機動戦士IS00 未完 リメイク再開予定 (GN-type-E )
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First season
プロローグ


世界観はガンダム、物語はISをイメージしてつくっています。もちろんMSもMAも登場しません。


 

西暦2307年、人類は枯渇した化石燃料に代わるエネルギー源として宇宙太陽光発電システムと軌道エレベーターを実用化していた。

軌道エレベーターの建設に伴い大国間には全面的な対決こそ無いものの中東諸国を含めた、石油大国は軌道エレベーター建設に反対し、数々のテロが行われた。

 

2295年に起こったアイルランド軌道エレベーター建設爆発テロもその一つである。

 

 

俺はその日、目の前で両親を失った。

 

 

 

 

それから24世紀の幕開けと共に女性にしか扱えないマルチフォームスーツIS《インフィニット・ストラトス》を篠ノ之束が開発し、ISによっての軌道エレベーター防衛と理由を付け熾烈な軍備開発競争による冷戦状態が継続し、世界は大きなゼロサムゲームを続けていた。

 

 

 

 

2307年4月…ここ、IS学園にイレギュラーが現れた。

「織斑一夏です。よろしくお願いします」

織斑一夏…15歳。世界で唯一ISを扱える男。そして、世界最強の織斑千冬の実の弟である。

「それだけ?」

「以上です…」

俺は自己紹介を切った。

 

ドスン!

 

しかし、後ろから誰かに殴られてしまった。

「貴様はロクに自己紹介もできんのか?」

「仕方が無いだろ…俺は臆病なんだから……」

3年前の第二回モンドグロッソの時、俺はテロ組織に誘拐され、この世界に神がいないことを強く思い知った。だが、俺は救われた。白い全身装甲のISに…

「…ガンダム」

「そうだったな…織斑。すまなかった」

千冬姉が悪いわけではないことはわかってるし、悪質な事件だったのもわかってはいた。

だが、俺のせいで千冬姉は棄権し、俺の身を案じてISパイロットを引退した。昔から変わらない……俺は何も変わっちゃいないんだ。

 

 

 

 

休み時間。俺は大多数の視線を無視してISについての開示してあるデータを見ていた。国家代表候補生ではないが、男性操縦者としてのデータのためにISに乗せられる可能性がある。だから戦うであろうISのデータを確認していた。

 

「ちょっといいか?」

 

俺に声をかけた少女がいた。

「箒?箒じゃないか…久しぶりだな」

それは正しく6年前に別れた幼馴染だった。

 

 

 

「その、久しぶりだな一夏…凄く大人びて、最初はびっくりした」

「大人びてなんかないよ…自分の情けなさや、世の中の恐ろしさに気づいただけだよ」

一夏の答えを私はそのまま返した。

「それを大人びているというんだ」

「そうか…それなら、箒も大人になったよな。身体つきはもちろんだけど、なんか母性を感じるんだ…でも箒が声をかけてきたきたとき、箒だってすぐにわかったよ」

大人…母性…箒だってすぐにわかった。私の胸がこれほど張り裂けそうになったことはないほど、胸の中がいっぱいになった。

「やっぱり昔から変わらないところもあるんだな…そのリボンって確か俺がプレゼントした奴だよな」

「お、覚えていたんだな///」

「当たり前だ…人との思い出は大切にしろってよく言われたからな…」

一夏は優しい目で私を見つめてくれた。私はこれほどまでに男らしくなった一夏を見て嬉しくなってしまった。

 

 

 

休み時間が終わり、授業が始まった。ISに関しては素人だったが、ガンダムに助けられて以来、俺はISについて調べたりしていた時期があった。そのため、一年生で習う基本は熟知している。よって、勉強を遅れることなく授業についていけたというわけだ。

 

次の休み時間

「ちょっとよろしくて?」

「はあ…」

「まっなんてお返事ですの⁉︎このセシリアオルコットが話しかけてきていると言うのに…」

セシリアオルコット、イギリスの代表候補生。さっき見ていたデータにも入っていたが第3世代IS『ブルーティアーズ』という専用機を所持し、イギリスの代表候補生の中では一番優秀な…言わばエリートだ。

高飛車なお嬢様によくいそうな喋り方をしているから、少しだけ珍しいと思ってしまった。

「イギリス代表候補生のエリートさんが、俺に何の用事かな?」

皮肉交じりに俺はそう言った。

「そう、エリートなのですわ。ですが、わたくしと会話するのにその態度気に入りませんわ」

「そうかな…気にしたらごめんな…」

俺のその態度が気に入らなかったのかオルコットは机に手をおきこう言った。

「そういった態度が気に入りませんの!やはり男は情けない…あなたと話しても無駄だったようですわ」

そうか、俺は情けないのか…

 

 

 

 

授業が終わり、放課後…千冬姉に呼び出され鍵を渡された。寮の部屋の鍵である。

もともと自宅通学の予定であったが、マスコミが張り込んでいるため当分は帰れないそうだ。(荷物に関しても千冬姉が用意していたようだ。)

 

 

部屋に入るとそこは高級ホテル…設備はほとんど整っている。

凄さと同時に、そこまで回るIS学園の財力に圧倒するしかなかった。

 

ジャージャー…

 

『ん⁉︎そこに誰かいるのか?』

誰かがシャワーを浴びていたらしい。俺はひどい誤解を避けるため部屋の外へひとまず出た。そして、丁度やってきた千冬姉に向けて

「これはどう言うことだよ千冬姉!!」

 

ゴスッ

 

「学園では織斑先生だ!それに言うことを忘れていたからお前にも篠ノ之にも伝えに来た」

「しっかりしてくれよ千冬姉!!」

 

ドスン!!

 

「織斑先生と言ってるだろ」

 

 

こうして、織斑先生により部屋の調整ができるまで二人で部屋を使うように言われた。

正直に言うと、俺の理性がもつかどうかが不安だった。

 

 

 

 

次の日、朝から早く目が覚めたため、弁当を含め、朝食を作った俺は箒を起こして一緒に朝食をとっていた。

「味に合うかどうかわからないし、量が多いから残しても構わないぞ」

朝はしっかり食べるタイプである俺はご飯・味噌汁・鮭の塩焼き・スクランブルエッグを二人前作った。

「何を言う馬鹿者!私は朝からしっかり食べるタイプだ。そ、それに食べ物を粗末にするなど私はしない。(それにお前が作った料理だ…食べないわけがないだろ…)」

最後は何を言っているのかわからなかったが、食べれるなら問題ないか…

 

 

数分後、食事は終わり、箒に弁当を渡して教室に向かった。その時の箒が悔しがっているのか嬉しがっているのかわからないがすごい顔をしていたことに疑問を抱いたりしていた。

 

 

 

「…であるからして、ISに関連した事件で白騎士事件とガンダム事件では所属不明機が確認されている」

千冬姉が講義をするISについての事件に関する話に、俺が捕まった事件の名前があった。

「先生!これって織斑君が誘拐された事件なんじゃ…」

「ああ、そうだ。ガンダム事件は織斑が誘拐された事件…そして第一世代IS『0ガンダム』が確認された事件である」

0ガンダム…パイロット不明、所属不明と謎の多い機体。第二世代が主流の時期に現れ、誘拐犯のIS(第二世代後期)を圧倒した第一世代IS…ISコアは設計上従来のISと根本的に違い、その情報、データは明らかにはなっていない。ISコア並に謎に包まれた機体である。今はIS学園で調査されているらしい。

「馬鹿げてますわ。いくら第二世代後期とはいえ、第一世代に後付け装備をしただけの機体ばかりですわ。それに比べ、わたくしのブルーティアーズなら圧倒できる自信がありますわ」

俺はその言葉にカチンと来た。

「お前…軽く口走ってるなら、今の発言取り消せよ」

「なんですの⁉︎あなたが愚か者な人たちに捕まって泣いていたことでも思い出したのですか?」

オルコットは的外れな答えを言った。

「違う。俺が許せないのは、ガンダムと…遠回りして千冬姉や捜索してくれた人達に対しての侮辱に聞こえたからだ。お前がそこにいたならまだしも…いなかった癖に調子に乗るな」

俺は多分ここで始めて本音で言いたい放題言ってしまったのだろう。

クラス全員が唖然とした。

「そこまで仰るなら決闘ですわ!」

「わかった。しの後の言うよりもそっちの方がはやいからな…」

「よし、決闘は一週間後に第三アリーナで執り行う。ついでだ、クラス代表もどっちかにやってもらうことにした」

こうして俺は案の定、セシリアオルコットと戦うことになった。




キャラ紹介
織斑一夏
ガンダムエクシアのパイロット。
文武両道で成績は優秀だが、力が無いことを恐れ毎日恐怖していた。小さい頃からテロを目の辺りにしている為、テロに対しての憎しみとトラウマが生まれている。この世界には神はいないと思っており、助けられたガンダムが彼の中で神格化している。
キャラの境遇のイメージはロックオン(ニール)と刹那をイメージしている。

ガンダムエクシア
全身装甲のISで、イオリアの設計図とGNドライヴと呼ばれるコアによりIS学園で製作された機体。元々は倉持が開発していた白式が一夏のISになる予定だったが、強奪されたため一夏の専用機になる。
初期設定時の色は白でエクシアのロールアウトカラーと同じ。第一形態が白赤青のトリコロールカラーのエクシア。


織斑千冬
一夏の姉で世界最強。一夏の理解者であると同時に2度も一夏や家族を守れなかったことに罪悪感を抱いている。
境遇のイメージはロックオン(ライル)のイメージ。


篠ノ之箒
一夏の幼馴染。一夏に好意を抱いているものの気持ちをはぐらかされ続けられている。剣を持たせれば同世代では最強であるが、一夏に関しては昔から邪念が混じって勝てないことばかりである。


セシリアオルコット
イギリスの代表候補生にしてオルコット財団の当主。アイルランドの軌道エレベーター建設やアフリカタワー建設などにも関わっている。専用機は原作同様にブルーティアーズ


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1話 俺がガンダムだ!

ガンダムはOガンダムとエクシアだけしかでてないですが、oo関連の機体はどうにかして出す予定です。


 

 

俺がガンダムに助けられたのは第二回モンドグロッソの時だった。

日本代表の織斑千冬を勝たせないために織斑一夏を人質にしようとした中東のゲリラ組織『KPSA』

そのIS部隊が俺を拘束するために俺を襲われた。

一度は捕まったものの、逃げ出してそれを追っかけるようにIS部隊も追っかけきた。

しかし、IS部隊一個小隊が空から放たれたビームライフルにより全滅したのである。

俺がその時に目にした神々しい存在がガンダムであった。

 

 

 

 

セシリアオルコットと試合することになり、俺はやれることをしようと思った。

専用機の方は千冬姉がどうにかするらしいから、俺がしなければならないのは体力づくりくらいしかない。

「というわけで、協力してくれないか?箒」

「な、な、な、なんで私に頼むのだ⁉︎」

顔を真っ赤にさせ狼狽える箒…実際に運動神経抜群の人に頼むべきと思ってたのど口にはださなかった。

「まあ、俺って人見知りなとこあるし、同門だったお前になら頼めると思ってな…」

「よし受けた…いや受けさせてください(これで他の時間も一夏といれる一夏といれる)」

おいおい箒よ…いつお前はそんなになったんだ?

 

 

 

まあ、そんなこんなで俺はISよりも体力づくりに励んで一週間が経過した。

「一週間たち、丁度お前の機体も届いた…」

そこには白がいた。

全体が無色の白い機体だが、俺の知る機体に似た機体がそこにはあった。

「ガンダム…」

「識別コードGN-001 ガンダムエクシア。極秘で進められていたガンダム計画の第三世代ISだが、コアに関してだが、Oガンダムに酷似したコアが送りつけられてな…それを採用し設計された」

「ガンダムエクシア…俺のガンダム…」

俺はガンダムに触れた。何故だろう、以前触れたISよりも居心地がいい。

『フィッティングは本番中にやれ、オルコットはもう出ているぞ』

「了解…箒、行ってくる」

俺は応答と、隣にいた箒に向かって行ってくると言った…

カタパルトに足を固定し合図を待つ。

『リニアボルテージ上昇、射出タイミングを織斑一夏に譲渡します。発進どうぞ』

「織斑一夏、ガンダムエクシア行きます!!」

俺とエクシアは初めての空へ飛んだ。

 

 

 

「あら、逃げなかったんですね…今ならまだハンデを差し上げれますが…」

「言い訳が欲しいならもっと考えて物申せってんだよ」

セシリアは感じていた。この男の自信に…いや、安心感に似た何かを

 

警報『敵IS射撃体制に移行トリガー確認 初弾エネルギー装填』

 

「さあ、踊りなさい。ブルーティアーズが奏でるワルツを」

セシリアはメインウェポンのスターライトMk-Ⅲを打つ。

「弾道がわかっている弾などに当たるか!!」

エクシアはモーションもなく加速しブルーティアーズの懐に入り込み腕についたGNバルカンを放つ。

「えっ嘘…(全身装甲の機体がこんなにも機動力を持つなんて)」

セシリアは体制を立て直すなりBT4機を一斉に射出した。

「装備…これか!」

一夏はGNビームダガーを使い的を射抜くようにBTを的確に投擲した。

「んな⁉︎そんなバカな」

「よそ見をしている場合か!」

壊したBTの近くを通り、ビームダガーを確保…刀身を伸ばしてビームサーベルにしブルーティアーズを狙う。

「っち。まだBTは残ってましてよ!」

ミサイル型のBT兵器か…俺はミサイルから逃げるが、追尾ミサイルのごとく追い回す。

 

ドカーン

 

「やりましたわ」

だがまだ甘い…ミサイルは俺とエクシアを追うことはできなかった。

「危ない危ない…ようやくフィッティングが終わったか…」

すると、機体は白い機影ではなく白青赤のトリコロールに変わり右腕にはメインウェポンらしきGNソードが装備されていた。

「まさか、第一形態《ファースト・シフト》⁉︎あ、あなた今まで初期設定のままで戦っていたんですの⁉︎」

「そうだ。だがオルコット…俺はそれでも全力をもって勝負している…貴様が最初に言ったハンデと思わないでくれ」

俺はGNソードをライフルモードにし、ブルーティアーズを狙う。

「狙い打つ!!」

「っきゃ!」

スターライトMk-Ⅲを破壊し、そのまま一気に詰め寄る。

「っぐ、インターセプター!」

セシリアは短剣を出すものの、GNソードの前では無力だった。腕の関節部分の装甲、足の関節部分の装甲を切られ、ブルーティアーズは動かなくなった。

『勝者、織斑一夏』

「ガンダムだ…俺が、ガンダムだ」

俺はこの戦いでわかった。自分の得た力…ずっと欲しかった誰かを守れる力を手に入れたことに。

 

 

 

試合を見ながら千冬は一つ小声を漏らしていた。

「ガンダムエクシア…近接格闘型にしては束が作った白式とは正反対な機体だな…」

白式…篠ノ之束制作の元々一夏が乗るはずだった専用機…しかし、先日何者かに強奪され、今は無き機体である。

「しかし、この設計…何を考えているんだイオリアと言う男は…」

GNドライヴと書かれたコアと共に送られた設計図…明らかに束と同等いやそれ以上かもしれない。

 

 

 

 

ピットに戻り箒のところへ向かった。

「一夏…そのなんだ。かっこ良かったぞ」

「そうか。それよりも、箒に感謝してるんだ。体力づくりに手伝ってくれてありがとうな」ニコ

「…(その笑顔は反則だ…)」

 

ゴスッ!!

 

「貴様…教師の前でナンパなどアホなのか?」

「なにいってんだ。協力してくれたおかげで勝ったんだ…俺は箒に素直な気持ちを伝えただけで…」

「…ふっまあいい…それよりもこれを渡す。ちゃんと目を通しておけ…」

また電話帳並の参考書かよ…それに書いてあったのは『IS学園IS使用マニュアル』様は専用機としてISの使用マニュアルというわけか…

「一夏…一様聞いておけ。お前の元々の専用機は開発途中に強奪された。だがな…もうそれがお前の専用機だ。奴らはそれも狙うだろう…気をつけろ」

俺は千冬姉の一言に世界の歪みを感じた。

 

 

 

 

セシリアはシャワーを浴びていた。

「織斑…一夏」

『違う。俺が許せないのは、ガンダムと…遠回りして千冬姉や捜索してくれた人達に対しての侮辱に聞こえたからだ。お前がそこにいたならまだしも…いなかった癖に調子に乗るな』

あの時は情けない男だと思っていた。お父様のように…他の男性のように…でも違った。

『ガンダムだ…俺が、ガンダムだ』

彼からの覇気は私の知る誰よりも激しく、強い感情が乗っていた。

彼にならば、私は…

 




基本的世界の勢力紹介(次回から出る予定です)
ユニオン
アメリカを中心とした勢力。世界の警察と自負しておりIS開発や武器開発の面で優位に立っている。
軍のISはフラッグであり、量産機としては機動力と近接武装ではトップクラスである。

AEU
ヨーロッパを中心とした勢力。勢力としてはまとまっておらず、宇宙開発や兵器開発等で出遅れている。セシリア、シャルロット、ラウラは各国の代表候補生として参加している。
軍のISはイナクトとラファールリヴァイヴで、装甲と後付け装備の充実性からテロ組織からも強奪され使われている。

人類革新連盟
中国を含めたアジア、ロシアで構成される勢力。宇宙開発等で先手を取るものの技師不足などで技術が発展していない。鈴は中国代表候補生として所属。
軍のISはティエレン

日本
特に加盟していない。中立地域で、勢力中最高の技術を持つ。経済面も裕福であり、娯楽の国とよばれている。

中東諸国
内戦が繰り広げられている地域。テロ組織が潜む地域でもあり、治安が悪い。

IS学園
どこの勢力にも所属せず、ここの生徒はIS学園の勢力に3年間は所属する。


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2話 クラス対抗戦

セカンド登場ならびにISバトルです。


 

「では今からISの基本操作である飛行訓練を行う。オルコット、織斑前にでてISを展開しろ」

「「はい」」

俺とオルコットは前にでて、ISを展開させた。

「コンマ2秒か…初めてにしては良くやるな織斑…オルコットも流石代表候補生だ」

ガンダムのイメージならば誰にも負けない自信がある。と心の中で思った。

「よし、飛べ!」

俺とオルコットは飛んだ。

飛ぶイメージはコアが教えてくれるかのようにするりと理解した。

『よし、そのまま降下しろ。ノルマは地上5cmだ』

「ではお先に…」

オルコットはきっかり地上5cmのところで止まり降りた。

「よし」

俺は急降下した。オルコットよりも早くそして、

「1cm…ギリギリ合格か、はたまた天才か…」

千冬が驚くほど一夏の成長は速かった。まさに天才…女子から黄色い声が聞こえているが、一夏はそれ以上に集中していた。

(ガンダムになる。俺は、俺は…)

 

 

 

夕食は学食でなんでもクラス代表が俺になったためパーティーすることになり、学食に来ていた。

「「「「織斑君クラス代表クラス代表おめでとう!!」」」」

「一夏さん。クラス代表おめでとうございます。そして、私からあなたに謝罪させてくださいまし…これからは仲良くよろしくお願いしますわ」

「ああ…よろしくなセシリア」

これを気にセシリアと和解し、箒は不機嫌だったが、パーティーを楽しんだ。

 

その頃IS学園の前では一人の少女が再開を心待ちにしIS学園の門をくぐっていた。

 

 

 

『今日のニュースです。AEUの軍事基地でまたISが盗まれました。盗まれましたISはサイレントゼフィルスとよばれ』プツン

朝のニュースを見ているとIS強奪事件が報道されていた。白式といい篠ノ之束が作ったISのコアは世界に希少なのである。ただでさえISは世界の4割がIS学園にあり、アラスカ条約で軍事利用を禁じられているからテロ組織からして見たら宝の持ち腐れである。喉から手が出るほど欲している組織がいてもおかしくはないだろう。

「そういえば一夏よ…お前の機体は姉さんのコアじゃないらしいな」

「ああ、確かイオリアっていうおっさんが製作したものらしくて別物ではあるが、ISのコアと似て選ばれた人しか扱えないらしい」

実際千冬姉は乗れたのだが、他の多くの先生やテストパイロットが乗れなかったそうだ。

「ISより厄介なものに乗ってるんだな」

「そうでもないぞ…ISと操作は変わんないし何より、ガンダムからイメージが送られてくる感じがするんだ。気持ちがダイレクトにってイメージ」

箒は頭を抱えて悩んでいた。こいつはこいつで感覚を効果音で表したりと説明ベタなのだが、俺にもわからないんだ。今の説明でわかってくれるやつは俺以上に俺をわかってるのだと思う。

