中身は元傭兵、見た目は戦術人形。その名はRS556 (FMX)
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プロローグ 初めまして世界

初めましての方は初めまして。FMXと言う名で小説を投稿している者です。オリジナル戦術人形を主人公としたミリタリー要素強めの小説を書きたいなと思い書いた小説です。万人受けする小説かは分かりませんが出来るだけ面白い小説を書いて行けるように頑張りますのでどうか読んでいって下さい。


俺は子供の頃にテロに巻き込まれて家族を全員失った。家族を皆殺しにしたテロリストを殺す為に俺は軍に入り軍を退役した後もPMCとして世界中の紛争地域を渡り歩いて敵を殺し回った。そして俺は運が良いことに俺の家族を殺したテロ組織と戦う機会に恵まれた。そして当時テロを命じたとされる指揮官を見つけた俺はそいつを容赦なく殺した。状況的に時間をかけている暇がそんなに無く痛みつけたりする事が出来ずに直ぐに撃ち殺してしまったのが少し心残りだったがテロ組織に大打撃を与えて当時の指揮官を殺せたから俺の復讐は一応終わった。

 

だが俺が殺した指揮官にはどうやら息子が居た様である日車で別の任務地に向かっている時に突然襲われて俺は拘束された。そして散々罵倒され拷問された挙句首を掻っ切られた。復讐の為に生きた俺の人生は復讐によって終わりを迎えた。何とも皮肉な話だ。首から大量の血を流し意識が段々と薄れて行く中俺はそう思った。短く戦い尽くめの人生だったが悔いは自分でも意外に思う程悔いは無かった。

 

 


 

 

沈んでいた意識が浮上し自然と目が覚めた。目を開けると視界がぼやけていてよく見えなかったが暫くすると視界がはっきりとして来た。そうして見えたのは薄暗い天井と俺を覗き込む知らない男2人の顔。服装と装備、そして手に持っていたアサルトライフルを見た俺は考えるより先に動いた。

 

勢い良く起き上がり男の1人に近づき手に持っていたSCAR-Lを撃たない様に右手で明後日の方向に晒して残った左手で男がホルスターに入れていたCz75を盗み取り目の前の男を狙う。隣のもう1人の男はとても驚いた様子で慌ててM4を構えて俺に銃口を向ける。

 

「ほら見ろ!だからやめようって言ったんだ!」

 

「あわわわ・・・」

 

M4を構えた男が俺の目の前の男に向かってそう言う。そして今気づいたが部屋の奥にもう1人、他2人の男とは違い可愛らしいフリフリの服を着た女の子がいた。だがその可愛らしい見た目に反して手にはFNCを持っている。と言うか反射的に動いてしまったがこれは今どう言う状況なんだろうか?そう思っていると目の前の男が喋り始めた。

 

「落ち着け。目が覚めたばかりで何が何だが分かんないだろうが俺達は敵じゃない」

 

「武器を捨てろ。ホルスターに入っている拳銃もだ」

 

と自分で発した声音に違和感を覚えた。聴き慣れた低い声ではなくまるで若い女性の様な声だったからだ。しかし今はそんなことを気にしている暇じゃない。目の前の男は直ぐ様持っていたSCAR-Lを手放した。俺はSCAR-Lに持ち替えて男に狙いを定める。

 

「お前もだ」

 

M4を持った男にも言うが銃を捨てようとはしない。もう一度言おうかとしたがその前に目の前の男が話た。

 

「デレク。下せ」

 

「でもよ・・・」

 

「大丈夫だ。こっちに敵意が無いことを教えればコイツも信用してくれる筈だ。FNCも下せ」

 

男と少女は数秒間逡巡し「どうなってもしらねぇぞ」と言って諦めた様に男はM4とホルスターから出したM45A1を床に投げ捨てた。それに続いて少女もFNCとポーチの中から出したFNX-9を床に置いた。にしても今この男あの少女のことをFNCって読んだよな?なんで名前じゃなくて持っていたアサルトライフルの名前で呼んだんだ?

 

「さて、これで信用して貰えたかな?俺達は別に敵じゃ無い」

 

「だが味方でも無いだろ」

 

「いやまぁ確かにそうなんだけどね」

 

と困った様子で苦笑いする男。いまいち何が目的なのかが分かんなぇな。と言うかここは何処なんだ?灯りはは点いておらず部屋は薄暗い。それに部屋の様子から見て随分と長い間放置されていた様だ。そんな所に何で俺は居るんだ?と言うか首を掻っ切られた筈なのに何で俺は生きているんだ?

 

「ここは何処だ?」

 

それにやっぱり声がおかしい。色々と不可解なことが一気に起き過ぎている。頭がパンクしていまいそうだ。

 

「廃棄されたI.O.Pの施設だ」

 

「I.O.P?」

 

「コイツI.O.Pを知らねぇのか?」

 

隣の男が驚いた様にそう言った。この男の反応から察するに有名な組織の名前のようだが俺は知らない。

 

「産まれたばかりの状態の様なもんだからな。知らなくても無理はないさ」

 

「何を言っている?」

 

コイツは何を言っているんだ?産まれたばかりの状態とはどう言う訳なんだ?

 

「と言うかキミ、色々と説明する前に服を着てもらえるかな?その〜色々と目のやり場に困るからさ」

 

男は頬を描きながら視線を斜め上の方にやりながら気まずそうに言う。そう言え確かに少し肌寒い様な感じがするなと思い視線を下に向けた俺は信じられない物を見た。

 

「・・・・・・え・・・?はぁ⁉︎」

 

先ず俺は男が言った通り下着も何も着ていない素っ裸の状態だった。だがそんなことよりも視線の下にある大きな肌色の膨らみが、俗に言うおっぱいが俺に付いているとう異常事態に俺は酷く混乱した。胸だけじゃない。そう言えば声もさっきから女みたいな声だと思っていたんだ。そこまで考えて俺はある仮説を思い付いた。それは余りにも非現実的で荒唐無稽に思えたが今の状況から考えるに1番可能性の高い仮説。

 

「で、出て行け!」

 

と、混乱しながら俺は奴らを部屋から出て行かせた。全員が部屋から出て行ったのを確認した俺は急いで鏡を探した。この俺の予想が当たっていないことを祈りつつ。部屋の隅に落ちていたひび割れた鏡を見つけ自分の姿を確認する。恐る恐る見た鏡に写っていたのは一糸纏わぬ姿で驚いた表情をしている少女の姿だった。

 

「な、なんじゃこりゃぁあ‼︎」

 

俺の渾身の叫び声が部屋中に響き渡った。エメラルドグリーンの瞳に茶色のショートカットの髪。顔立ちは整っており胸はそれなりに大きい。身体のスタイルの良さも含めて美少女と言って差し支えない見た目だろう。だが俺は28歳の良い歳した男が何で女になっているんだ⁉︎

 

「おい!お前俺に何をした⁉︎」

 

俺はCz75を構えて部屋から飛び出ると部屋の前に居たさっきの男に詰め寄った。

 

「ちょ、まだ着替えてないんかい!」

 

「何をしたんだって聞いているんだ!」

 

「何もしていない。ただ眠っていたキミを見つけて起動させただけだ!」

 

「何訳の分からないこと言ってやがる!何で俺は女になっているんだって聞いたんだ!」

 

