IF 吹雪 アツヤが雷門中にきていたら? (KwK)
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FF編 地区大会
第一話 サッカーやろうぜ!


今回から始めて投稿してみました。KwKです。
あまり文章を書いた経験はないですが頑張っていこうと思いますので
最後まで見てくれるとありがたいです。
意見や感想も待ってます!長々とすみません(T_T)



〈第一話〉

 

"『それじゃあ、二人が揃えば完璧ってことだな…』

『そっか、二人揃えば』

『もっと強くなる。もっと強くなって完璧になる』

『よーし、俺と兄ちゃんで世界一になろうぜ!!』

『うん!!』"

 

「ふぶき!吹雪!吹雪アツヤー!!」

「ぅう…ん?」

 

寝ぼけているアツヤ。目の前には怒っている数学の先生がいる。

 

「ふぁー。寝ちまってたか」

「寝ちまってたかではないわ!!きちんと受けんか!」

 

(うーん、なんか大切なことを思い出せた気がしたんだけどな~)

 

「聞いてるんか!」

 

聞いていない様子のアツヤに怒る先生。

 

「へいへい、すいませんね。」

「言葉遣いがなっとらんわ!!」

 

すると先生はアツヤの宿題の量を2倍にすると言い始めたため、アツヤは必至に辞めるように頼み込んでいる。ちなみにアツヤが授業中に寝ているのは今日だけではないため、クラスメートは『はいはい、いつものやつね』と思っていたりする。

その時間が終わるまで教室から大きな先生とアツヤの声がずっと響いていた。

 

〈 放課後 〉

 

「聞いたぜ吹雪、またあの先生と言い合いになったんだってな」

「風丸か。」

 

家に帰るアツヤに声をかけたこの人物は風丸一朗太。アツヤの隣の家に住む友人である。

「ふん!いつものことだよ」

「まったくおまえってやつは」

 

そう言い風丸は少し笑った。

 

「そういえば、聞いたか?サッカー部が廃部になるんだってよ」

「へぇ~だからか。あのサッカーバカがいつも以上に熱くなってた理由(わけ)は」

サッカーバカとはここ雷門中のサッカー部のキャプテンであり、1年の時にサッカー部を創設した人物である円堂守のことである。

 

「ああ、なんでも次の試合に負けたら廃部になってしまうみたいなんだ」

「そらぁ、学校側も随分ときつい条件をだしてきたな。第一、メンバーも足りないのにどうするってんだ」

 

サッカー部は現在10人(その内1人はマネージャー)しか在籍していないため試合をしたくてもできない。

 

「まぁ俺には関係ないことだけどな」

 

アツヤは円堂と友人ではあるが、サッカー部には所属していない。

 

「なあ吹雪、おm【おーい、風丸―吹雪―!!!】

 

二人が話していると向こうの方から大きな声で自分たちを呼ぶ声が聞こえた。

 

「円堂!聞いたぞサッカー部の件!!大丈夫なのか!?」

「大丈夫さ!必ず試合に勝ってサッカー部を廃部なんかにはさせない!!」

「そうか…」

 

幼いころからの友達である円堂に心配している風丸が言う。

 

「ところで風丸、吹雪。いま部員を集めているんだけど二人にも今回の試合参加してもらいたいんだ!!頼む!!!」

 

そういい頭を下げる円堂。

 

「いいぜ。陸上部もあるから今回だけという条件付きで入ろう!」

「サンキュ!風丸!」

「吹雪おまえはどうする?」

 

そう風丸はアツヤに声をかける。

 

「すまねぇな円堂。サッカーだけはちょっとな、やる気が起きねぇんだ・・・」

 

少し顔を歪ませるアツヤ。そんなアツヤに円堂は

 

「そっか。大丈夫だ!でも応援ぐらいはしてくれよな!」と元気に答える。

「ああ。じゃあ、俺は帰るぜ。頑張れよ」

「ありがとう吹雪!また明日なー」

 

帰り道・・・

夕日を背に歩くアツヤは今日の出来事を思いだしていた。

 

"『大丈夫さ!必ず試合に勝ってサッカー部を廃部なんかにはさせない!!』"

 

事故により記憶を無くしているアツヤは記憶を思い出すのにサッカーをやることが必要だと不思議と感じている。しかしそれは、記憶を思い出してからの苦痛と戦わなければいけないということである。

 

(円堂おまえは眩しすぎる、俺にはまだおまえみたいにはなれない)

 

アツヤの心は夕日が沈むように暗くなっていた。

 




どうだったでしょうか?ちょっと少ないかも?
日本語だったり、口調だったり不安なことがたくさんありましたが間違っていても初投稿なので許してください
(≧﹏ ≦)

吹雪君の設定は後日あげさせて頂きます。
必殺技など意見があればお願いします!!


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第二話 はじめての試合

前回より少しだけ量を増やしました。


数日後・・・

試合当日、アツヤは試合を見届けるために試合をグラウンドに見に来ていた。

 

「サッカー部も今日で終わりかねー」

「悲惨な結果にはならないでほしいよな」

と同じように観戦に来ていた生徒が口々にいうがアツヤは

 

(円堂なら何とかなる気がするんだけどな)

 

と割と楽しみにしている。

 

 

【 円堂side 】

 

「みんな今日の試合必ず勝つぞ!!」

『おう!!!』

 

今日の試合のためにたくさん練習してきた円堂たちは試合前のアップをしていた。

そんなとき、『ゴゴゴゴゴ…』と大きな音が中学校の入り口の方から聞こえ、車が止まる。

中から帝国選手たちが出てきて円堂の前にやってくる。

 

「雷門中サッカー部の円堂守です。今日は練習試合を受けて下さりありがとうございます!」

「初めてのグラウンドなんでね、ウォーミングアップをしてもいいかな?」

「え、ああ、どうぞ」

 

親切に対応する円堂に対し、そっけない態度をとる帝国キャプテン鬼道優人。

アップ中、鬼道が円堂に対し、シュートを放ってくるなどのハプニングがあったが試合が始められようとしていた。

 

 

【 No side 】

 

「さぁて、相手さんはどんなプレイをしてくるのかな」

 

そんな風に考えるアツヤを尻目に

試合開始のホイッスルが響き渡り雷門ボールで試合が開始した。

 

まず、雷門は染岡、松野、風丸と細かくパスを繋ぎ攻めあがる。そして、サイドからいいクロスがフリーの染岡に入るがキーパー源田の好セーブに阻まれてしまう。

 

「始めるぞ。帝国のサッカーを」

 

そう鬼道が言うと、そこから鬼道、寺門と繋がれ、ミドルレンジのシュートであっさりと失点してしまった。

 

『な、なんだと!』

 

このプレイにはその場にいるすべての人間があっけにとられた。

そこから帝国は雷門を痛めつけながら、得点を重ねていき、雷門は前半だけで10点もの得点を決められてしまった。ハーフタイム中、

「こんなの勝てるわけないっすよ」

「最初から無茶だったんですよ」

と口々にいい、円堂以外はみんなやる気も体力も無くなってしまう。

 

「何言ってる!?勝利の女神がどっちに微笑むかなんてわからないじゃないか!!そうだろ!?なぁ、みんな!!」

 

必死に励ます円堂だったがそのまま後半が始まってしまう。

 

 

【 ??? side 】

 

「うわぁぁー」「ぐ..!!」

 

後半が始まっても帝国の猛攻は止まらず、必殺技を出して雷門を蹂躙していく。

そして、キャプテンである円堂も顔に強いシュートを食らってしまい倒れてしまった。

そんな中グラウンドを見つめる白い髪の人物は自分がどうすればいいか悩んでいた。

 

『ユウカ…』

 

過去に自分のサッカーのせいで妹を事故に遭わせてしまった責任からサッカーを離れていた。そんな自分がまたサッカーをしてもいいのかと。

 

「まだだ!まだ、終わってねぇ!!・・・まだ終わってねぇぞ!!!」

 

しかし、グラウンドから聞こえた円堂の言葉は大きくこの人物の心を動かした。

 

「ユウカ、今回だけお兄ちゃんを許してくれないか、、」

 

そして、先ほど脱ぎ捨てられたユニホームをきてグラウンドにゆっくりと近づいていく。

 

 

【 円堂 side 】

 

ザワザワ

こちらに近づいてくる一人の少年に周囲がざわつく。

 

『おや!?彼はもしや?!昨年のFF(フットボールフロンティ)で1年生ながらその強烈なシュートでヒーローとなった豪炎寺修也!!その豪炎寺君が雷門のユニホームを着て、登場!!』

 

「ふっ。きたか」

 

豪炎寺の登場にニヤリと笑う鬼道と帝国学園の監督影山。

 

「豪炎寺来てくれたか!!遅すぎるぜ、お前!!」

「ふっ」

 

円堂を支えながら豪炎寺は口に笑みを浮かべた。

 

豪炎寺を加え、試合が再開された。しかし、雷門はあっさりとボールをとられてしまう。

 

「くっっ!」

「いけー!」

 

そして、雷門ゴールに向かって三人で同時に回転しながら打つシュートが放たれる。

 

『 デスゾーン 』

 

そんなシュートを見た豪炎寺は突如、相手ゴールに向かって走りだす。

 

「あいつ、俺を信じて走ってるんだ!俺が止めるって!これを止めた俺から必ずパスが来るって、信じて!!!」

 

『 ゴッドハンド 』

 

円堂は手を大きく開き上げ、大きな手を出現させる。そしてシュートに向かって手を出し、ゴールを阻止する。そして、そのままキャッチしたボールを豪炎寺が走るところまで投げる。

 

「いけー!」

 

豪炎寺は後ろからきていたボールを胸で落とすと、ヒールで空中にあげ、空中で回転しながらシュートを放つ。

 

『 ファイアートルネード 』

 

この強烈なシュートをGK源田は止めることができず、得点を許してしまった。

 

「おおー」「すげえなー」

 

この日一番の歓声に沸く雷門中。そして、ここから反撃するぞと意気込む雷門に対し、帝国学園は試合を放棄してしまう。

 

そのため、帝国対雷門の試合は20対1で雷門の勝利ということになった。

 

「円堂守か、、思わぬ収穫だった」

 

そういい去っていく鬼道。

この日、雷門中は帝国学園に勝利したということで大きな歴史の一ページを作った。

 

「ありがとう豪炎寺!これで新生サッカー部の誕生だ!」

 

試合後、感謝を伝える円堂。しかし

「今回だけだ」

といい豪炎寺はユニホームを返して去って行ってしまった。

 

 

【 鬼道 side 】

 

帝国学園に帰ってきた鬼道は監督である影山の元を訪れていた。

 

「総帥、今回雷門と練習試合をした理由は豪炎寺以外にもあったのではないでしょうか?」

 

本来の影山であれば豪炎寺がいたとしても雷門と試合することはないだろうと思っていた鬼道は今回の試合に疑問を感じていた。

 

「お前が知る必要はない」

 

影山はそう言うと去っていく。

その影山の顔には『ニヤリ』とあやしい笑みがあった。

 




あれ?アツヤ君全然いなくない?とおもった方大丈夫です。次回たくさんでます。
下書き段階では必殺技のところこだわったんですけど変わらなかったw
変えられない感じですかね?
次回は12月10日0時投稿予定です!


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第三話 理由

〈 病院 〉

 

帝国学園との試合から数日後アツヤは診察のため病院を訪れていた。

 

「うん。今日も以上なしだね。何か最近変わったこととかはあるかい?」

「うーんそうだなー。そういえば最近夢を見るんだ。車の中で小さな少年が二人で話している夢を」

「ふむふむ、なるほど」

「先生」

 

アツヤは真剣な目を先生に向けて尋ねる。

 

「この間雷門中で試合があったんす。でも俺はその試合に立つことができなかった。あいつらが羨ましかった」

「アツヤくん・・・」

「俺はサッカーをするのが怖いんだ!!記憶が戻ってしまうのが怖いんだ!」

「大丈夫さ。そう悲観的にならなくても。君なら乗り越えられる!君は必ず過去と向き合ってサッカーをするよ!」

 

そう、先生はアツヤを励ます。

 

「すんません。先生に強く当たるべきではないのに。ありがとうございます。相談に乗ってくれて」

「うん。またなにかあったら相談してくれ!今日の診察は以上だよ」

「はい、また来ます」

 

アツヤはそう言い診察室をでて帰ろうとするが視界の端に白い髪の青年を見かける。

 

(あいつは豪炎寺修也。どうしてこんなところに)

 

気になったアツヤはそのまま豪炎寺についていくと、豪炎寺は【 豪炎寺夕香 】と書かれた病室に入ろうとしていた。

 

「おい。どうしておまえがこんなところにいる」

 

アツヤが声をかけると豪炎寺は振り返る。

 

「おまえは吹雪か」

 

実はこの二人雷門中では同じクラスに所属しているため顔見知りである。

 

「なんだ、この前の試合で怪我でもしたのか?」

「いや、そうじゃない。ただのお見舞いさ」

 

豪炎寺は病室を指さし答える。

 

「入れよ」

 

アツヤがそう言われ病室に入るとベットでは少女が眠りについていた。

 

「妹の夕香だ。もうずっと目を覚まさないんだ」

「そうか」

「そういえば、吹雪はなんで病院に?」

「ただの診察だよ。俺幼いころに事故にあって記憶がなくなっちまったんだ。だからその定期診察だよ」

「すまない」

 

返ってきた答えに申し訳ない気持ちで謝る豪炎寺。

 

「気にすんな。俺が自分で言ったことだ」

 

そういうが少しだけ病室の雰囲気になる。そこでアツヤは話を変えて聞く

 

「この間のシュートよかったぜ。流石は炎のエースストライカーだ」

「よせ、本来であれば試合に出るつもりはなかったんだ」

 

少し困った顔をする豪炎寺。

 

「あ?じゃあなんで試合に出ようと思ったんだよ?」

「去年のFFで自分の応援に来ようとしてくれた夕香が事故にあって昏睡状態になってしまった。そんな俺がサッカーをやっていいのかと。でも、円堂の諦めないあの姿勢に体が勝手に動いてしまったんだ」

「そうだったのか。なぁ、後悔はなかったのか?」

「確かにあの時は夕香に対して申し訳ない気持ちがあった。でも、あるやつに言われたんだ。夕香は俺がサッカーをやっている姿を見たくて応援にいったのではないかと・・・。だから俺は後悔なんてしてないし、夕香が起きたときに喜んでもらえるようサッカーをこれからも続けていくことにした」

 

豪炎寺はすべてのことを話すとアツヤに聞く。

 

「円堂や風丸に聞いたぞ。おまえもサッカーをやるのか悩んでいると・・・」

 

しかし、アツヤはその質問に答えを出すことができなかった。

すると豪炎寺はアツヤにいう。

 

「吹雪、おまえ、サッカー好きか?好きなことに理由はいらないんじゃないか?」

 

"『アツヤ、サッカーって楽しいね!!』

『ああ!最高だぜ!!』"

 

その言葉にハッとなったアツヤは昔二人で遅くまでボールを蹴っていた日々を思い出す。

 

(そうだ!俺がサッカーをやる理由は怖いからなんかじゃねぇ、楽しいからやりたいと思うんだ!)

