか?」

 

「はい! 生徒会副会長の津田タカトシは私の自慢の兄です!」

 

「お前、津田の妹か!」

 

 

 まさかアイツの妹がこんな逸材だったとは! 兄妹そろって楽しませてくれるわね。

 

「先生はタカ兄の事知ってるんですか?」

 

「当たり前だろ! 私は生徒会顧問で、アイツは最高のおかずだぞ!」

 

「えぇ!?」

 

 

 もう一人の面接官が驚きの声を上げたが、そんな事は如何でも良い。普段ソロ活動なんてしないが、誰も捕まらなかった時は津田を使って発散しているのだ。

 

「分かります! タカ兄に蔑みの目を向けられたりとか、殴られたりとかって興奮するんですよね!」

 

「分かるか!」

 

「はい!」

 

 

 よし! この子は私の裁量で合格にしてやろう。まぁ答案の出来次第だけどな!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 コトミを待つ間、俺は外でのんびりしていた。もう寒さもピークを過ぎたのでこうして待ってるのもさほど苦ではない。まぁずっと待ってた訳じゃないんだが……

 

「あれ? 津田先輩じゃないですか」

 

「ん?」

 

 

 声をかけられたけど、正直誰だか分からないんだが……中学の後輩だって事は分かるんだけども……

 

「そっか。コトミも桜才受けたんですね」

 

「あーコトミの友達?」

 

「はい! 先輩の事は中学時代から知ってました。最近ではエッセイを読ませてもらってます」

 

「……何処から入手してるんだ?」

 

「私の姉が英稜なんです」

 

 

 なるほど……そこから入手してるのか。

 

「あれ? タカ兄」

 

「コトミ、アンタやっぱり受けたんだ」

 

「当たり前じゃん! そのために努力してたんだからさ」

 

「それじゃあ、発表の時にまた来ようね」

 

「そうだね。それじゃあ」

 

 

 コトミの友達と別れ、俺はとりあえず考えるのをやめた。まさか中学生にまで読まれてるなんて思わなかったな……

 

「そういえばタカ兄、あの子の事知らないんだっけ?」

 

「制服で中学の後輩だって事は分かったけど」

 

「まぁ仕方ないよね。タカ兄は有名だけどあの子はそうじゃないもんね」

 

 

 そんなに目立つ事した覚えは無いんだがな……

 

「そうそうタカ兄!」

 

「何だ?」

 

「タカ兄に教えてもらった問題が結構出てた。だからちゃんと出来たよ」

 

「そうか……」

 

 

 なら胃の痛い思いをした日々も浮かばれるな……

 

「それから、面接の時話が合いそうな先生が居た」

 

 

 その言葉に、俺は一人の変態教師を思い浮かべた。

 

「多分あの人だ……」

 

「?」

 

 

 コトミとあの人を意気投合させたらマズイ、俺の中でその事が大きくなってきたのだった。合格してほしいけど、あの人と会わせるのはな……




ホントスミマセンでした……


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合格発表

そして新キャラが……


 受験が終わって暫く、朝食を摂ってるとコトミが困ったようにため息を吐いていた。

 

「どうかしたのか?」

 

「最近落ちる夢ばかり見ちゃって……」

 

「それは夢だろ。気にし過ぎだろ」

 

 

 コトミでもそんな事を考えるんだな……お気楽に見えて考えるとこはちゃんと考えてるのか。不安だったけどちゃんと成長してるんだな。

 

「そうだよね! 兄妹で禁断の関係に落ちるなんてありえないよね!」

 

「あれ? 俺たちなんの話してたんだ?」

 

 

 受験の話だと思ってたのに、如何やら違ったようだ……さっきの俺の感動を返せ。と言ってもコトミの夢の話を勝手に俺が勘違いしただけだからな……それにしてもコイツホントにそんな事を思ってるのか? 夢ってのは情報の整理で見るものだからな……何で俺を恋愛対象として見てるんだ?

 

「タカ兄は競争率高そうだからな……そうだタカ兄!」

 

「な、何だよ?」

 

「久しぶりに一緒にお風呂入ろうよ!」

 

「は? 何言ってるのお前」

 

 

 高校入試する歳にもなって異性の兄弟と一緒に風呂だなんて……本気でコイツの頭の中が心配になって来たぞ……

 コトミの事が心配になりながらも、俺たちは登校する事にした。コトミの受験が終わってるとはいえ、今度は俺たちの試験があるからな……前は点数落ちたから元に戻るくらいには頑張らなきゃな……

 

「おはよう津田……」

 

「? どうかしたんですか、会長?」

 

 

 会長の視線を辿ってみると、ズボンのチャックが下がったままだった。

 

「チャック開いてるなら言ってくださいよ。恥ずかしい」

 

「え!? 君なりの露出プレイじゃなかったのか?」

 

「そんな馬鹿な……」

 

 

 そんな事考えるのなんて会長だけ……

 

「アリア、チャック開いてるぞ」

 

「これは、私なりの露出プレイ」

 

「何気に大胆だな」

 

「そんなヴァかな!?」

 

 

 身近に居たんですけど……しかもさっきの話を聞いてたわけでもなさそうなのに、何でそんな思考が出てくるんだろう……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 生徒会の仕事で、津田と物置に来たのだけど、高い場所に荷物があって届かないわね……

 

「あの荷物を取りたいけど届かない……」

 

「台になるようなものも無いしな……」

 

「如何する?」

 

「それなら津田君がスズちゃんを持ち上げれば良いんだよ~」

 

「七条先輩!?」

 

 

 何でこんなところに居るんだろう……

 

「ほら、スズちゃんなら高い高いって感じでおかしく無いでしょ?」

 

「その抱え方はおかしいな」

 

「ゴメン、つい出来心で」

 

「………」

 

 

 私が七条先輩に鋭い視線を向けると、津田が呆れたように頭を押さえていた。

 

「しょうがないか……」

 

 

 そう津田が言うと、凄い跳躍力を見せ荷物を降ろした。あんなに高い場所まで届くなんて、羨ましい身長してるわね……

 

「って! 誰が小さいって!!」

 

「「ッ!?」」

 

「あっ……ゴメンなさい」

 

 

 自分の思考にイライラして大声を出してしまった……恥ずかしいわね……

 

「それじゃあ、私は先に戻ってるね~」

 

「……結局あの人は何しに来たんだ?」

 

「……さぁ?」

 

 

 津田と荷物を運んでいくと、物置に携帯を落したのに気付いて取りに戻る事にした。

 

「えっと……あった!」

 

 

 良かったすぐに見つかって……そういえば七条先輩の携帯も落ちてるような……

 

「届けた方が良いわよね」

 

 

 何しに来たのか分からないけど、携帯がないと困るだろうし……

 

「あれ、七条先輩?」

 

 

 何か考え事をしながら歩いてる七条先輩を見つけた。きっと携帯探してるんだろうな……

 

「あれ? 急に胸が軽くなった」

 

「前見ろー!!」

 

「あっ、スズちゃん。私の携帯知らない?」

 

「それなら見つけました。届けようと思ってたら七条先輩が前から来てこんな事に……」

 

 

 それにしても何て重量感……羨ましいなんて思って無いけど、もう少し成長しても良いような気もしてるのよね……身長もだけど……

 

「だから誰がロリ体型だー!!」

 

「スズちゃん?」

 

「ごめんなさい……」

 

 

 自分の思考が嫌になるわね……ストレスでも溜まってるのかしら? でもストレスの原因なんて……

 

「あ!」

 

 

 思い当たってしまった……津田の妹のコトミちゃん。あの子の面倒を見てからなんだか思考が黒くなってるような気がするのよね……

 

「津田の気持ちが少し分かったわ……」

 

「?」

 

 

 あんな子の面倒を毎日見て、それでいて成績上位に名を連ねるなんて……どれだけ凄いのよアンタは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 いよいよコトミの合否判定が分かる日になった。俺は付き添いで来たんだけど、何で会長たちまで居るんだ? 生徒会の集まりとか無かったよな?

 

「私たちも気になってな。コトミとは一緒に寝泊りした仲だし」

 

「そうだね~。一緒におっぱいをもみ合った仲だもんね~」

 

「「クソゥ!」」

 

「?」

 

 

 会長と萩村の機嫌が急に悪くなったような……でもそこはかとなく地雷臭がするから触れるのは止そう。

 

「それでコトミの受験番号は?」

 

「019だよ!」

 

「19か……」

 

 

 そういってみんなでコトミの番号を探し始めた。

 

「イック」

 

「いくいくいく」

 

「いくー!」

 

「静かにしなさい!」

 

 

 番号まで何てものが当たるんだこの妹は……

 

「津田、アンタの気持ち、今なら少し分かるわよ」

 

「やっぱり? 萩村もコトミの勉強を見てから荒んでたような気がしてたから」

 

 

 今度お詫びに何か奢ろう……

 

「あったー!」

 

「ホントか?」

 

 

 コトミが喜びの声を上げたので、俺も番号を探した。確かに019は合格者の場所に存在する。これであの苦労が報われるな……

 

「夢じゃないですよね!? ちょっとつねってください」

 

 

 そういってコトミが前に出ると、会長がコトミをつねった。

 

「ギュー」

 

「気持ち良い……」

 

「酷い現実だ……」

 

 

 会長は頬では無く乳首をつねり、コトミはそれで快感を感じているような表情を浮かべている……夢だったら嫌だけど、夢だと良いな……

 

「コトミ、アンタ如何だった?」

 

「受かったよ!」

 

「ホント? それじゃあ高校でもよろしくね」

 

「うん! でも良かったね~。これでまたタカ兄と……ムグゥ」

 

「アンタ何言い出すの!」

 

「「「「?」」」」

 

 

 受験当日に会ったコトミの友達、俺の後輩がいきなりコトミの口を塞いだ。そういえば名前聞いてなかったな……

 

