転生したらシャドウだったので原作で活躍したいと思います (OKNU)
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プロローグ

ハーメルン初投稿です。
システムにまだ慣れてないので変な部分があったらどんどん指摘してください。修正します。


 突然だが、皆さんは異世界転生という言葉を知っているだろうか?

 文字通り、死後に別の世界に生まれ変わるという意味の言葉である。

 と言っても、これはあくまで漫画やラノベで使われる言葉で、現実に起こることは有り得ない───そう思っていた。

 

 

 単刀直入に言おう。

 俺はかの超次元サッカーRPG【イナズマイレブン】の世界に、【闇野カゲト】、通称シャドウとして転生していた。

 

「・・・なんで?」

 

 前世の記憶が戻った時、最初に思ったことはそれだった。

 別に俺はイナズマイレブンが嫌いなわけでも、シャドウが嫌いなわけでもない。むしろ、イナズマイレブンは無印の第1話からGOの最終回まで録画した上でリアタイ視聴するほど好きだった。

 シャドウに関しても、必殺技のダークトルネードはカッコいいと思ってたし、シャドウ自身の厨二的なキャラも好きだった。

 

 じゃあ何が不満なのか。それはシャドウのアニメでの不遇っぷりである。

 アニメでは、シャドウの初登場はエイリア編の真・帝国学園戦後に、御影専農のキャプテン【杉森武】と練習に励んでいる時だった。

 その後、雷門がイプシロンとの再戦のため大阪に向かおうとした時には、自分には実力が足りないという理由で稲妻町に残ったのだが、次に登場した時にはなぜか杉森と共に闇堕ちしていて、ダークエンペラーズの一員として雷門の敵となっていた。

 

 その後の世界編でも、日本代表の候補に選ばれたはいいが、必殺技を当時は素人だった飛鷹に防がれ落選。

 無印最終回でも真ダークトルネードを放ったが円堂に止められ、結局最後までイマイチ活躍出来ずに終わってしまった。

 

 まぁ、それでも試合に出れば一発は必殺技を撃てたので、まだ他の不遇組よりはマシだったのかもしれない。

 

 それはさておき、今の俺は中学2年生。原作では円堂も同じく2年生だったので、そろそろ物語が始まる頃だ。

 せっかくこの世界に生まれ変わったのだから、原作に関わって円堂たちと共に『サッカーやろうぜ!』と思ったのだが、ここでもう二つ問題があることを思い出した。

 一つ目は、シャドウは初登場時、転校生として雷門に来ていたのだが、転校した理由が『エイリア学園に学校を壊されたから』というものだったこと。そして二つ目は、俺が前世の記憶を取り戻したのが中学生になってサッカー部に入部した頃だったということ。

 

 早い話、今の俺は雷門中にはいないのだ。そしてこのまま行くと、学校を壊されたのちダークエンペラーズへの闇堕ちルートまっしぐらという、かなりヤバい状況に陥っていた。

 

 雷門に行くのが遅くなるのはまだ良かった。円堂たちとサッカー出来ることに変わりはないから。俺が絶対に避けたかったのは、闇堕ちしてダークエンペラーズのピチピチユニフォームを着て試合しているのを、研崎によって全国放送されることだった。

 だからこそ記憶が戻ってからは、何かの間違いで雷門に転校することにならないかと思いながら毎日を過ごしてきたのだが、そんな都合の良いことは起きずに、中学2年目の生活を送っていた。

 

 

 父親からこの言葉を聞くまでは。

 

 

「カゲト、2年生になったばかりの時にすまないんだが、来月から仕事の都合で稲妻町って所に行かなくてはならなくなった。家族で引っ越すか単身赴任で俺だけ行くか迷ってるんだが・・・お前はどうしたい?」

 

 これを聞いた時、俺は全力でガッツポーズしそうになる自分の感情を抑え、「一緒に行く」とだけ答えた。

 そして、父親が部屋から出てリビングに戻ったのを確認してから、無言のガッツポーズを決めた。

 

 

 

 

 

「・・・待ってろ雷門、そして円堂。絶対に・・・サッカーやろうぜ」




次回、シャドウが雷門に加入します。
なお、タグを見れば分かると思いますが、本編の初戦は御影専農にしようと思っています。理由としては、野生中戦で豪炎寺と染岡以外のFWがいると、壁山がイナズマ落としを覚えようとしないのではないかと思ったからです。


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FF編
雷門に来た!


