ニューサトシのアニポケ冒険記 (おこむね)
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カントー編
#001 『俺の名前はニューサトシ よろしくな!』


 9歳 δ月ι日 『俺の名前はマサラタウンのニューサトシ』

 

 マサラタウンのポケモンキャンプで頭を打ち、前世の記憶を取り戻したので、今日から日記を付けて行きたいと思う。

 

 俺の名前はサトシ。そう、あのマサラタウンのサトシである。

 

 アニメでもずっと主人公を張っていて、シリーズが変わる毎に何故か弱くなることもあり、20年以上かけてようやくポケモンリーグに優勝したあのサトシだ。

 

 サトシにしては妙に大人びている、と思った人もいるかもしれないが、どうやら前世の記憶を思い出した影響か、人格に大きな影響が出ているらしい。

 

 ここ数日、ママさんが落ち着いてしまった俺を見ながら、病気を心配するくらいには性格ががらっと変わっているようだ。

 だが、それも仕方ないだろう。元々のサトシの人格に前世の俺の記憶が足されたのだ。

 

 最初は何が何だかわからず、数日間熱を出して寝込んでいたし、ようやく記憶の折り合いがついた時にはサトシの精神性は前世の俺に引っ張られて大人になってしまっていた。これで、今まで通りに過ごせと言う方が酷な話だ。

 

 幸い、前世の俺も聡という名前だったようだし、これからはニューサトシとして頑張って行きたいと思う。まずは、ママさんの精神安定のためにも今の俺に慣れて貰うか。

 

 

 

 9歳 δ月ο日 『アニメでもゲームでもない。それがポケモンだ』

 

 サトシとしての記憶と、前世の聡としての記憶から、俺は後一年でポケモンを貰って旅に出ることが決まっている。

 

 一年、このアドバンテージを利用しない手はない。

 

 まず手始めに、オーキド博士の研究所に入り浸ったり、書物を読み漁ったりしながら、前世の知識とこの世界のポケモンについての差異を埋めていく所から始めよう。

 

 ママさんも、俺の性格が変わったことにしばらく混乱していたが、最近はようやく慣れて来てくれたようだ。俺がポケモンについての書物を欲しがっても、「サトシが本?」と少し首を傾げるくらいで前ほど驚くことはなくなった。

 

 しかし、改めてポケモン世界について調べていると、アニメやゲームの知識とは違う部分が多い。特に技については別物と言って良いだろう。

 

 基本、ポケモンのアニメやゲームでは、技を4つまでしか覚えられず、新しい技を覚える時は覚えている4つの技の一つを忘れないと覚えられなかったが、この世界ではそのポケモンが覚える技ならば無制限に覚えることが出来て、バトル時に使用する技を4つに制限するらしい。

 

 だから、試合によって使う技が違うこともあるし、相手によって対策をするのはトレーナーとしての基本だと本にも書いてあった。

 

 ちなみに、5つ目の技を使った場合は反則となり、その場で失格となる。

 オーキド博士によると、数年前のポケモンリーグでも強力なポケモンを手に入れたものの言うことを聞かず、技を無制限に使用して失格になったトレーナーもいたと言う。

 

 俺がもし、アニメの通りにリザードンを手に入れることがあったら注意しようと思った。

 

 

 

 9歳 δ月ρ日 『お前、ポケモン廃人に勝てると本気で思ったのか?』

 

 シゲルに会った。アニメ初期のようなキャラでめちゃくちゃウザかった。

 ただ、勤勉なキャラではあるようで、事ある毎にポケモンの知識を披露してくる。

 

 特にバトルについては自信があるのか、ポッポの覚える技は○○、コラッタが覚える技は○○と、まぁ開いた口が塞がらないこと塞がらないこと。

 

 段々相手をするのが面倒になってきたので、前世の廃人としての記憶を利用した知識の暴力で返り討ちにしてやると、物の見事に何も言えなくなっていた。

 

 偉そうにしやがって。ポケモンが覚える技なんて、レベル技、タマゴ技、おしえ技、技マシン、技レコード、各シリーズに至るまで全部網羅済みじゃコラ! もっと勉強してから出直してきな!

 

 

 

 9歳 δ月σ日 『興味ないね』

 

 10歳で旅に出るということで、子供達が安全に旅へ出かけられるように、ポケモンキャンプは定期的に開催されるようだ。

 

 聞けば、半年に一回は開催されるらしいのだが、今の所サトシ君は皆勤賞らしい。

 記憶を辿ると、セレナらしき少女にあった記憶もあった。

 

 正直、キャンプと言ってもポケモンをゲットできる訳ではないし、キャンプでのフラグはもう立っているようなので参加しなくても良いのだが、あまりサトシらしくない行動ばかりしてもママさんが心配すると思い、半年後のキャンプに今回も参加することにした。

 

 

 

 9歳 δ月τ日 『イーブイの進化形なんて常識でしょ?』

 

 最近の日課であるオーキド研究所のお手伝いに行くと、見知らぬ美人のお姉さんがいた。

 

 どうやら、シゲルのお姉さんで、ゲームでもタウンマップをくれるナナミさんがこの世界にはいるらしい。当然だが、アニポケでは存在していなかった。

 

 思えば、技の仕様なんかも違うし、もしかしたらこの世界は完全なアニポケ世界ではないのかもしれない。だとすると、俺の予定も変わって来る。どうしよう。

 

 いろいろ悩んでいるとシゲルもやってきたようで一応手を上げて挨拶しておいた。

 ただ、向こうは前回の件でこちらに苦手意識がついたのか、少し距離を取っている。どうやら虐めすぎたようだ。

 俺とシゲルの微妙な関係に大人達が首を傾げていたが、まぁ気にすることはない。

 

 話を聞くと、ナナミさんはポケモンコーディネーターとして旅をしているらしく、今回はたまたまマサラタウンに帰って来たようだ。

 

 手持ちを見せて欲しいと頼むと、ラッキー、ピッピ、イーブイを出してくれた。

 他にもラプラスやウインディ、ニドクインがいるらしいのだが大型なので室内では出せないそうだ。残念である。

 

 どうやらコンテスト用にポケモンを育てているらしく、かっこよさはウインディ、うつくしさはラッキー、かわいさはピッピとイーブイ、かしこさはラプラス、たくましさはニドクインが担当していると教えてくれた。

 

 ピッピとイーブイの担当が被っているが、ポケモンコンテストではダブルバトルもあるので、基本的に同じ部門でも何体かポケモンを育てているらしい。

 

 いろいろ教えてくれたお礼に、イーブイの進化について教えてあげた。

 ナナミさんやシゲルが驚いた顔でこちらの話を聞いているが、何故か一緒に居たオーキド博士も驚いている。どうやら、この世界ではまだイーブイの進化は研究段階のようで、進化の石以外にもなつきが関係あることはわかっていたが、時間帯や技の条件はまだ解明されていなかったようだ。

 

 まぁ、ニンフィアはゲームによってなかよし度かなつき度の違いがあるが、ナナミさんとイーブイを見ていれば、どちらにしろ時間の問題だろう。

 

 そんなこんなで一通りの説明をすると、オーキド博士が、「サトシ……お前さん、どこでこんな知識を?」と、こちらを不思議そうに見ていたが、「キャンプで会った知らないおじさんが話してた」と言って誤魔化した。ぶっちゃけ、正直に話した所で信じて貰えないだろうし、変に興味を持たれても面倒くさいだけである。

 

 それでも腑に落ちないのか、まだ難しい顔をしていた博士だが、ナナミさんから「ニンフィアっていうのはどういうポケモンなの?」という問いをかけられると、意識がそっちにそれたのか、ニンフィアについてナナミさんに説明していた。ナイス、ナナミさん。

 

 どうやら博士曰く、ニンフィアは個体こそ確認されているものの、その情報については全く不明だったらしい。イーブイに似ていることから、関連性は疑われていたようだが、進化についてもまだ何もわかっていなかったようだ。

 

 写真だけはあるようで見せてもらったが、それを見たナナミさんが大興奮。

 絶対にニンフィアに進化させると意気込んでいたが、イーブイが覚えるフェアリー技の『つぶらなひとみ』と『あまえる』を、ナナミさんのイーブイはどちらも覚えていなかった。

 

 ゲームではレベルで覚えたが、もしかしたらこの世界では意図的に覚えようとしないと覚えられないのかもしれない。でないと、同じなつき進化のエーフィとブラッキーに進化できなくなるし、極端にニンフィアの情報が少なかったことからもそう考えるのが自然だろう。

 

 ナナミさんはいい機会だと思ったのか、フェアリータイプであるピッピの力も借り、イーブイにフェアリー技を覚えさせることにしたらしい。

 

 結局、ナナミさんがマサラタウンに居る間にイーブイがニンフィアに進化することはなかったので、その後どうなったのかわからないが、オーキド博士が学会にイーブイの進化についての新しい論文を提出したということは聞いた。特に他意はないがジト目で博士を見ていると、後日カントー四天王のワタルに会わせて貰えることになった。やったぜ。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・前世の記憶が蘇った。
 サトシ君の性格が変わり、原作よりも大人びている。

・勤勉になったことで、家族や周囲の人間からの印象が変わった。
 ママさんはあの性格なので、そういう多感な時期だと思っているようだが、シゲルは今まで下に見ていたサトシ君が急に賢くなったので戸惑っている。オーキド博士もニューサトシの謎知識に驚いているが、まだ妙だと首を傾げるレベル。

・技マシン、技レコードがある。
 剣盾準拠

・ナナミさんがいる。
 特に意味は無く出してみたかっただけ。

 


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#002 『やっべ、半分のモンスターボールだ』

 9歳 δ月χ日 『目指せポケモンマスター!』

 

 前世の記憶を呼び覚ましたことで精神的に大人になった俺ことニューサトシだが、だからといって夢まで変わった訳じゃない。

 当然、将来はポケモンマスターを目指すつもりだし、そんな俺からしたら四天王に会える機会というのはとても貴重なものだった。

 

 特にワタルと言えば、ゲームではカイリューはかいこうせんで有名なあのヤバい奴だ。会ってみたいと思うのはオタクくんなら当然である。

 

 

 

 9歳 δ月ψ日 『赤い帽子って、モロにキャラ被ってるやん』

 

 もし、この世界がアニポケだとしたら、カントーのチャンピオンはワタルなのか疑問に思って調べてみたのだが、出てきたのはレッドという名前の少年だった。ゲームかよ。

 

 ただ、詳しく調べてみると、どうもその名前もニックネームのようなものらしく、誰もその素性を知らないらしい。

 顔写真を見てみると、赤い帽子と、赤い布地が多い服を着ていることからレッドと呼んでいるようだ。また、基本的に戦う以外に興味がなく、チャンピオンとしての業務もバトル以外はワタルが殆ど代行しているらしい。

 

 まぁ、そのバトルに関しても興味のないものはワタルに代行させているようなので、実質ワタルがチャンピオンと言ってもいいだろう。

 無口で、殆どの時間をシロガネ山の奥地で修業していると書いてあった。

 

 ちなみにこの世界のシロガネ山の奥地に入るには、かなり厳しい審査に受からなければいけないので、俺がもしこのレッドに会うとしたら、ポケモンリーグセキエイ大会で優勝し、チャンピオンリーグに参加するしか道はないだろう。

 

 

 

 9歳 ε月γ日 『カイリューはかいこうせん!』

 

 随分待たされたが、ようやく今日ワタルに会うことが出来た。シゲルも一緒だったが、流石に今日は静かだ。どうやらワタルに会えて感激しているらしい。

 

 聞けばまだ16歳らしく、かなり若かった。

 相棒であるカイリューを見せてもらったが、研究所やマサラタウンで見るようなポケモンとは風格が違う。まさに歴戦の猛者というべき迫力があった。

 

 とりあえず、ずっと聞きたかったアニメやゲームではわからないポケモンバトルで必要なことや、ポケモンの育成、技の使い方など、事細かに聞いていく。

 最初はシゲルもいろいろ聞いていたが、俺がマシンガンのように質問を飛ばすので、今ではただの物言わぬ壁になっていた。

 

 ワタルも、まだトレーナーになっていない子供が、ここまでの意欲を持っているとは思っていなかったのか、最初こそ驚いたような顔をしていたが丁寧にいろいろ教えてくれる。

 

 一番興味深かったのは、ポケモントレーナーによって育てやすいポケモンのタイプが決まっているのではないかという仮説だった。

 

 簡単に言うと、前世のハンター×ハンターの念のように、人間も生まれつき得意なタイプ、苦手なタイプがトレーナーごとに決まっており、そのタイプのポケモンが一番育てやすいのではないかというものだ。

 

 これは統計的なデータから予測しただけで、科学的に立証されている訳ではないらしいが、ジムリーダーや四天王にそのタイプのスペシャリストが多いことを考えると、確かにおかしな話ではない。

 

 かくいうワタルも、自身の得意なタイプはドラゴンとひこうらしく、ドラゴンタイプがなく、ひこうタイプを持っているプテラ、ギャラドス、リザードンを使っているのも納得できる。

 

 アニメのサトシ君も思えば、ひこうタイプは割と進化するパターンが多かった。そう考えると、サトシ君の得意タイプはひこうかもしれない。逆に苦手なタイプはみずと見た。

 ゲットしたみずタイプで進化したのキングラーとゲッコウガくらいだし、後は殆どが進化前だ。相性は最悪と見ていいだろう。みずタイプとの相性が悪いとか軽く終わってんな。

 

 ワタル曰く、こういうものは育てている内に何となくわかってくるらしいが、勝率を残すトレーナーというのは、このトレーナーのタイプとポケモンのタイプが一致している場合が多いらしい。

 だが、稀にそんな相性関係なく強いトレーナーもいるようで、現在のカントーチャンピオンであるレッドはそのタイプのようだ。

 ワタル曰く、レッドはさまざまなタイプのポケモンを同じレベルで繰り出してくるから対策がし難いらしい。

 

 当然、レッドにも得意なタイプはあるのだろうが、そんなの関係ないとばかりにどんなポケモンも強く育て上げてくる。

 そんなレッドをワタルも尊敬しているらしいが、いつまでも負け続けるつもりはないようで、近いうちに王座を頂くと宣言していた。

 

 俺達もそんな宣言を聞いたら応援したくなる。「「頑張ってください!」」とエールを送っておいた。来年は楽しいバトルが見られそうだ。

 

 

 

 9歳 ε月δ日 『強くなる 理由を決めた』

 

 ワタルから聞いた知識は想像以上に良いものだった。

 

 何せ、ゲームでのターン制バトルしか経験の無い前世の記憶と、テレビのリーグ戦くらいしかバトルを見る機会がなかったサトシ君の知識ではわからない部分がかなり多い。ワタルがもたらしてくれた知識は、偏りのあった俺の穴を確実に埋めてくれた。

 

 ワタルは言っていた。ポケモンは自由なのだと。

 

 思えば、アニメのサトシ君も自由を売りにしていた。

 バトルでも、フィールドを炎で焼き尽くしたり、カウンターシールドなんて技を作ったりして、他のトレーナーにはない発想で勝利をものにすることが多かったと思う。

 

 勿論、ワタルが言いたかったのは、型にはまるようなトレーナーになるなという意味だとは思うが、それでも俺がニューサトシになって忘れていた物を思い出させてもらった。

 

 だからこそ強く思う。

 

 俺は今のままじゃ駄目だ。もっと強くならないとアニメのサトシ君にすら勝てない。

 ポケモンという力を使う以上は、それに責任を持つのがトレーナーというものだ。

 

 四天王のシバもそうらしいが、ワタルも体を鍛えて、日頃からカイリューの動きについていけるようにしていると言っていた。

 

 俺もこの体に流れるマサラの力を物にしないと、この先の戦いで生き残れない。

 

 明日から、マサラタウン端にある道場にも通うことにした。マサラ式肉体言語術というものを教えてくれるようなので、しっかりと習得して未来に備えたいと思う。

 

 

 

 9歳 ε月θ日 『マサラ式肉体言語術 またの名をマサラ神拳』

 

 マサラ人の体にはマサラ細胞と呼ばれる特別な細胞があり、それの力を引き出すことで、常人にはとても出来ないような力を発揮することが出来るらしい。

 

 思えば、アニメのサトシ君もたまに人間とは思えないような力を使っていたし、特別な波動を持っているような設定もあった気がする。

 

 まぁ、波動については良く分からないが、そのマサラ細胞とやらが持っている力を自由に使うことが出来れば、俺もアニメのようなスーパーアクションを行えるということだ。

 

 道場の師範曰く、もし極めることが出来れば、車より速く走るスピード、鉄をも砕くパワー、落石の直撃を受けても耐えるタフネス、丸一日走っても切れないスタミナが手に入り、それこそポケモンを相手にしても勝つことが出来るようになるらしい。

 

 素晴らしい、まさに俺が求めていた力だ。

 

 これから旅立ちの日まで毎日通おう。師範も弟子が一人もいなくて寂しかったようだし、俺が一番弟子として、しっかりマサラ式肉体言語術を極めてみせようぞ。

 

 

 

 9歳 ε月ι日 『サトシ君って何で手持ちを逃がすん?』

 

 俺はニューサトシだ。故にアニメのサトシ君と同じ道を進むつもりはない。

 

 だから、アニメで捕まえた以外のポケモンもゲットするし、捕まえたポケモンを途中で逃がすようなことをするつもりはなかった。

 

 何が楽しくて手持ちのポケモンを逃がすのか、アニメのサトシ君の行動は理解に苦しむ。

 アニメのシナリオだから良い話に聞こえるかもしれないが、捕まえた以上は最後まで責任を持って育てるのがトレーナーというものだろう。ピジョットを返せ。

 

 思えば、アニメでは固定メンバーで戦うことが多かったが、それも経験値が勿体なさすぎる。前世の俺はシゲルのように万遍なく育てる派だったのだ。

 だから手持ちのポケモンだって定期的に入れ替えるし、違う地方に行っても一緒に戦って貰うだろう。ここが完全にアニポケ世界なら、アニメの通りに動くことも考えたが、ナナミさんやレッドなど、アニメとは微妙に違う感じがする奴らがいる以上、原作通りになるとも限らないしな。

 

 そう考えると、そもそも最初に貰うポケモンはピカチュウである必要はあるか?

 

 アニメのピカ様はそもそも最初はなついていない上、シリーズによって強かったり弱かったりの波がある。確かにパワーやタフネスは他のピカチュウ以上だが、この世界のピカチュウもそうとは限らない。普通のピカチュウは弱いのだ。

 ライチュウに進化するならまだ考えるが、ピカ様はボールに入らない、進化嫌いの謎のこだわりを持っている。だとすれば、進化する御三家を最初に選んだ方が後々のためになるだろう。

 

 だが、もし原作通りにことが進むのであれば、各地方の御三家やサトシ専用のゲッコウガ、カイリューやルカリオなど、欲しいポケモンは山のようにいる。それを考えると、安易な結論を出すべきではないということもまた確かだった。

 

 

 

 9歳 ε月μ日 『半分のモンスターボール だったらしい』

 

 最近、オーキド研究所に行ってから道場に行くというのを毎日繰り返していると、ママさんから「たまには釣りにでも行ったらどう?」と言われた。

 

 正直、研究所の方がポケモンと触れ合えるし、道場も強くなっていく実感がしてとても楽しいので、ぶっちゃけありがた迷惑である。だが、せっかくママさんが心配してくれているのを無下にも出来ないので、今日は休みにして釣りに行くことにした。

 

 不慣れな釣りをしていると、途中でシゲルが来て、こちらの様子を窺いながら同じように釣りを始めた。

 

 どうやら知識の暴力は大分トラウマになっているのか、舐めた口を利くことはなく、探り探り会話をしながら、互いにのんびり釣りをしている。

 

 シゲルと釣りだけで思い出せればよかったのだが、どうやらこれ原作の半分のモンスターボールのくだりだったらしい。

 

 すっかり忘れていて、「こんな壊れたボールいらね」と、シゲルにあげてしまった。あげてから思い出したので、今さら半分下さいとは言えない。

 

 どうしようかと悩んでいると、「君に施しを受ける日が来るとは思わなかったよ!」と言って、ボールをこっちに投げつけてきた。

 

 何で怒っているのか良くわからないが、流石にボール丸々はいらないので上手いこと半分に壊し、ライバルの証が云々と適当な理由を付けて半分をシゲルに押し付ける。

 

「いいだろう。君を僕のライバルとして認めよう。サトシ!」

 

 どうやら上手く乗ってくれたようで、半分のモンスターボールを持って帰って行った。

 

 一時はどうなるかと思ったが、何とか原作通りに出来て良かったぜ。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・レッドがいる。
 いるだけ。

・ワタルに出会っている。
 オーキド博士の人脈によるもの。ニューサトシとシゲルに大きな影響を与えた。

・肉体を鍛え始めた。
 スーパーマサラ人としての道を歩き始めた。

・マサラ細胞
 あくまで師範が言っているだけ。そんなものがある科学的根拠はない。ニューサトシはすっかり信じた。

・ピカ様を貰うか悩んでいる。
 原作通りに旅をするか、好きなようにするか。難しい所だ。

・シゲルにライバル認定される。
 本人は上手く凌いだつもりで居るが、毎日オーキド研究所の手伝いをしたり、前回の知識でも一目を置かれていたこともあり、原作よりも早くシゲルがサトシのことを認めた。



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#003 『ポケモン 君に決められなかった』

 9歳 κ月ζ日 『どうやら俺には才能があるらしい』

 

 何だかんだ日記をつけ始めてから半年くらい経った。意外とまめな性格だったらしく、今の所日記は一日も欠かさず書くことが出来ている。

 

 同じくらい体も鍛えているのだが、最近はマサラ人としての片鱗が出てきたのか、我ながら子供とは思えないパワーを出す時があった。修行が順調に進んでいてとても楽しい。

 

 明日は旅に出る前だと最後のポケモンキャンプなのだが、あまりに長く研究所で手伝いをし過ぎたせいか、今回はオーキド博士に頼まれてキャンプを取り仕切る側での参戦となった。なんでや。

 

 

 

 9歳 κ月η日 『ワガハイ オマエ マルカジリ』

 

 キャンプ当日。

 オーキド博士に言われた仕事をこなしつつ、参加しているキッズ達を眺めていると、何故かシゲルもスタッフ側で参加していた。

 どうも前の釣り以降、シゲルも変わってしまったようで、アニメ後半のような大人なキャラになっている。一皮むけたというか、話していても苦じゃなくなった。

 

 何か原作ブレイクしたような気分になったが、そもそも俺がニューサトシになった以上、原作なんてないようなもんなんだし気にしないでいいだろう。

 

 キッズ達が遊び回る中、裏方としてせっせと仕事していると、キッズの一人が偉そうにポケモンについて講釈を垂れている。昔のシゲルみたいでむかつくわー。

 

 思わず、知識の暴力でフルボッコにすると、見ていたシゲルがトラウマを思い出したのか、こちらから距離を取っていた。逃げんなって。

 

 キッズも悔しさからぷるぷる震えていて、とても満足したのだが、「子供相手に何しとる!」とオーキド博士に怒られた。いや、博士、俺も子供やで。

 

「お前さんとシゲルは特別枠じゃ。全く、何のためにこっち側にしたと思っておる」

 

 どうやら日頃の言動から子供の輪に入れても浮くだけだと思われたらしく、主催側での参加はオーキド博士の気遣いだったらしい。

 

 それを聞いた周囲の子供達が驚いていたが、先程の知識を聞いて納得した部分もあるのか、尊敬の眼差しをこちらに向けている。さっきのキッズなど、「すげぇや、サトシ兄ちゃん!」と掌返したようにこちらにすり寄って来た。まぁ、慕われて悪い気はしない。サトシ君は一人っ子だし、弟や妹が出来た気分である。

 

 

 

 9歳 κ月ι日 『またやりやがった』

 

 シゲルが精神的に大人になってしまったので、結構話が合うようになった。

 やはり研究質な性格をしているのか、意外とポケモン談義に花が咲くのだ。そのせいで話すつもりのない事まで話してしまい、博士がまた学会に新しいレポートを提出していた。

 

 流石のシゲルもジト目で博士を見ており、こちらも同様に何も言わないがジッと博士を見つめる。すると、何故かよくわからないが、来年セキエイ高原で行われるレッド対ワタルの試合のチケットを貰えることになった。やったぜ。

 

「……前にワタルさんに会えたのはこういうことだったのか」

 

 

 

 10歳 μ月β日 『修行も大詰めである』

 

 雪が降る季節になって来た。もう三か月半ほどで旅に出ることになる。

 

 修行についてだが、基礎はもう完全に修めた。師範が、「明日からは奥義の伝授を始める」と言っていたので、そろそろマサラ式肉体言語術も極みの段階に入ってきたようだ。

 

 旅の準備は順調ということで、そろそろ俺の結論を出すことにした。

 

 俺はサトシだ。それは間違いない。だが、アニメシナリオとか気にしても仕方ないし、もうシゲルも原作と違うし、好き勝手にやることにした。良く考えれば、原作のサトシ君は二十年以上ポケモンリーグで勝てていないのだ。同じことしたって勝てる訳がない。

 

 むしろ、せっかく前世の知識があるのだ。それを有効に使うことを考えよう。

 俺はマサラタウンのサトシだが、ニューサトシなのだ。全部が全部アニメの通りにする必要はない。美味しい所だけ取って、いらない物は無視する。ポケモンも逃がさないし、しっかり厨ポケも使っていこう。

 

 

 

 10歳 β月φ日 『セキエイ高原 カントーチャンピオンリーグ』

 

 遂にチャンピオンとワタルの試合の日だ。博士は急用で来られなくなってしまったらしく、ママさんが代わりに保護者を務めてくれた。

 

 参加メンバーは、俺、シゲル、ナナミさん、ママさんの四名である。

 

 ナナミさんは今日の為にわざわざ帰って来たらしい。正直、コンテスト専みたいだし、バトルには興味ないと思っていたので意外だ。

 席もかなりいい席なようで、聞けばチケットも一枚15000円すると言っていた。

 

 パンフレットを見ると、チャンピオンもワタルも今の所無敗で来ていて、この試合の結果で新チャンピオンが決まるようだ。

 隣のシゲルにどっちが勝つと思うか聞いてみると、「心情的にはワタルさんに勝って欲しいけど、チャンピオンの強さは異次元だからな……」と言って頭を悩ませていた。

 

 そのまましばらく適当な話をしていると、急に会場が暗くなっていく。

 

 どうやら選手が入場してくるようで、派手な爆発と同時にワタルが七色の光に照らされながらフィールドに現れた。

 これには会場も大興奮。俺も大興奮。精神的に大人になったと自称していたが、思わず「うおおおおぉぉぉ!!」と声を出してしまった。

 

 ワタルの入場が終わると、今度はチャンピオンの番である。

 

 派手な登場のワタルに対して、チャンピオンは無音。一筋の光に照らされながら、コツコツと小さな足音を響かせるだけで、特にパフォーマンスらしいものは何もなかった。

 しかし、それが逆に雰囲気が出ているというか、チャンピオンの風格を感じさせる。

 

 実況と解説が二人の説明をしている間、何やら言葉を交わしているように見えるが、ここからでは声は聞こえなかった。だが、ワタルの気合はこの距離でも十分伝わってくる。

 

 両者の準備が出来上がると、互いにモンスターボールを構えた。

 

 緊張感が辺りを包み、観客席が無音になる。

 

 数秒が数分にも感じる長い間を破るように、バトル開始の合図と共に、二人は同時にモンスターボールをフィールドに投げた。

 

 

(試合内容が長いので以下省略)

 

 

 凄い試合だった。流石にレッドは別格だったらしい。

 ワタルも奮戦したが、4体目に出てきたカメックスが強すぎて、そこからはワンサイドゲームになってしまったのだ。

 途中までいい勝負をしていただけに残念だったが、いろいろ面白いものも見られたので良しとしよう。

 

 特にワタルのプテラが仕掛けた『ちょうおんぱ』を、レッドのピカチュウが『10まんボルト』のバリバリ音で無効にしていたのはビックリした。

 

 そんなこと出来るのかと思ったが、シゲル曰く「音系の技は距離によって効果が変わる。あの距離だと効果が弱くなるから、チャンピオンも十分可能と判断したのだろう」とのこと。やはりアニポケ世界は何でもアリだな。常識に囚われないようにしようと改めて思った。

 

 

 

 10歳 γ月σ日 『俺の勝ち アンタも割と頑張ったけどね』

 

 今日も今日とてオーキド研究所へ行ってから道場へ行く。

 

 何だかんだ旅まで後一週間ほどになった。

 初心者用ポケモンの三体もひと月前には届いていて、世話を手伝っている俺からすると、やはりピカ様よりヒトカゲを連れていきたいと思う。

 やっぱヒトカゲ最高よ。サトシのヒトカゲもいいけど、あいつ進化するとしばらく調子に乗って言うこと聞かなくなるからなぁ。

 

 しかし、もう後一週間しかないのに、まだピカチュウの姿が見えないってどういうことだ? いくら数合わせとはいえ、普通はもっと早く用意するものだろう。

 

 まぁ、それはともかくとして、今日は師範と一対一の真剣勝負をすることになった。

 

 奥義の伝授も一月前に終わり、もはや免許皆伝を言い渡されたが、最後に今の俺の実力を確認したいとのことだ。俺としても比較対象がいないので自分がどれだけ強いのかわかっていなかったし、丁度良い機会だった。

 

 結果は俺の勝ち。どうやら俺は思っていた以上に強くなりすぎてしまったようだ。

 

 

 

 10歳 γ月χ日 『やったわ、あの爺』

 

 後三日。何やら博士が慌てている。

 大方、ポケモンが一匹足りないのを忘れていたに違いない。最近は俺にポケモンの世話を任せて研究ばっかりしてたからな。

 

 多分、その辺で捕まえてくるつもりだろうが、初心者に育てやすいように教育する時間もない以上、まず間違いなくアニメの通りになるに違いない。万が一、ピカチュウを掴まされそうになったらゴネまくってやる。

 

 

 

 10歳 γ月ω日 『スヤァ』

 

 後一日。やっべ、緊張してきた。眠れない。

 

 いや、落ち着け、こういうときこそ修行の成果を見せるのだ。

 

 

 呼吸を整えて、

 

 

 体から余計な力を抜け、

 

 

 気を落ち着けて、

 

 

 精神を安心させる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……スヤァ。

 

 

 

 10歳 δ月α日 『マサラタウン 旅立ちの日 前編』

 

 朝、何とか寝坊することなく起きることが出来た。

 旅の準備は前日にママさんと一緒にしたので、後は別れだけだ。「頑張って来るのよ、サトシ」という声に見送られ、オーキド研究所に向かう。

 

 しかし、まだ時間前なのか門が閉まっている。まぁ、いつも来る時間はもう少し遅いからな。こんなもんだろう。

 そのまま門が開くのを待っていると、シゲルが来た。「早いなサトシ」と言われたが、別にそこまで早い時間でもない。

 

 まだ博士が来ないのでシゲルと世間話をしていると、それから十分くらいして女の子が、その五分後に男の子がやってきた。

 おそらく、原作で出ていない二人だろう。サトシ君も話したことはないが顔は見たことがあるという程度だ。強気そうな男の子と、笑顔の可愛い女の子だった。

 

「揃っているようじゃな」

 

 二人が丁度合流したタイミングで、博士も出てきたようだ。

 散々待たせやがって、やっと旅に出られるぜ。

 と、思った矢先のことである。あろうことかこの爺、俺にピカチュウを連れていけとか言い出しやがった。事と次第によってはマサラ式肉体言語術の奥義を見せるぞコノヤロウ。

 

 そんな俺の殺気を感じたのか、「ま、待て。これには事情があるんじゃ」と言い訳を始めた。とはいえ、そんな大したことではない。予想通りにポケモンの準備を忘れていて、まだピカチュウはトレーナー慣れしていないから初心者には厳しい。だから、ポケモン慣れしている俺に連れていってほしいということだ。

 

 冗談ではない。一番に来たのにピカチュウしか選択肢がないだと?

 

 そんなの受け入れられるはずがないね!

 

 問答無用でヒトカゲの入ったボールを取ろうとすると、「待ってくれ。頼むサトシ、この通りだ」と頭を下げてきた。だが、爺の頭に何の価値がある。どうしてもというなら対価を用意せよ。納得できるものが用意できるなら、ピカチュウを連れて行ってやろう。

 

「……何が望みじゃ?」

 

 ピカチュウを連れていくなら、少なくとも技レコードの『なみのり』を用意しな。

 

 この世界に技マシンや技レコードがあるのは知ってるんだ。なみのりピカチュウならまだ戦いようがあるし、連れていくのもやぶさかではない。無理ならヒトカゲだ。

 

「むむむ、技レコードは貴重品じゃ。技マシン以上に作るのが難しいからそう簡単に用意できるものじゃない。お主も知っておるだろう?」

 

 だからなんだ? 無理なら、俺はヒトカゲで行かせてもらうぜ。

 

 あーあ、このことがポケモン教育委員会にばれたらどうなるんだろうな?

 まぁ、俺には関係ないし、同情も妥協もするつもりはない。何せ、全部爺の自業自得だ。

 

「ぐぬぬ、わかった。用意する……一月ほど待ってくれ。用意できたらお前さんのいる街に届けさせる。それでいいじゃろう?」

 

 いいや、そんなに待てないね。一週間だ。

 

「一週間!? そんなの無理じゃ!」

 

 無理なら、俺はヒトカゲで行かせてもらうぜ!

 

「ぐぅぅ、わかった。一週間じゃな!!」

 

 伝手を使えば何とかなるのだろう。実際、こんな間抜け爺でもポケモン界の権威だ。

 

 もはや、オーキド博士と呼ぶのも烏滸がましいが、なみのりピカチュウが手に入るのならここはヒトカゲを諦めてやろう。原作通りなら手に入る当てもあるしな。

 

 こちらの話がようやくひと段落ついたので、続けてシゲルがポケモンを選んだ。

 

 最初から決めていたようで、ゼニガメを手に取っている。やはり、ここは原作通りのようだ。いや、もしかしたら年末に見たチャンピオンのカメックスに影響されたのか?

 ジッとシゲルを見てみると、恥ずかしそうに顔を逸らしたので間違いなさそうである。

 

 続けて女の子がフシギダネを。男の子がヒトカゲを連れていった。確か、シゲル以外の二人は途中で脱落するんだよな。すまん、ヒトカゲ。

 

 さて、俺もそろそろピカチュウと対面しよう。

 

 電気対策に、研究所からゴム手袋を持ってきて、モンスターボールを投げる。ピカチュウは一瞬、辺りを見回すような仕草をすると、すぐにこちらに気付いたようで目が合った。

 

 よう、ピカ様。俺がお前のトレーナーのニューサトシだ。これからよろしくな。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・オーキド博士から一目を置かれている。
 謎知識や態度が大人びているのもそうだが、ポケモンに対しては紳士的な所が評価されている。

・シゲルまで大人びてしまった。
 ニューサトシの影響で、シゲルが「サートシ君」と言わなくなった。初期シゲルが好きな人はすまない。

・スーパーマサラ人になりつつある。
 博士曰く、人間をやめつつあるらしい。

・第1話『ポケモン君に決めた』より、旅立ちの日に遅刻しなかった。
 アトラクタフィールドの収束によってピカ様を選ばされた。


 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.5 NEW!





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#004 『バイバイバタフリーなんてしない』

 10歳 δ月α日 『マサラタウン 旅立ちの日 中編』

 

 ピカ様と対面したが、やはり言うことを聞かない。

 

 むやみやたらにこちらに電気を飛ばしてくることはないのだが、触ろうとすると帯電するし、実際触ったら『でんきショック』をしてきた。ゴム手袋のおかげで大丈夫だが、この調子じゃすぐには仲良くなれないだろう。

 

 アニメだとサトシ君はピカ様をモンスターボールに戻せていなかったが、どうやらあれはサトシ君が上手くボールを使えなかったということもあったようで、普通にボールの光を当てると中に戻すことができた。

 

 そのまま爺からポケモン図鑑とボールを貰って旅に出るが、このままじゃ自衛もできん。

 

 とりあえず、マサラタウンから出てすぐの所でピカ様と再びご対面した。

 

 ちなみにシゲルたちはとっくに先に行った。

 まぁ、ポケモンが言うことを聞かないなんて事態がなければそんなものだろう。

 

「ピカチュウさん。少し真面目な話をしよう」

 

 目を合わせようとしないピカ様の目を無理やり合わせると、『でんきショック』で抵抗してきた。ゴム手袋があるのでさせるがままにしていると、すぐに疲れたのか電気は止んだ。

 

 そのタイミングで再び目線を合わせると、ようやく話を聞いてくれる気になったのか、黙ってこちらのことを見つめている。

 

「お前は俺が好きじゃない。つまり、野生に帰りたいってことで良いか?」

「ピカ」

 

 頷いたな。ならば、交渉だ。こっちだって嫌なのを無理に連れていくつもりはない。

 

「ピカチュウ。一度だけ俺に協力してポケモンを一匹捕まえさせてくれ。そうすれば、この先のバトルはそいつに任せるし、トキワシティについたらオーキド博士に頼んでお前を自由にしてやる。そうすれば自由になれるぞ。どうだ?」

 

 何のメリットも提示せずにただ従えと言っても嫌だろう。

 だが、自分にも得があるとわかれば嫌でも我慢できるはずだ。後は、もう流れに任せよう。本当にピカ様が一緒に来たくないなら博士に頼んで新しい御三家を貰えばいい。

 

「ピカピカ?」

「ああ、本当だとも。もしお前が嫌なら、トキワシティまでボールにだって入れない」

 

 本当かと疑っていたので、素直に頷く。

 実際、どうしてもピカ様が欲しい訳ではないしな。もう俺はニューサトシなのだ。アニメのサトシ君のように説得するつもりはない。

 

 ボールに入らなくてもいいというのが決め手になったようで、「ピカ」と頷いた。

 

 さて、これで契約成立だ。後は誰を捕まえるかだな。この辺りで捕まえられるポケモンと言えば、ポッポ、コラッタ辺りだろう。

 

 どちらも正直いらないんだが、どちらかと言えばポッポか。ひこうポケモンは上空を飛べるから道に迷った時も偵察に使える利点がある。

 

 ピジョン? いや、別にポッポから育てればいいだろう。

 

「決めた。ポッポを捕まえる。それでお前は自由だ」

「ピカピカ」

 

 わかったとばかりに、ピカ様が近くでポッポを探し始めた。

 しかし、いざ探そうとすると意外と出てこない。この辺りをぐるっと回ったが、ポッポらしき姿は見つけられなかった。仕方ないので、そのまま先に進む。

 

 ピカ様も、ポッポさえ捕まえればお役御免ということで素直について来ている。

 

 そのまま歩いていると、木の側でようやくポッポに出会えた。

 ピカ様がやる気をみなぎらせながら前へ出るので、倒しきらないように声をかける。そのまま『でんきショック』を指示すると、一発でポッポがダウンした。ボールを投げる。

 

 大リーグボール一号が命中し、無事にポッポをゲット出来た。

 

 これでピカ様との契約も終了だ。一応、逃がすにしても博士に言う必要があるので、トキワシティまでは一緒に来るようにお願いする。自由になれるなら従うという感じで、そのまま後ろに付いて来たのでポッポを出して先導をお願いすることにした。

 

「ポッポ、これからよろしく頼む。ダメージは問題ないか?」

 

 平気だと声を上げるので、そのまま前を飛んでもらう。

 途中、コラッタが出て来て勝負を仕掛けてきたが、上空を飛んでいるポッポが『たいあたり』しか出来ないコラッタに負ける理由がない。まぁ、こちらもまだ『たいあたり』しか覚えていないようだが、上空からのヒット&アウェイを指示すると、ダメージ無しでコラッタを倒すことが出来た。

 

 うむ、やはり戦い方一つでどうにでもなるな。

 あ、ちなみにピカ様は後ろであくびしてます。

 

 そのまま何度か野生のポケモンとバトルしていると、今度はオニスズメが出てきた。

 アニメではピカ様の電気にやられて群れで襲ってくる奴らだが、流石に一対一のバトルならそんな卑怯なことはして来ないだろう。でないと野生ポケモンと戦う度に群れが出てくることになるしな。

 

 向こうもひこうタイプということで、流石に無傷で倒すのは難しそうだった。

 新しくポッポも『すなかけ』を覚えているが、オニスズメの特性は『するどいめ』なので命中は下がらない。どうにか『たいあたり』でダメージ勝ちするしかないだろう。

 

 ポッポに指示を飛ばしながら、何とかダメージ有利な状況をキープしていく。

 野生のポケモンは動きが単調だし、このまま行けば勝てるはずだ。そう思っていると、ポッポの『たいあたり』が急所に当たったのか、オニスズメが落下して行った。勝利である。

 

 ふと、落下したオニスズメを見ると、涙目でこちらのことを見ていた。あれ? どこかで見たことあるなこの光景――

 

 

 

 10歳 ε月α日 『トキワシティ 旅立ちの日 後編』

 

 いやぁ、まさかマジで原作通りに事が進むとは思わなかったなぁ。

 

 オニスズメも、バトルに負けたからって本当に仲間呼ぶなよ。子供の喧嘩に親が出てくるようなもんだぞ。恥を知れ恥を。

 

 振り返ると、結局はあの後、オニスズメの群れに追われることになり、ボールの外に出ていたピカ様は見事にオニスズメ達からタコ殴りにあった。ボールを出す暇もなかったので、ダウンしたピカ様を抱いてそのまま走り、滝へダイブ。途中、カスミらしき少女から自転車をかっぱらい、そのまま爆走したものの、結局は捕捉され、最終的にはピカ様の自然の力を借りた『かみなり』でオニスズメを倒したというのが一連の流れである。

 

 最悪はマサラ式肉体言語術を使おうかと思っていたので、解決出来て本当に良かった。

 

 まぁ、アニメのサトシ君のように格好良く庇うことはしなかったのだが、どうやら助けようとしただけでも通じ合えたらしい。綺麗に原作通りの話をなぞったおかげもあり、今はトキワシティのポケモンセンターでこうして日記を書いている。

 

 ちなみにホウオウも見た。羽は落とさなかった。残念だ。

 

 改めて、今ピカ様は回復中。そして俺はカスミらしき少女に自転車を壊したことについて怒られ中である。

 想像以上に怒っていて謝罪すら出来ない。すまんて、ピカ様の危機だったんや。

 

 そのまま怒鳴られ続けていると、ピカ様が治療室から出てきた。

 

 タイムと言って、そのままピカ様の所へ行き、ジョーイさんに容体を聞く。カスミもボロボロのピカ様を見て怒るほど鬼ではないらしく、今はピカ様を看病してあげなさいと言ってくれた。やっぱ、カスミさんは良い奴やで。

 

 姉御肌のカスミさんに感動していると、警報が鳴ってロケット団がやってきた。

 

 そういえば、こいつらもここで初登場だったな。喋るニャースとか珍しすぎてマジで欲しいんですけど。名乗りも格好良いし、やっぱこいつら好きだわ。

 

 とはいえ、このままピカ様を渡す訳には行かないのでポッポで応戦する。

 オニスズメとの格闘の末に『かぜおこし』を覚えたので割といい戦いになっているが、相手はニャース、アーボ、ドガースと三体もいるので数で不利だ。加えて室内ということもあり高度が取れない。ひこうポケモンの強みを行かせないのはマイナスでしかなかった。

 

 途中、見かねたカスミさんが格好いいこと言いながらトサキントで乱入してきたが、カスミさんみずタイプのポケモンで陸上適正ないやつはここでは戦えませんよ!

 

「わかってるわよ!!」

 

 思わずツッコミを入れてしまい、真っ赤に怒ったカスミさんが今度はヒトデマンを繰り出した。流石にジムリーダーの資格を持っているだけあって強い。ポッポと協力して一気にロケット団のポケモンを倒すことに成功した。

 

 ってか、アニメと違ってピカ様寝たまま撃退しちゃったけど、あいつらこれから付いて来るのかなぁ。

 

 

 

 10歳 δ月β日 『トキワの森へ 劣化ビビヨン、バタフリー』

 

 何だかんだ自転車を弁償するまで付いて来ることになったカスミさんを連れてトキワの森へ向かう。

 

 ピカ様ももう完全復活したのだが、どうやらオニスズメの一件で懐いてくれたのか、俺と一緒にいるのも嫌じゃなくなったようだ。

 逃がす約束は反故となり、俺の指示にも素直に従ってくれるので、もう大きな問題はなさそうである。

 しかし、やはりボールの中に入るのは嫌なようでアニメのように外に出ていた。まぁ、外に出ていて大きな問題もないので別に良いか。

 

 ポケモンセンターも壊さずに済んだし、後はニビシティに向かうだけである。

 

 そんなこんなでトキワの森に来たのだが、カスミさんがキャタピーを見つけてビビりまくっていた。

 それを見ながら、まじめにバタフリーを使っていくかどうか迷う。

 

 このキャタピーをバタフリーに育てても、途中でバイバイさせられる可能性があるんだよな。ただ劣化ビビヨンとはいえ、『ふくがん』の『ねむりごな』は強いし、割と活躍できるだろう。最悪、キョダイマックスだってあるしな。

 

 散々悩んだが、ポッポの『かぜおこし』を耐えられたら捕まえようということにし、ポッポでバトルを仕掛けた。

 

 こちらに気付いたキャタピーが『いとをはく』で動きを封じようとしたが、高度を取って回避、そのまま遠距離から『かぜおこし』をくらわせる。

 当然のように吹っ飛ばされたが、ギリギリでダウンすることなく立ち上がって来た。

 

 やっぱり、ガッツがあるな。ゲームなら間違いなく戦闘不能だが、どうやら気合で耐えたらしい。とりあえず、ボールを投げた。すまんがバイバイバタフリーさせる気はないから彼女作るのは諦めてくれ。

 

 原作通りキャタピーをゲットすると、そのタイミングで前回のバトルでの経験値もあってレベルが上がったのか、ポッポがピジョンに進化した。

 まぁ、カスミさんの手を借りたとはいえ、ロケット団の三体を一体で倒したのだ。レベルも上がっていたのだろう。これで原作通りのメンバーである(ピジョンの個体は別だが)。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・第1話『ポケモン君に決めた』より、ポッポを捕まえた。
 しかし、経験値を稼いだのですぐにピジョンになった。今はピカ様よりレベルが高い。

・第2話『対決ポケモンセンター』より、ロケット団をピカ様が追い返さなかった。
 そもそもピカ様と出会ってない。そのせいで特別なピカチュウと思われなかったので、今後後を着いてくるかどうかわからなくなった。

・トキワシティのポケモンセンターが壊れなかった。
 アニメでは後に「サトシ、ポケモンセンター直ってるわよ」「ほんとだ」で済まされるが、そもそも壊れなかった。

・心の中で、カスミをカスミさんと呼ぶようになった。
 話す時は普通に呼び捨てだが、日記にはカスミさんと敬意を表している。ピカ様も一緒で、話す時はピカチュウと普通に呼んでいる。


 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.5→10 

 ポッポ→ピジョン Lv.4→18 NEW!

 キャタピー Lv.3 NEW!




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#005 『今日の所はこの辺にしておいてやる』

 10歳 δ月γ日 『トキワの森 ロケット団再び』

 

 昨日もあれからトキワの森でバトルを繰り返した。

 

 ピカ様の今覚えている技を、ポケモン図鑑の技を調べる項目で見てみると、意外と覚えている技が多く、『でんきショック』以外にも、レベルで覚えられる技は大抵覚えているようだ。

 基本は『でんきショック』、『わるだくみ』、『かげぶんしん』、『でんこうせっか』の4つをメインに使っていくことにした。『にどげり』なんかも覚えているので、状況に応じて使い分けて行けばいいだろう。

 

 ピジョンも進化して、『でんこうせっか』や『ふきとばし』という技を習得していたので、それを活用するバトルを組み立てた。

 特にゲームではポケモンを追い返すだけだった『ふきとばし』だが、この世界では普通に相手の体勢を崩すのに使えたのだ。今では『ふきとばし』からの『でんこうせっか』で隙を突き、再び『ふきとばし』で距離を取ってからの『かぜおこし』というヒット&アウェイがピジョンの必殺コンボになりつつある。

 

 キャタピーはカスミさんが虫嫌いということでショックを受けていたが、そんなこと気にせず、すくすく成長してもらうために、『いとをはく』を使って相手の動きを妨害させ、『たいあたり』で仕留めるコンボを指示。根性があるので、すぐに成長し、夜にはトランセルに進化していた。原作崩壊も良い所である。

 

 そんなこんなでトキワの森の中を歩いていると、再びロケット団が現れた。

 

 どうやらアニメのように珍しいピカチュウではなく、俺が育てた強いポケモンを狙っていると宣言している。まぁ、いないといないで寂しいので来てくれて良かった。

 

 こちらも前回と違い、ポケモンが三体になったので疑似3対3のバトルになる。

 一番心配だったトランセルだが、進化したことで『かたくなる』を覚え、物理に強くなったので、相手の攻撃を受け、『いとをはく』で動きを封じ、『たいあたり』で仕留めるという戦術を確立していた。

 

 ピジョンもいつものヒット&アウェイで敵を翻弄していて、ピカ様に至っては仲間の二体を囮にして『わるだくみ』を3回も積んでいる。もう最強やん。

 

 そのまま『でんきショック』をロケット団におみまいしてやると、アニメのように「やなかんじー」と言いながら、明後日の方向に飛んで行ってしまった。いい感じである。

 

 

 

 10歳 δ月δ日 『トキワの森 侍少年の挑戦』

 

 昨日はいい経験値をもらったのでトランセルもバタフリーに進化するかとも思ったが、流石にまだのようなので今日も元気に経験値を集めていくことに。

 

 昨日同様、野生のポケモンを蹴散らしながら先へ進んでいくと、鎧兜を被った虫取り少年がバトルを仕掛けてきた。アニメのサムライ少年だな。

 

 おそらくアニメと一緒でシゲル達にボコボコにされたのだろう。

 マサラタウンのトレーナー許すまじとばかりにカイロスを繰り出してきたのでピカ様を出す。アニメのサトシ君はピジョンの体力調整をミスって普通に負けていたが、普通に戦えば負けるレベルの相手ではなかった。

 

 次にトランセルを出してきたので、こちらもトランセルを出して、『かたくなる』しかしてこないトランセルをボコボコにしてやる。少し時間がかかったが、攻撃出来ないポケモンに負けるはずも無く、遂にトランセルがバタフリーに進化した。

 

 ポケモン図鑑で技を確認すると、『かぜおこし』、『ねんりき』、『ちょうおんぱ』と、3つも新しい技を覚えている。ゲームでは『ちょうおんぱ』は思い出させないと使えなかったが、どうやらこの世界はしっかり使えるようだ。ありがてぇ。

 

 アニメのようにアホみたいな時間をかけなかったからか、スピアーの群れに襲われることもなかった。まぁ、そもそもあれはアニメのサトシ君がビードルを中途半端に逃がしたせいなのでフラグも無かったのだろう。

 

 サムライ君もストレート負けしたことでこちらの実力を認めたのか、素直にトキワの森を抜ける道を教えてくれたので、そろそろニビシティへ向かうことにした。いい加減、カスミさんも森キャンプに飽きてきてるしな。

 

 

 

 10歳 δ月ε日 『トキワの森からニビへ』

 

 森を抜けたがニビシティにはまだ着かないらしい。連日野宿が続いてポケモン達にも疲れが見え始めているし、ここからは移動を速めることにした。

 

 

 

 10歳 δ月ζ日 『ニビシティ ジム戦 VSタケシ 前編』

 

 ニビシティに着いた。その途中、タケシの親父であるムノーとかいう無能に絡まれたのだが、石なんか売ってないでさっさと家に帰ってやれよ。ジムに挑戦するという話をしたら鼻で笑って来たので思わず蹴り入れそうになったぞ。

 

 カスミさんもカスミさんで、「アンタじゃニビジムのタケシには勝つのは無理よ」とか言いやがるし。君達、少しニューサトシを舐めすぎでは無いかね?

 

 確かにアニメのサトシ君は無鉄砲なだけの子供だが、こちとらニューサトシやぞ。タケシ対策くらいしてあるわ。まだ来てない『なみのり』の技レコード待ちだけどな!

 

 流石の俺もピカチュウ、ピジョン、バタフリーの三匹で相性不利ないわタイプのジムに勝てると思うほど馬鹿じゃない。さっき爺に連絡したら『なみのり』の技レコードが届いたと言っていたし、数日もすればピカ様に『なみのり』を覚えさせられる。それから一気に進もうではないか。

 

 と、言う訳で、早速ジム戦を挑みに来たぞ☆

 

 勝てないのはわかっているが、実際にどれだけ通用するかは試して損はないし、運が良ければ勝てるかもしれないしな。

 

 ニビジムに行くと、ジムリーダーのタケシが出て来てバッジの数を聞いて来る。

 どうやらジムの仕様もアニメと少し違い、持っているバッジやトレーナーの経験などで、使用するポケモンのレベルを合わせてくれるらしい。どちらかというとオリジンに近いな。

 

 トレーナー情報を調べるためにトレーナーカードを出すように言われたので図鑑を渡す。爺の図鑑はトレーナーカードも内包している便利な図鑑なのだ。

 

 旅に出てから約一週間、バッジもゼロの初心者だということがばれたが、舐められる分には困らないので有難く胸を借りよう。

 

 手持ちポケモン二体のジムバトルを開始する。

 

 向こうの一体目はイシツブテ。こっちがバッジゼロなのでレベルは最大10に固定するらしい。

 どうやらそういう道具があるようで、レベルが20以内なら最大10に下げられると言っていた。もし、20に合わせる場合は30レベル以内じゃないとダメと言うことか。

 

 随分、挑戦者に有利なシステムだと思ったが、どうもこの世界のジム戦はそうやってレベルを合わせるのが普通らしい。

 こっちのポケモンはバタフリー以外はレベル15を超えているはずなので、上手くすればレベルでごり押しできるかもしれないな。

 

 一体目にバタフリーを出すと、タイプ相性も知らない初心者だと思ったのか、タケシが残念そうな顔をしている。

 すかさず『ちょうおんぱ』を指示してイシツブテを混乱させると、「おっ?」という表情をしたので、そのまま『ねんりき』でイシツブテを持ち上げ地面に叩きつけた。

 

 エスパータイプの技はタイプ不一致だが、十分効いたようでダメージを受けている。その上混乱もしているので素早い反撃が出来ない。タケシがイシツブテに声をかけているが、前を向くことも出来ていなかった。

 どんな攻撃でも『がんじょう』の特性を持っていたら耐えるので、そのまま連続で『ねんりき』を指示し、イシツブテが混乱から回復する前に一気にダウンまで持って行く。

 

 ここでようやくタケシも俺がただの初心者じゃないことに気付いたようだが、残念ながらその時点でイシツブテは戦闘不能になっていた。

 

「……どうやら、甘く見過ぎていたようだな」

 

 そう言って二体目はイワークを出してくる。

 

 同じ手が通用するか試してみるが、流石にジムリーダーだけあって対応が早い。『いわおとし』で遮蔽物を作りながら、落石の音で『ちょうおんぱ』を掻き消してきた。

 そのまま『しめつける』を指示してきたので、バタフリーを上昇させる。いくら大きなイワークでも天井ギリギリまで飛んでいるバタフリーをしめつけには行けないようで、タケシも『いわおとし』でこちらの動きを封じる作戦に移してきた。

 

 頑張って攻撃を避けていたが、避けるので手一杯になってしまい攻撃に移れない。結局、連続の『いわおとし』を避けきれず、バタフリーが落下して行った。

 そうなれば後はイワークの独壇場である。『しめつける』でバタフリーの動きを封じてきたので、『いとをはく』を指示した。

 

 少しでも動きを封じられればいいという悪あがきだったが、やはりしめつけの中動くのは難しいらしく、そのままバタフリーは戦闘不能になってしまった。

 とはいえ、イシツブテを倒せただけ大金星である。粉技を覚えていたら勝負は変わっていたかもしれないな。

 

「さぁ、次はどうする?」

 

 どんなポケモンでもかかってこいとばかりの意気込みを感じる中、こちらもピカ様を送り出す。

 アニメ初期は臆病で、イワークにびびりまくっていたピカ様だが、弟分のバタフリーが頑張ったのを見てやる気になったのか、元気にフィールドに飛び出して行った。

 

 でんきタイプのピカチュウを出して来たことで、また油断してくれないか期待したが警戒は解かれていないようだ。残念である。

 

 とりあえず、ピカ様のわざでイワークにまともに通用する技は『にどげり』くらいなので、後は補助技だけを指示することにした。『かげぶんしん』で的を絞らせず、『しっぽをふる』で防御を下げて行く。

 タケシは再びイワークに『しめつける』を指示し、ピカチュウを捕まえようとしてきたが、捕まったらまず勝てないので逃げに徹した。

 

 動くのは防御を6段階下げた後だ。

 

 とはいえ、いくら逃げに徹しても、全ての攻撃を避けきれる訳ではないので何度か捕まりそうになる。だが、その瞬間に『にどげり』をイワークに当て、怯んだ所を脱出していた。

 タケシも、ダメージの高さから尻尾のせいで防御が下がったことに気付いたようで、『かたくなる』を指示。また、攻撃方法を遠距離からの攻撃である『いわおとし』に切り替えていた。

 

 向こうが『かたくなる』を使ってきた以上、このまま防御を下げ続けるのは無理だな。

 

 一気に距離を詰めて、『にどげり』で勝負をつけよう。ピカ様も頷いて、イワークに向かって突っ込んで行った。

 しかし、それはタケシも望むところだったのか、『たいあたり』を指示してくる。真っ直ぐ走っていたピカ様へカウンター気味にイワークの体が当たり、空中に弾き飛ばされた。

 

 流石にこのまま落ちたら捕まるので、『かげぶんしん』で的を絞らせないように指示を飛ばす。しかし、空中で動けない以上、どこにいるか見切られてしまったようで、遂にピカ様が『しめつける』に捕まってしまった。

 

 アニメではでんき技が効いていたが、基本的にじめんタイプを持っているイワークにでんき技は効かない。最後のあがきということで、ピカ様に『てんしのキッス』を指示した。

 ピカ様が苦しそうにイワークの体にキッスすると、イワークの体から一瞬力が抜ける。混乱したのだ。当然、その隙を逃す手はなく、ピカ様へ『にどげり』を指示しようとした――が、その瞬間いきなり体が重くなってしまい、驚きで声を出すことが出来なくなってしまった。

 

 重力でも増えたのかと思って自分の体を見てみると、タケシと似たような顔をした子供の大群が俺の体に群がっている。

 

 そりゃ体も重くなるわ!

 

 どうやらタケシが負けそうになって居ても経ってもいられず妨害に来たらしい。気持ちはわからなくもないが、それは反則だろう。そういえば、アニメでもこんなんあったわ。

 

 思わずタケシもやめるように声をかけるが、子供達は首を横に振って嫌がっている。

 

 これじゃあ、俺が悪者じゃねーか。

 

 何かもうジム戦という空気でもなくなってしまったし、今日はここで帰ることにした。実際、今日は様子見だった訳だし、『なみのり』を手に入れてからまた来ればいい。

 

「戻れピカチュウ」

 

 ピカ様に帰るように言うと、「いいの?」とばかりに首を傾げていた。

 いいのさ。実質勝ちみたいなもんだし、本番はこれからだ。公式戦の感触はつかめたし、今日の所はこれくらいにしといてやろう。

 

 ピカ様も俺がそういうなら別にいいと言うような感じで素直に帰って来た。ようやく子供達も離れて体が自由になる。次はやるなよ、絶対に。

 

 タケシが何か言いたそうにしていたが、「また来るわ」と言って、そのままニビジムを後にした。

 まぁ、タケシにしてみればスッキリしない終わり方かもしれないが、ぶっちゃけイシツブテはタケシが油断していた所を不意打ちで倒したようなもんだし、あのまま勝っても気分のいい勝ち方ではなかったんだ。これで良かったのさ。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・第3話『ポケモンゲットだぜ!』より、ロケット団の着いてくる理由が変わった。
 トレーナーになって一日の初心者に負けたことで、ニューサトシの育てたポケモンは強くなると思ったらしく後を着いてくるようになった。

・アニメと覚えている技が違う。
 ピカチュウだけではなくそのポケモンがレベルで覚える基本技は全て覚えている。

・キャタピーの進化ペースが違う。
 キャタピーのみならず、手持ちをめちゃくちゃレベリングしている。

・第4話『侍少年の挑戦!』より、サムライ少年をボコした。
 負ける要素がない。

・スピアーに襲われなかった。
 フラグを立てなかった。よって、すぐにトキワの森を抜けたのでロケット団に襲われなかった。

・第5話『ニビジムの闘い!』より、ジム戦の仕様が違う。
 挑戦者のトレーナー情報や、バッジの数によってポケモンのレベルが変わる。バッジが8つ以上の場合は、ジムリーダーの本気メンバーとバトル出来る。

・レベルの概念が明確にある。
 わかりやすいので。

・タケシに勝ちそうになった。
 アニメと技が違うので、ピカチュウの技をしっかり使えば勝てたりする。レベル差もあった。


 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.10→17

 ピジョン  Lv.18→19

 キャタピー→トランセル→バタフリー Lv.3→11




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#006 『バトルしよーぜ!』

 10歳 δ月ζ日 『ニビシティ ジム戦 VSタケシ 後編』

 

 タケシとのジム戦を終えてジムから出ると、原作通りに無能の親父が「うちにきなさい」と声をかけてきたので、大人しくお世話になることにした。

 

 確か、水車発電施設でピカ様をパワーアップするイベントがあったはずだ。

 ぶっちゃけ、タケシとのバトルには何の役にも立たないだろうが、『10まんボルト』を早い段階で覚えられるのはアド過ぎる。

 

 どうやらこのおっさんもバトルを見ていたようで、「良いバトルだった。次は勝てるかもな」と声をかけてきた。いや、まぁ実際追い詰めていたが、レベル差があったおかげでもある。本気のメンバーを見るのはいつになることやら。

 

 しかし、このおっさん本当に無能だな、さっさと家帰れよ。別に聞いてもいないのに、何でタケシの身の上話なんか聞かされなきゃいけないんだよ。ピカ様の強化に繋がるから黙って聞くが、これがなかったらお前ぶっ飛ばしてタケシの前に放り出す所だったぞ。

 

 夜、水車発電施設でピカ様の強化イベントをこなす。

 水がないので人力発電だが、マサラ人の体力を舐めてはいけない。これくらいなら余裕でこなせるぜ。

 

 途中、カスミさんが自分のポケモン使えば楽に勝てるとこちらを誘惑してくるが、流石にそれはトレーナーとしてどうかと思うので丁重にお断りさせて貰った。

 

 明日か明後日には『なみのり』も手に入るしな。

 

 何故かカスミさんがまた鬼のように怒っていたので明日会うのが少し怖いぜ。

 

 

 

 10歳 δ月η日 『ニビシティ ジム再戦 VSタケシ』

 

 昨晩、無事にピカ様も『10まんボルト』を覚えることが出来たので、ポケモンセンターに戻ってポケモン達を休ませることにした。

 遅い時間だったが嫌な顔一つせずにポケモンを預かってくれるジョーイさんマジ天使。

 

 そのまま一晩休ませて貰うと、朝一で爺から『なみのり』の技レコードが届いた。どうやら特急ピジョット便を使ってくれたおかげか、一日で届いたようだ。助かったぜ。

 すぐ爺に連絡してお礼を言う。向こうも約束を果たしてくれたので、そろそろ爺呼びから博士呼びにランクアップさせることにした。

 

 博士曰く、シゲル達はもうおつきみ山の前らしい。俺も『なみのり』を手に入れたし、これ以上ここで足止め食らってる場合じゃないな。

 センターにある機材で技レコードを使い、ピカ様に『なみのり』を覚えさせる。これでタケシを蹴散らしてやるぜ。

 

 再戦のために必要な準備を全て終えると、自信満々となったピカ様を連れて、もう一度ニビジムに向かう。

 

 そのままジムの門をくぐると、俺の顔を見たタケシがこちらに走ってきた。やる気満々だな。俺も昨日までとは一味違うぜ?

 

「サトシ、待っていたぞ」

 

 そう言いながら、タケシが「忘れ物だ」とこちらに手を出してくる。見ると、手のひらの上にジムバッジが乗っていた。え、くれんの? なんで?

 

「昨日の試合、勝ったのはお前だ。弟達の邪魔がなければ、ピカチュウの攻撃で俺は負けていた。ジムリーダーの視点から見ても、お前のポケモン達はしっかり育てられていることがわかる。バッジを渡す理由としては十分だ。本当なら昨日渡したかったんだが見失ってしまってな」

 

 あー、無能のおっさんと一緒に居たからな。普通はジム戦が終われば真っ直ぐポケモンセンターに帰るものだし、タケシもポケモンセンターに行ったのだろう。

 

 いや、しかし勝ったわけじゃないのにバッジなんて受け取れないよ。バトルしよーぜ。

 

「昨日の試合が成立しなかったのはジム側の問題だ。これが実力の無いトレーナーならともかく、お前レベルのトレーナーならバッジを渡さない方が問題になる」

 

 ぐむぅ。でも、せっかく『なみのり』を覚えさせたのに、戦わないなんてなんか勿体ない。やっぱバトルしよーぜ。

 

「いや、だがなぁ……」

「ったく。なんでアンタはせっかくバッジがもらえるのに、そんなにゴネてるのよ……」

 

 見かねたとばかりに、どこからか様子を見ていたであろうカスミさんもやってきた。

 

 いや、だってさ、昨日は様子見だったんだぜ。それに今日のためにいろいろ準備だってしたし、戦いたいんだよ俺は。バトルしよーぜ。

 

「……わかった。じゃあ、こういうのはどう? サトシはグレーバッジを貰う。代わりにタケシの本気のポケモンを使ってバトルして貰うの。これなら、ジムリーダーの本気も見られるし、サトシも満足できるでしょう?」

 

 流石はカスミさんナイスアイディアだ。そう言うことだタケシ、バトルしよーぜ。

 

「お前がそれでいいというなら俺は構わんが……」

 

 是非頼む。本気のジムリーダーとバトルする機会なんて、もうしばらく先だろうしな。

 

 勝てないのはわかっているが、貴重な経験になるし、バッジももらえる。俺にはいいことしかない。

 

「わかった。付いてこい」

 

 タケシに続いてジムの中に入ると、二階席に昨日の弟達の姿が見える。もう乱入してくることは無いと思うが警戒だけはしておこう。

 

 タケシがジムのコンソールを操作すると、六つのモンスターボールが出てきた。どうやらあれがタケシのフルメンバーのようだ。そのうちの一体を手に取ると、「俺はこの一体。お前は手持ち全部でいいな?」と確認されたので頷く。

 いくら俺が自分に自信ニキでも、ジムリーダーの本気ポケモン相手に3対3を仕掛けた所で勝負にならないことくらい分かっているさ。

 

 タケシがモンスターボールを投げると、中から出てきたのはイワークだった。

 

 しかし、昨日のイワークとは迫力が全然違う。隣のピカ様も力の差を感じ取っているのか、「チャー」と、耳を押さえて怖がっていた。

 だが、ここで逃げていたら戦う意味が無い。ピカ様の背中を押してバトルフィールドに送り出す。「大丈夫だ、お前の新しい力を見せてやれ!」と言うと、『なみのり』のことを思い出したのか、ピカ様もやる気になってくれたようだ。

 

「じゃあ、バトルスタート!」

 

 カスミさんの合図と共にバトルがスタートし、ピカチュウが速攻で『なみのり』を仕掛けた。

 ピカチュウが『なみのり』を覚えるのを知らなかったタケシとカスミさんが驚いているが、ジムリーダーだけあってタケシはすぐに『まもる』を指示。イワークは冷静に『なみのり』を凌ぐ。

 

 ちなみにピカ様の『なみのり』は、どこからか出したサーフボードに乗って波を生み出す技だった。もしかして身代わりボードか? 体力減らないよな?

 

 ってそんなこと気にしている場合じゃなかった。切り札の『なみのり』を防がれてピカ様が動揺している。落ち着かせるためにも、『かげぶんしん』を指示して距離を取らせた。

 正面から『なみのり』を打っても防がれる以上、ここは隙をついて避けられないタイミングで仕掛けよう。

 

 タケシは次に『ストーンエッジ』を指示してきた。エッジは命中率が低い技だが、今回はそれが逆に作用しているのか、次々とピカ様の『かげぶんしん』を消し去っていく。

 

 全てが消される前に隙を作りたい。

 

 ピカ様に新しく覚えた『10まんボルト』を指示して目を狙わせた。いくらでんき技が効かないイワークとはいえ、目に技を食らえば眩しくて開けていられないはずだ。

 本当は『フラッシュ』が良かったんだが、ないものをねだっても仕方ないのであるもので代用するしかない。さらに、その隙を突いて『なみのり』を指示した。

 

 基本的に『まもる』はタイミングが難しい技だ。いくらジムリーダーの本気ポケモンとはいえ、視界がハッキリしなければ使えないだろう。

 レベル差があるだろうから『なみのり』の一撃だけじゃ倒れないかもしれないが、これでダメージはかなり与えられるはずだ。

 

「イワーク、『じしん』だ」

 

 じめんタイプの必殺ウェポン。流石に持っていたか。

 

 イワークの視界はまだ戻っていないが、フィールドに効果を及ぼす『じしん』なら敵が見えていなくても問題ない。おまけに、地面が揺れたことで動揺したのか、まだ技に慣れていないピカ様の『なみのり』が解除されてしまった。

 幸い、『なみのり』中だったことで地面からの衝撃は和らいだのか、『じしん』のダメージは受けなかったのだが、これで『なみのり』は完全に封じられたも同然である。

 

 しかし、差があることはわかっていたが、まさかここまで何もさせて貰えないとは思わなかった。

 

 もう数秒でイワークの目も元に戻る。

 とはいえ、『なみのり』も『かげぶんしん』も効かない以上、もう打つ手は何も無い。せめて『くさむすび』でもあればまだ戦いようはあったんだが、それこそ無い物ねだりだろう。

 

「イワーク、『ステルスロック』だ。動きを封じるんだ」

 

 次のポケモンへの嫌がらせも完璧かい。これでピジョンもバタフリーもフィールドに出るだけでダメージを受ける。おまけに浮いている岩が邪魔でピカ様の移動も阻害された。

 

「イワーク、『じしん』だ。とどめをさしてやれ」

 

 くっそ、もう一か八かだ。

 

「ピカチュウ! 『なみのり』!」

 

 イワークの『じしん』で『なみのり』は消される。だが、これでダメージは防げるはずだ。倒されなければそれでいい。

 

 水が消えたタイミングで、タケシが『ストーンエッジ』を指示してきたので、『かげぶんしん』からの『10まんボルト』でエッジを相殺する。

 

 いわ、じめんタイプのポケモンにでんき技は効かないが、いわタイプの技ならでんきタイプの技でも相殺できるはずだ。

 

 目論見は正しかった。が、威力が足りなかった。レベルが足りていないんだ。

 

 ピカ様の『10まんボルト』を突き破り、エッジが『かげぶんしん』を消していく。でも、いいんだ。欲しかったのは、この一瞬。

 

「ピカチュウ、『てんしのキッス』!」

 

 先程と違い、一瞬の時間が、ピカ様をイワークまで到着させた。

 

 大きなイワークの体にピカ様がキッスしようとする。これで混乱状態になるはずだ。後は『なみのり』連打で一気に勝負を――

 

「『まもる』!」

 

 ――なん、だと。

 

「惜しかったな。策は良かった。初見だったらくらっていただろう。前回のバトルが仇となったな」

 

 同じ手が二度通用するほど、ジムリーダーは甘くないというわけだ。

 

 補助技すら無効にする『まもる』によって、キッスが封じられ、ピカ様が無防備になる。そこにすかさずイワークが『じしん』をくりだし、一気にピカ様を戦闘不能にした。

 

「ピカチュウ、戦闘不能よ」

 

 審判をしてくれていたカスミさんの声が響く。

 だが、ピカ様だけではない。もう全員戦闘不能だ。この調子では、おそらくバタフリーの攻撃も対策されているだろう。ピジョンに至っては有効打が存在しない。今の手持ちではあのイワークとまともなバトルになるとは思えなかった。

 

 男には勝てなくても戦わなければいけないときはあるかもしれないが、戦う意味のないバトルはいたずらにポケモンを傷つけるだけだ。素直に負けを認め、バトルを終了して貰う。

 

 そのまま倒れたピカ様を抱きかかえると、タケシとカスミさんにお礼を言って、すぐにポケモンセンターへ走った。

 

 悔しい。確かに、勝てるとは思っていなかった。けど、ここまで何もさせて貰えないとも思っていなかった。レベル差があるのは最初からわかっていたし、負けるのも仕方ないだろう。でも、悔しいものは悔しいのだ。なまじ、『10まんボルト』や『なみのり』を手に入れてしまったために勝機があった。だからこそ尚悔しいのだ。

 

 五分ほどニビシティの道を走り、ポケモンセンターでジョーイさんにピカ様を預ける。

 

 すまないピカ様。俺が調子に乗って事前にジム戦を仕掛けてなかったら勝てたかも知れないのに――いや、その場合、本気のタケシとも戦えなかったか。

 

 ピカ様が帰ってくるまでの間、どうすれば勝つことが出来たか考えていると、ポケモンセンターのドアが開いてタケシが入ってきた。どうやら後を付けてきたらしい。そういえばまだバッジを貰っていなかったな。

 

「今度こそ、忘れ物だぞ」

 

 すまんね。有り難く頂くよ。

 

 バッジを受け取るとタケシが隣に座り、俺のことを称賛してくる。とても一週間の新米とは思えない戦いぶりだった。思わず本気を出したと。

 

 それを聞いて少し胸が軽くなった。

 

 そうだ。確かに勝てなかった。でも、俺はまだ新米トレーナーなんだ。そんな俺達があのタケシに本気を出させたのなら、今はそれで良いじゃないか。

 しかし、このまま負けたままでいるつもりはない。いつか、必ずリベンジさせて貰うぜ。

 

 タケシの言葉に素直にお礼を返すと、気を取り直して、先程戦った本気のイワークについてタケシに質問した。どうやってあそこまで強くしたのか、わざはどうやって覚えさせたのかと。

 

 原作通り、タケシはバトルより育成の方が好きなようで、自分が育てたポケモンのことを聞かれて喜んでいた。聞けば、タケシは将来世界一のポケモンブリーダーになるのが夢らしい。だが、ジムや幼い家族を捨てられないので旅に出られないのだという。

 

 まぁ、当然、アニメのことを知っているので俺は事情を知っている。

 だが、そんなタケシの告白を聞いて自責の念に駆られたのか、無能の親父が出てきてタケシに正体を明かしていた。無能の親父からタケシの親父になったムノーは、これからは自分がジムや家族の面倒を見るから夢を叶えてこいとタケシの背中を押している。

 

 そんなムノーの言葉に甘えて、タケシもまた旅に出ることにしたようだ。俺に向かって、「俺もお前の旅に付き合わせてくれ」と言ってきたので、素直に頷く。飯炊き係ゲットだぜ!

 

 新しい仲間が増えたことに喜んでいると、いつの間にかニビジムから帰ってきていたカスミさんが後ろに居て、念を押すように「自転車のこと忘れてないでしょうね? 弁償するまで付いていくから」と、ストーキング発言をしていた。ひえっ。

 

 

 




 原作との変化点。

・第5話『ニビジムの闘い!』より、ピカ様がなみのりを覚えた。
 昔のなみのりピカチュウはレアだったが、今では普通らしい。ショックだ。

・タケシが前日のバトルを評価してバッジをくれた。
 普通に勝ち寸前だったので、お情けバッジでは無い。

・タケシの本気ポケモンとバトルした。
 レベル差が40近くある。ニューサトシは勝つつもりでいたが、普通に勝てるはずがなかった。


 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.17→18

 ピジョン  Lv.19

 バタフリー Lv.11→12




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#007 『ワンピースを読め、ワンピースを』

 10歳 δ月θ日 『ニビシティからおつきみ山へ』

 

 ニビからおつきみ山へ移動する。意外と距離があって、着くのは明日になりそうだ。

 

 これまではバトル多めで旅をしていたが、オーキド博士にも他の三人より遅れていると言われたので、ここからハナダまでは移動を優先することにした(他人から見たら十分バトルをしている)。

 

 歩きながら、タケシにどんなポケモンを旅パに選んだか聞いてみると、やはり俺と最初に戦ったイワークとイシツブテを連れて来たらしい。まぁ、ジム側からしても、レベルの高いポケモンより、レベルの低いポケモンの方が新しく補充しやすいだろうしな。

 

 

 

 10歳 δ月ι日 『おつきみ山 ピッピと月の石』

 

 おつきみ山についた。

 何故か流れで、リカオとかいう理科系の男そのままの奴と一緒にロケット団からピッピを守ることになったのだが、出来れば俺もピッピをゲットしたかった。

 

 リカオが意味不明な正義感を発動させたせいで捕まえられなかったんだよな。

 

 ちなみにタケシはいつの間にかズバットを捕まえていた。マジでいつ捕まえたんだ?

 

 悔しかったので、ピッピ達の件が終わった後俺もポケモンを一匹捕まえた。これで、完全にアニメとは違う流れになったがまぁ今更だろう。

 

 

 

 10歳 δ月κ日 『おつきみ山からハナダへ 家出娘カスミ(修行の旅らしい)』

 

 いろいろあったがおつきみ山を抜けた。

 このまま一日ほど進めばハナダシティらしいのだが、カスミさんがハナダには行きたくないでござると駄々をこねている。まぁ、半ば家出のような形で出てきたので帰りづらいんだろうけどハナダには行くぞ。

 

 

 

 10歳 δ月λ日 『ハナダシティ ジム戦 VSカスミ』

 

 ハナダシティについたと同時にカスミさんの霊圧が消えた。まぁ、ジムに行けば出てくるだろうから気にせず先に進む。

 

 途中、泥棒が入ったという店の周りへ近づくと、ジュンサーがアニメのような謎の早とちりでこちらを事件の犯人扱いしてきた。

 あまりに失礼なので図鑑のトレーナーカード欄を見せながら「名誉棄損で訴えるぞ」と脅してやる。素直に謝ったから許してやるが、次はないぞこのポンコツめ。どうせ、盗んだのだってロケット団だろ。初期はちゃんと材料集めてたしな。

 

 なんだかんだ一波乱あったが、気を取り直してハナダジムに行くことにする。

 

 タケシは買い物があるということだったので、二年後にシャボンディ諸島に集合と言って別れた。どうやら真面目にそんな諸島があると思っているようで、「俺知らないぞ、そんな諸島!」と叫んでいる。ワンピースを読め、ワンピースを。

 

 少し迷子になったが無事ハナダジムに着いた。

 

 水族館もやっているだけあって賑やかそうなジムだったが、どうやらタイミングが悪かったようで、シゲル達にやられて今は戦えるポケモンがいないらしい。何故か無条件でジムバッジを渡そうとしてきたが、流石にそんなん貰っても嬉しくないので丁重にお断りした。

 

 すると、どこかに消えていたカスミさんがいきなり現れて正体を明かしてくる。

 

 実はハナダジムは四姉妹だったのだー!

 

 な、なんだってー!?

 

 とまぁ、格好つけて出てきたカスミさんだが、他の姉妹からは散々な言われようである。ひっでぇ毒舌。そりゃこんな姉妹がいたら家出の一つもしたくなるというものだ。

 

 とはいえ、俺としてはカスミさんがジムリーダーの資格を持っているということなら、相手として不足はないので是非バトルをお願いする。俺がバトル好きなのは向こうも知っているので、「だと思ったわ」と笑っていた。

 

 カスミさんはずっと一緒にいただけあって、今の俺の状態を良く知っているようだ。自分のポケモンの中でレベルが近いポケモンを出してくれると言ってくれた。

 

 やっぱ、何だかんだ優しいで。俺がバッジ1個なので、本当ならレベル最大20固定だが、そうすると俺の方が若干有利になって楽しくなくなるのがわかっているのだ。

 まぁ、実際は今持っているポケモンのレベル帯が偶然一緒というだけだったようだが、こちらとしては相手が務まるレベルの方が有難いまである。いい勝負が出来そうだった。

 

 使用ポケモンは二体ということで、ピカ様に出るかどうか聞いてみる。

 アニメではカスミさん相手に戦いたくないと言っていたピカ様だが、ここでもそれは変わらないようなので、バトルにはピジョンとバタフリーで参加することになった。新人はまだデビュー戦すらしてないし、みずタイプは弱点なので今回はお留守番だ。

 

 カスミさんの一体目はヒトデマン。レベルがこちらとそう変わらないなら20~25の間くらいだろう。

 こちらの一体目はバタフリーにした。これまでの旅で粉技や『サイケこうせん』や『ふきとばし』なんかも覚えているし、技の種類が増えて器用に戦えるようになったからな。

 

 バトルが開始されると、先手必勝とばかりにバタフリーに『サイケこうせん』を指示。

 カスミさんもヒトデマンに『みずでっぽう』を指示したが、レベルに差は無くとも技の威力には差があったようで『サイケこうせん』が『みずでっぽう』を押し返してヒトデマンにダメージを与えていた。

 

 体勢が崩れたヒトデマンに『ねむりごな』を指示。『ふくがん』の特性で命中率が上がっている『ねむりごな』を避けるすべはなかったようでヒトデマンの動きが止まる。

 しかし、カスミさんがヒトデマンの意識が途切れる直前に、水の中に入る指示をしたせいで、倒れるようにヒトデマンが水の中に入ってしまった。

 

 水中で粉が取れてしまったのか、すぐにヒトデマンが水中から出て来て元気になっている。

 そのままみずタイプの真骨頂を見せてやるとばかりに、水中へ再びダイブ。水の中では位置がわからないので、念のためバタフリーには高度を上げるように指示をした。

 

 しばらく様子を見ていると、カスミさんが『こうそくスピン』を指示し、ヒトデマンがくるくる回転しながら突っ込んでくる。高度を上げていたおかげで何とか避けることが出来たのだが、その後の旋回攻撃が背中に当たってしまった。そのままヒトデマンはまた水へ。

 

 やべぇ、今の攻撃を繰り返されたら落とされるぞ。

 

 再び突っ込んできたヒトデマンに対し、バタフリーに『ねんりき』を指示した。『サイケこうせん』より威力は低いが、『ねんりき』なら相手の動きを封じることが出来る。そのまま浮島にヒトデマンを叩きつけ、とどめに『サイケこうせん』を当てるとヒトデマンは戦闘不能になった。

 

 カスミさんもこちらが予想以上に強かったのか、「やるわねサトシ……」と笑っている。

 

 何だかんだバタフリーは一度しか攻撃を受けていないのでこちらが有利なのだが、カスミさんが二体目に出してきたのはやはりスターミーだった。

 

 遂にガチポケが来てしまったな。

 

 ちなみに技マシンとか技レコードを使っているのかどうか聞いてみると、ジムリーダーがジム戦で使用するポケモンで技マシンや技レコードで覚えさせた技を使えるのは、バッジ5個以上の挑戦者かららしい。

 まあ、カスミさんのスターミーはたまたま技マシンや技レコードを使っていなかっただけのようだが。

 

 とはいえ、それは朗報でもある。つまり、カスミさんのスターミーはまだレベル技かタマゴ技しか覚えていないということだ。それなら何とかなるかもしれない。

 ただ、スターミーはエスパータイプでもあるので、バタフリーのメインウェポンである『サイケこうせん』と『ねんりき』の効果が半減するのが痛い所か。

 

 どう攻めるか悩んでいると、カスミさんが『パワージェム』を指示してきた。いわタイプの技やんけ、効果抜群だよ!

 

 くらう訳にはいかないので、『サイケこうせん』で相殺させようとするが、今度はこちらのパワーが足りていないのか、『パワージェム』が『サイケこうせん』を突き破ってバタフリーの体に命中した。

 

 効果抜群でダメージが大きいのか、バタフリーが落下して行く。しかし、ニビジムでの経験が生きたのか、何とか途中で体勢を立て直した。よくやったで。

 

 一か八か『ねむりごな』を指示。対するカスミさんは『こうそくスピン』からの『しおみず』とかいうポケユナ全盛期のカメックスみたいな動きで粉を封じてきた。おまけに『しおみず』も直撃し、バタフリーがダウンして戦闘不能になる。くっそ、強ぇ。

 

 おいおい、ピジョンさんで勝てるか?

 

 新しく『たつまき』を覚えたが、ドラゴンタイプの技は別にみずにもエスパーにも効果は普通だ。ヒット&アウェイが売りなピジョンさんだが、水中攻撃相手の経験はない。おまけに、スターミーは『こうそくスピン』の追加効果で、素早が一段階上がっている。下手すると、『パワージェム』で詰むぞ。

 

 流石のピカ様も、俺が不利なのがわかったのか、「大丈夫?」とばかりに様子を見に来た。

 しかし、一度使わないと決めたピカ様に頼るのは何か格好悪いので、「大丈夫だよ」と強がってそのままピジョンをフィールドに送り出す。何かの奇跡でピジョットになってくれ。

 

 いや、弱気になるな。さっきは相手のペースに飲まれたのが問題だった。

 

 もうピジョンが勝つには勢いで押し切るしかない。『でんこうせっか』で先制し、スターミーに仕掛けていく。だが、カスミさんもこちらの狙いは百も承知のようで、体勢を崩すスターミーにそのまま水中に逃げるように指示していた。

 こちらには水中に攻撃するすべがないので当然のように勢いが止まる。対する向こうは『こうそくスピン』と『しおみず』というユナイトコンボで奇襲を仕掛けられるので圧倒的に有利だ。

 

 ってか、これ本当にバッジ一個の初心者に対する対応なのか? 大人気なくねぇか?

 

 もうこうなったらタイミングよく『でんこうせっか』をカウンターで合わせていくしかないと考えていると、水中に逃げたスターミーが弱ったと勘違いしたのか、ロケット団が良くわからないメカを持ってバトルに乱入してきた。

 

 一体、これはなんなんだ?

 

 と、共に始まる「なんだかんだと聞かれたら~」のくだり。まぁ、いいわ。とりあえず、そのメカもまだ初期だから電気対策していないだろうし、名乗っている最中はピカ様に『わるだくみ』を指示して3詰みさせておく。

 

 ロケット団曰く、みずポケモンは水を取れば弱るので、プールの水を全部抜き取ってからポケモンを頂くらしい。さっさとバトルの続きがしたいので、申し訳ないが『10まんボルト』でお帰り頂いた。

 

 やなかんじー? しょうがない。タイミングが悪いよ、タイミングが。

 

 しかし、威力が有り過ぎたのか、つい勢いでメカも爆発してしまい、プールが壊れてしまった。やっべぇ、やり過ぎだ。請求はオーキド研究所へお願いします。

 

 結局、これではバトルの続きも出来ないということになり、とりあえず今回は引き分けということになったのだが、カスミさんの一番上のお姉さんがそれに待ったをかけて、こちらにバッジを渡してきた。いや、受け取れないっすよ。カスミさんも「私、負けてないのになんでバッジあげなきゃいけないのよ!」と怒ってますし。

 

「カスミのスターミーの攻撃。あれは初心者にするような技のチョイスじゃなかったわ。ここはジムで、あくまでもジムリーダーは挑戦者のトレーナーやポケモンの実力を測る存在なの。勝てばそれでいいというものではないわ。バッジ一つのサトシ君は十分に実力を示した。だからブルーバッジを受け取る資格がある」

 

 そう言われるとカスミさんもぐうの音も出ないらしい。どうやら彼女も『こうそくスピン』からの『しおみず』はやりすぎだと思ったようだ。

 おまけにこちらはピカ様を使っていない。お姉さんも「ピカチュウを出されていたらカスミは多分負けてたしね」と言っていたが、カスミさんもそれはわかっているようで渋々納得していた。

 

 しかし、それで納得しないのがニューサトシである。

 

 勝敗が付いていない以上、バッジは受け取れない。タケシの時は勝敗が着く直前だったからまだ妥協できたが、カスミさんとの試合は敗戦濃厚だった。そんなお情けのようなバッジをもらったって恥ずかしくて街も歩けないぜ!

 

 と、ゴネにゴネた訳だが、それでは向こうも困ってしまうようなので、妥協案として、一旦ブルーバッジを預かり、旅の途中でまたハナダシティに来た時に今度は正式な試合をすることになった。

 

 負けたらバッジを返すということで渋々バッジを受け取る。向こうとしては別に返してもらわなくてもいいらしいが、それでは俺の気が済まないので拒否した。

 

 カスミさんが「もう、どうでもいい所で頑固なんだから……」と呆れていたが、男には譲れないものがあるもんなんでい。てやんでい!

 

 

 

 




 原作との変化点。

・第6話『ピッピと月の石』より、おつきみ山でポケモンを一体ゲットした。
 作者が一番好きなポケモンです。ゲームのおつきみ山にはいなかったけど。

・第7話『ハナダシティの水中花』より、カスミさんとガチバトルをする。
 この小説だとジムリーダーはかなり強い設定なので、カスミさんのトレーナーレベルも強化されている。ポケモンはヒトデマンLv.21、スターミーLv.24、おまけでトサキントLv.18

・カスミさんの姉妹が原作よりもジムリーダーっぽい。
 流石にアニメは巫山戯すぎているので、少し変更。

・バッジを貰うのを拒否した。
 負けそうだったので拒否った。ジムリーダーとしての責務に問題が出てくるので預かるだけ預かったが、次のバトルで負ければ返すつもりでいる。


 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.18→22

 ピジョン  Lv.19→23

 バタフリー Lv.12→20

 ???   Lv.12 NEW!




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#008 『もしかして、ダイマックスか?』

 10歳 δ月ξ日 『ハナダからクチバへ 新人デビュー』

 

 ハナダシティを抜けてから数日が過ぎた。意外とクチバまでは遠いようで、今日も今日とて野宿の日々である。

 

 ここまでトレーナーとのバトルも十連勝中。おつきみ山でゲットした新人も無事デビューに成功した。もう面倒だからぶっちゃけるが、捕まえたのはサイホーンだ。おつきみ山出口前で襲われそうになった所をゲットした。

 

 アニメのサトシ君はタケシがいるせいか、なかなかじめんやいわタイプのポケモンを捕まえようとしなかったが、むしろタケシがいるなら育成法を聞けるので捕まえる一択だとニューサトシは判断している。

 

 ちなみに特性は『いしあたま』だ。ピカ様のまんボルが引き寄せられなかったので間違いない。ドサイドンに進化するのがいつになるかわからんが楽しみだぜ。

 

 

 

 10歳 δ月ο日 『ポケモン虐待 ダメ ゼッタイ』

 

 破竹の勢いで二十連勝していると、途中でアキラなるトレーナーが非公式のジムを開いているというので遊びに行った。

 

 何かアニメで見たような気がしたが、思い出せなかったので普通にサイホーンでバトルを挑む。レベル20で『こわいかお』を覚えたし、相手はサンドだ。こっちへの有効打はないだろうし、まず負けることはないと見た。

 

 予想通り、良いバトルが出来ている。相手はサンドなのでスピードでは完全に負けているが防御力があるおかげで、サンドの攻撃など毛が生えたようなものだ。

 途中途中で『すなかけ』や『こわいかお』を仕込んでいたので、バトルの後半にはサンドも完全にスピードが遅くなってしまい、攻撃も命中しなくなっていた。こうなってしまえばこっちのもんよ。『つのでつく』を連打し、サンドを戦闘不能まで追い込んだ。

 

 負けるのが予想外だったのか、「まさか、俺が負けるなんて……!」と悔しがっているアキラ君。

 ずっと思ってたけど、いくらなんでも鞭はどうかと思うで? 普通に虐待やん。

 

 

 

 10歳 δ月ρ日 『ポケモン必勝マニュアル破り』

 

 妙な霧のせいで前が見えない。闇雲に進んでいると、ポケモンゼミナールの生徒なる集団がポケモンの知識を利用したいじめを行っている現場を発見したので乱入する。

 

 俺様、こういう中途半端な知識しかない子供をいじめるのだーいすき!

 

 と、いう訳で、シゲルの時同様、前世を利用したポケモンの知識でボコボコにしてやると泣いて逃げて行ってしまった。虐められていた少年が尊敬の眼差しでこちらを見ている。

 

 しかし、すげぇ名前の学校だな。

 バトル中に、「ここポケモンゼミで習った!」とでも言わせるつもりなのだろうか?

 

 何だかんだ中に入ると、ゲームのおかげでポケモンが強いとイキっているガキどもがいたので実戦でボコボコにしてやることにした。どいつもこいつも、「私はバッジ○個分の実力を持つ~」「僕はバッジ○個分の~」という肩書きをぶら下げていたが、実戦経験のないガキなんて何度やっても相手になるはずがない。最後にはお得意のゲーム戦でもボコボコにしてやった。元レート廃人に勝てると思ったのかゴミめ。孵化厳選から出直してきな!

 

 

 

 10歳 δ月τ日 『隠れ里のフシギダネ』

 

 フシギダネをゲットした。

 

 とはいえ、特に変わったことはなく、本当に原作通り話が進んだ感じだ。

 

 しかし、いじっぱりなので育て方に凄い困っている。おまけに進化拒否するんだよなこいつ。バナさんになればまだ育てようもあるんだが、どうするか。

 

 

 

 10歳 δ月φ日 『はぐれポケモン・ヒトカゲ 前編』

 

 峠で捨てられたヒトカゲを発見した。

 

 原作通りである。こいつは絶対にゲットしたい。何せ、博士のミスがなければ、最初のポケモンはヒトカゲの予定だったのだ。

 とはいえ、前のトレーナーを待っている今のヒトカゲは、どう頑張っても俺のポケモンにはならないだろう。とても心配だが、ここは一旦ヒトカゲと別れてポケモンセンターへ向かうことにした。

 

 した。

 

 したのだが、足が動かない。

 

 あまりにも動かないのでカスミさんとタケシが引っ張って連れて行ってくれた。くそ、絶対戻ってくるからな。

 

 どうやら、原作通りトレーナーに捨てられたようで、ポケモンセンターで夕飯を食っていると、元トレーナーが峠にいるヒトカゲのことを馬鹿にしていた。絶許である。プッチーンした俺はタケシよりも早く動き、そいつをマサラ式肉体言語術でボコボコにしてやった。

 途中、ジョーイさんが止めに入ったが、ガン無視。止まらなかった俺をタケシが羽交い締めにしてようやく止められた。その頃には顔はパンパンだったけどな。いい気味である。

 

 外は大雨だったので、すぐにヒトカゲを助けに行くことにした。

 

 峠に着くと、尻尾の炎が消えそうになっている。もう意識も朦朧としていたので、すぐにポケモンセンターに運んだ。ジョーイさんには、「こんなになるまでどうして放っておいたの!」と怒られたが、好きで放っておいたわけでは無いと逆にキレた。

 

 俺のあまりのキレ具合ジョーイさんも怖がっていたが、こっちはもう我慢の限界を超えているのだ。カスミさんもタケシも俺がこんなに怒っているのを初めて見たので、とても驚いていたが、俺もまさか自分がこんなにキレる奴だとは思ってなかったわ。

 

 

 

 10歳 δ月χ日 『はぐれポケモン・ヒトカゲ 後編』

 

 朝になると、ヒトカゲの姿は消えていた。峠に戻ったのだろう。

 

 当然だが、峠に向かうことにした。カスミさんが止めようとしてきたが、俺の機嫌が悪いのを察したタケシが「心配だからな。見に行くだけ見に行こう」と同意してくれた。

 

 途中、ロケット団の横入があり、俺の機嫌がさらに悪くなる。全てのポケモンを出して殲滅してやろうかと思ったが、なんとヒトカゲが助けに来てくれた。俺氏大喜びである。

 

 ロケット団も、ヒトカゲの『かえんほうしゃ』をくらってやなかんじーになっていた。

 

 ってかお前、もう『かえんほうしゃ』覚えてるのかよ最強やん!

 

 ヒトカゲがロケット団から助けてくれたことで、俺の機嫌もギャラドスの滝登りである。

 

 しかし、ロケット団が逃げていったのを見ていたのか、ヒトカゲが強いことに気付いた元トレーナーが帰ってきた。そんな奴より俺を選んでくれ!

 そのまま、俺が如何にヒトカゲを求めているかを力説すると、ヒトカゲもこちらを選んでくれたようで無事にゲットすることが出来た。リザードになって反抗期に入る前に、俺というトレーナーを絶対に認めさせてやるぜ。

 

 

 

 10歳 δ月ω日 『ゼニガメ軍団登場 前編』

 

 まさか、この世界で走れメロスをやることになるとは思わなかった。

 

 原作通り、黒い眼鏡を付けたゼニガメ達が出てきて何だかんだ捕まったのだが、ピカ様が怪我をして薬が必要になったのだ。

 何とか街まで薬を買いに行きたいのだが、トレーナーに捨てられたゼニガメ達が人間を信頼できないと首を横に振っている。

 

 しかし、このままではピカ様の身が危ない。それでも首を横に振るゼニガメに、「もし戻ってこなかったら、俺のセリヌンティウスとしてカスミさんの魂を賭けるぜ!」と言うと、ゼニガメも納得してたのか、俺の縄を解いてくれた。

 

「何であたしの魂を勝手に賭けてんのよ! セリヌンティウスって誰よ!?」

 

 と、カスミさんがキレまくっていたが、さっさと薬を買うために町へ戻ることに。

 

 途中、橋が落ちるアクシデントはあったが、何とか夕方には街について無事薬を買うことが出来た。このまま戻れば夜にはカスミさん達の所にたどり着けるだろう。橋が落ちているので、少し遠回りをする必要があるが、アニメのようなミスをして眠っていた訳じゃないし、ロケット団が来る前には帰れるはずだ。

 

 

 

 10歳 ε月α日 『ゼニガメ軍団登場 後編』

 

 何故だ。雨も降っていないのにいきなり川が氾濫した。マジでメロスかよ。

 おかげで更なる遠回りを強いられた上、その先では何故かアーボとニドランの群れが縄張り争いをしていた。もうここまで来たら岩場から湧き水でも出てきてくれ。

 

 結局、何だかんだアニメと同じくらいの時間に帰ることになってしまったのだが、どうやら俺達は担がれただけだったようで、俺が帰ったときにはカスミさんもタケシも既に解放されていた。

 

 ゼニガメ団は「イタズラはしても犯罪はしない」らしい。ドヤ顔でこっちを見ていた。

 

 後は原作通り、ロケット団が爆弾で大暴れし、逃げ遅れたゼニガメを助けたら懐かれたのだが、ゲットする前に一つ言っておこう。ゼニガメ君、黒い眼鏡は悪タイプの技の威力を上げる効果だから、お前だと『かみつく』くらいしか上がらないよ。

 

 

 

 10歳 ε月β日 『クチバへ バイバイバタフリー』

 

 ゼニガメをゲットしたことで手持ちが七体になったので、とりあえずバタフリーを博士の所に送った。すまん、定期的に交換するから許してくれ。ひこう二体は弱点が被っているし、ピジョンはまだ進化が残っているから優先的に育てたいんだ。

 

 

 

 10歳 ε月δ日 『マサキの灯台 前編』

 

 マサキの灯台でクラブをゲットした。

 しかし、マジで小さいなこいつ。

 

 だが、体は小さくても才能があるのはわかっているので、早速育てたい所なのだが、うちの御三家は全員捨て子だし、もう少しなつき度を上げないとまた人間不信になりそうなんだよな。

 サイホーンやピジョンもまだレベルを上げたいし、今回は諦めてクラブを博士の所に送った。こりゃしばらく、御三家は固定メンバーだな。

 

 しかし、マサキがいるということは、ここはハナダの近くということだ。

 

 どうやら、迷った末に逆走してしまったらしい。

 とりあえず、今日はここに泊めて貰うが、もうここまで来たら素直にハナダに戻ってもいいかもしれないな。

 

 

 

 10歳 ε月ε日 『マサキの灯台 後編』

 

 昨夜未明、超大型巨人ばりのでかいカイリューが灯台にやってきたのだが、ロケット団のミサイルをくらって逃げてしまった。

 

 あれ、もしかしてダイマックスか?

 

 いや、ここはカントーだし、ガラル粒子なんてないはずだから、流石に別ものなんだろうけど。

 まぁ、どちらにしろ、マサキは伝説のポケモンだと信じているようだったので何も言わないことにした。夢を壊すのも可哀想だしな。

 

 結局、ここはハナダの北らしいので、一度ハナダシティに戻ることにした。

 

 ボロボロになって帰ってきた俺達を見て、カスミさんのお姉さん達も呆れていたが、素直に道に迷ったことを伝えるとクチバまでの詳しい道が書かれたタウンマップをくれたので結果オーライだろう。

 

 って、クチバ南なんですけど。ちょっとタケシさん正反対じゃないですかやだー。

 

 まぁ、それはそれとして、予定よりも少し早いが、カスミさんのお姉さんと約束していたジムバトルを行うことにする。改めて正式にブルーバッジをゲットし、今度こそクチバシティを目指して旅立つのだ。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・サイホーンをゲットした。
 ドサイドンが好きなんだ。昔、旧ダイパをやっていた時はビッグオーと名付けた。

・第8話『ポケモンリーグへの道』より、原作よりも野良バトルに連勝している。
 ニューサトシは原作サトシ君以上にバトルが大好き。

・アキラの連勝を止めた。
 サイホーンでサンドに負けるはずがない。普通にバトルに勝ってから去ったのでロケット団も襲って来なかった。

・第9話『ポケモン必勝マニュアル』より、ガキ共を知識でボコった。
 ニューサトシは賢い奴を知識で殴るのが大好き。ロケット団もニューサトシの様子が怖くて中に入ってこなかった。

・第11話『はぐれポケモン ヒトカゲ』より、ヒトカゲの元トレーナーをボコった。
 書かなかったが、後編に出てきた時は顔が絆創膏だらけになっていた。

・第12話『ゼニガメ軍団登場!』より、ゼニガメにカスミさんの魂を賭けた。
 アニメを見ていてマジで走れメロス過ぎて笑った。カスミさんはセリヌンティウス。

・結局戻る時間はアニメと変わらなかった。
 アトラクタフィールドの収束により、ニューサトシがゼニガメの所に戻る時間がアニメと一緒になった。

・サイホーンがいるので、原作よりもポケモンがいっぱいになるのが早く、バイバイバタフリーした。
 こまめに手持ちは取り換える予定。尚、ニューサトシの言いつけで、オーキド研究所でもトレーニングをしている。

・第13話『マサキの灯台』より、一度ハナダに戻った。
 ゲーム的なマップでマサキの家はハナダにあるので、ハナダの近くだと判断。一度、ジム戦をしに戻った。


 現在ゲットしたポケモン。

 ピカチュウ Lv.22→25

 ピジョン  Lv.23→24

 バタフリー Lv.20→23

 サイホーン Lv.12→22 NEW!

 フシギダネ Lv.18→21 NEW!

 ヒトカゲ  Lv.18→20 NEW!

 ゼニガメ  Lv.18→19 NEW!

 クラブ   Lv.15   NEW!




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#009 『俺達居ないけど、あいつら死なないよな?』

 10歳 ε月θ日 『クチバシティ ジム戦 VSマチス』

 

 貰ったタウンマップのおかげで、今度は数日でクチバシティにたどり着くことが出来た。

 

 今回は俺が主導だったんだが、もしかしたらタケシは迷子気質なのかもしれない。しかし、道に迷ったおかげで御三家やクラブも捕まえられたと考えれば、結果的には戦力増強になったので良しとしよう。

 

 ひとまずはポケモンセンターに行き、ポケモン達を休ませることにした。今のメンバーはピカ様、サイホーン、御三家、クラブの六体。ひこうタイプ二体はお留守番である。クチバジムはでんきタイプのジムだし、今回はこのまま変えることはないだろう。

 

 それにしても、今月になってまだ一週間くらいしか経ってないのにもう15人もジム戦で負けているのか。回復して帰ってきたピカ様も、次々と運ばれてくる犠牲者達を見てビビりまくっている。

 シリーズ後半のピカ様は好戦的だが、序盤は結構臆病な性格をしているからなぁ。

 

 とりあえず、ピカ様にはサイホーンやフシギダネを主体に戦うことを説明すると、何とかジムに行くことを納得してくれたようだ。

 

 ジムに着くと、ピカ様を連れていることをマチスに馬鹿にされた。てめぇ、ブッコロリするぞ。ライチュウにしなくても勝てるって所を見せてやんよ。

 

 と、意気込んでみたものの、アニメでは1対1のバトルだったが、オリジンシステムにより、バッジを二つ持っているということで今回は3対3のバトルになった。

 そういうことなら仕方ない。早いとこぶっ飛ばしてやりたいが、ピカ様はライチュウ戦まで温存である。

 

 マチスの一匹目はビリリダマ。バッジ二個ならレベルは最大で25固定のはずだ。レベル差はほぼないので、こちらはサイホーンを出し、大人気なく相性でゴリ押しすることにした。

 

 予想外のポケモンだったのか、マチスが舌打ちしている。俺のピカ様を馬鹿にした報いを受けろ。『じならし』を指示して、ビリリダマの動きを封じる。フィールドが揺れて上手くバランスが取れないビリリダマに、そのまま『じならし』を連打した。『じばく』なんてさせるつもりはない。結局、何もさせないままビリリダマを戦闘不能にしてやった。

 

 流石に一方的にやられては何も言えないようで、マチスが皮肉も言わずに二体目を出してくる。二体目はエレブーだ。かくとうタイプの技を覚えている可能性があるので、念のためにサイホーンを戻す。

 続いて二体目にフシギダネを出した。でんきタイプはくさタイプに効果今ひとつだし、このまま何もさせずに完封してやる。

 

 第二ラウンドがスタートすると、フシギダネに『やどりぎのたね』を指示した。ここから一気に持久戦に持ち込んでやるぜ。

 

 ククク、カスミさんに教えて貰ったので俺は知っているのだ。ジムリーダーが技マシンや技レコードの技を使用するのが許されるのは、バッジ5個以上集めたトレーナーからだということを。

 つまり、今マチスのポケモンはレベル技しか使えない。タマゴ技を持っている可能性があるが、エレキッドのタマゴ技はかくとうタイプの技かフェイントのみ。サイホーンだとワンチャン負ける可能性があったが、フシギダネに有効打は何もないのだ。

 

 無事に『やどりぎのたね』が取り付いたので、後は戦闘不能になるのを待つだけである。やはり有効打はないのか、マチスは高火力の『10まんボルト』を指示していた。

 対するこちらは『ねむりごな』を指示。『ふくがん』がないのでバタフリーほどの命中率はないが、無事にエレブーは眠りに入った。フシギダネも『10まんボルト』をくらってしまったが、多少のダメージなどやどりぎで回復していく。

 

 そのまま『せいちょう』を指示し、攻撃と特攻を上げていった。3段階上げたところでエレブーが目を覚ましたので、『はっぱカッター』を指示して攻撃に移る。どうやら急所に当たったのか、やどりぎのダメージもあって一気にエレブーは戦闘不能になった。

 

「……まさか、ベイビーにここまで追い詰められるとはネ」

 

 お前はそのベイビーにやられるんだぜ似非外国人。

 

 マチスの三体目はやはりライチュウだった。

 このまま能力の上がったフシギダネで抹殺してやってもいいのだが、出来ればピカ様の実力を見せつけてやりたい。本人も馬鹿にされて頭にきているのか、戦いたがっていたのでフシギダネには申し訳ないが交代することにした。

 

 とはいえ、真正面から戦うのは不利なので、ここは原作通りサトシ君の作戦を真似させて貰う。『こうそくいどう』を指示して素早を上げていく作戦だ。

 

 マチスのライチュウは原作通り、ピカチュウからすぐに進化させたようで『こうそくいどう』を覚えていないらしい。『かみなりパンチ』を指示してきたが、そんな鈍重な攻撃が当たるはずが無く、こちらの『でんこうせっか』が無防備なライチュウの背中を直撃した。

 

 後ろに回られたことで、マチスが『たたきつける』を指示してきたが、二回目の『こうそくいどう』を積んだピカ様は、ライチュウの尻尾を簡単に回避。連続の『たたきつける』を避けながら、隙を突くように『でんこうせっか』を当てていく。

 

「ガッデム! ライチュウ、『ほうでん』で『10まんボルト』だ!!」

 

 煮え切らない状況を力尽くで打破するつもりなのか、ライチュウが『ほうでん』の範囲攻撃を『10まんボルト』に置き換えて四方八方に攻撃を仕掛けてきた。

 

 カスミさんもやっていたアニポケお得意のわざを組み合わせた新しい攻撃である。流石に範囲が広いので、攻撃が当たりそうになった。

 

 確かアニメだと尻尾をアース代わりにして『10まんボルト』を凌いでいたが、高速戦闘中に足を止めるのは自殺行為だ。直撃しそうな『10まんボルト』にだけ『10まんボルト』を当てるように指示する。真正面からぶつかれば力負けするが、枝分かれした電撃の一つなら十分攻撃を逸らせた。

 

 その隙に『こうそくいどう』をさらに一段階積んで、こちらの神速ピカチュウは完成。もはやライチュウの動きは完全に止まって見えるのか、余裕を持って攻撃を回避していた。

 

「What!? 何故当たらない!?」

 

 スピードが違うんだよ、ウスノロ。

 再び、ライチュウが『ほうでん』の『10まんボルト』を仕掛けてきたが、こちらも『10まんボルト』で直撃を回避する。仮に少し当たったところで大きなダメージにはならないだろうが、ここまで来たら完全勝利を目指す。そして、このおっさんを土下座させるのだ。

 

 ひたすら『でんこうせっか』でヒット&アウェイを繰り返すと、そろそろライチュウも体力がなくなってきたようなので、ピカ様の最後の技、『たたきつける』を指示した。

 

 本来、『たたきつける』は命中率の低いわざだが、これだけスピードに差があれば外す方が難しいだろう。ピカ様の全体重を乗せた尻尾の『たたきつける』で、ライチュウが戦闘不能になる。これでマチスの手持ちポケモンは全て戦闘不能になった。どうだい、おっさん? ベイビーに完敗した気分はよ?

 

「OhNo……YouはStrong。OK、オレンジバッジやるヨ」

 

 やるヨじゃねーんだよ。俺のピカ様馬鹿にしたの謝れや。まぁ、バッジは貰うけどな。ライチュウがピカ様に拍手してくれてるから、今回はこれで許してやるが、次はねーぞ。

 

 試合が終わると、観客席にいたカスミさんとタケシが降りてきて、こちらも勝利を祝福してくれた。

 

 ただ、二人は俺の実力を知っているということもあり、最初から勝つと思っていたらしい。むしろ、ピカ様を馬鹿にされた俺がキレてマチスに殴りかからないかの方が心配だったようだ。ポケモンに関する俺の沸点が意外と低いことをよくおわかりで。

 

 それを聞いたマチスも、素直にピカ様を馬鹿にしたことを謝ってきた。

 謝れば許すさ。俺も鬼じゃ無いんだ。『10まんボルト』の技レコードで許してやるヨ。

 

 

 

 え、マジでくれんの?

 

 

 

 マチス大好き!!

 

 

 

 10歳 ε月ι日 『クラブレベリング』

 

 でんきタイプのジムだから、もしかしたら『10まんボルト』の技レコードがあるんじゃないかと思っていたが、まさか本当にあって本当にくれるとは、マチス様様である。

 

 とりあえず、今は使えるポケモンがいないのでお蔵入りだが、いずれ新しく捕まえた誰かに覚えさせよう。パッと思いつく限りだとゲンガー辺りが良さそうだ。

 

 昨日のジム戦はほぼ無傷で勝利したので、一日で全員フル快復した。今はクラブのレベル上げをしているのだが、もう進化するレベルに達しているにも関わらず進化しない。

 

 アニポケの進化は特殊で、レベルはあくまで目安なのはわかっているつもりだが、それにしたって半年くらい博士に預けていたクラブがナッシー倒してキングラーになるのに、何でこんなに戦っている俺のクラブは進化しないんだ?

 

 やはり昔ワタルが言っていた、トレーナーにも育てるポケモンのタイプに得意不得意があるというのは本当なのかもしれない。と、すると、クラブは下手なことせずに博士に預けた方がいいのか? いや、しかし、それは俺の育成の美学に反する。どうするか。

 

 

 

 10歳 ε月κ日 『サントアンヌ号の戦い』

 

 ロケット団がサントアンヌ号のチケットを配っていた。どうやらカスミさんとタケシは気付かなかったようだが、さてこの沈没船に乗るか否か。

 

 とりあえず、万が一、原作通りになることを考えてメンバーをチェンジしておく。サイホーンを預け、機動力のあるピジョンを再びメンバーに加えた。クラブとバタフリーをチェンジするか悩んだが、念のために水系のポケモンは持っておくことに。

 

 ラッタ? いや、知らんし。あのくらいなら別にバタフリーじゃなくても倒せるやろ。

 

 交換? いや、何が嬉しくてラッタさんと俺のポケモン達を交換せにゃならんのよ。アニメで勢いに流されたサトシ君は頭どうかしてるぜ。

 

 結局、カスミさんが強く行きたがったので、サントアンヌ号に行くことになった。思った以上の豪華客船でビックリしたが、これが沈没するって一体どれだけの損害になるんだろうと考えると、ロケット団の皆様には少し同情する。

 

 中に入って様子を見ていると、ジェントルマンのラッタがスターミーを倒しているのを発見。スターミー使って勝てないって、君ポケモンの才能ないで。

 

 こちらは昨日から大暴れ中のクラブで乱入! と、思ったのだが、そういえば最近はジム戦でフシギダネばかり(ハナダの再戦でも出した)活躍しているからか、ヒトカゲとゼニガメが勝手にボールから出て来て、試合に出してくれコールをして来た。

 それなりにバトルをさせているはずなのだが、どうやらもっと目立って俺の役に立ちたいらしい。可愛い奴らだぜ。

 

 仕方ないのでジャンケンに勝った方を出すと言ってしまったのだが、ジャンケンはわからないか。

 

 と思ったが、しっかり知っているようで、急遽ヒトカゲとゼニガメのジャンケン大会が始まった。

 

 早くしろと訴えていたジェントルマンだが、予想外の催し物が始まったからか、ラッタと一緒にこちらをジッと見ている。それは周囲の観客も同様のようで、結局七回のあいこの末、ヒトカゲが試合に出る権利を獲得した。

 

 周囲の観客達から拍手が送られ、ヒトカゲは勝利のVサイン。対するゼニガメは敗北のパーで顔を覆ってショックを隠せないとばかりに地面に膝をついていた。いや、そこまで出たかったのかよ。次はお前出すから元気出せって。

 

 と、言う訳で、ヒトカゲでラッタを瞬殺した。

 

 正確には負けそうになった瞬間、ジェントルマンが逃げたのだが、まぁほぼ勝ちだったので良しとしよう。ちなみに食事の時間に交換を申し込まれたが、当然のように却下した。俺がヒトカゲとラッタを交換する物好きに見えるのか? 馬鹿か?

 

 後半は原作通り、ロケット団が山のように現れてポケモンを奪うと宣言したので、サントアンヌ号内のトレーナー達と乱戦になった。

 

 しかし、ムサシとコジロウはともかくとして、他のメンバーがしたっぱ団員なのはどうかと思う。これだけ金をかけているんだから、せめて幹部級の団員を送ってくれば良いのに。

 

 結局、モブ団員など相手にならず、ロケット団は返り討ちにしたのだが、大きな嵐が来たせいで船が沈没し始めた。

 

 正直、こんな簡単に沈む船もどうかと思うけど、「この船は絶対に沈みません」とか言いながら真っ先に逃げる船長も問題だろう。陸に戻ったら、真っ先に訴えてやる。

 

 アニメではバタフリーを交換してしまったが為に逃げ遅れてしまったサトシ君だったが、俺は普通に拒否ったので無事に脱出することが出来た。ジュンサー曰く、ムサシとコジロウは逃げ遅れたらしい。俺達居ないけど、あいつら死なないよな?

 

 

 

 




 原作との変化点。

・第14『電撃対決! クチバジム』より、バトル方式が3対3になった。
 1対1は味気ないので、この先も基本は3対3になります。

・アニメ知識を使ってマチスを圧倒した。
 負けなかったことで、雷の石を貰うフラグが消えた。

・マチスの性格が微妙にゲーム交じり。
 表現が難しくて困ったので。

・技レコードを貰った。
 10万ボルトは使い勝手がいい。

・第15話『サントアンヌ号の戦い!』より、バタフリーを連れていかなかった。
 交換などしない。

・交換しなかったことで脱出に成功した。
 サントアンヌ号に取り残されなかったことで、第16話からの話が変化した。


 現在ゲットしたポケモン。

 ピカチュウ Lv.25→30

 ピジョン  Lv.24→25

 バタフリー Lv.23→24

 サイホーン Lv.22→27

 フシギダネ Lv.21→26

 ヒトカゲ  Lv.20→24

 ゼニガメ  Lv.19→23

 クラブ   Lv.15→28




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#010 『ポケモンリーグの放送を楽しみにしてな!』

 10歳 ε月μ日 『訴えてやる!!』

 

 サントアンヌ号の事件に巻き込まれた被害者達の総意で船長が訴えられた。

 

 まぁ、当然だな。客を見捨てて逃げるし、逃げた後の対応も杜撰だしで、庇うような要素は何一つとしてない。俺も清き一票を投じておこう。

 

 

 

 10歳 ε月ο日 『アオプルコ? 知らないリゾートですね』

 

 サントアンヌ号の事件から約一週間。俺達は今、ナナシマに向かっている。

 クチバに戻った後、サントアンヌ号の事件に巻き込まれた詫びとして、ナナシマに行くためのチケットと、トライパスをもらったのだ。

 

 もはや、完全にアニメルートから外れてしまったが、バイバイバタフリーするフラグも消えたと考えれば悪いことではないだろう。

 と、いう訳で、久しぶりにバタフリーを手持ちに加え、クラブをオーキド研究所に送った。あいつぁ、強くなりすぎちまったよ。

 

 貰ったトライパスでは3の島までしか行けないので、4の島にいるであろうラプラスは捕まえられないが、ここらでまた新しいポケモンを捕まえたい所だ。

 

 船であるシーギャロップ号はサントアンヌ号ほど豪華な船では無かったが、船長もしっかりした人で沈没する心配は無さそうだった。ちなみに船内でのバトルは全勝したったぜ。

 

 

 

 10歳 ε月π日 『ナナシマ 1の島 カモネギ十兵衛』

 

 1の島に着いた。別にカントーが寒いというわけではないが、この島は随分暖かいな。

 北の方には火山も見えるし、温泉もあるらしい。

 ぶっちゃけ、ゲームのナナシマってカンナの住んでいる4の島の印象が強くて、他の島についてはよく覚えてなかったが、こうして観光する分にはなかなか良い島のようだ。

 

 ともしび温泉とかいう温泉がとても体に良いということで入りに行くことにしたのだが、その途中でカモネギの群れが争いをしているのを発見した。

 

 ポケモン図鑑で確認すると、カモネギは良質な茎を巡ってカモネギ同士で争うことがあるらしい。その中で俺の目を引いたのは、一匹のカモネギだ。

 片目に縦長の切り傷が付いていて、他のカモネギに比べて持っている茎の大きさが小さい。そのせいか思うように攻めきれないようで、他のカモネギにボコボコに叩かれていた。

 

 傷のついたカモネギがダウンしても茎を奪われていない所を見ると、他のカモネギから見ても、あまり魅力的な茎ではないようだ。

 

 不甲斐ない自分が許せないのか、小さな茎を握りしめて悔しがっている。見ていた限り、実力で負けているという感じではないので、本当に茎の問題なのだろう。

 

 こういう頑張っている奴を見ると、放っておけないのがニューサトシの性である。

 

 怪我をしているカモネギに傷薬をかけながら、試しに新しい茎を持ってみるように言ってみたが首を横に振っていた。どうやら今持っている茎で勝たなければ意味が無いらしい。

 

 気持ちはわからなくないので、別の方法を考えることにした。別の茎が駄目なら、得物にあった戦い方を覚えるしかないだろう。

 その茎の長さは刀でいう小太刀のようなものだ。つまり普通に戦ってもリーチの差で有利が取れない。防御という面では有利だが、攻めきれないのが欠点な以上、足りない攻撃力を補う何かが必要だ。

 

 そこで考えたのが防御主体の待ち戦法である。耐えて耐えて耐え抜いて、相手の隙を突いて一撃で仕留めるという戦法なら、小太刀茎の性能も生かすことが出来るだろう。

 

 だが、結局は素人の浅知恵だったらしい。

 

 防御で耐えるまでは問題なかったのだが、やはり茎の長さがネックになってしまったようで、攻撃に転じてもとどめを刺しきれなかったのだ。攻撃力が無い以上、相手を倒すには急所に当てるしかないのだが、それにも技術がいるし一朝一夕で身につくものではない――と、そこで思い出したのが、カモネギ専用の持ち物であるながねぎの存在だった。

 

 あれは確か、急所率を上げるアイテムだったはずである。

 

 第二世代の説明文は、『ふつうのながねぎ やすくうれる』というものだった。後半の世代では『とても長くて固い茎』となっていたが、第二世代を信じるなら特別なながねぎではないということだ。

 

 藁にも縋る思いで、タケシが持っていたながねぎをカモネギに持たせてみた。右に小太刀茎、左にながねぎの疑似二刀流である。

 半分はギャグのつもりだったのだが、これが思った以上にこのカモネギに合うスタイルだったようで、嘘のように先程まで負けていた他のカモネギをなぎ倒していく。

 

 どうやら二刀流になったことで、短い茎の利点も出てきたようだ。長さの短い茎は取り回ししやすいのか、長い茎を振り回すよりも返しが早く、手数を増やす結果となっている。使っているのは主に『れんぞくぎり』だが、この技は当てる度に威力も上がるので攻撃力不足を解消するのもピッタリだった。

 

 おまけに、ながねぎの急所率アップも手数が増えれば効果が出やすくなるようで、最終的には攻撃力アップに繋がっている。さらに面白いことに、このカモネギはタマゴ技であるはずの『つじぎり』まで覚えているようで、とどめの急所攻撃に一役買っていた。

 

 連戦連勝で、最後は群れのリーダーに勝つのみとなったのだが、見ると相手のリーダーもながねぎを持っている。これは簡単にはいかないだろう。

 

 しかし、勢いはこちらのカモネギの方があった。手数の多さで、徐々にリーダーを追い詰めていく。この調子でいけば勝てる――そう思っていると、それがフラグになってしまったのか、戦いの最中でタケシのながねぎが折れてしまった。

 

 そういえば、こっちのはスーパーで安く買ったながねぎだったんだ。すまんカモネギ。

 

 一刀流に戻ったカモネギは、前までのように防御一辺倒になってしまったが、これまでの訓練は無駄ではなかったらしい。最後の最後、相手がとどめを刺そうとした瞬間、攻撃の隙を突いて、カウンターで『いあいぎり』を急所に決めていた。

 

 素晴らしいバトルに俺氏思わず拍手喝采。カスミさんとタケシも、力を貸したカモネギの勝利を喜んでくれている。

 カモネギ達も、落ちこぼれだったカモネギの勝利を驚いていたが、群れのリーダーは「負けたぜ」とばかりの笑みを浮かべ、持っていた自分のながねぎをカモネギに渡していた。

 

 カモネギおめでとう。良いバトルだったぜ!

 

 

 

10歳 ε月ρ日 『ナナシマ 1の島 伝説のポケモンってあんまり……』

 

 ともしび山に伝説のポケモンであるファイヤーが来ているというニュースが入り、山にトレーナーの大群が押し寄せていた。

 そういえば、FRとLGでもチャンピオンロードからともしび山に移動していた気がする。

 

 正直、伝説のポケモンってゲットすると問題になりそうだから、あまり捕まえる気にならないのだが、カスミさんは意外と興味があるらしく、「行ってみましょうよ」ということだったので、ともしび山に向かうことになった。

 

 端的に言おう。ファイヤーには会った。

 

 つか、ファイヤーさん伝ポケのくせに隠れる気ゼロだったようで、頂上に普通に鎮座していた。仕掛けてくるトレーナーを自慢の炎でボコボコにし、不意に投げられたモンスターボールもことごとく焼き尽くしている。

 

 こんなん勝てる訳ないのは一目見てわかったのだが、簡単な力の差もわからないトレーナー達のあまりの鬱陶しさにファイヤーさんもキレてしまったようで、特大の『ほのおのうず』で周囲のトレーナー達を蹴散らすのに巻き込まれてしまった。

 

 あーあ、と思いながら周りを見ると、まともに動けそうな奴は俺達しか残っていない。

 

 ぶっちゃけこちらに戦う気は欠片もないのだが、逃げようにも炎の壁が邪魔で逃げられなかった。白旗を上げてみたが、ファイヤーさんはこちらを逃がすつもりはないようで、お得意の『にらみつける』でプレッシャーをかけてくる。

 

 もう戦うしかないのかもしれないが、俺やカスミさんのポケモンのレベルでは勝てないのは見るだけで分かった。タケシもフルメンバーでない以上、それは同じだろう。

 

 どうするか悩んでいると、どこからともなく昨日のカモネギが現れ、ファイヤーと何やら話をしてこの場を取りなしてくれた。

 

 ファイヤーさんがその炎の羽を大きく羽ばたかせてどこかに飛んでいく。

 

 とりあえず、命の危機を救ってくれたカモネギにお礼をしながら、どうしてこんな所にいるのか聞いてみると、どうやら俺と一緒に来るつもりらしい。カモネギはガラルの姿しか育てたことはなかったが、一緒に来たいというのなら拒否する理由はなかった。

 

 カモネギ、ゲットだぜ!

 

 

 

 10歳 ε月σ日 『ナナシマ 2の島 究極技を教えてくれ 前編』

 

 2の島で観光をしていると、ひょんなことからキワメという婆さんと仲良くなった。

 名前を聞いて、もしかしてと思ったが、ゲームでもお馴染みの究極技を教えてくれる婆さんのようだ。

 

 キワメ婆さんの家に行くと、フシギバナが草の究極技であるハードプラントを、リザードンが炎の究極技であるブラストバーンを、カメックスが水の究極技であるハイドロカノンを披露してくれた。本来、御三家の最終進化形態しか覚えられないものだが、うちの御三家達はその究極技に興味津々である。

 

 キワメ婆さんも、「流石にお前さん達にはまだ無理じゃのう」と苦笑いしていたが、誰に似たのか、誰一人として諦めようとしなかった。

 

「どう見たってアンタの影響でしょ」

「サトシの頑固さが移った以上、諦めるのは無理だろうな……」

 

 と、言うわけで、婆さんに究極技を教えて貰えないかお願いしてみた。

 最初は困っていた婆さんだが、俺達が本気だとわかると、「やるからには途中で投げ出すことは許さんぞ」とやる気になっている。

 

 そこからはまず理論の時間になった。

 婆さん曰く、ポケモンの技は基本的にはレベルで覚えるが、技マシンや技レコードを使わずとも覚えさせることが出来るらしい。ゲームで言う教え技というやつだな。

 

 だが、技を教えると言っても、漠然とこういう技だからやってみろと言って出来るはずがない。

 まずは、教えたい技と似た技から使用感を伝え、そこから変化させていくのが普通らしい。

 例えば、ギャラドスに『こおりのキバ』を覚えさせようとすると、まずは同じ噛むタイプの技である『かみつく』をベースにして訓練するようだ。

 

 しかし、究極技だけは話が別だと言う。

 他の教え技と違い、御三家にしか覚えられない特別な技である以上、別の技をベースにするという基本は取れない。ならばどうするかと言うと、実際に技を受けて感覚を掴み、再現するしかないようだった。

 最終進化形しか覚えられないというのは、レベル的な意味合いもあるのだろうが、最終進化形じゃ無いと技をくらうにしろ技を出すにしろ、その威力に耐えられないかららしい。

 

 確かに同じレベルでも、進化前と進化後では種族値にも体の大きさにも差がある。

 おまけにうちの御三家はまだレベル30にもなっていない。普通に考えればまず無理だろう。だが、そんな正論で諦めるようなら、そもそも最初から挑戦などする必要がなかった。

 

 それしか方法がないならチャレンジ有るのみだぜ。

 と、言うわけで、キワメ婆さんに頼んでうちの御三家達に究極技をおみまいして貰う。

 当然のように全員ダウンしてしまったが、技の感覚を掴むためであれば仕方なかった。起きては技をくらい、起きては技をくらいを何度も繰り返すが、なかなか技の感覚は掴めない。

 

 結局、何だかんだ夜になってしまい、今日は婆さんの家に泊めて貰うことになった。

 

 

 

10歳 ε月τ日 『ナナシマ 2の島 究極技を教えてくれ 中編』

 

 二日目。やはり進化しないと効率が良くないようで、今日も技をくらってはダウンを繰り返している。カスミさんは意外と優しい性格をしているので、倒れる御三家を見て悲しそうな顔をしていたが、御三家達の気持ちを考えると止められないようだ。

 

 タケシは倒れたうちの御三家達を治療してくれている。アニメでは将来、ポケモンドクターに夢が変わっていたし、今のうちに経験を積んで貰おう。

 

 残る俺ことニューサトシだが、当然遊んでいる訳では無く、婆さんからとある技の修行を課されていた。

 

「そうじゃ、そのまま技を発射する状態をキープするんじゃ」

 

 その名も『ボルテッカー』――ピカチュウの技で、本来ゲームではタマゴ技でしか覚えられない技だが、アニメではAG編で覚えていた以上、覚えられるのではないかと婆さんに聞いてみたら何故か修行が始まった。

 

 技の感覚を掴む段階の御三家と違って、『10まんボルト』を発射状態でキープし、そのまま『でんこうせっか』で突撃するというアニメのような行程を踏んでいるので、トレーナーのサポートが必須ということらしい。

 

 最初は技を発射しないでキープするのが難しく、『10まんボルト』を暴発させていたピカ様だが、数回の失敗の後は何とかキープに成功している。やはり才能があるようだ。婆さんもピカ様の習得速度は異常だとビックリしていた。

 

 それを見た御三家達が自分達もと奮起している。

 しかし、今日も大きな進歩はなく終わり、そのまま婆さんの家にお世話になった。

 

 

 

 10歳 ε月υ日 『ナナシマ 2の島から3の島へ 究極技を教えてくれ 後編』

 

 三日目。今日は3の島へ移動日である。

 この二日間、究極技をくらいまくっていた成果はあったらしく、御三家達はしっかり究極技の感覚を掴めたようだ。

 

 時間もあまり残っていないので、今は修行の二段階である技の再現に移っている。御三家達が精神を集中させながら技を発動させようとしている横で、ピカ様も『ボルテッカー』の訓練をしていた。こっちはもう大体感覚が掴めたようで、後は回数を重ねて威力を上げるだけでマスターできそうである。

 

 しかし、ピカ様も流石に御三家達が心配なのか、途中で『ボルテッカー』の訓練を中断して様子を見に行っていた。俺も同様で、三体に声をかける。

 

 マサラ式肉体言語術の一つであるボディランゲージで様子を聞いてみると、どうやらフシギダネは技の具体的な出し方が完全にイメージしきれないらしい。ヒトカゲは技の威力が凄すぎて制御する自信がないようで、ゼニガメに至っては自分にはキャノンがないからそもそも技が完成しないことに悩んでいた。

 

 待てゼニガメ。お前は悩むポイントが少しおかしい。

 

 とりあえず、悩むより先にやってみろの精神で究極技を撃たせてみると、フシギダネは少し強力すぎる『つるのむち』、ヒトカゲは少し強力な『かえんほうしゃ』、ゼニガメは少し強力すぎる『みずでっぽう』というような感じだった。確かに究極技と呼ぶには少しお粗末だな。

 

「まだレベルが低いというのもあるんじゃろう。一応形にはなっておるから、後はひたすら練習あるのみじゃな」

 

 元々、最終進化形になるだけのレベルを求められる技なのだ。三日で完成させろと言う方が酷だろう。御三家達には、「これから練習していこう」と声をかけてボールに戻した。

 

 この三日お世話になった婆さんにお礼を言い、3の島へと移動する。婆さんには「お前さん達が究極技を完成させるのを楽しみにしておるぞ」と言われたので、「ポケモンリーグの放送を楽しみにしてな!」と捨て台詞を吐いておいた。残りバッジは五個もある。それを集めるまでに完成できれば御の字だろう。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・ナナシマへ行った。
 サントアンヌ号を脱出したため、16話~21話の話が全てカットされることになった。よって、カスミさんがタッツーをゲットせず、バイバイバタフリーもしなくなった。

・カモネギをゲットした。
 隻眼のカモネギ。二刀流は格好いいだろうと思って書いた話だが、ひこうタイプが多くなって作者が困っている。

・ファイヤーにあった。
 サイドストーリーのヒロシとファイヤーの話を見ていないので適当に書いた。今度見る予定なので、もしかしたら少し修正するかもしれない。

・究極技を習う。
 ポケスペを参考にした伝授方法。飛天御剣流の覚え方と一緒。ちなみに現在の熟練度は一割、威力にすると95。進化前だと最大威力が140に落ちるというオリジナル設定にしているのだが、それでも充分強い。

・マサラ式肉体言語術、ボディランゲージ
 ポケモンと意思疎通する技、使用者との関係性で理解度や理解するまでにかかる時間が変わる。


 現在ゲットしたポケモン。

 ピカチュウ Lv.30→31

 ピジョン  Lv.25→26

 バタフリー Lv.24→26

 サイホーン Lv.27→28

 フシギダネ Lv.26→28

 ヒトカゲ  Lv.24→26

 ゼニガメ  Lv.23→25

 クラブ   Lv.28→29

 カモネギ  Lv.22 NEW!






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#011 『これが高速見切りカウンターきあパンだ!』

 10歳 ε月φ日 『ナナシマ 3の島 ガラスの顎のエビワラー』

 

 昨晩、少し遅い時間になったが、何とか3の島に着くことが出来た。

 究極技の修行で一日を潰したので、今日こそ観光だと思い、島の中を歩いていると、何やらかくとうポケモンの道場らしきものがある。

 

 興味本位で寄っていくと、道場の生徒らしき少年がエビワラーを逃がそうとしていた。

 慌てて駆け寄って話を聞いてみると、どうやら少年はここでかくとうポケモンを育てていたらしいのだが、エビワラーがすぐに負けてしまうので自信を失ったという。自分はもう地元の街へ戻ろうとしたらしいのだが、負けたことに納得のいかないエビワラーが残ると訴えるので逃がそうとしていたようだ。

 

「勿体ない。逃がすなら俺にくれ」

 

 と、いう訳で、エビワラーをゲットした。

 

 特性は『てつのこぶし』で、大体のかくとう技はもう覚えているらしい。何故、それで負けるのかわからないので詳しく聞いてみると、少年曰く、このエビワラーは極端に打たれ弱いとのことだった。

 殴り合いになると、すぐにダウンしてしまい、こちらが倒しきる前に倒される。

 決して攻撃力は低くないのだが、それ以上に防御力がないせいで勝てない。勝てなきゃ楽しくないし、続ける気にもならないから諦めてしまったということだろう。

 

 少年にお礼を言って見送ると、俺のポケモンになったエビワラーと目を合わせる。

 多くは言わない。「勝つぞ。ついてこれるか?」とだけ聞くと、エビワラーは黙って頷いていた。

 

「で、どうするのサトシ?」

「決まってんだろ。このエビワラーで道場破りする」

「だと思ったが、どうするんだ? あの子の言うことが確かなら、そのエビワラーは格闘技向きのポケモンじゃ無いんだぞ」

 

 実は、俺は一つの解決策を思いついていた。

 このエビワラーはおそらく防御の個体値が低いんだろう。むしろ逆Vまである。けど、前世のボクサー漫画のキャラに一人、打たれ弱いカウンターパンチャーがいたのだ。

 

 そのボクサーは、カウンター一つで東洋のベルトを手に入れていた。

 所詮は漫画じゃないかと笑う奴もいるかもしれないが、カモネギの二刀流だって半分ネタから発展したことを考えれば割と馬鹿にしたものじゃ無いと思う。

 

 図鑑でレベルや覚えている技を確認してみると、レベルはピカ様よりも少し高い。おまけに『カウンター』や『きあいパンチ』まで覚えている。自分が覚えられる技であれば、レベルが足りていなくても技が覚えられるらしい。これはいいことを教えて貰った。

 そして、俺がやらせようと思っていたカウンターを成立させる技も揃っている。これならいけるはずだ。

 

 とりあえず練習相手としてカモネギを出し、エビワラーの相手をして貰うことにした。手数の多いカモネギの攻撃を相手にカウンターを合わせられれば、大抵の攻撃は凌げるだろう。

 

 エビワラーには『こうそくいどう』、『みきり』、『カウンター』、『きあいパンチ』、全ての技スロットを使用した究極のカウンターを指示した。

 まず、『こうそくいどう』で素早を上昇させる。これにより、相手より早く動けるようになって攻撃を回避しやすくなるからだ。これはクチバジムでピカ様がライチュウと戦った時に証明されている。

 おまけに『こうそくいどう』は足の速さだけではなく、身のこなしそのものの速さが上がるため、パンチの速度も上がってカウンターをしやすくなるという追加効果もあった。

 

 次に、『みきり』だ。相手の必殺の攻撃をこれで避ける。

 そして、この『みきり』に合わせて『カウンター』。本来『カウンター』は受けた攻撃を倍返しする技だが、今回は倍返しの部分だけ利用させて貰うつもりだ。

 今回使う『カウンター』は、ボクシングのカウンターのように攻撃を受けずに返す。『みきり』で攻撃が完全に見えていればカウンターは絶対成功するだろう。最後は、それに合わせて『きあいパンチ』である。

 

 きあパンは、攻撃を受けると失敗する技だが、『みきり』で攻撃が見えていれば、『カウンター』として『きあいパンチ』を打つのは難しくない。

 きあパンを打つためにギリギリまで力を貯めても『こうそくいどう』で上がっているスピードがパンチの速度を上げているため、『カウンター』も間に合うようになっている。我ながら全てが理に適った攻撃だった。

 

 と、いうことで模擬バトルスタートである。

 指示通りにエビワラーが『こうそくいどう』をして、カモネギの二刀流攻撃である『れんぞくぎり』を回避、避けられないものは左右の拳を使いつつ受け流している。

 当たらなければ攻撃力は上がらない。カモネギは早々に連続攻撃を諦めたようで、『いあいぎり』や『つじぎり』で、急所攻撃を狙っていく。だが、エビワラーはこれも上手く凌いでいるようだった。

 

 最後にタイミングを見て、カモネギに『つばめがえし』を指示する。

 これは絶対に命中する技なので、避けるには『みきり』を使うしかない。

 

 エビワラーがカモネギの『つばめがえし』に合わせて『みきり』を発動。同時にきあパンの力を込める。そして、攻撃が直撃する直前、カウンター気味にパンチを放った。

 

 きあパンの威力が150、タイプ一致で×1.5倍、『てつのこぶし』で×1.2倍、さらに『カウンター』で×2倍、合わせて540の威力を誇るスーパーパンチである。余程物理防御の高いポケモンだったとしても簡単に耐えきれるものではなかった。

 

 カモネギはひこうタイプなので、ダメージは半減するはずなのだが、それでも一撃で戦闘不能になっている。これが高速見切りカウンターきあパンだ!

 

 エビワラーは自分でやったことに理解が追いついていないのか、パンチを放ったままの姿で呆然としていた。アニポケだからこそ出来る、技を組み合わせる必殺技だが、技のスロットを四つ全部使うのだ。それに見合った威力があって当然だろう。

 

「エビワラー、改めて俺と一緒に来てくれるな?」

 

 こくりと頷くエビワラー。

 最初はまだ疑惑の目をしていたが、今の一連のバトルの結果で、俺というトレーナーの力を理解したようで尊敬の視線を感じる。

 

 しかし、これで調子に乗ってはいけない。この戦法が通じるのは物理攻撃が主体の相手だけだからだ。ただ、種族値的にエビワラーはとくぼうが高いので、おそらく特殊攻撃にはある程度耐えることが出来るだろう。相手によっては、三色パンチやドレパンを駆使したバトルに切り替える必要があるが、それはこれから練習していけば良い。

 

 とりあえず、3の島の道場に殴り込みをかけ、中にいる格闘ポケモンを圧倒してやった。型通りの格闘家など、高速見切りカウンターきあパンの餌食である。

 

 ただ、道場主のカイリキーだけは、特性が『ノーガード』なので少し苦戦した。

 攻撃が絶対に命中する特性は、俺のエビワラーと相性が悪い。おまけに腕が四本有るので攻撃のリズムが上手く掴めないようだった。『みきり』のおかげで、何とか倒れる前にはタイミングを掴んだようで、ギリギリで勝利することが出来たのだ。

 

 だが、ギリギリでも勝利は勝利である。エビワラーも、ずっと負け続けたという結果を払拭したことで、改めて自分に自信がついただろう。これからの活躍が楽しみである。

 

 

 

 10歳 ε月ψ日 『カントー本土に帰還 シオンタウンへ』

 

 約一週間ちょっとの旅を終え、ようやくカントーに戻ってきた。

 楽しい観光で気分もリフレッシュ出来たが、遅れを取り戻すためにもバッジ集めを再開していこうと思う。

 

 クチバから一番近いのはヤマブキということで、ヤマブキシティに行くことになったのだが、原作通りならまず間違いなくナツメのチート超能力には勝てない。俺の必殺技である我が儘を発動し、先にシオンタウンに向かうことにした。

 ゲームではシオンタウンに向かうにはハナダからイワヤマトンネルを経由する必要があるが、ここはアニポケとはいえ現実なので、普通にヤマブキシティを経由してシオンタウンへ行けば良いだろう。

 

 意気揚々とヤマブキシティに足を踏み入れると、サントアンヌ号ぶりにムサシとコジロウに再会した。変装していたが流石にわかる。思わず、「お前達、生きてたのか?」と言うと、バレちゃ仕方ないとばかりに、いつもの何だかんだの名乗りを聞かせてくれた。

 

 興味があったのでどうやってサントアンヌ号から脱出したか聞いてみると、どうやらコジロウが三万で買わされたコイキングがギャラドスに進化して助かったらしい。

 アニメではどこかに行ってしまえとコイキングを蹴っていたコジロウだが、命の危機に協力して力を合わせたことで仲良くなったようだ。今では普通に手持ちポケモンらしく、今回も自慢げにギャラドスを繰り出してきた。

 

 しかし、残念なことにギャラドスは強いがでんき4倍という弱点がある。

 お話の間に、いつもの『わるだくみ』を3段階積んでいたピカ様のまんボルで、いつものやなかんじーするロケット団を見送り、俺達はシオンタウンへ向かうことになった。

 

 

 

 10歳 ζ月β日 『シオンタウン ゴーストポケモンゲットだぜ』

 

 ようやくシオンタウンに着いた。

 アニメではよくわからないボロいポケモンタワーがあったが、街の人に話を聞いてみると、どうやらポケモンタワーは何十年も前に場所を変えたらしい。アニメのサトシ君が行ったのは古い方のポケモンタワーのようで、新しい方は定期的に改装しているのか、とても綺麗な棟だった。これならポケモン達も安らかに眠れるだろう。

 

 しかし、俺が用のあるのはアニメのポケモンタワーである。

 原作通りならお笑い大好きな三体のゴーストポケモンがいるはずだ。ビビりまくっているカスミさんやタケシを置いて中に入っていく。

 

 そう時間もかからず目的の三体を見つけると、前世のお笑い芸人にちなんだネタを披露して仲を深めていくことにした。楽しいことが大好きな三体にお笑いを教えながら、ポケモンバトルの楽しさについても教えていく。

 散々遊んで満足してくれた所で、俺のポケモンになってくれるかどうか聞いてみると、三体とも一緒に来たいということだったので三体共ゲットした。

 

 正直、一体でいいが、まぁヤマブキのナツメを笑わせるには数が多くて損はないだろう。

 丁度良いので一度御三家を研究所に送ることにした。大分一緒に居て仲良くなったし、向こうに居た方が究極技の練習をしやすいだろう。定期的に入れ替えるつもりだが、今回の主役はゴーストポケモン三人衆なのでお休みして貰うことにした。

 

 

 

 10歳 ζ月γ日 『あれ、ゴース強くね?』

 

 ヤマブキシティに戻る途中、野生のポケモン相手にゴーストポケモン達を試してみたが、ぶっちゃけレベルはまだ低い。一番強いゲンガーでも24である。

 しかし、割とバトルセンスはあるようだ。特にゴースは将来性がある。

 ゴーストは懐くのこそ早いのだが、やはりバトルより笑いが好きなのか、時々指示に反して相手を笑わせようとするときがあった。こいつは対ナツメの最終兵器だな。

 

 ヤマブキジムは4つ目のジムなので、アニメとは違い、おそらくバトルで使用するポケモンは3体。レベルは最大で30固定になるだろう。戻る間にどれだけレベルを上げられるかが勝利の鍵になるはずだ。

 

 

 

 10歳 ζ月ε日 『ヤマブキシティ ジム戦 VSナツメ』

 

 ヤマブキジムに挑戦しに行く。ジムの中には超能力研究をしている奴らが山のようにいたが、ぶっちゃけスプーンなどいくら曲げた所で意味ない気がする。ナツメみたいに、人を小さくしたり、人形にしたりするならまだしも、スプーン曲げてどうするんだよ。

 

 ナツメに会うと、抱えている人形ちゃんが、暗に負けたら人形にすると言ってきたので、逆に俺が勝ったら『サイコキネシス』の技レコードをあるだけ寄越すように要求する。

 向こうは負けるとは欠片も思っていないようで、「いいよ」と快諾。

 

 そういえば、アニメではサトシ君が負けまくったせいでタケシやカスミさんも人形にされるんだよな。確か、ナツメのお母さんも十年くらい人形のままだったはずだ。

 流石に可哀想だし、俺がナツメを倒して助けてやることにするか。

 

 ジム戦はやはり3対3のバトルになった。向こうは一体目にケーシィを出してきたので、こちらもゴースを出す。向こうはすぐに進化するだろうけど、こっちのゴースも天才だ。

 

 まずは『くろいまなざし』を指示する。ケーシィは眠っているようで動かないが、これで動きは封じた。眠っているので『たたりめ』を指示。ナツメが咄嗟に『テレポート』でケーシィを移動させようとしたが、『くろいまなざし』の効果で逃げる効果のある技は使用出来なくなっている。『たたりめ』の直撃をくらい、ナツメが驚いていた。

 

 ナツメが『テレポート』をさせる際に起きたのか、『たたりめ』のダメージ二倍効果はなくなっていたが効果は抜群だ。動揺しているケーシィに『あやしいひかり』をかけ、混乱状態にする。ナツメが『ねんりき』を指示したが動きが一歩遅い。混乱しているケーシィは、進化も攻撃も出来ずに二回目の『たたりめ』をくらい戦闘不能になった。

 

「強い……」

 

 思わず、本体の方から本音がこぼれる。二体目のポケモンはユンゲラーだった。

 こちらはゴースに『のろい』を指示。体力が半分なくなったが、これで毎ターン、ユンゲラーは体力が1/4減っていく。ジムリーダーはポケモンを交換できないので、これで放っておいてもユンゲラーは戦闘不能になるだろう。

 

 そのままゴースを戻し、ゴーストを出す。お笑い大好きのゴーストはユンゲラーに挨拶代わりの顔芸を披露していた。ナツメも何をしたいのか分からなかったようで思わず動きが止まる。だが、動かないのは悪手だ。『のろい』の効果でユンゲラーの体力が次々と減っていく。

 

 良い感じなので、ゴーストに『したでなめる』を指示し、麻痺を狙っていくことにした。ナツメもユンゲラーがダメージを受けているのは分かっていたようで、『じこさいせい』で体力を戻している。

 しかし、回復に時間を割いたせいもあり、麻痺が入ったようでユンゲラーの体が痺れていた。ゲームでは確率で動きを封じる麻痺だが、この世界では常に体が痺れた状態でたまに完全硬直する仕様のようだ。

 

 ナツメが『サイコキネシス』を使い、ゴーストを捉えようとする。こちらは『たたりめ』を指示し、ワンチャン攻撃を当てるように指示したが、ゴーストはナツメに向かって新しい芸を披露していた。

 当然、『サイコキネシス』を避けられるはずもなくダメージを受ける。だが、『したでなめる』の麻痺でユンゲラーも力が入りきらないようで、ゴーストは拘束を振り切ると、何故かユンゲラーを無視してナツメの元へ走った。

 

 ああ、これはやるなと思いながら、そのままゴーストの好きにさせていると、『プレゼント』を使って口から爆弾を出している。原作通りだが、これが良く分からない。ゴースもゴーストもゲンガーも、何故か覚えるはずのない『プレゼント』の技を習得していたのだ。それはデリバードの技だし、タマゴ技でもゴース系は覚えない技のはずである。

 

 そのままナツメの周りが爆発し、ゴーストがこりゃ困ったとばかりに大笑いしていた。

 正直、どこが面白いのか欠片もわからないが、ナツメのツボにははまったようで、アニメのように腹を抱えて大笑いしている。ナツメと繋がっているユンゲラーも大笑いして動けなくなっていたが、『のろい』の効果でダメージは入り、すぐに戦闘不能になっていた。

 

 ナツメに笑顔が戻ったことで抱えていた呪いの人形が消え、ナツメの母親も人形から人間へ元に戻る。アニメではこれでめでたしめでたしだが、残念ながらニューサトシ君はそれで終わらせるほどおめでたい性格はしていない。

 どこからか現れたナツメの親父らしいおっさんが、こちらにお礼を言いながら母親の無事を確かめているが、そんなこともぶっちゃけどうでもいいのだ。

 

「おい、ナツメ。まだ俺とのバトルは終了してないぜ」

 

 カスミさんとタケシが、「おい、空気読めよ」と言わんばかりの顔をしているが、俺がこうなったら聞かないのもわかっているのだろう。特に何も言わない。

 ナツメも目元の涙を拭いながら、何とかバトルに戻ってくれた。

 ゴーストをボールに戻そうとしたが、笑ってくれるナツメの側を離れたくないのか、ボールの光をよけまくっている。仕方ないので、「ゴーストは交代だ」と、口頭で宣言し、最後のゲンガーを出す。

 

 ナツメは最後のポケモンにフーディンを出してきた。

 開幕に『サイコキネシス』を指示してきたので、『ふいうち』を指示して先制する。ゲンガーの先制攻撃が当たり、『サイコキネシス』の照準が狂ったようで技を外していた。

 そのまま『シャドーパンチ』を指示したが、ゲンガーもまた何故かゴーストが外に居たままであることに気付いたようで、ナツメの方へ寄っていく。

 

 ゴーストとゲンガーが揃ったことでコントが始まり、再びナツメが大爆笑。

 当然、繋がっているフーディンも大爆笑。

 唯一残った俺は全然楽しくない。

 もはや、まともな試合は期待できそうにないので、「ゲンガーを交代する」と言って、残ったゴースを出し、『たたりめ』を指示して一気にフーディンを戦闘不能まで持って行った。戦闘に真面目なゴースだけが救いである。

 

 バトルが終わり、笑ったままのナツメからゴールドバッジを受け取ったが、ほぼバトルにならなかったことで俺の機嫌が悪いのがわかったのか、タケシもカスミさんも迂闊に「おめでとう」とは言ってこなかった。

 ゴーストとゲンガーがナツメのリアクションに惚れたようだったので、そのままナツメに預ける。ゴースは俺についてきてくれるようだし、サイコキネシスの技レコードも三つ貰ったのでとりあえずはこれで良しとした。またの機会に再戦しに来よう。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・エビワラーをゲットした。
 モデルははじめの一歩の宮田。ただ、パンチ力があるので、宮田君幕ノ内エディションである。

・カウンターの仕様が少し違う。
 アニメやゲームだと受けた物理ダメージを倍返しするものだが、この小説ではエビワラーの打たれ弱さを補うために、ボクシングのようなカウンターとして利用している。一応、通常の使い方も可能。

・第22話『ケーシィ!超能力対決!』より、ヤマブキジムに挑戦せずにシオンタウンに向かった。
 エスパーチートとか無理よ。初代はエスパーが最強なんだ。

・ロケット団が助かっており、コジロウがギャラドスを捕まえていた。
 三万円が役に立つ世界があってもいいじゃないか。

・第23話『ポケモンタワーでゲットだぜ!』より、ゴース、ゴースト、ゲンガ―の三体を捕まえた。
 ニューサトシは最初、一番進化しているゲンガ―だけをゲットしようとしていたが、結果的にはゴースが一番役に立った上にバトル好きになった。

・第24話『ゴーストVSエスパー』より、3対3のバトルをした。
 アトラクタフィールドの収束によりアニメ通りの結果になったのでニューサトシの機嫌が悪くなった。

・サイキネの技レコードをがめた。
 向こうはこっちを人形にすると言ったしね、対価としては安いくらいである。

・ゴース以外の二匹をナツメに預けた。
 結局はゴースがまじめだった。


 現在ゲットしたポケモン。

 ピカチュウ Lv.31→33

 ピジョン  Lv.26→27

 バタフリー Lv.26→27

 サイホーン Lv.28→29

 フシギダネ Lv.28→31

 ヒトカゲ  Lv.26→29

 ゼニガメ  Lv.25→28

 クラブ   Lv.29→30

 カモネギ  Lv.22→26

 エビワラー Lv.35 NEW!

 ゴース   Lv.20→28 NEW!




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#012 『レベルの差がバトルの決定的な(以下略)』

 10歳 ζ月ζ日 『ポケモン増えたなぁ』

 

 ナツメにゴーストとゲンガーを渡したことで手持ちのポケモンが二体減ったので、ここらで一度俺のポケモン達を調整することにした。

 今の俺の手持ちはピカ様、カモネギ、エビワラー、ゴースの四体である。

 対してオーキド研究所に居るのは、ピジョン、バタフリー、サイホーン、フシギダネ、ヒトカゲ、ゼニガメ、クラブの七体だ。

 

 こうしてみると、アニメにいない奴が割と多い。

 計11匹。ピカ様はレギュラーなので、残り五匹を選ぶ。少し悩んだが、今回はピジョン、サイホーン、ヒトカゲ、カモネギ、ゴースにした。カモネギ以外は進化優先である。クラブは少し様子を見ることにした。

 

 

 

 10歳 ζ月κ日 『あーあ、オコリザル怒らせちゃった』

 

 久しぶりに博士に連絡を取ることにした。最後に連絡をしたのがサントアンヌ号ぶりなのでかなり前だ。

 聞けば、同期達はもうタマムシシティを超えたらしい。筆頭のシゲルに至ってはセキチクと聞いた。ポケモンを捕まえた数はどうでもいいのだが、差がアニメよりも開いているような気がする。

 

 ただ、その代わりこっちもアニメよりポケモンを捕まえているので、博士も特に文句を言ってくることはなかった。とりあえず、タマムシシティまでは後一日くらいなので急ごうと思う。

 

 電話の後、昼食の時間だったのでタケシの作ったおにぎりを頂いていると、野生のマンキーが現れた。原作通りならサトシ君のオコリザルになるマンキーのはずだ。

 

 タケシがおにぎりをあげると笑顔で食べている。

 アニメではすぐにボールを投げて怒りを買っていたサトシ君だが、ニューサトシはこのまま餌付けできないかと思い、一緒におにぎりを食べることにした。

 そのままのんびり食事を続けていると、何だかんだとロケット団が現れ、おにぎりを食べていたマンキーを蹴飛ばしている。

 

 当然、食事を邪魔された上に蹴られたマンキーは怒った=オコリザルに進化する=やなかんじー。

 

 アニメ顔負けの見事なフラグでロケット団は帰って行き、オコリザルがこちらに振り返った。

 まぁ、ロケット団はどうでもいいのだが、こいつはアニメでは格闘の天才らしいし、是非ともゲットしたい。オコリザルにしても、まだ怒りが収まらないのか、俺達に矛先を向けてきた。

 

 とりあえず、カモネギを出して弱点で攻めることにする。カモネギを見て、向こうは『あばれる』を使ってきた。『あばれる』が使えるということは、エビワラーのように技を先取りしていなければレベル35以上と見て良いだろう。

 対するカモネギはレベルで劣っているが、二刀流を上手く駆使して防御を固めている。攻めないのは、オコリザルの混乱を待っているのかもしれないな。

 

 しばらくすると、オコリザルが『あばれる』の効果で混乱したが、元々考えずに暴れているので動きは鈍らない。しかし、混乱による自傷の回数は増えたことに違いは無く、その隙を突いてカモネギが『つばめがえし』を繰り出していた。

 所詮、強いと言っても野生だ。オコリザルには、ポケモンのレベルの違いがバトルの決定的な差ではないことを教えてやろう。このままカモネギの技術でボコボコにしてやるぜ。

 

 と、いう訳で、オコリザルの攻撃を避けては一撃を入れ、また攻撃を回避して一撃を入れていく。最終的にはこれの繰り返しである。そのままダメージが重なってダウンしたところへボールを投げ、無事にオコリザルをゲットした。

 

 

 

 10歳 ζ月λ日 『マサラ式肉体言語術の一つ わからせ』

 

 アニメではオコリザルに追われて近道を見つけていたが、こちらはその場で捕まえてしまったので地道に進む。

 

 確か、オコリザルは最初言うことを聞かなかったはずなので、ゲットした際に一度ピジョンを研究所へ送り、手持ちにオコリザルを加えておいた。

 顔合わせをすると、思った通りすぐに手を出してきたので、久しぶりのマサラ式肉体言語術で上下関係を分からせる。こういうタイプは一度分からせないということを聞かないもんだ。

 

 オコリザルも俺が強いことがわかると、素直にこちらの言うことを聞いてくれた。

 エビワラーもそうだったが、かくとうタイプは態度がわかりやすくて面白い。レベルも高いし即戦力になりそうだった。

 

 

 

 10歳 ζ月μ日 『タマムシシティ ジム戦 VSエリカ』

 

 タマムシシティに着いた。香水の匂いに釣られて、タケシとカスミさんがどこかに行ってしまったが、まぁ後で会えると思い、そのままポケモンセンターに向かう。

 そのままオコリザルとピジョンを入れ替えて、真っ直ぐタマムシジムに向かった。

 

 確か、アニメではサトシ君が香水を馬鹿にしてジムに入るのを禁止されていたが、俺は何もしていないので立ち入り禁止にされることはないだろう。

 ジムに行くと、香水が好きかどうか聞かれたので、「スキデス」と答えると、普通に通して貰えた。ちょろい。

 

 中にはカスミさんとタケシも居て、いつの間にかジムの人達と仲良くなっているようだった。

 ジムリーダーのエリカにバトルをお願いすると、快くOKしてくれる。使用ポケモンは三体。ジムバッジ4つということで、レベルも最大で35固定になった。レベルの差が少しあるので気合いを入れていく。しかし、前にも書いたがレベルの差がバトルの決定的な(以下略)。

 

 エリカの一匹目はモンジャラだったので、こちらはピジョンを出して先制することにした。

 毎度お馴染み『でんこうせっか』で距離を詰めると、『しめつける』を指示してきたので、『ふきとばし』で無理やり距離を取らせる。得意のヒット&アウェイだ。

 

 続いて『しびれごな』を指示してきたが、粉系の技は『ふきとばし』で防御可能だった。

 再び、『でんこうせっか』でモンジャラにダメージを与え、近距離で『かぜおこし』を指示する。相性的に効果は抜群だが、技の威力が低いのが難点だ。エアスラも覚えていないし、決め手に欠けると悩んでいると、ピジョンが『ふきとばし』の大風で『かぜおこし』を起こしていた。さながら『ぼうふう』である。

 

 ってか、マジで『ぼうふう』じゃないか?

 

 図鑑で確認すると、『ぼうふう』だった。

 本来であれば、もっとレベルが上がらないと覚えないはずの技である『ぼうふう』を覚えたことで一気に攻撃力が上がり、モンジャラを一気に戦闘不能まで持って行く。予想外の技習得だったが、ここでの『ぼうふう』は有り難すぎた。

 

「やりますわね。では次はこの子で――」

 

 そう言って出してきたのはウツドンだった。

 繰り出してくる『はっぱカッター』に対し、ピジョンに『ぼうふう』を指示する。こちらの風の嵐がはっぱの山を飲み込んで一気にウツドンが戦闘不能になった。

 冗談抜きに『ぼうふう』無双になってきたな。『ぼうふう』は命中率が低いのが難点だが、今の所は全部当たっている。今度バタフリーにも教えてやってくれ。

 

 エリカが最後に出してきたのはクサイハナだった。やはり、この辺りは原作通りだな。

 

 このままピジョンで行っても勝てそうだが、経験値が勿体ないのでヒトカゲに交代した。

 アニメでは臭さでダウンしていたが、そんな間抜けなことはなく、エリカが『どくどく』を指示してくる。ガチやんと思いつつ、ヒトカゲに『かえんほうしゃ』を指示。『どくどく』で猛毒になってしまったが、返しの炎がクサイハナへ迫っていった。

 

「クサイハナ。『ムーンフォース』」

 

 まさかのムンフォ!? レベルはヒトカゲの方が低いようで、タイプ不一致のムンフォでも『かえんほうしゃ』を押し返してくる。

 ギリギリで技は拮抗し、途中で爆発が起こった。

 そのままエリカは『フラフラダンス』を指示し、ヒトカゲを混乱させに来る。ヤバいと思ったが、混乱は防げない。ヒトカゲが混乱してフラフラしている。

 

 猛毒状態もあるし、こうなると、もう長時間は戦えない。こうなったら一か八か、未完成の『ブラストバーン』を指示した。

 混乱しながらも、何とかヒトカゲが口に炎のエネルギーをため込み、一気に発射していく。

 クサイハナは『ムーンフォース』でこちらを戦闘不能にさせるつもりなのだろう。またも攻撃が途中で交差した。

 

 本来の『ブラストバーン』は威力150(140)の大技だが、うちのヒトカゲの『ブラストバーン』は良いとこ完成度二割なので、少し強い『かえんほうしゃ』にしかなっていない。

 だが、その少し強いが今は重要だ。さっきまでは拮抗していた炎が『ムーンフォース』を突き破り、クサイハナに直撃する。いくら『ムーンフォース』で減退した未完成技とはいえ、弱点属性の究極技の直撃に耐えられるはずがなく、炎の爆発でクサイハナが戦闘不能になった。

 

 エリカもまさかストレート負けするとは思っていなかったようだが、素直に「お見事ですわ」と、こちらを称賛しながらレインボーバッジを渡してくる。

 

 アニメと違ってロケット団に協力していないから、何の邪魔も入ることも無く、ジム戦を楽しむことが出来た。ヒトカゲも試合の後に毒消しを貰って元気になっている。

 これでバッジは五個。後三つでポケモンリーグの参加権利が得られるが、これからはジムリーダーの技マシンが解禁されるので、今までのようには行かないだろう。

 

 

 

 10歳 ζ月ν日 『タマムシといえばポケモンゲームコーナー』

 

 タマムシシティと言えばゲームコーナーである。

 景品には技マシンやポケモン本体などがあり、ゲームをプレイしたことがある奴なら、カントーのタマムシでコインゲーをしたことがある奴は多いはずだ。アニメでは流石にスロットはモラル的にも良くないからかスルーされたゲームコーナーだが、これを無視するのはもったいなさ過ぎる。

 

 と、言うわけでゲームコーナーにやってきた。

 見た感じは、ゲームのシステムと大差無さそうである。コインケースは貸し出し式なので、ゲームのように探す必要はなかった。

 

 景品はやはり技マシンが多い。ポケモンの取り扱いはやはり違法に当たるのか表向きは取り扱っていないようだ。ぶっちゃけ、『ギガインパクト』の技マシンが超欲しい。

 しかし、コイン15000はリアルマネー30万である。余程、大当たりしなければ無理だろう。素直に他の景品を狙うことにした。アイテムは大体が1000枚だ。

 

 思えば、バトルで持ち物を持たせているトレーナーというのは今の所見たことがない。

 去年の年末に見たワタルとレッドも持たせていなかったし、もしかしたら持ち物という文化がアニメにはまだ存在しないのかも知れない。

 そのせいか、シルクのスカーフやメトロノームなども1000枚だが、これもポケモンの持ち物ではなく、人間用の物として扱われている。

 

 見ると、おうじゃのしるしなども、今はまだ進化アイテムでは無くただのコレクションアイテム扱いのようでコイン1000枚で扱われていた。これらの進化アイテムを狙っていくか、プロテクターがあればいずれドサイドンに進化できるしな。

 

 オラ! マサラ式肉体言語術の一つ、目押し連打だよ(そんな技は無い)!!

 

 という訳で頑張ったのだが、残念ながらコインを1000枚集めることは出来なかった。どうやらカスミさんとタケシはボロ負けしたらしい。

 俺は何とかコインを600枚集めたので、すごいみみせんと交換することにした。今の所、使い道は全くないが、いずれこれが役に立つ時が必ず来る(計画通り)。

 

 一人でデスノートごっこをしていると、俺以外の金がほぼ消えたのでポケモンセンターで安く飯を食うことになった。ポケモンセンターの食事はトレーナーだと割引されるのだ。

 

 

 




 原作との変化点。

・第25話『怒らないでねオコリザル』より、その場でオコリザルをゲットした。
 オコリザルから逃げなかったので、アニメのように近道を発見できなかった。

・オコリザルが言うことを聞くようになった。
 アニメではしばらく言うことを聞かなかったが、わからせた。

・第26話『エリカとクサイハナ』より、香水を馬鹿にしなかった。
 これにより、エリカからの印象が悪くならず、普通にバトルして貰えた。また、ロケット団に手を貸さなかったことで、ジムの火事も発生しなかった。

・ピジョンがぼうふうを覚えた。
 かぜおこしやふきとばしを多く使っていたことで技を閃いた。エビワラーの時もそうだったが、レベルが足りていなくても自分がレベルで覚える技なら先取りすることが出来る仕様。実際、ヒトカゲのかえんほうしゃも同様である。

・タマムシのゲームセンターに行った。
 すごいみみせんを手に入れた。本当はプロテクターが欲しかった。

・ポケモンセンターの飯は安い。
 初期は金を払っていたので無料では無さそう。


 現在ゲットしたポケモン。

 ピカチュウ Lv.33→35

 ピジョン  Lv.27→32

 バタフリー Lv.27→28

 サイホーン Lv.29→31

 フシギダネ Lv.31→32

 ヒトカゲ  Lv.29→33

 ゼニガメ  Lv.28→29

 クラブ   Lv.30→31

 カモネギ  Lv.26→30

 エビワラー Lv.35→36

 ゴース   Lv.28→30

 オコリザル Lv.35 NEW!




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#013 『まさかのポケスペだった』

 10歳 ζ月ξ日 『アニポケ世界だが、アニメの話だけとは限らない』

 

 タマムシシティのポケモンセンターで一日過ごし、そろそろセキチクに向かおうとすると、タマムシシティ内がロケット団のしたっぱで溢れていた。

 その割にムサシとコジロウがいない。どうやらアニメの話じゃ無いな。

 

 そこら辺のしたっぱをマサラ式肉体言語術でボコボコにし、何をしているのか聞き出すと、何とロケット団の研究していた特別なイーブイが逃げ出したのだと言う。

 したっぱ曰く、進化の石がなくても自在に進化したり、元に戻ったり出来るらしい。

 

 まさかのポケスペだった。

 

 少しビックリしたが、そんなことを聞いて無視できるほど、俺は人間が出来ていない。憤るカスミさんとタケシにも力を貸して貰い、俺達が先にその特別なイーブイを見つけることにした。

 

 ポケモンセンターでメンバーを捕獲用に入れ替え、タマムシ中を走り回る。

 ちょくちょくロケット団のしたっぱをボコボコにしながら探すも、イーブイらしきポケモンの姿は全然見つからない。ロケット団も結構な数で探しているし、ここまで探して見つからないということは、誰も想像していない場所に隠れているのではないのだろうか?

 

 ゲーム的メタ知識で、タマムシでイーブイと言えばビルの屋上かと思い、タマムシシティのビル屋上へ行くと、屋上の壁に隠れているイーブイを発見した。

 マジで居るとは思わなかった。こいつか?

 試しに笑顔を浮かべて近づいてみると、凄く人間を警戒しているのが伝わってくる。

 

 両手を挙げて戦う意思がないことを伝えて見るも、恐怖が勝っているようで、サンダースに姿を変えて『10まんボルト』を繰り出してきた。

 石なしで進化したし、こりゃ間違いねーな。

 隣に居たピカ様が『10まんボルト』で『10まんボルト』を相殺すると、向こうも完全に戦闘態勢に入ってしまったようで、ピカ様に相性がいいリーフィアに姿を変えていた。

 

 こうなってはもう仕方ないので、眠らせて無力化しようとバタフリーを出す。

 すると、今度はブースターに変化して『かえんほうしゃ』を撃ってくる。バタフリーには高度を上げるように指示し、何とか攻撃を避けてくれているが、このままでは埒があかない。

 注意を逸らすために『カモネギ』を出すと、今度はまたサンダースに変化した。どうやら相手のタイプがわかるのはポケスペ仕様みたいだな。

 

 カモネギがイーブイの注意を引いているうちに、バタフリーに『ねむりごな』で眠らせて貰う。ゲットする前に少し耳を調べてみたが機械らしきものは着いていなかった。完全にポケスペ仕様ではないのか良く分からないが、ゲットしてポケモンセンターに連れて行く。

 

 ジョーイさん曰く、かなり衰弱しているようだが、このまま静かにしていればすぐに回復するらしい。

 嬉しい情報ではあるが、まだ安心は出来なかった。

 何しろ、まだロケット団はこの街にいるのだ。このまま状況を放置した場合、いずれイーブイがここにいると気付かれるかもしれない。そうなれば数で劣る俺達ではイーブイを守りきれないだろう。

 

 ならば、先手必勝。こちらからロケット団のアジトに攻め込んで奴らを壊滅させるしかない。

 タケシやカスミさんにそのことを伝えると、少し悩んでいたが最終的には賛同してくれたので、また手持ちを戦闘用に変更する。タケシもニビの実家に連絡してフルメンバーを送って貰っていた。

 

 タマムシシティのゲームセンターの地下にロケット団のアジトがあるというゲーム知識は、この世界でも無事に通用するようで、外のしたっぱを全滅させた後、そのまま中に乗り込んでいく。

 タケシのフルメンバーは想像以上に強いメンバーだった。前に戦ったイワークを始め、イシツブテの最終進化であるゴローニャ、化石ポケモンのカブトプス、ジムのポケモンも必要なので今回はこの三匹だけだが、正直戦力過多である。

 

 外のモブは俺やカスミさんでも余裕と感じるくらいの実力だったし、アジトの中も同様だ。このまま余裕かと思ったら、最後の部屋に一人の幹部がいた。ゲームでも居たアポロである。流石にこいつは別格のようだった。

 

 出してくるのはゲーム同様、マルマイン、ゴルバット、ブーバー、マタドガスである。

 しかし、最初の一匹のマルマインは相性のいいサイホーンで完封出来たが、ゴルバットが強かった。まず連戦のサイホーンがメガドレされ一敗。ピカ様も不覚を取って二連敗。三体目のヒトカゲが気合いで相打ちに持って行ってくれたが、それでもゴルバット一匹に三体持って行かれた。連戦でこっちが疲れていたとはいえ、今までにない大苦戦である。

 

 今は、三体目のブーバーが相手だが、エビワラーも苦戦していた。

 流石に特殊ブーバー相手に高速見切りカウンターきあパンは使えそうに無かったので、ドレパンを主体にしたダメージを与えながら体力を回復する戦術を取っているのだが、『かえんほうしゃ』の威力が予想以上に高くて回復が追いつかないのだ。エビワラーのとくぼうが高いおかげでまだ凌げているが、他のポケモンだったらアウトだったかも知れない。

 最終的にはダメージ負けしたが、続きのゼニガメが開幕『ハイドロカノン(未完成)』でブーバーを戦闘不能に持って行った。

 

 最後に出てきたのはマタドガスである。ぶっちゃけ、コジロウのドガースとはレベルが違った。技もしっかりしていて、技レコードで覚えさせたであろう『10まんボルト』の前に、ゼニガメがなすすべなくやられそうになる。

 もう、『ハイドロカノン』しかなかったが、一度見た技がそんな簡単に通用するはずが無く、未完成の『ハイドロカノン』はしっかり避けられ、『10まんボルト』で一気に戦闘不能に持って行かれた。

 

 こちらの最後の一体は『ゴース』である。こっちも後がないので、向こうの『シャドーボール』を直撃で受けつつも、『あやしいひかり』で混乱ゲーに持って行く。『あくのはどう』を指示するアポロだが、『あやしいひかり』の混乱で明後日の方向へ攻撃を打っていた。

 

 そのまま『さいみんじゅつ』で完全に動きを縛り、おまけで『のろい』で体力を削る。

 これで後は待っていれば勝てると思っていたが、ゴースがマタドガスの技を見て、新しく『シャドーボール』を覚えたようで、眠っているマタドガスに追撃していた。この分だと、多分『あくのはどう』も覚えたな。やはり天才。

 

 何とかギリギリでアポロを下すと、ゴースがゴーストに進化した。

 ロケット団も幹部がやられたことで、完全に撤退するしか無くなったらしく、アポロも『ここは撤退させてもらう』と言って、タマムシシティから逃げ出していく。

 呼んでいたジュンサーも全てが終わった後にようやく来て、逃げたロケット団を追うと言って地下から出ていった。相変わらず、必要な所で役に立たねぇなこいつ。

 

 

 

 10歳 ζ月ο日 『あー イーブイ可愛いんじゃあ』

 

 次の日、ジョーイさんからイーブイが回復したと教えて貰い、何とか面会することが出来た。

 最初はこちらに怯えていたイーブイだが、ピカ様が取りなしてくれたおかげで何とか話が出来るようになったので、そのまま俺達がロケット団のアジトを潰して来たこと、イーブイが自由になったことを教えて安心させてやる。

 

 しかし、刺激が強すぎたのか、イーブイがポカンとした表情でこちらを見ていた。とはいえ、俺達が味方だということはわかったようで、大分警戒がなくなってきている。

 イーブイのことを考えるならそのまま逃がしても良かったのだが、どこにロケット団の残党がいるか分からない。今はまだ俺達の側に居た方が安心だと話すと、イーブイも納得してくれたようで、無事にそのまま俺のポケモンになってくれた。やったぜ。

 

 だが、タケシやカスミさんとも話し、念のためにこのイーブイはしばらくオーキド博士の研究所へ預けることに決めた。

 ロケット団が研究していたらしい特殊能力も気になるが、最終的にはその方がイーブイにとっても安心できると考えてのことだ。まだ体も心も傷ついているし、いずれイーブイが元気になって、俺と一緒に旅をしたくなったら、その時は一緒に旅をすればいい。博士にも事情を話すと、しっかり面倒を見てくれると約束してくれたので多分大丈夫だろう。

 

 

 

 10歳 ζ月σ日 『ヨヨヨタウン 催眠術によるポケモン返り』

 

 ヨヨヨタウンとかいう変な名前の街に立ち寄ると、そこでは数日前から子供達が行方不明になるという事件が起こっていた。

 聞けば、ポケモンセンターではポケモン達もまた数日前から元気がなくなっているらしい。カラカラやナゾノクサ、コイキングやヒトカゲ、おまけにコダック――って、このコダック、カスミさんのコダックやんけ!

 

 そういえば、もう内容も良く覚えていなかったが、何かスリープだかスリーパーの『さいみんじゅつ』の影響がどうとかいう話だったような気がする。

 どうやら予想は当たっていたようで、ポケモン大好きクラブのスリーパーのせいらしい。

 途中、ロケット団も乱入して良く分からない状況にもなったが、同じ大好きクラブのスリープが問題の『さいみんじゅつ』を打ち消してくれたおかげで事件は無事解決した。

 

 しかし、事件は何とかなったのだが、コダックの引き取り手がいないということで、タケシとカスミさんがいらないコダックの押し付け合いをしている。

 流石の俺もアニメであれだけ大ボケをかましているコダックをゲットする気にはなれないので知らんぶりを決め込む。押し引きの末、結局はコダックがカスミさんのモンスターボールに勝手に入り無理やりゲットさせられていた。すまんなカスミさん。

 

 

 

10歳 ζ月σ日 『シザーストリート ロコン可愛い』

 

 タケシがブリーダーの街でロコンをゲットした。

 正確にはブリーダーのユキさんという女性から預けられただけなので、後で返すことになるのだが、しばらくは貴重な炎枠としてタケシを支えてくれるだろう。

 

 追記。ゴーストとオコリザルを入れ替えたら向こうでゲンガーに進化したらしい。そういえば、アニポケではポケモンの転送でも通信進化するんだったっけか。

 

 

 

10歳 ζ月υ日 『P-1グランプリ 俺がやらねば誰がやる』

 

 セキチクシティに向かっている途中、ロードワークをしている野生らしきエビワラーを発見した。

 

 丁度、手持ちに俺のエビワラーも居たのだが、興味を持ったのか、モンスターボールから勝手に出てきて勝負を仕掛けている。

 向こうのエビワラーは最初こちらを見て馬鹿にしたような態度を取っていたが、俺のエビワラーの『マッハパンチ』を受けると、その気になったようでお互いに拳を構えた。

 

 向こうは野生のようだし、エビワラーの好きにさせることにする。とはいえ、格闘ポケモン相手の動きなんてもう決まっていた。『こうそくいどう』で素早を上げ、相手の『れんぞくパンチ』を避けていく。焦った相手が咄嗟に打ってきた『メガトンパンチ』に対し、『みきり』、『カウンター』、『きあいパンチ』の必殺コンボで返り討ちにし、相手のエビワラーを戦闘不能にしていた。

 

 その後、トレーナーらしきおっちゃんが出てきて、エビワラーを叱っているようだったが、初見であのコンボを対応しろというのは無理があるだろう。

 そのまま黙って見ていると、おっちゃんの娘らしき女の子が出てきて、何やら家に帰るように言っている。それを見て、そういえばポケモンP-1グランプリなるものがアニメにあったことを思い出した。オコリザルとバイバイする回やん。しないけど。

 

 気まずくなったおっちゃんが逃げていくのを見送り、おっちゃんの娘であるマナミからP-1で勝ってあのおっちゃんを家に帰して欲しいというお願いをされた。

 さっき勝ったのを見て、俺達なら出来ると確信したのだろう。当然のように、女に弱いタケシが安請け合いをしている。別に出るのは構わないが、オコリザルは置いていかないからな。

 

 タケシがエビワラーかオコリザルを貸して欲しいと言うので、エビワラーを一時的に貸すことにした。オコリザルは多分俺以外の言うことは聞かないだろう。聞けば、博士も研究所では毎日ボコボコ(手加減有り)にされているらしいし。

 

 俺はオコリザル、タケシがエビワラーでP-1に出場することになったのだが、何やら魔人ブウ編のトランクスと悟天のようなことをしているロケット団を見つけた。

 お前らはマイティマスクか。そのでかいコートとサワムラー誰から奪ってきたんだよ。

 しかもリングネームがジャイアントって。多分、コートの中で肩車してるんだろうけど、下のコジロウが上のムサシの重さに耐えきれなくてプルプルしてんじゃんか。

 

 少し笑ったが、気を取り直してP-1に挑戦して行こう。オコリザルの一回戦の相手は、原作通りにワンリキーだったが流石に楽勝だった。

 ただ、オコリザルはエビワラーのように器用な格闘は出来ないので、ピーカブースタイルでガードを堅めながら、相手ににじり寄り『クロスチョップ』や『あばれる』で倒している。

 

 タケシとエビワラーの一回戦の相手はロケット団とサワムラーだったが、途中でインチキされたのか、接着剤か何かで動きが止められた所を『とびひざげり』の直撃をくらってダウンしていた。

 打たれ弱い俺のエビワラーがタイプ一致の威力130技を受けて立てるはずも無く、どこからか出てきた家出中のおっちゃんも、タケシにタオルを投げ入れるように勧めている。

 まぁ、今朝の出来事でもわかっていたが、最近のエビワラーは格闘戦で負けなくなって天狗になっていた節があったし、インチキとはいえこの負けは良い薬になるだろう。

 

 タケシが謝りながらエビワラーを返してくるが、これはこれで良い経験になった。対するオコリザルは二回戦のカイリキーも瞬殺し、決勝に駒を進めている。

 残りはロケット団のサワムラーと、おっちゃんのエビワラーだが、これもタケシの時と同様に接着剤のインチキで動きを封じられていた。そのせいもあって結果的に負けてしまったが、知らない間に家族の仲が元に戻ったようなのでめでたしめでたしだろう。

 

 決勝戦、ロケット団のサワムラーと俺のオコリザルの試合。確か、ニャースがリングに罠をしかけていたはずなので、ピカ様にお願いして妨害して貰うことにした。

 試合内容は、防御を固めたオコリザルがすり足で、キックの中を進んでいる。向こうの方が技の射程が長いので懐に入らないとオコリザルに勝ち目がない。

 

 いつの間にかこっちのリングにいた家出のおっちゃんが隣でギャーギャーうるさいがガン無視し、オコリザルに射程に入った瞬間に『クロスチョップ』を指示した。

 ロケット団も何かを仕掛けていたようだが、無事にピカ様が妨害してくれたらしい。サワムラーの『とびひざげり』を掻い潜り、オコリザルが『あばれる』で左右からフックを連打していた。

 

 サワムラーももう抜け出せないようで、そのままダウンまで持って行く。悔しそうにムサシがサワムラーをボールに戻すと、何やら爆弾でも爆発したのか、いつものようにやなかんじーしていた。おい、ムサシのやつサワムラー持って行ったか?

 

 大会で無事に優勝すると、家出のおっちゃんがオコリザルには格闘の才能があるから自分に預けてみないかと意味不明なことを言ってきたので、思わず「自分のポケモン優勝させてから出直してこい」と一刀両断してやった。何が嬉しくて、自分より成績の悪いトレーナーにポケモンを預けなきゃいけないんだよ。馬鹿じゃねーの。

 

 

 




 原作との変化点。

・タマムシシティ地下のロケット団アジトを制圧した。
 ゲームの幹部であるアポロと戦った。レベル差と連戦で疲れていたこともあり、6対4で負けそうになった。勝った結果、ゴースがゴーストに進化した。

・イーブイをゲットした。ただし、療養中。
 ポケスペのイーブイが嫌いなやつなんてそうそうおらんやろ。

・第28話『ロコン! ブリーダー対決!』より、ゴーストがゲンガーに進化した。
 ポケモン転送も交換に入るのはカスミさんのニョロトノが証明してくれた。

・第29話『格闘ポケモン! 大バトル!』より、タケシにエビワラーを貸した。
 イシツブテは格闘ポケモンではありません。

・ムサシがサワムラーをパクった。
 コジロウにギャラドスがいるので対になるポケモンが必要だった。すまないジャイアント。

・オコリザルを渡さなかった。
 あいつ何様やねん。負けた上に自分に預けろとか自信過剰が過ぎる。アニメのサトシ君は頭がおかしい。


 現在ゲットしたポケモン。

 ピカチュウ Lv.35→38

 ピジョン  Lv.32→34

 バタフリー Lv.28→32

 サイホーン Lv.31→35

 フシギダネ Lv.32→34

 ヒトカゲ  Lv.33→37

 ゼニガメ  Lv.29→33

 クラブ   Lv.31→33

 カモネギ  Lv.30→34

 エビワラー Lv.36→38

 ゴース→ゴースト→ゲンガー Lv.30→34

 オコリザル Lv.35→37

 イーブイ  Lv.25 NEW!




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#014 『爆発オチとかさいてー!』

 10歳 ζ月ψ日 『グンジョウシティ コイルは人気ランキング二位』

 

 グンジョウシティなる街に来たのだが、水は汚いし、ジョーイは適当だし、ジュンサーはいつも通り役に立たないしで良い所が何もない街だった。

 ぶっちゃけ、ピカ様が体調不良を訴えなければ無視していただろう。しかし、そのおかげで、ここでサトシ君のベトベトンが出てくるのを思い出した。

 

 原作通り、発電所で問題が起きたので、解決のために大量発生しているであろうベトベターとベトベトンを退治しにいく。

 ピカ様が熱で電磁石状態になっているからか、発電所のコイルが寄ってきたのだが、そのおかげでピカ様も元気になり、ベトベトンをゲットすることが出来た。おまけでコイルもゲットしている。何せコイルは人気ランキング二位のポケモンだ。逃がす手はないだろう。

 

 ベトベトンは発電所に居たからか、電気が効かないというゲームにはない謎の耐性を持っており、ピカ様とコイル十数匹の電気を受けてようやくダメージを受けていた。1対1ならまず電気を無効出来るので、バトルでは活躍しそうである。

 

 とりあえず、ボールを貫通するほど臭いので、ベトベトンはしばらくオーキド研究所に預けておくことにした。ベトベトンの匂いは、人に懐くと消えるらしいので博士の手腕に期待したい所だ。

 

 

 

 10歳 η月β日 『ディグダがいっぱい』

 

 久しぶりにシゲルにあった。聞けば、ディグダの大量発生を退治するために呼ばれたらしいのだが、ポケモン達はディグダと戦いたくないらしくボールから出てこない。

 そういえばあったな、こんな話。

 まぁ、ポケモン達が出てこないのも当然だろう。人間のエゴでポケモンの住処を追うようなことをしているのだ。手を貸そうなんてポケモンがいるはずがなかった。

 

 シゲルもすぐにポケモン達がディグダと争うのを拒絶しているのに気付いたようで、「僕に出来ることはないようだ。このまま旅に戻らせて貰う」と言って、街へ帰っていった。

 

 俺達も特にディグダと敵対するつもりはないので、温泉に入ってから旅を続けることにする。

 

 途中、ロケット団がいつものように仕掛けてきたのだが、お得意のアーボとドガースが進化していた。おまけにサワムラーとギャラドスという、アニメにはいないメンバーがいるから強気になっているようだ。

 

 しかし、ギャラドスはともかくサワムラー、お前このままロケット団と一緒でいいのか?

 

 まぁ、思った以上に懐いてはいるようだし、サワムラーがいいならいいだろう。

 手持ちのバタフリー、フシギダネ、ゼニガメ、クラブを出してバトルをしたが意外と良い勝負になって少し焦った。何とか勝つことが出来たが、勝負がついた瞬間、ディグダ達がやってきてロケット団をどこかに連れて行く。遠くから、やなかんじーという声が聞こえた。

 

 

 

 10歳 η月ε日 『セキチクシティ ジム戦 VSキョウ』

 

 タケシは方向音痴。これまめな。

 とにかく、想像以上に時間がかかったがようやくセキチクジムに着いた。早速、ジム戦と思ったのだが、まともにジム戦をさせるつもりがないのか、罠が多数仕掛けられている。

 忍者屋敷がコンセプトなのはわかったが、やるなら先にやると言え。俺じゃ無きゃ死んでいたものもあったぞ。

 

 途中、ジムの関係者らしい女が出てくると、罠に嵌まったこちらを馬鹿にしてくる。何が「私の挨拶は気に入ってくれた」だ。ジムリーダーでもない癖に。

 ムカついたので、「このジムでは人を罠に嵌めて馬鹿にするのが礼儀なのか?」と聞くと、「ここは修行の場。隙を見せた方が悪いの」と、ドヤ顔で言い放ってくる。

 

 バトルをしなきゃここから出られないと言うことだったので、向こうのコンパンをヒトカゲでボコボコすると、ようやくリーダーのキョウが出てきた。

 しかし、あまりに非常識が過ぎる。キョウもジムリーダーのくせに、このヤバい女の行為を認めているようだし、思わず苦言を口にしてしまった。

 

「ポケモンのジムという場所は、あくまでトレーナーとポケモンの能力を測る場所だろう。勿論、その方法がジムによって違うのは理解出来るが、お前達はただ自分達の趣味を押しつけているだけだ。せめて事前に説明の一つでもあれば別だが、いきなりポケモンバトルに何も関係のない罠にかけておいて「隙を見せた方が悪い」と馬鹿にしてくるのは、ジムとしても人間としても問題があるとしか思えないが?」

 

 タケシとカスミさんも同意見だったのか、ポケモンリーグの公認ジムとは思えない対応に、ポケモンリーグのジム検定員に連絡した方がいいとまで言っている。

 流石にキョウも、カスミさんやタケシの言葉を聞いて、まずいと思ったようで素直に謝ってきた。アヤと呼ばれたキョウの妹らしき女も一緒になって謝っている。

 

 とりあえず、最低限の謝罪も受けたし、こちらとしてはジム戦をしてくれれば文句はない。

 何ぃ、それでは心苦しいだってー!?

 では、俺が勝ったら『どくどく』の技マシンを貰おうか? 毒のジムだ。持っていないとは言わせんぞ。

 

「まだ何も言って……いや、別にそれくらいなら構わんが」

 

 よろしい。ならばジム戦だ。いつも通りの3対3。バッジ5個ということで、レベルは最大40固定になった。うちのポケモン達のレベルの大半が30後半くらいなので結構良い勝負になるだろう。

 アニメではモルフォンとゴルバットを使っていたが、今回は一体目にゴルバットを出してきた。こちらはジム戦がかなり久しぶりのピカ様だ。最後にジム戦で戦ったのがクチバジム以来なので気合いが入っている。

 

 バトルが始まると同時に『10まんボルト』を指示。先手が取れていたのでダメージを与えた。

 対するゴルバットは『とんぼがえり』で手持ちに戻っていく。相性が悪いのを見て戻したようだ。本来、ポケモン交換は挑戦者側のみに許可されているが、技の効果で交代するのは禁止になっていない。だが、『とんぼがえり』のダメージより、『10まんボルト』のダメージの方が上だ。今の所、有利なのはこちらの方だろう。

 

 続けてキョウはアーボックを出してきた。

 つい数日前に見たから驚きはない。『あなをほる』が使えるはずなので、ピカ様を戻してピジョンを出した。ついこの間、『つばさでうつ』を覚え、レベル的にはそろそろ進化の時期になっている。タマムシでも大活躍していたし、この勢いを大事にしていこう。

 

 キョウが『こおりのキバ』を指示してきた。流石にタイプ不一致とはいえ、弱点技は避けたいので、『ぼうふう』を指示して距離を取る。『ぼうふう』は外れたようだが、距離を取ったおかげで『こおりのキバ』も射程外になった。

 仕切り直しだ。『でんこうせっか』で距離を詰める。キョウは『へびにらみ』を指示。距離を詰めたのが仇となったようで麻痺してしまった。

 

 そのまま再び『こおりのキバ』を指示してきたので。『つばさでうつ』で迎撃する。『ぼうふう』は撃つのに力がいる大技だ。麻痺した状態では相手よりも先には動けないだろう。ならば、カウンターでつばさの一撃をおみまいするのが一番いいと判断した。

 いくら効果抜群とは言え、不一致の攻撃なら一撃では沈まない。カウンター気味に『つばさでうつ』も決まったし、まだまだバトルはこれからだ。

 

 そう思っていると、ロケット団がジム戦に乱入してきた。

 いつものことだが、今日はタイミングが悪い。ジム戦を邪魔され、俺の機嫌が悪くなる。おまけに無駄にアニメよりポケモンが多いから対応が面倒くさいんだよな。

 一時休戦ということで、キョウがジム戦に使わないであろうモルフォン、アヤがコンパン、俺がフシギダネを出して仕掛けるが、よくわからない粘着糸で動けなくされる。

 

 電気を通さないせいでピカ様も粘着糸で動きを封じられ、どうしようか困っていると、勝手に出てきたカスミさんのコダックが何だかんだで『ねんりき』を発動させ、ロケット団をやなかんじーにさせていた。ナイスである。

 

 思わぬ邪魔は入ったがバトル再開だ。

 キョウがアーボック、俺がピジョンを出すが、仕切り直しになったことで、間合いが取れたこともあり少し俺が有利になった。キョウのアーボックが『こおりのキバ』で仕掛けてくる前に、『ぼうふう』で攻撃する。今度は命中した上、混乱したのか、アーボックが慌てていた。麻痺しているが先制技ならスピードは関係ない。『でんこうせっか』でアーボックに接近し、そのまま『つばさをうつ』で戦闘不能まで持って行く。

 

 キョウがアーボックを戻すと、ピジョンの体が光に包まれ、ピジョットに進化した。やはり、俺はひこうタイプと相性がいいのかもしれない。クラブも是非見習ってくれ。

 

 キョウが三体目としてマタドガスを出してくる。マタドガスはアポロやコジロウとも戦っているので戦闘経験豊富だ。念のために『10まんボルト』を警戒して、ピジョットを戻してヒトカゲを出した。『かえんほうしゃ』もこれで封じられるだろう。

 

 ヒトカゲに『かえんほうしゃ』を指示すると、向こうは『ヘドロばくだん』を指示してきた。マタドガスの『ヘドロばくだん』が『かえんほうしゃ』に当たると同時に爆発が起きる。

 続けてキョウが『どくどく』を指示。ヒトカゲも前回のタマムシ戦でその怖さは身を持って味わっているが、どくタイプが使う『どくどく』は必中故に避けられない。見事に猛毒状態になったようでヒトカゲが苦しそうにしていた。

 

 このままでは不利になる。『ほのおのうず』を指示し、マタドガスの動きを封じようとすると、『まもる』で『ほのおのうず』を防がれる。時間を稼がれると、それだけこっちは苦しい。連続の『まもる』は失敗しやすいということもあり、起死回生の『ブラストバーン』を指示した。日頃の練習のおかげか、未完成ながらも威力は上がってきている。

 

 ヒトカゲが『ブラストバーン』の構えを取ると、マタドカスも『ヘドロばくだん』で追撃して来た。未完成な技の弱点として、技まで少し貯めがいる。タマムシのクサイハナ戦では、向こうの技がタイプ不一致のムンフォだったため攻撃が間に合ったが、タイプ一致技は技の発動が早い。ヒトカゲも頑張ったが迎撃が間に合わず、爆発で吹き飛んだ。

 

 だが、それで諦めないのが俺のヒトカゲである。ぶっ飛びながら『ブラストバーン』をマタドガスへ向かって撃つ。しかし、ヒトカゲは毒のダメージもあってそのまま戦闘不能になってしまった。

 

 ヒトカゲを戻し、ピカ様を出す。ロケット団の粘着糸は無事に取れたようで万全である。

 しかし、こちらが『10まんボルト』を指示した瞬間、キョウがマタドガスに『だいばくはつ』を指示。まさか自爆技を使ってくるとは思わず、『10まんボルト』を撃っていたピカ様は『だいばくはつ』の直撃を受け、互いに戦闘不能になった。爆発オチとかさいてー!

 

「ファファファ。お主の実力はしっかり見せて貰った。良くポケモンを育てておるようだ。ならば、こちらも全力を出さねば失礼というものだろう」

 

 残るはゴルバットとピジョット。だが、ゴルバットはダメージを受けてからかなり時間が経っている。もうダメージもほぼ抜けているだろう。おまけに技を一つしか使っていないからバトルを自由に組み立てられる。

 対するピジョットは進化したものの、麻痺は継続しており、技も既に三つ使っていた。どう見ても不利なのはこちらである。ジム戦でここまでピンチになったのはカスミさん以来か。だが、生憎とそれで諦めるような殊勝な性格はしていない。そうだろう?

 

「行けるな、ピジョット?」

「ピー、ジョット!」

 

 当然とばかりに声を上げるピジョットに『ぼうふう』を指示。対するキョウは『あやしいひかり』を指示していた。

 どちらも混乱を狙っており、どちらの技も直撃。しかし、こちらの技は確定混乱じゃないので、ゴルバットは普通に動いていた。ダメージを取れただけ良しとするしかない。

 

 キョウは『はがねのつばさ』を指示したので、こちらも迎撃に『ぼうふう』を指示するが、痺れと混乱のせいもあって技が上手く出ない。

 ゴルバットがピジョットに『はかねのつばさ』をぶつけると、おまけとばかりにキョウが『かげぶんしん』を指示してこちらを惑わせてきた。しかし、こっちの特性は『するどいめ』だ。本体を見分けるのは難しくない。問題は混乱と麻痺だ。

 

「ピジョット。進化したお前の力を見せてくれ!」

 

 とはいえ、何とかする手段がない以上、精神論に頼るしか無かった。ピジョットが何とか気合いで混乱を破って、『ぼうふう』を出すが、ゴルバットは悠々と回避して『はがねのつばさ』を繰り出してくる。ダメージ的にも耐えられるか怪しい。

 だが、ゴルバットの翼が当たる直前。ピジョットの羽が銀色に輝き、ゴルバットの翼を受けながら自分の翼を直撃させていた。まさか、『はがねのつばさ』? 覚えたのか?

 

「『オウムがえし』か!?」

 

 キョウは流石にジムリーダーだけあって、即座に今起きた出来事を把握していた。そういえばあったなそんな技。成程、それで『はがねのつばさ』の相打ちになったのか。

 しかし、状況は理解できたものの、ダメージ的にはこちらが不利だった。もしかしたら麻痺がなければ、攻撃をかわした上でカウンターを決められたかも知れないが、直撃した以上は立ってくれることを祈るしかない。

 

 ピジョット、ゴルバット、共に地面に倒れているが、どちらも動けずにいる。

 

 駄目か――と思ったその瞬間、俺のピジョットが起き上がった。どうやら進化して体力が増えたおかげで耐えきれたらしい。

 逆にキョウのゴルバットはそのまま戦闘不能になった。あくまで推測だが、こちらの『はがねのつばさ』が急所にあたったのかもしれない。どちらにしろ、ギリギリの勝負だった。

 

 途中、まさかの『だいばくはつ』で不利になったが、勝てたのはピジョンがピジョットに進化したおかげだろう。文句なく、今回の試合のMVPだった。

 キョウからピンクバッジと『どくどく』の技マシンを受け取り、セキチクジムを後にする。

 やはり、ジムリーダーの技マシンが解禁されるとかなり厳しかった。残るジムはグレンとトキワだが、今回これだけ苦戦した以上、もしかしたら次は負けるかもしれないな。

 

 

 




 原作との変化点。

・第30話『コイルは電気ネズミの夢をみるか!?』より、コイルをゲットした。
 サトシ君は基本ピカ様がいるからでんきタイプのポケモンを捕まえないが、ニューサトシは普通に捕まえた。何せ人気ランキング二位だからな!

・第31話『ディグダがいっぱい!』より、ロケット団を倒した。
 アニメではディグダ達に倒されていたが、ニューサトシの気迫に押されてバトル終了まで待ってくれていた。

・第32話『セキチク忍者対決』より、どくどくの技マシンを要求した。
 あいつらのジムはジムとしておかしい。事前説明なしで罠にかけた上に罠にかかる方が悪いとか人間性を疑う。本来なら無料で貰って当然レベルの要求だが、ニューサトシは謙虚なので勝ったらという条件をつけた。剣盾にどくどくはないが、アニポケなので許してくれ。

・タイプ一致技は発動が早い。
 普通に人だって得意なゲーム、普通なゲームで連度が違うのと一緒。スマブラしてて、カービィは慣れてて反応も早いけど、プリン使ったら反応間に合わないみたいな感じ。

・ピジョンがピジョットに進化した。
 個体が違うので進化タイミングも勿論違う。ピジョットは絶対逃がさないぞ。


 現在ゲットしたポケモン。

 ピカチュウ Lv.38→41

 ピジョン→ピジョット Lv.34→39

 バタフリー Lv.32→36

 サイホーン Lv.35→37

 フシギダネ Lv.34→38

 ヒトカゲ  Lv.37→39

 ゼニガメ  Lv.33→37

 クラブ   Lv.33→37

 カモネギ  Lv.34→36

 エビワラー Lv.38→40

 ゲンガー  Lv.34→36

 オコリザル Lv.37→39

 イーブイ  Lv.25

 ベトベトン Lv.38 NEW!

 コイル   Lv.30→32 NEW!




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#015 『約束は約束だから仕方ないネ』

 10歳 ζ月ζ日 『ポケモン保護区 ララミ族』

 

 セキチクと言えばサファリゾーンだろう。と、いう訳で、セキチクの北に向かって進んでいると、ララミ族とやらが管理しているポケモン保護区についた。

 

 俺達が出会ったフウコという少女によると、明日、ポケモンの成長の証を競うポケモンレースが行われるらしい。見ればフウコもポニータに乗っていて、明日のレースに出場するとのことだ。

 そりゃ見物だということで今日は泊めて貰い、明日は見学していくことにしたのだが、夜にポニータが暴走してフウコが怪我をしてしまった。腕を痛めたようで、タケシが「これじゃ明日のレースは無理だ」と診断している。

 

 とりあえず、ポニータが騒いでうるさかったので、マサラ式肉体言語術の一つである威圧で黙らせた。

 お前のトレーナー心配してんだから静かにしろよ。

 

 流石にビビったようで、すぐにポニータが静かになったのだが、それを見たフウコが何やら驚いたような顔をしている。いや、別に驚くようなことじゃないだろう。何せ、俺はあのオコリザルですら即言うことを聞かせた伝説のスーパーマサラ人なんだからな。

 

「サトシ、私の代わりにポニータで明日のレースに出場して!」

 

 え? いや別にいいけど、それってありなん?

 

 

 

 10歳 ζ月η日 『ララミ族 ポケモンレース』

 

 何故かポニータとレースに出ることになった。

 フウコ曰く、あのポニータはフウコ以外の言うことを聞かないらしく、それを一喝で従えた俺なら代役を任せられると思ったようだ。

 フウコのこのレースにかける思いを聞いて、カスミさんとタケシもそれぞれスターミーとイワークで出場することにしたらしい。ピカ様もゼニガメと出るつもりのようで、勝手にゼニガメをボールから出して背中に乗っていた。

 

 あの、ピカ様? もし必要ならサイホーンとか貸しますよ? え、ゼニガメでいい? そっすか。まぁ、無理にとは言わんが。

 いや、ゼニガメ。別に出番を奪うつもりはないって。だから、そんなに必死な顔で俺を睨みつけないでくれ。すまんて。

 

 無言の圧をかけてくるゼニガメに謝りながら、フウコからポニータを預かる。

 どうやらフウコは優勝候補の一角だったらしく、同じ村に住んでいるドリオといういけ好かない奴が、出られなくなったフウコのことを挑発していた。

 しかし、ドードリオ使いのドリオか。名前がまんまだな、おつきみ山であったリカオと一緒のタイプだ。もしかしてこのレース、アニメにあった話か? 全然記憶にないが。

 

 レースがスタートするとドリオが一気に駆け抜けて行った。流石にドードリオは早いな。こちらも後に続いていくが、どうも昨日の威圧でポニータがビビっているのか、本来の実力が出ていないようだ。

 俺のポケモンならもっと話は簡単なんだが人様のポケモンだからなぁ。仲よくなるにしても時間がかかるしどうしたものか。

 

 ふと、視線を前に向けると、意外とゼニガメが頑張っている。こちらが本調子じゃないにしろ、カスミさんのスターミーやタケシのイワークと並んで前を走っていた。お前、その調子でスタミナ持つのか?

 

 ある程度レースが進むと坂になり、全員のスピードが落ちる。ゼニガメも頑張っていたが坂は駄目なようで、もはや歩きになっていた。しかし、折り返し地点からは下り坂になったので、逆に速度が上がって行く。

 

 って、おい。マルマインに乗ってるやつがめっちゃ早いじゃん。玉乗りの要領で坂を下って行ってる。あまりの速さに先頭のドリオを抜いたぞ。

 こりゃ大番狂わせが起こったかと思ったのもつかの間、間抜けにも坂の穴にはまってリタイアしていた。ギャグかよ。

 

 おまけに大爆発で周囲のトレーナーが巻き込まれている。俺達も危うく巻き込まれそうになったが、事前にポニータに避けるように指示したおかげで大事はなかった。

 ポニータが一瞬爆発に怯える仕草を見せたが、俺が「安心しろ」と一声かけると、すぐに平常心に戻っている。レース開始に比べて、俺にも少しずつ慣れて来てくれたようだ。

 

 坂を下って少しすると、今度は湖を渡るコースだったようで、サイホーンのトレーナーと、イワークに乗ったタケシがリタイアしていた。

 結果的に、ピカ様のゼニガメで行くという判断は正解だったようだ。ゼニガメもカスミさんのスターミーと並走しながら、こちらにドヤ顔をしている。

 

 ポニータも水は苦手なのだが、身軽なので小さな岩を足場にして何とか先に進むことが出来た。

 この段階で、ドリオ、俺、カスミさん、ピカ様と、まさかの四人――いや、三人と一匹しか残っていない。おいおい、俺らが出なかったらドリオの勝ちじゃねーか。

 

 湖を抜けると、次は下り坂で小休止。飯を全部食べた順に先へ進めるということで、ドードリオの三つの頭がどの飯を食うかで喧嘩している。

 思わぬ足止めに逆転のチャンスと思っていると、何故かロケット団がレースの妨害をしてきた。どうやらドリオと組んでいたらしい。聞けば、フウコの怪我もロケット団に頼んだドリオの罠だったと言うではないか。

 

 流石にそれはずるいだろう。おい、ピカ様、ゼニガメ、呑気に飯食ってる場合じゃないぞ。

 

 向こうが仕掛けて来るなら戦うしかない。ピカ様とゼニガメに攻撃指示を出すが、アーボックの『へびにらみ』で動けなくなってしまう。カスミさんがスターミーで反撃を試みるも、マタドガスの『ヘドロこうげき』で毒状態にさせられていた。

 その隙に、飯を食い終わったドリオがレースに復帰する。まずい、追わないと負けるぞ。

 

 カスミさんも追うように言ってくれるが、何せ多勢に無勢である。ギャラドスとサワムラーがこちらに向かって飛び込んでくるので、フシギダネとカモネギを出して迎撃した。

 さらにアーボックとマタドガスが突撃してくるので、バタフリーとサイホーンも出す。だが、足場が悪かったのか、サイホーンがバランスを崩していた。マタドガスはバタフリーが止めたが、アーボックがサイホーンの脇を抜けて行ってしまう。

 

 向かってくるアーボックをどうしたものかと悩んでいると、何やら怒りのパワーで覚醒したのか、ポニータが『オーバーヒート』でロケット団諸共相手のポケモンを一網打尽にした。すげぇ威力だ。そりゃ、やなかんじーである。

 

 と、いう訳で何とかレースに復帰できた。

 しかし、このままではどうやっても追いつけない。どうするか悩んだ末に、ポケモンの技の使用は禁止されていなかったことを思いだし、ポニータに『こうそくいどう』が使えるか聞いてみたが首を横に振っている。無理か。

 いや、まだ諦めるのは早い。『ニトロチャージ』は使えるか聞いてみると、そちらは出来るとのことだったので、『ニトロチャージ』を6回使い、スピードを6段階上昇させた。

 

 そのまま全力で走っていると、ゴール500M前でドリオの姿を視認。素早を6段階上げただけあってギリギリで追いつけそうだ。

 

 ゴール300M手前でドードリオに並ぶ。向こうも『つつく』で妨害してきたが、ポケモンの技を使うのは禁止されていないので反則ではなかった。

 ポニータが攻撃を受けて少し差がついてしまう。

 こうなったら、もうこっちも『とっしん』するしかないと、このままバトルに発展させてやろうかとも思ったのだが、その瞬間、先程のバトルで経験値を得ていたのか、ポニータがギャロップに進化した。

 

 進化したことでさらに速さが上がったらしく、ゴール100M手前で再びドリオと並んだ。

 向こうもここまで来たらもう妨害している余裕はないようで、後はもう全力スプリント勝負である。ぶっちゃけ、乗っている俺にもどちらが勝つかわからなかったが、どうやらギリギリで差し切ったらしく、ギャロップがポケモンレースの優勝を掻っ攫っていった。

 

 ギャロップの優勝にドリオが物申していたが、こちらは何も不正していない。むしろ、不正したのはお前だろうということで、ギャロップの『にどげり』で蹴っ飛ばされていた。いい気味である。

 フウコにギャロップと優勝旗を渡すと、お礼にサファリゾーンの場所を教えてくれた。ギブ&テイクだな。楽しかったし、たまにはこういうのも悪くない。

 

 

 

10歳 ζ月θ日 『ポケモン保護区 ガルーラ族』

 

 ガルーラの群れにあった。何か、野生児とバカボンのパパとママみたいな家族のひと悶着があったが、無事に解決したようなので良しとしよう。

 ここがポケモン保護区じゃなかったら俺もガルーラ欲しかった。ぶっちゃけ、メガガルーラの『おやこあい』は最強の特性と言っても良いからなぁ。

 

 

 

10歳 ζ月ι日 『サファリゾーン ポケモン乱獲だぜ』

 

 サファリゾーンに着いた。しかし、管理人だか何だか知らんが、カイザーとかいう爺さんがことあるごとに銃で脅してきてウザい。あまりにしつこいので、「無暗に争う気はないが、売られた喧嘩は買うぞ」と、睨むと、何も言わずに奥の部屋に戻って行った。

 

 と、いう訳で、気を取り直して、サファリゾーンでポケモン大量にゲットだぜ!

 

 え、ミニリュウ? いやぁ、後にカイリュー手に入る予定があるから今はいいかな。確か記憶が正しければ、このサファリにはミニリュウが一、ニ匹しかいなかったはずだし。時間の無駄である。

 

 原作通りロケット団が出て来て、どちらがたくさん捕まえられるか勝負することになった。どうせ、最後にはやなかんじーするし受けてやることにする。

 負けたら全部のポケモンを寄越せと言ってきたので、俺が勝ったら『ギガインパクト』の技マシンを寄越せと言うと勝負は成立した。ちなみに嘘を付いたら、永遠に開幕『10まんボルト』すると脅しておいたのでいずれ手に入るだろう。いい感じである。

 

 と、いう訳でゲームスタートだ。

 確か、後半でミニリュウの湖が爆発してどうこうという話だったはずなので、急いでポケモンをゲットしていく。幸先よくケンタロスの群れを見つけたので、タケシと一緒にゲットした。確か、このケンタロスは初代にのみ許された『じわれ』が使えたはずだ。

 アニメでサトシ君は30体近く捕まえていたが、一体で十分である。続けてサイホーンを見つけたが、サイホーンはもう持っているので次に行く。

 

 なかなかポケモンの姿が見えずに焦っていると、カスミさんの提案で釣りをすることになった。

 カスミさんがいろいろなルアーを持っていたので、それで釣りをするとまさかのギャラドスを釣っている。欲しいと思ったが、糸が切れて逃がしてしまった。

 

 気を取り直して釣りを続けると、タケシがタッツーを釣り上げている。そういえば、俺はアニメと違ってサントアンヌ号の後はナナシマに行ってしまったので、カスミさんもタッツーをゲットしていなかったな。

 

 カスミさんがどうしても欲しいと訴えたので、優しいタケシが譲ってあげている。それを見ながら俺もヤドンを釣り上げた。俺はみずタイプと相性が悪いのだが、ぶっちゃけみずタイプは汎用性が高すぎて何体居ても損はないのでカスミさんのタッツーと一緒にゲットする。

 

 順調にポケモンを増やしていると、どこからともなくアホみたいな機械にくすぐられて笑わされているカイザーの爺がやってきたので、ピカ様のまんボルで助けてやった。

 どうやら時間切れのようである。

 後はそのまま原作通りにロケット団を追い返し、カイザーの爺が昔に会ったらしいハクリュー(当時はミニリュウだったらしい)と再会していた。良い話だな。感動的だ。だが、そんなのどうでも良かった。

 

 まだボールを全て使い切っていないので、改めてサファリゾーンを堪能していく。

 結局、ボールを全部使う前に時間が来てしまったが、タケシがパラス、カスミさんがシェルダー、そして俺はストライクを追加でゲットした。超ラッキーである。

 

 

 

10歳 ζ月λ日 『許さんぞ』

 

 ロケット団が来たので『ギガインパクト』の技マシンを要求すると、案の定知らん顔をしていたので、ピカ様による『10まんボルト』の刑に処した。

 

 

 

 10歳 ζ月μ日 『許すまじ』

 

 懲りずに来たロケット団の姿を見た瞬間に『10まんボルト』した。

 

 

 

 10歳 ζ月ν日 『許してなるものか』

 

 今日も『10まんボルト』した。

 

 

 

 10歳 ζ月ξ日 『サイクリングロード だから許さんて』

 

 サイクリングロードを使って隣町まで薬を取りに行くことになった。途中、チャリンコ暴走族が邪魔しに来たのでボコボコにしていると、コイルがレアコイルに進化して『10まんボルト』を覚えた。本来、技レコードを使わないと、コイル系はまんボルを覚えないはずだが、ピカ様のを何度も見て覚えたらしい。流石はアニポケ。

 

 丁度、ロケット団が一輪車に乗って来たので、レアコイルにまんボルして貰った。これでピカ様の負担も減るので大助かりである。

 ロケット団を問答無用でまんボルしたことで、何やらチャリ公達が騒いでいたが、先を急いでいたのでピカ様とレアコイルのまんボルで追い返した。二度と来るんじゃねーぞ。

 

 

 追記。薬は無事に届けた。

 

 

 

 10歳 ζ月ο日 『許した』

 

 ロケット団が『ギガインパクト』の技マシンを持ってきた。どうやら前回のチャリ族はロケット団の後輩だったらしく、そいつらの前ですら問答無用でやられたことで、この先もずっと同じことが続くのに恐怖したようだ。

 全員の給料を数ヶ月分前借してきたらしいが、約束は約束だから仕方ないネ。

 キョウからもらった『どくどく』もそうだが、技マシンは使い捨てじゃないのでみんなで使えるのがいい。早速、覚えられる奴全員に『ギガインパクト』を覚えさせた。

 

 いいかんじーである。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・第33話『炎のポケモン大レース!』より、ポニータを威圧でわからせた。
 アニメではサトシ君が必死に止めていたが、ニューサトシはひと睨みでわからせた。おかげで本調子が出るまで時間がかかったが、結果的に勝ったので問題なし。

・第35話『ミニリュウの伝説』より、アニメとは別のポケモンを捕まえた。
 ケンタロス29体もいらないので、普通に一体と、釣りでヤドン、追加でストライクを捕まえた。タケシもケンタロスとパラス、カスミさんもタッツーとシェルダーを捕まえた。

・ロケット団に技マシンを要求した。
 こっちがポケモン全賭けしたなら、相応のものを賭けて貰わないと割に合わない。紆余曲折あったが、無事にギガインパクトをゲットした。

・第36話『嵐のサイクリングロード』より、コイルがレアコイルに進化した。
 レアコイルになって10万を覚えた。ロケット団を早々に退場させたことと、チャリ族を早々にわからせたので、普通に薬を届けられた。


 現在ゲットしたポケモン。

 ピカチュウ Lv.41→42

 ピジョット Lv.39→40

 バタフリー Lv.36→38

 サイホーン Lv.37→39

 フシギダネ Lv.38→40

 ヒトカゲ  Lv.39→40

 ゼニガメ  Lv.37→39

 クラブ   Lv.37→39

 カモネギ  Lv.36→38

 エビワラー Lv.40→41

 ゲンガ―  Lv.36→38

 オコリザル Lv.39→40

 イーブイ  Lv.25

 ベトベトン Lv.38

 コイル→レアコイル Lv.32→36

 ケンタロス Lv.30→31 NEW!

 ヤドン   Lv.30→31 NEW!

 ストライク Lv.30→31 NEW!




 


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#016 『くらえ、マサラ百裂拳!! 相手は死ぬ』

 10歳 ζ月ρ日 『メタモンと物真似娘』

 

 物真似娘のイミテとメタモンにあった。

 この話はよく覚えている。上手く変身出来ないメタモンがロケット団のおかげで変身できるというものだ。

 

 途中、何だかんだイミテとバトルになったが、アニメでぼろ負けしていたサトシ君と違って、ニューサトシは流石に負けなかった。普通にストライクを出して、『つばさでうつ』と『ダブルアタック』を組み合わせた『ダブルウイング』もどきのアニポケ殺法で倒している。

 ちなみに、サファリゾーンで捕まえたストライクの特性は『テクニシャン』だった。やったぜ!

 

 タケシ曰く、イミテもポケモンのことをかなり勉強しているようだったが、賢い相手を知識でボコるのはニューサトシの必殺技なんだ。すまんな。

 

 最後は結局ロケット団のおかげでメタモンの変身癖が直りめでたしめでたし。あまりにめでたいので、ピカ様、レアコイル、メタモン(ピカ様に変身)のトリプルまんボルでロケット団をやなかんじーにしてやった。

 

 

 

 10歳 ζ月ρ日 『マッチャシティ 電脳戦士ウェブダイバー』

 

 ポリゴンショックだ!!

 

 

 

 10歳 ζ月τ日 『よかったね』

 

 森でピカ様が野生のピカチュウと仲良くなっていた。よかったね。

 

 

 

 10歳 ζ月φ日 『ストンタウン 大変に気分が良い』

 

 森の中でイーブイを見つけた。

 名札が付いているので多分人のポケモンだろう。タマムシでの一件もあり、困っているイーブイに弱い俺達は名札に書かれていた住所へイーブイを届けることにした。

 

 確か、これもアニメの話だったはずだ。イーブイの進化についての話だな。記憶が正しければ、この街は進化の石が発掘できることで有名な街らしいので、もしかしたら石のおこぼれに与れるかもしれない。

 レアコイルは雷の石でジバコイルに進化するし、カスミさんのシェルダーも水の石でパルシェンに進化する。タケシのロコンや俺のピカ様は特別にしても、進化の石は基本的にあって損はしないだろう。

 

 イーブイを届けると、やはり原作通りにパーティをやっていた。お礼に是非、パーティに参加してくれということだったので、お言葉に甘えさせて貰う。

 パーティでは進化の石について自慢しており、雷の石でピカ様をライチュウに進化したらどうかと言われたので、それは遠慮してレアコイルに使わせてもらった。

 

 最悪はテンガン山へ行くまで進化できないかとも思っていたが、しっかりレアコイルはジバコイルに進化している。

 やはり、カントーでジバコイルはかなり珍しいようで、初めて見た人が大半だった。

 タケシやカスミさんも初見なようで驚いている。オーキド研究所へ送ったら、博士も驚くんだろうな。やはり注目されるというのは大変に気分が良い。

 カスミさんもシェルダーに水の石を使わせてもらったのか、パルシェンに進化させていた。タケシは流石に預かっているロコンを勝手に進化させられないようで遠慮している。

 

 しかし、パーティの主役である、イーブイのトレーナーの少年タイチは遠い所で憂鬱そうに座っていた。

 見かねたカスミさんがサンドイッチ片手に声をかけに行っている。やはりカスミさんは優しいな。ジバコイルをドヤ顔で自慢している俺とは大違いだぜ。

 

 聞けば、タイチは進化に興味がないらしい。

 気持ちはわからなくもないな。イーブイはそのままでも十分戦えるポケモンだ。最悪はキョダイマックスもあるしな。ん? 前にも同じ事を書いたような。デジャヴか?

 まぁ、いろいろ悩んでいたようだが、カスミさんに説得されて何やら自分の道を決めているようだった。頑張れ少年、お前が生きる道はガラル地方にしっかり存在するぞ。

 

 そんなこんなで様子を見ていると、毎度お馴染みのロケット団がやってきて、石やポケモンを攫っていったが、結局はいつも通りにやなかんじーされていた。

 ロケット団と戦ったことで自信がついたタイチが、自分はイーブイのトレーナーになりたいと訴え、兄弟達もその心意気を認めてめでたしめでたししている。

 

 俺もレアコイルがジバコイルに進化してとてもめでたしだった。

 

 

 

 10歳 ζ月χ日 『オーキド博士へのドッキリ』

 

 オーキド研究所へ進化したジバコイルを送った。

 どうやら驚いてくれたようで、テレビ電話の向こう側から凄い声が聞こえた。

 

 

 

 10歳 η月β日 『この村を壊滅させるつもりか!?』

 

 食料がなくなった。タケシめ、やはり迷子か。

 途中で寄った村も川が干上がってしまって食料がないらしい。もう数日何も食べていない俺達は死にかけだったのだが、何とこの村の村長様が俺達に食料をお恵み下さった。

 これで、はいさようならは、ニューサトシの矜持が許さない。一飯のお礼にこの村の水が干からびている原因を調べてみると、川の上流にある水の出口を眠っているカビゴンがせき止めていた。

 

 何とかしたいのだが、騒いでも叩いても起きないし、動かそうにも重すぎてカビゴンを動かすことが出来ない。ゲットして動かそうかとも思ったが、人のポケモンらしく、モンスターボールが反応しなかった。

 

 誰だよ、こんな所にわざわざカビゴン置いて行った奴、村一つ滅ぼすつもりかよ。

 何故かロケット団までやってきて何やかんや大騒ぎになったが、街の外に居た爺さんがトレーナーらしくポケモンの笛を持っていたので、それでカビゴンを起こすことが出来た。

 

 

 

 10歳 η月ε日 『ダークシティ ポケモン大乱闘アタックブラザーズ』

 

 ダークシティという街にやってきたのだが、人が居らず酷く廃れた街だった。おまけに、いきなりガキ共が石を投げてくるではないか。挨拶より先に石投げとは、何という非常識なガキなんだ。

 売られた喧嘩はガキでも買うのが礼儀のニューサトシである。泣くまでガキ共をボコボコにしてやると、保護者が出てきて何やら事情を説明してきた。

 

 聞けば、どうやらこの街ではヤスジムとカスジムとかいうヤクザみたいな奴らが、公式のポケモンジムになるのを巡って事ある毎に争っているらしい。旅のトレーナーを用心棒にしているせいか、日に日に揉めごとも大きくなっているようで、この街ではポケモントレーナーはとても嫌われているとのことだった。

 

 成程。まぁどちらにしろ、そんな奴らがポケモンリーグの公認ジムになれるとはとても思えんが、最近少しバトル不足な気もするし(気のせい)暇つぶしに両方のジムを叩き潰してやるか。

 

 丁度、小競り合いが起きたと言うことで、手持ちのポケモン全てを出して両ジムのポケモンに喧嘩を売りに行く。

 今のメンバーは、ピカ様、サイホーン、フシギダネ、ヒトカゲ、ゼニガメ、ゲンガーだったが火力は十分あるようで、小競り合いをしているヤスジム、カスジムのポケモン達を片っ端から蹴散らしていた。

 ヤスジムのヤスは、「てめぇ、カスジムの用心棒か!?」と、カスジムのカスは、「てめぇ、ヤスジムの用心棒か!?」と、大声を上げている。

 

「俺はヤスジムでもカスジムでもない。俺はお前らを倒すものだ」

 

 と、まぁどこかのゴジータのようなことを言いながら暴れ続けること十数分、残ったのはヤスのストライクとカスのエレブーだけになったので、サイホーン以外のメンバーをボールに戻した。もうサイホーンだけで十分だろう。

 

「この程度でポケモンリーグの公認ジムになろうだなんて片腹痛ぇわ」

 

 そう鼻で笑うと、ストライクとエレブーだけで無く、ヤスとカスも激高して俺に殴りかかってきたので、サイホーンに『ロックブラスト』で二体を処理させつつ、俺もマサラ式肉体言語術でヤスとカスをボコボコにしてやった。

 

 残念だが、アニメのサトシ君と違って、俺はこのフィジカルに宿ったパワーをしっかりとコントロール出来ている。仮に自分より体の大きな人間が何人で来ようと十分に対応することが可能なのだ。くらえ、マサラ百裂拳!! 相手は死ぬ(死なない)。

 

 俺がヤスとカスをボコボコにしていると、バトルを終えたサイホーンの体が光りサイドンに進化していく。

 ようやくサイホーンが進化したことに内心ニコニコの俺は、別にする必要もないお節介を焼いてしまった。倒れている二人にジムリーダーとはジムとは何なのかの持論を説いてしまったのである。

 

「お前らは力が足りてない以前に常識が足りてない。ジム戦ってのは挑戦してくるトレーナーやポケモンの成長を確認したり促したりする場だぞ。ただ相手を叩きのめしたいだけなら、公認ジムである必要は無いんだ。普通に考えて見ろ、すぐ暴力に訴えてくる奴がいるようなジムに、わざわざ来たいと思うトレーナーがいると思うか?」

 

 とまぁ、偉そうに講釈してしまったが、これ以上は俺が言う必要もないだろう。後は出るタイミングをずっと見計らっていたらしいポケモンリーグのジム検定員であるジョーイさんにお任せすることにした。

 出番を譲って貰ったジョーイさんが「ポケモンバトルを喧嘩としか捉えていない人達がいるようなジムを、ポケモンリーグ公認にするわけには行きません」と一喝している。

 

 全くもってその通りだった。少しはこのニューサトシを見習って欲しいものである。

 

 そのままジョーイさんから一言求められたので、「とりあえず、何をするにしても、まずは街の人達に謝れ」というと、心を入れ替えたらしいヤスとカスは、迷惑をかけた人達に謝罪しながら壊した街を協力して直していた。それが出来るなら最初からやれや。

 

 

 

 10際 η月θ日 『ナッシーの経験値はうまい!』

 

 ヒトカゲがリザードに進化した。

 というのも、マギーとかいうどこかの手品師のようなキャラが、自分の客に『さいみんじゅつ』をかけるためにナッシーを乱獲していたのだが、そのナッシー軍団が互いに『さいみんじゅつ』をかけあってしまい、暴走して街へと進軍して行ってしまったのだ。

 

 街の人間は街の人間で、ナッシー軍団の大進軍で街に大きな被害が出たということで、広間に爆弾を仕掛けてナッシー達を駆除するつもりらしい。

 インチキ催眠手品師といい、この街の人間は非常識なやつしかいないのか? と、思わず文句を言いたくなったのだが、流石にこのまま放っておく訳にはいかないので、ヒトカゲの炎をメインにナッシー軍団を正気に戻した。ナッシーの大群という莫大な経験値を得たおかげか、遂に進化に至ったようである。

 

 アニメではサトシ君のトレーナーとしての能力が低いせいで言うことを聞かなくなったリザードだが、今の所はニューサトシである俺に火を吹きかけてくるような様子はない。

 とりあえず、「よくやったな」と活躍を労ってやると、こちらを見ながら黙って素直に頷いていた。

 これはあれだな。子供が思春期になって、親に微妙な態度になるあれだ。ヒトカゲの時のように甘えて来なくなったので少し寂しいが、リザードが大人になった証だと思おう。

 

 そのままリザードをボールに戻す。

 確かに性格は少し変わったようだが、俺としては指示を聞いてくれるなら、傲慢な態度を取ろうと笑っていようと別に構わない。

 ただ強いて言うなら、リザードが反抗した時のために修めたと言っても良いマサラ式肉体言語術が無駄になったのが少しだけ残念だった。

 

 

 




 原作との変化点。

・第37話『メタモンと物真似娘』より、イミテに勝った。
 勉強不足のサトシ君と違って、ニューサトシはしっかり相性を理解しているので、変身した瞬間、ダブルウイングもどきでボコボコにした。

・第39話『ピカチュウの森』より、ピカ様を逃がそうとしなかった。
 アニメのサトシ君は情緒不安定過ぎる。

・第40話『イーブイ四兄弟』より、レアコイルをジバコイルに進化させた。
 カントーでは誰も持っていないであろうという理由で進化させた。注目されて、大変気分が良い。ついでにカスミさんもシェルダーを進化させていた。

・第42話『対決! ポケモンジム!』より、二つのジムをボコボコにした。
 ちなみにマサラ百裂拳はただ百回相手を殴る技であり、秘孔を突く技ではない。

・サイホーンがサイドンに進化した。
 感想で進化を当てられてドキッとした。

・第43話『ナッシー軍団大行進!』より、リザードが進化しても言うことを聞いた。
 ニューサトシの実力を認めているので反抗期に入らなかった。ニューサトシは少し残念そうだった。


 現在ゲットしたポケモン。

 ピカチュウ Lv.42→43

 ピジョット Lv.40

 バタフリー Lv.38→39

 サイホーン→サイドン Lv.39→42

 フシギダネ Lv.40→41

 ヒトカゲ→リザード  Lv.40→43

 ゼニガメ  Lv.39→40

 クラブ   Lv.39→40

 カモネギ  Lv.38→39

 エビワラー Lv.41

 ゲンガー  Lv.38→40

 オコリザル Lv.40

 イーブイ  Lv.25

 ベトベトン Lv.38

 レアコイル→ジバコイル Lv.36→38

 ケンタロス Lv.31→34

 ヤドン   Lv.31→34

 ストライク Lv.31→34


 


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#017 『ひっでぇ落書きw』

 10際 η月κ日 『リザード最強マジ卍』

 

 進化したリザードをバトルで使ってみたのだが、強すぎて鼻血が出るレベルだった。

 勿論、これまでもゲンガーやジバコイルのような進化形ポケモンは使って来たし、奴らも十分に強かったのだが、何と言うかリザードとは息がピッタリ合うのだ。

 好戦的な性格になったおかげが、ヒトカゲの時以上に俺の指示を的確に理解しており、たまに俺がしたいことを先読みすることすらある。俺もまたリザードがどう動きたいかが何となく読めるので戦いやすいように動かすのだが、まるでリザードこそが本来のパートナーと思えるくらいの戦果を上げていた。

 

 あまりの息の合いっぷりにリザードも戦っていて楽しいのか、フッとニヒルな笑みを浮かべている。また、そんなリザードにピカ様もヤキモチを焼いているのか、普段あまりバトルしたがらない癖に、自分をバトルに出せと訴えることが増えていた。

 

 これでまだリザードンが残されている――だと?

 

 ぶっちゃけ、このリザードがリザードンに進化して、ポケモンリーグでアニメ以上の成果を出せなかったら、俺はポケモントレーナー引退するまであるぞ。

 

 

 

 10歳 η月ν日 『マツモタウン タケシ君、そりゃひでーよ』

 

 タケシ毎度お馴染みの迷子のせいもあり、傷薬などを全て使い切ったので、薬が名産の街であるマツモタウンに立ち寄った。

 薬屋に行くと、薬師のキヨミが「薬を作るのに、パラスを進化させたいの」というのでバトルを請け負ったのだが、このパラスがとにかく弱くてどうにもならない。

 

 ピカ様の10ボルトをくらっただけで戦意喪失しているなら、俺にはもうお手上げだった。

 とはいえ、一度引き受けた以上、出来れば諦めるようなことはしたくないのがニューサトシである。

 しかし、手加減が上手そうなバタフリーやカモネギで頑張っても、ただの弱いものいじめにしかなっていない。

 これ、負けてあげられる奴とか存在するわけ?

 結論として、手加減とかニューサトシである俺に一番合わない行為だというのが改めてわかったので、素直にタケシとカスミさんに交代した。

 

 今はタケシがサファリゾーンでパラスをゲットしていたということもあり、同じパラス同士を戦わせていたはずなのだが、何故か逆にタケシのパラスがパラセクトに進化している。

 タケシ君さぁ、いくらなんでもそりゃひでーよ。

 これには流石の俺も苦笑いである。当然、目の前で別のパラスが進化したのを見せつけられたキヨミのパラスはもっとショックなようで、泣きながらどこかへ走って行ってしまった。

 

 そのままみんなでパラスを探すことになったのだが、何だかんだとロケット団がお節介を焼いたようで、見つけた頃にはパラスが再びやる気になって居た。

 こいつらもいつもこうなら良いんだけどな。ジム戦の邪魔だけはするんじゃねーよ。

 

 と、いう訳で、ロケット団の応援のおかげもあってか、キヨミのパラスも無事にパラセクトに進化することが出来た。タケシが下心からキヨミにパラセクトのきのこを使った薬について聞いてみると、進化のお礼に作り方を教えてくれると言う。

 薬を作れるようになるのはとてもありがたいので、是非教えて貰うようにタケシへすすめると、何故かロケット団共々一晩お世話になることになった。あれ、やなかんじーは?

 

 

 

 10歳 η月ξ日 『ニャースさんw』

 

 一晩一緒に居れば、流石にわかるものもある。

 どうやらロケット団のニャースはキヨミに一目ぼれしたようで、自分がこの薬屋の招き猫になると言っていた。それはそれで面白そうだと黙って見ていると、タイミングよくキヨミの婆ちゃんが裏でペルシアンを捕まえてきたらしい。

 

 キヨミも「私、このペルシアンをニャースさんだと思って大事にするわ」と言っていて、ニャースを旅に返すつもりのようだ。

 アニメのニャースを知っている身としては、可哀想すぎて思わず大爆笑してしまった。

 

 

 

 10歳 η月ρ日 『ネオンタウン プリンさん爆誕』

 

 プリンさん!? プリンさんではないか!

 アニメでもしばらく準レギュラーになり、歌でみんなを眠らせた上、顔に落書きをする最高のキャラで、気が付いたらスマブラにまで参戦していたプリンさんではないか!

 

 いやー、遂にこの話が来たか。

 

 確か、喉の調子がおかしくて歌がうたえなくなって、みんなで助ける話だったはずだ。実際、今もカスミさんがゲットしようとして、プリンさんを泣かせていた。

 ただこのプリン、お調子者の上に努力が嫌いで、自分より目立つポケモンにヤキモチを焼くとかいう厄介者だった覚えがある。俺がゲットするのはノーセンキューだな。

 

 とりあえず、何だかんだとロケット団の乱入もあったが、無事にプリンは歌をうたえるようになった。お礼として、カスミさんやタケシが歌をリクエストしているが、ニューサトシは事前にプリンさんに会うことを予測していたので抜かりはない。

 

 こっそりと事前に耳栓をして、プリンさんの『うたう』をやりすごした。

 

 普通の耳栓ならプリンさんの『うたう』を防ぐことなど出来ないが、これはタマムシシティのゲームコーナーで交換したすごいみみせんである。

 この耳栓は外から聞こえる音のボリュームを自由自在に操ることが出来るので、例えプリンさんの『うたう』でも、音を完全にシャットアウト出来るのだ。

 

 俺以外の全員が眠ってしまったことで、当然ながらプリンさんは激おこだった。そりゃそうだろう。リクエストしておいて眠るなど失礼でしかない。ニューサトシはその辺りに厳しいので、ピカ様を抱き上げた後、原作通り持っていた水性ペンをプリンさんに貸してあげた。

 

 ひっでぇ落書きw

 

 

 

 10歳 η月υ日 『グランパキャニオン トゲ様ゲットだぜ』

 

 ディグダぶりにシゲルに会った。

 今、俺達はグランパキャニオンとかいう渓谷にいるのだが、どうやらここではポケモンの化石が取れるということで、それ目当てにトレーナー達が押し寄せているらしい。

 タケシ曰く、昔はおつきみ山でもポケモンの化石が取れたようで、タケシの本気メンバーには、前に見たカブトプスの他にもプテラやオムスターがいると言っていた。

 

 だが、当然、そんな貴重な化石も乱獲してしまえばなくなってしまう訳で、今ではおつきみ山で化石は殆ど出てこなくなってしまったらしい。

 ただ、それはこのグランパキャニオンも同じことが言えるだろう。これだけトレーナーが来ているのなら、例え化石があってもすぐ無くなってしまうはずだ。

 

 ぶっちゃけ化石だけならスルーしても良かったのだが、それが出来ない理由がここにはあった。と、いうのも、アニメでサトシ君がトゲピーの卵を拾うのがここなのである。

 当然、トゲ様を逃がす訳にも行かないので、暇つぶしがてらシゲルの化石掘りに付き合うことになった。とはいえ、当然ながら化石なんて簡単には出てこない。

 

 あまりに退屈なので、早くロケット団来ないかぁとか思っていると、しばらくして原作通りにロケット団がダイナマイトを使って悪事を働こうとしていたのを発見した。流石にそれはやばいので阻止しようとしたのだが、間に合わず、ロケット団共々、渓谷の地下に落ちてしまう。

 

 そのまま人の目が届かない地下空間でロケット団と争っていたのだが、どうやら地下に住んでいたらしい化石ポケモン達が、自分達の住処を荒らされたことに怒ったようで姿を見せてきた。

 素直に謝るも、それで済むなら苦労はない。

 どうしたものかと思っていると、いきなり襲いかかってきたのでカブトプスやオムスター達の攻撃をピカ様やリザードで対抗していく。本来なら相性のいいゼニガメの出番なのだが、ダイナマイトを処理する時に上へ取り残されてしまったので今は居なかった。

 

 しばらく戦っていると、突然化石ポケモン達が戦闘をやめて撤退していく。どうやら親玉のプテラが来たことを察して逃げて行ったようだ。

 代わりに襲い掛かってくるプテラに対抗してリザードが飛びかかって行く。アニメでは確か、ここでリザードがプテラにあしらわれたことで怒ってリザードンに進化するのだが、俺のリザードは言うことを聞くので何だかんだ普通にプテラと戦えていた。

 

 しかし、プテラにしてみれば素直にポケモンバトルをしている必要はなく、原作通りに俺を掴んで大空へ羽ばたいて行ってしまう。おかげで俺は外に出られたが、ピカ様とリザードが地下に取り残されている。

 こりゃまずいかと思って下を見ると、ピカ様とリザードもプテラの尻尾に捕まっており、何とか地下から脱出することが出来たようだった。

 

 その後、囚われの姫になってしまった俺氏。

 カスミさんとタケシに心配されるも、プテラにガッチリ掴まれているので動くことも出来ず、このままでは食われてしまうという瀬戸際だった。

 流石にやべぇと思っていると、リザードがリザードンに進化して助けに来てくれる。

 どうやらプテラにバトルを途中で放棄されたことにキレて進化したらしい。正直、そんな所まで俺に似なくてもいいんだが助かったことに変わりはなかった。

 

 そこからリザードンとプテラの空中大激突が始まったのだが、進化したばかりでまだ上手く飛べないのか、リザードンがプテラに追い付けずにいる。その上、アニメと違って俺の事を尊重しているからか、迂闊に攻撃も出来ずジリジリと差を付けられていた。

 

 進化してどうにかなるかとも思ったが、やはりそう簡単にはいかないか。頑張ってくれているリザードンには悪いが、このままではどうにもなりそうにないので、素直に原作通りになるの待つことにした。

 追って来るリザードンに「音が聞こえてきたら耳を塞ぐように」と、指示して待つこと数十秒。どこからともなく歌が聞こえてくる。

 

 来た。プリンさんの『うたう』だ。

 

 当然、こうなることは予想していたので、耳栓は既に準備済みである。プリンさんの『うたう』によって、次々と人々がダウンしていく中、頑張ってまぶたを開けようとしていたプテラだが、流石にこの歌に耐えるのは無理だったようだ。プテラが意識を失ったことで、俺の拘束が解かれると同時にプテラ自身も地面へと落下していく。

 

 アニメではそのまま地下に帰って行ったが、このまま逃がすにはプテラは勿体ないポケモンだ。

 捕まればラッキーの精神でボールを投げると、耳を塞ぎながら『うたう』に耐えていたリザードンが落下している俺を救出してくれた。そのまま大地へ降り立つとリザードンも限界だったようで倒れるように眠りに入っていく。ありがとなリザードン、助かったぜ。

 

 さて、ここからが本番である。みんなが眠っている間にトゲ様の卵を探すのだ。

 とまぁ、意気込んでみたものの、見つけるのにそこまで時間はかからなかった。原作通り、降りた近くに転がっていたようで、無事トゲ様の卵を発見。当然、速攻リュックに入れ、プリンさんの被害に遭う前にリザードンとゼニガメをボールに戻してピカ様を抱き上げた。

 

 そういえばプテラのボールは見えなかったが、もしゲット出来ていたらオーキド研究所に転送されているはずだ。今は確認できないので、次に電話する時にでも聞いてみよう。

 

 

 




 原作との変化点。

・リザードが言うことを聞くので、ピカ様が相棒の座を奪われそうになった。
 アニメ初期のピカ様はあまり好戦的ではないが、リザードの台頭により危機感を感じている。

・第44話『パラスとパラセクト』より、タケシのパラスが進化した。
 アニメでは言うことを聞かないリザードによって虐められたキヨミのパラスだが、ここではタケシによるパラス進化で精神的ダメージを受けた。むしろ、こっちの方が酷い気がする。

・薬の作り方を教えて貰った。
 下心ありきだが、薬を作れるようになった。お金が浮くようになったよ、やったね!

・第45話『歌って! プリン!』より、耳栓で歌から逃れた。
 カスミさんとタケシが落書きされるのを爆笑しながら見ていた。何故かニューサトシだけ無事なので、二人には不審がられている。

・第46話『復活!? 化石ポケモン!』より、プテラを捕まえようとした。
 捕まえられたかどうかは現段階では不明。

・トゲ様のタマゴをゲットしたが、カスミさんとタケシに告げていない。
 タマゴは絶対に渡さないぞという固い意思の元、バッグの中に隠している。


 現在ゲットしたポケモン。

 ピカチュウ Lv.43

 ピジョット Lv.40→41

 バタフリー Lv.39→40

 サイドン  Lv.42

 フシギダネ Lv.41

 リザード→リザードン Lv.43→44

 ゼニガメ  Lv.40

 クラブ   Lv.40

 カモネギ  Lv.39→40

 エビワラー Lv.41→42

 ゲンガー  Lv.40→41

 オコリザル Lv.40→41

 イーブイ  Lv.25

 ベトベトン Lv.38→39

 ジバコイル Lv.38→39

 ケンタロス Lv.34→36

 ヤドン   Lv.34→36

 ストライク Lv.34→36

 タマゴ   時々動いているみたい。生まれるまでもうちょっとかな? NEW!




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#018 『チョゲップリィ』

 10歳 η月φ日 『孔明の罠』

 

 ポケモンセンターに着いたのでオーキド博士に連絡してみると、丁度プテラに頭を噛まれている所だった。

 どうやら昨日からずっと格闘しているみたいだが、博士も珍しいプテラを間近で見られて喜んでいるようだし多分大丈夫だろう。

 

 ぶっちゃけ、ゲット出来ていたか少し不安だったが、無事にプテラが転送されていて良かった。

 カスミさんなど前回、「何だかんだいって、化石ポケモン欲しかったんでしょ? 残念ねーw」と、俺のことを煽っていただけに、まさかプテラをゲットしているとは思わなかったのか、とても驚いている。

 

 プテラがプリンさんの歌で寝た所をゲットしたと話すと、最初の時といい、今回の時といい、俺がプリンさんの歌で眠っていないことに気付いたようで、何故かマジックペンを渡した犯人が俺だということまでばれてしまった。

 

 待て、これは孔明の罠だ。

 

「コーメイって誰よ!」

「問答無用!」

 

 ぐぬぅ、寝た奴が悪いんだろうが。何で俺が怒られなければいけない。これは孔明の罠だ。

 

 

 

 10歳 η月ψ日 『元気出せよフシギダネ』

 

 リザードがリザードンに進化したことで、究極技である『ブラストバーン』を完全に習得したらしい。

 これにショックを受けたのはフシギダネである。同じ御三家として、ずっと一緒に究極技の練習を頑張っていたフシギダネからすれば、進化しただけで完全に究極技を覚えたというのは、その心を折るのに十分な出来事だったようだ。

 

 まだ本人から直接聞いた訳ではないが、原作通りならフシギダネは進化嫌いだろうし、もしかしたらそれもショックの一つになっているかもしれない。

 同じ進化嫌いのピカ様がフシギダネを慰めているようだが、その表情は晴れなかった。

 

 結局、その日からフシギダネは、ナナシマから帰って以来、毎日の日課にしていた究極技の練習をしなくなってしまったようだ。今の所、バトルに影響は出ていないが、進化というものがフシギダネに与えた影響はかなり大きそうだった。

 

 

 

 10歳 θ月β日 『白いポケ棟』

 

 ピカ様が喉に何かを詰まらせたので、無理を言って人間の病院で診てもらった。今の場所からポケモンセンターが遠かったので、下手をしたら死んでいたかもしれない。

 助けてくれたドクという医者は、女に軽薄な奴だったが悪い奴じゃなかった。

 

 ピカ様が助かってホッとしていると、ポケモンを搬送している救急車両が事故に合ってしまったようで、この病院で診ることになった。

 とてもドク一人だけで回せる数じゃないこともあって、俺達もお手伝いする。何故かロケット団もいたが、そのおかげで全てのポケモン達を助けることが出来た。

 いつの間にかいつものようにやなかんじーしていたが、今回はとてもいい感じだったぞ。

 

 

 

 10歳 θ月δ日 『ムサシと似た顔の婚約者だった』

 

 何かコジロウが結婚するらしい。

 

 え? しない?

 

 ふーん、しないんだー。

 

 

 

 10歳 θ月η日 『プテラにマサラ式肉体言語術』

 

 グランパキャニオンで捕まえたプテラが暴れて大変だとオーキド博士に泣きつかれたので、一度こっちへ転送して貰い、上下関係をしっかりわからせることにした。

 プテラを出すと、案の定俺に襲い掛かって来たが、マサラ式肉体言語術でわからせる。

 前回はトゲ様の卵を探すために敢えて捕まったが、こうして俺のポケモンになった以上は言うことを聞いて貰わないとな。

 

 プテラも俺が反撃してきたことに驚いたようだが、流石に化石ポケモンの親玉をやっていただけあってオコリザルほど素直に言うことを聞かない。最終的にはダークシティで使ったマサラ百裂拳を使うことになった。俺にこれを使わせたポケモンはお前が初めてだ。

 

 少し時間がかかったが、ポケモンというのは割と素直なので、こちらの実力(物理)を伝えればしっかり理解し合うことが出来る。まだ少しこちらを睨んでいるが、とりあえず無暗にかみつくことはなくなった。

 後は俺の指示を聞くかどうかだな。

 試しにタケシのイワークとバトルすることになったのだが、やはり指示を聞こうとせず、好き勝手に戦おうとしている。リザードンが言うことを聞く代わりに、こいつは駄目か。

 

 まぁ、まだ捕まえたばかりだしな。関係性も何も築けていないんだ。これからこれから。

 

 

 

 10歳 θ月κ日 『スターながねぎストリーム(12連撃)』

 

 カモネギで悪さをしているトレーナーを見つけたので俺のカモネギで成敗した。カモネギ二刀流スターながねぎストリーム(れんぞくぎり)をくわせたったわ。

 

 

 

 10歳 θ月λ日 『トゲピーは俺のもの』

 

 博士から再び連絡があり、今持っているポケモン図鑑を新しい図鑑にバージョンアップして貰った。まぁ、正直言って技確認以外、あまり図鑑の機能使わないんだけどな。

 

 同時に、ずっと隠していたトゲ様の卵が孵ったようで、俺の鞄の中から聞き覚えのある「チョゲップリィ」という声が聞こえてくる。カスミさんやタケシには、卵のことをずっと内緒にしていたため、いきなり鞄から出てきたトゲ様にとてもビックリしていた。

 

 しかし、その甲斐あって、卵をロケット団に奪われるようなことも、カスミさんに親を奪われるようなこともなく、無事トゲ様をゲットすることが出来た。

 

 よしよし、俺はカスミさん程優しくないぞ。少しずつでもいいからバトルしてこうな。

 

 

 

10歳 θ月ν日 『控えおろう! トゲ様のおなりであるぞ!』

 

 トゲ様をずっと隠していたことをタケシとカスミさんが怒っている。「俺達を信用してないのか」とか「人のものを取る訳ないじゃない」と文句を言っているが、アニメでのお前達を知っている俺からすればとても信じられない言葉だった。

 

 とりあえず、トゲ様は無事ボールに入れられたが、まだ赤ちゃんなのもあってあまりボールに入れすぎると泣いてしまうようなので、もう少ししっかりするまではピカ様と一緒に連れ歩くことにする。

 昨日も書いたが、カスミさん程過保護にしておくつもりはないので、少しずつバトルを練習させるつもりだ。

 

 特性は、やはり『てんのめぐみ』のようだった。

 まぁ、ポケスペのトゲピーと違って、アニメのトゲ様は『はりきり』要素ゼロだからわかってはいたが、これで将来は害悪確定である。

 

 トゲ様のあまりの可愛さにカスミさんが抱っこしたがっているが、トゲ様が拒否するので基本的に俺が抱っこしていた。

 

 よしよし、もう少し大きくなったら、カスミさんにも抱かせてやってくれな。腕が疲れるから。

 

 

 

10歳 θ月ο日 『この橋はバトルブリッジになる!』

 

 今、俺達はバトルブリッジという、バトル専用のイベントをやっている大橋を渡ろうとしていた。

 この橋ではゲームのハナダ金玉橋のように、連続でバトルをして勝ち抜くと商品が貰えるという企画をやっていて、腕に自信のあるトレーナーがこぞって参加しているのだ。

 

 ただ、参加条件がポケモンリーグの公認ジムバッジ4つ以上なので、かなり条件が厳しい。

 しかし、逆に言うのであれば、参加者の相手になるトレーナーも、それだけのレベルを持っているということだった。最近は、骨のないバトルが多かったので楽しみである。

 

 今日はこのバトルブリッジに参加するためにメンバーを変えてきた。ピカ様、トゲ様、プテラはしばらく固定メンバーになったので、残り枠は三つしかなかったのだが、そこで丁度サファリでゲットした三体を同時に運用したことがなかったのを思い出したのだ。

 というわけで、今回はサファリ組であるケンタロス、ヤドン、ストライクの三体を連れてきた。

 

 勿論、初戦という訳ではないので、問題なく戦えるメンバーである。ヤドンについてはあまり書いてこなかったが、こいつはのんきな性格の割にバトルも出来る優秀な奴だ。

 特性が『マイペース』で混乱や威嚇を受けず、サイキネや『なみのり』まで使える。当然、それだけの技を覚えているレベルということもあり、上手くすれば一気に進化もあり得るだろう。

 

 え? 俺がみずタイプと相性が悪い?

 クラブ? 良く聞こえないなぁ。

 

 参加者は全部で18名と思っていたよりも多かった。俺は4番目なのでまぁまぁ早い。

 相手の総数は10人で、そのうちの7人が橋を守り、バトルでポケモンが戦えなくなったら交代していくらしい。まぁ、ずっと戦い続けるのは物理的にも無理だよな。

 

 バトルは1対1で、レベル制限はなし、技マシンで覚えた技も使用可能になっている。

 一人目は二人抜き、二人目は最初で負け、今は三人目が三人抜きして盛り上がっている所だ。次が俺なので早く負けろと思って見ていると、ようやく俺の番が回って来た。前三人が半分も越えられないとは想像以上にレベルが高いらしい。

 

 俺の初戦はケンタロス、君に決めた。こいつは『いかく』の特性を持っているので物理に強いのだ。相手のポケモンはオニドリルなので、対面としては悪くなかった。

 だが、相手がひこうタイプじゃじめん技が使えない。こいつは何故か『じわれ』や『じしん』を覚えているので是非お見せしたかった。いや、橋の上じゃ結局使えないか、どちらにしろ今回はじめん技の出番は無さそうである。

 とりあえず、挨拶代りの『ギガインパクト』で向かってくるオニドリルを倒して一勝した。

 

 二戦目はヤドンを出す。相手は鼻で笑ってきたが俺のヤドンは強いぞコノヤロウ。

 草タイプが弱点だと思ってフシギソウを出してきたが、馬鹿だねーどくタイプとか『サイコキネシス』のカモよ。開幕で『つるのむち』をくらったが、それこそ特殊技撃てよ。物理技は意外と耐える方なんだぞ、そんなことも知らんのか。

 

 まぁ、仮に特殊で攻めて来ても『どわすれ』でとくぼうを上昇させるけどな。『なまける』という回復技がある以上、余程火力がなきゃ俺のヤドンは突破出来ない。

 当然、こっちはサイキネである。とくこうの種族値が低いので一撃じゃ沈まなかったが、連打で終わりだ。ヤドンもバトルが始まって反応が早くなってきたし(気のせい)、二度目のサイキネで一気にフシギソウを戦闘不能まで持って行った。これで二勝。

 

 続いての三戦目はストライクを出した。こいつは特性『テクニシャン』なので、将来はハッサム確定である。早くバレパンマンにして、相手をボコボコにしたいぜ。

 以前、イミテのメタモン相手にもやったが、『ダブルアタック』という技がとても使い易い。この技は二回連続で攻撃するというシンプルな技なのだが、これにアニポケ殺法を混ぜると最強になるのだ。

 

 ただ、何でも組み合わせられる訳ではない。威力が高い技(70以上)や『ダブルアタック』と組み合わせにくいような技(『れんぞくぎり』、『でんこうせっか』等)は駄目だった。

 今覚えている技で合わせられそうなのは、それこそ『つばさでうつ』くらいのものだが、将来的にはバレパンを『ダブルアタック』で出したい。考えるだけで最強である。

 

 とりあえず、今回は素直に前回イミテに使ったのと同じ『ダブルウイング』もどきを相手におみまいした。

 相手はカイロスだったので、ひこうタイプの技は効果抜群である。タイプ一致でさらに火力は上がっているので、当然相手は耐えることなく戦闘不能になった。これで三勝だ。

 

 その後も少し危ない場面はあったが何とか勝ち上がっていった。ケンタロス、ヤドン、ストライクで合計六連勝し、後は最後の一人だけとなっている。

 

 ふむ、こうなると誰を出すか悩むな。ヤドンはそろそろ疲れが見えるし、ケンタロスかストライクだろう。パワーのあるケンタロスか、アニポケ殺法のストライク、どちらを選ぶか。

 かなり悩んだが、ケンタロスにしようとボールに手をかけると、それまで動きの無かったプテラのボールが一際ぶるぶる震えだした。どうやらバトルをしているのを見て戦いたくなったらしい。

 

 しかし、今は大事な七戦目である。常識的に考えれば、言うことを聞かないプテラなどとてもじゃないが使えない。

 だが、敢えて俺はプテラを使ってみることにした。

 こいつの鼻っ柱を折るには、アニメのリザードンのように一度強い相手に負けるしかないと思っていたからだ。このバトルブリッジでは、後半の方がトレーナーのレベルが上がっている。おそらく、最後のトレーナーのレベルはバッジ6個以上の実力と見た。俺と同格か、おそらくそれ以上、プテラだけではまず勝つことは出来ないだろう。

 

 おまけに相手はエレブーを出して来た。相性もかなり悪い。トレーナーの指示なしで勝てる相手ではなさそうだった。

 バトルが開始と同時にプテラに指示を出したが、やはり俺の言うことを聞かない。

 相手は「よくそれで今まで勝ち上がって来れたものだ」と、こちらを煽って来る。普段なら文句の一つも言う所だが、その通りなので何も言い返さなかった。

 

 しかし、プテラは馬鹿にされたことを我慢できなかったようで、真っ直ぐ相手のトレーナーに突っ込んでいく。流石に相手へのダイレクトアタックはまずいのでボールに戻そうとしたが、エレブーが間に入り、プテラに『かみなりパンチ』を入れていた。

 

 全くエレブーを見ていなかったこともあり、顔面に直撃を受けて地面に落ちるプテラ。

 おまけに一割の麻痺も入ったようで、体が痺れて動けなくなっている。相手は「まだ続けるかね?」と聞いて来たので、そいつが満足するまでお願いしますと頭を下げると、向こうもこちらがプテラを出した意図を察してくれたようで、頷いてそのままバトルを続行してくれた。

 

 立ったプテラだが、体が痺れているせいか、まともに飛び上がることも出来ず、『かみなりパンチ』の連打をくらっている。あれだけ打たれてプテラが倒れないということは、エレブーに手加減されているということだ。

 だが、殴られまくって頭に血が上っているプテラはそのことに全く気づいていない。

 俺は近距離で素早く打てる『アイアンヘッド』を指示しているが、俺の言うことを聞きたくないようで、『かみくだく』を使おうと口を開いた所に『かみなりパンチ』が刺さる。

 

 最終的には『かみなりパンチ』の猛攻に参ったのか、『ほえる』を使ってエレブーを無理やりボールに戻させていた。通常の試合なら有りだが、これはタイマンである。交代技を使ったプテラは反則負けだ。

 

 吠えた本人も、使うつもりはなかったのだろう。

 何せプテラにしてみれば、相手を交代させるというのは相手の攻撃から逃げたのと同じだ。その証拠に、「何故、俺はこんなことを?」というような顔で呆然としている。

 

 結局、野生のバトルとトレーナー相手のバトルは何もかもが違うのだ。いくら野生で強くても、それだけではトレーナー戦で勝つことは出来ない。

 生まれながらの野生強者であるプテラは、それがわかっていなかった。だからこそ、俺の言うことも聞かずルールも無視していたのだ。しかし、その上で負けた。自分の得意な何でもありのルールで手加減までされ、最終的には自分から逃げたのだ。

 

 プテラも今まで強者のプライドを持っていただけに、この結果はショックだったらしい。俺の言葉に反応もせず、ただただ項垂れている。得意の噛みつきをしてこない辺り、エレブーから逃げたことが相当心にきているようだった。

 

 対戦相手のトレーナーにお礼をいいながら、落ち込むプテラをモンスターボールに戻す。

 向こうも俺がプテラの野生としての自信を壊すつもりだったのはわかっていたので、「本気の君と戦いたかったよ」と言われた。決着はポケモンリーグで付けましょう(キリッ)。

 

 

 




 原作との変化点。

・プテラをゲットした。
 ただし、言うことを聞かない。マサラ式肉体言語術でこちらを認めさせはしたが、プライドが高すぎてトレーナーの指示を聞かなかった。無理やり殴って従わせることも出来たが、わかり合う以上の肉体言語は虐待になるのでニューサトシもスキンシップを取る方向にシフトしている。一度壁にぶつかる必要があると感じていた。

・プリンさんにペンを渡したことがバレた。
 いつもニヤニヤしながら落書きの反応を見ていたので、当然疑われていた。プテラゲットで、起きていたことやペンを渡したことも芋ずる式にバレてボコボコにされた。

・リザードンが究極技を覚えた。
 完成度五割から一気に覚えた。それまで一番はフシギダネの六割だったので、フシギダネがショックを受けている。ちなみにゼニガメは四割である。

・第49話『カモネギのカモ』より、カモネギを悪用しているトレーナーをわからせた。
 問答無用で成敗し、ジュンサーに渡した。改心させる暇もなかった。

・第50話『トゲピーは誰のもの』より、トゲピーをゲットした。
 ずっと隠していたこともあって、誰にも奪われなかった。カスミさんが親ではなくなったことで、性格が変わって来る可能性がある。特性はてんめぐだった。将来は害悪である。

・バトルブリッジというイベントに参加した。
 サファリ組は良いバトルをしたが、プテラがトラウマを抱えた。これを機に仲を深めようとニューサトシは画策している。


 現在ゲットしたポケモン。

 ピカチュウ Lv.43

 ピジョット Lv.41

 バタフリー Lv.40

 サイドン  Lv.42

 フシギダネ Lv.41

 リザードン Lv.44

 ゼニガメ  Lv.40

 クラブ   Lv.40

 カモネギ  Lv.40

 エビワラー Lv.42

 ゲンガー  Lv.41

 オコリザル Lv.41

 イーブイ  Lv.25

 ベトベトン Lv.39

 ジバコイル Lv.39→40

 ケンタロス Lv.36→38

 ヤドン   Lv.36→38

 ストライク Lv.36→38

 プテラ   Lv.36 NEW!

 タマゴ→トゲピー  Lv.1 NEW!




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#019 『それとも、ここで一戦俺達とやり合うか?』

10歳 θ月ρ日 『フシギダネの不思議な花園』

 

 バトルブリッジでエレブーに負けたことを引きずっているようでプテラに元気がない。

 どうやら本人も手加減されていたことには気付いたらしく、それが余計にプテラのプライドを傷つけているようだ。

 

 ただ、それはあくまで結果を気にしているだけであり、プテラは何故負けたのかを本当の意味で理解していない。

 プテラがこれ以上強くなるには、トレーナーの重要性を知るのが何より必要になってくる。流石にそろそろ声をかけようかと思ったのだが、その瞬間俺の手持ちの中のもう一体のお悩みポケモンであるフシギダネが誘拐された。

 

 とはいえ、誘拐されたと言っても、ロケット団に攫われた――とかではなく、『つるのむち』のような蔓に連れていかれたので、おそらくはアニメであった進化のくだりかと思われる。

 ぶっちゃけ、レベルだけならもうフシギバナになってもおかしくないレベルだからなぁ。

 

 一応、フシギダネのことも気にはかけていたのだが、プテラのこともあって不覚を取った。

 まさか、いきなりモンスターボールが勝手に開いて、中に居たはずのフシギダネが連れていかれるなんて普通は思わないだろう。

 

 今は急いで後を追っているのだが、原作通りなら進化祭りの中、フシギダネがそれを拒否するというくだりだったはずだ。

 ただ、俺のフシギダネはアニメと違って、リザードンと究極技っていうトラウマ抱えてるんだよなぁ。どうなるかさっぱりわからん。

 

 ぶっちゃけ、俺からしてみれば進化してくれた方が育てやすいのは確かだ。しかし、あれだけ長いこと一緒に居て情が移らない訳がなく、フシギダネが本心から進化を拒否しているなら、それを認めてやるのがトレーナーとしての務めだと思っている。

 ただ、その本心を聞くには、やはりフシギダネの言葉が理解できる奴が必要だろう。俺のマサラ式肉体言語術ボディランゲージは読み取るまで時間がかかるし通訳が必要だ。

 

 と、いう訳で、何故か道中に転がっていたロケット団からニャースを掻っ攫い、通訳してもらうことにした。「ニャッ、いきなりなんにゃのにゃー!?」と叫んでいるが、今回ばかりは俺に付き合ってくれ。悪いな。

 

 そのままフシギダネ達が進化するであろう、不思議の花園の中を全力で駆け抜けていく。

 途中、植物や木が壁を作って、俺達が通るのを邪魔してきたが、マサラ式肉体言語術の一つ――マサラ爆砕拳で無理やり押し通った。何故か、ニャースが絶句しているが、空いた穴もすぐに塞がりそうだったので、急いてフシギダネを追う。

 

 広場らしき場所に辿り着くと、丁度フシギダネの大群が進化を始める所だった。奥からフシギバナが出て来て、次々とフシギダネがフシギソウに進化していく。

 だが、やはり俺のフシギダネは進化を耐えていた。歯を食いしばって、種が開かないように耐えている。それを見たフシギバナがフシギダネに声をかけた。ここからだ。お前を連れてきたのはこのためなんだ、通訳よろしくニャース。

 

「えー、にゃににゃに、『貴様、にゃぜ進化を拒否する?』」

「『……俺は今の俺を気に入っている。ただ力を得るためだけに進化しようとは思えにゃい』。なるほどにゃあ、気持ちは良くわかるにゃあ……」

「ニャース、悪いが台詞だけ喋ってくれ」

「仕方ないにゃあ……『馬鹿にゃことを。進化とは可能性だ。今の貴様では出来ないことも、進化をすれば可能ににゃる』」

 

 見ろとばかりに、フシギバナが周囲の植物を操って見せる。どうやらあれも進化の力らしい。

 フシギダネも、今の貴様では出来ないこと――という言葉が刺さったようだ。やはり、リザードンや究極技のことを気にしているみたいだな。

 

「『貴様も一度は思ったことがあるはずだ。もっと力があればと、進化を受け入れればそれがかにゃう』」

 

 フシギダネは反論せず、黙って聞いている。

 

「『変わることを恐れるにゃ。進化とは自然の摂理だ。我々が卵から生まれ、育つように、進化もまたポケモンの成長の一つなのにゃ』」

 

 何か、言っていることはかなりまともだった。

 アニメだと「進化しないのは悪だ。進化しない奴は、死刑!」みたいな感じだったが、こうして見るとフシギバナの言っていることは正論に聞こえる。

 

「『意地を張らず、正しき道へ進め。さぁ、我々の祝福を受け入れるのにゃ』」

 

 その言葉を聞いて、フシギダネが目を閉じた。おそらく進化するのか、しないのか、それを熟考しているのだろう。

 改めて、自分が進化するという状況になったことで、フシギダネがどういう答えを出すのか。おそらく、ここが分岐点だ。

 そのまま黙ってフシギダネを見守る。悩んでいた時間は一分もなかった。答えを出したであろうフシギダネが、不敵な笑みを浮かべてフシギバナに話しかける。

 

「『……意地ね。確かに、俺は間違っているのかもしれにゃい。意地を張っているだけなのかもしれにゃい。けど、男が一度決めたことを破るのは格好悪いじゃねーか。悪いが意地は通させてもらうぜ』」

「『にゃにを馬鹿にゃことを言っている?』」

「『馬鹿で結構だ! 俺のトレーナーもきっとそう言うぜ! あぁ、そうだ。悩む必要にゃんて最初からにゃかったんだ。俺は、俺のままで強くなる。今までもずっとそうして来たんだ!』

 

 フシギダネの叫びが響く。その本心が、ニャースを通じて俺に――いや、俺達にも伝わってきた。

 

「『進化して究極技が使えるようににゃった? だからにゃんだよ! 俺は今のままで極めてやるよ! だって、その方が絶対に格好いいじゃねーか! 進化して、それで強くなるより、誰も出来にゃい方法で強くにゃるから燃えるんだ。誰がにゃんと言おうと、俺は俺の道を進む!!』」

 

 猫ポケモンなので仕方ないが、たまに『な』が『にゃ』になるせいでいろいろ台無しである。

 だが、気持ちのいい啖呵だった。

 あいつの心はこれでもかというくらい伝わってきたし、後はそれを受け入れるのが俺の仕事だろう。

 

 隠れていた場所から姿を現し、フシギダネの所へ行く。いきなり人間が出てきたことで、ざわつくフシギソウ達だが、そんな中、フシギバナが「名乗れ」とばかりに俺に声をかけてきた。

 

「俺の名前はサトシ。このフシギダネのトレーナーだ。フシギバナさんよ、悪いけどこいつが進化したくないって言ってんなら、今回は見逃してくれねーか?」

「ダ、ダネダネ?」

 

 何でここに? かな。

 意外とニャースがいなくてもわかるもんだ。

 

「お前が攫われたのに見捨てる訳ねーだろ。俺を誰だと思ってやがる。話はあそこのニャースに通訳して貰った。格好良かったぜ、お前の啖呵」

「ダネフシ」

 

 顔背けて恥ずかしがっている。

 やめろよ、って所かな。

 

「お前がお前のまま強くなるってんならそれでいい。その方が燃えるのは俺も同意だからな。だからこそ、ここは引かせてもらおう。それとも、ここで一戦俺達とやり合うか?」

 

 ボールからトゲ様以外の全メンバーを出す。

 今の手持ちであるピカ様、リザードン、ゲンガ―、そして元気のなかったプテラ。全員がフシギダネの言葉を聞いて気合が入っている。当然だ、男だったら、あんな格好いい言葉を聞かされて燃えない訳がない。

 

 とはいえ、フシギバナも進化したばかりのフシギソウ達で俺達と戦うリスクを考えているのか、アニメのように簡単に攻撃を仕掛けて来なかった。

 しかし、進化しないという事実も認められないのか、立ち去るようにも言っては来ない。

 去るか、戦うか、二つに一つという状況の中、どう動いて来るのか待っていると、ニャースを奪われたロケット団が空気を読まずに乱入してきた。

 

 フシギソウ達を乱獲するつもりなのか、巨大な吸引装置のようなものでフシギソウ達を吸い取り、網の中に入れていく。

 おまけにニャースまで吸い込まれ、何だかんだムサシ、コジロウと合流していた。

 

 こうなると流石に黙って見ている訳にもいかない。一時休戦ということで、フシギソウ達を救出することにした。だが、電気や炎の攻撃では囚われているフシギソウ達にダメージを与えてしまう。ここは空を飛べるリザードンかゲンガ―に――と思って指示を出そうとすると、フシギダネが自分に任せろと声を上げた。

 

 確かにそうだよな。ここでやらなきゃ男が廃るもんな。わかった、見せてやれお前の力を!

 

 俺が許可を出すと、フシギダネは迷わず、究極技である『ハードプラント』の構えを取った。

 これまで不貞腐れて練習をさぼっていたからか、制御にとても苦労している。とてもじゃないが完成といえるようなレベルではなかった。

 ただ、気持ちは何よりも込められている。

 フシギダネが『ハードプラント』で、フシギソウ達が捕まっていた網を破った。未完成だったが今までで一番の出来だと俺は思う。

 フシギバナも『ハードプラント』を初めて見たのか、フシギダネが見せた究極技に驚いているようだった。まぁ、野生のフシギバナが究極技なんて覚える訳ないもんな。

 

 結局、ロケット団にはいつものようにやなかんじーして貰い、再びフシギバナと向かい合った。

 しかし、もう一触即発という空気ではない。『ハードプラント』を見たことでフシギバナもフシギダネのことを認めたようで、一つ蔓を伸ばしてくる。握手のつもりなんだろうな。

 見れば、助けてもらったフシギソウ達も、笑顔でこちらに感謝をしている。吹っ切れたフシギダネも、笑顔で蔓を伸ばし、フシギバナの握手に応じていた。

 

 それを見ていたプテラもまた何か思う所があったようで、顔から暗さが消えている。フシギダネが答えを出したように、プテラもまた何か答えを出したのかもしれないな。

 

 

 

 10歳 θ月σ日 『蘇れプテラ』

 

 フシギダネの一件があった次の日。ポケモンセンターの前で俺はプテラと対面していた。

 元気は戻ったようが、いつものように噛み付いてきたり、暴れたりするような様子はない。おそらく、プテラもまた俺の言葉を待っているのだろう。なので、俺も素直な気持ちをプテラにぶつけることにした。

 

「バトルブリッジでのエレブーとのバトル。力の差は殆どなかった。相性は多少悪かったかもしれないが、お前の力なら十分勝機はあったと俺は思っている」

 

 プテラは黙って言葉を聞いている。

 俺も、そのまま言葉を続けた。

 

「負けたのは、相手にトレーナーがいたからだ。もうお前もわかっているかもしれないが、トレーナーとポケモンはただの主従関係じゃない。トレーナーはポケモンの、ポケモンはトレーナーの力を引き出して互いに強くなっていくものなんだ」

 

 それは昨日のフシギダネが証明してくれている。昨日、フシギソウ達がロケット団に捕まった時、本来なら空を飛べるタイプのポケモンで救出するのが一番安全だった。

 だが、俺はフシギダネの「自分に任せろ」という言葉を信じたし、フシギダネもそんな俺の期待に応えて結果を出してくれた。

 

 プテラもそれを見て、自分に足りない物が見えてきたのだろう。だからこそ、俺はプテラのことを信じることにした。

 

 腰からプテラのボールを出し、マサラ式肉体言語術の一つ――マサラ粉砕拳でボールを握り潰す。ボールが完全に壊れたことにより、プテラは俺のポケモンから野生のポケモンに戻った。つまり、逃げようと思えば、いつでも逃げることが出来ると言うことだ。

 

 しかし、俺はプテラが逃げるとは欠片も思っていなかった。プテラも驚いた表情を見せているが、そのまま俺の言葉を待っている。

 

「お前がお山の大将で居たいならグランパキャニオンへ帰ってもいい。だが、俺と一緒に強くなる気があるのなら付いて来い。てっぺんまで行くぞ」

 

 改めて、空のモンスターボールを取り出しプテラの方へ向ける。プテラは迷うことなく、自分からボールの中へ入っていった。

 そのままもう一度プテラを出すと、笑顔で頭を近づけてくる。頬をすり寄せてくるかと思ったら、頭を甘噛みされた。こいつはやっぱりこうだよな。

 

 こうして今日、プテラは本当の意味で俺のポケモンになった。

 

 

 

 10歳 θ月υ日 『ガーディ欲しい』

 

 警察犬をしているガーディにあった。

 ウインディ好きなんだよな。いつかゲットしたい。

 

 

 

 10歳 θ月χ日 『ストーカー写真家』

 

 天才カメラマンを自称するトオルとかいうストーカーにあった。何かピカ様の写真を撮ろうとしたと言っているが、許可なしで人のポケモンの写真を撮るのは普通に犯罪だろう。

 何やらプテラの写真を撮ったのが自慢らしいが、撮りたいなら撮らせてやると、ドヤ顔でプテラを自慢してやった。大変、気分が良い。

 

 

 

 10歳 θ月ω日 『ポケモン検定試験』

 

 ポケモンの検定試験なるものがあるらしい。丁度、今年の試験は最後らしいので、記念に参加してみることにした。

 何でも、これに合格すればバッジが足りていなくてもポケモンリーグに出られるらしい。

 多分、ジョーイさんやジュンサーのように、仕事があってバッジを集めに行けないような人達への救済措置なんだろうな。俺もまだバッジ6個だし、保険をかける意味でも受かっておいて損はなさそうだ。

 

 会場に行くと、どうやら手持ちのポケモンを預けなきゃいけないということなので、カスミさんにお願いしてピカ様達を預かって貰うことにした。

 トゲ様もいるし、やはり知らない人にポケモンを預けるのは怖すぎる。

 快諾してくれたカスミさんにボールを渡していくのだが、トゲ様が俺と離れるのをとても嫌がっていた。泣きそうだったのでちょっと焦ったが、カスミさんとピカ様が何とか宥めてくれている。頼むから、そろそろカスミさんにも慣れてやってくれ。

 

 と、いう訳で試験が開始したのだが、正直、真面目に答えるのも馬鹿らしいレベルだった。第一試験はポケモンの知識を測る試験らしいのだが、これはもはや知識と言うより雑学だろう。○×問題ということもあって、ある程度の推測が出来たので問題なくクリア出来たが、これでポケモンリーグに出られるようになるってマジかよ。

 

 第二試験はポケモンの認識度を測る試験らしいのだが、これも試験と言うよりただのクイズだった。黒い丸のシルエットが、上から見たプリンって、ただの意地悪問題じゃねーか。こんな問題で本当にいいのか?

