硝煙を喰らう (鹿屋通信)
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Session1【近海攻略】
01.異動、着任


あらすじにも書きましたがもう一度記載。
この作品は『艦これTRPG』でプレイした内容を加筆修正したものです。
中身のプレイヤーによって『序盤は一部キャラ崩壊の可能性』があります。

現状二人が凄い事になっています。


 ある晴れた日の朝。

 海辺に座る黒い軍服姿の提督と、武装して戦う兵器として扱われている女の子の姿があった。

 二人共ポニーテールをしており、提督は黒髪、女の子は銀髪だった。

 

「いやあ、ようやくだね。久々の海でちょっと晴れやかな気分だ」

 

 提督は女の子にそう呟いた。

 その声はとても中性的で透き通っている。

 呟いた後に提督は乾いた笑い声を上げるが、それを聞いても男か女かの判別は難しかった。

 苗字は藤井、名前は不明。

 銀髪の女の子と提督は長い付き合いであるにも関わらず、女の子は提督の下の名前を知らなかった。

 

「嘘つき。顔見れば分かるんだから」

「うーん、そうかなぁ……ははは」

 

 彼女の名前は夕張と言った。

 銀髪のポニーテールを緑のリボンでまとめ、黒いセーラー服、橙色のリボンタイ、緑色のスカートと全体的に緑の目立つ女の子だ。

 左腕には少し汚れの付いた桃色のリストバンドをしていた。

 元々そういう色なのかもしれない。

 夕張は常に元気の良い女の子だったが今日は何となく“こうなるだろう”と分かっていたので元気の良い挨拶は避けた。

 些細な事でも気付けるくらい長い付き合いなのだろう。

 提督は被っていた帽子を深く被った。

 表情を隠す為である。

 

 鹿屋基地。

 今日はその新しい仕事場へ異動して仕事をする初めての日だった。

 前まで仕事をしていた設備の充実した場所と違って、この鹿屋基地は近海の警備すら上手くいっていない。

 提督の顔に不安が見えるのも当然だろう。

 

「足柄達は異動先、決まったの?」

 

 夕張が提督の隣に座って声を掛けた。

 自身もあまり乗り気になって聞いている訳ではないようだった、でも聞いておかなければならない、そんな表情をしている。

 

「……羽黒と足柄は横須賀だったかな。そこの新設の第四艦隊の旗艦に足柄が選ばれたらしい。餓えた狼とか言われてたのに、浮かばれない顔をしていたようだ」

「神通達は?」

「あー……神通も同じだったかもしれない。記憶が定かじゃないから全員違うかもしれないけどな。他は出会ってから数日で異動しちゃったから分からない」

 

 そっか。

 夕張は小さくそう言って会話を終わらせた。

 かつての仲間を思うのはもう少し後でも良い、今は今を頑張るのだ。

 思い出話をするのは素面の時ではないと夕張は目を瞑り、強く思った。

 

「さあ!今日も頑張りましょ?」

「……そうだね。張り切って行こうか」

 

 夕張は提督の手を取って新しい仕事場へと足を踏み入れた。

 秘書艦夕張。

 最初の仕事は就役する新しい艦娘の紹介だ。

 彼女はこの最初の仕事が秘書艦を担う上で一番難しいんだろうなと感じていた。

 そして自分が苦労した後は提督が苦労するのだろうと確信していた。

 何故なら、その艦娘達が予想を遥か上回る形で特徴的だからだ。

 

 

――――――――――

 

「じゃあこの鎮守府に配属された艦娘の紹介に入るけど良い?」

「うん……にしても随分……」

「良いの良いの」

 

 提督の言葉に夕張が口を挟む。

 藤井提督の前にいるのは偏狭な地に似合わない戦場で大活躍出来そうな戦艦級の艦娘ばかりで、最高でも重巡洋艦しか指揮した事ない提督は思わず一歩下がってしまう。

 

「長門型戦艦のネームシップ、長門だ。よろしく頼むぞ」

 

 一人目、長門。

 黒髪ロングで高身長、背中には大きなバックパックみたいな武装。

 艤装って言うんだっけか。

 この偏狭な地に場違いな高火力戦艦。

 上が何を考えているのかサッパリわからないとやや呆れ顔になると、長門は自分の顔に何か付いているのかとキョトンとした表情で聞いてくる。

 君じゃない。

 ……まあ、問題を起こした戦艦なのだろうと割り切って考える事にした。

 

「私は愛宕。長門さんと同期なの。提督、覚えてくださいね?」

「私は同期になりたくてなった訳じゃないぞ」

「なーがーもーんー?」

「……やめろ」

 

