転生特典ガチャ・ドラえもん秘密道具ピックアップ (太郎丸)
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プロローグ

 唐突に、思いついたネタを書いただけです。
 メンタル豆腐野郎の初投稿なので、拙い部分があってもご容赦ください。


 

 突然だが、「転生」という言葉を知っているだろうか。

 

 仏教やヒンドゥー教などのインドの宗教でよく見られる思想で、肉体が死を迎えた後に精神やら魂的なサムシングが新しい肉体を得て生まれ変わるというアレだ。

 まあ、こんな事説明しなくてもラノベだのなろう系の作品などでご存知のことだと思う。

 ちょっと、アニメやら漫画やらゲームやらといったものに触れていれば認識としては問題ないだろう。

 

 転生と一口にいっても色々なパターンがあるが、一番イメージしやすいのはいわゆる神様転生ってやつだろう。

 白い空間に神様が現れて、お前を異世界に転生云々って感じの。

 

 なんでこんな事話してるのかというと、まあお察しの通り、ワタクシは今、真っ白な空間にいます。

 

 死んだであろう記憶は俺にはないが、こんな空間にいるとなれば、テンプレ通り転生だろう。

 きっとここから神様的ななにかが現れて、特典をもらって異世界に転生! という流れ一択だ。

 

 そんなこんなで、俺は神様が現れるのを今か今かと待っているのだが、一向に現れない。

 ハッ! まさかこれは、自分から訪ねてこいというメッセージか⁉︎よし、そうと決まれば探しに行くぞ‼︎

 

 とりあえず、どの方向に進めばいいのかと辺りを見回したとき、空間と同じく白色でわかりづらいが、スマホの様なものが裏返しになって落ちているのを見つけた。

 そのスマホ(仮)を拾ってみると、やはりスマホにしか見えない。

 アプリは1つしか入っていないみたいだ。

 アプリ名は……『let's転生』⁉︎

 あれっ? もしかして神様的なだれかが転生してくれるんじゃなくて、これ使えって事だったの⁉︎……マジかよ、俺ずっと待ってたの全く意味ないじゃん。

 

 まあ、気を取り直してアプリを開こう。

 えーっと、前書きがあるな。

 なになに、『アナタには記憶をそのままに、転生する権利が与えられました。転生を承諾する場合にはYESのボタンを、拒否する場合にはNOのボタンをクリックして下さい。なお、NOを選ぶとアナタはそのまま消滅します』

 ……YESに決まってるだろう。NO選ぶやつなんているのか? 

 

 次は……転生する世界か。

 うんっ? 『転生世界ガチャ』⁉︎

 まさかのガチャかよっ! どうすんだよ、俺あんま運良くないぞ? 

 ……よし。こういうガチャでは焦らず、するべきことがある。それは……排出率の確認だ! 

 これがガチャならどこかに……あった‼︎

 えーっと、ガチャのレア度はDからSの5段階のタイプらしい。Sが最高でDが最低だ。

 排出率はSが0.001%、Aが0.499%、Bが4.5%、Cが25%、Dが70%となっているみたいだな。

 世界の内容は、知名度や二次創作でよく見る様な世界が高ランク、マイナーなものほど低いランクになっているらしい。そしてDランクの中でも目をひく世界が『原作なし・現代地球』。これが当たったら悲惨だなぁ。

 排出率からいってSやAは無理でも、せめてBは当てたい。

 

 よし、ポチッとなっ。

 

 

 

 ダンッ! 

 

 "D『原作なし・現代地球』"

 

 

 ………………マジかよ。

 

 引き直しは……そりゃ無理だよなぁ。

 くそっ。……いやまだだ! 

 画面には、『転生特典ガチャに進んで下さい。特典がいらない方は転生ボタンを押してください』の文字が! 

 転生特典でいいものが出れば、一発逆転だ。

 しかし、特典もガチャガチャかよ……。

 

 どれどれ、特典ガチャは……

 

『転生特典ガチャ・ドラえもん秘密道具ピックアップ』

 

 ……うわぁ。

 当たり外れ大きすぎない? 

 

 よしっ、ここでも排出率の確認だ。

 確率は、…………さっきと同じかよ。

 

 肝心の中身はどうだ? ……うん、SやAは予想通りにもしもボックスやウソ800、ソノウソホントなどの現実改変や概念干渉系統の道具、他にも魔法辞典やタイムマシンなど、そうそうたる品揃えだ。

 意外だったのが、ハツメイカーや未来デパート通販カタログなどの秘密道具を作ったり買ったりできそうな道具が、CやDにあることだ。これは万能工具箱やタイム電話といった他の道具と一緒じゃないと碌に使えなかったり、ドラえもんの世界じゃないとそもそも未来デパートとやりとりできないといったオチなのかもしれない。

 他にも消費型や回数制限のあるものは、現実改変系を除いて軒並みCやDだ。

 

 まあ、ともかく狙うのはSかAだ。ここで高ランクを当てて一発逆転だ! 

 

 よし、こい‼︎

 ポチッとな。

 

 

 

 ドンッ! 

 "D『絵本入り込み靴』"

 

 ……ハハッ、終わった。俺の転生ライフ。

 どっちもDランクでどうしろと? 

 

 

 …………あれっ? まてよ。

 絵本入り込み靴って結構良くないか? 