 

「ありがとな!豪炎寺!!俺もう一度やるぜ!サッカー!!!」

 

そう言い病室を飛び出していくアツヤ。

 

【病院では走らないでください!!!】

 

取り残された豪炎寺はアツヤの行動の早さに唖然とするが廊下から聞こえる看護師の声に笑みを浮かべた。

 




今回の話、時系列としては尾刈斗戦が終わってからというものです。なので、豪炎寺はサッカー部に加入済みです。
次回12月13日0時を予定してます。


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第四話 新入部員

すみません~(>_<。)\
13日投稿といっていたのに早く投稿してしまいました。
このままのペースだと全然進まないのでがんがん投稿していきます!


第四話

 

「円堂!俺サッカーやるぜ!!」

 

豪炎寺と話した次の日の朝、アツヤは部室にいた円堂のところへ押しかけていた。

 

「吹雪!そうかやっとやってくれるか!歓迎するよ!」

 

円堂は前から誘っていたアツヤにサッカー部加入に笑顔を見せる。するとそこに部室に来ていた他の部員からも声がかかる。

 

「円堂、誰だよそいつは?」

 

始めに聞いてきたのは2年のFW染岡である。

 

「ああ、紹介するよ。こいつは吹雪アツヤ。風丸ん家の隣に住んでいて、中学に入る前から

友達だ!ポジションはえーとどこだっけ?」

 

アツヤを紹介する円堂だが実際にサッカーをやっているところを見たことはないため答えられなかった。

 

「さぁな、やってたってことしかしらねぇよ。」

「はぁ?なんだそれ」

「俺だってしらねぇよ!俺に小さいころの記憶なんてねぇんだよ」

『なっ!?』

 

そう答えるアツヤに驚く部員たち。

 

「悪かったな・・・。言いにくいこと言わせちまって。」

「いいんだよ、もうそのことは。俺がこれから付き合っていかなきゃいけない問題だしな。」

「ああ」

「湿っぽい話は止めだ!やるんだろ?サッカー」

『おう!』

 

話を切り上げて練習に誘うアツヤに答える部員たち。

 

グラウンドで円堂はまず、アツヤの動きが見ることにした。

 

「まずはパスからだ!」

「おう」

「行くぞ!」

〈パン!、、パシッ、パン!〉

 

そう言いアツヤにボールを蹴ってくる円堂に対し、トラップをし、ボールを返すアツヤ。始めはたどたどしいパス回しだったが、しだいにパススピードもあがり、凄まじい速さで上達するアツヤ。

 

「すごいじゃないか、吹雪!」

「あ、ああ。」

 

やっていたわけじゃないのにスムーズに動く自分に驚くアツヤ。

それからもドリブルやシュートの練習をしたがどれも初心者とは思えないほどすぐに順応し、全員が驚いていた。

 

「なんだ吹雪おまえできるじゃねぇか」

「ああ、自分でも驚いてる。昔からずっとやっていたんじゃねぇかってぐらい体にサッカーの動きすべて染みついていやがる・・・」

 

結局その日は初回ということもあり、早めに練習が終わった。しかし、短い時間でもアツヤはぐんぐんと成長し、雷門イレブンと同じくらい上達した。そんなアツヤにも弱点はあった。

 

「吹雪、おまえ、体力ないのな・・・」

 

そう。ずっとスポーツなんてことをしてきていなかったアツヤにはスタミナというものが圧倒的に足りなかった。

 

「ハァハァ・・・死ぬ・・・」

「そんなんだとこれからはずっと体力作りだな」

 

グラウンドで仰向けに倒れているアツヤに笑いながら近づいてくる豪炎寺。

 

「なんなんだ!走ってばっかじゃねぇか!!」

「そういうスポーツだからな。みんなで必死に繋いだボールをゴールに決めるそのために俺たちは走るんだ。」

 

その豪炎寺の言葉に何かを感じたアツヤは

「へっ!今に見てろ、走って走って走りまくって俺がゴールを決めてやる!!」

と言い、重い体を動かして走り出していく。

そこにチームメイトと話していた円堂が近づいてくる。

 

「豪炎寺、なんの話をしてたんだ?」

「なに、サッカーの基本を教えていただけさ・・・。そうだ、円堂。吹雪のやつFWをやるそうだ」

「おお!もう決めたのか!それじゃあ、染岡と豪炎寺と吹雪の超攻撃的雷門になるな!FFもそろそろ始まるし楽しみだぜ!」

「ああ、俺もだ」

「勝ち進んでもう一度帝国のやつらと戦うんだ!そして、勝つ!!頑張ろうぜ豪炎寺」

「もちろんだ!」

 

そう話す円堂と豪炎寺はこれから始まるFFに向け、決意を新たにするのであった。

 

そこからの数日はアツヤの体力トレーニングや連携の確認など本格的な練習が行われていた。そんなある日、滅多に顔を出さない顧問の冬海先生が部室にやって来ていた。

 

「新入部員ですよ」

「チース!」

 

そういわれて部室に入ってきたのは転校生である土門飛鳥である。

 

「あれ?土門君!!」

「秋じゃないか!」

 

するとマネジャーである木野が土門に声をかける。この二人は幼いころから付き合いため木野がこの学校にいたことに驚く土門。

 

「歓迎するよ!一緒に頑張ろう!」

「あ、ああ。でも初戦の相手、野生中は結構強いけど大丈夫かー?」

 

円堂は土門の手を握り、歓迎する。すると土門はFF初戦の相手である野生中に対して警戒するように注意喚起する。その言葉を信じた円堂はその日の帰りに寄ったラーメン屋の店主に秘伝書があると聞いて学校の理事長室にやってきていた。そしてなんやかんやあって雷門夏海から秘伝書を手に入れた円堂たちは特訓を開始したのであった。

 

そして、数日後、雷門イレブンはFF初戦の地である野生中にやってきた。

 




次は13日です


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第五話 野生中 前編

〈 第五話 〉

 

FF初戦当日、野生中にやってきたアツヤたち。

 

「皆、必ず勝つぞ!!」

『おう!!』

 

試合前に気合を入れる円堂たち。するとそこに一台の高級車が止まる。その車に疑問を持ったアツヤだったが中から出てきた人物をみて納得する。

 

「へっ!お嬢様ともあろう方がこんなところにくるとはな。」

 

その人物とは雷門中の生徒会長であり、理事長の娘でもある雷門夏未である。

 

「私がここにいるのが不思議かしら?吹雪アツヤくん。」

「当たり前だろ。廃部にしようとしていた張本人がこんなとこにいるんだからなぁ」

「学校の評判に関わることですからね。くれぐれも恥ずかしいプレイはしないでくださいね」

「心配しなくても、俺が決めてやるからゆっくりしてるんだな!」

 

雷門は言いたいことが言うと観客席の方に向かっていってしまった。

 

そして、それぞれの選手がポジションに付き、試合開始の笛が鳴った。

〈 雷門中 〉

FW  吹雪   豪炎寺   染岡

 

MF 松野    半田   少林寺

 

DF 風丸  壁山  影野  栗松

 

GK 円堂

 

 

〈 野生中 〉

FW  水前寺  五利  蛇丸

 

     鶏井     大鷲

MF

     香芽      猿田

DF   獅子王

魚住        蛙田

GK  猪口

攻める雷門はパスを繋いでいき、染岡は豪炎寺にセンターリングを上げる。

 

「いきなりいくぜ!豪炎寺!」

「はぁ!!」

『 ファイアー・・・『コケー』なっ!?」

 

豪炎寺は高く飛び上がり、ファイアートルネードを放とうとした。しかし、野生中のDF鶏井は豪炎寺より高く飛び上がりそのボールをカットしてしまう。そして、そのボールは水前寺に渡る。水前寺はチーターのようなスピードでディフェンスに来ていた松野、風丸を躱すとゴール前に鋭いクロスを上げる。そのボールに上がってきた大鷲が頭で合わせる。

 

「こい!」

 

『  コンドルダイブ  』

そのシュートに円堂は身構える。しかし、このシュートは五利へのパスだった。

 

「なっ!?」

 

『  ターザンキック  』

「くっ!!」

 

『  熱血パンチ  』

このシュートに虚を突かれた円堂であったがなんとかパンチングで防ぐことに成功する。

 

「はぁはぁ」

「大丈夫か!?円堂!」

「ああ、なんとかな。さぁ、ここから反撃だ皆!!」

 

心配する風丸に心配ないと返し、チームを鼓舞する円堂。

 

ボールは雷門が持ち、攻めあがっていく。そして、豪炎寺にパスが通るが、目の前に鶏井が現れる。先ほどのジャンプを見たあとではファイアートルネードを放つことができない。

 

「こっちだ豪炎寺!!」

 

シュートが打てないと判断した豪炎寺はパスをだそうとする。しかし、周りのアツヤや半田はマークがついており、出せない。すると、染岡が走ってパスをもらいにきた。

 

「頼む!」

「豪炎寺がダメなら俺がきめてやるぜ!!」

 

『ドラゴン・・「染岡あぶねぇ!!」

 

パスをもらった染岡がシュートを打とうとするとアツヤから声がかかる。

しかし、シュート動作に入っていた染岡は自分に近づいてくる存在に気づけなかった。

 

「ぐあぁー!!」

 

相手DFの獅子王が染岡に猛然と突っ込んできたのだ。そのタックルを食らった染岡はグラウンドの外に吹っ飛ばされてしまった。

 

『なっ!?』

 

あまりにすごい勢いで吹っ飛ばされたため驚く雷門イレブン。

 

「大丈夫か染岡!!」

 

いち早く近くにいたアツヤが駆け寄る。

 

「ぐっ!!」

 

染岡は足を押さえてうずくまっており、プレイが続けられそうにない。

 

「すまねぇな、吹雪。後は頼むぜ!」

 

染岡がベンチに入り、新加入の土門が入る。土門は右サイドバックに入る。また、秘伝書の技を成功させるため壁山をFWにあげ、4-3-1-2というフォーメーションになった。

 

 

〈 雷門中 〉

FW    壁山      豪炎寺   

MF 吹雪

 

松野    半田   少林寺

 

DF 土門  風丸  影野  栗松

 

GK 円堂

 

試合が再開してからも攻める雷門は秘伝書の必殺技を試すが壁山のジャンプがなかなか成功しないため失敗に終わる。その後はマンマークにあい、高さが封じられなかなか機会を作ることができず、必死に守る時間が続く。その中でも途中出場の土門がいいディフェンスをみせる。

 

 『  キラースライド  』

 

サイドを上がってきた選手からスライディングでボールをカットする。しかし、野生中の個人技と連携に疲労していく雷門中。

 

 『  ターザンキック   』

 『  コンドルダイブ   』

 『  スネークショット  』

 

円堂も多くのシュートをとめ、必死にゴールを死守する。

 

【  ピッピッー!!  】

 

ここで前半終了の笛がなりベンチに戻る両選手たちだったが明るい雰囲気の野生中対し疲労が見える雷門には暗い雰囲気が漂っていた。

 




次回は15日です。野生中戦も終わります。
今日も読んでいただきありがとうございました!!


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第六話 野生中 後編

今回長いです。多くの人に読んでいただき感謝です!!
駆け足で書いてので誤字あるかもしれないです{{{(>_<)}}}


〈 第六話 〉

 

「みんなよく守れてるぞ!後半もこのままいこう!」

 

ベンチに戻ってきて鼓舞する円堂だったが自身の手は多くのシュートを受けたために傷だらけになっていた。

 

「大丈夫か円堂?」「キャプテン・・・」

「ああ。大丈夫さ!俺は点を決めてくれるって信じてる。だから、俺の役目はゴールを必ず守ることだ。そのためならこの痛みなんて大したことないさ!」

「キャプテン俺には無理っすよ・・・。DFに戻してください・・。」

 

円堂に現在FWの壁山が自身なさげにいう。

 

「何言っているんだ!壁山!」

「俺にあの必殺技はできないっす・・・。これ以上ボールを上げてもらっても」

 

すでに諦めてしまっている壁山。

 

「いや、ディフェンスには戻さない!俺はお前と豪炎寺にボールを上げ続ける!だって、あんなに練習してたんだ。練習した努力は決して裏切らない。だから、必ず成功できる!」

 

壁山と豪炎寺は今日の日のために遅くまで練習してきた。そして、その姿を見てきた円堂は必ずボールを届けると約束する。そんな円堂と壁山を見ていたアツヤは腑と思い出すことがあった。

 

“『兄ちゃん!こんなのできないよー!!』

『大丈夫さアツヤ。アツヤなら必ずできるよ。ほら、一緒にやってみよ!』

『兄ちゃん、、うん!!!』”

 

(そういえば俺も昔あんなようなことを兄貴らしき人に言われたような)

 

後半が始まる前アツヤは壁山に声をかけていた。

 

「おい。いつまでもしょぼくれた顔すんな」

「でもおれ・・・」

「でももだってもじゃねぇんだよ。いいか、失敗することを恐れるな!失敗したっていいんだよ。その失敗を助け合うことができるのがサッカーだろ?サッカーは11人でやんだよ。無理そうなら俺に出せ!俺が必ず決めてやるからよ!」

 

そういうと自分のポジションにつくアツヤ。

 

「吹雪さん・・・」

「あいつもお前のことを励ましているんだ。口は悪いがな。で、どうする壁山諦めるのか?」

 

そばで今の会話を聞いていた豪炎寺は壁山に確認する。

 

「俺、頑張ってみるっす!」

「よし。その意気だ!」

 

【 ピー 】

 

そして、後半開始の笛がなった。

野生中ボールでキックオフされた。

野生中はパスを細かく繋いで攻めあがっていく。雷門中は前半にとめられなかった反省を生かして、複数人でプレスをかけていく。しかし、移動距離が伸びたことでスタミナを多く消費してしまう。そして、ついに雷門の隙をついた野生中はシュートを打つことに成功する。

 

 『  ターザンキック  』

 

そのシュートに対し円堂は手を掲げる。

 

「このゴールはわらせない!絶対に止めてみせる!!」

 

 『  ゴッドハンド  』

 

手の痛みを押し殺してシュートをとめた円堂はすばやく前線にいる壁山と豪炎寺に向かってボールを蹴る。

 

「いくぞ壁山!」

 

パスを受けっとった豪炎寺はシュートの態勢に入る。

 

(俺にはできないっす・・・。すみません豪炎寺さん。)

 

しかし、勇気がない壁山はなかなか動けない。

 

「あいつらの思いを無駄にするのか!!壁山!」

「はっ!?」

 

“『練習した努力は決して裏切らない。だから、必ず成功できる!』”

“『いいか、失敗することを恐れるな!失敗したっていいんだよ。』”

 

豪炎寺に発破をかけられた壁山は先程の円堂とアツヤの言葉を思い出す。

 

(そうだ!みんなが繋いでくれたんだ!だから俺も頑張るっす!)