 二人目、愛宕。

 重巡洋艦で金髪ロング、群青色の軍服に身を包んだ女性。

 その胸は豊満であった。

 長門と愛宕がいがみ合っている間に夕張が提督の袖の端を掴んで揺すり、彼女達の情報が乗せられた書類が手渡された。

 正確に書かれたパラメータが乗っており、命中力、火力、回避力、装甲力の他にアビリティなんて欄もある。

 個性って事だろうか。

 特筆欄には長門は人脈が良く、マジメ、指揮も出来るが補給が苦手でアイドル×と書かれている。

 アイドルが苦手なんだろうか。

 それとも本人がアイドル志望なんだけどその才能がないって事なんだろうか。

 そもそも何でアイドルって特筆されているのか全く分からない。

 ちなみに愛宕は夜戦、えっち、面倒見と書かれているだけだった。

 夜戦で意味深、えっちで確信って感じなんだけど大丈夫ですか。

 いや多分大丈夫じゃないだろうけど。

 

「……響だよ。よろしく」

 

 三人目、響。

 駆逐艦なので身長は一番小さい。

 不死鳥と呼ばれるくらい凄かったらしい。

 愛宕や長門と同期という訳ではないようだ。

 透明感ある白髮とたまに出るロシア語が特徴らしい。

 提督はそれを見てザンギエフとかいうロシア系格闘家を思い出していた。

 おそロシア。

 対空砲撃が出来たらシベリアンブリザードと名付けよう。

 

「翔鶴型航空母艦二番艦、瑞鶴です。翔鶴姉から提督の話は少しだけ、聞いてます」

 

 四人目、瑞鶴。

 少し明るい黒髪ツインテールと弓道着が特徴的だ。

 その自己紹介はそれまでの艦娘の雰囲気と違って少し暗い感じがした。

 いや、響も結構暗かったけど。

 翔鶴姉というのは翔鶴型航空母艦一番艦の事だろう。

 ……何か悪い話でも聞かされたのか。

 翔鶴の事に関しての特筆はなく、特筆欄には加賀と書かれているのみである。

 加賀、ねえ。

 仲が悪いんだっけ。

 パラメータは正確に書かれているのに特筆欄に気の抜けたようなコメントを残すのはやめてほしい。

 一体誰が書いたんだろうか。

 よくお疲れさまですって言ってくれる受付嬢みたいな人が一番怪しいような気がする。

 名前を聞いた事がないので提督はクエスト娘と呼んでいる。

 

「ヘーイ!提督!モテモテの金剛デース!」

 

 五人目、金剛。

 夕張も提督も目を合わせずにツッコミも入れずに淡々と処理をしてきたが、当然順番が回ってくるのでいずれ触れる事になるのは分かっていた。

 金剛はジャージ姿だった。

 金剛はジャージ姿だった。

 青いスポーツ系のやつだった。

 提督は夕張の方に目を向けるが夕張は壁の方に目をやって視線を避けた。

 夕張の肩を掴んで説明を求める。

 

「あれは何だ」

「あ、いやその……知りませんよ!」

 

 特筆欄にはダサイ、不幸女とか書かれている。

 おしゃれが苦手とか書いておいてくれればいいのに何でそう傷口を抉ろうとしているんだ。

 

「英国では五人の男性と交際中デース!」

「そうか、じゃあ次」

 

 嘘っぽいから恋愛×ってしっかり特筆欄に書き込んでしまおう。

 

「榛名です!エロエロです!でも榛名は大丈夫です!」

 

 最後、榛名。

 何がそうさせているのか分からないけど金剛型は全員はっちゃけているようだ。

 金剛型は肩がむき出しになっている巫女服が特徴的で、榛名はミニスカートの色が赤なので一番巫女っぽく見えるんだそうだ。

 まあ今は比べる相手がいるはずなのにいない。

 ……うーん。

 もう一度夕張に視線を向けるが夕張はまた視線を避けた。

 

「これから君ら六人で一つの艦隊を作って色々と任務をこなしてもらう。先輩の夕張にも出てもらう事もあると思うが基本は六人だ。仲の良い友人くらいは作っておいてほしい」

「提督はここに着任したばかりでしばらく慌ただしいから何かあったら私に言ってね。明石さん、基地内の案内お願いしても良い?」

 

 明石。

 工作艦である。

 ピンク髪のちょっと元気な……よくショップの店番任されている女の子だ。

 前の仕事場で二度三度顔を合わせた事があるので夕張も提督も少し仲が良かった。

 飲みに誘えるくらいの仲だ。

 

「じゃあ案内しますね。じゃあ提督、お仕事頑張ってください」

 

 明石が一向を連れてこれから生活する鹿屋基地の案内へ向かった。

 夕張と提督がその場に取り残され、提督の鋭い視線が夕張に突き刺さる。

 二人きりの部屋でその視線から逃れるのは不可能だった。

 