「なぁコトミ、その子の名前って何だ? もしかしたら聞いた事あるかも知れないから」

 

「えっとね~……あれ? 何だっけ?」

 

八月一日(ほづみ)だよ! 八月一日マキ!」

 

「ああ! そうだったね」

 

 

 八月一日さんか……珍しい苗字だって騒いでたヤツが居たな……

 

「津田先輩、来年からまた後輩になりますので、よろしくお願いしますね」

 

「ああ。よろしく八月一日さん」

 

「後輩にもモテるのね……」

 

 

 とりあえずコトミが合格したのは夢では無いらしいので、お母さんとお父さんには良い報告が出来るな。




それほど本編に絡みませんが、一応オリキャラ登場。立場的には中里と同じですかね。


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周りからの評価

原作ではムチ打たれてるタカトシですが、ここでは違いますからね


 入試が終わり、私たちの定期試験も終わって生徒会室でくつろいでいると、急に机が揺れ始めた。

 

「地震か!」

 

「机の下に避難を!」

 

 

 それほど大きい揺れではなかったが、万が一って事もあるので私たちは机の下に避難した。

 

「収まったか」

 

「そのようですね」

 

「地震は怖いからな」

 

「それは全員では?」

 

 

 自然災害は如何頑張っても防ぎようは無いし、備えがあったとしても急に襲われたらそれもあまり役に立たないでしょうしね。

 

「子供の頃、鉄棒に跨ってた時に地震に教われてな。あれは食い込んで痛かった……」

 

「待って、なんで跨ってたの?」

 

 

 鉄棒に跨らなければいけない状況が理解出来ない……

 

「シノちゃん、そろそろ見回りに行く時間だよ?」

 

「そうだったな」

 

「……何で二人は机の下に居るんですか?」

 

 

 どうやら津田はさっきの地震には気付いて無いようね……それだけ小さかったという事なのかしら……

 

「って、誰が小さいって!」

 

「何?」

 

「あっ……何でもないわ」

 

「?」

 

 

 最近自分のモノローグにまで反応してしまう……気にしすぎよね。

 

「さて、見回りに出かけるぞ!」

 

「おー!」

 

 

 会長と七条先輩が妙にやる気なのが気になったけども、とりあえず見回りに行きましょう。

 

「ロボット研究会……この間轟さんが申請してきたやつか」

 

「「こんなのあったんだー」」

 

「……会長が認印を押したんですよね?」

 

 

 津田がツッコミをしてくれるので、私は精神を落ち着ける事に集中する。やっぱり津田は精神的支えよね。

 

「あれ、スズちゃん?」

 

「ネネ」

 

「何だ、萩村の友人か?」

 

「はい、轟ネネさんです」

 

「皆さんの噂は聞いてますよ。副会長が会長と書記の人を調教してるって」

 

 

 あれ? 津田ってそんな事してたっけ……

 

「津田君、もっと調教して~」

 

「うむ! 津田に調教されるのは悪く無いからな!」

 

「してねぇからな!」

 

 

 よかった。私の勘違いじゃなかったわね。それにしても、外からはそう見えるのね……多分畑さんが誇張して噂を広めてるんでしょうけども。

 

「ねぇねぇ、これもロボットの部品なの?」

 

「いえ、それは私物です。そもそもこのロボ研を作ったのも、もっと強い刺激がほしかったからでして」

 

「そうなんだ~。いいもの出来たら私にも試させてね?」

 

「はい! 七条先輩は尊敬出来る先輩ですから!」

 

「もしかして貴女も?」

 

「はい! 常に挿れてます!」

 

「……萩村の友達?」

 

「アンタの妹も大概よね……」

 

 

 津田は私とネネの関係を疑い、私は津田とコトミちゃんの血の繋がりを疑った……そして同時に恥ずかしくなり視線を逸らせた。

 

「ところで、貴方が津田君だよね? あのエッセイの作者で学年二位の成績の」

 

「そうだけど……何か?」

 

「体育祭や集会で遠目で見た事はあったけども、やっぱり近くで見ると皆が騒いでるのも分かる気がする」

 

「皆? 騒ぐって?」

 

 

 どうやら津田は自分の人気を自覚してないらしい……いや、あれだけチョコをもらったんだから自覚はしてるんだろうけども、あの中に幾つ本命が混じってたなどには興味が無かったんだろうな。

 

「文武両道でツッコミ上手のドS副会長は凄くカッコいいって!」

 

「ツッコミ上手のドS副会長……」

 

 

 前後に褒め言葉があったのに、津田が反応したのはそこだった……でも確かに津田はドSでツッコミ上手よね……

 

「津田、そろそろ見回りを再開するぞ」

 

「そうですね……」

 

 

 よほど精神的にダメージを負ったのか、その後の津田のツッコミには何時ものキレが無かった……それでも的確にツッコム辺りさすがよね……私も見習わなきゃ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一年最後の試験の結果が貼りだされる日、俺は何となく柳本を見た。コイツは二学期に補習喰らってるし、下手すれば留年するんじゃないかってくらいの酷さだ。まぁ三葉も酷いだけど部活補整があるし……

 

「津田ー結果見に行こうぜ!」

 

「毎回思うんだけど、柳本って見に行く理由あるの?」

 

「何だよ! 奇跡が起こるかもしれないだろ!」

 

「はいはい……テスト終わってすぐに人に泣きついてきたやつが起こす奇跡って、赤点回避だろ?」

 

「進級出来れば良いんだよ! 補習にならなければ問題無い!」

 

「補習になっても面倒は見ないからな!」

 

「そこを何とか、タカトシ様!」

 

「止めろ気持ち悪い」

 

 

 男に縋りつかれて喜ぶ趣味は持ち合わせていない。そもそも自分が悪いから補習になるんだろうが……人に泣きつく暇があるなら少しでも勉強すれば良いのに……他人事じゃないんだけどな……コトミがそうだったし。

 

「毎回凄い人ね」

 

「萩村も結果を見に来たの?」

 

「前回は張り合いが無かったからね。今回は期待してるわよ」

 

「終わってから言わないでよ」

 

 

 確かに二学期末のテストはコトミに勉強を教えてた影響で普段より点数が低かったからな。今回は萩村のトップを脅かすくらいは採れただろうか……

 

「あっ、柳本の名前……」

 

「何!?」

 

 

 人だかりの出来ていない場所に貼りだされた一枚の紙。それは赤点補習者の名前が書かれた紙だった……

 

「ノー!?」

 

「頑張れよ……」

 

「アンタの友達って、馬鹿なの?」

 

「多分そうなんじゃないかな?」

 

 

 補習で見切りをつけられたら留年って事だよな? とりあえず来年も同級生で居られるように祈っておこう。

 

「漸く見えるわね」

 

「上位二十人しか載らないのに、何でこんなに混雑するんだろうね?」

 

 

 此処に名前が載ってないとある事無い事噂を流されるのは生徒会役員だけなのに……だから俺と萩村は毎回確認しにくるんだけどね。

 

「今回も萩村がトップか」

 

「まぁ当然ね。でもアンタも前回より良い点数じゃない」

 

「まぁ心配事が片付いたからね」

 

 

 貼りだされた順位を見て、萩村としみじみ話す。結果はこんな感じだった。

 

 

 一位 萩村スズ 800点

 二位 津田タカトシ 785点

 三位 轟ネネ 733点

 

 

「もうこの三人が不動よねー」

 

「前回は津田君が調子悪かったけど、やっぱり二位だったしねー」

 

 

 同級生たちの話を聞きながら、不動でも構わないけど萩村に勝ってみたいなと思った。ちなみに二年の結果はこんな感じだ。

 

 

 一位 天草シノ 790点

 二位 七条アリア 785点

 三位 五十嵐カエデ 750点

 

 

 こっちは完全に不動だなと思う。でも会長も七条先輩も凄い点数だよな……三位の五十嵐さんがトップでもおかしく無い点数なのに……

 

「津田君、私と点数一緒だね」

 

「言われてみればそうですね」

 

「頑張った津田君にご褒美あげる。はい!」

 

「? 何ですかこれ?」

 

「私の使用済みタン○ン!」

 

「いらねぇよ!」

 

 

 速攻でゴミ箱に投げ捨て、七条先輩に説教をする。あぁ、こういう事するからドSとか言われるんだろうな……




今回もアリアのジョークが重いぜ……


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生徒会役員共の幼少期

前回入りきらなかったので……


 生徒会室で作業していると、畑さんがやってきた。相変わらず神出鬼没な彼女だが、生徒会室に入ってくる時は必ずノックをするのだ。常識があるのか無いのか分からない人だな……

 

「次回桜才新聞に載せる生徒会役員の幼少期の写真が欲しいので、明日もって来てくれませんかね?」

 

「何故に幼少期……」

 

「私、明日法事で来られないのですが」

 

「じゃあ今撮る?」

 

「先輩だけど張り倒す!!」

 

 

 畑さんに殴りかかりそうになった萩村を抑える。この人やっぱり常識無いな。

 

「それじゃあ萩村さんは明後日でもいいわよ」

 

「フー! 分かりました」

 

 

 威嚇しながらも萩村が返事をする。こっちはこっちでめんどくさいな……

 翌日生徒会室で会長と七条先輩の幼少期の写真を見た。

 

「アリアは小さい頃から可愛かったんだな」

 

「そんな事ないよ~。小さい頃は純粋だったとは思うけどね」

 

「そうなんですか」

 

 

 今自分が純粋じゃないって自覚あったんですね……自覚あるなら改善してもらいたいんですが……

 

「うん! ア○ルセッ○スしたらお尻から子供が生まれてくると思ってたくらいに」

 

「それって純粋なの?」

 

 

 既にこの頃から今の片鱗を見せていたのかと思うと、この表情も純粋な笑顔には見えなくなってしまった……俺が歪んでるのか?