 

「豪炎寺さん!」

 

壁山の目を見た豪炎寺は無言でうなずく。

 

“『いいか、この必殺技は二人で力を合わせて飛び、一人がその人の上に乗って飛ぶ。そして、もう一人が高いところからオーバーヘッドでシュートするんだ!』”

 

「はぁぁ!!」

 

豪炎寺と壁山が飛び壁山の腹を踏み台に豪炎寺が飛ぶ。そのまま守備にきた鶏田の上からオーバーヘッドシュートを放つ。

 

 『  イナズマ落とし  』

 

シュートは凄まじい勢いでゴールキーパーの横に突き刺さった。

 

「やったぜ壁山、豪炎寺!!」

 

ゴールからここまできた円堂は駆け寄ってくる。

 

「できたじゃないか。高くて怖くなかったのか?」

「お腹を上にしたら見なくて済んだっす」

「ああ、よくやった」

 

そうやって盛り上がっているところにアツヤがやってくる。

 

「成功できたじゃねぇか。よかったな」

「吹雪さんたちのおかげっす」

「俺はなんもしてねぇよ。そんなことより次は俺に出せ」

「ああ。警戒されてさっきみたいに打てないだろうしな」

 

豪炎寺はアツヤの言葉に納得する。

 

「さぁ、このまま勝つぞ!!」

『おう!!』

 

円堂の声で気合を入れなおしたチームメイトはポジションにつく

 

試合再開後、得点によって士気が上がった雷門は素早いチェックでボールを奪う。先程と同じようにイナズマ落としに繋げようとするが壁山と豪炎寺には三人のマークがついていて出せない。

 

「こっちによこせ!!」

 

ボールを持った半田にマークを振り切ったアツヤがボールを出すように言う。

 

「いけ!吹雪!」

 

アツヤは飛んできたボールを優しくトラップする。そして、カバーにきたディフェンダーをキレのあるダブルタッチで抜きシュート体制に入る。

 

「いくぜ!!これが俺の必殺シュートだ!」

 

ボールの側面を踏んずけて回転をかけると体を回し氷を足に纏わせる。そして、そのまま回転した力を生かして、足裏で蹴りつける。

 

 『  ホワイトインパクト  』

 

そのシュートはゴールキーパーの正面だったがキーパーもろともゴールに叩き込まれた。

アツヤはサッカー部入部してから家に帰っても遅くまで練習してきた。その成果が必殺技として現れたのである。

 

【 ピッピッピー 】

 

試合終了の笛がなり、喜ぶ円堂たち。

 

「すごいシュートだったな」

「はっ!雷門のフォワードで俺だけに決定力がないなんて嫌だったからな。とりあえず、一勝だ。これからも勝つぜ!」

「ああ!」

 

円堂たちが騒いでいるを眺めている豪炎寺とアツヤはお互いに勝利を称えあった。

 




どうだったでしょうか。良かったら評価もお願いします。モチベーションがあがります!
次回は12月17日0時投稿予定です。


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第七話 データサッカーの力

物語が全然進まないのだが??


〈第七話〉

 

野生中と試合をした次の日部室に向かっていた。

 

「昨日はみんなよく頑張った!この調子で勝ち進んでいこうぜ!!」

『おう!』

 

初めての公式戦に勝った雷門中は誰が見ても張り切っておりいい雰囲気が漂っている。

部室についた円堂たちにだったがそこには昨日、観戦に来ていた雷門夏未と苦笑いしている木野、音無がいた。

 

「なんでお前がここにいるんだ?」

 

円堂が雷門に尋ねる。

 

「今日から私、雷門夏未はサッカー部のマネージャになりましたのでどうぞよろしく」

『えー!!!????』

「けっ!昨日もあんなこと言ってて興味があったんじゃねぇか」

 

アツヤは雷門の加入を聞いて笑いながら言う。

 

「吹雪アツヤくんは私がしっかりとサポートしてあげますから安心してください」

 

笑いながら近づいてくる雷門に後ずさるアツヤ。

 

「笑いながら近づいてくるんじゃねぇ!」

「冗談よ。でも私も精一杯頑張らせてもらいますから」

 

雷門は自分がいい加減な気持ちで入ってきたわけではないことを伝える。

 

「へー。なるほどな。んじゃまよろしく頼むわ」

 

アツヤは雷門に向かって手を差し出す。

 

「ええ」

 

その手を雷門は握り、二人は握手をする。

 

「よーし!そうと決まれば次の試合に向けて練習だ!河川敷にいくぞー」

 

円堂の掛け声でそれぞれ河川敷に向かっていく。

 


 

河川敷についた円堂たちだったが・・・

「よし練習を始めていこう・・・ってなんなんだあれは!?」

 

練習を始めようとしていたところにアンテナがついた自動車やが河川敷のところに停止する。またその他にも多くのひとが円堂たちを見ていた。

 

「俺たちのファンですかねー」

「有名になったってことっすね!」

 

「いや、違うと思うぞ」

「馬鹿野郎が、あらぁ偵察にきてんだろ」

「そういうことなので今後、必殺技の練習は禁止します」

 

豪炎寺に続いて、アツヤと雷門が浮かれている一年生や円堂の言葉を否定する。

 

「それじゃあ、必殺技の練習はどうするんだよ!?」

「それは・・・」

「だったら、ばれないで練習できる場所でやろう!」

「そんなとこあるわけないでしょ」

 

雷門は円堂の言葉にあきれ返ってしまう。

結局、豪炎寺にもっともなことを言われ必殺技なしで練習する雷門イレブンだった。

 

その日からパス回しや連携の強化などをしていた雷門イレブンだったがそこに必殺技を使わないことにしびれを切らして、一台の車から人がやってきた。

 

「なぜ必殺技を使わない?」

 

円堂に話しかけてくる人物。

 

「この人、次の対戦相手である御影専農のキャプテン杉森威です!」

 

帝国学園との試合後、サッカー部に興味を持って入ってきた元新聞部の音無春奈が現れた人物の正体を明かす。

 

「なんなんだお前らは。グラウンドに勝手に入ってきて!」

「いまさら隠しても無駄だ。隠したところでお前たちが我々に勝てる確率は0%だ」

「なんだと!?どういうことだ!」

 

怒る円堂に対し、雷門では御影専農には勝てないという杉森。

 

「おまえら雷門のデータはすべてそろっている。なのでお前たちが勝つ確率h『ドン!』むっ!?」

杉森が円堂たちに理由を述べているとどこからかボールが飛んできた。

 

「へっ!だったら見せてもらおうかお前の言うデータの力をよお!!」

 

ボールを蹴った犯人であるアツヤは杉森に対し勝負を申し込む。

 

「いいだろう。無駄だということを教えてやる」

 

そうしてアツヤVS杉森の勝負が始まった。

 

「いくぜ!!はぁ!!」

 

 【 ホワイトインパクト 】

 

「むん!!」

 

 【 シュートポケット 】

 

ボールは凄まじい勢いでゴールに向かっていくのに対し、杉森はバリアを張ってシュートをとめようとした。

『ガン!!』

そして、アツヤのシュートはバリアと衝突して破ることに成功した。しかし、衝突の際に少し逸れてしまったのかポストにあたりゴールには入らなかった。

 

『なっ!?』

「アツヤのシュートが止められただと!?」

 

野生中からもゴールを奪ったアツヤのシュートが止められたことに動揺が広がる。

 

「っ!くそが!!」

 

シュートが決まらず悔しがるアツヤ。

 

(なんだと!?私の必殺技が破られただと!?)

 

本来であればシュートを止めた後、アツヤに何か言うつもりだった杉森は自身の必殺技を破られたことに動揺していた。

 

「これで分かっただろう。君たちが我々に勝つことはない。それでは失礼する」

 

杉森は動揺を悟られないように早々にこの場を立ち去っていく。この出来事は杉森の中でアツヤに対する警戒度が上がった瞬間であった。

 




呼んでいただきありがとうございます!
次の更新なのですが、諸事情により来週の更新はなしになると思います。
申し訳ありません(≧﹏ ≦)
時間を見つけてコツコツやるので一話ぐらいなら投稿できるかもしれません。
よろしくお願いします。


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第八話 御影専農 前編

なんとか書き終えました。
今週中にあと一話書きたいと思ってます。


〈第八話〉

 

杉森と対決をした夜。アツヤは一人河川敷に来ていた。

「はぁあー!!」【ザシュッ】

 

(俺の力はまだまだだっていうのか!)

 

「はぁあー!!!!」

「もっとレベルアップしねぇとダメだ」

 

アツヤは杉森に自分のシュートが止められたことに納得できず、一人練習にきていた。

 

「こんな時間まで何をやっているのかしら?」

「っ!?」

 

突然話しかけられて驚くアツヤは声がする方を向く。そこにはマネージャーである雷門夏未がいた。

 

「こんな時間になんのようだ?」

「あら?それはあなたにも言えることではなくって?」

「ふん!」

 

アツヤは夏未の問いに答えずにシュートを放つ。

 

「それ以上練習するのはやめなさい!そんなこと続ければ怪我をするわよ!!」

「それでもあいつに勝たなきゃいけねぇんだ!」

 

アツヤの気迫に驚く夏未だがアツヤに大切なことを伝える。

 

「あなたが決めないと雷門は勝てないとでも!?」

「じゃあ誰があいつから点をとるんだ!?」

「雷門はそんなにやわじゃないわ。そんなことあなたが一番分かっているのではなくって?サッカーは11人でやるものよ」

 

“ 『兄貴と俺がそろえばもう敵なしだな!!なっ。兄貴!』

 『それは違うよアツヤ。サッカーはパスを繋がないとどうやっても勝てないよ。11人そろってやっとサッカーっていうんだ。アツヤだって誰かからパスをもらうからシュートを打てるんだろ?』”

 

アツヤは最近、昔の自分をもっと知りたくて親戚や先生にどのような子だったのかを聞いた。そこで、夢に出てくる人物が自分の兄である吹雪士郎だということを知る。

 

(大事なことを忘れていたよ。そうだよな兄貴サッカーは11人でやるんだ!)

 

「そうだよな・・・。サンキュだ!雷門!別に俺が決めなくてもいい!チームで取れればいい!そうだよな?」

「ええ。心配しなくても大丈夫よ。あなたたちなら勝てるわ」

「ああ!明日みんなで勝つぜ!データなんかには負けねぇよ!」

「私も精一杯サポートさせてもらうわ」

 

その日、雷門が昼間のアツヤの様子が気になって会いにきたことでアツヤは大切なことを思い出し、次の勝利を誓う。

 

数日たち・・・FF二回戦が日本各地で行われ始めていた。そしてここ御影専農中でも雷門中対御影専農中の試合が行われようとしていた。

 

〈 御影専農中 〉

 

FW 下鶴    山岸

MF    大部

   三郷 藤丸 寺川

DF稲田 室伏 花岡 弘山

GK    杉森

 

雷門は前回の試合と同じフォーメーションを採用し、御影専農は4-3-1-2の布陣を構えている。

 

【 ピッー!! 】

 

そして、それぞれの選手がポジションについたとき、試合開始の笛が吹かれた。攻める雷門は染岡のドリブルで突破を試みようとする。しかし、御影専農の選手はプレスに来ない。そのため簡単にシュートを打つことができた。

 

「もらったぜ!!」

 

 『 ドラゴンクラッシュ 』

 

「ふん!」

 

 『 シュートポケット 』

 

しかし、染岡の力強いシュートを杉森は必殺技を使い簡単に止めてしまう。そして、すぐに杉森はボールを蹴る。ボールの落下地点には御影専農の選手がおり、御影専農のカウンターが成功してしまう。

 

「カウンターだ、戻れー!!」

 

DFの風丸は持ち前のスピードを生かして、素早くボールをもっている選手にチェックしにいく。御影専農の選手は風丸のスピードがデータと違うことに戸惑いタッチを誤ってしまう。

 

「よこせ!!」

 

そして、そのミスを逃さなかった風丸はボールを奪うと、ディフェンスラインの裏を狙っていたアツヤに向かって正確なスルーパスを出す。

 

「前みたいにはいかねぇぜ!はぁあ!」

 

 『 ホワイトインパクト 』

 

「何度来ても無駄だ!」

 

 『 シュートポケット 』

 

「くっ!!」

『 ガン!! 』

 

アツヤの放ったシュートは前と同じように拮抗し、ボールはバーに当たって入らなかった。

 

「まだだ!!」

 

 『 ファイアートルネード 』

 

(これは間に合わない!!)

 

跳ね返ってきたボールに豪炎寺が反応する。杉森は豪炎寺のシュートにも対応しようとする。しかし、先ほどのアツヤのシュートの威力により態勢を崩していたためシュートポケットでは間に合わないと判断し新たな必殺技で対応する。

 

 『 ロケットこぶし 』

 

腕にオーラを集め発射する。ロケットのようなそのエネルギーはボールを雷門陣地にはじき返した。そしてそのボールは次はこちらの番だと構えていた下鶴に渡る。

 

「ディフェンス!囲め!!」

 

円堂はゴールからディフェンス陣にコーチングをする。しかし、下鶴はもう一人のFWである山岸と連携してまるで雷門イレブンの動きが分かっているかのような動きで崩していく。そして、ゴール前までたどり着くと下鶴はシュートの構えに入る。

 

「こい!」

「はぁあ!『トン』」

 

円堂もシュートに備えていたがなんと下鶴は横にパスを出す。

 

「なっ!?」

 

上がってきた別の選手がそのパスをダイレクトでシュートする。円堂も必死に止めようとするがボールは無情にもゴールに入ってしまった。

 

『ワァーー-!!』

 

このゴールに御影専農の応援にきていた人たちは大いに盛り上がる。

 

「すまないみんな・・・」

「心配すんな!まだ一点だ諦めるには早いぜ!俺たちが点をきめてやる!」

「ああ、頼んだ!もうゴールはわらせない!」

 

謝る円堂にアツヤが励ます。

 

雷門ボールで試合が再開された。攻勢に出ようとしていた雷門だったがボールを奪われてしまう。なんとかボールをとろうとするアツヤ。しかし、なんと御影専農はゴールキーパーまでボールを戻して完全に全員が守備に入ったのだ。そこから味方の陣地内でボールを回す。この行為に観客は驚き、ブーイングをする。そんなことをもろともしない御影専農は前半一杯ボールを回し続けるのだった。

 




イナイレ杯とはなんでしょうか?