 

 筆記試験は以上ということで、大変よく出来ましたの欄に俺の名前があった。って、よく見たらジョーイさんもおるやん。気付かんかったわ。

 しかし、評価が大変よく出来ましたとかよく出来ましたって、最近の小学生の成績簿でも見ないぞ。

 

 後半は実技試験のようだった。ポケモンが入ったボールを三つ選んで試験官と戦うらしい。

 ゲームでいうバトルファクトリーみたいなシステムだが、事前に中のポケモンを確認してはいけないというルールだった。

 つまり、何のポケモンを使うのかは直前までわからず、技も使ってみないと何が使えるのかわからないということだ。

 まぁ、誰がどの技を覚えるか全て把握している俺には全く問題ないが、普通の人は全てのポケモンの技を覚えるなんて無理だろうし、ここでかなりふるいにかけられると見た。

 

 そのまま何人かの試験を見ながら待っていると、ようやく俺の番が回ってくる。

 結論から先に言うと、俺が選んだ三体はマタドガス、アーボック、ニャースというロケット団ポケモンで、相手がブースター、サンダース、シャワーズのブイズトリオだった。

 

 試験内容についても、変わったことは何もない。

 一体目のブースターには、マタドガスの『どくどく』から『ベノムショック』で一勝。

 二体目のサンダースには、アーボックの『とぐろをまく』からの『あなをほる』で二勝。

 三体目のシャワーズには、ニャースの『いやなおと』からの『きりさく』急所で三勝。

 

 正直、マイナスポイントは何もないので当然のように合格だと思ったのだが、試験終了と共にロケット団が現れたせいで、試験が一時中断になってしまった。マジかよ。

 

 何だかんだやなかんじーにしてやったのだが、ロケット団のせいで試験が混乱したとかいう理由で今回の試験はなかったことになった。明日もう一度再試験をすると言われたが、ぶっちゃけこんな試験、二度も受けるのは流石に面倒くさい。

 

 実際、記念に参加しただけだし、これで万が一、ポケモンリーグに出場できるようになっても何のありがたみも無いだろう。という訳で、カスミさんとタケシは再試験を受けるように言っていたが、これまで通り地道にバッジを集めることにした。

 

 

 




 原作との変化点。

・第51話『フシギダネの不思議な花園』より、ニャースを通訳に使用した。
 アニメではサトシ君とロケット団はすれ違っていたが、ニューサトシは足が速いのでバッティングした。これ幸いと、ニャースを連れていった。

・マサラ爆砕拳。
 全力パンチ。木々に大穴が空いた。当然、人間に使えば大怪我は避けられない。ちなみにこれを見たニャースは、後日ムサシとコジロウにニューサトシの機嫌を損ねるとまずいということを命がけで説明し、それからはバトル中にあまり乱入しなくなった。

・フシギダネが啖呵を切った。
 アニメでは何故進化しないかは明らかになっていないが、この世界ではただの意地である。ニューサトシもフシギダネの気持ちを尊重することにしたので、危うくフシギバナ達と全面戦争になりかけた。

・フシギダネとニューサトシのやりとりを見て、プテラがトレーナーの大事さを理解した。
 もう少し時間がかかるかと思ったが、フシギダネの事件は良いきっかけになった。ただ、仲良くなっても噛み癖は変わらなかった。ちなみに、普通の人なら痛がるレベルなので、タケシやカスミさんは自分達にはやらないように常々口にしている。

・マサラ粉砕拳。
 ただ強く握っているだけ。リンゴを粉々にするのと基本は一緒。モンスターボールを粉々にした。

・モンスターボールが壊れると登録データが消える。
 モンスターボールは多少傷ついても異常は出ないが、粉々になってしまうと機能が停止するという設定。

・第52話『激闘!ポケモンひな祭り』、第53話『こどもの日だよ全員集合』が発生しなかった。
 季節物は時期が合わないのでスキップ。ちなみにそのせいで、ムサシがベロリンガをゲットしなかった。

・第54話『警察犬ガーディ』より、警察犬の訓練に参加しなかった。
 眺めただけですぐに立ち去った。

・第55話『シャッターチャンスはピカチュウ』より、トオルと仲良くならなかった。
 アニメではこれから数話一緒に居るが、プテラの自慢だけしてさっさと別れた。

・第56話『ポケモン検定試験!?』より、トオルがいなくても試験に参加した。
 内容はほぼ一緒だが、ニューサトシは試験に集中していて、ロケット団が試験に参加していたのに気付いていなかった。ちなみに邪魔が無ければ合格していた。


 現在ゲットしたポケモン。

 ピカチュウ Lv.43

 ピジョット Lv.41

 バタフリー Lv.40

 サイドン  Lv.42

 フシギダネ Lv.41→42

 リザードン Lv.44

 ゼニガメ  Lv.40→41

 クラブ   Lv.40

 カモネギ  Lv.40

 エビワラー Lv.42

 ゲンガー  Lv.41

 オコリザル Lv.41

 イーブイ  Lv.25

 ベトベトン Lv.39

 ジバコイル Lv.40

 ケンタロス Lv.38→39

 ヤドン   Lv.38→39

 ストライク Lv.38→39

 トゲピー  Lv.1

 プテラ   Lv.36→38 NEW!




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#020 『くっそ、切り札は一緒かよ!』

 10歳 ι月β日 『ロケット団のパチモンが現れた!』

 

 ヤマトとコサンジとかいう、ロケット団のパチモンが育て屋詐欺をしていたので、マサラ式肉体言語術を使って成敗してやった。

 おまけにロケット団もいつも通りにやなかんじーにしてやったのだが、いつの間にかコジロウがウツボットをゲットしており、何故か頭を飲み込まれていた。

 

 そういや、あったな。そんな時期も。

 

 

 

 10歳 ι月ε日 『グレンタウン ジム戦 VSカツラ』

 

 セキチクシティからグレン島まで、普通に行けば一週間もあれば着くはずなのだが、何故か俺達は三ヶ月くらいかかっている件について。

 毎回、「今度は絶対大丈夫だ」と言うので、タケシにナビを任せているが、いい加減クビにした方が俺達の旅も快適になると思うんだがどうだろうか。

 

 久しぶりにシゲルにもあったのだが、今グレン島は観光地になっているようで、グレンジムは表向き存在しないことになっているらしい。

 あいつはもうバッジを8個集め終わったから、グレンには体を休めに来たと言っていたが、俺もそろそろバッジ集めきらないとやばいな。

 しかし、アニメではどういうルートでカツラとバトルするんだったっけか。ぶっちゃけ、グレンの話ってジム戦のバトルシーンとリザードンVSブーバーしか覚えてないんだよな。

 

 何とか聞き込みをしながらジムがある場所まで来たのだが、ジムはもはや廃墟と化していた。

 これ、ジムってマジ?

 流石に絶句してしまったのだが、そんな俺達にカツラを被ったカツラがなぞなぞを出しながら声をかけてきたので、思わずカツラを剥いでジム戦をするように要求する。

 正体を見抜いたことは褒めてくれたが、なぞなぞを解かなかったのが気に入らなかったようで、「ここに来たらバトルしてやる」と言って、またなぞなぞが書かれたティッシュを渡してどこかに消えて行った。

 

 果てしなく面倒くさかったが、カスミさんがなぞなぞに強いようで、すぐに答えを出している。おかげで、そんなに時間もかからず、ペンションなぞなぞとかいう、カツラがやっているペンション&ジムを発見。カツラも、「よくあのレベルの高いなぞなぞを解いたな」と感心していた。

 

 あ、カスミさん。「別にたいして難しくもなかったと思うけど」とか、思っていても言わない方がいいっすよ。あの手のおじさんは、こういうことにはうるさいから。

 

 とりあえず、ここまで来たらジム戦と思ったが、バトルフィールドを見つけたらバトルするらしい。ヒントとして、「上は大水、下は大火事、なーんだ?」と言われた。

 そういえば、温泉に何か仕掛けがあるんだったっけか。少しずつだけど思い出して来たぞ。

 

 温泉にあるギャラドスの仕掛けを動かすと、バトルフィールドへ続く道が出てきた。これでようやくバトルが出来――って、想像以上に熱いんですけど。

 そういえば、アニメでキュウコンがゼニガメの『みずでっぽう』を簡単に押し返していたな。そりゃ、これだけ暑ければみずタイプの攻撃なんて効果半減するだろう。常時『ひでり』みたいなもんだ。

 

 挑戦者側のフィールドに辿り着くと、対面からカツラが出てくる。バッジは6個なので、レベル上限は最大45固定。使用ポケモンは三体でのバトルになった。少しだけレベル差はあるが、気合いで乗り越えていこう。

 

 向こうの一体目はキュウコン、こちらはプテラである。最初はセオリー通り、みずタイプで行こうかと思っていたが、常時『ひでり』じゃ明らかに不利だ。念のために岩タイプも持っているプテラを連れて来て正解だったな。

 

 カツラもプテラを見るのは珍しいようで、「化石ポケモンとは、久しぶりに見たな」と感心していた。だが、遠慮はしない。『いわなだれ』を指示して、弱点をついていく。

 キュウコンはくさ技も覚えるが、プテラはひこうタイプも持っているので等倍で受けることが出来る。カツラもそれはわかっているようで、『いわなだれ』をくらいながら、『おにび』を打ってきた。どうやら、こちらの攻撃力を下げるつもりのようだ。

 

 しかし、『おにび』は命中率があまり高くない技でもある。プテラに高度を上げさせ、『おにび』を回避。飛行技術だけならプテラはリザードンより上なのだ。そうそう当たらない。

 カツラもプテラに有効打がないことがわかったのか、素直に『だいもんじ』を指示していた。不一致の等倍技より、半減されても『ひでり』とタイプ一致で火力の上がっているほのお技の方がプテラに効果があると判断したのだろう。

 

 だが、その判断は一歩遅い。プテラの方がキュウコンより早い以上、先にこっちの『いわなだれ』が当たる。おまけに、ダメージで怯んだのか、キュウコンの攻撃がキャンセルされた。

 続けて三度目の『いわなだれ』でトドメを刺していく。いくらレベル差があるとはいえ、タイプ一致の効果抜群技を三回も受けて耐えられるはずもなく、アニメでは暴れていたキュウコンも何も出来ないまま戦闘不能になった。

 

「やるな、サトシ君。久しぶりに燃えて来たぞ」

 

 キュウコンが倒れ、カツラもエンジンがかかってきたらしい。次に出してきたのは、ギャロップだった。

 てっきり、原作通りいわタイプを持っているサイドンを出してくるかと思ったが、ほのおタイプが連続で来るのなら、こちらもプテラを続投しよう。『いわなだれ』で再び、先手を打って行く。

 

 カツラは『こうそくいどう』を指示し、素早さを上げていた。そのおかげか、岩の直撃を避けて行く。『いわなだれ』も命中率100じゃないからな。外れる時は外れる。

 そのままカツラはギャロップに『スマートホーン』を指示。必中のはがね技だ。プテラには効果抜群である。ギャロップが飛び上がり、プテラに頭をぶつけてきた。

 

「負けるな、プテラ! 特性『いしあたま』の真骨頂を見せてやれ、『とっしん』だ!」

 

 プテラの『とっしん』で『スマートホーン』と相打ちしていく。こちらには反動がないので、どちらが先に倒れるかの我慢勝負である。

 カツラも引く気はないようで、ギャロップに『スマートホーン』を指示していた。プテラとギャロップの頭がぶつかり合い、お互いにダメージで顔を歪ませている。

 そのまま何度か頭をぶつけあうと、どちらも限界がきたのか、ギャロップとプテラが同時に戦闘不能になった。まさかの相打ちである。

 

「ふっ、ならば私の三体目を見せよう。いでよ、ブーバー!!」

 

 カツラの掛け声と共に、マグマの中からブーバーが飛び出して来た。どうやら原作通り、先にボールから出して待機させていたらしい。

 一瞬、もしかしたらウィンディとかあるかな、とも思ったが、やはりブーバーだったようだ。ならば、こちらもリザードン――と、行きたいところだが、出来ればリザードンには有利な状況を作ってやりたかった。

 

 とはいえ、今の手持ちは、倒れたプテラとリザードンを抜くと、ピカ様、ゼニガメ、クラブ、トゲ様である。トゲ様はまだ戦えないのでカスミさんに預けてあるし、このフィールドでみずタイプは活躍できそうにない。と、すると、やはりピカ様しかいなかった。

 

 削り役扱いで申し訳ないが、ピカ様は特に気にした様子もなくフィールドに飛び出していく。むしろ、久しぶりにアピール出来る機会に恵まれたからか、随分と気合いが入っていた。

 最近は進化ラッシュがあったりして、もしかしたらピカ様も焦っているのかもしれない。この頃は活躍らしい活躍もロケット団を倒すくらいしかなかったからな。

 その小さな背中からは、別に倒してしまっても構わんのだろうとばかりの気合いを感じる。死亡フラグのような空気を感じなくはないが、実際レベルだけならトップクラスだ。もしかしたらブーバーを倒せるかもしれない。

 

 という訳で、ピカ様VSブーバーのバトルが始まった。向こうが『ほのおのパンチ』を指示したので、こちらは『10まんボルト』で迎撃する。

 すると、ブーバーが炎をまとったパンチで、ピカ様の『10まんボルト』を軽々と弾いた。連続で『10まんボルト』を打つも、意にも介していない。は? 何それ?

 

「あれは、空気レンズ。温められた空気がレンズのようになって、ピカチュウの電気を逸らしているんだ」

 

 はい、解説のタケシさんありがとうございました! って、なんだのチート技。ズルやん!

 

 そういえば、アニメにもそんなんあったな。

 でも、普通の炎をまとったくらいで、でんき技を防げるだけの温度差なんて出来る訳がない。おそらく、ブーバーの特性である『ほのおのからだ』でマグマの熱を貯めているからこそ出来る技なのだろう。

 しかし、原理が熱を利用したものだと言うのなら、その熱を下げてしまえば、チートのような空気レンズとやらも使えなくなるはずだ。

 

「ピカチュウ、『なみのり』!」

 

 久しぶりに使ったが、やはりみずタイプの技は使い勝手が良くて最高だぜ!

 フィールドの効果で威力が半減し、タイプ不一致なので、そこまで大きなダメージが与えられるわけではないが、ブーバーの体を冷やすには十分のはずだ。

 ピカチュウが『なみのり』を使えるというのをカツラも知らなかったのか、不意打ち気味に『なみのり』がブーバーに命中した。これででんき技も通用するだろう。

 

 見ると、予想外の『なみのり』を受けたせいか、ブーバーの体勢が悪かった。ここで一気に勝負を決めるのも有りかもしれない。

 トドメを刺すつもりで、ピカ様に『ボルテッカー』を指示した。もし、仮に何かの間違いでまた空気レンズとやらを使ったとしても、でんきタイプ最強の物理技である『ボルテッカー』は防げないだろう。

 

 だが、予想外にも、カツラはここで『オーバーヒート』を指示してきた。

 

 マジかよ、ここでオバヒ!?

 特攻が二段階下がるから、後がないこの状況じゃ使って来ないと思っていた。

 真っ直ぐブーバーへと走るピカ様に、ブーバーの『オーバーヒート』が直撃する。威力130の『ひでり』タイプ一致は流石に無理だ。そのままピカ様が戦闘不能になった。

 

 これは勝負を焦った俺のミスである。倒れたピカ様に謝罪をしながら、タケシの元まで連れて行く。

 ただ、無駄なバトルでは無かった。これでもうブーバーの特殊攻撃は警戒するに値しない。後が大分楽になったと言っていいだろう。

 最後のリザードンを送り出す。

 行くぞ。ダメージも与えて、特殊技まで封じたんだ。これで負けたら、何も言い訳できないぞ。

 

「ほう、なかなか強そうなリザードンだ」

 

 カツラとブーバーにはまだまだ余裕がある。だが、技は二つ使った上、一つは死に技同然。こっちは進化してひこう技も覚えたし行けるはずだ。

 バトルが始まると、カツラがブーバーに『かみなりパンチ』を指示してくる。やはり、みず対策として持っていたか。

 こちらは『エアスラッシュ』で迎撃していく。リザードンの羽から飛ぶ斬撃が、ブーバーのパンチと相打ちになっていた。

 

 俺のリザードンは、物理技をあまり持っていないので接近戦は不利だ。リザードンに飛ぶように指示し、空中から攻撃を仕掛ける。向こうは『オーバーヒート』の後遺症で、特殊技の威力が死んでいるからもう遠距離攻撃は怖くない。

 対するこちらは、新しく覚えた『りゅうのいぶき』で三割の麻痺を狙っていくことにした。

 

「ブーバー、マグマに入れ」

 

 あっ、きったね! 確かに、マグマはフィールドの範囲内とはいえ、それ有りなのかよ。

 

「みずタイプのポケモンが水の中に入って怒られるのかな? ブーバーにとってのマグマとはそういうものだ」

 

 確かに、みずポケモンに水の中に入って卑怯だぞとは言えないか。納得の説明である。

 それに、カツラも永遠にブーバーをマグマに入れておくつもりはないようで、十秒もしない内に上のフィールドに戻ってきた。

 少し驚いたが焦ることはない。結局、上を取っている限り、リザードンの有利は変わらないのだ。逃げたきゃ好きなだけ逃げればいい。遅延行為以外の何物でもないぞ。

 

 仕切り直しである。こちらは変わらず、『りゅうのいぶき』。向こうは――はぁ!? オバヒ!?

 ブーバーがとくこうが二段階下がっている『オーバーヒート』を打ってくるが、当然こちらの『りゅうのいぶき』がオバヒを――えっ、こっちが貫かれたぁ!? はい? 威力が戻ってる? 何で!?

 

「ハッハッハ、甘いぞサトシ君。確かに、『オーバーヒート』は使えばパワーが下がって行く技だが、ブーバーはマグマのエネルギーを吸収することでそれを回復できるのだ」

 

 はい? 何だよそのチ-ト! マグマにちょっと入るとオバヒ打ち放題ってこと!?

 これはまずいぞ。いくらリザードンが炎に強いと言っても、このフィールドで撃たれるタイプ一致オバヒは結構痛い。おまけにこちらで相殺できそうな技が『ブラストバーン』くらいしかなかった。つまり遠距離での有利が消えたということである。

 

 カツラは言っているのだ。俺が遠距離攻撃を続ける限り、自分も『オーバーヒート』を繰り返すと。

 こうなると、向こうの望んでいる接近戦に付き合うしかない。こっちの『ブラストバーン』はかなりパワーを使うから、向こうみたいに無限には打てないのだ。

 

 どうやら、リザードンも状況を察したようで、仕方ないとばかりに空から地上へ降りて行く。

 くっそー、ジムリーダーがそんなチートみたいな手使うなよな。今までいろいろな奴と戦ってきたけど、アニメやゲームにもないようなチートを使ってきたのはお前が初めてだよ!

 

 改めて、リザードンとブーバーが共にフィールドの中央に移動し、お互いに拳を構えた。

 ここからは殴り合いである。向こうは『かみなりパンチ』、こちらは『ドラゴンクロー』で互いに攻撃を仕掛けていく。当然、こちらは効果抜群なので不利だった。

 それでも耐えられているのは、リザードンが上手くダメージを逃がしているからだ。おそらく、それはブーバーも同じだろうが、直撃を避けつつ攻撃を受け流していた。

 

 この殴り合いはあくまでも探り合いだ。お互いに残しているあと一つの技が勝敗を分けることになる。

 

 それはリザードンも理解しているのだろう。効果抜群の攻撃を受けても歯を食いしばって耐えている。体勢を大きく崩すことが隙に繋がるのをわかっているのだ。

 しかし、全ての攻撃を受け流せるわけもなく、『かみなりパンチ』が顔面に入り、雷の光でリザードンの目がくらむ。ほんの少しの隙、一瞬目を閉じただけだったが、それは今の勝負では明確なチャンスとなり、ブーバーがバックステップで距離をあけた。

 

「ブーバー、『ギガインパクト』だ!!」

 

 くっそ、切り札は一緒かよ!

 

「リザードン、『ギガインパクト』!!」

 

 突っ込んでくるブーバーを迎え撃つ形で、リザードンも『ギガインパクト』を打つ。だが、勢いをつけているブーバーの方が分があった。

 

 体と体がぶつかり、物凄い衝撃波が起きる。

 だが、当然、リザードンの方が押されていた。

 

 それでもギリギリで耐えられているのは、ピカ様がダメージを与えてくれていたからだろう。もし、ブーバーが万全の状態なら、この一撃でKOされていてもおかしくなかった。

 

 そんな仲間の頑張りを無駄にしたくないとばかりに、リザードンも必死な表情でブーバーを押し返している。

 決して力では負けていないはずなのだが、勢いがある分、やはり向こうが有利だった。ぶつかり合いやフィールドの暑さでリザードンも熱を帯びているのか、少し体が赤くなったようにも見える。

 

 とはいえ、不利な状況には違いはなく、リザードンの体が徐々に押されて来た。このままでは弾き飛ばされてしまうので、どうにかしたいのだが、今の状況ではどうにも出来ない。

 見ているだけしか出来ない自分に怒りすら覚えていると、最後の最後、リザードンが悪あがきとばかりに、ブーバーにヘッドバットを決めた。

 別にリザードンは特性『いしあたま』でも何でもないが、『ギガインパクト』状態でのヘッドバットはブーバーに大きなダメージを与えたようで、ブーバーの体が崩れていく。

 

「ブーバー!?」

 

 偶然だ。本当にただの偶然だったが、意識外からの一撃がブーバーの意識を刈り取った。

 ブーバーの体格は人間とそう変わらない。対するリザードンは首の長さまで含めるとかなり大きいのだ。必然的にブーバーがリザードンを見るには見上げる必要があり、『ギガインパクト』で正面を見ていたブーバーにはリザードンのヘッドバットが見えていなかった。

 

 人間もそうだが、来るとわかっている痛みには意外と耐えることが出来る。しかし、意識していない場所からの攻撃など耐えられるはずがないのだ。

 そのままブーバーが倒れ、戦闘不能になる。リザードンもまた受けたダメージが大きいようで膝をついていたが、まだ意識はハッキリしていた。

 

 まさかの逆転劇にカツラも呆然としていたが、ブーバーをボールに戻すと、こちらに向き直って、リザードンの逆転勝利を祝福してくれる。

 そんなカツラを見て、カスミさんとタケシもハッと思い出したようにこちらへ拍手を送ってくれた。どうやらリザートンとブーバーのバトルに熱中していたのは俺とカツラだけではなかったらしい。

 

「見事だ、サトシ君。久しぶりに燃え上がるような熱いバトルが出来た」

 

 そう言って、カツラがクリムゾンバッジを渡してくる。だが、正直言ってかなり危なかった。

 リザードンのヘッドバットという機転がなかったら、負けていたのはこっちだったかもしれない。

 

 いや、本当なら『ギガインパクト』を受けた時点で負けていてもおかしくなかった。そういう意味では、ピカ様を含め、みんなで掴んだ勝利である。

 何だかんだ、これでバッジは7個。ポケモンリーグの参加条件を満たすまで少しだ。次は最後のジム――最強のサカキ様である。お願いですからミュウツーだけは使わないでください!!

 

 

 

 




 原作との変化点。

・第57話『育て屋の秘密』より、ヤマトとコサンジを速攻でボコった。
 男女平等パンチなのでボコボコした。アニメのように捕まることなく、ジュンサーに引き渡した。

・第58話『燃えろ! グレンジム!』より、研究所の事件を解決しなかった。
 何者かが解決してくれたため、事件が発生しなかった。

・一回目のバトルでカツラに勝った。
 その結果、第59話『決戦! グレンジム!』はなくなった。


 現在ゲットしたポケモン。

 ピカチュウ Lv.43→44

 ピジョット Lv.41→42

 バタフリー Lv.40→41

 サイドン  Lv.43

 フシギダネ Lv.42

 リザードン Lv.44→45

 ゼニガメ  Lv.41

 クラブ   Lv.40→41

 カモネギ  Lv.40→41

 エビワラー Lv.42→43

 ゲンガー  Lv.41→42

 オコリザル Lv.41→42

 イーブイ  Lv.25

 ベトベトン Lv.39

 ジバコイル Lv.40

 ケンタロス Lv.39→40

 ヤドン   Lv.39→40

 ストライク Lv.39→40

 トゲピー  Lv.1

 プテラ   Lv.38→40


 活動報告に大切なお知らせを書きましたので、もしお時間があれば目を通して頂けると有り難いです。




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#021 『こいつ、直接脳内に……!?』

 10歳 ι月ζ日 『プリンさんがカメックスのキャノンに入っていた件』

 

 マサラタウン行きの船に乗ろうとしたら野生のカメールに助けを求められた。どうやらカメール達の住んでいる島が集団睡眠状態で大混乱らしい。

 原因を調べてみるとプリンさんが問題だったので、耳栓をしながらプリンさんを対処して、ついでに現れたロケット団もやなかんじーにしておいた。

 

 

 

 10歳 ι月κ日 『クチバからトキワへ』

 

 本来なら、グレン島からマサラタウンへ行く船に乗るはずだったが、カメックス事件のせいでクチバ行きの船にしか乗れなかった。マサラからなら迷う心配も無かったのだが、こうなってしまっては仕方ない。

 タケシからマップを強奪し(めっちゃ不服そうだったが)、そのままクチバからヤマブキ、ハナダを経由して、トキワシティを目指すことになった。

 

 

 

 10歳 ι月μ日 『ヤマブキシティへ侵入せよ』

 

 ヤマブキの入り口が通行禁止になっている件。

 

 クチバからヤマブキに行こうとしたら、今は通行止めだと言われた。ぶっちゃけ、ヤマブキを通らなくてもハナダには行けるのだが、ヤマブキを通った方が近いというのは最初にハナダからクチバへ行った時に学んだので出来れば遠回りしたくない。

 どうしようか悩んでいると、どこからかシゲルが現れ、ここだけでなく東西南北全てのゲートが通行禁止になっていると教えてくれた。ってかお前、グレンで休んでたんじゃないのか?

 

 詳しい話を聞いてみると、どうやらシゲルはグレンでロケット団を追っているワタルに会ったらしい。

 そういえば、アニメだとワタルは四天王兼ポケモンGメンとかいう警察だったっけか。その時はただロケット団に注意しろと言われただけのようだったが、意外と正義感が強いシゲルは自らワタルに協力を要請したようだ。

 

 ワタル曰く、現在ロケット団のアジトがあると思わしき場所は、グレン、トキワ、ヤマブキの三つのようで、ワタル一人で全てを回るのは厳しいとシゲルは考えたらしい。

 最初はシゲルの「協力させて下さい」という発言に渋っていたワタルだが、実際シゲルの言うことは正しかったため、シゲルの実力を確かめた上で協力を受け入れたという――って待て。

 

「え? お前、ワタルさんと戦ったの?」

「戦ったよ。相性の有利をついてギャラドスを倒すのが精一杯だったけどね」

 

 何と羨ましいやつ。四天王と戦える機会などそうないぞ。

 

「けど、何とか認めて貰ってね。グレンでの調査を一緒にした後、僕らは二手に分かれることになったんだ。ワタルさんがトキワ、僕がヤマブキでね。そうしていざ来てみれば、中に入ることすら出来ないじゃないか。車で別のゲートに行っても通行禁止。聞けば、原因は説明できないという。これはおかしいと思った所に君達が来たというワケさ」

 

 成程ね。まぁ、確証はないけど、多分ロケット団絡みなんだろうな。アニメではなかった話だが、ヤマブキが封鎖されているということは、多分シルフカンパニーが占拠されていると見た。ポケスペかゲームかはわからないが、少なくともロケット団がいることは間違いないだろう。

 

「サトシ、それにみんなも。僕に協力する気はないか?」

「いや、別にいいけど……勝手に俺達が協力したらワタルさんが怒らないか?」

「問題ない。協力するのは中に入るまでだ。そこからは僕一人でやる。君達もヤマブキを通りたいなら悪い話じゃないと思うけどね」

 

 確かに、俺としてもヤマブキを通れた方が先を進むのが楽なのは確かだ。しかし、それ以上に、もしゲーム通りにシルフカンパニーの事件なのだとしたら、サカキ様がいる可能性がある。

 シゲルだけワタルと戦った上にサカキ様とまで戦うとか、とても許せることではな――もとい、流石にシゲル一人じゃ手に余るだろう。いや、決して俺が戦いたい訳ではないぞ。手を組んだ方が互いに都合がいいだけである。

 

 と、いう訳で、シゲルに協力することにした俺達は、早速ヤマブキに侵入することになった。

 俺のマサラ式肉体言語術で無理やり押し通っても良いのだが、シゲルとしては出来るだけ慎重に行きたいらしい。こちらの動きがバレるリスクを負うのは避けたいと言われたので強硬策は却下になった。

 正面が駄目なら、侵入するには上か下しかない。

 俺としてはひこうポケモンの多さから上を選びたい所だが、シゲルは姿を見られるのを懸念して下から行くと言う。リーダーは一応シゲルなので、オーダーに従うことになった。

 

「一応、僕のニドキングが『あなをほる』を使える。けど、バレないように街から少し離れた所から始めたい」

「それじゃ、ニドキングの負担が大きすぎるんじゃないか?」

「だから、君達に協力を求めたのさ」

 

 ですよね。でも、俺の手持ちの中には『あなをほる』を使えるポケモンなんていねーぞ。

 

「あたしの手持ちも水タイプしかいないのよね……」

「俺のイワークが『あなをほる』を使える。イシツブテも使えなくはないんだが、人間も通れる大きさの穴となると厳しいな」

「二体か……ギリギリだけどやるしかないね。万が一の時は、イシツブテの力も借りるかもしれないから準備はしておいてほしい」

 

 と、いう訳で、ヤマブキから少し離れた場所から穴を掘ることになった。最初はニドキングが掘り進め、ある程度進んだらイワークと交代する。

 これを何度か繰り返し、穴を掘り進めていく。アニメではロケット団が三人でやっていたことだが、大型の地面タイプ二体と同等のロケット団ってそう考えると凄いよな。

 

 数時間かけてある程度掘り進めていくと、急にシゲルがフーディンをボールから出した。どうやらフーディンの超能力で出口になりそうな場所を探しているようだ。

 確かに、出口が街のど真ん中じゃ丸見えだし、敵がいる所に出ないとも限らないしな。

 

 しかし、出口を探していたフーディンに何かが起きたのか、いきなり困ったような声を出してシゲルの方を見る。ただ、シゲルもフーディンが何を言いたいのかわからないのか、こちらも困った顔をしていた。

 ここは俺の出番ということで、マサラ式肉体言語術ボディランゲージでフーディンの言いたいことを探って行く。他人のポケモンなので理解するのに少し時間がかかったが、どうやらフーディンは何者かに呼ばれていると言いたいようだった。

 

「呼ばれている? 誰に?」

 

 そこまではわからないのか首を横に振っている。

 だが、俺はこの時点で何となくフーディンを呼んでいる人間が誰なのか察しがついていた。考えても見ろ、ここヤマブキでエスパータイプのポケモンの超能力に干渉してくるなんてチートのようなことが出来る奴など一人しかおるまいて。

 

『正解。流石ね、サトシ君』

 

 こいつ、直接脳内に……!?

 

『フーディンの思念波をたどったのよ。少し時間がかかったけどね』

「誰なんだこの声は?」

 

 ヤマブキシティジムリーダーのナツメだよ。

 それ以外にこんな芸当が出来る人間なんておらんやろ。って、そうか、シゲルはヤマブキをスルーしてるから知らないんだっけ。とりあえず、ナツメの超能力についてシゲルにも軽く説明する。

 

『事情はよくわからないけど困ってるみたいね。もしよかったらうちまでテレポートさせてもいいけど?』

「彼女の家に?」

 

 ナツメの提案にシゲルが迷う素振りを見せるが、それは意外と有りな提案かもしれない。

 地下に居るからわかりにくいかもしれないが時間的にはもうすぐ夜になる。ここから地上へ穴を掘るにも時間がかかるし、テレポートして貰えば無駄な体力を使わなくて済むだろう。

 それにシゲルも、ニドキングのことを考えればどこかで休む必要がある。だが、その点もナツメの家なら安全性もばっちりだ。上手くすればロケット団のことについても何か知っているかもしれないし、総合的に考えても得しかない。つか、穴蔵暮らし飽きた!

 

 と、いう訳で、俺がシゲルを説得(我が儘を言った)し、ナツメにテレポートをお願いした。

 実際、シゲルもニドキングが疲れているのには気付いていたのだろう。ゆっくり休むように労っている。タケシもイワークを戻し、「良く頑張ったな」と声をかけていた。

 

 そのままナツメに詳しい事情を説明しようと思ったが、その前に俺の腹が「死ぬ」と大きな声で抗議してくる。続くように、カスミさんやタケシの腹も大きな音を出していた。

 そういえば何も食べていなかったということで、ナツメに頼んで晩飯をご馳走して貰うことにする。飯を食ったら眠くなってきたので、詳しいことについては明日説明するということで、今日は休ませてもらうことになった。

 

 

 

 10歳 ι月μ日 『シルフカンパニーの戦い 前編』

 

 一晩ぐっすり休ませて貰い、今は朝飯を食いながらナツメに今回の事情を説明していた。

 最初は初対面ということもあり、ナツメのことを不審がっていたシゲルだが、俺のナツメへの態度で信頼できると判断したようで、今では普通に接している。

 まぁ普通、初対面の見知らぬ女が自分に接触してきたら警戒するわな。おまけにチートのような超能力まで持ってるんだし。むしろ、一日で適応したことを褒めるべきである。

 

 だが、対するナツメは笑顔が戻ったとはいえ、長年ボッチを極めた女だ。そう簡単に性格が変わる訳もなく、俺以外の人間にはあまり関わろうとしなかった。おまけに、普段はジムに引きこもっているから外のことなんて知らないらしい。全く、使えない女である。

 

「穴も掘れないサトシには言われたくないんじゃない?」

「それはカスミも一緒だろ」

 

 お互いに言葉のクロスカウンター。

 昨日はやることなくて、俺とカスミさんは後ろにくっついていただけだったからな。

 

「とりあえず、僕はこの街を封鎖しているのがロケット団なのかどうかを調べる。サトシ達も先に進みたいならナツメさんに頼んでテレポートでもして貰うといい」

 

 そう言って、シゲルが街へ出かけていった。

 さて、どうするか。確かにナツメに頼めば、ハナダ所かトキワまで送ってくれそうだが、このまま見て見ぬふりをするのも後味が悪いというか、久しぶりに暴れたいというか。

 

「素直にシゲルが心配って言えば良いのに」

「仕方ないさ。サトシはひねくれ者だからな」

 

 俺ほど、素直さを売りにしているトレーナーもいませーん! ってことで、ナツメにこの街に起きている異常を調べられないか聞いてみることにした。

 まぁ、ほぼロケット団が原因だとは思うが、まだ確定した訳じゃないしな。万が一、サカキ様がいなさそうな事件ならシゲルに任せて先に進めばいいだろう。

 

 シゲルに対してはノータッチだったナツメだが、俺が頼むと素直に動いてくれた。ケーシィを街へ送り、その視界を共有することで情報を入手していく。

 すると、やはりシルフカンパニーの周りでロケット団の姿を確認した。どうやら俺の推測は正しかったようで、街の封鎖も奴らが原因で間違いなさそうである。

 

 ならば、行くしかない。シゲルより先に動いてサカキ様と戦うのだ。と、その前にナツメに頼んでポケモンセンターにテレポートして貰うことにした。サカキ様と戦える可能性があるのだ。俺も戦闘用のベストメンバーに手持ちを変えておきたい。

 

 すると、ヤマブキジムに転送装置があるというので貸して貰うことにした。ピカ様とトゲ様は固定として、パワーのあるサイドンに、エースであるリザードン、カウンターの鬼であるエビワラー、戦闘の天才であるゲンガーに手持ちを変更する。

 サカキ様のことを考えるなら、みずタイプを入れるべきなんだろうが、ここはパワーを重視することにした。万が一、持っている手持ちがじめんタイプじゃなかったら怖いしな。

 

 タケシは手持ちを変えないと言っていた。

 まぁ、何だかんだイワークやイシツブテ達もこの旅でかなりレベルが上がっている。今の手持ちはイワーク、イシツブテ、ズバット、ロコン、ケンタロス、パラセクトだが、全員俺のポケモンと近いレベルに成長していた。

 ちなみにカスミさんの手持ちは、スターミー、ヒトデマン、トサキント、コダック、タッツー、パルシェンである。トサキントとタッツーは水がないからなかなか育てられないようでレベルが少し低いが、それ以外は俺達とそう大差ないレベルだ(コダックは知らん)。

 

 準備が出来たので、シルフカンパニーへ行こうとすると、ナツメがテレポートで連れて行ってくれるという。どうもナツメは俺のことを初めて(唯一)の友達と思ってくれているようで、俺に対してかなり甘いというか、俺の役に立ちたいと思ってくれているようだ。

 まぁ、有り難いので素直に厚意に甘える。

 そのままナツメのテレポートでシルフカンパニーに乗り込み、ロケット団を殲滅していくことにした。残念だったな、ここから先はもうシゲルの出番はねーぜ!!

 

 

 

 




 原作との変化点。

・第60話『カメックスの島』の後、クチバへ行った。
 アニメだとどこに行ったか明言されていないが、第61話がハナダの話なのでクチバ辺りが無難だと判断した。

・ヤマブキが封鎖されていた。
 お茶を渡しても通してくれなかった。

・シゲルがワタルと一緒にロケット団を追っていた。
 前回のグレンで研究所の事件を解決していた。現在は二手に分かれてロケット団を追っている。

・ヤマブキに地下から侵入した。
 ポケスペっぽく結界張っても良かったのだが、ナツメが味方なので物理的手段で侵入するしかなかった。

・ナツメに協力して貰った。
 ナツメはニューサトシを唯一の友達として大事に思っているが故に、超能力で常に居場所を把握している。今回は自分の出番だと張り切って協力してくれているようだ。こういう女は依存や嫉妬が怖いが、ナツメはニューサトシに嫌われないように自重しているのでカスミさんが刺される心配はない。カスミさんとニューサトシも互いに恋愛感情を持っていないのも大きい。


 現在ゲットしたポケモン。

 ピカチュウ Lv.44

 ピジョット Lv.42

 バタフリー Lv.41

 サイドン  Lv.43→44

 フシギダネ Lv.42

 リザードン Lv.45

 ゼニガメ  Lv.41→42

 クラブ   Lv.41

 カモネギ  Lv.41

 エビワラー Lv.43

 ゲンガー  Lv.42

 オコリザル Lv.42

 イーブイ  Lv.25

 ベトベトン Lv.39

 ジバコイル Lv.40→41

 ケンタロス Lv.40

 ヤドン   Lv.40

 ストライク Lv.40

 トゲピー  Lv.1

 プテラ   Lv.40


 活動報告への返信ありがとうございました。これからも頑張って行きますのでよろしくお願いします。
 また、感想や誤字報告をしてくれる皆様もいつもありがとうございます。前者はモチベーション的な意味で、後者は小説的な意味で、いつも助かっています。




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#022 『お前達、どちらの応援をするつもりだ?』

 10歳 ι月μ日 『シルフカンパニーの戦い 中編』

 

 シルフカンパニーにテレポートしてきた。

 噴水が見えるのでおそらく一階だろう。階段を守っていたしたっぱ達が俺達に気付いたので、ピカ様の『10まんボルト』で気絶させて先に進むことにする。

 ゲーム通りならカードキーを手に入れたり、ワープパネルで部屋をいろいろ移動したりしないといけないのだが、こちらにはナツメがいるので超能力でどうにでもなるだろう。

 

 エレベーターは狭いので囲まれたら戦うのに不利ということで、階段で上の階を目指していく。ゲーム通りなら、屋上にサカキ様がいるはずだ。

 出来れば真っ直ぐ上の階を目指したいのだが、各階にシルフカンパニーの社員達が捕まっているので無視する訳にもいかなかった。

 

 したっぱの強さはムサシとコジロウ以下なので、ピカ様を始め全員で無双していく。

 当然、それだけ暴れれば警報が鳴る訳で、したっぱ達が下の階に増援として送られてくる。数が多くて面倒だが、そのおかげか三階でタケシのイシツブテがゴローンに進化していた。

 正直、数が多すぎて三人だと凌ぎきれるか怪しかったので、着いてきてくれたナツメには感謝である。

 

 そのまま四階へ行って社員達を解放すると、ここではポケモンに使える道具の研究をしているのか、サイドンの進化アイテムであるプロテクターを発見した。絶対に欲しい。助けたという事実を前面に押し出して、半ば無理やりプロテクターを貰っていく。

 

 見ると、おあつらえ向きにポケモンの交換装置もあったので、タケシのゴローンとプロテクターを持った俺のサイドンを交換してゴローニャとドサイドンに進化させる。いつかドサイドンに進化させたいとは思っていたが、まさかこんな早く出来るとは思わなかった。

 

 ウキウキで五階へ行くと、いつかタマムシで戦ったアポロの姿が見える。

 向こうも俺のことを覚えていたようで、「また我々の邪魔をするつもりか!」と言ってバトルを仕掛けてきた。

 

 一体目のマルマインにドサイドンを出す。見たこともないポケモンに驚いているアポロだが、そんなに驚いている場合じゃないぞ。

 何せ、前はサイホーンの時でさえ完封出来たのだ。当然、進化後に勝てる訳がなく、『ドリルライナー』でマルマインをワンキルしていく。

 本来なら『じしん』を使いたかったが、ここはビルの中なので倒壊する危険を考えて、『ドリルライナー』で妥協した。だが、それでも十分なパワーを持っており、進化後のパワーをこれでもかと見せてくれる。

 

 続いて出してきたゴルバットも『ストーンエッジ』でワンキルした。前と同じく『メガドレイン』されたが、進化したことで特性が『ハードロック』になり、効果抜群で受けるダメージが3/4になっている。タイプ不一致ということもあって十分に耐えられた。

 

 次にブーバーを出してきたが、『ドリルライナー』の前に沈んでいく。ドサイドンとなったことでサイドンの時以上のパワーを手に入れたとはいえ、前にあれだけ苦戦したアポロをここまで圧倒するとは思わなかった。

 それは向こうも同じ思いなのだろう。アポロも信じられないという表情を浮かべている。

 

 最後にマタドガスを出してきたが、ドサイドンは引かない。メガドレを受けているのに、まだまだ戦えるとばかりに大声を出していた。

 ならば行こう。『ドリルライナー』を指示し、ドサイドンが真っ直ぐマタドガスに突撃していく。しかし、かなりの早さである『ドリルライナー』をマタドガスは簡単に回避していた。

 これは特性が『ふゆう』っぽいな。と、すると、効果抜群の技がないドサイドンには等倍のいわ技くらいしか有効打がない――いや待て、ここはゲーム世界じゃないし、これも使えるか。

 

「ドサイドン、マタドガスを掴め。『つのドリル』だ!」

 

 本来、一撃必殺技は命中率が三割しかない。ゲームだとレベルの差だけ命中率が上がるが、ここはアニポケという名の現実世界だ。相手の動きを封じて確実に相手に技を当てるということも出来る。ぶっちゃけ卑怯だと思うが、この世界では対応できない方が悪かった。

 

 マタドガスを戦闘不能にし、まさかの4タテをする。アポロもまさかここまで惨敗するとは思わなかったのか、言葉もなく崩れ落ちていった。対する俺も勝てるとは思っていたが、ここまで圧倒的なバトルになるとは思っていなかったので驚いている。

 

 ドサイドンにタケシ特製のパラセクト傷薬を使いながら先に進む。しかし、幹部すら相手にならなかったということで、もう俺を止められる奴は存在しなかった。六階、七階と、続けてしたっぱ共をボコボコにしていく。

 

 七階にはゲームとは違って、一階のような水場があったので、カスミさんも絶好調である。

 トサキントやタッツーが活躍した上、進化フィーバーが来ているのか、カスミさんのトサキントがアズマオウに、タケシのズバットがゴルバットに進化していた。

 

 七階の社員を解放すると、ここではポケモンの研究をしていたようで、珍しいポケモンであるラプラスがいるらしい。社員曰く、このままでは、いつロケット団に取られるかわからないし、実力あるトレーナーである俺達に連れて行って欲しいとのことだ。

 

 これに反応したのがカスミさんである。みずタイプのトレーナーである彼女はラプラスを欲しがった。だが、それはこちらも同じである。オレンジ諸島で手に入るのかもしれないが、最終的に別れる以上、別のラプラスが手に入るならその機会を逃す訳にはいかなかった。

 

 とはいえ、今は非常事態である。長々と喧嘩している訳にもいかないので、どちらが選ばれても恨みっこなしで、ラプラス自身に選ばせることにした。

 俺を選べとばかりに思念を送っていると、思いが伝わったのか、俺の方に顔を寄せてくる。

 ショックからカスミさんが崩れ落ちた。

 すまんな。いつか、オレンジ諸島でラプラスを捕まえてくれ。そいつ、いずれ群れに帰るけどな!

 

 

 

 10歳 ι月μ日 『シルフカンパニーの戦い 後編』

 

 ラプラスがオーキド研究所に送られるのと同時に、下の階からシゲルが上がってきた。

 どうやら事件を調べているうちに、俺達が戦っていることに気付いたようで慌てて中に入ってきたらしい。自分の仕事を取られてご立腹なのか、「君達はロケット団を甘く見すぎている」、「君達の行動は無謀以外の何物でもない」等と散々文句を言っており、終いには「後は僕に任せて早く帰るんだ」と吐き捨て、そのまま上の階へと走って行った。

 

 しかし、そんな忠告を素直に聞かないのがニューサトシである。こうなってしまった以上、後の社員救出はシゲルに全てお任せして、俺達は先に進むことにした。ナツメにお願いして最上階までテレポートして貰う。これまでの戦いの間に、ケーシィにマッピングをさせていたようで、問題なく最上階に向かうことが出来た。

 

 最上階に着くと問答無用で社長室のドアを開く。

 中には社長らしきおじさんとサカキ様がいて、サカキ様がペルシアンで脅しを入れながら札束で社長の頬を叩いている(比喩)。

 どうやらゲーム同様、マスターボールを求めているようだ。もしサカキ様がマスターボールをゲットすれば、ミュウツーを拘束具なしで使える可能性があるということであり、そんなことになれば一生グリーンバッジがゲット出来なくなるので絶対に防がなければ。

 

 だが、サカキ様はこちらを舐めているのか、俺達を一目した後、サイホーンを出して、そのまま視線を社長に戻している。

 それはいくらなんでもこちらを甘く見すぎだ。突っ込んでくるサイホーンにドサイドンを出してカウンター気味に『アームハンマー』を食らわせてワンキルしてやる。

 流石のサカキ様も、まさか自分のポケモンがワンキルされるとは思わなかったのか、「なに?」と声を出して、本格的にこちらへ視線を向けてきた。

 その瞬間、ナツメが社長をこちらへテレポートして身柄を回収してくれている。グッドだ。

 

「成程。何やら下が騒がしいとは思っていたが、お前達が原因か。そういえば、前にアポロが子供に負けたという話があったが……お前だな?」

 

 質問と言うよりは、もはや断定口調だった。

 まぁ、間違ってはいないのだが。

 

 しかし、これでアポロを倒した=タマムシのアジトを壊滅に追い込んだのが俺というのもバレてしまったので、サカキ様の警戒度もマックスに跳ね上がったようだ。

 ペルシアンをこちらに差し向けてきたので、再びドサイドンで迎撃することにした。

 物理に関して、鉄壁の防御を持っているドサイドンである。当然、ペルシアンの攻撃などたいしたダメージにならず、そのまま『アームハンマー』でペルシアンを吹き飛ばした。

 

 一撃で倒れたペルシアンをモンスターボールに戻し、こちらを睨み付けてくるサカキ様。

 ここからが本格的なバトルか――と思ったが、ドサイドンを見ると、「初めて見るポケモンだな。サイドンの進化形か?」と聞いてくるので、素直に頷いておく。

 どうやらドサイドンについては知らなかったようで、黙ったまま何かを考え込んでいる。

 

 そのままサカキ様が、「試してみるか」と呟くと、ニドクインを出して『れいとうパンチ』を繰り出してきた。弱点の攻撃だが、タイプ不一致の物理技など『ハードロック』の前では無力も同然である。お返しに『ドリルライナー』でぶっ飛ばすと、ニドクインのダメージからこちらの攻撃力を判断したのか、そのままニドクインに止まるように声をかけていた。

 

「凄まじいパワーとタフネスだ。これは今の手持ちで相手をするのは少し面倒だな」

 

 言葉と裏腹に余裕の表情を浮かべたまま、サカキ様が「残念だが、ここは素直に撤退させて貰う」と言って、ニドクインに『じしん』を指示した。

 ビルが倒れんばかりに大きく揺れる。

 かなりの威力に思わず立っていられなくなったので膝をつくと、ニドクインが『ばかぢから』で建物の壁を破壊していた。まさか、飛び降りる気か? ここは十一階だぞ。

 

「最後に、名前を聞いておこうか」

「……俺の名前はサトシ。マサラタウンのサトシだ」

「そうか、サトシ。いずれまた会うこともあるだろう。その時は、本気で相手をしてやる」

 

 そう言って、サカキ様がニドクインをボールに戻して飛び降りた。すぐに壊れた壁に駆け寄ると、下から黒塗りのヘリが上昇してヤマブキから去っていく。どうやら、俺とのバトルの間に隠れてヘリを呼んでいたようだ。

 しかし、これでサカキ様のマスターボール強奪計画はとりあえず阻止できた。ただ、アニメと違ってサカキ様に名前を覚えられてしまったのが問題か。「オムライスケチャップ郎」とか言って、偽名でも名乗っておけば良かったかも知れない。

 

 俺達に助けられた社長がお礼を言って、サカキ様が求めたマスターボールを出してくる。

 聞けば、マスターボールはこの世に一つしか存在せず、どんなポケモンもゲットして従えることが出来るらしい。今回はそれをロケット団に狙われた訳だ。

 社長もこんなボールは作らない方が良かったと後悔しているようで、今回のお礼とばかりに俺達へマスターボールを厄介払いしてきた。

 ゲームなら、これでミュウツーでも捕まえるのだが、この世界じゃ伝説のポケモンなんか捕まえても良いことないだろうしなぁ。まぁ、貰えるものは貰うの精神で受け取っておくが使う機会は多分ないだろう。

 

 サカキ様とのバトルは若干消化不良だったが、これ以上ここにいてシゲルにバレたら後がうるさいので、このままナツメのテレポートでヤマブキジムへ撤退することにした。

 社長には俺達のことはくれぐれも内密にとお願いしてあるのでバレることはないだろう。

 

 ヤマブキジムに戻った後、回復装置を使ってポケモン達を回復させていると、俺がバトルに満足していないことを察したのか、ナツメが自分とのバトルを提案してきた。

 まぁ、表向きは俺のためのようだが、本当はこのままお別れするのが寂しいのだろう。

 思えば、前回のバトルはお笑いポケモン達のせいで台無しになったし、俺もまだ戦い足りなかったので改めてナツメとバトルすることにした。あの時と比べて俺達もレベルが上がっているので楽しみである。

 

 バトルフィールドに行くと、ゲンガーとゴーストが俺に気付いて飛びかかってきた。相変わらずのようで、いつも通りコントをして遊んでいる。

 ナツメが「この子達は、いつもここにいるの」と言っており、どうやらナツメのポケモンではあるものの、基本的には放し飼いにしているようだ。

 一応、ジム戦の邪魔はしないように言ってあるらしいので、ジム戦が終わるまでは静かにしているらしい。俺達もこれからバトルをすると話すと、観客席に移動して応援の準備をしていた。お前達、どちらの応援をするつもりだ?

 

 公式試合ではないので、ナツメも本気メンバーで戦ってくれることになった。シルフカンパニーでは最低限のサポートをする以外は、俺のことを尊重してくれていたので、どんなポケモンが出てくるか予想もつかない。

 俺の方もメンバーを対ナツメ用に変更した。

 トゲ様を除くと、ピカ様、バタフリー、リザードン、ゲンガー、ストライクと、ピカ様とリザードン以外は滅茶苦茶にエスパーメタのメンバーである。

 

 トゲ様がいる都合上、フルバトルだと俺が不利なので3対3になった。先手必勝とばかりに早速ゲンガーを出すと、ナツメも初っぱなからフーディンを出して来る。マジかよ、フーディンは切り札だからもっと後に出てくると思った。

 

「サトシ君。良い機会だから見せてあげる。ポケモンには通常の進化を超えた別の進化が存在するのよ」

 

 そう言って、ナツメが長い髪を掻き上げて耳を出す。そこにはイヤリングがついており、前世のゲームで見覚えのある綺麗な石がついていた。

 よく見れば、フーディンのスプーンにも対応するであろう石が加工されて付けてあるのを見て思わず俺の頬が引きつる。まさか、無印時代やぞ――

 

「ポケモンとの絆が進化を超える、それが――メガシンカ」

 

 ヒッキーのお前がどこからメガストーン持ってきた。とか、ツッコミ所は山ほど有るが、それ以上にナツメのメガフーディンのパワーが圧倒的すぎて言葉にならなかった。

 戦わなくても分かる。それこそ、かつてピカ様でタケシの本気イワークと戦った時のような力の差を感じた。駄目だ、これは勝てない――

 

 その後、当然のようにメガフーディンに3タテされ、俺は見事に天狗だった鼻を叩き折られた。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・シルフカンパニーで大暴れした。
 三人で無双した。ナツメはニューサトシを尊重して、撃ち漏らしを叩くくらいしかしなかった。

・ドサイドンに進化した。
 プロテクターを強奪した。ついでにアポロを抹殺した。

・進化ラッシュが来た。
 アニメでは進化しない、イシツブテ、トサキントが進化した。ズバットも早期に進化した故に後のフラグがいろいろ折れた。

・ラプラスを手に入れた。
 シルフカンパニーはやっぱりラプラスよ。

・サカキ様に名前を憶えられた。
 調子に乗ってドサイドンを出したせいで覚えられた。偽名を名乗っておけば良かったと後悔している。

・マスターボールを手に入れた。
 ニューサトシは伝説捕まえるの否定派なので基本的に使わない。ゲームだったら使ってた。

・ナツメと本気のバトルをした。
 メガフーディンに三タテされた。ナツメからの愛の鞭である。


 現在ゲットしたポケモン。

 ピカチュウ Lv.44→45

 ピジョット Lv.42

 バタフリー Lv.41

 サイドン→ドサイドン Lv.44→45

 フシギダネ Lv.42

 リザードン Lv.45→46

 ゼニガメ  Lv.42

 クラブ   Lv.41

 カモネギ  Lv.41

 エビワラー Lv.43→44

 ゲンガー  Lv.42→43

 オコリザル Lv.42

 イーブイ  Lv.25

 ベトベトン Lv.39

 ジバコイル Lv.41

 ケンタロス Lv.40

 ヤドン   Lv.40

 ストライク Lv.40

 トゲピー  LV.1

 プテラ   Lv.40

 ラプラス  Lv.35 NEW!




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#023 『君、思ったよりセンスあるんじゃね?』

 10歳 ι月ν日 『メガシンカってずるやん』

 

 まさかのメガシンカだった。

 結局、あの後もう一日泊めて貰い、ナツメからメガシンカについて詳しい話を聞いたのだが、どうやらナツメはポケモンリーグ協会からカロス地方で研究中のメガシンカのテスターに選ばれたらしい。

 確かに、ナツメは心を閉ざしていた時代から、カントー地方のジムリーダーの中でもトップクラスの実力者である。そんな話が来てもおかしくはなかった。

 特に家族にすら心を開いていなかったナツメにとって、ポケモンは家族も当然だ。メガシンカに必要な絆も十分に足りているだろう。

 

 しかし、それでもまさかあそこまで一方的にやられるとは思わなかった。ゲンガーはサイコキネシスでワンキルされ、バタフリーも同様である。

 最後に出したリザードンはサイキネで動きを封じられた中、何とか気合いで『ブラストバーン』を打って一矢報いようとしたが、結局はすぐに倒された。

 

 ぐぅの音も出ない完敗である。

 

 しかし、あの時、リザードンの肌が一瞬赤くなったような気がしたんだが、あれは気のせいだったのだろうか?

 

 

 

 10歳 ι月ο日 『ハナダジムってジムの仕事してんの?』

 

 ナツメにボコボコにされて(別のメンバーで再挑戦してまた負けた)から数日。修行ということでナツメのテレポートではなく、歩いてトキワを目指すことにした。

 その途中でハナダシティのジムに寄ったんだが、聞く所によると最近はショーの人気がないらしい。

 お前らジムリーダーじゃねーのかよとも思ったが、何だかんだ家族に優しいカスミさんがショーに協力することになった。打開策として水中バレエショーをするということで、カスミさんも一生懸命練習しているようだ。

 

 対する俺は暇なので、対サカキ様のトレーニングをさせつつ、そろそろトゲ様にバトルの練習をさせてみることにした。とはいえ、本格的なバトルはまだ無理だと思うので、あくまでも練習である。

 

 試しに何を覚えているのか図鑑で確認してみたのだが、レベル技である『はたく』と『なきごえ』は当然として、何故か教えた覚えのない『わるだくみ』と、タマゴ技と思わしき『じんつうりき』を覚えていた。後ろ二つはアニメではなかった技だな。

 

 本当に使えるのか確認する意味も兼ねて、兄貴分であるピカ様にお願いして相手役をして貰うことにする。アニメではカスミさんが甘えに甘えさせているので、無印編ではずっと赤ちゃんのままだが、俺は優しくしつつも時には厳しくしているのでやるときはやるトゲ様なのだ。

 

 模擬バトルをスタートすると、やる気十分とばかりにトゲ様がピカ様に『はたく』を出す。ピカ様が余裕の表情で受けようとするが、思ったよりも威力があったのか体が流れていた。その隙を突いて、トゲ様が『じんつうりき』でピカ様をぶっ飛ばしている。

 おまけに、ピカ様がぶっ飛んだ隙に『わるだくみ』まで積み始めた。ちなみに、ここまでで俺が指示したのは、最初の『はたく』のみである。

 

 あれ? 君、思ったよりセンスあるんじゃね?

 

 ピカ様もまさかまだ赤ちゃんであるトゲ様にここまでやられると思っていなかったのか、かなり驚いた表情をしていた。

 だが、一番驚いているのは俺である。何せ、トゲ様がやって見せた一連のバトルの動きは、どこからどう見ても俺の戦い方そのものだった。

 

 どうやら、今までのバトルをしっかり見て覚えていたらしい。ぶっちゃけ、俺は今まで赤ちゃんということもあって、バトル面ではトゲ様にあまり構っていなかったので、本当に自分で学習したようである。

 ポケモンは育て方一つで変わるものだが、まさかトレーナーが俺に変わっただけでここまで変化するとは思わなかった。予想外の拾いものだ(タマゴを拾っただけに)。

 

 

 

 10歳 ι月π日 『何でや! コダックさん可愛いやろ!』

 

 ショーの最中、いつも通りロケット団が乱入してきた。飛び入りでショーに乱入してロケット団をやなかんじーにしたのだが、観客達には良い具合にショーのイベントだと思わせることが出来たようである。また、このバトルで、ジムのパウワウがジュゴンに、カスミさんのタッツーがシードラに進化していた。

 

 途中、ハプニングはあったものの、何とかショーも成功を収めている。ただ、カスミさんが行くとショーのポケモンが足りないということで、ヒトデマンとアズマオウの二体を預けていた。カスミさんはコダックも預けようとしたが、泳げないコダックはいらないと突っ返されている。可哀想なコダックさんであった。

 

 

 

 10歳 ι月ρ日 『ピッピが宇宙船作ってるんだけど』

 

 野生のピッピが宇宙船を作っている。

 これを読んだ人間は、俺が何を書いているのかわからないだろうが、実際に俺も何を書いているのか良くわかっていなかった。

 ガラクタとか、玩具の宇宙船だとか、そんなチャチなもんじゃあ断じてない。冗談抜きでUFOのような宇宙船を作っていたのだ。

 

 どうやら人間の道具を盗んで材料にしているらしい。街の中は、ピッピ達に物を盗まれて大パニックである。

 俺達も荷物を盗まれたのでピッピ達の後を追ったのだが、その途中で何故かプリンさんと合流した。

 聞くと、プリンさんもマイク(マジックペン)を取られたようでとても怒っている。

 そのまま宇宙船の中に乗り込むと、プリンさんがピッピ達を『おうふくビンタ』でボコボコにしていた。今にしてみれば、一体くらいゲットしておけば良かったと思っている。

 

 その後、何だかんだ荷物は取り返したのだが、何か凄いことに巻き込まれた一日だった。

 

 

 

 10歳 ι月υ日 『強くなってはいる。いるはずだ』

 

 ニビシティに着いたので、今日はタケシの家で一泊させて貰うことになった。当然のようにジムのバトルフィールドを借りて、対サカキ様の特訓もそろそろ仕上げ段階に移行する。

 実は、ヤマブキを出た段階で、既に使うポケモンは決めていた。万が一、フルバトルになった時のために6体フルで育成中である。ただ、それでもレベルはまだ50になっていない。

 この世界はアニメと違って、明確にレベルの概念があるのだが、だからこそポケモンをある一定のレベル以上にあげるのはとても大変だったりするのだ。

 

 特にレベル40以上になると経験値効率がかなり悪くなってくる。50以上になるとそれ以上と言っていいだろう。だからこそ、レベル50以上で進化するポケモンを進化させられるのは、それだけの実力を持ったトレーナーという証でもあった。

 

 アニメでサトシ君とシゲル以外のマサラトレーナーがバッジを8個手に入れられなかったのも、その辺が関係しているのかも知れないな。レベル40以上になる6個目のバッジからは入手がとても難しくなってくる。

 

 一応、俺の手持ちは今の所順調にレベルが上がっているし、多少のレベル差なら引っくり返せる自信はあった。しかし、それでもサカキ様が本気で来たら勝てるかどうか怪しい所である。

 普通ならバッジ7個の俺はレベル上限が最大50に固定されるのだが、俺に恨みのあるサカキ様ならベストメンバーで臨んで来てもおかしくはない。ジムリーダーの本気ポケモンなんてレベル50は余裕で超えているだろう。ナツメのフーディンも56レベルだった。

 

 せめて俺の適性がみずタイプならまだ自信も持てるんだが、水系の呪いは伊達ではないようで、レベルはもう十分のはずのゼニガメは『ハイドロポンプ』を覚えていないし、今現在俺が持っているみずタイプのポケモンは全員進化前である。

 

 何より、俺の頭を悩ませているのはミュウツーの存在だ。サカキ様のことだ、ピンチになれば間違いなく投入してくるだろう。メガフーディンにすら勝てない今の俺のポケモン達じゃ逆立ちしたって勝てるはずがなかった。

 

 

 

 10歳 κ月β日 『トキワシティ ジム戦 VSサカキ 前編』

 

 結局、答えが出ないままトキワシティに着いた。

 アニメではシゲルが登場していたが、あいつはまだヤマブキにいるはずなので、原作のようにバトルを先に取られる心配はない。だが、だからこそミュウツーが俺に襲い掛かってくるのはまず間違いなかった。

 

 ポケモンセンターで手持ちの回復を終えると、すぐにトキワジムへ向かう。まだ対ミュウツーの作戦は何も思いついていないが、ここまで来たらもう行くしかない。

 タケシとカスミさんも、俺が今までにないくらい緊張しているのを見て不安そうにしている。そのままトキワジムの前に行ったのだが、ジムの前で何やら赤いマントを付けた見覚えのあるイケメン――四天王のワタルが仁王立ちでトキワジムを睨んでいた。

 

「ワタルさん?」

「ん? おぉ、サトシ君じゃないか。久しぶりだね。シゲル君もそうだが、君も大きくなったな」

「最後にあってから一年くらいしか経っていませんけどね」

「子供の一年は大きい物さ。ここにいるということは、君もトキワジムに?」

 

 イエスと頷くと、ワタルは難しい顔をして何かを考えている。そういえば、シゲルが言っていたな。ワタルはグレン、ヤマブキの他にトキワをロケット団の拠点として睨んでいると。つまり、ここまでたどり着いたと言うことか。

 

 一応、シゲルにヤマブキであって、ある程度の話を聞いていることをワタルに話す。すると、話が早いと言わんばかりに、ワタルが周囲を見渡し、こちらに顔を近づけてきた。

 

「俺の調査では、トキワジムがロケット団に関係している可能性が高い。だから、今から調査しようと思っているんだが、そうなるともしクロだった場合、しばらくの間トキワジムは運営停止状態になるかもしれないんだ」

「それは困りますね。ちなみにワタルさんはどのくらいクロと思ってるんですか?」

「七割と言った所だな。クロ寄りだ」

 

 実際クロなので、まず間違いなくトキワジムのリーダーはサカキ様から変わるだろう。そうなると、俺は別の街にバッジを取りに行かなきゃ行けなくなる。

 ぶっちゃけ、ゲーム以外の街の情報など全く知らないので、最悪ポケモンリーグに間に合わない可能性すらあった。つまり、何としてでも、俺はここでバッジを取らないと行けないということである。

 

「ワタルさん、こうしませんか? 俺がジム戦をしてジムリーダーの注意を引きつけます。その間に調査して下さい。ただし三十分は様子見でお願いします。その間にジム戦を終わらせますから」

 

 結局、サカキ様も俺に正体がバレたら逃げるだろうし、元々チャンスは一回しかないのだ。ならばそれを有効に使おう。ワタルもそれが調査に有効なら嫌とは言わないはずだ。

 

「……わかった。バッジを集めている君にはバトルをする権利があるからね」

 

 悩んだようだが、そういって許可をくれた。

 そういう訳で一度きりのトキワジムチャレンジ開始である。ジムを守る門番に「マサラタウンのサトシだ。トキワジムに挑戦しに来た」と言って中に入れて貰う。

 堂々と名乗ったので、中のサカキ様にも伝わるはずだ。これでもう逃げ場はない。まぁ、元々逃げる気などないが。

 

 中に入ると、ベーシックなフィールドが広がっていた。ジムリーダーであるサカキ様は、二階に座っており、見下ろすようにこちらを見ている。

 ジムのライトの角度もあって上手く顔が見えないが、シルエットと隣のペルシアンで大体誰なのかはわかったのだろう。カスミさんとタケシが驚いたように声を出していた。

 

「まさか本当にロケット団が関係していたなんて!」

「いや、関係しているなんてもんじゃない。ジムリーダーがロケット団のボスなんだ!」

 

 サカキ様もそれを聞くと、バレては仕方ないとばかりに笑って顔を見せてくる。だが、今ここに至ってはジムリーダーがロケット団だろうと関係なかった。

 

 俺はジム戦をしに来たのだ。

 7個のバッジを見せ、公式戦を申し込む。

 

 サカキ様も逃げる気はないようで、「次は本気で相手をすると言ったな。フルバトル6対6、レベル制限はなしだ」と、無情な宣告をしてくれた。

 それを聞いたタケシとカスミさんが抗議するも、「嫌ならジム戦はなしだ」と言われて黙っている。大丈夫だ、こうなることは予想していた。問題ないと伝え、ボールを構える。

 サカキ様もコンソールを操作し、ボールを6個用意していた。やはりペルシアンはペット枠なのだろう。フルメンバーには入っていないようだった。

 

 サカキ様の一体目はダグトリオ、俺はゼニガメである。やはり、何だかんだタイプ相性と言うのは大事だ。

 バトルが開始されると、ゼニガメに『みずのはどう』を指示し、混乱を狙っていく。しかし、ダグトリオの動きは速く、『みずのはどう』を避けるように『あなをほる』を使って、ゼニガメを攻撃しようとしていた。『てっぺき』を指示して防御を二段階上昇させるが、レベル差のせいもあり結構な衝撃を受けているようで、ゼニガメが顔をしかめている。

 

 続けてダクトリオに『すなじごく』を指示して動きを封じようとしてきたので、『こうそくスピン』を指示して砂から脱出させた。そのまま『みずのはどう』を指示し、カスミさんが使ってきたユナイトコンボを擬似的に再現してダグトリオにダメージを与える。

 運のいいことに混乱も与えられたようで、サカキ様が『じしん』を指示しているが反応できていない。トドメの『ハイドロカノン(未完成)』を指示すると、ダグトリオを戦闘不能まで持って行った。

 

 混乱のおかげで何とか有利なバトルが出来た。「やはり、やるな……」と笑うと、サカキ様が次のガラガラを出してくる。

 そのまま『かたきうち』を指示し、ゼニガメを攻撃してきた。『てっぺき』で防御が二段階上がっているとはいえ、『かたきうち』は直前に味方が倒れているとダメージが二倍になる技である。倒れはしなかったが、それでもゼニガメもダメージが大きいのか、膝をついていた。ここは一旦ゼニガメをボールに戻す。まだゼニガメの力は必要だ。

 

 次にフシギダネを出し、『やどりぎのたね』を指示した。これでフシギダネは毎ターン体力が回復していくので有利に戦えるだろう。

 対するサカキ様は『れいとうビーム』を指示。まさかの弱点攻撃を受け、フシギダネがダメージを受ける。おまけに氷状態になったようで、フシギダネの足が止まった。

 それを見逃すサカキ様ではなく、『あばれる』と『ボーンラッシュ』を組み合わせた高火力のアニポケ殺法を仕掛けてくる。動けないフシギダネに避けるすべはなく、そのまま一気に戦闘不能まで持って行かれた。

 

 今回は逆に俺の運がなかったか。だが、落ち込んでいる場合ではない。ピカ様を出して一気に攻め込む。

 じめんタイプにでんきタイプを出してきた俺を笑うように、ガラガラが前回から続く連続攻撃を仕掛けてきたが、『なみのり』を指示して動きを封じた。

 不一致とはいえ、みずタイプの攻撃を受けてガラガラが正気に戻る。そのまま技の反動で混乱すると、サカキ様がガラガラをボールに戻した。まさかピカチュウが『なみのり』を打ってくるとは思わなかったようで、少し驚いたような顔をしている。

 

 こちらもピカ様を戻して勝負は仕切り直しになった。これで互いに一体を失い、一体は大ダメージを受けている。残りのポケモンは4体。果たして、ミュウツーが出てくるのかどうか。本当の勝負は、ここからだった。

 

 

 




 原作との変化点。

・ナツメがメガシンカのテスターになっていた。
 なので、全てのジムリーダーがメガシンカを使える訳ではない。

・第61話『ハナダジム! 水中の戦い!』より、トゲ様の模擬バトルをした。
 何故か悪巧みと神通力を覚えていた。おまけにニューサトシのバトルをしっかり覚えている。ニューサトシはもっと先を見据えていたが、もしかしたら悪魔が登場するのはそう先の話ではないのかもしれない。

・カスミさんのタッツーが進化した。
 アニメと個体が違うので普通に進化した。

・ジムに置いて行くポケモンが違った。
 本来、タッツーとスターミーを預けていくが、前回のロケット団とのバトルのように力が必要になると思い、ヒトデマンとアズマオウに変更した。

・第62話『ピッピVSプリン』より、荷物を取り返した後普通に脱出した。
 アニメではプリンさんの歌で眠ってしまったせいで宇宙船が飛んでいたが、ニューサトシは耳栓で対策しながらカスミさんを抱えて飛ぶ前に脱出した。

・第63話『トキワジム! 最後のバッジ』より、ワタルがトキワジムの調査に来た。
 ばれたらサカキ様が雲隠れするので、失敗は許されなくなった。

・サカキ様の本気メンバーとフルバトルをすることになった。
 レベル差は5~7はある。ニューサトシのバトルセンスで互角に持ち込ませている。

・この世界ではレベル50以上にするのはかなり大変。
 四天王のポケモンでもエースが60くらい。それだけ経験値効率が悪くなる。ここまで来ると、レベルよりも戦術が重要になってくる。


 現在ゲットしたポケモン。

 ピカチュウ Lv.45→49

 ピジョット Lv.42→43

 バタフリー Lv.41→42

 ドサイドン Lv.45→49

 フシギダネ Lv.42→46

 リザードン Lv.46→50

 ゼニガメ  Lv.42→46

 クラブ   Lv.41→42

 カモネギ  Lv.41→42

 エビワラー Lv.44→45

 ゲンガー  Lv.43→47

 オコリザル Lv.42→43

 イーブイ  Lv.25

 ベトベトン Lv.39→40

 ジバコイル Lv.41→42

 ケンタロス Lv.40→41

 ヤドン   Lv.40→41

 ストライク Lv.40→41

 トゲピー  Lv.1→2

 プテラ   Lv.40→41

 ラプラス  Lv.35→36


 


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#024 『だからどうした……!』

 10歳 κ月β日 『トキワシティ ジム戦 VSサカキ 後編』

 

 サカキ様の三体目はサイドンだった。こちらも相対するようにドサイドンを出す。向こうも予想していたのか、「やはり来たな……」と、小さく笑みを浮かべていた。

 

 向こうがサイドンに『つのドリル』を指示してきたので、こちらも『つのドリル』で相殺していく。いくらレベルに差があるとはいえ、こちらは単純に種族値で勝っていることもあり、威力はほぼ互角だった。

 サイドンとドサイドンの角がぶつかり合い、最終的には体の小さいサイドンが弾かれている。

 

 とはいえ、技の威力はほぼ相殺されきっていたようで、体勢を崩しただけだった。しかし、隙は隙だ。即座に追撃の『アームハンマー』を指示する。向こうも同じく『アームハンマー』を指示するが、ドサイドンの方が有利な状況だった。

 また、『ハードロック』の特性もあって、こちらは思っていた以上にダメージが少ない。逆にサイドンは結構ダメージを受けていた。向こうの防御力も決して低くはないのだが、それ以上にドサイドンの攻撃力が高いのだ。嬉しい誤算だった。

 

 向こうが『じしん』を繰り出してくるので、こっちも『じしん』を返す。互いの『じしん』が衝撃として両方を襲ったが、ドサイドンも結構ダメージを受けた。しかし、サイドンはもっとダメージを受けたようで、そのまま戦闘不能になっている。

 

 サカキ様もこの結果は読めていたのか、「ふっ、やはりそいつは強いな」と笑ってサイドンをボールに戻した。あの反応を見るに、多分サイドンとドサイドンの差を改めて確かめるためにわざとサイドンを捨て駒にしたっぽいな。

 勿論、負けるつもりはなかったのだろうが、それでも本気ならもっと慎重な立ち回りをしたはずだ。真正面からレベル差を覆せるかどうか、サカキ様はドサイドンの正確な能力を測ろうとしたのだろう。正直、こちらとしてはかなり助かる判断だった。

 

 続けて、サカキ様はニドキングを出して来る。

 技のデパートと呼ばれるくらい技を覚えるニドキングならドサイドンの弱点技を多く使えるだろう。ドサイドンを戻して、ゲンガーを出すか悩んだが、『ハードロック』なら耐えられると判断し、ドサイドンを続投させる。

 

 そのまま『じしん』を指示。向こうは『れいとうビーム』で弱点を突いて来た。耐えるかと思ったが、サイドンからのダメージが予想以上に大きかったようで、ドサイドンの体が崩れる。

 だが、こちらを倒したニドキングもまた仰向けに倒れた。どうやら『じしん』が急所に当たったらしい。共に戦闘不能となった。

 運が良い。ドサイドン一体で二体倒せたのは、かなりのアドバンテージと言って良かった。

 

 サカキ様が舌打ちをしながらニドキングを戻し、ガラガラを出してくる。対するこちらはゲンガーを出した。ノーマルタイプの技である『かたきうち』と『あばれる』はこれで封じられる。

 おまけにじめん技である『ボーンラッシュ』だが、実は俺のゲンガーは今では絶滅危惧種の『ふゆう』ゲンガーなので回避可能だった。

 結局、『れいとうビーム』しか有効打がないガラガラだが、それを知らないサカキ様は素直に『ボーンラッシュ』を指示してくる。技が効かないことにはすぐに気付いたようだが、それは致命的な隙だった。こちらもナツメから貰った技レコードで覚えさせた『サイコキネシス』を使って、一気にガラガラを戦闘不能に持って行く。

 

 これでサカキ様は4体、こちらは2体戦闘不能になった訳だ。正直、ここまではかなり順調に来ている。

 勿論、運が良かったというのもあるが、サカキ様がこちらを試しているというのも大きい。サイドンの時のようにポケモンを捨てる戦い方をしていなければ、こちらももっと苦戦していただろう。

 

 そういう所から見ても、本気という割には遊んでいるように見える。やはり、後ろにはミュウツーがいるからこその余裕か。

 とはいえ、気持ちはわかる。仮に次の一体をこちらが無傷で倒したとしても、ミュウツーなら簡単に差を覆すことが出来るだろう。

 

 もし、ミュウツーがゲームと同じならレベルは70と見て良い。アニメや映画の強さから見ても、それくらいはあるはずだ。当然、能力的にはナツメのメガフーディン以上だろう。ついこの間、ナツメに三タテくらったばかりの俺達が真正面から勝てる相手ではなかった。

 

 泣き言ばかり書いてはいるが、勿論簡単に諦めるつもりはない。ないが、何か抜け道を探さないとこのままでは確実に壊滅させられる。

 何かないか? 一発逆転できるような、そんな裏ワザのようなもの。今の俺にも出来て、ミュウツーを倒す。いや、引き分けにでも持ち込めるそんな裏ワザ――

 

「……あった」

 

 俺がそう呟くのと同時に、サカキ様が5体目のニドクインを出して来た。こちらは一旦ゲンガーを戻してゼニガメを出す。

 見つけたぞ。対ミュウツーの攻略法。これだ、これしかない。むしろ、何で今まで思いつかなかった。これなら誰が相手でも100%勝てる。

 

 待て、落ち着け。今は目の前のニドクインだ。万が一もあるし、出来ればゼニガメでここは決めたい。

 見れば、ゼニガメも肩で息をしている。体力がヤバいのは一目でわかった。もう一撃で決めるしかないので、最大技である『ハイドロカノン』を指示する。対するニドクインは『かみなり』を打ってきた。

 どちらの技も当たるが、残念ながらゼニガメに耐えるだけの体力は残って居らず戦闘不能になる。しかし、ニドクインは未完成とはいえ苦手タイプの究極技を受けたことにも関わらず予想外にダメージが少なかった。

 これは、このニドクイン、シルフカンパニーの個体と違ってかなり能力値が高いな。多分、切り札の一体だ。

 

 ゼニガメを戻し、もう一度ピカ様を送り出す。ここは絶対に勝ちたい。ニドクインの『じしん』に対し、『なみのり』で攻撃を回避する。昔と違って、フィールドが揺れても『なみのり』を維持しており、『じしん』の振動攻撃を受け流して行った。

 

 予想外なかわし方をされて驚くサカキ様。

 そのまま『なみのり』がニドクインを直撃し、ニドクインが倒れる。ダメージはあまり受けていないようだが想定内だ。その隙を突いて『わるだくみ』を指示し、ピカ様の特攻を上げる。『じしん』が通用しないことがわかり、サカキ様が『あなをほる』を指示してきた。対するこちらは『かげぶんしん』で回避率を上げつつ、攻撃の的を絞らせないように動く。

 

 だが、流石はサカキ様、的確に本物を見抜いてくる。かなりの大ダメージを受けたピカ様だが、何とか気合いで戦闘不能になるのは避けた。そのまま『なみのり』で一気にニドクインを戦闘不能に持って行こうとする。

 しかし、向こうも『れいとうビーム』で『なみのり』を凍らせてきた。必殺の『なみのり』が凍り、ピカ様が驚いたがダメージを受ける前にバックステップして追撃を回避している。

 

 とはいえ、こちらの有効打が『なみのり』しかない以上、もはや勝つには向こうを超える『なみのり』をするしかない。何とか隙を突いて、もう一度『わるだくみ』を積んで威力でゴリ押すか、もしくは後のことを考えずにここで全ての技を使うしかなかった。

 

 悩んだ結果、ピカ様に『ひかりのかべ』を指示し、特殊攻撃の威力を半減させる。これで『れいとうビーム』で凍るより先に攻撃出来るだろう。

 サカキ様もこちらの意図を察したのか、『ひかりのかべ』を見ると素直にニドクインをモンスターボールに戻した。そのまま小さな笑みを浮かべて指をパチンと鳴らす。

 

「認めよう。お前は俺の想像を超えて強かった。ポケモンのレベルこそまだまだだが、そのマイナスをバトルセンスやコンビネーションで上手く対応している。能力的にはジムリーダーの本気と同等と言って良いだろう。だからこそ、お前には絶対の力による本当の恐怖を見せてやる」

 

 サカキ様がそう言うと、俺達の目の前の壁が上がっていき、中に居た機械の拘束具を付けたポケモンがこちらへ歩いて来た。間違いない、ミュウツーだ。

 ピカ様は既に技を4つ使ってしまっているので、得意のでんき技を使うことは出来ない。すぐに『なみのり』を指示するが、その前にミュウツーの『サイコキネシス』で、ピカ様が壁に叩き付けられ戦闘不能になった。

 当然である。もうピカ様には体力が残っていなかった。『ひかりのかべ』で特殊攻撃を半減しても耐えられるものではないだろう。

 

 真の勝負はここからだ。

 再びゲンガーを出すと、ミュウツーが問答無用で『サイコキネシス』を仕掛けてくる。『ひかりのかべ』で威力が抑えられているが、それでも効果抜群なこともあり大ダメージを受けたゲンガーが苦しそうな声を出していた。

 ここしかない。『みちづれ』を指示し、そのまま相打ちを狙う。ミュウツーは気にせず攻撃を続けていた。このまま行けば勝てる。

 だが、流石に『みちづれ』はまずいと思ったのか、慌てたサカキ様が装置を使い、ミュウツーの動きを止めさせた。

 

 すぐにゲンガーが解放されるが、出来ればそのまま倒したかった所だ。『ひかりのかべ』はミスだったか?

 いや、結局、『ひかりのかべ』の軽減がなければ技を打つ前に倒されていたんだ。ミスではない。

 

 どうなるにせよ、こちらは何度でも『みちづれ』だ。それしかない。

 しかし、サカキ様もこちらの策をわかった以上、迂闊な攻撃はしてこないようで、すぐに装置を通じてミュウツーに何か指示を出していた。

 何だと思って見ていると、ミュウツーが中指を立ててゲンガーを煽ってくる。やられた、『ちょうはつ』だ。これでゲンガーは攻撃以外の技を使うことが出来ない。

 ゲンガーが怒ったようにミュウツーに『シャドーボール』を仕掛けていく。だが、ミュウツーは冷静に『サイコキネシス』で一気にこちらを戦闘不能にしてきた。

 

 これで、こちらの残りは後一体。リザードンのみである。相打ち作戦が失敗した今、もはや勝つのは絶望的だった。

 

「だからどうした……!」

 

 しかし、それで諦めるほど、ニューサトシは殊勝な性格をしていない。絶対に諦めないという気合と共にリザードンを出し、『ブラストバーン』を指示する。

 ミュウツーが『サイコキネシス』で、こちらの究極技を跳ね返そうとしてくるが、『ひかりのかべ』の効果もあって、『ブラストバーン』がサイキネを突き破り、ミュウツーを襲う。

 抑えきれないと思わなかったのか、少しミュウツーも驚いたような様子を見せたが、そのまま『ブラストバーン』がミュウツーに直撃し、全身の拘束具を破壊した。

 

 これに驚いたのはサカキ様である。まさか最強のミュウツーに攻撃が当たり、おまけに拘束具が破壊されるとは思わなかったのだろう。椅子から立ち上がり、焦った表情をしている。

 

 これでミュウツーは自由になった訳だが、『ブラストバーン』が直撃したのに気にした様子はない。おまけに、自分を攻撃したリザードンに興味があるようで攻撃を止めようとしなかった。

 サカキ様も言うことを聞くなら様子を見るつもりなのか、そのまま椅子に座り直している。

 

 手のひらに『シャドーボール』を作ってミュウツーがこちらを攻撃してきた。

 エアスラで迎撃しようと思ったが、『ひかりのかべ』の効果が切れたせいか、拘束具がなくなったからか、『エアスラッシュ』を貫通して『シャドーボール』がリザードンに直撃する。

 

 そのままリザードンが壁まで吹き飛ばされていく。とてもタイプ不一致技とは思えない火力だった。

 だが、まだまだ戦えるとばかりに、リザードンが体勢を立て直し、『りゅうのいぶき』を打つ。麻痺を狙ってのものだったが、『サイコキネシス』で明後日の方向に弾かれていた。

 究極技で少しはダメージを与えたはずだが、それも『じこさいせい』ですぐに回復していく。

 絶望的な状況だ。再び『ブラストバーン』を指示するが、今度は『サイコキネシス』で攻撃を自分に弾き返される。

 

 自分で打った『ブラストバーン』が直撃し、リザードンが膝をつく。おまけに追撃の『サイコキネシス』が入り、リザードンが壁に叩きつけられた。

 しかし、リザードンは倒れずに再び立ち上がる。

 メガフーディンとのバトルを経験したというのも大きいのだろう。この程度でやられてたまるかという気合いを感じた。

 

『何故、諦めない?』

 

 そんなリザードンを見て不思議に思ったのか、遂にミュウツーがこちらに声をかけてきた。

 力の差は歴然なのに立ち上がる。

 そんな姿が疑問なのか、ミュウツーが不思議そうな顔でこちらを見ていた。映画では憎悪にまみれた顔をしていたが、まだ今は純粋な心も残っているようだ。

 

「諦める必要がどこにある? リザードンはまだ倒れていない。まだ戦えると訴えている。なのに、トレーナーである俺が諦めたら、ここまで戦ってくれたこいつらに顔向けできねぇだろーがよ!」

『威勢が良いな。だが、ただ立っているだけの人間が何の役に立つ?』

「グワァゥ!!」

 

 それを聞いて声を上げたのはリザードンだった。

 俺にはわからないが、その表情と声はミュウツーの言葉を強く否定している。そして、否定する度に、リザードンの肌が灼熱のように赤く染まって行った。

 

 ナツメに負けた時にも一度あった謎の現象。

 

 やはり、気のせいじゃなかったのか。

 

 そんな驚きを感じながら変化するリザードンの姿を見ていると、突如として俺の体に謎の痛みと、炎のような熱さが襲いかかってくる。

 同時に、リザードンが見ている光景が、まるで自分が見ているもののように見えてきた。

 

 体が熱い。まるで炎に包まれているみたいだ。

 

 それに、今までにない力を感じる。

 

 まるで、俺とリザードンと一つになったような、そんな不思議な感覚――

 

『何だ、その姿は……?』

 

 後から聞いたことだが、その時のリザードンは体が赤く変化し、細部も少し変わっていた上、薄い炎の繭のようなものに包まれていたという。だが、今の俺はもうリザードンの視点でしか物が見えていなかった。

 ミュウツーの繰り出す『サイコキネシス』をぶち破り、『ブラストバーン』を直撃させる。続けて、今まで覚えていなかったはずの『フレアドライブ』で一気に距離を詰めた。

 ミュウツーが『シャドーボール』で動きを止めようとしてくるが、勢いは止まらず、リザードンの『フレアドライブ』がミュウツーに直撃する。

 

 同時に、俺達の変化は解除された。

 

 リザードンが通常状態に戻り、俺の視界も元に戻る。同時に、体にも先程までの比じゃないくらいの負担が押し寄せて来た。リザードンも戦闘不能にこそなっていないが、横になったまま動かない。仮に立ち上がったとしても、もう戦う力は殆ど残っていないだろう。

 

 だが、それでもミュウツーは倒れない。

 

 強すぎだ。本当に伝説のポケモンというのは野生のくせにあり得ない強さを持っている。もう自由なのだからとっとと逃げてくれれば良いのに――と、そんな逃げ腰な考えが頭によぎった瞬間、俺の頭に一つの光明が差し込んできた。

 

「そうだよ、何で気付かなかったんだ……」

 

 俺は鞄からボールを出した。シルフカンパニーで社長に貰った厄介払いのマスターボールである。

 

 そうだ、ミュウツーは野生なんだ。

 

 なら、ゲットしてしまえば良い。

 

 拘束具で固定していたぐらいだ。サカキ様が制御し切れていないのは一目瞭然。捕まえてしまえば俺の勝ちである。

 後にして思えば謎の理論だが、この時の俺はそれ以外に勝ち目がなくて焦っていたのだろう。マスターボールを持って、ミュウツーに向かって駆けだしていた。

 

 それを見て、ミュウツーがこちらに手を向ける。しかし、その瞬間、倒れていたリザードンが急に起き上がり、ミュウツーを押さえつけた。

 まさか動くとは思わなかったのか、ミュウツーの意識が一瞬俺から逸れる。今しかない。俺は全力でマスターボールをミュウツーへと投げた。

 

 ミュウツーがそれに反応してエスパー技でボールを弾こうとするが、それよりも早く、マスターボールがミュウツーに当たる。

 舐めんな、この俺が全力で投げたボールだぞ。当然、プロ野球選手顔負けの速さである。

 

 ボールが当たった事でミュウツーが中に入った。

 

 この時点で、もう逃げることは出来ない。

 

 何故なら、マスターボールは絶対にポケモンを捕まえられるものだからだ。それは、アニメだろうと、ゲームだろうと、あらゆる作品でも共通する絶対の法則である。

 二度、三度とボールが揺れ、ミュウツーが俺に捕獲された。その瞬間、サカキ様が立ち上がり、「馬鹿な。マスターボールだと!? ミュウツーを捕獲したというのか!?」と驚きの声を上げている。

 

「サカキさんよ。アンタのいう絶対の力は俺が貰っちまったぜ。ジム戦の続きはどうする?」

 

 思わず、いつもの癖で挑発するようにそう言って、マスターボールをサカキ様に向けた。

 悪い癖だとすぐに後悔したが、もう遅い。苦虫を噛みつぶしたような顔でサカキ様がニドクインを出してきた。

 それを見てリザードンがフラフラと立ち上がる。

 だが、戦える状態じゃないのは一目瞭然だった。

 勝つには一か八か、最後の力で『ブラストバーン』を打つしかない。リザードンも同じ考えなのか、指示をする前から攻撃の体勢に移っている。

 

 しかし、リザードンの攻撃が放たれる直前、ジムに警報が鳴り響いた。サカキ様が苛立った様子で、近くの機械に向かって声を発している。

 

「何事だ!?」

 

 すると、通信機と思わしき機械から、『侵入者です。四天王のワタルがいきなり――』と、言う声が聞こえてきた。

 どうやら、既に三十分は過ぎていたようで、ワタルが突入してきたらしい。

 

「四天王のワタルだと……ポケモンGメンか。何故、このタイミングで……っ!」

 

 ミュウツーを捕まえた俺を放っておく訳にはいかないという心境と、逃げなければ捕まるという状況がサカキ様を悩ませているのだろう。

 しばらく、こちらを睨むように立っていたサカキ様だが、最終的には「今回はこちらの負けということにしておいてやる」と言って、グリーンバッジをこちらへ投げてきた。

 どうやら捕まる訳にはいかないという判断をしたらしい。しかし、バッジをくれるとは思わなかった。腐ってもジムリーダーということか。

 苛立った様子のサカキ様がそのままニドクインをボールに戻すと、その場を去って行く。

 

 正直、その後はもう記憶がなかった。

 

 限界を迎えていた俺とリザードンはその場で倒れ、タケシとカスミさんに介抱されながら、ポケモンセンターまで連れて行かれたらしい。

 その後、トキワジムはロケット団が関与していたという事実がワタルの手により発覚し、一時的な運営停止になったという。

 結局、ワタルは忙しかったのか、俺の前に現れることはなく、俺も俺でジム戦での疲労が大きかったようで、意識を取り戻したのはジム戦から三日を過ぎた後だった。

 

 

 




 原作との変化点。

・ミュウツーとバトルした。
 ちなみにメガシンカは持っていない。レベルは70。この世界では最強種である。

・リザードンに何かが起こった。
 オリジナル要素ありなので、そういうこともあります。

・ミュウツーを捕まえた。
 捕まえないと勝てなかった。とはいえ、ニューサトシの理念的に手持ちにはしないので逃がす予定。

・勝負が着かなかった。
 結果的には引き分け。ただ、サカキ様から勝負を放棄したのでグリーンバッジをくれた。勝負に勝った訳ではないので、ロケット団は解散されていない。ただ、下手に手を出すと自由になったミュウツーに何されるかわからないから、ロケット団としてはニューサトシを様子見することになった。ムサコニャはこのことを知らないので、そのままである。


 現在ゲットしたポケモン。

 ピカチュウ Lv.49→50

 ピジョット Lv.43

 バタフリー Lv.42

 ドサイドン Lv.49→50

 フシギダネ Lv.46

 リザードン Lv.50→51

 ゼニガメ  Lv.46

 クラブ   Lv.42

 カモネギ  Lv.42

 エビワラー Lv.45

 ゲンガー  Lv.47→48

 オコリザル Lv.43

 イーブイ  Lv.25

 ベトベトン Lv.40

 ジバコイル Lv.42

 ケンタロス Lv.41

 ヤドン   Lv.41

 ストライク Lv.41

 トゲピー  Lv.2

 プテラ   LV.41

 ラプラス  Lv.36

 ミュウツー Lv.70 NEW!



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#025 『責任重大だな、おい』

 10歳 κ月ε日 『ミュウツー 我ハココニ有リ?』

 

 トキワジムのサカキ様とのバトルから三日が過ぎ、俺は改めてミュウツーと対面していた。

 確か映画のミュウツーの逆襲は、自分を生み出した研究員達の言葉や、ポケモンを道具としてしか見ないサカキ様の態度に人間を見限り、復讐に走ったという話だったはずだ。

 

 つまり、今のミュウツーは人間という存在に絶望しかけているということである。

 ここで対応を間違えれば、まず間違いなく逆襲ルート一直線であり、俺は曲がりなりにもミュウツーのトレーナーとして道を示す必要があるということだ。責任重大だな、おい。

 

「とりあえず、名前を聞いても良いか?」

『ミュウツー。そう呼ばれていた』

 

 そうか、ではミュウツー。これからどうしたい?

 結果的にサカキ様から盗むような形になったが、俺は別にお前の力が欲しい訳ではない。お前が自由を望むなら、このままどこかへ行っても構わないぞ。

 実際、こいつがいたらポケモンリーグ所かチャンピオンにもなれそうだが、それはそれで今までの努力の意味が無くなる。そういう意味でも、やはり伝説のポケモンは過剰な戦力だ。

 

『……お前は、私の力を求めないのか?』

「お前が強いのは戦った俺達が一番良くわかってる。ただ、戦いってのは強要する物じゃない。無理矢理戦わせたって意味は無いだろう」

 

 俺はサカキ様と違って無闇やたらにポケモンの力を振りかざす趣味などない。あくまでトレーナーとポケモンが力を合わせるから、ポケモンバトルは楽しいのだ。

 前にプテラにも言ったことだが、そこに主従関係はない。人間とポケモンは対等の存在であり、一方的に戦いを強要するものではないというのが俺のポケモントレーナーとしての理念である。

 

『私はこの世で一番強い。最強になるように生み出されたポケモンだ。力こそが私を証明するものであり、それ以外に私が存在する意味など無い。そう思っている』

 

 そのまま、自分の生い立ちや、サカキ様との出会いを話すミュウツー。

 どうやら、その辺りはアニメや映画と大きくは変わらないようで、ミュウツーは自分という存在や、オリジナルであるミュウへの確執を大きく抱えているようだった。

 

「ミュウツー。これはポケモン図鑑といって、ポケモンを識別する物だ。当然、ポケモン以外の生物には反応しない」

 

 そう言って、ミュウツーへポケモン図鑑を向けると、『データなし。謎のポケモン』という音声が流れる。しかし、図鑑は間違いなくミュウツーをポケモンと認識した。

 

「お前は間違いなくポケモンだ。そして、ポケモンは自由なんだ。自然と共に生きるポケモンも居れば、トレーナーと共に戦うポケモンもいる。お前も同じだ」

『私はただのポケモンではない』

「まぁ、そうだな。お前は人間に作られたポケモンだ。だが、それに何の違いがある? 生まれがどうだろうと、お前はミュウツーという、今ここに生きているポケモンだろう」

『ならば、私は何のために生きている?』

「それは、お前が決めることだ。人もポケモンも、自分のしたいことは自分で決めるもんさ。俺がポケモンマスターを目指しているようにな」

 

 生き方というのは自分で決めるものだろう。そこに、人間もポケモンも違いなんて無い。

 

「ただ一つ言えるのは、お前はサカキが言うような、人間のためだけに戦うような兵器ではないということだ。どんなに強くても、力があっても、ポケモンが人間のために生きなくてはならない理由にはならない」

 

 そう言うと、ミュウツーは一瞬黙った。

 俺の言葉の意味を考えているのかも知れない。

 

『お前と、あのリザードンは、何故戦っている?』

「リザードンだけじゃないさ。一緒に戦ってくれているポケモン達は全員、俺がポケモンマスターになるのを助けてくれているんだ」

『お前達と私で何が違う?』

「そう、だなぁ。俺の言うバトルは戦争や殺し合いじゃない。競技、試合だ。そこにはルールがあり、命のやりとりではなく技術や技を競い合う場なのさ。だから一度のバトルで優劣なんかつかないし、次戦う時には互いにもっと強くなることだってある。お前も今は最強かも知れないけど、いずれはもっと強い奴が出てくるかも知れないぜ?」

『ミュウよりもか?』

「んー……まぁ、お前のオリジナルを馬鹿にするようで悪いが、俺の知っている限りミュウより強いポケモンなんて山のようにいるぞ。ミュウはぶっちゃけ、珍しいだけでたいして強くはないからな。むしろ純粋な強さだけならお前の方が上だろうよ」

 

 ハッキリ、ミュウツーがミュウより上だと断言したことにミュウツーが驚いている。いや、ぶっちゃけミュウとか器用貧乏だし、下手したら伝説じゃなくても倒せるぞ。

 

『ミュウは弱いのか?』

「いや、そこらのポケモンよりは強いよ。過大評価込みで中の上くらいじゃないか?」

『……なら、私はどうだ? お前の知る限り、私はどれくらい強い?』

 

 ミュウツーより強いポケモンか。割といそうだ。

 アルセウスとかカイオーガとかかな。いや、そういえばバドレックスが完全上位互換か。ただまぁ、ミュウツーにはメガシンカもあるし、ゲームと違って種族値だけじゃバトルは決まらないことを考えると、現在は最強クラスと言っても過言ではないだろう。

 

「俺の知る限り、お前は最強クラスだな」

『ククク、ミュウは中の上で、私は最強クラスか。ミュウに固執していた自分が馬鹿らしくなってくるな……』

「あくまでも野生のポケモンって括りの話だ。トレーナーに育てられたポケモンの中には伝説のポケモンより強い奴だっている。中にはお前より強い奴もいるかもしれないぞ」

『面白い』

 

 強さこそが存在理由と言ったミュウツーにとって、まだ見ぬ強者は興味の対象になったようである。これで人間に復讐するとか言わないでくれると良いんだけど。

 

『……いつか、誰かが言っていた気がする。生きているというのはきっと楽しいことだと』

「そうだな。俺も同感だ」

『今までは生きることに楽しさなど感じなかった。ただ、自分が何のために生まれたのかを知るために、そのためだけに戦ってきた。それがミュウに近づく最善の道だと言われたからだ』

 

 サカキ様に騙されたやつか。

 

「ハッキリ言うけど、自分が何のために生まれたのかなんて俺にだってわかってねーよ。ただ、俺はマサラタウンに生まれたサトシだし。お前は研究所で生まれたミュウツーだ。そこに何か違いあるか?」

『……そうだな。これまではその言葉に頷く余裕もなかったが、今では自分が小さいことに固執していたのが良く分かる。本当に大切なのは、どうやって生きるか――それが、いずれ楽しさに繋がって行くのだろう』

 

 そう、ミュウツーが口にすると、フッと小さな笑みを浮かべてこちらに向き直った。

 

『お前の行く末に興味が出てきた。もうしばらく、お前の言うポケモンマスターとやらの旅路を見せて貰うことにする』

「は?」

『お前は言ったな。ポケモンは自由だと。つまり、私がどうしようと私の自由と言うことだ。それに、今の私はお前のポケモンでもある。お前と一緒にいることはおかしいことではないだろう』

 

 ミュウツーと視線が交差する。思えば、会話中、ミュウツーは俺の顔を見ていなかった。それは俺という人間を疑っていた証拠でもあったのかもしれない。

 

「……まぁ、別にいいけど、余程のことがない限り、お前を使うことはないと思うぞ?」

『それでいい。私も弱い物いじめをする趣味はないからな』

「じゃあ、改めて自己紹介しておくか。俺はマサラタウンのサトシ、人間だ」

『サトシ。私は、ミュウツー。ポケモンだ』

 

 よろしくなと返すと、ミュウツーがああと頷いてボールに戻った。思えば、これは七個目のボールのはずなのに、研究所へ転送されていない。ミュウツーの力でそういうものを防いでいるのかもしれないな。

 

 まぁ、一応釘は刺したし、基本的には使うことはないだろう。ただ、AG編ではカイオーガやグラードンが出てきたし、DP編で伝説パ使うサトシ君殺しが居た気がする。ミュウツー君にはそういうヤバい所で活躍して貰おう。

 

 

 

 10歳 κ月ζ日 『バリヤードだ捕まえろ!』

 

 野生のバリヤードをゲットした。これ多分、アニメでママさんのバリヤードになる奴だ。

 詳しく覚えてないが、ママさんに懐いていたのだけは覚えている。確かこいつ、なかなか強かったはずだし、ゲット出来て良かったな。

 

 バリヤードゲットに満足していると、ポケモンサーカスのアツコとかいう女がやってきてバリヤードを譲ってくれと言ってきた。捕まえたばかりのバリヤードを譲るはずがないだろう。馬鹿か。

 と、思わず一刀両断してしまったが、タケシがギャアギャア騒いでうるさいのでとりあえず話を聞いてみることにした。聞くと、どうもアツコのバリヤードがサーカスのやる気を失ってしまったようでライバルを求めているらしい。

 

 そのままサーカスのテントまで行くと、キャンピングカーの中で少しデブのバリヤードがだらけて過ごしていた。

 中に入ろうとするが、透明な壁のようなモノで入れない。仕方ないので、マサラ式肉体言語術――マサラ爆砕拳で壁を壊し、ボディランゲージでバリヤードが何に不満を抱えているのか聞き取った。

 

 すると、バリヤードはアツコのスパルタ練習に耐えかねてぐれているだけのようだ。

 ポケモンに厳しくするのは当然だが、厳しいだけじゃポケモンは人間からの愛情を疑う。アツコにバリヤードから聞いた話を伝えると、心当たりがあったのか、涙を浮かべてバリヤードに謝罪していた。

 バリヤードとしても、女の涙には弱いようで、もう一度だけアツコにチャンスを与えたらしい。これで俺のバリヤードを渡さなくても大丈夫だろう。

 

 

 

 10歳 κ月η日 『ライバル対決 オーキド研究所 前編』

 

 久しぶりにマサラタウンに帰ってきた。昨晩はママさんのご馳走も食べて大満足である。

 今日は、ポケモンリーグの詳しい話を聞くために、オーキド研究所へ行くことになった。しかし。去年までは毎日のように通っていたはずなのに、何だか行くのが久しぶりに感じる。それだけ、俺が外の世界のことを知ったということかもしれないな。

 

 勝手知ったるということで、いつものように無断で中に入ると、オーキド博士とシゲルが紅茶を飲んでいた。どうやらシゲルもマサラに戻ってきていたらしい。

 勝手に入ったことをタケシとカスミさんが謝っている中、俺はいつものように席に座る。博士もそれが当然のように笑いながら茶を入れてくれた。俺らはいつもこんなもんよ。

 恐縮しながら座るカスミさんとタケシを見つつ、トゲ様を博士とシゲルに見せる。二人共、カントーでは珍しいトゲ様に興味津々であり、我が輩も大変気分が良かった。

 

 そのままトゲ様について話していると、徐々に話題が変わり、ポケモンリーグについての話に移っていく。聞けば、どうやら原作通り俺達と一緒の日に出かけたあの少年少女は、まだバッジを集めきれていないらしい。

 まだ二ヶ月近くあるとはいえ、前の日記にも書いた通り、ある一定からレベルを上げるには経験値効率が悪くなってくるし、ジムリーダーも強くなる。時間が短くなれば焦りも出るし、バッジ入手の可能性は下がっていく。多分、帰ってこないだろうな。

 

 まぁ、偉そうに書いているが、俺もグリーンバッジはサカキ様のお情けで貰ったようなもんだから偉そうには言えない。しかし、あれはミュウツーとかいうチートポケモンを使ってきたサカキ様も悪いだろう。あいつが居なきゃ、勝っていた(はずの)勝負だ。

 とりあえず、今回は引き分けということにしといてやろう。もし次に戦う機会があれば、その時は完全に決着を付けてやる。

 

 その後、オーキド研究所に預けている俺やシゲルのゲットしたポケモン達の姿を見ていると、ポケモンリーグの前哨戦ということでシゲルとバトルをすることになった。

 

 ジム戦じゃないので、レベル制限はなしの3対3。

 思えば、こいつは四天王のワタルとバトルをして一体とはいえ、ポケモンを倒している。つまり、アニメよりも育成に余念がないということだ。

 

 やはり、いつの間にかお調子者じゃなくなっていた影響が出ているのだろう。アニメのように「サートシ君」とか言っていれば、隙も多くてたいしたことなかったのかもしれないが、このイケメンモードのシゲルはアニメ後半のようなしっかりとした雰囲気を持っている。油断をすると、負けるのはこちらになりそうだ。

 

 さて、問題は誰を出すかだな。悩みどころだが、最近はジム戦で噛ませ役ばっかりやらせているピカ様を活躍させてあげたい。と、いうことで、一体はピカ様にした。

 続けて、今まで全く使っていなかったベトベトンを使ってみることにする。匂いも大分マシになってきたし、これからはしっかり育成していきたいしな。

 後は最後の一体か。捕まえたばかりのラプラスやバリヤードだと、流石に勝てないだろうし、そこそこ実力がないと駄目だ。と、すると、カモネギ辺りか? 最近使っていないし、久しぶりに二刀流で大暴れして欲しいということでカモネギにすることに――ん?

 

「どうした、イーブイ?」

 

 最後をカモネギにしようとすると、近くにいたイーブイが俺に顔をこすりつけてくる。

 滅茶苦茶可愛くてほっこりするが、何か訴えているようなので、マサラ式肉体言語術ボディランゲージでイーブイが何を言いたいか聞くことにした。

 

 すると、自分をバトルに使って欲しいというではないか。今までロケット団の研究で精神的にも肉体的にもダメージを負っていたことで療養していたイーブイだが、数ヶ月のお休みで大分回復したようだ。自分を助けてくれたお礼ということもあるのかもしれないが、まさか自分から戦いたいと訴えてくるとは思わなかった。

 

 しかし、いきなりのデビュー戦がシゲルというのは流石にレベルが高すぎる。レベルも25だし、いくらこいつが特殊個体とはいえ、勝つのは難しいだろう。

 だが、本人はとてもやる気なようで、出すのは難しいとは言いにくい。特にこいつの昔を知っているが故に、ここでやる気をそぐのは精神的も良くないと判断する。

 ここは勝ちを諦めてイーブイを取ろうとすると、シゲルが自分の一体をイーブイのレベルに合わせてくれるということで、実質2対2のバトルになった。なんかすまんな。

 

 

 




 原作との変化点。

・ミュウツーと旅をすることになった。
 逆襲させないように柄にもない説得をしたら興味を持たれた。基本的に余程のことが無ければ使わないつもりではある。いつか、どこかのわかめな伝説厨を倒すのに使うかも知れない。

・第64話『ポケモンサーカスのバリヤード』より、バリヤードを捕まえた。
 普通に出会って早々ゲットしたので、アニメのママさんとのくだりがなくなった。これからはニューサトシのポケモンとしてバトルの日々である。

・サーカスのバリヤードの不満を伝えて問題を解決した。
 アニメよりもスピード解決したことで、物語がカットされた。

・特別編『ルージュラのクリスマス』、『イワークでビバーク』がカットされた。
 季節物は時期じゃないのでカット。

・第65話『ライバル対決! オーキド研究所』より、シゲルとバトルをすることになった。
 アニメではしなかったが、今回はバトルをすることになった。イーブイのやる気を買って、1対1、2対2の変則バトルをすることになった。


 現在ゲットしたポケモン。

 ピカチュウ Lv.50

 ピジョット Lv.43

 バタフリー Lv.42

 ドサイドン Lv.50

 フシギダネ Lv.46

 リザードン Lv.51

 ゼニガメ  Lv.46

 クラブ   Lv.42

 カモネギ  Lv.42

 エビワラー Lv.45

 ゲンガー  Lv.48

 オコリザル Lv.43

 イーブイ  Lv.25

 ベトベトン Lv.40

 ジバコイル Lv.42

 ケンタロス Lv.41

 ヤドン   Lv.41

 ストライク Lv.41

 トゲピー  Lv.2

 プテラ   Lv.41

 ラプラス  Lv.36→37

 ミュウツー Lv.70

 バリヤード Lv.36 NEW!




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#026 『どうにか勝たせてやりたい』

 10歳 κ月η日 『ライバル対決 オーキド研究所 後編』

 

 シゲルとバトルをすることになった。

 まずは1対1のバトルということで、俺のイーブイが気合いを入れてフィールドに飛び出していく。

 このバトルはイーブイのためのバトルということでレベル25くらいのポケモンでバトルすることになっている。俺のイーブイがフィールドに出るのをみると、シゲルもモンスターボールをフィールドに投げてきた。

 

「ブイ!」

 

 どうやら向こうもイーブイのようだ。そういえば、アニメでシゲルと最初にバトルした時はイーブイを使っていたな。

 思わぬイーブイ対決になったということで、俺のイーブイも負けるもんかと意気込んでいた。

 

 とはいえ、変に空回りしても良くないので、まずは様子見と行こう。イーブイに『でんこうせっか』を指示すると、シゲルも『でんこうせっか』を指示している。お互いのイーブイが体をぶつけ合うと、俺のイーブイが弾き飛ばされた。

 

 こりゃ向こうの特性は『てきおうりょく』だな。

 

 オーキド博士曰く、俺のイーブイは通常のイーブイとは違う特性を持っていて、そのおかげで進化の石やなつきの条件なしで進化したり戻ったり出来るらしい。ポケスペでは人工的な機械による進化だったが、この世界ではそういう特性のようだ。

 

 ただ特性とはいえ、進化して戻るというのはかなりのパワーを使うから、頻繁に行うと捕まえた時のように心も体も傷ついてしまうのであまり使うなと言われている。

 俺もイーブイをいたずらに傷つけたい訳じゃないので使うつもりはないが、特性が死んでいるのは不利だ。まともにぶつかっては勝てないので、何とか隙を作りたい。

 

 まだまだ元気なイーブイに『すなかけ』を指示し、命中率を下げさせる。しかし、シゲルは読んでいたとばかりに『スピードスター』を打ってきた。絶対に命中する技か、おまけに『てきおうりょく』で火力も上がっている。

 どうするか。レベルが低いこともあってお互いに技が少ない上、こちらは特性の差でパワー負けしている。このままじゃ圧倒的に不利だ。

 

 こうなればひるみを狙うしかない。『かみつく』で無理にでも、状況を立て直そうとすると、シゲルのイーブイは『なきごえ』で、こちらの攻撃力を下げてきた。くそ、ただでさえ『かみつく』はタイプ不一致技なのに、これじゃダメージはほぼ入らんぞ。

 

 どうにか勝たせてやりたい。

 

 そんな俺の気持ちが伝わったのか、シゲルのイーブイに向かっていく俺のイーブイの体が光り、ブラッキーへと進化した。

 シゲルは「夜じゃないのに!?」と驚いている。そりゃそうだ、こちらの特性を知らなきゃ不思議に思うよな。

 

 進化させてしまったことに若干の心苦しさはあったが、逆に言えばあいつもそれだけ勝ちたかったということだ。こうなれば、もう進化したブラッキーの能力を十全に使ってやるのが、トレーナーとして唯一俺があいつに出来ることだろう。

 

 そのままブラッキーが『かみつく』でイーブイにダメージを与えると、『ダメおし』を指示してさらに追加攻撃する。『ダメおし』は直前で相手がダメージを受けている時、ダメージが二倍になるというあくタイプの技だ。

 

 ブラッキーに進化した今、タイプ一致の大技であり、イーブイが大ダメージを受ける。

 シゲルは驚きで指示が一瞬遅れていた。

 すぐに逃げるように言っているが、ここまで来れば逃がすつもりはない。『でんこうせっか』で再び距離を詰めさせ、『ダメおし』で再び追撃した。

 

 進化でパワーも上がった『ダメおし』を、二倍効果ありで二度も受けて立てるはずもなく、シゲルのイーブイが戦闘不能になる。

 若干ずるをした気分だが、それでも勝ったことに変わりはなく、ブラッキーがイーブイに戻って嬉しそうにこちらへ走ってきた。

 

 それを見てシゲルがまたもや驚いていたが、オーキド博士が「そういう特性じゃよ」と説明している。初見殺しのような真似になってしまったが、体に悪いからあまり乱用出来る特性ではないので許してくれ。

 

 まぁ、今は勝ったイーブイを目一杯褒めてやることにした。こいつもこの勝利で、自分に自信が持てただろう。

 よしよし、これからは体に障らない程度に、少しずつバトルに参加していこうな。

 

 さて、気を取り直して、バトルを継続しようか。

 ぶっちゃけ、今の試合はエキシビションマッチのようなものなので本番はここからだ。実質2対2のバトルがこれから始まる。

 シゲルが次に出してきたのは、『ウインディ』、俺は『ベトベトン』にした。ウインディの特性は『いかく』なのか、ベトベトンの攻撃力が下がる。これは痛い。ベトベトンは基本的に物理タイプのポケモンだ。

 当然、俺のベトベトンも、何故か教え技である『のしかかり』を覚えているくらいのバチバチの物理アタッカーである。

 

 どう動くか考えていると、シゲルがウインディに『かたきうち』を指示してきた。

 きったねぇ、こいつイーブイの負け根に持ってやがる。とはいえ、焦ることはない。俺のベトベトンはレベルが40しかないが、何故か『とける』を使えるので防御が二段階上がる。 

 おまけに、アニメのように『とける』で柔らかくなったボディは衝撃を吸収してくれるので意外と物理技を受けることが出来るのだ。

 

 しかし、ダメージが入ったことに変わりはない。

 反撃とばかりに『ダストシュート』を指示するが、向こうも『だいもんじ』で相殺してくる。一度捕まえてしまえばこちらのものなのだ。ベトベトンにウインディへ『のしかかり』を指示し、近接戦を仕掛けていく。

 向こうも『しんそく』で応戦してきたが、それを待っていたんだ。『しんそく』が直撃した瞬間、ベトベトンにウインディを掴ませ、そのまま『のしかかり』でウインディを包み込む。

 

 俺のベトベトンの特性は『あくしゅう』だ。

 なつき度が上がった(博士への)ことでむやみやたらに匂いを放つことはなくなったが、それは匂いが消えた訳ではなく、内部にため込んでいると言うことでもある。

 もがいていたウインディだが、あまりの匂いに怯んだのか動きが段々鈍くなっていく。おまけに『のしかかり』中ということもあり、麻痺も入ったのか、動きが完全に止まった。

 

 ベトベトンが退くと、ウインディが擬似的な混乱状態なのか、目を回して倒れている。だが、戦闘不能という訳ではないので、『ダストシュート』で追撃しようとすると、シゲルが「戻れ」と言って、ウインディをボールに戻して攻撃を回避した。良い判断である。

 

「まさか、ベトベトンの『あくしゅう』があそこまで酷い物とはね……」

「ひるみは狙い通りだが、混乱まではこっちも予想外だった」

 

 とはいえ、シゲルもこのまま負けるつもりはないようだ。最後に出してきたのはエレブーだった。カメックスだと思っていたので少し驚いたが、これは模擬戦のようなものだし、切り札は見せないということなのだろう。

 

 開幕で『10まんボルト』を打ってくるが、俺のベトベトンは発電所に住んでいたということもあって電気に強い。何せ、ピカ様の『10まんボルト』ですらダメージが入らなかったくらいだ。

 こいつのボディにでんき技を通そうと思ったら、特攻を数段階上げないと無理だろう。シゲルもまさかでんき技が効かないと思わなかったのか、一瞬驚いた顔をして、「君のポケモンは常識が通じないな」と言って笑っている。

 

 しかし、まだどうにかする手段を持っているようで『サイコキネシス』を指示してきた。

 どうやら切り札のつもりだったのか、あまり使いたくなかったようだが、近接攻撃はウインディの二の舞になるので仕方なく使ったのだろう。効果抜群のエスパー技な上、ウインディとのバトルでダメージを受けていたこともあって、ベトベトンが戦闘不能になる。

 だが、ベトベトンは十分戦ってくれた。これからしっかりレベリングしていこうな。

 

 最後はピカ様の番である。最近は臆病さもなりを潜め、気合い十分とばかりにフィールドに飛び出して行った。

 でんきタイプが出てきたということで、シゲルが『サイコキネシス』の指示を出してくるが、ピカ様もエスパータイプの技との戦闘経験は割と豊富である。『かげぶんしん』で的を絞らせないように動き、『でんこうせっか』でさらに相手を攪乱していく。

 

 サイキネのような強力なエスパー技は、エスパータイプでも打つには集中が必要な技だ。

 当然、でんきタイプのエレブーが打つにはかなり技の制御に集中する必要があり、先制技で殴られたり、分身で困惑させられたりしては簡単に当てることなど出来ないだろう。

 

 シゲルもサイキネは諦めたのか、『10まんボルト』で『かげぶんしん』をかき消してきた。

 しかし、そう来るのは読めているので、こちらの最大火力である『ボルテッカー』で背後から強襲していく。

 エレブーはでんきタイプなので受けるダメージは半減するが、それでも今ピカ様が持っている技では一番ダメージが出るので、『ボルテッカー』一択しかなかった。

 

 戦い慣れているピカ様にペースを握られ、シゲルが若干焦っている。だが、エレブーはピカチュウよりも技を多く覚えられるので器用に戦えるのが強みだ。ピカ様が再び『でんこうせっか』で近寄ると、『かわらわり』で反撃してくる。

 ピカ様はピカチュウなので当然体が軽い。『でんこうせっか』でダメージを受けても、エレブーくらいの体格があれば踏ん張れるだろう。返しの『かわらわり』を『たたきつける』で迎撃する。

 これでこっちは全部技を使ったが、ここで『たたきつける』を使っていなかったら、大ダメージを受けていただろうし仕方なかった。

 

「これも防ぐとは、とてもピカチュウとは思えないパワーだ」

「伊達にファーストパートナーじゃないぜ?」

「僕も素直にカメックスを出せば良かったよ。舐めていたつもりはないが、さっきのベトベトンといい、やはりよく育てられている」

 

 いや、ベトベトンはこれから育てるんだけどな。あいつは天性の素質があるってだけだ。と、思わず心の中でツッコミを入れていると、ピカ様が一息つくためにエレブーから距離を取った。

 互角の勝負だが、有利を取っていることもありピカ様も笑みを浮かべている。今までは相性不利な戦いや、後続へのサポートなんかに回させていたからか、久しぶりに全力で戦えてとても楽しそうだ。

 しかし、向こうはまだ技を残しているだろうし、まだまだ勝負はこれから――と思った瞬間、空気を読まないロケット団が、いつもの口上と共にフィールドに乱入してきた。

 

 何しに来たんだと思ったが、どうやら研究所のポケモンを奪いに来たらしい。だが、ここは俺やシゲルのポケモンが全員いるホームグラウンドである。

 そんな中、たかだか数人で攻めてきた所で相手になるはずがなく、数秒後にはいつものようにやなかんじーしていた。

 

 ロケット団の思わぬ乱入があったせいもあり、バトルという空気ではなくなってしまったので勝負は中断。決着はポケモンリーグで付けるということになった。

 ピカ様が少し消化不良だったようだが、それでも良いバトルが出来てストレスも発散出来たらしい。これからは適度に全力バトルをさせてあげないといけないな。

 

 ポケモンリーグ開催まで約二ヶ月ということで、明日からは捕まえたポケモン達のレベリングや技の調整に入ろうと思う。

 やはり、技の択が増えると戦い方にもバリエーションが出来るし、大分変わってくる。イーブイのバトルで特にそれを感じたので、捕まえたばかりのラプラスやバリヤードも含めて、しっかりと仕上げていきたいと思った。

 

 

 

 10歳 κ月ι日 『リゾート地ビンヌ ヤドンをヤドランにする』

 

 最近の日課であるオーキド研究所でのトレーニング中、オーキド博士からビンヌにいるニシノモリ教授という人にヤドンの進化についての話を聞いてきて欲しいと頼まれた。そういえば、ママさん達もビンヌとかいう所に遊びに行くと行っていた気がする。

 いつもなら、「自分で行け」と断る所なのだが、ヤドンの進化という所に惹かれたので、今回は素直に博士の頼みを聞いてビンヌに行くことにした。

 

 ビンヌに着くと、すぐに浜辺で遊んでいたカスミさんとタケシを発見したので声をかける。

 二人とも、俺がトレーニングを中断して遊びに来たと思ったのか、とても驚いた顔をしていたが、博士からの頼み事だというと納得した顔をしていた。

 そういえば、朝誘われた時は、「行かない」と即答したんだったっけか。

 

 そのままニシノモリ教授の所へ行き、ヤドンの進化について話を聞いてみるが、教授も博士と全く同じ事で悩んでいた。ぶっちゃけ、俺は自分のヤドンが進化出来ればいいので、ヤドンにシェルダーが噛み付く工程などどうでもいい。

 

 適当に話を聞いていると、ニシノモリ教授がフィールドワークとして、自分のヤドンと一緒に釣りをするということだったので、俺もヤドンも出して一緒に釣りをさせることにした。

 

 万が一、シェルダーが釣れれば、ワンチャン進化も有り得る。何しろ、俺のみずタイプの呪いもあり、ヤドンはレベルを上げても一向にヤドランに進化しない。もう物理的にシェルダーをくっつけて無理矢理進化させるしかないのだ。

 最悪、おうじゃのしるしを手に入れてヤドキングにするという手もなくはないのだが、俺はヤドランの方が好きなので、出来ればヤドランに進化させたい所である。

 

 と、いう訳で、釣りを始めたのだが、俺のヤドンはヤドンにしては機敏に動く方(自称)ということもあって、ニシノモリ教授のヤドンとは気が合わないようだった。

 むしろ、カスミさんのコダックの方が仲良くなっていたくらいである。

 

 一向に獲物も釣れず、そのままのんびり過ごしていると、いつものようにロケット団が乱入してきた。おまけに、ムサシが新しくシェルダーをゲットしたらしい。

 どうやらニシノモリ教授のヤドンの尻尾に噛み付いて、進化させたヤドランを奪うつもりのようだが、それを聞いた俺の脳内に一つの悪魔的発想が浮かび上がった。

 

 それ、俺のヤドンの尻尾を噛ませればよくね?

 

 本来、トレーナー同士のヤドンとシェルダーは基本的にバトルしない。何故なら、万が一、ヤドンにシェルダーが噛み付いて進化したとしたら、そのヤドランはどちらのトレーナーのものか喧嘩になるからだ。

 だが、俺は本体であるヤドンのトレーナーこそ、ヤドランの所有権を持つと思っている。つまり、ムサシのシェルダーを使って無理やり俺のヤドンを進化させれば問題は全て解決するということだ。

 

 と、言う訳で、ムサシのシェルダーがニシノモリ教授のヤドンに飛びかかるのを『サイコキネシス』で妨害し、そのまま俺のヤドンの尻尾まで誘導した。

 シェルダーは、「ヤドンの尻尾に噛み付く」という指示を受けていたので、当然俺のヤドンの尻尾に噛み付く。尻尾にシェルダーが噛み付いたことで、俺のヤドンがついにヤドランに進化した。

 念願のヤドン進化に、俺も大変気分が良いので、進化して強くなったヤドランの『サイコキネシス』で、いつものようにロケット団をやなかんじーしてやる。ムサシが何やら怒っていたが、最近の中では一番役に立ったぞお前ら。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・第65話『ライバル対決! オーキド研究所』より、シゲルとバトルした。
 ロケット団の乱入で決着はつかなかったが、割とニューサトシ優勢のバトルだった。これの結果、シゲルは自分の力がまだ足りないことを自覚したので、ポケモンリーグではさらに強くなってくるだろう。

・第66話『ヤドンがヤドランになる時』より、ニューサトシがビンヌへ誘われていた。
 アニメではみんなに置いてきぼりにされていたサトシ君だが、ニューサトシはむしろ根を詰めすぎだったので息抜きに誘われていた。当然拒否した。

・ヤドンがヤドランに進化した。
 ムサシのシェルダーをパクった。物理的に水の呪いを対処した。


 現在ゲットしたポケモン。

 ピカチュウ Lv.50

 ピジョット Lv.43→44

 バタフリー Lv.42→43

 ドサイドン Lv.50

 フシギダネ Lv.46

 リザードン Lv.51

 ゼニガメ  Lv.46

 クラブ   Lv.42→43

 カモネギ  Lv.42→43

 エビワラー Lv.45

 ゲンガー  Lv.48

 オコリザル Lv.43→44

 イーブイ  Lv.25→26

 ベトベトン Lv.40→41

 ジバコイル Lv.42→43

 ケンタロス Lv.41→42

 ヤドン→ヤドラン Lv.41→42

 ストライク Lv.41→42

 トゲピー  Lv.2

 プテラ   Lv.41→42

 ラプラス  Lv.37→39

 ミュウツー Lv.70

 バリヤード Lv.36→38




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#027 『少し寂しい気もする』

 11歳 κ月κ日 『リゾート地ビンヌ 波乗りピカチュウの伝説』

 

 どうやら誕生日だったらしい。ママさんにお祝いされるまで忘れていたが、一年経った割に成長していない気がする。髪の毛も伸びないし。サイヤ人みたいだな。

 

 まぁ、だからといって何かが変わる訳ではない。とっととマサラタウンに帰ってトレーニングに戻ろう。と、思ったのだが、「今日くらいは遊んでいきなさい」とママさんに言われたので、少し遊んでいくことにした。

 俺が意外とママさんに弱いことにタケシとカスミさんも驚いていたが、ニューサトシになってからママさんにはかなり迷惑をかけたので強く出られないのである。

 

 今回、ビンヌに来るにあたって、ピカ様、トゲ様以外、手持ちはみずタイプにしていた。ビーチで遊ぶことになったので全員を出して遊ばせる。

 ゼニガメ、クラブ、ヤドラン、そしてゲットしたばかりのラプラスを出して自由に遊ばせることにした。

 

 全員に「自由にして良いぞ」と言うと、各々勝手に行動を始める。ゼニガメはいつものように『ハイドロカノン』の練習を始め、クラブは砂浜で遊んでいた。

 ヤドランは波打ち際でボーッとしており、ラプラスは大きな海に来るのは随分久しぶりなようで大喜びしている。ピカ様はお兄ちゃんらしく、あっちこっちに歩いて行くトゲ様の面倒を見ていた。

 

 そんなポケモン達の遊ぶ姿を見て、たまにはリフレッシュしないとダメだな。と思った。

 改めて、最近はポケモンリーグやバトルのことばかり考えていて余裕を持てていなかった気がする。

 もしかしたら、ママさんもそういう、俺の見えなかったものが見えていたのかも知れないな。やはり、あの人には頭が上がらない。

 

 そのまま海で遊んでいると、20年に一度来るという大波が来たようで、浜辺から避難することになった。

 見ると、サーファー達がその大波を乗りこなそうとして、次々と海に飲み込まれていく。

 そんな中、ボードに青い目のピカチュウを乗せたおじさんが、見事波を乗り切って、大岩に旗らしきものを刺していた。よくわからないが、凄いことのようなので拍手しておく。

 それを見ていたキッズに「次は君達の番だ(キリッ)」とドヤ顔し、ピカチュウを連れたおっさんサーファーはどこかに去って行った。何かアニメでこんなの見たような気がする。

 

 

 

 11歳 κ月μ日 『きずなリザードン?』

 

 オーキド博士に、ミュウツーと戦った時にリザードンに起きた現象について聞いてみると、カロス地方にあるメガシンカではないかと答えが返ってきた。しかし、俺の記憶にあるメガリザードンはXもYも、あんな真っ赤にはならない。

 ただ、あの現象には少し心当たりがあった。

 ポケモンと感覚を共有し変化するあの状態は、アニメのXY編でゲッコウガとサトシ君に起きていた変化と似ているような気がする。

 

 きずな現象とかいうやつだ。

 

 もしかしたら、俺が知らないだけできずな現象で変化するリザードンがいるのかもしれない。いわば、きずなリザードンである。

 だが、俺のリザードンの特性は『もうか』のはずだ。特性が二つあるとは思えないので、何か原因があるはずなのだが、メガシンカですら浸透していないカントーの現状では謎のままになりそうだった。

 

 

 

 11歳 κ月ν日 『イーブイ頑張る』

 

 最近、イーブイのやる気が凄い。どうやらシゲルに勝ったことでバトルに自信が持てたらしく、事あるごとにバトルに出してくれと訴えてくるようになった。

 お調子に乗っていいことはないので釘を刺してやりたいのだが、どうにもイーブイには強く言えない。ママさん以外だとこいつが一番強く出られない相手である。

 

 ただ、レベリングをする必要があるのは確かなので、そこで上手く制御することにした。

 イーブイのやる気をキープしつつ、バトルは簡単なものじゃないということをわからせる。時には挫折することだって有り得るので、実際に挫折したことがあるフシギダネやプテラにも頼んでイーブイにバトルの厳しさを教えていった。

 

 ちなみに、特性の『アドバンスシフト(オーキド博士による呼称)』は、一試合に一回のみ使うという制限をしている。体にかかる負担も理由の一つだが、一番は技のスロットの問題だ。

 例えば、イーブイの状態で『すなかけ』、『でんこうせっか』を使い、ブラッキーに進化して、『しっぺがえし』、『つきのひかり』を使うと、技スロットを既に4つ使っていることになる。だが、その後、ブースターに進化して『フレアドライブ』を使ったら、5つ目の技を使ったという判定になるのではないかという疑問が出たのだ。

 

 ブラッキーとブースターでは当然使える技が違うので、もしかしたらイーブイの時以外の進化先で使った技はスロットにカウントされないかもしれないが、これを悪用するとイーブイだけで山のように技を使えてしまうという状況が生まれる可能性がある。それは、俺のトレーナーとしての理念に反する気がしたのだ。

 

 イーブイも俺が心配していることや、ずるになる可能性があるというのは理解してくれているので、特に反抗することもなく言うことを聞いてくれている。

 しかし、本当にやる気が凄いので少し怖い。

 ただ、それがイーブイのやりたいことなら尊重していこうということで、各進化先でも戦えるように訓練していく。

 

 イーブイは特性のおかげもあり多彩に戦えるが、進化先の数だけ戦い方を覚える必要があるので、当然他のポケモンよりも頭を使うし、状況に応じた動きを覚えるのは大変だった。

 だが、持ち前のやる気は折れず、こちらの指示に死ぬ気で食らいついてくる。ここまで来ると遠慮する方がイーブイに悪いと思い、俺も本気でイーブイと向かい合ってバトルの特訓を繰り返して行った。

 

 

 

 11歳 κ月ο日 『センスのあるバリヤード』

 

 アニメではママさんに懐いて家事をしていたバリヤードだが、この世界では出会って早々に俺が捕まえたことでしっかりとバトルのトレーニングをしている。

 こいつは原作通り、とてもセンスがあるので練習を見ているだけで楽しかった。

 

 壁系の技である『リフレクター』や『ひかりのかべ』を超能力で物理的に相手にぶつけたり、逆に壁を何重にも出して攻撃を完全に防いだりしている。

 また、かくとうタイプの技に興味があるのか、エビワラーやオコリザルに聞いていろいろ技を習得していた。こいつも才能がある方なようで、『きあいパンチ』をすぐに覚えている。

 

 そんな光景を見ていると、アニメではカンフー体操をしている描写があったのを思い出したので、見よう見まねでバリヤードに動きを伝えた。最初は首を傾げていたが、すぐにコツを掴んだらしく、やりやすい自己流の動きを確立したようだ。

 

 それがきっかけになったのか、ポケモン達の中でカンフー体操が大流行していた。

 また、バリヤードがかくとう技の練習をしていたのに触発されてか、ピカ様も『かわらわり』の練習をしている。どうやら、前にシゲルのエレブーが使っているのを見て覚えたくなったらしい。でも、手は多分無理なので尻尾にしておいた方がいいぞ。

 

 

 

 11歳 κ月ρ日 『ポケモン達の教え合い 前編』

 

 ピジョットが『ねっぷう』の練習をしながら、バタフリーに『ぼうふう』を教えていた。

 俺のピジョットは基本的に特殊型なので、苦手なはがねタイプを突破するのに『ねっぷう』があると楽だねと話したのがきっかけである。

 バタフリーにも、『ちょうのまい』を生かす、タイプ一致の高威力ひこう特殊技があるといいねと話したらピジョットに相談に行った。古株だけあって、この二体は仲が良いのだ。

 

 ドサイドンは物理の択を増やしたいようで、エビワラーに三色パンチを習っている。どうやら、オコリザルも一緒のようで、二体一緒に三色パンチを覚えようとしていた。

 講師であるエビワラーは技を教えながら、自分は特殊タイプの相手と戦った時の動きを対策しているようで、いつものカウンターではなく立ち回りを研究している。

 

 御三家のうち、フシギダネとゼニガメは今日も今日とて究極技の練習に励んでいた。二人共、かなり頑張っているが、まだ完成には至っていない。

 最後の御三家であるリザードンは『りゅうのはどう』の練習をしているが、きずな現象(憶測)が気になっているのか、訓練に気合いが入っていないようだった。

 

 

 

 11歳 κ月σ日 『ポケモン達の教え合い 中編』

 

 他のポケモンが技習得に励む中、クラブが進化しないことを気に病んでいる。後輩であるヤドランが進化したのも原因かもしれない。

 クラブもレベル技は全て覚え、今はドサイドンに『いわなだれ』を習っていた。しかし、センスだけはあるので、既に技が形になっている。本当に何で進化しないんだろうな?

 

 こっちでは、カモネギが『ブレイブバード』の練習をしていた。ひこうタイプ最強の物理技ということもあってか、習得には苦労しているようだ。

 プテラもブレバに興味があるようだったが、確かプテラは覚えられないはずなので、素直に『じしん』の練習をするようにお願いする。

 じめん技の得意なケンタロスが先生になって技を教えており、ケンタロスもプテラから『ストーンエッジ』を習っていた。いい相互関係である。

 

 ゲンガーはベトベトンにどくタイプの技を習っているようだった。逆にベトベトンは『かげうち』を覚えたいのか、ゲンガーにゴーストタイプの技について習っている。こちらも良い関係かと思ったが、ゲンガーは『かげうち』を覚えない。

 仕方ないので、『シャドーパンチ』を教えてそこから派生させていく方法を教えた。少し大変かも知れないが、先制技はあって困らないので頑張ってくれベトベトン。

 

 

 

 11歳 κ月τ日 『ポケモン達の教え合い 後編』

 

 ジバコイルが技の練習をしている。ぶっちゃけ、こいつはもう必要な技を覚えきっているので、後は精度を高めていくくらいしかやることがないのだ。

 他のみんなのように技を教え合えないことを残念に思っているのか、少し寂しそうである。

 空気を読んだゲンガーがジバコイルから『10まんボルト』を習っていた。お前、他にも技を練習していると言うのに。本当に良い奴である。

 

 こっちでは、ヤドランとラプラスが二人で『れいとうビーム』の練習をしていた。

 ヤドランも進化したことでかなり動きが機敏になり(気のせい)、ラプラスにもいろいろ教えているようである。ただ、『れいとうビーム』の完成度はラプラスの方が進んでいた。

 

 ストライクには『ダブルウイング』の練習をさせている。

 これは、いつも使っている『ダブルアタック』と『つばさでうつ』のアニポケ殺法の本家のような技なので、覚えると技スロットが一つ空くので是非頑張って欲しい。

 

 最後にマスターボール内にいる暴君なのだが、意外と面倒見がいいのか、技の習得に手こずっているポケモン達にアドバイスを飛ばしていた。想像以上にいい奴である。

 

 

 

 11歳 κ月φ日 『トゲ様の嫉妬』

 

 最近、イーブイばかりに構っているせいか、トゲ様がすねてしまった。

 こっちはまだ赤ちゃんということもあり、本格的なバトル練習はしていなかったのだが、どうやらそれが贔屓に見えたようである。

 

 確かに、生まれてから結構経ったし、いい加減本格的に練習してもいいのかもしれない。

 トゲ様に謝罪し、これからはみんなと同じように練習することを約束すると、許してくれたようでいつものように可愛い笑顔を向けてくれた。

 

 何だか、トゲ様が少し大人になったようで少し寂しい気もする。

 

 

 

 11歳 κ月ψ日 『きずな現象の条件』

 

 リザードンがトレーニングに集中できないようなので、きずな現象(多分)について少し調べてみることにした。とはいえ、専門家でもない俺にわかることなどたかが知れているが。

 

 とりあえず、今の段階でわかったことは二つ。

 一つ目は、発動すると感覚や思考を全て共有するということ。視覚の共有は当然として、リザードンがダメージを受ければ俺にも痛みがフィードバックされた。サカキ様とのバトルで俺が痛みを感じたのは、リザードンのダメージを感じ取っていたからのようだ。

 

 また、思考を共有しているからか、言葉にしなくてもお互いの考えていることが手に取るようにわかった。今までもそういうことはあったが精度が全く違う。指示のタイムラグがなくなり、動きは最適化され、あのミュウツー相手でも互角に戦うことが出来た。

 

 二つ目は、危機的状況じゃないと発動しないということ。今現在のリザードンではあの変化を自由にコントロールできないようで、絶対に負けたくないというような状況にならないとあの変化は起きなかった。

 おまけに変化していられる時間は一分が限界で、それを越えると元の状態に戻る上、尋常ではない疲労が襲ってくる。本当に切り札としてしか使えない性能だった。

 

 確かアニメでは絆が深まって、サトシ君とゲッコウガの気持ちが一つにシンクロすると発生すると言っていた気がする。俺達がこの力を自由に発動できないのは、もしかしたら俺とリザードンの気持ちが一つになっていないからかもしれないな。

 

 尚、これがわかったのはミュウツー君が『あの変化には少し興味がある』と言って、検証に協力してくれたおかげである。

 だが、いくらなんでもあそこまで本気でやらなくてもいいだろう。なかなか変化しないリザードンに業を煮やして戦闘不能寸前まで追い込まれ、おかげで変化した頃には大ダメージだった。

 

 

 




 原作との変化点。

・第67話『波乗りピカチュウの伝説』より、サーファーのビンセントに出会わなかった。
 アニメではサトシ君が海で足をつった所で出会ったが、ニューサトシは普通に遊んでいたので出会うきっかけがなかった。

・イーブイの特性による進化に制限をかけた。
 無制限は強すぎるのと、体にも良くないので。

・バリヤードがバトルに集中している。
 家事よりもバトル。本人もニューサトシの教えを忠実に守っている。

・技の習得やレベリングに励んでいる。
 ポケモンリーグまでは自主トレメインだが、全員でトレーニング出来るので効率が少し上がった。

・トゲ様が自分をないがしろにしたことを怒った。
 赤ちゃん扱いされることに怒った。バトルをさせてくれと訴えているが、まだ低レベルなので練習のみにしている。それでも放置しなくなったので、レベルは上がった。

・きずな現象(仮)について調べた。
 基本的にミュウツーは興味を持ったことにだけ手伝いをしてくれるので、これについては手助けしてくれた。ただ、飲み込みが悪いせいで戦闘不能一歩手前まで持っていかれた。


 現在ゲットしたポケモン。

 ピカチュウ Lv.50

 ピジョット Lv.44→45

 バタフリー Lv.43→44

 ドサイドン Lv.50

 フシギダネ Lv.46→47

 リザードン Lv.51

 ゼニガメ  Lv.46→47

 クラブ   Lv.43→44

 カモネギ  Lv.43→44

 エビワラー Lv.45→46

 ゲンガー  Lv.48

 オコリザル Lv.44→45

 イーブイ  Lv.26→32

 ベトベトン Lv.41→42

 ジバコイル Lv.43→44

 ケンタロス Lv.42→43

 ヤドラン  Lv.42→43

 ストライク Lv.42→43

 トゲピー  Lv.2→4

 プテラ   Lv.42→43

 ラプラス  Lv.39→41

 ミュウツー Lv.70

 バリヤード Lv.38→40




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#028 『本気でかかってこい』

 11歳 λ月β日 『植物園のラブコメ』

 

 裏山の植物園でリンドウとかいうお嬢様と、カードキャプターさくらの山崎君に似た声の男がラブコメをしていた。

 それに触発されたのか、俺のフシギダネもお嬢様のクサイハナとラブコメをしている。ちなみにタケシはリンドウお嬢様の気持ちに気付いておらずいつも通り暴走していた。

 

 こりゃ振られたな。あーあ、俺しーらね。

 

 

 

 11歳 λ月ε日 『エビワラーの挑戦』

 

 いつも通り、オーキド研究所でトレーニングに励んでいると、タケシとカスミさんが四天王のシバがミヤザキ山で目撃されたという情報を持ってきた。

 四天王のシバといえば、ウーハーで有名なかくとうタイプのポケモン使いである。

 タケシが「ポケモンバトルの奥義を聞きに行こう」とか言っているが、ぶっちゃけそんな奥義より、シゲルのように四天王とバトルしてみたかったので、とりあえずそのミヤザキ山とかいう所へ行ってみることになった。

 

 ミヤザキ山に着くと、通常の二倍近い大きさのイワークが元気に山を走っている。どうやら、ミヤザキ山は土が良いようでイワークが良く育つらしい。

 パワーもありそうなのでゲットするのも悪くないと思いながら、走ってくるイワークをじっくり眺めていると、「あまり近づくと危険だぞ」と声をかけられた。

 

 振り返ると、上半身裸のおっさんがドヤ顔で仁王立ちしている。っていうか、四天王のシバだった。

 

 本物のシバに会えて感激したらしいタケシが、出会って早々シバのことを先生と呼びながら、ポケモンバトルの奥義について聞いている。

 そんなもんある訳ないだろうと思いながら様子を見ていると、シバも「そんなものはない」と即答していた。ですよねー。

 しかし、見た感じ修行をしに来たという感じではなかったので、ここに何しに来たのか聞いてみた。すると、シバはここに住んでいる大きいイワークの中でも一番大きいイワークを探しにここまで来たらしい。

 

 つまり、そのイワークが見つかるまでは暇ということだ。物は試しの精神で、「俺とバトルしてくれませんか?」と聞いてみると、何故か上から下までじっくり見られた後、「……うむ。君なら問題ないだろう」と言われ、何だかんだバトルをすることになった。やったぜ。

 

 シバの案内で、山の中にある自然の岩山フィールドへ移動する。フィールドも大きな凹みのような場所なので、念のためにトゲ様をカスミさんに預け、俺とシバは崖から飛び降りて行った。

 

 そのまま、ある程度の距離を取って向かい合う。

 この人はワタルと同じく、カントーの四天王をやっている男だ。生半可なレベルじゃないのは間違いない。油断したら即敗北と考えて良いだろう。

 勝負は1対1。ただの野良バトルなので、レベル制限も何もない全力バトルである。向こうが何を出してくるか見ていると、エビワラーを出してきた。

 

 それならと、俺も同じくエビワラーを出す。

 それを見てシバが「ほう、この俺相手に格闘戦を仕掛けてくるか……」と楽しげな表情を浮かべた。

 勿論、俺だってエスパータイプやひこうタイプで相性を責めるのがセオリーなのはわかっている。だが、敢えてこの男に真っ向勝負を挑んでみたかったのだ。

 それでこそ、俺は四天王との力の差を肌で感じることが出来る。そう思ったからだ。

 

 すぐにバトルが開始されるかと思ったが、シバは様子見をしているのか動かなかった。先手をくれるということだろう。

 お言葉に甘え、俺はエビワラーに『こうそくいどう』を指示し、素早を上げていった。かくとうタイプ相手にはいつものカウンターだ。そのまま小さくステップを繰り返し、いつでも動ける状態をキープさせる。

 

 こちらがスピードを上げたのを見て、シバのエビワラーも突っ込んできた。技は何も指示されていないが、小さく左右のワンツーを放ってくる。

 こちらがどう動くのか試しているのだろう。舐めるなよ、俺のエビワラーは強いぞ。

 

 シバのエビワラーの左右をかわし、カウンターを合わせる。そのままシバのエビワラーにこちらの右が入ると、俺のエビワラーは再び距離を取った。

 これは技の『カウンター』ではない。ただ、拳を返しただけである。当然、シバのエビワラーにはたいしたダメージは入っていないだろう。

 

 しかし、代わりに伝えたのだ。

 

 本気で掛かってこい、と。

 

「俺のエビワラーに拳で会話するとは、こしゃくなやつだ」

 

 シバが『マッハパンチ』を指示し、エビワラーが素早くパンチを連打してくる。

 こちらは『こうそくいどう』のおかげで速度が上がっているので、ギリギリで反応できていた。ガードを混ぜながら、攻撃を回避していく。

 流石のシバのエビワラーもこう凌がれると鬱陶しいのか、大振りの一撃を打とうとしてくる。その一撃に『みきり』と『カウンター』を合わせ、今度こそ俺のエビワラーがシバのエビワラーに一撃を入れた。

 

 本来なら、『きあいパンチ』で迎撃したかった所だが、あの『マッハパンチ』の早さでは、いくら『こうそくいどう』を積んでいても貯めのいるパンチは打てない。だが、ダメージはしっかり入ったようで、シバのエビワラーが怒りの表情を見せる。

 対するこちらは冷静だった。

 再び距離を取り、『こうそくいどう』で、もう二段階素早を上げていく。シバのエビワラーがそのまま突っ込んでこようとしていたが、「心を静めろ、エビワラー」と言って、シバが頭に血の上ったエビワラーを落ち着かせていた。

 

「慢心するな。相手は強いぞ。リーグ戦だと思って戦え」

 

 その一言が効いたのか、フッと一息ついて、シバのエビワラーが再び拳を構える。

 本当なら落ち着かせたくはなかった。しかし、俺のエビワラーは技スロットの関係で自分からは攻めにくいのだ。必然的にシバのエビワラーの動きを待つしかなかった。

 シバのエビワラーが距離を詰めてくる。

 右で大技を狙っているのは明らかだった。左のジャブで様子を見ながら、タイミングを計っている。しかし、いいジャブだ。こちらは『こうそくいどう』で速度が上がっているから回避可能だが、ノーマルの状態ならこのジャブを避けるのすら苦労するだろう。

 

 リズムに乗ってきたのか、シバのエビワラーが左を引いて右拳に力を込めた。右拳に光が集中する。『きあいパンチ』だ。

 きあパンは攻撃を受けたら失敗する技だが、これまでの動きから俺のエビワラーが攻めてこないと判断したのだろう。だが、こっちはそれを待っていたのだ。

 先程までの高速戦闘から一撃必殺を狙う戦い方に変わったことで、こっちも全力を出せるようになった。向こうの『きあいパンチ』を『みきり』でかわし、そのままこちらも『カウンター』からの『きあいパンチ』で右を叩き込んでいく。

 

「なっ!?」

 

 直撃する――そう思った瞬間、シバのエビワラーが左の拳で、俺のエビワラーの拳をガードしていた。

 馬鹿な、俺のエビワラーの高速見切りカウンターきあパンが防がれただと!?

 

「『マッハパンチ』」

 

 こちらの動揺した隙を突くように、シバのエビワラーが伸びきっていた右拳を引き戻し、高速の『マッハパンチ』を打ってきた。

 駄目だ。こっちはパンチを打った形で硬直している。回避出来ない――俺のエビワラーの顔面に『マッハパンチ』が命中し、ダメージで膝から崩れ落ちていく。

 

「君のエビワラーがカウンターを狙っているのは読めていた」

 

 シバは言う。バトル開始の段階で、俺のエビワラーは『こうそくいどう』を積んだ。

 インファイタータイプのかくとうポケモンは、開幕から詰めてくることが多い。この時点で、シバは俺のエビワラーを外から足を使うアウトファイタータイプのかくとうポケモンだと判断した。

 おまけに、序盤の『カウンター』を見て、俺のエビワラーがカウンター使いであることも見抜いた上、技を出してこない所から完全にカウンター特化したタイプだということもわかったと言う。

 

 後は来るであろう『カウンター』を待つだけだ。

 シバのエビワラーは、これまであらゆるかくとうポケモンと戦ってきた百戦錬磨のエビワラーである。いくらこちらの『カウンター』が早かろうと、来るとわかっていれば防御することは可能だと言っていた。

 

「念のために、俺のエビワラーが左拳を胸の高い位置においていたのに気付かなかった君の負けだ」

 

 いや、仮に気付いていたとしても、俺はエビワラーに『カウンター』を打たせただろう。それだけ、あの必殺パンチには自信があった。

 それはエビワラーも同じようで、四つん這いの体勢で悔しそうに地面を叩いている。

 これが、『まもる』や『みきり』のような技で防がれたのならまだ良かった。しかし、シバのエビワラーは単純な技術でこれを凌いで来たのだ。悔しくない訳がない。

 

 俺のエビワラーが膝を震わせながら立ち上がる。

 シバは手加減する気などないのだろう。『インファイト』を指示して、至近距離からパンチを連打してくる。こちらはガードを固めて、攻撃を凌ぐしか出来なかった。

 だが、このまま亀のように固まっているつもりはない。シバのエビワラーが『インファイト』を終える瞬間を『みきり』で狙って、再び『カウンター』からの『きあいパンチ』を打つ。拳の位置はガードに間に合わない。当たる――

 

「『みきり』」

 

 今度はしっかりと技で回避してきた。

 高速見切りカウンターきあパンをかわされ、エビワラーの体が流れる。同時にシバのエビワラーの右拳が光った。『きあいパンチ』だ。

 

 顔面にシバのエビワラーの『きあいパンチ』が直撃する。さっきは、こちらに攻撃を避ける隙を与えないために『マッハパンチ』を選択したシバだったが、今回はこちらの隙を突いた完全な大技が直撃した。

 あまりのダメージに、俺のエビワラーが再び崩れ落ちる。元々、俺のエビワラーは物理防御が紙だ。

 きあパンやマッパの威力から見ても、向こうの特性はおそらく『てつのこぶし』だろう。おまけに鍛え抜かれたシバのエビワラーだ。純粋な攻撃力も俺のエビワラーより上と見ていい。そんな奴の威力270技をもろに顔面に受けて立っていられるはずが――

 

「ほう、まだ倒れないか」

 

 ――エビワラーは倒れていなかった。

 右拳で地面を叩き、崩れそうになる体を無理矢理立ち上がらせている。しかし、いつ戦闘不能になってもおかしくない状態だった。

 正直、トレーナーである俺も驚いている。

 仮に防御の個体値がVでも、あの威力のパンチをくらったら立っていられないはずだ。倒れていないのは、偏に負けたくないという意地である。

 

 これだけの意地を見て、燃えない男がいるはずがない。シバに頼んで少しだけタイムをもらい、エビワラーに駆け寄る。まだ目は死んでいない。ならば、俺が考えついた唯一勝てる策をエビワラーに授けることにした。

 

 時間にして、ほんの数十秒の作戦タイムを終え、俺がトレーナーポジションに戻ると、俺のエビワラーがシバのエビワラーを挑発するように手招きする。

 こちらはもう動けない以上、罠であるのは重々承知しているはずだ。だが、四天王という肩書きが持つ絶対的な自信が、シバのエビワラーを進ませる。

 左拳を高く構え、シバのエビワラーが右拳に力を集中させた。こちらも右拳に力を集中させて構える。隠すつもりのないカウンターの構えだった。

 

「面白い」

 

 シバがそう呟くと、そのままエビワラーに『きあいパンチ』を指示する。こちらもまた、『みきり』で攻撃をかわし、『カウンター』からの『きあいパンチ』で反撃に移った。

 ここまでは、完全に先程までの焼き直しである。

 当然、このままではシバのエビワラーの左で攻撃を防がれることになるだろう。違うのはここからだ。シバのエビワラーの左拳が動くのと同時、俺のエビワラーが『こうそくいどう』を発動させ、パンチのスピードをさらに二段階上昇させる。

 向かってくるパンチの速度が変わったことで、シバのエビワラーも防御のタイミングを外されたのだろう。ようやく俺のエビワラーの拳が顔面に直撃し、そのままシバのエビワラーを岩山の壁に叩き付けた。

 

 ぶっ飛ぶシバのエビワラーを見ながら、俺のエビワラーが膝をつく。文字通り、全てのパワーを使い切ったのだろう。やりきったという表情をしていた。

 しかし、これはシバがこちらに付き合ってくれたからこそ成功した策だ。冷静に『みきり』を使われたら防がれていたし、『インファイト』で乱打戦を仕掛けられても勝てなかっただろう。強者である向こうの余裕につけ込んだ姑息な手段だった。

 

「凄まじいパワーのカウンターだ。これほどの威力を持ったパンチは今まで見たことがない。だが――」

 

 ――シバのエビワラーもまた立ち上がった。

 膝を震わせ、瓦礫を支えにする姿はダメージの大きさを表している。それでも、四天王のポケモンとして負けることは許されない。シバのエビワラーの目はそう訴えていた。

 

 シバのエビワラーがファイティングポーズを取ったことで、俺のエビワラーもまた立ち上がり拳を構える。

 しかし、決着はつかなかった。俺とシバのエビワラーが構えた瞬間、ぶつかった岩山が崩れ、地面から顔に十字傷の入った巨大なイワークが出てきたのだ。

 

 咄嗟に俺とシバがエビワラーをボールに戻すと、そのままイワークが襲いかかってきた。

 当然、逃げるしかないのだが、ここは自然の岩山フィールド内なので逃げるには崖を登る必要がある。

 だが、俺達とイワークの距離を考えれば、とてもそんな時間はなかった。

 

 逃げられない以上は迎撃するしかない。

 シバを後ろに下げ、マサラ式肉体言語術――マサラ正拳突きでイワークの『たいあたり』を迎え撃った。

 

 まさか人間に迎撃されるとは思わなかったのか、思わぬダメージにイワークが怯む。しかし、まだ暴れるつもりのようなので、大人しくなるまで追撃することにした。

 再度、イワークに襲い掛かろうとすると、様子を見ていたシバが制止の声をかけてくる。

 何だと思って振り向くと、「イワークの体に何か異常が起きている」と言う。そのまま、前にいた俺を無理やり後ろに下げると、いきなりイワークの体を調べ始めた。

 

 一瞬、近づいてくるシバを警戒したイワークだが、「何も恐れることはない。俺に身を委ねよ」と言われると、シバが攻撃してこないとわかったのか、させるがままにしている。力を使わないコミュニケーションに関しては、シバの方が一枚上手のようだった。

 そのまま、シバがイワークを形成する岩と岩の間を調べていくと、尻尾近くの岩の隙間に何かを見つけたのか、その異物を引きずり出そうとしている。

 出てきたのはサンドパンだった。

 通常なら有り得ないことだが、巨大過ぎるが故に隙間に入ってしまったのだろう。ここに来たのも、痛みをどうにかして欲しかったのかもしれない。

 

 異物がなくなったことにより、暴走も収まったのか、笑顔を見せるイワーク。

 そのまま詰まっていたサンドパンが逃げていくのを見送ると、シバがイワークに自分と一緒に来ないかと声をかけていた。

 イワークも自分を助けてくれたシバに懐いたのか、素直に頷いてゲットされている。ぶっちゃけ、俺がゲットしたかったのだが、助けたのはシバなので諦めるしかなかった。

 

 ふん! いいもんね! 俺はオレンジ諸島でクリスタルのイワークをゲットするし!

 

 

 




 原作との変化点。

・第68話『植物園のクサイハナ』より、フシギダネやゲストキャラのラブコメを見守った。
 アニメのサトシ君はお子様なのでその辺の機微に疎いが、ニューサトシは普通に気付いた。

・第69話『ポケモン・ザ・ムービー』、第70話『ニャースのあいうえお』がスキップされた。
 キャンプには参加しなかったので映画の話もなくなった。それにより、映画を見る話もなくなった。

・第71話『四天王シバ登場』より、シバとバトルをした。
 レベル差はおよそ10。技術の差もあり、普通にボコボコにされた。シバがもっと容赦なく戦っていれば、一矢報いることも出来なかっただろう。


 現在ゲットしたポケモン。

 ピカチュウ Lv.50

 ピジョット Lv.45

 バタフリー Lv.44

 ドサイドン Lv.50

 フシギダネ Lv.47

 リザードン Lv.51

 ゼニガメ  Lv.47

 クラブ   Lv.44

 エビワラー Lv.46→47

 ゲンガー  Lv.48→49

 オコリザル Lv.45

 イーブイ  Lv.32→36

 ベトベトン Lv.42

 ジバコイル Lv.44

 ケンタロス Lv.43

 ヤドラン  Lv.43

 ストライク Lv.43

 トゲピー  Lv.4→6

 プテラ   Lv.43

 ラプラス  Lv.41→42

 ミュウツー Lv.70

 バリヤード Lv.40→41




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#029 『心が弱くてすまない』

 11歳 λ月ζ日 『強者の壁』

 

 結局、昨日は再戦という空気でもなくなってしまい、シバも「いつかまた、お前と再戦できる日を楽しみにしている」と言って、ミヤザキ山を去っていった。

 だが、格上の相手と戦ったことで、俺達も次のステージに進むことが出来た気がする。特に直に戦ったエビワラーは自分に足りないものが明確にわかったようで、今までのカウンターを一から見直しているようだった。

 

 実際、完成形だと思っていた高速見切りカウンターきあパンだが、こちらよりも技術がある相手には全く効かないという弱点が発覚している。

 あんな芸当が出来るのは四天王クラスくらいだろうが、もしリーグ優勝して、チャンピオンリーグを勝ち抜けばその四天王と戦うことになるのだ。今のうちに対策を練っておかないと命取りになるだろう。

 

 問題として浮き出たのは、こちらから攻める手段がきあパンしかないことだ。他は全て、自身へのバフか、相手の動きを待つ技しかない。

 昨日のように、高速見切りカウンターきあパンが凌がれた場合、もうこちらに出来ることが何もなくなるというのは負けも同義だった。

 

 とはいえ、カウンターを捨てるつもりはない。

 今からインファイターに転向したって、撃たれ弱さが直る訳ではないし、そもそも殴り合いは俺のエビワラーの戦い方ではなかった。

 必要なのは技スロットだ。今は全てのスロットをカウンターに振り切っているから他のことが出来ない。ならば、技スロットを一つ減らして攻撃手段を作る。その上で、カウンターの威力を下げないようにすれば、俺達は今よりも上に行けるということだ。

 

 俺達が作った高速見切りカウンターきあパンは、四つの工程が必要な技である。

 一つ目は、『こうそくいどう』による速度の強化。これは、エビワラーの素早さ種族値が高くないのもあって、攻撃を避けたりやパンチの速度を上げたりするために必須の技だ。

 二つ目は、『みきり』で、相手の攻撃を確実にかわせる状態を作ること。これがあるから、どんな攻撃にも必ず『カウンター』を合わせにいくことが出来ている。

 三つ目は、『カウンター』による相手への迎撃。これは俺達の攻撃の要にもなっているので、これがないとそもそも技が必殺技になり得ない。

 四つ目は、『きあいパンチ』による威力の強化。特性、『てつのこぶし』による威力270のパワーがあってこそ、相手を一撃で倒すことが出来ているのだ。

 

 この四つの組み合わせこそがベストだと思っていたが、シバのエビワラーの技術を見て考えが変わった。『みきり』を外しても技を成功させることが出来れば、技スロットを一つ別の技に使用することが出来ると思ったのだ。

 

 勿論、口にするほど簡単ではない。今まで絶対に避けられていたものが避けられなくなる以上、失敗すれば自滅も有り得るだろう。

 だが、その危険を冒してでも、上を目指さなければ俺達はこれ以上強くなれない。

 

 エビワラーも、もう覚悟を決めているのだろう。

 今はオコリザルに頼んで、『インファイト』に『みきり』なしで高速見切りカウンターきあパンを合わせようとしていた。いや、高速カウンターきあパンか。

 前から思っていたが、技の名前が長いので、これからは超カウンターと呼ぼう。

 

 

 

 11歳 λ月ι日 『みずタイプの呪い』

 

 クラブの元気がない。元気がないのをごまかすように技を覚えているのが余計に痛々しく見える。

 だが、ピカ様がまだ習得できていない『かわらわり』を速攻で覚えてしまう辺り、やはりこいつは天才のようだ。決してピカ様も呑み込みが悪い訳ではないのだが、クラブの天才ぶりは異常である。逆にピカ様が落ち込んでいた。

 

 しかし、ゼニガメや今は進化したヤドランもそうだが、レベルは十分なはずなのに何故進化しないのだろうか。

 ピカ様やフシギダネのように進化を拒絶しているなら話は別だが、進化の兆候すら来ないのは流石におかしい。

 

 ワタルの言った相性のせいか? だが、進化にまで影響するのはぶっちゃけ困る。今までは何だかんだスルーしていたが、そろそろ本格的にこの呪いを解く手段を探す必要があるかもしれないな。

 

 

 

 11歳 λ月μ日 『激突 超古代ポケモン』

 

 タケシやカスミさんと山にトレーニングに来ていたら、知らないうちに古代ポケモニア文明とやらの巨大ポケモンが現れた。

 大きさはダイマックスポケモンばりの大きさで、良くわからないマークをつけたゲンガーとフーディンが戦っている。

 何かアニメで見た記憶があるようなないような。まぁ、こういうとんでもイベントは大体ロケット団が原因だろう。

 

 と、言う訳でロケット団を探してみたのだが姿が見つからない。いつもは探すまでもなく近くにいるのに使えない奴らである。

 

 うーむ、どうするか。どこからか現れた研究員さんがいうには、この二体が古代ポケモニア文明を一晩で滅ぼしたようで放置するとヤバいらしい。

 困っていると、脳内にミュウツーのテレパシーが聞こえてきた。どうやらこの二体の力に興味があるようで戦ってくれるらしい。

 そりゃ有難いと、早速ミュウツーを出して自由に戦って貰う。これはトレーナー戦じゃないし、ミュウツーも下手に命令されるより、自分で動いた方が戦いやすいだろう。

 

 ミュウツーに気付いた巨大ゲンガ―と巨大フーディンが、攻撃対象を変更してくる。しかし、ミュウツーは『ひかりのかべ』を何重にも重ねがけし、その攻撃を防いでいた。

 お前それ、バリヤードがやってたやつじゃね?

 

『よいものを取り入れて損はあるまい』

 

 さいですか。とはいえ、流石はミュウツーである。

 巨大ポケモン達の攻撃は、その体に比例してとても強いのだが、まるで相手になっていない。途中から二体もミュウツーのやばさに気付いたようで協力し始めたが、むしろようやく楽しくなってきたとばかりに、ミュウツーは巨大スプーンを作成して武器にし始めた。

 

 お前、それポケスペやん。

 

 結局、ミュウツーが無双する形で戦いは終わり、最後はミュウツーの超能力で巨大ポケモン達は再度封印された。どうやら久しぶりに暴れられて楽しかったのか、『いい運動になった』と言って、ご機嫌にボールの中に戻って行くミュウツーさん。よかったね。

 

 ミュウツーによって巨大ポケモン達が封印されると同時に、どこかに消えていたロケット団がいきなりこの場に現れた。やっぱり、お前達のしわざかよ。はた迷惑な奴らだな。

 聞けば、巨大ポケモンの封印を解いた瞬間、暗闇に囚われたらしい。だが、今回ばかりは命の危険を感じたのか、助かったとわかると「命あっての物種よー」と泣いて走って行った。まぁ、今回はミュウツーが楽しそうだったから許してやるか。

 

 

 

 11歳 λ月ο日 『ウサギとカメ』

 

 フシギダネが『ハードプラント』を完成させた。ポケモン図鑑の覚えている技一覧に技名が表示されたので間違いない。

 リザードンは進化してすぐに覚えてしまったが、それに続く二体目――いや、進化前で覚えたのは初なので、実質最初の一体目になった。

 

 これに焦ったのはゼニガメである。ゼニガメはフシギダネが挫折している間も、『ハイドロカノン』の練習を毎日続けていた。それでもフシギダネの方が早かったのだ。

 そもそも、本来なら覚えて良いはずの『ハイドロポンプ』すらまだ覚えていない。

 遂に自信をなくしてしまったのか、進化できなくて悩んでいるクラブと共に暗い顔をするようになってしまった。

 

 やべぇ、俺のみずタイプの元気がどんどん無くなっていく。

 

 

 

 11歳 λ月π日 『助けてスミえもん!!』

 

 みずタイプのトレーナーであるカスミさんにゼニガメやクラブのことを相談してみた。

 珍しく弱気な俺にカスミさんも最初はからかってきたのだが、俺が真面目に悩んでいるのがわかると、「私に預けてみる?」と言ってくれた。

 ぶっちゃけ、それも有りかと思った。

 ただ、これでカスミさんに預けて結果が出てしまったら、もう俺はみずタイプのポケモンを捕まえたくなくなってしまいそうだったので、今回は遠慮させて貰うことにした。

 

 心が弱くてすまない。

 

 

 

 11歳 λ月σ日 『助けてシゲえもん!!』

 

 珍しくシゲルがオーキド研究所に来たので、ゼニガメやクラブのことを相談してみた。

 聞けば、シゲルもクラブを持っていると言うことだったので、ゼニガメにカメックスを、クラブにクラブを会わせて様子を見てみることにした。

 結果、ゼニガメは『ハイドロポンプ』を覚え、クラブは何故か自信を取り戻していた。代わりにシゲルのカメックスが怪我をしていて、クラブが何やらショックを受けていた。

 

 一体、何があったんだ?

 

 

 

 11歳 λ月φ日 『お前は俺を怒らせた』

 

 もう10日もしないうちにポケモンリーグが始まるので、そろそろ旅に出ることにしたのだが、道中でサイゾウと名乗る不届き者がバッジを全部賭けてのバトルを仕掛けてきた。

 あまりにもこちらを挑発してくるので仕方なく勝負を受けてやったのだが、口ほどにもないというのはまさにこいつのことである。自慢げに出してきたガラガラをカモネギの『リーフブレード』で瞬殺してやった。

 ガラガラが一番強いポケモンなので降参すると言ってきたのだが、そんなの認める訳がない。残りのポケモンも全て瞬殺して、耳揃えてバッジを出すように要求する。

 

 すると、バッジを持っていないと言うでは無いか。

 

 あれだけこちらを馬鹿にした上、元手ゼロでこちらのバッジを奪おうとしただと?

 そんなの許せるはずがない。マサラ式肉体言語術で、二度と悪さが出来ないようにボコボコにしてやった。

 

 顔を腫らしたサイゾウが、謝りながら「バッジは喋るニャースに奪われたのでござる」と話しているが、そんなもの簡単に盗まれる方が悪い。

 喋るニャースといえばロケット団の仕業だろうが、それだけのヒントがあるなら、まずは自分のバッジを取り返しに行くべきだったのだ。

 にも関わらず、こいつは他のトレーナーからバッジを取ろうとした。そんなの、やっていることはロケット団と大差ないじゃないか。悪いが、そんな悪党にかける情けはなかった。

 

「仮にバッジがあったとしても、お前のレベルじゃ一回戦負けだよ」

 

 戦う前にこいつが俺に吐き捨てた言葉をそのまま返し、セキエイ高原に向かって歩き出す。

 カスミさんが「ちょっと言い過ぎじゃない?」と言っていたが、こういう輩は甘やかすと調子にしか乗らないのでこれでいいのだ。

 しかし、あまりに可哀想だと思ったのか、タケシがロケット団の情報をサイゾウに伝えている。

 少し甘いと思ったが、哀れなのもまた事実か。

 これでポケモンリーグに出て来られないようなら、こいつにはその実力が無かったというだけの話だ。

 

 

 




 原作との変化点。

・エビワラーが高速見切りカウンターきあパンの改良を始めた。
 正直、高速見切りカウンターきあパンという名前はかなりお気に入りだったのだが、技スロットを全て使うのは諸刃の剣過ぎたので改良し始めた。ポケモンリーグまでに間に合うかはわからない。

・第72話『激突!超古代ポケモン』より、調査団と出会わなかった。
 いきなりでかいゲンガーとフーディンが現れて驚いた。ミュウツーが二体を成敗してしまったので、巨大プリンさんの出番はなくなってしまった。

・フシギダネが究極技を完成させた。
 習ってから半年くらいかかった。ゼニガメはまだ完成度八割。

・水ポケモン達の元気がなくなっていった。
 クラブとゼニガメがしょんぼりしている。シゲルのおかげで元気を取り戻した。何が起こったかは不明。

・第73話『ガラガラのホネこんぼう』より、サイゾウを見放した。
 アニメでは何故か協力したサトシ君だが、ニューサトシは普通に見放した。素直に助けてくれと頼めば助けたが、こちらを挑発した上に他人のバッジを元手ゼロで奪おうとした人間にかける情けは無かった。こいつがポケモンリーグに出られるかはロケット団次第である。


 現在ゲットしたポケモン。

 ピカチュウ Lv.50→51

 ピジョット Lv.45→46

 バタフリー Lv.44→45

 ドサイドン Lv.50→51

 フシギダネ Lv.47→48

 リザードン Lv.51→52

 ゼニガメ  Lv.47→48

 クラブ   Lv.44→45

 カモネギ  Lv.44→45

 エビワラー Lv.47

 ゲンガー  Lv.49

 オコリザル Lv.45→46

 イーブイ  Lv.36→40

 ベトベトン Lv.42→43

 ジバコイル Lv.44→45

 ケンタロス Lv.43→44

 ヤドラン  Lv.43→44

 ストライク Lv.43→44

 トゲピー  Lv.6→8

 プテラ   Lv.43→44

 ラプラス  Lv.42→43

 ミュウツー Lv.70

 バリヤード Lv.41→42




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#030 『やっぱ、こいつは天才だ』

 11歳 μ月γ日 『ポケモンリーグ到着』

 

 少し早くマサラタウンを出ただけあって、余裕を持ってセキエイ高原にたどり着いた。

 受付でトレーナー情報を登録して貰っていると、隣の受付にはロケット団のムサシの姿が見える。変装しているので、タケシやカスミさんは気付いていないみたいだが、どうやらサイゾウはバッジを取り返せなかったようだ。

 

 まぁ、それはそれで仕方ない。ロケット団に勝てないようじゃ、そもそも話にならんしな。

 しかし、アニメではリーグ中もサトシ君の邪魔をしていたロケット団だが、リーグに参加するならしばらくは邪魔してこないだろう。ぶっちゃけ、かなり有り難かった。

 

 

 

 11歳 μ月ζ日 『ファイヤーの炎? おっかねぇから近づくの止めとこう』

 

 ポケモンリーグ前日。今、俺達は聖火ランナーが走るのを遠くから眺めている。

 最初は聖火ランナーをやらないかと声がかかったのだが、あの炎がファイヤーの炎と聞いて近づくのは遠慮させて貰った。ファイヤーには良い思い出がないのだ。

 

 俺達の代わりにロケット団が聖火ランナーとして走っている。

 アニメでは悪さばかりしていたが、自分達もリーグに参加するからか、ここではリーグを満喫しているようだった。とてもいい調子だ。邪魔されてもウザいし、そのまま適当に勝ち進んでくれるとこちらとしては有難い。

 

 この数日である程度のトレーナー情報を手に入れることが出来た。今の所、優勝候補と呼ばれているのは、オーキド博士の孫であるシゲルと、ブルーと呼ばれる謎の少女のようだ。

 

 シゲルはともかくとして、まさかのレッドに続くブルーの登場である。どうもレッドと同じく、ブルーというのも本名ではないようだが、もしゲームのブルーだとしたら間違いなく強キャラだ。

 パッと見た感じはピカブイに出てきたブルーのようだが、アニメにも出てきていないのでどれくらいの強さを持っているかわからない。もし対戦相手になるようだったら、四天王クラスだと思って気を引き締めていこう。

 

 

 

 11歳 μ月η日 『ポケモンリーグ開幕 一回戦 水のフィールド』

 

 今日からポケモンリーグセキエイ大会が開始される。俺の一回戦は水のフィールド、対戦相手はコームとかいう、ピンクのダサい服を着たジャグラーだった。

 アニメと同じなら、ナッシー、シードラ、ゴルバットの三体を使ってきて、クラブから進化したキングラー一匹に倒されていた相手である。

 登録するメンバーを誰にするか悩んだが、ここは原作にあやかってクラブを一体目にした。そのまま二体目にカモネギ、三体目にピカ様で登録する。キングラーに進化してくれ!

 

 俺は第三試合なので、空いている時間で他の選手の一回戦を眺めていると、シゲルが涼しい顔で一回戦を突破していた。おまけでムサシも一回戦を突破している。マジかよ。

 アニメではアーボック、ベロリンガしか持っていないムサシだが、この世界ではどういうことかベロリンガに変わってサワムラーを持っている。ちなみに、コジロウもギャラドスを持っているので、全てのポケモンを合わせれば、アーボック、サワムラー、マタドガス、ギャラドス、ウツボット、ニャースでギリギリ6体になるという奇跡が起きていた。

 こうなれば行けるところまで行って欲しい。

 そうすれば、あのサイゾウとかいうガラガラ使いの負け犬も少しは浮かばれるだろう。

 

 第一試合が終わった段階で、待合室にスタンバイすることにした。どうやら仲間もコーチという扱いで一緒に居てもいいということなので、タケシとカスミさんも同伴している。試合中はカスミさんにトゲ様を預けておこう。

 第二試合を控え室のモニターで眺めながら、水のフィールドでの戦いをイメージする。

 アニメでは技が無制限に使えたので何でも有りだったが、油断すれば負ける可能性もあるのだ。相手の出してくるポケモンが違う可能性も考慮に入れてパターンを考える。

 

 第二試合が終盤になると、フィールドの出口に行くように案内された。俺は緑サイド、相手は赤サイドである。

 第二試合は赤サイドのトレーナーが最後のドククラゲで逆転を狙っているが、緑サイドのアズマオウはかなり強く、そのまま戦闘不能にされていた。

 

 勝利したトレーナーを見送ると、俺の出番なので、水のフィールドに入っていく。反対側の赤サイドからは、対戦相手のコームとやらが出てきた。

 原作通り、すかした顔をしている。負ける気などしていないという雰囲気で、「It’sShowTime.サトシ君、勝利を有り難う」等とほざいていた。

 

 コームの一体目はナッシー、俺は予定通りクラブである。相手が『サイコウェーブ』を指示してきたので、クラブを水中に逃がす。

 原作通りなら、次は『サイコキネシス』で水を渦潮のようにしてくるので、そのまま『いわなだれ』を指示して怯みを狙うことにした。

 

 やはりナッシーに『サイコキネシス』を指示しようとしていたようで、岩が頭に当たって怯んだのか、攻撃が一瞬遅れる。

 この一瞬で、クラブは既にナッシーに技を当てられる距離まで詰めていた。向こうの高威力技が来る前に『ハサミギロチン』を指示して一撃必殺を狙っていく。

 ナッシーの頭の草を良い具合にカットすると、そのままナッシーが戦闘不能になった。

 

 クラブが自慢のハサミを持ち上げて勝利を喜ぶ。

 そういえば、野良のバトルをしたことはあっても、クラブが公式戦で戦ったのはこれが初めてだったかもしれない。

 初勝利で勢いがついたのか、原作通りにクラブの体が光り、キングラーに進化する。散々悩まされたクラブの進化に、本人よりも俺の方が大喜びしていた。みずタイプの呪いなんてなかったんや!

 

 念のために技が増えていないか図鑑で確認してみると、やはり新しく技を覚えているようで、『アームハンマー』、『ギガインパクト』、『シザークロス』、『のしかかり』、『れいとうビーム』、『つじぎり』と、通常では覚えない技まで獲得していた。

 

 一体、進化してお前に何が起きたんだ?

 

 進化の喜びも束の間、コームがナッシーを戻すと、ドヤ顔で「フン。ビギナーズラックというやつですか」と言ってくる。まぁ、一撃必殺は運もあるからな。

 

 次にコームが出してきたのはシードラだった。『いわなだれ』を指示して先制しようとすると、原作通り『こうそくいどう』で速度を上げて回避してくる。

 そのまま勢いをつけると、真っ直ぐこちらに突っ込んできた。アニメでは『あわ』に滑った所を倒されていた記憶があったので、ついさっき覚えていた『れいとうビーム』でシードラの前の水を凍らせていく。

 コームは「どこを狙っている?」と鼻で笑っていたが、シードラは見事に滑ってこちらに飛んでくる。向かってくるシードラに『ギガインパクト』を決めると、何もしないままシードラが戦闘不能になった。ここまで原作通りなバトルは初めてである。

 

 流石に二連敗で焦ったのか、コームも手を閉じたり開いたりしていた。しかし、最後のポケモンに余程自信があるのか、表情には余裕がある。

 コームの三体目はゴルバットだった。

 やはり、原作通りである。確か、『メガドレイン』を覚えていたはずなので、キングラーでは少し不利だが、残りの二体にカモネギとピカ様がいる以上、仮に負けても問題はない。逆にこの勢いを殺したくなかったので、キングラーを続投させることにした。

 

 空を飛び回るゴルバットに対し、キングラーには水中に入るように指示する。

 向こうは『かまいたち』で、水中のキングラーを攻撃してきたので、こちらも『いわなだれ』で迎撃した。ひこうタイプであるゴルバットにいわタイプの技は効果抜群である。

 こちらもダメージを受けたが、向こうはそれ以上だったようで、岩と一緒に落下するゴルバットを『ハサミギロチン』で掴むように指示するが、『かげぶんしん』で回避されてしまった。いくらなんでも一撃必殺技はそう何度も決まらないか。

 

 そのままゴルバットが『メガドレイン』で体力を回復しようとしてきたので、動きが止まった所に『れいとうビーム』を打ち込む。

 運良くこおり状態になったのか、動きを封じることが出来たので、とどめの『ギガインパクト』で一気にゴルバットを戦闘不能まで持って行った。

 

 これでコームのポケモンが全て戦闘不能になったので一回戦は俺の勝利である。負けたコームが膝から崩れ落ち、「この僕の華麗なタクティクスが負けるなんて……」とショックを受けていたが、お前のタクティクスそんな華麗でもなかったぞ?

 

 こちらに向かって嬉しそうにハサミを振っているキングラーをボールに戻して労ってやる。

 クラブが進化したのは本当に嬉しかった。

 あのナッシーを倒す必要があったのか、それとも公式戦で初勝利する必要があったのかはわからない。だが、おかげで長い間悩まされていた問題からようやく解放された。

 

 

 追記。進化した時に覚えた技について、後で本人に確認してみた所、どうやら仲間達が使っているのを見て覚えたらしい。やっぱ、こいつは天才だ。

 

 

 

 11歳 μ月ι日 『二回戦 岩のフィールド』

 

 二回戦は岩のフィールドということで、ドサイドン、ヤドラン、ピジョットの三体をエントリーした。

 特にドサイドンはカントーでは珍しいようで、出した時の歓声が半端じゃない。実にいいぞ。大変、気分がいい。ニューサトシは自分への歓声が大好きなのだ。

 

 相手の一体目はビリリダマだったので、ドサイドンの『じしん』でワンキル。

 二体目はゴローニャを出してきたので、ヤドランに変えて『なみのり』でワンキル。

 三体目のニドリーノには、そのままヤドランの『サイコキネシス』をくらわせてワンキル。

 結局、ダメージらしいダメージを受けること無く勝ち上がりを決め、三回戦は明日こおりのフィールドで行われることになった。

 

 ちなみにシゲルも二回戦を無傷で快勝。ロケット団のムサシは水のフィールドでかなり苦戦していたようだが、ギャラドスの活躍もあって何とか勝ったらしい。やるじゃん。

 

 

 

 11歳 μ月κ日 『三回戦 氷のフィールド』

 

 三回戦は氷のフィールドということで、フシギダネ、ラプラス、ピカ様の三体をエントリーした。

 相手の一体目はゴルダックだったので、フシギダネが究極技をぶっぱして一勝。

 二体目のパルシェンは氷タイプということもあって苦労したが、『やどりぎのたね』と『どくどく』を駆使した耐久作戦で、無理やり勝利をもぎ取った。

 三体目はまさかのウインディだったので、流石に形勢不利と判断しフシギダネを戻す。

 

 そのまま公式戦初デビューのラプラスを出すと、『ハイドロポンプ』をメインに、相性でウインディを倒して勝ち上がりを決めた。しかし、氷のフィールドにウインディはないだろう。もしフィールドの氷が溶けたら、ウインディに逃げ場がなくなって動けなくなるやん。

 

 流石にこのレベルの相手ならまだ負けないな。

 シゲルも当然のように勝っているし、ムサシまで三回戦を突破したようだった。しかし、思っていた以上にロケット団が勝ち進んでいる。対戦相手は前に俺が戦ったサンド使い君だったのだが、進化したであろうサンドパンをアーボックで普通に倒していた。

 

 もしかしたら、ほぼ毎日俺とバトルしていたせいで、アニメよりも強くなっているのかもしれないな。

 

 

 

 11歳 μ月μ日 『四回戦 草のフィールド』

 

 アニメでは四回戦で負けていたシゲルだが、どうやら原作通りにはならなかったようで、この世界では四回戦でも余裕を持って勝ち進んでいた。

 逆にロケット団のムサシは氷のフィールドで苦戦しているようだ。サワムラー、ギャラドスがやられ、残りはマタドガスだけになっている。

 向こうも残りはオニドリルだけのようだが、一進一退の戦いの末、毒状態が明暗を分けたのか、ムサシが五回戦に進出していた。マジかよ、お前ら。アニメのシゲルより勝ち上がっちゃってるじゃん。

 

 驚きも束の間、俺も四回戦が始まるので草のフィールドへ移動する。今回、俺がエントリーしたのは、バタフリー、ベトベトン、リザードンの三体だった。

 対戦相手はエリカのような着物を身につけたカオルコとかいうお嬢様である。記憶が正しければ、アニメではアホみたいに強いマダツボミで無双していたはずだ。

 とりあえず、ベトベトンが大活躍しているのは覚えていたので、念のために他も草に強いポケモンを入れて万が一の事態が起きないようにしておいた。

 

 試合が開始されると、相手は一体目にスピアーを出してくる。こちらは予定通りバタフリーだ。

 奇しくも、初代の序盤に出てくる虫ポケモン対決となった訳だが、こちらはひこうタイプも持っているので虫タイプはただのカモである。

 ドヤ顔で『ダブルニードル』を指示するお嬢様に対し、こちらは特性『ふくがん』で命中率が上昇しているバタフリーの『ねむりごな』でスピアーを眠らせていく。

 

 こちらに突っ込んできていたこともあり、あっさり眠ってしまうスピアー。

 こうなればただの起点である。『ちょうのまい』を指示して、特攻、特防、素早を一段階ずつ上げていく。バタフリーの舞にお嬢様が見とれているようだが、その間に蝶舞を六段階積み終わってしまった。こうなれば、後はただの作業である。

 

 ようやく目を覚ましたスピアーに『エアスラッシュ』で弱点を攻めていく。基本的に接近戦主体のスピアーにとって、遠距離から攻撃を仕掛けてくるバタフリーは天敵である。

 おまけにスピードもこちらの方が上になったことで、エアスラの怯みが発生し、何もさせないまま一気にスピアーを戦闘不能まで持って行った。

 

 あまりに一方的なバトルにお嬢様も怯んだようだが、すぐに気を取り直して次のポケモンを出してくる。お嬢様が二体目に出してきたのはストライクだった。

 スピアーの反省を生かしてか、ドヤ顔で『かげぶんしん』を指示し、こちらを惑わせようとしてくる。ぶっちゃけ、ここまで来ればもう『ねむりごな』は必要ない。

 ピジョットとの特訓で習得した『ぼうふう』で、分身ごとストライクを巻き込み、戦闘不能に持って行った。特攻が六段階上昇したタイプ一致の『ぼうふう』なら当然だろう。

 

 まさかのワンキルに唖然とするお嬢様だが、最後のポケモンに全てを賭けてきた。出てきたのは原作通りマダツボミである。確か、合気道を覚えており、近接攻撃を仕掛けてくる相手には謎に強かったはずだ。

 

 しかし、こちらは遠距離攻撃のバタフリーである。ただ、『ふくがん』があるとはいえ、『ぼうふう』は少し命中率が不安なので、『エアスラッシュ』で攻撃を仕掛けることにした。

 だが、マダツボミは柔らかい体を駆使して器用にエアスラをかわしていく。動きを封じたい所だが、マダツボミはくさタイプなので『ねむりごな』は効果が無い。

 

 こうなれば、『ぼうふう』を打つしかなかった。

 

 よく外れるイメージのある『ぼうふう』だが、『ふくがん』のおかげで、マダツボミを巻き込んでその体を吹き飛ばした。ストライク同様、マダツボミが一撃で戦闘不能になる。

 流石に圧倒的な差で負けたことでお嬢様もショックを隠せていないようだったが、すぐにこちらの勝利を認めて拍手を送ってくれた。

 しかし、アニメと違いベトベトンを出すことが出来なかったな。まぁ、まだリーグ戦は先がある、申し訳ないがベトベトンには別の機会に活躍して貰おう。

 

 

 




 原作との変化点。

・ロケット団がポケモンリーグに参加した。
 盗んだバッジで走り出す。ちなみに、この件があってから次のリーグでは事前登録と、ジムによるバッジの記録が付いたので、次からはもう他人のバッジを盗んで参加することは出来ないし、アニメのようにお情けでバッジを貰うことも出来なくなった。あくまで今回のみのガバ。これにより、ロケット団の悪さがなくなり、今後が静かな進行になった。

・第74話『ファイヤー! ポケモンリーグ開会式!』より、ランナーを拒否した。
 前にファイヤーに会ってからいいイメージがないので見ているだけにした。ロケット団はランナーをしたらしい。

・優勝候補が二人いる。
 一人はシゲル。オーキド博士の孫なので認知度が高い。もう一人はまさかのブルー。予想外のゲームキャラが登場したことで、ニューサトシはかなりブルーを警戒している。

・第75話『ポケモンリーグ開幕! 水のフィールド』より、キングラーが山のように技を覚えた。
 ようやく進化し、クラブの時に見た技を全て覚えた。三タテ余裕である。ちなみに、シゲルの一回戦のフィールドは氷、ロケット団は草だった。

・第76話『氷のフィールド! 炎の戦い!』より、二回戦でダメージを受けなかった。
 アニメではポケモンセンターがパンクして大変だったが、タケシ印の薬で十分回復した。ちなみに、シゲルの二回戦のフィールドは草、ロケット団は水だった。

・三回戦で相手を瞬殺した。
 アニメではウインディによって氷のフィールドが溶かされ、謎に追い詰められていたが、普通に考えて自身も動けなくなる意味不明のチョイスである。当然のようにラプラスでぶち倒した。ちなみに、シゲルの三回戦のフィールドは水、ロケット団は岩である。サンド使い君(名前忘れた)を倒した。

・第77話『草のフィールド! 意外な強敵!』より、お嬢様に三タテをかました。
 バタフリーの最強戦術が全て綺麗にはまった。ちなみにシゲルの四回戦のフィールドは岩で原作と違い勝利している。ロケット団は氷のフィールドだった。


 現在ゲットしたポケモン。

 ピカチュウ Lv.51

 ピジョット Lv.46

 バタフリー Lv.45→46

 ドサイドン Lv.51

 フシギダネ Lv.48→49

 リザードン Lv.52

 ゼニガメ  Lv.48

 クラブ→キングラー Lv.45→46

 カモネギ  Lv.45

 エビワラー Lv.47

 ゲンガー  Lv.49

 オコリザル Lv.46

 イーブイ  Lv.40→41

 ベトベトン Lv.43

 ジバコイル Lv.45

 ケンタロス Lv.44

 ヤドラン  Lv.44→45

 ストライク Lv.44

 トゲピー  Lv.8→10

 プテラ   Lv.44

 ラプラス  Lv.43→44

 ミュウツー Lv.70

 バリヤード Lv.42




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#031 『我輩もビックリである』

 11歳 μ月ξ日 『お前はコナン!!』

 

 オーキド博士とママさん、さらにはナナミさんまでもが応援に来てくれたので一緒に食事を取ったのだが、その後にサトシ君のコンパチキャラであるヒロシ君にあった。

 正直、声までは覚えていなかったのだが、「真実はいつも一つ!」とか言いそうである。

 アニメではロケット団の罠によって、五回戦でこいつに負けるサトシ君だが、今回はロケット団も五回戦まで進出しているし、原作通りの展開にはならないはずだ。

 

 対戦相手の抽選は明日だが、もしヒロシ君が相手なら出してくるポケモンはアニメと同じと見て良いだろう。ピカチュウ、ヒトカゲ、バタフリーが相手なら、ドサイドンを出せばまず負けないし、一体目はドサイドンで確定だな。

 後は万が一、みずタイプが来た時のためにピカ様と、切り札としてリザードンを登録しておけば大丈夫だと思うが、相手はアニメでサトシ君に勝ったヒロシ君だ。油断せずに行こう。

 

 

 

11歳 μ月ο日 『ロケット団の快進撃』

 

 原作通り、対戦相手がヒロシ君に決まった。俺とヒロシ君、勝った方がAブロックの3の椅子を手に入れ、六回戦でA-4を勝ち進んだ奴と戦うことになる。ちなみにシゲルはA-2、ブルーはB―3、ロケット団のムサシはB-4だった。

 五回戦からはメインスタジアムでのバトルとなるので、一日の試合数も四回と少ない。一つのブロックが四試合なので、これに勝てば明日は休みである。

 

 組み合わせを見る限り、俺とシゲルが戦うには準決勝まで行く必要がありそうだ。

 残念ながらムサシとは決勝まで勝ち上がらないと戦えそうにない。しかし、ムサシのいるブロックには優勝候補のブルーもいるようなので、まず決勝まで来るのは無理と見ている。

 ただ、五回戦が終われば、六回戦からは6対6のフルバトルだ。ここまで来たらフルバトルするロケット団を見てみたいので、ムサシには頑張ってほしいものである。

 

 

 

 11歳 μ月π日 『ヒロシ抹殺!!』

 

 五回戦はドサイドンで全てを蹂躙して終わった。

 二回戦で出した時もそうだったのだが、カントーでドサイドンを持っているのは今の所は俺だけのようで、その珍しさに観客の歓声が止まらなかったのだ。おかげで、ドサイドンもテンションが上がったのか、気合い十分でヒロシのポケモンを倒してくれた。

 

 ヒロシ君も悔しそうだったが、「僕の分も勝ち上がってくれよ」とエールを送ってくれる。

 アニメではサトシ君のライバルだったヒロシ君も、ニューサトシを相手にするには少しばかり力が足りなかったようだ。君はとりあえず、強ポケをゲットする所から始めるといいよ。

 

 

 

 11歳 μ月ρ日 『意外と頑張るロケット団』

 

 今日はBブロックにいるムサシの試合を見に来た。

 何だかんだ今まではすぐに負けると思ってあまりバトルに目を通すことはなかったが、こうしてメインスタジアムで試合をする所まで来たのだ。目を通しておいて損はあるまい。

 見れば、コーチコーナーにはコジロウとニャースもいる。まさかあいつらもこんな所までくると思っていなかったのか、今では本気でムサシのことを応援しているようだ。

 

 見ると、ムサシの対戦相手は、バトルブリッジでプテラを倒したトレーナーだった。

 向こうの一体目はサイドン。ムサシはウツボットを出している。相性はムサシ有利だ。相手のサイドンが『つのでつく』を仕掛けてこようとしているのを見て、ムサシは『ねむりごな』指示してサイドンを眠らせていく。

 さらに、眠った所で『つるぎのまい』で自身の攻撃を上げて行き、起きた瞬間に『リーフブレード』で相手のサイドンをワンキルしていた。

 

 何か、俺の戦い方に似てるな。

 まぁ、あれだけ戦えば覚えるもんか。

 

 相手の二体目はキュウコンだった。相性不利と判断したのか、ムサシがウツボットを戻す。

 ムサシの二体目はサワムラーだった。結局、P-1で奪ってからずっと連れてきているが、あいつも今では立派なロケット団になっちまったなぁ。

 

 サワムラーが『とびひざげり』で攻撃を仕掛けていくが、キュウコンは『あやしいひかり』で混乱させた。そのせいか、攻撃が外れ、サワムラーが自滅で大ダメージを受けている。とびひざは威力こそ高いが、外れると最大HPの半分を失う技だからなぁ。

 そのまま畳みかけるように、相手のキュウコンが『だいもんじ』を放ち、ムサシのサワムラーが戦闘不能になった。

 

 これで1対1、意外と良い勝負をしている。

 ムサシは三体目にアーボックを出してきた。再び来るキュウコンの『あやしいひかり』を避けるために、『あなをほる』で地中へ潜っていく。攻撃の避け方が上手い。おまけにじめんタイプの技はほのおタイプのキュウコンに効果抜群だ。

 キュウコンがアーボックの『あなをほる』でダメージを受ける。体勢が崩れた所で、ムサシが『へびにらみ』を指示してキュウコンを麻痺させていた。

 

 想像以上に上手く戦っているな。

 キュウコンが再び『だいもんじ』を打ってくるも、蛇特有の蛇行した動きで上手くかわし、そのまま『かみくだく』でキュウコンに噛み付いていく。

 麻痺もあって、キュウコンはもうアーボックを振り払えそうにない。ダメージ的にもう耐えないと思ったのか、相手のトレーナーが『おんねん』を指示していた。

 キュウコンが戦闘不能になるが、『おんねん』の効果で、自分の倒した技のPPがゼロになる。つまり、この試合ではもう『かみくだく』は使えないということだ。

 

 ムサシはどうやら『おんねん』の効果を知らないらしい。アーボックにも特にダメージがないということで完全に調子に乗っていた。

 

 相手の最後のポケモンはスリーパーだった。

 成程、エスパータイプにあくタイプの技は効果抜群だ。だから『かみくだく』を封じてきたのか。

 コーチにいるコジロウも、あくタイプの技がエスパータイプに効くことは知っているようで、『かみくだく』で攻めるように言っている。

 だが、ムサシがアーボックに『かみくだく』を指示するも、『おんねん』の効果で封じられているため、アーボックも困った顔をして動けずにいた。

 

 それを見た相手が、ドヤ顔で『おんねん』の効果を説明している。ようやく、技が使えないとわかったムサシが、『あなをほる』を指示したが、それより先に、スリーパーの『サイコキネシス』が決まり、アーボックが壁に叩き付けられた。

 いつも俺にやられているだけあって耐久力だけはあるのか、アーボックも弱点攻撃をくらったが何とか耐えている。ムサシももうアーボックが耐えられないと思ったのか、一か八かというような感じで『ダストシュート』を指示していた。

 

 アーボックが再び『サイコキネシス』を受けながら、スリーパーに『ダストシュート』を放とうとする。あんな技、俺と戦っている時に使ったことはなかった。ということは、この大会中に練習した技と見て良いだろう。

 ムサシやコジロウの表情から見て、多分実戦で使ったのは初めてのようだ。しかし、アーボックは気合いで『ダストシュート』を成功させた。アーボックは戦闘不能になったが、良いダメージを残していったな。

 

 これで残りは1体ずつ。だが、ウツボットはくさの他にどくタイプも複合しているので、エスパータイプのスリーパーとは相性が悪い。

 ただ、アーボックのおかげで、ダメージと毒も受けているので可能性はまだまだあった。

 

 ムサシがウツボットに『ねむりごな』を指示する。

 しかし、相手のスリーパーの特性は『ふみん』のようで、スリーパーは元気なままだった。相手もムサシが粉を使ってくるのは読んでいたのか、『わるだくみ』を指示して、特攻を2段階上昇させている。こりゃ、次の『サイコキネシス』で終わりだな。

 

 半ば諦めの気持ちで見ていると、相手が『サイコキネシス』を指示した。スリーパーとの距離を考えれば、ウツボットより早く攻撃が当たる。

 まぁ、ロケット団にしてはよく頑張ったな。何せ、セキエイ大会ベスト16だ。アニメのサトシ君と同レベルである。

 

 だが、スリーパーが『サイコキネシス』を放とうとした直前、ウツボットのツタが伸び、スリーパーの顔に巻き付いた。

 そのままツタで自身を引っ張り、ロケットのようにウツボットがスリーパーへ突撃していく。まさか『つるのムチ』を使った突撃か? いや、違うあれは――

 

「ウツボット、『ふいうち』!!」

 

 まさかのあく技をウツボットも所持していた。それも、先制技である。確かに、ゲームではウツボットが『ふいうち』を覚えるシリーズもあった。かくいう、俺のピカ様も一部のシリーズでしか覚えない『にどげり』を覚えている。

 しかし、ここで『ふいうち』が来るとは、このニューサトシを以ても気付けなかった。苦手な高威力のあく技を受けて、スリーパーが倒れる。

 アーボックから受けたダメージも重なり、もう立ち上がることも出来なかったようで、そのままスリーパーが戦闘不能になった。まさかのムサシ、ベスト8である。

 

 カスミさんとタケシも、使っているポケモンがロケット団っぽいことは気付いたようだが、どうやら本人だとは思っていないようで、素直に勝利を喜んでいた。

 ぶっちゃけ、この勝利には我輩もビックリである。何せ、あいつらはプテラ矯正のためとはいえ、俺が負けた相手に勝ったのだ。

 だが、一番ビックリしているのは勝った本人達のようで、コジロウがムサシを抱き上げて大喜びし、隣でニャースも小躍りしていた。

 

 

 

 11歳 μ月σ日 『六回戦 フルバトル6対6 前編』

 

 Aリーグ六回戦。俺の対戦相手は、サユリとかいう名のエリートトレーナーらしい。この試合からポケモンの使用数が6体になる。実にサカキ様ぶりのフルバトルだった。

 ちなみにシゲルは一足先に準決勝進出を決めている。前の試合を見ていた限り、シゲルもかなりポケモン達を仕上げてきているようで、残りポケモンを4体も残しての圧巻のバトルだった。

 

 今回エントリーしたポケモンはゼニガメ、ベトベトン、ジバコイル、ケンタロス、バリヤード、リザードンの6体である。

 アニメのサトシ君よりも多くのポケモンを捕まえているが故に、選択肢は山のようにあった。悩んだが、出番がなかった奴らでやる気がある奴らの気合いを買った形だ。

 ピカ様がとても出る気満々だったが、『かわらわり』や『なみのり』といった技の存在をシゲル戦まで隠しておきたいので、申し訳ないが今回はお留守番でお願いします。

 

 ピカ様とトゲ様を、タケシとカスミさんに預けてフィールドに向かう。実はピカ様とトゲ様を含めるとポケモンを8体所持していることになっているのだが、ボールをオーキド研究所に預け、中身だけこちらにいるという裏技で凌がせて貰っている。サカキ様の時もこれで凌いだ。

 

 応援席の方へ視線を向けると、オーキド博士、ママさん、ナナミさん、そしてヒロシ君の姿が見えた。

 ヒロシ君は控え室で待機している時も応援に来てくれており、「絶対に優勝してくれよな」という熱いエールを送ってくれている。

 オーキド博士も、マサラタウン出身のトレーナーが二人もベスト8まで来ているということにとても大喜びしていて、どちらかが優勝すると固く信じているようだった。

 

 その期待に応えるためにも、ここで負ける訳にはいかない。Aリーグ第二試合が始まり、相手のサユリがニドクインを出してくる。俺はゼニガメだ。相性では有利だが、相手は最終進化形でもある。油断したら、種族値の差で叩かれそうだった。

 サユリがニドクインに『かみなりパンチ』を指示してくる。やはり、ここまで来るトレーナーだけあって、しっかり弱点タイプのポケモンへの対策は出来ているようだ。

 

 対するこちらは『ロケットずつき』で反撃する。フィールドが広いので、距離が詰まるまでの間に防御を一段階あげて、ニドクインの『かみなりパンチ』を迎え撃った。

 ゼニガメの『ロケットずつき』がニドクインに直撃したが、ニドクインが振り下ろすように拳を甲羅に叩き付ける。防御を一段階上げているおかげもあり、即戦闘不能という訳ではないが、やはり弱点だけあってダメージを受けていた。

 

 そのままサユリが追撃の『かみなりパンチ』を打たせようとしてくるので、『こうそくスピン』で攻撃を回避させる。おまけで『ハイドロポンプ』を指示し、カスミさん直伝のユナイトコンボで、ニドクインにタイプ一致の効果抜群攻撃で大ダメージを与えた。

 予想外の攻撃に、ニドクインが膝をつく。

 サユリがニドクインを戻そうとボールを出したが、その前に『ハイドロカノン(完成度八割)』で一気に戦闘不能まで持って行った。これでゼニガメは技を四つ全て使ってしまったが、元々ゼニガメはあまり幅広い技を覚えていないのでこれでいいのだ。

 

 サユリはニドクインを戻すと、次にサンダースを出してきた。無難に弱点を突いてきたな。

 流石にサンダース相手は分が悪いので、ゼニガメを戻して二体目のベトベトンを出す。俺のベトベトンは電気が効きにくいので、有利に立ち回れるだろう。

 サユリが『10まんボルト』を指示してきたので、こちらは『どくどく』でサンダースを毒状態にしていく。自慢のでんき技の効果がないことに驚くサユリだが、そういう個体もいるという可能性にすぐに思考が行き着いたようで、すぐにサンダースを戻していた。

 まぁ、サンダースじゃどうやってもベトベトンには有効打はないだろうしな。こっちとしては、毒をただで入れられただけで十分にアドが取れたし問題はない。

 

 サユリは三体目にキュウコンを出してきた。キュウコンはエスパー技を覚えるので、相性を考えてベトベトンを戻す。実況が「サトシ選手はまたもポケモン交代だー!」とか言っているが、ポケモンバトルってのはそういうもんなんだよ。

 

 こっちは三体目にケンタロスを出した。

 俺のケンタロスはじめん技を覚えているので、キュウコンにもダメージが期待出来る。当然、こちらは『じしん』を打つが、こちらの動きを読んでいたのか、サユリは『おにび』でこちらを火傷状態にしようとしてきた。

 

 ケンタロスはじめん技を打つために足を止めていたこともあり、『おにび』が直撃する。火傷状態になったことで、痛みを意識してしまい、ケンタロスの攻撃力が下がった。

 キュウコンも『じしん』のダメージを受けるが、火傷のせいもあり予定よりもダメージが入っていない。サユリはキュウコンのダメージからまだ耐えられると判断したのか、『わるだくみ』を積んできた。こちらは『ギガインパクト』で一か八か体力を削りに行く。

 

 しかし、火傷の影響が大きいのか、キュウコンの体力はギリギリ残ったようだった。追撃したいが、ケンタロスは『ギガインパクト』の反動で少しの間は動けない。

 サユリは念には念を入れ、さらに『わるだくみ』を積んできた。特攻を4段階上げたキュウコンが『だいもんじ』を打ってくる。こちらも『じしん』を指示するが、向こうの『だいもんじ』が当たる方が早くケンタロスが戦闘不能になった。

 

 

 




 原作との変化点。

・第78話『ライバル登場!』より、ロケット団が大会に参加しているので、ポケモンを盗むイベントが起きなかった。
 アニメより仲良くなっていない。ただ、良い声なので、ニューサトシはヒロシ君を気に入っている。

・第79話『セキエイスタジアム! VSヒロシ!』より、ヒロシに勝った。
 ロケット団の妨害や、リザードンの反抗という要素が何一つとして存在していないので、負ける訳がなかった。

・ロケット団がベスト8に進出した。
 勝っちゃったわ。

・六回線でフルバトルをすることになった。
 勝てばシゲル戦。ちなみに相手はアニメでヒロシ君を倒した相手である。フシギソウ以外は適当にポケモンを選んだ。


 現在ゲットしたポケモン。

 ピカチュウ Lv.51

 ピジョット Lv.46

 バタフリー Lv.46

 ドサイドン Lv.51

 フシギダネ Lv.49

 リザードン Lv.52

 ゼニガメ  Lv.48→49

 キングラー Lv.46

 カモネギ  Lv.45

 エビワラー Lv.47

 ゲンガー  Lv.49

 オコリザル Lv.46

 イーブイ  Lv.41→42

 ベトベトン Lv.43→44

 ジバコイル Lv.45

 ケンタロス Lv.44→45

 ヤドラン  Lv.45

 ストライク Lv.44

 トゲピー  Lv.10→12

 プテラ   Lv.44

 ラプラス  Lv.44

 ミュウツー Lv.70

 バリヤード Lv.42→43




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#032 『思っていた以上に応援していたらしい』

 11歳 μ月σ日 『六回戦 フルバトル6対6 後編』

 

 倒れたケンタロスをボールに戻す。これにより俺もサユリも一体ずつポケモンが戦闘不能になった。

 フィールドには『わるだくみ』で特攻を4段階上昇させたキュウコンがいる。ケンタロスの攻撃で大ダメージを与えているので、先制技の一撃で勝てそうなのだが、残念ながら今回俺がエントリーしたポケモンに先制技を使えるポケモンは居なかった。まだベトベトンは『かげうち』を習得していないのだ。

 

 残りのポケモンで有利に戦えそうなポケモンが誰かを考えて、バリヤードをフィールドに送り出した。

 サユリが『だいもんじ』を指示してきたので、バリヤードの『ひかりのかべ』で防がせる。俺のバリヤードは手先が器用なこともあり、前にミュウツーが真似していたように、『ひかりのかべ』を何重にも出して『だいもんじ』を防いでいた。

 

 まさかの防ぎ方にサユリが驚いているが、一見無敵に思えるこの技にも実は弱点がある。

 普通の『ひかりのかべ』はある程度のターン、相手の特殊攻撃を半減させてくれるのだが、一瞬で何重も壁を作ると、即席で作っているせいか通常の壁よりもろくなってしまうようで効果が一回で終わってしまうのだ。

 おまけに技を何度も使用するからPPを多く消費する。なので、同じ事を出来るのは良くて後数回なのだが、どうやらサユリは『ひかりのかべ』がまだフィールドに残っているのと勘違いしているのか、『わるだくみ』をさらに積んで攻略しようとしていた。

 

 相手がさらに特攻を上げてくれるなら、それを頂いてしまおうということで、バリヤードに『パワースワップ』を指示して、自分と相手の特攻を入れ替えさせる。

 相手もキュウコンの能力変化が奪われたのにすぐ気付いたのか、慌てたように『だいもんじ』を打ってきた。だが、もう遅い。特攻が6段階上がったバリヤードの『サイコキネシス』で『だいもんじ』を反らし、さらに追撃の『サイコキネシス』でキュウコンを戦闘不能にする。

 

 サユリは次にカイロスを出してきた。エスパータイプにはむしタイプと考えたのだろうが、残念ながらバリヤードはフェアリーも持っているのでむし技は等倍なのだ。

 まぁ、仮に弱点を攻めてきても、俺のバリヤードの特性は『フィルター』なので、ドサイドンの『ハードロック』と同じく弱点ダメージが3/4になる。例え、苦手な物理技で弱点を突かれたとしても、『リフレクター』さえ張ってしまえば早々には落とされなくなるだろう。

 

 とはいえ、バリヤードの物理が紙なのは事実なので、ここは素直に交換することにした。

 バリヤードに『バトンタッチ』を指示して、能力変化を引き継いだままジバコイルに交代する。当然、はがねタイプのジバコイルにむしタイプは効果今ひとつだ。

 おまけにちゃっかり、後続のことを考えてバリヤードが『ひかりのかべ(普通)』まで残していっている。何だかんだ、こいつも優秀だよなぁ。

 

 ドサイドン同様、カントーでジバコイルを持っているのは俺だけのようで、観客から歓声が送られてきた。大変、気分が良い。見た目からコイルやレアコイルと関係があるのはわかったようで、サユリも「多分、でんき・はがねタイプ……」と呟いていた。

 

 交換するかと思ったが、カイロスはかくとう技も覚えるということもあって突っ張ってくるようだ。

 そのまま『ばかぢから』を指示するカイロスに『10まんボルト』で反撃する。俺のジバコイルは特性が『じりょく』なので、威力次第ではワンキルの危険があるのだ。

 カイロスにでんき技は弱点ではないが、特攻が六段階上がっているタイプ一致『10まんボルト』である。ただでさえ、ジバコイルは特攻種族値が130ある化け物だ。当然、耐えられるはずがなく、サユリのカイロスは一撃で戦闘不能になった。

 

 サユリのポケモンが三体倒れたことで、五分間のインターバルを挟む。

 

 しかし、ここでジバコイルをボールに戻すと、せっかくのバフが消えてしまうので、ボールの外に出したまま休憩させる。

 サユリも俺がジバコイルを突っ張るつもりなのはわかったのだろう。対策を考えているらしい。だが、じめんタイプのニドクイン、ほのおタイプのキュウコン、おまけにかくとうタイプを兼ねていたであろうカイロスもワンキルされた以上、サユリにジバコイルを受けられるポケモンが残っているかは疑問である。

 

 試合が再開され、サユリが出してきたのはフシギソウだった。ジバコイルにくさ技は今ひとつな上、毒は無効である。こっちもでんき技が今ひとつだが、はがね技は等倍なので、問題なく攻撃出来た。

 ただ、『ねむりごな』だけは怖いので、先に『エレキフィールド』で場の状態を変化させる。これで、ひこうタイプや『ふゆう』を持っていないポケモンは、眠り状態にはならず、おまけにでんき技の威力が1.3倍された。

 サユリも、『ねむりごな』が封じられたのはわかったのだろう。『やどりぎのたね』でこちらの体力を奪おうとしてきた。

 徐々に体力が奪われるのは面倒だが、その前に終わらせれば良い。『ラスターカノン』を指示して、フシギソウをワンキルする。もはや、こいつは止められないぜ。

 

 サユリは再びサンダースを出してきた。

 ここでサンダースを出してくるということは、最後は多分みずタイプだな。エリートトレーナーがタイプを偏らせるとも思えないし、バランスを考えればみずタイプの可能性が高い。

 向こうが一か八かの『かみなり』を打ってくるので、『ラスターカノン』でワンキルする。

 こちらもダメージを受けたが、『ひかりのかべ』のおかげもあってまだまだ余裕があった。対するサンダースは当然のようにワンキルされている。耐えられる訳がないんだよなぁ。

 

 サユリが最後に出してきたのはギャラドスだった。もし『じしん』を持っていれば負けだが、持っているのならフシギソウより前に出してくるだろう。仮に負けても、こちらにはまだ4体ポケモンが残っているし負けようが無かった。

 サユリが『ハイドロポンプ』を指示してくる。

 やはり『じしん』はないようなので、こちらは『エレキフィールド』で1.3倍になった『10まんボルト』で迎え撃った。特攻が6段階上がっている上に、ギャラドスはでんき4倍弱点である。タスキでも無い限り耐えられるはずも無く、当然のように一撃で戦闘不能になった。

 

 ギャラドスが戦闘不能になり、サユリのポケモンが全て倒れたことで俺の勝利となる。これで準決勝進出が決まり、次はとうとうシゲルとのバトルになった。

 今回はバリヤードの『パワースワップ』が勝負を決定づけたが、俺も同じ事をされないように注意しておこう。まぁ、パワスワをレベルで覚えるポケモンなんて両手で数えられるくらいだし、技マシンで覚えられるポケモンも把握しているので抜かりは無いけどな。

 

 

 

 11歳 μ月τ日 『Bリーグ六回戦 ムサシVSブルー 前編』

 

 Bリーグの第二試合で、ムサシと優勝候補のブルーが戦うことになった。

 今までの試合を調べた感じ、ブルーは基本的にカントーのポケモンを使っており、他地方のポケモンは使っていない。

 また、俺やシゲルと同様に、五回戦まではポケモンを一体も戦闘不能にさせていないようだ。実力が高いのは、誰の目にも明らかである。

 

 ムサシもここまで良く戦ってきたが、おそらく勝機はないだろう。

 ただでさえ、ロケット団のポケモンはアーボックとマタドガス、ウツボットがタイプ被りしている。サワムラーもかくとうタイプだし、これまでの記録を見ればエスパータイプの一貫性がやばいというのはブルーにもばれているはずだ。

 

 フィールドに目を向けると、ニャースがドヤ顔でムサシの隣に立っている。あいつも俺と戦った時のままなら、基本的にはノーマル技しか覚えていないはずだ。

 ただ、前の試合のアーボックのように、別の技を練習している可能性はある。アニメでは『かみつく』を使っている時もあったような気がするし、あく技があればエスパー対策にならないこともないかもしれないな。

 

 とはいえ、ここまで来たらムサシには頑張って欲しいものである。アニメでもこんなに真面目にバトルしているロケット団なんか見られないだろうし、何かの間違いで優勝とかするようなら、あいつらもロケット団なんか止めてマジのポケモントレーナーになるかもしれないしな。いや、それはそれで寂しいか。

 

 審判からバトル開始の宣言をされると、お互いの一体目がフィールドに送り出される。ムサシの一体目はアーボック、ブルーはピクシーだった。

 相性的にはアーボック有利だ。ピクシーはフェアリー単タイプなので、どくタイプが弱点である。ムサシもわかっているようで、速攻とばかりに『ダストシュート』を指示している。前回成功させて調子に乗っているようだが、やはり未完成の技らしく、微妙に『ヘドロばくだん』のような感じになっていた。

 

 対するブルーは、『ちいさくなる』を指示している。『かげぶんしん』と同様に、ゲームだと回避率を上げる技だが、この世界ではマジで豆粒のように小さくなるので全然見えないのだ。

 当然、アーボックの『ダストシュート(もどき)』は目標を見失ったことで外れ、その間にブルーは『ステルスロック』の指示を飛ばしている。ピクシーを見つけられれば潰して勝ちだが、いくらピクシーがピンク色で目立つとはいえ、余程目が良くないと簡単には見つけられないだろう。

 

 ムサシとアーボックがピクシーを見失っているうちに、ピクシーはステロを撒き始めた。技の出どころからピクシーの位置を割り出したムサシがすぐに追撃を指示するが、攻撃が届く前にブルーは素直にピクシーをボールに戻している。ステロを撒いた以上、お役御免ということなのだろう。

 

 フルバトルで『ステルスロック』は最強の技と言って良い。これでムサシのポケモンは場に出る度に、1/8のダメージを受ける。

 後ろのコジロウが本らしきものを見ながらステロの説明をしているようで、その面倒くささにムサシも隠すことなく舌打ちをしていた。

 

 対するブルーは二体目にゲンガーを出している。ゲンガーはゴーストタイプだが、エスパー技やでんき技まで使える器用なポケモンだ。ロケット団のポケモンは六体のうち、四体がエスパー弱点、一体がでんき四倍である。後だし出来るポケモンはニャースくらいしかなかった。

 しかし、基本的にノーマル技しか覚えていないニャースではゲンガーと勝負にもならないだろう。ムサシもそれはわかっているのか、交代するつもりはないようでアーボックをそのまま突っ張らせていた。

 

 俺のゲンガーは絶滅危惧種の『ふゆう』ゲンガーだが、基本的に今のゲンガーは『のろわれボディ』だ。

 一度技を使えば、しばらく使えなくなるだろうが、それでもアーボックなら弱点のあく技やじめん技を使うことが出来る。後ろのコジロウからアドバイスが飛んだのか、ムサシも『あなをほる』を指示していた。

 

 ブルーもゲンガーに『サイコキネシス』を指示していたが、ムサシの方が動くのが一歩早い。的を外した『サイコキネシス』は失敗――と、思ったのだが、「そのまま自分を空中へ!」と、謎な指示を飛ばしている。

 だが、ゲンガーは戸惑うことなく、『サイコキネシス』で自分の体を空中に持ち上げた。

 アーボックが地面から突撃してくるが、空中にいるゲンガーまで攻撃が届かず攻撃を外されている。マジか、『ふゆう』なしでじめん技を回避してくるのかよ。

 

 ゲンガーもすぐに追撃の『サイコキネシス』でアーボックを戦闘不能にしていく。

 前回は気合で耐えていたが、ブルーのゲンガーはかなりレベルが高いようで、俺とのバトルで耐久力がついているはずのアーボックをタイプ不一致の一撃で倒していた。

 

 ムサシがアーボックをボールに戻す。ゲンガーをどうにかしないと、このまま六タテも有り得る状況だ。

 どうするのか見ていると、ムサシは二体目にウツボットを出してきた。おそらく、弱点攻撃の『ふいうち』でゲンガーを倒すつもりなのだろう。

 新しいポケモンが出たことでステロがウツボットに突き刺さるが、今は集中しているのか、いつものように奇声を上げるようなことはなかった。

 

 前回のバトルでムサシが『ふいうち』で勝負を決めたことはブルーも知っているようで、攻撃技ではなく『あやしいひかり』を指示している。ムサシは当然のように『ふいうち』を指示していたのだが完全に読み負けた形だ。

 ウツボットが蔦を相手に絡ませようとしていたが、『あやしいひかり』の直撃で混乱させられたようで目を回している。

 ブルーは即座に追撃の『サイコキネシス』が指示していた。命中すれば一撃だろう。ここでウツボットを失えば後が厳しかった。しかし、それはムサシもわかっているようで、攻撃が当たる前にウツボットをボールに戻している。

 

 ポケモンのレベルもそうだが、トレーナーとしてもブルーの方がムサシよりもレベルが高い。今までは通用していた攻撃がことごとく外されて、ロケット団もやりにくさを感じているだろう。

 かくいう俺も、『サイコキネシス』でじめん技を避けるという荒業には驚いていた。器用に使えるエスパー技だから出来ることなのかもしれないが、これは学ぶべき技術である。

 

 苦い顔をしながらも、ムサシは三体目にギャラドスを出してきた。ひこうタイプが入っているギャラドスはステロからのダメージが1/4に増える。

 だが、そんなこと知ったことかとばかりに、ムサシは『かみくだく』を指示していた。どうやら面倒なゲンガーをここで何としてでも倒すつもりらしい。

 

 ブルーは再び『あやしいひかり』を指示しているが、ギャラドスは混乱しながらも真っ直ぐ突っ込んでくる。あいつらのギャラドスは『あばれる』で良く混乱しているから良い意味で混乱慣れしているんだろうな。

 

 ブルーもまさか混乱して尚攻撃を仕掛けて来るとは思わなかったのか、驚きの表情を見せている。おっ、初めてブルーの余裕を崩したな。ここでゲンガーを倒せれば流れを持って来れるぞ。

 

 ギャラドスの『かみくだく』がゲンガーに直撃し大ダメージを与える。いくらレベルが高いと言っても、弱点技によるダメージは低いものではないはずだ。このまま一気に行けるか?

 

 しかし、ブルーもされるがままではないようで、すぐに『10まんボルト』を指示していた。

 四倍弱点の攻撃を受けてギャラドスが苦しそうな声を上げるが、「そんなんジャリボーイのピカチュウに比べたら屁のカッパみたいなもんでしょ! 気合で耐えなさい!!」という指示により、ギャラドスが再びゲンガーに『かみくだく』をくらわせている。マジかよ。

 

 ブルーもまさかギャラドスがここまででんき技を耐えるとは思わなかったのか、予想外という表情をしていた。

 だが、流石に二度目の四倍弱点は耐えきれなかったようで、ゲンガーの追撃でギャラドスも戦闘不能になる。

 とはいえ、レベル差こそあれど、ゲンガーは耐久の高いポケモンではない。タイプ不一致でも弱点攻撃を二度も受けたことで、かなり体力を削られているようだ。

 

 ムサシは次に再びウツボットを出してきた。二度目のステロが入るが、今回もウツボットは声を出すのを我慢しているようだ。

 しかし、ムサシも一度、変化技を見せられている以上、ノータイムで『ふいうち』はしないようで、『ねむりごな』でゲンガーを眠らせようとしている。

 ブルーも眠らせられるのはまずいと思ったようで、即座にゲンガーをボールに戻していた。

 それを見て、ムサシもウツボットをボールに戻す。ゲンガーを一時退場させたことで、後ろのポケモンが使い易くなったのだろう。火力のあるサワムラーを四番手として送り出している。

 

 同時に、ブルーは三番手としてガルーラを出してきた。

 メガシンカするならその時点でゲームエンドだが、普通のガルーラなら相性有利もあって十分に戦えるはずだ。

 サワムラーにステロのダメージが入るのと同時に、ムサシも『ローキック』を指示して弱点を付いていく。前回の反省を生かしているのか、いきなり自傷の恐れがある『とびひざげり』はしないようだった。

 

 対するブルーはガルーラに『ねこだまし』を指示している。まぁ、ガルーラなら当然だな。

 懐まで飛び込んできたサワムラーの目の前でガルーラが両手を強く合わせ、パンという音が響き渡る。思わず、サワムラーも驚いたようで転んで技を失敗していた。ちなみにこれだけでタイプ一致で60の威力がある。マジでおかしい。

 しかし、これが『とびひざげり』だったら、昨日の二の舞だったな。ムサシの反省が思わぬ形で生きたようである。

 

 だが、『ねこだまし』は場に出てすぐにしか使えない一度きりの技だ。サワムラーも二度目はないとばかりに再び、『ローキック』を繰り出している。

 タイプ一致弱点技の直撃を受けたガルーラが、ダメージで顔を顰めた。同時に、ブルーが『カウンター』を指示し、ガルーラの蹴りがサワムラーに直撃する。

 俺のエビワラーは変則的な使い方をしているが、本来の『カウンター』は受けたダメージを倍にして返す技だ。当然、効果抜群の一撃を受けたガルーラの倍のダメージがサワムラーにぶつけられる。

 

 しかし、サワムラーは戦闘不能になっていなかった。おそらく、ムサシが安定択として『ローキック』を選んでいたことや、ガルーラとレベル差があったことで、受けるダメージが想定よりも少なくなって倒れるのを回避できたのだろう。

 

 ムサシが「良く立ったわ!」とサワムラーを褒めると、そのまま必殺の『とびひざげり』で勝負を着けようとする。だが、ブルーは冷静に『ふいうち』を指示し、残り体力の少ないサワムラーを確実に倒しに来た。

 熱くなっていたムサシだが、先程まで自分が狙っていた『ふいうち』を相手に決められ、冷や水をかけられたような顔になっている。しまったという言葉が声に出さずとも表情に出ていた。

 かくとうタイプのサワムラーにあく技は効果今一つだが、それでも耐える力は残っていなかったようで、ガルーラの一撃を受けてサワムラーが戦闘不能になる。

 

 ムサシのポケモンが三体倒れたことで、一度インターバルが入ることになった。これで、ムサシの残りポケモンはマタドガス、ウツボット、ニャースの三体である。

 だが、ゲンガーやガルーラにダメージを与えたとはいえ、ブルーはまだ一体もポケモンが戦闘不能になっていなかった。どこからどう見ても絶体絶命の状況に、思わず拳を握り込む。

 どうやら、俺は思っていた以上にあいつらのことを応援していたようだ。このまま負けてしまうのか、それともまた奇跡の逆転を見せてくれるのか、なかなか楽しいバトルになってきたぜ。

 

 




 原作との変化点。

・ニューサトシが準決勝進出を決めた。
 何だかんだケンタロス以外はやられなかった。これで次はシゲルとのバトルである。

・ムサシがブルーとバトルを始めた。
 今のところ、ブルーの手持ちはゲーム基準。レベルは大体が55前後で、ロケット団のポケモンが40~42である。

・ムサシが先に三体戦闘不能になった。
 流石に相手が強い。このままでは不利だが、バトルが主人公っぽいと人気なロケット団なので頑張ってほしい所である。実際、改めて見ると、ニューサトシより余程主人公している。どうしてこうなった?


 現在ゲットしたポケモン。

 ピカチュウ Lv.51

 ピジョット Lv.46

 バタフリー Lv.46

 ドサイドン Lv.51

 フシギダネ Lv.49

 リザードン Lv.52

 ゼニガメ  Lv.49

 キングラー Lv.46

 カモネギ  Lv.45→46

 エビワラー Lv.47

 ゲンガー  Lv.49

 オコリザル Lv.46

 イーブイ  Lv.42

 ベトベトン Lv.44

 ジバコイル Lv.45→46

 ケンタロス Lv.45

 ヤドラン  Lv.45

 ストライク Lv.44→45

 トゲピー  Lv.12→13

 プテラ   Lv.44→45

 ラプラス  Lv.44→45

 ミュウツー Lv.70

 バリヤード Lv.43→44




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#033 『今度、俺のポケモンにも真似させよう』

 11歳 μ月τ日 『Bリーグ六回戦 ムサシVSブルー 後編』

 

 インターバルが終了すると、ムサシとブルーが再びフィールドに戻ってきた。

 どうやらブルーはガルーラを一度温存するようで、新たにキュウコンを送り出している。ここまでは基本的にゲームで使用したポケモンを使っているな。と、すると、残り二体はカメックスとウツボットだろうか?

 

 対するムサシはウツボットを出していた。おそらく、ピクシー、ゲンガー、ガルーラのどれが出て来てもいいようにという考えだったのだと思うが、フルバトルである以上、残り三体の警戒をしないのは悪手である。

 とはいえ、ロケット団も公式戦のフルバトルなど初めてだろうし、ミスがあって当然だ。問題はここからどう対応していくかだった。

 

 フィールドに出たことで、三度ウツボットにステロのダメージが入り、少しずつダメージレースにも差がついてきている。

 しかし、キュウコンとウツボットでは勝負にならないと判断したのだろう。ムサシはすぐにウツボットを戻して、新たにマタドガスを出していた。

 

 マタドガスにステロのダメージが入ると同時に、ムサシが『ヘドロばくだん』を指示する。後ろのコジロウが「キュウコンもエスパー技を使えるから気を付けろ!」と注意をするのと同時に、ブルーが『じんつうりき』を指示していた。

 キュウコンも『ヘドロばくだん』の一撃を受けたが、それ以上に効果抜群の一撃を受けたマタドガスが苦しそうな顔をしている。だが、マタドガスも初期メンバーの意地があるようで、一撃では戦闘不能になっていなかった。

 

 真っ向からの勝負は不利と判断したムサシが『えんまく』を指示する。煙の中に逃げるように隠れたマタドガスを狙うのは難しいと判断したのか、ブルーもキュウコンに攻撃を止めさせ、代わりに『わるだくみ』を積ませ始めた。

 普段、俺とのバトルで散々やられているからか、『わるだくみ』の面倒さはわかっているようで、ムサシが仕方ないとばかりに『どくどく』を指示する。

 

 どうやら、猛毒状態にして持久戦を狙うつもりのようだが、ブルーは即座に『しんぴのまもり』を指示して状態異常をケアしていた。

 これでブルーのポケモンはしばらく状態異常にならない。持久戦を封じられた上、向こうの火力はアップしているということもあり、下手をするとキュウコンで残り全抜きも有り得た。

 

 煙が晴れて相手の姿が見えると、ブルーは再び『じんつうりき』でマタドガスにとどめを刺そうとする。

 ムサシもこのままでは戦闘不能になるだけと判断したのだろう。即座に『だいばくはつ』を指示していた。

 これにはブルーも驚いたようだが、「死なば諸共よ!」とムサシが叫んだ瞬間、フィールドで爆発が起こり、マタドガスとキュウコンが同時に戦闘不能になる。『だいばくはつ』の一撃だけではキュウコンを落としきれなかったかもしれないが、事前に当てていた『ヘドロばくだん』のおかげで『だいばくはつ』の圏内に持って行っていたようだ。

 

 これでようやく、ブルーのポケモンが戦闘不能になった訳だが、その代償は決して安いものではない。

 マタドガスが倒れたことで、ムサシの残りはウツボットとニャースのみとなってしまった。対するブルーはピクシーと残り二体が無傷で、ダメージを受けたゲンガー、ガルーラを含めて五体のポケモンが残っている。

 

 ブルーは再びゲンガーを出してきた。対するムサシはウツボットを出している。

 四度、ウツボットの体にステロが刺さり、いい加減我慢も限界だったのか、いつものように奇声を上げていた。だが、ムサシが「うるさいわよ」と言うと、すぐに黙り込む辺り、この場での上下関係はしっかり出来ているようである。

 

 ブルーは『しんぴのまもり』で状態異常をケアしているので、先程のような『ねむりごな』で眠らせに行く戦法はもう通用しない。逆にこちらの『ふいうち』を警戒して、変化技を駆使してくるだろう。

 

 少し悩んでいたが、ムサシは『はたきおとす』を指示した。威力は65と微妙だが、ゲンガーの苦手なあく技である。本来、『はたきおとす』は相手が持ち物を持っているとダメージが1.5倍になるのだが、この時代は持ち物が流行っていないので、ほぼただ叩くだけの技だった。

 

 ブルーは先程のように『あやしいひかり』で混乱させに行こうとするが、「何とかしなさい!」というムサシの無茶ぶりが指示される。

 いくらなんでもそれは無茶が過ぎるだろうと見ている俺ですら思ったが、ウツボットは混乱した瞬間に自分の蔦で自分を叩いて痛みで混乱を解除していた。お前、そんなアニメみたいなこと出来るんか。今度、俺のポケモンにも真似させよう。

 

 予想外の混乱解除に、ブルーも流石に動揺したのか、咄嗟に『サイコキネシス』を指示している。

 しかし、攻撃技はムサシがずっと待っていたものだった。即座に『ふいうち』を指示すると、ウツボットの蔦がゲンガーの体に巻きつき、弱点の一撃が繰り出される。

 ゲンガーもギャラドスとの戦いで体力がかなり削られていた。その上、タイプ不一致とはいえ、高威力の弱点技を受けては耐えられなかったようで、そのまま戦闘不能になっている。

 

 これで、苦手なエスパー技を使うポケモンは全て倒した。4対2と不利な状況ではあるが、勝負はまだまだこれからだろう。

 

 ブルーは再びガルーラを繰り出した。当然、『ねこだまし』を打とうとしているのは誰の目から見ても明らかである。

 ムサシも同じ手は二度もくうかとばかりに、ブルーが『ねこだまし』を指示した瞬間、ウツボットをボールに戻し、足元に居たニャースを蹴ってフィールドに送り出していた。

 

「にゃにするにゃー!!」

「いいから、そのまま『みだれひっかき』よ!!」

 

 ガルーラは『ねこだまし』を使う対象だったウツボットが消えたことで技が不発になっている。その隙を狙わないのは馬鹿のすることだった。

 蹴り飛ばされて文句を言っていたニャースだが、すぐに切り替えてガルーラにお得意の『みだれひっかき』をおみまいする。ハッと我に返ったブルーがすぐに『カウンター』の指示を飛ばすも、それより早くニャースはムサシの元へ走っていた。このままやり逃げするつもりなのだろう。

 だが、一度フィールドに入った以上、少し遅れて『ステルスロック』のダメージがニャースに襲い掛かる。思わぬダメージにニャースが「いったいにゃー!」と声をあげた。

 

 ニャースがムサシの元に辿り着くと同時に、再びムサシがウツボットを送り出す。当然、五度目のステロのダメージが入った。

 やはり、ステロは強いな。ウツボットはまだ直接のダメージを受けていないも関わらず、これで体力が半分以上削られてしまっている。

 

 しかし、ガルーラのタイプ一致『ねこだまし』で受けるダメージに比べたら安いものと考えれば、間違った選択ではないかもしれない。

 ブルーも、こんなめちゃくちゃな戦術を見るのは初めてなのか、興味深そうな顔で対戦相手であるムサシを見ている。まさか、モンスターボール投げ始めないよな?

 

 改めて、ガルーラとウツボットが向かい合う。

 ブルーも、これまでのバトルの流れからムサシがすぐに攻撃してくると判断したのか、ガルーラに『ふいうち』を指示していた。

 だが、ムサシは裏をかくように『つるぎのまい』でウツボットの攻撃を上げている。『しんぴのまもり』は状態異常を防ぐ技ではあるが、変化技を防ぐものではなかったのをコジロウが教えていたようだ。

 

 基本的に攻撃指示が多いムサシがここで変化技を使ってくるのはブルーにしてみれば予想外だったようで、やられたという顔で笑っている。

 しかし、ガルーラの方が素早さが上な以上、『ふいうち』合戦はブルーが有利だ。ただ、ブルーも下手に他の攻撃をすると、ウツボットの『ふいうち』が飛んでくるので動けずにいる。お互いに動けず、ガルーラとウツボットがジリジリと互いの距離を詰めあっていた。

 

 だが、時間が経てば有利なのはムサシだった。この探り合いの間に、『しんぴのまもり』は効果が切れる。後ろでずっとそのタイミングを計っていたコジロウが「今だ!」と声を上げると、ムサシは『ねむりごな』でガルーラを眠らせに行った。

 

 ガルーラが粉の効果で眠ると、ムサシは『はたきおとす』でガルーラにとどめを刺しに行く。

 だが、ブルーは慌てていなかった。「甘いよ」と一言呟くと、ガルーラが起き上がり、攻撃しようとしていたウツボットを迎え撃つ。おそらく、ガルーラの特性は『はやおき』だったのだろう。眠り状態のターン経過を二倍にする効果だが、どうやら今回の眠りは短いターンを引いたらしい。

 

 ウツボットの攻撃がヒットするのと同時に、ブルーは『カウンター』を指示する。『カウンター』はかくとうタイプの技だが、受けたダメージを二倍にして返す技なので、相性関係なくダメージが入る。

 おまけに『つるぎのまい』を積んだことでウツボットの攻撃力は上がっていた。一撃で落としきれなかった以上、そのダメージの倍がウツボットに襲い掛かってくる。当然、ステロで体力を半分以上削られていたウツボットに耐えるすべはなく、そのまま戦闘不能になった。

 

 これでムサシの残りはニャースのみ。対するブルーは、ガルーラ含めて四体のポケモンが残っている。

 

 ムサシがニャースに「行きなさい」と声をかけた。ニャースも普段なら先程のように文句の一つも言いそうなものだが、もう自分しかいないからか、素直に頷いてフィールドに歩いていく。

 

 フィールドに入ると、再びステロのダメージが入り、「だから痛いんだにゃー!」と岩に文句を言っていた。

 先程のはやはり聞き間違いじゃなかったと、ブルーが目を輝かせながら「貴方、人の言葉が喋れるのね!?」とニャースに近づこうとする。

 どうやら先程一瞬呆然としていたのは、ニャースが人間の言葉を喋って驚いていたかららしい。

 しかし、今は試合中だ。審判によって注意が入ると、「ちぇー」と唇を尖らせながら、渋々といった様子でブルーがトレーナーゾーンに戻って行く。

 

 どうもブルーはニャースに対して好意的な態度のようだが、ガルーラは先程の『みだれひっかき』を忘れてはいないらしい。これでもかとガンをつけられてニャースの腰が引けている。

 それを見たムサシが「ビビってんじゃないわよ!」と言うと、「ビビってなんかにゃいにゃー!!」と大きな声で言い返していた。

 

 ニャースが喋っている様子を見て、ようやくタケシとカスミさんも、今戦っているのがロケット団だと気付いたようでとても驚いている。

 まぁ、この場所からじゃ、大声を出さないと声が聞こえないからな。ちなみに、俺はマサライヤーのおかげでしっかり声が聞こえていた。

 カスミさんが驚いていない俺を見て、「アンタ、気付いてたわね!?」と文句を言ってくる。いや、気付かない方がおかしいやろ。変装したってニャースが居るんだから見え見えやん。

 

 どうも、この世界の人間はちょっと変装しただけですぐに正体がわからなくなる病気にかかっているらしい。バイキンマンが変装したら誰も気付かないのと一緒である。

 ギャーギャー怒るカスミさんに対し、タケシはロケット団がここにいることで、あのガラガラ使いがバッジを取り戻せなかったことに気付いたようだ。一瞬だが、悲しそうな顔を見せている。

 だが、結局はあいつに実力がなかったと割り切ったのか、すぐに「しかし、あのロケット団がポケモンリーグのベスト8まで来るとはな」と感心の言葉を出していた。

 

 二人とも何だかんだ割り切れない思いはあるようだったが、ここまで来たら応援しようという気になったのか、「頑張りなさいよームサシー!」、「もっとしっかりサポートしろコジロー!」と、半ばヤジのようなものを送っている。

 ついでに俺も「ニャースで四体抜きしたら格好いいぞー!」と、声を送っておいた。

 俺達の声が聞こえたのか、ロケット団が驚いたような顔でこちらを見る。しかし、すぐに「決勝で待ってなさい!」と言って、フィールドに視線を戻した。

 

 ロケット団の意識がフィールドに戻ると、ブルーもバトルに集中し直したようで、ガルーラに『とっておき』の指示を飛ばしている。

 この『とっておき』という技はこの技以外に三つの技を使ってからじゃないと使えないというノーマル技で、ガルーラは場に出てから『ねこだまし』、『カウンター』、『ふいうち』を既に使っている。『ねこだまし』と『ふいうち』に至っては失敗しているが、使ったということが重要であり、ガルーラは既に発動条件を満たしていた。

 

 後ろにいるコジロウが急いで本をめくり、「『とっておき』は威力140の技だ! 直撃をくらったらアウトだぞ!」と忠告を飛ばしている。

 だが、ニャースの覚えている技に変化技が存在しない以上、殴り勝つ以外に勝ち筋は存在しなかった。

 ムサシも「殴り合いよ、負けんじゃないわよニャース!」と声をかけており、ニャースも「当然にゃー!!」と、先程と同じ『みだれひっかき』でガルーラを迎撃する。

 

 顔をひっかかれて嫌そうな顔をしながら、ガルーラの『とっておき』の一撃がニャースの腹に決まった。

 タイプ一致威力140の大技の直撃を受けて、あまりのダメージにニャースが顔をしかめる。しかし、ガルーラは手加減しないとばかりに、『とっておき』の追撃を仕掛けてきた。

 ニャースも『きりさく』でガルーラに反撃していくが、ダメージレース的にどちらが有利かは誰の目にも明らかである。

 普通ならとっくに倒れてもおかしくないが、それでも立っているのは、毎日のように俺達と戦ったことで身につけた打たれ強さによるものと言って良い。だが、いくら根性で耐えたとしても後数発受けたら戦闘不能になりそうだった。

 

 ムサシも、ボロボロのニャースに対し、ガルーラにはまだ少し余裕があるのを見て、分が悪いと思っているのか、苦しそうな顔をしている。

 それを見たコジロウが「もう、あれを使うしかないぞ!」と言っているが、ムサシは「まだ一度も成功したことがないのよ!?」と言って使うのを渋っていた。

 何か隠し球があるらしいが、このままでは出す前にニャースが倒れる。コジロウも「このまま負けるより、一か八かに賭けるしかない!」と言っていて、ムサシもニャースがもう限界なのはわかっているのか、覚悟を決めたように「ニャース、『つじぎり』よ!」と、技の指示を出していた。

 

 あく技の『つじぎり』はノーマルタイプのガルーラには等倍だが、追加効果に急所に当たりやすくなるという効果がある。

 ガルーラも、サワムラーとウツボットの攻撃でかなりのダメージを受けているはずだ。急所にさえ当ててしまえばニャースの低い攻撃力でも倒せる可能性は十分あった。

 

 ニャース自身も未完成なのはわかっているようだが、それしかないとばかりにガルーラに攻撃を仕掛けに行く。

 もし、技が完成していたら倒せていたかも知れない。だが、未完成の技故に、ガルーラを倒すまでには至らず、返しの『カウンター』で壁に叩き付けられ、そのままニャースが戦闘不能になった。

 

 これでブルーが準決勝進出を決めた訳だが、素晴らしいバトルに会場から惜しみない拍手が送られる。

 しかし、ムサシは悔しさからボロボロに泣いており、コジロウもそんなムサシを見ながら倒れたニャースを抱きかかえていて、とても反応する余裕がなかった。そんなロケット団の姿を見て、会場から一層の拍手や声援が送られる。

 ブルーも喋るニャースに興味があったようだが、流石にこの状況で中で入って行くほど空気が読めない訳ではないようで、素直にフィールドを後にしていた。

 

 試合終了後、ポケモンセンターに行くと、ポケモンを回復させているロケット団を見つけた。

 負けたショックを引きずっているのは一目でわかったようで、カスミさんもタケシも、どんな声をかければいいかわからず困っている。そんな中、コジロウがボソッと「あいつには悪いことしたなぁ」と呟いた。

 

 その「あいつ」が、自分達がバッジを盗んだ相手を指しているのは言葉にしなくても分かった。

 

 こいつらも最初は記念に参加できればいいくらいのノリだったのだろう。しかし、勝ち進むにつれて、バトルの楽しさに気付き、勝ちたいと思う心が生まれた。

 作戦を考えて、技を練習して、自分達の実力をぶつけるのはポケモントレーナーとしての本能みたいなものだ。楽しくない訳が無い。

 だが、ロケット団がバッジを盗んだことで、一人のトレーナーが大会に出る機会を失ってしまった。なまじ勝ち進んでしまっただけに、それがわかり、罪悪感を覚えているのだろう。

 

 とはいえ、後悔してももう遅い。ポケモンリーグはもう終わりに向かっているのだ。

 バッジを盗んで参加したのは確かに悪いことだろう。それは褒められたことでは無い。それでも、こいつらはここまで勝ち進むだけの実力を持っていた。それもまた事実だ。

 

 俺からは「良いバトルだったぜ」と一言だけ告げた。罪悪感や悔しさ、いろいろ噛み締めながら、ムサシが「アンタは負けんじゃないわよ」と、そっぽを向きながら口にしている。

 この調子なら、アニメのように邪魔を入れてくることは無いだろう。明日はシゲルとの準決勝だ。今日のバトルを見て、改めて負けたくないと――そう思った。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・ムサシがベスト8で敗退した。
 やはり、タイプ相性やスペック的な限界があった。応援してくれたみんなありがとう。

・ロケット団がバッジを奪ったことを少し後悔した。
 ただ、それでロケット団を辞めはしない。落ち込んだことによる一時的な感傷である。ただ、今回リーグに参加したことで、公式戦の大切さを学んだので、アニメのようにジム戦やリーグ戦を邪魔するのを止めるようになった。


 現在ゲットしたポケモン。

 ピカチュウ Lv.51

 ピジョット Lv.46

 バタフリー Lv.46

 ドサイドン Lv.51

 フシギダネ Lv.49

 リザードン Lv.52

 ゼニガメ  Lv.49

 キングラー Lv.46

 カモネギ  Lv.46

 エビワラー Lv.47

 ゲンガー  Lv.49

 オコリザル Lv.46

 イーブイ  Lv.42

 ベトベトン Lv.44

 ジバコイル Lv.46

 ケンタロス Lv.45

 ヤドラン  Lv.45

 ストライク Lv.45

 トゲピー  Lv.13

 プテラ   Lv.45

 ラプラス  Lv.45

 ミュウツー Lv.70

 バリヤード Lv.44



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#034 『そうだよ(ゲス顔)』

 11歳 μ月υ日 『準決勝 ライバルバトル VSシゲル 前編』

 

 準決勝第一試合。バトルフィールドを挟んでシゲルと向き合う。

 遂にここまで来た。アニメでは決して再現されなかった、セキエイ大会でのシゲルとのバトルである。

 シゲルも「この日が来るのを、ずっと待っていた」と言っており、今日を楽しみにしていたのが感じられた。だが、それは俺も同じだ。今日が来るのをずっと待っていた。

 

 いつもはコーチとして俺の後ろにいるタケシとカスミさんも、今日は博士やママさん、ナナミさんと一緒にスタンドで応援してくれている。二人共、試合に水を差すのは無粋だと感じたようだ。

 見れば、ロケット団も売店のバイトをしながら、こちらをちらちら見ていた。その目は、負けるんじゃないと言っているようにも感じられる。安心しろ、負けねーよ。

 

 互いにモンスターボールを構える。

 

 奇しくも、それは二年前に見た、ワタル対レッドのバトルを彷彿とさせた。どうやらシゲルもそう思ったようで、「あの日みたいだな」と呟いている。

 あの時はただ見ているだけの子供だったが、今では互いにポケモンリーグの準決勝で争い合うまでのトレーナーになった。

 

 審判の合図と共に、ボールを投げる。

 シゲルの一体目はニドキング。俺の一体目はオコリザルだった。相性としては悪くない。ニドキングは技のデパートと呼ばれるくらい技を覚えるが、かくとうタイプが苦手な、ひこう、エスパー、フェアリー技はタマゴ技の『ねんりき』と『つつく』くらいしか覚えない。逆にこちらはエビワラー直伝の『れいとうパンチ』があった。

 

 ただ近距離技なので距離を詰める必要があるのが問題である。オコリザルがニドキングに向かって走って行く。

 対するシゲルは、『あなをほる』でニドキングを地面に潜らせる。ニドキングは基本的に特殊型の方が多いイメージだが、シゲルのはどちらなのかわからなかった。

 ニドキングの姿が消え、オコリザルの足が止まる。ゲームではあまり使われない『あなをほる』だが、こうして実際使われるとどこからくるのかわからないという厄介さがあった。

 こんなことなら『じしん』を覚えさせておくべきだったか。いや、でも三色パンチを覚えるので精一杯だったからなぁ。

 

 当然、真下を警戒していたのだが、オコリザルの後ろからニドキングが出てくる。慌ててオコリザルが後ろに振り返るが、その時には既に拳に光が集中されていた。

 きあパンかよ! 穴の中で事前に気合いを貯めるとか、アニポケ殺法噛ましてくれるじゃねぇか!

 

「ニドキング、『きあいパンチ』だ!」

 

 避けるのは無理だ。もう迎え撃つしか無い。

 

「オコリザル、『ギガインパクト』!!」

 

 同じ威力150技で迎え撃つと、その威力でオコリザルとニドキングが弾き飛んだ。しかし、相打ちのはずなのに、オコリザルが何やら肩を押さえている。

 見ると、肩が紫色に滲んでいた。どうやら、特性、『どくのトゲ』の毒を貰ったらしい。

 

 最初の小競り合いは、シゲル有利で進んだか。おまけにこちらは技の反動で動けない。そんなこちらの隙を突くように、シゲルがニドキングに『げきりん』を指示していた。

 物理型のニドキングで高火力を出すなら『もろはのずつき』や『ふいうち』なんだろうが、どれもオコリザルには相性が良くない。故の『げきりん』指示か。

 

 どちらにしろ、動けない以上は、一撃受けて反撃するしか無い。こちらもオコリザルに『げきりん』と『あばれる』を合わせたアニポケ殺法を指示した。

 サカキ様がトキワジム戦で見せた。ターン技同士の組み合わせである。

 

 ニドキングの拳が顔面に当たり、その後にこちらの拳がニドキングの体に命中した。

 ただ、同じ『げきりん』でも、『あばれる』のパワーが入っているのでこちらが有利である。そのまま打ち合いを続け、先にニドキングを戦闘不能まで持って行った。だが、ターンが重なったことで、こちらもダメージの他に毒も蓄積されたのか、オコリザルも戦闘不能になる。

 

「相打ちか」

「みたいだな」

 

 互いにオコリザルとニドキングを戻して二体目を出す。俺がプテラ、シゲルがエレブーだった。相手こそ違うが、プテラにとってエレブーは因縁の相手である。気合いを見せつけるようにプテラが声を上げた。

 

 シゲルがエレブーに『10まんボルト』を指示すると同時に、『じしん』を指示する。お互いに弱点攻撃だが、プテラの方が早いようで攻撃は先に当たった。しかし、向こうはタイプ一致なのでダメージはこちらの方が受けている。

 シゲルはくらったダメージから、エレブーがもう一度耐えて、返しの一撃で倒せると思ったのだろう。引き続き、『10まんボルト』を指示してきたが、その判断は甘いぞ。

 

 こちらは『はねやすめ』を指示して体力を回復させる。また、追加効果でこの技の使用中はひこうタイプがなくなるというものがあった。よって、今回くらう『10まんボルト』は等倍となり、ダメージをそこまで受けない。

 シゲルが予想外の回復技に驚いている。

 残念だったな。うちはひこうタイプのポケモンが多いから、ピジョット先生によって、覚えられる奴は全員、『はねやすめ』を習得済なんだよ。

 

 プテラの『はねやすめ』を見て、シゲルが素直にエレブーを戻した。このまま続けても、こちらの回復量がダメージを上回っているので、プテラの体力が全回復されてから『じしん』が打たれると分かったのだろう。

 

 しばらく悩んでいたシゲルだが、三体目に出してきたのはキングドラだった。カントーでキングドラが出てきたのは初めてだったのか、観客からの歓声が凄い。

 クソが、誰から進化方法を聞きやがった?

 ニューサトシは自分への歓声は大好きだが、他人へ送られる歓声は大嫌いなのだ。

 

「あまり驚いていない所を見ると、知っていたようだね」

「舐めんな。俺は博識なんだよ。シードラにりゅうのうろこを持たせて通信交換すれば進化することくらいズバッとお見通しだ」

「昔から思っていたが、どこからそれだけの知識を手に入れてくるんだか。僕なんか、ワタルさんに教えて貰ってようやく知ったというのに……」

 

 成程、情報源はワタルか。確かに、あのドラゴン使いなら知っていてもおかしくはない。

 

 キングドラが出てきたことで、中央のフィールドの数ブロックが半分に割れ、下から水のフィールドが出てきた。キングドラはシードラと違って陸上適性があるタイプのポケモンだが、おそらく主催側がどちらかわからなくて気を利かせてくれたのだろう。

 

 俺のプテラはキングドラに有効打がないので、一旦ボールに戻した。オコリザルがいれば『げきりん』があったのだが、既に倒されている。とすると、ここは歓声を取り返すという意味も込めて、イーブイを送り出すことにした。

 

「来たな、イーブイ」

 

 最初に戦った時とは違い、今日までしっかりと訓練してきたイーブイである。まだ少しレベルは低めだが、十分に戦えるだろう。

 ハンドサインで進化先を指示すると、イーブイがニンフィアに進化した。カントーでは見られないニンフィアの姿に、歓声がこちらに送られる。

 大変、気分が良い。おまけにニンフィアはフェアリータイプなので完全にドラゴンキラーなのだ。シゲル自慢のキングドラも有効打はあまりあるまい。

 

 シゲルもニンフィアが苦手なフェアリータイプということは知っているはずだが、引き下がるつもりはないのか、『あまごい』を指示していた。

 天候を雨にしてきたということは、特性『すいすい』だな。雨の時だけ素早が二倍になるので、こちらの攻撃を避けまくろうという腹だろう。

 

 そのままシゲルが雨で威力が1.5倍になっている『ハイドロポンプ』を指示してきたので、こちらも『スキルスワップ』を指示した。この『スキルスワップ』という技は互いの特性を入れ替える技である。

 これでイーブイの『アドバンスシフト』がキングドラに行き、ニンフィアに『すいすい』が与えられるが、キングドラは自由に進化や退化が出来ても特にメリットは無い。逆にこちらは、『すいすい』でニンフィアのスピードが二倍に上がった。

 

 また、特性を失ったことでキングドラのスピードも落ちている。こちらも雨状態のタイプ一致『ハイドロポンプ』でかなりダメージは受けたが、まだ元気はあるようだ。そのままニンフィアに『ムーンフォース』の指示を出す。

 動きの遅くなったキングドラに、効果抜群の一撃が当たる。想像以上にダメージが入った。多分、急所に当たったな。

 

 だが、ギリギリで踏みとどまったようで、シゲルが『しおみず』を指示してきた。『しおみず』は、相手の体力が半分以下の時、威力が二倍になるという技だ。

 ニンフィアの体力は『ハイドロポンプ』の一撃でギリギリ半分以下だったようで、雨状態+タイプ一致130技になっていた。ニンフィアも特殊技に対する耐久はある方だが、流石にこの大技二連続は耐えられなかったらしい。戦闘不能になってイーブイの姿に戻っていた。

 

 観客が驚く前に、すぐイーブイをボールに戻す。

 騒がれるのは大好きだが、イーブイの物珍しさが目立ってしまうと本人が可哀想なので、ここは見間違いだと思って貰おう。

 シゲルもキングドラをボールに戻した。

 戦闘不能ギリギリだが、ボールに戻せば『スキルスワップ』の効果も切れるので、また『すいすい』コンボが狙えると判断したのだろう。

 

 俺は四体目にピカ様を送り出した。天候は雨だし、そろそろ盤面を有利にしていきたい。シゲルが四体目に出してきたのはゴローニャだった。

 相性はピカ様不利ということで、シゲルがゴローニャに『じしん』を指示してくる。当然、俺はピカ様に『なみのり』を指示した。

 波に乗ったことで、『じしん』の振動をかわして、一方的にゴローニャに攻撃が当たる。カツラやサカキ様にも通用した不意打ちだが、ここまで隠し通していただけあって、流石のシゲルも動揺していた。

 

 ゴローニャはいわとじめんの2タイプを持っているのでみず技は4倍ダメージである。

 おまけに雨でみず技の威力が上がっているおかげでタイプ不一致であるピカ様の『なみのり』でも大ダメージを与えられた。『がんじょう』の特性で戦闘不能は避けたようだが、弱点技を受けて動揺した所を、追撃の『でんこうせっか』で一気に戦闘不能まで持っていく。

 

「くっ、ピカチュウが『なみのり』とはっ!」

「ケケケ、知らなかったろ?」

「君が旅立ちの日に、おじいちゃんに『なみのり』の技レコードを要求していたのはこういうことだったのか!?」

 

 そうだよ(ゲス顔)。

 

 苦しそうな顔でシゲルがゴローニャをボールに戻した。上手い具合に奇襲が成功したな。俺も一旦、ピカ様を戻そう。ダメージは受けなかったが、ピカ様には後半が残っている。

 

 シゲルは五体目にカメックスを出してきた。遂にエースを出してきたな。

 カメックスはみずタイプなのででんき技が効く。ピカ様を出すべきか? いや、今さっきのピカ様の活躍を見て、尚、カメックスを出してきたんだ。何かあると見て良いだろう。

 

 悩んだが、俺もここは五体目としてカモネギを出すことにした。カモネギは『リーフブレード』も持っているので、カメックスにも有利が取れる。

 茎とながねぎを両方持っているカモネギを見て、シゲルが「またおかしなポケモンを……」と言っていたが、俺のカモネギは普通だ。ただ、ちょっと二刀流なだけである。

 

 しかし、雨状態が続いている以上、みずタイプのカメックスの方が有利だ。本来なら天候が戻るまで時間を稼ぐべきなんだろうが、カモネギはお世辞にも足が早い方では無い。雨で威力の上がっているみず技で撃墜されるのが目に見えていた。

 セオリー通りの動きをするのが難しい以上、攻撃するしか無いのだが、俺のカモネギは物理型なので近づく必要がある。懐に飛び込めるかどうか、カモネギが攻撃を避けられるかどうかが鍵となりそうだ。

 

 カモネギに『リーフブレード』を指示すると、シゲルがカメックスに『ハイドロポンプ』を指示していた。二つのキャノンから発射させるみずタイプの大技を、カモネギが体を低くしてくぐり抜けていく。自身の体の小ささを上手く利用した避け方だった。

 そのまま、カメックスの懐に飛び込んだカモネギが『リーフブレード』を構えると、シゲルがカメックスに『ハイドロカノン』を指示している――って、究極技だと!? いつ覚えやがった!?

 

「君のゼニガメに『ハイドロポンプ』を教えた代わりに、見せて貰ったのさ」

 

 ゼニガメェ!? いくら落ち込んでたとはいえ、何余計なことしてんだよ!

 

 カモネギの『リーフブレード』が当たった瞬間、カウンター気味にカメックスの『ハイドロカノン』が直撃し、カモネギの体がぶっ飛んでいく。

 天候のせいでみず技の火力が上がっていることもあってか、カモネギが倒れたまま動かない。少しすると審判によって戦闘不能を宣告された。

 

 俺のポケモンが先に三体倒れたことで、五分間のインターバルに入る。

 

 おい、ゼニガメ。負けたら一生恨むからな。

 

 

 




 原作との変化点。

・シゲルとのバトルが始まった。
 実力はほぼ互角だが、先にニューサトシのポケモンが三体戦闘不能になった。


 現在ゲットしたポケモン。

 ピカチュウ Lv.51

 ピジョット Lv.46

 バタフリー Lv.46

 ドサイドン Lv.51

 フシギダネ Lv.49

 リザードン Lv.52

 ゼニガメ  Lv.49

 キングラー Lv.46

 カモネギ  Lv.46

 エビワラー Lv.47

 ゲンガー  Lv.49

 オコリザル Lv.46→47

 イーブイ  Lv.42→43

 ベトベトン Lv.44

 ジバコイル Lv.46

 ケンタロス Lv.45

 ヤドラン  Lv.45

 ストライク Lv.45

 トゲピー  Lv.13→14

 プテラ   Lv.45

 ラプラス  Lv.45

 ミュウツー Lv.70

 バリヤード Lv.44




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#035 『まだ終わってねぇだろーが!』

 11歳 μ月υ日 『準決勝 ライバルバトル VSシゲル 後編』

 

 カモネギは『ハイドロカノン』の一撃で倒れてしまったが、カメックスにも一太刀浴びせていた。

 これで向こうのポケモンは、『じしん』を一発くらっているエレブーと、死にかけのキングドラ、『リーフブレード』の一撃を受けたカメックスに、まだ見ぬ六体目の四体である。

 対する俺のポケモンは、体力に余裕のあるプテラと、無傷のピカ様、まだ見せていない六体目の三体だけだ。悪い状況ではないが、カモネギが一撃でやられたのは痛かったな。

 

 しかし、シゲルめ、ポケモンを良く育ててやがる。ぶっちゃけ、ニューサトシとしての知識がなかったら負けていたのは俺だっただろう。

 俺もかなり育成には力を入れたはずなのだが、こうもあっさり並ばれると自信がなくなるぜ。

 

 とはいえ、弱気になっている場合ではない。このインターバルで天候も元に戻ったこともあり、俺は再びプテラを送り出した。シゲルもカメックスを温存するつもりなのか、エレブーを出してくる。

 先程の焼き直しとなった訳だが、こちらの『はねやすめ』を知った以上、シゲルも同じ攻撃をしてくるほど甘くは無いだろう。

 

 お互いに動くタイミングを探しているせいか、プテラもエレブーも動かずにいる。

 こちらは基本的に近距離型ということもあって、遠距離で攻撃出来そうなのは『じしん』くらいしかない。ただ、『じしん』一辺倒になると、タイミング良くジャンプで攻撃を避けられるということもあるので、迂闊に先制すると返しのでんき技で倒される危険もあった。

 

 さっきはエレブーも『10まんボルト』を打っていたからその心配はなかったが、こっちの動きを探っている今、下手な『じしん』ぶっぱは起点になりかねない。この辺が、ゲームと違って難しい所なのだが、同時に楽しい所でもあった。

 

「……昔は、こうしてポケモンが動きを止めると、どうして動かないんだと思っていたけど、自分がそうなるとは思わなかったよ」

「トレーナー同士のレベルが互角だと希にある。まぁ、俺も実際なったのは初めてだけどな」

 

 とはいえ、いつまでもこのままでいる訳にもいかないだろう。シゲルもそう思ったのか、エレブーに『あまごい』を指示した。

 どうやら、今のシゲルは天候を雨にして動くのを基本にしているようだ。雨状態だと、『かみなり』が必中になるので、さっきのような技の打ち合いになればこっちが不利になる。

 

 と、いう訳で、乱戦に持ち込むことにした。

 

 エレブーの『あまごい』に合わせて、プテラに『とっしん』を指示する。プテラの素早さなら、向こうが反撃に移るより先に攻撃が出来るはずだ。

 一直線に向かっていくプテラだったが、シゲルのかけ声でエレブーがギリギリで攻撃を回避してきた。まだだ、旋回してそのまま『ストーンエッジ』で追撃を仕掛ける。

 

 シゲルも一撃受けるのは仕方ないと腹をくくったのか、『かみなり』を指示した。

 雨状態なので、どんなに動いても直撃する。こちらも腹をくくるしかなかった。エレブーに石の柱が、プテラには雷が直撃し、互いにダメージを受ける。

 ただ、運が無かったようで、プテラが『かみなり』の追加効果で麻痺してしまい機動力が大幅にダウンしてしまった。こうなればもう足を止めて『じしん』を打つしかない。

 

 だが、シゲルもそれを読んでいたのか、プテラが地面に足をつけると同時に、エレブーをジャンプさせて『かみなり』を指示していた。

 すぐに『ストーンエッジ』を指示するが、エレブーの方が先に動いていたと言うこともあり、二度目の『かみなり』が直撃し、プテラが戦闘不能になる。

 

 これで俺の残りは二体になった。シゲルは四体だが、そのうち三体がダメージを受けていることを考えれば、まだまだここからである。

 雨状態であることも考慮に入れて、ピカ様をフィールドに送り出す。シゲルはエレブーを続投させるようなので、オーキド研究所で付けられなかった決着をつけるバトルになりそうだった。

 

 シゲルが『かみなり』を指示するのと同時に、こちらも『かみなり』を指示する。いつもは命中率を考えてまんボルだが、雨状態なら必中技を選ばない理由はない。

 互いにでんきタイプということもあって威力は半減するが、エレブーはこれまでのダメージが蓄積されていることもあって膝をついた。

 その隙をついて『なみのり』を指示。タイプが不一致の技だが、雨で威力が1.5倍になっているなら十分にエレブーを戦闘不能まで持って行けるだろう。

 

 こちらの『なみのり』を見て、再びシゲルがエレブーをジャンプさせる。そのまま『かわらわり』を指示し、ボードに乗っているピカ様に飛びかかるようにエレブーが襲いかかってきた。

 それを見て、こちらもボードからジャンプ。

 エレブーが攻撃を外した所に、ずっと隠していた新技の『かわらわり』を脳天に決め、戦闘不能まで持って行った。

 

 これでシゲルは残り三体である。ほぼ五分に戻したと言っていいだろう。シゲルは次のポケモンとして再びキングドラを出してきた。

 まだ雨状態が続いているので有利に立ち回れると判断したようだが、キングドラもニンフィアとのバトルで瀕死寸前のダメージを受けている。いくら、今までボールの中で休んでいたとはいえ、簡単に回復出来るものではないはずだ。

 

 しかし、キングドラはそんなダメージなど欠片も見せずにこちらを早さで翻弄してくる。

 いや、我慢しているだけだ。いくら早く動いても必中の『かみなり』は避けられない。そう思ってピカ様に『かみなり』を指示すると、キングドラが『ぼうふう』を打ってきた。『ぼうふう』もまた雨状態だと必中になる技である。ピカ様が風に捕らわれ、ダメージを受けるが、そのまま風を突き破るように『かみなり』を打ち放った。

 こちらもまた必中の技だ。キングドラに『かみなり』が直撃する。やはり、ダメージは回復しきっていなかったようで、キングドラは倒れ、戦闘不能になった。

 

 これで残り2対2である。シゲルが出してきたのは最後の一体であるウインディだった。そのタイミングで丁度、『あまごい』の効果が切れる。

 雨がなくなり、ほのお技も有効に使えるようになった訳だが、おそらくこれは偶然では無い。シゲルは天候が切れるタイミングを計っていたのだろう。

 

 とはいえ、俺のピカ様が『なみのり』を覚えている以上、真正面からほのお技を打ってくるつもりはないらしい。

 シゲルはウインディに『しんそく』を指示して、高速戦を仕掛けてくる。流石の『なみのり』も、これだけの速度で動かれたらモーションに移れなかった。雨状態じゃなくなり、命中率の下がった『かみなり』も同様である。

 

 結局、こちらは『でんこうせっか』と『かわらわり』で迎撃するしか無いのだが、『しんそく』はPP的にも、体に掛かる負担的な意味でも、そう回数の打てる技では無い。

 上手くダメージを分散させながら辛抱強く耐えていると、ウインディの息も切れてきた。そのタイミングでピカ様に『かみなり』を指示し、でんきエネルギーをそのまま体に貯めさせる。技を全部使っているので、本来はもう使えないが、この状態で『でんこうせっか』を打つことで、擬似的な『ボルテッカー』が再現できるのだ。

 

 ただ、『かみなり』を無理に貯めているので、体への負担は大きいし、突撃で受けるダメージも通常の『ボルテッカー』よりも大きい。

 それでも、命中率の悪い『かみなり』を直撃させるにはこれしかなかった。だが、この一撃で倒れるほどウインディも甘くは無いようで、シゲルが追撃に『インファイト』を指示してくる。しかし、今回はこちらの運が良かった。ウインディの攻撃が当たった瞬間、ピカ様の特性である『せいでんき』でウインディの体が麻痺する。

 動きが止まったウインディへ『かみなり』を指示すると、シゲルも『だいもんじ』を指示してきた。互いの攻撃が相殺されることなく直撃し、ピカ様とウインディが同時に戦闘不能になる。

 

 倒れたピカ様を迎えに行くと、シゲルもウインディをボールに戻した。これで残りは1対1。シゲルは相棒であるカメックスを出してくる。

 カモネギの『リーフブレード』でダメージを受けているはずなのだが、そんなダメージなどないとばかりに力強い声を出していた。

 俺の最後の一体は、当然、リザードンである。

 これまでエントリーすることはあっても、出番のなかったリザードンだが、シゲルのカメックスが相手なら不足はないとばかりに空へ向かって火を噴いていた。

 

「いいリザードンだな。だが、相性は僕の方が有利だ」

「相性だけでポケモンバトルは決まらない。俺とリザードンの力を見せてやるぜ」

 

 開幕、挨拶代わりに、リザードンへ『ブラストバーン』を指示すると、シゲルもまたカメックスに『ハイドロカノン』を指示してきた。

 互いの究極技がぶつかり合い、爆発と共に相殺されていく。本来、有利なはずのみず技がほのお技に相殺されたということは、こちらの方が火力が上ということである。

 

 火力で負けているなら手数だとばかりに、シゲルがカメックスへ『こうそくスピン』からの『ハイドロポンプ』を指示している。お前もユナイトコンボか。

 こちらはリザードンを空中へ逃がしながら、『フレアドライブ』を指示して纏った炎でみず技の威力を少しでも減衰させていく。

 それでも弱点技の多段ヒットでダメージは受けるが、その程度で負けるリザードンではなかった。すぐに『エアスラッシュ』を指示し、カメックスに反撃のダメージを与えていく。

 回転中の甲羅に、『エアスラッシュ』が多段ヒットし、そのままカメックスが地面に叩き付けられた。

 

 おまけとばかりに、追撃で『ブラストバーン』を指示し、上空から究極技をおみまいする。

 だが、シゲルは冷静に『こうそくスピン』で、その場からカメックスを逃がそうとしていた。だが、追加効果で素早が上がっているとはいえ、完全に避けるのは不可能だったようで、致命傷を避けるようにカメックスが離脱していく。

 しかし、されるがままでいないのがシゲルである。すぐに『ロケットずつき』を指示し、回転状態で防御を一段階上げると、フィールドの壁を足場にしてこちらに反転してきた。

 

「避けられないのは想定内。回転の反動を利用した『ロケットずつき』だ!!」

 

 何か新無印編で見たな、そんな攻撃!

 

 とはいえ、このまま見ている訳にはいかない。壁を蹴った反動でこちらに突っ込んでくるカメックスに対し、『ギガインパクト』で反撃させる。

 互いに衝撃でぶっ飛んでいくが、リザードンの態勢が悪い。逆にシゲルとカメックスはこの状況を想定していたのか、しっかり二つのキャノンをこちらに向けていた。

 

「今だ、『ハイドロカノン』!!」

 

 カメックスの究極技がリザードンへと迫る。だが、避けるのも防ぐのも間に合わない。

 苦肉の策として、再び『フレアドライブ』の炎を纏わせるが、流石に究極技を減退させるのは無理だった。そのまま究極技が直撃し、リザードンが壁に叩き付けられる。

 

「カメックスもダメージを受けたが、リザードンほどでは無い。この勝負貰ったよ」

「だからどうした! まだ終わってねぇだろーが!」

 

 むしろ、本番はここからである。

 リザードンが起き上がると同時に、俺達の感覚と思考が一体化していく。また、体に薄い炎の膜が現れ、肌の色が赤く染まって行った。

 これが、俺達の切り札――きずな現象による、きずなリザードンである。

 

「な、なんなんだその姿は!?」

「悪いが、喋ってる時間はねぇ。この状態でいられる時間には限りがあるんでな」

 

 ミュウツーとの検証でも、この姿で居られるのは一分程が限界だった。ダメージ的にも、この状態が解除されたら俺達に勝ち目は無いだろう。

 全部の力を出し切るつもりで、『フレアドライブ』で突撃する。しかし、流石にシゲルのカメックスだ。咄嗟に『ロケットずつき』で防御をさらに一段階上げて反撃してきた。

 

 互いの頭がぶつかり合い、そのまま取っ組み合いのような状態になる。

 だが、この距離では背中のキャノンをこちらに向けられない以上、『ハイドロポンプ』と『ハイドロカノン』の二つの武器は封じたも同然だ。

 近距離で『ブラストバーン』をくらわせてやろうと思ったが、直撃寸前に首を引っ込めてかわされ、反撃とばかりに三度『ロケットずつき』をしてくる。

 こちらも『ギガインパクト』で頭突きし返すと、カメックスもダメージを受けたようでよろけているが、まだ戦闘不能になるにはダメージが足りなかった。

 

 もう時間が無い。最後のパワーで『ブラストバーン』を打とうとするが、シゲルがカメックスに『こうそくスピン』を指示して、無理やりこちらの拘束を外してくる。距離が出来たことで、カメックスもこちらにキャノンを向けてきた。

 かわしている余裕はない。このまま『ブラストバーン』で一気にカメックスを戦闘不能に追い込むつもりで一撃を放った。カメックスも『ハイドロカノン』で迎撃してくる。

 しかし、きずな現象により威力の上がった『ブラストバーン』は、カメックスの『ハイドロカノン』を貫き、そのままカメックスを飲み込んでいく。

 

「カメックス!?」

 

 究極技の直撃により爆発が起き、同時に俺達の変化も解除された。リザードンと一緒に膝をつく。ダメージを共有しているのもそうだが、完成したきずな現象じゃないということも大きいのか、この変化は今の俺達には負担が大きすぎた。

 

 煙が晴れると、中からボロボロになったカメックスが立ち上がってくる。それを見たリザードンも動こうとするが、疲労と技の反動で動けない。

 そのままシゲルがカメックスに『ハイドロカノン』を指示し、再度発射しようとした瞬間、カメックスはダメージの限界が来たのか、気を失って前のめりに倒れ込んだ。

 

 審判により、カメックスが戦闘不能と宣告され、俺の勝利と、決勝戦進出が決定する。

 シゲルも唖然とした表情を浮かべていたが、すぐに結果を受け入れたのか、カメックスをボールに戻すと、素直に俺へ拍手を送ってきてくれた。

 

「最高のバトルだった。やはり、君は僕のライバルに相応しい男だよ」

 

 そう言って、シゲルが「あの時の決着は今日ついた」と、二年前に俺が無理やり渡した半分のモンスターボールを渡そうとしてくる。そういえば、そんなんアニメでもあったな。

 

 だが、俺はそれを受け取るのを拒否した。

 ぶっちゃけ、そんな壊れたボールいらないし。

 

 とはいえ、流石にストレートにいらないと言うと角が立つので、「それを受け取ると俺は満足してしまう。これからもっと上を目指すために、お前がそれを持っていてくれ」――とか、何とか、それらしいことを言って誤魔化した。

 

「……わかった。次は勝たせて貰うよ。明日の決勝戦、頑張ってくれ」

 

 どうやら、納得してくれたようで、シゲルが半分のボールを持ったまま帰っていく。それを見送ると、俺はリザードンをモンスターボールに戻してその場に座り込んだ。

 そのまま聞こえる声援に手を振って応えていると、オーキド博士やママさん、ナナミさん、ロケット団までもが俺の勝利を祝福するように手を振ってくれている。

 観客席に居たタケシとカスミさんも、最初はパフォーマンスをしているように見えていたようだが、すぐに俺がきずな現象の反動で動く力も残っていないことに気付くと、慌てたようにこちらに向かって走って来た。

 

 

 追記。準決勝で無理をさせすぎたようで、リザードンにドクターストップがかかった。明日の決勝戦には出せそうにない。どうしよう?