 

 

朝、クラスでは転校生の話が話題になっていた。

「ねえ知ってる二組に転校生がきて、クラス代表になったらしいわよ」

「なんでも中国からきたんだって」

「誰が来ようと織斑君には勝てないよ」

「なんたって専用機持ちのクラス代表はうちのクラスだけだもん」

正直こんな時期に転校生なんて…それに中国か〜あいつを思い出す。

 

「その情報古いよ…」

 

聞き覚えのある声がした。

 

「二組にも専用機持ちがクラス代表になったの。そう簡単には優勝できないんだから」

「鈴…鈴じゃんか久しぶりだな」

 

「そうよ!中国代表候補生、凰鈴音!。今日は宣戦布告に来たってわけ‼︎」

凰鈴音…箒と入れ替わりで知り合った少女でガンダム事件以前に中国に帰った少女だ。

「カッコつけても似合わないぞ!」

俺は鈴を高い高いと抱き上げる。

「にゃ⁉︎にゃにするのよ///」

バタバタと体を揺すりながら暴れる鈴…少し重く感じたのは少し寂しい感じがした(鈴も大人になってるという意味で)。

「い、一夏!この女とはどういう関係なんだ!!(一夏が浮気などするはずがない…そうだよな)」

「そうですわ。説明を要求いたします(一夏さんに高い高いなんて…羨ましい)」

いろんな意味でまずくなりそうなのでここはあえて、

「もうすぐホームルームだから昼みんなで飯でも食べよう」ニコ

『(この笑顔は反則だ)』

一同は一夏の言うことを聞いて自分の席へ、鈴は一夏に「一夏、逃げないでよ」と念を押し二組に帰った。

 

 

 

昼、昼食のまえに、皆に鈴を紹介した。

「名乗ったから名前はいいよな…こいつは鈴、幼馴染だ」

「ちょっとまて、私はそいつを知らんぞ」

幼馴染に反応して箒が意見した。

「ちょうど入れ替わりで中国から来たんだ。それよりも鈴…確かお前人革連の部隊に入ったって聞いたけど…」

「ああ言ってなかったっけ?隊長のスミルノフ中佐が凄い寛大なおっさんで『今のうちに勉強してこい。軍はいつ戦争するかわからん』って言って中国代表候補生として来たってわけよ」

スミルノフ…たしかロシアの荒熊と呼ばれているセルゲイスミルノフさんのことだろうか…あの人にも俺は助けられたし、鈴をつてにして挨拶に行こう。

「まあそう言うことだ。こっちは篠ノ之箒…俺の今のルームメイトで幼馴染。で、こっちはイギリス代表候補生のセシリアオルコット」

「よろしく」

「よろしくですわ」

「よろしくって、なんでそんな重要な話を今まで言ってないのよ一夏(もう一夏の純潔が…)」

何が重要なのかさっぱりわからないが、一様聞いてみた。

「なにがそんなに重要なのか俺にはさっぱりだ…」

「あんたが女と同棲していることよ」

「ただのルームメイトで幼馴染って言ってんだろ…そりゃー男女同じ部屋で意識はするが…(特にシャワーとか浴びてる時とか気まずいし…)」

「ただのだと⁉︎(これは言葉の綾だ言葉の綾だ…)」

箒は何故か狼狽え、鈴はニヤリとした。

「幼馴染なら言い訳ね一夏…なら篠ノ之さん私と部屋交代して」

「断る。断固断る。寧ろ貴様では役不足だ(一夏との同棲は私だけの特権だ)」

「一夏ってこう見えておっぱい星人だから襲われちゃうかもよ…特にその胸じゃ(自分の言ってることが妙に胸に刺さる…でも我慢我慢)」

「俺がそんなことするわけないじゃん」

正直、ガンダム事件がなかったらそうなっていたかもしれない。でも、実際そんなことをしたところで童貞卒業どころか、IS学園卒業すらできなくなってしまうだろう。

「ふん。一夏はそう言う奴じゃない(やってくれたら100点満点な男なのだが…)」

二人がいがみ合うなか、セシリアは

「わたくし忘れられてますの…」

と俺に嘆きながら訴えていた。

 

 

 

実際あの後織斑先生が来なければ、俺が変態扱いされ酷い目にあっていたと思う。そして、部屋のことで怒ったのか鈴は

『んじゃ、クラス対抗戦でぎたんぎたんにして土下座させてやるんだから』

と捨て台詞を吐いて解散したため、俺は部屋のパソコンでエクシアのデータを見ながら中国の第三世代IS『甲龍』対策をしていた。

エクシアのコンセプト『セブンソード』

単体で殲滅戦が行えるだけの近接武装とライフルを持つエクシアにふさわしいと思う。しかし、向こうの甲龍も実戦を想定されエネルギーの節約、体術に特化させた機体だ。

「接近戦となればパワー勝負か…エクシアのこの黒い部分さえ分かれば」

エクシアのデータの中には謎の黒いデータが存在する。開示されていないのも事実だが、これは絶対に後々必要になる力だと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

クラス対抗戦当日。俺の相手はいきなり鈴だった。鈴のISでの戦闘VTRを確認すると、ティエレン3機に一人で圧勝するほど戦闘センスがある。

『今回はわたくしのときと違うくてよ』

『一夏…ぎたんぎたんにして帰ってこい』

箒は多少この前の怒りがあるのだろう。口調が鈴と被っている。

 

『リニアボルテージ上昇、射出タイミングを織斑一夏に譲渡します。発進どうぞ』

 

「織斑一夏…ガンダムエクシア出る」

 

 

 

「今謝ればボコボコにするだけで許してあげる」

「そっちこそ、気を引き締めた方がいいんじゃないか?」

「うるさいわね!絶対防御を貫通する攻撃をしたならいくらISだからってただじゃ済まないのよ」

鈴はボコボコにしたいのか心配しているのかわからないが、

「んなことは3年前から知ってる!!」

俺は一気に加速して鈴の懐に潜り込む…先手は俺がとった。

 

ズバン!!ガキン

 

鈴はメインウェポン双天牙月を展開しガードした。

「中々やるわね一夏…」

「そっちこそ」

俺はバルカンを使い爆風で後退した。しかし、その煙は一瞬にしけ掻き消え何ががきたことに気づく。

「あら〜初見で龍砲を避けるなんてやるじゃない」

視覚てば捉えられない第三世代兵器、衝撃砲か…砲身が無いため死角が無く、うまく使われたら厄介な兵器だ。

「だが甘いな…鈴」

知らない内に後ろをつかれた鈴は衝撃砲を放つ…

 

ドカーン

 

衝撃砲はお互いを壊し合い使えなくなる。さらに、エクシアはハイパーセンサーから消え、どこに居るのか目で探す…

「トドメだ!!」

 

ドカーン!!

 

 

『未確認IS、アリーナに侵入…警戒レベルが4に上がりました』

一夏が攻撃しようとした瞬間、謎のISがアリーナのシールドを壊し現れ、いきなり鈴を攻撃しだした。

「っぐぐ…エネルギーが」

「鈴、後退しろ…ここはエクシアで」

俺は鈴を後ろに突き飛ばし、俺は謎のISに攻撃を仕掛けた。

「馬鹿!!あんたは軍人じゃないんだから…」

「黙って逃げろ…お前のエネルギーじゃ足手まといだ」

いつからだろうか。俺の中で、テロに対しての恐怖が強い怒りや憎しみに変わっていた。

「容赦しねぇ、お前らに慈悲なんかくれてやるか」

『織斑、引け。一旦体制を立て直』プッ

俺は回線を切り、ビームをかわしながら前へ進む。

「憎くて悪いか・・・テロが憎くて悪いか!」

ビームライフルで牽制し、素早い動きで懐に入りこみ、ビームサーベルで敵の足装甲を破壊した…

「人形だと⁉︎」

足が機械仕掛けの自動人形…つまりゴーレムである。こんな機械を使ってまで人は殺し合うのかと思うと俺の中で、あの時のフラッシュバックが起こった。

「ふざけるな!ふざけるな!ふざけるなぁぁぁぁぁ!」

俺はGNブレイドでビーム兵器を破壊し、肩に刺す。そしてビームサーベルを刺す刺す刺す刺す。最後にGNソードでISを叩き斬った。

 

ドカーン!!!

 

「はぁはぁはぁ…どうして…どうしてわかりあえない……どうしてガンダムになれない」

俺は自分の過去を払拭できず、自分の醜さをとくとわかった気がした。

 

 

 

「馬鹿者が!退避命令の無視にオマケに物的証拠の破壊とはいい度胸をしているな…」

「罰なら受ける…それでいいだろ」

一夏を説教するつもりだったが、奴の方が自分の醜さを知ってしまったのだろう…それに、あんなテロまがいなことをするなんてな…

「束…貴様は何を考えている」

 

 

何処かの研究室…

「GNドライヴとガンダムね〜なんてメチャクチャな設計だ…イオリアの爺さんめ…私のいっくんを虜にして許さないんだからプンプン」

篠ノ之束はご機嫌斜めだった。自分が設計したIS白式は盗まれるわ、今日IS学園の生徒のレベルを把握しようと差し向けた無人機ISを破壊されたことに…

「まっ、いっか。いっくんにあんなとこがあったなんて知らなかったし…楽しみが増えちゃったよ」

その微笑みは無邪気であったが、同時に危険な微笑みだった。

 

 

 

クラス対抗戦は中止となり、IS学園ではいつも通りの授業が行われていた。

織斑一夏と織斑千冬を除いて…

「何故だか知らんがアイルランドにある墓に命日だから行くそうだ」

「そういえばもうすぐアイルランドテロ事件の起こった日よね…」

一夏の幼馴染二人はクラス対抗戦で見せた一夏の顔を思い出しながらそう言った。セシリアもだ。

「一夏さんに何があったのでしょうか…」

彼女たちは知るだろう。一夏の闇と一夏の過去を…しかし、過去を知ったところで一夏が失った物の重さは誰にもわからない。

 

 

 

同時刻、アイルランドにある墓地、一夏と千冬はそこにいた。

「母さん、父さん…俺は変われるかな?」

俺の人生が変わった場所…俺が何かを無くした場所……

俺はエクシアの待機アクセサリーを取り出して誓った。

「もう、俺と同じ過ちを…俺の目の前で誰かを殺させない…俺が大切な人を守る」

千冬はそんな一夏を見て、少し不安になっていた。




ガンダム原作並びにIS原作との相違点の説明。

超大国は勢力として存在し、冷戦状態であるものの、ガンダムほど緊迫しておらず、出し抜こうとお互いを高め合っている。
その代わり中東ではテロが続き、無法地帯化している。

セルゲイスミルノフを含め、原作に登場したパイロット及びその親族も登場(例えとして、セルゲイは鈴の上官にあたり、IS部隊の指揮をとったりしている。)男性キャラは例によって指揮官クラスの人や技術者ぐらいしか登場しません。

次回予告
世界の変革を願う一夏のまえにもう1人のガンダムマイスターが現れる。
次回…もう1人のガンダムパイロット


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3話 もう1人のガンダムパイロット

ついについにシャルルやラウラが転校してきます。
それと同時にあの人も…


 

 

IS学園も6月になっていた。

学力に不安なものが次々と転校して行き、この一組も3人抜けた。これはそんな時の出来事だった。

「皆さん。今日は転校生を紹介します。しかも3人で2人はなんと男性です」

『きゃー!!!』

IS学園は今日も騒がしいなと思いつつ転校生を見ていた。

「シャルル・デュノアです。皆さんよろしくお願いします」

1人は中性的な顔立ちの金髪少年。デュノアといえばデュノア社と関係あるのか?

「守ってあげたい。癒し系タイプ」きゃー

「織斑君の黒髪もイイけどブロンドも」きゃー

千冬姉は殺気をだし、沈めた。

「ラウラ・ボーデヴィッヒだ」

眼帯を着けた銀髪の少女。

ボーデヴィッヒが俺の前に立ちいきなり殴られた。

「ボーデヴィッヒさん!!」

「認めない。お前が教官の…」

殴られながらも俺は彼女に何処か自分と似た何かを感じた。

そして、もう1人…

「ティエリア・アーデです。皆さんよろしく」

こちらも中性的な顔立ちで眼鏡をかけている。

「ついに来た…メガネ男子」きゃー

「クール系しかも勉強教えてもらいたいタイプ」きゃー

「是非ともいちティエを!!」きゃー

 

ドン!!

 

「お前たち静かにしろ!…織斑。デュノアとアーデの面倒は任せた」

「了解した」

千冬姉にデュノアとアーデの面倒を任された。にしても二人目、三人目の男か…少し嬉しい自分がいた。

 

 

一限目からISの実習だったためデュノアとアーデをロッカーに案内していた。

「まあ、トイレとかは追い追い説明するから今は急いで着替えないと…」

「織斑一夏。君はガンダムのパイロットらしいな…僕もそうだ。シャルルデュノアもティエリアと読んでくれてかわまない…よろしく」

「俺も一夏で構わない…よろしくティエリア、デュノア」

「ぼ、僕もシャルルでいいよ…よろしく一夏、ティエリア」

 

 

 

「全員遅刻しなかったようだな。今回は戦闘時の技術を見てもらうまずは織斑、アーデ前に出ろ」

呼ばれた俺たちは前に出る。

「そしてデュノア、オルコット、凰!前に出ろ」

呼ばれたのは代表候補生3人…

「まあ、これはデータ収集の一環だ。IS代表候補生3人に対してガンダムはどう対応するかのな」

するとセシリアと鈴が、

「全く一夏さんの強さはわかっていますけど、」

「弱い者いじめみたいでこんなの嫌だし…」

 

「逃げるのか?」

 

口を開いたのはティエリアだ。

「まあ僕はどっちでも構わない。自信過剰な代表候補生と戦ったところで、僕らのガンダムは計測できないでしょう」

ティエリアはセシリアと鈴を見て呆れながら言った。あからさまな挑発だ。

「な!なんですって!!」

「言ってくれるじゃない!」

二人は怒りながらISを展開した。そして、その挑発に乗ってしまった二人。

「僕も、ガンダムとはお手合わせしたかったし、願ったり叶ったりだよ」

シャルルも続いて展開した。

「ガンダムヴァーチェ起動」

全身装甲の重量のあるガンダムだった。肩についたキャノン砲からして、砲撃型の機体なのであろう。

「こいエクシア」

俺はシャルルと対峙し、中距離戦に特化したシャルルのラファール・リヴァイヴと銃撃戦を繰り広げる中、ティエリアはセシリアと鈴と対峙していた。

「砲撃型のISですって…どんなに守りが硬くてもその大きさなら機動力は無いはず………いい的ですわ」

「でかい口叩く割りには分が悪かったようね転入生!!」

ティエリアはセシリアと鈴から集中砲火を受けるものビクともしてなかった。

「ヴァーチェ、目標を破壊する」

ヴァーチェの腕にはメインウェポンのGNバズーカ。更に肩についたGNキャノンをセシリアと鈴に向けるティエリア。

「バーストモード!!高濃度圧縮粒子解放!!」

 

ズドーーーーーーッッッ!!!!!!!!!!!

 

「んな⁉︎」

「え!嘘⁉︎」

セシリアと鈴は巨大なビームを辛くも交わしたが、その風圧にコントロールを失いお互いがお互いにぶつかり、セシリアも鈴も自身の武器を落としてしまった。

「自分の武器を落とすとは、君達は国家代表候補生に相応しくない………そうとも………万死に値する!!」

ティエリアはトドメのGNキャノンを放ちセシリアはビットで壁を作るも、撃沈された。

鈴はセシリアが作った隙を狙って双天牙月を拾い、ヴァーチェに攻め入るも強固な守備力の前に為す術もなく撃沈された。

 

 

 

「向こうは終わったか…射撃は向こうが上ならば、エクシア目標を切り裂く」

「できるものなら!」

GNソードでスナイパーライフルを切り裂くも上手くかわされ、シャルルからのカウンター。

「ッ!シールドピアスだと…」

 

ズドン!!

 

シールドに隠れていた近接武器…シールドピアスの鋭い突きを上手くシールドで守る。

「うまいね一夏…」

「そっちこそ」

シャルルが後ろに後退するがティエリアと挟み撃ち。勝負ありだ。

「そこまで!流石専用機持ち達だ。お前たちも見習うように…」

『はい』

 

 

 

「まったく…酷い目にあいましたわ……」

「なんなのよあの火力…あのエネルギー量といい、あのそれに防御力も気に食わないわ!」

セシリアと鈴は食堂で箒に愚痴を漏らしていた。

「セシリアも鈴も遊ばれてるとしか思えなかったが、あの機体にお前たちの戦い方は分が悪すぎたのかもな…」

ブルーティアーズも甲龍も敵が動きが鈍いと決めつけ、接近戦より遠距離で戦ったという点である。

「確かに相手はワザワザ動かずにためてましたわ」

「それが弱点だったの?」

「違うぞ。私はお前たちの撃った弾が機体に届いていないところを見た。それに接近戦を挑んだ鈴ならわかるだろ?びくともせずに尚且つゼロ距離からのビーム砲。恐らくシールドエネルギーの量は桁違いだ」

「「⁉︎」」

流石篠ノ之束の妹…ISに関しては素人だっただろうが、戦況を瞬時に把握するその天才的洞察力にセシリアも鈴も驚くしかなかった。

 

 

 

そのころIS学園のとある部屋では…

「2機目のガンダム…ガンダムヴァーチェか。エクシアと比べて強固な守備力と砲撃戦に特化した機体か……動力を含めてエクシア同様の、いやそれ以上のエネルギー量を所持している時点でもはや化物だな」

ヴァーチェにも情報規制がかかっており、エクシア同様にイオリアが製作したものなのだろう。

そして気になることが…

「この化物のような機体が全部で4機…しかも全ての機体が起動しているというのか」

ヴァーチェの開示したデータ(ティエリアには了承済み)から存在したデータ…ガンダムエクシア、ガンダムデュナメス、ガンダムキュリオス、そしてガンダムヴァーチェ…2機はIS学園に、そしてその他に2機のガンダムが存在している。

「これを上に報告するべきか…山田先生」

「私は何処かといえば報告は控えるべきだと思います…少なくとも他にガンダムが存在するのが本当なら、国家が黙ってるわけが無いと思います」

「正論だな…これは私と山田先生だけの胸の中に…」

「了解です。織斑先生」

 

 

 

 

織斑先生達がヴァーチェのデータを確認していたとき、ティエリアは…

「こちらティエリア…作戦通り、織斑一夏と織斑千冬にコンタクト成功。そして味方になるようにデータを提示した」

ガンダムのデータというものは世界を揺るがすもの…しかし、だからこそ交渉の材料としては最大の切り札でもある。

『了解…こっちは篠ノ之束と亡国企業の情報をうまい具合に調べる。IS学園にもスパイがいる可能性があるから気をつけるんだぞティエリア』

「君に後れを取るつもりは無いよロックオン」

中東にいる仲間との回線を切りつつ、宇宙にいる仲間との回線を立ち上げる。

『なんだいティエリア…作戦は上手く行ったのかい』

「ああ、だから君に連絡した。君のほうはどうだいアレルヤ」

『遅かった…月のヴェーダは何者かに荒らされててGNドライヴの一部データを除きほとんどのデータがシステムトラップによって消去されてたよ。やはり監視者の中に裏切り者がいたのかな…』

「それは違うな…奴らにはレベル3以上のデータ権は無いし、ISだって動かすことができない無能な大富豪ばかり(男ばかり)だ。それに、地上ではGN粒子のような現象で国家のISが盗まれているから…僕の推測が正しければロックオンと合流しろ」

『了解…ティエリアも気をつけてね。僕らだけでもイオリアの願いを受け継ごう』

「当たり前だ。また会おう…アレルヤ」

 

 

 

 

 

 

一夏はそのとき、今日初めて解禁した大浴場を楽しんでいた。

「やっぱり生き返る…日本人はやっぱり風呂だよな……」

一夏は身体を洗い流しながら肉体的にも精神的にも入念にケアをしていた。

すると、誰か入ってきた。ティエリア?シャルルかな?