 絵本がどこまでの範囲がわからないが、もし漫画や挿絵付きの小説なんかにも入り込めるならワンチャンあるかも……。

 

 よし! ともかく引き直しは出来ないんだ、これで行くしかない‼︎

 ここで悩んでいても仕方がない、特典の使い道は転生先の状況によっても変わるだろうし。

 いざ、転生だ! 

 ポチッとな。

 

 ボタンを押した瞬間、目の前が真っ暗になり俺の意識は途切れた。

 



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1話

 俺が記憶を思い出したのは10歳の誕生日だった。

 

 転生といえば、記憶と意識を持ったまま赤ん坊として産まれてくるものを想像していたのだが、どうやら俺はそのタイプではないらしい。

 まあ最近では、あるきっかけをトリガーに前世の記憶を思い出すパターンの転生も増えてきているので、問題はないだろう。

 

 むしろ、赤ん坊として授乳や下のあれこれを世話されている期間に、記憶が戻らなくてよかったと思う。

 記憶を思い出すタイプの転生だった影響か前世を思い出す前の記憶も残っているが、3歳くらいの記憶が覚えている中で一番古い。

 羞恥プレイは回避出来たと思っていいだろう。

 

 それはともかくとして、今世の俺の名前は佐藤 浩介(さとう こうすけ)というらしい。

 父の名前は雄二(ゆうじ)、母の名前は一美(かずみ)

 佐藤という姓も相まって、両親ともども平凡感の溢れ出る名前になっている。

 

 両親は共働きで、俺は一人っ子。

 小学校には通っているが、クラスではあまり喋らないタイプで、仲の良い友達も特にいないため、学校が終わるとそのまま帰宅して家でゲームや漫画を読んで遊んでいるらしい。

 

 今世の自分は、前世の自分が小学生だった頃と、とっている行動や性格が瓜二つだ。

 この分なら、記憶を思い出したことによる影響はあまり大きくならないだろうと思う。

 

 そんな事を考えていると、リビングの方から母が俺を呼ぶ声が聞こえてきた。

 

「浩介、朝ごはんできてるわよー。はやく起きてきなさい」

 

 今の時間は朝の7時。今日は土曜日だというのにゆっくり寝られないことを嘆けばいいのか、はたまた自分で作らずとも朝食が用意されることを喜べばよいのか。

 前世では一人暮らしをしていたため、そちらに引っ張られているのだろう意識を切り替えてリビングに足を向けた。

 

 

 

 

 俺は朝食を終えてすぐに、まだ眠いからもう一度寝るといって部屋に戻ってきた。

 これは、今世の自分がよくやっている行動なので、特に不自然ではないだろう。

 両親が外出する予定であることは、リビングのカレンダーで確認をしておいたのでしばらくの間一人きりになる時間を確保することができた。

 

 なぜ一人の時間を確保したのかというと、枕元に今朝から置かれている靴、転生特典である『絵本入り込み靴』の検証を行うためだ。

 

 確かにドラえもんの道具が手に入ったならば、一刻も早く使いたくなるのは当たり前の反応だと思う。

 けれど忘れてはいけないのは、俺のこの身体はまだ10歳で、この靴は一足しかないということだ。

 

 原作では、靴を片方落としてしまったために絵本から出られなくなった描写があった。

 つまり、絵本の中を出入りするためには両足とも靴を履いていなければならない。

 

 いくら絵本だといっても、危険な環境や登場人物は存在する。

 不用意に絵本に入って大怪我をしたり、靴が脱げて帰れなくなってしまえば一巻の終わりだ。

 そうならないために、まず何ができて何ができないのかを検証して把握することが重要なのだ。

 そう心のなかで呟きながら、俺は検証の為に本棚から本を抜き取り始めた。

 

 

 

 一通りの検証は終えることができた。

 その中でわかったことを挙げてみると、

  1.絵本でなくとも、紙芝居ならば入ることができる。

  2.靴を使って、漫画や挿絵付き小説などの中にはいることはできない。

  3.自分で作った手描きの絵本には入れない。

 ほとんど絵本に入らずにできる検証は、ひとまずこれくらいだろう。

 

 まず1つ目、これはおそらく紙芝居も絵本に近いものの部類に入るからではないだろうか。

 原作では、表紙がとれてバラバラになった絵本にも入り込むことができていた。

 バラバラの絵本も紙芝居も似たようなものだ、入り込めても不思議ではなかった。

 

 次に2つ目に関して、これは漫画や挿絵のある小説も絵がついている本ということで、絵本としていけるかもと思っていたが無理だった。

 残念だ…。これが出来れば、かなり今後の行動の幅が広がると思っていたのに……。

 

 最後に3つ目、自分で好きなように描いた絵本の中に入れれば、やりたい放題できると思ったのだが…。

 これはもしかしたら、手描き絵本が絵本として成立しないのは認識が足りていないことが原因なのかもしれない。

 その絵本が、ある程度の人数から絵本であることを認識されていないと、絵本として成り立たないのではないかと考えている。

 

 長々と考えを垂れ流したが、要は市販されているような絵本や紙芝居でなければ、中に入ることはできないという事がわかっただけだ。

 

 まあ、こうなってしまっては仕方がない。

 この特典を最大限利用して、新しい人生を満喫する方法を考えていこう!

 

 



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