 

「これが津田君の子供の時の写真?」

 

「ええ」

 

「見ても良いか?」

 

「良いですよ」

 

 

 自分だけ見せないなんて失礼な事は出来ないし、別に見られても問題は無いしな。

 

「津田君って、昔からカッコよかったんだね~」

 

「これはモテただろうな」

 

「そんな事無いですよ」

 

「や!」

 

 

 写真を回収しに来たのか、畑さんが扉から顔を覗かせている。今日はノックじゃなくてガラス越しに挨拶なのか……

 

「どの写真を使っていいですか?」

 

「私はどれでも構わんぞ」

 

「私も~」

 

「俺も大丈夫です」

 

「じゃあこれとこれとこれで」

 

 

 畑さんはさっさと写真を選ぶと、そのまま帰っていった。あの人何がしたいんだろう……

 

「でも津田君って昔からコトミちゃんと仲良いんだね~」

 

「何です急に?」

 

「だってほら~裸のコトミちゃんが津田君にくっついてるでしょ?」

 

「子供の頃なんてそんなものですよ」

 

 

 むしろ今は少し兄離れしてくれないかと思ってるんですから……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 法事で休んだけど、既に授業は終わってるので特に問題は無かったわね。

 

「みんな、おはよー」

 

「七条先輩、今日は車なんですね」

 

「珍しく寝坊しちゃってね~」

 

「おはようございます」

 

 

 七条家専属メイドの出島さんが私たちに挨拶してきた。

 

「出島さん、運転も出来たんですね」

 

「これでもゴールドですので」

 

「そうなんですか」

 

「はい。でも、バックで入れるのは苦手なんですよね」

 

「あー多いみたいですよね、そういう人」

 

 

 津田が出島さんと会話してるので、私と七条先輩はそれを見守る。この人のボケも、津田なら何とか処理出来るでしょうしね。

 

「やっぱり生身と車では勝手が違いますからね」

 

「うん違うね。この会話自体が」

 

 

 津田のツッコミのバリエーションはホントに豊富よね……

 

「それではお嬢様、私はこれで。また後でお迎えにあがります」

 

「はーい。お願いね~」

 

 

 出島さんが帰っていくのを、私たちは見送った。それにしても、あの人はホントに優秀なのだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 シノちゃんと一緒に食堂に行くと、そこにはカエデちゃんが居た。

 

「五十嵐も今日は食堂なんだな」

 

「ええ。部活がありますし、お弁当作る時間が無かったもので」

 

「あれ? カエデちゃんキノコ苦手なの?」

 

 

 よく見るとカエデちゃんのお皿には、脇に避けられたキノコが置かれている。

 

「え、えぇ実は……」

 

「そうか、君は男性恐怖症だったもんな」

 

「なら仕方ないよね~」

 

「? 男性恐怖症とキノコ嫌いにどんな関係が?」

 

 

 割と本気で分かってないカエデちゃん。自分の苦手なものなのに、その原因が分かってないなんて駄目だな~。

 

「だってほら、キノコって男性器を想像させるじゃない?」

 

「そんな繋がりは思ってもみませんでしたよ……」

 

「なら今度津田のキノコでも見せてもらうか!」

 

「そんな事認められるわけありません! そもそも津田君に怒られますよ!」

 

「そんな事言って~、カエデちゃんも興味あるんでしょ~?」

 

 

 だって反応があからさまだったし。やっぱり津田君は競争率高いな~。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 畑さんから頼まれた追加のエッセイを今日中に上げなくてはいけなくなった。でも今日言われていきなりってのも厳しいよな……

 

「如何するか……」

 

 

 さすがにすぐネタが出てくるものでも無いし、今日中に上げるって言っても、クオリティーを下げたら怒られるだろうしな……

 

「あの皆さん……気が散るんで見つめるの止めてもらってもいいですかね?」

 

 

 背後から見守ってくれている会長たちに気を取られて集中出来なかったのだ。とりあえず黙って見られてると気が散るんだよな……これで集中出来るかな?

 

「如何する?」

 

「だったらヤンデレ風に見守ろう!」

 

 

 そう言って会長たちが廊下に出て行くと、扉の隙間から覗いてきた。

 

「コワッ! 怖いから止めてください!!」

 

「え~せっかくヤンデレ風に見守ってあげたのに~」

 

「余計に気が散りますよ……」

 

「じゃあ如何すればいいんだ!」

 

「意識してくれなくて良いですよ。普段通りに過ごして下さい」

 

 

 会長たちを宥め、俺はエッセイを書き始める。家ならコトミさえ抑えれば問題無いんだけども、ここだと会長と七条先輩の二人だからな……

 

「や!」

 

「畑、如何した?」

 

「いえ、完成したかなと思いまして」

 

「三十分では無理です……」

 

 

 漸くネタが思いついたばかりなのに、いくらなんでも早すぎるぞ……

 

「では此処で待たせてもらいますね」

 

「急かさないでくださいよ……」

 

 

 畑さんに見守られながら、俺は何とかエッセイを完成させる事が出来た。

 

「では早速エッセイのみの新聞を完成させます」

 

「えっ? 幼少期の写真は?」

 

「あ、それももちろん載せますので」

 

 

 あの人、いったい何が目的なんだ……後日発行された桜才新聞は、一部では高値がつけられたと噂されるくらいの人気だったとか……

 

「津田君、来年度もよろしく!」

 

「アンタ、利益を全て自分の財布に入れてねぇだろうな」

 

 

 新聞の販売は学園公認だから、俺がどうこう出来ないけど、利益を独り占めしてるなら考え物だからな。

 

「ご安心を! 利益の二割は学園に寄付、五割は部費に当ててますので!」

 

「……残りの三割は?」

 

「オホホホホ」

 

「何誤魔化した!」

 

 

 今度徹底的に調べる必要がありそうだな……てか、エッセイと生徒会役員の幼少期の写真が載ってるだけの新聞が売れるんだな……かなり意外だったぞ……




ジッと見られるのもプレッシャー掛かるでしょうに……


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擬似プレイ

そういえばお気に入り登録者数が700人を超えてました


 学年末のテストも終わって、後は終了式まで朝練し放題! みんなで頑張って強くなるんだ!

 

「あれ? ムツミアンタ今日日直じゃなかったけ?」

 

「そういえばそんな事昨日言ってたよね」

 

「そうだった……」

 

 

 せっかく朝練で強くなれるチャンスが増えたのに、何で日直なんて面倒な事しなくちゃいけないんだろう……

 

「あ~あ、私だけ練習時間減っちゃったよ」

 

 

 文句を言いながら職員室に日誌を取りにいく。大体高校生にまでなって日直なんて必要なのかな。

 

「おはよう三葉、今日は俺と日直だな」

 

「うん、頑張ろう!」  

 

 

 練習時間は減っちゃったけども、タカトシ君と一緒に居られる時間が増えたのなら別に良いかな。練習は何時でも出来るもんね。

 

「ところで前から思ってたんだけど、黒板って何で朝から汚いんだ?」

 

「確かに……!」

 

 

 タカトシ君に近付こうと思ったけども、自分の身体がもの凄い汗臭い事に気が付いた。そうだ、朝練の後急いでてシャワー浴びるの忘れてたんだ……

 

「どうかしたのか?」

 

「いや、さっきまで練習でさ……ちょっと汗臭いかもしれないから」

 

「別に気にしないが」

 

 

 そういってタカトシ君は何事も無いかのように黒板掃除を続ける。そういえば前に七条先輩が言ってたっけ。

 

「タカトシ君ってクサフェチってヤツなんだね!」

 

「今度は誰に入れ知恵された……」

 

 

 丁度朝補習を終えた柳本君が教室に入ってきて、気まずそうに視線をさまよわせていた。何かあったのかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 生徒会室で作業していたら横島先生がやって来た。この人は生徒会室に来ても何もしないからな……この前なんか津田の幼少期の写真を見て興奮して鼻血を出してぶっ倒れたからな……わざわざ生徒会室で鼻血を出す理由が私には分からなかった……

 

「この間妹の子が遊びに来てさ。写真撮っちった」

 

「見せてもらえます?」

 

 

 横島先生の携帯に保存されている写真をアリアと見る。これは可愛らしい男の子だな。

 

「アイドル顔ですね」

 

「将来有望だね~」

 

 

 何処と無く幼少期の津田に似ているような気がして、私は無意識に津田に視線を向ける。この子が津田のようになるのか……

 

「な~に言ってるの。食べごろは今でしょ!」

 

「先生とは一度話し合う必要がありそうですね」

 

 

 危険を察知したのか、横島先生は何時もの如く居なくなった。相変わらず逃げ足だけは立派なモノを持ってるな。

 

「時に津田よ。さっきから肩を回したり首を揉んだりしてるが、もしかして固まってるんじゃないか?」

 

「まぁこの前まではコトミの相手で身体に負荷かけすぎてましたからね。今頃になってまとめて疲れが出てきまして」

 

「ストレッチでもしたらどうだ?」

 

 

 津田なら今更な気がするだろうけど、身体が固まった時にはストレッチが非常に有効だ。

 

「これが終わったらしますよ」

 

「そうだな! それに君はストレッチを習慣でやったほうが良いんじゃないか?」

 

「何故です?」

 

「ストレッチを続ければ身体が柔軟になり、いろいろな体位を楽しむ事が出来るだろ!」

 

 

 決まった。これは津田も感動して今すぐストレッチをするに違い無い!