「え?」

 

「はぁ?」

 

「えっ?」

 

それを聞いた3人は心底何を言っているのか分からないと言った表情をした。どうやら本当にコイツらは何も知らない様だ。色々と情報が少な過ぎる。何が起きているのか調べる必要がある。

 

「ま、まぁ色々と話す前にほら、着替えて来た方が良いよ」

 

「・・・・・そうする」

 

男の言う通りいつまでも裸のままでいる訳にも行かないしこれ以上コイツらに問い詰めても俺の求める答えは得られそうにないか。俺は大人しく部屋の中に戻った。改めて下を向いてみるとやっぱりそこには胸の膨らみがちゃんとある。試しに両手で両胸を触ってみるとちゃんと柔らかな感触が感じられ更に胸を触られていると言う感覚もちゃんとする。つまりやはりこれは紛うことなき本物だって言うことで俺は本当に女になってしまったと言うことだ。

 

「・・・取り敢えず着替えるか」

 

着替えは何処にあるのだろうかと部屋を見渡すとロッカーの中に「RS556用衣服」と書かれたスーツケースの様な入れ物を見つけた。その隣のロッカーを開けてみるとガンラックになっておりホルスターやマガジンポーチなどの装備品やグロックと長方形のガンケースが入っていた。先ず先にスーツケースの方を開けてみると中には綺麗に折り畳まれた黒色の伸縮性のある服と下着が入っていた。入れ物から出して広げてみるとそれはライダースーツの様に上半身と下半身が一体化しているボディースーツだ。更にこの服の説明書の様な物も入っていた。取り敢えず下着を着る。デザインより機能性を重視したであろう黒色のスパッツを履く。ブラを着ることになるのかと思っていたんだが用意された服にブラはなかった。その理由はこのボディースーツの説明書を読んでいて分かった。どうやらこのボディースーツはブラの様に胸を保護してくれる機能もある様だ。

 

「にしてもこれどう着るんだ?」

 

こう言うライダースーツみたいな服は着たことがないからどう着れば良いのか分からないかったがご丁寧に着方は説明書に書いてあったので俺に従って着て行く。首の付け根から尾てい骨部分に切れ目がありそこから足を入れて着て行く。先ず先に足の部分を履いて行き次に手も通してスーツを着て行く。スーツに全身を通し終え慣れない手つきで何とか着ると最後に後ろの首の根本辺りにあった小さなボタンを押すと背中の切れ目が勝手にくっ付いて行き服が身体に密着する。凄いなこれ。どう言う技術なんだろうな。兎に角何とか着替えは終わった。思っていたより着心地は良い。俺はもう一度鏡の前に立ち姿を確認する。スーツが身体にピッタリとフィットしているせいでボディラインがハッキリと出てしまっているのが結構恥ずかしい。

 

次に隣のロッカーに入っていたレッグポーチやホルスター、レッグマガジンポーチなどを装備し、ガンラックに置いてあったグロックを取り出す。側面を見てみると22 GAN4と書いてあったからこれは.40S&W弾を使用するグロックの22タイプの様だ。グロック22を太ももにあるホルスターに入れて次に長方形のガンケースを開ける。中には見慣れないAR-15系のアサルトライフルと長さの違うバレル、そして予備マガジンが入っていた。見た感じ操作方法はAR-15系統と同じ様なので扱いには困らないだろう。準備を終えた俺は部屋のドアを開けて奴らを招いた。

 

「お~こりゃ凄い格好だな」

 

「FNCとは違って機能性重視って感じだな」

 

「服装の感想は聞いていない。それで、お前らは何者なんだ?」

 

「そう言えば自己紹介がまだだったな。俺はサイモン。そして隣にいる奴がデレク、その後ろに居るのがキミと同じ戦術人形のFNCだ」

 

「戦術人形?」

 

「おいおい、こいつやっぱりおかしいって。自分が何者かも分かってないみたいだぞ」

 

サイモンンがデレクと言っていた男はそう言って変な物を見るような目で俺を見て来る。そんな目で見られても分からないのは分からないんだから仕方ない。

 

「いいから黙ってろって。すまないね。コイツの言うことは無視してくれ。戦術人形って言うのはキミやFNCみたいな戦闘用の人形、アンドロイドのことだよ」

 

表情には出さない様にしていたがサイモンから聞いた話に俺はとても衝撃的な内容だった。今の俺はRS556と言う名の戦術人形になっていて、それはつまりどう言う訳か首を掻っ切られて死んだ俺は戦術人形とか言うアンドロイドに生まれ変わったって事だ。それにサイモンの話を聞く感じ戦術人形や人形と呼ばれるアンドロイドはこの世界では当たり前にある物らしい。死ぬ前の俺の世界にはそんなのは無かったしサイモンの話を聞いている感じどうもこの世界は俺のいた世界とは違う世界なんじゃないかと言う考えに至った。

 

死んで別の世界で生まれ変わるなんて常識的に考えてあり得ないがふとある中年の傭兵が言っていた言葉を思い出す。「有り得ないってことは有り得ない。様々な可能性を考慮して柔軟に対応する。それが戦場で生き残るコツの一つだ」それは今のこの異常事態でも言える事だろう。確かに、死んだと思ったら似た様な別の世界に戦術人形として生まれ変わってたなんて有り得ない事だが実際に自分が体験している事なんだ。いつまでも有り得ない有り得ないと言ってても意味がない。神様が何なのか知らないがせっかく貰った第2の人生を無駄にする訳にも行かない。生き残る為に柔軟に対応する必要がある。取り敢えず今はコイツらが敵が味方なのかをハッキリさせる必要がある。

 

「そしてこの施設を適当に探索していたらキミを見つけてね。調べて見た感じ動きそうだったからこうして起こして見たんだ。っと、長々と喋ってしまったけど理解したかな?」

 

気がつけば戦術人形とはなんぞやと言う話から始まったサイモンの話は俺を見つけて起こすまでの経緯の話をしていた。

 

「ある程度は。それで、アンタ達は俺を起こして何をしようと?」

 

「単刀直入に言うと俺達の仲間にならないか?って聞きたかった」

 

「アンタ達の仲間に?」

 

「そう。普通に戦術人形を手に入れようとすると馬鹿みたいに金が掛かる。それがタダで手に入るのチャンスなんだからこれを逃す手はない。それにキミにとっても悪い話じゃ無いと思うけどな。またここにずっと寝ているのも嫌だろうしかと言ってこれから1人で生活するのを厳しい筈。どうかな?」

 

彼の言う通りこの世界のことを全く知らない俺が1人で生きて行けるかどうかは正直分からない。なら彼の話に乗るのが良いんじゃないだろうか。まだコイツらが嘘を言っている可能性も捨て切れないがもしヤバくなった時はコイツら全員殺すなり何なりして逃げ果せてやるさ。

 

「分かった。お前の仲間になる」

 

「おぉ!マジでか!ありがとう。歓迎するよ」

 

と言ってサイモンは俺の右手を掴んで握手して来た。

 

「これからよろしく!」

 

FNCが満面の笑みでそう言って来る。こうして見ると年相応の可愛らしい女の子にしか見えない。彼女が戦闘用のアンドロイドだと言うのは信じられないな。

 

