クワガノンとカントーで生き抜く (クワガノンが好きなんだ)
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マサラタウンにさよならバイバイすらできない

俺は今まで閉じていた目を開けた。

真っ先に目に飛び込んできたのは低い視界の中の一面の緑、上を見上げるとポッポの群れが飛んでいて、目を凝らして草むらを見てみるとキャタピーやビードルが元気に草を食べていた。

もしかして、いや、もしかしなくても…

 

ポケモンの世界に来ちゃった感じだこれ!?

 

しかも目線と手の平の肉の着き具合から見て、まだ幼少の状態での森スタートだ。うーん鬼畜。

人生ハードモード、イージーもノーマルもないですかそうですか。

まぁ、青春を全部ポケモンに注ぎ込んだといっても過言じゃない俺のポケモン知識ならなんとかなるだろ、多分。

 

ふと横を見てみると、モンスターボールとモンスターボールの下の手紙を見つけた。

少し荒く書き殴られたような文字は、書いた人の精神状態を色濃く反映しているようにも見えた。

 

『ごめん、ごめんなさいシロツメ。私あなたを愛してる、愛してるのよ、ごめんなさい。私はあなたをこのままだと巻き込んでしまう、あなたが巻き込まれて死ぬ必要はないわ。母さんはあなたに何もしてあげられないけど、せめて、せめて生きてほしいの。ごめんなさいシロツメ、ごめんなさい…』

 

母さん…俺、絶対生きるよ…生き抜くよ…。

 

少し涙目になった俺は手紙を綺麗にたたんでズボンのポケットに入れると、モンスターボールを手に取った。

この中にはポケモンは入っているんだろうか。もし入っていたとしてもなんのポケモンだ?

とりあえず考えも仕方ないので、モンスターボールの白いボタンを押す。

 

「ジジッ」

 

ん?んん?この独特なレールガンみたいな大顎とクワガタみたいなフォルム、そしてこの目つきの虫ポケモンは…。

 

「く、く、クワガノンだーーーー!!!」

「ジッ!?」

 

クワガノン、虫・電気の複合タイプで特性はふゆう。素早さが低い代わりに特攻はトップクラスで、火力特化の虫タイプだ。

俺の一番好きなポケモンで、旅パではエース級のポケモンだった。まさかこんなところで会えるとは…。

 

俺はしばらく嬉しさを噛みしめていた。そしてふと我にかえり、焦り始める。

ここどこだ?

とりあえず森ということはわかるんだが、どこの森?

トキワの森?ウバメの森?トウカの森?

えー…わからん…。

 

俺がしばらく頭を悩ませていると、クワガノンが何かを拾ってきた。少し汚れた何かのパンフレットで、ギリギリ読めなくはない。

パンフレットには、カントーの地名や主なポケモンが描かれている。ということは、だ。ここはトキワの森で間違いないと思う。

 

俺はマサラタウンにさよならバイバイすらできないのか。

はー鬼畜、神は死んだ。いやアルセウスはしらんけど。

 

「う、うぅ…クワガノン、お前だけが頼りだ…」

 

俺はクワガノンを撫でる。今の状況だとマジでクワガノンだけが頼りなのだ。褒められ頼りにされたと感じたのかクワガノンは元気に「ジッ!」と鳴いた。可愛いなお前。

 

とりあえず、現在地がトキワの森とわかった以上目指すべきは森の脱出だ。今の目標は生きて森を出ることとなったわけだ。

俺は少し歩いて、問題を見つけた。

 

「…この森超広いな…」

 

そう、広いのだ。その上超迷いやすい。これはマジで出られないかもしれない。アニポケの森の広さ考えると当然なのかもしれない。

そのままあちこち彷徨ってたら日が暮れてきたので、野宿である。日が暮れるまでに集めておいたきのみを食べて、クワガノンをボールに戻し就寝。翌日目が覚めて首と背中が痛かったのはしょうがないと思う。




初投稿がこんなんでいいのかわかりません。
拙い部分も目立つかもしれませんが、何卒よろしくお願いします。


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三日月の夜、出会う

前回のあらすじ
目が覚めると体が縮み、森スタートだった主人公ことシロツメ。
母からの最初にして最後の手紙を読み、この世界を絶対生き抜くと決める。
手紙と共に置かれていたクワガノンと共に、トキワの森の脱出を試みる!


「ま、まさかトキワの森がここまで広いとは…」

 

歩き過ぎて木の下の休憩を挟んだ俺は、予想以上の広さにまいっていた。クワガノンはそんな俺を心配するように隣に居た。

もう三日から四日は余裕で過ぎていると思う。いや、もしかしたら一週間は過ぎているかもしれない。もう日付感覚すら怪しいのだ。

 

幼児の体に森の中はきつい。体が小さいから歩幅が小さい上に、よく躓く。

改めて考えると本当にきつい状態だ。

 

季節は春なのか、秋なのか。とりあえず過ごしやすい日照りではあると思う。できれば春がいいなぁ、なんて。

 

「まぁ、考えてても仕方ないよな…」

 

俺は立ち上がると、また歩き始める。

とりあえず、歩けばいつかは出られると思う…。多分…。

 

 

マジで出られない…。

 

もう季節も変わり、夏になっている。まってこれ半年ぐらいは過ぎてないか?

捨てられたのが秋じゃなくて春でよかったのかもしれない。流石に冬までには出たいなぁ…。

 

延々と森を今日も歩く。

 

クワガノンはたまに野生のポケモンにちょっかいかけられてたが、電気で軽く脅して追い払っていた。たしかアゴジムシは20レベル以上が進化で必要で、進化にはかみなりのいしかポニ島大峡谷でのレベルアップが必要だったはず。

だったらトキワの森程度なら余裕かもしれないな。

 

少し日の暮れかけた頃、そろそろ野宿の準備でもしようかと思うと、いつもはしない人の声が少し聞こえてきた。

ついに自分の耳も狂ったかと思いつつ、頼みをかけてその方向へ歩く。いや、走ったの方が正しいのかもしれない。

木々が少なくなっていく、そして視界が一気に開けた。

 

二番道路だ。

 

出られた。約半年ほど彷徨った森を出られたのだ。

 

「っ…しゃあ!!!」

 

自分でも信じられないほどデカい声が出たと思う。

もう完全に日が暮れた二番道路には、人は居なかった。

 

「やっっと出られた…クワガノン、俺たちやっと出られたんだ!!」

「ジジッ!」

 

俺は自然と涙が溢れた。クワガノンはそんな俺を支えるように静かに隣の地面に降りる。

しばらく俺が泣いていて、どれだけ時間が経ったのか分からない頃、月に照らされた人の影が見えた。

 

「やぁ、こんばんは」

 

二十代くらいの男性が優しく声をかけてきた。まだ涙の渇ききっていない頬を俺は拭う。

 

「…こんばんは」

 

俺は少し間を開けてそう返した。多分棒読み気味だったと思う。

俺は少しコミュ障の入った元大学生だ。知らない大人に話しかけられたらそりゃ身構えるし普通に怖い。

 

「ああ、ごめんね。僕はヒロキ、トキワシティでジムトレーナーをしてるんだ」

「シロツメ…で、す…」

 

最後の方が少し小さくなってしまった。ああ、やらかしたかも。愛想もクソもないなこれ。

ヒロキさんは困ったように笑うと、俺の目線までしゃがむ。

 

「君、お父さんやお母さんは?なんでここにいるの?」

「…父は、知りません…母は多分…亡くなってる、と…」

 

俺はクワガノンの少し後ろに行くと、息を吐いた。

トキワジムといえばグリーンかサカキがジムリーダーをしてた筈。ジムリーダーが誰かによって、ヒロキさん堅気じゃないかもしれない。

 

こえええええええ!!!そう思うとこの人超こえええええ!!!

 

俺がヒロキさんにビクついていると、ヒロキさんは目を少し閉じて、考え込む。

そして目を開けた。

 

「もし良かったらなんだけど、僕に拾われてみない?」

 

…はい?

も、もしかして今のジムリーダーはサカキじゃない?グリーンさんか?ならこの人堅気?ヤクザじゃない?