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第九話 御影専農 中編

書き終えました!!


〈第九話〉

 

「なんなんだあいつらは!!」

「そうでやんす!全然攻めてこないからボールがとれないでやんす!」

 

前半終了後、雷門は前半の御影専農のプレーに納得いかず愚痴をもらす。

 

「このままではまずいぞ・・・」

 

豪炎寺やアツヤも対策を考えるがいい案は浮かんでこない。

このままあのプレーを続けてこられたら雷門は何もできずに負けてしまうだろう。

ハーフタイム中考えていたが結局、何も浮かばないまま雷門のメンバーはグラウンドに向かっていく。その途中御影専農の選手たちと対面する。

 

「なんであんなことをするんだ!こんなのサッカーらしくないだろ!!」

 

円堂は杉森に対し怒鳴りつける。

 

「これは監督命令だ。データ通りの動きをすれば私たちが勝つことになる。お前たちは私からゴールをとることはできない。データがそれを証明している」

 

「そんなのやってみないとわからないだろ!勝利の女神は強く信じたほうに微笑むんだ!」

 

杉森は円堂の言葉を聞くと「無駄だ」といいピッチに向かおうとするがそんな杉森にアツヤが問いかける。

 

「勝ちてえだけならサッカーじゃなくたって野球でもなんでもあるだろ。おまえらなんでサッカーやってんだ?」

「・・・。」

「それが分からないようならサッカー選手失格だな。まっ、俺も最近気づかされたんだがな」

「・・・・。」

 

杉森は一度は立ち止ったものの何も言わずに立ち去っていく。

そして、後半が始まるため、雷門イレブンもピッチに向かっていく。

 

雷門は後半に向けて準備しているアツヤのところに寄って来る。

 

「あなたがあんなこと言うなんて驚いたわ」

「そんなに変か?」

「ええ。とても」

「なんだかな~。大切なことを見失っているころの自分と被ってな」

「あなたにもそんな頃があったのね。相手もこれで何か変わるといいいんだけど・・・」

「大丈夫さ。あいつらの心に火は灯した。後はあいつら次第さ」

「でも・・・」

「心配すんな、あんときは助けてもらったからな、しっかり勝ってくるぜ!」

「・・・わかったわ。それならばしっかりと勝ってきなさい!」

「おう!」

 

そう言って駆け出していくアツヤ。

 

後半が始まったが御影専農は相変わらず自陣深くでパスを繋いでいた。アツヤたちもボールを奪取しようと試みるがなかなかうまくいかない。そんなとき試合の流れを変える出来事が起こった。なんと円堂がゴールからダッシュしてきて相手からボールを奪うと、そのままの勢いでシュートを放ったのだ。

 

「なんだとっ!?データにない!?」

 

杉森はGKである円堂が攻めてきたことに動揺が隠せない。

 

「はぁあ!!」

 

キーパーの隙をついたいいシュートだったがなんとか止める杉森。

 

「どうだ!これがサッカーだ!」

 

円堂はそれだけいうとゴールに戻っていく。

 

(一体なんだというのだ!?あんなのはありえん!)

 

杉森は遠くでディフェンス陣に怒られている円堂を理解できない様子で見つめる。

 

ゴールキック後から円堂が前にくるというデータによりゴールが奪えると判断され、御影専農中は攻めてくる。

しかし、相手の攻撃はディフェンス陣と円堂によりことごとく防がれてしまう。そのような時間が続いていき相手のシュートチャンスになった時、下がってきていたアツヤがボールを奪う。

 

「いくぜ!!」

 

本来であればクリアする場面だがアツヤは自陣深くからドリブルを開始した。このような行動に面食らった御影専農はアツヤの動きに対応することができない。

 

「どけどけどけー!!」

 

味方に指示を出す相手の監督はデータによりいずれパスをだすと判断して杉森たちに豪炎寺や染岡などの選手にマークを付くように指示を出す。しかし、そんな指示とは裏腹にアツヤは一人でドンドン相手ゴールに迫っていく。ボールを取りに来た相手を持ち前のスピードとテクニックで抜き、遂にゴールまで辿りついてしまった。杉森はアツヤがこのままシュートを打ってくると判断して構えるが、アツヤはデータにない動きをする。

 

「なっ!?!?」

 

なんとドリブルしたままゴールに突っ込んできたのだ。

そんなことはデータに現れていなかったため杉森は何もできずに突破を許してしまう。

 

「どうだ!おまえらのデータを狂わせたぞ!!」

 

アツヤはゴールの前で停止し、ボールを蹴る。そのまま、ボールはコロコロと転がりゴールラインをわる。そして、アツヤは手を天に突き上げる。その様子を見る御影専農にはアツヤの背中がとても大きく見えるのだった。点が認められる笛がなると、自陣から一人で決めたアツヤに観客はこの日一番の盛り上がりをみせるのであった。

 




次回、御影専農戦終了です!!
早く次の章書きたいー!
今回も読んでいただきありがとうございます!
なるべく間を開けずに投稿するので少々お待ちを( •̀ ω •́ )✧


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第十話 御影専農 後編

アンケート締め切らせていただきました!
このままのペースと量を維持することにしました!
アンケートにご協力ありがとうございます。


〈第十話〉

 

 

【 杉森 side 】

杉森はゴールに転がっていつボールを見つめる。

 

(私とあいつらではなにが違うというのだ!!)

 

試合再開後も雷門はみんなで助け合いながらゴールに迫ってくる。アツヤや豪炎寺からのシュートもなんとか守る御影専農であったがどんどん試合の流れが雷門に傾いてきている。

杉森は雷門の動きを見ているうちになにかが自分たちとは違うということに気づく。そして、ハーフタイム中にアツヤに言われたことを回想する。

 

“ 『勝ちてえだけならサッカーじゃなくたって野球でもなんでもあるだろ。おまえらなんでサッカーやってんだ?』 “

 

(なんでサッカーをはじめたのか・・・。そうだ、初めてボールを蹴ったときのあの瞬間がとても好きだったのだ!!今まで続けられたのも楽しかったからではないか!なんでこんなことを気づかなかったのかっ!!)

 

自分の気持ちを新たにしている杉森に対し監督から次の指示が出る。

 

「奴らを潰せ!!どうなっても構わん!」

「・・・」

「どうした!?」

「できません。私たちはサッカーをしているのです」

「なんだと!!この私に逆らうのか!?」

「私たちはあなたの道具ではない!俺たちは純粋にサッカーを楽しむサッカー選手だ!!」

「くっ!!」

 

しかし、卑怯な作戦を実行しようとする監督に杉森は反発する。

 

「みんな!!自由にプレーをしよう!俺たちのサッカーをしようではないか!」

「キャプテン!!」

『はい!!』

 

部員たちも今までの方針に思うことがあったのか顔に元気が現れる。

すると、先ほどシュートを放った吹雪が近づいてくる。

 

「覚悟は決まったみたいだな!」

「ああ。もう迷わない。覚悟するといいここからは先程のようにはいかないぞ?」

「おう!望むところだ!!」

 

 

【 雷門 side 】

そこからの試合はどちらも一歩も引かないものとなった。

雷門が攻めると御影専農の協力プレイで防がれ、御影専農がシュートを打つと円堂がセービングする。その後なかなか点が動かない試合になるが染岡のシュートを止めた杉森からのカウンターによりシュートチャンスを与えてしまった。

 

「ここで決める!」

 

 『 パトリオットシュート 』

 

高い位置からシュートがかなりの速さで飛来する。

 

「ここだ!豪炎寺一緒に来い!!」

「円堂!?何をするつもりだ!!」

 

しかし、ここで円堂はゴールから飛び出し豪炎寺と共にシュートに向かっていく。

 

「豪炎寺シュートだ!俺を信じろ!!」

「っ!?ああ!」

 

『はああぁ!!』

 

円堂と豪炎寺は共に並走して勢いをつけてボールにツインシュートを叩き込む。

そのシュートは自陣深くから相手ゴールまでイナズマの様なスピードで突き進んでいく。

 

「っく!!」

 

あまりのスピードのシュートに杉森も食らいつこうとするが手を出すだけが精一杯でゴールに突き刺さった。

 

「円堂さっきのあれはなんだったんだ!?」

「ああ!あれはじいちゃんのノートに書いてあったシュートさ!さぁこのまま勝つぞ豪炎寺!」

「ああ!」

 

試合はその後杉森がゴールから上がってきてシュートを打つなど、御影専農も諦めなかったが2点ビハインドという点数を覆すことができなかった。その結果、ゴールを守り切った雷門は見事二回戦突破を決めるのだった。

 

試合後、有言実行したアツヤのもとに雷門がドリンクを渡しにくる。

 

「見事な勝利だったわね。あの場所を開放したかいがあったわ」

「おう。あそこでの練習は俺たちをレベルアップさせてくれた。感謝してるぜ!」

 

あの場所とは昔のイナズマイレブンが使っていた施設を雷門がアツヤたちのために見つけて、使用できるようにしてくれた。だからアツヤやほかのメンバーは地下修練上で特訓したので、御影専農のデータサッカーを上回ることができたのである。

 

「ええ。あとあなた、後で病院に行きなさい。終盤、足を重そうにしていたから」

「へー。しっかりマネージャーらしくなったじゃねぇか?まっ、定期診察も近いしそん時にでも見てもらうさ」

 


 

後日、次の対戦に力を入れている雷門イレブンたち。

 

「次の試合に勝てればついに帝国との再選だな!必ず勝とうぜみんな!」

『おう!』『はい!』

 

「あー・・・それなんだけどな。次の試合、俺出れねぇから」

『・・・・なんだってー――――!!!』

 

【 ピィピィ!バサバサ! 】

 

部員の声が部室を超えて羽を休ませていた鳥たちがいる校舎にまで届くのであった。

 




明日も投稿する予定です。コメントや評価をしてくださった皆さんありがとうございます!
世界編までまだまだありますがお付き合いください<(_ _)>
評価のほどよろしくお願いします。


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第十一話 目金活躍?

〈第十一話〉

 

「なんでなんだよ吹雪!!」

 

円堂はアツヤに何故か問う。

 

「実は・・・・」

 


 

 

御影専農との試合から二日後の定期診察の日アツヤは病院を訪れていた。

 

「アツヤくん・・・君、一週間は運動禁止だね」

「・・・えー!?なんでですか!」

「君きちんと休んでる?」

「え、ええ!もちろんっすよ!やだなー先生も変なこと言って」

「うん、わかった。その様子だとサッカーが楽しすぎて練習ばかりしているでしょ」

「な、なんでわかんっすか、あ・・・」

「やっぱりね。とりあえず練習は禁止。足の筋肉に異常が見られる」

「そんなー」

「いい!この機会にしっかりと休みなさい!」

 


 

 

「・・・ってことがあったんだよ。すまないな」

 

アツヤは申し訳なさそうに謝る。

 

「大丈夫さ。アツヤの分まで頑張るさ!しっかり休んで帝国に備えてくれ!」

「任せろ!」

 

その日の練習からアツヤはマネージャーと同じようにサポートに回ることとなった。

 

「ふふふふ。そうと決まれば次の試合はこの目金が代わりを務めましょう!!」

「あ?おまえで大丈夫かー?」

 

ここまで控えに入っていた目金が出場すると言い出した。

 

「次の試合は対戦相手から見ても僕が適任でしょう!」

 

「・・・まあなんでもいいや。頼むぜ」

「はい!」

 

目金の目から熱い炎をみたアツヤは目金に任せることにした。

 

「じゃあ、先に行ってるぜ」

 

アツヤは自分がいても変な感じがすると思い部室を出ていく。

すると、雷門中の前を通るある人物を見かける

 

「よう。こんなところで何してたんだ?」

「ん?お前はアツヤか」

 

その人物とは帝国学園キャプテン鬼道有人である。

 

「偵察にでもきてたんじゃねぇか?」

「この間の試合勝ったみたいだな。まさか雷門にいたとは」

「いや、聞けよ」

「次も勝ったら俺たちと試合することになる。こんなところで負けるようなことはするなよ。お前たちを倒すのは俺たちだからな」

「ああ!なぁ、お前やけになれなれしくないか?」

「何を当たり前なことを言っている。お前たち兄弟に負けたことは俺にとって初めて経験したことだからな。忘れるわけがないだろう。あのときの借りは必ず返して見せる。首を洗って待っておけ!」

 

そう言うと鬼道は帰っていく。

 

「な、んだと!?」

 

混乱するアツヤを残して。

 

「吹雪くん。吹雪くん!」

「ああ。雷門か」

 

鬼道との会話からその場を動けなかったアツヤのところに探しにきた雷門が動かないアツヤに声をかける。

 

「なかなか戻ってこないから心配したのよ。なにかあったの?」

「俺と鬼道って昔、戦ったことがあっただってよ。あー-!!なんで記憶がねぇんだよー!」

「そう。そういえば、聞いてなかったけど、どうして記憶を忘れるなんてことになったのよ」

「うーん・・・。俺もあんまし覚えてるわけじゃねぇんだけど、交通事故で頭を打ったからって先生がいってたな」

「そうだったの。でもあなたならその内戻る気がするのだけども」

 

雷門はくすっと笑いながらいう。

 

「なんだそれ?そういえば円堂たちは?」

「出かけていったわよ。メイド喫茶に」

「はあ?なにやってんだか。まっ、気長に待ちますかねー」

「ええ」

 

アツヤと雷門は並びながら校舎の中に戻っていく。

 

フットボールフロンティア3回戦の日アツヤたちは試合が行われる、秋葉名戸学園に訪れていた。

 