「こちらこそ。これからよろしく。武器取ってゴメンな?」

 

俺は彼女に彼女と同じなのアサルトライフル、FNCとFNX-9を渡しながら謝った。

 

「ううん!大丈夫!そうだ!チョコ食べる?」

 

と言ってFNCはポーチから小さな長方形の銀紙に包装されたチョコを俺に渡して来た。突然のチョコに困惑しつつも彼女の無邪気な笑顔を前に断り辛く礼を言ってからチョコを受け取り銀紙を破って中身を出しチョコを口の中に放り込んだ。口の中で口の中でとろけミルクチョコレートの甘い味が口の中にあっと言う間に広がる。ぶっちゃけて言うとビターチョコの方が好きなんだが折角くれた物に文句を言っちゃいけない。

 

「うん。美味しいよ。ありがとう」

 

「本当?よかった!」

 

見た目の幼さからどうしても子供を相手している時みたいな対応をしてしまう。どう言う接し方をすれば良いのかがいまいち分かんねぇ。取り敢えずサイモンとデレクにもさっきのことを謝った。

 

「気にしなくて良いよ。混乱する気持ちはよく分かる」

 

「俺はお前が撃たれちまうんじゃないかってヒヤヒヤしていたけどな」

 

デレクの方はまだ俺を危険視している様で疑いの目を向けて来ている。ひとまず俺を基地に一度連れて帰ると言うことで俺はガンケースなどの荷物を持ってサイモン達の達の後に続く。想像していたよりここの施設は広く外に出るまでに時間が掛かった。施設から出るとそこはゴーストタウンだった。見た感じ人が居なくなってからそれなりの時間は経過している様に見える。

 

入り口の目の前には彼らのと思われるハンヴィーが止めてあった。前世でも色んな色んな所で乗ったりしたがこの世界でも世話になるとはね。俺の知っている物が出て来てくれたからか何だか安心するよ。さっきまで有り得ない事が起きまくっていたからな。

 

「後ろに乗って。荷物は荷台に」

 

言われた通りガンケースなどの荷物は荷台に似せてから後部座席に座る。隣にはFNCが座って来た。運転席に座ったデレクはエンジンを掛けてハンヴィーを発進させた。移動の間何となく外を眺める。建物を見た感じこのゴーストタウンは昔はそれなりに栄えていた様だ。崩れては居るが通り過ぎて行く建物は立派な物が多い。

 

「ここら辺は前の大戦の時に戦場になってね。爆撃やら何やらでボロボロになって今じゃこの通りさ」

 

俺がずっと外を見ていたから外の様子が気になっているのと思ったのかサイモンが説明してくれた。前世でも戦争の影響で無人となった街や村は見たことがあるがこう言う都市レベルのゴーストタウンは初めて見るな。

 

「基地まではもう少し時間がかかるからもうちょっと待っててくれ」

 

それからゴーストタウンから離れて荒地を走り続けること約45分。さっきのゴーストタウンとは違いちゃんと人の住んでいる街に来た。どうやらここら辺に基地があるそうだ。街の郊外を少し走るとその基地に到着した。しかしそこにあったのは基地とは思えない見た目の古そうな三階建ての建物だった。元々は基地として使われることは考えられていない民間の建物だった物を基地として使っているんだろう。ハンヴィーはその建物の入口の横にある駐車スペースに止まった。

 

「実は今俺達はとある任務の最中でな。ここは見て分かる通りその任務の間だけ使う仮拠点だ」

 

「なるほど。一瞬ここが本部なのかと思ったよ」

 

「流石に本部の方はこれよりは立派だよ」

 

と俺達は会話しつつ建物の中に入る。建物の中も外見と同じく少し古ぼけた感じだ。すると「お帰り~」と言いつつ少女が部屋から出て来た。淡めの琥珀色の髪の毛と紫色の瞳が特徴的な少女。紺色のジャケットは胸元を大胆に開いており白色のシャツを押し上げてその存在感を主張している大きな胸に視線が行ってしまうのは男の悲しい性だ。

 

「あれ、その娘は誰?」

 

「新しい仲間だ。そのことについて皆に説明したいから皆を呼んで来てくれ」

 

「りょーかい」

 

サイモンに連れられて俺はブリーフィングルームとして使っているらしい部屋に案内された。部屋はそれなりの広さで前にホワイトボードがあり地図が貼ってある。部屋の中央には長机が置かれその周りにキャスター付きの椅子が置いてある簡素なブリーフィングルームだ。今にも外れそうな壊れかけのシーリングファンがキャカキャカキャカと金属音な音を鳴らしながら回転している。

 

少し待っていると続々と人が集まり椅子に座って行く。ブリーフィングルームにやって来たのは計5名。俺と一緒にいたサイモンも合わせてこのチームは7人の様だ。全員が揃ったのを確認したサイモンが話し始めた。

 

「皆んな。紹介しよう。さっきゴーストタウンの調査に行った時に拾って来た戦術人形のRS556だ」

 

サイモンが俺に目配せをして来た。俺からも挨拶をしろと言うことなんだろう。

 

「RS556だ。宜しく」

 

ざわつくブリーフィングルーム。まぁ突然拾って来ましたって言われても驚くだけだよな。

 

「これから我らQRSSの新しい仲間になる。仲良くしてやってくれ。特にドラグノフ、FNC、グリズリー達は同じ戦術人形同士仲良くしてやってくれ。彼女は目覚めたばかりで右も左も分からないから色々と教えてやってくれ」

 

「了解した」

 

「はーい!」

 

「りょーかい」

 

この返事だけどこの3人の性格が出ている様な感じがするな。あのドラグノフとか言う戦術人形の女は真面目そうな奴だ。それに対してグリズリーはマイペースな感じがする。FNCはこの短時間の間に接した感じ年相応の可愛らしい女の子だなって言う感想だ。彼女が銃を持って戦う姿が想像出来ない。

 

「QRSSってのがこのチームの名前なのか?」

 

「チームって言うか会社の名前だ。Quick Response Staff Serviceの頭文字を取ってQRSS」

 

「成る程」

 

「そんじゃぁウチのチームの紹介だ。1番前に座っている銀髪ロングの女が戦術人形のSVDだ。皆んなはドラグノフって呼んでるな。口調は尊大な奴だが世話焼きなの良い奴だから頼ると良いだろう」

 

白銀色の髪を腰辺りまで伸ばし薄茶色の瞳を持つ少女。後ろ髪は二房に分けられそれぞれの末端はリボンで束ねられている。 黒色のプリーツスカートに灰色の上着を身に着け、更に短めのポンチョを羽織っている。

 

「よろしく。せいぜい足を引っ張らないでくれよ」

 

「気をつけるよ」

 

「そしてその横にいるグラサンを頭に掛けた女がグリズリーだ。拳銃を使う戦術人形ってだけはあってCQBは強い。話し易い奴だから相談事はコイツに話しても良いな」

 

「まぁそう言う訳でよろしく!」

 

「よろしく」

 

「その後ろにいるのがもう知ってると思うがFNCだ。あんな奴だが戦闘は普通に強いから安心して背中を任せて良いぞ。お菓子が好きなんだがその中でも特にチョコが好きだ」

 

「よろしくね!」

 

「あぁ。よろしく」

 