だって捨て子を拾うなんて善行、ロケット団がやると思えないし…。

え、じゃあ拾われた方が良くない?だってあてもないしこの機会逃したら永遠に野宿の可能性あるし。

 

「…拾われて、みます…」

 

 

side ヒロキ

 

ジムトレーナーとしての地域の見回り中、少年を見つけた。推定4歳程度で、あまり見ないポケモンと一緒にいた。

僕が声をかけると、僕を少し睨むような目で見上げる。

 

「…こんばんわ」

 

そう、遠慮がちに返す。

僕が両親のことについて聞くと、彼は両親がいないと言う。そう言うと、ポケモンの後ろに隠れるように動いた。

んー、これはジムトレーナーとして保護すべきだな。それにそのポケモン、気になるし…。

 

「もし良かったらなんだけど、僕に拾われてみない?」

 

いやー、まさか僕が子供を拾うことになるとはなぁ。

 

それから僕とシロツメくんの生活が始まった。シロツメくんは4歳ぐらいにしてはえらく大人びていて、ポケモンについての知識はそこらへんのトレーナーを軽く超えていた。

彼のポケモンはクワガノンというらしく、でんき・むしタイプ。シロツメくんが言うにはアローラ地方のポケモンらしい。

最初の一週間は距離があったと思うが、一ヶ月一緒に過ごしていると、家事とかを進んで手伝ってくれるようになった。

クワガノンは俺の相棒であるサンドパンと仲良くなっていて、兄弟のようだと思った。

 

なんだか、これから楽しそうだ。




思いつくうちに投稿してしまおうという魂胆。
誤字脱字があれば遠慮なくいってくれると嬉しいです。


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対戦ありがとうございました(半ギレ)

前回のあらすじ
約半年ほどかけてトキワの森を脱出したシロツメとクワガノン。
トキワジムのジムトレーナーであるヒロキと出会い、拾われることに。
まだ原作開始前か後かも右も左もわからないが、シロツメはたくましく生きていく。


ヒロキさんに拾われて早二ヶ月。

俺はクワガノンを撫でたり家事を手伝ったりヒロキさんと話したり本を読んだりクワガノンを撫でたりヒロキさんのサンドパンを撫でたりクワガノンを撫でたりして過ごしていた。

 

「ねぇ、シロツメくん。今度ジムでの軽い集まりがあってさ、君も行く?」

「え、その、いいんですかね?」

「うん、きっといい経験になると思うんだ。どう?」

 

俺はしばらく悩んで、クワガノンを見た。クワガノンはサンドパンと遊んでいて、俺の目線に気づくと首を傾げるように動く。

 

「クワガノンを連れて行ってもいいなら…」

「わかった、許可は取っておくよ」

 

 

そんなこんなでトキワジムの集まりに参加することになった俺です、どうも。

俺は今ヒロキさんに連れられトキワジムのとある一室にいるわけだが…。

 

こっっっっわ!!!圧やっっば!!内心冷や汗がヤバい!湖できちゃう!!!

この場にいるほぼ全員がこっち見てくるんだが!!誰か一人くらい喋ろよ!!

 

一応説明しておくと、トキワジムはトキワシティにあるジムで、カントー最強のジムらしい。ジムのギミック自体はクチバなどに比べると簡単だが、トレーナー一人一人やジムリーダーの実力から最強と呼ばれ、トキワジムを勝って出れているトレーナーはほんの一握りだと言う。

 

そのジムのトレーナーに無言で見つめられてみろ、飛ぶぞ(意識が)。

 

ヒロキさんからポケモンは連れて行ってもいいがボールから許可なく出してはいけないと言われているので、クワガノンを隣に出せない。

せめてクワガノンを隣に出せたらいいのに…。

 

「シロツメ、大丈夫?たまに俯いてるけど」

「あ、はい、大丈夫デス…」

 

嘘、全然大丈夫じゃない。意識もう何回か飛んでる。

これ、ジムリーダーが誰かによって完全に飛ぶかも。

グリーンさんだと、嬉しいんだけどなぁ。

そう思っていると、扉が開いた。

 

「…全員揃っているな」

 

サカキさんじゃないっすかヤダーー!!!

 

オワタ…これ完全にオワタ…。神は死んだ…アルセウスは知らん…。

たしかに前世だとサカキさん登場人物の中だと好きだったけどさー、今は違うじゃん。今この世界が現実じゃん。

 

あーヤバい、俺の場違い感ハンパない。

クワガノン、俺たち生きて帰れるかな…。

 

そうして俺は意識が飛び飛びながらもなんとか耐え抜き、話は無事終わったようだ。解散ムードが出ていた。

クワガノン、俺たち生きて帰れるぞ…。

 

「ああ、ところでヒロキ」

「はい」

 

えっ?何?なんでサカキさん俺の方見てんの?何?

俺が困惑していると、サカキさんは口を開く。

 

「そこの子供がシロツメか」

 

あっこれはまずいパターンだ。精神的に氏ねるわ。

軽く気絶しとこうかなもう。

 

「えぇ、二ヶ月前に保護しまして」

「そうか」

「シロツメのポケモンに関しての知識はそこらへんのトレーナーを軽く超えています。俺も驚かされることばかりです」

 

過大評価は嬉しいですけど今言うことですかそれ!?これあれじゃん、絶対サカキさんに興味持たれるやつじゃん!なんかの二次創作で読んだ!!

 

「ほう、それは…面白いな」

 

ほら見たことか!

やだもう、帰りたい…。なんで俺ここ来ちゃったんだろ…。もうお腹一杯です対戦ありがとうございました(半ギレ)

 

「シロツメ」

「はっ、はい…」

「ポケモンは持っているのか?」

 

ポケモンバトルやらされるパターンでは!?

えーやだ絶対負けるもん!!プロのジムトレーナーに勝てるわけないじゃん!

 

「一体、だけなら」

「何タイプだ?」

 

なにこれ拷問?これから何が始まるんです?大惨事世界大戦だ。は?

ヤバいもう思考が狂ってきてる。深夜テンションすこし入っちゃってる。

 

「電気・虫です…」

 

何?今何が起こってる?今から何が始まろうとしてる?地獄の三者面談?

 

「むしは何に弱い?」

「ほのお、ひこう、いわ、です…」

 

なんだこれ、なんの時間だこれ。俺は何もわからないぞ?

 

「では何に強い?」

「くさ、エスパー、です…」

 

早くこの時間終わってくれねーかな、マジで。もう早く帰りたい…。

 

「ふむ…それだけの知識があれば、ポケモンバトルできるな?」

 

アッッッッッッッ!!

 

スゥー…やらかした…。やっちまった…そうだよな幼児が弱点とか抜群とかなんて理解できてるはずもないよな…。

あー終わった。俺の人生終わったわ。いや生きるけど、できるだけ生きるけど。

 

「ヒロキ、シロツメと軽くバトルしてやれ」

「了解しました」

 

ヒロキさん!!!なんで!?なんであんた了承しちゃったの!??

いやわかるよ、理由なんてわかるよ!!上の人間に言われたらそりゃ了承せざる得ないよ!!

あーくそ、こうなったらやってやる。やってやるよ…。

 

知識チート見せてやる…!




次回、シロツメとクワガノン初のポケモンバトルです。
感想などなど、お気軽に言ってくれたら私はとても嬉しいです。
ヒロキさんに知識チートで敵うのかどうかは、お楽しみに。

追記 あくタイプは金銀からの追加タイプなので入れませんでした


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はじめてのバトル

前回のあらすじ
ヒロキに拾われ早二ヶ月を迎えたシロツメ。
トキワジムの軽い(?)集まりに参加し、まだ原作開始前だと知る。
やらかしてしまったシロツメはヒロキとポケモンバトルすることに。
一体どちらに勝利の女神は微笑むのか…。


「さて、準備はいいかな、シロツメくん?」

「えーと、まあ、はい、たぶん…」

 

俺はアニポケとかでよく見るバトルフィールドに立ち、クワガノンをボールから出す。

ヒロキさんは育成途中であると言っていたディグダを出していた。

 

「じゃあ、始めよう」

 

ヒロキさんは審判役の人に合図を出す。

 

「これより、ジムトレーナー・ヒロキとトレーナー・シロツメのバトルを開始します。手持ちは一体のみのシングルバトルです。バトル、スタート!!」

 

その合図と共に、俺は思考する。

 

ディグダは地面タイプ単一。電気系の技は無効だが、クワガノンは特性ふゆう持ちで地面タイプの技は効きづらい。

 

「クワガノン、とにかく上にいろ」

 

クワガノンのとくせいはふゆう。地面タイプの技なら大体は無効のはずだ。

 

「させると思う?僕が。ディグダ、すなかけ」

 

あっ、やばい。すなかけはやばい。命中100のすなかけとかマジで避けられん。

 

「ジッ…!」

 

クワガノンはすなかけをモロにくらい、バランスを崩して地面スレスレまで落ちる。

 

「クワガノン、動き続けてくれ!」

 

クワガノンは俺の指示を聞くと、バトルフィールド上を動き回る。こうそくいどうは多分覚えていないだろうし…。

ディグダはクワガノンを目で追いきれていないようで、少し反応が遅れている。

 

「ディグダ、相手の進行方向にいわなだれだ。大丈夫、焦らなくていいよ」

 

技マシンのやつーーー!!!?しかも進行方向塞いでくるパターンですか!?頼むー!!モロに受けるなよクワガノン!!