「ホントに大丈夫なんだろうな?」

「任せてください!あの人たちには負けません!」

アツヤは目金に最終確認をしたが、あまりの剣幕に一歩下がる。

 

「大丈夫さ。安心してベンチで見ているといい!」

豪炎寺は必ず点を決めると宣言する。

 

試合は序盤相手チームのペースに乗せられてしまい点を許してしまう。それに加え、雷門がシュートを打つと五里霧中という必殺技で砂嵐が起こりゴールを視認できず、真ん中を狙ったシュートもなぜかはずれてしまうなど変なことが起き、結局点を取れないまま前半が終わってしまうのだった。

 

「このままじゃだめだ!俺たちのサッカーをしよう!!」

 

円堂は相手のペースになっている試合を変えようと活をいれる。

後半に入ってから雷門は自分たちのサッカーをするようになり、試合を有利に進めていく。しかし、何度打とうともシュートが枠をとらえることができない。その様子を眺めていたアツヤは目金に一つの指示を出す。すると、雷門のシュートチャンスの際に自分に向かってシュートを打つように染岡に頼む。

それに染岡はうまくいっていない現状もあってしぶしぶ頷く。

 

「僕にボールを!!」

 

 『 ドラゴンクラッシュ 』

 

雷門のシュートチャンスに染岡は言われた通り目金に向かってシュートを打つ。

目金はそのボールに向かって頭で方向を変える。結果、そのシュートは砂嵐の中を進みゴールに突き刺さった。

 

「メガネクラッシュせ、いこ、う、です」

 

メガネは倒れながらもシュートを決めたことに喜びを露にする。そこから雷門はゴールずらしを計算に入れて試合を進めていき、3―1で勝利を収めた。

 

「そういえば吹雪さん、目金さんにあのときなんて言ったんですか?」

 

音無は目金が聞いたアドバイスがどんなものだったか聞く。

「おまえならあいつらが何しているかわかるんじゃないかって言っただけさ」

 

雷門は見事決勝進出をきめたのだった。

 




秋葉名戸はショートカットです


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第十二話 スパイ

今回の投稿で年内最後になると思います。


〈第十二話〉

 

帝国との予選決勝を控えた雷門イレブンは今日も遅くまで練習をしていた。

 

「とうとうここまで来たな」

「ああ。あの時は参戦できなかったからな、次は俺もやるぜ」

 

豪炎寺とアツヤは帰り道を歩いている。

 

「それじゃあまた明日な」

 

豪炎寺とは途中で別れてアツヤは自分の家に入っていく。自分の部屋に入るとボールを手に庭に出る。そしてリフティングをしながら考える。

 

(次の試合は必ず勝つ。鬼道と戦えばなにか掴めるかもしれない!今から楽しみだ)

 

アツヤは自分の気持ちをボールに乗せ、蹴り上げる。落ちてきたボールをトラップしたアツヤの顔には笑みが浮かんでいた。

 

「ウィーす。ん?」

 

次の日、部室にきたアツヤだったがそこに異様な光景が広がっていた。

 

「冬海先生、ちょっと動かしていただければいいだけです」

「は、はい」

 

アツヤがなにも理解できずにハテナを浮かべている間に雷門と冬海は部室を出ていく。

 

「何があった?」

 

アツヤが先ほどの出来事について半田に聞く。

 

「なんかマネージャーが突然、冬海に俺たちがいつも使っている車を動かせって」

「ふーん」

「俺たちも行ってみようぜ」

 

部員たちは二人を追うように部室をでていく。

 

アツヤたちが二人を追っていくと冬海が車を動かそうとしているところだった。

 

「それではお願いします」

「え、ええ・・・。あれおかしいな~バッテリーが上がっているのかな~?」

「ふざけないでください!早く動かして!」

「くっ!!」

 

冬海はなぜか車を出そうとしない。すると、雷門は懐から一枚の紙を出す。

 

「ここには冬海先生、あなたがこのバスを使って事故を起こそうとしているということが書かれています」

『なっ!!??』

 

冬海のやることが想像を超えていて驚く一同。

 

「う、嘘だ!でたらめに決まってる!」

「この証拠が嘘ならば動かすことができるはずです!」

「・・・できません」

「てめぇ、人の命をなんだと思ってやがる!!!おまえは命の重さを知らねぇからそんなことができんだ!この野郎!!」

 

人一番命のことに向き合ってきたアツヤは冬海に殴りかかろうとする。

 

「ちょっ!?殴るのはさすがにまずいって!」

 

ムカついてはいたもののサッカー選手としてやばいと感じ、アツヤの行動を止める風丸や半田たち。

 

「あなたはそんなことをして本当にいいと思っているのですか!?あなたのような人はこの学校には必要ありません!これは理事長の言葉と思っていただいて結構です!」

 

雷門は冬海にクビを宣告した。

 

「ふふふっ」

「てめぇ!何がおかしいんだ!」

「スパイは私だけとは思わないことです。ねぇ、土門君」

 

怪しげな笑いを見せると最後に爆弾を残して冬海は去っていく。

 

「おい!土門どういうことだ!?」

「・・・すまねぇ」

「土門!」

 

土門はその場にいることができず、走ってどこかにいってしまう。そして、追いかけるように円堂と木野もその場を立ち去っていく。

 

「けっ!逃げたってことはスパイだったってことか!」

「いいえ、そうとは言い切れないわよ」

 

染岡の言葉を雷門が否定する。

 

「この密告書は土門君自身が書いたものの可能性があるからよ」

「ちょっと見せてくれ・・・確かに土門の書いた字に似ている気がするな」

 

豪炎寺がその紙を見て、本当かどうか確かめる。

 

「まぁ、土門がそんなことをするやつじゃないってみんな分かっていたけどな。なぁ、染岡クン?」

アツヤはみんなの言葉を代弁する。

「おれもそう思ってたさ!!ははは・・・後で土門には謝るよ」

 

バツが悪そうに染岡は頬をかきながら呟く。

 

数時間後、泥だらけになった土門たちが帰ってきた。

 

「ごめん!みんな!スパイだってこと黙っていて・・・」

「何言ってんだ?当たり前だろ、スパイなんだから」

 

円堂はトンチンカンなことを話しだす。

 

「へ?いや、確かにそれはそうなんだけど・・・」

「要するに気にすんなってことだよ、円堂が言いたいことは」

「そういっただろ?」

 

円堂は首をかしげて何言ってんだって顔でアツヤを見る。

 

「はぁ、これだからサッカーしか脳にないやつは・・・」

 

アツヤは円堂を見ていて今後が不安になるのだった。

 

「ちょっといいですか?」

 

土門の話が一区切りついたところで目金が切り出す。

 

「冬海先生の件は片付いたとして、監督はどうするんですか?フットボールフロンティアの参加規約には監督がいない学校の参加は認められていないようなのですが・・・」

『な、なんだって!!??』

 

目金の話が本当であれば現在の雷門は冬海を解任したことで監督がなため出場できないということになる。

 

「お、おい!雷門!知っててあいつを首にしたんだよな!?」

「え、ええ!!当たり前じゃない!さ、さぁ、代わりの監督を探してらっしゃい!」

 

雷門は顔を赤くしながら指示をだす。

 

『じぃー』

「な、なによ!」

「別に~?」

 

その日から雷門イレブンは総出で新しい監督を探すことになるのだった。

 




読んでいただきありがとうございます。
来年もよろしくお願いします!
良いお年を!!!


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第十三話 真実

明けましておめでとうございます!
今年も頑張って書いていくのでよろしくお願いします!



〈第十三話〉

 

冬海を解任してから雷門イレブンは総出で新しい監督を探していた。そして、やってくれそうな人に心当たりがあったのだが・・・。

 

「どうだったよ?」

「あまりいい答えを聞かされなかった」

「そうか」

「円堂のやつは今日も説得しにいってるみたいだぞ」

 

以前秘伝書を手に入れる際に場所を教えてくれた雷々軒の店主が監督をしてくれるのではないかと豪炎寺が提案したがいい返事をもらえず、門前払いされてしまっている。

 

「円堂のじいさんのことは知ってたんだろ?」

「ああ」

「だったら、説得は円堂に任せて帝国戦に向けて練習でもしますかねー」

「確かに。このまま大勢で押しかけても迷惑だろうしな」

 

アツヤと豪炎寺は監督探しを円堂に任せて練習を開始するのだった。

 


 

翌日・・・

 

「みんな!この人が今日から雷門サッカー部の監督だ!」

「響 正剛だ!よろしく頼む!今日からビシバシ鍛えていくからな!さぁ、練習開始だ!!」

『おうー!!』

 

昨日の今日で円堂が新しい監督を説得してきた。彼はもともと、40年前にこの学校のサッカー部に所属しており、当初の部はイナズマイレブンと呼ばれるほどすごいチームであったため、実力も冬海とは比べ物にならないほど高い。部員たちは新しい監督がきたことで決勝戦に向けても気合が入り、モチベーションがかなり上がった。

 

練習が始まったが前と違い今まではサッカーにあまり精通している人が少なかったのでできなかった、戦術面の強化も始まった。同時に各々の必殺技の強化など多くのトレーニングを重ね、気が付けば、帝国戦は明日にまで近づいていた。

 

明日には試合があるため早めに練習を切り上げたアツヤは家へと歩いていた。

 

「よう、吹雪」

「ん?鬼道じゃねぇか」

「おまえに話があって待っていたんだ」

 

もう少しで家に着くというところで鬼道がアツヤを待っていた。

 

(なんでこいつは俺の家の場所を知ってんだ?)

 

言葉には出さないものの自分の家の位置を知られていることに驚く。

 

「すまなかった!!」

 

鬼道は突然頭を下げて、アツヤに謝る。

 

「お、おい!なんだってんだ!?」

 

鬼道の行動の意味が良くわからないアツヤは困惑する。

 

「昨日、俺たちの監督である影山と話していて聞かされたんだ。お前の記憶を奪われたのは俺のせいだったと!!」

「っ!!???」

 

鬼道の言ったことがあまりの衝撃過ぎてアツヤは声を出すことができない。

そこから無言の時間が流れる。実際には十秒程度、しかし、アツヤにとってはそれ以上にも感じた。

 

「俺が何を言っているかは分かっている!それでも聞いてほしいんだ!お前の事件は影山が将来、お前たち吹雪兄弟が俺の障害になることを危惧したからなんだ!!だから!お前たちを排除しようとあの交通事故を引き起こした!!俺が「ゕ・・かえ・・・帰れ!・・・すまねぇが今日は帰ってくれ・・・」

 

「っ!!すまない!!・・・明日の試合楽しみにしている」

 

アツヤは絞り出すように声を出し、一人にして欲しいという。鬼道が帰った後も理解が追い付かず、家に帰ったが、一人暗い部屋でうずくまってしまう。

 

「兄貴・・・」

 

結局、その日の夜は色々と考え込んでしまい、一睡もできず、決勝戦当日の朝を迎えてしまった。

 


 

【 雷門 side 】

 

「よし!帝国学園に向かうぞ!!」

「えーと、監督・・・。吹雪がまだ来ていません」

「何をやっとるんだあいつは」

 

響監督が試合が行われるスタジアムにいくために号令をかけるが吹雪が来ていない。

 

「あいつが時間通りに来ないなんて珍しいな」

「でも、時間もそんなにあるわけじゃないですよ」

「私が迎えにいきましょう。みんなは先にいって試合をしてください。吹雪くんは必ず私がスタジアムまでお送りしますので」

「分かった!任せたぞ、夏未!」

「ええ!」

 

このまま吹雪のことを待っていても試合に間に合うかわからないため、電車で移動するつもりのなかった雷門が車で吹雪を迎えに行くということになった。

 

「ここが吹雪くんの家ね」

 

『 ピンポン~! 』

【は~い】

 

インターホンを鳴らすと女性の声が聞こえてくる。

 

「雷門中サッカー部の雷門といいますがアツヤくんはいらっしゃいますか?」

「アツヤくんなら試合があるからって一時間ぐらい前に出ましたけど・・・」

「そうですか・・・」

「どうかしたんですか?昨日から様子がおかしかったからちょっと心配だったのよね」

「ありがとうございます」

 

「出して!」

 

いつもなら遅刻をしないはずのアツヤが来ていないことになにかあったのではないかと懸念していた雷門は話を終え、車に乗ると目的地に向かうよう指示を出す。

 

「吹雪くん、あなたになにがあったというの?」

 




皆さんは年末年始どうお過ごしでしたか?
私はテレビを見ていたりとゆっくりしていました。
元旦のアーセナル戦を見ていたのですが、とてもいい試合でしたね!

では次の更新まで少々お待ちくださいヾ(≧▽≦*)o


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第十四話 約束

今回はかなり重要な話になっています!