最初第三者視点です。


 雷門中。

 これといった特色もない、どこにでもあるような普通の中学校。

 そのサッカー部の部室は、今日も部員たちで賑わっていた。

 

「よぉーし!今日もまた、イナビカリ修練場で特訓だ!!」

 

 そう言うのは、サッカー部キャプテン、円堂守。

 彼らは今、FF地区大会二回戦、御影専農との試合に向け、練習の日々を送っていた。

 そして今日も、40年前の伝説のイナズマイレブンが残した特訓施設【イナビカリ修練場】に向かうために円堂が部室を出ようした時、外から扉が開けられ、そこには一人の中年男性が立っていた。

 

「あれ、冬海先生?どうしたんですか?」

「新しい入部希望者が来たので、ひとまず部室まで案内してきたところです。なんでも転入生とのことで。ほら、こちらですよ」

 

 冬海と呼ばれた男がそう言うと、その後ろから、どこか暗い雰囲気を漂わせる一人の男子生徒が姿を現した。

 その生徒が部室に入ると、冬海はお役御免とばかりに立ち去っていった。

 残った部員の何人かはその生徒を見て反応を示したが、円堂が真っ先に声をかけた。

 

「俺、サッカー部キャプテンの円堂守!君は?」

「・・・闇野カゲト。前の学校では【シャドウ】と呼ばれていた。よろしく頼む」

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 ついに雷門サッカー部にやって来た。

 両親からは「サッカーやるなら帝国学園の方が良いんじゃないか?」とも言われたが、俺の決心は固かった。

 もちろん、雷門に行きたいというのも本心だが、それ以上に帝国に行って世宇子にフルボッコにされるのを避けたいという思いもあった。

 流石にそのことを馬鹿正直に話すわけにはいかないので、「練習試合とはいえ帝国に勝ったという噂を聞いた」という理由で、両親には納得してもらった。

 

 それはさておき、顧問である冬海に連れられて部室に来た俺だったが、自分から名乗る前に円堂に話しかけられたのでそれに答えると、円堂は眩しさすら感じるほどの笑顔を浮かべながら

 

「そっか。よろしくな、シャドウ!」

 

 と返してきた。

 うん、良い奴。分かってはいたが良い奴。円堂教なんて言葉が作られるのにも納得だ。

 それこそ全ての人間が円堂になったら世界は平和に・・・ならないな。皆サッカーの事しか考えないから世界秩序はむしろ崩壊するだろう。

 

 その後、他のメンバーとも互いに簡単な自己紹介を済ませると、円堂が皆を先導するように部室の外に出た。

 

「よし皆!新しい仲間も増えたことだし、今日も練習、張り切っていこうぜ!!」

『おう!!』

 

 そう言うと、円堂たちは部室を後にしてグラウンドとは違う方向へ走り出した。ひとまず俺も後ろからついていくと、俺の前にいた背番号13番の土門が、顔だけ後ろに向けながら声をかけてきた。

 

「よっ、新入生くん。俺、土門飛鳥。よろしくな!・・・それにしてもお前も大変だな。入部して最初の練習がアレだなんてよ」

 

 『アレ』とはイナビカリ修練場のことだろう。よく見ると土門以外にも、若干嫌そうな顔をしている者が何人かいた。

 だが俺は、これからやる特訓が後で実を結ぶということをあらかじめ知っている分、楽しみでもあった。

 それに稲妻町に行くことになってからは、イナビカリ修練場での特訓にも耐えられるように体を鍛えてきたので、どんなにキツくても問題ない・・・・・・つもりだったのだが。

 

 

 

 

「死、死ぬ・・・・・・」

 

 特訓を終えた後、俺はボロボロの状態で地面に横たわっていた。

 アニメで見たここでの特訓はまだまだ序の口であり、自分の認識が甘かったということを身をもって思い知らされた。

 その後、なんとか立ち上がり、修練場から出ようとした時、土門が「二度とごめんだって言ったのに・・・」と呟いたのが聞こえた。

 そう言いながらちゃんと参加したり、俺に対して「大変だな」と言ってくれるあたり、やっぱり根は良い奴なんだなと思った。冬海はコイツの爪の垢を煎じて飲むべきだな・・・手遅れかもしれないが。

 

 

 

 

 こうして、イナビカリ修練場での過酷な特訓の日々を乗り越えた俺たち雷門イレブンは、御影専農との試合当日を迎えるのだった。




次回、ようやく試合します。
あと、前後半で話を分けるか、一話で書き切るか迷ってるのでアンケート出します。
ご協力よろしくお願いします。


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恐怖のサッカーサイボーグ

皆さん、早速ですが申し訳ございません。
前回のアンケート、投稿時は「前後半を一話で書き切る」の方が多かったのですが、「前後半分ける」の方が多かった時に話の展開がまとまってしまったせいで、今回、前半しか書いてません。
今後は迂闊にアンケートを出さないように気をつけていこうと思います。


『さぁ、FF予選二回戦の開始です!』

 

 ついにやってきた御影専農との試合。(自称)実況の角馬圭太の良い声が御影グラウンドに響き渡る。

 俺は雷門での初試合の相手が、アニメでシャドウが初登場した時の練習相手だった杉森のいるチームであることに、運命的なものを感じていた。

 そんな俺は今、背番号17のユニフォームを着て、影野や目金、マネージャー達、ついでに冬海先生と共にベンチにいる。まぁ、野生中戦で土門がベンチスタートだったのと同じだと思ってもらえばいい。