「何だあれ……」

「一応、長門さんと愛宕以外は新人さんだって聞きました」

「ああ…そうですか」

 

 提督の脳裏には榛名と金剛を艦隊から抜いて、明石を入れる未来しか見えてこなかった。

 




誤字脱字、艦娘の台詞で違和感ある場所がありましたら教えて頂けると助かります。

小説に登場させてほしい艦娘等がいましたら何らかの形で教えて頂ければ、
物語の本筋を揺らさない程度に登場させようと考えています。

お読みいただきありがとうございました。


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02.狼銃

タイトルの読みは狼銃で『ケンジュウ』です。
活動報告の方で更新状況やキャラ情報を公開しています。



 春、某日。

 夕日の綺麗な頃、一人の艦娘が指令室に紅茶を運んでいた。

 兵器作られた物とは思えない人らしい鼻歌を廊下に漏らしながら、上機嫌な彼女はそのドアを数回ノックする。

 指令室の中にいるのは自分達の指揮を取る提督だ。

 もう随分と長い付き合いになるだろうか。

 

「提督お疲れさまです」

「ああどうも。紅茶ありがとう、明石」

 

 工作艦、明石。

 移動工廠として様々な場所で活躍していた彼女はここに異動してくる前の藤井提督をよく知っていた。

 沖ノ島海域の決戦にて大きな活躍を残した人だった。

 部下からの信頼も厚く自分の見てきた提督の中では誰よりも提督らしかった。

 自分の見てきた提督がどれも初々しかった……というのもあるが、それも相まって藤井提督は自分の目にかなり輝いて見えたものだ。

 そして今はその提督の下で働けている。

 経緯がどうであれ、明石は満足していた。

 

 藤井提督はマグカップを持って紅茶を口に含み、その後に角砂糖を一つ入れる。

 それでも美味しくなかったのか提督はミルクを入れて飲むが、それでも眉間にしわを寄せた。

 

「……お気に召しませんでした?」

「金剛が好きだっていうから飲んでみたんだけど自分には合わないな。ミルクカップ開けたら逆に甘すぎる」

「提督、それはコーヒーフレッシュって言うらしいです」

 

 へえ、と提督は白い液体の入っていたプラスチック製のカップを手に取って見ていた。

 提督は珈琲も飲まないのだろうかと明石は想像を膨らませる。

 知っているようで知らない事ばかりだ。

 長い付き合いだと思っていたのに、少しショックを受ける。

 食用油を薄くして添加物で白くしているソレをミルクカップと呼んでいる提督はコーヒーフレッシュをミルクだと思い込んでいるのだろう。

 もし提督が珈琲や紅茶を好むのであれば警告をしておこうかと思ったが、そんな素振りは見えないので明石は言わない事にした。

 職業柄でどうしても細かい事が気になってしまう明石は嫌な事にも気付く。

 でも人が気を害するような事を言うほどお節介ではなかった。

 艦娘と人間は脆さが違う。

 それを思い、純粋に提督を心配していただけだった。

 提督はカップを机に置いて背もたれのある椅子に体を預けた。

 革のしなる音が静かな指令室に響く。

 息を吐いて椅子に寄り掛かる提督は仕事を終えたサラリーマンのようだった。

 明石はそんな提督の後ろに回って両肩の上に手を乗せる。

 

「明石に提督を修理させてくださいね」

「おっ肩揉みか。はははっ…幸せだ」

 

 提督がどのような苦労をしているかなんて考えずとも理解できた。

 新しい仕事場で初めての戦艦と対面し、しかもそれが金剛や榛名のような艦娘達だ。

 藤井提督の前の仕事場も明るい空気が流れていたが、その明るさと金剛達のソレは違う。

 ……まあ今一番苦労しているのは金剛達を教育している夕張だろう。

 いずれ金剛達が成長したら、いや成長しなくても愚痴を聞かされる事だろう。

 そういう精神的な面でのサポートも出来てこそ本物の工作艦だと思っている。

 

「明石、助かったよ。ありがとう」

 

 肩揉みをしていた手に提督は自身の手を重ねて撫でるように触れてきた。

 くすぐったくて心地良い一瞬が明石の胸の奥を通り過ぎる。

 自然と自分の中の恥ずかしい気持ちが増し、提督の肩から手を離した。

 

「……明石、頼み事をしてもいいか?」

「はい、明石にお任せ下さい」

「悪いね。……これを夕張に届けてほしい」

 

 藤井提督はクリアファイルに纏められた数枚の資料を明石に手渡した。

 大切な資料はどんなに親密な友人でも優秀な部下でも渡してくれなどと人に頼む事は無い、藤井提督はそういう所はしっかりと守るので自分が見ても大丈夫な内容なのだろうと明石は解釈する。