 

「クワガノン、不規則に動けるか!?動けるなら動け!動きながらてっぺき!」

 

てっぺきは防御を二段階上げるはがねタイプの変化わざだ。

クワガノンは飛んでくる岩に翻弄されながらもなんとか避け、てっぺきを貼り続ける。

 

「てっぺき…?ディグダ、どくどく」

 

おっふ、めちゃくちゃ技マシンのやつ使ってくるやん。まぁ状態異常は基本だしな…。

 

クワガノンは岩を避けているうちに周りを見れていなかったようで、どくどくをくらってしまった。

 

「ッ…ジ…!」

 

ただ、てっぺきもそれなりに機能しているようだ。

 

「クワガノン、ほうでん!できるだけ広範囲だ!」

 

クワガノンは身に纏わせた電気を一気にバトルフィールド上に放電した。俺にまで伝わってくる電気の痛みは、静電気なんて比じゃなかった。

 

おそらくディグダはまともにこれを受けたはず、無効にしても目眩し程度にはなるはずだ。

 

「ディグダ、出ていいぞ」

 

ヒロキさんは静かに呟いた。

出ていい…?そういえば放電を指示する前にディグダの姿は見えなかった。まさか…

 

「あなをほるで技の光も届かなくしていた…!」

「そういうこと、頭が回るようで嬉しいよ」

 

ディグダは地面に近かったクワガノンの方に飛び出る。クワガノンは上に放り出されてしまった。

ほうでんの真の強みは相手をまひにできることだが、これにはかなりの運を伴う。それに、地面タイプには無効だ。だからクワガノンでの地面タイプは嫌いなんだ!

 

「ああ、くそ…クワガノン!シザークロス!!」

 

クワガノンは顎を高速で交差させ、ディグダに突っ込んでいく。ディグダは驚くと地面へ潜った。

 

「この!!クワガノン、上昇し」

「ディグダ、突っ込め」

 

まずいまずいまずい!!完全に相手のペースに入ってる!ヒロキさん強いな!

クワガノンも焦り始めたようで、動きがチグハグになってきている。

 

「落ち着けクワガノン、むしのさざめきだ!!とにかく地面の穴に向かってむしのさざめきを聞かせてやれ!!」

 

クワガノンは俺の指示を聞くと、むしのさざめきをディグダが地面に何箇所か開けた穴に打ち始める。

とにかく一心不乱にむしのさざめきを打つクワガノンは、毒にじわじわ苦しめられている。このまま逃げ続けられたらいつか負けることはわかる…。

 

「ほお…?」

 

ヒロキさんは楽しそうに笑う。

 

くっそ、あの人余裕綽々かよふざけんな!!こっちは満身創痍だっつーの!!

 

俺はしばらくハラハラしながら戦況を見ていると、一つ怪しい穴を見つけた。

その穴は妙に入口が細く、ヒロキさん側のバトルフィールドの隅にあった。

 

「クワガノン、よく穴を見ろ!隅だ!!細いやつ!!」

 

クワガノンはその穴を即座に見つけると、むしのさざめきを即座に打ち込んだ。

 

ビンゴ!

 

ディグダは地面に急いで上がり、新しく穴を掘ろうとするもそんな暇なくむしのさざめきに直撃した。

 

これは流石にダメージ入ったろ!!

 

ディグダは少しふらっとすると、焦り始めたのか挙動不審になる。

 

「ディグダ、いわなだれ」

「クワガノン!シザークロス!!」

 

そしてそのままクワガノンのシザークロスで切り裂かれる。クワガノンにもいわなだれの岩が一つ直撃したが、なんとか耐えていた。

 

砂煙が上がり、しばらく煙が晴れるのを待つ。

煙が無くなり戦況を確認すると、ディグダは天を仰ぐ形で静止し、目を回していた。

 

「勝負あり!!勝者、トレーナー・シロツメッ!」

 

その合図と共に、俺はクワガノンに駆け寄る。

クワガノンはふらふらと俺に近づくと、力なく俺の腕の中に入る。

 

危なかった、あと一撃でも食らってたら負けてた…!

 

「よくやったクワガノン!ほんとによくやった!」

 

恐らく序盤のどくどくとあなをほるからの突っ込んでくるやつが凶悪コンボで、さらにいわなだれの岩が一つ直撃してたことによりHPが赤までいってたと思う。

 

「…いい勝負だったよ、シロツメくん。育成途中であるとはいえ、まさか僕が負けるなんてね」

「いえ、正直あと一発くらってたら負けてましたし…やっぱり俺はまだ実力不足です」

「ところで聞きたいことがあったんだけど…てっぺきとかシザークロスっていうのは、わざかな?」

 

アッッッヤラカシタ‼︎




やらかしてしまったシロツメ、一体これからどうなるのか。
それはそうとバトル描写マジで難しかったです。これから大丈夫ですかね、この作品…。
追記 自分がタイプ相性に誤った理解があったため書き直しました。


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俺は速攻で目を逸らした

前回のあらすじ
見事ヒロキとディグダに勝利したシロツメとクワガノン。
しかしバトルに夢中すぎて初代にあった技の有無を完全に忘れていた。
やらかしてしまったシロツメは一体これからどうなるのか。


バトルフィールドからうって変わってジムの中の回復施設。ゲーム中では一切見なかったが、まさかこんな所があるとは、なんて呑気に俺がいれるはずもなく…。

 

正直クワガノンの回復が終わったら今すぐ逃げ出したい。

 

「ねぇ、シロツメくん」

「アッ、ハイ」

「あのバトルで君が見せた技、ほとんど見たことがなかった。あれはどこで知ったの?」

 

あっ、そっすよねそういう話題になりますよね。

俺は少しヒロキさんから視線を外すと意味ありげに見せるため窓の外を見る。

 

「森の中で、生き抜くためにクワガノンと身につけました」

 

嘘です、全然そんなことはありません。寧ろクワガノンが最初から身に付けてたから俺は余裕で生き抜けたしバトルにも使いました。

俺がシザークロスとか思いつくわけないし…。

恩人に嘘つきまくっててちょっと罪悪感がすごいが、まぁ誤魔化せるならそれでいいかなと思う。良くはないけど。

 

遠くではいつか見たようなポッポの群れが、夕暮れ時の空によく映えていた。

 

「…そっか」

 

ヒロキさんも俺から顔を逸らし、暫く無言の空間が続く。

 

えっ、何このしんみりムード。なんの時間これ。

何か喋らないといけないと思うけど、何も出てこない。早く回復終わってくれねーかな…。

 

俺がずっと窓の外を眺めていると、外にオーキド博士らしき人物が見えたような気がした。

 

え?ポケモン研究の第一人者?いやいやまさか、見間違いだろ。

 

俺が目を擦り、もう一回外を見る。

 

いやいるな、オーキド博士いるな。なんでこんな時間にトキワにいんだあの人。もう日も暮れかけてんだぞ。

 

えー、いや、えー?幻覚じゃねーよなこれ?

俺がそう思いつつオーキド博士を見ていると、オーキド博士に駆け寄る子供が二人ほど見えた。

 

俺の体と同い年くらいの少年二人が、オーキド博士と一緒にいたのだ。

片方はツンツンした茶髪とプライド高そうな男の子と、もう片方は赤い帽子を被った無口な男の子だ。

 

どう見たってグリーンさんとレッドさんなんすよねー。

 

将来のレジェンド二人だし、今のうちに目に焼き付けといたほうがいいかもなーなんて、思いあっちを眺めてると、レッドさんと目が合った。

俺は速攻で目を逸らした。いや、誰だって目を逸らすだろあれ。

なんか怖かったんだもん。帽子の影がいい感じに怖くなってんだもん。

 

「シロツメくん、そろそろ回復終わるよ」

「あ、はい…」

 

俺はチラッと窓の外を見て、回復が終わったクワガノンを引き取りに行った。

このあとめちゃくちゃ飯食ってクワガノン撫でて寝た。

 

 

side レッド

 

オーキド博士の用事で、ぼくたちはトキワシティに来ていた。グリーンと一緒にあっちこっち行って、マサラタウンとは全然違う街を探検した。

 

「グリーン、レッド。マサラタウンにそろそろ戻るぞお!」

 

ぼくとグリーンはオーキド博士のその声を聞いて、オーキド博士に駆け寄った。

 

「じーさん、次いつここくんの?また来てーんだけど!」

 

グリーンはまだ見たい、遊び足りないというように目を輝かせて言ってた。

ぼくは見たことないポケモンがまだいないかなと思って、キョロキョロあたりを見回す。

 

ふとトキワジムの方の窓から、ぼくと同い年ぐらいの男の子と目があった。

男の子は驚いたように目を見開くと、すぐに目を逸らした。

その男の子はモンスターボールを握ってた。

 

トレーナーなのかなぁ、どんなポケモン使うんだろう。また会えるかなぁ。

 

「おい、レッド!置いてくぞ!」

「あ、待ってよグリーン」




今回は少し短くなってしまいました。
前回まではノートなどに書いていたものをスマホなどのメモ帳に書き写してあげていたので、実質ストックをあげていたんですが、流石にストックが切れたので投稿頻度が少し落ち、誤字脱字も目立ってくると思います。
その場合は遠慮なくご報告くださればすぐに直そうと思います。


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特訓

前回のあらすじ
やらかしをなんとか誤魔化したシロツメ。
窓の外を眺めていると未来のチャンピオンと目が合い未来でのバトルフラグが立ってしまった。
目と目があったらポケモンバトル(未来)である。


あ、どうもシロツメです。

 

なんでいつもよりテンション低いかというとこれから地獄の時間が再び始まるからです。

 

俺は今ヒロキさんとバトルトレーニング(という名の修行)中でその休憩中なのだ。クワガノンもヒロキさんのサンドパンとディグダと訓練で、終わった後は二人でヘトヘトになっている。

 

「さっ、シロツメくん。もう三分経ったし休憩終わりだよ!立って立って!」

 

この男、優しそうに見えてかなりのスパルタだな!?推定5歳児にんなことさせるなよ!