 ただ、なぜこの試合からレギュラーになった土門の代わりに影野が控えになったのか、正直俺は納得していない。それこそ栗松で良かったんじゃないだろうかと思っている。

 …栗松、帰国…じゃなくてベンチ入りの準備をしろ。

 そんなことを考えていると、キックオフの笛が鳴った。

 

 

FW   豪炎寺 染岡 

MF 半田       宍戸

     少林 マックス

DF 風丸       栗松

     壁山 土門

GK     円堂

 

 

 先攻は雷門から。豪炎寺からパスを受けた染岡を筆頭に、雷門イレブンが御影陣内に攻め込んでいく。

 

「ディフェンスフォーメーション・ガンマ3、発動!」

 

 杉森の号令と共に、御影の選手が一斉に動き出す。

 その直後、染岡からパスを受けた豪炎寺が前を向くと、既に大量の選手が立ち塞がっていた。

 だが、一人を複数人でマークすれば、必然的に他の誰かはフリーになる。案の定ノーマークとなった染岡に、豪炎寺はボールを戻す。

 

ドラゴンクラッシュ!」

 

 染岡が渾身の必殺シュートを放つ。

 しかし、いつのまにかシュートコースに入っていた四人の選手が、少しずつ威力を削ぎ落としていく。そして、もはやシュートではなくなったボールを、杉森が楽々キャッチする。

 

『凄いぞキーパー杉森!ナイスセーブで、開始早々のピンチを凌いだァ!』

「やりますねぇ。あの杉森から得点するのはかなり難しいですよ」

 

 目金がクイッと眼鏡を正しながらそう言う。

 確かに杉森も凄いが、その指示を正確に実行している他の選手も同様にハイレベルだ。サッカーサイボーグの呼び名は伊達ではない。

 

 杉森からボールが前線に送られ、今度は御影が攻め上がる。

 一度は風丸がボールを奪ったものの、そのパスを受けた宍戸がすぐにボールを奪い返され、ゴール前まで攻め込まれる。

 

『ああっと!?下鶴の逆サイドに山岸が走り込んで来ている!』

 

 雷門ディフェンスの逆をつき、フリーとなった山岸がゴールの左上スミにシュートを放つ。これは円堂がダイビングキャッチして防いだ。

 そして円堂から風丸、風丸から豪炎寺へとパスが繋がり、一気にシュートレンジまで切り込む。

 今頃、杉森には『ファイアトルネードの確率、99.83%』という指示が送られているのだろう。残りの0.17%が一体何なのかは不明だが。

 

ファイアトルネード!」

シュートポケット!…くっ!」

 

 炎を纏ったボールが御影ゴールに迫る。

 ボールは杉森が展開した空気の壁に威力をほとんど殺され、かろうじてそれを突破するが、杉森に弾かれた。しかし、そのこぼれ球を拾ったのは染岡だった。

 

「まだだ!豪炎寺、行くぞ!ドラゴン…!」

トルネード!!」

シュートポケットォ!…ぬおっ!」

 

 炎を纏った竜がボールと共に突撃し、今度は空気の壁を突き破る。

 杉森は体でボールを受け止めるが、勢いは止まらず、ボールはさっきよりも高く弾かれる。

 

「豪炎寺さん!」

 

 ここで壁山が攻撃参加。

 それを見た豪炎寺はゴールに背を向けて走り出し、壁山と同時にジャンプ。そして、壁山の腹を踏み台にさらに高く跳び、オーバーヘッドの体勢に入る。

 

イナズマ落とし!」

ロケットこぶし!!」

 

 落雷の如きシュートが御影ゴールを襲うも、杉森のもう一つの必殺技によって三度(みたび)弾かれる。

 ボールは先程よりも遠くまで飛ばされ、御影の選手に拾われた。

 

 御影のカウンター。

 壁山がイナズマ落としのために前線に上がったことでマークが追いつかず、再び山岸がフリーとなった。

 円堂はゴールを守ろうとするが、山岸がしたのはシュートではなく、逆サイドでフリーになっていた下鶴へのパス。

 そのまま下鶴がダイレクトでシュートを放つ。

 

熱血パンチ!」

 

 円堂がかろうじてボールを弾く。しかし、その先に既に走り込んでいた山岸がダイビングヘッドでボールをゴールに押し込んだ。

 

「ど、どうしましょう木野先輩!先制点取られちゃいましたよ!」

「大丈夫よ。みんなの動きは悪くないし、きっと追いつけるわ」

「…奴らに、まともに勝負する気があればの話だがな」

『え?』

 

 俺の言葉に、冬海以外のベンチにいた全員が首を傾げる。

 俺がコートを見るよう促した時には、既にそれは始まっていた。

 

「シャドウくん、これってまさか…!」

「ああ。奴らはこのまま、一点のリードを守って逃げ切るつもりだ」

 