「その後ろに居る腕を組んでいるのがエルマン。IEDとかを作るのが得意で、色々と物知りな奴だ。気になる事があれば大体コイツに聞けば分かる」

 

「よろしく」

 

「よろしく」

 

「そして1番後ろに居る筋肉がダルマがオルロフ。火力が高い武器を好む火力馬鹿だ。力仕事の時に役に立つ」

 

「よろしくな」

 

「よろしく」

 

「オルロフの隣で足を組んでいるのがデレク。俺の相棒だ。他のやつと違って特に特徴は無い」

 

「おいおい。何か俺だけ紹介雑じゃねぇか?」

 

「お前も筋肉を鍛えたらどうだ?」

 

「うるせぇ筋肉モリモリマッチョマンの変態が」

 

「そして最後に俺がこのチームの隊長のサイモンだ。改めてよらしく」

 

「役に立てる様に頑張るよ」

 

と簡単にお互いの自己紹介をして解散となった。俺はサイモンに連れられて別の部屋へと案内された。廊下を渡りたどり着いた部屋の中にはロッカーとガンラックが並んでいた。

 

「ここが武器庫。名前の通り武器弾薬や装備品は任務以外の時はここに置いとく。だが拳銃は寝る時以外はいつでも身に付けといた方が良い。キミはここのスペースはここだ」

 

サイモンに指定された所に俺は身に付けていたホルスター以外の装備品を外してロッカーに入れ、RS556の入ったガンケースもロッカーに入れた。武器庫を出た俺は2階に移動して別の部屋に案内された。どうやら俺が寝泊まりする部屋の様だ。微妙に様に部屋にベッドが2つ並んでおりお互いのプライベートを守る為なのかベッドとベッドの間にはカーテンが掛けられてある。

 

「ここがお前の部屋だ。奥のベッドがグリズリーのベッドで手前がキミのベッドだ。部屋はグリズリーと相談しながら好きに使って良い」

 

「分かった」

 

出来れば1人部屋の方が良かったが仕方ないか。1人部屋にしてくださいと言うのもはばかれるしな。好きに使って良いとは言われたが生活に必要な最低限の物しか置かないだろう。次に俺は2階から1階に戻り恐らくこの建物で1番大きいであろう部屋に来た。広さ的には学校の教室の広さと同じくらいだと思う。

 

「そしてここが娯楽室兼待機室。そこのホワイトボードに今日の予定とか戦況とかの情報を書くから逐一確認してくれ。キミも何か重要な情報とかを教えたい時とかはここに書くと良いだろう。大体使う部屋はこんくらいだな。残りの部屋は誰も使っていない空き部屋だ。もし空き部屋で何かしたいなら一々俺に許可を取らなくても先に使って良い。何か質問は?」

 

「今の所は無い」

 

「分かった。まぁ分からないことがあれば誰にでも良いから聞いてくれ」

 

「色々とありがとう」

 

「良いってことよ。それじゃあ俺はちと仕事があるから」

 

説明を受け終わりサイモンと別れ1人になった俺は階段を登り屋上へ向かった。屋上へ上がった俺は外の景色を見ながらため息を吐いた。短い時間の間に色々と起き過ぎだ畜生。息抜きをしようと俺はいつもの癖でズボンのポケットからタバコを出そうとして無かったことに気づき小さく舌打ちをした。今度買いに行かなきゃだな。

 

口寂しさを感じながら手すりに寄りかかってボーっと景色を眺める。今だに現実感が無い。もしかしたらこれはまだ夢なんじゃないかと思ってしまう。試しに頬を力を込めてつねってみるとちゃんと痛みがある。これが夢じゃ無いって言う何よりの証拠だ。

 

だがそれは自分が女になってしまったと言うことも現実であると言うことでありる。下を見てみると着ているボディースーツを押し上げてその大きさを主張する胸の膨らみがある。アンドロイドになるのは百歩譲って良いとして性別まで変わっては欲しくなかったなぁ。と思い俺は再びため息を吐いた。

 

「なーにため息なんか吐いちゃってるの?」

 

後ろから声が聞こえたので振り返ってみるとグリズリーが居た。本当のことを話すことは出来ないしここは適当にはぐらかしておこう。しっかし、彼女のホットパンツから覗く白い健康的な太腿が眩しい。胸と言い太ももと言い彼女と話す時は目のやり場に困るな。

 

「いや、何でもない」

 

「それで、こんな所で何してるの?」

 

「ちょっと1人になりたくてね」

 

「もしかして群れるのは嫌な一匹狼タイプ?」

 

「そう言う訳じゃない。ただ起きてから色々あったから疲れてな。ちょっと1人になりたいと思ったんだ」

 

「成る程。その様子だと無口って訳じゃなさそうね」

 

「俺って無口な感じに見えるのか?」

 

別に俺は無口って訳じゃないし一匹狼って訳でもない。こうなる前の時はよく任務の後に仲間と近くの酒場に行って酒を飲みながら馬鹿騒ぎしたりもしていた。

 

「まぁさっきの挨拶の時も必要最低限のことしか喋ってなかったし今もこうして屋上で1人黄昏ているし。だからもしかして他の人と話したりするのが嫌なタイプなのかなーって思ったって訳」

 

「確かにそう思われても仕方ないな」

 

「まぁアンタの気持ちも分かるよ。何も情報がない状態でいきなり起こされてここに連れて来られたらしいじゃん?そりゃ混乱するよ」

 

話しながらグリズリーは紺色のジャケットのポケットからラッキーストライクの箱を出した。どうやら彼女がここに来た目的はタバコを吸う為の様だ。と言うか戦術人形でもタバコ吸うんだな。

 

「・・吸う?」

 

俺が見ていたからだろう。箱から一本取り出し俺に渡して来た。断る理由もなく丁度吸いたいと思っていたところだったから俺は素直に受け取った。タバコを咥えるとグリズリーがジッポーを取り出し火を付けてくれた。

 

「ふぅ〜・・・」

 

こんな身体になってもタバコは吸えたことに少し嬉しさを感じつつタバコをふかす。その様子をグリズリーは自身もタバコを吸いながら見て来ていた。

 

「何か?」

 

「いや、タバコ吸うのに慣れているなと思って。初めてだよね?」

 

そう言えばそうだ。彼女からすると俺はさっき目を覚ましたばかりでタバコは今回初めて吸うってのにこうして慣れた感じでふかしたのはおかしいか。

 

「そ、そう言えば確かに。何でだろう?」

 

咄嗟に良い言い訳が思いつかなかったから適当に言ったが流石にこれは無理があったか?

 

「もしかしたらキミを作った技術者の趣味なのかもね」

 

とグリズリーは疑う様子はなくそう言って笑った。これからは怪しまれる様な発言や行動はしない様に気をつけないといけないな。

 

「技術者の趣味?」

 

気になったので俺は聞き返した。技術者の趣味とはどう言う訳なんだろうか?