 だからといってクリアファイルを開くほど明石も悪い部下ではない。

 そのクリアファイルには今週末に行う鎮守府近海の制圧に関しての資料が纏められていた。

 新人の育成を陸でずっと行う訳にはいかないので早め早めに近海の制圧をしようと急いでいた、しかしこの鹿屋基地には戦闘可能な艦娘が少なく戦力が心許ない。

 だから少し時間が掛かっていた。

 主に、他の基地に増援を頼むのに時間が掛かっていたのだ。

 

「じゃあ持って行きます。紅茶は片付けますか?」

「ああ、頼む」

 

 明石はまだ温かい紅茶を持って提督に会釈し指令室を出た。

 カップに飾りの皿を用意していなかったので廊下を数歩進んでから明石は立ち止まった。

 片手にカップ、もう片方にはクリアファイルを抱えている彼女には中身のあるカップを持って歩くのが難しかったのだ。

 明石は提督が飲んだカップに揺れる水面をじっと見てから、そのカップの縁をゆっくりと自分の口に当てた。

 喉を通る音さえしないくらいゆっくりと紅茶を飲み、飲み干す時にカップの縁を少しだけ咥えた。

 

「……美味しいじゃないですか、これ」

 

 自分と提督の味覚の差に小さく溜息を吐いて彼女はその場を後にした。

 その後、少ししてから藤井は明石が来た時に机の引き出しに閉まっておいた封筒に入った手紙を取り出してその封を開けた。

 差出人の欄には『足柄』と黒い字で大きく太く濃く、達筆に書かれている。

 提督のかつての仲間からの手紙だった。

 手紙の内容は過去に一緒に戦っていた提督と夕張に自分達が元気にしている事を伝え、そちらはどのような状況なのですかという在り来たりな物だ。

 そんな在り来たりな物でも顔は綻ぶし返事を書かねばとも感じる。

 電話では無く手紙だったのは封筒の中に五枚の写真が入っていたからだ。

 足柄、羽黒、木曾……五枚には全て自分が指揮した艦娘が写っていた。

 その写真をほんのりとした笑みを浮かべながら見ていた提督は最後の写真を見て顔をしかめた。

 五枚目の写真。

 そしてその写真には、右下に足柄の文字が珍しく小さく書かれていた。

 

 お願い。

 

 その言葉を見て提督は椅子にもたれ掛かり、一番下の引き出しの中から煙草を一本取り出して口に咥えた。

 火を点けず、口に咥えたまま部屋の天井を眺め続けていた。

 何も考えずぼーっとしている提督がいる指令室は時が止まったかのように静かになった。

 目を瞑って過去を思い出す提督の瞼の裏には輝かしい日々が映し出される。

 楽しかった毎日、試行錯誤してとにかく前に進もうと努力していたあの頃。

 思い出しても提督に心残りは無かった、瞼をゆっくりと開けて心を入れ替える。

 引きずっている物はあるだろう。

 見えないけれどずっと足元にしがみ付かれているような感覚が残っている。

 振り払えず、残り続けた意思。

 いや、自分が振り払わなかっただけだ。

 この重みが今の自分を作っている。

 

「失礼します、提督」

 

 夕張がノックもせずに指令室にやってきた。

 呆れ顔はするが慌てる事もなく手紙を封筒の中にしまって机の引き出しに入れ、夕張が手に持っていたクリアファイルと同じ内容の資料を手元に用意した。

 

「近海に出撃するって書いてあるけど、本当?」

「嘘付いてどうするんだ。旗艦は夕張、四人で向かってもらう」

「って言っても!まだ戦える艦娘は四人もいないじゃない…?」

「あのな、資料くらい目を通してからここに来い」

 

 あとノックもしなさいと提督は心の中で思いつつ、返答を焦らすようにジッポを用意して煙草に火を点ける。

 一息付いてから、封筒の中にしまい忘れた数枚の写真から一枚を夕張に見えるように机の上に置いた。

 

「……増援として足柄が来る。準備を怠るなよ」

 

 夕張はその言葉に目を丸くした後、かつての仲間の写真を見て小さく笑っていた。

 

 

――――――――――

 

 一週間後のお昼過ぎ、作戦決行の日がやってきた。

 夕張は今日出撃する艦娘達を集めて作戦内容と陣形を再確認させ、提督は別の用件で頼まれていた事があったので別の場所にいた。

 そこには提督だけではなく足柄の姿もある。

 そこは射撃場。

 二人共、小型の携帯銃を構えて的を撃っていた。

 足柄は身体中に武器を装着して砲撃戦を行えるのにどうして、と提督はやや呆れ顔を浮かべていた。

 お昼を一緒に取っていた時にいきなり銃の使い方を教えてほしいと言われて今に至っている、実は随分と前にも同じような事があった。

 その時はただの興味だったようだが、今は何らかの理由があるようにも見える。

 だが提督は聞くつもりはなかった。

 足柄は語ると色々と煩いからだ。

 若干ウェーブがかったロングヘアーの黒髪にカチューシャを付けた長身の女性。

 黙っていればモテるだろうに、馬鹿みたいに戦闘が好きなので前から扱うのが難しかった。

 