 

あ、言ってなかったがジムの件からもう約一年ぐらいは経っている。

最初は俺がこの世界でのバトルの常識というものがわからず、学ぶ為にも強くして欲しいと頼んだんだが、この人思った以上に厳しかった。

 

何?軍の教官か何か?それともジムトレーナーはみんなこうなの?

 

簡単にトレーニング内容を説明すると、まず朝5時には起きて朝の走り込みでその後は朝食で朝食が終われば8時までヒロキさんとのバトルで9時からヒロキさんはジムに行くから戻ってくるまでポケモン知識をひたすら勉強しひたすらクワガノンと技の打ち込みをしヒロキさんが夕方5時半に戻ってくれば走り込みとバトルで風呂入って夕食で就寝である。水曜が休みなだけまだマシかもしれない。

 

「ほら、技の判断が遅れてるよ!すなかけ!」

「ジジッー!」

「クワガノンごめんマジごめん!!」

 

いつもバトル訓練とかではヒロキさんは一つの技だけを打ち込んでくるというルールがある。今日はディグダのすなかけで、ひたすらそれを打ち込まれている。

もうクワガノンと俺は砂だらけだ。命中率100のすなかけどう突破しろってんだよ…。

 

「すなかけ!」

「砂飛んできた方にシザークロス!!」

 

すなかけなら命中してもいいからとにかくディグダにシザークロスでダメージを与えたい!

 

あ、シザークロスはなんかヒロキさんのジムトレーナーとしての権力で技として認められました。権力ってすごーい。

 

「すなかけ!」

「シザークロス!」

「すなかけ!」

「むしのさざめき!」

「すなかけ!」

「シザークロスウウ!!」

 

ずっとこの繰り返し。

たまに俺が違う技出すよう指示するけど大体シザークロス、ヒロキさんもすなかけしか指示できないからすなかけ。

 

ヒロキさんのディグダは必ずすなかけを外さない。なんなんだよお前固定砲台かよ!もうクワガノンの命中率下がんねーよ!

 

ああ、そういえばなんだがこの世界にPPという概念はない。ただ同じ技をずっと打ち続けると動きが鈍くなるだけだ。

それはバトルにおいて致命的なんだよなぁ…。

 

「今日はここまで!お疲れさま、シロツメくん、クワガノン」

「お疲れ様っした…」

「ジジ…」

 

俺はクワガノンの方にふらっと歩くと、クワガノンの砂を落とす。

 

「今日も一発しか入れられなかったな、クワガノン…」

「ジ…」

「いやいや、あれだけすなかけくらって一発ディグダに入れられただけすごいよー?」

「あんたは黙っててください」

 

無駄に笑顔が輝いているヒロキさんを横にクワガノンの砂を大体落とし、自分の服についた砂を払う。

 

「いつか絶対全部技当ててやる…」

「ははは、楽しみにしてるよ」

 

くそ、これがベテランのジムトレーナーか…。

 

 

side ヒロキ

 

僕はシロツメくんが完全に寝たのを確認すると、腕時計を見る。もう夜の11時だ。

 

僕は黒い仕事用のシャツを着て、その上に青いジャケットを羽織る。

ディグダを念のため家に残し、外に出た。

もう例年だと雪の降る頃だというのに、今年は妙に暖かい。と、言っても寒いものは寒いもので口から白い息が吐き出されるのは変わらない。

 

昔からトキワシティは自然に囲まれた豊かな都市だ。

クチバみたいに港として栄えているわけでもなく、ヤマブキのように大都会であるわけでもない。正直言えば、他の人から見たら魅力なんてまるでないかもしれない。

 

しかし、僕にとってはどんな他の都市よりも魅力的で自慢できる街だ。

僕はこの街で育った。カントー各地を旅したが、僕が一番だと思ったのはこの街だった。

 

しかし残念なことに、この街の夜は少々治安が悪い。チンピラとか、ワル気取りの奴らが闊歩する。

毒をもって毒を制すというように、そういう奴らには悪をぶつけるに限る。

 

つまり僕はジムトレーナーだが、同時にロケット団の構成員であるというわけだ。勘違いして欲しくないのは、したっぱみたいなああいう分かりやすい悪じゃないってこと。

 

僕は俗に言う、トキワ限定のダークヒーロー的な感じかな?

 

まあ、トキワ以外の街なんて知ったことじゃないけど。




なんか思った以上に評価していただいていて少し怖くなっています。
こんな駄作ですが今後ともよろしくお願いします。


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レポート

これまでのキャラクター及びそのポケモン

 

シロツメ

 

元男子大学生の現少年。

勉強なんかは得意でも不得意でもなく、文系か理系か体育会系かと言われれば通信手段はメールだが風邪の時は静かに寝る文系である。なお、中学生の頃数学で0点を叩き出したことがある事は余談である。

大学生となってからは「人生最高うぇーい!」とかほざいているが、高校生の頃は「ポケモン以外興味なし人生クソ喰らえ」と思っていた。

動画サイトはようつべよりかニコ動派。

プレイスタイルはエンジョイで、縛りはたまにしていたが厳選とかはしていない。

今回のクリア目標は無事生きてクワガノンと共に天寿を全うすること。

クワガノンが好きであり、昔からの唯一の友人に引かれたほどである。

ちなみに成人済みである。

 

クワガノン ♂

level36 せいかく・むじゃき

 

母が残した最後の手持ち。

いつでもシロツメのことを第一に考え、日々共に精進を重ねている。

シロツメは元のご主人(シロツメの母)の子供であり今のご主人でパートナー、サンドパンは兄貴分、ディグダは友達として認識。ヒロキはシロツメの恩人として敬意を払っている。

 

わざ

むしのさざめき てっぺき

ほうでん シザークロス

 

 

ヒロキ

 

トキワシティのジムトレーナー兼ロケット団構成員。

トキワ生まれのトキワ育ち、生粋のトキワっ子。ジム巡りは十数年前にとっくに終わらせており、数々の大会で優秀な成績をおさめている。

トキワシティ以外はどうでもいいという思考を持ち、トキワシティの為ならばどんなことでも喜んでやる、トキワ限定のダークヒーロー。別に、あれ(トキワシティの治安を悪くする奴ら)を倒してしまっても構わんのだろう?

性格は優しく、好青年。ただし教える立場となるとトレーナーとしての血が疼くのかスパルタである。

過去に何かあったようだが…

 

サンドパン ♂

level40 せいかく・れいせい

 

ヒロキの幼い頃からの相棒。

ヒロキと共に成長し、運命を共にするポケモン。元は父からのプレゼントとしてヒロキに譲られた。

ヒロキはずっと一緒にいる大切な人、クワガノン、ディグダは可愛い弟分、シロツメは保護対象だと認識している。

 

わざ

じしん スピードスター

どくばり つるぎのまい

 

ディグダ ♂

level33 せいかく・おとなしい

 

最近ヒロキに捕獲された新人。

まだまだ育成途中だが、実力はサンドパンからも認められている。

ヒロキは厳しいけど優しいご主人、クワガノンは親友、サンドパンは先輩であり兄貴分、シロツメはクワガノンのご主人だと認識している。

 

わざ

すなかけ どくどく

いわなだれ あなをほる




オリジナルのキャラやその手持ちの設定をざっと書いたものです。
基本はこの設定ですが、ストーリーが進むにつれて変化したりするので必ずしもこの設定だけではないことを理解していただければと思います。


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カントー旅編
3点リーダーレジェンド


前回までのあらすじ
特訓に弱音を吐きつつも、ヒロキを目標としてバトルの基礎を吸収するシロツメ。
この経験を旅で活かせるかどうかはシロツメ次第だ!