 真っ先に気付いたらしい木野が声をあげる。

 御影はボールを奪ってから全く攻めようとせず、ひたすらパスを回し続ける。

 ボールを奪おうにも、御影の選手が壁のように立ちはだかり、近付くことすら出来ない。最終的にはキーパーの杉森の元までボールが送られた。

 アニメの通りに進めば、前半はこのまま0-1で終わる。

 

 

 ……そう思い込んでしまっていたが故に、気付けなかった。

 ボールを奪うために全員が前線を上げたことで雷門陣内に生まれたスペースに、御影の選手が一人走り込んでいることに。

 

「ッ!?円堂、逆サイドを見ろ!下鶴がフリーだ!!」

「何!?」

 

 思わずベンチから立ち上がって叫んだが、気付くのが遅すぎた。杉森からのパントキックをトラップした下鶴は、そのままシュート体勢に入る。

 

ファイアトルネード!!」

「しまった!…くそぉッ!!」

 

 下鶴のシュートに円堂は必死に飛びつくが惜しくも届かず、ボールは雷門ゴールに突き刺さった。

 

『ゴォール!!豪炎寺のお株を奪う下鶴のファイアトルネードで、御影が雷門を突き放したァ!!』

 

 0-2。まさしく痛恨の失点というやつだろう。ゴールを割られた円堂も、悔しさの余り地面を殴りつけていた。

 

 そしてここで、前半終了のホイッスルが鳴り響いた。




次回後半戦。シャドウ出ます。


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初陣

遅くなってすみません…!
出来れば2月中には投稿したかったんですが、色々忙しくて遅くなってしまいました…!!
こんな亀更新ですが、これからも頑張っていきます!

あと、今作のシャドウのキャラですが、ボケもツッコミもしたりする常識人みたいな感じにしようと思ってます。元のキャラのままだと口数減りそうなので。


「御影が雷門を突き放したか…。雷門が逆転するには攻めなければならないが、下手に前線を上げすぎれば二点目のように裏を突かれる。さて、雷門はどう出るか…」

 

 FF地区予選第二回戦、雷門対御影専農の試合は、0-2の御影リードでハーフタイムを迎えていた。そんな中、観客席にて一人、後半の展開について思案を巡らせている者がいた。

 彼の名は鬼道有人。帝国学園サッカー部キャプテンにして、全国にその名を轟かす天才ゲームメーカーである。

 鬼道は、自分たちとの練習試合以降メキメキと実力をつけている雷門との試合に備えるため、この試合に偵察に来ていたのだった。

 前半を振り返るなどして時間を潰していると、後半戦に出場する選手たちがベンチから出てきたため、視線をグラウンドに向ける。すると、雷門イレブンの中に初めて見る選手がいることに気が付いた。

 

『さぁ、後半戦の開始です!雷門、この後半から宍戸に代わり、闇野がフォワードに入りました。この選手交代が、試合にどのような影響をもたらすのでしょうか!』

 

 実況がそう言った直後、後半開始のホイッスルが鳴った。それと同時に走り出したその選手を見て、鬼道は不敵な笑みを浮かべた。

 

「あの17番が帝国(うち)のスパイが言っていた転校生か。どんなプレイをするか…見ものだな」

 

 

◆◇◆◇◆◇

 

 

 とうとう俺の初出場の時がやってきた。

 というのも、ハーフタイムに後半の作戦会議をしていた時に、豪炎寺が「転校したばかりのシャドウのデータは奴らも持ってないんじゃないか」と提案したことがきっかけだった。

 その後、話し合いをした結果、宍戸と交代で俺が出ることになった。宍戸、お前の分まで頑張るから応援しててくれ。

 そんなわけで、後半のフォーメーションはこんな感じになった。

 

FW 豪炎寺 染岡 闇野(俺)

MF 半田 少林 マックス

DF 風丸      栗松

     壁山 土門

GK     円堂

 

 そして俺たちと御影、合わせて22人がポジションに着くと、御影のキックオフで後半が始まった。

 キックオフ直後のバックパスから何本かパスを回された後、ちょうど俺の方のサイドの選手にボールが渡ったので、プレスをかけに行く。しばらく駆け引きが続いたが、やがてフェイントで突破しようとしてきたのでわざと抜かせる。そして、

 

影縫い!」

「うわっ!」

 

 俺が伸ばした影が相手を捕らえ、動けない間に俺自身でボールを奪う。

 

『闇野、必殺技でボールを奪ったァ!そのまま御影陣内へ切り込んでいく!』

 

 どうやら御影は、データの無い俺がいきなり必殺技を使ってくるとは思っていなかったようで、完全に動きが遅れていた。

 その隙にドリブルで駆け上がり、マークが寄ってきたタイミングで、ゴール前でフリーになった染岡と豪炎寺にパスを送る。

 

「ドンピシャだ!ドラゴン…」

トルネード!!」

シュートポケット!…ぬあっ!」

 

 二人の必殺技は、前半同様杉森に防がれ弾かれる。だが、そうなるのは俺の読み通りだった。

 俺はボールの落下点に入ってジャンプし、思い切り左足を振り抜いた。

 