「どうだ?私はコルト社製のが使いやすい、そっちのジェリコは女性でも扱いやすいけどね」

「……こっちのは弾数が多いのに魅力を感じるけど……駄目ね」

「驚いた。銃の違いが分かるのか」

「分からないわよ。でも、敵を倒すのに必要な弾数さえあれば充分じゃない。多ければ良い訳じゃないわ」

 

 人は当たり所が悪ければ一発でも死ぬ。

 だから足柄にとっては弾の量ではなく、一撃の強さと正確さと使いやすさが全てだ。

 足柄なら拳銃で撃たれながらでも狙いを定める事が出来るだろう。

 何発撃たれようが大砲ではないのだから大した怪我にはならない。

 艦娘は異常なくらい丈夫なのだ。

 提督は足柄の言葉を聞いて声を失っていた。

 足柄ならより多くの敵を倒す為に沢山弾丸の詰められた銃を好むだろうと思っていたからだ。

 

「お前、変わったな」

「……そうかもね」

「銃くらい時間があればいくらでも教えるよ。その腕と肩なら数回使っていれば的にも当たるだろう」

「あのね、私はこれでも女性なんだけど?」

「ははは。本当に変わったんだな、足柄」

 

 提督が同身長くらいの足柄の頭を撫でると、足柄はその手を掴んで噛んだ。

 手が付けられないのは性格だけではないようだ。

 

 天ぷら蕎麦を食べていた夕張とその一行を見付けて集合の声を掛けておき、足柄と提督は彼女達より一足先に指令室へと踏み入れた。

 提督は椅子に座り、足柄は机の向かい側に立つ。

 二人が待つ事もなく廊下からは数人が小走りしている音が聞こえ、指令室にノックの音が数回鳴った。

 それに返事したのは提督ではなく足柄であった。

 急ぎなさい、と。

 夕張以外の艦娘にとっては足柄の立場がどのくらいにあるのか何となく分かる言葉になった。

 提督の代返をしたのだ。

 少なくとも自分達には出来ない事をしたという事実のお陰で足柄が上の立場だとすぐに理解できた。

 増援が一隻入るとしか書かれていない資料からは読み取れない情報だ。

 

「顔合わせは初めてだったか?」

「はい。……えっと、こちらは私の同期の足柄。資料は見たと思うけど今日は合同で戦います」

「足柄よ。砲雷撃戦が得意なの。……よろしくね」

「せ…長門だ。敵戦艦との殴り合いが…得意だ」

「普通に挨拶すれば良いのよ長門。私は愛宕です、よろしくお願いします」

 

 夕張、足柄、長門、愛宕。

 軽巡洋艦一隻、重巡洋艦二隻、戦艦一隻の艦隊で近海の攻略に当たる。

 必要以上の戦力投下に燃料の消費が心配だが、戦艦を使った事がないのでどのくらいの火力が出るのか確認しておきたいというのもある。

 難易度は夕張と足軽二人だけでも行けるくらいのレベルだ。

 もう二人連れて行くのは新人研修みたいな意味合いが強い。

 作戦内容を確認する。

 近海の制圧、敵はそれほど強くはない。

 足柄は長門のサポートを、夕張は愛宕のサポートをしつつ二人がどのくらい動けるのかを調べてもらい、いずれ運用する時の目安として使用させてもらう。

 勿論サポートとはいっても戦わない訳ではない、ちゃんと敵を撃ち抜いてもらう。

 肩慣らし程度にはなるだろう。

 夕張も金剛達の事があるし憂さ晴らししたいはずだ。

 

「ふふっ……足柄、出撃よ!戦果と勝利の報告を期待しててね!」

 

 足柄はドンと指令室の机を両手で叩き、足柄は早歩きで指令室を出て行った。

 ちょっと待ってよと言いながら追いかける夕張と、それに続く長門と愛宕を見ながら溜息を付く。

 指令室の窓際に向かい、戦場へと出発する彼女達の後ろ姿を見送った。

 

「出撃よ!戦場が、勝利が私を呼んでいるわ!」

 

 馬鹿みたいに煩い声が基地内に響き渡る。

 人は根っから変わる事なんて滅多にない、それは艦娘も同じだったようだ。

 

「頼んだよ。足柄、夕張」

 