 

「そう。私達戦術人形もとい人形は作られる時にその技術者の趣味とかが反映される事があるんだよね。それは外見の特徴、例えば胸が大きかったりだとか性格だったりとか色々。アンタが初めてなのにタバコを吸えたのももしかしたらタバコ好きの技術者が居てアンタの人格を作る時にわざわざタバコ好きに設定したのかもね」

 

「じゃぁ人形の性格とか趣味嗜好なんかはその技術者が決めるのか?」

 

「全部って訳じゃないけどね。同じ個体でも育つ環境とかによって性格や趣味嗜好が変わるし」

 

「へぇ〜」

 

改めてこの世界にある人形と呼ばれるアンドロイドは凄いなと思う。もはや人間とそう大差ないじゃないか。こうして彼女と話していてもロボットと話をしているって感じはしないしな。

 

「そう言えばキミの銃種は?」

 

「アサルトライフル」

 

「アサルトライフルか〜良いなぁ。私はハンドガンだからチョコちゃんとかドラグノフと比べて出番が少ないんだよねぇ」

 

「チョコちゃんって言うのはFNCのことか?」

 

「そう。チョコが好物でよくチョコ頂戴〜って言うからチョコちゃんって呼んでる。今のご時世チョコみたいな嗜好品は貴重だからなかなかありつけないみたいだけど」

 

サイモンが車の中で前の大戦で街がうんぬんと話していたことを思い出す。チョコの様な嗜好品が貴重になっているってことはその前の大戦の影響はかなり大きい様だ。そのことについて気になった俺はグリズリーに聞いてみることにした。

 

「馬鹿な質問に思われるかも知れない質問をしても良いか?」

 

「良いよ。何?」

 

「さっきサイモンが俺をこっちに連れて来る時にゴーストタウンを見ながら前の大戦でここら辺は戦場になったって言っていたんだがその前の大戦について知りたい」

 

「そっかーそれも知らないのか。まぁ簡単にザックリ説明すると今から約17年前に北蘭事件がきっかけで第三次世界大戦が始まってね。あ、北蘭事件って言うのは簡単に言うとコーラップスって言うどんな物質でも分子レベルまで崩壊させるヤバい物質が漏れて世界中に広がっちゃった事件。そんでその事件で地球の大部分が汚染されて残った土地とか色々なことを巡って戦争が始まったわけ。核兵器も使って派手にやった結果世界中ボロボロになって国は衰退。国の代わりにPMCが台頭して重要な所以外の都市運営はPMCがするようになって今に至るって訳」

 

「成る程・・・」

 

俺が思っていたよりこの世界はヤバい状況の様だそりゃ嗜好品が貴重になる訳だ。

 

「あ、因みに。北蘭事件で世界中で大勢の人が死んで労働力減っちゃったのを解決する為に作られたのが私達自立人形って訳」

 

「成る程。勉強になった。ありがとう」

 

「どういたしまして」

 

って、待てよ?じゃぁあの時FNCが俺に貴重なチョコを渡したのって何か深い意味があるんじゃないか?

 

「そう言えば起きた時にFNCにチョコ渡されたんだがそれって何か深い意味があったりするのか?」

 

「キミと場合は起きたばかりで混乱していたキミを落ち着かせる為って言う可能性はあるかもね。あの子新人とか気に入った人とかにチョコあげたりするし、悲しんだら落ち込んだりしている人とかにもあげるから」

 

成る程。FNCなりに心配してくれていたってことか。わざわざ貴重なチョコをくれたんだしお礼をした方が良いよな。

 

「後で改めてお礼言った方が良いな。ここら辺でチョコを買えたりする所はあるか?」

 

「無いね」

 

「まぁそうだよな」

 

そこら辺で簡単に手に入るならチョコが貴重とか言われたりはしないよな。取り敢えず、また会った時に改めて礼を言おう。

 

「そう言う礼とかは律儀にするタイプなんだね」

 

「そう言う風には見えないか?」

 

「やっぱり第一印象の無口で一匹狼って言うイメージがまだあってね」

 

「人と会う時は第一印象が大事って言うのは本当なんだな」

 

「第一印象で言うならドラグノフとか凄かったな」

 

「どんなだったんだ?」

 

「「ドラグノフ狙撃銃だ。私を手に入れた君達ラッキーマンには幸運がもたらされるだろう」とか自己紹介の時に言って来たからね」

 

「何だそれ。ただの痛いヤツじゃないか?」

 

「まぁ確かにね。私も最初は何かキャラの濃い奴が来たなぁって思ったもん。でも実は彼女、別のPMCに捨てられていたのをサイモンが拾われたんだよね。だから内心拾われて嬉しくてあんなこと言ったんだと思ってる」

 

「前のPMCには何で捨てられたんだ?」

 

「それは知らない。喋りたがらないし無理に聞くことでもないからね」

 

「確かにな」

 

嫌な記憶を必要も無いのに思い出させる必要は無い。グリズリーは短くなったタバコの火を消すとおもむろにポケットから吸い殻入れを取り出し吸い殻を入れた。

 

「それじゃ、私は仕事があるからここら辺で」

 

「あぁ。タバコありがとう」

 

「どういたしまして」

 

手をひらひらと振って階段の方へ歩いて行くグリズリーの背中を見送り俺は再びタバコをふかした。

 


 

屋上から降りて来たグリズリーは廊下を歩いているとSVDがやって来た。

 

「どうだった?新人は」

 

「サイモンの話だと起きたばかりで自分が何者かもわかっていないって言ってたから色々とアシストが必要かなって思ってたんだけど大丈夫そう。一般常識が欠けているとかそう言う訳でもなさそうだったし普通のヤツだったよ。それと、ドラグノフの予想はハズレだよ。彼女、別に無口な一匹狼って訳じゃないみたい」

 

「そうか。あの感じだとそうだと思ったんだがな」

 

「人は見かけによらずってね」

 

「それだと彼女の見た目を悪く言ってないか?」

 

「そんなことないよー」

 

「どうだか。そう言えばハラルトル解放戦線に動きがあるそうだ。近いうちに戦闘があるかもな」

 

「まーた来るの?アイツらも諦めないねぇ」

 

「今まで多数の犠牲を払って来たんだ。今更やめることも出来ないんだろう。殺し殺され恨み恨まれ、そうやって終わらない復讐の連鎖が続くのさ」

 

「泥沼だねぇ」




どうだったでしょうか?ご感想などお待ちしております!

以下オリジナル戦術人形のRS556の簡単な説明です。

【挿絵表示】

・身長168cm
・Eカップ
・茶髪のショートカット
・緑色の瞳
・メインウエポン:RS556
・グロック22 GAN4タイプ
・服装は戦闘用ボディースーツ
耐火性や防水、多少の防弾性能(拳銃弾を防ぐ程度)がある優れもの。着方は何とかゲリオンに登場するプラグスーツみたいな感じです。
・一人称は「俺」のクールな性格。戦術人形の身体能力の高さと耐久力の高さを生かしたアグレッシブで無茶な戦い方が多い。なのでチームの中でも負傷することが多い。


そして主人公の素晴らしいイラストを描いてくださった夏風時雨さん。ありがとうございます!