 

「萩村、この書類って期限何時までだっけ?」

 

「えっとね……」

 

「あ、あれ?」

 

 

 私の発言を無かったものとして扱っているのか、津田は萩村と仕事の話を始めてしまった。

 

「萩村、後ろ!」

 

「え? ……あぁ、ごめんなさい七条先輩。携帯にお茶をこぼしてしまって……」

 

 

 津田との話しに集中していたのか、萩村が湯飲み茶碗をひっくり返し中身をアリアの携帯にぶちまけた。

 

「大丈夫だよ。これ防水タイプの携帯だから」

 

 

 萩村を安心させるように、アリアが携帯を開いて壊れてない事をアピールした。だが私や萩村が気になったのは別の箇所だった。

 

「七条先輩、何故待ちうけが津田の幼少期の写真だったんですか?」

 

「そこのところ詳しく説明してくれ」

 

「ん~? この写真が待ち受けになってる携帯をあそこに挿入してバイブ代わりにしてるんだよ! 気分は津田君と合体!!」

 

「なるほどな!」

 

「なるほどな! じゃねぇ!!」

 

 

 津田にツッコまれてアリアも私もビックリする。まさかノリツッコミまでしてくるとは思わなかったのだ。

 

「とりあえず萩村、七条先輩は気にしてないみたいだから良かったな」

 

「そうね……でもあの写真何処で手に入れたのかしら?」

 

「そう言われれば……アリア、白状しろ! それは何処で手に入れたんだ!」

 

「ん~? 畑さんが五万円で待ち受け画面に設定してくれるオプション付きで売ってたんだよ~」

 

「またあの人か! しかも五万ってボッタくりだろうが……」

 

 

 津田はそっちに驚いたようだが、私と萩村は別の箇所が気になった。

 

「それはまだ売ってるのか!?」

 

「如何だろう~。新聞発行と同時にやってたから、もう無いんじゃないかな~?」

 

「そんな!?」

 

「萩村、何でお前まで……」

 

 

 津田の視線が萩村に突き刺さり、萩村はゆっくりと視線を津田から逸らしていくのだった。そうか、萩村も携帯バイブで自家発電を……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 生徒会室でいろいろあったのか、タカトシ君はもの凄く疲れている。やっぱり生徒会って大変なんだな~って思うけども、それほど疲れるくらい仕事が来るって事は信頼されてるんだね!

 

「さてと、そろそろ帰るか」

 

「そうだね。もう外も暗くなってきてるしね」

 

 

 結局今日はあんまり部活出来なかったけども、タカトシ君と一緒にいられたから良いかなって思える。やっぱりタカトシ君と一緒に居ると楽しいしね。

 

「それじゃあ三葉、日誌を職員室に持っていったら家まで送るよ。最近何かと物騒だし、いくら三葉が強いといっても一人で帰らすわけにはいかないからな」

 

「大丈夫だよ! 暴漢があわられても私がタカトシ君を守ってあげるから!」

 

「いや、俺を襲うような物好きはいないだろ……それに守ってもらうほど俺も弱くは無いつもりなんだけど……」

 

 

 なんだかガックリしちゃったけど、何かあったのかな?

 

「津田ー帰ろうぜー!」

 

「お前はまだ補習じゃないのか?」

 

「少しくらいサボっても問題無いだろ」

 

「……来年は妹と同級生になるのか。妹と仲良くしてやってくれよな」

 

「それじゃあタカトシ君。俺は補習だけど気をつけて帰るんだぞ!」

 

 

 もの凄い勢いでピンとした柳本君は、来た道を戻って行った。やっぱりタカトシ君の脅し文句は怖いんだね!




原作二巻が終わりました。次からはサザエさん時空に突入ですね。


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出張! 新聞部

寝れなかった……


 春休みになり、畑さん主催で七条先輩のお宅訪問をする事になった。

 

「有名人のお宅はいけ~ん!」

 

「畑さん、有名人は言い過ぎだよ~」

 

「いえいえ、貴女は有名ですよ。エロい事で」

 

「まぁ!」

 

「うん、納得してしまった俺」

 

 

 別の意味でも有名でしょうけども、七条先輩もなかなかの思春期だからな……しかも冗談が重量級だし……

 

「ところで、何故魚見さんが?」

 

「私も興味がありまして」

 

「ほほう、それで何故そんな重装備で?」

 

「えっ! だって地下ダンジョンとかあるんじゃないんですか!?」

 

「……貴女は七条先輩の家を何だと思ってるんですか」

 

 

 魚見さんの荷物を回収し、脇に置いておく。てか何故今日は森さんがいない……ツッコミが間に合わないじゃないか……

 

「いらっしゃいませ」

 

「ほーリアルメイドとは、さすがは金持ちですね~」

 

 

 出迎えてくれたのは七条家専属メイドの出島さんだ。相変わらず真面目なんだか不真面目なんだか分からない人だな。

 

「とは言っても、メイドになったのは最近なんですけどね」

 

「ほう、ではメイドの前は何をしてたんですか?」

 

 

 畑さんの質問に、出島さんの目が開かれる。

 

「私がご主人様でした!」

 

「あの人の口塞いだ方が良いのでは?」

 

 

 ホントろくな事言い出さないよなこの人……

 

「萩村、ツッコミ代わってよ」

 

「無理ね。ツッコミと文章で人を泣かせる事だけはアンタには勝てないもの。あとは身長もだけど……って! 誰がちっちゃいって!!」

 

「誰も言ってないって……」

 

 

 最近萩村が自分で言って自分で切れるってパターンが多いな……気にしてるのはしょうがないにしても、八つ当たりが過ぎるって……

 

「おや~? この建物はなんですか?」

 

「これは物置だね~」

 

「物置もデカイ……」

 

「お金持ちの物置といえば、財宝がざくざくあるんでしょうね。拝見させてもらえないでしょうか?」

 

「良いよ~」

 

 

 そう言って七条先輩が物置の鍵を開け、扉を開く。

 

「「「「くぱぁ」」」」

 

「まさか六人中四人も言うとは」

 

 

 よかった、コトミつれてこなくて……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 物置を拝見させてもらってるのだけども、なかなか暗いわね……べ、別に怖い訳じゃないけど、逸れたりしたら大変だものね。

 

「津田!」

 

「ん?」

 

 

 普段しっかりしてるけども、万が一と言う事も起こるだろうし、そうなったら探すのとか大変だものね。

 

「逸れないように付いてきなさい!」

 

「……震える君の手」

 

 

 津田を引き連れて物置の奥まで来たけども、良く考えたら私の部屋よりも広いんじゃないのかしら、この物置……

 

「随分と凄いものがありますね~。これなんて本物みたいな刀ですね」

 

「それは本物だよ~。確か数千万円するとか言ってたかな~」

 

 

 七条先輩の言葉で、全員がその刀から離れた。万が一何かあったら弁償が出来ないと全員が思ったのだろうな。

 

「うわぁ!?」

 

「会長?」

 

「はい?」

 

「あっ、いえ魚見さんでは無く……」

 

 

 そういえばこの人も英稜高校の会長だったわね……でもこの場面でそんなボケは求めてなかったわ……

 

「あらら、床が抜けちゃったのね~」

 

「そうらしい。誰か引っ張ってくれ」

 

「あら大変。ところで七条さん、床下には如何やっていくのでしょうか?」

 

「えっとね~……」

 

「助けろ! おい!」

 

 

 会長がじたばたしてるけども、七条先輩も畑さんも特に助けようとはしない。魚見さんは会長の胸を見て何か考えてるし、私じゃ会長を引っ張り上げる事なんて出来ない……

 

「津田」

 

「しょうがないか……会長、ちょっと痛いかもですけど我慢してくださいね」

 

 

 あっという間に津田が会長を引っ張り上げ、この騒動は終了した。やっぱり困った時に頼りになるのは津田なのね……精神的支柱である津田だが、こういった時にも役に立つわね。

 

「あらもったいない。もう少しで会長のパンツを写真に……あっ、ゴメンなさい。怒らないでください」

 

 

 畑さんが欲望を吐きかけて、津田の視線に気付きあっさりと頭を下げた。相変わらず畑さんも津田には弱いのね……

 

「いや~良いもの見させてもらいました」

 

「でも、大分汚れてしまったな」

 

「そんな事もあろうかと、お風呂のしたくは出来ております!」

 

「さっすが出島さん。頼りになるわね~」

 

「そして、皆さんの汚れた服と汚れた下着は私が洗います」

 

「わざわざ分ける必要あったの、それ?」

 

 

 津田のツッコミが入り、出島さんは満足したかのように私たちをお風呂場まで案内してくれた。

 

「迷いました」

 

「「「えぇー!」」」

 

「あらあら」

 

「またかよ……」

 

 

 結局七条先輩に案内してもらって漸く到着した。もちろん津田は別のタイミングで入るのだけども、正直私だけでこの四人をツッコめる自信が無いんだけども……

 

「スズちゃんは津田君と一緒に入りたかったの?」

 

「ち、違います! そんな理由じゃありませんから!」

 

「おや~? 七条さんは別に何も言ってませんでしたが、萩村さんは何を思ったのですかね、詳しくお聞かせ願いませんかね~?」

 

「ヒィ!?」

 

 

 早速私一人では如何しようも無い展開になってしまった……普段から津田に頼りすぎたのかしらね。私のツッコミでは治められないような感じがしてたまらないわね……

 

「それにしてもシノちゃん、お肌つるつるね~」

 

「そうか?」

 

「胸もつるつるですしね」

 

「畑、お前とは一度ゆっくり話し合う必要があるな」

 

 

 正直畑さんも会長を煽ってるとしか思えないんだけどな……会長も一々相手にしてたら疲れるだろうに……

 

「そういえばスズちゃん」

 

「何でしょう?」

 

「ロリ巨乳ってバランス悪いから、目指さない方が良いわよ」

 

「……誰がそんな話をしたんだ」

 

「だって大きくなりたいんでしょ?」

 

「身長の話だー! って、誰が小さいって!!」

 

 

 なかなかカオスな空間が出来上がったが、この空間にツッコミと呼べる人間は存在しない。普段なら私が暴走しても津田が何とかしてくれるのだけども、ここは風呂場だ。異性の津田がこの場に居たらそれはもう問題でしか無い。

 

「桜才の皆さんは仲良しですよね。ちょっと羨ましいです」

 

「この状況を見て羨ましいとか言える貴女もおかしいです!」

 

 