 出港する四人と昔の仲間の面影を重ねて提督は空に呟いた。





お読みいただきありがとうございました。


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03.拳獣

前回と同じくタイトルの読みは『ケンジュウ』です。
来週は更新お休みかもしれません。


 太陽の日差しが海面に当たり反射していた。

 旗艦の夕張が前を走り、その後ろに三隻の艦娘が列を成している。

 戦場とは思えないほど静かな海上に後ろの新人達は少しばかり気が抜けている、それを正すのも先輩の仕事だが、夕張の隣には同じようにのほほんとしている足柄がいた。

 夕張は何も言えずただ溜め息を付くばかりである。

 

「……夕張、ちょっと止まってくれる?」

「ええ、まあいいけど……何?敵?」

「いいえ、新人さん達に質問するのよ。…長門さん、今回の任務は何体の敵を倒せばいいの?」

「えっ……確認されているのは三隻。だが三隻だけかどうかは…」

「正解ね」

 

 うんうんと彼女は頷く。

 任務内容は近海を攻略する事で、範囲にいる敵を倒し切る事だ。

 元は何十隻もの敵がいたが藤井提督が着任する前に軽く殲滅を済ませている、今回はその残党退治みたいなものだった。

 残党が残ったままでは新人教育も難しいし思わぬ襲撃を喰らう可能性もある。

 通信によれば確認されている敵の数は三隻だそうだ。

 だが確認されている数しか敵がいないという訳ではない、だからこの問いに明確な答えは無い。

 長門の曖昧な答えは的を射た回答だった。

 足柄は次に愛宕の方に目を向ける。

 

「じゃあ次。私たちが今から、これからやるべき事は?」

「……?敵を倒す事じゃないのですか?」

「当然ね。じゃあそれは、何のためにするのかしら?」

「……提督のため?」

「ええ。でもそれだけじゃ犬になるだけよ。提督の為にじゃなくて何故戦うのか自分なりの理由を考えなさい」

 

 夕張は後輩に語る足柄に提督の姿を重ねていた。

 人の為に戦うのではなくて自分の為に戦いなさい、戦う理由が他人にある者は他と比べて足取りが遅いからと提督は夕張達に言った事があった。

 自分が提督の為に戦いたいから戦うのと、何も考えずに尽くすのは天と地の差があるのだ。

 想いはそのまま強さになる。

 足柄も夕張も何かを背負っているのだ。

 

「じゃあそうね~、私は夢を成す為に戦うわ。名を上げて女の子ときゃっきゃうふふするの」

「……それも良いわね。残念だけど私はまだ見付けられてないわ」

「格好良い事言ってたのに締まらないじゃない…」

 

 夕張は呆れて足柄を見る。

 戦って勝つ。

 足柄にとって勝利の数が自分の誇りで、それを保つ事が戦う理由だった。

 でも今は何が何だか分からない。

 狼と呼ばれていたはずなのに今では牙が抜けたかのように心の中が静かだ。

 猫にでもなってしまったのだろうか。

 ……それでも、私は「んにゃー!」と叫ぶのだろうけど、と彼女は思う。

 常に煩いのは藤井提督お墨付きの評価だ。

 

「……あら、話していたら向こうから顔を出してくれたわね」

 

 足柄が夕張に視線を送り、夕張は右手を上げて陣形変更の合図を掛ける。

 愛宕は陣形変更中に偵察機を飛ばして敵の状況を確認する、敵影は小さく見辛いがどこから攻めてくるかくらいは新人でも充分理解できる。

 

「駆逐ハ級……右手から向かってきます。敵は三隻みたいです」

「魚雷持ちね。足柄と愛宕に任せるわ、私達は敵の姿が確認出来次第攻撃を仕掛けるから」

「了解。愛宕は右手に回って。私はそのもう少し後ろに着くから」

「は~い!」

 

 夕張と長門がペアを組み、愛宕と足柄がペアを組む。

 提督に言われていた陣形は夕張が愛宕に、足柄が長門に着くフォーメーションだったが敵の状況を確認してから最善と判断される陣形に変更する事は許可されている。

 夕張は提督と通信を取り、陣形を変更した事を報告した。

 その間に長門は砲撃準備に入り照準を敵影に定める。

 狙いは正面の敵、駆逐イ級だ。

 こちらには既に気付いている様で着実に接近してきている。

 だが駆逐艦の射程範囲は短く、この戦場では長門が一番射程範囲が広い。

 

「……よし、砲撃!」

 

 長門が声を張り上げて砲撃を行った。

 照準は定まっており、敵駆逐艦は砲撃を避けようと横へとズレたように見えたが砲弾はぶつかり、相手を行動不能へと陥れる火力を叩き出した。

 つまり、轟沈だ。

 

「よし!艦隊、この長門に続け!」

「ははは……一発で轟沈かあ、流石に艦隊は違うなあ」

 