 

ガラガラ…

 

そこにいたのは確かにシャルル…しかし、シャルルの胸には膨らみがあり、どう見ても女性だった。

「い、一夏⁉︎」

「し、し、シャルル⁉︎」

俺はとんでもない真実を知ることとなった。




キャラ紹介、勢力紹介

ソレスタルビーイングについて、
この世界のソレスタルビーイングはガンダム事件時に何者かによって崩壊させられ、Oガンダムのパイロットは機体を捨て行方不明…Oガンダムのアシストをしていたチームを含めて多くの人間が殺された。
監視者の誰かが情報漏洩したという説があるが、監視者もエージェントも暗殺されていたらしい。

ティエリア・アーデ
風貌は16歳くらいになっており、専用機はヴァーチェ。
キャラとしては2nd並みに落ち着いており、IS学園では多分一番大人びている。
本作でももちろんイノベイドであるため普通のISを扱うこともできる。(実際、一夏も使えます)
ソレスタルビーイングのガンダムマイスターだが、亡国企業と戦うために表に顔を出した。

ロックオン・ストラトス
20代。アイルランド出身で、一夏の両親同様に両親と妹を失う。専用機はデュナメス。双子の弟がいるとされ、弟の方も別の形で戦争を根絶する行動をしている。ソレスタルビーイングのガンダムマイスターに選ばれているが普通の男であるためISは動かせない。
いまは隠密行動で亡国企業を調べている。

アレルヤ・ハプティズム
17歳。ドイツの超人機関所属の超兵で試験管ベイビーのラウラの先輩に当たる。専用機はキュリオス。男であるが、ラウラ同様に強制的にIS適性を付与され向上させられ、同士の超兵が死んでいく中唯一生き残った超兵。そのためISに乗ることができるようになったが、その実験により右目が金色に変色し、『ハレルヤ』と呼ばれる人格が形成された。自分のような存在を作らないためにソレスタルビーイングに加入し、主に宇宙の調査を行っていた。


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4話 憎しみのレグナントと4機のガンダム

レグナントといっても擬似太陽炉は搭載されておりません。また、レグナントの隠された顔はガンダムタイプのモノです。


 

 

 

「…」

「…なあ、シャルル。お前って女だったんだな。」

IS学園大浴場…俺は久々の風呂に浮かれ長湯をしていたら、シャルルが入ってきた…バスタオル一枚で、しかも女だった。

「うん。部屋にはティエリアがいるからと思って大浴場が解禁ってなってたしこっちに来たんだけど……おかしいな…一夏を見たって人がいたから…」

「うん。それは多分図られ、企てられた陰謀だ」

何故だか腐が付く女子とシャルルとの会話が頭に浮かんでしまった。

「まあいいさ。どのみちバレたんだし、全部はいたら楽になると思うぞ……最も大抵は予想が付くんだけど」ニコ

「っ!!(その笑顔は反則だよ…)」

それからが長風呂だった。

シャルルは真実を明かしてくれたのだが、俺の想像を遥かに超えた彼女の運命がそれだった。

「デュノア社の社長…僕の父さんとその愛人との間にできた子が僕なんだ。僕の存在は公では隠されてて、去年調べたんだけどISの適性が高かったことから、母が死んで身寄りの無かった僕を父が引き取ってくれたんだ。そして男としてデュノア社の宣伝をかねて君のガンダムのデータを盗むのがここに送られた訳だよ」

「まあ、今のデュノア社は今は世界シェアNo.1かもしれないが、第三世代のISの開発が他のAEU団体で出遅れているし、焦って子どもに犯罪の片棒を担がせる気かよ…全く。

だがシャルル…お前って運がいいな。IS学園はどこの組織にも属してないし、お前は犯罪を犯すまえに見つかった」

俺は逆上せて回らない頭をフル回転させて言葉を探した。

「あえて言わせてもらうと、今のお前はIS学園の生徒だ。少なくとも今から3年間はフランスやデュノア社の影響は受けないよ…それに、ガンダムと対抗してみせたお前がいるんだし、デュノア社のカスタム技術は高い。そこらへんに力を注げばまだまだ安泰だと思うぞ」

「一夏って、優しいんだね…それに、なんかカッコぃいい一夏!!」

「…」ブクブクブクブク

そのあとは当然、逆上せて目が回って意識を失った。

 

 

 

 

 

 

その後はシャルルに送ってもらい、箒に運ばれ自分のベッドに横たわった。

何故だろうか…布団がやけにあったかいのは気のせいなのだろうか?

「全く、一夏は昔っからそうだよな…風呂好きでおまけに世話焼きとは…(抱きしめたいな一夏…まさに眠り姫)」

「仕方ないだろ?境遇はどうあれ、俺はシャルルを放っておけなかった。偽善心かもしれないが俺の目の前で……いや何でもない」

そのとき、俺は言おうとした。だが言えなかった…いや言わなかった。俺はまだ、自分すらわからないことを痛感した。

「まあ追い追いそのことは聞くとして…ちょっといいか?」

「お、おう」

「今度ある学年別トーナメントで、私が優勝したらその…私と付き合ってもらう!!」

部屋の外まで聞こえる声で言った箒…それに対して俺の返答は

「おう。それくらい朝飯前だぞ」

「本当だな…嘘は着くなよ!!なんだろうか…目が覚めた、少し汗をかいてくる」

箒は日本刀を持って何処かへ行ってしまった。そこまで行きたいのかな?買い物。

 

『ねえねえ今の聞いた…』

『聞きましたとも』

『聞いちゃったよ〜』

 

 

 

 

 

その頃ドイツでは…

「やあ、ロックオン…久しぶりだね」

「アレルヤか…意外と遅かったな」

ガンダムマイスターのロックオンとアレルヤはティエリアの要請を受けてドイツに合流していた。しかも3時間という時間内で…

「まあ、少し気になる場所があって、そこの情報を探って遅れたよ」

「そういやお前ってこの辺の出身だっけか」

「まあ…それよりもこれを」

ロックオンに渡されたのはちょっとしたUSBメモリだった。

「どれどれ…」

ロックオンはデュナメスの待機アクセサリーに近づけてデータを確認する。

「これはこれは厄介なもんを取り付けちゃって…」

「どうするロックオン。データからするならその機体は」

「一様ティエリアに連絡だ…それに妙に気になるデータだったから俺たちも一時日本に向かう」

日本のIS学園に転校した、ラウラの専用機シュヴァルツェア・レーゲンには…VTシステムが搭載されており、意図的にデータが改竄された後があった。そしてそのデータからは…ヴェーダに存在していたであろうソレスタルビーイング製の機体のデータが上書きされていた。

 

 

 

 

 

 

次の日、朝の学校…

「本当⁉︎嘘じゃないよね。今度の学年別トーナメントで優勝したらお、織斑君と付き合えるって!!」

「本当本当。だって聞いた人が3人いたとかで…」

「デュノア君とかアーデ君とかも」

「多分そうなんじゃないの?聞いた話だと男子には内緒らしいから…」

「「それは本当」ですの」

昨日の箒の爆弾発言により、噂が捻じ曲がって捻じ曲がって、IS学園の男子誰かと付き合える権利というデマが流れていた。もちろんそんなことは誰も約束していない他、鵜呑みにする人も悪いが、この闘気…基本女子校のIS学園ならではの欲求不満から来るものなのだろう。

 

「みんな、なに話してるんだ⁉︎」

「僕たちにも聞かせてもらえないかい」

「二人とも…すこしは空気を読もうよ」

 

噂をすれば…IS学園のイケメン三人集が現れ、一斉に解散した。

こうして、またややこしくなってIS学園のイベントが始まる。

 

 

 

放課後、第3アリーナ…

「あら鈴さんじゃありませんの」

「セシリア…あんた何しにきてんの」

セシリアと鈴は学年でもトップクラスの実力者ではあるものの…二人とも同じ共通点を持っていた。

『IS学園に入ってから2連敗(ガンダム戦)』であることだ。

「まあ、今日はあんたらと訓練するつもりじゃなかったから、1人で訓練してたのよ」

「まっ、奇遇ですこと。わたくしも同じ理由でしてよ」

そしてもう一つ、優勝して一夏を手に入れる為に1年生で最強にならなければならないということだ。

 

「イギリスの青い瞳に中国の甲龍か…この前は随分と酷かったな」

 

「あんた確か一夏を出会い頭に引っ叩いたドイツの代表候補生のラウラボーデヴィッヒ」

「それにあれは、ドイツの第3世代IS。試作段階と聞いてましたが完成していたとは…」

現れたのはラウラ…ドイツの代表候補生にして、AEUからも援助が来るほど有名な小隊『黒ウサギ部隊』の隊長でもある。

「貴様らのISと比べて高性能兵器をコンセプトに作られたからな…私意外には扱える奴はいない。どうだお前たち…私と勝負しないか?」

嫌味を言っていたラウラ…二人は昨日もティエリアに挑発され戦い呆気なく負けている。2度も同じ手にかかるほど馬鹿ではない。

「全くお前たちが何故あんな種馬に腰を振るのかがわからない」

 

「「あんた!!!」」

 

しかし、大好きな人の悪口は許せない。自分の悪口よりも…引いてはならない理由がある。

 

 

 

 

 

「一夏…君は神を信じるかい?」

アリーナに向かう途中、不意にティエリアが質問してきた。

「この世界には神なんていない…俺がガンダムだ」

「そうか…君は余程のガンダム馬鹿だな」

「ありがとう、最高の褒め言葉だ」

俺は笑いながらそう言った。

 

「大変だ一夏!ティエリア!代表候補生同士が第3アリーナで模擬戦してるって…」

 

走ってきたシャルル…その焦り様だとまさか…

俺は咄嗟に走り出し第3アリーナに向かった。

「間に合え…間に合ってくれ」

 

 

 

 

「っぐ…う、そでしょ…」

「まった、くですわ〜」

俺が来たときにはISのダメージ蓄積が限界に達したのか、鈴やセシリアのISが強制的に解除された時だった…

「ラウラボーデヴィッヒ!!貴様と言う奴は!!!」

俺はガンダムを起動しラウラの機体と対峙…しかし、相手のAIC(慣性停止結界)に捕まり、身体が動かなくなった。

「動けエクシア、動いてくれ!ガンダァァァァム!!」

俺はGNソードに粒子と怒りの感情を送った。

「無駄だ…AICはこのシュヴァルツェア・レーゲンのみに採用された兵器…貴様の機体ごときに…」

しかし、それは覆された。

「うぉぉぉぉぉ!!!!!」

 

GNソードは結界を切り裂きレールカノンを切り裂いたのだ。

 

「ま、まさか…AICを突破するISがあるだと」

「違う…俺は、俺はガンダムだ!!!」

俺はラウラに攻撃を仕掛けようとしたその時…

 

「…こせ。私に力をよこせ!!」

 

ラウラボーデヴィッヒの機体は禍々しい機体へと変貌した。

 

 

 

「ま、まさか…AICを突破するISがあるだと」

織斑一夏…貴様は、貴様は倒さなければ…教官の汚点。教官を唯一弱くするもの。

『力が欲しいかい…』

『願いたまえ…神である僕に…そして敵を憎しみたまえ』

「よこせ。私に力をよこせ!!」

『VTシステム起動…トレース機体【レグナント】』

 

 

 

「なんなんですの⁉︎」

「あ、あの顔、ガンダム…」

セシリアと鈴は後から来たシャルルとティエリアに保護されたものの、状況が悪化したことには変わらない…それに、機体に飲まれたラウラも気になる。

「お前が・・・その機体が・・・ガンダムで・・・あるものかぁーッ!!」

「一夏ダメだよ!!」

「一夏、よせその機体は…」

俺はあのガンダム擬に攻撃しようとしたとき…

 

「まあまあ…落ち着きな。聞かん坊」

 

ビームで誰かに邪魔された。上を見上げると…

「予想的中だなアレルヤ…」

「全く…悪い予想しか当たらないんだから」

2機の機影…しかもガンダム。

「ロックオン!アレルヤ!来てくれたんだな」

ティエリアもガンダムを起動しこっちに来ていた。

「知り合いか?」

「ああ…僕らの仲間だ」

ティエリアのセリフにさっきまでの怒りは収まった。

「あんた…作戦でもあるのか?あのままじゃラウラはやばいんじゃないのか?」

「お前…マイスターなら自分の機体に、もっと詳しくなれよ…何故、エクシアに実体剣が装備されているかはもうわかるだろ。ビームサーベルじゃ切れない敵との戦闘を前提としているためなんだよ。

だから、お前が切り札になる。任せたぜ、一夏」

とロックオン。

「援護なら任せて…こう見えて手加減くらいはできるから…」

とアレルヤ。

「一夏…君はボーデヴィッヒを救出しろ。あの禍々しい機体…VTシステムは搭乗者がいなくなれば収まるはずだ」

とティエリア。

「わかった。これより作戦を開始する」

 

 

レグナントはファングとミサイルを射出しエクシアを狙ってきた。

「デュナメス、目標を狙い撃つ!」

デュナメスの射撃は全てのファングやミサイルを爆散させた。

「一夏、キュリオスに捕まってくれ」

飛行形態だろうか、飛行機のように変形したキュリオスに捕まりレグナントに突っ込む。

「キュリオス…援護行動に入る」

「いっけー!!」

キュリオスから投げられ一気に詰め寄ったものの、ビーム砲が俺目掛けて発射された。

「GNフィールド展開!!」

しかし、ヴァーチェが展開したフィールドにより塞がれ、その爆発を利用して一気に詰める。

「目を覚ませラウラボーデヴィッヒ!!」

GNソードとレグナントのパンチが激突…エクシアはレグナントを切り裂いた。

 

 

 

ラウラは精神世界にいた。

『お前は…なぜ強くあろうとする…どうして強い』

誰に聞くわけでもなく、質問した。

『強くねえよ。俺は全く強くない…もし俺が強いって言うならそれは…強くなりたいから強いのさ。強くなったらやってみたいことがあるんだよ』

誰かが答えてくれた。

『やってみたいこと?』

『誰かを守ってみたい。自分の全てを使って…ただ誰かの為に戦ってみたいんだ。』

『それは、まるで…あの人のようだ』

まるで織斑教官のようなその人…

『そうだな。だから…お前も守ってやるよ。ラウラボーデヴィッヒ』

織斑一夏に私は惚れてしまった。

 

 

私は目が覚めると医務室にいた。

「目覚めたか?ボーデヴィッヒ…」

そこにはスーツ姿の教官の姿があった。

「お、織斑教官⁉︎」

「お前の専用機を調べさせてもらった。お前の機体にはあえて暴走させるように仕組まれてある節があったため、お前自身にも黒ウサギ部隊にもおとがめはない。よかったな」

「は、はあ…」

「そして、一つだけ言っておこう。お前はラウラボーデヴィッヒだ。私でも、ましてや一夏でもない。人の代弁者気取りはこれきりにして、自分を磨くんだな」

私はその言葉に救われた気がした。

 

 

 

 

 

今日の影響により、学年別トーナメントは無くなり、IS学園のイベントがまた一つ消化された。ガンダムマイスターの2人はミッションの為に海外に向かったと聞いている。

ちなみに俺は始めて医務室に寝かされていた。何でもAICを破った時に脳に負荷がかかったらしく一時的に入院と言うことになっている。まあ、鈴やセシリア、ラウラと比べると対したことは無いのだが…

「い、一夏いる?」

「ん⁉︎シャルルか?」

シャルルが病室にやって来た。

「今日はありがとな…お前が鈴やセシリアを助けてくれたから俺も心置き無く戦えたよ」

「そんなこと言わないでよ!!心配したんだからね…僕は何もできなかった…一夏の為に」

シャルルが元気がなかったから俺は話した。

「俺ってさ…ガンダムに乗っても変わらなかったところがあるんだ……手の届く範囲で仲間が傷つくのが怖いんだ…また、俺の目の前から消えるのが………」

そうするとシャルルは優しく抱き締めてくれた。まるで母親の様に

「大丈夫…大丈夫だよ一夏。君は今日は守れたじゃないか。そ、それに僕はどこにもいかない。君を置いて死なないから、安心して………僕の名前はシャルロット。二人の時はシャルロットって呼んで」

俺は理性と戦いながらも、何処と無く安心感を覚えていた。

「ありがとう。シャルロット」

 

 

 

 

次の朝、予想外の出来事が起きた。

「シャルロットデュノアです。皆さん改めてよろしくお願いします」

「…えっと、デュノア君はデュノアさんってことで…」

山田先生ですら困惑しているのに生徒が困惑を隠せるわけがない。

「えっ、美少年が実は美少女だったってこと⁉︎」

「アーデ君は気づいていたのかな同じ部屋だったんだし…」

「というかこの前、織斑君とお風呂入ってたよね⁉︎」

何処と無く殺気を感じた。

 

ドカーン!!

 

「一夏!!!」

鈴がリペア中の機体を出して壁をぶっ壊して現れた。

「今エクシア持ってないのに…衝撃砲はまずいって!!」

「問答無用!!!」

 

ドカーン!!!

 

俺は吹っ飛びもせずその場に立ち尽くしており、その前にはラウラ。ラウラが守ってくれていた。

「サンキューラウラ助かったウブ」

俺の口はラウラの口により阻まれ…ディープなキスをしてしまった。

 

『んな⁉︎』

 

全員が騒然とした。数日前に俺を引っ叩いた少女がいきなりキスをしたのだから。

「お前を私の嫁にする。これは決定事項だ」

「え、えーーーーーーーーーーー‼︎‼︎‼︎」

 




キャラ紹介+紹介されていなかった機体紹介(ガンダム)

凰鈴音
中国代表候補生兼、人革連スミルノフ隊所属。階級は『中尉』で専用機は甲龍。
一夏の幼馴染で一夏に甘えるもいつも効果がない。口より手が動くタイプ。セシリアとよく組まされたり一緒にいることが多い。

シャルロットデュノア
フランスのIS企業『デュノア社』所属のフランス代表候補生。専用機はラファール・リヴァイヴ・カスタムⅡ。
ISでガンダムエクシアと互角に戦うほどISの技術、知識に長けている。そのため、男装がバレてから女性としてのちゃんとした戸籍をもらい代表候補生となる。

ラウラボーデヴィッヒ
黒ウサギ部隊隊長兼ドイツ代表候補生。専用機はシュヴァルツェア・レーゲン。
試験管ベイビーで、超人機関で最強の兵士として生まれた。アレルヤ同様にIS適性を向上させられ、副作用で左目が金色に変色し眼帯を着けている。ガンダム戦で一夏に好意を抱く。


ガンダムデュナメス
狙撃型のガンダム。文字通り、他のガンダムに比べて高性能なカメラとスナイパーライフルはロックオン以外のパイロットでは扱うことは困難である。
接近された時に備えてGNピストルとGNミサイル、GNビームサーベルを装備している。
GNフルシールドはAIのハロに制御を任せている。

ガンダムキュリオス
機動力に特化したガンダム。フラッグ以外に可変する機体で、アレルヤは射撃を得意としてGNビームライフルとバルカン、ミサイルなどで戦う。ハレルヤは逆に接近してシールドに隠されたサーベルなビームサーベルでの接近戦を得意とする。

ガンダムヴァーチェ
砲撃型のガンダム。強固な守備力を実現するGNフィールド、メインウェポンのGNバズーカ、肩についた砲台GNキャノンなど、他のガンダムに比べて粒子の量を多く使う。そのため、大きさの割りには甲龍並みのスピードを持つ。
装甲をパージすることでナドレになるものの、ヴェーダとリンクできないため、機動力が必要な場合にのみナドレになる。


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5話 嵐の前の平和

すいません。5話を投稿したつもりで6話を投稿してました。


 

 

 

朝、俺の部屋…いや、今や俺とティエリアの部屋にラウラが潜入していた。しかし、ティエリアは「万死に値する」とかいってつまみだしたのだ。それによって、俺たちにゲイ疑惑がかけられるなどの出来事が起きる中…俺はふと次の週のことを思い出した。

「なあ、ティエリア…お前、来週の臨海学校の準備って終わったか?」

「もちろん。ISの勉強するんだから其れ相応の準備は整えてある」

ティエリアって娯楽を知らないたちだと思った。

「まあ、水着と軽く羽織れるものがあるから、休み時間は砂浜で読書しておくよ」

でもちゃっかりしてるんだな…

俺も用意しなきゃな。

 

 

そんなわけで一人で町へ向かう俺。まあこの時期に臨海学校の準備をするのもどうかと思うけど…

 

 

 

そんな俺を付けていた人影が5つ。

(一夏の奴め…チャッカリ出かけよって…そんなに私を誘うのが恥ずかしいのか?)