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第1話 始まりの始まり。

お待たせしました。第1話です!今回は会話や説明が主になっています。


目が覚め寝ぼけ眼のまま天井をボーッと見る。見覚えの無い部屋の天井を見て一瞬何でこんな所で寝ていたんだ?と疑問に思ったが直ぐに昨日のことを思い出した。RS556(戦術人形)として生まれ変わってから今日で2日が経過した。身体を起こし下を見てみると男の頃には無かった大きな胸の膨らみが視界を遮る。

 

「はぁ・・・元に戻っている訳ないか」

 

そう呟く俺の声は聞き慣れた男性特有の低い声ではなく若い女性の声だ。もしかしたら目が覚めたら元に戻っているんじゃないかと少し思っていたがそんなことはなかった。それにもし夢だったとしたら俺は死ぬ間際にこんな変な夢を見ていることになるしな。

 

左隣から何かゴソゴソと動いている気配がする。音と影の動きから察するに同室のグリズリーが着替えている所の様だ。壁に掛けてある時計を見ると6時46分だった。いつもなら6時かそれより早く目が覚ますんだが昨日色々あったせいで疲れていたのかもしれないな。

 

ベッドから降りロッカーを開けるといつもあのボディースーツを着とく訳にもいかないだろうと言うことでサイモンが用意してくれた私服のデニムジャケットとジーンズを取り出す。因みにこの服は自分で選んだ物でまだ男だった時と同じ様な服装にした。ジーンズを履き次に寝巻きとして着ていた黒色のタンクトップの上からデニムジャケットを羽織る。サイズは問題無さそうだ。最後に俺は枕元に置いていたグロック22を腰に付けたホルスターに収める。

 

「おはよう」

 

ちょうど支度が終わった頃にカーテンを開けたグリズリーが挨拶をして来た。

 

「おはよう」

 

「丁度今起こそうかなとしていた所だったから丁度良かった。気持ち良さそうに寝ていたから起こし難くいなーって思ってたところだったから」

 

気持ち良さそうに寝ていたって俺はどんな顔で寝ていたんだろうか?想像してみようとすると男の時の顔でイメージしてしまいどうもイメージ出来ない。

 

「それで、今日は先ず街の見回りに行ってもらうことになると思うから。誰と一緒に行くことになるかはまだ分かんないけど後で説明があると思うから」

 

「分かった。そう言えば此処で何の任務をしているんだ?」

 

「ここはハラルトルって言う街なんだけどこの街はここら辺では数少ない汚染もされていないし場所で生活には困らない程度の物資も有るんだけど、紛争とかコーラップスの汚染とかまぁ色々な理由で故郷を失った難民達の過激な一派がハラルトラル解放戦線とか言う武装組織を作ってここを無理矢理奪って自分達の物にしようとしているんだよね。最初は話し合いで解決しようとかしていたんだけど上手く行かず交渉が決裂して難民達は待っていた金を掻き集めてPMCを雇ってここを武装占拠しようとしている訳。これに対抗する為に街の人達はハラルトル防衛隊って言う民兵組織を作って対抗したんだけど向こうのPMCの方が武力も練度も上で痛い目にあってね。そのPMCに対抗する為に雇われたのが私達ってこと」

 

「成る程」

 

残った土地や物資を巡って争うのはどの世界でも同じって訳か。いや、この世紀末な世界の方が俺のいた世界より酷いことになっているだろうな。

 

「いつも7時30分くらいに待機室で今日のスケジュールとかを話すからあんまり遅れない様にね」

 

「早起きは得意な方だ」

 

「それなら良かった」

 

そうして朝の支度を終わらせた後、グリズリーと共に俺は部屋を出て待機室へと向かった。待機室に着くと既にサイモンとデレク、オルロフとドラグノフの姿があった。「おはようと」挨拶をすると皆から「おはよう」とバラバラに挨拶し返された。

 

「RS556。そう言えば昨日はここでしている任務について話していなかったから今の内に説明しておこう」

 

「あ、それならさっき私が簡単に説明したよ」

 

「そうか。ありがとうな」

 

近くにあったパイプ椅子に座りサイモンやグリズリーと適当に話しながら待っているとエルマンも着て最後にFNCが眠たそうにあくびをしながら部屋に入って来た。

 

「さて、全員揃ったことだし話を始める。デレク、RS556を連れて北側の監視。ドラグノフとFNCは東側の監視。エルマン。モール(スパイ)からの情報でハラルトル解放戦線の方で新たに兵力が増強されたって言う情報を聞いたから確認の為にドローンで偵察して来てくれ。手伝いが欲しいなら適当にハラルトル防衛隊の奴を連れて行け。グリズリーとオルロフはハラルトル防衛隊の訓練だ。ハラルトル解放戦線はそこまで資金がない。だからPMCとの契約期間も短い筈だ。その短い契約期間の内にここを制圧したいだろうから近いうちに総攻撃を仕掛けて来る可能性が高い。皆気を付けろよ。何か質問は?」

 

辺りを見渡すが俺も含めて特に質問をする人は居なかった。

 

「よし、それじゃぁ今日も1日気張っていこう」

 


 

俺とデレクはサイモンに言われた通り街の東側に来ていた。車を止め廃棄された小屋の中に入る。ここら辺は高台になっている様でこっちに向かって伸びる道路などを一望出来る。

 

「ほい」

 

と言ってデレクは俺に双眼鏡を投げ渡して来た。俺はそれを受け取ると双眼鏡で下の様子を伺う。一本の道と荒れた大地。そして道路には車が何台か放置されている。隠れる場所も少なそうだしもし不審な物や人物が居ても直ぐに見つけることが出来るだろう。

 

「こう言う監視って楽だけど暇になるからある意味キツい仕事なんだよなぁ。それに此処は見渡す限りの荒地!何処を見ても同じ様な景色だから飽きちまうよ」

 

「確かにな。じゃぁ何か暇潰しになる物とかは無いのか?」

 

「残念ながら無いね。それにこれも仕事の内だから疎かにする訳にもいかないしな」

 

意外だな。俺の想像だと監視なんて暇なだけだしトランプでもしようぜ!とな言って来るかと思ったんだが。

 

「なんだよその意外そうな顔は」

 

「いや、俺の勝手なイメージでこう言う仕事はサボりそうだなと思ってたから」

 

「まぁ全くサボっていないって言ったら嘘になるが適度にサボってるだけだよ」

 

「まぁ根を詰め過ぎるのも良くないしな」

 

「そう言うこと。話が分かってくれて嬉しいよ。ドラグノフとかは真面目過ぎるからなぁ。まぁ良い奴ではあるんだけどよ」

 

「そう言えば俺はまだちゃんとドラグノフとは話していないな」

 

「まぁまだここに来て2日目だしな。そう焦らずともこれから嫌にでも話す機会は来るさ。いつも俺は交代ずつで監視をすることにしているんだけどどっちが先にやる?」

 

「どっちでも」

 

「ならじゃんけんだな。一応聞くがやり方は分かるか?」

 

「あぁ分かる」

 

「なら始めよう。じゃんけんぽん!」

 

デレクの掛け声に合わせて俺はチョキを出した。一方のデレクはパーだった。

 

「ちぇっ。なら俺が先にやるぜ。お前は適当に休んでな」

 

と言われたがここは特に何も無いからやる事がなくて暇なだけだな。こんなことなら工具を持って来とけば銃の分解清掃とかを出来たのにな。年季の入った木製の椅子に座り監視も意味も含めてぼんやりとガラスの無い窓から外の様子を見る。

 

「そうだ。グリズリーから簡単には説明してもらったんだがハラルトル防衛隊と解放戦線の戦力とかについて聞いても良いか?」

 