ダークトルネード!」

「何ッ!?……くっ!」

 

 黒いエネルギーを纏ったボールが、御影ゴールめがけ飛んでいく。

 ドラゴントルネードを弾いた時に体勢を崩していた杉森は反応が間に合わず、俺のシュートはゴールに突き刺さった。

 

『ゴォール!交代で入った闇野、一度弾かれたボールに素晴らしい反応で食らいつき、必殺シュートを決めたァ!雷門、一点を返しましたァ!』

「ナイスシュート、シャドウ」

「…フン、ナイスシュート」

「…ツンデレ」

「アア!?」

「…フッ」

 

 そんな青筋立てなくても良いじゃないですか染岡サン。あと豪炎寺、鼻で笑ったの聞こえてるからな。

 そんな寸劇をしながら自陣に戻った後、御影のキックオフで試合が再開する。

 御影はさっきのプレーで俺への警戒を強めたのか、自分たちがボールを持っている時でも、必ず一人俺のマークにつくようになった。

 更に前半の終盤同様自陣でパスを回し、時間を稼いで逃げ切る戦法に切り替えてきた。

 このままではマズい。何とかしてマークを外せないか四苦八苦していると、

 

「うおおおおおおおおお!!」

「ええええ!?」

 

 円堂が突然ゴールを飛び出し、ボールを持っている御影の選手に向かって走り始めた。土門が慌てる慌てる。

 キーパーが前線に上がったため、御影の選手の視線は円堂に集中する。俺はその隙を突いてマークを外し、ボールを奪い取る。

 

「シャドウ!こっちだ!」

 

 ひとまず俺は円堂にボールを渡し、円堂がボールを奪われた時に備えて少し下がる。

 円堂は俺からのパスを受けるとそのままドリブルで上がっていき、シュートを放つ。

 

「データに無い…!君のシュートは、データに無いッ!!」

 

 そう言いながらも、杉森は円堂のシュートをダイビングキャッチする。円堂はシュートを止められたことを悔しがっていたが、ゴールがら空きだから早く戻るよう言おうとした時、

 

「円堂ォ!!早く戻れェ!!」

 

 染岡が割とガチでブチギレ、それを聞いた円堂は慌ててゴールへ戻っていく。

 そして、円堂がちょうどペナルティエリアに入ったタイミングで、

 

「オフェンスフォーメーション・シルバー1だ!」

 

 杉森が指示を出し、御影が攻撃を開始した。ベンチで御影の監督が命令違反だなんだと喚いていたが、誰も気に留めない。

 杉森のパントキックを受けた御影の選手のドリブルを壁山がブロック。そのこぼれ球をマックスが拾うが下鶴に奪われ、そのままゴール前まで攻め込まれる。

 

「行くぞ!パトリオットシュート!」

 

 下鶴の必殺シュートが雷門ゴールに迫る。これは円堂がパンチングで防ぎ、ボールはバーを越えてコートの外に出た。

 そして御影のコーナーキック。ゴール前にボールが蹴り込まれたが、御影の選手同士が交錯し、そのこぼれ球を拾った下鶴がシュート体勢に入る。すると円堂が再びゴールを開けてシュートを打とうとしている下鶴に突っ込んでいき、その後ろから豪炎寺が続く。

 

「豪炎寺、こっちだ!」

「円堂!一体何をする気だ!?」

「大丈夫だ、俺を信じろ!!」

「…分かった!」

 

 豪炎寺、お前円堂のことを信頼しすぎじゃないか?この状況ですんなり『分かった』って言えるのは、それはそれで異常な気がするぞ。

 そうこうしている内に、下鶴のパトリオットシュートが再びゴールを襲う。円堂と豪炎寺はそのコース上で、ボールが来るのを待ち構える。

 

イナズマ1号!!』

 

 二人の新必殺技が、パトリオットシュートを直接蹴り返した。

 …なんかこれ、イプシロンとの初戦で一ノ瀬のスピニングシュートが蹴り返されたシーンに似てるな。

 

「何!?この数値は、我々が持つデータを遥かに超えている!

あり得ない!あり得るかァァァアア!!」

 

 円堂と豪炎寺が放ったイナズマ1号は、それを止めようとした杉森ごとゴールに突き刺さり、これで2-2の同点に追いついた。

 その後も俺たち雷門のペースで試合は進んだ。全員がイナビカリ修練場で鍛えられた身体能力を発揮し、中盤を完全に支配。そして、ゴール前に走り込む染岡と豪炎寺へのラストパスが通る。

 

「行くぞ!ドラゴン…!」

トルネード!!」

シュートポケット!……ぐあっ!!」

 

 三度目の正直でドラゴントルネードが決まり、3-2。ついに逆転に成功した。

 その後、再び御影のキックオフで試合が再開されたが、少林がスライディングでボールを奪った直後、御影の選手が驚いた表情で頭に手を当てていた。おそらく、監督との通信が途絶えたのだろう。攻め上がるついでにチラッと御影ベンチを見てみたが、既に監督がいなくなっていた。