 

 

 




 原作との変化点。

・シゲルに勝利した。
 ギリギリの勝負だったが、決勝進出を決めた。代わりに、無理をしたリザードンにドクターストップがかかった。


 現在ゲットしたポケモン。

 ピカチュウ Lv.51→52

 ピジョット Lv.46

 バタフリー Lv.46

 ドサイドン Lv.51

 フシギダネ Lv.49

 リザードン Lv.52

 ゼニガメ  Lv.49

 キングラー Lv.46

 カモネギ  Lv.46

 エビワラー Lv.47

 ゲンガー  Lv.49

 オコリザル Lv.47

 イーブイ  Lv.43

 ベトベトン Lv.44

 ジバコイル Lv.46

 ケンタロス Lv.45

 ヤドラン  Lv.45

 ストライク Lv.45

 トゲピー  Lv.14

 プテラ   Lv.45

 ラプラス  Lv.45

 ミュウツー Lv.70

 バリヤード Lv.44




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#036 『ズルもへったくれもないんだよ!』

 11歳 μ月φ日 『決勝戦 ラストバトル 前編』

 

 まさかのリザードンドクターストップである。

 いや、我ながら無理をさせたし、きずな現象は未完成ということもあって、負担が凄いのもわかっていたのだが、決勝戦に出せなくなるほどとは思わなかった。

 正直、俺もまだ少し体が重いし、ぶっちゃけ疲労が全回復した訳ではない。実際に戦っていたリザードンはもっとダメージが大きかったのだろう。

 とはいえ、多分、きずなリザードンの力がなかったら負けていたし、仕方ないと言えば仕方ない。リザードンなしは少し心配だが、ここまで来たらやるしかなかった。

 

 Bリーグを勝ち抜いてきたのは、やはり優勝候補のブルーである。今の所、使っているポケモンはゲームと全く同じだ。もし、変わっていなければ、今回もカメックス、ピクシー、ゲンガー、ウツボット、キュウコン、ガルーラだろう。

 ただ、ブルーも昨日の俺とシゲルの試合は見ているはずだし、リザードンの能力を警戒していてもおかしくない。もし、対策してくるなら、みずやでんき、いわタイプが多くなってくるはずだ。

 なら、こちらはそれをメタって、でんき、じめん、みずを多めに――とも思ったが、下手に山を張って通常メンバーだったら終わりだし、逆に通常メンバー読みで別のポケモンが出て来ても詰みなので、素直にポケモン達の調子で選ぶことにした。

 

 今回エントリーしたポケモンは、ピカ様、ピジョット、ドサイドン、エビワラー、ゲンガー、ストライクの6体である。

 ミュウツーを使う手もあったが、ここでミュウツーに頼ったら今までの努力の意味がなくなるので、最強の暴君には今日もボール内で見学をお願いしておく。

 

 一つ前に、シゲルと見知らぬトレーナーの三位決定戦があったが、無事にシゲルが勝利を収めていた。シゲルからは、「続けよ」と言われたがプレッシャーかけてくるんじゃねーよ。

 

 もし、この試合に勝てれば、チャンピオンリーグへの参加権利が手に入る。チャンピオンリーグは、各リーグの優勝者と過去4年までの優勝者が参加出来るらしく、今代の優勝者だけではなく、歴代の優勝者達ともバトルすることになるのだ。

 そして、そこで優勝して初めて四天王への挑戦権が手に入るというアホみたいなシステムである。

 ただ、今までカントーの四天王が変わっていない所から見て、今の所、四天王の牙城を崩したことのあるトレーナーは存在しないようだ。

 

 有り得ないくらい地獄のようなシステムだが多少の救いもあった。その年のリーグ優勝者はエキシビションとして、チャンピオンとバトルすることが出来ることになっているのだ。一対一のバトルだが、上のレベルを体感できるいい機会ではある。

 

 まぁ、それもこの試合に勝たないと意味が無いけどな。

 

 しかし、決勝戦だけあって、観客やマスコミの数が準決勝の比じゃ無かった。この試合で、セキエイ大会の優勝者が決まる以上、当然と言えば当然か。

 俺の目の前にいるブルーは特に緊張した様子もなく普通にしている。一応、軽く挨拶はしたが、「君のリザードンごと私のポケモンになってくれない?」と、ヤバい発言をしていたので、早々に話を打ち切らせてもらった。

 

 長い長い主催者の挨拶が終わると、遂にバトルがスタートされる。

 

 俺の一体目はピジョット、ブルーの一体目はピクシーだった。前回のロケット団と同じステロ要因だろう。

 当然のように開幕で『ステルスロック』を指示してきたので、こちらも『きりばらい』でステロを弾き返していく。六回戦からフルバトルになるのは事前にわかっていた以上、当然ステロ対策をしていないはずがなかった。

 

 だが、ブルーも甘くはないようで、こちらの『きりばらい』を見て、即座に『アンコール』を指示している。『きりばらい』を縛られたら勝負にならないので、『でんこうせっか』を先出しして縛りをずらしていく。

 ピクシーに先制技の『でんこうせっか』が当たり、少しダメージを与えたが、これでピジョットの攻撃はしばらく『でんこうせっか』で縛られてしまった。ただ、ピジョットさえ無事ならステロはいつでも解除できる。

 

 ブルーも『でんこうせっか』でステロが撒けるなら安いものと思っているのだろう。再び『ステルスロック』を指示して、盤面を有利にしていく。

 ここは一度ピジョットを戻すことにした。次に出す時はステロのダメージを受けてしまうが、アンコールで技を縛られた状態では相手にさせたい放題やらせてしまう。

 

 俺がピジョットを戻すと同時に、ブルーもピクシーをボールに戻した。次の出番まで待機させるつもりなのだろう。

 やはり、ブルーはトレーナーとしてのレベルが高いな。妨害を挟んで尚、ピクシーには役割を遂行されてしまった。

 

 ブルーは二体目にゲンガーを出してくる。おそらく、器用さを買ったのだろう。俺は二体目にドサイドンを出した。

 もし、ブルーの手持ちがゲームと同じなら、カメックスとウツボット以外なら有利に戦えると判断してのことだ。それに、ブルーはリザードンのドクターストップを知らないはずなので、対抗できるカメックスはこの状況では出しにくいだろう。残り3/4で有利が取れるのなら、ドサイドン以外に選択肢はなかった。

 

 ブルーはドサイドンを見て、俺が手持ちを読んでいるのに気付いたようで「やるねぇ」と呟いている。それほどでもあるぞ。

 

 フィールドに出たことでステロが刺さるが、そんなもの効くかとばかりにドサイドンが気合の入った声を上げていた。

 当然、相性有利なら『じしん』一択である。ブルーの手持ちにはひこうタイプがいないはずだし、後ろで受けられるポケモンもいないだろう。

 しかし、ブルーもゲンガーを変える気はないようで、ムサシ戦で見せた『サイコキネシス』からの疑似浮遊で上手く『じしん』を回避している。だが、一度見せた手段が何度も通用すると思って貰ったら困るな。

 

 空中に逃げたのならと『ドリルライナー』で追撃をかける。ブルーも『サイコキネシス』でドサイドンの動きを止めようとしたようだが、タイプ不一致のサイキネでドサイドンのパワーが止められるはずがない。

 ドサイドンも、俺を止めたかったらミュウツーかメガフーディンでも持ってこいやとばかりに、ゲンガーに『ドリルライナー』を直撃させた。

 

 正直、ゲンガーの耐久なら一撃で戦闘不能に出来ると思ったが、ギリギリのところで耐えたようだ。

 ドサイドンがゲンガーを一撃で倒せないってことは、こりゃ多分俺の手持ちポケモンは全員ブルーにレベルで負けてるな。ドサイドンがゲンガーのサイキネを突破できたのは、攻撃が向こうの特攻を上回っていたおかげだ。おそらく、別のポケモンなら止められていただろう。

 

 しかし、致命傷を与えたはずだが、ブルーは冷静だった。すぐに『いたみわけ』を指示して、ゲンガーとドサイドンの体力を調整してくる。

 しまった。『いたみわけ』はお互いの体力を合わせ、その合計の半分を互いに振り分ける技だ。

 ドサイドンの体力はマックスで、ゲンガーの体力はミリだった。これを平均化すると、ドサイドンの体力は約半分持って行かれたことになる。同時にゲンガーの体力も半分近く回復しただろう。

 

 対応が上手い。『アンコール』や『いたみわけ』で、常にこちらが想定した上を行ってくる。

 

 だが、状況がドサイドン有利なことに変わりはない。このまま一気に押し切ってやる。

 再び『じしん』を指示すると、ブルーがニヤリと笑った。そのまま、ドサイドンが攻撃モーションに移るのと同時にゲンガーをボールに戻して、次のボールを天高く放り投げる。

 

 出てきたのはウツボットだった。おまけに、ボールを上空へ投げたことで、滞空時間で上手く『じしん』を避けている。上から降って来るウツボットに、ブルーが『リーフストーム』を指示し、上空から攻撃を仕掛けさせていた。

 

 タイミングが良すぎる。こちらの攻撃モーションと同時に戻されたため、ウツボットはドサイドンの攻撃中に出てきていた。

 当然、ドサイドンは『じしん』を打った直後ということもあって、即座に回避する体勢には移れない。ウツボットの『リーフストーム』が直撃し、ドサイドンが一撃で戦闘不能になる。『いたみわけ』で体力が削られていなければ耐えられたかもしれないが、まさかこんな方法でポケモンを後出ししてくるとは思わなかった。

 

 倒れたドサイドンをボールに戻す。

 正直、ここでドサイドンを落とされたのはかなり痛い。『じしん』読み交代なら前世でもされたことはあるが、こちらが攻撃を中断出来ないギリギリのタイミングで交換されたことで、無傷降臨だけではなく反撃までしてくるなんて、どれだけの技術があれば出来るんだよ。

 

 ブルーもウツボットを一度ボールに戻した。『リーフストーム』は撃つと特攻が二段階下がる技だが、一度ボールに戻ればその特攻も回復するので、別の機会を狙っているのだろう。

 

 次に誰を出すかを考えたが、このままだとステロがウザいので一度ピジョットを出して払うことにした。

 だが、俺がステロを排除しようとしているのを読んで、ブルーもピクシーを出してくる。これで下手に『きりばらい』を使えば、また『アンコール』で縛られてしまう。だが、ピジョットはひこうタイプだからステロのダメージが1/4だ。また戻せば、次は体力を半分持って行かれる。このまま戦う以外になかった。

 

 ピクシーはフェアリー単タイプなので、弱点がどくタイプかはがねタイプしかない。

 しかし、俺のピジョットはこれまでの戦いでしっかりと『はがねのつばさ』を覚えていた。これで『アンコール』を撃たれても、弱点攻撃で攻めることが出来る。ピクシーさえ倒せば、ステロも排除できるはずだ。

 

 ブルーはピクシーに『10まんボルト』を指示している。向こうも弱点技で攻めて来た以上、どちらが先に倒れるかの殴り合いになりそうだ。

 ピジョットの『はがねのつばさ』が命中すると同時に、ピクシーの『10まんボルト』がピジョットを襲う。ピクシーはそこまで特攻の高いポケモンではないはずだが、それでも受けたダメージは想定よりも高かった。

 やはり、ピジョットよりもレベルが高いのだろう。だが、ピジョットの与えたダメージも低いものではない。このまま行けば、最後の一撃でギリギリさせるはずだ。

 

 続けて、ピジョットが二度目の『はがねのつばさ』をピクシーにぶつける。だが、その瞬間、ピジョットの動きが止まり、急に意味不明な挙動をし始めた。

 そのまま返しの『10まんボルト』の直撃で受けて尚、ピジョットがピクシーにすり寄って行く。見れば、ピジョットの目がハートマークになっていた。

 

 クソ、何で気付けない。『メロメロボディ』だ。

 

 直接攻撃を受けると三割で異性の相手をメロメロ状態にする特性。メロメロになったポケモンは五割の確率で技が出せなくなる悪魔のような状態異常である。

 ピクシーなら物理技対策として『メロメロボディ』は十分有り得ただろう。やっちまった。相手の特性を見落とすなんて、ニューサトシにあるまじき失敗である。

 

 こうなると、もうどうしようもなかった。

 

 仮にピジョットを戻しても、ステロのダメージで戦闘不能になる。一か八か『はがねのつばさ』を指示したが、メロメロのピジョットは技を出せずにピクシーの『10まんボルト』を受けて戦闘不能にされてしまった。

 

 ポケモンのレベル差は言い訳に出来ない。単純に俺のミスと、ブルーの方が一枚上手なんだ。

 これで、俺のポケモンは残り四体。ピカ様、エビワラー、ゲンガー、ストライクである。

 対するブルーは、ピクシーがミリで、ゲンガーが体力半分、後は全員無傷という状況だ。

 不利な状況だが、まだまだこれからである。

 とりあえず、流れを取り戻さないと話にならないので、ピクシーに有利、かつ後ろのメンバー相手にも器用に立ち回れるであろうゲンガーを三番手として送り出した。

 

 ゲンガーにもステロのダメージが入るが気にも留めていない。かなり集中した状態だ。

 ブルーもゲンガーを見て、すぐにピクシーを戻そうとしたが、それよりも先に『くろいまなざし』で交換を防ぐ。これ以上、ピクシーにウロチョロされても面倒だ。ここで確実に倒させてもらうぜ。

 

 ブルーも即座に『アンコール』で『くろいまなざし』を縛ろうとしてきたが、流石に同じ手は二度も通用しない。

 交換しようとした隙もあって、ゲンガーが動く方が早かった。ベトベトン直伝の『ヘドロばくだん』で一気にピクシーを戦闘不能にしていく。

 

 ブルーは次にキュウコンを出してきた。俺もゲンガーを戻して、四体目のピカ様を送り出す。

 ゲンガー相手にガルーラは出しにくいだろうし、ゲンガー対決は体力の差がある状況じゃ回避したいはずだ。また、『10まんボルト』や『サイコキネシス』を警戒すれば、カメックスやウツボットも出しづらいだろう。ここはエスパー技も使えて有利の取れるキュウコンが出てくるとわかっていた。

 ピカ様にはみず技の『なみのり』もあるし、キュウコン相手でも有利に戦える。ここで一気に流れを取り戻してやるぜ。

 

 フィールドに出たことで、ステロのダメージがピカ様にも入った。これもいい加減ウザいので、どこかのタイミングでストライクを出して『きりばらい』をさせたい所である。

 おそらく、ブルーもピジョットがいなくなってステロ除去はできないと思っているだろうが、俺のポケモンはひこうタイプが多い以上、『はねやすめ』と同様に『きりばらい』もしっかり全員に覚えさせているのだ。

 

 とはいえ、今は出せる状況ではないので、素直にピカ様でキュウコンと相対する。

 ブルーも一度戻してくるかと思ったが、ここはキュウコンを突っ張らせるらしい。『あやしいひかり』を指示してきたので、『かげぶんしん』で回避していく。アニポケの『かげぶんしん』は回避にて最強。

 

 混乱に出来ないとわかると、次にブルーは『マジカルフレイム』を指示してきた。『マジカルフレイム』は威力が75と少し微妙だが、当たれば100%の確率で相手の特攻を一段階下げることが出来る技だ。

 前回のシゲル戦で、俺のピカ様が特殊アタッカーだと判断しての選択だろうが、威力75の攻撃では『なみのり』を防ぐことなど出来ないだろう。

 

 ピカ様がお得意の『なみのり』で『マジカルフレイム』を打ち消しながらキュウコンにダメージを与える。だが、ブルーは待っていましたとばかりに『かなしばり』を指示して『なみのり』を封じてきた。

 ちっ、この迷いの無さからして、一度攻撃を受けるのは考慮の上か。いや、むしろ『マジカルフレイム』は、俺達に『なみのり』を使わせるための囮だった可能性すらある。

 

 向こうの『かなしばり』の効果で、しばらく『なみのり』は使えなくなったが、キュウコンにでんき技は等倍だ。まだまだ勝負はこれからである。

 ピカ様に『かげぶんしん』を指示して、再び距離を詰めていく。どうも、ブルーは特殊攻撃を意識しているようなので、近距離からの『ボルテッカー』をおみまいしてやろう。

 俺のピカ様は、既にアニメ初期の臆病な性格を克服しているので、攻撃も十分なパワーを持っているのだ。前回のシゲル戦では疑似ボルテッカーだったが、正規の『ボルテッカー』を見せてやるぜ。

 

 俺が『かげぶんしん』を指示したことで、『あやしいひかり』を警戒しているのは分かったのだろう。ブルーも素直に『マジカルフレイム』で分身を消していく。

 その隙にピカ様が射程範囲に入ったので、『ボルテッカー』を指示して一気に攻撃を仕掛けた。

 

「甘いよ! キュウコン、ジャンプ!」

 

 分身も含めた四方八方からの『ボルテッカー』をタイミングよく跳躍して回避される。

 まだだ! 『ボルテッカー』が外れたことで反動ダメージも受けていない。このまま『10まんボルト』でキュウコンにダメージを与えてやる。

 

「『ねっさのだいち』!!」

 

 しかし、ブルーの追撃は早かった。空中のキュウコンが、こちらが『10まんボルト』を撃つ前に、『ねっさのだいち』を繰り出してくる。

 この技は威力70と少し微妙だが、ピカ様の苦手なじめん技だ。おまけに、三割の確率で火傷状態にしてくる。『10まんボルト』を放つ直前のピカ様に、『ねっさのだいち』が当たり、攻撃が無理やりキャンセルさせられた。

 

 体勢を崩したピカ様へ追撃の『マジカルフレイム』が指示される。舐めんな、『10まんボルト』で相殺してやれ!

 

 ピカ様の『10まんボルト』とキュウコンの『マジカルフレイム』がぶつかり、爆発が起きる。どうやらブルーもピカチュウの『10まんボルト』くらいなら威力の低い『マジカルフレイム』で突破できると考えていたようでかなり驚いた顔をしていた。

 確かに、俺のピカ様じゃなければそうだったかもしれないな。だが、こいつはレアだぜ。

 

 しかし、ピカ様も何とか体勢を立て直したようだが、『ねっさのだいち』でかなりダメージを受けていた。

 ここは一旦、ピカ様を戻す。裏にカメックスもいるだろうし、ここで倒れられては後がきつい。キュウコンも既に技を全て使っているし、この状況ならゲンガーで十分倒すことが出来るだろう。

 

 俺が再びゲンガーを出し、ステロのダメージを受けると、ブルーは迷わず『ねっさのだいち』を指示してきた。

 この瞬間を待っていたんだ! 返しに『ヘドロばくだん』を指示して、『ねっさのだいち』を躱した上で、キュウコンに大ダメージを与える。

 ブルーも『ねっさのだいち』があまりにも簡単に躱されたことから、俺のゲンガーがカントーにのみ極稀に存在する『ふゆう』の特性を持っていると気付いたようで、「それはズル!」と抗議してきた。

 

 ズルもへったくれもないんだよ! これが特性をはく奪されるまで環境を荒らし回っていた『ふゆう』ゲンガーだ!

 

 ブルーも『マジカルフレイム』でゲンガーを倒せるとは思っていないようで、すぐにキュウコンをボールに戻そうとするが、それは悪手だ。こちらは『くろいまなざし』でキュウコンをこの場に足止めする。

 動揺していて『くろいまなざし』の存在が頭から抜けていたのだろう。ブルーも「まずっ」と言葉を漏らしていた。当然、追撃の『ヘドロばくだん』でキュウコンを戦闘不能にしていく。

 

 これで数の上では五分だ。

 

 ブルーはキュウコンを戻すと、ゲンガーを出してきた。キュウコンが『ヘドロばくだん』で受けたダメージから、俺のゲンガーよりも自分のゲンガーの方がレベルが高いとわかったのだろう。

 確かに真正面から戦えば、俺のゲンガーに勝ち目はない。しかし、それがわかっていて真正面から戦うほどニューサトシは正直な性格をしていなかった。

 

 ゲンガー同士の戦いである以上、『ふいうち』は最優先で警戒対象だ。ブルーもわかっているようで、さらに体力を回復させようと『いたみわけ』を指示してきた。読めていたので、こちらも『のろい』を指示する。

 ブルーのゲンガーの『いたみわけ』よりも先に、『のろい』が発動し、俺のゲンガーの体力が半分削れた。その上で、『いたみわけ』によって体力が調整される。ステロでダメージを受けていたこともあって、俺のゲンガーは体力が半分以下になっていた。向こうはそれ以上なので、むしろこちらは体力が回復している。

 

 この『のろい』による『いたみわけ』回避は、流石のブルーも読み切れなかったようだ。

 これで、向こうのゲンガーは時間経過で体力が1/4ずつ削られていく。残り体力半分以下ならすぐに戦闘不能になるだろう。

 ブルーはゲンガーをボールに戻した。流石にここでゲンガーを失う訳にはいかないと判断したようだ。

 俺もゲンガーをボールに戻す。ここでそろそろステロを排除しておかないと後が厳しいので、ストライクを五番手として送り出した。

 

 ストライクにステロのダメージが入る。むし、ひこうタイプなので、半分削れるのが本当にうざい。

 対するブルーは五体目のガルーラを出してきた。『ねこだまし』を受けるのは面倒だが、交代してゲンガーにステロが刺さると辛いので、ここは甘んじて『ねこだまし』を受ける。

 ガルーラの『ねこだまし』を受けるのと同時に、ストライクの『きりばらい』でステロを排除した。これでようやくステロの呪縛から解放されたぜ。

 

 何か追撃が来るかとも思ったが、ブルーは何やらストライクを見ながら思案顔をしている。

 こりゃ、多分リザードンがいないのがバレたな。

 ピカ様、ピジョット、ドサイドン、ゲンガー、ストライクとメンバーを見れば、そりゃ疑問にも思うか。いくらドサイドンがいたとはいえ、ひこうタイプ三体は弱点が被り過ぎるからな。俺の実力を考えれば、裏にリザードンがいないと考えるのが普通だ。

 

 これまではリザードンの幻影がカメックスを縛っていてくれたが、どうやらその効果も切れてしまったようで、ステロと『ねこだまし』でストライクの体力を半分以上削っていったガルーラを素直に戻し、ブルーが最後のカメックスを出してきた。

 

「理由はわからないけど、リザードンはいないみたいだね」

「まぁな。ドクターストップがかかっちまったんだわ」

「それは残念。でも、手加減はしないよ」

 

 そういうと、ブルーは当然のようにポケットからキーストーンを出してくる。

 やはり持っていたか。カメックスの首にメガストーンが付いているからあるとは思っていたが。

 

「その感じ、知ってるみたいだね」

「博識なんでな」

「そっか、じゃあ説明はいらないね。カメックス、メガシンカ!!」

 

 ブルーのキーストーンと、カメックスのメガストーンが共鳴し、カメックスがメガカメックスにメガシンカする。

 二つの砲塔は巨大な一つの砲塔に変化し、左右の手にも新たな砲塔が追加されていた。

 また、メガカメックスになったことで、特性が『メガランチャー』に変化する。波動系の技が1.5倍になるというものだ。当然、ブルーも覚えられる波動系の技は全て覚えさせているだろう。

 

 カントーでは滅多に見ることの出来ないメガシンカに観客も大盛り上がりである。

 確かに、見ている分には楽しいんだろうが、戦っている側としてはたまったものじゃなかった。さて、どうやって突破したものか。

 

「メガカメックス、『みずのはどう』!!」

 

 普通なら威力60しかない弱いみず技だが、メガカメックスの特性で1.5倍、タイプ一致で1.5倍、計威力135のみず技に変化する。

 そのままメガカメックスの全ての砲塔から攻撃が発射されると同時に、ストライクに『かげぶんしん』を指示した。

 

 フィールドに現れた分身によって、上手く『みずのはどう』を回避することが出来たが、それを見たブルーが今度は『はどうだん』を指示している。

 確かに『はどうだん』は必中技だが、いくらなんでもそれはこちらを舐めすぎだろう。むし、ひこうタイプのストライクに、かくとう技は1/4しか効果がない。いくら、メガカメックスになって能力が上がったとはいえ、それで倒されるほどこちらも甘くは――

 

「なっ!?」

 

 ストライクに『はどうだん』が直撃し、そのまま戦闘不能になる。

 いやいや、有り得ないだろう。確かに、ステロや『ねこだまし』で体力は半分以上削られていたが、それでも1/4ダメージで一撃ってどんだけ火力があるんだよ。

 

 俺のポケモンが三体戦闘不能になったことで、五分間のインターバルに入る。

 こちらの残りはピカ様、ゲンガー、エビワラーの三体。対するブルーは、無傷のメガカメックスを筆頭に、まだ四体もポケモンが残っていた。他のポケモンはまだしも、問題はメガカメックスだ。

 まさか、ストライクの残り体力を一撃で持って行くとは、相当レベルが高くないと出来ない芸当だ。下手をしたら、四天王のエースクラスくらい実力がありそうだった。

 

 こんなことなら、見栄を張らずにミュウツーを登録しておけばよかったかもしれない。

 

 




 原作との変化点。

・決勝戦が始まった。
 互いにいくつかミスをしたが、今の所は互角に戦っていた。メガカメックスの登場で均衡が崩れた。


 現在ゲットしたポケモン。

 ピカチュウ Lv.52

 ピジョット Lv.46

 バタフリー Lv.46

 ドサイドン Lv.51

 フシギダネ Lv.49

 リザードン Lv.52

 ゼニガメ  Lv.49

 キングラー Lv.46

 カモネギ  Lv.46

 エビワラー Lv.47

 ゲンガー  Lv.49→50

 オコリザル Lv.47

 イーブイ  Lv.43

 ベトベトン Lv.44

 ジバコイル Lv.46

 ケンタロス Lv.45

 ヤドラン  Lv.45

 ストライク Lv.45

 トゲピー  Lv.14

 プテラ   Lv.45

 ラプラス  Lv.45

 ミュウツー Lv.70

 バリヤード Lv.44



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#037 『諦めるにはまだはえーんだよ』

 11歳 μ月φ日 『決勝戦 ラストバトル 後編』

 

 インターバルに入ると、ブルーはメガカメックスを一回引っ込めた。どうやら、このままメガカメックスで力押しをするような甘いバトルはしてくれないらしい。

 おそらく、ゲンガーの『みちづれ』を警戒しているのだろう。俺のゲンガーはまだ三つしか技を使っていないし、実際俺もメガカメックスが突っ張って来るようならゲンガーで対応しようと思っていた。

 

「流石に決勝だけあって、相手が手強いな」

「メガカメックスも凄いパワーだったわね」

「あぁ、まさかストライクがかくとう技で戦闘不能にされるとは夢にも思わなかったよ」

 

 実際、ストライクが何も出来ずにやられたのはかなりの痛手だった。

 しかし、それ以上にブルーはバトルが上手い。技による対応もそうだが、まさかボールを上空に投げて『じしん』を回避するなんて誰が予想するんだ。あれで、ドサイドンを倒されたのはマジできつかった。

 

「……残りのポケモン的にも、次に出てくるのはウツボットだろうな」

「その根拠は?」

「俺の残りの内、ピカチュウとゲンガーはばれてる。メガカメックスを温存する気なら、有利に戦えるウツボットを選ぶのが普通だ」

「ガルーラやゲンガーが出てくる可能性はないの?」

「ゼロじゃない。けど、ガルーラはノーマルタイプだし、俺のゲンガーには出しづらいだろう。ゲンガーもありだが、残りの一体が対処できない時に『みちづれ』するために俺なら残す」

 

 しかし、疲れた。まだ調子が回復しきってないのもあって頭が回りきらん。ピジョットのメロメロは完全にミスだった。

 向こうも何度かミスしてくれているおかげで致命傷にはなっていないが、残り三体でメガカメックス入りの四体を倒そうと思うと、かなりシビアな立ち回りを要求される。もうさっきみたいな失敗は出来ないだろう。

 

 五分間のインターバルを終えると、再びバトルフィールドに戻って行く。

 予想通り、ブルーはウツボットを出してきた。こちらもエビワラーを出す。ゲンガーの残り技はメガカメックス用に『みちづれ』だし、ピカ様も既に技を全て使っているので、ウツボットに有効打がないのだ。

 

 エビワラーも、まだ超カウンターは完成しきっていないが、ここでは『ほのおのパンチ』を使いたい。ただ、裏のガルーラを倒すためにも高速見切りカウンターきあパンは必須だ。無理にでも、未完成の超カウンターを使うしかなかった。

 

 とはいえ、ブルーのウツボットは特殊型だろうし、今はまだその時ではない。

 

 ウツボットとエビワラーが向かい合う中、エビワラーは俺の指示なしで、すぐに『こうそくいどう』を発動させている。もはや、初動『こうそくいどう』は呼吸と同じくらい当然のことなので指示などいらないのだ。

 対するブルーは『ねむりごな』を指示してきた。流石にエビワラーを眠らせられたらゲームエンドなので、足を使って粉の範囲外へ逃げさせる。

 

 ブルーも、俺のエビワラーの速度から『こうそくいどう』を使ったのは気付いたのだろう。必中技の『マジカルリーフ』を指示してきた。

 普段なら『みきり』を使う場面だが、ここで『みきり』を使ってしまうと後が辛くなる。ここは『ほのおのパンチ』で『マジカルリーフ』を撃ち落としていく。流石に全て撃ち落とすのは不可能だったが、ダメージは最小限に済ませることが出来た。

 

 だが、ブルーも手を休めない。エビワラーが最後の『マジカルリーフ』を『ほのおのパンチ』で撃ち落とすのと同時に、『ふいうち』で距離を詰めてくる。

 攻撃を相殺するのに使った『ほのおのパンチ』は攻撃技だ。相手が攻撃技を使った時に先に攻撃が出来る『ふいうち』が反応し、蔦がエビワラーに巻き付いていく。そのまま自身を引き寄せるようにウツボットがエビワラーとの距離を詰め、ゼロ距離で『リーフストーム』を撃とうとしてきた。

 

 やるな。『ふいうち』を移動技に使って来たか。だが、『リーフストーム』より先に『ふいうち』が、エビワラーの『カウンター』のトリガーとなる。

 飛び込んでくるウツボットへ、『カウンター』からの『ほのおのパンチ』が入った。『こうそくいどう』を二回積んでいたおかげもあり、『みきり』なしでカウンターを成功させている。本当ならここはきあパンだが、それでも超カウンター成功と言って良かった。

 

 ウツボットの顔面に、威力が75から『てつのこぶし』で1.2倍、『カウンター』で2倍、計威力180のほのお技となった『ほのおのパンチ』が直撃する。

 レベル差があろうと関係ないとばかりに、そのままエビワラーが拳を振り抜くと、相手のフィールドまで吹っ飛んでいったウツボットが壁にぶつかり、一撃で戦闘不能になった。

 

 まさか、ブルーもウツボットが一撃で戦闘不能になるとは思っていなかったのか、「何が起きたの……?」と呆然としている。

 

 普通の『ほのおのパンチ』ならレベル差もあって、三、四発くらいは余裕で耐えられただろう。

 しかし、超カウンターによる一撃は通常の二倍以上のダメージで、おまけに弱点技ということでさらにダメージは上がっていた。その上、ウツボットはエビワラーに向かって突っ込んでいたこともあり、通常時よりも勢いが付いている。急所ばりのクリーンヒットでダメージはさらに増えていたはずだ。

 

 だが、それをわざわざネタばらししてやるほど、ニューサトシは優しくない。ブルーにしてみれば、エビワラーはノーダメージのウツボットを一撃で倒した謎のポケモンだろう。

 その不信感が少しでも思考を狂わせてくれれば、こちらの勝率は上がってくる。勝つためなら、どんなものでも使うがニューサトシの基本だった。

 

 ブルーはウツボットを戻すと、ゲンガーを出してくる。おそらく、エビワラーの全貌が掴めていないから万が一を警戒したのだろう。実はメガカメックスで遠距離攻撃に徹されるだけでこちらはお手上げなのだが、ブルーは最悪ゲンガーの『みちづれ』でエビワラーを対処するつもりと見た。

 こちらも、即エビワラーを戻そうとするが、ブルーは『くろいまなざし』で交換を防いでくる。これで、技を三つ使った。残り一つは、おそらく『みちづれ』だろう。

 

 本当ならエビワラーにはガルーラを倒して欲しかったが、逃げられなくさせられた以上、ここでゲンガーを倒して貰うしかない。エビワラーでゲンガーに効果抜群が取れるのは、対ゴーストタイプに覚えさせていた『じごくづき』くらいだが、特性の『てつのこぶし』が乗らないので単純に威力80のあくタイプ技だ。

 

 せめて超カウンターが出来れば良かったのだが、『カウンター』の発動条件が、相手が直接攻撃してくることなので、特殊型のゲンガー相手では使うことが出来なかった。ただ、今のゲンガーの体力なら、一撃当てることが出来ればギリギリ戦闘不能に持って行けるだろう。

 

 しかし、ブルーは『いたみわけ』を使って体力を回復してくる。『サイコキネシス』が使える以上、無理に『みちづれ』を狙ってはこないようだ。エビワラーの体力が2/3、ゲンガーがそれよりも若干少ないくらいの体力を回復し、体勢を立て直してくる。

 だが、その間にエビワラーも三度目の『こうそくいどう』を積んでゲンガーとの距離を詰めていた。体力は増えたが、結局は殴り勝つ以外に勝機は無いのだ。『じごくづき』で、ゲンガーに効果抜群の一撃を入れると同時に、ブルーも『サイコキネシス』でエビワラーを倒そうとしてくる。

 

 俺のエビワラーは物理防御こそ紙だが、特殊防御は意外と高い。レベル差は多少あったようだが、ギリギリでゲンガーのタイプ不一致サイキネを耐えきってくれた。

 返しの『じごくづき』でゲンガーを倒しきる。ブルーも、サイキネを耐えた時点でゲンガーの負けを察したようで、素直に『みちづれ』で相打ちを狙ってきた。

 エビワラーの『じごくづき』によってゲンガーが戦闘不能になり、『みちづれ』の効果でエビワラーも戦闘不能になる。しかし、エビワラーで二体のポケモンを戦闘不能に出来たと考えれば十分な成果だった。

 

 これで、お互いに後二体。

 

 ブルーはガルーラを出してきた。当然といえば当然だ、ゲンガーの『みちづれ』を警戒すれば、メガカメックスの先出しはリスクしかない。

 俺がこの試合で勝つには、このガルーラとのバトルで戦闘不能をさせずに相手を倒し、数の有利を作った上でメガカメックスに『みちづれ』をするしかないだろう。いくら、俺が自分に自信ニキでも、体力半分以下だったとはいえ、あのストライクを不一致1/4技でワンキルするメガカメックス相手に真正面から勝てるとは思っていなかった。

 

 ここが山場だ。当然、こちらはピカ様に全てをお任せする。キュウコンとのバトルでダメージはあるピカ様だが、インターバル前から長い時間休めていたこともあり、まだまだ戦えるとばかりにフィールドに飛び込んでいった。

 

 ブルーは当然のように『ねこだまし』を指示してくる。しかし、ここでのダメージは後に響くので、一度ピカ様に戻るように言い、ゲンガーを出して『ねこだまし』を回避した。

 もし、ガルーラの特性がゴーストタイプにも技を当ててくる『きもったま』だったらアウトだったが、前回のロケット団のバトルで、ブルーのガルーラの特性は『はやおき』だと割れているのでその心配はない。

 その後、即ゲンガーからピカ様に交代する。ステロが排除されたことで、ノーダメージで『ねこだまし』を回避できたな。ストライク、お前の仕事は役に立ったぞ。

 

 ブルーも当たればラッキーくらいの気持ちだったのだろう。特に気にした様子も無く、『じしん』を指示してくる。

 こちらは『なみのり』で『じしん』を回避するが、この回避方法はシゲル戦でも見せていた。ブルーの指示でガルーラがジャンプし、ボードに乗った本体へ『すてみタックル』を仕掛けてくる。

 

 ガルーラのタイプ一致『すてみタックル』なんて受ける訳にはいかない。即座にピカ様をボードからジャンプさせ、そのままガルーラの攻撃を回避していく。

 しかし、『なみのり』はキャンセルさせられたが、ガルーラは空中で動けない。こちらも落下中だが、ピカ様には遠距離攻撃の択があった。『10まんボルト』を指示して、ガルーラにダメージを与えていく。

 

 だが、ブルーもやられるがままではいなかった。すぐに『ふいうち』を指示し、消えかけたボードを足場にさせて、ガルーラをピカ様に突っ込ませてくる。

 先にガルーラの『ふいうち』でピカ様がダメージを受けてしまうが、負けじと『10まんボルト』で反撃していた。

 

 良い意味で想定外のことだったが、ガルーラとピカ様はレベル差がそこまで大きくないようで、タイプ不一致ということもあり、思ったよりも『ふいうち』のダメージは大きくない。逆にガルーラには想定よりもダメージを与えられていた。

 勿論、まだピカ様の方がダメージ的には不利だが、向こうも全て技を使っているし、上手く立ち回れば勝機は十分あるだろう。

 

 ピカ様が着地すると同時に、先制技の『ふいうち』対策として、『かげぶんしん』を指示する。『ふいうち』は、相手の攻撃に反応して先に攻撃を仕掛ける優秀な技だが、技を出せばオートで体が動く訳ではない。

 あくまでも、自分で相手に向かっていく必要がある以上、攻撃対象を絞り込めなくすれば、実質『ふいうち』を封じ込めることが出来るのだ。

 

 これで、こちらは安全に攻撃を仕掛けることが出来る。再び『10まんボルト』を指示しようとすると、ブルーも『じしん』で一気に『かげぶんしん』を消そうとしてきた。

 反射的に、ピカ様が『10まんボルト』をキャンセルして『なみのり』を発動させる。じめん技に対する反応は100点だが、このままでは先程の焼き直しになるだけだろう。キュウコンとのバトルで受けたダメージを考えれば、先に戦闘不能になるのはこちらだ。無理にでも、ここで一気に勝負をつけるしかない。

 

 ブルーが再びジャンプからの『すてみタックル』を指示するのと同時に、こちらもボードを足場にした『ボルテッカー』を指示した。ボードを蹴って勢いをつけた『ボルテッカー』が、ガルーラの『すてみタックル』と正面衝突する。

 純粋な攻撃力では負けているだろうが、落下する勢いもあって、こちらの攻撃も通常時よりも威力があった。

 互いの体がぶつかり合い、衝撃で二体が吹き飛んでいく。だが、ガルーラは上から下に叩き付けられるように飛び、ピカ様はさらに上へと吹き飛ばされた。地面に叩き付けられたガルーラがダメージを受ける中、ピカ様は空中で体勢を立て直そうとしている。

 

「決めろ! 『10まんボルト』だ!!」

「立ってガルーラ! 『ふいうち』!!」

 

 ピカ様が何とか体勢を立て直すと同時に、立ち上がったガルーラがピカ様目がけて突っ込んでいく。

 だが、いくら『ふいうち』が先制技とはいえ、両者の間にはまだ少し距離がある。こちらが先に攻撃が出来れば、『ふいうち』は不発に終わるはずだ。

 

 ピカ様が『10まんボルト』のチャージに入ると、ガルーラがその場を踏み切って、こちらの懐に飛び込んでくる。

 タイミング的にはギリギリだった。ピカ様の『10まんボルト』が放たれると同時に、ガルーラの拳もピカ様に直撃する。

 

 自身の『すてみタックル』の反動に加え、『ボルテッカー』と、二度の『10まんボルト』のダメージで流石のガルーラも戦闘不能になった。しかし、ピカ様も最後の『ふいうち』で限界が来てしまったようで、同時に戦闘不能になっている。

 

 これでお互いに残るポケモンは後一体だが、この時点でゲンガーは『みちづれ』を封じられた。

 互いに後一体の状況で『みちづれ』をした場合、ゲンガーが先に戦闘不能になってから相手が戦闘不能になるという判定になるので引き分けには出来ないのだ。

 

 倒れたピカ様を迎えに行くと、勝てなくてごめんと言いたげな顔でこちらを見ている。

 大丈夫だ。相手が強い? だからどうした。諦めるにはまだはえーんだよ。

 

 ブルーがメガカメックスを出すと同時に、こちらもゲンガーを送り出す。ゲンガーも、体力が半分ほど削れているが、まだまだ戦えるぞとばかりに両手を挙げてアピールしていた。

 実際、ブルーのメガカメックスの火力なら、仮に体力がマックスでもゲンガーはワンパンさせるだろうし何も問題は無い。

 

 確かに、勝ち筋だった『みちづれ』は封じられたかもしれないが、なら別の勝ち筋を探せば良いだけのことだ。

 

 方法は二つ、一つは真正面からメガカメックスを打ち倒すというもの。だが、メガカメックスはカメックスの時よりも特殊耐久が上がるので、不一致の『10まんボルト』程度じゃ倒しきるのに何発必要かわかったものではない。

 と、すると、選択肢は後一つしか無かった。『のろい』による継続ダメージで勝ちを狙うというものだ。

 

 奇跡的に、ゲンガー対決で使った『のろい』で失った体力は、向こうの『いたみわけ』でギリギリ『のろい』を使えるまで回復していた。

 どうせ、どんな技を受けても一撃でやられるなら、体力がミリになっても問題はない。ゲンガーに『のろい』を指示し、メガカメックスを呪い状態にしていく。

 

 対するブルーは『あくのはどう』を指示していた。弱点技でワンキルしようとしているのだろうが、こちらはもう逃げに徹するのみである。

 運が良いことに、必中技の『はどうだん』はかくとう技なのでゲンガーには効果が無い。必中技が効かない以上、ゲンガーの速度なら逃げきれるはずだ。勝ち筋はある。まだ、勝負は決まっちゃいない。

 

「『みやぶる』!」

 

 だが、ブルーはこの戦法にすら対応してきた。『みやぶる』は相手の回避率に関係なく攻撃を当てる技である。おまけに、ゴーストタイプのポケモンが相手でもノーマル、かくとうタイプの技が当たるようになるという追加効果があった。

 

 つまり、『はどうだん』が使用可能になる。

 

 いくらゲンガーのスピードでも必中技を避けることは出来ない。メガカメックスの『はどうだん』によって、ゲンガーは倒され、俺のポケモンが全て戦闘不能になったことで、ブルーが今回のセキエイ大会優勝者に決定された。

 

 

 

 11歳 μ月χ日 『ポケモンリーグ閉幕』

 

 結局は準優勝で、俺のポケモンリーグセキエイ大会は幕を閉じた。

 

 リザードンがドクターストップになっていなかったら、ミュウツーを登録していたら、言い訳はそれこそ山のようにあるが、全ては『俺のトレーナーとしての能力が足りていなかった』、この一言に尽きる。

 

 勿論、ミスもあった。昨日も書いたが、ピジョットのメロメロは完全にやらかしだ。もし、ピジョットを生き残らせることが出来れば、最後に『みちづれ』を使うことも出来ただろう。

 ただ、それ以上にトレーナーとしての能力が完全に負けていたのだ。技の対応も、技術も向こうの方が完全に上だった。

 

 不調だったのはあったかもしれない。疲労は抜けていなかったし、エース不在で動揺もしていた。自覚はなかったが決勝ということで緊張していたのもあるだろう。

 ただ、それも全ては言い訳にしかならない。結局は俺の立ち回りが良くなかったせいで負けた。それが決勝戦の結果である。

 

 何が一番悔しいって、俺が負けたことを自分達の力不足だと、俺のポケモン達に思わせてしまったことが一番悔しい。

 勝てたのだ。俺がしっかりしていれば今のポケモン達のレベルでも十分勝てた。負けたのは俺のせいだ。トレーナーとして力が足りなかった。俺がこいつらの力を十全に引き出してやれなかった。

 

 決勝戦の後、タケシやカスミさん、博士やママさん、ナナミさんだけではなく、シゲルやヒロシ君、ロケット団までもが来て、「良いバトルだった」と慰めの言葉をかけてくれた。

 だが、その優しさが今の俺には逆に辛い。

 全然良いバトルじゃなかっただろう。俺はミスして振り回されていただけだ。ロケット団の仇を打つことも出来なかった。

 

 今まで、ポケモンのレベル差で負けることはあったが、トレーナーとしての能力で負けたと思わされたのはこれが初めてである。何とも言えぬ苦い気持ちが、俺の胸に重りのようにのしかかっていた。

 

 

 

 11歳 α月ζ日 『オレンジ諸島に出掛けるぜ』

 

 いつまでも負けを引きずっていても仕方が無い。シゲルも新たに旅に出たと聞いたし、良い経験をさせてもらったということで、俺も次の冒険へ出かけたいと思う。

 

 原作通り、オーキド博士からオレンジ諸島のダイダイ島へお使いを頼まれたので、次の行き先はオレンジ諸島だ。そこにいるウチキド博士とやらから、転送できない不思議なボールを貰ってくるミッションである。

 まぁ、当然それだけじゃ済まさないけどな。

 普通にオレンジリーグに参加して、オレンジ諸島でもポケモンをゲットしてくるつもりである。

 

 とりあえず、手持ちのメンバーは、固定のピカ様とトゲ様、偵察の出来るピジョット、甘えん坊のイーブイ、ポケモンリーグで活躍できなかったことを悔やんでいるストライク、海ならば必須のラプラスにした。

 特にストライクは、決勝戦で何も出来ずに負けたこともあり、自分がリーグを終わらせてしまったと思っているらしい。そんなことはないと言ったのだが、本人が頑なに自分を責めているので、しばらくはメンタルケアも兼ねて一緒に居させるつもりだ。

 

 準備を終えると、オーキド博士とママさんに見送られながら、オレンジ諸島へと向かって旅に出る。

 

 ママさんにお土産は先に宅配便で送るように言われたが、そういえばカントーを旅していた時は、ろくにお土産も買わなかったな。楽しみにしているようだし、オレンジ諸島の特産品をいろいろ送ることにしよう。

 

 そのままトキワシティを目指して歩いていると、そういえばアニメではここでピジョンがピジョットに進化して別れるということを思い出した。

 勿論、俺はピジョットを逃がす気など欠片も無い。仮にオニドリルやオニスズメの群れが来ようと、最悪は二度と悪さが出来ないくらいにボコボコにするつもりだった。

 

 しかし、歩けど歩けど何も起きない。オニドリルどころかオニスズメの一匹も襲ってこなかった。もしかしたら、俺がピジョンをゲットしなかったことで話が変わってしまったのだろうか?

 

 結局、オニスズメにもオニドリルにも遭遇しないままトキワシティに着いてしまった。

 

 

 

 11歳 α月η日 『ロケット団……マジかよ?』

 

 オレンジ諸島へ行くために、トキワシティから飛行場がある街へ向かっていると、いつも通りロケット団に襲われた。

 

 すぐにやなかんじーにしてやろうと思ったのだが、何故かムサシがオニドリルをゲットしている。それ、もしかしてマサラタウンの近くにいた奴か? 何がどうなったらそうなるんだ?

 

 おまけにポケモンリーグでベスト8まで勝ち上がったこともあってか、いつもよりもバトルに歯ごたえがある。特にタッグバトルを勉強してきたのか、コンビネーションだけなら俺より上かもしれなかった。

 

 最終的にはいつも通りにやなかんじーにしてやったんだが、ちょっと苦戦したぞ。

 

 




 原作との変化点。

・ニューサトシがセキエイ大会で準優勝した。
 後半盛り返したが、トレーナーとしての実力の差がもろに出た。ニューサトシは知識や読みだけなら負けていないが、バトルに関してはまだ一年の新米ということもあり、技術を見せつけられた形である。

・ニューサトシが負けてしばらく落ち込んでいた。
 ロケット団も空気を読んでしばらく悪さはしなかった。ポケモン達も自分達のせいだと思ってまた鍛錬を始めた。暴君は何も言わずにずっとニューサトシを見ていた。

・第81話『マサラタウン! 新たなる旅立ち』より、ピジョットと別れなかった。
 本来なら出てくるはずのオニドリルだが、悪さをしていなかったロケット団が先に遭遇し大暴れしていたオニドリル一派とバトルしていた。アニメではなすすべもなくやられていたが、こちらはセキエイ大会ベスト8の実力者なので返り討ちにしてゲットした。おかげで、アニメのピジョットイベントがなくなった。おまけで、手下のオニスズメ達を航空部隊としてロケット団本部に送り、約一年ぶりの評価を受けた。森は平和になってポッポ達は静かに暮らすことになった。ロケット団もいいかんじーになった。

・ニューサトシがロケット団に苦戦した。
 ニューサトシも不調のようだが、純粋にロケット団が強くなっている。ムサシやコジロウ単体だとそこまででもないのだが、二人で組むと強くなる謎のコンビネーションを発揮していた。


 現在ゲットしたポケモン。

 ピカチュウ Lv.52

 ピジョット Lv.46

 バタフリー Lv.46

 ドサイドン Lv.51

 フシギダネ Lv.49

 リザードン Lv.52

 ゼニガメ  Lv.49

 キングラー Lv.46

 カモネギ  Lv.46

 エビワラー Lv.47→48

 ゲンガー  Lv.50

 オコリザル Lv.47

 イーブイ  Lv.43→44

 ベトベトン Lv.44→45

 ジバコイル Lv.46

 ケンタロス Lv.45

 ヤドラン  Lv.45

 ストライク Lv.45

 トゲピー  Lv.14→18

 プテラ   Lv.45

 ラプラス  Lv.45

 ミュウツー Lv.70

 バリヤード Lv.44→45



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オレンジ諸島編
#038 『のび太君顔負けの実力じゃねーか』


 11歳 α月ι日 『オレンジ諸島 ダイダイ島到着』

 

 原作通り、福引き券で不幸船のチケットを当て、紆余曲折あったが何とかオレンジ諸島に着いた。そのままの足でウチキド博士の研究所へ行き、アニメのようにGSボールを預かる。

 当初の目的は済んだので、適当にウチキド研究所のポケモンを見せて貰っていると、タケシがこの研究所に残りたいと言い出した。

 

 どうやら、ウチキド博士の言葉に感銘を受けたようだが、一応親切心から「絶対に後悔するからやめておけ」と忠告しておく。アニメでは、少なくとも名前を出すと落ち込むくらいには後悔していたはずである。

 

 だが、決意は固いようで、「ここに居ると、ポケモンの新しい面を見られるんだ。トレーナーとしてもブリーダーとしてもレベルアップ出来る」と言って聞かない。

 本人がそこまで言うのなら、俺から言うことは何も無かった。どうせ数ヶ月の別れになるだろうが、タケシにはしっかり失恋してきて貰おう。

 

 

 

 11歳 α月κ日 『あ、出番がすぐなくなる奴だ』

 

 朝、カスミさんがすぐにマサラタウンへ帰ろうとか言うので、俺の必殺技である我が儘を発動して、もう少しオレンジ諸島を回っていくことにした。

 そのままダイダイ島からボンタン島へ行ったのだが、海岸線を歩いていると、海辺で野生のラプラスが三人のヤンキーにいじめられているのを発見する。

 

 絶許だった。ニューサトシはこういう笑ってポケモンを虐待するような奴らが大嫌いなのだ。

 

 すぐに止めるように言うと、何やらヤンキー共は「俺らは、サザンクロスに挑戦する実力派の不良なんだ」と意味不明なことを自称している。

 別にお前らの自己紹介なんて誰も聞いてねーし。それに実績を自慢するなら、こちとらセキエイ大会準優勝やぞ。途中、何だか良く分からない奴も乱入してきたが、まとめてピカ様の『10まんボルト』でワンキルしてやった。

 

 ヤンキー共を追い返して、倒れているラプラスに駆け寄ると、乱入してきた奴が起き上がって、「こいつはまずいな。このラプラス、とても弱ってるよ」と診察している。

 あ、こいつ、もしかしてケンジか。そういえばここで会うんだったっけか。すっかり忘れてたぜ。

 

 何だかんだと、弱っているラプラスをポケモンセンターまで連れて行ったのだが、どうやらラプラスは人間に虐待されたせいで、とても臆病になってしまっているらしい。可哀想なので、俺達の手で群れに返してやろうという話になった。

 

 改めて、ポケモンウォッチャーのケンジと自己紹介をし、ラプラスを海へ帰そうとするのだが、心を閉ざしているラプラスはなかなか人間の言葉に耳を傾けてくれない。いろいろチャレンジしてみたのだが、どれも良い結果には結びつかなかった。

 

 人間がダメならポケモンだ!

 

 と、いう訳で、俺のラプラスを出して少しずつ打ち解けようということになった。同じラプラス同士、友好を深めて貰う。これが思いのほか上手く行ったようで、時間はかかったが何とかラプラスは俺達に心を開いてくれた。

 

 

 

 11歳 α月λ日 『オレンジリーグに参加するぜ』

 

 カスミさんの機嫌が良い。昨日、仲良くなったラプラスだが、俺はもうラプラスが手持ちにいるので、カスミさんが一時的にゲットすることになったのだ。

 勿論、群れに返すまでの間だというのはわかっているだろうが、それでも念願のラプラスをゲット出来たと言うことで、カスミさんがラプラスの側を離れない。ラプラスもこうまで自分を慕ってくれるカスミさんに懐いたようで頬を寄せている。

 

 こうして、ラプラスを群れに返す旅に出ることになったのだが、見送りに来たケンジがどうせ旅をするならオレンジリーグに参加したら良いのではないかと提案してきた。

 そうだ、ラプラスのことですっかり忘れていたが、最初はオレンジリーグに参加するつもりで来たんだ。

 しかし、そうなると少し長い旅になる。ラプラスの件もあるし、一度オーキド博士に連絡を取ろうと言う話になったので、ポケモンセンターから博士に連絡を取った。

 

 そのまま、ラプラスを群れに帰す件とオレンジリーグの参加について説明する。博士も別にGSボールの研究は急いでいないということで、俺達の旅を許可してくれた。

 だが、問題が起きたのはケンジである。

 どうやら、ケンジはオーキド博士に憧れているようで俺達の旅に着いてくると言い出したのだ。まぁ、丁度タケシがいなくなった所だし、アニメでも何だかんだ役に立っていたので別にいいだろう。こうして、ケンジも一緒にオレンジ諸島を回ることになった。

 

 

 

 11歳 α月μ日 『オレンジリーグ ナツカンジム』

 

 ラプラス達に乗って、ボンタン島からナツカン島まで移動した。ここにはオレンジリーグに参加するためのジムの一つ、ナツカンジムがあるという。

 ケンジによると、ナツカンジムのジムリーダーは、オレンジリーグサザンクロスの西の星とか呼ばれているらしい。うっそだろと思ったが、ジムへ行くとジムリーダーのアツミとやらが同じ名乗りをしていたので嘘ではなかった。マジかよ。

 

 そのままジム戦をすることになったのだが、オレンジリーグのジムは単なるバトルだけとは限らないらしく、このジムではポケモンの技と技をアスリートと同じように競い合うとか言っている。

 

 ぶっちゃけ、アニメでどんなことをしたか全く覚えていなかったのでかなり驚いた。

 

 ファーストバトルは、『みずでっぽう』で空き缶をどれだけ正確に当てられるかというバトルになったのだが、俺の手持ちで一番みず技の練度が高いのは多分究極技の練習を毎日しているゼニガメだ。ここはアツミに頼んでポケモン転送装置を貸して貰い、ピジョットとゼニガメを交換させて貰った。

 

 改めて、いざバトルとなると、アツミがシードラを出してくる。どうやらアツミのシードラはこのバトル専用に育てられているのか、的確に缶の中央を『みずでっぽう』で当てていた。

 

 俺のゼニガメも最近は『みずでっぽう』を使っていなかったが、それよりも難しい究極技の練習をしていただけあって、シードラに負けない技量を見せつけている。のび太君顔負けの実力じゃねーか。

 

 結局、ファーストバトルは引き分けということで、そのままセカンドバトルに行くことになった。

 セカンドバトルは動く標的ということで、クレー射撃の『みずでっぽう』版である。お試しで一つ的を壊すと、今度は同じタイミングで三つ的が出て来た。とはいえ、のびガメさんにはそんなのいくつ出ようと同じなようで簡単にクレーを破壊している。やるやん。

 

 クレーに慣れてくると、今度は同じ的をどちらが早く壊せるかの早撃ち勝負となった。

 飛んでくるクレーを同時に破壊して、ゼニガメとシードラが互角の争いを見せている。いくつか的を割らせてみたが、決着がつかなさそうだったので、ファイナルバトルとして波乗りレースで決着をつけることになった。

 

 海に移動すると、ビーチから1キロ離れた沖合にある旗を往復して、どちらが先に帰って来られるかというレースをすることになり、ゼニガメからラプラスにポケモンをチェンジする。

 アツミはカメックスを出してきた。

 どうやらトレーナーもポケモンに乗るということで、ラプラスの能力だけではなく俺の実力も必要になりそうだが、バランス感覚の修行についてはマサラ式肉体言語術を覚える際に一通りやってきている。特に問題なく、ラプラスに動きを合わせることが出来るだろう。

 

 レースがスタートすると、どちらがインコースを取るかで競っていたが、俺のラプラスは意外と負けん気が強い。どんなに動いても俺が倒れないとわかると、何度も何度も相手をぶっ飛ばす勢いで体当たりをかましていた。

 アツミも、まさか俺とラプラスがここまで執拗に体当たりをしてくるとは思わなかったのか、カメックスの背から落ちそうになって焦っている。相手がバランスを整えている間に、先行で旗を往復すると、丁度後ろから大波が来たので、その波に乗ってさらに加速して行った。

 

 結局、かなりの大差を付けて波乗りレースを制し、アツミの降参宣言と共に、ナツカンジムを勝利した証であるサクラバッジを渡される。

 正直、オレンジ諸島編は、印象に残った数話と、ファイナルバトルくらいしか記憶になかったのでかなり焦ったが、この調子で残り三つのバッジもゲットして行きたいと思う。

 

 

 

 11歳 α月ξ日 『ポケモンが消えた? どうせロケット団やろ』

 

 オレンジ諸島でも有名な商業都市であるキンカン島に着くと、ピカ様とトゲ様が急に俺に反抗してどこかに消えてしまった。

 ジュンサーに話を聞いてみると、どうやらキンカン島では近頃ポケモンがトレーナーのいうことを聞かなくなって人を襲う事件が続発しているらしい。ゴーストタイプのポケモンには効果がないことからエスパータイプのポケモンが原因では無いかと言う。

 

 大体、こういうことをするのはロケット団だろうということで、とりあえずピカ様達を探すついでにあいつらを探してみることにした。あいつらはエスパータイプのポケモンを持っていないが、オニドリルの件もあるし、どこかで捕まえていてもおかしくない。

 

 と、思ったのだが、早速街でボロボロになって倒れているロケット団を発見した。

 

 とりあえず、助けて話を聞いてみるも、「警察に協力するのは悪党の名が廃る」とか言って、素直に話そうとしない。仕方ないので、マサラ式肉体言語術でボコボコにしようとすると、すぐにヤマトとコサンジとかいうロケット団のパチモンが原因だとゲロった。最初から素直に話せ。

 

 聞けば、スリープの能力を何らかの装置で増幅してポケモンを操作する事件を起こしているということなので、こちらはゴーストタイプであるゲンガーをゼニガメと入れ替えてアジトに殴り込みをかけに行く。

 そのまま装置を破壊して、捕まっていたポケモン達を解放したのだが、パチモン達もまだ諦めようとしなかった。仕方ないので、今度こそマサラ式肉体言語術で懲らしめてやろうとすると、ムサシとコジロウが自分達で決着をつけさせてほしいと頼んできた。

 

 昔のこいつらだったら決して任せようとは思わなかっただろう。だが、今のこいつらはこれでもポケモンリーグセキエイ大会のベスト8に入った実力者だ。「実力を見せつけてやれ」と言って、今回は主役を譲ることにする。

 

 向こうのスリープもかなりのレベルだったが、ポケモンバトルはレベルだけで全て決まるものではない。それは、ポケモンリーグという大舞台を経験したこの二人も良く分かっているのか、最初は押されていた二人もすぐに落ち着きを取り戻したようだ。

 結局は、トレーナーとしての実力を見せつけるように、ムサシとコジロウのコンビプレイによってスリープは撃破され、再びロケット団のパチモンはジュンサーのお縄についた。

 

 

 

 11歳 α月π日 『ぐぬぬ、なんでや』

 

 オレンジリーグ出場を目指して旅を続けていると、海で瓶に入った手紙を拾った。

 中には『クリスタルのイワークというポケモンについて知っている人がいたら是非教えて下さい。お願いします。ポンカン島のマサミ』と書かれた手紙が入っている。

 

 来た! クリスタルのイワーク、この話は覚えて居るぞ!

 確か、みず技が効かなくて、ほのお技が弱点とかいう謎のイワークだったはずだ。オレンジ諸島に来たら、絶対にゲットしようと思っていたポケモンである。

 

 おそらく、このイワークはオレンジ諸島特有のリージョンフォルムだろう。

 水が効かないのは特性もあるんだろうが、タイプ的にはいわ、こおりとか、いわ、はがねかもしれない。何があろうとゲットしてやる。前にイワークをシバに奪われてからずっとこの機会を待っていたのだ。

 

 俺の必殺技である我が儘を発動し、クリスタルのイワークをゲットしたいと駄々をこねる。困ったような顔をしたカスミさんとケンジだったが、もう慣れたのか仕方なく付き合ってくれると言ってくれた。

 ケンジによると、他の島でクリスタルのイワークの話など聞いたことがないということで、手紙にあったポンカン島にいるのではないかと推理している。アニメでも確かそうだったはずなので、その推理に従ってポンカン島へ上陸した。

 

 探索なら自分に任せろということで、ケンジのマリルの遠くまで音が聞こえるという探査能力を使ってクリスタルのイワークの住処を探しに行く。

 マリルによると、ポンカン島から少し離れた小島で声が聞こえたということで、ラプラスで海を渡り小島に上陸する。そのままマリルの案内で洞窟の中に入っていくと、水の中からクリスタルのイワークが出てきた。

 

 念願のクリスタルのイワークに俺氏大歓喜である。

 

 早速出てきたクリスタルのイワークに、ピカ様の『なみのり』をくらわせてみるが、やはりみずタイプの技は効かないらしい。

 ならば次だ。イーブイを出して、ブースターに進化させる。そのまま『かえんほうしゃ』を指示すると、やはりほのお技が苦手なようで、クリスタルのイワークの体が赤く染まって行った。

 

 追加で『フレアドライブ』をぶつけると、クリスタルのイワークがダメージで倒れる。絶対に捕まえるという固い意志を持ってボールを投げると、一度でクリスタルのイワークをゲット出来た。

 

 ケンジが特殊固体である俺のイーブイに興味を示しているが、今はそれよりもクリスタルのイワークである。

 手持ちがいっぱいだったので、一旦ゲンガーを研究所に送り、クリスタルのイワークを手持ちに加えた。

 

 やったぞ。遂にクリスタルのイワークをゲットした。

 

 超レアなポケモンをゲット出来て大変気分が良い。あまりに気分が良いので、その足でポンカン島へ戻り、手紙をくれたマサミという少女の所へクリスタルのイワークを自慢しに行った。

 すると、何故かマサミの兄から「いいインスピレーションを貰ったよ!」と感謝され、マサミからも「お兄ちゃんを助けてくれてありがとう!」とお礼を言われた。ふぁっきゅー。違うのだ。俺はただ自慢しに来ただけなのだ。

 

 マサミやその兄に感謝される俺の姿を見て、何故かカスミさんまで「意外と優しいところもあるじゃない」と言っていて、ケンジも「本当はこのためにクリスタルのイワークをゲットしたんだね」と勘違いしている。ぐぬぬぬぬ、違うのに。そんなんどーでもいいのに。

 

 

 

 11歳 α月ρ日 『リージョンフォーム』

 

 ポケモンセンターで検査して貰った結果、クリスタルのイワークは、いわ、こおりタイプのポケモンだった。

 水晶は氷の岩と呼ばれているようだし、ピッタリと言えばピッタリのリージョンフォームである。ただ、じめんタイプがこおりタイプになったことで、逆に弱点が山のように増えているが、そこはトレーナーの腕の見せ所だろう。

 

 みずタイプの技が効かなくて、ほのおタイプの技が効くのはどうやら特性のようだが、『かんそうはだ』のように、みずで回復してほのおのダメージが増える特性があることを考えると別におかしなことではなかった。

 

 

 

 11歳 α月σ日 『ピンクのポケモン島』

 

 旅の途中で巨大な渦潮に巻き込まれ、ピンカン島という謎の島にたどり着いた。

 ケンジ曰く、この島は複数の渦潮に囲まれているせいで普通の方法じゃ来ることが出来ない島らしい。

 島のポケモンは普通のポケモンと体の色が違い、全身ピンクなのが特徴のようだ。そういえば、アニメでもそんな島に寄っていたような気がしなくも無い。

 

 記念に何かポケモンをゲットしたかったのだが、すぐにジュンサーがやってきて、この島は世界遺産に指定されており、許可がない者の立ち入りを禁止していると教えてくれた。と、いうことは、当然ゲットも禁止されているということである。残念。

 

 今回は偶然流れ着いてしまったということでおとがめなしになったのだが、どうやらロケット団も渦潮に巻き込まれたのか、この島に居たらしい。当然のようにポケモン達を乱獲しようとしていたので、少し時間はかかったがいつものようにやなかんじーにしておいた。

 

 

 




 原作との変化点。

・第82話『飛行船は不幸船!?』より、原作よりも安全にオレンジ諸島に到着した。
 手持ちやトゲ様の性格が違うこともあって、微妙にアニメと違う流れになった。プリンさんも一緒に飛行船に乗っていたが、歌われると洒落にならないのでニューサトシが動きを封じていた。ロケット団は途中で飛行船から落とされたが、オニドリルをゲットしたことで水面ダイブを免れていた。オニドリルさんは死にそうな顔をしていた。

・第83話『南国ポケモンとGSボール』より、タケシと別れた後飛行船に乗らなかった。
 アニメでは帰りの飛行船でロケット団の騒動に巻き込まれるが、ニューサトシの我が儘で少しオレンジ諸島を回ることになった。移動はニューサトシのラプラスに任せた。ロケット団は待ちぼうけをくらっている。

・第84話『ラプラスを助けろ!』より、ロケット団が襲ってこなかった。
 ロケット団は飛行船でニューサトシを待っているので、ラプラスを攫う事件が起きなかった。ニューサトシのラプラスのおかげでラプラスと仲良くなった。

・カスミさんがラプラスをゲットした。
 ニューサトシはラプラスを持っているので、カスミさんがゲットした。移動は二体のラプラスで行っている。

・第85話『オレンジリーグ! ナツカンジム!』より、ポケモン転送装置を使って手持ちを変えた。
 戦い自体はアニメと変わらないが、ラプラスが別固体ということもあってレースでは圧勝した。

・第86話『消えたポケモン達のナゾ!』より、ヤマトとコサンジをムサコジが倒した。
 アニメではトゲ様が初めて指を振る場面だが、ロケット団の活躍の場になった。スリープのレベルはリーグに出てくるポケモンばりだったが、トレーナーとしての力とコンビネーションはロケット団の方が上だった。

・第87話『クリスタルのイワーク』より、クリスタルのイワークをゲットした。
 このクリスタルのイワークはこの小説のみのオリジナル設定を使用しています。タイプは岩、氷。水が効かず炎が弱点なのは特性。岩、氷だと炎が弱点にならないので、特性にした。詳細はいずれ本文にて。

・第88話『ピンクのポケモン島』より、サイホーンに襲われなかった。
 アニメのサトシ君のような間抜けはしなかった。少し苦戦したが、普通にロケット団を追い返して旅を続けた。


 現在ゲットしたポケモン。

 ピカチュウ Lv.52

 ピジョット Lv.46→47

 バタフリー Lv.46→47

 ドサイドン Lv.51

 フシギダネ Lv.49

 リザードン Lv.52

 ゼニガメ  Lv.49

 キングラー Lv.46→47

 カモネギ  Lv.46→47

 エビワラー Lv.48

 ゲンガー  Lv.50

 オコリザル Lv.47

 イーブイ  Lv.44

 ベトベトン Lv.45

 ジバコイル Lv.46→47

 ケンタロス Lv.45→46

 ヤドラン  Lv.45→46

 ストライク Lv.45

 トゲピー  Lv.18→22

 プテラ   Lv.45→46

 ラプラス  Lv.45→46

 ミュウツー Lv.70

 バリヤード Lv.45

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.35 NEW!




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#039 『俺はマリカでも先行逃げ切りタイプなんだ』

 11歳 α月τ日 『もはや災いなんてレベルじゃねぇ』

 

 途中で立ち寄った島でカブトの化石が見つかったらしく調査隊が来ていた。

 ぶっちゃけ、カブトにはプテラをゲットした時に会ったし欠片も興味がない。だが、ケンジが興味あるということで一緒に調査をすることになった。

 

 結果として島が沈んだ。

 

 俺氏の大活躍もあって大量のカブトの化石を見つけたのだが、妙な赤い月の光を浴びた瞬間、化石がカブトに復元され、何故か島が沈んでしまったのだ。謎のおっさんの指示でイカダを作って脱出したが、危うくおっ死ぬ所だった。もうカブトに会うのは二度とごめんだ。

 

 

 

 11歳 α月φ日 『ポケモンショーボート』

 

 ポケモン一座のショーボートが来ていた。

 ここではポケモンの踊りやお芝居を見せてくれるらしいのだが、この島での公演は最後ということなので少し寄っていくことにする。

 ショーは思ったよりもレベルの高いものでとても楽しめたのだが、途中でトゲ様がショーに見とれていたカスミさんの腕から逃げ出して舞台裏に入ってしまった。何やってんだよカスミさん、しっかり面倒みてくれよ(俺のポケモンである)。

 

 ただ、その縁でポケモン一座の人達と仲良くなって、何だかんだ次の島まで送って貰うことになったので、結果オーライと言っていいだろう。

 

 船に乗せて貰うお礼に何か手伝いをすることになったのだが、一座のケイという少女が相棒のライチュウと上手く関係が築けていないらしい。

 悩みを解決して欲しいとのことだったので、いつものようにマサラ式肉体言語術のボディランゲージでライチュウの悩みを聞いてみることにした。

 

 聞くと、どうやらライチュウは自分の電撃で、ケイを怖がらせてしまうことが怖いという。

 

 ふむ。これはポケモンではなく、トレーナーに問題があるパターンのようだな。ライチュウどうこうではなく、ケイの方からライチュウに歩み寄らなければ解決しないだろう。

 いろいろ試してみたのだが、ケイが本能的にライチュウのことを怖がっているようで、ライチュウの方もなかなか心を開かない。

 

 どうしようか困っていると、いつものようにロケット団がやって来て、このショーボートを奪いに来たとか言っている。結果的には、いつものようにやなかんじーにしてやったのだが、途中でケイがライチュウのことを心から心配したことでライチュウもケイに心を開いたようだった。

 

 いいかんじーである。

 

 

 

 11歳 α月ψ日 『カスミさん、そりゃねーよ』

 

 ハッサク島という小島で少し休んでいたのだが、カスミさんが自分のコダックをボールに入れているにもかかわらず、野生のゴルダックを自分のコダックが進化したと勘違いする事件があった。

 

 いや、確かに紆余曲折あって勘違いしてもおかしくない状況ではあったし、実際にゴルダックも何故か野生のくせにカスミさんの言うことを聞いたので仕方ないと言えば仕方ないことではある。

 

 しっかし、カスミさんがゴルダックをボールに戻そうとして、ボールからコダックが出たときは思わず笑ってしまったw

 

 

 

 11歳 α月ω日 『ジョーイって大変な仕事だなぁ』

 

 海を豪快にカヌーで泳ぐジョーイさんがいた。

聞く所によるとポケモンセンターに来られないような野生のポケモン達を治療して回っているらしい。他のジョーイさんよりも日焼けしていてパワフルだった。

 

 感銘を受けたケンジがお手伝いをしたいというので、一緒にポケモンを治療して回ったのだが、普通にバトルをするよりも大変だった。

 

 

 

 11歳 β月β日 『オレンジリーグ ネーブルジム』

 

 ジムに着いたらいきなり山登りをさせられた件。

 まぁ、山登りくらいは、修行中に何度もやってきたので特に問題は無いが、オレンジ諸島のジムは本当に意味のわからないことをさせてくるなぁ。

 どうやら俺の他にも挑戦者がいるらしく、ダンという青年と共に山を登っていくことになった。とはいえ、向こうも山登りには慣れているようで、世間話をしながらののんびりしたものである。

 

 浜辺は常夏かと思うくらい熱かったが、頂上付近は雪が積もっていて、どういう気候をしているんだと思ったが、何事もなく無事頂上にあるネーブルジムに着くことが出来た。

 それと同時に、ダンがジムリーダーだと正体を明かしてくる。まぁ、こっちを探るような視線を感じていたのではそうではないかとは思っていたのだが。

 

 しかし、ダンもサザンクロス東の星と名乗っているが、オレンジ諸島では方角と星で名乗るのが流行しているようだ。この調子なら、南と北も普通に居そうだな。

 

 てか、西が海のバトルで、東が山のバトルか、後は雲、炎、風だったりしないよな?

 

 とりあえず、バトルをして貰えることになったのだが、ネーブルジムでは三回の勝負を行い、その内の二回に勝てばバッジを貰えるらしい。とはいえ、こんな雪山に連れてこられたのだ。ナツカンジム同様、普通のバトルをするとは思えない。

 

 どうやら俺の予想は的中したようで、一回戦は間欠泉を『れいとうビーム』でどちらが先に凍らせられるかというバトルだった。どんなバトルだよ。

 

 俺は当然のようにラプラスを出した。ダンはニドクインを出してくる。

 いや、確かにニドクインも『れいとうビーム』を覚えるが、ポケモンリーグ挑戦でひたすら『れいとうビーム』の練習をしていたラプラスに勝てるはずがないだろう。タイプ一致の火力をこれでもかと見せつけて、一回戦は余裕で勝利をもぎ取らせて貰った。

 

 二回戦は、凍らせた間欠泉を三匹のポケモンを使って、先にボートの形にした方が勝ちというバトルになった。

 

 ここでは一度、ナツカンジム戦のように一旦タイムをもらい、手持ちのポケモンを交換させて貰う。加工に必要な氷の破壊をドサイドンに、氷を溶かして整えるのにリザードンを手持ちに加える。代わりにイーブイと、手に入れたばかりで名残惜しいがクリスタルのイワークをオーキド研究所に送った。ドサイドンとリザードン、そこにストライクを加えたのが俺の編成だ。

 

 対するダンは、先程出したニドクインにゴーリキー、そしてこちらと同じストライクをメンバーに出してきた。俺のストライクがダンのストライクを見て、負けるものかと気合いを入れている。上手く、ポケモンリーグのトラウマを払拭できればいいのだが。

 

 いざ、バトルがスタートすると、ダンのポケモン達がかなりの連携でボートを作っていく。だが、連携ならポケモンリーグの特訓で培った俺のポケモン達も負けていなかった。

 ドサイドンが自慢のドリルで器用に氷を壊し、それをストライクが加工していく。リザードンは全体を把握しながら、ドサイドンが壊すのが難しいポイントを見極めてピンポイントで氷を溶かし、ストライクが加工しやすいようにバランスを取っていた。え、君達経験者?

 

 とはいえ、ダンのポケモン達もこういう技術では一日の長がある。俺のポケモン達も頑張ってくれたが、ボートが出来たのはほぼ同時だった。ダンによって引き分けの判定が下り、ストライクが悔しそうにしている。お前はよく頑張ったよ。次のバトルでもよろしく頼むな。

 

 現在、一勝一分で俺がリードしているが、最後のバトルはこの作ったボートを使ってのレースとなった。ポケモンを三体まで乗せ、技を駆使して頂上から海岸まで下り、先にゴールした方が勝ちである。

 

 ボートは人間四人が乗るのが精一杯というくらいの大きさだ。ドサイドンやリザードンはとてもじゃないが乗れない。再び、ポケモン転送装置を借り、ドサイドンをフシギダネ、リザードンをピジョットに変更する。引き続き、ストライクは一緒に来て貰うことにした。

 ダンの方はイシツブテとマルマイン、そして向こうもストライクを継続させている。今度こそは勝つと俺のストライクが声を上げた。

 

 ボートには俺、フシギダネ、ストライク、ピジョットの順に乗せる。フシギダネは『つるのムチ』で、ストライクには手のカマでボートの動きを制御して貰うつもりだ。

 

 互いの準備が終わり、レースがスタートすると、ピジョットの『ぼうふう』を使ってロケットスタートを決めた。悪いな、ダン。俺はマリカでも先行逃げ切りタイプなんだ。

 このレースに慣れているダンも、まさかこんなとんでも戦法を使ってくるとは思わなかったのかとても驚いている。「その速度でどうやってバランスを取るつもりなんだ!?」と、悲鳴のような声を上げていた。

 

 舐めんな。何のために、フシギダネとストライクのダブル制御スタイルにしたと思っている。とはいえ、流石にバランスを取り直すのに多少ごたついたが、俺の予定通りに問題なくボートの制御は成功した。これで大幅なリードを稼いだだろう。

 ダンも必死に追いかけてくるが、この差を埋めるには技術だけでは足りないはずだ。

 

 レースも残り半分となると雪山から岩場にフィールドが変わった。雪山と違って制御がかなり難しいようで、ピジョットの『ぼうふう』はもう使えなさそうである。置物になってしまったピジョットだが、先行アドを取るという仕事をしてくれただけで十分だ。

 ダンも中盤から追い上げを見せていたが、結局は序盤のリードが大きかったようで、俺達の逃げ切りという形でレースは幕を閉じた。

 

 ダンも素直に敗北を認め、ネーブルジムを勝った証であるシラナミバッジを渡してくる。

 ストライク対決を制したことで、俺のストライクのトラウマも少しは払拭されたのか、フシギダネやピジョットと一緒に大喜びしていた。本人もまだ少し思うところはあるかもしれないが、このままもう少し様子を見ていきたいと思う。

 

 

 

 11歳 β月δ日 『大食いカビゴン大パニック』

 

 ザボン七島という七つの島が、今ザボンのシーズンだということで立ち寄ったのだが、その内の一つの島で野生のカビゴンがザボンを食い荒らしていた。

 

 これ、サトシ君のカビゴンだ!

 絶対ゲットしてやる!

 

 と、意気込んでみたものの、カビゴンはザボンを食い荒らすばかりで全然こちらを向かなかった。おまけにあの体格で俊敏とかいう反則的な動きをしており、敵対する者には容赦なく『のしかかり』をしてくる。

 

 七つある島のザボンを根こそぎ食い荒らすつもりなのか、一つの島のザボンを食い荒らし終えると、次の島に向かってバタフライで泳いでいた。もう何でも有りやんあいつ。

 

 結局はいつの間にか来ていたプリンさんの『うたう』で眠らせて捕まえた。知らないうちにマジックペンの種類を増やしていたようで、眠ったカスミさん達の顔にカラフルな落書きをしている。絵が上手くなってるんだがw

 

 

 追記。またも一人だけ無事だった俺にカスミさんがキレた。すごいみみせんを没収されそうになってちょっと焦った。

 

 

 

 11歳 β月ζ日 『へー、トロフィーね』

 

 スダチ島という島にたどり着いた。

 久しぶりにオーキド博士に連絡を取ると、最近このスダチ島の近海からは300年前のオレンジリーグのトロフィーが発見されたらしい。

 一目見ていくのも有りかと思ったのだが、優勝トロフィーが盗まれる事件が起きたようで見ることが出来なかった。残念である。

 

 

 

 11歳 β月η日 『おニャース様の島』

 

 オウゴンカン島と呼ばれる招き猫の島に上陸したら、全長3メートルはある黄金のニャース像に追いかけられた。もう二度とここには来ない。

 

 

 

 11歳 β月θ日 『おじいさんなストライク』

 

 マーコット島でケンジがストライクをゲットした。

 まぁ、ゲットしたとは言っても、ストライクの老体が群れのボス争いに負けて大怪我をしていたのを助けるためだ。だが、負けたという所が俺のストライクにも刺さったようでストライク同士静かに語り合っていた。

 

 その後、ロケット団がストライクの群れにちょっかいを出していて、それを俺のストライクとケンジのストライクで助けに行ったのだが、そこで俺のストライクもトラウマを吹っ切ったようでいつものやる気を取り戻していた。

 

 

 

 11歳 β月κ日 『四天王カンナ 忘れてしまった大切なこと 前編』

 

 マンダリン島という島に寄ったのだが、何故か死ぬほどバトルを申し込まれた。

 今の手持ちは固定であるピカ様、トゲ様、ラプラスを除くと、ピジョット、フシギダネ、ストライクである。ラプラスは移動の疲れから、トゲ様はまだデビュー戦すらしていなかったので、残りの四体でバトルの相手をしたのだが、正直たいしたことがなかった。

 

 バトルというバトルをするのは久しぶりだから楽しみたいと思ったのだが、相手が弱すぎるのか、どうにも燃えてこない。

 どうも、ポケモンリーグが終わってから燃え尽き気味というか、あのレベルのバトルが出来ないと満足できない体になってしまったようだ。そういう意味では純粋なバトルをしないオレンジリーグのジム巡りは結構楽しい分類に入る。

 

 申し込まれたバトルを粗方片付けて昼食を取っていると、ケンジがこの騒ぎの原因を調べてきてくれた。どうやら四天王のカンナがこの島へ講演会に来ているらしく、そのせいでトレーナーのバトル熱が燃え上がっているようだ。

 しかし、そろそろ今年のチャンピオンリーグが始まる時期のはずだが、カンナもこんな所でのんびりしていていいのだろうか。

 

 と、そんなことを考えていると、当のカンナがたまたまここに居たようで、自分の話をしているのが聞こえたのか話に入ってきた。

 まさか本人がいるとは思わず少し驚いたが、みず、こおりタイプの四天王ということで、カスミさんが熱狂的なファンらしく、ケンジと一緒になっていろいろな質問を飛ばしている。

 

 ただ、ゲームやポケスペとは違ってかなりマイペースな人間のようで、自分の言いたいことだけを喋るだけのあまり会話にならないタイプの相手だった。正直、得意なタイプではないので距離を取らせて貰う。

 カスミさんとケンジはしばらく動きそうもなかったので、俺は一足先に室内に戻らせて貰った。ストライクも元気になったし、一度ポケモンを交換しておきたい。

 

 オーキド研究所に連絡を取り、ピジョットとストライクをカモネギとヤドランに入れ替えて貰った。

 そのまま表に戻ると、まだカンナはここにいたらしい。どうやら、のんびり景色を見ているようで、そんなマイペースなカンナにカスミさんとケンジも負けじと先程同様に質問を飛ばしている。

 

 初めてワタルに会った時の俺とシゲルもあんな感じだったなと思って見ていると、またバトルを申し込まれたので、とりあえず受けることにした。

 とはいえ、やはり相手にならない。ペルシアンをカモネギ、ケンタロスをヤドランで倒してあっさりバトルは終わった。

 物足りないバトルにため息をついていると、いつも間にかカンナがバトルを見ていたようで、「行き詰まっているようね」と声をかけてきた。まさか、声をかけられるとは思っていなかったので少し驚いたが、流石は四天王だけあって俺の悩みを的確に見抜いているらしい。

 

「トレーナーとして誰しも一度はぶつかる壁だけど、君の壁は随分と分厚そうね」

 

 確かに、ポケモンリーグが終わってから一度も満足のいくバトルが出来ていないのは事実だった。ここでのバトルもそうである。何というか、モチベーションが上がらないのだ。

 オレンジリーグのジム巡りも、挑戦というよりはアトラクションに参加しているような感じなのも、行き詰まりに一役買ってくれているのかもしれない。

 

 そんな俺を見て、カンナは何やら思いついたように、「これから私の講演会があるんだけど、貴方達を招待するわ。君に私のバトルを見て貰いたいの」と提案してきた。

 いきなりの四天王カンナの誘いに、カスミさんとケンジは大喜びしている。俺も、この停滞した状況をぶち破るいい機会かと思い、素直にカンナの講演会へ招待されることにした。

 

 

 




 原作との変化点。

・第90話『踊る! ポケモンショーボート!』より、ニューサトシは書かなかったがロケット団に苦戦した。
 アニメ同様、ショーボートを物質に取られて後手に回った。また、何故か倒すのにも少し時間がかかった。

・第93話『ネーブルジム! 雪山の戦い!』より、バトルに負けなかった。
 結果的に二勝一分けで負けなかった。アニメでは邪魔していたロケット団だが、今回は素直に応援していた。

・第95話『幽霊船と幽霊ポケモン!』より、ロケット団と遭遇しなかった。
 ニューサトシがアニメの話を覚えていなかったということもあり、ロケット団と遭遇せず、そのまま旅を続けた。ちなみに、トロフィーはゴース、ゴーストの手によって幽霊船に戻された。

・第97話『ストライク 戦士の誇り』より、ニューサトシのストライクが立ち直った。
 アニメではケンジのストライクが一人で群れを助けに行ったが、ニューサトシのストライクも手助けした。ケンジのストライクとの対話でポケモンリーグの敗北を吹っ切った。

・第98話『南の島だよ全員集合』より、ニューサトシは空腹を訴えなかったので島に寄らなかった。
 内容は全てカットされた。

・第99話『四天王カンナ! 氷の戦い!』より、カンナからニューサトシに接触してきた。
 アニメではサトシ君が調子に乗ってずっとバトルを申し込んでいたが、ニューサトシはブルーと同じ匂いを感じて逃げた。最近ロケット団にも苦戦することがあるくらいニューサトシはスランプ気味のようで、それを見たカンナがらアプローチがかかった。


 現在ゲットしたポケモン。

 ピカチュウ Lv.52

 ピジョット Lv.47

 バタフリー Lv.47

 ドサイドン Lv.51

 フシギダネ Lv.49

 リザードン Lv.52

 ゼニガメ  Lv.49

 キングラー Lv.47

 カモネギ  Lv.47

 エビワラー Lv.48

 ゲンガー  Lv.50

 オコリザル Lv.47→48

 イーブイ  Lv.44→45

 ベトベトン Lv.45→46

 ジバコイル Lv.47

 ケンタロス Lv.46

 ヤドラン  Lv.46

 ストライク Lv.45→46

 トゲピー  Lv.22→26

 プテラ   Lv.46

 ラプラス  Lv.46

 ミュウツー Lv.70

 バリヤード Lv.45→46

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.35

 カビゴン  Lv.33 NEW!




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#040 『ピカチュウ、俺に『10まんボルト』!!』

 11歳 β月κ日 『四天王カンナ 忘れてしまった大切なこと 後編』

 

 やはり四天王カンナは強かった。

 ぶっちゃけ、講演会で話していた演説の内容は良く分からなかったが、後半のデモンストレーションバトルは別である。他人が戦っていたバトルだったが、見ただけでカンナがトレーナーとして俺よりも一つ上の次元にいるのがわかった。

 

 講演会が終了した後、そのままカンナの別荘に招待され、「私のバトルを見てどうだった?」と聞かれたので、先程書いたものと同じ内容を答える。

 凄いバトルだった。

 少なくとも、今の俺のレベルでは四天王に勝つのが難しいのは見ただけでわかったと答える。

 

「でも、全く勝てないとは思わなかったんじゃない?」

 

 カンナの問いに、思わず言葉に詰まった。確かにそうだ。全く勝てないとは思わなかった。

 

 フルバトルや3対3なら、おそらく勝てはしないだろう。だが、1対1なら話は別だ。

 いくら、トレーナーのレベルに差があるとしても、1対1なら今の俺達の実力でもワンチャン勝てる。そう思ったのは確かだった。

 

「たいした自信だわ。流石はポケモンリーグセキエイ大会の準優勝者ね。マサラタウンのサトシ君」

 

 その言葉を聞いて、俺はこの人に会ってからまだ自己紹介をしていなかったということを思い出した。

 そうだ、俺は今さっきまでずっとこの人を避けていたのだ。カスミさんやケンジと違って名乗る暇なんかなかった。それなのに、何故カンナは俺のことを知っている?

 

 この人は最初から知っていたのだ。

 

 カンナは、俺がポケモンリーグセキエイ大会で準優勝したマサラタウンのサトシだとわかった上で話しかけてきた。そうでなければ、俺の名前や戦績が口から出てくるはずがない。

 

「別に隠していた訳じゃ無いのよ。君の試合は全国放送されていたし、私も四天王である以上は各リーグの優勝者には興味があったから決勝戦は見ていたの」

「……無様な試合をお見せしました」

「そんなことないわよ。エースのリザードンが不在の中でよく戦ったと思うわ。シバも、面白いトレーナーにあったと君のことを話していたしね」

 

 この、狸女。

 

 決勝戦だけじゃねぇ、この人ある程度俺の試合を見てやがる。俺がリザードンを使ったのは準決勝のシゲルとのバトルだけだ。それに他のポケモンの動きを見なければ、エースがリザードンだと判断できる訳がない。おまけにシバからも話を聞いていただと?

 

「いずれ、君は私達と同じ高みにくる。そう笑ってたわよ。私も同意見ね、君は強いわ。今のままでも十分四天王と戦える実力があると思う」

 

 でも、とカンナは続けた。

 

「それはあくまで戦えるだけ。決して勝つことは出来ないわ。少なくとも、君が忘れてしまった大切なことを思い出さない限りは」

 

 俺が忘れてしまった大切なこと?

 

「いい機会ね。バトルをしましょうか、サトシ君。ルールは1対1、君の一番自信のあるポケモンでかかってきなさい」

 

 ぶっちゃけカンナの言っていることの意味は欠片も分からないが、バトルを申し込まれた以上、逃げる訳にはいかない。

 

 こうして俺とカンナはバトルをすることになった。

 

 俺と一緒についてきていたカスミさんとケンジも、突然の事態に困惑しているようだが、誰より驚いているのは俺である。まさか、ここで四天王とバトルすることになるとは思わなかった。

 

 立ち上がったカンナは、先程までの穏やかそうな表情から一転して厳しい表情をこちらに向けてくる。

 

 そういえば、講演会でカンナは言っていた。

 自分は良く、バトルと私生活で雰囲気が変わると言われるが、それはトレーナーとして自然に振る舞うように努めているだけ。一つのルールを持っているだけなのだと。

 

 そのルールとは、水と氷になること。

 普段は流れるがままの自然体の水。バトルの一瞬には氷の厳しさを持って挑み、終わればまた水に戻る。

 まさに、今のカンナからは四天王に相応しい氷のような冷たいプレッシャーを感じられた。

 

 前を歩くカンナに連れられ、別荘の外にあるバトルフィールドまで行く。正直、カンナがバトルするなら水のフィールドかと思ったのだが、どこにでもあるスタンダードなバトルフィールドである。

 

「私はこの子で行かせて貰うわ」

 

 フィールドで向かい合うと、カンナはパルシェンを出してきた。みず、こおりタイプのパルシェンが相手なら、ピカ様を出すのが相性的にもいいだろう。と、いう訳でピカ様を送り出す。

 

 カンナはピカ様が出てきたのを見て、「あら、リザードンじゃ無いのね」と首を傾げていたが、ピカ様も俺の大事な相棒である。

 ピカ様もリザードンを引き合いに出されて舐められたと思ったのか、頬の電気袋がスパークを起こしていた。怒っている証拠だ。

 

「俺のピカチュウを舐めてると痛い目見ますよ」

「……そうみたいね」

 

 ケンジが審判をしてくれるということで、そのまま良く分からない俺とカンナのバトルがスタートした。

 

 カンナの言っていることは何一つとして分からないが、バトルをする以上は全力だ。

 先手必勝とばかりにピカ様に『10まんボルト』を指示する。対するカンナは、まさかの『テレポート』で攻撃を避けてきた。続けて、『からをやぶる』を指示し、防御と特防を一段階下げる代わりに、攻撃、特攻、素早を二段階上げてくる。

 パルシェンのパワーは上がったが、代わりにガードは弱くなった。一撃当てれば、致命傷になる。『かげぶんしん』で的を絞らせないようにしながら隙を突いていく。

 

 どうも、カンナは回避を全てパルシェン自身の『テレポート』に任せているらしい。だが、エスパータイプじゃ無いパルシェンが『テレポート』を使うには、座標の確認のために一瞬のラグがあるはずだ。先程の『10まんボルト』は距離があったから避けられたが、距離を詰めていけば自ずと回避は難しくなるだろう。

 

 そのままピカチュウが『かげぶんしん』でパルシェンを惑わせながら距離を詰めていく。しかし、カンナのパルシェンは特性が『スキルリンク』なのか、『つららばり』が五発連射され、こちらの『かげぶんしん』を的確に射貫いてくる。

 ある程度『かげぶんしん』が消えたことで、カンナも本体の位置を読み切ったのか、またも『テレポート』で距離を取らせ、『からをやぶる』でガードを下げてパワーを上げさせていた。

 

 当たれば勝てる。だが、当てさせて貰えない。

 

 クソ、これがトレーナーとしての実力差か。

 ブルーの時と同じだ。ポケモンの能力ではそこまで負けていないはずなのに、俺の能力が足りていないからこうしてカンナに翻弄されてしまっている。

 苦し紛れに『10まんボルト』を打たせても、全て回避された。その間にカンナはパルシェンに三回目の『からをやぶる』を詰ませていく。

 まずい。攻撃が6段階上がったなら『こおりのつぶて』でも大ダメージになる。このままでは負ける――

 

「随分と苦しそうにバトルするのね」

 

 追撃すれば勝てるという状況だからか、カンナが余裕そうに話しかけてくる。

 

 苦しそう? そりゃ、これだけ追い詰められていれば誰だって苦しくもなるだろう。

 

「本当にそうかしら? 少なくとも、ポケモンリーグで戦っていた貴方はもっと楽しそうにバトルをしていたわよ」

 

 それは――

 

「ポケモンリーグセキエイ大会の準決勝、そして決勝、どちらも貴方は決して有利な状況ではなかった。それでも自分のポケモンを信じて、諦めずにバトルをしているように私には見えた」

 

 そうだ。だからシゲルにも勝てた。

 

 ブルーには負けたが。

 

「でも、ポケモンリーグ決勝戦での敗北が君に刻んだ苦い記憶。それは君から大切なものを奪ってしまったのね」

 

 さっきも言っていたが、大切なものって何だ? 俺は別に何もなくした覚えはない。いつも通りである。

 

「本当に? 今日の君のバトルを見て、私は思ったわ。何てつまらなそうにバトルするんだろうって。とてもあの日に見た君と同一人物とは思えなかった」

 

 それは、相手は弱いからだ。俺を満足させてくれる相手がいないから、バトルが燃えないんだ。

 

「じゃあ、今は?」

 

 今は――そうだ。何故、今はこんなに苦しい?

 

「君は強いが故に、その辺の相手なら一方的に倒せてしまう。だから、気付けていない。君が失ってしまったものを」

 

 カンナは強い。シゲルより――いや、もしかしたらブルーよりも。

 

 なのに、何で俺はこんな苦しい思いをしている?

 

 俺はずっと自分を満足させてくれる強い相手を求めていたはずなのに、何でこんなにバトルが楽しくないんだ?

 

「君にとって、ポケモンバトルとは何?」

 

 カンナの問いに即答することが出来ない。いつもなら、即答できたはずだ。俺にとってポケモンバトルとは何なのか。

 でも、今は出来なかった。あの日から、ブルーに負けてから、俺は一度でもバトルを『楽しい』と思えていない。ずっと、それは相手が弱いせいだと、相手にならないせいだと思っていた。

 

 けど、違う。楽しくないのは、相手のせいなんかじゃない。俺がただずっと目を背けていただけなんだ。

 

「その答えが分からない限り、君は私に勝つことは出来ない」

 

 そうだ――俺のバトルはこんなものじゃない。

 

 いつもの俺のバトルは、こんなものじゃ――

 

「――ピカチュウ、俺に『10まんボルト』!!」

「ピ、ピカ!?」

「良いからやれ!!」

 

 意味不明な指示に迷いを見せるピカ様だが、俺が本気だとわかると、全力の『10まんボルト』を俺にぶつけてくれた。

 思えば、ピカ様のでんき技を受けたのは初めてかも知れない。ニューサトシはサトシ君と違ってMな趣味はなかったからな。でも、おかげで目が覚めたぜ。

 

「……俺は、ポケモンマスターになるんだ。俺にとって、バトルは最高に熱くて、最高に楽しいものだ。決して苦しいものなんかじゃ無い。この程度の苦境、笑って乗り越えてやんよ!!」

 

 ずっと負けを引きずっていたのはストライクだけじゃなかった。俺も、ずっと吹っ切れていなかったんだ。吹っ切ったつもりでフタをしていただけだった。

 

 何が燃え尽きているだ。何が行き詰まっているだ。

 ただ負けた悔しさから逃げていただけじゃないか。

 

 強い奴じゃないと相手にならないとか言って、いざ自分より強い相手が出てきたら尻込みしやがって全然俺らしくない。そもそも四天王がいるのに喧嘩を売りに行かなかった時点で俺は気持ちで負けていた。ビビってんじゃねーよ。

 

 そうだ、ポケモンバトルは楽しいものなんだ。

 

 一度負けたくらいでへこんでどうする。次、バトルした時に勝てば、それでいいじゃねーか。

 今だってそうだ。せっかく四天王なんて強い奴とバトルしているのに、何を負けるのを怖がってるんだ俺は。楽しまないと損だろう。このまま負けてたまるかよ。

 

「見せてやるよ、四天王カンナ。俺の、俺達の本当の力を」

 

 とはいえ、現状俺は不利な状況に立たされていた。

 今、パルシェンは『からをやぶる』を三回積んで、火力は最大。だが、防御面は紙になっているので一撃当てれば倒せる。

 当てられないのはパルシェンが『テレポート』で、こちらの攻撃を避けてくるからだ。おまけに、向こうの特性は『スキルリンク』で、回数系の技を確定で最大数出してくる。注意すべきは『つららばり』で、最後の技はまだ使ってすらいない。

 

 ハッ、笑っちまうくらいピンチだな。

 

 でも、こういう時の言葉は決まっている。

 

 だからどうした!!

 

「ピカチュウ、マチスとのジム戦は覚えているな!? 『ほうでん』、『10まんボルト』!!」

 

 避けられるなら、避けられない攻撃をするまでだ。これまで俺と戦った全てのトレーナーが俺の経験値になっている。

 ピカ様が全体攻撃の『ほうでん』に『10まんボルト』を乗せていく。カンナのパルシェンも『テレポート』で避けようとするが、無差別攻撃の動きを読むことなんて出来る訳がなかった。

 

 パルシェンに電撃が直撃する。しかし、実戦で使ったことのない初めての技だったからか、威力が足りていなかったようだ。ギリギリの所で耐えている。それでもダメージは致命的なものだった。

 カンナもピカ様の無差別攻撃を見て、もう攻撃を避けるのは無理と判断したのだろう。『つららばり』を指示して、こちらにトドメを刺そうとしてくる。

 

 確かに、その火力から来る『つららばり』をくらえば一発KOだ。『かげぶんしん』で攻撃の的を増やして誤魔化していく。

 とはいえ、腐っても四天王である。一度目の『かげぶんしん』でこちらの動きは見切ったのか、的確に本体へ攻撃を仕掛けてきた。

 

 避けられないなら迎撃するまで。

 

 ピカ様を後退させ、『10まんボルト』で『つららばり』を一発ずつ破壊していく。

 確かに、パルシェン最大火力状態の『つららばり』は強力だが、単体の火力が高い技という訳ではない。一発一発の火力自体はギリギリ『10まんボルト』でも迎撃できるものである。距離さえ開くことが出来れば、攻撃が届く前に全て破壊することが出来た。

 

 俺達の『つららばり』への対応を見て、長期戦は不利と判断したのか、カンナも勝負を着けるつもりのようで、改めてパルシェンへ指示を飛ばしている。

 

 俺もまた、ピカ様へ即座に指示を飛ばした。

 

「パルシェン、『ギガインパクト』よ!!」

「後ろだ! 『ボルテッカー』!!」

 

 カンナの指示と同時に、パルシェンが『テレポート』でピカ様の後ろに回ってくる。

 だが、そうしてくるのは読めていた。遠距離で勝負がつかない以上、近距離で勝負をつけるしかないのだ。

 パルシェンが『ギガインパクト』で突進してくる。だが、『10まんボルト』はチャージが間に合わない。威力150に対応できる攻撃は、もうタイプ一致の『ボルテッカー』しか残っていなかった。

 

 ピカ様とパルシェンの体が激突する。

 

 互いの『ギガインパクト』と『ボルテッカー』のぶつかり合いで爆発が起き、衝撃波で一瞬前が見えなくなった。

 

「ピカチュウ、パルシェン、共に戦闘不能!」

 

 目を開いた時、二体は同じ場所で倒れていた。

 ケンジの判定が下ると同時に、カンナがパルシェンをボールに戻す。俺もまたピカ様を迎えに行った。

 

 ありがとう、ピカ様。ごめんな。

 

「どうやら、大事なことは思い出せたようね」

「俺はポケモンリーグの決勝で負けてから、ポケモンバトルの楽しさを忘れていた。それが失った大事なことだったんですね」

 

 俺はそれを自覚していなかった。

 ブルーに負けてから、ポケモン達が自分達の力のなさを責め、それが俺のせいだと思うと辛くて、何となくバトルが楽しく思えなくなってしまったのだろう。その上、負けたトラウマから負けることを恐れる。負のスパイラルだ。

 

 だから、心の中ではカンナに勝てると考えていながらも、いざバトルに追い込まれると、負けるのを怖がって身動きが取れなくなってしまった。

 たちが悪いことに、俺が心のどこかでビビっていてもポケモン達が強いからそこらの相手には勝ててしまう。だから、俺は自分が負けるのを恐れていると自覚できずに、ただ相手が弱いからバトルを楽しめていないと思っていた訳だ。とんだ勘違い野郎である。

 

 カンナは俺のバトルを見て、その状態に気付いていたのだろう。バトルを楽しむことを忘れ、逃げ腰になっている奴が勝てるほど四天王は甘くない。そりゃ、カンナも俺が勝てないと断言した訳だ。

 

「ある程度強さを持ったトレーナーになると、必ず一度は挫折という壁を経験するわ。なまじ実力があるが故に、その壁を越えられず腐っていくトレーナーを私は何人も見てきた」

 

 カンナは、俺にそんなトレーナーになって欲しくなくて、わざわざバトルをしてくれた訳か。

 

「未熟者故、お手数をおかけしました」

「いいのよ、楽しいバトルをさせてもらったしね。それにこう見えて、私は君のファンなのよ。来年のチャンピオンリーグ本戦を楽しみにしているわ」

「ポケモンリーグに優勝して、あの地獄のようなチャンピオンリーグを勝ち抜けって、なかなか無茶をおっしゃいますね」

 

 でも、その期待に応えるのがニューサトシである。来年こそ、チャンピオンリーグに参加してやろうじゃないか!

 

 カンナとのバトルが終わり、ピカ様をポケモンセンターに連れて行くと、四天王と引き分けたことをカスミさんとケンジが褒めてくる。

 確かに、引き分けだったかもしれないが、それはカンナが俺のために考える時間を作ってくれたからだ。問答無用で攻められたら負けていたのは俺の方だっただろう。

 

 でも、結果として引き分けに持ち込めたのは、ピカ様が俺を信じて戦ってくれたからだ。

 カンナのおかげで、胸の中でつっかえていたものが、ようやく取れたような気がする。

 

 久しぶりに、楽しいバトルが出来た。

 

 そんな気がした。

 

 

 




 原作との変化点。

・ニューサトシの試合をカンナが見ていた。
 四天王全員で見ていた。ちなみにワタルはシゲルのことはバトルして知っていたが、ニューサトシの実力を知らなかったので、決勝を見てとても驚いていた。シバが我が物顔でニューサトシのことを自慢して、ワタルも自分が昔指導したと張り合っていた。カンナはニューサトシのファンになった。

・カンナとニューサトシのバトル理由が違う。
 アニメではサトシ君の増長を抑えるバトルだったが、この小説ではニューサトシのトラウマ払拭としてバトルをすることになった。

・ニューサトシの不調は負けたことを受け入れられなかったから。
 実は公式戦で負けるのは初めてだった。初期のタケシ、中盤のナツメメガシンカは非公式戦なのでノーカウントだったが、ブルー戦は実力で負けたことが原因で挫折していた。ロケット団に苦戦していたのも、あいつらが無駄に強くなったせいでちょっと負けそうと認識するとニューサトシの不調が発生していたからである。雑魚相手には無双出来るので気付いていなかった。

・カンナとのバトルをきっかけにニューサトシが立ち直った。
 自分と改めて向き直ったことで立ち直った。ニューサトシは自分がトレーナーとしてまだまだ未熟だとブルーやカンナ戦を通して改めて自覚できたので、これからはまた貪欲にバトルをしていくことになるだろう。


 現在ゲットしたポケモン。

 ピカチュウ Lv.52

 ピジョット Lv.47

 バタフリー Lv.47

 ドサイドン Lv.51

 フシギダネ Lv.49

 リザードン Lv.52

 ゼニガメ  Lv.49

 キングラー Lv.47

 カモネギ  Lv.47

 エビワラー Lv.48

 ゲンガー  Lv.50

 オコリザル Lv.48

 イーブイ  Lv.45

 ベトベトン Lv.46

 ジバコイル Lv.47

 ケンタロス Lv.46

 ヤドラン  Lv.46

 ストライク Lv.46

 トゲピー  Lv.26

 プテラ   Lv.46

 ラプラス  Lv.46

 ミュウツー Lv.70

 バリヤード Lv.46

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.35

 カビゴン  Lv.33




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#041 『なんだその躍り? さそうおどりか?』

 11歳 β月κ日 『ミュウツーの独白』

 

 旅立つには遅い時間だということで、そのままカンナの別荘に泊めて貰ったのだが、みんなが寝静まった頃、久しぶりにミュウツーがマスターボールから出てきた。

 この暴君が自分から会話を求めてくるのは珍しいので、バルコニーで月を見ながら少し話をする。

 

 聞けば、どうやらミュウツーは俺自身も気付いていなかった、ポケモンリーグ後の不調を何となく察していたらしい。『お前も悩むのだな』と、口にした時のミュウツーの顔は何とも筆舌に尽くしがたいものだった。

 思えば、ミュウツーと戦い、一緒に行動するようになってから――いや、それこそニューサトシになってからというもの、ここまで弱い姿を見せたことはなかった気がする。

 

 おそらく、ミュウツーが俺に持っていたイメージはもっと強いものだったはずだ。それこそ、どんな相手にも問答無用で立ち向かう超人のように感じていたに違いない。例えるなら、自分の父親をスーパーマンだと思っている子供のようなものである。

 しかし、子供が実際に仕事場の同僚や上司と関わる父親の姿を見て、憧れが現実に変わるように、今回の一件でミュウツーの中の俺のイメージも変わってしまったらしい。

 

 とはいえ、マイナスのイメージではないようだった。むしろ、これまで自分の存在に疑問を感じ続けていたミュウツーだからこそ、俺が挫折して迷う姿は逆に安心できたようだ。

 だが、そういう俺の姿を見たからこそ、改めて自覚できたこともあるらしく、今回はそれを俺に伝えたいと思ったらしい。

 

『今だからこそわかる。あの日、お前が負けた時、私の心にもまた一つの棘が刺さった。何故、私はあの場で戦っていないのか。何故、私は見ているだけしか出来ないのか。そんな気持ちが芽生えたのだ。無論、最初は気付けなかったがな』

 

 そう話すミュウツーはこちらに顔を向けない。

 

 こいつがどんな表情で話をしているのか、どんな思いで話をしているのかも全くわからなかった。

 

『私はずっとお前を見ていた。ポケモンリーグとやらで戦うお前とポケモン達の姿を。それを見て、不思議と一緒に戦っているつもりになっていたのかもしれない』

 

 こいつはこいつで俺のことを応援してくれていたのだろう。だからこそ、俺が負けたことを自分のことのように感じてしまったのかもしれない。

 

『私はこの世で一番強く、最強になるべくして生まれた存在だ。それは、私がどういう生き方をしようと変わらない。だからこそ、見ているだけの自分に苛立ちを感じた』

 

 悔しかったと、見ているだけでなく一緒に戦っていたかったと、ミュウツーは素直に口にする。

 

 どうやら、俺が思っていた以上に――いや、こいつ自身もまた、自分が思っていた以上に、俺のことを気に入ってくれていたらしい。

 

『私はポケモンだ。お前の、ポケモンだ』

 

 俺はこいつの強さに頼るのが嫌で、今までミュウツーを腫れもののように扱っていた。

 ポケモンリーグでもこいつの力を使おうと思ったことはなかったし、これからもバトルでこいつを使うようなことはないと思っていた。

 

 でも、違った。間違っていたのだ。

 

 この世界はゲームじゃない。ミュウツーは使用禁止ポケモンなんかじゃないし、自我のないデータでもない。他のポケモン達と変わらない心を持った存在なんだ。悔しいと思うこともあれば、嬉しいと思うこともある。

 

 思えば、俺も増長していた。

 

 ミュウツーを出せばどんな相手にも勝ててしまう。そんなことをずっと考えていたのだ。実際、ポケモンに能力があっても、指示するトレーナーのレベルが足りていないと負けるのだと、散々痛い目を見たのにな。

 

 遠回しな言い方だったが、こいつは俺に伝えようとしてくれたのだ。これからは、一緒に戦おうと。

 月夜に照らされるミュウツーの姿を見ながら、俺は黙って右手を差し出した。ミュウツーが応えるようにその手を掴む。

 

 勿論、野良バトルで弱者を蹂躙したり、ミュウツーの力に溺れたバトルをするつもりは今後もない。ただ、こいつを出すのに相応しい相手がいるのなら、今度は俺もミュウツーと共に戦おうと思う。例え、卑怯と罵られても、こいつも俺のポケモンの一体なのだ。

 

 この日の夜、俺とミュウツーは少し仲良くなった。

 

 

 

 11歳 β月λ日 『マンダリン島横断』

 

 カンナは二日間の公演会を終えると、チャンピオンリーグ本戦のためにカントーへ戻っていった。

 対する俺達は、これからビッグシティにあるユズジムを目指して徒歩で移動する予定なのだが、ケンジ曰く真っ直ぐ進んでも一週間はかかるらしい。

 

 最近、ラプラスに乗って楽ばっかしていたからか、カスミさんが文句ばかり言っている。全く嘆かわしい。カントーを旅していた時は毎日歩いていたというのに。そんなんじゃすぐデb(文字が歪んでこれ以上読むことが出来ない)。

 

 

 

 11歳 β月μ日 『ニドラン恋物語w』

 

 キスして進化か、まさに経験値だな byケンジ

 

 

 

 11歳 β月π日 『雷平原だ! FFで見た!』

 

 雷がよく落ちる平原を横断中、フォードというおっさんと仲良くなった。

 フォードはコイルの群れを使ってこの辺りの雷を充電させ、電気の届かない近くの街や村へ届けているらしい。

 

 丁度、近場の街へ行く用事があるということなので、俺達も一緒にケンタロス車に乗せて貰うことになった。

 途中、ロケット団がその電気を狙って、変な磁石を使ってフォードを襲ってきたので、いつものようにやなかんじーにしてやる。お前ら変に作戦立てるより、真正面から向かってきた方が強いんだから普通に来れば良いのに。

 

 

 

 11歳 β月σ日 『まさに嫉妬の炎だな。ん? 炎?』

 

 ビッグシティには着いたのですぐにジム戦だと意気込んだのだが、聞けばユズジムはビッグシティから少し離れたユズ島という小島にあるらしい。

 ならば、さっさと移動してしまおうということで、ラプラスでユズ島を目指していると、島の手前で女の子が溺れているのを発見した。すぐに救出したのだが、どうやらこの子はマリーといってユズジムのジムリーダーであるジギーとかいう男の妹のようだ。

 

 そのままユズ島へ行くと、妹を探していたジギーがやってきてカスミさんにお礼を言っている。実際に救出したのは俺なのだが、どうもジギーはカスミさんに一目惚れしたようで、俺とケンジのことは眼中に入っていないらしい。

 サザンクロス南の星を名乗っていたが、見た感じ島に雲、炎、風要素がなくて少し寂しいような気もする。

 そんなことを考えていると、妹のマリーがジギーの態度に失礼だと怒っていた。まぁ恋は盲目とも言うしな。ぶっちゃけ、ジム戦をしてくれればそれで良いぞ。

 

 ジギーも出来ればもう少しカスミさんとの逢瀬を楽しみたかったようだが、妹の命の恩人である俺がジム戦を所望しているのを無視できる程ではなかったらしい。

 ただ、こいつ俺のことをカスミさんのボーイフレンドだと思っているのか当たりがきついんよな。普通に旅仲間だから、そんなに嫉妬しなくて大丈夫だぞ。

 

 ジギー曰く、このジムではジム戦前に腕試しとして、ポケモンの技の威力と精度を測るテストがあるということなので、早速そのテストとやらを受けることになった。

 テスト内容は、船で島を一周する間、出てくる的をポケモンの技を使って全て壊すというものだ。一つでも残したり、壊せなかったりしたら、その時点で挑戦権を失うらしい。自信はあるのだが、船のスピードと的の強度や数次第でピカ様一体じゃ難しいかもしれないので、転送装置を借りてカモネギをリザードンに、ヤドランをゼニガメに交換をしておいた。

 

 しかし、いざテストが開始すると、船はのんびり、的は木の的、おまけに場所は数か所というアトラクションにしか見えないテストに俺のやる気もげんなり。こんなテストなら他のポケモンを出すまでもないということで、ピカ様に的の破壊をお願いする。

 

 真面目なピカ様も流石に退屈なようで、欠伸しながら余裕でテストをクリアし、俺はユズジムへの挑戦権を獲得した。

 

 

 追記。島を一周する間に日が沈んだので、ジム戦は明日になった。こいつの恋路にもう一日付き合わなきゃいけないとか気が滅入りそうだ。

 

 

 

 11歳 β月τ日 『オレンジリーグ ユズジム』

 

 このジムでは双方が同じタイプのポケモンを使ってバトルをするらしい。今までのジムとは違い、普通にバトルするタイプなので少し驚いた。

 勝負は3対3で、レベル制限はなし、先に二勝した方が勝ちというスタンダードなもので、挑戦者である俺に戦うポケモンのタイプを決める権利が与えられている。

 

 少し悩んだが、でんき、ほのお、そしてエスパータイプにした。最後にエスパーと聞いて、カスミさんが「まさか!?」と声を上げたので静かにするようにジェスチャーする。

 まぁ、この中でミュウツーのことを知っているのはカスミさんだけだし、バリヤードを連れて来ていないのは知っているからな。まさか俺がジギー相手にそこまでするとは思わなかったのだろう。

 

 ちなみに本当の理由は、最後のポケモンに悩んでいた時に、鞄の中にいる暴君がボールを揺らしてきたので意見を尊重した形である。とはいえ、先に二勝すれば出番はないので、おそらく出番はないと言って良いだろう。ミュウツーも保険をかけろという意味で自分を使うように言っただけだと思うし。

 

 フィールドは外だったのだが、まさかの断崖絶壁である。こいつ、ポケモンが落ちたらどうするつもりなんだ? いや、まぁ俺が勝つから別にいいけど。

 

 一試合目はでんきタイプ対決ということで、ジキーの一体目はエレブーだった。こちらは当然ながらピカ様である。エレブーなら何度か対戦もしたし、まぁ負けることはないだろう。

 

 バトルがスタートすると、先手必勝の『でんこうせっか』を指示する。それを見て、ジギーも『でんこうせっか』を指示していた。体格の差を考えると、このままぶつかっても勝てないのはわかりきっているので、直前で『かわらわり』を指示し、エレブーの脳天に尻尾の一撃を与える。

 ピカ様のトリッキーな動きにジギーが驚いているが、こっちの方が小さいのだから普通に攻める訳がないだろう。

 

 焦ったようにジギーが『かみなりパンチ』を指示してきたが、でんきタイプにそんな弱い技が効く訳ないだろう。ということで、パンチを躱してそのまま『かわらわり』で脳天に追加の一撃を与える。よろけた所に追撃の『ボルテッカー』を放ち、そのまま戦闘不能まで持って行った。

 タイプ一致でも半減だと威力60くらいしかない『かみなりパンチ』と違って、『ボルテッカー』は半減されてもタイプ一致で威力90の大技である。その分、自分へのダメージも受けるが、このタイプバトルの仕様上、ピカ様の出番はここで終わりなので後ろのことを考える必要はなかった。

 

 まさか何もさせて貰えないまま倒されるとは思わなかったのか、ジギーが絶句したまま動かない。いいのか? カスミさんが見てるぞ色男。

 

 周りからの声掛けで、ようやく正気を取り戻したジギーは慌てたようにエレブーをボールに戻す。

 

「な、なかなかやるじゃないか。だが、まぐれが二度も続くとは思わないことだ」

 

 今の試合運びがまぐれに見えるのなら、こいつのレベルもたかがしれてるな。

 これは暴君の出番はなさそうだと思いながらリザードンを出す。ほのおタイプ対決なので、ジギーはキュウコンを出してきた。

 

 勝負はこれからだとばかりに、いきなりジギーが「ミュージックスタート!」と合図を出す。すると、どこからともなく音楽が流れ始め、いきなりキュウコンが踊り始めた。何だその踊り? さそうおどりか? いや、こっちは踊らないけど。

 

 とりあえず、何で踊ってんのかは分からないが、ほのおタイプ同士の対決なら、こっちのメインウェポンは『エアスラッシュ』になってくる。リザードンを上昇させ、上からキュウコンへ『エアスラッシュ』を連打した。しかし、この変な踊りは伊達ではないようで、キュウコンがリズム良く踊りながら、こちらの『エアスラッシュ』を回避していく。

 

 試しにリザードンにリズムを外すように指示してみるが上手く対応してくる。どうやら、付け焼刃の動きではないようだ。

 お返しとばかりに、向こうも『シャドーボール』を打ってきたが、空を飛んでいるリザードンもまた悠々と攻撃を回避している。こっちの攻撃も向こうも攻撃も当たらないんじゃ、遠距離攻撃で決着をつけるのは無理だな。

 

 リザードンに『えんまく』を指示する。煙の中にリザードンが隠れ、ジギーやキュウコンが姿を見失っていく。勿論、無意味に隠れた訳ではない。

 そのまま、上空からの勢いを利用した『ギガインパクト』でキュウコンへダイブして行く。『えんまく』のせいで、キュウコンはこちらに気付くのが一歩遅れた。いくら踊りで避けようとしても、既に避けきれない範囲までリザードンが来ている。ジギーも『シャドーボール』の連打でこちらの動きを止めようとしていたが、リザードンはダメージも気にせず、キュウコンへ突っ込んでいった。

 

 ジギーも直前で『あやしいひかり』を指示してこちらを混乱させに来たが、このスピードで突っ込んでいる以上、例え混乱しようと、もうリザードン自身も止まれない。『ギガインパクト』がキュウコンに直撃し、一撃で戦闘不能まで持って行く。

 

 これで俺の二勝なのだが、またもジギーは呆然としたまま動かなかった。カキョウイン、アブドゥル、ジギー、終わったよ。

 

 またも周囲の声かけによって、正気を取り戻したジギーだったが、今度は言い訳をすることもなく素直に自分の負けを認めた。そのままユズジムに勝った証であるリンボウバッジを渡してくる。

 また、俺に負けたことで、カスミさんへの恋も諦めてしまったようで、「サトシ、カスミさんを大事にしろよ」とこちらを応援してきた。何度も言っているが、俺とカスミさんはそういう関係ではありません。

 

 

 




 原作との変化点。

・ミュウツーと仲良くなった。
 ポケモンリーグまでの数か月、ニューサトシをずっと見てその頑張りを良く知っていたが故に、負けたことで自身もショックを受けていた。ロケット団とのやりとりを見て、ニューサトシが不調だと気付いたが、どういう不調までかはわからなかったので様子を見ていた。吹っ切れたニューサトシを見て、自分も一緒に戦いたかったのだと気付いた。

・二日間マンダリン島にいた。
 これから歩きになるので、食料などを買う日として一日滞在時間を増やした。カスミさんが久しぶりの歩きを嫌がり、何故かニューサトシは殴られた。

・第100話『二ドラン恋物語より』、ニューサトシは意味に気付いた。
 ぶっちゃけ、作者もケンジの言葉に気付くまで時間がかかったが、ニューサトシは一瞬で気付いた。

・第101話『大平原のコイル達!』より、最初の襲撃でロケット団を完全に追い返した。
 もう完全復活したので、ロケット団も瞬殺した。ぶっちゃけ、ロボや罠で奇策を使ってくるよりも、純粋にバトルされた方が苦戦する。

・第102話『地下道の怪物!?』より、地下に居た怪物がいなくなっていた。
 おかげで事件そのものがなくなり、ニューサトシ達もすぐにユズ島に移動した。

・第103話『ユズジム! タイプバトル3対3!!』より、ニューサトシは三体目に暴君を選んだ。
 暴君もドヤ顔で「お前のポケモンだ」と言ったので出番に飢えている。結局は二体目で倒してしまったので、出番はなかった。ジギーがカスミさんとの仲を応援してきたが、アニメ通りニューサトシとカスミさんはただの仲間である。


 現在ゲットしたポケモン。

 ピカチュウ Lv.52

 ピジョット Lv.47

 バタフリー Lv.47

 ドサイドン Lv.51

 フシギダネ Lv.49

 リザードン Lv.52

 ゼニガメ  Lv.49

 キングラー Lv.47

 カモネギ  Lv.47

 エビワラー Lv.48

 ゲンガー  Lv.50

 オコリザル Lv.48

 イーブイ  Lv.45

 ベトベトン Lv.46

 ジバコイル Lv.47

 ケンタロス Lv.46

 ヤドラン  Lv.46

 ストライク Lv.46

 トゲピー  Lv.26→28

 プテラ   Lv.46

 ラプラス  Lv.46

 ミュウツー Lv.70

 バリヤード Lv.46

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.35→37

 カビゴン  Lv.33→35




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#042 『俺はこいつを消防士にするつもりはない』

 11歳 β月φ日 『こういう奴は嫌いじゃない』

 

 オレンジリーグ最後のジムであるリュウチン島を目指して、今日もラプラスに乗って旅をしていると、ヒデと名乗るトレーナーがわざわざ船から俺達に話しかけてきた。

 聞けば、ヒデもオレンジリーグに挑戦しており、俺の後にユズジムに挑戦したらしい。そこで、俺の実力を聞いたらしく、腕試しをしたいということだった。

 

 当然、売られたバトルは買うのが礼儀ということで、近くにある小島でヒデとバトルをする。

 

 誰を出すか悩んでいると、「一番強いポケモンでかかってきな」というので、ミュウツーを出すことにした。こいつも、前に語り合ってから暴れる機会を探していたみたいだし、ヒデのやる気なら暴君の力で潰されるようなこともないだろう。

 

 ヒデがミュウツーを見て、「は、初めて見るポケモンだ……」と驚いているようだったので、「伝説のポケモンだぞ」と教えてやる。ケンジも初見のミュウツーに大興奮して、「観察させてもらいます!」と絵を描き始めていた。

 カスミさんが「いくらなんでもミュウツーはやりすぎじゃないの?」と、相手のことを心配していたので、「変えるか?」とヒデに聞いてみる。だが、ヒデは「是非、挑ませてくれ」と即答してきた。いいね、こういうやる気のあるトレーナーは嫌いじゃない。

 

 ヒデは一番自信のあるポケモンとしてニョロボンを出してきた。どうやらこのニョロボンは故郷のリーグに優勝したこともある強者のようで、その時に貰ったらしいチャンピオンベルトを巻いている。

 しかし、相手はみず、かくとうタイプだ。エスパー技で戦えば瞬殺できる。だが、それじゃミュウツーも面白くないだろう。舐めプと言われるかもしれないが、近接戦を指示するつもりである。むしろ、それくらいのハンデがなくて勝てないのであれば、最強(笑)だからな。

 

 ヒデにも「こいつはエスパータイプだ」と、情報を与えておく。それを加味して、バトルを組み立てて欲しい。

 向こうも舐められていると感じてはいるだろうが、ミュウツーの圧倒的なプレッシャーの前にはそれも仕方ないと思っているようだ。どうにも攻めあぐねているようなので、緊張をほぐす意味でもミュウツーに『かわらわり』を指示した。

 

 暴君も、その指示で俺の考えていることを理解したようで、超能力でスプーンを作ってニョロボンに攻撃を仕掛けていく。ちなみにこいつは自称最強を謳っているだけあって、レベル技以外の技も大体覚えている。当然、『かわらわり』も余裕だった。

 対するヒデは『さいみんじゅつ』を指示し、突っ込んでくるミュウツーを眠らせようとして来る。意外とクレバーな戦術に、ミュウツーも咄嗟にスプーンを回転させて、『さいみんじゅつ』を防いだ。

 

 動きが止まったミュウツーへ『れいとうビーム』を撃って来るが、暴君はお得意の『ひかりのかべ』バリヤードエディションを使って遠距離攻撃を完全に防いでいく。それを見たヒデも、遠距離攻撃は効かないとすぐに判断したようで、『じごくづき』を指示してきた。

 こちらの苦手なあくタイプの技である。流石にくらったらダメージになるので、ミュウツーもスプーンでニョロボンの攻撃をガードしていく。

 

 それを見たヒデが「そのスプーンを掴め、『ぶんまわす』だ!」と、別のあく技を指示してきた。しかし、ミュウツーのスプーンは超能力で作ったものなので、消すのも自在である。ニョロボンがスプーンを掴んだ瞬間、ミュウツーがスプーンを消し、瞬時に新しくフォークを作り出していた。

 体勢が崩れたニョロボンを見て、ミュウツーに『つばめがえし』を指示する。これもまたニョロボンの弱点であるひこうタイプの技である。タイプ不一致技とはいえ、ミュウツーのパワーに耐えきれなかったようで、ニョロボンが一撃で戦闘不能になった。

 

 ヒデも一瞬悔しそうな顔をしたが、すぐに「いい経験をさせてもらった」と、こちらに感謝をしてくる。「こいつをバトルで使ったのはお前が初めてだ」と言うと、俺が普段のバトルではミュウツーを使うのを自制していると理解したようで、「俺のためにわざわざ出してくれたのか、ありがとな」と、改めて感謝の言葉を口にしていた。

 エスパータイプなのにエスパー技を使わなかったことで、手を抜かれているのは察していたようだが、十分に上のレベルを体験できたはずだ。「お互いにオレンジリーグ頑張ろうぜ!」と、エールを送って来たのでこちらも握手で返す。久しぶりにバトルをしていて気持ちの良い相手だった。

 

 

 

 11歳 β月χ日 『ゼニガメを消防士にしようとするのはやめろ』

 

 ウンシュウ島という島に辿り着いたのだが、着いて早々、港近くの倉庫が火事になったということで、カスミさんと俺のみずポケモンで火消しを手伝った。

 カスミさんは、スターミー、パルシェン、シードラ、ラプラス。俺はゼニガメとラプラスである。ケンジもマリルを出して手伝いをしてくれたおかげもあって、カメールの消防団が来る頃には火も大分弱くなっていた。

 

 カメール消防団を指揮するラッセルというおっさんにも協力を感謝され、俺のゼニガメに見所があるとか言ってくる。おい、勧誘はやめろ。俺はこいつを消防士にするつもりはないんだ。

 何やらゼニガメをカメール達の訓練に参加させてみてはどうかとか言われたが、面倒事に関わるのはごめんなので、さっさと次の街へ向かうことにした。

 

 

 

 11歳 β月ψ日 『海は大荒れトゲ様ご機嫌』

 

 クネンボ島とかいう島についたのだが、海が大荒れで先に進めない。しばらくはこの島で過ごすしかなさそうだった。

 

 いい機会なので、この機にそろそろトゲ様もデビュー戦をさせてみようと思う。ポケモンリーグ前に怒られた時から実戦形式のバトルはし始めたのだが、まだ本格的なバトルはしていなかったのだ。

 まぁ、それ以前にうちの面子はポケモン含めて全員、末っ子のトゲ様にだだ甘なので、このままではトゲ様のためにならないというのもある。実際、今もカスミさんが「まだ早いんじゃないの?」と甘いことを言っており、ピカ様まで一緒になって頷いていた。

 

 しかし、何だかんだ訓練はしていたので、既にレベルは30もある。いい加減、バトルさせても問題ないだろう。いつまでも箱入りトゲピーにしているつもりはない。

 念のために、本人にもバトルしてみるかどうか確認を取ってみると、やる気のある顔で頷いていた。本当に、アニメと違って凛々しくなったものだ。

 

 同じようにクネンボ島で足止めを受けているトレーナーに頼んでトゲ様のデビュー戦をさせて貰う。

 ちなみに。覚えている技は『じんつうりき』、『わるだくみ』、『はたく』、『なきごえ』、『てんしのキッス』、『いのちのしずく』、『あまえる』、『げんしのちから』、『あくび』、『ゆびをふる』、『ギフトパス』、『おさきにどうぞ』である。レベル技をこれだけ覚えた上に、謎に覚えている『じんつうりき』と『わるだくみ』もあるのだ。接近戦になったらやばいかもしれないが、遠距離戦なら良い線行くと思っている。

 

 快くバトルを引き受けてくれたトレーナー、ジュンジに感謝しつつ、バトルフィールドに移動してトゲ様のデビュー戦を行った。

 

 結果から言おう。トゲ様はチック様に進化した。

 

 どうやら十分に懐かれていたようで、相手のクサイハナを倒した瞬間、進化が始まったのだ。実戦経験でのレベル上昇が進化のキーになっていたのかもしれない。

 また、進化したことで少し大人になったのか、前よりも素直にボールに入ってくれるようになった。もう少し慣らしてみて問題なさそうなら、一度スタメンから外してみてもいいかもしれないな。

 

 

 

 11歳 γ月γ日 『これカントーの話じゃなかったか?』

 

 お雛様の日だということで、立ち寄った島が女性限定のサービスをしていたので、カスミさんが寄って行きたいとダダをこねた。

 買い物をするのは別に構わなかったのだが、当然のように大量の荷物を持たせられるのだけは勘弁してほしい。やっぱ、女の買い物になんか付き合うものじゃないわ。

 

 そんなことを考えていると、向かいからこちらと全く同じ顔をしたコジロウとニャースがムサシの荷物を持っているのを発見。お互いに大変だなと傷をなめ合っていると、いつの間にかカスミさんとムサシが屋上で始まる女性限定のバトルに参加することになっていた。

 

 どうやらバトルは4対4で行うようで、カスミさんはスターミー、パルシェン、シードラ、コダック。ムサシはアーボック、サワムラー、オニドリル、そしていつの間にかゲットしていたらしいベロリンガで参加していた。

 

 近くに居たコジロウに、「あれ、いつ捕まえたんだ?」と聞いてみると、「ついさっきだよ。あのベロリンガがムサシの買ったもん全部持ってっちゃったんだ」とのことらしい。そういえばアニメでこんな話があったような気がしなくもないが、もう忘れちまったなぁ。

 

 とりあえず、当然のようにカスミさんとムサシが決勝まで行き、本気でバトルすることになった。思えば、この二人がしっかりとしたバトルをするのは初めてかもしれない。

 ポケモンリーグでベスト8に行っただけのことはあり、ムサシが終始優勢だったが、カスミさんも何だかんだジムリーダーである。最後は上手いことコダックの『ねんりき』を発動させて、ムサシに逆転勝利を収めていた。

 

 カスミさんが賞品の特製雛人形を貰って大喜びしていたが、それこの旅の間ずっと持って行くつもりなのか?

 

 

 

 11歳 γ月δ日 『俺が言うのも何だが、原作崩壊も良い所だな』

 

 ロケット団がお馴染みの落とし穴作戦を仕掛けてきたのだが、果物が不自然に置いてあったり、一つの木に無駄に木の実が生えていたりと、流石にあからさますぎる。

 当然、事前に罠だとわかっていれば土の具合などで落とし穴の位置はわかるので、悠々と罠を回避すると、慌てて出てきたロケット団が実力行使だとばかりにポケモンバトルを仕掛けてきた。

 

 しかし、ムサシは前回ベロリンガを捕まえたのは知っていたのだが、コジロウが出してきたのはまさかのフシギダネである。それも、俺のフシギダネ――いや、通常のフシギダネの二倍以上の大きさはある、ジャンボフシギダネだった。

 

 お前らそいつどこで捕まえたんだよと聞いてみると、どうやらビッグシティの地下に捨てられていたのを見つけたとのことで、コジロウが懐かれてゲットしたらしい。そういえば、こいつはくさタイプのポケモンに謎に愛される体質だったっけか。

 

 地下の環境に適応するために大きく育ったんじゃないかというのがケンジの推察だが、それにしてもデカ過ぎるだろう。このジャンボフシギダネに対し、俺も自分のフシギダネを出したのだが、こうして比べると相手の大きさが良くわかった。

 相手の『つるのむち』など、もはや前にあったフシギバナばりの大きさで、体格に見合ったパワーもある。ぶっちゃけ、能力だけなら俺のフシギダネの上位互換といっても過言ではなかった。

 

 だが、残念ながらそれで勝負が決まるなら苦労はなく、俺のフシギダネには今までのバトルで培ってきた経験値がある。当然のようにジャンボフシギダネをあしらい、ロケット団をやなかんじーにしてやった。

 

 

 

 11歳 γ月ζ日 『もう流石に雲も風もなさそうだ』

 

 遂にリュウチン島へたどり着いた。

 早速バトルと意気込んでいたのだが、突然よく知らないおばさんが俺を誰かと間違えて抱きついてくる。聞けば、どうやら息子が一年前にピカチュウを連れて旅立ったようで、俺をそいつと間違えたらしい。

 まぁ、それは別に良いのだが、問題はこのおばさんがサザンクロス北の星、リュウチンジムのジムリーダーだということである。

 

 話の途中で良く分からないメカで乱入してきたロケット団を片手間でやなかんじーにしながら、早速このおばさんことルリコにジム戦を申し込む。ロケット団を片付けたのを見て俺の実力もわかったのか、ルリコも「受けて立ちましょう」と即答してくれた。

 

 そのままリュウチンジムに移動していたのだが、どうもリュウチンジムはホテルも兼用しているようで、ルリコはそのホテルの社長でもあるらしい。

 とりあえず、一泊予約を入れ、バトルフィールドに移動する。豪華なホテルに見合った大きなフィールドは、もはやスタジアムといって良いだろう。これだけのフィールドでバトルするのはポケモンリーグセキエイ大会ぶりだった。

 

 ルールは2対2のダブルバトル。

 どちらか一方のポケモンが一体でも倒れたらその時点で敗北というルールだった。正直、今までで一番普通なルールだが、そういえばアニメだとこの時点でダブルバトルはまだ登場していなかったんだっけか。ぶっちゃけ、俺はロケット団でダブルバトルは慣れているのであまり問題は無さそうである。

 

 いざバトルと行きたかったのだが、残念ながらルリコはホテルの仕事があるらしく、ジム戦は明日の朝に持ち越しになった。

 社会人でジムリーダーをやっている以上は仕方の無いことなので諦めるしか無い。

 ただ、ルリコの事情ということもあり、今回の宿泊費はタダになった。こんな豪華なホテルにタダで泊まれるのなら勿論こちらに文句はない。カスミさんとケンジなど大喜びで大浴場に走って行った。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・第104話『ピカチュウVSニャース』より、ピカ様は攫われなかった。
 復活したニューサトシがいつものようにやなかんじーにしたので、ピカ様とニャースの話はカットされた。

・第105話『リザードン! 君に決めた!!』より、暴君でヒデに手ほどきをした。
 アニメではリザードンと和解する重要な回だが、ここでは暴君のデビュー戦になった。流石にエスパー技でワンキルするのは大人げないので、タイプ不一致の物理技主体でバトルした。上のレベルを体感できたヒデはオレンジリーグにますます気合が入った。

・第106話『火消し対決! ゼニガメVSカメール』より、消防団に参加しなかった。
 原作よりみずポケモンが多いこともあって、火消しがスムーズに進み、ゼニガメもカメールに対抗心を燃やさなかった。アトラクタフィールドの収束により、ゼニガメを消防訓練に参加させるように言われたが、ニューサトシは即拒絶した。

・第107話『燃えよ! カビゴン!』より、トゲ様が進化した。
 カビゴンを持っていなかったので原作の話はカットされた。代わりに、トゲ様がクサイハナと戦い、勝利を収めている。なつき度は既にマックスだったため即進化した。進化して少し大人になった。

・アトラクタフィールドの収束により、雛祭り編になった。
 ムサシがベロリンガをゲットした。多分もう季節系の話はやらない。

・コジロウがフシギダネをゲットした。
 ビッグシティの地下でニューサトシ達をはめる落とし穴を作成中、コジロウがジャンボフシギダネに誘拐されて仲良くなった。またフシギダネから話を聞いたロケット団によって市長は成敗され、裏金を巻き上げて活動資金に加えた。原作よりもロケット団が裕福なので、あまり腹ペコモードになっていない。

・第108話『タッグバトル! 最後のジム!!』より、ロケット団をニューサトシだけで倒した。
 アニメではルリコのフーディンが活躍するが、ニューサトシが一人で倒してしまったため、ルリコの手持ちはわからなくなった。


 現在ゲットしたポケモン。

 ピカチュウ Lv.52

 ピジョット Lv.47→48

 バタフリー Lv.47→48

 ドサイドン Lv.51

 フシギダネ Lv.49

 リザードン Lv.52

 ゼニガメ  Lv.49

 キングラー Lv.47→48

 カモネギ  Lv.47→48

 エビワラー Lv.48→49

 ゲンガー  Lv.50

 オコリザル Lv.48→49

 イーブイ  Lv.45→46

 ベトベトン Lv.46→47

 ジバコイル Lv.47→48

 ケンタロス Lv.46→47

 ヤドラン  Lv.46→47

 ストライク Lv.46→47

 トゲピー→トゲチック Lv.28→34

 プテラ   LV.46→47

 ラプラス  Lv.46→47

 ミュウツー Lv.70

 バリヤード Lv.46→47

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.37→39

 カビゴン  Lv.35→37




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#043 『命をかけて、かかってこい!!』

 11歳 γ月η日 『オレンジリーグ リュウチンジム』

 

 一日ゆっくりリフレッシュさせて貰い、いざバトル当日となった。

 フィールドを挟んで、改めてルリコと向かい合う。ルリコのポケモンはガラガラとフーディン、俺のポケモンはフシギダネとゼニガメである。

 相性的にはゼニガメとフシギダネはじめんタイプのガラガラに強いが、どくタイプを持っているフシギダネがフーディンに弱いといった感じか。面白くなりそうだぜ。

 

 バトルが開始されると、いつもの先手必勝でフシギダネとゼニガメに究極技を指示した。

 ゼニガメの究極技も昨日ようやく完成しており、度肝を抜くと言う意味では十分な威力と言っていいだろう。

 対するルリコは、ガラガラに『まもる』を指示していた。同時にフーディンが動き、ガラガラの後ろに隠れる。

 

 ダブルバトルをわかっている動きだ。

 

 二体の究極技を『まもる』で防ぐと、ルリコがフーディンに『サイコキネシス』を指示してフシギダネを狙ってきた。ゼニガメにフーディンを狙わせようとするが、ガラガラが『ホネブーメラン』でゼニガメを妨害してくる。

 

 フシギダネに『サイコキネシス』が当たるのと同時に、ゼニガメに『こうそくスピン』からの『かみつく』を指示した。ガラガラの『ホネブーメラン』を『こうそくスピン』で弾き、そのままフーディンに接近していく。技を出しているフーディンは動くことが出来ず、旋回して背中に取りついたゼニガメの『かみつく』がフーディンの肩にヒットした。

 

 威力が60しかない『かみつく』だが、フーディンには効果抜群である。また、技を受けたことでフーディンの集中が解け、フシギダネが『サイコキネシス』から解放されて自由になった。

 即座にフシギダネに『やどりぎのたね』を指示し、フーディンを狙わせる。ルリコも、フーディンを落とされる訳にはいかないと、再びガラガラに『まもる』を指示していた。

 

 やどりぎは防がれたが『まもる』を使わせたなら十分だ。それに、まだゼニガメの『かみつく』が継続中である。フーディンも後ろからくっついているゼニガメを引き剥がせないようで苦しそうにしていた。

 ルリコの指示で、ガラガラがやどりぎを防いだ後、そのまま反転し、ゼニガメに『ホネこんぼう』をぶつけようとしてくる。

 それを見て、ゼニガメに『ロケットずつき』を指示し、頭を甲羅の中に隠させた。ゼニガメの頭が引っ込んだことで、ガラガラの『ホネこんぼう』がフーディンの肩に当たり、追加のダメージを与える。

 

 しまったという顔をするガラガラ。

 

 しかし、追撃の手を緩めるつもりはなかった。そのままゼニガメの『ロケットずつき』をフーディンにぶつけ、よろけた所へフシギダネの『ハードプラント』と、高威力技を連打してフーディンを戦闘不能に持って行く。ガラガラも頑張っていたが、『ホネこんぼう』を味方に当ててからの連打の早さに『まもる』を使う暇もなかったようだ。

 

 フーディンが戦闘不能になったことで、このバトルは俺の勝利となった。

 ルリコもこちらの連携を素直に褒めており、そのままリュウチンジムを制した証であるルリバッジを渡してくる。

 

 これで俺はオレンジリーグ・ウィナーズカップへの出場資格を得たらしい。

 ルリコ曰く、カンキツ島のカンキツスタジアムでサザンクロスのヘッドリーダーと戦い、勝てばオレンジリーグ制覇となるようだ。

 そのバトルだけはしっかり覚えているので、全力で挑ませて貰おう。打倒カイリューである。

 

 

 

 11歳 γ月ι日 『コイキング 進化の秘密』

 

 カンキツ島を目指して今日も海の上を旅していると、ポケモンウォッチャーのミドリカワとかいうおっさんに会ったのだが、何故か一緒にコイキングの生態を見ることになった。

 

 ミドリカワ曰く、近くのタンカン島で生まれたコイキングは海へ出た後、一年で再びそのタンカン島へ戻ってくるらしい。また、戻ってきたコイキングはこの島の滝を登って上流を目指し、そこでギャラドスに進化するための儀式を行うと言う。

 

 なかなかに興味をそそられる。やはり、ポケモンの進化はロマンがあるぜ。

 

 進化は夜中ということなので、ゆっくり待つことになった。その間、同じポケモンウォッチャーのケンジが、先輩ウォッチャーのミドリカワといろいろ意見を交わしている。俺達にはわからない世界だったので、お先に夜に備えて仮眠を取ることにした。

 

 時間になると、進化の儀式が始まり、流石の俺氏も大はしゃぎである。

 どうやら全部のコイキングがギャラドスに進化する訳ではないようで、半分くらいは進化出来ていないらしい。それでも半分が進化したのは、これまでの最高記録だったらしく、ミドリカワに釣られてケンジまで大喜びしていた。いやぁ、良い物を見せて貰ったな。

 

 

 

 11歳 γ月λ日 『命をかけて、かかってこい!!』

 

 タンカン島からカンキツ島を目指している途中、気の良いお姉ちゃんが船に乗せてくれることになったのだが、途中で急な嵐に見舞われてしまい、アーシア島とかいうオレンジ諸島の最果ての島に流された。

 ぶっちゃけ、この時点で嫌な予感はしていたのだが、巫女と呼ばれるフルーラという少女の顔を見た瞬間確信する。

 

 あ、これルギアだわ。

 

 アーシア島へ上陸すると、変な民族衣装に身を包んだ住民達に迎え入れられた。

 どうやら今この島はお祭りの最中らしく、ポケモントレーナーである俺は優れたる操り人という設定で、しきたりとやらに参加しなくてはいけないらしい。

 フルーラもしきたりとやらで俺にチッスしてこようとしたが、吾輩はそういうの求めていないんで結構です。

 ぶっちゃけ、ファイヤーさんに良い思い出がないので、出来れば帰りたいんですけど駄目ですかね? 伝説のポケモンには迂闊に関わるもんじゃねーというのが俺の自論なんだわ。

 

 若干ゴネてみたがどうも駄目らしいので、仕方なくアーシア島のお祭りに参加することになった。

 巫女のフルーラが教えてくれたしきたりによると、『天地怒り、世界が破滅に向かう時、海の神現れ、優れたる操り人と共に、神々の怒り鎮めん』――とのことで、その優れたる操り人役たる俺が、火の島、雷の島、氷の島の三つの島からお宝を回収して社に置き、巫女のフルーラが神へ祈りの笛を吹くというのが今回のミッションらしい。

 

 天気も悪いし、正直超行きたくないが、行かねば世界が破滅するので行くしか無かった。

 

 とりあえず、火の島でサクッと宝玉を回収すると、映画通りにサンダーさんがやってきて「あのファイヤーとかいう焼き鳥捕まったから、この島俺が支配するわw」と調子に乗っている(ニューサトシによる解釈)。

 思わず、ミュウツーを出してボコボコにしてやろうかと思ったのだが、何か良く分からない装置でいきなりサンダーさんが鹵獲されてしまったので、それどころじゃなくなってしまった。

 

 何故かついでに俺達まで鹵獲され、悪役のポケモンコレクターが乗る飛行艇に乗せられてしまったのだが、確か映画だとこの悪役はルギアを狙っていたはずである。

 海に隠れているルギアを誘いだすために、こうしてファイヤーさんとサンダーさんを捕まえ、最後のフリーザー様をおびき出そうとしている、というような流れだったはずだ。

 

 フルーラも飛空艇内部に置いてあった古い石碑らしきものを見ながら、『火の神、雷の神、氷の神に触れるべからず。されば、天地怒り世界は破滅に向かう。海の神、破滅を救わんと現れん。されど、世界の破滅を救うことならず』――と読み解いているので、まぁ俺の記憶とそう大差なさそうだった。

 

 で、実際にお怒りのはずのファイヤーさんとサンダーさんなのだが、抵抗しても無駄だからか諦めてしまったようで、捕まったままアホみたいに静かにしている。

 ため息をつきそうになった。

 これが伝説のポケモンとかマ?

 もうこいつら助けてさっさとここから出ようぜ。ということで、マスターボールから暴君を出して、アホ鳥達が捕獲されている特殊装置を破壊して貰うことにした。

 

 映画ではサトシ君のポケモン達が総出でようやく壊せていた装置だが、舐めてはいけないこいつは自称最強のポケモンである。『はどうだん』の一撃でファイヤーの装置を壊すと、それに気付いたファイヤーさんが「ようやく自由になったぜ!」とばかりに、『かえんほうしゃ』でサンダーさんの装置まで破壊していた。

 

 だが、せっかく助けてくれたというのに、自分を攻撃されたと思ったのか、サンダーさんが「何すんねん!」と、ファイヤーさんに『10まんボルト』で逆襲している。でんき技は弱点なんだから止めて差し上げなさい。ってか、お前ら今さっきまでションボリしていたのに、自由になった瞬間、暴れ出すんじゃねーよ。

 

 怒り狂う二体が外に出てしまったことで、飛行艇も壊されてしまったのか、近くの雷の島に不時着していた。その時の衝撃で島の一部が破損してしまったらしく、雷の宝玉が俺の前に転がってきたので、とりあえず拾ってそのまま飛行艇から出て島を脱出する。

 映画だとボートがあったはずなのだが、どこを見てもそれらしきものがないので、仕方なくラプラス二体で海を渡って行く。

 

 空を見ると、気付いたらフリーザー様まで合流しており、カントー三鳥が大暴れし始めたからか、遂にルギアもやってきたようだ。海流を制御して俺達を三つの宝玉を置く社へと誘導している。

 

 そこにいた浜ちゃんヤドキング――略して浜キングの言葉に従って、二つの宝玉を社にセットしたのだが、「一つ、足りない」とのこと。やはり氷の宝玉がないからこれでは駄目らしい。

 まぁ、そうだよな。映画でも三つの宝玉とフルーラの笛で怒りを静めるって話だったもん。二つじゃ足りないよな。氷の島でしたっけ? 行かないと駄目ですよね?

 

 とっても行きたくなかったのだが、海から出てきたルギアが、「はよ宝玉取ってこい」とせっついてくるので、仕方なく氷の島に向かうことになった。

 

 本当ならリザードンに乗って飛んでいきたいのだが、流石にあの三鳥が暴れる中を飛んでいくのは無謀すぎる。確か、映画だとボートの残骸をポケモン達に引っ張らせて、途中からロケット団がゴムボートで乱入してくるんだよな。

 なら、素直にロケット団の準備が整うのを待とうということで、ロケット団が格好良く出ようとしていた所を出待ちし、氷の島まで送って貰うことにした。

 

 こいつらもいろいろ手助けする言い訳を考えていたようだが、お前らが映画だとジャイアン化するのは知ってんだわ。格好いい名乗りキャンセルさせてすまんな。

 

 途中、三鳥が襲ってくるのを暴君とルギアにガードして貰いながら氷の島へ向かう。

 映画だとルギア一体で苦労していたが、ここでは暴君がルギアに効果抜群のサンダーさんを全面的に押さえているからか、ルギアも若干余裕そうだった。

 相性的にルギアがファイヤーさんを押さえており、フリーザー様に至ってはその時に空いている奴が押さえるという感じで、二体の協力で三鳥が俺達へ手出しするのを防いでいる。

 

 多少の危険はあったが、特に妨害という妨害もなく氷の島で宝玉を手に入れると、暴君とルギアを振り切ってきたフリーザー様が俺達を狙ってきたので、さっさと島を脱出することにした。

 フリーザー様から逃げながら氷の島を爆走していると、ファイヤーさんを一時的に倒したルギアがこちらに並走して「宝は?」と聞いてきたので、「ったりめーだろ」と、氷の宝玉を見せてやる。

 

 そのままルギアが自分に乗るように言うので、お言葉に甘えて背中に乗せて貰った。

 映画だとロケット団も足に捕まっていたが、今回はムサシがオニドリルを出して別の方向へ逃げている。ただ、いくらオニドリルさんでも大人二人にニャース一体は許容オーバーなのか、かなり死にそうな顔をしていた。

 

 とりあえず心配はいらなさそうだったので、残るは悪役の対応だけである。

 確か映画ではこの後、ルギアが鹵獲されそうになり、サトシ君共々海へ落っこちたはずだ。こんな寒い中海へ落ちるなど冗談ではないので、飛行艇が墜落した方向から映画の敵がルギアを狙っている一撃を先読みし、その方向へ『エアロブラスト』を指示する。

 

 ルギアも最初は意味不明な指示に首を傾げていたが、すぐに何か悪意のようなものに気付いたようで、俺の指示した方向へ『エアロブラスト』を放ち、攻撃を放つ前の飛空艇を一撃で破壊していた。

 

「何故、気付いた?」

「マサラ式肉体言語術――未来予知だ」

 

 勿論、そんな技は無い。ただの原作知識である。

 しかし、自信満々に言ったからか、ルギアもそんなものがあるのだと思ったようで、その後は特にツッコミを入れるようなことも無く、俺を社のある小島まで運んでくれた。

 

 社へ着く間、俺がみずタイプのポケモンとの相性が悪いことを海の神であるルギアに相談してみたのだが、「優れたる操り人であるお前なら、海の神の加護を授かる資格がある。後で巫女にまじないをかけてもらうと良い」と言うので、後でフルーラにまじないとやらをお願いしてみようと思う。

 

 ちなみにその間、三鳥は暴君一人で面倒を見ていたのだが、伊達に最強を名乗ってはいない。自慢のスプーンや『ひかりのかべ』バリヤードエディションを駆使しながら、完全に三鳥達の動きをコントロールしていた。

 

 もう、お前一人でいいんじゃね?

 

 と、思ったのだが、後から暴君に聞いてみた所、ルギアとの共闘で三鳥が消耗していたから押さえられたが、一人だと少し厳しかったかも知れないと言っていた。「あくまで少しだけだがな」とか見栄を張っていたが、それだけ三鳥の攻撃は強力だったのだろう。

 

 暴君のおかげもあって、ルギアと一緒に社まで行き、最後の宝玉をセットした。後はフルーラの笛で三鳥を宥めて、今回の騒動はおしまいである。

 無事、世界の危機を救ってめでたしめでたし――と、思っていたのだが、いつの間にか来ていたママさんに「危ないことをするんじゃありません!」と怒られた。待って下さい、今回の俺は被害者です!!

 

 

 




 原作との変化点。

・ルリコとのバトルで使用したポケモンが違う。
 フシギダネ、ゼニガメのコンビで倒した。

・ゼニガメが究極技を覚えた。
 長かった。

・第109話『コイキング! 進化の秘密!!』より、ギャラドスが手持ちに居た為、ギャラドスを利用する作戦をロケット団が自重した。
 ニューサトシ達に隠れてギャラドスの進化を見ていた。コジロウが懐かしがっていた。

・劇場版ルギア爆誕より、暴君が居たことで安全度が上がった。
 暴君とルギアで共闘した。ニューサトシは口では嫌がっていたが、世界を滅ぼす訳には行かなかったので実際は結構頑張っていた。

・フルーラにまじないをかけてもらった。
 オリジナルの設定。ニューサトシも気休めレベルだとわかっていたが、藁にもすがる思いでフルーラに海の神の加護とやらのまじないをかけて貰った。どうなったかは現段階では不明である。


 現在ゲットしたポケモン。

 ピカチュウ Lv.52

 ピジョット Lv.48

 バタフリー Lv.48

 ドサイドン Lv.51

 フシギダネ Lv.49→50

 リザードン Lv.52

 ゼニガメ  Lv.49→50

 キングラー Lv.48

 カモネギ  Lv.48

 エビワラー Lv.49

 ゲンガー  Lv.50

 オコリザル Lv.49

 イーブイ  Lv.46

 ベトベトン Lv.47

 ジバコイル Lv.48

 ケンタロス Lv.47

 ヤドラン  Lv.47

 ストライク Lv.47

 トゲチック Lv.34→35

 プテラ   Lv.47

 ラプラス  Lv.47

 ミュウツー Lv.70

 バリヤード Lv.47

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.39→40

 カビゴン  Lv.37→38




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#044 『さぁ、決めてこい』

 11歳 γ月ν日 『これ、カスミさんのじゃね?』

 

 旅の途中で、コジロウとニャースに襲われていたニョロモを助けたら懐かれたのでゲットした。もう記憶が曖昧だったが、確かこのニョロモってカスミさんのじゃなかったっけ?

 

 いや、まぁいいんだけどさ。

 

 

 

 11歳 γ月ξ日 『最近のトゲ様は大人になってしまった』

 

 進化したことで、トゲ様が昔のように甘えてこなくなってしまった。リザードの時のような寂しさを感じる。アニメのトゲ様は進化しても可愛いままだったが、誰に似たのか、愛想を失ってしまったらしい。

 進化する前は、ちょくちょくボールから出さないとぐずっていたが、今ではもう余裕でボールの中で過ごしているようだ。昔のように勝手に出てくることもなく落ち着いている。

 

 おまけにバトルも凄かった。進化したことでパワーが上がったのか、特殊技を駆使して大活躍である。

 今までは体が小さくて出来なかったようだが、最近はいろいろな技を覚えようとしており、仲間達の技を再現しようと努力する姿も見られた。

 

 とても嬉しい反面、ちょっと寂しさもある。

 結構長い間トゲ様とは一緒にいたし、赤ちゃんトゲ様の笑顔ロスになってしまったのかもしれない。

 

 そんなことを考えていると、当のトゲ様が俺のことをジッと見つめていた。

 思わず「頑張ってるな」と、頭を撫でると、昔のような笑みを浮かべて顔をこすりつけてくる。どうやら頻繁に甘えてこなくなったが、愛想を失った訳ではないようで、やっぱりトゲ様はトゲ様のままだった。

 

 

 

 11歳 γ月π日 『完全に何でも有りなやつやん』

 

 遂にカンキツ島にたどり着いた。

 早速ウィナーズカップの申し込みをすると、受付のおじさんにルールを説明される。ウィナーズカップはフルバトル6対6、レベル制限はなし、交代はチャレンジャーにのみ許され、技の使用制限がないらしい。

 これまで数多のバトルをしてきたが、技の使用制限が無いバトルは初めてだな。

 

 おじさん曰く、ヘッドリーダーに勝利すると、殿堂入りとしてウィナーズパレスなる場所に、写真と手形が飾られるらしい。ただ、今のヘッドリーダーになってからは、まだウィナーズカップに勝利したチャレンジャーはまだいないようだ。

 

 じゃあ、その記念すべき一人目は俺になるな。

 

 試合は明日の朝からということで、今日のうちにポケモンセンターで転送装置を使ってポケモンを入れ替えておく。

 オレンジ諸島で捕まえたクリスタルのイワークやカビゴン、ニョロモ、そして進化したばかりのトゲ様はまだ実戦レベルではないので今回はお留守番になるだろう。

 必然的に、ポケモンリーグを経験したメンバーでの戦いになる。向こうは交代がなしとかいう舐めたルールだし、たまにはアニメの知識を利用してメタってやるか。

 

 

 

 11歳 γ月ρ日 『オレンジリーグ ウィナーズカップ 前編』

 

 試合当日。どうやら、ウィナーズカップが行われるのはかなり久しぶりのことらしく、カンキツスタジアムは超満員だった。

 バトルフィールドに行くと、ヘッドリーダーのユウジが握手を求めてくる。「トレーナーの知恵とポケモンの力、見せて貰うよ」と言われたので、「こっちは制限なしのアンタと戦いたかったけどね」と返しておいた。

 

 ぶっちゃけ、交代なしの6対6はハンデとしてはでかすぎる。今まで勝てなかった奴らがいるというのが信じられないくらいだった。

 

 改めて、審判からルールの確認をされる。基本的には昨日書いたとおりの内容だが、後はどちらかのポケモンが三体戦闘不能になった時点でフィールドがチェンジされるらしい。

 最初のフィールドは岩と水のフィールドだ。

 基本的には岩場だが、中央に円形の水場があり、陸上適性の無いみずタイプのポケモンも有効的に使える悪くないフィールドである。

 

 バトルがスタートすると、ユウジは最初にメタモンを出してきた。こちらはゲンガーを出す。

 特性の『かわりもの』でメタモンがゲンガーに変身するが、その瞬間に『サイコキネシス』を指示した。

 メタモンの弱点は、体力までは真似できないことや、技のPPが5で固定されること等だが、この辺りはゲームを知っている人なら常識だろう。

 しかし、この世界での最大の弱点は、相手が何を覚えているかをレベル技以外は推測でしか判断できないから先手が取れないことだった。

 

 先手が取れないから、妨害や回避も後手に回ってしまう。ユウジも慌ててメタモンに『サイコキネシス』を指示したが、既にゲンガーの『サイコキネシス』がヒットしていた。

 メタモンも頑張って足掻いて自由を取り戻そうとしているが、弱点の攻撃を受けてそう簡単に抜け出せるはずがない。技の効果が切れるまでしっかりダメージを取らせて貰う。

 

 ようやく自由になったメタモンに、ユウジがお返しの『サイコキネシス』を指示しているが、そんなもの許すつもりは無い。『ふいうち』でメタモンの集中を阻害し、『サイコキネシス』を妨害していく。

 弱点のあく技を受け、メタモンがよろける。

 こうなればもうおしまいだ。『シャドーボール』でさらに弱点をつき、一気に戦闘不能まで持って行った。実況によると、今までこのメタモンを攻略できない奴らもいたようだが、そいつらは一回ポケモンについての勉強をし直した方がいい。

 

 ユウジがメタモンを戻し、「なかなかやるな」と言いながら、二体目にイワークを出してくる。

 ゲンガーの弱点であるじめんタイプを攻めてきたんだろうが、俺のゲンガーは絶滅危惧種である『ふゆう』ゲンガーだ。ぶっちゃけ、このままでも問題なくイワークを倒せるが、俺のポケモン達は活躍の場に飢えているようなので素直に交代することにした。

 

 俺の二体目はキングラーである。公式試合がセキエイ大会一回戦以降ぶりということで、とてもやる気に満ちているようだ。

 キングラーを見て、ユウジが『あなをほる』を指示してきた。その速度から、どうやらイワークの素早を重点的に育てているようだが、それはつまり攻撃力か防御力のどちらかを犠牲にしているということでもある。

 

 こちらはキングラーに『つるぎのまい』を指示した。『あなをほる』をくらっても、イワークの攻撃力ではキングラーを一撃で戦闘不能にさせるなど出来はしない。攻撃を二段階上げた返しの『クラブハンマー』でワンキルしてやる。

 

 だが、ユウジもこちらの狙いは読めているのか、なかなか地面の中からイワークを出さない。なら、こちらはもう一段階積ませて貰おう。『つるぎのまい』を続け、攻撃力を上げていく。

 それを見て、慌ててユウジがイワークを突撃させてきた。これ以上の攻撃力上昇はイワーク以外にも影響が出ると判断したのだろう。

 地面からイワークが飛び出し、その巨体を利用してキングラーを真上へ吹っ飛ばしていく。

 それを見たユウジが不敵な笑みを浮かべるが、甘く見るなよ俺のキングラーは天才だ。地面から突き上げられた勢いを利用して、落下しながらイワークに『クラブハンマー』を叩き込む。

 

 しかし、特性が『がんじょう』だったのか、四段階上がった『クラブハンマー』をイワークはギリギリで耐えた。そのまま『しめつける』でこちらの動きを封じてきたので、『ばかぢから』で無理やりイワークを戦闘不能にまで持って行く。

 本来、しめつけ中はその苦しさから他の技を出すのが難しい状況になるが、文字通り火事場の馬鹿力で残り体力の少ないイワークを倒させて貰った。

 

 これまでユウジのポケモンが二体連続で倒されたことがなかったのか、観客が動揺している。当のユウジは特に気にした様子も無く「相性に関しては正攻法だな」と、こちらを評価していたが、俺からすればバトルが有利すぎて面白くない。やはり、交換なしはハンデがありすぎだな。

 

 ユウジの三体目はゲンガーだった。別にこのままでも勝てるだろうが、他が戦いたがっているのでキングラーを交代する。こちらの三体目はバリヤードだ。

 あのミュウツーですら技を真似する器用さと発想力を持ったポケモンである。

ユウジが手始めとばかりに『ナイトヘッド』を指示してくるが、バリヤードは『まもる』で簡単に防いでいく。

 

 こちらの動きを封じたいのか、ゲンガーに『さいみんじゅつ』を指示してきたので、『しんぴのまもり』で状態異常もケアしていった。普段なら使わない技だが、このバトルでは技の使用制限がないので補助技をふんだんに使用できる。続けて『アンコール』を指示し、ゲンガーにはそのまま意味の無い『さいみんじゅつ』を続けて貰うことにした。

 ポケモンを交代出来ないというハンデをこれでもかというくらいに突いていく。ユウジもどうしようもないのを自覚しているのか、厳しい顔をしながら黙っていた。

 

 このまま『リフレクター』や『ひかりのかべ』を張っても良いのだが、このゲンガーを倒したら三体目なのでフィールドチェンジが入る。その間に壁系の技は消えてしまうので意味が無かった。

 変な小細工はなしだ。ゲンガーが無意味な技を続けている間に、バリヤードの『サイコキネシス』連打で退場して貰う。あまりにもあっさりユウジの三体目が倒されたことで、遂に観客が黙ってしまった。

 

 まるで悪役のような扱いだな。

 まぁ、地元民からすればユウジはヒーローみたいなもんだろうし、挑戦者の俺は悪役か。

 

 ユウジのポケモンが三体戦闘不能になったので、フィールドが岩と水のフィールドからチェンジされる。次は砂のフィールドになった。足場が安定しないので、踏ん張りがきかないが、代わりにダメージも緩和されそうだ。

 

 ユウジは四体目のフシギバナを出してくる。

 それを見たバリヤードが「僕は行けますよ」という目で見てくるが、残念ながら出番を求めているのはお前だけでは無い。こちらもバリヤードを戻して、四体目のカモネギを出した。

 

 カモネギにくさタイプの技が今一つなのはわかっているのだろう。ユウジがフシギバナに『ヘドロばくだん』を指示してくる。対するこちらは『こうそくいどう』で、素早を上げて攻撃を回避した。

 そのまま距離を詰め、お得意の『つばめがえし』でフシギバナにダメージを与えていく。

 ちょこまか動くカモネギが鬱陶しいのか、ユウジはフシギバナに『すてみタックル』を指示してきた。だが、カモネギも自分とフシギバナの体格の差はわかっているのだろう。即座に『すなかけ』でフシギバナの目を潰し、動きが鈍った『すてみタックル』を回避していた。

 

 こういう小技を使わせたら俺のカモネギに勝てる奴はいない。そのままフシギバナの裏に回らせ、『つるぎのまい』で攻撃力を上げていく。

 動きを封じるつもりなのか、ユウジがフシギバナに『ねむりごな』を指示してきたので、カモネギにフィールドを駆け回らせ、『ねむりごな』を回避する。フィールドチェンジの間にバリヤードが張った『しんぴのまもり』は消えてしまったので、棒立ちしていたら流石に眠らされてしまうからな。

 

 走り回った勢いを利用して、ひこうタイプ最大の技である『ブレイブバード』を指示する。

 ユウジも『すてみタックル』で迎え撃ってきたが、いくらカモネギが非力だといっても、攻撃力が二段階上がっているタイプ一致『ブレイブバード』が効かないはずがない。おまけにながねぎの効果で急所に当たったのか、フシギバナがそのまま戦闘不能になった。

 

 ユウジがフシギバナを戻し、五体目にエレブーを出してくる。こちらもカモネギを戻して、五体目のベトベトンを出した。

 俺のベトベトンはでんき技が効かない。エレブーが開幕『かみなり』を撃ってきたので、足が止まった所を『どくどく』で猛毒状態にしていく。交代できない以上、これで勝負は時間の問題になった。

 

 ユウジが俺のベトベトンがノーダメージなのを見て驚いているが、この辺りの反応ももう見慣れてきたな。

 本当に効いていないのかを確かめるつもりなのか、ユウジが『かみなりパンチ』を指示してきたが、その択は悪手である。こちらは『いやなおと』で防御を二段階下げながら、素直にエレブー『かみなりパンチ』をくらう。

 

 俺のベトベトンは接近戦が大好きだ。そのままエレブーの腕を掴み、『のしかかり』でエレブーを飲み込んでいく。

 エレブーが『かみなり』で抵抗しているが、ベトベトンは意にも介さず『のしかかり』を維持している。完全にエレブーを体の中に飲み込むと、もう勝負は決まったようなものだった。絵的には魔人ブウに吸収された時のZ戦士の図だな。

 

 抵抗を続けていたエレブーだが、ベトベトンの『あくしゅう』で怯み、どんどん抵抗が弱くなっていく。おまけに猛毒も入っているので、戦闘不能になるのは時間の問題だった。

 丸一分くらいして、全く動かなくなったエレブーに対し、審判から戦闘不能の判定が下る。

 それを聞いたベトベトンがその場から退くと、猛毒と混乱で目を回したエレブーが倒れていた。体力はまだ残っているのかもしれないが、戦える状態ではないのは一目瞭然である。

 

 ユウジも審判の判定に異議を唱えるつもりはないようで、素直にエレブーをボールに戻した。

 これで残りはカイリューのみである。

 観客も俺がほぼ無傷でユウジのポケモンを五体倒したことで、新たな殿堂入りを果たすのでは無いかという期待を持ってくれたようだ。この機を逃さず、手を上げて歓声に応える。ニューサトシは自分への歓声が大好きなのだ。

 

 会場がアウェーになりつつあるユウジだが、特に気にした様子がない。むしろ、本当の勝負はここからだとばかりに、カイリューのモンスターボールを投げてきた。

 俺もまた、ベトベトンをボールに戻す。

 6対1の状況だが、向こうは交換なしというハンデがあるのだ。数でボコったって面白くない。俺もこの一体でカイリューに勝負するつもりである。もし、こいつが負けたら降参してもいい。それだけの自信が俺にもこいつにもあった。

 

 験担ぎに帽子のツバを持って、半回転させる。

 アニメのサトシ君がよくやっているモーションだが、思えばニューサトシになってからこのモーションは一度もやったこと無かったな。

 

 さぁ、決めてこい。

 

「リザードン、君に決めた!!」

 

 

 




 原作との変化点。

・第110話『ニョロモとカスミ』より、ニューサトシがニョロモをゲットした。
 アニメではサトシ君とケンジが痺れ粉で動けなくなってカスミさんが助けるついでにニョロモをゲットするのだが、ニューサトシは痺れ粉を普通に回避した。ちなみに、ロケット団のムサシは原作通りなので、コジロウとニャースが痺れを取る水草を探しており、ニョロモにありかを探させようとしていた所をニューサトシが見つけて助けた形である。ムサシがどうなったかは誰も知らない。

・第111話『ウィナーズカップ! フルバトル6対6』より、技の使用制限のないバトルが始まった。
 殆どカイリュー専用のようなルール。書いていて、相性が有利だと基本的に技を四つ以上使うようなことはあまりないことに気付かされた。

・ニューサトシが原作知識でメタって来た。
 相手は交代なしと聞いて、その舐めた態度を改めさせてやろうとしている。カイリュー以外はほぼ瞬殺だった。今回は事前登録システムではなかったので、直前までピカ様と暴君は自分に出番があると思っていた。最後にリザードンが出て来て、ピカ様はずっこけており、ミュウツーも表情には出していないが少し不満げだった。


 現在ゲットしたポケモン。

 ピカチュウ Lv.52

 ピジョット Lv.48

 バタフリー Lv.48

 ドサイドン Lv.51

 フシギダネ Lv.50

 リザードン Lv.52

 ゼニガメ  Lv.50

 キングラー Lv.48

 カモネギ  Lv.48

 エビワラー Lv.49

 ゲンガー  Lv.50

 オコリザル Lv.49

 イーブイ  Lv.46

 ベトベトン Lv.47

 ジバコイル Lv.48

 ケンタロス Lv.47

 ヤドラン  Lv.47

 ストライク Lv.47

 トゲチック Lv.35→36

 プテラ   Lv.47

 ラプラス  Lv.47

 ミュウツー Lv.70

 バリヤード Lv.47

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.40

 カビゴン  Lv.38

 ニョロモ  Lv.24 NEW!




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#045 『何勝手に過去形にしてやがる』

 11歳 γ月ρ日 『オレンジリーグ ウィナーズカップ 後編』

 

 リザードンとカイリューが向かい合う。

 アニメではカイリューにボロ負けしていたリザードンだが、俺のリザードンはアニメとは違い、何故かきずな現象まで発現しているのだ。負ける訳にはいかない。

 種族値や技の使用制限がないのはカイリュー有利だが、ここまで有利なバトルをしてきたのだ。これくらいの試練がなければ、ウィナーズカップに挑戦した意味がなかった。

 

「カイリュー、『ハイドロポンプ』!!」

 

 当然のように弱点を突かれたので、『えんまく』で的を隠していく。『ハイドロポンプ』は元々あまり命中率の高い技じゃ無い。『えんまく』で視界を潰せば避けるのは容易だった。

 そのままリザードンを空へ逃がす。カイリューがすぐに追ってきたが、流石のカイリューも縦横無尽に動ける空中でドロポンは当てられないのだろう。技を『れいとうビーム』に変えて追撃してくる。

 

 こちらも『かえんほうしゃ』で『れいとうビーム』を相殺していくが、飛行技術はほぼ互角だ。

 リザードンもプテラやピジョット達と日々飛行訓練を頑張っているので、アニメのリザードンよりも飛ぶのが上手くなっているのだが、それでもカイリューを捉えきれていない。

 

 お互いに遠距離で隙を狙って行くも詰め切れていなかった。それを見たユウジが『かみなりパンチ』を指示し、カイリューが接近戦を仕掛けてくる。こちらも『ドラゴンクロー』で対応していった。前に『かみなりパンチ』は死ぬほどくらったのだ。対応は身についている。

 互いに弱点技を受けながらも、決して退かない。

 向こうは残り一体だという崖っぷちの状況から、こちらは単純に負けたくないという意地から、お互いに一歩も退かずに殴り合っている。

 しかし、このまま殴り合っても体力を消耗するだけだ。チャンスとは、常に前に進むものにだけ与えられると、かつてどこかで聞いた覚えもある。勝つには先手あるのみ――

 

「リザードン、尻尾!」

 

 短い指示だが、言いたいことは伝わったはずだ。リザードンがカイリューの『かみなりパンチ』を弾くと、体を一回転させ、自身の尻尾をカイリューの顔面に叩き付ける。

 ギリギリで顔を逸らして避けたカイリューだが、尻尾の炎が目にかすったのか、思わず右腕で顔をこすっていた。その隙を逃すほどこちらは優しくは無い。『ギガインパクト』でカイリューの上から突進し、そのままカイリューを地面に叩き付ける。砂のフィールドのおかげでダメージは少なくなってしまったが、それでもかなりのダメージを与えられたはずだ。

 

 ユウジがカイリューに『はねやすめ』を指示して体力を回復させようとしたので、『ほのおのうず』で身動きを封じ、こちらも『はねやすめ』で回復する。

 しかし、HP的な体力は『はねやすめ』で回復出来ても、スタミナ的な体力まで多く回復出来る訳ではない。ゲームにはない項目だが、ポケモンも生き物である以上、スタミナがなくなれば動けなくなる。小さなダメージでも積み重なればスタミナを削っていくはずだ。

 

 お互いに『はねやすめ』を終えるが、まだ『ほのおのうず』は継続されている。

 動けないカイリューに『れんごく』を放ち、火傷状態にしようとしたが、『ハイドロポンプ』で相殺されてしまった。続けて『りゅうのいぶき』で麻痺を狙って行くも、『10まんボルト』で相殺される。

 結局、追加ダメージを与えられないままカイリューも自由になったが、疲労はたまっているのか、カイリューの呼吸が少し乱れてきていた。

 

「まさか、カイリューが一体のポケモン相手でここまで消耗するとは……」

「まだまだ、本番はここからだ」

 

 こっちはそのカイリューを倒すつもりで来ているのだ。この程度で驚いて貰ったら困る。

 第二ラウンドが始まり、ユウジが『りゅうのまい』を指示している。威力の高い『ハイドロポンプ』や『10まんボルト』が相殺されたことから、特攻は俺のリザードンの方が上だと判断したのだろう。

 特殊がダメなら物理ということで、カイリューのステータスを上げようとしていた。ならば、こちらも、『りゅうのまい』――と、言いたい所だが、流石に『りゅうのまい』は出来ない。って、え、出来るの?

 

 リザードンが見様見真似でカイリューの『りゅうのまい』を模倣している。ただ、細部が微妙に中華風というか、研究所でよくやっているカンフー体操に近いものがあった。

 それでも『りゅうのまい』と判断されたのか、図鑑で確認してみると、リザードンの技項目に『りゅうのまい』が追加されている。そんな適当でいいのかよ、ドラゴンの舞って奴は。

 

 お互いに攻撃と素早が一段階上昇したが、同じことを繰り返しても先程の焼き直しになるだけだと思ったのだろう。ユウジが『しんそく』で先制攻撃を仕掛けてきた。先制技を覚えないリザードンは防御に回るしか無い。

 だが、ただ防御しているだけではなかった。『いかり』を発動させ、怒りのボルテージを貯めている。

 

 前にもポケモンリーグの時に書いたが、『しんそく』は自身にかかる負荷も大きい技だ。ゲームでは五回しか使えないし、それはこの世界でも同じである。

 リザードンの周囲を神速の早さで攻撃をしてくるカイリューだが、五回目の『しんそく』の終わりと同時にカイリューが失速した。

 ダメージはかなり受けたが何とか耐えきれている。カイリューの失速に合わせてリザードンが『いかり』を爆発させて返しの一撃を与えた。

 

 攻撃が最大まで上がった一撃をくらって、カイリューがぶっ飛ばされていく。

 態勢を立て直そうとしているカイリューへ、ユウジが必殺技である『はかいこうせん』を指示していたので、こちらも究極技である『ブラストバーン』で迎撃する。

 同じ威力150技ではあるが、『はかいこうせん』は不一致技だ。特攻もリザードンの方が上ということで、『はかいこうせん』を貫き、『ブラストバーン』がカイリューに直撃する。

 

「カイリュー!?」

「追撃だ。『りゅうのはどう』!!」

 

 究極技の反動で少し出遅れたがドラゴンタイプに有効なドラゴンタイプの特殊技で攻めた。だが、攻撃が直撃する直前に何かに弾かれる。

 一瞬、『まもる』かと思ったが、カイリューの目に怒りの光が宿っているのを見て、『げきりん』だと判断した。おそらく、『げきりん』のパワーで『りゅうのはどう』を弾いたのだろう。

 

 真っ直ぐ突っ込んでくるカイリューに『りゅうのいぶき』で麻痺を狙うも、先程の『りゅうのはどう』と同様に、攻撃を弾いてくる。

 そんなん有りかよと思いながら、『ドラゴンクロー』で迎撃するも、タイプ一致『げきりん』の連打でリザードンが吹き飛ばされた。

 

「カイリューに『げきりん』まで使わせるとはな。誇って良い、君のリザードンは強かった」

「……強かった? 何勝手に過去形にしてやがる。まだまだ勝負はこれからだろーが!!」

 

 俺の叫びと同時にボロボロになったリザードンが立ち上がり、きずな現象が発生する。

 肌の色は灼熱を示す赤色へ、体全体を薄い炎の繭が包み、俺とリザードンの意識と感覚が一つになっていった。

 

 ユウジが驚いたような声を出しているが応えている余裕は無い。感覚が一つになったからこそわかる。リザードンのダメージが思った以上に大きい。

 流石にシゲルとのバトル並とは言わないが、勝負を長引かせれば負けるのはこちらだろう。

 しかし、カイリューもまたダメージが蓄積されているはずである。また、『げきりん』が終わったことで混乱状態になっていた。ここで勝負をつけるしかない。

 

 全力の『フレアドライブ』でカイリューへ突撃していく。ユウジも迎撃の指示を出しているが、混乱しているカイリューよりもこちらの方が早かった。

 フラフラのカイリューを『フレアドライブ』で押し倒し、そのまま馬乗りになる。

 サカキ様の時もそうだったが、この状態になると感覚が鋭敏になっているからか、覚えていない技を覚えやすくなるようだ。今さっきくらった『げきりん』を再現し、カイリューにお返しする。

 

 リザードンの攻撃は、『りゅうのまい』と『いかり』によって強化されていた。その上、きずなリザードンはドラゴンタイプを持っているのか、タイプ一致技を使ったときと同じ感触を感じる。

 攻撃六段階上昇に加え、タイプ一致の『げきりん』をくらって耐えられるはずが無く、そのままカイリューは立ち上がることが出来ずに戦闘不能になった。

 

 審判によって、俺の勝利が宣言されると同時に、俺達のきずな現象が解除される。リザードンも限界だったようで腰を下ろしていた。

 だが、慣れて来たのか、今までよりもきずな現象の負担が少ないような気がする。現に俺やリザードンにもまだ立って動けるだけの余裕があった。

 

 正直なことを言えば、きずなリザードンなしで勝ちたかったが、それは流石に相手を舐めすぎだろう。

 ユウジのカイリューは強かった。強さだけなら、シゲルやブルーのポケモン並である。そんな相手に手を抜いて勝てるほど、俺達は強くなかった。相手にしてみれば少しズルいと感じるかも知れないが、このきずな現象も含めて俺達の実力である。

 

 ギリギリだったが、リザードンがカイリューを下したことで、ユウジの手持ちは全員戦闘不能になり、俺が新たにオレンジリーグ殿堂入りを果たすことになった。

 

 満員の観客からの祝福を受けながら、ヘッドリーダーのユウジから、オレンジリーグ名誉トレーナーの称号と記念トロフィーを与えられる。

 そのままトレーナーの俺と、戦ってくれたリザードン、キングラー、カモネギ、ゲンガー、ベトベトン、バリヤードの六体と写真を撮り、全員の手形を作って貰う。これが、昨日書いたウィナーズパレスに飾られることで、俺達は完全に殿堂入りを果たすことになる。

 

 試合に出られなかったピカ様や、ずっと出番を待っていた暴君が文句を言ってくる一波乱はあったが、それでも俺の試合を見てくれた全員が俺のことを祝福してくれた。

 

 

 

 11歳 γ月σ日 『今までも探してはいたんですよ』

 

 オレンジリーグ殿堂入りも果たし、そろそろ本腰を入れてラプラスの群れを探すことになった。

 ぶっちゃけ、このままカントーに帰っても良いんじゃないかと思うくらい、ラプラスはカスミさんに懐いているのだが、当のカスミさんがどうしても親元に帰したいと言う。

 流石はみず系ポケモントレーナー、女神のような優しさである。もし、俺がそのラプラスのトレーナーだったら問答無用でカントーに帰っていただろう。改めて、シルフカンパニーでこのラプラスをゲット出来て良かったと思った。

 

 

 

 11歳 γ月υ日 『こんなに優秀なのに、何で出番なくなったんだろう』

 

 ラプラスの群れを探して早三日。今日も今日とて海の上を旅している。

 ケンジの情報によると、これまで旅してきた他の島での目撃証言から、大体の位置を推測できるようなのだが、今の所それらしき群れの姿は見えない。

 しかし、しっかり今までの島でラプラスの群れについての情報を聞き込んでいたケンジは本当に凄い奴だと思う。何で、こいつアニメで出番無くなっちまったんだ?

 

 

 

 11歳 γ月χ日 『さよならラプラス』

 

 遂にラプラスの群れを発見した。

 しかし、何故かラプラスの群れはカスミさんのラプラスを受け入れようとしない。一度は追いついたのだが、『しろいきり』で煙に巻かれてしまった。

 

 一度、近くの島でオーキド博士に知恵を貸して貰おうと言うことになったのだが、博士曰くラプラスが人間を怖がっているのではないかということだった。

 この辺りでは希少種のラプラスだ。人間の被害などいくらでも考えられるだろう。

丁度ポケモンセンターに来ていたジュンサーに話を聞いてみると、この辺りには海賊のような密漁団が居て、爆弾のようなものまで使ってラプラスを追い詰めているらしい。

 

 ならば、俺達がその密漁団を叩き潰してしまおうということで、ラプラスの群れを狙っている密漁団を探すために、ラプラスの群れを追うことにした。

 

 群れを見つけると、丁度密漁団が狙っている所だったようで、ドククラゲの大群を使ってラプラス達を追い詰めている。

 ケンジがマリルに掴まってジュンサーを呼びに行くというので、カスミさんにはドククラゲ達の対応を任せた。残る俺は向こうが気付かないうちに船に乗り込み、サクッと船内の密漁団をマサラ式肉体言語術で制圧していく。

 

 たった数人で密漁団など笑わせる。

 

 おまけに爆弾やポケモンを悪用しているだけで、肉体的な能力は普通の大人以下だった。技を使うまでも無く船内を制圧し終わると、カスミさんとラプラスがドククラゲの群れに追われている。すぐに助けようかと思ったが、ラプラスの群れがカスミさんを援護していたので特に必要はなさそうだった。

 

 そのまま密漁団はお縄につき、悪用されていたドククラゲの大群も野生に返していく。こうして後から思えば、野生に返すくらいなら一体くらいドククラゲをゲットしておけば良かった。この時は必死でそんなことを考えている余裕がなかったからなぁ。

 

 一連の流れを見ていたラプラスの群れも、俺達が味方だとわかってくれたようで、カスミさんもラプラスと最後の別れをしていた。ラプラスもカスミさんと別れるのが寂しいのか、涙を浮かべている。

 結局、カスミさんの「家族の所に帰りなさい」という一言で、ラプラスは群れに帰っていった。親と再会できたラプラスが笑顔で顔をこすり合わせている。それを見ながら、カスミさんが大きく手を振っているが、寂しいのはこちらも一緒のようで目尻には涙が滲んでいた。

 

 じゃあな、ラプラス。元気でな。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・第112話『ファイナルバトル! カイリュー登場!!』より、リザードンでカイリューを倒した。
 全力を出してギリギリの勝負だった。きずな現象に慣れてきたのか、反動が少なくなっていた。少なくともニューサトシは次の日には全快だった。リザードンもドクターストップになるようなことはなかった。

・第113話『さよならラプラス』より、オレンジ諸島のラプラスと別れた。
 実はこれまでも探してはいた。アニメではサトシ君とカスミさんの役割が逆だが、この小説では荒事は全てニューサトシの出番なので密漁団をボコボコにした。

・第114話『マルマイン大爆破!?』がなくなった。
 ニューサトシがラプラスを持っているので、船を使う必要がなく、そのまま飛行場までラプラスで向かった。よって、カットされた。


 現在ゲットしたポケモン。

 ピカチュウ Lv.52

 ピジョット Lv.48

 バタフリー Lv.48

 ドサイドン Lv.51

 フシギダネ Lv.50

 リザードン Lv.52→53

 ゼニガメ  Lv.50

 キングラー Lv.48

 カモネギ  Lv.48

 エビワラー Lv.49

 ゲンガー  Lv.50

 オコリザル Lv.49

 イーブイ  Lv.46

 ベトベトン Lv.47

 ジバコイル Lv.48

 ケンタロス Lv.47

 ヤドラン  Lv.47

 ストライク Lv.47

 トゲチック Lv.36

 プテラ   Lv.47

 ラプラス  Lv.47→48

 ミュウツー Lv.70

 バリヤード Lv.47

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.40

 カビゴン  Lv.38

 ニョロモ  Lv.24→25




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#046 『大変、気分が良い』

 11歳 γ月ω日 『帰ってきたマサラタウン』

 

 オレンジ諸島の長い旅を終え、遂に故郷であるカントーのマサラタウンに帰ってきた。

 ケンジはオーキド博士にいち早く会いたいようだったが、オーキド研究所に行く前に俺の家に帰るのが先だ。ママさんに報告もしたいし、荷物も置いてから動きたいしな。

 

 そんなこんなで家に帰ったのだが、オレンジ諸島で別れたタケシが何故か我が家で家事をしている。どうやら無事にウチキド博士に振られてきたようだ。

 試しに「ウチキド」と呟くと、横になって「聞かないでくれ」と固まって、トランセルのように動かなくなってしまった。「だから後悔するって言ったろうが」と言うと、カスミさんが「いつものことじゃない」と一刀両断している。

 ママさんに詳しいことを聞いてみると、やはり少し前にマサラタウンの近辺に転がっていたタケシを拾ってきたらしい。この辺はアニメとそう変わらなさそうだな。

 

 ママさんに帰還報告を終えると、とりあえずオーキド研究所にGSボールを届けに行くことになった。

 オーキド博士にGSボールを渡し、研究所にいる俺のポケモン達に会いに行く。定期的に交換していたとはいえ、オレンジ諸島は移動中心の旅だったから久しぶりの面子も居る。

 特に、オレンジ諸島でゲットしたばかりの、クリスタルのイワーク、カビゴン、ニョロモに至っては、レベルの問題もあってほぼ手持ちにいなかったので、これを機に友好を深めていくことにした。

 

 ちなみに博士から聞いた話だが、クリスタルのイワークがみずタイプの技を無効にし、ほのおタイプの攻撃を弱点にしてしまうのはやはり特性らしい。また自主トレ中に、弱点タイプの攻撃を受けた場合は、パワーが上がるという観測も出来たようで、『かんそうはだ』とじゃくてんほけんのような特性を持っているようだった。

 

 ゲーム的なテキストだと、『みずタイプの技を受けない。ただし、ほのおタイプの技で受けるダメージが2倍になり、効果抜群の技を受けた時に攻撃と特攻のランクが1段階上がる』といった所か。弱点が山のようにあるので悪くない特性だった。博士は『クリスタルボディ』と呼称していたので、これからは俺もそう呼ぼう。

 

 ポンカン島では崇められていたクリスタルのイワークも、ここではのんびり暮らせているようで、他のみずポケモン達に紛れて水場で過ごしている。カビゴンもオーキド研究所の飯を元気に食い荒らしており、ニョロモも楽しそうに水場の周りを歩いていた。

 

 ケンジが博士に研究レポートを見て欲しいということで、俺以外のメンバーが室内に戻っていく。俺はまだポケモン達と一緒に居たかったので、このまま外で過ごすことにした。

 やはり、オーキド研究所は全員と会えるので長く居てしまう。ピカ様、ピジョット、バタフリー、ドサイドン、フシギダネ、リザードン、ゼニガメ、キングラー、カモネギ、エビワラー、ゲンガー、オコリザル、イーブイ、ベトベトン、ジバコイル、ケンタロス、ヤドラン、ストライク、トゲ様、プテラ、ラプラス、ミュウツー、バリヤード、クリスタルのイワーク、カビゴン、ニョロモ、こうして改めてみると随分ゲットしたもんだ。

 

 そのまま久しぶりの触れ合いを楽しんでいると、いつものようにロケット団がやってきて、研究所のポケモンを全て頂くと宣言していた。

 お前ら、前に似たようなことして返り討ちにあったのをもう忘れたのか。と、いう訳で、俺のポケモン達の総力を合わせて、サクッとロケット団をやなかんじーしてやる。

 騒ぎを聞きつけてきたみんながいつものロケット団に呆れていたが、タケシは久しぶりということもあってか、「懐かしいな、あいつら」と感慨にふけっていた。タケシと別れて約三ヶ月、確かにそれだけ会っていなければ懐かしさも感じるかもしれない。ほぼ毎日のように会っている俺からすれば鬱陶しいだけだが。

 

「相変わらず強いな、サトシ」

 

 ロケット団を追い返した後、そう声をかけてきたのは、まさかのシゲルだった。

 どうやら、こいつも丁度マサラタウンに帰ってきた所のようで、「手こずっているようなら手助けしようと思ったんだけどね」と、モンスターボールをちらつかせている。

 残念だが、ニューサトシはサトシ君とは違うので、毎度おなじみの方法ではやられないのだ。しかし、せっかく準備してくれていたのに出番を奪ってしまったのは忍びない。と、いう訳で、久しぶりにシゲルへバトルを申し込むことにした。

 

「いいだろう。僕も前よりもずっと強くなった。セキエイ大会の時のようにはいかないぞ」

「楽しみだぜ」

 

 とはいえ、そろそろ日も暮れてくる頃だ。長丁場になりそうなバトルは止めようということで1対1のバトルをすることになった。

 レベル制限はなし。互いに今一番自信があるポケモンでバトルしようということで、悩みに悩んだが、やはりここはピカ様に行って貰うことにする。それを見て、シゲルが出してきたのはまさかのエレキブルだった。

 

「……お前、いつ進化させた?」

「僕も前のままではないと言っただろう」

 

 前のまま所か、進化しちゃってんじゃん。

 エレキブルの特性『でんきエンジン』は、こちらのでんき技をくらうと素早が上がるというヤバい特性だ。こちらのでんき技は完全に封じられたと言って良いだろう。

 これまではでんきタイプ相手でも、『ボルテッカー』は威力があるので良く重宝していたが、それも完全に封じられたな。俺のピカ様への対策はばっちりということか。

 

 だが、それで負ける程、俺のピカ様は弱くない。

 

 話を聞いていたタケシが審判をしてくれるということで、俺とシゲルの三回目のバトルがスタートする。最初は引き分け、二回目は俺の勝ちだった。まだ俺に勝ったことがないシゲルからは、今回こそは勝つという気迫を感じる。

 

 いつも通り、先手必勝とばかりに『でんこうせっか』を指示すると、シゲルはまず『ちょうはつ』をしてきた。多少攻撃をくらっても、俺の変化技を封じるつもりなのだろう。

 これで、俺のピカ様は攻撃技しか使えなくなった。おまけにでんき技まで封じられている。『ちょうはつ』の効果が消えるまではタイプ不一致の技で戦うしかない訳だが、あの計算高いシゲルが『ちょうはつ』の切れる時間を把握していないとは思えない。つまり、俺はこのバトルででんき技と変化技の二つが使えなくなってしまったということだ。

 

「やってくれるっ」

「君のピカチュウの凄さは散々見せつけられたからね。悪いが、対策は完璧だよ」

 

 今、ピカ様が使える不一致の技は、『でんこうせっか』を除けば、『なみのり』、『たたきつける』、『かわらわり』、『フェイント』、『にどげり』、『スピードスター』くらいのものである。

 このうち、『にどげり』と『フェイント』は、実質、『かわらわり』と『でんこうせっか』の下位互換なので使わない。『スピードスター』も余程必中が必要な場面にならなければ『なみのり』で十分とすると、使う技は『でんこうせっか』、『なみのり』、『たたきつける』、『かわらわり』の四つに絞られる。

 しかし、このうち、『なみのり』と『かわらわり』はセキエイ大会で見せている上、『たたきつける』も最初のバトルで見せていた。当然、シゲルも警戒しているだろう。クソ、やりにくいことこの上ないな。

 

「どうしたサトシ? 動きが止まってるんじゃ無いか?」

「笑わせんな。お楽しみはここからだ」

 

 一応、切り札はある。オレンジ諸島の旅の最中、日記にも書かずに密かに練習させていた技だ。未完成の技だが、このバトルに勝つにはあれを成功させるしかない。

 

 そのためには何とか隙を作らないと――

 

「ピカチュウ、『かわらわり』!」

「ならばこっちも『かわらわり』だ!」

 

 ピカ様とエレキブルの『かわらわり』はぶつかり合うが、やはり体格でもパワーでも負けているピカ様が不利だった。エレキブルに吹き飛ばされるピカ様だが、空中で上手く態勢を整えている。

 落ち着け。焦ったら負けだ。

 真正面から行っても勝ち目はない。それに下手にダメージを受けると後半が辛くなる。ここは辛抱強く耐えるんだ。チャンスは必ずやってくる。

 

「やはり、そのピカチュウのダメージを逃がす技術は芸術レベルだな。エレキブル、『じしん』!!」

「ピカチュウ、『なみのり』!!」

 

 大型タイプのポケモンはピカ様を見ると絶対に『じしん』を撃ってくるので、もう対応は慣れたものだった。『なみのり』は防御にも使える万能技で本当に助かるぜ。

 だが、シゲルも『なみのり』による『じしん』回避はポケモンリーグの準決勝で痛い目を見ていることもあって、特に慌てた様子も無くエレキブルに指示を飛ばしている。

 

「エレキブル、ジャンプだ!」

 

 完全にセキエイ大会準決勝の焼き直しだった。エレキブルがジャンプで『なみのり』を避けると同時に『かわらわり』を仕掛けてくる。

 こちらもタイミングを合わせてサーフボードからジャンプさせるが、下手に攻撃は仕掛けず、そのままピカ様をフィールドに飛び降りさせた。

 

「仕掛けてこないか」

「あからさまに罠だったからな」

 

 前回やられた攻撃をそのまま何の対策も無いまま仕掛けてくる程、こいつは馬鹿じゃない。もし、ピカ様が攻撃を仕掛けたら、残る一枠の技か何かで、カウンターの攻撃をくらっていただろう。

 エレキブルに進化して攻撃の種族値が上がっているだろうし、直撃をくらえばいくらピカ様でも一撃で倒される可能性もあった。

 

「しかし、電気技と変化技を封じてここまでやるとはね。予想外だったよ。『ちょうはつ』」

「こいつ、しれっと技を指示しやがって。けど、技が一つ死んだ割には余裕だな」

「別に死んだ訳じゃないさ。『じしん』一つで『なみのり』を使わせざるを得ない状況に追い込めるなら十分だと思うけどね。エレキブル、『ギガインパクト』だ」

 

 シゲルの指示で、エレキブルが『ギガインパクト』を発動させて真っ直ぐに突っ込んで来た。

 いつもなら、変化技で逃げるか、『ボルテッカー』で迎撃していたが、今回はどちらも封じられている。仕方なく、『でんこうせっか』の速度で回避に専念させるが、エレキブルの突進速度が思った以上に早く、完全に逃げ切ることが出来なかった。

 

 ピカ様の体に、エレキブルの『ギガインパクト』がかすり、小さな体が吹き飛ばされていく。

 それを見たシゲルが追撃の『じしん』を指示したが、『ギガインパクト』の反動のおかげで、ピカ様も体勢を立て直せた。『なみのり』で再度『じしん』を凌いでいく。

 再び、エレキブルがジャンプで『なみのり』をかわすと、またも先程と同じ状況になった。

 ここで逃げても、また『ギガインパクト』で攻められるだけだろう。結局、同じことを繰り返されればじり貧になるのはこっちだ。ここで何とかバトルの流れを変えるしかなかった。

 

 エレキブルの『かわらわり』を避けるようにジャンプし、脳天へ新技である『アイアンテール』を指示する。

 まだ完全に完成した訳ではないので賭けだが、『アイアンテール』なら追加効果で(三割だが)エレキブルの防御も下げられるはずだ。物理防御が下がれば、『かわらわり』や『でんこうせっか』のような物理技も生きてくるだろう。

 だが、シゲルもそれを見て、エレキブルに「『ギガインパクト』で迎撃しろ!」と言っている。

 

 ブルー戦でのガルーラのように、消えかけのボードを足場にして、エレキブルが二度目のジャンプをし、そのまま『ギガインパクト』を仕掛けてきた。

 迎撃するようにピカ様の『アイアンテール』が振り下ろされたが、まだ完全な技にはなっていなかったようで、普通の『たたきつける』が『ギガインパクト』とぶつかり、負けたこちらが吹き飛ばされる。

 いくらピカ様のタフネスでも、エレキブルの『ギガインパクト』の直撃をくらって起き上がることは出来なかったようで、倒れたまま戦闘不能になってしまった。

 

 タケシの「ピカチュウ、戦闘不能! エレキブルの勝ち!」という判定が聞こえると、シゲルが小さくガッツポーズをしている。それだけ勝ちたかったと言うことだろう。最初の『ちょうはつ』といい、今回は完全にしてやられてしまったな。

 

 倒れたピカ様を抱き上げると、申し訳なさそうな顔でこちらを見てくる。それを見て、「まだまだ俺達より強い奴なんかたくさんいる。これからも頑張ろう」と声をかけた。

 

 シゲルもエレキブルをボールに戻し、「これで一勝一敗一分けだ。次でケリをつけよう」と言ってくる。どうやらシゲルはジョウト地方のポケモンリーグに参加するということだったので、俺も次は原作通りジョウト地方に行くことにした。

 

 

 追記。シゲルとタケシにクリスタルのイワークと進化したトゲ様を自慢するととても驚いていた。大変、気分が良い。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・第115話『帰ってきたマサラタウン!』より、ポケモン達と触れ合った。
 ニューサトシは書いていないが、触れ合い(良い所を見せる)で、カントー組がニューサトシも知らない技を披露し驚かす一面があった。また、次の選出に選ばれるために、みんなアピールしまくっている。オレンジ諸島組はそれを呆然と見ていた。

・ニューサトシがロケット団を追い返した。
 アニメでは手こずってシゲルに馬鹿にされていたが、ニューサトシはいつも通り瞬殺している。良いところを見せたいカントー組が大活躍した。

・第116話『ライバル対決! サトシVSシゲル』より、ニューサトシがシゲルに負けた。
 ガチガチに対策された。シゲルもシゲルネオになって、もはやニューサトシばりに何でも有りになってきている。ジョウトで決着をつける約束をした。

・クリスタルのイワークについて。
 特性については完全なオリジナル。元の火力がポッポなので救済したが、HPも低いのであまり攻撃をくらいすぎると上がった攻撃力を生かす前に戦闘不能になる諸刃の剣でもある。ちなみに、イーブイの特性をスキルスワップでクリスタルのイワークに移してみたが進化しなかった。おそらく、自身が進化先を明確にイメージ出来ていないため進化できなかったとニューサトシは見ている。しかし、それは通常のハガネールとは違うハガネールに進化するということでもあったが、進化条件がメタルコートとは限らないのでしばらくはこのままだった。


 現在ゲットしたポケモン。

 ピカチュウ Lv.52

 ピジョット Lv.48→49

 バタフリー Lv.48→49

 ドサイドン Lv.51

 フシギダネ Lv.50

 リザードン Lv.53

 ゼニガメ  Lv.50

 キングラー Lv.48→49

 カモネギ  Lv.48→49

 エビワラー Lv.49→50

 ゲンガー  Lv.50

 オコリザル Lv.49→50

 イーブイ  Lv.46→47

 ベトベトン Lv.47→48

 ジバコイル Lv.48→49

 ケンタロス Lv.47→48

 ヤドラン  Lv.47→48

 ストライク Lv.47→48

 トゲチック Lv.36→37

 プテラ   Lv.47→48

 ラプラス  Lv.48

 ミュウツー Lv.70

 バリヤード Lv.47→48

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.40→41

 カビゴン  Lv.38→39

 ニョロモ  Lv.25→26


 オレンジ諸島編はこの話で終了となります。詳しくは活動方向にも書きましたが、金銀編の書きため期間に入りますので本編投稿は一時終了します。出来れば、来月くらいにはまた更新したいと思っていますので、よろしくお願いします。




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番外編
EX01 『ニューサトシの最初の印象』


 カスミにとって、マサラタウンのサトシという少年に抱いた最初の印象は、『とんでもないくらいのバトル狂い』というものだった。

 いろいろな事情があって、一緒に旅をすることになったカスミだったが、その変人ぶりに最初は対応できていなかったくらいである。

 

 何しろ、サトシは強い相手を見つけたらとにかくバトル。強そうなポケモンを見つけたら何を置いてもバトル。もはや、バトルをしないと死んでしまうのではないかと思うくらい毎日のようにバトルをしていた。

 

 ニビシティで運良くバッジをゲット出来る機会に恵まれても、サトシはバトルを求めて我が儘を口にしており、ついお節介を焼いてしまったくらいである。

 

 しかし、一緒に旅をしていると、サトシにはポケモンに対してとても真摯に接する一面があることもわかった。

 手持ちポケモンに無理はさせないし、困っているポケモンがいたら必ず助ける。代わりに人間に対しては厳しい所もあり、特に常識がなかったり、トレーナーとして不適格だったりする人間に対しては暴力に訴えることも少なくなかった。

 正直、怖いと思ったことがないと言えば嘘になる。ただ、サトシは意味も無く暴力を振るう人間じゃないというのはわかっていたので、それで態度を変えることはなかった。

 

 まぁ、流石にポケモン相手に真っ向勝負をし始めた時は本当に人間かどうかを疑ったが。

 

 一緒に旅をしているタケシももうわかっていると思うが、サトシは大人っぽい雰囲気を出している割には子供っぽい所が多い。

 目上の人に敬語は使うものの、基本的に口は悪いし、意外と我が儘でこっちを困らせてくる。だけど、新しいポケモンにあった時の笑顔は割と嫌いではなかった。

 

「何してんだよ、カスミ。置いてくぞ」

「アンタの歩くペースが速すぎるのよ! 少しは女の子を労いなさい!」

「じゃあ、10秒だけ待ってやるよ。1、2、3、4、5、10!」

「ちょっ! 10秒待ってないじゃない!? 待ちなさいよ、サトシ!」

 

 

 

 

 

◇◆

 

 

 

 

 

 タケシにとって、マサラタウンのサトシという少年に抱いた最初の印象は、『ポケモンバトルの天才』というものだった。

 普通、新人トレーナーは相性を駆使してジム戦を勝ちに来る。特に最初のジムはレベル制限でジム側のポケモンも弱くなるし、公式戦としてのバトルの仕方を学ぶ場という目的の方が大きいからだ。

 

 しかし、サトシだけは違った。あいつはいわタイプのジムにバタフリーやピカチュウで挑戦して、尚勝利を収めたのだ。

 最初は相性も知らない素人と思ったが、すぐにその考えは否定された。変化技や攻撃技を上手く工夫して相性の不利を覆すのは、とてもトレーナーになって一週間の人間とは思えない技術である。

 おまけにタケシの全力ポケモンであるLv.51のイワークを相手に、精々Lv.15くらいしかないピカチュウで互角の勝負を繰り広げたのだ。これを天才と言わずに何という。

 

 家族の問題が解決したこともあり、タケシはサトシと一緒に旅をすることになったが、この天才という考えはすぐに否定されることになった。

 

 勿論、知識はある。技術もある。だが、それ以上にサトシは努力を重ねていた。

 バトルが好きというのもあるのだろうが、戦って、自分に足りないものを分析して、ポケモン達と一緒にレベルアップしていく。サトシは要領がいいだけで、別に天才という訳ではなかった。異常とも思えるバトルの数と、努力でここまで強くなっていたのだ。

 

 長く旅を一緒にしていると、その辺りのことも良くわかって来る。今のタケシのサトシに対する印象は、『ポケモンバトルの天才』から『扱いに困る弟』に変わっていた。

 たまにとんでもないことをする時もあるが、基本的にサトシは子供だ。やりたいことをやるという意思を貫いて来るから我儘が多い。けど、我儘を言ってくれるということは、それだけこちらを信頼してくれているということでもあった。

 サトシに振り回されるのは大変だが、一緒に居ると楽しいことも多い。タケシは何だかんだ、三人で旅をしている今が嫌いではなかった。

 

「タケシ、腹減ったー」

「はいはい。もうすぐ出来るから、皿を並べておいてくれ」

「カスミー」

「アンタが頼まれたんだから、アンタがやりなさいよ!!」

 

 

 

 

 

◇◆

 

 

 

 

 

 ロケット団の三名にとって、マサラタウンのサトシという少年に抱いた最初の印象は、『ポケモン育成の達人』というものだった。

 捕まえたばかりであろうポッポを巧みに使い、自分達を翻弄していく姿は今でも記憶に新しい。あのポッポはどこにでもいるようなポッポだったが、それをあのサトシというトレーナーが強く育成しているに違いなかった。

 後をつけるようになってから、その考えは間違いではなかったと確信する。時が経つにつれて、サトシはポケモンを増やし、そのポケモンはどんどん強くなっていた。つまり、そのポケモンを奪ってボスに献上できれば、出世は間違いなしということである。

 

 とはいえ、そう簡単に勝てれば苦労はない。失敗は続き、ボスからはお叱りの声も多かった。

 真正面から戦いを挑んでも負け、メカを使ったり、罠を張ったりして搦め手を使っても、出し抜くことが出来ない。たまに、自分達が弱いと本気で落ち込むこともあった。金はなくなり、生きるので精一杯。そんな中、ロケット団に転機が訪れる。

 

 それが起きたのは、ポケモンリーグが開催される頃だった。一人のガラガラ使いからジムバッジを奪い、リーグに参加することになったのだ。

 やはり、ポケモントレーナーとしては一度くらいポケモンリーグに出てみたい。ガラガラ使いも大した実力ではなかったし、あいつが出るくらいなら自分達が出た方が大会も盛り上がると言うものだろう。

 

 実際、その通りで、多少苦戦したが何だかんだ一回戦を突破することが出来た。いつも戦っているサトシに比べたら大したことない相手である。

 フィールドが変化すると対応が難しく、いろいろ苦戦を強いられたが、自分達はポケモンリーグのベスト8まで残ることが出来た。ここで、ロケット団の三名は意外と自分達は弱くないんじゃないかということに気が付く。

 

 初出場、おまけに準備も何もなしでベスト8まで行けたのだ。普通に考えれば強くないと不可能だろう。

 

 ロケット団の三名は自信を回復させた。そして、今度こそサトシを倒してポケモンを奪おうと再び決意を固めたのである。そのおかげもあってか、サトシの関わっていない場面ではあったが、上手くポケモンをボスに献上したり、資金を手に入れてウハウハになったりと運気は上向きになってきていた。

 

「何だかんだと聞かれたら」

「答えてあげるが世の情け」

「世界の破壊を防ぐため」

「世界の平和を守るため」

「愛と真実の悪を貫く」

「ラブリーチャーミーな敵役」

「ムサシ」

「コジロウ」

「世界を駆けるロケット団の二人には」

「ホワイトホール、白い明日が待ってるぜ」

「にゃーんてな!」

 

 

 

 

 

◇◆

 

 

 

 

 

【おまけ】

 

 

 それはカントー、ポケモンリーグセキエイ大会決勝が終了してすぐのやりとりだった。

 勝利者である少女は、与えられた自室に戻るなり、鞄の中からポケギアらしきものを取り出して電話をかける。

 

 出ないかとも思ったが、数コールの後、無事に電話は通じ、少女は相手に声をかけた。

 

「もしもーし、私だけど。今へーき?」

『………………』

「あれ、見ててくれたんだ?」

『………………』

「そういえば、出るって話したっけ。ご覧の通り、何とか無事に勝ったよー」

『………………』

「うん。みんな、強かったね。最後なんて、結構ギリギリだったし」

『………………』

「あ、やっぱわかるんだ。何かね。エースのポケモンが前の試合でドクターストップかかっちゃったんだって。それがなきゃ勝負はわからなかったね」

『………………』

「そんなこと言ってー、最強さんの前では赤子みたいなもんでしょ?」

『………………』

「あーはいはい、ごめんごめん。最強って言われるの嫌いなんだよね。わかったからそんなに怒んないでよ」

『………………』

「勝つよ。今年のチャンピオンリーグ本戦の枠は私が貰う。四天王になりたいんだよね」

『………………』

「いや、そんな称号とかには興味ないけど、四天王になると結構融通効くからね。ハナダの洞窟に興味があるんだ。あそこは危険地域だから個人じゃなかなか入れないし、もしかしたら新種のポケモンがいるかもしれないしね」

『………………』

「君も、そろそろシロガネ山にばっかこもってないで、いい加減外に出てきなよ。他の地方にだって、強いポケモンはたくさんいるんだから」

『………………』

「興味はあるのね。けど、一人じゃ面倒だから行きたくないと」

『………………』

「嫌だよ。私だって、ハナダの洞窟に行きたいんだから。君のために外に行く時間なんてありませーん」

『………………』

「そだね。グリーンが今、シンオウに武者修行の旅に出てるみたいだし、お土産話に期待しよう」

『………………』

「うん。またね、次会うときはチャンピオンリーグの本戦だから。期待しててね、レッド」

 

 

 




 ニューサトシを客観的に見ると、やべー奴にしかならない件。

 一旦投稿は終わると言ったが、本編以外を投稿しないとは言っていない。とはいえ、これで本当に打ち止め感はあるので、また気まぐれに番外編を思いつかない限りはこれで終わりです。


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EX02 『ニューサトシの最初の印象2』

 シゲルにとって、サトシという少年に抱いた最初の印象は、『良くも悪くも気になる奴』というレベルのものだった。

 ポケモンの知識や対応は自分の方が上なのにやけに張り合ってくる。最初はただ身の程を知らない奴だとしか思わなかったが、段々とそのポケモンへの熱意は無視できなくなるレベルのものだった。

 

 ただ、それでもライバル視する程ではない。もし、旅に出るまでずっとこのままの関係だったなら、シゲルはサトシを自分より下に見たままだっただろう。

 

 問題が発生したのは、旅に出る丁度一年前のことだった。サトシがオーキド主催のポケモンキャンプで頭を打ち、熱を出して数日寝込むことがあったのだ。そして、それ以降、サトシは急に大人びた雰囲気を出すようになり、全く自分を相手にしなくなった。

 何を言っても、どう挑発しても、今までのようにこちらを相手にはせず、ひたすらにポケモンの知識を身に着けるために本を読んでいる。終いには、オーキド研究所に毎日通うようになりポケモン達の世話までし出したのだ。

 

 面白くなかったシゲルは当然のように自分の知識をサトシに披露して、自分の方が上だとアピールしていたのだが、ある日急にサトシが反撃をしてきた。

 自分ですら知らないポケモンや技の知識をマシンガンのように叩きこまれ、シゲルは言葉に詰まる。インチキを言うなと叫ぶことが出来なかったのは、サトシの口にした知識の一部が自分の知るものと合致していたからだ。

 

 その日から、シゲルはサトシを避けるようになった。今までずっと下に見ていたサトシの変貌に付いていけず怖くなってしまったのだ。

 

 しばらくすると、久しぶりに姉のナナミが帰って来るということでオーキド研究所に顔を出した。

 その頃にはサトシは完全にオーキド研究所の住人のようになっていて、もはや我が物顔で良く来たなと手を上げてくる。思わず、いつものように「君はどれだけ厚かましいんだサートシ君」と言いそうになったが、前回のことを思い出して軽く頭を下げるだけにした。

 

 サトシはナナミの手持ちが気になるようで、しきりに見せてくれと頼んでいる。部屋が少し狭いこともあって、出してくれたのは小柄なポケモンだけだったが、久しぶりに見た姉のポケモンはまた一段と成長しているのが見て分かった。

 

 サトシはピッピやイーブイを抱えながら、目をキラキラさせている。こういう所は前とあまり変わっていないようで少し安心した。

 

 しかし、その安心はすぐに驚きへと変わる。イーブイを抱きながら、サトシが「ナナミさんはイーブイをどれに進化させるんですか? やっぱり、ニンフィアかな?」と言い出したのだ。

 ニンフィアは別の地方で発見された新種のポケモンらしいのだが、そのことを知っているのはこの場ではオーキドだけだった。シゲルは勿論、ナナミも名前すら知らなかったし、それがイーブイの進化系であることはオーキドですら知らないことである。

 

 だが、サトシはそんなことどうでもいいとばかりに、「同じなつき進化であるエーフィやブラッキーも捨てがたいし、石進化もありだな」と頷いていた。「ちなみに、ニンフィアに進化させないならフェアリー技を忘れさせる必要があるので注意です」と、あたかも常識のように話している。

 思わず、「君は何を言っているんだ?」とツッコミを入れると、小声で「そういや、イーブイの進化って、この時点だと三種類くらいしか判明してないんだっけ……ま、いっか」と、呟いていた。

 

 そのままイーブイの進化先や進化方法について、詳しく解説しているサトシを見て、ポケモン研究の第一人者である祖父オーキドですら言葉が出ていない。どこでそんな知識を手に入れたのか聞くも、「キャンプで会った知らないおじさんが話してた」というあからさまな嘘をついて誤魔化していた。

 

 後日、姉からイーブイがニンフィアに進化したという手紙と写真が届いて確信する。サトシの言葉は全て正しかったのだ。

 

 自分がサトシに劣っていると明確に感じ始めたのはこの頃だった。オーキドの伝手で、四天王のワタルに会えることになったのだが、サトシはそこでも自分がついていけないレベルの質問を飛ばしていて、二人の間に割って入ることが出来なかった自分に何とも言えない気持ちを感じる。

 

 今まで、自分はサトシよりも上だった。

 

 それは誰の目から見ても明らかで、前にサトシが自分と張り合っていたのは、こちらが上だとわかっていたからだ。

 しかし、今のサトシはシゲルのことなど眼中にすら入れていない。久しぶりに釣りをした時にそれがハッキリとわかった。

 

 その日、偶然にも一緒に釣りをすることになり、お互いの釣竿にモンスターボールが引っ掛かったのだが、サトシはすぐに身を引いたのだ。欲しいならやると言わんばかりのその態度は、兄が弟におもちゃを譲るようなもので、相手が自分より下のレベルじゃないと絶対にしない行動だった。

 最初、シゲルは絶対にこのボールが欲しいと思った。子供なら誰だって旅に出る前にモンスターボールが手に入るなら、その機会を逃したいとは思わないだろう。

 

 だが、サトシはそんな自分をあざ笑うかのように、ボールを渡してきたのである。シゲルは思わず頭に血が上った。自分の行動が子供のもので、サトシの行動が大人の行動。そう理解し、自分が負けたと思わされたからだ。

 思わず、「君から施しを受ける日が来るとは思わなかったよ!」とボールを投げ返した。すると、サトシは困ったような顔で「別に施しのつもりはねーよ。欲しそうにしてたからやっただけじゃん」と、ボールを半分にしてこちらに渡してくる。

 

「お互いに譲り合っても無意味だろ。そうだな、いつかお互いにポケモントレーナーになって、本気の勝負で勝ったらその半分を相手に渡すってことでどーだ? 言うならライバルの証って所か」

 

 その言葉は、シゲルの胸を刺激した。今までずっと下だったサトシ。いつの間にか自分よりも上にいたサトシ。そのどちらもが、自分をライバルだと言ったのだ。

 

 負けたくない。シゲルは初めてそう思った。

 

「いいだろう。君を僕のライバルとして認めよう。サトシ!」

 

 その日からシゲルは、前以上にポケモンについての勉強をするようになった。今までたまにしか手伝わなかった研究所の手伝いもまめに行い、少しでもポケモンとの触れ合いを大事にした。

 わからないことは何でも聞いたし、何でも調べた。ライバルのサトシからですら、知らないことを教えて貰うようになった。

 

 それも全ては来たるべきサトシとのバトルのためだ。絶対に勝つという高いモチベーションが、シゲルを一つ上の世界へ送り出した。

 それは本来なら、旅をして世界を知り、負けを経験してから踏み込むべき領域だったが、サトシへのライバル心や劣等感が、その本来の道筋を省略させたのである。

 

「エレブーに進化前が存在することも知らないんですかね? じゃあ、逆にエレブーがエレキブースターを持って通信交換すれば進化するって知ってます? えー、あれだけ講釈垂れてたのに知らないの? 進化すると、エレキブルというポケモンになって、電気技を受けると効果を無効にして自身の速度を上げるんですよ。ちなみに、同じ進化としてブーバーにもブーバーンという進化先が居てだね。これもマグマブースターというアイテムを持って通信交換すると進化するんだわ。で、ブーバーンに進化すると――」

「こりゃサトシ! 子供相手に何しとる!」

「ゲッ。いえ、博士。このガ……お子様がエレブーのことを自慢げに話してたから、ちょっと話をしていただけですよ」

「どこからどう見ても泣いている子供を虐めているようにしか見えんわ!」

「いやいや、博士。ゆーて子供の喧嘩よ? 俺も子供だし、ほらサトシ君9ちゃい」

「何が9ちゃいじゃ、お前さんのような9歳がいるわけないじゃろう」

「こんなぷりちーな少年を前になんたる言いぐさ」

「お前さんとシゲルは特別枠じゃ。全く、何のためにこっち側にしたと思っておる。シゲルも見ていたのなら止めてやればいいものを」

「すみませんおじい様。ただ、あの状態のサトシに近づくとろくなことにならないのはおじい様もご存じでしょう?」

「それは、そうじゃな……」

「まことに遺憾である」

「ちなみに君は今、とんでもない爆弾発言をしていたんだからな」

「そうだっけ? どうも、中途半端な知識をひけらかす奴を見ると知識の暴力で殴りたくなるんだよな。俺の悪い癖だ」

「本当に悪い癖だよ。何より性質が悪いのは、相手を屈服させるのに夢中になるから自分が何を話していたか覚えていない所だ」

 

 こうして、シゲルはエレブーの進化方法を知った。#003『ポケモン 君に決められなかった』より一部抜粋。

 

 

 




 新しいパソコンは凄いぞ、APEXがぬるぬるできる。

 とりあえず、定期的に番外編を更新しつつ、ジョウト編を書いていこうと思います。キーボードがすげぇ奇麗なので使いやすいんですが、変換が前の変換を引き継いでくれていないのか、上手く変換できないのがたまにきず。


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おとくなけいじばん01

【第72回】ポケモンリーグセキエイ大会を語るスレpart1【優勝は誰だ?】

 

 

1:名無しのトレーナー

 このスレッドは今年のセキエイ大会について語るスレッドです。面白いトレーナー、強いトレーナー、みんなの推しトレを教えてくれ! でもリアルに迷惑をかけるのはNG!

 

2:名無しのトレーナー

 >>1

 スレ立て乙

 

3:名無しのトレーナー

 遂にこの季節がやってきたか

 

4:名無しのトレーナー

 ここ数年はあまり面白いトレーナーも強いトレーナーもいないからなぁ。今年は期待したいところ

 

5:名無しのトレーナー

 結構前にワタルとカンナ様が四天王入りしてからは四天王が入れ替わってないからな。そろそろ牙城を崩して欲しい感はある

 

6:名無しのトレーナー

 >>5

 チャンピオンリーグの話はスレが違うぞ。ここはセキエイ大会のスレだ

 

7:名無しのトレーナー

 で、今年はどんな奴がいんの?

 

8:名無しのトレーナー

 現地民いないん?

 

9:名無しのトレーナー

 ワイ、現地民。すげぇ奴見つけた

 

10:名無しのトレーナー

 >>9

 すげぇ奴?

 

11:名無しのトレーナー

 >>9

 何だ、伝ポケでも持ってたか?

 

12:名無しのトレーナー

 あの有名なオーキド博士の孫が今回の大会に参加してる。かなり強そう

 

13:名無しのトレーナー

 ほへー誰か知ってる奴いる? ちな、ワイは知らん

 

14:名無しのトレーナー

 マサラ民か。あそこは田舎だけど、たまにめちゃくちゃレベル高い奴出てくるんだよな

 

15:名無しのトレーナー

 >>12

 オーキド博士の孫って女の子? 確か、カントーのポケモンコンテストで有名って話聞いたことあるんだけど

 

16:名無しのトレーナー

 >>15

 男やね。ツンツン頭で、いかにも僕優秀ですって感じのタイプ

 

17:名無しのトレーナー

 そういう奴に限って弱かったりするんだよな

 

18:名無しのトレーナー

 いや、多分結構強いぞ。俺、カントーのジムで審判してるんだけど、孫君のバトル一度見たんだよね。レベル上限40だったけど、ジムリーダー圧倒してたわ

 

19:名無しのトレーナー

 レベル上限40ってことは6個目か。丁度、技マシンやレコードの縛りが消えるからジムリーダーが一気に強くなるんだよね

 

20:名無しのトレーナー

 それで圧倒できるなら確かに期待出来るな。何だかんだ6個目から脱落する奴多いし

 

21:名無しのトレーナー

 >>20

 おい、やめろ。その話は俺に効く

 

22:名無しのトレーナー

 40くらいからレベルなかなか上がんないんだよなぁ。かくいうワイも脱落組

 

23:名無しのトレーナー

 ここにいる奴らは大体脱落組だよ。つか、バッジ全部集められる実力があればこんな所には居ない

 

24:名無しのトレーナー

 >>23

 その通り過ぎて草w

 

25:名無しのトレーナー

 何だかんだリーグに出られるだけである程度強いからな。脱落組を初級者、中級者とするなら、出てくる奴らはみんな上級者よ

 

26:名無しのトレーナー

 毎年約200~300人くらい集まるけど、脱落者その十倍くらいいるもんな

 

27:名無しのトレーナー

 脱落者の話より参加者の話しろ。とりあえず、孫君は期待出来る一人ってことで。

 

28:名無しのトレーナー

 つか、孫君の名前は? 現地に居るなら名前くらいわかんねーの?

 

29:名無しのトレーナー

 一回戦明日からだからな。流石にわからないんじゃね?

 

30:名無しのトレーナー

 そうね。噂で強そうな奴って話聞いただけだし

 

31:名無しのトレーナー

 ワイ、ポケモンリーグの関係者。今、凄い話を聞いた

 

32:名無しのトレーナー

 >>31

 凄い話?

 

33:名無しのトレーナー

 今回の大会にチャンピオンの知り合いが参加してるらしい

 

34:名無しのトレーナー

 >>33

 ちょっ、マジかよ

 

35:名無しのトレーナー

 >>33

 チャンピオンってレッドさんだよな? 未だに無敗の伝説をキープしてる

 

36:名無しのトレーナー

 みんなのよく知ってるレッドさんであってるよ。だから、関係者の中ではその子が優勝するんじゃ無いかって噂で持ちきり。

 

37:名無しのトレーナー

 レッドさんは凄いんだよな。前チャンピオンの指名って形でチャンピオン入りして、その場でカントー四天王を全抜きした伝説は今でも忘れられん

 

38:名無しのトレーナー

 あれで文句言ってた奴全員黙ったからな。ポケモントレーナーならレッドさんのレベルが違うのは一目瞭然だし

 

39:名無しのトレーナー

 はいはいスレが違うよ。レッドさんの話なら、レッドさんスレにいきな

 

40:名無しのトレーナー

 >>33

 名前はわかるか?

 

41:名無しのトレーナー

 レッドさんと同じで本名じゃないっぽいけど、ブルーって名前で登録してるな。ちな、可愛い女の子

 

42:名無しのトレーナー

 勝ったな

 

43:名無しのトレーナー

 ああ

 

44:名無しのトレーナー

 何が勝ったんだがよく知らんが、とりあえずブルーちゃんと孫君が今回の注目株か

 

45:名無しのトレーナー

 ジムリーダーってリーグ参加出来るんだっけ?

 

46:名無しのトレーナー

 >>45

 ジムリーダーは参加出来ないだろ

 

47:名無しのトレーナー

 >>45

 ジムリーダーはあくまでリーグ出場者の登竜門。参加権利は当然無い

 

48:名無しのトレーナー

 ニビのジムリーダーやってたタケシさんがいたような気がしたんだけど

 

49:名無しのトレーナー

 タケシって、あのタケシ? イワーク使いの?

 

50:名無しのトレーナー

 良くジョーイさんにデレデレしてたあの?

 

51:名無しのトレーナー

 そのタケシさん。他に二人くらい連れが居たけど

 

52:名無しのトレーナー

 ジムリーダー止めて参加したのかな?

 

53:名無しのトレーナー

 いや、ジムリーダー資格あれば、リーグ参加しなくてもチャンピオンリーグ参加権利あったはず。俺、セキチクジムのジムトレーナーなんだけど、キョウさんが来年のチャンピオンリーグに参加するつもりって言ってた

 

54:名無しのトレーナー

 ってことは、付き添いかね

 

55:名無しのトレーナー

 ってか、タケシがニビにいないってことはジム閉鎖してんの?

 

56:名無しのトレーナー

 俺、ニビ民。どうも親父さんが帰ってきてジムリーダー交代したっぽい。母ちゃんが言ってたわ

 

57:名無しのトレーナー

 タケシが付き添ってるならそこそこ強いのでは?

 

58:名無しのトレーナー

 >>45

 一緒に居た奴は?

 

59:名無しのトレーナー

 いやぁ、すれ違っただけだからよく見てない。男と女だったのはわかるけど

 

60:名無しのトレーナー

 THE役立たず

 

61:名無しのトレーナー

 仕方ないやん! 一瞬だったんだもん! タケシさんに気付いただけ褒めてよ!

 

62:名無しのトレーナー

 まぁ、後は明日にならないとわかんねーな

 

63:名無しのトレーナー

 実際のバトルで隠れてた逸材がいるかもしれないしな

 

 

334:名無しのトレーナー

 何だかんだようやく本番始まったな

 

335:名無しのトレーナー

 この時期はどのチャンネルつけてもリーグで楽しいわ

 

336:名無しのトレーナー

 4チャンネルで氷のフィールドの一回戦第一試合やってるけど、早速孫君出てきたわ

 

337:名無しのトレーナー

 シゲル君やね。パルシェン一体で相手のポケモン二体抜きしてるわ

 

336:名無しのトレーナー

 俺も見てる。噂に違わぬ実力で期待出来そう

 

337:名無しのトレーナー

 パルシェンのとげキャノンが全弾出てるってことはスキルリンクか

 

338:名無しのトレーナー

 地味に厄介なんだよな。相殺しようにも数が多くて防ぎきれないし

 

339:名無しのトレーナー

 あ、三体目が倒れた。レベル差も結構あるなこれ

 

340:名無しのトレーナー

 おい、草のフィールド見てみ。なかなか面白いぞ

 

341:名無しのトレーナー

 ワイも見てるわ。このムサリーノってトレーナーなかなか強い

 

342:名無しのトレーナー

 今見た。状況はどんなん?

 

343:名無しのトレーナー

 どっちも一体ずつ戦闘不能で普通に見えるけど?

 

344:名無しのトレーナー

 いや、このムサリーノ、一体目がアーボックで二体目がマタドガスなんよ。タイプめっちゃ被ってるんだけど、戦い方が上手いから相手が翻弄されてる

 

345:名無しのトレーナー

 えんまくで姿を隠してどくどくって、めっちゃセコイけど強いなw

 

346:名無しのトレーナー

 変化技を上手く使えるトレーナーはいいぞ。最近の子は攻撃技ばっかで変化技の使い方が下手くそだからなぁ

 

347:名無しのトレーナー

 尚、俺らも上手く使えるとは言っていない

 

348:名無しのトレーナー

 それな!

 

349:名無しのトレーナー

 それな!

 

350:名無しのトレーナー

 シゲル君が無駄に早いから、氷は第二試合が始まったな

 

351:名無しのトレーナー

 ブルーちゃんまだー?

 

352:名無しのトレーナー

 まだやね。お、マタドガス戻した。ムサリーノの三体目はサワムラーか

 

353:名無しのトレーナー

 相手がケンタロスだから相性はいいな。欲を言えばどくどく撒いてから交代が理想だったが

 

354:名無しのトレーナー

 開幕とびひざげりw 相手は死ぬw

 

355:名無しのトレーナー

 良いところ決まったなw ありゃ立てんわw

 

356:名無しのトレーナー

 走ってくるケンタロスにノータイムでとびひざげりかましてたからな。ありゃ天才だわ

 

357:名無しのトレーナー

 氷のフィールドの二試合目に出てきたアキラって奴まぁまぁ強いぞ。ラッタのひっさつまえばで二体抜きしてる

 

358:名無しのトレーナー

 水の第一試合は無難だったわ。どっちが勝ってもおかしくなかったけど、特別強そうって感じじゃなかった

 

359:名無しのトレーナー

 岩の第一試合も同じやわ。シゲル君やムサリーノくらいの個性が欲しいよな

 

360:名無しのトレーナー

 ムサリーノは強さよりもネタ感が強いけどなw

 

361:名無しのトレーナー

 面白いからいいんだよ!

 

362:名無しのトレーナー

 エンターテイナー性もトレーナーに重要なファクターよ

 

363:名無しのトレーナー

 実際、チャンピオンリーグ本戦でも面白い奴が人気だしな

 

364:名無しのトレーナー

 >>363

 キングの話はやめろw

 

365:名無しのトレーナー

 >>363

 名前にキングのつくポケモン以外使わないという天才の話はそこまでだw

 

366:名無しのトレーナー

 あいつ、どうやって地方リーグ優勝したんだろうな。一体はコイキングだぞ?

 

367:名無しのトレーナー

 おまけに色違いの金のコイキングよ

 

368:名無しのトレーナー

 コイキングの癖にとびはねたり、ハイドロポンプ撃ったりするから最初見たときは二度見したわ

 

369:名無しのトレーナー

 おまけに雨にすると加速するぞ

 

370:名無しのトレーナー

 お前ら、スレ違いだぞ。そろそろしっかり一回戦見ろ

 

371:名無しのトレーナー

 って言ってもなぁ

 

372:名無しのトレーナー

 今の所、目立つ奴いないじゃん

 

373:名無しのトレーナー

 水のフィールドのアズマオウ結構つよそーよ

 

374:名無しのトレーナー

 岩のフィールドのカイロスもまぁまぁ

 

375:名無しのトレーナー

 けど、名前覚える程じゃないね

 

376:名無しのトレーナー

 まぁ、まだ本命のブルーちゃんが残ってるから

 

377:名無しのトレーナー

 今日とは限らないけどな。何だかんだ250人くらい参加者いるし

 

378:名無しのトレーナー

 一回戦だけで三日かかるからな

 

379:名無しのトレーナー

 今はふるい落としの段階だからな。やっぱ、本番は五回戦からよ

 

380:名無しのトレーナー

 そうね。ベスト16辺りからは平均的に強くなってくるイメージ

 

381:名無しのトレーナー

 シゲル君はともかく、ムサリーノはどこまで行けるかね

 

382:名無しのトレーナー

 わかんねーな。強い奴も運が悪いと負けたりするし、こればかりはやってみないとわからない

 

383:名無しのトレーナー

 何だかんだ三試合目始まったな

 

384:名無しのトレーナー

 水のフィールドのコームって奴、なんか女に人気っぽいな

 

385:名無しのトレーナー

 そういや、何か前にテレビで特集組まれてたわ

 

386:名無しのトレーナー

 へぇ、強いん?

 

387:名無しのトレーナー

 少なくとも、今までのパッとしない奴らよりは強いっぽい。見た目も良くてそこそこテクニックあるから女性人気が凄いんだよな

 

388:名無しのトレーナー

 ムカつくわ。負けてくれ

 

389:名無しのトレーナー

 >>388

 ストレートすぎるw

 

390:名無しのトレーナー

 対戦相手のサトシ君に期待やな

 

391:名無しのトレーナー

 つか、サトシ君のベンチにタケシいねぇ?

 

392:名無しのトレーナー

 >>391

 マジ?

 

393:名無しのトレーナー

 >>392

 一瞬だったけどカメラに写った

 

394:名無しのトレーナー

 そういや昨日もタケシの目撃証言あったな。なら、サトシ君もタケシがコーチについてるかもしれないのか

 

395:名無しのトレーナー

 期待出来るかも

 

396:名無しのトレーナー

 コームはナッシーで、サトシ君はクラブか

 

397:名無しのトレーナー

 サトシ君のクラブちっちゃw

 

398:名無しのトレーナー

 こりゃ、無理そうだ

 

399:名無しのトレーナー

 は?

 

400:名無しのトレーナー

 え? ワンキル? ってか、進化してるし

 

401:名無しのトレーナー

 サイコウェーブを水に入って避けたのはわかったけど、その次はいわなだれか? つか、移動早すぎ

 

402:名無しのトレーナー

 クラブが進化した以外に何が起きたのか良く分かんねーよ! 教えてエロい人!

 

403:名無しのトレーナー

 多分やけど、サトシ君コームの技先読みしたっぽい

 

404:名無しのトレーナー

 俺もそう思うわ。クラブの動きが速すぎる。いくらスピード重視に育ててもあんな速度で詰められる訳がない

 

405:名無しのトレーナー

 つまり、どういうことだってばよ?

 

406:名無しのトレーナー

 説明したいけど、次が始まったわ。全部終わったらまとめる

 

407:名無しのトレーナー

 コームはシードラだな

 

408:名無しのトレーナー

 サトシ君はキングラー続投か。って、れいとうビーム使えるのか優秀だな

 

409:名無しのトレーナー

 コームはこうそくいどうで素早さ上げてきたな。キングラーは早いポケモンじゃないしこのままじゃ危なそう。って書いてたら何これw

 

410:名無しのトレーナー

 れいとうビームで凍った氷に滑るとかw

 

411:名無しのトレーナー

 キングラーも遠慮無くギガインパクトしたなw

 

412:名無しのトレーナー

 これはコームの不注意やろ。滑るのを考慮に入れないのはマイナス

 

413:名無しのトレーナー

 何だかんだ二連勝な件

 

414:名無しのトレーナー

 三体目はゴルバットか

 

415:名無しのトレーナー

 れいとうビームあるし、勝ったな

 

416:名無しのトレーナー

 つか、さっきのサトシ君が相手の技を先読みしてるって話聞きたいんだけど

 

417:名無しのトレーナー

 お、かげぶんしんうめぇ

 

418:名無しのトレーナー

 あー、でも凍ったな

 

419:名無しのトレーナー

 結局、サトシ君の三連勝か。なかなかやるやん

 

420:名無しのトレーナー

 >>416

 コームのナッシーが開幕サイコウェーブ撃って、クラブは水中に逃げた訳だけど、その時点でサトシ君は追撃にエスパー技が来るってわかってたっぽいのよ。で、クラブにいわなだれを指示して集中を邪魔した。エスパー技は強力だけど集中力がいるから一撃攻撃当てるだけで邪魔できるし、その間に距離を詰めてハサミギロチン。相手がナッシーならたまごばくだんみたいな技で追撃もあったけど、サトシ君はコームの言動から技をエスパー技だと推測したんだろうね。でなければ、あのタイミングでいわなだれは出せないし、クラブもあそこまで簡単に距離を詰められなかったはず。

 

421:名無しのトレーナー

 語るやん

 

422:名無しのトレーナー

 実際、動きに無駄がなさ過ぎたよな。動きを読んでなきゃ無理なレベル

 

423:名無しのトレーナー

 ってことは、れいとうビームで滑らせたのも狙ってたってこと?

 

424:名無しのトレーナー

 可能性はあるね

 

425:名無しのトレーナー

 流石はタケシがコーチについているだけのことはある

 

426:名無しのトレーナー

 そういえばそうだったな

 

427:名無しのトレーナー

 とはいえ、タケシの指示って感じじゃなかったし、純粋にサトシ君がバトル上手い

 

428:名無しのトレーナー

 これは期待が出来そうだ

 

429:名無しのトレーナー

 タケシがいるから期待出来そう→クラブを見てこりゃだめだ→勝ってやっぱり期待出来そう。この手のひらの大回転ぶりよ

 

430:名無しのトレーナー

 ワイらの見る目のなさが良く分かるw

 

431:名無しのトレーナー

 でも、気持ちは分かるで。あのクラブ見たら馬鹿にしたくなる

 

432:名無しのトレーナー

 実際は進化した上、三体抜きの猛者だったけどな

 

433:名無しのトレーナー

 サトシ君には次も頑張って貰いたいもんだ

 

 

 

 




他人から見たポケモンリーグを書くなら掲示板形式が楽だと思ったのですが、想像以上に書くのが大変でした。普段、掲示板形式で作品を書いてる人は本当に凄いです。

好評なら続くかもしれません。




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おとくなけいじばん02

【第72回】ポケモンリーグセキエイ大会を語るスレpart4【優勝は誰だ?】

 

 

178:名無しのトレーナー

 今日から二回戦やな

 

179:名無しのトレーナー

 結局、注目株はブルー、シゲル、アキラ、ムサリーノ、サユリ、ヒロシ、カオルコ、ジョージ、サトシ、ユウタくらいか

 

180:名無しのトレーナー

 10人もいると言うべきか、10人だけと言うべきか

 

181:名無しのトレーナー

 だけやろ。去年はもうちょっと多かった

 

182:名無しのトレーナー

 まぁ、たくさん居すぎても追いきれないかもしれないしいいんじゃね?

 

183:名無しのトレーナー

 それにこれから注目したくなる奴が出てくるかも知れないし

 

184:名無しのトレーナー

 確かに、一回戦だけじゃ実力測れんしな

 

185:名無しのトレーナー

 逆に期待外れの奴とかもいるかもしれないぞ

 

186:名無しのトレーナー

 今、名前の上がった10人はそこそこレベル高いと思うけどな

 

187:名無しのトレーナー

 で、今日出番のある奴は?

 

188:名無しのトレーナー

 午前だと、岩の第二試合にサトシ、草の第四試合にシゲル、水の第五試合にムサリーノやな。午後はまだ名前出てない

 

190:名無しのトレーナー

 サトシ君が一番手か。昨日は派手に三体抜きしたんだよな

 

191:名無しのトレーナー

 昨日の夜にハイライト見たわ。あのキングラーは強いぞ。よく育てられてる

 

192:名無しのトレーナー

 尚、試合前はクラブが小さくて散々馬鹿にされていた模様

 

193:名無しのトレーナー

 でも、れいとうビームやいわなだれ、ギガインパクトなんかはレベルじゃ覚えないからな。技マシンや技レコードはかなり高いし、覚えさせるのだって一苦労だぞ

 

194:名無しのトレーナー

 実際、ポケモンに技マシンやレコード抜きで技覚えさせるのかなり大変だからな。下手すると半年とか一年くらいかかる

 

195:名無しのトレーナー

 サトシ君は裕福な子なのかね? ぱっと見は成金って感じじゃ無いけど

 

196:名無しのトレーナー

 もし、実力で覚えさせたなら尚期待出来るな

 

197:名無しのトレーナー

 水は四つのフィールドで一番適応が難しいんだよな。他のフィールドよりも使うタイプが偏るし、そこで三体抜きしたのはマジで評価高い

 

198:名無しのトレーナー

 水、飛行が選ばれがちだよな。後はその両方をメタって電気とか

 

199:名無しのトレーナー

 タイプが偏るとバトルの組み立ても難しいんだよ。ジムリーダーとかはその辺りマジで尊敬するわ

 

200:名無しのトレーナー

 逆に岩は陸上適正さえあれば何でも出せるからな。サトシ君がどういうポケモンを出してくるか

 

201:名無しのトレーナー

 第一試合も無難に進んでるな。今の所、どこも互角だわ

 

202:名無しのトレーナー

 こいつらも強いのは強いけど、やっぱりこうこれといって目立ったものがないんだよ

 

203:名無しのトレーナー

 ワイらは長年このスレで目を肥やし過ぎてしまった。もうそこらのトレーナーでは満足出来ん体になっとる

 

204:名無しのトレーナー

 眼だけで、中身クソ弱いけどな

 

205:名無しのトレーナー

 エアプトレーナーばっかよ、ここは

 

206:名無しのトレーナー

 おう、お前ら待たせたな。現地民のワイがいろいろ情報をかき集めて来たで

 

207:名無しのトレーナー

 わーい

 

208:名無しのトレーナー

 情報だいすきー

 

209:名無しのトレーナー

 >>206

 で、誰の情報?

 

210:名無しのトレーナー

 10人の中の6人、ブルー、シゲル、アキラ、カオルコ、ジョージ、サトシの情報や。誰から聞きたい?

 

211:名無しのトレーナー

 >>210

 ブルーちゃん以外いねぇだろ

 

212:名無しのトレーナー

 >>210

 シゲルやアキラ、サトシなんかも気になるけど、やっぱブルーちゃんやな

 

213:名無しのトレーナー

 >>210

 カオルコちゃん

 

214:名無しのトレーナー

 >>210

 試合が近いサトシ君

 

215:名無しのトレーナー

 >>210

 ブルー

 

216:名無しのトレーナー

 >>210

 ブルーちゃん一択。レッドさんの知り合いやぞ

 

217:名無しのトレーナー

 うむ、ブルー意見が多いから、ブルーから話すわ

 

218:名無しのトレーナー

 >>210

 ブルー

 

219:名無しのトレーナー

 >>210

 サトシ君

 

220:名無しのトレーナー

 >>217

 よし

 

221:名無しのトレーナー

 >>217

 全裸待機!

 

222:名無しのトレーナー

 >>217

 一回戦も余裕の三タテだったからな。期待

 

223:名無しのトレーナー

 >>221

 服を着ろ

 

224:名無しのトレーナー

 ブルーが知り合いと話してるのを見つけたんや。麦わら帽子被ってるからすげぇ目立っててさ。で、ちょいとその後に麦わら君にお話を聞かせて貰ったんやけど、やはりレッドさんと知り合いなのは間違いないっぽいわ

 

225:名無しのトレーナー

 >>224

 それは昨日聞いた

 

226:名無しのトレーナー

 >>224

 それは昨日ワイが書いた

 

227:名無しのトレーナー

 その友人の麦わら君曰く、ブルーはレッドさんと違ってバトルよりもゲットの方が好きらしい。ゲットというよりも、珍しいものを集めるのが好きみたいやな。だから新種のポケモンを探すためにハナダの洞窟に行きたいって言ってたで

 

228:名無しのトレーナー

 ハナダの洞窟ね。なーる、だからポケモンリーグに出てきたのか

 

229:名無しのトレーナー

 何で今まで無名だったのか不思議だったけど、ゲット専なら納得だわ

 

230:名無しのトレーナー

 >>228

 何でハナダの洞窟に行きたいとポケモンリーグに出るのが納得できんの?

 

231:名無しのトレーナー

 >>230

 それ。俺も良くわからんわ

 

232:名無しのトレーナー

 >>230、231

 ハナダの洞窟はシロガネ山とかと一緒で、危険地域に指定されているから一般のトレーナーは入れないのよ。ポケモンレンジャーみたいな専門職か、四天王やチャンピオンなんかだと入れるから、多分それを狙ってんだろうって話

 

233:名無しのトレーナー

 つまりブルーは当然優勝狙いで、四天王やチャンピオンの座も狙ってるってこと?

 

234:名無しのトレーナー

 >>233

 そうなるな

 

235:名無しのトレーナー

 凄い自信だよな。俺がブルーならまだポケモンレンジャーになる方を狙うわ

 

236:名無しのトレーナー

 でも、ポケモンレンジャーも簡単になれるもんじゃないし、いろいろ縛られるらしいじゃん。それにレンジャーになってすぐの新人じゃハナダの洞窟に行く許可なんか下りないだろうし

 

237:名無しのトレーナー

 自分の実力に自信があるなら、リーグを勝ち抜く方が早いわな

 

238:名無しのトレーナー

 麦わら君曰く、ブルーも実力だけなら相当強いらしい。身内の贔屓目なしでも四天王になってもおかしくないって言ってたわ

 

239:名無しのトレーナー

 こりゃ、優勝決まったか?

 

240:名無しのトレーナー

 とりあえず、ブルーが優勝候補筆頭なのは間違いない

 

244:名無しのトレーナー

 おい、そろそろサトシ君の試合始まるぞ

 

245:名無しのトレーナー

 おっ、来たか

 

246:名無しのトレーナー

 サトシ君も割と実力派っぽいから楽しみや

 

247:名無しのトレーナー

 そのサトシだが、どうもこいつもマサラタウン出身みたいやな。一回戦前に飯食ってるの見つけて、近くで聞き耳立ててたんやけど、シゲルとはライバルらしいで

 

248:名無しのトレーナー

 またマサラか

 

249:名無しのトレーナー

 シゲルといい、サトシといい、見た目からしてまだ子供だろ。どういう育ち方したらあんなレベルのトレーナーになるんだよ

 

250:名無しのトレーナー

 出てきたな。そういえば、一回戦見てた時も思ったんだけど、何でサトシ君はピカチュウをボールに入れずに出しっぱなしにしてるんだ? 

 

251:名無しのトレーナー

 >>250

 それは俺も思った。後、ベンチにいる女の子が抱えてる小さいポケモンなに? 見たことないんだけど?

 

252:名無しのトレーナー

 小さいポケモン? あ、ほんとだ。何か抱えてる

 

253:名無しのトレーナー

 カントーのポケモンじゃないっぽいな。図鑑に載ってない

 

254:名無しのトレーナー

 他地方のポケモンか。珍しいもん持ってるな

 

256:名無しのトレーナー

 まぁ、珍しいポケモンは置いて、今はサトシ君の試合に集中って何だああああああああああああああああああああああああああああああああああ!?

 

257:名無しのトレーナー

 なんだあれやべぇ!?

 

257:名無しのトレーナー

 怪獣だああああああああああああああああああ!!

 

259:名無しのトレーナー

 うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!

 

260:名無しのトレーナー

 おわああああああああああああああああああああああああああああああ!!

 

261:名無しのトレーナー

 でっっっか。何あれ、見たことないけど!?

 

262:名無しのトレーナー

 すげぇもん出て来たな。サイドンに似てるけど、サイドンよりでかい

 

263:名無しのトレーナー

 サイドンの進化形?

 

264:名無しのトレーナー

 サトシ君、なんちゅうとんでもねぇもん出してくるんだ。マイクが観客の歓声まで拾ってテレビがうるせぇw

 

265:名無しのトレーナー

 しかし、凄いな。多分、サイドンの進化形なんだろうけど、ただでさえ強いサイドンにまだ先の進化があったのか

 

266:名無しのトレーナー

 つーか、サトシ君のあのドヤ顔よ。こいつ、間違いなく目立つの好きだろw

 

267:名無しのトレーナー

 じしんを早速かました辺り、やっぱ地面タイプっぽいな

 

268:名無しのトレーナー

 つーか。威力やばw いくら相手がビリリダマだって言ってもワンパンかよ

 

269:名無しのトレーナー

 で、相手の二体目はゴローニャか。交換で進化するポケモンは育成しやすいから、みんな結構持ってるよな

 

270:名無しのトレーナー

 けど、フーディンやゲンガーはやっぱレアよ。そもそもあいつら捕まえられねーし

 

271:名無しのトレーナー

 ケーシィはすぐ逃げるし、ユンゲラーは鬼強いからな。ゴースやゴーストなんかは、すぐに姿くらますから捕まえらんねー

 

272:名無しのトレーナー

 お、サトシ君もポケモン戻したな

 

273:名無しのトレーナー

 えーもうちょっと見させてくれよー

 

274:名無しのトレーナー

 二体目はヤドランか。普通に相性ついてきたな。ぶっちゃけ、あのポケモンのパワーならゴローニャ倒せたと思うけど、無理はさせないってことか

 

275:名無しのトレーナー

 一回戦ではキングラーで三タテしたんだし、今回もあのでかいポケモンで三タテするかと思った

 

276:名無しのトレーナー

 でも、このヤドランもつえーぞ。なみのりでゴローニャワンキルしてる

 

277:名無しのトレーナー

 がんじょうじゃないのか

 

278:名無しのトレーナー

 まぁ、特性は個性だしそこは仕方ない

 

279:名無しのトレーナー

 お相手の最後のポケモンはニドリーノか。こりゃ、決まったな

 

280:名無しのトレーナー

 サトシ君もヤドラン続行みたいね。あー、サイキネでワンキルされてるw

 

281:名無しのトレーナー

 しっかし、あのポケモンなんだ? 初めて見た

 

282:名無しのトレーナー

 誰か他地方のポケモンに詳しい奴いねーの?

 

283:名無しのトレーナー

 俺氏、今会場。どうも、周りの話を耳にすると、あのポケモンはドサイドンって名前らしい

 

284:名無しのトレーナー

 名前からして、サイドンの進化形で間違いないな

 

285:名無しのトレーナー

 ワイ氏、またも麦わら君と再会。どうも、あのドサイドンはシンオウで進化が確認されたサイドンの進化形らしい

 

286:名無しのトレーナー

 シンオウ? サトシ君はマサラ出身だろ

 

287:名無しのトレーナー

 進化方法だけ知ってたって感じかな。俺も進化させたいから教えて欲しいわ、まだサイホーンだけど

 

288:名無しのトレーナー

 >>285

 良く合うな麦わら君w

 

289:名無しのトレーナー

 >>285

 ブルーの知り合いってことはレッドさんの知り合いでもあるんだろ? そこそこ強いんじゃないの?

 

290:名無しのトレーナー

 >>289

 うーん、どうだろ。ひょろっとしてるし、あんまり強そうには見えん。本人も「僕なんか、あの人たちに比べたら全然ですよ」って笑ってるし

 

300:名無しのトレーナー

 まぁ、レッドさんやブルーちゃんレベルのトレーナーがそんなポンポンいたらそれはそれで怖いわ

 

301:名無しのトレーナー

 でも、サトシ君も強さだけならブルーにも負けてないんじゃね?

 

302:名無しのトレーナー

 確かにな。まだポケモンを一体も戦闘不能にしてないし

 

303:名無しのトレーナー

 次はそのライバルのシゲル君やな。まだ時間あるし、トイレ行ってくるわ

 

 

444:名無しのトレーナー

 シゲル君のブーバー強すぎて草

 

445:名無しのトレーナー

 やっぱ、ブルーとシゲルは頭一つ抜けてるわ。今の所、一体で全抜きしてるし

 

446:名無しのトレーナー

 サトシ君も一体も倒れていないという意味では負けてないんじゃね? ドサイドンで三タテも出来ただろうし

 

447:名無しのトレーナー

 次はムサリーノか。ムサリーノは実力だけだとそこまで高くないんだよな

 

448:名無しのトレーナー

 昨日は面白いバトルを見せてくれたけど、今回はどうなるか

 

449:名無しのトレーナー

 ぶっちゃけ、負けてもおかしくはない

 

450:名無しのトレーナー

 面白い奴はなかなか長生きしないからな

 

451:名無しのトレーナー

 キングのバトルはエンターテイメントでなければならない!!(金コイ)

 

452:名無しのトレーナー

 おっと、キングの悪口はそこまでだ

 

453:名無しのトレーナー

 あいつも本気でやってるから性質が悪い

 

454:名無しのトレーナー

 でも、ケッキングとかいう他地方のポケモンは強そうだったぞ

 

455:名無しのトレーナー

 パワーはあるけど、あいつ一回戦ったら休むじゃん

 

456:名無しのトレーナー

 なまけって特性らしい。一度攻撃したら次はなまける

 

457:名無しのトレーナー

 出す技全部はかいこうせんみたいな反動がつくってことやん。いくらパワーあっても厳しすぎるわ

 

458:名無しのトレーナー

 まぁ、だからキングもチャンピオンリーグで敗退したんだよ

 

459:名無しのトレーナー

 地方リーグ勝っただけでも十分な成果やろw

 

460:名無しのトレーナー

 無駄話はそこまでだ。バトルが始まるぞ

 

461:名無しのトレーナー

 ムサリーノの一体目は昨日と同じでアーボックか。お相手はパウワウ

 

462:名無しのトレーナー

 つか、アーボック普通に水の中入ったぞw

 

463:名無しのトレーナー

 え、水に適正ありましたっけ?

 

464:名無しのトレーナー

 ねーよ

 

465:名無しのトレーナー

 これよこれw エンターテイナーだわー

 

466:名無しのトレーナー

 つか、いい加減水中カメラ視点用意しろや。水の中じゃ何にも見えねーじゃん

 

467:名無しのトレーナー

 何か指示はしてるっぽいな。トレーナーの声まで拾えてないからわからないけど

 

468:名無しのトレーナー

 実況も困っちゃってんじゃん

 

469:名無しのトレーナー

 水が濁ってるな。毒技指示してるっぽいけど、水の中だと液体系の技は効果半減するぞ

 

470:名無しのトレーナー

 みずでっぽうとかすぐに水に混ざるんよな。ヘドロこうげきやヘドロばくだんなんかもアウトや

 

471:名無しのトレーナー

 うーむ、どうもムサリーノは水場でのバトルが初めてっぽいな。何か探り探りな感じ

 

472:名無しのトレーナー

 アーボックが上がって来たな。流石に息が持たないか

 

473:名無しのトレーナー

 ちょこちょこ傷ができてるから、多分パウワウの物理技くらったっぽい

 

474:名無しのトレーナー

 パウワウは上がって来ないな。まぁ、自分から地の利捨てるような馬鹿な真似はしないわな

 

475:名無しのトレーナー

 お、ムサリーノがアーボックを戻した

 

476:名無しのトレーナー

 温存か。まぁ、普通に不利だしな

 

477:名無しのトレーナー

 二体目はギャラドスか。普通に水タイプ持ってんのか

 

478:名無しのトレーナー

 最初から出せばいいのに。でんきタイプを警戒したんかな?

 

479:名無しのトレーナー

 おー、また水の中へ

 

480:名無しのトレーナー

 だから水中カメラを用意しろとあれほど

 

481:名無しのトレーナー

 お、ギャラが上がって来た。パウワウ咥えてる

 

482:名無しのトレーナー

 かみつくかかみくだくで無理やり連れてきたのかw

 

483:名無しのトレーナー

 はかいこうせん!

 

484:名無しのトレーナー

 はかいこうせん!

 

485:名無しのトレーナー

 なかなか威力の高いはかいこうせんやな。パウワウが一撃で沈んだで

 

486:名無しのトレーナー

 アーボック戦でのダメージもあったんじゃね?

 

487:名無しのトレーナー

 お相手氏の二体目はスターミーか

 

488:名無しのトレーナー

 無難に水だな

 

489:名無しのトレーナー

 でも、スターミーは10まんボルト覚えるぞ

 

490:名無しのトレーナー

 覚えさせてればギャラがきついか

 

491:名無しのトレーナー

 お、ムサリーノがギャラドス戻した

 

492:名無しのトレーナー

 戻したか。やっぱ、電気技ケアしてんだな

 

493:名無しのトレーナー

 三体目出してきた。ウツボットだ

 

494:名無しのトレーナー

 ウツボットか。エスパーが刺さるな

 

495:名無しのトレーナー

 つか、アーボックとウツボットでタイプ被りまくりw 一回戦ではマタドガスやサワムラー使ってたし、エスパーの一貫性が半端ねぇw

 

496:名無しのトレーナー

 毒タイプが多いよな。拘りがあるんかね

 

497:名無しのトレーナー

 育てるタイプが被る人もそう珍しくもないやろ

 

498:名無しのトレーナー

 俺なんか炎タイプ三体いるし

 

499:名無しのトレーナー

 俺も虫タイプ多いわ。普通だろこんくらい

 

500:名無しのトレーナー

 普通じゃねーよ。ポケモンリーグだぞ、ポケモンの相性偏ったりしたら対策されて終わりじゃねーか

 

501:名無しのトレーナー

 水タイプ四体で偏ったキングの話するか?

 

502:名無しのトレーナー

 まぁ、不利になるのは確かだけど、そこはトレーナーの腕だろ。後、キングの話はもうい

 

503:名無しのトレーナー

 ムサリーノは上手いこと、変化技でスターミーのエスパー技避けてるな。一回戦もそうだったけど、変化技の使い方が上手いわ

 

504:名無しのトレーナー

 かげぶんしんからのどくどくでめっちゃ逃げてる

 

505:名無しのトレーナー

 けど、水場は逃げ場が少ないねん。あ、捕まった

 

506:名無しのトレーナー

 うーむ、エスパー技は強い

 

507:名無しのトレーナー

 アーボック出して来たな。ギャラドス倒されたらきついもんな

 

508:名無しのトレーナー

 めっちゃ、かみつこうとしてるw

 

509:名無しのトレーナー

 そりゃ弱点だけどさw

 

510:名無しのトレーナー

 あー、サイキネが刺さる

 

511:名無しのトレーナー

 いや、でも諦めてないぞ。ヘドロばくだん投げてる

 

512:名無しのトレーナー

 弱点技くらってまだ足掻けるのか、耐久力あるよな

 

513:名無しのトレーナー

 けど、これでアーボックも戦闘不能や

 

514:名無しのトレーナー

 後はギャラだけか、厳しいなぁ。突飛な攻撃が多い割にクレバーな所があって、見てて楽しいから勝て欲しいけど

 

515:名無しのトレーナー

 はかいこうせん!

 

516:名無しのトレーナー

 はかいこうせん!

 

517:名無しのトレーナー

 お前、はかいこうせんしかしねぇじゃねーかw

 

518:名無しのトレーナー

 いや、でも逆に凄いわ。はかいこうせんって反動有るからあまり使われないし、見てて気持ちいい

 

519:名無しのトレーナー

 どくどくのダメージもあってワンキルしたな

 

520:名無しのトレーナー

 そういえば、ワンキル出来ると、ポケモンを交換する間に反動が消えるんだよな。ワタルがよくやってる

 

521:名無しのトレーナー

 テクの一つだよな。ムサリーノも狙ってんのかね?

 

522:名無しのトレーナー

 いやー、あの感じは素じゃないかと思われ

 

523:名無しのトレーナー

 それな。はかいこうせんの威力圏内に入れるために猛毒の時間稼ぐならもっと立ち回りあったやろ

 

524:名無しのトレーナー

 結果的に勝ててるんだから良し。お相手の最後はピジョットか

 

525:名無しのトレーナー

 普通に飛行タイプか。相性的には普通やな

 

526:名無しのトレーナー

 はかいこうせん!

 

527:名無しのトレーナー

 はかいこうせん!

 

528:名無しのトレーナー

 当たる訳ねぇだろw

 

529:名無しのトレーナー

 開幕はかいこうせんは草w

 

530:名無しのトレーナー

 相手も連続ではかいこうせんでやられてるし、当然警戒してるわな

 

531:名無しのトレーナー

 おまけに反動で動けなくなった

 

523:名無しのトレーナー

 フェザーダンスか。確か、攻撃が下がる変化技だっけ?

 

524:名無しのトレーナー

 かみつくとかかみくだく警戒したんかね?

 

525:名無しのトレーナー

 距離詰めていくな。ピジョットはえー

 

526:名無しのトレーナー

 お、つばさでうつで叩いてる

 

527:名無しのトレーナー

 ギャラもかみつきに行ってるけど、ピジョットは早いな

 

528:名無しのトレーナー

 あ、ギャラが舞ってる

 

529:名無しのトレーナー

 りゅうのまいで素早さ上げて無理やり突破する気か

 

530:名無しのトレーナー

 おまけに下がった攻撃も少し回復するから悪くない

 

531:名無しのトレーナー

 けど、その間に叩かれまくってんぞ。もう体力やばくね?

 

532:名無しのトレーナー

 じたばたした!

 

533:名無しのトレーナー

 じたばた! その手があったか!

 

534:名無しのトレーナー

 体力が少ないほど強くなるじたばたさん!

 

535:名無しのトレーナー

 コイキングで良くみるじたばたさん!

 

536:名無しのトレーナー

 ギャラドスでじたばたを見る日がくるとは……

 

537:名無しのトレーナー

 はかいこうせん!

 

538:名無しのトレーナー

 はかいこうせん!

 

539:名無しのトレーナー

 ピジョットの動きが止まった所をすかさずはかいこうせんw

 

540:名無しのトレーナー

 おめでとう、お前がはかいこうせんだ

 

541:名無しのトレーナー

 俺がはかいこうせんだ

 

542:名無しのトレーナー

 はかいこうせんここまで使う奴がワタル以外にいるとはな

 

543:名無しのトレーナー

 はかいこうせんやギガインパクトって強いけど、反動有るから使い方難しいんだよな。下手にぶっぱすると、硬直中に倒されるし

 

544:名無しのトレーナー

 新人の頃、はかいこうせんが使えるようになって、意気揚々とはかいこうせん撃たせたら反動で動けない所を殴られて倒されたのは悪い思い出

 

545:名無しのトレーナー

 >>544

 おま、おれ

 

546:名無しのトレーナー

 新人あるあるやな。威力の高い技にはそれ相応のリスクもあるから、迂闊に使うとやられる

 

547:名無しのトレーナー

 けど、ムサリーノ逆転勝ちで三回戦進出やな。こいつのバトルは見ててハラハラする

 

548:名無しのトレーナー

 たまにうまい! って思っても、えっ!? と思わせることもあるんだよな

 

549:名無しのトレーナー

 何か極端なんだよな。ちぐはぐなかんじ

 

550:名無しのトレーナー

 ただ、その不安定な感じが見てて楽しい

 

551:名無しのトレーナー

 キングもそうだけど、エンタメ系のトレーナーはシーソーゲームが上手いよな

 

552:名無しのトレーナー

 >>551

 それ、ムサリーノも盛り上げ方わかってる感じ。多分、素だろうけど

 

553:名無しのトレーナー

 何にせよ、このまま勝ち進んでほしいわ

 

554:名無しのトレーナー

 それな!

 

 

 




 掲示板形式人気が凄くて思ったよりビックリした件。
 普段が一人称ばかりなので、わかりやすいってのはあるかもしれませんね。ただ、作者が掲示板形式慣れしてないので少し違和感があるかもしれませんがそこはご愛嬌で。

 微妙に伏線貼りまくってるけど、未来の作者がきっと解決してくれると信じています。


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おとくなけいじばん03

【第72回】ポケモンリーグセキエイ大会を語るスレpart7【優勝は誰だ?】

 

 

553:名無しのトレーナー

 ブルーも三回戦までワンキルだな

 

554:名無しのトレーナー

 ガルーラが強いんだよな。パワーもあって、早い。おまけにねこだましからのふいうち、カウンターが上手いから相手が即死する

 

556:名無しのトレーナー

 特殊相手だと、最後の一つでいろいろ対応変えて来るしな

 

557:名無しのトレーナー

 バトルがお上手よ。基本を極めてるって感じ

 

558:名無しのトレーナー

 とてもバトルに興味のない子の動きとは思えん。流石はレッドさんの系譜

 

559:名無しのトレーナー

 そろそろサトシ君の三回戦やね

 

560:名無しのトレーナー

 氷のフィールドでどう戦ってくるか

 

561:名無しのトレーナー

 またドサイドンみたいな派手なポケモン出してくれ

 

562:名無しのトレーナー

 さて、何を出すかな?

 

563:名無しのトレーナー

 フシギダネやね。相手はゴルダックだから相性は有利

 

564:名無しのトレーナー

 クラブのパターンがあるからな。進化前でも油断はできん

 

565:名無しのトレーナー

 えっ、何あれ?

 

566:名無しのトレーナー

 でっかいつるのむち!

 

567:名無しのトレーナー

 でけええええええええええええええええええええええええええ!!

 

568:名無しのトレーナー

 おいおいゴルダックが一撃だぞ、すげぇ火力だ

 

569:名無しのトレーナー

 見たことない技だけど、誰か知らないのか?

 

570:名無しのトレーナー

 あれはハードプラントや

 

571:名無しのトレーナー

 >>570

 知っているのかライデン!?

 

572:名無しのトレーナー

 >>570

 ハードプラント? 聞いたことない技だな

 

573:名無しのトレーナー

 ヒトカゲ、ゼニガメ、フシギダネみたいな各地方の御三家の最終進化形が覚えられる究極技って呼ばれる特殊な技で、威力ははかいこうせんと同等で使うと反動がある。草はハードプラント、炎はブラストバーン、水はハイドロカノンや。麦わら君が言ってた

 

574:名無しのトレーナー

 >>573

 お前、また麦わら君と一緒にいんのかよw

 

575:名無しのトレーナー

 >>573

 もうそろそろコテハンつけていいぞw

 

576:現地民(麦わらの友)

 つけたわ。で、麦わら君とは仲良くなったから一緒にリーグを見ようって話になった

 

577:名無しのトレーナー

 麦わら君もポケモンに詳しいんかね?

 

576:現地民(麦わらの友)

 いや、知り合いが技を覚えさせてるらしい。名前ぼかしたけど、多分レッドさんやな

 

577:名無しのトレーナー

 レッドさんなら覚えてても不思議じゃないわ

 

578:名無しのトレーナー

 レッドさんやしな

 

579:名無しのトレーナー

 でもさ、覚えられるの最終進化系なんだろ? サトシ君のフシギダネ進化前だけど?

 

580:名無しのトレーナー

 確かに。そこんとこどうなん?

 

581:名無しのトレーナー

 って、話している間にお相手氏の二体目出てきたで

 

582:名無しのトレーナー

 パルシェンやな

 

583:名無しのトレーナー

 サトシ君は交代しないな。普通にやどりぎとどくどく撒いて持久戦っぽい。弱点の氷技をはっぱカッターで上手く弾いてるわ

 

584:名無しのトレーナー

 素早さもかなりある。弾けないのは避けてるし、捕まえんのも一苦労だろうな

 

585:名無しのトレーナー

 あのフシギダネ器用だよな。小柄だから素早さもあるし、パワーだけが強さじゃないっていう感じ

 

586:名無しのトレーナー

 地味だけど、こういう戦術は嫌いじゃないわ

 

587:名無しのトレーナー

 実際、有効な戦術だけど、持久戦って難しいんだよね。避けるのはまだポケモンが上手く対応してくれるけど、技を弾くのは指示タイミングや技の選択が難しい

 

588:名無しのトレーナー

 実際、普通に戦わせるよりも技術がいるからな

 

589:名無しのトレーナー

 サトシ君はやっぱレベル高いよ。毎回驚かしてくれるし、俺は好きだね

 

590:現地民(麦わらの友)

 >>580

 どうも、究極技を進化前で覚えるのは普通有り得ないことらしいで。麦わら君の話す感じからサトシ君のフシギダネは異常なのがわかるわ

 

591:名無しのトレーナー

 実際、クラブ進化からの三タテ、他地方の新ポケドサイドン、究極技とやらを使えるフシギダネと、話題には事欠かないしな

 

592:名無しのトレーナー

 でも、実力もある。ポケモンのレベルもなかなか高い

 

593:名無しのトレーナー

 あー、頑張ってたけどパルシェンもダウンか

 

594:名無しのトレーナー

 やっぱどくどくは強い。おまけにやどりぎまでされてたからなぁ

 

595:名無しのトレーナー

 お相手氏の最後のポケモンは……ウインディ?

 

596:名無しのトレーナー

 何でウインディ? 氷のフィールドやぞ

 

597:名無しのトレーナー

 フィールドが溶けて水になったらどう逃げるつもりだ?

 

598:名無しのトレーナー

 お、サトシ君がフシギダネを戻したな。まぁ、普通に相性不利だし当然っちゃ当然

 

599:名無しのトレーナー

 サトシ君の二体目はラプラスか。珍しいポケモン持ってるな

 

560:名無しのトレーナー

 ラプラスなんてカントーじゃもう見ないもんな。どこで捕まえたんだろ?

 

561:名無しのトレーナー

 噂だと、カンナ様の地元のナナシマにはまだラプラスが生息してるらしい。本当かどうかは知らないけど

 

562:名無しのトレーナー

 それ、カンナがラプラス持ってるから地元にいるってデマやろ。目撃証言あった訳でもないのに、ナナシマに密猟者が押し寄せて来たってニュースで見たわ

 

563:名無しのトレーナー

 あー、俺もそのニュース見たわ。確か、カンナとキクコの二人がでばってきたんだよな。地元荒らされたらそりゃ四天王だって怒るわな

 

564:名無しのトレーナー

 今はカンナ様よりサトシ君でしょ。まぁ、ラプラスのハイドロポンプで沈められてるけど

 

565:名無しのトレーナー

 普通に相性有利だからな。当然の結果といえば当然の結果よ

 

566:名無しのトレーナー

 氷のフィールドに炎タイプはNGやろ。何考えてんだこいつ?

 

567:名無しのトレーナー

 出すならせめて一体目だよな。それなら後続の水ポケモンで氷が溶けても対応できた

 

568:名無しのトレーナー

 逆に相手の足場を奪おうとしたのかもしれんぞ?

 

569:名無しのトレーナー

 >>568

 それ、結果的に自分も動けなくなる件

 

570:名無しのトレーナー

 567の言う通り、出すなら一体目だったな。結果論だけど、一体目だったらフシギダネに刺さったし

 

571:名無しのトレーナー

 まぁ、サトシ君が勝ったんだからいいんじゃね?

 

572:名無しのトレーナー

 まぁね

 

573:名無しのトレーナー

 やっぱ、本番は五回戦以降よ

 

574:名無しのトレーナー

 次はシゲルの第三試合か

 

575:名無しのトレーナー

 水のフィールドやな。シゲル君がどう動くか楽しみやで

 

576:名無しのトレーナー

 第一試合で使ったパルシェンは普通に出るだろうな。水タイプやし、あれはかなり強かった

 

577:名無しのトレーナー

 そういえば昨日、アキラがサンドパンを水に飛び込ませたのはビビったわ

 

578:名無しのトレーナー

 あれな。どうも訓練で水に強くしたらしい。まぁ、実際は強くなったというより我慢してるだけだろうけど

 

579:名無しのトレーナー

 シゲルもブーバー泳がせてくるかもな

 

580:名無しのトレーナー

 >>579

 そんなブーバー居たら流石にやばいわw

 

581:名無しのトレーナー

 お、始まったな。シゲル君は一体目にギャラドスか

 

582:名無しのトレーナー

 お相手氏はアズマオウだな

 

583:名無しのトレーナー

 シゲル君は初手あまごいか。天候を雨にする技だけど、天候変えてどうすんの?

 

584:名無しのトレーナー

 ぶっちゃけ、あまごいとかにほんばれって何の意味があるのか良くわからないよな

 

585:名無しのトレーナー

 雨降ってると、素早さ上がるすいすいとかあるし、そういう特性じゃね?

 

586:名無しのトレーナー

 >>585

 ゆーて、ギャラの特性は威嚇やん

 

587:名無しのトレーナー

 かみなり!? ギャラがかみなり打ったぞ!?

 

588:名無しのトレーナー

 え、ギャラドスって電気技覚えんの?

 

589:名無しのトレーナー

 ワタルのギャラドスですらそんな変態行動してこないぞ

 

560:名無しのトレーナー

 うわー一撃だよ。かみなりって外れやすいけど、今回はしっかり当たっちまったな。お相手氏も運がない

 

561:現地民(麦わらの友)

 雨状態の時、かみなりやぼうふうのような技は必ず相手に当たるらしいで

 

562:名無しのトレーナー

 >>561

 え、マジ?

 

563:名無しのトレーナー

 >>561

 マ?

 

564:名無しのトレーナー

 >>561

 また麦わら君情報か?

 

565:現地民(麦わらの友)

 >>562、563、564

 うむ。隣でいきなりスケッチブック出して何してんやろって思ったら、何か絵と一緒にいろいろ書いてあったわ。ちなみに、雨の時は水技の威力も上がるらしいで

 

566:名無しのトレーナー

 おいおい、雨の時代来たな

 

567:名無しのトレーナー

 これから水タイプ使う時は雨必須やん

 

568:名無しのトレーナー

 いや、確かに強いけどあまごい中は結構無防備だし、普通に攻撃されたらアウトじゃね?

 

569:名無しのトレーナー

 >>568

 それな。決まれば強いんだろうけど、そのためにかかる時間が勿体ないわ

 

570:名無しのトレーナー

 実際、俺らみたいに無知な奴らには聞くけど、知ってるやつには効かなさそう

 

571:名無しのトレーナー

 お相手氏の二体目はスピアーか

 

572:名無しのトレーナー

 上から攻めようって魂胆だろうな

 

573:名無しのトレーナー

 シゲル君はぼうふうか。必中らしいし、当然っちゃ当然だわな

 

574:名無しのトレーナー

 しっかし、はかいこうせんやハイドロポンプなら良く見るけど、かみなりやぼうふうを撃って来るギャラドスとは驚かされたわ

 

575:名無しのトレーナー

 お相手氏の三体目はヤドランか。こりゃ、決まったな

 

576:名無しのトレーナー

 必中のかみなりとかどう対処するんだよ

 

577:名無しのトレーナー

 天候を上書きすればいいんじゃね? にほんばれとかあられ、すなあらしみたいな技でさ

 

578:名無しのトレーナー

 つーか、普通のバトルですらまともに勝てないワイらに、天候を駆使するような高度なバトルは無理では?

 

579:名無しのトレーナー

 >>578

 それな!

 

580:名無しのトレーナー

 >>578

 それな!

 

581:名無しのトレーナー

 まぁ、チャンピオンリーグでも天候を使うようなバトルってあまり見ないよな。強いていえばキングか

 

582:名無しのトレーナー

 すいすいでスピードが上がったコイキングやキングドラで相手を翻弄してたもんな

 

583:名無しのトレーナー

 雨の時に水技の威力上がるから、コイキングのハイドロポンプも強力になってたんやな

 

587:名無しのトレーナー

 こうしてみると、あいつもエンタメじゃなくて結構真面目にバトルしてたんだな

 

588:名無しのトレーナー

 つか、俺らが笑ってるだけで、あいつ自身はまじめにバトルしてるし

 

589:名無しのトレーナー

 つまり、俺らはまだキングの領域に届いていないってことや

 

590:名無しのトレーナー

 どうでもいいけど、キングよりシゲル君の応援しろよ。いや、勝ったけどさ

 

591:名無しのトレーナー

 サトシ君といい、シゲル君といい、やっぱレベルが一段違うよな

 

592:名無しのトレーナー

 ブルー、シゲル、サトシは今大会三強だろうな

 

593:名無しのトレーナー

 出来ればフルバトルになる六回戦までぶつかって欲しくないわ

 

594:名無しのトレーナー

 それも組み合わせよ。実際、次のムサリーノは岩のフィールドでアキラとバトルだしな

 

595:名無しのトレーナー

 組み合わせはランダムに決まるから仕方ないとはいえ、注目株のつぶし合いはもっと後半に見たかったわ

 

596:名無しのトレーナー

 けど、ワクワクするよな。どっちが勝つんだろ?

 

597:名無しのトレーナー

 実力的な感じはアキラやな。ムサリーノは強いけどムラがあるし

 

598:名無しのトレーナー

 ムサリーノの奇想天外なバトルで翻弄される可能性もあるぞ

 

599:名無しのトレーナー

 うーむ、わからん

 

600:名無しのトレーナー

 岩のフィールドってのがキモだよな。アキラもムサリーノも陸上タイプのポケモンが多そうだし

 

601:名無しのトレーナー

 どっちも全力が出せそうな感じや

 

602:名無しのトレーナー

 お、そろそろ始まるで

 

603:名無しのトレーナー

 今日一番の注目試合や

 

604:名無しのトレーナー

 ムサリーノはサワムラー、アキラはカイリキーか

 

605:名無しのトレーナー

 格闘ポケモン対決キター!!

 

606:名無しのトレーナー

 とびひざげり! 相手は死なないw

 

607:名無しのトレーナー

 思い切りが良すぎるw 開幕とびひざげりは予想外だったけど、カイリキーに普通に抑えられたな

 

608:名無しのトレーナー

 腕が四本あるのは伊達じゃないな

 

609:名無しのトレーナー

 返しのばくれつパンチ!!

 

610:名無しのトレーナー

 うーわ、直撃した。こりゃきついな

 

611:名無しのトレーナー

 カイリキーの特性って確か互いの攻撃が必ず相手に当たるんだよね?

 

612:名無しのトレーナー

 >>611

 ノーガードな。だから防御しないと普通に直撃する

 

613:名無しのトレーナー

 ムサリーノは守るより攻めってタイプだもんな。こりゃちょっときついか?

 

614:名無しのトレーナー

 ばくパン二発目! 相手は死ぬ!

 

615:名無しのトレーナー

 いや、死んでないぞ。こらえるで耐えたっぽい

 

616:名無しのトレーナー

 でも、こらえるが発動したってことはもう限界やん

 

617:名無しのトレーナー

 おわああああああああああああああああああああああああ!!

 

618:名無しのトレーナー

 えええええええええええええええええ一撃ぃ!?

 

619:名無しのトレーナー

 え? 何でカイリキー倒れたん?

 

620:名無しのトレーナー

 きしかいせいだ!

 

621:名無しのトレーナー

 なーる、きしかいせいか

 

622:名無しのトレーナー

 きしかいせいって自分の体力が少ないほど威力があがる技だっけ?

 

623:名無しのトレーナー

 こらえるからのきしかいせいコンボか。これは素直に上手い

 

624:名無しのトレーナー

 >>622

 そう。こらえるで残り体力がミリだったから最大火力が出た

 

625:名無しのトレーナー

 素直に凄いわ。あの状況でこらえるからのきしかいせいを狙うって、俺には出来ん

 

626:名無しのトレーナー

 こらえるもタイミングミスると失敗するしな。まもる、みきり、こらえるは結構使うのが難しい技よ

 

627:名無しのトレーナー

 アキラは二体目に出してきたのはラッタか

 

628:名無しのトレーナー

 でんこうせっか! 相手は死ぬ!

 

629:名無しのトレーナー

 もう体力ミリだったからなぁ。でんこうせっかの一撃でダウンよ

 

630:名無しのトレーナー

 先制技警戒で交代もありだったな

 

631:名無しのトレーナー

 >>630

 あんな一瞬で攻撃されたら交代なんか追いつかなくね?

 

632:名無しのトレーナー

 >>631

 そりゃ先読みよ

 

633:名無しのトレーナー

 >>632

 いやぁ、それはちょっと無理を言い過ぎじゃね?

 

634:名無しのトレーナー

 >>633

 自分に出来ないことを他人には期待する。それが俺達よ

 

635:名無しのトレーナー

 >>634

 格好良すぎて草

 

636:名無しのトレーナー

 草つながりで、ムサリーノの二体目はウツボットだな

 

637:名無しのトレーナー

 >>636

 誰が上手いこと言えとw

 

638:名無しのトレーナー

 ねむりごなか。ラッタもでんこうせっかで逃げ回ってるな

 

639:名無しのトレーナー

 そりゃ当たったら終わりだしな。相手の行動を封じるって意味だと、眠りは最強の状態異常よ

 

640:名無しのトレーナー

 お、つるぎのまい。ラッタとの距離が出来たから素直に攻撃上げて来たな

 

641:名無しのトレーナー

 ラッタもきあいだめしてるな。これで相手に与えるダメージが増える

 

642:名無しのトレーナー

 攻撃が上がるのと、技のダメージが増えるのって何が違うんだろな?