 さっきから無言でお風呂を楽しんでいた魚見さんだけども、この人もなかなかのボケだからな……ホント、何で今日は森さんがいないのよ……

 

「シノちゃん、ここまでがゾーンなんだね」

 

「やかましいわ!」

 

「ではその境界線を一枚……」

 

 

 何故お風呂にまでカメラを持って来てるのよ、貴女は……




森さん不在でタカトシとスズの負担が……


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自然な関係

津田家訪問! 原作より訪問者は多いです


 春休みに入り、私はほぼ毎日のんびりと生活していた。

 

「はぁー長い春休み……素敵」

 

「のんびりと過ごすなとは言わないが、何故毎日俺の部屋の俺のベッドでゴロゴロするんだよ。そんなにこの部屋に居たいなら勉強してもらおうか? 桜才はそれなりの進学校だからな。今からそんなじゃ試験とか如何するつもりだよ」

 

「なんだか受験終わったら緊張の糸切れちゃってさ~。ついでにさっきタン○ンの糸まできれちゃってビックリだったよ~あはは」

 

「笑い事なのか、それ?」

 

 

 タカ兄が私を見つめながら首を傾げる。ヤバイ、あそこに洪水警報が発令されちゃうよ。

 

「ん? 誰か来た」

 

「え? 特にチャイムも……」

 

 

 鳴って無いと言いかけたタイミングで、来客を告げるインターホンが鳴った。相変わらずタカ兄は高スペックだな~。

 

「はい?」

 

「やあ!」

 

「会長、それに七条先輩に萩村も……」

 

「私たちも居ますよ」

 

「魚見さんに森さん……大勢で如何かしたんですか?」

 

 

 玄関には、クリスマスパーティーで一緒だった桜才と英稜の生徒会メンバーが揃っていた。

 

「我々は後輩になるコトミに入学祝をな」

 

「ホントですかー!」

 

 

 まさか先輩たちから入学祝がもらえるなんて思って無かったな~。

 

「参考書」

 

「問題集」

 

「保健体育の教科書」

 

「うわぁん!」

 

「みんなインテリだからな……」

 

 

 タカ兄がしみじみ言った事で思いだしたけど、みんな成績上位者だったんだっけ……

 

「それで、魚見さんと森さんは?」

 

「我々は合格祝いに来ました」

 

「ホントですかー!」

 

 

 桜才の先輩方は真面目な送りもだったけど、英稜の二人ならきっと……

 

「電子辞書です」

 

「私はシャーペンと変え芯、そしてルーズリーフです」

 

「結構高いですよね、これ?」

 

 

 タカ兄が魚見さんが持って来た電子辞書を見ながらつぶやいたけど、何でみんな私に勉強させようとしてるんだよー!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 急な来客でもてなすものも無かったので買い物に出かけた。その間の対応はコトミに任せてきたんだが、大丈夫だろうなアイツ……

 

「津田君?」

 

「あっ、五十嵐さん。如何したんですかこんな所で?」

 

「買出しですけど……津田君も?」

 

「ええ。急な来客がありましてね。ちょっとお菓子とかを」

 

「来客?」

 

「天草さんたちと英稜のお二人ですよねー」

 

「ヒィ!?」

 

「アンタ何処から現れた?」

 

 

 五十嵐さんと会話していたら、音も無く畑さんが現れた。しかも何処から見てたんだこの人?

 

「では私と五十嵐さんも津田さんのお宅訪問としましょうか」

 

「わ、私も?」

 

「えーだって貴女も津田君で……」

 

「何を言うつもりですか貴女は!」

 

 

 五十嵐さんが大慌てで畑さんの口を塞いだけど、何を言いかけたんだあの人……

 

「とりあえず二人も来るんですよね? それじゃあもう少し買っておくか」

 

「私これが食べたいなー」

 

「棒読みでおねだりするな」 

 

 

 畑さんが持って来たお菓子をカゴにいれ、さっさと会計に向かう。

 

「ホントに買ってくれるんですねー」

 

「どうせ他の人も食べるでしょうしね」

 

 

 会計を済ませてさっさと家に戻る事にした。あのメンバーじゃ何を仕出かすか分からないからな……最近萩村もストッパーとして機能してないし……森さん一人じゃ荷が勝ちすぎてるだろうしな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 津田さんが居なくなった途端、この空間はカオスと化した……ツッコミ不在と言うのは恐怖の他無いですね……

 

「私とシノちゃんはね~、乳首こねくり回すのが好き同士って共通点から仲良くなったんだよね~」

 

「ああ! まさか入学初日にこんなにも意気が合う友人が出来るとは思って無かったぞ」

 

「そうなんですか~。でもあんまり弄りすぎると黒くなっちゃいますよ?」

 

「大丈夫よコトミちゃん。それはそれで扇情的だって思うでしょうから」

 

 

 天草さん、七条さん、コトミさんに魚見会長が下ネタトークを繰り広げる中、萩村さんはフランス語の勉強とか言い出してウォークマンで会話を聞こえないようにしてるし……

 

「ただいま……森さん? 如何かしたんですか?」

 

「いえ……私ではあのカオスと化した空間にツッコミを入れられませんので……」

 

「あれ~? 畑さんにカエデちゃんも津田君のお家に来たの?」

 

「偶々会いまして……」

 

「それで爛れた生活をスクープしようかと……」

 

「今後エッセイは一切書きません」

 

「それは困ります! 貴重な収入g……あっいえ、沢山のファンが泣いてしまいます」

 

 

 今収入源って言いかけた? そういえば英稜で大量に購入してますからね……

 

「始めまして、桜才高校新聞部部長の畑ランコです」

 

 

 あっ、誤魔化しに入った……

 

「津田コトミです。四月から後輩になります!」

 

「独自調査の結果、貴女はあの横島先生から一目を置かれてる存在だとか。入学後にインタビューしても良いでしょうか?」

 

「良いですよ」

 

 

 横島先生ってあの生徒会顧問の? 確か体育祭の間中ずっとサボってたとか聞いたような気がするんですよね……

 

「それにしてもタカ兄、私は高校入学前からこんなにも先輩たちと知り合えて嬉しいよ」

 

「そうか。ならしっかりと……」

 

「だって生徒会役員に風紀委員長、そして学園の裏も表も牛耳る新聞部の部長。権力者とコネが出来るなんて思って無かったからさ」

 

 

 随分とハッキリものを言う子なんだな……それに生徒会顧問の先生とも話が合うようだし、普通の新入生よりかは心強いと思うのも無理が無いような気もするわね……

 

「やですねー。私は別に牛耳ってなんてませんよ。ちょっと脅せば大抵の人は言う事を聞いてくれるだけですって……あっ、ゴメンなさい」

 

 

 津田さんに睨まれてるのに気付いたのか、畑さんが大慌てで頭を下げた……実際に牛耳ってるのは津田さんなのではと思ったけど、それを言えばきっと怒られるので黙っておこう。

 

「俺は牛耳ってません」

 

「読心術!? さすがですね」

 

 

 この人はハイスペックだと聞いていたけども、まさかそこまでだとは……私もツッコミに関してはかなり高い評価を受けてますが、津田さんと比べるとまだまだですね。

 

「津田さん」

 

「何でしょうか?」

 

「今度一緒に出かけませんか?」

 

「良いですよ」

 

「では携帯の番号とアドレスを」

 

「「「「「ッ!?」」」」」

 

「あらあら~」

 

「ナチュラルに流れを持っていくとは……これは本命が登場か?」

 

「何なんだいったい?」

 

 

 天草さん、魚見会長、五十嵐さん、萩村さん、コトミちゃんが一斉に私に視線を向け、七条さんが面白そうに笑い畑さんが私にカメラを向けた。いったいなんだったんでしょうか……津田さんと二人で首を傾げるしか出来ませんでした。




ウオミーの電子辞書は懸賞で当たったものです。


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コトミの入学式

春休み短いってツッコミは無しでお願いします……


 春休みというのはそれほど長い訳でもなく、あっという間に新学期となった。

 

「これから我々生徒会は壇上に立ち新入生を迎える訳だが、決して興奮して絶頂などしないようにな!」

 

「どんな注意事項だよ……」

 

「えー駄目なの?」

 

「アンタら最上級生なんだからもっとしっかりした方が良い」

 

 

 相変わらずのツッコミのキレに安心しながら、私たちは体育館へと移動する。これなら今年度も私がツッコミを入れる機会は少なそうね。

 

「誰かツッコミが入学してくれないかな……」

 

「他人任せはよくないよ?」

 

「だったらもう少しボケる回数減らしてもらっていいですかね?」

 

 

 七条先輩の言ってる事はある意味で正しいけども、津田に当てはめるならそれは正しいとは言えない。少しくらいは楽をしたいと思う気持ちは良く分かるものね……

 

「津田、進行役はお前に任せるからな」

 

「会長は?」

 

「私は答辞やらなんやらで忙しいのだ」

 

「そうですか……」

 

 

 津田が少し疑いの目を向けたけども、特にツッコむ事は無く壇上へと到着した。

 

「新入生入場」

 

 

 津田がそう告げると、ゾロゾロと新入生が体育館へと入ってくる。それにしてもみんな私よりもデカイわね……

 

「あっ、コトミちゃんが居たよ」

 

「去年は自分があそこに居たと思うと、時間って早く流れてるんですね」

 

「そんな事無いだろ。数字で表せば途方も無いぞ。何せ365回もイッた事になるんだからな!」

 

「……何の話してるの?」

 

 

 津田のツッコミで変な空気になりかけたこの場所も、津田がそのまま進行していったのでおかしな空気にはならなかった。

 

「在校生答辞。在校生代表天草シノ」

 

「はい」

 

 

 良いなー会長。津田に呼び捨てにされて。

 

「変な事考えてるな、あの表情は……」

 

「そうなの?」

 

「傍から見たら緊張してる風に見えるのが性質が悪いよな、あの人」

 

 

 私から見れば緊張してるのかと思ったけど、津田には会長の表情の違いが分かるのね……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 入学式も終わり、HRで顔合わせをして放課後になった。私はタカ兄を探す為に二年のフロアに行こうとしたんだけど、途中で見知った顔を見つけたので声をかける事にした。

 

「スズせんぱーい」

 

「………」

 

「あれ? 聞こえて無いのかな。スズ先輩!」

 

「……え? ゴメン、聞こえなかったわ」

 

「もーう。結構大きな声で呼んだんですよ? あっ、タカ兄」

 

 

 スズ先輩とおしゃべりしてたらタカ兄がこっちを見ていた。何かスズ先輩に視線を向けてたけど、やっぱりタカ兄ってペドなのかな?