 だからといって、こちらが止まる理由はない。

 そのままドリブルで上がっていった少林から染岡にパスが渡り、シュートチャンスになる。

 

ドラゴンクラッシュ!」

 

 シュートを打たれてなお、杉森は諦めたような表情を浮かべていたが、ふとハッとしたような顔になると、

 

「うおおおおおおおおッ!!!」

 

 雄叫びを上げながらシュートポケットを発動する。染岡のシュートはそれを突破し、威力を失わずにゴールに迫るが、

 

「負けたくない!俺は…負けたくないッ!!」

 

 どこぞのヘル○イザーのようなセリフを言いながら、杉森はシュートを防ぎ切った。御影の選手たちが驚く中、

 

「俺は勝ちたい!皆も同じだろ!最後まで…戦うんだ!」

 

 そう言いながら杉森がケーブルを外すと、それに続いて他の選手たちもケーブルを外す。

 

「行けェ!最後の1秒まで、諦めるなぁっ!!」

『おう!!』

 

 そこからは、一進一退の攻防が続いた。

 攻守がめまぐるしく入れ替わり、両チームのキーパーが好セーブを連発する。そして、互いに点を取れないまま時間が過ぎていき、ついにロスタイムに突入した。

 

影縫い!」

 

 ロスタイムも残りわずかの場面、俺は必殺技でボールを奪うことに成功した。

 そのまま自分でシュートまで持っていこうとしたが、豪炎寺がゴール前でフリーだったので、右サイドからクロスを上げた。豪炎寺はジャンプし、シュート体勢に入る。

 が、ここでアクシデントが起きた。

 

ファイアトルネー…「させるかぁっ!!」何!?」

 

 いつの間にか守備に下がっていた下鶴が、空中で豪炎寺とファイアトルネードを打ち合う形でぶつかり、そのまま二人とも地面に墜落した。

 突然の出来事に、しばらくフィールドにいた全員が固まっていたが、下鶴が杉森にボールを渡すと、杉森は雷門ゴールを目指しドリブルを開始する。そしてそのまま、ゴール前で円堂との一対一になった。

 

「行くぞ、円堂ォォオオ!!」

「来い、杉森!ゴッドハンド!!」

 

 杉森渾身のシュートを、円堂は右手一本で迎え撃つ。

 

「円堂ォォォオオオオオ!!!」

 

 杉森の叫びもむなしく、ボールは円堂の右手に収まる。

 そして、試合終了のホイッスルが鳴り響いた。

 

『試合終了!準決勝進出を果たしたのは、雷門中だァ!!』

 

 実況が試合終了を告げ、観客席からは歓声が上がる。

 この時俺は、自分が本当に雷門の一員になったのだという事、そしてその勝利に貢献出来た事などへの喜びが、胸の底から一気にこみ上げてくるのを感じた。

 そんな中、ふと御影ゴールの方を見ると、円堂と杉森が健闘を称えあって握手を交わしていた。

 豪炎寺も染岡に肩を借りてはいたが意識はあり、そこまで酷い怪我ではないようだった。

 こうして、俺の雷門での初戦は、無事勝利で幕を閉じたのだった。

 

 

 




現時点でのシャドウの技
・ダークトルネード
・影縫い

今はまだこの二つです。こっから増やしていこうと思ってます。

次回は秋葉名戸戦です。飛ばすかどうか迷いましたが書きます。書きたいシーンあるので。


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オタクVSオタク

遅くなりました……
大学生になって新生活や課題が忙しかったんです……
とりあえず5話、秋葉名戸戦です。
途中、独自解釈がありますが、ご容赦ください。


 

『さぁ、FF地区予選準決勝!雷門中対秋葉名戸学園の一戦が、いよいよ始まります!』

 

 御影戦から数日後、俺たち雷門イレブンは準決勝の舞台である秋葉名戸グラウンドに来ていた。ここに至るまでの経緯は、御影戦での活躍を理由に俺がレギュラーに昇進したということ以外は、覚えているアニメの流れと同じだった。

 そして俺は現在、雷門ベンチにてストレッチをしながら試合前の最後の準備をしている真っ最中である。

 

『おお〜!!』

 

 そんな中、後ろからいきなり歓声が上がった。何事かと思い振り向いてみると、そこには秋葉名戸の規則によりメイド服に着替えたマネージャーたちがいた。夏未は顔が真っ赤になっていたが、木野と春奈はノリノリだった。

 やがて、秋葉名戸の猫耳を付けた選手が夏未に自分がしているのと同じ物を付けると、渾身のガッツポーズを決める。

 

「グゥ〜〜〜ッド!!」

「ん〜!目線、こっちにお願いなんだな!」

 