 

643:名無しのトレーナー

 きあいだめのダメージはひかりのかべやリフレクターみたいな技で下がらないらしいで

 

644:名無しのトレーナー

 どういう理屈なんだろ?

 

645:名無しのトレーナー

 おい、麦わらの友。出番だぞ

 

646:名無しのトレーナー

 こういう時は聞くのが一番よ

 

647:現地民(麦わらの友)

 いや、麦わら君も何でも知ってる訳じゃないし。凄いですねぇとしか言ってないわ

 

648:名無しのトレーナー

 ですよね

 

649:名無しのトレーナー

 まぁ、仕方ないっちゃ仕方ないわな

 

650:名無しのトレーナー

 そんなこんな話してる間にウツボットとラッタが相打ちしたで

 

651:名無しのトレーナー

 うーん、ムサリーノの方が有利っぽかったが、アキラもかなりやるなぁ

 

652:名無しのトレーナー

 ラッタって結構持ってるトレーナー多いけど、だからこそ対策もされて勝ちにくいイメージある

 

653:名無しのトレーナー

 その点、アキラは立ち回りが上手いわ。ムサリーノが勝ちきれなかったというより、アキラが上手く持って行ったって感じだわ

 

654:名無しのトレーナー

 技術的にはアキラ有利やな

 

655:名無しのトレーナー

 これでお互いに後がなくなったな。三体目は、ムサリーノはアーボック、アキラはサンドパンだ

 

656:名無しのトレーナー

 ムサリーノはこれまで全試合にアーボック出してるし、相棒みたいやな

 

657:名無しのトレーナー

 それはアキラも同じだろ。前回の水のフィールドですらサンドパン出してきたからな

 

658:名無しのトレーナー

 相棒対決か、燃えるぜ!

 

659:名無しのトレーナー

 開幕どくどく!

 

660:名無しのトレーナー

 サンドパンもあなをほるで回避してるぞ!

 

661:名無しのトレーナー

 アーボックもあなをほるで地面に潜っていったな

 

662:名無しのトレーナー

 だから地中にカメラをつけろとあれほど

 

663:名無しのトレーナー

 >>662

 無茶言いすぎて草

 

664:名無しのトレーナー

 >>662

 地中にカメラは無理やろw

 

665:名無しのトレーナー

 しかし、穴の中だと何が起きてるのかわからんな

 

666:名無しのトレーナー

 お、アーボックが出てきたな。ちょっと傷ついてるっぽい

 

667:名無しのトレーナー

 サンドパンも出てきたな。こっちも傷ついてるけど、アーボックほどじゃなさそう

 

668:名無しのトレーナー

 どうも互いに穴の中でやりあったっぽいな

 

669:名無しのトレーナー

 サンドパンの顔色が悪いな。毒もらったか?

 

670:名無しのトレーナー

 可能性はあるな。地中じゃ逃げ場ないだろうし

 

671:名無しのトレーナー

 ムサリーノ有利か?

 

672:名無しのトレーナー

 いや、アーボックの方がダメージ大きいっぽいし、まだまだこれからやろ

 

673:名無しのトレーナー

 アーボックが嚙みついていく! 対するサンドパンはきりさくか?

 

674:名無しのトレーナー

 かみつくかかみくだくかは正直見てるだけじゃわからんな

 

675:名無しのトレーナー

 互いに回避なし、防御なしの殴り合いだ

 

676:名無しのトレーナー

 アキラが少し焦ってる? やっぱ毒気にしてんのかな?

 

677:名無しのトレーナー

 実際、ラス一で毒はヤバいだろ。時間かけるほど不利になるし

 

678:名無しのトレーナー

 ただ、純粋な殴り合いだとアーボックの方が不利か?

 

679:名無しのトレーナー

 見た感じ、サンドパンの方が手数は多そう

 

680:名無しのトレーナー

 つか、このアーボック固くね? 普通、倒れてもおかしくないぞ

 

681:名無しのトレーナー

 お、サンドパンがつるぎのまい使った。勝負決める気か

 

682:名無しのトレーナー

 そろそろ毒もヤバそうだしな

 

683:名無しのトレーナー

 とどめのきりさくだ!!

 

684:名無しのトレーナー

 こりゃ決まったか?

 

685:名無しのトレーナー

 くろいきり!?

 

686:名無しのトレーナー

 上手い! これでステータスが元に戻ったぞ!

 

687:名無しのトレーナー

 返しのかみくだく!

 

688:名無しのトレーナー

 どっちだ!?

 

689:名無しのトレーナー

 サンドパンが倒れた!

 

690:名無しのトレーナー

 ムサリーノ勝ったー!

 

691:名無しのトレーナー

 ギリギリでくろいきりか。決めるつもりだった一撃が決定打にならなかったのが勝因だな

 

692:名無しのトレーナー

 いや、それ以上にアーボックの防御力よ。あんだけ殴られて耐えるっておかしいやろ

 

693:名無しのトレーナー

 何にせよ、いいバトルだったわ。多分、今日一やろ

 

694:名無しのトレーナー

 うーん、アキラにはもっと頑張って欲しかったー

 

695:名無しのトレーナー

 致し方ないわ。くじだもの

 

696:名無しのトレーナー

 でも三回戦で散るには勿体なかったな

 

697:名無しのトレーナー

 悔やむ気持ちもわかるが、勝者を称えてやろーぜ

 

698:名無しのトレーナー

 うむ。いいバトルだった。毎回、ハラハラさせられるし、こいつのバトルは中毒性あるな

 

699:名無しのトレーナー

 実際、リーグに出てたら人気でそうだよな。前のスレでも話題になったけど、エンタメ系だわ

 

700:名無しのトレーナー

 強いトレーナーの一方的なバトルより、シーソーゲームの方が楽しいからな

 

701:名無しのトレーナー

 そういう意味だと、後半は強い奴のシーソーゲームだからめっちゃ楽しみ!

 

702:名無しのトレーナー

 必然的に強い奴しか残らないからな

 

703:名無しのトレーナー

 何にせよ、次のバトルも楽しみやなー

 

 

 

 





 もう数話でジョウト編も書き終えるので、掲示板の残りを書き終えてから順々に更新していきたいと思います。
 ただカントーの話に比べて、ジョウトは少し書きすぎた部分もあるので、読みやすいようにまとめたいですし、一度読み直す時間も頂きます。グダグダ長い話ばかりだと、テンポも悪いですしね。日常回は短くまとめて、要所は詳しくっていう感じです。

 この調子だと、多分後一週間ちょっとあれば書ききれるので、そこから掲示板完結させて、更新は六月後半になると予想しています。そこからはまたジョウト完結まで毎日更新予定なのでよろしくお願いします。




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おとくなけいじばん04

【第72回】ポケモンリーグセキエイ大会を語るスレpart9【優勝は誰だ?】

 

 

121:名無しのトレーナー

 やっぱ、シゲル君とブルーちゃんはつえーなぁ

 

122:名無しのトレーナー

 四回戦でも圧巻のバトル。やっぱ見ててスカッとするね

 

123:名無しのトレーナー

 毎度お馴染みになりつつあるワンサイドゲームだったからなぁ

 

124:名無しのトレーナー

 あまりに早すぎて、二人合わせてレス100も消化されなかった件

 

125:名無しのトレーナー

 勉強になるし、凄いバトルなんだが、強すぎてすぐ終わってしまう。はよ、フルバトルにしてくれ

 

126:名無しのトレーナー

 今のとこ、注目株で勝ち上がってるのはブルーとシゲルだけ?

 

127:名無しのトレーナー

 ヒロシも勝ち上がってる。ピカチュウ、ヒトカゲ、バタフリーっていう固定パだけど、なかなか練度があっていいね

 

128:名無しのトレーナー

 でも、地面・岩タイプで詰みじゃない?

 

129:名無しのトレーナー

 詰みやね

 

130:名無しのトレーナー

 六回戦のフルバトルから本気を出そうとしてるのかもよ?

 

131:名無しのトレーナー

 次の五回戦で落ちたら笑えるなぁ

 

132:名無しのトレーナー

 注目株の負けを望むんじゃないw

 

133:名無しのトレーナー

 で、まだ残ってるのは?

 

134;名無しのトレーナー

 サトシ、カオルコが今日当たる。ジョージとサユリはかなり後半だな。あ、でもサトシとカオルコの前に、ムサリーノとユウタの試合有るわ

 

135:名無しのトレーナー

 うーむ、注目株がここで二人消えるか

 

136:名無しのトレーナー

 遅かれ早かれ消えるにしても、出来れば全員フルバトルが見たかったよな

 

137:名無しのトレーナー

 まぁ、愚痴ってても仕方ない。こればかりはくじ運や

 

138:名無しのトレーナー

 氷のフィールドのバトル終わったな。次がムサリーノ?

 

139:名無しのトレーナー

 そうね

 

140:名無しのトレーナー

 こいつも、かなりのエンタメトレーナーだよな

 

141;名無しのトレーナー

 ユウタも悪くないんだけどな。ムサリーノに比べると少し霞む

 

142:名無しのトレーナー

 シーソーゲームが上手いトレーナーは人気が出やすいしな

 

143;名無しのトレーナー

 このリーグを通してムサリーノのファンは確実に増えたろうな

 

144:名無しのトレーナー

 優勝は無理にしても、いい所まで残ってほしいわ

 

145:名無しのトレーナー

 ブルー、シゲル、サトシの三大巨頭が強すぎるんよな

 

146:名無しのトレーナー

 そろそろバトル始まるで

 

147:名無しのトレーナー

 氷のフィールドかぁ、このステージは結構足場が悪いからバランス感覚ないと動けなくなるんだよな

 

148:名無しのトレーナー

 ポケモンも器用な奴と不器用な奴いるからな。リアルで俺らがスケート出来る奴と出来ない奴いるのと一緒

 

149:名無しのトレーナー

 ムサリーノの一体目はサワムラーか、こいつもなかなか選出率高いよな

 

150:名無しのトレーナー

 氷のフィールドに格闘ポケモンって攻めてるわw

 

151:名無しのトレーナー

 ユウタはジュゴンか、無難なポケモンで攻めてきたな

 

152:名無しのトレーナー

 氷のフィールドだと水・氷タイプ出やすいから、氷の弱点のつける格闘タイプは有りじゃね?

 

153:名無しのトレーナー

 問題はあのサワムラーが氷の上を移動できるかどうかよ

 

154:名無しのトレーナー

 開幕とびひざげりw

 

155:名無しのトレーナー

 来たわw 最初から全力のやつー

 

156:名無しのトレーナー

 当たっちゃってる件w

 

157:名無しのトレーナー

 これまでムサリーノは開幕とびひざ100%なんやから警戒しとかなきゃダメやろ

 

158:名無しのトレーナー

 確かに、こいついつもとびひざしてるよなw

 

159:名無しのトレーナー

 返しのれいとうビーム!

 

160:名無しのトレーナー

 避けた!? いや、滑って転んでるw

 

161:名無しのトレーナー

 サワムラーくんw

 

162:名無しのトレーナー

 はい、バランス感覚なしでーすw

 

163:名無しのトレーナー

 ですよねー

 

164:名無しのトレーナー

 起き上がれない所に追撃のれいとうビーム!

 

165:名無しのトレーナー

 おまけに凍る!

 

166:名無しのトレーナー

 終わりですね

 

167:名無しのトレーナー

 開幕の攻撃成功しただけに勿体ないね

 

168:名無しのトレーナー

 あ、ジュゴンねむるだ

 

169:名無しのトレーナー

 体力回復させようって狙いか。相手が動けないし、アリやな

 

170:名無しのトレーナー

 サワムラーももがいてるっぽけどな。氷状態は解除が大変だからなぁ

 

171:名無しのトレーナー

 ん? 足が燃えてないか?

 

172:名無しのトレーナー

 あ、ほんとだ。燃えてる

 

173:名無しのトレーナー

 ブレイズキックだ! 足の炎で氷を溶かしてる!

 

174:名無しのトレーナー

 そのまま全身も力づくで砕いたー!

 

175:名無しのトレーナー

 ジュゴン、まだ寝てるぞ!

 

176:名無しのトレーナー

 追撃のとびひざ行くか!?

 

177:名無しのトレーナー

 行ったー!

 

178:名無しのトレーナー

 ジュゴンがダメージで飛び起きたw

 

179:名無しのトレーナー

 そりゃ、気持ちよく寝てた所にとびひざげりくらったら飛び起きるわなw

 

180:名無しのトレーナー

 お、サワムラーがこころのめ使ってる

 

181:名無しのトレーナー

 次の技が確定で当たるようになるんだっけ?

 

182;名無しのトレーナー

 そうね。これで、とびひざが確定で当たる

 

183:名無しのトレーナー

 はい、三回目ーw

 

184:名無しのトレーナー

 いや、ジュゴンもこおりのつぶてで対空迎撃してるぞ!

 

185:名無しのトレーナー

 でも、サワムラーも引かない!

 

186:名無しのトレーナー

 すげーな。つぶて受けても関係ないって感じだ

 

187:名無しのトレーナー

 とびひざ直撃! 流石に二度受けたら戦闘不能か

 

188:名無しのトレーナー

 でも、サワムラーもれいとうビームとこおりのつぶてでダメージくらってるな

 

189:名無しのトレーナー

 ユウタの二体目はラフレシアやな

 

190:名無しのトレーナー

 草だけど、毒も持ってるから、ムサリーノのポケモンにしたら不利かね?

 

191:名無しのトレーナー

 うわ、開幕ねむりごなか。サワムラーが普通に寝た

 

192:名無しのトレーナー

 やっぱ、粉技は汎用性高いよな

 

193:名無しのトレーナー

 でも、すぐ避けられるんだよな

 

194:名無しのトレーナー

 今回はサワムラーが足場が悪くてもたもたしてたから当たったな

 

195:名無しのトレーナー

 で、ねむりごなからのギガドレインか。これで、お互いに残り二体だ

 

196:名無しのトレーナー

 ムサリーノの二体目はギャラドスか

 

197:名無しのトレーナー

 ギャラか。飛行もってるから、草は普通だな

 

198;名無しのトレーナー

 開幕はかいこうせん来るか?

 

199:名無しのトレーナー

 いや、たつまきだ。動きを封じようとしてるのか?

 

200:名無しのトレーナー

 ラフレシアははなびらのまいか

 

201;名無しのトレーナー

 たつまきがはなびらのまいでかき消されていくな

 

202:名無しのトレーナー

 はなびらのまいは高火力だからな。おまけに連続攻撃だからギャラもダメージくらってる

 

203:名無しのトレーナー

 はかいこうせん!

 

204名無しのトレーナー

 はかいこうせん!

 

205;名無しのトレーナー

 はなびらのまいで混乱するのを読んではかいこうせんか?

 

206:名無しのトレーナー

 狙ってやったのか?

 

207:名無しのトレーナー

 なんか、本人の様子見てると、もういいやっちまえ! って感じしたけど

 

208:名無しのトレーナー

 でも、ドンピシャなタイミングだった

 

209:名無しのトレーナー

 追撃しようにもラフレシアは混乱で動けてないし、ギャラドスはその間に反動から戻るってこと?

 

210;名無しのトレーナー

 >>209

 そうね。狙ってやるにしても、相手の動きを見切らないといけないからかなり難しい

 

211:名無しのトレーナー

 さらにもう一発!

 

212:名無しのトレーナー

 はかいこうせん!

 

213:名無しのトレーナー

 はかいこうせん!

 

214:名無しのトレーナー

 こりゃ、ラフレシア倒れたか?

 

215:名無しのトレーナー

 いや、ギリギリ避けてる!

 

216:名無しのトレーナー

 混乱でふらふらしたせいで、氷で滑ったんだ

 

217:名無しのトレーナー

 また氷君大活躍w

 

218:名無しのトレーナー

 ラフレシアも混乱解けたか?

 

219:名無しのトレーナー

 みたいね。動き出してる。ギガドレインでギャラの体力吸ってるわ

 

220;名無しのトレーナー

 はかいこうせんの反動で動けないからやりたい放題されてるな

 

221:名無しのトレーナー

 ギャラドスもかみつくで接近戦に持ち込んだ!

 

222:名無しのトレーナー

 吸われ切る前に倒すって判断みたいやな

 

223:名無しのトレーナー

 しめつけるでラフレシア捕まえたな

 

224:名無しのトレーナー

 しめつけながらかみついてやりたい放題やなw

 

225;名無しのトレーナー

 ラフレシアがどくどく使った!

 

226:名無しのトレーナー

 こりゃ、流石にギャラの方が不利か?

 

227:名無しのトレーナー

 はかいこうせん!

 

228:名無しのトレーナー

 はかいこうせん!

 

229:名無しのトレーナー

 両者ダウンw 死なばもろともはかいこうせんって感じやなw

 

230:名無しのトレーナー

 近距離だと自分にもダメージ出るからな。猛毒で倒れるくらいならお前を道連れにしてやる的な感じかね

 

231:名無しのトレーナー

 でも、体力も差が出来てたし、悪くない判断かもね

 

232:名無しのトレーナー

 これで互いに残り一体か

 

233:名無しのトレーナー

 ムサリーノはマタドガス、ユウタはオニドリルか

 

234:名無しのトレーナー

 足場が悪いからアーボックは控えたんかね?

 

235:名無しのトレーナー

 どっちも浮いてるからもう氷関係ないなw

 

236:名無しのトレーナー

 マタドガスも毒だし、ムサリーノはやっぱ毒タイプが好きみたいね

 

237:名無しのトレーナー

 オニドリルのドリルライナーだ!

 

238:名無しのトレーナー

 素直に弱点突いてきたな

 

239:名無しのトレーナー

 あれ? でもマタドガスの特性って

 

240:名無しのトレーナー

 ふゆうでーす

 

241:名無しのトレーナー

 いや、たまに相手の特性無効にする奴もあるやん

 

242:名無しのトレーナー

 >>241

 かがくへんかガスな

 

243:名無しのトレーナー

 >>242

 そのガスや

 

244:名無しのトレーナー

 でも、ムサリーノのマタドガスはふゆうっぽいね

 

245:名無しのトレーナー

 ユウタも効けばラッキーくらいのノリで試したんかな?

 

246:名無しのトレーナー

 でも、その隙を突かれてどくどくされてる

 

247:名無しのトレーナー

 ラス一どくどくは強い

 

248:名無しのトレーナー

 ムサリーノの定番技やな

 

249:名無しのトレーナー

 とびひざげりとはかいこうせんもおるよ!

 

250:名無しのトレーナー

 定番技多すぎて草

 

251:名無しのトレーナー

 でもさ、必殺技みたいに、得意技持ってるとトレーナーの名前覚えやすいよな

 

252:名無しのトレーナー

 何だっけ、キングの必殺技?

 

253:名無しのトレーナー

 ジ・エンド・オブ・ストーム(りゅうせいぐん)

 

254:名無しのトレーナー

 アブソリュート・パワーフォース(ほのおのパンチ)

 

255:名無しのトレーナー

 キングの話はそこまでだ

 

256:名無しのトレーナー

 それ以上はキングスレでやれ

 

257:名無しのトレーナー

 とりあえず、オニドリルはお得意のドリルくちばしで、マタドガスはヘドロばくだんでダメージを取りに行ってるな

 

258:名無しのトレーナー

 お互いに火力が互角だと、やっぱり開幕の猛毒が効いてくるな

 

259:名無しのトレーナー

 前回のアキラもそれで攻め急いだ感あるしな

 

260:名無しのトレーナー

 お、オニドリルがはねやすめ使った

 

261:名無しのトレーナー

 回復は微妙じゃね? 猛毒って普通の毒より効果強いし

 

262:名無しのトレーナー

 マタドガスはその隙にえんまくで姿隠したな。こりゃ、完全に毒狙いにシフトしたか

 

263:名無しのトレーナー

 オニドリルが待機状態で力貯めてる。ゴッドバードかな?

 

264:名無しのトレーナー

 っぽいな。回復はこれの時間を稼ぐためだったのかも

 

265:名無しのトレーナー

 後はえんまくの中のマタドガスを狙えるかどうかか

 

266:名無しのトレーナー

 オニドリルの特性するどいめやぞ

 

267:名無しのトレーナー

 ってことは、えんまくの中もくっきり見えてるな。忘れてたわ

 

268:名無しのトレーナー

 ちどりあしとかするどいめみたいな、微妙な特性って忘れやすいよな

 

269:名無しのトレーナー

 ゴッドバード発射!

 

270:名無しのトレーナー

 真っすぐマタドガスに突っ込んでいくぞ

 

271:名無しのトレーナー

 当たるか!?

 

272:名無しのトレーナー

 当たったぁ!

 

273:名無しのトレーナー

 いや、当たったっていうより当たりに行った。マタドガスもたいあたりしてる

 

274;名無しのトレーナー

 でも、技の威力に差が有り過ぎてめっちゃ押されてる!

 

275:名無しのトレーナー

 こりゃ、ユウタの逆転勝ちか!?

 

276:名無しのトレーナー

 ヘドロばくだんだ!

 

277:名無しのトレーナー

 少しでも早く体力をゼロにさせようとしてるのか

 

278:名無しのトレーナー

 こりゃ、わからなくなってきた!

 

279:名無しのトレーナー

 オニドリルの動きが止まったぞ

 

280:名無しのトレーナー

 技が終わった?

 

281:名無しのトレーナー

 いや、体力がなくなったんだ。墜落してく

 

282:名無しのトレーナー

 マタドガスはまだ浮いてる

 

283:名無しのトレーナー

 ムサリーノが勝ったー!

 

284:名無しのトレーナー

 いやー、今回も熱いバトルだった!

 

285:名無しのトレーナー

 もう少しオニドリルの体力があって技が続いてたら結果は逆だったかもな

 

286:名無しのトレーナー

 紙一重の勝利ってやつか

 

287:名無しのトレーナー

 それもまたポケモンバトルよ

 

288:名無しのトレーナー

 でも実際、マジで最後のヘドロばくだんなかったら結果変わってたかも

 

289:名無しのトレーナー

 そう考えると、ムサリーノの咄嗟の判断が良かったってことやな

 

290:名無しのトレーナー

 なんか、とびひざげりとかはかいこうせん乱舞しまくってるせいで、たまに上手い技が出ると不思議な気持ちになる

 

291:名無しのトレーナー

 わかりみ

 

292:名無しのトレーナー

 でも、勝ったことに変わりはないし、ムサリーノも無事に五回戦進出やな

 

293:名無しのトレーナー

 次はサトシとカオルコか

 

294:名無しのトレーナー

 フィールドどこだっけ?

 

295:名無しのトレーナー

 草やね

 

296:名無しのトレーナー

 草かぁ。どんなポケモンが出てくるかな。陸上適正あれば何でも出せるしな

 

297:名無しのトレーナー

 またドサイドン出さないかなぁ

 

298:名無しのトレーナー

 サトシ君はピカチュウ連れ歩いてる割にバトルに出さないよな

 

299:名無しのトレーナー

 今来た産業。どんな感じ?

 

300:名無しのトレーナー

 ブルー、シゲル、ヒロシ、ムサリーノが五回戦進出。ユウタはムサリーノに負け、これからサトシとカオルコの試合

 

301:名無しのトレーナー

 ぐわー、ムサリーノのバトル見逃したー

 

302:名無しのトレーナー

 録画してあるから、後で貼ってやる

 

303:名無しのトレーナー

 サンクス

 

304:名無しのトレーナー

 そろそろサトシ君とカオルコちゃんのバトルかな?

 

305:名無しのトレーナー

 カオルコちゃん、マジカワユス。(^ω^)ペロペロ

 

306:名無しのトレーナー

 >>305

 ジュンサーさんこいつです

 

307:名無しのトレーナー

 >>305

 ジュンサーさんこいつです

 

308:名無しのトレーナー

 流石にこのスレ見てるジュンサーさんいないやろ

 

309:名無しのトレーナー

 それはどうかな?

 

310:名無しのトレーナー

 な、なんやと?

 

311:名無しのトレーナー

 >>309

 まさか、お前……いや、あなたは?

 

312:名無しのトレーナー

 >>311

 そう! 私こそ、タマムシシティのジュンサー!

 

313:名無しのトレーナー

 >>312

 タマムシシティって、交番四つくらいなかった?

 

314:名無しのトレーナー

 >>313

 どれかは内緒。流石に身バレしたくないし

 

315:名無しのトレーナー

 ってか、ぶっちゃけジュンサーさんはみんな似たような顔してるからわからん

 

316:名無しのトレーナー

 それな

 

317:名無しのトレーナー

 まぁ、このスレはジュンサーさんの特定スレじゃないしな

 

318:名無しのトレーナー

 でも、犯罪したら逮捕しにいくから

 

319:名無しのトレーナー

 >>305

 やばいぞ

 

320:名無しのトレーナー

 そろそろサトシとカオルコのバトル始まるぞ!

 

321:名無しのトレーナー

 >>305

 命拾いしたな

 

322:名無しのトレーナー

 305ネタはもういいから。で、サトシ君はともかくとして、カオルコってこれまでどんなポケモン使ってたっけ?

 

323:名無しのトレーナー

 主に虫とか草やな

 

324:名無しのトレーナー

 一回戦で出てきたあの無駄に強いマダツボミが印象強いわ

 

325:名無しのトレーナー

 何だっけ、合気道か何か覚えてて、草タイプの癖にカイリキーボコボコにしたんだっけ

 

326:名無しのトレーナー

 それで注目株になったと言っても過言ではない

 

327:名無しのトレーナー

 水のフィールド以外は全部出てるからな。今回も出るだろ

 

328:名無しのトレーナー

 あの変態マダツボミにサトシがどう戦うか

 

329:名無しのトレーナー

 サトシ君の一体目はバタフリー、カオルコちゃんはスピアーだな

 

330:名無しのトレーナー

 虫ポケ対決か

 

331:名無しのトレーナー

 スピアーの方が強そうに見える

 

332:名無しのトレーナー

 実際、スピアーの方が好戦的だしな

 

333:名無しのトレーナー

 でも、相性で考えれば飛行タイプもあるバタフリーじゃね?

 

334:名無しのトレーナー

 開幕ねむりごな!

 

335:名無しのトレーナー

 そういや、バタフリーの特性って技が当たりやすいとかどうとか

 

336:名無しのトレーナー

 ふくがんやな。何か微妙に当たりやすくなるらしい

 

337:名無しのトレーナー

 それでねむりごなが直撃したのか。カオルコも運が無い

 

338:名無しのトレーナー

 バタフリーが踊ってる

 

339:名無しのトレーナー

 奇麗やなー

 

340:名無しのトレーナー

 何かの技かね?

 

341:名無しのトレーナー

 ちょうのまいだな。確か、特殊攻撃と特殊防御、素早が上がるって技だったはず

 

342:名無しのトレーナー

 やべぇ強いじゃん

 

343:名無しのトレーナー

 ってか、めっちゃ長い時間踊ってるけど、あれ止めないとまずいんじゃない?

 

344:名無しのトレーナー

 ポケモンの攻撃とか素早が上がる技って上限有るんだっけ?

 

345:名無しのトレーナー

 一応、六回技を使えば最大らしい。こうそくいどうとかつるぎのまいなんかはまた上昇率違うらしいけど、詳しくは知らん

 

346:名無しのトレーナー

 一回がどれくらいの長さかわからないけど、かなり長い時間踊ってたよね?

 

347:名無しのトレーナー

 りゅうのまいなら余裕で六回使える時間やな

 

348:名無しのトレーナー

 ってか、カオルコちゃんも見とれちゃってるw

 

349:名無しのトレーナー

 スピアーに声掛けしてあげて―!

 

350:名無しのトレーナー

 まぁ、バタフリーも踊り終わったみたいだしもう遅いけどなw

 

351:名無しのトレーナー

 スピアーもようやく起きたな

 

352:名無しのトレーナー

 トレーナーの声掛けがなかったしぐっすりだったなw

 

353:名無しのトレーナー

 さて、舞終わったバタフリーはどう動いてくるか

 

354:名無しのトレーナー

 エアスラッシュか、飛行タイプの特殊技の基本みたいな技だよな

 

355:名無しのトレーナー

 なかなか威力あって、たまに相手が怯むしな

 

356:名無しのトレーナー

 たまに怯む技あるよな。エアスラッシュもそうだけど、ずつきとかも怯むイメージ

 

357:名無しのトレーナー

 しかし、威力がやばい

 

358:名無しのトレーナー

 それな! 俺のポケモンのエアスラッシュあんな馬鹿みたいに威力ないぞ

 

359:名無しのトレーナー

 やっぱ、ちょうのまいのおかげかね

 

360:名無しのトレーナー

 スピアーも怯んで動けないな

 

361:名無しのトレーナー

 でも、あんな連打されたら耐えるのだって無理じゃね?

 

362:名無しのトレーナー

 あ、倒れた

 

363:名無しのトレーナー

 ですよねー

 

364:名無しのトレーナー

 そりゃ、あれだけ火力とスピード上がったら耐えられないよ

 

365:名無しのトレーナー

 カオルコもちょっと動揺してるな

 

366:名無しのトレーナー

 そりゃ、あれだけ一方的にやられたら動揺もするわ

 

367:名無しのトレーナー

 カオルコの二体目はストライクか。やっぱ、メインは虫だな

 

368:名無しのトレーナー

 かげぶんしんで惑わせにきたか

 

369:名無しのトレーナー

 サトシ君はどうする? こうなるとねむりごなは流石に当てづらいか?

 

370:名無しのトレーナー

 ぼうふうだ! すげぇ威力!

 

371:名無しのトレーナー

 かげぶんしんごと全部風で薙ぎ払った!

 

372:名無しのトレーナー

 うーわ、ワンパンだ

 

373:名無しのトレーナー

 こりゃ、勝負決まったか?

 

374:名無しのトレーナー

 カオルコちゃんの最後の一体はやっぱりマダツボミか

 

375:名無しのトレーナー

 とはいえ、今のバタフリーは超強化されてるし、あのマダツボミでもきつくね?

 

376:名無しのトレーナー

 まずは様子見のエアスラッシュやな

 

377:名無しのトレーナー

 避けてる! すげぇ、マダツボミ体柔らけー

 

378:名無しのトレーナー

 細い体をくねくね動かして上手いことかわしてくな。ワンチャンあるか?

 

379:名無しのトレーナー

 サトシ君もこれには驚いてるな

 

380:名無しのトレーナー

 でもマダツボミは草タイプだからぼうふう弱点なんだよなぁ

 

381:名無しのトレーナー

 虫草はひこう弱点が被るんだよな

 

382:名無しのトレーナー

 バタフリーがぼうふう使ったー!

 

383:名無しのトレーナー

 避けろ!

 

384:名無しのトレーナー

 無理w

 

385:名無しのトレーナー

 あー、マダツボミ君が

 

386:名無しのトレーナー

 結局、サトシの三体抜きか

 

387:名無しのトレーナー

 注目株同士でここまで一方的なバトルになるかぁ

 

388:名無しのトレーナー

 スピアーが眠った時に、すぐストライクかマダツボミに交換すればまだ戦えた

 

389:名無しのトレーナー

 舞わせちゃったのが敗因みたいなもんだしね

 

390:名無しのトレーナー

 カオルコちゃんも見惚れちゃってたからなぁ

 

391:名無しのトレーナー

 でも、奇麗な舞だったわ。お金取れるで

 

392:名無しのトレーナー

 確かにね。ちょうのまいか、俺のバタフリーも覚えないかな?

 

393:名無しのトレーナー

 かなりレベルの高い技っぽいからなぁ。難しそう

 

394:名無しのトレーナー

 まぁ、何だかんだ、無事? サトシ君も四回戦勝ち抜きやな

 

395:名無しのトレーナー

 後はジョージとサユリか

 

396:名無しのトレーナー

 この二人なら大丈夫やろ

 

397:名無しのトレーナー

 そういえばさ、話は変わるんだけど今大会にジョーイさんが参加してるじゃん?

 

398:名無しのトレーナー

 いたね。まぁ、ジョーイさんも別に参加しちゃいけない理由ないしな

 

399:名無しのトレーナー

 何で注目株にならなかったんだっけ?

 

400:名無しのトレーナー

 一回戦、二回戦のバトルが普通だったからかな

 

401:名無しのトレーナー

 まだ勝ち抜いてる? ぶっちゃけ、もう見てないわ

 

402:名無しのトレーナー

 今の試合と同時の試合だったよ。一応、まだ試合中

 

403:名無しのトレーナー

 サトシ君が三体抜きしたから時間あるし見るか?

 

404:名無しのトレーナー

 パッとしない感じだったんだよなー、小さくまとまってる感じ

 

405:名無しのトレーナー

 基本を忠実に守ってますってバトルだよね

 

406:名無しのトレーナー

 俺らの注目株って目立つ奴が基本だしな

 

407:名無しのトレーナー

 今も互角みたいだしな。同じシーソーゲームでも、ムサリーノ程盛り上がらないし

 

408:名無しのトレーナー

 お奇麗なバトルよね

 

409:名無しのトレーナー

 何で、お前らそんなにジョーイさんに当たり強いんだよw

 

410:名無しのトレーナー

 >>409

 それな。確かに目立たないけど、普通に強いと思うんだよな

 

411:名無しのトレーナー

 まぁ、いずれどこかで詰まると思うよ。基本だけのバトルなんて限界有るしね

 

412:名無しのトレーナー

 お前ら、これでこのジョーイさんが勝ちあがったら手のひら返す癖に

 

413:名無しのトレーナー

 逆に手のひら返すとこみたいから、ジョーイさんにも頑張ってほしいわw

 

 

 

 





 活動報告でも少し書きましたが、ジョウト編執筆終了しますた。既に全話添削も終わらせております。

 これから毎日掲示板を更新して、おとくなけいじばんを終わらせてからジョウト編行きます。現在06を執筆中です。

 何だかんだいろいろ削って、ジョウト編は全50話になりました。やっぱ、無駄な話はばっさり削るに限る。4話分も無駄な話ありましたわw
 書いてる時は気持ち良く書けるけど、読み直すと無駄って話が結構ありましたね。基本的に日常回はテンポ良く、バトル回は面白くを基本にしてるので気を付けないと。

 ただ、バトル回は長いと思う人もいるかもしれません。そこは作者の趣味故に、申し訳ありませんが許してくれると嬉しいです。



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おとくなけいじばん05

【第72回】ポケモンリーグセキエイ大会を語るスレpart11【優勝は誰だ?】

 

 

354:名無しのトレーナー

 さて、遂に五回戦だ諸君

 

355:名無しのトレーナー

 250人くらいいた選手ももう16人

 

356:名無しのトレーナー

 注目株はブルー、シゲル、サトシ、ムサリーノ、ヒロシ、サユリ、ジョージと、七人も残ってるな

 

357:名無しのトレーナー

 ここを勝てば次はフルバトルか

 

358:名無しのトレーナー

 参加してる側としては勝ちたい所だよな

 

359:名無しのトレーナー

 組み合わせってもう決まったの?

 

360:名無しのトレーナー

 A-1のバトルはジョーイさんやね。A-2がシゲル君、A-3はサトシ君とヒロシ君、A-4がサユリ、B-1とB-2が注目株なしで、B-3がブルー、B-4がムサリーノとジョージやな

 

361:名無しのトレーナー

 自然にジョーイさんを注目株にしている件

 

362:名無しのトレーナー

 まぁ、そこは置いておいて、注目株同士で二つも衝突したか

 

363:名無しのトレーナー

 サトシ君とヒロシ君って、どっちもピカチュウ連れてるよな

 

364:名無しのトレーナー

 まさかのピカチュウバトル来るか!?

 

365:名無しのトレーナー

 ムサリーノとジョージかぁ。ジョージも結構強いんだよなぁ

 

366:名無しのトレーナー

 サユリとジョージはエリートトレーナーっぽいしね

 

367:名無しのトレーナー

 エリートもピンキリだけどな。ジョージは割と強い

 

368:名無しのトレーナー

 そして、俺達より強い

 

369:名無しのトレーナー

 それな

 

370:名無しのトレーナー

 それな

 

371:名無しのトレーナー

 今日はAリーグだから、まずはジョーイさんの試合か

 

372:名無しのトレーナー

 俺はいまだに微妙だと思ってるけどな

 

373:名無しのトレーナー

 まぁ、気持ちはわからなくはない

 

374:名無しのトレーナー

 今までこのジョーイさんのバトルって、フシギバナ、リザードン、カメックスの三体しか使ってないんだっけ

 

375:名無しのトレーナー

 正直、カントーだと御三家は見慣れてる人の方が多いからあまり新鮮味を感じないんだよね。サトシ君のフシギダネみたいに、何か特別な技を持ってるとかならわかるんだけど

 

376:名無しのトレーナー

 おまけに、凄い強い訳じゃないんよ。基本的にどのトレーナーも御三家って切り札にするパターンが多いから器用貧乏な御三家は映えない

 

377:名無しのトレーナー

 とはいえ、なんだかんだここまで勝ってきたんやし、そろそろ応援してやってもえーやん

 

378:名無しのトレーナー

 でも、俺らが応援しなくても問題なくね? 五回戦からはスタジアムでのバトルだから観客も多そうだし

 

379:名無しのトレーナー

 実際、現場は凄い歓声よ

 

380:名無しのトレーナー

 まぁ、普通はジョーイさんが五回戦まで勝ち残ったらそうなるのが普通よね。俺達が異端児なだけで

 

381:名無しのトレーナー

 絶対に認めないでござる! 絶対に認めないでござる!

 

382:名無しのトレーナー

 俺らの観点って見た目じゃないしな

 

383:名無しのトレーナー

 どれだけ心に残るかよ。どんなに強くてお奇麗なバトルしても、心に響かなきゃ注目株にはしない

 

384:名無しのトレーナー

 まぁ、ジョーイさん批判はそれくらいにして試合みよーぜ

 

385:名無しのトレーナー

 ジョーイさんの一体目はリザードン、お相手氏はモンジャラか

 

386:名無しのトレーナー

 相性はリザードン有利やな

 

387:名無しのトレーナー

 お、戻すか。流石にここまで来るトレーナーだと判断早いな

 

388:名無しのトレーナー

 二体目はシャワーズか

 

389:名無しのトレーナー

 イーブイの進化系か。珍しいポケモン持ってんな

 

390:名無しのトレーナー

 カントーじゃイーブイはラプラス並に希少種だからなぁ

 

391:名無しのトレーナー

 これで相性は不利になったけど、ジョーイさんもリザードン戻したね

 

392:名無しのトレーナー

 基本に忠実だからな。フシギバナ出してきた

 

393:名無しのトレーナー

 こうなると、最初に交換した方が不利やな

 

394:名無しのトレーナー

 >>393

 何で?

 

395:名無しのトレーナー

 >>394

 ポケモンリーグのルールだと、交代ばっかりになるのを防ぐために、連続交換は五回までってルールがある

 

396:名無しのトレーナー

 >>395

 成程ね。お相手氏が先に交換したから、結局後出しのジョーイさんが相性有利に出来るのか

 

397:名無しのトレーナー

 相手の三体目次第で変わるかもしれないけどな

 

398:名無しのトレーナー

 相手の三体目はギャロップか。

 

399:名無しのトレーナー

 あー、これは多分ジョーイさん対策が裏目に出てるな。初手読み外したのが全てだわ

 

400:名無しのトレーナー

 当然のようにカメックスに交換してきたな

 

401:名無しのトレーナー

 で、お相手氏はモンジャラに戻す。けど、ジョーイさんもリザードンに戻す

 

402:名無しのトレーナー

 まさに無限ループ!

 

403:名無しのトレーナー

 けど、結局次の交代で終わりよ。それ以上交換しようとすれば審判に注意くらう

 

404:名無しのトレーナー

 カメックスとリザードン対策するなら草じゃなくて電気タイプ使えばいいのに

 

405:名無しのトレーナー

 確かにな。電気なら交換しなくてもよかった

 

406:名無しのトレーナー

 まぁ、御三家見ると、水は草っていうのもわからなくはないけどな

 

407:名無しのトレーナー

 結果、相性不利でバトルスタートやん

 

408:名無しのトレーナー

 あー、お相手氏も覚悟を決めたみたいだな。モンジャラでリザードンに特効してるわ

 

409:名無しのトレーナー

 ここからはお手本のようなリザードンの炎技による草タイプクッキングのお時間です

 

410:名無しのトレーナー

 やどりぎ使ったり、どくどく使ったり頑張ってるけどな

 

411:名無しのトレーナー

 まぁ、でもリザードンの勝ちよね

 

412:名無しのトレーナー

 モンジャラダウン。お相手氏は次にシャワーズ出してきたな

 

413:名無しのトレーナー

 ジョーイさんはリザードン継続か。まぁ、交換する意味もうないしな

 

414:名無しのトレーナー

 お手本のようなエアスラッシュ!

 

415:名無しのトレーナー

 当然、シャワーズはハイドロポンプ

 

416:名無しのトレーナー

 リザードンもダメージ積み重なってたしダウンやな

 

417:名無しのトレーナー

 で、お次はフシギバナと

 

418:名無しのトレーナー

 シャワーズはれいとうビームで攻めに行ったな。上手くすればワンチャンあるで

 

419:名無しのトレーナー

 やどりぎ返し!

 

420:名無しのトレーナー

 まぁ、草技の基本ですね

 

421:名無しのトレーナー

 おまけにこうごうせいで持久戦だ

 

422:名無しのトレーナー

 うへぇ、持久戦かぁ。あれ、面倒くさいんだよなぁ

 

423:名無しのトレーナー

 ただ、回復技もスタミナは回復しないから、割と叩きまくってると動けなくなって倒せる時ある

 

424:名無しのトレーナー

 腐ってもセキエイ大会ベスト16やぞ。そんな弱点抱えたまま持久戦なんてしないやろ

 

425:名無しのトレーナー

 上手いトレーナーはスタミナ温存させてくるもんな

 

426:名無しのトレーナー

 上手い奴はマジ、ゾンビみたいに無限に蘇ってくる

 

427:名無しのトレーナー

 やどりぎとこうごうせいで回復しながら、どくどくで猛毒を撒いて、はなふぶきでフィニッシュか。マジで基本だな

 

428:名無しのトレーナー

 上手いんだけどね。目新しさがない

 

429:名無しのトレーナー

 もっとサンドパンが水の中泳ぐとかさ!

 

430:名無しのトレーナー

 マダツボミが合気道するとかさ!

 

431:名無しのトレーナー

 ギャラドスではかいこうせんしまくるとかさ!

 

432:名無しのトレーナー

 サワムラーで開幕とびひざげりするとかさ!

 

433:名無しのトレーナー

 後ろ二つは同一人物な件w

 

434:名無しのトレーナー

 まぁ、何だかんだ言ってるうちに普通にフシギバナが勝ったな

 

435:名無しのトレーナー

 お相手氏は最後のギャロップか

 

436:名無しのトレーナー

 フシギバナは当然続投でどくどくしてるな。ラス一どくどくは強い

 

437:名無しのトレーナー

 でも、ギャロップも回避してだいもんじだ。フシギバナも回復してたとはいえ、この効果抜群は痛い

 

438:名無しのトレーナー

 お、火傷した

 

439:名無しのトレーナー

 ジョーイさんはどくどく連打だな

 

440:名無しのトレーナー

 でも、ギャロップの足が速いから普通に避けてるね。流石に警戒されたら無理か

 

441:名無しのトレーナー

 追撃のだいもんじでフシギバナも戦闘不能と

 

442:名無しのトレーナー

 何故だ。これもシーソーゲームのはずなのに、全然面白くない

 

443:名無しのトレーナー

 ワクワクを思い出すんだ

 

444:名無しのトレーナー

 勝敗が見えてるから面白くないんだよ。逆にここからギャロップがカメックス倒したら面白い

 

445:名無しのトレーナー

 カメックスは当然のようにハイドロポンプやな

 

446:名無しのトレーナー

 お、でも避けてるぞ。ワンチャンあるか?

 

447:名無しのトレーナー

 うずしおで普通に捕まえに行ったよ。まぁ、ジョーイさんからすれば動きを止めちゃえば終わりだしな

 

448:名無しのトレーナー

 で、ハイドロポンプでフィニッシュと。マジで普通の試合だった

 

449:名無しのトレーナー

 まぁ、次の試合が本番だから!

 

450:名無しのトレーナー

 シゲル君きちゃー!

 

451:名無しのトレーナー

 シゲルの後はサトシ対ヒロシだしな。ここからが面白くなってくる所よ

 

452:名無しのトレーナー

 シゲルは一回戦でパルシェン、二回戦でブーバー、三回戦でギャラドス、四回戦でエレブーと、一体で全抜きしてるしな

 

453:名無しのトレーナー

 次はどんなポケモン出してくるかな?

 

454:名無しのトレーナー

 言うてもうベスト16だからな。本腰を入れるにはいい頃合でもある

 

456:名無しのトレーナー

 ここ超えればベスト8だしな

 

457:名無しのトレーナー

 ぶっちゃけ、リーグベスト8はかなり優秀だよ

 

458:名無しのトレーナー

 ベスト16も凄いけど、やっぱ一桁だと違うよな

 

459:名無しのトレーナー

 おまけに今回の注目株は全員初参加だし

 

460:名無しのトレーナー

 まぁ、基本的に一回リーグ挑戦していい成績残した奴って、大体が他の地方のリーグいくしな

 

461:名無しのトレーナー

 成績微妙だった奴は、自分の実力の程を知って大半がリーグ挑戦をリタイヤするしな

 

462:名無しのトレーナー

 むしろ、毎年200人くらい人が集まる方が凄い気がしてきたわ

 

463:名無しのトレーナー

 言うて、半数は再挑戦組っしょ。諦めない奴もいるし

 

464:名無しのトレーナー

 そういう奴に限って勝てないんだよな

 

465:名無しのトレーナー

 結局はトレーナーとしてのセンスよ。バトルにしろ、育成にしろ、才能持ってるやつが上に行くのさ

 

466:名無しのトレーナー

 ワイらとは違ってな!

 

467:名無しのトレーナー

 それな!

 

468:名無しのトレーナー

 それな!

 

469:名無しのトレーナー

 言ってて寂しくなるから止めれ。トレーナーとしてじゃなくても、ポケモンとは一生触れ合うんだからこういう試合を見るのはいい学びの場よ

 

470:名無しのトレーナー

 >>469

 ええこというやん

 

471:名無しのトレーナー

 お、シゲル君が入場してきたぞ

 

472:名無しのトレーナー

 相変わらず自信たっぷりやのー

 

473:名無しのトレーナー

 負けるなんて微塵も思ってなさそう

 

474:名無しのトレーナー

 さて、今回のシゲル君は?

 

475:名無しのトレーナー

 カイリキーです!

 

476:名無しのトレーナー

 格闘ポケモンか。いいねぇ

 

477:名無しのトレーナー

 お相手氏はライチュウか

 

478:名無しのトレーナー

 さて、どうなるか

 

479:名無しのトレーナー

 ライチュウがでんこうせっかで突っ込んだ!

 

480:名無しのトレーナー

 開幕ばくれつパンチ!!

 

481:名無しのトレーナー

 当然、特性はノーガードなので直撃!

 

482:名無しのトレーナー

 相手は死ぬ

 

483:名無しのトレーナー

 ライチュウさーん!!

 

484:名無しのトレーナー

 ぶっ飛んだなぁ

 

485:名無しのトレーナー

 ありゃあ、立てんわ

 

486:名無しのトレーナー

 お次はフーディンか

 

487:名無しのトレーナー

 素直に相性ついてきたな。無理にライチュウで突っ張らずに戻した方が良かったんじゃね?

 

488:名無しのトレーナー

 当然、ここはサイコキネシスやろ

 

489:名無しのトレーナー

 えっ、カイリキーがすげぇスピードで詰めてきた!?

 

490:名無しのトレーナー

 先制技か!?

 

491:名無しのトレーナー

 マッハパンチ!

 

492:名無しのトレーナー

 いや、フーディンのダメージがでかい。バレットパンチだ!

 

493:名無しのトレーナー

 すげぇ、顔面ボコボコにしてるw ありゃ、技なんか打てねーぞ

 

492:名無しのトレーナー

 頭をガードした瞬間、今度はじごくづきでボディw

 

493:名無しのトレーナー

 エグ過ぎー!!

 

494:名無しのトレーナー

 フーディンくん、ダウンです!!

 

495:名無しのトレーナー

 そりゃ、サイキネ使おうとしたら、いつの間にか目の前にいて、顔面ボコボコにされて、ガードしたらボディに弱点攻撃だもんよ。ダウンもするわw

 

496:名無しのトレーナー

 10カウント待つことなく、戦闘不能です。ハイ

 

497:名無しのトレーナー

 いつものハイスピードバトルや

 

498:名無しのトレーナー

 シゲル君がバトルし出してからまだレスが30も消化されてない件

 

499:名無しのトレーナー

 四回戦より進みが悪いなw

 

500:名無しのトレーナー

 お相手氏の最後の一体はガルーラだー!

 

501:名無しのトレーナー

 ノーマルタイプかぁ、こりゃきつい!

 

502:名無しのトレーナー

 カイリキー突っ込む!

 

503:名無しのトレーナー

 接近戦に持ち込んだ。インファイトだ!

 

504:名無しのトレーナー

 オラオラオラオラオラオラ!!

 

505:名無しのトレーナー

 無駄無駄無駄無駄無駄無駄!!

 

506:名無しのトレーナー

 はい、ダウン。流石のガルーラもこのラッシュは無理かぁ

 

507:名無しのトレーナー

 一撃!!

 

508:名無しのトレーナー

 ラッシュだから一撃じゃねーけどな!

 

509:名無しのトレーナー

 何だかんだやっぱり一瞬のバトルやった

 

510:名無しのトレーナー

 シゲル君は順当に勝ち抜け、と

 

511:名無しのトレーナー

 早く終わったし、このままサトシ君のバトルでもいいんだけどな

 

512:名無しのトレーナー

 まぁ、午前二試合、午後二試合ってルールだから

 

513:名無しのトレーナー

 昼休憩なげーよ。二時間くらいあるじゃん

 

514:名無しのトレーナー

 まぁ、仕方ない。少し別スレでも覗いてくるか

 

515:名無しのトレーナー

 俺も今のうちにポケモンにご飯あげてこよ

 

516:名無しのトレーナー

 飯食うかぁ

 

 

926:名無しのトレーナー

 感想を書く前に言っておくッ! 俺は今、サトシ君の本気って奴をほんのちょっぴりだが見た

 い、いや……見たというよりは、全く理解を超えていたのだが……

 あ、ありのまま、今起こったことを話すぜ!

 俺は、サトシ君の試合を見たと思ったらいつの間にか終わっていた

 な、何を言ってるのかわからねーと思うが、俺も何が起きたのかわからなかった

 頭がどうにかなりそうだった……ドーピングだとか、積み技での強化だとか

 そんなチャチなもんじゃあ断じてねぇ

 もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ……

 

927:名無しのトレーナー

 >>923

 これが冗談じゃないから笑えん

 

928:名無しのトレーナー

 それな。実際そんな感じだった

 

929:名無しのトレーナー

 ドサイドンだー! って、スレで喜んでる間に試合終わったからな

 

930:名無しのトレーナー

 シゲル君も早かったけど、今日のサトシ君は多分今大会一早かった

 

931:名無しのトレーナー

 サトシ君とヒロシ君の試合始まる→サトシ君がドサイドン出す→バタフリー、ヒトカゲ、ピカチュウがワンキルされる。だからな

 

932:名無しのトレーナー

 バタフリーはストーンエッジでワンキル、ヒトカゲとピカチュウはじしんでワンキル、マジ瞬殺だったな

 

933:名無しのトレーナー

 ぶっちゃけ、もっと接戦になると思ってたわ

 

934:名無しのトレーナー

 そうね。岩や地面が通り良さそうとは思ってたけど、ここまでとは……

 

935:名無しのトレーナー

 いや、ドサイドンのパワーやばすぎだろ。サイドンですらパワーあるのに、それを軽く超えちゃってんじゃん

 

936:名無しのトレーナー

 伝説のポケモンレベル?

 

937:名無しのトレーナー

 そこまでは言わないけど、パワーだけなら四天王レベルじゃね?

 

938:名無しのトレーナー

 これがもう少し普通のポケモンだったらヒロシ君も戦えたかもな。相手がやばすぎた

 

939:名無しのトレーナー

 一試合しか出てないからデータもほぼないしな

 

940:名無しのトレーナー

 二回戦で全抜きも出来たけど、温存したんだろうな。これを狙って

 

941:名無しのトレーナー

 サトシ君こずるいわー

 

942:名無しのトレーナー

 でも、それも作戦よ。ヒロシ君はやっぱり水ポケモンをパーティに入れるべきだった

 

943:名無しのトレーナー

 そうねー

 

944:名無しのトレーナー

 相性を覆す自信はあったんだろうけど、それを超える圧倒的なパワー!!

 

945:名無しのトレーナー

 お前、もしかしてまだ……自分が死なないとでも思ってるんじゃないかね?

 

946:名無しのトレーナー

 死にましたw

 

947:名無しのトレーナー

 圧敗ですたw

 

948:名無しのトレーナー

 こんなんトレーナーやめたくなるべよ

 

949:名無しのトレーナー

 ヒロシ君! ベスト16は立派だ!

 

950:名無しのトレーナー

 やめないでー

 

951:名無しのトレーナー

 届け、俺達の思い!

 

952:名無しのトレーナー

 お前ら、サユリのバトル始まってるけどいいのか?

 

953:名無しのトレーナー

 しまった!

 

954:名無しのトレーナー

 サトシ君の試合が凄すぎてすっかり忘れてた

 

955:名無しのトレーナー

 今どうなってる?

 

956:名無しのトレーナー

 のりこめー!

 

957:名無しのトレーナー

 くっ、我々としたことが一生の不覚

 

958:名無しのトレーナー

 負け犬に同情なんていらねーんだ!

 

959:名無しのトレーナー

 こいつらw

 

960:名無しのトレーナー

 手のひら返しが凄いんだからw

 

961:名無しのトレーナー

 それな。もっとヒロシ君を讃えてやってもいいだろうにw

 

962:名無しのトレーナー

 ヒロシ君のその後も気になるが、今はサユリのバトルよ!

 

963:名無しのトレーナー

 お、勝ってるっぽい?

 

964:名無しのトレーナー

 これ勝てば、次の六回戦はサトシ君対サユリだな

 

965:名無しのトレーナー

 注目株同士のフルバトル!

 

966:名無しのトレーナー

 見てぇ!

 

967:名無しのトレーナー

 うおー、勝ってくれー!

 

 

 




 昨日から更新し出しました。これから毎日更新します!

 いつもたくさんの感想ありがとうございます。とても励みになっています。
 掲示板の執筆に追われてまだ返信出来ていませんが、一息つき次第順番に返させて頂くつもりです。


 後どうでもいいことですが、よう実に浮気してた時にちょっと書いてた小説をそのうちこっそり更新しようかと思ってたんですが、最近同じような内容の小説を見つけましたw

 やっぱ、同じようなこと考える人はいるんだなと思いましたw

 設定が微妙に違うので丸被りではないんですが、主人公の奔放感や全能感が近いなので部分被りになるし、下手に問題にしたくないのでお蔵入りにします。

 ぶっちゃけ、その方の小説の方が面白かったってのが一番でかいんですけどねw

 ただ、よう実もアニメが始まるし何か書きたい気分なので、AG編をのんびり書きながら、息抜きに少しよう実小説を書いてみようと思います。ポケモン以外興味ないって方もいるかもしれませんが、そういう方はAG編を気長にお待ち下さい。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


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おとくなけいじばん06

【第72回】ポケモンリーグセキエイ大会を語るスレpart13【優勝は誰だ?】

 

 

88:名無しのトレーナー

 遂に六回戦、今日からフルバトルだな

 

89:名無しのトレーナー

 昨日のムサリーノとジョージのバトル熱かったなー

 

90:名無しのトレーナー

 アーボック気合のダストシュートが決め手だったと思うわ

 

91:名無しのトレーナー

 ウツボットのふいうちじゃね? あれは完全な予想外だった

 

92:名無しのトレーナー

 いやー、いつも通りいいシーソーゲームだった。正直、ウツボットのねむりごながスリーパーのふみんで防がれた時はもう終わったと思ったわ

 

93:名無しのトレーナー

 ジョージも隙を突いてわるだくみで火力上げてきたしな。絶望感ヤバかった

 

94:名無しのトレーナー

 そこからのふいうちよ

 

95:名無しのトレーナー

 お前らいつまで語ってんだよ。昨日スレの半分語ってまだ語り足りないのか?

 

96:名無しのトレーナー

 足りん!!

 

97:名無しのトレーナー

 最終戦だったし、ずっと語れるいいバトルだったからなぁ

 

98:名無しのトレーナー

 あの試合は今大会一いい試合と言っても過言ではない

 

99:名無しのトレーナー

 まだまだ語らせてくれよぉ

 

100:名無しのトレーナー

 しかし、ジョーイさんとシゲル君の第一試合がもうじき始まるのに話題にもなんねーなw

 

101:名無しのトレーナー

 いやーねぇ

 

102:名無しのトレーナー

 どうせ、シゲル君が勝つし

 

103:名無しのトレーナー

 ジョーイさんも弱くはないけど、シゲル君ほどじゃないしな

 

104:名無しのトレーナー

 シゲル君が負ける所想像できる奴おりゅ?

 

105:名無しのトレーナー

 (負けるはず)ないです

 

106:名無しのトレーナー

 今日はフルバトルだから、Aリーグの二試合だけか

 

107:名無しのトレーナー

 ジョーイさん対シゲル君、サトシ君対サユリちゃんやね

 

108:名無しのトレーナー

 シゲルはともかく、サトシとサユリは見物だな

 

109:名無しのトレーナー

 俺達が求めていたフルバトルがようやく来てくれたわ

 

110:名無しのトレーナー

 まずはシゲルのバトルやな。選手入場してきたで

 

111:名無しのトレーナー

 このジョーイも何だかんだ残ったな

 

112:名無しのトレーナー

 まぁ、目立たないだけで弱くはないしな

 

113:名無しのトレーナー

 選手紹介とかいいからはよ開始してくれー!

 

114:名無しのトレーナー

 来た! シゲル君の一体目はブーバーだ!

 

115:名無しのトレーナー

 対するはカメックスか。相性では負けてるな

 

116:名無しのトレーナー

 カメックスは問答無用でハイドロポンプやな

 

117:名無しのトレーナー

 このジョーイさんの基本だからな

 

118:名無しのトレーナー

 ブーバーのかげぶんしん!

 

119:名無しのトレーナー

 こりゃ、狙い撃つのは無理だな

 

120:名無しのトレーナー

 ハイドロポンプは命中率低いからな。ジョーイさんもなみのりに切り替えてる

 

121:名無しのトレーナー

 なみのりは範囲がでかいし、こりゃ攻撃くらったか?

 

122:名無しのトレーナー

 でも、フィールドにブーバーいなくね?

 

123:名無しのトレーナー

 上だ!

 

124:名無しのトレーナー

 ジャンプでかわしてたのか!

 

125:名無しのトレーナー

 手から電気が出てる! かみなりパンチだ!

 

126:名無しのトレーナー

 弱点のでんき技キター!

 

127:名無しのトレーナー

 流石はシゲル様、対策は出来てるって訳か

 

128:名無しのトレーナー

 カメックスが倒れた!

 

129:名無しのトレーナー

 そこから追撃ののしかかりだ!

 

130:名無しのトレーナー

 青天状態w 甲羅の上から抑えられてカメックスが動けてねぇw

 

131:名無しのトレーナー

 その上からとどめのかみなりパンチ!

 

132:名無しのトレーナー

 やっぱ、つえー!

 

133:名無しのトレーナー

 ノーダメージで相性不利のカメックス倒し切るかぁ

 

134:名無しのトレーナー

 ジョーイさんの二体目はラッキーだ

 

135:名無しのトレーナー

 やっと、御三家以外のポケモンが出てきたな

 

136:名無しのトレーナー

 ラッキーかぁ。火力ないけど、固いイメージ

 

137:名無しのトレーナー

 開幕どくどく! 避けられてるw

 

138:名無しのトレーナー

 でもちいさくなるで、姿を隠したぞ

 

139:名無しのトレーナー

 こうなると見つけらんないんだよなぁ

 

140:名無しのトレーナー

 ちいさくなるはかげぶんしんに並ぶ最強の回避技だからな

 

141:現地民(麦わらの友)

 やっちまったな。あのジョーイさん

 

142:名無しのトレーナー

 おお、麦わらの友久しぶりだな

 

143:名無しのトレーナー

 そういや、ここ数日いなかったっけか

 

144:名無しのトレーナー

 やっちまったって?

 

145:現地民(麦わらの友)

 いや、実はワイ、リアルで記者やってんのよね。で、麦わら君を通してブルーに会う機会があったからちょっと普通に仕事してたわ。

 で、やっちまったっていうのは、ジョーイさんのラッキーの話。ブルーが今ボソッと話してたんやけど、ちいさくなるしてると、のしかかりが必中になる上、威力が二倍になるらしいで

 

146;名無しのトレーナー

 >>145

 マジ?

 

147:名無しのトレーナー

 >>145

 初耳だわ

 

148:名無しのトレーナー

 >>145

 お前が記者やってんのもびっくりだけど、今ブルーと一緒にいるっていう方がビックリやわ

 

149:名無しのトレーナー

 それな!

 

150:現地民(麦わらの友)

 これも記者の特権よ。仲良くなったから一緒に試合見ようって

 

151:名無しのトレーナー

 美少女と一緒に試合観戦とは……許せん!

 

152:名無しのトレーナー

 ギルティ

 

153:名無しのトレーナー

 これより処刑を開始する

 

154:現地民(麦わらの友)

 待て待て、ほら試合を見ろ。ブーバーがのしかかりでラッキー戦闘不能にしてるで!

 

155:名無しのトレーナー

 だまれぇい!!

 

156:名無しのトレーナー

 だまらっしゃい!!

 

157:名無しのトレーナー

 どうせ、シゲルが勝つんだから試合なんて後でみればいいんだよ!!

 

158:名無しのトレーナー

 今は裏切り者の処刑こそ優先される

 

159:通りすがりのブルー

 現地民ちゃんギルティ!!

 

160:名無しのトレーナー

 そうだ!

 

161:名無しのトレーナー

 奴を許すな!

 

162:名無しのトレーナー

 末代まで呪ってやるれ

 

163:名無しのトレーナー

 待て、今何か違う奴交じってなかったか?

 

164:名無しのトレーナー

 通りすがりのブルーがおるぞ

 

165:名無しのトレーナー

 馬鹿な。このスレを特定したというのか!

 

166:名無しのトレーナー

 ポケモンリーグスレだって他にも結構数あるのに?

 

167:現地民(麦わらの友)

 うげ、中身見たん? いつの間に?

 

168:通りすがりのブルー

 現地民ちゃん、ポケギア見すぎだからね。ちょっと隙を見て、スレのタイトル見せてもらったよ

 

169:名無しのトレーナー

 え? マジのご本人様?

 

170:名無しのトレーナー

 俺達悪いことは書いてません!

 

171:名無しのトレーナー

 待てい! それよりも、だ。現地民“ちゃん”?

 

172:名無しのトレーナー

 ちゃん?

 

173;名無しのトレーナー

 はーい!

 

174:名無しのトレーナー

 ばぶー!

 

175:名無しのトレーナー

 クンクン……貴様、まさか?

 

176:現地民(麦わらの友)

 うるせい。それ以上はどうでもいいやろが、試合見れ

 

177:名無しのトレーナー

 うむ、我々が間違っていた

 

178:名無しのトレーナー

 百合は至高である

 

179:名無しのトレーナー

 閉廷! 閉廷である!

 

180:名無しのトレーナー

 で、試合どうなった?

 

181:名無しのトレーナー

 うむ、試合こそ大事だ

 

182:現地民(麦わらの友)

 こいつら、さっきは試合なんて後から見ればいいとか言ってたくせに

 

183:名無しのトレーナー

 ほら、俺達って手のひらがドリルだから

 

184:名無しのトレーナー

 俺のドリルは天を貫くドリルだー!!

 

185:名無しのトレーナー

 そんなことより状況だ!

 

186:通りすがりのブルー

 ラッキーがのしかかりで戦闘不能になって、ジョーイさんがゲンガー出して、シゲル君がブーバーからフーディンに交換して、ジョーイさんがみちづれで相打ちしたって感じかな

 

187:名無しのトレーナー

 成程ね。で、今はインターバルか

 

188:名無しのトレーナー

 >>186

 ブルーちゃんサンクス

 

189:名無しのトレーナー

 しかし、選手がスレに来るなんて初めてじゃね?

 

190:名無しのトレーナー

 ここは雑魚のたまり場みたいな場所だからな

 

191:名無しのトレーナー

 どうせなら、ブルーちゃんの意見が聞きたいわ。問題なければ、今大会で警戒してるトレーナーとか教えて欲しい

 

192:名無しのトレーナー

 いいね。俺も聞きたいわ

 

193:名無しのトレーナー

 ちなみに、このスレでの注目株はブルーちゃん以外だと、シゲル君、サトシ君、サユリちゃん、ムサリーノね。他にもいたけど、今残ってるのはこのメンバーだけ

 

194:名無しのトレーナー

 ジョーイさんはバトルが普通過ぎるって理由でハブにされた

 

195:通りすがりのブルー

 ふーん、結構いい線行ってると思う。少なくとも、私の警戒してるメンバーは全員入ってるね

 

196:名無しのトレーナー

 マジか

 

197;名無しのトレーナー

 俺らの目も捨てたもんじゃねーな

 

198:通りすがりのブルー

 やっぱり、頭一つ抜けてるのはシゲル君とサトシ君かな。正直、この二人と一緒のブロックじゃなくて安心してる

 私と一緒のブロックなのはムサリーノさんだけど、この人は派手だね。バトルの技術云々よりも、魅せるバトルが上手いって感じ。素であれだけバトルを魅せられる人は本職のポケモンコーディネーターでもそう多くないんじゃないかな?

 

199:名無しのトレーナー

 確かに、言われてみればムサリーノはバトルと言うよりもコンテスト向きかもね

 

200:名無しのトレーナー

 勝ち上がればシゲル君とサトシ君のどっちかと戦う訳だけど、どっちと戦いたくない?

 

201:名無しのトレーナー

 つか、二人をどう警戒してる?

 

202:通りすがりのブルー

 両方とも戦いたくない。ってか、強い人と基本的に戦いたくない。私は出来れば楽にリーグを勝ち抜きたいからね

 二人をどう警戒してるかだけど、シゲル君は育成上手だね。どのポケモンも良く育てられてて技が豊富で安定してる。バランスが高水準だから、倒すのに苦労しそうだよ

 サトシ君はバトルの組み立てが上手いね。技の選択や、駆け引きなんかが凄い上手いから、立ち回りを間違えると一気に勝負が決まる。四回戦なんかその典型だったしね

 

203:名無しのトレーナー

 俺らからするとどっちもスゲーくらいの意見だけど、やっぱり選手視点は違うね

 

204:名無しのトレーナー

 うむ。でも、言われるとそんな感じするわ

 

205:名無しのトレーナー

 ブーバーがかみなりパンチ覚えてんしな

 

206:名無しのトレーナー

 今もリザードンとやりあってるけど、やっぱジョーイさんよりシゲル君の方が頭一つ抜けてるね

 

207:名無しのトレーナー

 リザードンも飛行タイプだから電気技が良く効くんだよな

 

208:名無しのトレーナー

 もう、裏に受けられるポケモンがいないのかな?

 

209:名無しのトレーナー

 リザードンもダウンだ

 

210:名無しのトレーナー

 これで後二体か、ジョーイさんの五体目はバタフリーだ

 

211:名無しのトレーナー

 で、最後がフシギバナか。こりゃ、マジで勝負決まったな

 

212:名無しのトレーナー

 フシギバナが電気タイプ対策なんだろうけど、まさかブーバーが電気技使ってくるとは思わなかったんだろうね

 

213:通りすがりのブルー

 上のレベルだと、弱点対策に技覚えさせるの普通だけどね

 

214:名無しのトレーナー

 そうなん?

 

215:名無しのトレーナー

 技覚えさせるコツとかあんの?

 

216:通りすがりのブルー

 一番早いのは技マシンか技レコードだね。お金が馬鹿みたいにかかるけど、一瞬で技が覚えられる

 

217:名無しのトレーナー

 無理や、そんな金ない

 

218:名無しのトレーナー

 俺達弱小トレーナーは日々食うだけで精一杯や

 

219:通りすがりのブルー

 他には技を覚えさせる仕事をしてる人にお願いするとかもあるよ。こっちも結構お金かかるけど

 

220:名無しのトレーナー

 金はないねん

 

221:名無しのトレーナー

 ブルーちゃん、我らマジで貧乏です

 

222:通りすがりのブルー

 後は自力だけど、もし覚えさせたい技を他に覚えてるポケモンがいれば、その子と練習させると普通に覚えさせるより早く覚えるよ。やっぱり、ポケモン同士だと上手くコツを伝えられるんだろうね

 

223:名無しのトレーナー

 へー、そうなんや

 

224:名無しのトレーナー

 今度やってみよ

 

225:通りすがりのブルー

 あ、勿論、そのポケモンが覚えられる技に限るけどね

 

226:名無しのトレーナー

 ポケモンがどんな技覚えるかとかわかんねー

 

227:名無しのトレーナー

 俺も。技説明図鑑に載ってるのも、基本はレベル技だしな

 

228:名無しのトレーナー

 一応、技スレにそういう情報載ってるから、そっちの方がワンチャン使えそうではある

 

229:名無しのトレーナー

 って話してる間にバタフリーも倒れたな

 

230:名無しのトレーナー

 結構空飛んで粘ってたけど、まぁ無理やろ

 

231:名無しのトレーナー

 ジョーイさんの最後のポケモンはやっぱフシギバナか

 

232:名無しのトレーナー

 お、ねむりごなだ。一か八か眠らせにいったな

 

233:名無しのトレーナー

 そんなん当たる訳……って当たってるー!?

 

234:名無しのトレーナー

 え? 今避けたよね?

 

235:名無しのトレーナー

 何か、粉が風で逸れたような感じやな

 

236:名無しのトレーナー

 粉が風でたまたまブーバーがかわした方に行ったって感じ?

 

237:名無しのトレーナー

 運良すぎて草

 

238:名無しのトレーナー

 ブーバーも何だかんだこれまでの連戦でダメージもあったみたいだし、追撃のヘドロばくだんで普通に戦闘不能になったな

 

239:名無しのトレーナー

 でも、シゲル君には後四体もポケモンおるしな

 

240:名無しのトレーナー

 シゲル君の三体目はピジョットか

 

241;名無しのトレーナー

 完全に相性有利攻めてきたな

 

242:名無しのトレーナー

 ジョーイさんもねむりごなでワンチャン狙いに行ってるけど、空飛んでるピジョットは捕まえられなそう

 

243:名無しのトレーナー

 シゲルも同じ轍を踏まないように、かなり高度取らせてるしな

 

244:名無しのトレーナー

 上空でパワー貯め始めたな、ゴッドバードっぽい

 

245:名無しのトレーナー

 フシギバナもヘドロばくだんで何とかしようとしてるけど、高度が有り過ぎて当たってねー

 

246:名無しのトレーナー

 そのまま上空からゴッドバードのピジョットが突っ込んでいくぅ!

 

247:名無しのトレーナー

 Q.上空からゴッドバードが直撃したらどうなりますか

 A.死にます

 

248:名無しのトレーナー

 一撃だー!!

 

249:名無しのトレーナー

 つっよ

 

250:名無しのトレーナー

 マジかよ。一撃でフシギバナ倒れんの?

 

251:名無しのトレーナー

 勢いがついてたから威力上がったんかね?

 

252:名無しのトレーナー

 多分ね

 

253:名無しのトレーナー

 結局、シゲル君はポケモン四体残しての余裕のバトルだったな

 

254:名無しのトレーナー

 ジョーイさんも頑張ったけどな

 

255:名無しのトレーナー

 ま、俺らの手のひらドリルさせるレベルではなかったな

 

256:名無しのトレーナー

 さっきドリルしたばっかりだしな

 

257:名無しのトレーナー

 いやー、あれは現地民ネキが悪いわ

 

258:名無しのトレーナー

 ネキはともかく、こっからまた昼休みか

 

259:名無しのトレーナー

 暇やわー

 

260:名無しのトレーナー

 早くサトシとサユリのバトル見てぇなぁ

 

261:名無しのトレーナー

 注目株同士のフルバトルだからな

 

262:名無しのトレーナー

 お前らの予想だとどっちが上?

 

263:名無しのトレーナー

 サトシ君じゃね?

 

264:名無しのトレーナー

 サユリもセンスあるけど、サトシにはドサイドンっていう爆弾あるからな

 

265:名無しのトレーナー

 でも、ここでサトシ君が勝てば、次の準決勝はシゲル君対サトシ君かぁ

 

266:名無しのトレーナー

 激熱すぎてやべぇ

 

267:名無しのトレーナー

 うーむ、そういわれると、サユリには悪いがサトシを応援したくなる

 

268:名無しのトレーナー

 馬鹿め! 美少女こそ正義だ!

 

269:名無しのトレーナー

 サユリもエリートだけど、可愛いからなぁ。頑張ってほしい

 

270:名無しのトレーナー

 全く、同感ですな!

 

 

441:名無しのトレーナー

 ようやく、試合始まるな

 

442:名無しのトレーナー

 みんなー、あつまえー!

 

443:名無しのトレーナー

 わーい!

 

444:名無しのトレーナー

 試合だ試合だー

 

445:名無しのトレーナー

 乗り込めー!

 

446:名無しのトレーナー

 サユリの一体目はニドクイン、サトシはゼニガメだな

 

447:名無しのトレーナー

 相性はゼニガメ有利か? でも、相手は最終進化系だからなぁ

 

448:名無しのトレーナー

 ニドクインのかみなりパンチだ!

 

449:名無しのトレーナー

 流石はエリトレ! しっかり技覚えさせてる!

 

450:名無しのトレーナー

 ゼニガメは棒立ち?

 

451:名無しのトレーナー

 いや、ロケットずつきだ。力を貯めてるんだよ

 

452:名無しのトレーナー

 確かロケットずつきってタメがいるけど、防御力もあがる技だったな

 

453:名無しのトレーナー

 成程、攻撃と防御を両立させたのか

 

454:名無しのトレーナー

 お互いの攻撃が当たったけど、体格的な面や弱点から見てもゼニガメ不利か?

 

455:名無しのトレーナー

 ニドクインの追撃かみなりパンチ!

 

456:名無しのトレーナー

 おお、こうそくスピンで回避してる!

 

457:名無しのトレーナー

 そのままみずでっぽう……いや、ハイドロポンプか?

 

458:名無しのトレーナー

 すげぇ、回転しながら水が鞭みたいに相手に叩きつけられてる

 

459:名無しのトレーナー

 流石のニドクインも苦しそうやな。膝ついとる

 

460:名無しのトレーナー

 ゼニガメは追撃の……え、何あの技?

 

461:名無しのトレーナー

 水がドシャーって!

 

462:名無しのトレーナー

 見たことない技だ!

 

463:名無しのトレーナー

 まさか、フシギダネと同じ究極技か!?

 

464:名無しのトレーナー

 ニドクインが倒れた!

 

465:名無しのトレーナー

 膝ついてたとはいえ、あそこからワンパンかよ。威力半端ねぇ!

 

466:名無しのトレーナー

 こーれ、普通じゃないです

 

467:通りすがりのブルー

 あれ、水の究極技だね。ハイドロカノン。でもちょっと威力が低いし未完成っぽいかも?

 

468:名無しのトレーナー

 威力が弱い!? あれで!?

 

469:名無しのトレーナー

 進化前ポケモンの持っていいパワーじゃないで!?

 

470:名無しのトレーナー

 もうサトシ君はポケモンのビックリ箱やでー!

 

471:名無しのトレーナー

 サユリの二体目はサンダースか、サトシはすぐにゼニガメ戻したな

 

472:名無しのトレーナー

 判断が早い

 

473:名無しのトレーナー

 判断が早い

 

474:名無しのトレーナー

 サトシの二体目はベトベトンだ

 

475:名無しのトレーナー

 相性としては普通やな

 

476:名無しのトレーナー

 サンダースの10まんボルトだ!

 

477:名無しのトレーナー

 ベトベトンはどくどくだ。でも、10まんボルトの方が先に当たる!

 

478:名無しのトレーナー

 やっぱ、サンダース足早いなぁ。前にワイもサンダースにボコボコにされたんだよな

 

479:名無しのトレーナー

 え、ベトベトン無傷?

 

480:名無しのトレーナー

 んー、ダメージ受けてない?

 

481:名無しのトレーナー

 え、サユリがサンダース戻したぞ? 何でだ?

 

482:名無しのトレーナー

 毒くらったからかな?

 

483:名無しのトレーナー

 わからん

 

484:名無しのトレーナー

 このレベルになると、ワイらだと思考が追いつかんな

 

485:名無しのトレーナー

 サユリの三体目はキュウコンだ

 

486:名無しのトレーナー

 サトシ君がまたすぐにベトベトン戻した

 

487:名無しのトレーナー

 判断が早い

 

488:名無しのトレーナー

 判断が早い

 

489:通りすがりのブルー

 多分、あのベトベトンは電気技が効きにくいんだろうね。サユリさんは多分、それに気づいてサンダースを戻したんだと思う。で、キュウコンはエスパー技が使えるからサトシ君も警戒してポケモンをケンタロスに変えてきたね

 

490:名無しのトレーナー

 ケンタロスか

 

491:名無しのトレーナー

 相性的には普通だけど

 

492:名無しのトレーナー

 じしんだ!

 

493:名無しのトレーナー

 やっぱ、サトシ君も弱点を突く技覚えさせてるか!

 

494:名無しのトレーナー

 キュウコンはおにびで対抗してきた!

 

485:名無しのトレーナー

 上手いな。火傷になれば、痛みを気にして攻撃に集中できなくなるから技の威力が下がる

 

486:名無しのトレーナー

 キュウコンも普通にじしん受けたけど、まだまだ動けるって感じやね

 

487:名無しのトレーナー

 お、わるだくみだ。キュウコンの技の威力上げてきたか

 

488:名無しのトレーナー

 サトシ君は倒れる前に倒すって感じだな。ケンタロスが突っ込んでいく

 

489:名無しのトレーナー

 ギガインパクトだ!

 

490:名無しのトレーナー

 威力の高い技で無理矢理押し切る気か!?

 

491:名無しのトレーナー

 でも、キュウコン耐えてる!!

 

492:名無しのトレーナー

 さらにもう一回わるだくみ!

 

493:名無しのトレーナー

 ケンタロスが技の反動で動けないのを上手く利用してきたな

 

494:名無しのトレーナー

 続けてだいもんじ!

 

495:名無しのトレーナー

 ケンタロスもじしん使おうとしてるけど、流石に間に合わないか!

 

496:名無しのトレーナー

 ケンタロス倒れた!

 

497:名無しのトレーナー

 一撃かよ。だいもんじ威力上がりすぎだわ

 

498:名無しのトレーナー

 サトシ君はバリヤード出してきた!

 

499:名無しのトレーナー

 バリヤードか。これもあんまり見ないポケモンだな

 

500:名無しのトレーナー

 ラプラスとかイーブイ程じゃないけど珍しいよね

 

501:名無しのトレーナー

 キュウコンのだいもんじ!

 

502:名無しのトレーナー

 バリヤードはまもるか?

 

503:名無しのトレーナー

 いや、何かひかりのかべっぽいけど、十枚くらい数でてんな

 

504:名無しのトレーナー

 だいもんじが壁を貫通できなくて消えちゃった

 

505:名無しのトレーナー

 え、なにこれ?

 

506:名無しのトレーナー

 わからん!

 

507:通りすがりのブルー

 推測だけど、ひかりのかべを多重展開して、技の威力を減衰させて防いだんだと思う。あんな速度で壁を出せるポケモンなんてそういないけどね

 

508:名無しのトレーナー

 そんなん特殊じゃもう突破できなくね?

 

509:名無しのトレーナー

 最強じゃん

 

510:名無しのトレーナー

 サユリも火力を上げて押し切るつもりみたいやな。わるだくみ三回目や

 

511:名無しのトレーナー

 バリヤードは、何だ? ゆびをふるか?

 

512:名無しのトレーナー

 キュウコンとバリヤードの体から光が出て、お互いの体に入れ替わってる?

 

513:名無しのトレーナー

 何の技だ?

 

514:通りすがりのブルー

 あれはパワースワップだね。相手と自分の攻撃、特殊攻撃を入れ替える技だよ。今の場合だと、サユリさんのキュウコンの上がったパワーがバリヤードと入れ替わったって感じ

 

515:名無しのトレーナー

 え? それってやばくね?

 

516:名無しのトレーナー

 キュウコンがわるだくみで上げた火力取られたってこと?

 

517:名無しのトレーナー

 オワやん

 

518:名無しのトレーナー

 サユリも慌ててだいもんじ指示してるな。技の効果理解してるっぽい

 

519:名無しのトレーナー

 バリヤードはまもるか? だいもんじが普通に消されてる

 

520:名無しのトレーナー

 キュウコン倒れたな。うわー、これきっつ!

 

521:名無しのトレーナー

 チート! チートです!

 

522:名無しのトレーナー

 サユリの次はカイロスか

 

523:名無しのトレーナー

 特殊じゃ勝ち目がないから、物理で叩くって狙いかね?

 

524:名無しのトレーナー

 サトシ君は突っ張るかね?

 

525:名無しのトレーナー

 火力上がってるし、下げたくはないよな

 

526:名無しのトレーナー

 あ、でもボール出してる

 

527:名無しのトレーナー

 戻すのか、潔いな

 

528:名無しのトレーナー

 でも、バリヤードが何か手振ってる?

 

529:名無しのトレーナー

 嫌がってんのかな? ひかりのかべ使ってるし

 

530:名無しのトレーナー

 違う! バトンタッチだ!

 

531:名無しのトレーナー

 バトンタッチって、別のポケモンと交換する技だっけ?

 

532:名無しのトレーナー

 え、何か意味ある? 普通に戻せばよくね?

 

533:名無しのトレーナー

 バトンタッチは、交代する時の能力変化を次のポケモンに引き継げるんだよ。だから、次に出てくるポケモンも特殊攻撃が最強の状態で出てくる

 

534:名無しのトレーナー

 え?

 

535:名無しのトレーナー

 そんな効果あったのか……

 

536:名無しのトレーナー

 やべぇじゃん。サトシ君の次のポケモン

 

537:名無しのトレーナー

 って、はああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!?

 

539:名無しのトレーナー

 はえ!? 何だあれ!?

 

538:名無しのトレーナー

 レアコイル? いや、形が全然違う!?

 

540:名無しのトレーナー

 UFOだああああああああああああああああああああああああああああ!!

 

541:名無しのトレーナー

 まぁだ、あんなポケモン隠し持ってたのかよ!!

 

542:名無しのトレーナー

 メーデーメーデー、至急データを求む!

 

543;名無しのトレーナー

 ってか、現地民ネキはどこいった! こういう時はあいつの仕事やろ!

 

544:現地民(麦わらの友)

 いや、ブルーおるんやからええやん。ゆっくり見させてくれや

 

545:名無しのトレーナー

 こいつ、不貞腐れてやがる

 

546:名無しのトレーナー

 すまんかったって

 

547:現地民(麦わらの友)

 ゆーて、ワイも知らんしな。ブルーや麦わら君曰く、あれはジバコイルっていうポケモンらしいけど

 

548:名無しのトレーナー

 ジバコイル!

 

549:名無しのトレーナー

 やっぱりコイル系か!

 

550:通りすがりのブルー

 レアコイルの進化系だよ。カントーだと結構珍しいかもね。シンオウとかだと結構見るよ

 

551:名無しのトレーナー

 またシンオウ進化か。ドサイドンと一緒やな

 

552:名無しのトレーナー

 サユリは交換しないな。見た目でコイル系ってわかってるとは思うけど

 

553:名無しのトレーナー

 カイロスが真っすぐジバコイルに向かっていく

 

554:名無しのトレーナー

 タイプが変わってなきゃ電気鋼だからな。多分格闘技でごり押しする気だ!

 

555:名無しのトレーナー

 ジバコイルは10まんボルトだ!

 

556:名無しのトレーナー

 威力やばっ!

 

557:名無しのトレーナー

 こんなん耐えられる訳ないやん!!

 

558:名無しのトレーナー

 地獄だぁ!! カイロスが一撃で倒れてるぅ!

 

559:名無しのトレーナー

 サユリのポケモンが三体戦闘不能になったからインターバルだな

 

560:名無しのトレーナー

 サトシ君、ジバコイル戻さねぇw

 

561:名無しのトレーナー

 戻したら強化消えるしな

 

562:名無しのトレーナー

 つまり、後半もジバコイル無双ってこちょ?

 

563:名無しのトレーナー

 つか、会場の盛り上がり方パネェ

 

564:名無しのトレーナー

 そりゃ、カントーじゃ見ない新ポケが相手を一撃で倒しゃ盛り上がりもするわな

 

565:名無しのトレーナー

 サトシ君の顔見たか? ありゃ、めっちゃ調子に乗ってるぞ

 

566:名無しのトレーナー

 何だかんだサトシの方が有利だしな

 

567:名無しのトレーナー

 いや、歓声に対して。前々から思ってたけど、あいつめっちゃ目立ちたがりだぞ

 

568:名無しのトレーナー

 休憩中を映してるカメラ見てみ、めっちゃ悪い顔してる

 

569:名無しのトレーナー

 確かにw もう悪役にしか見えんw

 

570:名無しのトレーナー

 シゲル君が主人公なら、サトシ君は魔王だな

 

571:名無しのトレーナー

 魔王様お願いですからもう少し手心を加えてあげてください

 

572:名無しのトレーナー

 ここから先は一方通行だ

 

573:名無しのトレーナー

 ジバコイルの三体抜きで試合終了が見えた。第三部完!!

 

 

 

 




 一昨日から更新再開しています。毎日更新する予定です。

 掲示板は多分11で終わりそうです。現在09を執筆中。予定より長くなってます。後半のバトル長すぎる。誰だ書いたの。

 掲示板を完結させてからジョウト編に入る予定なので、ジョウト編を楽しみにしてくださっている方はもう少々お待ちください。来週にはジョウト編始まります。




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おとくなけいじばん07

【第72回】ポケモンリーグセキエイ大会を語るスレpart13【優勝は誰だ?】

 

 

674:名無しのトレーナー

 誰だよ、さっき三体抜きで試合終了まで見えたとか言った奴、マジで三体抜きで試合終了しちゃったじゃんか

 

675:名無しのトレーナー

 ジバコイルは圧倒的でしたね

 

676:名無しのトレーナー

 火力が上がってたとはいえ、マジで強かった

 

677:名無しのトレーナー

 サユリもワンチャン狙ってたけどな。四体目に電気に強いフシギソウ出して逆転狙ってきたけど、ねむりごな警戒したサトシ君がエレキフィールド使ったのが致命的だった

 

678:名無しのトレーナー

 サユリも咄嗟にやどりぎ使ったけど、やどりぎの回復よりダメージが大きすぎたな

 

679:名無しのトレーナー

 基本ワンパンだから、回復とか意味ないって感じだった

 

680:名無しのトレーナー

 フシギソウもサンダースもラスターカノンでワンキル、最後のギャラドスも10まんボルトでワンキルだったからな

 

681:名無しのトレーナー

 何だかんだサトシ君は倒れたのがケンタロスだけってのがまたね

 

692:名無しのトレーナー

 シゲルもサトシも圧倒的だった

 

693:名無しのトレーナー

 サトシの相手は同じ注目株だったけど、格の違いを見せつけた感じだったわ

 

694:名無しのトレーナー

 サユリも強いんだけどな。やっぱ、ブルーちゃん、シゲル君、サトシ君は別格だね

 

695:名無しのトレーナー

 今日はこれで終わりか

 

696:名無しのトレーナー

 明日は午後にブルーちゃんとムサリーノだけど、それまでは暇になりそう

 

697:名無しのトレーナー

 どっちが勝つかね?

 

698:名無しのトレーナー

 流石にブルーちゃんだろ

 

699:名無しのトレーナー

 ムサリーノはシーソーゲーム得意だけど、やっぱブルーちゃんは一枚上手だしな

 

700:名無しのトレーナー

 タイプの偏りもある。ムサリーノは毒タイプが多いからエスパーや地面に弱い

 

701:名無しのトレーナー

 今、ムサリーノが使ってるポケモンは、アーボック、サワムラー、ギャラドス、ウツボット、マタドガスか

 

702:名無しのトレーナー

 何度も使ってるし、レギュラーメンバーなのは確実そう

 

703:名無しのトレーナー

 サワムラーも格闘だからエスパーの一貫性がヤバいな

 

704:名無しのトレーナー

 ギャラドスか最後の一体でどうにかするしかないか?

 

705:名無しのトレーナー

 今んとこ、ブルーちゃんはゲンガーとガルーラだけでここまで来てるからなぁ

 

706:名無しのトレーナー

 ゲンガーはサイキネも10まんも覚えるから、ムサリーノのポケモンだときつそう

 

707:名無しのトレーナー

 逆にゲンガー突破できれば?

 

708:名無しのトレーナー

 ブルーちゃんの残りのポケモン次第やな

 

709:名無しのトレーナー

 電気タイプがいなければなぁ

 

710:通りすがりのブルー

 私のポケモンはカメックス、ガルーラ、ゲンガー、ピクシー、ウツボット、キュウコンの六体だよ。ここだけの秘密ね

 

711:名無しのトレーナー

 えっ?

 

712:名無しのトレーナー

 それ話しちゃまずいんじゃね?

 

713:名無しのトレーナー

 誰が見てるかもわからんのやぞ?

 

714:通りすがりのブルー

 まぁ、正直な話。別に隠してるわけじゃないからしっかり情報収集できる人なら知ってることだし、多分明日で顔が割れるしね

 

715:名無しのトレーナー

 まぁ、シゲルやサトシ、ムサリーノがこのスレ見てるとは思えないしな

 

716:名無しのトレーナー

 確かに、ブルーちゃんだって現地民ネキのうっかりがなければここに来てないしな

 

717:名無しのトレーナー

 そうだった。ここは雑魚の掃き溜めだったわw

 

718:通りすがりのブルー

 ってことで、私のポケモンの情報で盛り上がっといてよ。流石にそろそろ明日の準備するからこれ以上はいられないしね

 

719:名無しのトレーナー

 ありがとうブルーちゃん!

 

720:名無しのトレーナー

 現地民だけど、拷問されても秘密は守るぜ!

 

721:名無しのトレーナー

 応援してるから頑張って!

 

722:名無しのトレーナー

 いいバトルを期待してるぜ!

 

723:名無しのトレーナー

 ではこれより、ブルーちゃんのポケモンの情報を加味して、ムサリーノとのバトルの予想を始める!

 

724:名無しのトレーナー

 うおー! 今夜は寝かせねーぜ!

 

725:名無しのトレーナー

 パーティナイト!

 

726:名無しのトレーナー

 いえーい!

 

 

344:名無しのトレーナー

 何だかんだ一晩でスレが一個半消えたな

 

345:名無しのトレーナー

 最終的な結論としては、ブルーちゃんの勝利は動かなそうってことだな

 

346:名無しのトレーナー

 ムサリーノがどこまで食らいつくかやね

 

347:名無しのトレーナー

 最後の一体次第で結果は変わるけど、ブルーちゃんのパーティバランスいいしな

 

348:名無しのトレーナー

 そして、気が付けばBリーグ準決勝第一試合は終わっていた件

 

349:名無しのトレーナー

 パッとしねー試合だったな

 

350:名無しのトレーナー

 ぶっちゃけ、こいつらじゃブルーちゃんとムサリーノには勝てないやろ

 

351:名無しのトレーナー

 弱くはないけど面白くない。ジョーイさんと一緒

 

352:名無しのトレーナー

 二人の試合がもうすぐ始まるぜー!

 

353:名無しのトレーナー

 あのさ、気のせいじゃなければ、ムサリーノの足元にニャースいるんだけど

 

354:名無しのトレーナー

 >>353

 それ、俺も気になってたわ

 

356:名無しのトレーナー

 えっ、まさかあいつが六体目?

 

357:名無しのトレーナー

 マジ? だとしたら、ゲンガーかなり辛くなるぞ?

 

358:名無しのトレーナー

 始まった!

 

359:名無しのトレーナー

 ムサリーノの一体目はアーボック、ブルーちゃんはピクシーだ

 

360:名無しのトレーナー

 ブルーちゃんはマジに昨日書いたポケモンだな

 

361:名無しのトレーナー

 まぁ、嘘つくようなタイプじゃなさそうだしね

 

362:名無しのトレーナー

 ピクシーはフェアリーだから、相性的にはムサリーノ有利だ!

 

363:名無しのトレーナー

 アーボックのヘドロばくだん!

 

364:名無しのトレーナー

 ピクシーが縮んでいく。ちいさくなるか!

 

365:名無しのトレーナー

 シゲル君は攻略してたけど、ムサリーノはどうだ!?

 

366:名無しのトレーナー

 見失ってるっぽいなぁw

 

367:名無しのトレーナー

 まぁ、普通はそうよね。のしかかりが弱点なんて知らんしw

 

368:名無しのトレーナー

 ピクシーはその間にステルスロックか

 

369:名無しのトレーナー

 ステルスロックって、交換するとダメージが入る技だっけ?

 

370:名無しのトレーナー

 そうね。このレベルのトレーナーは交換を良くするから、ステルスロックはぶっ刺さりそう

 

371:名無しのトレーナー

 でも、動いたことでムサリーノもピクシーの位置を見つけたみたいだぞ

 

372:名無しのトレーナー

 ブルーちゃんがピクシー戻した

 

373:名無しのトレーナー

 ピクシーはあくまでステルスロックを使う要員ってことか?

 

374:名無しのトレーナー

 多分ね。後は純粋に相性不利だからってのもありそう

 

375:名無しのトレーナー

 ブルーちゃんの二体目はゲンガーか

 

376:名無しのトレーナー

 昨日、このスレで散々騒がれてたゲンガーだ

 

377:名無しのトレーナー

 ブルーちゃんのゲンガーなら、当然サイキネ覚えてるだろうしな

 

378:名無しのトレーナー

 ムサリーノはあなをほるで攻めに行ったな

 

379:名無しのトレーナー

 地面はゲンガーの弱点だし全然ありだ

 

380:名無しのトレーナー

 ゲンガーもサイキネ使おうとしたみたいだけど、ムサリーノの方がちょっぴり早かったね

 

381:名無しのトレーナー

 これはもしかしたらもしかするか?

 

382:名無しのトレーナー

 あれ? ゲンガーが技を中断してない?

 

383:名無しのトレーナー

 え、サイキネで自分を宙に浮かせてる

 

384:名無しのトレーナー

 マジか、そんなんありかよ

 

385:名無しのトレーナー

 あなをほるをこんな方法で回避してくるなんて!

 

386:名無しのトレーナー

 技の応用ってやつか

 

387:名無しのトレーナー

 そのまま追撃のサイコキネシス!

 

388:名無しのトレーナー

 ワンパンかよ。ムサリーノのアーボック結構固いのに

 

389:名無しのトレーナー

 こりゃ、レベル差もあるか?

 

390:名無しのトレーナー

 うーん、やっぱり強いね

 

391:名無しのトレーナー

 ムサリーノの二体目はウツボットだ

 

392:名無しのトレーナー

 ふいうち狙い?

 

393:名無しのトレーナー

 だろうな。草毒のウツボットじゃ、ゲンガーへの有効打なんてないしな

 

394:名無しのトレーナー

 ステルスロックの岩が食い込んでるけど、声も上げないな。すげぇ

 

395:名無しのトレーナー

 でも、読まれてるな。ゲンガーはあやしいひかりだ。ふいうちは変化技使われたら失敗するんだよな

 

396:名無しのトレーナー

 相手の攻撃技に反応して先出しする技だからな、不意を突くからふいうちであって、バレてたらそりゃ避けられるわ

 

397:名無しのトレーナー

 ムサリーノは完全にふいうちだったみたいね。ウツボットが技失敗した上に混乱してる

 

398:名無しのトレーナー

 サイキネくらったらアウトだ!

 

399:名無しのトレーナー

 ギリギリで戻したか

 

400:名無しのトレーナー

 ナイス判断!

 

401:名無しのトレーナー

 でも、やっぱゲンガーが厳しいな

 

402:名無しのトレーナー

 ムサリーノの三体目はギャラドスか

 

403:名無しのトレーナー

 かみつくか、かみくだくが悪技だから、それで攻める気だろうな

 

404:名無しのトレーナー

 お得意のはかいこうせんもゴーストタイプのゲンガーには効かないしね

 

405:現地民(麦わらの友)

 どうもステルスロックはポケモンの相性も関係してダメージが変化するらしいで。飛行タイプもあるギャラドスはステルスロックで受けるダメージが二倍になるってさ

 

406:名無しのトレーナー

 ネキ! オッスオッス!

 

407:名無しのトレーナー

 また麦わら君情報か?

 

408:現地民(麦わらの友)

 せやで。またスケブの下手な絵見せて説明してくれたわ

 

409:名無しのトレーナー

 下手って言ってやるなよw

 

410:名無しのトレーナー

 わかりやすいようにって善意やろw

 

411:名無しのトレーナー

 しかし、麦わら君の絵はともかく、それがマジだとしたらギャラドス圧倒的に不利やな

 

412:名無しのトレーナー

 ギャラが突っ込んでいく。やっぱり、悪技で攻める気みたいだ!

 

413:名無しのトレーナー

 ゲンガーはまたあやしいひかりか

 

414:名無しのトレーナー

 混乱で動きを封じるつもりっぽいな

 

415:名無しのトレーナー

 でも、ギャラ突っ込んでいくぞ! 混乱してないのか!?

 

416:名無しのトレーナー

 いや、混乱しててもたまに攻撃することもあるし当たり引いたっぽい!

 

417:名無しのトレーナー

 こりゃ、ラッキー!

 

418:名無しのトレーナー

 ゲンガーも大ダメージだ! ありゃ、かみくだくっぽいな

 

419:名無しのトレーナー

 いいね!

 

420:名無しのトレーナー

 いけるか!?

 

421:名無しのトレーナー

 ダメだ! 返しの10まんボルト!

 

422:名無しのトレーナー

 ゼロ距離かよ! こりゃきっつい!

 

423:名無しのトレーナー

 でもギャラドス耐えてる! そのままかみくだくで反撃しに行った!

 

424:名無しのトレーナー

 マジかよ! 電気技耐えるのか!

 

425:名無しのトレーナー

 ブルーちゃんも驚いてる!

 

426:名無しのトレーナー

 これ、全然あるぞ!

 

427:名無しのトレーナー

 でも、ゲンガーも耐えた!

 

428:名無しのトレーナー

 マジかよ! ゲンガーだって耐久高くないのに!?

 

429:名無しのトレーナー

 さらに返しの10まんボルト!

 

430:名無しのトレーナー

 流石にこれを耐えるのは無理かぁ

 

431:名無しのトレーナー

 ギャラダウンか。いや、ナイスファイトだわ

 

432;名無しのトレーナー

 ムサリーノの次は、またウツボットか

 

433:名無しのトレーナー

 流石にもうふいうちは出来ないよな?

 

434:名無しのトレーナー

 そうね。ねむりごなで眠らせにきた

 

435:名無しのトレーナー

 寝かせられるのはブルーちゃんも勘弁みたいだな。ゲンガー戻した

 

436;名無しのトレーナー

 ムサリーノもウツボット戻したな。でも、これでステロ二回目だし、次は三回目だ。やっぱ後半になるときつくなっていきそうだな

 

437:名無しのトレーナー

 ブルーちゃんの三体目はガルーラだ

 

438:名無しのトレーナー

 ムサリーノはサワムラーか。相性は有利だな

 

439:名無しのトレーナー

 開幕とびひざ来るか!?

 

440:名無しのトレーナー

 いや、ローキックだ!

 

441:名無しのトレーナー

 前回のジョージとの試合で外したの気にしてるのかもな

 

442:名無しのトレーナー

 外すと自分に大ダメージだからなぁ

 

443:名無しのトレーナー

 ガルーラはねこだましか

 

444:名無しのトレーナー

 目の前でパチンってやられるだけで、動きが止まってダメージ入るの納得できない件

 

445:名無しのトレーナー

 ねこだまし先制技だし、もしとびひざ使ってたらアウトだったな

 

446:名無しのトレーナー

 反省が生きてて偉い!

 

447:名無しのトレーナー

 で、サワムラーはまたローキックか。まぁ、ガルーラはノーマルタイプだし、普通にダメージ期待できるもんな

 

448:名無しのトレーナー

 ガルーラくらった!

 

449:名無しのトレーナー

 同時にカウンターだ!

 

450:名無しのトレーナー

 このガルーラにはこれがあるのよ!

 

451:名無しのトレーナー

 自分が受けた倍のダメージを相手に返す!!

 

452:名無しのトレーナー

 でも、サワムラー倒れない! ローキックのダメージが低かったか!?

 

453:名無しのトレーナー

 そのままとびひざで勝負を決めに行った!

 

454:名無しのトレーナー

 ふいうち!?

 

455:名無しのトレーナー

 ここでふいうちか! 上手い!

 

456:名無しのトレーナー

 ガルーラにふいうちあったのすっかり忘れてたわ。マジの不意打ちだった!

 

457:名無しのトレーナー

 サワムラーもダウンか

 

458:名無しのトレーナー

 ムサリーノのポケモンが三体戦闘不能になったな。インターバルだ

 

459:名無しのトレーナー

 いいバトルなんだけどなぁ!

 

460:名無しのトレーナー

 後一息を押し切れなくてムサリーノが勝ちきれない感じだわ

 

461:名無しのトレーナー

 でも、ゲンガーもガルーラもダメージは受けてるし、まだこれからだろ

 

462:名無しのトレーナー

 キングも前に1対6から逆転勝ちしたしな

 

463:名無しのトレーナー

 コイキングが6体抜きしたのはもう伝説だった

 

464:名無しのトレーナー

 キングは置いても、ムサリーノもまだまだこれからよ

 

465:名無しのトレーナー

 カメックスとウツボット、キュウコンがまだ出てきてないのか

 

466:名無しのトレーナー

 ムサリーノの残りはマタドガスとウツボットか、後一体はまだ出てきてないね

 

467:名無しのトレーナー

 やっぱニャースなのかな?

 

468:名無しのトレーナー

 サトシ君のピカチュウみたいな感じ? でも、サトシ君もピカチュウ使わないからなぁ

 

469:名無しのトレーナー

 もしニャースだとしたら、ゲンガーを突破するにはウツボットを上手く使うしかなくなるな

 

470:名無しのトレーナー

 そうね

 

471:名無しのトレーナー

 でも、ギャラドスのかみくだく二回くらってるし、上手くすればワンチャンありそう

 

472:名無しのトレーナー

 このままズルズルやられるのはみたくない。頑張れムサリーノ!

 

473:名無しのトレーナー

 奇跡を起こしてくれー!

 

474:名無しのトレーナー

 インターバルが終わった。試合再開だ

 

475:名無しのトレーナー

 ムサリーノはウツボット、ブルーちゃんはキュウコンだ

 

476:名無しのトレーナー

 これ、ウツボット読まれたな

 

477:名無しのトレーナー

 ムサリーノも即交換してる

 

478:名無しのトレーナー

 お次はマタドガスか

 

479:名無しのトレーナー

 でも、キュウコンもエスパー技覚えるんだよなぁ

 

480:名無しのトレーナー

 じんつうりきだ!

 

481:名無しのトレーナー

 言ったそばから使ってきた!

 

482:名無しのトレーナー

 マタドガスはヘドロばくだんか、ダメージは与えてるけどじんつうりきで受けるダメージの方が大きいな

 

483:名無しのトレーナー

 マタドガスがえんまくで逃げていく。やっぱ、真正面からのぶつかり合いは無理か

 

484:名無しのトレーナー

 でもキュウコンがその間にわるだくみ使ってる!

 

485:名無しのトレーナー

 うへぇ、やっべぇ!

 

486:名無しのトレーナー

 あ、親方! 煙の中からどくどくが!

 

487:名無しのトレーナー

 ムサリーノお得意の毒殺法か!

 

488:名無しのトレーナー

 でも、しんぴのまもりでガードされた!

 

489:名無しのトレーナー

 対策が完璧すぎる!

 

490:名無しのトレーナー

 俺らの想定してたムサリーノの弱点が全部突かれてるなぁ

 

491:名無しのトレーナー

 このままじゃ次のじんつうりきで終わりだ

 

492:名無しのトレーナー

 だいばくはつ!!

 

493:名無しのトレーナー

 だいばくはつ!!

 

494:名無しのトレーナー

 ここでだいばくはつ!? もう残りポケモンも少ないんだぞ!?

 

495:名無しのトレーナー

 でも、このままじゃキュウコンで全抜きされてたしただで死ぬより有りじゃね?

 

496:名無しのトレーナー

 相打ちか。ウツボットでゲンガーを倒せればまだ未来はある

 

497:名無しのトレーナー

 でも、この大会通して、ブルーちゃんのポケモンが初めて戦闘不能になったな

 

498:名無しのトレーナー

 確かに!

 

499:名無しのトレーナー

 これまで倒されることなんてなかったしな

 

500:名無しのトレーナー

 ブルーちゃんのお次はやっぱゲンガーか、ムサリーノは当然ウツボット

 

501:名無しのトレーナー

 でも、ウツボットもこれでステルスロック四回目だぞ。確か、八回くらうと戦闘不能になるんだっけ?

 

502:名無しのトレーナー

 って、ことは殆ど戦わずに体力半分取られたってこと?

 

503:名無しのトレーナー

 フルバトルのステルスロックやべー

 

504:名無しのトレーナー

 ウツボットも流石に怒ってるね

 

505:名無しのトレーナー

 そりゃ、場に出る度に岩が体に刺されば怒りもするわ。しかも四回目だしな

 

506:名無しのトレーナー

 でも、どうするつもりだ? しんぴのまもりがあるから、もうねむりごなは効かないし

 

507:名無しのトレーナー

 突っ込んでいった!

 

508:名無しのトレーナー

 ゲンガーはまたあやしいひかりだ

 

509:名無しのトレーナー

 やばいか?

 

510:名無しのトレーナー

 自分の鞭で自分叩いてるw

 

511:名無しのトレーナー

 間違いなく混乱してるなw

 

512:名無しのトレーナー

 でも、止まらず真っすぐ進んでるぞ?

 

513:名無しのトレーナー

 え、まさかだけど、あれ故意にやったのか? 痛みで混乱解いた?

 

514:名無しのトレーナー

 わざと自分に攻撃したってことか!?

 

515:名無しのトレーナー

 マジかよ!

 

516:名無しのトレーナー

 そんなんありなん!?

 

517:名無しのトレーナー

 ブルーちゃんも動揺してる!

 

518:名無しのトレーナー

 けど、ゲンガーはサイキネで迎え撃とうとしてるぞ! 抜け目ねぇ!

 

519:名無しのトレーナー

 あ!

 

520:名無しのトレーナー

 え?

 

521:名無しのトレーナー

 ふいうち!

 

522:名無しのトレーナー

 そうだ! ふいうちがあった!

 

523:名無しのトレーナー

 ゲンガー倒れたぞ!

 

524:名無しのトレーナー

 これをずっと狙ってたんだ!

 

525:名無しのトレーナー

 いける! まだいけるぞ!!

 

526:名無しのトレーナー

 面白くなってきたぁー!!

 

527:名無しのトレーナー

 ブルーちゃんも咄嗟の行動でふいうちが頭から抜けちゃったんだろうな

 

528:名無しのトレーナー

 まぁ、あんな自分を叩いて迫ってくるウツボット見たら動揺もするよなw

 

529:名無しのトレーナー

 でも、これで四対二だ。まだわからないぞ

 

530:名無しのトレーナー

 ブルーちゃんのお次はガルーラか

 

531:名無しのトレーナー

 このガルーラを上手く倒せれば先が見える

 

532:名無しのトレーナー

 ねこだまし来るぞ!

 

533:名無しのトレーナー

 ウツボットを戻した! 最後の一体は!?

 

534:名無しのトレーナー

 やっぱりニャースだ!

 

535:名無しのトレーナー

 蹴り入れたぞw

 

536:名無しのトレーナー

 でも、その勢いで真っすぐガルーラに向かって行ってるw

 

537:名無しのトレーナー

 おー、みだれひっかき!

 

538:名無しのトレーナー

 ブルーちゃんも驚いて指示が遅れてる! ガルーラが動いてない!

 

539:名無しのトレーナー

 遅れてカウンター!

 

540:名無しのトレーナー

 でもニャースもう逃げてるw

 

541:名無しのトレーナー

 やり逃げだー!

 

542:名無しのトレーナー

 ステロの岩がニャースを追ってるw

 

543:名無しのトレーナー

 なぁにこれ?

 

544:名無しのトレーナー

 ニャースにステルスロックあたったw

 

545:名無しのトレーナー

 怒ってるw

 

546:名無しのトレーナー

 でも、ニャースがトレーナーゾーンに行ったってことは交代か?

 

547:名無しのトレーナー

 ムサリーノがまたウツボット出してきたな

 

548:名無しのトレーナー

 でも、これでステロ五回目だ

 

549:名無しのトレーナー

 体力半分以上削られてんのか

 

550:名無しのトレーナー

 どう動く?

 

551:名無しのトレーナー

 ウツボットがつるぎのまいし出した!

 

552:名無しのトレーナー

 素直に火力上げてきたな。ガルーラは、ふいうちか? ムサリーノが攻撃してくると思ったみたいだな

 

553:名無しのトレーナー

 これまでのムサリーノ見てれば、そりゃ攻撃だと思うよ

 

554:名無しのトレーナー

 これはムサリーノの読み勝ち

 

555:名無しのトレーナー

 でも、お互いふいうちがあるから下手に動けないな

 

556:名無しのトレーナー

 そうね。ブルーちゃんもムサリーノも攻めるタイミングを計ってるっぽい

 

557:名無しのトレーナー

 ゆっくり距離詰めてるな。手が届く距離まで詰める気か?

 

558:名無しのトレーナー

 ねむりごな!?

 

559:名無しのトレーナー

 そうか、しんぴのまもりが切れたんだ!

 

560:名無しのトレーナー

 攻撃態勢はフェイクか!

 

561:名無しのトレーナー

 上手いぞ!

 

562:名無しのトレーナー

 ウツボットが距離を詰めてく。最後の技はなんだ?

 

563:名無しのトレーナー

 何だろう? 草技じゃないっぽいね

 

564:名無しのトレーナー

 ゲンガーにも使おうとしてたし、多分別技っぽいな

 

565:名無しのトレーナー

 でも、攻撃技なのは間違いない!

 

566:名無しのトレーナー

 え! ガルーラ起きた!?

 

567:名無しのトレーナー

 ちょっ、早すぎやろ!

 

568:名無しのトレーナー

 特性はやおきだ! 眠っても早く起きれる特性!

 

569:名無しのトレーナー

 そんなんあったかー!

 

570:名無しのトレーナー

 でも、ウツボットの攻撃があたった! つるぎのまい使ってるしワンチャンあるぞ!

 

571:名無しのトレーナー

 ダメだ! 倒れない!

 

572:名無しのトレーナー

 カウンター!?

 

573:名無しのトレーナー

 ウツボットもステルスロックで体力がない! くらったら終わりだ!

 

574:名無しのトレーナー

 かわせ!!

 

575:名無しのトレーナー

 かわしてくれ!!

 

576:名無しのトレーナー

 ダメだ、当たった!

 

577:名無しのトレーナー

 うわー!

 

578:名無しのトレーナー

 マジかよ、はやおきとかありかよ!?

 

579:名無しのトレーナー

 これは辛い

 

580:名無しのトレーナー

 後はニャースだけか

 

581:名無しのトレーナー

 相手にはガルーラと、無傷のピクシー、ウツボット、カメックス

 

582:名無しのトレーナー

 きっつい

 

583:名無しのトレーナー

 とりあえず、ガルーラよ。ウツボットの与えたダメージは大きいし、ニャースでも全然ワンチャンある

 

584:名無しのトレーナー

 ん? 今、ブルーちゃんがフィールドに入ろうとした?

 

585:名無しのトレーナー

 なんかあったんか?

 

586:名無しのトレーナー

 審判から注意されてるな

 

587:名無しのトレーナー

 音声がないから映像だけじゃ何が起きてるかわからんな

 

588:名無しのトレーナー

 でも、すぐ戻ってるし、たいしたことじゃないんじゃね?

 

589:名無しのトレーナー

 ガルーラがめっちゃニャース威嚇しとるw

 

590:名無しのトレーナー

 さっき、みだれひっかきやり逃げされたしなw

 

591:名無しのトレーナー

 ニャースもビビってんな

 

592:名無しのトレーナー

 でも、ムサリーノは喝入れたみたいね。バトルに集中し出した

 

593:名無しのトレーナー

 バトル再開だ

 

594:名無しのトレーナー

 ニャースが先制した! またみだれひっかきだ!

 

595:名無しのトレーナー

 でも、ガルーラもすぐ返しの腹パン入れてる!

 

596:名無しのトレーナー

 すげぇ威力だな。何の技だ?

 

597:名無しのトレーナー

 わかんねーな。ギガインパクトじゃないっぽいけど、威力はそれに近そう

 

598:名無しのトレーナー

 ニャースも頑張って殴ってるけど、ガルーラの一撃が強すぎる

 

599:名無しのトレーナー

 でももうガルーラも体力も少ないし、ニャース押し切れ!!

 

600:名無しのトレーナー

 あぁ、段々ボロボロにされていく

 

601:名無しのトレーナー

 ニャースの手数も減ってきた。こりゃまずいぞ

 

602:名無しのトレーナー

 くっそ、もうちょいなのに!

 

603:名無しのトレーナー

 ニャースの顔面ひどいことになってる

 

604:名無しのトレーナー

 流石に草も生えん

 

605:名無しのトレーナー

 あ、ニャースが技のモーションに入った!

 

606:名無しのトレーナー

 つじぎりだ! 急所に入ればワンチャンあるで!

 

607:名無しのトレーナー

 いけー!

 

608:名無しのトレーナー

 せめてガルーラだけでも!!

 

609:名無しのトレーナー

 耐えた!?

 

610:名無しのトレーナー

 耐久力ありすぎやろ、このガルーラ!

 

611:名無しのトレーナー

 返しのカウンターだ

 

612:名無しのトレーナー

 無慈悲すぎる

 

613:名無しのトレーナー

 あぁ、直撃した

 

614:名無しのトレーナー

 立て! 立ってくれ!

 

615:名無しのトレーナー

 だめかー

 

616:名無しのトレーナー

 ニャースの戦闘不能でブルーちゃんの勝ちか

 

617:名無しのトレーナー

 結果だけみれば四体残しの圧倒的なバトルだったな

 

618:名無しのトレーナー

 でも、ワンチャンは全然あった!

 

619:名無しのトレーナー

 やっぱり、タイプの偏りがきつすぎたなー

 

620:名無しのトレーナー

 ムサリーノ泣いてる

 

621:名無しのトレーナー

 泣かないでー

 

622:名無しのトレーナー

 いいバトルだったで!

 

623:名無しのトレーナー

 次も応援するぞ!

 

624:名無しのトレーナー

 また来年頑張れ!

 

625:名無しのトレーナー

 本当にいいバトルだった。やっぱ、こいつは才能あるよ!

 

626:名無しのトレーナー

 でも、本気で勝つ気だったから泣いてるんだよな

 

627:名無しのトレーナー

 熱い気持ちがマジで伝わってきたしな

 

628:名無しのトレーナー

 実力差なんて関係ないって感じだった

 

629:名無しのトレーナー

 けど、気持ちだけで勝てるほどバトルは甘くなかったな

 

630:名無しのトレーナー

 でも、人をここまで楽しませるのも才能だよ

 

631:名無しのトレーナー

 そうな。得難い才能だ

 

632:名無しのトレーナー

 出来れば、彼女にはまた頑張って次のリーグに出てきて欲しいな

 

633:名無しのトレーナー

 それな

 

634:名無しのトレーナー

 それな

 

 

 

 




 少し前から更新してます。毎日更新予定です。ジョウト編は掲示板終わってから更新し始めます。来週予定です。

 もう自分で書いていて掲示板が面白いのかどうかわからなくなってきましたw
 特に後半はバトルスピードが速いのでネタとか入れる隙がなくてリアクション芸みたいになりそうですw




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おとくなけいじばん08

【第72回】ポケモンリーグセキエイ大会を語るスレpart16【優勝は誰だ?】

 

 

100:名無しのトレーナー

 長かったセキエイ大会も遂に準決勝やな

 

101:名無しのトレーナー

 結局、注目株で残ったのはブルーちゃん、シゲル君、サトシ君の三人か

 

102:名無しのトレーナー

 サユリやムサリーノも組み合わせの運が良ければ準決勝に行けてただろうな

 

103:名無しのトレーナー

 午後のBリーグはブルーちゃんが勝つからいいとして、Aリーグは遂にシゲル君とサトシ君の怪獣大決戦が来たな

 

104:名無しのトレーナー

 どっちが強いんだろうな?

 

105:名無しのトレーナー

 二人とも、同じマサラ出身の新人でしょ?

 

106:名無しのトレーナー

 つまりライバルってことやな

 

107:名無しのトレーナー

 ライバル同士のバトルかぁ。燃えるわ

 

108:名無しのトレーナー

 ブルーちゃんの総評だと、シゲル君の方がポケモンの育成が上手で、サトシ君の方がバトルが上手ってことだったよな

 

109:名無しのトレーナー

 どっちにも強みがあるし、そこで強弱はつけらんないな

 

110:名無しのトレーナー

 サトシ君はまたドサイドンやジバコイルを使ってくるんだろうな

 

111:名無しのトレーナー

 シゲルはブーバーとかパルシェン、ギャラドス辺りかな

 

112:名無しのトレーナー

 ドサイドンもパワーがあると言っても多分タイプは地面か岩だろうし、水はかなり効きそう

 

113:名無しのトレーナー

 お、選手入場だ!

 

114:名無しのトレーナー

 あれ、サトシ君はいつも一緒にいるタケシ達がいないね?

 

115:名無しのトレーナー

 コーチだっけ? でも、サトシ君、今まで後ろに意見求めたことないよな

 

116:名無しのトレーナー

 確かに、前しか見てないw 強いて言えばフルバトルのインターバルくらいだけど、あの時もジバコイル無双だったからアドバイスもクソもなかったしな

 

117:名無しのトレーナー

 まぁ、もうサトシ君の実力は疑いようもないし、今更コーチがいてもいなくてもなんも変わらなさそう

 

118:名無しのトレーナー

 お、始まるで

 

119:名無しのトレーナー

 シゲル君の一体目はニドキング、サトシ君はオコリザルだ

 

120:名無しのトレーナー

 オコリザルがニドキングに向かって走り出した

 

121:名無しのトレーナー

 スタートが早い。こりゃ、予め相手に寄るように指示されてんな

 

122:名無しのトレーナー

 ニドキングが地面に潜った!

 

123:名無しのトレーナー

 あなをほるやな

 

124:名無しのトレーナー

 オコリザルも足を止めたか

 

125:名無しのトレーナー

 めっちゃ地面を警戒してる

 

126:名無しのトレーナー

 さて、どこからくる?

 

127:名無しのトレーナー

 後ろだ!

 

128:名無しのトレーナー

 志村後ろ後ろ!

 

129:名無しのトレーナー

 ニドキングの右手が光ってる!?

 

130:名無しのトレーナー

 きあいパンチだ!

 

131:名無しのトレーナー

 穴の中で気合い貯めてたのか!?

 

132:名無しのトレーナー

 やばいぞ!

 

133:名無しのトレーナー

 かわせ!

 

134:名無しのトレーナー

 えっ! オコリザルもギガインパクトで迎え撃った!?

 

135:名無しのトレーナー

 強気すぎるだろサトシ君!!

 

136:名無しのトレーナー

 お互いに弾き飛んだぞ!

 

137:名無しのトレーナー

 防御や回避じゃなくて、迎撃指示かよ。パネェ

 

138:名無しのトレーナー

 でも、結果的に一番ダメージが少なく済んだな

 

139:名無しのトレーナー

 あの不意を突かれた状況で、咄嗟にその判断できるのがすげぇわ

 

140:名無しのトレーナー

 でも、オコリザルが腕押さえてる

 

141:名無しのトレーナー

 どくのトゲで、毒貰ったんだ

 

142:名無しのトレーナー

 うーむ、マジで一進一退だな

 

143:名無しのトレーナー

 ちょっとした攻防がもうレベル違うわ

 

144:名無しのトレーナー

 今度はニドキングが攻めに行った!

 

145:名無しのトレーナー

 オコリザルはギガインパクトの反動で動けてない!

 

146:名無しのトレーナー

 あれは何の技だ? メガトンパンチか?

 

147:名無しのトレーナー

 よくわかんないけど、パンチ当たったぞ!

 

148:名無しのトレーナー

 オコリザルもパンチ返した! 硬直が解けたんだ!

 

149;名無しのトレーナー

 オコリザルはインファイトかな?

 

150:名無しのトレーナー

 わかんねーけど、お互い殴りまくってる!

 

151:名無しのトレーナー

 でも、やっぱり殴りならオコリザル有利だ!

 

152:名無しのトレーナー

 何か体を左右に揺らしてタイミング良く殴ってる!

 

153;名無しのトレーナー

 ニドキングも殴り返してるけど、オコリザルの動きについていけてない!

 

154:名無しのトレーナー

 ニドキング倒れた!

 

155:名無しのトレーナー

 サトシ君の先制だ!

 

156:名無しのトレーナー

 いや、オコリザルも倒れたぞ!

 

157:名無しのトレーナー

 毒か!?

 

158:名無しのトレーナー

 相打ちかぁ!

 

159:名無しのトレーナー

 マジで互角って感じだな

 

160:名無しのトレーナー

 シゲル君の二体目はエレブー、サトシ君は……プテラ!?

 

161:名無しのトレーナー

 ファッ!? プテラ!?

 

162:名無しのトレーナー

 伝説の化石ポケモンやんけ!

 

163:名無しのトレーナー

 ワタル以外に持ってる奴いたのか!

 

164:名無しのトレーナー

 でも珍しいけど、プテラって岩飛行じゃなかったっけ? 相性じゃ不利じゃね?

 

165:名無しのトレーナー

 確かに!

 

166:名無しのトレーナー

 交換するか?

 

167:名無しのトレーナー

 いや、そのままバトルするっぽい!

 

168:名無しのトレーナー

 エレブーは当然10まんボルトだ!

 

169:名無しのトレーナー

 プテラはじしんか!

 

170:名無しのトレーナー

 プテラの方が攻撃が早い!

 

171:名無しのトレーナー

 遅れてエレブーの攻撃が当たった!

 

172:名無しのトレーナー

 でも見た感じだと、エレブーの方がダメージ上か?

 

173:名無しのトレーナー

 そうね。このままだと先にプテラがダウンするな

 

174:名無しのトレーナー

 エレブーの追撃! また10まんボルトだ!

 

175:名無しのトレーナー

 プテラは、はねやすめ!?

 

176:名無しのトレーナー

 ここで回復挟んでくるか!

 

177:現地民(麦わらの友)

 はねやすめの最中は、飛行タイプのポケモンは飛行タイプじゃなくなる効果があるで!

 

178:名無しのトレーナー

 ネキ!

 

179:名無しのトレーナー

 また麦わら情報か!

 

180:現地民(麦わらの友)

 残念やったな! これはワイの知識や!

 

181:名無しのトレーナー

 え、でもネキの情報がマジなら、プテラは電気技が弱点じゃなくなるってこと?

 

182:名無しのトレーナー

 おまけに回復挟んだから、ダメージ有利になったぞ!

 

183:名無しのトレーナー

 すげぇ!

 

184:名無しのトレーナー

 シゲルがエレブー戻した

 

185:名無しのトレーナー

 多分、状況不利を悟ったんだ

 

186:名無しのトレーナー

 シゲルも判断早いな

 

187:名無しのトレーナー

 でも悩んでる

 

188:名無しのトレーナー

 そりゃ、相性有利の状況返されたら次のポケモンどうするか悩むわ

 

189:名無しのトレーナー

 お、やっと出した

 

190:名無しのトレーナー

 キングドラだ!

 

191:名無しのトレーナー

 キングが良く使ってるやつか!

 

192:名無しのトレーナー

 シードラの進化系だっけ?

 

193:名無しのトレーナー

 せやね。確か、水ドラゴンタイプだったはず

 

194:名無しのトレーナー

 そういえば、前にワタルも使ってたっけ

 

195:名無しのトレーナー

 そうなん? ワタルの試合全部は追ってないから知らんかった

 

196:名無しのトレーナー

 まぁドラゴンタイプだしな

 

197:名無しのトレーナー

 うむ。前にワタルが使ったことあったで

 

198:名無しのトレーナー

 でも、今大会だと初だからか、現地の歓声がやばいな

 

199:名無しのトレーナー

 カントーじゃほぼ見ないもんね

 

200:名無しのトレーナー

 おっ、サトシ君が仏頂面でプテラ戻したぞw

 

201:名無しのトレーナー

 自分が目立たなくて不貞腐れてんのか?w

 

202:名無しのトレーナー

 水ドラゴンじゃプテラに有効打ないから戻したんだろうな。不貞腐れてても冷静だわw

 

203:名無しのトレーナー

 サトシ君の三体目はイーブイだ!

 

204:名無しのトレーナー

 イーブイか、珍しいポケモンだけど進化させてないのか

 

205:名無しのトレーナー

 サトシ君は割と進化前も使うよね。フシギダネとか、ゼニガメとか

 

206:名無しのトレーナー

 ピカチュウもおるで!

 

207:名無しのトレーナー

 ピカチュウは試合に出てないから

 

208:名無しのトレーナー

 えっ、イーブイが光り出した?

 

209:名無しのトレーナー

 進化!?

 

210:名無しのトレーナー

 このタイミングで!?

 

211:名無しのトレーナー

 へ?

 

212:名無しのトレーナー

 うえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!?

 

213:名無しのトレーナー

 はあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!?

 

214:名無しのトレーナー

 ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!?

 

215:名無しのトレーナー

 え、なにあのポケモン?

 

216:名無しのトレーナー

 新種?

 

217:名無しのトレーナー

 めっちゃラブリーな見た目しとる!!

 

218:名無しのトレーナー

 可愛いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!

 

219:名無しのトレーナー

 えっ? 何もしてないし、石での進化じゃないよな?

 

220:名無しのトレーナー

 マジでなに? エーフィとかブラッキーとも違うんだけど?

 

221:名無しのトレーナー

 その二体も初耳な件

 

222:名無しのトレーナー

 イーブイっていくつ進化先あるんだよ!?

 

223:現地民(麦わらの友)

 あれはニンフィアや

 

224:名無しのトレーナー

 ネキ! 待ってたで!

 

225:名無しのトレーナー

 情報ヨロ!

 

226:現地民(麦わらの友)

 イーブイには石以外にも進化先があって、あのニンフィアもその一つらしい。詳しい進化方法はわからんとのことやが、最近カロス地方で進化が発見されたってブルーが言ってるわ

 

227:名無しのトレーナー

 ブルーちゃん!? 一緒におるんか!?

 

228:名無しのトレーナー

 午後からとはいえ、次試合やろ!?

 

229:現地民(麦わらの友)

 控室で一緒にモニター見とるんや。うらやましいやろ?

 

230:名無しのトレーナー

 どんだけ仲良しになったんだよw

 

231:名無しのトレーナー

 素直に羨ましいわw

 

232:名無しのトレーナー

 あ、シゲル君が動いた! キングドラがあまごいしてる!

 

233:名無しのトレーナー

 特性すいすいか!?

 

234:名無しのトレーナー

 みたいやな。キングドラの速度が上がっとる!

 

235:名無しのトレーナー

 そのままハイドロポンプ!

 

236:名無しのトレーナー

 ニンフィアは何もせずに直撃受けてるぞ!?

 

237:名無しのトレーナー

 何してるんや、サトシ君は!

 

238:名無しのトレーナー

 でも、まだ元気だ……ってはやっ!?

 

239:名無しのトレーナー

 ニンフィア動きはやっ!!

 

240:名無しのトレーナー

 凄い速度でかく乱しながらムーンフォース!

 

241:名無しのトレーナー

 ニンフィアはフェアリータイプか!!

 

242:名無しのトレーナー

 ん? キングドラ動き遅くなってないか?

 

243:名無しのトレーナー

 本当だ。すいすいのはずなのにね

 

244:名無しのトレーナー

 直撃や! キングドラはドラゴンタイプだからフェアリータイプは効果抜群!!

 

245:名無しのトレーナー

 かなり効いてる。こりゃ、急所入ったかもな

 

246:名無しのトレーナー

 わかった! ニンフィアはスキルスワップ使ったんだ! だから、ニンフィアがめちゃくちゃ早くてキングドラが遅くなったんだよ! すいすいを取られたんだ!

 

247:名無しのトレーナー

 なーる。最初に無抵抗でハイドロポンプを受けたのは、スキルスワップを使ってたからか

 

248:名無しのトレーナー

 確かに、それならあのとんでもない速さとかも納得が行くわ。いくらなんでも早すぎだったからな

 

249:名無しのトレーナー

 でも、キングドラも立て直してる!

 

250:名無しのトレーナー

 しおみずで反撃してきた!

 

251:名無しのトレーナー

 ニンフィア避けられない!

 

252:名無しのトレーナー

 当たった! 大ダメージだ!

 

253:名無しのトレーナー

 しおみずは相手の体力が少ない時に威力が二倍になる。ニンフィアは最初のハイドロポンプでかなりダメージを受けてたんだろうな

 

254:名無しのトレーナー

 ああ、ニンフィアが倒れた

 

255:名無しのトレーナー

 ん?

 

256:名無しのトレーナー

 あれ、今ニンフィアがイーブイに戻らなかった?

 

257:名無しのトレーナー

 すぐにサトシ君がボールに戻したから見えなかったけど、何か体が小さくなったような……?

 

258:名無しのトレーナー

 倒れた角度でそう見えただけじゃね?

 

259:名無しのトレーナー

 いくらイーブイが進化先いっぱいあっても、進化したポケモンが進化前に戻るとか有り得ないしな

 

260:名無しのトレーナー

 あ、シゲルもキングドラ戻した

 

261:名無しのトレーナー

 スキルスワップの効果を消すつもりだろうな。一度ボールに戻せば、元の特性に戻る

 

262:名無しのトレーナー

 おお、サトシ君がピカチュウを出したぞ!

 

263:名無しのトレーナー

 何やて!?

 

264:名無しのトレーナー

 遂に投入したのか!!

 

265:名無しのトレーナー

 ただのマスコットキャラじゃなかったのか!

 

266:名無しのトレーナー

 シゲル君はゴローニャだ!

 

267:名無しのトレーナー

 容赦ねぇw

 

268:名無しのトレーナー

 ピカチュウ対ゴローニャは可哀想すぎるw

 

269:名無しのトレーナー

 しかも、開幕じしんだ。手加減する気は欠片もないなw

 

270:名無しのトレーナー

 サトシ君、早くピカチュウ戻さないと!

 

271:名無しのトレーナー

 って、ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!?

 

272:名無しのトレーナー

 ピカチュウがなみのりしてるうううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううう!?

 

273:名無しのトレーナー

 え、まじ?

 

274:名無しのトレーナー

 ピカチュウがなみのりマ?

 

275:名無しのトレーナー

 おいおい、波に乗ってじしんの振動回避してるぞ

 

276:名無しのトレーナー

 まじになみのり?

 

277:名無しのトレーナー

 うそーん

 

278:名無しのトレーナー

 うわ、おまけに雨で水技の威力上がってるからゴローニャが大ダメージ受けてる

 

279:名無しのトレーナー

 マジのなみのりかよ。ピカチュウってなみのり使えたんだ

 

280:名無しのトレーナー

 こりゃ、流石のシゲル君もビックリしてるわ

 

281:名無しのトレーナー

 俺らもビックリしたくらいだしな

 

282:名無しのトレーナー

 ゴローニャはがんじょうの特性で耐えたっぽいな

 

283:名無しのトレーナー

 あ、ピカチュウがでんこうせっかでとどめ刺しに行った

 

284:名無しのトレーナー

 いやー、マジか

 

285:名無しのトレーナー

 ピカチュウが一方的にゴローニャに勝っちゃったんですけど?

 

286:名無しのトレーナー

 ピカチュウ対ゴローニャは可哀想すぎたな。ゴローニャが

 

287:名無しのトレーナー

 普通は逆な件w

 

288:名無しのトレーナー

 しかし、良いわからん殺しやったな

 

289:名無しのトレーナー

 そうね。何も出来ずにゴローニャが倒されたのはシゲル君側からすればかなり痛いだろうし

 

290:名無しのトレーナー

 サトシは一度ピカチュウ戻したな

 

291:名無しのトレーナー

 もうピカチュウさん馬鹿に出来ないわ

 

292:名無しのトレーナー

 ただの置物じゃなかったもんな

 

293:名無しのトレーナー

 シゲル君の次はカメックスか

 

294:名無しのトレーナー

 強そうなカメックスだなぁ

 

295:名無しのトレーナー

 対するサトシ君はカモネギか。ピカチュウは温存したみたいだな

 

296:名無しのトレーナー

 ってか、カモネギくんw

 

297:名無しのトレーナー

 片目に傷入ってるし、ネギ二本持ってるし、ツッコミどころが多すぎるw

 

298:名無しのトレーナー

 でも、カモネギが走っていくぞ!

 

294:名無しのトレーナー

 カメックスもハイドロポンプで迎え撃ってる!

 

295:名無しのトレーナー

 すげぇ、カモネギ体勢低くしてハイドロポンプかわした!

 

296:名無しのトレーナー

 忍者やん!!

 

297:名無しのトレーナー

 ネギが光った! つばめがえしか!?

 

298:名無しのトレーナー

 斬る技有り過ぎてわからん!!

 

299:名無しのトレーナー

 弱点突くならリーフブレードじゃね!?

 

300:名無しのトレーナー

 当たった! けど!

 

301:名無しのトレーナー

 効いてないのか!? カメックスは左右の砲塔と口元に水塊作ってカモネギを狙ってる!

 

302:名無しのトレーナー

 まさか究極技か!

 

303:名無しのトレーナー

 ハイドロカノンか!!

 

304:名無しのトレーナー

 カモネギがぶっ飛んだー!!

 

305:名無しのトレーナー

 やべぇ威力! 雨で威力上がってるのか!

 

306:名無しのトレーナー

 え、カモネギが倒れたまま動かないんですけど?

 

307:名無しのトレーナー

 まさか、ワンパン?

 

308:名無しのトレーナー

 マジかよ

 

309:名無しのトレーナー

 これ、このカメックス多分シゲルの切り札っぽいな

 

310:名無しのトレーナー

 あ、サトシがカモネギ戻した

 

311:名無しのトレーナー

 サトシのポケモン三体戦闘不能になったからインターバルだな

 

312:名無しのトレーナー

 なんか、いろいろすげぇバトルだ

 

313:名無しのトレーナー

 でも、まだ半分も終わってない件

 

314:名無しのトレーナー

 お互いの技の応酬も凄いけど、サトシ君の戦術をシゲル君が真正面から打ち倒してるのがね

 

315:名無しのトレーナー

 魔王に立ち向かう主人公やな

 

316:名無しのトレーナー

 一瞬も目が離せねぇわ

 

317:名無しのトレーナー

 これよ。これが見たかったんだよ!

 

318:名無しのトレーナー

 俺らの想像を余裕で超えたバトルだわ!

 

319:名無しのトレーナー

 これが準決勝ってマ? 普通なら決勝でも見られねぇぞ!

 

320:名無しのトレーナー

 実際、内容はチャンピオンリーグクラスだと思うわ

 

321:名無しのトレーナー

 この先にまだブルーちゃんがいるのか。今年は豊作すぎるな

 

322:名無しのトレーナー

 みなぎってきたー!

 

323:名無しのトレーナー

 はよ、続きはよ!

 

324:名無しのトレーナー

 五分をこれほど長く感じたことはないわ

 

325:名無しのトレーナー

 キングクリムゾン!!

 

326:名無しのトレーナー

 飛ばすなら五分飛ばしてくれ

 

327:名無しのトレーナー

 今のうちに状況整理するか。

 シゲルの残りがエレブー、キングドラ、カメックス、???

 サトシがプテラ、ピカチュウ、???

 

328:名無しのトレーナー

 シゲル側はエレブーはじしんでダメージ、キングドラはムーンフォースで大ダメージ、カメックスはカモネギの攻撃で小ダメージを受けてる

 サトシ側はプテラが10まんボルトで小ダメージ、ピカチュウ無傷だな

 

329:名無しのトレーナー

 数ではシゲルが有利だけど、ダメージを考えると互角くらいか

 

330:名無しのトレーナー

 サトシ君はカモネギが瞬殺されたのがきつかったな

 

331:名無しのトレーナー

 シゲル君だってゴローニャ瞬殺されてるし同じっしょ

 

332:名無しのトレーナー

 つまり、まだまだこれからってことやな

 

333:名無しのトレーナー

 お、そろそろインターバルが終わるぞ

 

334:名無しのトレーナー

 のりこめー!

 

335:名無しのトレーナー

 いけー!

 

336:名無しのトレーナー

 さぁ、試合再開だ!!

 

 

 

 




 少し前から更新再開しています。毎日更新予定です。掲示板が終わってからジョウト編スタートします。来週予定です。

 シゲル戦長すぎて前後に分けました。多分、ブルー戦も二話になりますので、全11話予定です。何もなければその次からジョウト編ですね。
 今、AG編を書くためにアニメを見直していますが、AGも面白いですね。どんな話にしようか今から妄想を膨らませていかないと。




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おとくなけいじばん09

【第72回】ポケモンリーグセキエイ大会を語るスレpart16【優勝は誰だ?】

 

 

336:名無しのトレーナー

 さぁ、試合再開だ!!

 

337:名無しのトレーナー

 インターバルの間に天候も元に戻ったな

 

338:名無しのトレーナー

 お互いどう動いてくるか

 

339:名無しのトレーナー

 おっ、サトシはプテラ、シゲルがエレブーだ

 

340:名無しのトレーナー

 前半と同じ顔ぶれやな

 

341:名無しのトレーナー

 でも、もうはねやすめはバレてるし、前回と同じ方法は通用しなさそう

 

342名無しのトレーナー

 動かないな

 

343:名無しのトレーナー

 うーむ、空気が重い

 

344:名無しのトレーナー

 互いに動き出すキッカケを探してる感じか?

 

345:名無しのトレーナー

 エレブー動いた!

 

346:名無しのトレーナー

 あまごいか!

 

347:名無しのトレーナー

 後ろにキングドラもいるし、雨状態でかみなりも必中になるからな

 

348:名無しのトレーナー

 プテラも動いた!

 

349:名無しのトレーナー

 とっしんだ! 乱戦に持ち込むつもりか!?

 

350:名無しのトレーナー

 でも、エレブーがとっしんかわした!

 

351:名無しのトレーナー

 いや、まだだ! プテラも旋回してストーンエッジ!

 

352:名無しのトレーナー

 これは避けられない!

 

353:名無しのトレーナー

 エレブーもかみなりで反撃した!

 

354:名無しのトレーナー

 また相打ち覚悟か!

 

355:名無しのトレーナー

 でも、ダメージはエレブーの方が上やで!

 

356:名無しのトレーナー

 あ、プテラが麻痺してる!

 

357:名無しのトレーナー

 動きが鈍るし、この麻痺は致命的だな

 

358:名無しのトレーナー

 サトシ君も飛ぶのは無理と判断してじしん指示っぽい

 

359:名無しのトレーナー

 読まれてる!

 

360:名無しのトレーナー

 ジャンプしてかみなりか、じしんは完全に見抜かれてたな

 

361:名無しのトレーナー

 あぁ、プテラが

 

362:名無しのトレーナー

 最後ストーンエッジ打とうとしてたけどな。シゲルの方が上手だった

 

363:名無しのトレーナー

 これで四対二か

 

364:名無しのトレーナー

 でも、エレブーとキングドラはダメージが大きいし、立ち回り次第で十分逆転できるぞ

 

365:名無しのトレーナー

 サトシ君はピカチュウか、雨でかみなりが必中だしな

 

366:名無しのトレーナー

 電気タイプ対決か。普通ならエレブー有利だけどダメージがある上、サトシ君のピカチュウはなみのりピカチュウだからな

 

367:名無しのトレーナー

 互いにかみなり!

 

368:名無しのトレーナー

 真っ向勝負かよ!?

 

370:名無しのトレーナー

 でも、サトシ君のピカチュウ結構火力高くね?

 

371:名無しのトレーナー

 エレブー膝ついたぞ!

 

372:名無しのトレーナー

 おいおい、いくらかみなりって言ってもピカチュウの電気技だぞ?

 

373:名無しのトレーナー

 んー? ピカチュウさん、ちょっとお強い?

 

374:名無しのトレーナー

 そのままなみのりでとどめ刺しに行った!!

 

375:名無しのトレーナー

 これは決まったか!?

 

376:名無しのトレーナー

 いや、またエレブーがジャンプしてる!

 

377:名無しのトレーナー

 ボードに乗ってる本体を狙いに行ったか!

 

378:名無しのトレーナー

 ピカチュウもジャンプした!

 

379:名無しのトレーナー

 さらに上を行くのか!

 

380:名無しのトレーナー

 さっきプテラとのバトルでエレブーがジャンプで上取ったのそっくりやり返しやがった!

 

381:名無しのトレーナー

 そのまま一回転して、尻尾を脳天に叩きこんでいくぅ!

 

382:名無しのトレーナー

 たたきつける?

 

383:名無しのトレーナー

 いや、多分かわらわりじゃないか?

 

384:名無しのトレーナー

 エレブーも流石にダウンやな

 

385:名無しのトレーナー

 ジャンプ攻撃をやり返す辺り、サトシ君も強気やねぇ

 

386:名無しのトレーナー

 シゲルは次にまたキングドラ出してきたな

 

387:名無しのトレーナー

 雨が続いてるからか

 

388:名無しのトレーナー

 水ドラゴンだと電気も弱点じゃなくなるしな

 

389:名無しのトレーナー

 でも、結構ダメージ受けてたし、まだ回復できてないんじゃない?

 

390:名無しのトレーナー

 いや、動きはまだ生きてるぞ!

 

391:名無しのトレーナー

 足はっや!

 

392:名無しのトレーナー

 でもピカチュウには必中のかみなりがある!

 

393:名無しのトレーナー

 これはキングドラきついか?

 

394:名無しのトレーナー

 いや、キングドラもぼうふうで迎え撃った!

 

395:名無しのトレーナー

 ピカチュウが風の中に捕まったぞ!

 

396:名無しのトレーナー

 そういや、雨だとぼうふうも必中だっけ

 

397:名無しのトレーナー

 ここでピカチュウが倒されるのは逆にきついぞ

 

398:名無しのトレーナー

 あ、風の中から電撃が!

 

399:名無しのトレーナー

 かみなりだ! 風を引き裂いていく!

 

400:名無しのトレーナー

 力技で無理やり拘束を解いたのか!?

 

401:名無しのトレーナー

 お前、本当にピカチュウかよ!?

 

402:名無しのトレーナー

 Q.キングドラのぼうふうを引き裂くかみなりを撃つピカチュウ

 

403:名無しのトレーナー

 A.レッドさんのピカチュウ

 

404:名無しのトレーナー

 ああ、そういえばレッドさんもピカチュウ使ってたな

 

405:名無しのトレーナー

 確かに! そう考えると、ピカチュウがキングドラにパワーで勝ってもおかしくはないな

 

406:名無しのトレーナー

 って、おかしいやろがい!!

 

407:名無しのトレーナー

 そんなピカチュウ早々おらんわい!!

 

408:名無しのトレーナー

 でも、ぼうふう切り裂いて、そのままキングドラ戦闘不能にしてますやん

 

409:名無しのトレーナー

 それは、そう

 

410:名無しのトレーナー

 これ、ピカチュウここまで温存してたんかな?

 

411:名無しのトレーナー

 わざわざボールから出して連れてるくらいだし、サトシ君の切り札かもな

 

412:名無しのトレーナー

 このパワーなら納得ではある

 

413:名無しのトレーナー

 俺のピカチュウじゃキングドラなんて倒せんぞ。可愛さは負けてないけど

 

414:名無しのトレーナー

 >>413

 可愛さ、カッコよさ自慢は他所でしろ。収集が着かなくなる

 

415:名無しのトレーナー

 でも、実際ピカチュウでこれだけのパフォーマンスを出すってそう簡単には出来ないよ

 

416:名無しのトレーナー

 だな

 

417:名無しのトレーナー

 他にはマジでレッドさんのピカチュウくらいじゃないか?

 

418:名無しのトレーナー

 ピカチュウの凄さは一旦置いておくとして、何だかんだポケモンの数は互角になったし、シゲル君も追い込まれてきたな

 

419:名無しのトレーナー

 シゲル君は次に何を出してくるか

 

420:名無しのトレーナー

 おっ、ウインディだ

 

421:名無しのトレーナー

 ニドキング、エレブー、キングドラ、ゴローニャ、カメックス、ウインディって、予選で使ったポケモン一体も使ってないんかい

 

422:名無しのトレーナー

 そういえば

 

423:名無しのトレーナー

 つまり、シゲル君はここまでレギュラーを温存してたってことか

 

424:名無しのトレーナー

 でも、サトシ君も予選で使ってないポケモンだし、温存してたんじゃね?

 

425:名無しのトレーナー

 オコリザル、プテラ、イーブイ、ピカチュウ、カモネギだもんな

 

426:名無しのトレーナー

 ドサイドンとかジバコイル入れてないんかね?

 

427:名無しのトレーナー

 ジバコイルはタイプがピカチュウと被ってるしな。ドサイドンは入っててもおかしくない

 

428:名無しのトレーナー

 あ、雨が切れた

 

429:名無しのトレーナー

 これでウインディも炎技が十全に使えるようになったな

 

430:名無しのトレーナー

 もしかして、狙ってたのかな?

 

431;名無しのトレーナー

 雨が切れるタイミングでウインディ出したってこと? そんなバナナw

 

432:名無しのトレーナー

 でも、ピカチュウにはなみのりがあるし、相性では有利じゃね?

 

433:名無しのトレーナー

 ウインディが消えた!?

 

434:名無しのトレーナー

 しんそくだ!

 

435:名無しのトレーナー

 なみのりを警戒して高速戦に持ち込んだのか!

 

436:名無しのトレーナー

 あれじゃあ、ピカチュウも動けないぞ

 

437:名無しのトレーナー

 でんこうせっかで対抗しようとしてるけど、スピード負けしてる

 

438:名無しのトレーナー

 ウインディは攻め手を止めないな

 

439:名無しのトレーナー

 でも、ピカチュウも体の使い方が上手いぞ。尻尾とか体勢を上手く使って致命傷避けてる

 

440:名無しのトレーナー

 確かに。普通に殴られてたらもう戦闘不能になってるもんな

 

441:名無しのトレーナー

 ピカチュウも耐久力ある方じゃないしね

 

442:名無しのトレーナー

 >>441

 今しねって言ったか?

 

443:名無しのトレーナー

 >>442

 言ってないわw

 

444:名無しのトレーナー

 でも、いくらダメージを逃がしてるって言っても、エレブーのかみなりやキングドラのぼうふうもくらってるし限界は近いんじゃないか?

 

445:名無しのトレーナー

 いや、しんそくだってそう何回も打てる技じゃないしウインディもずっとこのままじゃないだろ

 

446:名無しのトレーナー

 どっちが先に弱みを見せるかやな

 

447:名無しのトレーナー

 って、言ってる間にウインディが止まったで!

 

448:名無しのトレーナー

 肩で息してる! 限界が来たんだ!

 

449:名無しのトレーナー

 おい、サトシ君のピカチュウ何か帯電してるぞ!?

 

450:名無しのトレーナー

 まさか、かみなりを自分に纏わせてるのか?

 

451:名無しのトレーナー

 そういえば、二回戦でシゲル君のブーバーがだいもんじを確定で当てるために、自分に纏わせてのしかかりしてたけど……

 

452:名無しのトレーナー

 かみなりを確定で当てるために自分に!?

 

453:名無しのトレーナー

 イテェ!

 

454:名無しのトレーナー

 実際かなり無理してるだろ! かみなり自分でくらってるようなもんだぞ!

 

455:名無しのトレーナー

 そのままでんこうせっかで突っ込んでいった!

 

456:名無しのトレーナー

 ウインディ逃げられない!

 

457:名無しのトレーナー

 くらった!!

 

458:名無しのトレーナー

 でも、倒れない! そのままインファイトで反撃してくる!

 

459:名無しのトレーナー

 麻痺!?

 

460:名無しのトレーナー

 せいでんきだ! ピカチュウに触って麻痺したんだ!

 

461:名無しのトレーナー

 ピカチュウが殴られた勢いで距離を取ったぞ!

 

462:名無しのトレーナー

 相手の技を逆に利用したのか! ウインディも一瞬動きが止まってインファイトが中断されてる!

 

463:名無しのトレーナー

 そのままかみなり!

 

464:名無しのトレーナー

 ウインディもだいもんじで迎撃してる!

 

465:名無しのトレーナー

 どっちの攻撃も当たった!

 

466:名無しのトレーナー

 どうだ!?

 

467:名無しのトレーナー

 ピカチュウが倒れた!

 

468:名無しのトレーナー

 ウインディもダウンしてるぞ!

 

469:名無しのトレーナー

 相打ちだ!

 

470:名無しのトレーナー

 結局、サトシはピカチュウ一体で三体抜きか

 

471:名無しのトレーナー

 サトシがピカチュウ抱きかかえてる。やっぱりボールには入れないんだ

 

472:名無しのトレーナー

 ボールに入るのが嫌ってポケモンもいるやろ

 

473:名無しのトレーナー

 生まれたばかりのポケモンだと特にそういうパターン多い気がするわ

 

474:名無しのトレーナー

 シゲル君は後カメックスだけど、サトシ君の最後の一体は?

 

475:名無しのトレーナー

 正直、あのピカチュウが倒れたのは痛すぎるな。シゲルはカメックスがエースっぽいし

 

476:名無しのトレーナー

 もし、ドサイドンなら相性も不利だしね

 

477:名無しのトレーナー

 シゲルがカメックス出したな

 

478:名無しのトレーナー

 サトシの最後のポケモンは?

 

479:名無しのトレーナー

 リザードンだ!

 

480:名無しのトレーナー

 リザードンか、相性めっちゃ不利だな

 

481:名無しのトレーナー

 えっ、何だその技!?

 

482:名無しのトレーナー

 かえんほうしゃじゃないぞ!?

 

483:名無しのトレーナー

 カメックスのハイドロカノンと互角!?

 

484:名無しのトレーナー

 まさか究極技か!?

 

485:名無しのトレーナー

 炎の究極技は確か、ブラストバーンだっけ?

 

486:名無しのトレーナー

 しかも、相殺した!

 

487:名無しのトレーナー

 ってことはリザードンの方が火力が上ってこと?

 

488:名無しのトレーナー

 おいおい。こりゃ、とんでもないもん隠してたなサトシ君

 

489:名無しのトレーナー

 カメックスがこうそくスピンで突っ込んでいく!

 

499:名無しのトレーナー

 そのままハイドロポンプだ! 前回サトシがサユリ戦で見せたゼニガメの動き!

 

500:名無しのトレーナー

 リザードンも空中へ逃げていくけど、カメックスも追い込んでる!

 

501:名無しのトレーナー

 リザードンが燃えた? フレアドライブか!?

 

502:名無しのトレーナー

 フレアドライブの炎でハイドロポンプのダメージを軽減させたのか!

 

503:名無しのトレーナー

 器用すぎるだろ!

 

504:名無しのトレーナー

 反撃のエアスラッシュだ!

 

505:名無しのトレーナー

 カメックスの甲羅を狙ってエアスラッシュ!

 

506:名無しのトレーナー

 カメックスが墜落していくぞ!

 

507:名無しのトレーナー

 リザードンは追撃でブラストバーン構えてる!

 

508:名無しのトレーナー

 容赦ねぇ!!

 

509:名無しのトレーナー

 でも、カメックスもこうそくスピンで脱出しようとしてるぞ!

 

510:名無しのトレーナー

 何とか逃げ切った!

 

511:名無しのトレーナー

 いや、避け切れてない!

 

512:名無しのトレーナー

 ちょっと当たってた!

 

513:名無しのトレーナー

 って、前が見えてないのか!? カメックス壁にぶつかるぞ!!

 

514:名無しのトレーナー

 いや、壁を足場にしてる!

 

515:名無しのトレーナー

 そのままリザードンの方に突っ込んだ!!

 

516:名無しのトレーナー

 反動を利用したんだ! ロケットずつきで突っ込んでいくぞ!!

 

517:名無しのトレーナー

 リザードンは究極技の硬直で動くのが遅れてる!

 

518:名無しのトレーナー

 避け切れない!!

 

519:名無しのトレーナー

 やばいぞ!!

 

520:名無しのトレーナー

 ギガインパクト!?

 

521:名無しのトレーナー

 オコリザルの時と一緒だ! 避けられないなら反撃!!

 

522:名無しのトレーナー

 お互いにぶつかる!!

 

523:名無しのトレーナー

 威力はギガインパクトの方が上だけど、勢いがついてるから攻撃力は互角になってる!!

 

524:名無しのトレーナー

 互いに弾かれた!!

 

525:名無しのトレーナー

 いや、カメックスは体勢を整えてキャノンをリザードンに向けてる!

 

526:名無しのトレーナー

 リザードンは反動で動けないから背中向いてる! 反撃できない!

 

527:名無しのトレーナー

 ハイドロカノン!!

 

528:名無しのトレーナー

 リザードンも咄嗟にフレアドライブで防御してる!

 

529:名無しのトレーナー

 でもダメだ! 究極技の方が強い!!

 

530:名無しのトレーナー

 リザードンが!!

 

531:名無しのトレーナー

 壁に叩きつけられた! まずいぞ!

 

532:名無しのトレーナー

 倒れた!

 

523:名無しのトレーナー

 立て!

 

524:名無しのトレーナー

 立つぞ!

 

525:名無しのトレーナー

 立ったったったった!?

 

526:名無しのトレーナー

 何だ!?

 

527:名無しのトレーナー

 炎がリザードンを包んでいく!?

 

528:名無しのトレーナー

 え、肌の色が赤くなってる!?

 

529:名無しのトレーナー

 何だ? 炎の繭みたいな?

 

530:名無しのトレーナー

 よく見たら顔も変わってる!?

 

531:名無しのトレーナー

 うええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!?

 

532:名無しのトレーナー

 変身したぁ!?

 

532:名無しのトレーナー

 何やその姿ぁ!!

 

533:名無しのトレーナー

 ネキ!

 

534:名無しのトレーナー

 そうだ、ネキ! ブルーちゃんに聞いてくれ!

 

535:名無しのトレーナー

 あの変化はなんだ!?

 

536:現地民(麦わらの友)

 ブルーも知らないらしい。何や、あのリザードン?

 

537:名無しのトレーナー

 知らない!?

 

538:名無しのトレーナー

 ブルーちゃんも知らないってマ!?

 

539:現地民(麦わらの友)

 カロス地方に存在するメガシンカとかいうのが、バトル中にポケモンの姿を変えることが出来るらしいんやけど、現在確認されているリザードンの変化とも違うんやって

 

540:名無しのトレーナー

 って、話してる間に動き出した!

 

541:名無しのトレーナー

 リザードンがフレアドライブで突っ込んでいくぞ!! はやい!!

 

542:名無しのトレーナー

 カメックスもロケットずつきで反撃してる!

 

543:名無しのトレーナー

 互いに頭がぶつかってるけど、どっちも引いてない!!

 

544:名無しのトレーナー

 組み合った!

 

545:名無しのトレーナー

 でも、あの距離だとキャノンが使えん! カメックスの方が不利や!

 

546:名無しのトレーナー

 逆にリザードンはゼロ距離ブラストバーンだ!

 

546:名無しのトレーナー

 甲羅に頭を隠してかわした!?

 

547:名無しのトレーナー

 天才かよ!!

 

548:名無しのトレーナー

 反動で動けない所をロケットずつきで反撃してる!

 

549:名無しのトレーナー

 リザードンもずつき返した!

 

550:名無しのトレーナー

 カメックスがふらついてる!? まさかギガインパクトのずつきか!?

 

551:名無しのトレーナー

 お前も天才かよ!!

 

552:名無しのトレーナー

 リザードンがまたゼロ距離でブラストバーン撃とうとしてるぞ!

 

553:名無しのトレーナー

 あ、カメックスがこうそくスピンで拘束を解除した!

 

554:名無しのトレーナー

 そのままキャノンをリザードンに向けて照準を合わせてる!

 

555:名無しのトレーナー

 ブラストバーン撃った! 距離を取られてもお構いなしだ!

 

556:名無しのトレーナー

 カメックスもハイドロカノンで反撃してる!

 

557:名無しのトレーナー

 でもやっぱりリザードンはあの変化で火力が上がってる! ブラストバーンがハイドロカノンを呑み込んだ!!

 

558:名無しのトレーナー

 カメックスに直撃するぞ!?

 

559:名無しのトレーナー

 直撃と同時に、リザードンが元に戻った!

 

562:名無しのトレーナー

 膝ついてるし、肩て息してる。疲労は限界だな

 

563:名無しのトレーナー

 カメックスはどうなった!?

 

564:名無しのトレーナー

 煙で何も見えん!!

 

565:名無しのトレーナー

 倒れた?

 

566:名無しのトレーナー

 いや、立ち上がってる!

 

567:名無しのトレーナー

 ハイドロカノンの構えだ!

 

568:名無しのトレーナー

 リザードンは!?

 

569:名無しのトレーナー

 動けてない! こりゃ決まったか!?

 

570:名無しのトレーナー

 シゲルの勝ちだ!!

 

571:名無しのトレーナー

 あ

 

572:名無しのトレーナー

 え

 

573:名無しのトレーナー

 カメックスが倒れた!

 

574:名無しのトレーナー

 発射寸前だったのに!?

 

575:名無しのトレーナー

 リザードンは立ってる!

 

576:名無しのトレーナー

 まじか、こんなことあるんか

 

577:名無しのトレーナー

 気合で立ったんだろうな。でも、技を撃つ前に限界がきた

 

578:名無しのトレーナー

 サトシ君の逆転勝ちだ!

 

579:名無しのトレーナー

 すげぇ!

 

580:名無しのトレーナー

 ってか、あのリザードンの変化はなんだ!?

 

581:名無しのトレーナー

 体が赤くなって、変な炎に包まれてた

 

582:名無しのトレーナー

 それだけじゃないぞ、細部も微妙に変わってた

 

583:名無しのトレーナー

 でも、元に戻ったぞ?

 

584:名無しのトレーナー

 一時的な変化だった。一分くらい?

 

585:名無しのトレーナー

 メガシンカがどうとか? つか、メガシンカってなんや?

 

586:名無しのトレーナー

 なんか、カロスの方で見つかったらしいけど

 

587:名無しのトレーナー

 でも、そのメガ何とかとも違うんだろ?

 

588:名無しのトレーナー

 あのリザードンだけの特別な特性とか?

 

589:名無しのトレーナー

 なくなはい

 

590:名無しのトレーナー

 確かに、そう考えるのが自然か

 

591:名無しのトレーナー

 たまに違う特性のポケモンいるもんな。何だっけ、ワタルの相棒のカイリューの特性?

 

592:名無しのトレーナー

 マルチスケイルだったっけ。確か、受けるダメージが減る特性だったはず

 

593:名無しのトレーナー

 体力が一定以下になったら変化するって感じかな?

 

594:名無しのトレーナー

 火力も上がってたし、もうかの特性も持ってるかもな

 

595:名無しのトレーナー

 でも、何はともあれ、良いバトルだった

 

596:名無しのトレーナー

 確かに、手に汗握ったもんな

 

597:名無しのトレーナー

 ボケる暇もなかったわ

 

598:名無しのトレーナー

 レベルが違うのはわかってたけど、ここまで凄いバトルが見れるとは

 

599:名無しのトレーナー

 冗談抜きで地方リーグのレベルじゃないぞ

 

600:名無しのトレーナー

 正直、攻防が早すぎて付いていくのがやっとだったわ

 

601:名無しのトレーナー

 実際に指示してる側はもっと早く動いてるんだよな

 

602:名無しのトレーナー

 俺らが指示してる間に三つくらい指示できそう

 

603:名無しのトレーナー

 これが上のレベルってことか

 

604:名無しのトレーナー

 近年稀に見る大勝負だった

 

605:名無しのトレーナー

 いやーサトシ君おめでとう

 

606:名無しのトレーナー

 よくやったよ

 

607:名無しのトレーナー

 では、これにて第72回ポケモンポケモンリーグセキエイ大会を語るスレを終了する

 

608:名無しのトレーナー

 おつかれー

 

609:名無しのトレーナー

 お疲れさまー

 

610:名無しのトレーナー

 また来年なー

 

611:名無しのトレーナー

 さーて、また一年頑張るかぁ!

 

612:通りすがりのブルー

 ちょっ、私の試合は!?

 

613:名無しのトレーナー

 ハッ!

 

614:名無しのトレーナー

 そうだ、これ準決勝だっけ?

 

615:名無しのトレーナー

 あまりの大迫力にてっきり決勝かと

 

616:名無しのトレーナー

 明日はブルーちゃんとサトシ君かぁ

 

617:名無しのトレーナー

 今の試合と同じレベルの試合がまだ見られる……だと……?

 

618:名無しのトレーナー

 応援だー!

 

619:名無しのトレーナー

 って言っても、今日は多分瞬殺だろうけどな

 

620:名無しのトレーナー

 ムサリーノとの試合は今日見たかったよな

 

621:名無しのトレーナー

 組み合わせの運とはいえ、しょうもない試合になりそうやな

 

622:名無しのトレーナー

 これでブルーちゃんが負ける番狂わせ起きたら面白いんだけどな

 

623:名無しのトレーナー

 伝説のポケモンを隠し持ってるとかでもない限りないやろ

 

624:名無しのトレーナー

 (そんなとんでもない展開は)ないです

 

625:名無しのトレーナー

 つか、一昨日徹夜したせいもあって眠い

 

626:名無しのトレーナー

 うむ、どうせブルーちゃんが勝つだろうし、試合は録画を見るだけで良さそう

 

627:名無しのトレーナー

 明日に備えてもう寝るか!

 

628:名無しのトレーナー

 プリンセスハオと申したか?

 

629:名無しのトレーナー

 ねるぞー!

 

630:通りすがりのブルー

 寝るな!!

 

 

 

 




 少し前から更新してます。毎日更新予定です。掲示板が終わってからジョウト編更新予定です。来週予定です。

 土日忙しくて執筆が出来ずに掲示板のストックが切れましたw 休みは火曜までなんで一日一話でギリギリ計算です。

 うおー、間に合えー!




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ジョウト編
#047 『自分、スペシャリストなんで(キリッ)』


 11歳 δ月α日 『旅立ち ジョウト地方へ』

 

 シゲルは昨日のうちに旅に出た。

 俺も出来ればすぐに出掛けたかったのだが、ママさんにジョウトへの旅立ちを報告すると、「じゃあ、今日はご馳走ね」と言って、パーティを開いてくれたので旅立ちは今日になったのである。

 

 今回の旅のメンバーは、俺、カスミさん、タケシで、ケンジはオーキド博士の助手として研究所に残るらしい。この辺りもアニメと変わらないな。オーキド研究所はブラックだが頑張れよケンジ。

 

 オーキド博士からは、餞別として新しいポケモン図鑑と、何故かまたGSボールを預けられた。

 聞けば、博士でもGSボールの機構は解析できないようで、ジョウトのヒワダタウンに住んでいるモンスターボール作りの名人であるガンテツという人に調べて貰いたいのだと言う。また体の良い使いっ走りにされるようだが、旅の道中ならそこまで時間はかからないだろうし引き受けることにする。

 

 今回連れて行くポケモンは、レベリングも兼ねて、固定のピカ様以外は、トゲ様、クリスタルのイワーク、カビゴン、ニョロモの四体に、保険としてリザードンを連れて行くことにした。万が一の時は暴君もいるし、余程のことがなければ問題はないだろう。

 勿論、ジム戦になれば、今までのメンバーを転送して貰うことになるだろうが、カントーで捕まえたメンバーはもう殆ど50レベルを超えてしまっているので、旅のメンバーにするには経験値効率が良くないのだ。

 

 ぶっちゃけ、アニメのジョウト編は新たな御三家とヘラクロス、色違いのヨルノズクを捕まえることと、ジム戦やジョウトリーグの話くらいしか覚えていないので、どうなるのか楽しみである。

 

 

 

 11歳 δ月γ日 『始まりを告げる風が吹くとかいう大層な街』

 

 セキエイの前を抜けてジョウト地方に入ったのだが、霧が濃くて迷子になってしまった。しかし、そのおかげでワカバタウンの手前の森でジョウト三犬であるスイクンを見られたので良しとする。

 

 この頃はスイクンも神秘的なポケモン扱いされていたのだが、何故新無印編ではあんな扱いをされた上にゴウ君に捕まってしまったのだろうか。戦わないゴウ君には勿体ないし、いつか出会う時があったら俺が捕まえてやろうかな。

 むやみやたらに伝説のポケモンを捕まえないことを信条にしているニューサトシだが、あのスイクンだけは別枠でいいのではないかと思ってしまうくらいに不憫だ。

 

 と、まぁ、何だかんだ時間がかかってしまったが、ようやくワカバタウンにたどり着くことが出来た。

 ジョウトリーグに参加するには、ワカバタウンのポケモンセンターでトレーナー情報を登録しなくては行けないということなので早速向かうことにする。

 

 ポケモンセンターに着くと、ジョーイさんがウツギ研究所に出掛けているということなので、このまま少し待たせてもらうことにした――のだが、変な妄想でジョーイさんを心配したタケシが暴走し、何だかんだあって俺達もウツギ研究所に行くことになってしまった。

 

 ウツギ研究所に着くと、何やらジュンサー達がいろいろと捜査をしている。どうやら泥棒が入ったようで、新人トレーナーに渡すはずのワニノコが連れ去られてしまったらしい。

 

 裏庭に残った足跡から、大人の男女にニャースが犯人ということがわかったので、そのまま追跡することになったのだが、ぶっちゃけニャースが入った泥棒などロケット団しかいないだろうということで俺達も付いていく。

 警察犬のガーディがサクッとロケット団とワニノコを見つけてくれたので、リザードンを出していつも通りにロケット団をやなかんじーにして盗まれたワニノコを救出した。

 

 ワニノコ救出で少し時間がかかってしまったが、何とかポケモンリーグジョウト大会への参加登録を終了する。

 後はバッジを8個集めるだけなのだが、ここから一番近いのはキキョウシティのキキョウジムということなので、とりあえずはそこに向かって進んでいくことになった。

 

 確か、キキョウジムはひこうタイプのジムだったはずだ。アニメではピジョットを逃がしてしまって出来なかったピジョット同士のバトルをするのもいいかもしれないな。

 

 

 

 11歳 δ月ε日 『野球ファンのルーキーを見つけた』

 

 ワカバタウンの新人トレーナーであるナナコに出会った。どうやら、野球のエレブーズファンのようで黄色の縞々が大好きらしい。

 その服装からそうではないかと思ったのだが、ピカチュウも大好きのようで、ピカ様の電撃を浴びたいというMのようなことを言いながら近づいてきたので思わず距離を取りそうになってしまった。

 

 何だかんだでナナコからバトルを申し込まれたのだが、売られたバトルは新人でも買うのがニューサトシである。

 とはいえ、流石にピカ様やリザードンはレベルに差がありすぎるので、今の手持ちで一番レベルの低いニョロモを出して様子を見ることにした。

 

 ナナコの一体目はポッポ、二体目はコラッタだったが、棒立ちでもしない限り、捕まえて数日のポッポやコラッタには負けようがない。

 ニョロモもロケット団以外の本格的なバトルはこれが初めてだったが、問題なく『みずでっぽう』の一撃でポッポとコラッタを連続で戦闘不能にしていた。

 レベル差があるおかげなのだが、それでも連続の勝利が嬉しいのか、ニョロモも左右にステップを踏んで喜んでいる。

 

 ナナコの最後の一体はパートナーのチコリータだった。こいつは前の二人よりはレベルが高そうな上、相性でもニョロモが不利である。

 だが、レベル差は軽く見積もっても10以上あるので、余程下手をしなければ負けはしないだろう。

 チコリータの『はっぱカッター』に対し、ニョロモが『バブルこうせん』で技を相殺していく。本来であれば、くさ技の方が有利だがレベル差のおかげで防ぐのは余裕だった。

 

 返しに『さいみんじゅつ』を指示し、チコリータを眠らせる。いいか、新人。こういう絡め手を使えるようになって一人前だ。

 

 眠ってしまえばもう相手に出来ることはない。ニョロモに『のしかかり』を指示して、あっさりチコリータを戦闘不能にした。

 ナナコも頑張っていたが、やはりレベル差は大きい。しかし、ガッツだけは一人前だし、後は経験を積んでレベルを上げていけばすぐに俺達のレベルに追いつけるだろう。

 

 悔しそうにしているナナコに、いろいろアドバイスしながら、「ポケモンリーグでまた戦おう(キリッ)」と言って、その場を去って行く。ナナコも「次は絶対負けへんでー!」と叫んでおり、メンタルの強さを感じられた。これくらい負けん気が強い方が強くなるもんだ。俺がそうだった。

 

 

 

 11歳 δ月η日 『お、このヘラクロスは!』

 

 森の中を旅している途中、ヘラクロスの群れがカイロスの群れに襲われているのを発見した。

 ヘラクロス達はすぐに逃げ出してしまったのだが、逃げ遅れた一体のヘラクロスが置き去りにされたバタフリーを守っている。確か、あいつがサトシ君のヘラクロスだったはずだ。なかなか見所があるので、すぐにカビゴンを出して助けてやった。

 

 こちらに感謝しているようだったので、一緒に来ないか聞いてみると、少し迷っていたようだが首を横に振っている。

 まさか拒否されると思わなかったので少し驚いてしまったが、無理強いするのは性に合わないので諦めて先に進むことにした。しかし、その瞬間、森林警備隊のモリオという奴が現れて、このヘラクロスは本心では俺と行きたがっているとか言ってくる。

 

 聞くと、この森ではカイロスとヘラクロスの群れが共存して暮らしているようなのだが、最近カイロスの群れがヘラクロスの縄張りに入ってくるらしい。

 自分がいなくなってしまうと、カイロス達に仲間達が虐められるかも知れないのが心配で、このヘラクロスは俺と来ることを拒んだようだった。

 

 なんて仲間思いの良い奴なんだ。こんな話を聞かされて放っておくニューサトシではない。

 と、いう訳で、モリオと一緒にカイロスの縄張りへ入り、何故カイロスがヘラクロスの縄張りに入ってくるのか調べることになった。カスミさんが嫌がっていたが、ヘラクロスも全面的に協力してくれるようで、俺達と一緒にカイロスの縄張りまで付いてきてくれている。

 

 カイロスの縄張りに入ると、通常のカイロスの二倍はあるカイロス型のロボットが木の蜜を乱獲しているのを見つけた。

 こんなことをするのはロケット団しかいないだろうということで、出てきたいつもの三人組をリザードンとカビゴン、ヘラクロスで協力し、いつも通りにやなかんじーにしてやる。

 

 ロケット団がいなくなったことで、カイロス達も自分達の縄張りに戻ってきたので、もう森も心配なさそうだった。

 改めて、ヘラクロスに一緒に来るかどうか聞いてみると、笑顔で頷いていたのでモンスターボールを投げる。紆余曲折あったが、何とか無事にヘラクロスをゲットすることが出来て良かったぜ。

 

 

 

 11歳 δ月ι日 『ドンファンか、そういえばゴマゾウって』

 

 深い渓谷で、ドンファンを使ってメノウを収集しているヒイラギという女性に出会った。

 いろいろあってドンファンがメノウを探すところを見せて貰らったのだがなかなか迫力があって面白かった。

 

 そういえば、サトシ君もどこかでゴマゾウをゲットしていた気がするのだがどこだったっけか?

 

 

 

 11歳 δ月λ日 『幻覚かぁ。意外と面倒なことになったな』

 

 キキョウシティに向かっている途中、深い森に入ったのだが、どうやらこの森には変な幻覚をかけてくるゴーストポケモンが多いようで、カスミさんとタケシが見事に幻覚を見せられていた。

 ぶっちゃけ、俺はこういう幻覚に対しては修行中に訓練したのである程度耐性がある。一人で抜けるだけなら問題なさそうだったが、流石にタケシとカスミさんを置いていく訳にもいかなかった。

 

 どうしたものかと悩んでいると、この辺りでポケモンを捕まえていたらしいシゲルが来て、ホーホーの『みやぶる』でカスミさんとタケシの見ている幻覚を消してくれる。

 シゲル曰く、一般人がこの森を抜けるにはホーホーの能力抜きでは難しいようで、近くにあるホーホーのレンタルを使った方がいいと忠告された。ゲットしても良いのだが、後に色違いのヨルノズクをゲットすることを考えると、今回はレンタルで十分だろう。

 

 と、いう訳で、ホーホーのレンタルをしているスズという婆さんにホーホーを借りることにしたのだが、今居るホーホーは半人前のお調子者だけらしい。明日になれば他のホーホーが帰ってくるということだったので、ここで一晩泊めて貰うことにした。

 

 何しろ、前に半人前のホーホーを連れて行ったトレーナーは三日間森に迷ったらしいし、わざわざ外れのホーホーを連れていく理由がない。

 アニメのサトシ君ならホーホーを一人前にしてやると意気込む所なのかもしれないが、それはスズ婆さんの仕事であって俺の仕事では無かった。

 

 そんなこんなで一晩泊めて貰い、次の日戻ってきた一人前のホーホーと共にサクッと森を抜けさせて貰った。

 

 

 

 11歳 δ月ν日 『ポケモンパフォーマンス大会ねぇ』

 

 ラフォールタウンという街に来たのだが、この街では年に一度のポケモンパフォーマンス大会が開かれるということで見ていくことになった。

 

 いろいろなポケモンが練習しているのを見て回っていると、ヒカルという女性と二体のキレイハナがダンスのパフォーマンスをしていたので見に行くことにする。

 二体のキレイハナのコンビネーションは見ていて圧巻だったのだが、最後の大技であるムーンサルトを失敗して一体のキレイハナが俺の所までぶっ飛んできた。

 

 慌ててキャッチして助けたのだが、どうやらキレイハナはスランプのようで、前にムーンサルトを失敗してから空中の姿勢制御が上手くいかないらしい。その後も、一生懸命練習を続けていたが、キレイハナもなかなか恐怖心が拭えず、ムーンサルト中に硬直してしまうようだった。

 

 大会直前、ロケット団が大会に参加するポケモン達を奪うといういつもの一幕もあったが、その結果キレイハナ達もスランプを脱出してムーンサルトを成功させている。

 こいつらもたまには役に立つなということで、大会のポケモン達を助けると、いつものようにやなかんじーにしてやり、改めてポケモンパフォーマンス大会を見ていくことにした。

 

 ヒカルとキレイハナ達も無事にムーンサルトを成功させて、見事なパフォーマンスを見せてくれている。良かったな、キレイハナ達。

 

 

 

 11歳 δ月ο日 『大怪盗猫八?』

 

 コクモタウンという街に着いたのだが、どうやらこの街では今、二代目怪盗猫八を名乗るニャースを使った泥棒が出没しているらしい。

 ぶっちゃけ、欠片も興味はなかったのだが、ワカバタウンでワニノコ救出に協力したからか、警察の間で俺達はポケモン泥棒退治の専門家ということになっているようだ。

 

 その実績を買われてか、ジュンサーに二代目猫八を捕まえるのを手伝って欲しいと頼まれる。

 ニャースを使った泥棒なんてロケット団しかいないだろうということで、今夜零時に盗みをするという予告状を出してきたロケット団をいつも通りにやなかんじーにしてやった。

 

 自分、スペシャリストなんで(キリッ)。

 

 

 

 11歳 δ月ρ日 『いるよね、こういう金持ち』

 

 アザラタウンという街で、金持ちに飼われているポケモン、ブルーに出会った。

 しかし、ブルー自身は今の過保護な金持ち生活が肌に合っていないらしく、マダムの腕から逃げようと必死になっている。あまりに可哀想だったので、マダムにブルーを外で遊ばせてやるように提案してみた。

 

 最初は首を傾げていたマダムだったが、俺がポケモンリーグセキエイ大会準優勝、オレンジリーグ名誉トレーナーということを話すと、それだけの実力のあるトレーナーが言うならと渋々遊び場を用意してくれたようだ。

 普段はあまりひけらかさないようにしているが、こういう時に実績というものは役に立つな。

 

 外で楽しそうに遊ぶブルーを見て、マダムも過保護に可愛がるだけじゃ駄目だとわかってくれたらしく、これからはブルーの自由にさせると言っていた。良かったな、ブルー。

 

 

 

 

 




 原作との変化点。

・カントー組の大半がベンチになった。
 レベルを考えれば、自主練の方が強くなるという判断。とはいえ、ジム戦などでも使うつもりなので、全く出番がなくなる訳ではない。

・第117話『ワカバタウン! 始まりを告げる風の吹く街』より、リザードンで無双した。
 アニメでは他のポケモンを出していろいろやっていたが、リザードン一体で無双している。リザードンがレギュラーなのは、きずな現象のこともあるが、この後来る山場のため。

・第118話『ルーキーのチコリータ!』より、ニューサトシが後輩を指導した。
 アニメでは容赦なく倒すだけだったが、ニューサトシが先輩風を吹かせて指導したことで喧嘩しなかった。トレーナーになったばかりの頃を思い出して少し優しくした。また、喧嘩しなかったことで、ロケット団との絡みがカットされた。

・第119話『激突! ヘラクロスVSカイロス!!』より、ヘラクロスをゲットした。
 最初は拒否されたショックでそのまま去ろうとしたが、アトラクタフィールドの収束により、原作の流れとなった。

・第120話『ドンファンの谷』より、ニューサトシがゴマゾウの存在を思い出した。
 しかし、どこでゲットするかは完全に忘れている。

・第121話『ホーホーと怪しい森』より、半人前のホーホーを放置した。
 ニューサトシは優しくない上、せっかちでもないので、普通に一人前のホーホーが来るのを待った。半人前もいずれ一人前になるだろうと他人事だった。

・第122話『キレイハナのバトルダンシング!』より、キレイハナと仲良くなった。
 前話で一晩待ったため一日ずれたが、アトラクタフィールドの収束によって、原作と同じ流れになった。

・第123話『イトマル大走査線』より、イトマルの出番がなくなった。
 ニューサトシが普通にロケット団をやなかんじーにしたので出番がなくなった。

・第124話『ブルーの華麗な生活』より、ニャースとブルーの出会いがなくなった。
 ニューサトシが問題を解決したせいで、ブルーとニャースが出会わなかった。そのため、ブルーの家出がなくなり、今後のブルーが出る話はカットとなった。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.52

 ピジョット Lv.49

 バタフリー Lv.49

 ドサイドン Lv.51

 フシギダネ Lv.50

 リザードン Lv.53

 ゼニガメ  Lv.50

 キングラー Lv.49

 カモネギ  Lv.49

 エビワラー Lv.50

 ゲンガー  Lv.50

 オコリザル Lv.50

 イーブイ  Lv.47

 ベトベトン Lv.48

 ジバコイル Lv.49

 ケンタロス Lv.48

 ヤドラン  Lv.48

 ストライク Lv.48

 トゲチック Lv.37→38

 プテラ   Lv.48

 ラプラス  Lv.48

 ミュウツー Lv.70

 バリヤード Lv.48

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.41→42

 カビゴン  Lv.39→40

 ニョロモ  Lv.26→29

 ヘラクロス Lv.15→18 NEW


 詳しくは活動報告に書きましたが、ダレてきたので掲示板は止めて金銀編更新することにしました。これから約50話を毎日更新予定です。掲示板はのんびり書いて適当なタイミングで途中更新します。


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#048 『ここはゲームじゃない』

 11歳 δ月τ日 『また幻覚かよ』

 

 メジカタウンという街で、足を怪我した子供のオドシシを見つけた。

 タケシがすぐに治療してやろうとしたのだが、群れからはぐれたこともあって人間を警戒しているらしい。オドシシの角から良く分からないエキスのようなものが出て、その匂いを嗅いだタケシとカスミさんがオドシシの大群に追われる幻覚を見せられていた。

 

 だが、残念ながらニューサトシには幻覚耐性があるのでそんなものは効かない。タケシに代わって、俺がオドシシの怪我を治療してやると、懐いてくれたようで顔をこすり合わせてきた。

 

 ゲットしても良かったのだが、流石にまだ子供過ぎる。本人も群れに帰りたいと思っているようだったし、俺が群れの所まで連れて行ってやることにした。

 

 

 

 11歳 δ月φ日 『またいじっぱりの御三家か』

 

 雪山近くでチコリータをゲットした。

 

 とはいえ、特に変わったことはなく、本当に原作通り話が進んだ感じだ。

 

 しかし、またいじっぱりなので育て方に凄い困っている。何か前にも同じようなこと書いた気がするが、とりあえず手持ちがいっぱいだったので比較的レベルの高いカビゴンと入れ替えることにした。

 

 

 

 11歳 δ月ψ日 『先に言えや爺』

 

 ヨシノシティでヌオーをゲットしようとしたら、何故かジュンサーに逮捕された。

 どうやら、ヨシノシティではヌオーは保護指定されているポケモンのようで、バトルもゲットも禁止されているらしい。

 思わず、看板の一つでも立てとけとツッコミを入れた。ジョウトで常識でも他の地方の人間がそんなルール知っている訳がないだろう。これだからジュンサーは使えないんだ。

 

 と、文句に文句を重ねたのだが、普通は旅に出る際に注意を受けるはずだということなので、俺のトレーナーとしての保護責任者であるオーキド博士に連絡を取る。すると、博士が事前に俺達への説明を忘れていたことが明らかになった。

 

 何とか無事に釈放されることになったのだが、電話を切る際、「サトシ、ジュンサーさんを困らせるようなことをするんじゃないぞ」と言われたので、「てめぇがちゃんと教えておけば迷惑をかける必要もなかったんだよクソ爺」とキレた。しばらくはまた爺呼びである。

 

 

 

 11歳 ε月α日 『誰だ橋を壊した奴は』

 

 キキョウシティに向かっている途中、橋が壊れて通れなくなっていた。

 

 足止めされるのは面倒なので、仕方なくリザードンに乗って向岸に渡る。アニメではあまり人を乗せるのが得意ではないリザードンだが、うちのリザードンはしっかり飛行訓練もしているので、三人掴まっても余裕で飛んでくれた。

 

 

 

 11歳 ε月γ日 『こういう駄目な子っているよね』

 

 昨晩、ポケモンセンターでドジっ子なハピナスに会った。心優しい性格をしているのだが、その長所を潰してしまうほど失敗を続けている。

 料理をこぼす、怪我の処置を間違える等、本人は善意でやってくれているのはわかるのだが、どうも空回ってしまっているようだった。

 

 朝になると、食料庫から食料が全部なくなるという事件が起きたのだが、防犯カメラには食料を運ぶハピナスの姿しか映っていない。ジョーイさんが事情を説明するように言うも、ハピナスは黙秘を続けていて、このままではポケモンセンターにいられなくなりそうだった。

 

 どうしたもんかと困っていると、ロケット団が盗んだと思われる食料を持ってわざわざポケモンセンターを訪れてくる。奴ら達曰く、ハピナスを脅して無理やり食料を盗み出したようなのだが、どうにも様子がおかしい。

 ハピナスがやけにムサシに懐いているし、ムサシの側もどうもハピナスに攻撃が出来ていないようだ。

 

 名探偵ニューサトシはすぐに訳ありだと察したが、ロケット団が悪役を買っているようだったので、その意を汲んで適当にやなかんじーにしてやった。

 ムサシが遠くに行くのを見て、ハピナスが少し悲しそうな顔をしていたが、ロケット団も満足そうな顔をして帰って行ったし、これで良かったのだろう。たぶん。

 

 

 

 11歳 ε月ε日 『意外とガキは嫌いじゃない』

 

 キキョウシティに着くと、ポケモン塾に通っているガキ共がポケモンを見せて欲しいと群がってきた。

 ガキ共を引率するサユリという女性によると、どうやらこのポケモン塾ではポケモントレーナーを目指す子供達にポケモンの基礎知識を教えているらしく、子供達はポケモンに興味津々のお年頃のようだ。

 

 タケシがいつもの病気を発動させたせいもあり、何故か一日だけポケモン塾の先生をすることになったので、俺がポケモンの基礎知識についてガキにもわかるように簡単な講義をしてやることにした。

 

 しかし、シゲルならともかく普通のガキに専門的な話をした所で通用するはずもなく、途中からは俺の旅についての話になる。俺がセキエイ大会準優勝、オレンジリーグ名誉トレーナーの実績を持っていることがわかると、ガキ共が俺を見る目が尊敬の視線に変わった。

 

 大変、気分が良い。

 

 途中、一人のガキがピカチュウを欲しがる一幕があったが、我が儘な子供をわからせるのは得意なので、サクッと拳骨でわからせてやった。虐待? いや、知らんし。言ってもわからない子供には拳骨というのがニューサトシの基本なのだ。

 

 

 追記。タケシがサユリに惚れて残ろうとしたので、「ウチキド」と呟いたらそそくさと戻ってきた。これからタケシが暴走する時はこの言葉を使おう。

 

 

 

 11歳 ε月ζ日 『キキョウシティ ジム戦 VSハヤト 前編』

 

 遂にキキョウジムに挑戦ということで、早速ジムリーダーのハヤトにバトルを申し込んだ。

 ジョウトでのジム戦は初めてだが、俺はカントーでバッジを8個集めた実績があるので、試合形式をジムリーダー側の制限をなしにして貰うようにお願いする。しかし、本気ポケモンを使うのはともかくとして、ジムのルールでジムリーダー側がポケモン交換をすることは禁止されているようだった。

 

 ジムは本気のバトルをする場では無く、あくまで挑戦者の技量を確かめる場だと言われてしまえば、まさにその通りなので妥協するしか無い。

 

 気を取り直して3対3のバトルをする。

 交換をしないとはいえ、相手は本気のジムリーダーだ。気を抜けば一瞬で倒されるだろう。思えば、ジムリーダーとの本気バトルはサカキ様以来だった。

 

 ハヤトは一体目にドードリオを出してくる。対する俺はクリスタルのイワークを出した。

 ジム戦が初めてのクリスタルのイワークだが、相性的にはひこうタイプに有利が取れる。レベルがまだ少し低めだが、それでも良い勝負が出来ると思うのだ。

 ハヤトもクリスタルのイワークは初見のようで驚いている。まぁ、この世界でクリスタルのイワークを持っているのは俺くらいだろうしな。大変、気分が良い。

 

 クリスタルのイワークは通常のイワークと違ってこおりタイプを持っているので、想像していないこおり技で不意を打つことにした。『れいとうビーム』を指示して、先手を打つ。

 まさかハヤトもイワークが『れいとうビーム』を撃ってくるとは思わなかったようで反応できていなかった。ドードリオは飛べない代わりに足が速いポケモンだが、不意を突いた『れいとうビーム』は避けきれなかったようで直撃を受けている。

 

 だが、流石はジムリーダーだけはあって、すぐにハヤトが『はがねのつばさ』で反撃を仕掛けてきた。クリスタルのイワークは防御が高い方だが、いわ、こおりタイプなので、はがね技は4倍弱点だ。素直に食らえば大ダメージになるので、『アイアンテール』で向こうの攻撃を相殺していく。

 レベル差もあって相殺するのは無理だったのか、『はがねのつばさ』でクリスタルのイワークがダメージを受ける。大きな痛手だが、『クリスタルボディ』の特性でこちらの攻撃と特攻が一段階上昇した。

 

 とはいえ、元がイワークなので一段階上昇してもお察しである。足りない火力は手数で補おうということで、『いわなだれ』で動きを封じていく。

 しかし、ドードリオは落下してくる岩を当然のように避けた上、『にどげり』で岩をこちらにぶつけてきた。かくとう技なのかいわ技なのか判断が付かないが、クリスタルのイワークがダメージを受けている。とはいえ、仮にどちらのタイプ判定にしろ、弱点であることに変わりは無く、また一段階攻撃と特攻が上がっていた。

 

 ただ、能力が上がるのは有り難いが、それは逆にそれだけダメージを受けているということでもある。長丁場は不利になりそうなので、どうにかして一気に決めたい所だった。

 下手ないわ技は逆手に取られそうだったので、『れいとうビーム』で再び攻めていく。今度はドードリオも走って避けているが、地面に『れいとうビーム』が当たることで、フィールドが凍り、アイススケートのリンクのようになっていた。

 

 それを見て、クリスタルのイワークにフィールド全体を凍らせるように指示する。

 通常のフィールドなら元気に走り回れても、滑る氷の上ではそう上手く動けないだろう。飛べればまた話は別だが、ドードリオはひこうタイプでも飛べないポケモンだった。

 

 だが、そんな俺の思考を読んだかのように、ハヤトが「舐めるなよ。俺のドードリオは飛べるんだ」と言って来る。

 

 まさかと思うと、ドードリオが残り少ないフィールドを足場にこちらへジャンプしながら『とびかかる』を仕掛けてきた。

 飛ぶは飛ぶでも、跳ぶの方か。そういえば、アニメでもピカ様のでんき技を避けるのにジャンプを駆使していたような気がする。

 しかし、空中で移動できない以上、先程のように技を回避することは出来ないはずだ。『とびかかる』中のドードリオへ、『いわなだれ』をぶつけて墜落させる。

 

 岩で怯んだ所へ追撃の『れいとうビーム』を指示した。弱点攻撃を二度くらった上、『れいとうビーム』の追加効果で氷状態になったのか、ドードリオの動きが完全に止まる。

 こうなればこっちのものだ。トドメの『アイアンテール』でドードリオを戦闘不能まで持って行く。

 

 倒れるドードリオにジムのトレーナー達から「ど根性」コールがかかり、ハヤトも頑張るように声をかけていたが、ドードリオは起き上がること無く目を回していた。

 審判によって正式に戦闘不能の判定が下ると、ハヤトはドードリオをモンスターボールに戻してその健闘を労っている。そういえばあったな、こんなど根性コール。

 

 ハヤトが二体目に出してきたのはエアームドだった。それを見て、速攻でクリスタルのイワークを戻す。

 クリスタルのイワークははがねタイプへの有効打がじめん技しかないが、ひこうタイプを持っているエアームドにはじめん技が効かない。おまけにこちらははがね4倍なので、どうやっても勝ちの目が存在しなかった。

 

 エアームドの弱点はほのおとでんきのみだ。そう考えると、ピカ様かリザードン辺りを出せば無難に勝てそうだが、最近出番のない奴らにも出番をあげたい。

 と、いう訳で、二体目にはジバコイルを出した。

 こいつもセキエイ大会六回戦以降公式戦に出ていないので、久しぶりのバトルに気合いが入っている。カントーやジョウトではなかなか見られないジバコイルだが、ハヤトも見た目からコイル系であることは察したようだった。

 

 バトルがスタートすると、でんき技を警戒してハヤトがエアームドに飛ぶように声をかける。それに応えて飛ぶエアームドだが、まるで何かに引っぱられるかのように、途中でピタッと動きを止めた。

 これは俺も予想外だったが、ジバコイルの特性である『じりょく』で、はがねタイプのポケモンはジバコイルから逃げたり交代したりすることが出来なくなっている。この逃げるのを防ぐのが、ハヤトお得意の飛行を妨げていたのだ。

 

 ただでさえ相性有利の中、向こうの飛行まで妨害している。後は下手に耐久される前にダメージを与えておきたい所だ。

 ジバコイルに『10まんボルト』を指示すると、ハヤトは『ボディパージ』を指示し、エアームドを軽量化した上でスピードを二段階上げてきた。そのままエアームドが地面を走るように逃げ回っていく。

 

 成程な。確かに飛行は封じたが、動きの全てを封じたわけではない。ジバコイルから距離を取らなければ『じりょく』の影響はないのだ。

 ハヤトもそれがわかっているからこそ、軽量化してスピードを上げてきたのだろう。エアームドは足の遅い耐久型というイメージが強いが、スピードさえ上げてしまえばひこうタイプらしい動きも出来るということだ。

 

 だが、逃げられる範囲は限定されている。

 いくらスピードを上げたとしても、逃げ場をなくすくらいの一撃なら避けることは出来ないはずだ。以前、ピカ様にも使わせた『ほうでん』と『10まんボルト』のマチス式全体攻撃でエアームドにダメージを与えていく。

 

 しかし、ハヤトは『みきり』を使ってまで攻撃を避けてきた。これだけ攻撃を受けるのを拒否するということは、やはりエアームドの特性は『がんじょう』なのだろう。

 と、すると、こちらはまず一撃を当てなければどうしようもないということだ。

 連続攻撃なら『みきり』は使えまいと、再び同じマチス式全体攻撃を指示したが、攻撃と同時に『ボディパージ』でさらに軽量化とスピードを上げて、ギリギリ『みきり』を間に合わせてきた。

 

 チッ、『こうそくいどう』や『ボディパージ』なんかの速度を上げる技は素早だけではなく、身のこなしなんかも早くなる。当然、技の出だしも早くなるので、ギリギリでこちらの攻撃が当たる前に『みきり』が間に合ったのだろう。

 前世のようなターン制バトルなら出来ないが、リアルのポケモンバトルだからこそ出来る動きだ。

 

 既に『ボディパージ』は二回積まれており、他の技を発動させてからでも『みきり』が間に合う状況になった。ハヤトも攻めに転ずるつもりのようで『てっぺき』を積んでいる。

 こちらが特殊だとわかった上で『てっぺき』を積んだということはそういうことだろう。先に倒さなければまずいので、即座に『10まんボルト』を指示する。同時に、ハヤトが『みきり』を使いながらエアームドに距離を詰めさせてきた。

 

 こうなればもう反撃するしかない。『ロックオン』を指示して、攻撃を避けられなくする。対するハヤトは『ボディプレス』を指示してエアームドを突っ込ませてきた。

 

 やはり『ボディプレス』か。この技は威力80の物理かくとう技なのだが、攻撃ではなく防御と特防を攻撃の数値にしてダメージ計算を行う技だ。当然、『てっぺき』で防御を二段階上げている以上、威力は倍と言って良いだろう。

 対するこちらの反撃は『でんじほう』だ。

 命中が50%しかない技だが、事前に『ロックオン』で捕捉していたので100%当たる。エアームドの特性は『がんじょう』なので、『でんじほう』の直撃を受けても、こちらに攻撃を仕掛けてくるだろうが、そこはもう麻痺を期待するしかなかった。

 

 こちらの『でんじほう』が当たる。

 

 だが、やはり特性は『がんじょう』だったようで、エアームドはそのまま攻撃を仕掛けてきた。『でんじほう』の追加効果でエアームドは確定で麻痺したが、それでも動きは止まることもなく、そのままジバコイルに『ボディプレス』が当たる。

 対するこちらのジバコイルは『がんじょう』ではないので、威力二倍の『ボディプレス』に耐え切れずに戦闘不能になっていた。

 

 クソ、戦況は有利だったが、やはり本気のジムリーダーだけあって戦い方が上手い。

 先に『ロックオン』で逃げられなくするべきだったか? いや、『みきり』がある以上、意味がない。だが、『じりょく』の有利を利用して、もっと上手く立ち回るべきだった。トレーナーとしての未熟さが前面に出た形である。

 

 ここはゲームじゃない、リアルの世界なんだ。

 

 前世の知識も大事だが、もっと思考を柔軟にしないといけない。ブルーとのバトルやオレンジリーグのジム巡りでもそうだったが、それこそアニメのサトシ君のようなトンデモバトルのように、いろいろなものを利用するバトルを取り入れなければこの先の戦いでは生き残れないんだ。

 

 心の中で謝罪しながらジバコイルをボールに戻す。負けてしまったが、仕事は十分にこなしてくれた。エアームドは麻痺していて、『がんじょう』も潰している。後はピジョットに任せよう。

 

 俺が三体目にピジョットを出すと、ハヤトの目つきが変わった。同時に、エアームドをボールに戻し、「エアームドは戦闘不能でいい」と審判に告げている。

 エアームドにピジョットを出したことで、ほのお技である『ねっぷう』が使えることを悟ったのだろう。そして、それ以上に無駄な技を使っていない状態で、正々堂々とピジョット同士で戦いたくなったに違いない。

 

 その証拠にハヤトは三体目にピジョットを出してきた。俺がわざわざピジョットを出した意味も理解してくれたようで、「この大空で、最高のバトルをしよう」と満面の笑みを浮かべていた。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・第125話『オドシシ! 幻の森!?』より、タケシではなくニューサトシが懐かれた。
 また、山に返しに行く際もニューサトシが担いでいったため、ロケット団も即座に撃退し、問題なく群れに帰している。

・第126話『いじっぱりのチコリータ!!』より、チコリータを捕まえた。
 原作のように優しくした訳ではないのだが、アトラクタフィールドの収束によって懐かれて原作通りとなった。

・第127話『ヌオーとGSボール!?』より、ヌオーにボールを取られなかった。
 この話ではヌオーが丸いものを集めているが、ニューサトシはGSボールを取られなかったので内容はカットされた。

・オーキド博士と喧嘩した。
 自分の確認不足を棚に上げた発言に切れた。お前のせいやろ。

・第128話『レディバの笛!』より、橋を自力で乗り越えた。
 本来、レディバとマコトに助けてもらうのだが、リザードンによって自力で橋を渡ったため出会いがなくなった。


・第129話『ハピナスのハッピーナース!』より、ニューサトシが何となく事情を察した。
 原作では情け容赦なくやなかんじーにされてひどい目にあうロケット団だが、ニューサトシは事情を察したのでそれとなく手加減した。そのため、ひどい目にはあっていない。

・第130話『大ピンチ! マダツボミの塔!』より、ニューサトシはガキをわからせた。
 アニメではガキに泣き真似で騙されて空のモンスターボールを取られるという失態を犯しているが、ニューサトシは当然拳骨でわからせた。そのため、マダツボミをゲットするイベントも発生せず、問題は起きなかった。

・第131話『キキョウジム! 大空の戦い!!』より、全力バトルを求めた。
 しかし、ジムのルールで交代は禁止。致し方ないが、それでもハヤトは強く苦戦している。

・ピジョット対決になった。
 狙っていたが、狙い通りにハヤトが釣れた。おそらく、アニメを見ていた誰もがこの対決が見たかったとニューサトシは思っている。


 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.52

 ピジョット Lv.49→50

 バタフリー Lv.49

 ドサイドン Lv.51

 フシギダネ Lv.50

 リザードン Lv.53

 ゼニガメ  Lv.50

 キングラー Lv.49

 カモネギ  Lv.49

 エビワラー Lv.50

 ゲンガー  Lv.50

 オコリザル Lv.50

 イーブイ  Lv.47

 ベトベトン Lv.48

 ジバコイル Lv.49→50

 ケンタロス Lv.48

 ヤドラン  Lv.48

 ストライク Lv.48

 トゲチック Lv.38→39

 プテラ   Lv.48

 ラプラス  Lv.48

 ミュウツー Lv.70

 バリヤード Lv.48

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.42→44

 カビゴン  Lv.40

 ニョロモ  Lv.29→32

 ヘラクロス Lv.18→22

 チコリータ Lv.15→18 NEW




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#049 『ちょろい』

 11歳 ε月ζ日 『キキョウシティ ジム戦 VSハヤト 後編』

 

 アニメでは決して放送されなかった俺とハヤトによるピジョット同士の戦いが幕を開けた。

 バトルが始まると同時に、ハヤトが挨拶代わりとばかりに『でんこうせっか』を仕掛けてきたので、こちらも『でんこうせっか』で返していく。

 お互いのピジョット同士がぶつかり合うが、どうも実力は拮抗しているようでどちらも吹き飛ぶ様子がなかった。どうやら、攻撃面の性能はほぼ互角のようだ。

 

 パワーが互角ならスピードはどうだと、ピジョットを空へ飛翔させる。面白いという顔をしたハヤトもまた自身のピジョットへ指示を飛ばし、俺のピジョットの後を追わせていた。

 真っ直ぐ飛ぶ俺のピジョットにハヤトのピジョットは追い付けていない。しかし、距離も引き離せなかった。つまり、速さもほぼ同じということだ。

 

 互いのピジョットの能力が互角なら、後はトレーナーの技術の差が問題になってくる。つまり、俺とハヤト、どちらがトレーナーとして優れているかという問題だ。

 

 ハヤトは『こうそくいどう』を指示した。スピードを上げて有利を取ろうという魂胆だろう。

 この勝負でスピード負けは即死も同然なので、こちらも『こうそくいどう』でハヤト同様に速度を上げていく。だが、こちらが『こうそくいどう』を積む間に、ハヤトのピジョットが俺のピジョットに並んでいた。

 

 上下前後左右を縦横無尽に動き回るピジョットだが、ハヤトのピジョットを引き離せない。どこかで一度有利を取りたいが、この調子では永遠に決着がつきそうになかった。

 ならば、どこかで隙を作るしかないのだが、これだけの速度で動いていると、お得意の『ぼうふう』も打つことが出来ない。

 何しろ、羽で風を作る『ぼうふう』や『かぜおこし』のような技は、一度動きを止めなくては使えないのだ。しかし、向こうがあれだけの速度で動いていては狙いをつけることすら出来ないだろう。

 

 使えるのは体をぶつけるタイプの技に絞られる。

 

 物理技、接近戦で勝負――ハヤトもそう考えているはずだ。なら、使われてくる技は絞られてくる。

 俺がそう思考し、ピジョットに『つばめがえし』の指示を飛ばしたのと同時に、ハヤトもまた自身のピジョットへ『つばめがえし』の指示を出した。

 

 並走していた二体のピジョットが、こちらの指示と同時に左右に旋回し、真っ直ぐぶつかって行く。『つばめがえし』は威力こそ60と低いが、絶対に命中する技だ。この高速戦闘では技の命中率は生死に関わって来る。絶対に使ってくると思っていた。

 

「見事だ、サトシ君。君は俺と全く同じことを考えていたようだね」

「そのようですね」

「ならば、俺が最後に使う技ももうわかっているはずだ」

 

 ああ、わかっているさ。

 おそらく、ハヤトが決め技に持ってくるのはひこうタイプ最大の技『ブレイブバード』だろう。

 正確にはひこうタイプ最大の技は『ゴッドバード』だが、あの技は出すまでに貯めがいる。この高速戦闘でその貯めの時間は命取りになると言って良い。まず間違いなくハヤトは『ブレイブバード』を使ってくるはずだ。

 

「俺は小細工しない。正々堂々と勝負だ」

 

 正々堂々ね。受けて立とうじゃ無いか。

 俺のピジョットも、カモネギ先生によって『ブレイブバード』は習得しているので出来ないことはない。俺は普段、ピジョットを特殊で使っているが、物理技を何も覚えさせていない訳ではないのだ。

 

「いくぞ! ピジョット、『ブレイブバード』!!」

 

 再び、ハヤトの指示と同時にピジョットが旋回する。それを見て、俺のピジョットもまた同じように旋回を始めた。多分、俺の意を汲んでくれたのだろう。

 そのまま真っ直ぐ突っ込んでくるハヤトのピジョットに対し、俺のピジョットもまた迎撃に動いている。

 しかし、ハヤトは俺がまだピジョットに指示を飛ばしていないことに気付いたようで怪訝そうな顔をしていた。

 だが、もう遅い。ギリギリのギリ、ここしかないというタイミングで、俺も最後の攻撃指示をピジョットに飛ばした。

 

「ピジョット、『ギガインパクト』!!」

 

 驚くハヤト。しかし、もう遅かった。

 今から指示を飛ばしても、ピジョットは行動を変更できない。そう出来ないタイミングで俺は攻撃を指示した。

 

 悪いな、ハヤト。俺は意外と小細工が嫌いじゃないタイプなんだ。

 

 真正面からピジョット同士がぶつかり合う。だが、当然、『ブレイブバード』より『ギガインパクト』の方が、威力が上なので、ハヤトのピジョットが打ち負けて墜落して行く。

 不意打ちのように見えるかもしれないが、真正面からの打ち合いには変わりないだろう。ただ、ハヤトが勝手に、俺も『ブレイブバード』を使ってくると勘違いしただけである。

 

 ハヤト、お前の敗因はひこうタイプに拘り過ぎたことだ。ピジョットは確かにひこうタイプだが、同時にノーマルタイプでもある。ノーマルタイプ最大の物理技である『ギガインパクト』を失念していた時点でお前の負けだ。

 

「ピジョット! ど根性だ!!」

 

 ハヤトもまた、自身のミスに気付いたのだろう。それでもまだ諦めないとばかりに声を飛ばしている。

 同時にまたも周囲から「ど根性」コールが発生し、ハヤトのピジョットが体を起こす。それを見て、反動が解除された俺のピジョットが上空から『ギガインパクト』で突っ込んできた。

 当然、追撃の『ギガインパクト』で、ハヤトのピジョットが今度こそ完全に戦闘不能になる。こうなればど根性もクソもないだろう。ハヤトも目を閉じてピジョットをボールに戻していた。この容赦のなさは誰に似たんだか。

 

「まさか、『ギガインパクト』とはね。てっきり『ブレイブバード』の対決になると思ったよ」

「それも悪くは無かったんですけどね。ど根性対決は不利になりそうだったんで、今回は素直に隙を突かせて貰いました」

「『ブレイブバード』同士だったら負けていたと?」

「さて。ただ、面倒くさいことにはなったでしょうね」

 

 実際、攻撃力が同じで、同じ技のぶつけ合いなど泥沼にしかならないだろう。

 それしか手段がなければ話は別だが、他に勝ちの目が見えているならそっちを取るのがニューサトシである。

 

「見事だ。君の方が純粋に一枚上手だった。このウイングバッジは君のものだ」

 

 結果的にハヤトの独り相撲の隙を狙った形だが、それでも勝ちは勝ちである。クリスタルのイワークも公式戦で勝利を収められたし、良いバトルをさせて貰った。

 

 ハヤトからウイングバッジを受け取り、そのままキキョウシティを後にする。

 

 次はむしタイプを得意とするヒワダジムのツクシが相手になるはずだ。今回のような本気バトルも悪くないが、ヘラクロスやチコリータのような新人にも経験を積ませてやりたいし、次はレベルを合わせて貰ってバトルをするのも悪くないかもしれないな。

 

 

 

 11歳 ε月θ日 『カスミさん、お止めなさい』

 

 高級リゾート地が並ぶエリアを横断中、草むらからマリルが出てきた。

 みずタイプに目がないカスミさんが早速ゲットしようと意気込んでいるが、良く見ると尻尾にリボンが付いている。どう見たってトレーナーがいるのは明らかだった。

 

 しかし、カスミさんは全く気付いていないようだったので、腕を掴んでボールを投げるのを止めさせる。最初は俺がマリルを狙っていると勘違いして怒っていたカスミさんだが、リボンに気付くと残念そうな顔で矛を収めていた。

 

 どうもこの近辺の子のようだが迷子らしい。

 可哀想なので、一緒にトレーナーを探してやり、近くの海を眺めていたお嬢様らしきトレーナーの所までマリルを連れて行ってあげた。

 

 

 

 11歳 ε月κ日 『俺のリザードンは強いぞ』

 

 ヒワダタウン目指して歩いていると、ジークとかいう女が俺からリザードンの匂いがするとか言って声をかけてきた。

 何となく見覚えがあったような気がしたのだが、この辺りが野生のリザードンの生息地と聞いて完全に思い出した。アニメでリザードンとバイバイする回である。

 

 ジークがリザフィックバレーのリザードンを見て行かないかというので、素直についていくことにした。何せ、ヒトカゲをゲットしてから今まで、半ば贔屓とも言えるくらいに訓練していたのは今日この日の為と言っても過言ではない。

 アニメでは練度不足であしらわれていたリザードンだが、俺のリザードンがどこまで通用するのかとても興味があった。

 

 タケシとカスミさんはジークのリザードンの買い物カゴに乗せてもらうことになり、気球のような感じで空を飛んでいる。俺は自分のリザードンが居たので、そのまま背中に乗せて貰った。

 アニメでは人を乗せて飛ぶことが苦手なリザードンだが、俺はリザードンに進化させてから飛行技術は当然として、人間を乗せて飛べるようにも訓練している。当然、アニメのような体たらくを晒すことなく、無事にリザフィックバレーまでたどり着くことが出来た。

 

 ジークもリザードン使いを名乗るだけあって、俺のリザードンのレベルがわかるようで、「そのリザードン、なかなかやるわね」と頷いている。実際、ここのリザードンに通用するか聞いてみると、「上位陣とタメ張れるでしょうね」というお墨付きを頂いた。

 

 試しに上位陣とバトルしてみるか聞かれたので、トレーナーの指示なしでバトルさせてみる。流石に指示有りでは負けないだろう。それだけ俺は自信があるし、ジークも遠回しにトレーナーはNGと言っていた。

 俺のリザードンが誰を相手に選ぶか興味あったので見ていたのだが、ジーク曰く一番強い相手を選んだらしい。強い奴と戦いたがるのは、本当に俺に良く似てしまったな。

 

 しかし、ここのリザードンは体格が良い。俺のリザードンが小さく見えるくらいだ。

 これだけ体格差があれば、パワーは負けているだろう。どうするのかと思って様子を見ていたが、小柄故の素早やこれまでのバトルで培ってきた技術でアッサリと相手のボスリザードンを倒してしまった。

 

 これには俺もビックリしたが、ジークはもっとビックリしたらしい。ここのリザードンは決して弱くない。それは俺ですら見ただけでわかる。

 正直、負けはしないにしても苦戦すると思っていたのだが、そんな様子を微塵も感じさせず、俺のリザードンはここのボスを倒してしまったのだ。

 

 倒されたボスリザードンがもう一度とばかりに俺のリザードンに勝負を仕掛けて来るが、結局は先程の焼き直しにしかなっていない。むしろ、俺のリザードンは野生相手に苦戦など恥と言わんばかりの態度だった。

 そんな俺のリザードンを見て、ジークのリザードンの目がハートマークになっている。ちょろい。

 

 ジークもこれは予想外だったようで、「私も見る目がないわね」と恥ずかしそうにしていた。

 とりあえず、これでリザードンとバイバイすることはなくなったようである。元々、負けてもバイバイする気はなかったが、想像以上の成果にニューサトシもニッコリだった。

 

 丁度いいので、ジークにリザードンのきずな現象について何か知らないか聞いてみる。

 だが、ジークもリザードンにメガシンカがあるのは知っているようだが、きずな現象については何も知らないようだった。逆に見せてくれと頼まれたが、まだ上手くコントロールできていないので、意のままに発動させることが出来ない。

 

 一応、ジークには去年のポケモンリーグセキエイ大会準決勝と、少し前に行ったオレンジリーグのウィナーズカップで使ったと教えると、試合の動画を探して調べてくれると約束してくれた。これで何かわかるといいのだが。

 

 

 

 11歳 ε月μ日 『キマワリの言葉がわからない? ならば、ボディランゲージだ!』

 

 ソーラータウンという街に来たのだが、この街はキマワリの育成が盛んなようで、明日にはキマワリコンテストというキマワリの美しさを競うコンテストをやるらしい。

 

 ちょっとした縁でこの街でキマワリを育てているチサトという女性と仲良くなったのだが、どうも最近パートナーであるキマワリの元気がないと相談を受けた。チサトも明日のキマワリコンテストに出る予定らしいのだが、肝心のキマワリがこの調子なので困っているようだ。

 

 こんな時はいつものマサラ式肉体言語術ボディランゲージである。流石にニャース程の通訳が出来る訳ではないが、それでもかなりの練度であると自負していた。

 と、言う訳で話を聞いてみると、どうやらキマワリは仲の良かった友人のキマワリと会えなくなって寂しいらしい。

 街の人に詳しい話を聞いた結果、その友人キマワリはポケモンセンターにいるようなので、キマワリを連れて会いに行く。聞けば、ジョーイさんの手持ちポケモンになっていたようで、無事に友人と再会出来てキマワリも元気を取り戻していた。

 

 

 追記。次の日、ロケット団の介入もあってドタバタしたが、無事にチサトとキマワリはコンテストで優勝を果たしていた。おめでとさん。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・ピジョット対決をした。
 レベルではハヤトのピジョットの方が僅かに上だが、個体値や努力値の関係で能力は互角だった。詳しく書くのは面倒なので詳しくは書かない。

・第132話『泣き虫マリル!』より、カスミさんがボールを当てるのを未然に防いだ。
 本来はボールぶつけられてマリルが逃げるが、ニューサトシは未然に防いだため、内容がカットされた。

・第133話『爆走! オタチ&トゲピー』より、トゲ様がそもそも外に出ていなかった。
 また、既にトゲチックになっていることや性格が微妙にアニメと変わっていることから物語がカットされた。

・第134『リザードンの谷! また会う日まで!!』より、リザードンとバイバイしなかった。
 アニメでリザードンがいなくなった時は絶望した人も多かっただろうが、ここではボスを瞬殺してわからせた。ジークのリザードン惚れた。ちょろい。

・ジークにきずな現象について調べるようにお願いした。
 何かわかるといいね。

・第135話『大パニック! キマワリコンテスト!!』より、ニャースの出番がなくなった。
 ニューサトシがポケモンの気持ちが大体わかるので、出番がなくなった。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.52

 ピジョット Lv.50→51

 バタフリー Lv.49

 ドサイドン Lv.51

 フシギダネ Lv.50

 リザードン Lv.53

 ゼニガメ  Lv.50

 キングラー Lv.49

 カモネギ  Lv.49

 エビワラー Lv.50

 ゲンガー  Lv.50

 オコリザル Lv.50

 イーブイ  Lv.47→48

 ベトベトン Lv.48

 ジバコイル Lv.50

 ケンタロス Lv.48

 ヤドラン  Lv.48

 ストライク Lv.48

 トゲチック Lv.39→40

 プテラ   Lv.48

 ラプラス  Lv.48

 ミュウツー Lv.70

 バリヤード Lv.48

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.44

 カビゴン  Lv.40

 ニョロモ  Lv.32→35

 ヘラクロス Lv.22→25

 チコリータ Lv.18→21




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#050 『それいけ、バレパンマン!』

 11歳 ε月ν日 『チコリータ、君どうしたい?』

 

 チコリータはアニメのように甘えん坊である。

 俺の愛情を独占したいというアピールは物凄いし、俺もなるべくチコリータの意向に沿うようにはしているつもりだ。

 だから、アニメのように反抗するようなことはなく、今日も元気にのびのび過ごしている。

 

 しかし、一つ大きな問題があった。

 

 チコリータよ。ハッキリ言って、今のお前はフシギダネの劣化にしかなっていないのだ!

 おっと、ショックを受けるな。それは今だけの話だ。これから、お前だけにしかできない、お前だけの動きをどうにかして確立しようではないか。

 

 一応、構想はあるのだ。

 フシギダネは、攻撃、特殊、どちらも器用にこなすし、粉技や『どくどく』、『やどりぎのたね』と補助技も持っている。しかし、流石のあいつも『リフレクター』と『ひかりのかべ』は覚えることが出来ない。

 

 チコリータ、お前にはこれから壁を貼って相手の攻撃を半減させつつ、『こうごうせい』で体力を回復させて、ひたすら相手を叩くゾンビ戦法を身につけて貰う。

 お前はフシギダネと違って進化という道がまだ残っているし、メガニウムまで行けば耐久も上がって戦いやすくなるはずだ。

 それにメガニウムになれば、ワンチャン『げきりん』を覚えることが出来るかもしれない。そうなれば、火力の面でも大分使い易くなるに違いないはずだ。

 

 と、力説すると、チコリータもまさか俺がそこまで自分のことを考えてくれているとは思っていなかったのか、目を潤ませて感動している。

 さぁ、チコリータよ。早速、特訓だ。レベル的にはまだ覚えられないかもしれないが、練習していると早く技が発現する可能性もある。お前の気合を俺に見せてくれ!

 

 

 追記。マジで『リフレクター』と『ひかりのかべ』を覚えた。先生にバリヤードを呼んだとはいえ、まさか一日で両方とも取得するとは。こいつ、俺のこと好き過ぎやろ。

 

 

 

 11歳 ε月ο日 『アルキメンデス、お前はハネッコではない』

 

 ヒワダタウンへ向かっている途中、ハネッコを使って天気を予測しているアズサという女性にあった。

 結構な数のハネッコを連れていて、どうやら風に吹かれたハネッコの数で天候のことがいろいろわかるのだという。ポケモン世界の気象予報士ってこんなんなんだと感心していると、ハネッコ達の中に一体だけナゾノクサが紛れ込んでいた。

 

 アズサ曰く、このナゾノクサはハネッコ達と仲良くなりすぎて、自分をハネッコだと思っているらしい。ただ、自分はハネッコのつもりでもナゾノクサなので当然だが同じように飛ぶことが出来ず落ち込んでいた。

 アズサも種族的なものなので無理だと説得したようなのだが、どうしても諦めることが出来ないようだ。

 

 俺達もナゾノクサにはナゾノクサのいい所がある。そう説得して見たのだが、やはりなかなか現実は受け入れられないらしい。

 しかし、毎度お馴染みのロケット団がハネッコ達を誘拐してしまうと、ナゾノクサも助けられるのは自分だけだと思ったようで、得意のくさ技を駆使してロケット団をやなかんじーにしていた。

 

 ナゾノクサも、自分の力でハネッコを助けたことで、俺達の言葉を信じる気になってくれたのか、自信を持った顔つきになっている。こういう所で役に立つから、何だかんだあいつらは憎み切れないんだよなぁ。

 

 

 

 11歳 ε月ρ日 『何しに来たんだこいつら?』

 

 いつも通り、ロケット団の相手をしていると、グライガーマンを名乗るメタボなおっさんとグライガーがいきなり乱入してきた。

 しかし、格好良く入ってきた割に、ロケット団相手にボコボコにされている。これがアニメのロケット団なら勝てたんだろうが、この世界のロケット団は俺のせいで無駄に強化されているからなぁ。

 

 何しに来たんだこいつ。と、思いながら様子を見ていると、今度はグライガールを名乗る女が乱入してきて、倒れたグライガーマンを助けて帰って行った。

 

 結局、ロケット団は俺がいつも通りにやなかんじーにしてやったのだが、随分と格好悪い正義のヒーローだったな。

 

 

 追記。次の街でグライガーマングッズの専門店があり、店長がグライガーマンだった。と、いうことは娘がガールか。本当に何しに来たんだ、こいつら?

 

 

 

 11歳 ε月σ日 『ちょっと指導してやるか』

 

 とある牧場でカレンという少女に出会った。

 カレンの家はメリープの牧場を営んでいるようで、カレンはパートナーのホワイトというメリープと共に、数日後に行われる村のお祭りのバトル大会に参加したいらしい。しかし、カレンの母は未熟なカレンにまだバトルは無理だと許可してくれないようだった。

 

 ならば代わりにニューサトシが! と思ったが、どうやら村の人間以外は参加できないらしい。

 

 自分が参加できない以上、もう興味など欠片もなかったが、あまりにカレンが可哀想なので、少しバトルの手ほどきをしてやることにした。

 ピカ様に相手をお願いし、カレンのホワイトとバトルをする。すると、すぐに問題点が浮かび上がってきた。

 どうもカレンは技を指示するのに必死過ぎて、相手の動き所かメリープの動きすら見えていないのである。一生懸命なのはわかるが、自分のことに必死で空回りしてしまっているのだ。

 

 確かに、母親の言う通り未熟である。これではバトル以前の問題なので、まずはトレーナーとしての心構えを簡単にレクチャーしてやることにした。

 

 すると、丁度良くロケット団が来たので、コジロウ相手にバトルをさせてみる。ムサシの方は俺が完全に抑えたので、前回のグライガーマンのようなことにはならないだろう。

 多少苦戦していたが、それでもしっかりと状況を見て指示を飛ばすことが出来ていた。結果的には相性もあってコジロウのフシギダネに負けてしまったが、それでも初心者にしてみれば十分戦えた方だろう。

 

 いつも通り、サクッとロケット団をやなかんじーにすると、カレンのバトルを見ていた母が、バトルへの参加を許可していた。俺達は先に進むが、頑張って好成績を残してほしいものだ。

 

 

 追記。後日、俺宛に一枚の写真と手紙が届けられた。写真にはカレンとホワイトがトロフィーを持って写っており、手紙には感謝の言葉と旅の無事を祈る言葉が綴られていた。

 

 

 

 11歳 ε月υ日 『いるんだよなぁ、こういうガキ』

 

 いつも通りにロケット団をやなかんじーにしていると、ムラマサを名乗るおっさんから、息子が最近調子に乗っているから現実を見せてやってほしいと頼まれた。

 

 実際にそのシンゴだかダイゴだかいう息子に会ってみると、ノートパソコン片手にバトルは相手のデータを見れば勝てるとか意味不明なことを言っている。

 挙句の果てには、俺なんか相手にならないからデータにないくらい強い奴を連れてこいとか抜かしていたので、ミュウツーで現実を見せてやることにした。

 

 伝説のポケモンなら相手に十分だろうということでバトルになったのだが、当然イキリボーイが相手になるはずもなく、自慢げに出してきたハッサムを瞬殺する。

 

 何やら俺のポケモンへの指示がデータと違うと叫んでいるが、そのデータっていつのものだ? オレンジリーグか? あれからどれだけ経っていると思っているのだ。当然、ニューサトシは成長しているに決まっているだろう。ハヤト戦で痛い目も見たしな。

 

 クソガキ君も、まさか自分が負けると思わず呆然としているようだったが、暴君が『この程度で最強になれるなら、この世は最強で溢れているな』という無慈悲な追撃をかけると、今度はショックで部屋に引きこもってしまった。

 

 カスミさんとタケシが「やりすぎよ(だ)」とこちらを見て来るが、ああいう知識で調子に乗っているガキをボコるのはニューサトシの趣味なんだ。すまねぇ。

 実際、一年間もバトルをしていなかったみたいだし、あのレベルなら他のポケモンでも十分倒せたが、本人がそれを望んだのだから仕方ない。結果的に現実を見せつけたということで、ムラマサの要望は一応果たしただろう。

 

 さっさとお暇しようかと思ったが、ふと今回の報酬を貰っていないことを思い出した。

 ムラマサもハッサムを連れているし、もしかしたらメタルコートを持っていないか聞いてみると、持っているということだったので、今回の報酬としてそれを要求する。

 息子が引きこもってしまったことに少し思う所はあるようだが、あのまま井の中の蛙でいても結果的には同じだっただろうし、現実を知っただけマシだと思ったのか、素直にメタルコートを渡してきた。決してカツアゲではない。

 

 最後に声をかけて行ってほしいということだったので、「悔しかったら、ポケモンリーグに出て来るんだな」と言って、その場を去った。

 これからあいつがどうなるかはわからないが、こっちも引きこもりの面倒まで見るつもりはない。これで駄目なら、あいつはその程度だったというだけのことだ。

 

 

 

 11歳 ε月φ日 『それいけ、バレパンマン!』

 

 昨日貰ったメタルコートを使って、早速ストライクをハッサムに進化させた。

 クリスタルのイワークをハガネールにするのも悩んだが、もし進化して普通のハガネールになったら勿体ないし、クリスタルのイワークについてはもう少し詳しいことがわかるまではそのままにしておくことにする。

 

 日頃から俺がハッサムにするとずっと言っていたからか、本人も念願の進化に大喜びしており、こちらに見せつけるように『バレットパンチ』を披露してくれた。

 

 よっ、最高! バレパンマン!

 

 

 

 11歳 ε月χ日 『スロースターターのヒノアラシ』

 

 ユウジとかいう柄の悪いトレーナーをボコボコにした。人がゲットしたポケモンを奪おうとするとは、同じ名前でもオレンジリーグのユウジとは大違いである。

 

 と、いう訳で、ヒノアラシをゲットしたのだが、やる気になるまで時間のかかるタイプのようだった。

 バトルをしても、背中のやる気の炎を出すまで時間がかかる。ただ、やる気にさえなれば、かなりの威力を持った『かえんほうしゃ』が使えるので攻撃力は問題なさそうだ。

 

 やる気の炎が出ていなくても動き自体も悪くないので、開幕から本気になれるまでは、回避主体で時間を稼ぎ、一撃必殺を狙うタイプのポケモンに育てて行こうと思う。思えば、ほのおタイプはリザードンしか持っていなかったし、大事に育てていきたい。

 

 

 

 11歳 ε月ω日 『爺のコスプレとか誰得だよ』

 

 ヒワダタウンに着いたのだが、連日の日照りのせいでジムを含むあらゆる施設が休業中になっていた。

 ジム戦が出来ないのであれば仕方ない。先に爺のお使いであるGSボールをガンテツに届けることにする。

 

 と、いう訳で、ガンテツの家に来たのだが、孫娘らしいガキがガンテツは井戸に向かったと言うので、そのままここで待たせてもらうことにした。

 しばらくすると、通り雨が降ってきたので待たせて貰ったのは正解だったようだ。

そこからさらに少し待つと、何やらヤドンのコスプレをした爺さんが家に入って来る。聞けば、この爺さんがガンテツだというので、とりあえずGSボールを渡してお使いを済ませることにした。

 

 流石のガンテツも初めて見たボールのようで、一目見ただけではGSボールの機構はわからないようだ。

しばらく解析には時間が欲しいと言っていたので、爺にボールを渡したことだけは連絡し、ガンテツにも次からは直接爺に連絡して貰うように頼んでおいた。これ以上、爺のお使いに振り回されるのは勘弁だしな。

 

 しかし、ジムは休業中なのでとても暇だった。

 いや、ここはジョウトで捕まえたポケモン達を育成する良い機会に恵まれたと捉えるべきか。捕まえたばかりのヒノアラシにしても、まだバトル訓練が途中だし、ジム戦までに戦い方を仕込んでおく必要がある。

 

 そのままポケモンセンターに行き、ピカ様とトゲ様、ニョロモに頼んで、ヘラクロス、チコリータ、ヒノアラシの相手をして貰うことにした。

 

 

 

 11歳 ζ月α日 『新人デビュー』

 

 昨日に引き続き、早速訓練を開始していく。昨日の通り雨のおかげで明日にはジムが開くだろうとのことだったので楽しみである。

 いろいろ悩んだが、やはり明日のジム戦はジョウトで捕まえた三体で挑戦することにした。

 

 レベルも凄く離れている訳ではないし、ヒノアラシのやる気の炎がスロースターターという問題点はあるものの、ヒノアラシ自体はやる気があるので動きも悪くない。

 チコリータの相性が不利だが、そこは持ち前の根性でどうにか出来るだろう。既にゾンビ戦法は確立されているのだ。

 後はヘラクロスだが、何だかんだ真面目な奴なのでバトルになれば活躍してくれるとみている。三体の中で一番レベルが高いしな。

 ニョロモやカビゴン、トゲ様も公式戦はまだなので出来れば出してやりたいのだが、そこは次の機会にする。悪いな、アニメのサトシ君と違って仲間が多いからなかなか出番を用意してやれないのだ。

 

 

 




 原作との変化点。

・第136話『チコリータはご機嫌斜め』より、チコリータが家出しなかった。
 基本的にニューサトシはポケモンに優しいのと、差別をしないので、愛情に不満を感じなかった。よって内容はカットされた。

・チコリータが壁系の技を覚えた。
 フシギダネとの差別化がマジで難しかった。劣化フシギダネは可哀想だったので、役割を与えた。

・第138話『謎のスーパーヒーロー! グライガーマン登場!!』より、グライガーマンがロケット団にボコボコにされた。
 原作と違ってロケット団が強いため、ボコボコにされた。娘は遠目から見ていたが、父親の危機に仕方なくガールになって現れた。後にニューサトシに正体がばれて顔が真っ赤になった。

・第139話『メリープとまきばの少女』より、ニューサトシが少女を指導をした。
 そのため、原作よりも強くなった。ロケット団も強かったため、勝つのは無理だったが、大会で優勝するくらいには強くなっている。

・第140話『バトルしようぜ! ハッサムVSヘラクロス!!』より、ミュウツーでわからせた。
 手っ取り早く鼻っ柱をへし折った。また、ニューサトシがこれまでと少し変わった指示を試したことで、昔のデータとの違いに相手が混乱した。

・報酬としてメタルコートを貰った。
 この話を書いている頃に、カントーの感想で「こいついつもカツアゲしてんな」というニューサトシにピッタリな言葉を貰ったw 今回は決してカツアゲではないw

・ストライクがハッサムに進化した。
 それいけ、バレパンマン!

・第141話『ヒノアラシ! ゲットだぜ!!』より、ロケット団のことが書かれなかった。
 原作通りに襲われたが、いつも通りのことなので日記ではカットされている。意外とそういう個所は多く、ロケット団はほぼ毎回来ているので書かれない日が多い。

・第142話『ヒワダタウン! ヤドンの井戸!!』より、ニューサトシがヤドンの尻尾を踏まなかった。
 そのため、ガンテツと出会わず家まで直行した。おまけに、ニューサトシが入れ違いになるのを嫌がって家で待ったため、原作の話はカットされた。

・第143話『クヌギダマとボングリの実! 裏山の戦い!!』より、タケシがクヌギダマをゲットしなかった。
 前話がカットされた影響でガンテツとそこまで仲良くなっていないので、ボングリでボールを作る話がカットされた。そのため、裏山に行くことはなく、クヌギダマをゲットしなかった。当然、ルアーボールなどのボールは貰っていない。

・ポケモンを育成した。
 裏山に行かない代わりに、ジョウトのポケモン育成に力を入れた。作戦などもいろいろ考えた。


 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.52

 ピジョット Lv.51

 バタフリー Lv.49→50

 ドサイドン Lv.51

 フシギダネ Lv.50

 リザードン Lv.53

 ゼニガメ  Lv.50

 キングラー Lv.49→50

 カモネギ  Lv.49→50

 エビワラー Lv.50

 ゲンガー  Lv.50

 オコリザル Lv.50

 イーブイ  Lv.48

 ベトベトン Lv.48→49

 ジバコイル Lv.50

 ケンタロス Lv.48→49

 ヤドラン  Lv.48→49

 ストライク→ハッサム Lv.48→49

 トゲチック Lv.40

 プテラ   Lv.48→49

 ラプラス  Lv.48→49

 ミュウツー Lv.70

 バリヤード Lv.48→49

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.44

 カビゴン  Lv.40→41

 ニョロモ  Lv.35→38

 ヘラクロス Lv.25→29

 チコリータ Lv.21→25

 ヒノアラシ Lv.20→24 NEW




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#051 『その通り過ぎて何も言えん』

 11歳 ζ月β日 『ヒワダタウン ジム戦 VSツクシ 前編』

 

 ようやくジムも開いたようなので、今日こそヒワダジムへ挑戦しに行くことにした。

 ジムへ行くと、むしタイプのジムだけあって草木が溢れている。まるで植物園のような感じだが、虫嫌いのカスミさんは中に入るのをとても嫌がっていた。

 当然、むしポケモン使いにしてみれば、そんなカスミさんの態度は面白いはずがなく、出会って早々、ジムリーダーのツクシとカスミさんは犬猿の仲かというくらいに揉めている。

 

 まぁ、どちらの気持ちもわからなくはないが、今はどうでもいい。タケシにカスミさんの面倒をお願いし、ツクシに公式戦を申し込む。

 キキョウジムのように本気バトルでも良かったが、前回も書いた通り今回のジム戦はジョウト組のデビューにしたいので、レベル制限30以内でバトルをしてもらうことにした。

 

 ツクシも俺のトレーナー情報を確認して尚、レベル制限をお願いしたことから、俺が手持ちのポケモン育成にジムを利用しようとしているのはわかったらしく、胸を貸してくれるようだ。

 まぁ、本気のバトルも楽しいが、こういうのもジムの使い方の一つである。ツクシはその辺わかってくれるタイプだったようで、下手な説明をしなくて済んだので助かった。

 

 バトルは3対3で、交代はいつも通りチャレンジャーである俺側のみに許される。

 ツクシの一体目はイトマル、俺は一体目にチコリータを出した。ボールから出た瞬間、チコリータが俺に飛びついてくるが、相手はあっちのちっこいのだぞ。

 

 チコリータがやる気満々でフィールドに走って行く。それを見たツクシが、むしタイプに不利なくさタイプを出してきたことを怪訝そうな顔で見ていた。

 答えを示すように、開幕で『リフレクター』を指示する。それを見て、ツクシもチコリータがサポート役なのを理解したようで、『いとをはく』でこちらの動きを封じようとして来た。

 

 イトマルが出す糸を避けながら、チコリータがフィールドを走り回って行く。何とか糸を当てようとイトマルは頑張っているが、チコリータの素早が想像以上に高いようでなかなか当てられないでいる。

 そんなチコリータの動きを見て、通常の方法では攻撃を当てられないと判断したのか、ツクシがイトマルに『いとをはく』と『クモのす』を同時に指示してきた。予想外の技の組み合わせである。

 

 糸が格子状に飛ばされ、避けきれなかったチコリータの体にまとわりついた。素早を遅くする『いとをはく』に『クモのす』の効果を付属させた攻撃なのだろう。体に絡んだ糸のせいでチコリータがその場から動けなくなった上、ボールに戻すことが出来ない。

 

 ようやく動きを止めたチコリータに、イトマルが『シザークロス』を仕掛けてくる。避けきれないのであれば受けるしかないが、ただでくらうつもりはない。攻撃が直撃する寸前に、こちらも『たいあたり』を指示した。

 イトマルの『シザークロス』はかなりの威力だったが、『リフレクター』のおかげでダメージは少なく済んでいる。また、『たいあたり』がカウンター気味に当たったことで、イトマルにもダメージを与えることに成功した。

 

 こうなれば後はこちらのものである。『こうごうせい』を指示して体力を回復し、相手が攻めてきたらまた『たいあたり』で削っていった。

 ならばと、ツクシも『どくのいと』でこちらを毒にして、追加効果で素早をさらに一段階下げてくる。そのまま手早く勝負をつけようと『シザークロス』を連打してきた。

 

 ピンチだが、同時にチャンスでもある。相手の攻撃が当たる度に、糸の拘束は緩くなっていく。

 とはいえ、回復を挟んではいるものの、毒状態ということもあってこちらも余裕はない。どちらが先に倒れるかの持久戦だったが、制したのはチコリータだった。『シザークロス』で糸が緩んだ隙にチコリータが自由を取り戻し、とどめの『たいあたり』でイトマルが戦闘不能になる。同時に『リフレクター』の効果が切れた。

 

 ギリギリだったが何とかこちらが勝利を掴み、ツクシが残念そうにイトマルをボールに戻す。俺もチコリータをボールに戻すか悩んだが、ここは続投させることにした。

 いくら、『こうごうせい』で体力を回復していたとはいえ、毒状態で弱点技の連打をくらっていたのだ。『リフレクター』で半減されてもダメージは大きかったはずだし、チコリータも気丈に振る舞ってはいるが肩で息をしている。スタミナが切れかけている証拠だ。仮に戻しても、もう満足にバトルが出来るほど回復はしないだろう。ならば、最後の仕事をお願いする。

 

 ツクシの二体目はバタフリーだった。アニメではトランセルだったような気がしたが、流石のツクシも『リフレクター』を張れるチコリータを前に攻撃手段が『たいあたり』、『むしくい』くらいしかないトランセルを出しては来ないようだ。

 下手なことをされる前に一気にケリをつけるつもりのようで、ツクシが『むしのさざめき』を指示してくる。それを見て、こちらも『ひかりのかべ』を指示した。

 バタフリーの攻撃が当たるギリギリで『ひかりのかべ』が展開したが、それでも弱点で攻撃を受けたチコリータが戦闘不能になって目を回している。やはり、耐えられなかったか。

 

 だが、十分に仕事はしてくれた。チコリータをボールに戻しながら、二体目にヒノアラシを出す。

 元気に両手を上げてやる気をアピールしているが、その割に背中からやる気の炎が出ていない。練習はしているが、こればかりはまだ本人にもコントロールできないのだろう。やる気の炎が出ていないとほのお技はほぼ使えないも同然なので、『えんまく』を指示して逃げに徹する。

 

 チコリータが残してくれた『ひかりのかべ』もあるし、しばらくは逃げられるはずだ。『ふくがん』の粉技だけ警戒しつつ、やばそうな時はまた『えんまく』で時間を稼ごう。アニメでどうやって克服したか覚えていれば良かったのだが、正直カントーを越えてからは印象深い回しか覚えていないので、今できる最善を尽くすしかなかった。

 

 ヒノアラシが煙の中に隠れるのを見て、ツクシが『ちょうのまい』を指示してくる。こちらが逃げるなら、その間にステータスを上げようということなのだろう。

 ぶっちゃけ、まずい。完全に舞を終えたバタフリーの強さは俺が一番よく知っていた。

 

 ガン逃げは不利になるので、ほのお技以外の技で戦うしかない。『でんこうせっか』を指示して、バタフリーの『ちょうのまい』を妨害していく。

 一段階は積まれてしまったが、『ひかりのかべ』があるおかげでまだ致命傷にはなっていないはずだ。多少、リスクは上がるが、『えんまく』と『でんこうせっか』のヒット&アウェイで時間を稼ぐ方法に切り替える。

 

 ツクシも、俺がほのお技を指示してこないことを疑問に思ってはいるようだが、何かの作戦だと思ってくれているのか、思った以上に慎重に動いていた。

 しかし、このままやる気の炎が出るまで待ってくれるほど甘くはないようで、バタフリーに『ぼうふう』を指示して、『えんまく』ごとヒノアラシを吹き飛ばしていく。

 こうなると、こっちはお手上げだ。

 一時撤退とばかりに吹き飛ばされるヒノアラシをボールに戻す。それを見たツクシが、ヒノアラシがまだ完全に炎をコントロールしていないことを見抜いたようで、「育てが甘いんじゃない?」と、こちらを挑発してきた。その通り過ぎて何も言えん。

 

 幸いにも『ひかりのかべ』のおかげで、ダメージは安く済んだ。本当にチコリータには感謝してもし足りないくらいである。このバトルが終わったら、目一杯甘やかしてやろう。

 

 チコリータが倒れ、ヒノアラシが手も足も出ない以上、残るはヘラクロスしかいなかった。

 だが、むし、かくとうタイプのヘラクロスにとって、4倍弱点であるひこう技がタイプ一致で使えるバタフリーは天敵だ。おまけに向こうは一段階能力を上げていて、こちらはそろそろ『ひかりのかべ』の効果時間が切れてくる。

 

 笑ってしまうレベルでのピンチだが、これくらい乗り切れなければポケモンリーグ優勝など夢のまた夢だ。

 ヘラクロスに『つばめがえし』を指示し、弱点を突いていく。それを見て、ツクシはギリギリで『ねむりごな』を指示してきた。ヘラクロスがバタフリーに一撃を与えるが、それと引き換えに眠りに入って行く。やっちまった、弱点に気を取られ過ぎて粉技への警戒が薄くなった。

 

 こんなことならアニメのように『ねごと』を練習させておくんだったと思いながら、ヘラクロスを戻して、再びヒノアラシを出す。

 あのまま動けないヘラクロスを出していても『ちょうのまい』の起点にされるだけだ。まだスロースターターが解除されていないヒノアラシの方がまだ勝機がある。

 

 ただ、これまでのバトルは無駄ではなかったようで、ようやくヒノアラシの背にやる気の炎が灯って来た。

 これでようやくほのお技が使えるぜ。

 ツクシが再び『ふくがん』で命中率が上がった『ねむりごな』を使ってきたので、『かえんほうしゃ』で粉塵爆発を起こす。流石に同じ手は二度も食らわん。最悪は『えんまく』で逃げることを考慮に入れていたが、ほのお技が使えるようになったならもうこっちのもんよ。

 

 ヒノアラシも勝負はここからとばかりに、両手を挙げてアピールしている。まだやる気の炎も完全ではないようだが、ここまで来ればそれも時間の問題だった。

 

 ツクシもヒノアラシの様子を見ながら、「そう来なくちゃ面白くないね」と笑っている。その余裕をかき消すためにも、再び『かえんほうしゃ』でバタフリーを攻撃した。

 対するツクシは『ぼうふう』で『かえんほうしゃ』を押し返してくる。まだやる気の炎が完全ではないことに加え、レベルや威力でも負けていることもあって、『ぼうふう』が炎を押し返し、攻撃がヒノアラシに直撃した。

 おまけに、丁度、『ひかりのかべ』も消えてしまったようで、ヒノアラシが結構なダメージを受けている。混乱しなかっただけ上出来だが、これで『かえんほうしゃ』は完全に防がれたな。だがな、俺はアニメのサトシ君と違って、『かえんほうしゃ』一辺倒の戦術は使わないぞ。

 

 再び、『えんまく』で視界を塞いでいく。今度は煙を散らされる心配は無かった。何しろ、ここで『ぼうふう』を使えば、その時点で『かえんほうしゃ』に対応できなくなる。ツクシはほのお技を警戒しているが故に、この『えんまく』に手を出せないはずだ。

 とはいえ、ツクシもただで待つつもりはないのだろう。バタフリーに限界高度ギリギリまで飛ぶように指示をしている。

 

 ならば、もう一度『えんまく』だ。今度はフィールド全体を包むようにし、再びヒノアラシの姿を隠していく。

 後はヒノアラシが俺の意図を読めているかどうかだが、あいつはのんびりしているように見えて意外と賢い奴だ。昨日までの訓練でも意思疎通は出来ていたし、俺の考えていることもきっと伝わっていると信じて指示を出す。

 

「ヒノアラシ、『かえんぐるま』! 飛びかかれ!!」

 

 その指示と同時に、ヒノアラシが木の上からバタフリーに『かえんぐるま』で突撃していった。

 わざわざ『えんまく』を二回も使ってフィールドを煙で包んだのは、ヒノアラシが木に近づくのを隠し、待機させるためである。あいつは俺の指示を完全に理解して動いていた。昨日までの訓練は無駄では無かったのだ。

 

 普通に攻撃したのでは、天井近いバタフリーに攻撃を当てることは出来ない。遠距離攻撃は先程のように相殺される以上使えないし、確実に攻撃するには木の高さを利用して接近戦に持ち込むしかなかった。

 フィールドを利用した動きは、前々から練習していたものだ。ブルー戦での敗北や、オレンジリーグのバトル、そしてキキョウジムでの経験からのフィードバックが少しずつ反映されている。フィールドや技を応用したバトル、それこそが次に俺が目指すべきものだ。

 

 ヒノアラシがバタフリーに飛びつき、ダメージを与えながらそのまま墜落させていく。

 ツクシはもう既に技を四つ使っている。『ぼうふう』、『むしのさざめき』、『ねむりごな』、『ちょうのまい』、その全てが羽と連動して使う技だ。ゼロ距離で使える技ではない。

 バタフリーを地面に叩き付けると、ヒノアラシは逃がさないとばかりに体を押さえつけた。俺の指示を待つまでも無く、背中の炎が勢いよく燃え上がる。その瞬間、バタフリーにゼロ距離での『かえんほうしゃ』をおみまいしてやった。

 

 こうなれば、いくらバタフリーでも耐えられはしないだろう。『かえんぐるま』と『かえんほうしゃ』の連撃を受けて、大暴れしていたバタフリーも遂に戦闘不能になる。

 

 ツクシが「やるね」と呟いて、バタフリーをボールに戻した。途中、崩されそうになったが、何とか流れを取り戻すことが出来たな。

 ヒノアラシも公式戦初勝利を喜んで、左右にステップを踏んでいる。やる気の炎も本調子になってスロースターターも完全に解除された。もうヒノアラシは無敵だぜ!

 

 

 

 




 原作との変化点。

・第144話『ヒワダジム! 森のバトルフィールド!!』より、レベル制限のあるジム戦をお願いした。
 全てのジムを全力でやるのも楽しいが、新人が育たないので育成目的でジム戦をお願いした。基本的にジムリーダーは理解があるが、バトル狂いのジムリーダーは拒否することもあるらしい。


 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.52

 ピジョット Lv.51

 バタフリー Lv.50

 ドサイドン Lv.51

 フシギダネ Lv.50

 リザードン Lv.53

 ゼニガメ  Lv.50

 キングラー Lv.50

 カモネギ  Lv.50

 エビワラー Lv.50

 ゲンガー  Lv.50

 オコリザル Lv.50

 イーブイ  Lv.48

 ベトベトン Lv.49

 ジバコイル Lv.50

 ケンタロス Lv.49

 ヤドラン  Lv.49

 ハッサム  Lv.49

 トゲチック Lv.40

 プテラ   Lv.49

 ラプラス  Lv.49

 ミュウツー Lv.70

 バリヤード Lv.49

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.44

 カビゴン  Lv.41

 ニョロモ  Lv.38

 ヘラクロス Lv.29

 チコリータ Lv.25→27

 ヒノアラシ Lv.24→26




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#052 『時系列おかしくね?』

 11歳 ζ月β日 『ヒワダタウン ジム戦 VSツクシ 後編』

 

 ヒワダジム戦も佳境に入り、ツクシのポケモンは後一体。対する俺は、体力が半分以下のヒノアラシと、眠っているヘラクロスの二体である。

 数の上では有利だが、一体は消耗している上、もう一体は眠っていることを考えると余裕のある状況ではない。ただ、ヒノアラシもようやくエンジンがかかってきたようだし、まだまだ勝負はこれからだった。

 

 ツクシは最後の一体を出してくる。やはり、アニメやゲームと同じく、ストライクだった。

 記憶が正しければ、『つるぎのまい』を防御に使うとかいう謎のアニポケ殺法をかましてきたはずだ。だが、それで防げるのは遠距離攻撃のみのはず。俺のヒノアラシはアニメとは違い、現段階で『かえんぐるま』が使える。遠距離と近距離を使い分ければ、そう簡単に対応できないはずだ。

 

 バトルが開始されても様子を見ているようだったので、こちらが先手で『かえんほうしゃ』を指示すると、すかさず『かげぶんしん』で攻撃をかわしてきた。

 ならば、的を絞らせないようにと『えんまく』を指示したが、さらに『つるぎのまい』で自身を基点に風を生み出し、攻撃を二段階上げながら煙を掻き消してくる。

 

 やはり、『つるぎのまい』を利用したアニポケ殺法は健在か。今度、俺のポケモンにもやらせよう。

 

 攻撃力が上がったことで、ストライクが『つばめがえし』を撃ってきた。対するこちらも『かえんぐるま』で迎撃するが、攻撃力が上がっていることもあり、ヒノアラシが弾き飛ばされる。

 しかし、ストライクにもダメージが入っていた。炎は触れるだけでもダメージが入る。これだからほのおタイプは使い易いんだ。

 

 だが、不利なのはこっちだった。『かえんほうしゃ』は『かげぶんしん』で、『えんまく』は『つるぎのまい』で、『かえんぐるま』は『つばめがえし』で全て防がれている。

 それでも、『かえんぐるま』はダメージを稼いでいる方だが、それ以上にヒノアラシが受けるダメージの方が大きかった。このままでは先に戦闘不能になってしまうのはこっちである。

 

 もし、このままヒノアラシが戦闘不能になれば、後は眠っているヘラクロスだけだ。

 そうなれば、『つるぎのまい』の起点にされる上、タイプ一致の『つばめがえし』で簡単に倒されてしまうだろう。何としても、ヒノアラシでこの試合を勝つ必要があった。

 

 とはいえ、逃げも攻撃も封じられ、ヒノアラシにもそろそろ疲れが見えてきている。打開策を探してはいるが、ツクシのストライクには隙がない。

 いや、隙がなければ作るのみ。

 ヒノアラシに『でんこうせっか』を指示する。ただし、攻撃ではなく、ストライクの周囲をウロチョロするだけだ。翻弄されて隙が出来た所に、自慢の炎を叩きこんでやる。

 

 しかし、ツクシは冷静だった。『かげぶんしん』で逆にこちらを翻弄しようとしてくる。

 これが四天王クラスのトレーナーなら、本体の場所を見つけられるんだろうが、今の俺にはまだ無理だ。ならば、今度は直撃を狙って『でんこうせっか』で『かげぶんしん』を消していく。

 三体目の分身を消した段階で、一体のストライクが背後を取った。それを見て、ヒノアラシに背中のやる気の炎を噴射させる。攻撃するなら視覚外からだと思っていた。これをずっと待っていたんだ。

 ヒノアラシのやる気の炎で、ストライクが怯んでいる。同時に残りの『かげぶんしん』が消え、ヒノアラシに振り向きざまの『かえんほうしゃ』を全力で打ち込ませた。

 

 この距離では避けられない。

 

 勝った――そう、思った瞬間、ツクシはストライクに『まもる』を指示した。

 最後の技、ギリギリで万が一に対応するために残していたのだろう。鉄壁の防御がヒノアラシの炎からストライクを守り、逆に攻撃を終えたヒノアラシが隙だらけになる。

 もう『かえんほうしゃ』を撃つだけの時間はない。返しの『つばめがえし』がヒノアラシに直撃した。

 だが、ただでは死なんとばかりに、咄嗟にヒノアラシが『かえんぐるま』の炎を全身にまとい、ストライクにもダメージを与えている。それでも、流石に耐えきれなかったようで、そのままヒノアラシが戦闘不能になった。

 

 ヒノアラシをボールに戻す。イタチの最後っ屁のような攻撃だったが無駄ではなかった。

 ストライクを見ると、最後の『かえんぐるま』の炎で火傷状態になったようで、痛んだ腕を気にしている。攻撃力を下げてくれたのはかなり大きい。後はあいつが起きてくれるかどうかである。

 

 最後のヘラクロスを再び出した。が、やはり眠ったままのようで呑気に鼻提灯を膨らませている。

 ツクシは当然、下がった攻撃力を戻すために『つるぎのまい』を指示している。これで攻撃が四段階上がった。もう一回積むまでに起きなければ、『つばめがえし』の一撃でワンキルされるだろう。

 中途半端な攻撃で起こしてくれればまだ救いがあったのだが、俺と同じくらいの年齢でジムリーダーをやっているだけあって詰めは甘くなかった。

 

 こちらに出来るのは声をかけることだけだ。

 頼むヘラクロス、起きてくれ! 起きろやコラ!

 

 しかし、一向に起きる気配がない。その間にストライクは三回目の『つるぎのまい』を積み終わり、攻撃力を最大まで上げてきた。

 火傷で下がっているとはいえ、それでも十分な攻撃力がある。トドメとばかりにツクシが『つばめがえし』を指示すると、ストライクが眠っているヘラクロスへ飛びかかった。

 

 終わった――と、思った瞬間、徐にヘラクロスが起き上がり、角がストライクの顎に直撃する。

 

 予想外の一撃を受けたストライクがふらつき、そのまま追撃とばかりに体当たりをかましていく。

 起きたのかと思ったが、体当たりでストライクを弾き飛ばした勢いのまま、近くの木に抱き着いて木の蜜を舐め始めた。

 

 アノヤロウ、寝ぼけて蜜吸いに行っただけかよ!

 

 いや、だが、寝ぼけていたとしても体が動いたんだ。意識が覚醒してもおかしくない。ストライクが体勢を立て直す間に、全力で声をかけると、遂にヘラクロスが目を覚ました。

 近くにいたカスミさんとタケシが、俺の声量に文句を言ってくるが、今はそれ所じゃないんだ後にしてくれ!

 

 何しろ、不意を突かれたストライクも既に準備万端で待っているのだ。これでようやく、最後のバトルを始められそうだった。

 

 ツクシもまた「ここからが本当の勝負だね」と笑っている。しかし、状況は何とも言えないものだった。

 ストライクはヒノアラシとのバトルで火傷とダメージを受けているものの、『つるぎのまい』を最大まで積んで攻撃力を上げている。火傷で下がっていても、その攻撃力は驚異と言って良い。

 対するこちらのヘラクロスはまだ体力満タンである。ただ、攻撃力の上がった4倍弱点はおそらく耐えられないだろう。どちらが先に攻撃を当てるかが、勝敗の分かれ目になってくると見た。

 

 ヘラクロスとストライクが、互いに間合いを計りながらじりじりとにじり寄っていく。

 だが、ツクシも流石に真正面から仕掛けては来ないようで、『かげぶんしん』でこちらを惑わせてきた。ならば、こちらは『みだれづき』だ。分身ごとまとめて本体を狙い撃つ。

 分身の数が減ったことで本体の位置が予測できた。ヘラクロスに指示を出すのと同時に、ツクシが『つばめがえし』を指示してきたので、こちらも『つばめがえし』で迎撃する。

 

 ヘラクロスの角の振り下ろしとストライクの鎌がぶつかり合う。しかし、攻撃力で負けているヘラクロスが大きく吹き飛ばされた。

 角を仰向けに弾かれたせいで体勢が崩れたヘラクロスに、トドメの『つばめがえし』が迫る。

 ひっくり返るのを耐えているヘラクロスに避けるすべはない。だが、ストライクの攻撃が直撃する寸前、『こらえる』を指示した。ストライクの『つばめがえし』がヘラクロスに当たるが、『こらえる』の効果でギリギリ耐えて体勢を立て直す。

 

 そのまま、振り下ろしの『つばめがえし』をカウンターで決めようとするが、再び『まもる』によって攻撃が防がれた。

 ただ、『まもる』を使ってくるのは読めていたので、ヘラクロスに角を振り下ろしたまま踏ん張るように指示をする。

 

 俺の指示を聞いたツクシが苦い顔をした。

 おそらく、その意味を理解したのだろう。

 

 完全防御の『まもる』は確かに強い技だが、連続で使うと失敗しやすいというデメリットも存在する。おまけに、互いの距離が近すぎてストライクの『つばめがえし』は間に合わない。こちらの角が弾かれないまま『まもる』が切れれば、こちらが先手を取れるのだ。

 

 ツクシは何とかして角を弾きたいのか、一か八かの『まもる』を指示していたが、ストライクは五割を失敗していた。技が失敗して隙だらけになったストライクへ、ヘラクロスの『つのでつく』が直撃する。

 ヒノアラシとのバトルで受けたダメージに火傷の継続ダメージも加わり、既にストライクも限界だったのだろう。吹き飛ばされたまま動かず、戦闘不能の判定が下された。

 

 やはり、ある程度育成し終えたポケモン達と違って、育成中のポケモンでのバトルはひやひやするな。それでも、三体は頑張ってくれたし、全員の力が無ければなかった勝利だった。

 ツクシからヒワダジムを制した証であるインセクトバッジを貰い、そのままヒワダタウンを後にする。

 GSボールも無事ガンテツに渡したし、これでもう煩わしいことを気にする必要もなく、旅を続けることが出来そうだった。

 

 

 

 11歳 ζ月δ日 『ポケモンを利用したシステムなんぞ使ってんじゃねぇ!!』

 

 ヒワダの真南にあるアルトマーレという水の街にやって来た。もし、誰かがこの日記を読む機会があり、その人が俺と同じ原作知識を持っていたのなら、きっとこういうだろう。

 

 時系列おかしくね? と。

 

 この水の都アルトマーレは、映画ポケットモンスターの五作品目である『水の都の守り神 ラティアスとラティオス』の舞台となっている街である。

 時系列で言えばバッジを八個集めた後の話だが、まだ俺はジョウトで二つしかバッジを集めていないし、エンテイ竹中やユキナリセレビィといった映画の話にもエンカウントしていない。なのに、何で俺達はこんな所にいるんだと思うだろう。

 実際、もしカスミさんが「そういえば、この近くにあるのよね。水の都アルトマーレ」という単語を口にしなかったら、きっと俺はこの場所に来ようとは思わなかった。

 

 では、何故時系列を無視してまで、先にこの街に来ようと思ったのか。

 

 批判を承知で言おう。俺はこの水の都の守り神という作品が、ポケモン映画史上で一、二を争うレベルで大嫌いなのだ。

 理由は二つある。

 一つ目が『こころのしずく』と呼ばれるアイテムと、それを使ったこの街のシステム。二つ目がラティオスの死亡だ。

 

 映画の流れを掻い摘んで説明すると、サトシ君一行がアルトマーレに来る→ラティ達と仲良くなる→悪役がラティ達のこころのしずくを奪おうとする→こころのしずくを使った街の防衛システムが暴走する→それを止めるためにラティオスが死ぬ、である。

 

 人間関係などは端折ったが、流れは大体こんな感じだ。最終的にポケモンが死ぬとわかっていて、危険度の高い原作通りの流れに沿うなど馬鹿のすることである。

 ニューサトシはラティオスの死を回避するためだけに、わざと映画の時系列を外してこの街にやってきたのだ。原作知識を最大限に悪用した原作崩壊ルートである。

 

 では、その方法について記述していこう。

 

 このアルトマーレという街は、大昔に厄災が起こり、ラティアスとラティオスが『こころのしずく』というアイテムを人間に渡してそれを救ったというおとぎ話がある。

 正確には『その昔、この島に住んでいた老夫婦が、波打ち際に倒れていた二人の子供を介抱した。その後、島に邪悪なものが迫った時、子供達はその正体、ラティオスとラティアスの姿を現し、仲間達と共に邪悪なるものを追い払った。彼らは老夫婦にこころのしずくという邪悪を払う宝石を渡した。その後、島が邪悪なるものに襲われることは二度となかった。島には今でも、ラティオスとラティアスやその子孫が時折訪れているという』というものだ。

 

 まぁ、これはいい。

 

 老夫婦に優しくされたラティ達が人間を助けることに俺だって否はない。問題はその後の、『ラティオスやラティアスやその子孫が時折訪れているという』である。

 これが正しいのであれば、本来ラティ達はこの街以外の場所で暮らしており、たまに様子を見に来るくらいの感覚だったはずだ。しかし、この映画のラティ兄妹やその先祖はこの街を守るために、ずっとここで暮らしているようにしか思えない。

 

 何故か? それはこの街の人間が、こころのしずくを使った防衛システムという謎の牢獄を作り上げたからだとニューサトシは思っている。

 

 映画では、アルトマーレには先祖達によって作られたラティ達を使った防衛システムが存在し、悪しきものが使用すると災いが起こるようになっていた。

 このポケモンを利用したシステムがそもそも気に入らないのだが、災害が起こる危険のある防衛システムをそのまま使っているのも頭がおかしいとしか思えない。結果として、その防衛システムとやらは古すぎるが故に、最新の科学技術に勝てず、大した働きもせずに敵に奪われて暴走し、挙句の果てに街を救うためにラティオスがその命を犠牲にする。

 おまけに、ラティオスの命は新たなこころのしずくとなってまたこの街を守るのに使われるのだ。控えめに言って狂気の沙汰である。今度はラティアスが死んでもおかしくない。

 

 音楽や絵が綺麗、ラティアスが可愛いということで、この映画はとても人気があった。俺も、その部分は否定しない。しかし、それとラティオスの死を認めるのは別の話だ。

 

 防衛システムなんぞ捨てさせてやる。そんなものよりも、ラティ達にこころのしずくを持たせればいい。

 何せ、ゲームのこころのしずくというアイテムは、ラティ達専用のアイテムでドラゴン、エスパー技の威力を上げるものだ。変な防衛システムにするよりも格段に力になってくれるだろう。

 また、こころのしずくによる秘密の庭の水の制御とかいう特別な力も、ラティ達がこころのしずくの力を使えば、今までと変わりなく出来るはずだ。機械に出来て、本体であるラティ達に出来ないなんてことがあるはずがない。こころのしずくは彼らの命なのだから。

 

 まとめると、災害を起こす危険のある防衛システムではなく、ラティ達にこころのしずくを管理して貰う。それで、映画の悲劇は回避可能なはずなのだ。

 

 ポケモンが意味もなく死ぬなど間違っている。だからこそ、仮にラティ兄妹と敵対することになっても、俺はこころのしずくを彼らに返すつもりだった。

 兄のラティオスの方は、命をかけて街を守る男気溢れる奴だったが、あいつだって自分の力が悪用されることなど望んでいないはずだ。その力がどれだけ危険なものかがわかればきっと理解を示してくれると信じている。

 

 適当に水の都を観光しながら、一旦タケシとカスミさんと別れて自由行動を取ることにした。作戦を遂行するには一人の方が都合がいい。

 二人共、急な提案に首を傾げていたが、特に嫌ではないようで頷いてくれた。カスミさんは原作でもあった水上レースの練習に興味があるようでそちらに向かい、タケシは買い物をすると言って街を歩いていく。

 

 俺もまた、人の居なさそうな路地裏に入ると、ミュウツーを出して事情を説明した。死ぬかもしれないポケモンがいる。助けたいと。

 だが、原作知識をどう説明すればいいのかわからない。どうしてそれを知っているのかと聞かれたら上手く説明できる自信がなかった。なので、こいつには素直に俺の記憶を読み取って貰うことにする。

 

 ミュウツーの超能力なら、俺の頭の中を覗くことなど簡単に出来るだろう。本当は誰にも伝えるつもりはなかったが、ポケモンを無駄に死なせるよりはマシだ。

 ミュウツーには、俺が元々はこの世界の人間ではないこと、物語という形で未来を知っていることを、記憶を読み取らせながら心の中で説明する。

 

 ピカ様が状況を理解できずに首を傾げていたが、深く説明するのが難しいので、曖昧に「この街を狙ってる悪い奴からポケモンを守る」とだけ軽く話した。

 

 しばらく黙っていたミュウツーだが、『もし、お前に会っていなかったら、私はああなって居たのだな』と呟いている。どうやら、逆襲ルートの自分を見たようで、何となく気持ちを共感しているようだった。

 見るのは水の都の記憶だけで良かったのだが、やはり興味には逆らえなかったらしい。とはいえ、それはあくまでも可能性の話だ。

 ミュウツーに「今のお前は違うだろ」と伝えると、すぐに『そうだな。我々がいる今こそが現実だ』と頷いている。続けて、『状況は理解した。このラティオスというポケモンを救えばいいのだな?』と確認を取って来た。

 

 頷きを返す。しかし、俺も彼らが居る秘密の庭の詳しい場所までは覚えていない。どうするかと頭を悩ませていると、ミュウツーが『伝説や幻と呼ばれるポケモンには独特な波長があるものだ』と言って、ラティ兄妹の位置を探り始めた。

 

 そのまま『見つけた』と呟くと同時に、ミュウツーによって俺達はラティ兄妹の前まで『テレポート』する。

 周囲を見渡すと、映画で見た秘密の庭そのものの場所で、目の前ではラティオスとラティアスの二体が侵入者である俺達を警戒していた。

 

 俺達が来たことで、カラカラと鳴子のようなものが鳴る。このまま誰かが来ると騒ぎになるため、ミュウツーに頼んで近くの人間は『さいみんじゅつ』で眠らせて貰った。

 それを見た二体は俺達が悪人だと思ったようで、今にも攻撃を仕掛けてきそうだったが、ミュウツーの力がわかるのか、迂闊には近寄っては来ない。

 先に無礼を働いたのはこちらなのですぐに謝罪をする。素直に頭を下げたことで、ラティアスの方は少し態度が軟化したが、ラティオスの方はまだ油断しないとこちらを睨みつけていた。

 

『で、どうするつもりだ? 真正面から説得しても、兄の方は納得しないだろう』

「何のためにお前に原作知識を与えたと思ってんだよ。水の都の話だけでいいから、ラティオスに見せてやってくれ。それで話が伝わるはずだ」

『フッ、便利に使ってくれる』

 

 と、口では文句を言っているが、憎まれ口のようなものだった。

 そのままミュウツーがラティオスを超能力で動けなくさせ、強制的に水の都のストーリーをラティオスの頭の中に流し込んでいく。

 

『これは数か月後に起きる未来の可能性だ』

 

 いきなり知らない映像を頭に流されて最初は驚きを露わにしていたラティオスだが、次第にその反応も落ち着き、最終的には眉間に皺を寄せている。

 ラティオスの反応を見て、ミュウツーも拘束を解除したが、兄が捕まった姿を見て妹の方はあわあわしており、「大丈夫?」とばかりに体に顔をこすりつけていた。

 

「俺は、こころのしずくをお前達の一族に返還したいと思っている。これは本来、人間が持つべき力ではないんだ。今までは平気だったかもしれないが、科学技術が発展した今悪用は容易だ。当然、悪用されればこの街は簡単に滅ぶ。そんな危険がある防衛システムなど災い以外の何物でもないだろう?」

 

 彼らが自分の意思でこの街にいるのなら、それはそれでいい。俺も彼らの意思を縛るつもりはなかった。ただ、こころのしずくを防衛システムに組み込むのは駄目だ。あれは災いしか起こさないパンドラの箱である。

 パンドラの箱は最後に希望もあったが、この映画の希望はラティオスの命と引き換えになる。そんなものは認められるはずがなかった。

 

 ラティオスもずっとこの街を守っていた一族という誇りがあるのだろう。すぐには頷きを返さない。しかし、こころのしずくが持つ危険性は認識できたらしく、盲目的にこのままで良いとも思えなくなったようだ。

 話についていけないラティアスが首を傾げているのを見て、ミュウツーがラティアスにも同じものを見せている。最初は驚いていたラティアスだったが、すぐに映画のサトシ君が自分達の味方だったことを理解したようで、俺に顔を寄せてきた。

 

 ラティアスの頭を撫でながら、ラティオスの説得を続ける。

 

 先程も言ったが、別にこの街から離れろという訳ではない。万が一、危険が訪れた時はお前達がこころのしずくの力を使えばいいだけの話だ。それだけの力はこれにはあるし、またそれだけの力があるからこそ、これはお前達が管理すべきである。

 

 先程出した結論を再び伝えていく。俺はこころのしずくをラティ達に返し、危険のある防衛システムで人間に力を制御させるのではなく、彼らの意思で力を使用するようにして欲しいのだ。

 そうすれば、仮に悪者に狙われたとしても最悪はラティ達が逃げるだけで済むし、防衛システムの暴走もなくなるだろう。映画のようにラティオスも死なずに済むはずだ。

 

 と、必死に説得したおかげもあってか、俺の言葉に嘘はないと伝わったようで、ラティオスの表情から段々厳しさが消えて行った。どうやら理解してくれたらしい。

 

 ちなみに、ラティアスの方はもうすっかり警戒心がなくなってしまっているようで、話に付いていけていないピカ様を背中に乗せて遊んでいる。何のために映画の内容見せたんだって言いたくなったが、まぁいいだろう。

 

『しかし、こころのしずくとやらを外せば人間にすぐばれるぞ。どうするつもりだ?』

「精巧な偽物を作って嵌めとけばいいさ。結局、力を使うにはラティ達が必要なんだ。それに合わせて力を使えばバレやしないだろう。まぁ一番は、悪い奴に見つからないことだな。そこのお転婆は隙が有り過ぎてこの場所がバレたみたいだし」

 

 そう言うと、「お転婆じゃありません!」とばかりにラティアスが怒って来たので、鞄の中からおやつを出して話を逸らす。

 ラティオスも流された俺の記憶から、最初に悪者にバレた原因がラティアスにあるのはわかっているようで、おやつを喜んで食べる妹を見ながら何とも言えない顔をしていた。

 

 実際、ラティオスだけなら映画の悪役達も簡単にこころのしずくの在り処に気付くことはなかったはずだ。あれ? そう考えると、ラティアスをどうにかすれば問題解決するんじゃね?

 

 どうやら同じ結論に至ったのか、ラティオスがラティアスを呼んで何やら話をしている。多分、これからは人間の姿になって外に出るなと話しているのだろう。今の人間の技術はラティ達の擬態や透明化すら見破って来る。外に出ないことが唯一の安全策でもあるのだ。

 

 しかし、自由に外を歩けないことが嫌なのか、ラティアスは盛大に駄々をこねている。

 今まではそれに根負けして自由を許していたラティオスも今回ばかりは駄目だと怒っていた。何せ、映画通りにならなくても、誰かに見付かればそれだけで危険になるのだ。俺の記憶から映画の内容を知ったラティオスにしてみれば、受け入れられるものではないだろう。

 

 とはいえ、それで納得できるのならば、今までも外に出ていない訳で。

 

 ラティアスはラティオスの注意を聞かず、「もう知らない!」とばかりに外に飛び出してしまった。おいおい、行っちまったぞ、どうすんだよ?