〈十四話〉

 

【 雷門 side 】

 

 

「吹雪くん」

 

雷門は吹雪がいそうなところに車を走らせて河川敷の川の近くにいる吹雪を発見した。

 

「・・・・・」

 

アツヤは何も言わず、ぼーっと川を見つめていた。

この状態では何も聞くことはできないと思い、吹雪の隣に腰を下ろした。

 

そこから数分の沈黙があって、吹雪がポツポツと話し始めた。

 

「鬼道に昨日あって聞かされたんだ。俺が記憶を失った事件の原因が鬼道にあったと」

「そう」

 

「俺は幼いころ、雪崩事故で両親を亡くしたんだ。そこから、俺たち兄弟は東京にいる親戚のことで暮らしていた。そんな時に事故が俺の記憶を奪うことになった事故が起きた。試合の日の帰り道、二人で歩いていた俺たちに一台のトラックが突っ込んできた。幸いアニキのほうは軽い傷を負うだけで済んだが俺は一か月もの間目を覚まさず、起きたと思ったら記憶を失っていた。このことは後から警察の人から聞いたんだ」

 

「そうだったの・・・。でもそれが鬼道くんとどう関係があるっていうの?」

 

「当時、俺たち兄弟は鬼道が所属していたチームを圧倒できるほどの力を持っていた。そこで鬼道のコーチをしていた影山は俺たちが将来、鬼道の障害になると考え、あの事故を引き起こしたと鬼道は言ってきた。なぁ、雷門、俺はどうすればいい?どんな気持ちでサッカーをすればいいのか分かんねぇよ・・・」

 

吹雪は自分の過去をすべて話すと涙を浮かべながら夏未に問う。

 

「あなたが聞きたい答えとは違うかもしれないけど、私が言えることは『それでもサッカーをする』ということだと思うわ。だって、サッカーをしているあなたはとても楽しそうにプレーするから・・・。それとこれを預かってきたの」

 

雷門は懐からあるものを取りだす。

 

「これは?」

 

 

遡ること数分前・・・

 

 

"『それでは』

 『待ってください!これを!』

 

 車に乗り込もうとしていた雷門に女性はレコーダーを渡す。

 

 『アツヤくんに何かあったら渡して欲しいと彼の兄が残した物なんです!』

 『分かりました。必ず、届けます!』"

 

 

【 アツヤ side 】

 

「このレコーダーはあなたの兄、吹雪士郎さんがあなたにあてたものよ」

「あ、兄貴が俺のために・・・」

 

アツヤが雷門からレコーダーを受け取ると雷門は気を使って離れようとする。

 

「一緒に聞いてくれないか?」

「え、ええ。あなたがいいなら」

 

一人で聞くには勇気がないため雷門を引き留める。

 

 

《 アツヤ聞こえているかい?こうやって音声を残すのは初めてだから緊張するなぁー。

アツヤが眠りについてから二週間がたとうとしているよ。

 

あの時の約束を覚えているかい?・・・僕はあの時の夢のため海外にいくよ。この間の試合を見に来てくれたスカウトの人がぜひと言ってくれてね。だから、先にいくよ。

本当はアツヤが目覚めてからの方がいいに決まっている。でも心配はしていない、僕は信じているよ!アツヤと一緒にサッカーができる日が来るとね。なんだって、僕の弟だからね! 》

 

 

「......っ.....!!っアニ....キ!!オレっ!オレっ!やるよ!あの時の約束を果たすために!!」

 

久しぶりに聞いた士郎の声とその言葉に胸を打たれたアツヤは再びピッチに立つことを決意する。

 

「夏未!いこう!円堂たちの元に!」

「そういうと思ったわ!今から行っても後半には間に合うわ!急ぎましょう!」

 

アツヤと雷門が車に乗って河川敷を出発した頃、決勝戦が行われる帝国学園では両チームがアップを始めようとしていた。

 


 

〈 雷門イレブン side 〉

 

「結局来なかったっすね、吹雪さんと夏未さん」

「大丈夫だ!あいつらは必ず来る!俺たちは来ると信じて戦うんだ!!」

「へっ!吹雪が来る前に試合をおわらせてやるぜ!!」

「何を言ってるんですか、染岡さん!試合はすぐには終わりませんよ!」

「はぁあ?どう考えたって冗談に決まってるだろ!」

 

壁山が二人の不在を心配するが染岡や円堂はまったく不安にしている様子はない。

 

その後アップが終わり、挨拶のため一列に並ぶ両選手たち。

 

「今日はいい試合をしような!鬼道!」

「円堂。.................。頼む」

「分かった」

 

円堂は手を鬼道に差し出し握手を求める。そのときに鬼道は握手をしながら円堂の耳元で何かを囁く。

 

円堂は試合開始のためポジションに付こうとしていた仲間を呼び寄せて鬼道の言葉を共有する。敵である鬼道からの言葉を疑う人もいたが円堂の頼みということもあり、承諾する。

 

【 ピィー!! 】

 

両選手がポジションに付き、試合開始の笛がなった。

 

『 ガラン!!ドゴン!!!ドン!ドン!!! 』

 

次の瞬間目の前にありえない光景が広がる。なんと、試合開始の笛と同時に円堂たち雷門イレブンがスタンバイしているところに天井から鉄骨が降ってきたのだ。

 

「キャーー!!!」

「円堂くん!!みんな!!!」

 

あたりに観客の悲鳴やマネージャーたちの声が響きわたる。

 




やっといろんな機能についてわかってきましたので今までの話も手直ししようと思います。話の流れとかは変更しないので安心してください。後、吹雪士郎がどの国にいったのかのアンケートを取ろうと思っていますのでご協力お願いします!


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第十五話 帝国学園 前編

〈第十五話〉

 

グラウンドには土煙が舞っており選手たちがどうなっているかは確認できない。

 

「なんと雷門は無事です!!」

「よかった!!」

 

土煙がはれたグラウンドを見ると鉄骨が降ってきた付近には人はおらず、誰一人として怪我をしている人はいなかった。

 

“『円堂。試合が始まったらすぐに全員でできるだけ下がるんだ!頼む!』”

 

「鬼道に言われてなかったらと思うと・・・」

「助けられたな・・・」

「ああ。鬼道は・・・」

 

豪炎寺と話していた円堂は駆け出していく鬼道の姿と追いかける源田や佐久間の姿を見つける。

 

「俺たちも追いかけよう!」

 

円堂たちは鬼道を追っていくとある一室から声が聞こえてくる。

 

「これがあなたのやり方ですか!!??」

 

中に入ると鬼道が帝国の総帥に向かって怒鳴りつけるように話していた。

 

「何のことかね?私がやったという証拠は?」

 

言い逃れをしようとする影山であったが、そこに影山を追っていた刑事の鬼瓦が証拠を持ってやってくる。

 

「ここに鉄骨を緩めた弾みで落下してきたボルトとたった今捕まえたお前の部下という証言も取れた。もう言い逃れはできないぞ!今までの悪事も洗いざらい吐いてもらうからな!!」

「フッ・・・いいだろう。調べたところで何も出てきやしないがね」

 

鬼瓦に付き添ってきた刑事はと影山を連れて部屋を出ようとする。その際に鬼道と円堂の間を通ると影山は口を開く。

 

「そうだ。吹雪アツヤくんはどうかしたのかね?会場に来ていなかったみたいだが」

「なんだと!?ふざけたことを言うな!吹雪は必ず来る!」

「そうだといいがね。フフフ」

 

影山は笑いながら刑事に連れられて部屋を出ていく。

 

「すまなかった。こんなことが起こってまで俺たちに試合をする資格はない。俺たちの負けだ。吹雪の件も元はといえば俺が軽率な行動が原因だ」

「何言ってんだ!吹雪は俺たちのマネージャーが必ず連れて来るし、お前たちと戦えるのを楽しみにしてたんだ!」

「円堂・・・」

「鬼道!俺たちとサッカーやろうぜ!!」

「感謝する!!」

鬼道は申し訳なさから辞退を申し出るが、円堂の熱い言葉に説得されて試合を行うことになった。

 


 

先程のグラウンドは鉄骨があり、使用できないため、グラウンドの交換がされる。そして、改めて試合が開始されようとしていた。

 

「生まれ変わった帝国のサッカーを見せるぞ!!」

『おう!!』

 

「俺たちの雷門魂を全力でぶつけるんだ!!

『おう!!』

 

それぞれのキャプテンがチームを鼓舞する。

 

【 ピィー!! 】

 

そして試合開始の笛が鳴る。

 

雷門は今まで培ってきた技術と連携で攻めあがっていく。前回対戦した時よりも個々がレベルアップしたことにより、帝国はなかなかボールを奪うことができない。

 

「あの頃の俺たちとは違う!!」

 

 『 疾風ダッシュ 』

 

風丸はマークにきた選手を必殺技にまで昇華させた持ち前のスピードでかわす。

 

「決めろ!染岡!!」

 

風丸はマークをはがした染岡にラストパスを出す。

 

 『 ドラゴンクラッシュ 』

 

染岡のシュートは一直線にゴールに向かっていく。

 

 『 パワーシールド 』

 

キーパー源田は地面に拳をたたきつけると衝撃で生まれたバリアでシュートをはじき返す。

 

「まだだ!」

 

 『 ファイアートルネード 』

 

はじき返されたボールに豪炎寺は素早く反応し、ショートを放つ。

 

「無駄だ!!」

 

 『 パワーシールド 』

 

前回決められた豪炎寺のシュートにも油断はなく、きちんとはじき返す。

 

「何度打たれようとも俺のパワーシールドは破れん!!」

「くっ!!」

 

再度跳ね返されたボールを今度は帝国が拾う。帝国はキャプテンの鬼道にボールを渡し攻めてくる。鬼道は持ち前のテクニックでターンをしたり、ヒールリフトを決めたりと個人技でボールを運ぶ。

 

「寺門!」

 

ペナルティーエリア付近まで持ち込んだ鬼道は寺門にパスを通す。

 

 『 百列ショット 』

 

円堂はシュートに跳ね返そうと試みるが試合の前に影山に言われたことが脳裏によぎり、反応が鈍ってしまう。

 

 『 熱血パンチ 』

 

なんとかパンチングで反応しようとするが当てるだけで精一杯になり、相手にシュートチャンスを与えてしまう。

 

「くっ!」

 

今度はかろうじてファンブルしながらもボールを押さえる。

 

その後も源田によって雷門のシュートは難なく止められてしまう。それに対し、円堂が不調のため、ディフェンス陣が奮闘することにより攻撃を食い止めていく雷門。しかし、その均衡も鬼道によって破られる。円堂からのゴールキックをカットした鬼道が前線の二人と駆け出す。

 

「いくぞ!これがゴッドハンドを破るために編み出した俺たちの必殺技だ!!ピィー!」

 

鬼道が口笛を吹いてペンギンを呼び出し、前を走る佐久間と寺門に向かってシュートと言えるような力強いパスを出す。そして二人が同時にシュートを叩き込むと三人の力をのせたボールはペンギンと共にゴールに進んでいく。

 

 『 皇帝ペンギン2号 』

 

「止めてみせる!!」

 

 『 ゴッドハンド 』

 

円堂も手を出して止めようとする。しかし、ペンギンによって削られていく大きな手はシュートの勢いを殺すことができずにゴールに突き刺さる。

 

「ゴッドハンドが破られるなんて!!」

 

雷門イレブンは円堂がゴールを決められたことに衝撃を隠すことができない。

これまでの試合の中どんな時も絶対を誇ってきたゴッドハンドが初めて破られた瞬間だった。

 




それぞれのタイトルつけることにしました!


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第十六話 帝国学園 中編

〈第十六話〉

 

前半は先程の帝国学園の先制点以降スコアは動かず、終わる。

 

「円堂くん・・・」「キャプテン・・・」

 

ゴッドハンドが破られた影響で意気消沈してしまっている円堂を心配するチーム。

しかし、円堂はそんなことよりも頭を悩ませることがあった。それは影山から聞かされたことで鬼道と音無が兄弟であり、この試合に帝国が破れてしまった場合、共に暮らすことができなくなるということを。円堂の今日の不調は自分がどうしたらいいかわからなくなったからである。

 

【 よう!ずいぶん酷い有様じゃねぇか! 】

 

そんな雷門ベンチにある人物が声をかける。雷門と共にこちらに向かってきていたアツヤが到着したのだ。

 

「吹雪さん!!」「アツヤ!」

「遅くなった。それよりこの状態はなんだ?なぁ、円堂」

 

この雰囲気を作り出している円堂に問う。しかし、円堂は答えることができない。

 

「だいたい、今日のお前の動きは酷すぎる。何があったかは知らねぇが気持ちを切り替えろ。お前らもまだ一点だ。諦めるには早すぎるぜ!」

「わかってらー!」「はい!」

 

円堂に最低限必要なことを言い、チームを鼓舞する。時間的に気持ちを切りかえさせることしかできなかった。

 

後半が始まるにあたって、前半で走り続けていた松野と変わってアツヤが入る。

 

「吹雪・・・」

「何も言うな。俺なら大丈夫だ!」

 

ポジションにつこうとしていたアツヤに鬼道は昨日の謝罪をしようとするが、アツヤは止める。

 

「おまえたちに俺の覚悟を見せてやる!気を付けた方がいいぜ!!」

「望むところだ!」

 

【 ピィー 】

 

後半開始の笛が鳴る。

 

「まずは同点にしようか」

 

ボールを受け取ったアツヤはゴールに向かってドリブルを開始する。

 

「ここは通さんぞ!」

 

鬼道は試合の流れを見て、大事なポイントは吹雪を止めることだとわかっていた。

 

「いくぜ!」

 

二人の対決はこの日一番の盛り上がりをみせ、一進一退の攻防をみせる。このままでは突破できないと思ったアツヤは一度動きを止める。

 

「やるじゃねぇか、でもここまでだ!」

 

 『 フリージングアクセル 』

 

氷のステージを滑るようにスピードの乗ったドリブルに回転を加えて鬼道を突破する。

 

「決めろ!」

 

鬼道を突破したアツヤはさらに二人のディフェンスを引き付けた上でパスを出す。

 

 『 氷の矢 』

 

氷を纏わせたボールを足の裏で蹴りつけ、矢のようなスピードで染岡のもとに届ける。

 

「キレッキレじゃねぇか吹雪のやつ!!豪炎寺!」

「おう!」

 

 『 ドラゴントルネード 』

 

染岡のドラゴンクラッシュにファイアートルネードを合わせたシュートを叩き込む。

 

「何度来ても無駄なことだ!!」

 

 『 パワーシールド 』

 

「へっ!!そいつはどうかなー!!」

「なんだと!?」

 

アツヤはシュートが衝撃と瞬間を狙っていた。

 

 『 ホワイトインパクト 』

 

帝国学園に向かう途中、試合を車の中でみていたアツヤは源田の必殺技の弱点に気づいていた。パワーシールドは持続時間が短い上に直接での耐久率が低いということに。

そして、狙い通りアツヤのシュートはパワーシールドを破り、ゴールに突き刺さった。

 

「どうだ!!」

 

アツヤは拳を突き上げて、雄たけびを上げる。

 

「すまない、鬼道・・・」

「これぐらいやってもらわなきゃ、楽しくないからな」

 

鬼道はそう言いながらアツヤのことをみる。

 

試合再開後帝国はうまく雷門を躱しながらパスを鬼道まで繋ぐ。

 

「いくぞ!」

 

 『 デスゾーン 』

 

ボールはゴールに向かっていく。円堂は反応できない。しかし、土門とここまで戻ってきたアツヤが体を張ってブロックする。

 

「土門!吹雪!」

 

円堂は心配で駆け寄っていく。

 

「心配ねぇ」「大丈夫だ」

 

アツヤと土門はすぐに立ち上がる。

 

「円堂!」

 

 『 ファイアートルネード 』

 

「ぐわぁ!!」

 

豪炎寺は突如円堂に向かってシュートを放った。突然のことに円堂は吹き飛ばされる。

 

「俺のサッカーへの思いを込めたボールだ!」

 

豪炎寺は円堂に近づくと語り掛ける。

 

「グラウンドの外で何があったかは関係ない。ホイッスルが鳴ったら試合に集中しろ!」

「そうだぜ!こんな無様なサッカーをしに来たわけじゃねぇだろ!!立て!円堂守!!」

 

豪炎寺とアツヤはそれだけ言うとそれぞれのポジションに帰っていく。

 

「あそこまでしなくてもよかったんじゃねぇか?」

「今の円堂にはああして伝えたほうがいいと思ったからな」

「なるほどな」

 

アツヤと豪炎寺は戻りながら話す。

 

「とりあえず円堂はこれで大丈夫だとして、あと一点だ」

「ああ!この試合勝つぜ!」

 

お互いに気合を入れなおす。

 

帝国のフリーキックで鬼道にボールが渡る。

 

 『 ツインブースト 』

 

鬼道が上げたボールに佐久間がヘッドで落とし、鬼道がダイレクトシュートを叩き込む。

 

「はぁあ!!もう迷わない!俺のサッカーをぶつけるんだ!!!」

 

 『 爆裂パンチ 』

 

円堂は気合を入れ、シュートになんどもパンチングを繰り返し、跳ね返す。

 

「それでこそ円堂だ!!」

「いくぞ!みんな!!!」

 

円堂の復活が雷門を後押しする。後半も残りに十分となり、雷門と帝国の勝利を賭けた戦いは最終局面を迎えようとしていた。

 




帝国との試合が終わったら少しの間、投稿頻度が落ちます。試験があるため、学業を優先します。楽しみにしてくださっていた皆さん申し訳ございません!!!
追記 : 5000UA突破しました!!
ありがとうございますm(_ _)m
これからもよろしくお願いします!