 猫耳を付けた選手を押しのけ、相手キーパーがカメラを構える。夏未は嫌がっていたが、木野と春奈に両腕を掴まれたのち、魂が抜けた顔で写真を撮られていた。

 その後の作戦会議で、御影戦で怪我をした豪炎寺の代わりに目金が入ることが決まり、この試合のスタメンとフォーメーションはこんな感じになった。

 

FW    目金 染岡

MF 半田       闇野

     少林 マックス

DF 風丸       栗松 

     壁山 土門

GK     円堂

 

 今回、俺は右サイドハーフとして出場することになった。前回とは違い2トップの布陣だが、この際色々試してみるのもアリかもしれないし、特に不満はなかった。

 整列後に全員がポジションにつき、雷門ボールで試合が始まった……のだが。

 

「発進、ハイパーサッカーボール発射!」

「ただのバックパスだろうが!!」

 

「来たな、悪の軍団め!お前たちにこの地球は渡さん!」

「な、何言ってるんだコイツ……」

 

 とまぁ、こんな感じのオタク特有のノリで見事なまでに調子を狂わされていた。

 俺も自分でドリブル突破を図ったが、元々逃げ切りを戦法としているためか、五里霧中を使っていなくても守備がかなり固く、シュートを打つ前に防がれた。

 そうして攻めあぐねている内に、一点も取れないまま前半が終わってしまった。

 

「まるで攻めてこないなんて…この僕にも予想外でしたよ」

「目金、お前アイツらのサッカーが理解出来たんじゃなかったのかよ?」

 

 ハーフタイム中の目金の発言に、染岡が呆れたような顔でツッコむ。他のメンバーも、予想外の試合展開に動揺を隠せずにいた。

 

「それにしても、何でボールが取れないんだ?」

「アイツらの妙なノリに、調子を狂わされたせいだ!」

「得体が知れない…」

「!!……お前もな」

「ブーメランって知ってるか影野?」

 

 影野の背後からの呟きに、豪炎寺と夏未の肩が跳ね上がる。豪炎寺が驚いてるのは新鮮で面白い。

 そういや影野、アニメ四話で尾刈斗のメンバー見た時も「不気味だ…」とか言って、半田に「お前が言うな」ってツッコまれてたな。

 しばらく話し合ってから相手ベンチの方に視線を向けると、プレイヤーたちは皆ゲームしてるし、監督はカブトムシのようにスイカを食べ続けている。見た感じ、漫画版のように差し入れと言って薬を盛ったドリンクを渡してくる様子は無さそうだった。

 ひとまず俺は、秋葉名戸がアニメで使っていた戦法を直接的な表現は避けて円堂たちに伝えることにした。

 

「もしかしたら、アイツらは後半に勝負を仕掛けてくるんじゃないか?」

「どういうことだ、シャドウ?」

「……前半の間はパス回しで時間を潰して力を温存し、後半に速攻で点を取りにくる、ということか」

 

 円堂の疑問に答える形で、豪炎寺が俺の言いたかったことを説明してくれた。流石は炎の天才ストライカー。そのおかげで、後半も油断せずにまずは先取点を取りに行くということで作戦会議は終了した。

 ハーフタイムも明け、秋葉名戸のキックオフで後半戦が始まると、相手はいきなり全員でパスを回しながら一気に攻め上がってくる。対する雷門は初っ端から仕掛けてくるとは思っていなかったのか、やはり動きが鈍い。

 

「変身!フェイクボール!」

「なーにが変身だよ…って、あれぇ!?」

 

 ヒーローオタクがマックスとすれ違うと、ボールがいつの間にかスイカに入れ替わっていた。何故試合が止まらないのか分からないが、こうなったらセンタリングを上げられる前に止めてやる。

 

「させるか!」

「遅いわ!ヒーローキック!」

 

 スライディングをしかけたが間に合わず、ゴール前にボールが上がってしまう。そのボールはゴール前にいた壁山の頭を越え、その裏に走り込んでいた二人の秋葉の選手の元に飛んでいく。

 

「おりゃああああ!!ド根性バット!!」

 

 文字通りバットのように人を振り回す必殺シュートが放たれ、ボールは雷門ゴールに突き刺さった。

 

『ゴォール!雷門中の立ち上がりのスキを突いた秋葉名戸学園が、先取点を奪ったァ!!』

 

 正直この展開は予想出来てはいたが、やはり相手のやりたいようにやられるのは悔しい。円堂もポストに拳を叩きつけて悔しがっている。

 でも、取られたら取り返せば良い。不動もそう言ってたし。

 雷門のキックオフで試合は再開したが、ここでおかしな事が起きた。秋葉のメンバーが、ボールも無視して二人がかりで俺を徹底マークし始めたのだ。相手の意図は全く読めなかったが、その間にも味方はどんどん攻め上がっていく。そしてボールを持った染岡がシュート体勢に入った時、秋葉のDF陣がゴール前に集結し、必殺技を発動させる。

 

「行くぞ!五里霧中!」

「くっ……ただの目眩しだろうが!くらえ、ドラゴンクラッシュ!」

 