 

 

 




 原作との変化点。

・ジム戦での技について。
 ヘラクロスが寝ぼけて体当たりをしているが、これは技のたいあたりとは別物なので技には含んでいない。勿論、寝ぼけて技を出した場合、技使用に含む時もあるが今回は別物。


・劇場版水の都の守り神より、ニューサトシが映画を崩壊させに来た。
 時系列が合わないのと、ニューサトシの性格的にポケモンの死を認めないので、内容を崩壊させることにした。この時期に悪役が来ているかはわからないが、とりあえず事前に全て解決させるつもりである。大昔に作った欠陥兵器など怖くて使えたものではない。ポケモンが死ぬのはダメである。

・ミュウツーの力を全面的に借りた。
 普段は自重しているが、今回はラティオスを救うためにニューサトシの全てを出した。ミュウツーは地味に秘密を共有して頼ってくれたことを嬉しがっている。ニューサトシの原作知識を他人に伝えるのは賛否があると思うが、ミュウツー以外に伝えるつもりはない上、ミュウツーも原作ではサトシ君と一緒にいないので今回の件以外では大きな問題にはならないと見ている。

・ラティオス、ラティアスと仲良くなった。
 必死の説得の末、理解を示してくれた。ニューサトシ自身がこころのしずくを欲しているのではなく、ラティ達に持たせようとしたのが正解だったらしい。悪人ならそんなことせずに持って行くだけだと気づいてくれた。

・ラティアスが家出した。
 喧嘩して飛び出して行った。


 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.52

 ピジョット Lv.51

 バタフリー Lv.50

 ドサイドン Lv.51

 フシギダネ Lv.50

 リザードン Lv.53

 ゼニガメ  Lv.50

 キングラー Lv.50

 カモネギ  Lv.50

 エビワラー Lv.50

 ゲンガー  Lv.50

 オコリザル Lv.50

 イーブイ  Lv.48

 ベトベトン Lv.49

 ジバコイル Lv.50

 ケンタロス Lv.49

 ヤドラン  Lv.49

 ハッサム  Lv.49

 トゲチック Lv.40

 プテラ   Lv.49

 ラプラス  Lv.49

 ミュウツー Lv.70

 バリヤード Lv.49

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.44

 カビゴン  Lv.41

 ニョロモ  Lv.38

 ヘラクロス Lv.29→31

 チコリータ Lv.27

 ヒノアラシ Lv.26




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#053 『ぐへへ、これで入手率は実質二倍である』

 11歳 ζ月δ日 『何でもするとは言ってないが……ぐぬぅ』

 

 ラティアスが飛び出していくのを見て、ラティオスもこのままではまずいとわかっているようだが、どうすれば納得してもらえるのかわからず困った顔をしていた。

 それを見ていたミュウツーが、とりあえずといった感じで、偽物のこころのしずくを作っている。超能力でスプーン作れるくらいだし、これくらいはこいつにしてみれば楽勝か。

 

 ラティアスの件は問題だが、今はどうしようもないということで、先に防衛システムに入っているこころのしずくと偽物を交換することにした。そのまま、こころのしずくをペンダントにしてラティオスの首に下げる。

 どうやら、水の制御も問題なく出来ているようで、これで大きな問題はあらかた解決しただろう。

 

 後は飛び出して行ってしまったお嬢様をどうするかだ。時期的に悪役達がこの街にいるかはわからないが、下手に見つかればどうなるかわからない。

 本来、こういうデリケートな問題は、時間を空けたり、距離を取って考えたりする時間を作ることが大切なのだが、今は危険があるかもしれないので下手に放置も出来なかった。

 

 仕方ないので、ラティオスには俺がラティアスを連れてくると言って待っていてもらうことにする。

 ミュウツーの『テレポート』なら一瞬で近くに行けるのだが、おそらくラティアスは人間に擬態して街にいるはずなので、下手に飛ぶとミュウツーが公にバレて大騒ぎになる可能性があるし、足で探す以外に手はない。

 おまけに、ポケモン達を出して大捜索してしまうと注目が集まる可能性があるので、俺自身の力で探すしかなかった。本当に面倒をかけてくれるお嬢様だぜ。

 

 正直、宛てはなかった。

 だが、もし俺がラティアスだとしたら、今は誰にも顔を見られなくないと思うはずだ。

 我儘を言ったとはいえ、ラティアスも兄の言うことがわからない訳ではないはずだし、気持ちの整理を付けるために、人の少ない場所に行きたいと考えるのが普通だろう。

 

 どうやら考え方は間違ってはいなかったようで、ひと気の少ない場所を手当たり次第に探してみると、小さな公園でブランコに乗っているラティアスを発見した。

 映画通り、女の子の格好をしているが、ニューサトシの目は誤魔化せない。ぶっちゃけ、ピカ様が気づいてくれたおかげだが、ニューサトシの目は誤魔化せないのだ。

 

 そのまま、家出娘を引っ捕らえようと思ったのだが、たまたま近くの建物の屋根の上にラティアスを監視する女二人を発見した。

 映画に出てきた悪役の女達だ。もう、この時期から既に動いていたのか。

 いや、逆に丁度良いタイミングだ。ここで捕まえてしまえば問題は全て解決する。人気のない場所というのも有り難かった。大人気なくミュウツーの力で女達の背後を取って眠らせる。

 

『で、どうするつもりだ?』

「『テレポート』で警察に届けてやればいい。世界的に有名な泥棒らしいからな」

『お前にしては随分手緩いな。普段、ポケモンを食い物にするような類いの輩には容赦しないのに』

「今はラティアスが優先だ。それに、今回はまだギリギリ未遂だからな」

 

 実際、不機嫌なお嬢様を放置して、女をなぶるってのもちょっと考えものだ。被害があった訳でもないし、監獄に送ってこれまでの罪を償わせるだけで十分だろう。

 

 ミュウツーが悪役共を『テレポート』させると、何食わぬ顔でラティアスの所へ行く。

 適当に声をかけたが、ぷいっとそっぽを向かれた。どうやら、まだ機嫌が悪いらしい。

 警戒を解かないと連れて帰るのは難しそうなので、「外に興味があるのか?」と適当な話を振ってみる。ラティアスはこくんと頷いた。そのまま、何となく話を求めてきたので、俺達がカントーやオレンジ諸島を回った旅の話を掻い摘んで話していく。

 

 ずっとこの街で過ごしてきた箱入りのお嬢様には、俺達の旅が冒険譚のように聞こえるようで、目をキラキラさせながら話を聞いていた。

 ある程度話をすると満足したのか、ラティアスが立ち上がって俺の隣までやってくる。兄貴も心配しているしそろそろ帰ろうと促すと、一瞬の隙を突いて俺のモンスターボールを奪い自分の体に当てていた。

 

 当然、ラティアスはポケモンなのでモンスターボールの中に入る。おまけに抵抗する気がないのか、一瞬でゲットされていた。

 

 慌ててラティアスをボールから出して、プテラの時のようにマサラ粉砕拳でボールを壊してトレーナー情報をリセットしようとすると、慌てたようにラティアスがボールの中に戻って行く。

 ポケモンが中にいる状態で無理に破壊するとどうなるかわからないので、こうなるとお手上げである。

 何度か出したが、絶対に出ないとばかりに何度もボールに戻って行くので、マジでどうしようもない。仕方なく、もう壊さないと約束すると、ようやくラティアスがボールから出て来てくれた。

 

 どうやら話を聞いて満足したのではなく、逆に外に出る決意を固めてしまったらしい。

 ラティアスにしてみれば、外の世界に興味があり、尚且つ映画の記憶を見て俺が優しい奴だと思い込んでいる。おまけに、自分が居なくなれば、映画の悪役に見つかるリスクが減るという無駄な理論まで使って自分を連れて行くように説得してきた。

 

 まぁ、もう悪役は処理したのでその心配はしなくてもいいのだが、それにしても意外と頭が回るものだ。

 しかし、ニューサトシはあまり伝説のポケモンに関わらない主義である。いや、仮にそれを抜きにとしても、兄貴であるラティオスが納得しないだろう。

 

 お前が外に出ると言って聞かないように、兄もお前を外に出そうとは思わないはずだ。そう言うも、決意は固いとばかりにボールを抱きしめている。

 これはもう直にラティオスに説得してもらうしかないだろう。兄貴が駄目だと言ったら駄目だからなと言うと、いい笑顔で頷いていた。そのまま俺の背を押して、ラティオスのいる秘密の庭まで帰る。

 

 すると、『さいみんじゅつ』で眠らせていた映画のヒロインであるカノンとその祖父であるボンゴレが目覚めていた。面倒なので、またミュウツーの『さいみんじゅつ』で眠らせようとすると、ラティオスが俺達を迎え入れたことで二人にも気付かれてしまう。

 どうしたものかと思ったが、その瞬間にラティオスがラティアスに指示を飛ばし、自分が見たものを相手に見せる『ゆめうつし』の能力を応用して、先程見せた映画の映像を流し始めた。

 

 おそらく、ラティオスは二人を信用しているが故に、全てを伝えるつもりなのだろう。

 いきなり流れる水の都の映画に驚くカノンとボンゴレを見ながら、こうなればもうなるようになれとミュウツーをボールから出す。

 そのまま、ミュウツーを指差しながら、「これはこのポケモンが見た未来の映像だ」と言って、カノンとボンゴレにあることないこと適当に話していった。

 

 ストーリーとしてはこうだ。

 俺こと、マサラタウンのサトシは、ある日ミュウツーという伝説のポケモンを捕まえた。そのおかげで、断片的な未来がわかるようになったのだが、数か月後にこの街の防衛システムによる災いが起きてラティオスが死ぬのを見てしまった。

 正直、何の関わりもないが、ポケモンが死ぬのを放置する訳にもいかない。俺はラティオスの死の原因である、こころのしずくを防衛システムから外してラティオス自身に譲渡することで、ラティオスが死ぬ未来を回避しようとした。と、若干の嘘を混ぜながら二人に伝える。

 

 二人も最初はとても信じられないという表情をしていたが、映像に出てきた自分達の姿はとても作り物とは思えない精巧さで、こんなものを作るのは人間には不可能だということは理解してくれたらしい。

 またミュウツーの存在が嘘を本当っぽくしてくれた。伝説のポケモンなら、未来予知が出来てもおかしくないし、ラティ兄妹が俺達を信じている様子から、何だかんだ二人は俺のついた三割嘘話に納得してくれたようだ。

 

 とりあえず、防衛システムは使えなくなったが、ラティオスが代わりの力を持っていて、この街の水についても彼が制御していることを納得してくれればそれでいい。

 

 問題はこっちだ。ラティオスに、ラティアスの件について謝罪しながらどうにかこのお転婆娘を説得してくれと頼みこむ。

 だが、事情を聞いたカノンはすぐに俺側についてくれたが、何故かラティオスとボンゴレは反対してこなかった。むしろ、その方が良いだろうとばかりに背中を押している。

 

「まだワシは、サトシ君がどういう人間なのかは知らん。じゃが、ラティオスを救おうとし、これだけラティアスのことを親身に考えてくれる人ならば、十分信頼に足る人物だと言っていいじゃろう」

 

 ならば、下手に拘束するよりも、ラティアスを外に出してあげた方がいい。ボンゴレはそう考えたようだ。

 何故、そう簡単に人間を信じる。俺が伝説のポケモンを集めて利用しようとしている悪党だったらどうするつもりなんだと怒ったら、「悪党はそんな心配せんよ」と言って、ラティオスも頷いていた。

 

 唯一の味方だったカノンも「ラティアス、本当に行きたいの?」と聞いて、ラティアスが満面の笑みで頷いたことから、ラティオス、ボンゴレ派に回ってしまった。

 ラティアスも、ラティオスが良いと言ったことで、嬉しそうに自分のボールを俺に渡してくる。

 

 ぐ、ぐぬぅ。だが、兄妹を離ればなれにさせるのは心苦しい。それに、ニューサトシは無闇矢鱈に伝説のポケモンを捕まえる趣味はないのである。

 と、口にしたのだが、それを聞いて尚、ラティオスは真剣な顔で頭を下げてきた。こうまでされてしまうと、連れていかないと言う訳にもいかない。ずるいと思いつつ、ラティアスからボールを受けとる。

 

 喜ぶラティアスとラティオス。

 あぁ、ラティアスをゲットしてしまった。そんなつもりは欠片もなかったのに。

 

 どうしてこうなった。と、現実逃避していると、改めてラティオス、カノン、ボンゴレと別れを済ましたラティアスが俺の元へやってくる。

 とはいえ、そのままの姿で連れ歩く訳にも行かないし、カスミさんやタケシにも事情を説明する必要もあった。

 

 とりあえず、ラティアスには基本はカノンの姿で一緒に居て貰うように頼んだ。彼女も別にバトルがしたい訳ではなく、外の世界を安全に旅したいだけならばその方がいいだろう。

 ボールについてはミュウツーに頼んで転送から守ってもらうことにした。っていうか、ラティアスがボールに入ってから既にガードしてくれていたらしい。気が利き過ぎて泣ける。

 

 また、カノンに頼んでタケシやカスミさんへの説明を助けてもらうことにした。流れとしては、「この街を守護していた伝説のポケモンの一体だが、ずっと外に出たがっていて、偶然俺に懐いて一緒に行きたがったから連れて行くようにお願いした」というストーリーだ。

 ラティオスの件などはぼかしているが、ラティアスについてのストーリーに嘘は殆どない。強いていえば出会いが偶然じゃなかったくらいだが、気付かれるレベルのものではないだろう。

 

 街へ戻ると、どうやらタケシやカスミさんも俺のことを探していたようで、合流に時間はかからなかった。

 人のいない裏路地で、カスミさんとタケシに、先程作ったストーリーを話しながらラティアスを紹介する。最初は人間になれる伝説のポケモンに驚いていた二人だが、既に言葉を話せるミュウツーという前例があったおかげか、すぐにラティアスのことを受け入れてくれた。

 

 カノンに見送られながら、アルトマーレを後にする。一応、カノンにはラティオスを狙う悪人に気を付けるようには注意しておいた。

 映画の悪役は捕まえたが、他にもラティオスを狙う奴らがいるかもしれない。万が一がある以上、警戒をしておくに越したことはないだろう。

 

 しかし、思わぬ形でまた伝説のポケモンを増やしてしまったな。無暗やたらに伝説ポケモンを捕まえないのを信条にしているのに、これじゃあシンオウ編のワカメと何も変わらないんじゃないか?

 

 

 追記。話し合いの末、ラティアス呼びはまずいので、これからはラティと呼ぶことにする。本人もニックネームのような呼び方をされて大喜びしていた。

 

 

 

 11歳 ζ月ζ日 『カモネギが可哀想だった』

 

 ウバメの森で、炭焼き職人を目指すナオトという少年に出会った。

 ナオトはカモネギを使って炭用の木を切る修行をしているらしいのだが、トレーナーとして未熟すぎてカモネギの力を使いこなせていないらしい。

 何せ、『いあいぎり』を『いあいぬき』と言っているくらいだ。あまりのナオトの未熟さにカモネギもため息をついている。

 ぶっちゃけ、このまま無視して進んでも良かったんだが、あまりにもカモネギが可哀想だったので、ポケモンセンターで俺のカモネギを転送して貰って手本を見せることにした。

 

 実際、ナオトのカモネギには十分な技量がある。問題なのはトレーナーの方だ。

 

 前にメリープ少女のカレンに教えた時のように、ナオトにトレーナーとしての基本を叩き込んでいく。

 どうも、ナオトはトレーナーとしてのセンスがないようでなかなか飲み込みが悪かった。もし、俺達がいなければカモネギはナオトを見放していただろう。それくらいにセンスがない。それでも夕方には何とか形になり、ナオトもカモネギの技で木を切ることが出来ていた。

 

 

 追記。炭火焼き職人の親方からナオトの面倒を見た感謝に、ウバメの森産の炭を貰った。どうやら良い炭のようでタケシが大喜びしている。それを見たラティも一緒になって大喜びしていた。いつもよりも旨い飯が食えそうなので、苦労した甲斐はあったようだ。

 

 

 

 11歳 ζ月θ日 『あ、こいつレギュラーになる奴だ』

 

 リーフタウンという街でお祭りをやっていた。

 いろいろと楽しそうな催し物をやっているようだが、その中でケンタロスだけで戦うケンタロスバトルとやらがあるらしいので飛び入りで参加する。

 今のトレーナーが10連勝している強者ということで、カモネギとケンタロスを交換して、早速バトルに乱入して行った。

 

 なかなか強そうなケンタロスだったが、俺のケンタロスもパワーでは負けていない。

 最終的にはお得意の『ギガインパクト』で相手のケンタロスを戦闘不能にし、そのままケンタロスバトルを制覇してやった。

 

 この街では今、ポケモン交換会というイベントもやっているようで、優勝した俺のケンタロス目当てに交換を申し込んでくるトレーナーが群がってくる。

 アニメのサトシ君のようにケンタロスを山のように捕まえているならまだ対応しても良かったのかも知れないが、俺のケンタロスはこの一体のみだ。仮に伝説のポケモンを提示されたとしても答えはノーである。

 

 しばらくすると、ロケット団がいつものようにイベントのポケモンを奪おうとする一幕があったのだが、いつのまにかムサシがソーナンスを手に入れていた。

 そういえば、ここで交換するんだったっけか。

 ソーナンスは攻撃技を一切覚えないが、その代わりに受けとしてはなかなか優秀なポケモンである。実際、チコリータの物理攻撃を『カウンター』、ヒノアラシの特殊攻撃を『ミラーコート』で返してきたのでかなり苦戦させられた。

 

 とはいえ、トレーナーであるムサシがまだソーナンスについて理解してなかったので、その隙を突いていつものようにやなかんじーしてやる。

 俺の話からロケット団のことを知っていたラティも、初めてのやなかんじーを見て大喜びしていた。

 しかし、アニメと同じなら交換したのは多分ベロリンガなんだろうが、これからソーナンスを相手にしなくてはいけないと思うとかなり面倒臭いことになるかもしれないな。

 

 

 

 11歳 ζ月κ日 『ポケモン消防グランプリね。ふーん』

 

 ポケモン消防グランプリなるものが開催されるらしい。いつもならこういう催し物を覗いていく所だが、消防という言葉を聞いて早々にこの場を立ち去ることにした。

 珍しくイベントに消極的な俺の意見にタケシとカスミさんも首を傾げていたが、今の手持ちにみずタイプはニョロモしかいないからと言うと納得してくれたようだ。

 ラティはそもそも消防がなんなのかわかっていないようで首を傾げていたが、俺が鞄からおやつを出すと、そんなことどうでもいいとばかりに飛びついてくる。

 

 大体、消防系はゼニガメのイベントって相場が決まっているからな。また変な勧誘を受ける前にさっさと離れるに限るぜ。

 

 

 

 11歳 ζ月λ日 『ニューサトシは先生に向いている?』

 

 三つ目のジムがあるコガネシティに向かっている途中、ウパー専門の保育園に立ち寄った。

 講師であるサナエという女性と仲良くなったのだが、丁度家族が怪我をしてしまったらしい。タケシがいつもの安請け合いをしたので、少しの間ウパー達の世話をすることになった。

 

 未来のトップブリーダーを自称するタケシや、みず系トレーナーのカスミさんがいろいろと面倒を見ようとしているが、どのウパーもまるで言うことを聞かない。

 仕方ないので、ニューサトシがイタズラ好きなウパー達の面倒を見ることにしたのだが、特に何もしていないのに俺の言うことはよく聞いてくれた。

 

 サナエのメモ帳によると、言うことを聞かせるのはタンバリンを使うようなことが書いてあったのだが、特段そんなアイテムがなくてもウパー達は素直である。ラティも一緒になって遊んでいるのはともかく、もしかしたらニューサトシは先生に向いているのかもしれん。

 

 

 

 11歳 ζ月ν日 『ガーディもいいけど、デルビルもいいね』

 

 旅の途中で、昼食の準備をしていると、俺のリュックを盗もうとするデルビルを見つけた。

 顔にいくつか傷が入っていて、なかなか迫力のあるデルビルだが、どうも食料を狙っているらしい。仕方なくポケモンフーズを分けてやることにしたのだが、それだけでは足りないとばかりに俺達の飯まで取ろうとしてきた。

 

 いくら、ポケモンとはいえ、我が儘が簡単に通ると思って貰っては困るので、ピカ様に頼んで少しお仕置きをする。

 しかし、それでも諦めた様子を見せない所から、何やら事情があると察しがついたので、いつものマサラ式肉体言語術ボディランゲージでデルビルと少し話をしてみることにした。

 

 すると、どうやら群れの仲間が怪我をしているらしく、食べ物をたくさんかき集めているらしい。流石に放置してはおけないので、デルビルの案内で怪我をした仲間の所まで連れて行って貰ったのだが、怪我から菌が入ったのか凄い熱が出ている。

 タケシ曰く、このまま放置すれば命に関わると言うことで、デルビルと一緒に怪我をした仲間を近くのポケモンセンターまで連れて行くことにした。

 

 幸い、そこまで悪い状態ではなかったようで明日までには良くなるとジョーイさんも言っており、とりあえずは一安心だった。

 

 次の日、元気になったデルビルを群れに返して別れようとしたのだが、どうも最初に会った顔が傷だらけのデルビルが俺と一緒に来たいようだったのでそのままゲットする。

 このデルビルは群れのリーダーだったようなので、俺と一緒に来て群れは大丈夫なのかとも思ったが、どうやら怪我をしていたデルビルが次のリーダーとしてやっていくようだった。

 

 

 

 11歳 ζ月ξ日 『ポケモンが増えてくると運用に迷うよな』

 

 デルビルをゲットしたことで、手持ちが七体になった。オレンジ諸島でゲットしたポケモン達ももう少しレベリングしたいのだが、捕まえたばかりのポケモンを転送するのもどうかと思って今はジョウトのポケモンで固めている。

 

 とりあえず、固定のピカ様、俺から離れるとどうなるかわからないチコリータ、やる気の炎が完全ではないヒノアラシと、捕まえたばかりのデルビルは固定メンバーに入れることにした。

 

 後、空いている枠は二つ。今の手持ちは空を飛べるトゲ様、進化狙いのニョロモ、心優しくて力持ちヘラクロスの三体である。ここから一体をオーキド研究所に送られるのだが、今回はトゲ様をレギュラーメンバーから外すことにした。

 今まで何だかんだ殆どずっと一緒に旅をしていたが、進化もして大人になってきたし、オーキド研究所の仲間達と一緒に居た方が技の練習もしやすいだろうという判断だ。

 

 ヒノアラシとデルビルでほのおタイプが被ってしまったが、ヒノアラシもヒワダジム戦を超えてから、やる気の炎が出てくる速度が段々上がってきている。いずれ、完全に使いこなせるようになれば、一度研究所に送るのも有りかも知れないな。

 

 

 

 11歳 ζ月ο日 『ワニノコは俺のもの』

 

 水場に通りがかったので釣りをしていたのだが、軽快なステップを踏んだ野生のワニノコが現れた。

 あの元気の良さは間違いなく、サトシ君のワニノコだろう。ジョウトで一番好きなポケモンなので当然ゲットである。

 

 ただ、ワニノコがみずタイプということもあって、カスミさんもワニノコが欲しいと言い出した。

 こうなれば、どちらが先に捕まえられるか勝負である。原作ではどこからか手に入れていたルアーボールを使っていたような気がしたが、俺もカスミさんもそんなものは持っていないので、純粋にモンスターボールの投げ合いである。

 最終的には俺とカスミさんのボールが同時にヒットして、どっちが捕まえたのか分からなくなってしまったので、バトルで決めようという話になった。

 

 勿論、受けて立つのはやぶさかではないのだが、俺は今ポケモンを6体フルに持っている。もし俺がゲットしていたのであれば、直にオーキド研究所に転送されるはずだった。

 そうなればバトルをするまでもなく真偽がわかるのだが、熱が入っているせいか、カスミさんは気付いていないようである。こちらとしても、万が一転送されなかった時はバトルで手に入れるチャンスを残したいので、そのまま黙っていることにした。ぐへへ、これで入手率は実質二倍である。

 

 とりあえず、適当な会話で少し時間を潰していると、モンスターボールが転送されて行った。どうやら、無事に俺がゲットしていたらしい。

 ヤマブキのラプラスの時に続いて俺にみずポケモンを取られたからか、カスミさんが怒って空のモンスターボールを投げながら木を蹴って八つ当たりしている。

 そんなカスミさんをタケシとラティが宥めていたが、適当に投げたボールがポケモンに当たったのか、少し離れた場所からモンスターボールの捕獲音が聞こえてきた。

 

 慌てて見に行くと、モンスターボールの振動が収まった所で、何かポケモンをゲットしている。

 当然、全く見ていなかったので、どんなポケモンがゲットされたのかはわからない。

 とはいえ、ゲットした以上は責任を持って育てる義務がトレーナーにはある。カスミさんが嫌そうな顔でポケモンを出すと、中から出てきたのはまさかのウパーだった。

 

 どうやら水場だったということもあり、みずタイプのポケモンをゲット出来ていたようだ。

 最初は不安そうにしていたカスミさんも、可愛いウパーの姿を見て満面の笑みで抱きついている。ワニノコをゲット出来なかった怒りも、結果的にうやむやに出来たようで、そういう意味でもカスミさんがウパーをゲットしたのはとても有り難かった。

 

 

 




 原作との変化点。

・ラティアスをゲットした。
 正確にはゲットさせられた。おまけに、まさかそのまま送り出されるとは思っていなかったので逃げ場を失った形である。とはいえ、一度捕まえた以上は責任をもってお世話をしている。正直、ポケモンを捕まえたというよりも旅の仲間が増えたという感じ。

・悪役を捕まえた。
 ニューサトシの原作崩壊作戦が効いて、今はまだ下見の段階だった。不意をついて眠らせ、警察に送る、のパーフェクトコンボで逮捕される。全部ミュウツーのおかげ。犯罪者ならどんな悪党も一発で監獄送りのチート技である。

・第145話『ウバメの森! カモネギを探せ!!』より、また指導した。
 カモネギが可哀想だったのでトレーナーを指導した。

・第146話『ソーナンスとポケモン交換会!!』より、実は裏でコジロウがコイキング親父を成敗していた。
 ニューサトシの知らないことだが、昔コジロウがコイキングを高い金で買わされた親父を見つけた。このお祭りでも、またコイキングを高値で売っていたので悪の成敗を下している。弱いポケモンを高く売るとは何という悪事と、自分達を棚に上げての行動だった。

・第147話『燃えろゼニガメ団! 炎のように!!』より、ニューサトシがスルーした。
 ゼニガメは手持ちにいなかったが、万が一を考えて即離脱した。

・第148話『ウパーがいっぱい!』より、ニューサトシが先生になった。
 何故かニューサトシの言うことだけは聞いてくれた。ポケモンにだけは優しいので、もしかしたらその辺りの機微を感じ取ったのかもしれない。

・第149話『プリンVSブルー!』より、ブルーが家出しなかったので話がカットされた。
 プリンさんがマイクを取られることもなく、普通にニューサトシともすれ違った。

・第150話『ダークポケモン・デルビル』より、デルビルをゲットした。
 ニューサトシの強さを感じて一緒についてくることになった。

・第151話『ワニノコは誰のもの!? サトシVSカスミ!』より、カスミさんがウパーをゲットした。
 ニューサトシの姑息な作戦で普通にワニノコを取られ、切れて適当に投げたら捕まえた。当然、ニューサトシもカスミさんもルアーボールを持っていないので普通にモンスターボールで捕まえている。


 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.52

 ピジョット Lv.51

 バタフリー Lv.50

 ドサイドン Lv.51

 フシギダネ Lv.50

 リザードン Lv.53

 ゼニガメ  Lv.50

 キングラー Lv.50

 カモネギ  Lv.50

 エビワラー Lv.50

 ゲンガー  Lv.50

 オコリザル Lv.50

 イーブイ  Lv.48

 ベトベトン Lv.49

 ジバコイル Lv.50

 ケンタロス Lv.49

 ヤドラン  Lv.49

 ハッサム  Lv.49

 トゲチック Lv.40→41

 プテラ   Lv.49

 ラプラス  Lv.49

 ミュウツー Lv.70

 バリヤード Lv.49

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.44

 カビゴン  Lv.41

 ニョロモ  Lv.38→40

 ヘラクロス Lv.31→33

 チコリータ Lv.27→30

 ヒノアラシ Lv.26→29

 ラティアス Lv.30 NEW

 デルビル  Lv.24 NEW

 ワニノコ  Lv.20 NEW




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#054 『やめてくれ、ワニノコ』

 11歳 ζ月ρ日 『スロースターター解除! この瞬間を待っていたんだぁ!』

 

 コガネシティを目指している途中、峠の橋に凄腕トレーナーがいるという噂を聞いたので、当然のように挑戦しに行くことにした。

 峠の橋にいたのは、一見だと大人しそうなミキという女性だったが、どうやら彼女が噂の凄腕トレーナーらしい。ミキはエアームドを育成しているようで、弱点であるほのおタイプのポケモンとバトルをしたいというリクエストをして来た。

 

 ほのおタイプなら、ヒノアラシとデルビルがいる俺の出番だろうということでバトルを受ける。

 ヒノアラシとデルビルのどちらを出すか悩んだが、ここはやる気の炎を完全なものにする意味も兼ねてヒノアラシに決めた。

 ボールから出ると、出番だとばかりにヒノアラシが声を出して喜んでいる。アニメだとあくびをしたり、のんびりしたりする描写が多かったが、最近は一緒に訓練ばっかりしているせいか、どうも俺に似てバトル好きになってしまったらしい。

 

 ヒノアラシにやる気の炎を出すように指示すると、まるでスーパーサイヤ人になりそうなくらいの気合いで、「ヒノヒノヒノヒノ、ヒノー!!」と叫びながら、やる気の炎を背中から出していた。

 おおっ、遂にスロースターターを克服したぞ!

 最近は、大分出るのが早くなってきていたが、初っぱなからやる気の炎を出すことに成功したのは今回が初めてである。思わず、ヒノアラシを褒めると、ヒノアラシも嬉しいようで左右にステップを踏みながら大喜びしていた。

 

 バトルが開始されると、ほのお技を自由自在に使えるようになったヒノアラシが無双している――と、いう訳ではなく、ミキのエアームドもかなりレベルが高いようで、こちらのほのお技を耐えながら攻撃してくる。

 ただ、ヒノアラシもスロースターター対策で鍛えた回避技術を駆使して致命傷になるダメージは避けていたので、まだそこまで不利という感じでは無かった。

 

 レベルはヒノアラシの方が低いようだが、相性では有利を取っていると言うこともあってほぼ互角の勝負をしている。

 正直、エアームドをここまで攻撃重視に育てているとは思わず、少し危うい場面もあったが、最終的にはヒノアラシが自身の身軽さを利用して、エアームドの背中に飛び乗り、ゼロ距離で『かえんほうしゃ』を当てて勝負を決めた。

 

 ミキも負けたことにショックを受けたようだが、逆に負けたことでいろいろ見えたものがあると言ってこちらに感謝してくる。

 だが、本当に感謝したいのはこっちだった。

 遂にヒノアラシがやる気の炎を自由に出して、スロースターターが解除されたのだ。ずっと練習していただけにヒノアラシも、この手応えを忘れることはないだろう。

 

 バトルに勝って大喜びしているヒノアラシを抱き上げる。背中から出るやる気の炎が、太陽に反射されて眩しい。よくやったぞ、ヒノアラシ。

 

 

 

 11歳 ζ月σ日 『将来は竜舞オーダイルにしたい』

 

 昨日のバトルでヒノアラシがやる気の炎を制御できたので、一度ヒノアラシとワニノコと交換することにした。

 今朝もしっかりやる気の炎を自在に出せていたし、捕まえてからワニノコを一度も手持ちに加えていないしな。

 

 数日ぶりにあったワニノコは相変わらず元気なようで、軽快な踊りをしながらアニメのように笑っていた。それを見たラティが思わず一緒になって踊っている。どうも気が合うらしい。

 アニメでは特に目立った活躍がないワニノコだが、ニューサトシはこいつを賑やかし要因で終わらせるつもりはない。最終的にはオーダイルにして、切り札の一角にしたいものである。

 

 

 

 11歳 ζ月τ日 『やめてくれ、ワニノコ』

 

 ワニノコが演芸団のマリルリに一目惚れしたらしい。どこからどう見ても、マリルリは同じ演芸団のゴルダックに惚れているようなのだが、ワニノコは気付かずにアピールを続けている。

 その姿が、事あるごとに女性へアタックを続けるタケシの姿に瓜二つで思わず頭を抱えてしまった。

 

 途中、いつものようにロケット団が演芸団のマリルリを攫うという一幕があったのだが、その結果マリルリとゴルダックが恋仲になってワニノコがショックを受けている。

 これでもう色恋に現を抜かすことはないだろうと一安心していたのだが、今度はメスのヌオーを見つけたようで、失恋など忘れたとばかりに再びアピールをしていた。

 

 やめてくれ、ワニノコ。タケシは一人居れば十分なんだ。これ以上、ギャグキャラにならないでくれ。

 

 

 

 11歳 ζ月υ日 『だから効かないって言ってんだろ』

 

 森の中を旅していると、トリガイとかいうおっさんが色違いのヨルノズクを捕まえようとしているのを見つけた。

 俺も欲しいと思ったのだが、どうやら色違いのヨルノズクは大きさこそ小さいが、とても賢いらしく、俺には決して捕まえられないとトリガイが煽ってくる。

 

 ならば、ゲットしてやろうということで、ピカ様の『10まんボルト』でダメージを受けた所を普通にゲットしてやった。

 何やら『さいみんじゅつ』を仕掛けようとしていたようだが、その手の小細工は俺には効かないんだよ。

 

 トリガイも俺が色違いのヨルノズクをあっさり捕まえてしまって呆然としているが、先に煽ってきたのはそっちなんだ。悪いが文句は言わせないぞ。

 

 

 

 11歳 ζ月φ日 『俺とやる気か?』

 

 いつも通りにロケット団とバトルをしていると、リングマの群れがいきなりバトルに乱入してきた。

 いくら野生のリングマだろうと、俺のバトルを邪魔するのは許せん。と、いう訳で、マサラ式肉体言語術の威圧でリングマ達をわからせる。

 野生のリングマも俺が怒っているのが伝わったようで、こちらに向かって走ってきていた足が一斉に止まった。結局、ポケモンは素直なので、自分より強い相手には無闇に喧嘩を売らないものだ。

 

 やんのか、コラ。と、言わんばかりにメンチを切ると、すぐに森の中へ帰って行った。

 さて、バトルの続きだと思ったのだが、ロケット団もリングマ大群にビビったのか、いつの間にかいなくなってしまっている。実に不完全燃焼だ。こんなことならリングマ達に八つ当たりすれば良かった。

 

 

 

 11歳 ζ月χ日 『一家に一体エスパーポケモン』

 

 ゴーストポケモン多発地域を歩いていると、キリンリキを連れたチェリーという少女と仲良くなった。

 チェリーはエスパーポケモンマスターを目指しているということで、今は旅に出るための修行中らしい。

 

 バトルを申し込まれたので、デルビルを使って相手になることにした。エスパータイプの苦手なあくタイプはチェリーにもいい経験になるだろう。

 どうやら、チェリーもあくタイプのポケモンとは初めて戦うようで、自慢のエスパー技を無効にされてとても驚いていた。対策を何も持っていないようだったので、そのままデルビルでキリンリキを封殺する。

 チェリーも旅に出る前に、あくタイプのことを知れてよかったと言っており、バトルのお礼に彼女が住んでいるブレンタウンに招待された。

 

 ここいらはゴーストポケモンが多いということで、ブレンタウンでは一家に一体はエスパーポケモンを持っているらしい。

 俺も常日頃から暴君という最強エスパーを持っているので、何となく親近感を感じるような気がする。

 そのままチェリーの案内で街を見て回っていたのだが、いきなり巨大なゲンガーに襲われたと叫ぶおじさんが走って来た。詳しい話を聞いてみると、川辺で巨大なゲンガーにバリヤードを食べられたと話している。

 

 巨大なゲンガーって、まさかキョダイマックスゲンガーじゃないよな? それともまた古代ポケモニア文明産の巨大ゲンガーか? 宛が有り過ぎてわからん。

 

 そんなことを考えていると、メカメカしいキャタピラ音と共に、見た目だけ頑張って作りましたというような感じの巨大なゲンガーメカに乗ったロケット団がやってきた。

 どうやら鏡を利用したメカらしく、それでエスパー技を弾き返しているらしい。バリヤードを捕まえたのもあいつらの仕業のようで、いつものように調子に乗っていた。

 

 そんなことしているとまた巨大ゲンガーの生贄にされるぞと、前のトラウマを掘り返してやると、ポケモニア文明の事件を思い出したのか、ウッと言葉に詰まっている。

 しかし、それでも引く気はないようだったので、たまには強めのお灸を据えてやろうと思い、暴君に頼んで少しばかり派手にロケット団をやなかんじーにしてやった。

 

 エスパーポケモンの街だけあって、ミュウツーがエスパータイプの伝説ポケモンだというのは一発でわかったらしい。街の住人が神のようにミュウツーを崇めている。

 流石の暴君も、こうも畏敬の念を抱かれると外に居にくいのか、用が終わるとそそくさとマスターボールの中に戻って行った。

 

 普段なら注目されると大変に気分が良くなるのだが、ここまでマジで尊敬されると、いくらニューサトシでも少し引く。結局、長居しても居心地が悪いだけなので、チェリーに別れを告げて、さっさとコガネシティを目指して旅を続けることにした。

 

 

 追記。最近、ラティが言葉に興味を持ち始めたようで、人間の言葉の練習をしている。これが「ごはん」とか「おやつ」みたいな単語なら可愛いものだと思ったが、「やな、かんじー」と口にし始めていた。おい、ロケット団、お前ら変な言葉を吹き込むんじゃねぇよ。

 

 

 

 11歳 ζ月ψ日 『占いとかきょーみありませーん』

 

 ポケモン占いが流行っているらしく、カスミさんも育て屋から占いの本を貰って大喜びしている。ラティはそもそも占いが何だかよくわかっていないようだが、カスミさんが喜んでいるのを見て一緒に喜んでいた。

 その本によると、人間をポケモンに例えてどんなタイプか占うらしい。本を読んだカスミさん曰く、俺はマダツボミらしく、イマイチ当てはまっているのか当てはまっていないのかよくわからなかった。

 タケシはイワークでいい結果だったらしく喜んでいたが、カスミさんはギャラドスという結果が出て憤っている。聞けば、ギャラドスの人は怒りやすくて自己中らしい。まぁ、当たらずとも遠からずだろう。

 

 カスミさんが、本当に占いが合っているのか聞きに行くとか言い出したが、占いなんて当たる時もあれば当たらない時もある適当なものだ。一々、文句をつけていたら、それこそキリがないだろう。面倒事は避けるに限るということで、タケシと一緒にカスミさんを宥め、さっさとコガネシティに行くことにした。

 

 

 

 11歳 η月α日 『コガネシティ ジム戦 VSアカネ 前編』

 

 ようやくコガネシティに着いたので、早速ジム戦――と行きたかったのだが、今日はジムがお休みの日らしい。

 やることがなくなってしまったので、タケシとカスミさんの提案で昼食とショッピングを兼ねてコガネデパートに行くことになったのだが、コガネシティはかなり広くデパートは見えているのになかなか近くまで行くことが出来なかった。

 

 普段、タケシの迷子を責めているニューサトシだが、こればかりはタケシを責められない。何せ、街が入り組みすぎていて、俺ですらどこをどう行けばデパートに着くのか、皆目見当がつかないのだ。

 

 どうしたもんかと困っていると、ひょんなことからコガネのジムリーダーであるアカネと知り合い、デパートまで案内してくれることになった。

 アカネ曰く、「コガネデパートはウチの庭やからな!」とのことだったが、デパートに着くまで散々迷子になっている。こいつもタケシと同じ迷子タイプだな。

 

 かなり時間はかかったが、ようやくデパートに着くと、何だかんだアカネと仲良くなったこともあって一緒にショッピングをすることになった。女性同士ということもあって、カスミさんが特に仲良くなっている。

 デパート内のゲーセンで、ラティがニャースのぬいぐるみに興味を示したので、ニューサトシのテクニックで取って上げたのだが、どうもラティはロケット団をかなり気に入っているらしい。悪い影響を受けなければいいのだが。

 

 そんなこんなでショッピングを続けていると、噂をすればとばかりにロケット団がアカネのピッピを攫うという毎度お馴染みの事件が発生した。

 どうやらピッピの希少性を狙ってきたようだが、ニューサトシの目の黒いうちはそんなことを許すはずがない。当然のようにピッピを助けて、いつも通りにロケット団をやなかんじーにしてやる。

 

 もはや完全な流れ作業だったが、結果としてピッピを助けたお礼にアカネがジム戦をしてくれることになった。良くやったぞロケット団。実にラッキーである。まぁ、助けたのはピッピだったがな!

 

 そのままジムへ移動すると、ルールはいつも通りの3対3で、いろいろな制限はなしにして貰った。

 デルビルやワニノコ、ヨルノズクの公式戦デビューにしても良かったのだが、まだオレンジ諸島組が全員公式戦で戦っていないので、今回はそちらを優先させる。

 今回のメンバーは進化待ちのニョロモ、そろそろ活躍させたいカビゴン、まるころ対策に入れたヤドランの三体にした。トゲ様でも良かったのだが、まるころが厳しいので一体は本気である。制限なしだと、ニョロモとカビゴンは少し辛いかもしれないが、向こうは交換もなしなのだ。ある程度のリスクは成長に必要だろう。

 

 そろそろ進化して欲しいので、ニョロモには頑張って貰いたい所である。期待も込めて、一番手に選出した。対するアカネの一番手はプクリンである。

 ぶっちゃけ、ピッピか進化形のピクシーかとも思ったが、両方ともフェアリー単タイプなので、もしかしたらジム戦では使わないようにしているのかもしれない。

 

 相性的には互角なので、このまま押し切ろう。ニョロモに開幕『ハイドロポンプ』を指示する。対するアカネは『10まんボルト』を指示してきた。

 こちらの『ハイドロポンプ』をくぐるように避けたプクリンが、ニョロモに『10まんボルト』を撃ってくる。思った以上に機敏なプクリンだ。

 ニョロモも頑張って『ハイドロポンプ』を当てようとしたが、攻撃が当たりそうになると技を解除してまで避けてくる。動きが軽快すぎて、全然攻撃が当たらない。ニョロモも絶対に当てようと、二発目の『ハイドロポンプ』を撃っているが、避けられた所で反撃の『10まんボルト』をくらってしまった。

 

 効果抜群の攻撃を受けて大ダメージを受けたが、ニョロモはまだまだ行けるとばかりに声を上げている。タイプ不一致なのもあってワンキルは防げたようだが、それでももう二回もくらえば立ち上がれなくなるだろう。

 

 アカネが続けて『10まんボルト』を指示してきたが、そう何度も同じ手はくわない。『だいちのちから』を指示して、『10まんボルト』を押し返していく。

 レベル差があるからか、完全に押し返しきれなかった。だが、相殺できただけでも十分である。

 アカネも弱点技のごり押しだけでは勝てないとわかったようで、すぐに『トライアタック』を指示してきた。二割の確率で麻痺、火傷、氷状態に出来る技だ。タイプ一致で火力も出ているし、使い勝手のいい技と言って良いだろう。

 

 こちらも『ハイドロポンプ』で迎撃を指示するが、それを見たプクリンは即座に攻撃を止めて回避行動に入った。先程と同様に、プクリンの動きが機敏でなかなか攻撃が当たらない。仕方ないので、少し威力は落ちるが当てやすい『だいちのちから』に攻撃を変更した。

 アカネも攻撃を避けられないとわかると、『ひかりのかべ』を指示して、こちらからのダメージを減らしてくる。これで特殊攻撃のダメージはほぼ半減されてしまった。

 

 こうなると持久戦は不利だ。しかし、こうまで遠距離攻撃対策をしているということは、おそらくプクリンの特性は『メロメロボディ』と見て良いだろう。短絡的に近距離戦を仕掛ければ、三割の確率でメロメロ状態にさせられる可能性が高かった。

 

 遠距離も近距離も駄目では、打つ手はもう変化技で時間を稼ぐ以外に残っていない。

 接近戦を仕掛けるフリをして、ニョロモにプクリンとの距離を詰めさせる。向こうも『トライアタック』で迎撃してきたことで一撃くらってしまったが、運よく状態異常はかからなかった。

 そのまま射程圏内に入ると、『さいみんじゅつ』を指示してプクリンを眠らせにいく。だが、アカネもそんな俺の思考を読んだかのように『しんぴのまもり』を指示してきた。

 不可視のシールドが『さいみんじゅつ』を防ぎ、アカネがかかったとばかりの笑みを浮かべる。これでニョロモの『さいみんじゅつ』は封じられ、こちらにはもう完全に打つ手がなくなってしまった。

 

 と、でも思ったか馬鹿め。

 

 これまでずっとニョロモを旅メンバーに入れていて、何も仕込んでいない訳がないだろう。

 プクリンが『しんぴのまもり』を使った瞬間、『アンコール』を指示してプクリンの動きを封じる。チコリータがバリヤードとのレッスンで壁系の技を覚えた時に、ニョロモもまた『アンコール』を練習していたのだ。

 

 正直、『ひかりのかべ』の時に縛っても良かったのだが、『さいみんじゅつ』が当たれば使う必要もなかったので様子を見ていた。しかし、『しんぴのまもり』まで使われた以上、ここで動きを縛るしかないだろう。

 アカネがしまったというような顔をするが、ジムリーダーがポケモンを交換できない以上、もはやプクリンはこちらの掌の上だ。

 続けてニョロモが『だいちのちから』を二回当て、その後再び『アンコール』で動きを縛る。これを繰り返して一気にプクリンを戦闘不能まで持って行った。

 

 アカネが「まさか、あそこで『アンコール』とは思わんかったわ」と言いながら、プクリンをボールに戻していく。やはり、交換なしだと『アンコール』はかなり刺さるな。

 

 公式戦で初勝利したニョロモが嬉しそうに飛び跳ねていたので、「よくやったぞ」と褒めてやる。それと同時にニョロモの体が光り、ニョロモがニョロゾへと進化した。

 ぶっちゃけ、期待していなかった訳ではない。そのために一番に選出したのだ。ただ、まさか本当に進化するとは思わず少し驚いてしまった。ちょっとばかり遅いが、海の神の加護はちゃんと効いたらしい。

 

 当のニョロゾは進化したことで腕が生え、その喜びを腕でも表現している。しかし、キングラーの時といい、俺のみずタイプのポケモンは公式戦に初勝利すると進化するバフでもあるのか?

 

 

 

 




 原作との変化点。

・第152話『エアームドVSヒノアラシ! 鋼の翼!』より、ヒノアラシがスロースターターを克服した。
 アニメでは、ここで負けて修行パートだが、ニューサトシの日頃の特訓のおかげでバトル前に克服した。そのおかげもあって、バトルにも一発で勝利している。

・第153話『踊れワニノコ! 愛のステップを!』より、ニューサトシがワニノコに懇願した。
 ギャグキャラにならないでくれ。

・第154話『色違いのヨルノズク! ゲットだぜ!!』より、ヨルノズクを一発でゲットした。
 ニューサトシには幻覚耐性があるので『さいみんじゅつ』が効かなかった。なまじ頭がいいばかりに、ポケモンではなくトレーナーを狙ったヨルノズクだが、図らずも裏をかかれた形である。トリガイは意外といい奴なので、素直に拍手していた。

・第155話『リングマでドッキリ!』より、ニューサトシがリングマを撃退した。
 アニメでは襲われて、カスミさんとムサシが入れ替わるのだが、ニューサトシが撃退したことでカットされた。ロケット団が逃げたのは、ニューサトシの威圧にビビったからである。

・第156話『キリンリキ! エスパーポケモンの村!』より、ミュウツーが崇められた。
 もはや、神様のような扱いだった。流石のニューサトシも少し引いた。

・第157話『ポケモン占い!? 大乱戦!』より、ニューサトシがヤマトとコサンジに会わなかった。
 本来なら、カスミさんが占いの本を出している育て屋に文句を言って話が始まるのだが、ニューサトシが旅を続けたため再会しなかった。代わりに、占いの結果でファイヤーが出て調子に乗ったコジロウがヤマトとコサンジを成敗している。アニメでは占いがデタラメだとわかると戦意喪失していたが、この小説のロケット団は無駄に強化されていることもあって、デタラメだとわかる前に勢いで相手を戦闘不能にした。そのままちゃっかり手柄を自分達のものにしてロケット団本部から評価を貰っている。しばらく、ファイヤーコジロウモードだったが、次の日にニューサトシにボコボコにされると元に戻った。

・第158話『コガネジム! スピード&パワー!?』より、デパートでカスミさんがニューサトシ達に内緒で何かを買っていた。
 ニューサトシがゲーセンでラティにぬいぐるみを取っている間に、何かを買っていた。何を買っていたかはわからないが、やけにほくそ笑んでいた。

・ニョロモが進化した。
 ようやく進化した。海の神の加護(笑)ではなかったようだ。


 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.52→53

 ピジョット Lv.51

 バタフリー Lv.50

 ドサイドン Lv.51→52

 フシギダネ Lv.50→51

 リザードン Lv.53→54

 ゼニガメ  Lv.50→51

 キングラー Lv.50

 カモネギ  Lv.50

 エビワラー Lv.50→51

 ゲンガー  Lv.50→51

 オコリザル Lv.50

 イーブイ  Lv.48

 ベトベトン Lv.49

 ジバコイル Lv.50

 ケンタロス Lv.49

 ヤドラン  Lv.49

 ハッサム  Lv.49

 トゲチック Lv.41

 プテラ   Lv.49

 ラプラス  Lv.49

 ミュウツー Lv.70

 バリヤード Lv.49

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.44

 カビゴン  Lv.41

 ニョロモ→ニョロゾ  Lv.40→42

 ヘラクロス Lv.33→35

 チコリータ Lv.30→32

 ヒノアラシ Lv.29→32

 ラティアス Lv.30

 デルビル  Lv.24→27

 ワニノコ  Lv.20→22

 ヨルノズク(色違い) Lv.24 NEW




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#055 『どんだけまるころ極めてんだ』

 11歳 η月α日 『コガネシティ ジム戦 VSアカネ 後編』

 

 ニョロモがニョロゾへ進化するという嬉しいイベントはあったが、ニョロゾがかなりダメージを受けたことに変わりはなかった。

 だが、進化したことで気が強くなっているのか、ニョロゾもまだまだ行けるとアピールしてくる。冷静に考えるなら交代の場面だが、ようやく進化したニョロゾの意気込みを無視するのもどうかと思ったので、ここは本人のやる気を買うことにした。

 

 対するアカネは二体目にリングマを出してくる。

 普通なら相性はそこまで悪くないが、ジムリーダーの本気ポケモンである以上、まず間違いなく『かみなりパンチ』を覚えているだろう。

 おまけに、プクリンの使った『ひかりのかべ』と『しんぴのまもり』がまだ残っている。まともに戦えばこちらが不利だった。

 

 バトルがスタートすると、当然のようにアカネが『かみなりパンチ』を指示してくる。それは読めていたので、『ハイドロポンプ』で迎撃させるが、『ひかりのかべ』のせいもあってか、リングマが意にも介さずこちらへ走って来た。

 全く動きが止まらないまま、リングマの『かみなりパンチ』がボディブローのようにニョロゾの腹に決まる。進化してもダメージまで回復する訳ではない。ニョロゾは当然のように戦闘不能になってしまった。

 

 やはり無理だったか。ニョロゾを戻して、二番手のカビゴンを送り出す。

 正直、もう少しいい勝負が出来るんじゃないかとも思ったが、向こうのフィールドが万全な上、手負いのニョロゾで戦おうというのは、いくらなんでもアカネのことを舐めすぎだったな。

 

 まぁ、敵討ちはカビゴンに任せよう。カビゴンも公式戦は初めてだが、気合いは入っているようで、リングマと真正面から対峙している。

 アカネがリングマに『アームハンマー』を指示してきたので、こちらもカビゴンに『アームハンマー』を指示した。攻撃が同時にヒットするものの、レベル差や攻撃力にも差があるようでカビゴンの方がダメージを受けている。

 

 やはり、真っ向からの殴り合いは不利なので、搦め手を混ぜたい所だが『しんぴのまもり』がまだ効いているので状態異常系の技は役に立たない。

 ならば、少し無理やりだがダメージ勝ちするしかないだろう。タイプ一致の『のしかかり』を指示する。しかし、それを見たアカネが『けたぐり』を指示してこちらを転ばせてきた。

 

 まずい。『けたぐり』は体重が重いほどダメージが上がる技だ。カビゴンには当然最大ダメージが出る。

 カビゴンが転がされてひっくり返った所に追撃の『アームハンマー』が指示された。いくらタイプ不一致とはいえ、効果抜群の大技をこれだけ連続で受ければ流石のカビゴンも戦闘不能になる。

 

 だが、それはカビゴンもわかっているようで、振り下ろされる拳を避けるように、ゴロゴロと横に転がっていく。

 俺のカビゴンはカビゴンにあるまじき機敏さが強みだ。アカネもまさかカビゴンがこんな動きをするとは思わなかったようで驚いている。まぁ、普通のカビゴンなら倒せていた場面だしな。

 

 リングマも少し驚いたようだが、すぐに『アームハンマー』でこちらに殴りかかってきた。

 しかし、三回も『アームハンマー』を使えば、デメリットの素早一段階ダウンは無視できないレベルになっているはずだ。現にリングマのスピードは大分下がっている。

 こちらも一段階下がっているが、まだ持ち前の機敏さは失われていない。リングマの拳を避けながら懐に入り込み、カビゴンが『のしかかり』をしていく。アカネもすぐに『けたぐり』を指示していたが、それよりも先にカビゴンの技が決まる方が早かった。

 

 リングマがカビゴンの下敷きになり、苦しそうな声を上げる。おまけに『しんぴのまもり』も切れて麻痺も入ったのか、体が痺れて上手く動かせないようだ。

 こうなると、カビゴンの機敏さが生きてくる。

 果敢に『けたぐり』を仕掛けてくるリングマの猛攻をかわしながら、意識が下に向いているリングマの頭を『アームハンマー』で狙い撃っていく。こちらの素早も下がるが、それ以上に遅くなっているリングマ相手なら、もう気にしなくてもいいだろう。

 

 カビゴンによる迎撃の『アームハンマー』をくらって、リングマがダメージで顔をしかめる。

 だが、それでも尚突っ込んでくるリングマに対し、カビゴンは軽快なフットワークで攻撃を回避していった。ぶっちゃけ、カビゴンが軽快なフットワークとか、自分で書いていても意味不明だが、その通りなので他に書きようがないのである。

 

 アカネもこれ以上はスピードを落としたくないのだろう。『あばれる』を指示して一撃をあてようとしてくるが、素早が三段階下がり、麻痺したリングマの攻撃なら今のカビゴンでも十分に回避することが出来た。

 とはいえ、余裕がある訳ではない。カビゴンも、既にリングマの攻撃を二回も受けている。レベル差を考えれば、次の一撃で戦闘不能にされてもおかしくはなかった。

 

 自分よりも体重があるカビゴンに攻撃をかわされて頭に血が上っているのか、リングマが無理やりにでも『あばれる』でカビゴンを倒そうとしてくる。

 そこに『じたばた』を合わせて、リングマを再び突き放した。『じたばた』は自分の残りHPが低いほど威力が出る技だ。今のカビゴンなら、ほぼ最大値の威力が期待できる。

 

 リングマの『あばれる』が『じたばた』によって弾かれ、リングマがその場に素っ転ぶ。そこへ、カビゴンがお得意の『のしかかり』を決めて、一気にリングマを戦闘不能まで持って行った。

 

 リングマを倒し終えると同時にカビゴンがゴロンと横になる。見れば、かなり肩で息をしていた。ギリギリ戦闘不能にこそなっていないが、このまま連戦させるのは無理そうだ。

 アカネがリングマをボールに戻すのに合わせて、こちらもカビゴンをボールに戻す。

 

 二勝したが、ニョロゾは倒れ、カビゴンも戦闘不能一歩手前だ。おそらく、ヤドランが倒れたらその時点で勝ち目はなくなる。

 しかし、俺はヤドランなら勝てると信じて連れてきたのだ。今更、後に退くつもりはなかった。

 アカネが最後の一体を出してくる。やはり、アニメやゲームと同様にミルタンクが切り札のようだった。こちらも、最後の一体としてヤドランを送り出す。

 

 ヤドランは物理受けとして優秀なのもあるが、エスパー技で動きを封じることが出来るので、ミルタンク必殺のまるころも防ぐことが出来るのだ。

 ゲームではなすすべもなく、まるころによってトラウマを植え付けられたが、ニューサトシは見えている地雷を踏みに行くほど愚かではない。このまま一気に勝負をつけてやるぜ。

 

 ヤドランに開幕『サイコキネシス』を指示して、動きを封じようとする。だが、早々に『まるくなる』からの『ころがる』でミルタンクがフィールドを走り始めた。

 その動きがこちらの想定していた以上に速く、なかなか捕まえることが出来ない。ヤドランがミルタンクを捉える寸前に、こちらの想定を外れるように急旋回していくのだ。

 

 その後も何度か捕捉しかけるが、その都度アカネが上手く指示を飛ばしてミルタンクに的を外させている。

 まさか、『ころがる』がここまで捉えづらいとは思わなかった。俺のヤドランが動きを捉えられないってことは相当訓練されているぞ、あのミルタンク。

 

 これはパターン1、エスパー技で封殺するは難しそうだったので、パターン2の物理で受けるに切り替える。

 ヤドランに『のろい』を指示して、素早を一段階下げる代わりに、攻撃と防御を一段階上げていく。このまま攻撃と防御を限界まで上げて、物理的にまるころを受け止めるのだ。

 

 アカネも俺がヤドランに『のろい』を指示したことで、こちらの策を見抜いたのだろう。

 ミルタンクにヤドランへ突撃するように指示を飛ばしている。こちらの体勢が整う前に倒すつもりのようで、ヤドランが二回目の『のろい』を積む前にミルタンクがヤドランにアタックしてきた。

 

 物理耐久が高いヤドランだが、ミルタンクのまるころは防ぎきれないようで、弾かれるように地面を転がって行く。

 ミルタンクも吹き飛んでいたが、転がったまま上手く体勢を立て直していた。ってか、どんだけまるころ極めてんだ。普通は弾かれたら一度止まって立て直すもんだろう。

 

 だが、これはあまりよろしくない状況である。いくら『まるくなる』で威力を上げているとはいえ、一段階目の『ころがる』すら受け止められなかったのだ。ここから威力が倍になっていくことを考えると、『のろい』を六段階積んでも受けられるか怪しい。

 

 ヤドランが起き上がるのと同時に、ミルタンクが二回目の『ころがる』を仕掛けてきた。

 こちらに『のろい』を積む余裕を与えないつもりなのだろう。こうなれば、最終手段に出るしかない。ヤドランに『かなしばり』を指示して『ころがる』を封じ込める。

 

 最後に使った技を使えなくする『かなしばり』によって、『ころがる』が失敗に終わり、ミルタンクが強制的に通常状態に戻された。当然、そんなことになればバランスを崩し、違う意味でミルタンクが転がって行く。

 結果論だが、こんなことなら最初から使えば良かったな。『かなしばり』は一度に複数の技を縛れる訳じゃないから一度使うと死に技になりやすいし、『アンコール』程使い勝手が良い訳ではないのでニューサトシ的にあまり評価の高い技ではなかったのだが、それでもこうしてヤバい技を確定で封じられるなら悪くない。

 

 ミスだったな。と、思いつつ、『サイコキネシス』でミルタンクに追撃をかける。

 しかし、ここでされるがままではないのがジムリーダーだった。即座に『メロメロ』を指示し、『サイコキネシス』を受けながらこちらに『メロメロ』を飛ばしてくる。

 

 今回、俺がジム戦に選んだポケモンは全員♂だ。ミルタンクは♀しか存在しないし、当たり前のように『メロメロ』がヤドランにブッ刺さった。

 性別が違う相手をメロメロ状態にし、50%の確率で技を失敗させる『メロメロ』によって、ヤドランの『サイコキネシス』が中断させられる。完全にちょっと前のワニノコと同じ顔でヤドランがミルタンクにラブアタックをかけていた。

 

 こうなればアカネの独壇場である。最後の技に『のしかかり』を指示し、ヤドランにダメージをプレゼントしてくれた。流石にどうにもならないので一度ヤドランをボールに戻す。

 だが、ヤドランの頑張りは無駄ではなかった。もし、『かなしばり』で『ころがる』を封じていなければ、アカネは四つ目の技に回復の『ミルクのみ』を選んでいただろう。そうなっていれば、持久戦に持ち込まれて負けていた。

 

 こうなれば、こちらもなりふり構っている場合ではない。再びカビゴンを出し、勝負を着けに行く。

 もしもの時の為に、技を一つ残しておいて良かった。アカネが当然のように『メロメロ』を指示してきたので、こちらは『あくび』を指示する。

 ジムリーダーはポケモンを交代できないという明確な弱点を再びつかせてもらったぜ。当然だが、プクリンが最初に使った『しんぴのまもり』は既に効果が切れている。

 

 こちらもカビゴンがメロメロ状態になってしまったが、ミルタンクも『あくび』により、眠り状態に入った。

 

 カビゴンを再び戻し、ヤドランを出す。一度ボールに戻ったことで、メロメロ状態は解除されていた。

 眠っているミルタンクに『サイコキネシス』をくらわせ、ダメージを与えていく。ダメージで目を覚ましたミルタンクが再び『メロメロ』をしてくるが、こちらも最後の一つの技である『あくび』を使う。

 

 当然、ヤドランはメロメロ状態になるが、再びミルタンクが『あくび』により、眠り状態へ入って行った。

 

 ヤドランを再び戻し、カビゴンを出す。一度ボールに戻ったことで、メロメロ状態は解除されていた。

 眠っているミルタンクへ『アームハンマー』をくらわせ、ダメージを与えていく。ダメージでミルタンクが再び目を覚ましたが、当然こちらは『あくび』一択である。これぞ、『あくび』による無限ループ。ポケモンを交代できないジムリーダーには対応しようがない禁じ手のようなコンボである。

 

 最後の一体だから交代できないのは関係ないと思う奴もいるかもしれないが、俺が言いたいのはそういうことではない。

 仮にこれが一体目でも二体目でも、同じようなことが出来るというのが問題なのだ。交代出来ないというのは、それだけ大きなハンデになる。

 だから、交代なしのバトルは嫌なんだよな。

 もし、交換ありのバトルなら、アカネもまだポケモンを残していただろうし、こんな状況にはなっていなかったはずだ。逆に交換なしのバトルだと、こういうハメ手がいくつも使えるから、極端に言えば実力が関係ない勝負になる。そこが気に入らない。

 

 まぁ、ラス一催眠ループというハメ技を使わされた俺が言うべきではないんだけどな。

 

 おまけに、アカネは気づくのが遅かった。

 既にこちらの攻撃はかなりの回数決まっており、今回ももう『あくび』がミルタンクに入っている。こちらがこのままカビゴンをヤドランに交換し、『サイコキネシス』で攻撃を入れればミルタンクのダメージはもう限界に近いはずだった。

 

 仮に次起きた後に即攻撃を指示したとしても、攻撃技が『ころがる』と『のしかかり』しかない以上、ヤドランの『あくび』はまず避けられない。『ころがる』は『かなしばり』で防げるし、『のしかかり』に来るまでの間に、どうやってもミルタンクは眠りに入る。

 

 アカネも、もう自分に勝ち目がないことを察したようで、素直にギブアップしてコガネジムで勝利した証であるレギュラーバッジを渡してきた。

 こちらも本来であれば、こんなハメ技のようなことはしたくなかったのだが、想像以上にまるころが強い上に、『メロメロ』までされては勝機がない。もし最後の技が『のしかかり』ではなく『ミルクのみ』だったら、どうなっていたか想像するだけで恐怖だった。

 

 しかし、ジムリーダーがルールを悪用されて負けるような事態をこのまま放置するのもどうかと思ったので、アカネにはこれを機にルールを見直すように進言したらどうかとアドバイスを送っておく。

 ただ、アカネはそれも挑戦者の創意工夫によるものなので、わざわざ封じることではないと笑顔で答えていた。ゲームで大泣きしていた人物とは思えない大人な対応である。

 だが、それでも今回の『あくび』ループはズルすぎるので、もうジム戦では使わないようにしよう。いくら、ルールの裏を突いたとはいえ、こんなハメ手で勝っても真の実力とは言えないしな。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・アカネのまるころが強すぎた。
 アニメでもやばかったが、タイプ不一致とは思えない火力をしていた。この小説でのアカネは基本的に、まるくなる、ころがる、メロメロ、ミルクのみの最強技を使ってくる。まるころやメロメロされた上、回復までされてはもはや勝機はないも同然。今回は上手く別の技を使わせたおかげでどうにかできた。

・ルールの裏を突いた。
 交代なしの相手に、一番やっちゃいけないコンボをした。『あくび』連打をされると、相手は行動できずに死ぬ。ラス一催眠は悪い文明。アカネがもう少し早く動けていれば、まだ何とか出来たかもしれないが、未来予知でもしない限り動きを先読みするのは難しいだろう。ちょうはつやアンコールも交代なしだと厳しい技だが、動ける分まだマシな部類である。


 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.53

 ピジョット Lv.51

 バタフリー Lv.50

 ドサイドン Lv.52

 フシギダネ Lv.51

 リザードン Lv.54

 ゼニガメ  Lv.51

 キングラー Lv.50

 カモネギ  Lv.50

 エビワラー Lv.51

 ゲンガー  Lv.51

 オコリザル Lv.50

 イーブイ  Lv.48

 ベトベトン Lv.49

 ジバコイル Lv.50

 ケンタロス Lv.49

 ヤドラン  Lv.49→50

 ハッサム  Lv.49

 トゲチック Lv.41

 プテラ   Lv.49

 ラプラス  Lv.49

 ミュウツー Lv.70

 バリヤード Lv.49

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.44

 カビゴン  Lv.41→43

 ニョロゾ  Lv.42

 ヘラクロス Lv.35

 チコリータ Lv.32

 ヒノアラシ Lv.32

 ラティアス Lv.30

 デルビル  Lv.27

 ワニノコ  Lv.22

 ヨルノズク(色違い) Lv.24


 どうも書き方が悪かったみたいで、あくびループ時にラス一だから交代できないのは関係ないというのが気になる方が多かったので少し加筆しました。
 実際に伝えたいのは書いた通り、数の問題ではなく交代出来ないとこういうハメ手のようなことが出来るので、そういうルールが嫌ということです。基本的に気ままに書いているせいもあってわかりづらくてすみません。次からはなるべくわかりやすいように内容を確認しますが、また分かりにくい箇所があれば教えて頂けると助かります。


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#056 『見せてくれたらおじさんや!』

 11歳 η月β日 『ラジオに出ることになった』

 

 ポケモンセンターで飯を食っていると、ラジオ番組のプロデューサーをしているアラシというおっさんに、クルミちゃんとやらがやっているラジオに出ないかと声をかけられた。

 どうやらコガネジムを突破した人間をゲストに呼ぶようで、是非俺に出て欲しいとのことだ。

 勿論、ニューサトシは二つ返事で引き受けた。目立つのは大好きなのだ。ラジオなんか滅茶苦茶面白そうである。

 

 出番まで少し時間があるのでのんびりしていると、ラジオに出るという話を聞いたらしい爺が連絡してきた。

 当然、こっちは塩対応である。ただ、ヌオーの一件以降、俺の爺に対する印象値が最低なのは向こうも気付いているようで、改めてこちらに謝罪をしてきた。

 が、そんな安い謝罪など受ける気はない。

 爺も俺が謝ったくらいで許すような優しい人間じゃないことは既にわかっているようで、お詫びとして技レコードの『くさむすび』を届けるので、それで手打ちにしてくれと言ってきた。

 

 勿論、許すさ。俺と博士の仲じゃないか。

 

 博士からは生放送はミスが許されないから気をつけるようにとだけ言われた。確かに、録音と生放送じゃ生の方が難易度が高いんだったな。いいアドバイスだったぜ。

 そのままウキウキでラジオ収録に臨むと、クルミの質問に答えるという形で、コガネジムでのバトルや次のジムについて話していく。正直、ジム戦については自慢できる程の内容ではなかったが、それでも勝ちは勝ちなので、ドヤ顔でニョロゾ、カビゴン、ヤドランの自慢をした。

 

 ラジオ収録が終わったのでハイさようならという感じだったのだが、何故かラジオ塔にロケット団が居て、おまけにラジオの後半で使う予定の音声データが壊されていた。

 どう見てもこいつらのせいだろうと思って見ると、ロケット団が明後日の方向を見ながら下手な口笛を吹いている。どうやら壊されたのはラジオドラマのデータのようで、今からではもうどうしようもないのは一目瞭然だった。

 

 アラシの頼みで急遽ロケット団と一緒にラジオドラマの生収録をすることになったのだが、いくらニューサトシが松本声とはいえ演技力まで一緒という訳ではない。

 さらに、演技力に自信のあるムサシがアドリブでやりたい放題始めたせいで、クルミまでそれに乗っかるしかなくなってしまい、もう内容は滅茶苦茶。挙句の果てには、ロケット団がいつものようにこちらのポケモンを奪おうとしてきたので、収録を続けたままやなかんじーにしてやった。

 

 ぶっちゃけ、これで大丈夫か?

 

 と、思ったが、どうやらアラシ的にはOKだったらしく、何とか無事にラジオの収録を終えることが出来たようだ。結構面白かったけど、かなり疲れたのでしばらくラジオはNGだな。

 

 

 追記。まだ人間の言葉が流暢に喋れないラティが今回のラジオ収録でハブにされたことにショックを受けたようで、必死になって言葉を勉強している。どうもミュウツーが講師をしているようで、俺達が眠った後に一緒に勉強をしている姿が見られた。

 

 

 

 11歳 η月δ日 『虫取り大会のボール格好良くね?』

 

 ゲームでもあった自然公園の虫取り大会がやっていたので、当然のようにエントリーすることにした。

 申し込み中に、前に会った新人トレーナーのナナコに再会したのだが、どうやらあの後は連勝を重ねているらしい。実に頑張っているな。俺のワニノコにも見習わせたい。

 ナナコがどちらが優勝できるか勝負しようと言ってきたので、当然のように受けて立った。ぶっちゃけ、むしタイプのポケモンはかなりいるので、あまり捕まえる必要性を感じないのだが、それでもゲットしておいて損はないだろう。

 

 虫取り大会では使えるポケモンは一匹のみ。ボールは一個で、気にいったポケモンを捕まえるまで何度も入れ替えが出来る特別なボールらしい。

 ゲームではレベルや体力が勝敗のキモだったはずなので、捕獲用にバタフリーを転送してもらうことにした。『ふくがん』からの『ねむりごな』もあって、捕獲要因としてバタフリーの右に出る奴はいないからな。

 今の手持ちはピカ様、チコリータ、デルビル、ヨルノズク、ワニノコ、バタフリーである。ヘラクロスには一度、オーキド研究所で先輩達に揉まれて貰うことにした。

 

 いざ大会がスタートすると、ナナコが片っ端からポケモンをゲットしていく。アニメのサトシ君のような速攻スタイルのようだが、あの調子でペースを上げ過ぎると後半にスタミナが足りなくなるだろう。

 一応、先輩としてそれとなくチコリータの様子を気にするように注意はしたが、調子に乗っているナナコには負け犬の遠吠えに聞こえるようだ。まぁ、痛い目を見て学ぶのも新人の特権か。

 

 いつまでもナナコと一緒に居ても仕方ないので、俺も俺でポケモンを探すことにした。ピカ様は今回タケシに預け、バタフリーと一緒に公園の中を歩いていく。

 狙うのはジョウトのむしタイプであるレディアン、アリアドス、フォレトス辺りだ。スピアーやモルフォンを今さら捕まえてもって感じもするし、他の進化前は得点も低いだろうからスルーである。

 

 とはいえ、そんな大物を簡単に捕まえられたら苦労はない。結局はまたナナコと合流してしまったのだが、どうやらストライク相手に苦戦しているようだ。

 チコリータがもう体力の限界のようで、ストライクに張り付くのでいっぱいいっぱいになっている。おまけに、ナナコはチコリータの状態を把握できていないらしく、「まだまだ勝負はこれからやー!」と叫んでいた。

 

 流石にチコリータが可哀想なので、ストライクを『ねむりごな』で眠らせる。

 バトルを強制終了させると、チコリータも限界だったようで意識を失ってしまった。やはり、限界だったな。

 乱入してきた俺に文句を言うナナコだが、このままでは頑張っていたチコリータがあまりに憐れだったので、ガラにもない説教をしてしまった。

 

「お前、どこに目つけてんだよ。チコリータの状態すらわかってないのか? それで良くパートナーを名乗れたもんだ。飛ばしに飛ばしてチコリータはもうスタミナ切れ寸前。技の指示にも対応できていなかったし、あのまま戦えば戦闘不能になる以上の怪我だって有り得た。別にお前のやり方を否定するつもりはないが、もっとポケモンのことを考えてやれ」

 

 ストライクを横取りするつもりはないので、「そいつは好きにしろ」と言ってその場を離れた。これで、あいつがチコリータの状態を理解できないようなら、俺の見込み違いだったということだろう。

 

 それに、あまり人の心配をしている場合ではない。俺は俺でさっさとポケモンをゲットしないと、このままでは空のボールを携えたまま終わりになってしまう。

 スピアー、イトマル、クヌギダマ、ロケット団と、むしポケモンには遭遇するのだが、なかなかこれと言ったポケモンを見つけることが出来なかった。え? 最後のは違う? いいんだよ、虫を払うようにやなかんじーにしたし。

 

 とりあえず、スピアーを一体捕獲はしたが、これで優勝できるとは思えないし、何とか凄いポケモンを見つけたいものだ。

 と、思いながら歩いていると、多数の傷がついた大きな木を見つけた。真新しい左右対称の傷がいくつも付いている。おまけに近くには倒れた樹木もあり、かなりのパワーを持ったポケモンの仕業だということがわかった。

 

 周囲を見ると、かなり立派な角を持ったカイロスを見つけた。普通のカイロスより角が二回りは大きく、おまけに角の色が金色である。どうも部分的な色違いのようだが、これは大物を見つけたぜ。

 

 さっそくゲットだとカイロスの前に姿を現すと、こちらを見た瞬間に気合を入れるようにこちらを威圧してくる。後でわかったことだが、ゲームだと『このカイロスはかたやぶりだ!』という文字が出る演出がこの威圧だったようだ。

 

 飛びかかるように『シザークロス』を繰り出してくるが、バタフリーも戦い慣れているだけあってそう簡単に攻撃はくらわない。

 そのまま回避に専念していると、いきなりカイロスが地面を強く踏む。同時に、何やら衝撃がバタフリーに向かって襲ってきた。『じならし』だろうか? 勿論、ひこうタイプのバタフリーには無効だが、レベル技で覚えないじめん技を使うとはなかなかやるな。

 

 レベル差もあるので勝負にはなっていないが、なかなかセンスがありそうだ。バタフリーに『ねむりごな』を指示すると、今度は『あなをほる』で地面の中に潜って行った。

 こいつ、結構戦い慣れてやがる。

 正直、どこにでもある自然公園の虫取り大会で、こんな奴に出会えるとは思わなかったぜ。

 

 バタフリーに高度を上げるように指示するが、カイロスが地面から飛び出してくる方が早かった。当然、じめん技は効果がないのだが、そのまま技の勢いを利用してバタフリーに突撃し、『はさむ』でバタフリーを掴んでいる。

 まさか、『あなをほる』の後に、そのまま跳んで攻撃を仕掛けてくるとはな。

 捕獲のためにバタフリーが本気ではないとはいえ、俺のバタフリーとここまでいい勝負をするとは思わなかった。絶対にゲットしたい。

 

 バタフリーが身動き取れないようなので、仕方なく助けることにした。ぶっちゃけ、羽は無事なので倒そうと思えば倒せるだろうが、下手に倒されても困るのだ。

 捕まったバタフリーの所までジャンプし、マサラ式肉体言語術――マサラ正拳突きでカイロスを引きはがす。

 まさか人間に殴られるとは思わなかったのか、怒ったカイロスがこちらに向かって走って来た。いいだろう、俺がお前の力を見定めてやる。

 

 そのままハサミを受け止め、カイロスと取っ組み合いになった。思った以上のパワーだ。この虫取り大会のポケモンのレベルはざっと20前後だと思っていたが、こいつは30以上あるだろう。

 

 バタフリーが心配そうにこちらを見ているが、俺だってこのままこいつに付きやってやるつもりはない。自由な足でカイロスの顔を蹴り上げ、上向きになった所で再びマサラ正拳突きでぶっ飛ばしていく。

 後はバタフリーの『ねむりごな』でフィニッシュ――と思ったのだが、起き上がったカイロスが、いきなりこちらに向かって跪いて来た。

 どうやら、俺の強さを認めてくれたらしい。

 いつかのシバのように「俺と一緒に来るか?」と聞くと、素直に頷いたのでそのままカイロスの手を取って立ち上がらせる。金角のカイロスゲットだぜ。

 

 ボールの中にはスピアーがいるので、一度逃がしてから捕まえ直そうとすると、それと同時に虫取り大会のスタッフやタケシ、カスミさん、ラティ、ナナコまでもが俺の所にやってきた。

 

 スタッフ曰く、どうやらこのカイロスはこの公園にいるはずのない流れ者のようで、カメラで流れた映像から俺が襲われていると思って慌てて助けに来てくれたらしい。

 カスミさんやタケシはどうやらお節介を焼いていたらしく、ラティを連れて、俺が突き放したナナコのフォローに回ってくれていたようだ。そこで俺の話を聞いて慌てて駆けつけてくれたのだという。

 

 ナナコもチコリータの状態を把握できていない未熟さに気付いたようで、「サトシはん。アドバイス、ありがとうございました!」と頭を下げてきた。うむ、素直で良いぞ。

 

 そういえば、ナナコは黄色の縞々が好きとか言っていたような記憶があったので、俺が捕まえたスピアーを譲ることにした。ナナコも大好きなスピアーが貰えると聞いて大喜びしている。

 代わりに、ナナコのボールを譲ってもらい、それにカイロスを入れた。一応、スタッフに流れ者のカイロスでも大会に参加できるか聞いてみると、この公園内で捕まえたのならOKとのことである。

 

 当然、金角のカイロスは一位を取り、優勝賞品として太陽の石をゲットした。パークボールでゲットしたポケモンを通常のモンスターボールに入れ替えて貰い、金角を手持ちに加える。ぶっちゃけ、パークボール格好いいからそのままでも良かったのだが、性能が普通のモンスターボールと違うから持ち出しNGらしい。残念だ。

 

 バタフリーには完全に出番を奪ったことを謝罪しながら、再びオーキド研究所に戻って貰った。悪かったな。次はしっかり活躍できる所で呼ぶから修行して待っていてくれ。

 

 

 追記。今回の騒動の間に、タケシがクヌギダマをゲットしていた。どうやら俺と合流する途中で襲われたようで何やかんやあってゲットしたらしいのだが、スタッフからお許しが出たのでそのまま仲間にしたとのことだ。そういえば、アニメでもタケシはクヌギダマをゲットしていたっけか。

 

 

 

 11歳 η月ζ日 『見せてくれたらおじさんや!』

 

 エンジュシティに向かっている途中、橋が工事中で通れなくなっていた。修復には一か月もかかる上、他に橋がないので向こう岸まで渡ることが出来ない。

 丁度、近くを小舟で通りがかったおじさんに何とか乗せて貰えないか頼むと、「ウソッキーというポケモンを見せてくれたら乗せても良い」と言われた。見せてくれたらおじさんや!

 

 近くの山に居るのを見たということなので、早速ウソッキーをゲットしにいく。

 そこで、研究員のアキオとツカサという男女が、ウソッキーが何タイプかでもめているのを見つけた。アキオは研究書にいわタイプと書いてあると言っており、ツカサはウソッキーが様々なタイプの技を使ったので、実際に見て研究したいと言って口論している。

 

 研究者の癖にポケモンのタイプすらわからないのかと、ウソッキーはいわタイプで、『ものまね』という技を覚えることを教えてやる。

 アキオは俺が研究書と同じことを言ったのでドヤ顔しているが、ツカサは言葉だけじゃ信じられないと言ってまた口論し始めた。もう相手にするのは止めだ。俺は俺でウソッキーを捕まえるからそこで一生喧嘩してろ。

 

 そのままサクッとウソッキーをゲットした訳だが、またもアキオとツカサがやってきて研究に付き合って欲しいと言ってくる。

 俺の言葉が正しかったら、『みがわり』の技レコードを用意しろと突きつけると、そんな高価なものは用意できないというので、さっさと見せてくれたらおじさんの所へ行くことにした。

 

 俺の言葉を信じず、何の対価もなしに研究に付き合えとか何様のつもりだ? ニューサトシはこういう自分勝手な奴らが大嫌いなのだ。

 

 おじさんも丁度こっちに向かっていたようだが、何故かロケット団まで一緒に居た。憂さ晴らしにいつも通りやなかんじーにしてやろうとしたのだが、ロケット団も俺の機嫌が悪いことを察したようで逃げるように走って行ってしまった。チッ、勘のいい奴らだ。

 

 ラティが「やなかんじー」と言ってお見送りしているが、最近は五文字くらいまでの単語なら喋れるようになっていて、「おもしろい」と言ってロケット団を指さしている。うーむ、いい影響なのか、悪い影響なのか、微妙な所だ。

 

 まぁ、ラティが成長しているなら良しということで、見せてくれたらおじさんにウソッキーを見せてさっさと小舟に乗せて貰おうと思ったのだが、どうやらおじさんはツカサの祖父のようでウソッキーを探していたのもツカサのためだったらしい。

 見せてくれたらおじさんが、研究に付き合ってくれと頼みこんでくるので、仕方なく二人の研究に付き合うことになった。実際に水を嫌がる姿や、『ものまね』で技をコピーさせると、ツカサもこちらの言葉を信じなかったことを謝罪してくる。

 

 見せてくれたらおじさんの頼みでは無かったら絶対に許さなかったが、今回は仕方なくこれで手打ちにしてやることにした。

 そのままおじさんの小舟に乗せて貰い、さっさと向こう岸まで渡る。しかし、勢いでウソッキーをゲットしてしまったな。手持ちがかなりの勢いで増えていくから困るぜ。

 

 少し悩んだが、今回はチコリータを研究所に送っている。多分、研究所で泣きわめいてるんだろうなぁ。

 これで、今の手持ちはピカ様、デルビル、ヨルノズク、ワニノコ、カイロス、ウソッキーになった訳だが、手持ちの半分は原作でゲットしていないポケモンになってしまった。

 

 

 




 原作との変化点。

・第159技『ミルタンク! リベンジバトル!!』より、一度で勝ったためリベンジしなかった。
 少し思うところはあったが、勝ったことに代わりはなく、内容がカットされた。

・第160話『ラジオ棟の戦い! 時空を超えて!!』より、オーキド博士と和解した。
 代わりに技レコードのくさむすびを貰った。ピカ様に使うつもりでいる。

・ラティがハブにされた。
 まだ上手く喋れないのでラジオに出られなかった。ショックで一生懸命言葉を勉強している。ミュウツーが教えているので、結構覚えるのは早かった。

・第161話『虫取り大会! 自然公園でゲットだぜ!!』より、カイロスを捕まえた。
 部分的な色違いで角だけ金色のカイロスである。意外とレベルも高く、ニューサトシはとても気に入った。

・ゲットしたポケモンは全員が貰えるシステムになった。
 アニメだと、どうも優勝者しかポケモンが貰えないシステムのようだったので、ゲーム方式で全員がゲットしたポケモンを貰えるようにした。ナナコにスピアーを上げた。

・タケシがクヌギダマをゲットした。
 ニューサトシが一瞬でボコったクヌギダマがタケシを襲ったのだが、ダメージを受けているのを見てタケシが治療してあげた。恩を感じたクヌギダマが一緒についてきたがったのでゲットした形である。あまりにも一瞬でボコられたため、クヌギダマもニューサトシにやられたことに気付いていない。

・第162話『ウソッキーはどこにいる!?』より、ウソッキーをゲットした。
 ○○というポケモンを見せてくれたらというサブクエを思い出してニューサトシのテンションが上がった。そのせいもあって、頑張ってウソッキーをゲットした。


 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.53

 ピジョット Lv.51

 バタフリー Lv.50

 ドサイドン Lv.52

 フシギダネ Lv.51

 リザードン Lv.54

 ゼニガメ  Lv.51

 キングラー Lv.50

 カモネギ  Lv.50

 エビワラー Lv.51

 ゲンガー  Lv.51

 オコリザル Lv.50

 イーブイ  Lv.48

 ベトベトン Lv.49

 ジバコイル Lv.50

 ケンタロス Lv.49

 ヤドラン  Lv.50

 ハッサム  Lv.49

 トゲチック Lv.41

 プテラ   Lv.49

 ラプラス  Lv.49

 ミュウツー Lv.70

 バリヤード Lv.49

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.44

 カビゴン  Lv.43

 ニョロゾ  Lv.42

 ヘラクロス Lv.35→36

 チコリータ Lv.32→33

 ヒノアラシ Lv.32→33

 ラティアス Lv.30

 デルビル  Lv.27→29

 ワニノコ  Lv.22→24

 ヨルノズク(色違い) Lv.24→26

 カイロス(部分色違い) Lv.32 NEW

 ウソッキー Lv.30 NEW


 どうも書き方が悪かったみたいで、前話のジム戦であくびループ時にラス一だから交代できないのは関係ないというのが気になる方が多かったので少し加筆しました。
 実際に伝えたいのは書いた通り、数の問題ではなく交代出来ないとこういうハメ手のようなことが出来るので、そういうルールが嫌ということです。基本的に気ままに書いているせいもあってわかりづらくてすみません。次からはなるべくわかりやすいように内容を確認しますが、また分かりにくい箇所があれば教えて頂けると助かります。


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#057 『結晶塔の帝王をやっつけろ!』

 11歳 η月θ日 『アルフの遺跡の癖にアンノーンがいないだと?』

 

 アルフの遺跡と思わしき場所に着くと、何故かオーキド博士がそこに居た。

 リアルで会うのは久しぶりなので挨拶をするも、いつの間にか旅の仲間が増えていることに首を傾げている。しかし、ラティもすぐに「ラティ、です」としっかり挨拶が出来た。とっても偉いぜ。

 

 どうやら博士の大学時代の教え子がここで古代ポケモンの研究をしているらしく、何か特別な発見がされたということで呼ばれたようだ。

 一緒に見に行くかと誘われたが、正直古代ポケモンにはあまりいい思い出がないんだよなぁ。

 既にプテラもゲットしているし、興味をそそるものがあまりない。先に進んでも良かったが、ラティがどうしても行きたがったので一緒に行くことにする。

 

 研究所に居たサタケと呼ばれる博士の教え子は、海のポケモン起源説を推奨している学者らしく、全てのポケモンのルーツは海にあるとか言っていた。さてはおめー、アクア団の回し者だな?

 カスミさんもサタケの話を聞いて大盛り上がりしている。みず系大好きカスミさんにしてみれば、サタケの説は聞いていて楽しいのだろう。さてはおめー(以下略)。

 

 サタケの案内で新しく建造したポケモンパークとやらに向かったのだが、そこには何故かこの世界ではレアな古代ポケモンであるオムナイトやオムスターが住みついていた。

 どうやらサタケはこれを博士に相談したかったらしい。サタケ曰く、いつのまにか住みついていて、どこから来たのかもわからないという。

 俺は素人だが、それでもこの時代では希少なオムナイトやオムスターが理由もなく、こんな目立つ施設に来るとはとても思えない。どうも博士も同意見のようで、彼らの生態系に何か問題が起きたのではないかと推測していた。

 

 こんな時はいつものマサラ式肉体言語術ボディランゲージさんの出番である。

 オムナイトやオムスターに、何故こんな所に来たのか聞いてみると、どうやら遺跡の裏にある地下水源を荒らされて逃げてきたのだという。仲間達の中には捕まった奴もいるので助けを求めていた。

 

 どうせ、こんな悪事をするのはいつものロケット団だろうということで、デルビルの嗅覚とヨルノズクの上空偵察でロケット団を探してもらう。

 意外と近くにいたようで、すぐにロケット団の所まで行くと、気球で釣り上げた水槽の中にはかなりの数のオムナイトやオムスターが捕まっているようだった。

 

 俺達に見つかったことに気付いたロケット団がすぐさま逃げようとするが、大量に捕まえたオムナイト達が重くて動けないらしい。あほらしいので、サクッといつも通りやなかんじーにしてやると、オムナイトとオムスターは無事に元の住処に戻って行った。

 

 

 追記。博士から『くさむすび』の技レコードを貰った。やったぜ。

 

 

 

 11歳 η月κ日 『結晶塔の帝王をやっつけろ!』

 

 グリーンフィールドという場所にそろそろ着くらしい。このグリーンフィールドは緑の多い場所のようで、ジョウト地方で女性が行きたい場所No.1の場所だとカスミさんも話している。

 まぁ、それはいいさ。広い地方だ。そういう場所の一つや二つはあるだろう。

 まぁ、リンとかいう少女とバトルをしたのもいい。久しぶりにフルバトルをしたし、意外と強かったのもあって、今の手持ちだとかなり苦戦させられた。

 

 ただ、グリーンフィールドくん。君、何か街が結晶化していないかい?

 

 とりあえず、毎度お馴染みポケモンセンターへ向かうと、ついこの間別れたばかりの博士とママさんがいるのを見て悟る。これ、エンテイが来るやつや。

 ラティをママさんに紹介するのも程々に、すぐにオーキド研究所にいるケンジに連絡し、ドサイドン、リザードン、キングラー、ゲンガー、プテラの五体を交換するように頼む。偽物とはいえ、伝説と戦うならこちらもベストメンバーで挑まないとまず勝てないだろう。

 

 ジョウトの手持ちとベストメンバーの入れ替えを終了すると、丁度ママさんがエンテイに催眠術のようなものをかけられて連れて行かれる所だった。

 すぐにミュウツーを出したが、出遅れた上に逃げに徹しているせいもあってか、暴君でもエンテイをこの場で捉えることが出来なかったようだ。正確には、無理をすれば出来ないことはなかったのだろうが、人質になっているママさんの安全を考えて引いた形である。

 

 しかし、間に合わなかったか。

 

 まぁ、いいさ。最初からこうなるのはわかっていたんだ。人の母親を攫う不貞の輩は、このニューサトシが成敗してやるぜ。

 

 オーキド博士曰く、どうやら今回の事件はシュリー博士とかいう人物が、アンノーンについて調査中に行方不明になったことが関係しているらしく、あのエンテイもそれに関係しているのではないかということだ。

 ぶっちゃけそんな推察などどうでもいいのだが、話の最中、シュリー博士の娘らしいミーという少女から『パパとママが帰って来て、ミーは嬉しいの。このままがいい。誰も入って来ないで』とメールが届いた。

 想像で作ったエンテイが父親で、おまけに人の母親を奪って幸せとは、このクソガキには現実の厳しさを叩きこんでやらなければいけないらしい。

 

 ミーとエンテイはシュリー邸にいるということだったので、もうここには用はないとばかりにラティをボールに戻して出かける。

 しかし、当然といった感じでタケシとカスミさんもついてきた。放っておけないとのことだ。いつの間にか一緒に居たリンも慌てて追いかけて来て、ポケセンとの連絡用に自分のポケギアを貸してくれる。

 ぶっちゃけ、連絡することなど何もないが、まぁ何かの役には立つかもしれないし借りておこう。

 

 俺はリザードンで上から侵入するつもりだったのだが、タケシとカスミさんが一緒に来たので、ラティも出して下から普通に入ることにした。

 水は結晶化されていないということで、水路から中に侵入していく。途中、ポケモンセンターにいる博士から連絡が入って、アンノーンがミーという少女の心に反応して結晶を作り出しているという仮説を話してくれた。まぁ、知ってるんだけどな。

 

 フルメンバーを連れてきただけあって、シュリー邸への侵入は滞りなく成功した。

 だが、邸内はアンノーンの力が働いていて、外から見たよりも広く、また不規則に内部構造が変化している。アトラクションのように思えるのか、ラティが「たのしい」と言って笑っているが、今は笑っている場合ではないのだラティ君。

 

 階段を上っていくと、一際広い草原のような空間へと繋がっていた。さらに上への階段があることから、エンテイ達はその上にいるのだろう。

 すぐに先へ行こうしたのだが、丁度、上から件のエンテイと十代後半くらいの女性が現れた。当然、この女性はアンノーンの力によって具現化された成長したミーである。

 原作通り、ミーはポケモンバトルを求めてきた。

 どうやらタケシも言動から、この女性がミーだと気付いたようで、彼女からのバトルを引き受けている。いや、俺が受けるぞ。全ての階のミーをボコボコにして現実を見せてやる。

 

「お前は何でも一人でやり過ぎだ。たまには俺達に甘えろよ。それに、エンテイは上から来た。ママさんは多分、この上にいる」

「行きましょうサトシ。今はママさんを助けるのが先よ」

「サトシ、いく」

 

 確かに、その通りだ。

 

「俺の代わりにバトルするんだから負けんなよ」

「負けないさ。美人なお姉さんに良いところを見せたいからな」

「びじん?」

「あー! 何でもない何でもない! もう、ラティに変な言葉覚えさせないでよね!」

 

 しっかし、美人なお姉さんって言ったって中身はただの幼女だぞ。

 まぁ、いいか。とりあえず自信があるみたいだし、ここはタケシに任せて今は先に進もう。

 

 

 

 

 

◇◆

 

 

 

 

 

 サトシ達が上に行くのを見届けながら、改めて大人の姿になったミーと向き合う。

 

「使用ポケモンは三体。入れ替え自由でどうです?」

「わかったわ」

 

 意外にも、エンテイはサトシ達を追う素振りを見せなかった。むしろ、何の興味も無いと言わんばかりの態度だ。

 エンテイがミーを背中に乗せて距離を取ると、俺とミーの間にバトルフィールドが出来上がっていく。これも、アンノーンの力によるものだろう。

 

 バトルが開始すると、俺は一体目にゴルバットを送り出した。対するミーはモココを出してくる。おそらく、あのモココも作られたものだろう。俺がゴルバットを出したのを見て、相性有利なポケモンを出してきたらしい。

 

 とはいえ、相性だけで勝負が決まらないのがポケモンバトルだ。ゴルバットに『あやしいひかり』を指示して、モココを混乱させていく。

 ミーは反応できていない。おそらく、中身がまだ子供ということもあって、ポケモンバトル自体が初めてなのだろう。

 

 そのままゴルバットに、『どくどくのキバ』を指示して、猛毒を狙っていく。素人相手に大人げないかも知れないが、サトシに負けるなと釘を刺された以上、格好悪い所は見せられない。

 正直、最初はポケモンバトルや外に出る楽しさをミーに伝えるために負けるつもりだったが、どうもサトシはそういう甘い手ではなく、現実の厳しさを教えるつもりのようだしな。

 

 ゴルバットが突っ込むと同時に、ミーはモココにかわすように指示している。モココも混乱しながら何とか攻撃を回避した――と思いきや、急に混乱状態が解除されて目が正気に戻っていく。

 少し、混乱から治るのが早くないか?

 通常ならもうしばらく混乱状態が続くはずだ。これはもしかしたら、ミーの気持ちに反応して、作られたポケモン達にも何かしらの影響が出ているのかも知れない。

 

 ミーはすぐに『ずつき』を指示してきた。怯まされると電撃が飛んでくる可能性がある。ここは一旦退こうということで、『とんぼがえり』を指示して、モココにダメージを与えつつゴルバットをボールに戻した。

 そのまま二番手にイワークを送り出す。モココはでんきタイプだ。いわ、じめんタイプのイワークに有効打はそう多くないだろう。

 

 ミーは素直にモココを戻した。戻したと言っても、結晶化が解除されて消えただけだが。

 そのまま二番手としてゴマゾウを出してくる。

 ゴマゾウはドンファンの進化前でじめんタイプだ。いわタイプを持っているイワークにとって、じめん技は弱点でもある。

 

 しかし、ミーはゴマゾウに『ころがる』を指示してきた。じめんタイプも持っているイワークに、いわ技は効果今一つのはずだ。

 意図は読めないが、念のために『かたくなる』を指示して防御力を上げさせる。だが、ゴマゾウの『ころがる』が直撃すると同時に、イワークの巨体が吹っ飛ばされた。

 

「フフッ、こっちが小さいからって油断しちゃダメよ」

 

 油断も何もない。イワークの強化された防御を易々と弾き飛ばすゴマゾウなど存在するはずがないのだ。

 おまけに、『ころがる』は段階を経てダメージが上がる技のはず。一撃であそこまでのダメージが出る訳がなかった。仮に、アカネさんのミルタンクでも、一撃目では俺のイワークを吹き飛ばすことなど出来ないだろう。

 

 やはり、モココの時と同様、何か特別な能力アップがされていると見るべきか。少なくとも、このゴマゾウは物理攻撃に関してはサトシのドサイドンクラスだ。

 

「イワーク、『あなをほる』だ!」

 

 確かにその『ころがる』は脅威だが、技の性質的にしばらく『ころがる』を続けなければいけないという欠点も存在する。

 こちらは『あなをほる』で姿を隠した。対象を見失ったゴマゾウが『ころがる』をキャンセルした隙に、地面からの攻撃を仕掛ける。

 

「ゴマゾウ、『じしん』!」

 

 しかし、ミーはそんな都合関係ないとばかりに、『ころがる』をしているゴマゾウに別の技を指示してきた。

 普通なら、それに対応するなど出来るはずがない。

 だが、ゴマゾウは技の法則を無視して『ころがる』を自分の意思で解除した。そのまま指示通り、『じしん』を繰り出して、地中にいるイワークに大ダメージを与えていく。

 

「……常識が通用しないな」

 

 地中から出てきたイワークが戦闘不能になり、ミーがゴマゾウを抱きかかえて喜んでいる。

 相手は普通のポケモンじゃない。このまま常識通りのバトルをしても、俺に勝ち目はないだろう。

 

 三体目にロコンを出す。じめんタイプのゴマゾウはロコンに相性有利だ。

 ミーもわざわざポケモンを変えてくることはないだろう。申し訳ないが、真正面からのぶつかり合いでは勝機はないので、ここは大人げなく搦め手を使った戦法を使わせて貰うことにする。

 

 しかし、ミーは素直にゴマゾウを戻し、新たにヒメグマを出してきた。

 どうも相性云々では無く、自分の使いたいポケモンを使っているだけのようだ。だが、もう見た目には騙されない。モココやゴマゾウの時と同様、このヒメグマも通常とは違う何かがあるはずだ。

 

 ミーはヒメグマに『ばくれつパンチ』を指示してきた。『ばくれつパンチ』は命中率が低く、カイリキーのように攻撃を絶対に命中させる特性でもないと、とても使えるものではないはずだ。

 だが、俺はすぐにロコンへ回避を指示した。あれだけ自信ありげに指示してきた以上、命中率に補正がかかっていてもおかしくない。

 

 そのままロコンに『どくどく』を指示する。サトシが覚えさせた方が良いというので、技マシンを借りて覚えさせた技だが、まさかこうして使う日が来るとは思わなかった。

 

 ヒメグマが猛毒状態になり、ミーが負けじと再び『ばくれつパンチ』を指示している。

 こういった所は年齢相応か。真っ直ぐ戦うことしか出来ない素人特有の素直さが出ていた。

 

 ターン経過で治る混乱と違って、流石に猛毒は治せないらしく、ヒメグマが真っ直ぐロコンに攻撃を仕掛けてくる。

 ロコンに『こうそくいどう』を指示して回避に専念させた。今までと違って、回避主体の戦いに切り替えたことで、じれったく感じたミーが「正々堂々戦いなさいよ!」と文句を言ってくる。

 

「ポケモンバトルは、ただ殴り合うだけの喧嘩とは違います。技を駆使したトレーナー同士の駆け引きが重要になってくるんですよ」

 

 暗に、ミーの実力が足りないと言ったのが伝わったようで、グッと悔しそうな顔で歯がみしていた。

 しかし、その間にヒメグマの体力はどんどん削られていく。ミーの意識が一瞬それたことで、ヒメグマの動きも鈍ったので、そこを見逃さずに『かえんほうしゃ』で戦闘不能に持っていった。

 

 倒れたヒメグマが結晶体に戻ると、ミーはそのままバトルを中断してエンテイの背に乗る。

 

「貴方とのバトル、あまり楽しくないわ。別の子にバトルして貰う」

 

 そう言って、ミーとエンテイはサトシ達が向かった上の階へと向かっていった。負けると楽しくないというのは子供そのものだが、お姉さんの姿で言われるとちょっとショックだな。

 

 とはいえ、ここでこうしている訳にもいかない。ロコンをボールに戻すと、すぐにサトシ達の後を追うために階段を駆け上がっていった。

 

 

 




 原作との変化点。

・第163話『古代ポケモンパーク! アルフの遺跡!!』より、オーキド博士にラティを紹介した。
 しっかり、自分で自己紹介が出来た。とっても偉いぜ。

・くさむすびの技レコードを貰った。
 速攻でピカ様に覚えさせた。

・劇場版結晶塔の帝王より、タケシがミーに負けなかった。
 これまでのニューサトシレベリングに付き合っていることで、タケシもカスミさんもレベルアップしている。それにより、一方的に負けることはなかった。決着がつく前にミーが逃げたが、一応引き分けとしている。

・結晶ポケモンにはチートシステムが導入されている。
 独自設定だが、そうでもしないと素人の幼女相手にタケシが負ける理由がない。結晶ポケモンがレベル100説もあったが、映画だとカスミさんが意外と互角のバトルをしているし、チートの方が相手にしていて面白そうだったのでチートを採用した。


 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.53

 ピジョット Lv.51

 バタフリー Lv.50

 ドサイドン Lv.52

 フシギダネ Lv.51

 リザードン Lv.54

 ゼニガメ  Lv.51

 キングラー Lv.50

 カモネギ  Lv.50

 エビワラー Lv.51

 ゲンガー  Lv.51

 オコリザル Lv.50

 イーブイ  Lv.48

 ベトベトン Lv.49

 ジバコイル Lv.50

 ケンタロス Lv.49

 ヤドラン  Lv.50

 ハッサム  Lv.49

 トゲチック Lv.41

 プテラ   Lv.49

 ラプラス  Lv.49

 ミュウツー Lv.70

 バリヤード Lv.49

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.44

 カビゴン  Lv.43

 ニョロゾ  Lv.42

 ヘラクロス Lv.36→37

 チコリータ Lv.33→34

 ヒノアラシ Lv.33→34

 ラティアス Lv.30

 デルビル  Lv.29→30

 ワニノコ  Lv.24→25

 ヨルノズク(色違い) Lv.26→27

 カイロス(部分色違い) Lv.32→33

 ウソッキー Lv.30→31


 前話でカイロスの羽についての個所を修正しました。イメージだけで書いているのでにわかが発動しました。申し訳ございませんでした。また、何かおかしな所があれば教えていただけると助かります。




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#058 『おままごとなら他所でやんな』

 11歳 η月κ日 『やって良いことと悪いことの区別くらい教えてやれ!!』

 

 次の階は砂浜だった。夕焼け空に照らされた海が綺麗だが、とても室内とは思えない。

 カスミさんやラティと共に、次の階への移動ルートを見つけると同時に、結晶から具現化した大人のミーとエンテイが現れた。すると、「次はどっちがバトルしてくれるの?」と聞いてくる。

 

 どうやら原作通り、タケシは負けたようだ。

 

 それを肯定するように、エンテイも「ミーが負けるはずがない」と言っている。しかし、その瞬間、タケシのゴルバットが下からやってきた。

 足にはタケシからと思わしき手紙をくくりつけており、そこにはミーの出してくるポケモンが通常ではあり得ない能力を有していたこと、また搦め手で攻めたらムキになって逃げられたことが書かれている。

 

「ミーが負けるはずがないねぇ。おかしいなぁ、タケシからの手紙にはバトルから逃げられたって書いてあるけど? お前をトレーナーと言って良いかは別として、バトルを挑んだ側が逃げちゃダメだろう」

「だめー」

「そーだよな、ラティ。だめだよなー」

 

 しかし、ミーは「あの子が面白くないバトルをするのが悪いのよ」と顔を背けており、エンテイも「そうだ」とミーを肯定していた。この全肯定BOTエンテイめ。

 とはいえ、バトルを申し込まれた以上、受けるのはトレーナーの礼儀である。タケシは逃がしたようだし、今度こそ俺がこいつをボコボコにしてやろうと思ったのだが、今度はカスミさんが前に出て「ここは私に任せて」と言ってきた。

 

「貴女は?」

「世界の美少女。名はカスミ、これでも一応ハナダジムのジムリーダーの資格を持ってるわ」

「貴女がジムリーダー?」

「見損なわないでくれる。これでもみず系トレーナーとしてはかなりのレベルを自負してるんだから」

「みそこなわる」

「よし、ラティはこっちおいで」

 

 ラティはともかくとして、カスミさんの言葉を聞いて、ミーも「大人じゃ無くてもジムリーダーになれるんだ」と感心している。エンテイも「なれるさ。ミーは何にでも」と、またもや全肯定BOTになっていた。

 同時に、ミーの年齢が10代後半くらいから俺達くらいに変化する。どうやら、カスミさんに年齢を合わせていたらしい。

 

「あの子の実体はきっとサトシのママと一緒よ。早くママの所へ」

「そうまで言うなら任せるけど、負けたら罰ゲームだからな」

「ばつげーむ」

「じゃあ、私が勝ったらサトシが罰ゲームね」

「……やっぱ止めとく。とにかく負けんなよ!」

「まけんなよ!」

 

 ラティと共に次の階への階段に向かって走り出すと同時に、カスミさんが「私はハナダジムの子。みずタイプのポケモンでお相手するわ」と、ミーに宣言しており、向こうも「じゃあ、私もみずタイプのポケモン!」と張り合っている。

 同時に、海から大きな波が浜辺を襲い、室内が一気に水で一杯になった。水の抵抗こそ感じるが、呼吸は普通に出来る。本当に何でも有りだなと思っていると、下でカスミさんとミーのバトルが開始された。

 

 

 

 

 

◇◆

 

 

 

 

 

 サトシとラティを見送ると同時に、室内が水で埋め尽くされた。溺れると一瞬思ったけど、すぐに呼吸が出来ることに気付く。タケシの報告通り、本当に何でもありのようね。

 

「バトルしましょう」

 

 すぐにミーの方へ振り向くと、結晶で作り出したモンスターボールからキングドラを出してくる。

 サトシとシゲルとのバトルで初めて知ったけど、まさかシードラにまだ先の進化があるとはね。いつか、私のシードラもキングドラに進化させたいんだけど、りゅうのウロコってどこで手に入るのかしら。

 

 っと、相手のポケモンに関心している場合じゃないわね。こちらもパルシェンを一番手として送り出す。

 確かサトシに聞いた話だと、キングドラは進化したことで、みず・ドラゴンタイプに変化して、弱点がドラゴンとフェアリーのみになるのよね。つまり、相性有利なバトルは出来ない。

けど、それは相手も同じ。

 私はサトシと違って、ポケモンが覚える技を全て把握している訳じゃ無いけど、少なくともシードラまでではパルシェンに有効打のある攻撃はなかったはずよ。

 

 ミーはキングドラに『えんまく』を指示して、姿を隠していく。タケシからの手紙だと、搦め手はあまり得意じゃなさそうって書いてあったけど、タケシとのバトルでしっかり吸収されちゃったみたいね。

 とりあえず、特殊攻撃が来ると不利なので、『ひかりのかべ』を指示して特殊攻撃を半減させる。私はカンナ様みたいに『テレポート』で攻撃をひたすら回避させるなんて高等テクニックは使えないから、素直にガードを上げていきましょう。

 

 こっちの『ひかりのかべ』を見たせいかはわからないけど、ミーは『ずつき』を指示してきた。けど、パルシェンの物理耐久は天下一品よ。殻による防御でダメージを受け流し、そのまま『つららばり』でダメージを与えていく。

 私のパルシェンもカンナ様と同じ、特性『スキルリンク』だから、回数系の攻撃が最大回数出る。『つららばり』の五連射がキングドラを襲うけど、キングドラは悠々と『つららばり』を回避していった。

 

 天候が雨という訳でもないのに、あの回避能力は何なの? いくら何でも不自然すぎるわ。

 とても普通とは思えない。あれがタケシの手紙にあった通常ではあり得ない能力ってこと?

 

 ミーが次に『アイアンヘッド』を指示してきたので、『とげキャノン』で迎撃するも、キングドラは『アイアンヘッド』でキャノンを全て弾いてくる。

 そんなの有り!?

 そのままパルシェンに『アイアンヘッド』が直撃した。でも、パルシェンの物理耐久ならまだ耐えられる。こうなったら、こっちも物理技で行ってやろうじゃない!

 

 パルシェンに『とっしん』を指示して、キングドラに突撃をかける。ミーも、受けて立つとばかりに、キングドラに『とっしん』を指示していた。

 二体の体がぶつかり合う。普通なら耐久の高いパルシェンの方が有利のはずなのに、キングドラはまだまだ行けるという顔をしている。

 

 いつもサトシに付き合わされている私達のポケモンは決して低いレベルじゃない。

 流石に四天王クラスとは言わないけど、それでも私のパルシェンはジムリーダーの本気ポケモン相手でもかなり良い勝負が出来るレベルになっている。

 そのパルシェンの攻撃を受けて意にも返さない耐久力に、こちらの攻撃を楽勝で躱してくるあの回避力。多分、タケシとのバトルで変化技に苦戦した結果、あの回避力を。負けたくないという気持ちがあの耐久力を生み出しているんでしょうね。厄介なことだわ。

 

 とはいえ、回避や防御に重きを置いているからか、思った以上に攻撃力は高くない。このまま物理的な攻撃合戦になれば、私の方が有利に立ち回れるはず――

 

「キングドラ、『はかいこうせん』!」

 

 こちらの意識が攻撃によった瞬間を狙っての特殊技!? いえ、多分偶然でしょうね。けど、いくら『はかいこうせん』とはいえ、『ひかりのかべ』で威力は下がっている。パルシェンの特殊防御が低い方とはいえ、そんな簡単には倒れは――って! 倒れた!?

 

「パルシェン!?」

 

 ダメージ的にはまだ十分耐えられたはず。まさか、『ひかりのかべ』の効果を無効にしてきた?

 そうでもなければ、私のパルシェンが倒れるとは思えない。急所への一撃という感じでもなかったし、多分ミーの搦め手への苦手意識が『ひかりのかべ』を無効化してきたんでしょうね。

 

 ミーを見ると、キングドラと一緒に無邪気に勝利を喜んでいる。多分、あの子が意識してやってるんじゃない。無意識の感情にアンノーンが反応しているんだわ。

 

 ミーはお役目ご苦労様とばかりに、キングドラを結晶に戻し、また新たなモンスターボールを構えた。こちらもパルシェンを戻し、次のボールを準備する。

 ミーの二体目はマンタイン、私はスターミーを送り出した。スターミーは『10まんボルト』が使えるわ。相手がみず・ひこうタイプなら有利に立ち回れるはず。

 

 ミーはマンタインに『たいあたり』を指示してきた。こちらは『10まんボルト』で弱点を突いていく。思った通り、感電はしない。海を模してはいても、実際に海の中という訳ではないみたいね。

 流石に、みずタイプにでんき技が効かないということはないようで、四倍弱点の攻撃を受けてマンタインが大ダメージを受けていた。

 やはり、中身はまだ子供のようで、「みずポケモンがでんき技!?」と驚いている。しかし、すぐに『うずしお』を指示して、こちらの動きを封じてきた。

 けど、その辺りの拘束技は私のスターミーには効かないわ。『こうそくスピン』を指示して、マンタインの『うずしお』から抜け出していく。同時に、『しおみず』を指示して、かつてサトシを苦しめたコンボをマンタインにおみまいした。

 

 ミーも素直に「すごーい」と感心している。しかし、まだまだ諦めないとばかりに、マンタインに『とっしん』を指示していた。

 こちらも負けじと『こうそくスピン』で対抗する。勝つだけなら、それこそ『どくどく』のような変化技を使えばいいだけだわ。だけど、多分この子はそれじゃ納得しない。きっと、タケシの時みたいに逃げてしまう。

 この子が納得するには、真っ正面からこの結晶ポケモンを倒すしかない。そう判断し、スターミーを突撃させた。

 

 ミーも、ようやく楽しいバトルが出来たとばかりに喜んでいる。それを見て、エンテイも優しげな笑顔を浮かべていた。

 

 

 

 

 

◇◆

 

 

 

 

 

 階段を上りきると、結晶で出来た部屋にたどり着いた。奥にはベッドが一つ置いてあり、眠っているミーの本体をママさんが面倒見ている。

 どうやら怪我はないらしい。心配したと伝えると、ママさんは逆に「こんな所に来るなんて、相変わらず無茶な子ね」と感心していた。別に大したことはしてませんけどね(キリッ)。

 

 この部屋に誰かがいるような気配は感じない。おそらく、アンノーンはこの場にはいないのだろう。

 エンテイもカスミさんが引きつけてくれている。今のうちに脱出しようと提案すると、ママさんも頷いてミーを起こしていた。

 ママさんと一緒に、ミーにここから出るように言葉をかけるが、ミーは今の幸せを失いたくないと悲鳴を上げる。それに反応するように、アンノーンの力が発動し、部屋中が結晶で埋め尽くされていった。

 

 ラティには元の姿に戻って、ママさんの所へ行くように指示を飛ばす。まさかポケモンだとは思わなかったのか、ママさんも驚いていたが、ラティが『まもる』と思念を飛ばすと「お願いね」と頭を撫でていた。

 同時に、ミーの異常を感じ取ったらしいエンテイもこの場に現れ、「その人を置いて出て行け」と言ってくる。てめぇ、何様だ? 調子に乗るのもいい加減にしろよ。

 

「ここではその人はミーの母親なのだ」

「おままごとなら他所でやんな。他人に迷惑をかけて喜ぶような子供遊びに付き合う趣味はねぇんだ。今の状況を見たら、その子の本当の親も悲しむだろうぜ」

 

 俺のストレートな言葉に、隠れて様子を見ていたミーが悲しそうな表情を浮かべる。同時に、エンテイの顔に怒りの表情が宿った。

 

「出て行け」

「行かねぇよ。てめぇ、確かその子の父親とか抜かしてたっけか。仮にも父親名乗るなら、やっていいことといけないことの区別くらい教えてやれ! てめぇはその子を甘やかしているだけだ。そんなの父親でも何でも無い。てめぇには父親を名乗る資格もねぇよ!!」

 

 エンテイは怒りに任せて『せいなるほのお』を繰り出してきた。それを躱し、キングラーを出す。

 おまけに、かつてセキエイ大会でブルーがやったボール技術を応用して、ボールをエンテイの近くまで投げた。それにより、キングラーはエンテイのすぐ側に姿を現している。

 即座にキングラーへ『クラブハンマー』を指示した。エンテイは躱すために両足に力を入れたが、それよりもキングラーの攻撃が当たる方が早い。弱点の攻撃を受けて、エンテイが一瞬顔を顰めるも、すぐに距離を取って『せいなるほのお』で反撃してきた。

 

 だが、俺のキングラーも一撃でやられるほど弱くない。追撃の『クラブハンマー』を食らわせるために跳躍する。

 しかし、エンテイもまた早かった。『クラブハンマー』を躱し、再び『せいなるほのお』でキングラーを戦闘不能にしようとする。流石のキングラーも二度目は耐えられなかったが、一矢報いるとばかりに、いつの間にか覚えていた『ハイドロポンプ』をエンテイにおみまいしていた。

 

 キングラーは特攻の種族値が高くないが、それでも高威力のみず技を受けたエンテイもノーダメージではなかった。

 俺もキングラー一体で伝説のポケモンを倒せると自惚れては居ない。続く二体目にドサイドンを出し、即座に追撃をかけた。

 エンテイも、二度も同じ小細工は通じないとばかりに、俺のボールを避けるように移動している。いいさ、ここからは真正面からのバトルだ。

 

 ドサイドンに『じしん』を指示する。ここは室内だが、アンノーンの力があるから壊れはしないだろう。遠慮無く、じめんタイプの高威力技で弱点を突いていく。

 エンテイも結晶を足場に跳躍して攻撃を躱していくが、その避け方は想定内だ。『がんせきほう』を指示して、空中で動けないエンテイにさらなる追撃を与える。いくらエンテイが強いとはいえ、ドサイドンのタイプ一致威力150の弱点技を受けたのだ。ただでは済まないはずである。

 

 実際、ダメージは大きかったようで、「ぐぅ」と苦しそうな声を上げながらエンテイが体勢を立て直した。

 だが、エンテイが体勢を立て直す間に、ドサイドンの反動も解除されたので、追撃の『ドリルライナー』でとどめを刺そうとする。エンテイも負けじと立ち上がり、口から緑色の光線を出して反撃してきた。

 

 耐久力のあるドサイドンが一撃で戦闘不能になる。どうも、あれはドサイドンの弱点であるくさタイプの技による攻撃のようだ。

 特性、『ハードロック』を持っているドサイドンが一撃で戦闘不能になったってことは、かなりの威力の技だと推測できる。しかし、仮に『ソーラービーム』だとしたら、技の溜めがいるはずだ。これが、タケシの言っていた通常ではあり得ない何ちゃらって奴か。

 

「成程な。幻なら、何でも有りって訳か」

「私が幻だと?」

「結晶化した肉体。本来あり得ない技の使い方。幻以外の何がある。現に、普通なら戦闘不能になってもおかしくないダメージを受けたにもかかわらず、お前のダメージは回復しつつある。その超回復も通常のエンテイにはあり得ないことだ」

 

 少なくともキングラーの与えたダメージは既に回復していると見て良い。でなければ、二度の弱点技を受けた上で『がんせきほう』を受けて、こんなにピンピンしているはずがないのだ。

 

「ただまぁ、サンドバッグは固い方が助かる。ここの所、新人の育成ばっかりで、全力バトルは出来てなかったしな。もう少し、俺のポケモン達に付き合って貰うぜ!」

「ほざけ!」

 

 エンテイの咆哮に合わせ、三体目のプテラを送り出す。今回、ピカ様、リザードン、ゲンガー以外は全員対エンテイ用に相性を重視した選出をしていた。

 ドサイドンは草技で倒されたが、プテラはひこうタイプも持っているが故に、くさ技も効かない。さて、こいつをどうやって倒す、エンテイさんよ。

 

「私は、幻ではない。私は、この子の父親だ!!」

「なら、少しは父親らしいことをしろ! てめぇはその子のしたいことをさせているだけだ! 他人に迷惑をかけて喜ぶような子供を認める父親なんてクズと変わんねぇよ!!」

 

 俺の咆哮と同時に、プテラの『ストーンエッジ』がエンテイに向かって発射される。だが、エンテイはそれを回避せずに、真っ直ぐプテラへと突進してきた。

 ダメージを受けた上でプテラに覆い被さり、そのまま馬乗りになる。押さえつけられては『じしん』や『ストーンエッジ』は使えない。『かみくだく』を指示して、エンテイに噛み付かせる。

 しかし、エンテイは効かぬとばかりに『せいなるほのお』を連打して、強引にプテラを戦闘不能にしてきた。

 

「これでも私が幻だというのか!?」

「ドサイドンが与えたダメージも回復したか。こりゃ、ダメージの積み重ねで勝つのは無理か?」

 

 もはや、問答をするつもりはない。こいつは俺の言葉を理解しようとはしないだろうし、ミーもまた俺の言葉を否定するだけなのは目に見えている。この馬鹿親子に現実を見せつけるには、あの子が生み出したこの幻のエンテイを真っ向から倒す以外に手はないのだ。

 

 勝負をつけるつもりで、四体目としてリザードンを出そうと思ったが、ピカ様が飛び出していく。どうやら続け様に仲間がやられて我慢の限界が来たようだった。

 戻すつもりはない。気持ちはわかるので、そのままピカ様でエンテイと対面する。純粋なパワーは他の進化後ポケモンより多少劣るが、ピカ様にはスピードとテクニックがあった。

 

 エンテイの『せいなるほのお』を弾くように、『10まんボルト』を当て攻撃を相殺していく。『こうそくいどう』でスピードを上げながら防ぎきれないものは回避し、隙を見て『わるだくみ』で火力を上げて行った。

 

 速度と火力を最大まで上げると、『かげぶんしん』でエンテイを惑わせていく。いくらチートポケモンとはいえ、分身を見破るのは難しいようで、その隙をついてピカ様がエンテイの背中に飛びついた。

 そのまま、ゼロ距離『かみなり』を全力でお見舞いする。アニメで大型ポケモン相手に良くやる攻撃だが、思えばこの戦術を使うのは初めてかもしれない。

 だが、この場でいえば有効な策だった。

 エンテイは四足歩行型のポケモンだ。当然、背中は死角であり、振りほどくには体を揺らす以外に方法はない。ピカ様は死ぬ気で捕まっており、最大火力の『かみなり』は回復よりも早くエンテイの体力を削っていく。

 

 このまま行けるかとも思ったが、エンテイは恥を捨て、背中から地面に倒れこんだ。

 エンテイと地面に挟まれたピカ様の拘束が一瞬緩み、エンテイが自由を取り戻す。倒れたピカ様は体勢を立て直そうとしていたが、それよりも『せいなるほのお』の追撃が来る方が早かった。

 

 ピカ様が直撃をくらい、そのままこちらへ飛ばされてくる。流石のピカ様とはいえ、エンテイの『せいなるほのお』の直撃は耐えられない。地面に落ちる前にキャッチしたが、戦闘不能となってしまった。

 

「よくやった」

 

 だが、このダメージは決して小さなものではない。時間をおけば回復されてしまうだろうが、その前に一気に勝負をつける。

 五体目として、リザードンを出す。正直な話、倒すだけならゲンガーに『ほろびのうた』や『みちづれ』を使わせれば良いだけだし、最悪は暴君に頼るという手もある。

 最初はダメージ勝ち出来るかと思って、開幕ゲンガーという大人げのない行動は自重したのだが、もしリザードンが奴の相手にならなければその手を解禁しようと思う。

 

 しかし、今、俺とリザードンの気持ちは一つになっていた。こいつをぶっ飛ばすという気持ちだ。

 これまでは何だかんだそこまで深く気持ちを一つにするには、負けたくないという気持ちがリンクするしかなかったが、この状況が俺達の気持ちを最初から一つにしてくれていた。

 

 きずな現象が発生し、俺達の意識がシンクロしていく。体に炎の膜がある以上、まだ完全なきずな現象ではないようだが、それでも開幕から意識が一つなったのはこれが初めてだった。

 

「何だ、そいつは……?」

「きずなリザードン。俺とリザードンの力だ」

 

 きずなリザードンが『フレアドライブ』で、真っ向からエンテイに突撃していく。同時に、エンテイも『フレアドライブ』で応戦してきた。

 この野郎、当たり前のようにフレドラ使ってんじゃねぇ! このチートが、唯一神はレベルでフレドラなんて覚えねぇだろうが! まぁ、それを言ったらソラビも覚えねぇんだけどな!

 

 通常状態ならぶっ飛ばされていたかも知れないが、きずなリザードンはエンテイに拮抗している。

 エンテイも押し切るのは無理と判断したようで、バックステップからの『せいなるほのお』を撃ってくる。こちらも『かえんほうしゃ』で迎撃した。『ブラストバーン』なら貫くことも出来ただろうが、反動で少しの間動けなくなる。こいつ相手に動きを止めるのは流石にリスクが大きすぎた。

 

 互いの攻撃が相殺される。これまで俺のポケモンを簡単に戦闘不能にしてきた『せいなるほのお』を『かえんほうしゃ』で相殺できたということは、流石のチートエンテイもまだ体力を回復しきれていないという証拠だ。

 とはいえ、それも時間の問題だろう。おまけに、きずな現象は約一分が限界だし、このままだらだらバトルをすれば不利になるのはこちらの方だ。

 

 エンテイの動きを封じるために『ほのおのうず』を使う。いくらエンテイとはいえ、きずなリザードンの拘束技はそう簡単に解除できないはずだ。その間に、全力の『ブラストバーン』で勝負を決める。

 こちらが勝負に出るとわかったようで、エンテイもまた拘束されたまま『せいなるほのお』を口元で貯めて巨大な玉のようにしていた。少しでも威力を上げようということだろう。

 

「決めるぞ! 『ブラストバーン』!!」

 

 こちらの究極技と向こうの最大攻撃がぶつかり合う。

 互いの全力攻撃ということもあって、衝撃で部屋中の結晶にヒビが入っていく。しかし、流石は偽物とはいえ、伝説のポケモンである。きずなリザードンの全力を持ってしても尚、その攻撃を相殺するのが限界だった。

 

 きずな現象が解除される。慣れてきたのか、はたまたダメージをそこまで受けていないからか、疲労は今までよりも格段に少ない。

 しかし、きずな化して尚、勝てなかった以上、今のリザードンではエンテイに勝つことは出来ないだろう。良い経験をさせて貰ったということで、リザードンを戻してゲンガーを送り出す。

 

 悪いなゲンガー。本当なら、お前も真っ向からエンテイと戦ってみたいと思うだろうけど、一丁頼むわ。

 

 俺の言葉を聞いて、仕方ないとばかりにゲンガーが『ほろびのうた』を歌う。エンテイは特に疑問も持たずに、『せいなるほのお』を撃ってきた。

 回避に専念するゲンガーだが、多段攻撃にシフトしたエンテイの一撃を避け切れずに戦闘不能になる。だが、同時に『みちづれ』が発動し、そのままエンテイも戦闘不能に持って行く――

 

 ――はずだった。

 

「チッ、何でも有りにも程があるだろう」

 

 エンテイは何をしたかわからないとばかりの表情でピンピンしていた。どうやら、アンノーンの力のおかげか、エンテイに『みちづれ』は効かないらしい。この分だと、『ほろびのうた』も効果はないだろう。

 ゲンガーをボールに戻す。

 ピカ様がこうなればまた自分が出るしかないと頬の電気袋をスパークさせながら傷ついた体を起こしているが、いくらなんでもそれは無謀だし、そろそろこの馬鹿騒ぎにもケリをつけたい。マスターボールを出して、暴君にご登場願った。

 

『随分、苦戦しているようだな』

「お前の力なしでも勝てるかと思ったけどな。いろいろ法則無視されるとどうにも辛い物があったわ」

『見ていたから知っている。私も相当だが、あの者は本当の意味で作られたポケモンなのだろう』

「勝てるか?」

『勝つさ。私を誰だと思っている? 私はミュウツー、最強になるべくして生まれたポケモンだ』

 

 

 




 原作との変化点。

・カスミさんがミーと互角の戦いをしている。
 映画ではトサキントがキングドラに瞬殺されたが、チート攻撃を分析しながらの戦いになっている。劣勢だが、スターミーを軸に立て直した。場面転換したが、最終的には時間切れでミーの結晶は消え、エンテイは最上階へ戻った。

・ニューサトシとエンテイが戦った。
 エンテイは常時リジェネと、常時パワフルハーブ、技マシン、技レコード技使用可能のチート状態。レベルは60くらいで、個体値は最大に設定されている。相性をついてダメージを与える作戦でサンドバッグにしたが、リジェネで回復された。きずな化が完全な状態なら勝てた可能性はあるが、最終的にはゲンガーのほろびのうたやみちづれも無効にされたのでミュウツーに降臨願っている。チートポケモンなので経験値が普通のポケモンより多く、負けても尚レベルが上がった。


 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.53→54

 ピジョット Lv.51

 バタフリー Lv.50

 ドサイドン Lv.52→53

 フシギダネ Lv.51

 リザードン Lv.54→55

 ゼニガメ  Lv.51

 キングラー Lv.50→51

 カモネギ  Lv.50

 エビワラー Lv.51

 ゲンガー  Lv.51→52

 オコリザル Lv.50

 イーブイ  Lv.48

 ベトベトン Lv.49

 ジバコイル Lv.50

 ケンタロス Lv.49

 ヤドラン  Lv.50

 ハッサム  Lv.49

 トゲチック Lv.41

 プテラ   Lv.49→51

 ラプラス  Lv.49

 ミュウツー Lv.70

 バリヤード Lv.49

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.44

 カビゴン  Lv.43

 ニョロゾ  Lv.42

 ヘラクロス Lv.37

 チコリータ Lv.34

 ヒノアラシ Lv.34

 ラティアス Lv.30

 デルビル  Lv.30

 ワニノコ  Lv.25

 ヨルノズク(色違い) Lv.27

 カイロス(部分色違い) Lv.33

 ウソッキー Lv.31




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#059 『おい、俺とバトルしろよ』

 11歳 η月κ日 『アンノーンが悪いよ、アンノーンが』

 

 ミュウツーとエンテイのバトルが始まった。こちらは開幕で当然のように『サイコキネシス』を指示する。

 エンテイはゲンガーがコンサートをしている間に、体力を回復しきったようで余裕の態度だったが、サイキネの直撃を受けると表情が変わった。どうやら足掻こうとしているようだが、ミュウツーのタイプ一致サイキネをそう簡単には弾けないようで苦しい表情を浮かべている。

 

 エンテイが何とか気合いで自由を取り戻すと、『せいなるほのお』で反撃してきた。

 こちらも『シャドーボール』で迎撃する。タイプ不一致など関係ないとばかりに、シャドボが炎弾を弾いてエンテイに直撃した。

 爆炎で視界が塞がる中、ダメージを受けながらもエンテイが『フレアドライブ』で突っ込んでくる。こちらは当たり前のようにスプーンを作ってエンテイの突撃を受け流した。

 

 そのままエンテイに向けて、再びの『サイコキネシス』を指示したが、エンテイのピンチに反応して再び室内に結晶の柱が現れる。

 咄嗟に回避したが、次々と現れる結晶の柱がミュウツーの攻撃を妨害していく。チッ、このままじゃ、結晶で部屋が埋まってバトル所じゃなくなるぞ。

 

 仕方ないので、ミュウツーに後を任せて、外でバトルして貰うように頼む。頷いたミュウツーがサイキネでエンテイを放り投げると、そのまま勢い良く外へ飛び出して行った。

 チラッと様子を見たが、俺がさっきエンテイをサンドバッグと呼称したのは間違っていなかったようで、エンテイの攻撃を全て凌ぎ、ミュウツーが圧倒的な力でエンテイを押さえつけている。

 ただ、エンテイもチートみたいな不死性を持っているおかげもあって、ミュウツーに屈するようなことはなかった。能力だけであれば、完全にエンテイを上回っているミュウツーも、この回復力には手こずっているようだが、久しぶりに全力を出せるから喜んでいるようでもある。

 

 ミュウツーがエンテイを引き付けてくれている間に、俺もまたミーに現実を突きつけることにした。

 俺がエンテイと戦っている間に、カスミさんとタケシも上がってきたようで、今はママさんと一緒にミーのことを説得している。ついでに何故かロケット団もいてラティが大喜びしているが、まぁ今はどうでもいい。

 

 ミーはエンテイのことが気になるようだが、俺と違って真摯に向き合ってくれるみんなの言葉に心を打たれているようにも見えた。だが、そこに空気を読まないニューサトシが乱入するぜ。

 

「ここに居れば、確かにお前は幸せなんだろうよ。でも、それは束の間のものだ。いずれ、この異常を放置できなくなった人間によって、お前達の幸せは脅かされる。そして、お前はまた一人になるだろう」

 

 タケシやカスミさんが余計なことを言うなと睨み付けてくるが、俺は優しい言葉で甘やかすなんて面倒なことはしない。現実を分からせなければ、いつかまた同じことが起きるかも知れないのだ。

 

「俺には仲間がいる。それはこれまでの旅で得た宝だ。時には喧嘩もするけど、それでも俺が一人じゃないのは、こいつらがずっと居てくれるからだ。お前には、そういう仲間はいるか?」

 

 ミーは「私の友達はここにいる」と言って、結晶からゴマゾウ、ヒメグマ、モココを作り出した。しかし、それは作り物の仲間だ。自分の都合の良い、おもちゃと何も変わらない。

 

「ポケモン達だけじゃない。カスミやタケシだって、俺の仲間だ。俺が何か間違えば、こいつらが正してくれる。だから、俺は間違わずに前を歩ける」

 

 すると、ミーは「私には、そんな人居ない」と涙をこぼした。それを見たラティが悲しそうな顔で『なかない』と、ミーに顔を寄せている。

 

「いないなら、作れば良い。外に出てな」

 

 そういうと、カスミさんやタケシも同意してくれる。俺達も最初からずっと仲間だった訳じゃない。旅をして、出会って、それから仲間になったんだ。

 

「お前は、一人が嫌だったんだろう? だからママを攫った。けど代わりに、俺はママを失ったってことだ。お前は俺のママを攫って幸せかもしれないが、俺は自分のママがいなくなれば悲しい。お前と一緒だ」

 

 ハッと、ミーはママさんに視線を向けた。

 自分が悲しいと思ったことを、他人にしたということが、ようやく自覚できたのだろう。ママさんも黙ってはいるが、何も否定しないということはそういうことである。

 

「勿論、このままお前を一人にするつもりはない。ママだって、このままミーを放っておくつもりはないんだろ?」

「そうね。ミーちゃんの本当のパパとママが帰ってくるまでは一緒にいるつもりよ」

 

 だと思った。

 

「ここから出ても、お前は一人じゃない。もう少し大人になったら旅に出て、今度は本当の仲間を作れば良いさ」

 

 何だかんだ、俺も甘いな。結局は優しい言葉をかけちまった。もっとボコボコに叱るつもりだったが、やはり泣いている子供相手は少しやりづらい。

 だが、ミーもようやく外に出る決意をしてくれたようで、俺達の言葉に頷いている。同時に、ミュウツーとエンテイが天井を突き破って中に戻ってきた。どうせ、この暴君のことだ。超能力で俺達の話を聞いていたのだろう。

 

 ミーが外に出ることをエンテイに伝えると、エンテイもまたそれがミーの幸せに繋がるならと頷いている。まぁ、この全肯定BOTエンテイなら、ミーが外に出ると言えば拒否はしないと思っていた。

 

 これでめでたしでめでたし――と、思いきや、突如としてアンノーンが暴走を起こして、シュリー邸が結晶で埋め尽くされていく。

 ポケギアに通信が入り、博士からアンノーンの暴走は外にも影響が出ているという連絡があった。街も結晶化現象が進んでいるようで、このまま放置すれば最悪人死にも有り得るらしい。

 

 すぐにミュウツーと共にアンノーンがいるエリアまで行き、その暴走を抑えに行く。だが、暴走しているだけあって、あのミュウツーですらアンノーン達を制御するのに苦労していた。

 エンテイとの戦いで力を消耗していたのも影響しているのだろう。ピカ様やリザードン、ラティで援護するも、暴走を制御するには少し時間がかかりそうだ。しかし、その間に街は結晶に飲まれてしまうだろう。

 

 流石にまずいと冷や汗を流していると、エンテイが後ろから現れ、「最後に私に出来るのは、ミーをここから出してやること」と言って、ミュウツーの援護に回った。

 暴走するアンノーンに突撃するエンテイ。

 しかし、これまで不死身の力をこれでもかと見せつけていたエンテイだが、力の大元であるアンノーンには逆らえないのか、簡単に攻撃が弾かれて体が壁に激突している。見れば、体に出来た傷が修復されていない。同じ力同士だとダメージを受けるようだ。

 

 エンテイが再びアンノーンに突っ込んでいくと同時に、タケシやカスミさん、ママさんにミーもやってきた。

 傷つくエンテイを見て、ミーが「パパ!!」と心配の声をかける。同時に、エンテイのパワーが少しだが上がった。どうやら、アンノーンが暴走してもまだミーの力は有効らしい。なら、まだ勝機はある。

 

「ミー! エンテイを信じろ! お前が信じるお前じゃない、エンテイが信じるエンテイでもない。お前が信じる、エンテイを信じろ!」

 

 と、どこかのドリルアニメで出てきた格好いい兄貴が言っていたのを丸パクリする。ここまでくればもう理屈ではないのだ。

 ミーも言葉の意味はわからずとも、エンテイを信じろというのは伝わったようで目を閉じてエンテイを応援している。エンテイもまた、ミーの気持ちが自分を強くするとばかりに、どんどん力が強くなっていった。ミュウツーも負けじと力を強め、二体の伝説ポケモンの力が合わさり、アンノーンの暴走も収まっていく。

 

 暴走が収まったアンノーン達が不思議な光を放つと、屋敷や街の結晶化も解除されて行った。同時に、光に包まれたエンテイが「ミーの夢に帰る」と言ってこの場から消えていく。

 

 これで、本当にめでたしめでたしだが、ママさんはもうしばらくミーと一緒に居ると言っていた。数日一緒にいて、このままミーが一人のようなら、マサラタウンに連れて行って一緒に住むつもりのようだ。

 俺達も数日は一緒に居ることにした。

 多分大丈夫だと思うが、まだ完全にアンノーンの脅威がなくなったと決まった訳ではないし、何かあった時に対応できるようにしておくのが無難な所だろう。別にミーが心配などということでは断じてない。

 

 

 追記。翌日、行方不明になっていたミーの父親であるシュリー博士が発見されたらしく、数日後にはこの家に帰ってきていた。そういえば、映画もそんな終わりだったっけか。

 

 

 

 11歳 η月ν日 『伝書ポッポは便利だよな』

 

 ロケット団が伝書ポッポを捕まえるという悪事を働いていたので、いつも通りにやなかんじーにしてやった。

 

 伝書ポッポは手紙以外にも小さな荷物を届けることが出来る便利なシステムだ。かくいう俺も、かつて『なみのり』の技レコードを届けて貰うために特急ピジョット便を使って貰った過去がある。この伝書ポッポも根底は一緒なのだ。

 

 ロケット団もその便利さを利用しようとしたようだが、そんなことはこのニューサトシが許さない。また博士に技マシンやレコードをせびった時にはお世話になろうと思っていますので、その時は何卒よろしくお願いします。

 

 

 

 11歳 η月ο日 『そういえば、ここで進化するんだっけかw』

 

 雨が降っていたので、とあるお屋敷で雨宿りさせてもらったのだが、どうやらここはアンナという女性が営んでいる診療所らしい。

 アンナはタケシ好みの綺麗なお姉さんで、ズバットの『ちょうおんぱ』を使って診察をしているようだ。タケシも自分のゴルバットを出して診察を手伝おうとしていたが、ゴルバットだと『ちょうおんぱ』が強力すぎて診療の手伝いは出来ないらしい。

 

 そういえば、アニメだとズバットはここで進化するんだっけ? 何か、そんなエピソードを見たような気もする。

 まぁ、仮にズバットだったとしても、原作よりも強くなっているだろうし、どの道診察は無理だったと思うけどな。

 

 ショックを受けたタケシだが、診療の手伝いは無理でも他のことで手伝いをすると、料理の手伝いをしようとしている。すると、食料庫にロケット団がいて、食べ物を盗もうとしていた。「俺の見せ場を奪うなぁ!!」と叫んだタケシがゴルバットでロケット団をやなかんじーにしている。

 そのおかげかはわからないが、ようやくなつき度もマックスになったようで、ゴルバットは無事クロバットに進化していた。災い転じて福と成すともいうが、タケシにしてみれば踏んだり蹴ったりな結果かも知れないな。

 

 

 

 11歳 η月π日 『かくとう道場か。よかろう』

 

 暴れたケンタロスに襲われそうだった老人を、金角のカイロスを出して助けたのだが、助けたケンゾウという老人が俺の実力を買って、自分の運営している格闘道場に来て欲しいとお願いしてきた。

 

 ほう、道場とな?

 

 かつてエビワラーで道場破りをしたニューサトシとしてはなかなかに興味がある。一応、バトルになってもいいように、デルビルとヨルノズクを、エビワラーとオコリザルに入れ替えたのだが、その二体を見たゲンゾウが俺こそが跡継ぎに相応しいと囃し立ててきた。

 

 跡継ぎというのは意味がわからないが、とりあえずゲンゾウの道場にお邪魔させてもらう。

 そこでは、ケンゾウの孫娘であるチグサという少女が、カポエラーと共に門下生に技の指導をしていた。しかし、チグサは格闘技をコンテストか何かと勘違いしているのか、技を美しくリズミカルに出すことに拘っているようだ。

 

 ラティは気に入ったのか、リズムに合わせて足を上げているが、スカートの中身が見えるから止めなさいとカスミさんに注意されていた。中身がポケモンだからはしたないと感じないのだ。

 

 まぁ、それはともかくとして、ゲンゾウもそんなダンスのようなものでは実戦では通用しないと苦言を口にしている。

 実際、そんなリズムのとれた技など、相手からしてみれば読みやすいだけだろう。おまけに、技が型通りで綺麗すぎるから尚動きが読みやすい。ゲンゾウもそれでは駄目だと言っているが、チグサはその意味が理解できていないらしく、絶対に見返してやると意気込んでいた。

 

 ゲンゾウはそんな孫娘を見かねて、俺を跡継ぎにしたいと言い出したのだろう。当然、チグサはそんなの認めないと怒っており、俺にどちらが跡継ぎに相応しいか勝負を仕掛けてくる。

 

 ぶっちゃけ、跡継ぎなどどうでもいいが、売られたバトルは買うのが礼儀だ。正直、ああいうわかりやすいタイプはエビワラーのカモなのだが、ここは久しぶりにオコリザルを出すことにした。

 こいつも最近は出番がなかったからか、久しぶりに戦えると喜んでいる。新人育成のために、カントー組はジム戦くらいしか出番がなくなっちまったからな。けど、ここでその鬱憤も晴らしてくれ。

 

 チグサとカポエラーは正直そこまでレベルは低くなかった。しかし、技が綺麗でリズムが読みやすく、カウンター使いでもないオコリザルですら動きを完全に見切れている。

 おまけにコンビネーションも良くない。チグサがカポエラーと呼吸を合わせられていないから、『こうそくスピン』や『トリプルキック』も、動きにワンテンポずれが起きている。それが更なる隙となって、本来の持ち味を全て潰してしまっていた。

 

 とはいえ、バトル中にわざわざ教えるようなことではないので、大人気なくオコリザルで圧倒する。

 

 チグサも何故負けたのか理解できず、一瞬呆然としていたが、すぐにカポエラーを回復させて「もう一度」と再戦を望んできた。

 拒否する理由はないので、今度はエビワラーを出して、カウンターで一撃の元沈める。ずっと練習していただけあって、超カウンターも大分ものになってきたようだ。

まぁ、相手のリズムが読みやすかったというのもあるだろうが、危なげなく技を成功させているのは成果と言えよう。二連敗して、さしものチグサもショックだったのか、「何でなの?」としょぼくれた声を出している。

 

 そんなこんなで俺がチグサをボコボコにしていると、ジロウとかいう格闘家が道場破りにやってきた。

 

 どうもこのジロウとかいう奴は最近道場破りをしていることで有名らしく、ここの看板も頂くと宣言している。その噂を聞いていたゲンゾウが受けて立つと意気込んでいたが、急なギックリ腰が起きてしまったようで動けなくなってしまった。

 仕方なくチグサが、自分が相手になると言ってバトルを受けようとしたが、カポエラーは俺とのバトルで戦闘不能になっている。「あ!」という声を聞けば、もう薬がないのは一目瞭然だった。

 

 こうなっては仕方ないので、俺が代わりにバトルを引き受ける。ゲンゾウに許可を取ると頷いており、「その者に勝てなければ、我が道場に挑む資格はない」と、ジロウに宣告していた。

 

 最初は不服そうにしていたジロウだが、俺のエビワラーとオコリザルを見ると、その侮りは消える。どうやら、俺のかくとうポケモン達の実力がわかるようだ。

 少しは面白くなるかと思っていると、ジロウがサワムラーを出してくる。なかなか育てられているサワムラーだ。こりゃ、道場破りで連勝しているというのも頷けるな。

 

 話を聞くと、ジロウはいつか自分の道場を立てるのが夢らしく、そのために道場破りをして武者修行をしているとのことだ。見た目は少しチャラいが、意外と真面目な奴である。

 それに、この道場も意外と名門だったようで、その師範と戦えないのは残念だと思ったらしいが、俺が相手なら不足はないと言っていた。うーむ、なかなか強そうだし、こりゃ多分チグサだったら負けてたな。

 

 だが、戦うのは俺だし負けるつもりはない。

 エビワラーとオコリザル、どちらで行くか悩んだが、ここはオコリザルで行くことにした。やる気が有り余っているみたいだし、エビワラーも大人だからここは譲ると言ってくれている。

 

 オコリザルとサワムラーのバトルが始まるが、ロケット団にサワムラーがいるおかげもあって足技には慣れていた。

 格闘戦ということで、いつものピーカブースタイルでガードを固めながら真っ直ぐ進んでいく。向こうも、牽制で『まわしげり』や『ローキック』を使ってくるが被弾前提で突っ込む。オコリザルのガードの固さに、ジロウもやりづらさを感じているようで、『けたぐり』で転がそうとしてきた。

 

 意識が下を向いた所を狙って、『クロスチョップ』で攻める。アカネ戦でカビゴンがやっていた技だが、当然かくとうポケモンであるオコリザルもその辺りの機微には鋭い。

 サワムラーの攻撃を回避し、一気に攻勢に出た。

 一撃を入れた後は、『インファイト』でサワムラーを追い詰めていく。防御と特防が一段階下がるが、もう攻め手を相手に渡すつもりはない。すぐにジロウもサワムラーのガードを固めさせたが、向こうが思っていた以上にオコリザルの攻撃力が高いようで、完全に防御一辺倒になっても尚、攻撃を受けきれていなかった。

 

 俺もまた、「距離を取らせるな! そのままくっつけ!」と指示を飛ばす。アウトファイタータイプのエビワラーと違って、オコリザルは完全なインファイタータイプだ。

 通常時のバトルは自由気ままに暴れ回っているが、格闘戦になれば防御重視で相手の懐に潜り込み、一気に攻めて倒すというのが得意スタイルである。逆にサワムラーは足が長いから中距離から遠距離の方が戦いやすいタイプだろう。くっついてしまえば、脅威度は格段に下がる。

 

 ジロウも何とかサワムラーにオコリザルとの距離を取らせようとしているが、毎日エビワラーと戦っているオコリザルは距離の詰め方や追い方が上手い。

 相手の動きをちょっとしたモーションで制限したり、目線でフェイクを入れたりと、自分の戦いやすいように誘導しているのだ。結果として、ジロウとサワムラーは得意なことをさせてもらえない。

 

 チグサの時には見せなかった高等テクニックを使用し、真正面からジロウを追い詰めていく。ゲンゾウもまさかここまで俺が強いとは思っていなかったようで驚いている。チグサもようやく俺との実力差を理解したのか、大口を開けて何も言えなくなっていた。

 

 最後は『あばれる』と『げきりん』を組み合わせたお得意のアニポケ殺法でとどめを刺す。

 右のフックを叩きこみ、振り子のように反動を利用して今度は左。そしてまた右。左。右。左と、連打を重ねていく。ターン技同士の組み合わせで威力も高いから一度受けると抜け出すことは出来ない。ちなみにエビワラーはこれにいつもカウンターを合わせる特訓をしていた。最初は失敗ばかりだったが、今では半々くらいでカウンターを成功させているらしい。

 しかし、初見でこの攻撃に対応しろというのは無理があるようで、サワムラーはそのまま戦闘不能になっていた。

 

 ジロウもサワムラーを戻すと、すぐに「参りました。まだまだ修行が足りませんでした」と、素直に自分の負けを認めているが、どうもこのまま追い返すのはこの道場のためにはならない気がする。

 ゲンゾウも同意見だったのか、「先程の前言を撤回する。この者は客人だ。今日はこちらで対応が出来ぬ故、急遽力を借りたが、やはりそれではお主に失礼だろう。また明日再戦をさせてはもらえぬか?」と、ジロウに声をかけていた。

 

 ジロウも元々この道場に用があったので、特に異を唱えることはなく、「わかりました。また明日、お伺いします」と言って今日の所は帰って行く。

 とはいえ、ゲンゾウのぎっくり腰が今日明日で治るものではないのは明白だ。つまり、ここで真に戦えるのは孫娘のチグサしかいないのである。

 だが、チグサはあまりにもレベルの違う戦いを見せられて少し意気消沈していた。それでも何だかんだ孫を信じてバトルを仕向けたのだ。ゲンゾウも口では厳しいことを言っても期待しているのが良くわかる。

 

 後、俺に出来ることは一つだった。

 

 おい、チグサ。俺とバトルしろよ。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・アンノーンの暴走をミュウツーとエンテイの二体で収めた。
 暴走したとはいえ、伝説二体でやっと収束できるレベルのアンノーンさんパネェ。

・第164話『ポッポ屋の伝書ポッポ!』より、ニューサトシがごますりした。
 基本は原作通りだが、最後にごまをすっている。便利なものにあやかりたいのはロケット団と一緒である。

・第165話『ズバットの館! 危険な迷路!』より、タケシのゴルバットが進化した。
 アニメではズバットだったので協力できたが、この作品ではゴルバットのため開幕拒否された。また、その影響で迷路に入る前にロケット団を成敗している。おかげでアニメの後半がカットされ、ゴルバットがクロバットに進化した。

・第166話『カポエラーVSフシギダネ! 格闘対決!!』より、普通にかくとうタイプでチグサをボコった。
 情け容赦なくボコった。ニューサトシはかくとうタイプに関してはちょっとうるさいので、欠片も手加減しなかった。

・ニューサトシが代わりに道場破りと勝負した。
 勝ったが、相手が割といい奴だったので、これで帰すのは可哀想に思った。ケンゾウも同様なようで、明日またバトルをすることになった。

・チグサ強化合宿を始めた。
 おい、俺とバトルしろよ。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.54

 ピジョット Lv.51

 バタフリー Lv.50

 ドサイドン Lv.53

 フシギダネ Lv.51

 リザードン Lv.55

 ゼニガメ  Lv.51

 キングラー Lv.51

 カモネギ  Lv.50

 エビワラー Lv.51

 ゲンガー  Lv.52

 オコリザル Lv.50→51

 イーブイ  Lv.48→49

 ベトベトン Lv.49→50

 ジバコイル Lv.50

 ケンタロス Lv.49→50

 ヤドラン  Lv.50

 ハッサム  Lv.49→50

 トゲチック Lv.41→42

 プテラ   Lv.51

 ラプラス  Lv.49→50

 ミュウツー Lv.70→71

 バリヤード Lv.49→50

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.44

 カビゴン  Lv.43

 ニョロゾ  Lv.42

 ヘラクロス Lv.37→38

 チコリータ Lv.34→35

 ヒノアラシ Lv.34→35

 ラティアス Lv.30

 デルビル  Lv.30→31

 ワニノコ  Lv.25→27

 ヨルノズク(色違い) Lv.27→29

 カイロス(部分色違い) Lv.33→34

 ウソッキー Lv.31→32



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#060 『後は俺がサワムラーになるだけだ』

 11歳 η月π日 『チグサブートキャンプ終わったよー』

 

 そもそもとして、チグサとカポエラーのレベル自体は低くないのだ。後は悪い点をひたすらに叩いていくだけである。タケシのパラセクトの薬をこれでもかと使って傷を回復させながら、チグサの弱点である型通りの綺麗な動きとコンビネーション不足を解消させていく。

 チグサも戦っている内に自分の足りないものが見えてきたのか、動きが洗練され、段々とカポエラーとの息もあってきていた。

 

 最低限のラインをクリアしたら、次は対ジロウとして、あのサワムラーへの対策である。

 とはいえ、俺はジロウに何もさせずに完封してしまったので、向こうの得意技がなんなのかわかっていない。とはいえ、サワムラーである以上、切り札は『とびひざげり』だろう。

 足技を使えるポケモンがいないので、俺がサワムラーの代わりを務めることにした。チグサは「危ないわよ!」と心配の声をかけてくるが、俺よりカポエラーの心配をした方がいいぞ。

 

 止まっているカポエラーに容赦なく、蹴りを入れていく。力は入れていないので大したダメージにはなっていないだろうが、スピードに関しては手を抜いていない。下手に油断していると、何も出来ずに蹴り倒すつもりだ。

 

 最初は乗り気でなかったチグサだが、俺が本気だとわかるとカポエラーに指示を飛ばしてきた。

 後は俺がサワムラーになるだけだ。攻撃を回避し、防ぎ、足技でカポエラーのバランスを崩す。そして、とどめの『とびひざげり(見様見真似)』でカポエラーを転がした。

 昼間のジロウのサワムラーの動きを見た限り、多分こんな感じだろう。勿論、これ以外にも何かあるかもしれないので、真っ暗で何も見えなくなるまでひたすらにチグサとカポエラーに付き合った。

 

 そのおかげもあってか、ジロウとの再戦は無事に勝利し、看板を守ることに成功している。

 

 しかし、ゲンゾウはかなり俺のことを気に入ってしまったようで、チグサと結婚してこの道場を継いでくれと土下座までしてきた。チグサも満更でもないのか、最初は俺が跡継ぎに推薦されるのをあんなに嫌がっていた癖にゲンゾウの側に付いている。

 

 悪いが、ニューサトシはまだ11歳なので恋愛沙汰に興味がないお年頃なのだ。何故か無理やりにチグサの連絡先を渡されたが、多分これが生きる日は来ないと思うぞ。

 

 

 追記。俺がモテていることにタケシがヤキモチを焼いて面倒くさくなった。カスミさんは特に何も言ってこないのだが、いつもならタケシを止めてくれるのにラティに構ってばっかりで放置している。何でや、俺別に何もしてないやん。

 

 

 

 11歳 η月σ日 『アズマオウフィーッシュ!』

 

 アズマオウのフィッシング大会なるものがやっているということで、カスミさんの我儘で参加していくことになった。どうやら虫取り大会と違って、ここではゲットしたアズマオウはリリースするようで賞品しかもらえないようだ。

 優勝賞品はトロフィーとチョコレート一年分らしい。普通に有りだ。チョコレートは日持ちするし、旅をするなら有難いものである。

 

 カスミさんは新作のルアー、カスミスペシャル・バージョン4を出してやる気満々だった。

 ちなみにバージョン1はカントーのサファリゾーンで、バージョン2はオレンジ諸島でカスミさんがコダックとゴルダックを間違えた時、バージョン3はワニノコをゲットする時にいずれも釣りで使っていたりする。

 ニューサトシも釣りは嫌いではないが、ポケモンがゲット出来る訳でもなければ、カスミさんほどの腕前がある訳でもないし、今回は素直にタケシと一緒に応援する側になりそうだ。

 

 大会が始まると、トキオとかいういけ好かない奴に釣り場のポイントを押さえられてカスミさんがピンチに陥っている。しかし、流石にみず系トレーナーを名乗るだけのことはあったようで、制限時間ギリギリで大物を釣り上げて巻き返していた。

 結果は、カスミさんとトキオの同率一位。

 商品は一人分しかないので、どちらが勝者になるかはバトルで決めることになった。カスミさんはお得意のスターミー、トキオはニョロボンを出している。

 

 ニョロボンか、俺もそろそろニョロゾをどうするか考えないとな。かくとう物理型のニョロボンにするか、それともニョロトノにして特殊型に育てるか。

 夢特性ならニョロトノにするのも悪くないんだが、俺のニョロゾは特性『しめりけ』なんだよなぁ。特性を変更できる特性パッチが手に入ればいいんだが、まだあるかどうかすらわからないしなぁ。

 

 と、目を離している隙に、カスミさんが『10まんボルト』と『サイコキネシス』を駆使して、トキオのニョロボンを圧倒していた。まぁ、そうなりますよね。あのスターミー、俺達とのバトルでいつの間にか、まんボルやサイキネ覚えていた豪の者だし。

 

 結局、カスミさんが圧勝してチョコレートを手に入れて帰って来た。タケシも、「今日のおやつはチョコレート尽くしだな」と腕をまくっている。「おやつ!」とラティも大喜びしていた。こりゃ、おやつは期待できそうだ。

 

 

 

 11歳 η月υ日 『ビューティってなんや』

 

 ブロウタウンという街に着いたのだが、タケシがロコンを預けられた相手である、ユキが海外から帰って来るらしい。タケシは意外にも、まめにユキとメールのやりとりをしていたようで、この街で再会する約束をしているそうだ。

 タケシもユキに会えるのは嬉しいようだが、帰って来たということはロコンとはもうお別れである。元々、預かっていただけで本来のトレーナーはユキだし、タケシも次に会った時にロコンを返すつもりでいたみたいだしな。

 

 最後の記念として、タケシはユキやロコンと一緒にポケモンビューティコンテストなるものに出ることになったのだが、ビューティってなんやねん。普通に美しさコンテストでいいじゃねーか。

 

 何か、ユキの学生時代の友人やらが出てきたり、ロケット団がアミーゴムーシャ、イリュージョンコージャを名乗って参加しようとしたりでドタバタしていたが、とりあえずユキとタケシ、そしてロコンは無事にビューティコンテストとやらで優勝していた。

 まぁ、少し前にも書いたが、俺は色恋沙汰には何の興味もない。ユキも昔の知り合いとやらと何かあったようだが、それは俺の気にするようなことではなかった。タケシも何やかんやあったようだが、今は吹っ切れた表情をしているようだし、多分これで良かったのだろう。

 

 しかし、ずっと一緒にいたからな。タケシもロコンとの別れは辛いようだ。ロコンもタケシのことが大好きだったから、別れるのを寂しそうにしている。アニメでポンポンポケモンを逃がすサトシ君は良くこんな別れを何回もして平気だなと思わず感心してしまった。

 

 

 

 11歳 η月φ日 『おっ、シゲルじゃーん』

 

 久しぶりにシゲルに会った。どうやら、イーブイがブラッキーに進化したようで、なかなか強そうである。

 バトルを誘ってみたが、お互いに今持っているポケモンが育成中ということで、シゲルには断られてしまった。多分、こいつの中じゃ、次戦うのはジョウトリーグになっているんだろうな。

 

 会ってすぐバイバイは寂しかったので、色違いのヨルノズクと金角のカイロスを自慢したのだが、シゲルは「また君は、変なポケモンを……」と頭を抱えていた。いやいや、珍しい色違いなだけだって!

 

 

 

 11歳 η月ψ日 『まぁたお前らは変なメカを次々と』

 

 前回、シゲルとあった後、発電所を占拠したロケット団とひと悶着あったのだが、今日も今日とてまた訳の分からないメカでこちらに挑んできた。

 最近、お前らメカ頼りすぎじゃないか?

 たまには真正面からぶつかって来いよということで、金角のカイロスの『じならし』で足場を奪い、デルビルの『かえんほうしゃ』とワニノコの『みずでっぽう』で金属疲労を起こして装甲を割り、ピカ様の電撃で一気にやなかんじーにしてやった。

 

 丁度、レディアンを使った森林パトロールの見学中だったので、「お騒がせしました」と謝って見学を再開する。突風に耐える特訓をしているレディアンはかなり大変そうだったが、こういう試練を乗り越えなければ真のパトロール隊員にはなれないんだろうな。

 

 

 

 11歳 θ月α日 『たまにはお祭も悪くないな』

 

 ソーナンスがたくさんいる村にやってきた。この村では丁度、ソーナンス祭なるものをやるようで、「寄って行け」と声をかけられる。ニューサトシはお祭りが嫌いではないので、しっかりお邪魔することにした。

 早く夜になんないかなぁ、と楽しみにしていたのだが、何やら街の中が少し騒がしくなっている。聞けば、かつてこの街のソーナンスにボコボコにされたとかいう不良達がかくとうポケモンを使って復讐に来たとのことだ。

 どうも、ソーナンス祭の期間中はポケモンバトルが禁止されているらしく、街の人達は不良達が暴れ回るのを黙って見ている。

 

 ポケモンバトルが禁止されているのなら、リアルファイトでわからせればいいじゃない!

 

 と、いう訳で、ニューサトシお得意のマサラ式肉体言語術を駆使して、不良達をボコボコにしてやった。

 まさか街の人達も素手でポケモンを返り討ちにするとは思っていなかったのか呆然としていたが、ポケモンバトルはしていないのでセーフである。ルールは何も破っていないと主張すると、街を助けてくれた俺を追い出すのも忍びないということで、今回は見なかったことにして貰えた。やったぜ!

 

 

 追記。何故かロケット団もお祭りに参加していた。あいつらもソーナンス持ってるし、多分招待されたのだろう。素直に祭を楽しんでいるようなので今回は見逃すことにした。

 

 

 

 11歳 θ月γ日 『お前は確かメタモン使いのイミテ!』

 

 かつてカントーで出会った物真似少女のイミテと再会した。イミテは全国のポケモン芸人を集めたポケモン大演芸祭に招待されたらしく、ジョウトまで来たのだという。前にメタモンの顔が変わらなくて悩んでいたころが嘘のような大出世である。

 

 イミテは新たにもう一体メタモンを捕まえたようなのだが、そのメタモンにもまた一癖あるようで困っているらしい。見ると、変身能力に異常はないのだが大きさが変化せず、イワークやカイロスなんかに変身してもピカ様とそんなに変わらないサイズのままだった。

 

 とはいえ、初代メタモンのメタちゃんの時に比べれば可愛いものである。イミテは悩んでいるようだが、逆にこれは個性だ。変に矯正するよりも、この二代目メタモンであるメタぴょんの良さを生かした方がいいとアドバイスすると、イミテも吹っ切れたようで前向きに考えることにしたようである。

 

 イミテから前のリベンジとしてバトルを求められたので、当然のように受けた。前はストライクのダブルウイングもどきで瞬殺してしまったからな。今回は、育成中のワニノコを使って二代目のメタピョンとバトルをする。

 

 大きさ自体はそこまで変わらないので、体格差によるパワーの違いも出ないだろう。イミテは開幕、『こわいかお』でこちらの素早を下げに来たが、ワニノコはまさかの怖がらないで『こわいかお』を無効にしていた。そんなん有りかよw

 

 無駄に陽気なのがワニノコの良い所だが、同時に悪い所でもある。踊るのが大好きだから、それを利用したステップなんかはいい感じなのだが、途中で踊るのに夢中になって攻撃を受けていた。

 踊りを使用したステップはかつてオレンジ諸島でも見たし、それを否定する気はないが、バトルに活かせなければ意味はない。

 バトルに集中しろと声をかけると、ワニノコがピョンと飛び上がって何度も首を上下に振って頷いていた。本当にわかっているのかこいつは。オーダイルに進化するお前には期待しているんだからな。本当に頼むぞ。

 

 そのままバトル続行――と、思ったのだが、またいつものようにロケット団が乱入してきた。ご丁寧に俺とイミテの物真似をしている。サイズが違うが、無駄に似ていてなんかムカつくぜ。

 すぐにやなかんじーにしてやったのだが、その間にイミテのメタぴょんがいなくなっていた。そういえば、ニャースがいなかったな。こちらの意識がムサコジに向いている間に攫われてしまったようだ。油断したな。

 

 とはいえ、そんなに遠くには行っていないだろうということで、前にも使ったデルビルとヨルノズクの追跡網ですぐにロケット団の居る場所を突き止めた。

 どうもロケット団は、手乗りサイズの変身を使って悪さを企んでいたようだが、このニューサトシの目が黒いうちはそんな勝手な真似はさせるつもりはない。こうなればバトルしかないということで、ムサコジVS俺イミテのペアでタッグバトルをすることになった。

 

 そのバトルの最中、イミテがムサシのソーナンスが『カウンター』と『ミラーコート』を自身の判断で使い分けていることに気付いてムサシを馬鹿にしている。当然、ずっとバトルしている俺も気付いていたが、わざわざ指摘することではないので無視していた。

 それに、『カウンター』指示で『ミラーコート』を使うのは意外と奇襲にもなるので、悪いことではない。器用なムサシのソーナンスだからこそ出来ることではあるが。

 

 イミテの挑発にキレたムサシが「『カウンター』でも『ミラーコート』でもどっちでも一緒よ! ソーナンスの無敵の『カウンター』で、アンタ達のポケモンの攻撃を全て弾き返してやるんだから!」とドヤ顔で宣言しているが、それはお前のポケモンのライフがゼロにならなかったらの話だろう?

 

「「「え?」」」

 

 俺は今の会話の間に、ピカ様に『わるだくみ』を三回積ませていた。特攻は六段階あがっている。この意味がわかるか?

 

「ちょっと、それはいくらなんでも大人気ないんじゃないの!?」

「そ、そうだ。しっかり話し合えばわかりあえるって……!」

 

 俺は子供だ。そして、話し合いの時間など、とっくの昔に通り過ぎている。

 如何にお前らのソーナンスの『ミラーコート』が強力な技でも、体力がゼロになれば技を反射することなど出来るはずがない。

 おまけにイミテもメタモン達をピカチュウに変身させていた。これで、こちらの火力はさらに上昇する。仮に四天王のポケモンでも直撃を受ければただでは済まない威力だった。

 

 と、いう訳で、さっさとロケット団をやなかんじーにして、イミテとポケモンバトルを再開する。イミテも「負けっぱなしじゃいられないからね!」と気合を入れていた。

 

 

 追記。当然だが、俺が勝った。危うい所だったが、ワニノコが『りゅうのまい』を覚えて物理攻撃と素早を上げたのが勝因だったと言って良いだろう。いつも踊っているのは無駄ではなかったようだ。

 

 

 




 原作との変化点。

・チグサを鍛えた。
 そこそこ強くなった。何故かニューサトシが気に入られた。

・第167話『ジャングルの三匹! 温泉バトル!!』より、チコリータとヒノアラシが研究所にいるため内容がカットされた。
 三体が仲間と認め合うシーンだが、手持ちが既にアニメと違うため発生しなかった。現在、チコリータは先輩達に『出番が欲しかったら強くなるしかない』とそそのかされて特訓中。ヒノアラシはリザードンと特訓中。ワニノコはニューサトシに進化しろとせっつかれている。

・第168話『アズマオウ! フィッシングバトル!!』より、トキオと事前に出会わなかった。
 カスミさんがニョロゾを持っていないため、事前に関わり合いにならなかった。また、釣り後のバトルでは大人気なく相性でボコボコにしている。チョコレートは頂きよ! と、いうことで、おやつはチョコ尽くしになった。


・第169話『さよならロコン! ポケモンビューティコンテスト!!』より、コンテストで優勝した。
 アニメではコンテストに出て終わりだが、ちゃんと優勝した。この頃はまだコンテスト要素がなかったようで、ビューティコンテストだが現在ならうつくしさコンテストに当たる。とはいえ、下手にコンテスト扱いにしても面倒なので、街のイベントということにした。

・第170話『ツボツボVSマダツボミ』より、ニューサトシが腹痛を起こさなかったのでカットされた。
 おかわり五杯くらいで腹痛を起こすほど軟ではないため、ツボ老人と関わることがなかった。最近、アニメサトシ君のやらかしはラティが担当になっているが、流石にご飯をお腹が痛くなるまでは食べなかった。

・第171話『ブラッキー! 闇夜の戦い!!』より、シゲルに色違いを自慢した。
 アニメだとこの後、発電所にロケット団が来てひと騒動有るが、呆れたシゲルは既に次の街へといっていた。シゲルなしだが、普通に問題は解決している。

・第172話『レディアン! 風の谷を越えて!!』より、ロケット団が少し機械に頼り始めた。
 アニメより資金に余裕があることから、またメカに頼り始めた。そのせいか、ニューサトシにあっさり倒されている。

・第173話『ソーナンスの村!?』より、ニューサトシが不良たちをボコボコにした。
 バトルがダメなら、リアルファイトでわからせればいいじゃない! ということでボコった。レベル32のカイロスと普通に戦えるニューサトシが負けるはずもなく、悪さをした奴らは全員ボコボコにした。

・第174話『目指せメタモンマスター! イミテ再び!!』より、ワニノコがりゅうのまいを覚えた。
 アニメ通りの戦いの末、技を習得した。はよ進化しろと毎回言われている。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.54

 ピジョット Lv.51

 バタフリー Lv.50

 ドサイドン Lv.53

 フシギダネ Lv.51

 リザードン Lv.55

 ゼニガメ  Lv.51

 キングラー Lv.51

 カモネギ  Lv.50

 エビワラー Lv.51

 ゲンガー  Lv.52

 オコリザル Lv.51

 イーブイ  Lv.49

 ベトベトン Lv.50

 ジバコイル Lv.50

 ケンタロス Lv.50

 ヤドラン  Lv.50

 ハッサム  Lv.50

 トゲチック Lv.42

 プテラ   Lv.51

 ラプラス  Lv.50

 ミュウツー Lv.71

 バリヤード Lv.50

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.44→45

 カビゴン  Lv.43→44

 ニョロゾ  Lv.42→43

 ヘラクロス Lv.38→39

 チコリータ Lv.35→36

 ヒノアラシ Lv.35→36

 ラティアス Lv.30

 デルビル  Lv.31→33

 ワニノコ  Lv.27→29

 ヨルノズク(色違い) Lv.29→31

 カイロス(部分色違い) Lv.34→35

 ウソッキー Lv.32→33



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#061 『NARUTOの世界じゃないのでやめておく』

 11歳 θ月ε日 『忍法! ロケット団抹殺の術!!』

 

 セキチクジムで俺達に無礼を働いたキョウの妹であるアヤと再会した。どうやらアヤはポケモン忍法学園に修行に来ているらしい。

 俺はこいつに良い印象がないのでほぼガン無視していたのだが、どうやら向こうも少しは成長したのか、「その節は申し訳なかった」と、丁寧に頭を下げてきたので許してやることにした。決して『とんぼがえり』の技マシンなど貰っていない。

 

 ラティが忍者にとても興味を示したので、俺達も一日だけ学園に体験入学させてもらうことになったのだが、むしポケモンを利用した修行にカスミさんが死にそうになっている。

 俺はこの手の修行については慣れているので無難にこなした。俺の動きを見た学園長が「本格的に忍法を学んでみる気はないか?」と聞いて来たが、NARUTOの世界じゃないのでやめておくことにする。

 

 夜、ロケット団がいつものようにポケモン達を奪おうとしていたので速攻でやなかんじーにしてやった。何やらアヤが忍法の極意を掴めそうな気がしたとか言っていたが、そんな簡単に掴めるなら極意なんて言わんやろ。

 

 

 

 11歳 θ月η日 『ヤンヤンマがいうことを聞かない? トレーナーの実力不足やろ』

 

 ヒロトという少年に出会ったのだが、手持ちのヤンヤンマが言うことを聞かないので困っているとのことだった。ポケモンがトレーナーの言うことを聞かないのは、基本的にプライドが高いか、トレーナーが馬鹿にされているかの二択だ。俺のプテラは前者、ヒロトは後者である。

 

 後者の場合はトレーナーとしての実力を見せつければ納得するので、時間をかければ解決することが多い。しかし、ヤンヤンマはイタズラとして、村中の窓ガラスを『ソニックブーム』で割ると言う遊びをしていた。

 ただ言うことを聞かないだけなら放置しようかと思ったが、他人に迷惑をかけているならば話は別だ。ヒロトとヤンヤンマを草むらまで連れ出し、かつてバトルを指導したメリープを使う牧場少女カレンや、カモネギを使う炭職人見習いナオトの時のように、少しヒロトにトレーナーとしての心得を叩きこむことにした。

 

 この指導も結局は本人の資質に寄る所が大きいのだが、思いの外ヒロトにはセンスがあったので、そう時間がかからずヤンヤンマとのコンビネーションを発揮している。

 俺が強いから、痛い目を見ないためにはヤンヤンマもヒロトに協力せざるを得ないのだろうが、それによってヤンヤンマもヒロトの実力を体感できていた。

 

 数時間の指導だったが、ヤンヤンマもヒロトの言うことを聞くようになり、イタズラで窓ガラスを割らなくなっている。むしろ、逆にイタズラをしようとするポケモンを見つけたら、『ソニックブーム』を使ってそれを止めているくらいだ。

 とても少し前までイタズラをしていたポケモンとは思えない変わりように村の人も驚いていたが、ヤンヤンマがイタズラをしなくなったことを喜んでいる。ヒロトの父親はガラス職人らしく、あのヤンヤンマに困っていたということでとても感謝してくれた。

 

 感謝の印にガラス細工を譲ってくれて、カスミさんやタケシも大喜びしている。凄く良いものなのは一目でわかったので、俺は素直にマサラタウンにいるママさんへの贈り物にすることにした。ラティは割りそうだったのですぐに俺が預かっている。

 

 

 

 11歳 θ月ι日 『草ポケモントーナメントだと?』

 

 ポポッコを使うミノルというトレーナーにあったのだが、そのミノルによると、草ポケモンだけを使用して戦うトーナメントがあるらしい。

 優勝賞品はリーフの石10個ということで、これを見逃す手はなかった。フシギダネを転送して貰い、俺も急遽草ポケモントーナメントに飛び入り参加することにする。

 

 当然、ポケモンリーグセキエイ大会準優勝、オレンジリーグ名誉トレーナーの実績は伊達ではなく、次々とポケモン達をKOしていく。

 何やらロケット団がウツボットとジャンボフシギダネを使って参加していたようだが、当然のように蹴散らしておいた。悪いが、進化の石なんて滅多に手に入るもんじゃないし、この機会を譲ってやるわけにはいかねーんだわ。

 

 決勝戦は俺とミノルになった。どうやら、ミノルもこの大会を通じて成長しているようで、かなり自信のついた表情をしている。かつて、ロケット団がポケモンリーグを通じて急成長したのと一緒だな。

 とはいえ、油断する気もなければ、手加減するつもりもない。ポポッコはくさ、ひこうなので毒が効く。当然のように『どくどく』を浴びせて持久戦の構えを取った。

 時間をかければ俺が有利になるとわかり、ミノルも猛追してくるが、フシギダネも持久戦慣れしているので、ひこうタイプの技だけ警戒して時間を稼いでいる。最終的には、ポポッコがレベルでは覚えないはずの『ソーラービーム』を覚えて一発逆転を狙って来たので、こちらも『ハードプラント』で迎撃してそのままポポッコを猛毒で戦闘不能にした。

 

 優勝トロフィーと、賞品のリーフの石10個を貰う。俺の手持ちにこの石で進化するポケモンはいないのでしばらくは置物だろうが、10個もあるのだ。別の石と交換したり、他の進化アイテムと交換したりすることも出来るだろう。何だかとってもいいかんじーである。

 

 

 

 11歳 θ月λ日 『用心棒のピチュー』

 

 アンジュという女が俺のピカ様を林檎泥棒呼ばわりしてきた。思わずブッコロリしそうになったが、話を聞くと最近アンジュがやっている果樹園に林檎を盗み食いするポケモンが来るらしい。

 歯形から小さいポケモンだということがわかったので、俺のピカ様を疑ったようだが、実際にピカ様に口を開けさせてみると、歯型が微妙に大きかった。

 すぐに謝罪してくるアンジュだが、俺はそんな謝罪程度で許してやるほど懐が深くない。ラティも俺の真似をして怒っており、タケシとカスミさんもこうなると俺が梃子でも許さないのを知っているので、お詫びとして果樹園の林檎を譲るという約束を取り付けていた。仕方ない、許してやろう。

 

 そのまま収穫の手伝いをしていると、防犯用に仕掛けた鳴子がなっている。真犯人を探すことになったので、デルビル先生にお願いして匂いを追って貰うことにした。こういう時は嗅覚の鋭いデルビル先生に頼るのが一番である。

 匂いはそう遠くはないようで、デルビルが向かった先には林檎を持ったピチューが大量にいた。どうやらあいつらが林檎を盗んでいたようだが、何やら野生のオニドリルに襲われている。

 

 仕方なくピカ様にオニドリルを退治して貰うと、恩を感じたピチュー達がピカ様を兄貴と慕って後をついてきた。

 そのまま果樹園まで付いてきたので、ピカ様に指示して、ピチュー達にアンジュが林檎を取る手伝いをさせることにする。どんな理由があるとしても、盗みは悪いことだ。金がないなら働いて返すしかない。

 

 しかし、腹が減っているようで、全員がお腹を鳴らしていた。アンジュ曰く、最近は森の実りが良くないせいで、ピチュー達も食べるものに困っているようだ。ピチュー達が盗みをしたのもそのせいらしい。

 

 それを聞いたカスミさんが、このままこのピチュー達をここで雇ってはどうかと提案してきた。

 確かに、それは名案である。報酬として林檎をやれば、ピチュー達も文句を言わないだろう。

 アンジュも嫌ではないようなので、ピチュー達に手伝いをしながらここの用心棒をやってみないか提案すると、任せてくださいとばかりに小さな胸を叩いていた。

 

 その後、またいつものようにロケット団がやってきたので、すぐにやなかんじーにしてやる。ピチュー達には「ああいう奴が来たら遠慮なくやってやれ」というと、元気に頷いてアンジュの周りを飛び跳ねていた。

 

 

 

 11歳 θ月μ日 『エンジュシティ ジム戦 VSマツバ』

 

 ようやくエンジュシティに着いた。エンジュはゲームだと焼けた塔やらスズの塔で三犬やホウオウのイベントがあったが、アニポケでは全く関係なさそうなので素直にジムに向かう。

 

 今回はツクシの時と同じく、レベル制限でのバトルをお願いするつもりだ。参加メンバーは、ゴーストタイプに強いデルビルにワニノコ、ヨルノズクである。

 金角のカイロスとウソッキーのお披露目もしたいが、ポケモン達が増えたことで出番争いは渋滞を起こしているのだ。強くなったトゲ様もまだ公式戦でお披露目出来てないし、カントー組やオレンジ諸島組の奴らもずっと出番を待っている。アニメでサトシ君が迂闊にポケモンを増やさなかったのは自身では扱い切れないと悟っていたからかもしれないな。

 

 とはいえ、泣き言を口にしても始まらないし、捕まえたポケモンを逃がすつもりもないので、このままだましだましやって行くことにする。

 ジムリーダーのマツバは少しすかした奴だったが、こちらが育成目的のジム戦を望んでいるのを理解してくれたので、最大レベルを35固定でお願いした。

 

 アニメでは、ゴース、ゴースト、ゲンガーで、ジョウトのゴーストタイプであるムウマは使っていなかったが、ここでは一番手にムウマを出している。

 こちらはワニノコを出した。いつも通り元気に踊りまくっているが、最近はようやく踊りながらもバトルに集中するようになってきたので期待して良いだろう。

 

 ワニノコに『りゅうのまい』を指示する。踊るのが大好きなワニノコはこれでもかというくらい踊って、攻撃と素早を一段階上げていた。それを見たマツバがムウマに『メロメロ』を指示している。

 ゲッ、『メロメロ』はまずい。ただでさえ、俺のワニノコはタケシに似た性格をしている。普通のポケモンよりもメロメロ状態に弱いのだ。

 

 目をハートマークにしてムウマにすり寄って行くワニノコに頭を抱えながらボールに戻そうとする。しかし、マツバは『くろいまなざし』を指示して交換を封じてきた。

 ぶっちゃけ、ここでの交換封じはかなり厳しい。

俺も常にゲンガーで交換を封じて相手を封殺してきたが、こうして相手にやられると『くろいまなざし』がどれだけ凶悪な効果を持っているか改めて実感できた。

 

 ワニノコを戻せなくなったので、何とか『かみつく』を指示して攻撃をさせようとするも、メロメロ状態のワニノコは一向に攻撃をしようとしない。

 対するマツバは『10まんボルト』で弱点を突いて来た。ワニノコは特別耐久が高い訳ではない。いつもの踊り回避もメロメロ状態で無効になっているし、次の一撃で普通に戦闘不能にされてしまった。

 

 まさか、マツバが『メロメロ』を使ってくるとは予想外にも程がある。『10まんボルト』を見せられているので、ヨルノズクは出しづらいし、ここは二体目にデルビルを出した。

 あくタイプはゴーストタイプに有利ということで、マツバも「オーソドックスな手で来たな」と言っているが、相性というのはポケモンバトルにおいて重要なファクターである。

 

 とはいえ、俺のデルビルも♂なので、『メロメロ』対策は必須だ。『ちょうはつ』を指示して、変化技を封じさせてもらう。

 これで、ムウマの使った三つの技の内、二つは使用不能になった。後は『10まんボルト』と最後の技だが、マツバはここでデルビルを確実に倒すつもりのようで、『パワージェム』で弱点を突いて来る。

 

 ほのおタイプのデルビルにいわ技は効果抜群だ。ただでさえ、ワニノコが何も出来ずにやられたばかりだし、これ以上ダメージを受ける訳にはいかなかった。『かえんほうしゃ』で『パワージェム』を相殺し、距離を詰めていく。

 これがタイプ一致だったら厳しかったが、ムウマのタイプ不一致『パワージェム』なら十分に相殺できた。

 

 攻撃を相殺すると、デルビルがムウマとの距離を詰めつつ、『かみつく』で攻撃を仕掛けていく。タイプ一致の弱点攻撃を受けてムウマも苦しそうな声を上げたが、負けじと『10まんボルト』で反撃してきた。

 弱点の『パワージェム』ではなく、『10まんボルト』を選択したのはおそらく麻痺を狙ってのことだろう。動きが鈍れば、『パワージェム』で仕留めることが出来る。

 しかし、運はこちらにあるようで麻痺はしなかった。デルビルもダメージを受けるが、こいつは仲間を助けるためにピカ様の電撃を受けて尚戦いを挑んできた猛者だ。タイプ不一致の『10まんボルト』程度で怯むほど弱くない。

 

 そのまま逃がさないとばかりに、継続して『かみつく』でムウマにダメージを与えていく。ムウマもそろそろ体力が限界のようだが、倒れる前に最後の『10まんボルト』でデルビルにダメージを与えてきた。

 正直、ムウマ一体でかなり不利にさせられてしまったが、これで数では一対一の五分。ダメージこそあるが、相性を考えればまだまだ勝負はこれからだ。

 

 マツバの二体目はゴースだった。進化前だが、ゴース系の多彩さは俺自身良くわかっている。ワニノコの時の反省として、開幕で『ちょうはつ』を指示し、動きを封じさせてもらった。流石のマツバもこれには苦しい顔をしている。

 本来、ゴースであくタイプに効果抜群を取ろうとするならば、フェアリータイプ特殊技の『マジカルシャイン』か、むしタイプ物理技の『はいよるいちげき』くらいだろうが、両方ともほのおタイプを持つデルビルには等倍となり、また後者は物理故にゴースの攻撃種族値では大したダメージには成り得ない。

 

 デルビルも前のバトルで受けたダメージがあるが、それでも変化技を使用できないゴース相手なら圧倒的に有利だ。

 マツバがゴースに『10まんボルト』を指示する。ムウマの時と同様、また麻痺を狙っているのだろう。動きが鈍れば攻撃も回避しにくくなるし、ムウマが与えたダメージから考えても、後数発受ければデルビルも戦闘不能になる。

 

 とはいえ、こちらもそう簡単に攻撃を受けるつもりはない。『ニトロチャージ』で素早を上げ、ゴースの『10まんボルト』を回避していく。そのまま射程圏内に入ると、『かみつく』で弱点を攻めに行った。

 ゴースはムウマよりも火力はあるが耐久力が低い。いくらジムリーダーのポケモンとはいえ、上手くすれば『かみつく』でワンキルも有り得た。

 

 マツバは仕方ないとばかりに『だいばくはつ』を指示している。しまった。俺自身、爆発系の技を使わないこともあって頭からすっかり抜けていた。『だいばくはつ』は『みちづれ』と違って攻撃技だから、『ちょうはつ』を受けていても使用することが出来るのである。

 

 デルビルは既にゴースにかみつける距離だ。爆発を回避するのは不可能。デルビルの牙がゴースに届く直前、『だいばくはつ』によって発生した高威力の衝撃でデルビルが吹き飛ばされていく。前のバトルで体力が削られていたこともあって、デルビルも戦闘不能になってしまった。

 

 これで状況はお互いに後一体ずつ。しかし、何も出来ずに負けたワニノコのマイナス分は取り返せた。デルビルは十分に仕事をしてくれたと言っていいだろう。

 俺のラスト一体はヨルノズク。対するマツバはゲンガーである。ゲームでもアニメでも、マツバの切り札はゲンガーだった。やはり、レベルを調整してもそこは変わらないらしい。

 

 しかし、最後の一体なら自爆技や『みちづれ』を警戒する必要はないだろう。おまけに、こちらはアニメと違って『ねんりき』は当然、既に『じんつうりき』も習得済だ。

 さらに、タイプ相性の関係で向こうはタイプ一致技を撃つことが出来ない。こちらもノーマル技は封じられたが、ひこう技は普通に使える。状況次第ではそっちを優先する機会もあるかもしれないな。

 

 え? 『みやぶる』? 知らない子ですね。

 

 バトルがスタートすると、ゲンガーは『かげぶんしん』を駆使してこちらの攻撃を防ぎに来る。エスパー技は警戒されているので、素直に『エアスラッシュ』で遠距離から分身を消していった。

 だが、不意をついたゲンガーがヨルノズクに『10まんボルト』を撃ってくる。これで全部のポケモンがまんボルを使ってきたが、でんき技は使い勝手がいい上、ジョウトでゴーストタイプを攻略しようとするならホーホーやヨルノズクをメインにするトレーナーが多いのだろう。事実、今もでんき技がブッ刺さっていた。

 

 タイプ不一致とはいえ、効果は抜群だ。おまけに麻痺してしまったようで、ヨルノズクの動きが止まる。

 とはいえ、麻痺は計算内だ。即座に『サイコシフト』を指示して麻痺を移す。この『サイコシフト』という技は、自分の状態異常を相手に移し替える技である。使用すれば、ヨルノズクの麻痺がゲンガーに移り、ヨルノズクの麻痺が回復するのだ。

 

 ゲンガーもいきなり体が痺れたことで動きが止まった。お返しとばかりにヨルノズクが『じんつうりき』で、ゲンガーに反撃していく。

 マツバは咄嗟に『ミラータイプ』を指示して、ゲンガーのタイプを変えてきた。この『ミラータイプ』という技は、自身のタイプを相手と同じタイプに変更する技だ。これによって、ゲンガーはゴースト、どくタイプから、ノーマル、ひこうにタイプが変わり、『じんつうりき』は効果抜群の技ではなくなってしまった。

 

 ゲンガーも攻撃を受けたが等倍のタイプ不一致技はそこまでダメージになっていない。しかし、運よく『じんつうりき』の追加効果である一割の確率を引いて怯んだようで、動きが完全に止まっていた。

 すかさず、追撃の『エアスラッシュ』でさらに怯みを狙っていく。エアスラの怯み率は三割だ。てんめぐはないが、将来トゲ様にやって頂く予定のまひるみコンボである。

 だが、やはり特性『てんのめぐみ』による追加効果を二倍にする効果がないと完全に動きは封じられないようで、ゲンガーがエアスラを受けながらも逃げるように移動していく。

 

 これで互いに三つ技を使用した。

 

 どうやらマツバはヨルノズクの『ふみん』の特性を警戒しているようで、ゲンガーに『さいみんじゅつ』を指示してこない。実際、俺のヨルノズクの特性は『ふみん』なので、その選択は大正解だ。

 もし、残っていたのがワニノコだったなら、『さいみんじゅつ』からの『ゆめくい』を受けていた可能性もある。そう考えると、ヨルノズクが最後の一体になってくれたのはラッキーだったな。

 

 しかし、『ミラータイプ』によって、有効打がなくなってしまったのは問題だ。向こうは『10まんボルト』でごり押しできるから真正面のぶつかり合いは分が悪い。使い勝手の悪い技をこうまで上手く使用してくるとは、流石はジムリーダーというべきか。

 

 マツバは再び、『かげぶんしん』でこちらの目を眩ませながら攻撃を仕掛けて来ようとする。

 だが、麻痺の影響は大きいようで、先程のような機敏な動きが出来ずにいる。おかげで本体の位置を見抜くのはそう難しいことではなかった。マツバも気付かれたことはわかったようで、すぐに『10まんボルト』を指示して攻撃を仕掛けてくる。

 ヨルノズクには回避に専念させた。

 ここで迂闊に攻撃をくらえば厳しい状況になる。ゲンガーが既に麻痺状態な以上、必ず動きが止まる時は来るはずだ。今はひたすら耐えの時間である。

 

 そして、その瞬間は訪れた。

 

 ゲンガーの動きが止まると同時に、『エアスラッシュ』で反撃に移る。まひるみ狙いのタイプ一致のひこう技。威力的に一撃で倒すのは無理だろうが、回数を重ねれば厳しくなってくるはずだ。

 

 しかし、マツバもこの瞬間を待っていたとばかりに『はかいこうせん』を指示してくる。

 ノーマルタイプ最強の技だ。威力は150で、ミラータイプによってゲンガーも今はタイプ一致技として使用できる。当然、直撃すればひとたまりもなかった。

 おまけに、エアスラ中のヨルノズクは動きが止まっている。怯みが発生しなかったようで、エアスラを受けながらゲンガーは『はかいこうせん』をヨルノズクに発射してきた。

 

「ヨルノズク! 『こらえる』だ!」

 

 ギリギリのギリ。こちらも最後の一つの技で攻撃を凌いでいく。『はかいこうせん』は威力こそ高いが、反動で少しの間動けなくなるという弱点も存在する。

 ゲンガーの動きが再び止まった所に、『エアスラッシュ』によるまひるみコンボで反撃していく。流石のゲンガーもこれ以上は耐えられなかったようで、エアスラ地獄によってそのまま戦闘不能になった。

 

 マツバのポケモンが三体戦闘不能になったことで、エンジュジム勝利の証であるファントムバッジを受け取る。これでようやく半分だ。ジョウトリーグ出場に必要なバッジは残り四個である。

 ワニノコが活躍できなかったのは少し残念だったが、デルビルやヨルノズクはしっかりとそのマイナス分を補ってくれた。大分一緒にいたし、そろそろデルビルとヨルノズクも一度オーキド研究所に送って先輩達に指導して貰った方が良いかもしれないな。

 

 

 追記。アニメのサトシ君ならバッジをゲットすると、「○○バッジ、ゲットだぜ!」と言うが、基本的にニューサトシはお礼を言うだけで何も言わない。だからかはわからないが、ラティが代わりに「ゲットだぜ」と言うようになった。誰に教わったんだその台詞?

 

 

 

 




 原作との変化点。

・第175話『ニャースとブルーとグランブル!?』より、ブルーが家出しなかったので内容がカットされた。
 ニャースが酷い目に会わずに済んでいる。

・第176話『アリアドス! ポケモン忍法バトル!!』より、アヤと仲直りした。
 改心していた。技マシンもくれた。許した。

・ロケット団をニューサトシが追い払ったせいで、アヤが極意を会得できなかった。
 そんな簡単に会得できるものが極意の訳ないやろ。Byニューサトシ。

・第177話『はばたけヤンヤンマ! 明日の空へ!!』より、またトレーナー指導した。
 メリープ少女、炭火焼見習いに続いて三人目である。実は一番センスがあった。

・第178話『ポポッコ! 草ポケモンバトル!!』より、ニューサトシが大会で優勝した。
 自重しなかった。

・第179話『ピカチュウとピチュー!』より、リンゴを報酬としてもらった。
 ニューサトシがいつものようにキレ芸をかましてリンゴをせびった。

・第180話『ヘルガーとトゲピー!』より、トゲ様がいないので話がカットされた。
 手持ちにいたとしても性格が違うので話はカットされた。

・第181話『焼けた塔! マツバ登場!!』より、真っすぐにジムに行ったため話がカットされた。
 伝説捕まえないマンのニューサトシは焼けた塔にもスズの塔にも興味がなかったので、ストレートにジムに挑戦した。

・第182話『エンジュジム! ゴーストバトル!!』より、レベリング目的のジム戦を頼んだ。
 やはり、ゴーストタイプは普通に強かった。メロメロからのくろいまなざしは、対策しなかったニューサトシの落ち度である。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.54

 ピジョット Lv.51

 バタフリー Lv.50→51

 ドサイドン Lv.53

 フシギダネ Lv.51

 リザードン Lv.55

 ゼニガメ  Lv.51

 キングラー Lv.51

 カモネギ  Lv.50→51

 エビワラー Lv.51

 ゲンガー  Lv.52

 オコリザル Lv.51

 イーブイ  Lv.49

 ベトベトン Lv.50

 ジバコイル Lv.50

 ケンタロス Lv.50

 ヤドラン  Lv.50

 ハッサム  Lv.50

 トゲチック Lv.42

 プテラ   Lv.51

 ラプラス  Lv.50

 ミュウツー Lv.71

 バリヤード Lv.50

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.44→45

 カビゴン  Lv.43→44

 ニョロゾ  Lv.42→43

 ヘラクロス Lv.38→39

 チコリータ Lv.35→36

 ヒノアラシ Lv.35→36

 ラティアス Lv.30

 デルビル  Lv.33→35

 ワニノコ  Lv.29→31

 ヨルノズク(色違い) Lv.29→32

 カイロス(部分色違い) Lv.34→35

 ウソッキー Lv.32→33



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#062 『悪さをする相手が悪かったな』

 11歳 θ月ν日 『あ、これエーフィに進化するぞ!』

 

 マツバに勝った次の日。団子屋でお茶をしばいていると、イーブイを連れたサクラというトレーナーに出会った。

 サクラは踊り子姉妹の末っ子らしいのだが、いつかイーブイと共に旅に出てジョウトリーグに出場するのが夢らしい。

 何だかんだあってカスミさんとラティがサクラと意気投合し、庭園でお茶をすることになったのだが、急にサクラが俺達の旅の話が聞きたいと言い出した。別に聞かれて困るようなことはないので、カントーやオレンジ諸島でのことを適当に話していく。タケシもオレンジ諸島の最初に別れたので、俺達がどんな旅をしていたのか興味深そうに聞いている。

 

 そんなこんなでニューサトシのアニポケ冒険記を話していると、サクラも俺達と一緒に旅をしたいと言い出した。なんか、どこかで似たような話があったなと思いながらラティを見るが、本人は全くの知らん顔をしている。

 

 上がったテンションそのままに、サクラが姉達に旅に出たいと訴えていた。しかし、姉達は俺達がポケモンバトルで勝ったら許すと言ってバトルを挑んでくる。ぶっちゃけ、別にどうしても一緒に旅をしたいわけではないが、売られたバトルは買うのが礼儀なのでとりあえずボコボコにすることにした。

 

 見ると、長女はサンダース、次女はシャワーズ、三女がブラッキー、四女がブースターを連れている。こりゃ、多分サクラのイーブイはエーフィに進化するなと思いつつ、相手がブイズだったので、こちらも久しぶりにイーブイを使うことにした。

 バトル前に転送装置でオーキド研究所からイーブイを転送してもらい、いざバトルだ。

 一番手は長女とサンダースだったので、こちらもサンダースに進化させてバトルをすることにした。石なしで進化するイーブイに驚いていたが、俺のイーブイの本当の凄さはこれからだぜ。

 

 サクッと長女のサンダースを倒すと、一度イーブイに戻り、次にシャワーズへと進化した。どうも前からずっと特性の負担に慣れる訓練をしていたようで、一日に五回くらいまでなら問題なく進化することが出来るらしい。まぁ、技制限の兼ね合いとかもあるし、一度のバトルで複数回進化することはあまりないだろうが、こうした四天王形式のバトルではかなり有用になったな。

 そのまま次女のシャワーズ、三女のブラッキー、四女のブースターを続けてKOする。これで条件は満たしてしまったのだが、と思いつつ、姉達の方を見ると、まさか負けるとは思っていなかったようで、とても困った顔をしていた。

 

 まぁ、ですよね。普通に考えて、妹がどこかの知らない奴と一緒に旅に出るのを望む姉はいないわな。そんな姉の気もしらず、サクラはカスミさんやラティと一緒になって喜んでいる。

 

 もうどうにでもなれと思いながら黙ってみていると、いつものようにロケット団が現れ、サクラのイーブイや姉達のブイズが囚われてしまった。

 どうやらずっとバトルを見ていたようで、疲れた所を狙ってきたらしい。とはいえ、俺のイーブイはまだまだ元気だ。最後の進化でイーブイをエーフィに進化させ、いつものようにやなかんじーにしてやった。

 

 すると、俺の戦いっぷりを見たサクラが自分だけではイーブイを助けることは出来なかったと自分の力の無さを悔やみ、姉達も人に頼ってばかりの人間に旅はまだ早いとサクラが旅に出るのを止めている。

 サクラもそれを聞いて、俺達と一緒に行くのを諦めて一から自分を鍛えなおすと言っていた。ラティがとても残念そうにしていたが、このまま俺達と一緒に来てもサクラのためにならないと話すと渋々頷いている。ラティが「またあう」とたどたどしく伝えると、サクラも「また会おうね」と笑顔で俺達を見送ってくれた。

 

 

 追記。次のジムをアサギかチョウジで迷ったが、アニメでもアサギからだったと思うので、アサギに向かうことにした。

 

 

 

 11歳 θ月ο日 『まぁた古代文明かよ』

 

 日照り続きの中、テッポウ山とかいう山の近くまで行くと空に大きな虹が浮かんでいた。

 どうもこの辺りには、かつてテッポウ文明なる古代文明が栄えていたらしく、今では緑も枯れて寂しい土地になっているが、十数年に一度、枯れ谷に水が溢れ空に虹がかかるという。

 ぶっちゃけ、古代文明はもう古代ポケモニア文明でお腹いっぱいなのでそのままスルーして先に進もうとしたのだが、いつの間にかラティがロッホとかいう爺さんと仲良くなってしまい、何故か一緒に空に浮かぶ虹の謎を解くことになってしまった。

 

 ロケット団の介入やら何やらで多少ゴタゴタしたが、結局謎はテッポウオ達が『みずでっぽう』と『れいとうビーム』で作った巨大な氷柱が太陽の光で溶け、その水蒸気によって空に虹がかかるということがわかった。これが古代文明とどう繋がっているかは永遠の謎である。

 

 

 

 11歳 θ月ρ日 『相手が悪かったな』

 

 アサギシティへ向かう途中に、凶暴なポケモンが出るという噂のある森に通りかかった。

 いつも通り普通にキャンプをしていると、野生のヒメグマが現れ、可愛い顔で何やらアピールしてくる。プリンさんもそうだが、こういうあざとい奴はろくなことをしないと思いながら様子を見ていると、隙を見て俺達の食料を盗み食いしていた。

 気づかれそうになった瞬間、俺のポケモン達に濡れ衣を着せて誤魔化しているが、俺は原作のサトシ君と違って、しっかりその辺の教育はしているので、ポケモン達も余程のことがないと悪さをしないのだ。

 

 と、言う訳で、サクっとヒメグマをKOして追い返した。悪さをする相手が悪かったな。

 

 

 

 11歳 θ月σ日 『なんか、お前ら弱くなってね?』

 

 最近ロケット団が小細工をやめたのか、真っ向からバトルを仕掛けてくるようになった。

 いつも通り相手になっていると、ムサシが新たにリングマを手持ちに加えている。よく見ると、どこかで見たことあるような顔をしているような気もしたが、とりあえずウソッキーでバトルをすることにした。

 

 しかし、近頃はロボに甘えていたからか、少し歯ごたえがなくなっている。思わず、「お前ら、弱くなったか?」と言うと、顔を真っ赤にしたムサシが良くわからないことを叫びながらどこかへ走り去ってしまった。なんかすまん。

 

 

 

 11歳 θ月τ日 『伝説って?』

 

 かつてカントーで出会ったストーカーカメラマンのトオルに再会した。

 どうも伝説のポケモンであるフリーザー様を追っているらしいのだが、伝説にはむやみやたらに関わらないというのがニューサトシのモットーである。

 ラティの件やエンテイ竹中で、伝説はもう十分。この後はセレビィも控えている可能性が高いし、そもそもフリーザー様にはアーシア島で既に対面している。頑張れとだけ声をかけてさっさと旅を続けることにした。

 

 

 

 11歳 θ月χ日 『ウインディ欲しい』

 

 ハルカとユタカという運び屋姉弟と仲良くなった。ちなみにハルカと言っても、AGのハルカではない。弟もマサトじゃないしな。

 どうやら二人は炎系ポケモンコンテストの商品である炎の石を会場まで届けに行く途中ということで、アサギシティへ向かう俺達と偶然にも行く方向が同じだった。アサギまでは無理だが、途中まで一緒に行こうということになり、二人のポケモンであるウインディの背に乗せてもらう。

 ただ、こちらは四人なので、三人乗りになってしまうのが問題だった。二人はウインディなら大丈夫と言ってくれるが、流石に三人で長距離移動はウインディも苦しいだろう。

 

 どうしたものかとい悩んでいると、ふと前にカントーでポニータ――いや、進化してギャロップになったんだっけか。に、乗ったことを思い出したので、試しにウインディに一人で乗せて貰うことにした。流石にギャロップとは少し勝手が違ったが、意外と簡単に乗りこなせている。

 

 ユタカも「サトシ、上手いよ。才能ある!」と褒めてくれていた。やはり俺は天才らしい。

 

 どうやら俺の騎乗技術は合格点だったようで、ハルカが三体目のウインディを出し、ハルカ、ユタカ、俺で二人乗りすることになった。

 ハルカの後ろにタケシ、ユタカの後ろにカスミさんが乗り、俺はラティと一緒である。そのまましばらくはのんびり進んでいたのだが、途中で誰が早くコンテスト会場まで着くか競争することになり、何だかんだあって俺が一着になった。正確には競っているハルカとユタカの隙をついたのだが、勝った奴が正義なので俺の勝ちである。

 

 しかし、ウインディはやはりいいな。ヒノアラシやデルビルをゲットしたので、炎タイプはもういいかとも思っていたが、やはり機会があればゲットしたいポケモンだぜ。

 

 

 追記。コンテストに優勝し、炎の石をゲットしたトレーナーにお願いして、一つをリーフの石と交換してもらった。うへへ、これでガーディさえゲットすれば俺もウインディゲットだぜ。

 

 

 

 11歳 θ月ψ日 『ノコッチはのこっちます』

 

 この世界にはゲームと同じでたまにポケモンの大量発生が存在する。今訪れている街では少し前にノコッチの大量発生があったらしく、子供たちの間ではノコッチが大ブームになっているらしい。

 この街に住むキイチという少年と知り合う機会があったのだが、どうやらキイチは丁度その時用事でこの街を離れていたらしく、ブームに乗り遅れてしまったようだ。

 

 この年の子供はすぐにはぐれ者を仲間外れにするようで、キイチは何としてもノコッチをゲットしたいと訴えている。思えば、俺も前世でポケモンが出た時、スタートダッシュに遅れて買うことが出来ず、周りの子供たちに仲間外れにされた記憶があったので何だか他人事とは思えなかった。

 

 ピカ様を筆頭に手持ちのデルビル、ワニノコ、ヨルノズク、金角のカイロス、ウソッキーでノコッチ捜索隊を編成し、キイチと一緒にノコッチを探す。とはいえ、大量発生は完全に終了してしまっているようで、ノコッチの姿は欠片もなかった。

 ゲームだと大量発生を逃すと、出現地域に行く以外にゲットする手段はないが、ここはアニポケ世界である。もしかしたら、大量発生時期から外れて現れるようなはぐれ者がいるかもしれないので諦めずに探すことにした。

 

 かなり時間はかかったが、ようやく一体のノコッチを発見。キイチは絶対にゲットすると意気込んでボールを投げると何とかゲットすることが出来たようだった。

 

 

 追記。俺がキイチに少し甘い対応をしたせいか、カスミさんが「珍しく優しかったわね。正直、いつもみたいに『そいつは残念だったなぁ。まぁ、素直に諦めて次の大量発生を待つんだな』とか言って突き放すと思った」と、ニヤニヤしながら言ってくる。どうも、俺が前世の感傷に浸っていたのがカスミさん的には面白かったらしい。プッチンしたので、夕飯のデザートをかっさらってやった。ビンタされた。

 

 

 

 11歳 ι月α日 『まぁた怪盗かよ』

 

 怪盗ゴローニャなる悪者を追っているジュンサーを見つけた。ぶっちゃけ、関わる気は欠片もなかったのだが、向こうから近づいてくるので仕方なくウソッキーで怪盗を取り押さえる。

 どうやらこのジュンサーも俺達のことを姉妹達から聞いていたようで、「流石はポケモン泥棒退治の専門家ね」と褒められた。

 

 まぁ、自分スペシャリストなんで(キリッ)。

 

 

 

 11歳 ι月β日 『そういえば、俺病気になったことないな』

 

 タケシが熱を出した。最近、暑かったり寒かったりで、寒暖差が酷いし、体がついていかなかったのかもしれない。

 とはいえ、近くに休める宿はなかった。できれば屋根のある場所で休ませてあげたかったが、あまり無理は出来ないのでタケシの体調が回復するまで、ここをキャンプ地とする! ことにする。

 

 タケシの代わりに料理やポケモン達の世話をすることになったのだが、カスミさんがかなり怪しい料理を作り出していた。

 カスミちゃんスペシャルと名付けられた禍々しい色のシチューを出されたが、とてもじゃないが食べようとは思えないものだ。流石のニューサトシも毒は無効化出来ないんだぜ。

 

 いつもご飯を楽しみにしているラティもこれは食べたくないようで、悲しそうな顔をしていた。

 

 文句を言う俺達に憤るカスミさんだが、試しに味見させてみると、一口食べたカスミさんの顔色が七色に変化している。OK、わかった。今日は俺が適当にサンドイッチでも作る。

 とりあえず、食べ物は何とかなったが、ポケモン達の世話や洗濯などいろいろやることは多く、俺達は改めてタケシの有難みを再確認した。

 

 

 追記。朝には元気になったようで、タケシがいつものように飯を作っていた。改めてみると、こいつの手際はもはやプロと言っても過言ではなかった。

 

 

 

 11歳 ι月δ日 『知っているのか、ライデン!』

 

 リキシータウンという街に着いたのだが、そこでポケモン相撲道場で親方をやっているライデンという奴に出会った。

 ライデンはオーダイルを手持ちにしているようで、かなり力強く育てられている。俺も将来、ワニノコをオーダイルにしたいので、ワニノコを出して「あれがお前の未来の姿だ」と、目標を持たせることにした。

 

 そのまましばらく道場を見学させてもらっていると、ポケモン相撲協会の理事長であるヒョウノスケとかいう親方からポケモン相撲大会に出てみないかと誘われる。当然、参加を表明した。

 オーダイルと相撲でもしかしたらと思っていたが、この大会こそがおうじゃのしるしを手に入れる大会だ。ニョロゾをニョロトノにするかどうかは別にしても、進化アイテムは持っていて損はない。

 

 デルビルをオーキド研究所へ送り、カビゴンを転送して貰う。内容は殆ど覚えていないが、原作では確かカビゴンが無双する回だったはずだ。

 オーキド研究所でカントー組にもまれたのか、カビゴンも気合十分とばかりに手を挙げていた。決して、副賞にポケモンフーズ一年分が貰えると唆した訳ではない。

 

 この大会は相撲大会なので、技は使用禁止。力と力のぶつかり合いやポケモンとのコンビネーションが物をいうなかなかスリリングな大会である。

 前にもどこかで書いたが、俺のカビゴンは俊敏さが売りなので、相手の攻撃を器用によけたり、避けられないものは受け流したりして、上手く隙を突きながら相手を場外まで押し出していた。

 カビゴンが相手とわかると相手は力を入れがちだが、実は大ぶりになるような動きはカモだったりする。

 

 そのまま相手の油断を突きながら順調に決勝まで勝ち進むと、決勝の相手はライデンのオーダイルとなった。

 オーダイルは力技で攻めてくるが、カビゴンは上手く攻撃を受け流している。これまでの相手は無理に攻めようとした隙を突けたが、流石に決勝と言うこともありライデンは無理に攻めてはこなかった。

 パワーがダメならスピードとばかりに小技で翻弄してくる。いくら俺のカビゴンが俊敏とはいえ、オーダイルにスピードで勝てはしないので、ここは防御を固めることにした。

 

 こちらが防御を固めれば、オーダイルも完全に攻め切れはしない。どこかで大きい一発が必要だった。

 その一撃に合わせて、突っ張りをカウンターで打ち込む。そのまま全体重をかけた押し出しでオーダイルを場外送りにすると、無事に優勝賞品であるおうじゃのしるしを手に入れることが出来た。

 

 

 追記。ポケモンフーズ一年分は一日で消えた。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・第183話『イーブイ五姉妹! お茶会バトル!!』より、イーブイが特性に耐えられるようになった。
 一日に五回くらいまでなら負荷なく使用できるようになった。ただ、一度のバトルで複数回進化させるつもりは今の所はない。

・第184話『ヤミカラス! 奪われたバッジ!!』より、ニューサトシがバッジを奪われなかった。
 ニューサトシはしっかりバッジケースを使用しているため、ヤミカラスに取られることはなかった。コジロウは原作通りに王冠コレクションを奪われたが、しっかり取り返している。逆に三体のヤミカラスを捕らえ、本部へ航空偵察部隊として送った。

・第185話『テッポウオの空!』より、ラティがロッホと仲良くなった。
 最近のニューサトシは古代関係に飽き飽きしているのでスルー予定だったが、原作サトシ君のポジションにラティがいるためスルーされなかった。

・第186話『ヒメグマの秘密!』より、ニューサトシがすぐにヒメグマの悪事に気付いた。
 何となく記憶が残っていた。おかげでさっさと追い返している。その後、何だかんだロケット団と仲良くなり、リングマへと進化。ムサシの手持ちになっていた。

・ロケット団に、最近メカに頼ってバトルの腕が微妙になっているというツッコミを入れた。
 正確にはニューサトシが強くなっているのでそう感じただけ。実際、ロケット団の能力はたいして変化していない。ニューサトシの呆れ顔にキレたムサシがコジロウとニャースを連れてどこかへ行ってしまった。

・第187話『凍ったヒマナッツの謎!』より、ロケット団が何故かいなかったため、ヒマナッツ達が凍っていなかった。
 何故かいなくなっている。

・トオルとすぐに別れた。
 伝説に興味ないマンのニューサトシはフリーザー様に興味がなかったため、すぐに別れた。ラティも別に伝説のポケモンにはそこまで興味がなかったようで特に一緒に行きたがらなかった。

・第188話『ここ掘れウリムー! 温泉探せ!!』より、トオルと別れたため発生しなかった。
 ロケット団も現れていない。

・第189話『フリーザーVSプリン! 吹雪の中で!』より、トオルと別れたので発生しなかった。
 ニューサトシがコースを変えたことで、プリンさんもフリーザー様と遭遇せず、氷漬けにはならなかった。ロケット団も現れていない。

・第190話『ウインディと炎の石!』より、ロケット団が襲ってこなかったため、レースをした。
 アニメでは炎の石を狙って襲ってきたが、何故か現れなかった。そのため、ハルカ、ユタカとレースをした。隙をついてちゃっかり勝っている。

・炎の石をリーフの石とトレードした。
 ぐへへ、これでガーディゲットで即ウインディや。

・第191話『ノコッチはのこっちない!?』より、ニューサトシが全面的に協力した。
 前世のことを思い出して少しナイーブになった。何故かロケット団の邪魔がなかったので、捜索はスムーズに進んだ。後でカスミさんにそのことを馬鹿にされたので、キレたニューサトシがデザートのプリンをかっさらっている。当然、ビンタされた。

・第192話『ソーナンス! そうなんす?』より、ロケット団が現れなかった。
 そのため、怪盗だけ捕まえた。

・第193話『タケシ倒れる! 危ないキャンプ!!』より、ロケット団が襲ってこなかった。
 おかげで、何とか一日を乗り越えられた。

・第194話『オーダイルVSカメックス! 相撲バトル!!』より、カメックスの活躍は日記に書かれなかった。
 アニメ通り、準決勝でオーダイルとカメックスが戦っているがニューサトシと戦う訳ではなかったため、カメックスの活躍はカットされた。ロケット団はまた現れていない。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.54

 ピジョット Lv.51

 バタフリー Lv.51

 ドサイドン Lv.53

 フシギダネ Lv.51

 リザードン Lv.55

 ゼニガメ  Lv.51

 キングラー Lv.51

 カモネギ  Lv.51

 エビワラー Lv.51

 ゲンガー  Lv.52

 オコリザル Lv.51

 イーブイ  Lv.49→50

 ベトベトン Lv.50

 ジバコイル Lv.50

 ケンタロス Lv.50

 ヤドラン  Lv.50

 ハッサム  Lv.50

 トゲチック Lv.42

 プテラ   Lv.51

 ラプラス  Lv.50

 ミュウツー Lv.71

 バリヤード Lv.50

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.45

 カビゴン  Lv.44→45

 ニョロゾ  Lv.43

 ヘラクロス Lv.39→40

 チコリータ Lv.36→38

 ヒノアラシ Lv.36→38

 ラティアス Lv.30

 デルビル  Lv.35→37

 ワニノコ  Lv.31→33

 ヨルノズク(色違い) Lv.32→34

 カイロス(部分色違い) Lv.35→37

 ウソッキー Lv.33→35



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#063 『んー……君はもしかして?』

 11歳 ι月ε日 『おーよしよし』

 

 カビゴンをオーキド研究所に送り返し、代わりに誰かを預かろうとしたのだが、どうもチコリータが最近泣いてばかりいるということで、一旦チコリータのメンタルケアを兼ねて久しぶりに手持ちに加えることにした。

 そんなに長い間離れていた訳ではないのだが、俺に会った瞬間、まるで生き別れの親と会った子供のようにギャン泣きしている。

 

 ちゃんと向こうで訓練していたか少し不安になったが、そこはしっかりとやっていたようで、レベルはしっかりとアップしていた。とりあえず褒めると嬉しそうにチコチコ言っている。

 

 とはいえ、基本的にピカ様以外をレギュラー固定するつもりはないので、いずれはまたチコリータもオーキド研究所に戻ることになるだろう。この調子だと少し不安だが、アニメでもジョウト編が終わった後はオーキド研究所に居たんだし大丈夫だと思いたい。

 

 

 

 11歳 ι月ζ日 『ポケモンと話せる? いえ、結構です』

 

 どうやら電気エネルギーを吸い取る特殊な地質を持った場所に入ってしまったようで、ピカ様に元気がない。もう動けんとばかりにアピールしていたので、素直にポケモンセンターで休むことにした。

 途中、ポケモンの言葉がわかるとかいうおっさんが話しかけてきたが、ポケモンの言いたいことなら俺もある程度わかるので即お帰り頂く。

 

 そのまましばらくポケモンセンターで休んでいると、いきなりコイルやレアコイルがポケモンセンターを襲撃してきた。

 一瞬、またロケット団かと思ったが、どうやら違うようだ。どうも事情はよく分からないが白い服を着たおっさんがコイル達を悪事に使っているらしい。とりあえず、おっさんはマサラ式肉体言語術で即お仕置きした。

 

 どうも、コイル達は自ら進んで悪事をしているという感じではなく、ピカ様と一緒でこの辺りの特殊な地質のせいで腹ペコなだけなようだ。本来であれば、トレーナーが対応すべき問題だが、悪事を働く下種にそんなことを言っても無駄なので、ジョーイに頼んでコイル達の充電をお願いする。

 最初はあまりに腹が減りすぎて暴走状態だったコイル達だが、俺氏による必死の説得(物理)の末、矛を収めてくれた。

 

 追記。ポケモンの言葉がわかるとか言っていたよくわからないおっさんが「私も君のような人間になるよ」とか言ってきたので、とりあえずマサラタウンにある道場を紹介しておいた。

 

 

 

 11歳 ι月η日 『行方不明のロケット団』

 

 昨日のコイル事件で少し思ったが、最近ロケット団が襲ってこない。こちらとしては平穏に旅が続けられるので別にいいと言えば良いのだが、いないのはいないで何となく寂しい気もする。

 

 どこに行ったんだあいつら?

 

 

 

 11歳 ι月θ日 『もう古代文明はお腹いっぱいなんだが』

 

 タケシのクロバットが遺跡のそばで倒れている女性を発見した。ナツキと名乗るその女性は考古学者のようで、大昔に黄金と錫杖を使ってポケモンを自由に操っていたとされる女王の遺跡を調べていたらしい。

 どうも、事故があって超音波探査機が壊れてしまったらしく、タケシがクロバットの『ちょうおんぱ』を使って手伝いをすると言っている。タケシが女に甘いのはいつものことなので、仕方なく俺達も遺跡を探索することにした。

 

 古代テッポウオ文明の時もそうだったが、ラティが探検に大はしゃぎしており、カスミさんが大変そうに面倒を見ている。

 下手に遺跡の罠に引っかかっても大変なので、一応落ち着くようには言ったが、基本的にお転婆人魚を自称するカスミさん以上にお転婆なので落ち着かせるのはかなり大変だった。

 

 結構複雑な遺跡だったが、無事に黄金の仮面と錫杖を入手しナツキと別れる。しっかし、ポケモンを自由自在に操る古代遺産か、もしかしたらこういうものがマスターボールが出来るキッカケだったりするのだろうか?

 

 

 

 11歳 ι月ι日 『おじいちゃん、ご飯なら食べたでしょ!』

 

 ホワイトタウンという石灰岩でできた街に着いたのだが、適当に街を探索していると、世界的に有名な画家というキースと、そのパートナーである三体のドーブルと知り合った。

 どうもキースとドーブル達は最近スランプのようで、納得のいく作品が書けていないらしい。「ワシの画家生命もここまでかもしれん」とか言っていたが、こういう奴程死ぬまで絵を描いているものだ。

 

 実際、翌日になると、何かを閃いたようで一心不乱に絵を描いている。しばらくすると、納得のいく絵が描けたようで、キース達も満足そうに頷いていた。

 しかし、完成直後に雨が降り出し、書き終えた絵が消えてしまう。ラティが残念そうな顔をしていたが、キースはそれでも満足のようで、これからも絵を描き続けると言っていた。

 

 

 

 11歳 ι月λ日 『いるよね、こういうやつ』

 

 旅の途中で、タケシが転びそうになった女性を助けたのだが、その助けたヒメカと名乗る女性にタケシが一目惚れされるという事件が発生した。

 遂にタケシにも春が来たかと思ってそのまま様子を見ていたのだが、ヒメカはタケシに猛烈アピールをしていたと思いきや、いきなり偶然ぶつかった別の男性にアプローチをし始め、気づけばまた違う男性にアプローチしている。

 

 あー、いるよね。こういう浮気性があるやつ。

 

 流石のタケシもこれには熱が冷めたようで、素直に旅を続けることになった。しばらく落ち込んでいてとてもウザかった。

 

 

 

 11歳 ι月μ日 『なかなかやるやん』

 

 随分久しぶりにロケット団が現れた。どうも、前に俺が弱くなったと言ったのがショックだったのか、武者修行をしてきたようで、大分バトルに歯ごたえが出てきている。

 前は力押ししかしてこなかったニューメンバーのリングマだったが、今度は『あまえる』や『メロメロ』といった面倒くさい変化技を使用してきた。『あまえる』も面倒だが、『メロメロ』はもっと面倒で、ワニノコがいつものようにやられてしまっている。

 

 性別が同じなら『メロメロ』は効かないので、チコリータに頼んでリングマを倒してもらった。そのまま毎度同じくやなかんじーにしてやったのだが、バトルが終了すると同時にチコリータの体が光りベイリーフへと進化する。

 

 アニメでは進化したベイリーフのパワーに押されて体当たりを受けきれなくなっていたサトシ君だが、ニューサトシは普通に受けきった。

 いいぞ、そのままメガニウムまで進化するのだ。そうすれば『げきりん』を覚えられるようになる。

 

 とりあえず、いつものように撫でまわしていると、嬉しくなったのか、ベイリーフが『のしかかり』をしてきた。まぁ、レベル的には覚えてもおかしくはないし、ガタイも良くなって出来るようになったようだ。攻撃手段が増えていいかんじーである。

 

 

 

 11歳 ι月ν日 『んー……君はもしかして?』

 

 天気もいいので釣りでもしようと言う話になったのだが、川辺の近くで釣りをしながら昼寝をしている麦わら帽子を被った全身黄色の子供を見つけた。

 もしやと思い声をかけると、やはりポケスペのイエローのようだ。マジか、レッドやブルーがいるとはいえ、まさかイエローに会うことになるとは思わなかった。レッドやブルーはポケスペというよりもゲームよりの性格をしていたが、このイエローは完全にポケスペに出てくるキャラそのものである。

 

 どうもイエローはタンバシティに用事があるようで、そこまで一緒に旅をすることになった。

 優しい性格をしているからか、ピカ様やラティを始め、俺のポケモン達もすぐに懐いている。

 

 一度バトルに誘ってみたが、やはり戦うのはあまり好きではないようだ。無理強いするのは良くないのですぐに諦めたが、手持ちは普通に見せてくれた。

 ピカチュウ、ラッタ、ドードリオ、バタフリー、オムスター、ゴローニャ。ポケスペと一緒だが、四天王がポケスペと違うキャラな以上、イエローが成長するスオウ島のような事件は発生しないはずだ。何がどう繋がればこうなるのか皆目見当もつかないが、まぁとりあえず自分の身を守るだけの力はあるのはわかったので良しとしよう。

 

 

 

 11歳 ι月ξ日 『ブルー四天王になったってよ!』

 

 どうやらイエローはブルーと知り合いらしい。おまけに、セキエイ大会も見ていたようで、俺のことを事前に知っていたと言っている。

 そのままいろいろ話を聞いていると、どうも今年のチャンピオンリーグはブルーが勝ち抜いたらしい。旅が忙しくて調べる暇はなかったが、ブルーの強さなら勝ち抜いていても不思議ではないだろう。

 チャンピオンリーグを制したということは、四天王がいるリーグに挑戦したのかと思ったが、どうやらブルーがチャンピオンリーグを制覇したと同時に、カントー、ジョウトの四天王であるワタルが四天王を辞め、ジョウトチャンピオンに就任したらしく、ブルーは無条件でカントー四天王入りしたという。

 

 イエロー曰く、ブルーの目的は四天王入りによるハナダの洞窟探索にあるようで、無条件で四天王になれる以上、四天王リーグ挑戦はキャンセルしたようだ。勿体ない、俺ならそれでも挑戦していたぞ。

 

 しかし、ワタルがジョウトチャンピオンとは。アニメではカントー、ジョウトのチャンピオンだった以上不思議ではないが、まさかこのタイミングとは思わなかった。

 

 

 追記。ワタルがチャンピオンになったことで、ジョウトも四天王に空きが出来たが、そこにはカントーセキチクジムのジムリーダーであるキョウが推薦されて就任したらしい。これでカントーは、ブルー、キクコ、カンナ、シバ。ジョウトはカリン、シバ、キョウ、イツキになったようだ。アニメと微妙に違うが、まぁレッドやブルー、イエローがいる時点でお察しである。

 

 

 

 11歳 ι月π日 『ダメだ。過去を改変すると、世界線が変動するとシュタゲで習った』

 

 ハテノの森という場所に来た。ここはオーキド博士が昔伝説のポケモンであるスイクンを見たことがあるという自然豊かな森だ。

 ニューサトシは劇場版に詳しいので、ここがセレビィの出る森だということがすぐにわかった。セレビィはウバメの森じゃないのかよと思った人もいるかもしれないが、アニポケはもう何でもありなのである。

 

 森の中を歩いていると、セレビィが時を超える際に発生するという『森の声』という現象に遭遇した。ああ、やっぱりなと思って近くを散策すると、祠の前で倒れている若き日のオーキド・ユキナリを発見する。

 

 これがあの川柳爺になるとは思えんな。

 

 と、思いながらも、とりあえずユキナリを連れて近くのハテノ村へ行く。本当は傷ついたセレビィを先に保護したかったが、どこにいるかわからないし、下手に原作改変を行うとタイムパラドックスが起きる可能性があったので下手に動くのは自重した形である。

 

 ラティの時と違って、この映画ではセレビィによる時間移動という結構ヤバい問題があるので、あまり調子に乗ってやりたい放題すると俺達のいる今にも影響が出るかもしれないのだ。

 

 シュタゲで死ぬほど過去改変による現在の時間軸への変化は勉強済なので、事は慎重に動く必要がある。

 何せ、下手にこのユキナリに原作外の影響を与えると、もしかしたら過去が変わってニューサトシという存在自体が消える可能性だってゼロではないのだ。こうやって接触している今だって、次の瞬間には、俺は原作知識やゲーム知識がなくなった原作サトシ君になっているかもしれない。

 

 とりあえずは基本原作通りに進めた方がいいのだろうが、ニューサトシ的にこの映画に出てくる悪役が使う、捕まえたポケモンを邪悪に染めて無理矢理に力を引き出すダークボールなるヤバいものを放置したくないというのが本音である。

 もし、何かの間違いでミュウツーが奪われでもしたらそれで世界は滅亡だし、原作通りにセレビィが捕まってしまえばワンチャン死んでしまう可能性もゼロではない。

 

 できれば未然に防ぎたかった。

 

 が、セレビィが捕まることで、スイクンが登場し、なんやかんやでセレビィを救うというのがこの映画の流れだ。オーキド博士が過去にスイクンをこの森で見たというのもその流れの記憶だろうし、変に俺が悪役の行動を未然に防いでスイクンに出会えなくなると、その時点でオーキド博士の過去を改変したことになって未来が変わってしまう可能性もある。

 

 どうするか。

 

 セレビィを守りつつ、スイクンにも出会う。そんな都合のいい状況などあり得るはずがない。どこかの新無印のように、そこらのハンターにスイクンが捕まってくれていれば話は早いのだが、それは今から数年先の話である。

 

 俺の身の安全を考えれば、原作通りに話を進めるのが利口なのだろう。だが、保身のためにポケモンを見捨てるなんてニューサトシの矜持が許さなかった。

 もう考えるのはやめだ。

 やりたいようにやって過去が変わったらもうその時はその時でいい。悩むのはニューサトシのキャラではないのだ。もし、俺がニューサトシでなくなったとしても、その時はネオニューサトシが新しい日記を書き始めてくれるだろう。

 

 と、いう訳でユキナリを村へ連れて行くと無事に目を覚ましたので、とりあえず自己紹介をする。

 最初は何がなんだかわからないと言った様子のユキナリだったが、どうもこのハテノ村の村長さんはユキナリのことを知っているようだった。聞けば、40年前にこの森で消えた少年がこのユキナリだったらしい。

 村長曰く、ユキナリは時渡りをして、40年前からタイムスリップしてきたという。知っているが、とりあえず初めて知ったふりをしておいた。そのまま話を続けていると、ユキナリがセレビィがいないことに気が付き、すぐにセレビィを探すために森の中へ入っていく。当然、ニューサトシ達も後を追いかけていき、森の中で傷だらけのセレビィを発見した。

 

 今回はたまたまイエローが一緒にいてくれたおかげで、彼女の持つポケモンの傷を治す癒しの力でセレビィに応急処置を施すことが出来たが、そうでなければ結構ヤバい大怪我である。

 原作知識のある俺と違って、イエローの能力初見のタケシやカスミさんは驚いているが今はそれ所ではなかった。

 

 そのままセレビィを村まで連れて行こうとしたが、その瞬間、ロケット団が現れたのでいつものようにやなかんじーにする。

 今はそれどころじゃ無いんだよと思っていると、続けてロケット団幹部を名乗るビシャスという悪党が変なメカに乗って現れた。

 

 とはいえ、この事態は既に予測済である。この森に来ることになってから、いつでも戦えるように事前に手持ちのメンバーは入れ替えてあるのだ。

 今回の手持ちは、ピカ様、リザードン、ゼニガメ、エビワラー、ハッサム、ヒノアラシである。

 記憶通りなら、ビシャスが使ってくるのはバンギラス、ニューラ、ハッサムのはずなのでバンギ以外に通る炎にリザードンとヒノアラシ、バンギとニューラ用にエビワラーとハッサム。ゼニガメはバンギに対する特殊アタッカーとして採用した。つか、いい加減ゼニガメも進化しろ。

 

 妙な機械に乗りながら、「そのセレビィを置いていけ」というビシャスに、「一昨日来やがれ」と返すと、ダークボールからバンギラスを出してきた。

 でかい。普通のバンギラスよりも一回り以上は大きいだろう。このバンギラスも本当は臆病な性格だったが、ビシャスの持つダークボールによって邪悪に染められ、無理やりに性格を変えられて能力を引き上げられた犠牲者である。体が大きいのも、おそらくその影響だろう。

 

 絶許だった。俺はジョウトのポケモンで一番バンギが好きなのである。そのバンギラスを悪用するなど言語道断、今ここでバンギを助けてやるぜ!

 

 ハッサムを出して、速攻で『バレットパンチ』を仕掛ける。どうも、ビシャスはトレーナーとしては二流以下のようで、強力なポケモンで強力な技を使うだけのようだ。

 せっかくのバンギラスに、タイプが合わず、隙の出来やすい『はかいこうせん』を撃たせようとしていたが、バレパンをアッパーの要領で打ち込み、顔を上に上げさせて『はかいこうせん』を空に無駄撃ちさせる。

 反動でバンギラスが動けなくなっているうちに、『つるぎのまい』を一段階積み、ストライクをゲットしてからの目標だった『バレットパンチ』と『ダブルアタック』のオラオラコンボをお見舞いした。

 

 バレパンの威力が40、特性テクニシャンで60、ダブルアタックによる二回攻撃が加わり120、タイプ一致補正と『つるぎのまい』によって、さらに攻撃力が上がっている。おまけにバンギラスははがね技が二倍弱点な上、急所にまで当たったようでさらにダメージが増えていた。いくらダークボールで強化されたバンギラスと言えど耐えきれるものではない。

 

 正直、ここまで上手く嵌まるとは思わなかったので、ゼニガメの出番がなくなってしまった。

 自慢のバンギラスがまさかここまで一方的にやられるとは思わなかったのか、焦ったようにハッサムとニューラを出してくる。このままハッサムで勝てそうな気もするが、出番待ちをしている奴らがいるので、一度ハッサムを戻し、ヒノアラシとエビワラーを出してそれぞれ相手をさせることにした。

 

 ヒノアラシはまだレベルが少し不安なので、エビワラーには基本的にフリーで戦って貰い、ヒノアラシのバトルをサポートしていく。気合い十分とばかりにやる気の炎を出したヒノアラシが『かえんぐるま』でハッサムに突撃していった。

 

 エビワラーの方はいつも通り、『こうそくいどう』からの『カウンター』、『きあいパンチ』の超カウンターでニューラを一撃で沈めている。もはや、完全な初見殺しだ。ニューラもダークボールで強化されているのだろうが、それでもニューラにかくとう技は四倍弱点である。耐えられなかったようで、バンギラス同様に地面に伏していた。

 

 ヒノアラシはハッサムの『かげぶんしん』に苦戦しているようで、本体を見つけられずに手を焼いている。新たに覚えた『ふんえん』を使った全体攻撃で、『かげぶんしん』を全滅させると、本体へ向かって再び『かえんぐるま』で突撃していった。

 流石にポケモンリーグを経験し、今も訓練を重ねているハッサムやエビワラーにはまだ及ばないが、ヒノアラシはダークボールで強化されたハッサム相手に良い勝負をしている。

 

 ビシャスは苛立ったように「何をしているのです!」と叫んでいるが、そんなことよりもっと本格的な指示をしろ。ポケモンに戦闘を全て任せているから動きを読まれるのだ。

 

 結局、ヒノアラシが大したダメージもなくハッサムを下すと、それと同時にヒノアラシの体が光り、マグマラシへと進化した。アニメでは進化するのは大分先の話だったが、どうやらバトル好きになったことで進化も早まったらしい。

 

 手持ちのポケモンが全滅したビシャスが、「こうなれば……!」と、妙な機械で襲いかかってきたので、出番待ちをしていたピカ様、リザードン、ゼニガメの三体で返り討ちにする。

 こういうメカ相手はロケット団で慣れっこなので、特に大きな危険もなく、ビシャスを制圧した。逃げようとするビシャスを捕らえて簀巻きにする。

 

 さて、これでもう大丈夫だろうが、映画の大半を無に帰してしまったな。まぁ、セレビィが無事だったので良しとしよう。

 

 とりあえず、ダークボールの影響下にあるバンギラス、ニューラ、ハッサムをどうにかするためにミュウツーを頼ることにした。

 簀巻きになっているビシャスがミュウツーを見るなり、「ま、まさかそのポケモンは……!」と言っているが、まぁこいつもロケット団らしいし、どこかで話くらいは聞いたのかも知れない。

 

 ミュウツーにダークボールを見て貰うと、即座に破壊して何とかしてくれた。それと同時に、三体を覆っていた嫌な感じが消えて正気に戻っている。

 しかし、バンギラスはダークボールの影響で体が大きくなってしまったが、それは元には戻らないらしい。あくまで意識を正常に戻しはしたが、強化されてしまった力は戻せないという。

 

 ニューラとハッサムは自由になるなり、森の中へ逃げて行ってしまったが、バンギラスはハッサムから受けたダメージが大きいのか、まだ動けずに居る。こんなに強い奴を野生に帰すのは勿体ないので、ダメ元でバンギラスに俺と来ないか誘ってみた。

 いきなりの誘いに困惑したような顔をするバンギラス。映画だと元は臆病な性格だったが、やはり力を得たことで性格が変わったようで、力強い目でジッとこちらを見ている。

 

 こちらも、負けじと見返すと、熱意が伝わったのか黙ってバンギラスが頷いた。やったぜ。

 

 バンギラスをゲットし、そのまま一度オーキド研究所に送る。ビシャスをどうしようか困ったが、このまま連れ歩いて逃げられても面倒なので、アルトマーレの時同様に近くの街の交番までミュウツーにテレポートして貰った。これで問題は全て解決だろう。

 

 ただ、ビシャスとのバトルで道に迷ってしまい、どうやれば村に帰れるかわからなくなってしまった。

 とりあえず、勘を頼りに森の中を進んでいると、野生のポケモン達が次々と現れ、俺達とセレビィを命の湖という、傷を癒やす湖へと案内してくれる。

 イエローのおかげで、原作よりも元気なセレビィだが、湖の水に浸かったことで完全復活したらしい。元気に俺達の周りを飛び回っており、一緒に森の中を探検した。

 

 丸一日しっかり遊び回ると、セレビィと共にユキナリは元の時代に戻っていく。

 結局、スイクンに会えなかったな。と、思っていると、何故かはわからないが、森の中からスイクンらしきポケモンが現れ、過去へ戻るユキナリを見送っていた。

おそらく、ユキナリにも見えているだろう。どうしてスイクンが姿を見せてくれたかは謎だが、過去を改変する要素がなくなりニューサトシ的にも一安心だった。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・チコリータを手持ちに戻した。
 少し可哀想だったので戻した。今の手持ちは、ピカ様、チコリータ、ワニノコ、ヨルノズク、カイロス、ウソッキーである。

・第195話『ポケモンと話せます!? ポケモンの言葉ポケモンの気持ち!』より、ラングの助けを借りなかった。
 なまじニューサトシがポケモンの言いたいことがわかる故に、変な詐欺師と勘違いして関係を持たなかった。その後、アニメ通りの展開でコイル達が襲ってきたが、ニューサトシがポケモンの気持ちを理解しつつ、本人達でもどうしようもないコイル達の暴走を的確に解決したことで、ラングもそんな人間なりたいと思った。ニューサトシは物理的な意味と勘違いして道場の紹介をした。ロケット団は現れなかった。

・第196話『ゴルバットVS仮面の女王ムサシ! 遺跡の戦い』より、ロケット団が現れなかった。
 そのため、特に問題なく仮面と錫杖を入手している。

・第197話『ドーブルの奇跡!! 朝日の中で輝いて!』より、ロケット団が現れなかった。
 また現れなかった。この話を見た時、タイトルを見て、ガンダムかと思った。嵐の中で輝いては名曲。

・第198話『ニドリーノ ニドリーナ! タケシのバラ色の日々!?』より、ロケット団がいないためコジロウが巻き込まれなかった。
 最終的にはアニメ同様に、医者の先生に一目ぼれした。

・第199話『さよならチコリータ!? 電気のラビリンス!』より、風車の制御施設に入らなかった。
 普通にロケット団が復活してきたので、普通にバトルして追い返した。何をしていたのかは不明だが、結構バトルの腕が上がっていた。

・チコリータがベイリーフに進化した。
 たいあたりでものしかかりでも、ニューサトシは余裕で受け止めた。もう二体いても余裕とは本人の談。

・第200話『ベイリーフはどこへ行った!? ハーブ畑で捕まえて』より、ベイリーフが家出しなかった。
 ニューサトシは普通に愛情表現を受け止められるので家出しなかった。そのため、出来た時間で釣りをすることになった。

・イエローに出会った。
 釣りをしようとしたら仲良くなった。イエローはセキエイ大会を見ていたので、ニューサトシのことを知っていた。

・四天王が変わった。
 どこかでワタルをチャンピオンにしたかったので、ここですることにした。

・劇場版セレビィ時を超えた出会いより、ニューサトシが過去改変に少しビビった。
 リーディングシュタイナーを持っている訳ではないので、過去改変をすることで、自分という存在が消えることにビビった。しかし、結局はポケモンの犠牲を防ぐことを優先した。開き直った。

・イエローのおかげでセレビィの傷が治った。
 原作のズタボロ状態から、ちょっと傷が残っているくらいまでに回復している。初見だったタケシとカスミさんは驚いていた。ラティはジョーイさんみたいに治していると勘違いしているので特に反応がなかった。

・ビシャスをボコボコにした。
 容赦なく倒した。劇場版を見ていても、詳しい指示を出していなかったことからトレーナーとしての能力は微妙と判断した。強くしたポケモンでの力押し程度でニューサトシに勝てるはずもなくボコボコにされた。

・ヒノアラシがマグマラシに進化した。
 アニメではDP編まで進化しないが、ニューサトシによってバトル好きとなり、ここで進化した。

・バンギラスをゲットした。
 逃がすには少し惜しかったのでスカウトした。通常の個体よりも、体格が一回り以上大きく、能力が強化されている。詳しい考察については、どこかでニューサトシ自身がするのでここでは割愛する。

・命の湖で回復した後、丸一日遊んだ。
 迷子の末に湖につき、そこで丸一日遊びまくった。セレビィもユキナリも満足して帰った。何故かスイクンが姿を見せている。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.54

 ピジョット Lv.51

 バタフリー Lv.51

 ドサイドン Lv.53

 フシギダネ Lv.51

 リザードン Lv.55

 ゼニガメ  Lv.51

 キングラー Lv.51

 カモネギ  Lv.51

 エビワラー Lv.51

 ゲンガー  Lv.52

 オコリザル Lv.51

 イーブイ  Lv.50

 ベトベトン Lv.50

 ジバコイル Lv.50

 ケンタロス Lv.50

 ヤドラン  Lv.50

 ハッサム  Lv.50

 トゲチック Lv.42→43

 プテラ   Lv.51

 ラプラス  Lv.50

 ミュウツー Lv.71

 バリヤード Lv.50

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.45

 カビゴン  Lv.45

 ニョロゾ  Lv.43

 ヘラクロス Lv.40

 チコリータ→ベイリーフ Lv.38→40

 ヒノアラシ→マグマラシ Lv.38→40

 ラティアス Lv.30

 デルビル  Lv.37→39

 ワニノコ  Lv.33→35

 ヨルノズク(色違い) Lv.34→36

 カイロス(部分色違い) Lv.37→39

 ウソッキー Lv.35→37

 バンギラス Lv.55 NEW


 ネタバレになるので詳しくは書かないのですが、今回のジョウト編はニューサトシが勝っても負けてもアニメと同じくジョウトリーグ終了で終わりを予定しています。
 勝てばそのままチャンピオンリーグですし、負ければ少し後の伏線を張るための小話を数話予定しているのですが、どちらのルートでも複数回のバトル展開があり、そのバトルの描写をいつものように詳しく書くか、大体の流れだけ書いて流すかを悩んでいます。

 ちなみに、勝っても負けてもホウエンには行くのでどちらにしろAG編はやります。

 またAG本編に入れば、バトル描写もいつも通りするつもりですが、今回のは言ってしまえば番外編みたいなものなので、下手に長くしてもだれる可能性がありますし、必要な個所のバトルだけしっかり描いて後は流そうかと考えています。
 ただ、バトルを楽しみにしている方もいらっしゃるかもしれないので、もし見たいという意見が多ければ、しっかり描くことも出来ます。ぶっちゃけ、流れは出来ているので、詳しい描写をするのは苦ではありません。皆様の好きな方で大丈夫です。

 どっちにするか少し悩んでいるので、この話から少しの間アンケートを取らせて頂きます。皆様の率直なご意見をお聞かせ頂けると助かります。




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#064 『歯を食いしばれ』

 11歳 ι月σ日 『占いってそんな面白いか?』

 

 ナットタウンという街で、ポケモン大道芸フェスティバルなる祭をしていたので覗いていくことになった。

 エイパムの竹馬乗りやストライクの紙切り芸など、なかなか面白い催し物があったが、その中でもネイティの占いがかなりの人だかりが出来ている。占い大好きのカスミさんに引きずられながら占い場所に行くと、イサミという少年が父の手伝いをしていた。

 

 しかし、イサミはあがり症のようで、なかなか人前で芸をすることが出来ずに居る。目立つことが大好きなニューサトシとはまるで正反対なので解決策が全く分からないが、とりあえず見られることが気になるならお面でもつけたらどうかとカスミさんがアドバイスしていた。

 

 落ち着いたことで芸は上手く出来るようになったようで、親父さんからもそのままでいいから舞台に出て見ろと言われている。数をこなして慣れれば、そのうちにお面なしでも人前に出られるようになるだろうということだ。

 そのままイサミが主軸で占いを始めたのだが、途中でロケット団が現れ、ポケモン大道芸のポケモン達を奪おうとしてきた。いつものようにやなかんじーにしてやろうと思ったが、ネイティを奪われそうになったイサミの活躍で無事にロケット団の悪事は阻止される。

 

 また、そのことで自分に自信が出たのか、その後の占いも大成功し、気がつけばお面なしで、人前で芸をすることが出来ていた。

 ラティとイエローがおめでとうとばかりに拍手を送ると、少し恥ずかしそうにしていたが、それでも嬉しそうな顔をしている。

 何だかんだいろいろ上手く行ったということで無事に問題は解決したが、街を離れた後、カスミさんが占いしてもらうのを忘れて大騒ぎする一幕があった。まぁ、またの機会に占って貰えばいいだろう。

 

 

 

 11歳 ι月υ日 『ぐぬぅ』

 

 ポケモン気球レースなるものがあるということで、飛び入りで参加していくことにした。

 どうも、ロケット団もこのレースに参加しているようだが、どうせあくどい手口を使ってくるであろうことは読めている。気をつけて様子を見ていたが、どうやら今回は純粋に気球乗りとして対決するようで、長年気球に乗り続けている腕前を披露していた。

 

 こればかりは向こうに一日の長もあって、優勝はロケット団に持って行かれてしまったが、大会景品は気球用の高性能バーナーだったので良しとしよう。しかし、ロケット団に負けたのはこれが初めてだ。ちょっと悔しい。

 

 

 

 11歳 ι月φ日 『歯を食いしばれ』

 

 映画スターのキタオとかいう奴がムチュールを預かって欲しいと声をかけてきた。

 聞けば、ムチュールと一緒に居られる所を見られるとファンからのイメージが悪くなるから事務所から手放せと言われているらしい。

 とりあえず、そんな身勝手なことを聞いて許せるはずもなく、キタオの顔面に一撃お見舞いし、ファンとムチュールのどちらが大切かを問いかけた。キタオも、駆け出しの頃からこれまで自分を支えてくれたのはムチュールだと言うことに気付き、やはりムチュールと一緒にいると決めたようだ。当然である。

 

 

 追記。どうやらムチュールと一緒で益々人気が出たようで、ポケモンセンターで見たテレビのCMにキタオとムチュールが出ていた。リポビタンDかよ。

 

 

 

 11歳 ι月χ日 『なみのりサイドンかぁ』

 

 湖のほとりで水の中を泳いでいるサイドンを見つけた。どうやらこの辺りでは『なみのり』を覚えたサイドンが生息しているらしい。

 俺は既にドサイドンを持っているのでゲットする気はないのだが、水に浸かっても平気なサイドンというのはちょっと魅力である。たまたま知り合ったエリコという女性は岩盤を掘ってトンネルを作っているようなのだが、上からにじみ出る地下水にも耐え、固い岩盤を砕くことの出来るサイドンをゲットしようとしているらしい。

 

 しかし、どんなに勝負を挑んでも返り討ちにあっている。サイドンも、これ以上は無駄だと言わんばかりの表情をしていたが、それでもエリコは諦めずサイドンに勝負を挑み続けている。

 その心意気に感動したのか、ラティとイエローが身を乗り出してエリコを応援していた。相手が女性と言うことで、タケシも最初からエリコを応援していたが、こうなれば自棄だと言わんばかりにカスミさんも応援を始める。

 

 だが、その根性に負けたのは俺達だけではなかったようで、サイドンもまたエリコのことを認め始めていた。

 最終的にエリコのパートナーのマリルがサイドンを下し、ようやくエリコはサイドンをゲットする。早速とばかりにサイドンを呼び出すと、その力で岩山のトンネルを掘り進めていた。

 

 

 

 11歳 ι月ω日 『ポケダンだ!』

 

 巨大飛行船であるマンデーブルー号なる飛行船が停泊していたので、少し見学をしていたのだが、そこで通常のカクレオンとポケダンにしか出てこない色違いの紫色をしたカクレオンに出会った。

 まさか、ポケダン限定色違いポケモンがいるとは、こんな話はアニメにあったかもう覚えていないが、もしかしたら不思議なダンジョンがどこかにあるかもしれないな。

 

 

 

 11歳 κ月β日 『そりゃないだろう』

 

 みずポケモン使いにとって憧れの場所とかいうアラタマ池のポケモンセンターに着いた。

かつてここはベトベターすら住めないほど汚染された池だったらしいのだが、ジョーイさんの祖母や母が長い時間をかけて綺麗にしていったらしい。

 今いるジョーイさんも、二人に負けないように後を継いで行きたいと思っているようなのだが、子供の頃の出来事がトラウマでみず系ポケモンが嫌いだと言っている。それでも職務だからと言って、医者の仕事はしているようだが、自分の仕事に誇りを持っているとはいえ、みず系のポケモンを嫌そうに診るのはどうかと思った。

 

 カスミさんも同様のようで、納得のいかない顔をしている。確かに、苦手なものは仕方ないといえば仕方ないのだろうが、それを隠そうともせずに、「気持ち悪い、気持ち悪い」と言いながら診られては、診られる側もたまったものではないだろう。

 仮に、このジョーイさんが風邪になったとして、診てくれた医者が「女きもい、女きもい」と言っているのと一緒だ。診られる側は気分がいいものではない。

 

 自分のトラウマに負けず、みず系ポケモンが嫌いだから診ない――なんていう差別をしていないだけ、まだこのジョーイさんはしっかりしているが、それを貫くならとりあえず面と向かって気持ち悪いというのはやめた方がいい。

 ポケモンにだって気持ちがあるのだ。自分を嫌うような言葉を言われて嬉しいはずがない。

 

 と、いうことを面と向かって突きつけたら、困ったような顔をされた。ニューサトシは言葉を飾るのが苦手なのでハッキリ言うが、無理なら別のポケモンセンターに行った方がいいぞ。

 今は大丈夫でも、いずれ問題が起きる。

 心無い言葉に傷ついたみず系ポケモン達が暴れるかもしれないし、カスミさんのように、ジョーイさんの態度に疑問を持つ人間だって出てくるだろう。そうなれば、そんな人間がポケモンを見ていることへの問題だって表面化してくる。そうなれば、否応なくここには居られなくなるはずだ。

 

 トラウマがあるのは理解するし、みず系ポケモンを無理に好きになれとは言わない。だが、自分の心を隠して仕事をするのが本当のプロではないだろうか? 少なくとも、他人にみず系ポケモンが嫌いであることを吹聴したり、みず系ポケモンに酷い言葉をかけたりするのは止めることを勧めるね。

 

 

 

 11歳 κ月γ日 『え、相棒技ってあるんすか?』

 

 またいつものようにロケット団が襲ってきた。最初は悪さをするロケット団に驚いていたイエローも最近ではなれたようで、俺のピカ様が無双するのを笑顔で眺めている。

 今日は『なみのり』からの『10まんボルト』でやなかんじーにしてやったのだが、それを見ていたイエローが、ふと「そういえば、サトシさんのピカチュウは『なみのり』を覚えているのに『ざぶざぶサーフ』は覚えていないんですか?」と言われた。

 

 イエローの口にした『ざぶざぶサーフ』とは、ピカブイで登場したピカチュウとイーブイのみが覚えることが出来る専用技のことである。

 通称、相棒技ともいい、ピカチュウが覚えられる技だけでも、どれも破格の性能をしており、当然覚えられるのであれば覚えさせてやりたい所だ。

 

「名前は聞いたことはあるが、覚えさせ方がわからない」

「んー……僕もレッドさんが使ってるのを見て覚えたので、全部使える訳じゃないんですけど、とりあえず『なみのり』が使えるなら『ざぶざぶサーフ』は使えるようになると思いますよ。僕のチュチュも、『そらをとぶ』を覚えたおかげで『ふわふわフォール』を覚えられたので」

 

 どうもイエロー曰く、この世界の相棒技は元の技からの派生らしい。『ざぶざぶサーフ』は『なみのり』から、『ふわふわフォール』は『そらをとぶ』から、『ばちばちアクセル』は『しんそく』から、『ピカピカサンダー』は『おんがえし』から派生するとのことだ。

 特に『ばちばちアクセル』と『ピカピカサンダー』は習得難易度が高く、イエローもレッド以外で使える人間を見たことがないようだが、『ざぶざぶサーフ』と『ふわふわフォール』は元の技である『なみのり』と『そらをとぶ』さえ覚えられれば、意外と習得できると言われた。

 

 ぶっちゃけ、技レコードが使える『なみのり』はともかく、『そらをとぶ』や『しんそく』はそう簡単に覚えられる技ではないので、今の俺が習得できるのは実質一択だが、本音を言えば『ばちばちアクセル』を覚えさせたい。

 何せ、『ばちばちアクセル』は『しんそく』並の速度で攻撃が出来る上に、確定で相手の急所に当たるという理不尽技である。この技があれば、でんきを無効や半減されない限り、威力112の先制攻撃を仕掛けることが出来るのだ。

 

 だが、イエローの言葉通りなら、まずは『しんそく』から覚える必要がある。『でんこうせっか』を超える先制技である『しんそく』、習得は諦めていたが、この機にチャレンジしてみるのもありかもしれない。

 

 とりあえずは『ざぶざぶサーフ』習得のための特訓を開始することにした。イエロー先生のふわふわした説明を聞きながら、何とかチャレンジしてみるも、なかなか『ざぶざぶサーフ』は成功しない。イエローはすぐに覚えられるようなことを言っているが、本当かどうか疑問が出てきた。

 

 

 

 11歳 κ月ε日 『ミカンちゃん、なんか性格違くない?』

 

 ようやくアサギシティに着いた。早速、ジム戦とアサギジムに行ったのだが、よくわからん小娘がジムリーダーを自称している。「いいから、さっさとミカンを出せ」というと、「よく見抜いたわね! でも、あんたの相手なんか私で十分よ!」とイワークを出してきた。

 まぁ、バトルをするというのなら受けて立とう。

 何やら、やけにテカテカ光っているイワークだが、俺のイワークなんて全身クリスタルだしそういうこともあるか。とりあえず、最近はロケット団の相手くらいしかしていなかったピカ様に久しぶりにバトルをしてもらうことにした。

 

 相手はいわ、じめんタイプだし、ここで『ざぶざぶサーフ』をものにしてやるぜ。

 

 開幕で『ざぶざぶサーフ』を指示するも、失敗したようで普通の『なみのり』がイワークを直撃する。ピカ様がみず技を使ったことに驚いた小娘だったが、イワークはまさかの無傷だった。

 みずタイプの技が効かないということは、このイワークも俺のイワークと同じ『クリスタルボディ』の特性を持っている可能性がある。

 

 みず技が効かないのでは仕方ない。『ざぶざぶサーフ』の練習は一度中断しよう。

 

 でんき技、みず技が封じられたが、それで降参するほど俺のピカ様は優しくはない。『くさむすび』を指示して、イワークにダメージを与える。みずと同等にくさ技もイワークには四倍弱点だ。

 おまけに『くさむすび』は相手の体重が重いほどダメージが出る。重量級のポケモンであるイワークには最大ダメージが出ており、小娘のイワークは一撃で戦闘不能になっていた。

 

 みず技が効かなかったのは少し驚いたが、それだけでは宝の持ち腐れである。イワークは弱点が多いので運用が難しいポケモンだ。みず技が効かないくらいで粋がっていたらこのようにボコボコにされるぜ。

 

 と、ご高説を垂れていると、今度こそ本物のジムリーダーであるミカンちゃんが現れた。

 今度こそジム戦だと意気込んでいると、何やらミカンちゃんが小娘を叱っている。どうやら、小娘のイワークにみず技が効かなかったのは特性ではなく防水ワックスでコーティングしていたからだという。

 成程、そういう対策もあるのか。

 と、少し感心したものの、当然だが反則である。とはいえ、別にそれで何か被害を被った訳でもないし、小娘もまだ子供なんだから許してもいいだろう。むしろ、それを気にするのであれば、さっさと俺とバトルしてくれ。

 

 しかし、ミカンちゃんは灯台に住んでいるデンリュウが病気でジム戦が出来る状況ではないという。

 そういえば、ゲームでもあったな。アカリちゃんの看病で、タンバまでひでんのくすりを取りにいかないとミカンちゃんとはバトルできないんだった。すっかり忘れてたぜ。

 

 今回の反則の罰として、小娘がタンバまで薬を取りに行くということだったので、ついでに俺達もタンバシティに行くことにする。イエローは元々タンバに用があるし、タンバにもジムがあるので俺もジム戦が出来るので行かない理由がなかった。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・第201話『ネイティ占い! 未来予知の神秘!!』より、コイキング親父が現れなかった。
 この話でもコイキング親父がコイキングを売るシーンがあるのだが、前回成敗されたことで登場しなかった。

・第202話『ポケモン気球大レース!! 嵐を超えて!』より、ロケット団が優勝した。
 原作ではニャースの正々堂々と競いたいという意見を無視して小細工で勝とうとしたが、今回はムサシがニャースの意見を聞いたことで普通に優勝している。そりゃ、この二年毎日気球に乗っているのだ。操作はお手の物だった。地味にニューサトシが初めて負けた。

・第203話『ムチュールにもう夢中!!』より、ニューサトシの一撃で目を覚まさせた。
 アニメでは有無を言わさず預けてくるが、今回はニューサトシが話を聞いて納得できずにワンパンでわからせている。キタオも大事なのはムチュールだとわかってくれたので一撃で済ませた。もし、仕事を取っていたらボコボコにした上で、ムチュールを連れていくつもりだった。

・第204話『なみのりサイドンを追え!? 湖の戦い!』より、波乗りサイドンを見て水に強いサイドンに少し憧れた。
 ドサイドンを訓練してみず技のダメージを減らせないか考えている。

・第205話『カクレオンはどこにいる!?』より、普通の色違いと違う色違いを見つけて喜んだ。
 もしかしたら、どこかに不思議なダンジョンがあるかもしれない。

・第206話『水ポケモン嫌いのジョーイさん!? カスミの怒り!』より、ニューサトシが現実を突きつけた。
 そもそもアニメの話が納得できなかった。医者として仕事を全うしようとする姿勢と、水ポケモンを嫌う態度を隠さないのは別の話である。プロなら、そこら辺も徹底すべきだろうというのがニューサトシの意見。

・第207話『聖母ミルタンク! 砂漠の秘密!』より、ヒノアラシを手持ちに入れていなかったので内容がカットされた。
 トゲ様同様、ポケモンが主軸になる話はカットになりやすい。

・イエローから相棒技の存在をほのめかされた。
 とりあえず、ざぶざぶサーフから練習することにした。将来的にはばちばちアクセルを覚えさせたい。効果が異常。

・第208話『輝きの灯台! アサギシティの戦い!』より、ロケット団は普通に退治した。
 ニューサトシはカットしているが、灯台のデンリュウを狙おうとしていたので普通にやなかんじーにしている。

・バトルタワーには寄らなかった。
 まだ時期ではない。ような気がする。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.54

 ピジョット Lv.51

 バタフリー Lv.51

 ドサイドン Lv.53

 フシギダネ Lv.51

 リザードン Lv.55

 ゼニガメ  Lv.51

 キングラー Lv.51

 カモネギ  Lv.51

 エビワラー Lv.51

 ゲンガー  Lv.52

 オコリザル Lv.51

 イーブイ  Lv.50

 ベトベトン Lv.50

 ジバコイル Lv.50

 ケンタロス Lv.50

 ヤドラン  Lv.50

 ハッサム  Lv.50

 トゲチック Lv.43

 プテラ   Lv.51

 ラプラス  Lv.50

 ミュウツー Lv.71

 バリヤード Lv.50

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.45

 カビゴン  Lv.45

 ニョロゾ  Lv.43

 ヘラクロス Lv.40

 ベイリーフ Lv.40

 マグマラシ Lv.40

 ラティアス Lv.30

 デルビル  Lv.39→40

 ワニノコ  Lv.35→37

 ヨルノズク(色違い) Lv.36→38

 カイロス(部分色違い) Lv.39→40

 ウソッキー Lv.37→39

 バンギラス Lv.55


 前話から少しアンケートを取っていますのでご協力ください。
 詳しい経緯については、前回のあとがきに書いておりますので確認して頂けると助かります。




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#065 『まぁね! 全ては鴨川会長のおかげさ!』

 11歳 κ月ζ日 『タンバシティ ジム戦 VS シジマ』

 

 アサギからタンバまでは船一本なので迷いようがなく、無事に到着し、ジム戦に挑戦することになった。

 小娘は既に薬を持ってアサギに戻っており、イエローはまだ約束の相手が来ていないということでもうしばらく俺達と一緒に行動している。

 

 本来ならアサギで本気メンバー勝負をするつもりだったが、順番が前後してしまったのでここで本気メンバーを出すことにした。

 今回はかくとうタイプのジムだ。常識を考えれば、相性のいいひこう、エスパー辺りを起用するのが普通だろう。ピジョット、リザードン、カモネギ、プテラ、バリヤード辺りが適任か。

 

 と、いう訳でエビワラー、オコリザル、ベトベトンを転送して貰ったぜ☆

 

 え? 常識? 相性? いや、かくとうタイプ相手は真っ向勝負が命やろ! ベトベトンはかくとうタイプではないが、格闘戦が好きなので採用した形である。

 

 そのままタンバジムに行くと、ジムリーダーのシジマが生身でゴーリキーの相手をしていた。

 ふむ、なかなかやるな。少なくとも、前にボコボコにしたサワムラー使いとはレベルが違う。

 

 とりあえず、ジムリーダー側の制限なし、三対三で全力のバトルをお願いすることにした。向こうも特に問題ないということで、そのままバトルが開始される。

 

 こちらの一体目はエビワラー、対するシジマはニョロボンを出してきた。みず技の警戒は必要だが、おそらくシジマは真っ向勝負を仕掛けてくるだろう。あのギラギラに光った目を見れば、裏をかいてくるとはとても思えない。

 

 こちらはいつも通り、『こうそくいどう』で速度を上げる。当然、俺からの指示など出ていないが、エビワラーのちょっとした変化を見切ったようで、シジマは当然のように『こころのめ』を指示していた。

 速度差で攻撃を避けられるのを確信していないと、相手に必ず技が当たる『こころのめ』など使用しないだろう。やはり、シジマはかなりの使い手のようだ。

 

 続けて、『ばくれつパンチ』を指示し、真っすぐニョロボンが向かってくる。『ノーガード』のように、攻撃が必ず当たる特性でもないと使うのが難しい技だが、『こころのめ』を使っていれば迷いなく打てる大技だ。

 だが、大技はこちらにとってカモだった。ニョロボンの攻撃に合わせて、『カウンター』、『きあいパンチ』による超カウンターを発動し、一撃のもとにニョロボンを沈める。

 

 本来であれば耐えることのできない最強のカウンターだが、ニョロボンはギリギリのところで耐えていた。攻撃の当たる瞬間、シジマが『こらえる』を指示したのだ。

 これが『みきり』や『まもる』なら、事前に察知していないと間に合わなかっただろうが、『こらえる』なら後出しでもギリギリ間に合う可能性があった。ゲームと違って、体力がゼロになる前に使えば間に合う仕様なのだ。

 

 とはいえ、こちらが有利なのは間違いない。これが公式戦なら交代の場面だが、ジムリーダーはポケモン交代が出来ない。自由に使える技は後一つしかないこの状況で、今のエビワラーを突破することなどできないだろう。

 

 シジマは『こころのめ』を指示する。とりあえず、攻撃を当てようということなのだろうが、速度差を考えても先に攻撃するのはこちらだ。『マッハパンチ』を指示して、一気に体力をゼロにしにいく。

 エビワラーが突っ込むと同時に、シジマは『こらえる』と『ともえなげ』を指示してきた。『マッハパンチ』を耐え忍び、ニョロボンがこちらの拳を掴んで放り投げてくる。防御技と後攻技の組み合わせとは予想外の一撃だ。

 シジマが使った『ともえなげ』は必ず後攻になるが、攻撃後に相手のポケモンを強制的に交代させる効果がある。自分がポケモンを変えられないのなら、相手を交換させればいいということだろう。

 

 エビワラーが『ともえなげ』のダメージを受けながらモンスターボールに戻っていく。次に出てきたのはベトベトンだった。

 シジマはすぐにまた『こころのめ』を指示し、ニョロボンに『ばくれつパンチ』を当てさせる準備をしている。こちらも『とける』で防御を二段階上げて耐える準備を整えた。

 

 間を置かず、ニョロボンの『ばくれつパンチ』がベトベトンに直撃する。確定で混乱するが、混乱して尚ベトベトンはニョロボンの腕を掴んで『のしかかり』をしていく。もはや、相手にのしかかるのは本能のなせる技だな。

 残り体力が一のニョロボンが耐えられるはずもなく、戦闘不能になる。しかし、いつもは自分の柔らかい体を使って攻撃を受け流すベトベトンも混乱してはそれも難しいようで、珍しく物理技でダメージを受けていた。

 とはいえ、いくらばくパンが威力100の大技と言っても、ベトベトンはどくタイプなので威力は半減している。おまけに防御は二段階上げているのだ。致命傷という訳ではない。

 

 しかし、混乱しているし、このまま突っ張るのは得策ではないので、シジマがニョロボンを戻すと同時に、こちらもベトベトンをボールに戻した。

 

 次にシジマが出してきたのは、カイリキーだ。初代かくとうポケモンの顔とも言っていいポケモンである。こちらは再びエビワラーを出していく。

 だが、シジマも同じ手は食わんとばかりに、カイリキーの四本ある腕のうち、二本を防御に回した。腕が四本あるカイリキーだからこそ出来る技だな。

 

 カイリキーは交換で最終まで進化出来るポケモン故、持っているトレーナーが割と多いが、半数以上がその最大の特徴である四本の腕の使い方をわかっていない印象があった。

 どのトレーナーも特に腕を意識した運用をしていないのはバトルをすればわかる。ただカイリキーの力に任せた攻撃ばっかりしてくるからだ。しかし、シジマはまず腕を使った指示を出している。しっかりと育てているのは見るだけでわかった。

 

 そもそも純粋に腕が倍あるというのはメリットしかないのだ。漠然と使うよりも、意識して使わせた方が強いのは言うまでもないだろう。もし、俺がカイリキーを育てるとしたらシジマのように腕の使い方をしっかりと鍛える。

 実際今も、あれだけ防御を固められると純粋に突破は難しい。必殺のカウンターも防御されれば必殺になりえないし、相手は残った二本の腕で攻撃まで出来るのだ。状況は不利、ここは素直にエビワラーを交代し、最後のオコリザルを送り出す。

 

 オコリザルがフィールドに出るなり、防御を固めて体を左右に振っている。それを見たシジマは、カイリキーの防御態勢を解除し、攻撃へと態勢をシフトさせた。

 オコリザルの防御ごと貫こうということだろう。しかし、うちのオコリザルはインファイター故に殴り殴られの戦いには慣れている。そう簡単に負けるつもりはない。

 

 オコリザルがじりじりとカイリキーにすり寄っていく。カイリキーはまだ動かない。だが、それはまだ攻撃範囲にオコリザルが入っていないからだ。

 相手の手が届く位置に近づいた瞬間、勝負は始まる。オコリザルもわかっているようで、カイリキーの攻撃範囲ギリギリで足を一度止めた。さぁ、殴り合いの始まりだ。

 

「オコリザル、もっと体を左右にウィービングしろ! 攻撃を全て避けるつもりで近づけ、『インファイト』だ!!」

「迎え撃てカイリキー! 左右の腕で逃げ道を塞いでオコリザルをくぎ付けにしろ、『インファイト』だ!!」

 

 カイリキーの特性は互いの技が必ず命中する『ノーガード』か、状態異常で攻撃力が上がる『こんじょう』、夢特性の『ふくつのこころ』だが、シジマのカイリキーはおそらく『ノーガード』だろう。

 相手の技が必ず当たる以上、オコリザルのウィービングに意味はないと思う奴もいるかもしれないが、技が当たるのと、技がクリティカルヒットするので意味が違う。ゲームと違い、リアルのポケモンバトルでは基本的にポケモンは相手の技を受け流して威力を下げているのだ。

 そうでなければ、いくら強くても相性の悪い技を受ければ一撃で倒されてしまう。ただでさえ、物理攻撃力はカイリキーの方が上なのだ。気合や根性で耐えるにしても、真っ向からのぶつかり合いはオコリザルが不利である以上、こうした細かい技術が勝敗を左右する。

 

 実際、想像以上にオコリザルの動きが速く、カイリキーは攻撃を当ててはいるものの、大きな手ごたえを感じてはいないだろう。とはいえ、対するオコリザルも、腕の多さを利用した防御を突破できずに有効打を打てずにいる。

 お得意の『げきりん』と『あばれる』を使用した攻撃コンボも、ああも攻撃を防がれると簡単には出せない。攻撃の後には混乱という大きな隙を晒すし、そもそもあの技は大ぶりの攻撃なので相手の隙を突いて使わないと普通に対策されるのだ。

 

 お互いの『インファイト』が終わると、同時に両者が後ろへバックステップする。まだやれるようだが、オコリザルの息がかなり上がっていた。カイリキーも同様のようだが、この攻防は想像以上に互いの精神を削っているようだ。

 だが、勝負はこれからである。

 互いに攻撃が直撃しない以上、隙を作るしかない。向こうもそれはわかっているようで、四本の腕を駆使して隙を作ろうと攻撃を仕掛けてくる。こちらも、再び体を左右に揺らしながらフェイントを入れつつ、カイリキーに攻撃を仕掛けていった。

 

 再びお互い、『インファイト』で打ち合っていくが、こちらが一つ手を出すと、向こうは二つ出してくる。腕の本数が倍という物理的な差である以上どうしようもないが、スピードはお前の方が上だ。相手が数でごり押ししてくるのであれば、速度を生かすしかない。

 

「相手の攻撃速度に合わせるな! 相手が二つ手を出すなら、こちらも二つ出せ!!」

 

 オコリザルが身のこなしや体の動きをさらに洗練させ、相手の攻撃に合わせて細かい連打を返していく。

 相手の一撃が来る間に、素早を生かして二発打ち込む。手数が同じになったことで、カイリキーが若干守勢に回り、オコリザルが体をくっつけるような勢いでカイリキーに接近していった。

 

「近すぎる。これではオコリザルとて、攻撃の手段は――」

「『ばくれつパンチ』!!」

 

 ほぼゼロ距離。足先から体を回転させ、腰の捻りでパンチの威力を生み出しながら『ばくれつパンチ』をカイリキーにお見舞いする。

 普通ならば、距離が近いと勢いが出なくなり攻撃の威力は下がるが、日々の努力の結果、オコリザルは回転を利用することでゼロ距離でも最大火力を出せるようになったのだ。おまけに、向こうの特性である『ノーガード』のおかげで、本来は命中率50%しかない『ばくれつパンチ』も確定で当てることが出来る。特性と努力がかみ合った必殺コンボだ。

 

 予想外の一撃を受け、カイリキーの腰が落ちる。さらに、『ばくれつパンチ』の追加効果で混乱しているようで、カイリキーはシジマの指示が聞けていない――ここだ。

 

 オコリザルが、体を左右に揺らす。同時に、必殺技である『あばれる』と『げきりん』のターンコンボを指示した。

 オコリザルの左右の連打がカイリキーの顔面を強襲し、ダメージを与えていく。シジマも『まもる』を指示しているが、混乱している上に、オコリザルの連打を受けてまともに思考が働くはずがなく、そのまま倒れるようにカイリキーは戦闘不能になった。

 

 だが、ターンコンボは諸刃の剣でもある。オコリザルも混乱状態に入ったので、シジマの交換に合わせて一度ボールに戻した。しかし、これで二勝である。

 

「やるな。サトシ君、その年でまさかここまでの格闘技術を見せられるとは思わなかったぞ」

 

 まぁね! 全ては、はじめの一歩に出てくる鴨川会長のおかげさ!

 

「だが、勝負はここからだ」

 

 そういって、シジマは最後のカポエラーを繰り出した。アニメやゲームでは、ニョロボンとゴーリキー、オコリザルを使っていたが、まさかカポエラーを使ってくるとは。

 しかし、思えば、ポケスペでカポエラーを使っていたような記憶があるようなないような感じがするし、意外と言うほどでもないのかもしれない。とりあえず、こちらはエビワラーを出して様子見だ。

 

「そのエビワラーのカウンターは確かに一級品だ。しかし、弱点もある」

 

 エビワラーが『こうそくいどう』を積むと同時に、シジマは『フェイント』を指示する。

 やはりばれていたか。前のシバの時にもあったが、先制技に対してだけは超カウンターを仕掛けられない。『きあいパンチ』の貯めが間に合わないのだ。

 だが、こちらにも先制技はある。

 いつものきあパンを使った超カウンターは無理でも、『マッハパンチ』を使った超カウンターなら可能だ。攻撃力は格段に落ちるが、対応できない訳ではない。

 

 相手の攻撃に合わせて、エビワラーがカウンターを仕掛ける。しかし、エビワラーが動き出す直前に、カポエラーの動きが変則的に変化した。そのせいで、タイミングが狂ったのか、エビワラーの超カウンターは失敗し、カポエラーの『フェイント』が直撃する。

 

「続けて、『トリプルキック』!!」

 

 エビワラーの態勢が崩れると同時に、『トリプルキック』が繰り出された。この技は威力が10で、三回の連続攻撃が出来、攻撃が当たるごとに威力が10ずつ上がる技だ。

 合計で60しか威力がなく、おまけにゲームでは一発一発で攻撃が外れる可能性があるので、ネタ技にしかならない技だが、リアルだと連続の足技は回避がしにくく、また『テクニシャン』の特性込みだと威力は90になるので意外と馬鹿に出来なかったりする。

 

 しかし、エビワラーの超カウンターを失敗させるために『フェイント』を使ってきたのか。

 確かに、タイプ一致の『マッハパンチ』を使ってこなかったのは少し疑問だった。文字通り、フェイントをかけられてエビワラーは技を失敗した訳だ。

 高速見切りカウンターきあパンならこうはならなかっただろうが、超カウンターに改良したことで、『みきり』による確実性が消えている。その弱点を突かれたな。

 

 とはいえ、そのデメリットを理解した上でエビワラーは技を改良することを選んだのだ。失敗したのは俺とエビワラーのミスであり、技そのものの欠陥ではない。

 

 だが、『フェイント』からの『トリプルキック』直撃はダメージとしてかなり厳しかった。俺のエビワラーの物理防御が紙ということもあって、想定以上のダメージを受けている。

 そもそも、打たれ弱さを打開するためのカウンター戦術なのだ。それを失敗した以上、エビワラーにはかなり厳しい状況である。しかし、だからといって、逃げていてはいつまで経っても強くなれない。本来であれば交換時だが、敢えてここは突っ張ることにした。

 

「エビワラー、『こうそくいどう』だ。最大まで積め」

 

 策はある。俺だって、いつまでも超カウンター一つで通用するなんて思っていない。いずれどこかで対策されるのは目に見えていたのだ。だからこそ、新たな技が必要だと思っていた。

 

 今回使う技はシンプルだ。相手が反応できない速度で攻撃を連打する。『こうそくいどう』でスピードを最大まで上げ、その上で『マッハパンチ』を連打するのだ。

 攻撃速度を最大に上げたエビワラーの『マッハパンチ』なら、相手に防御系の技を使われない限り防ぐのは難しい。威力の少なさは手数でカバーし、殴り倒す。

 

「『カウンター』!」

 

 だが、やはり付け焼刃の攻撃が通用するほど甘い相手ではなかった。

 シジマは、敢えて一撃を受けた上で確実に反撃を取ってきたのだ。エビワラーの高速の一撃が当たると同時に、カポエラーの体が光り、反撃の蹴りを繰り出してくる。

 これが通常の攻撃なら回避が間に合うが、『カウンター』は攻撃が命中すると同時に反撃が来るから回避が間に合わない。カポエラーの『カウンター』がエビワラーにヒットする。

 

 これで終わりか――と、思ったその瞬間、エビワラーの体が光り、反撃の一撃を繰り出していた。

 

 まさか、『カウンター』をさらに『カウンター』したのか!? ゲームでは出来ない仕様だが、アニポケでは可能らしい。エビワラーの死に際の一撃を受けて、カポエラーは吹っ飛び、エビワラーは前のめりに倒れて戦闘不能になった。

 

 しかし、イタチの最後っ屁のようなものだったようで、そこまで威力はなかったのか、カポエラーは戦闘不能にならずに起き上がってくる。

 だが、十分なダメージは与えられた。思えば、『カウンター』を、ちゃんと『カウンター』としてしっかりと使ったのはこれが初めてかもしれない。普段は相手の攻撃が直撃すると死ぬから使わなかったしな。

 

 エビワラーを戻して、次にオコリザルを出す。

 カポエラーは体力を消耗している。ここで一気に勝負をかける――と、意気込んだ瞬間、カポエラーが不意打ち気味に『トリプルキック』を仕掛けてきた。

 

 オコリザルはガードを固めるも、向こうは隙を与えないとばかりに連続攻撃を仕掛けてくる。しかし、こちらが手を出そうとすると、すぐに間合いから離脱していった。

 おそらく、これはシジマのオコリザル対策だ。

 こちらは既に技を全て使っている。『インファイト』、『ばくれつパンチ』、『あばれる』、『げきりん』、そのうち『インファイト』を除いた三つの技は隙の大きなものだ。

 高速戦闘に持ち込まれると、こちらは『インファイト』以外で対応が出来ないが、『インファイト』もまた使用後に防御や特防が下がるので、下手に使うと起点にされかねない。シジマもそれを狙って、足を止めての打ち合いではなく、ヒット&アウェイを利用した高速戦闘を仕掛けてきたのだろう。

 

 実は、こういう逃げながらの相手が、オコリザルにとって一番苦手な相手だったりする。

 

 だが、こちらのやることは変わらない。攻撃を受けて尚、オコリザルが前進し、カポエラーとの距離を詰めていく。

 その都度、カポエラーも後退して足技を使ってくるが、それでも尚、オコリザルは前進を止めない。技を全て使っている以上、地道に距離を詰めていくしかないのである。

 何度も何度も同じことを繰り返し、段々とオコリザルの体力も厳しくなってきたが、カポエラーが後退しようとした瞬間、遂に背中が壁に当たった。ようやく追い詰めたのだ。

 

「しまった。追い詰められたか!」

「逃がすな、『インファイト』!!」

 

 オコリザルも逃がすかとばかりに、カポエラーへ攻撃を仕掛けていく。

 向こうも気持ちよく攻撃していたが故に、追い詰められていることに気付いていなかったようだが、シジマは焦ってはいなかった。『カウンター』を指示して、返しの刀でこちらを倒そうとしてくる。

 だが、それは想定内だ。そもそも、この一撃で倒せなければこちらの負けなのである。オコリザルは体力がもう限界だし、このチャンスに全てを賭けていた。

 

 オコリザルの連打がカポエラーにダメージを与える。しかし、最後の最後、ギリギリでダメージが足りなかったのか、攻撃の終わりと同時にカポエラーの体が光り、反撃の蹴りでオコリザルが戦闘不能になった。

 

 これで残るはベトベトンだけだ。

 

 しかし、シジマのカポエラーも、エビワラー、オコリザルの連戦でかなりダメージを受けている。有利なのはこちらだ。

 

 ベトベトンがカポエラーを捕まえようと前進する。しかし、シジマは迷いなく最後の技、『ドリルライナー』を使用してきた。

 飛び上がったカポエラーが回転しながら頭から突撃してくる。じめんタイプの技はベトベトンには弱点だ。『とける』で防御力を上げて何とか受けきっていく。

 

 流石のベトベトンも大ダメージを受けたようで顔をしかめているが、カポエラーをしっかり掴んでいた。

 そのまま『のしかかり』で、一気にカポエラーを戦闘不能にしようとするも、『トリプルキック』の連打で拘束を外し、ベトベトンが体で包む前に距離を取っている。

 

 ぶっちゃけ、『どくどく』を使用して時間を稼げば勝ちだが、ここまで来たら接近戦で勝負をつけたい。

 ベトベトンも接近戦が大好きなので拒否はなく、この試合の間、遠距離からの攻撃は指示しないことにした。

 

 シジマは再び『ドリルライナー』を指示してくる。こちらは『ギガインパクト』を指示した。

 威力で勝っている『ギガインパクト』が『ドリルライナー』を弾き、カポエラーを吹き飛ばしていく。同時に技の反動でベトベトンの動きが止まる。その間にカポエラーも何とか態勢を立て直し、隙を突くために、再度『ドリルライナー』で突っ込んできた。

 

 正直、体力的にもこの『ギガインパクト』で決まるかと思ったが、流石はジムリーダーの本気ポケモン、そう簡単にはいかないようだ。

 

 だが、奥の手はこちらにもある。

 

 カポエラーの攻撃が当たる前にベトベトンは硬直が解除され、『ちいさくなる』で『ドリルライナー』をかわしていく。最初の『ドリルライナー』は初見だったこともあって対応できなかったが、来るとわかっていれば対策は容易だ。

 

 予想外の回避方法に驚くシジマだが、それ以上の問題として、小さくなったベトベトンを見失っていた。

 いきなりやられると見失うよな。俺もブルーとロケット団の試合でこの技の強さを再認識したから気持ちはよくわかるぞ。

 

 そのままカポエラーの裏を取ったベトベトンが元のサイズに戻って『のしかかり』を仕掛けていく。

 完全に不意を突かれたカポエラーは先程のように抵抗できず、ベトベトンに飲み込まれてしまった。

 こうなればこちらの勝ちである。元々、体力も残り少ないということもあって耐えられなかったようで、『のしかかり』を受けた時点で動きが止まっていた。

 

 シジマの手持ちが全て戦闘不能になったことで、俺の勝利となり、シジマからタンバジムを制した証であるショックバッジを受け取る。

 しかし、ベトベトンが包み足りないのか、少し物足りなさそうな顔をしていた。またいずれ包む機会があるだろうから我慢してくれよ。

 

 まぁ、少し締まらない終わりだが、それでもこれでバッジは五つ。六つ目であるアサギジムでミカンちゃんが待っているので、すぐに旅立とうとしたのだが、その瞬間ジムのドアが開き、グレーの外套を身に纏ったシゲルに似た髪型の男がジムの中に入ってきた。

 

 

 




 原作との変化点。

・第209話『タンバジム! 真っ向勝負 格闘対決!!』より、ガチの真っ向勝負を仕掛けた。
 たまには常識や相性を無視して殴り合いたいときもある。

・謎のシゲル似の男がジムにやってきた。
 一体、何ーンなんだ?