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第十七話 帝国学園 後編

感想くれた皆様ありがとうございます!
とても励みになってます!


〈第十七話〉

 

「あと一点取るぞ、みんなー!!」

『おー!!』

 

円堂がはじいたボールを風丸が拾うとサイドを駆け上がる。

 

「円堂が守ったこのボールは渡さない!!!」

 

『 疾風ダッシュ 』

 

「少林!」

 

風丸は凄まじいスピードで奪いにきた敵を躱すと少林寺にパスを出す。

 

「俺だって!!」

 

『 竜巻旋風 』

 

「半田さん!」

 

ボールを足で捻って回転させて、地面に擦り付け、砂起こしでキープするとパスを繋ぐ。

そのパスは半田、染岡、アツヤ、豪炎寺へと繋がっていく。

 

「とめろぉ!!これ以上進ませるな!」

 

帝国も奪いにくるが円堂から始まったこの流れはそうそう切れるものではなくパスを繋がれてしまう。

 

「豪炎寺さん!」

 

ボールを持った豪炎寺にここまで上がってきた壁山が駆け寄る。

 

「いくぞ壁山!!」

 

豪炎寺は壁山の腹を使って、飛び上がり、イナズマ落としの態勢に入る。

 

「無駄だ!このゴールは割らせん!!」

 

源田もこのシュートに対抗しようと手にパワーを溜める。

 

「豪炎寺だけじゃないぞ!!」

 

なんとキーパーの円堂が壁山の背後から現れ、豪炎寺と共に飛んでツインシュートを放った。

 

『はああああああ!』

 

『 イナズマ一号落とし 』

 

源田は少しだけ動揺したがシュートに集中する。

 

『 フルパワーシールド 』

 

イナズマを纏ったシュートはシールドに当たると瞬く間に罅を入れ突き破った。

 

「やったぁ!」

 

雷門イレブンは歓声を上げる。

 

「まだだぁー!!俺たちは負けない!」

 

鬼道は円堂が上がってくるのを見て、戻ってきており源田の後ろに立ちシュートに足をぶつけて阻止しようとする。

 

「いや!勝つのは俺たちだ!!」

 

アツヤは『円堂たちが源田を破ること』『このままでは終わる鬼道ではないということ』の両方を信じて走りこんでいた。

 

『はあああああああ!!!!!』

 

鬼道とアツヤの足がボールを挟んで衝突する。

 

「いけっ!アツヤー!」「決まれー!!」「鬼道!」「キャプテン!」

 

衝突により、ゴール前には砂埃が舞う。次の瞬間、ボールは帝国ゴールに転がっていた。

 

「はぁはぁ・・・俺の勝ちだな!!」

 

二人の衝突は拮抗していたが、途中出場ということもあり、疲労が少なかったアツヤに軍配があがったのだった。

 

「やったぜー!!」「アツヤ!」

「まだ終わったわけじゃない!守り切って勝つぞ!」

『おう!!』

 

円堂は喜ぶには早すぎるため、チームの兜の緒を締める。

 

「俺たちもまだ諦めたわけじゃない!」

「一点取って延長だ!」

 

帝国も時間が残っている限り諦めない。

 

試合再開後鬼道は周りの味方の力を借りながら、雷門ゴールを目指す。

 

「ここで俺がとめる!」

 

アツヤは前線から戻ってきて守備をする。

 

「っ吹雪!勝つのは俺たちだー!」

 

『 イリュージョンボール 』

 

「なにっ!?」

 

鬼道はボールを持ったまま一回転をする。すると、地面にボールが付いた瞬間ボールが複数に見える現象が起き、真上を飛んでいくボールに気づかないアツヤは鬼道に抜かれてしまう。

 

「いくぞ!!円堂!!・・・・ピィー!」

 

『 皇帝ペンギン2号 』

 

鬼道は先程、点を決めて自信がある必殺技を放つ。

 

「円堂!」「キャプテン!」

 

「はあ!」

 

『 ゴッドハンド 』

 

二つのパワーは円堂が本調子に戻ったこともあり、拮抗する。しかし、次第にゴッドハンドは押されていき、罅が入っていく。

 

「っく!!ゴールは、ゴールは俺が守るんだぁあ!!!!」

 

このままではまずいと思った円堂は咄嗟にもう片方の手をボールに向けて、差し出す。すると、大きな手がもう一つ現れてシュートの威力を完全に抑え込んだ。

 

【 ピッピッピィー 】

 

そしてこの瞬間、試合終了の笛がなり勝者が決まった。

 

【なんと今日に至るまで王座を守り続けていた帝国学園破れる!!そして、勝者は雷門中!!】

 

実況が雷門中の勝利を伝えるとシュートを止めた円堂のところにイレブンが駆け寄ってくる。

 

「やったぜー!!俺たちの勝ちだ!!!」

『おー!!』

 

円堂の掛け声とともに全員が拳をあげる。

 

「円堂お前たちの勝ちだ!」

 

鬼道は円堂たちに近づいて勝利を称える。

 

「ありがとう!鬼道!お前たちの分まで全国で暴れてくるぜ!」

「?知らないのか?」

「へ?何が?」

「おいおいそんなこと知ってるもんかと思ってたぜ。大丈夫か俺たちのキャプテンは・・・」

「帝国は前回の優勝校として全国にも進むことができるんだ」

 

話を聞いていたアツヤと豪炎寺が説明する。

 

「えー!!?だったらもう一度帝国とできるんだな!?鬼道!」

「ああ。もう一度鍛え直してお前たちに挑む。今度は挑戦者としてな...」

「次は全国の舞台でもう一度やろう!」

 

円堂はそういうと手を差し出す。

 

「ふっ。ああ、もちろんだ!」

 

鬼道は自分も手を出すと二人は握手をし、再戦を誓う。

 

「今度は俺たちが勝つ!」

「負けないぜ!」

 

こうして、フットボールフロンティア地区大会は雷門中の勝利で幕を閉じた。そして、円堂たちの新たな戦いが始まる。

 




これにてフットボールフロンティア予選終了です。
感想や評価よろしくお願いします!
次回の投稿は未定です!すみません(≧﹏ ≦)


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第十八話 ご褒美?

お久しぶりです<(_ _)>
長い間お休みしてしまいすみませんでした!!
テストの方もひと段落したので再開しますので宜しくお願いします!
本当は0時に投稿したかったのですが設定をミスりました・・・悲しい(≧﹏ ≦)


〈第十八話〉

 

円堂たちが全国大会に向けて練習しているある日のこと。

 

 

〈 雷門 side 〉

 

 

みんな帝国に勝ったことでモチベーションが上がっている。その日の練習も練習時間が過ぎても続いていた。

 

「いいぞ、みんな!その調子だー!!」

 

「みんな頑張っているわね・・・」

「そうだ!私たちマネージャーから皆さんに何かしませんか?」

「いいわね・・それ!」

 

音無は頑張っているご褒美としてささやかなプレゼントを提案する。

 

「お腹が空く頃だと思いますしこれなんてどうでしょう?」

 

音無は両手で何かを丸める動作をする。

 

「ええ!やりましょう!・・・夏未さんも」

「な、何をやるのよ????」

 

雷門はお嬢様なので音無や木野が言っている意味が分からない。

 

 


 

 

マネージャーたちは部室にいき、エプロンをつけて準備をする。

 

「それじゃあ、やろっか!」

「はい!頑張ってるみなさんにおにぎりをつくりましょうー!」

「私料理なんてできないわよ!」

「一度やってみればできるようになるわ。こうやって、っと!」

 

木野は実際にお手本としておにぎりを握ってみせる。

 

「よ、よし!あつっ!」

「頑張ってください!夏未さん!」

 

音無に応援されながらなんとか作る夏未であったが大きいうえに形が崩れたものになってしまった。

 

「これじゃあ・・・」

「大丈夫!大事なのは握った人の気持ちよ!」

「そ、そうよね・・・えーっとこれに塩をかけるのよね?」

「まって夏未s・・・あー・・・」

 

木野は料理初心者ありがちなミスを起こしそうで止めようとしたが間に合わなかった。

 

「どうかしたの?」

「う、うんん・・・なんでもないの」

 

(あんなに笑顔の夏未さんを見たらダメなんて言えないわ・・・)

 

木野はあのおにぎりを食べる人に心の中で合掌するのだった。

 

 


 

 

〈 side out 〉

 

 

「みなさーんー!!いったん休憩にしましょー!!」

 

マネージャーたちが何かを持って帰ってくる。

 

「なんだなんだ・・・美味そうな、おにぎりだなー!!」

「食べていいでやんすかっ!?」

「ダメですよ!手を洗ってきてからじゃないと!」

 

ずっと練習漬けでお腹を空かしていたため、おにぎりにかぶりつこうとするが音無から待ったが掛かる。

 

「じゃあ、俺は先にもらうぜ~」

 

すでに手を洗ってきたアツヤは誰よりも一番におにぎりに手をかける。

 

「あー!ずるいっすよ!吹雪先輩!俺のも残しておいてくださいよ!」

 

他のメンバーは自分が自分がとぞくぞくと手洗いに走っていく。

 

「お~!一つだけずいぶん大きなのがあるな!も~らい!」

 

一人だけ先に食べだそうとした罰なのか例のおにぎりを手に取ってしまう。

 

「いただきまーす!ムシャ・・・・ッンぐ!?」

 

(なんだ!?しょっぱすぎだろ!!誰だまったく!)

 

「どう?吹雪くん?」

 

夏未は自信がないのか不安そうな顔で尋ねてくる。

 

(・・・言えねぇ!!まずいなんて、口が裂けても言えねぇ!!)

 

「う、うまかった・・・・」

「そう!それじゃあ、今度も腕によりをかけて作るわね!」

 

夏未は拳を作りながら張り切る。

 

(おいおい・・・それはまずいって!!)

 

「だ、だがな、おまえならもっとおいしくできるはずだ!だから、俺が手本を見せてやる!夏未。明日俺んちに来い!」

 

『なんだって―――!!??』

 

『夏未。明日俺んちに来い!』というところしか聞いていなかった、手洗い組は勘違いして騒ぎたてる。

 

「ん?なんだ・・・おまえらも来たいのか?」

 

何があったのかと問おうと思っていた一同だが家に行ってみたい欲が勝つ。

 

「聞きたいことはそうじゃないけど・・・俺も行きたいっす!!」

「俺もー!」

「んじゃ、明日の昼過ぎにでもこいよ。・・・さっ!これ食って、練習、練習!」

 

夏未が作ったおにぎりは一つだけであったため、他に被害者が出ることはなく腹いっぱいになった雷門イレブンは練習に力を入れるのであった。

 



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閑話
第十九話 出会い


レジェンドアルセウスやっていて投稿遅れましたでした!
このゲーム面白過ぎてヤバイ( •̀ ω •́ )✧


〈第十九話〉

 

翌日・・・

 

【 ピンポーン 】

 

今日は練習が休みだったため、円堂たちは事前に待ち合わせてアツヤの家に来ていた。

 

【 ガチャ 】

 

「よく来たな。上がっていいぞ」

 

インターホンを鳴らすと扉を開け、玄関からアツヤが出てくると招き入れる。

 

『お、お邪魔しま~す』

 

サッカーばかりしてきた影響か緊張しながら入っていく一同。

 

「いらっしゃい!今日は来てくださってありがとう。ゆっくりしていってね!」

「こちらこそ、呼んでいただきありがとうございます!」

 

家に入るとアツヤの養母である千秋が円堂たちを迎える。

 

「荷物はこっちに置いてくれ」

 

アツヤは自分の部屋を指さしながら指示を出す。

 

「夏未は夕飯の支度をするから一緒に来てくれ。円堂たちは自由にしてくれていいからよ」

「ええ」

 

アツヤと夏未は支度をするため部屋を出ていく。

 

 

〈 side 部屋に居残り組 〉

 

「ここが吹雪さんの部屋。広い部屋っすねー!」

「なんか新鮮ですね。ここのところサッカーしかして来なかったから・・・」

 

一年生たちは部屋の中を見て回る。

 

「そういえば、風丸さんとキャプテンは吹雪さんとは幼馴染なんでしたっけ?」

 

音無は家が隣だという風丸に尋ねる。

 

「幼馴染っていうほどではないが、あいつがここに来た頃からの仲だな」

「アツヤが引っ越してきた日のことは今でも覚えてるぜ!すっげーサッカーがうまかったからな」

「?????」

「どういう意味でやんすか?」

 

円堂の言った意味がよくわからないのでハテナを浮かべる。

 

「フフ、せっかくだから、昔の話をしようか」

 

風丸はアツヤとの出会いを邂逅する。

 

 


 

 

 

「聞いたか!風丸!今日引っ越してきたやつ、サッカーがすげーうまいんだってさ!」

 

円堂は風丸の家に来ると、勢いよく話し出す。

 

「お、落ち着けよ円堂」

「行ってみようぜ!風丸」

「はぁ~。サッカーのことになると止まらないんだから・・・。しかたないなぁ」

 

二人は隣の家に訪れると中から千秋さんが出てくる。

 