「あぁ良いぜ。丁度暇になって来たところだ。先ず敵のハラルトル解放戦線の方は数で言うとハラルトル防衛隊より多い。ハラルトル防衛隊と同じで民兵組織だから兵士一人一人はそんなに強くない。武器は色んな物をかき集めた感じでAK系統を持っている奴がいればM4とかを持っている奴もいる。だが大多数はAK系統を持っているな。それと軽、重機関銃やロケットランチャーとかの火力が高めの武器も少なからず持ってる。そしてハラルトル解放戦線が雇っているPMC、キングパイソン社もそれなりの規模があって隊員もそれなりの実力者が揃っている。装甲車とかも持っているって噂だ」 

 

「それに対してここを防衛するのは民兵組織と俺達8人だけって戦力不足じゃないか?」

 

「まぁ確かに戦力不足ではあるな。だが俺達の仕事はここの防衛だけじゃなくてハラルトル防衛隊の隊員の訓練もある。銃が撃てるだけの奴らを街をなんとか守れる程度の兵士に育てるってことだな。まぁそれは敵さんも同じだろうが。それに立地的にはこっちが有利だ。ここら辺は高台になっているから奴らが攻めて来たら高所から撃ち下ろすこともできるし向こうは遮蔽物が無い荒地を進まなきゃいけないからな。そしてハラルトル防衛隊の方だが簡単に言うと銃の取扱い方が分かる奴とやる気のある奴を集めた組織だな。武器は56式やらAK-74やら猟銃の上下2連の散弾銃やら色々だ。重機関銃だとデュシーカ(DShK38)があるぞ。あ、それと迫撃砲もある」

 

迫撃砲か。命中率は高く無いが連射して撃てば面を制圧することが出来るから侵攻して来る敵の足止めとかに使えるな。

 

「もう何度か戦っているのか?」

 

「あぁ。4週間前の時が一番激しくてそれから小規模な戦闘が数回。奴らの大体の戦法はハンヴィーとテクニカルとバスに人を乗せて街まで強行突入って感じだな」

 

まぁあの道を歩いて行く訳にも行かないしヘリとかを持っていないなら車を使った強行突入になるよな。

 

「俺達はデュシーカとかPKMとかの機関銃と狙撃銃で撃ちまくってそれを迎撃した。キングパイソンの持って来たハンヴィー意外の車は防弾性なんて無いからな。機関銃で蜂の巣さ。7週間前の一番激しかった時は数も多くて全部は迎撃し切れなくて街の郊外に入り込まれて戦闘になったがなんとか防衛した」

 

「サイモンの話だとそろそろPMCとの契約期間も終わるから短期決戦を仕掛けて来るそうだな」

 

「みたいだな。最近戦闘とかもなかったかし威力偵察とかも無かったから諦めてくれたかなってちょっと期待してたんだけどねぇ」

 

「そう言えばサイモンが説明の時にモール(スパイ)が居るって言ってたがそいつはお前らの仲間か?」

 

「いや、モールとは言ってはいるけどハラルトル解放戦線のメンバーの数人を買収して情報をこっちに流してもらっているんだ」

 

金で買収されてしまうってどうなんだ?と思ったが別にハラルトル解放戦線は正規軍やPMCとかではなくただの武装した民間人の集まりでしかないからな。それからしばらくしてデレクはポケットからマールボロを取り出した。

 

「俺も貰って良いか?」

 

「ん、お前もタバコ吸うのか?」

 

「まぁな」

 

「そりゃグリズリーが喜ぶな。戦術人形の中だとタバコを吸うのはアイツだけだったからな」

 

「そうなのか」

 

FNCは絶対に吸わないだろうがドラグノフは吸ってそうなイメージがあったんだけどアイツは吸わないのか。

 

「ドラグノフとか吸ってそうだけど」

 

「アイツ曰く臭いが嫌いらしい」

 

「まぁこの匂いが苦手な奴は割と居るしな」

 

「タバコ吸うのが慣れている感じだけど誰に教えてもらったんだ?」

 

「いや、昨日グリズリーに貰ったのが初めてなんだが何でか吸い方を知っててな。グリズリー曰く俺を作った技術者の趣味だろってさ」

 

「成る程ね。ならこれやるよ」

 

と言ってデレクはマールボロの箱を俺に渡して来た。流石に箱ごと全部を貰うのは悪いと思い断ったが「在庫を沢山持ってるから気にすんな」と言って投げ渡して来たので俺は有り難く貰うことにした。ま、本当はラッキーストライクの方が好みなんだけどな。

 

「・・・ん?」

 

デレクと喋りながら監視していると空を飛ぶ何かをたまたま見つけた。翼らしき物が見えたので鳥かと思ったがどうも違う。双眼鏡で確認してみるとそれは灰色の飛行機型のドローンだった。

 

「なぁ、朝サイモンが言ってたドローンってアレか?」

 

俺は街の方へ飛んで行くドローンを指差しながらデレクに聞いた。既に肉眼でも形が分かる程度の距離にまで接近して来ている。

 

「・・・いや、少なくともエルマンが使っているドローンじゃないぞありゃ。まさか敵のか?」

 

俺は壁に立て掛けていたRS556を手に取りセレクターレバーをセーブからセミに切り替えると上空を飛ぶドローンを狙い偏差の分も考えて撃つ。十数発程撃ってみるが上空を飛ぶ小型のドローンに当たるのは至難の技だ。せめてもう少し対空を飛んでくれたら当てられるかも知れないんだが。

 

「こちらデレク。今上空を正体不明のドローンが飛んでいる」

 

俺がドローンの迎撃を試みている間デレクはサイモンの方に報告をする。

 

「形はエルマンが使っている様な飛行機型。ケツにプロペラが付いている。色は灰色。今真上を通過して街の方に行った」

 

1マガジン分撃ったが結局弾は1発も当たらなかった。マガジンを交換しながらデレクと遠ざかって行くドローンを見る。

 

「十中八九敵の偵察ドローンだよな」

 

「だろうな」

 

「こりゃ本当に近い内に攻撃が来る可能性があるな畜生」

 


 

夕方になり監視をハラルトル防衛隊の奴らと交代して監視から帰るとサイモンにブリーフィングルームに集まる様に様に言われた。皆が集まるとサイモンは話し始めた。

 

「エルマンが敵の拠点を偵察した結果、面倒な物が用意されていることが分かった」

 

そう言いサイモンはタブレットを操作して俺達の目の前に置いた。タブレットにはドローンから撮った映像が流れておりその映像には多数の車やバス、そしてIFVと装甲車、さらにはヘリの姿まであった。

 

「この映像ではBMP-2が3両。そしてBTR-80が4両。民間用の乗用車多数。極め付けはヒューイ3機が映っている。どうやら敵さんは本気の様だ」

 

「ウチに対空火器ってあったっけ?」

 

「デュシーカがあるじゃないか」

 

デレクの問いに対してオルロフが答える。ヒューイもといUH-1は防弾性はない。12.7ミリ弾を撃ち出すデュシーカや軽機関銃で撃ちまくれば中の乗員を殺して撃ち落とす事が出来るだろう。

 

「スティンガーとかが有れば1発なんだけどなぁ」

 

「無い物を言っても仕方ない」

 

「ドラグノフの言う通りだ。無い物をねだっても仕方ない。今ある武器や道具を活用して戦うんだ」

 