 夕張も長門に続いて砲撃の用意をする。

 敵艦の駆逐イ級を轟沈させた時に見えた新しい敵影を夕張は見逃さず自分の武器を構える。

 当てる事は難しくはない。

 自分に言い聞かせるように言葉を吐いて砲撃を行い、水飛沫が舞う海上を見て直撃では無かったと長門に再装填を促す。

 愛宕と足柄は偵察機で確認した駆逐ハ級に狙いを定め、射程範囲に入った瞬間二人で連続的な砲撃を雨のように海上にぶつけた。

 こちらのように狙いを定めた砲撃と違って二人の攻撃は大雑把だったが正しくない訳ではない。

 駆逐ハ級には魚雷がある為、魚雷を使用できなくされるのが最優先だ。

 攻撃をある程度与えておけば艦船の能力は低下し、魚雷を発射出来なくなるか、発射しても簡単に避けられるくらいに射撃精度が低下する。

 少し時間が経ってから噴火のような水の波の中から駆逐ハ級が顔を出した。

 機動力はあるものの、かなりのダメージを追っているようだ。

 夕張は足柄と顔を合わせてアイコンタクトを行い二人共新人達の傍に寄った。

 敵からすれば的が絞れる為かなり好都合だ。

 駆逐艦の攻撃は射程が短いので反航戦ではすれ違う少し前に攻撃タイミングがやってくる、もう少しで砲撃のタイミングがやってくるだろう。

 夕張は長門の肩を叩いて『任せて』と告げると左翼に展開した。

 逆に足柄は愛宕の肩を叩いて『任せた』と告げて右翼に展開する。

 愛宕は目を見開いて驚いて同じ境遇であろう長門の方に目をやるが、長門は当然のように冷静に動かず留まっており愛宕の口からは動揺の言葉が漏れ始める。

 

 駆逐イ級は黒い歪な魚のような形をしていた、それを戦場で見るのは長門も愛宕も初めてである。

 駆逐イ級は口を開いて中にある小型主砲を左翼に展開した夕張に構えた、動かずに主砲を再装填している長門よりも機動力を生かして動いている夕張の方が危険だと察知したからだ。

 駆逐イ級の砲撃は数発、夕張目掛けて放たれた。

 近くからの砲撃だから避け難いが近くからだからこそ主砲の向きが読み取れる、経験のある夕張は軽巡洋艦の機動力を生かして一発を体を逸らして回避し、身を低くして旋回しながら敵の斜め後ろに身を置いた。

 駆逐イ級の攻撃は尚も続く、それでも牽制程度に夕張も副砲を構えて砲撃した。

 主砲を使わないのは攻撃の反動で回避が疎かになる事を恐れていたからだ。

 夕張は横目でチラリと愛宕と足柄のペアを確認する。

 隣では駆逐ハ級の攻撃が新人の愛宕に向けられていた。

 足柄は夕張と同じように場所を移動していたものの、夕張と違ってターゲットを向けられるために動いていた訳ではない。

 足柄の行動は敵にとって、ただ移動するだけにしか見えなかった。

 殺意や敵意が薄かったのだ。

 怪しさは残ったが、駆逐ハ級は目の前でオドオドとしている愛宕の方がターゲットとして適切だと判断したのである。

 

「ひやぁあぁん!やめてったら!!」

 

 艶めかしい声を上げながら愛宕は逃げ続けている。

 どうやら運良くダメージは無いようだった。

 夕張は視線を駆逐イ級に戻して、距離を取る為に海上を更に加速した。

 敵が攻撃出来ない範囲まで移動してこちらが主砲を扱おうとしたからなのだが、駆逐イ級の頭上には大きな黒い影が覆い被さろうとしていた。

 それは敵の背後から水飛沫を撒き散らして被さった。

 水飛沫の中から爆発音が鳴り、周囲に大きな波を引き起こす。

 その波で愛宕が氷で転ぶように海面に倒れて沈み駆逐ハ級にチャンスが訪れたが、愛宕を狙う駆逐ハ級の頭上にも黒い影があった。

 それは、気配を消していた足柄だった。

 まるで海上に水の塔が立つかのような飛沫と共に足柄とハ級は姿を消し、しばらく経ってから足柄は海上に顔を出して一息付いた。

 別に潜水する必要はなかったはずだろうにと夕張は目をペンで横棒を二本書いたようにする。

 足柄の右手には駆逐ハ級の亡骸が、左手には沈んでいた愛宕が掴まれていた。

 

「…た、助かりました……」

「気にしないで。楽しかったしね」

「愛宕のサポートしてないから焦ったんだけど……」

「何とかなったから良いじゃない。ね?……それに」

 