「あら!どうしたの?」

「隣に住んでいる風丸一朗太と言います」

「俺は円堂守・・・です!」

「こんにちは。ごめんなさいねぇ。挨拶にいこうと思っていたところなの」

「おばさん!サッカーがうまい人がいるって聞いてきたんだけど!」

 

早く会いたい円堂は世間話もそこそこにここに来た要件を伝える。

 

「ちょっ!?円堂!すみません突然・・・」

「そういうことだったの!・・・二人ならここに来る途中でみた河川敷のグラウンドにいったわ」

「ありがとう!おばさん!風丸、行こう!」

 

話を聞くや否や円堂は河川敷に走り出す。

 

「待てよ円堂!ありがとうございました!」

「気を付けていくのよー!!・・・そんなにおばさんに見えるかしら?」

 

風丸も円堂に置いて行かれないように追いかける。

 

円堂と風丸が河川敷に急いで来ると二人の子供が大人を相手に戦っていた。

 

「こっちだ!アニキ!」

「決めろ!アツヤ!」

「はぁああ!」

 

その少年たちは相手が複数人であるのにも関わらず、圧倒していた。テクニックやシュートはすでに小学生の域を超えており、何よりも目を引くのは二人のコンビネーションである。

 

「今日はありがとうございました!」

「また、やろうぜ!」

 

円堂が二人のプレーに見とれていると、終わったのか挨拶をしていた。

 

「おーい!・・・おまえらめちゃくちゃうまいな!」

「誰だおまえ?」

 

突然話しかけられたアツヤは不審な顔で円堂を見つめる。

「自己紹介がまだだったな!俺は円堂守!」

「ふふっ・・・君は元気だね。僕は吹雪士郎。こっちは弟のアツヤさ」

「隣に住んでいる風丸一朗太だ。よろしく!」

 

お互いが自己紹介をすると話題はサッカーの話になる。

 

「君たちもサッカーやるのかい?」

「ああ!もちろんだ!」

「俺は円堂に付き合わされて少しだけ・・・」

「だったらやろうぜ!」

 

アツヤはボールを蹴ろうと提案する。

 

「ああ!やろう!」

 

パス回しをしながら自分たちのことを話す。吹雪兄弟がどうして北海道から引っ越してきたのか、どのようなプレイヤーなのか。

 

「円堂っ!俺たちはっ!今度サッカーチームに入ろうと思ってる!お前も一緒にやらないか?」

「いやっ!最初に入るチームはもう決めてるんだ!中学生になったら雷門中のサッカー部に入る。じいちゃんがいたところでサッカーしたいんだ!」

「へっ!いいじゃねぇか、それ!」

 

それからもシュート対決をしたり、ドリブル練習をしているとあっという間に夕日が沈む時間になってしまった。

 

「今日はここまでにしよう」

 

士郎が練習を切り上げると夕日を背に帰り道を歩き出す。

 

「俺たちはいずれ日本代表になって世界一になる!風丸は陸上で。俺たちはサッカーで世界一になろうぜ!今日お前らに会えてよかった!」

「僕も久々に君みたいな熱いプレイヤーとサッカーできて楽しかったよ!」

「ああ!俺もだ!またやろう!」

「俺は陸上で頑張る。だけど、みんなの応援に行くからな!」

 

その日は吹雪兄弟と円堂、風丸にとって未来に繋ぐ大切な出会いとなるのだった。

 



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第二十話 完成

遅くなってしまい申し訳ございません!!
忙しくなかなか執筆が進まなくてこんなに遅くなってしまいました。
いつもより少しだけ長くなっています。



〈第二十話〉

 

 

風丸たちが部屋でアツヤとの出会いを話しているころ、アツヤたちは・・・・。

 

「さぁ、やろうぜ!」

「ええ」

 

アツヤと夏未はエプロンをつけて料理の支度を開始していた。

 

「今日の献立は唐揚げとポテトサラダとみそ汁だ。・・・夏未はまずこのジャガイモを剥いてくれ」

 

アツヤはジャガイモを何個かと包丁は使ったことがないと思ったのでピーラーを手渡す。そして、自分も一個、手に取ると夏未に見せながら教える。

 

「いいか、こうやって刃の部分をジャガイモに当ててまっすぐ下に下ろしていくんだ。目の部分は俺がとるから渡してくれればいい。ゆっくりでいいぞ」

「こ、こうかしら?」

 

夏未はゆっくりとだが確実に剥くことに成功していく。

 

「へぇ~!想像していたよりもできるじゃねぇか・・・」

「これぐらいならできて当然です!」

「それじゃあ、こっちも始めますかねー!」

 

アツヤは冷蔵庫から豆腐と油揚げ、わかめ、ネギを取り出すと、みそ汁を作り始める。その手さばきは一般的な主婦と同じくらい良く、夏未が皮を剥いている間にどんどん進む。次第に味噌汁の匂いが隣で作業している夏未の方まで漂っていく。

 

「すごく慣れているのね・・・。普段から料理をするのかしら?」

「ああ。うちではできるだけ俺が料理を作ってんだ・・・よし!できた!飲んでみてくれ」

 

味噌を最後に入れて味を整えると味見をし、できているかの確認をする。そして、夏未にも味見をしてもらい、感想を聞く。

 

「おいしい!私の家でもこんな味の飲んだことないわ!!」

 

夏未は顔に満面の笑顔を浮かべて、その味を堪能する。

 

「へっ!それはよかったぜ」

 

その評価にアツヤはあまり褒められたことがないため、満更でもない顔をする。

 

それからも料理は続き、先ほど夏未が剝いていたジャガイモを蒸して、やわらかくして潰していく。そして、きゅうりやにんじん、ハムを加えて、味を整えるとあっという間にポテトサラダが完成する。二人は協力してどんどんと進めていき、唐揚げの作業に取り掛かるところまできた。

 

「夏未はこの肉に片栗粉をまぶしてくれ」

 

アツヤは冷蔵庫から事前に漬け込んであった肉を取り出す。

 

「昨日、事前にニンニクと醤油で漬け込んでおいたからうまいと思うぜ。少し量が多い気がするが・・・」

「大丈夫よ。彼らならペロリと食べてしまうと思うわ・・・・このくらいでいいかしら?」

 

夏未は片栗粉をまぶした肉を見せる。

 

「いや・・・もう少しこうやって・・・」

 

アツヤは夏未の手の平にある肉に片栗粉をかけながら、まぶしていく。

途中、手と手が触れあって、夏未は少し動揺するが、アツヤは気づかずに進める。

 

「よし!こんなもんだろ!じゃあ、揚げるぜ!・・・?なんかあったか?」

 

夏未が動揺しているのに気づくがなんでそうなっているのか、疑問を浮かべる。

 

「べ、べつになんでもないわ!」

「そうか・・・」

 

アツヤは気にしないで、唐揚げを揚げ始める。次第に部屋中に唐揚げのいい匂いが漂っていく。

そんなところ二人に養母である千秋が話しかけてくる。

 

「皆さんには感謝しているのよ。今までアツヤがこんなに毎日楽しそうにしているのは士郎がいるときだけだったから・・・」

「いいえ。私たちは何もしてませんよ」

「それでも、事故の後からあまり感情を表に出さなくなってしまったから心配していたの・・・」

「アツヤくんは自分で前に進むことを決めたのです。だからこれからも大丈夫です!」

「みんなを呼んでくる・・・」

 

アツヤは黙々と揚げていたがその場に居づらくなったため、早々に揚げ終えて、皆を呼びに行ってしまう。この行動をとったアツヤの心境を悟り、二人は『フフッ』と小さく笑い合う。

 

「ありがとう、雷門さん。これからもアツヤのことよろしくお願いしますね!」

「はい!任せてください!」

 

台所から逃げてきたアツヤは自分の部屋の前に来る。すると、中から風丸と円堂が俺たちとの出会いについて話している声が聞こえてくる。

 

 


 

 

〈 部屋に居残り組 〉

 

 

「そこから、俺たちは毎日一緒に遊んだし、アツヤたちの試合には応援にいったりして楽しい時間を過ごしていたんだ」

「あのときは時間があっという間だったなー!毎日が楽しかった!」

 

円堂も風丸と同じ気持ちなのか昔を回想しながら懐かしむ。

 

「あのときの事故も俺たちは目の前で見ていたんだ・・・・」

「そ、それじゃあ、吹雪さんのお兄さんがここにいないのは・・・」

 

話を聞いていて、疑問に思っていたのか壁山は吹雪の兄について聞いてくる。

 

「いや。吹雪の兄である士郎は今、海外でプレイしているよ。アツヤと同じ夢のためにな!」

 

【 トントン 】

 

 

〈 side out 〉

 

 

「話は終わったかー?ご飯の用意ができたぞ」

 

話をしていると、部屋をノックする音が聞こえてくる。すると、扉が開き、アツヤが料理の完成を知らせてくる。なので、一旦、話を切り上げて全員が料理のあるリビングに向かう。リビングの扉を開けると部屋にはいい匂いが漂っており、お皿には多くの料理が並べられている。恐らくアツヤがみんなを呼びに行っている間に千秋と夏未が準備しておいてくれたのだろう。

 

「ありがとな、準備しておいてくれて・・・」

「全然大丈夫よ。あなたが一番頑張ってくれていたしね」

 

途中で投げ出してしまったため、申し訳なさそうにする。

 

 


 

 

それぞれが席に着いて手を合わせる。

 

『『 いただきます!! 』

 

「うまいっすー!!」

「この唐揚げもニンニクが効いててめっちゃうまいぞ!」

 

流石サッカー部、用意した唐揚げやポテトサラダ、ご飯がみるみる減っていく。アツヤの懸念も心配はなく、一安心である。

 

「そんなにうまそうに食ってくれるなら作ったかいがあったってもんだ。夏未も手伝ってくれてありがとな・・・」

「こちらこそ、料理を教えてくれてありがとう!」

「また、来てくれ・・・」

「ええ!喜んで!次は私が料理をふるまって差し上げますわ!」

「!?ふふっ!楽しみにしてるさ!」

 

「前から思っていましたけど、二人とも仲いいですよね!!」

 

音無や木野、周りからみると二人の行動はとても甘ったるく映っていたことだろう。

 

「美味しい料理もたくさん食べたし、明日から全国に向けてもっともっと頑張ろうぜ!」

『おう(はい)!!』

 

アツヤの美味しい料理を食べたことで英気を英気を養った雷門イレブンはより一層練習に向けてモチベーションを上げるのだった。

 

「でも、もう少しだけ・・・・」

「おい!円堂・・・」

 

 

 




後、一話で全国大会に進むことができますので楽しみにしていてください。また、士郎の移籍した国を次回の話で使いたいと思っているので短い期間になりますがアンケートの方にご協力お願いします<(_ _)>


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第二十一話 突然の再開

短い期間でありながらたくさんの投票ありがとうございました!投票結果を取り入れて執筆していきたいと思います。
今回は少し短いですがご了承ください。



〈第二十一話〉

 

全国大会出場を決めたアツヤは北海道にやってきていた。

 

「さむっ!東京とは大違いだな・・・。すみませんー!」

 

アツヤはタクシーに乗り込むとタクシーは目的地まで走り出す。窓から見える風景は雪が積もっており、東京ではなかなか見ることはない。車に揺られること数分、目的に着いたのかタクシーは停止する。

 

「ありがとうございました!」

 

タクシーから降りると今回の北海道にきた目的である場所へと歩いていく。

 

 

「遅れてすまなかったな、母さん、父さん・・・」

 

アツヤは昔自分が住んでいた近くにある吹雪と書かれた両親の墓の前にきた。

 

「東京に行ってからいろんなことがあったんだ。楽しいことだけじゃなくて、何度も挫けそうにもなった。でも・・・あいつらに・・・雷門のやつらに出会って俺の人生は変わった。暗かった人生に光が差し込んだんだ!あいつらとなら何処までも行ける気がするんだ!!見ていてくれ!父さん!母さん!」

 

アツヤは両親に手を合わせると決意を語りかける。他にも円堂のことやこの間、アツヤの家にみんながきたこと様々なことを話した。

 

「また、来るよ」

 

時間にして10分程であったが中々訪れることはないアツヤにとってとても濃厚な時間であった。

 

【 ザッ 】

 

アツヤが帰ろうと振り返るとこちらに手をあげて近づいてくる人物を見つける。

 

「なっ!?あ、アニキ!!」

「やぁ、久しぶりだね、アツヤ!まさか、来ているとは思わなかったよ!」

 

白い髪で爽やかなルックスをしている人物はアツヤの目の前にくると顔を微笑ます。この人物はアツヤの双子の兄であり、イタリアでプレイする吹雪士郎である。

 

「ど、どうして日本にいるんだよ!?イタリアにいるんじゃなかったのか!?」

「父さんと母さんに会いにきたからさ。向こうに行っても毎年この日には日本に帰ってきて墓参りをしているんだ」

 

士郎はどんなときも必ず両親の命日であるこの日にはここを訪れている。この場所にくれば、心が落ち着くからである。

 

「へぇ~・・・だったら、俺にも顔を見せてくれればよかったじゃねぇかよ」

「・・・行けなかったんだ。海外で全然自分の思うようにプレイ出来なくて、アツヤに合わせる顔がなかったんだ」

 

吹雪はイタリアに留学した当初、全力でサッカーに打ち込んでいたが日本と世界との壁は大きくスタメンに入ることもできず、あまり活躍することができなかった。

 

「でも、千秋さんからアツヤが前に進み出したと聞いて、僕もこのままじゃダメだと思ったんだ。だから、必死に努力して・・・最近はスタメンでも使って貰えることも増えてきたんだ」

 

士郎は日本ではディフェンダーしかやってきていなかったがそれだけでは物足りない。そこでポジションを一列上げ、DMF(ボランチ)でディフェンスとパサーの2つの役割を担うことを士郎は選んだ。ポジション変更は慣れるのに大変な苦労を必要する。しかし、チームメイトや監督、持ち前の努力でなんとか適応することができるようになった。

 

「それでこそアニキだ!俺も今度全国大会があるんだ。そこで活躍して、必ずアニキのいるとこまで追いついてみせる!」

「うん!待っているよ。必ず世界の舞台に一緒に立とう!」

 

数年ぶりの兄弟の再会はこれからの未来に繋ぐ分岐点になる。

 

その後、二人は別れを惜しみながら新たに決意を胸に秘め、それぞれの道に帰って行ったのであった。

 




次回から全国大会編に入っていきます!
今後ともよろしくお願いします。


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