(一夏さんって意外と感が鋭いときがありますけど、こういった場面は鈍感なんですね…近くにいたのに気づいてもらえませんでしたわ)

(一夏!って大きい声でいいたいけど…なんなのこの緊迫した空気)

(一夏を誘っても邪魔されそうだしどうしよう…)

(戦場なのかここは…そうだクラリッサに聞こう)ピップルルプルル

 

 

 

 

「まあ最初は水着かな…」

水着売り場に行く一夏だが、ふと別の店に立ち寄った。

「そういやもうすぐだったな…すいません」

人混みが激しいため箒たち5人は一夏を見失い、バラバラに一夏を探し出した。

 

 

「よし、買えた。次は水着かな」

一夏は綺麗に包装された箱を袋に入れ、水着売り場に向かった。

「うーん、一様ガンダムカラーのトリコロールかな?まあ、誰が見るでもないしな…」

「それじゃダメだよ一夏!!」

水着売り場にいたシャルロットに声をかけられた。今日、誘いに行ったのだが留守だった。ここに来ていたのか。

「シャルル⁉︎どうしてここに(一様ここ、男性用の水着コーナーなんだけど…)」

「シャルロット!2人のときはそう呼ぶ様に言ったよね!!」

「悪い悪い。ついな…というか、2人のときだけといいながらも、名前明かしちゃんたんだし、シャルロットが普通なんだよな…この際ニックネームで呼ぼうか?」

先日女としてIS学園に再編入したため、本名で呼ぶ友達もいるだろう。ティエリアは普通にシャルロットと読んでいるが、俺ってさそこらへん苦手だからさ…

「シャルってのはどうだ?親しみやすいし、何より呼びやすいしな…」

「シャル…シャルいいよ!シャル。うふふ」

するとシャルの顔が真っ赤になりいきなりテンションが上がったのか俺にあいそうな水着(どれもブーメラン)を選んできた。

しかし、今時ブーメランって昔いた芸人に小島なんとかっていたけどそれ以降はテレビでは見ないよな…シャルには悪いけど、やっぱ普通に青と白とアクセントに赤の入ったガンダムカラーの海パンにしよう。

「あのさ…」

「な、なに一夏…僕男の子のトレンドがわかんなかったからカッコ良いの選んでみたんだけど(あと、面積が小さいやつ)」

「悪いなシャル…選んでくれたのはありがたいが、ブーメランはちょっと…」

「あはは…ごめん。フランスじゃ良くいたからてっきり(やっぱり奥ゆかしいな…日本人って)」

と言うわけで海パンタイプを購入し、シャルと別れた。

 

 

「もう昼時だな…飯にしようか。今日は久しぶりにとんこつラーメンでも食べるか」

とんこつラーメン…九州地方で有名なラーメン。この時代では中々進出しているためどこのラーメン屋でも売られている。

「まあ、IS学園の食堂には中華そばしかないしな…」

「あら?一夏じゃない⁉︎」

ラーメン屋の前にいたのは鈴だった。こいつも部屋にいないと思ったら…

「鈴どうしたんだ?」

「このとんこつラーメンってのにちょっとむかっとしたのよね。チャーシューがあるから骨はいらないじゃない!パクリ国家とか昔からよく言う割りに日本も地に落ちたわね」

こいつとんこつラーメンを知らないのかと、思ったのだが、

「よく考えたらお前ん家中華料理屋だったな。中華料理屋なのに外食で中華食おうなんて考えないよな」

「そうなのよ。私って青春を向こうで過ごしたからさ、ウチ以外の店も知りたいなって…」

「よし、入るか…とんこつラーメンの素晴らしさを教えてやるよ」

ラーメンを食べ終わるころには鈴はとんこつラーメンの美味しさに新しいものを見るかのような目で食べていた。

「とんこつラーメンって美味しい!何よ、日本…やっぱり中華文化まで進化させてんの⁉︎」

「まあ、20世紀より前くらいからあるらしいし、400年くらいかわってないんじゃないか…」

やっぱり文化の違いって凄いな。

「でもさ、一夏。この料理詐欺じゃない?」

「とんこつはスープの出汁にしたんだよ。しょうゆとかみそとかしおとかあるだろ?それだよ」

「あ、あーなるほどね。流石日本」

正直居づらくなったのか鈴は自分の金額をおいて、どっかへ走って行ってしまった。

会計済ませて遊んで帰るか…

 

 

 

一夏は会計を済ませてゲーセンでEXVSをやっていた。

『行け潰せ!!』

使い手のユニコーンで何連勝しただろうか…そんなときにあらわれたラファエルに苦戦していた。

「この機体から…ティエリアみたいな奴だな…」

『万死に値する』

最終的に負けたのだが、声といいセリフといい正にティエリアだ…

 

 

しかし、実際は

「全く弱すぎますわね…やっぱりわたくしって天才ですわ」

戦い方を知ってそうなクシャトリアやエクシア、ケルディム、ラファエルをシャッフルに使って一日乱闘していたセシリア…知らない内に一夏とすれ違ってしまった。

 

 

 

(鈴やシャルも居たんだし他の奴とも出くわすと思ったけど居なかったな。他の奴はどうしたんだろうか?)

注意※実際、鈴は日本のラーメンの勉強、シャルは男性用水着の勉強、ラウラは修羅場に勝つための勉強、セシリアはゲーセンの東方不敗となっており、最終的に最後まで探していたのは箒だけだったのだ。

 

 

「一夏…いなかったな」

帰りは案の定、箒と被ってしまった。IS学園までコレがばれずにいくだろうか…俺はそれが不安だった。

「お、箒…お前も来てたのか?朝誘いに行ったのにいなかったから忙しいかとおもったぞ」

ここは冷静に冷静に…

「そうか⁉︎すまん。多分、私としたことが寝坊(もちろん妄想一夏とのラブラブデート)をしていた…」

「箒が寝坊って珍しいな…空からニンジンでも落ちてくるんじゃ…」

しまった!!禁句ワードだった。

「私やお前に限ってはありそうで怖い」

「ごめん…」

本当に静かな一日だった。この後デカイことが起きるんじゃないかって不安になるくらいに…

 

 

 

 

 

『ティエリア…篠ノ之束が、次の臨海学校に現れるという情報を得た。俺は中東の操作に戻るが、IS学園のほうはお前が管轄だからな…気を抜くな』

ボイスメールでおくられたロックオンからのメッセージ…

「これは嵐がくるかな…」




オリジナルにし過ぎでキャラ崩壊をおこしている可能性もありますのでタグを追加しときました。


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6話 折られた翼

臨海学校…それはIS学園からでること数時間…海岸沿いの旅館に泊まっての勉強会である。
そして海といえば、水着である。


 

 

 

 

「織斑君の水着…やっぱり予想通り」そわそわ

「あの筋肉、隊長!特攻の名を私に」ポッポー!!!

「アーデ君はアーデ君でそそるものが……」じゅるり

説明するまでもないがIS学園は元々IS適性のある女だけの学校である。しかし、イレギュラーな男が入ったことで、こう言ったイベントは男女が入れ替わるという特殊な現象が起きるのである。

「なあティエリア…やっぱり読書するのか?せっかくの海なのに…」

「ああ、僕はあまりはしゃぐのが好きではないんでね」

まあ、人それぞれだよな。

「わかったよ。何かあったら言ってくれ」

俺はそのあとたくさん遊んだ。遊び疲れたといっていいほど遊んだ。

しかし、この時から事件は動いていた。

 

 

 

 

『そっちはどうだ?アレルヤ』

「福音を狙うテログループを確保。GNドライヴを所持したものではなかったみたい」

アレルヤ達はユニオンの研究施設にいた。IS福音を亡国企業が狙うという情報を聞いたからである。

「思い過ごしだったのかもしれないけど」

『甘いんだよお前は…気を抜くな。来るぞ』

「ハレルヤ⁉︎」

後ろにいち早く気づいたもう一つの人格のおかげで後ろからあらわれたISを確認。こいつがGNドライヴを使う機体か⁉︎

「てめぇ何もんだ?」

ハレルヤに人格が変わり、キュリオスを展開。サーベルを取りだして敵に攻撃。

「貴方こそ…なぜISに…」

向こうもビームサーベルを構えた。GNシステムの色ではなくIS自体の色らしい。

「てめえに関係ねえだろ!つうかお前の機体…白式だな」

「織斑一夏がもらう予定だった機体と、織斑一夏がもらった機体の同系統の機体ね…おもしろいわ相手をしてあげましょう」

白式は雪片とその機動力で攻める。GN兵器を持つこっちの方が機体性能は上であるはずなのに…

「ぐぁ…てめぇ。GNドライヴを積んでるのか?」

「いいえ…ISのコアを媒体として擬似的に作った言わば擬似ドライヴ搭載型よ。ここであったのも何かの縁…貴方のオリジナルのコアも頂くわ」

敵のパイロットはこっちより機体をうまく扱ってる…このままじゃマズイか。いや、

「悪いがアレルヤ…俺が楽しませてもらうぜ…こんなに殺し会がある相手は早々いないからな」

ハレルヤは楽しんでいた…久々の殺し合いに

「気が狂っちゃったの?気持ち悪いわよ」

雪片の猛攻…ハレルヤは全てをサーベルで受け、ガラ空きとなった腹にバルカンを放つ。

「見せてやるよ…本当の超兵って奴を!!!トランザム」

ハレルヤの一言に応えるようにキュリオスの目が輝いて、身体が真っ赤に発光しだした。

「まさか…単一仕様能力⁉︎ならばこっちも」

「そんな暇、与えてもらえると思ってんのかぁぁぁ!!やるかよ」

今までのスピードとは桁違い機動力…更にシールドを貫くそのビームサーベルの出力も増していた。白式は大きな外傷を与えられたのだ。

「零落白夜…暮桜や白式じゃないのに……どうして」

「甘いんだよ女…奥の手ってのはなだすタイミングが肝心なんだよ!」

TRANS-AM…それは高濃度の圧縮粒子を全面に開放することによりその機体性能を3倍にまで高めるGNドライヴの切り札。

「こちらスコール…作戦失敗。撤退するわ」

白式のパイロットは大ダメージによりエネルギーがある内に逃げようとした。

「ISごときで俺から逃げられると思うな!!」

飛行形態に変形するキュリオス。しかし、追いつくことはなかった。

「トランザムの限界時間かよ…せっかく楽しめてたのによ…」

『気にするなよハレルヤ。また楽しみが残ってるって前向きに考えるべきだよ』

「アレルヤ…だからお前は甘ちゃんなんだよ」

これは…嫌な予感しかしない。アレルヤではないが、世界の悪意が見えるようだぜ…

 

 

 

 

 

 

「アレルヤの方は逃がしたか…だが、亡国企業がヴェーダをやったことだけはわかったな…後は」

ロックオンが居たそこには銀色の試作段階のISが動いていた。ユニオンのIS福音である。福音はパイロットを載せずに勝手に動きだし、今のポイントにやってきたのだが、それはやはりISの深奥までいじることができる天才ハッカーによる犯行だと思われるものだった。

「悪いが撃ち落とさせてもらうよ…ハロ、シールド制御は任せた」

『了解!了解!』

スナイパーライフルで狙撃をするデュナメス。しかし、敵のスピード・運動性の良さがでているのか全てをかわされた。よほどの予測能力があるのか…

「スピードはトランザムすれば超えられるが、あれじゃ粒子残量がゼロになったら到底敵わないか…アレルヤの方もトランザム使ったから、IS学園の連中に任せるべきかな…」

TRANS-AMの弱点は入れば自由に解除して戦うことができないこと…言わば使えば粒子残量がゼロになってしまうということだ。

使う場所を考えたなければいずれ俺たちは死ぬことになるだろう。だからこそTRANS-AMは切り札なのだ。

 

 

 

 

 

 

篠ノ之箒は一夏の部屋に向かっていた。何でも男子生徒の部屋は個室となっており、寝るのも一人らしいからだ。

「あいつは昔、ひとりで寝れなかったよな…確か」

IS学園では私と2人部屋で一緒であったためそこまで気にはしていなかったが、親が目の前で死んでしまったのをキッカケにして一夏は、人が近くにいないと安心できないと昔言っていた。しかし、最近は大人びてしまって今にも襲…もとい、大人になろうとして、鬱憤が溜まっているだろうから話し相手くらいにはなってやらんこともないと思い、部屋から出たのはいいが…

 

「貴様らは何をしているんだ!」

 

4人の女狐(英中仏独)と部屋の前で出くわした。

「そ、そうですわ!何をしていらっしゃるんです皆さん…わたくしは、パパパパトロールをしてただけですわ」アセアセ…

とセシリア

「わわわ私は一夏が一人で寝れないの知ってるからその…添い寝しようかと。って箒はどうなのよ!」

と鈴…

「私も…同じだ」

「そうだよね…みんな考えることって同じだよね」

シャルロットは悔しそうにそう言った。

「嫁は寂しがり屋だからな…」

「「「「嫁言うな!!」」」」

ラウラにつっこむ私たちだったが、もう一人の殺気に気づいた。織斑先生だ。

「小娘共がどうして一夏の部屋の前にいる。一夏ならもうとっくに寝ているのだが…夜這いとはおもしろいな…」

何故こんなに早くに寝るんだ一夏!!!

 

 

 

 

次の朝…専用機持ち全員と箒が呼び出されていた。なんでも箒に専用機が届くらしい。

「やっほー!!箒ちゃーん!!」

やってきたのは天災発明家の篠ノ之束さん。この人ほど歪んだ存在はいないと昔は思っていたほど、俺はこの人が苦手である。

「姉さん!?どうしてあなたが?」

「それはもちろん機体をプレゼントしに来たからだよ。いっくんにばっかりサービスしてたら箒ちゃんに嫌われちゃうからね」

前言を撤回して、この人ほど苦手な存在はいない。あからさまにイタズラしてきたのが、サービスなんて…

「まあまあ、みたまえ!この第四世代IS紅椿を」

現れたのは紅い機体だった。

見た目はユニオンのフラッグのように機動性に追求した形となっており、武装は二本の刀。装甲を展開することによる機体性能の向上、並びにそれを補うかのようにエネルギー量は従来の3倍。こんなオーバーテクノロジーの集大した機体はガンダムを製作したイオリア以外に彼女しか作れないだろう。

「まあ、フィッティングと設定はこっちでするから、君たちの誰かが相手をしてよ…まあ私的にはいっくんかそこのメガネかな」

「生憎だが、織斑少し来い」

「ちいちゃん!!酷い!酷すぎるよ!私を無視して」

俺はいきなり現れた千冬姉に連れられ旅館にもどされた。

 

 

 

 

一夏が連れて行かれたあと、私は紅椿に乗った。

なんだろうか。訓練機にはたまに乗って練習したりしていたが、こいつは身体に馴染んだ。

まるで私のためにあるようなISだった。

「んじゃ、メインウェポンの空裂・雨月と展開装甲のデータを送るから、青いパツ金ちゃんと黒い眼帯ちゃんと戦ってみよう」

「パツ金⁉︎」

「眼帯だと!」

セシリアたちはようやく姉が変わり者だと認識したらしい。

私は言われた通り戦うことにした。

「武装からして、接近戦ですわね…ならばブルーティアーズ!!」

ビットがレーザーを放つが、

「空裂!!薙ぎ払え」

一振りで、斬撃がビットを一掃した。

「ならばレールカノン…」

「遅い。雨月!!」

突きがレーザーとなり、レールカノンを目掛けて放出した。

「んな⁉︎」

「くそ」

「二人ともよそ見をし過ぎだ」

肩に着いた展開装甲をパージしてビットのように敵に放った。逃げるセシリアもラウラもなす術なく負けた。

 

 

 

俺は千冬姉に呼び出され、監視カメラの映像を見せられていた。

「見ろ…これは昨日未明にユニオン基地で起こった事件だ。福音を強奪され、海岸を航行している。おそらくここにも出撃命令が下るだろうが、まずはこれを見て欲しい」

出された映像に映るのはキュリオスと白式…

「まさか…」

「そうだ。貴様の機体になるはずだ。やはり亡国企業に強奪されていたようだ」

「それじゃ福音は…」

「ガンダムがそれを阻止したはずだったが」

「何者かに盗まれたよ」

そこには白人の男がいた。聞き覚えのある声だった。

「貴様は誰だ?ここは立ち入り禁止だぞ」

「悪い悪い…ミス織斑さん。俺はロックオンストラトス、ガンダムデュナメスのガンダムマイスターだ」

ガンダムデュナメス。ラウラの時に現れたガンダムの一つで、レグナントのファングを全て狙い撃った機体。

「貴様。男でISを乗りこなしているのか?」

「違うな…ガンダムはISじゃない。あんたならわかるだろ」

千冬姉は黙った。ロックオンの言葉がわかったからだ。

「んで、ロックオンさんがどうして…」

「ロックオンでいい。まあ、今日は一夏に頼みがあってな…一夏、強制はしないがお前のエクシアの力を借りたい」

 

それから、詳しく福音について話したロックオン…

キュリオスは昨日の戦いで損傷が激しいらしく出られないため、デュナメスとの作戦らしいが…

「認めん…貴様は学生にそんなことをさせるのか?」

千冬姉はロックオンの前に立ちはだかりそう言った。

「ミス織斑はだまってろ…一夏。これは強制ではない…行きたくないなら行かなくて…」

「何言ってんのロックオン。俺は守る。守るためにこの力を手に入れたんだ。何があってもテロなんかで人を殺させない」

俺はロックオンと行くことを選択した。

「正気か一夏⁉︎」

「千冬姉…俺は手が届くところで救えなかった。自己満かもしれないけど、俺は救いたい…この命に変えても」

「馬鹿者…貴様は、貴様は」

千冬姉は初めて俺の前で涙を見せた。そして俺はこの時、初めて千冬姉に反抗した。

俺の意思で戦うために…

 

 

 

 

 

「本当にいいのか?聞かん坊」

ロックオンがそう聞いた。

「はい。俺はガンダムマイスターですから」

エクシアでデュナメスの肩に取り付きそう答えた。

「んじゃいくか。トランザム!!」

デュナメスは真っ赤に発光し出力がエクシアの3倍くらいで空中を移動していた。

「目標を視認した。一夏、お前が相手をするんだ。俺は粒子が溜まったら援護をする」

「了解…エクシア目標を駆逐する」

エクシアは福音との距離を縮めた。福音はどちらかといえば遠中距離型のIS。機械ならば完璧すぎる…だからこそ読みやすいと推測した一夏だったが、

「敵に作戦が読まれたのか!」

一振りしたGNソードは空振り、福音は懐にいた。速い…今まで敵に懐をつかれなかった一夏の懐をつき、福音をメインウェポンである銀の鐘の射撃によりダメージを受けた。

「射撃武装をゼロ距離からって…こいつ俺と同じ動きを…」

そう。エクシアで最初に戦ったセシリア戦で行った戦法である。

「なら、これならどうだ!!」

GNダガーを投げ、福音の肩を投擲する…しかし、奴はそれを爆発させた。

「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

それを読んでか、一夏はイグニッションブーストで接近。福音の腕を切り裂いた。だが福音本体は消えてしまった。

「ステルス機能か…一夏!気を抜くな。本体はまだ健在だ」

ロックオンがそう言ったため、辺りを見渡す。すると、近くに紅椿と甲龍を見つけた。奴の狙いはあっちか!