 足柄は海上に立ってから亡骸を海へと放り捨てた。

 愛宕がけほけほと咳込むのを気にする様子も無く、足柄と夕張は駆逐イ級がいた場所に目をやる。

 そこにいたのは足柄と同じ様に片腕に敵の残骸を抱えた長門の姿だった。

 長距離用の主砲を零距離で当てた時に残った敵の残骸だろう。

 夕張の目は長門が敵駆逐艦を掴む瞬間を捉えていた。

 

「私みたいな血の気のある艦娘がいて嬉しいわ。鹿屋基地も安泰ね」

「馬鹿言わないでよ……素手だけで倒す貴女とは違います」

 

 はははと足柄は笑い、足柄は腕を頭上高く掲げた。

 

「何にせよ勝ちは勝ち!意気揚々と帰るわよ!」

「ああ、帰ろう。すぐにでも提督に報告したい気分だ」

 

 戦果を挙げた長門も足柄の言葉に乗っかる。

 夕張はやれやれといった感じでその後を追い、愛宕はちょっと落ち込みながらその後を追った。

 三人には分からなかったが、愛宕の砲撃は敵に一度も当たっていなかったのだ。

 役割は果たせたが納得の行かない結果だった。

 同期の仲間が大活躍だったのだから尚更それは心に響いていた。

 

 

――――――――――

 

 提督の耳には既に作戦が成功した事は耳に入っている、旗艦の夕張から帰還中に通信していたからだ。

 夕張は長門にとても魅力を感じたと言っており、多分足柄も同じ事を言うだろうと答えていた。

 戦場をこの眼で見ていなかったからどうしてそう判断されたのかは分からない、愛宕が悪かったのか長門が良かったのかは不明だ。

 提督が聞いたのは最初の作戦と、途中の短い報告と倒したという結果のみ。

 愛宕と足柄の一斉砲撃は上手く行かなかったのだろうか。

 艦娘のメンタル面を考えると慰めも必要だ。

 どうしようかと提督は頭を抱える。

 彼女達には初めての戦場だったのだ、嫌な思い出にはしたくない。

 

「只今帰りました提督ーっ!」

 

 足柄が港から大きな声を張り上げる。

 指令室まで我慢は出来ないのだろうかと思いつつ、自分も窓から顔を出す。

 

「ご苦労だった!どうだった戦いの方は!」

「長門が二隻も落としたの!私が一隻!今向かいます!」

 

 足柄が指令室目掛けて走り出し、それを追う三人。

 まるで旗艦が足柄みたいだなと提督は面白がる。

 指令室に全員が到着するのに時間は掛からなかった、息を切らしながら冷静に報告する夕張と、息を切らしながらでも熱を入れて戦場の様子を報告してくれる足柄。

 対照的な彼女達は見ててとても面白かった。

 新人のサポートもその性格が良く出ている。

 とはいえ、足柄の放任的な攻撃はどうかと思うが結果良ければというやつだ。

 大体もう彼女は自分の基地所属の艦娘ではない。

 読んでおいてその行動にケチを付けるのは避ける事にした。

 

「皆今日はご苦労だった。今日はゆっくり体を休めてくれ。私は明日に差し支えない程度に祝い酒を呑ませてもらうよ」

「足柄…先輩と呼べばいいのだろうか、今日は有意義な日になった。ありがとう」

「ありがとうございました、足柄さん」

 

 新人二人は足柄に頭を下げ、指令室から離れようとした。

 何か愛宕に声を掛けようとしていた夕張を手で抑える。

 

「愛宕」

「はっ、はい。何でしょうか提督?」

「足柄が無茶をして悪かった。実力を充分に出せず不完全燃焼の初陣だったとは思うが、戦場では珍しくない事だ。常に気を張れ。次がある」

「……っ!はい。ありがとうございます、提督」

 

 これで気落ちしていた愛宕が持ち直すと良いのだが……。

 夕張は足柄に目を移した後、いつもの場所で待っているわと提督に告げて指令室を出て行った。

 足柄も夕張の後を追おうとするが藤井提督はそれを止める。

 夕張が意味あり気な視線を送らなかったら提督も気付かなかっただろう、足柄の右拳は深海棲艦を殴ったせいで皮が剥け、赤くなっている。

 大した怪我ではないが、小さな怪我とは言え難い。

 

「手を出せ。包帯くらいは巻いてやる」

「別に大丈夫よ、このくらい」

「手を出せと言ったんだ。ほら、夕張達の後を着いて行きながら巻いておけ。怪我見て酒が飲めるか」

「………はーい、分かったわよ」

 

 足柄と提督は廊下に出て同じように歩を進め始めた。

 今はもう同じ基地に所属している訳ではないが、その心は常に一つだ。

 提督は足柄を今も尚大切に思ってくれている。

 それだけで足柄は満足だった。

 同じ基地でなくとも幸せになれるのだから。

 これ以上を足柄が望む事は無かった。

 少なくとも、今は。 




お読みいただきありがとうございました。


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