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.54

 ピジョット Lv.51

 バタフリー Lv.51

 ドサイドン Lv.53

 フシギダネ Lv.51

 リザードン Lv.55

 ゼニガメ  Lv.51

 キングラー Lv.51

 カモネギ  Lv.51

 エビワラー Lv.51

 ゲンガー  Lv.52

 オコリザル Lv.51

 イーブイ  Lv.50

 ベトベトン Lv.50

 ジバコイル Lv.50

 ケンタロス Lv.50

 ヤドラン  Lv.50

 ハッサム  Lv.50

 トゲチック Lv.43

 プテラ   Lv.51

 ラプラス  Lv.50

 ミュウツー Lv.71

 バリヤード Lv.50

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.45

 カビゴン  Lv.45

 ニョロゾ  Lv.43

 ヘラクロス Lv.40

 ベイリーフ Lv.40

 マグマラシ Lv.40

 ラティアス Lv.30

 デルビル  Lv.40

 ワニノコ  Lv.37

 ヨルノズク(色違い) Lv.38

 カイロス(部分色違い) Lv.40

 ウソッキー Lv.39

 バンギラス Lv.55


 アンケートありがとうございました。二日で2000以上も投票して頂けるとは思わなかったので少しビックリしています。
 殆どの方が大まかな流れだけを書くことを望んでいるようなので、大体は流しで行きます。勿論、必要なバトルの時はしっかり書きますが、全部書いていると番外編だけで10話以上かかりそうですしねw

 予定では全七話で終わらせるつもりです。
 AG編に入る前の話として書いているので、残りのジョウト編を更新している間に書き上げられればそのまま更新していきますが、間に合わなかったら少し間を置いてから更新する予定です。
 我ながら、何でこんなことになっているんだろうという話になっているので、皆様にウケるかは少し怪しいですが、まぁ基本的に私の書きたいことの書きなぐりなので気にせず書いていきますw ありがとうございました。




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#066 『あ、やっぱりグリーンなんだ』

 11歳 κ月ζ日 『あ、やっぱりグリーンなんだ』

 

 いきなり入ってきて誰だ――と、思ったが、イエローが「グリーンさん!」と呼んだことで正体が判明した。

 どうやら、このシゲルに似た男はやはりグリーンらしい。ただ、ゲームのように「ボンジュール」とか「バイビー」とか言うようなキャラではなく、どちらかというと目つきが悪くポケスペのグリーンに近い感じである。

 

 シジマとも知り合いのようで、「師匠。ご無沙汰しております」と丁寧に挨拶していた。シジマが師匠なのも、ポケスペグリーンを髣髴とさせるな。

 

 イエローはどうやらずっとグリーンが来るのを待っていたようで、ここで一度お別れになった。

 どうも聞くところによると、グリーンはポケモン協会からサカキ様の件で空席になっているトキワシティのジムリーダーに推薦されたようなのだが、本人はそのジムリーダーにイエローを当てようとしているらしく、今回はジムリーダーとしての心構えをイエローに教えるためにタンバまで呼んだらしい。

 

 イエローも初耳だったようで、「僕にジムリーダーなんて無理ですよぉ」と情けない声を出している。

 それに対して、グリーンは「今すぐという訳じゃない。とりあえずは代理として、しばらく俺がジムリーダーをする。将来的にお前に任せたいという話だ」と説得していた。

 この世界のイエローも、ポケスペ同様トキワ出身のようで、自分の街のジムリーダーになるというのはどうしても嫌という訳ではないようだ。おそらく、自信がないだけだろう。まぁ、俺としてはジムリーダーになったイエローとも戦ってみたいので、グリーン側に立って応援することにした。

 

 説得役が増えたことで上手く丸め込まれてくれたのか、イエローも渋々頷いている。グリーンが目線で「感謝する」と訴えてきたので、軽く手を挙げて返しておいた。

 

 出来ればそのままの勢いでグリーンとバトル――と、行きたかったが、俺のポケモンは今ジム戦メンバーだし、半数が疲れ切っている。できれば、グリーンとはしっかりとしたバトルがしたいので、ここは一旦引くことにした。

 

 聞けば、二人はこのまましばらくタンバにいるようだし、明日にでもまた挑戦しに来ようと思う。

 

 

 

 11歳 κ月η日 『アカリちゃんの具合が微妙だってよ』

 

 朝、アサギジムの小娘がミカンちゃんからの伝言を持ってきた。どうやら、アカリちゃんは薬で大分良くなったらしいのだが、少しリハビリが必要なのでジム戦は少し待ってほしいとのこと。

 まぁ、そんなことより俺とバトルだとは言えないので、素直に了承し、鬱憤晴らしがてらグリーンとイエローのいるタンバジムへ行くことにした。

 

 タンバジムへ行くと、丁度、シジマとグリーンがバトルをしており、シジマのカポエラーとグリーンのサイドンがぶつかり合っている。最終的にはグリーンのサイドンがカポエラーを下し、シジマも弟子の成長を喜んでいた。うおー、俺も混ぜろー。

 

 そのままの勢いでグリーンにバトルを申し込む。

 グリーンもイエローから俺が去年のセキエイ大会でブルーと戦っていい勝負をしたのを聞いていたようで、特に拒否するようなこともなくバトルを受けてくれた。どうも、レッド、ブルーとも普通に知り合いらしい。

 

 よし、と思いながら、視線を横に向けると、イエローがひーこら言いながらシジマのゴーリキーに追われている。

 どうやらジムリーダーになるための心構えの一つとして、生身でポケモンの相手をさせているようだが、グリーン曰く性格的にポケモンを傷つけるのを嫌っているイエローはああして逃げ回っているようだ。

 ぶっちゃけそれ以前に、流石のイエローも生身でゴーリキーは相手に出来ないだけだと思うのだが、多分それは言わない方がいいだろう。

 

 まぁ、イエローのことはとりあえず置いておいて、今はグリーンとのバトルである。

 ルールをどうするかと聞かれたので、当然のようにフルバトルを提案したが、シジマとのバトルでグリーンのポケモンも何体か傷ついているようで、流石にフルバトルは却下された。

 仕方ないので三対三にしようとしたのだが、グリーンに二対二を提案される。三が良かったのだが、向こうもシジマとのバトルで消耗しているようなので無理を言えなかった。二体か、どのポケモンを出すか悩み所である。

 

 ルールが決まると同時にシジマが審判をしてくれるというので、そのままグリーンとのバトルを始めることにした。ふと、客席側を見ると、ゴーリキーから逃げ切ったらしいイエローもちゃっかり見学しようとしている。

 まぁ、見られて困ることなどない。それより、グリーンとのバトルに集中しよう。一体目として、バリヤードを出すと、グリーンはフーディンを出してきた。

 

 エスパータイプ対決か。

 思えば、エスパータイプと戦うことはあっても、エスパー同士でバトルをしたことはなかったな。グリーンはフーディンを戻すつもりはないようだし、ここは俺も突っ張るとしよう。

 

「「『シャドーボール』」」

 

 選択した技は同じだった。と、言うよりも、エスパータイプでエスパータイプを突破しようとしたら必然的に攻撃技は限られてくる。

 お互いに手のひらに『シャドーボール』を作ると、投げつけるように相手へと放っていく。当然、当たる訳には行かないので、互いに攻撃をかわして、再びシャドボをぶつけ合う、疑似ドッジボールが始まった。

 

 とはいえ、俺のバリヤードは意外と武闘派ということもあり、簡単にシャドボを回避している。向こうのフーディンはその速度でシャドボを回避しており、このままだと千日手になりそうな空気だ。

 どうするかと、思考を働かせた瞬間、フーディンが放った三度目の『シャドーボール』が急におかしな挙動をしてバリヤードに襲いかかってきた。予想外の攻撃に、バリヤードの回避が間に合わず、咄嗟に『ひかりのかべ』バリヤードエディションで直撃を回避する。

 

「ほう、『ひかりのかべ』にそんな使い方があるとはな……」

 

 バリヤードが避けきれない『シャドーボール』だと? いや、つい今さっきまで避けられていたのだ、何らかのトリックがあるのは間違いない。

 

「フッ、俺のフーディンが何をしたかわからないか? 別に特別なことはしていないぞ。ただ、『シャドーボール』を操作しただけだ」

 

 操作――そうか。

 

「『サイコキネシス』」

「正解だ。『シャドーボール』の軌道を『サイコキネシス』で変えただけ。エスパーポケモンなら当然の技術だろう」

 

 言ってくれる。アニポケ殺法のような技の組み合わせじゃなく、技を出した後、即座に別の技を出す高等技術は、グリーンが言うほど容易く出来るものではない。

 しかし、このまま黙ってやられるがままになってやるほど、俺もバリヤードも出来た性格をしていなかった。挑発に乗って、『シャドーボール』を作り、それを『サイコキネシス』で操作する。

 俺のバリヤードは独自の技を作り出す才能を有しているのだ。これくらいの技術、一度見れば十分真似することが出来る。

 

 流石のグリーンも、一度で成功させると思わなかったようで、少し驚いたような顔で『まもる』を指示していた。ふふふ、いくらグリーンのフーディンでも『ひかりのかべ』バリヤードエディションは真似できないようだな。

 

「成程、想像以上にやるようだ。なら、次は真正面から行くとしよう。『サイコキネシス』」

 

 エスパータイプにエスパータイプの技は半減だが、真正面から行くという言葉から察するにグリーンは力勝負を望んでいるのだろう。

 敢えて無視して、『ふいうち』や『シャドーボール』を指示してもいいが、逃げたと思われるのも癪なので真っ向から受けて立つ。バリヤードに『サイコキネシス』を指示して、フーディンのサイキネを迎え撃った。

 

 エスパータイプにしかわからない攻防があるようで、バリヤードが一瞬驚いたような顔をした後、苦しそうな表情へ変化していく。

 フーディンとバリヤードでは特攻の種族値はフーディンの方が上だ。おまけに、おそらくレベルでも負けている可能性が高いので純粋な力押しでは俺達の方が不利なのはわかっていた。しかし、バリヤードにエスパータイプ同士で戦う経験を積ませたかったので敢えて受けて立ったのだ。

 それに、エスパー技なら最悪でも致命傷にはならない。実際、フーディンのサイキネを受けたであろうバリヤードも、憤ってはいるようだがダメージは殆どなかった。

 

「フーディンの『サイコキネシス』を受けてその程度のダメージか。良く育てられているな」

「そりゃどーも」

 

 真っ向勝負で戦うのは不毛だ。いつも通り、相手の隙を突いてダメージを取っていくニューサトシ戦法に切り替えよう。

 バリヤードに『ひかりのかべ』を指示する。瞬間防御のバリヤードエディションではなく、ある程度のターン相手の特殊攻撃を弱体化させる通常の壁だ。

 フーディンは特殊攻撃に偏った種族値をしている。特殊攻撃さえ防いでしまえば、こちらへの有効打はないだろう。向こうは『ひかりのかべ』ではなく、『まもる』を使用しているので、長期戦になれば有利なのはこちらだった。

 

 グリーンも『ひかりのかべ』を見るなり、すぐにフーディンをボールに戻している。不利を悟ったのだろう。

 フーディンを戻したグリーンが次に出してきたのはまさかのリザードンだった。こいつがポケスペグリーンだろうと、そうでなかろうとも、御三家であるリザードンはエースのはずだ。

 

 俺もバリヤードを戻して、リザードンを出す。ただ勝つことを考えるなら、バリヤードで多少削って水や岩タイプを出した方が良いのだが、俺のリザードンがどれだけ通用するか試したくなったのだ。

 グリーンも、フッと笑みを浮かべている。面白いという言葉が口にしなくても伝わってきた。

 

「「『かえんほうしゃ』」」

 

 まずは試しとばかりに、互いのリザードンの口から放たれる火炎がぶつかり合う。そのまま弾かれるように相殺され、俺は思わずマジかと言いそうになった。

 バリヤードが『ひかりのかべ』を出しているので、向こうの『かえんほうしゃ』は威力が下がっている。にも関わらず相殺されたということは、グリーンのリザードンは俺のリザードンよりも特殊攻撃が高いということだ。

 

「リザードン同士で戦うには室内は少し手狭だな。外のフィールドに移動しよう」

 

 リザードンの真骨頂は空中戦だ。外に出れば『ひかりのかべ』はなくなるが、それ以上にリザードンの動きを制限される方がこちらにすれば苦しいので提案を拒否する理由はない。グリーンに従って外に移動する。

 外に出る間、リザードンに一声かけた。「相手は格上だ。全力で行くぞ」と。リザードンも先ほどの攻防でそれは察していたようで素直に頷いている。開幕から見せてやろうぜ、俺達の本気を。

 

「リザードン、飛べ!」

 

 外のフィールドに移動するなり、グリーンはリザードンを空中へと移動させ、その動きを披露してくる。

 かなりの速度だ。オレンジリーグで戦ったカイリューすら超える動きのキレに、自然と笑みが浮かんでくる。どうやら、それはリザードンも同じだったようで、絶対に負けるものかという気持ちがシンクロして、俺とリザードンの意識が同調していく。

 

 肌は灼熱色に変化し、薄い炎が全身を包み込む。きずな現象が発生した証拠だ。ジョウトに来てから、二度目の変化。だが、段々とこの現象をコントロールできるようになってきたような気がする。

 

 正面を見ると、流石のグリーンも驚いたようだ。しかし、のんびりはしていられない。きずなリザードンになっていられる時間には限りがあるのだ。

 既に上空にいるリザードンを追うように、きずなリザードンが上昇する。その速度は通常のリザードンを超えていた。グリーンのリザードンを捉え、『ドラゴンクロー』で攻め立てていく。

 だが、グリーンのリザードンも『エアスラッシュ』を使って、こちらの攻撃を上手く凌いでいた。とはいえ、火力の差もあり、段々とグリーンのリザードンが押されていく。

 こちらの『ドラゴンクロー』の威力から、きずなリザードンはドラゴンタイプを持っていると判断したのか、グリーンも『りゅうのはどう』で迎撃しようとしてきたが、きずなリザードンは『かえんほうしゃ』で『りゅうのはどう』を打ち消していく。きずなリザードンになったことで、特殊攻撃も向こうに並んだらしい。これは貰った――

 

「我がキーストーンの光よ、リザードナイトの光と結び和え。メガシンカ!!」

 

 だが、攻撃が直撃する直前、グリーンのリザードンが光に包み込まれ、その形態を変化させる。肌の色はそこまで変わっていないが、細部の形が変化し、何よりグリーンのリザードンを包み込むように日差しが強くなった。メガリザードンYだ。

 

「フッ、まさか俺にメガシンカまで使わせるとはな」

 

 まずい。そろそろ一分経つ。このままでは俺達はきずな現象が解除されて俺達は一方的に不利な状況になってしまう。そうなれば、メガシンカした向こうのリザードンに対応できず一方的なバトルになってしまうだろう。

 

 ――いや、時間なんて考えるな。

 

 今できる全力を出すんだ。

 

 まだいける。

 

 俺達はもっと、もっと強くなれる。

 

 臆するな。

 

 進め。

 

 そうだ、迷うな。

 

 戦え。

 

 勝負はまだまだここからだろうが!!

 

「もっと、強く!!」

 

 ――その瞬間、炎が弾けた。

 

 全身を包み込んでいた繭のような炎が弾け、リザードンの両翼の上下に炎の翼が出現し、四枚羽のように炎のエネルギーが溢れ出す。

 まるで、枷が外れたように力が溢れ、これまでとは比じゃないくらいのパワーが全身を包み込む。

 行ける――これが本当のきずなリザードン、この力があれば例え相手がグリーンのメガリザードンであっても負けはしない。俺達の力はまだまだこんなものじゃないんだ。

 

 そう思った瞬間、突如として俺の意識はブラックアウトした。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・グリーンが現れた。
 アニメだとトキワシティのジムリーダーはキクコが代理になるまで空席だったが、この世界ではグリーンが就任することになった。ただ、本人は長い間拘束されるのが嫌で、イエローを生贄にしようとしている。

・グリーンとバトルした。
 手持ちの全てが四天王クラスである。当然、真っ向勝負でまだまだ敵う相手ではない。

・一瞬だけ、本当のきずなリザードンになった。
 炎の繭が解かれ、炎の四枚羽になった。本体の羽と合わせて六枚羽、イメージ的にはサトシゲッコウガのデカ水手裏剣が炎の羽になったような感じ。また、視界の共有が半分解除され、自分とリザードン両方の視界が見えていた。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.54

 ピジョット Lv.51

 バタフリー Lv.51

 ドサイドン Lv.53

 フシギダネ Lv.51

 リザードン Lv.55→56

 ゼニガメ  Lv.51

 キングラー Lv.51

 カモネギ  Lv.51

 エビワラー Lv.51

 ゲンガー  Lv.52

 オコリザル Lv.51

 イーブイ  Lv.50

 ベトベトン Lv.50

 ジバコイル Lv.50

 ケンタロス Lv.50

 ヤドラン  Lv.50

 ハッサム  Lv.50

 トゲチック Lv.43

 プテラ   Lv.51

 ラプラス  Lv.50

 ミュウツー Lv.71

 バリヤード Lv.50→51

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.45

 カビゴン  Lv.45

 ニョロゾ  Lv.43

 ヘラクロス Lv.40

 ベイリーフ Lv.40

 マグマラシ Lv.40

 ラティアス Lv.30

 デルビル  Lv.40

 ワニノコ  Lv.37

 ヨルノズク(色違い) Lv.38

 カイロス(部分色違い) Lv.40

 ウソッキー Lv.39

 バンギラス Lv.55




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#067 『うずまきカップに参加するぜ』

 11歳 κ月η日 『倒れたらしい』

 

 気が付いたら夜だった。どうやらきずなリザードンの全力を発揮したはいいものの、反動に耐えられなくて倒れたらしい。

 いや、正確には少し違うな。

 あの時、俺はもっと強い力を望んだ。リザードンもそれに応えようとして、限界以上の力を引き出そうとしてくれた。その結果、壁を越えられはしたものの、力欲しさの無理矢理なパワーアップの跳ねっ返りを貰ったのだ。

 

 俺のリザードンとグリーンのリザードンはおそらくレベルが10は違う。その上で、メガシンカまでされたのだ。いくら、真のきずなリザードンになっても、その差は簡単に覆せる訳がない。

 だが、その差を埋めるだけのパワーを欲したが故に、俺は所謂暴走状態に入ってしまったのだろう。挙げ句の果てには、その力を制御出来ずに昏倒した訳だ。

 

 多分、今の俺にはあの姿を制御出来ない。

 

 仮にもう一度、あの姿になったとしても、また暴走させるのがオチだろう。僅かな時間の変化だったが、制御の難しさは今までのそれとはレベルが違った。

 例えるなら、車を運転していて、40キロ出すつもりが、勝手に160キロも出てしまったようなものだ。今回は俺の暴走もあったが、それ以上にあまりのピーキーな性能に制御が追い付かず通常状態でも自滅してしまうだろう。

 

 結局は、俺側の修行不足ということだ。

 

 きずな現象の消耗や負荷が激しいのは前からわかっていた。最近は少しずつ慣れてきていたが、その先の力を制御することが出来なかったのはひとえに俺の未熟さ故だ。

 これではリザードンに合わせる顔がない。

 向こうはもっと強くなれるように鍛えてくれているのに、俺がそれについていけないのでは宝の持ち腐れもいい所だ。もっと強くならなくてはいけない。最近、トレーナーとしての修行ばかりで自分を鍛えるのは最低限になっていた。ここらで一つ、気合を入れなおさなければ。

 

 

 

 11歳 κ月θ日 『うずまき列島? ナルトでもいるのか?』

 

 自分を鍛えなおしたいのでシジマに指導をお願いしたのだが、どうもシジマやグリーン曰く、肉体的な修行ではなく、精神的な修行を重視した方がいいと言われた。

 自分を一度見つめ直すことも兼ねて、うずまき列島に行ってみてはどうかと提案されたので、とりあえずそのうずまきナルト島とやらに行ってみることにする。

 それを聞いたイエローが、「ぼ、僕も行きます!」と叫んでいたが、ジムリーダーとしての修行から逃げようとしているのはすぐにわかったので、「頑張れよ!」と声をかけておいた。

 

 泣きながら感謝されてしまった。いやぁ、いいことをすると気持ちがいいなぁ。

 

 

 

 11歳 κ月ι日 『うずまきカップに参加するぜ』

 

 うずまき列島へ向かう途中に、ウツギ博士と再会した。どうも、博士や船乗り達曰く、この辺りには謎のポケモンが出現するらしい。

 聞いたシルエット的に、オレンジ諸島で出会った伝説のポケモンっぽいのだが、まぁここはジョウトだし居ても別におかしくはないか。

 

 海に出現する謎のポケモン、一体何ギアなんだ?

 

 まぁ、伝説には迂闊に関わるなが、変わらぬニューサトシの信条なので、そのまま話をスルーして、ウツギ博士と青岩島のクガシティという場所に訪れた。

 どうやらここがうずまき列島の玄関口とされている島のようで、三年に一度だけ開催されるみず系ポケモンだけで行われるうずまきカップが開催されるという話を聞く。

 みず系ポケモン使いとしてカスミさんがいの一番に参加を表明し、俺も興味があったので参加することにする。ラティも最近は言葉を大分理解してきたようで、「がんばる」と応援してくれていた。そこは頑張れが正しいのだが、まぁ気持ちが通じればいいだろう。

 

 

 12歳 κ月κ日 『大気圏より高く飛べるのか! ポケモンって不思議!』

 

 青岩島のツナタウンという場所へ向かう途中、デカポッポ島なる通常よりも太ったポッポ達がいる島へと立ち寄った。

 その名の通り、ほとんどのポッポがまんまるに太ってで飛ぶことが出来ずにいる。流石に鳥が飛べないのはヤバいだろうと思っていると、そこで管理人をしている飛太という青年と、オルドリンというポッポと仲良くなった。

 

 オルドリンもここのポッポの仲間のようだが、スリムな体型を維持している。どうも、オルドリンは太陽に一番近い大空を高く飛ぶことを夢見て、幼い頃からずっと飛ぶ練習をしているとのことだった。

 そのまま、オルドリンの夢について詳しく話を聞いていると、話を盗み聞いていたロケット団のニャースがオルドリンの夢に共感したようで、変装してオルドリンの挑戦の手伝いをすると言ってくる。

 

 どうせ、また悪巧みでも考えているんだろうと思って、さっさとやなかんじーにしようと思ったのだが、何故かオルドリンがニャースと意気投合してしまい、急遽ロケット団気球によるオルドリンの飛行チャレンジが始まった。

 

 念のために俺も、万が一の時の保険としてピジョットを転送して貰う。そのまま飛行チャレンジが始まったのだが、高度一万メートルを超えて尚、オルドリンは飛ぶのを辞めようとしなかった。

 途中、野生のオニドリルの乱入もあったが、俺のピジョットとムサシのオニドリルによって成敗されている。

 

 ある程度の高さで気球は限界高度になってしまったが、オルドリンはニャースと通信を続けながら月が見える高さまで飛んで行く。

 

 もう命に関わると、ニャースが戻るように声をかけるも、オルドリンはそのまま大気圏を越える勢いで羽ばたき続けた。

 太陽は無理だったが、月が見られたことに満足したようで、力尽きたオルドリンが落下してくる。

 このままではどうやっても死ぬので、ピジョットでオルドリンを何とか回収し、そのまま地上へと戻った。ロケット団も、喜ぶニャースとオルドリンを見て悪事を働く気にはならなかったようで、今日はそのまま黙って二体を見守っている。いつもそうだと良いんだけどな。

 

 

 

 12歳 κ月λ日 『チョンチー行列』

 

 ラティの気まぐれで乗ったケーブルカーでブルーレイクという山頂に着いたのだが、そこで出会ったダイキという少年からもうすぐ始まるチョンチー行列についていけばツナタウン行きの船が出る港まで行けると教えてもらった。

 

 とりあえず、いつものようにやってきたロケット団をやなかんじーにする。そのままチョンチー行列とやらを見送って、ツナタウンを目指すことにした。

 

 

 

 12歳 κ月μ日 『カスミさん、サニーゴ好きすぎぃ!』

 

 ツナタウンから船に乗って黄岩島に辿り着いた。そこで、サニーゴのツノを加工する仕事をしているという一家の家が海に流されているのを発見する。

 流れで助けることになったのだが、どうやら最近この島のサニーゴの巣の近くに他所のサニーゴがやってきて生態系を荒らしているらしい。本人にしてみればスキンシップのつもりのようなのだが、パワーがありすぎて他のサニーゴ達は怖がっているようだ。

 そのせいで、巣の壁が崩れ去り、巣の上にあった家が流されたということだったようなのだが、話を聞いたカスミさんが件のサニーゴをゲットすると意気込んでいた。ニューサトシもちょっと興味があったのだが、「今回は私がゲットするからね!!」という強い意志を伝えられて引いた形である。

 

 何だかんだサニーゴにウパーでバトルを仕掛けたカスミさんだが、サニーゴは特殊技を『ミラーコート』で弾き返し、ダメージは『じこさいせい』で回復するというなかなか味のある戦術を取ってきた。

 特殊がダメなら物理とばかりに『たたきつける』でダメージを与えて、無事にサニーゴをゲットしていた。しっかし、サニーゴが撃った『みずでっぽう』がまるでウパーには効いてなかったぞ。ありゃ、特性は『ちょすい』だな。

 

 

 

 12歳 κ月ξ日 『ぎんいろのはね? ルギアはもう会ったよ』

 

 うずまきカップが行われる赤岩島へ向かうために、オギシティの港にやってきたのだが、タイミングが悪かったようで丁度船が出港してしまった。

 どうしたものかと困っていると、偶然出会った探索家のルカという女性が赤岩島まで送ってくれるという。そりゃありがたいということで、早速お願いしたのだが、どうもルカは曽祖父の意思を次いで海底の沈没船に眠るぎんいろのはねを手に入れようとしているらしい。

 

 ぶっちゃけ、こちらは手に入れたくもないのだが、タケシやカスミさんが「せっかく乗せて貰ったんだしお手伝いします!」といらぬ正義感を働かせた結果、沈没船探検をすることになってしまった。

 

 途中、話を盗み聞きしていたのかロケット団も乱入してきたが、野生のマンタインとテッポウオが船を守っているようで、ロケット団がターゲットになってくれている。

 これ幸いとばかりに、沈没船の中に入り、何とかぎんいろのはねが入っている箱を手に入れた。そんなに羽が人気なら、前にあった時に何枚かむしっておけばよかったな。

 

 まぁ、これでお役御免だろうということで、そのまま赤岩島まで送ってもらった。全く、割に合わない仕事だったな。

 

 

 

 12歳 κ月ο日 『水タイプ、全員集合!』

 

 うずまきカップが行われるという赤岩島のカクイシティに着いた。カスミさんと共に予選の申し込みを済ませると、研究所に預けているゼニガメ、キングラー、ヤドラン、ラプラス、ニョロゾを転送して貰う。

 手持ちのワニノコを含めて、これで丁度六体。ポケモンリーグやオレンジリーグでもやったピカ様のボールだけを研究所に転送する裏技で、今回もみずタイプ六体を手持ちに加えている。

 

 誰を出すかはまだ決めていないが、とりあえず少し調整をしようとポケモンセンターの庭を借りようとしたのだが、そこでテッポウオをオクタンに進化させたがっているハチロウと出会った。

 進化にはバトルが一番ということで、俺が相手を引き受ける。しかし、当然のようにハチロウのテッポウオを蹂躙してしまい、カスミさんに「交代よ。これじゃ何回やっても無駄だわ」と呆れられてしまった。

 

 そういえば、前にもパラスを進化させようとして俺には手加減は無理だと判断したことがあった気がする。ニューサトシの相手になるにはもっと強くないと駄目ということか。

 

 カスミさんが上手いこと手加減したおかげもあり、ハチロウのテッポウオは無事にオクタンに進化したのだが、進化したことで姿が変わり、他のテッポウオ達に仲間だとわかってもらえずにスルーされる一幕があった。

 しかし、手持ち全部がテッポウオとはなかなか攻めたメンバーである。とてもじゃないが俺には真似できないな。

 

 

 

 12歳 κ月π日 『うずまきカップ予選』

 

 予選は一対一で、レベルは制限なし、二回勝てば決勝リーグに進めるという簡単なものだった。

 俺はゼニガメとキングラーを駆使して当然のように勝ち進み、カスミさんもスターミーとサニーゴで苦戦することなく予選を抜けたのだが、前回テッポウオをオクタンに進化させたハチロウは予選で負けてしまったらしい。まぁ、あの程度の実力じゃ仕方ない気もするが、どうも前回同様にオクタンがテッポウオ達にまだ仲間だと受け入れられていないようでバトルどころではなかったようだ。

 

 流石に見捨てるのは可哀想なので何とか手を貸してやろうとしたのだが、その最中にいつものようにロケット団が現れ、テッポウオ達を盗もうとしてくる。それに気づいたオクタンが仲間の危機に立ち向かい、その姿を見てテッポウオ達もオクタンが仲間のテッポウオが進化した姿だと理解したようだった。

 

 こういう時、ロケット団は役に立つんだよなぁ。

 

 

 

 12歳 κ月σ日 『うずまきカップ決勝トーナメント』

 

 とうとう、うずまきカップの決勝トーナメントが行われる日がやってきた。

 解説曰く、古来うずまき列島では独自の文化で海の勇者を決める儀式としてうずまきカップを行ってきたらしい。

 決勝戦の開会式で神官のマヤとかいう女性が、挨拶と共に、健闘を祈って海の魂の祝福とやらを与えてくれたのだが、それに反応して俺の体が青く発光した。

 何が起きたのかよくわからなかったのだが、俺の体の光を見た神官サマが急に慌てたように近くにやってきて、「海の神の加護を持っておられるのですか!?」と詰め寄ってくる。

 

 海の神の加護――そういえば、前にルギアにおすすめされてフルーラにまじないをかけてもらったことがあったっけか。てっきり気休めだとばかり思っていたのだが、この反応を見る限り、結構ガチめの加護だったりするんだろうか?

 

 若干興奮気味の神官サマに、「オレンジ諸島のアーシア島でまじないをかけてもらったことがある」と話すと、「貴方様こそが勇者の再来です」と頭を下げてきた。

 いやいや、勇者は今から決めるんだろうが。

 と、ツッコミを入れて、早くうずまきカップを開催するようにお願いする。「それが勇者様の望みなら」と、謎に崇められてしまったが、俺は単にみずタイプの呪いをどうにかして欲しかっただけなんだよな。そのおかげもあってか、ニョロモがニョロゾに進化したし、あって困るものではないのだが、まさかここまで崇拝されることになるとは思わなかった。

 

 まぁ、ちょっとしたハプニングもあったが、無事に決勝トーナメントが始まることになった。決勝トーナメントの一回戦は予選同様に一対一だが、二回戦からは二対二に変更される。

 俺の一回戦目は第六試合、相手はツリオとかいう釣り少年だった。釣り竿の先にルアーボールが付いており、イエローを思い出させる。

 ツリオが出してきたのはキングドラ、俺はラプラスを出していく。ラプラスもオレンジ諸島ぶりの出番に気合十分のようで、嬉しそうにフィールドを泳ぎ回っていた。

 

 相手はみず・ドラゴンタイプなので一見、ラプラスに有効打はないように見える。だが、俺のラプラスがそんな甘いはずもなく、しっかりと新技を覚えてきてくれていた。

 

「ラプラス、『フリーズドライ』!!」

 

 みずタイプ相手に使うと効果抜群になる技。本来であればタマゴ技だが、練習に練習を重ねて覚えてもらった。

 これでみずタイプ相手にもダメージを与えることが出来る上、キングドラのように弱点が少ないみずタイプにも有効な一撃を与えることが出来る。

 

 最初は余裕そうな顔をしていたツリオだが、キングドラが大ダメージを受けた上、一割の確率で引く氷状態になったことで流石に余裕はなくなったようだ。

 

 動けなくなったキングドラに「頑張るんだ!」と声をかけているが、氷になった以上、もうおしまいでーすということで、そのまま『フリーズドライ』連打で戦闘不能にした。

 

 これで俺は一回戦突破。何故か神官サマが大喜びしているが、まぁ気にしなくていいだろう。

 カスミさんもハリゾウとかいう奴が使うハリーセンにサニーゴで少し苦戦していたが、何とか一回戦を突破している。

 

 さて、お次は二回戦なのだが、何と俺の相手はカスミさんになってしまった。まさかこんなに早く当たるとは思わなかったが、こうなった以上手加減は無用だ。

 思えば、カスミさんと全力バトルをするのはハナダのジム戦以来である。あの時はまだ新米トレーナーだったが、あれから約一年半。強くなっているのは、俺もカスミさんも一緒だろう。お互いに今の実力をぶつけ合おうぜ。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・ニューサトシが倒れたのは暴走したから。
 今までが50、最大が100として、勝つために150、200の力を無理に出そうとした結果倒れた。また感覚がピーキー過ぎて、ちょっとしたことですぐ暴走するため、制御が難しくなっている。今までの50までなら変わらず使えそうだが、100は今のニューサトシには使えない。しかし、次の扉は確実に開いた。

・第210話『うずまき列島! 新たなる挑戦!!』より、きずな現象コントロールのために精神修行に行った。
 そのまま流れでうずまきカップにエントリーしてしまったが、目的は精神修行である。

・第211話『ポッポとデカポッポ! まだ見ぬ空へ!!』より、大気圏から落下したら燃えそうだが大丈夫だった。
 流石はアニポケだけあって、その辺りは配慮されていた。

・第212話『旅立て海へ! チョンチー行列!!』より、ラティがケーブルカーに乗りたがった。
 原作サトシ君のやんちゃはラティの仕事になった。

・第213話『サニーゴでアミーゴ! 黄岩島の対決!!』より、ニューサトシがカスミさんから牽制された。
 サニーゴもいいなぁと一瞬思ったが、これまでラプラス、ワニノコと続けてみずポケモンを奪われている(カスミさん視点)ので、自分がゲットするとニューサトシを牽制してきた。そこまでゲットしたかった訳でもないので、今回は素直に譲っている。

・第214話『マンタインと沈没船!! 謎のポケモンの秘密!』より、ニューサトシは嫌がったが海底散策することになった。
 伝説とか全く興味ないマン。

・第215話『オクタンとテッポウオ! うずまきカップ予選!!』より、ニューサトシは手加減が無理だと再確認した。
 素人にポケモンの指導をするのと、ある程度のトレーナーの進化を手伝うのは勝手が違うようでやはり手加減してもダメだった。パラス以来の進化依頼だったが、大失敗に終わっている。

・第216話『うずまきカップ! 水のコロシアムで大バトル!!』より、ニューサトシの加護が何故か反応した。
 別に伏線でも何でもなかったのだが、偶然に噛み合ってしまった形。神官サマは戦う前からニューサトシを勇者の再来と信じていて、応援してくれている。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.54

 ピジョット Lv.51

 バタフリー Lv.51

 ドサイドン Lv.53

 フシギダネ Lv.51

 リザードン Lv.56

 ゼニガメ  Lv.51

 キングラー Lv.51

 カモネギ  Lv.51

 エビワラー Lv.51

 ゲンガー  Lv.52

 オコリザル Lv.51

 イーブイ  Lv.50

 ベトベトン Lv.50

 ジバコイル Lv.50

 ケンタロス Lv.50

 ヤドラン  Lv.50

 ハッサム  Lv.50

 トゲチック Lv.43

 プテラ   Lv.51

 ラプラス  Lv.50

 ミュウツー Lv.71

 バリヤード Lv.51

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.45

 カビゴン  Lv.45

 ニョロゾ  Lv.43

 ヘラクロス Lv.40

 ベイリーフ Lv.40

 マグマラシ Lv.40

 ラティアス Lv.30

 デルビル  Lv.40

 ワニノコ  Lv.37→40

 ヨルノズク(色違い) Lv.38→40

 カイロス(部分色違い) Lv.40

 ウソッキー Lv.39→40

 バンギラス Lv.55




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#068 『ん? このギザギザ頭のピカチュウは?』

 12歳 κ月σ日 『うずまきカップ VSカスミ』

 

 二回戦、互いに使えるポケモンは二体。

 俺もカスミさんもお互いの手の内は知り尽くしているが故に、選出は相手の予想を外す必要がある。とはいえ、相手はみずタイプを知り尽くしているカスミさんだ、下手に奇策を狙いすぎると真正面から潰される危険もあった。

 

 いろいろ悩んだ結果、一体目はニョロゾにする。カスミさんはウパーを出してきた。

 正直、少し予想外ではある。ウパーはサニーゴ同様、他のポケモンに比べれば若干レベルが低い。てっきり、パルシェンかシードラ辺りを出してくるかと思った。

 それでも尚、ウパーを出してきたということは、『ちょすい』の特性を生かすつもりだろう。当然ながら、そんな素直にみず技を使うつもりはなく、ニョロゾに先制の『のしかかり』を指示した。

 

 ウパーはみず・じめんタイプで、弱点がくさしかない優秀なポケモンだ。だからこそ、俺のニョロゾの特殊技ではあまり有効な一撃は入れられない。物理攻撃で普通に戦闘不能を狙うのは王道とも言っていいだろう。

 カスミさんもそれは読めているようで、『あくび』を指示してきた。眠らせるか、後ろのポケモンを出させようということのようだ。情報アドを取られるのは癪だが、このまま寝かせる訳にもいかないので『のしかかり』でダメージを与えてから一度ニョロゾを戻す。

 

 誰を出すか逡巡し、ラプラスを選択した。『フリーズドライ』という攻撃技があるというのも大きいが、他にもラプラスには技レコードで『10まんボルト』や『サイコキネシス』といった技を覚えさせている。総合的にみて、他のポケモンよりも器用に立ち回れると判断した。

 

 俺がラプラスを出すのを見て、「ラプラスね。なら、こっちは……」と言って、ウパーをボールに戻している。

 続けて出してきたのはスターミーだった。カスミさんのエースと言っても過言ではない。初代の厨ポケである。

 思えば、カスミさんとのジム戦ではまだポケモンが三体しかおらず、ピカ様が今ほど好戦的な性格をしていなかったこともあってスターミー一体に負けかけた。そろそろあの苦戦の記憶を塗り替えるためにも、ここは是が非でも勝ちたい所だ。

 

 カスミさんが『10まんボルト』を指示するのに合わせて、こちらも『フリーズドライ』を指示した。

 タイプ一致技だ。技の威力では負けているかもしれないが、いくらカスミさんのスターミーとはいえ、タイプ不一致技では相殺するのが限界だろう。

 

 しかし、カスミさんも真正面から勝つのは難しいと判断すると、『かげぶんしん』でこちらを翻弄してくる。

 こちらは『しろいきり』を指示した。数ターンの間、能力変化を防ぐ技だが、狙いは向こうからの的を絞れなくすることにある。その間にラプラスは水中に潜って場所を移動。スターミーからの追撃を阻止する。

 

「甘いわよ、サトシ! スターミー、飛んで! 水中に『10まんボルト』よ!」

 

 成程、自身は空中へ飛び出し、水中へ電撃を放ってラプラスを狙おうということか。

 なかなかやるな。だが、それでやられてやるほど、ニューサトシは甘くない。スターミーが飛び上がると同時に、ラプラスを急浮上させ、水中に『フリーズドライ』を撃って水を氷へと変化させた。そのまま電撃が届く前に氷の上に移動させる。

 氷に電気は通らない。

 これで水を利用した電撃攻撃は防ぐことが出来た。おまけで、フィールド全体を凍らせ、足場を増やし、ラプラスの移動域を増やしていく。「それなら!」と、カスミさんも手を止めずに追撃してきた。『こうそくスピン』を指示して、そのまま『10まんボルト』を放たせる。かつて、カスミさんが見せた『こうそくスピン』からの『しおみず』というユナイトコンボの電撃バージョンだ。

 

 流石のラプラスもこれは避け切れずに攻撃が直撃する。防ぐのが無理なら守るしかない。『いのちのしずく』を指示して、体力を回復させた。この技は自分の最大HPの1/4を回復するという技だ。これである程度のダメージを回復できる。

 これで耐えながらスターミーの隙を突かせてもらう。前は気づけなかったが、『こうそくスピン』からのユナイトコンボには攻撃後の隙がある。前回はジムの水の中へ逃げることでそれを誤魔化していたが、今はフィールドを凍らせることで水中へ逃げるのを防いだ。このまま耐えればチャンスは必ず訪れる。

 

 しかし、カスミさんもまた転んではただで起きるつもりはないようだ。『ねっとう』を指示して、氷を溶かし、スターミーが再び水中へと戻っていく。

 

 これでスターミーは全ての技を使ったが、またユナイトコンボをされたらこちらがじり貧になる。『フリーズドライ』で再び、溶けた個所を凍らせ、スターミーの出口を塞いだ。

 これで、水中から出るためには熱湯でまた溶かす必要がある。だが、そんなことをすればこちらに位置がばれ、動き出す前に『フリーズドライ』の餌食になるだろう。

 

「やるわね。なら、これでどう!」

 

 カスミさんのドヤ顔と同時に、ラプラスの体が震えだした。何だと思ってみていると、下から噴水のように水が飛び出し、ラプラスの体を空中へと押し上げていく。

 

 成程、ラプラスの真下から『ねっとう』を撃って、こちらの態勢を崩すことで追撃をかわしたのか。

 ラプラスが居た位置からスターミーが飛び出し、『10まんボルト』を放とうとしている。こちらも『フリーズドライ』を指示するが、流石のラプラスも空中から落下しながら技を撃った経験はない。即座に攻撃態勢に移ることが出来なかった。

 

 スターミーの『10まんボルト』が直撃し、ラプラスの体勢が崩れる。それにより、落下位置がずれて、氷の上に体がたたきつけられた。

 

 何とか起き上がろうとするラプラスに、追撃の『10まんボルト』が襲い掛かる。いくらラプラスといえど、これ以上の弱点攻撃はまずい。一か八か、最後の切り札として、『ぜったいれいど』を指示した。

 命中率は三割だが、奇跡的に直撃したようで、一撃必殺によりスターミーが戦闘不能になる。だが、ラプラスもまた、くらったダメージが限界を超えていたようで、スターミーと同時に前倒れになり戦闘不能になった。

 

「相打ちか。勝てると思ったけど、一撃必殺が決まったなら仕方ないわね……」

 

 こちらも正直、賭けに出なきゃいけないほど追い込まれるとは思わなんだ。決して舐めていた訳ではないが、俺の影響もあってか、カスミさんもアニメより確実に強くなっている。

 

 こちらが再びニョロゾを出すと、カスミさんもウパーを出してきた。また眠らされそうになっても面倒なので、『あくび』に注意しつつ、『だいちのちから』で遠距離からの攻撃を仕掛けていく。

 等倍な上、タイプ不一致なのであまり有効な攻撃とは言い難いが、一割で特防が下がることと、相手の特性が『ちょすい』でみず技が使えないことを考えると、メインウエポンは必然的にこれになる。

 

 対するカスミさんは『ドわすれ』を指示して特防を二段階上げてきた。これで、特殊技はほぼダメージになりえない。近づけば『あくび』、遠距離は『ドわすれ』の完全防御という訳だ。

 だが、これはチャンスだった。

 反射的にニョロゾに『アンコール』を指示して技を縛っていく。しかし、カスミさんもそれは読んでいたようで、ギリギリで『たたきつける』を指示して、無理矢理攻撃技の縛りに変更してきた。

 

 変化技で動きを縛るのは失敗したが、これで『あくび』の脅威は消えた。逆に近づいてくるウパーに向けて『さいみんじゅつ』を指示し、さらに眠らせていく。「性格悪すぎ!」とカスミさんが文句を言ってきたが、向こうも眠らせようとしてきたのだ。こちらも眠らせて何が悪い。

 

 ウパーが眠りに入ったので、後は『のしかかり』連打である。体力がゼロになるまでひたすら踏んでやると思っていたのだが、ギリギリで目が覚めたようで、『たたきつける』でこちらを弾き飛ばしてきた。

 同時にウパーの体が光り、ヌオーへと進化する。

 アニポケ特有のバトル中に進化するアレか。思えば、俺はまだその現象に一度も立ち会っていないが、こうして目の当たりにすると、やっぱり試合中の進化は格好いいぜ。

 

 しかし、感動している場合ではない。大体の場合、こういう時は負けフラグになるのだ。

 カスミさんも大喜びで決め技の『ギガインパクト』を指示しており、直撃すればまず間違いなくこちらの負けである。

 

 いつ『ギガインパクト』を覚えたと思わずツッコミを入れそうになったが、それよりも対応しないとマジで負けてしまう。真っすぐ突っ込んでくるヌオーに向かって、カウンターで『のしかかり』をするようにニョロゾへ指示をした。

 

 ニョロゾもまた、オーキド研究所で日々先輩達にもまれている。特に進化して手が生えてからは、手の使い方を重点的に訓練したようで、ヌオーを受け流すように横に押し、そのまま『のしかかり』でヌオーを戦闘不能まで持って行った。

 

 これで俺の勝利である。カスミさんも進化の喜びで動きが雑になったのが敗因なのがすぐにわかったのか、悔しそうな顔をしている。もし、最後まで丁寧に立ち回られていたら、勝負はどうなるかわからなかった。それだけ、カスミさんは強かったし、スターミー戦も一撃必殺が外れていたら負けていたのは俺だっただろう。この試合は紙一重の勝利だった。

 

 しかし、勝負が終われば相手を称えるのがポケモンバトル。悔しそうにしながらも、「あたしに勝ったんだから、もう優勝しちゃいなさいよね」と応援のお言葉を頂いた。

 今大会の商品はしんぴのしずくなので、ぶっちゃけそこまで欲しい訳ではないのだが負けるつもりも毛頭ない。カスミさんにも「ああ、勝つのは俺だ」と返しておいた。

 

 

 

 12歳 κ月σ日 『うずまきカップ決勝でやべーやつに会った』

 

 カスミさんを倒してからは特に苦戦することなく決勝まで行ったのだが、決勝の相手のキングと名乗る奴がかなりの実力者だった。

 最初は、無駄に元気な奴だなと思いながら様子を見ていたのだが、やけに芝居がかった口調で、「キングは一人、この俺だ!」と叫び出したのを見て、思わず「番組がちげーよ」とツッコミを入れてしまったのは仕方ないことだろう。

 

 見た目はまぁ言われれば似ているくらいの子供なのだが、どうも遊戯王の世界から出張してきたらしい。だが、お前はどちらかというとみずじゃなくてほのおタイプのイメージじゃないか?

 

 何となく解釈不一致を感じつつも、出てきた以上は相手をしない訳にもいかないのでバトルをしたのだが、正直想像以上に強かった。

 開幕はヤドキングによる『あまごい』、続けてキングドラの特性『すいすい』による高速バトルでこちらを翻弄してくる。レベルもかなり高めで、こちらのキングラーとヤドランがかなり苦戦させられた。

 最後はキングラーの『ギガインパクト』で勝ったと思ったのだが、「キングのバトルはさらにその先を行く!」とか叫んだ後に、『ジ・エンド・オブ・ストーム(りゅうせいぐん)』なる技を撃たれ、相打ちに持ち込まれてしまったのだ。

 

 結果は引き分けということで、そのまま俺とキングの同時優勝となった。まさか引き分けになるとは正直思っていなかったが、まだまだ世界は広いということか。

 

 しかし、商品のしんぴのしずくは一つしかなく、どうするか困ったのだが、キングがどうしても譲れと頼むので、とりあえずしんぴのしずくはキングに譲っている。

 とはいえ、ただで渡すつもりは毛頭ないので、代わりにキングが持っているアイテムを一つ譲ってもらうことにした。特に期待している訳ではなかったが、水の石を持っているではないか。これでニョロゾをニョロボン、ニョロトノのどちらにも進化出来るようになるし、他のアイテムはゴミ同然だったので普通に水の石を貰った。

 

 

 追記。神官サマが何やら優勝のパレードをすると大盛り上がりになっていた。いや、まぁ祭りは嫌いではないが、決勝戦で引き分けだったし、俺は勇者の再来も何でもないんだが。

 

 

 

 12歳 κ月τ日 『ん? このギザギザした頭のピカチュウは?』

 

 うずまきカップも終わったので、一度タンバシティへ戻ろうと思ったのだが、精神修行が何もできていないことを思い出した。

 そうだ。普通にバトルを楽しんでしまったが、俺はきずな現象コントロールのために自分を見つめ直しに来たんだ。ここで帰っても、ただいいバトルをしただけで終わってしまう。

 

 と、いう訳で、どこかに精神修行に持って来いな場所はないか神官サマに聞いてみると、銀岩島にかつて伝説の勇者が自身を鍛えたとされる場所があると教えてくれた。伝説の勇者が自分を鍛えた場所なら修行にも持って来いだろうということで、早速銀岩島へ向かうことにする。

 

 銀岩島に着くと、早速神官サマが教えてくれた場所へ行こうと思ったのだが、道中で前髪が少しギザギザしたピカチュウを見つけた。

 ん? このピカチュウ、どっかで見たことあるなと思っていると、タケシが「君はレオンじゃないか?」と声をかけている。レオンってことは、ポケモンリーグのセキエイ大会で戦ったヒロシ君のピカチュウか。そういえばこんな髪型してたなと思い出すと同時に、トレーナーのヒロシ君が現れた。

 

 思えば、ヒロシ君と会うのも久しぶりだ。

 どうやらヒロシ君は前にウツギ博士が言っていた謎のポケモンを探していたようで、偶然ここに来ていたのだという。ぶっちゃけ、その謎のルギアには全く興味がないのだが、どうもラティはレオンと仲良くなったようで一緒に行きたがっている。無視する訳にもいかないので、とりあえず少しの間、ヒロシ君と一緒に行動することにした。

 

 ヒロシ君曰く、人気のない島が怪しいということでそのまま後に付いていく。とりあえず、地元のオサムとかいう子供に何か知らないか聞いてみると、あからさまに視線をそらしていた。こりゃ、当たり臭いな。ヒロシ君も疑いの目を向けている。

 

 まぁ、わざわざ問い詰めるほど興味はないので、今回はそのまま見逃すことにした。他にもいろいろ探してみるが、やはりそれらしいポケモンは見当たらない。

 あらかた島を探し終え、次をどうするか悩んでいると、ヒロシ君が、「やっぱり、あのオサムって子、何か隠してる気がする……」と、口にしている。そのままもう一度、そのオサムとかいう子供の所に行こうとすると、海の方でランターンに乗ったオサムがミニチュアサイズのルギアを連れて何者かから逃げ回っていた。

 

 こうなれば助けない訳にはいかないので、リザードンを出して追いかけてくる潜水艦らしき黒船に攻撃を仕掛ける。

 どうも、前に何度か戦ったロケット団のパチモンであるヤマトとコサンジがまた悪さをしているようで、デルビルとカポエラーを出して襲い掛かってきた。

 とはいえ、ぶっちゃけロケット団以下の奴らなど大した脅威になりはしない。ヒロシ君もサナギラスを出して応戦していたが、ほぼリザードン一体で完封すると、最後の手段とばかりに潜水艦で体当たりをしようとしてくる。

 咄嗟にリザードンをきずな化させて受け止める体勢を取ったが、丁度そこに、前オギシティで一緒にルギアの羽を海底散策したルカが現れ、自分の船をぶつけて潜水艦を追い返してくれた。

 

 正直、暴走覚悟で力を出す必要があるかもしれないと思っていただけに助かったな。

 改めて、きずな化してわかったが、やはり真の姿になろうとすると暴走しそうだった。今までの姿ならもう問題なく使用できるが、その先にはまだいけない。俺に何が足りていないんだ?

 

 いや、今はとりあえず無事を確認しよう。

 何とか地元の子供であるオサムと、ミニチュアサイズのルギアを助けた訳だが、これからどうするか。伝説のポケモンと関わると、大抵の場合ろくなことにならないんだよなぁ。

 

 オサム曰く、一週間ほど前に海で遊んでいたらこのミニルギアと出会ったらしい。それから毎日のように遊んでいるのだという。

 そろそろ親が来る頃だと言うので、海の方を見てみると、丁度ルギアが海面から飛び上がってきた。オレンジ諸島のルギアとは個体が違うようで、喋ることはなかったが、こちらを警戒しているようだ。

 

 その証拠に、ルカが持っている銀色の羽が赤く輝いていた。それと同時に、何故かまた俺の体が青く輝いている。前の海のなんちゃらの時もそうだったが、こうも勝手に光られると困るんだが。

 

 ただ、俺の体の光を見た親ルギアが急に怒りを沈めたようで、何やらジッと俺の方を見ている。また海の神の加護とやら何か関係しているのだろうか?

 

 よくわからないが、とりあえずミニルギアを親に返した。そのまま海で食事をするルギア親子の様子を見ながら、これからどうするかを話す。俺としてはサクッとこの島を離れることを勧めるね。正体はわかったし、これ以上伝説に深入りすべきではない。

 

 ただヒロシ君は、珍しいポケモンであるルギアのデータを取るいい機会だと主張した。困ったことにラティも「あそぶ!」と訴えており、ここから去ろうという俺の意見は却下されてしまったということだ。

 だが、カスミさんとタケシは俺が銀岩島に修行に来たことを知っているので、どちらの味方をすべきか困っている。とはいえ、タケシはオレンジ諸島でルギアに会っていないのでどちらかというとヒロシ側で、カスミさんは完全に中立だった。こうなると、人数不利の俺に勝ち目はない。

 

 そのままルギアの子供の面倒を見ていると、こちらに気を利かせたカスミさんが、「シルバー(オサムがミニルギアにつけた名前)やラティは私達が見てるから少し一人になってきたら」と、声をかけてくれた。

 

 お言葉に甘えて少しの間、自分を見つめ直すことにする。リザードンを出して、共に静かに瞑想することにした。

 

 俺に何が足りていない――と、ひたすら自問自答していると、リザードンが俺のことを小突いてくる。まるで、俺を忘れるなと言わんばかりの態度だった。

 そうだ。きずな現象は、俺とリザードンが一つになって初めて真の力を発揮される。俺だけ頑張っても意味がない。グリーンとのバトルで限界を突破できたのは、俺とリザードンの気持ちがより一つになることが出来たからのはずなのだ。

 

 問題は、俺が先走って暴走したことである。

 

 確かに、あの吹き荒れる嵐のようなパワーを制御することが目下の課題だが、それは俺がしなきゃいけないことではない。“俺達”でしなきゃいけないことなんだ。

 リザードンも、ようやくわかったかとばかりの表情を浮かべていた。一人ではなく、二人で頑張る。たったそれだけのことだが、それはわかっていても簡単に出来ることではないだろう。今までのように気持ちを一つにするだけでは足りない。もっと、深く、もっと一つに、必要なのは、絆――

 

 ――ふと、何か掴めそうな気がしたのだが、海側から何やら騒ぎのようなものが聞こえてきた。

 

 どうやら、リザードンも気づいたようで、一度瞑想を中断し、カスミさん達のいる場所に戻る。

 すると、ヒロシが「シルバーが攫われたんだ!」と教えてくれた。おまけにラティも一緒に連れていかれてしまったようで、完全に他人事ではなくなっている。タケシとカスミさんも自分達が付いていながらすまないと謝ってきたが、今は謝罪よりも追跡が先だ。

 

 

 




 原作との変化点。

・第217話『サトシVSカスミ! うずまきカップ最後の戦い!!』より、ニューサトシがカスミさんに勝った。
 アニメではカスミさんが勝つが、ニューサトシがギリギリで勝利を拾った。しかし、内容は一か八かでお世辞にも褒められたものではなかった。その後、アニメではタカミというトレーナーが優勝するが、第三試合で普通にニューサトシがボコしている。仮にカスミさんが勝っても問題なく勝っただろう。

・キングとバトルした。
 掲示板に名前だけ出ていたトレーナー。見た目は、まぁ似ていなくもないレベルだが、セリフはバッチリ。チャンピオンリーグトレーナーだけあって、キングパの癖に無駄に強く、ニューサトシが引き分けに持ち込まれた。

・第218話『ディグダを守れ! 落とし穴大作戦!?』より、ニューサトシが帰る前に修行を思い出したためカットされた。
 アニメでは帰る途中の話だが、帰らずに修行に出かけたためカットされた。

・第219話『銀色の羽の伝説! 銀岩島の戦い!!』より、ニューサトシが謎のポケモンに全く興味がないためカットされた。
 前話で謎のポケモンを調べるフラグを立てなかったためカットされた。

・第220話『謎のポケモンX!!』より、ニューサトシが離れている間にルギアが攫われた。
 おまけに一緒に遊んでいたラティも攫われ、地味にニューサトシがキレている。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.54

 ピジョット Lv.51

 バタフリー Lv.51

 ドサイドン Lv.53

 フシギダネ Lv.51

 リザードン Lv.56

 ゼニガメ  Lv.51

 キングラー Lv.51→52

 カモネギ  Lv.51

 エビワラー Lv.51

 ゲンガー  Lv.52

 オコリザル Lv.51

 イーブイ  Lv.50

 ベトベトン Lv.50

 ジバコイル Lv.50

 ケンタロス Lv.50

 ヤドラン  Lv.50→51

 ハッサム  Lv.50

 トゲチック Lv.43→44

 プテラ   Lv.51

 ラプラス  Lv.50→51

 ミュウツー Lv.71

 バリヤード Lv.51

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.45

 カビゴン  Lv.45

 ニョロゾ  Lv.43→44

 ヘラクロス Lv.40

 ベイリーフ Lv.40

 マグマラシ Lv.40

 ラティアス Lv.30

 デルビル  Lv.40

 ワニノコ  Lv.40

 ヨルノズク(色違い) Lv.40

 カイロス(部分色違い) Lv.40

 ウソッキー Lv.40

 バンギラス Lv.55




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#069 『必要なのは、絆』

 12歳 κ月τ日 『ポケモンを操作する類の機械は許せん!』

 

 ちょっと目を離していた隙に伝説ポケモン達がロケット団のパチモンに誘拐された件について。

 

 いや、俺も悪かったけど、流石にあれだけの人数いてまさかラティまで連れていかれるとは思わんやん。親ルギアもこれにはブチ切れ案件だったが、絶対助けるからとりあえず落ち着けと物理でわからせた。

 とはいえ、俺も余裕がある訳ではない。ラティは見た目人間のように見えるがあれで準伝だ。何かの間違いで正体がばれればどうなるかはわからなかった。

 

 いや、焦るな。冷静になれ。ラティには前もってこうなるかもしれないことは話してある。伝説のポケモンを連れて歩くんだ。それくらいの危機になる可能性だって考慮していただろう。

 

 とりあえず、後を追わなきゃ話にならない。聞けば、相手は水中に逃げたようだ。一応、ミニルギアと水中で遊べるようにということで、ルカが置いて行ってくれたダイビング用のスーツがあったから、後はみずタイプのポケモンに先導を任せつつ先に進むことにした。

 相手が逃げて行った先はわからないが、連れているのが伝説のポケモンなら話は別だ。うちには伝説のポケモンが放つ特殊な波長を捉える最強のポケモンがいる。

 

 そう、ミュウツーの脳内ナビによって、俺達は真っすぐ攫われたラティ達を追いかけていた。水の都でラティを探した時もこれを使えばよかったと今更ながらに思うが、たまたまその時の反省が生きた形である。

 

 しばらく泳いでいると、奴らの海中基地らしき場所を発見した。当然のように内部に侵入していく。

 どうやら防衛システムらしきものはついていないようで、俺達の侵入で警報は鳴っていない。まさかこんな海の中に侵入者が来るとは思わなかったのだろう。不用心だが、こちらにしてみれば有難いことだ。

 

 そのままラティ達が囚われているであろう部屋まで向かうと、檻のようなものに入れられたラティとミニルギアを見つけた。どうやらラティの正体はまだばれてはいなかったようで、カノンの姿を維持している。

 おまけに、防音設備がしっかりしているようで、部屋に入るまでルギアやラティの声は外に聞こえていなかった。ならば、多少雑に壊しても大丈夫だろうということで、力ずくで檻をこじ開けていく。

 

 しかし、流石に逃走防止の対策はしていたようで、檻が壊れた瞬間、基地内部に警報が響き渡った。

 

 まぁ、既にラティもミニルギアも救出しているので問題はない。後は追っ手を壊滅させてやればいいだけだ。何せ、俺達はタマムシゲームセンター地下のアジトやシルフカンパニーを占拠していたロケット団を壊滅させた実績がある。ヒロシ君は少し不安そうにしていたが、この程度の海中基地くらいなら問題なく壊滅させられるだろう。

 

 出口に向かって走っていると、目の前からロケット団のしたっぱと、ヤマトとコサンジ、それと博士っぽい見た目をしたおっさんが走ってくる。博士っぽい奴が、ワシのルギア捕獲作戦がどうのこうの言っているが、こちとら大事なラティを連れていかれてキレちまってるんだわ。

 

 今の手持ちである、ピカ様、リザードン、ベイリーフ、マグマラシ、ワニノコ、バンギラスを出す。バンギラスは捕まえてから初の実戦だが、前にロケット団に操作されていた頃を思い出したようでやる気十分といった様子だ。

 ジョウト御三家もこの旅で強くなっているし十分戦えるだろう。そのまま下っ端を一蹴して前に進むと、ヤマトとコサンジが妙な機械をつけたデルビルとカポエラーを出してきた。

 

 どうも博士っぽい奴曰く、ポケモンの怒りを増幅させて無理矢理力を引き出す装置らしい。絶許である。ニューサトシはそういうポケモンを傷つけるような装置が大嫌いなのだ。

 

 ダークボールで、潜在的な力を無理矢理に引き出されたバンギラスは、特にその苦しみがわかるようで、先ほど以上に怒りを露わにしていた。

 

 この装置はダークボールの劣化品のようなもののようで、バンギラスのように強制的に潜在能力を引き出される訳ではないようだが、怒りに狂ったポケモンなど見ていて悲しいだけである。

 リザードンによってカポエラーが、バンギラスによってデルビルが一撃の下に沈められていく。

 

 俺のバンギラスはダークボールによって潜在能力を引き出されているが、これは強制的にレベルを上げられているわけではなく、努力値を無理矢理振られたような状態だと俺は思っている。

 そもそもバンギラスに進化するにはレベル55という膨大なレベルが必要だ。そこまでレベルが上がれば、レベルによるパワーアップは難しくなってくるだろう。だが、ダークボールが通常を超えるあれだけのパワーを与えたことを考えると、レベルではなく努力値に作用したのではないかと思ったのだ。

 

 オーキド博士曰く、物理攻撃と特殊攻撃が通常のバンギラスを遥かに超えているらしい。おそらく、ゲームのように努力値が攻撃と特攻に極振りされているのではないだろうか。

 

 実際にこの世界に努力値があるかどうかわからない。数字は目に見えないし、種族値や個体値なども数値化されている訳ではないからだ。これは、あくまで理屈をつけただけに過ぎない。極振りによって、攻撃性能が上がっているのだとすれば、あれだけのパワーも納得だしな。

 

 なので、俺のバンギラスはとりあえず超絶攻撃が強い。怒りでちょっと強くなったくらいのポケモンでは相手にならないだろう。

 博士っぽい奴が「ワシのナンバナンバー5が……」と意味不明なことを言っていたが、お仕置きとしてバンギラスの『はかいこうせん』をお見舞いした。タイプ不一致な上、バンギは攻撃よりも特攻の方が低いし、死にはしないと思う。そのままロケット団のパチモンもやなきもちーにして海中基地から脱出した。

 

 ただ、バンギラスの『はかいこうせん』がヤバい所に当たったようで、俺達が脱出してから少しすると、海中で大爆発が起こっている。

 まぁ、こちらに被害はないし、俺しーらない。ってことで、無事にラティとミニルギアを助けて、ミニを母ルギアに返した。ロケット団に狙われたということで、二体も別の場所へ移動するつもりのようだ。

 

 もう会うこともないだろうし、手を振って別れる。ヒロシ君も今回のことをレポートにまとめるということで、一旦お別れになった。さて、これでようやく伝説の勇者の修行場に行けるぞ。

 

 

 

 12歳 κ月υ日 『修行と言えば滝!』

 

 銀岩島の奥の奥、森の中を歩いて丸一日。ようやく、それらしき場所に辿り着いた。

 何故そこが修行場だとわかったかというと、何故かうずまきカップの時の神官サマが居て「お待ちしておりました。勇者様」と言われたからである。ヒエッ。

 

 この女、まさか俺が来るのを先回りして待っていたのか? ルギアの件で一日潰したから、その間ここに一人で? だとしたら、完全にホラーな件。

 いや、気にしたら負けだ。

 とにもかくにも修行を始めよう。とりあえず、目の前には巨大な滝がそびえ立っている。修行と言えば滝だ。丁度メンタルを鍛えたかったし、精神修行の定番である滝は有難かった。

 

 隣で神官サマが、「かつて勇者はこの滝で――」と詳しい説明をしているが、まぁ気にしたら負けだ。

 

 早速、滝に打たれてみる。本来なら何か作法があるんだろうが、気にせずダイビングエントリーだ。

 気付いたらリザードンが勝手にボールから出ていたが、リザードンは水に弱いし、見学でもいいんだぞ? と、思っていたら、そんなもん知らんとばかりに俺に続いて滝へ入って来た。ストイックな所は完全に俺に似てしまったようだ。

 

 冷たい水が全身を包み込む。水の勢いがかなり強いので、慣れない人だと痛みを感じるかもしれない。が、ニューサトシもリザードンもこの程度で根を上げるほど軟ではないので、静かに心を清めていった。

 

 段々と体温が下がっていき、頭がクリアになっていく。正直、我慢できるが大変であることに変わりはない。難しいことを考える余裕はないので、心を無にして、ありのままを受け入れる。

 

 そのまま30分程滝に打たれていると、何となく隣にいるリザードンの鼓動というか脈動というか、伝えるにはニュアンスが難しいが、何となく心みたいなものがわかるようになってきた気がした。

 いつもきずな現象でシンクロするのと近い感覚だが、微妙に違う。こう意識や感情ではなく、精神的なものが見える。何となく、隣にいるリザードンのことがわかるのだ。

 

 そのまま集中すると、リザードンもまた俺の状況を感じ取れているのがわかった。時が進むにつれて、互いの状態が手に取るようにわかってくる。限界状態だからこそ、見えるものがあるというが、これがそうか。

 

 その感覚をモノにするため、さらに30分程打たれていると、カスミさんから「いい加減出てきなさい!」とお声がかかった。まぁ、一時間も滝に打たれていたら流石に心配にもなるか。

 

 何となく、何かを掴んだ気がしなくもないがまだ朧気だ。少し休憩した後、もう一度滝に打たれる。しかし、結局それ以上のことを見つけることは出来なかった。

 まぁ、そんな簡単に何でも出来れば苦労はない。

 キッカケは見つけたし、後は実戦の中で答えを探していこうと思う。何だかんだ付き合ってくれた神官サマにお礼を言って、銀岩島を後にすることにした。

 神官サマが是非また赤岩島によって欲しいと迫ってきたが、いい加減ミカンちゃんとのジム戦もしたいので丁重にお断りする。おそらく、もうここには来ないだろうが、「またいつか会いましょう」と言ってお茶を濁しておいた。

 

 

 

 12歳 κ月χ日 『グリーンはいないようだ』

 

 タンバシティに寄って様子を見ていこうと思ったのだが、グリーンの姿がなかった。どうやら、ジムリーダーの件についてポケモン協会に呼び出されたらしい。

 

 出来ればもう一度バトルをしたかったが、そういうことなら仕方なかった。相変わらず、ひーこら言っているイエローに「頑張れよー」とだけ声をかける。さて、気を取り直してアサギへ出発だ。

 

 

 

 12歳 κ月ψ日 『アサギシティ ジム戦 VSミカン』

 

 待ちに待った時アサギジム戦である。

 アカリちゃんも元気になったようで、ミカンちゃんも存分にその実力を見せてくれそうだ。本来であれば、前回本気メンバーを使ってのジム戦だったので、今回はレベリングメンバーを使いたいところなのだが、個人的にミカンちゃんとは全力バトルをしたかった。

 申し訳ないがレベリングメンバーには次のチョウジまで待って貰うことにする。今回も全力バトル回だ。バトルはいつも通りの三対三、ジムリーダー側の制限なしでバトルをお願いする。

 

 しっかし、前回会ったときも思ったが、ミカンちゃんも随分と勝ち気な性格をしているな。ナツメやアカネのようにアニポケはゲームとジムリーダーの性格が違うことがままあるが、ニューサトシはゲーム版のシャキーンを照れる大人しいミカンちゃんも好きだったりする。

 とはいえ、バトルに性格は関係ない。

 全力バトルだ。何を出してくるか。ミカンちゃんといえばハガネールだし、他のはがねタイプを考えれば、コイル系やハッサム、エアームドなんかがいてもおかしくないだろう。

 

 こちらは、素直に相性を突くという意味も兼ねて一番手にリザードンを出した。修行で見つけた感覚を掴みたいというのもあるが、本気のほのおタイプでリザードンに勝る奴はいないということも大きい。

 ミカンちゃんの一体目はレアコイルだった。

 相性でいえば、向こうもでんきタイプを持っているので五分だ。開幕で『10まんボルト』を撃ってきたので、当然のように回避していく。室内なので、大空を飛んで悠々と回避は出来ないが、それでも飛行技術を駆使して攻撃をかわす。

 

 想像以上に俺のリザードンが動けるので、ミカンちゃんの表情から余裕が消えた。まだ攻撃はしていないが、回避の動きだけでリザードンのレベルを感じ取ったらしい。つまり、ミカンちゃんもそれだけの強さを持っているということだ。

 

 反撃とばかりに『かえんほうしゃ』を指示するも、『かげぶんしん』で攻撃を回避される。そのまま『10まんボルト』に繋げて前後左右から攻撃を仕掛けてきた。

 これが全部実体なら恐怖だが、本物は一つだ。攻撃に合わせて、『ほのおのうず』を自身の周辺に展開することで、相手の攻撃を防ぐ簡易的な防壁とする。攻撃が来た方向から自ずと本物が判明したので、そのまま『フレアドライブ』で一気に直接攻撃を仕掛けた。

 

 リザードンの速度が想像以上だったのか、『かげぶんしん』による回避が間に合わず直撃を受けている。しかし、特性が『がんじょう』のようで一撃では沈まなかった。反撃とばかりに、ゼロ距離で『トライアタック』を撃たれ、追加効果でリザードンが氷状態になる。一瞬だがリザードンの動きが止められた。

 

 しかし、レアコイルが瀕死寸前であることに変わりは無い。『フレアドライブ』で氷を溶かし、そのままとどめを刺そうとしたが、向こうの反撃も間に合ったようで、ミカンちゃんも『でんじほう』で一か八かこちらを戦闘不能にしようとしてきた。

 だが、本来『でんじほう』は命中率の高い技ではない。ギリギリで攻撃を回避し、レアコイルを戦闘不能にまで持って行く。とまぁ、これだけ見ると余裕そうに見えるが、実は距離が近すぎて完全に避けきれなかったようで、かす当たりしたダメージと、『でんじほう』の追加効果でリザードンが麻痺状態になっていた。

 

 トラアタのダメージに、『でんじほう』のかすダメと麻痺。致命傷とまでは行かないがなかなか手痛い状況だ。とはいえ、リザードンに退く気は無いようで、問題ないとばかりに仁王立ちしている。

 対するミカンちゃんはレアコイルを戻すと、フォレトスを出してきた。ハッサムやエアームドに比べるとあまり使われないイメージだが、こいつも確かにはがねタイプだったな。

 

 ぶっちゃけ、忘れていたくらいにゲームだと使われないポケモンだ。どんな動きをしてくるか読めないので、とりあえず『ほのおのうず』で動きを封じようとしたが、『こうそくスピン』で攻撃を弾いてきた。

 そのまま『ボディパージ』で自身の素早を二段階上げてくる。こちらが麻痺しているので、スピードに関してはフォレトスに上を行かれただろう。

 だが、むし・はがねタイプのフォレトスはほのお技が四倍になる。迂闊に手を出せば、返しの一撃でワンキルだ。仮にフォレトスの特性がレアコイル同様『がんじょう』だったとしても、フォレトスをミリに出来るならおつりがくる。

 

 こちらはまだ無傷なポケモンが二体居るのだ。ミカンちゃんも、これ以上のダメージは取り返しの付かない状況になるというのはわかっているようで、遠距離から『がんせきふうじ』を指示してきた。

 こちらの弱点であるいわ技だ。直撃を受ける訳には行かないので、『かえんほうしゃ』で相殺していく。タイプ不一致の攻撃ということもあって、十分に相殺することが出来た。

 

 ミカンちゃんも単純な攻撃では通用しないとわかったようで、『がんせきふうじ』の岩を『こうそくスピン』で弾いて飛ばすという荒技を仕掛けてくる。

 弾かれた岩が先程以上のスピードでこちらに迫ってくるので、流石に『かえんほうしゃ』だけでは防ぎきれない。『ほのおのうず』の壁も簡単に突破される以上、もはや択は一つしか無かった。『ブラストバーン』で攻撃を相殺、そのまま逆にフォレトスを飲み込んで戦闘不能にしていく。

 

 しかし、やはり特性が『がんじょう』だったようで、一撃では戦闘不能になっていなかった。こちらは究極技の反動で動けない。その隙を突いて、ミカンちゃんは『だいばくはつ』を指示してきた。

 

 動けないこちらに避けるすべは無く、フォレトスの自爆攻撃がリザードンに直撃する。流石に戦闘不能になるかと思ったが、リザードンはギリギリで立っていた。だが、膝を付いており、いつ倒れてもおかしくない状況である。

 とはいえ、これでミカンちゃんは二体戦闘不能になった。フォレトスをボールに戻すと、最後のポケモンであるハガネールを出してくる。

 

「いくらほのおタイプがはがねタイプに強いとはいえ、まさか私のポケモンがこうまで一方的に倒されるとは思わなかったわ」

「そこまで一方的でもないですけどね、俺のリザードンも限界近いですし」

「でも、まだ戦えるって目をしているわ。そんなリザードンを含めて三体を相手しようと思うと、流石に私も本気を出さないと無理そうね」

 

 そう言って出してきたのはキーストーンだった。

 ナツメの件もあったし、ジョウトでも誰かしらテスターになっているかもとは思ったが、まさかミカンちゃんとはな。

 

「知ってるみたいね」

「何人か知り合いが使ってるんで」

「じゃあ、説明はいらないわね。紡ぐ絆が、新たな力をこの手に掴む――メガシンカ!!」

 

 ミカンちゃんのキーストーンに反応し、ハガネールがメガハガネールへとメガシンカする。

 同時にリザードンがこちらを向いた。わかってるって、このまま黙って負けるつもりがないことくらい――

 

「そっちがメガシンカなら、こっちはきずな現象だ。いくぞ、リザードン!!」

 

 リザードンと気持ちをシンクロし一つになっていく。同時に、リザードンの肌が赤く染まり、炎の繭に包まれて行った。ここまではもう意識して発動出来る。問題は、この先だ。

 

 ここから一段階、先に行ける。

 

 銀岩島でリザードンに窘められたことで、ようやくわかった。俺は、ずっと俺自身が変わらないと意味がないと思っていたが、それは間違っていたんだ。

 きずな現象は、俺とリザードン、二人の力である。俺だけが頑張っても意味がない。もっと信じなきゃいけなかったんだ。リザードンはずっと信じていてくれた。

 

 前に俺が倒れたのは、グリーンのメガリザードンに動揺して、負けたくない、もっと強くなりたいという気持ちが強くなりすぎてリザードンとのシンクロがぶれたからだ。だからパワーを制御できずに暴走した。

 今まで制御できないと思っていたのも、俺が全てを一人でやろうとしたからだ。二人でやらなければいけないことを一人でやって成功するはずがない。もっとリザードンを信じること、必要なのはただそれだけだったんだ。

 焦ることは何もない。俺とリザードンが真に一つになれば、自ずと結果は付いてくる。俺が信じる俺じゃない、リザードンが信じるリザードンでもない。俺が信じるリザードンと、リザードンが信じる俺が、この先には必要なんだ。

 

 滝に打たれた時、リザードンの心を知れた。

 

 限界状態だったからこそ見えたあの境地。あれこそが、一つになるために必要な最後のピースだ。

 今までは意識や気持ちがシンクロしていたが、ここから先はもっと深く、全てを一つにする必要がある。あの時の感覚を思い出しながら、心技体の全てを一つにしていく。

 

 信じろ。

 

 必要なのは迷わない心、信じあう強さ。俺だけでも、リザードンだけでも駄目なんだ。俺達二人で、強くならなければ意味が無い。試されているのは、互いを信じあう気持ち。即ち、絆――

 

「――今こそ、一つに!!」

 

 ――心技体の全てが一つになり、俺とリザードンが互いに信じあう力が、俺達を次のステージへと連れていく。

 炎の繭が弾け、炎の四枚羽となる。通常の羽と含めて六枚羽。前回の姿と同様、これが完全なるきずな現象だ。

 今までは視界がリザードンの見ているもののみしか見えなかったが、今では俺とリザードン、両方の視界が見えている。マルチタスク必須で、頭が混乱するが、やけに意識はクリアだ。

 また、不完全だった前の状態と違って、完全に一つになったからか、精神的な負荷はともかく、肉体的な負荷はかなり減っている。しかし、リザードンの底知れぬパワーはこれでもかというくらいに感じ取れた。

 

「これは、メガシンカ……!?」

「いえ、別物です。ですが、この状態の俺達はメガシンカポケモンよりも強いですよ」

 

 とはいえ、これまでのバトルのダメージが大きい。痛みのフィードバックは相変わらずだから、リザードンが戦闘不能直前なのが良く分かった。

 

「すみません。ミカンさん、一撃で決めます。『ブラストバーン』……いや、『ブラスターバースト』!!」

 

 この姿になったリザードンのみが使用できる究極技。『ブラストバーン』を超える技。即興で名付けた俺達だけの技。それこそが『ブラスターバースト』。

 炎の四枚羽の先に炎の球体が生まれ、口前の球体と合わせて五つの炎が放たれる。ミカンちゃんが咄嗟に『まもる』を指示したが、炎の波動の一撃が当たると同時に『まもる』が消え、残り四つの炎がメガハガネールに直撃した。

 

 まさか、『まもる』すら突破するとは予想外だ。

 

 後から知ったことだが、この世界では連続技は『まもる』や『みきり』では防げないらしい。ゲームだと、最初の一撃を防ぐと技が不成立になるが、この世界だと連続技の開始を潰しても技が止まらないので、『まもる』で攻撃を防いでも続きの攻撃を防ぎきれないのだ。

 どうやら、ミカンちゃんも知らないことだったようで呆然としている。図らずも、『ブラストバーン』が『ブラスターバースト』に変化したことで、技が炎の五連撃という連続技に変化したのが上手く嚙み合ってしまったらしい。

 

 おまけに、メガハガネールにメガシンカしたことで、特性が『すなのちから』になり、『がんじょう』のように耐えることが出来なかったのか、メガハガネールが一撃で戦闘不能になり、ハガネールへと戻っていく。

 同時に、こちらもきずな現象を解除したが、正直完全にものにしたおかげか、体感ではまだ変身していられるような気がした。とはいえ、敵も居ないのにきずな化し続けても意味が無いので元の姿に戻っている。

 

 そのままリザードンをボールに戻したが、まさか切り札のメガハガネールが一撃で倒されるとは思わなかったのか、ミカンちゃんが言葉もなく立ち尽くしていた。

 声をかけるとハッとしたようにハガネールを戻していたが、ぶっちゃけ今回のバトルは初見殺しと言って良いだろう。こちらは相性有利なポケモンを使っていたし、アニメでもゲームでも存在しないきずなリザードンとオリジナル究極技を使ったのだ。

 

 実際、きずなリザードンになっていなければ、即座にリザードンは戦闘不能になっていただろうし、残りのポケモンももっと苦戦させられただろう。最悪は負けもあったかもしれない。勝てたのはきずなリザードンに動揺してミカンちゃんが後手に回ったからだ。

 

 しかし、勝者が敗者に何を言っても嫌味にしかならないので言葉にはしない。そのまま、「まだまだ私も未熟ね」と苦笑いするミカンちゃんから、スチールバッジを受け取った。これで六つ目だ。後二つでジョウトリーグに出場できる。

 

 次はチョウジジムだ。アサギから正反対にあるから一度エンジュに戻る必要があるな。全力バトルが二度続いたし、次は育成メンバーでのバトルにして貰おう。ウソッキーや金角のカイロスの公式デビュー戦だ。

 

 

 




 原作との変化点。

・第221話『囚われのルギア!』より、ニューサトシが海底基地を壊滅させた。
 アニメでは捕まってしまうが、ニューサトシ一行が大暴れして基地を壊滅させた。ポケモンを操作する類の機械を使っていたのでニューサトシも遠慮せずに、人間に向かって『はかいこうせん』を指示した。誰しも一度は聞いたことがあるカイリューはかいこうせん現象である。

・第222話『ルギアとの約束!』より、ニューサトシがミニルギアを助けたため内容がカットされた。
 とりあえず、ルギア親子は無事にどこかへ行った。

・滝行をした。
 何故か、神官サマがいた。精神修行の定番だが、実は熱中し過ぎて死にかけた。カスミさんが無理矢理上げなければ死んでいた。が、おかげで、何か掴めた。

・第223話『飛べホーホー号! アサギを目指し!!』より、ニューサトシが船を待ったためな言いようがカットされた。
 アニメのサトシ君はいち早くアサギに戻りたがるが、ニューサトシは普通に待ったため、ホーホー航空のハヤブサに出会わず内容がカットされた。

・第224話『アサギジム! VSハガネール!!』より、きずな現象を完成させた。
 今までは気持ちだけだったが、心技体の全てを一つにし、互いを信じあう絆が次のステージへの扉を開いた。今まで完成しなかったのは、心技体が一つになっていなかった上に、ニューサトシが全て自分で何とかしようとリザードンへの信頼を忘れていたから。

・究極技が専用技になった。
 ブラストバーン五連撃、相手は死ぬ。オリジナル技。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.54→55

 ピジョット Lv.51

 バタフリー Lv.51

 ドサイドン Lv.53

 フシギダネ Lv.51

 リザードン Lv.56→57

 ゼニガメ  Lv.51

 キングラー Lv.52

 カモネギ  Lv.51

 エビワラー Lv.51

 ゲンガー  Lv.52

 オコリザル Lv.51

 イーブイ  Lv.50

 ベトベトン Lv.50

 ジバコイル Lv.50

 ケンタロス Lv.50

 ヤドラン  Lv.51

 ハッサム  Lv.50

 トゲチック Lv.44

 プテラ   Lv.51

 ラプラス  Lv.51

 ミュウツー Lv.71

 バリヤード Lv.51

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.45→46

 カビゴン  Lv.45

 ニョロゾ  Lv.44

 ヘラクロス Lv.40→41

 ベイリーフ Lv.40→41

 マグマラシ Lv.40→41

 ラティアス Lv.30

 デルビル  Lv.40

 ワニノコ  Lv.40→41

 ヨルノズク(色違い) Lv.40

 カイロス(部分色違い) Lv.40

 ウソッキー Lv.40

 バンギラス Lv.55




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#070 『俺はマリカでもショトカ多用タイプなんだ』

 12歳 λ月γ日 『やっぱり、エーフィだったな』

 

 エンジュシティに戻ると、かつて俺達と一緒に旅に出たいと言っていたサクラと再会した。

 どうやらサクラはあれから姉達に稽古をつけて貰ったようで、イーブイはエーフィへと姿を変えている。ニューサトシの名推理通りだな。久しぶりの再会にラティは大喜びしており、表には出していないが、カスミさんも喜んでいた。

 

 そのまましばらくサクラと行動していると、どうも姉達がロケット団に騙されてしまったようでポケモンを取られたという。

 基本的にこの世界の奴らはロケット団の変装に騙されるからなぁ、と思いつつ、いつも通りにやなかんじーにしてやるかと思ったのだが、サクラが自分のエーフィを囮にしてロケット団をおびき寄せる作戦を提案した。

 

 まさか、あのサクラからそんな提案が出るとは思わず少し驚いていると、カスミさんとラティもサクラを応援している。まぁ、駄目ならフォローすればいいだけなので、サクラの策を採用してロケット団を罠に嵌めることにした。

 

 ゴキブリホイホイばりに釣られたロケット団相手にサクラとエーフィが果敢に挑む。だが、向こうも流石にセキエイ大会ベスト8だけあってサクラだけでは倒しきることが出来なかった。

 とはいえ、良い所まで行ったので、残りは俺がやなかんじーにしてやる。しかし、ロケット団相手の立ち回りを見た姉達はサクラの成長を感じ取ったようで、前に言っていた旅に出ることを許してくれた。

 

 カスミさんとラティが大喜びで一緒に旅をしようと誘っているが、また俺達に頼ってしまうかもしれないから、まずは自分とエーフィだけで旅をすると言っている。ラティが「やだやだ」と駄々を捏ねていたが、前回同様それがサクラのためだと話すと渋々ながらサクラの旅立ちを見送っていた。

 

 

 

 12歳 λ月δ日 『とうめいなすずねぇ……』

 

 エンジュシティを旅立とうとした瞬間、何やら鈴らしき音が街中に鳴り響いた。街中の人々が動揺する中、何事かと思いながら音の発生地へ行ってみると、どうもスズの塔に保管されていた、とうめいなすずがなくなったらしい。

 スズの塔には、エンジュシティのジムリーダーであるマツバと、ゲームで良くスイクンスイクン言っているイメージのあるミナキが居て、犯人を捜すと意気込んでいた。

 

 とうめいなすずと言えば、ゲームではスイクンに出会うために必須なアイテムだが、毎度毎度言っている通り、伝説はもうお腹いっぱいなのでぶっちゃけどうでもいい。

 

 まぁ、十中八九ロケット団の仕業だろうということはわかっていたので、俺達も探すのを手伝うことにしたのだが、何やら野生のポケモンが怒り狂っており、俺達の行く手を阻んでくる。

 

 どうもとうめいなすずが盗まれたのを怒っているようで、無差別に人間へ襲い掛かっているようだ。お怒りはごもっともなので、適当に逃げつつポケモン達が一番集まっているであろう場所へと向かっていく。

 すると、むしポケモンの糸にぐるぐる巻きにされたロケット団と三つのとうめいなすずを見つけた。どうも一個足りないようだが、どうやらムサシが落として壊してしまったらしい。ポケモン達が急に興奮しだしたのはこれが原因のようだ。

 

 何とかとうめいなすずは回収したが、まだポケモン達の怒りは静まらないようで、今にも襲い掛かってきそうだった。森の中ということで、むしポケモンが多く、カスミさんが「早く何とかしてよぉ」と泣きそうな声をだしている。

 正直、倒すだけならそこまで難しいことではないが、別段悪さをしている訳でもないポケモンを無意味に倒すのはニューサトシ的にNGだった。「そんなこと言っている場合じゃないでしょぉ!」と、カスミさんが怒っているが、何も悪くないポケモンを傷つけるというのは身勝手が過ぎるだろう。原因が人間にある分、余計にな。

 

 ニューサトシが戦うのに反対で、カスミさんは虫怖さに思考停止中、ラティはニコニコしているだけということで、一番大人のタケシが「じゃあ、逃げるぞ!」と声を上げた。

 実際、戦わないなら逃げるしかないのは間違っていない。スタコラサッサと逃げる体勢を取る。しかし、逃げようとした瞬間、丁度噂のスイクンが現れ、一声でポケモン達の怒りを沈めてくれた。

 

 こりゃありがたいと思いながらさっさと逃げようとしたのだが、恩知らずなミナキがスイクンゲットだとばかりに、フーディンでバトルを仕掛けている。まぁ、スイクンマニアだし仕方ないのかもしれないが、少しは空気を読んで欲しい所だ。

 スイクンも少し呆れたように『ほえる』を使うと、フーディンがボールに戻っていき、そのままスイクンは姿を消した。

 スイクンがいなくなったのと同時に、空に虹がかかり、野生のポケモン達が暴れたことで起きた跡などが消えていく。マツバが、ホウオウがどうとか言っていたが、意外とポコポコ出てくるんだよな伝説のポケモンって。

 

 

 

 12歳 λ月ε日 『ポケモンライド スタンバイ』

 

 ライズタウンという街でシゲルと再会した。どうもシゲルはこの街で行われるポケモンライドの大会に参加するらしい。ウインディにチョーカーらしきものを付けているので何か関係があるんだろうが、よくわからないので少し話を聞いてみると、どうやらポケモンにそりを引かせて走る大会のようだ。

 

 とても興味があったので、ニューサトシもエントリーしたかったのだが、ポケモンライド用の装備を何一つとして持っていない。それでもどうにか参加できないか模索していると、育て屋をしているタマゾウというおじさんが話しかけてきた。

 どうやら、タマゾウは昔ポケモンライドをしていたようで、古い自分の装備を貸してくれるという。有難いとばかりにタマゾウの家まで行くと、ポケモンライドに使う赤いそりとポケモンの首に着けるチョーカーを貸してくれた。

 

 タイヤが付いているので、そりというよりはスケボーである。ニューサトシはこういうのが大得意なので、いろいろな技をお見せした。この手の遊びはニューサトシになる以前に、サトシ君がしていた上、前世の記憶にあるスケボーのトリックなどを身体能力任せに再現しているだけだが割と上手くできている。

 

 とはいえ、俺だけが上手くても意味がない。ポケモンライドはあくまで、人間とポケモンのコンビネーションが重要視される競技だ。

 とりあえずコースを調べてみると、スタート地点からこのタマゾウの育て屋まで行き、そこからタマゴのようなものを受け取って、またスタート地点に戻ってくるなかなかのロングコースだ。

 

 つまり、走るポケモンにはスピードは当然として、俺を引きながらコースを走るだけのパワーやスタミナも必要になってくる。そうなってくると、選択肢はもはや一択だった。タマゾウの家にある転送システムを借りて、オーキド研究所からケンタロスを送って貰う。

 

 走るのが大好きで、スピードもパワーもある。これ以上はないチョイスだろう。

 

 本番は明日ということで、練習時間は一日もないがそれだけあれば充分である。完全な初心者ならどうにもならないかもしれないが、俺はスケボー得意だし、後は俺がケンタロスに息を合わせてやればそこそこいい成績は出せるはずだ。

 

 スタートから折り返し地点までのコースは決まっているが、折り返し地点であるタマゾウの育て屋からスタート地点に戻るまでのコースは自由に選択していいというルールなので、ケンタロスが走りやすいコースを探しがてらコースの確認をしに行く。

 

 俺のケンタロスはパワーがあるので直進での加速力は一級品だが、反面細かく曲がるようなコースは苦手だ。なるべく直進が多く、ケンタロスの持ち味を生かせるコースをチョイスしたい。その後は、息を合わせる練習を重ねた。

 

 いろいろ試している途中、一度俺が転んだのを見て、ケンタロスが気を使って俺に動きを合わせようとしてくれたが、変にケンタロスの動きを変えると持ち味の速さが消えるのでケンタロスには自由に走るようにお願いする。「大丈夫だ、俺を信じろ」と言うと、ケンタロスもいつも通りに爆走し始めた。

 

 

 

 12歳 λ月ζ日 『ポケモンライド レディ ゴー!!』

 

 遂にポケモンライド大会本番である。シゲルも気合十分のようで、「悪いが勝たせてもらうよ」と挑発してくる。

 確かにウインディはいいポケモンだが、俺のケンタロスも決して負けていない。いつもオーキド研究所を走り回ってつけた脚力はそんじょそこらのポケモンに負けるものではないのだ。

 

 パッと見た感じ、強そうなのはシゲルくらいで後はそこまで脅威になりそうなポケモンはいない。これは俺とシゲルの一騎打ちになりそうだな。

 

 レースがスタートすると、やはり俺とシゲルのトップ独走状態だった。こうなってくると、後は俺とシゲルの腕で勝敗が変わってくる。体力調整は当然のこと、勝負を仕掛ける場面などの選択も重要だった。

 

 昨日一日走り回ったおかげで、ケンタロスの通常速度、ここ一番の加速力、また加速状態の継続力は頭に入っている。後は、仕掛けるタイミングだ。ウインディもなかなか足が速いがまだ余力を残しているし、下手に仕掛けすぎると後半が持たなくなる。

 

 シゲルも馬鹿みたいに速度を上げるような真似はしないようで、こちらに合わせて様子を伺っていた。

 

 序盤は、大きいS字の坂のようなコースだ。そこまで細かい曲がりではないので、ケンタロスでも余裕で走れるが、上りで無駄に体力を消費するのも馬鹿らしい。最後に差すためにも、一旦ここは引いて、シゲルとウインディの真後ろに付いた。

 

「フッ、僕達を風よけにしようとしているみたいだが、そうはいかない。ウインディ、スピードアップだ。ケンタロスを引き離せ!」

 

 どうやら、体力温存に付き合ってくれるつもりはないようで、ウインディが加速していく。あまり離されすぎると独走を許しかねないので、こちらもスピードを上げてウインディの後を追った。

 しかし、細かく横に動いて、風よけにしようとするのを阻止してくる。どうやらシゲルのウインディは、こちらと正反対で細かい動きが得意なようだ。下手に後を追っても、逆に消耗するだけなので素直に風よけは諦める。

 

 こちらの本番は折り返しを過ぎてからだ。それまではシゲルに先頭を許してもいい。ケンタロスもわかっているようで、落ち着いて自分のペースで走っている。それでいい、全力を出すのはもっと後半だ。

 

 そのまま折り返しまでもう少しという地点に来ると、ロケット団がシゲルのウインディを狙ってきた。余計な邪魔をされても困るので、『はかいこうせん』で気球を破壊してやなかんじーにする。

 無駄に体力を使わされたが、まだ気にするほどではない。だが、シゲルもこちらに助けられたのを気にしているようでケンタロスの反動が消えるまでこちらを待っていた。実に紳士だ。そのままシゲルと並んでタマゾウの育て屋まで走っていく。

 

 すると、今度は気球が丁度タマゾウの育て屋に不時着したようで、ロケット団がタマゾウの育て屋からタマゴを盗もうとしていた。

 

 懲りない奴らだと思っていると、先程の恨みとばかりにウインディが『しんそく』でロケット団をこづいてタマゴを弾き飛ばしている。落ちたら大変なので、ニューサトシの身体能力を駆使してタマゴをキャッチした。

 そのまま『フレアドライブ』でシゲルがロケット団を再びやなかんじーにすると、シゲルと共にタマゴを返し、代わりに競技用のタマゴのようなものを受け取り、そのままゴールまで走る。

 

 どうやらシゲルの後半のコースは俺とほぼ一緒のようで、互いに真っすぐゴールまで駆けていく。

 前半ののんびりしたペースとは打って変わり、どちらも先頭は譲らないとばかりに加速している。

 

 前半のS字と違って、ほぼ直線で走っているため、ゴールまでは意外と近い。後は、大きなカーブを超えて、ゴールまでストレートを走り切るだけだ。

 

 カーブに入る直前で、ウインディが仕掛けてくる。前に出て、コースを塞ぎ、インのギリギリを駆けていこうという狙いのようだ。細かいコース取りやコーナーカットはウインディの方が上なので、俺のケンタロスが同じコースを取ったとしても、上手くいかずに差がつくだけだろう。

 そして、ここでついた差は決定的なものになる。

 シゲルはここで絶対的なマージンを取るつもりなのだ。だが、ここで絶対的なマージンを取ろうとしているのは俺も同じだった。悪いなシゲル、俺はマリカでもショートカットを多用するタイプなんだ。

 

 シゲルがカーブに入った瞬間、コースを変更する。このカーブは一見、何もないように見えるが、入る前に小さな崖があってそこからショートカットが可能なのだ。当然、崖からコースに飛ぶだけの跳躍力と加速力がないと不可能な芸当だがな!

 

 しかし、俺はケンタロスを信じた。

 そして、ケンタロスも俺を信じた。

 

 結果、俺はシゲルに差をつけてレースの先頭を走っている。コーナーで細かく稼ぐより、ショートカットした方が早いのは子供でもわかる理屈だ。

おそらく、シゲルもこのショートカットの存在は知っていたのだろう。しかし、ポケモンのみの跳躍ならともかく、ポケモンと自身の跳躍は危険度が高すぎると判断したに違いない。

 

 だが、ニューサトシは行けると思ったら挑戦するタイプの人間なのだ。シゲルも頑張って後を追ってきているが、この差は覆せないようで、そのままゴールまで俺とケンタロスが独走した。

 

「全く、ハイリスクハイリターンを迷いなく取るとはね。今回は僕の負けだよ、サトシ」

 

 リスクはバネ。制約と覚悟が大きいほど、念は強く働くのだ。クラピカが言ってた。

 とはいえ、勝ちは勝ちだ。優勝トロフィーを貰って、そのままシゲルと共にライズタウンを後にする。どうやらシゲルは既にバッジを八つ集め終わっているようで、これからリーグに合わせて追い込みをかけるらしい。

 

 ワカバタウン方面に向かうシゲルを見送り、俺達もチョウジ目指して旅立とうとすると、育て屋のタマゾウがロケット団からタマゴを守った感謝として、何とポケモンのタマゴをくれた。

 色はグレーっぽい色で、どんなポケモンが生まれるかはお楽しみらしい。うーむ、嬉しいがアニポケでタマゴなんて貰ってたっけ? あ、ヨーギラスのタマゴかも。でも、もうバンギラス捕まえちゃってるんだよな。どうしよう。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・第225話『さよならフシギダネ! オーキド邸の探検!!』より、フシギダネがオーキド研究所に既にいるため話がカットされた。
 アニメではフシギダネをオーキド研究所に預ける話だが、元々ニューサトシはパーティをそこまで固定にしない上、カントー組のようにレベルが高くて自主練しているポケモン達は自身が進んで研究所の見回りもしているのでまとめ役が必要なかった。

・第226話『エーフィとサクラ! エンジュシティ再び!!』より、ニューサトシがエーフィに進化することを予測した。
 ジョウトの話で、他の四人がブラッキー、シャワーズ、サンダース、ブースターなら答えは一つしかなかった。

・第227話『スイクンとミナキ! ホウオウの伝説!!』より、ニューサトシが怒っているポケモン達を傷つけるのを嫌がった。
 基本的にポケモンには優しいのもあって拒否した。ロケット団が鈴を奪ったせいで怒ったポケモン達は何も間違っていないというのも大きい。相手に非がないので戦う気は最初から欠片もなかった。

・第228話『ポケモンライドで突っ走れ!』より、ケンタロスをパートナーに選んだ。
 アニメだとベイリーフだが、ケンタロスほどこの競技にあっているポケモンもいないだろうということで、ニューサトシの中では一択だった。

・タマゴを貰った。
 グレーのタマゴ。ニューサトシはヨーギラスが生まれたらどうするか困っている。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.55

 ピジョット Lv.51

 バタフリー Lv.51

 ドサイドン Lv.53

 フシギダネ Lv.51

 リザードン Lv.57

 ゼニガメ  Lv.51

 キングラー Lv.52

 カモネギ  Lv.51

 エビワラー Lv.51

 ゲンガー  Lv.52

 オコリザル Lv.51

 イーブイ  Lv.50

 ベトベトン Lv.50

 ジバコイル Lv.50

 ケンタロス Lv.50→51

 ヤドラン  Lv.51

 ハッサム  Lv.50

 トゲチック Lv.44

 プテラ   Lv.51

 ラプラス  Lv.51

 ミュウツー Lv.71

 バリヤード Lv.51

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.46

 カビゴン  Lv.45

 ニョロゾ  Lv.44

 ヘラクロス Lv.41

 ベイリーフ Lv.41

 マグマラシ Lv.41

 ラティアス Lv.30

 デルビル  Lv.40→41

 ワニノコ  Lv.41

 ヨルノズク(色違い) Lv.40→41

 カイロス(部分色違い) Lv.40→41

 ウソッキー Lv.40→41

 バンギラス Lv.55

 タマゴ   中から音が聞こえてくる! もうすぐ生まれそう! NEW!



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#071 『俺はガキだからやりたいようにやる』

 12歳 λ月θ日 『ヨーギラスじゃなかったわ』

 

 タマゴが孵ってゴマゾウが生まれた。そういえば、サトシ君のゴマゾウっていつ捕まえたか覚えてなかったが、タマゴから生まれたものだったのか。

 トゲ様ぶりのタマゴポケモンだが、随分生まれるのが早いな。おまけに、ゴマゾウはトゲ様と違って生まれた時からやる気に満ち溢れている。タマゴが孵ったことを聞きつけたロケット団が現れると、自分が倒すとばかりに『ころがる』でバトルを仕掛けていった。

 

 とはいえ、いくら好戦的でもレベル1では流石に勝つのは難しいのでピカ様にサポートをお願いする。

 ピカ様ももうロケット団相手は百戦錬磨なので、上手いことゴマゾウをアシストして、ロケット団をやなかんじーにしていた。初バトル勝利の上、格上に勝ったゴマゾウは大喜びしており、これからに期待が持てそうだ。

 

 

 

 12歳 λ月ι日 『狐に化かされるをこの世界ではキュウコンに化かされるという』

 

 スリバチ山という霧深い場所で、ロココという女性とキュウコンに出会った。しかし、ニューサトシはこの手のペテンに強いので、すぐにこのロココという女性がキュウコンの見せた幻なのを丸っとお見通しする。

 すると、バレてしまっては仕方ないとばかりにキュウコンが襲い掛かってきたので、とりあえずピカ様のまんボルでお仕置きした。

 

 落ち着いたキュウコンに事情を聞くと、どうも200年位前にキュウコンのトレーナーが旅に出たまま帰って来ないらしい。

 キュウコンはずっとトレーナーの帰りを待っていたが、全然帰ってこないので、諦めてここから去ろうとしたようなのだが、どうもモンスターボールが自分を引き寄せるせいで遠くに行くことが出来なかったと言っている。

 

 実際に、実物を見てみると、200年前だけあって年代物の陶芸モンボだった。大体、モンボから自由になれないならボールを壊すのが一番ということで、久しぶりのマサラ式肉体言語術――マサラ粉砕拳でボールを粉々にすると、キュウコンも自由になったようで、無事に野生へと戻って行った。

 

 

 

 12歳 λ月κ日 『P-1グランプリ? 俺優勝したけど?』

 

 スリバチ山を越えた先でイタズラ者のバルキーに出会った。どうも、近くにいた空手王のノブヒコによれば、このバルキーはトレーナーに捨てられて人間のことが信じられなくなったせいで、人間や自分よりも大きなポケモンにイタズラをするようになったのだという。

 

 こういう話を聞くたびに、捨てるくらいなら最初から育てようとするなと思う。まぁ、仕方ないので、今回はニューサトシがバルキーを捕まえて改心させてやろう――と、思ったのだが、どうやらこのノブヒコとかいう奴も、バルキーはいい奴だということを知っているので自分のポケモンに加えてP-1グランプリに出たいと考えているらしい。

 ふむ、どこかで聞いたことあるグランプリだなと思っていると、タケシがこっそり「お前とオコリザルが優勝したグランプリだよ」と耳打ちしてくれた。あー、ムサシがサワムラーパクったあのグランプリね。

 

 とはいえ、それを自慢しても何の意味もないが、とりあえず「俺優勝したことあるぜ」と、かつてP-1で優勝した時の写真をお見せした。大変気分がいい。

 

 気分がいいので、バルキーはノブヒコに譲ることにした。そのまま何だかんだあって、バルキーと一緒にいた仲間のマンキー、オコリザルは無事にノブヒコの手持ちになっている。

 

 聞けば、ノブヒコはタンバジムのジムリーダーであるシジマの一番弟子らしい。なら、ちょっとバトルしてみるかということで、ウソッキーでバトルを仕掛けてみた。

 

 ノブヒコはオコリザルを出してきたが、俺自身がオコリザルを持っているので、オコリザルには詳しい。ウソッキーはいわタイプでかくとうタイプには弱いので、真っ向から組み合うのではなく、『けたぐり』や『ふいうち』を駆使して相手の攻撃をかわしながら攻撃を仕掛けていった。

 オコリザルはこういう風に自分のやりたいことが出来ないと怒ることが多いので、育てる時は冷静さを身につけられるよう心掛けさせねばいけないのだが、ノブヒコのオコリザルはまだ捕まえたばかりでその辺りの対策が出来ていない。怒って隙だらけになったオコリザルに、『アームハンマー』と『ウッドハンマー』を組み合わせたアニポケハンマー殺法をお見舞いした。

 

 総評としては、「動き自体は悪くはないが、このレベルじゃP-1優勝は夢だな(ドヤッ)」と、言う所だな。実際、レベリング途中のウソッキーに勝てないんじゃ優勝は無理だろう。

 

 

 

 12歳 λ月κ日 『占いなんてそんなもんだよな』

 

 久しぶりにロケット団の落とし穴に引っかかったら、何故かロケット団まで引っかかっており、底が抜けてさらに地下へと落ちてしまった。

 地面の下は何やら辺鄙な所で、ネイティオを使った占いをしている村がある。前にネイティを使った占い見たなぁと思いつつ、話を聞いてみると、どうもこの村では古くからネイティオの占いを信仰しているらしいのだが、どうも今回は占いが当たらなかったらしい。

 占いなんて当たらない日もあるやろと思っていたのだが、この村では珍しいことのようで、占い師の末裔であるミココは100年前にネイティオが予言した大洪水が来るのではないかと何やらパニックになっていた。

 

 そんなミココの推測を裏付けるように雨が降り出し、段々と強さを増していく。

 

 街の人々はネイティオの予言に従って我先にと逃げて行った。残った俺達、ロケット団、ミココだが、ロケット団が街の人達が置いて行った財宝をちょろまかそうとしていたので、いつものようにやなかんじーにする。

 

 予言では洪水はもう少し先の予定だったらしいのだが、ネイティオ達の新しい占いによると、これからすぐに洪水が発生するらしい。

 随分、急だなと思っていると、ネイティオ達が身振り手振りのボディランゲージで、ミココに最後の言葉を伝えていた。『占いとは勇気づけるもの。当たるも八卦当たらぬも八卦。けれど占いだけに頼るのは占いに引きずられていくだけ。お前は自分自身で決める生き方をしなさい』――そう告げて、ネイティオ達はテレポートでどこかに消えていき、俺達も安全な場所までテレポートしてくれた。

 

 街は水に流されてしまったので、ミココにこれからどうするのか聞いてみると、街へ行ってお天気お姉さんになると言っている。

 あんな閉鎖的な村でもお天気お姉さんなんて概念があるのかと少し驚いたが、目的があるなら心配いらないだろうということで、俺達はそのままチョウジ目指して旅を続けることにした。

 

 

 

 12歳 λ月μ日 『赤いギャラドスだ!』

 

 チョウジに向かって歩いていると、急にピカ様がぐったりしだした。どうしたんだと思って様子を見ていると、野生のポケモン達もピカ様同様体調悪そうにしている。

 そんな中、少し先で何やら大きな鳴き声が聞こえたので行ってみると、湖のような場所に出て、水の中から赤いギャラドスが飛び出してきた。赤いギャラドスってことは、まさかここはいかりの湖か?

 

 いや、考えるのは後だ。このまま赤いギャラドスを放置するわけにもいかないので、一旦ゲットしようとすると、何やらロケット団の幹部らしき人物としたっぱが現れ、「その赤いギャラドスを見られた以上、逃がすわけにはいかないな」と言いながらオニドリルを出してきた。

 

 オニドリルが相手なら、ピカ様と言いたいが、体調が今一つなのでこちらはバンギラスを出す。それを見て、何やら舌打ちをしているが、よくわからないのでそのままバンギラスでオニドリルをKOした。

 

 こちらが思った以上にやるとわかって、後ろのしたっぱたちもポケモンを出そうとする。

 そのまま、やってやろうじゃねーかとバンギラスで殲滅しようとした瞬間、空から『はかいこうせん』らしきビームと同時に、カイリューに乗った赤い髪のトレーナー――いや、ジョウトチャンピオンのワタルが現れた。

 

 ワタルが「サトシ君、ここは一旦引くんだ」というので、とりあえず一旦バンギラスを戻して引くことにする。少しすると、ロケット団をまいてきたワタルがカイリューに乗って再び俺達の前に現れた。

 

 カスミさんやタケシは大人なので、「危ない所をありがとうございます」とお礼を言っていたが、俺からするといい所で邪魔が入った形である。

 どうやら、ワタルはポケモンGメンとして、まだロケット団を追っているようで、今回の計画を調査していたらしい。俺としてはそんな計画はどうでもいいが、赤いギャラドスを放っておけないので、このまま湖に戻ろうと思う。

 

 しかし、ワタルが今回の件は危険だから関わるなと言ってくる。そんな言葉に素直に従うつもりはないニューサトシだが、ふと気づいたことがあったので、ここは一旦引いてワタルの指示通りにチョウジのポケモンセンターまで戻ることにした。

 

 珍しく俺が他人の言うことを聞くので珍しいという顔をしているカスミさんとタケシだが、俺がそんなに素直な人間な訳ねーだろ。ピカ様や野生ポケモンが体調を崩した理由に当てがついたから一度引くことにしただけだ。

 

 ピカ様や野生ポケモン達で体調不良を訴えていたのは進化前のポケモンだった。進化後であるバンギラスや、進化のないラティは体調不良を訴えておらず、またワタルのカイリューや敵のオニドリルも普通にしていた。

 そして、バトルの時、敵は俺のバンギラスを見て舌打ちをしていた。最後に、赤いギャラドスとゲーム的知識のロケット団による強制進化実験を考慮に入れると自ずと答えが出てくる。

 

 ロケット団は進化の実験をしており、その影響で進化前であるピカ様達は動けなくなってしまったのだ。

 つまり、進化後のポケモンを連れて行けば問題なしであり、ポケモンセンターにはポケモン交換のために来たに過ぎない。ピカ様とゴマゾウが固定メンバーなので、残りにドサイドン、リザードン、ジバコイルを転送して貰う。バンギラスはそのまま継続だ。ピカ様とゴマゾウ、ラティは今回お留守番ということで、カスミさんやタケシにお願いして預かっていてもらうことにした。

 

 そのままミュウツーのテレポートで、いかりのみずうみまで戻る。さて、ロケット団のみなさまー、戦争のお時間ですわよー。

 

 どうやら丁度、赤いギャラドスを捕らえようとしていた所だったようで、タイミングはばっちりのようだ。船の上でポケモンを全て出す。さて、ここから先は一方通行だ。

 

 バンギラスの特性『すなおこし』によって、視界を塞ぎ、ドサイドンとバンギラスを一気に突撃させる。暴れまわる二体に対応するロケット団だが、その間にジバコイルが隙を狙って『ロックオン』からの『でんじほう』をお見舞いしていた。

 当然、それだけで収まるわけがなく、後ろではリザードンがやりたい放題暴れている。その隙に俺はぐったりとした赤いギャラドスの所へ行き、すぐにモンスターボールでゲットし安全を確保した。

 

 そのまま全滅させてやろうとすると、ロケット団員の中にもなかなか骨のある奴がいたようで、リザードンが苦戦している。と、いうか、相手がカイリューだし、多分ワタルが変装しているんだろうが、面白いのでしらないふりしてそのままバトルに持ち込むことにした。

 

 とはいえ、流石にワタルのカイリューだ。オレンジリーグで戦ったカイリューよりワンランク上なのは間違いなかった。俺の指示がなかったとはいえ、リザードンの攻撃が簡単にあしらわれている。

 大方のロケット団は気絶させたし、後はワタルだけだ。このまま仕留めるつもりで、リザードンと仕掛けようとすると、慌てて変装を解いて正体を明かしてきた。

 

 ちえっ、つまんねーの。このままなし崩し的にバトルに持ち込もうと思ったのに。

 

 どうもロケット団員になりすまして中からいろいろ探る計画だったようだが、俺のせいで台無しになってしまったと口にしている。悪いが、俺はその計画のためにギャラドスを犠牲にするなら敵に回るぜ。

 

 最終的には助けるつもりだったと言っているが、俺はポケモンが苦しそうにしているなら一刻も早く助けてやりたいのだ。ワタルよぉ、アンタの方が大人で、いろいろ考えているんだろーが、俺はガキだからやりたいようにやる。俺はギャラドスを助けに来た。それだけだ。

 

 理屈ではないということを理解してくれたようで、困ったように「君は昔から変わらないね。ポケモンに対して真っすぐだ」と言われた。

 

 いやー、そんなに褒められると照れるぜということで、ここのロケット団の処理はワタルに任せて俺は一度みんなのいるポケモンセンターに戻ることにする。

 ワタルが、「そういえば、どうやってここまで来たんだい?」と聞いてきたので、こいつの力を借りたのさと、ミュウツーをボールから出した。流石にミュウツーが出てくると思わなかったようで、見たことのないポケモンに面食らっているワタルを見ながら、とっとポケモンセンターに戻る。いやぁ、いい顔だったな。大変気分がいい。

 

 そのままジョーイさんに赤いギャラドスを預ける。

 

 散々ワタルの邪魔をしてしまったが、何だかんだあの人のことだ。しっかりアジトの位置くらいは推測しているだろうし、後は任せれば問題ないだろう。俺は赤いギャラドスを助けられただけで満足しているし、これ以上邪魔をするつもりはない。

 

 と、いう訳でギャラドスの検査が終わるまで、ポケモン達をジム戦メンバーにチェンジすることにした。今回のメンバーは、デルビル、ウソッキー、金角のカイロスである。

 どうも、トゲ様が今回も出番がなくて不貞腐れている。すまない、お前の出番は多分、ジョウトリーグになると思います。ひかりの石があれば、もう文句なしなんだが、なかなか手に入らないんだよなぁ。

 

 

 追記。赤いギャラドスの検査が終わった。どうやら、強制的に進化させられたせいで体力を消耗しているだけのようだ。ただ、人間に対しての憎悪が大きく、ジョーイさんに対してもかなり威嚇していたらしい。さて、どうしたものかな。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・第229話『名探偵ジュンサー! 消えたタマゴの謎!!』より、ニューサトシがタマゴを守っていたため内容がカットされた。
 ロケット団が夜中に忍び込もうとしてきたが、普通にやなかんじーにしている。また、トゲ様がいないため、アニメのようにタマゴがどこかへ行くことはなかった。

・第230話『タマゴ、かえる』より、ゴマゾウがロケット団を倒した。
 アニメではピカ様の電撃がゴマゾウにもヒットして大混乱になるが、今回のピカ様は主にサポートとして動いていたためそのような事故も起きなかった。9割はピカ様がダメージを与えたおかげだが、ジャイアントキリングしてゴマゾウのレベルが爆上がりした。

・第231話『ロケット団とデリバード!』より、ロケット団がそこそこ実績を上げているので借金や除名されることがなかったため、内容がカットされた。
 アニメでは良い所がまるでなく、ここで除名されていたことが明らかになり、再入団するが、今作ではそこそこ実績があるのでスカウトと関わり合いにならなかった。借金もほぼないため、デリバードも借金鳥にならなかった。

・第232話『霧の中のキュウコン!』より、ニューサトシが開幕ネタバレした。
 アニメだとしばらく騙されて、タケシにの主人がどうこうという話になるが、幻覚耐性があるため、開幕でネタバレされ、キュウコンの事情を聞くことになった。とりあえず、即ボールを壊して自由にしている。ニューサトシはキュウコンも結構好きだが、流石に200年以上もボールに囚われていたキュウコンを捕まえる気にはなれなかった。

・第233話『バルキーと空手王ノブヒコ!』より、ニューサトシがノブヒコをボコった。
 捕まえたばかりのオコリザルで勝とうというのは甘すぎた。

・第234話『ネイティオの大予言』より、ニューサトシがミココの夢に少し驚いた。
 お、お天気お姉さんなんて概念があの村にあったのか。

・第235話『ワタルと赤いギャラドス!』より、ニューサトシが忠告を聞かずにロケット団を壊滅させた。
 ワタルはロケット団に潜入して情報を探ることを優先していたが、ニューサトシはギャラドスを助けることを優先させた。感情論で動いているニューサトシの方が悪いのだが、ワタルも気持ちはわかってくれたようでお咎めはなかった。

・赤いギャラドスをゲットした。
 助けるための一時ゲット。本格的な仲間になるかは、本人の意思を聞いてから決めるつもりでいる。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.55

 ピジョット Lv.51

 バタフリー Lv.51

 ドサイドン Lv.53→54

 フシギダネ Lv.51

 リザードン Lv.57

 ゼニガメ  Lv.51

 キングラー Lv.52

 カモネギ  Lv.51

 エビワラー Lv.51

 ゲンガー  Lv.52

 オコリザル Lv.51

 イーブイ  Lv.50

 ベトベトン Lv.50

 ジバコイル Lv.50→51

 ケンタロス Lv.51

 ヤドラン  Lv.51

 ハッサム  Lv.50

 トゲチック Lv.44

 プテラ   Lv.51

 ラプラス  Lv.51

 ミュウツー Lv.71

 バリヤード Lv.51

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.46

 カビゴン  Lv.45

 ニョロゾ  Lv.44

 ヘラクロス Lv.41

 ベイリーフ Lv.41

 マグマラシ Lv.41

 ラティアス Lv.30

 デルビル  Lv.41

 ワニノコ  Lv.41

 ヨルノズク(色違い) Lv.41

 カイロス(部分色違い) Lv.41

 ウソッキー Lv.41

 バンギラス Lv.55

 タマゴ→ゴマゾウ  Lv.1→15 NEW!

 ギャラドス(色違い) Lv.20 NEW!




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#072 『わからせる前にわかるんじゃねーよ』

 12歳 λ月μ日 『よし、俺を殴れ』

 

 赤いギャラドスの人間への憎しみを解消する手段の一つとして、時間をかけて話すという意見があったが、俺はもっと手っ取り早い方法を取ることにした。

 そもそも、俺は赤いギャラドスを助けはしたものの、このまま手持ちに加えるつもりはない。いや、正確にはない訳ではないが、今回は非常事態だったからゲットしたというだけで、本人が一緒に来るのを嫌がるなら逃がすつもりということである。

 

 人間のせいで無理やりに進化させられ、苦しい思いをしたのだ。進んで人間についていくとはとても思えないしな。

 とはいえ、逃がすにしても、このままでは復讐心に駆られて人間を襲う可能性がある。そう考えると、やはり早急に赤いギャラドスの怒りを鎮める必要があった。

 

 再度、いかりのみずうみに来て、赤いギャラドスをボールから出す。ジョーイさんの言っていた通り、とても怒りを感じる。人間は敵と言わんばかりの勢いで、『みずでっぽう』を放ってきたのでそれを避けずに受け止めた。

 

 痛いが、我慢できないほどではない。

 

 俺が避けもせずに攻撃を受けたことで、ギャラドスが少し動揺したが、そのまま「好きに暴れていいぞ。人間に攻撃したかったら俺にしろ。飽きるまで暴れろ」と声をかける。

 意味不明な指示に少し困惑するも、人間への怒りがそれを上回ったようで、次は『たつまき』を撃ってきた。それも避けずに受ける。体が宙に浮きそうだったが、気合でその場に立つ。

 

 俺が倒れないのを見て、次に『りゅうのいかり』を撃ってきた。だが、それがどうしたという態度を貫き通す。

 そのまま次々と技を放ってくるが、全てをこの身一つで受け入れる。流石のニューサトシも死ぬかもと思ったが、ここで引いたら意味がないので気合で耐えていく。

 人間もそうだが、怒っている時に正論で説得した所で、簡単に怒りは静まらない。手っ取り早く落ち着かせるには、暴れるだけ暴れさせてすっきりさせてやるのが一番なのだ。

 そのまま何度も攻撃を受ける。ニューサトシの防御力でなければまず即死だが、俺はこのボディの性能を信じているし、今日ほど修行してきてよかったと思った日もなかった。

 

 しかし、気分良くギャラドスが暴れていると、急にどこからか飛んできた『れいとうビーム』で湖が凍り、怯んだギャラドスが攻撃を止めてしまう。

 

 誰だと思って振り返ると、どこかで見たことあるような気がしなくもない老人が「子供が危ない真似をしてるんじゃない!」と言って乱入してきた。

 余計な事を。中途半端に攻撃を止められてギャラドスが困り果てている。俺の計画では、このまま疲れるまで暴れたギャラドスとじっくり話し合う予定だったのだ。

 

「これは俺流のコミュニケーションだ。ポケモンと分かり合うにはそのポケモンの気持ちを理解してやらないといけない。ギャラドスの怒りを理解するにはその怒りを受け止めてやるのが一番なんだよ、邪魔すんなクソじじい」

「何がコミュニケーションだ。こんなのはただの自殺だ。ポケモンと人間が分かり合うことなど出来はしない」

「あんたが出来ないだけだろ。二流のトレーナーは黙ってろ」

「何だと小僧!」

「ポケモンと人間が分かり合えるからこそ、ポケモンバトルは出来るんだ。どちらかが一方的に使役するような関係は奴隷と同じだ。分かり合うことを否定するあんたは俺が一番嫌いなタイプのトレーナーだ。そんな奴と話すことはない。とっとと失せろ」

 

 デルビルを出して、湖の氷を解かす。

 さて、邪魔が入ったが続きをしよう。再び、ギャラドスに「どうした? お前の怒りはその程度か?」と、声をかけると、再びギャラドスが攻撃を仕掛けてきた。

 だが、また爺さんが邪魔をしようとするので、ミュウツーをけしかけて動きを封じる。そのままギャラドスの怒りを受け入れていくと、しばらくしてまたギャラドスの攻撃が止まった。どうやら、今度は本当に疲れたようだ。

 

 ギャラドスに「満足したか?」と声をかけると、どう答えたらいいか困ったように身じろいている。

 近くまで行くも、もうギャラドスは攻撃をしてこなかった。逆に怖がるような仕草を見せたので、「何もしねーよ」と言って落ち着かせる。

 

「ギャラドス。俺はお前の嫌がることをするつもりはない。もし、このまま野生に帰りたいんだったらそれでもいいと思っている」

 

 本音は連れていきたい。しかし、それがギャラドスの望みでないのなら無理強いはしたくないのだ。

 

「けど、お前はロケット団のせいで無理に進化させられ、その後遺症で体が赤くなった。色違いのポケモンは人間に狙われやすい。また危ない目に合うかもしれないし、できればこのまま一緒に連れていきたいと考えている」

 

 ギャラドスはしっかりと話を聞いていた。なので、このまま選択肢を提示する。俺と一緒に来るか、野生に帰るかだ。

 野生に返すならこんな殴られ損なことする意味ないと思う奴もいるかもしれないが、さっきも少し書いたが、むやみに逃がして人間を襲うようになってしまえば、それは誰のためにもならない。

 

 だから、全力で暴れさせたのである。

 

 ギャラドスも俺への八つ当たりで大分感情がすっきりしたはずだ。勿論、根柢の憎しみは完全に消えていないだろうが、暴れるだけ暴れた今、先程までの怒りは大分薄れてきている。少なくとも、もうむやみやたらに人間を襲うことはもうしないだろう。

 凶悪ポケモンと名高いギャラドスだが、四六時中人を襲う訳ではない。自身に危険が迫るか、縄張りに無遠慮に入りでもしない限り、基本的に人を進んで襲いはしないのだ。

 

 ただ、本音を言えば連れていきたい。

 

 ニューサトシはギャラドスが大好きなのだ。このギャラドスは本来ワタルがゲットするはずだったギャラドスだが、アニメでの所有権とか言いだせば、既にニョロモの件もあるし気にしなくてもいいだろう。基本的にゲットは早い者勝ちである。

 それに、みずタイプの中でもギャラドスはかなり強い部類に入ることもあって、ニューサトシ的にも是非パーティに加えたかった。

 

「俺と一緒に来るなら、ポケモンマスターを目指してバトルの日々だ。お前を最強のギャラドスにしてやる」

 

 そう言って、ボールを前に出す。

 

「野生に帰るなら、ここでボールは破壊してやる。それでお前は自由だ」

 

 さて、どうする? と、声をかける。

 ギャラドスは考えていた。じっくり考えていた。考えた結果、ゆっくりと顔を近づけ、おでこをボールに当てた。俺と一緒に来ることを選んでくれたのだ。

 

 ボールに戻るギャラドスに、「これからよろしくな」と声をかける。同時に、ミュウツーが捕まえていた爺さんを解放した。どうやら、ポケモンを無力化して邪魔をしないように捕まえていてくれたらしい。

 

「悪いな。雑用やらせて」

『そう思うなら、たまには活躍の場を求めたい所だ』

「えー……ちょっと前にエンテイと戦ったじゃん」

『あれから大分経つ。私もテレポートばかりでは飽きてくるというものだ』

「わーったよ。そのうちお前を使ってバトルする。ったく、相手になる奴が少ないんだからそういう我が儘は困るんだよな」

『楽しみにしている』

 

 フッと笑ってミュウツーもマスターボールに戻っていく。自由になった爺さんがこちらを睨んできたので、「どうだ? 俺とギャラドスは分かり合ったぞ」とドヤ顔で言ってやった。

 

 しかし、肉体的には限界だったので尻もちを付いてしまう。慌ててカスミさんやタケシが来て支えてくれたが、流石にギャラの攻撃をあれだけくらうと立てん。

 

「お前さんは何もわかっていない。ポケモンとトレーナーは常に一線を引かねばならん。情に流されれば、すぐに戦略を見失い、何も出来ないまま倒されるからだ」

「ハッ、笑えるくらい二流だな。ポケモンと分かり合うことと、情に流されるのは関係ない。情に流されるのはただの甘ちゃんだろ。トレーナーとして未熟なことをポケモンのせいにしてるだけだ」

「では、お前はそうではないと?」

「少なくともあんた程度のトレーナーには負けないね。何なら、今からやろうか?」

「立てもしないくせに偉そうなことを言うんじゃない。いいだろう、ワシはチョウジジムジムリーダーのヤナギだ。お前が完全に治ったら相手をしてやる。現実を教えてやろうじゃないか」

 

 あ、どこかで見たことあるなと思ったらヤナギか。しっかし、こんなに目つき悪かったっけか?

 

「俺はマサラタウンのサトシだ。明日、ジムに挑戦してやるから首洗って待っとけ」

 

 しかし、売り言葉に買い言葉とはいえ、レベリングメンバーで挑戦するつもりだったのに、これでは本気メンバーでのバトルになりそうだな。

 まぁ、仕方ないか。そのままヤナギが帰っていくのを見送ると、俺達もポケモンセンターに戻る。流石にキツいのでケガの治療をお願いすると、ジョーイさんが俺の姿を見るなり悲鳴を上げていた。どうやらかなりボロボロにされたらしい。

 

 

 

 12歳 λ月ν日 『感謝の印? ひかりの石くれ!』

 

 次の日、完治とは行かないが立って歩けるくらいには回復したので、本気メンバーと入れ替えてチョウジジムに向かおうとすると、ワタルが現れた。

 どうも、昨日俺がロケット団を殲滅したことで、奴らの企んでいたプロジェクトが滅茶苦茶になってしまったらしく、その混乱に乗じたおかげでアジトの制圧が素早く済んだから、帰る前にお礼を言いに来てくれたとのことだ。聞けば、前回のトキワの時にも様子を見に来てくれたようなのだが、俺が気絶していたので黙って去ったと言っていた。

 

 で、お礼をしたいということだったので、今一番欲しいひかりの石を要求する。流石のワタルも予想外のことで驚いていたが、トゲ様を進化させるのに必要と話すと納得したようで、伝手を使ってひかりの石をプレゼントしてくれることになった。やったぜ!

 

 今すぐは無理だが、ジョウトリーグ開催までに届けるという約束をして貰った。いいぞ、これで今大会では害悪戦法をお披露目することが出来そうだ。待っていてくれトゲ様。

 

 ルンルン気分でワタルを見送り、そのままチョウジジムに挑戦しに行くと、中にヤナギは居らず、シマ婆という元気な婆さんが、ヤナギは裏山で修行中だと教えてくれた。そのままヤナギの所まで案内してもらうと、「よう、約束通り挑戦しに来たぞ」と声をかける。

 しかし、ヤナギは「傷が完治したらと言っただろう。怪我人を相手にするつもりはない。帰れ」と一蹴。「俺はいつだってベストコンディションだぜ!」と、いうも相手にしてくれなかった。

 

 ぐぬぬ、せっかくひかりの石入手の目途が立って気分が良かったのに全部台無しだぜ。

 

 仕方ないので、暇つぶしに山の中を歩いていると、いつも通りロケット団が現れた。いい暇つぶしになりそうだと、ゴマゾウとギャラドスを出して相手をする。まさか、赤いギャラドスが出てくると思わなかったようでコジロウが驚いているが、負けじと自分のギャラドスを出してきた。

 ムサシもリングマを出して戦闘態勢に入っている。二体ともまだ若干レベルが低いが、やる気は十分なので後は俺がカバーしていこう。

 

 そのまま山の中を駆けながらバトルをしていると、ヤナギがまた乱入してきた。怪我人相手に多勢も無勢とか言って俺側に立っている。いや、別に助っ人求めてないっす。

 

 しかし、何だかんだと話しているうちに、コジロウのギャラドスの『はかいこうせん』の余波で足場が崩れ、俺とヤナギが崖下に落下してしまった。

 とりあえず、ゴマゾウとギャラドスをボールに戻し、リザードンを出して何とか落下死は防ぐ。俺はともかく、ヤナギは間違いなく死んじまうからな。

 

 すぐに上へ戻ろうとしたのだが、ふと足元でポケモンの足環らしきものを見つけた。なんぞこれと持ち上げると、ヤナギがそれを見てとても驚いた顔をしている。

 すると、ヤナギが昔話をし出した。

 まだヤナギが若かった頃、かつてはこいつもパートナーのイノムーをとても大切に可愛がっていたらしい。しかし、かつて大会でほのおポケモンの攻撃からイノムーを守り、火傷を負ってしまったヤナギを、イノムーは見捨てて出て行ったのだと言う。

 

 そして、その出て行ったイノムーのつけていたのがこの足環のようなのだが、どうも俺にはイノムーがヤナギを見捨てて逃げたようには思えなかった。

 ヤナギも、この足環を見たことで、自分が何か思い違いをしているのではないかと思ったようで、近くを少し歩くと言っている。そのまま進んでいくと、近くに洞窟らしきものがあり、中には氷漬けになったイノムーが居た。

 

 結局、イノムーはヤナギを見捨ててなどいなかったのだ。ヤナギを助けるために薬草か何かを取りに行こうとして俺達同様に崖に落ち、そのまま氷漬けになってしまったというだけのこと。

 

 自分のために何十年も氷漬けになっていたイノムーを見て、ヤナギも勘違いを悟ったようで、「すまなかった。イノムー」と涙を流している。とはいえ、このまま氷漬けのままでは再会もクソもないので、リザードンにお願いして氷を溶かしてもらった。

 イノムーは年を重ねて姿が変わって尚、ヤナギが自分のトレーナーだとわかったようで、嬉しそうに傍に寄っていく。そんなイノムーに再びヤナギは涙をこぼす。

 

「おい爺。人間とポケモンが分かり合うなんて必要ないんじゃなかったのか?」

「ふん。記憶にないの。そんな二流の言葉」

 

 全く、わからせる前にわかるんじゃねーよ。

 

 これじゃ、全力バトルをする意味がない。ヤナギにはレベリング目的のジム戦をすると言い、予定通りのメンバーで明日ジム戦をすることになった。

 

 

 

 12歳 λ月ξ日 『チョウジタウン ジム戦 VSヤナギ 前編』

 

 流石に二日も休めば体も大分回復した。マサラ人を舐めてはいけない。これくらいの傷でどうにかなるようじゃ、スーパーマサラ人は名乗れないからな。

 

 と、いう訳で、いざジム戦である。

 

 ルールは三対三、レベル制限は45。こちらのメンバーは予定通りに、デルビル、ウソッキー、金角のカイロスである。ヤナギの一体目はジュゴン、こちらは金角のカイロスを送り出した。

 珍しい部分的色違いのカイロスを見て、ヤナギも驚いたような顔をしている。だが、こいつは珍しいだけじゃないぜ。『やまあらし』を指示して、ジュゴンに攻撃を仕掛けていく。フィールドが氷の上ということもあって、移動は難しいはずだが、滑るように金角のカイロスは移動している。なかなか器用なようだ。

 

 だが、その間にジュゴンは中央のプールの中へと逃げていく。

かくとう技を警戒して、接触出来ないようにしたようだが、それで逃げられたと思うのなら甘いぞ。『いわなだれ』を指示して、プールに岩を敷き詰めていく。中が見えないので直撃しているかはわからないが、出てこないならこのまま『いわなだれ』連打で身動きを取れなくさせてやるぜ。

 

 下手に直撃すればダメージになる上、避け続けてもいずれ岩で身動きが取れなくなるとわかったようで、ヤナギも素直にジュゴンを氷のフィールドに呼び戻す。

 カイロスはむしタイプ単体なので、弱点はほのお、いわ、ひこうタイプしかない。だが、ジュゴンはその技をどれも覚えられないので有効打はない。しかし、こちらは氷タイプが弱点のいわやかくとう技で攻めることが出来るので有利だった。

 

 普通なら形勢不利と判断して戻す場面だが、ジムリーダーはポケモンの交代が出来ないのでこのままバトルするしかない。ヤナギは、タイプ一致のこおり技である『れいとうビーム』で攻撃を仕掛けてきた。

 弱点を攻められない以上、追加効果で動きを封じられるこおり技が一番有効だと判断したのだろう。実際、凍らされてはたまったものではないので、金角のカイロスに回避を指示する。

 

 長期戦になると判断したのか、ヤナギがジュゴンに『あられ』を指示した。これでこおりタイプ以外のポケモンは毎ターン1/16のダメージを受ける。攻撃を避けて隙を突くというニューサトシの基本スタイルからすると、かなり相性の悪い技だった。

 

 なら、一気に勝負を決めてやる。

 

 金角のカイロスに『やまあらし』を指示して、再び距離を詰めていく。ヤナギは冷静に『こごえるかぜ』を指示してきた。広範囲技だ、これは避けられない。おまけに追加効果で素早を一段階確定で下げてくる。ダメージを取るよりも、こちらの動きを鈍らせることにシフトしたか。

 

 しかし、それでも金角のカイロスは突っ込んだ。『やまあらし』がジュゴンに直撃し、その体を投げ飛ばす。この技は威力が60しかないが、確定で急所に当たるのだ。タイプ不一致とはいえ、これはかなりのダメージのはずである。

 

 同じ攻防は続く。ヤナギは『こごえるかぜ』を指示し、俺は『やまあらし』でダメージを稼ぎに行った。『あられ』のダメージがあるとはいえ、ダメージはこちらが有利のはずだ。このまま行けば、次の一撃でジュゴンを落とせる。そう思った瞬間、ヤナギはジュゴンを再び水中へ逃がし、『ねむる』を指示した。

 

 しまった。

 

 慌てて、金角のカイロスに『いわなだれ』を指示する。だが、先ほど言った通りプールに岩を敷き詰めても直撃を取れているかわからない。いや、仮に当たってもタイプ不一致威力75の技ではダメージを与えるよりも回復される方が早かった。

 おまけに金角のカイロスは『こごえるかぜ』でスピードを下げられているせいで、攻撃も先程よりゆっくりだ。それでも『いわなだれ』を連打するが、どうもダメージは与えられなかったようで眠りから覚めて全快したジュゴンが水中から飛び出してきた。

 

「やってくれるな、爺」

「なに、二流の技よ。お前さんなら簡単に突破できよう?」

 

 目算でこちらの体力はおおよそ1/3くらいだ。おまけに、止みそうだった『あられ』を再びジュゴンに使わせているため、何もしなくても金角のカイロスはいずれ戦闘不能にされる。

 それに加えて、素早を下げられていて動きも鈍いとなると、ここは一旦金角のカイロスを戻すのが賢明だろう。まだ活躍の場はあるので、ここで倒れられても困るしな。

 

 金角のカイロスをボールに戻す。ヤナギが「流石に、ここで突っ張るようなことはせんか……」と笑みを浮かべた。

 

 次に出すのはウソッキーだ。みずタイプを持っているジュゴンに、いわタイプのウソッキーを出すのは本来ならば悪手だが、今回に限って言えば問題ない。

 ヤナギは既にジュゴンの技を全て使いきっている。『あられ』、『れいとうビーム』、『こごえるかぜ』、『ねむる』、その中にみず技はない上、ウソッキーはいわ単タイプなのでこおりタイプは弱点ではない。おまけに、こちらはこおりの弱点であるいわ技がタイプ一致で使えた。

 

 まずは挨拶代わりに『がんせきふうじ』を指示する。ヤナギも『れいとうビーム』で相殺してきた。流石に直撃を受けたらまずいとわかっているようだ。

 

 こちらもそう簡単に直撃するとは思っていなかったので、今度は『いわなだれ』で範囲攻撃を仕掛けていく。これを防ぐ手立てはないようで、ヤナギも舌打ちしながら『れいとうビーム』を撃ってきた。

 

 ワンチャン、凍れば何とかなると思ったのだろうが、一割の追加効果など早々に引きはしない。こちらに『れいとうビーム』が命中すると、『いわなだれ』もジュゴンに直撃して相手にダメージを与える。同時に、ウソッキーを突っ込ませた。

 

 こいつも氷のフィールドでのバトルは初めてだが、金角のカイロスと同様に、氷の上を滑るように移動している。

基本的に、こいつはワニノコと一緒で、踊るのが好きなタイプだ。割と器用なのもあって、フィギアスケートでもしているのかと思うくらい優雅に氷の上を滑っていく。滑りだけなら金角のカイロスより上手い件。

 

 ヤナギもまたジュゴンを移動させた。当然、こおりタイプであるジュゴンは氷の上を移動するのを得意としている。お互いに氷の上を滑りながら、相手に攻撃を仕掛けていく。

 こちらのメインウエポンは、『がんせきふうじ』、ヤナギは『れいとうビーム』である。範囲攻撃技や大技は足を止めて打つのが基本なのでこうした移動中での打ち合いには向かない。しかし、ふうじもれいビも移動しながらだと的が絞れず、なかなか直撃させることが出来なかった。

 

 だが、それでいい。こちらの目的は距離を詰めることであって、技を当てることではないのだ。

 ウソッキーも理解しているようで、タイミングを計っている。そして、ヤナギがまた『れいとうビーム』を指示した瞬間、『ふいうち』を指示して近距離戦闘を仕掛けた。

 

 ウソッキーの拳がジュゴンの顔面に命中し、顔が跳ね上げられたジュゴンの『れいとうビーム』は明後日の方向に飛んでいく。悪いな、ヤナギ。俺のウソッキーは踊るのも好きだが、割と武闘派なんだわ。

 

 完全なる『ふいうち』でジュゴンの態勢が崩れる中、追撃の『もろはのずつき』を指示する。この技は与えたダメージの半分が自分に返って来るが、威力が150といういわ技の中でも最高峰の威力を持っているのだ。

 いくらジュゴンが『ねむる』で体力を回復させていたとはいえ、『ふいうち』のダメージに加え、弱点、タイプ一致の大技を受けて立っていられるはずがなく、そのまま戦闘不能になる。

 

「まさか、高速戦闘に見せた格闘戦とは……してやられたわ」

「さっきのお返しだ」

 

 しかし、ウソッキーも大ダメージを受けた。

 見た感じ、残り体力は金角と同じ1/3くらいか。数の上では有利を取ったが、ダメージレースでは負けているな。さて、この狸爺がこのまま素直にやられてくれるかどうか、面白くなってきたぜ。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・第236話『赤いギャラドスの怒り!』より、ニューサトシがロケット団を壊滅させたため内容がカットされた。
 アニメでは前話で捕まるが、ニューサトシが全力で滅ぼしたため内容がカットされた。

・赤いギャラドスの怒りを沈めた。
 逃がすにしろ、仲間にするにしろ、このままではいけないので、自由に暴れさせてすっきりさせた。途中、騒ぎに気付いたヤナギが善意で助けてくれようとしたが余計なお世話と反発した。価値観が真逆なのでとても相性が悪かった。

・赤いギャラドスをゲットした。
 本来ならワタルがゲットするものだが、結果的にかっさらう形になった。しかし、元は助けるのを前提としてのゲットであり、最終的には自分のためにボロボロになってくれたニューサトシの男気にギャラドスが惚れた形。

・第237話『イノムーと冬のヤナギ!』より、何だかんだニューサトシとヤナギが分かり合った。
 わからせる前にわかられた。しかし、最初の出会いがいがみ合いだったため、ニューサトシも今更な気がしてヤナギに敬語は使わなかった。ヤナギも気にしていない。気の強い孫みたいな印象を持っている。

・第238話『チョウジジム! 氷のバトル!!』より、レベリング目的のジム戦を行った。
 とはいえ、もう上限45なので結構上のレベル。ジョウトのジム戦も終盤である。


 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.55

 ピジョット Lv.51

 バタフリー Lv.51

 ドサイドン Lv.54

 フシギダネ Lv.51

 リザードン Lv.57

 ゼニガメ  Lv.51

 キングラー Lv.52

 カモネギ  Lv.51

 エビワラー Lv.51

 ゲンガー  Lv.52

 オコリザル Lv.51

 イーブイ  Lv.50

 ベトベトン Lv.50

 ジバコイル Lv.51

 ケンタロス Lv.51

 ヤドラン  Lv.51

 ハッサム  Lv.50

 トゲチック Lv.44

 プテラ   Lv.51

 ラプラス  Lv.51

 ミュウツー Lv.71

 バリヤード Lv.51

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.46

 カビゴン  Lv.45

 ニョロゾ  Lv.44

 ヘラクロス Lv.41

 ベイリーフ Lv.41

 マグマラシ Lv.41

 ラティアス Lv.30

 デルビル  Lv.41

 ワニノコ  Lv.41

 ヨルノズク(色違い) Lv.41

 カイロス(部分色違い) Lv.41

 ウソッキー Lv.41

 バンギラス Lv.55

 ゴマゾウ  Lv.15→17

 ギャラドス(色違い) Lv.20→22




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#073 『じゃあな、爺!』

 12歳 λ月ξ日 『チョウジタウン ジム戦 VSヤナギ 後編』

 

 ヤナギがジュゴンを戻すと、次にニューラを出してきた。ニューラはあく・こおりタイプだ。かくとう四倍、いわ二倍、ほのお二倍、むし二倍と、今日連れてきたメンバーなら全員有利が取れる。

 ただ、スピードが速く、攻撃がそこそこ強いので油断すると、体力の少ないウソッキーと金角はすぐに戦闘不能にされる可能性があった。

 

 最後の一体が、もしイノムーだった場合、まだウソッキーは残しておきたいので、ここは一旦ウソッキーを戻して休ませる。出すのはデルビルだ。

 

 デルビルもしばらくオーキド研究所で先輩達に揉まれたようで、少し逞しくなっている。体中傷だらけのデルビルを見て一瞬、顔に皺を寄せたヤナギだが、デルビルの俺への態度を見てすぐに表情を戻した。別に虐待してねーよ。

 

 先手必勝で、『かえんほうしゃ』を指示する。ヤナギは『こうそくいどう』を指示して、こちらの攻撃を回避してきた。元々早いニューラだが、さらに動きが早くなっている。おまけに、氷の上を気にした様子もなく走り回っており、姿を捉えきれない。

 

 止まっていたら的になるので、デルビルにも動いてかく乱させる。しかし、氷の上だと上手く動けないようで、いつもより動きが鈍い。うーむ、こいつは足場に弱いタイプだったか。

 しかし、これに関しては慣れてもらうしかない。金角のカイロスやウソッキーくらい器用ならすぐに慣れるだろうが、滑る感覚というのは難しいからなぁ。

 

 こちらがまごまごしているのを見て、ヤナギが『かわらわり』を指示してきた。デルビルはあくタイプも持っているので、かくとう技は弱点だ。咄嗟に『ニトロチャージ』を指示し、スピードを無理矢理上げることで変速を起こさせて何とか攻撃を回避する。

 

 とはいえ、これも一時的な対処に過ぎない。どうにか、デルビルに氷の上で動いてもらわないとただの的にされる。だが、そんな簡単に滑れるようになるなら、世の中はスケートの達人で溢れているだろう。

 こうなれば、足を止めてバチバチのインファイトに持ち込むしかない。攻撃が当たれば、いくらニューラでも足は止まる。そこを狙い撃つ。

 

 相手の『かわらわり』に対し、こちらも『ほのおのキバ』で反撃していく。しかし、ヤナギもこちらが相打ち作戦を狙っているのをすぐに読んだようで、一旦ニューラをデルビルから距離を取らせた。

 

 遠距離戦に切り替える気か?

 

「ニューラ、『いやなおと』だ」

 

 そう来たか。『いやなおと』は物理防御を二段階下げる技だ。遠距離戦だと『かえんほうしゃ』によるワンチャンがある。ならば、威力の低い『ほのおのキバ』を受けた方がまだリスクがないと考えたのだろう。その上で、確定で勝ちを拾うために、こちらの防御を下げてきやがった。

 

「『ちょうはつ』」

 

 技を全て使ってしまうが、これ以上防御を下げられる訳にもいかないので、変化技を封じていく。

 しかし、最初の一回が通れば十分とばかりに、ヤナギは再び『かわらわり』を指示してきた。

 こちらも『ほのおのキバ』で反撃する。ここで『かえんほうしゃ』を使っても、ニューラに避けられるだけだ。攻撃を受けた上で、相手に攻撃を当てる相打ち戦術だからこそダメージを取れている。

 

 だが、ダメージレースは圧倒的に不利だ。この状況を立て直すには、運を味方にする以外にない。

 

 そうして三度、『かわらわり』と『ほのおのキバ』が交差した時、それは起きた。一割の確率で発生する追加効果、火傷を引いたのだ。三回で引けたのは運が良かったな。

 火傷状態になると、攻撃力が下がる。

 それを見て、このまま続けても不利になると判断したのか、ヤナギは素直にニューラを下げた。ダメージはこちらの方が受けているが、これで近距離戦は制したと言っていい。遠距離戦に持ち込めばまだチャンスはある。

 

「こうなれば仕方ない。私のニューラはあまり特殊攻撃を得意としてはいないが……『なみのり』だ」

 

 みず技だと!?

 

 確かに、ニューラも覚えられはする。しかし、ここで『なみのり』かよ。ニューラで特殊技とか想定外にもほどがあるっての。

 

「飛べ! デルビル!」

 

 その場から跳躍させ、『なみのり』を回避する。そのまま追撃の『かえんほうしゃ』をお見舞いし、ニューラを戦闘不能まで持って行く。

 

「ならばこちらも飛べ! ニューラ!」

 

 しかし、『かえんほうしゃ』が当たる直前、ニューラが『なみのり』状態から跳躍し、デルビルの頭を取る。そのまま『かわらわり』でデルビルを氷の上に叩きつけた。

 火傷で攻撃力が下がっているとはいえ、上空から地面に叩きつけられたのはダメージが大きく、デルビルが倒れて目を回している。戦闘不能状態なのは一目瞭然だった。

 

 デルビルをボールに戻す。これで数は互角だが、ダメージレースは不利。だが、デルビルはいい仕事をしてくれた。

 ニューラは技を全て使いきった上、攻撃技の『かわらわり』は火傷で威力低下中、『なみのり』は弱点技ならまだしも等倍なら大した脅威にはならない。

 

 当然、こちらは金角のカイロスを出した。ウソッキーでは『なみのり』でワンチャンが起きる可能性がある以上、当然の選択と言っていいだろう。

 

 ヤナギは『いやなおと』を指示した。『ちょうはつ』は解除されたし、少しでもダメージを与えようという狙いだろうが、そんなの関係ないとばかりに金角のカイロスがニューラに向けて直進していく。

 そのまま金角のカイロスに『シザークロス』を指示する。対するヤナギは『かわらわり』を指示したが、むしタイプの金角のカイロスにかくとう技は今一つだ。いくら『いやなおと』で防御を下げているとはいえ、火傷状態で効果今一つの技など脅威になり得ない。

 

 自慢のツノでニューラを捉える。当然、耐えられるはずがなく、ニューラは一撃で戦闘不能になった。

 これで、二対一だ。とはいえ、こちらはジュゴンとのバトルで二体ともダメージをかなり受けている。最後の一体が何であれ、油断するとすぐに倒されそうだった。

 

 ヤナギがニューラをボールに戻す。こちらも『いやなおと』の効果を消すために一度金角のカイロスをボールに戻した。

 

「ふっ、追い詰められたな。だが、ここからが本番だ。いけ、イノムー!」

 

 やはり、イノムーか。

 

「昨日、氷から戻ったばかりのイノムーをバトルに出すのかよ」

「ポケモンセンターでの検診でも問題ないとのことだ。むしろ、久しぶりのバトルに興奮しているよ」

 

 そうかい。ならば、こちらはウソッキーを出す。ウソッキーはジュゴンとのバトルで技を全て使ってしまっているが、こおり・じめんタイプのイノムーにいわ技は等倍だ。じめん技が少し怖いが、十分に立ち回れるだろう。

 

 挨拶代わりに『がんせきふうじ』をお見舞いする。対するヤナギは『ストーンエッジ』を指示してきた。向こうの方が威力が高いとはいえ、こちらはタイプ一致だ。何とかごり押しで向こうのエッジを相殺させている。

 

 いわ技で返してきたのは、おそらく金角のカイロスへのけん制も兼ねてのことだろう。むしタイプはいわ技に弱い。向こうは有効打を持っているぞとアピールしてきたのだ。

 

 続けて、ヤナギが『じしん』を指示してきたので、こちらも『ふいうち』で距離を詰めていく。イノムーの頭を殴り、そのままの勢いで自身を宙へ浮かせることで『じしん』を回避した。

 だが、回避されるのは計算内だったようで、『つららおとし』を指示している。空中にいるウソッキーにそれをかわすすべはなく、つららが直撃して地面に叩き落された。

 

 ウソッキーが体勢を立て直そうとするよりも先に、ヤナギが追撃の『じしん』を指示してくる。今のウソッキーの体勢だと、『ふいうち』は無理だ。つまり、回避は不可能。ならば、迎撃しかない。『がんせきふうじ』を指示してワンチャンに賭けた。

 

 先に『じしん』が放たれ、少し遅れてウソッキーが『がんせきふうじ』を撃つ。『じしん』の衝撃でウソッキーは戦闘不能になったが、イノムーにも『がんせきふうじ』が当たってダメージを与えている。勝負はまだまだこれからだ。

 

 ウソッキーを戻し、最後の金角のカイロスを出す。残り体力的に、エッジが直撃すれば終わりだろう。対するイノムーはダメージこそあるが、まだまだ余裕がある。弱点の技を受けたとしても、二、三発は耐えられるはずだ。

 

 ただ、向こうはウソッキーとのバトルで、『ストーンエッジ』、『じしん』、『つららおとし』の三つを使っている。どれも大技だが、接近戦に持ち込めばまだまだ勝負はわからなかった。

 

 バトル開始と同時に、金角のカイロスがイノムーとの距離を詰めに行く。しかし、ヤナギもそうはさせるかとばかりに、『ストーンエッジ』を撃ってきた。回避を優先すれば、距離は詰められない。一撃を覚悟して突っ込むには残り体力が少し怪しかった。

 だが、『ストーンエッジ』は威力こそ高いが命中率が若干低い技だ。隙を縫って、金角のカイロスが少しずつイノムーとの距離を詰めていく。ヤナギもエッジで動きを止め続けるのは無理だと判断したのか、『つららおとし』に技を切り替え、壁を作るように金角のカイロスの動きを封じてきた。

 

 待っていたぞ。技を変えるのを。

 

 金角のカイロスに、『シザークロス』を指示し、つららを破壊する。大きな岩は厳しいが氷柱くらいの氷なら、自慢のツノで十分破壊することが出来た。そのまま一気に距離を詰め、『やまあらし』をお見舞いする。

 倒れるイノムー。この距離ではもう三つの技は使えないだろう。続けて『シザークロス』でダメージを与えていく。しかし、ヤナギは最後の一つの技として、『あばれる』を指示してきた。

 

 高威力のターン技だ。全てを受けたら金角のカイロスでも耐えられない。こちらも最後の一つの技として『ばかぢから』を指示した。攻撃後、攻撃と防御が一段階下がるデメリットがあるが、威力が120もあるかくとうタイプの大技だ。この一撃に全てをかける!

 

 暴れ回るイノムーを捕まえるように金角のカイロスがハサミでその体を挟む。だが、苦しみながらも、イノムーは暴れ続けた。共にダメージを受けている。こうなれば、先に倒れた方が負けの我慢合戦だ。ヤナギも手に汗握ってイノムーを応援している。

 

 爺――確か、勝敗を分けるのはトレーナーの冷静な判断力だったな。今、それを見せてやる。

 

 金角のカイロスに『ばかぢから』のパワーを維持したまま、『やまあらし』を使うように指示し、イノムーを投げ飛ばす。

 重量のあるイノムーを持ち上げるのはかなり難しい。実際、最初の『やまあらし』は投げるというよりも転ばせる感じだったが、今回は理屈抜きでイノムーの体を持ち上げて地面に叩きつけた。

 

 まさか、そんなトンデモ技を使うと思わなかったのか、ヤナギも言葉を失っている。正直、『ばかぢから』を使っていなければイノムーを持ち上げることは出来なかっただろう。しかし、その甲斐あって、イノムーは戦闘不能になり、目を回して倒れていた。

 

「技から技への派生。これを最初から狙っていたのか?」

「まさか、今思いついたんだよ」

「くっ、全く恐れ入る。思いつきに負けたか」

 

 だが、それでも勝ちは勝ちだ。ヤナギも文句はないようで、素直にチョウジジムを制した証であるアイスバッジを渡してくる。

 倒れたイノムーに語り掛ける姿は、つい先日までポケモンと人間は分かり合うことなど出来ないと言っていた人物とは思えないくらい優しい。俺のイメージのヤナギはこんな人物だった。

 

 最初が喧嘩腰だったせいで、もう態度を変える気にはならないが、向こうも特に気にしていないみたいだしいいだろう。「じゃあな、爺!」と捨て台詞を吐いて、チョウジタウンを後にする。すると、「ポケモンリーグを楽しみにしているぞ」と素直な返事が返ってきた。

 

 

 

 12歳 λ月ο日 『お、喧嘩だ』

 

 最後のジムがあるフスベを目指していると、何やら傷を負ったナゾノクサを数体見つけた。

 事情を聞いてみると、どうもこの辺りの草原ではラフレシアとキレイハナが縄張り争いをしているらしい。縄張り争いは野生の常とはいえ、下のナゾノクサ達は毎日毎日飽きずに喧嘩を続けているラフレシアやキレイハナに困り果てているという。

 

 可哀想なのでどうにかしてやりたいが、一体のポケモンならともかく、何体ものラフレシアやキレイハナを説得して回るのは現実的ではない。

 

 ここは一つ、共通の敵に対して団結してもらうことにした。自分達だけでは敵わない敵が現れればラフレシアもキレイハナも喧嘩所ではなくなるだろう。

 オーキド研究所に連絡を取り、やられ役を募集してみると、乗り気だったのはゲンガーとプテラだった。ゲンガーはバトルも好きだが、こういうイタズラも好きなようで、プテラは単純に暴れたいようだ。最終的には適度に負けてくれよと頼んであるが、調子に乗ってやばそうな時はピカ様にお願いして成敗してもらおう。

 

 ゲンガーとプテラが縄張りで大暴れを始めると、ラフレシアやキレイハナが出てきて勝負を挑んでいる。しかし、俺のゲンガーとプテラが野生のラフレシアやキレイハナの五体、十体に負けるはずがなく、次々とKOされていく。

 予想通り、お調子に乗っているようで、やられるそぶりが欠片も見られなかった。さて、このままでは壊滅してしまうな。そろそろテコ入れしないと駄目か?

 

 と、思っていると、ナゾノクサが集まって、倒れているラフレシアやキレイハナに説教をしている。

 聞けば、『こんなに大変な時に喧嘩してどうするんだ。今こそ力を合わせる時だ』と言っていた。どうやら、俺の話を聞いていたナゾノクサ達が気を利かせてくれたらしい。ポケモン達の気がそれているうちに、二体に接触し、「お前ら、そろそろ負けろよ」と注意をする。

 

 そういえば、最後は負けるんだったなというような顔をする二体に、「よろしく頼むぞ」と話すと、ラフレシアとキレイハナの協力『ソーラービーム』をワザとくらって草原から逃げて行った。

 

 団結したことでわだかまりもなくなったのか、ラフレシアとキレイハナが握手をして仲直りしている。

 これでもう心配はいらないだろう。隠れていたゲンガーとプテラを回収して、またフスベに向かって旅を続けることにした。

 

 

 




 原作との変化点。

・イノムーはレベル制限を受けていない。
 ヤナギがまだ若い頃に長年氷漬けにされたため、レベル自体がまだ45に達していないという設定。なので、今回のジム戦では制限なしで戦った。とはいえ、十分な強さを持っていた。


・第239話『キレイハナVSラフレシア! 草原の平和!』より、ラブリーでもチャーミーでもない仇役を買って出た。
 アニメではロケット団を一丸となって撃退することで仲良くなるのだが、何故かロケット団がいなかったので、代わりをゲンガーとプテラにお任せした。今まで結構暇だったようでお調子に乗って壊滅する寸前だったが、最終的にはうわーやられたーというような感じで逃げてきてくれた。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.55

 ピジョット Lv.51→52

 バタフリー Lv.51→52

 ドサイドン Lv.54

 フシギダネ Lv.51

 リザードン Lv.57

 ゼニガメ  Lv.51

 キングラー Lv.52

 カモネギ  Lv.51

 エビワラー Lv.51

 ゲンガー  Lv.52→53

 オコリザル Lv.51

 イーブイ  Lv.50

 ベトベトン Lv.50

 ジバコイル Lv.51

 ケンタロス Lv.51

 ヤドラン  Lv.51

 ハッサム  Lv.50

 トゲチック Lv.44

 プテラ   Lv.51→52

 ラプラス  Lv.51

 ミュウツー Lv.71

 バリヤード Lv.51

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.46

 カビゴン  Lv.45

 ニョロゾ  Lv.44

 ヘラクロス Lv.41→42

 ベイリーフ Lv.41→42

 マグマラシ Lv.41→42

 ラティアス Lv.30

 デルビル  Lv.41→42

 ワニノコ  Lv.41→42

 ヨルノズク(色違い) Lv.41→42

 カイロス(部分色違い) Lv.41→42

 ウソッキー Lv.41→42

 バンギラス Lv.55

 ゴマゾウ  Lv.17→18

 ギャラドス(色違い) Lv.22→23




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#074 『教科書、394ページを開け』

 12歳 λ月ρ日 『青春の味!』

 

 火山地帯を通りがかったのだが、道の真ん中にマグカルゴが眠っていて通れない。どうも、この辺りのボスのようで、他のマグカルゴに比べて体が大きかった。カスミさんが退くように声をかけているが、聞こえないとばかりに無視している。

 

 ならば、仕方ないということで、スターミーの『ハイドロポンプ』でお仕置きしていた。

 マグカルゴもすぐに応戦してきたが、百戦錬磨のカスミさんスターミーに勝てるはずもなく倒されている。

 

 そんなカスミさんのバトルを見て、ヤケイシとかいう奴が声をかけてきた。「まさか、こいつをKOするとはやるじゃんか」と笑っている。

 どうも、ヤケイシはこのマグカルゴを狙っていたようなのだが、カスミさんに先を越されてしまったらしい。しかし、みず系トレーナーのカスミさんは、ほのおタイプを捕まえるつもりはないようで、ヤケイシにマグカルゴを譲っていた。

 

 あまりにもあっさり譲られて「いいのか?」と気が引けているヤケイシ。しかし、カスミさんは特に気にした様子もなく、「どーぞ」と言って笑っていた。

 ヤケイシもマグカルゴをゲットしたかったこともあって、有難く倒れたマグカルゴをゲットしている。「いつか、こいつを強く育てたら、俺とバトルしてくれるか?」と問いかけてくるヤケイシに、カスミさんも「いつでも相手になるわ」と言って笑っていた。

 

 うーむ。青春である。

 

 

 

 12歳 λ月σ日 『教科書、394ページを開け』

 

 森の中を歩いていると、ポケモン魔法使いを名乗るリリーと出会った。どうもリリーはポケモンの気持ちがわかる魔法を作ろうとしており、そのために魔法に必要な材料を集めているという。

 ぶっちゃけ、それは魔法というより錬金術では?

 と、思ったが、面白そうだったので材料探しを手伝うことにする。ポケモンの考えは俺のボディランゲージで大体わかるが、やはり普通に会話できるならその方が楽だしな。

 

 殆どの材料はもう揃っているようで、後はエイパムの涙が必要らしい。AG編でサトシ君もエイパムを捕まえていたような気がするが、残念ながら今は手持ちに居ないので野生のエイパムが頼りだった。

 

 しばらくして、ようやくエイパムを見つけたのだが、どうやらロケット団が話を盗み聞きしていたようで、エイパムとリリーの道具を奪っていく。いつもの俺を狙った真っ向バトルと見せかけ、マタドガスの『えんまく』で一撃離脱していったようで、完全に油断した形である。

 

 とはいえ、このままやられたままでいるつもりはなく、ヨルノズクを出してロケット団を探してもらう。どうやら、そこまで遠くには行っていなかったようで、そこではロケット団がいろいろな手段を使ってエイパムを泣かせようとしていた。

 どうも、このエイパムはようきなのか、全然泣く気配がなかったが、まぁ下手に材料が揃っても面倒くさいことになっていただろうし、むしろ有難いか。

 

 そのままいつも通り、サクッとロケット団をやなかんじーにすると、その姿が滑稽だったのか、エイパムが腹を抱えて笑っていた。なかなか良い性格してるなと思ってみていると、想像以上にツボにはまったようで、笑い泣きしている。

 

 想定外だが、涙が手に入り、これで材料が全て揃った。後は誰かに魔法をかけるだけだが、当然俺が志願した。そのために手伝ったようなもんだしな。

 

 リリーの魔法がかかる。何か変化が起きるか、楽しみにしているといきなり俺の視点が低くなった。

 何が起きたと思って自分の体を見てみると、やけに体が黄色い上、カスミさん達が巨人になっている。巨人になったラティが嬉しそうに俺を抱きかかえると、苦笑いのカスミさんが手鏡を見せてくれた。

 

 どうやらピカチュウになったらしい。

 

 ポケモンの気持ちをわかるにはポケモンになれということだろうか? と、思っていると、リリーが失敗したと嘆いている。まぁ、失敗したものは仕方ない。リリー曰く、時限式の魔法のようだし、このまましばらくピカチュウを楽しもう。

 

 

 

 12歳 λ月σ日 『電気が使えるようになった』

 

 しばらくピカチュウの姿でいると、やはり人間とは違うことがわかった。いつもピカ様が電気をどうやって出していたかも体験できたし、いろいろ収穫があったな。

 そんな長い時間もかからず元に戻ったのだが、ピカチュウになっていた時の後遺症か、電気を作れる体質になったらしく、ピカ様のように電撃を発生させることが出来るようになった。

 

 カスミさんが怖がって近づかないが、確かに体をバチバチさせている人間の近くには居たくないだろう。

 

 いろいろ試していると、性懲りもなくまたロケット団が現れたのでニューサトシ必殺のザケルをお見舞いした。

 やなかんじーになっていくロケット団をみて、意外と火力があることがわかり、カスミさんが「こっちに向けて使わないでよー」と言ってタケシの後ろに隠れている。

 

 流石に仲間に意味もなく電気を使う程、ニューサトシは鬼畜ではないぞ。バリバリー!

 

 

 

 12歳 λ月τ日 『ザケル ザケルガ テオザケル』

 

 前回の件があったせいか、ロケット団がまた機械に頼ってきた。俺とピカ様の電気を無効にするために、電気を吸収する装置を作ってきたらしい。

 すぐにロケット団はやなかんじーにしたのだが、不意打ちをくらったピカ様が電気不足でダウンしている。

 とりあえず、俺の電気をこまめに送って回復させているのだが、丁度そこに通りがかったツバサという女性が、山頂のカルデラ湖はでんきタイプのポケモンを回復させてくれると教えてくれたので、そのカルデラ湖に行くことにした。

 

 どうも、湖の底に電気を帯びたクリスタルがあるようで、そのおかげででんきタイプのポケモンはこの湖で回復するようだ。

 ピカ様もすぐにいつも通り元気になっていた。ついでに俺も足を付けてみたのだが、何やらエネルギーのようなものが体に入るのを感じる。

 

 たまたまロケット団が再び現れたので、そのエネルギーをぶつけるように放ってみた。ビームのような雷がロケット団のメカを貫き、やなかんじーと出オチさせている。うーむ、ザケルガみたいだ。

 

 我ながら自分の変化に驚いていると、遠くの空から伝説のポケモンであるサンダーがやってきた。どうも、前にオレンジ諸島で会った個体とは別物のようで、この湖に体を休めに来たらしい。

 

 伝説には迂闊に接触するべからずということで、さっさと次の街へ移動することにした。

 

 

 

 12歳 λ月υ日 『思えば、随分久しぶりだなぁ』

 

 森を抜けた先でチヒロという女性と双子のププリンに出会った。どうやら、チヒロは歌のお姉さんをしているようで、今日はコンサートがあるらしい。

 これも何かの縁ということで、コンサートを覗いていくことにしたのだが、ロケット団が現れていつものようによくわからないメカでポケモン達を奪おうとしてきた。当然のようにやなかんじーにしてやったが、やはり機械を使うあいつらは雑魚だな。

 

 とりあえず、何の被害もなかったということで、無事にコンサートは再開され、チヒロやププリン達の歌を楽しむ。とても良かったのだが、最後に歌に釣られたプリンさんが現れた。

 

 随分、久しぶりだったのでギリギリになったが、何とかすごいみみせんをしてプリンさんの歌を凌ぐ。

 

 さて、今日はどんな絵が描かれるのかなと思っていると、俺の他にカスミさんも起きていた。

 何で? と、思ってみてみると、カスミさんの耳にもすごいみみせんがされている。どうやら、コガネデパートで売っていたのをひそかに買っていたらしい。

 やるなぁと思いつつ、とりあえず変身の解けたラティをボールに避難させ、ピカ様を回収する。そのままカスミさんと二人でプリンさんのアートを楽しんだ。自分が被害にあっていないからか、カスミさんも大爆笑していた。

 

 

 

 12歳 λ月υ日 『悟りねぇ』

 

 ヤドン湖のほとりという場所で、一体のヤドンが釣りをしているのを見つけた。近くにあるヤドン寺で修行をしているらしいミヤビという少女によると、ヤドンは悟りを開くために日々釣りをしているらしい。

 

 どうやらシゲルもここで修行をしていったようで、俺も少し挑戦してみることにした。精神修行は昔からやっているので苦手ではないし、悟りを開けなくても何か得るものがあるだろうという判断である。

 

 どうも、ロケット団も思う所があるようで、何故か一緒に修行することになった。まぁ、修行と言っても釣りだけどな。

 正直、ロケット団がこんなことするはずないし、どうせまた何か狙ってんだろと思っていたのだが、思ったよりも真面目に釣りに取り組んでいた。何か、捕まえたいポケモンでもあるのか?

 

 ミヤビ曰く、この湖のポケモンには釣り人の欲を感じ取る能力があるようで、完全に無心にならないと釣れないらしい。

 無心になるだけなら別に出来なくはないのだが、無心になると釣りは出来ないのではないかとも思う。とりあえず、無心になってみようということで、目を閉じて精神を集中させてみる。

 

 どうも、俺が無心になっている間、釣り竿が揺れたり、隣で同じく無心になったヤドンが悟りを開いてシェルダーを釣っていたりしたらしいのだが、精神統一しすぎて全く気が付かなかった。

 

 結局、俺が目を開けた頃にはヤドンがヤドランになっていたし、ロケット団もいなくなっていた。結局、ポケモンは釣ることは出来なかったし、何かを得たわけではない。

 

 ぶっちゃけ、何の意味があったんだろうな?

 

 

 

 12歳 λ月φ日 『本物より偽物の方が川柳上手くて草』

 

 エビチャタウンという街に立ち寄ったのだが、どうやらこの街でオーキド博士とクルミのラジオが公開録音されるらしい。

 久しぶりに顔でも見ていくかと思ったのだが、何故かオーキド博士とクルミが二人いる。よくよく見ると、片方はムサシとコジロウなのだが、この世界あるあるのどちらが本物かわからない現象が起きていた。

 

 結局、本物を決めるためにクイズ対決が行われることになり、面白そうだったのでそのまま覗いていく。

 コジロウ扮する偽オーキドも、ムサシのサポートのためにポケモンの知識が増えていたこともあり、意外と博士に食らいついている。勝負は五分ということで、最後はポケモン川柳で勝負することになったのだが、博士よりコジロウの方が川柳が上手くて観客がコジロウを支持し出した。

 

 博士のことを良く知っているなら、ダジャレみたいなこの川柳が本物だとわかるはずだが、そこまで知らない人間にはコジロウの方が本物に見えるのだろう。

 

 このまま本物が追い出されても面白いな。

 

 と、思ってみていたのだが、ポケモン川柳五段とかいうジョーイさんが、何やら意味不明な理屈で博士の川柳の良さを褒めたことで、博士が本物だということが証明されてしまった。

 

 ちえっ、このまま追い出されそうな博士を助けて、貸しを作ってやろうと思ったのに、その前に助かっちまったな。

 せめて最後くらい助けるかということで、正体がばれたロケット団を速攻でやなかんじーにしてやる。そこで博士も俺達がいたことに初めて気付いたようで、「見てたなら早く助けんか」と怒られた。

 

 どうも、どっちが本物かわかっているのがばれていたらしい。まぁ、何だかんだ博士とは古い付き合いだし、バレてもおかしくはないけどな。

 

 

 

 12歳 λ月χ日 『こ、この宇宙船は……!?』

 

 満月の夜にお月見をしていると、空から何やら見覚えのある物体が現れ、そこからピィが落ちてきた。

 俺の見間違いでなければ、空を飛んでいたあの物体は、カントーでバッジを全部集めてマサラタウンに帰る前に見たピッピの宇宙船だったような気がする。

 

 とりあえず、ピィをこのままにはしておけないので、宇宙船らしきものが落ちた場所へ連れて行こうとしたのだが、ポケモン不思議クラブを名乗る二人組が現れ、変なメカで何やら邪魔をしてきた。

 おまけに、いつも通りロケット団も怪しいメカで現れて、場は大混乱。仕方ないので、ラティとゴマゾウにピィを連れて行くように頼み、目の前の連中をさっさと畳んじまうことにした。

 

 遅れて、ラティとゴマゾウに追いつくと、やはり前に見たピッピの宇宙船があり、ピッピ達が何やら困り果てている。どうやら、森の中に落ちたせいで、前のように材料を集めることが出来ないようだ。

 

 それならと、ピッピ達をついさっき戦ったロケット団とポケモンなんちゃらクラブのメンバーがいた跡地へ案内する。あいつらが使っていた変なメカの材料を使えば何とかなるんじゃないだろうか?

 

 どうも読みは当たっていたようで、ピッピ達は嬉しそうにメカを分解して部品を宇宙船に運び込んでいく。これで何とかなりそうだなと思っていると、いつの間にかラティとゴマゾウはピィと仲良くなっていたようで別れを惜しんでいた。

 

 宇宙船の修理が終わると、ピィはピッピへと進化し、別れを惜しむように手を振っている。ラティとゴマゾウも泣きながら別れを告げていた。いい話である。

 

 

 

 12歳 λ月ψ日 『うーん、迷うなぁ』

 

 フスベを目指す途中、久しぶりに手強いトレーナーに出会った。ヤスジという男なのだが、そいつが連れているニョロボンがなかなか強かったのだ。

 バトルでは勝ったが、かなり苦戦させられている。ワニノコで相手になったのだが、ニョロボンのかくとう技の猛攻にやられかけてしまった。最終的にはワニノコの踊りステップのリズムに巻き込んで『りゅうのまい』からの『かみつく』でKOしたのだが、最近ジムリーダー以外に苦戦しなかったこともあってちょっと驚いた。

 

 しかし、ニョロボンか。俺もいい加減、ニョロゾを進化させないといけないのだが、まだどちらに進化させるか迷っている。

 

 ニョロボン、ニョロトノ、進化アイテムは両方あるので、どちらにも進化出来るのだが、自由に進化できるというのが、どちらに進化させようか悩んでしまう原因でもあった。

 ニョロボンに進化すれば、物理型として育成する。かくとうタイプも取得するし、エビワラーやオコリザルが良い相手になるだろう。

 ニョロトノに進化すれば、特殊型として育成する。俺のポケモンはみずタイプが多いし、技の練習には何も困らない。それに、万が一、とくせいパッチが手に入れば、雨パ始動要因にすることも出来るかもしれないしな。

 

 どちらにも良さがあるが故に、どちらに進化させようか悩む。本人はこだわりがないようで、俺に任せると言ってくれているのだが、だからこそ迷っているというのが本音だ。

 

 ヤスジのニョロボンは強かったし、やはりニョロボンにするか? でも、ニョロトノも捨てがたいしなぁ。うーん、迷うなぁ。

 

 




 原作との変化点。

・第240話『マグカルゴ! 熱い心でゲットだぜ!』より、カスミさんが大人の対応を見せた。
 アニメではマグカルゴに返り討ちにあって、ヤケイシとひと悶着あるのだが、倒してしまったため、余裕を見せている。

・第241話『ポケモン魔法で大変身!?』より、ニューサトシが電撃を覚えた。
 アニメでは遊ぶだけだが、ニューサトシは電気を撃つ感覚を覚えて人間に戻っても使えるようになった。無意味にバリバリさせると、カスミさんが嫌がるので面白がっている。

・第242話『サンダーとクリスタル! 湖の秘密!』より、湖のクリスタルを奪われる前にロケット団をやなかんじーにした。
 よって、サンダーが襲われることなく、関わることなくフスベに向かった。

・第243話『双子のプクリンVSプリン! 歌うポケモンコンサート!』より、久しぶりにプリンさんの出番があった。
 どうも噛み合いが悪くて、ジョウトでは出番が殆どカットされていたが、久しぶりにコンサートを披露した。

・カスミさんがすごいみみせんをコガネデパートで買っていた。
 たまたま見つけて買っていた。おかげで、仲間内ではタケシのみが落書きされている。

・第244話『ヤドンの悟り! サトシの悟り!』より、無心になり過ぎて何が起きたかわからなかった。
 昔の修行でこういう精神修行は行っていたため、無心には余裕で慣れる。が、ガチで無心になるため、周りで何が起きたのかわからなかった。

・第245話『偽オーキド!? ポケモン川柳対決!!』より、ニューサトシはすぐに助けなかった。
 面白そうだったので、そのまま見物していた。原作以上にコジロウにポケモン知識があって少し驚いている。

・第246話『ピィとピッピと流れ星!』より、ラティもピィと仲良くなった。
 アニメだとゴマゾウだけだが、ラティも別れを惜しんでいる。

・第247話『ニョロゾの進化!』より、ニューサトシがニョロゾをどちらに進化させるか悩んでいる。
 アニメだとここでニョロトノになるが、今は手持ちにいないため、進化することはなかった。どちらに進化させるか、マジで悩んでいる。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.55

 ピジョット Lv.52

 バタフリー Lv.52

 ドサイドン Lv.54

 フシギダネ Lv.51→52

 リザードン Lv.57

 ゼニガメ  Lv.51→52

 キングラー Lv.52

 カモネギ  Lv.51→52

 エビワラー Lv.51→52

 ゲンガー  Lv.53

 オコリザル Lv.51→52

 イーブイ  Lv.50→51

 ベトベトン Lv.50→51

 ジバコイル Lv.51

 ケンタロス Lv.51

 ヤドラン  Lv.51

 ハッサム  Lv.50→51

 トゲチック Lv.44

 プテラ   Lv.52

 ラプラス  Lv.51

 ミュウツー Lv.71

 バリヤード Lv.51

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.46

 カビゴン  Lv.45→46

 ニョロゾ  Lv.44→45

 ヘラクロス Lv.42

 ベイリーフ Lv.42

 マグマラシ Lv.42

 ラティアス Lv.30

 デルビル  Lv.42

 ワニノコ  Lv.42

 ヨルノズク(色違い) Lv.42

 カイロス(部分色違い) Lv.42

 ウソッキー Lv.42

 バンギラス Lv.55

 ゴマゾウ  Lv.18→23

 ギャラドス(色違い) Lv.23→28




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#075 『イナズマドッジボールをすることにした』

 12歳 λ月ω日 『バトルパークね。面白そうじゃん』

 

 フスベ近くにもバトルパークってあるんだと思いながら寄ってみたが、どうも俺の知っているバトルパークとは別物だった。

 バトルタワーで連勝するのではなく、トレーニングとしていろいろなポケモンと対戦が出来る施設らしい。それはそれで面白そうなので、ちょっと寄っていくことにした。

 

 今回やるのは一対一を三回繰り返して、勝利数の多かった方が勝ちというマッチバトルだ。相手のレベルは50と少し高いが、ここはジョウト組で挑戦していく。

 俺の一体目はマグマラシ、向こうの一体目はフシギバナである。最終進化系ということもあってパワーは有るが、スピードは俺のマグマラシが上回っているということもあり、ヒット&アウェイで相性有利にバトルを進めて勝利した。

 

 二体目にワニノコを出すと、向こうはリザードンを出してくる。相性は悪くないが、パワーの差で真っ向からぶつかっても勝ち目はないので、お得意の踊り殺法で相手の攻撃をかわしながら『りゅうのまい』で攻撃と素早を上げて対応していく。どうも、向こうのトレーナーさんはほのおタイプのポケモンに慣れていないのか、動きも甘く、意外とワニノコで無双することが出来た。

 

 この時点で二勝だが、せっかくなので三体目ともバトルする。予想通り、向こうはカメックスで、こっちは当然ベイリーフを出した。ベイリーフが『ひかりのかべ』で、特殊攻撃を弱め、カメックスの『ハイドロポンプ』をほぼ無効化していく。その上で、『どくどく』からのくさ技で一気にカメックスを戦闘不能まで持って行った。

 

 思ったよりも楽勝だったなと思っていると、どうも相手はロケット団だったらしい。俺に負けた後、変装を解いて、パークのポケモンを奪おうとしている。

 ぶっちゃけ、バトルに集中していて、相手の顔をよく見ていなかったから気づかなかった。とはいえ、そのままやりたい放題させるつもりはなく、いつものようにピカ様のまんボルでやなかんじーにしてやる。

 

 正直、ジョウト組もなかなかレベルが上がってきているなと手応えを感じられた一戦だった。このまま行けば、ジョウトリーグでは本気メンバーに交じってバトルが出来るかもしれないな。

 

 

 

 12歳 μ月β日 『またタケシが倒れたよ』

 

 こおりのぬけみちに着いた。ここを抜ければ、ようやくフスベだと思っていると、ロケット団が現れて何やら冷水をかけてくる。

 流石に冷たかったので速攻やなかんじーにしてやったのだが、どうも水をかけられたせいでタケシの体調が悪くなってしまった。

 

 運がいいことに、洞窟内にポケモンセンターがあったので少し休ませてもらう。もうすぐフスベなのに運がないが、ロケット団が悪いので仕方のないことだった。

 

 そのままタケシの看病をしていると、洞窟内に異常が起きたようでジョーイさんが慌てている。大変だなーと思ってみていると、また懲りずにロケット団が来たのでサクッとやなかんじーにしてやった。全く、余計なことしかしないなこいつらは。

 

 

 

 12歳 μ月γ日 『フスベに着いたぞ!』

 

 タケシの体調も何とか回復し、ようやくフスベシティに着いた。早速、ジム戦だと意気込んでいると、湖の近くで眠っているミニリュウを発見する。珍しいポケモンがいるなぁ、と興味本位で見に行くと、海面からギャラドスが現れていきなり襲い掛かってきた。

 

 放たれる『はかいこうせん』を、ピカ様が咄嗟に『10まんボルト』を側面に当てることで軌道を変えていく。しかし、それがますます向こうの怒りに火をつけてしまったのか、ギャラドスが次の攻撃の構えを取った。

 当然、こちらは戦う気はないので一旦退却である。『フラッシュ』で目をくらませて逃げようとしたのだが、その瞬間フスベジムジムリーダーのイブキが間に入ってギャラドスを落ち着かせてくれた。

 

 どうも話を聞くと、ギャラドスはミニリュウを守っていたらしい。俺達が迂闊に近寄ってきたので、ミニリュウを奪われると勘違いして戦おうとしたようだ。悪いことをしたな。

 

 誤解が解けたようで、ギャラドスも済まなそうな顔をしている。しかし、ミニリュウは希少なポケモンだし、それくらいしっかりしてくれた方がイブキも安心だろう。こちらも特に被害があった訳ではないので素直に謝罪を受け入れることにした。

 

 そんなこんなで問題が解決すると、イブキの後ろから変な爺さんが何かを抱えて走ってくる。だが、ミニリュウがどこかへ行こうとするので、イブキはギャラドスと共にミニリュウを追いかけて行った。

 

 置いて行かれた爺さんが転んだので、仕方なく助けることにしたのだが、どうも三年に一度フスベのジムリーダーが執り行う禊の儀式なるものがあるようで、爺さんはイブキを迎えに来たらしい。

 ぶっちゃけ、儀式はどうでもいいのだが、俺もジム戦をしてほしいので爺さんと一緒にイブキを追いかけることにした。

 

 しかし、イブキを見つけた爺さんが戻るように説得しているが、イブキはあの小さなミニリュウがそろそろ初めての脱皮時期ということで、それを見守りたいと言っている。

 爺さんも困ったような顔をしているが、イブキに強く出られないようで、とりあえず後をついて回るつもりらしい。

 ぶっちゃけ、ジム戦が出来ないので戻らないのは俺も困るのだが、ミニリュウを置いて俺と戦えとも言えないので、とりあえず様子を見ることにする。

 

 とはいえ、流石に暇だったので、少し前に手に入れた発電能力を使ってピカ様とイナズマドッジボールをすることにした。

 ルールは簡単。雷で光球を作り、相手に当てた方の勝ちである。俺もこの体質になってから電気があまり効かなくなったので、当たっても痛くないクリーンな遊びだ。

 最初は光球を作るのに苦労していたピカ様だが、コツを掴むと一瞬で光球を作っている。後で図鑑を見てわかったことだが、この遊びが功を奏したようで、『エレキボール』を覚えていた。

 

 そのまましばらく遊んでいると、湖側から何やら騒ぎが聞こえる。もしやと思って見に行くと、どうもロケット団にミニリュウが捕まってしまったようだった。前にもあったな、こんな展開。

 

 仕方ないのでヨルノズクを出していつも通りにロケット団を追跡する。すると、少し離れた所に着陸していたようで、いつも通りピカ様のまんボルでサクッとやなかんじーにしてやることにした。

 

 しかし、偶然、ムサシのソーナンスが勝手にボールから出てきて、ピカ様のまんボルを『ミラーコート』で跳ね返していく。それだけならよかったのだが、咄嗟に跳ね返したせいで狙いがピカ様ではなくミニリュウの方に行ってしまった。

 

 慌ててイブキがミニリュウを庇うので、俺がそのイブキを庇い、跳ね返ってきた電撃を弾き返す。

 最終的に庇ったのは俺なのだが、ミニリュウはイブキが助けてくれたと思ったようで、イブキを守るためにミニリュウからハクリューへと進化した。

 そのまま今度こそロケット団をやなかんじーにすると、ハクリューがついてこいとばかりに声を上げてイブキを湖の上流まで連れていく。

 思ったよりも距離があって日が暮れてしまったが、どうもハクリューはここでイブキに儀式をしてほしいようで、イブキもその気持ちを汲んでこの場で儀式を始めた。爺さんが持っていたのは、儀式に使うりゅうのキバだったようで、問題なくこの場で儀式が出来ている。

 

 よくわからないが、この儀式によってドラゴンポケモンは祝福を受けるようだ。俺の持っているドラゴンタイプはラティくらいのものだが、特に変わった様子はなさそうだった。

 

 

 

 12歳 μ月δ日 『フスベシティ ジム戦 VSイブキ 前編』

 

 ジョウトでの最後のジム戦ということで、今回は本気バトルをお願いすることにした。

 当然、使用ポケモンは三体。レベル制限はなしだ。フィールドはみずと陸のフィールドで、みずタイプでも十分に活躍できるフィールドである。

 イブキは一体目にキングドラを出してきたので、こちらはイーブイで行くことにした。エンジュぶりのイーブイだが、やる気は十分で、『アドバンスシフト』の特性でニンフィアへと進化していく。

 

 ドラゴンタイプに絶対的に有利なフェアリータイプ。イブキはニンフィアを見たことがないようで、開幕で『りゅうのはどう』を撃ってきたが、フェアリータイプにドラゴンタイプの技は無効である。

 それを見て、すぐにイブキもニンフィアがフェアリータイプだと察したようだが、その間にニンフィアの『ムーンフォース』がキングドラに直撃していた。

 

 ドラゴンタイプにフェアリータイプは効果抜群である。おまけに、ニンフィアはかつてシゲルのキングドラに負けたことを根に持っているようで、絶対に勝つと意気込んでいた。

 しかし、流石にイブキのキングドラはムンフォの一撃で参るほど優しくはないようで、まだまだ余裕そうにしている。とはいえ、有効打を入れたことには変わりはない。まずは先制だ。

 

 イブキは次に『ラスターカノン』を指示してきた。フェアリータイプの弱点であるはがねタイプの技だ。直撃を受ける訳にはいかないので、『ひかりのかべ』を指示してダメージを減らしていく。

 俺のニンフィア――いや、イーブイは全ての進化先へ自由に進化して戻れるという特別な特性を持っているが、代わりに進化した後も特性は『アドバンスシフト』で固定される。つまり、通常のニンフィアが持っている、『メロメロボディ』や夢特性の『フェアリースキン』のような特性は持っていなかった。

 

 しかし、当然そんな秘密をイブキが知っているはずがない。のだが、それでも接近してくる様子を見せなかった。

 どうやら、ニンフィアの特性自体はわからずとも、『メロメロボディ』を警戒しているらしい。おそらく、カントーやジョウトのフェアリータイプであるピッピ系やプリン系の特性に『メロメロボディ』が多い故に、ニンフィアもそうだと推測したのだろう。

 これはラッキー。キングドラ自身も特殊型ということもあって、『ひかりのかべ』は、このバトルでかなりの役に立ってくれそうだった。

 

 ここまで動きを封じられれば、次のイブキの狙いは大体読めるので、先行してさらに『ミストフィールド』を指示する。これで、しばらくの間、ひこうタイプや『ふゆう』の特性などでない地面にいる全てのポケモンは状態異常にならず、またドラゴンタイプの技のダメージが半減した。

 

 それを見て、イブキが苦い顔をする。やはり、状態異常を狙っていたようだ。俺なら『どくどく』を使う場面だからな。

 

 これで三つ技を使ってしまったが、イブキに科せられた制限はそれ以上に大きい。仕方がないとばかりにイブキは『きあいだめ』を指示した。雨を降らす素振りもないし、このキングドラは特性『スナイパー』で間違いなさそうだ。

 

 特性『スナイパー』は急所に当たると、ダメージが1.5から2.25倍になる厄介な特性だ。おまけに『きあいだめ』で急所に攻撃を当てやすくしている。急所攻撃は『ひかりのかべ』の軽減すら無効にするので、下手をするとワンキルも有り得た。

 

 イブキが再びキングドラに『ラスターカノン』を指示する。こちらも、『ムーンフォース』で相殺させた。ここで面倒くさい計算が起きる。急所判定はポケモンの体に当たってから発生するが、『ひかりのかべ』による攻撃軽減は攻撃時に発生するのだ。

 つまり、もし『ラスターカノン』がニンフィアに直撃して、急所に当たるとダメージが増大するが、それまでは攻撃が弱まっているということである。結局、何が言いたいかと言うと、ニンフィアに攻撃が当たる前ならば、ニンフィアの攻撃は絶対に勝つということだ。

 

 真正面からの撃ち合いは不利と判断したイブキが、『こうそくいどう』でスピードを上げて高速戦闘に切り替えていく。こちらも『じこあんじ』を指示して、キングドラの補助効果をコピーした。

 互いに速度が上がり、攻撃を撃ち合っていく。しかし、高速で動く相手に攻撃が早々当たるはずもなく、どちらも有効打を入れかねていた。

 

 思わぬ長期戦になり、ニンフィアが肩で息をし出す。だが、それはキングドラも同様のようで、体力はあれどかなり疲弊していた。

 千日手になりつつあるし、ニンフィアには悪いがここは一度交代だ。最後に『ミストフィールド』を上書きして、一度ニンフィアをボールに戻す。『ひかりのかべ』はそろそろ効果が消えるが、流石に張り直している時間はなかった。

 

 二体目は久しぶりのピカ様にお願いする。久しぶりの公式戦でテンションが爆上げのようで、勢いよくフィールドに飛び出していった。

 

 スピードの上がっているキングドラに追いつくために、『でんこうせっか』を指示する。何だかんだ、まだ『ざぶざぶサーフ』は習得できていないが、今回のジム戦では使わないだろうし大丈夫のはずだ。

 

 勢いよくピカ様がキングドラに向かって突っ込んでいく。キングドラは『りゅうのはどう』を撃ってきた。『ミストフィールド』でドラゴンタイプの技が死んでいても、でんきタイプに半減の『ラスターカノン』よりはマシということだろう。

 だが、流石はピカ様だけのことはある。小さな体を上手く使って攻撃をかわして行った。ニンフィアも頑張ってはいたが、まだここまでの技術はない。こればかりは経験がものをいうので仕方ない部分もあるが、一瞬でピカ様がキングドラの懐に飛び込んだ。

 

 近距離の迎撃択がないキングドラはピカ様の『ボルテッカー』を防ぐすべがなかった。『でんこうせっか』の速度をそのままに一気に『ボルテッカー』へとシフトする。ヤナギ戦で金角のカイロスが見せた技から技への派生だ。

 

 キングドラはみず・ドラゴンタイプなので、でんき技は等倍だが、それでもダメージは受けている。おまけにピカ様は突撃した後、キングドラの背中に張り付いていた。

 

 背中に付かれたキングドラだが、体を振る以外に対応できず、そのまま『10まんボルト』のゼロ距離攻撃を受けて身悶えている。いくら等倍とはいえ、こうも続け様にタイプ一致の攻撃を受けたのだ。耐えられるはずがない。

 

 しかし、キングドラは背中から地面に倒れこみ、ピカ様を押しつぶそうとしてきた。最後まで諦めないのは見事だが、以前に似た攻撃を受けた経験もあって、ピカ様も警戒済みだ。咄嗟に背中から離れてキングドラのみに自傷ダメージを与えている。

 こうも翻弄できているのは、技を全部使わせた上に、『ミストフィールド』でドラゴン技を封じているからだ。やはり、フェアリータイプはドラゴンタイプに完全に鬼門である。

 

 最後は『10まんボルト』でキングドラを戦闘不能にした。相手から受けたダメージはないが、『ボルテッカー』の自傷ダメージが大きいので無傷という訳ではない。それでもまだ戦えると、両手を上げていた。

 

 キングドラを戻すと、イブキは次にギャラドスを出してくる。一度、ピカ様を戻そうかとも思ったが、ギャラドスならばピカ様を継続させることにした。

 開幕、『10まんボルト』で先制を仕掛けようとすると、イブキは『あまごい』からの『たつまき』で電撃を吸収するという荒業を見せてきた。どうやら、フィールドの水を含ませることで、電気を『たつまき』の渦の中に誘導したらしい。見たこともない高等技術だ。

 

 遠距離からの攻撃がダメなら直接攻撃とばかりに、『ボルテッカー』を発動させ、ピカ様がギャラドスに向かって突撃していく。だが、イブキは『うずしお』と『たつまき』を合わせたアニポケ殺法を指示し、突っ込んでくるピカ様を捕らえてきた。

 おまけに『ミストフィールド』の効果が切れたようで、『たつまき』の威力が上がっていく。とはいえ、それ以上に問題なのは、遠距離、近距離、全てにおいてでんき技対策が100点ということである。このままでは何も出来ずに封殺される可能性すらあった。

 

 ふと、後ろを見てみると、カスミさんが食い入るようにバトルを見ている。やはり、みず系トレーナーとして、イブキのでんき技対策は参考になるのだろう。

 

 しかし、このまま何も出来ずに負けたとあってはニューサトシの名折れである。全力の『10まんボルト』で拘束を無理矢理剝がして、一度距離を取っていく。

 ぶっちゃけ、交換もありだが、ピカ様が絶対に攻略してやるぜという顔をしているので、ここはバトルを継続することにした。何だかんだ俺もやられっぱなしは好きじゃないしな。

 

 ピカ様に『でんこうせっか』を指示する。真っすぐ行けば、またさっきの二の舞だ。ならば、キングドラ戦で見せた技の派生、『でんこうせっか』からの『ボルテッカー』コンボで懐に飛び込む。

 が、一度見せたのが仇となったようで、今度は『うずしお』と『たつまき』のコンボを自身の体に纏うように展開していく。あれだと自身にもダメージが入りかねないが、外敵からの攻撃を防ぐ全方位シールドとしては完璧だ。

 

 打つ手なしか?

 

 いや、攻略法のない技など存在しない。一見、完璧に見えても必ずどこかに弱点は存在するはずだ。

 試しにもう一度、『10まんボルト』を放つも、やはり水を含んだ『たつまき』が攻撃を阻止する。単純な火力で突破するのは無理そうだな。

 

 こちらが突破法を考えている間に、イブキも攻撃に転じてきた。最後の技として『ハイドロポンプ』を指示してくる。お得意のドラゴン技じゃないのは、後ろにいるニンフィアを警戒してのことだろう。雨状態のドロポンは威力が上がるので、『ひかりのかべ』をされてもダメージが期待できると判断したようだ。

 

 だが、雨状態で威力が上がっているとはいえ、命中率が上がっている訳ではない。ピカ様が細かく動いて的を散らしているおかげで、今のところ直撃はなかった。

 

 直当ては無理と判断したイブキは、再び『うずしお』を指示してくる。本来、『うずしお』は相手の動きを止める技だ。使い方としてはこちらが正しい。

 動けなくなったピカ様に、今度こそと『ハイドロポンプ』を指示してくる。直撃すれば終わりなので、『10まんボルト』で再び『うずしお』から脱出した。危ねぇ、継続ダメージも入っているし、次に大きな一発を受けたらもう持ちこたえられないぞ。

 

 しかーし、やられるがままのニューサトシではない。今ので、しっかり攻略法を見つけたぞ。

 

 再び、ピカ様に『ボルテッカー』を指示して突っ込ませる。当然、イブキは『うずしお』と『たつまき』の防壁でピカ様を捕まえて動きを封じてきた。

 

 ここだ。

 

 ピカ様に『なみのり』を指示し、水を操作して『うずしお』から脱出、そのままボードを足場に風に乗り、『たつまき』を駆け上がらせた。風を掴め! ストームアクセス!!

 

「そんな、『なみのり』で『たつまき』を駆け上がるなんて!?」

 

 電撃を吸収するために、水分を含ませたのが仇となったな。おかげで、『なみのり』で対応することが出来たぜ。

 継続ダメージを受けながらも、ピカ様が『たつまき』を抜ける。これで、もう壁はない。『10まんボルト』を指示して、ギャラドスに必殺の一撃をお見舞いした。

 おまけで、落下の勢いをそのままに『ボルテッカー』でギャラドスへと突っ込んでいく。でんきタイプの高威力技の二連を受けて耐えられるはずもなく、ギャラドスが戦闘不能になった。

 

 ただ、流石のピカ様もかなりダメージを受けたようで肩で息をしている。何だかんだ継続ダメージをかなり受けたし、もう体力も限界に近いようだ。

 

 イブキがギャラドスを戻すと同時に、俺も一度ピカ様を戻す。イブキは最後の一体にカイリューを出してきた。正直、ゲームのイメージもあって、まさかカイリューを使ってくるとは思わなかったので少し驚いている。

 

 だが、カイリューなら丁度いいかもしれないな。

 

 少し前に、いかりのみずうみで赤いギャラドスを助ける際に、うちの暴君に活躍の場を用意すると約束していた。適当な相手がいなくて先延ばしになっていたが、ジムリーダーの本気カイリューなら相手には不足ないだろう。

 

 マスターボールを手に取った。

 

「行けるか?」

『いつでも』

 

 ならば、格好よく決めてもらおう。

 

「ミュウツー、君に決めた!!」

 

 

 




 原作との変化点。

・第248話『バトルパーク! VSカメックス・リザードン・フシギバナ!』より、ニューサトシが圧勝した。
 ジョウト組も大分仕上がってきている。まだレベルは若干低いが、これくらいなら十分ジョウトリーグでも通用しそうだった。

・第249話『ニョロトノとチアリーディング!』より、ニョロゾを進化させていないので内容がカットされた。
 アニメではここからカスミさんのニョロトノが応援係になるが、ニューサトシはまだ進化させていない上、手持ちにも入れていないので内容がカットされた。

・第250話『氷の洞窟!』より、ジョーイさんと一緒に行動しなかった。
 そのため、ロケット団を速攻でやなかんじーにしている。。

・第251話『イブキとミニリュウ!』より、ドラゴンポケモンの祝福を受けた。
 ラティはいつも通りだった。

・第252話『フスベジムの龍の牙!』より、ロケット団が悪事を働かなかった。
 ジム戦の邪魔をするとひどい目にあうと身をもって体験しているので、素直に外からジム戦を見学している。

・ミュウツーを出した。
 約束の時は来た。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.55

 ピジョット Lv.52

 バタフリー Lv.52

 ドサイドン Lv.54

 フシギダネ Lv.52

 リザードン Lv.57

 ゼニガメ  Lv.52

 キングラー Lv.52

 カモネギ  Lv.52

 エビワラー Lv.52

 ゲンガー  Lv.53

 オコリザル Lv.52

 イーブイ  Lv.51

 ベトベトン Lv.51

 ジバコイル Lv.51

 ケンタロス Lv.51

 ヤドラン  Lv.51

 ハッサム  Lv.51

 トゲチック Lv.44→45

 プテラ   Lv.52

 ラプラス  Lv.51

 ミュウツー Lv.71

 バリヤード Lv.51

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.46→47

 カビゴン  Lv.46

 ニョロゾ  Lv.45

 ヘラクロス Lv.42

 ベイリーフ Lv.42→43

 マグマラシ Lv.42→43

 ラティアス Lv.30

 デルビル  Lv.42

 ワニノコ  Lv.42→43

 ヨルノズク(色違い) Lv.42

 カイロス(部分色違い) Lv.42

 ウソッキー Lv.42

 バンギラス Lv.55

 ゴマゾウ  Lv.23→25

 ギャラドス(色違い) Lv.28→30




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#076 『終わり良ければ総て良しだろ』

 12歳 μ月δ日 『フスベシティ ジム戦 VSイブキ 後編』

 

 マスターボールから飛び出してきたミュウツーを見て、このジム戦を見ていた全ての人物が驚いていた。

 

 イブキや審判は初めて見る伝説のポケモンの姿に。

 カスミさんやタケシはまさか俺がジム戦でミュウツーを使うとは思わなかったという想定外に。

 ラティはミュウツーが滅多に表に出てこないと知っているが故に。

 全員、理由は違うが動揺している。しかし、その動揺を突くと行った行動はしなかった。これが他のポケモンならするかもしれないが、ミュウツーを出してそんな真似をすれば、俺はこの暴君からの信用を失ってしまうだろう。

 

 求めているのは、真っ向勝負。

 

 故に、イブキが元に戻るまで待った。少しすると、イブキの動揺も収まったようで、バトルが再開となる。

 見たこともないポケモンが相手で、タイプもわからないということもあって、イブキは慎重に動き出した。少なくともゴーストタイプではないと判断したようで『しんそく』で手堅く様子を見に来ている。

 

 カイリューが見えない速度で距離を詰め、ミュウツーに殴り掛かっていく。しかし、うちの暴君は戦闘に関しては最強である。カイリューの一撃をお得意のスプーンで防いだ。

 まさか、この速度域の攻撃を防がれると思わなかったようで、イブキとカイリューが一瞬動揺した。そのままスプーンでカイリューの腕を跳ね上げ、『れいとうパンチ』でボディに四倍弱点の一撃を与えていく。

 だが、流石にイブキのカイリューだ。大したことないとばかりに踏ん張っている。これが、そこいらのカイリューならワンパン出来る火力のはずなのだが、やはりしっかり育てられているようだった。

 

 カイリューも反撃とばかりに、『しんそく』の連打で反撃してくる。流石の暴君もこの速度の攻撃を連打されると、防御に回らざるを得ない。

 直撃という直撃こそ避けているが、カイリューの神速の連撃が、ミュウツーのガードを貫かんばかりに襲い掛かってきた。かなり鍛えられているようで、防御の上からでもダメージは通っているが、ミュウツーも何とか凌いでいる。

 この防御力の高さと先程の『れいとうパンチ』の威力から、イブキもミュウツーがとんでもなくやばいポケモンだと気付いたようで、改めて気を引き締め直していた。

 

 そのまま、油断はしないとばかりに、『ダブルウイング』を指示してミュウツーに追撃してくる。まだタイプがわからなくて弱点が取れない以上、タイプ一致技でダメージを稼ごうということだろう。

 素直に受けるつもりはないので、『つばめがえし』で受け流す。しかし、受け流されるのは覚悟の上だったのか、続けるように『げきりん』を指示してきた。

 

 ドラゴンタイプ最強の物理技だ。

 

 おまけに、技の繋ぎがスムーズで、流石にスプーンでも受け流し切れないのか、何発かミュウツーに攻撃が直撃しそうになった。

 咄嗟に『まもる』を指示して、直撃を防いでいくが、前々回のミカンちゃんとのジム戦で『まもる』は連続技を受けきれないというのが判明している。

 

 スプーンと『まもる』で防ぎきれなかった数発の『げきりん』がミュウツーに直撃した。

 思えば、この暴君がまともにダメージを受けたのを見たのはこれが初めてかもしれない。想定していたよりも威力は大きいようだが、自称最強の意地もあってダメージを表情に出すことはなかった。

 

 カイリューが『げきりん』の後遺症で混乱状態になると、再びミュウツーが『れいとうパンチ』で攻撃を仕掛けていく。

 イブキもこれを受けたら負けるとわかっているのだろう。カイリューが動くことを信じて、『りゅうせいぐん』を指示してきた。

 

 とっておきのとっておきか。

 

 カイリューはイブキの声に応えて技を発動させてきた。上空から隕石が降るかの如く、ドラゴンタイプ最強の特殊技がミュウツーに襲い掛かる。

 これは流石に直撃を受けたらまずいので、お得意の『サイコキネシス』を使った。エスパータイプ最強格の伝説ポケモンによるサイキネで、『りゅうせいぐん』の軌道を変更。そのままカイリューへとぶつけていく。

 

 当然、ドラゴンタイプにドラゴン技は弱点ということもあって、カイリューはその場に倒れた。

 イブキもサイキネの威力がおかしいことで、ようやくミュウツーがエスパータイプのポケモンだと気付いたようだが、既にカイリューは倒れているので意味はない。

 

 初見殺しをしたということもあって少しばかり反則をした気分だが、勝ちは勝ちである。フスベジムを制した証であるライジングバッジを受け取り、ミュウツーをボールに戻していく。

 まぁ、イブキには少し悪いことをしたが、ぶっちゃけバトルでこいつを出せる相手が限られているので許してほしい。約束とはいえ、最低でもジムリーダークラスじゃないとバトルをしてもいじめにしかならないからな。

 

 

 

 12歳 μ月δ日 『ほへー、あったんだ』

 

 何だかんだあったが、全てのバッジを揃えたので、後はワカバタウンで参加受付をしてシロガネ山に行くだけだったのだが、フスベジムを後にしようとすると、空から一体のリザードンがやってきた。

 

 まさかグリーンかと思ったが、頭にリボンをつけている。確か、このリザードンは前にリザフィックバレーで俺のリザードンがチョロインさせてしまったリザードンだ。と、いうことは一緒にいるのはジークか、随分久しぶりだなぁ。

 

 どうも、イブキとジークは幼馴染のようで、たまにリザードンの修行のためにここへやって来るらしい。

 

 ほへーと話を聞いていると、ジークが思い出したとばかりに、何やら巻物のようなものを俺に渡してきた。

 どうも、前に俺がきずな現象について相談したのを調べてくれたらしい。数百年前の古い伝承に俺のリザードンと似たような変化をした記録があったようで、詳しいことはわからないがその姿について少し書かれていた。

 

 書いてあることが難しいので翻訳してもらうと、トレーナーとの絆が深まることによって、リザードンは強力な炎を纏い龍としての力を目覚めさせるらしい。やはり、ドラゴンタイプを持っているのは間違いなさそうだ。

 強力な炎というのはあの羽のことかもしれない。究極技も変化したくらいだし、他にも何か意味があるのかもしれないが素人には読み解けそうになかった。

 まぁ、今はきずなリザードンがほのお・ドラゴンタイプだという確証が得られただけで十分だろう。ぶっちゃけ、あまり期待していなかったので、まさか伝承があるとは思わなかった。予想外の収穫だったな。

 

 

 

 12歳 μ月ζ日 『リュウグウジムねぇ』

 

 ワカバタウンを目指している途中、リュウグウジムという場所に訪れた。どうやら公式のジムではないようだが、みずタイプのポケモンによる水中バトルをするジムらしい。

 面白そうだったので、少し寄っていくことにした。

 俺の今の手持ちでみずタイプはワニノコしかなかったので、一対一でバトルをお願いする。ジムを営んでいるリュウジはそこまで強いという訳ではなかったが、俺が水中戦に不慣れなこともあって少し苦戦した。

 

 とはいえ、流石に負けはしない。ワニノコも調子がいいようで、泳ぎながら器用に踊っていた。

 

 俺のバトルが終わると、待っていましたとばかりにカスミさんが挑戦していく。やはり、みず系トレーナーしては見るだけでは収まらないようだ。

 勝負は三対三。リュウジも二連敗を防ぐために本気でバトルしていた。しかし、みずタイプの使い方に関してはカスミさんに一日の長があるようで、俺の時以上に追い詰められていく。

 

 ヌオーとサニーゴでランターンとマンタインを完封すると、カスミさんは最後の一体にコダックを出してきた。思えば、勝手にボールから出てくるものの、コダックさんをバトルで見たのは雛祭りバトルが最後である。

 

 久しぶりのバトルだが、どうも珍しくコダックさんもやる気なようで、相手のハリーセンに突撃していく。しかし、やはりバトルセンスは欠片もないようで、いつも通り散々にやられていた。

 こりゃダメかと思ってみていると、ダメージでいつもの頭痛が起きたのか、お得意の『ねんりき』を――って、『ねんりき』にしては随分威力が高い気がする。

 

 まぁ、とりあえず逆転勝利した訳だが、どうも後から調べたところコダックは『サイコキネシス』を覚えていたらしい。

 全くバトルも訓練もしていないのに何がどうすればそんな凄い技が覚えられるのか欠片もわからないが、カスミさんは勢いで大喜びしていた。

 

 

 

 12歳 μ月η日 『今度こそヨーギラスだ!』

 

 ウツギ博士から連絡があり、近くのポケモン海洋研究所からポケモンのタマゴをワカバタウンまで持ってきてほしいとお願いされた。

 ついでのことなので了承し、研究所にタマゴを受け取りに行く。すると、この研究所ではポケモン海洋学の一環としてラプラスの群の研究をしているようで、オレンジ諸島で別れたカスミさんのラプラスが居た。

 

 久しぶりの再会にカスミさんとラプラスが大喜びしている。随分、成長したようで、前よりも大人っぽくなっていた。

 先を急いではいるが、流石に久しぶりにあったカスミさんとラプラスをすぐに別れさせるほどニューサトシも鬼畜ではない。しばらくカスミさんとラプラスを一緒にいさせてあげようとしたのだが、空気を読まないロケット団が現れ、ラプラスの群を捕まえようとしてきた。

 

 絶許とばかりに沖から電撃を飛ばして妨害するも、少し距離があったせいで一匹だけ捕まってしまったようだ。

 そのまま逃げるロケット団を、カスミさんとラプラスが追って行く。今、俺に海を渡れるだけのみずタイプがいないので、今回はカスミさんに全てをお任せするしかなかった。

 

 しばらくすると、無事に捕まった仲間を助けたカスミさんとラプラスが戻ってくる。

 どうも、後から聞いた所、ラプラスは遠くにいる仲間の声を聞き、ロケット団の居場所を突き止めたらしい。そういえば、図鑑の説明文にも何か書いてあったっけか。

 

 そのままニューサトシに代わって、カスミさんとラプラスの活躍でロケット団をやなかんじーにしたらしいのだが、そんなラプラスの姿を見て、群のリーダーが新しくカスミさんのラプラスをリーダーとして認めたようだ。

 別れる際に先頭を譲っている姿が見られ、カスミさんもいい笑顔を浮かべて手を振っている。

 

 ラプラス達を見送ると、研究所からタマゴを預かった。緑っぽいタマゴだ、今度こそヨーギラスだな。

 

 

 

 12歳 μ月θ日 『やっぱり、ヨーギラスだ!』

 

 タマゴを孵し慣れてきたのか、タマゴからヨーギラスが生まれた。のだが、どうにも様子がおかしい。一向に目を覚ます様子もなく、体温が下がっていく。

 このままでは死んでしまうかもしれないので、近くのポケモンセンターまで猛ダッシュすることにした。

 ヨーギラスはこの見た目で72キロの体重があるが、ニューサトシならば余裕で運んでやれる。ジョーイさんの診察の結果、とりあえず暖房をつけて体を温めることにしたのだが、それでも体温の低下は止まらなかった。

 

 そんなこっちの苦労も知らず、ロケット団がいつものようにヨーギラスを盗もうと画策してきたので、時と場合を考えろとミュウツーできつめにお仕置きをする。

 

 その時のいざこざでロケット団が発電所を壊したようで、暖房が切れてしまったらしい。

 このままではまずいので、ヨーギラスを抱きかかえながら、マグマラシを出して体を少しでも温めてやる。そのまま一晩眠らずに見守っていると、ようやくヨーギラスが目を覚ました。

 しかし、その眼には恐怖の感情があり、どうも外の世界を恐れているようだ。オープニングでは元気に走り回っていた印象しかなかったが、もしかしたらタマゴの時に何か怖い目にあったのかもしれない。

 

 朝になると、ジョーイさんから連絡を受けたウツギ博士とオーキド博士が来て、ヨーギラスを見てくれたのだが、どうも何も食べようとしないようだ。

 栄養剤を与えたらしいが、このままでは衰弱するのは目に見えているので、少し外に連れて気晴らしをさせることにした。いろいろ話しかけても相変わらず無反応だが、まぁ、怖いものを無理に克服するにはまだ幼すぎるし、ちょっとずつ慣れていけばいい。とりあえず、こいつが安心して生活できるように俺が外敵を駆逐してやろう。

 

 と、いう訳で性懲りもなくまた現れたロケット団を再びやなかんじーにして、「お前は俺が守ってやるから安心しろ」と声をかけると、ヨーギラスと目が合った。弱弱しいが笑みを浮かべている。いいさ、少しずつ慣れていけ。

 

 

 追記。ワカバタウンでシロガネ大会への参加登録を終えると、ウツギ博士にヨーギラスをシロガネ山まで返しに行ってほしいと頼まれた。親にも会いたいだろうし、どのみちシロガネ山には行くので、しばらく一緒に旅をすることになった。

 

 

 

 12歳 μ月κ日 『エンテイはもうお腹いっぱいなんよ』

 

 シロガネ山に向かう途中、温泉を見つけたので寄っていくことにした。ヨーギラスとも大分打ち解けたが、まだ俺以外の人間が怖いようで話しかけられると固まってしまう。

 少し前に生まれたゴマゾウが兄貴風を吹かせていろいろ面倒を見てやろうとしているのだが、ヨーギラスもどうすればいいのかわからずに戸惑っていた。ただ、悪い関係という訳ではなさそうなので、ヨーギラスが限界になるまではそのまま自由にさせる。

 

 そんなこんなでのんびりしていると、伝説のポケモンであるエンテイを探しているというナオヤとかいう奴に出会った。

 ナオヤによると、この辺りではエンテイが目撃されるようで、GETを狙っているらしい。秘策としてムウマに『くろいまなざし』を覚えさせているようだが、ミナキの時のことを思い出して「『ほえる』されたらどうするんだ?」と聞くと無言になってしまった。

 

 どうやらそこまでは考えていなかったらしい。

 

 とりあえず、『ほえる』を対策するなら『ちょうはつ』でも覚えさせるようにアドバイスだけして、さっさとシロガネ山に向かうことにした。

 

 

 

 12歳 μ月λ日 『ヤドキングもいいんだけどな』

 

 シロガネ山に向かって歩いていると、ラティが足を滑らせて崖を滑り落ちてしまった。慌てて追いかけると、やけに干からびた湖とバテバテで寝そべっているヤドン達がいる。

 そのまま周りの様子を見ていると、湖の奥におうじゃのしるしを発見した。珍しいものがあるなぁと思った瞬間、テレスなるおっさんとその娘のアリスが現れ、おうじゃのしるしに近づくなと言ってきた。

 

 どうやらこの二人は考古学者のようで、娘のアリスによると、このおうじゃのしるしはヤドキング伝説なるものに必要なものらしい。

 よくわからないので詳しい説明を求めると、奥に案内されることになった。歩きながら、この湖の様子を聞いてみると、どうもこの湖は地震のせいで岩盤の裂け目から水が漏れて水位が下がってしまったようで、ヤドン達はそのせいで元気がなくなってしまったらしい。

 

 そのまま真っすぐに進むと、ヤドキングとよくわからない絵が描かれた壁画があった。どうやらこれも水位が下がったことで、おうじゃのしるしと共に浮き出てきたようだ。

 

 その壁画には一匹の特別なヤドンがヤドキングになってヤドン達を楽園に導くと書いてあるらしく、ヤドン達もヤドキングに進化するために湖の奥にあるおうじゃのしるしを手に入れようと頑張っていた。

 しかし、ヤドン達がおうじゃのしるしに近づこうとすると、シェルダーがヤドンの尻尾に噛みついてヤドランに進化させてしまうらしい。

 

 何度見ても、ヤドンにあの厳重な警備を潜り抜けられるとはとても思えないので、もし仮にこのままヤドンがヤドキングに進化しなかったらどうなるか聞いてみると、その場合はヤドン達が生きていけなくなる可能性があると言っている。

 

 うーむ。アリスも悲しそうにしているが、伝説や信仰のために命に関わるような事態を見過ごしていい理由にはならないだろう。と、いうことで、ニューサトシの持っているおうじゃのしるしで適当なヤドンをヤドキングに進化させることにした。

 

 ニューサトシの厳重な審査(勘)を突破した一匹のヤドンの頭におうじゃのしるしを乗せ、そのヤドンにシェルダーが噛みつくことでヤドキングへと進化していく。

 俺のおうじゃのしるしはなくなってしまったが、代わりに進化したヤドキングにお願いして、『ねんりき』で奥のおうじゃのしるしを渡してもらう。これで、俺の分のおうじゃのしるしも確保だ。テレスは何やら文句を言っているが、伝説や研究よりもヤドン達の安全の方が大事だろう。

 

 どうもテレスは壁画を妄信しているようで、特別なヤドンがどうこう言っているが、進化したヤドキングは上手いことみんなをまとめている。

 結局、過程ではなく結果が大事ということだ。

 おまけに、ヤドキングに進化したことで何かを掴んだのか、『ねんりき』で滝を割って、その先にヤドン達を連れていく。ついて行ってみると、奇麗な湖が姿を現した。ヤドン達が喜んで湖に入って行く姿を見れば、ここが楽園なのは一目瞭然である。

 

 ふと、隣を見ると、テレスが「壁画に書かれていた謎の絵は、滝を割ることを暗示していたのか」と呟いていた。よくわからんが、終わり良ければ総て良しだろ。

 

 

 




 原作との変化点。

・第253話『カイリュー! げきりん発動!!』より、ロケット団が龍の牙を盗まなかったのでカットされた。
 純粋にジークが来ただけになった。

・ジークがきずなリザードンについて調べてくれた。
 とはいえ、基本的に凄いことがわかった訳ではない。

・第254話『フスベジム! 最後のバッジ』より、一回で勝ったため内容がカットされた。
 相手はミュウツーのデータがなく、ミュウツーは相手のカイリューよりレベルが上なので負ける方が難しい状況だった。

・第255話『ソーナノ!? ジムバッジとソーナンス!!』より、バッジを盗まれなかったので内容がカットされた。
 何故かロケット団がバッジを狙ってこなかったのと、ニューサトシはしっかりバッジをケースに入れて保管しているので奪われることがなかった。

・第256話『リュウグウジム! 水の中でバトルだぜ!』より、ニューサトシが勝った。
 アニメでは水中戦に慣れていないので負けてしまうが、ニューサトシは普通に勝った。ワニノコは大分仕上がってきている。

・第257話『ラプラスの歌!』より、カスミさんメインで物語が進んだ。
 ニューサトシは今回観客だった。

・第258話『卵を守れ! 嵐の中で生まれた命!』より、ニューサトシは寝なかったのでヨーギラスの夢を見なかった。
 アニメの内容もうろ覚えだったので、とりあえず全力でヨーギラスを守ることを決意。ヨーギラスもニューサトシの優しさに心を開いた。「お前は今、本当に生まれたんだな」はカットされ、「お前は俺が守ってやる」に変わった。

・ヨーギラスがめざパを使わなかった。
 戦う機会がなかったので使っていないが覚えてはいる。

・アニメよりゴマゾウが兄貴風を吹かせている。
 やたらと面倒をみようとする。カスミさんやタケシに話しかけられると固まってしまうが、ポケモンならしばらくは大丈夫なようで、ニューサトシも限界までは好きにさせている。


・第259話『エンテイと温泉の仲間達!』より、エンテイに興味がないのですぐに立ち去った。
 一応、ほえる対策だけはした方がいいという注意はしてあげた。ゲットできたかは不明。

・第260話『ヤドキング! おうじゃのしるし!!』より、ニューサトシが選んだヤドンがヤドキングになった。
 アニメではアリスが連れているヤドンがヤドキングになるが、ニューサトシの余計なお世話で進化しなかった。しかし、特に問題はなかったようで、普通に野生のヤドキングはヤドン達を率いている。おうじゃのしるしも返してもらった。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.55

 ピジョット Lv.52

 バタフリー Lv.52

 ドサイドン Lv.54

 フシギダネ Lv.52

 リザードン Lv.57

 ゼニガメ  Lv.52

 キングラー Lv.52

 カモネギ  Lv.52

 エビワラー Lv.52

 ゲンガー  Lv.53

 オコリザル Lv.52

 イーブイ  Lv.51

 ベトベトン Lv.51

 ジバコイル Lv.51

 ケンタロス Lv.51

 ヤドラン  Lv.51

 ハッサム  Lv.51

 トゲチック Lv.45

 プテラ   Lv.52

 ラプラス  Lv.51

 ミュウツー Lv.71

 バリヤード Lv.51

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.47

 カビゴン  Lv.46

 ニョロゾ  Lv.45

 ヘラクロス Lv.42

 ベイリーフ Lv.43

 マグマラシ Lv.43

 ラティアス Lv.30

 デルビル  Lv.42

 ワニノコ  Lv.43

 ヨルノズク(色違い) Lv.42

 カイロス(部分色違い) Lv.42

 ウソッキー Lv.42

 バンギラス Lv.55

 ゴマゾウ  Lv.25→28

 ギャラドス(色違い) Lv.30→32

 タマゴ→ヨーギラス Lv.1 NEW(一時加入)!




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#077 『最速で、最短で、真っすぐに、一直線に』

 12歳 μ月μ日 『こいつ、メガニウムに進化してやがる』

 

 シロガネ山に向かっている途中、野生のエレキッドが現れた。どうも、ヨーギラスが気に入ったようでちょっかいをかけてくるが、人見知りのヨーギラスは嫌がっており、兄貴分のゴマゾウがエレキッドの前へ出て行った。

 一触即発という空気だが、エレキッドかぁ。エレキブルはシゲルと被るけど、格好いいから好きなんだよなぁ。ゲットしようかぁ。どうしようかなぁ。と、いろいろ悩んでいると、いつか虫取り大会で別れたぶりにエレブースファンのナナコと再会した。

 

 そういえば、こいつエレブースファンってことは当然、エレキッド好きだよなと思ってみてみると、目をハートマークにして見入っている。

 

 流石にここまで欲しそうにしている奴を見ると、俺がゲットするとは言いづらい。特別、どうしても欲しい訳でもなかったので、今回はナナコに譲ることにした。

 よく見ると、ナナコはメガニウムを連れており、どうやらあの時のチコリータはしっかり最終進化したらしい。俺もベイリーフを出して、あんな感じに進化してくれというと、俺がメガニウムの方が好きだと思って焼きもちを焼いたようで、その場でメガニウムに進化してしまった。

 

 まさか、焼きもちで進化するとは。

 

 しかし、それはそれでいい。よくやったと褒めると、大喜びでのしかかってくる。ベイリーフに比べてもかなり大きいが喜んで受け止めよう、これからポケモンリーグまでの間に『げきりん』の練習をさせまくるからな!

 

 と、いう訳で、もはやエレキッドに欠片も興味がなくなったので、改めてナナコに譲った。

 前の虫取り大会が嘘のようにゲットの仕方も様になっており、危なげなくエレキッドを捕まえている。

 

 どうも、ナナコは今回のジョウトリーグには参加しないようで、エレブースの応援歌で見送ってくれた。うーむ、万年最下位チームの応援歌かぁ。

 

 

 

 12歳 μ月ν日 『気持ちはわかるわぁ』

 

 シロガネ山の麓のポケモンセンターに着くと、俺と同じようにシロガネ大会に出場するというセンイチという少年に出会った。

 目と目が合ったらポケモンバトルということで、早速勝負を挑まれる。当然、受けて立った。俺がワニノコ、センイチはブビィを出してきたが、相性もあって余裕勝ちする。

 

 すると、「こんなんじゃダメだ!」と、いきなりヒステリーを起こしたので話を聞くと、どうもセンイチはブビィをブーバーに進化させたいらしい。

 そのためにもっとレベルを上げたいと言っているが、ブビィの進化に必要なレベルは30だ。戦った感じ、センイチのブビィはもうレベル30を超えている。

 

 俺にも似たような悩みがあったので他人事とは思えなかった。

 ゼニガメやワニノコといった水の御三家は、いくらレベルを上げても欠片も進化しようとしないのだ。これがフシギダネのように進化を拒否しているならまだわかるが、進化の様子など欠片もない。

 

 改めて思い出したらムカムカしてきたので、タケシ特性パラセクト薬をふんだんに使って、進化するまで眠れないバトル24時をすることにした。

 

 結果的には、センイチのブビィがブーバーに進化して大喜びでお礼を言ってくるが、ワニノコは進化していないので微妙である。まぁ、ポケモンを進化させたい気持ちはよくわかるし、今回はこれで勘弁してやることにした。このワニノコもさっさとオーダイルに進化してほしいものだ。

 

 

 

 12歳 μ月ξ日 『お前は俺の仲間だ』

 

 麓から少し進んだ先にシロガネタウンはあるのだが、リーグの受付をする前に、少し横道にそれてヨーギラスの親を探すために山の中に入ることにした。すると、何やら空に穴が開いて、アンノーンらしきポケモンが降ってくる。

 カスミさんが顔面で受け止めたこともあり、ケガはないようだが、意識を失っているようで倒れたままだった。とりあえず、介抱することにしたのだが、何やらアンノーンが頭にぶつかった時に見えたものがあると、カスミさんが意味不明なことを言っている。

 

 ぶっちゃけ、何を言っているかわからんが、カスミさん曰くアンノーンは具合が悪くて仲間とはぐれてしまったらしい。とりあえず、アンノーンが一人なのは確かなので、このまま目を覚ますのを待つことにした。

 

 最近は他人と触れ合うのにも大分慣れてきたのか、ヨーギラスが率先してお世話をしている。これが人間ならまだ無理なんだろうが、ポケモンに対しては打ち解けてきたな。

 後ろにいるゴマゾウが何やらうんうん頷いているが、まぁ兄貴分として弟分の成長が嬉しいのだろう。俺からすれば、どっちもまだ生まれたばかりのベイビーちゃんだけどな。

 

 朝になると、アンノーンが目を覚ましてお礼を言ってくる。そのままアンノーンを見送ろうとしたのだが、何やらヨーギラスをジッと見ると、黙って空間に穴を作り出した。

 何だと思ってみてみると、どうも体が吸い寄せられる。ぶっちゃけ、抵抗しようと思えばできるのだが、どうやらアンノーンは俺達にこの中へ行ってほしいようだったので自分で入ることにした。

 

 入った先は何やら赤ちゃんが見ている夢のような感覚で、ふわふわとした感じだ。これまで俺達が見てきたものが断片的に映っており、奥へ進むと、巨大なタマゴがあった。

 色的にみてもヨーギラスのものだ。

 どうも、ここはヨーギラスの心象世界のようなもののようで、今まで俺達が見たのは俺達と旅をしてきたヨーギラスの記憶らしい。タマゴの中に入って行くと、ヨーギラスが生まれる前に見ていたと思わしき記憶があった。

 

 ポケモンハンターによって、母のバンギラスが痛めつけられ、自分が誘拐されていく記憶である。そりゃ、こんな目に会えば外に出たくもなくなるわと思えるくらいの胸糞映像で、もし俺がこいつらに会ったら問答無用でブッコロリすることを決意した。

 

 いろいろ嫌なものを見たが、どうも心象世界に引きずられているのか、ヨーギラスが自分の中に閉じこもってしまっているらしい。しかし、ニューサトシを始め、カスミさんやタケシ、ラティやピカ様の説得で、本人の意識が覚醒し、現実に戻ろうという意思を目覚めさせてくれた。

 だが、本人は外に出ようと足掻いているが、ヨーギラスの意思とは裏腹に外に出られず苦しんでいる。ならば、それを助けるのが俺の仕事だ。ニューサトシ必殺のマサラ式肉体言語術+帯電体質による新技――雷神拳でヨーギラスを包んでいたものを破壊した。

 

「お前は、俺の仲間だ」

 

 と、どこかの海賊王を目指す少年のようなことを言ってしまったが、ヨーギラスは俺の言葉に喜んでいる。また、無理にヨーギラスを助けた影響か、心象世界が壊れてしまい、俺達は元居た場所へと戻されていた。

 

 アンノーンを見ると、うんと頷いて元の世界へと戻っていく。きっと、アンノーンはヨーギラスのことを俺達に知ってほしかったのと同時に、ヨーギラスにも自分自身を見つめ返して欲しかったのかもしれないな。

 

 

 追記。自分の心と向き合ったからか、ヨーギラスも俺や俺のポケモン達以外にも心を開くようになったようで、カスミさんやタケシに話しかけられても固まらなくなった。えらいぞ、ヨーギラス。

 

 

 

 12歳 μ月ο日 『感動の親子対面である』

 

 遂にヨーギラスの母親と思わしきバンギラスを見つけた。しかし、バンギラスは人間への憎しみが酷く、問答無用とばかりに俺達に攻撃を仕掛けてくる。

 いつぞやの赤いギャラドスのように全て受け入れてやってもいいのだが、ヨーギラスが今にでも母親の所に行きたそうにしていたので、攻撃は全て避け、全速力でバンギラスの所へ行くことにした。

 

 最速で、最短で、真っすぐに、一直線に。

 

 俺が懐に入ると、バンギラスも拳を振ろうとしてくるが、それよりも先にヨーギラスを掲げて「ウーバーだ。お前の子、届けに来たぞ」と告げる。

 ようやく母親に会えて大喜びなヨーギラスがバンギラスに飛びつくと、流石に暴れ続ける訳には行かないようで、小さな自分の子供を抱きかかえた。

 

 感動の対面――の、はずだったのだが、ずっと狙っていたのか、アンノーンが見せてくれたポケモンハンターが現れ、バンギラスとヨーギラスを良くわからないメカで捕まえようとしてくる。

 よくその面、俺の前に見せられたなとばかりに俺の体がスパークを起こす。また俺の怒りに連動してピカ様も全身がこらえきれないとばかりに発電を起こしていた。

 

 当然、全てを吐き出す勢いでハンターに電撃をぶつける。粉砕! 玉砕! 大喝采!

 

 どうやら、電気に耐性はなかったようで、即座にメカはボロボロにしたのだが、まだ抵抗の意思を見せてきた。ここからはニューサトシによるお仕置きタイムだ。ポケモンハンターブラザーズを名乗る三人組を、マサラ式肉体言語術でボコボコにしていく。

 もはや、誰が誰なのかわからないくらいに、顔面が腫れあがってしまったポケモンハンター三人組だが、このままここに置いておいても邪魔なだけなので、いつぞやのアルトマーレやセレビィの時のように、簀巻きにして近くの交番までテレポートさせた。

 

 これで、もうこの親子を脅かす者はいなくなったはずだ。ヨーギラスに「元気でな」と声をかけると、母親の腕の中から別れるのを惜しむように涙を流している。

 ここにはレッドさんも来るらしいし、俺ももっと強くなったらまたくるさ。そういうと、納得してくれたようで頷いていた。そのままヨーギラスと別れてシロガネ大会の会場を目指す。正直、寄り道のし過ぎで時間がギリギリだ。下手すると、間に合わないかもしれん。

 

 

 

 12歳 μ月π日 『間に合わんな』

 

 明日までに着かなきゃ間に合わないのだが、物理的な距離を考えても無理なので、最終手段としてミュウツーのテレポートで近くまで送って貰うことにした。

 ぶっちゃけ、こういうタクシーみたいな使い方をし出すと、カスミさん辺りは歩くのを嫌がりだすので使いたくなかったのだが、大会に間に合わないよりはマシである。

 代わりに、リーグ戦でミュウツーを使う約束をさせられたが、まぁ元々強い奴がいたら使うつもりだったので、今回はそこまで面倒くさい約束という訳ではないはずだ。

 

 テレポートで麓のポケモンセンターに行くと、丁度良く近くで聖火ランナーが走るということで、傍にある鳳凰院で待つことにした。

 だが、一向にランナーが走ってこない。聞けば、最近聖火が奉納されている祠の近くにやたらめったら強いニューラがいるようで、そいつが邪魔で誰も近づけないようだ。

 

 そんなに強いニューラならゲットしてもいいかも、ということで、早速祠とやらに行こうとしたのだが、話を聞いたらしいハヅキとかいう奴が一緒に行くと言い出した。こいつもニューラ狙いかと思って警戒しながら歩いていると、聖火ランナーが会場に向かって走り出すのを目にする。

 

 ニューラはどうしたんだ? と、聞いてみると、二人組のトレーナーが現れてゲットしてしまったらしい。

 ぐぬぅ、先を越されたか。とはいえ、こればかりは致し方ない。いずれの機会にまたということで、素直に会場を目指すことにした。

 

 

 追記。ハヅキも今回のジョウトリーグに出場するということで、一緒に会場へ向かうことになった。聞けば、ホウエンからの参加らしい。そういえばアニメにもいたな、そんなサトシ君キラーが。こいつがそうか。

 

 

 

 12歳 μ月π日 『悲鳴を上げさせてやるぜ』

 

 聖火ランナーの後を追うように、シロガネ大会の会場に到着した。そのままエントリーをしようとすると、丁度シゲルも到着したようで一緒に登録に行く。

 シゲルは今回の大会をとても楽しみにしていたのか、「決着の時だ」と好戦的な笑みを浮かべている。一勝一敗、確かに今回が決着の時だな。バトルするのが今から楽しみだぜ。

 

 そのままエントリーを終えると、大会の説明をされた。シロガネ大会はセキエイ大会とはルールが微妙に違い、まず選考会なるものに参加する必要があるらしい。

 選考会は一対一の勝ち抜き戦で三回中二回勝つと予選リーグに進むことが出来、予選リーグまでに200名余りの出場者は48名に絞り込まれるようだ。

 次の予選リーグでは一ブロック三人の総当たり戦である。その中で一番勝ち点の多いトレーナーが決勝トーナメントに出場できるというルールだ。勝てば三点、負ければポイントなし、引き分けは一点という采配で、とりあえず勝てば問題なさそうだった。

 

 最後の決勝トーナメントは16人によるフルバトル。四回勝てば、ジョウトリーグチャンピオンである。

 

 正直、セキエイに比べて、シロガネはトレーナーを選別しようとしている気がするが、結局は強い奴しか生き残らないのだから関係ないか。

 

 開会式は明日ということで、与えられた部屋に戻ろうかと思ったのだが、最後に興味深い話を聞くことが出来た。

 どうやら、明日の開会式後、エキシビションとしてカントー、ジョウトのジムリーダーによる対抗戦が行われるらしい。アニメにはなかった展開である。

 この情報はカスミさんもタケシも初耳だったようでとても驚いているが、まぁこれまでずっと俺と旅をしていた訳だし聞いていなくても仕方ないだろう。

 

 と、その時は思っていたのだが、部屋に戻ってメールをチェックしていると、タケシが「もっと早く言ってくれよぉ」と、頭を抱えだした。

 聞くと、ニビにいるタケシの兄弟が熱を出したらしく、ジムリーダーの親父さんがこっちに来られないのでタケシに変わりに出場してほしいという連絡が来たようだ。

 

 そりゃ、大変だなと笑っていると、ここにいるもう一人のジムリーダーも「もっと早く連絡してよね!」と怒っている。

 まさかと思って話を聞くと、こちらに向かっていたはずのカスミさんの一番上のお姉さんがバスを間違えてしまい、明日に間に合わなくなってしまったようで、カスミさんに代わりに出場してほしいと連絡が来たらしい。

 

 エキシビションマッチは明日であり、当然ジムリーダー達は事前に打ち合わせなどがある。

 タケシとカスミさんが他のジムリーダー達と連絡を取ると、慌てて部屋を飛び出して行った。

 

 一人ぼっちになって暇をしているラティを構いながら、俺は俺で精神を集中させていく。よくわからないエキシビションマッチのせいでカスミさんとタケシも大変そうだが、本番を戦うのは俺達なのだ。シゲルとの約束もあるし、絶対に負ける訳にはいかない。

 

 そんなことを考えていると部屋がノックされた。

 

 暇を持て余していたラティが飛び出すように扉を開ける。すると、ワタルが「失礼」と言いながら部屋に入ってきた。

 どうやらロビーで部屋番号を聞いてわざわざ来てくれたらしい。聞けば、前に約束していたひかりの石が手に入ったとのことだ。

 これでトゲ様をキッス様に進化させることが出来る。お礼を言いながら石を受け取ると、すぐにオーキド研究所からトゲ様を転送して貰った。

 

 ワタルもトゲ様の進化に興味があるようで一緒についてきている。まぁ、別にいいが、他の参加者に見せたくないので、会場から少し離れた場所で進化させることにした。

 ひかりの石によって、トゲ様が進化する。

 同時に『エアスラッシュ』を始めとして、『はどうだん』や『トライアタック』など、数多くの技も覚えたようだ。進化しても愛嬌のある笑顔を浮かべているが、その笑顔が逆に恐ろしいと思えるくらいに最強になったな。

 

 ワタルもトゲキッスは初めて見たようで、「いいものを見せてもらった」と頷いている。

 改めてお礼を言うと、「リーグ戦、楽しみにしているよ」と言って去って行った。四天王からチャンピオンになった上、ポケモンGメンとしての仕事もあって忙しいだろうに良く時間が取れたものだ。まぁ、こっちは助かったので文句は何もない。

 

 トゲ様に、「リーグで出すからな」と声をかけると、愛嬌のある笑みが消え、ようやくかとばかりの好戦的な笑みを浮かべていた。遅くなってすまないな。とはいえ、その分、秘密兵器としての破壊力は抜群だ。何せ、ゲームでも最強格のまひるみキッスだからな。

 

 

 




 原作との変化点。

・第261話『ナナコとエレキッド!』より、ベイリーフが進化した。
 ナナコのメガニウムを指さして、お前もこうなってくれと言ったら、自分よりもメガニウムが好きなんだとやきもちを焼いて進化した。当然、ニューサトシは大喜びしており、よしよしされてメガニウムもご機嫌だった。

・コイキング親父が以前にお仕置きされたため、再会しなかった。
 アニメでは、ここでコジロウのウツボットが離脱するのだが、きっかけになるコイキング親父は以前にお仕置きされたため、フラグが立たずにウツボットはそのままになった。

・第262話『ヨーギラス頑張る!』より、ロケット団がポケモンを奪うイベントが発生しなかった。
 そのため、ヨーギラス頑張るではなく、ヨーギラス頑張らないになった。ブビィに関してはなつき度を自覚したらすぐに進化した。

・第263話『不思議の国のアンノーン!』より、ニューサトシがハンターの存在を明確に知った。
 何だかんだ、アニメのサトシ君のように、夢で事情を理解することがないため、今までは推測でしか状況を理解していなかったが、アンノーンが見せてくれた夢のおかげで犯人の顔を覚えた。ブッコロリである。

・第264話『バンギラスとヨーギラス!』より、ポケモンハンターが動き出す前にボコボコにした。
 実は、ここまで手加減しなかったのは、ヒトカゲの時以来である。あの時も手加減なしだったので、自重を無くすとこうなるらしい。おまけに今回はタケシやカスミさんがもうニューサトシの性格を理解していたので止めに入らず、誰が誰だかわからなくなるくらい酷い目に会っていた。もう二度とハンターになろうとは思えないくらいのトラウマを刻んだ。

・ヨーギラスと別れた。
 レッドさんくらい強くなったらまた来ると約束した。それが遠い約束になるか、時間かからずの再会になるかはニューサトシ次第である。

・第265話『ニューラと聖なる炎!』より、ミュウツーに助けてもらった。
 麓のポケモンセンターまでテレポートして貰った。アンノーンの件や親探しで地味に時間を消費した結果間に合わなくなってしまった。対価として、リーグでのバトルを約束したが、元から使うつもりだったので問題なし。

・ニューラをゲットしようとしたが失敗した。
 二人組のトレーナーに先を越された。ニューサトシは詳しく聞かなかったが、どうも男女の二人組で、ニャースらしきポケモンを連れていたとかいないとか。

・バシャーモを見なかった。
 内容がカットされたため、ハヅキのバシャーモを見られなかった。が、ニューサトシがハヅキのことを思い出したので問題なし。

・第266話『シロガネ大会! シゲル再び!』より、選考会と開会式のタイミングが変わった。
 アニメでは選考会の後に開会式を行うが、こちらの都合で、選考会前に開会式を行うことになった。

・カントー、ジョウトのジムリーダーによるエキシビションマッチをすることになった。
 ジョウトのリーグはセキエイ大会に比べて、選考会などで数を減らしまくるせいであまりバトル描写がなくついやってしまった。後悔はしていないが、リーグだけで残り20話もあるのはこれが原因である。これがなければ10話ちょっとで収まった。

・タケシとカスミさんがエキシビションマッチに参加することになった。
 タケシの父ちゃんやカスミさんの姉ちゃん出すのはちょっと微妙だったのでご足労願った。

・トゲ様が進化した。
 最終兵器が完成した。当然、ジバコイル先生によってでんじはは習得済である。後にカスミさんから笑い方がニューサトシに似てきたというお褒めの言葉を頂くが、それはまだ先の話。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.55

 ピジョット Lv.52

 バタフリー Lv.52

 ドサイドン Lv.54

 フシギダネ Lv.52

 リザードン Lv.57

 ゼニガメ  Lv.52

 キングラー Lv.52

 カモネギ  Lv.52

 エビワラー Lv.52

 ゲンガー  Lv.53

 オコリザル Lv.52

 イーブイ  Lv.51

 ベトベトン Lv.51

 ジバコイル Lv.51

 ケンタロス Lv.51

 ヤドラン  Lv.51

 ハッサム  Lv.51

 トゲチック→トゲキッス Lv.45→46

 プテラ   Lv.52

 ラプラス  Lv.51

 ミュウツー Lv.71

 バリヤード Lv.51

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.47

 カビゴン  Lv.46

 ニョロゾ  Lv.45

 ヘラクロス Lv.42→43

 ベイリーフ→メガニウム Lv.43

 マグマラシ Lv.43

 ラティアス Lv.30

 デルビル  Lv.42→43

 ワニノコ  Lv.43

 ヨルノズク(色違い) Lv.42→43

 カイロス(部分色違い) Lv.42→43

 ウソッキー Lv.42→43

 バンギラス Lv.55

 ゴマゾウ  Lv.28→30

 ギャラドス(色違い) Lv.32→34




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#078 『エキシビションマッチ 第一試合』

 12歳 μ月ρ日 『エキシビションマッチ カントーVSジョウト 第一試合』

 

 カントー同様に聖火ランナーが走るのを見届けると、開会式が始まり、お偉いさんの有難いお言葉を聞かせられる。

 本来なら、すぐに選考会の流れのはずだが、参加者はそのまま観客席へと誘導された。そのついでにラティをボールから出してやる。流石に一人で観客席に置いておくのは怖かったので、俺の身が空くまではボールに入っていてもらったのだ。

 

 会場から参加者が居なくなると、今度は司会の紹介によってカントーとジョウトのジムリーダー達が入場してくる。

勿論、カスミさんとタケシの姿もしっかりあった。ラティが大喜びで手を振っている。

 結局、タケシとカスミさんは昨日遅くに帰ってきて、朝も早くに出かけてしまったのでろくに話もしなかったが、どうやら問題なく本番を迎えることが出来たようだ。

 

 そのままルールが説明される。対戦形式は二対二のシングルバトルで、交換あり、どちらかのポケモンが一体でも戦闘不能になった時点で敗北という、どこかのポケスペに似たようなルールだった。つか、思えば、このエキシビションマッチもポケスペにあったな。忘れてたわ。

 

 どうやら対戦相手はランダムに決定されるらしく、誰と当たるかは完全に運らしい。ルーレットによって、第一試合の組み合わせが決まると、カントー側はマチス、ジョウトはシジマだった。

 こりゃ予想外な組み合わせだが、でんきタイプとかくとうタイプなら相性としては五分である。どうなるか楽しみだぜ――と、思ってみていると、何やら視線を感じた。

 

 ふと、カントー側のベンチを見てみると、ナツメがにっこり笑って手を振っている。成程ね、相変わらずのようで何よりだ。

 

 そのままカントー側のベンチを見ていると、見慣れない顔が何人かいた。トキワのジムリーダーをクビにされたサカキ様の代わりとしてグリーン、またジョウト四天王になったキョウの代わりにアンズらしき少女が座っている。

 アンズは確かキョウの娘だったはずだが面識はない。とはいえ、あれだけ忍者っぽい恰好をしていれば、キョウの娘だと言われても納得ではあった。

 

 対するジョウト側は何も変わっていないが、どうやらエキシビションマッチは本気で臨んでいるようで、アカネを筆頭に皆がシジマを応援している。

 対するカントー側はやる気はあるようだが、応援という空気ではない。静かに見守るという感じで、カスミさんとタケシも緊張の眼差しでバトルが始まるのを見つめていた。

 

 いざ、第一試合が開始されると、マチスはエレブーを、シジマはカイリキーを出してくる。どうやら、どちらも本気のようでポケモンを見ただけでかなりのレベルなのがわかった。

 

 シジマのカイリキーとは戦ったことがある。だが、あの時はジムのルールで交代制限があって俺側が有利な状況だったし格闘戦がメインだった。ガチのバトルとなるとまた話は変わってくるだろう。マチスに関しては完全に未知数でどうなるか読めなかった。

 

 エレブーは特殊の方が高い種族値をしているが、育て方によっては物理型にするトレーナーも多いのでどちらか読みにくい。シジマも遠距離の技を警戒しているのか、カイリキーを迂闊に突撃させないようだ。

 俺とのジム戦で使用したカイリキーならば、特性は『ノーガード』のはずである。自分の技が確定で相手に当たる強力な特性だが、その分相手の技も確定で当たるデメリットもある特性だ。下手に仕掛けてカウンターをくらえば不利になると考えているのだろう。

 

 ジムリーダー同士の無言の読み合いに、自ずと観客席も静まり返る。今回、観客席にはジョウトリーグ参加者も多くいるということもあって、ジムリーダーのプレッシャーを肌で感じているのか、ゴクリと喉を鳴らしている者さえいた。

 

 しかし、永遠に続くかと思われた静寂も一瞬で激しい爆音に変わっていく。

 

 マチスが『かみなりパンチ』を指示すると、それに合わせてシジマも『ばくれつパンチ』を指示し、エレブーとカイリキーが激突する。

 だが、エレブーは反対の腕で、カイリキーは残りの腕で完全な直撃は避けていた。ただ、『ばくれつパンチ』の追加効果でエレブーが混乱する。追撃の『インファイト』を指示するシジマだが、カイリキーもまた『かみなりパンチ』か『せいでんき』で麻痺状態になっていたようで動きが鈍かった。

 

 その隙にエレブーは自分の顔に拳を入れて無理矢理混乱を解除する。アニメの新無印編でアイリスが見せた技術だ。どうやらマチスも出来るようだが、そんなにメジャーな技術ではないようでシジマが驚いたような顔を見せている。

 まぁ、よく考えれば、混乱状態で自分を殴らせるというのもそう簡単なことではないし、自分を殴ったからといって確定で混乱を解除させられる訳でもない。やっていることは簡単に見えても、実践させるにはそこそこ技術がいるのだろう。

 

 マチスが、そのまま追撃の『かみなりパンチ』を指示する。しかし、シジマもただでは転ばないと、『じしん』を指示した。

 でんきタイプの弱点であるじめん技だ。おまけに『ノーガード』の特性で、ひこうタイプや『ふゆう』の特性でもない限り、ジャンプしても衝撃が当たる。マチスもこれは流石にまずいと思ったようで、『ボルトチェンジ』を指示して、一度エレブーをボールに戻そうとした。

 

 上手い回避だが、途中まで『かみなりパンチ』で攻撃を仕掛けようとしていただけに、カイリキーの『じしん』の方が早い。エレブーが衝撃でダメージを受けつつ、逃げるようにカイリキーにぶつかってボールへと戻って行った。

 それを見て、シジマもまた、一度カイリキーをボールに戻す。麻痺もしているし、一体でも倒れたらアウトの特殊バトル故に、無理はさせられないと判断したのだろう。

 

 まさに息をつかせぬバトルだった。

 

 ふと、周辺を見ると、あまりのレベルの高い応酬に騒然としている奴らが多いようだ。

 日頃、ジムリーダー達はバッジの数によって手加減しているということもあって、情弱トレーナーから舐められることも多いという話は聞いたことがあるが、本来ジムリーダー達は四天王に匹敵する実力を持っている。

 勿論、全員が同じ実力という訳ではなく、同じジムリーダーでも強弱は存在するが、それでも弱いジムリーダーでさえ、おそらく地方リーグチャンピオンと同等かそれ以上の実力はあるのだ。つまり、ここにいる誰よりも強いということである。

 

 こうした反応を見ると、日頃のジムリーダー達への批判などの払拭という意味でも、今回のエキシビションマッチはいい影響を与えそうだ。まぁ、カントーとジョウトが近いから出来ることであって、これだけ大規模のモノはおそらくそう簡単には出来ないだろうがな。

 

 視線をバトルに戻すと、マチスが二体目のライチュウをフィールドに出している。対するシジマの二体目はカポエラーを出してきた。

 

 どうやら、マチスのライチュウは当然のごとく特殊型のようで、お得意の『10まんボルト』で先制を仕掛けていく。

 だが、シジマもまた『あなをほる』で地面にカポエラーを回避させた。頭からドリルのように回って、地中に潜っていくカポエラーに対し、マチスは前に俺に見せた『ほうでん』と『10まんボルト』の合わせ技でフィールド全体に強力な電撃を放った。

 

 これではどこから出ても電撃の餌食である。

 

 どうするのか見ていると、真下から出てきたカポエラーが電撃を放っているライチュウに突撃した。当然、電撃を受けるが、そのまま『トリプルキック』に繋げて、お得意の足技でライチュウにダメージを与えていく。

 

 しかし、マチスもただでは転ばない。『あまえる』を指示して、攻撃を二段階下げながらライチュウがカポエラーをだいしゅきホールドする。

 そのまま『10まんボルト』でフィニッシュかと思ったが、シジマも咄嗟に『こうそくスピン』を指示し、カポエラーも拘束を解除して逃げていた。

 

 お互いに距離を取ると、シジマは『ビルドアップ』を指示して下げられた攻撃力を一段階上げていく。だが、マチスも同時に『かげぶんしん』を指示して、シジマをかく乱してきた。

 

 シジマは再び『あなをほる』でカポエラーを地中へと送り、タイプ一致技で大ダメージを狙っているようだ。

 ダメージ的には、先程連続攻撃を決めた分、ライチュウの方が不利である。マチスもこの『かげぶんしん』を起点に、何とか大技を決めたいはずだ。

 

 ライチュウもまた、細かく動いてカポエラーをかく乱しようとしている。しかし、シジマは惑わされなかった。目を瞑り、音で敵の位置を把握したようで、しっかりと本体のライチュウに向けてカポエラーを突撃させる。

 だが、二度目ということもあって、ライチュウも攻撃をかわそうとしていた。体を捻って足技を避けようとするが、ギリギリでカポエラーの射程圏内に入っていたらしく弱点の攻撃が直撃する。

 

 決まったか――と思ったが、下げられた攻撃力のせいで、ギリギリライチュウの体力を削り切れなかったようで、ライチュウが再びカポエラーを捉えた。

 シジマもすぐに『こうそくスピン』を指示したが、一度見せていた行動故に、今回は『10まんボルト』が決まる方が先だったようで、ゼロ距離からの必殺の一撃が決まり、カポエラーがよろける。

 

 ただ、それでもまだ戦闘不能にはなっていなかった。お互いに後一撃という場面、一度戻すことも十分選択としては有りだが、どちらも戻そうとはしない。

 そのまま、ここで決めるとばかりに、マチスは再び『ほうでん』からの『10まんボルト』の全体攻撃でカポエラーを攻撃して行った。

 これで、カポエラーはフィールドを走る電撃をかわさなければライチュウの近くまで行けない。『あなをほる』ももう二回見せているし、先程も避けられそうになっていた。次はもうノーダメージで対策されてもおかしくないだろう。

 

 どうするのかと思って見ていると、シジマはまさかの『こうそくスピン』で発生する風で電撃を弾きながらライチュウへと向かって行った。

 予想外のスピンの使い方だが、実際に電撃を弾いている。それなら――と、マチスもまた拡散させていた電撃を一つにまとめてぶつけるという大技を見せつけてきた。

 

 だが、その間に射程距離に入ったカポエラーは、地面を蹴り上げ、空中へと飛び上がって行く。

 そのまま電撃を回避し、流星のように落下しながら『トリプルキック』を決め、ライチュウを戦闘不能に持って行った。

 

 ライチュウが倒れたことでマチスの敗北となり、ジョウトの一勝となる。とはいえ、どちらが勝ってもおかしくない素晴らしいバトルだった。

 

 お互いにポケモンを戻すと、マチスがシジマの勝利を称えている。しかし、その顔は少し悔しそうなものだった。

 シジマが勝ったことで、ジョウトのベンチは活気づいており、カントーのベンチではタケシやカスミさんがどんまいと声をかけているようだ。

 

 これで流れはジョウトになったな。カントー側としては次勝って、何とか雰囲気を良いものにしたいだろう。

 

 次は誰かなとばかりにモニターに目を移すと、第二試合はアンズVSツクシという組み合わせになった。

 どくタイプとむしタイプか。どくタイプはむしタイプを半減するので、若干ツクシが不利なように思える。まぁ、半減するだけで弱点という訳ではないし、戦い方一つでどうにでもなる差だけどな。

 

 ただ、俺はカントー、ジョウト含めて唯一、アンズだけ実力を知らない。キョウの娘だし、弱いってことはないだろうが、最近ジムリーダーに就任したばっかりならまだ経験も浅いと見ていい。どうなるか全く読めなかった。

 

 これがキョウならまだ展開が読みやすいんだが――と、思っていると、隣のラティが袖を引っ張りながら「すごいね、すごいね」と言ってはしゃいでいる。

 さっきからもう大興奮で困ったものだ。さらにおまけで、いつの間にかシゲルが来ていたようで、ドヤ顔でラティにバトルを解説していたらしい。お前ら、知り合ってそこまで時間が経ってないはずなのに随分と仲良くなったな。

 

 まぁ、ラティの相手をしてくれる分には有難い。俺だけだと疲れるし、その調子で解説役をしてくれると助かる――と、解説役で思い出したが、もしかしたらこいつならアンズのこと知っているかもしれないな。

 

「なぁ、アンズってキョウの娘だっけ?」

「らしいね。僕も会ったことはないから噂しか聞いたことはない。けど、父親の後を任されるだけの実力はあるようだよ」

 

 どうやら情報通のシゲルでも、アンズのことはそこまで知らないようだ。まぁ、ゲームの知識が正しければ、結構活発なキャラだったはずである。ポケスペだとかなり忍者に寄っていたが、どちらにしろどくタイプを使ってくるのは間違いないだろう。

 

 視線を戻すと、アンズとツクシが互いに中央で握手し、トレーナーゾーンに戻っていく。たったそれだけの普通のやりとりだが、どうもツクシがアンズを挑発したようでアンズの表情はかなり硬くなっていた。

 アニポケのツクシはかなり毒舌だからなぁ。アンズも強気なキャラではないようで言われるがままになっている。バトルに響かなければいいんだけどな。

 

 そのまま第二試合が始まり、互いにモンスターボールを投げる。アンズの一体目はアリアドス、ツクシの一体目も同じくアリアドスだった。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・エキシビションマッチ第一試合が開始された。
 マチスVSシジマ。ルールはポケスペ基準の為、一体でもポケモンが戦闘不能になったらその時点で敗北。ギリギリの戦いだったが、シジマが制した。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.55

 ピジョット Lv.52

 バタフリー Lv.52

 ドサイドン Lv.54

 フシギダネ Lv.52

 リザードン Lv.57

 ゼニガメ  Lv.52

 キングラー Lv.52

 カモネギ  Lv.52

 エビワラー Lv.52

 ゲンガー  Lv.53

 オコリザル Lv.52

 イーブイ  Lv.51

 ベトベトン Lv.51

 ジバコイル Lv.51

 ケンタロス Lv.51

 ヤドラン  Lv.51

 ハッサム  Lv.51

 トゲキッス Lv.46

 プテラ   Lv.52

 ラプラス  Lv.51

 ミュウツー Lv.71

 バリヤード Lv.51

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.47

 カビゴン  Lv.46

 ニョロゾ  Lv.45

 ヘラクロス Lv.43

 メガニウム Lv.43

 マグマラシ Lv.43

 ラティアス Lv.30

 デルビル  Lv.43

 ワニノコ  Lv.43

 ヨルノズク(色違い) Lv.43

 カイロス(部分色違い) Lv.43

 ウソッキー Lv.43

 バンギラス Lv.55

 ゴマゾウ  Lv.30

 ギャラドス(色違い) Lv.34




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#079 『エキシビションマッチ 第二試合』

 12歳 μ月ρ日 『エキシビションマッチ カントーVSジョウト 第二試合』

 

 アンズ、ツクシ、共にアリアドスを出してきた。

 まさか同じポケモン同士になるとは思っていなかった観客席も大盛り上がりを見せている。

 偶然かと思ったが、おそらくは違う。アンズは観客同様に驚きを表情に出しているが、ツクシはしてやったという顔をしている。多分、ツクシが狙ってこの状況を作り出したのだろう。

 

 意図的にこの状況を作り出したということは、おそらくツクシは事前にカントー勢の情報を入手していたということだ。その上で、アンズが使うポケモンの中で、被りやすいポケモンとしてアリアドスを出したと見ていい。

 同じ、むし・どくならスピアーやモルフォンという線もあったはずだが、アリアドスを選んだのは三分の一を当てに行ったのか、事前にポケモンの情報を仕入れていて当てられる確証があったのか、どちらにしろここまではツクシの思惑通りということだ。

 

 同じアリアドス対決だが、育成の方法が違えば当然動きも変わってくる。アンズはどくタイプとしてアリアドスを育てているだろうし、ツクシもむしタイプとしてアリアドスを育てているはずだ。

 むし、どくということはタイプ一致技は半減になるので、相手としては戦いにくいだろう。また、アンズはお得意の毒による搦手を封じられた。どくタイプに毒は効かないからな。

 

 こうなると、ツクシ有利か。

 

 どうやら、シゲルも同意見のようで、「毒を封じられた以上、むしポケモンとしての運用ではツクシくんが一歩上だろう」と呟いている。ツクシはむしポケモンのエキスパートだ。当然、付け焼刃で勝てる相手ではない。

 

 さて、どうなるかと思って見ていると、早速ツクシが仕掛けてきた。お得意の『いとをはく』で動きを封じようとしているようで、アンズのアリアドスの足を止めに来ている。

 対するアンズは一旦とばかりに、『かげぶんしん』を指示した。流石は忍者だけあって、『かげぶんしん』の数が多い。通常の『かげぶんしん』は多くても10体から20体、俺のポケモンの平均も大体12体前後だ。

 しかし、アンズのアリアドスの『かげぶんしん』は軽く30体はいる。当然、数が多ければそれだけ本物を見つけづらいということであり、この中から本物を見抜くのは四天王クラスでも難しいだろう。

 

 ツクシもそれならとばかりに、『いとをはく』に『クモのす』を合わせた範囲コンボで、アリアドスに追撃をかけていく。

 俺の時にもやった技だ。あれを受けると、素早が二段階下がるだけではなく、糸が体にまとわりついて動きを封じられる上、モンスターボールにも戻せなくなる。

 

 しかし、アンズもされるがままでいるつもりはないようで、『つじぎり』で糸を切り裂いていく。

 あの粘着性のある糸を軽く切断する辺り、アンズのアリアドスもなかなかやる。とはいえ、対処されるのは計算内だったようで、本物の位置を見抜いたツクシのアリアドスが『おんがえし』で真っすぐ攻撃を仕掛けてきた。

 

 懐き具合によって威力が高くなる『おんがえし』だが、当然のように威力は最大らしく、勢いよく攻撃を仕掛けていく。

 直撃した――と、思ったが、その瞬間、アンズのアリアドスが煙となって消える。『みがわり』だ。正直、いつ使ったのかわからなかった。それだけ、技がスムーズだったのだ。

 

 試合前や同じポケモンが出た時は動揺していたアンズも、いざバトルが始まるとスイッチが入ったようで、お得意の忍者スタイルでツクシに対応している。

 ツクシもこれは計算外だったのか、少し苦笑いしていた。だが、姿を現したアンズのアリアドスの姿を見てにやりと笑みを浮かべる。また何か仕掛ける気か。

 

 ツクシは最後の技として、『サイコキネシス』を指示した。アリアドスは何故かレベルでサイキネを覚える。どくタイプを持つポケモンにとって、エスパー技は弱点だ。使わない理由はないのだろう。

 しかし、アンズもまた最後の技として『サイコキネシス』を指示していた。エスパー技を抑えるにはエスパー技しかないという判断のようだ。

 

 力は拮抗しているようで、どちらのアリアドスも相手にダメージを与えられなかった。こうなると、隙を作るしかないが、ここでアンズの表情に動揺が走る。動こうとしたアリアドスがその場から動けなくなってしまったのだ。

 

 よく見ると、足元にさっき散らかした『いとをはく』の糸が落ちたままになっている。どうやらアンズのアリアドスはそれを踏んでしまったらしい。俺の時は落ちた糸は時間経過で消えていたが、本気のツクシのコンボではある程度の時間糸を出したままに出来るようだ。

 

 これはまずい。行動を封じられるのも問題だが、あの糸は交代封じの『クモのす』の成分を有している。一度、アリアドスをボールに戻そうとしたアンズだが、ボールの光が弾かれたのを見て苦い表情をしていた。

 

 足の糸を切って何とか動きを確保したようだが、素早は二段階下がり、交代も数ターン封じられた。

 とどめとばかりに、ツクシは一度アリアドスをボールに戻す。二体目として出してきたのはハッサムだった。むし、はがねタイプのポケモンだ。どくは無効な上、むしも半減、おまけにサイキネも半減で、有効打は『つじぎり』くらいしかない。しかも、その『つじぎり』もタイプ不一致な上、ハッサムははがねタイプ故に物理に強かった。

 

 どうやら、この状況を作り出すのがツクシの目的だったようで勝利を確信した顔をしている。

 確かに、技を全て使わされた上、動きを鈍らされ、有効打は不一致技一つでは逆転はほぼ無理と言っていい。アンズに残された勝機は、『クモのす』の効果が切れるまで何とか逃げるしかないだろう。

 

 しかし、そんな時間は与えないとばかりに、『バレットパンチ』を指示し、ハッサムが一瞬でアリアドスに突撃していく。

 タイプ一致の先制技だ。当然、特性は『テクニシャン』のようで、威力も底上げされている。ボディに重い一撃を受けて、アリアドスが苦し気な声を上げた。

 

 すぐさま『かげぶんしん』を指示するが、ツクシはすぐに本物を見つける。どうやら、足に残った微妙な糸の残滓で本物を識別しているようだ。流石の『かげぶんしん』もそんな細かい所まではコピーできない。

 ツクシが『つばめがえし』で追撃をかける。咄嗟に、『みがわり』で攻撃を凌いだようだが、『みがわり』は自身の体力を削って出す技だ。バレパンの一撃を受けているし、もう三回目は使えないだろう。頼みの『かげぶんしん』も封じられ、完全に打つ手なしである。

 

 アンズが再びアリアドスをボールに戻そうとするが、『クモのす』の効果はまだ続いているようで光が弾かれた。

 その間に、ツクシは『つるぎのまい』を積んで攻撃力を上げている。こうなれば、掠っただけでも致命傷になりかねない。

 

 だが、耐え忍ぶのが忍者と言わんばかりに、アンズは諦めなかった。『サイコキネシス』を指示して、少しでも長くハッサムの動きを封じようとする。

 しかし、ハッサムにエスパー技は半減な上、『つるぎのまい』で攻撃力も上がっていた。おまけにアリアドスは特殊の強いタイプではない。足止めは出来て一瞬、すぐにハッサムは動き出してしまった。

 

 ツクシは最後の技を使っていない。おそらく万が一を想定して残しているのだろう。『バレットパンチ』を指示して、とどめを刺そうとしてくる。しかし、先読みしていたアンズが『かげぶんしん』を指示し、何とか攻撃を回避していた。

 すぐに本物を見破られてしまうが、一撃を凌ぐだけでも十分と考えているのだろう。実際、思うようにとどめを刺せずに、ツクシも段々と焦っている。

 

 この辺りはまだ子供だな。

 

 交代されてもどくタイプ相手には優位なのだから、俺ならもっと腰を据えて戦わせる。無理に攻めるのはアンズの集中を高めさせるだけだ。『つるぎのまい』でプレッシャーをかけるだけでも大分変わるだろうに。ムキになって『つばめがえし』でとどめを刺そうとしている。

 

 対するアンズは冷静に、『つじぎり』で『つばめがえし』を弾いた。受けるのではなく、受け流すことで自身の受けるダメージを最低限に留めたのだ。

 しぶとい粘りである。だが、その甲斐はあったようで、三度アンズがボールの光をかざすと、アリアドスがボールへと戻って行った。窮地を凌ぎ、アンズもほっとした表情を浮かべている。

 

 対するツクシは失敗したという表情をしていたが、自身の有利に変わりはないとばかりに不敵な笑みを浮かべた。

 実際、ツクシの有利には変わらない。どうすると思ってアンズを見ていると、二体目にクロバットを出してきた。

 

 ツクシは『サイコカッター』を指示し、攻撃を仕掛けてくる。最後の技だ。弱点を突くために取っておいたようだな。

 だが、『サイコカッター』は威力70でギリギリ『テクニシャン』の特性範囲外だ。それでも『つるぎのまい』で攻撃が二段階上がっていれば十分という判断なのだろうが、アンズは『くろいきり』を指示してステータス変化を元に戻した上でクロバットの姿を霧の中に隠した。

 

 クロバットの姿を見失ったハッサムの足が止まる。これで、『つるぎのまい』は意味をなさない。後は攻撃技の組み合わせで打ち勝つしかないが、アンズはもう長期戦に持ち込むつもりはないようで一気に勝負を仕掛けてきた。

 

 クロバットに、『ちょうおんぱ』と『いやなおと』を組み合わせた音波攻撃を指示し、ハッサムを混乱させた上に、防御を二段階下げてくる。同じ混乱を誘発させる技なら、『あやしいひかり』の方が使い勝手は良さそうだが、『いやなおと』と組み合わせるために敢えてチョイスしたようだ。

 

 混乱によって、一瞬の隙が出来、態勢を立て直される前に、アンズが『ゴッドバード』を指示する。

 ひこうタイプ最大の攻撃技だ。威力140と絶大な攻撃力の代わりにタメがいるが、その隙は混乱が作ってくれた。ハッサムが自由を取り戻す前に、素早種族値130から繰り出される高速の一撃がハッサムをぶっ飛ばしていく。

 

 防御を二段階下げた上、どうやら急所にも当たったようで、ハッサムは一撃で戦闘不能になっていた。

 まさか一撃で勝負を決められるとは思っていなかったようで、ツクシも「うそー!?」と声を大にしている。

 

 対するアンズはほっとした表情を浮かべていた。実際、有利だったのはツクシだ。もし、攻撃が急所に当たるという奇跡がなければ、勝っていたのはツクシだっただろう。

 とはいえ、こういう運が勝敗を分けるのもポケモンバトルではよくあることである。ツクシも仕方ないとばかりの表情で、アンズの健闘を讃えていた。これで、カントー、ジョウト共に一勝で並んだ訳だな。

 

 アンズがベンチに帰ると、マチスが嬉しそうに背中を叩いている。敵を討ってくれたのが嬉しいようだ。アンズも困ったような笑みを浮かべているが、喜びの方が勝っているようで笑顔を浮かべている。

 対するジョウト側は、「いやー、負けちゃったー」と笑うツクシに、あれは仕方がないという同情の声が上がっていた。勿論、この距離での会話はマサライヤーを持つ俺だから聞こえるのであって他の人間には聞こえていないだろう。

 

 隣を見ると、シゲルが「今のバトルは、ツクシくんが中盤に――」といろいろご高説を垂れており、隣で良くわかっていないであろうラティがうんうん頷きながら聞いている。

 だけなら良かったのだが、いつの間にか先日知り合ったホウエン出身のハヅキまで合流していたようで、「しかし、そうするとアンズ選手がもしああ出た場合――」と議論を交わしていた。

 

 知らん間に仲良くなって、知らん間に意気投合している。まぁ、ラティは基本的に人懐っこいから余程不審者じゃない限りはウェルカムだからなぁ。特に今はタケシとカスミさんがいなくて寂しがっているし喜んでいるならいいだろう。

 

 こちらはこちらで賑やかに過ごしていると、三試合目の組み合わせが決まった。カントーからはエリカ、ジョウトからはイブキが選出されている。

 くさタイプ対ドラゴンタイプか。イブキはギャラドスも連れているし、みずタイプを複合しているポケモンが多いから完全にエリカ不利とは言えない。それに、くさタイプには多彩な変化技が多い。真正面からでは厳しくても、立ち回り次第でどうにでもなりそうだな。

 

 エリカとイブキが互いに礼をしている。イブキも活動的なタイプだが、アニポケ性格なのでガサツという訳ではないということもあり、その辺の作法はしっかりしていた。

 そのまま互いにボールを投げる。

 エリカの一体目はモジャンボ、イブキの一体目はギャラドスだった。初代や金銀時代ではモジャンボは存在しないが、モンジャラの進化方法が『げんしのちから』を覚えさせてレベルアップで進化な以上、持っていてもおかしくはないか。

 

 しかし、初見の人も多いようで、「あれはモンジャラ?」、「まさか進化系!?」と驚く声も多い。

 ケッ、くそ面白くもない。本番の試合ではニューサトシのトゲ様で会場中の度肝を抜いてやるぜ。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・エキシビションマッチ第二試合が開始された。
 アンズVSツクシ。アニメでアンズが出てきていないので、性格をゲーム基準にするか、ポケスペ基準にするか悩んだ。結果、とりあえずどっちつかずになっている。ツクシに苦戦を強いられたが、最後は逆転勝利した。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.55

 ピジョット Lv.52

 バタフリー Lv.52

 ドサイドン Lv.54

 フシギダネ Lv.52

 リザードン Lv.57

 ゼニガメ  Lv.52

 キングラー Lv.52

 カモネギ  Lv.52

 エビワラー Lv.52

 ゲンガー  Lv.53

 オコリザル Lv.52

 イーブイ  Lv.51

 ベトベトン Lv.51

 ジバコイル Lv.51

 ケンタロス Lv.51

 ヤドラン  Lv.51

 ハッサム  Lv.51

 トゲキッス Lv.46

 プテラ   Lv.52

 ラプラス  Lv.51

 ミュウツー Lv.71

 バリヤード Lv.51

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.47

 カビゴン  Lv.46

 ニョロゾ  Lv.45

 ヘラクロス Lv.43

 メガニウム Lv.43

 マグマラシ Lv.43

 ラティアス Lv.30

 デルビル  Lv.43

 ワニノコ  Lv.43

 ヨルノズク(色違い) Lv.43

 カイロス(部分色違い) Lv.43

 ウソッキー Lv.43

 バンギラス Lv.55

 ゴマゾウ  Lv.30

 ギャラドス(色違い) Lv.34


 ジムリーダー戦はどうやら不評なようで、テンポが悪いやら、カスミさんとタケシ以外は関りが薄すぎて見る価値がないというようなご意見がいくつか届きました。
 ただ、申し訳ありませんが、既に書いてしまっているので今から話を変えるつもりはなく、このエキシビションマッチありきでその後の話は作ってあるので、カットもしづらい状況です。
 ただ、読みたくない、早く本戦が見たいという方も多いようなので、土日月だけ10時と20時の二話更新で、サクッと進めてしまおうと思います。エキシビションも八試合あるので、一日一話だと一週間かかりますしね。これで来週からはリーグ戦をお届け出来ると思いますので、妥協して頂けると助かります。



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#080 『エキシビションマッチ 第三試合』

 12歳 μ月ρ日 『エキシビションマッチ カントーVSジョウト 第三試合』

 

 エリカのモジャンボと、イブキのギャラドスがフィールドに並び立つ。みずタイプのポケモンにもしっかり考慮されているようで、フィールドの中央付近に水場が現れていた。どうやら、セキエイ大会同様、その辺りは対応しているようだな。

 

 開幕、エリカは『にほんばれ』を指示し、イブキは『あまごい』を指示する。まさかの天候技被りだが、スピードはギャラの方が上だし、後出しの『にほんばれ』が上書きするだろう。

 と、思っていたのだが、どうも天候技は上書きされないのか、それとも互いに力が拮抗しているからかはわからないが、雨雲から雨が降ったと思うと、雨雲の隙間から強い日差しが差し込んでいる。

 

 雨はまだ降っているし、効果としてはどちらも発動しているとみるべきか。どちらにしろ、予想外の天候になった。まさにお天気雨である。

 

 モジャンボの特性は夢特性を除けば、晴れの時に素早が上がる『ようりょくそ』と晴れの時に状態異常にならない『リーフガード』だが、エリカのモジャンボは『ようりょくそ』の特性を持っているようだ。

 

 あの巨体からは想像できない速度で、モジャンボがギャラドスに向かって突っ込んでいく。

 真っすぐ向かってくるモジャンボに対し、イブキは『たきのぼり』を指示した。みずタイプの技はくさタイプには半減だが、『たきのぼり』には追加効果で二割の怯みがあるから悪い選択肢ではない。この世界だと後攻でも怯む可能性があるからな。

 

 俺の時はでんきが四倍ということで、近づけない戦術を取っていたが、本来ならギャラドスは物理の方が強い。くさは、みずとひこうで等倍になるが故に、今回はそこまで弾こうとはしていないのだろう。

 

 エリカは『パワーウィップ』を指示した。モジャンボは特殊と物理の攻撃種族値の差がほぼないし、どちらも器用にこなせるポケモンだ。状況次第では特殊にスイッチもあり得るが、動きを見る限りどうもあのモジャンボは物理アタッカーっぽいな。

 

 モジャンボの全身のツタが鞭のようにギャラドスに当たる。だが、ギャラドスの特性である『いかく』で攻撃が一段階下がっているせいもあってか、そこまでダメージを気にした様子もなく、ギャラドスがモジャンボに体ごとぶつかっていく。

 どうやら、『たきのぼり』で怯みはしなかったようだが、ぶつかった勢いのままイブキが『ぼうふう』を指示して追撃をかける。ゼロ距離で弱点のタイプ一致ひこう技を受けて、モジャンボが苦しそうな声を上げながら吹き飛んでいくが、エリカも負けじと『ギガドレイン』を指示して体力を回復させてきた。

 

 想像以上に激しいぶつかり合いだ。

 

 正直、エリカの印象的に、もっと遠距離で華麗な戦いをすると思っていただけに、ここまで力技で対抗しているというのは驚きである。奇麗な花にも棘があるということか。

 

 一連の攻防が終わると、今度は様子見ターンに入ったようで、お互いに相手が動くのを待っているようだ。

 とはいえ、天候技による天気は長時間続かない。元に戻る前には動いてくるはずだが、果たしてどちらが先に動いてくるか。

 

 そのまましばらく睨み合いが続き、雨と日差しが若干弱まってきたと感じた瞬間、イブキが再び『ぼうふう』を指示した。

 対して、エリカは『リーフストーム』を指示して、相手の攻撃を相殺していく。ただ、『リーフストーム』は使用後に特攻が二段階下がる諸刃の剣だ。前にカツラがブーバーにマグマのエネルギーを与えて無限にオバヒを使うとかいうヤバいことをしてきたが流石にこのフィールドでは同じようなことは出来ないだろう。

 

 お互いの技は拮抗しているようだが、タイプ一致技、威力有利ということもあってモジャンボの方が押し返してきた。『リーフストーム』が『ぼうふう』を切り裂いてギャラドスに直撃する。

 ある程度相殺されたせいで威力はそこまでではなかったようだが、ダメージを受けたギャラドスが苦しそうな声を上げた。それを見て、イブキは一度ギャラドスを戻そうとする。エリカもまた同時に、モジャンボをボールに戻した。

 

 イブキはダメージ的な観点から、エリカは特攻ダウンを嫌ってのことだろう。イブキも、まだ技を一つ残していたし、これが最後の一体なら無理をしたかもしれないが、このバトルでは一体でもポケモンが戦闘不能になった瞬間負けになる。そう考えれば、まだ無理をする場面ではないと判断したのは当然だ。

 

 しかし、ギャラドスはやはりいいな。俺の赤いギャラドスは捕まえたのが少し遅かったことあってまだレベリングが完全には済んでいないし、多分この大会では使うことはないだろうが、いずれこいつも活躍させてやりたい。

 

 と、考えていると、近くの席では今のバトルについての討論をしているようでやけに賑やかになっていた。ハヅキが基本的に話し、シゲルがツッコミを入れているようだ。

 

「エリカ選手の『リーフストーム』は英断だった。あそこで『ぼうふう』を受けていたら勝負は終わっていただろうしね」

「そうかな? 僕なら、『まもる』で攻撃を凌いでいた。遠距離からの攻撃は『ギガドレイン』があるし、持久戦に持ち込めば不利になるのはイブキさんの方だ」

「でも、イブキさんはまだ技を一つ残してたし、守りを固めすぎたら後続が厳しくならない? 私もあそこは『リーフストーム』で良かったと思うけど」

 

 って、ブルー!? お前、いつの間に!?