「一夏!大丈夫か」

「終わってたみたいね」

「箒!鈴!下がれ」

 

その言葉は遅かった。

鈴は福音の銀の鐘をゼロ距離で受けて海に落ちそうになり、箒もその直後に足蹴りを受けた。

 

怖い…怖い…もう目の前で誰かを亡くしたくない…失いたくない。

 

恐怖から身体が硬直し俺はトラウマに飲まれて行った。

 

「一夏!お前の力は何のために手に入れたんだ!お前が守らないでどうする…チャイナ娘の方は任せろ」

 

しかし、ロックオンのその言葉に俺は救われた。そうだ。俺は失いたくない。だからこそ戦わなくては…

「箒と鈴になにしてくれてんだ!!」

福音を足蹴した俺はGNブレイドをスラスターに突き刺して銀の鐘を破壊した。しかし、福音は輝きスラスターは光の翼へ変形した。

「第二形態…土壇場で…ぐぁぁぁぁ!!!」

福音は光の翼を剣のように使いエクシアの左腕を切り裂き、その場を離れた…

「一夏!!」

「たかが左腕をやられただけだ…トランザム!!!」

エクシアは真っ赤に発光し福音を切り裂いた。目にも留まらぬ速さの銀と赤の戦いは赤が制した。

「福音のISコアを破壊する!!」

ISはガンダムに機能は劣るも、自動修復機能を備えられている。ISコアを破壊すればそれは無くなりただの鉄屑だ。俺がトドメを刺そうとしたとき、

 

「悪いが…邪魔させてもらう」

 

突如現れたのは赤い粒子をばらまいているIS…サイレントゼフィルスだった。

サイレントゼフィルスのビットが福音を援護し逃がした。そしてトランザムの限界時間を越えたため機能が大幅にダウンしたエクシアの関節部、頭を撃ち抜いた。

「みんな…………ごめん」

 

「「「一夏!」」」

 

3人が一夏の救出に向かおうとしたが、ビットと正確な狙撃に阻まれた。

「てめー!!!」

粒子が回復していないのにロックオンはスナイパーライフルでビットを撃ち抜いた。

「ガンダムも所詮そんなものか!!」

シールドビットによりビームを半減された。(いつもより出力が低いためダメージにすらなっていない。)

「っち、やっぱりトランザム後じゃ粒子量が足りないか…」

ロックオンが銃撃戦をしている中、こちらにも援軍が来た。

 

「高濃度圧縮粒子解放!!」

 

ティエリア達である。

「っち、邪魔が入った」

サイレントゼフィルスは撤退した。

『ロックオン。追いかけるからつかまって』

「ティエリア。一夏を頼むぞ」

ティエリアと一緒に来たアレルヤにつかまりロックオンはサイレントゼフィルスを追いかけていった。

 

 

 

 

 

 

 

海に沈んだエクシア…その中で一夏は死ぬのだと思っていた。

 




部位破壊の部分を見てピンときたひとがいるかと思いますが、次回…天使再臨。
ついでに第四世代(三.五世代)ガンダムは登場がまだ先の話です。


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7話 天使再臨

「武力による戦争根絶、それこそが、ソレスタルビーイング!ガンダムがそれを成す!!」
「俺が…俺たちがガンダムだ!!」


一夏は箒に救出された。しかし、左腕と右目は激しい怪我を負っており、エクシアのほうも右目、左腕のパーツを含め、間接部のパーツが欠落していた。

「どうして、一夏さんがこんなことに…」

セシリアはティエリアに言った。

「トランザムを使ったんだろう。鈴や箒たちも見ていたと思うが…トランザムは圧縮された粒子を完全に解放するため、赤く発光し、一時的に機体性能は3倍に跳ね上がる。しかし、発動後は粒子不足で機体性能が大幅に低下してしまうんだ」

ティエリアはそれに応答した。ガンダムにとってGN粒子は動力源の他に、装甲の強化等にも使っている。一夏の怪我によって、こちらとしても切り札(エクシア)を失ってしまった。

「でも、どうして一夏が⁉︎」

シャルはティエリアの襟を掴んで怒りを露わにした。デュナメスが助けられただろう…そう言いたいのか?

「シャルロット…落ち着け。今回、デュナメスはトランザムを使っていたんだろう…更に、AEUから先ほど届いた情報なんだが…」

赤い粒子を出す白い機体…白式と赤い粒子を出していた先ほどのサイレントゼフィルス…どちらも酷似した部分があった。

「赤い粒子はジャミング性能に優れている。いくら優れたISとはいえ、ジャミングは逃れられない」

「…」

ラウラの一言にティエリアを下ろすシャル。

「でも、私たち…見てるだけだったなんて…」

「一夏一夏一夏一夏一夏一夏一夏一夏一夏一夏一夏一夏一夏一夏一夏一夏一夏…」

鈴も箒も…いや、この件に関わった誰もが絶望した。

「けど、やるしかない。私たちの手で一夏の仇をとるんだ」

ラウラはそう言って皆を励ました。

「そうだよね…一夏をあんな目に合わせた奴を黙って見過ごすわけにはいかないよね…」

「そうですわ。一夏さんは命がけで作ってくださったチャンスを無駄にしてはいけません」

「善は急げよ!」

「うむ…皆いくぞ」

女子5人に対してティエリアは反論した。

「君たちは馬鹿なのか?一夏がどうして命がけで戦ったか、どうして戦う道を選んだのかわかるのか?それがわからない君たちが戦っても勝てない。頭を冷やせ」

ティエリアはヴァーチェを展開して、仁王立ちになった。

ティエリアにはわかっていたのかもしれない。一夏の臆病さが、今の現状を生み、一夏の優しさが今も現状を悪化させていることを…

「焦っても解決には至らない…君たちは織斑先生の言うとおり待機だ」

すると走ってくる人影が現れた。山田先生だ。

「大変です。織斑君が!!」

 

 

 

 

何もない荒地…俺はこの光景を知っていた。0ガンダムに救われた場所…旧クルジス共和国だった。空は赤く、銃とそれに巻きついた草花…そして、俺と黒髪の少年がそこにはいた。

『お前は何故戦う…戦うような奴ではないだろ』

黒髪の少年がそう聞いた。

「俺はもう何も失いたくない…壊したくないんだ…だから戦ってる」

『貴様、それでさいずれ身を滅ぼすぞ…世界は戦うだけでは何も守れない。誰も救うことはできない』

「俺はそれでも…それでも、守りたいものがあるんだ」

俺の中には軌道エレベーターの事件、0ガンダムの事件…そして、笑顔で笑う皆の顔が映し出されていた。

「俺が死のうが…俺は、大切な人を守りたい」

黒髪の少年は歩きだし、半壊し、草花に巻きつかれるガンダムの前に立った。それは何処となくエクシアと0ガンダムに似ていた。

『その覚悟…悪くない。だからこそ、お前は変わらなくてはいけない…世界と向き合え一夏。それが00ガンダムを目覚めさせる鍵になる』

00ガンダムと共に消えた少年…俺は彼に向って無意識にこう言った

「わかったよ…刹那」

 

 

 

 

目が覚めるとそこは旅館だった。左腕の違和感と右目のボヤけからにして、あの時のことを思い出した。

「俺は負けたのか…」

そして、このままだと起こってしまうであろう最悪な展開を考えてしまった。

福音の討伐である。あの時にISのコアを壊せずに逃がしたため、自己修復に入っているのかもしれない。それを好機として攻め入ってはダメだ。俺のせいでまた人が死ぬのは嫌なんだ…

俺は点滴やその他諸々を引っぺがし、近くにあった眼帯と服を着て、エクシアをリペアさせに、整備室に向かった。

 

 

 

 

 

一夏が消えた事を聞いた6人は一斉にISを展開し、空へ飛んだ。山田先生は止めたものの、彼女達は愚か、ティエリアすら動きだしたため、止めることができなかった。

「装甲をパージする!!」

ヴァーチェは長髪の女性のような姿をした姿へと変貌した。

「時間がほしい、ガンダムナドレ行きます」

ガンダムナドレ…ヴェーダとリンクすることによりGNドライヴ搭載機を掌握する言わばガンダムキラーだった機体。しかし、今やヴェーダは亡国企業により壊滅状態。高火力と高い防御力のヴァーチェに比べ、ナドレの有用性は皆無に等しい…はずだったが、ナドレはエクシア並の機動力とキュリオスと同等の運動性があるため、機動力と運動性が重要とされる展開では、ヴァーチェ以上の戦いを見せる。

「今回の戦いは、遠距離中距離の射撃は無駄だ。接近戦とその援護で陣形を固める」

ラウラの指揮に皆は賛同した。

「「「「「了解」」」」」

 

 

福音にフォーメーションを組んで戦う6人であったが、やはり射撃が無力な状態ではセシリアの狙撃も、鈴の衝撃砲も、シャルロットの高速切替もラウラのレールカノンも、ティエリアのヴァーチェも活かせない。しかし、誰一人として諦める者はいなかった。

「まだだ。まだ負けるか!紛争根絶のためにも。そして、一夏のためにも!!」

ナドレはTRANS-AMでの接近攻撃に成功するも、粒子切れ(ヴァーチェより粒子貯蔵量が低いため、TRANS-AMの時間も短い。)となり機能が低下し、ヴァーチェより防御力が大幅に低下しているナドレはエネルギーの翼により、シールドごと吹き飛ばされた。

「やはり、ナドレでのトランザムは福音の攻撃力ではリスクが大きすぎる。うぐ…」

粒子はガンダムの装甲を強化している。防御力が低く粒子の少ないナドレでもそれは変わらない。だが、粒子が減れば…装甲は容易く破られる。

「一夏とティエリアの仇だ!」

展開装甲により機体性能を上昇した紅椿は、福音を斬りつけた。

しかし、エネルギー翼とのつばせあいとなり、お互い譲らない形で戦いだ。

「当たらなくったって援護はできますわ」

福音はセシリアの狙撃による邪魔により思うように動けず、箒に連撃を許してしまった。

「人形なんかに3度も背を見せてたまるもんですか!!」

つばせあいに再びなると、箒と反対側から鈴により挟み撃ちを受ける。

「背中がガラ空きだよ」

「正面!!!」

さらに、正面と背面からの同時攻撃…並大抵のISならば一溜まりもなかっただろう。

「「「「「きゃー!!!」」」」」

しかし、オールレンジ攻撃のあるISは別である。箒たちは全員吹き飛ばされてしまった。

 

 

 

一夏は誰もいない整備室にいた。ドタバタしていたのだろう。

その為、リペアに必要なパーツを持ち出すことは容易に行えた。

「時間が無い…ハイパーセンサーと必要最低限のリペアしかできないが、やるしかない」

戦って傷つくのは俺だけで十分だ…俺はそう思った。

ハイパーセンサーの壊れた右目部分を人革連のISティエレンのハイパーセンサー…時間を削いたことにより、左腕を含めGNソードの刃、足の関節部まで改修が行き届いてないため、左腕には防弾性の高い布をマントのように羽織った。戦う分には支障が無い程度には改修したつもりだ。いざてなったらTRANS-AMもあるし、俺は行かなくちゃ…

「ガンダムエクシア…出る!!」

 

 

 

 

私は、どうしてこんなに弱い…

箒は心の底からそう思っていた。

専用機を、力を手に入れたことにより強くなったと思い込んでいた。だが、違った。一夏のように私はなれない…一夏の隣には立てない。

「一夏…私は。私は…」

霞んだ視界の先に手を伸ばす私…その先には緑色の光が一直線に伸びていた。

 

 

 

 

「俺は戦う…皆を守る為に……ガンダムと共に」

福音の位置は箒たちと交戦していたからわかった。

「ティエリアも箒たちも……あとは任せろ!!」

福音はさっきの戦闘の後だというのに、エネルギー翼からレーザーを拡散させた。

「エネルギーの翼からのオールレンジ攻撃…そんなもの、今の俺には通じない」

エクシアの機動力とガンダム随一の運動性は心無き人形の攻撃を容易くかわした。そして、一夏の攻撃は機械をはるかに凌ぐ予測により、ビームライフルを当てることに成功したのだ。

「今のエクシアでも…戦える!!」

先端の欠けたGNソードを振るい、一夏は福音の右足を斬り裂いた。

「今度は逃がさねえ!トランザム!!」

一夏は右足に続いて左足、両腕…さらには福音本体を盾にしたエネルギー翼ごと突き刺したのだ。

「コアの破壊を確認した…これでもう…」

一夏は異常な精神力により肉体のダメージを無視していたのだろう。さらに、エクシアリペアもリペアが不十分だったため、前回の戦いで損傷のあった間接部門に深刻なダメージ、及びトランザムによって残像が出るほど動いたのだ。いくら防弾マントを付けて安全面を考えて左腕に負担をかけないように努力したものの、左腕の怪我は悪化してしまった。

 

 

 

 

その後、俺はティエリアと共に他5人に救出された。エクシアもナドレも恐ろしく損傷していたため、当分はISが使えないらしい。さらに、無断出撃等の罰として、俺とティエリアは反省文含め一週間の停学処分(病院に入院)になり、残りの5人は反省文と一週間グランド整備という罰になったらしいが、まだ臨海学校が終わった後の話だ。

それまでは絶対安静と言われていたのだが…

 

やらなければならないことが一つだけ残っていた。

 

 

 

 

深夜の海岸…束は空を見ながら楽しそうに笑っていた。

「何がそんなに楽しいんだ?」

「あっちいちゃん…ガンダムには驚かされてばかりだったからね。ちょっと楽しみが増えて…」

千冬はその笑みを見てこの事件の真相が鮮明にわかってしまった。

「福音の遠隔操作は新たなゴーレムの制作の実験か?」

「まあ、そうかな。でもね、やっぱり私はこの世界がつまらない…だから壊したいんだ……壊すためにも箒ちゃんやいっくんには強くなってもらわないとね…」

やはりか…箒に送られた専用機、そしてユニオンでの福音暴走…この二つは束がかわいい妹をこの事件デビューさせ、一夏と共に強くするためである。

「だけど、計画は亡国企業に邪魔され、第三勢力であるガンダムの出現。イレギュラーだらけだったから、私ね…」

束はその言葉を残し姿を消した。

 

「世界の敵になろうと思う」

 

「束…貴様にはまだ負けない。思い通りになると思うなよ」

 

 

 

 

同じ時間帯、2人の弟と妹は浜辺にいた。

「な、なんだ…呼び出して」

ボロボロな体の一夏。実を言うなら話したかったのは事実だが、絶対安静のはずでは…

「悪いな…もう少しまってくれ」

一夏はISの待機アクセサリーの時間を見ながらそう言った。

もうそろそろ日が変わる。言うならば門限破りである。

「よし時間になった。これを渡したくてな」

渡されたのは一つの箱だった。

ももももしかして…婚約指輪⁉︎

「誕生日おめでとうな。箒」

そう、今日は7月7日。私の誕生日だ。

「む⁉︎昔から変わらん奴だな…一夏」

私が一夏を好きになったきっかけは…まさにこのことだった。

昔から、誰かの為に動いて傷ついても、大切な日だからと一目散に誕生日を祝ってくれたのは、他人では彼だけだったのだ。

「そうか?まあいいや…開けて見てくれ」

箱を開けるとそれはリボンだった。そう言えば福音との戦いで一夏がくれたリボンを何処かに飛ばされてしまった。

「やっぱり箒はポニテが似合うからな…久々に祝うんだ。初心に帰ろうかなって」

「嬉しい……嬉しいぞ一夏!!」

覚えてくれていた。私の中で待ち続けた思いが本当に報われた気がした。

 

 

 

 

 

 

人革連領 収監施設

そこには多くのテロリストが収監されていたのである。しかし、収監されていたテロリストは一人の仮面の少年の手によって解放されたのであった。

「貴様!なんてことを」

ティエレン部隊は仮面の少年を囲んだ。しかし、

「悪いが…あんた達じゃ俺を捕まえることも、世界の治安を守ることもできやしないさ…」

仮面の少年は展開させた二つのサーベルでティエレンを斬りつけた。

「ISだと…」

「どうして男が⁉︎」

今はIS学園に2人しか(ロックオンやアレルヤに関してはまだ世界には知られてはいない。)いないはず…どうして⁉︎

「答える義理があるのか?」

鋭い眼光とその剣術…世界最強のブリュンヒルデを思い出すその動きは、ティエレン3機を一気に破壊した。

「スコール…ミッションコンプリートだ…あとはどうする?」

『ブシドー…あとは自由に破壊しなさい』

ブシドーと呼ばれた仮面の少年はISを展開させた。

「アメリカの最新鋭第三世代IS…マスラオ。どうしてあなたが」

マスラオ…日本のサムライをモチーフにフラッグをベースに開発された機体。福音の開発以前に亡国企業により盗まれていた。

「亡国機業め…」

「覚悟!!」

増援部隊のティエレンが現れるも、ブシドーは余裕の表情でこう言った。

「この世界に神はいない…」

マスラオの背中から放出された緑色の光は増大し、マスラオは真っ赤に輝いた。

「何⁉︎」

 

 

 

 

嵐のあとのように収監施設は跡形もなく吹き飛んでしまった。ティエレンも例外ではない。

 

「いるのは、悲しい現実を知る弱者だけだ」

 

オリジナルのGNドライヴを搭載したマスラオ。そしてパイロットのブシドーは上司に連絡を入れた。

『ご苦労だったわね…マスラオも、私がさっき送った戦闘データみたいな現象ができたようね…』

「ああ…だが、機体に負荷がかかるらしい。あまりIS…擬似ドライヴでの使用はオススメはしない」

『オリジナルのGNドライヴとガンダムだから…次のターゲットを決めたわ』

俺にはわかっていた。俺がやっていることは間違ってるって…俺がここにいることが間違ってるって…

「次のターゲットは…IS学園の織斑一夏」

仮面を外し、鏡に映るその顔を見ながらそう言った。

容姿そっくりなその少年…いや、自分自身との決着をつけるために、俺は一度本部に戻ることにした。

 




亡国企業の白式に乗るスコール、サイレントゼフィルスに乗るエム、そしてオリジナルGNドライヴを搭載したマスラオに乗るMr.ブシドー…まだでてはいないがオータムを含め擬似ドライヴ機体を使う連中に一夏達はどう対抗するのか?


そして、学園祭はティエリアと楯無中心に書いて行く予定です。


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8話 誕生の日と再開の日

今回は、前の話で登場したブシドーを視点にした話です。プロローグの序盤とリンクしたナレーションベースですので話が薄いかもしれないですが、温かい目でお願いします。


 

 

それは俺が小さいときの話だ。

 

アイルランドの軌道エレベーターが建設して間もない頃…その周囲では店がたち賑わいを見せていた。

今日の一日が平和の1ページになるはずだった。

一夏も軌道エレベーター開発に携わっていた両親に連れられ近辺の店をまわっていた。千冬が宿泊研修であるため、一人一夏を家に置いておけなかったという些細な理由だったが、この選択が、一夏を…そしてこれから起こる世界の変革を引き起こすきっかけになることなど、誰も知らなかった。

 

 

 

 

「父さん!あのアイス買ってきていい?」

「はいはい。じゃあ、あそこのベンチで母さんと待ってるから」

一夏はアイスを買いにアイス売りのところに向かった。

 

ドカーン!!!!

 

アイルランドの軌道エレベーターはこのとき爆発した。

一夏は、アイス売りの近くにいたため最初に落ちたピラーの下敷きにならずに済んだが、ピラーは両親がいるベンチに落ち、更に落ち、最終的にはタワーは一夏とは反対側の方向だったが倒れてしまった。

「ゔぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

一夏はその時、初めて絶望した。

 

 

 

 

 

一夏を含め、多数の子どもがそのアイス売りの近くにいたが、そこにいた子どもの親は誰も助からなかった。

誰一人精神が安定している子どもはおらず、その子ども達の一部はKPSAにより捕縛された。

捕縛されてからは、超人機関に売られたりしていたが、何よりほとんどの女の子が、傭兵として育成された。

そして、一夏は実験のモルモットにされていた。誰よりも絶望し、誰よりもテロリストに反抗した彼は子どもながら大人を一人殺したのだ。彼自身、そんな何一つ記憶はないだろう。このとき、彼にはもう一つの人格が生まれたのだから。

 

 

それに目をつけたのはイノベイターと呼ばれる集団だった。

彼らは一夏のクローンを生成し、たくさんの実験を行った。オリジナルの一夏さえ健全であれば幾万もの一夏を作ることができるからだ。

「o12r83を撃墜しました。試験体o16r15が最も適正の高い試験体です」

彼らは一夏同士を戦わせ、最も強い試験体をあの人格の器にしようとしていた。この時生まれたのが俺であった。俺のオリジナルである一夏はその後、傭兵達に引き渡され、AEU本軍により保護されたそうだ。そしてここでの記憶、絶望から生まれた人格を切り離したオリジナルはぬくぬくと成長しているのだろう。俺はあの日までそう思っていた。

 

 

 

 

 

俺は命令により、ソレスタルビーイングの残党狩りをしていた。勿論、その時の新型であった第二世代ガンダム『アストレアF型』に乗ってからの行動だった。

当時のソレスタルビーイングは0ガンダムの試験運用を行っていたのだが、その日はその運用に行われた今でいうガンダム事件の日だ。

俺の上司であり0ガンダムのマイスターはソレスタルビーイングを解体するために自ら最前線に足を赴き、テロリストを撃墜していた。あの日、俺は聞かされてはいなかった。

 

そこにオリジナルがいることを…

 

俺はソレスタルビーイングの本陣を試作GNソードで切り裂き、所持していた火器を使い跡形もなく破壊した。ガンダムでの破壊工作により、宇宙に隠れた残党を除く、ソレスタルビーイングの主戦力を一掃し、二つのGNドライヴを回収することに成功するはずだった。

 

オリジナルのあの目を見るまでは…

 

オリジナルは0ガンダムに救われ、世界に希望していた。GNドライヴを回収することを忘れ、俺は0ガンダムに切りかかった。

『何をしている…僕の計画を乱す行為は慎め…夏楽!!』

「知ってるくせに知ってるくせに!!俺は絶望から生まれたんだ!!奴が希望して、希望に満ち溢れたら…俺は…俺の存在意義は⁉︎教えてくれよリボンズ!!」

こんな感情は初めてだった。0ガンダムのマイスター…リボンズアルマークに初めて歯向かった時であり、俺、織斑夏楽に自我が生まれた日だった。

そして、0ガンダムは乗り捨てられ俺は孤独と厳しい特訓に冴え生れた。

 

 

 

 

それから数年後した現在

 

「夏楽…君には亡国機業に入ってもらうよ…」

「テロリストになれって…ふざけるなリボンズ!」

自我が芽生えて以来、孤独と厳しい特訓に冴え生れ続けた。そして、生まれたのは俺が俺になるための行動原理と、心にぽっかり空いた穴だった。

「ふざけてなどないよ…君は弱者だ。弱者は強者である神にひれ伏すしかないんだよ」

「この世界に神なんていない…いるのは悲しい現実を知る、弱者だけだ」

「それは違うさ…いや、正確には正しい意見だが、君の生みの親であるイノベイターのことを忘れてもらっては困るよ…特訓の成果が極端に出ているようだね夏楽」

リボンズアルマーク…彼自身、自分が神だと思っているのか?