こんちわ〜シロツメで〜す。

俺今外にいるんだけど、なんでかわかる?

そうだね、旅だね。

時は流れに流れ俺は11歳となり、この世界の一般常識的には旅をする年になった。

 

俺は明日見たいテレビがあるから駄々こねたんだけど、ヒロキさんに「つべこべ言わず行け」(要約)って言われ叩き出された。

逃〇恥見たかったなぁ。

 

まぁそんなこんなでトキワを出ることになったわけだ。トキワジムは開いてないしというか手持ちが電気・虫だけだと惨敗するしさっさとトキワから出るに限るぜ。

最初のジム目標はどうしようかと考えつつとりあえず二番道路に向かって歩く。

やっぱりニビかハナダか。

 

つーか他のジムも攻略すること考えると何体かポケモン欲しいな、クワガノンだけじゃなんかの縛りプレイ中みたいになるし…。

クワガノンのこと考えると素早さが高くていわ、ほのおとかに有利が取れるポケモンが欲しい。そう考えるとみずが欲しいところ。

んー、どっかで釣竿でも買って釣りしようかな。

あーでももふもふ枠のポケモンも欲しい…可愛い枠…。

クワガノンも可愛いっちゃ可愛いけどどっちかというとかっこいいから…。

 

と、俺が考えてると近くに赤い帽子が見えた。

「あ」

「あっ、こんにちは…」

ohマジか。

こんなにあっさりレッドさんと会うことある?家から出て20分も経過してねぇぞ?

レッドさんは何も喋らずじっと俺を見てくる。

え?何?もしかしてあの時のこと覚えてる?

「…きみは、トレーナー?」

「あっえっハイ」

キェェェェェェアァァァァァァシャァベッタァァァァァァァ!!!

 

思わず焦って返事してしまった…。

レッドさんお前「…」と「…言葉は不要!」以外喋れたんか…?いや、割と初代は喋ってたわ。

でもなんかネットで無口なムツゴロウだの仙人だの言われてたしなぁ…。

そう考えるとポケモンへの指示とかどうやってんのレッドさん。

「…」

「えっ…と…」

最初のやつ以外喋ってくれないんだけど…。

 

この人極度のコミュ障なの?だから3点リーダーレジェンドになったの?そりゃ死亡説とか流れるよ。

 

そう思ってなんか喋らなきゃと焦ってたら視界の端に茶色のトゲが見えた。

「ボンジュール、レッド!と…そっちのやつは?」

「あ、シロツメです」

「シロツメな、俺はグリーン!」

グリーンさんだ。もしかしてグリーンさんならこの状況を変えてくれる…?

「ん?どうしたんだ?…ああ、レッドなー。こいつ喋んねーからなー、多分バトルしたいんじゃね?」

「エッ」

この頃からバトルジャンキーかよレッドさん!?さすがポケマスで室内でキョダイマックスした男だよ!

いや、そういうことじゃなくてですね。多分トキワに居るってことは旅に出たばっかなんだよこの二人。

ポケモン貰ったばっかってことなんだよ。そんな二人に俺のクワガノンをぶつけるとボコボコにする未来しか見えないわけだ。

 

いや無理無理無理無理、それで目つけられたらキツい。

「いや、えーっと、バトルは、そのー…」

「ん?どーしたんだよ、バトル嫌いか?それともポケモンいねーの?」

「あ、そういうわけじゃないんですよ。言いにくいんですけど、俺のポケモンだと…その…」

「なんだ?訳あり?」

「まぁ、はい…」

うまく言えなかった…。

すまんクワガノン、お前は二人の前だと訳ありポケモンだ…!

「ふーん、そーなんだ。あ、レッド!バトルしようぜ!俺様に負けるのが怖いからやらないとか言わねーだろーな?」

「…!」

お、二人の世界入ったな。よし、このうちに離れ…

「シロツメ、審判よろしく!」

「…はい?」




はい、原作の主人公&ライバルが登場しました。
リーフちゃんもいつかなんらかの機会に出したいと思ってます。つーかパシオ編したいし


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レッドvsグリーン

前回のあらすじ
11歳になり旅に出るシロツメ。
ジム挑戦のことを考えつつトキワからさっさと出ようとするもレッドと遭遇しさらにはグリーンと出会う。
レッドとグリーンがバトルする雰囲気になり今のうちに離れようと思っていたがまさかの審判をする羽目に。
一体これからどうなるんだシロツメ!


「えー、これより、トレーナー・レッドとトレーナー・グリーンのバトルを開始します。ルールは入れ替えありのシングルバトル、両者ポケモンは2体です。バトルスタート」

 

なんでこうなったんだろ…。

 

俺はポケセンの裏にあるバトルフィールドで原作主人公&ライバルのバトルの審判になっている。

 

この世界ではジムバトルのルールと野良バトルのルールがある。

基本的に好まれるのはジムバトルのルールだ。

ジムバトルではジムリーダーとチャレンジャーの不正がないか、どっちのポケモンが戦闘不能かをジャッジする審判役がおり、トレーナーへのダイレクトアタックは法的措置を取る場合もある。そういうルールだ。

では野良バトルのルールはというと審判がおらず不正し放題ダイレクトアタックし放題の無法地帯。仮にダイレクトアタックを受けてもそれは自分の責任であるとされる。

 

まぁ、ポケモンは基本的に平和な世界なのでジムバトルのルールが好まれるというわけである。

 

「…いけ、ポッポ!」

「いけ!ポッポ!」

 

いやポケモン被ってるし!仲良しかお前ら!

いや、わかるよ。序盤鳥ポケは基本的に優秀だしな。

でもそんな、先頭ポケまで被るもんか普通?泥試合なるぞこれ?

 

「なんだよレッド!俺様のこと真似したくなったってか!?」

「…」

 

ほら、なんかレッドさんも気まずそうだよ。明らかにグリーンさんと目線を外そうとしてるよ。

 

「何もしてこねーのか!?なら俺様から行くぜ!ポッポ、すなかけ!」

 

ウッ、ディグダノスナカケノトラウマガッ…!

 

「かぜおこし!」

 

お、かぜおこしですなかけの砂を押し返した。そっか、そういう使い方もあるな。風を利用する技はこういう技に対して戦術的に有利が取りやすくていいな。

 

てか、多分ポッポ両方とも同じレベルだろうなこれ。

改めて思うがレベル上げは大事だよなぁ。

 

「少しはやるようになったなレッド!だけど俺様にはまだ及ばねぇぜ!ポッポ、かぜおこしとすなかけでフィールドの砂巻き上げて相手にぶつけろ!」

 

おおー、簡易的なすなあらし状態か。

 

あ、痛い!砂痛い!ちょ、ポッポ(グリーン)さんこっちまで砂きてる!地味に痛いこれ!

 

「でんこうせっか!」

 

レッドさんのポッポは俺からは見えにくいがすなあらしの風を読んで比較的風が強くない方に進路をとり、グリーンさんのポッポに技を決めたようだ。そのままレッドさんのポッポは距離を取ろうとする。

 

「逃がすか!ポッポ、かぜおこしで叩き落とせ!」

「させない…!ポッポ、でんこうせっか!」

 

その瞬間、さっきまで吹き荒れていたすなあらしが晴れた。先ほどの風の音は嘘のように止み、静寂が訪れる。

 

俺は二人のポッポを確認しようと目を凝らす。

 

「両者共に戦闘不能、ポケモンを入れ替えてください」

 

仲良く重なって目を回していた。

二人はポッポをモンスターボールに戻す。

 

「よく頑張ったなポッポ、あとはゼニガメがお前の仇を打つ」

「…ありがとうポッポ、後はヒトカゲに任せて休んで」

 

二人同時にそう言った。

 

やっぱ似てるけど正反対だな、この二人は。

 

「…いけ、ヒトカゲ!」

「いけ!ゼニガメ!」

 

タイプ的に考えるとゼニガメが有利だけど、どちらがバトルの主導権を戦略で握るかによって勝敗は読めない。さっきのポッポ戦の時はグリーンさんが主導権を握っていたけど、ひこうタイプの鳥ポケモンは風を読み生活しているという点をレッドさんが活かしたことによって引き分けとなった。

 

「…ひのこをゼニガメの周りに撒いて」

「効かねーよんなもん!ヒトカゲの方に跳んでそのままたいあたりだ!」

「受けてそのまま首にひっかく」

 

おお、えげつねぇなレッドさん。グリーンさんも俺もドン引きだよ。

ゼニガメは首を引っかかれ、体勢がよろめいた。ヒトカゲはまだ首に爪をかけたままだ。

 

「ゼニガメ、一旦戻ってこい!仕切り直すぞ!」

「逃さない…そのままひっかく」

 

ゼニガメは逃げようとするもヒトカゲに捕まえられ首をまた引っかかれた。

もう完全にレッドさんとヒトカゲが主導権を握ってるな。これひのこ撒いた時点で予想してたらレッドさん相当な策士だよ。

 