「と言うか1番の問題はIFVとAPCでしょ。ウチらまともな対戦車火器持って無いよ?」

 

グリズリーの指摘に「そうなんだよなぁ」とデレクが嘆く。RPG-7とかがあれば良かったんだがデレクの反応を見た感じ無い様だ。

 

「RPG-7とかはないのか?」

 

「それがあったら良かったんだけどね。ウチもハラルトル防衛隊も持ってないんだよ」

 

一応聞いては見たがやはりない様だ。対戦車火器とかが無い状態でIFVやAPCの相手をしなきゃいけないのはキツいな。

 

「82ミリ迫撃砲弾なら在庫があった筈だからそれでIEDを使って吹っ飛ばすって言うのは?」

 

そう提案したのはIEDを作るのが得意らしいエルマンだ。

 

「82ミリでIFVとかを吹っ飛ばせるのか?」

 

「BMP-2は装甲が薄い。2、3個束ねたのを地面に埋めておくなり梱包爆弾にして投げつけるなりして爆破すれば少なくないダメージは受ける筈だ。それにBMPなら最悪徹甲弾を装填したデュシーカで近距離から天井や側面を撃てば装甲を抜くことが出来るかも知れない」

 

「マジかよ。IFVのくせに装甲薄過ぎだろ」

 

「IFVは機動力を確保する為に装甲が薄くなりがちだからな。BMP-2は兵員輸送能力と浮上航行能力を得る為に装甲は薄くして軽量化してある。それにBTR-80の方も同じ様に徹甲弾を装填したデュシーカで至近距離から撃てば装甲を貫通出来る可能性がある。ただ問題は12.7×108ミリ弾の徹甲弾が何発有るかってことだ。貫通出来ると言ってもBMP-2とBTR-80の装甲を簡単にパスパス抜くことが出来るって訳でも無いしな」

 

それにBTR-80とBMP-2合計7両も居るからな。重機関銃でこいつら全部を相手することは出来ないだろう。ん?まてよ。と言うかそいつらの装甲を貫通させるには接近しないといけない訳でとなると当たり前だが反撃も来る訳だよな。

 

「って、おい。重機関銃で抜くのは良いが反撃されたらどうするんだ。BTR-80には14.5ミリの重機関銃が搭載されていた筈だぞ?それにBMP-2に至っては30ミリの機関砲だ。撃たれたらひとたまりもないぞ」

 

BMP-2に搭載されている30ミリ機関砲はソフトターゲット相手なら最大で4キロ先に居る目標に対しても攻撃出来る性能を持っている。

 

「それを俺も言おうとしてたんだ。確実に装甲を抜くには最大でも400メートルまでには近づかないといけない。だがその距離になるとBTRとBMP両方からの反撃が来る。特にRS556の言う通りBMP-2の搭載している30ミリ機関砲は脅威だ」

 

「塹壕を掘ってそこから撃てば?」

 

飴を舐めながら話を聞いていたFNCがそう呟きデレクがそれだ!と言ってFNCを指さした。塹壕を掘ると言うのは確かにいい考えだ。撃った後に塹壕に隠れれば敵の攻撃を何とか凌ぐことが出来る可能性が格段に上がる。

 

「それはいい考えだな。高所に塹壕を掘っておいてそこから撃てば良いな。高所に塹壕を掘っとけば30ミリ機関砲の直撃も受け難くなる。エルマン、悪いが今からハラルトル防衛隊の武器庫に行って他に対戦車兵器に使えそうな物を探して来てくれ。それと同時にさっき言ってたIEDも出来るだけ多く作っておいてくれ」

 

「了解した」

 

「グリズリー、お前はハラルトル防衛隊の連中と仲が良かったよな?」

 

「まぁそれなりには」

 

「明日ハラルトル防衛隊の隊長にこのことを話に行くから一緒について来てくれ」

 

「OK」

 

「RS556とデレクとオルロフは明日からハラルトル防衛隊の奴らと一緒に防衛陣地の設営をしてくれ」

 

「「「了解」」」

 

「ドラグノフとFNCは明日北側の監視を頼む。まだ攻めては来ないと思うが念の為だ」

 

「了解」

 

「分かった」

 

「明日から忙しくなる。明日に備えて今日は休んでくれ」

 

サイモンの話が終わりブリーフィングルームから出た俺は屋上に行きデレクから貰ったマールボロを吸って一息ついた後、廊下を歩き武器庫の前を通り過ぎ様とした時、カチャッ・・・カチャッ・・・と言う音が聞こえて来た。何だと思い武器庫の中を覗き込んでみるとそこにはドラグノフの姿があった。机の上にSVDとそのマガジン、そしてデジタル式の重量計と7.62×54Rが立てた状態で綺麗に並べられていた。俺の存在に気がついた様でドラグノフは俺の方を向いた。

 

「何だ?」

 

「いや、特に様はないんだが音が聞こえたから気になってな。何してるんだ?」

 

「今日街の武器屋で弾を買ったから弾の選別だ。あの店の店主には悪いがああ言う所の弾は信用出来ないからな。歪んでいたり劣化していたり、酷い物だと弾頭が前後逆に装填されていることもあるからな。お前もちゃんとした所以外で買った弾は注意した方が良いぞ。こう言う弾はカーボンの多いパウダーを使っていることが多いからな。(SVD)ならまだしもそっち(RS556)はそう言うのには敏感だろう。連続で撃っている内に汚れが溜まって動作不良だの装填不良だのと問題が発生するぞ」

 

「ご忠告どうも。気をつけさせてもらうよ」

 

「そう言えばこうして話すのは今回が初めてだったな」

 

「確かにな。自己紹介は必要か?」

 

「要らん。と言うかお前、タバコ吸ったな?臭うぞ」

 

「あ、そう言えばタバコの臭いが嫌いだったな悪い」

 

「知ってたのか」

 

「デレクから聞いた」

 

「デレクか。アイツもよく吸うからな。彼にも言ったが吸うなとは言わないから臭いは落として来てくれ」

 

「分かった」

 

「はぁ。タバコを吸う戦術人形がグリズリー以外にも出て来るとはな。タバコを吸う奴の気持ちが分からん。特に人間なんてタバコは百害あって一利なしだと言うのに何で吸うのか分からん」

 

「俺の場合は気分を落ち着かせたい時とかに吸ってるな」

 

「タバコが吸いたくて落ち着かなるのはタバコの依存性だと言うのに。っと、私がぐちぐち言っても仕方ないか。私がどう言おうが君やデレク達がタバコを手放すことはないだろうからな」

 

「まぁ確かにな。だが悪かった。今度からは気をつけるよ」

 

「そうして貰うと助かるよ」

 

そう話しながらもドラグノフは不良品の弾は床に置いた段ボールに入れ、逆に質の良い弾は机上に立てて綺麗に並べて行くと言う作業を黙々と進めて行く。俺もドラグノフの忠告を聞くことにして椅子に座り同じ机で弾丸の作業を始めるか。俺のロッカーから昨日サイモンから貰っていた5.56ミリ弾の入った箱を取り出すと一つ一つ確認する。それからはお互い余り喋らずに弾薬の選別作業と銃の清掃、点検を淡々と進めて行った。

 

明日から忙しくなりそうだ。




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