「まあ、君のコードネームはブシドー…そして、君の機体『GNマスラオ』だ…これで、君の悲願を成し遂げなよ」

渡されたISを手に取り、俺は仮面を着けた。自信が生み出された絶望を作る者になること…そして、織斑一夏を殺すためには、この顔は邪魔になるだけだった。




キャラ紹介
織斑夏楽
織斑一夏のクローン。ガンダムででてくる仮面キャラ。戦闘能力に特化された獣のような性格だったが、精神面の特訓を行い、プロローグの一夏並みにおとなしくはなれる。幼いときに素手で人を殺した一夏のもう一つの人格(片割れ)であるが、彼自身その事実を知らない。一夏との異なる点は、女好き(特にIS学園にいる一夏ハーレムの連中や千冬さん)と自身の極みの為に戦うという点。そして外見は若干赤みがかった黒目と髪の毛。
SEEDのラウ・ル・クルーゼを主体として、グラハムさんやアクエリオンEVOLのカグラなどをイメージしたオリキャラ。名前の由来はカグラ×一夏×楽と声優さんネタ。

リボンズアルマーク
黒幕候補のイノベイド。世界を監視しているが、まだ目立った動きを見せていない。夏楽の自我が芽生え、作戦を失敗し、自身の愛機とGNドライヴを捨てることになり、夏楽の特訓を始めた。夏楽の設定上、育て親的存在になってはいるものの、彼をコマとしか思っていない。
密かに自身の機体を制作している。


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9話 月の王子

今回は無礼講の文化祭。パロディだらけな回となっております。


 

 

 

俺が居たのは暗い空間だった。

エクシアに乗り、GNドライヴを搭載したマスラオと交戦をしていた。

「このまま、負けるわけには…」

GNブレイドとバルカンで敵を対応しながら戦うも、斬っても撃っても防御されるだけだった。

「負けるわけにはいかない!!」

俺は渾身の一撃でマスラオを攻撃したが、姿を消したマスラオ…

消えたマスラオの背後には傷ついたIS学園の仲間たち…

そして、大破したデュナメス、右手足を切断され胸を貫かれたキュリオス、大破したヴァーチェの装甲の近くに横たわるナドレ…

仲間たちは全て倒されていた。

「貴様…貴様…貴様!!」

マスラオは姿を変え、現れた黒い機体に翻弄された。

現れた機体は…俺のよく知った機体だった。

「そんな……何故、エクシアの姿を⁉︎」

そして、俺は2振りのGNソードの改良装備に斬りつけられた。

 

 

 

 

 

 

「あ゛ぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

目が覚めると、俺は部屋にいた。

しかし、何故か体は硬直し震えが止まらなかった。

「誰か…誰か…」

俺の中に残る恐怖。どうしちまったんだ俺は?

「大丈夫か、一夏。震えが止まらないみたいだが…」

ティエリアが俺を心配した。

「済まないなティエリア。なんか嫌な感じがしたんだ」

「嫌な感じか…」

ティエリアはこの時に気付いていたのかもしれない…俺が、新たな進化を遂げつつあることを…

 

 

朝から悪夢を見たせいか妙にテンションの低い自分がいた。停学明けとはいえ、IS戦闘で一度は不意をつかれたとはいえ、ガンダムに乗って負けたのだ。今まで力の象徴だったものが崩れた。そして、あの夢が現実になったら……俺は今のままではダメだと思った。

 

 

 

 

文化祭…今回は一学期末に行われることが決まり、みんな張り切って準備に取り掛かっていた。そして、一組のみんなも出し物で話し合いをしていたのだが…

「男子とポッキーゲーム」

「男子と写真撮影」

「男子と王様ゲーム」

「男子とウハウハ」

何と言ってもここはIS学園…男子に飢えた女子たちがわんさかいる中に2人の男…ある意味予想の範囲内だった。

「文化祭で却下だろ…ある意味内部に受けて外部のお客に失礼極まりないだろ」

「そうだよ。せっかく美人が揃ってるんだし、皆ができる仕事内容にしようぜ」ニコ

ティエリアの意見に俺は付け足す。しかし、全員が顔を真っ赤にし、集中してなさそうだったので、俺からも意見を出して見た。

「俺、調理師免許持ってるから、軽い喫茶店なんてどうだ?今からならメニューとかも考えつくからさ…」

「「「なら執事喫茶だ!」」」

ラウラ、箒、セシリアが一斉に手を上げた。最初に言っておこう…男子を皆持ち上げすぎなんじゃないのか?

 

 

 

 

まあ、最終的にうちのクラスでは、奉仕喫茶(メイド喫茶と執事喫茶の統合)とステージ発表でかぐや姫の男女反対の劇をやることとなった。

劇の方は仕方が無いとして、奉仕喫茶の方は厨房とウエイターの両方掛け持ちらしい。まあ、料理の方は作り置きにして、仕上げる感じにするからそこまでは大丈夫だと思う。

「まあ、ティエリアほど忙しく無いしいいか…」

ティエリアは…何故か生徒会長に目をつけられ、追い回される日々が続いていると風の噂で聞いた。

学園の生徒会長は変わり者であり、最強である。だからこそ忙しいのだ。

 

 

 

 

「貴方はまだ着いてくるつもりか?」

情報を得る為にロックオンたちに連絡を入れるためにひと気のない場所に来たときに現れる生徒会長 更式楯無…この人ほど厄介な人はいないのだ。

「あら?面白いこと聞いてくれるわね。私の進行方向に貴方がいるだけなのに…」

「いや、その理屈はおかしい…」

「第一、私は貴方がどんなに見つからなさそうな場所に逃げようと見つける自信はあるわ、あらら…アーデ君」

「何処かの元吸血鬼と一緒にしないでください…」

「あら?一様掴みは良かったはずだったんだけどな…お姉さんは意外とガハラさんって抱きついてくることに期待してたのに」

「名前間違えて抱きつきに行くのはマイマイのほうで、ガハラさんは文房具の人だ」

ある意味僕はアララギより、羽川さんのほうがキャラが近い気がしてならないのだが…

「でもまあ、調べ上げたことでアーデ君…君たちのやりたいこともこっちは掴んだ。それに、亡国企業の情報のデータよ…気軽に生徒会まで来てね」

生徒会長はその一言を言って姿を消した。IS学園最強の名は伊達ではなかったな。

 

 

 

 

 

文化祭初日、

「織斑くんやアーデ君が執事なんだって⁉︎」

「なんでもゲームに勝ったら写真撮影ができるとか…」

「ポッキーゲームもできるとか…」

「しかも、お店の料理は織斑くんが考えたんだって」

「織斑くんが料理うまいのは有名だからね」

クラスの前にはぞろりと並ぶ列に俺は唖然とした。

「こらこら…執事は部屋からでない」

「料理の準備ができてないから一様用意を手伝って」

女子たちに引っ張られ、裏方に…

そして、お店は開店した。

 

「いらっしゃいませ。お嬢様」

 

最初のシフトはティエリアがメインだったため、ティエリアを中心としたメンバーがウエイター(執事やメイド)をやっていた。

その間に厨房でできるだけ料理を手伝い、厨房の女子に作り方のコツを教えた。

そして、交代になり俺はウエイターに参加した。

 

「いらっしゃいませ…お嬢様」

 

クラスに入った女子は黄色い声をあげて俺の担当になれるか祈っていた。

そして、祈って勝ち取ったのはチャイナ服を着た幼馴染の鈴だった。

「そこの執事!私を案内しなさい」

「かしこまりましたお嬢様」

 

 

 

 

予定通り。いや運が良かったと私は思っていた。何より一夏がシフトに入るまでを時間、待ち構えて待っていたのだから…まさか一夏の接客が受けられるとは思って見なかったが…

「お嬢様…こちらが当店のメニューになっております」

「まだメニュー持ってるじゃない」

さっき聞いた話なのだが、執事やメイドとイチャイチャするためには料金を払ってゲームをしなければならないと聞いている。つまり、一夏が持つメニューはそのゲームの景品…

「すいません…こちらはゲームの勝利者にしか渡せない規定になっとおりますので…」

「なら料金を出してゲームするわ」

予想通り…

そして、一夏は完敗した。なんでもできる割には一夏ってポーカーフェイスが苦手な単純野郎だからこのての勝負になら私は負けないのだ。

「んで、こっちのメニューには…」

片方のメニューには一夏が考案した料理と一夏が作り置きしたスイーツが書いてあり、もう片方には予想通り、いや…予想を遥かに超えるメニューが存在した。

・執事とポッキーゲーム 1000円

・執事に好きな台詞を言わせる1000円

・執事にコスプレをさせる1000円

いいい一夏にコスプレですって⁉︎

真面目に執事服でも半端ないっていうのに…コスプレ…

 

 

回想

ファンタジー系一夏「鈴と繋がる心が俺の力だ」

野獣系一夏「俺の糞女…もう離さない」

偽の恋人系一夏「ハニー…俺、偽とか関係なくってお前のことが好きになりそうだ」

渋谷系一夏「お前の音を俺が守る」

バディ系一夏「俺はお前のバディだ。俺から離れるな」

宇宙世紀系一夏「俺は君の力になりたいんだ。俺を必要としてくれ」

 

 

 

ボフ!!!

頭がオーバーヒートしてしまったので一夏特製のフロートを頼み私はお店を後にした。

 

 

 

 

事実上、ゲームの参加者が続出するものの、渡したメニュー(俺たちは内容を聞かされていない)の注文は誰からもされなかった。

しかし、彼女たちは満更なさそうな顔で問題は無いだろうなと俺は思った。

 

 

 

 

 

第三アリーナ…ここでは演劇などのステージ発表が行われていた。

俺たちも例外ではなく自分たちのプログラムまでゆっくりとしていた。

まあ、俺たちの劇は相当ややこしくなっているし、本番どうなるかが心配だった

 

 

 

※ここからのナレーションは1年1組の鷹月さんがやっています。

 

むかしむかしのこと、竹取翁というメガネが似合う美男子がいたそうだ。

「今日もいい天気になりそうだ。会…ではなくていってくるよ楯無」

「はーいいってらっしゃい」

(なんで会長が?たしか、のほほんさんだったような…by一夏)

翁の美しさに結ばれたゲスト出演の会長もとい、村娘の楯無は真面目で誠実な翁を見送った。

 

そして翁は目標を駆逐した。いくつもいくつも…

「高濃度圧縮粒子解放!!!」

そして現れた宇宙ポットを持ち帰った翁は開けてびっくり…

そこには一人の赤ん坊がいたのだ。

 

 

「酷いわ、私というものがありながら浮気していただなんて…」

事実を話すも信じてもらえず、世界観が可笑しいのかキャラ設定が間違っていたのか?会長のアドリブにどう対応するのか…

「バカなことを言ってる場合じゃないだろ?この子は宇宙の闇を一人で居たんだ…そんな悲しいことがあっていいと君は言っているのか?万死に値する」

楯無ともめたが翁はとりあえず彼を育てることにした。

 

 

 

それから半年…赤ん坊はみるみると成長し美男子になった。翁は彼を一夏と名付けた。翁を上回るその美貌にどの女性もが虜になった。

「私と結婚してください一夏さん」

「私と月まで…」

「私のものになりませんか?」

毎度毎度のことで嫌気がさしたのか一夏は部屋に閉じこもり気味になってしまった。

 

 

ある日、噂を聞きつけた5つの国の王女がやってきた。

サムライの国の箒王女

メシマズ王国のセシリア王女

スブタ共和国の鈴王女

ダンソウ皇国のシャル王女

ウサギ帝国のラウラ王女である…

彼女たちは一目、一夏に会いたいと特技を披露した。

「私は剣術と神楽舞を嗜んでおります。サムライの国を私と守って行きましょう」

「一夏さん。わたくしの祖国の料理…どうぞ召し上がってくださいまし」

「私の婿に来たら…酢豚を毎日食べさせてあげるわ。喜びなさい」

「僕、一夏のためならなんでも尽くせちゃうな…なんなら王女やめて二人で静かに暮らそう」

「嫁は私の嫁だ。劇であろうとその事実は変わらない…さっさと行くぞ」

個性溢れた姫君の求婚に戸惑う一夏…彼は彼女たちの前に立ちこう告げた。

「俺が求めたものを連れて来てくれた人と結婚する。連れてこれなかったらしない」

箒はうさ耳をつけた天才科学者

セシリアは伝説のポイズンクッキングの料理人

鈴は龍の球を持っていそうな変態亀親父

シャルは社長

ラウラは黒うさぎという名前の人物

 

 

彼女たちは探した。一部探していない者もいたが、全員諦めてしまった。

 

 

 

「どうして全て断ったんだ?」

「翁…俺、月の民ムーンレイスなんだ。地球の重力が強すぎて寿命縮ませちまってさ、月に帰ることになりそうなんだ」

そう。彼は月の王子…地上の人とは結ばれてはならなかったのです。

「俺と結ばれたら悲しむだけしかなくなる…だから俺から遠ざけたんだ……翁や楯無には迷惑かけてばっかだったけど…」

「そうか。なら行くがいい…君の選んだ道だ」

二人は和解した。月に帰る時間が刻一刻と迫る中の会話を、あの人が聞き耳を立てないはずがなかった。

「王女様たちに報告すると面白くなりそうね…」

楯無だった。

 

 

そして月に帰る当日…

「私とこの赤椿があなたを月の侵略者から守ってみせよえ」

「わたくしのブルーティアーズにかかれば異星人なんて余裕ですわ」

「甲龍の強襲用パッケージも龍砲の強化も万全よ」

「一夏がしてくれたように…僕が君を守るよ」

「私の嫁を奪おうなど一万二千年早いわ!!」

そういった乙女たちの決心は報われず、一夏は宇宙に帰っていった。

 

 

 

 

何を思おうと人は必ずしも通じ合うことはない。それが、もし二人を引きつけようとも…

 

 

 

 

 

 

極端に最後のエピローグぐらいしかまともではなかった。この作品…製作者のほほんさんは何を考えていたのかわからなかった。

 

 

 

客席…彼は劇を見てあるものを感じていた。自分にないもの…そして自分を包んでくれそうなもの…そして、それを全て受けるオリジナル…

「見つけた。俺の求めるものを」

仮面をつけ、作戦を遂行。

そして手に入れるんだ。俺の中にポッカリと空いた感情『愛情』を…




次回の登場機体紹介
アグリッサアルケー
搭乗者 オータム
アラクネにガンダムスローネのデータを合わせた機体。蜘蛛の巣のように張り巡らすファングと火力のあるGNランチャー、接近戦用のGNバスターソードとアグリッサのプラズマフィールドを使う。
アラクネとアグリッサのフォルムが似ていたことで採用。

マスラオ
搭乗者 夏楽
実体剣のシラヌイ、ウンリュウを装備しており接近戦に特化した機体。GNドライヴを搭載する前から突破力と攻撃力に優れている。



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10話 イノベイター

刹那…お前は変わるんだ。変われなかった俺の代わりに



 

 

劇が終わり、着替えるために更衣室に来ていた。しかし、暗い更衣室のなか、誰かの人影だけが確認できたのだ。

「久方ぶりじゃねえか…織斑一夏」

荒々しいその言動をする女性、聞き覚えがあった。

「お前はKPSAの…」

それは第二回モンドグロッソの時におれを誘拐した傭兵たち、KPSAのメンバーだった奴だ。

「覚えているとは関心だな」

「忘れるはずがないだろ…あんたらには世話になったからな。悪い意味で」

そう言いながらエクシアを展開。

「そうかよ…あの時と比べていい目してるじゃねえか?え!?ガンダムさんよ」

向こうもIS…いやあの形は

「なぜお前がガンダムに!?」

怒りのあまりGNソードで重い一撃を浴びせるも、バスターソードでガードされた。

「てめえの許可がいるのか?」

擬似ドライヴと蟹のような足が特徴的な真紅の機体…上半身は紛れもなくガンダムだった。

「まあ、こちとらオリジナルの太陽炉目当てなんだ。死んでもらうぜ織斑一夏!!!ファング」

射出されたファング…狭い空間ではかわすことも至難の技だし、前の時と違い、ロックオンの援護もないなかどう動く・・・・・やるしかないか。

「一気に狙う!」

エクシアはGNソードを収納し、新たに開発されたGNソードⅡを2本展開。さらにライフルモードでファングを2機ずつ落としていく。

「あーあ、ファング全部落とされちまった…こうなったら白兵戦が一番単純だ!」

アルケーはアグリッサと分離してバスターソードで攻撃をした。案の定、シールドでガードしたものの、シールドは真っ二つに割れ、左手の関節部に負荷がかかってしまった。

「どんなにいい機体に乗っても中身がひよっこだったらな…」

それを見越したアルケーは俺の左手を掴み、アグリッサのところへ蹴り飛ばした。

「見せてやんよ…このオータムの駆るアグリッサアルケーのプラズマフィールドを」

アルケーがドッキングした瞬間にプラズマが発生…そして、ガンダムの中身を攻撃した。

「ぐァァァァァァァァッ!!!」

機体を損傷させずにパイロットを追いつめるプラズマフィールド。このフィールドにはシールドエネルギーは愚かGNフィールドすら通用しない。(絶対防御は通用するらしいが心停止の恐れがある。しかし、現段階で死傷者は表向きでは今のところゼロである。)ある意味、ガンダム対策の機体だ。このままだといつ心停止してもおかしくない。

「…だだ。まだ負けるわけには」

 

「機体を置いてさっさといっちまいな餓鬼が!!」

 

まだ生きてるんだ。動けよガンダム…動けよ俺の体。

「動けよ…動いてくれよ」

意識が遠のく中、頭の中にあの光景を思い出していた。

0ガンダムに助けられたときの光景だ。あれ以来何回も見た光景だが、今は幻だ。

もう意識が朦朧としていた俺はライフル一発放ち、意識を失った。

 

 

 

 

 

 

一夏とオータムが交戦していたとき、アリーナの方も襲撃を受けていた。黒いIS…サイレントゼフィルスだ。

「ビットよ!!」

「GNフィールド展開」

まだ生徒の避難が済んでいない状態でバズーカを撃てない。そう考えてかティエリアは守備に徹した。

『篠ノ之、デュノア。今学園のコンピュータがハックされた…敵の狙いは一夏とアーデだ。お前たちは一夏の援護に迎え…そしてボーデヴィッヒを中心として残りは避難を誘導しろ』

防御力に優れたヴァーチェは、簡単に落とせるはずがない。だがエクシア…一夏はそこで食い止めるだろう。守るためと称して自分を犠牲にするだろう。織斑千冬の考えは大体こんなところか…

「援護は任せました。更式楯無」

すると水が現れ姿を現す更式の現当主。

「あら。気づいていたのね…君が私を信用するなんて何を考えてるのかしら?」

「いや、君のことだから一番の出口を塞ぐことを考えて来たんだろ」

「全てお見通しってわけね…いいわ援護しましょう」

更式楯無の機体はミステリアスレディー。ロシア…人格連の攻撃特化機体。水とナノマシン、そしてメインのランスで戦う特殊型の機体だ。

「私は敵のビットを落としていくから貴方は生徒の避難の護衛を」

「了解…ヴァーチェ。GNフィールド最大出力」

敵の陣形はこれで少しは崩れそうだ。

 

 

 

 

「コンピュータのハックは完了した。そっちはどうだ?」

仮面の少年…Mr.ブシドーはアリーナの周囲のコンピュータの制御を掌握していた。

『織斑一夏…及びガンダムエクシアの鹵獲に成功した』

「了解。今の内にガンダムのデータをアルケーにバックアップをしろ。織斑一夏を侮るとやっかいだからな」

俺は一夏をよく知ってる。幼馴染、家族よりも…奴程自分のせいで人が死ぬことを嫌う奴はこの世にはいないだろう。そんなことになると思えばすぐに行動に移し、自分の命をも守るために犠牲にする奴だから…