「ゼニガメ!抜け出せ!なんでもいい、抜け出せ!」

「…ひっかく」

 

おお、もう…すごい…。

 

ゼニガメはなんとか抜け出そうと暴れているが、ヒトカゲは完全にゼニガメをホールドしており、容易には抜け出せ無さそうだ。

 

「ゼニガメ、ヒトカゲの顔にあわ!」

「…!」

 

その指示を聞いたゼニガメはヒトカゲの顔に直接あわをぶつけ、驚いたヒトカゲがゼニガメを離しなんとか抜け出し、仕切り直していた。

グリーンさんもさすが最強を名乗るだけのことはある、戦略がうまい。

 

「あわを何発か撃て!狙わなくていい!」

「躱しながら近づく」

 

ゼニガメはあわをフィールド上に何発か撃ち込み続け、ヒトカゲは躱しながらゼニガメにじわりじわりと詰め寄っていく。

 

「ヒトカゲに背を向けて甲羅でたいあたり!」

「躱してひのこで目眩し」

 

ゼニガメは甲羅でヒトカゲにたいあたりをする、避けきれず当たるヒトカゲだがなんとかひのこで目眩しを成功させる。

 

「…ひっかく!」

「ゼニガメ、横に避けろ!」

 

ゼニガメは視界不良ながらなんとか横に避けようとするもヒトカゲのひっかくをまともにくらってしまい、倒れる。

 

「ゼニガメ、戦闘不能!勝者、トレーナー・レッド!」

 

ゼニガメは横に倒れる形で目を回していた。

 

「だーっ!またレッドに負けた!また戦略練り直さねぇとじゃん!ごめんなゼニガメ、ポッポ…」

「…おつかれ、ヒトカゲ、ポッポ」

 

二人がポケモンをモンスターボールに戻すと、俺の方を見る。

 

「シロツメ!いつかバトルしようぜ!」

「…バトル、しよう」

 

俺は笑顔でこう言った。

 

「…いやです!」




バトルシーンはやはり難しいですね…。


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呼び続ける声も虚に

前回のあらすじ
レッドとグリーンのバトルに審判役として巻き込まれたシロツメ。
他人のバトルを見て学習しつつ、この二人を相手にしたくないと思うのだった。


とりあえず二人と行動を共にすることになり、今日はポケセン泊である。

 

アニポケでよく見るあのポケセンの宿泊施設は結構便利なもので、トレーナーであれば無償で宿泊でき、朝食と夕食もなんとタダ。

そこら辺のホテルよりも使いやすいのではなかろうか。

 

ていうかまだトキワなので家に帰った方が俺的には早いのだが、まぁ何事も経験というやつだ。というか二人相手に逃げられなかった。

流石に部屋は別々だ。

 

時刻は既に草木も眠る丑三つアワー。

 

眠れず部屋を抜け出し、念の為バッグを持っていく。

夜のトキワはなんとなく落ち着かないものだ。昼間は賑やかな二十二番道路前もこの時間に歩くやつなどいない。いたら怖い。

 

そんなこんなでウロウロと気の赴くまま深夜徘徊をしていたら、何かの遠吠えが聞こえる。

 

犬のような声だ、ガーディかウィンディだろうか?だが違うような気がする。ガーディやウィンディよりも低いような…。

 

そう考えているうちに俺の足は動いていた。遠吠えの聞こえた方へ、ふらふらと歩き出す。

 

何か、懐かしい気がした。夏の日の夕暮れに家路へ帰る時に聞こえる蝉時雨のような、前世から知っていたような不思議な懐かしさ。

 

だが、同時に頭の片隅で警鐘が聞こえる。行ってはいけないと、今すぐ引き返せと頭の中で呼び続ける。

 

その呼び続ける声も虚に、俺は前だけをゆらゆらと見る。

 

行かなきゃいけない、そんな使命感が体を支配していて思考もノイズが走る。

ふと、足が止まった。月が良く見える丘だった。

 

俺の思考はふと正常さを取り戻す。体の支配権も俺に戻る。

 

どこだ、ここは。こんなところ、トキワの周辺にないはずだ。

 

懐かしさよりも恐怖、恐怖よりも既視感。

 

なんだ、なんなんだこの感覚。地面に足をつけているはずなのに、空を浮いているような浮遊感。心の一部が空洞になったような。

 

「ウオオオオオオオン」

 

−−また、遠吠え(呼び声)

 

「ウオオオオオオオン」

 

−−その遠吠え(呼び声)と共に姿を見せた。

 

「ウオオオオオオオン」

 

−−その姿は月を背にした。

 

「ウオオオオオオオン」

 

−−骸を纏いし。

 

「ウオオオオオオオン」

 

 

 

−−狼のようだった。

 

 

 

凛々しく、神々しく、禍々しさすら感じる野生の化身。その声は大地をも震わせることすら容易いように思うほど強く、雄々しかった。

勝利さえひれ伏し、空さえも裂き、地獄でさえも支配してしまうような…。

 

だが、だがそんな感覚の裏で、俺の正常な脳は違和感を感じていた。だって、だって目の前のその存在は…。

 

間違いなく、ヘルガーだ。

 

なんでカントーにヘルガーが、というか、何故自分はヘルガーにそんな感情を募らせるのか。

間違いなくヘルガーであるのに、なんで伝説や幻を見ているような錯覚に陥るのか。

 

まるで意味がわからなかった。

 

俺が目を離せず、ただ呆然と目の前のヘルガーを見ていると、ヘルガーは俺の方に近寄ってくる。

 

近くで見ると、ヘルガーは本当に大きかった。おそらく通常のヘルガーとは比べ物にならない、もしかしたら子供、俺のような体なら余裕で乗せて走れそうな大きさ。

 

ヘルガーは俺のカバンを口で器用に奪い取ると、中を漁り始めた。そして、その口でモンスターボールを咥えて俺の前に起き、座った。

 

もしかして、このヘルガーは俺にゲットされたいのか…?

 

自惚のようだと思考の片隅で考えるが、俺は目の前のモンスターボールを拾うと、ヘルガーを見た。

ヘルガーは俺をまっすぐと見つめる。

 

「ガウ」

 

早くしろというように鳴いた。

 

俺は戸惑いながら、ヘルガーにモンスターボールを優しく投げる。

一つ、二つ、三つ数えてポンと音がする。ヘルガーがモンスターボールへ入ることを了承したという合図である。

 

まだ状況を整理しきれていない俺は、ヘルガーをモンスターボールから出す。

ヘルガーは俺を見つめると口で服の襟を噛み、ヒョイと上に乗せる。そして駆け出した。

 

俺はただ振り落とされないよう必死になってしがみつくしかなかった。

そして暫くすると、二十二番道路前まで連れてこられていた。ヘルガーはもういいだろうというようにモンスターボールの中に戻る。

 

俺はよくわからないままポケモンセンターの宿泊施設へ戻って行くことになったのだった。




厨二満載回です。
なんでヘルガーなの?って疑問に思った方いますよね。
作者の趣味です。犬系ポケモンってかっこいいけど、その中でも特にかっこいいのがヘルガーなので。ルガルガンも出そうかと思ったのですが、流石にアローラ統一は芸が無いかと。で、そう考えて選んだのがヘルガーでした。


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森育ちなめんな

前回のあらすじ
寝付けない夜にポケモンセンターの宿泊施設を抜け出したシロツメ。
何かのポケモンの遠吠えに導かれるように謎の場所へ迷い込み、通常よりも大きいヘルガーと出会う。
ヘルガーを仲間にしたシロツメは困惑したまま宿泊施設へと戻るのだった。


「ご報告申し上げます…様!実験No.007が脱走いたしました!」

 

清らかな白を基調としたとある一室にて、黒を纏った人物の前に姿勢を正し部下らしき男が報告していた。

 

「…そうか、埋め込んだチップはどうした」

「正常に機能しております」

 

黒を纏った人物は小さく舌打ちを打つと、手元の資料をちらりと見た。

 

「すぐに位置を特定して連れ戻せ、あれは今外に出してはいけない物だ」

「了解いたしました!」

 

部下が部屋を出ていくと、黒を纏った人物は窓の外を見る。

 

高いビルの最上階から見える夜景は、ネオンが光り、星の輝きさえ霞んで見えた。

奇跡をゴミのように重ねた景色だと、黒を纏った人物は感じていた。

 

「ポケモンの完全支配を達成すれば…我が理想は叶うのか」

 

自分に問いかけるように、小さくつぶやいた。

 

彼の机には、赤ん坊を抱えた母親の写真がポツリと置かれていた。

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 

「無理無理無理…どうしろってんだ俺に…」

 

俺は宿泊施設のベッドに座り、頭を抱えていた。

爽やかな朝の日差しが部屋に注ぎ込む非常に良い微睡の時間。だがそんなこと俺にとっては些細なことだ。

 

昨晩のヘルガーは夢だと思いたかった。

絶対突然変異とかの個体だもん。良からぬ事を考える研究者とかポケモンの密猟者に狙われるやつだもんこれ。

ロケット団とかに目つけられたらどうしよう…めんどくせぇんだよその場合…。

 

で、当の本人はすやすやと俺の眠ってる間に勝手にボールの外に出て俺のベッドで眠ってるわけだ。

 

つーかマジででかいなこいつ…。

 

俺がそんな感じでうだうだと考えていると、ヘルガーはパチリと目を覚ました。

 

「…ゥ」

 

眠そうに控えめにあくびするとベッドを降り、モンスターボールの中に戻った。

 

こいつでかいだけじゃなく賢いんだよなぁ。

 

と、俺がそう思ってるとクワガノンがモンスターボールから出てきた。

 

何?俺のポケモンは勝手にモンスターボールから出てこないといけない縛りでもあるの?