 

「やっほ、サトシ君。来ちゃった☆」

 

 来ちゃった☆ じゃねーよ。お前、四天王になった癖にフットワーク軽すぎだろう。

 

「実はカントーとジョウトの四天王も全員来てるんだよね。本当はあっちの特別席で見てたんだけど、サトシ君とシゲル君見つけたからさ。こっちの方が面白そうかなって」

 

 シゲルとは初対面のはずだが、互いにセキエイ大会で試合は見ていることもあってすぐに意気投合したらしい。さらに、俺が試合に集中している間に、ハヅキとも仲良くなったようだ。

 お前ら陽キャが過ぎるだろう。いや、別に誰が誰と仲良くなろうと知ったことではないが、何で試合を重ねるごとに俺の周りに知り合いが増えるんだ。おまけに、ラティはブルーに撫でられてご機嫌だし訳わからん。

 

 もうなるようになれと思いながら視線を試合に戻すと、エリカが二体目としてキレイハナを、イブキが二体目としてキングドラを出していた。

 

 同時に、天候が元に戻る。しかし、即座に二人とも、『にほんばれ』と『あまごい』を指示して天候を書き換えた。再びお天気雨だ。

 イブキのキングドラは俺と戦った時は、特性が『スナイパー』だったはずだが、雨を降らせているということは別個体なのかもしれないな。対するキレイハナは夢特性でなければ『ようりょくそ』一択だし、天候によって特性が左右される以上、お互いに技を一つ潰してでも有利な状況を作ろうとしているのだろう。

 

 天候がお天気雨になったことで、お互いに素早が二倍になった訳だが、元々の種族値で言えばキングドラの方がスピードは上だ。

 しかし、今回は前のバトルと打って変わって、近距離戦の様子はなかった。イブキは『ふぶき』で遠距離から攻撃を仕掛けている。『ふぶき』は全体攻撃だが、特性でスピードが上がり、命中率が低めということもあって攻撃を回避しやすいらしく、華麗な動きでキレイハナが『ふぶき』をかわして行った。

 

 お返しとばかりに、『はなふぶき』が指示される。この技も『ふぶき』同様に全体攻撃だが、威力90と『ふぶき』よりも威力が低い代わりに命中率が高い。キレイハナのようにスピードで避け切るのは不可能だった。

 とはいえ、イブキの真骨頂はここからだ。『ぼうふう』を指示し、キングドラ自身を包むように風による防壁を展開する。俺の時には『たつまき』だったが、理論は同じ全方位シールドだ。これにより、花弁が風で吹き飛ばされた。

 

 とはいえ、無傷ではない。『ぼうふう』内のキングドラは多少のダメージは受けているだろう。

 それでも、『はなふぶき』の直撃を受けるよりはダメージは低いし、防御としてはかなりの性能だ。突破は容易ではない。

 

 と、思っていたのだが、エリカは『はなふぶき』と『はなびらのまい』を組み合わせた超火力コンボで突破を狙っていく。美しい花弁の乱舞が、イブキの絶対防御を貫かんとばかりに撃ち出された。

 単発は防げても、連続攻撃は防げないようで、大量の花弁が風の防壁を貫いてキングドラにダメージを与えていく。完全な力技で突破したな。

 

 しかし、代償は大きかった。

 

 キレイハナは『はなびらのまい』のデメリットで混乱状態になっている。どうやら、エリカはマチスのように混乱を解除できないようで、その隙をイブキは逃さなかった。

 上空から隕石が降るかの如く強力な一撃がキレイハナに襲い掛かる。『りゅうせいぐん』だ。イブキは特攻を下げるリスクを負ってでも、ここで勝負を決めようとしたらしい。

 

 ドラゴンタイプ最強の一撃が当たり、キレイハナが大ダメージを受ける。だが、その影響で混乱は解除出来たようで、ギリギリ持ち堪えたキレイハナへエリカが反撃の一撃を指示した。『ムーンフォース』である。

 ドラゴンタイプが苦手なフェアリータイプの一撃。受ければ、先程の高火力コンボでダメージを受けているキングドラに耐えられるはずがない。

 

 だが、イブキは冷静だった。

 

 向かってくる弱点の一撃に対し、『ふぶき』と『ぼうふう』のコンボという凶悪な攻撃で迎え撃とうとしている。

 どうも見た感じ、技同士の相性が良すぎるが故に威力が跳ね上がっているらしく、イブキのキングドラでも完全に制御は出来ていないようだ。しかし、それでも嵐のようなコンボが、『ムーンフォース』を吹き飛ばし、キレイハナに襲い掛かっていく。

 こおりとひこうの融合技は、『りゅうせいぐん』で特攻が二段階下がっていても尚、戦闘不能に持って行くには十分だったようでキレイハナが目を回して倒れていた。

 

 しかし、『ふぶき』と『ぼうふう』のコンボとは恐れ入る。あれだけの大技の組み合わせなど想像しただけでやばい。特攻が二段階下がっていて尚、制御に苦労していたのだ。あれの本来の威力はこんなものではないだろう。

 単純な技の威力なら、俺のオコリザルがやっている威力120の『げきりん』と『あばれる』のコンボも負けてはいないが、技にも相性があり、組み合わせ次第で、今回のように数字を超えた強力なものになるということだ。

 むしろ、イブキは制御を安定させるために、『りゅうせいぐん』を使ったのかもしれない。特攻を犠牲にしてもおつりがくる大技だ。その可能性は十分に考えられた。

 

 流石のシゲルもこれには驚きのようで、「まさか、こんな技の組み合わせがあるとはね……」と呟いている。

 ブルーも驚いてはいるようだが、「あれだけの技だと制御するのは至難の業だよ。完全にモノになるのは遠いね」と、俺と似たような感想を口にしていた。

 ハヅキは素直に「すごいな」とだけ口にし、語彙力のないラティがそれに続いて、「すごいすごい」と喜んでいる。実際、凄い技だった。エリカも素直に「参りましたわ」と白旗を上げてキレイハナを戻している。

 

 だが、イブキも追い詰められていたのは間違いない。本人も、「未完成の技だったけど、使わざるを得ない状況だったよ」と、エリカの健闘を讃えていた。

 これで再び、ジョウトが勝ち越した訳だが、まだまだ勝負はこれからという感じだ。実際、まだ後五試合残っているし、ここからカントーの連勝が始まってもおかしくはない。

 

 次のカードはどうなるかなと思ってモニターに目を移すと、カントーがカツラ、ジョウトがハヤトという組み合わせとなった。

 ほのおタイプとひこうタイプのバトルか。個人的に、カツラは俺に初めてチートを疑うレベルの異常な技を使ってきた腹黒爺というイメージがあるせいで、どうにもカツラの方が上のように思える。

 しかし、ハヤトにはど根性があるし、大空というフィールドを上手く使えば十分に勝機はあるだろう。

 

 カツラとハヤトがフィールドで互いに握手をすると、いきなりカツラが「火の中にいる生き物なーんだ?」と言って先制攻撃を仕掛けてきた。

 思わず、「は?」という表情を浮かべるハヤト。

 カツラお得意のなぞなぞだが、どうやらハヤトはいきなりすぎて状況を呑み込めなかったらしく、すぐに「ぶー、時間切れ」と言われていた。まぁ、普通のジムリーダーは唐突になぞなぞなんてして来ないからな。気持ちはわからなくもなかった。

 

 ちなみに答えは人らしい。火という漢字の中は人があるからか。くだんねー。

 

 もしかしたら、真面目過ぎるハヤトに、カツラは相性が悪いかもしれないな。結局、なぞなぞを仕掛けられたことすらわかっていないようで、「よくわからないが、俺は全力で行くぞ!」と言って、ヨルノズクを出してきた。

 対するカツラはウインディを出している。どうやら、なぞなぞおじさんの時間は終わったようで、注意深くハヤトの様子を伺っていた。これだからこいつは侮れないのだ。

 

 小手先の技が苦手そうなハヤトが、小手先の技大好きそうなカツラにどう立ち向かっていくか。このバトルもなかなか面白くなりそうだ。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・エキシビションマッチ第三試合が開始された。
 エリカVSイブキ。ふぶきとぼうふうのコンボは前からずっと考えていて、技の組み合わせも相性次第でやばいことになるのを表現したかった。特攻二段階ダウン後、ムーンフォースごとキレイハナをワンパンしたのは相性もあるがそれだけ威力が高かったということ。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.55

 ピジョット Lv.52

 バタフリー Lv.52

 ドサイドン Lv.54

 フシギダネ Lv.52

 リザードン Lv.57

 ゼニガメ  Lv.52

 キングラー Lv.52

 カモネギ  Lv.52

 エビワラー Lv.52

 ゲンガー  Lv.53

 オコリザル Lv.52

 イーブイ  Lv.51

 ベトベトン Lv.51

 ジバコイル Lv.51

 ケンタロス Lv.51

 ヤドラン  Lv.51

 ハッサム  Lv.51

 トゲキッス Lv.46

 プテラ   Lv.52

 ラプラス  Lv.51

 ミュウツー Lv.71

 バリヤード Lv.51

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.47

 カビゴン  Lv.46

 ニョロゾ  Lv.45

 ヘラクロス Lv.43

 メガニウム Lv.43

 マグマラシ Lv.43

 ラティアス Lv.30

 デルビル  Lv.43

 ワニノコ  Lv.43

 ヨルノズク(色違い) Lv.43

 カイロス(部分色違い) Lv.43

 ウソッキー Lv.43

 バンギラス Lv.55

 ゴマゾウ  Lv.30

 ギャラドス(色違い) Lv.34



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#081 『エキシビションマッチ 第四試合』

 12歳 μ月ρ日 『エキシビションマッチ カントーVSジョウト 第四試合』

 

 カツラのウインディとハヤトのヨルノズクのバトルが始まった。大空を飛ぶヨルノズクと地を駆けるウインディの戦いは、ウインディが静かに上空の獲物を狙っているという様子だが、流石に空を飛ばれると捕まえるのも簡単ではないようでじっくりと狙いを定めている。

 

 ハヤトは迂闊に攻撃を仕掛けて捕まるのを警戒しているのか、ヨルノズクに高度を取らせて様子見だ。こりゃ、なぞなぞが裏目に出たな。警戒心を高めたハヤトはヒット&アウェイで攻めるつもりだろう。

 カントーやジョウトのほのおタイプで空を飛べるポケモンというと、リザードンやファイヤーくらいだろうが、そんなポケモンを持っていればカツラは使っているはずだ。多分、裏にいるのはブーバーだろうし、どうやって上空のヨルノズクを捉えるのか楽しみである。

 

 カツラはハヤトの思惑を理解したようで、『とおぼえ』を指示している。攻撃を一段階上げる技か、どうやら積み技で威嚇するつもりのようだが、対するハヤトは当たらなければどうということはないとばかりの態度だ。

 逆にそちらがその気ならこちらもそうしようとばかりに、『めいそう』で特攻と特防を一段階ずつ上げていく。あまりにあっさり使うから気づいてない奴もいるかもしれないが、飛びながら『めいそう』を使うのは地味に高等技術だ。あのヨルノズクがしっかり育てられている証拠でもある。

 

 互いに積み技を交互に積んで、最大まで上げていく。こうなると、一撃のダメージは致命傷になりかねない。これまでのバトルと違って、下手をすると一撃で勝負が着くこともあり得た。

 

 どうやって空中にいるヨルノズクを捕まえるのか、それが勝敗を分けることになる。そう思っていると、カツラはにやりと笑って『リフレクター』を指示した。

 物理攻撃を半減する技だが、『めいそう』を積んだ辺り、ヨルノズクは特殊型だ。意味のない技をどうするつもりだと思ったのだが、カツラは『リフレクター』を空中に板を置くように多段展開し、ウインディが空を走るための足場として使ってきた。

 

 ウインディが『リフレクター』を足場にして、空を駆けていく。当然、予想外の戦術にハヤトは動揺する。咄嗟に『エアスラッシュ』を指示したが、ウインディは持ち前の機動力で攻撃を回避して、ヨルノズクの懐に潜り込んだ。

 そのままカツラは『ワイルドボルト』を指示する。与えたダメージの1/4のダメージを受けるが威力が90もある物理のでんき技だ。おまけに『とおぼえ』の効果でウインディは攻撃が最大まで上がっている。弱点技の高威力攻撃だ。これは決まったかもしれないな。

 

 ヨルノズクがウインディの一撃を受け、地面に落下していく。しかし、ギリギリで態勢を立て直した。直前で『こらえる』が間に合ったようだ。そうでなければ、おそらく勝負は決まっていた。

 

 しかし、『こらえる』を使ったということは、体力が残り一ということだ。当然、ハヤトはヨルノズクをボールに戻すが、カツラは状況が有利ということもあってウインディを突っ張らせている。

 

 実質、一体を無傷で戦闘不能にさせられたようなものだ。ハヤトが完全に不利な状況なのは間違いない。

 カツラの奇想天外な戦術は、流石にこちらでも予想外だったようで、凄腕トレーナーズもいろいろと議論していた。

 

「リフレクターを足場にするとは、これは上空戦の常識が覆るぞ。カツラ選手は時代を変えたかもしれない。上手くすれば、このリーグでも使える!」

「確かに凄いけど、通常の使い方と違う以上、簡単に真似できることではないよ。足場として使うなら、かなり訓練しないと使えないだろうし、今日明日でどうにか出来るものじゃないさ」

「そういえばサトシ君もカントーで、バリヤードに『ひかりのかべ』を多段展開させて特殊攻撃無効にしてたよね。エスパー技は応用がいろいろ効いて使い勝手がいいし、私も何か悪さできないか探してみようかな」

「いやー、流石はジムリーダーですね。僕にはとてもじゃないけど真似できないや」

 

 やっぱり、増えてるな。今度はお前かイエロー。

 

「シジマさんがエキシビションマッチに参加するから見学しろと言ってくれたんです。ただ、会場が広くて迷子になっちゃって。そしたら、こっちからラティちゃんの気配を感じたんで」

 

 ラティと一緒になって、「ねー」と笑っている。

 いや、別にいいんだけどな。試合をしっかり見るなら、ここにいる奴らはレベルが高いから解説には困らないだろうし。

 しかし、この調子で何人増えるんだ?

 いや、もうある程度の知り合いは出そろったし、もう増えることはないか。これ以上集まったらうるさすぎて周りから苦情が来るかもしれないしな。

 

 とりあえず、イエローもジムリーダーを目指すように言われているんだし、しっかりと試合を見ろと注意して視線をフィールドに戻すと、ハヤトが最後の一体としてピジョットを出していた。

 

 やはりピジョットか。俺と戦った時に見せたこだわりから見てもそうじゃなかいとは思っていたが、どうやってウインディを突破するつもりだ?

 

 ハヤトの次の行動を見ていると、『フェザーダンス』を指示して相手の攻撃を二段階下げてきた。まずは一撃必殺の状況をどうにかしようということだろう。

 だが、カツラもやられるがままではいなかった。

 再び、『ワイルドボルト』を指示して、攻撃を仕掛けていく。当然だな。わざわざ攻撃が下がるのを待つ理由はない。しかし、ハヤトも『かげぶんしん』で攻撃を回避した。カツラも即座に分身を消していくが、その間にハヤトも二度目の『フェザーダンス』で攻撃を下げている。

 

 攻撃が四段階下げられたこともあって、カツラも攻め方を変えてきた。『かえんほうしゃ』を指示して、遠距離からのダメージを狙っていく。

 流石に攻撃を避けながら『フェザーダンス』は使えないようで、ピジョットも必死に攻撃を回避していく。高度を取りすぎると、今度は技の効果範囲外になるので、下手に距離を取れないのだ。

 

 ダメージは受けていないが、攻撃をひたすら回避するというのは地味に神経を削る。目に見えない疲労がピジョットには蓄積しているはずだ。それはいずれピジョットの体を蝕むだろう。カツラはそれを狙っていると見た。

 

 だが、ヨルノズクがダウン寸前な以上、ピジョットに頑張ってもらう以外に道はない。とはいえ、回避や防御に技を割きすぎれば、今度は相手を倒せなくなる。ハヤトとしては、『かげぶんしん』のみでここを凌ぎたい所だろう。

 

 しかし、相手はジムリーダーの中でも、経験を積んだ曲者のカツラだ。何度も『かげぶんしん』を使えば、癖を見抜かれて本物をすぐに特定される。実際、三度目の『フェザーダンス』は使えたようだが、その代償として『かげぶんしん』は見切られたようで『かえんほうしゃ』の手痛い一撃を受けていた。

 

 見切られてしまった以上、もうハヤトは『かげぶんしん』を攻撃にも防御にも使えないだろう。とはいえ、攻撃力を振り出しに戻せたのは大きい。ここからが勝負とばかりに、ハヤトが気合を入れると、カツラはその気合を抜くかのようにウインディをボールに戻した。

 

 上手い。絶妙なタイミングだ。

 

 ハヤトはこの交代の間のせいで、気合のぶつけ所を失う上、ほぼ無傷のウインディを後ろに残すのはプレッシャーになる。

 小手先の技術だが、間違いなく有用な技術だった。これに気付いたのはこの会場に何人いる? 少なくとも、シゲル、ブルーは気づいているだろう。イエローはわかってなさそうだし、今度説明してやろう。これは本当に凄い技術だ。

 

 カツラがウインディを戻すと、最後の一体としてブーバーを出してきた。

 

 ウインディがいなくなったことで、『リフレクター』を使用した空中殺法は時間が経てば使えなくなるが、カツラが何も考えずにただブーバーを出したとは思えない。ハヤトも、前回のことを学んでかなり警戒していた。

 

 しかし、カツラはそんなハヤトの様子を気にする素振りすら見せずに、「ロングヘアーの少年と、スキンヘッドの少年が喧嘩を始めた。さて、原因はどーっちだ?」とクイズを出している。

 ハヤトは答えず、ジッとカツラとブーバーを視界に収めているが、カツラはつまらなそうに、「答えはロングヘアーの少年。何故なら『長髪』だから」と答えを口にした。

 同時に、ブーバーがピジョットを『ちょうはつ』している。くだんねーなぞなぞに技を絡めるとは予想していなかったようで、ピジョットがしっかりと挑発に乗ってしまった。

 

 ハヤトも「しまった!」と声を上げる。カツラはハヤトが様子見をしている隙を敢えて突いてきたのだ。おそらく、攻略した『かげぶんしん』はともかく、『フェザーダンス』による攻撃力低下を嫌ったのだろう。

 これでハヤトは技を二つ封じられたようなものだ。とはいえ、苦しそうな顔をしているがまだ目は死んでいない。「ピジョット、ど根性だ!!」と声をかけて、再び大空へとピジョットを飛び立たせた。

 

 おそらく、ハヤトはアンズとツクシのバトルのように一撃必殺を狙っているのだろうが、あの時は隙を作るためにアンズは変化技を駆使して状況を整えている。ただの一か八かでは同じ結果は得られないだろう。

 いや、だからこそ、カツラは変化技を封じてきたのか。少しでもハヤトに勝機を残さないために。

 

 しかし、このクイズと『ちょうはつ』の間に、ウインディが展開していた『リフレクター』による足場が消えた。それはハヤトにとって追い風のはずだ。

 

 と、思ったのだが、カツラはまだ隠し玉を持っていた。『テレポート』を指示して、ブーバーを一瞬でピジョットの真上に転送したのだ。前にオレンジ諸島でカンナとバトルした時に使われた戦術の応用版である。

 おまけに、ピジョットは下を見ていたせいでブーバーを見失っていた。すぐにハヤトが「上だ、ピジョット!」と声をかけたが、上を向く前にブーバーの『かみなりパンチ』が直撃する。

 

 そのままの勢いでピジョットが地面にぶつかった。想定外の一撃を受けたピジョットのダメージは大きい。

 

 いつもの「ど根性だ!」の声掛けで起き上がるピジョットだが、既にカツラのブーバーは『テレポート』で真正面まで移動していた。

 追撃の『かみなりパンチ』に対し、ハヤトは『ぼうふう』を指示する。二発目の『かみなりパンチ』を受けながらも、ピジョットはブーバーを吹き飛ばした。

 

 流石にタイプ一致でひこうタイプ最大の特殊技を受けると、ブーバーもダメージを受けたようで、カツラが『にほんばれ』を指示している。

 これで技を全て使いきったが、攻撃技は『かみなりパンチ』があれば十分ということか。代わりに、『にほんばれ』のせいで、『ぼうふう』は命中率が五割にまで下がった。遠距離からのワンチャンは潰れたと言っていいだろう。

 

 おまけに、ピジョットの体力はもう残り少ない。

 

 カツラもそろそろバトルを終わらせるつもりのようで、再び『テレポート』からの『かみなりパンチ』を指示していた。

 だが、まだ終わらんという気合と共に、ハヤトが「『ぼうふう』守の型だ!!」という指示を飛ばす。同時に、ピジョットが自身を包み込むように『ぼうふう』を展開した。イブキが使っていた全方位の防壁だ。

 

 しかし、この技は強力な防御ではあるものの、中にいるポケモンにもダメージが行く諸刃の剣である。体力の残り少ないピジョットで使うには自殺行為だ。

 

 カツラも下手に手を出してダメージを受けるつもりはないようで、『テレポート』をキャンセルして様子を見ている。

 だが、しばらくして防壁が解除されるとそこにピジョットの姿はなかった。流石のカツラも動揺を見せるが、まだ『ちょうはつ』の効果は解除されていないので、変化技によるものではない。つまりは――

 

「上か!」

 

 カツラが空を見上げると同時に、上空からピジョットが急降下してくる。カツラの声に反応してブーバーも空を見上げたが、ここで思わぬハプニングが起きた。

 サングラスを付けているカツラは気づかなかったようだが、今は『にほんばれ』の効果で日差しが強くなっている。特に意識せずに上を向いたブーバーは、その眩しさに目が眩んでしまったのだ。

 

 ピジョットの突撃を回避するために、『テレポート』を指示したカツラも、そこでようやくブーバーの様子に気付いた。

 しかし、ブーバーが体勢を整えて技を発動するよりも、上空から猛スピードで落下してくるピジョットの方が早い。

 

「決めろ! 『ギガインパクト』!!」

 

 前に俺のピジョットがジム戦で追撃をかけた時と同じ状況だ。ただ、あの時以上に落下の速度が合わさっていることで、ブーバーには想定を超えたダメージが与えられた。

 だが、『ぼうふう』で身を削ったうえで、上空からの突撃はピジョット自身にも大ダメージを与えている。ブーバーが倒れると同時に、ピジョットもまた地面に倒れこんだ。

 

 互いに倒れ伏したまま動かない。

 

 カツラとハヤトが声をかける。反応した両者が体を起こそうとしたが、「ど根性だ!!」の掛け声でピジョットは完全に体を起こし、ブーバーは前のめりに倒れた。

 審判によって、ブーバーの戦闘不能がコールされると同時にピジョットも倒れる。しかし、判定はジョウトの勝ちだ。運の要素もあったが、見事な逆転勝利である。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・エキシビションマッチ第四試合が開始された。
 カツラVSハヤト。アニメカツラのなぞなぞはなぞなぞというより親父ギャグに近いので表現が難しい。が、何とかなぞなぞをバトルに絡めたくて小学生のなぞなぞを必死に調べたのはここだけの秘密。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.55

 ピジョット Lv.52

 バタフリー Lv.52

 ドサイドン Lv.54

 フシギダネ Lv.52

 リザードン Lv.57

 ゼニガメ  Lv.52

 キングラー Lv.52

 カモネギ  Lv.52

 エビワラー Lv.52

 ゲンガー  Lv.53

 オコリザル Lv.52

 イーブイ  Lv.51

 ベトベトン Lv.51

 ジバコイル Lv.51

 ケンタロス Lv.51

 ヤドラン  Lv.51

 ハッサム  Lv.51

 トゲキッス Lv.46

 プテラ   Lv.52

 ラプラス  Lv.51

 ミュウツー Lv.71

 バリヤード Lv.51

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.47

 カビゴン  Lv.46

 ニョロゾ  Lv.45

 ヘラクロス Lv.43

 メガニウム Lv.43

 マグマラシ Lv.43

 ラティアス Lv.30

 デルビル  Lv.43

 ワニノコ  Lv.43

 ヨルノズク(色違い) Lv.43

 カイロス(部分色違い) Lv.43

 ウソッキー Lv.43

 バンギラス Lv.55

 ゴマゾウ  Lv.30

 ギャラドス(色違い) Lv.34




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#082 『エキシビションマッチ 第五試合』

 12歳 μ月ρ日 『エキシビションマッチ カントーVSジョウト 第五試合』

 

 ハヤトの逆転勝利に観客席から歓声が飛ぶ。

 しかし、これで三勝一敗でジョウトが勝ち越した。カントーとしてはそろそろ勝っておかないと、ジョウトのジムリーダーの方が強いなどという噂が立ちかねない。

 

 次の対戦相手は責任重大だなと思いながらモニターに目を移すと、次の試合はカントーがタケシ、ジョウトがマツバという組み合わせになった。

 

 いわ対ゴーストか。いわはじめんとの複合が多く、ジョウトでもゴーストタイプはどくとの複合であるゴース系が主流だ。マツバもゲンガーは使ってくるだろうし、そうなればじめんタイプの技が有効になってくる。

 おまけに、本気ではなかったとはいえ、タケシは俺のジム戦でマツバの戦い方を見ているのだ。何も情報がないマツバに対して、タケシはかなりアドバンテージを持っていると言っていいだろう。

 

 タケシとマツバが試合前に軽く挨拶をしている。どうも、マツバはタケシがジムリーダーだと知らなかったようで、「お手柔らかに」と不敵な笑みを浮かべていた。

 逆にタケシは緊張しているのか、「は、はい。よ、よろしくお願いします」と、無意味に頭を下げてペコペコしている。あれで本来の実力が出せるか不安だが、まぁ身内のバトルだし頑張ってほしいものだ。

 

 ラティもタケシを応援しており、「がんばるー」と手を振っていた。そこは頑張れが正しいのだが、気持ちが伝われば多少のミスはどうでもいいか。

 

 バトルが始まると、タケシはイワーク、マツバはムウマージを出してきた。ジョウトではムウマージは珍しいようで歓声が凄い。ちっ、今に見てろ、本選では俺のトゲ様が(以下略)。

 

 と、まぁ冗談(九割本気)はさておき、バトルの状況だが、予想外にタケシが先制攻撃を仕掛けていた。『うちおとす』で逃げ場を奪うようにムウマージを追い込んでいる。

 ムウマージはタイプがゴースト単体なので、いわもじめんも等倍だが、特性が『ふゆう』なのでじめん技が効かないし、いわ技で攻めるのはセオリーと言ってもいい。

 おまけに、『うちおとす』は威力こそ50と低いが、命中すると特性『ふゆう』やひこうタイプのポケモンにじめんタイプの技が当たるようになるという追加効果もあった。別にムウマージはじめんが弱点ではないが、いわタイプの技は命中率に難があるものが多いし、使い勝手という意味ではじめん技の方が上だと考えたのだろう。

 

 だが、マツバもされるがままではなかった。

 

 攻撃が当たる直前に、『ゴーストダイブ』を指示し、姿を消す。この技は、『そらをとぶ』や『あなをほる』なんかと同じで、一ターン目に姿を消して二ターン目に攻撃を仕掛ける技なのだが、消えている間は殆どの攻撃を無効にする。

 当然、『うちおとす』は目標を失って不発になり、イワークの後ろからムウマージが攻撃を仕掛けてきた。

 ムウマージは物理の種族値が高い方ではないし、逆にイワークは物理に強いのでたいしたダメージにはなっていないが、一撃を与えたことで『がんじょう』が消えたというのが大きい。

 

 続けて、マツバが『エナジーボール』を指示してくる。いわ・じめんタイプのイワークはみずの他にくさも四倍弱点だ。特性の『がんじょう』も消えたし、このままではワンチャン即死も有り得た。

 とはいえ、そこは流石に対策しているようで、再び『うちおとす』で『エナジーボール』を打ち落とし、軌道を変えることで攻撃を凌いでいる。

 

「ただ技をぶつけるのではなく、軌道をそらすことにのみ注視することで、威力の弱い技でも高威力の技を防げるのか。やるな、タケシ君」

 

 と、ドヤ顔で口にしたのはまさかのワタルだ。

 まるで、ずっとここにいましたよとばかりの態度だが、ジョウトチャンピオンが急に現れて混乱しないはずはなく、俺の周囲は突然のワタル登場に騒然とし出した。

 対する本人は、そんな反応などどこ吹く風だが、予想していた中でも最悪の事態になったな。順調に増えてるから、いつかはこうなるんじゃないかとは思ったんだ。

 

 流石のシゲルもこれには苦笑いで、ハヅキはチャンピオンであるワタルが突然現れたことで言葉を失っている。

 いつも通りなのはブルーとイエローで、「あら、ワタルさんも来たのね」、「お久しぶりです。ワタルさん」と呑気に挨拶を交わしていた。

 

「久しぶりだなイエロー。それと、ブルー、キクコが探していたぞ。四天王がこんな席にいたら騒ぎになるし、戻った方がいい」

「それをワタルさんが言いに来るとは思いませんでした。チャンピオンがこんな所にいたら騒ぎになるでしょうに」

 

 皮肉を返すブルーだが、ここを動く気はなさそうだ。だが、ワタルもそれはわかっていたのか、フッと笑みを浮かべると、今度はこちらに声をかけてきた。

 

「サトシ君、シゲル君。どうだい、俺達の特別席で一緒に試合を見ないか? 勿論、お友達も一緒で構わない」

 

 特別席は観客席と違ってVIP待遇みたいだし、俺としてはこんな騒然とした中で試合を見るよりマシな提案だったので当然受け入れる。

 状況が良くわかっていないラティが首を傾げていたが、「あっちに行くぞ」と指をさすと、「あっち!」と言いながら反対方向へ行こうとした。迷子になられても困るので、手を繋ぐことにする。

 

 やれやれ、こういうのはカスミさんの仕事なんだけどな。いない以上は仕方ない。

 

 見れば、シゲルも否はなかったようで、さっさと移動していた。ハヅキがどうしようか困っているようなので、とりあえず一緒に連れていくことにする。

 こうなると、ブルーもここにいる意味はなくなってしまった。してやられたというような顔をしているが、まぁそれならそれでいいと言った様子で、イエローを連れて特別席に戻って行く。

 

 勿論、その間も、タケシとマツバのバトルは続いていた。見ると、マツバのフィールドに『ステルスロック』が展開され、ムウマージがゲンガーに交代してダメージを受けている。

 マツバが交換するような状況じゃなかったし、『ほえる』系の強制交代技で無理矢理交換したとみるべきか。

 

 こりゃ面白くなってきたと思いながら、特別席に入ると、両地方の四天王の視線がこちらに向けられる。

 とはいえ、それで物怖じするほどニューサトシは可愛い性格をしていない。ジョウト側に知り合いはキョウくらいしかいないということもあって、自然と足はカントー側に向かった。

 

 シバ、カンナ、キクコ、そしてレッド。

 シバとカンナは「久しぶりだな(ね)」と声をかけてきたので「お久しぶりです」と挨拶を返す。キクコは噂で聞いていたらしい俺をまじまじと見ながら、「これが噂の坊やか……成程ね」と呟いている。レッドはジッとこちらを見た後、すぐにブルーに話しかけていた。この距離で声が聞こえないんだが?

 

 まぁ、今は別にレッドに用はないし、試合に視線を戻す。どうやら、タケシは『ドラゴンテール』で相手のポケモンを交代させているようで、ゲンガーが再びムウマージに戻されていた。

 

 騒ぎのせいで、ゲンガーがどんな攻撃を仕掛けたかわからないのでシバにバトルの状況を聞くと、どうやらゲンガーからは『かげぶんしん』からの『さいみんじゅつ』で眠らされそうになったが、タケシは最後の技の『まもる』でそれを防いだらしい。

 そのまま、マツバも反撃を指示しようとしたようだが、その前に『ドラゴンテール』で再びムウマージに強制交代させられたのだという。どうも、タケシはかなり慎重に試合を運んでいる。

 

 ダメージというダメージを避けた上で、交代によるステロダメで与ダメを稼ぐのは悪くないが、二対二で一体が戦闘不能になったら負けというルールだと少し使い勝手が悪く見えた。

 タケシも技術でカバーしているようだが、ゲンガーやムウマージもダメージ的にはまだまだ戦えるといった様子だ。軽く2/3は体力が残っているだろう。

 

 明らかに普段の戦い方と違うな。

 

 いつものタケシは、俺と二度目のジムバトルをした時のように、もっと技を駆使して相手を圧倒するバトルをする。今のタケシは、なんかこう背伸びをして戦っているように見えるのだ。

 

 緊張か、はたまたプレッシャーか。どちらにしろ、やってしまった以上は、この戦術を貫き通すしかない。

 その上で、全ての技を使い切ったタケシがこれからどうするのか――と思っていると、マツバが先に動いてきた。『のろい』を指示して、体力を半分失う代わりにイワークへ毎ターン最大㏋の1/4が減る呪いをかけている。

 すぐにイワークを戻そうとするタケシだが、マツバはお得意の『くろいまなざし』でイワークの交換を防いでいく。タケシが相手に交換を強制するなら、マツバは交換を封じてきたか。

 

 しかし、『くろいまなざし』は使ったポケモンがフィールドにいなくなれば効果を失う。タケシは再び『ドラゴンテール』で強制交代を狙っていくが、当然マツバはそれを読んで『ゴーストダイブ』でムウマージの姿を消した。

 どうやら、攻撃に移らず隠れるつもりのようで、いつまで待ってもムウマージは姿を現さない。

 

 時間をかければかけるだけ、イワークの体は呪いに蝕まれていく。姿を消したムウマージを探すタケシだが、なかなかその姿を見つけられずにいた。

 いくらゴーストタイプとはいえ、永遠に姿を消すことなど不可能だ。必ずどこかに隠れているはず――そう思って見ていると、イワークの影が僅かに揺らいでいる。成程、灯台下暗しという訳だ。

 

 タケシは気づくか?

 

 焦った顔からはまだ気づいた様子はない。しかし、呪いの進行は進んでいる。既に体力は半分持って行かれているはずだ。

 フィールドのどこかに隠れているというのは推測できているようで、『うちおとす』を四方八方に使って、ムウマージを炙り出そうとしているが足元にいる以上当たらない。

 その間に体力の2/3は奪われ、もう直体力がなくなる。ここまでかとも思ったが、焦ったタケシはイワークに「自分に『ドラゴンテール』だ!」というある意味自爆のような指示を出した。

 

 だが、これは意外にも正解かもしれない。『くろいまなざし』はトレーナーの意思でポケモンを交換するのを防ぐ技だが、『ドラゴンテール』は強制交換技だ。自分自身の技の効果によってボールに戻れば、交換封じを突破することが出来る。

 

 ギリギリの所でタケシがイワークをボールに戻し、ゴローニャがフィールドに飛び出てきた。

 マツバも、まさかこんな方法で突破されるとは思わなかったようで、「素直にとどめを刺すべきだったね」と苦笑いしながら、ムウマージをボールに戻している。

 

 ムウマージも『のろい』を使った影響で体力をかなり減らしているし、突っ張るのは厳しいと判断したのだろう。再びゲンガーがフィールドに出て、ステロのダメージを受けているが、まだムウマージよりは体力が上だ。

 

 タケシは迷わずに『じしん』を指示する。俺のゲンガーみたいな特例でもない限り、大体のゲンガーの特性は『のろわれボディ』だ。どくタイプを複合しているゲンガーはじめん技が弱点だし、選択としては当然と言って良かった。

 

 しかし、マツバとてゲンガーがじめん技に弱いのは百も承知のようで、『ふいうち』で先制攻撃を仕掛け、その攻撃の勢いでゲンガーを宙へと逃がしている。ヤナギ戦で俺がウソッキーにやらせた回避と同じ方法だ。

 じめん技はある程度の衝撃は飛んでいても当たるが、流石に上過ぎると当たらない。おまけに、『ふいうち』のせいでまた『がんじょう』が消えたし、一石二鳥の回避方法だ。

 

 ならばと、次にタケシは『ストーンエッジ』を指示している。効果抜群ではないが、タイプ一致技で大ダメージを狙おうという判断だな。

 だが、マツバは『かげぶんしん』で的を増やして攻撃を回避する。元々命中率の高くないエッジをさらに避け易くしようという判断のようだ。

 しかし、それはタケシも想定済みのようで、わざと拡散された『ストーンエッジ』が『かげぶんしん』を消していく。俺とジム戦をした時に使った命中率を逆に利用した分身殺しだ。

 

 本体を絞り切ったタケシが、『いわなだれ』でゲンガーの動きを封じる。これは流石によけきれないようで、ゲンガーもダメージを受けていた。

 そのままとどめとばかりに、『じわれ』を指示する。当たれば一撃必殺の大技だ。『いわなだれ』で怯んでいる今、ゲンガーに避けるすべはない。

 

 だが、ギリギリでマツバは『スキルスワップ』を指示した。特性を入れ替える技だ。これでゲンガーの特性が『がんじょう』になり、一撃必殺技は特性によって無効化される。実は『がんじょう』は、HPが満タンの時に即死を避けられる効果とは別に、一撃必殺を無効にする効果があるのだ。

 

 まさかそんな方法で必殺の一撃を回避されるとは思わなかったのか、タケシも言葉を失っていた。

 その隙にゲンガーの『さいみんじゅつ』が決まり、ゴローニャがその場に崩れ落ちる。しかし、ゲンガーは既に四つ技を使っているため、マツバはゲンガーをボールに戻してムウマージを再びフィールドに送り出してきた。

 

 再びステロのダメージを受けているが、まだギリギリで体力が残っているようだ。タケシが懸命に声をかけるが、目を覚ますことなくゴローニャは『エナジーボール』で戦闘不能に持って行かれた。

 イワークに交換して、『うちおとす』をしていればまだワンチャンあったか? いや、そもそも交換は無理か。『くろいまなざし』があった。

 

 たらればの話になるが、イワーク交代の際に、『ドラゴンテール』を影に隠れていたムウマージに当てて交換できていれば、ステロのダメージで先に倒せたかもしれないな。

 

 何にせよ、テクニカルなバトルだったが、これでジョウトが四勝一敗で大幅にリードを広げた。

 ジョウト側としては既にセーフティーラインに入っている状態だ。仮にここから全敗しても、引き分けになるし、残る三試合のうち一勝でも取ればそれでジョウトの勝ちである。

 

 カントー側の四天王であるキクコが、「悪くはないんだけど、勝ちきれないね」と苦言を口にしていた。

 シバはカントーとジョウトを同時に受け持っているが故に、あまり言葉を口にしないが、「勝負は時の運でもある」とだけ言っている。

 

 カントー出身の俺としても、このままずるずると負けて欲しくないと思いながらモニターを見ると、次の対戦はカントーがカスミさん、ジョウトがアカネになった。

 

 前に話しかけられたのを覚えていたようで、カンナが「カスミちゃんね」と名前を口にしている。

 そのままブルーが「実力はどうなの?」と聞いてきたので、「みずタイプの使い方は俺と互角」とだけ返しておいた。

 

 それをいい評価に取るか、悪い評価に取るかで、俺がこのメンバーにどう思われているかがわかると思っての発言だが、どうやら思いの外好意的に受け止められたようだ。俺と関わりのないキクコでさえ「期待できそうだね」と笑みを浮かべている。

 

 頼むぞ、カスミさん。ここで負けたら俺の評価も下がるんだ。カントーの意地を見せてやれ!

 

 

 

 




 原作との変化点。

・エキシビションマッチ第五試合が開始された。
 タケシVSマツバ。実はタケシはかなり緊張しており、もう後がない状況やジムリーダーとしての恥ずかしくないバトルを見せなきゃという強迫概念にも駆られてステロ戦術を取った。が、本当は後半のように、強力な技を上手く使って相手を追い詰めていくのが本来のタケシスタイル。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.55

 ピジョット Lv.52

 バタフリー Lv.52

 ドサイドン Lv.54

 フシギダネ Lv.52

 リザードン Lv.57

 ゼニガメ  Lv.52

 キングラー Lv.52

 カモネギ  Lv.52

 エビワラー Lv.52

 ゲンガー  Lv.53

 オコリザル Lv.52

 イーブイ  Lv.51

 ベトベトン Lv.51

 ジバコイル Lv.51

 ケンタロス Lv.51

 ヤドラン  Lv.51

 ハッサム  Lv.51

 トゲキッス Lv.46

 プテラ   Lv.52

 ラプラス  Lv.51

 ミュウツー Lv.71

 バリヤード Lv.51

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.47

 カビゴン  Lv.46

 ニョロゾ  Lv.45

 ヘラクロス Lv.43

 メガニウム Lv.43

 マグマラシ Lv.43

 ラティアス Lv.30

 デルビル  Lv.43

 ワニノコ  Lv.43

 ヨルノズク(色違い) Lv.43

 カイロス(部分色違い) Lv.43

 ウソッキー Lv.43

 バンギラス Lv.55

 ゴマゾウ  Lv.30

 ギャラドス(色違い) Lv.34




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#083 『エキシビションマッチ 第六試合』

 12歳 μ月ρ日 『エキシビションマッチ カントーVSジョウト 第六試合』

 

 カントー側は後がなくなり苦しい状況になったが、カスミさんは思いの外余裕そうな表情を浮かべている。

 いや、あれでカスミさんは結構真面目な性格だし、負けられないというプレッシャーはかなりのもののはずだ。むしろ、重圧に飲み込まれないために、余裕を装っているのかもしれないな。

 

 みずタイプ対ノーマルタイプの試合だ。相性的には五分、しかしカスミさんは俺とアカネの本気バトルを見ているし、ミルタンクという切り札は把握しているだろう。

 情報アドを生かして、有利に立ち回って欲しい所だが、あのミルタンクは想像以上に強いからなぁ。

 

 どうなるかと思いながらバトルを見守る。カスミさんの一体目はヌオー、アカネの一体目はプクリンだった。

 あのプクリンが俺と戦った時と同じ個体なら、かなりフットワークの良いポケモンだったはずである。対するカスミさんがヌオーを出したのは、おそらくでんき技を警戒してのことだろう。レベルに多少不安はあるが、そこは立ち回りでカバーするつもりと見た。

 

 ふと見ると、ラティが特別席のガラスにへばりつくように、「カスミ、がんばる」と応援している。何だかんだ一番お世話してくれるのはカスミさんなので、ラティはカスミさんが大好きなのだ。

 

 フィールドに目を戻すと、カスミさんがヌオーに『マッドショット』を指示していた。威力こそ55と低いものの、当たれば確定で相手の素早を一段階下げる技だ。俺のジム戦でプクリンの動きを見ていただけあって、なかなか良い技のチョイスである。

 しかし、こちらの予想を遥かに超えて、プクリンは機敏な動きで『マッドショット』をかわしていく。アカネのプクリンの敏捷性が高いのは遠距離攻撃を凌ぐためだ。近距離戦になれば、特性の『メロメロボディ』で行動を縛れるし、対遠距離戦は死ぬほど練習しているのだろう。

 

 アカネはスタンダードに弱点を攻めるようで、『くさむすび』を指示した。ヌオーには四倍弱点だ。当たれば、最悪一撃で戦闘不能も有り得る。

 

 だが、カスミさんもそこは対策しているようだった。『じならし』を指示して、『くさむすび』ごと地面を踏みつぶしてかわしている。地面を鳴らすから『じならし』なのだが、カスミさんは地面を均す意味で『じならし』を使ったようだ。カツラよりなぞなぞにセンスあるかもしれん。

 

 弱点による攻撃は対策されているとわかったアカネは、次に『トライアタック』を指示してきた。

 タイプ一致で追加効果も期待できる使い勝手の良い技で動きを封じようという狙いだろう。基本的にアカネは堅実な戦い方をするから動きを読みやすいが、その堅実さが強いので弱点にはならない。

 

 対するカスミさんはヌオーを中央の水のフィールドに飛び込ませた。みずタイプの有利を生かそうということだ。陸上ではのんびりなヌオーも水中では素早い。これでは的を絞るのは難しいだろう。

 アカネもこれでは技の無駄撃ちになるとわかったようで、プクリンに攻撃を止めさせている。周囲が静かになったことで、ヌオーが水からひょこっと顔を出した。

 

 一進一退の攻防だ。まだ互いにノーダメージな所を考えても、先に一撃を入れた方がこのバトルの流れを掴める。

 

 アカネもいろいろと考えているようだが、相手に近距離に持ち込ませようとしているのがばれている時点で成功は難しいだろう。ただ、これまでの応酬でそれを理解したようで、『ひかりのかべ』を指示して、プクリンをヌオーに向けて突っ込ませた。

 相手が来ないなら、自分から行けばいいということか。カスミさんも『だくりゅう』を指示してプクリンを近づけないようにしようとしているが、威力が半減していることもあって、プクリンは気にせず距離を詰めていく。

 

 そのままゼロ距離まで来ると、『じゃれつく』を指示して、プクリンをヌオーにじゃれつかせる。威力90のフェアリー物理技、タイプ一致で火力はさらに上がっていた。おまけに、下手に抵抗すれば『メロメロボディ』があるので、ヌオーも思うように抵抗できないでいる。

 カスミさんも仕方ないとばかりに、『あくび』を指示した。ただ、このバトルはジム戦ではないので交代が出来る。俺の時のようにその場で寝かせるのは不可能だ。

 

 しかし、無防備に攻撃される状況はどうにか出来たようで、アカネは素直にプクリンをボールに戻した。カスミさんもまた、ヌオーをボールに戻している。

 

 アカネが次に出したのは、やはりミルタンクだった。カスミさんもそれを見て、スターミーを出していく。

 スターミーは性別がないので『メロメロ』が効かない。アカネの凶悪な技のうちの一つを自然と潰した形となった。

 

 だが、もう一つの必殺技はそのままだ。当然のようにアカネは『まるくなる』からの『ころがる』を指示して攻撃を仕掛けてくる。

 この『ころがる』が脅威なのだ。俺のヤドランですらまともに受けられないくらいに洗練されたパワーは、カスミさんのスターミーでも受けるのは不可能だろう。

 

 どう対処するか見ていると、カスミさんは『リフレクター』を何重にも張るというどこかで見たことあるような技の使い方をしてきた。

 壁にぶつかりながら、段々とミルタンクの動きが鈍り、スターミーにぶつかる直前に完全に制止する。そのまま『ハイドロポンプ』を指示して、ミルタンクを吹っ飛ばした。

 

 まさか、『ひかりのかべ』バリヤードエディションを、『リフレクター』で再現するとはな。

 一瞬で多段展開するので、壁の効果が続かないという弱点は一緒のようだが、初見のアカネは気づけていないようだ。必殺のまるころが、まさかこうもあっさり攻略されるとは思わなかったようでかなり動揺している。

 

 その隙を突いて、カスミさんはさらに攻め立てた。追撃の『ハイドロポンプ』を指示している。ただ、プクリンの『ひかりのかべ』の効果がまだ残っているので、ダメージは半減されていた。

 アカネは『ミルクのみ』を指示して、ミルタンクの体力を回復させていく。体力の半分を回復するという回復技だ。俺の時は別の技を使わせることで何とか防いだが、この回復技を攻略しないとミルタンクはほぼ不死身と言っていいだろう。

 

 しかし、この一連の攻防が終わると同時に、プクリンの『ひかりのかべ』の効果は切れたようで特殊攻撃の威力が元に戻った。

 

 カスミさんもまだまだ勝負はこれからだとばかりに、『こうそくスピン』からの『ハイドロポンプ』を指示している。『こうそくスピン』から別技への連携はカスミさんの十八番だ。

 追加効果で素早を上げつつ高速回転するスターミーから、勢いよく水を叩きつけられ、ミルタンクが苦しそうな声を出している。アカネは即座に『ミルクのみ』を指示した。与えたダメージもすぐに回復し、ミルタンクも元気になっている。

 

 この技が続く限り、ミルタンクは倒れない。

 

 とはいえ、回復技はPPが5しかないのが弱点だ。攻めて攻めて攻めまくれば、いずれはPPも切れて回復できなくなるだろう。

 カスミさんもそう考えているようで苛烈に攻め立てているが、完全に防御態勢に入ったミルタンクを崩せずにいる。どうやらダメージを最小限に抑えてPPを節約しているようだ。

 

 こうなると、不利なのはカスミさんだな。

 

 そもそも『ハイドロポンプ』も威力が高い代わりにパワーを使うので多く撃てない。ゲームでもPPは5しかないのだ。カスミさんのスターミーも、撃てて後一、二発だろう。

 

 残りの技回数を気にしたカスミさんの攻勢が弱まると、今度はアカネが攻撃を仕掛けてきた。『10まんボルト』を指示して、反撃を仕掛けてくる。

 おそらく、先程の『リフレクター』がまだ残っていると勘違いして特殊技を撃ってきたようだ。ミルタンクは特攻があまり高くはないし、スターミーの特攻ならみず技で相殺できる。

 

 だが、カスミさんは回避を選んだ。最後の技は『ミルクのみ』攻略に使いたいようで、何とか攻撃を避けようとしている。

 しかし、自由に攻撃ができるミルタンクは果敢に攻撃を仕掛けていく。いくらスターミーのスピードが上がっているといっても、こうも連続で仕掛けられると避け切れなかったようで、最終的に『10まんボルト』がスターミーに直撃した。

 

 ダメージを受けてスターミーの足が止まる。そこに追撃の『10まんボルト』が指示された。

 カスミさんは動かない。どうしたんだ? いくらミルタンクの特攻が低いとはいえ、回数を重ねられれば厳しいはずだ。だが、カスミさんは黙ってスターミーを見守っていた。

 

 ピンチになったカスミさんを見て、シゲルが「ここまでかな」と呟く。周囲にいた全員も同じ感想だったようだが、ラティだけが振り返って「まけない!」と大きな声を出した。

 

 その声が聞こえたはずはないが、カスミさんはにやりと笑みを浮かべて『いたみわけ』を指示する。

 相手と自分の体力を均等にする技だ。当然、体力がほぼ満タンのミルタンクは体力が半分に減り、ミリだったスターミーは体力が半分回復する。

 

 アカネがしまったという表情を浮かべて、すぐにミルタンクに攻撃を中止するように指示したが、間に合わず追撃のまんボルがスターミーを襲う。同時に、カスミさんが再度『いたみわけ』を指示して、ミルタンクの体力を減らし、スターミーの体力を回復させた。

 

 これでお互いの体力は約1/3だ。アカネは即座に減った体力を回復するために『ミルクのみ』を指示しようとするが、それよりもスターミーが動く方が早かった。

 この機をずっと狙っていたとばかりに、再度必殺の『こうそくスピン』からの『ハイドロポンプ』でミルタンクを戦闘不能にしていく。

 

 おそらく、『ミルクのみ』の回復を見てからこれをずっと狙っていたのだろう。相手の体力をギリギリまで減らしてからの一撃必倒を。

 思えば、あのカスミさんが何の対策もなくでんき技をただでくらうなどあり得なかったのだ。捕まった後も不自然に動かなかったし、そもそも逃げに徹しようと思えば『こうそくスピン』を利用した小技などもあった。わざと捕まった振りをして体力を減らさせたのだ。

 

 これにはここにいる全員が、いや――ラティを除いた全員が騙された。ラティだけが、カスミさんの勝利をずっと信じていたのだ。

 

 審判により、カスミさんの勝利が宣告されると、ラティがぴょんぴょん跳ねて喜んでいる。

 カスミさんもまた観客席に向かってドヤ顔をかまそうとしていたが、居たはずの俺達がいつの間にかいなくなっていて、「どこ行ったのよ! ちゃんと見てたんでしょうね!」と怒っていた。どうやら、タケシ戦で移動したのに気付いていなかったらしい。いや、見てましたよ。

 

 シゲルは真っ先に騙されたことを恥じていたが、これは仕方ない。四天王の面々ですらカスミさんが負けたと思ったし、付き合いの長い俺ですら一瞬ヤバいと思ったのだ。演技派だったカスミさんを褒めよう。

 

 カスミさんが勝ったことで、何とか盛り返しつつあるが依然として四勝二敗でカントーは不利な状況と言える。

 バトルも半数が終わり、残っているのはカントーがナツメとグリーン、ジョウトはミカンちゃんとヤナギの二人だ。

 

 残りが四人ということで、次の組み合わせが決まると必然的に最終試合の組み合わせも決まる。

 どうやらスタッフもその辺りは配慮しているようで、モニターには第七試合と第八試合二つの組み合わせが表示できるようにされていた。

 

 見ると、第七試合がグリーン対ヤナギ。第八試合がナツメとミカンちゃんの組み合わせになっている。

 グリーンとは中途半端なバトルになってしまったが、その実力はジムリーダーとして申し分なかったし、ヤナギの爺も本気を出せばどうなるかわからない。

 

 そういえば、ここにレッドを始め、ブルー、イエローと揃っているが確かこいつらはグリーンと知り合いだったはずだ。

 俺なんかよりグリーンに詳しいだろうし、状況をどう見るか聞いてみようとブルーの方を見ると、いつの間にかレッドが俺の真ん前まで来ていた。ぶっちゃけ、全く気付かなかったが、どうやら俺に用があるらしい。

 

 だが、何用か尋ねるも黙っている。どうすればいいかわからず困り果てていると、仕方ないとばかりにブルーがレッドに寄って行った。

 

「え? それ本当? ラティちゃんってポケモンなの?」

 

 驚いたような声を出すブルーに対し、レッドがこくんと頷いている。

 ばれたか。最近のラティは言葉も覚えて、ちょっと見た目よりも子供な感じで即ポケモンだとは見抜きにくくなっているのだが、どうやらレッドは見抜いてしまったらしい。しっかし、ここでその話はされたくなかったなぁ。

 

 何とか誤魔化せないかとも思ったが、既に周りの視線がラティに集中している。本人はそれに気づかず、いつものように笑っているが、知らぬ存ぜぬで通すのは無理そうだった。

 

 ここにいるのはカントー、ジョウトの四天王、チャンピオンに、シゲル、ハヅキ、イエローだけか。まだマシな状況だと観念して、ラティに変身を解くように指示する。

 ラティがカノンの姿から伝説のポケモンであるラティアスに姿を変えると、流石に動揺が走った。シゲルだけは頭に手を当てて「君はどれだけ非常識なんだ」と呟いているが、俺だって好きでラティをゲットした訳じゃないわい!

 

 一応、全員に向かって他言無用をお願いする。ラティが伝説のポケモンだとばれると旅がしづらくなるからな。

 

 有難いことに、ここにいる全員はすぐに了承の言葉を返してくれた。こちらが信用して正体を明かしたのも理解してくれているようで、一同を代表したワタルが、「君たちの信頼を裏切る真似だけはしない」と宣言し、全員が頷いている。

 これまで外から様子見をしていたジョウト四天王達も、ラティを見た後は流石に話に入ってきた。特にカリンはラティをいたく気に入ったようで、ふわふわの体を撫でて笑みを浮かべている。意外と可愛いものが好きなようだ。

 

 キョウとも久しぶりに話した。「その節はすまなかったな」と謝罪から入ったし、妹から貰うものは貰ったので許すことにする。

 イツキはエスパーポケモンの気配がわかるようで、「君、エスパータイプを持ってるね?」と声をかけてきた。

 とはいえ、流石にそれがミュウツーだとまではわからなかったようだ。ドヤ顔で見せてやってもいいのだが、これ以上伝ポケ自慢すると、ダイパ編のワカメみたくなりそうだったので流石に自重した。

 

 カリンがラティをもふもふしながら、「この子頂戴?」と言ってきたのでノーを返す。

 何だかんだラティも大事な俺のポケモンなのだ。いろいろ手がかかって大変だが他人に譲るつもりはない。ラティには人間の姿に戻るように言って、試合の続きを見ることにした。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・エキシビションマッチ第六試合が開始された。
 カスミVSアカネ。唯一ポケスペと組み合わせが変わらなかった。まぁ、今回のエキシビションの組み合わせは、最終試合以外はルーレットアプリでガチのランダム決めしたので偶然の結果だったりする。

・ラティの正体がばれた。
 最強さんの目は誤魔化せなかった。実はイエローも何となく気配で察してはいたが、空気を読んで知らないふりをしてくれていた。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.55

 ピジョット Lv.52

 バタフリー Lv.52

 ドサイドン Lv.54

 フシギダネ Lv.52

 リザードン Lv.57

 ゼニガメ  Lv.52

 キングラー Lv.52

 カモネギ  Lv.52

 エビワラー Lv.52

 ゲンガー  Lv.53

 オコリザル Lv.52

 イーブイ  Lv.51

 ベトベトン Lv.51

 ジバコイル Lv.51

 ケンタロス Lv.51

 ヤドラン  Lv.51

 ハッサム  Lv.51

 トゲキッス Lv.46

 プテラ   Lv.52

 ラプラス  Lv.51

 ミュウツー Lv.71

 バリヤード Lv.51

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.47

 カビゴン  Lv.46

 ニョロゾ  Lv.45

 ヘラクロス Lv.43

 メガニウム Lv.43

 マグマラシ Lv.43

 ラティアス Lv.30

 デルビル  Lv.43

 ワニノコ  Lv.43

 ヨルノズク(色違い) Lv.43

 カイロス(部分色違い) Lv.43

 ウソッキー Lv.43

 バンギラス Lv.55

 ゴマゾウ  Lv.30

 ギャラドス(色違い) Lv.34




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#084 『エキシビションマッチ 第七試合』

 12歳 μ月ρ日 『エキシビションマッチ カントーVSジョウト 第七試合』

 

 ラティの正体がばれるというハプニングはあったが、気を取り直してレッド、ブルーにグリーン対ヤナギのバトルについての見解を聞くことにする。

 しかし、その評価は俺が想像していたものとは少し離れたものだった。レッドは相変わらず何を言っているかわからないが、ブルーによると、「本気のグリーンなら負けないと思うけど、今回バトルするのはトキワシティジムリーダーとしてのグリーンだからね。相手がジムリーダーの中でも経験豊富なヤナギさんと考えると有利とは言えないかな」ということらしいが、その通常とジムリーダーとしての違いとやらが良くわからない。

 

 首を傾げていると、シゲルが補足してくれた。「トキワのジムリーダーとして戦う以上、最低でも使うポケモンはじめんタイプで統一してくるだろう。グリーン兄さんはオールラウンダータイプだし、タイプ統一のパーティだと真の力は発揮されないということさ」と話している。

 

 成程と、納得はしたが一つ気になった。グリーン兄さんとは? お前に兄などいなかったはずだが?

 

「グリーン兄さんは僕の親戚さ。僕たちがまだ小さな頃、マサラにもいたんだぞ? まぁ、ポケモンの修行ですぐにタンバに出てしまったけどね」

 

 そうだったか? 流石にそこまで幼少の頃の記憶はない。聞けば、ブルーやレッドもマサラ出身らしいが、彼らも俺のことは知らないようだったし、同じ街に住んでいたからと言って必ず知り合いという訳ではないということだろう。

 

 とりあえず、俺が想像している以上にグリーンが不利らしいことはわかった。確かに、じめんタイプ縛りをするならタイプ相性的にもこおりタイプは厳しいだろうし、ヤナギの爺さんも何だかんだ一癖あるタイプのトレーナーだからな。

 

 出来ればカントーには勝ってほしいという出身地びいきをしつつ、フィールドに目を向けると、丁度バトルが開始される所だった。

 グリーンの一体目はドンファン、ヤナギの一体目はデリバードと、やはりブルーやシゲルの言った通り、グリーンはじめんタイプのポケモンを出している。それを見たブルーが、「やっぱりね。これで負けたら鼻で笑ってやりましょ」と馬鹿にした目を向けていた。

 

 しかし、ニューサトシの状況分析だと、じめん単タイプのドンファンとこおり・ひこうタイプのデリバードのバトルなら、そこまでドンファン不利だとは思わない。

 確かに、ドンファンはこおりタイプが弱点の一つだが、デリバードはいわタイプが四倍弱点だ。ドンファンはじめんタイプであるからこそ、いわタイプの技も豊富に覚える。不一致技でも四倍の弱点なら、状況的には五分と言っていいだろう。

 

 グリーンは開幕で、『ストーンエッジ』を指示している。弱点を当然のように狙うようだ。

 対するヤナギは『トリプルアクセル』を指示していた。こおりタイプ版の『トリプルキック』というような技だが、エッジの岩を上手く弾いている。熟練の技だな。

 

 受け流した勢いそのままでデリバードがドンファンとの距離を詰めていく。ヤナギは次に『れいとうパンチ』を指示した。

 当然、受ければ大ダメージだが、グリーンは『こうそくスピン』を指示して、回転の勢いでデリバードを吹き飛ばしていく。

 

 デリバードも空中で体勢を立て直しているようだが、グリーンは追撃に『ころがる』を指示した。

 これもまた弱点のいわタイプ技だが、一度使ったらしばらく同じ技を続けなければいけないデメリットも存在する。アカネのように、まるころを極めているなら必殺になり得るのだろうが、そうでなければ回転の隙を突かれかねない。

 

 実際、デリバードはドンファンの『ころがる』が当たる直前に何かを投げた。ラッピングされた四角の箱――『プレゼント』だ。

 

 デリバードの得意技と言ってもいい技だが、相手へ与えるダメージがランダムに決まる上、1/5の確率で回復させるという運の要素が強い使いにくい技とも言っていいだろう。

 実際、俺もバトルで『プレゼント』を使ってくるトレーナーを見たことがない。それだけマイナーな技のはずだが、ヤナギはこの状況で迷わず『プレゼント』を指示していた。

 

 ドンファンの目の前に置かれた箱が爆発を起こす。デリバードも爆風を受けたが、自慢の羽を使って空中で上手く体勢を整えていた。

 爆発の直撃を受けてドンファンも吹き飛んでいるが、咄嗟にグリーンが『こうそくスピン』を指示することで、何とかバランスを取り直してダメージを少なくしている。

 

 しかし、ドンファンの体勢が立て直されるのと同時に、ドンファンの周囲に再び四角い箱が乱雑に置かれていた。

 それらが順々に爆発を起こし、ドンファンにダメージを与えていく。だが、グリーンもやられるがままではなかった。また『こうそくスピン』で爆風を弾き飛ばし、ダメージを最低限のものに抑えている。

 

 とはいえ、まさか『プレゼント』を爆弾に見立てて使ってくるとはな。回復されたらどうするつもりだったのだろうか?

 

 そう思っていると、グリーンも同じ疑問を感じていたようで、「『プレゼント』はランダム性の高い技のはず……」と口にしている。

 だが、ヤナギはフッと笑みを浮かべながら、「回復の箱は実は微妙に通常のものと形状が違う。そこを判別すれば相手を回復するようなことにはならない」と話した。

 

 確かに、攻撃と回復が判別できれば『プレゼント』を攻撃技として使用できるかもしれないが、そんなことが本当に有り得るのだろうか? 

 実際、ヤナギは回復の箱を使っていないが、それはただの運だとも言える。グリーンもまた疑問を解消できてはいないような表情を浮かべていた。

 

 それを見たヤナギが「では、証明して見せよう」と、デリバードに自分自身へ向けて『プレゼント』を指示した。いくつかのプレゼントはハズレのようで、自分に当たらないようにポイポイ後ろへ投げている。

 後ろで『プレゼント』が爆発する中、そのまましばらく続けると、ようやくアタリを引いたようでプレゼントをその場で開いた。一見して違いがあるようには見えないが、確かにデリバードの体力が回復している。これで少なくとも、ヤナギのデリバードが攻撃用、回復用の『プレゼント』を選別しているのは間違いなかった。

 

 先程までのバトルで与えたダメージも回復され、グリーンが不利な状況になっていく。

 とはいえ、まだドンファンの体力も半分以上あるということで、バトルは続行するようだ。再び、『ころがる』を指示して、デリバードへ突撃させた。

 

 ヤナギもまた再び『プレゼント』爆撃で動きを封じるつもりのようで、デリバードがドンファンに向けてプレゼントを投げていく。

 しかし、グリーンはその瞬間、『こうそくスピン』を指示して、縦に回転を強くした。『ころがる』中は他の技は使えないはずだが、『ころがる』自体を阻害しなければ技が使えるようで、回転を強めたドンファンが加速してデリバードに突撃する。

 

 また、加速したことで、『プレゼント』の起爆タイミングがずれた。ドンファンの後ろで『プレゼント』が爆発し、爆風がさらなる追い風となる。想定外の突進に、デリバードも回避が間に合わなかった。

 

 ドンファンの必殺の一撃がデリバードを弾き飛ばす。勢いのついた四倍弱点攻撃だ。タイプ不一致とはいえ、かなりのダメージが入ったはずである。

 流石に空中で体勢は立て直せなかったようで、デリバードが地面に叩きつけられた。ドンファンはさらなる追撃のために『ころがる』で距離を詰めていく。

 

 ヤナギはそこで一度デリバードをボールに戻した。攻撃対象を失い、ドンファンも『ころがる』を解除する。そのタイミングでグリーンもドンファンをボールに戻した。

 

 お互いに技を一つ残していたし、ヤナギには『プレゼント』による回復もあったはずだ。それでも戻したのは、安全策を取ると同時に、万が一の時の保険として残しておきたいという判断だろう。

 

 ヤナギは最後の一体としてイノムーを、グリーンは最後の一体としてドサイドンを出してきた。

 確か、タンバでシジマとバトルをしていた時はサイドンだったはずだが、どうやらこの短期間で進化させたらしい。

 

 セキエイ大会で俺がドサイドンを出した時もそうだったが、やはりジョウトでもドサイドンは珍しいようで観客が賑わっている。チッ、予選が先ならこの歓声は俺のものだったのに。

 

 ドサイドンの特性が『ハードロック』なら、弱点の攻撃で受けるダメージが軽減される。それにパワーが強いからタイプ不一致の技でも十分に相手にダメージを与えられるはずだ。

 対するイノムーはステータス的にもドサイドンに劣っているし、タイプ一致のこおり技でそこまでダメージを与えられないとなると、若干ヤナギの方が不利な感じがしなくもない。

 

 どうなるかと思いながら見ていると、先に動いたのはヤナギだった。『あられ』を指示して、フィールドの天候を変えている。わざわざ技を一つ使ってまで天候を変えた所を見るに、イノムーの特性は『ゆきがくれ』で間違いない。霰状態の時に、相手の命中率を下げる特性だ。

 

 続けて、『ふぶき』を指示していく。フィールドが霰状態の時、『ふぶき』は必中になる。いくらドサイドンとはいえ、特殊のタイプ一致技、それも大技を受ければただではすまないだろう。

 

 対するグリーンは『まもる』で防御を固めた。大体のトレーナーは『あなをほる』で地中に逃げるという策を取るが、イノムーはじめんタイプも持っているし、タイプ一致で『じしん』が使える。

 この世界の奴は大概が、『あなをほる』で地中にいる時は無敵だと思っているが、その状態で『じしん』や『マグニチュード』を受けると二倍のダメージを受けるのだ。当然、知っている奴は、『じしん』の危険がある相手に『あなをほる』は使わない。

 

 完全防御技で『ふぶき』を凌ぐと、グリーンは反撃とばかりに『ロックカット』を指示してスピードを上げていく。回避力上昇ではなく、距離を詰めるために速度を上げたのだろう。

 対するヤナギは再び『ふぶき』を指示した。

 だが、今度はダメージを受けても進むことを選択したようで、『ふぶき』のダメージを受けて尚、進撃は止まらず、イノムーとの距離を詰めていく。ダメージの受け方的に、やはり特性は『ハードロック』のようだ。

 

 手が届く距離になると、グリーンは『アームハンマー』を指示した。威力の高い弱点技で攻めようというつもりだろう。

 対するヤナギも三度、『ふぶき』で迎撃する。いくら特性でダメージが軽減されているとはいえ、連続で攻撃を受ければドサイドンとて無事では済まない。

 

 しかし、素直に『ふぶき』をくらうつもりはないようで、ドサイドンは『アームハンマー』で顔面を横殴りにし、『ふぶき』の発動自体を妨害して攻撃を回避していく。

 続けて、ドサイドンが『アームハンマー』の二発目を打った。アムハンは攻撃後に素早が一段階下がるデメリットがあるため、『ロックカット』で強化した速度はこれで帳消しになっている。

 

 だが、イノムーが受けたダメージは大きい。

 

 ドサイドンの強力なパワーから繰り出されるかくとう技は、タイプ不一致でもかなりのダメージを与えているようで、イノムーがされるがままになっている。

 しかし、三度目のアムハン時に『ゆきがくれ』の効果が出たようで、ドサイドンが攻撃を外した。その隙に、ヤナギが『ふぶき』を指示し、攻撃の勢いを利用してイノムーが再び距離を取る。

 

 とはいえ、イノムーは特殊攻撃があまり強くない上、ドサイドンの特性によってダメージは軽減されていた。このまま同じことを繰り返せば、グリーンの勝ちは揺るがない。そう俺が考えた瞬間、イノムーの体が光りだした。

 

 進化の光――イノムーの進化条件は『げんしのちから』を覚えた状態でレベルを上げることだ。ヤナギのイノムーは長い間、氷漬けになっていて、他の本気ポケモンに比べてレベルが低かった。それ故に、このバトルで経験を積み、レベルが上がったのだろう。

 

 イノムーがマンムーに進化し、観客席が大盛り上がりを見せる。

 

 グリーンは『ロックカット』で再びスピードを上げて、ドサイドンを突っ込ませた。

 ヤナギも進化したこの勢いのまま『ふぶき』を続けるかと思ったが、接近戦に切り替えるつもりのようで、『ダブルアタック』と『こおりのキバ』を組み合わせた近接コンボで迎撃をしてきた。

 

 互いに殴り合いになるも、マンムーに進化したことで攻撃力はドサイドンに並ぶものとなっている。

 また、『ダブルアタック』を絡めたコンボで、『アームハンマー』一発に対して二度攻撃が当たっているのでダメージも増えている。このまま行けば、ギリギリでドサイドンの方が早くダウンするだろう。

 

 だが、グリーンもすぐにそれを理解したようで、二度目の攻撃を受けると同時に、そのまま『がんせきほう』を指示している。

 必殺の一撃でとどめをさそうということのようだ。対するヤナギもまた『ふぶき』を指示した。どうやら、この時のためにパワーを取っておいたらしい。

 

 進化したことで素早が上がったマンムーが先に、『ふぶき』をドサイドンに放つ。僅差で負けたドサイドンが続けて『がんせきほう』を撃ちだした。

 

 先に『ふぶき』がドサイドンに命中する。直撃は合計三回、おまけに近接でもダメージを受けているし、このまま倒れてもおかしくないが、特性の軽減のおかげもあってギリギリでドサイドンは持ちこたえた。

 対するマンムーにも『がんせきほう』が直撃する。こちらは『アームハンマー』が三回に加えて、いわタイプ最強の物理技ということもあって耐えきれなかった。進化してもダメージがなくなる訳ではない。とどめを刺し切れなかったのは爺の不覚である。

 

 グリーンとヤナギがドサイドンとマンムーをボールに戻すと、互いに握手をした。

 またグリーンの勝利により、カントーが追いついて来ている。次の試合でカントーが勝てば4勝4敗だ。相手のメンツを考えればジョウト側は負けてもいい状況だが、最終戦へ向かうミカンちゃんの表情はとても負けてやるという人間の表情ではなかった。

 

 あくまでバトルには本気ということだろう。

 

 カントー側からはナツメがテレポートでフィールドに現れる。こちらもやる気は十分なようで、絶対に負けないという強い意志を感じられた。エスパー対はがね、普通に考えればナツメが不利に見えるが、どうなるかが楽しみだ。

 

 

 追記。グリーンが勝ったことで、レッドとブルーがつまらなそうな顔をしている。そんなに馬鹿にしてやりたかったのか、こいつら。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・エキシビションマッチ第七試合が開始された。
 ヤナギVSグリーン。ポケスペヤナギではないので、デリバードもホウオウを倒すようなとんでもスペックはしていない。グリーンはじめんタイプ縛りだが、ポケモン自体はガチ育成しているのでポケモンのレベルは高い。マンムーが負けたのは、レベル負けしていたというのも大きい。氷漬けが解除されてからの育成が間に合っていなかった。が、おかげで進化出来た。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.55

 ピジョット Lv.52

 バタフリー Lv.52

 ドサイドン Lv.54

 フシギダネ Lv.52

 リザードン Lv.57

 ゼニガメ  Lv.52

 キングラー Lv.52

 カモネギ  Lv.52

 エビワラー Lv.52

 ゲンガー  Lv.53

 オコリザル Lv.52

 イーブイ  Lv.51

 ベトベトン Lv.51

 ジバコイル Lv.51

 ケンタロス Lv.51

 ヤドラン  Lv.51

 ハッサム  Lv.51

 トゲキッス Lv.46

 プテラ   Lv.52

 ラプラス  Lv.51

 ミュウツー Lv.71

 バリヤード Lv.51

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.47

 カビゴン  Lv.46

 ニョロゾ  Lv.45

 ヘラクロス Lv.43

 メガニウム Lv.43

 マグマラシ Lv.43

 ラティアス Lv.30

 デルビル  Lv.43

 ワニノコ  Lv.43

 ヨルノズク(色違い) Lv.43

 カイロス(部分色違い) Lv.43

 ウソッキー Lv.43

 バンギラス Lv.55

 ゴマゾウ  Lv.30

 ギャラドス(色違い) Lv.34




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#085 『エキシビションマッチ 第八試合』

 12歳 μ月ρ日 『エキシビションマッチ カントーVSジョウト 第八試合』

 

 ナツメ対ミカンちゃんの試合、どちらもメガシンカのテスター故にピンチになれば使ってくるだろう。

 相性的にははがねタイプはエスパー技を半減するので、ナツメの方が不利に見える。だが、それを補って余りある応用性がエスパータイプにあるのは、これまでの試合でも証明されていた。

 

 お互いにモンスターボールを構える。まずはこれまでのジムリーダー同様、相手の戦い方を見極めるための探りの一体目だろう。

 何が出てくるか、どういうバトルをするかを楽しみにしつつ、投げられたボールから出てきたのは、予想外にも互いのエースポケモンであるフーディンとハガネールだった。

 

 いきなりのエース投入に俺が動揺する中、ナツメとミカンちゃんは互いに視線をかわすと、止まることなくキーストーンを取り出す。おいおいまさか、このままメガシンカする気か!?

 

 と、いう俺の驚きを肯定するように、フーディンはメガフーディンに、ハガネールはメガハガネールにメガシンカする。

 当然、会場は前代未聞のメガシンカ対決に歓声が沸く。どうも、殆どのメンツはメガシンカが何だかはわかっていないようだが、とりあえず凄いことが起きているというので騒いでいるらしい。

 

 正直、こちらも顎が外れそうだった。あの二人、この一体で勝負を決めるつもりだ。

 

 ふと、周囲を見ると、シゲルが「いきなりメガシンカとはね。流石はエキシビションマッチの最後を飾るバトルだ」と二人を称賛したり、メガシンカを初めてみるハヅキが「メガ進化……?」と困惑していたりと大賑わいだが、四天王やチャンピオン連中は流石にメガシンカについても知っているようで特に驚いた様子はない。

 

 とはいえ、この世界でメガシンカ同士のバトルなど俺ですら見るのは初めてだ。二人がどういう立ち回りを見せるのかとても楽しみである。

 

 先手を取ったのはミカンちゃんだ。『すなあらし』を指示して、フィールドを砂塵で覆いつくしていく。

 メガハガネールの特性は『すなのちから』だ。天候が砂嵐の時、自分のじめん・いわ・はがねタイプの技が1.3倍になり、『すなあらし』によるダメージを受けないというもので、砂嵐状態でこそ最大の恩恵を受けられる。

 

 しかし、メガフーディンの特性は『トレース』だ。相手の特性と同じ特性になるので、今のメガフーディンは特性が『すなのちから』になっている。タイプ不一致なので最大の恩恵は受けられないが、砂嵐による継続ダメージは期待できないだろう。

 

 また、ミカンちゃんが『すなあらし』を指示するのと同時に、ナツメは『サイコフィールド』を指示していた。

 これでひこうタイプや『ふゆう』などの特性で宙にいない地面に足をつけているのを除いた全てのポケモンは先制技を受けなくなった上、エスパータイプの技の威力は1.3倍になる。これで、効果今一つによる半減はほぼ消えたと言って良かった。

 

 メガフーディンは特殊に強くて物理に弱い。メガハガネールは物理に強くて特殊に弱い。それ故に、互いに強化された一撃は致命傷になり得る。これはすぐにバトルが終わるかもしれないな。

 

 ナツメが『サイコキネシス』を、ミカンちゃんが『ジャイロボール』を指示し、高速回転したメガハガネールがメガフーディンに突撃する。だが、『サイコキネシス』により、その動きが止められ、徐々に勢いは下がっていく。

 しかし、ギリギリで『サイコキネシス』を振り切ったメガハガネールがそのままの勢いでぶつかって行った。ナツメが舌打ちしながら、『リフレクター』を指示して、何とかダメージを軽減させている。

 

 距離を詰めたミカンちゃんがそのまま『かみくだく』で弱点を攻めようとするが、舐めるなと言わんばかりに、再びの『サイコキネシス』でメガハガネールが吹っ飛ばされた。

 タイプ一致の『ジャイロボール』中ならともかく、通常の状態なら動きを止めるのは造作もないということだろう。ミカンちゃんも相手が簡単に勝負を決めさせてくれないとわかると、再び『ジャイロボール』の構えを取った。

 

 ナツメも『サイコキネシス』で勝負をつけるつもりのようで、メガフーディンがパワーを集中させている。

 

 ミカンちゃんが再度、『ジャイロボール』を指示し、メガハガネールが突っ込んでいく。

 だが、ナツメも『リフレクター』で相手の攻撃を下げただけあって、今度は確実にメガハガネールの動きを封じ込めた。

 

 そのまま『サイコキネシス』でじりじりとダメージを与えていく。最初に与えたダメージを含めれば、ダメージは逆転しただろう。このまま一気に戦闘不能まで持って行くとばかりに、ナツメが技を続けようとした瞬間、ミカンちゃんが最後の技として『アイアンローラー』を指示した。

 この技は場にフィールド系の技が発動していなければ使えないはがね技で、威力が130もある大技だ。現在、フィールドにはナツメが使っている『サイコフィールド』があり、それを破壊することで技は発動した。

 

 ミカンちゃんの技で『サイコフィールド』が破壊され、エスパータイプの技の威力が下がる。それにより、『サイコキネシス』の拘束が弱まり、メガハガネールがメガフーディンに強力な一撃を与えた。

 特性でパワーアップしているし、技の威力を考えれば、この一撃で決まってもおかしくない。

 

 しかし、『リフレクター』のおかげで、紙一重でメガフーディンは攻撃を耐えたようだ。ナツメは冷静に最後の技である『アンコール』を指示する。

 これにより、メガハガネールの技は『アイアンローラー』で固定されるが、あの技はフィールド系の技が発動していないと失敗するという厳しい条件があった。当然、メガハガネールは技を失敗し、その間に三度の『サイコキネシス』がメガハガネールを襲う。

 

 ポケモンを交換すれば、『アンコール』は解ける。だが、このバトルはメガシンカ同士の、互いのエースの一対一のバトルだ。

 公式にそんなルールがある訳ではないが、少なくともミカンちゃんはそう思ってバトルに望んでいたようで、メガハガネールをボールに戻さなかった。

 これはあくまで推測だが、もしナツメが同じ状況になったとしても、メガフーディンを戻しはしなかっただろう。

 

 そのままメガハガネールが戦闘不能になり、メガシンカが解除される。同時に、メガフーディンもメガシンカが解除され、元の姿に戻った。

 ミカンちゃんがハガネールをボールに戻し、「お疲れ様」と声をかける。ナツメもまたフーディンに「ありがとう」と声をかけてボールに戻していた。

 

 これでエキシビションマッチは終了だ。

 

 結果は4対4の引き分けだが、どの試合も手に汗握る素晴らしいバトルだったと言っていいだろう。

 カントー四天王もこの結果には満足したようで、良くあの状況から引き分けに持ち込んだものだと感心している。

 

 約数時間のバトルだったが、なかなか楽しめた。

 

 これから昼食休憩を挟んだ後、午後から選考会が始まる。どうやら、選考会は今日一日で終わらせるつもりのようで、かなりのハードスケジュールになりそうだ。

 だが、エキシビションマッチを見て、俺のモチベーションは最高潮まで上がっている。悪いが誰が相手でも負けるつもりはなかった。

 

 もうここに用はないので、ラティを連れて出ていこうとすると、ワタルを筆頭に声をかけられる。どうやら、ジョウト側の四天王は帰るようだが、カントーの四天王連中はこのままここに泊まるらしい。

 聞けば、俺が出るのを聞いて、急ピッチでスケジュールを開けたようだ。カンナやシバが試合を楽しみにしていると声をかけてきたので、「エキシビションマッチに負けない試合を見せますよ」と返した。自分で自分のラインを上げるのがニューサトシの得意技なのだ。

 

 そのままカスミさんやタケシと合流する。カントー側のジムリーダーはこのまま各ジムに帰るようだが、ナツメは試合を見ていくつもりのようでカスミさんやタケシと一緒にいた。

 

 試合の感想を聞かれたので、なかなかいい試合だったと返す。もし、ミカンちゃんがポケモンを交換してきた場合はどうするか聞いたが、裏にはヤドランを控えさせていたらしく、素直に弱点であるほのお技で攻めるつもりだったらしい。

 確かに、ヤドランはほのお技も覚えられる器用なポケモンだし、選出としては十分に有りだ。

 

 成程と思いながら飯を食いに行くと、噂をすればとミカンちゃんと遭遇した。どうやら、ジョウト側のジムリーダーは半数がリーグを見物していくつもりらしい。まぁ、リーグ中にジムバッジを求める奴なんか殆どいないだろうからな。

 

 見れば、ミカンちゃんの後ろにはアカネとツクシ、イブキの姿がある。ジムリーダーがこんな目立つところで飯食ってていいのかとも思ったが、こちらも三人ジムリーダーを連れているのでそんなに変わらなかった。

 

 ミカンちゃんが「一緒にどう?」と声をかけてくれたので、素直にお言葉に甘えることにする。

 アカネはやはりゲームと違って負けて泣くようなことはなかったようで、「負けたわ、カスミちゃん。あそこの『いたみわけ』は狙ってたん?」と気楽に話しかけている。ミカンちゃんもナツメにエキシビションマッチの話を振っていたが、このコミュ障は相変わらず俺以外への口数が少ない。

 

 しかし、ミカンちゃんがゲームと違ってなかなかにコミュ強なこともあって、意外と会話は盛り上がっているようにも見えた。

 タケシはタケシでイブキにメロメロになりながら、ツクシに『ステルスロック』戦術はフルパ向けだとダメ出しをくらっている。ラティもそれを聞いてうんうん頷いていた。

 

 俺もまた適当に会話に交じりながら、バトルに向けて神経を集中させていく。選考会は一対一のバトルだ。三回バトルのチャンスがあるが、全てに勝つつもりである。

 誰を選出するかも既に決めていた。

 一試合目はゼニガメ、二試合目はバタフリー、三試合目はカモネギに任せるつもりでいる。理由は意気込みだ。全員やる気がある中で、特に試合への意気込みが強い三体を選んだ。

 

 昼食後、俺は試合があるので会場へ向かうことにしたのだが、タケシとカスミさんはナツメやジョウトジムリーダーと一緒に見学するということで観客席へ向かった。

 ラティも一緒に行くかと思ったが、どうやら近くで応援したいようでベンチにいくと訴えている。本人曰く、「いっしょ」らしい。まぁ、拒否する理由はないので、静かにするようにだけ言って連れていくことにした。

 

 選考会は余程の持久戦にならない限り、一試合五分程度で決着がつくのですぐに順番が回ってくる。

 

 第一試合の相手はオオタチだった。ノーマルタイプなので、ゼニガメとの相性は普通である。まぁまぁ育てられていたが、特にてこずるようなことはなく、あっさりと一勝を決めた。

 

 第二試合の相手はゴーリキーで、ひこうタイプを持っているバタフリーが終始有利にバトルを進めている。結局、特に番狂わせが起きることはなく、そのままKOして二勝目を手に入れた。

 

 第三試合の相手はナッシーで、カモネギが二刀流で一方的に攻撃している。ぶっちゃけ、既に二勝しているので負けても問題ないのだが、負ける方が難しいくらい余裕でナッシーをボコボコにしていた。

 

 結局、三連勝で予選リーグに出場を決める。

 

 ラティは大喜びで飛び跳ねているが、ぶっちゃけ相手はそこまで強くなかった。やはり、本番は予選リーグからと言っていいだろう。

 予選リーグは三人一ブロックによる総当たり戦だ。その中で勝ち点が多い奴が決勝リーグに進むことが出来る。とはいえ、まだ全部の選考会が終わった訳ではないし、予選リーグの組み合わせは明日にならないとわからない。

 

 見れば、シゲルやハヅキも選考会は余裕で突破したようだし、他に相手になる奴もパッと見た限りはいなそうなので、一度部屋に戻ることにした。

 

 カスミさんやタケシも、ジムリーダーズを連れて俺の部屋に帰って来る。まさか泊まるつもりじゃないだろうなと思ったが、どうやらジムリーダー達も昨日まで使っていた部屋をそのまま借りているらしい。

 

 ツクシに今回の意気込みを聞かれたが、ぶっちゃけシゲル以外は相手にならないと思っている。ハヅキのバトルを見ていないのでまだ何とも言えないが、アニメでもそこまでレベルが違う相手ではなかったはずだ。

 俺の感想を聞くと、「余裕だねぇ」と返してくるので、逆にジムリーダー達に予選を見ていて強そうな奴はいなかったか聞いてみることにした。

 

 すると、ツクシから「あくまでサトシ君を基準にすると、やはりシゲル選手やハヅキ選手辺りかな。あぁ、後は名前はわからないけど一人いい動きをしてる選手がいたね」と返って来る。

 ほう? ジムリーダーから見て、動きがいいと思えるようなレベルの奴がいたのか。

 どんな見た目をしていたのか聞いてみると、どうも全身をローブのようなもので隠していたようで顔はわからなかったらしい。まぁ、不審者を参加させる訳ないし、何か理由があるのだろう。

 

 とりあえず、俺の知らない警戒に値する奴がいるということがわかっただけでも収穫だ。

 

 他にもムサルーナなる人物がなかなか魅せるバトルをしていたらしいが、強さは俺ほどではなかったようだ。一応、気には留めておくが、そこまで注意しなくてもいいだろう。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・エキシビションマッチ第八試合が開始された。
 ナツメVSミカン。開幕メガシンカバトルをさせたくて、このエキシビションをしたと言っても過言ではない。続きを長々と書いても蛇足になりそうだったので、メガシンカのみで決着をつけた。

・ジムリーダーやカントー四天王がリーグを見学していくことになった。
 カントーのジムリーダーは大半がエキシビション後、カントーに帰った。残ったのはカスミさん、タケシを除くとナツメのみ。ジョウトはツクシ、アカネ、ミカンちゃん、イブキ。ジョウト四天王は全員帰ったが、ワタルは残っている。カントー四天王はキクコやレッドも含めて全員残っている。

・選考会を余裕勝ちした。
 ニューサトシがパッと見た感じ、シゲルやハヅキくらいしか強敵はいなそうだったが、見知らぬ厨二病トレーナーが一人いたらしい。

・ムサルーナ、一体何サシなんだ?
 選考会は二勝一敗でギリギリ通過した。一敗は新人の台頭に焦ったニャースが出番を求めた結果だった。自信満々に出て負けたこともあって、敵だけでなく味方からもボコボコにされた。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.55

 ピジョット Lv.52

 バタフリー Lv.52

 ドサイドン Lv.54

 フシギダネ Lv.52

 リザードン Lv.57

 ゼニガメ  Lv.52

 キングラー Lv.52

 カモネギ  Lv.52

 エビワラー Lv.52

 ゲンガー  Lv.53

 オコリザル Lv.52

 イーブイ  Lv.51

 ベトベトン Lv.51

 ジバコイル Lv.51

 ケンタロス Lv.51

 ヤドラン  Lv.51

 ハッサム  Lv.51

 トゲキッス Lv.46

 プテラ   Lv.52

 ラプラス  Lv.51

 ミュウツー Lv.71

 バリヤード Lv.51

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.47

 カビゴン  Lv.46

 ニョロゾ  Lv.45

 ヘラクロス Lv.43

 メガニウム Lv.43

 マグマラシ Lv.43

 ラティアス Lv.30

 デルビル  Lv.43

 ワニノコ  Lv.43

 ヨルノズク(色違い) Lv.43

 カイロス(部分色違い) Lv.43

 ウソッキー Lv.43

 バンギラス Lv.55

 ゴマゾウ  Lv.30

 ギャラドス(色違い) Lv.34


 明日からいつも通りの更新に戻ります。残り12話ですが、よろしくお願いします。




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#086 『今日は無礼講じゃ。好きに暴れるがよい』

 12歳 μ月σ日 『予選リーグ 第一試合』

 

 朝、予選リーグの対戦表を見に行くと、H組に俺の名前があった。どうやら予選リーグでシゲルやハヅキといった奴らに当たることはなかったようで一安心である。

 そのまま試合が始まるまで一度部屋に戻ろうとすると、モエと名乗る少女が喧嘩を吹っかけてきた。どこかで見覚えがあると思ったが、このモエとかいう奴は俺が予選リーグで戦う二人のうちの一人である。

 

 俺の情報を調べるためにわざわざ来たということらしいが、試合前のバトルは禁止されているので、けしかけられたロコンを適当に受け流してお返しした。

 俺のマサラ式肉体言語術は受け流しの作法も一流なのである。それを見て、モエが何やら「うちはサトシはんみたいな燃える男が好きやねん」とか言い出した。カスミさんの目が何やら光をなくし、ラティが「むーむー」言い出したが、とりあえず無視して「試合で決着を付けよう」とだけ返す。

 

 モエが「うちが勝ったらデートやでー」とか言っているが、負けるつもりは毛頭ないので問題ないだろう。

 

 そのまま一度部屋に戻り、モエについて情報を探す。どうも、モエはほのおタイプを中心としたメンバーを取り揃えているようなので、俺もほのおに有利なポケモンをエントリーさせることにした。

 みずタイプとして、調子を上げているワニノコ。いわタイプとして、ウソッキー。最後に保険としてじめんタイプを持つドサイドンをチョイスする。最初の二体はジョウトで捕まえたメンバーになったが、レベルは十分に上がっているし、バトルでもいい勝負が出来るはずだ。

 

 午後になると、バトルフィールドに向かう。

 

 予選リーグは三対三の入れ替えありだ。セキエイ大会の予選と一緒である。ただシロガネ大会はセキエイ大会と違って同時にポケモンを出すのではなく、先攻、後攻をルーレットで決め、先攻のトレーナーがポケモンを出した後に後攻のトレーナーがポケモンを出すという圧倒的に後攻が有利なシステムとなっている。

 

 今回の先攻はモエで、マグマッグを出してきた。当然、こちらはワニノコを出す。

 ワニノコがいつも通りに元気に踊りまくっているので、そのまま『りゅうのまい』を指示して、攻撃と素早を一段階上げる。対するモエは『かえんほうしゃ』で攻撃を仕掛けてきた。

 

 当たる訳には行かないので、ワニノコが踊りながら攻撃をかわして行く。そのまま距離を詰めさせて『アクアテール』を指示した。

 モエは『かげぶんしん』を指示して、攻撃をかわしてくる。ワニノコが本物を見抜けずに困惑するが、「集中を乱すな」と声をかけると、落ち着いて再び踊り出した。

 

 背後に回ったマグマッグが再び『かえんほうしゃ』を撃ってくるので、『あなをほる』で地面に潜らせる。すぐにまた『かげぶんしん』で回避の構えを取るモエだが、その手はもう通じない。シジマがエキシビションマッチでやっていた音を頼りに本物を見つける方法で攻撃を仕掛けていく。

 マグマッグは『じしん』や『マグニチュード』を覚えないので、攻撃される心配もなく、そのまま地面からの一撃でダメージを与えた。

 

 追撃の『アクアテール』でさらにダメージを与える。マグマッグも弱点の二連発は効いたようで体をふらつかせていた。

 このまま一気に決めようかとも思ったが、流石にやばいと思ったようで、モエがマグマッグを一度ボールに戻す。次に出してきたのはエレブーだった。

 

 おそらく、みず対策に入れているのだろうが、ほのおタイプの弱点はみずタイプだけではない。

 俺もワニノコを戻し、でんきにもほのおにも通るじめんタイプであるドサイドンを送り出した。

 

 グリーンが先に出したせいで歓声は少し減ってしまったが、それでも十分な歓声が俺を包む。大変気分がいい。

 

 さて、相手はどう出てくるかなと思っていたが、どうやらモエはドサイドンの姿こそ見たことはあってもタイプまではわからなかったようで、『10まんボルト』を指示している。

 当然、じめんタイプを持つドサイドンにでんき技が効くはずもなく、返しの『じしん』でワンキルした。ことパワーにおいて、ドサイドンは俺のポケモンの中でもトップクラスだ。そこいらのポケモンでは相手にならん。

 

 モエは再びマグマッグを出してくるが、ワニノコとのバトルでダメージを受けているマグマッグが『じしん』に耐えられるはずがない。相手の『かえんほうしゃ』を余裕で受けて、一気に戦闘不能まで持って行った。

 

 これで三対一だ。もうドサイドンで勝てるが、それではウソッキーが可哀想なので、モエがマグマッグを戻すと同時にこちらもドサイドンをボールに戻す。

 

 モエの三体目はマグマラシだった。こちらはウソッキーを出して勝負を決めに行く。俺の手持ちにもマグマラシがいるからこそ、ウソッキーはマグマラシが何をしてくるかよく知っている。

 また、モエのマグマラシは俺のマグマラシよりもレベルが低いようで、そこまでスピードは高くなかった。そのおかげか、ウソッキーも余裕をもって攻撃に対応している。

 

 ウソッキーはワニノコほどではないが踊るのが好きなので、ワニノコ同様にリズムに合わせて攻撃を回避するのが得意だった。

 そのリズムを狂わせようと、モエも攻撃を仕掛けてくるが、ウソッキーは相手の攻撃すら自分のリズムに取り込んでいる。このレベルではウソッキーを攻略するなど夢のまた夢ということで、『ストーンエッジ』でさっさとマグマラシを戦闘不能に持って行った。

 

 これでモエのポケモンが全て戦闘不能になったことで、俺が三点をゲットした。ぶっちゃけ、勝った奴が勝ち抜けなので勝ち点とかあまり関係ない気がするがまぁいいだろう。

 

 

 

 12歳 μ月τ日 『予選リーグ 第二試合』

 

 予選リーグ第二試合はワカバタウン出身のジュンイチという奴が相手になった。調べた感じ、モエのようにポケモンのタイプに偏りはないようなので、ここはトゲ様のデビューを飾らせてもらうことにした。

 メンバーはトゲ様、マグマラシ、ゲンガーだが、おそらく余程のことがなければトゲ様一体で勝負は決まるだろう。

 

 いざバトルが始まると、先攻のジュンイチは一体目にマリルリを出してきた。あぁ、終わったな。

 

 こちらはトゲ様を出した。トゲピーはジョウトでも存在しているが、その最終進化系であるトゲキッスまでは流石に周知されていないようで、見知らぬポケモンに会場も大盛り上がりになる。

 

 大変気分がいい。ので、そのまま『エアスラッシュ』を指示する。ジュンイチは『こごえるかぜ』を指示してきたが、怯みを引いたようで攻撃に移れずにいた。運が無さすぎる。

 こうなれば、後はこちらのものである。『でんじは』を指示して麻痺と怯みで動きを封じていく。『でんじは』による麻痺と、『てんのめぐみ』の追加効果が二倍になるという特性で、『エアスラッシュ』の怯み率が六割。麻痺も含めると、確率的に相手は七割で行動不能になるが、体感だと全く動けていなかった。

 

 リアルな世界でのまひるみだし、もう少し動けるかとも思ったが、マリルリに何もさせないまま戦闘不能になっている。

 ジュンイチもひたすらに声をかけていたが、あまりに何も出来ないので流石のニューサトシも罪悪感を覚えるレベルだった。

 

 とはいえ、勝ちは勝ちである。公式戦で初勝利したこともあってトゲ様が大喜びしていた。長いこと日の目を浴びさせてやれなくてすまんかったな。今日は無礼講じゃ。好きに暴れるがよい。

 

 と、いうことで、このまま突っ張ろうとしたが、ジュンイチは二体目にレアコイルを出してきた。

 トゲ様の苦手なでんき・はがねタイプのポケモンである。とはいえ、多分スピードはこちらの方が上なのでこのまま突っ張れなくもない。どうするか悩んだが、今日は無礼講と言ったばかりだしこのまま突っ張ることにする。

 

 ジュンイチは『10まんボルト』を指示してきた。が、こちらは当然エアスラで動きを封じていく。麻痺がないので先程より動きを封じられない可能性があるが、今の所は上手く怯みを引いている。怯んだ隙にこっちは『わるだくみ』を積んだ。

 これで特攻が二段階上がったので、おそらく次の一撃で戦闘不能に出来るだろう。ジュンイチが続けて『10まんボルト』を指示すると同時に、こちらも『はどうだん』を指示する。

 

 相手の『10まんボルト』よりも先に『はどうだん』が命中し、レアコイルが戦闘不能になった。当然、『10まんボルト』はトゲ様に届く前に霧散し、トゲ様はダメージもなく大喜びである。

 

 ジュンイチもまさか一体のポケモンにここまで追いつめられるとは思わなかったようで、「頼むぞ!」と声を出しながら、最後のポケモンとしてメガニウムを出してきた。

 それを見て、ああもう99%負けねぇなぁと思ったのは内緒である。

 

 メガニウムとトゲ様の素早種族値は一緒だが、『でんじは』が通る以上、もはや勝負は決まったようなものである。

 残された向こうの勝ち筋は『くさぶえ』辺りの技でトゲ様を眠らせるしかなかったが、どうやら覚えていないらしい。まぁ、タマゴ技だし覚えさせるのは難しいからな。俺のメガニウムですら覚えていないしあるとは思っていなかった。

 

 悪あがきで、『つるのむち』を使って拘束してきたが、『でんじは』をまいたら拘束はすぐに緩んだ。そのまま『エアスラッシュ』連打で即戦闘不能に持って行く。

 

 これで二勝、勝ち点は六なので文句なく決勝リーグ進出決定である。三体抜きしたトゲ様がやったよと言わんばかりに抱き着いてきたので頭を撫でた。

 よくやったで。長いことお留守番させてすまんかったな。これからは思う存分、その力を発揮してくれと言うと、誰に似たのか極悪な笑みを浮かべている。カスミさん曰く、「アンタしかいないでしょ!」ということだが、前世の世界の住人が見たら卒倒するなこの顔は。

 

 控室に戻って試合結果を確認していると、どうやらシゲルやハヅキも勝ち抜きを決めたらしい。さて、確かアニメでは次の試合がシゲルだったような気がするが、果たしてどうなるかな。

 

 

 

 12歳 μ月υ日 『トーナメント組み合わせ表』

 

 決勝トーナメントの組み合わせを見に行くと、原作と違って対戦相手がハヅキになっていた。

 多分、俺もシゲルもアニメと違って、去年のセキエイ大会で高成績を残しているので、ベスト16でぶつけるのは惜しいと思われたのかもしれない。

 

 このトーナメント表を見るに、俺とシゲルは決勝戦まで当たらなそうだ。

 ツクシが言っていた顔を隠している奴は、真っすぐ行けば準決勝で当たる。強い奴とはもれなく全員戦えそうでとても気分が良かった。

 

 それと、ずっと気付いていなかったが、どうやらまたロケット団のムサシがリーグに参加していたようで、しれっと決勝リーグの組み合わせ表に顔が乗っていた。

 今大会はセキエイ大会と違って、事前にトレーナー登録をしなければいけない上、ジムにもバトルの記録が残るので、バッジを盗んで参加することは出来ない。つまり、あいつらは自力でジム戦をしてきたことになる。

 

 たまに襲ってこない日があるなとは思っていたが、どうやらジム戦をしていたらしい。

 思えば、機械に頼りまくって弱くなったと言った後から動きが良くなっていたし、あの辺からあいつらも襲う頻度が少なくなってきていた。つまり、そういうことだろう。

 

 とりあえず、対ハヅキのポケモンを準備するために、一度部屋に戻ろうと思ったのだが、丁度噂のロケット団を見つけたので話しかけた。

 

 向こうも、ばれちまったら仕方ないという感じでいろいろ話してくる。やはり、俺に弱くなったと言われた辺りに一度ワカバタウンに戻ってポケモンリーグの参加申し込みをしたらしい。

 バッジを集めるのはかなり苦労したようで、ムサシよりもコジロウがその苦労を語っていた。

 

 よく決勝リーグまで残ったなと感心していると、予選リーグの結果は一勝一敗の全員勝ち点が同数の延長戦で、ギリギリの決勝進出だったようだ。

 組み合わせを見るに、こいつらは俺より先にシゲルに当たる。多分、俺と戦うことはないだろうが、今回はちゃんと実力で参加しているみたいだし、「悔いのないバトルをしろよ」とだけ声をかけて部屋に戻った。

 

 そのままPCでハヅキのポケモンについて調べる。俺の記憶が正しければ、ホウエンのポケモンはバシャーモくらいで、他はジョウトのポケモンだったはずだ。

 決勝からは六対六のフルバトルである。バシャーモの相手は当然リザードンに任せるとして、他をバランス良く考えると、リザードン、キングラー、クリスタルのイワーク、カビゴン、ヘラクロス、メガニウム辺りだな。たまに満腹で眠ってしまうカビゴンがちゃんと起きていてくれることを願おう。

 

 暴君との約束があるので、どこかで出番を用意してやらなければいけないが、顔を隠している奴とのバトルまでは温存することにした。

 初見殺しをするなら、多分それが一番効果がある。とはいえ、俺のデータを調べればジム戦でミュウツーを使ったのはわかるだろうし、見たこともないポケモンを持っているというくらいの情報はばれていると考えた方がいいだろう。

 

 とはいえ、今はハヅキだ。転送装置のある階まで行き、オーキド研究所から選んだポケモンを転送して貰う。一番の懸念だったカビゴンもちゃんと起きているようで、やる気いっぱいという顔をしていた。

 

 ポケモン達の調子を確認していると、何やらラティがこのリーグの熱気に当てられたようで、突然「ラティも出る!」と言っている。いや、お前はレベリングもしてないし、注目されるとこの先の旅が面倒になるので「お留守番」と言ってカスミさんに渡した。

 

 手足をばたつかせて「やだやだやだやだ」とごねているが、ゴマゾウや赤いギャラドスもレベル的な問題で今回の大会はお留守番なのだ。ラティだけ特別扱いする気はない。

 しばらくは「やだやだ」と我が儘を言っていたが、結局は上手いことカスミさんに宥められて応援を頑張ってもらうことになった。しかし、あのラティがバトルをしたがるとは、流石はポケモンリーグということか。

 

 

 




 原作との変化点。

・第267話『予選リーグ! マグマラシ炎のバトル!!』より、ロコンと戦わなかった。
 常識的に考えて、リーグ戦以外のバトルは禁止されていないとおかしい。アニメでは試合前にゴマゾウで戦っていたが、ここはニューサトシの体術で戦いをスルーした。

・第268話『メガニウムVSフシギダネ! 草タイプの意地!』より、トゲ様が蹂躙した。
 感想欄でトゲ様の動きを全て当てられて、これ書く意味あったか? と、首を傾げた。

・第269話『決勝トーナメント! フルバトル6VS6!!』より、組み合わせがチェンジされた。
 ニューサトシやシゲルネオのセキエイ大会での成績がいいため、組み合わせが変えられた。

・第270話『ライバル対決! カメックスVsリザードン!!』より、組み合わせが変わったためカットされた。
 ハヅキと戦うので話がカットされた。

・ロケット団がリーグ戦に参加していた。
 多分誰も気づいていなかったと思うが、実は参加していた(ナ,ナンダッテー!?)。いつか、ロケット団のジョウトジムチャレンジを番外編でお送りしたいと思う。

・ラティがバトルに出たがった。
 熱気に当てられたらしい。レベル30では流石に使えないので、今回は出さない。やだやだ攻撃はスルーしている。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.55

 ピジョット Lv.52

 バタフリー Lv.52

 ドサイドン Lv.54

 フシギダネ Lv.52

 リザードン Lv.57

 ゼニガメ  Lv.52

 キングラー Lv.52

 カモネギ  Lv.52

 エビワラー Lv.52

 ゲンガー  Lv.53

 オコリザル Lv.52

 イーブイ  Lv.51

 ベトベトン Lv.51

 ジバコイル Lv.51

 ケンタロス Lv.51

 ヤドラン  Lv.51

 ハッサム  Lv.51

 トゲキッス Lv.46→47

 プテラ   Lv.52

 ラプラス  Lv.51

 ミュウツー Lv.71

 バリヤード Lv.51

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.47

 カビゴン  Lv.46

 ニョロゾ  Lv.45

 ヘラクロス Lv.43

 メガニウム Lv.43

 マグマラシ Lv.43

 ラティアス Lv.30

 デルビル  Lv.43

 ワニノコ  Lv.43

 ヨルノズク(色違い) Lv.43

 カイロス(部分色違い) Lv.43

 ウソッキー Lv.43

 バンギラス Lv.55

 ゴマゾウ  Lv.30

 ギャラドス(色違い) Lv.34


 ニューサトシやポケモン達の設定、サブキャラや作中の設定をまとめて欲しいという意見が来たのですが需要あります? あまり設定資料みたいなのを書いてもなぁと個人的には思うのですが。ちょっとまたアンケートをお願いします。


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#087 『やぁってやるぜ!』

 12歳 μ月υ日 『決勝リーグ 一回戦 VSハヅキ 前編』

 

 まだほっぺを膨らませているラティを連れてバトルフィールドに行くと、既にハヅキはスタンバイしていた。

 モンスターボールを片手に、「サトシ君、いいバトルをしよう!」と声をかけてきたので、「やぁってやるぜ!」と返す。決勝リーグからはフィールドがランダムに選出されるが、今回は草原のフィールドだった。

 

 そのままルーレットで先行はハヅキに決まり、カクレオンを出してくる。ならばこちらも素直に相性を突いてヘラクロスを出した。

 カクレオンの特性は、技を受けるとそのタイプに変化する『へんしょく』と、夢特性の『へんげんじざい』があるが、まず『へんしょく』と見ていいだろう。下手な攻撃はこちらを不利にしかねないので、上手くバトルを組み立てなければいけない。

 

 どう攻めるか様子を見ていると、ハヅキが『ほごしょく』を指示してくる。それと同時にカクレオンが自分の体色を変化させて見えづらくさせてきた。

 この『ほごしょく』という技はフィールドの状況によって、自分のタイプを変える技でもある。今、フィールドは草原なのでカクレオンはくさタイプになったはずだ。

 

 ならば、むしタイプであるヘラクロスは相性有利と言える。『メガホーン』を指示するが、ヘラクロスは相手がどこにいるかわからないとばかりに辺りをキョロキョロしていた。

 マジか。カクレオンは体の色は変化しても、中心部分の赤いマークだけは消えないので、すぐに見つけられると思っていたが、どうやらヘラクロスは見事に目標を見失ったらしい。

 

 ニューサトシにはばっちりカクレオンが見えているので、そこに攻撃するように指示するも、やはり自身が見えていないと完璧に攻撃はヒットできず『メガホーン』を外していた。

 そのまま弱点である『サイケこうせん』の追撃を受け、おまけに追加効果で混乱まで引いたようで、ヘラクロスが何も出来ずにピンチになる。

 

 これはまずいということで、一度ヘラクロスを戻すことにした。正直、ピンチは想定していなかったが、こういうこともあるのがポケモンバトルだ。

 

 二体目として、クリスタルのイワークを送り出す。世にも珍しい全身クリスタルのイワークに会場中が沸き上がっている。大変気分が良い。

それに気分が良いだけではないのだ。こいつはこおり・いわタイプで、普通のイワークとは弱点が微妙に違う。

 しかし、イワーク相手にはみず技とハヅキは判断したようで、素直に『みずのはどう』を指示している。正直、くさ技を選択された方が厳しかったが、どうやら『くさむすび』は覚えていないらしい。

 

 俺のクリスタルのイワークの特性は『クリスタルボディ(命名オーキド博士)』だ。効果は、みず技を無効にし、ほのお技が効果抜群になり、弱点の攻撃を受けると攻撃と特攻が一段階上がる。

 みず技など起点にしかならず、無表情で『みずのはどう』を受け流し、そのまま追撃で『れいとうビーム』を指示した。

 

 イワークが『れいとうビーム』を撃ったということで、流石に動揺したようだが、カクレオンはかなりスピードタイプに育てられているようで、機敏な動きで『れいとうビーム』を回避していく。

 だが、フィールドが氷漬けになることで、隠れ場所を失い自然と姿が露わになった。上手く逃げていたカクレオンもフィールド全体が氷になると、これまでのように器用には動けないようで、完全に動きが止まった所に『れいとうビーム』が直撃する。

 

 現在、『ほごしょく』の効果でくさタイプになっているカクレオンに、こおり技は効果が抜群だ。

 流石に一撃では倒せないが、かなりのダメージを与えたはずである。同時に、特性である『へんしょく』の効果で、カクレオンがこおりタイプになった。

 

 とはいえ、それは想定済なので、今度はいわ技で攻める。『がんせきふうじ』を指示して、岩をカクレオンに向かって投げ飛ばした。

 ぶっちゃけ、ニューサトシは『がんせきふうじ』よりも威力のある『ストーンエッジ』派だが、この技はエッジよりも制御がしやすくコントロールが楽という利点もある。特に狙い通りの場所に岩を当てたいときは、『がんせきふうじ』の方が使い勝手が良い。こういう時こそ使いどころだろう。

 

 こおりタイプになったとはいえ、それですぐに氷の足場に慣れる訳ではない。カクレオンも頑張ってこおりの上を移動しているが、機敏さは格段に下がっている。

 向こうも『みずのはどう』で『がんせきふうじ』を相殺しようとしているが、流石にこちらはタイプ一致技ということもあって岩が水を突き抜けカクレオンに直撃した。

 

 これで、カクレオンのタイプはいわに変わり、『がんせきふうじ』の追加効果で素早が一段階下がる。

 こうなれば完全にこちらのものだが、ハヅキもまたここで一度カクレオンをボールに戻した。いい判断である。

 

 次に出してきたのはヘルガーだった。こちらがほのおが弱点だというのはばれていないと思うが、随分的確に弱点を攻めてくるな。

 

 突っ張ってもいいが、ここは一度クリスタルのイワークを戻してキングラーを出すことにした。ほのおタイプを想定して連れてきたのだし、ここで出さないとおそらく出番はない。

 俺がキングラーを出すと同時に、フィールドの中央が変化し、一部が水のフィールドに変わる。セキエイ大会と同じように、みずタイプのポケモンには配慮されているらしい。

 

 ハヅキは『かえんほうしゃ』を指示してきた。みずタイプにほのお技かと思ったが、どうも狙いはキングラーではない。

 どうやら、イワークが氷漬けにしたフィールドを溶かすためにヘルガーを出してきたようだ。足場が氷になるのは後々のポケモンにも影響が出ると判断したのだろう。

 

 とはいえ、その隙を狙わないはずがなく、必殺の『クラブハンマー』でダメージを頂いていく。

 しかし、フィールドを草原に戻すという仕事は終えたようで、ハヅキはヘルガーをボールに戻して再びカクレオンを出してきた。

 

 一度、ボールに戻っているので、カクレオンのタイプはノーマルに戻っている。『アームハンマー』を指示して、一気に勝負を決めることにした。

 

 ハヅキは再び『ほごしょく』を指示してカクレオンを隠し、くさタイプに変化させてくるが、流石にキングラーは相手を見失うようなヘマはしないようで、自慢の鋏をボディブローのようにぶつけている。

 効果抜群ではなくなったとはいえこれで決まったと思ったのだが、ギリギリで耐えたようでカクレオンが起き上がった。カクレオンの特性でタイプがかくとうに変化する。

 

 ハヅキはせめてキングラーだけでも持って行こうという狙いのようで、『10まんボルト』を指示してきた。

 弱点のでんき技を受けキングラーもダメージを受ける。おまけに一割の麻痺を引いたようで、キングラーの動きが鈍くなった。

 

 だが、これ以上カクレオンに好き勝手させる訳にもいかないので、『ハイドロポンプ』を指示して一気に戦闘不能に持って行く。

 正直、カクレオン一体にかなり振り回されたが、これでようやくハヅキのポケモンを一体戦闘不能に持って行った。

 

 ハヅキがカクレオンを戻すと、次にミルタンクを出してくる。アニメではミルタンクなんか使っていなかったような気もするが、既に組み合わせも変化しているし、完全に原作通りという訳ではないのだろう。

 

 ハヅキのミルタンクも、アカネと同じまるころ型のようで、『まるくなる』からの『ころがる』で一気に攻撃を仕掛けてくる。

 こちらも『アームハンマー』で迎撃を指示したが、麻痺のせいで上手く体に力が入らないのか、『ころがる』を受けきれずに弾き飛ばされた。

 

 下手に『ころがる』を連打されて調子に乗せるのも面白くないので、一旦キングラーを戻してメガニウムを送り出す。

 進化してから初めてのバトルだが気合は十分なようで、いつものように俺にのしかかってきた。おいおい、相手はあっちだぞ。

 

 バトルが再開されると、再びハヅキはまるころで仕掛けてきた。こちらは『リフレクター』で壁を張って攻撃を受ける。

 流石にアカネのミルタンクほど馬鹿げた火力はしていないようで、通常の『リフレクター』でも受けきれるくらいに攻撃力を下げられた。それでも、完全に受けきれたのは、やはりベイリーフからメガニウムに進化したからだろう。本当によくやってくれた。

 

 ミルタンクの『ころがる』を受けきると、そのまま『のしかかり』を指示する。流石に進化してからまだ日が経っていないので、『げきりん』は習得できていない。だが、それでも進化してパワーも上がったメガニウムの『のしかかり』は十分ミルタンクにダメージを与えていた。

 

 まるころが通用しないとわかると、ハヅキも攻め方を変えてくる。素直に弱点を攻めてくるようで、『ほのおのパンチ』を指示してきた。

 対するこちらは『どくどく』である。ほのパンを受けながら相手を猛毒状態に持って行く。猛毒状態になった以上、『ミルクのみ』で回復してもいずれ回復が追いつかなくなるだろう。

 

 ハヅキもこの状態のミルタンクで長期戦は無理と判断したようで、『はかいこうせん』を指示してきた。

 ノーマル技最強の特殊技である。ミルタンクは特殊があまり強い方ではないが、『ほのおのパンチ』が『リフレクター』で半減されたのを見て、特殊で攻めた方がいいと判断したらしい。特殊の低さというマイナスはタイプ一致の技の威力で押し切ろうという判断のようだ。

 

 本来なら『こうごうせい』で持久戦に持ち込むつもりだったが、流石に『はかいこうせん』はワンチャン戦闘不能に持って行かれかねなかったので、『ひかりのかべ』で特殊攻撃を軽減して受けきる。

 そのまま『のしかかり』でミルタンクを戦闘不能に持って行ったが、何だかんだメガニウムも消耗させられたな。

 

 本人はまだいけると元気に動き回っているが、客観的にも体力は半分くらい持って行かれている。下手に突っ張る利点もないので、ハヅキがミルタンクを戻すのと同時に、こちらもメガニウムを戻すことにした。

 

 ハヅキは次にハガネールを出してきたので、こちらは汚名返上のためにヘラクロスを送り出す。

 最初のバトルで翻弄された悔しさはここで晴らすとばかりに、気合を入れて角を振り回していた。

 

 ハヅキは開幕で『すなじごく』を指示してくる。毎ターン、最大HP1/8のダメージを与えながら交代を封じるじめん技だ。

 ヘラクロスが足を砂に取られて動けなくなる。飛ぶように声をかけたが、思いの外砂の掴む力が強いようで思うように動けないでいた。

 

 仕方がないので『つるぎのまい』で攻撃力を上げ、力づくで無理矢理突破させる。しかし、『すなじごく』を抜けて宙に上がった瞬間、『うちおとす』でヘラクロスが地面に叩きつけられた。

 倒れたヘラクロスが再び『すなじごく』で動きを封じられる。飛べば『うちおとす』で地獄へ逆戻りとは想像以上に面倒くさいコンボだ。

 

 だが、この程度でニューサトシを抑えられると思って貰っては困る。『つのでつく』で角を地面に刺すように指示し、技の勢いで『すなじごく』から無理矢理脱出した。羽を使って飛ばなければ撃ち落とされる心配もないだろう。

 

 そのまま勢いで『インファイト』を指示する。ハヅキも『アイアンテール』で反撃してきた。

 先にヘラクロスのインファイトが当たり、ハガネールにダメージを与えるも、流石に一撃では持っていけなかったようで、返しの『アイアンテール』で戦闘不能にされる。『すなじごく』のコンボの間に『リフレクター』が切れたのが痛かったな。

 

 しかし、それでもダメージは与えている。

 

 ヘラクロスを戻してキングラーを送り出す。麻痺が少し心配だが、ハガネールとの相性的にもキングラーには頑張ってほしい所だ。

 ハヅキが再び『すなじごく』を指示してきたので、『ばかぢから』を指示して無理矢理突破する。そのまま、『アームハンマー』で一気に勝負を仕掛けた。

 

 だが、麻痺のせいでキングラーのスピードが半減していることもあり、先にハヅキの指示した『アイアンテール』がキングラーに命中する。

 耐えられると思ったが、技が急所に当たったようで、一撃でキングラーまで戦闘不能になってしまった。これで互いのポケモンの数は互角である。

 

 こちらに残っているのはクリスタルのイワークに、メガニウム、カビゴン、リザードンだ。

 クリスタルのイワークは相性的にも出せないし、メガニウムも既に技を全て使っているのでハガネールに有効打は取れない。残された選択肢はカビゴンとリザードン、相性的にはリザードンだがバシャーモが出てくる前に体力を消耗させたくない。

 

 消去法で、カビゴンを送り出す。

 

 カビゴンはノーマルタイプだが、かくとうタイプの技も使える。当然のように使ってきた『すなじごく』を『10まんばりき』で無理矢理抜け出すと、『アームハンマー』で一気に攻撃を仕掛けた。

 また『アイアンテール』で反撃してくるかと思ったが、ハヅキはここで『だいばくはつ』を指示してくる。攻撃を仕掛けようとしているカビゴンに回避するすべはなく、そのまま爆発に飲み込まれてハガネールと共に戦闘不能になった。

 

 まさか、このタイミングで『だいばくはつ』とはな。まだハガネールも戦えるパワーを残していただけに完全に予想外の攻撃だった。

 

 俺とハヅキのポケモンが同時に三体戦闘不能になったことで、ここで五分間インターバルに入る。

 ハヅキを舐めていたわけではない。ただ、それでも俺がポケモンを三体失うほど追い詰められるとは思わなかった。改めて、こいつは原作でサトシ君を倒したサトシ君キラーの一人なのだということを感じる。

 

 厳しい状況だと言っていいだろう。

 

 だが、だからこそ楽しかった。

 

 いいぞ。これでこそポケモンバトルである。

 

 タケシがふと、「楽しそうだな」と声をかけてきた。どうやら、気付かぬうちに笑みを浮かべていたらしい。

 それを見たカスミさんが「笑ってるのはいいけど、勝算はあるんでしょうね?」と声をかけてくるので、「相手にはヘルガーがいるからな。状況は不利だ」とハッキリ返した。

 

 それを聞いたラティが「ラティがいく!」とまた訴えたが、事前にエントリーしたポケモン以外は参加できないのでご遠慮願う。またぷくーとほっぺを膨らませていたが、頭を撫でて適当に誤魔化した。

 

 五分間などあっという間に過ぎ、改めてフィールドに戻ると、ハヅキが俺の顔を見て何故か気を引き締めている。

 何かあったのだろうか? 別に何か特別なことをしたつもりはないのだが――

 

「……ギャラドスでももっと可愛げのある顔してるわ」

 

 そう言ったのは、後ろのカスミさんだった。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・第271話『バシャーモ再び! ハヅキとの戦い!!』より、互角のバトルをしている。
 ニューサトシが想定していたよりハヅキが強かった。追い詰められたことでスイッチが入ってきた。ヤバげな笑みを浮かべている。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.55

 ピジョット Lv.52

 バタフリー Lv.52

 ドサイドン Lv.54

 フシギダネ Lv.52

 リザードン Lv.57

 ゼニガメ  Lv.52

 キングラー Lv.52

 カモネギ  Lv.52

 エビワラー Lv.52

 ゲンガー  Lv.53

 オコリザル Lv.52

 イーブイ  Lv.51

 ベトベトン Lv.51

 ジバコイル Lv.51

 ケンタロス Lv.51

 ヤドラン  Lv.51

 ハッサム  Lv.51

 トゲキッス Lv.47

 プテラ   Lv.52

 ラプラス  Lv.51

 ミュウツー Lv.71

 バリヤード Lv.51

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.47→48

 カビゴン  Lv.46

 ニョロゾ  Lv.45

 ヘラクロス Lv.43→44

 メガニウム Lv.43→44

 マグマラシ Lv.43

 ラティアス Lv.30

 デルビル  Lv.43

 ワニノコ  Lv.43

 ヨルノズク(色違い) Lv.43

 カイロス(部分色違い) Lv.43

 ウソッキー Lv.43

 バンギラス Lv.55

 ゴマゾウ  Lv.30

 ギャラドス(色違い) Lv.34


 ニューサトシやポケモン達の設定、サブキャラや作中の設定をまとめて欲しいという意見が来たのですが需要あります? あまり設定資料みたいなのを書いてもなぁと個人的には思うのですが。ちょっとまたアンケートをお願いします。


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#088 『シンクロするのを拒否された』

 12歳 μ月υ日 『決勝リーグ 一回戦 VSハヅキ 後編』

 

 インターバルが終わり、試合が再開する。

 こちらの予想通り、ハヅキはヘルガーを出してきたのでこちらはリザードンを出した。相性的な問題で、クリスタルのイワークやメガニウムではほのおタイプは少し辛い。下手に数を減らしてもいいことがないし、ここまで来たらもう温存などと言っている場合ではないだろう。

 

 ハヅキが『とおぼえ』で、ヘルガーの攻撃を一段階上げると、『かみなりのキバ』を指示して突撃してくる。

 なかなかの速さだ。それに走り方も良い。あれだけジグザグに動き回られると、遠距離からの攻撃は的を絞れない。俺のデルビルも進化したらこれくらいの動きをしてもらいたいものだ。

 

 と、思いながら突っ込んできたヘルガーの首を掴んで地面に叩きつける。そのまま『じしん』を指示して、ヘルガーの上から直に振動のダメージを与えて戦闘不能に持って行った。

 

 歓声が一瞬止まる。どうやら、まさか一瞬で決着がつくとは思わなかったようだが、ヘルガーはキングラーとのバトルでダメージを受けていたし、こちらはこちらで『じしん』のダメージが一番でかいゼロ距離でくらわせたのだ。

 ほのおタイプも持つヘルガーは当然じめんタイプの技が弱点だし、いくらタイプ不一致とはいえ、体力の削られた状態で高威力の技を無防備にくらえば戦闘不能にもなるだろう。

 

 ハヅキもこれには動揺したようだが、すぐにヘルガーを戻す。それと同時に現実を受け入れた観客が一際大きな歓声をこちらに送ってきた。大変気分がいい。

 

 ハヅキが五体目として、スリーパーを出してきた。こちらは一旦、リザードンを戻してメガニウムを送り出す。

 インターバルの間に、メガニウムの張った壁は消えているし、ここは一旦壁の張り直しだ。『ひかりのかべ』を指示して、防御を整える。

 

 しかし、ハヅキも同じ手は何度も効かないとばかりに『ちょうはつ』を使ってきた。『ひかりのかべ』はギリギリで間に合ったが、これで『のしかかり』以外の全ての技が封じられてしまったということだ。

 流石に不利なので、メガニウムを一旦戻してクリスタルのイワークを出す。どうやらハヅキはインターバルの間にクリスタルのイワークについて考察していたようで、「君のイワークは通常のイワークとタイプが違う! だからこそ弱点も違うんだ! ヘルガーに対して出してこなかった所から、おそらくはこおりタイプ! ほのお・いわ・かくとう・はがね辺りが弱点と見た!」と言い放ってきた。

 

 完全ではないが当たりである。特に後ろ二つは四倍弱点なので受けたらひとたまりもない。

 

 ならばと、ハヅキが『かわらわり』を指示する。『かわらわり』は追加効果に壁系の効果を受けずに、破壊するというものがある。メガニウムの張った『ひかりのかべ』を破壊しつつ、弱点を攻めてくるつもりなのだろう。

 

 素直に受ければ大ダメージ必至なので、『アイアンテール』で迎え撃つ。タイプ不一致技だが、威力が100あるので割といい勝負になるはずだ。こちらの攻撃力がポッポのままなのが少し不安な点だが、向こうもタイプ不一致技ということで上手く威力を受け流せている。

 正直、物理よりも特殊の方が辛い――と考えていると、それがフラグになったようで、『サイコキネシス』を指示してきた。

 

 弱点ではないとはいえ、タイプ一致のエスパー技はきつい。『ひかりのかべ』も『かわらわり』で消えているので、直撃すれば大ダメージは必至である。

 まともに受ける訳にはいかないということで『まもる』で何とか攻撃を凌ぐ。それを見て、真正面からは無理と判断したハヅキは『テレポート』でスリーパーをイワークの背中に移動させてきた。

 くそ、ジムリーダー達のエキシビションマッチのせいで、エスパー技を悪用する奴が増えた。特に『テレポート』をバトルに絡められるのはとてつもなく面倒くさいぞ。

 

 おまけに、その位置では『アイアンテール』も迂闊に打てない。だが、無防備な背中に『かわらわり』をくらえばその瞬間にゲームエンドだ。

 こうなれば死なばもろともである。『がんせきふうじ』を指示して、自分を巻きこむように攻撃を仕掛けていく。

 不幸中の幸いだが、自分で自分の弱点を攻撃することで、特性が発動して火力が一段階ずつ上がって行った。これにより、スリーパーに与えるダメージも必然的に増える。

 

 ハヅキもまさかこんな自爆技を仕掛けてくると思わなかったようで、すぐに『テレポート』でスリーパーを離脱させようとした。しかし、岩によってダメージを受けているスリーパーは集中ができず、『テレポート』を使用できずにいる。

 

 確かに『テレポート』による空間攻撃は強力だ。

 だが、空間を移動するには座標の確認などが必要で、慣れていないとエスパータイプですら咄嗟に転移できないというデメリットもある。現に今もダメージのせいで集中が出来ず、スリーパーは技を発動させることが出来ていなかった。

 付け焼刃の攻撃には限界があるということだ。

 とはいえ、こちらも自傷攻撃で誤魔化しているだけに過ぎない。ダメージで言えばスリーパーより多いし、このまま続ければ先に戦闘不能になるだろう。

 

 技の終わりにスリーパーが『テレポート』で再び距離を取っていく。ダメージを与えはしたが致命傷という訳ではない。さて、どうやって倒したものかな。

 

 一度痛い目を見たし、もう『テレポート』による攻撃はしてこないだろう。と、すると、遠距離での攻撃の撃ち合いか、近距離での殴り合い――と、思考を働かせていると、再びハヅキが『テレポート』を指示してきた。

 マジか。即座に『がんせきふうじ』を指示するも、スリーパーは背中にいなかった。どこに消えた。辺りを見渡すも姿はない。前後左右にいないということは――

 

「上だ!」

 

 クリスタルのイワークが俺の声に反応して上に攻撃を向けるが、気付くのが少し遅かった。

 上空から勢いをつけた『かわらわり』が振り落とされ、クリスタルのイワークが戦闘不能になる。『がんせきふうじ』を展開したせいで、『まもる』が間に合わなかったな。

 

 一度失敗した技は使ってこないだろうという、こちらの考えの裏を突いてきた訳だ。

 

 クリスタルのイワークをボールに戻す。これで残りは二体だが、スリーパーは『ちょうはつ』を使っているのでメガニウムだと不利だ。実質、リザードン一択である。

 まぁ、メガニウムを捨て石に使ってスリーパーの体力を減らす作戦も無しではないが、それよりも万が一リザードンがバシャーモに倒された時の保険として残しておいた方がいいだろう。

 

 こちらがリザードンを出すと、逆にハヅキはスリーパーを留まらせる判断をした。おそらく、バシャーモで二体抜きするつもりで、スリーパーには少しでもリザードンを削ってほしいと考えているのだろう。

 とはいえ、ハヅキも『ちょうはつ』、『かわらわり』、『サイコキネシス』、『テレポート』の構成では、リザードンに対しての有効打は『サイコキネシス』くらいしかない。少しでもダメージや技を引き出せれば御の字という考えだろう。

 

 こちらも出来ればスリーパーにあまり長い時間をかけたくはなかった。このまま一気に勝負を決めてやる。

 

 リザードンに『じしん』を指示すると、スリーパーは『サイコキネシス』で動きを封じてきた。

 攻撃直前でリザードンの動きが一瞬止まる。が、ダメージを無視するかのように、足を振り切って『じしん』を発動させた。

 咄嗟にスリーパーが『テレポート』で上空に逃げていく。だが、空はリザードンのテリトリーだ。上空へ向かって追撃する。

 

 こちらも出来れば『じしん』だけでケリをつけたかったが、空中で『じしん』は使えない。ハヅキの狙い通りに動くのは癪だが、『エアスラッシュ』で攻撃を仕掛けていくしかなかった。

 

 スリーパーは『テレポート』を連打して攻撃をかわしていくが、ただでさえ『テレポート』は神経を使う技だ。短時間での連打は精神的なスタミナを消耗していく。

 当然、集中が切れれば技は不発となり、すぐにリザードンがスリーパーを捉えた。『エアスラッシュ』が真っすぐスリーパーに向かっていくのを、ハヅキは『サイコキネシス』で迎撃させようとする。

 

 しかし、集中が切れていることもあって、技が間に合わなかった。『エアスラッシュ』の直撃でスリーパーが地面に落下していく。

 そのまま落ちていくスリーパーに、リザードンもまた容赦なく追撃を仕掛けた。ヘルガーの時同様に、地面に叩きつけられたスリーパーを踏みつぶすように、ゼロ距離で『じしん』を発動する。

 スタミナを使い切って疲れ果てているスリーパーに耐えるすべはなく戦闘不能になった。

 

 これでハヅキは残り一体。スリーパーを戻すと、切り札のバシャーモを出してくる。ホウエン地方のポケモンが出てきたことで観客の声援がハヅキに飛んだ。

 しかし、今は相手の声援を気にしている場合ではない。が、許せん。俺のリザードンでボコボコにしてやる。

 

 とりあえず、夢特性の『かそく』ではないと思うが、ハヅキのパートナーと考えると油断は出来ない。

 ハヅキは開幕に『ストーンエッジ』を指示してきた。リザードンが四倍弱点のいわ技だ。こちらに少しでもプレッシャー与えようということだろう。

 

 もう終盤だし、きずなリザードンになって一気に勝負を付けよう――と思ったのだが、何故かリザードンと気持ちがシンクロしない。

 一瞬、動揺したが、そのまま攻撃に当たる訳にはいかないので、リザードンを空中へ避難させる。ただ、攻撃を考えて高度を抑えめにしていたこともあり、ハヅキは追撃に『ブレイククロー』を指示してきた。

 威力は75しかないノーマル技だが、当たると五割の確率で相手の防御を一段階下げる技だ。五割はほぼ十割と変わらないので、こちらも『ドラゴンクロー』で応戦していく。

 

 互いに拳を連打する。

 

 俺のリザードンはこれまでの経験で殴り合いをしすぎた結果、特殊よりも物理の方が得意になりつつある。本来、かくとうタイプを持つバシャーモの方が接近戦は有利なのだろうが、何故かほぼ互角の戦いを繰り広げていた。

 

 それを見たハヅキが、仕方ないとばかりに『ブレイズキック』を指示する。手だけの攻撃に足が追加され、流石のリザードンも捌くのが難しくなってきた。

 この『ブレイズキック』はタイプ一致のほのおの物理技で、威力は85だが追加効果に急所に当たりやすい効果と、一割の確率で相手を火傷にするというものがある。ほのお技はリザードンに半減だが、急所に当たれば話は別だ。

 

 どちらも受けたら痛い。

 

 ここは一旦離脱ということで、タイミングよく後退しようとしたが、後ろに下がろうとしたタイミングを読まれたらしく、下がった瞬間に『ブレイズキック』が直撃した。

 おまけに急所に入ったようで、半減しているとはいえ想定よりもリザードンのダメージが大きい。そういう技だから仕方ないと言えば仕方ないが、やられたままなのは気が済まないので『じしん』で反撃する。

 

 弱点のじめん技だ。発動には力のいる大技なので高速戦闘中には使えなかったが、距離を取った今ならその力を十分に活用できる。

 ハヅキも直撃を受けないためにバシャーモを大ジャンプさせて回避しようとしたが、空中で動けないバシャーモは格好の的だ。着地前に『エアスラッシュ』でバシャーモにダメージを与えていく。

 

 だが、バシャーモもすぐに起き上がった。

 

 ハヅキも、やはり距離を開けてはダメだと判断したようで、『ビルドアップ』を指示して攻撃と防御を一段階上げ、再びバシャーモをリザードンへ突っ込ませていく。当然、こちらはその前に『じしん』を撃ったが、今度は避けずに『ストーンエッジ』を撃ってきた。

 こちらの『じしん』が当たると同時に、『ストーンエッジ』がリザードンに当たる。流石に四倍弱点はダメージが大きいようで、一瞬リザードンの表情が歪んだ。

 

 向こうは『ビルドアップ』で防御を上げていたこともあって、次の動き出しが早く、リザードンが体勢を立て直す前に距離を詰めてきた。

 再び近距離戦になるが、こちらもやられたままでいるつもりはない。何故か気持ちはシンクロしないが、それならそれで戦いようはある。

 

 向こうが『ブレイズキック』で仕掛けてくるのに対し、こちらはリザードンに、『メガトンキック』を指示した。

 

 こちらにだって足技はあるのだということを教えてやれ。相手の『ブレイズキック』に合わせて威力120の大技で対抗していく。

 まさかリザードンに足技があるとは思っていなかったようで、こちらの『メガトンキック』が奇麗にバシャーモに当たる。体勢が崩れた所に『ドラゴンクロー』の追撃を入れ、倒れた所をそのまま『じしん』で一気に戦闘不能まで持って行った。

 

 いくら『ビルドアップ』で耐久を上げていても、これだけ技の連打を受けては立てはしないようで、倒れたまま動かない。

 審判によって、ハヅキのポケモンが全て戦闘不能の判定が下ると、俺の勝利が決まった。ハヅキも「まさか、蹴りでバシャーモを攻略してくるとはね……」と頭を抱えている。

 悪いな。ニューサトシは意外と負けず嫌いなんだ。

 相手が絶対の自信を持っている技を真正面から潰せば相手は動揺して隙が出来る。実際に最後のバシャーモにこちらの連打が入ったのは、その動揺による所がかなり大きかった。

 

 それにしても、勝ったからよかったものの、何故リザードンとシンクロ出来なかったのだろうか。

 不調という感じではない。むしろ、リザードン側からシンクロするのを拒否されたような感覚だった。まるで、自分の力だけで戦いたいというような――

 

 きずな現象不発の原因を考えていると、ハヅキに「次の試合も頑張ってくれ」と声をかけられたので、「優勝してやるぜ」と返しておく。

 

 ベンチに戻ると、試合中は自分を出せ出せ言っていたラティも、今は俺が勝ったことを素直に喜んでいるようだった。

 その後ろのタケシは「いいバトルだったな」と言ってくれている。だが、カスミさんは「結構ぎりぎりの勝負だったけどね」と辛口の評価だった。実際、俺はポケモンを四体も戦闘不能にさせられているので言い返せない。少し、ハヅキを甘く見すぎていたな。

 

 しかし、苦戦はしたが原作のサトシ君キラーは倒したのだ。後はもうシゲルにのみ照準を合わせていけば問題ないだろう。

 

 少なくとも、この時の俺はそう考えていた。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・第272話『フルバトルの果てに! それぞれの道!』より、ニューサトシが勝った。
 が、何故かきずな現象が発動しなかった。原因は不明だが、不調というよりも意思疎通がうまくいかなかった感じである。リザードンはリザードンで何か目的があってきずな化を拒否したのだとニューサトシは考えている。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.55

 ピジョット Lv.52

 バタフリー Lv.52

 ドサイドン Lv.54

 フシギダネ Lv.52

 リザードン Lv.57

 ゼニガメ  Lv.52

 キングラー Lv.52

 カモネギ  Lv.52

 エビワラー Lv.52

 ゲンガー  Lv.53

 オコリザル Lv.52

 イーブイ  Lv.51

 ベトベトン Lv.51

 ジバコイル Lv.51

 ケンタロス Lv.51

 ヤドラン  Lv.51

 ハッサム  Lv.51

 トゲキッス Lv.47

 プテラ   Lv.52

 ラプラス  Lv.51

 ミュウツー Lv.71

 バリヤード Lv.51

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.47→48

 カビゴン  Lv.46

 ニョロゾ  Lv.45

 ヘラクロス Lv.44

 メガニウム Lv.43→44

 マグマラシ Lv.43

 ラティアス Lv.30

 デルビル  Lv.43

 ワニノコ  Lv.43

 ヨルノズク(色違い) Lv.43

 カイロス(部分色違い) Lv.43

 ウソッキー Lv.43

 バンギラス Lv.55

 ゴマゾウ  Lv.30

 ギャラドス(色違い) Lv.34


 ニューサトシやポケモン達の設定、サブキャラや作中の設定をまとめて欲しいという意見が来たのですが需要あります? あまり設定資料みたいなのを書いてもなぁと個人的には思うのですが。ちょっとまたアンケートをお願いします。


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#089 『いい勉強させてもらったわ』

 12歳 μ月υ日 『ポケモンリーグを全力で戦うロケット団かぁ』

 

 ハヅキとの試合の後、傷ついたポケモン達をポケモンセンターに連れて行きながら、テレビに映っている他の選手の試合を見る。

 だが、俺の次の対戦相手が決まるであろう試合は、両者共にお世辞にも強い相手ではなかった。

 まぁ、勿論決勝リーグに来ているだけはあるが、俺が望むレベルには少しばかり足りない。ハヅキやシゲルに比べても実力はワンランク下がる。一応後でデータは確認しておくつもりだが、おそらくどちらが勝っても負けることはないと言っていいだろう。

 

 まぁ、ちょっとガッカリだが、次の三試合目はかなり期待が出来そうな奴がいる。

 

 この試合ではツクシが言っていたローブのようなもので顔を隠した覆面野郎が出てきた。これが想像以上に強く、バンギラス一体に相手の選手はごぼう抜きされている。

 

 タケシがパソコンであいつのことを調べると、あの顔を隠している奴はSという名前で登録しているらしい。

 当然ながらトレーナーネームだろう。ブルーやレッドなんかと同じで、トレーナーも身分がしっかりわかっていれば名前を変更できるのだ。

 

 さらに調べてみると、どうもこれまでのバトルでもあまり多くのポケモンを使っていないらしく、パソコンのデータにはハッサム、バンギラス、カイリューくらいしかポケモンの情報が載っていなかった。つまり、それだけの実力者ということだ。

 

 面白いと思いながら続く四試合目を見るが、前の試合が一方的だったのに対し、泥仕合というような内容だった。

 ハヅキや前の試合の奴に比べても実力はワンランク下がる。仮にどちらが上がってきたとしても、Sとは勝負にはならないと判断していいだろう。

 

 第四試合まで見終わると、昼食休憩の時間になった。丁度、ポケモン達の回復も終わったので労いがてら飯にする。

 

 ポケモンセンターを出ると、狙っていたかのようにナツメとジョウトジムリーダーズが合流してきた。

 当たり前のように一緒に飯を食いながら、俺の試合の反省会をする。どうも、全体の流れは悪くなかったようだが、ジムリーダー的にはハガネールに対してキングラーを出した所がイマイチだったらしい。

 

 ツクシは、「あそこはリザードンを出して一気に決めるべきだったと思うよ。リザードンなら『すなじごく』は効かないし、ズルズル試合を先延ばしにしたせいで、無傷のカビゴンまで『だいばくはつ』で持っていかれたしね」と、意見し、それに対してミカンちゃんが「でも、それは結果論よ。私だって、まだ体力の残っているハガネールが『だいばくはつ』をしてくるとは思わなかったし」と反論している。

 ツクシの言い分もわからなくはないが、もしかしたらリザードンを出したらその時点で『だいばくはつ』されていたかもしれないことを考えると、迂闊にリザードンが最適解とは言いづらい。勿論、俺のプレイングが100点というつもりは毛頭ないが、他に『だいばくはつ』を防ぐ手立てはあったように思えた。

 

 イブキとしては、ハガネールに対して麻痺しているキングラーを出したのはいいが、近接攻撃させたのが微妙だったらしい。確かに、動きが想定以上に遅くて距離を詰める間にやられたし、遠距離からの『ハイドロポンプ』でダメージを稼ぐ方が良かったかもしれん。

 あの時点でハガネールは、『すなじごく』、『うちおとす』、『アイアンテール』を使っていたし、こちらが遠距離攻撃を仕掛けていれば四つ目の『じしん』を選択してくれたかもしれない。そうなれば、『だいばくはつ』を回避した上でカビゴンを送り出せた。

 

 まだまだ未熟だと反省していると、アカネからはヘルガーを倒した時の動きを褒められた。あれだけ隙がないと、『みちづれ』は使えないし、リザードンの流れるような動きは四天王クラスとまで言ってくれている。大変気分が良い。

 

 ナツメからは「切り札を使わなかったのは何故?」と聞かれた。おそらく、きずなリザードンのことだろう。ナツメに見せたことはなかったはずだが、まぁ去年のリーグでも出しているし、ジョウトのジム戦でも使っている。知っていてもおかしくはない。

 

 とはいえ、使わなかったのではなく、使えなかったのである。

 

 俺としては開幕から全力で行ってもよかったのだが、気持ちがシンクロしなかったのだ。これは推測だが、リザードンは切り札を使わない素の状態で勝ちたいと思ったのだろう。

 実際、きずなリザードンならもっと簡単に勝てていたという自信はある。しかし、ただ勝つだけではこの先の戦いを生き残れない――と、リザードンは考えたのかもしれない。

 

 俺もこうして改めて考えるまで気付いていなかったが、ハヅキ戦の俺はいざとなればきずな現象があるという安心感から少し油断があった。

 キングラーのミスも、いざとなればリザードンで何とか出来る。そんな甘えのようなものがあったのかもしれない。おそらく、リザードンはそんな俺の油断を諫めると同時に、もっと先を見据えようとしていたのだ。

 

 確かに、きずな現象ばかりに頼っていてはいずれ強さの頭打ちが来る。あの力はあくまで、素の力の延長線上にあるものだ。

 それに、俺のポケモンはリザードンだけじゃない。みんなの力で戦っているのだ。いくら特別な力があっても、それに溺れるようでは宝の持ち腐れ。おそらく、リザードンはそれを俺に理解させるために、ハヅキのバシャーモを素の状態で倒すと考えたのだろう。

 勘違いされるかもしれないが、別にハヅキのバシャーモが弱いと言っている訳ではない。むしろ強かったからこそ、リザードンはきずな現象を拒否することで、リザードン頼りの甘い考えを払拭しようとしてくれたのだ。

 

 とはいえ、その感覚を他人に伝えるのはちょっと難しいので、「いろいろあって温存した」とだけ返す。

 ナツメはそれ以上追及してこなかった。むしろ、わかればいいと言わんばかりの態度だ。もしかしたら、ナツメは俺の甘えが見えていて、この件を考えさせるために話を振ってくれたのかもしれないな。

 

 何となくそんなことを考えていると。テレビから五試合目の映像が流れてきた。

 

 五試合目はムサシの出番のようだ。どうもニューラを捕まえたのはあいつらだったようで、上手いこと先制を決めている。

 ニューラ自身もなかなか強いこともあって、「もうニャースとはおさらばよ!」と、ムサシが調子に乗っていた(音声は聞こえていないので唇の動きを読んでいる)。ただ、ニャースも聞き捨てならなかったようで、試合中にも関わらず『みだれひっかき』をかましている。もうしっちゃかめっちゃかだな。

 

 ただ、そんなムサシも試合ではほぼ互角の立ち合いを見せている。バトルで使っているのはニューラ、オニドリル、アーボック、ウツボット、サワムラー、ソーナンスの六体で、序盤有利を作っていたムサシだが、調子に乗ったせいですぐに五分に持ち込まれていた。

 だが、どうもちゃんとバトルの練習をしていたようで、また少し強くなっている。最終的にはソーナンスの反射技が上手く決まって二回戦への進出を決めていた。勝っている件について。

 

 しっかし、改めて、ロケット団がポケモンリーグを戦うアニポケってどうなんだと思うが、まぁ本人達も勝って大喜びしているし、これはこれでいいのかもしれない。

 

 続く六回戦ではシゲルが出てきた。対戦相手が可哀想に思えるくらいのワンサイドゲームで二回戦進出を決めている。

 もし、一回戦で俺とシゲルが当たっていたら、実質決勝戦とか言われていたかもしれないな。そう考えると、組み合わせを変えたスタッフはいい仕事をしたと言える。

 

 続く、第七、第八試合も見たが第二や第四試合と、レベルはそう変わらなかった。

 あの調子なら、シゲルが全部倒すだろう。シゲルが絶好調だというのがわかっただけでも収穫だな。

 

 

 

 12歳 μ月υ日 『決勝リーグ 二回戦 VSトシヤ 前編』

 

 俺の二回戦の対戦相手はセントチェリータウンのトシヤとかいう奴に決まった。前回の反省も踏まえつつ、今回はリザードンをエントリーするのは止めている。

 リザードンやミュウツーがいるからどうにでもなるという甘い考えを捨てるためにも、ここで一度気を引き締め直すつもりだ。

 今回のメンバーは、ピカ様、ピジョット、バリヤード、ニョロトノ、デルビル、金角のカイロスの六体を登録した。お気付きの方もいるかもしれないが、ニョロゾはニョロトノに進化させている。

 

 いろいろ迷ったが、最終的には自分で選ばせた形だ。最初は俺の意見を尊重すると言っていたニョロゾも、やはり原作通りおうじゃのしるしに興味を示したので、その意思を尊重した。

 ニョロトノになったので、基本的には特殊型で運用するつもりでいる。とはいえ、状況によっては物理技も指示するので、あくまで基本的な部分でしかないけどな。

 

 アニメではカスミさんがニョロトノに進化させたら、何故か応援係になっていたが、俺のニョロトノはしっかりとバトルが出来るニョロトノだ。

 まだ進化したばかりなので、あまり技は増えていないが、そこはこれから少しずつやっていけばいいと思っている。

 今回はお披露目だ。まだニョロトノは世間的にもあまり認知されていないポケモンなので持っている奴はかなり少ない。間違いなく歓声が起きるだろう。それを上手く利用するつもりだ。

 

 ルーレットによって先行が俺に決まる。

 

 同時に、フィールドが草原のフィールドに決まった。どうやらフィールド選択は完全にランダムのようだが、草原や岩のフィールドは陸上系のポケモンが活躍しやすいので有難い。

 

 当然のように、一体目にニョロトノを出した。

 予想通り、歓声が沸き起こる。大変気分が良い。これだけでもニョロトノにした甲斐があるというものだ。

 対するトシヤはヤドキングを出してきた。

 こちらも珍しいということで歓声が起きる。ふぁっきゅー、せっかく俺に集まっていた注目が分散したではないか、作戦がパーだ。絶対に許さんぞ。

 

 みずタイプのポケモンがフィールドに出てきたことで、中央のフィールドが変化して水のフィールドが現れる。

 

 同時に、ニョロトノに『のしかかり』を指示した。ヤドランが物理攻撃に強いように、ヤドキングは特殊攻撃に強いので、多少威力は下がっても物理攻撃の方がダメージを与えられるのだ。

 対するトシヤは『サイコキネシス』を指示してくるので、『かげぶんしん』で回避していく。ニョロトノも特殊攻撃はまぁまぁ受けられるが、素直にくらってやる義理もない。

 

 攻撃対象が増えたことでヤドキングがどれを狙えばいいかわからず動きが止まる。シゲルやハヅキならばすぐに次の対応を指示するのだろうが、トシヤ自身も本物がどれかわからずに動きを止めていた。

 とりあえず分身を消すか、相手の動きを読むのが『かげぶんしん』攻略の正攻法だが、まぁ動かないなら有難くそのまま背後から『のしかかり』を決めさせて貰う。ヤドキングがダメージを受けて転ぶが、攻撃に転じたことで分身が消えた。

 

 これ幸いと、再び『サイコキネシス』を指示するトシヤだが、こちらも再び『かげぶんしん』で惑わせていく。とはいえ、流石に二度目はなかったようで、素直に『みずでっぽう』で分身を消していた。

 

 普通ならそれで分身の数を消して本体の位置を割り出すのだが、それを待ってやるほどニューサトシは甘くない。『みずでっぽう』を『アンコール』で縛って技を固定にする。

 トシヤは構わないとばかりに、そのまま『みずでっぽう』で『かげぶんしん』を全て消し、ニョロトノにも攻撃を仕掛けてきたが、みずタイプのニョロトノにみず技は半減だ。おまけに『みずでっぽう』は威力が40しかなく、タイプ一致でも大した火力は出ない。

 

 どうやらトシヤの想定以上にピンピンしていたようで、すぐに『サイコキネシス』を指示するが、『アンコール』で縛っているので技は『みずでっぽう』固定である。

 俺のニョロトノは特性が『ちょすい』ではないので、ダメージは受けているが微々たるものだ。再び『のしかかり』でダメージを与えていく。追加効果の三割麻痺を引いたようで、ヤドキングは体が痺れていた。

 

 ここに来てトシヤも流石にマズいと思ったようで、ヤドキングを一度戻そうとする。だが、一瞬遅かったな。

 三度目の『のしかかり』で動きの鈍ったヤドキングを戦闘不能にまで持って行く。ヤドキングも二度目までは上手くダメージを逃がしていたが、体が痺れた状態ではそんな器用なことは出来なかったようだ。

 

 失敗したという表情を隠すように、トシヤがヤドキングをボールに戻す。それに合わせてニョロトノが観客へアピールを始めた。

 当然、俺の指示である。先程ヤドキングに奪われた歓声を取り戻すように、ニョロトノがアピールを続けていく。大変気分が良い。

 

 とはいえ、別に目立ちたいだけでこんなことをしている訳ではなかった。ニョロトノを最初に選んだこともあくまで作戦である。

 ニョロトノのアピールによって、盛り上がった観客席からニョロトノコールが起きた。これを待っていたのだ。観客が完全に俺の味方となったことで、トシヤが苦しそうな顔をしている。

 

 対戦相手が応援されているのは意外とプレッシャーになるだろ? 昨日のムサシの試合の終盤がそんな感じの雰囲気で相手が飲まれたんだよな。いい勉強させてもらったわ。

 

 会場が敵の状況だが、トシヤは諦めずに二体目にポポッコを出してきた。ニョロトノの苦手なくさタイプだ。素直に相性で攻めようということだろう。

 だが、ポポッコも会場がニョロトノの応援をしていることでかなり委縮していた。相性は不利だが、流れはいいのでこのままバトルを続投する。

 向こうが相性なら、こちらも相性で攻めようではないか。『れいとうビーム』を指示して、弱点を突いていく。くさ・ひこうのポポッコにこおりは四倍弱点だ。本来、ニョロトノは特殊が得意だし、タイプ不一致でも十分なダメージをたたき出せる。

 

 しかし、そんなに簡単に決まるはずもなく、トシヤは『とびはねる』を指示して攻撃をかわしていく。

 この『とびはねる』も『あなをほる』系の技と一緒で、一ターン目に空中へ飛び上がって二ターン目に攻撃する技だ。一ターン目の攻撃を回避に使ったのだろう。

 

 ならば、落ちてくるところを狙い撃ちにしてやろうとすると、トシヤは続けて『アクロバット』を追加で指示してきた。

 落下するポポッコが空気に乗ってアクロバットな動きをしてくる。本来、『アクロバット』は持ち物を持っていない時に威力が二倍になるという技だが、技としての性質を上手く利用してきたようだ。

 

 おまけに、『アクロバット』の効果は最初から持ち物を持っていない時も発動するため、威力110のタイプ一致物理技である。

 何とか『れいとうビーム』で撃ち落とそうとしていたニョロトノだが、流石に捉えきれずに攻撃が直撃した。弱点ではなかったこともあって戦闘不能にはなっていないが、予想外の大ダメージを受けている。

 

 チッ、技を決めたことでトシヤとポポッコも落ち着いてしまったな。ヤドキングとのバトルは一方的だったので、このまま行けるかとも思ったが、流石に決勝リーグまで来ただけのことはあるということか。

 

 後半にニョロトノが必要な場面も来るかもしれないということで、一度ニョロトノを戻すことにした。引き続き、こちらも相性を突いていこうということで、二体目としてデルビルを送り出す。

 傷だらけのデルビルを見て、トシヤが一瞬怯んだ。まぁ、こいつも誰に似たのか、あまり目つきが良くないからな。

 

 しかし、気を取り直したようにトシヤが再び『とびはねる』からの『アクロバット』戦法を指示してきた。とはいえ、今度はこちらもただでくらうつもりはない。撃ち落とすのが厳しいなら避けるまでということで、『ニトロチャージ』でスピードを上げていく。

 

 ポポッコがデルビルを上空から狙っているが、縦横無尽に駆け抜けるデルビルを捕まえるのは至難の業のようだ。

 攻撃を外したポポッコが地面スレスレを飛行している。だが、地面に近い位置を飛んでいるということは、逆にこちらの射程距離でもあった。

 

 上昇するまで一瞬の隙しかないが、スピードの上がったデルビルなら十分に捉えられる。必殺の『かえんほうしゃ』でポポッコにダメージを与えた。

 ならばと、トシヤも『やどりぎのタネ』で反撃してくる。毎ターン相手の体力を1/8ずつ減らして、その分を回復する技だ。固定ダメージと回復を併せ持った技なので、ほのおタイプ相手でも関係なく使ってきたのだろう。

 

 こうなると持久戦はこちらが不利である。再び『かえんほうしゃ』を指示すると、トシヤは『まもる』で攻撃を防いできた。攻撃を防いだ後は、また『とびはねる』を使って上空で逃げていく。

 その間にデルビルの体力は1/8が削られ、ポポッコはその分体力を回復していた。この後の『アクロバット』の攻防の間に、また体力は1/8削られる。その上、今度は最初から攻撃ではなく、回避に『アクロバット』を使っているため時間を稼がれていた。みみっちい奴である。

 

 とはいえ、これは少しまずい状況だった。着地を狩ろうとすれば『まもる』で防がれ、そこからはまたループされる。ならば――

 

「デルビル、『ニトロチャージ』だ! 炎でやどりぎを焼け!」

 

 やどりぎの強さは相手の体に宿ることだ。アニメでは拘束技として使用できるくらいに木が体に巻き付いている。

 ならば、その木を燃やしてしまえば問題解決と言うことだ。『ニトロチャージ』や『かえんぐるま』のような技は自身の体から炎を出してエネルギーにしている。その炎を逆に利用してやればいいのだ。

 

 ゲームでは決して有り得ないやどりぎ攻略法。俺も、この世界で経験を積まなかったら思いつかなかっただろう。

 思えば、ジョウトに来てから少しずつアニポケならではの方法を身に着けているし、段々とアニメのサトシ君のとんでも思考に追いついてきたような気がしなくもない。

 

 だが、これで持久戦に持ち込むつもりだったトシヤは思惑を外されたことになる。このまま回避を続けても無駄にPPを消費するだけだ。

 勝負を決めるつもりのようで、トシヤが『アクロバット』で再びデルビルを攻撃させる。しかし、『ニトロチャージ』を二度積んだデルビルは先程よりも早く、当然ポポッコはその動きを捉えることが出来なかった。

 

 攻撃が外れた瞬間に再び、『かえんほうしゃ』を指示するが、『まもる』で防がれる。そのまますぐに『とびはねる』を指示するのは目に見えていたので、『ニトロチャージ』で動く前に攻撃を仕掛けた。

 三段階スピードが上がれば、動き出しを捉えられる。そのままポポッコを組み伏せて、今度こそ『かえんほうしゃ』で戦闘不能まで持って行った。

 

 ポポッコが目を回して倒れると同時に、デルビルの体が光り出す。進化の光だ。デルビルはヘルガーへと進化した。

 体が大きくなったことで、古傷が迫力を増している。修羅場をくぐり抜けてきた感が半端じゃなく格好良くなった。

 

 ヘルガーの進化に喜んでいると、トシヤが三体目としてサイホーンを出してくる。流石に進化したとはいえ、ほのおタイプのヘルガーでは対処が難しいので一度ボールに戻した。

 相性を考えれば、技を全部使っているとはいえ、こおり技の使えるニョロトノだが、ダメージ的にももう少し休ませてやりたいので、ここはピカ様にお任せすることにする。いい加減、あれも完成させたいしな。

 

 ピカ様が意気揚々とフィールドに飛び出していく。トシヤを始めとして会場のほぼ全員がじめんタイプのサイホーンにピカチュウを出したことで困惑しているが、舐めるなよ俺のピカ様はみず技も使えるのだ。

 

 そのまま『ざぶざぶサーフ』を指示する。イエローに技の存在を教えてもらってからひそかにずっと練習してきたが、ようやく成功させることが出来たようで、図鑑の技に『ざぶざぶサーフ』の名前が出ていた。

 この『ざぶざぶサーフ』は威力こそ『なみのり』と一緒だが、追加効果で三割の麻痺が存在する。だが、四倍弱点の攻撃を不意打ちで受けたサイホーンは一撃で戦闘不能になってしまったようで、その追加効果をお披露目することは出来なかった。

 

 トシヤのポケモンが三体戦闘不能になったことで、一度五分間のインターバルに入る。

 戻ってきたピカ様がドヤ顔をしていたので、手を上げるとジャンプしてハイタッチしてきた。それを見たラティもハイタッチをしたがったので、ついでに手を合わせてやる。

 すると、それを見たタケシも手を上げてきた。手を合わせると、「悪くない流れだぞ」というお言葉も一緒にくれる。

ピカ様、ラティ、タケシと続くと、流石に自分もしないのは居心地が悪いようで、カスミさんも控えめに手を上げてきた。「また油断すると昨日みたいになるわよ」という有難い忠告も一緒である。

 

 当然、油断するつもりはない。トシヤには悪いが、このまま一気に勝負を決めさせて貰うぜ。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・ニューサトシが無意識の慢心を自覚した。
 何だかんだ自分が一番強いと思っているが故に無意識の慢心があった。また、きずな現象あればハヅキに勝てるという考えが、バトルの甘い手に繋がっていた。リザードンがきずな現象を拒否したのは、それを諭すため。また、ナツメも何となく気付いて、それとなく諭してくれた。

・ロケット団が一回戦を勝った。
 ギリギリの戦いを制した。最後は観客全員がムサシを応援しており、相手がそのプレッシャーに飲まれた。ニューサトシがそれを見て、二回戦で真似している。

・二回戦の相手はアニポケのジョウトリーグ優勝者。
 アニメだと二回戦でハヅキを倒してそのまま優勝している。が、ハヅキはバシャーモを出さずにまけているので、おそらく総合的な実力はハヅキの方が上と見ている。つまり、そこまで強くない。

・リザードン頼りの戦いを止めた。
 舐めプのように見えるが、むしろここでリザードンやミュウツーがいないと勝てないようなら、仮に優勝してもその先で勝つのは無理だとニューサトシは考えている。後ろに強いポケモンがいるからと慢心するのではなく、ポケモン全員一丸となって戦うことで自分を見直すのが目的。

・ニョロトノに進化させた。
 本人に選ばせた。チアリーディングの話は過ぎているので応援団にはなっていない。

・デルビルが進化した。
 傷だらけのヘルガーとか格好良すぎる。

・ざぶざぶサーフを覚えた。
 日記には書いていないが、毎日練習していた。才能のあるピカ様でも覚えるのにかなり苦労した。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.55

 ピジョット Lv.52

 バタフリー Lv.52

 ドサイドン Lv.54

 フシギダネ Lv.52

 リザードン Lv.57

 ゼニガメ  Lv.52

 キングラー Lv.52

 カモネギ  Lv.52

 エビワラー Lv.52

 ゲンガー  Lv.53

 オコリザル Lv.52

 イーブイ  Lv.51

 ベトベトン Lv.51

 ジバコイル Lv.51

 ケンタロス Lv.51

 ヤドラン  Lv.51

 ハッサム  Lv.51

 トゲキッス Lv.47

 プテラ   Lv.52

 ラプラス  Lv.51

 ミュウツー Lv.71

 バリヤード Lv.51

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.48

 カビゴン  Lv.46

 ニョロゾ→ニョロトノ  Lv.45→46

 ヘラクロス Lv.44

 メガニウム Lv.44

 マグマラシ Lv.43

 ラティアス Lv.30

 デルビル→ヘルガー  Lv.43→44

 ワニノコ  Lv.43

 ヨルノズク(色違い) Lv.43

 カイロス(部分色違い) Lv.43

 ウソッキー Lv.43

 バンギラス Lv.55

 ゴマゾウ  Lv.30

 ギャラドス(色違い) Lv.34


 アンケートありがとうございました。前回ほど圧倒的ではないものの、一応は需要あるようなので、ジョウト編が完結したら書いてみようと思います。
 本編にはタイミングがなくて書けていない設定なんかもあるので、その辺りも書いてみようと思います。後、番外編がもうすぐ書きあがりそうなので、もしかしたらジョウト完結からすぐに更新できるかもしれません。


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#090 『ワンチャン、もしかするかもしれない』

 12歳 μ月υ日 『決勝リーグ 二回戦 VSトシヤ 後編』

 

 インターバルを終え、フィールドに戻るとトシヤがギャロップを出してきた。

 ニョロトノは技を全て使っているせいでみず技を使えないので、再びピカ様を送り出す――つもりだったのだが、先程の『ざぶざぶサーフ』を見て尚、ギャロップを出してきたのが少し引っかかったので、ここは直感を信じてバリヤードにお任せすることにした。

 

 すると、トシヤが『ドリルライナー』を指示してくる。やはり、じめん技を使おうとしていたか。

 とはいえ、バリヤードは物理防御がそこまで強くないので防がせてもらう。カスミさんが先に披露してしまった『リフレクター』の多重展開で、ギャロップの動きを止めていく。

 完全に動きが止まるのを確信したので、そのまま『きあいパンチ』を決めた。完全防御によって、相手の攻撃が当たらないと確信しているからこそ、タメのいる技も余裕をもって使える。物理のかくとう技だが威力150はあるので、ギャロップもかなりのダメージを受けていた。

 

 トシヤも近距離がダメなら遠距離だと、『かえんほうしゃ』を指示してくるが、実は遠距離攻撃の方がカモだったりする。『ひかりのかべ』バリヤードエディションで攻撃を遮断した。

 完全に動きが止まった所に、今度は『サイコキネシス』を決める。タイプ一致の高火力技だけあって、ダメージは『きあいパンチ』よりも大きそうだった。

 

 近距離は『リフレクター』、遠距離は『ひかりのかべ』で封殺され、どうすればいいかわからなくなったようでヤドキングの時のようにトシヤの動きが止まる。

 悪い癖だな。攻略法を探すにしても、トレーナーが動きを止めればポケモンも動きを止めてしまう。どんな時も、思考はそのまま動きも止めないのが一流の基本だ。

 

 追撃の『サイコキネシス』でギャロップを戦闘不能に持って行く。どうやら、完全に初見殺ししてしまったようで、トシヤが完全にフリーズしてしまっていた。

 残念だな。諦めなければまだ戦えたぞ。

最初にこれを使った時にも書いたが、攻略法は数を使わせることなのだ。一度の防御に同じ技を何回も使っているのでPPがすぐに切れる。おまけに、即席の壁故に通常の壁のように何ターンも効果が持続しない。

 

 まぁ、初見で見抜けと言うのは無理があるかもしれないが、諦めてしまったのはギャロップが可哀想だった。

 審判からの声かけでようやく正気に戻ったようで、トシヤがギャロップをボールに戻す。俺も一度バリヤードを戻した。シゲルには効かないにしても、バリヤードの壁シリーズはまだ使えそうだ。ここで攻略法をばらすのは勿体ない。

 

 トシヤは五体目にヨルノズクを出してきた。相手がひこうタイプならこっちもひこうタイプを出そうということで、ピジョットを送り出す。

 

 ポケモンの数的にも追い詰められてきたトシヤは、どうやらダメージを少なく勝ちたいようで、ヨルノズクに『さいみんじゅつ』を指示している。

 流石に眠らされるのは勘弁なので、『こうそくいどう』で速度を上げて逃げさせてもらった。元々、種族値的にもピジョットの方が足が速いということもあって、ヨルノズクが追いつけずにいる。

 

 キキョウジムでのハヤトとのジム戦でもそうだったが、ひこうタイプ同士のバトルで速度負けするのは殺してくれと言っているのと同義だ。後ろを取って『つばめがえし』で攻めていく。

 しかし、物理技は対策しているようで、『リフレクター』を使ってきた。勿論、俺のバリヤードのとは違う普通のリフレクターだが、攻撃を半減させられるのは地味に辛い。ヨルノズクは特殊技に強いので結構面倒くさくなった。

 

 とはいえ、半減された物理技よりは特殊技の方がダメージが期待できるので、『ぼうふう』を指示する。

 トシヤもかわしてから『エアスラッシュ』というアニポケらしい指示を出した。そして、ヨルノズクはその指示通りに『ぼうふう』をかわして『エアスラッシュ』で攻撃してくる。

 

 思えば、俺も昔はゲーム戦術の癖が抜けなくてなかなか「かわせ」が使えなかったものだ。おまけに、今はもう戦い方の息も合っているので、こちらが指示しなくても避けてくれるようになったし、何だかんだ「かわせ」は数えるほどしか使っていないな。

 せっかくだから俺も「かわせ」を使ってみるかと思ったが、『ぼうふう』の反動でピジョットの動き出しが少し遅くなっているのでこれは回避できなかった。上手くいかないものである。

 

 ピジョットにエアスラが直撃するが、この程度の攻撃なら三、四発続けてくらっても戦闘不能になりはしない。

 ただ、それは相手にも同じことが言えた。ヨルノズクの特殊への耐久力なら『ぼうふう』以外の特殊技など大したダメージにはならないだろう。

 

 結局、『リフレクター』がある限りじり貧になりそうだったので、ここは素直に『とんぼがえり』を指示してピジョットをボールに戻すことにした。

 

 相手のエアスラを回避しながら、微ダメージを与えてピジョットがボールに戻る。その瞬間、待っていましたとばかりにピカ様が飛び出して行った。

 通常の交換はポケモンがボールに戻り切った後にポケモンを選択して出すのがルールだが、『とんぼがえり』などの交換技でボールに戻った場合、技が決まった段階で次のポケモンを投げることが出来るので、ボールに戻った瞬間タイムラグなしでポケモンを送り出せるのだ。

 

 おまけにピカ様はボールに入っていないので、ピジョットがボールの光を受けた直後にはもう飛び出していた。ギリギリのタイミングだが、フライングにはなっていない。そのまま不意打ちの『10まんボルト』でヨルノズクにダメージを与えていく。

 

 タイプ一致の効果抜群技を受けては流石にダメージが大きいようで、ヨルノズクも苦しそうな顔をしている。

 それを見て、トシヤは『はねやすめ』を指示した。ここでヨルノズクを失う訳にはいかないと考えているのだろう。

 

 そのまま回復したヨルノズクをボールに戻すと、最後のポケモンとしてマタドガスを出してきた。

 マタドガスか。エスパー技が効果抜群だが、フェアリータイプを持っているバリヤードはどくタイプに弱い。下手に出して攻略されると、先程与えた精神的ダメージが回復される心配があった。

 

 ピカ様で殴り合うのも悪くないが、ここは素直に金角のカイロスに交換しよう。あいつはじめんタイプの技が得意だし、仮にマタドガスの特性が『ふゆう』だったとしても、『かたやぶり』で当てられるからな。

 

 こちらが金角のカイロスを出すと、トシヤは『どくどく』を指示してきた。もうなりふり構っていられないという危機感を感じる。

 とはいえ、くらっても面倒なので『みきり』で回避する。しかし、変化技が鬱陶しいようで『ちょうはつ』を指示してきた。これでしばらく変化技を使用できない。

 

 まぁ、もう『みきり』を使うかはわからないけどな。と、思いながら、『じしん』を指示する。

 トシヤが余裕そうな表情を浮かべているので、おそらく特性は『ふゆう』で間違いなさそうだ。当然、『かたやぶり』の効果で、特性は無効となり、マタドガスに『じしん』が直撃する。

 

 まさかじめん技が当たるとは夢にも思わなかったようで、トシヤが「なんで!?」と、悲鳴のような声を出していた。

 しかし、『じしん』の衝撃が浮いているマタドガスに当たるのはかなり格好が良いな。まるで、ワンピースの白ひげみたいだ。

 

 そのまま『じしん』を連打すると、トシヤも『まもる』を使ってきた。ここでマタドガスを倒される訳にはいかないのだろう。

 だが、三つ目の技にまた変化技を使ったことで、もう攻撃技の枠は一つしかなくなった。下手な技を使えば俺の残りを突破出来なくなるし、これでトシヤは攻め方をかなり限定された訳だ。

 

 だが、手を抜くつもりはない。

 

 トシヤは後ろ全員に通るであろう『ヘドロばくだん』を指示してきたので、それに合わせて『あなをほる』を指示する。

 相手の攻撃を避けるように金角のカイロスが地面に潜ったのを見て、トシヤはすぐにマタドガスを戻してヨルノズクを出してきた。『かたやぶり』の特性で攻撃が当たるのを嫌がったのだろう。

 交換されたヨルノズクは元々がひこうタイプなので、じめんタイプの技は当たらない。おまけに、金角のカイロスはむしタイプなので弱点が取れる。いい判断だ。

 

 しかし、甘い。

 

 金角のカイロスが地面から飛び出すと同時に、その勢いでヨルノズクへ突進していく。初めてこいつと会った時にバタフリーがやられた奇襲方法だ。

 技を直接当てるのではなく、技の勢いを利用して相手との距離を詰める技術なのでひこうタイプだろうと何だろうと関係がない。そのまま『ハサミギロチン』を指示して、油断しきっているトシヤの隙をついて一撃必殺でヨルノズクを戦闘不能に持って行った。

 

 一撃必殺技は三割でレベル差だけ命中率が上がるというのがゲームの基本だが、この世界では技術の差で割とクリティカルヒットが狙える。

 今は向こうが一撃必殺に無警戒だったのと、完全なる不意打ちだったこともあって、『ハサミギロチン』を外す可能性の方が低いくらいだった。

 

 トシヤがしてやられたという顔でヨルノズクを戻す。カイロスが相手なら一撃必殺は当然警戒していたのだろうが、まさかじめん技から繋げてくるとは思わなかったようだ。

 こちらは金角のカイロスを続投する。

向こうの残りはマタドガスなので、弱点で攻撃できる金角のカイロスで一気に勝負を決めるつもりだ。ピカ様が俺のズボンを引っ張りながら自分が行くと訴えているが、ここは素直に金角のカイロスである。

 

 トシヤに残された手段は『ヘドロばくだん』と『どくどく』による毒で全抜きするしかないだろう。

 当然、そんなことさせるつもりはなく、開幕『あなをほる』で攻撃を回避していく。トシヤも『まもる』で一度攻撃を防いだが、『まもる』は連打出来る技ではないので、こちらは遠慮なく『じしん』を連打していく。

 

 何とか『どくどく』を当てようとしていたが、金角のカイロスの『じしん』連打によってマタドガスが倒れる。トシヤのポケモンが全員戦闘不能になったことで俺の準決勝進出が決まった。

 

 

 

 12歳 μ月υ日 『決勝リーグ 二回戦 ムサシVSシゲル 前編』

 

 俺の試合が終わった後、そのまま控室で第二試合を見ていたが、俺の準決勝での相手は、やはりあの顔を隠したSとかいう覆面トレーナーになった。

 足場の悪い氷のフィールドでポケモン達が自然に動いているのも凄いが、まるで相手の動きを先読みするかのような手腕は称賛に値する。これは油断すると敗北も普通に有り得るレベルなので、暴君との約束は次の準決勝で果たすことが出来そうだ。

 

 そのまま会場に向かい、第三試合を見学する。この試合はムサシとシゲルのバトルだ。

 しかし、ロケット団もくじ運がないな。もし、二回戦がシゲルとじゃなかったら準決勝進出も有り得たのだろうが、どう見てもムサシがシゲルに勝つ可能性はゼロである。

 

 ただ、ムサシはそれでも勝つつもりでいるようなので、ならばたまには応援してやろうと思った。

 いつものようにムサシの変装に気付いていないタケシとカスミさんだが、ラティだけはムサシだとわかったようで、「あー!」と言いながら手を振って応援している。ベンチに変装したニャースがいるのが決め手だったのかもしれない。

 

 ルーレットにより、先行がシゲルに決まる。

 同時にフィールドが岩のフィールドになった。

 

 足場を気にしなくていいということで、シゲルが迷いなくニドキングを出してくる。前回、俺と戦った時と同じ個体なら物理型のニドキングだ。

 対するムサシはギャラドスを出してきた。素直に相性を突いてきたようだ。『いかく』によって、ニドキングの攻撃力が一段階下がる。また、みずタイプのポケモンが出てきたことで、フィールドの中央が変形し、簡易的な水のフィールドが出てきた。

 

 ムサシがギャラドスに『ハイドロポンプ』を指示するが、シゲルのニドキングが動く方が早いようで、それより先に『10まんボルト』を発動させ弱点のでんき技で攻撃してくる。

 ニドキングは技のデパートと呼ばれるほどの技を覚えるが、やはりその技が生きるのは特殊が多い。前回のリーグでは俺の不意を突くために物理型にしてきたようだが、今回のニドキングは完全な特殊型だった。

 

 ギャラドスが弱点のでんき技をくらうも、いつもピカ様の電撃を受け慣れているせいもあってか、タイプ不一致のでんき技程度で動きは止まらない。

 そのまま『ハイドロポンプ』が放たれてニドキングがダメージを受ける。シゲルが「やるね」と言葉をこぼした。すまんな、シゲル。そいつらは俺とほぼ毎日やりあってるから耐久力はかなりのもんだぞ。

 

 シゲルも、力押しするのはリスキーだと悟ったようで、ニドキングに『かげぶんしん』を指示した。

 ムサシを惑わせるつもりなのだろう。

 だが、後ろのコジロウが「ムサシ、こういう時は全体攻撃だ!」と、即座にアドバイスを飛ばしていた。

 

 なかなかいいコーチをしている。そういえば、コジロウの知識は今やオーキド博士と遜色ないレベルだったっけか。前に川柳対決をしていた時は気付かなかったが、もしかしたらセキエイ大会の敗北がコジロウのサポート能力を上げたのかもしれないな。

 

 アドバイスを聞いたムサシが『なみのり』を指示する。ならばと、シゲルも『れいとうビーム』を指示して向かってくる波を凍らせた。

 

 ムサシも真っ向から戦って勝てる相手じゃないというのはわかったようで、『うずしお』を指示して動きを止めに行く。

 イブキのように『あまごい』や『たつまき』を絡めた高度な使い方ではないが、足を止めるという意味ならば『うずしお』だけでも有効な選択肢だ。

 

 とはいえ、シゲルもただで攻撃を受けるほど甘くはない。『10まんボルト』で無理矢理に『うずしお』の拘束を解除していく。

 一進一退と言っていいだろう。

 正直、シゲル相手にロケット団がここまで互角の立ち回りを見せるとは思わなかった。これはワンチャン、もしかするかもしれない。

 

 そう思った瞬間、シゲルが『どくどく』を指示する。搦手で来たな。ギャラドスが猛毒状態になったことで、持久戦は不利になった。

 だが、ムサシは交代ではなく攻撃を選んだ。『ハイドロポンプ』でニドキングにダメージを与える。流石のニドキングもドロポンの二発目はかなりのダメージのようで苦しそうな顔をしていた。

 

 そのまま最後の技として、『こおりのキバ』を指示する。これまで近接技を避けてきたのは、おそらくニドキングの特性である『どくのトゲ』を警戒してのことだろうが、猛毒状態になった今、もはや毒など関係ないということだろう。

 

 突っ込んでくるギャラドス相手に、シゲルは冷静に『10まんボルト』を指示する。四倍弱点の二度目で流石にダメージは大きいようだが、それでも『こおりのキバ』でニドキングを戦闘不能にまで持って行った。

 しかし、猛毒のダメージでギャラドスもまた限界が来たようでその場に倒れる。ほぼ同時の戦闘不能。俺とシゲルがセキエイ大会で戦った時と同じ状況だった。

 

 本当にやるな。一回戦の相手はシゲルの手持ちを一体も戦闘不能に出来なかったことを考えると快挙と言ってもいい。

 実際、シゲルももっと簡単に勝てると思っていただろうし、これでロケット団の認識を改めたはずだ。これからが本当の勝負だな。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・ニューサトシが二回戦を勝利した。
 普段通りのバトルが出来て手応えを感じている。

・ロケット団とシゲルのバトルが始まった。
 開幕は互角の戦いを見せている。ニューサトシも少し驚いた。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.55→56

 ピジョット Lv.52

 バタフリー Lv.52

 ドサイドン Lv.54

 フシギダネ Lv.52

 リザードン Lv.57

 ゼニガメ  Lv.52

 キングラー Lv.52

 カモネギ  Lv.52

 エビワラー Lv.52

 ゲンガー  Lv.53

 オコリザル Lv.52

 イーブイ  Lv.51

 ベトベトン Lv.51

 ジバコイル Lv.51

 ケンタロス Lv.51

 ヤドラン  Lv.51

 ハッサム  Lv.51

 トゲキッス Lv.47

 プテラ   Lv.52

 ラプラス  Lv.51

 ミュウツー Lv.71

 バリヤード Lv.51→52

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.48

 カビゴン  Lv.46

 ニョロトノ Lv.46

 ヘラクロス Lv.44

 メガニウム Lv.44

 マグマラシ Lv.43

 ラティアス Lv.30

 ヘルガー  Lv.44

 ワニノコ  Lv.43

 ヨルノズク(色違い) Lv.43

 カイロス(部分色違い) Lv.43→44

 ウソッキー Lv.43

 バンギラス Lv.55

 ゴマゾウ  Lv.30

 ギャラドス(色違い) Lv.34




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#091 『天才の一言じゃ済まねーぞ』

 12歳 μ月υ日 『決勝リーグ 二回戦 ムサシVSシゲル 後編』

 

 シゲルとムサシが同時にポケモンを戻す。

 二体目として、シゲルはヌオーを、ムサシはジャンボフシギダネを出してきた。あのフシギダネはオレンジ諸島で捕まえた通常のフシギダネよりもかなり大きい個体だ。

 初めのうちはバトルの経験が殆どなくて動きも散漫だったが、俺達とのバトルをこなしている間に動きはかなり良くなっている。パワーもあってスピードもあるので、ステータス的な意味では俺のフシギダネよりも強いかもしれないくらいだ。

 

 相性的な意味でもシゲルが不利だが、どうやら戻すつもりはないらしい。ヌオーに『れいとうビーム』を指示して、逆に弱点を突こうとしている。

 だが、ムサシもコジロウのアドバイスでこおり技を警戒していたようで、フシギダネを走らせて攻撃をかわしていた。スピードはフシギダネ有利ということで、このまま翻弄するつもりらしい。

 

 しかし、ヌオーの撃った『れいとうビーム』が徐々にフィールドを氷漬けにしていく。昨日の一回戦で俺がクリスタルのイワークでやったフィールドを凍らせる作戦だ。

 こうなると、足場が滑って動きづらくなるので、バランス感覚のないタイプのポケモンは動きを制限される。だが、ジャンボフシギダネは『つるのムチ』を巧みに使ってスキーのように氷の上を滑っていた。

 

 そのまま、『タネばくだん』を指示して一気にヌオーを戦闘不能に持って行こうとする。

 とはいえ、シゲルもやられるつもりはないようで、ヌオーを滑らせて『タネばくだん』を回避していた。

 

 互いに氷の上を滑りながら攻撃を仕掛けていくも、なかなか決定打を打ち込めずにいる。

 ムサシは範囲攻撃を仕掛けるつもりのようで、『はっぱカッター』を指示した。対するシゲルは『まもる』で攻撃を防いでいる。

 なかなか攻撃が当たらないことにムサシが焦れてくると、シゲルはヌオーに『じしん』を指示した。予想外の攻撃に、ムサシも一瞬判断が遅れる。地面全体が揺れることで、流石のジャンボフシギダネもバランスを崩してしまった。

 

 ダメージを受けて倒れるフシギダネを見て、ムサシはすぐに『こうごうせい』を指示して回復させていく。

 判断が早いな。しかし、その間にヌオーは『あなをほる』で地面の中へと潜っていた。

 シゲルは指示を飛ばしていない。

 おそらく、事前に決めてあった作戦だったのだろう。ムサシもコジロウも、この一連の混乱でヌオーが地面に潜ったのを見逃している。フィールドに目を戻した時には、そこにヌオーの姿はなかった。おまけに、『じしん』で凍ったフィールドが割れているせいで穴が見つけづらくなっている。

 

 唯一見ていたニャースが、「何をやってるニャ、下ニャ!」と声を出すが、その瞬間に地面から突撃したヌオーの攻撃がフシギダネにヒットした。

 倒れるフシギダネをヌオーが足で踏みつけると、そのまま『じしん』が放たれる。それは奇しくも、昨日俺がリザードンでハヅキのヘルガーやスリーパーにやってみせたゼロ距離『じしん』と同じものだった。

 

 まるで、俺に見せつけるかのような一撃。君に出来ることは僕にも出来ると言いたげな攻撃だった。

 

 じめん技二連を受けて、ジャンボフシギダネも戦闘不能になる。惜しい所まで行ったが詰め切れないな。

 だが、ムサシが弱いのではない。純粋にシゲルの試合運びが上手いのだ。

 ムサシがジャンボフシギダネを戻すと、三体目としてニューラを出してくる。その瞬間、後ろのニャースの表情が無になった。どうやら仲良くは出来ていないらしい。

 

 シゲルもまたヌオーを戻した。

 相性的には悪くないが、有効打がない上にスピード勝負では勝てないと悟ったのだろう。三体目として出してきたのはウインディだった。素直に相性を突いてきた形である。

 

 シゲルが四倍弱点の『インファイト』を指示すると同時に、ムサシは『こうそくいどう』を指示した。

 ウインディは割と足の速い方ではあるが、それでもニューラの方が種族値的には上だ。さらに『こうそくいどう』まで積めばスピードで勝てるはずもなく、悠々と攻撃を回避していく。

 

 ニューラの活躍でますますニャースの目が濁る。まぁ、ニャースが出てたらインファでタコ殴りにされるだけだしな。

 

 そのままウインディの隙を突くように『きりさく』でヒット&アウェイを繰り返していく。

 シゲルも『しんそく』を指示して、速度で対抗するが上手く攻撃を受け流されている。こりゃ、あのニューラはマジで強いぞ。流石に捕まえたばかりでレベル技以外の技は覚えていないようだが、それでも十分すぎるセンスがある。

 

 たまらずシゲルも『こうそくいどう』でスピードを上げた。速度差が縮んだことで、段々とウインディがニューラを捉えていく。

 だが、その間にニューラも『つめとぎ』で攻撃力と命中率を上げていた。そのまま『きりさく』で再びウインディに攻撃を仕掛けていく。

 

 ウインディの『インファイト』を、ニューラは『きりさく』で奇麗に受け流す。パワー差がなくなったことで、ニューラも攻撃を受け流しやすくなったようだ。

 ならば、無理矢理パワーで押し切るとばかりに、シゲルが『フレアドライブ』を指示してウインディを突っ込ませる。

 しかし、その瞬間、ムサシがニヤリと笑うと同時に、ニューラの体が光り、ウインディの一撃に合わせるようにカウンターで『きりさく』を食らわせた。

 

 あれは――

 

「おいおい、俺のエビワラーの超カウンターだと? 一朝一夕で出来る技じゃねーぞ。あいつら……」

 

 そう、あれは紛れもなく、俺のエビワラーの使っている『こうそくいどう』、『カウンター』、そして攻撃技の三つで構成される超カウンターだった。

 確かに、ニューラはタマゴ技で『カウンター』を覚えるが、まさかたまたま『カウンター』を覚えていた上に、ゲットしてからこの僅かな間にものにしたっていうのか?

 

 天才の一言じゃ済まねーぞ。

 

 ウインディが戦闘不能に持って行かれ、シゲルも流石に驚いている。あいつはセキエイ大会の決勝で俺のエビワラーの戦い方を見ているはずなので、おそらく今何をされたかは理解しているだろう。

 だが、そう簡単に模倣できるような安い技術ではなかった。今、シゲルが同じことをしろと言われても真似は絶対に出来ない。だからこそ、ムサシがそれを使ったことに驚いているのだ。

 

 とはいえ、不意打ちが通じるのは一度きりだろう。一度見た以上、次はしっかり対策はしてくるはずだ。

 

 シゲルがウインディを戻すと、再びヌオーを出してくる。ムサシも、ここはニューラを温存するつもりのようでリングマを出してきた。

 あのリングマは可愛い子ぶっているが、その図体のせいで全てが台無しになっている残念なリングマである。ただ、それでも面倒な技を覚えている器用なポケモンだ。

 

 シゲルがヌオーに『じしん』を指示する前に、ムサシが『メロメロ』を指示する。シゲルのヌオーはどうやらオスのようで、目がハートマークになっていた。

 こうなると流石にどうしようもない。

 シゲルも一旦ヌオーをボールに戻す。もし、手持ちのポケモンが全員オスで対応策がなければ、リングマで全抜きも有り得る状況だった。

 

「……ここで出すつもりはなかったが」

 

 そう呟くと、シゲルはニドクインを出してきた。

 まさかキングとクインを両方エントリーしているとは、タイプが結構被っていてシゲルらしくないパーティな気もする。

 

 しかし、そんなことを考えていられたのは一瞬だった。ニドクインが開幕で『ちょうはつ』をかますと、そのままリングマに突っ込んでいく。

 変化技を封じられたムサシも、『あばれる』で対抗したが、ニドクインは暴れまわるリングマの腕を掴むと、まるで子供をあやすかのようにその身を持ち上げた。

 

「ニドクイン、『ばかぢから』だ」

 

 そのまま、リングマを地面に叩きつける。

 その一撃でリングマは戦闘不能に持って行かれた。いくら弱点のかくとう技とはいえ、打たれ強いロケット団のポケモンを一撃で戦闘不能にするだと?

 

 ムサシのポケモンが三体戦闘不能になったことで、一度五分間のインターバルを挟むことになった。

 

 しかし、シゲルはベンチへ戻ることなく、ニドクインと共にそのままフィールドに残っている。

 対するムサシはベンチで作戦会議をしていた。あのニドクインがただものではないことはリングマが一撃でやられたことで証明されている。このままでは全抜きもあると考えているのだろう。

 

 ロケット団に残されたポケモンは、既にバトルに出ているニューラを除くと、アーボック、マタドガス、サワムラー、ウツボット、オニドリル、ソーナンス、そしてニャースだ。

 そのうち勝負になりそうなのは、やはりニューラだろう。元のスピードの速いニューラなら、『ちょうはつ』で『こうそくいどう』を封じられても、超カウンターを発動できる。

 

 後はソーナンスくらいか? カウンター系の技でワンチャンが取れるだろうし、何だかんだ言いながらムサシもソーナンスで初見殺ししまくってるから登録している可能性は十分ある。

 

 インターバルが開けると、シゲルはそのままニドクインを突っ張ってきた。それにしても、良く育てられているニドクインだ。

 思えば、アニポケでもシゲルのニドクインは別格に強かった。おそらく、重点的に育ててきたのだろう。単純なレベルだけなら、俺のポケモンで勝てる奴はミュウツーくらいしかいない。それくらいに鍛え抜かれている。

 

 ムサシは予想通りにニューラを出してきた。

 そのままニドクインが『ちょうはつ』を打つ前に、ちゃっかり『こうそくいどう』を一段階積んでいる。だが、これで変化技は再び封じられた。

 しかし、これで十分とばかりに、ニューラはその身を揺らす。エビワラーのような奇麗なステップではなく、全身をしならせた野生の動きだった。

 

 だが、シゲルは迷わず、「突っ込め」と指示している。どんな小細工も真っ向から打ち砕くと言わんばかりの態度だ。雰囲気だけなら四天王と言われても納得できるものだった。

 

 ニドクインが突っ込むのに合わせてニューラも動く。ニドクインはリングマとのバトルで使った『ばかぢから』のデメリット効果で、攻撃と防御が一段階ずつ下がっている。

 ムサシもそこに勝機を見出したのだろう。その余裕を砕いてやるとばかりに、『きりさく』で仕掛けていく。下手に向こうが仕掛けて来れば、その時点で迷わず『カウンター』を発動させるつもりのようだ。

 

 ニドクインは最小の動きで『きりさく』を流す。攻撃をしていないから『カウンター』は発動しない。あくまで攻撃を流すだけに留めていた。

 ムサシもニューラも、その一挙手一投足を見逃さぬと注意している。油断など欠片もない。いつでも反撃できるように細心の注意を払っている。

 だが、気が付くと、ニューラはガッチリとニドクインによってその身を掴まれていた。何が起こったのかわからずに、ムサシもニューラも動揺している。

 

 瞬きだ。

 

 一瞬、ムサシとニューラが同時に瞬きをした一瞬で、ニドクインはニューラを捉えた。そのせいで、二人には気が付いたら捕まえられていたように思えたのだ。

 

「『はかいこうせん』」

 

 ゼロ距離からの『はかいこうせん』で、ニューラを戦闘不能にする。特殊技故に、『カウンター』は発動できない。

 また、相手が戦闘不能になって、ポケモンを交換する間に、ニドクインの硬直は解除されるので、実質反動なしで『はかいこうせん』を撃ったようなものだった。

 

 ムサシはニューラを戻すと、ソーナンスを出してくる。だが、シゲルはもう何もさせないとばかりに、『ちょうはつ』でソーナンスの変化技を封じた。

 正直、ムサシのソーナンスは『カウンター』と『ミラーコート』以外を使うのを見たことがないので、変化技を封じて意味があるのかは不明だが、『アンコール』や『みちづれ』のような強力な変化技は封じられている。

 

 結局は、反射技でどうにかするしかないということだ。だが、おそらくムサシに高度な読み合いなど出来ないだろう。実質、シゲル対ソーナンスの技の読み合いと言えた。

 

 ニドクインがゆっくりとソーナンスに近寄っていく。対するソーナンスはブルブル震えていた。

 恐怖か、それとも緊張か、あいつもこんな大舞台で戦うとは思っていなかったのだろう。思えば一回戦でも最初は躓いてこけていた。

 

 しかし、それは当たり前である。他のメンツが度胸あるだけで、ソーナンスが普通なのだ。

 俺のポケモンのように、ずっと目指せポケモンマスター、目指せリーグ優勝と言って常日頃から鍛えている訳でもなく、勢いで仲間になって、勢いでついてきたら、何故かポケモンリーグである。緊張しない方がおかしい。

 

 ただ、毎日躾けられているだけのことはあるようで、ムサシの口癖である「ビビってんじゃないわよ」の一言で、ソーナンスの震えが止まった。どうやら、信頼関係は出来ているようだ。

 

 シゲルは『ばかぢから』を指示すると、ソーナンスが反応して『カウンター』を発動させる。最初から当てるつもりはなかったのか、寸前の所で技をキャンセルさせたのでどちらも傷ついていないが、ムサシの指示より先に技を発動させたのを見てシゲルはすぐに方針を変えたようだった。

 

「ニドクイン、任せる」

 

 と、いう一言が、シゲルがソーナンスを認めた証である。相手のトレーナーの指示に反応して後出しで技を出せるのなら裏はかけない。

 ならば、ニドクイン自身の動きで相手を惑わせることで、相手の反射を外させるしかないと判断したのだろう。改めて、ムサシのソーナンスの技術の高さが良くわかった。

 

 だが、そうなると困るのはソーナンスである。相手の攻撃指示に合わせて反射すれば良かったものが、相手のポケモンの動きを読まなくてはいけなくなったのだ。

 当然、ソーナンスにかかる負担は倍以上になる。

 それでも、ムサシは自分が役に立たないとわかっているから『カウンター』以外の指示を出さないし、ソーナンスならば上手く『カウンター』や『ミラーコート』を合わせてくれると信じていた。

 

 シゲルのニドクインが思わせぶりに腕を動かす。フェイクだ。ソーナンスもわかっているようで動かない。

 次にニドクインが姿勢を変えると、今度はソーナンスが『ミラーコート』の構えを取った。技を撃つと判断したのだろう。

 それを見て、ニドクインが何もせずに体勢を戻す。ソーナンスもまた、反射の体勢を解除した。

 その解除の隙を狙って、最速で『ばかぢから』を撃とうとするも、既にソーナンスは『カウンター』の体勢に入っている。ニドクインが直前で技をソーナンスからそらして地面を抉るのを見れば、先読み対決はソーナンスに軍配が上がったのは誰の目にも明らかだった。

 

「ニドクイン、『みがわり』だ」

 

 シゲルも最後の技を使わなければ勝てないと理解したようで、『みがわり』を指示している。

 これはまずい。反射した技は『みがわり』が盾となるので、実質ソーナンスはただのサンドバッグになってしまう。

 

 いち早く気づいたコジロウが、ムサシにソーナンスを戻すように声を出すが、それよりもニドクインが『はかいこうせん』を撃つ方が早かった。

 当然のように『ミラーコート』で反射するも、反射した攻撃はニドクインの『みがわり』が盾となって攻撃を防いでいく。

 

 おまけに、この一撃でかなりのダメージを受けたようで、ソーナンスが苦しいという表情を浮かべた。

 ムサシもサンドバッグはごめんだとばかりに、ソーナンスをボールに戻す。最後に出してきたのは相棒のアーボックだった。

 

 とはいえ、相性は最悪である。

 

 どく・じめんタイプであるニドクインには、お得意のどく技はほぼ効かないし、いくら『ばかぢから』の効果で攻撃や耐久が下がっているとはいえ、基本的に耐久のあるニドクインにアーボックは有効打がない。

 

 せめて『こおりのキバ』でも覚えていれば話は別なんだが、と思っていると、ムサシが『こおりのキバ』を指示した。

 どうやら、リーグ戦のためにしっかり技は覚えさせてきたようだ。アーボックは元々レベルで三色のキバを覚えるし、そこまで難しいことではなかったのだろう。

 

 弱点の攻撃に対して、シゲルは落ち着いていた。

 

 ニドクインもまた悠々と攻撃をかわすと、アーボックの首根っこを掴んでいる。やはり、明らかにレベルが違う。ムサシのポケモンのレベルが大体45前後くらいだとしたら、シゲルのニドクインは60レベルくらいある。

 そうでなければ、リングマやニューラがあれだけ簡単に倒されるはずはない。どうやらあれが対俺用の秘密兵器のようだ。今見られてよかった。

 

 捕まったアーボックが『はかいこうせん』で戦闘不能にされる。残りはもうソーナンスだけだった。

 とはいえ、ソーナンスにももう勝機はない。『ちょうはつ』、『みがわり』からの『はかいこうせん』で戦闘不能にされ、ムサシのポケモンが全員戦闘不能になると同時にシゲルの勝利が決定される。

 

 だが、何だかんだあいつらはまたベスト8まで来ていた。セキエイ大会もシロガネ大会も、原作のサトシ君を上回るか互角の結果である。

 

 俺としては大健闘の結果だと思っていたのだが、どうやらムサシは本気でシゲルに勝つつもりだったらしい。

 セキエイ大会と同じく、悔し涙を堪えきれていなかった。それを見て、コジロウもニャースも悔しそうな顔をしている。

 思えば、今回のあいつらは自分達でバッジを集めて、一からポケモンリーグに挑戦したのだ。その悔しさも、バッジを盗んで参加した前回とは桁が違うだろう。

 

 よくやった。大健闘だったぞ――なんて、とてもじゃないが言えるような空気ではなかった。実際、セキエイ大会でブルーに負けた時、俺はそんなこと言われてもちっとも嬉しくなかったしな。

 

 改めて、今の俺に出来るのは言葉ではなく、戦う姿を見せることだけである。なので、今回はあいつらに何も言わないことにした。

 ラティがムサシに釣られてボロボロ泣いているのを慰めながら部屋に戻る。次の対戦相手の覆面野郎をボコって、さっさとシゲルとの決勝戦だ。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・シゲルが勝った。
 だが、ニューサトシに使う用の本気ポケモンを出すまで追いつめられていた。もし、組み合わせが違っていればもっと上位の成績だったかもしれない。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.56

 ピジョット Lv.52

 バタフリー Lv.52

 ドサイドン Lv.54

 フシギダネ Lv.52

 リザードン Lv.57

 ゼニガメ  Lv.52

 キングラー Lv.52

 カモネギ  Lv.52

 エビワラー Lv.52

 ゲンガー  Lv.53

 オコリザル Lv.52

 イーブイ  Lv.51

 ベトベトン Lv.51

 ジバコイル Lv.51

 ケンタロス Lv.51

 ヤドラン  Lv.51

 ハッサム  Lv.51

 トゲキッス Lv.47

 プテラ   Lv.52

 ラプラス  Lv.51

 ミュウツー Lv.71

 バリヤード Lv.52

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.48

 カビゴン  Lv.46

 ニョロトノ Lv.46

 ヘラクロス Lv.44

 メガニウム Lv.44

 マグマラシ Lv.43

 ラティアス Lv.30

 ヘルガー  Lv.44

 ワニノコ  Lv.43

 ヨルノズク(色違い) Lv.43

 カイロス(部分色違い) Lv.44

 ウソッキー Lv.43

 バンギラス Lv.55

 ゴマゾウ  Lv.30

 ギャラドス(色違い) Lv.34




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#092 『そこで待ってろ。絶対勝ってくるからよ』

 12歳 μ月φ日 『決勝リーグ 準決勝 VS“S” 前編』

 

 遂に準決勝である。俺の相手はSとかいう覆面野郎で、これに勝てば実質決勝戦の相手はシゲルだ。

 フィールドで互いに向かい合うと、それまでどんな対戦相手にも言葉を交わそうとしなかったSが、「この時を待っていたぞ」と呟いている。

 小さな声だったが、マサライヤーはその声をしっかり捉えていた。そして、どこかで聞き覚えがある声だとすぐに気づく。しかし、それが誰だかは流石に覚えていなかった。

 

「お前、どこかで会ったことがあるか?」

 

 そう聞くと、「クッ、クククク……」と笑いながら、覆面とローブを脱ぎ捨てていく。

 黒みがかった紫色の髪に、濁った瞳。風貌は大分変っていたが、それは前に俺がミュウツーでボコボコにした、データがあれば誰にも負けないと言っていたどこかのハッサム使いのクソガキだった。

 

「お前の言葉通り、ポケモンリーグに参加してやったぞ」

 

 そう笑うSはまるで壊れた人形のように、虚ろな瞳を向けてくる。まさか、あの時きまぐれにボコったクソガキが、闇落ちして再登場するとはニューサトシもビックリのとんでも展開だ。

 

「俺は間違っていなかった。データがあれば誰にだって勝てる。ただ、そのデータを活かすだけの実力が俺になかっただけだったんだ」

 

 ケタケタ笑いながらそう呟くS。本名は何て名前だったっけか、流石にもう覚えていない。

 

「お前のあの伝説のポケモンも、今の俺なら倒すことが出来る。お前はここで俺に負けるんだよ、サートシィ……」

 

 後ろにいるラティが怖さのあまりに頭を抱える。普段ならタケシかカスミさんがフォローしてくれるのだが、二人もまさかの展開に動けずにいるようだった。

 まぁ、自分達がかかわった人間がここまでおかしくなれば動揺しない方がおかしいか。

 

 とはいえ、俺は既にバトルモードなので動揺はしない。この程度で動揺していたらバトルなんて出来ないしな。

 多少思う所はない訳ではないが、ニューサトシも聖人ではないので、闇落ちしたクソガキをバトルで助けるなんて展開はない。俺に出来るのは、こいつをボコボコにすることだけである。

 

「ケッ、まだデータごっこしてんのかよ。あの時はお前が我が儘言うからミュウツーを出してやったけど、あのレベルなら別にミュウツーなんか出さなくてもお前に勝てたんだぜ?」

「だろうな。だが、今の俺はあの時とはレベルが違う」

「ハッ、面白ぇ。見せてみろよ、その違うレベルって奴を」

 

 ルーレットによって、先行は俺に決まる。同時に、フィールドは岩のフィールドになった。

 後攻を取ったSは、「運にも見放されたようだな。後攻を取った以上、俺に負けはない」などとほざいている。

 

 俺は一体目にトゲ様を出した。トゲ様は進化してからまだ一度しかバトルをしていない。データなんかろくに取れていないはずだ。

 しかし、それを見てSはカイリューを出してきた。成程な、カイリューの特性である『せいしんりょく』は、相手の技の効果で怯まなくなるというものだ。自ずと、こちらの害悪戦法を封じられるという狙いか。

 

 とはいえ、トゲ様はフェアリータイプである。相性は有利だし、得意戦法を一つ封じられたくらいで機能が停止するほどぬるくない。

 当然、タイプ一致のフェアリー技も練習させていたので、『マジカルシャイン』で弱点を突いていく。しかし、読まれていたようで、Sも「二歩下がって回避」と指示を飛ばした。カイリューも指示通りに少し下がり、軽く体を反らしただけで攻撃を回避している。

 

 反撃とばかりに、『しんそく』で距離を詰めてきたので、こちらも『しんそく』で攻撃をかわしていく。

 だが、おかしい。まるで、動く方向がわかっているかのようにカイリューはトゲ様の進行方向へ先回りしてきた。そのまま『かみなりパンチ』で弱点を突いてくる。

 弱点のでんき技だが、タイプ不一致ということもあって耐えられた。まだダメージ的には問題ないが、運が悪かったようで追加効果である一割の麻痺を引いてしまう。

 

 しかし、トゲ様には止まらず『マジカルシャイン』を連打させた。麻痺したとはいえ、火力は変わらない。このまま相性で押し切ってやる。

 ただ、麻痺によってトゲ様の動きも鈍っていた。そのせいか、カイリューも余裕の表情で攻撃を回避している。何だこの気持ち悪い感じ、まるで攻撃の方向を完全に読まれているみたいだ。

 

 チッ、真っ向勝負がダメなら搦手で行ってやる。俺のトゲ様はまひるみが全てではないのだ。『どくどく』を指示してカイリューを猛毒状態にさせる。

 だが、通じないと言わんばかりに、直前で『しんぴのまもり』を発動された。やはり完全に動きを読まれている。どうやら対策されているのはマジらしい。と、すると、ここは素直に一旦ドサイドンに交代――

 

「交代の確率78%」

 

 こちらが交換を考慮したタイミングでの発言だった。当然、ボールに伸ばそうと思っていた手は止まる。

 

「戦闘を継続して、接近戦に持ち込む確率は21%、イレギュラーな行動をする確率が1%」

 

 お前はどこかのデータテニヌ使いか。

 しかし、間違ってはいなかった。普通なら交代の場面だし、仮に交代しなかったとしても、遠距離攻撃が通じない以上は接近戦に持ち込んでダメージを与えていくしかない。だが、読まれている以上、下手に交換するのは逆に危険か? ならば、ここは――

 

「『――ここは『しんぴのまもり』が切れるまで、『はねやすめ』で持久戦をするのがベター。その間に攻略法を考えてやる』とでも考えているのだろう。甘い、カイリュー、『アイアンテール』だ」

 

 弱点のはがね技か!

 こうなると、『はねやすめ』を使っても意味がない。『はねやすめ』の効果で、回復と同時にひこうタイプが消えるから『かみなりパンチ』は凌げるが、フェアリータイプの弱点であるはがね技だけは防ぎようがないのだ。

 

「俺に選択肢を出されたことで、お前は俺の思考の上を行くために持久戦を選択しようとする。全て読めているんだ」

 

 読めているのレベルではない。もはや未来予知だ。

 攻撃のタイミングや避け方の癖、戦術や戦略などが完全に把握されている。まるで頭の中を覗かれているかのような感覚だった。

 

 咄嗟に『しんそく』で回避を指示するが、やはりどう動くかが読めているようで、『しんそく』で先回りされる。

 ダメだ。『アイアンテール』は回避できない。こうなれば、少しでもダメージを与えてやると、『じゃれつく』を指示した。相打ち覚悟でカイリューにもダメージを与えていく。いくら動きを読めたって、ここまで近けりゃ避けられまい。

 

 カイリューもようやくその余裕の表情を崩したが、即座に『アイアンテール』で反撃してきた。

 しかし、俺のトゲ様はしぶとい。このままやられてたまるかとばかりに、『じゃれつく』を継続してきた。Sも、まさか根性で耐えるとは思っていなかったようで、舌打ちをしながら即座にとどめの『アイアンテール』でトゲ様を戦闘不能にしてくる。

 

 倒れたトゲ様をボールに戻す。

 

 それを見て、Sもまたカイリューをボールに戻した。技を全て使った上、予想外のダメージも受けたので回復させようという魂胆だろう。

 ドサイドンを出すつもりだったが、対カイリューに残しておきたいので、ここはケンタロスを出すことにした。ノーマルタイプのケンタロスならば、ゴーストタイプ以外なら大抵のポケモンが相手になる。

 

 ケンタロスを見たSが次に出してきたのはバンギラスだった。特性の『すなおこし』によって、フィールドが砂で包まれていく。だが、こちらの『いかく』でバンギラスの攻撃も一段階下がった。

 いわタイプを持つバンギはノーマルタイプの技を半減するが、あくタイプも持っているのでかくとう技が四倍だ。とはいえ、俺のケンタロスはかくとう技を覚えていない。おそらく、それも読んだ上でバンギを出してきたのだろう。

 

 確かにかくとう技は覚えていないが、俺のケンタロスには得意のじめん技がある。特に初代でしか覚えない『じわれ』があるので、最悪は一撃必殺で無理矢理倒し切ることも考慮に入れていく。

 

 こちらが『じしん』を指示すると、Sは『てっぺき』を指示する。どうやら、こちらのケンタロスが物理に強いのは百も承知のようで、純粋に防御を二段階上げてきたようだ。

 いくらじめん技が得意でバンギに二倍弱点とはいえ、タイプ不一致で防御力の上がったバンギラスの突破は難しい。ならば特殊技と行きたいが、俺のケンタロスは特殊技を『はかいこうせん』くらいしか覚えていなかった。

 

 ゲームなら詰みの状況だ。

 

 まさか、これも俺のケンタロスのデータから予測したっていうのか? 俺がケンタロスを公式戦で使ったのはそう多くない。トゲ様の時といい、データで済ませるには限りがあるぞ。

 

「俺がお前のポケモンのデータを持っているのが不思議と言いたげな顔だな」

 

 表情には出していなかったはずだが?

 

「別に難しいことは何もない。マサラタウンへ行って、直に見せてもらっただけだ。オーキド博士も、こちらが悪意を持っていないのがわかるとすぐに中に入れてくれたよ」

 

 あんの、クソ爺。敵にデータ渡してどうすんだ!

 

「お前の手持ちのトレーニングを見て、ポケモンの癖は全て理解した。どんな技を使えるのか、どんな技を覚えようとしているのかも全て確認してある。トゲキッスはトゲチックの段階で特殊技を多く練習していたし、ケンタロスは物理技を練習していた。その上で、お前のトレーナーとしての能力を加えれば、動きは自然と読めてくる。後はそれに対応するだけの能力を俺が持つだけだった」

 

 俺がこいつをボコってから、半年くらいしか経っていない。たったそれだけの期間で、ここまで仕上げてきたというのか。

 

「サトシ、お前のバトルの基本は相性で有利を作り、攻撃を通してバトルの流れを掴むことだ。だから、こうして動きを止めてしまえば、普段通りには動けなくなる。予言してやろう、お前今、ケンタロスを戻そうと考えているな?」

 

 チッ、マジで読まれてる。とはいえ、特性『すなおこし』による砂の継続ダメージも重なると面倒だし、突っ張ってもいいことはないので、ここはケンタロスを戻すしかない。

 

 三体目として誰を出すか悩んだが、ここで一度流れを取り戻したかった。

 変な因縁だが、お前を出すのに丁度いい相手だ。向こうも、お前を待っているみたいだし、ここで流れを変えてくれ。

 

「行くぞ、ミュウツー」

『面白い』

 

 三体目としてミュウツーを出す。すると、会場中が一瞬沈黙した。見たこともないポケモンの登場で呆然としているようだ。

 モニターにミュウツーの画像が表示され、名前と伝説のポケモンであることが解説されると、途端に大歓声が発生する。そりゃ、伝ポケが出てきたら興奮もするわな。大変気分が良い。

 

「クッ、クハハハハハハ……ようやく出てきたな。伝説のポケモン、ミュウツー」

 

 Sも、バンギラスを戻した。待っていたとばかりに、三体目としてゲンガーを出してくる。

 相性ではバンギが勝っていたのにわざわざ交換したということは、他に何か狙いがあるということか。ゴーストタイプもエスパータイプに強いが、どくタイプを持つゲンガーもエスパータイプの技は弱点である。

 とはいえ、まずは『ちょうはつ』でゲンガーの変化技を全て封じた。『みちづれ』をされれば、いくらミュウツーでも戦闘不能になってしまうからな。

 

 しかし、その間にSはゲンガーをミュウツーの懐に飛び込ませていた。最初から変化技を使うつもりはないとばかりに、『だいばくはつ』を使ってくる。

 

 ゲンガーがゼロ距離で爆発を起こし戦闘不能になった。『ちょうはつ』をしていたミュウツーはガードが間に合わずに直撃を受けたが、流石に一撃では戦闘不能になっていない。

 

「一発じゃ、まぁ無理だろうな。なら、次だ」

 

 そう言って、次に出してきたのはマルマインだった。こりゃ、もう『だいばくはつ』を狙っているのは見え見えだ。

 ミュウツーがいくら伝説のポケモンとはいえ、『だいばくはつ』を二度もくらえば戦闘不能になるだろう。この世界の『だいばくはつ』は、前世のようなナーフが入っていない最強の自爆技なのだ。

 

 とりあえず、ミュウツーに『じこさいせい』を指示すると、Sも『ちょうはつ』を指示してきた。

 マルマインは素早種族値がミュウツーを超えていることもあってレベルが下でも動き出しがそこそこ速い。『じこさいせい』はすぐに封じられてしまった。回復まで封じてきたか。

 

 こうなれば、一度ボールに戻すか、爆発される前に倒すしかない。戻すのが普通だが、ミュウツーとしてはこのまま何もできないまま戻るのは屈辱のはずだ。

 

 こいつのパワーなら、爆発される前にマルマインを倒せる。そう信じ、『サイコキネシス』で動きを封じていく。

 しかし、Sは本当にミュウツー対策を考えていたようで、こちらのサイキネよりも先に『テレポート』でマルマインを懐に送り込んできた。

 当然、こちらはサイキネの目標を失ったことで技が不発に終わり、『マルマイン』の『だいばくはつ』がゼロ距離で炸裂する。マルマインは初代でのみ『テレポート』を覚えるが、まさかこのためだけに覚えさせてくるとは――

 

「ミュウツー!」

 

 流石にゼロ距離『だいばくはつ』二連発はまずい。仮にはがねやいわタイプの耐久ポケモンでも問答無用で戦闘不能にされる。

 

『問題ない……とは、言えないか』

 

 さっきの『じこさいせい』で少しだけ回復していたのと、伝説の意地で戦闘不能にこそなっていなかったが、それでも立っているのがやっとだった。

 

「クハッ、まだ耐えたか。だが、これで終わりだ」

 

 続けて出してきたのはハッサムだ。俺とミュウツーが前にボコったブレードとかいう名前のハッサムである。

 前のバトルでのお返しをしようということか。今のミュウツーは変化技も封じられ、『バレットパンチ』の一発で戦闘不能にされる。ここは一度、戻すしかない――

 

『待て』

 

 だが、マスターボールを出した瞬間、ミュウツーから制止がかかった。

 

『相手をよく見ろ。狙われている……』

 

 ハッと、Sを見ると、バレたかとばかりの表情を見せた。そこでハッサムは『おいうち』を覚えることを思い出す。あのまま俺がミュウツーをボールに戻せば、そこで戦闘不能にされていた。

 

「まぁ、いい。戻さないのなら殴り倒すだけだ。『バレットパンチ』」

 

 そう、即死は避けたが、まだ危機は去っていない。ハッサムの先制技を死にかけのミュウツーがスプーンを作って防いでいく。

 しかし、ダメージが大きいようで、防いで尚、衝撃でミュウツーの表情が僅かに歪んだ。ここまでダメージを受けたのは初めてのことである。

 

 とはいえ、自称最強の意地があるようで、そう易々と倒れない。バレパンを防ぎながら、何とか決定打を回避していく。

 あまりにミュウツーがしぶといので、流石にSも少し焦ってきたようだ。マルマインの使った『ちょうはつ』はそこまで長い間、変化技を封じられない。まだ砂による継続ダメージは残っているので少し不安だが、ここで決められなければミュウツーは復活する。

 

 だが、ここで焦って先制技以外の技を選択すれば、『サイコキネシス』の餌食になるだろう。

 それがわかっているが故に、Sも『バレットパンチ』でごり押しするしか手がない。本来なら、とっくに倒れてもおかしくないのだ。立っているのは偏に意地である。

 

「何でだ? 計算では、お前はもう倒れる。倒れなければおかしい!!」

 

 トレーナーの焦りはポケモンに伝わる。三度目の『バレットパンチ』がミュウツーに振りかざされるが、通常よりも少し大ぶりになっていた。

 それに合わせて、『ほのおのパンチ』をカウンターで合わせる。四倍弱点の一撃をカウンターで受けて、ハッサムが吹き飛ばされていく。想定外の一撃を受けたハッサムは戦闘不能になったようで立ち上がることはなかった。

 

「バカな……有り得ない」

 

 Sがショックで膝から崩れ落ちる。さぁ、ここからミュウツーの逆転劇だ――と、思ったが、ハッサムが倒れるのと同時に審判からミュウツーの戦闘不能が宣告された。

 

 俺もSも思わず首を傾げたが、どうやらレフェリーストップがかかったらしい。傍から見たミュウツーはもう戦えないと判断されたようだ。

 実際、ミュウツーはまだ倒れていないが、ダメージ的にはかなり大きかった。何せ、『だいばくはつ』二回に、ハッサムの猛攻を受けていたのだ。普通のポケモンなら二回は倒れていてもおかしくはない。

 

 今回のケースのように、ポケモンのダメージが大きすぎると判断された場合、立っていても戦闘不能を宣告されることはあった。もう少し時間があれば、『じこさいせい』が間に合ったのだが、結果的に向こうの粘り勝ちということか。

 

「は、はは……ビビらせやがって。ブレードを失ったのは痛手だが、これでもう俺の勝ちだ」

 

 Sがハッサムをボールに戻すと、向こうのポケモンが三体戦闘不能になったことで、一度インターバルに入る。

 こちらもミュウツーをボールに戻した。

 今回のバトルは俺の判断ミスが大きい。マルマインを相手にした時、一度ミュウツーを戻すべきだった。こいつの心情を考えて継続したが、あそこは『ちょうはつ』解除のために戻すべきだっただろう。

 

 いや、それ以前に、俺は心のどこかでミュウツーに依存していたんだ。

 

 オレンジ諸島で心の内を明かしてから、何度も力を借りて、その力があれば負けないと思ってしまった。

 トレーナーの技量で伝説のポケモンでも負けることはある。それはわかっていたはずなのに、ミュウツーならどうにでも出来ると考えていたんだ。

 

 確かに、ミュウツーは伝説のポケモンだが、何でも出来る神様じゃない。出来ないことだってあるし、ダメージが重なれば普通に倒れるんだ。

 実際、今回のバトルでも他のポケモンと同じように立ち回っていればこんなことにはならなかっただろう。俺の未熟さが、突っ張るという選択肢を取らせたのだ。

 

『謝るな』

 

 ごめん――と、口にしそうになった瞬間、ミュウツーはそうテレパシーを送ってきた。

 

『私も、お前と同じだ。負けるなどとは欠片も思っていなかった。この結果は、お前だけのせいではない』

「……お前は負けてない」

『戦えなくなったら負けだ。それが、ポケモンバトルのルールだろう?』

 

 バトルには勝ったが、試合には負けた。そういうことである。だが、実力で負けた訳ではない。こいつを負けさせたのは俺だ。

 

『今回の件はいい教訓になった。私達も、まだまだということだ』

 

 そうだ。俺も、ミュウツーも、まだまだ強くなれる。なるんだ。

 ここで足踏みしている場合じゃない。反省するのは後だ。今は前を見ろ、勝つことだけを考えろ。

 

『だが、私もこのまま敗退するのはごめんだ。だからこそ、敢えて言おう。勝て、サトシ』

「負けねーよ。誰に言ってやがる」

『フッ、それでいい』

 

 あくまでも強気、それがニューサトシだ。

 

 そのままベンチに戻ると、ラティが抱き着いてきた。どうやら、ミュウツーの戦闘不能はラティにかなりのショックを与えたようだ。

 ラティの頭を撫でていると、タケシも「まさか自爆攻撃でミュウツーを突破しようとしてくるとはな」と、感心した声を出している。

 カスミさんもまた「あれで倒れない辺りがミュウツーって感じだけどね」と苦笑いしているが、結果的にレフェリーストップにされたので向こうの思惑は成立していた。

 

「で、結構振り回されていたみたいだけど、勝算はあるのか?」

「ないこともない。あのクソガキ……そういや、あいつなんて名前だったっけ?」

「シンゴ君よ。あんた、自分がボコボコにした子の名前も忘れたの?」

 

 忘れてたさ。弱い奴に興味なかったしな。

 だが、今は違う。あのシンゴとかいうクソガキは変わった。前はミュウツーという最強を使ったということもあったが、基本的に相手の過去のデータのみを信じて動きを予測していたので、過去のデータ以上の動きをさせると対応できないという弱点があったのだ。

 

 例えるなら、あいつの頭の中にいたのはオレンジリーグを戦っていた頃の俺で、そこからジョウトへ来て成長した俺に対応が効いていなかった。

 しかし、今では過去のデータを踏まえた上で現在の動きを予測するようになっている。おまけに、その予測に対応できるようにポケモンも鍛えているので全く隙が無い。

 

 認識を改める必要があった。

 

 今、目の前にいるのは、あの時のクソガキではなく、俺に対するメタを持った最強の対戦相手だ。

 

「読まれるなら、読まれても意味のない動きをすればいいだけだ」

 

 五分経ったのでフィールドに戻る。

 ミュウツーから『私は少し眠る。後は任せた』というテレパシーが来たので、マスターボールをラティに預けた。

 

 そこで待ってろ。絶対勝ってくるからよ。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・ニューサトシがボコボコにしたクソガキが闇落ちしてやってきた。
 感想欄でも早い段階で当ててる人がいて、何でわかるんだ? と、首を傾げた。

・魔改造クソガキがデータテニヌしてきた。
 データによって動きを全て読まれているので、思うようにバトルをさせてもらえない。だが、実際に戦うのがポケモンなので接近戦に隙があり、また気合や根性で耐えるなどの精神論はデータでは読めていない。

・ミュウツーが追い詰められた。
 シンゴが持っているデータが、ボコボコにされた時のものと、イブキ戦のデータしか入手できなかったため有効な対策がなく、だいばくはつ二連で戦闘不能にする力技しか取れなかった。ゴーストタイプお得意の、ちょうはつからのハメ技はニューサトシの不意をつけないので不採用。ゲンガーで変化技を使うだろうという読みを逆手に取った不意打ちだいばくはつと、マルマインのテレポートだいばくはつの二連だからこそここまで追いつめられた。が、意地で倒れず、ハッサムを返り討ちにした。しかし、ダメージが深くレフェリーストップがかかった。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.56

 ピジョット Lv.52

 バタフリー Lv.52

 ドサイドン Lv.54

 フシギダネ Lv.52

 リザードン Lv.57

 ゼニガメ  Lv.52

 キングラー Lv.52

 カモネギ  Lv.52

 エビワラー Lv.52

 ゲンガー  Lv.53

 オコリザル Lv.52

 イーブイ  Lv.51

 ベトベトン Lv.51

 ジバコイル Lv.51

 ケンタロス Lv.51

 ヤドラン  Lv.51

 ハッサム  Lv.51

 トゲキッス Lv.47

 プテラ   Lv.52

 ラプラス  Lv.51

 ミュウツー Lv.71

 バリヤード Lv.52

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.48

 カビゴン  Lv.46

 ニョロトノ Lv.46

 ヘラクロス Lv.44

 メガニウム Lv.44

 マグマラシ Lv.43

 ラティアス Lv.30

 ヘルガー  Lv.44

 ワニノコ  Lv.43

 ヨルノズク(色違い) Lv.43

 カイロス(部分色違い) Lv.44

 ウソッキー Lv.43

 バンギラス Lv.55

 ゴマゾウ  Lv.30

 ギャラドス(色違い) Lv.34




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#093 『ぶっちゃけ、深い考えなどない』

 12歳 μ月φ日 『決勝リーグ 準決勝 VSシンゴ 後編』

 

 インターバルを挟んだことで、フィールドの砂嵐も収まっていた。

 何だかんだあったが、ポケモンの数的には四対三で俺が有利だ。おまけに、向こうはカイリューとバンギラスがいることがわかっている。

 この情報を鑑みて、ドサイドンをフィールドに送り出す。シンゴはスターミーを出してきた。姿を見せていない最後の一体だが、惜しげもなく出してくる辺り、俺のエントリーしているポケモンをある程度読んでいたのだろう。

 

 俺が今回エントリーしたポケモンは、トゲ様、ドサイドン、ケンタロス、オコリザル、ジバコイル、ミュウツーだ。

 

 本来、相性的なことを考えれば、みずタイプに不利なドサイドンをジバコイルに交代する場面だが、おそらくジバコイルを出せば向こうもバンギラスに交代してくるだろう。

 そうなった場合、相性的には悪くなくても、特性で特防が1.5倍になるバンギラスをジバコイルで相手をするのは厳しい。特にバンギはこちらに四倍弱点の『じしん』を覚えるので、できれば対面させたくはなかった。

 

 かといって、こちらがドサイドンからジバコイル、ジバコイルからオコリザルへと変えれば、向こうもスターミーからバンギラス、バンギラスからスターミーへと変えてくるだろう。

 向こうは残りポケモンの数が少ないのもあって有利対面を崩したくないはずだ。ポケモンリーグのルールでは、交代合戦になるのを防ぐために交代は連続で五回までと決まっている。向こうが後出しで有利を作った以上、最終的にはこの対面は避けられないと判断し、ここはドサイドンでスターミーを倒すことを決めた。

 

「交換しないか。ならば、先手は貰うぞ、『ハイドロポンプ』だ」

 

 こちらもドサイドンを突っ込ませる。スターミーの『ハイドロポンプ』に合わせて『ドリルライナー』を使い、ドリルの勢いで水を拡散させて技を受け流した。

 それでも多少のダメージを受けるが、直撃よりも大分少なく済んでいる。シンゴも、まさかこんな手で対応してくるとは思わなかったようで、驚きの表情を浮かべていた。

 

 そのままスターミーへの距離を詰めようとすると、させないとばかりに『サイコキネシス』を撃ってくる。

 タイプ一致の『サイコキネシス』を受けてドサイドンの動きが止まった。だが、流石のスターミーもドサイドンのパワーが強すぎるせいで動きを止めるのが限界のようだ。

 

 動けないなら遠距離攻撃だとばかりに、『じしん』を指示する。『サイコキネシス』を受けながら、ドサイドンが無理矢理に『じしん』を放つ。衝撃が振動となってスターミーを襲った。

 しかし、それも読んでいたようで、『こうそくスピン』でスターミーが上空へ逃げていく。そのままカスミさんが良くやる『ハイドロポンプ』とのユナイトコンボで再び攻撃してくる。

 

 流石に回転しながら撃たれるドロポンは、『ドリルライナー』でも受けきれないので、そのまま直撃を受けてしまった。

 しかし、ドサイドンは倒れず、地面に降りてきたスターミーをガシッと両手で掴む。そのユナイトコンボは技の終わりに隙が出来るんだよ。

 

 まさかスターミーのドロポン直撃を受けて立っているとは思わなかったのか、シンゴがまたも驚いている。

 いくら特性の『ハードロック』があるとはいえ、事前にかなりのダメージを受けていたドサイドンにドロポンを耐える体力は残っていないと読んでいたのだろう。

 

 だが、ポケモンの技の中には体力を一だけ残して攻撃を耐える技がある。

 

「チッ、『こらえる』か」

 

 ご名答。ドサイドンには事前に、自身の判断で『こらえる』を使う許可を与えていた。全ての体力を使い切ったふりをしなければ、こいつは欺けない。そう判断した。

 スターミーが逃げようとするのを抑えながら、『メガホーン』を指示する。シンゴも『サイコキネシス』を指示したが、距離が近い分こちらの攻撃が当たる方が早かった。

 

 流石に一撃では戦闘不能にならなかったようで、『サイコキネシス』でドサイドンが戦闘不能になる。だが、かなりのダメージを与えたはずだ。

 

 ドサイドンをボールに戻すと、次はオコリザルを出した。これには流石のシンゴも不意を突かれたらしく、どういうつもりだという気持ちが表情に出ている。

 それは後ろの仲間達も同様なようで、タケシも、「スターミーはエスパータイプも合わせ持っている。かくとうタイプは不利だぞ!」と驚きの声を出していた。

 

 当然、そんなことは百も承知だ。

 本来、オコリザルはバンギを突破するために連れてきたのである。こんな所でスターミーに向かわせるなんて、誰もが無謀だと思うだろう。

 

 現に、シンゴも厳しい表情を崩さない。

 ここでオコリザルのような相性不利なポケモンを出すとは読めなかったのだろう。普段の俺なら、相性を無視した選出は絶対にしない。最低でも五分の状況に持ち込めるようにポケモンを選出する。

 だからこそ、俺がオコリザルで何かを狙っていると思っているようで、いつでも動けるようにスターミーをスタンバイさせていた。

 

 ぶっちゃけ、思いつきで行動しているだけなので深い考えなど何もない。マニュアル通りの動きをすれば動きを読まれるだけなので、読んでも先が詰みの状況を敢えて作っただけだ。ここを無理矢理攻略して、シンゴの予測の先を行く。

 

 俺の頭の中には、苦境を戦うアニメのサトシ君の姿があった。今必要なのは、ニューサトシのバトルではなく、逆境に抗うサトシ君のバトルだ。

 

 とりあえず、オコリザルに『ちょうはつ』を指示する。これで、スターミーの『じこさいせい』による回復を封じた。

 シンゴも回復は視野に入れていたようだが、まだスターミーは十分戦えるのでそこまでの痛手とは感じていないようだ。そのまま『サイコキネシス』を指示してきたので、『みきり』で回避していく。

 

 こういう戦い方はどちらかといえばエビワラーの方が得意なのだが、今いるのがオコリザルな以上、対応してもらう以外に手はない。

 そのまま走ってスターミーとの距離を詰めていく。今回は格闘バトルではないこともあって、オコリザル本来の奔放な動きを発揮させていた。

 

 しかし、連続の『みきり』は失敗しやすいということもあり、完全に距離を詰める前に『サイコキネシス』が直撃する。

 シンゴがオコリザルを吹き飛ばすように指示を出すが、『じだんだ』を使って何とかその場に留まらせた。『じだんだ』は前のターンで技が失敗していた時に威力が二倍になるじめん技だ。

 オコリザルは『みきり』を連続使用したせいで失敗していたので、『じだんだ』の威力は二倍になり、オコリザルはサイキネを堪えながらその場で盛大な地団太を踏んでいた。

 

 ドサイドンの『ドリルライナー』によるドロポン防御に続く、予想外の技の使い方パート2である。

 

 だが、動かないならば追撃でとどめだと、再度シンゴが『サイコキネシス』を指示した。しかし、『じだんだ』を挟んだことで、『みきり』が間に合っている。

 オコリザルがこんな避けの動きをするデータはなかったようで、シンゴも何とかしようとしているようだが、初っ端で『ちょうはつ』が出来たのが大きく、変化技を使えなくて対応に苦戦していた。

 

 仕方ないとばかりに、シンゴも四つ目の技として『れいとうビーム』を指示している。おそらく、後ろにいる最後の一体がわからないので、大体の相手に通る技をチョイスしたのだろう。

 しかし、『れいとうビーム』によって、スターミーまでの道が凍らされ、オコリザルの動きが止まりそうになる。しかし、ここで止まれば終わりだ。「滑って突っ込め!」と無理矢理な指示を飛ばす。

 

 オコリザルも一瞬躊躇しそうになったが、俺を信じて真っすぐ進んでくれた。ドサイドンの時と同様、ボロボロになりながらも何とか距離を詰めると、スターミーが『こうそくスピン』で逃げようとする。

 流石にここで逃げられては困るので一気に勝負をかけた。「『あばれる』で捕まえろ!」という指示を出すと、オコリザルが飛びかかり、逃げるスターミーをタコ殴りにしている。格闘対決の時とはかけ離れた野生を体現した攻撃だった。

 

「チッ、データにない動きばかり!」

 

 とはいえ、向こうもやられるままではいない。殴られながら何とかオコリザルを照準に収めて、『ハイドロポンプ』でオコリザルを吹き飛ばそうとしてくる。

 水圧に抗いながら全力で暴れまくっていたオコリザルだが、タイプ一致の火力には勝てなかったようで、そのまま吹き飛ばされて戦闘不能になってしまった。

 

 だが、がむしゃらに戦ったのは無駄ではなかったようで、スターミーもまた倒れたまま起き上がれず、戦闘不能と宣告されている。

 シンゴもここでスターミーを失う予定ではなかったようで、ようやく奴の予測を上回ることが出来たようだ。とはいえ、スターミー一体に二体倒されているので自慢できる状況ではない。

 

 しかし、俺の脳内にあるアニメのサトシ君のとんでもバトルに、少しずつだが近づいてきたような気がした。

 

「指示や動きが滅茶苦茶だ。お前のこれまでのデータと違う動きをして混乱させるつもりのようだが、付け焼刃の動きではボロが出る。結局、自滅するだけだ!」

 

 ――付け焼刃なんかじゃない。

 

 このジョウトでの旅は、間違いなく俺を一段階上のレベルに押し上げてくれた。

 カントーを旅していた時は、技の使用方法についての工夫はしていたが、ポケモン自身をトリッキーに使う動きや、フィールドを駆使した動きについては素人だった。

 アニポケで例えるなら、サトシ君がやっていた、ポケモン自身を回転させて使うカウンターシールドだったり、『かえんほうしゃ』でフィールドを熱したりするような動きだ。

 

 だが、セキエイ大会決勝戦のブルーとの敗戦と、オレンジリーグで培った経験が、俺の中でしっかりと根付いていた。

 

 ジョウトに来てから少しずつ、俺はバトルでポケモン達の動きを工夫したり、フィールドを使った動きをしたりするようになっていた。

 それは、これまでのバトルでは限界があると悟ったからこそ生まれた動きだ。そして、それこそが、ずっと俺の頭の中に残っているアニメのサトシ君の姿でもあった。今見せたオコリザルの相性を無視したバトルもまたその中の一つである。

 

 俺は基本的に素直なバトルをするが、その素直さが今は相手に読まれ、窮地に追い詰められていた。だからこそ、今俺は次のステージに進まなくてはならない。

 読まれるなら、読まれても意味のない動き――いや、読めない動きをする。それこそが、このバトルで俺が奴に勝つ方法であり、俺がアニメのサトシ君に負けていた部分を克服することでもあった。

 

 次のポケモンとしてジバコイルを出す。シンゴの残りはバンギラスとカイリューしかいないので、必然的にバンギラスを出すしかなかった。

 何せ、カイリューは既に技を全て使いきっている。おまけに、使っている技が、『かみなりパンチ』、『しんそく』、『しんぴのまもり』、『アイアンテール』なので、ジバコイルへの有効打が何もない。倒すにはまだ余裕のあるバンギラスしかいないのだ。

 

 バンギラスが出てきたことで、特性によってフィールドが砂で包まれていく。しかし、はがねタイプであるジバコイルは砂の継続ダメージは受けないので、いわタイプのバンギラスの特防が1.5倍になるというだけだった。

 とはいえ、特防が1.5倍になるのは地味に辛い。少し前にもちょっと書いたが、俺のジバコイルは特殊型なので相性的に強くてもワンキルは難しくなった。おまけに、俺のジバコイルは特性が『がんじょう』ではないので、下手をすると一撃で勝負が着く可能性がある。

 

 だが、ここで逃げる訳にはいかなかった。開幕、『でんじふゆう』を指示する。じめん技を受ければ一撃でアウトだ。当然の選択である。

 しかし、それは向こうも読んでいたようで、先に『ちょうはつ』を打ってきた。これでしばらくの間、こちらは変化技を全て封じられたことになる。

 

 だが、そこまでは予想していた。これで向こうは最初に使った『てっぺき』を含めて技を二つ使い、攻撃に使用できる技は後二つだけである。

 次にシンゴは『じしん』を指示してきた。タイプ不一致だが、こちらには威力四倍である以上、選択しない理由はないだろう。

 当然、当たる訳にはいかないので、こちらは地面に『ラスターカノン』を撃たせ、その威力で無理矢理体を地面から押し上げさせた。『じしん』による衝撃はギリギリ当たらず、地面を駆け抜けていく。

 

 こうした技を利用した回避も、ジョウトに来てから習得したものだ。それまでは漠然と使っていた技の使い方を理解し、応用することで俺は強くなってきた。

 勿論、基本は真っすぐ行くのが俺のバトルだ。

 本質はそう変わらない。だからこそ、最初のトゲ様やケンタロスは向こうの良いようにやられてしまった。俺がニューサトシである以上、どうしても完全にサトシ君のようにはならないだろう。それこそ、セキエイ大会を戦っていた頃の俺ならボロ負けしていたかもしれない。

 

 それでも、人は成長する。

 

 それはニューサトシであっても同じだ。俺は前世の記憶を手に入れて、自分が強いと思っていたが、その天狗の鼻もポッキリ折ってくれる奴らがいた。

 だからこそ、俺は日々強くなろうと思えたのだ。時には負けたショックから、戦うのが楽しくなくなったこともあったが、それを乗り越えて前に進んでいる。

 

 アニメのサトシ君はアニメのサトシ君、ニューサトシはニューサトシだ。同じサトシだったとしても、同じようなバトルをすることは出来ない。

 でも、リスペクトは出来る。

 アニメのサトシ君だってとんでも戦法が全員に通用する訳ではないのだ。あくまでいい所だけ真似させてもらい、ニューサトシの型として落とし込む。難しいことだが、それが出来なければ俺の負けだ。

 

 三つ目の技として、『ミラーショット』を指示した。威力は65しかないが、当たると三割の確率で相手の命中率を下げるはがねの特殊技だ。『ラスターカノン』のような大きなビーム攻撃と違って、小さなビームを周囲に展開した鏡に反射させるタイプの技なので避けづらい。

 

 バンギラスは重量タイプのポケモンなので、こうした技を避ける俊敏さはなかった。『ミラーショット』が命中し、追加効果も発動したようでバンギラスが目をこすっている。命中率が下がった証拠だ。

 弱点のはがね技ということもあって、ダメージもそこそこある。特防が1.5倍になっているので数発程度で倒れるようなことはないだろうが、それでも小さなダメージも積み重なれば厳しくなるはずだ。

 

 しかし、多少の傷や命中率の低下は関係ないとばかりに、シンゴは最後の技として『グロウパンチ』を打ってきた。

 はがねタイプが苦手なかくとうタイプの物理技だ。威力は40と低いが、使うごとに確定で自分の攻撃が一段階上昇する。

 つまり六回使うだけで、攻撃は最大まで強化されるということだ。本来、バンギラスは『グロウパンチ』をレベルで覚えないので、覚えさせるのはかなり大変だっただろう。情報を集めつつ、自身のポケモンの強化も欠かさなかったシンゴは本当に以前とは別人である。

 

 バンギラスの猛攻がジバコイルを襲う。『じしん』のようにモーションが大きな技ならまだ回避も出来るが、接近戦に持ち込まれるとそれも難しい。

 特にジバコイルも重量タイプのポケモンなので動きは鈍重だ。とはいえ、グロパンを全部くらえば戦闘不能にされるのは間違いないので何とかするしかない。『ほうでん』を指示し、全方位に電流を流してけん制する。当たれば、三割の確率で麻痺もあるので迂闊には動けないはずだ。

 

 だが、シンゴは止まらなかった。タイプ一致で火力も上がっている『ほうでん』を突っ切らせ、バンギラスがジバコイルを捉える。

 いくら特殊に強いとはいえ、ダメージは大きいはずだ。おまけに、追加効果の三割を引いてバンギラスも麻痺していた。それでも、攻撃を当てさえすれば問題ないとばかりに拳を振り抜く。

 

 一撃目はまだ最小のダメージだったこともあって耐えられた。しかし、二度、三度と続けばそれも難しいだろう。『ミラーショット』を顔面に当てて、命中率を少しでも下げる。

 だが、二度目も外れず、ジバコイルを捉えた。

 二倍弱点の二回目だ。戦闘不能になってもおかしくないが、ジバコイルも負けたくない一心で耐えている。トゲ様の時もそうだが、精神論で耐えるのはデータでも推測不可能だったようで、「無駄なあがきを」と舌打ちしながら、シンゴが三回目の『グロウパンチ』を指示した。

 

 しかし、時として、その根性が幸運を呼び込むこともある。

 

 バンギラスの三度目の『グロウパンチ』が、僅かに狙いが逸れた。それは、『ミラーショット』による命中率の低下が起こした偶然の結果である。

 攻撃を外したことで隙の出来たバンギラスに『ラスターカノン』を撃つ。このチャンスに全て賭けると言わんばかりに、ジバコイルも全力でバンギラスを吹っ飛ばしていく。

 

 これまでの小さなダメージの積み重ねもあって、この一撃で戦闘不能になっても良いくらいダメージを与えたはずだが、それでもバンギラスは倒れなかった。

 シンゴも流石に肝を冷やしたようで、「今度こそ決めろ!」と、悲鳴のような声で『じしん』を指示する。『ラスターカノン』による回避を指示しようとしたが、こちらのジバコイルもダメージが大きいせいもあってすぐに攻撃態勢に移れなかった。

 

 バンギラスの『じしん』が放たれる。無理か――と、いう気持ちが一瞬頭によぎった。

 

 だが、ジバコイルは倒れていない。その身を宙に浮かせて『じしん』の衝撃波を回避している。

 それは間違いなく『でんじふゆう』だった。

 俺もシンゴもすっかり頭から抜けていたが、ギリギリで『ちょうはつ』の効果が切れたらしく、ジバコイルが咄嗟に自分で技を使ったのだ。

 

「サトシのポケモンが、自分の判断で勝手に技を使うなんて……そんなデータは……」

 

 なかったんだろうな。

 ドサイドンが『こらえる』を使った時とは状況が違う。あの時は事前に使うように指示していたし、シンゴも俺達の様子からそれを察していた。しかし、今回は俺が何の指示も出していないのはシンゴもわかっている。ジバコイルは、俺を勝たせたいという一心で勝手に技を使ったのだ。

 それは、ポケモンが反抗して勝手に技を使うのとは違う。互いに互いを思っている信頼関係から起きた奇跡だった。

 

 奇跡は、データでも予測できない。

 

 麻痺して動きが鈍っていたこともあり、追撃の『ラスターカノン』でバンギラスが戦闘不能になる。だが、シンゴはまだ諦めないとカイリューを出してきた。

 先程も書いたが、向こうの技は『かみなりパンチ』、『しんそく』、『しんぴのまもり』、『アイアンテール』という技構成だ。でんき・はがねタイプであるジバコイルへの有効打はないが、こちらもダメージが限界なので一度ジバコイルをボールに戻す。

 

 こちらもケンタロスを送り出した。『いかく』が発動するが、カイリューの『せいしんりょく』で無効にされる。

 ケンタロスも既に『じしん』は使っているが、まだ三つの技が残されているし、カイリューはこちらへの有効打がない。おまけにトゲ様が与えたダメージもまだ残っている。有利なのはこちらだ。

 

「まだだ! 確かに、お前はデータを攻略する動きを見せた。だが、カイリューならお前のポケモンを全滅させるパワーがある!」

「さて、それはどうかな?」

 

 ここに来て、シンゴに焦りが出てきた。

 おそらく、絶対的な信頼を置いていたデータ戦術に陰りが出てきたことで、不安が隠せないのだろう。だからこそ、こちらは敢えて余裕を見せていく。

 今、こちらが一番されて困るのが、相手が冷静になることでトゲ様の時のように動きを読まれることだ。

 いくらカイリューの体力がトゲ様とのバトルで減っているとはいえ、種族値を考えるとまだどうとでもなる状況である。相手の頭に血が上っている今、落ち着かせずに追撃をかけていきたかった。

 

「どうした? 見せてみろよ、俺のポケモンを全滅させるパワーって奴をよ!」

「なら、見せてやる! カイリュー、『しんそく』だ!!」

 

 釣れた――カイリューが指示に従い、姿が見えないくらいの速さで距離を詰めてくる。

 だが、それを待っていたとばかりに、『どくどく』をお見舞いした。攻撃に合わせて使ったこともあって、向こうは『しんぴのまもり』が間に合わない。

 冷静になっていれば、先に『しんぴのまもり』を使っていたのだろうが、こちらの挑発に乗ったせいで相手を倒すという気持ちがから回った形である。

 

 シンゴが「しまった!」と声を上げた。

 

 だが、もう遅い。確かに、お前のデータは凄いよ。こちらの動きを先読みするのは神業だ。だが、それを扱うのは機械じゃなくて人間である。当然、焦ればミスが出るし、何でもかんでも完璧に出来る訳ではない。

 このバトルだって同じだ。

 確かに、カイリューは強い。ステータスではケンタロスをも上回っているだろう。それは認める。だが、単純な力だけで勝敗が決まらないのがポケモンバトルだ。トレーナーのミスや、戦い方一つで状況は簡単にひっくり返る。

 

 こちらも『しんそく』でダメージは受けたが、まだまだ体力には余裕があった。失敗したという表情を浮かべるシンゴだが、すぐに気を取り直してカイリューを突撃させてくる。

 

 いいさ、ぶつかり合いは望む所だ。迎撃に『げきりん』を指示して、弱点の一撃をお見舞いしてやる。

 しかし、シンゴも猛毒状態で弱点の攻撃を受けるのはまずいと判断したようで、咄嗟に『しんそく』を回避に使ってカイリューを宙に逃がす。

 攻撃の対象を失ったケンタロスが『げきりん』を外した。ゲームだと技が失敗するとデメリットの混乱は発生しないが、この世界だと技を外しても技のデメリットはしっかり発生する。だが、ポケモンの混乱は交代すれば治るのでジバコイルに交代した。

 

 それを見たシンゴが、ここでジバコイルを戦闘不能にさせようと追撃をしかけてくる。タイプ不一致で相性的に半減の攻撃でも、ミリのジバコイルなら持って行けると踏んだのだろう。

 まさしくその通りで、ジバコイルは『しんそく』の追撃で戦闘不能になった。だが、これで向こうの『しんそく』はPPを使い切った上、猛毒のダメージも徐々に加算されてきているはずだ。

 

 再びケンタロスを出すと、シンゴも奇跡を信じて、『かみなりパンチ』を指示してきた。麻痺が入ればまだ可能性があると、防御を捨てて殴り掛かってくる。

 しかし、厄介な『しんそく』が使えなくなった以上、もうこちらは真正面からバトルをする気はない。『かげぶんしん』で攻撃を回避して時間を稼いでいく。

 

 それを見て、シンゴももうバトルの結果が見えてしまったようで、再び膝から崩れ落ちた。

 

 シンゴのデータなら、そう時間がかからず本物のケンタロスを見つけられるだろう。

 だが、僅かでも本体を見失う上、探すという工程は、猛毒の時間が深まるということでもある。また『しんそく』がPP切れになった今、早い攻撃はなくなった。

 おそらく誰よりもデータを持っており、誰よりも先を見ることが出来るが故に、間に合わないのがわかってしまったのだ。

 

 ポケモンへの指示が止まり、審判が立ち上がるように声をかけるもシンゴは全く動かない。

 ポケモンリーグのルールでは、審判からの声掛けから30秒の間に、トレーナーやポケモンが戦う意思を見せない場合失格となる。原作のセキエイ大会でリザードンが戦わなかったせいで負けたのと一緒だ。

 

 結局、シンゴは失格ということで、審判から俺の勝利が宣告される。同時にカイリューが猛毒で戦闘不能になった。

 

 何とか勝ちを拾ったが、かなりギリギリなバトルだったな。最後はシンゴが動揺せずに冷静さを貫いていれば、あそこまで上手くバトルを進めることは出来なかっただろう。いくら相手の体力がトゲ様との戦闘で減っていたとはいえ、真正面からのガチバトルでカイリューに勝てたかどうかはわからなかったしな。

 

 しかし、ジバコイルが自分の判断で技を使ったことにシンゴは驚いていたが、実はこれまでのバトルでも、俺のポケモンが自分の判断で技を使うことは何回かあったりする。

 それこそ、ハヤト戦ではピジョットがとどめに『ギガインパクト』を指示なしで使っているし、ツクシ戦ではヒノアラシが戦闘不能前に『かえんぐるま』を咄嗟に使っていた。シジマ戦ではエビワラーが自身の判断で『カウンター』を『カウンター』したし、他にも探せばいろいろあるはずだ。今回のジバコイルがやったこともそれらと同じだった。

 

 だが、実際に試合を見ていないシンゴに、それらの出来事を確認するすべはなかったのだろう。

 いくらジムにバトルの記録が残るとはいえ、今の時代ではバトルの映像が残っている訳ではない。使ったポケモンや、技などの試合運びが文章で記されているだけだ。それだけで、ポケモンが勝手に技を使うなんて情報は手に入るはずがないのである。今回はたまたまそれが、奴のデータ予測の上を行った。勝因はそれだ。

 

 と、偉そうなことを書いたものの、ぶっちゃけ勝てたのは運が良かったからに過ぎない。結局、俺は自分の中にいるサトシ君を超えることは出来なかった。まだまだ未熟である。

 ただ、それでも勝ったことには変わりはなく、ラティが後ろから大喜びで突撃し、タケシとカスミさんも、「勝ったな」、「もうダメかと思ったけどね」と軽口を開いていた。

 

 そんな中、シンゴは崩れ落ちたまま動いていない。一言だけ伝えたかったので、反対側のトレーナーゾーンにいるシンゴの所まで行き、「今回の勝ちは運が俺にあっただけだ。次はそのデータに完璧な形で勝たせてもらうぞ」とだけ伝える。

 シンゴがゆっくりと顔を上げると、信じられないというような顔をしていた。何だ? カントー時代と違って、今のニューサトシは強かった相手を称賛できないほど器量の小さな男ではないぞ。

 

「……俺のデータは間違ってなかったんだよな?」

「そうだな。危うく負けそうになった」

「俺は、強くなったよな……?」

「これで強くなってないって言っても負け惜しみにしかなんねーよ」

 

 追い詰められた。

 

 負けそうになった。

 

 それは事実だ。

 

 こいつは、最強のミュウツーを行動不能にして、俺を敗北寸前まで追いつめた。それは、この試合を見た誰もが認めるだろう。

 

 何故か、シンゴは涙を流していた。

 

 それは負けたことが悔しいのか、それとも違う意味があるのかは俺にはわからない。ただ、こいつの中にあった危うさのようなものが、その涙と一緒に流れ落ちて行っているような気がした。

 どうやらそう感じたのは俺だけではないようで、試合前にあれだけシンゴを怖がっていたラティも、「なかない」と心配そうにシンゴのことを見ている。

 

 結果は失格になったが、それまでの圧巻のバトルに、観客からもシンゴへ盛大な声援が送られていた。

 普段、他人への声援が嫌いなニューサトシだが、今回は称賛されるべき相手がシンゴだということも理解しているので甘んじてそれを受け入れる。「胸を張って声援に応えてやれ」というと、泣き笑いの顔でシンゴが手を上げた。

 

 歓声がさらに大きなものになっていく。

 

 だが、何だか悔しいので、勝者であるニューサトシも一緒になって手を上げた。それを見たラティも、何故か一緒になって手を上げている。

 後ろのタケシがやれやれというような顔し、カスミさんが「何してんのよ全くもう」と呟いていたが、勝者であるニューサトシも称賛されていいだろうということで、そのまましばらくシンゴと一緒になって歓声を浴びていた。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・ニューサトシがアニメサトシ君のとんでもバトルをリスペクトし始めた。
 前々から兆しは見せていたが、ここで新たなスタイルを明確に示した。が、最終的にはものに出来なかった。

・データは完璧でも、使う人間は完ぺきではない。
 これが機械なら大丈夫だったかもしれないが、人間である以上、予想外のことが起きれば動揺するし、挑発に乗れば隙も晒す。バンギラスを倒した段階で、ニューサトシはそれに気づいて逆転した。もし、相手が挑発に乗らずに初手しんぴのまもりを使ってきた場合は、真っ向勝負しかなかったのでどうなるかはまだわからなかった。


 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.56

 ピジョット Lv.52

 バタフリー Lv.52

 ドサイドン Lv.54→55

 フシギダネ Lv.52

 リザードン Lv.57

 ゼニガメ  Lv.52

 キングラー Lv.52

 カモネギ  Lv.52

 エビワラー Lv.52

 ゲンガー  Lv.53

 オコリザル Lv.52→53

 イーブイ  Lv.51

 ベトベトン Lv.51

 ジバコイル Lv.51→52

 ケンタロス Lv.51→52

 ヤドラン  Lv.51

 ハッサム  Lv.51

 トゲキッス Lv.47

 プテラ   Lv.52

 ラプラス  Lv.51

 ミュウツー Lv.71

 バリヤード Lv.52

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.48

 カビゴン  Lv.46

 ニョロトノ Lv.46

 ヘラクロス Lv.44

 メガニウム Lv.44

 マグマラシ Lv.43

 ラティアス Lv.30

 ヘルガー  Lv.44

 ワニノコ  Lv.43

 ヨルノズク(色違い) Lv.43

 カイロス(部分色違い) Lv.44

 ウソッキー Lv.43

 バンギラス Lv.55

 ゴマゾウ  Lv.30

 ギャラドス(色違い) Lv.34


 いつもたくさんの感想ありがとうございます。時間がなかなか取れず、まだ全部を返信出来ていませんが、運対で消えてしまったもの以外は全部に目を通させて頂いています。
 そこでですね。今回の準決勝で、少し補足をさせて頂きたいことがあったのでここで書かせていただきます。

 まず、一つ目として、シンゴがマサラタウンまでニューサトシのポケモンを調べにいった件ですが、博士がやたら叩かれていますが博士は悪くありません。
 オーキド博士からみれば、シンゴはただの子供で、純粋に研究所のポケモンを見学しにきただけだと思っているので受け入れを拒否する理由がありません。
 実際、研究所という場所である以上、見学者は普通のことですしね。博士も孫とそう変わらない年の子供が、ニューサトシのポケモンのデータすっぱ抜きに来たとは思わないでしょう。
 危機意識が低いという意見もありましたが、アニポケの研究所なんてどこもこんなもんですよ。放送されていたのが今より20年くらい前ですから。時代を考えれば普通です。
 場所を借りている側であるニューサトシもそれは理解しています。なので、怒りこそしましたが、それを理由に何かをせびることはしません。

 二つ目として、ミュウツーが伝説として紹介されている件。
 これは単純に執筆不足です。ミュウツーをエントリーする際に、当然ですが大会運営側にはミュウツーについてのデータがありませんでした。なので、ニューサトシが伝説のポケモンであると話して、そう紹介するようにお願いしています。理由は当然いつもの目立ちたがりですw
 これについては時間が出来たら加筆します。違和感を感じさせてしまいすみませんでした。

 三つ目に、シンゴについて直接的に意見が来ました。
 半年でデータを集めて、ポケモンを育てて、バッジを集めるのは物理的におかしいということですね。これはちゃんと理由があります。ご都合主義でも、ミスでもありません。
 今後のネタバレにもなるので詳しくは書きませんが、犯罪行為はギリギリしていません。ズルをして勝っても、自身のデータが優れている証明にはなりませんから。基本的にルールは守っています。

 他にも、いくらデータがあっても現実的に相手の選出や動きを読むのは無理だろという感想もありましたが、それ言ったらニューサトシが人間辞めてるのも現実的におかしいだろってことになるので、そこはニューサトシ(そういう作品)だからという寛大な気持ちで受け入れて頂けると有り難いです。


 長くなりましたが、残り4話でジョウト編も終わります。(そこから後日談が7話ありますが)そこまで、よろしくお願いします。



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#094 『まさにミュウツーへの逆襲である』

 12歳 μ月φ日 『アニポケのキャラが魔改造されて襲ってくるとは思わんやん』

 

 俺の試合の後に、シゲルの準決勝があった。こちらは俺のバトルとは打って変わって、一回戦同様にポケモンを一体も戦闘不能にさせないまま勝利している。

 もし、シゲルの組み合わせが一つでも後ろになっていたら、ムサシがベスト4に来ていたかもしれない。勿論、バトルは運の要素もあるので、絶対ではないが正直ムサシの方がいいバトルをしていた。

 

 俺達はシンゴと一緒に試合を見ていたのだが、試合後のシンゴは嘘のように憑き物が落ちたような顔をしており、「ポケモンリーグが終わったら、一度家に帰るよ」と言っている。

 どうやら、俺とバトルしたことでいろいろ吹っ切れたらしい。ぶっちゃけ、このまま家で埋もれるのは惜しいので、これからも別の地方を旅することを勧めた。

 あれだけ高精度で相手の動きを推測して対策できるポケモントレーナーはそうはいないし、もしかしたら将来は四天王にだってなれるかもしれないだけの才能を感じている。

 

 と、伝えたのだが、どうもシンゴからは歯切れの悪い答えが返ってきた。

 

「実は褒めてもらえるほどのことはしてないんだ。時間がなくてね、自分じゃデータ集めくらいしかしていない。カイリューやバンギラスも借りているポケモンなんだ」

 

 聞けば、シンゴはバッジ集めを早々に諦めて、前に俺がカントーで受けたのと同じ、ポケモンリーグの検定試験を合格してきたらしい。

 まぁ、シンゴの実力なら余裕で合格するだろうし、半年でバッジを集めてたらそれだけで時間がなくなるからわからなくもない選択だ。

 

 また、ポケモンについても、相棒のハッサムを育成し直すのに時間を使いきったので、他はレンタルポケモンを使ったらしい。

 

 どうも、大金を払うことで強力なポケモンをレンタルさせてくれる裏レンタル屋なるものがあるとのことで、シンゴは自分の集めたトレーナー情報を売ることで、ポケモンを借りたようだ。

 確かに、改めて考えてみると、俺と別れてから半年ちょっとであのポケモンの練度は少しおかしい。言われてみれば、納得できる話である。

 

 人の情報を売るというのは少し思う所もあるが、この時代まだコンプライアンスやネットリテラシーという言葉もないし、こういう情報の大切さを殆どの人間がわかっていない。

 オーキド博士がシンゴを無警戒で研究所に入れたのも、まさかデータを抜かれるとは考えていなかったからだろう。前世の記憶がある俺からすれば有り得ない行為だが、この時代ではそういう考えをしないのが普通なのだ。

 

 まぁ、勿論。博士には、これを機にセキュリティを強化してもらうつもりではあるがな。

 

 それに、シンゴもルールを破っている訳ではない。俺だって多かれ少なかれ他人の情報を集めている。ニューサトシの情報を売るのはもう止めてほしいが、集めた情報をどう使うかは個人の自由だ。

 納得できない奴もいるかもしれないが、この世界、個人情報漏洩に関する法律もないし、犯罪にはならないのである。

 

 また、レンタルについても問題ない。ポケモンリーグではレンタルポケモンを使ってはいけないというルールはないのだ。

 何せ、トレーナーの中には少数精鋭方針の奴だっているし、シンゴのように育成時間が足りないという場合もある。そういう奴らがバトルでポケモンが足りないという状況を救済するためにレンタルポケモンは禁止されてはいなかった。

 

 とはいえ、普通のトレーナーはレンタルのポケモンを使うようなことはしない。

 自分の実力を超える強いポケモンを借りても使いこなせないし、いくらレンタル用に育成されているとはいえ、トレーナーとポケモンとの間に信頼関係がないといざという時に隙が出来るからだ。

 

 実際、シンゴもかなりポケモンを使いこなしてはいたが、接近戦に隙があった。

 遠距離なら指示を飛ばせるが、近距離はポケモンの判断で戦わざるを得ない。もし、今回のバトルで使ったのがシンゴが一から鍛えたポケモンだったならば、近距離の捌き方も変わっていたかも知れないな。

 

 しかし、レンタルポケモンをあれだけ使いこなせるのは、逆にシンゴのトレーナーとしての才能の高さの証明でもある。

 もう裏レンタル屋とは手を切るつもりのようだが、だとしたらシンゴにはこれから一からポケモンを育てて欲しい。いつか、本当のシンゴと戦いたいものである。

 

 と、まぁ、今だから良い話に出来るが、正直バトルの時には焦った。まさか、アニポケの一話限りっぽいキャラが魔改造されてリーグに逆襲に来るなんて、流石のニューサトシも夢にも思わなかったしな。まさにミュウツーへの逆襲である。

 おまけに、その結果がまさかのミュウツーのレフェリーストップだ。授業料としてはかなり手痛い結果だった。

 

 試合の後、ポケモン達をポケモンセンターに連れて行ったが、検査の結果、ミュウツーはセキエイ大会のリザードン同様にドクターストップがかかっている。やはり、自爆技二連からの猛攻でかなりダメージが蓄積されているらしい。

 正直、決勝も出すつもりでいたのでかなり辛い結果だ。今回の反省を生かして、ミュウツーへの甘えや遠慮を考えず大暴れさせてやりかったのだが、どうやらそれはまた別の機会になりそうである。

 

 

 

 12歳 μ月χ日 『決勝リーグ 決勝 VSシゲル 前編』

 

 決勝のポケモンをエントリーし、会場に向かう。今回エントリーしたポケモンは、ピカ様、リザードン、エビワラー、ベトベトン、ハッサム、バンギラスである。

 最初はバンギラスの代わりにミュウツーを予定していたのだが、ドクターストップがかかったのでバンギラスに代理をお願いした。本人も大舞台で暴れられることにやる気十分である。

 

 決勝戦の前に三位決定戦があったのだが、こちらはシンゴが棄権したことで名も知らぬトレーナーが勝利していた。もし、バトルをしていればシンゴが勝っていただろうが、もうレンタルポケモンを使うつもりはないようだ。

 

 決勝の舞台へ行くと、既にシゲルがスタンバイしていた。「約束の時だ。手加減はしない」と、強い視線を向けてくる。

 実際、二回戦でムサシとのバトルで出したあのニドクインを見てしまうと、それが口だけではないことは良くわかった。

セキエイ大会では俺の勝ち、マサラタウンでのタイマンでは俺の負け、一対一の五分で来ているこの勝負。勝つのは俺だ。

 

 ルーレットで先行がシゲルに決まると同時に、フィールドは草原ステージになる。

 シゲルの一体目はニドクイン、こちらはハッサムを出した。毒が通じず、じめんタイプも等倍のはがねタイプのポケモンである。

 

 開幕で、お得意の『バレットパンチ』と『ダブルアタック』を組み合わせたオラオラパンチをお見舞いしていく。

 通常、片手でしか打てないバレパンが二倍になって飛んでくるのだ。おまけに特性『テクニシャン』で強化されたタイプ一致の一撃である。いくらニドクインが強くともそう簡単には受けきれないだろう。

 

 だが、シゲルはこちらの攻撃をガードで防ぐと、『みだれひっかき』と『ほのおのパンチ』を指示して、まさかのオラオラ返しをしてきた。

 こちらも再度、『バレットパンチ』と『ダブルアタック』を指示し、互いに拳の連打が飛び交うも、向こうの方が手数が多くて押し返されていく。

 

 おまけに、こちらははがねタイプということもあり、ほのおタイプの技は効果抜群である。

 相殺しきれなかった一撃を受けて、ハッサムが勢いよく吹っ飛んできた。ギリギリで戦闘不能にはなっていないが、厳しい状況には変わりない。

 

「やはり、想像した通りだ。サトシ、君は確かにバトルのセンスは卓越しているが、ポケモンの育成に関しては今一つのようだね」

「なんだと……?」

「そのハッサム、カントーで使っていたストライクを進化させたんだろう? にしては、あまりレベルが上がっていない。君がパーティ全体の育成を優先させたせいで、全体のレベルが上がり切っていない証拠だ」

 

 確かに、オレンジ諸島組やジョウト組のレベリングを優先させたせいもあって、カントーメンバーはほぼ自主練か、たまにバトルで呼ぶくらいしか使っていない。だが、それでも強くはなっても弱くはなっていないはずだ。

 

「舐められたものだよ。サトシ、僕はこの試合に全ての照準を合わせてきた。君と戦うために六体を選び、集中して育ててきたんだ。このニドクインはその一体だ」

 

 まさか、他の五体もこのニドクインと同じレベルだというのか!?

 

「仮に、あの特殊なリザードンを相手にしたとしても、今の僕なら勝てる。それだけの育成をしたつもりだ。その分、他のメンバーは育成が足りずに、ここまでくる間は無様なバトルを見せたけどね」

 

 チッ、何が無様なバトルだ。ムサシとの試合以外、一体もポケモンを戦闘不能にしていないのは知っている。

 確かに舐めていた。まさか、そこまでガチで育成してきているとは。いや、俺も別に手を抜いていた訳ではない。単純に、シゲルの育成能力が超一流だったというだけである。

 

 シンゴのように俺へのメタを考えてきたのとはまた違う。単純に、力でねじ伏せることをシゲルは選んだのだ。

 

「君のこれまでの試合を見て、正直少しがっかりしたよ。レベルが足りてないってね。でも、手加減はしない。レベル差を覆すだけのバトルセンスが君にはあるからね」

 

 どうやら、微塵も油断はしてくれないらしい。なら、お言葉に甘えて真っ向からぶつかって行こうじゃねぇか。

 

 ハッサムに『はねやすめ』を指示して体力を回復させる。それを見て、シゲルも『ちょうはつ』を使ってきた。持久戦に持ち込ませないつもりのようだ。

 体力の回復が途中キャンセルされ、ハッサムもまだ全回復までとは言っていない。ならば、ここは一度引こう。『とんぼがえり』を指示して、ハッサムをボールに戻す。

 当然とばかりに、ピカ様がフィールドに飛び出して行った。二回戦のようにギリギリを狙ったスタートダッシュを決め、『ざぶざぶサーフ』でニドクインを攻撃していく。

 

 しかし、シゲルもまた『ドリルライナー』を指示して、無理矢理ニドクインで水を突っ切っている。準決勝で俺がドサイドンでやった動きそのものだ。

 そのままピカ様を直接狙おうとしてきたので、ジャンプからの『アイアンテール』で迎え撃つ。水を貫いたことにパワーを使いすぎていたようで、ピカ様の一撃がニドクインを地面に叩き落したが、流石にその程度で倒れるほど軟ではなさそうだった。

 

「流石はピカチュウだ。ここまでパワーのあるピカチュウはそう見ることが出来ない」

 

 そう口にすると、ニドクインが立ち上がると同時に、シゲルがニドクインをボールに戻す。技を全て使ったことで、『ざぶざぶサーフ』からの『アイアンテール』を攻略するのが難しいと判断したのだろう。

 こちらもピカ様を戻した。これからの戦いは少しのミスが勝敗を大きく左右する。出来るだけ体力は温存しておきたい。

 

 シゲルは次に、サワムラーを出してきた。ならばと、こちらもエビワラーを出していく。

 確かに育成に関して俺はシゲルに負けているかもしれない。だが、俺のエビワラーはそのくらいのハンデ楽々と覆すぞ。

 

 開幕、『こうそくいどう』でスピードを上げていく。オコリザルと違って、エビワラーは相手によって構えが変わらないのでいつもの黄金パターンである。

 対するシゲルは『ブレイズキック』を指示してきた。ハヅキのバシャーモも使っていた、一割で相手を火傷にし、急所にも当たりやすいというほのおタイプの物理技だ。こっちを火傷させて攻撃力を奪おうという狙いだろう。

 

 レベルでこちらを上回っているだけあって、動きが早くてエビワラーも回避に苦労していた。

 だが、『こうそくいどう』を積んだエビワラーのスピードはサワムラーを上回っている。素のままなら辛かっただろうが、これなら十分に超カウンターを狙えた。『ブレイズキック』をトリガーに、『カウンター』を発動し、『きあいパンチ』でKOを狙っていく。

 

 ロケット団が中途半端に模倣していたが、これが本来の使い方である。振り抜かれた拳は一筋の光となって、サワムラーの顔面へと向かっていく。

 

 しかし、シゲルはギリギリで『みきり』を指示した。直前でサワムラーがスウェーをするように体を反らしてパンチを回避している。『まもる』や『みきり』は超カウンターに対する最適解の一つだが、あの速度域で技が間に合ったのは、サワムラーのレベルが高かったのと、シゲルの的確な指示があってこそだろう。普通ならこうはいかない。

 

 仕切り直しとばかりに、エビワラーとサワムラーが距離を取る。その瞬間に、もう一度『こうそくいどう』を積んで、さらにスピードのギアを二段階上げた。

 シゲルはもうまともに攻撃を当てるのは難しいと判断したようで、『こころのめ』を指示している。次の技が必ず命中する技だ。これでもう回避は不可能になった。

 

 そのまま、『とびひざげり』を指示して、サワムラーが飛び上がる。普通の『とびひざげり』は真っすぐ相手に向かって膝を当てようとする動きだが、シゲルのサワムラーはかなりの高度まで上がり、落下のスピードを利用した上空からの『とびひざげり』だった。

 同じ技でも、こんな使い方があるとは。

 これは落下のスピードも合わさって、通常よりも威力が上がる。その分、外した時のリスクも跳ね上がるが、そこは『こころのめ』を使って上手くカバーしているのだろう。

 

 これだけの技だ。防御しても、防御の上から叩かれる。避けるのも受けるのも無理なら、迎え撃つ以外に手はない。

 超カウンターを発動して、相手の技が当たる前に一撃で決める。それ以外に勝ち目はなかった。

 エビワラーが『とびひざげり』をトリガーに、『カウンター』を発動させる。これは賭けだ。普通のカウンターと違って、ミスれば即死の、一度きりの賭けである。

 

 だが、シゲルはそんな賭けの通用するような生易しい相手ではなかった。『とびひざげり』が当たる直前、『ブレイズキック』を指示して、そのまま反対側の足で攻撃してくる。

 当然、『とびひざげり』にカウンターを合わせようとしていたエビワラーは、回し蹴りのように襲ってくる『ブレイズキック』に対応できなかった。まさか直前で技をキャンセルして、別の技に繋げてくるとは予想外の攻撃である。

 

 こうなればなりふり構っていられなかった。『みきり』を指示して、『ブレイズキック』を回避し、そのまま返しの刃で『きあいパンチ』を決める。

 これが超カウンターを使う前にずっと愛用していた俺達の最初の技、高速見切りカウンターきあパンだ!

 

 技スロットを全て使ってしまうという欠点があるものの、安定性は超カウンターを超えている。

 シゲルはエビワラーの超カウンターを見たことはあっても、高速見切りカウンターきあパンを見たことはない。何せ、カントーリーグ前にシバにボコられて、超カウンターを使うようになったのだ。リーグでは使っていない以上、シゲルに高速見切りカウンターきあパンを見る機会は存在しない。

 

 だからこそ、この場面では完全な不意打ちとして機能した。流石のシゲルもこの技には咄嗟に対応できないようで、威力540の一撃がサワムラーを戦闘不能にする。

 とはいえ、これでもうエビワラーは置物のようなものだ。シゲルも一度見た以上、こちらが全ての技を使い切ったのはわかっているだろうし、遠距離からボコられたら何も出来ずに殺されるだけである。

 

 シゲルがサワムラーを戻すと同時に、こちらもエビワラーを戻す。対応されるのが目に見えている以上、無駄死をさせたくはない。

 シゲルは再びニドクインを出してきた。

 サワムラーもかなり育成されていたが、やはりこのニドクインは別格に見える。おそらく、シゲルの手持ちの中でもトップクラスに育てているはずだ。こいつならばという信頼を感じる。

 

 こちらはベトベトンを出した。シゲルのニドクインは既に全ての技を使っている。『ドリルライナー』は弱点だが、一度掴めばその時点でいつもの必殺技に持ち込めるはずだ。

 どくタイプのニドクインはどく技を警戒する必要はないはずだが、他の変化技を嫌って、シゲルはまず『ちょうはつ』から入ってきた。

 しかし、そんなことは既に予測済みなので、ベトベトンは真っすぐニドクインに向かって動き出している。基本的に鈍足故に近接で先手は取れないが、相手が変化技を使ったのならば話は別だ。

 

 エビワラー大先生が広めている三色パンチの一つ、『れいとうパンチ』を使ってニドクインの弱点を攻めていく。

 対するニドクインも、『ほのおのパンチ』で対抗してきた。お互いの拳同士がぶつかり合うも、向こうの炎がこちらの氷を溶かしてダメージを与えてくる。

 だが、こちらの本来の狙いはパンチ合戦ではない。そのままニドクインの手をガッシリと掴み、ベトベトンがいつものお包み体勢へと移る。『のしかかり』で一気に勝負を決めてやれ!

 

「ニドクイン、『ドリルライナー』で脱出しろ!」

 

 しかし、ベトベトンがニドクインを包んだ瞬間、中で回転しているニドクインが大暴れしているようで、徐々にベトベトンの体が上へと浮かんでいく。

 だが、ベトベトンも意地でも離さんとばかりに、『かいりき』を使ってニドクインを押さえつけている。シゲルも完全脱出は無理だと判断したのか、ニドクインが『あくしゅう』で動きを止める前にベトベトンを倒すことへシフトした。

 

 そのまま、ニドクインはベトベトンの中から押すように攻撃を続け、壁まで押しやっていく。完全に密閉状態に出来ていないせいか、必殺の『あくしゅう』がそこまで機能していないようだ。壁に押し付けられたベトベトンは衝撃を逃がせずに、『ドリルライナー』の直撃を受けている。

 こちらも『かいりき』を使った『のしかかり』を継続しているはずだが、レベル差もあり、弱点の攻撃を受けているこちらの方がダメージは圧倒的にこちらの方が上のようだ。

 

 このままでは戦闘不能にされる。悔しいが一度戻すしかない――そう、判断を下して、俺がモンスターボールを出すのと同時に、ベトベトンも限界を悟ったようで、俺の指示なしで『じばく』を使った。

 

 ニューサトシは基本的に自爆技を使わない。

 

 個人的なこだわりだが、戦闘不能になった時に発動する『みちづれ』と違って、自分の命をコストに発動する技は何となく使わせなくないのだ。実際に死ぬわけではないとはいえ、気分が良くないのである。

 なので、そんな技を覚えさせるつもりもなく、ゲンガーのように『だいばくはつ』を覚えるポケモンですら自爆技は覚えていなかった。実際、ベトベトンもこの試合前には『じばく』など覚えていなかったはずである。

 

 まさか、俺を負けさせたくない一心で、今『じばく』を覚えたというのか?

 

 ベトベトンが『じばく』で戦闘不能になって倒れる。しかし、ニドクインはまだ立ち上がれるようで、ベトベトンを退かして何とか起き上がっていた。

 それでもかなりのダメージは与えている。ハッサム、ピカ様、ベトベトンが少しずつ与えたダメージは確実にニドクインの体力を減らし、ようやく肩で息をするくらいに追い詰めていた。

 

 ベトベトンをボールに戻す。全く、勝手に変な技覚えやがって。もう二度と使うんじゃねーぞ。俺も使わなくていいように、絶対に強くなるからよ。

 

 ベトベトンの心意気を無駄にしないためにも、この試合は絶対に勝つ。次のポケモンとして、再びハッサムを送り出した。

 シゲルも初っ端、『ちょうはつ』は隙を突かれると学んだようで、開幕から使うというような真似はしてこない。おそらく、こちらの『はねやすめ』に合わせて使うだけで十分だと思っているのだろう。

 

 ハッサムに再び、『バレットパンチ』と『ダブルアタック』によるオラオラコンボを指示する。

 それを見て、シゲルもまた『みだれひっかき』と『ほのおのパンチ』を合わせたオラオラコンボで対応してきた。

 

 今度は開幕からパンチの応酬である。だが、ベトベトンの与えたダメージがニドクインの動きを鈍らせ、今度はこちらのパンチがニドクインに直撃した。

 だが、ニドクインも倒れない。それがどうしたと言わんばかりに、再びオラオラコンボを仕掛けてくる。しかし、こちらも簡単に負ける訳にはいかないと、バレパンのオラオラコンボを繰り返した。

 

 最終的に互いの拳が顔面に当たり、ハッサムが倒れる。ニドクインは膝を突いたが、意地で戦闘不能にはなっていなかった。どれだけ打たれ強いんだ。まるで伝説のポケモンじゃねーか。

 

 ハッサムをボールに戻す。こちらの残りはピカ様、リザードン、エビワラー、バンギラスの四体だ。

 そのうち、ピカ様は技を二つ使っていて、エビワラーは技を全て使いきっている。だが、ニドクインは近接型だし、まだエビワラーでワンチャン倒せる可能性もあった。

 

 俺がエビワラーを出すと、シゲルはノータイムでニドクインを戻す。あれだけのダメージはちょっとの時間では回復しない。戻しても、次のバトルで必ず倒れるが故に、交換はしないと踏んでいたのだが――

 

「いけ、ムウマージ!」

 

 シゲルの三体目はムウマージだった。そして、まずい。こちらにはゴーストタイプの有効打はないが、戻そうとしてもおそらく『くろいまなざし』で交換を封じられる。実質、エビワラーはただのサンドバッグにされてしまった。

 

「このムウマージは、君のミュウツー対策でもある。準決勝でミュウツーを出したのは失敗だったね」

 

 前回のミュウツーはシンゴの罠にはまって自爆技二連から追い詰められたが、それでもゲンガーより先に『ちょうはつ』を使えるスピードと、あれだけの攻撃を受けても戦闘不能にならない耐久力、ハッサムを一撃で戦闘不能にするだけのパワーがあることはバレてしまった。

 

 それでも尚、ミュウツーの対策が出来ているということは、ミュウツーより先に『ちょうはつ』が使えるということだろうか?