『り、了解したぜ大将』

そして、織斑千冬の考えることも大抵推測できた。

やって来たのは2機のIS…篠ノ之箒とシャルロットデュノアだ。

「なんだ貴様…そこをどけ」

「邪魔しないでください…この先に…仲間が待っているんです」

俺はぞくぞくとした。求めているものを感じたのだ。

「見つけた…俺が求めるもの。俺の存在」

「シャルロット…貴様は先に行け」

「わかったよ箒」

ISを展開して一気に攻め入る俺…武装的に篠ノ之が応じて来たがまだまだひよっこだ。

「二人とも逃がないよ」

背中に搭載したワイアーでシャルロットを捕まえ、そのまま篠ノ之にぶつけた。

「「うぁぁぁぁぁ!!」」

「俺はぞくぞくしてるのさ…君たちの焦りように…君たちの美しさに」

旗から見れば変態なのかもしれない。しかし、俺は一夏と違い母からの愛を知らない。周りからの愛を知らない。だから欲しい…一夏に向けられる愛を俺は欲しいのだ。

「…貴様は何者なんだ。何故男がISに」

「仮面付ける意味がないんじゃないの?それに一夏やティエリアを狙う理由も…」

二人の問いに俺は答えた。何故だろうか…やはり俺は答えねばと思ったから…

「俺は何者でもない。強いて言うなら」

仮面を外し素顔を晒した。亡国機業の連中にも見せない素顔…織斑夏楽の顔を…

「い、一夏⁉︎何故」

「うそ…どうして」

「俺は亡国機業のMr.ブシドー…またの名を織斑夏楽。君たちの視線を釘付けにする」

あえて言えば一夏と俺は根本的に違う。それが正しい。だが、彼女たちからすれば愛するものと同じ顔の奴と戦うことになっている。誰でも混乱してしまうだろう。

「どうした?さっきの勢いは何処にいった…」

俺は戸惑いもせずに二人のエネルギーを減らす。

「悪いが君たちも俺がもらっていくぞ…」

 

「ふざけるな…!!!」

 

背後からライフルの攻撃を受けた。

振り返ると、そこにいたのはオリジナルだった。

 

 

 

 

 

 

「り、了解したぜ大将」

オータムがエクシアのデータを盗もうとした時だった。心停止しているはずの俺の中にいろんな声が聞こえた。

『一夏の所在はまだつかめないのか?』

『ここから先はテコでも動かん』

『あなたたちの好きにはさせない』

『みんな急いでシェルターへ…』

『このセシリアオルコットの名において、全力を持ってみなさんを守って差し上げますわ』

『1組と2組はそっちのシェルターだ急げ』

『そこをどけ』

『うぁぁぁぁぁ!!』

みんな頑張ってるのに…みんなの命が危ないっていうのに…

『一夏、お前は変われ。変われなかった人たちの代わりに』

刹那の声…エクシア、俺たちまだ終わってないんだな。

「俺は・・・俺たちは、変わるんだぁぁぁぁぁ!!!!」

 

『単一仕様能力:超過倍加』

 

オータムは驚きを隠すことができなかった。気絶させていたはずの俺が動きだして、エクシアの新たな力を発動させたのだから…

「単一仕様能力だと…ふざけるな!!」

「エクシア…目標を駆逐する」

バスターソードをなぎ払い、アグリッサの足を切断、爆散までさせた。その時、俺は爆風に巻き込まれ、外に出た。そして、そこで交戦する箒達を見つけた。

「悪いが君たちも俺がもらっていくぞ…」

 

「ふざけるな…!!!」

 

俺はボロボロな身体を動かし、マスラオを撃った。

「やはり来たが一夏…君の全てを受け取りに来た」

マスラオはメインウェポンのシラヌイとウンリュウを連結しソウテンにし構えた。

「やれるもんならやってみろ」

こちらもGNソードⅡを連結してGNツインランスにして構えた。

「エクシア」「マスラオ」

「目標を」「いざ尋常に」

「駆逐する」「勝負!!」

二人の激しい斬り合いが始まった。

それは自分を変えるための戦い…自分を見つけるための戦い…そして何より自分自身との戦いだった。

 

『単一仕様能力:超過倍加』

 

「エクシア…オーバーブーストモード」

 

『単一仕様能力:阿修羅』

 

「今の俺は阿修羅すら凌駕する」

 

同時に単一仕様能力を発動し、人の動体視力を越えた戦いを繰り広げる俺たち…このままではいつか身体に限界が来る…なら

『その限界が先にきた方が負けだ』

「「トランザム」」

更に加速する二人、ギリギリの戦いだった。

「「うぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」」

 

 

 

 

二人のエネルギーとTRANS-AMにより、GNドライヴが同調した。それを宇宙から確認するものがいた。

「マスラオとエクシアの戦闘データはどうだいMs.篠ノ之」

「リボンズ、もう完璧だよ。ツインドライヴの理論も大体わかったし、後は試作を兼ねて亡国機業には働いてもらおうかな」

母艦ソレスタルビーイング号の中、リボンズアルマークと篠ノ之束は微笑みをこぼしながら、二人の戦いを見物していた。

 

 

 

 

爆発により足場が崩れたと思えば、新手の敵が現れた。

「オータム…情けない奴」

「あ゛あなんか言ったか…ったく、アグリッサがやられたし、もう限界かな…アルケーも型がきてる」

「引どころか…ブシドーは」

「悪いが回線が遮断してるよ。大将は大将なりになんとかやるだろうよ」

「よし、なら引こう…」

オータムはアルケーを降りて自爆装置を起動した。

「まて、逃がさない…」

僕はキャノンを放つ。がしかし、

「フィールド展開」

撤退用に貯められていたのだろう貯蔵タンクの粒子が散布され、ビームの威力を弱められ、それ愚か爆発の煙に紛れ、二人に逃げられてしまった。

 

 

 

 

 

二人のぶつかり合いにより異様な空間ができた。

『もう誰も傷つけさせない』

『誰もいないなんて嫌だ』

二人の少年の思いと機体のぶつかり合いは織斑一夏の覚醒により終止符がうたれた。

「もらった…そこ!!」

マスラオの一撃はエクシアを捉えた………はずだった。

「そこだ!!」

後ろから現れたエクシアの一撃によりマスラオはオーバーロードを起こし動かなくなった。

「エクシアが量子化したのか…」

最後に見た一夏の目は金色に輝いていた。それは奴らと同じ目だった。

人類を裏で操るイノベイターと…




一夏と夏楽の戦い。動き出したイノベイター(イノベイド)と篠ノ之束…数多くのおもあくが連鎖する中ついに物語は進みます


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11話 一夏の終わり〜ひとなつのおわり〜

単一仕様能力紹介
超過倍加 GNドライヴの能力を向上させ、粒子量を向上させる。また、その時GNドライヴの状態はエクシアR2と0ガンダムとの戦いの時に使用したオーバーブーストモードである。
阿修羅
マスラオの場合での超過倍加。
超過倍加解放
GNフラッグの超過倍加。擬似太陽炉の場合のため一度使うとバーストしてしまう。このとき、背中の太陽炉は肩へ移動し、ビームサーベルを中心に動力源を供給する。


 

 

GNドライヴの共鳴に起こった空間…俺はそれに覚醒した。

 

 

 

織斑一夏は空間の中で自分に対しての強い悪意、そして、自分に欠けているものを知った。そして、あの言葉を思い出す。

 

『世界と向き合え』

 

俺はこのままじゃいけない気がした。なんなんだこの感覚…俺は自分がそうしなければならないと思ってしまった。

「悪い…みんな。俺、いかなきゃ」

「な、何を言っている一夏」

「そうだよ。どうしちゃったの?」

箒とシャルから引きとめられる。敵は撤退したと聞いているし、深追いするなという意味があるのかもしれないが、今はそんなことじゃない。彼女らは、俺の異常に気がついている。俺自身にもわからないこの感覚に混乱した。だが、一つの結論に行き着く。俺の直感がやらなきゃいけない…行かなくちゃ。

「エクシア!!」

エクシアは飛んだ。あんな激しい戦いをやった後、さらにTRANS-AMの直後だというのに…スピードはいつもとほぼ変わらなかった。

『どうした、篠ノ之、デュノア』

「大変です。一夏が」

『戦いの後で、精神が乱れているのかもしれない…アーデたちを向かわせる。何が何でも一夏を捕まえろ』

千冬姉からの通信…シャルや箒からの通信すら無視し、俺はアリーナの外に出ようとした。

「一夏…これを持って行け。ケリをつけに行くんだろ?」

ティエリアから、ISの待機アクセサリーらしきものを渡された。

「こういう演技は僕は苦手だからな…高濃度圧縮」

「助かった…ティエリア」

「ぐぁっ」

ティエリアを蹴り飛ばし先を急ぐ。

「一夏!!」

ガシャン!!!

鈴の攻撃をシールドで受け流す。しかし、さらにさらにと攻撃を浴びせてきた。

「あんた、何馬鹿なことやってんのよ!何があったかしらないけど少しは冷静に」

「いたって冷静さ…ただなんだか行かなくちゃいけない気がするんだ…ここにいちゃいけない気がするんだよ」

俺は全ての攻撃を流した。

「だから、ゴメン…鈴」

最後の一撃をかわして、そのまま足で蹴りアリーナを飛び出そうとした。しかし、ビットと展開装甲に阻まれた。

「一夏!正気に戻れ」

「あなたを撃ちたくはありませんわ」

「今の一夏…本当におかしいよ」

「錯乱したか嫁よ」

4人に足止めを受ける訳にはいかない…俺はこのとき自分のやろうとしていることを…IS学園を出ようとした理由が…

「悪いが振り切らせてもらう…トランザム」

俺はここには居てはいけない。まだ弱いから…仲間をも守ることができないから。

そして、一夏は空へ消えた。

「一夏…生きて帰ってこい」

 

 

 

 

 

 

司令室、織斑千冬は怒りを露わにしていた。

「馬鹿者が…何故、どうして私から離れたんだ。お前を守れない私が不甲斐ないのか」

「それは違います」

背後から現れたのはティエリア。

「一夏はこの原因を自分だと思って出ていったのだと思います。彼自身、いろんなものと戦って、悲しみも喜びもわかっている。だからこそ」

「仲間を守るために自分から立ち去るのか…ふざけるな」

千冬が一括した。しかしティエリアもそれに同意した。

「ええ。僕もふざけていると思います。しかし、彼をよく知るあなたならわかるはずだ…彼が一番何を考えているか。何を大切にしているか」

そうだ。彼には死んでもらっては困る。そのためにGNアーマーの待機アクセサリーを渡したのだから。

 

 

 

 

 

IS学園を飛び出して数時間が経過し、中東の廃墟、クルジスに来ていた。

「亡国機業…いるんだろ?」

「あら。ターゲットのほうから来てくれるなんてね」

金色の白式…隊長機か。

「織斑一夏…貴様は私が殺す」

サイレントゼフィルス…悪いが今回は負けない。

「っち、イナクトしかなかったなんてな…クルジスに隠れてるなんてよくわかったな餓鬼」

イナクト…オータムか。

3タイ1・・・おまけに相手の2機は擬似ドライヴ搭載型…ガンダムでも不利に等しい…だが

「破壊する…ただ破壊する…こんな行いをする貴様達を!この俺が駆逐する!!」

エクシアで最大加速でイグニッションブーストを行った。ビットを斬り裂きサイレントゼフィルスに突っ込む。

「っち…舐めるな!!」

サイレントゼフィルスは近接用のナイフを展開しGNソードを防ぐ…しかし、

「オーバーブーストモード」

 

『単一仕様能力:超過倍加』

 

エクシアの突撃する威力が増し、攻撃が怯んだその隙に擬似ドライヴを斬り裂いた。

「ぐぁぁぁぁぁ……何で勝てない」

サイレントゼフィルスを撃破するも、まだあと2機は健在…

「少しはやるじゃねえか?」

「まさかMがやられるなんてね本気出さなくちゃ」

すると、2機とも更にISを展開した。

「アグリッサ改って所か…今度こそ昇天させてやるよ織斑一夏!!」

「アルヴァトーレ…貴方とはドライヴの量が違うのよ」

アルヴァトーレ…白式の下半身に搭載されたアームと砲台だらけの兵器だった。

「同じことが通用すると思うな!!」

GNソードにエネルギーを集中させ、アグリッサ改の上に存在するイナクトを斬り裂いた。アグリッサは上のパイロット機さえ破壊すれば動かないのだから…

「んな!!!」

 

「俺は貴様達を許せない…貴様達だって世界の一部だというのに…何故テロを起こす」

アルヴァトーレのビームをかわしながら聞いた。こいつらが戦わなければ、こいつらが襲わなければ、こいつらが爆弾なんかセットしなければ…いろんな感情に流され、今の俺がいる。俺がこうなった理由が聞きたかった。

「テロリストにテロの理由を聞くなんてナンセンスよ」

アームでの接近戦に持ち込むアルヴァトーレ…俺はその答えに怒りすら覚えた。

一つのエゴで多くの人の人生を変えるテロ…それに理由が無いなんて……なんだよ。

「ふざけるな!ふざけるな!!」

俺はティエリアに預かったアクセサリーを起動。現れたのはガンダムの支援機『GNアームズtype-E』ドッキングし、アルヴァトーレの攻撃をGNフィールドでガードした。

「面白いじゃない織斑一夏!」

「命を何だと思っているんだ!」

アルヴァトーレの戦闘形式は多分…ビームを中心とした戦いなのだ。零落白夜の能力で上がった火力はティエリアのバーストモードを遥かに凌ぐ。だからこそ、こいつを野放しにしちゃダメなんだ。

GNアーマーの高火力のビーム砲をぶっ放しながら突っ込む。

「っち…フィールド展開」

アルヴァトーレの高火力ビーム砲は連発できない。それを示すかのようにGNフィールドを展開した。だからこそ…仕掛けるならいましかない。

「GNアーマー…オーバーブーストモードの限界時間は…まだいける」

いくら零落白夜で強化したフィールドでも、オーバーブーストモードとイグニッションブーストの突破力ならば…

「ぐぁ」

反動でひるむ。そして、その隙に大型GNソードでフィールドをこじ開け、エクシアのGNソードで斬り裂いた。

「やるわね…少し、舐めてたわ」

白式の零落白夜の過剰の使用に相手の擬似ドライヴも悲鳴をあげていた。しかし、こっちも一時はオーバーブーストモードが使えない。だが

「貴様達なんかに俺は負けない…戦う覚悟のない奴らなんかに俺とガンダムは負けない」

GNアーマーは足についたGNクローで白式を捕らえ、大型GNソードで擬似ドライヴを破壊した。しかし、

「舐めてもらっては困るわ…アルヴァアロン」

新たに展開された別のISの高火力ビーム砲にGNアーマーは中破した。

「やるわね…フィールド展開があと少し遅ければ、エクシアもお陀仏だったのに…」

「言っただろ…貴様なんかに負けない。もう、俺の大切なものを傷つけさせてたまるか!!」

俺は壊れたGNアーマーの部分をパージし、大型GNキャノンで敵を撃つ。

しかし相手のGNフィールドは、さっきのと比にならない防御力だった。

「擬似太陽炉を舐めないで…TRANS-AMができない以外はオリジナルの太陽炉と変わらない…擬似ドライヴの比では無いわ」

アルヴァアロンはビームライフルで遠距離戦にもちこむアルヴァアロン。ビーム兵器の通じない今、接近戦しかこちらに勝ち目はない。しかし、ビームを放つ敵にうまく近寄れず、ついにGNアーマーは大破した。

「これで機動力も同等…塵と消えなさいエクシア!!」

オリジナルに近いんだ…さっきと比べて早くチャージされビーム砲は放たれた。

「フハハハハ…貴方達男の時代は終わったのよ…次は私の時代、スコール・ミューゼルの指揮する混沌の時代よ」

エクシアは跡形もなく消えていたためか、スコールは高笑いした。

 

 

しかし、世界はそんなに甘くはない。上空から射撃をうけた。その先には赤い機影…TRANS-AMを発動したエクシアがいた。

 

 

…負けられない・・・負けちゃダメだ…誰もそんな時代望んでない。誰もそんな世界で生きていけやしない。だから…俺たちは戦うんだ。

「見つけたぞ・・・世界の歪みを…貴様がその元凶だ」

「勝敗はとっくに見えてるのよ!まだ戦う気なの!?」

「もちろんだ!」

しかし、射撃はフィールドがある限り通じない。だから…

『一夏、なぜエクシアに実体剣が装備されているかわかるか?…GNフィールドに対抗するためだ。計画の中には、対ガンダム戦も入っているのさ。もしもの時はお前が切り札になる。任せたぜ、一夏』

それは臨海学校のときにロックオンが教えてくれた真実。ソレスタルビーイングの切り札となるはずだったエクシアの真相だった。

「武力による戦争根絶、ガンダムがそれを成す!!」

フィールドを展開したアルヴァアロン…実体剣であるGNブレイドの攻撃を防御することができなかった。

そして、アルヴァアロンの肩に突き刺さり、GNフィールドは消えた。

「GNフィールドが…ふざけるな」

アルヴァアロンの至近距離からのビームサーベルでの攻撃…しかし、運動性能ならエクシアに勝る機体はない。もう一本のGNブレイドで斬り裂いて肩に刺す。

更に追い打ちで4本のビームサーベルを刺していく。

「俺が!」

GNソードを振り上げ、

「俺たちがガンダムだ!!」

アルヴァアロンを真っ二つに斬り裂いた。

「私の計画が…混沌の時代が…」

 

ドカーン!!!

 

赤い粒子が舞うなか、スコールは爆散した。亡国機業の親玉を倒したことにより、その傘下の人間はバラバラになり、テロは静まると思えた。しかし、

「織斑一夏!!!」

「あれは擬似太陽炉…さっきの奴か⁉︎」

擬似太陽炉搭載型のフラッグに乗るサイレントゼフィルスのパイロット。ラボの中にあった機体を取りにいっていたのか?