 

「ジジジッ」

「どうしたクワガノン。ちょ、顎のやつで小突かないで!マジで痛い!なんで小突くんだ!?」

 

クワガノンは俺を睨むようにして軽く小突いてくる。何に怒ってんだよこいつ!?

 

「ジジーーッ!」

「あ痛ぁ!?…も、もしかして、勝手にヘルガー仲間にしたこと怒ってんの?」

 

俺がそう言った瞬間クワガノンはピタリと止まった。あ、図星だわこれ。

 

「あー…それはごめん…お前モンボの中でぐっすりだったから…」

「…ジィ…」

 

たしかにクワガノンに一言言うべきだったかも…まぁやっちまったもんはしゃあなしなんだが。

 

「安心しろよ、俺の相棒はお前だけだって」

「ジジ…」

 

俺はクワガノンを撫でると、ちらりとヘルガーのモンボを見た。

 

さて、どうすべきかな。仲間にした以上は出来るだけ手放したくないものだが…。

 

クワガノンをモンボに戻して、バッグを担ぐと俺は部屋を出てロビーへ出る。

目立つレッドさんとグリーンさんはまだ部屋にいるようで、俺はしばらく考える。

 

「…先行っちまうか」

 

必要なもんだけ買ってさっさとジム目指そう。その方がぐだぐだ地元にいるよりはいいだろ。

 

朝食はどうするのかって?俺は元々朝食は食わない派なんだよ。

 

 

 

さて、トキワの森の前まで来たわけだが…どうしよ。見るからに怪しい奴がいる。

いや、ロケット団とかそういうのじゃなさそうなんだけど、明らかに怪しいんだわ。なんでトキワの森の前で白衣着てんだあいつ。

 

「…トキワの森にも居なかったか、チップを自分で外したのか?」

 

なんか一人でぶつぶつ言ってる…こわ…近寄らんとこ…。

 

俺が静かに隣を通り抜けようとすると、目が合ってしまった。

 

「ああ、そこの君!こんなポケモンを見なかったか?」

 

やべ、捕まったわ。

 

俺が白衣のやつに見せられた写真には、ヘルガーが写っていた。隣に立つ人間と比べると明らかに通常よりも大きいヘルガーだ。

 

アッッ完全に俺の手持ちですねぇ!!

 

厄介ごとに首突っ込んじまったなこれ。えっ、本当にどうしようこれ。

 

「私の研究所で預かっていたとても凶暴なポケモンでね、それがどこかへ逃げてしまったんだよ」

「ア、スイマセンシラナイデス」

「そうか…うーん、参ったな…」

「タイヘンデスネ、ハヤクミツカルコトヲネガッテマス。ソレデハ」

 

俺は早足でトキワの森の整備された道へ入った。

 

こっっっっっわ!こんな冷や汗出たのトキワジムの件以来だわ!!

 

俺は深くため息をつくと、トキワの森の道をズンズン進む。森育ちなめんな?道さえあれば迷わないし多少の崩れた足場もどんどん行けるわ。

もうトキワの森は俺の庭だ。でも二度とここで暮らしたくはないです。

 

たまにトレーナーとバトルになるが、まぁクワガノンで軽く流す程度で勝てる、ヌルゲーだなぁ。

 

トキワの森を早々に抜けると、ニビシティへ一直線に足を進める。

 

なんでそんなに急ぐのかって?白衣の人が怖いんだよ。

人間後ろめたいことがあると焦るんだよ。

 

はぁ…これからどうしよう…。




さぁ…様は一体誰で何者なんでしょうねぇ?
何か重要な鍵を握ってるみたいですけど…


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旅に出たばかりのトレーナーの話を聞きたい

前回のあらすじ
通常よりも大きく賢いヘルガーに頭を悩ませるシロツメ。
トキワの森で怪しい白衣の男にヘルガーの行方を聞かれ、危機感を抱き始めるのだった。


なんだかんだでニビとうちゃーく。

 

えーと、とりあえずポケセンで泊まるとこ確保してクワガノンとヘルガー回復して、フレンドリィショップできずぐすりとどくけしとまひなおし買って、ジムの観戦にでも行こうかな。

相手がどういう戦い方をするのか見ないとだし、今の手持ちだと抜群が取れないから戦略もいくつか練らないとだし…。

 

なんか旅してるポケモントレーナーってかなり忙しいな。

 

まぁ、前世だと中々一人で気ままに旅なんてできなかったし、好きなポケモンとの旅だし、楽しいからいいけどな。

 

「こんにちは!本日はどのようなご用件ですか?」

 

アニメやゲームでよく見たジョーイさんが笑顔で受付してくれる。あぁ〜笑顔が眩しくて浄化されるぅ〜。

 

「ポケモンの回復をお願いします。あと宿泊施設の利用をお願いしたいのですが」

「それでは、ポケモンをお預かりいたします!それと宿泊ですね!トレーナーカードの確認をしてもよろしいですか?」

「どうぞ」

 

ポケモンセンターではトレーナーカードの確認を行い、宿泊施設の利用許可が出される。なんでも、こうして利用者を把握して何かトラブルや事故が起きた際すぐに対応できるようにするためらしい。

この世界では大体の人間がトレーナーカードを保持しているからこそ出来るシステムだ。

 

「確認しました!ありがとうございます!トレーナーカードはお返ししますね。105のお部屋が空いていますのでご利用ください!」

 

そして、鍵が渡される。カードキーだ。

 

で、回復が終わるまでしばらく待つ。ゲームと違って音楽が鳴り終えれば即回復なんていかないのだ。

 

ちなみに鞄にはヒロキさんの知り合いの人にもらったポケギアが入ってるし、なんかインターネットが使えるらしい。

 

俺はポケギアを起動してインターネットを選択する。て言ってもそんなにこの時代だとコンテンツなんて無…。

 

2ch的なものもニコ動的なものも既にあるだと…?時代的におかしくないこれ?なんで?しかもなんでポケギアでそれ見れんの?

 

いや、まぁ…動く床とかワープパネルある世界だしおかしくないか…。

 

俺はスレを開いて時間を潰すことにした。

なんか面白いスレねぇかなっと…。

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旅に出たばかりのトレーナーの話が聞きたい

 

1:しがないポケットなトレーナー

新米トレーナーの話が聞きたいオッサントレーナーの暇つぶし

 

2:しがないポケットなトレーナー

たまに新米トレーナーっぽい子見つけるとほっこりする

 

3:しがないポケットなトレーナー

わかる

 

4:しがないポケットなトレーナー

ゆーてここに繋がる機器あまりねーやん

 

5:しがないポケットなトレーナー

ポケギアあまり持ってるやついねーしな

 

6:しがないポケットなトレーナー

はい解散

 

7:トキワの新米トレーナー

呼んだ?

 

8:しがないポケットなトレーナー

キタ―――(゚∀゚)―――― !!

 

9:しがないポケットなトレーナー

お、トキワ

 

10:しがないポケットなトレーナー

トキワってどこや

 

11:しがないポケットなトレーナー

トキワ…?

 

12:しがないポケットなトレーナー

カントーの一都市や。トキワの森とかカントーリーグに繋がる道があるとこ

 

13:トキワの新米トレーナー

トキワ認知度無くて草

 

14:しがないポケットなトレーナー

地元なのにこの態度

 

15:しがないポケットなトレーナー

大物になる予感がする

 

16:しがないポケットなトレーナー

まぁトキワ田舎だし…(ヤマブキ)

 

17:トキワの新米トレーナー

お?ケンカか利子つけてでも買うぞ?