 

「萩村、今日は生徒会の業務も無いからって会長からメールが着てた。このまま解散だって」

 

「そう、じゃあアンタたちも家に帰るの?」

 

「いや、俺は昼食の買出しに行かないといけないから」

 

「我が腹を満たすのもソチの勤めじゃ」

 

「……今日は何のキャラだよ」

 

 

 タカ兄が呆れながらツッコミを入れてくれたタイミングで、後ろから声をかけられた。

 

「コトミー一緒に帰ろうよ」

 

「あっマキ。うん良いよ、でもタカ兄は……ムグゥ!?」

 

 

 一緒じゃないと言いかけたら口を塞がれた。相変わらずタカ兄には気持ちを伝えてないんだね。

 

「八月一日さん。高校でも妹をよろしく」

 

「は、はい! 此方こそコトミちゃんとは仲良くさせていただきます。それでは」

 

「えーもうちょっと話せば良いのに~」

 

「良いから行くわよ!」

 

「じゃあね、タカ兄」

 

 

 マキに引き摺られながら下駄箱までやって来た。

 

「良いの? せっかくまたタカ兄の後輩になれたのにさー」

 

「良いの! こうやって話せるだけで十分なんだから」

 

「純情少女だねー。私なんかタカ兄で毎日してるのにさー」

 

「アンタは変態少女だ!」

 

 

 マキと話していると、同じクラスの子が何か困ってるように突っ立て居た。

 

「如何かしたの?」

 

「あ? 靴のサイズが合わねぇんだよ」

 

「それ、左右逆……」

 

「……あ」

 

 

 あれ? このドジっ娘は……

 

「もしかして受験の時に私の席に座ってた」

 

「お前はあの時の」

 

「一緒のクラスだったんだねー。私は津田コトミ」

 

「私は時……」

 

「トッキーだね!」

 

「最後まで聞け!」

 

「え? 何トッキー」

 

「……もう良いや」

 

 

 こうしてトッキーとも自己紹介を済ませて一緒に帰る事にした。

 

「津田って人の話し聞かないのか?」

 

「まぁ、コトミはいろいろとね……」

 

「あー! マキとトッキーだけで話してるなんてズルイ! 私も交ぜてー!」

 

 

 こうして駅まで三人で楽しくおしゃべりしながら帰った。トッキーも今度タカ兄に紹介しなきゃ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 学校でのタカ兄の動向を探ろうとして一日見張ってたけど、かなりの数の女性から声をかけられていた。

 

「タカ兄ってモテるんだね。この学校には私のお義姉さん候補がいっぱい居るねー」

 

「何の話だよ。いきなり生徒会室にやってきて」

 

「駄目だなー津田君は。つまりコトミちゃんが言いたいのはねー」

 

「何です?」

 

「竿姉妹って事だよ!」

 

「ん? 竿姉妹って事はコトミも津田の事を……」

 

「いやですね~。まだ経験はありませんよ~」

 

 

 何時かはと思ってるけども、タカ兄ってガード固いし、寝静まった時を狙ってもその日に限って起きてたりするからなー。

 

「それにしても竿姉妹かー、そんな間柄って憧れるよねー」

 

「そうだな。何時かは出来ると良いな! 竿姉妹」

 

「そうですねー」

 

「「「あははははは」」」

 

 

 会長と七条先輩と笑いあってると、背後からもの凄い怒気が放たれているのに気がつき、私たちはゆっくりと振り返った。

 

「さーて、誰から説教してやろうか」

 

「え? 何で怒ってるのタカ兄?」

 

「とりあえず落ち着け! な?」

 

「そうだよ~。そんなに怒ってると血管が切れちゃうよ~?」

 

 

 何とか宥めようと努力はしたが、タカ兄の怒りは鎮まる事は無くそのまま一時間お説教された……正座で。しかも一発拳骨も喰らわされた。

 

「この痛み、快感に変わるんだよな~」

 

「分かるよ~。私ももうビチャビチャだし」

 

「先輩方もタカ兄の拳骨の虜になってますね~」

 

 

 小声で話していたのだけど、タカ兄にはバレバレだった。もう一撃拳骨を振り下ろされ、私たちは揃って意識を失ったのだった……次に気がついたのは自分の部屋。

 

「まさか! 瞬間移動を会得したとでも言うのか!?」

 

「俺が運んできたんだ! いい加減門を閉めないといけなかったからな」

 

 

 何だ、タカ兄が運んでくれただけか……

 

「天草会長と七条先輩は?」

 

「出島さんに運んでもらった。さすがに三人は無理」

 

 

 タカ兄は疲れた顔で私を見つめ、深くため息を吐いて部屋に戻って行った。あんなに深くため息吐かなくてもいいじゃないか……でも興奮したー!




次回は彼女の説明とタカトシのクラスメイトですかね……


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勧誘合戦

タカトシとしてはツッコミが欲しかったでしょうね。


 進級に伴い、クラスも一新されたんだけど何だか知り合いが多い気がするんだよな……

 

「おはよう津田」

 

「おはよう萩村。今年はクラスも一緒だな」

 

「そうね。これで私の気の休まる時間が増えるわね」

 

「少しは手伝ってよ……」

 

 

 最近の萩村は全然ツッコミを手伝ってくれないからな……

 

「よっ、津田」

 

「進級出来たんだな」

 

「当たり前だろ! この俺の天才的な頭脳を持ってすれば補習くらい……」

 

「天才的な頭脳を持ってるなら、そもそも補習になんてなるなよな」

 

「ボケは最後まで聞け!」

 

 

 だって面倒だろ? 分かりきったボケほど聞くに堪えないものは無いからな……

 

「タカトシ君、おはよー!」

 

「今年は津田君と一緒のクラスだね」

 

「三葉に中里さんか。おはよう」

 

「スズちゃん、おはよう」

 

「ネネ、おはよう」

 

 

 それにしても新しいクラスは知り合いが多いな……

 

「あれ? 地震じゃない!?」

 

「えっ? 別に揺れてないけど?」

 

 

 確かに揺れは感じなかったけどな……もしかして轟さんだけが気付いた揺れだったのかな?

 

「あっ! この震動は別の場所からだった」

 

「………」

 

「今後ツッコミの機会が増えてしまうのか……」

 

 

 そういえば轟さんは七条先輩と同類だって言ってたっけ……つまりはそういう事だよな。

 

「おらー席に着けー」

 

「横島先生かー」

 

「横島先生ねー」

 

 

 担任である横島先生が登場し、俺と萩村は残念なものを見るめで横島先生に視線を向けた。

 

「何だ二人共その目は……興奮するだろ」

 

「ホント駄目だこの人……」

 

 

 何か作為的な気がするんだがこのクラス分け……横島先生と轟さんは混ぜるな危険扱いじゃないのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 校門から昇降口までの間では、新入生を迎え入れようと様々な部活動が勧誘合戦をしている。

 

「ねぇトッキー、マキ」

 

「何だ?」

 

「如何したの?」

 

「部活入る?」

 

 

 正直私はさっさと帰ってゲームとかして遊びたいんだよね~。

 

「ダルイから入らねぇよ」

 

「私も。あんまり運動得意じゃないし」

 

「そっかー。あっ、タカ兄!」

 

「ん? コトミか。今帰りか?」

 

「うん! あっ、生徒会は新メンバーとか募集してないの? 私頑張るよー?」

 

「いや、お前は入っても駄目だろ……書類整理とか計算とか苦手だろ?」

 

 

 タカ兄が傍に居るだけで、マキは大人しくなる……というか緊張で話せなくなるんだけどね。

 

「そうだ! マキが入れば良いんじゃない?」

 

「ハァ!? アンタいきなり何を言い出すんだよ!」

 

「だってマキなら成績優秀でしょ?」

 

「中学の時の話しなんて持ち出すな! 桜才では真ん中付近に居られれば良い方だよ!」

 

「そなの?」

 

「そだよ!」

 

 

 マキで真ん中付近って事は、私はどの辺なんだろう? 補習スレスレくらいかな?