ビームサーベルの攻撃をGNソードで防御。文化祭からぶっ続けの戦いに、エクシアの武装はこのGNソードのみ。相手も一本のビームサーベルだけだが、手練れに武器一つで勝てる自身すらない。

「今度こそ落とす!」

TRANS-AMの限界時間になり解けた。火力も出力も低下し、粒子の量が減ったことにより、GNソードの刃はビームサーベルに切断され始めた。

「させるか…」

切断される直前に力を入れ、切れた刃でフラッグの頭部を破壊した。

「織斑…一夏!!」

破壊したマスクから現れたのは千冬姉…いや千冬姉を幼くしたような人物だった。

「なんで、千冬姉と同じ顔を」

「私の名は織斑マドカ…お前は私だ織斑一夏!!」

左手を破壊され、右足を破壊し、と互角の戦いを見せる俺たち…もう精神がおかしくなりそうだった。

「オーバーブーストモード!!」

 

『単一仕様能力:超過倍加』

 

「オーバーブーストバースト!!」

 

『単一仕様能力:超過倍加解放』

 

一夏とマドカは最後の一撃に全てを込めた。爆発は激しかった。その後、人革連とAEU、ユニオンにより調査、捜索が行われたが、亡国機業に加担した研究者と数名のパイロット、そして爆発に巻き込まれたオータムと生きていたスコールが捕まった。しかし、一夏とマドカ…そして二人の搭乗した機体は一部のパーツを残して消えた。

 

 

 

「夏、終わっちゃったな…」

静かに微笑みながら一夏は海の中を沈んでいく。




今回のイメージはファーストシーズンの終わりをイメージしています。
次回は一夏以外の戦い。そして、第二章のプロローグとなります。



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12話 変わる世界

 

 

 

夏の終わりに私たちは織斑一夏を失った。

文化祭最後の日、私たちは一夏の捜索に参加していた。しかし、一夏は愚か、亡国機業のパイロットの一人が行方不明となった。これは昨日捕虜になった織斑夏楽に聞いたことだが、サイレントゼフィルスのパイロットと一夏はぶつかり合って爆発が起きたということと、一夏はその前にエクシアの片目と左手を相手に持っていかれ、逆に相手の機体は全壊していたため、サイレントゼフィルスのパイロットは爆発のあとにどうにか逃げたと考えるほうが結論が着いていた。

「一夏の痕跡は多分ガンダムの粒子で書き消えるだろうし、探しようがないのか」

「箒さん諦めてはダメですよ」

私とセシリアは中東の町を探していた。一夏が記憶喪失になって暮らしているかもしれないと考えたからだ。しかし私たちが見たのは酷い光景だった。

「三大国家に聖地を荒らされてたまるか!!」

「立ち上がり裁きを下すのだ」

中東の反乱テロが起きていたのだ。これにより私たちは一夏の捜索を打ち切られ、学園に帰ることになった。

 

 

 

 

学園に帰って一日もしないうちに、三大国家は連邦軍を設立し、有力な人材を軍に引き入れる勧誘が行われていた。もちろん私や代表候補生の皆、ティエリアも勧誘を受けたものの織斑先生の計らいで無視ができた。しかし、テロが激化する中、連邦政府は鎮圧のための戦力を欲してか、私たちを含め、IS学園や日本に対しての対応が世界を乱すなどの戯言により、日本は連邦に下り、ほとんどの生徒がIS学園を抜けていってしまったのだ。そして、連邦政府の直属にある独立治安維持部隊アロウズが設立された。アロウズによるテロの鎮圧は次々と成功を募らせた。しかし、多くの命が虐殺され、中東や非連邦参加国に弾圧をかけられ、連邦政府による独裁が始まっていた。

 

 

 

「ティエリア…貴様まで連邦に行くのか」

ティエリアも退学届を持ち職員室に向かっていた。この学園にはもう11人(捕虜も含む)しかおらず、もう学園としての機能が動いていなかった。

「いや、僕は…いや僕らはこんな世界を望んでいなかった。だから戦いに行こうと思ってな…行方不明の一夏のこともあるからさ、連邦に屈したらダメだ」

ティエリアは事情を簡潔に説明し、織斑先生の元へ行った。

 

 

 

 

 

「話は大体それだけのようだな。ガンダムのデータを提示し、学園から離れるなど、何を考えているアーデ」

織斑千冬は鋭い目つきでこちらを伺う。

「僕らはアロウズを叩くことにした。今の連邦政府のやることは一昔前の独裁者がやっていたこととかわらない。だからこそ、僕はソレスタルビーイングとして世界を乱す悪になってきます」

「わかっているのか?その重みが…」

「何を今更…僕らは元々戦争根絶のために武力介入しようとしていた連中ですよ。このデータも元々渡す気はなかった。だが、今の状況であなたがたにある兵器では例え世界最強でも生徒一人すら守れない。僕はここは放棄するべきだと考えます。なるべく時間は稼ぐので彼と向かってください」

後ろを振り返ると丁度織斑夏楽が来ていた。彼の尋問は僕が担当したのだが、一夏の覚醒により彼は何か変わった。

「俺は、自分の存在意義を一夏の脳量子波により見つけた。俺は奴に負けたが、一夏が守る姫たちを一夏の代わりに守ることはできるんじゃないかって思うんだお姉ちゃん」

彼は一夏のクローン…つまり千冬にとっては弟なのだ。すこし、調子が狂ったのか千冬は、

「わかった。貴様らを信じる」

夏楽にマスラオが渡され、IS学園のデータの抹消…及び地下にあるスペースシップに物資を詰め込み、出発準備を進めていた。

そして、僕はIS学園を後にした。

 

 

 

 

 

ドイツ連邦基地、アレルヤはそこにいた。彼は自分と同じ境遇の人間を作らないために、ここの研究施設で戦うことにしたのだ。

「いきなりだけどハレルヤ、反射と思考の融合で行くよ」

金と銀の目を同時に見せたアレルヤ。超兵唯一の成功例である彼は、彼の後釜である被験体の兵士が乗るIS GN-Xとの戦いは熾烈を極めていた。GN-Xはガンダムより機体性能は劣るものの、ガンダムを圧倒する兵力により構成されたチームである。しかし、ガンダムのパイロットは並大抵の人間ではない。つまり、ガンダムに予測は通じないのだ。

「脳量子波の反射に思考がついていけずに本能だけで動く貴様らなんかに俺たちが負けると思ってんのか!!」

アレルヤが思考、ハレルヤが反射を担当し、二人で一人の超兵としての動きを見せるアレルヤ。GN-Xを一つ一つ蹴散らしていく。しかし、人数が人数だ。本能だけでも戦う超兵たち10人を相手に、キュリオスは右腕と右足の装甲を失った。

「まだ切り札はある…トランザム

!!」

敵を一網打尽に切り裂くキュリオス…TRANS-AMに反応できなければガンダムには勝てないのだから……

『「これを打開する策はある。敵を命をかけて相打ちに…」』

しかし、その声は誰にも届かなかった。

「反応と思考の融合した真の超兵に、脳量子波での指示なんて無駄なんだよ!」

指揮をしていたGN-Xを弾き飛ばし、ドイツ連邦基地の研究施設を破壊した…これにより2度と同じ過ちを繰り返して欲しくないという願いが叶う。そう願っていたが、

「んだよ…頭狙うとか趣味悪くないか…………」

飛ばされるときに刺されたビームサーベルにより、意識が朦朧とし始めた。敵地の真ん中でやられてしまう前に、GNドライヴだけでもソレスタルビーイングに…彼はそう願い、ガンダムのコアを射出した。

超兵は誰一人としてこの戦場で帰らぬ人になり、アレルヤ・ハプティズム及びガンダムキュリオスは連邦により鹵獲された。

 

 

 

 

それと同じ頃、ガンダムデュナメスはアメリカで交戦していた。GNアーマーtype-Dの火力は敵部隊を一掃した。

「今日は狙い打てないんでね…圧倒させてもらう」

GN-X、フラッグ、量産型マスラオなど多くの機体をだしてきたユニオンにロックオンは戦った。

テロのない世界…自分が望む世界になるはずなのに、こんな結末は悲しかった。何かを犠牲にして生まれる価値などに価値なんてないんだ。そう思っていた。

「だから戦う。変わるために戦うんだ!」

デュナメスは本丸に向けてビーム砲を放つ。しかし、

「奴の火力に恐れることはない。マスラオ部隊続け!!」

マスラオ部隊は自身たちを盾に、本丸を守り抜き、その本丸からくるビーム砲にGNアームズは壊された。

「…まだ、まだ負けられねえんだ!!トランザム!!!」

トランザムに引き続きミサイルを全て開放し放つロックオン。ビーム砲や大型キャノン、ミサイルにより多くの機体が大破したが、デュナメスにも限界はある。ライフルで狙撃、ピストルでの乱れ打ちなどするも、増援に来た新型の福音部隊に苦戦を強いられた。

『トランザム限界!トランザム限界!』

「ふざけるなよ。こんなときに」

撃たれたビットによりデュナメスは決定的なダメージを受けた。それはロックオンも例外ではなかった。

『ロックオン…ロックオン』

「…ハロ。デュナメスを頼んだぞ」

俺は死を覚悟した。ガンダムをみすみす彼奴らに渡したくはないから…世界を変えるために…

しかし、その覚悟はしなくてよかったらしい。

 

「兄さん…何馬鹿なこと考えてんだ?」

 

こっちに向かって来たのはガンダムサダルスード…デュナメスの前傾機だ。乗っているのはまさか、ライルか⁉︎

サダルスードは粒子入り煙幕弾を放ちデュナメスと共に姿をくらました。

 

 

 

 

ロシアではティエリアが戦っていた。ガンダムの中で単機でも戦艦をも破壊できる火力を持つ彼の機体は戦況を凌駕していた。しかし、ヴァーチェの弱点であるためのながさが仇となり敵に捕まってしまう。

「まだだ…ナドレ」

ナドレにより拘束をヴァーチェのパーツごと吹き飛ばし、キャノンによる攻撃を続けた。しかし、ナドレのままでは居ずれ負けてしまう。なんとかIS学園のために時間を…そんなときだった。IS学園のほうから、ロケットのような機影を確認した。

「目的は達成できた。トランザムで撤退する」

しかし、それは上手くは行かなかった。ナドレの足と腕は壊れてしまい、武装は全てなくなった。

「僕は、まだ死ねない」

逃げたナドレ…この日、ガンダムは破壊の象徴となり、IS学園の織斑千冬、篠ノ之箒などをふくめ消息不明となった。

 

 

 

 

 

「変わってない。あの頃からなに1つ…こんなの誰も求めてない」

ボロボロのマントを着た少年、織斑一夏は世界を巡っていた。そして連邦のやり方をおかしいと思い、テロを起こす連中、デモを起こす連中が機械によって無差別に殺されている現状を目の当たりにした。

 




「イアン…第4世代ガンダムのロールアウトまでどのくらいかかる?」
ティエリアは中年男性イアンにそう聞いた。
「セラヴィーは今週中にはなんとかできるが、ニールの回復が見込めないしな…ケルディムとアリオスは今のところ保留だ」
「ちょっと待ちな…イアン」
「ライルどうした?」
ロックオンの弟…ライルディランディはイアンに自分の決心を告げた。
「重症の兄さんに戦わせるのは弟として見過ごせない…だから俺が…二代目ロックオンストラトスになる。だからケルディムガンダムのロールアウトも頼みたい」
「よく言った。さすがは彼の弟だ」
「了解した。そんじゃ本題に入る…今一番開発に進まなくてはならない機体…ダブルオーガンダムの調整にマイスターの力がいる…ダブルオーはツインドライヴという新たなシステムを採用しているからな…」
ツインドライヴシステム…トランザムシステムと同時期にイオリアから送られてきたシステム。ドライヴの出力を二乗化する思想だ。
「手伝うのは機体が完成してからだ…お前たちマイスターには休息も必要だ。だからすこしでも休んでおけ」



ベッドに置いてあった元々ヴァーチェについていた通信端末に通信が入っていた。暗号通信…刹那Fセイエイ。
「一夏…やはり生きていたか」
それはソレスタルビーイングのエクシアパイロットに与えられるコードネーム…彼はソレスタルビーイングに入ったことを表していた。


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second season
13話 刹那 F セイエイ


セカンドシーズンプロローグですが、これより間を空けたいと思います。まあ、セカンドシーズンを書いていたら面白そうなネタを思いついたこともありますが、まあ、夏は忙しくなりそうなので…


 

亡国機業との戦いから半年が経ち、俺は世界を回った。

世界を変えるために戦う人たち…その人たち一人一人に戦う理由があった。テロや戦争など手荒ではあったものの。

俺はそんな世界を見て、新たに生まれた連邦政府の行為を見て、俺は戦うことを決意した。

 

 

 

 

 

 

 

それから2ヶ月後、IS学園の生徒たちのトップクラスの人材が連邦政府に引き抜かれて行こうとしていた。それを千冬姉は認めず、IS学園は実質連邦政府に加担しないことが公になった。

連邦政府はテロの対策と言い張り、直属の独立治安維持部隊に中東を含めた連邦未加盟国に攻め入り、虐殺を繰り返していた。しかし、それを見過ごさなかった者たちがいた。ガンダムマイスター達だ。ティエリアを含め、ロックオン、アレルヤも戦った。しかし、擬似太陽炉搭載型の新型IS『GN-X』、そして士官機の『アヘッド』は第三世代ガンダムに引けを取らない新たな第三世代IS、デュナメスは大破し新たなガンダムにより救出されたがロックオンは重症、キュリオスは中破し鹵獲され、ヴァーチェとナドレは武装を破壊されながらも逃亡されたとのことだ。

アレルヤが捕まったことにより、公にガンダムパイロットは男と断定され、連邦でもどんな世界でも男は差別され、実質スコールの望んだ女性社会へと世界は成り下がった。

 

 

 

 

「こちら夏楽…これより最終テストを行う」

ここはIS学園所有のコロニー『カタロン』。半年かけて作られたガンダムの研究施設だ。数年使ってなかった廃棄コロニーだったが、何より状況が状況であるためにここで代表候補生や凄腕の生徒を匿って、新型のISの開発を行っていた。今回、行っている実験はGNコンデンサ搭載型と呼ばれる新型ISのテストだ。GNコンデンサマスラオを元テロリスト夏楽が使っている。

「コンデンサ搭載型はGNドライヴ搭載型の時間制限がついた言わばISだ。擬似太陽炉の性能と比べるとこちらはTRANS-AMの分だけ有利だが、使った場合はコンデンサの入れ替えが必要になる」

千冬の解説により始まった講義、このシステムを使うのは代表候補生の面々。そのため、GNドライヴについての知識を含め、時間制限を身につけなければならない。

「トランザム!」

ターゲットを正確に斬るマスラオ…データ以上の指数を叩き出しているのはパイロットの腕のようだ。

「だが、トランザムは使うことでISに負荷がかかり最悪オーバーロードする。使い所を謝るないいな。」

千冬は説明した。トランザムの調整を行う中で一番ネックとなる部分だろう。

「「「「「はい」」」」」

そして激化する戦場の中、少女たちにどんな未来があるのか心配していることも事実らしい。

 

 

 

 

宇宙艦 プトレマイオス2、元々ソレスタルビーイングが使用していた宇宙艦 プトレマイオスの後継機である。ソレスタルビーイングが解体され終わったかに見えたこの計画…その計画を歪め、今の世界を作った黒幕、敵の正体が不明な今、僕らは世界の敵になるしかなかった。

「ツインドライヴの同調率がイマイチだな…エクシアと0ガンダムの太陽炉さえあれば」

この中年男性はイアン・ヴァスティ、元々ソレスタルビーイングのメカニックだったが、解体後に家族とラグランジュ3で新型の兵器を作っていた。

「なら、取りに行きましょう。0ガンダムの太陽炉を…」

ティエリアはそう言った。

「だが、エクシアの太陽炉も」

「彼なら必ず来る。世界を見てきて何かを見つけたはずだ」

「まあ、そういうこった」

ティエリアに同意したロックオン…いやニール・ディランディはイアンの肩を叩いて言った。

「お前たちを信じよう」

そう帰ってくるさ、彼なら…織斑一夏…いや刹那 F セイエイなら

 

 

 

 

 

廃棄コロニー…そこには無数の人が働かされていた。反連邦組織の連中である。彼らは裏で工作を企てたが、それを嗅ぎつけ表向きに晒し首にした。さらに、それに批判したものやそれに準ずる人々も反連邦組織の一員としてここで働かされていた。

『いいんですか?隊長…自動人形でここを殲滅するなんて』

ドイツにあった元黒兎部隊の副官クラリッサはアロウズに所属していた。しかし、今の自分の上司に疑念を抱くしかなかった。

「構わん…彼らは世界を乱した悪だ。処刑しろ」

隊長は部隊の指揮を取り自動人形を射出させた。

 

 

コロニー内、そこに黒いパイロットスーツを着た男がいた。

中が慌ただしかったので、職員らしきものたちが避難する中彼は不審に思い、職員らしきものを一人拘束した。

「離せ…作戦の妨げになる」

『作戦それはなんだ?』

「知るか!」

急いでいるせいか混乱している彼ら…連邦政府の男性たちは女性の指揮下の元武器すら持たされずに働かされていたのだ。

 

『ゔぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ』

 

そして、その行動の答えである悲鳴が聞こえた。

自動人形での労働者の虐殺。真っ赤になる施設…いたらおそらく死ぬだろう。

忠実な労働者(連邦の男性職員ら)には情報を流し、それ以外(テロ組織、または反連邦組織の連中)には死んでもらう…歪んでいる。

「変わってない。あの頃からなに1つ…こんなの俺たちは求めちゃいない」

そして、パイロットスーツを着た男はISを展開した。

 

 

 

 

『隊長大変です。自動人形の数が急激に減っております』

「なんだと?」

最新鋭の兵器を壊す戦力をもたないはずの彼らが反乱…いや違う。

『Eセンサに反応…この反応は、』

 

スパーン!!

 

一振りの剣の一撃によりGN-Xは壊れた。

 

 

 

白い部屋、リボンズは予期していた。

「ガンダムエクシア」

 

 

 

「ガンダム…ソレスタルビーイングか?」

ジニンは予想外の敵に精神が乱れてしまった。

「破壊する…ただ破壊する…こんな行いをする貴様達を!この俺が駆逐する!!」

この機体はデータに存在しない機体だ。だが、左腕はマントで隠され、所々が破損していた。さらに、ハイパーセンサーはティエレンのパーツ…破壊された後、物資不足の中にリペアされた機体だと考えられる…

「ガンダムとはいえ、旧型の機体…新型のアヘッドにかてるものか!!」

アヘッドはビームサーベルを展開し、エクシアとつばせりあいになった。しかし、予想は裏切られた。

エクシアのGNソードが、ビームを切り、アヘッドを切り裂いたのだから。

「なんですって⁉︎ビームを切るなんて…」

「エクシア目標を破壊する!!」

エクシアの攻撃になす術なく、アヘッドは擬似太陽炉を破壊された。

「隊長!!」

「ふざけるな!」

部隊の連中がエクシアに攻撃を仕掛けようとしたそのとき、

「フェイスバースト!!」

部隊は一つのビームにより爆散した。

「ISの絶対防御ならば死にはしない…立ち去れ」

そこにはガンダムがいた。あの火力とあの色からしてヴァーチェの派生機か?

「久々だな一夏…いや刹那」

「久しぶりだなティエリア」

こうして、刹那Fセイエイこと織斑一夏はソレスタルビーイングに合流した。

 

 

 

「それは認められない」

千冬は怒気を露わにしてイアンにこう言った。

「あんたらもアロウズのやり方が気に食わんだろ!このままにしてしまえば世界は連邦政府の独裁で終わっちまう。俺たちは戦わなくてはならない」

イアンも引けない理由があった。ティエリアがエクシアを連れてくる。だからこそこの分からず屋な世界最強をどうにかしなければならなかった。

「返してやりなよ姉ちゃん…」

「夏楽…我々はコンデンサで戦うしかないんだぞ。GN粒子を生成するGNドライヴが必要となる。ISで戦うためにも…」

「だから、俺があんたらを守る。ここには楯無と簪くらいしか整備ができる奴がいない…新型の設計もできない中、ソレスタルビーイングの開発者さんから来てくださったんだ。GNドライヴと交換できる相応のカードがあるんだろ?」

獣のような目つきで夏楽はイアンを見た。

「ああ。儂等が設計した新たなガンダム…アメイジングエクシアとIS学園の専用機の改造を提示する」

アメイジングエクシア…エクシアの完成形らしく、無数の剣を扱う中から近距離特化の機体。普通のISではTRANS-AMの負荷に耐えれない今、ガンダムは高い戦力になる。さらに従来のエクシアと比べて、TRANS-AM時の粒子を調節を行う支援機が存在するため、戦闘中の急激な機能低下も改善されていると言うではないか。

「わかった。乗ってやる…」

「すまんな。アメイジングエクシアは夏楽が乗ってくれて構わない」

「なにを勝手に…」

「元々向こうのものだ。返すのが当然だろう」

不敵に笑う夏楽は全てを見透かしたように見えた。イアンはGNドライヴを受け取り、プトレマイオス2に帰還した。

「やっと帰ってきたな…おかえり一夏」




機体、新キャラ紹介

アメイジングエクシア
搭乗者 夏楽
ガンダムビルドファイターズに登場したガンダムエクシア。夏楽専用に調整されたため、塗装はダークマターと同じ。GNソードの改造剣二刀流とGNビームライフル+ビームサーベルでの戦闘を行い、エクシアのようにセブンソードでは基本戦わない。
強みはトランザムブースター(ダークマターブースター)による粒子の制御により、TRANS-AMの後に起こる機体の性能低下への対策がなされている。実質、第三世代ガンダム最後の機体。

セラヴィーガンダム
搭乗者 ティエリア
ヴァーチェの後継機で、ヴァーチェの弱点であった接近戦も、隠し腕や八本のビームサーベルで補った。また、バーニアの増設やGNコンデンサ、キャノンの追加、GNバズーカⅡなどの火力の増強された。
また、遠隔操作もでき、場合によっては遠隔操作での任務もできる。

ケルディムガンダム
搭乗者 ロックオン
デュナメスの後継機として作られたため、ビームサーベルを装備せず、ピストルで戦う。ニールの意見や戦闘データにより、遠距離中距離の戦闘を得意としている。

アリオスガンダム
搭乗者 アレルヤ
キュリオスの後継機として作られた。実質ブースター強化や盾を取り外し、武装の強化により以前の機体とはグレードが変化している。支援機も存在。

GN-X アヘッド

アロウズの量産機で、ガンダム並みの火力と機動力を持つ。

ダブルオーガンダムは次回のあとがきに…



イアンヴァスティ
ソレスタルビーイングのメカニックとソレスタルビーイングの実質リーダー。ガンダムの制作をする一方で、戦う準備をしてがんばっている。


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