 染岡は土煙に向かってシュートを放つが、土煙が晴れるとボールはゴールの裏に転がっていた。それから雷門は何本もシュートを打ち続けたが、一度も得点が入ることは無く時間は過ぎた。

 このまま待っていても逆転出来ることは分かっているが、徹底マークが鬱陶しいのでどうにかして一泡吹かせてやりたい。そう考えていると、染岡が相手のパスをカットしてドリブルを始める。その時、相手の注意がそっちに集まった一瞬を見逃さずに、マークを振り切って俺も前線に上がる。

 

「シュートを打ってはいけま「上だ!!」!?」

「シャドウ!?」

 

 よし、ギリギリだが間に合った。敵味方関係なく驚いているが、俺は構わず言葉を続ける。

 

「染岡!ボールを上に上げてくれ!!」

「……分かった!頼んだぞ、シャドウ!!」

 

 俺の声に反応した染岡が、上に向かってドラゴンクラッシュを放つ。そのボールを追うようにジャンプすると、土煙の裏でゴールをずらしている秋葉の選手と、それを邪魔している目金の姿が上からバッチリ見えた。こうなってしまえば、後は左足を振り下ろすだけでいい。

 

ダークトルネード!!」

 

 俺と染岡によるドラゴントルネードは、目金の妨害によってずらされなかったゴールに綺麗に吸い込まれる。しばらくすると土煙も晴れ、全てのカラクリが明らかとなった。

 

「ゴールをずらしてる!?」

「シュートが入らなかった理由はこれか!」

 

 円堂と豪炎寺が同時に声を上げる。他のメンバーも、予想外の戦法に驚きと怒りが混ざったような表情をしていた。

 

「そういうことです。そして君たちがシャドウくんのマークだけは徹底していたのは、上空からのシュートであるダークトルネードを封じ、このトリックを見破られないようにするためだった…違いますか!?」

 

 そして目金がヒーローオタクのパンツを引っ張りながら語った推理は、俺にとっても目から鱗な話だった。もしかしたら、アニメで豪炎寺が出なかったのもそれを防ぐためだったのかしれないな。

 そんなことを考えている間も目金は秋葉のメンバーと口論を続けていたが、やがて秋葉のキャプテンの口から爆弾発言が放たれた。

 

「だからなんだというのだね!勝てばいいのだよ、勝てば!」

 

 その後ボールはセンターサークルに戻され、秋葉名戸のキックオフで試合が再開される。が、直後に目金がボールを奪うと、そのまま秋葉名戸陣内へ切り込み、一人、また一人と次々と抜き去っていく。そして目金を警戒した相手ディフェンス陣がゴール前に集結し、五里霧中を発動させようとしたその時、目金が魂の叫びを上げた。

 

「君たちなど、オタクではありません!オタクとは一つの世界に真摯に、真っ直ぐに極めた者!ゲームのルールを破ってまで勝とうとするあなたたちに、オタクを名乗る資格などありません!!」

 

 目金がそう言うと、五里霧中を発動させようとした奴らの心が折れる音がすると共に、上がりかけていた土煙が収まった。それでもキーパーだけは諦めていないようで、丸見えの状態でゴールをずらしにかかる。

 

「染岡くん、ドラゴンクラッシュを!僕に考えがあります!」

「よし、行くぞ目金!ドラゴンクラッシュ!」

 

 目金は染岡にボールを預けてゴールへと向かっていき、それに続くように放たれた染岡の必殺シュートは、ゴールのど真ん中に向かって飛んでいく。

 

「させないんだな…ゴールずらし!」

「でやああっ!!」

 

 逆転を阻止しようと秋葉のキーパーが体当たりでゴールをずらしたが、顔面で合わせて軌道を修正し、見事にゴールネットを揺らした。

 

『ゴォール!雷門、目金の捨て身のプレーで、遂に逆転だァ!!』

「こ、これが…メガネクラッシュ…」

 

 必殺シュートを顔面にくらった目金は、技名を言いながらぶっ倒れる。その直後、試合終了のフエが鳴った。

 

『ここで試合終了!FF地区予選、決勝へとコマを進めたのは、雷門中だァ!』

 

 いやー、結構危なかった。他のメンバーも勝ちが決まってホッとしているように見えた。そして目金も、「もう卑怯なプレイはやめる」と宣言した秋葉名戸のメンバーとオタク仲間として和解出来たようだった。

 俺はその様子を見て、これならゲーム版のように試合のデータをハッキングで書き換えるなんてことはしないだろうと一安心するのだった。

 

 

 

 




途中の目金の推理が独自解釈です。
元々シャドウと染岡のドラゴントルネードを書こうとしてた時、「あれ?上から見ればゴールずらしバレるんじゃね?」って思ったのがキッカケでした。
あと、この作品はアニメの話を基にしてますが、イナイレの原作って確かゲームだからタイトル変えた方が良いですかね?
とりあえず、次はもう少し早く投稿出来るよう頑張りたいと思います。


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