 

「もう少し高みを目指そうぜ……」

 

「わぁお! 読心術ツッコミ。さっすがタカ兄!」

 

 

 タカ兄のツッコミスペックの高さは我が兄ながら自慢出来る一つだ。他にもハイスペックなんだけど、ツッコミに関しては日本でも上から数えた方が早いんじゃないかって思えるくらいのレベルだもんな~。昔から鍛えてきた甲斐があるよ、ホントに。

 

「お前がボケなきゃ俺はもう少し平和に過ごせてただろうな……」

 

「平和なんてつまらないじゃん! 人生は波乱万丈が楽しいんだよ!」

 

「くだらん……」

 

 

 タカ兄が呆れてしまったけども、まぁしょうがないよね。最近はタカ兄が相手してくれる時間が減っちゃってるし……

 

「それと生徒会は特に募集はしてないからな」

 

「そうなんだ~。やっぱり優秀な人材が揃ってるから?」

 

「いや、これ以上ボケが増えられると困るから……」

 

 

 何だか切実な願いを聞かされた気がするよ……でもタカ兄ならもう一人や二人くらいなら何とかなりそうなんだけどな~。

 

「話しは聞かせてもらった!」

 

「シノ会長!」

 

「我々生徒会は半端な気持ちでは勤まらないからな! 本気でやる気がある人間を求める為に募集はしないのだ!」

 

「なるほど! カッコいいですね!」

 

 

 やりたいなら自分で来いって事なんだな。何だかシノ会長が輝いて見えるよー。

 

「でも俺半端な気持ちで入れさせられたんですけど?」

 

「……あの時は人手不足だったし、君なら出来ると思ったからでだな……」

 

「言い訳カッコ悪いです」

 

 

 タカ兄に蔑みの目を向けられたシノ会長が、何だかクネクネと動き出した。あの動きはきっとタカ兄に蔑まれて興奮してるんだろうな~。良いな~シノ会長。

 

「そうだ」

 

「ん、如何したの?」

 

「今日生徒会の仕事で帰りが遅くなるから、昼飯はテキトーに済ませてくれ」

 

「えー! 今日はタカ兄が作ってくれる日でしょー!」

 

「……昨日も俺が作ったんだが?」

 

 

 本当なら交代で家事をしなければ行けないんだけども、私はお母さんから家事禁止令を出されちゃったからなー。食材の無駄遣いを怒られて、あれ以来キッチンに立つ事は禁じられてるのだ。

 

「帰ってから何処かに食べに行けばいいだろ?」

 

「もうお小遣い残って無いもん!」

 

「……まだ月替わったばっかだぞ?」

 

「そもそも今月分、まだもらってないし」

 

「そうだっけか?」

 

 

 タカ兄が記憶を探ってるけども、実は既に使い切っちゃったんだよね~。今月は新作が多くて大変だったよ~。

 

「じゃあこれで昼飯は何とかしろ」

 

 

 タカ兄からお金を受け取り、私は待たせていたマキとトッキーと一緒に帰る事にした。

 

「アンタ、津田先輩騙して後で如何なっても知らないからね」

 

「大丈夫だって! タカ兄は今度からバイトするらしいから」

 

「それって留学資金貯めるためって言ってなかった? アンタの小遣いを増やす為じゃないでしょ」

 

「てか、お前兄貴居たんだな」

 

「そっか。トッキーはタカ兄の事知らないんだっけ?」

 

「ああ」

 

 

 同じ中学だったマキは知ってるから、トッキーに説明するの忘れてたよ。

 

「今度紹介するね」

 

「面倒だから別にかまわねぇ」

 

「ねぇトッキー」

 

「何だ?」

 

「鞄の口開いてるよ?」

 

 

 さっきから中身がこぼれそうになってるし……

 

「てか八月一日はコトミの兄貴の事知ってるのか?」

 

「同じ中学だったし、部活の先輩だし」

 

「何部?」

 

「サッカー部だよ。マキはタカ兄目当てでマネージャーやってたんだから」

 

「余計なこと言うなー!」

 

 

 ホントマキは純情少女だなー。タカ兄が好きだってみんな知ってたのに、結局告白せずにタカ兄は卒業しちゃったし。

 

「まぁマキがタカ兄と結婚したらお義姉ちゃんって呼ぶのかー違和感ハンパないね」

 

「け、結婚!?」

 

 

 あっ、マキはこの手の話し駄目だったんだっけ……もの凄いスピードで走っていってしまった……

 

「スゲェな、アイツ……陸上部から誘いが来るんじゃねぇか?」

 

「でも部活はやらないんじゃない? タカ兄居ないし」

 

 

 それに、私と遊ぶ時間も無くなっちゃうしね。さて、お昼は何を食べようかなー。




マキが一途過ぎる……


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コトミにインタビュー

場所は相変わらずです


 生徒会の仕事が一段落し、会長と廊下を歩いていたら急に肩を回し始めた。

 

「最近身体が鈍ってるな。少し動かしたい」

 

「会長はアウトドア派ですか?」

 

「まぁ運動は好きだな」

 

 

 意外だな……てっきりインドアだと思ってた会長だが、運動は好きだったんだな。

 

「ちなみにどんな運動が好きなんですか?」

 

 

 陸上競技や球技以外にもあるだろうし、会長は何をやってもある程度の成績は残せるだけのポテンシャルはあるだろうしな。

 

「ピストン運動」

 

「全てがおかしい」

 

 

 何故よりにもよってそれをチョイスしたんだろうか……

 

「そういえば生徒会室の時計が調子悪かったんだったな。ロボ研に持っていって修理してもらおう」

 

「そうですね……」

 

 

 あの会話からよく時計の事思い出したな……連想するには程遠い内容だったと思うんだが。

 

「轟、居るか?」

 

「はい? あっ、会長」

 

「萩村。お前も入部してたのか?」

 

「いえ、ちょっと遊びに来てただけです」

 

 

 ロボ研の部室を訪ねたら萩村が出てきたのでこのような会話が繰り広げられた。そういえば萩村は轟さんと仲が良かったんだっけ。

 

「それで会長、何か御用でしょうか?」

 

「あぁ、生徒会室の時計の調子が悪くてな。直してもらえないかと思って」

 

「じゃあ見せてください」

 

 

 轟さんが時計を診断してる間俺はロボ研の部室を見渡した。この前の勧誘で部員増したらしいから正式な部活になったんだよな。

 

「はい、直りましたよ」

 

「おぉ! 早いな」

 

「轟さんって機械弄り好きなんだね」

 

「えへへ、相思相愛かな」

 

「はっ?」

 

 

 何故その言葉がこの会話で出てくるんだろう……

 

「私も良く機械に弄ってもらってるから」

 

「なんて屈託の無い笑顔」

 

 

 ツッコミたかったけどあの表情で言われたらしょうがないと思ってしまうのは何故なんだろうか……

 

「では津田、この時計を生徒会室まで持って行ってくれ。私は見回りに行くから」

 

「分かりました。萩村は如何する?」

 

「私も生徒会室に行くわ」

 

「そっか。じゃあ一緒に行こう」

 

 

 萩村と二人で生徒会室に向かう途中で、後輩から挨拶をされた。向こうは俺の事知ってるようだったけど、中学の後輩だったっけ? それともコトミの新しい友達?

 そんな事を考えながら生徒会室に入ると、七条先輩が突っ立っていた。

 

「如何かしたんですか?」

 

「畑さんとコトミちゃんが……」

 

「ん? 何で居るのアンタら」

 

 

 七条先輩の席と俺の席に畑さんとコトミが座っていた。ホントなんで居るの?

 

「新世代の思春期娘にして津田副会長の妹さんに独占インタビューをと思いまして」

 

「それ生徒会室でやる意味無いよね?」

 

「まぁまぁタカ兄。細かい事は気にしないのが良いよ!」

 

「全然細かく無いだろ……大体お前は」

 

「津田君? 小言ばっかり言ってると年寄りくさいわよ?」

 

「七条先輩まで……」

 

 

 大体生徒会の仕事は一段落しただけでまだ終わってないんだが……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 タカ兄が静かになったところで、畑先輩のインタビューが始まった。何だかドキドキしてパンツが濡れそうだよー。

 

「聞くところによると、兄妹の仲はよろしいようですね」

 

「そうですね。昔は何をするにも一緒でしたから」

 

「なるほど……何時も一緒だったのですね」

 

「幅広く受け止めすぎだろぃ」

 

 

 タカ兄が畑先輩のメモを覗きこんでそのメモを回収した。何が書かれてるのか気になって私も見てみると、お風呂やトイレ、それにオ○ニーと書かれていた。

 

「駄目ですよ畑先輩。タカ兄は最高のおかずですが、目の前で絶頂を迎えるのはさすがに恥ずかしいですって」

 

「なるほど……津田副会長はオ○ペット」

 

「他の人だってタカ兄で慰めてる人は居るはずですよね? 面接の時に先生がそんな事を言ってましたし」

 

「横島先生ですよね? あの人は別にスクープにならないので」

 

 

 まだ詳しく調べた訳じゃないけど、タカ兄を好きな人はかなりこの学園に居ると思うんだけどな。少なくとも会長や七条先輩、スズ先輩はタカ兄の事好きだろうし。英稜の魚見会長や森さんもタカ兄の事意識してるようだったしね。

 

「でも私もタカ兄さんの事を理解してますよ」

 

「そうなんですか?」

 

「はい。彼は七条さんと話す時、十回中八回は胸を見ています」

 

「それじゃあ私だって……タカ兄は右の乳首より左の方が感度良いですよ!」

 

 

 とっておきの情報だったけども、私以上にタカ兄の事を理解してる人なんていないんだという事を証明する為には仕方なかったんだ。でもこれで私がタカ兄の一番だって証明……あれ?

 

「タカ兄。何でそんな怖い顔してるの?」

 

「理由はお前たちが一番理解してるんじゃないのか? よくもまぁ無い事でそれだけ盛り上がれるな貴様らは」

 

「えっと……慈悲は?」

 

「ある訳無いでしょうが」

 

 

 目の前で畑先輩が粛清され、タカ兄がゆっくりと私に視線をズラした。普段ならタカ兄に見られるだけで興奮するのに、今は何故か興奮せずに震えている……あの威圧感は人間のものでは無いな。

 

「貴様、人間では無いな」

 

「厨二禁止!」

 

「クッ、この威圧感はやはり……」

 

 

 そのまま私も粛清され意識を失った。我が兄ながら素晴らしい拳骨だ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 津田君が二人を粛清してるのを見ながら、私はさっき畑さんが言ってた事が気になっていた。津田君は私の胸に興味があるのかな?