 

18:しがないポケットなトレーナー

まーたヤマブキがトキワに喧嘩売ってる…

 

19:しがないポケットなトレーナー

ほんとヤマブキ民そういうとこだぞ

 

20:しがないポケットなトレーナー

トキワ民も喧嘩っ早いなあ

 

21:トキワの新米トレーナー

保護者にヤマブキは敵だって教えられてきたからさ…

 

22:しがないポケットなトレーナー

 

23:しがないポケットなトレーナー

親を保護者呼びする奴初めて見た

 

24:しがないポケットなトレーナー

保護者さんヤマブキになんの恨みが…

 

25:しがないポケットなトレーナー

ヤマブキに親でも殺されたんか?

 

26:しがないポケットなトレーナー

トキワこわ…近寄らんとこ…

 

27:トキワの新米トレーナー

ひどぅい…

 

28:しがないポケットなトレーナー

そういやトキワくんの相棒ポケって誰?

 

29:しがないポケットなトレーナー

トキワくんw

 

30:しがないポケットなトレーナー

トキワくん草

 

31:しがないポケットなトレーナー

トキワくんてw

 

32:トキワの新米トレーナー

ネーミングェ…

 

33:しがないポケットなトレーナー

トwキwワwくwんw

 

34:トキワの新米トレーナー

ワイの相棒はクワガノン

 

35:しがないポケットなトレーナー

クワガノンとはまた面白いポケモンだな

 

36:しがないポケットなトレーナー

初心者向けかね?

 

37:しがないポケットなトレーナー

てかカントーに居なくね?アローラじゃね?

 

38:しがないポケットなトレーナー

アローラやで

 

39:しがないポケットなトレーナー

クワガノンかぁ

 

40:しがないポケットなトレーナー

保護者さんからクワガノンもらったん?

 

41:しがないポケットなトレーナー

トキワくんって呼ばれるのはいいのか…

 

42:しがないポケットなトレーナー

クワガノンいいよなぁかっこいい

 

43:しがないポケットなトレーナー

は?一番かっこいいのはガブリアスなんだが?

 

44:しがないポケットなトレーナー

リザードンに決まってるだろ常考

 

45:しがないポケットなトレーナー

ゲッコウガだろお前の目は節穴か?

 

46:しがないポケットなトレーナー

アーマーガアなんだよなぁ

 

47:しがないポケットなトレーナー

サメハダーだろトレーナーエアプか?

 

48:しがないポケットなトレーナー

世界一かっこいいのはルガルガン(まよなかのすがた)だ覚えとけ

 

49:しがないポケットなトレーナー

莫迦野郎宇宙一かっこいいのはファイアローだ

 

50:しがないポケットなトレーナー

この世で一番かっこいいのはバシャーモなんだが?

 

51:トキワの新米トレーナー

どのポケモンもこの現世において一番かっこいいし可愛いし美しいだろお前らそれでもポケモントレーナーか?

 

52:しがないポケットなトレーナー

せやな

 

53:しがないポケットなトレーナー

ぐうの音も出ねぇ

 

54:しがないポケットなトレーナー

トキワくんトレーナーの鑑じゃん

 

55:しがないポケットなトレーナー

新米の筈なのにベテラントレーナー感

 

56:しがないポケットなトレーナー

強い(強い)

 

57:しがないポケットなトレーナー

新…米…?

 

58:しがないポケットなトレーナー

トキワくん何歳なの…?11じゃないよな…?

 

59:しがないポケットなトレーナー

いや、流石にこの物言いで11は無いだろ

 

60:しがないポケットなトレーナー

せめて18は行ってるって

 

61:トキワの新米トレーナー

11ですけど何か?

 

62:しがないポケットなトレーナー

マ?

 

63:しがないポケットなトレーナー

おかしい…こんなの絶対おかしいよ…

 

64:しがないポケットなトレーナー

もしかして人生2回目?

 

65:しがないポケットなトレーナー

絶対11の精神年齢じゃない

 

66:しがないポケットなトレーナー

なんでお前11なの?

 

67:しがないポケットなトレーナー

精神に対して体が追いついてない

 

68:しがないポケットなトレーナー

下手したらワイらより精神年齢高いぞこれ

 

69:トキワの新米トレーナー

あ、ポケモンの回復終わったから一旦離れるわ

 

70:しがないポケットなトレーナー

おー

 

71:しがないポケットなトレーナー

いってら

 

72:しがないポケットなトレーナー

いってらー

 

73:しがないポケットなトレーナー

いってらっさい

 

74:しがないポケットなトレーナー

いってらー

 

75:しがないポケットなトレーナー

じゃあの

 

76:しがないポケットなトレーナー

ノシノシ

 

77:しがないポケットなトレーナー

そういや弟が今日旅に出たばっかなんだよな

 

78:しがないポケットなトレーナー

お、どこ?

 

79:しがないポケットなトレーナー

……

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

「またのご利用をお待ちしています!」

 

いやー、すっかり元気だなぁクワガノンとヘルガー。ま、元々怪我はあまりしてなかったんだけど。

 

さて、フレンドリィショップでも行ってジム観戦の時間でも確認してきますかねぇ。




始めて掲示板みたいなものを作ってみました。私はまとめとか見てただけなのでそんなに詳しくは無いです。
それはそうと掲示板楽しかったのでまた書きたいと思います。


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チャレンジャーなんだなあ

あらすじ
ニビシティに無事到着したシロツメ。
ポケギアの高性能さに驚きつつ、ニビジムヘ向かうのだった


「ごめん、少しいいかな」

 

俺は後ろから呼びかける声に立ち止まった。

振り向くと俺と同じくらいの歳の少女が困ったような顔で、フシギダネを抱えていた。

 

「なんですか?」

「その、わたしニビジムがどこかわかんなくって」

 

その子はえへへ、と困ったように笑う。

はて、どこかで見たような子だな。

 

「俺、今ニビジムに行く途中だったんです、良かったら一緒に行きますか」

 

俺がそう提案すると、わかりやすいように目を輝かせた。

 

「ほんと?やったー!私リーフって言うの、あなたの名前は?」

 

なるほどなー!!!見たことある気がしたのそれかー!!!なるほどー!!

マジか、えっマジか?嘘だろ?リーフがなんでこんなとこで迷ってんだ!?

 

「シロツメです…」

 

俺は頭の中が大混乱中の中絞り出すように言った。

おかしい…リーフが方向音痴とかいう設定はないはず…どこかの無敵のチャンピオンじゃあるまいし…。

 

「シロツメくん!よろしくね!」

「っす…」

 

あ〜笑顔が眩しい〜!!!

リーフがるんるんと間違った道を行こうとしたので慌てて引き留め、一緒に歩く。

 

彼女はまだ手持ちがフシギダネしかいないらしい。

何故かと聞くと、ポケモンとは旅を共にする仲間であり一生を共に過ごす家族であるため、よく考えて仲間にするという。だからまだ博士に貰ったフシギダネしか仲間にしていないらしい。

ゲームだった頃はよく考えてなかったけど、やっぱポケモンはこの世界の人たちにとってなくてはならない存在なんだと感じる。

 

もちろん俺もクワガノンとヘルガーは仲間だし家族で相棒だ。それは変わらないし変えるつもりもない。

ていうか、ヘルガーどうしよう…。

思えばヘルガーのこと詳しく知らないし、一回調べた方がいいのか…?

そんなことを考えてリーフと話していると、ニビジムに着いた。

 

「わー、おっきいねー!ジム観戦ってどこでできるんだろ?」

「リーフさんはジム攻略に来たんじゃないんすね」

「うん、まずは相手を知らなくちゃ!」

 

そういう考えは同じなんだな、と思いつつジムに入り受付の人と話す。

 

「ジムの観戦をしたいんですけど、試合の予定ってどうなってますか?」

「それなら今、丁度チャレンジャーが来てますよ。観戦も可能です」

「じゃあ二人、観戦します」

「了解しました。あちらから観戦席に行けますよ」

「ありがとうございます」

 

ジムの観戦は慣れている。いうてトキワジムしか観戦したことないが。

にしてもチャレンジャーか、俺も今その立場なんだと思うと少し感慨深い。

前世だとプレイヤーとしてだったが、今世だとちゃんとこの世界でのジムチャレンジャーになれたんだよな。

 

「シロツメくん慣れてるのね!ジム観戦が趣味だったりするの?」

「身内にジムトレーナーがいるから、その人の試合見に行く機会も多かったので…」

 

ヒロキさんによく見においでって言われてたからな。

あの人のサンドパン強いんだよなぁ…。

さてさて、バトルを…。

 

あ、チャレンジャーがレッドさんだ




長らくお待たせして本当に申し訳ございませんでした。
今年受験生ということもあり忙しく…。
あとアルセウスと剣盾が面白くって…。ポケマスもやってて…。
忍んでない忍者のアニメも見てて…小さい名探偵の映画一気見してて…。
とにかく今年に入りもう5月ということで急いで書き上げて投稿した所存にございます。
今年もよろしくお願いします福は内ハッピーバレンタインホワイトデー。


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