 

「七条先輩、津田を見て何を考えてるんですか?」

 

「さっきの畑さんの言ってた事が本当なら、生で見せてあげたいなーって」

 

「不純異性交遊に当たりますので止めてください」

 

「でも、校内じゃなければ良いんでしょ? 私の部屋とかなら津田君に見せても校内恋愛にはならないよー」

 

「それは……」

 

 

 スズちゃんを論破したところで後は津田君の気持ちよね。もし本当なら今すぐにでも出島さんに電話して迎えに来てもらわなきゃ。

 

「津田君」

 

「はい? 何かありましたか?」

 

 

 まぁあったと言えばあったよね。目の前で二人が意識を失って倒れてるんだから。でもそんな瑣末事は置いておいてっと。

 

「さっき畑さんが言ってた事なんだけど、津田君は興味あるの?」

 

「は?」

 

「だから、私の胸に興味があるのかなーって」

 

 

 津田君の返事次第では、私の身体は綺麗じゃなくなっちゃうのかしら。そのまま純潔を散らして津田君に物にされちゃうのかな?

 

「さっきも言いましたがあの人の妄言です。そんな事より仕事しますよ、仕事。まだ大量に残ってるんですらか」

 

 

 あっさりと流されてしまったけども、ちょっと安心したのは何で何だろう。まだ私には覚悟が足りないって事なのかな?

 

「スマン、遅れた……? 畑とコトミは何故床で寝てるのだ?」

 

 

 シノちゃんが見回りから戻ってきて二人の姿を確認して驚いたけども、その後は普通に生徒会業務をこなして下校時間になった。二人は最後まで意識を取り戻す事は無かったんだけどね。




こんな妹は嫌だ……


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バイト初日

後半頑張った……


 柔道部に呼ばれて俺と萩村は武道場に向かう事になった。ちなみに会長と七条先輩も来るらしいのだ。

 

「でも何で呼ばれたんだろう?」

 

「何でも決意表明するから見届けて欲しいらしいわよ」

 

「そうなんだ……」

 

 

 三葉の事だから俺たちに聞かせる事で怠けられなくなる状況を作り出すつもりなんだろうな。そんな事を考えながら歩いていると、一年生の視線が萩村に向けられているのに気がついた。恐らくは萩村の容姿から年上だとは思えないのを何とかして納得してるんだろうな……日本に飛び級制度は無いぞ。

 

「どうかしたの?」

 

「いや、萩村は模試受けるの?」

 

「全国模試?」

 

「うん」

 

 

 大学受験なんてまだまだ先だと思ってたけど、二年になるとそういった事も考えなければいけなくなるのだ。

 

「無料で受けられるらしいし一応は受けようかと思ってるけど、津田は如何するの?」

 

「萩村が受けるなら俺も受けようかな。その前にバイトの面接があるけどね」

 

「何処でバイトするの?」

 

「とりあえずは接客業をしようと思ってる。就職しても営業とかだろうから対人スキルでも身につけようかなって」

 

 

 社会勉強には丁度良いだろうし、コトミのバカ話に付き合うよりかはよっぽど有意義な時間の使い方だと思うのだ。

 

「私もバイトしようかな」

 

「萩村も? でもウチと違って萩村の家は一人っ子だし共働きって訳でも無いだろ? 留学資金捻出も俺よりかは楽だろ?」

 

「それでも頼りっぱなしってのもね」

 

 

 萩村といろいろ話していたら武道場へと到着した。萩村もやっぱり考えてるんだな。

 

「遅かったな」

 

「スズちゃんと津田君が二人で何処かに行っちゃったのかと思ってたよ~」

 

「すみません、ちょっと話しながら来たもので。それで三葉、決意表明って?」

 

「このたび我が柔道部は部員も増えまして、本格的に全国制覇を目指そうと思ってるの。だから此処で生徒会の皆さんにも私たちの決意を知ってもらおうと思ってね」

 

 

 まぁ意気込むのは良いけど、全国制覇って随分と大きな目標だな……

 

「言うだけなら誰にも出来る。だが三葉なら達成出来ると私も思うぞ! 頑張れよ」

 

「はい! ありがとうございます!」

 

「じゃあ少し見学してから我々は生徒会室へと戻る事にしよう」

 

「そうだね~」

 

 

 こうして三葉の決意表明とやらは終わり、俺たちは武道場の隅で正座して練習を見学する事になった。

 

「ねぇ、これって私たちにしなくても良かったんじゃ無い?」

 

「気にしたら負けだよ……」

 

 

 俺も思ったけど口にしなかったんだから……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 二十分ほど見学して、我々はそろそろお暇する事にした。だが……

 

「ふぉぉ!?」

 

「会長? どうかしましたか?」

 

「足が、性感帯の様に……」

 

「痺れたって言いなさい」

 

 

 津田がツッコンでから私に手を差し伸べてくれた。こう言ったことを自然に出来るから津田はモテるんだろうな。

 

「? 俺の顔に何かついてますか?」

 

「別に何でもない!」

 

「? 何なんです?」

 

 

 津田が不思議そうに首を傾げたが、すぐに興味を失ったのかスタスタと先に行ってしまった。残された私とアリアと萩村は追いかけるのが普通だったんだろうが、アリアと萩村がつまらなそうに頬を膨らまして私を見ていた。

 

「何だいったい」

 

「シノちゃん、津田君に見蕩れてたでしょ」

 

「そもそも足痺れてませんよね?」

 

「ッ!? 何の事だ?」

 

 

 津田に心配してもらいたくて演技したのがバレたのか? それともこれが世に言う女の勘というヤツなのだろうか。

 結局アリアと萩村に冷たい視線を向けられながら生徒会室に戻り、その光景を見た津田が再び首を傾げる事になったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今日はバイトの面接という事で近所のファストフード店に来ている。あまり利用した事は無いが家から近く行き帰りに運動がてら走れそうなのもこの店を選んだ一つだ。

 

「えっと君が今日面接の……」

 

「津田タカトシです、よろしくお願いします」

 

「はいよろしく。早速だけど今からシフトって入れる?」

 

「はい?」

 

 

 これってアルバイトの面接なのか? いきなりシフトに入れと言われても……まぁ用事は無いんだが。

 

「実はかなりの人手不足でね。さっき面接した子も今日出てもらってるんだよ」

 

「そうなんですか……大丈夫ですけど、戦力として期待されても応えられるか如何か……」

 

「大丈夫、人手不足だけど今居るクルーは経験豊富だから」

 

「そうですか。じゃあ大丈夫です」

 

 

 先輩がしっかりしてるなら大丈夫だろうし、見たところそれほど忙しいって感じはしないしな。

 

「じゃあ早速頼むよ。えっとサイズはLで大丈夫だよね?」

 

「はい」

 

 

 制服を渡され早速着替えて店に出る事になった。店長に連れられて先輩のところに行く事になった。その先輩と言うのが……

 

「魚見さん?」

 

「あら、津田さんじゃないですか」

 

「それに森さんも……」

 

「何だ、三人共知り合いなの? じゃあ大丈夫だね」

 

 

 いや、何が大丈夫なのか俺にはさっぱり……

 

「魚見くん、もう一人の新人君だ。しっかり教育してくれたまえ」

 

「えっと……もう一人の新人って森さんだったんですか?」

 

「えぇ……二年生になりいろいろと物入りでして」

 

「まさか同じところでアルバイトする事になるとは……」

 

 

 バイトの先輩が魚見さんってのがちょっと心配だけど、こんな場所でもふざけるなんて事は無いだろうな。

 

「私は二人の指導係ですので、此処では女王様と……」

 

「「こんな場所でまでボケるな(ないでください)!」」

 

「おぉ! 見事なツッコミ。これなら魚見くんを止められるかもしれないな」

 

「「えっそっち?」」

 

 

 店長が俺と森さんに期待してるのは魚見さんの暴走を止める事が第一だったようだ……

 

「それじゃあ津田さんと森さん、まずはレジ操作から教えますので」

 

「分かりました」

 

「お願いします」

 

 

 その後は真面目にレジ操作を教えてくれた魚見さん。だけど隙あらばボケようとするのは何とかならないのだろうか……

 初日という事もあり、今日は三時間で帰る事になった。まぁコトミの晩飯の支度とかあったから正直ありがたい。

 

「では森さん、また今度」

 

「そうですね、また次回もよろしくお願いします」

 

 

 魚見さんにツッコミを入れるのも大変だけど、英稜の生徒会は会長だけだからまだ良さそうだよな……ウチのは書記もボケるし、役員では無いけども新聞部の部長とかロボ研の部長とかも居るからな……今度の交流会でその事を聞いてみよう。




ウオミーのついでに森さんも同僚にしちゃいました。


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苦労人な兄、能天気な妹

80話目です


 教室でおしゃべりしてたら、ふと思い出したのでトッキーとマキに提案をした。

 

「生徒会室に行こう!」

 

「何、急に?」

 

「ほら、トッキーにタカ兄を紹介しなきゃいけないし、タカ兄にはトッキーを紹介しなきゃだしさ。マキも一緒に行くでしょ?」

 

 

 何せタカ兄に自然な形で会いにいけるのだ。中学時代から会いに行くだけで緊張してたマキの事だから、放っておいたら高校でも進展無しでタカ兄が卒業してっちゃうだろうしね。

 

「何でお前の兄貴に紹介されなきゃいけねぇんだよ」

 

「だって私は私の友達をタカ兄に知ってもらいたいし」

 

「何だよその理屈」

 

「トッキーだって権力者とコネが出来るのは良いと思うけど」

 

 

 タカ兄は副会長だけども、次期会長候補筆頭だし裏の権力者とまで言われてるって畑先輩から聞いたしね。

 

「ほらほら、昼休みが終わる前に行こうよ」

 

「しょうがねぇな」

 

「ほら、マキも行くよ」

 

「う、うん」

 

 

 相変わらず会いに行くだけで緊張しちゃってるねー。これじゃあ告白なんて夢のまた夢……さらにその遥彼方だよね。

 

「ところで、生徒会室って何処だっけ?」

 

「案内も出来ないのかよ……えーっとこっちだな」

 

「こっちだよ! トッキーも駄目じゃん」

 

 

 マキにツッコまれて私とトッキーは恥ずかしさから顔を下に向けた。相変わらずトッキーはドジっ子のよう