 でなければ、ムウマージの変化技は全て封じられる。まぁ、今回ミュウツーはエントリーできなかったので悩む必要はないのだが、この先のバトルで同じ手が使われないとも限らない。出来ればここで全貌を暴いておきたかった。

 

 シゲルは、『くろいまなざし』で交換を防ぎ、『ちょうはつ』で変化技を封じてくる。ここまでは想定した通りだ。

 こうなると、こちらの残りの攻撃技は『カウンター』と『きあいパンチ』のみとなる。どちらも、かくとうタイプの技故にゴーストタイプのムウマージには無効だ。

 

 このまま殴り殺されるのかと思ったが、シゲルは三つ目の技にまさかの『ほろびのうた』を指示した。これで互いに三ターン後、戦闘不能になる。おそらく、最後の一つは『みちづれ』だろう。

 俺が竹中エンテイ相手にやった、必殺コンボだ。あの時は向こうがチートだったせいで失敗に終わったが、普通はこのコンボをされれば逃げることは出来ない。

 

 確信した。やはり、シゲルには何か先に『ちょうはつ』を使うすべがあるのだ。そうして、こちらの動きを封じた上で、『くろいまなざし』で逃げるのを封じ、『ほろびのうた』か『みちづれ』でミュウツーを確殺するのが狙いだろう。

 その『ちょうはつ』を通す方法まではわからないが、こういう嵌め方があるとわかっただけも収穫だ。後は、『ほろびのうた』のコンボをどうにかするだけである。

 

 しばらくして、シゲルがギリギリのタイミングでモンスターボールを出した。『ほろびのうた』の限界時間が来たのだろう。

こちらもすぐに反応してエビワラーを戻そうとしたが、『くろいまなざし』の効果はポケモンが完全にボールに入るまで続くようで、ムウマージが戻るのに合わせて戻すという作戦は使えなかった。

 

 ムウマージがボールに戻ると同時にエビワラーも倒れる。こりゃ、一度嵌められたら二度と抜け出せないな。

 

 俺のポケモンが先に三体戦闘不能になったことで、五分間のインターバルに入る。

 しかし、まだシゲルには五体のポケモンが残っており、おまけに姿を見せていないポケモンが三体も残っていた。

 こちらはリザードンとバンギラスがまだ姿を見せていないが、リザードンがいるのはまず間違いなくばれており、残り一体はミュウツーだと思われているはずだ。とはいえ、バンギラスを出せばミュウツーがいないのはおそらくバレるので、ハッタリとしてもあまり機能しないだろう。

 

 さて、どうしたものか。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・裏レンタル屋について。
 このカントー、ジョウトで、強いポケモンを高額でレンタルするだけの組織力がある裏レンタル屋。ニューサトシは気づきませんでしたが、当然彼らです。シンゴ自身も気付いていませんが、結果的に彼らに協力してしまいました。そのため、ちょっと戦犯しています。

・データについて。
 ニューサトシは軽く流しましたが、当然彼らは必要な情報を入手しました。また、地方リーグ準決勝というテレビ映像が放送される大舞台でさらなるデータを入手したことで、シンゴの役割は終えています。

・ミュウツー我ハココニ在リについて。
 実はアニメジョウト編ではミュウツー我ハココニ在リという、ミュウツーとサカキ様率いるロケット団の特別な話が三話ほどありますが、原作と内容が変わっているのでスルーしていました。しかし、ミュウツーを失った彼らがそのまま黙っているはずがなく、今は水面下で行動中です。これについてはいずれ本編で。

・シゲルとの決勝戦が始まった。
 ニドクインだけでなく他のポケモンも60レベルくらいにまで育て上げている。ただし、ムウマージだけは急遽ミュウツー対策で入れたので、若干レベルが低い。それでも50以上はある。全力でニューサトシをねじ伏せに来た。


 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.56

 ピジョット Lv.52

 バタフリー Lv.52

 ドサイドン Lv.55

 フシギダネ Lv.52

 リザードン Lv.57

 ゼニガメ  Lv.52

 キングラー Lv.52

 カモネギ  Lv.52

 エビワラー Lv.52→53

 ゲンガー  Lv.53

 オコリザル Lv.53

 イーブイ  Lv.51

 ベトベトン Lv.51→52

 ジバコイル Lv.52

 ケンタロス Lv.52

 ヤドラン  Lv.51

 ハッサム  Lv.51→52

 トゲキッス Lv.47

 プテラ   Lv.52

 ラプラス  Lv.51

 ミュウツー Lv.71

 バリヤード Lv.52

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.48

 カビゴン  Lv.46

 ニョロトノ Lv.46

 ヘラクロス Lv.44

 メガニウム Lv.44

 マグマラシ Lv.43

 ラティアス Lv.30

 ヘルガー  Lv.44

 ワニノコ  Lv.43

 ヨルノズク(色違い) Lv.43

 カイロス(部分色違い) Lv.44

 ウソッキー Lv.43

 バンギラス Lv.55

 ゴマゾウ  Lv.30

 ギャラドス(色違い) Lv.34




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#095 『頑張って勝つ、それだけだ』

 12歳 μ月χ日 『決勝リーグ 決勝 VSシゲル 中編』

 

 ベンチに戻ると、ラティがやけに心配そうな顔でこちらを見ている。思えば、何だかんだこれまでのインターバルは俺の方がポケモンを多く残すことが多かったし、負けている状況が不安なのかもしれない。

 とりあえず、「まだまだ勝負はここからだ」と返すと、「がんばる」と応援の言葉をくれた。いつもながら、そこはがんばるではなく、頑張れだが、気持ちが伝わればどっちでもいい。応援してくれるラティを撫でながらベンチに座る。

 

「しかし、シゲルは強いな。この試合に照準を合わせてきたっていうのは嘘じゃなさそうだ。どうする、サトシ?」

「さーてな。とりあえず、あのニドクインはやべーわ。あれだけボコって倒れないってミュウツーかよ」

「で、勝算はあるの?」

「ねーな。ぶっちゃけ、かなりきっつい。地力で負けてる分は戦術で対応してるけど、シゲルは戦術もしっかり勉強してる。付け入る隙がほぼない」

「がんばる?」

「そーだな。頑張って勝つ、それだけだ」

 

 問題になってくるのはムウマージだ。あいつを倒さないと、『みちづれ』で最低でも一体は相打ちに持ち込まれる。

 後は、残り姿を見せていない三体のうち、二体はカメックスとエレキブルのはずだ。エレキブルは前にピカ様を倒しているし、カメックスはファーストパートナーである、外す理由が見当たらない。最後の一体は不明だが、生半可なポケモンではないはずだ。

 

 インターバルの五分が経ったのでフィールドに戻る。どうやらシゲルはずっと立っていたようで、インターバルで緊張の糸が切れるようなことは期待できそうになかった。

 

 バトルが再開すると、シゲルがニドクインを出してくる。しかし、五分やそこらで回復が出来るはずもなく、ダメージの色は濃く肩で息をしていた。

 こちらはピカ様を送り出す。

 出来れば、ピカ様には無傷でニドクインを倒して欲しい。これ以上、こちらの数が減るとこの先のバトルがきつくなり過ぎる。二体と三体では、出来ることに差がありすぎるのだ。

 

「……ニドクインにハッサムやベトベトンを出してきた辺りから、もしかしたらと思っていたが、どうやらミュウツーをエントリーしていないようだね」

 

 まぁ、いずれバレるとは思っていた。

 そもそも、どくタイプのニドクインの相手をするならエスパータイプのミュウツーを出すのが普通だ。俺だって、本当ならそのつもりだったし、そうなっていればここまで不利な状況にはならなかったかもしれない。

 

「ドクターストップがかかったんだよ」

「まぁ、準決勝のダメージを考えればわからなくはないね。ミュウツー対策を見せる機会がなさそうなのは残念だよ」

「『ちょうはつ』の先出しか?」

「あれだけヒントを渡せばわかるか。まぁね、一度しか使えないドッキリ技だけど、間違いなく通用すると思っているよ」

 

 それだけヒントを見せても通用するドッキリ技か。見てみたかったが、多分シゲルは仮にムウマージが負けることになったとしても、この試合でそれは見せないだろう。

 

 だが、今はミュウツー対策よりもバトルが優先だ。『ざぶざぶサーフ』を指示して、一気に勝負を付けに行く。

 シゲルもまた『ドリルライナー』による突破で、戦闘不能を避けてきた。しかし、その次の『アイアンテール』を受ければ、もう戦闘不能は避けられないはずである。

 

「『ほのおのパンチ』で受け止めろ!」

 

 しかし、先程の焼き直しはしないようだ。『ドリルライナー』は『ざぶざぶサーフ』を突破するのに技のパワーを使っている。それなら、新しい技で迎撃しようとシゲルは考えたらしい。

 

 こちらの『アイアンテール』に反応して、『ドリルライナー』を解除し、そのまま『ほのおのパンチ』で迎撃してくる。

 ピカ様の尻尾とニドクインのパンチがぶつかり合うが、ニドクインはこれまでのダメージもあって踏ん張りが効いていない。逆に上から下へと振り下ろすピカ様の一撃は体重も乗っていて火力が上がっていた。

 

 最終的に何とか打ち勝ち、ピカ様がニドクインを再び地面に叩きつける。流石にこれで戦闘不能になったようで、ニドクインが目を回して倒れていた。

 

 だが、これは運の要素も大きい。ニドクインは重量タイプでピカ様は小型のポケモンだ。

 もし、ニドクインのダメージがもっと少なかったら結果は逆になっていたかもしれない。とはいえ、勝ちは勝ちである。

 

 シゲルがニドクインをボールに戻す。次に出してきたのはムウマージだった。

 ピカ様を戦闘不能にされると後が辛いが、戻そうとしても『くろいまなざし』で封じてくるだろう。

 

 ならば、敢えて使わせる。

 

 ピカ様にアイコンタクトで指示を出しつつ、「戻れ」と声をかけた。それに反応し、シゲルが『くろいまなざし』を指示してきたので、即座にピカ様が反転して『どくどく』をお見舞いする。

 もう長いこと一緒にいるのだ。これくらいの連携は朝飯前である。

 シゲルもまさかピカ様が『どくどく』を使ってくるとは思わなかったようで、一歩遅れて『ちょうはつ』を使うが、既にムウマージは『どくどく』の直撃をくらっていた。

 

 ふふふ、ピカ様がそんなことしないだろうというイメージを使った不意打ちのために、技マシンで『どくどく』も覚えさせてきたのだ。

 実際、カントーやオレンジ諸島を旅していた頃は、全く覚えさせるつもりはなかったが、ジョウト旅立ち前のエレキブルとの敗北が結構ショックだったようで、ピカ様本人が進んで搦手をいろいろ覚えようとしてくれたのである。いくら『ちょうはつ』があろうと、こっちが先出ししてしまえば意味がないからな。

 

 これでムウマージが倒れるのも時間の問題だ。おまけに、猛毒状態になったことでいつ倒れるかの予測が難しくなった。これで『みちづれ』も使いづらくなっただろう。

 何せ、ゲームと違って体力バーがある訳ではないのだ。どの時間にどれくらいのダメージが来るか目で判断できない以上、シゲルもムウマージ自身も技の使用タイミングを計れない。

 

 ならばと、シゲルは『ほろびのうた』を指示する。倒れる前に倒そうという狙いのようだが、そんなのを待つほど優しくはない。『10まんボルト』で歌っているムウマージを狙い撃ちにする。

 体力が減ったことで、猛毒のリミットも近くなったはずだ。想定以上にダメージが入ったので少し驚いたが、おそらくこのムウマージだけはミュウツー対策に急遽入れたポケモン故に、他のポケモンほどレベリングされていないのだろう。それでも、こちらとそうレベルが変わらない辺り、シゲルの育成能力の凄さが伺える。

 

 追撃の『10まんボルト』を指示すると、シゲルもこうなっては仕方ないとばかりに、『まもる』を指示してきた。完全防御がピカ様の『10まんボルト』を防いでいく。

 だが、これでもう『みちづれ』の心配も完全になくなった。シゲルとしては『まもる』の防御を利用しつつ、何とか『ほろびのうた』のカウントまでムウマージを生き残らせようという狙いだろう。

 

 いくら『どくどく』の猛毒が強いと言っても、効果が強くなるまでは時間がかかる。

 こちらが入れたダメージを考えても、『ほろびのうた』が間に合うかどうかは五分五分と言った所だ。猛毒が勝てば俺の勝ち、『ほろびのうた』が勝てばシゲルの勝ちである。

 ただ、その間に攻撃を当てれば話は別だ。

猛毒を待つ前に、攻撃を当てて戦闘不能にする。仮に出来ずとも、一撃当てればムウマージが猛毒で倒れる時間は確実に早くなるはずだ。

 

 生死をかけた鬼ごっこがスタートする。ピカ様が三度、『10まんボルト』を撃つも、ムウマージもなりふり構わず逃げ回り始めた。

 もう一度追撃のまんボルを撃ってみるも、ムウマージを捕まえられない。元々、素早種族値では負けているのだ。単純に追っても逃げに徹されたら捕まえられない。『ざぶざぶサーフ』を指示して、全体攻撃でムウマージを捕まえにいく。

 

 シゲルは二度目の『まもる』を指示した。確率は五割だが、運よく成功したようで、全体攻撃を防がれる。時間がない。あまりぐずぐずしてはいられないので、もう一度『ざぶざぶサーフ』を使って今度こそムウマージを捉える。

 

 流石に三度目は成功しなかったようで、『ざぶざぶサーフ』が直撃した。同時に、猛毒のリミットも来たようでそのままムウマージが戦闘不能になる。

 ムウマージが戦闘不能になったことで、ピカ様にかけられていた『くろいまなざし』も解除された。倒れられたら困るので、すぐに戻るように声をかけるが、フィールドから出る直前にピカ様がばったりと倒れてしまう。

 

 どうやら、ギリギリで間に合わなかったらしい。モンスターボールで戻せば間に合ったかもしれないが、ピカ様のモンスターボール嫌いがここに来て裏目に出てしまった形である。

 

 まだピカ様はそう大きなダメージを受けていなかったので勿体ないが、倒れてしまったものは仕方ない。

 審判も、まさかこんなタイミングでポケモンが戦闘不能になるとは思わなかったようで困惑していたがルールはルールである。少し申し訳なさそうに、そのままピカ様の戦闘不能を宣告した。

 

「……運がなかったね、というべきかな?」

「いや、粘ったムウマージの勝ちってだけだ。別に反則した訳じゃねーんだから気にすんな」

 

 シゲルも少し気にした素振りを見せているが、こういう事態も全部含めてポケモンバトルだ。

 そんなこと一々気にされたらこっちも全力で戦いづらい。それにピカ様は倒れたが、シゲルのポケモンも三体戦闘不能になっている。これで二対三だ。勝負はわからなくなってきた。

 

 倒れたピカ様をベンチに運び、後をお任せする。

 

 先にポケモンが戦闘不能になったシゲルが、こちらよりも先に次のポケモンを出してきた。出てきたのはエレキブルだ。

 こちらはバンギラスを出す。リザードンにでんきタイプは弱点だし、出来ればカメックスと戦うまであまり消耗させたくない。

 

 おまけに、俺のバンギラスは、ロケット団の作った変なボールのせいで、無理矢理力を強化されており、体も普通のバンギラスより一回り以上大きくなっている。そのため、シゲルのポケモンにレベルで負けていてもパワーなら互角に戦えるかもという狙いもあった。

 

 バンギラスの巨体を見ると、エレキブルすら小さく見えるようで、シゲルも「でかい!」と驚きの声を上げている。やはり、あの時野生に返さずにゲットしてよかった。大変気分が良い。

 

 特性の『すなおこし』でフィールドが砂に包まれていく。これで特防が1.5倍になり、特殊に強くなった。

 だが、シゲルのエレキブルは『かわらわり』が使える。バンギラスはいわ・あくタイプ故にかくとう技が四倍だ。まず間違いなく使ってくるだろう。

 

 こちらは『じしん』で先制した。エレキブルの苦手なじめんタイプの技だ。とはいえ、シゲルのエレキブルは通常の個体よりも跳躍力を強化している。それは、ジョウト旅立ち前に行ったバトルで、ピカ様の『なみのり』を回避したのを見れば一目瞭然だ。

 当然、『じしん』も自慢の跳躍力で回避してくるだろうと予測していると、やはりシゲルはエレキブルにジャンプを命じていた。

 

 当然だが、ひこうタイプでないエレキブルは空中で移動する手段がない。落下するエレキブルに向けて、『あくのはどう』を指示した。

 俺のバンギラスは特殊攻撃もかなり強化されている。種族値的にもバンギラスは特攻が低くないということもあって遠距離も十分戦えるのだ。

 

 シゲルも咄嗟に『10まんボルト』を指示して、『あくのはどう』を相殺していく。

流石はシゲルのエレキブルと言うべきだろう。強化された俺のバンギラスの『あくのはどう』をしっかり防いでいる。

 

 シゲルはエレキブルが着地するなり、『でんこうせっか』を指示してきた。『じしん』を撃たれる前に距離を詰めようとしているようだ。

 多少なりとも距離があるとはいえ、その速度で接近されたら『じしん』は間に合わない。仕方ないので、新たに『じだんだ』を指示した。

 

 足を強く地面に打ち付けるバンギラスに近寄れば、『じだんだ』の直撃を受ける。エレキブルも足を止めそうになったが、「ジャンプして『かわらわり』!」という指示が来て、バンギラスの目の前でジャンプした。

 

 上から叩きつけるように手刀を振り下ろすエレキブルに対し、こちらも『ギガインパクト』を指示する。

 それは不思議と、前回のシゲルとのバトルで、ピカ様の『アイアンテール』を下から迎え撃ったエレキブルの姿と被って見えた。

 

 エレキブルの体重の乗った一撃は多少威力が上がっているが、『ギガインパクト』は威力150だ。おまけに攻撃力だけなら、バンギラスはドサイドンとほぼ互角である。『かわらわり』は四倍弱点ということでダメージは受けたが、エレキブルにはそれ以上のダメージを与えていた。

 

 吹き飛ばされて倒れるエレキブルに、追撃の『じしん』をお見舞いする。しかし、『ギガインパクト』の硬直で少し動き出すのが遅かったこともあり、『まもる』による防御が間に合ってしまった。

 ならばと、『あくのはどう』を指示する。シゲルも、『10まんボルト』で再び相殺を狙うが、今回の『あくのはどう』は通常よりも拡散させて放っていた。

 

 当然、広範囲に技を広げれば威力は落ちる。

 だが、今回の狙いは攻撃を当てることではない。エレキブルが『10まんボルト』で『あくのはどう』を消し飛ばす間に、バンギラスは既にエレキブルとの距離を詰めていた。

 

「『あくのはどう』を目くらましに使ったのか!?」

「決めろ、『ギガインパクト』!!」

 

 バンギラスは重量級のポケモン故に、早く接近してこないだろうという隙を突いた。

 俺のバンギラスはおそらくだが、ロケット団の変なボールの影響で努力値が振られているだけではなく、個体値も最大にされている。そのせいもあって、普通のバンギラスよりも巨体の癖に足がそこそこ速いのだ。

 

 シゲルも咄嗟に『でんこうせっか』による回避を指示するも、エレキブルも体がそこそこ大きいが故にバンギラスの突撃をかわしきれない。

 これがピカ様のような小型のポケモンだったら回避できたかもしれないが、エレキブルは重量級だ。それ故の弊害が、シゲルを襲っていた。

 

 再び、エレキブルが吹き飛ぶも、今度は覚悟を決めていたようで空中で体勢を整えている。そのまま、『10まんボルト』で反撃をしてきたが、地面に強く体を打ち付けると、砂嵐のダメージもあって戦闘不能になった。

 しかし、死に際の一撃はバンギラスにも致命的なダメージを与えている。おそらく、体力はもう1/4くらいだろう。間違いなく限界がちかい。だが、エレキブルを戦闘不能に出来たのは大きかった。

 

「全く、これだから油断できないんだ……」

「ケッ、良く言うぜ。こっちはレベル差を覆すのに死ぬ思いをしてるっつーのに」

 

 シゲルはエレキブルを戻すと、次にブーバーンを出してきた。

 チッ、やっぱり持ってたか。エレキブルの進化方法を知っていれば、ブーバーンへの進化方法だって考えが及ぶ。こいつも、おそらくムウマージ以外のポケモンのように集中育成されていると見た方がいいだろう。

 

 しかし、ブーバーンもまた、じめん技が効果抜群のはずだ。『じしん』を指示して、先制攻撃を仕掛ける。

 

「ブーバーン、両手を地面に向けて『かえんほうしゃ』!!」

 

 ブーバーンの手は引っ込めると、カメックスの背中のキャノンのような砲台となる。そこから勢い良く噴射された『かえんほうしゃ』のパワーで、自身の体を浮かべ、『じしん』の衝撃を回避していく。

 前に俺が見せた技での回避の応用だ。どうやら、これも完全に模倣されているらしい。おまけに、エレキブルとは違い、ブーバーンは空中で移動できるように腕の砲台を応用して『かえんほうしゃ』をブースターにこちらへ真っすぐ突っ込んできた。

 

 まるでロケットのように突っ込んでくるブーバーンを『ギガインパクト』で向かい打つように指示を出すと、向こうも『ギガインパクト』で応戦してきた。

 勢いがついている分、ブーバーンの『ギガインパクト』は威力が上がっている。それでも、打ち負けずにバンギラスも食らいついていた。

 まるで、グレンでのカツラとのブーバーとリザードンのバトルの再現だ。あの時はリザードンのヘッドバッドが勝負を決めたが、あの時と違ってブーバーンは上から突っ込んでいるので同じ手は使えない。

 

 最終的に、吹っ飛ばされずに受け止め切ったが、ダメージの限界が来たようでバンギラスが戦闘不能になってしまった。ブーバーンがその場を退くと、支えを失ったバンギラスが前のめりに倒れていく。

 バンギラスをボールに戻す。

 これで残りはリザードンのみだ。相手はブーバーンとカメックス、かなり不利な戦いだが、それでもお前なら何とか出来ると信じている。頼むぞ。

 

「さぁ、行こうぜ! リザードン!!」

 

 

 

 




 原作との変化点。

・みちづれ破り。
 どくどくが実は使えることに気付いた。この世界にはHPバーがないので、タイミングよく技を発動できなくなる。

・ブーバーンのロケット。
 イメージ的には家庭教師ヒットマンリボーンの主人公みたいなイメージ。わからない人は、ポケスペのブルーのカメックスをイメージして貰えると。

・追い詰められた。
 リザードン一体に対して、シゲルはブーバーンとカメックスを残している。当然ながら状況はかなり不利である。


 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.56

 ピジョット Lv.52

 バタフリー Lv.52

 ドサイドン Lv.55

 フシギダネ Lv.52

 リザードン Lv.57

 ゼニガメ  Lv.52

 キングラー Lv.52

 カモネギ  Lv.52

 エビワラー Lv.53

 ゲンガー  Lv.53

 オコリザル Lv.53

 イーブイ  Lv.51

 ベトベトン Lv.52

 ジバコイル Lv.52

 ケンタロス Lv.52

 ヤドラン  Lv.51

 ハッサム  Lv.52

 トゲキッス Lv.47

 プテラ   Lv.52

 ラプラス  Lv.51

 ミュウツー Lv.71

 バリヤード Lv.52

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.48

 カビゴン  Lv.46

 ニョロトノ Lv.46

 ヘラクロス Lv.44

 メガニウム Lv.44

 マグマラシ Lv.43

 ラティアス Lv.30

 ヘルガー  Lv.44

 ワニノコ  Lv.43

 ヨルノズク(色違い) Lv.43

 カイロス(部分色違い) Lv.44

 ウソッキー Lv.43

 バンギラス Lv.55

 ゴマゾウ  Lv.30

 ギャラドス(色違い) Lv.34




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#096 『これが本気の究極技合戦だ』

 12歳 μ月χ日 『決勝リーグ 決勝 VSシゲル 後編』

 

 リザードンが姿を出すと、シゲルが気を引き締め直した。数やレベルの上では有利でも、俺のリザードンならそれらの有利を覆してくる可能性があるとわかっているのだ。

 実際、こちらは開幕から気持ちがシンクロして、いつでもきずな現象が発動できる状態だが、あまり最初に全力を出し過ぎると、カメックスとのバトルでスタミナ切れになる可能性もある。できれば、このままの状態でブーバーンは倒したい。

 

 しかし、シゲルはそんなに生易しい相手ではなかった。ブーバーンに『10まんボルト』を指示して、こちらの弱点を突いてくる。

 エレキブルというでんきタイプがいる以上、でんき技を覚えさせるのなんて朝飯前ということだろう。リザードンを空中に逃がして回避させると、再び『かえんほうしゃ』からのロケット殺法でブーバーンがリザードンに突進してきた。

 

 そのまま『10まんボルト』で全身に電撃を纏いながら、ブーバーンが真正面からぶつかってくる。

 疑似『ボルテッカー』だ。前回のセキエイ大会で、ピカ様が『かみなり』と『でんこうせっか』で応用していた技を、『かえんほうしゃ』のロケットブーストと『10まんボルト』で再現してきやがった。

 

 咄嗟に回避したが、完全には避けきれず、多少ダメージが入る。でんき技はリザードンに効果抜群だ。

 ブーバーンも、まだまだと言わんばかりに旋回して、また真っすぐ突っ込んできた。勢いが有り過ぎるし、電撃を纏っている以上、下手にぶつかると大ダメージは避けられない。だが、今の状態で突っ込んでくるブーバーンを無傷で止めるというのは、ほぼ不可能だった。

 

 こうなれば仕方ないと、きずな現象を発動する。

 

 全身が赤くなり細部も変化し、炎の繭が全身を包み込む。また、タイプがひこうからドラゴンに変化したことで、でんき技が効果抜群ではなくなった。

 おまけに、スピードも上がったので、ブーバーンのロケットも落ち着いて対処できるようになっている。ぶつかる直前で、掠めるくらいギリギリの回避をすると、多少のダメージは無視してタイプ一致の『ドラゴンクロー』でブーバーンを上から叩き、地面へと方向転換させた。

 

 地面にぶつからないように、慌てて手を地面に向けて急ブレーキを踏むブーバーンだが、その背中からリザードンの蹴りが強襲していく。

 そのまま地面に叩きつけられるブーバーンの背を足蹴にし、『じしん』をお見舞いする。タイプ不一致とはいえ、ゼロ距離+こちらはきずな現象を発動してパワーも上がっていた。バンギラスとのバトルと『ドラゴンクロー』でダメージを受けているブーバーンなら十分戦闘不能に持っていけるはずだ。

 

 だが、直前で『まもる』を指示したようで、『じしん』の衝撃は受け流されてしまった。

 脱出しようともがくブーバーンだが、リザードンの抑えから抜け出せずにいる。こちらが続けて『じしん』を指示すると、ブーバーンもまだ負けぬと、『10まんボルト』で反撃してきた。ドラゴンタイプになったことで、でんき技は今一つになったが、それでもダメージがない訳ではない。

 二度目の『じしん』で今度こそ戦闘不能にする。

 ダメージは最小限にしたつもりだが、それでも浅くない傷をつけられた。シゲルが「よくやった」と声をかけてブーバーンを戻す。本当に、良くやってくれたものだ。

 

「ますます強くなっているね。リザードン」

「当然だ。うちのエースだぞ」

「しかし、僕の記憶が正しければ、その変身には時間制限があったはずだけど……?」

 

 既に一分を過ぎているにもかかわらず、変身が維持されているのが不思議なようで、それとなく探りの声をかけてきた。

 しかし、特に隠すことは何もないので、素直に答えを教えてやる。それがシゲルへのプレッシャーにもなるだろうしな。

 

「いつまでも不完全なままにしておく訳ねーだろ。もう一時間でも十時間でもこのままの状態を維持できるようになったんだよ」

 

 勿論、負担はそこそこあるので、本当はそんな長い時間は変化していられないが、少なくとも今の状態なら十分はキープできる。全開になれば五分くらいが限界だろうが、それだけあれば充分戦っていられるだろう。

 

「フッ、そうこなくちゃ面白くない。さぁ、行こうカメックス!!」

 

 シゲルが最後のカメックスを出した。

 それは一見、何の変哲もないカメックスに見えるが、俺くらいのレベルになると、どれだけカメックスが強くなったか一発でわかる。

 もし、ここに四天王のメンツがいれば、間違いなくこう言うだろう。「自分達のエースポケモンと比べても、遜色ないレベルだ」と。それだけ、カメックスは強くなり過ぎていた。

 

「お前、こんなん反則だろう……」

 

 ニドクインが可愛く見えるレベルだ。あれが60くらいだとしたら、カメックスのレベルは70近い。どうやればこの短期間でそこまで極められるのか教えて欲しいくらいである。

 集中育成とはよく言ったものだ。

 ニドクインやエレキブル達も確かに強かったが、カメックスだけはさらにその上を行っている。シゲルは冗談抜きで、俺のきずなリザードンを上から叩くために、カメックスを鍛えぬいてきた。きずな現象やメガシンカなどなくても、きずなリザードンと戦えることを証明しに来たのだ。

 

「大変気分が良い。だったかな? そう驚かれると苦労した甲斐はあった。ここまで育成するのは本当に苦労したんだ」

「だろうな。軽く見ても、リザードンよりレベルが10は離れてる。きずな現象がなければ勝負にもならなかっただろーよ」

「そうでもないさ。レベルだけが全てじゃない。戦い方次第で、自分よりも強い相手にも勝てるのは、まさにこれまで君が証明してきたじゃないか」

 

 言ってくれる。それがどれだけきついことか、こいつも良くわかっているだろうに。

 

「サトシ、ここからが本当のバトルだ。僕は一切手加減しない。全力で来い!」

 

 そう言って、シゲルはカメックスに『ハイドロカノン』を指示する。こちらも、『ブラストバーン』で迎撃した。

 前回のセキエイ大会の開幕と同じ、究極技同士のぶつかり合い。しかし、セキエイ大会では勝っていた火力が、今度はまるで相手になっていなかった。水圧に負けるように、炎はかき消されて水の究極技がリザードンに直撃する。

 

 全力ではないとはいえ、きずな現象を発動して尚、特殊攻撃力が負けているだと……?

 

 リザードンはまだまだとばかりに立ち上がるが、実際はかなりのダメージを受けていた。

 何せ痛みがダイレクトにフィードバックされるのだ。ミリ単位まで正確にダメージはわかる。ブーバーンから受けたダメージもあって、もし次に直撃を受けたら戦闘不能にされかねない。それだけの火力があった。

 

 ほのお技がダメなら他の技とばかりに、『じしん』をお見舞いするも、お得意の『こうそくスピン』で、カメックスは空中へと回避していく。

 そのまま『ハイドロポンプ』と、お得意のコンボが来るのはわかり切っていたので、リザードンを空中へと逃がした。いくらカメックスが強くとも、空はこちらのフィールドである。

 

 予想通り、『ハイドロポンプ』を撃ってきたので、自慢の機動力を駆使して、回転によって鞭のように振り回される『ハイドロポンプ』をかわしていく。

 いくら『こうそくスピン』の追加効果で素早が一段階上がっているとはいえ、それでもスピードはこちらが勝っている。この機動力こそ、俺達の生命線と言っても過言ではない。そのまま懐に潜り込んで『ドラゴンクロー』を叩きこもうとすると、カメックスも回転を停止して体をこちらに向けた。

 

 そのまま『メガトンパンチ』で、こちらの『ドラゴンクロー』と打ち合っていく。

 数発打ち合うと、カメックスも重力で地面に落下していったが、しっかりと背中の砲台はこちらに向けて追撃を許さない。落下しながら放たれる『ハイドロポンプ』をかわして真っすぐ地面に突っ込むが、その頃には既にカメックスは地に足を付けて体勢を整えていた。

 

 リザードンの拳に雷が宿る。うちには三色パンチの使い手が山のようにいるのだ。当然、リザードンだってその教えを受けており、『かみなりパンチ』を習得している。

 タイプ一致の『ドラゴンクロー』でも、向こうの防御を崩せなかったが、苦手なでんき技ならダメージは避けられないはずだ。上から叩きつけるように『かみなりパンチ』をお見舞いするも、『こうそくスピン』の回転でパンチを弾いてダメージを最小限にされる。

 

 パンチが弾かれて体が流れた瞬間を逃さず、シゲルは『ハイドロポンプ』で追撃をかけてきた。回転した状態から発射される『ハイドロポンプ』が、リザードンの体を叩きつけようとしてくる。

 

 リザードンと気持ちを一つにし――絆を結ぶ。

 

 その瞬間、リザードンが纏っていた炎の繭が弾け飛び、背中に出来た炎の四枚羽が爆発するように燃え上がっていく。

 その衝撃が『ハイドロポンプ』を一瞬蒸発させ、リザードンを離脱させる隙を作った。完全なるきずな現象。これが本当のきずなリザードンである。

 

「……まだ力を隠していたのか」

「切り札は先に見せるな。見せるなら奥の手を持て」

「誰のセリフだい?」

「漫画のキャラだよ!」

 

 もうこれで全部だ。これが通用しなかったらもう本当にどうしようもない。

 再び、高速でリザードンがカメックスとの距離を詰めて、『かみなりパンチ』で攻撃して行く。シゲルも『こうそくスピン』で防御するが、こちらの火力は先程よりも上昇していることもあって、今度こそ上から『かみなりパンチ』を叩きつけた。

 

 そのまま『じしん』で追撃をかけようとするも、『ハイドロポンプ』の噴射を利用してリザードンにタックルするようにぶつかって技を阻止してくる。

 リザードンもすぐに体勢を立て直すも、その頃にはカメックスも立ち上がっていた。互いに見つめ合うと『メガトンパンチ』と『かみなりパンチ』で殴り合いを始める。上空で互いの拳をぶつけ合っていた先程までとは違い、今度はどちらが先に倒れるかの我慢合戦だ。

 

 弱点ということもあり、リザードンの方が押しているように見えるが、その前の究極技の一撃でダメージを受けているせいもあって状況は不利だった。ダメージを受け流しているからまだ立っていられるが、このまま続けば先に倒れかねない。

 

 当然、戦っている本人はそれが良くわかっているようで、カメックスのパンチが引いた瞬間に体を一回転させ、尻尾の炎をカメックスの顔面にお見舞いした。

 オレンジリーグでカイリューにやった技である。あの時は目に炎が入ったことで隙を作ったが、カメックスはギリギリで顔を甲羅の中に引っ込めたようで攻撃を回避してきた。しかし、十分な隙は出来ている。

 

 その隙を突いて、リザードンが飛び上がった。

 

 もう体力も残り少ない。上空からの必殺の一撃で勝負をつける。シゲルとカメックスもまた、こちらの攻撃気配を感じ取ったようで、体とキャノンをしっかりとこちらへ向けていた。これが本気の究極技合戦だ。

 

 完全なきずなリザードンになったことで、『ブラストバーン』が専用技の『ブラスターバースト』に変化する。リザードンの口と、背中の炎の四枚羽からチャージされる五つの炎が、カメックスに向けて順次発射されて行った。

 

 対するカメックスも、再び『ハイドロカノン』で迎撃してくる。『ブラスターバースト』の初撃は貫通されるも、二発目は威力が並び、三発目で押し返していく。四発目からカメックスに攻撃が届き、最後の五発目もまた完全にカメックスに直撃した。

 

 究極技五連撃である。『まもる』ですら防御は不可能で、『ハイドロカノン』ですら三発打ち消すのが限界だった。

 ぶっちゃけ、三発打ち消しただけでも十分化け物だが、残りの二発をまともにくらった以上、もう立ってはいられないだろう。

 

 リザードンが地面に着地する。シンクロしている俺も確かな手応えを感じていた。立ち上がるのは無理だ――そう思った。

 

 しかし、爆風を突き抜けるように、カメックスが『こうそくスピン』でこちらに向かってぶつかってくる。

 すぐに反撃しようとしたが、『ブラスターバースト』は、絶大な威力の代わりに反動は究極技より大きいようで、リザードンがその場から動けずに『こうそくスピン』の直撃を受けた。

 

 そのまま、リザードンが壁に叩きつけられる。だが、カメックスは回転を止めない。このままリザードンが倒れるまで技を続けるつもりなのだろう。

 

「カメックス! まだ力が残っているなら、『ハイドロカノン』だ! 無理なら『ハイドロポンプ』でもいい、リザードンにとどめを刺すんだ!!」

「リザードン! カメックスも瀕死だ! まだ体が動くのなら拳を握れ! 『かみなりパンチ』でも『ドラゴンクロー』でもいい、上から叩け!!」

 

 カメックスも限界のようで、回転しながら『ハイドロポンプ』を出すも、水圧は見る影もなかった。しかし、リザードンも限界なこともあって大ダメージである。

 それでも、無理矢理拳を作って振り下ろす。『かみなりパンチ』を出す余裕はなかったようで、得意の『ドラゴンクロー』だったが、カメックスが地面に叩きつけられた。

 

 同時に、きずな現象が解除され、リザードンが倒れる。だが、カメックスもまた起き上がることが出来ずに戦闘不能になった。

 審判によって、リザードンとカメックスの戦闘不能が宣告される。審判員がビデオで戦闘を再確認するが、どうも互いに意識を失ったのは同時だったようで、引き分けという結果が伝えられる。

 

「引き分け? 確か、リーグのルールでは引き分けの場合のことは書いてありませんでしたね」

「まぁ、ポケモンバトルで引き分けってそうそうないしな」

 

 基本的に『だいばくはつ』や『みちづれ』を使って相打ちになっても使った側が負けになるし、今回のように同時に戦闘不能になるということはまず起きない。それ故に、引き分け時のことは想定されていなかったのだろう。

 

 まぁ、無難なのは再試合だろうが、向こうにもスケジュールがあるだろうしどうなるかな。

 

 とりあえず、俺はもう疲れてろくに動けないので、シゲルが審判にどうするのか追及しているのを見ていたのだが、VIP席からタマランゼとかいう爺さんがワタルとカントー四天王を引き連れて降りてくる。

 その爺さん曰く、俺とシゲルは二人ともチャンピオンリーグに行くだけの力があり、ここでどちらかを落とすのは勿体ないという。もし、こちらが良ければ、決着はチャンピオンリーグで付けたらどうかと提案された。

 

 俺とシゲルも決着をつけたい気持ちはあったが、別にどちらかを蹴落としたい訳ではないし、決着は後でつければいいというのもその通りだったので提案を受け入れることにする。

 

 こうして、リーグ史上初の同時優勝でジョウトリーグシロガネ大会は幕を閉じた。

 

 

 追記。ずっと後ろで首を傾げていたラティも、俺が優勝したとわかると大喜びで飛び跳ねていた。タケシも「おめでとう」と素直に称賛してくたが、カスミさんはいつも通り「優勝はいいけど、引き分けじゃちょっと締まらないわね」とひねくれたことを言っている。「たまには素直に褒めてくれ」と返すと、「おめでと」と短い四文字を素直に返された。何か照れるな、やっぱカスミさんは捻くれてた方がいいわ。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・カメックスが超強化された。
 レベル68。下手な四天王よりも強い。セキエイ大会時代より10以上レベルが上がっている。リザードン絶対倒すマン。

・リーグ初の同時優勝。
 本来、ニューサトシが勝って終わりの予定で書いていたら、気付いたら同時優勝していた。ふしぎ。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.56

 ピジョット Lv.52

 バタフリー Lv.52

 ドサイドン Lv.55

 フシギダネ Lv.52

 リザードン Lv.57→58

 ゼニガメ  Lv.52

 キングラー Lv.52

 カモネギ  Lv.52

 エビワラー Lv.53

 ゲンガー  Lv.53

 オコリザル Lv.53

 イーブイ  Lv.51

 ベトベトン Lv.52

 ジバコイル Lv.52

 ケンタロス Lv.52

 ヤドラン  Lv.51

 ハッサム  Lv.52

 トゲキッス Lv.47

 プテラ   Lv.52

 ラプラス  Lv.51

 ミュウツー Lv.71

 バリヤード Lv.52

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.48

 カビゴン  Lv.46

 ニョロトノ Lv.46

 ヘラクロス Lv.44

 メガニウム Lv.44

 マグマラシ Lv.43

 ラティアス Lv.30

 ヘルガー  Lv.44

 ワニノコ  Lv.43

 ヨルノズク(色違い) Lv.43

 カイロス(部分色違い) Lv.44

 ウソッキー Lv.43

 バンギラス Lv.55

 ゴマゾウ  Lv.30

 ギャラドス(色違い) Lv.34




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#097 『俺達の優勝カップ』

 12歳 μ月ψ日 『表彰式 俺達の優勝カップ』

 

 俺とシゲルの同時優勝という結果になり、今回は応援に来られなかったママさんやオーキド博士も電話口で大喜びしてくれた。

 特にマサラタウンの人間が二人も優勝したことは、前回のセキエイ大会以上に大きかったようで、今回は街中の人達が連日お祭りを企画しているらしい。

 

 シゲルもナナミさんに連絡を取っていたようで、「引き分けだったけど、優勝したよ」と報告している。「次は俺が勝つけどな」と茶々を入れると、「もう君の戦術は見切ったよ」と冷静に返された。それを見て、ナナミさんも「二人は相変わらずね」と笑っている。

 

 ジョウトジムリーダーズとナツメも試合後に会いに来て、「おめでとう」というお祝いの言葉をくれた。

 特にナツメは「リザードンの真の力、見せてもらった」と嬉しそうにしており、ミカンちゃんは「あのリザードンと互角に戦うなんて」とシゲルのことを尊敬の目で見ている。

 アカネは「いやー、燃えるようなバトルやったわー。こう、ぐわーっとして、かーっとなって」と、よくわからない擬音でバトルの感想を口にしていて、イブキは「また一つ、強くなったね」と大人な感想を口にしていた。

 一番辛口の感想をくれるだろうと思っていたツクシだが、「いいバトルだったんじゃない?」と澄ました顔をしている。しかし、アカネのリークによると、一番手に汗握って応援していたのはツクシらしい。どうやら照れ隠しのようだ。

 

 カントー四天王とワタルもまた、声をかけに来てくれた。ワタルなど、「あの時、俺がポケモンバトルについて教えた二人が、もうリーグ優勝か。早いな」と、過去を懐かしんでいて、カンナは「約束通りね。チャンピオンリーグも頑張って」と言ってくる。

 シバは「二人とも、いいバトルだったな」と笑っており、キクコは「オーキドの孫ねぇ。いけ好かない所が爺そっくりだよ」と、シゲルに辛口の感想を口にしていた。

 どうやらブルーは試合終了後にレッドを連れてどこかに行ってしまったようでいなかったが、代わりにイエローが「おめでとうございます! すごかったです!」とお祝いの言葉を口にしている。どうも、イエローはこれからまたタンバに戻るように言われているらしく、「このまま逃げちゃおうかな」と口にしていた。逃げても捕まりそうな気がする。

 

 ハヅキやシンゴも、優勝したことを祝ってくれた。きずなリザードンを見て驚いたようで、ハヅキが「今度は本気を出させてみせるよ」と意気込んでいる。シンゴも「あのリザードン、データ以上の力だった」と感嘆の言葉を口にしていた。

 

 いろいろともみくちゃにされたが、どうやらかなり疲労は溜まっていたらしい。

 この日はポケモンセンターでポケモンを回復させたら泥のように眠りに入り、朝にはいつも通り元気になっていた。

 

 そして、今、俺はシゲルと共に表彰台に上り、ジョウトリーグシロガネ大会の優勝カップを受け取っている。

 ただ、まさか同時優勝とは思わなかったらしく、カップは一つしかないらしい。それを見て、シゲルが「あの時と一緒だな」と笑みを浮かべた。一瞬、何のことだろうと思ったが、すぐに気づき、ピカ様にお願いして『アイアンテール』でカップを真っ二つに割ってもらう。

 

「次はチャンピオンリーグで決着をつける。これはその証――」

「「――ライバルの証だ」」

 

 互いに半分になったカップを持ち上げる。思えば、半分のモンスターボールからライバルになった俺達からすれば、半分の優勝カップで終わるのは必然だったのかもしれないな。

 だが、これで終わりではない。

 ここからまだ戦いは続く。チャンピオンリーグは約一月半後、その間にもう誰にも負けないくらいに強くなる。シゲルとの決着をつけるのはその時だ。

 

 前にも書いたが、チャンピオンリーグは各リーグの優勝者と過去四年までの優勝者が参加する魔境のリーグだ。

 基本的に各地方リーグは俺の知らない地方も含めて20くらいあるらしく、その優勝者20数名と、その過去四年の間の優勝者を含めた計80数人のフルバトルによるトーナメントとなっている。

 

 正確には、リーグ優勝者とは別に、いろいろな条件をクリアした特別枠があるようなので、もう少し人数は多いようなのだが、まぁ80人だろうと100人だろうと、一人になるまで戦うのは変わらないので同じだ。

 

 そして、チャンピオンリーグを優勝した一人が、希望する地方の四天王のいるリーグに挑戦できる。

 四天王リーグはチャンピオンも含めた総当たり戦で、その戦績によって四天王とチャンピオンが変更になる決まりだ。俺達が昔見に行ったレッド対ワタルも、その四天王リーグの最終戦である。

 

 俺は一応カントーのリーグ希望だ。カンナとの約束もあるし、ブルーにもリベンジしたいしな。

 シゲルはまだ考えていないらしいが、どうも原作のようにポケモンの研究者になることも考えているようだ。ただ、トレーナーとしての道を究めたい気持ちもあるようで、いろいろと迷っているらしい。

 

 とりあえず、俺との決着をつける前に逃げるのだけは止めろとだけ言うと、「心配しなくても、決着をつけたいのは僕も同じだ」と笑っていた。

 

 

 

 12歳 μ月ψ日 『エキシビションマッチ』

 

 ジョウトリーグシロガネ大会を優勝した俺とシゲルは、ジョウトリーグチャンピオンであるワタルとのエキシビションマッチの権利が与えられている。

 前回のセキエイ大会では負けたショックでブルー対レッドという貴重な試合を見逃してしまったが、今回は自分自身が戦うので見逃す心配は何もない。

 

 表彰式が終わると同時に、フィールドが準備され、反対側のトレーナーゾーンにワタルが現れる。

 どちらが先にバトルするかをじゃんけんで決めた結果、勝利のVがシゲルのグーに負けてしまった。思わず、指を地面に突き刺してしまったのは内緒である。

 

 クッソー、お預けかよ。

 

 仕方ないので、「早く負けろー」とシゲルを応援する。エキシビションマッチはチャンピオンが先行だ。

 ワタルがカイリューを出してくる。多分、ワタルはカイリューを複数体持っているので、このカイリューが相棒のカイリューかどうかはわからない。

 対するシゲルはニドクインを出してきた。わかってはいたが、やはりカメックスは昨日のダメージが残っているようだ。まぁ、うちのリザードンも同じだけどな!

 

 とはいえ、やはりワタルのカイリューも相棒ではないようで、まだ打ち崩せるだけの隙があった。

 シゲルとニドクインもかなりの練度ということもあって、こちらが思っていた以上に善戦している。

 だが、最終的には種族値の差が出たようで、ワタルのカイリューの『はかいこうせん』でニドクインが戦闘不能になっていた。

 

「どうだった?」

「やはり、壁はある。けど、乗り越えられないほどじゃない」

 

 今のシゲルですらチャンピオンはまだ遠い存在のようだが、全く手が届かないって程ではなさそうだ。

 次は俺の番と言うことで、シゲルと入れ替わるようにトレーナーゾーンに上っていく。

 すると、ワタルが俺用のポケモンを選択すると同時に、フィールド上空からヘリコプターが降下してきた。

 

 なんぞ? と思って見ていると、ヘリコプターからレッドとブルーが飛び降りてくる。

 

 レッドはフィールドの中央に降りると、ジッと俺の方を見つめてきた。ブルーはすぐにどこかへ走って行ったと思うと、実況のいる放送席へ突撃したようで実況からマイクをぶんどっている。

 

『あーあー、マイクテストマイクテスト。ごめんね、サトシ君』

 

 いや、何がごめんかよくわからん。

 

『ほら、昨日サトシ君とシゲル君が同時優勝したじゃん。それで、エキシビションマッチも二回行うことになった訳だけど、どうせならレッドとも戦ってみたいと思わない?』

 

 なんだと?

 

「待てブルー! レッドはセキエイ大会のエキシビションマッチがあったはずだ!」

『だから昨日行って、スケジュール調整して、今日五秒でそっこー終わらせてきたの。セキエイとシロガネならヘリコプターでギリギリ間に合う距離だしね』

 

 ワタルの疑問もバッサリと一刀両断する。

 どうやら、セキエイ大会は今回特に目立った選手が居らず、それなら俺達と戦うレッドの姿を見た方が楽しいと考えたようだ。

 

『どうー? 観客のみんなー! 最強のレッドのバトル見たくないー!?』

 

 ブルーの煽りに、歓声が巻き起こる。そりゃ、ワタルには悪いが、レッドが戦うとなればこうなるだろう。最強ってのはそれだけ人気があるということでもあるのだ。

 

 こうなっては仕方ないと、ワタルもトレーナーゾーンから降りていく。それと入れ替わるようにレッドがトレーナーゾーンに移動した。

 ワタルと戦う機会も少ないだろうが、レッドと戦う機会はもっと少ない。ワタルには悪いが、俺としてもこの希少な機会を無駄にする気はなかった。

 

 どうも、シゲルもレッドと戦ってみたかったようで、「こんなことならパーを出せば良かった」と言っている。割とワタルに失礼なこと言っている件について。

 

『ってことで、バトルするんだけど、サトシ君ハッキリ言うね。今の君じゃ、どうやってもバトルにならない。仮にあの伝説のポケモンをください――じゃなくて、伝説のポケモンを出しても、リザードンが変身してもそれは変わらないと断言できる』

 

 まぁ、俺だってそう簡単に勝てるとは思っていない。ワタルが一回も勝てない相手だ。それだけの差があるのだろう。

 

『だから、サトシ君だけの特別ルールを用意したよ。サトシ君のポケモンは技の使用制限なし。レッドは技の使用を三つまでに制限。これで多分、割と良い勝負になると思う』

 

 それは、ハンデとしては大きすぎる制限だ。特に、向こうが技の使用を三つまでに制限というのはポケモンの交代なしというジムリーダーのハンデよりも大きい。

 

 しかし、ブルーが冗談でそんな提案をするはずがないし、本当に俺とレッドにはそれだけの差があるのだろう。

 とはいえ、舐められたままというのはニューサトシも気分が良くない。技の使用制限なしはともかく、何とかしてレッドに四つ目の技を使わせてやるぜ。

 

『では、チャンピオンからポケモンを出して下さい!』

 

 実況席の混乱も大分収まってきたのか、実況のおっちゃんが「マ、マイクを……」と言っているが、ブルーはガン無視してマイクを持ったまま実況している。

 

 レッドは特に気にした様子も無くモンスターボールを手にした。中から出てきたのはピカチュウだ。

 ヒロシ君のレオンのように何か見た目に特徴がある訳ではない。パッと見だと、俺のピカ様とそう違いは無かった。しかし、その好戦的な笑みからくるプレッシャーはかなりの重圧を感じさせる。

 

 俺の手持ちでいい勝負が出来るポケモンと考えて、まず候補に出てきたのは最強のミュウツーだが、残念なことにまだ一昨日の傷が完全に癒えていない。

 次にリザードンだが、こいつも昨日のダメージが残っている。そんな不完全な状態では、きずな現象を使っても勝てるかどうか怪しい。

 相性を考えればドサイドンやベトベトンだが、おそらくしっかりでんき技以外の技も覚えているだろうし、下手な小細工は逆効果になりかねん。

 

 と、いうことで、やはりここはピカ様に全てをお任せすることにした。同じピカチュウとして、上のレベルを体感させてやりたいし、向こうのでんき技も半減できる。技術的な問題もピカ様なら十分対応できるはずだ。

 

「ピカチュウ! 君に決めた!!」

 

 ピカ様も自分で戦いたいと思っていたようで、呼ばれると同時に、気合十分とばかりにフィールドに飛び込んでいった。

 ただ、相手が格上だとわかるのか、緊張した様子を見せている。が、やはり俺のポケモンだけあって、緊張以上に強い奴と戦えるのが嬉しそうに見えた。

 

 審判によって、バトル開始が宣言される。

 

 その瞬間、それまで何を言っているのか全くわからなかったレッドの口から言葉が届いた。

 想像よりも中性的な声だな――そう思ったのは一瞬だ。届いた言葉は技名だった。技が来ると、そう思った瞬間には、既にピカ様の体が吹き飛ばされており、ピカ様のいた場所にはレッドのピカチュウが立っていた。

 

「『ばちばちアクセル』」

 

 技を言い終わる前には、もう技が出ていた。

 このニューサトシの目をもってしても、全てを見ることは出来なかった。一瞬、レッドのピカチュウが光ったと思ったら、次の瞬間にはピカ様が吹き飛ばされていたのだ。

 

「ピ、ピカチュウ! 大丈夫か!?」

 

 思わず、アニメのサトシ君が良く口にするようなセリフを言ってしまった。

 だが、同じでんきタイプだったということもあってか、何とか即戦闘不能は避けられたらしい。何とか起き上がると、フィールドに戻ってくる。しかし、ダメージは大きい。パッと見で体力は2/3くらい持って行かれた。

 

 レッドとピカチュウは自陣に戻ってこちらを見ている。どうやら、今度はこちらに先手を譲ってくれるらしい。

 パワーもスピードも負けている以上、やはり真っ向勝負はこちらの方が分が悪そうだ。ここは搦手を使っていくしかないということで、『どくどく』を指示する。

 

 だが、流石に簡単には当たってくれないようで、最小限のステップで技も使わずに回避していた。

 愚直に技を仕掛けても当たらない。なら、こっちもステを上げていくしかないということで、『こうそくいどう』を指示する。基本スペックで負けているなら、上げればいいだけのことだ。

 

 ピカ様のスピードが二段階上がったが、まだレッドのピカチュウは捕まえられそうになかった。『かわらわり』を指示するも、簡単に回避されている。

 ならば、さらにスピードを上げようと、再び『こうそくいどう』を指示した瞬間、レッドが再び『ばちばちアクセル』を指示してきた。ギリギリで『こうそくいどう』が間に合ったこともあって、素早がさらに二段階上がり、ピカ様もようやく向こうの動きを捉えられたようで攻撃をかわしている。

 

 それを見たレッドが追撃に『10まんボルト』を指示した。やっと二つ目の技だ。こちらも『10まんボルト』で反撃するも、威力で負けているようで押し返されている。

 咄嗟に『わるだくみ』を指示した。技を使いながらの積み技は練習したことがないし、初めての試みだが、出来なければ向こうの攻撃が直撃する。

 ピカ様もやけくそとばかりに、『わるだくみ』を使った。成功するかどうかは賭けだったが、運よく成功したようで、押し返されはしたものの、何とか向こうの『10まんボルト』の威力を殺しきることが出来ている。

 

 だが、二段階上がってギリギリ相殺なら、もう一度『わるだくみ』を積めば勝てると判断し、四段階特攻を上げて『10まんボルト』をお返しした。

 威力では完全に上を行ったはずだが、レッドはこちらの『10まんボルト』の一点を指さすと、そこに『10まんボルト』を撃つように指示している。

 何をするつもりだと思っていると、レッドのピカチュウが撃った『10まんボルト』が僅かにこちらの『10まんボルト』を抜けてきた。どうやら電撃の威力の弱い場所を狙って貫通させてきたようだ。

 

 そんなん有りかよとこの時は思ったが、後から聞いた話によると、積み技で火力を上げると、本来の技の威力との差が出来ることで強弱ができやすくなるらしい。

 勿論、パッと見てわかるものではないが、最強の名は伊達ではないようで、レッドはしっかりとこちらの技の隙間を縫ってきた。向こうの『10まんボルト』が先にこちらに当たる。貫通させるのに力を使ったようで威力はなかったが、体勢が崩れたことでこちらの『10まんボルト』は逸れてしまった。

 

「強い……」

 

 力も、技術も向こうが上だ。

 

 おまけに、まだレッドは技を二つしか使っていない。四つどころか、三つすら使わせることが出来ないでいた。

 

 だが、まだだ。

 

 さらに、もう一段階『こうそくいどう』を積む。これで素早は完全に向こうを超えた。

 いくらレッドのピカチュウが強くとも、自分より早い相手の技をかわし続けるのは至難の技のはずである。おまけに『かげぶんしん』で、相手を惑わせていく。

 

 しかし、レッドは一瞬で本物を見抜いたようで、本体のピカ様に向けて『ばちばちアクセル』を指示してくる。

 咄嗟に『リフレクター』を指示して、壁をワンクッション挟むことでギリギリ攻撃を回避した。『ばちばちアクセル』は確定急所技だから壁はあまり意味かもしれないが、他の物理攻撃技は半減させることが出来る。

 正直、これ以上のダメージは致命傷になりかねない。おまけで、『ひかりのかべ』も展開させて特殊攻撃技も半減させてやった。

 

 とはいえ、流石に技の威力が半減するのは嫌なようで、三つ目の技として『かわらわり』を指示してくる。

 攻撃をかわすことは出来たが、追加効果で展開した二つの壁が破壊され、再び向こうの攻撃力は元に戻った。攻撃の後の隙を狙って『アイアンテール』を指示するが、向こうも『かわらわり』で受け流している。

 ならば全体攻撃だと、『ざぶざぶサーフ』を指示したが、『かわらわり』で波を割るという荒業で、また攻撃を受け流されてしまった。

 

 ダメだ。どんな攻撃にも的確に対処してくる。メイン攻撃や回避技として、『ばちばちアクセル』、中遠距離は『10まんボルト』、近距離や防御には『かわらわり』、この三つだけで全てを対応できているのだ。

 おまけに、ピカ様も肩で息をしてきた。体力も限界が違いし、そろそろ勝負を決めないとまずい。

 

 こうなれば一か八かだ。

 

 アニメのサトシ君が使っていたトンデモ技にニューサトシの味付けをトッピングして、一気に勝負をつける。

 

 まず、ピカ様に『わるだくみ』をもう一段階積ませ、『かみなり』の発動を待機させるように指示した。そのまま『でんこうせっか』で疑似ボルテッカーを再現させるのは、前にも使ったことがあるので知っている奴もいるだろう。

 だが、今回はそれに加えて、さらに本家の『ボルテッカー』を多重発動する。これにより、火力は約二倍になるはずだ。おまけに、『こうそくいどう』でスピードが上がり、『わるだくみ』で電撃の威力が上がっているので、火力はさらに上がるだろう。この超雷速状態から、さらにとどめとばかりにジャンプからの『アイアンテール』を発動させるのだ。

 

 お分かりの方もいるかもしれないが、『ボルテッカー』状態でジャンプによる空中からの落下スピードと、『アイアンテール』でさらに威力を上げるというのは、原作のDP編でサトシ君とピカチュウが伝説厨のラティオス相手に最後に使った最強技である。

 

 そんな最強技をさらにニューサトシの工夫で威力を上げた。全てが合わせれば、当然威力は絶大。技の制限がないからこそできるチート技である。これが通用しなければ、もう素直に諦めるしかない。

 

 ピカ様が突撃していく。

 

 それを見て、レッドも『ばちばちアクセル』だけでは対応できないと判断したようで、遂に四つ目、最後の技を指示した。

 

「『ボルテッカー』」

 

 それはただの『ボルテッカー』ではなかった。『ばちばちアクセル』から繋げた神速の『ボルテッカー』だ。

 加速状態からの一撃は威力が上がっており、こちらの最強技である超雷速JVA(ジャンピング、ボルテッカー、アイアンテールの略)と互角のぶつかり合いをしている。

 

 しかし、完全に互角だったようで、攻撃は相打ちに終わり、技の威力で互いの体が弾かれていく。

 

 レッドのピカチュウも思いの外ダメージを受けたようで、空中で体勢を立て直せず、地面にぶつかっていた。

 対するこちらは無理に無理を重ねたこともあり、ピカ様が戦闘不能になっている。そりゃ、無茶な技を使わせたのだ。元々限界ギリギリだったということもあって耐えられなくても無理はない。

 

 ピカ様が戦闘不能になったことで俺の負け――と、思いきや、ブルーが『技は三つまでってルールだったでしょ!』といちゃもんをつけてくる。レッドは「いや、使わないと危なかったし」と言いたげな顔をしていた。

 バトルが終わってまた声は聞こえなくなってしまったが、何となく何を言いたいかはわかるようになった気がする。

 

 とはいえ、ルールはルールだったということもあり、ここは引き分けということになった。

 俺からすれば完全敗北なのだが、どうやらブルーにしてみれば、レッドに四つ目の技を使わせたこと自体が快挙らしい。まぁ、あれだけ強ければそう思われても不思議ではない。

 

 倒れているピカ様を抱き上げると、何となくやり切った顔をしていた。まぁ、あれだけ強いピカチュウと最後は互角だったのだ。今はゆっくり休んでくれ。

 

 だが、これで終わるつもりはない。

 

 今は確かに俺の方が弱かった。しかし、そのままにするつもりはない。レッドに手を差し出しながら、「次は俺が勝ちます」と告げると、キョトンとした顔をされた。

 まさか、ここまでコテンパンにされて次は勝つと言ってくるとは思わなかったらしい。しかし、向かってくる敵は大歓迎のようで握手には応えてくれた。その表情は「俺の所まで登ってこい」という意思を感じる――と、ニューサトシは勝手に認識した。

 

 これで、今度こそ俺のポケモンリーグシロガネ大会は終了だ。次は一月半後のチャンピオンリーグを目指して修行の日々である。

 

 

 

 12歳 α月β日 『また会おうぜ!』

 

 マサラタウンへ帰る途中に、トキワシティに寄ることにした。たまにはメールの確認をしろとタケシに怒られたので渋々確認してみると、いろいろな人がシロガネ大会の放送を見たようで、連絡先を知っている人達から『おめでとう』のメッセージが届いている。

 

 しかし、連絡先を交換した覚えのない奴らからもメールが届いているのはどういうことだろうか?

 

 正直、一々返すのは面倒だが、応援してくれたお礼は返さなくてはと、普段はあまりしないメール作業に力を入れた。

 その間に、どうやらカスミさんは実家と連絡を取っていたようで、お姉さん達が世界一周旅行のチケットが当たったからハナダジムの留守番をしなければいけなくなってしまったらしい。タケシもまた、実家で問題が発生したらしく、一度家に戻ると言っている。

 

 さらにタイミングのいいことに、かつて俺がぶっ壊したカスミさんの自転車を、ジョーイさんが修理して預かっていてくれたらしく、心残りが全てなくなってしまった形だ。

 

 何となく、カスミさんもタケシも今の時間が崩れるのが嫌というような空気を感じる。

 まぁ、ニューサトシもこいつらとの旅は楽しかったし、出来れば続けたいが、別に分かれたからと言って俺達が友達だということは変わらない。

 

 逆に心残りがあるとすれば、全力バトルをしていないことだ。カスミさんとはうずまきカップで戦ったが、あの時は二対二だったし、みずポケモン縛りがあった。

 タケシとは大昔にジム戦をしてから、本気のバトルをしていない。別れる前に、二人とは本気の勝負をしてみたかったのだ。「最後にバトルしよーぜ!」と言うと、「変わらないなお前は」とタケシが笑い、「いいわ。ここで決着つけてあげる」とカスミさんも笑みを浮かべた。

 

 結果は敢えて書かないが、楽しいバトルだった。

 

 タケシとカスミさんと別れる時間になると、ラティが「やだやだ」と大泣きしている。ずっと一緒にいたので、別れるのが嫌らしい。

 とはいえ、帰らなくてはいけない用事がある以上、その我が儘を聞いてあげることは出来なかった。

 いつもは自分を慰めてくれる二人が何も声をかけてくれないことで、本当にお別れだとわかったのか、ラティがガチ泣きしている。それを見ていると、なんだかしんみりしていたのが馬鹿らしくなってしまったので、「また会おうぜ」とだけ告げてマサラタウンへ向かって歩き出した。

 

 タケシとカスミさんも、ラティに一声かけると同時に自分の故郷に向かって歩き出す。ラティもしばらくその場で泣いていたが、みんなが帰るのを見ると、「またあう!!」と大きな声を出した後、すぐにこちらを追ってきた。

 まだぐずぐず泣いているが、何とか別れは受け入れたらしい。「また会えるからそんな泣くな」と、頭を撫でると、「う”ん”」という濁点だらけの返事を返した。これも経験である。

 

 

 追記。三日もしないうちにカスミさんもタケシもマサラタウンに遊びに来た。当然、ラティは大喜びしており、二人も定期的に遊びに来るつもりらしい。まぁ、しばらくは家にいるので、それも悪くないだろう。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・チャンピオンリーグからの四天王リーグ。
 独自設定。原作で深掘りされてないので勝手に作った。チャンピオンリーグからの挑戦者がいない地方は、四天王とチャンピオン五人の総当たり戦になる。挑戦者がいる場合は六人の総当たり戦となり、一番戦績が悪かったやつが四天王落ちする。去年はカントーがワタル抜け、ブルー入りで四天王落ちがなく、ブルーが総当たり戦を辞退したので、今のカントー四天王ではブルーが一番序列が下。

・エキシビションマッチをした。
 レッドさんとバトルした。レベル差は約30あり、半分は遊ばれていたが、最後は少し本気を出してくれた。ミュウツーでも勝てたか怪しい。

・第273話『サヨナラ…そして、旅立ち』より、カスミさん、タケシと別れた。
 最後に全力バトルをして別れた。勝敗は書かないので、ご想像にお任せする。ラティがガン泣きして、一つ大人になった。

・チャンピオンリーグに行くので旅立ちシーンがカットされた。
 ホウエンにはまだ行かない。ここから七話ほど、チャンピオンリーグ編を書いて、ホウエン編の予定(まだ書いてない)。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.56→58

 ピジョット Lv.52

 バタフリー Lv.52

 ドサイドン Lv.55

 フシギダネ Lv.52

 リザードン Lv.58

 ゼニガメ  Lv.52

 キングラー Lv.52

 カモネギ  Lv.52

 エビワラー Lv.53

 ゲンガー  Lv.53

 オコリザル Lv.53

 イーブイ  Lv.51

 ベトベトン Lv.52

 ジバコイル Lv.52

 ケンタロス Lv.52

 ヤドラン  Lv.51

 ハッサム  Lv.52

 トゲキッス Lv.47

 プテラ   Lv.52

 ラプラス  Lv.51

 ミュウツー Lv.71

 バリヤード Lv.52

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.48

 カビゴン  Lv.46

 ニョロトノ Lv.46

 ヘラクロス Lv.44

 メガニウム Lv.44

 マグマラシ Lv.43

 ラティアス Lv.30

 ヘルガー  Lv.44

 ワニノコ  Lv.43

 ヨルノズク(色違い) Lv.43

 カイロス(部分色違い) Lv.44

 ウソッキー Lv.43

 バンギラス Lv.55

 ゴマゾウ  Lv.30

 ギャラドス(色違い) Lv.34


 とりあえず、ジョウト編はここで完結となります。チャンピオンリーグ編も書けているのですが、明日一話だけ更新しますがそれ以降は少し更新待ってください。
 理由は見れば多分わかるのですが、少しアニメで知りたい情報があるので、それが判明するまで更新を待っていただけると嬉しいです。途中で修正したくないので。


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チャンピオンリーグ編
#098 『え、片付けられない人?』


 12歳 α月θ日 『この先生きのこるには』

 

 念願のリーグ優勝を果たしたニューサトシだが、とても多くの課題が残る大会だった。

 特に、ミュウツーに甘えん坊事件と、レベリング不足問題は尾を引いている。実際、俺もレベル50を超えてからの育成は難しいということで、ポケモン達に訓練指示だけして投げていたので文句は言えないが、ぶっちゃけ今回のシゲル戦で引き分けに出来たのは奇跡だ。

 

 きずな現象は確かにリザードンを強化するが、元のスペックが低いと強化してもレベル差で叩かれる。それが良くわかった。

 奇しくも、ハヅキ戦でリザードンがしていた懸念が当たった形である。どこかで、きずな現象があれば負けないと思っていた鼻っ柱はペッキリとへし折られた。

 

 また、ラティもリーグ戦に感化されたようで、チャンピオンリーグに出たいと意気込んでいる。

 それはまだレベルの低いゴマゾウや赤いギャラドスも同じであり、今回のリーグに出られなかった出番待ちのポケモン達も同様のようだった。

 

 しかし、チャンピオンリーグまで残り一か月半。たった一か月半しかない。俺はシゲル程育成が上手くないし、どうやれば今以上にレベルが上げられるかさっぱりわからなかった。

 思えば、セキエイ大会の時点でシゲルは俺と互角くらいだったのに、一年で四天王クラスに近いレベルまでポケモンを育成しているのだ。いくら数を絞っての集中育成だったとはいえ、そんな短い期間でレベルを60過ぎに出来るのならば、この世界は四天王で溢れている。あいつもあいつで、どこかおかしいのだ。

 

 聞けば、どうもシゲルは前回のセキエイ大会で俺に負けてから、たまにワタルのアドバイスを受けたり、指導を受けたりしていたらしい。

 ワタルも多忙を極めていたので、付きっ切りという訳ではないようだが、元々の才能にチャンピオンの力が添えられたことであのレベルになったということだろう。

 おまけに、前々からの約束で、リーグで優勝したらこの一か月間、ワタルがシゲルの訓練を手伝うことになっていたらしく、あいつはこうしている今も強くなっている。

 

 だが、俺はどうすればいいかわからずにいた。

 

 勿論、今まで通り訓練はしているが、それでワタルの指導を受けているシゲルに追いつけるのか?

 ただでさえ、ポケモンのレベルに開きがある。これ以上、差を付けられれば、次戦った時に負けるのは俺だ。言いようのない不安が俺にまとわりついていた。

 

 

 

 12歳 α月κ日 『え、片付けられない人?』

 

 本格的な訓練を始めたが、思っていた以上に全員付いて来ている。特に、途中で根を上げると思っていたラティが弱音一つ吐かずに訓練に参加しているのは驚きだ。

 そんなに戦いが好きなタイプではなかったはずなのだが、どうやら今回のポケモンリーグはラティにとってかなり衝撃の多いものだったらしい。とはいえ、まだまだチャンピオンリーグで戦えるレベルではないので、おそらく出番はないだろう。

 

 どうにも、バトルセンスがないのだ。これは元々の性格も関係しているかもしれない。ラティも戦いが好きなタイプじゃなかったからなぁ。

 

 逆にギャラドスはメキメキと強くなっていた。元々、レベルが低い方だったが、バトルセンスがあるようですぐにこちらの教えたことを呑み込んでいく。

 ゴマゾウはまだラティとどっこいくらいだが、まだ生まれてからそこまで日が経っていないことを考えれば、十分に強くなっていると言っていいだろう。

 

 他のポケモン達も頑張ってはいる。しかし、やはり何かが足りていなかった。

 

 困っていると、ミュウツーが暴れたいからきずな化しろと言ってくる。実際、こいつとまともに相手になるのがきずなリザードンしかいないのもなかなかの問題だ。

 ミュウツーのレベリングだけは俺では出来ない。手慰みにきずなリザードンでバトルするくらいしかないのだ。

 とりあえず、リザードンも否はないようなので、サクッときずなリザードンに変化する。そのままいざバトルということで、全力の殴り合いをしようとすると、きずなリザードンとミュウツーの間に一つのモンスターボールが投げられた。

 

 何だと思っていると、中から出てきたのはガブリアスだ。ドラゴンタイプの中でも厨ポケに位置する最強格である。

 誰のポケモンだ? そんな疑問を浮かべると同時に、ガブリアスがきずなリザードンに殴り掛かってきた。咄嗟に『ドラゴンクロー』で攻撃を受けるが、想定以上に重い一撃にきずなリザードンが後退する。

 

 ――強い。

 

 相手が使っているのも同じ『ドラゴンクロー』のはずだが、きずなリザードンを押すだけのパワーがある。

 だが、パワーがあっても、スピードでかく乱してしまえばついては来られないだろう。そう思って、きずなリザードンが高速戦を仕掛けるも軽く対応している。スピードや技術も、かなりのものだ。まさかここまで、きずなリザードンがあしらわれるとは。

 

 ならば、特殊攻撃はどうだ? 『りゅうのはどう』を使うと、同じ『りゅうのはどう』で相殺された。いや、どうも向こうは手加減している空気がある。最初の一撃以外は、様子見しているようだし舐められているのだ。

 

 じゃあ、本気を見せてやると、『ブラスターバースト』を発動する。俺達の最強の技だ。チャージを終えた五つの業火がガブリアスに向かって連続で飛んで行く。

 これなら防ぎきれまいと思った瞬間、ガブリアスが『りゅうせいぐん』を発動させ、『ブラスターバースト』を相殺させてくる。馬鹿な、確かに『りゅうせいぐん』はドラゴンタイプ最強の特殊技だが、それで『ブラスターバースト』を完全に防ぎきるだと?

 

 相手は特攻が二段階下がったようだが、それでもこちらの最強技をノーダメージで受けきっていた。

 そのまま反動で動けなくなったきずなリザードンがガブリアスの『ドラゴンクロー』で殴り倒される。

 

 ダメージは大きいが、まだ戦える――しかし、きずなリザードンが立ち上がるよりも先に、戦いを見ていたミュウツーが笑みを浮かべて乱入してきた。次は自分だとばかりに、スプーンでガブリアスに殴り掛かっていく。

 

 咄嗟にきずな化を解除して、ミュウツーのサポートに回った。このガブリアスは強い。舐めているとミュウツーでも倒される危険がある。

 ミュウツーは弱点のこおり技である『れいとうパンチ』で攻撃を仕掛けていく。どうも、こいつは特殊の方が強い癖に、俺に似て物理で戦いたがる癖がある。だが、向こうも『ドラゴンクロー』を使って、器用に『れいとうパンチ』を防いでいた。

 

 近接能力がミュウツーと互角だと?

 

 ならばと、ミュウツーに『れいとうビーム』を指示する。向こうは『りゅうせいぐん』で火力が二段階落ちているので、この攻撃を受けるのは難しいはずだ。

 ミュウツーも素直に『れいとうビーム』で攻撃を仕掛けていく。ガブリアスは『りゅうのはどう』を撃つも、やはり威力は格段に落ちている。勝てる――と、思ったが、ガブリアスは『りゅうのはどう』を『れいとうビーム』の側面に当てることで軌道を反らしてきた。

 

 器用な真似をする。なら、必殺の『サイコキネシス』で、曲げられた『れいとうビーム』の軌道をさらに曲げてやれと、ミュウツーに指示を飛ばす。流石にこれなら防げまいと、攻撃がガブリアスに命中する寸前、横からルカリオが乱入してきた。

 

 ミュウツーも咄嗟にスプーンで攻撃を受けたが、『サイコキネシス』と『れいとうビーム』は中断させられてしまっている。

 二対一か。一度ミュウツーに距離を取らせようとすると、逆にガブリアスとルカリオが下がっていく。同時に、奥から一人の女がこちらに向かって歩いてきた。

 

 そいつの姿を見て納得する。今の俺達を苦戦させられるレベルのガブリアスを持っているトレーナーなんてそうはいない。

 この世界では見覚えはないが、前世では見覚えのある女――シンオウ地方のチャンピオンであるシロナが、そこにはいた。

 

「噂以上に強いわね、マサラタウンのサトシ君」

「そういうアンタのガブリアスもかなりのバケモンだね。シンオウチャンピオン」

 

 当然、ニューサトシは知り合いではない。

 

 とりあえず挨拶はしたが、この状況がどういうものなのか欠片も理解できていなかった。

 一緒に歩いてきた博士にどういうことか聞いてみると、どうやらシロナはチャンピオンの他に考古学者として仕事をしているようで、ポケモンの神話について調べているらしい。

 そこで今回ジョウトにある古代の遺跡を調べていたようなのだが、その遺跡がシンオウにも関係がありそうということで、オーキド博士に意見を聞きに来たというのが経緯だった。

 

 問題は、そこでたまたま俺が訓練しているのを発見し、気まぐれに乱入したら思った以上にいいバトルになってしまった――ということらしい。

 

「ほんの挨拶のつもりだったんだけど、まさか私のガブリアスをあそこまで追いつめるとはね」

「まぁ、こいつは伝説のポケモンなんで」

「伝説のポケモンだって、使うトレーナーが未熟ならたいしたことはないわ。あそこまで戦えたのは君達の実力よ」

 

 褒めてくれるのは嬉しいが、この程度では足りないのだ。いくらチャンピオンのポケモンとはいえ、トレーナーのいないポケモンに互角では全然足りない。

 もっと強くならなければ、チャンピオンリーグで勝ち抜くことなど不可能だろう。

 

「普通、チャンピオンに褒められれば喜ぶ人の方が多いんだけど、どうやら君はかなりストイックなトレーナーのようね」

 

 俺達が淡白な反応を見せるのでシロナも困ったような顔をしている。

 しかし、俺の名前を知っているということは、俺がチャンピオンリーグに参加するのも知っているということであり、そこから俺達が行き詰っているというのをどうやら察したようだった。

 

 しばらく、無言でいると、「そうだわ」とシロナが両手を合わせる。まるで名案と言いたげな態度だった。

 

「ねぇ、サトシ君。私は遺跡の研究でオーキド博士にお願いしたいことがあってここまできたの。その結果が出るまで一週間はかかるわ。その間に、私とトレーニングしてみない?」

 

 それは、予想外の提案だった。

 

「いいんですか?」

「ええ、私もそろそろ四天王リーグに備えてポケモン達の調整をしようと思っていたタイミングだったから」

 

 正直、有難い提案だ。例え一週間でも、訓練するのに相手がいるのといないのでは雲泥の違いがある。

 それもシンオウチャンピオンだ。アニメでも、シロナはワールドチャンピオンシップス二位の実力があるトレーナーだった。訓練相手として、これ以上の相手はいないだろう。

 

 少しばかりズルなような気もしたが、素直にシロナの提案を受け入れることにした。この手詰まりの状況を改善したいという気持ちもあったし、やはりチャンピオンとの訓練というのは見逃せない。

 

 こうして、今日から一週間の短い間だが、俺とシロナは師弟関係となった。

 

 

 

 12歳 α月λ日 『この先生強すぎる件』

 

 とりあえずは全力バトルということで、俺のポケモン全員でシロナのポケモンとバトルをしたのだが、思っていた以上に一方的にボコボコにされた。

 まともにバトルが出来たのはミュウツーくらいで、そのミュウツーも結局、千日手になりそうだったのでバトルは中断したのだが、正直ミュウツーが相手を倒しきれないとは思わなかった。

 

 逆にシロナの俺達への評価はかなり高い。ポケモンのレベルこそ今一つだが、戦い方は四天王にも通用するレベルだということだ。きずなリザードンやミュウツーといった切り札もある。

 今のままでも、そこそこは勝ち上がれるだろうということだが、優勝できると言われない辺り、やはりチャンピオンリーグは魔境のようだ。正直、簡単に君達なら余裕で勝てると言われなかった辺り、俺のシロナへの好感度は上がった。お世辞なしのマジに取り組んでくれているのだ。

 

 やはり、目下の問題はレベルだった。

 今、ミュウツーを除いて現在一番レベルの高いピカ様、リザードンも58。他のメンバーも50前後だ。チャンピオンリーグで上に行くならやはり60以上は欲しいし、勝って四天王リーグにいくつもりなら70あると安心できると言われた。

 ぶっちゃけ、シゲルのカメックスですら、シロナの設定した四天王リーグの最低ラインに達していないというのは少し衝撃である。

 

 勿論、これはあくまでシロナの私見であって、実際にそのレベルがなければ戦えないという訳ではない。

 逆に、ポケモンのレベルだけ上げすぎても、強くなったポケモンをトレーナーが使いこなせない場合もあるので、ポケモンのレベルだけ上げても意味はなく、トレーナー自身も成長が必要だと注意を受けた。

 

 ただ、俺の場合は逆のようで、ポケモン達のレベルが低くて、ニューサトシの指示についていけていないイメージを受けたらしい。

 シロナの見立てでは、レベル60を越えられれば、ポケモン達の動きがニューサトシに追い付いてくるので、今よりも格段に強くなれると言われた。

 

 聞けば、シロナの手持ちのレベルは基本的に75前後で、相棒のカブリアスに至っては78もあるらしい。ミュウツーのレベルすら超えている。四天王の本気が60~70くらいのレベルと考えると、やはりチャンピオンは別次元のようだ。

 

 しかし、レベルで負けていて尚、互角に戦う辺り、やはりうちの暴君は最強かもしれない。

 シロナもミュウツーの力は想定外だったようで驚いていたが、強い奴が一人だけでは集中的に狙われて倒されるだけだと厳しいことを言われた。まぁ実際に、今回のジョウトリーグでシンゴに似たようなことをされたし、今回のバトルもフルバトルならば後続にやられていただろうしな。

 

 だが、レベリングと言われても一朝一夕で上がるものではない。そんな簡単に60、70に出来ればチャンピオンなどいらないだろう。

 実際、シロナもそれはわかっているようで、今日から毎日うちのポケモン全員対シロナのポケモンでの全力バトルをすることになった。結局は強いポケモンと戦わねば、ポケモンは強くならない。今以上の強さになりたければ、死に物狂いでついて来いと言われた。

 

 やぁってやるぜ!

 

 

 

 12歳 α月ρ日 『似たもの師弟』

 

 一週間も戦っていれば、ポケモン達も慣れてくる。初めはミュウツー以外瞬殺されていたが、段々長い時間戦うことが出来るようになってきていた。

 当然、戦う時間が延びれば延びるほど、得られるものも大きく、みんなが強くなっているのを感じられる。この先生、意外と教え方が上手いのもあるが、俺達全員に付き合って平然としている辺りスタミナもとんでもなかった。

 

 ただ、戦っていてずっと思っていたのだが、シロナの戦い方というか、トレーナーとしての癖というか、そういういろいろなものが俺に似ているような気がする。

 正確には向こうの方が上なので完全に上位互換なのだが、シロナも想定以上に俺の動きが自分とかみ合うのでとても驚いていた。

 

 そのせいもあってか、一週間という約束だった俺とシロナの師弟関係は何故か継続されることになっている。

 オーキド博士への頼み事とやらはもう終わったということなのだが、想像以上に俺との訓練にのめり込んでくれたようで、中途半端に投げ出す気になれなくなったらしい。

 

 シロナも何だかんだ弟子の俺がチャンピオンリーグを勝ち抜いてくれるのを楽しみにしているようなので、その期待に応えたいと思った。

 

 

 

 12歳 α月σ日 『ミュウってどこにでも名前残ってるイメージだわ』

 

 ずっとシロナにお世話になってばかりのニューサトシだが、実は意外とお返しも出来ていた。

 シロナは神話を調べているということで、幻のポケモンであるミュウのことも調べているらしく、そのミュウから生まれたコピーであるミュウツーにかなりの興味を持ったのだ。

 

 正直、ミュウツーはミュウと違って、人工的に作られたポケモンなので、シロナの望むような歴史的価値はないと思っていたのだが、そもそもミュウという存在自体がレアで、その細胞から作られたミュウツーは研究に値する価値があるらしい。

 

 逆にミュウツーもシロナの研究に若干興味を示しているようで、ミュウに関する研究結果を教えて貰っていた。

 俺と一緒にいて大分丸くなったけど、こいつもミュウとのわだかまりは完全にはなくなっていないのかもしれないな。

 

 まぁ、とりあえず、互いにWINWINな関係は築けている。ママさんも自分の娘かと思う程シロナを気に入っていて、「このまま住めばいいのに」というくらいには馴染みつつあった。

 

 

 

 12歳 α月υ日 『世界は意外と狭いもんだ』

 

 訓練の休憩中にリザードンとコミュニケーションを取っていると、それを見ていたシロナが自分の昔話をしてくれた。

 

 どうやらシロナは幼い頃にポケモンに襲われた所を旅のトレーナーに助けてもらったことがあるようなのだが、そのトレーナーこそがシロナの師匠で、俺と同じくリザードンを連れていたらしい。

 また、シロナはポケモントレーナーとしての知識をその人に学んだらしく、自分のバトルの基礎はその師匠から教えてもらったものだと話している。

 

 興味があったのでどんな人なのか聞いてみたが、そのトレーナーはずっとピカチュウのお面をつけていたらしく、顔はわからないと言っていた。

 ただ、マツモトと名乗っていたようで、シロナもチャンピオンになってからずっと行方を捜しているようなのだが、未だに消息が掴めていないらしい。

 

 しかし、シロナが小さい頃ということは今から十年以上は昔の話だ。そんな昔に、ニューサトシのような戦い方を普通にする奴がいるとは、世界は広いようで狭いものである。

 

 

 追記。久しぶりにカスミさんとタケシが遊びに来たのだが、シンオウチャンピオンと特訓しているのを見て驚いていた。大変気分が良い。

 

 

 




 原作との変化点。

・チャンピオンリーグに向けてトレーニングを開始した。
 が、一人で行き詰っている。シゲルはジョウト旅時くらいからワタルの教えを受けていた。ズルである。

・シロナが現れた。
 ジョウトのシント遺跡を調べている最中、オーキド博士の意見を聞くために立ち寄った。何だかんだあって、ニューサトシの師匠になった。

・トレーナーとポケモンについて。
 トレーナーだけが強くても、ポケモンが指示について来られず、またトレーナーのサポートに甘えて伸び代に蓋をしてしまう。逆に、ポケモンのレベルだけが高くて、トレーナーが未熟だと力が引き出しきれない。シロナの見立てだと、ニューサトシの適正ポケモンレベルは60~70、シゲルは55~65くらい。

・戦い方が似ている。
 アニメともまた違い、ポケモン自体も強く、戦い方がニューサトシの目標としているものだった。原因は不明。シロナ曰く、師匠の教え。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.58→59

 ピジョット Lv.52→53

 バタフリー Lv.52→53

 ドサイドン Lv.55→56

 フシギダネ Lv.52→53

 リザードン Lv.58→59

 ゼニガメ  Lv.52→53

 キングラー Lv.52→53

 カモネギ  Lv.52→53

 エビワラー Lv.53→54

 ゲンガー  Lv.53→54

 オコリザル Lv.53→54

 イーブイ  Lv.51→52

 ベトベトン Lv.52→53

 ジバコイル Lv.52→53

 ケンタロス Lv.52→53

 ヤドラン  Lv.51→52

 ハッサム  Lv.52→53

 トゲキッス Lv.47→49

 プテラ   Lv.52→53

 ラプラス  Lv.51→52

 ミュウツー Lv.71

 バリヤード Lv.52→53

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.48→50

 カビゴン  Lv.46→48

 ニョロトノ Lv.46→48

 ヘラクロス Lv.44→46

 メガニウム Lv.44→46

 マグマラシ Lv.43→45

 ラティアス Lv.30→38

 ヘルガー  Lv.44→46

 ワニノコ  Lv.43→45

 ヨルノズク(色違い) Lv.43→45

 カイロス(部分色違い) Lv.44→46

 ウソッキー Lv.43→45

 バンギラス Lv.55→56

 ゴマゾウ  Lv.30→38

 ギャラドス(色違い) Lv.34→42


 シロナ引退するなら話変わるんよ。アニメでサトシ君が勝つ前提で話も書いてるし、ちょっと新無印編のサトシVSシロナが終わるまでは更新ストップさせて下さい。





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#099 『量より質ってことね』

 12歳 α月ω日 『サトシ君は実は強かったんやなぁ』

 

 シロナの手持ちは、ガブリアス、ルカリオ、トゲキッス、ミロカロス、ロズレイド、ミカルゲというゲームの編成である。

 おまけに、どいつもしっかり育成されていて、レベルの若干低いロズレイドやミカルゲですら、シゲルのカメックスより強いというヤバい奴らだ。

 

 この約二週間の特訓で大分打ち解けたが、それでもまだまだその高みへは行けていない。

 改めて、チャンピオンというのはとんでもない強さをしているのだとよくわかった。

 アニメではワールドチャンピオンシップでシロナに勝ったサトシ君だが、このシロナに勝つってどんな主人公補正があれば出来るのか皆目見当がつかない。

 まぁ、アニメではルカリオの代わりにトリトドンが入っていたが、仮にルカリオがトリトドンでも今の段階で俺に勝ち目はゼロだ。百回やれば百回負ける、それだけの力の差が俺達にはあった。

 

 

 

 12歳 β月α日 『手紙が届いた』

 

 チャンピオンリーグは毎年行う場所が変わる。去年はカントーだったらしいのだが、今年はシンオウで行われるという連絡が来た。

 シンオウはカントーからは遠いので船に乗って行くことになる。シロナも帰り道は同じなので、俺の出発に合わせて一緒にマサラタウンを出ることになった。

 

 移動時間を考慮に入れると、訓練に割ける時間はもう僅かしかない。出来る限り強くならなくては。

 

 

 

 12歳 β月γ日 『強くなった』

 

 短い時間の訓練だったが、全員レベルがかなり上がっている。50を超えてから、こんなに早くレベルが上がるとは、それだけ70超えのポケモンを相手にするのは経験値が入るということらしい。

 なら、ミュウツーに全員相手させろと思う奴もいるかもしれないが、これはシロナが俺やポケモン達に合わせて適切なトレーニングをしてくれたからこそ出た結果だ。仮にワタルに同じことをされたとしても、こうも上手くはいかないだろう。当然、ミュウツーでも同じである。

 

 とりあえず、訓練は終了ということで、これからシンオウ地方へ行く。ラティはいつも通り、カノンに変身してついてくるとして、旅のメンバーを決めていこう。

 とはいえ、ある程度は決まっている。固定のピカ様に、レベルがまだ若干低いゴマゾウ、赤いギャラドス、進化狙いのゼニガメ、ワニノコは確定した。いい加減進化させたい。

 残りの一枠だが、ポケモン達の中から行きたいメンバーを募集してみる。すると、意外と手を上げるメンバーが少なかった。どうも、もう少しここで訓練を続けたいらしい。

 

 逆に行きたがったのは、ゲンガー、トゲ様、プテラ、バリヤード、ニョロトノ、メガニウム、マグマラシ、ウソッキーの八体だ。

 流石に、全員は連れていけないので、くじ引きで連れていくメンバーを決めることにした。最終的に当たりを引いたのはマグマラシだったので、このパーティでシンオウ地方へ向かう。メガニウムが盛大に暴れているが、恨むなら自分の運を恨め。

 

 さて、チャンピオンリーグだ。気合入れていくぞ。

 

 

 

 12歳 β月ε日 『何かズルしてる気分になる』

 

 シンオウに着いた。船に乗る前に、伝説のポケモンであるホウオウがホウエンの方に飛んでいくのを見てシロナが驚いていたが、良く現れるよなあいつも。

 ニューサトシがあまりに淡白な反応を示すので、「伝説のポケモンを見た割に反応薄いわね」と言われた。いやぁ、もう手持ちに二体いる上に、この二年で十体くらい見たんでもう別に驚かないっすわ。

 

 ただ、無意味に現れた訳じゃないだろうし、やはりこれはチャンピオンリーグが終わったらホウエンへ行けという啓示だろうか? まぁ、一応原作でもホウエンに行くので考慮しておいた方がいいだろう。

 

 しかし、今はホウエンよりもチャンピオンリーグだ。これから、スズラン島とかいう場所に移動して、チャンピオンリーグに挑戦することになる。のだが、何故かシロナに、その前にカンナギタウンにある自分の実家によって欲しいと頼まれた。

 行きたいのは山々だが、そんな寄り道をしているだけの時間はない。カンナギに行けば、その時点でチャンピオンリーグが始まるだろう。

 

「サトシ君。君はポケモンへの配慮も満点だけど、たまには我が儘を言っていいと思うわ」

 

 と、言ったシロナに追従するように、ミュウツーが勝手にボールから出てきた。

 

「と、いう訳でよろしくね?」

『強くしてもらった恩は返す。ここからカンナギ、カンナギからスズラン島までは私が運んでやる』

 

 いつの間にか、うちの暴君とそんな約束をしていたらしい。いや、俺は助かるが、なんかちょっと悪いことしている気分になるな。

 

 

 

 12歳 β月ε日 『カンナギ観光』

 

 移動を気にしなくて良くなったので、もうしばらく時間が出来てしまった。

 シロナは実家に寄ってくるということで、しばらくポケモンセンターで暇つぶしでもしようと思ったのだが、気が付けば体は勝手にテンガン山へ向かっている。

 一緒に居たラティが勝手に動いていいの? と言わんばかりに首を傾げていたが、ただ待つのも暇だしいいだろう。ちょっと待っててとは言われたが、どこで待つかは決めていなかったしな。

 

 そのままテンガン山に向かっていると、ふと疑問が浮かんだ。ゲームでは地下一階にある湖のどこかランダム四か所でヒンバスが釣れるのだが、この世界だとどうなんだろうと?

 普通に考えて、リアルの湖が区画分けされている訳もないし、釣れたらラッキーくらいのレアポケモンって所だろうか。まぁ、釣り竿を持ってきていないので今は関係ないんだけどな。

 

 山の中は割と暗く、俺はともかくラティは明かりがないと危なそうである。とりあえず、マグマラシを出してやる気の炎をライト代わりにして貰った。

 ついでにゴマゾウも出してやる。俺のゴマゾウの特性は普通に『ものひろい』なので、もしかしたら面白いものを見つけてくれるかもしれないしな。

 

 そのまましばらく洞窟内を歩き回ったが、思った以上に何も起きなかった。

 野生のポケモンの気配は感じるのだが、どうもこちらの実力がわかるようで襲ってくる素振りもない。とはいえ、別に今はポケモンを捕まえても育てる時間がないので、特にこちらから捕まえにいくつもりもなかった。

 

 しばらくの探検を終えて、カンナギに戻る。すると、既にシロナは帰ってきていた。「どこに行ってたの?」と聞かれたので、「観光」と返す。ラティが「おやま!」と言ったので、テンガン山に行ったのはすぐにわかったようだった。

 

 シロナも、俺の実力を知っているが故に心配はしていなかったらしい。まぁ、俺が逆の立場でも心配はしないだろう。

 見ると、シロナは何やらポケモンのタマゴのようなものを持っている。どうやら、これを受け取るために実家に行っていたようだ。

 

「これ、あるポケモンのタマゴなんだけど、サトシ君にあげるわ。君なら上手く育ててくれるって信じてる」

 

 良くわからないが、くれるというなら有難く受け取っておこう。パッと見た感じは、全体的に茶色で、所々に青みがかったグレーのまだら模様が入ったタマゴだ。

 何のポケモンか聞いてみたが、「生まれてからのお楽しみ」と言って教えてくれない。まぁ、今日明日すぐに生まれる訳でもなし、いつかのお楽しみにしておこう。

 

 

 

 12歳 β月ζ日 『進化嫌い再び』

 

 昨日テンガン山を観光してから、マグマラシの様子が少しおかしい。今日のトレーニングで進化の光が出て進化出来る状況になっているのに、やたらと進化するのを嫌がっているのだ。

 まるでフシギダネのようだが、本人が進化を嫌がっている以上、無理強いはすべきではないので好きにさせることにした。

 

 逆に進化の様子を欠片も見せないのがワニノコである。いや、こいつだけではなく、ゼニガメもそうなのだが、他のみずタイプは時間がかかっても進化しているのに、どうして御三家であるこいつらは進化しないのだろう?

 

 

 

 12歳 β月η日 『ラティがんばる』

 

 ラティも大分レベルが上がってきた。

 バトルの才能がないと思わせるくらいへっぴり腰だったのも大分改善されてきたし、これなら本人の望み通りにバトルに出してもいいと思えるくらいにはなっている。

 正直、ラティの性格的にバトルは無理だとばかり思っていたが、今にして思えばピカ様も最初はビビりだったし、ゲームと違って性格は改善出来るということだろう。

 

 ラティは今の段階だとうちで唯一のドラゴンタイプだ。まぁ、きずなリザードンがドラゴンタイプを持っているが、純粋なドラゴンタイプという意味ではラティだけである。

 今はシロナの指導を受けながら、ドラゴンタイプ最大の特殊技である『りゅうせいぐん』の特訓をしていた。もし、これが完成するようなことになれば、ラティは一躍うちでもトップクラスのポケモンになるかもしれないな。

 

 とはいえ、みんな妹分のラティに負けないように特訓しているし、現段階ではうちで一番弱いのはラティである。

 ラティを除いて一番レベルの低いゴマゾウが目下ライバル争いをしているが、種族値で圧倒的に上なラティアスとライバルなゴマゾウというのも思えば凄いのかもしれない。

 

 本人のやる気もあるし、いつか公式戦でラティを出してやりたいものだ。

 

 

 

 12歳 β月θ日 『知ってる』

 

 あまり訓練ばかりしても疲労がたまるということで、息抜きにカンナギの中央にある祠に案内された。

 ここには大昔の壁画があって、ユクシー、アグノム、エムリットの三体が描かれており、中央に赤い丸のようなものが書かれている。

 まぁ、ゲームプレイしてるので当然だが意味は知っていた。自慢気にいろいろ話してくれるシロナには申し訳ないが全て既知の情報だ。

 

 反応が薄いニューサトシに代わって、ラティが「すごい!」と反応を示すので、シロナがご機嫌で話を続けている。ラティにとって、知らないことは何でも凄いだからこういう話をする側の聞き手としては最高なんだろうな。

 

 

 

 12歳 β月ι日 『なるほどね』

 

 明日からチャンピオンリーグが始まる。

 シロナからはアドバイスとして、二年目以降のベテランには気をつけろと言われた。どうも、シロナ曰く、俺と同じ初年度参戦組はまだチャンピオンリーグの勝手がわかっていないのでがむしゃらに戦うだけだからそこまで警戒はいらないらしい。

 

 とはいえ、初年度参加組でも、シゲルのように強い奴もいるはずだ。

 何故初年度の参加者をそこまで警戒しなくていいか詳しく聞いてみると、初年度だけは地方リーグを運で勝ち抜ける奴もいるからということだった。だが、そういう奴も本選では瞬殺される。運だけで勝ち抜けるほど、チャンピオンリーグは甘くないのだ。

 そして、自分の実力という現実を突きつけられてリタイアしていく。勿論、シゲルのように強い奴もいるので全く無警戒でいい訳ではないが、毎年実力不足の奴は結構出てくるらしい。

 

 逆に、二年目以降組は、初年度の洗礼を受けて落第しなかったメンバーであり、このチャンピオンリーグを勝ち抜くために一年間努力してきたメンバーなので、油断していると一瞬で勝負が決まる可能性もあるという。

 特に、後のない三年目、四年目のメンバーは、それだけチャンピオンリーグでの経験値も多いベテランらしい。事前の相手情報を少しでも入れておくことが勝ちにつながると、情報アドの大事さも改めて教えてもらった。

 

 

 

 12歳 β月κ日 『量より質ってことね』

 

 ミュウツーの『テレポート』で会場に着くと、俺は参加申し込みに、シロナは大会関係者に挨拶へ行った。

 そのまま無事に申し込みを終えると、シロナの忠告通り、少しでも参加者の情報を得るために、与えられた自室のパソコンからデータを探っていく。すると、シロガネ大会で俺を追い詰めたシンゴから一通のメールが届いていた。

 

 どうやら、去年までチャンピオンリーグに参加していたメンバーのリストや使っていたポケモンなどのデータをまとめたものを添付してくれたらしい。「頑張って」と短い文章だが、その応援はデータにしっかりとまとめられていた。

 

 その中で、今年も参加している奴の名前を照らし合わせてデータを頭の中に入れていく。すると、去年の参加者に、前にうずまきカップの決勝でバトルしたキングの名前があった。

 あいつもチャンピオンリーグ参加者の一人だったのか。通りで強い訳だ。意味不明なテンションだったが実力は本物だった。あの時点で引き分けに出来たのは奇跡だったのかもしれん。

 

 そのまま、改めてデータを見ていると、俺はとんでもない勘違いをしていたことが判明してくる。

 俺はずっと、チャンピオンリーグは80人を超える人数がいる魔境だと思っていたのだが、想像したよりも参加者は少なかったのだ。去年の初年度の参加者が18人、二年目は8人、三年目は6人で四年目は3人、特別推薦枠が1人で合計36人。予想の半分も満たしていない。

 

 今年も同じようなものだろう。約40人のフルバトル、単純計算で5、6回勝てばいいだけだが、それだけ参加者の密度は濃くなっているということでもある。特に、半数は猛者だ。一回戦負けも有り得るということで、改めて気合を入れ直した。

 

 

 

 12歳 β月λ日 『強くなった』

 

 組み合わせが発表されたので見に行く。

 丁度シゲルにも再会した。男子三日会わざればどうにかこうにかみたいなことわざもあったが、一目見ただけでさらに強くなっているのがわかった。

 しかし、俺もまたシロナとの訓練によって強くなっている。ポケモンのレベル差も大分埋まっただろうし、今なら前よりももっといいバトルが出来るはずだ。

 

「強くなったな」

「お互い様のようだけどね」

 

 そのまま組み合わせ表を確認する。

 俺は二試合目、シゲルは十五試合目だ。今年の参加者は40人なので、一回戦は二十試合ある。一応、トーナメント形式だが、毎回組み合わせは抽選で決まるので、一回戦では戦えなかったが、二回戦以降ならシゲルと戦う可能性も十分にあった。

 組み合わせが抽選なのは、なるべく戦う順番に偏りをなくそうということだろう。もし、一回戦の組み合わせのまま行けば、試合が進むにつれて先に試合をする俺の方が休めるので、シゲルのように後半に試合をする方が不利になっていく。毎回組み合わせをランダムにすれば、余程運が無い限りはその辺りの戦う順番も平等になるということだ。

 

 二回戦は半分の十試合、三回戦は五試合、そして四回戦では二試合にシード枠が一つだが、四回戦から数が奇数になるのでこのまま進むと次の五回戦にもシード枠が出来る。

 運がいいとシードだけで勝ち進む人間がいる可能性があるので、四回戦で負けた二人に敗者復活戦を行わせ、一人を本選に戻すらしい。その後、五回戦に残った四人で準決勝、六回戦で決勝を行い、勝ったものがチャンピオンリーグを制覇するということだ。

 

 当然、目指すは優勝である。

 シゲルとの約束も果たしたいし、それまでは絶対に負けられない。とりあえず、まずは最初の一回戦だ。この試合に勝って、良い流れを作っていこう。

 

 

 




 原作との変化点。

・チャンピオンリーグ開催地が毎年変わる。
 チャンピオンリーグについては原作でもわかっていないので、殆どがオリジナル設定。

・シロナからタマゴを貰った。
 何のタマゴかはまだ不明。ニューサトシも地味に楽しみにしている。

・マグマラシが進化するのを嫌がった。
 フシギダネ状態。理由はわからない。

・ラティがりゅうせいぐん取得に励んでいる。
 とはいえ、まだまだ球を作る段階。アニメのフカマル以下のレベル。

・チャンピオンリーグの魔境具合が上がった。
 100人ではなく、実力者だけが残った40人程度の勝ち抜き戦となっている。




 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.59→60

 ピジョット Lv.53→55

 バタフリー Lv.53→55

 ドサイドン Lv.56→58

 フシギダネ Lv.53→55

 リザードン Lv.59→60

 ゼニガメ  Lv.53→55

 キングラー Lv.53→55

 カモネギ  Lv.53→55

 エビワラー Lv.54→56

 ゲンガー  Lv.54→56

 オコリザル Lv.54→56

 イーブイ  Lv.52→54

 ベトベトン Lv.53→55

 ジバコイル Lv.53→55

 ケンタロス Lv.53→55

 ヤドラン  Lv.52→54

 ハッサム  Lv.53→55

 トゲキッス Lv.49→52

 プテラ   Lv.53→55

 ラプラス  Lv.52→54

 ミュウツー Lv.71→72

 バリヤード Lv.53→55

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.50→53

 カビゴン  Lv.48→51

 ニョロトノ Lv.48→51

 ヘラクロス Lv.46→50

 メガニウム Lv.46→50

 マグマラシ Lv.45→50

 ラティアス Lv.38→46

 ヘルガー  Lv.46→50

 ワニノコ  Lv.45→50

 ヨルノズク(色違い) Lv.45→49

 カイロス(部分色違い) Lv.46→50

 ウソッキー Lv.45→49

 バンギラス Lv.56→58

 ゴマゾウ  Lv.38→46

 ギャラドス(色違い) Lv.42→48

 タマゴ 何が生まれてくるのかな? 生まれるまでまだまだ時間がかかりそう NEW!


 お待たせしました。更新を再開します。
 とはいえ、チャンピオンリーグ編の残り六話だけですがw

 一応、AG編も書き始めています。ハルカが開幕からニューサトシのせいで、原作外の挙動を見せるのでどうなるか怖くなってきましたが、まぁAG編もなかなか楽しい旅をお送りできると思います。
 ただ、ご存じの通り、私の基本は書き終えてから更新なので、AG編もいつ更新できるかわかりません。なるべく早くの更新を目指したい所ですが、首を長くしてお待ちいただけると嬉しいです。

 改めて、感想や誤字報告などありがとうございます。少しずつ返していきたいのですが、少しリアルが忙しくてなかなか手が回りません。また時間が出来次第、お返ししていきます。いつもたくさんの感想、本当にありがとうございます。




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#100 『期待しているぞ、ラティ君』

 12歳 β月λ日 『一回戦から全力で行くぜ』

 

 基本的にチャンピオンリーグは一日、三試合から四試合行って進めていくらしい。俺は第二試合なので今日すぐ試合だが、もしこの試合に勝てば次の試合は最低でも五日後だ。

 後半になるにつれて、試合間隔も短くなっていくのは地方リーグと一緒である。つまり、何も考えずにポケモンを消耗させすぎると、セキエイ大会やシロガネ大会の時のように終盤でエースや切り札が使えない可能性もあるので、バトルでの選出はしっかり考えなければいけなかった。

 

 特に俺はセキエイ大会もシロガネ大会も、ポケモンにドクターストップをかけられているので、その辺りはしっかり気をつけないといけないだろう。

 

 俺の一回戦の相手は、チャンピオンリーグ二年目のエリートトレーナーだった。と、いうより、後からシロナに聞いた所によると、どうも初年度のトレーナーは必ず二年目以降のトレーナーと当たるように調整されているらしい。運で勝ち上がってきた奴をふるいにかけるということだろう。

 当然、こちらも負けるつもりはない。

 いろいろ悩んだが、今回選出したメンバーは、ピカ様、リザードン、ゼニガメ、プテラ、イーブイ、ミュウツーという半数を切り札にする編成にした。

 やはり、最初が一番大切だ。毎回毎回出していたら、後半で疲労がたまるかもしれないが、一回戦の最初なら二回戦までに十分に休息も取れるだろう。組み合わせの運が良かったな。

 

 バトルがスタートすると、開幕はイーブイを出して、『アドバンスシフト』の特性で、相性有利なポケモンに進化することで有利対面を作った。相手もすぐにポケモンを交換してきたが、まだイーブイは技を使っていなかったので、それに合わせてこちらもまた進化先を変えていく。

 それを見て、特殊個体だと気付いたようで、こちらの有利を覆すのは難しいと判断したらしく、そのままバトルを続行してきた。上手くハマったが、それでも相手を三体戦闘不能にする間に、プテラとイーブイが戦闘不能になり、三体目に出したゼニガメもかなりの大ダメージを受けていた。

 数の上では有利とはいえ、油断すればすぐに逆転される状況である。しかし、三体戦闘不能になったことで、これから五分間のインターバルに入った。

 

 ベンチには誰もいない。チャンピオンリーグではベンチコーチは参加不可なので、ラティもボールの中で大人しくしているのだ。もし、カスミさんやタケシが一緒に居たとしても、今回は観客席に移動して貰っていただろう。

 

 後半は、ミュウツーで奇襲をかけることにした。

 どうも、相手は詳しく俺のデータを集めてはいなかったようで、まさか伝説のポケモンが出てくるとは思わなかったらしい。ノーデータのミュウツーに動揺した隙を突いて、そのまま残りの三体も一気に戦闘不能に持って行った。

 

 結局、後半はこちら側に戦闘不能が出なかったということで、一回戦はかなり上手い立ち回りが出来たと思う。

 シロナからも、密かにおめでとうメッセージが届いたが、同時に油断は禁物という忠告も頂いた。次の二回戦もこの調子で勝ち抜いていくぜ。

 

 

 追記。シゲルも一回戦を突破したようだ。どうやら、隠し玉にカイリューを用意していたらしい。後で聞いた話によると、シロガネ大会時はまだハクリューだったが、ミュウツーがいなければムウマージの代わりにハクリューを投入する予定だったとのことだった。

 

 

 

 12歳 β月π日 『すまん、ピカ様』

 

 一回戦が全て終了した段階で、初年度参加組のトレーナーは俺を含めて五人しか残っていないとシロナから教えてもらった。随分減ってしまったものだ。

 ただそれも仕方のないことかもしれない。俺も全ての試合を観戦できていた訳ではないが、どいつもこいつも一筋縄ではいかない強者揃いである。一回戦では上手くバトルを進められたからといって、調子に乗ると一瞬で倒されそうだった。

 

 今日は二回戦ということで、メンバーを変更している。今回登録したメンバーは、ピカ様、フシギダネ、トゲ様、ミュウツー、ヨルノズク、バンギラスだ。

 そして、二回戦の相手は、俺と同じ初年度参加組のトレーナーだった。

 しかし、一回戦を勝ち抜いてきたということは、それだけ実力があるということである。ふるいにかけられて生き残ったメンバーの一人だ。全く油断は出来ない。

 

 今回はとりあえず、様子見に色違いのヨルノズクに先鋒を任せた。こいつは基本的に思慮深い性格をしているし、いろいろ器用なのでこういう時は安心してお任せできる。

 と、思っていたのだが、想定していたより気合が入り過ぎてしまっていたようで、普段よりも攻めっ気が強く出てしまい、相手に翻弄されて普通に戦闘不能にされている。ヨルノズクもやる気十分だったが、そのやる気が空回りしてしまったらしい。

 

 普段通りに戦えれば全然戦えただろうが、これは俺がヨルノズクの様子をしっかり見てやれなかったせいだな。すまん、ヨルノズク。

 

 とりあえず、このまま流れを持って行かれるのはまずいので、二体目にトゲ様を出して必殺のまひるみコンボで攻め立てていく。どうやら相手はトゲキッスのことを知らないようで、面白いように害悪戦法がハマっていた。

 一体を即座に戦闘不能にしたこともあって、このままわからん殺しが出来るかもと思ったが、相手は二体目に特性『せいしんりょく』で怯まないポケモン出してくる。

 

 それを見て、こちらも念のためにトゲ様を戻した。流石にチャンピオンリーグというべきか、トゲキッスを知らなかった癖に対策してくるのが早い。

 油断は禁物ということで、ここでミュウツーを出した。相手はミュウツーに合わせて相性有利なあくタイプに交代してきたが、こちらはかくとうタイプの技でごり押ししていく。悪いな、うちの最強は相性程度でどうにかなるほど優しくないんだわ。

 

 とはいえ、無傷とはいかなかった。相手を戦闘不能にしたものの、ミュウツーもまぁまぁいいダメージを受けている。

 相手もあくタイプがダメならゴーストタイプと、再び相性で攻めてきたのでこちらも素直にミュウツーを戻した。シンゴの時の反省を生かして、ミュウツーを使っていても、普段と変わらぬバトルを心掛けていく。

 

 だが、こちらがゴーストタイプに有利なバンギラスを出すと、相手もまたポケモンを交代してきた。やはり、このレベルになってくるとトレーナーの判断が速い。それに合わせて、こちらもフシギダネに交代していく。

 相性的に五分ということで、バトルが再開される。こちらもフシギダネの『どくどく』を起点に耐久戦の構えを取った。そのまま上手いこと立ち回り、何とか相手の三体目を戦闘不能にしていく。

 しかし、ギリギリでフシギダネも戦闘不能にされてしまった。進化前で種族値は低いとはいえ、耐久戦が得意な俺のフシギダネを倒し切るとは、やはり相手も一筋縄ではいかないようだ。

 

 相手のポケモンが三体戦闘不能になったことで、五分間のインターバルに入った。

 向こうの残りポケモンは無傷の三体。対するこちらは、ヨルノズクとフシギダネが戦闘不能になっており、ミュウツーが体力を1/3程削られているが、残りの三体は全員無傷である。

 アドバンテージ的にはやや有利だが、調子に乗って変なダメージを受けても笑えないので慎重にバトルを進めていこう。もう、がむしゃらに戦うだけではこの先は生き残れない。ポケモンへのケアも、バトルをする上で重要なファクターになってくる。

 

 インターバルが終わると、バンギラスを起点にして種族値の暴力で相手を追い詰めた。

 とはいえ、相手も上手く立ち回ってくる。相手の残りポケモンの三体のうち、二体を戦闘不能、一体を猛毒状態体力半分まで追いつめたが、こちらもバンギラスとトゲ様が戦闘不能にされてしまった。

 

 だが、相手もダメージと猛毒を受けているし、このままミュウツーで一気に勝負をつけてやる。ピカ様が何やら俺のズボンを引っ張っているような気がするが、ここはサクッとミュウツーで残り一体をボコって試合を終了した。

 

 ピカ様が自分の出番がないと怒っていたが、切り札は残しておくもんなんだ――と、何とかご機嫌を取っていく。

 

 まぁ、確かにミュウツーではなくピカ様でもよかった場面ではあった。一回戦でも出番がなかったし、戦いたい気持ちはわかる。が、この先のことを考えればピカ様の情報は少しでも隠しておいた方が有利に進められると思ったのだ。

 結局、後半の相手次第ではピカ様、リザードン、ミュウツーはバトルから外せなくなるし、ミュウツーは今大会では一回戦から注目を集めているので、ここはピカ様とリザードンの情報はなるべく隠していくスタイルで行くことにした。

 

 部屋に戻ると、ラティも試合に出たそうな顔をしていたが、流石にチャンピオンリーグにレベル技しか覚えていないラティアスを出すのは辛い。『りゅうせいぐん』の練習だって、シロナの気まぐれでカンナギにいる最中に少しやっただけでまだ全然ものに出来ていないしな。習得度はDP編のフカマル以下で、弾を作るのにも四苦八苦しているレベルである。

 

 もし、ラティをバトルで使うのであれば、最低でも『めいそう』を覚えさせたい所だ。

 そうすれば、あくタイプ以外なら『アシストパワー』でごり押しが出来る。勿論、欲を言えば、『シャドーボール』や『10まんボルト』みたいな汎用技を覚えてくれた方が使いやすいので、その辺の技も頑張って覚えて欲しいものだ。期待しているぞ、ラティ君。

 

 

 

 12歳 β月σ日 『俺が勝ってわからせてやるぜ』

 

 シゲルが負けた。正直、相手を見てそういう可能性もあると思ったので驚きはない。だが、シゲルは俺の姿を見ると、申し訳なさそうに「すまない」と一言告げて去って行った。

 別に謝ることなどない――と、言いたいが、あいつにとって俺との再戦はそれほどまでに大きなものだったのだろう。まぁ、これが逆の立場だったら、俺も合わせる顔がないと思うし気持ちは良くわかるので黙って背中を見送った。

 

 ただ、個人的な感情を抜きにしても、負けても仕方のない相手ではあったのだ。シゲルの対戦相手――それは、アニメやゲームでカロスリーグのチャンピオンとなっているカルネだったのである。

 思えば、カルネがいつチャンピオンになったかはアニメやゲームでも明言されていなかった。アニメでサトシ君がカロスに行くのも、まだ数年先の話だし、このタイミングでチャンピオンリーグに居ても別におかしくはない。

 どうも、カルネも俺達と同じ初年度組ということらしく、こちらの警戒が少し甘かったせいもあって直前まで気付くことが出来なかった。

 

 後からわかった話だが、どうやらカルネは今年のチャンピオンリーグ優勝候補だったらしい。

 一応、俺やシゲルも優秀なトレーナーとして名前は上がっていたそうだが、現カロスの大女優であるカルネの知名度に比べたら霞むレベルのものだ。人気女優ということもあって、カルネは常にマスコミに追われており、その結果バトルの腕前も凄いというのは周知の事実のようだしな。

 

 まぁ、ニューサトシはあまりそういうのに興味がなかったので、全然知らなかったのだが、前世の知識のおかげで恥をかかずに済んでいる。

 

 しかし、確かにカルネは強いが、シゲルとカルネのバトル内容は別に一方的なものではなかった。

 ただ、シゲルはカロス地方のポケモンについて初見だったこともあって、バトルはカルネ優勢に進んでいたのは間違いない。あいつもポケモンのことを勉強している方だが、やはりまだ遠くの地方のポケモンのデータは持っていないだろうしな。

 

 探りながらのバトル故に、シゲルもいつも通りに戦えていなかったのはある。だが、途中、カイリューやカメックスで持ち直したこともあって終盤までバトルは互角だった。

 

 正直、最後はシゲルが勝つかとも思ったが、メガサーナイトの一撃の前にシゲルのカメックスは力尽きてバトルは終了している。

 もし、シゲルにメガシンカなんかの強化要素があれば、勝っていたのは逆だったかもしれない。それくらいに接戦だったし、シゲルには伸びしろが残っているということでもある。仮に最初からカルネのデータがあれば、もっとバトルの流れも変わっていただろう。

 

 だが、今それを言っても慰めにはならない。特に、ライバルの俺に言われたって何の解決にもならないはずだ。

 もし、仮に俺がカルネに負けて、シゲルに「レベルさえ上げれば次は勝てるさ」と言われても嬉しくも何ともないのと一緒である。だからこそ、あいつにはバトルで見せてやらないといけない。俺がカルネに勝って、シゲルよりも俺が強かったんだと間接的にわからせてやるぜ。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・チャンピオンリーグ一回戦に勝利した。
 相手がミュウツー対策していなかったので思いの外楽に勝てている。

・チャンピオンリーグ二回戦に勝利した。
 対戦相手が初年度参加組だったこともあって、互角の立ち合いだった。

・シゲルが負けた。
 相手が相手だったので仕方ない。

・カルネが参加していた。
 この小説ではこの時点でチャンピオンリーグに参加している設定。もっとベテランという意見もあるかもしれないが、作者的にはシロナが女性初チャンピオンだし、シロナの年齢が今の段階でギリギリ10台と考えると、このぐらいの時期じゃないかと思っている。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.60

 ピジョット Lv.55

 バタフリー Lv.55

 ドサイドン Lv.58

 フシギダネ Lv.55→56

 リザードン Lv.60

 ゼニガメ  Lv.55→56

 キングラー Lv.55

 カモネギ  Lv.55

 エビワラー Lv.56

 ゲンガー  Lv.56

 オコリザル Lv.56

 イーブイ  Lv.54→55

 ベトベトン Lv.55

 ジバコイル Lv.55

 ケンタロス Lv.55

 ヤドラン  Lv.54

 ハッサム  Lv.55

 トゲキッス Lv.52→53

 プテラ   Lv.55→56

 ラプラス  Lv.54

 ミュウツー Lv.72

 バリヤード Lv.55

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.53

 カビゴン  Lv.51

 ニョロトノ Lv.51

 ヘラクロス Lv.50

 メガニウム Lv.50

 マグマラシ Lv.50

 ラティアス Lv.46

 ヘルガー  Lv.50

 ワニノコ  Lv.50

 ヨルノズク(色違い) Lv.49→50

 カイロス(部分色違い) Lv.50

 ウソッキー Lv.49

 バンギラス Lv.58

 ゴマゾウ  Lv.46

 ギャラドス(色違い) Lv.48

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#101 『完全に初見殺しと言っていい』

 12歳 β月τ日 『全力で行くぞ』

 

 今朝、三回戦の組み合わせを見に行くと、俺の対戦相手がカルネになっていた。まぁ、もう残り10人しかいないし、当たる確率は1/5だ。そうなっても別におかしくはない。

 後から聞いた話だが、俺の組み合わせを見て、シロナは「くじ運悪すぎ!」と呟いていたそうだ。

 しかし、俺はシゲルとカルネのバトルを見てから、ずっとカルネと戦いたいと思っていた。心配してくれているシロナには悪いが、逆に組み合わせの神に感謝したいくらいである。

 

 ここが山場ということで、メンバーは結構ガチ目に決めていく。ピカ様、ドサイドン、リザードン、ゲンガー、ミュウツー、ハッサムだ。

 カルネの手持ちは、おそらくアニメやゲームと変わらないだろう。シゲルとの試合を見ても、出てきたのはルチャブル、アマルルガ、ガチゴラス、ヌメルゴン、パンプジン、サーナイトの六体だった。

 サーナイトはメガシンカしてメガサーナイトになることもわかっている。まぁ、カルネもこれまでの俺のデータを集めるくらいはしているはずなので、こちらにミュウツーがいるのはまずバレているだろう。

 

 三回戦の試合数は、今日が三試合、明日二試合で、俺は今日の開幕の試合だ。

 どうもくじ運が良いようで、一回戦、二回戦も早い段階でのバトルだった。逸る気持ちを抑えながら、バトルフィールドに行くと、既にカルネが待っている。

 挨拶も程々にトレーナーゾーンに移った。

 何やらカルネが小さく、「なんか、映像で見た姿より野性味があるような……?」と、意味不明なことを言っていたが、そんなことよりもバトルだ。バトルしようぜ!

 

 審判の合図と同時に、待ちきれんとばかりに一体目を送り出す。

 俺がミュウツー、カルネはサーナイトだった。どうやら開幕から手加減なしでミュウツーを出すつもりなことはバレていたらしい。切り札のサーナイトを一番手に出してきたのが何よりの証拠だ。

 

「「『シャドーボール』!!」」

 

 奇しくも、互いの選んだ技は一緒だった。

 前にグリーンとバトルした時もそうだったが、やはりエスパー対決で弱点を突こうとするならば、選択される技は自ずとこれになる。

 ミュウツーのシャドボが、サーナイトのシャドボにぶつかっていく。だが、メガシンカもしていないサーナイトの攻撃で防ぎきれるはずもなく、ミュウツーの『シャドーボール』が貫通してサーナイトへ一直線に向かって行った。

 

 しかし、流石はカルネ。

 アイコンタクトのみで回避を指示しているようで、サーナイトも華麗なステップで攻撃を回避していく。追撃の『シャドーボール』を指示するも、サーナイトも既に次の攻撃へ移っていた。回避から攻撃へのシフトも早いな。

 

 今度は前にグリーンに習った、『シャドーボール』を『サイコキネシス』で加速させる技を使ってサーナイトへぶつけに行く。

 だが、サーナイトもまた『サイコキネシス』で『シャドーボール』を加速させていたようで、こちらの軌道について来ていた。流石は原作だとカロスチャンピオンだけのことはあるが、威力で勝っている以上真正面からぶつけてしまえば何も問題はない。

 

 真っすぐにぶつけようとすると、側面から弾くように攻撃を当てられ、こちらの『シャドーボール』が壁に当たってしまう。そのまま、サーナイトのシャドボが向かってきたが、ミュウツーがスプーンで一掃した。

 成程ね。威力の低い技も使いようってことか。

 なら、数が多ければどうだ? と、ミュウツーが『シャドーボール』を十発ほど出現させる。通常の『シャドーボール』がサッカーボールくらいの大きさだとすれば、今回のは野球のボールくらいの大きさだ。数を多く出すために多少威力を犠牲にしているが、この数をサイキネで高速操作されたらいくらカルネのサーナイトでも避け切れまい。

 

 ミュウツーの多段シャドボが発射されていく。

 

 同時に、カルネの首からぶら下げられているキーストーンが光を放った。

 

「サーナイト、メガシンカ!!」

 

 切り札をようやく出してきたようで、メガサーナイトが『サイコキネシス』で多段シャドボの動きを止めてくる。

 ミュウツーのパワーでもピクリとも動かせない。ただ、向こうも止めるのが精一杯という様子だった。流石にメガサーナイトの火力はミュウツーとほぼ互角ということか。

 

 膠着状態になった以上、これ以上はスタミナを無駄に消費するだけだ。『シャドーボール』を解除して、ミュウツーがスプーン片手に距離を詰めていく。

 メガサーナイトは確かに特殊は強いが、反面物理はそこまで強くない。本来、ミュウツーも同じだが、こいつの攻撃種族値なら十分接近戦でも戦えるはずだ。

 そのまま『アイアンテール』を指示する。

 正確には『アイアンテール(スプーン)』だが、メガサーナイトの苦手なはがねタイプの物理技だ。メガサーナイトが迎撃の『シャドーボール』で攻撃してくるが、スプーンで防ぎながら距離を詰めていった。

 

 とはいえ、全てを防ぐのは難しかったようで、一発ミュウツーに命中する。自分と同等の攻撃力の技を受けて一瞬足が止まるが、すぐに懐に潜り込んだ。

 その一瞬の隙で放たれた『シャドーボール』をスプーンで受け流し、『アイアンテール(スプーン)』を一閃する。が、体勢を低くして避けられた。そのまま攻撃を繰り返すが、メガサーナイトもスプーンを回避し続けていく。

 しかし、いくら回避を得意としているとはいえ、ミュウツーの連打を完全に回避し切るのは不可能なようで、何度目かの『アイアンテール(スプーン)』が直撃した。

 

 弱点の一撃を受けて吹き飛ぶメガサーナイトに、カルネが『はかいこうせん』を指示する。

 メガサーナイトの特性は『フェアリースキン』だ。ノーマルタイプの技がフェアリータイプの技に変化し、威力が1.2倍になる。ノーマルタイプ最大の特殊技である『はかいこうせん』は威力180に変化し、さらにタイプ一致で火力が上昇していた。

 

 咄嗟にミュウツーが回避するが、『はかいこうせん』は軌道を変更してミュウツーへと襲い掛かる。

 どうやら、同時に『サイコキネシス』も使っているようで、シャドボ同様に軌道を操作しているようだった。吹き飛びながら技を使っているメガサーナイトは、そのまま地面に叩きつけられるが、攻撃を止めるつもりはないようで技を継続している。

 このまま避け続けるのは無理と判断して、『ひかりのかべ』バリヤードエディションを指示した。だが、威力が高すぎるようで、攻撃を受けきるのにかなりの時間とPPを消費している。

 

 おそらく、二度目は受けきれないだろう。

 

 だが、メガサーナイトは『はかいこうせん』の反動で動けない。このまま一気に勝負を決めてやる。

 再び、『アイアンテール』を指示して距離を詰めていく。こちらは全て技を使ってしまったが、ダメージ的には有利だ。カルネもメガサーナイト以外でミュウツーの相手は無理だと考えているのか戻す気はないようだし、このままメガサーナイトを倒せればバトルの流れは俺に傾くだろう。

 

 振り下ろされるスプーンだが、サーナイトはギリギリで白刃取りして防御してきた。まさか、そんな曲芸みたいな手段で攻撃を防いでくるとは。

 

 しかし、ミュウツーの方が物理攻撃力は上のようで、段々とスプーンがメガサーナイトに向かって傾いていく。

 このまま行けば勝てる。が、そうは問屋が卸さないようで、押してはダメなら引いてみろの精神で、メガサーナイトがスプーンを横に受け流しながらミュウツーの側面を取ろうとしてきた。

 

 普通ならバランスを崩されてつんのめる場面だが、メガサーナイトの動きに合わせてミュウツーが尻尾を振って胴体に攻撃を直撃させた。こっちが本当の『アイアンテール』である。

 スプーンは、最初から攻撃の意識を注目させる囮に過ぎない。メガサーナイトが白刃取りしてきたのは驚いたが、何らかの方法で攻撃を受け流すだろうことは読めていたので、スプーンを囮に今度は本当に尻尾で『アイアンテール』を繰り出したのだ。

 

 二度目の弱点技を受け、メガサーナイトも苦悶の表情を浮かべている。しかし、ミュウツーも変な体勢から攻撃を当てたせいか、先程のように吹き飛ばすまでは行かず、メガサーナイトも何とかその場に踏みとどまっていた。

 そのまま、メガサーナイトがミュウツーに抱き着いてくる。どうやら、密着した状態から『はかいこうせん』を撃つ気のようで、背に回された腕に光が集中していく。ミュウツーも体を振り回すが、絶対に離れないとばかりにサーナイトは拘束を緩めなかった。

 

 こうなっては仕方ないので、通常の『ひかりのかべ』を指示して、少しでも威力を減少させていく。

 直後、背中からゼロ距離『はかいこうせん』がミュウツーに直撃した。半減しているとはいえ、密着状態で撃たれているせいで衝撃を逃がす場がなく、ミュウツーが予想外にダメージを受けている。もし、攻撃が貫通すれば自分にも当たる自滅攻撃になりかねないが、残念ながらダメージはミュウツーしか受けていなかった。

 

 だが、メガサーナイトが攻撃の反動で動けなくなると拘束も緩んだ。

 ミュウツーが再び『アイアンテール(スプーン)』でメガサーナイトを吹き飛ばす。流石に弱点の物理技を三回も受けると、ダメージも限界のようで何とか立ち上がるもフラフラしている。

 

 これではもう遠距離攻撃もロクに出来まいと思いつつ、追撃の『シャドーボール』でメガサーナイトを戦闘不能に持って行くと、メガシンカが解除されて、通常のサーナイトに姿が戻った。

 こちらも体力は削られたが、まだ体感1/3はある。エースも倒したし、このまま一気に残りのポケモンも――と、考えると同時に、ミュウツーが前のめりに倒れた。

 

「は?」

 

 一瞬、思考が停止する。

 シロガネ大会での『だいばくはつ』二連や、シロナのポケモン達とのガチバトルでも倒れたことのないうちの切り札が倒れた。いや、驚いている場合ではない。ないのだが、流石に動揺が隠せなかった。

 わかっている。倒される時もいつかは来ると覚悟はしていた。しかし、それが今だとは思わなかったのだ。

 

 正直、最初は頭が回らず、何が起きたかわからなかったが、審判によってミュウツーとサーナイトの戦闘不能が宣告されると同時に、何をされたか察した。

 

「『みちづれ』か……!」

 

 確かに、サーナイトもタマゴ技で『みちづれ』を覚える。クソ、完全に頭から抜けていた。開幕からゴリゴリに攻めてきていたこともあって、完全なパワーファイターだと思わされたのも大きい。

 後半の自滅覚悟の『はかいこうせん』も、サーナイトの戦闘不能をわざとらしくさせないための演技だ。

 

「最初に少し撃ち合って、すぐにそのポケモンが私達より強いとわかったわ。こちらのエースであるサーナイトを使い捨てるような真似はしたくなかったけど、そうでもしないとそのポケモンは倒せない。そう覚悟した」

「後は、全部『みちづれ』を決めるための演技ってことですか。大女優だけあって、見事に騙されましたよ」

「全部が演技でもないわ。できれば真正面から倒したかったっていう気持ちもあったしね。結果は、やっぱり相打ちを狙うしかなかったけど」

 

 そうか。俺は勝手にチャンピオンに挑戦するつもりでバトルしていたが、思えばまだカルネはチャンピオンではないのだ。

 アニメの印象が強いし、シゲルも倒されたから勝手にチャンピオン級に強いと思い込んでいたが、今はまだ全盛期の強さではないのだろう。アニメではワールドチャンピオンシップ5位のカロスチャンピオンでも、今現在は俺と同じチャンピオンリーグトレーナーに過ぎない。

 だからこそ、カルネもミュウツーとメガサーナイトを相打ちさせるという奇策を切ってきた。そうしなければ、一方的に負けると、そう感じたのだ。

 

 ミュウツーをボールに戻す。

 改めて、気負い過ぎていたことがわかった。けど、向こうのエースを倒したのは事実だ。こちらにはまだリザードンもいる。まだまだ勝負はこれからだ。

 

 カルネは二体目にガチゴラスを出してきた。こちらは二体目としてドサイドンを送り出す。

 ガチゴラスはいわ・ドラゴンタイプの化石ポケモンだ。特性は『がんじょうあご』と、夢特性の『いしあたま』だが、おそらく顎や牙を使って攻撃する技の威力が1.5倍になる『がんじょうあご』だろう。

 タイプ相性を考えれば、じめんタイプも持っているドサイドンの方が有利だが、もし『こおりのキバ』を覚えていた場合、不一致でも威力98の大技になる。こちらも『ハードロック』があるとはいえ、慢心して勝てる相手ではないので油断はしない。

 

 確かに、カルネはアニメ全盛期ほど強くはないのかもしれないが、それでも俺と引き分けたシゲルを倒しているのだ。決して油断して勝てる相手ではない。

 

 カルネは当然のように、『こおりのキバ』を指示してきた。対するこちらは『じしん』を指示する。

 お互いに弱点の二倍攻撃だが、ガチゴラスが距離を詰めてくる前に『じしん』が発動した。しかし、ガチゴラスは『じしん』の直撃を受けて尚、歩みを止めず、そのままドサイドンに攻撃を仕掛けてくる。

 効いていない訳ではない。

 効いていても我慢しているのだ。ならばこちらもと、ドサイドンが『こおりのキバ』の直撃を受けるも、お返しだとばかりに『アームハンマー』で反撃していく。素早が一段階下がるデメリットのある技だが、元々ガチゴラスの方が速さは上なので関係ない。

 

 こちらの『アームハンマー』の直撃を受けて少しよろけるガチゴラスだが、カルネはそのまま『アイアンテール』の指示を飛ばす。

 ガチゴラスは殴られた勢いを殺すことなく回転し、『アイアンテール』をこちらに直撃させてきた。相手の技による衝撃を逆に利用するとは、カルネとガチゴラスに技の指示だけで理解できる深い信頼関係がないと出来ない芸当だ。

 

 だが、ポケモンとの信頼関係で負けるつもりはない。

 

 ドサイドンもまた、まだまだ戦えると咆哮している。こいつも、何だかんだカントー御三家よりも古株なのだ。当然、ニューサトシの影響をモロに受けており、普段は物静かにしているが、一皮剥けば俺と同じ戦闘狂である。

 

 とはいえ、このまま殴り合っても埒が明かないので、ドサイドンに『つるぎのまい』を指示して物理攻撃力を上げていく。

 しかし、カルネも『あまえる』を指示して、上げた攻撃力を下げてきた。そっちがその気ならば、とことんまで殴り合いをしようじゃないか。

 甘えてんじゃねーよとばかりに、ドサイドンが『アームハンマー』で殴り掛かっていくと、ガチゴラスも『アイアンテール』で反撃してきた。

 

 そのまま互いに殴り合いながら、攻撃の隙を探す。高耐久ポケモン同士の殴り合いだ。いくら効果抜群の技を連打しても、そう簡単には決着はつかないだろう。

 勝つためには、切り札を確実に当てなければいけない。そう考えていると、どうやらカルネも全く同じことを考えていたようで、『こおりのキバ』の一割を引いて、ドサイドンが氷状態で動きが止まった瞬間、『つのドリル』を指示してきた。

 

 お前のどこに角があるんだと言いたくなったが、どうやらこれまでのバトルで砕けたフィールドの破片を使って疑似ドリルを作り上げている。ミュウツーが念でスプーンを作るのと似たような感じか。

 だが、こちらも切り札は一緒だ。

 氷状態を『つのドリル』で無理やり解除すると、向かってくるガチゴラスにカウンターで『つのドリル』をお見舞いする。互いのドリルがぶつかり合うと、甲高い音と共に火花が散っていく。しばらく踏ん張っていたが、最終的には衝撃でお互いに吹き飛ばされて行った。

 

 どうやら、互いに当たった判定になったようで、ドサイドンもガチゴラスも戦闘不能になっている。

 大怪獣バトルも引き分けか。

 これまでは互いに五分と五分の立ち回りを見せている。しかし、だからこそ均衡が破られた瞬間に、バトルの流れは一気に傾いていくだろう。

 

 三体目として、カルネがアマルルガを出してきたので、こちらもハッサムを送り出す。

 アマルルガはこおり・いわタイプ故に、はがね技が四倍だ。相性を考えれば、ガチゴラス戦で出すのも有りだったが、『ほのおのキバ』が怖かったのでドサイドンに任せた形である。

 

 当然だが、アマルルガはほのお技など覚えない。

 相性不利なのは一目瞭然であり、カルネはすぐにアマルルガをボールに戻そうとした。だが、当然そんなことは読めているので、『おいうち』で逃げるアマルルガに一撃を入れる。『おいうち』は威力が40だが、相手の交代時に使うと威力が倍になる技だ。当然、交代中のアマルルガには最大ダメージが出る。

 これに『テクニシャン』の特性が乗れば面白いのだが、残念ながら『テクニシャン』の威力60以下の技が1.5倍になるという特性は、威力の変動する技や威力が修正された場合は修正後の威力で判定するので、『おいうち』は威力80の技と判定されるためダメだった。

 

 しかし、ノーリスクで大ダメージを与えたことに変わりはない。カルネもしてやられたという顔をしている。

 とはいえ、戦闘不能にしたわけでもないので、まだまだ状況は五分のままだ。カルネも気を取り直したように、四体目としてヌメルゴンを出してきた。

 600族のドラゴンタイプだ。

 だが、種族値の配分が微妙で回復技を覚えないことから、前世では不遇と言われているポケモンでもある。それでもアニポケの世界では種族値だけが全てではないし、この状況で出してきたということは、当然『かえんほうしゃ』を覚えているのだろう。

 

 ハッサムを戻すことも考えたが、ヌメルゴンは防御よりも特殊防御の方が高いポケモンだ。

 相性もそこまで悪い訳でもないし、このままハッサムの火力なら十分に戦えると判断してそのままバトルを続行させる。

 

 開幕、ヌメルゴンは当然のように『かえんほうしゃ』を撃ってきた。当然、当たる訳には行かないので『かげぶんしん』を使い回避していく。

 カルネもそのまま『かえんほうしゃ』で分身を消させて、本体の位置を探って来るが、その間にこちらもハッサムお得意の『バレットパンチ』と『ダブルアタック』を組み合わせたオラオラコンボを指示する。不意打ちだし、上手くいけばワンキルも狙えるだけの火力はあるだろう。

 

 だが、ハッサムが両手でパンチの連打をお見舞いする直前、カルネも『とける』を指示して防御力を二段階上げてきた。

 これで、ダメージが軽減されてしまったが、それでも俺のハッサムのオラオラコンボはそう簡単に防げるものではない。そのままヌメルゴンの胴体へパンチを入れるハッサムだが、攻撃が命中した瞬間、ぬちゃあという嫌な音共に、拳に何かぬめぬめしたものが付着した。

 

 構わずパンチを連打しようとするハッサムだが、拳を入れるごとに粘液のようなものが付着して動きが鈍くなっていく。ヌメルゴンの夢特性である『ぬめぬめ』だ。直接攻撃を受けると、相手の素早を一段階下げる特性である。

 おまけに、『とける』の効果で全身が柔らかくなっており、『ぬめぬめ』の粘着力が上昇しているのだろう。ハッサムの両拳を離そうとするが、完全に粘着した『ぬめぬめ』に捕まってしまったようでその場から動けなくなっていた。

 

 シゲル戦では、カメックスが遠距離戦闘で倒していたから特性までは把握出来てなったが、まさかこんな奥の手を隠しているとはな。

 

 咄嗟にボールに戻そうとするも、『まとわりつく』で交代を封じられる。くそっ、技スロットを一つ使ってでも、ここでハッサムを確実に倒すつもりか。

 

 そのまま、追撃の『かえんほうしゃ』をくらって、ハッサムが苦しそうな声を上げる。しかし、逃げられないのはわかっているようで、少しでもダメージを与えようとオラオラを続けていた。

 だが、二度目の『かえんほうしゃ』で、流石に戦闘不能になったようでハッサムが倒れる。まさか、『ぬめぬめ』の特性がこんなことになるとは思わなかった。俺のベトベトンの『あくしゅう』が、普通の『あくしゅう』と違うのと同じだ。完全に初見殺しと言っていいだろう。

 

 俺のポケモンが三体戦闘不能になったことで、五分間のインターバルに入る。

 

 やはり、カルネは強いな。しかし、まだまだこれからだ。均衡が崩れたことで流れは持って行かれたかもしれないが、ヌメルゴンも全くの無傷という訳ではない。何だかんだかなり連打は入れたのだ。本当の勝負はこれからである。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・カルネとのバトルになった。
 ここがリーグの山場である。当然のようにアニメとはポケモンの戦い方や特性が違っている。つか、アニメで瞬殺されたの割とショックだった。この小説では、仮にカルネVSダンデになっても、あんな形にはならないと思われる。

・ひかりのかべバリヤードエディションの仕様について。
 基本は五枚くらい連続で出して攻撃を防いでいる。ので、二~三回使うとPP切れになる。今回の場合は、はかいこうせんの威力が高すぎたので、壁を十枚近く使った。よって、二度目は防げないと判断している。

・ヌメルゴンが特別仕様。
 夢特性で尚且つ特性の使い方がベトベトンのように特殊になっている。書き始めたらやべー奴になっていた。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.60

 ピジョット Lv.55

 バタフリー Lv.55

 ドサイドン Lv.58→59

 フシギダネ Lv.56

 リザードン Lv.60

 ゼニガメ  Lv.56

 キングラー Lv.55

 カモネギ  Lv.55

 エビワラー Lv.56

 ゲンガー  Lv.56

 オコリザル Lv.56

 イーブイ  Lv.55

 ベトベトン Lv.55

 ジバコイル Lv.55

 ケンタロス Lv.55

 ヤドラン  Lv.54

 ハッサム  Lv.55→56

 トゲキッス Lv.53

 プテラ   Lv.56

 ラプラス  Lv.54

 ミュウツー Lv.72

 バリヤード Lv.55

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.53

 カビゴン  Lv.51

 ニョロトノ Lv.51

 ヘラクロス Lv.50

 メガニウム Lv.50

 マグマラシ Lv.50

 ラティアス Lv.46

 ヘルガー  Lv.50

 ワニノコ  Lv.50

 ヨルノズク(色違い) Lv.50

 カイロス(部分色違い) Lv.50

 ウソッキー Lv.49

 バンギラス Lv.58

 ゴマゾウ  Lv.46

 ギャラドス(色違い) Lv.48

 タマゴ 何が生まれてくるのかな? 生まれるまでまだまだ時間がかかりそう





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#102 『それはズルだろう』

 12歳 β月τ日 『それはズルだろう』

 

 インターバルが開けてフィールドに戻る。どうやら、カルネはヌメルゴンの体力を少しでも回復させたいようで、改めてアマルルガを出してきた。

 対するこちらはピカ様にお任せする。

 アニメのピカ様はエースや切り札というような扱いだが、うちだと中継ぎ投手のような感じだ。中盤の流れを作る大事な役という意味では、地味だが決して外すことは出来ない。

 

 ピカ様も自分が流れを取り戻すと言わんばかりにフィールドに飛び込んでいく。

 相手はうちのクリスタルのイワークと同じで、はがね・かくとうタイプの技が四倍弱点だ。当然だが、こちらのメイン攻撃は『アイアンテール』や『かわらわり』になってくるだろう。後は二倍弱点の『ざぶざぶサーフ』も有りかもしれないが、あまりアマルルガに技を使いすぎると後半が辛くなってくる。

 

 後ろにパンプジンがいることも考慮し、まずは『アイアンテール』で様子見をすることにした。

 対するカルネは『リフレクター』で物理攻撃を半減してくる。こちらがはがね技を使ってくるのは考慮の上ということか。

 

 ピカ様はピカチュウとは思えないパワーを持っているが、それでもピカチュウである。いくら四倍弱点技とはいえ、タイプ不一致で半減されると、ダメージは格段に減ってしまう。

 また、アマルルガも耐久寄りに育成されているようで、ピカ様の一撃を受けて尚、そこまで大きなダメージを受けた様子を魅せなかった。

 

 仕切り直しとばかりに距離を取ると、今度はカルネが『ハイパーボイス』を指示してくる。

 ノーマルタイプの技だが、アマルルガの特性である『フリーズスキン』でノーマルタイプの技はこおりタイプに変化し、タイプ一致技になっていた。また、追加効果で威力は1.2倍になっていることもあって、かなりの威力の攻撃がこちらに向かって飛んでくる。

 

 積み技なしであれを相殺するのは難しいと判断し、ピカ様がフィールドを逃げ回って攻撃を回避していく。

 ピカ様のスピードは天下一品だ。そう簡単には捕まらない。カルネも、これだけ速いと的を絞り切れないようで、すぐに攻撃を停止させていた。

 

 とはいえ、捕まれば一巻の終わりだ。

 

 遠距離での勝負は分が悪そうなので、ここは一旦、『かわらわり』を指示して『リフレクター』を破壊しに行く。

 しかし、カルネもすぐに『いわなだれ』を指示してきた。全体攻撃のタイプ一致いわ技が、ピカ様の行く手を遮るように展開され、こちらの足を止めようとしてくる。

 

 ならば、その岩を逆に利用してやるぜ。

 

 ピカ様に岩を駆けあがるように指示すると、『アイアンテール』で器用に岩を弾きながら、上手いこと駆けあがっていく。

 流石に予想外の動きだったようで、カルネも動揺している。おそらく、向こうは『いわなだれ』で足が止まった所を『ハイパーボイス』で狙い撃ちするつもりだったのだろう。

 

 だが、ピカ様が岩を駆けあがったことで、そのタイミングが狂わされた。逆にこちらは、そのままの勢いで上から『かわらわり』でアマルルガへ攻撃を仕掛けていく。

 壁を破壊して、そのまま攻撃を直撃させようとしたが、カルネも即座に『ステルスロック』を指示して体勢を立て直してきた。ステロは攻撃技ではないのでダメージこそ入らないが、技の開始時に相手フィールドに岩を射出するために一旦自陣に岩が出現する。その岩がピカ様の攻撃ラインに割り込んできたせいで壁の役割を果たしたのだ。

 

 当然、こちらも『かわらわり』で岩を弾く。が、ステロが相手フィールドに移動しようとする技の性質が、落下するピカ様の障害物となって動きを阻害される。

 その間に、アマルルガは反撃の体勢を整えていたようで、『ハイパーボイス』がこちらに向けて発射された。岩を潜り抜けるのに必死だったピカ様が、咄嗟に『10まんボルト』で反撃していくが、向こうは威力が1.2倍されていることもあって押し返される。

 

 結局、相殺しきれなかった攻撃が直撃し、ピカ様が大ダメージを受けた。しかし、空中ですぐに体勢を立て直して追撃は防いでいる。

 ここで追撃を受けたら終わりだと、ピカ様もわかっているのだ。おまけに、ステロのせいで後続は大ダメージを受ける。いわ四倍弱点のリザードンなど、出た時点で体力が半分になるので、最後にしか出せなくなってしまった。

 

 だからこそ、ここは自分が何とかしないといけないと思っているようで、ピカ様がまだまだいけるとアピールしている。

 勿論、そんなアピールなどなくても戻すつもりはない。俺はピカ様なら、あのアマルルガを倒せると信じているからな。

 

 改めて、かなりのダメージは受けたが、それでもマイナスばかりではない。そもそも、向こうのアマルルガはハッサムの『おいうち』でダメージがある上、今の攻防で全ての技を使い切った。

 向こうの技は、『リフレクター』、『ハイパーボイス』、『いわなだれ』、『ステルスロック』だ。『ハイパーボイス』の威力は警戒が必要だが、『ステルスロック』は役割を終えて死に技となっているし、『リフレクター』も『かわらわり』で突破できる。

 

 これで勝利のピースは全て揃った。と、いうことで、再びピカ様に『10まんボルト』を指示する。

 しかし、今回の狙いはアマルルガではなく、アマルルガの手前の地面だ。カルネもすぐに『ハイパーボイス』で相殺しようとしたが、こちらの狙いがおかしいので一旦技を停止させている。

 

 こちらの電撃が地面に命中し、その爆発で砂煙が巻き起こった。フィールドを利用した煙幕である。

 この間に再び、ピカ様がアマルルガとの距離を詰め始めた。カルネも、煙幕は接近のための囮だとすぐに理解したようで、『いわなだれ』で壁を作るように接近を阻止しようとしてくる。

 

 当然、こちらは先程の『アイアンテール』で、岩を駆けあがっていく。だが、カルネも二度目ということもあって、もう先程のように隙は作ってくれなかった。

 駆け上がるのならば、一番上まで行ったピカ様を狙う撃つと言わんばかりに、アマルルガに『ハイパーボイス』を待機させている。だが、それこそがこちらの狙いだった。

 

 カルネやアマルルガの視線は完全に上を向いている。それは、逆に言えば、足元がお留守ということだ。『アイアンテール』で岩を駆け終えたピカ様に『くさむすび』を指示する。

 カルネは当然のように『ハイパーボイス』を指示しようとしていたので、反応が一瞬遅れた。その間に、草がアマルルガの足に絡んで横転させる。アマルルガは四足歩行タイプの重量級ポケモン故に、倒れると起き上がるまでに時間がかかるという弱点があった。

 

 その隙をついて、上空から勢いをつけた『アイアンテール』でとどめを刺す。

 しかし、カルネも諦めないと言わんばかりに『ハイパーボイス』を指示してきた。アマルルガも何とか顔をこちらに向けて攻撃を仕掛けてくる。ピカ様は空中故に回避は出来ない――ので、『10まんボルト』を側面に当てることで、何とか軌道を反らした。

 だが、完全には反らし切れなかったようで、ピカ様に『ハイパーボイス』が当たる。しかし、ダメージを受けはしたが直撃ではない。体勢は崩されたが、ギリギリ射程からは離れていなかった。

 

「まだだ! 狙いを定めろ! 『アイアンテール』!!」

 

 空中でピカ様が再び尻尾を構えると、そのままとどめの『アイアンテール』でアマルルガを戦闘不能まで持って行く。事前にハッサムから受けていたダメージもあり、流石に勢いのついた四倍弱点は耐えきれなかったようだ。

 だが、ピカ様も戦闘不能にはなっていないが、受けたダメージはかなり大きい。ここで一旦戻しても、次はステロのダメージで倒れてしまうだろう。

 

 出来れば休ませてやりたい所だが、頑張ってもらうしかない。カルネはアマルルガを戻すと、ヌメルゴンを出してきた。

 ハッサムとの戦いでのダメージは残っているはずなので、まだワンチャンある。ここを凌げば、残りはパンプジンとルチャブルだけだ。相性的にもゲンガー、リザードンなら十分倒せるだろう。ここは山場と見た。

 

 だが、カルネのヌメルゴンの夢特性『ぬめぬめ』はあのハッサムの拳すら封じるほど強力だ。

 接近戦になれば、まず間違いなくピカ様が不利になる。とはいえ、遠距離での攻撃は『10まんボルト』か『くさむすび』しかない。どちらもドラゴンタイプのヌメルゴンには効果は半減である。

 普通なら戻す場面だが、ステロがあるせいで戻せない。おまけに、ピカ様も体力を消耗しすぎてスタミナが切れかけている。持久戦は不利だ。

 

 八方塞がりな状況だが何とかするしかない。

 

 とりあえず、『10まんボルト』を指示すると、ヌメルゴンがこちらに向かってダッシュしてきた。そのまま『10まんボルト』の直撃を受けるが、ダメージを気にした様子もなくピカ様に抱き着いてくる。

 ぬちゃぁという音と共に、ピカ様がヌメルゴンにくっついてしまった。『アイアンテール』や『かわらわり』で何とか抜け出すように指示するが、カルネも『とける』で粘着力と防御力を上げて脱出を防いでくる。

 

 まさか、真正面から抱き着いてくるとは。

 

 ヌメルゴンは600族だけあって、素早種族値が80もある。数字だけなら、サーナイトやバシャーモと同速なのだ。それが、こちらの攻撃を無視して走ってくれば流石のピカ様でも避けられない。

 一縷の望みに賭けて、『くさむすび』で横転させて脱出を図ったが、もう『ぬめぬめ』は転んでもピカ様を離してはくれず、この時点で脱出は無理だと悟った。

 

 ピカ様もせめて少しでも手傷を与えてやると言わんばかりにゼロ距離『10まんボルト』でダメージを与えていく。

 しかし、健闘虚しく、起き上がったヌメルゴンの『かえんほうしゃ』で戦闘不能に持って行かれてしまった。どうやら俺は、このヌメルゴンを随分と過小評価していたらしい。やべぇポケモンだ。

 

 ぬめぬめになったピカ様をタオルで拭いてベンチに寝かせる。これで、俺の残りは後二体、ゲンガーとリザードンだけだ。

 ステロを考えると、次はゲンガーしかいない。カルネはヌメルゴンを続投させるつもりのようで、そのままフィールドに残していた。

 

 ゲンガーをフィールドに送り出す。同時に、『ステルスロック』の岩がぶつかり、ゲンガーにダメージが入った。だが、かなり集中しているようで、視線がヌメルゴンから離れない。

 確かに、ヌメルゴンの『ぬめぬめ』は強力だが、その絶対的な特性も対処法がない訳ではなかった。『スキルスワップ』を指示して、ゲンガーとヌメルゴンの特性を入れ替える。

 これで、向こうの特性は『ふゆう』になってしまったが、厄介な『ぬめぬめ』は使えなくなった。ヌメルゴンが自身の体に起きた違和感に動揺する。まさか、自分の体がぬめぬめしなくなる日が来るとは思わなかったのだろう。

 

 カルネも一瞬驚いたが、すぐに『りゅうのはどう』で反撃の指示を飛ばしていた。

 しかし、ヌメルゴンの動揺は想定以上だったようで攻撃に移れずにいる。その隙に、ゲンガーに『どくどく』を指示して、ヌメルゴンを猛毒状態に持って行った。これはまずいと、カルネもヌメルゴンを戻そうとするが、『くろいまなざし』で交換を防ぐ。

 その間に、よくも自分のぬめぬめを盗ったなと、ヌメルゴンが怒りの『りゅうのはどう』を仕掛けてくるが、後は逃げ一択である。ヌメルゴンも、ハッサムやピカ様とのバトルでかなりのダメージを受けていたこともあり、そう時間がかからずに猛毒で戦闘不能になってくれた。

 

 これで、カルネも残り二体。数やダメージでは五分になった。とはいえ、こちらはゲンガーが既に三つ技を使っており、リザードンがステロで受けるダメージを考えると完全な五分ではない。

 

 カルネは五体目にパンプジンを出してきた。

 こいつもゴーストタイプを持っているので、『くろいまなざし』は死に技になった訳だ。しかし、パンプジンは『ちょうはつ』を覚えないので、こちらの動きを封殺される心配はない。と、すると、如何にして『どくどく』を当てるかが勝敗のカギを握ってくるだろう。

 

 カルネは『シャドーボール』を指示してきた。本来、パンプジンは物理攻撃力の方が高いので物理技を選択したかったのだろうが、こちらはまだ『スキルスワップ』の効果で『ぬめぬめ』が継続している。

 下手に接近戦を仕掛けて動きを止められれば、また『どくどく』からの耐久戦で倒されかねないと踏んだのだろう。

 

 ゲンガーに回避を指示して、攻撃をかわしながら距離を詰めていく。自分のポケモンの特性に苦しめられる日が来るとは思わなかったようで、カルネも困ったような表情をしていた。

 

 先程、ピカ様が受けたように、自分からくっついても『ぬめぬめ』の効果が発動するのであれば、接近戦をするのがお得である。

 残り技の一つを、『みちづれ』にするか、それとも『れいとうパンチ』にするか悩んでいたが、後ろがひこうタイプを持っているルチャブルであることを考えて、ここは『れいとうパンチ』を指示することにした。

 パンプジンはゴースト・くさタイプなので、こおり技は効果抜群である。タイプ不一致ではあるが、後ろへの一貫性を考えれば、ベストな選択と言っていいだろう。

 

 また、ゲンガーの方がスピードが速いということもあって逃げきれなかった。こうなれば仕方ないと腹をくくったようで、カルネも接近戦に応じてくる。

 だが、ゲンガーの『れいとうパンチ』が直撃する瞬間、『ゴーストダイブ』で姿を消して攻撃を回避してきた。そのまま後ろからダイブしてくるが、当然『ぬめぬめ』の効果でくっついたままになる。

 

 ゴースト技はこちらにも効果抜群なので結構痛い。おまけに、背中にくっつかれると手が届かなかった。仕方ないので、『どくどく』を指示すると、『しんぴのまもり』で状態異常をケアしてくる。

 こうなればどうしようもないので、『スキルスワップ』で互いの特性を入れ替えた。これでパンプジンが『ぬめぬめ』、ゲンガーが『ものひろい』になったが、狙い通り特性が入れ替わる一瞬だけ『ぬめぬめ』が解除されたようでゲンガーが脱出している。

 

 パンプジンは再び、『ゴーストダイブ』で姿を消していく。ゲンガーも次は背後を取られないように後ろを警戒していた。

 しかし、今度は真正面から仕掛けてきたようで、ゲンガーが攻撃を回避してカウンターで『れいとうパンチ』を顔面にお見舞いしている。どうも、近接の捌き方はエビワラー先生直伝のようで、なかなか様になっていた。

 

 しかし、当然、ダメージを与えると同時に、『ぬめぬめ』が発動してゲンガーの拳がくっついたままになる。

 が、再び『スキルスワップ』で特性を入れ替えて、一瞬だけ粘着を解除し、脱出していく。今までこんなにバトルで『スキルスワップ』を多用したトレーナーは俺が初ではないだろうか?

 

 そのまま『れいとうパンチ』と『スキルスワップ』の連打で、コンパクトに攻撃を当てていくものの、ゲンガーはそこまで近接攻撃力が高い訳ではない。『れいとうパンチ』を二発入れて、ようやく『れいとうビーム』一発分といった所だ。

 おまけにパンプジンは物理耐久が高いので、倒し切るまで時間がかかるのが難点だった。途中、カルネも『ゴーストダイブ』を上手く使って攻撃を回避しようとするが、一度見せた避け方がそう何度も通用すると思われたら困る。

 

 これまでの回避の仕方から、次の出現位置は予測できたので、カウンターで『れいとうパンチ』を打ち込む。

 いくらゲンガーの攻撃力が低くても、こうまで連続で殴られればダメージも大きいようで、パンプジンが苦しそうにたたらを踏んでいた。

 

 次の一撃でKOだ――と、思ったその瞬間、カルネがまたも『みちづれ』を指示して、パンプジンが倒れると同時にゲンガーを戦闘不能にしてくる。

 正直、最後の技を残していたのは気づいていたので、だろうなとは思っていた。こちらに技の余裕があれば、『ちょうはつ』も入れられたが、流石にそんな余裕はなかったし、こればかりは仕方ない。

 

 これでお互いに最後の一体になった。当然、こちらはリザードンを送り出す。ステロのダメージで体力を半分にされるが、まだきずな現象も残しているのでどうにでもなった。

 この体力を削り切られる前に、相手のルチャブルを戦闘不能に持って行く自信はある。さぁ、どうするとばかりにカルネを睨みつけると、向こうも覚悟を決めたように最後の一体を出してきた。

 

 出てきたのは予想通りルチャブル――ではない。

 

 馬を思わせる白い体に、青の尻尾、赤いたてがみ。そして、その覚悟を表す剣のような青い角。

 間違いない、ケルディオだ。

 あのポケモン映画で一番面白くないと有名な『キュレムVS聖剣士ケルディオ』の主役ポケモンとしても有名なケルディオさんである。

 

 どうやら、映画の個体とは別のようで、言葉を話すような素振りはないが、明らかに強そうだった。

 こちらもミュウツーという伝説を使っている以上、相手が幻のポケモンを使って来ようと文句はない。文句はないが――

 

「最後の最後にそれはズルだろ」

「切り札は先に見せるな。見せるなら奥の手を持て――だったかしら?」

 

 俺がシロガネ大会でシゲルに言った蔵馬のセリフを返された。まさにその通りなので言い返すことも出来ない。

 くっそー、この感じからして、カルネは俺のことをしっかり研究してやがる。途中のステロからもしかしたらと思ったが、最後にリザードンを残していたのも読んでいたんだ。俺も前世の記憶からカルネの手持ちを読み切っていたつもりだったが、まさかこんな切り札を隠し持っているとは思わなかった。

 

 カルネとケルディオとかポケマスじゃねーか!

 

 

 

 




 原作との変化点。

・ぬめぬめ地獄。
 作者が思った以上にヤバい特性になってしまった。途中、対処法が無さ過ぎてゲンガーが詰んだかと思うレベルだった。スキルスワップは神ワザ。

・ケルディオが現れた。
 ちょっと原作の手持ちだけだと、バトルの盛り上がりに欠けるのでポケマスから連れてきた。ルチャブルの出番はゲットするまでお預けになった。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.60

 ピジョット Lv.55

 バタフリー Lv.55

 ドサイドン Lv.59

 フシギダネ Lv.56

 リザードン Lv.60

 ゼニガメ  Lv.56

 キングラー Lv.55

 カモネギ  Lv.55

 エビワラー Lv.56

 ゲンガー  Lv.56→57

 オコリザル Lv.56

 イーブイ  Lv.55

 ベトベトン Lv.55

 ジバコイル Lv.55

 ケンタロス Lv.55

 ヤドラン  Lv.54

 ハッサム  Lv.56

 トゲキッス Lv.53

 プテラ   Lv.56

 ラプラス  Lv.54

 ミュウツー Lv.72

 バリヤード Lv.55

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.53

 カビゴン  Lv.51

 ニョロトノ Lv.51

 ヘラクロス Lv.50

 メガニウム Lv.50

 マグマラシ Lv.50

 ラティアス Lv.46

 ヘルガー  Lv.50

 ワニノコ  Lv.50

 ヨルノズク(色違い) Lv.50

 カイロス(部分色違い) Lv.50

 ウソッキー Lv.49

 バンギラス Lv.58

 ゴマゾウ  Lv.46

 ギャラドス(色違い) Lv.48

 タマゴ 何が生まれてくるのかな? 生まれるまでまだまだ時間がかかりそう





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#103 『これだからバトルはやめられねーんだ』

 12歳 β月τ日 『これだからバトルはやめられねーんだ』

 

 ケルディオは前世だと、お世辞にも強いポケモンではなかった。幻の中では珍しいみず・かくとうの特殊アタッカーだが、特性の『せいぎのこころ』が死に特性なのが一番の問題である。

 この『せいぎのこころ』という特性、名前こそ格好いいが、あくタイプの技を受けると攻撃が一段階上がるというもので、前記の通りケルディオは特殊アタッカーなので攻撃の種族値が低くて噛み合わないのだ。

 

 おまけに、素早種族値も108、特攻も129とそこそこ優秀なのだが、特殊型の癖にレベルで使える技の大半が物理技であり、さらにみずタイプの癖に『れいとうビーム』を覚えないので、同じ禁伝のドラゴンに強く出られない。こいつを使うくらいならザシアンかムゲンダイナ使うわというようなレベルで、バトルでもあまり姿は見なかったくらいには残念なポケモンなのだが――それはあくまで前世の話である。

 

 アニポケ時空であるこの世界では、伝説や幻のポケモンというのはとてもレアであり、持っているだけでヤバいくらいのアドバンテージになるのだ。

 仮に特性が死んでいても、それを覆すだけのポテンシャルがある。また、ケルディオは種族値配分に無駄がないので、バランスが良くてとても強い。前世では型がバレるだけと笑われた覚悟の姿も、この世界ではキュレムに認められるだけの力を持っているという証だった。

 

 結論を言おう。

 

 映画では鼻で笑うレベルのケルディオさんだが、この世界では舐めたら瞬殺される。さらに、悪いことに、ステロのダメージでリザードンの体力が半分になっているので、みず技を受けたら終わる危険があった。もはや、開幕からきずな現象全開で行くしかないのである。

 

 リザードンと気持ちを一つにし――絆を結ぶ。

 

 灼熱色の肌、炎の四枚羽、龍王に相応しい姿へと変化する。また、タイプがほのお・ドラゴンになったことで、みずタイプの技が等倍になった。

 逆にこちらもひこう技がタイプ一致で使えなくなったが、その分はパワーで押し切る。制限時間は約五分。この五分間でケルディオを戦闘不能に持って行けば俺の勝ちだ。

 

 きずなリザードンが、ケルディオとの距離を詰めながら拳に雷を宿す。『かみなりパンチ』だ。みずタイプであるケルディオの弱点を突きつつ、得意の接近戦に持ち込んでいく。

 

 対するカルネも、『みずのはどう』と『しんぴのつるぎ』の合わせ技で対抗してきた。『しんぴのつるぎ』はケルディオの専用技で、相手の特殊防御ではなく、防御の能力値でダメージ計算をするかくとうタイプの特殊技だ。

 この技はケルディオの角で攻撃をするので、一見物理技に見えるかもしれないが特殊技である。そんな特殊技に、『みずのはどう』で作った水を纏わせていた。自慢の角を覆うように水が剣を形作っている。

 

 きずなリザードンの拳に合わせるように、剣が振り下ろされた。こちらはタイプ不一致だが、向こうの使っている技は両方タイプ一致ということもあって、『かみなりパンチ』が押し返されていく。

 既に体力が半減している今、これ以上の大ダメージは避けたい。きずなリザードンに拳を引かせ、剣をかわして距離を取る。後少し無理に踏み込んでいたら、おそらくダメージは避けられなかっただろう。

 

 タイプ一致の『ドラゴンクロー』でもあれを返せるかは怪しいので、ここは素直に『りゅうのはどう』で遠距離攻撃を仕掛けていく。

カルネも『ハイドロポンプ』で反撃してきた。

 だが、向こうの方が威力が高いようで、波動がかき消されていく。やはり、ケルディオの特殊攻撃力はかなり高く、きずなリザードンをもってしても遠距離攻撃では有効打を与えられそうになかった。

 

 このまま続けても押し返されるだけなので、ギリギリで回避に移る。『ブラスターバースト』なら、もしかしたら通じるかもしれないが、あの技は発動までに少しタメがいる上、絶大な威力の代わりに反動が大きい。

 相手はみずタイプな上にノーダメージだし、ワンチャン凌がれたらその時点でゲームオーバーなので、トライする気にはなれなかった。

 

 しかし、きずな化も無限に続けられる訳ではない。大体五分が限界と考えると、残された時間は三分半といった所だろう。

 無理をすれば、もう少し長くなるかもしれないが、前のように暴走する危険も出てくるのであまりやりたくはない。できれば、この残り時間で勝負を付けたい所だ。

 とはいえ、互いの特殊攻撃力が互角な以上、遠距離でのやり合いは埒が明かない。やはり、ここは何とかしてあの水の剣をかいくぐり接近戦に持ち込むしかなかった。

 

 多少のダメージは覚悟で再び突っ込んでいく。

 

 しかし、カルネはこちらが接近戦狙いなのを察したようで、再び『みずのはどう』と『しんぴのつるぎ』による水の剣を指示してきた。

 当てれば勝てるという自信があるようで、ケルディオもこちらに突っ込んでくる。素早種族値108は伊達ではないようでかなり早い。が、きずなリザードンはもっと早いのだ。振り下ろされる角を回避しながら、『かみなりパンチ』をボディにお見舞いしていく。

 

 ようやくまともな攻撃を入れられたが、ケルディオは怯まずに、振り下ろした角を横に一閃してくる。

 飛び上がって横なぎの一撃を回避。そのまま再び『かみなりパンチ』を連打していく。ケルディオは四足歩行タイプのポケモン故に、殴り合いは不利だ。頭の角にさえ気を付ければ有利は取れる。

 

 そうして追撃で二~三発ほど連続で『かみなりパンチ』を決めていくと、カルネも水の剣を解除し、『アクアジェット』を指示してきた。先制技がボディに決まり、ダメージでリザードンが顔をしかめる。

 大技は当たらないと判断して小技で翻弄する策に切り替えてきたようだ。みず技は等倍だが、そのままゼロ距離『ハイドロポンプ』でリザードンが吹っ飛ばされていく。

 

 ぐっ、ダメージが大きい。追撃に撃たれた『ハイドロポンプ』を『りゅうのはどう』で相殺しつつ、再び距離を詰めていく。

 が、今度は『アクアジェット』での高速戦をメインにしつつ、隙を見て技を入れるスタイルに切り替えたようで、『かみなりパンチ』が当たらない。

 ならばと、『ほのおのうず』で動きを止める。

 ほのお技は効果が今一つなので、すぐに拘束は解除されるだろうが、一瞬でも動きを封じられればそれでいい。残り時間と体力も少ないし、このまま相手に合わせて戦うのは危険だ。もう『ブラスターバースト』で決めるしかなかった。

 

 リザードンが上空へ飛び上がり、五つの炎をチャージしていく。

 カルネも『みずのはどう』で『ほのおのうず』を鎮火させると、こちらが大技のモーションに入ったのに気付いたようで、また『みずのはどう』と『しんぴのつるぎ』の水の剣を作って迎撃の構えを取った。

 

「決めるぞ! 『ブラスターバースト』!!」

 

 究極技の五連射が、ケルディオに向かって順次発射されていく。ケルディオは角の剣を振ることで、炎を相殺させてきた。

 そのまま続けて、二発、三発と相殺するも、水は蒸発し剣が消える。四発目が届く――と、思ったが、『ハイドロポンプ』で無理やりに威力を抑えてきた。しかし、当たってはいる。また、五発目は防ぎきれなかったようで完全に直撃した。

 

 くそ、ダメだ。おそらく倒せていない。

 

 だが、このまま地上に降りれば狙い撃ちにされるので、上空で反動が切れるまで粘るしかなかった。

 しかし、そんなこちらの狙いを読んだかのように、『ハイドロポンプ』が爆煙の中から発射される。動けないリザードンに直撃し、きずな現象が解除されて落下していく。

 

 見れば、ケルディオはまだ立っていた。

 

 ダメージは大きいが、動けないほどではないようで、また『みずのはどう』と『しんぴのつるぎ』による水の剣を作ってこちらにとどめをさそうとしている。

 リザードンはきずな状態で攻撃を受けたのは幸いしたようで、ギリギリ戦闘不能にはなっていなかった。元の姿に戻ってしまったが、まだ戦えると体を起こしている。

 

 だが、もうこちらは体力が残っていない。水の剣どころか、『アクアジェット』の一撃で戦闘不能になってもおかしくなかった。

 しかし、カルネは確実にこちらを倒すために、必殺の一撃を入れようとしている。ぶっちゃけ、突進系の攻撃である『アクアジェット』なら、『ほのおのうず』からの『かみなりパンチ』をワンチャン狙えるが、あの水の剣だと『ほのおのうず』ごと切り裂いてくるだろう。

 遠距離からの攻撃をしてこないのは、おそらくもう『ハイドロポンプ』のPP切れだ。五発使ったのは確認している。

 

「『アクアジェット』で突っ込んでこないんですか? 今のリザードンならワンパン出来ますよ」

「『ほのおのうず』からの『かみなりパンチ』が来たら、こっちももう持たないのよね。悪いけど、確実に決めさせて貰うわ」

 

 やっぱ、バレてるか。

 そして、予想以上にケルディオも余力がないらしい。まぁ、『かみなりパンチ』を複数回入れて、『ほのおのうず』のミリダメから『ブラスターバースト』が二発(一発は軽減)当たっているので不思議ではない。

 

 ならば、一か八か。こちらも覚悟を決めるしかなかった。

 

 ケルディオが真っすぐ突っ込んでくる。そのまま右上から振り下ろすように水の剣をこちらにぶつけてきた。

 ここだ。一瞬で、再びきずな現象を発動させる。ダメージできずな現象は解除されたが、限界が来たとは言っていない。まだギリギリコンマ数秒だけなら、きずな化するだけのパワーがあった。

 そのまま、ケルディオの水の剣を白刃取りで受ける。同時に、きずな化は解除されたが、十分だ。剣を横にずらし、『りゅうのはどう』で一気にとどめを刺す!!

 

 カルネは咄嗟に、水の剣を解除し、『みずのはどう』で迎撃を選択した。『りゅうのはどう』と『みずのはどう』がぶつかり合い、その場で大爆発を起こす。

 向こうは威力60の技だがタイプ一致で威力90になっており、こちらはタイプ不一致威力85技ということで、威力はほぼ互角になっていた。『ブラストバーン』の方が良かったとも思うかもしれないが、究極技はその威力故に発射までにほんの少しタメがいるので、技の速度的におそらく『りゅうのはどう』でなければ間に合わなかっただろう。

 

 再び爆煙で何も見えなくなっていたが、煙が晴れるとリザードンは倒れていた。対するケルディオは何とか立っている。足を震わせて限界ギリギリのようだが、それでもケルディオの勝ちなのは一目瞭然だった。

 俺のポケモンが全て戦闘不能になったことで、この試合の勝者としてカルネの名前が宣言される。

 

 ――負けた。

 

 ステロのダメージがなければ、もっといいバトルが出来たか? いや、伝説は意味不明な耐久力があるし、ケルディオもまだまだ戦えただろう。

 素直に、最後がケルディオでなければ勝てた――と、いうのは言い訳だな。俺もミュウツーを使っている以上、条件は五分だ。純粋に、カルネの方が一枚上手だったというだけのこと。

 

 カルネが握手を求めながら、「紙一重の勝負だったわね」と、言ってきたので「随分と、分厚い紙一重だ」と返す。

 別にネタでも何でもなく、純粋にカルネの方が強かったのがわかったのだ。仮に、俺がミュウツーを使わず、向こうがケルディオを使っていなかったとしても、負けたのは俺だっただろう。

 

 チャンピオンリーグベスト10。中途半端な成績で終わってしまったな。

 

 フィールドから控室に戻ると、シゲルがいた。「負けたぞ」というと、「僕と君じゃ試合内容が違う」と謙遜している。

 違わないさ。俺も、お前も、まだまだ未熟なんだ。「これだからバトルはやめられねーんだ」と笑うと、シゲルもようやく「ああ、そうだな」と笑みを浮かべた。

 

 これからどうするのか聞いてみると、シゲルはカロスの方に向かうつもりらしい。おそらく、カメックスをメガシンカさせるつもりなのだろう。その上で、カロスのポケモンをゲットし、研究し、来年のチャンピオンリーグを制覇するのが目標のようだ。

 

「ポケモンの研究は、バトルをしながらでも十分出来る」

 

 そう言ったシゲルの顔は覚悟を決めた男の顔をしていた。

 

 対する俺はどうするか。原作ならホウエン地方に行くが、これから後三年はチャンピオンリーグへの出場権があるので、もうジム戦をする必要性はない。

 だが、ホウエンのポケモンをゲットしたい気持ちはあった。特にボーマンダが欲しい。俺はマンダさんがホウエンで一番好きなのだ。他にも、メタグロスやサーナイトなんかもいいな。ホウエンのポケモンは結構好きだし、手持ちを増やしたい気持ちはある。しかし、育成が追いつかないことを考えると、これ以上手持ちを迂闊に増やすのはどうかとも思う。

 

 どうするか。

 

 悩んでもすぐに結果は出そうにないので、とりあえずシゲルと別れてシロナに挨拶に行くことにした。VIP室に向かおうとしたのだが、途中シロナがこちらに向かって歩いてくるのを見つける。

 どうやら、向こうも俺に会いに行こうとしていたらしい。改めて、「力及ばず、いい結果を出せずにすみませんでした」と頭を下げる。対するシロナは「初めての挑戦でチャンピオンリーグベスト10はいい成績じゃなかったか」と苦笑いを浮かべていた。

 

 俺からすれば、シロナの特訓を受けた以上は、優勝以外に意味はなかったと考えている。そんな俺の考えに気付いたシロナは下手に慰めの言葉をかけるのは止めにしたようで、「次は優勝してみせなさい」と力強い言葉を送ってくれた。

 当然、答えは「やぁってやるぜ!」である。

 そのまま、これからどうするのか聞かれたので、とりあえずチャンピオンリーグは見ていくと返す。その後はホウエンにでも向かうつもりと話すと、「じゃあ、丁度良かった」と、手を合わせている。

 

 丁度良かった? と、首を傾げていると、「ホウエンのデボンコーポレーションって所にお使いに行ってほしいのよね」と、どこからか荷物を出してきた。

 デボンコーポレーションというのは、確かポケナビをくれる場所だったような記憶があるが――と、考えていると、シロナが「これがお駄賃ね」と、そのポケナビを渡してくる。

 

「期限はないから、どこかのついでで寄ってくれればいいわ。そのポケナビには私の連絡先も入れてあるから、何かあったら連絡して」

 

 とりあえず、了解を返した。シロナには恩があるし、この程度のお使いなど手間の内にも入らない。

 こうして、ホウエンに行く(予定)は確定事項となり、次の春にホウエン地方に行くことになった。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・カルネが勝った。
 純粋にしっかり対策された。原作の時間軸に追いついた時にはもっと強くなっている予定。

・シゲルが吹っ切れた。
 アニメを見ていて、シロナが負けた時に似たようなことを言っていて少し驚いた。

・ホウエンに行くことになった。
 原作通り。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.60

 ピジョット Lv.55

 バタフリー Lv.55

 ドサイドン Lv.59

 フシギダネ Lv.56

 リザードン Lv.60→61

 ゼニガメ  Lv.56

 キングラー Lv.55

 カモネギ  Lv.55

 エビワラー Lv.56

 ゲンガー  Lv.57

 オコリザル Lv.56

 イーブイ  Lv.55

 ベトベトン Lv.55

 ジバコイル Lv.55

 ケンタロス Lv.55

 ヤドラン  Lv.54

 ハッサム  Lv.56

 トゲキッス Lv.53

 プテラ   Lv.56

 ラプラス  Lv.54

 ミュウツー Lv.72

 バリヤード Lv.55

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.53

 カビゴン  Lv.51

 ニョロトノ Lv.51

 ヘラクロス Lv.50

 メガニウム Lv.50

 マグマラシ Lv.50

 ラティアス Lv.46

 ヘルガー  Lv.50

 ワニノコ  Lv.50

 ヨルノズク(色違い) Lv.50

 カイロス(部分色違い) Lv.50

 ウソッキー Lv.49

 バンギラス Lv.58

 ゴマゾウ  Lv.46

 ギャラドス(色違い) Lv.48

 タマゴ 時々動いているみたい。生まれるまでもうちょっとかな?




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#104 『おニューサトシ』

 12歳 β月ω日 『あざーっす!』

 

 結局、カルネがチャンピオンリーグを制覇した。

 しかし、俺との試合の後も、実力者が多く、仮に俺がカルネに勝って次の試合に行ったとしても負けていたと思える試合が多かった。こうして見ると俺は本当にくじ運に恵まれていたらしい。

 カルネはカロス地方の四天王リーグに挑戦希望を出すようで、シゲルは「もし、彼女がカロス地方の四天王、もしくはチャンピオンになるようなら、来年は僕もカロス地方の四天王リーグに挑戦する」と目標を決めたようだった。

 

 俺は俺でさっさとマサラタウンに帰ることにする。帰りにシロナに挨拶に行くと、「シンオウの四天王リーグのチケット送っておくから見にいらっしゃい」と言うので、来月の四天王リーグを見に行くことになった。あざーっす!

 

 

 

 12歳 γ月ζ日 『ただいま!』

 

 シンオウから真っすぐ帰ってきた。ミュウツーが『テレポート』で家に帰るように提案してくれたが、歩きたい気分だったので歩いて帰ってきている。

 家でママさんに挨拶を済ませると、すぐにオーキド研究所に向かう。どうやらみんな待っていてくれたようで、俺が顔を見せると、一目散に集まってきた。ただいま!

 

「チャンピオンリーグはベスト10で負けた。俺の力が及ばなかった結果だ。でも、まだまだ強くなれるってことでもある。次は絶対に優勝するぞ!」

 

 ポケモン達も気合十分とばかりに声を上げている。

 とりあえず、今後の予定として、一週間後に始まる四天王リーグを見に行ってからホウエン地方を旅しに行くことをみんなに話す。

 基本的にはジョウトと同じく、向こうのポケモンの育成をメインにするつもりだが、地方リーグに参加しないつもりなので、ある程度の旅を終えたら帰って来る予定である。

 また、今までと同じく、力を借りる時は遠慮なく借りるから準備を怠らないように言っておく。やる気は十分あるようで、みんないつでも呼べと言わんばかりの態度だった。

 

 

 

 12歳 γ月θ日 『これもまたラティである』

 

 カスミさんとタケシが久しぶりに会いに来た。チャンピオンリーグの放送を見てくれたようで、良いバトルだったと言ってくれる。

 とりあえず、シロナに貰ったポケナビに二人の連絡先を入れることにした。また、春からホウエン地方に行くことを話す。カスミさんはジムが忙しくてやはり一緒には行けないと残念がっていたが、タケシはもしかしたら行けるかもと言っていた。

 

 まだわからないので、行けそうなら合流すると約束をすると、そういえばと二人がラティの姿を探している。

 実はラティはシンオウ地方から帰ってきた後、ポケモンとしてバトルの特訓をしているのだ。今も、技を覚えるつもりのようで、みんなに教えを受けて回っている。

 

 何だかんだ妹分のラティが一生懸命なので、みんな触発されて気合が入っていると話すと、カスミさんが「あのラティがねぇ」と意外そうな顔をし、タケシは「やっぱり、ラティもポケモンなんだな」と納得していた。

 

 しかし、練習の時間は午前中だけなので、午後はいつものようにカノンの姿になって、カスミさんやタケシにくっついている。これもまたラティである。

 

 

 

 12歳 γ月λ日 『これが目に入らぬか!』

 

 シロナからチケットが届いたので、シンオウ地方の四天王リーグを見に来たのだが、まさかのVIP席だった。

 シロナ以外の四天王もいるようで、ニューサトシが気弱だったら心臓発作を起こすレベルである。とはいえ、ドラゴンの心臓を持つニューサトシがそんなのにビビるはずもなく、ラティを連れて普通に入室し、一番いい席に座った。

 

 何か文句を言いたげな大人にはシロナチケットを見せつけて黙らせる。ニューサトシは使える権力は遠慮なく使うタイプなのだ。

 

 権力をこれでもかと見せつけて遊んでいると、どうもシロナから話を聞いていたらしいシンオウ四天王のオーバが、「こりゃ、随分イキのいいガキじゃねーか」と笑って近づいてくる。

 これから始まるのはシロナとゴヨウの試合なので、残りの四天王はここにいるらしく、オーバの後ろからキクノやリョウもこちらに寄ってきた。

 

 いつもは口うるさい大人ばかりいるせいで息が詰まるらしく、オーバやリョウは子供のニューサトシやラティに優しくしてくれる。気さくな兄ちゃん達という感じだ。

 キクノはニューサトシを見て、「ふてぶてしい所が師弟そっくり」と笑っていた。そんなに似ているとは思わないが、どうもシロナの昔の雰囲気にそっくりらしい。「あの子も大きくなったわねぇ」としみじみ呟いていた。

 

 シロナとゴヨウの試合は、当然ながらシロナが勝っている。アニメでもサトシ君に負けるまでは無敗の女王だったのだ。ここで負けるはずがない。

 お菓子やらジュースやらを貢物のように貰いながら、ニューサトシはラティと一緒に試合を見ていたが、やはり四天王のレベルは数段違うのが良くわかった。

 

 試合後、シロナがVIP席に来ると、王様のようにもてなされているニューサトシを見て、何故かぷくーっと頬を膨らませている。「ちゃんと見てた?」と不機嫌そうに聞いてきたので、開幕のバトルの流れから使った技、その時のシロナの思考まで推測すると、「見てたのね、ごめん」と素直に謝ってきた。そりゃ、見ますよ。

 

 オーバはそんなシロナを見ながら大爆笑しており、リョウも口を押えて笑っていた。

 馬鹿にされたように感じたらしく、シロナがプイっとそっぽを向くと、回り込んでいたキクノが「お疲れ様」とジュースを手渡している。小さく「ありがと」とお礼を言って受け取る辺り、完全にお子様扱いだな。どうも、似ていると言われたのがわかったような気がした。

 

 

 

 12歳 γ月τ日 『さて、そろそろ行くかぁ』

 

 結局はシロナがチャンピオンを防衛した。何だかんだいい勉強になったということで、マサラタウンに帰ることにする。

 チャンピオンを防衛したことでシロナもマスコミに追われているらしく、忙しくて直接会えそうになかったので、とりあえずポケナビで『おめでとう』と送ると、『ありがと。サトシ君も、ホウエン地方の旅頑張ってね』と返事が来た。

 

 頑張るさ。そろそろ丁度いい季節だしな。

 

 今回連れていくメンバーは、前回同様にピカ様、ゴマゾウ、赤いギャラドス、ゼニガメ、ワニノコはもう決めていた。残りは行きたい奴からまた抽選で決めるつもりである。ミュウツーとラティはいつも通り特別枠なので、メンバーの中には入っていない。

 

 勿論、ホウエン地方のポケモンを捕まえたらゼニガメやワニノコはこっちに戻すだろうが、シロナとの特訓でも進化しなかったし、そろそろ本気で進化について考えないとな。

 

 

 

 12歳 γ月χ日 『孵ったわ』

 

 マサラタウンに帰ると、シロナから貰ったタマゴが孵った。生まれたのはヒンバスである。この世界では一番みすぼらしいポケモンとして人気がないが、こいつがミロカロスに進化することを知っているニューサトシは大喜びでヒンバスをお迎えした。

 ヒンバスも生まれながらに自分があまり人ウケしないポケモンだと思い込んでいたようで、お祭り騒ぎのニューサトシを見て驚いた様子を見せている。多分、タマゴの時に何か言われたのかもしれない。ヨーギラスもそうだったが、タマゴの記憶は意外と生まれたポケモンの性格にも関係してくるからな。

 

 とはいえ、進化条件がわかっている上に、確定で進化させられるみずタイプなどニューサトシにしては大歓迎の存在だ。

 ヒンバスの進化条件は、きれいなウロコを持たせて通信交換で進化するか、うつくしさを170以上にしてレベルを上げることで進化する。きれいなウロコなどないので、うつくしさを上げる方針で行くことにした。

 

 丁度これからホウエンに行くし、ポロックの作り方を勉強して限界まで美しくさせまくってやる。

 困ったような顔をしているヒンバスだったが、ニューサトシが本気で自分を迎え入れてくれているとわかると、ようやく控えめな笑みを浮かべてくれた。

 

 

 

 12歳 γ月ψ日 『新たな妹分』

 

 どうも、ヒンバスは♀のようだ。新たな妹分が出来たラティが嬉しそうにヒンバスのお世話をしている。

 トゲ様はラティに会った時にはもう進化していたし、ゴマゾウはあれで結構兄貴肌なので子ども扱いされるのを嫌がるきらいがあった。おまけに、ヨーギラスはかなり繊細な子だったのでラティも構えずにいたということもあり、しっかりとした子供として扱えるのが嬉しいらしい。

 

 ヒンバスはヒンバスで、こうも優しくされるとくすぐったい気持ちになるようで、困ったような嬉しいような笑みを浮かべている。

 ゴマゾウも新たな妹分を可愛がっているようだが、相手がみずタイプな上、女の子が相手だとやりづらいのか、ラティに後を任せるぜというような感じで遠くから後方兄貴面していた。

 

 とりあえず、明日にはもうホウエンに出かけるつもりなので旅の準備をしていく。

 結局、連れていくのはピカ様、ゴマゾウ、赤いギャラドス、ゼニガメ、ワニノコに、ニューフェイスのヒンバスに決めた。勿論、定期的にポケモンは入れ替えるし、向こうでゲットしたポケモンを優先的に育てるつもりだが、しばらくはこのメンバーで行こうと思う。カメワニコンビはさっさと進化してくれ。

 

 

 

 12歳 γ月ω日 『おニューサトシ』

 

 いざ、ホウエンに旅立つぜと気合を入れて起きると、おニューの洋服とリュックが用意されていた。

 AG編でサトシ君が身に着けていたのと同じものだ。どうやら、ママさんが準備してくれたらしい。ついでに、ホウエン行きのチケットも用意してくれていたようで至れり尽くせりである。

 ホウエンへは、以前ヤドンをヤドランに進化させたリゾート地のビンヌから行けるようで、さっさと出かけることにした。ニューサトシの足なら午前中にはビンヌに行けるぜ。

 

 そのままママさんに挨拶をして、サクッとビンヌへ向かおうとしたのだが、オーキド博士が見送りに来て餞別として新しいポケモン図鑑を渡してきた。ホウエン地方のポケモンが登録されているらしいが、正直いらんなぁ。

 

 まぁ、何かの役には立つだろうということで、今度こそビンヌに向かって走ることにした。

 思えば、一人で移動するのも久しぶりである。ちなみに、ラティには今回、船に着くまではボールに入ってもらっている。ラティの足に合わせていたら一日かかる距離だからな。

 

 世が世なら韋駄天の名を付けられたに違いないニューサトシの足によって、昼前にはビンヌに着いた。

 そのまま船に乗ると、ラティを出してやる。無賃乗車のように見えるかもしれないが、まぁラティはポケモンなので料金はかからないからセーフだろう。

 

 とりあえず、ラティにはあまり騒がないように言ったのだが、すぐに「あー!」と大きな声を上げている。

 言ったそばからと思いつつ、ラティの指さす先を見ると、変装したロケット団がこちらを見ているのを発見した。どうやらいつも通りに後をつけて、隙あらばポケモンを奪おうとしていたようだ。

 

 にっこりと笑いながらちょっと電気を発生させて威圧してやると、すぐに自分達はまだ何もしていませんとばかりに、土下座の体勢に入っている。

 ついでに何しに来たのか聞いてみると、どうやらニューサトシがホウエンに行くのと同時に、ロケット団もホウエンに進出することが本部で決まったようで、ホウエン地方で暗躍している組織の調査を命じられたらしい。

 

 マグマ団とアクア団だな。アニメではロケット団本部はあまり奴らと関わらなかったような気がしたが、この世界ではどうなるかわからない感じである。

 

 しっかし、アニメでは結構本部から忘れられているロケット団だが、この世界では意外と命令を受けることもあるようだ。

 まぁ、俺に迷惑をかけないのであれば好きにすればいい。今回は未遂だったということで、見逃してやることにした。だが、襲ってくるようなら海の藻屑にするとだけは言っておく。顔を真っ青にして頷いているので、まず襲ってくることはないだろう。

 

 そうだ。ホウエンと言えば、確かロケット団のアーボックとマタドガスがポケモンハンター絡みで別れる回があったような気がした。

 もうAG編も殆ど記憶が残っていないが、あの回だけは少し悲しかったので思い出に残っている。こいつらもアニメと違って、何故か地方リーグトレーナーレベルになっているので多分大丈夫だとは思うが、一応「ポケモンハンターには気を付けとけ」と忠告しておいた。

 

 よくわからないとばかりに首を傾げているロケット団だが、「いいから気を付けろ」とバリバリしながら言うと、「「「気を付けます(ニャ)!!」」」と返事をしたので良しとしよう。

 まぁ、やはりムサシと言えばアーボック、コジロウと言えばマタドガスだ。アニメだと、制作の都合で別れさせられていたが、別れないことに越したことはないだろう。アーボックとハブネークの蛇コンビを見るのも面白そうだしな。

 

 

 




 原作との変化点。

・シンオウ地方のチャンピオンリーグを見に行った。
 いろいろもてなされた。いい勉強になった。

・タマゴが孵ってヒンバスが生まれた。
 ニューサトシは喜びの舞を踊っている。

・ホウエンに出発した。
 途中で隠れているロケット団を見つけ、ポケモンハンターについて忠告してやった。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.60

 ピジョット Lv.55

 バタフリー Lv.55

 ドサイドン Lv.59

 フシギダネ Lv.56

 リザードン Lv.61

 ゼニガメ  Lv.56

 キングラー Lv.55

 カモネギ  Lv.55

 エビワラー Lv.56

 ゲンガー  Lv.57

 オコリザル Lv.56

 イーブイ  Lv.55

 ベトベトン Lv.55

 ジバコイル Lv.55

 ケンタロス Lv.55

 ヤドラン  Lv.54

 ハッサム  Lv.56

 トゲキッス Lv.53

 プテラ   Lv.56

 ラプラス  Lv.54

 ミュウツー Lv.72

 バリヤード Lv.55

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.53

 カビゴン  Lv.51

 ニョロトノ Lv.51

 ヘラクロス Lv.50

 メガニウム Lv.50

 マグマラシ Lv.50

 ラティアス Lv.46

 ヘルガー  Lv.50

 ワニノコ  Lv.50

 ヨルノズク(色違い) Lv.50

 カイロス(部分色違い) Lv.50

 ウソッキー Lv.49→50

 バンギラス Lv.58

 ゴマゾウ  Lv.46

 ギャラドス(色違い) Lv.48

 タマゴ→ヒンバス  Lv.1 NEW!


 ここで、チャンピオンリーグ編は終了。次回からホウエン編に入っていきます。
 まぁ、次回がいつになるかはわかりませんが、少しずつ書きためていくので、ゆっくりお待ちください。




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ホウエン編
#105 『ピカ様、家出する』


お待たせしました。更新再開します。


 12歳 δ月α日 『ピカ様、家出する』

 

 ホウエン地方に着いた。さて、これからどうするかな――と、思いつつ、とりあえず適当に道なりに進んでいくことにする。

 確か、ゲームだと最初に出てくる街は、ミシロタウンとかいう所で、オダマキとかいう博士が御三家をくれるイベントがあったはずだ。まぁ、ニューサトシは新人ではないのでポケモンは貰えないだろうが、アニメでも出発する場所はゲームと同じだったはずだし、他に行く場所も思いつかないのでサクッとミシロタウンへ向かうことにした。

 

 そのまま道なりに進んでいると、ラティが微妙に音程を外した鼻歌を歌いながらご機嫌に歩いている。

 ピカ様は新たな技として『エレキネット』を習得するつもりのようで、歩きながら『エレキボール』の球をネット状にしようと四苦八苦していた。『ばちばちアクセル』も地味に練習しているが、あれは歩きながらでは練習できないしな。

 

 暇だったニューサトシも試しに『エレキネット』作りをやってみたのだが、これが意外と簡単に出来てしまった。流石のピカ様も人間に技習得の速度で負けるとは思わなかったのか、ショックを受けている。

 

 まぁ、そう気にすんなって、俺が使えても意味ないんだし――と、ピカ様を慰めたのだが、それが逆にプライドを傷つけてしまったようで、ピカ様がプイとそっぽを向いて森の中に入って行ってしまった。

 

 ピカ様が拗ねるなんてそうあることではないのでかなり驚いたが、このまま放置する訳にもいかないのでラティと一緒に森の中へ入って行く。しかし、思った以上に奥に行ってしまったようで姿が見えなかった。

 とりあえず、残っている足跡を追っていく。後から思えば、ミュウツーに頼めば手っ取り早く見つけられたのだが、この時は予想外の出来事に驚いて頭から抜けてしまっていた形である。

 

 途中、足跡が消えていたので、ラティと二手に別れてピカ様を探すことにした。念のためにゴマゾウをラティのボディーガードとして配備し、何かあれば敵を倒すように指示しておく。

 何だかんだゴマゾウもシロナとのトレーニングでレベル50近くになっているし、ゴマゾウなら匂いで俺の場所がわかるので、仮に向こうがピカ様を見つけた場合も合流できるという計算もある。

 

 そのまま、森の中でピカ様を探してみるが、なかなか姿が見つからない。ひこうタイプを手持ちに入れておくべきだったか――と、考えていると、奥の方で何やら人の声が聞こえてきた。

 

 目をこらして見てみると、誰かいるようだったのでピカ様を見ていないか聞きに行こうと思ったのだが、よく見ると木にぶら下がったおっさんがポチエナの群れに囲まれている。

 近くにいる女の子がミズゴロウを出してどうにかしようとしているようなのだが、素人なのか上手く指示が飛ばせていないみたいだった。このままでは危険だが、ここからでは俺のポケモンを出しても距離的に間に合わない。

 

「ミズゴロウ! 一番手前のポチエナに『みずでっぽう』!!」

 

 とりあえず、一番近くにいるミズゴロウにターゲットを取ってもらうために大声で指示を飛ばした。

 人のポケモンだし、言うことを聞いてくれるかどうか怪しかったが、予想外にミズゴロウは指示に応えてくれたようで、すぐに近くのポチエナに『みずでっぽう』を撃ってダメージを与えている。

 

「ミズゴロウ、立ち位置に気をつけろ。囲まれないように距離を取れ」

 

 追加の指示だが、拒否することなく相手の位置を確認して動いてくれた。優秀なポケモンである。

 確か、ミズゴロウの頭のヒレで周りの様子を感じ取るという能力があったはずだ。どうやら、それを上手く使っているようで、指示通りに距離を取って様子を見ている。

 その間に、女の子の前に移動し、ゼニガメとワニノコを送り出す。カントー、ジョウト、ホウエンのみずタイプ御三家が揃った訳だが、出来れば進化しているともっと良かったな!

 

「さて、これで数は並んだわけだ? まだやるか?」

 

 敵のポチエナの数も三体、こちらと並んだ。

 しかし、こちらのレベルの高さが何となくわかったようで、ポチエナ達は逃げるように立ち去って行く。追う必要はない。おそらくだが、ポチエナ達の縄張りに迂闊に入ってしまったが故の敵対行動だろう。こちらがここから出ていけばいずれ落ち着くはずだ。

 

 ゼニガメとワニノコをボールに戻し、ミズゴロウに「ありがとな」とお礼を言う。ミズゴロウも満更ではないようで、照れたような笑みを浮かべていた。

 

 とりあえず、木にぶら下がっているおっさんを助け、あまり無遠慮にポケモンの縄張りに入らないように注意する。

 どうやらフィールドワークに夢中になっていたせいで境界線を見誤ったとのことで、素直にこちらにお礼を言ってきた。

 

 聞けば、このおっさんがオダマキ博士らしい。ってことは、もしかしてこの女の子はハルカか?

 確かに、よく見れば赤い服にバンダナを付けている。成程、今日ポケモンを貰う予定だったのなら、あの素人感も納得が行った。

 

 お礼を言ってくるオダマキ博士に、ピカ様を見ていないか聞いてみる。だが、やはりこの近くでピカ様らしきポケモンの姿は見ていないらしい。

 視線を移してみると、ハルカも見ていないと首を横に振っている。うーむ、こちらではないとすると、やはりラティ達がいる方が正解だったか?

 

 どうするか――と思っていると、少し離れた位置から物凄い轟音と、電撃が空に向かって放たれるのが見える。

 あの電撃の威力は、おそらくピカ様だ。

 無意味な空への攻撃は、おそらく救援信号。何か危険が発生して、俺へ助けを求めている。そう判断し、電撃が放たれた位置へ向かって全力で向かっていく。

 

 オダマキ博士やハルカもただ事ではないとわかったようで、急いで後をついて来ようとしている。普段なら速度を合わせる所だが、今は緊急事態っぽいので悪いが先に行かせてもらうことにした。

 そのまま電撃が放たれたであろう地点へ行くと、いつも通りにロケット団がいて、妙な機械でゴマゾウを捕まえようとしている。

 

 ゴマゾウも、ラティを庇うようにポジショニングを取っているせいで、攻めに転じられていない。カバーのために俺の電撃地獄玉を放つも、どうやらお得意の対電気コーティングをしているようで、地獄玉が反射されて、俺を追ってきたハルカに直撃していた。

 

 ちょっと力を入れすぎたせいか、乗っている自転車まで黒焦げになってしまったが、俺しーらない。

 

 それに、そんなことを言っている場合ではなかった。対電気コーティングとは、ロケット団も面倒くさいことをしてくれるものだ。

 おそらく、電気が効かないから万が一に備えてピカ様も俺を呼んだのだろう。自分のプライドよりも仲間を迷わず取る辺り、ピカ様の優しさが感じられた。

 

「「「ゲッ、ジャリボーイ!?」」」

 

 どうやら電撃が放たれたことで、俺が追いついてきたことに気付いたようだ。さて、お前ら、いつも通りのお仕置きタイムだぞ。

 ゼニガメ、ワニノコ、ギャラドスとみずタイプを全員出して『ハイドロポンプ』三連撃でサクッとやなかんじーにしてやる。電気が効かないのなら、電気以外で倒せばいいじゃない!

 

 そんなこんなでロケット団を追い返し、ピカ様と合流した。プライドを傷つけてしまったのを謝ると、ピカ様ももう気にしていないとこちらに電撃を飛ばしてくる。

 傍から見ると反抗されているように見えるかもしれないが、電撃の効かない俺からすると挨拶みたいなものだ。俺も電撃をピカ様に返し、これでピカ様の家出も一件落着である。

 

 

 追記。その後、ハルカは初心者用ポケモンとして原作通りにアチャモを貰っていた。今にして思えば、ミズゴロウが俺の言うことを聞いたのは、まだトレーナーが決まっていなかったということも大きかったのかもしれないな。

 

 

 

 12歳 δ月β日 『ルリリ! ゲットかも?』

 

 俺が自転車を壊してしまったこともあり、何だかんだハルカと一緒にコトキタウンに向かうことになった。

 ラティが新たな旅の仲間に大喜びしており、「ハルカ!」と名前を連呼している。ハルカも、見た目の割に精神年齢が低いラティに最初は戸惑っていたが、すぐに慣れたようで仲良くしてくれた。もうちょっと仲良くなったら正体を教えて世話役を頼むのもいいかもな。

 

 歩いている途中、ハルカが野生のルリリを見つけて、「可愛いかも! 欲しいかも!」と言っている。だが、いきなりボールを投げつけようとするので、流石にバトルでダメージを与えた方がいいとアドバイスをした。

 

 ハルカも素直にアドバイスを聞いたようで、アチャモを出してルリリにバトルを挑んでいる。

 しかし、ハルカもアチャモもまだ初心者ということもあって、上手くバトルが出来ずにルリリに逃げ回られていた。見ていられないので、仕方なくバトルの基本を教えてやることにする。

 

 簡単なレクチャーをしながら、攻撃のタイミングや動きを指示してやると、アチャモがルリリを追い詰めていく。

 まぁ、俺からすればお粗末な動きとしか言えないが、よく考えなくてもこれが普通なんだよな。俺の初ゲットの時はピカ様が反抗期だった上、ポッポを捕まえてピカ様を逃がそうとするくらいには余裕があったが、普通の初心者トレーナーはバトルするのもゲットをするのも四苦八苦するものだ。

 

 と、少し昔を懐かしんでいると、ルリリの援軍としてルリリの進化系であるマリルとマリルリがやってきた。

 流石にまだレベル5のアチャモじゃ、相性の悪いマリルやマリルリを相手にするのは辛いだろうということで、ピカ様にお願いして一対一で戦える状況を作ってもらう。

 

 ピカ様がルリリと他二体の間に『10まんボルト』を飛ばして相手を分断する。そのまま、マリルリとマリルの意識を自分に向けるためにピカ様が前に出ようとしたのだが、その瞬間草むらの中から新たなポケモンが飛び出してきた。

 

 援軍か――と、思ったが、よく見るとオダマキ博士を助ける時に一緒に戦ったミズゴロウである。どうしてここにいるんだ?

 ピカ様もどうすれば良いか分からず、こちらを見てくる。が、俺もどうすればいいかわからなかった。対するミズゴロウは、早く指示を飛ばせと言わんばかりに、俺に向かって声をかけてくる。

 

 良く分からんが、とりあえずミズゴロウに指示を飛ばして当初の予定通りにマリルリとマリルを、ルリリから分断していく。ピカ様も困惑しつつも、ミズゴロウのサポートに回っていた。

 ハルカの方を見ると、俺のアドバイスに従ってアチャモでルリリを追い詰めている。アチャモも頑張ったこともあり、ルリリは大分ダメージを受けていた。そろそろ、ボールの投げ時だろうということで、緊張した様子のハルカに「今だぞ」と声をかける。

 

 ハルカがボールを投げると同時に、ピカ様とミズゴロウもマリルとマリルリをダウンさせたようでこちらに合流してきた。

 ボールが数回左右に揺れ、赤いランプが点滅する。ゴクリと喉を鳴らしてボールを見ていたハルカだが、カチっという音と同時にボールが止まると大喜びで飛び上がった。

 

「ルリリ、ゲットかも!」

 

 いろいろ問題は起きたが、何とかゲットには成功したな。そのまま、初ゲットの感動を味わっているハルカと、一緒になって喜んでいるラティを見ながら、足元に居るミズゴロウをどうするか――と、考えて、ふと思った。

 

 あれ、ハルカってルリリなんてゲットしたっけ? もしかして、ここはゲットを失敗させなくてはいけないイベントだったりしたか?

 

 うーむ。

 

 まぁ、いいか!

 

 

 

 12歳 δ月β日 『ミズゴロウが仲間になった。テッテレー』

 

 コトキタウンのポケモンセンターで、ミシロタウンにいるオダマキ博士に連絡を取った。

 すると、やはりミズゴロウがいなくなったようでドタバタしている。とりあえず、ミズゴロウが俺の所にいると話すと、一安心したようでオダマキ博士がすぐに迎えに行くと言ってくれた。

 しかし、それを聞いてミズゴロウは嫌だと言わんばかりに俺に抱きついてくる。うーむ、どうもオダマキ博士を助けた時に指示を飛ばしたせいか、俺をトレーナーだと思ってしまったのかもしれん。

 

 オダマキ博士も、ミズゴロウがここまで俺に懐いているのならと、ミズゴロウを俺に連れて行って欲しいと言ってくれたので、有り難くミズゴロウを預かることにした。

 そのままオダマキ博士の研究所からミズゴロウのボールを送って貰う。手持ちが七体になってしまったので、とりあえずゼニガメをオーキド研究所に戻すことにした。ただ、ゼニガメには「お前、進化させたいから、そのうち呼び戻すからな」と言っておく。

 

 別に進化したくなくて進化しない訳じゃないのはわかっているので責めるつもりはないが、そろそろ進化してもいいだろう。マジで。

 

 とりあえず、状況が一段落すると、ハルカにポケモンセンターを紹介がてら食事にする。

 ハルカは意外と大食漢だった。聞けば、ハルカはポケモンをゲットしたり戦わせたりというよりも、旅をすることが好きな感じである。そういう意味ではラティとはとても馬が合うみたいだな。

 

 

 追記。夜中、マグマ団を名乗る不審者がポケモンセンターを襲ってきたので、とりあえずボコボコにした。何か良く分からないビー玉を四つ持っていたが、近くの遺跡を調べているというおっさんが何やら大興奮している。聞けば、近くの遺跡の秘密を解く鍵らしい。ふーん、よかったね。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・第1話『新たなる大地! 新たなる冒険!!』より、ピカ様が家出した。
 流石に人間に技の習得速度で負けてショックを受けた。原作ではロケット団のせいで帯電状態になったピカ様が脱走するが、今回は自分から家出した。

・ハルカを助けた。
 原作ではピカ様を追ってそれ所ではないが、今回はピカ様を探している最中に運よく出くわした。アトラクタフィールドの収束により、オダマキ博士はポチエナに襲われていたので、困っているハルカの代わりにニューサトシがミズゴロウを使って助けている。

・自転車を壊した。
 アトラクタフィールドの収束により、自転車は必ず壊れる。

・ピカ様と仲直りした。
 お互いに謝った。電撃をぶつけ合うという挨拶が出来た。

・第2話『古代ポケモンと謎の軍団』より、ハルカがルリリをゲットした。
 本来なら返り討ちに合うが、ニューサトシのアドバイスでゲットしてしまった。

・ミズゴロウがついてきた。
 ハルカと博士を助けた時の的確な指示で、ニューサトシが自分の理想のトレーナーだと認識して後をついてきた。そのまま無理矢理手持ち入りしている。

・マグマ団をボコボコにした。
 ロケット団本部を何箇所も壊滅させたニューサトシの相手になるはずがなく、一網打尽にしてやった。ホウエン地方のジュンサーにも、ポケモン泥棒退治のプロだと思われている。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.60

 ピジョット Lv.55

 バタフリー Lv.55

 ドサイドン Lv.59

 フシギダネ Lv.56

 リザードン Lv.61

 ゼニガメ  Lv.56

 キングラー Lv.55

 カモネギ  Lv.55

 エビワラー Lv.56

 ゲンガー  Lv.57

 オコリザル Lv.56

 イーブイ  Lv.55

 ベトベトン Lv.55

 ジバコイル Lv.55

 ケンタロス Lv.55

 ヤドラン  Lv.54

 ハッサム  Lv.56

 トゲキッス Lv.53

 プテラ   Lv.56

 ラプラス  Lv.54

 ミュウツー Lv.72

 バリヤード Lv.55

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.53

 カビゴン  Lv.51

 ニョロトノ Lv.51

 ヘラクロス Lv.50

 メガニウム Lv.50

 マグマラシ Lv.50

 ラティアス Lv.46

 ヘルガー  Lv.50

 ワニノコ  Lv.50

 ヨルノズク(色違い) Lv.50

 カイロス(部分色違い) Lv.50

 ウソッキー Lv.50

 バンギラス Lv.58

 ゴマゾウ  Lv.46

 ギャラドス(色違い) Lv.48

 ヒンバス  Lv.1 

 ミズゴロウ Lv.5→8 NEW!




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#106 『一躍有名になってしまったものである』

 12歳 δ月γ日 『トウカシティ ガチバトル VSセンリ』

 

 昨晩、マグマ団を退治した時のビー玉で、このコトキタウンにあるコトキ遺跡なる場所の秘密の扉が開いたらしい。

 どうも、この遺跡は古代ポケモンの生息地だったようで、遺跡の奥の湖には古代ポケモンであるジーランスがいた。珍しいポケモンを見ることが出来て、ラティもハルカも大喜びしている。

 

 そのまま勢いで、今日は近くのトウカシティまで来たのだが、どうもハルカの顔色がよろしくない。

 おそらく、ジムリーダーの子供なのでいろいろと思う所があるのだろう。まぁ、俺はホウエンリーグに出るつもりはないので別にジムに行く必要はない。のだが、ジム戦とは別に、本気のジムリーダーとバトルはしてみたかったのでやはりジムに向かうことにした。

 

 一緒に行くのを嫌がったハルカと一旦別れることになり、後で合流するという約束をしてラティとトウカジムへ行く。

 

 ラティと共にジムへダイナミックエントリーするも、留守なのか誰も出てこなかった。

 仕方なく、誰かいないかと声をかけると、面倒くさそうな声を出しながら、マサトと思わしきクソガキが出てくる。見るからにクソガキ感丸出しだが、俺の顔を見るなり、「あ、あなたはマサラタウンのサトシさん!?」と、声をかけてきた。

 どうやら、ジョウトリーグの放送を見ていたようで、「凄いや、リーグチャンピオンに会えるなんて!」と感動している。確か、アニメではサトシ君のことを馬鹿にしていた印象があったのだが、ニューサトシはシロガネ大会を優勝したので、トレーナーとしての見方も変わったのかもしれない。

 

 とりあえず、ジムリーダーはいるか聞いてみると、「僕がジムリーダーです!」と言ってきたので、嘘はいいからセンリを呼んでくれと頼む。

 しかし、やはり子供のようで、嘘がバレるとすぐに開き直って「ねぇ、ポケモンを見せてよー」とお願いされた。とりあえず、今の手持ちで邪魔にならないサイズのワニノコ、ゴマゾウ、ミズゴロウを出してやる。ギャラドスはでかすぎるし、ヒンバスは水がないと出してやれないからな。

 

 だが、せっかくポケモンを見せたのに、「えー、リザードンはいないのー!? ミュウツーはー!?」と、クソガキらしい反応をしてくれる。少々むかついたので、「見たかったら、ジムリーダー呼んできな」というと、急いでセンリを呼びに行った。

 

 まぁ、今はリザードンを手持ちにはいれていないが、嘘も方便である。しばらくすると、センリらしき男の手を引っ張ってマサトが戻ってきた。その後ろから母親らしい人と、ついでに何故かハルカも一緒に居る。

 原作知識で知ってはいたが、やはりハルカはセンリの娘だった。とはいえ、別に追求したい訳ではないので、何か言いづらそうにしているハルカのことはなぁなぁに流し、センリにジム戦とは別に本気のポケモンバトルをしてほしいとお願いする。

 

 ジム戦だと、どうしても交換なしやトレーナーのレベルを確認するという仕事のせいで完全な本気バトルにならないので、ジム戦ではないバトルがしたいのだ。

 まぁ、ホウエンのポケモンが増えてきたらジム戦としてのバトルもするかもしれないが、今はまだ手持ちがチャンピオンリーグ仕様のメンバーなのでガチバトルである。

 

 センリも意外な提案に驚いていたが、俺がハルカをここまで連れてきたお礼に、本気バトルをしてくれることになった。

 ルールは三対三の入れ替え式である。フルバトルでもよかったのだが、流石にここからフルバトルをするのはジムの仕事の邪魔になるので自重した。

 

 ラティと共に、ハルカの家で昼食をご馳走になり、ポケモンセンターで手持ちを入れ替えると、いざガチ戦となる。

 

 俺は一体目にゼニガメ、センリはパッチールを出してきた。進化前のポケモンであるゼニガメが出てきたことでセンリも驚いているが、俺もいい加減こいつを進化させたいのである。

 パッチールと言えば、全ての種族値が60というドラえもんの体型数値のようなポケモンだ。体の模様は個体毎に違うようだが、それ以外に目立った要素はない。ゲームだと、ダブルバトル向きのポケモンだが、シングルでもたまに姿を見た。

 確か、『トリックルーム』で相手の先を取る型だったか。後はもう覚えていないが、変化技以外は特に注意する必要もないポケモンだったはずだ。

 

 とはいえ、種族値的にはゼニガメの方が遅いこともあり、センリは先手で『フラフラダンス』を指示してくる。見た相手を混乱させる技だ。ゼニガメには姿を見ないように『こうそくスピン』を指示して頭を甲羅の中に入れさせた。

 そのまま踊っているパッチールに突撃していく。

 センリはすぐに『すてみタックル』を指示してきた。パッチールが覚えられるノーマル技の中では最強の威力が120ある物理技だ。真正面からぶつかり合えば威力の差で負けるので、『こうそくスピン』から『ハイドロポンプ』のユナイトコンボへ繋げて迎撃する。

 

 向こうの『すてみタックル』が当たる前に、ドロポンが当たりパッチールが吹き飛んでいく。

 センリは即座にパッチールとゼニガメとのバトル相性があまり良くないと判断したのか、ここでパッチールを一度ボールに戻した。続けて、二体目としてガルーラを出してくる。

 

 ガルーラか。ノーマルタイプの中ではバランス型だが、メガシンカされたら一気に最強ポケモンに変化するやべぇ奴だ。

 どうも見た感じ、センリはキーストーンを持っていないようなのでメガシンカの危険はなさそうだが、それでも油断の出来ない相手である。

 

 こちらはゼニガメを続投した。まだダメージを受けていないし、しばらくはこいつとワニノコをひいき目に使って行こうと思っているので不利になるまでは戦わせる。

 

 センリは『かみなりパンチ』を指示してきた。

 みずタイプを相手にするなら当然の択である。

 

 こちらも素直にくらえば大ダメージなので、『まもる』で攻撃を受け、『こうそくスピン』でその場を離脱しつつ、再び『ハイドロポンプ』のユナイトコンボで反撃していく。

 これがゼニガメでなく、カメールやカメックスならば『まもる』で防がずに、『こうそくスピン』のパワーで無理やり『かみなりパンチ』を凌げたのだが、体の小さなゼニガメではまだ少し厳しい。

 

 しかし、反撃のユナイトコンボも、ガルーラの『まもる』で防がれてしまった。

 そのままユナイトコンボ終わりの隙を狙って、ガルーラが『かみなりパンチ』で真っすぐ突っ込んでくる。こちらも『まもる』で再び攻撃を防ごうとすると、直前で『かみなりパンチ』をキャンセルし、『ダブルアタック』に切り替えてきた。

 この『ダブルアタック』は、一ターンに二度の攻撃が出来るというシンプルなノーマル技だが、それ故にいろいろな場面で使いやすい。今回は二回攻撃で、こちらの『まもる』を突破するのが狙いだったようで、二度目の攻撃がゼニガメに直撃してしまった。

 

 ゼニガメが『ダブルアタック』の一撃で倒れると、センリが追撃の『かみなりパンチ』を指示してくる。これを受けるのはまずいので、こちらも一旦ゼニガメは交代することにした。

 

 二番手としてワニノコを送り出す。

 みずタイプが連続で来たことで、センリもこのまま『ガルーラ』を継続するつもりらしく、再び『かみなりパンチ』で攻撃を仕掛けてきた。

 

 ワニノコに『りゅうのまい』を指示して、攻撃と素早を一段階上げながら攻撃を回避していく。

 ジョウトの旅でも割とひいき目にワニノコを使っていたので、もう踊りとバトルの組み合わせは完璧である。楽しそうに踊りながら、ワニノコがガルーラの『かみなりパンチ』をかわして行く。まさかセンリもそんな戦い方があるとは思わなかったのか、驚いたような顔をしていた。

 

 そのままもう一回、『りゅうのまい』を指示して、さらにステータスを上げていく。ゼニガメと違って、ワニノコはレベルでかくとうタイプの技を覚えるので、『ばかぢから』を指示して、ガルーラに攻撃を仕掛けていった。

 この『ばかぢから』は威力が120もある大技だが、代わりにデメリットとして攻撃命中後に自分の攻撃と防御が一段階下がるデメリットがある。とはいえ、ワニノコの攻撃と素早は『りゅうのまい』二回で上がっているので、攻撃はまだ強いままだし、防御が下がった分は上がった素早による回避でカバーできるだろう。

 

 ワニノコがガルーラの周りをちょこまかと動きながら隙を探っていく。センリも『かみなりパンチ』でワニノコを捕まえようとしてくるが、ガルーラもワニノコの速さについて来られないようで、攻撃を外した隙を突いて『ばかぢから』でダメージを与えた。

 

 だが、攻撃を受けるのは覚悟していたようで、『ばかぢから』が当たった瞬間、ガシッとガルーラがワニノコの頭を捕まえる。

 いくらワニノコのスピードが上がっていても、捕まえてしまえば怖くないとばかりに、最後の技である『とっておき』を指示してきた。

 かつて、ブルーのガルーラも使っていたが、『とっておき』は他の三つの技を全部使うことで使用できる威力140のノーマルタイプの大技だ。これまでのバトルで、センリのガルーラも『かみなりパンチ』、『まもる』、『ダブルアタック』で三つの技を使っていたが故に発動条件は満たしていた。

 

 振り下ろされる『とっておき』に対して、こちらも『あばれる』で脱出を狙っていく。ガルーラは片手でワニノコを掴み、反対の手で攻撃を仕掛けようとしていたが、やはり片手では大暴れするワニノコをホールドしきるのは難しいようで、ギリギリ攻撃が当たる前に手を放してしまった。

 しかし、『とっておき』は一度発動条件を満たせば何度でも使えるので、センリはそのまま『とっておき』を連打してくる。『とっておき』の効果は拳だけでなく、足や頭にも判定があるようで、今度は蹴りでワニノコを狙ってきた。

 

 ワニノコはまだ『あばれる』が継続しているので、攻撃で迎え撃つ。とはいえ、流石にガルーラのタイプ一致『とっておき』には勝てず、蹴りを受けて吹っ飛ばされてしまった。

 おまけに、『あばれる』のデメリットで混乱してしまったようで、起き上がったワニノコがフラフラしている。これではいい的にしかならないので、ワニノコを戻すことにした。

 それに合わせ、センリもガルーラを戻している。

 ゼニガメもワニノコもダメージこそ受けたが、相手にもそこそこのダメージを入れているのでダメージレース的には五分だ。ガルーラは技を全て使いきったし、こちらはカメワニコンビの両方とも技を一つ残している。パッチールがまだ技を二つ残しているのが気になるが、客観的に見ても互角のバトルをしていると言っていいだろう。

 

 実際、バトルを食い入るように見ているマサトも、「パパとここまで互角なんて……」と驚いた様子を見せている。

 ハルカはバトルについて詳しくないようだが、自分の父親が凄いことは知っているらしく、「やっぱりサトシって結構凄いんだ」と呟いていた。それを聞いたラティが「すごい」とドヤ顔をしており、それを見たハルカのお母さんが「可愛い」とラティを撫でている。

 

 ゼニガメに入れ替えるか、最後の一体を出すかを逡巡し、最後の一体としてミュウツーを送り出す。

 それを見て、マサトが「伝説のポケモン、ミュウツーだー!!」と大声を上げた。チャンピオンリーグで出しまくったこともあり、ミュウツーも一躍有名になってしまったものである。

 

 どうやら、センリもマサトから話を聞いていたようで、「それがミュウツーか、確かに強そうだ」と嬉しそうな顔をしていた。

 ここでミュウツーを出すのは大人気ないという奴もいるかもしれないが、ニューサトシは子供である。大事なホウエンでの初戦で負けたくはないし、何より俺の中にあるアニポケの記憶がここでミュウツーを出せと訴えていたのだ。

 

 そんな俺の警戒心を肯定するように、センリも最後の一体であるケッキングを出してくる。

 ケッキングは伝説のポケモンではないが、種族値の合計が670もある強ポケだ。ミュウツーの種族値の合計が680であるといえば、そのヤバさが伝わるだろう。ただ、特性の『なまけ』によって、一度攻撃を仕掛けると一ターンの間、怠けて動かなくなるというデメリットが存在するのでギリギリ普通のポケモンの範囲に入っている。

 

 だが、俺は覚えていた。

 

 このケッキング、怠けないのである。どういうことかはわからないが、特性が仕事をせず、ずっとやる気で戦えるケッキングなのだ。

 怠けないケッキングなど伝説のポケモンと変わらない。アニメではジュプトルだかジュカインだかが追い詰められて特性の『しんりょく』を発動したことで奇跡の逆転をしていた気がするが、そんな奇跡がなければ勝てないくらいにヤバいポケモンである。

 

 ケッキングは特殊耐久がやや低いが、その分体力の種族値が大きいので耐久自体はおそらくミュウツーとそう変わらない。

 ただ、攻撃種族値が160もあり、物理攻撃力はレジギガスと同じである。ドサイドンやバンギラスよりも上と言った方がヤバさがわかりやすいか。実際、ミュウツーでも攻撃を直撃でくらえば倒れてもおかしくないレベルのパワーだ。

 

 開幕、センリは『おんがえし』を指示してきた。なつき度によって威力が変わる技だが、当然最大のようで威力102のノーマル技となっている。

 ケッキングはノーマルタイプなのでタイプ一致となり、火力だけならこちらのサイキネよりも上だった。試しに『サイコキネシス』で動きを止めてみようとしたが、ミュウツーのサイキネでも完全に動きを止めきれず、ケッキングはこちらに攻撃を仕掛けてくる。

 

 スピードはこちらが上ということもあり攻撃は何とか回避できたが、やはり攻撃が終わっても怠ける様子は見せない。アニメ同様に怠けないケッキングで間違いなさそうだった。

 

「怠けないケッキングは反則じゃないですか?」

「伝説のポケモンを使う君よりはマシだろう? それにケッキングは怠けていない訳ではない。私のケッキングは、バトル以外の時間に怠けて、バトル中は怠けないだけさ」

 

 結局、バトル中に怠けないことに変わりはないと思いつつ、今度はミュウツーが攻撃を仕掛けていく。

 相手の弱点を突くために、『はどうだん』を『サイコキネシス』でコントロールし、ケッキングの防御を抜いて攻撃を当てる。しかし、直前に『まもる』が間に合ったようで、ダメージは与えられなかった。おまけに、『なまける』でサイキネのダメージを回復してくる。

 

 変化技を封じるために『ちょうはつ』を指示した。悪いが、回復合戦なんかに持ち込んだ日には夜になってもバトルが終わらなくなる。

 ならばと、センリも再びケッキングに距離を詰めさせてきた。ミュウツーが再び『はどうだん』で迎撃しようとするが、その瞬間に『ふいうち』を指示して高速で攻撃を仕掛けてくる。

 

 まずい。『ふいうち』はあくタイプの技故に、ミュウツーには効果抜群だ。咄嗟にスプーンを作って直撃は避けたが、それでも衝撃がスプーンを貫通してミュウツーにダメージを与えてくる。

 そのまま『おんがえし』に繋げて接近戦を仕掛けてきたので、こちらも『かわらわり』で応じる。確かにケッキングのパワーは凄いがスピードはこちらが上だ。小さく細かい連打でダメージを与えてやる――

 

 しかし、結局、どちらもそれ以降有効打を入れられず、日も暮れてしまい、バトルは中断となった。

 あのカルネのメガサーナイトすら倒した(相打ちにされた)俺のミュウツーと互角とは、やはり怠けないケッキングはバグっている。

 もしかしたら、俺が今まで戦ってきたジムリーダーの中にも、こういうバグっているポケモンを持っているが、ジム戦だからといって出さなかった奴もいたのかもしれないな。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・第3話『トウカジム! VSヤルキモノ!』より、ガチ戦を申し込んだ。
 原作ではポケモンが足りていないが、今回は普通に入れ替えありのガチ戦を頼んだ。パッチール、ガルーラはゲームで使っていたのでチョイスしている。

・マサトが舐めた口を利かなかった。
 流石に地方リーグチャンピオンに舐めた口は利かなかった。でも、クソガキではある。

・勝負が着かなかった。
 制限なしの怠けないケッキングとガチのセンリコンビは、これまでのジム戦の中でも最強格。怠けないケッキングってもう伝説じゃんね。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.60

 ピジョット Lv.55

 バタフリー Lv.55

 ドサイドン Lv.59

 フシギダネ Lv.56

 リザードン Lv.61

 ゼニガメ  Lv.56

 キングラー Lv.55

 カモネギ  Lv.55

 エビワラー Lv.56

 ゲンガー  Lv.57

 オコリザル Lv.56

 イーブイ  Lv.55

 ベトベトン Lv.55

 ジバコイル Lv.55

 ケンタロス Lv.55

 ヤドラン  Lv.54

 ハッサム  Lv.56

 トゲキッス Lv.53

 プテラ   Lv.56

 ラプラス  Lv.54

 ミュウツー Lv.72

 バリヤード Lv.55

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.53

 カビゴン  Lv.51

 ニョロトノ Lv.51

 ヘラクロス Lv.50

 メガニウム Lv.50

 マグマラシ Lv.50

 ラティアス Lv.46

 ヘルガー  Lv.50

 ワニノコ  Lv.50

 ヨルノズク(色違い) Lv.50

 カイロス(部分色違い) Lv.50

 ウソッキー Lv.50

 バンギラス Lv.58

 ゴマゾウ  Lv.46

 ギャラドス(色違い) Lv.48

 ヒンバス  Lv.1 

 ミズゴロウ Lv.8 




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#107 『まるでトトロだ』

 12歳 δ月δ日 『おや、君は?』

 

 結局、昨日はハルカの家に泊めてもらい、今日はそのまま次の街へ行くことにした。

 このままここでセンリに勝つまで挑戦してもいいのだが、向こうもジムの仕事があるだろうし、ラティとハルカは普通に旅を続けたがっているしな。

 

 と、いう訳で、そのままハルカ宅を出ようとすると、一人の少年がセンリのことを訪ねてきた。

 如何にも僕は体が弱いですという感じの儚い少年だ。もしやと思ってセンリの側で話を聞いていると、やはりゲームで出てきたミツル君らしい。

 

 ミツル君とは、ゲームルビサファで出てきたライバル的ポジションの少年だ。アニメには出てこなかったはずだが、この世界だとしっかり存在しているようである。

 まぁ、ポケスペやゲームのキャラも普通にいるし、今更ミツル君が出てきても驚きはしない。

 

 要件はゲームと同じで、療養のためにいとこが住んでいるシダケタウンに行くことになったらしく、そこで一緒に暮らすポケモンが欲しくてセンリに相談しに来たようだ。

 センリもミツル君の話を聞いて協力するつもりだったみたいだが、タイミング悪くジムへの挑戦者が来てしまったようで、急遽俺が代わりにミツル君に付き合うことになった。

 

 今にも死にそうで少し怖かったが、何とかゲーム同様にラルトスをゲットしている。

 ゲームだといずれ、DP編のシンジ顔負けのポケモン廃人になるのだが、今の姿を見ているととてもそんな風には見えないな。

 

 

 

 12歳 δ月δ日 『マサトが仲間になった。ごねたら泣かす』

 

 ミツル君の一件が解決したので、そろそろトウカシティを旅立つことにしたのだが、ちゃっかりマサトが旅の準備をしていたようで一緒に行くと言っている。

 センリもハルカだけでは心配なのと、マサトの見識を広めさせてあげたいという考えもあるようで、俺に二人のお世話をお願いしてきた。まぁ、一人も二人もそう変わらないし、アニメと違ってマサトもニューサトシに舐めた口を聞いていないということで、素直に連れていくのを引き受ける。まぁ、舐めた口聞いたらそっこー泣かすけどな。

 

 新しい旅の仲間が増えて、ラティが大喜びしていた。どうもマサトも、ラティの可愛さにどうやらやられてしまったようで顔を赤くしている。ふふふ、いつかラティがポケモンだとネタ晴らししてやるぜ。

 

 とりあえず、四人で新たに旅をすることになったのだが、センリが餞別としてポケナビとバッジケースをプレゼントしてくれた。

 とはいえ、俺は既に自分のポケナビがあるので、このポケナビはマサトが管理すると言っている。まぁ、ラティやハルカも無くしそうだしまだマサトに持たせた方がマシだろう。

 バッジケースは俺とハルカの二人分あるが、俺も別にジム戦をやるつもりはないんだよなぁ。まぁ、貰えるものは貰っておこうの精神で貰うが、どうやらハルカもあまりジム戦に興味がないようで苦笑いしていた。

 

 

 追記。ポケナビで思い出したが、ホウエンに来てからメールの確認をしていなかったので少し確認してみると、タケシからホウエンに行けるようになったのでどこかで合流しようというメールが入っていた。連絡が来たのは三日前のようだが、とりあえずカナズミシティを目指すと返しておく。まぁ、いつかどこかで合流できるだろう。

 

 

 

 12歳 δ月ε日 『使えるものは使えるので仕方ない』

 

 トウカの森に入る前にお昼にする。どうも、ハルカもマサトも料理は得意ではないようなので、仕方なくニューサトシが簡単なシチューを作ってやることにした。

 流石にタケシの料理に比べたら味は落ちるが、別にマズい訳ではない。ラティからも「おいしい」と言われるくらいのレベルではあるようで、ポケモン達にも好評である。

 

 そのまま昼食を取っていると、どこからか野生のスバメが現れ、ラティのデザートを盗もうとしてきたので、ニューサトシの落雷(ナルカミ)でお仕置きしてやった。

 しかし、スバメは勝てない相手にも勇敢に挑み、負けてもへこたれない根性を持っている(ハルカの開いたポケモン図鑑データ)らしく、ニューサトシに再戦を挑んでくる。

 

 ふむ。ひこうタイプはもういいかな――と、思っていたが、やる気がある奴は歓迎だ。とりあえず、向かってくるスバメをいなしながら、ちょこちょこ電撃で反撃していく。

 そこまで出力を上げていないこともあってか、スバメもまだまだ耐えられるとばかりに向かってきたので、向こうの体力が切れるまでひたすら鬼ごっこをして遊ぶことにした。

 

 最終的には、力尽きて飛べなくなったスバメにモンスターボールを投げてゲットする。

 また手元が七体になったので、とりあえずワニノコをオーキド研究所に送ることにしたのだが、ゼニガメの時同様に「お前も、進化させたいからすぐ呼び戻すぞ」と声をかけておいた。

 

 とりあえず、これで一安心と思って振り返ると、何故かハルカ、マサトの姉弟がこちらを見て口をあんぐりと開けている。

 ハルカは以前、俺が電撃を使っているのを直に体験したし、そういうことが出来るくらいには知っているはずなのだが、どうやら電撃のダメージで記憶が抜けていたみたいで、「何で人間が電気技使ってるのよ!?」と驚いたような声を出していた。

 また、マサトもニューサトシが電撃を使うのを初めてみたからか、「何で人間が電気技使ってるの!?」と、姉と同じセリフを言いながら、凄いものを見たとばかりに興奮している。

 

 何故、使えると言われても、使えるものは使えるので仕方ない――と、思っていると、「相変わらずだな、お前は」と、いうセリフと共にタケシが現れた。

 

 どうやら、ニューサトシの連絡がなくても、大体こちらがどう進むかを読んでいたようで追いついてきたらしい。ラティが嬉しそうにタケシに近づいていき、初めて会うハルカとマサトも以前旅していた仲間だと話すと、すぐに仲良くなっていた。

 

 どうもタケシは今回、ポケモンを何体か家に置いてきたようで、今は相棒のイワークとパラセクト、フォレトスしか連れてきていないらしい。

 いつ、クヌギダマはフォレトスに進化した? と、思っていると、家で弟妹達と遊んでいる間に、勝手に進化していたという。気まぐれに『だいばくはつ』する悪癖があるようで、手を焼いていると話していた。

 

 また、イワークも、カントー、ジョウトを一緒に旅したイワークではなく、タケシが最初に貰った相棒のイワークを連れてきているらしい。

 ニューサトシが初めてボコボコにされたあのイワークである。今まで連れていたイワークは十分に強くなったので、ジムの守りを任せることにしたようだ。

 

 挨拶も程々に終えると、タケシがニューサトシと付き合うコツとして、あまり常識に囚われてはいけないと教えている。

 失敬な。ニューサトシ程、常識に溢れている人間もいないだろうと返すと、何故かハルカとマサトもタケシの言葉に感銘を受けていた。解せぬ。

 

 

 追記。ロケット団がいつも通りに、スバメの群れを使って悪さをしようとしてきたので速攻でやなかんじーにした。タケシは久しぶりのロケット団を見て、「お前達も相変わらずだなー」と何やら懐かしがっていた。

 

 

 

 12歳 δ月ζ日 『何を見て楽勝だと思った?』

 

 森の中でジグザグマの着ぐるみを着たキヨとかいう暑苦しい奴に合った。どうもジグザグマをゲットするためにそんな姿をしているらしいが、意味があるとはとても思えない。

 キヨはジグザグマをゲットしたらトウカジムへ挑戦しようとしているようで、ハルカがトウカジムの子だとわかるとバトルを挑んできた。

 前に一度ルリリを捕まえた時にバトルしたくらいしか経験のないハルカで大丈夫かと心配になったが、案の定向こうのミズゴロウにアチャモがボロ負けしている。

 

 前は時間が無くて、ゲットするまでの流れしか説明しなかったからなぁ。トレーナーのいるバトルは野生ポケモンのバトルは別物だ。ハルカ自身、あまりバトルに興味がなさそうだったので敢えて時間を取らなかったが、こんなことなら教えてやれば良かったかもしれん。

 

 結局、ハルカはキヨに負けてしまった。

 

 あからさまな素人を倒して「これならトウカジムも楽勝だ」と調子に乗っているキヨを見て、マサトが何やら怒っているようだったので、「放っておけ」と声をかける。

 どうやら、トウカジムを馬鹿にされたのが余程気に食わなかったようで、「何でさ!」とこちらに噛みついてきた。

 とりあえず、ラティをけしかけて落ち着かせる。そのまま、「お前の父ちゃんの強さを思い出せ。どうせ、すぐ現実を見ることになる」というと、「確かに」と納得した表情を見せた。ハルカとのバトルを見た感じ、あいつがセンリに勝てる未来なんか見えねぇしな。

 

 

 

 12歳 δ月η日 『なんぞこれ?』

 

 森の中に簀巻きにされた男とバンギラスが倒れていた。首には『私はポケモンを密漁しようとしました』という看板がぶら下げてあったので、とりあえずミュウツーの『テレポート』で近くの交番に送っておくことにする。

 

 確か、記憶が正しければ、ロケット団のアーボックとマタドガスがバイバイするキッカケのポケモンハンターのはずだ。

 事情がわからない他の面々は首を傾げていたが、ニューサトシだけは理解した。どうやら、あいつらは無事に勝ったらしい。

 

 

 

 12歳 δ月θ日 『秒速3000メートル!!』

 

 ポケナビがあるのに迷子になるという意味不明な行動を取っていると、森の中でキモリの群れを見つけた。

 どうやら彼らがねぐらにしていた大樹が枯れてしまったようで、口に草を咥えたキモリが一人でずっと世話を続けている。仲間達はもう無理だと、諦めるように声をかけているが、キモリは自分が生まれ育った場所を捨てられないと訴えていた。

 

 間違いない、サトシ君のキモリである。

 

 正直、聞いている限り、仲間の言っていることの方が正しい。もう死んだ木を世話したって意味はないし、それよりも新しい木を探すというのが当たり前のことだろう。

 だが、ニューサトシはキモリの気持ちがよくわかった。少なくとも手伝ってやりたいと思わされるくらいにはこいつの訴えは心に響いている。電気をバリバリさせられるニューサトシも、流石に死んだ樹木は復活させられないが、こいつが満足するまで付き合ってやりたいと思わされたのだ。

 

 キモリも見知らぬニューサトシがいきなり協力しようとして警戒していたが、こちらが特に悪感情を持っていないとわかるとさせるがままにしている。

 ぶっちゃけ、俺はキモリよりミズゴロウさん派なので、別にゲットしたいとも思っていないしな。ご機嫌取りをしたい訳ではないのである。ただ、純粋に協力したいと思っただけだ。

 

 しばらくキモリに付き合っていると、いつものようにロケット団が現れて毎度お馴染みの変なメカでキモリの群れを捕まえようとしている。

 とりあえず、メカにばっか頼っていると、またすぐに弱くなるぞと言ってやなかんじーにしてやったのだが、その時の騒ぎが原因かはわからないが、キモリが世話をしていた大樹が縦に真っ二つに割れてしまった。

 

 どうやったらこんな割れ方するんだよと思いつつ、キモリ達が倒れないように木を支える。ニューサトシも慌てて力を貸し、無理矢理パワーで木を固定したのだが、どうもよく見ると割れた大樹中から小さな木のようなものが生えていた。

 

 なんぞこれ? と首を傾げていると、木は物凄いスピードで大きくなっていく。まるでトトロだ。

 普通の木はこんな速度で大きくならんだろうとツッコミを入れていると、遂に割れた大樹の中から新たな大樹が出来てしまった。冗談抜きに秒速で成長しているぞ。

 

 結局、新たな木は新たな大樹となり、これでキモリの住処問題は一件落着のようだった。

 

 いや、流石に有り得ないだろうとも思うが、ポケモン世界だし、こんな不思議なことも起きるか――と、一人で納得していると、草を咥えたキモリが俺にバトルを仕掛けてくる。

 どうやら、心残りがなくなってニューサトシに挑んできたらしい。いいだろうということで、ミズゴロウさんにお越しいただく。こいつの今のレベルなら十分キモリを倒せるはずだ。

 

 キモリも相手がみずタイプだとわかると、一瞬舐めたような表情を浮かべたが、うちのミズゴロウさんはこう見えて割と実力派である。

 少なくとも、メイン火力が『はたく』のキモリには負けない。自慢のスピードでかき回そうとしてきたが、ミズゴロウさんはヒレの探知能力を上手く使ってキモリの動きを先読みしていた。『はたく』に合わせて、迎撃の『たいあたり』でダメージを与えていく。

 

 こいつ、カウンター適正あるなぁと思っていると、何度か同じやり取りを繰り返し、ダメージが蓄積されてキモリが膝をついた。

 とりあえず、ここまでにするかと思ったのだが、まだだとばかりにバトルを仕掛けてくる。仕方ないので、足腰が立たなくなるまでミズゴロウさんでボコボコにしていく。最終的に限界が来ると、キモリは好きにしろとばかりに大の字で倒れた。

 

 いやぁ、別にゲットしたい訳ではないんだよなぁ。

 

 とはいえ、これでゲットしなかったら、こいつもこいつで面子が立たないだろうし、とりあえずモンスターボールを投げるだけ投げる。

 どうも、抵抗する気はないようでゲットしてしまったのだが、再び手持ちが一杯になってしまった。どうするか悩んだが、ここは一旦赤いギャラドスを研究所に送る。しかし、公式戦デビュー出来るだけの実力はもうあるので、すぐに呼び戻すからなと声をかけておいた。

 

 うーむ、既に手持ちの半分がホウエン組になってしまったぞ。ここからはゲットを控えて行かないとこれまでの二の舞になるな。

 

 

 

 12歳 δ月ι日 『縛りプレイはやめろ』

 

 どうも、俺のキモリはくさ技を覚えていないらしい。図鑑で調べてみると、今覚えている技は四つしかなく、『はたく』、『でんこうせっか』、『にらみつける』、『みきり』と見事に低レベルで覚えるくさ技の『このは』や『メガドレイン』を覚えていなかった。

 

 何故今そんな話をしたかというと、今さっきキモリがバトルで負けてしまったからである。

 

 とはいえ、相手はトレーナーではなく、野生のハブネークだった。昼食の時間に、ハルカのアチャモが食べているポケモンフーズをハブネークが奪おうとしたのだが、それを助けようとして返り討ちにあってしまったのだ。

 まぁ、どくタイプのハブネークにくさ技を使った所であまり意味はないが、くさ技を覚えていないくさタイプなど縛りプレイをしているのと同じである。将来的なことを考えると、そのうちくさ技を覚えさせないと駄目だろう。

 

 俺が覚えている限り、アニメのキモリは結構格好良く描かれていた記憶があるのだが、今はまだレベルも低いしそこまで強くないようだ。ゲットの際に、相性有利のミズゴロウさんにも負けたということもあって自分の弱さを悔やんでいる。

 とはいえ、負けたままでいるほどキモリも精神的に弱くはないようで、急に『たたきつける』の練習を始めた。威力のある技を覚えようということだろう。

 

 正直、くさ技を覚えて欲しいが、対ハブネークと考えれば『たたきつける』は悪いチョイスではない。

 それに『たたきつける』はピカ様も覚えているので、キモリにお手本を見せてあげることが出来た。しかし、キモリは情けなどいらぬとばかりにそっぽを向いている。どうやら、自分一人で強くなるつもりのようだ。まぁ、意地やプライドってのは、男にとって大事なものだし気持ちはわからないではない。

 

 とはいえ、何もしないというのもトレーナーとしてどうかと思ったので、ここはキモリの意思を尊重しつつ、ピカ様にはキモリの側で『たたきつける』の練習をさせることにした。

 キモリに教えるのではなく、あくまで自身の練習ということならキモリも文句は言えないだろう。

 

 キモリも勝手にしろとばかりに、再び『たたきつける』の練習を始めた。ピカ様もわざと目に入る場所で練習することで、技を盗ませようとしている。キモリもピカ様が自分を気遣っているのは理解しているようで、「おせっかいな奴だ」と小さな笑みを浮かべていた。

 どうやら、意地やプライドよりも、力を得ることを選んでくれたらしい。勿論、表向きにはピカ様とキモリが勝手に『たたきつける』の練習をしているだけだが、キモリの技熟練度がぐんぐん上がっているのは、間違いなくピカ様からの見取り稽古のおかげである。

 

 そんなこんなで練習を続けていると、原作通りにハブネークがムサシにゲットされたようでロケット団がバトルを仕掛けてきた。おまけにコジロウまで新たにサボネアをゲットしていたようで、抱き着かれて悲鳴を上げている。

 興味があったので、「お前ら、いつゲットしたんだ?」と、経緯を聞いてみると、ハブネークはやはりムサシが髪の毛を嚙み千切られたのがキッカケだったらしい。髪を嚙み千切られたにしては元に戻るの早すぎだろう――と、思っていると、横のハルカが「あれ、ウイッグよ」と教えてくれた。成程、つけ毛って奴か。

 

 サボネアについては、どうやらコジロウがおやつを上げて仲良くなったからゲットしたらしい。やはり、原作通り、コジロウはくさタイプに好かれやすい体質のようだ。

 

 謎も解けてすっきりすると、キモリのリベンジマッチが開始される。とはいえ、今度はトレーナー有りだ。

 向こうもムサシの指示でどく技を駆使しているが、こちらは俺の指示で攻撃を回避しつつ、隙を狙って新技の『たたきつける』をお見舞いした。

 

 勝敗を分けたのは『みきり』だ。

 俺もムサシも、まだ捕まえたばかりのポケモンということで連携に穴がある。キモリにはその隙を埋める『みきり』があったが、ハブネークにはなかった。その差がこちらの攻撃を当てる起点となって、キモリを勝利へと導いてくれたのだ。

 

 ついでにスバメでコジロウのサボネアをボコボコにし、無事にリベンジに成功したということで、ロケット団にはいつも通りにさくっとやなかんじーになって貰う。

 今回は相手がどくタイプだったから『たたきつける』だったが、これからは死ぬほどくさ技を覚えさせるからなというと、キモリも「望むところだ」と、改めて草を口に咥えていた。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・ミツル君が出てきた。
 いつかポケモン廃人になるかもしれないね。

・第4話『スバメがいっぱい危険がいっぱい! トウカの森でゲットだぜ』より、デザートを取られなかった。
 原作ではスバメにチョコを盗まれるが、ニューサトシが気配を察知して撃ち落としている。根性がありそうだったのでゲットした。

・ニューサトシの電気体質がバレた。
 使えるものは使えるのである。

・ロケット団が現れた。
 ハルカ、マサトは初めての対面だった。アニメではもっと早く出会っているが、この世界のロケット団は本部の命令で、別の仕事もしているので出会いが遅れた。

・第5話『ジグザグマと短パン小僧! ハルカ、初めてのバトル!!』より、マサトを止めた。
 原作ではマサトがキヨの後をつけ回して問題を起こすが、事前に止めた。それだけのことをする意味がない。ロケット団もリーグ戦で感覚が麻痺したせいで、キヨのポケモンに魅力を感じなかった。

・第6話『ロケット団! みだれひっかきでサヨウナラ!!』より、ポケモンハンターを返り討ちにした。
 地方リーグベスト8なら撃退できるのです。

・アーボとドガースの群をロケット団本部に送った。
 同時にアーボックとマタドガスも本部に送っています。しばらくはお目付け係を任せる予定。詳しくは番外編で。

・第7話『キモリの森! 巨大樹を守れ!!』より、危うく新しい大樹の成長を止める所だった。
 ニューサトシはパワーがあるので、古い樹を支えられてしまった。危うく、中にあった新しい樹が潰れる所だった。アニメ内での樹の成長はトトロ顔負けです。

・第8話『ハブネークVSキモリ! 必殺のはたく攻撃!!』より、たたきつけるに技を変更した。
 強化したはたくは、もうたたきつけるでいいじゃない。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.60

 ピジョット Lv.55

 バタフリー Lv.55

 ドサイドン Lv.59

 フシギダネ Lv.56

 リザードン Lv.61

 ゼニガメ  Lv.56

 キングラー Lv.55

 カモネギ  Lv.55

 エビワラー Lv.56

 ゲンガー  Lv.57

 オコリザル Lv.56

 イーブイ  Lv.55

 ベトベトン Lv.55

 ジバコイル Lv.55

 ケンタロス Lv.55

 ヤドラン  Lv.54

 ハッサム  Lv.56

 トゲキッス Lv.53

 プテラ   Lv.56

 ラプラス  Lv.54

 ミュウツー Lv.72

 バリヤード Lv.55

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.53

 カビゴン  Lv.51

 ニョロトノ Lv.51

 ヘラクロス Lv.50

 メガニウム Lv.50

 マグマラシ Lv.50

 ラティアス Lv.46

 ヘルガー  Lv.50

 ワニノコ  Lv.50

 ヨルノズク(色違い) Lv.50

 カイロス(部分色違い) Lv.50

 ウソッキー Lv.50

 バンギラス Lv.58

 ゴマゾウ  Lv.46

 ギャラドス(色違い) Lv.48

 ヒンバス  Lv.1 

 ミズゴロウ Lv.8→10

 スバメ   Lv.3→5 NEW!

 キモリ   Lv.5→7 NEW!




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#108 『前世でいう改造ポケモンだ』

 12歳 δ月λ日 『この世界は割と何でもアリだからなぁ』

 

 カナズミシティに向かう途中、本来森に生息しているはずの野生のキノココが街の中にいるのを見つけた。

 どうも彼らは、森の減少で行き場を無くしているようで、今は町外れにある屋敷に隠れ住んでいるらしい。

 

 しかし、その屋敷もビル建設の都合で、残り少ない森と一緒に壊されそうになっていた。

 かつてのディグダの時と一緒だ。人間の勝手な都合で、ポケモン達は住処をなくしていく。

 

 当然、そんなことを許すニューサトシではなく、敷地の所有者であるアズマとかいうおっさんに文句を言いに行った。

 ニューサトシの訴えによって、アズマもかつてはこの辺りにも森があり、たくさんのキノココが住んでいたのを思い出したようで、改めて屋敷を取り壊してここら一帯を森にすると言っている。

 

 正直、そんなすぐに森なんか増える訳ないと言う奴もいるかもしれないが、少し前にキモリの森でトトロ現象を体験した俺からすれば、明日には森が復活していてもおかしくないのではないかと思う。

 

 

 

 12歳 δ月ν日 『大体、こういう奴は不正していることが多いイメージ』

 

 世界最強のポケモンがいるジムとやらがあるらしく、興味があったので寄っていくことにした。「元気ですかー!」と叫びながら、前世でいうアントニオ猪木のような喋り方をするアントニーとかいう奴が出てきたのだが、どうやらこいつが使っているペリッパーがその自称最強のポケモンらしい。

 パッと見た感じは、そんなに強そうには見えないのだが、自分は負けないのでバッジを作る必要がないというくらいには自信があるようだ。

 

 おまけに、相手はペリッパー一体でこちらはポケモン無制限という大盤振る舞いっぷりである。

 とりあえず、みず・ひこうタイプが相手ならば、でんきタイプのピカ様を出せば瞬殺だが、ここは修行ということで同じひこうタイプのスバメを出してすることにした。

 

 さて、どう動いてくるかな――と、スバメに『かげぶんしん』を指示して様子を見に行く。

 すると、こちらがひこうタイプということで、でんき技の『10まんボルト』を使ってきた。

 

 これはおかしい。ペリッパーが覚えるでんき技は『でんげきは』くらいのはずだが、確かに口の中から『10まんボルト』を出している。こちらの分身を消しているので、まず間違いなく本物の『10まんボルト』だ。

 

 調子に乗ったアントニーが続けて『かえんほうしゃ』を指示してくる。百歩譲ってでんき技を使ってくるのは認めてもいいが、ペリッパーはほのお技をまず覚えない。

 回避を優先するようにスバメに指示を飛ばすと、それを捕まえるように今度は『つるのむち』を指示してきた。電気や炎はともかく、口から蔓が飛び出してくるのは流石にやりすぎだ。

 

 マサトはペリッパーが複数のタイプの技を使うのはおかしいと首を傾げているが、ニューサトシは何となくどういうトリックか察しがついたので、攻撃を避けたスバメにペリッパーの顎を狙って『でんこうせっか』をするように指示する。

 下から顎を突き上げるようにスバメが『でんこうせっか』を決めると、ペリッパーの口からモンスターボール数個と、マダツボミの頭が飛び出してきた。

 

 だろうなとは思ったが、やはり口にモンスターボールを入れて、中から別のポケモンが技を出していたらしい。まぁ、ペリッパーが本来覚えない技を使えればそりゃ強いわな。前世でいう改造ポケモンだ。

 とはいえ、そういうのはネタだから面白いのであって、現実にやるのはズルである。とりあえず、トリックがバレて慌てているアントニーを他所に、『でんこうせっか』からの『つばさでうつ』連打で一気にペリッパーを戦闘不能に持っていく。

 

 ズルした上にバトルでも負けて、アントニーが膝をついた。どうも、ペリッパーを世界最強にしたいが故の犯行だったようだが、こんな反則しても地方リーグを突破するのもまず無理だろう。

 それに、こんなことをしなくても戦えるポテンシャルは十分あるように見えた。「もっとペリッパーを信頼してやれ」と忠告すると、アントニーもズルをしたことを反省したようで、次からは正々堂々とバトルすると宣言している。まぁ、更生したなら許してやるか。

 

 

 

 12歳 δ月ο日 『進化させたい病』

 

 カナズミシティに向かっている途中、毎度お馴染みの迷子でポケモン保護区に足を踏み入れてしまい、この辺りの警護をしているカクリとグラエナ達に捕まってしまった。

 事情を説明してすぐに解放して貰ったのだが、よく見るとカクリと一緒にいるグラエナ達の中に一体ポチエナが混じっている。興味を持ったマサトが事情を聞くと、他の三体のグラエナと同じ時期に生まれたが、このポチエナはまだ進化出来ずにいるらしい。

 

 うちにもなかなか進化しないカメとワニがいるので、とても他人事とは思えなかった。

 

 マサトはポケモンの進化を見たことがなかったようで、ポチエナが進化するのを見てみたいと駄々をこねている。

 正直、マサトだけならニューサトシの拳骨ラーメンパンチを食わせてやるだけなのだが、ラティが真似して駄々をこねてしまったので、急遽ポチエナを進化させようの会が始まった。

 

 ぶっちゃけ、他人のポケモンを進化させるくらいなら、うちのカメワニコンビを進化させたいくらいだと思いつつも、一応は手伝いをする。

 ポチエナはゲームだとレベル進化だ。本来ならば、18という低レベルで進化する。まぁ、うちのカメワニは50を超えても進化しないので、もしかしたら他に条件があるのかもしれないがとりあえずレベルが基本的に進化のキーと言っても過言ではない。

 

 聞けば、このポチエナは『たいあたり』ばかりをする癖があるようで、そのせいでバトルの相手がいないのが原因ではないかということだった。

 ならば、実際にバトルをしてみよう――という訳で、ハルカのバトル練習も兼ねてアチャモとポチエナを戦わせてみることにする。前にキヨとかいう着ぐるみ野郎に負けてしまったし、やはり最低限のバトルは出来るようになって損はないだろう。

 

 ついでに、マサトもポチエナのトレーナーとして参戦して貰うことにした。公式戦じゃないし、カクリもポチエナも嫌ではないようなので、これを機にハルカとまとめてバトルの基本を叩きこんでやろう。

 

 マサトは勉強していただけあって知識はあるようで「お姉ちゃんとは違うんだよ」と、調子に乗っていたが、でかい口を叩いていた割に上手くポチエナに指示を出せていなかった。

 逆にハルカはアチャモと何度かバトルした結果、大分感覚を掴んでいたようで、少しのレクチャーで息を合わせてバトルが出来ている。

 

 とはいえ、これはポチエナ側にも原因があった。どうも『かみつく』をするのが怖いようで、指示を無視して『たいあたり』ばかりしているのだ。マサトがそれを汲んでバトルが出来ればいいのだが、初心者にそこまで求めるのは酷というものだろう。

 

 結局、ポチエナはアチャモに負けてしまった。

 

 マサトは悔しそうにしているが、これは仕方ない部分もある。一つアドバイスでもしてやろうかと思ったが、「作戦会議だ!」と言ってポチエナを連れてどこかに行ってしまった。

 

 しばらくそっとしておいた方がいいかと思ったのだが、どうもマサトの走っていった先が少し騒がしい。

 カクリが密猟者かもしれないと言うので様子を見に行ったのだが、どうやらいつものようにロケット団が現れ、この辺りで捕獲したらしい野生のポケモン達と一緒にポチエナを網で捕まえていた。まさに密猟者である。

 

 サクッとやなかんじーにしてやろうと思ったのだが、マサトがポチエナに『かみつく』で網を切るように指示を飛した。ポチエナは首を振って嫌がっている。やはり、『かみつく』をしたくないようだ。

 マサトもそれはわかっているようだが、それでも一緒に捕まっている仲間を助けるためにも頑張るように声をかけている。ポチエナも迷っている素振りを見せていたが、後ろの仲間達を見て覚悟を決めたのか、『かみつく』で網を切って脱出していった。

 

 人質がいなくなったので、容赦なくロケット団をやなかんじーにしてやる。どうも、『かみつく』を使ったのがキッカケになったようで、降りてきたポチエナの身体が光り、グラエナへと進化していた。

 

 ロケット団が関わると進化するパターン多いなぁ。

 

 マサトもポチエナがグラエナに進化したことで満足したらしく、素直にグラエナに「やったね」と声をかけていた。進化も見られたし、これでとりあえず一件落着で問題ないだろう。

 

 

 

 12歳 δ月ρ日 『ルンパッパのイメージ』

 

 ハルカが湖で遊びたいと駄々をこねるので、少し水遊びをしていくことになった。地味にこの姉弟、駄々のこね方が一緒である。

 どうも、こういう時のためにおニューの水着を用意していたようで、ハルカがドヤ顔をしていた。また、ハルカが水着になったことで、ラティも水着に興味を持ったのか、着替えるフリをして変身能力を応用してハルカと同じ水着を身に着けている。

 

 ハルカも、「同じ水着なんて偶然かも!」と驚いているが当然偶然ではない。とはいえ、ラティも語彙力のある方ではないので、詳しい説明が出来るはずもなく、「同じ!」と嬉しそうにしているだけである。

 

 そのまま湖で楽しく遊んでいると、この辺りはハスボーの生息地だったようで、湖の中には大量のハスボーの群れがいた。まぁ、別段好戦的という訳ではなさそうなので、特に問題はないだろう。

 

 刺激しないようにハスボーの群れを見ていると、一体だけ他のハスボーと違う行動をしている奴がいた。

 どうも気になるようで、タケシがやたら世話を焼いている。そういえば、もうあまり覚えていないが、アニメでタケシはルンパッパをゲットしていたはずだ。こいつがそうなのかもしれない。

 

 そんこんなで遊んでいると、ナオコとかいうガキが現れて、この辺りはハスボーの湖だから泳ぐのは禁止と忠告してきた。

 その流れで近くできのみを育てているというナオコの姉であるノリコ、レイコとも知り合いになったのだが、どうもポケモンに優しく接するタケシに好感を持ったのか、三姉妹の末っ子であるナオコがタケシのことをホの字で見ている。

 ハルカも気付いたらしく、ニマニマ笑いながら楽しそうに様子を見ていた。やはり、女の子はこういう色恋沙汰が大好きなようだが、ラティにはまだ早すぎるらしく首を傾げている。

 

 まぁ、ああ見えて、タケシは意外と年下の女子に良くモテるのだ。ただ、本人が年上趣味なので、子供は恋愛対象にはならないのだが。

 とはいえ、「女の子だったら上から下までオールオッケー!」とか言い出したら、俺はこいつと縁を切っていたかもしれないので是非そのままでいて欲しい。

 

 その後も、夕方にナオコがタケシのためにオボンの実を探しに行ってスピアーに襲われそうになったり、ロケット団がいつも通りポケモンを奪おうとしてきたりといろいろあったのだが、タケシが気にかけていたハスボーが助けてくれたおかげで事なきを得ている。

 

 結局、ハスボーは俺達と一緒に行くことにしたようで、タケシも新たな仲間としてハスボーをゲットしていた。

 

 

 

 12歳 δ月τ日 『ポケモンコンテストだ!』

 

 カナズミシティの近くでポケモンコンテストに参加するというメグミとエイジと知り合った。

 元々、コンテストには興味があったので詳しい話を聞いてみると、どうやらハルカも原作通りにコンテストに興味を持ったようで、参加してみたいと言っている。

 

 ニューサトシも出てみたかったのだが、今回はもうエントリーを終了してしまったようで今から出るのは無理らしい。仕方ないので、ハルカと一緒にコンテストパスだけ発行して貰った。

 

 残念がっていると、俺やハルカが予想以上にコンテストに興味を持ったからか、メグミとエイジがアシスタントをしてみないかと声をかけてくる。

 コンテストの雰囲気を知れるし、有難いお誘いだったので、俺がエイジ、ハルカがメグミのアシスタントとして、今回のコンテストに急遽出場することになった。

 

 アニメ同様、ポケモンコンテストには二つの審査があるようで、一次審査はポケモンのアピールである。

 ゲームでは、格好良さや可愛さなどで技が分かれており、それらでポイントを稼いでいくのだが、この世界では技以外にも、フリスビーやボールなどのアイテムを使って演技をし、ポケモンの魅力を伝えていく。

 

 メグミやエイジも、アイテムを駆使してポケモンの姿を魅力的に見せるように演出し、一次審査は余裕で突破していた。

 

 また、何故かロケット団のムサシが参加していたようで、ドヤ顔で敗退していたが、そういえばあいつもアニメではコンテストに出ていたっけか。

 

 とりあえず、無事に一次審査を突破したということで、次は二次審査である。

 二次審査では、コーディネーター同士がポケモンバトルをするのだが、これは普通のバトルと違ってポイント制となっていた。

 お互いのポケモンはHPとは別にCP(コンテストポイント)と呼ばれるポイントを持ち、技の美しさや動作などで評価値が算出され、ポイントが削られていく。相手を戦闘不能にするか、ポイントをゼロにした方が勝ちなのだが、戦闘不能にすれば勝ちというのは、ただ相手を倒せばいいということではないらしい。

 

 あくまでこれは演技の一つであり、魅せるバトルが評価の対象になる。逆に、通常のバトルのように、ただ単に相手を倒そうとするような動きは美しくないと判断され、マイナスの評価になるということだ。

 つまり、力づくで相手を倒そうとすれば、即座に失格になるということだろう。強いだけでは通用しないということだ。

 また、対戦時間は五分と短く、タイムアップの場合は残りポイントが多い方が勝ちとなる。基本的に、相手を倒すよりも相手のポイントを削るのがコンテストの神髄らしい。

 

 さらに、フィールドの特殊な装置によって、バトル中のみポケモンのレベルが強制的に50にされるということだった。

 あくまでコンテストバトルはポケモンの魅力を競う場なので、レベル差による力押しは出来ないようになっているのだろう。50より高い場合は低く、50より低い場合は高くされるので、いつもと力の勝手が変わってくる。その辺りの対応もしっかりしないと駄目そうだ。

 

 何だかんだあったが、結局はメグミのアゲハントとエイジのモルフォンがファイナルステージまで残り、二人のバトルの結果でこのコンテストの勝者が決まることになった。

 アゲハントの工夫された攻撃が命中することでエイジのポイントが削られ、逆にモルフォンの反撃が華麗に決まることでメグミのポイントが削られていく。技の性質を利用した演技を見せつつ、最終的には『あさのひざし』でポイントを稼いだアゲハントが僅かな差で勝利となった。

 

 普通のバトルとは違うコンテストならではのバトルに、ハルカも感動を覚えたようでメグミとアゲハントに拍手を送っている。一次審査や二次審査の間も、ずっと何か考えているようだったし、本格的にポケモンコーディネーターになる気になったのかもしれないな。

 

 

 追記。メグミとエイジにポロックの作り方を教えてもらった。確か、ゲームでは青いきのみを中心に作れば美しさの上がるポロックになったはずだ。ククク、これから毎日ヒンバスにポロックを食べさせてやるぜ。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・第9話『怪奇! キノココ屋敷の謎!?』より、ニューサトシから文句を言いに行った。
 原作では解体予定の屋敷にキノココがたくさんいて~みたいな流れだが、全部ぶった切ってストレートに要求を突き付けた。

・第10話『史上最強のペリッパー現る!!』より、ペリッパーのトリックを見破った。
 ニューサトシが気付かないはずがなく、後半のロケット団の話はカットされた。

・第11話『グラエナとポチエナ! 進化の神秘!!』より、ニューサトシがハルカとマサトにバトルをレクチャーした。
 とはいえ、簡単なレクチャーだけである。時間はたくさんあるので、これからゆっくりバトルを教え込む予定。

・第12話『ハスボーとフラワーショップの三姉妹!』より、ラティが水着を着た。
 正確には水着姿に変身した。

・第13話『ポケモンコンテスト! アゲハントの華麗なバトル!』より、ニューサトシもアシスタントになった。
 アイアンテールを覚えるくだりはカットされ、コンテスト一色になった。

・コンテストバトルにレベル50ルールをつけた。
 最初は気にせず書いていたが、レベル差でごり押しが出来てしまったので導入した。

・ポロックの作り方を覚えた。
 ヒンバスのポロック漬けが始まる。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.60

 ピジョット Lv.55

 バタフリー Lv.55

 ドサイドン Lv.59

 フシギダネ Lv.56

 リザードン Lv.61

 ゼニガメ  Lv.56

 キングラー Lv.55

 カモネギ  Lv.55

 エビワラー Lv.56

 ゲンガー  Lv.57

 オコリザル Lv.56

 イーブイ  Lv.55

 ベトベトン Lv.55

 ジバコイル Lv.55

 ケンタロス Lv.55

 ヤドラン  Lv.54

 ハッサム  Lv.56

 トゲキッス Lv.53

 プテラ   Lv.56

 ラプラス  Lv.54

 ミュウツー Lv.72

 バリヤード Lv.55

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.53

 カビゴン  Lv.51

 ニョロトノ Lv.51

 ヘラクロス Lv.50

 メガニウム Lv.50

 マグマラシ Lv.50

 ラティアス Lv.46

 ヘルガー  Lv.50

 ワニノコ  Lv.50

 ヨルノズク(色違い) Lv.50

 カイロス(部分色違い) Lv.50

 ウソッキー Lv.50

 バンギラス Lv.58

 ゴマゾウ  Lv.46→47

 ギャラドス(色違い) Lv.48

 ヒンバス  Lv.1 

 ミズゴロウ Lv.10→13

 スバメ   Lv.5→10

 キモリ   Lv.7→11 




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Rside.01 『みだれひっかきでサヨウナラしない』

 12歳 δ月η日 『なんぞこれ? ロケット団side』

 

 それは、いつものようにムサシ、コジロウ、ニャースが、ニューサトシのポケモンをどうやって奪おうと考えていた時のことだった。

 ニャースがたまたま檻の中に捕まっている大量のアーボを見つけたのである。どうしてそんな状況になったのか、ニャースに通訳を頼むと、どうやら密猟者に捕まって酷い目に合わされたらしい。おまけに、檻には電流が流れる仕組みになっていて、逃げるに逃げられないという状況だった。

 

 密猟者――ポケモンハンターと聞いて、三人の脳内に小生意気な子供の声が蘇る。

 

「お前ら、ホウエンでポケモンハンターを見つけたら警戒しておけ。確か、バンギラスを使ってきたはずだ。そこそこ強いっぽいから、舐めてると返り討ちに合うぞ」

 

 その時は、何を言っているかわからず、適当に返事をしていたが、今の状況になってあの時の言葉はこのことだったのだと理解した。

 

 だが、今現在その密猟者の姿はない。

 

 罠を放置して出かけるなど二流と判断し、そのままアーボ達は自分達の手柄にしようと三人は考えた。しかし、ムサシのパートナーであるアーボックは、同胞を手柄にすることに否定的である。

 手柄にするということは、このアーボ達を売るということだ。ロケット団もこの密猟者と同じ穴の狢。このまま手柄にすれば、このアーボ達の未来はどうなるかわからない。

 

 しかし、ムサシはしっかり相棒の気持ちを考えていた。ただ売るのではなく、カントーやジョウトの時のように、ポケモンをロケット団で使って貰えるように頼むのである。

 アーボなら潜入捜査にも使えるので、ロケット団員となれば酷い目にも合わないだろう。アーボックもそれなら文句はないということで、同胞を助けることに協力的になった。

 

 だが、アーボックの『ようかいえき』やマタドガスの『ヘドロこうげき』でも、檻は欠片も溶けなかった。どうやら、アーボ対策に毒に強い特殊な金属を使っているようだ。

 チッ――と、ムサシが舌打ちするのと同時に、空からオニドリルが強襲してくる。どうやら敵に自分達の存在がバレたらしい。ムサシの「散開!」という掛け声で、三人は距離を取った。

 

 オニドリルが旋回するように来た道を戻っていくと、そこにはトレーナーらしき男の姿が見える。

 おそらく、こいつが密猟者だろう。おまけに、どこから捕まえてきたのかドガースの群までもが檻に入れられている。同胞の無残な姿に、コジロウのマタドガスが悲しそうな声を上げた。

 

 リョウと名乗ったこの密猟者は、どうやらクライアントの命令でどくポケモンを集めているらしい。

 ホウエンならアーボやドガースよりも、ハブネークやロゼリアの方が主流のように思えるが、ここいらにはたまたまアーボとドガースの群れがいたのだろう。

 

 ロケット団がアーボックとマタドガスを連れているのを見たリョウは、進化系を捕まえればさらに報酬が増えると考えたようで、二体を残して消えるなら見逃してやると声をかけてきた。

 あまりの上から目線に、三人の怒りのメーターがはち切れる。長い間、自分達と苦楽を共にしてきた大切なパートナーを売れと言ってきたのだ。怒らない人間の方がおかしい。

 

 ムサシとコジロウが戦闘態勢に入ると、リョウも新たにサナギラスを出してきた。ニューサトシの情報からはバンギラスと聞いていたが、相手が弱いのは有難いことである。

 

 ムサシはオニドリルを出してオニドリルの相手をすることにした。コジロウはひこうタイプのポケモンをギャラドスくらいしか持っていない。大空を飛ぶオニドリルの相手は難しいと判断したのだ。

 コジロウもまたギャラドスでサナギラスに攻撃を仕掛けていく。オニドリルの相手はムサシがすると信じて、自分はサナギラスの弱点を突いていくことにしたのである。

 

 ここまでに会話はない。長い間組んでいた相棒だからこそ出来るパーフェクトコンビネーションで、リョウを攻め立てていく。

 おまけに、この二人は個別に戦うよりも、二人で力を合わせた時に本来の実力を発揮するタイプだった。普段はムサシの勢いにコジロウがついて行くという感じで、実力が出し切れずにやなかんじーにされるが、今回のように本気になると別次元の動きになる。

 

 もし、今のロケット団をニューサトシが相手にしたら、かなりの苦戦をさせられるだろう。

 そんな二人を、そこそこ強い程度の密猟者で相手どれるはずがなく、戦況はすぐに不利になって行った。

 

 オニドリル同士の戦いはレベル的に互角だったが、ムサシの誘導によって低空飛行させられた所を、ギャラドスの『れいとうビーム』で叩き落されている。

 舌打ちをしながら、リョウがオニドリルをボールに戻していく。また、戦況を有利にしようとサナギラスが『すなあらし』を起こしたが、ギャラドスの『あまごい』で即座に上書きし、ムサシのオニドリルによる『ドリルライナー』で弱点攻撃を仕掛けられていた。

 

 このままではまずいと、リョウが焦りを見せる。しかし、その瞬間、サナギラスはバンギラスへと進化した。

 

 形勢逆転とばかりに、「フフフ、そろそろ進化する頃だと思っていたんだ……」とドヤ顔するリョウだが、残念ながらムサシとコジロウはそれ以上に強いバンギラスを相手にしたことがある。

 バンギラスの特性である『すなおこし』で再びフィールドが砂嵐状態になるが、再びコジロウのギャラドスが『あまごい』で天候を雨に変えていく。

 

 バンギラスのようないわポケモンは、砂嵐状態の時に特防が強くなる。だからこそ、天候は即座に変えなくてはいけない。ポケモンリーグに参加していたムサシのためにコジロウが身に付けた知識の一つだ。

 また、バンギラスに進化したことで、いわ・あくタイプとなり、かくとうタイプの攻撃が四倍になっている。

 

 それを聞いたムサシは、新たにサワムラーを出した。これは正式なポケモンバトルではないので、オニドリルは戻さない。むしろ、下手なことをされないように、見張りとして置いておく必要があった。

 リョウはバンギラスの『はかいこうせん』で、一気にこちらを倒そうとしてくる。だが、ムサシやコジロウからすれば二流の攻撃だった。

 

「バンギラスが強いからって、強い技使わせればいいってもんじゃないのよ!」

「タイプ不一致の技で攻撃するとか素人だな。一流の戦い方を教えてやるぜ!」

 

 コジロウは新たにフシギダネを出し、『まもる』で『はかいこうせん』を防がせる。どんなに強い技でも、『まもる』で防いでしまえば効果はない。

 おまけに、相手は『はかいこうせん』の反動で動けなくなるのだ。コジロウもかつてはギャラドスで『はかいこうせん』を撃ってニューサトシに同じことをやられた経験があるが故に、対処は呼吸をするようにスムーズに行われた。

 

 相手の動きが止まったのを確認すると、ムサシがとどめの『とびひざげり』を指示してバンギラスにとどめを刺しに行く。

 普段であれば、『こころのめ』を併用する所だが、身動きが出来ないバンギラス相手ならば必要ない。いくらバンギラスとはいえ、四倍弱点であるタイプ一致のかくとうタイプ130の物理技に耐えられるはずがなく、一撃で戦闘不能に持って行かれた。

 

 当然とばかりにハイタッチする二人。

 

 ムサシもそうだが、コジロウもまたムサシに引き上げられる形で実力を伸ばしていた。

 ただ、まだ自分自身で自覚していないこともあり、こうして二人で戦わないとその実力を出せずにいるが、今は素直に勝てたことを喜んでいいだろう。

 

 自慢のバンギラスまでもが倒され、リョウが「そんな、バカな……」と言いながら後ずさっていく。

 しかし、逃げ道はなかった。チャリンという音と同時に、後ろに会ったドガースの檻が開き、中からドガースの群が出て来る。見れば、アーボの群も既に自由になっていた。

 

「全く、何でにゃあがこんな目にあってまで、自慢の爪でピッキングしないといけないのにゃ」

 

 そう、今までずっと姿を隠していたニャースがアーボ達の檻の鍵を開けていたのだ。

 その姿は見るも無残な黒焦げ状態である。檻に触ると電流が流れる仕組みになっていたせいで、それに耐えながらピッキングで鍵を開けていたのである。

 

「やるじゃないニャース」

「見直したぞー」

「まぁ、こんな電撃、ピカチュウの『10まんボルト』に比べればにゃんてことにゃいにゃん」

 

 戦えるポケモンは既になく、一人になったリョウはアーボ、ドガースの群に囲まれる。

 助けを求めるも、そんな助けに応える奴がこの場にいるはずもなく、アーボとドガースの無慈悲な攻撃にさらされていた。これで一件落着である。

 

 ある程度仕返しさせて、アーボとドガースの群を満足させると、リョウとバンギラスを簀巻きにして『私はポケモンを密漁しようとしました』という看板をぶら下げておく。

 これで、こいつらを見つけた誰かが警察に届けてくれるだろう。正義の味方の真似など、悪のロケット団がするべきことではないということで、後始末は割と適当にやっている。

 

 残る仕事は勧誘だけだ。アーボとドガースの群を、改めてロケット団に誘っていく。ここで群が嫌がるようなら、このまま逃がしてやってもいいとムサシとコジロウは考えていた。

 しかし、自分達を助けてくれた恩を返したいということで、アーボとドガースの群れはロケット団入りを快諾する。三人はすぐに本部に連絡を入れ、運搬用の飛行船を手配して貰うことにした。

 

 しかし、このまま本部の人間が来るのをゆっくり待っている訳にもいかない。ニューサトシ達はもうすぐそこまで来ているのだ。奴等はこちらの都合などお構いなしに先に行ってしまうので、このままずっと待ち続ける訳にもいかないのである。

 

 と、いうことで、アーボックとマタドガスにはしばらく群の管理を任せることにした。本部宛の手紙を預け、迎えが来たら一緒に本部へ行くように指示する。

 

 これには手持ち事情も関係していた、今現在ムサシの手持ちはアーボック、サワムラー、オニドリル、ソーナンス、リングマで、そろそろ枠が厳しい。

 コジロウも手持ちがマタドガス、ギャラドス、ウツボット、フシギダネ、ニューラで、手持ちが増えれば誰かを本部に送ることになってしまうのだ。

 

 ならば、先んじてアーボックとマタドガスを本部に送り、これから送るアーボとドガースの群の管理を任せる。

 預けたアーボとドガースの群が使えれば使えるほど自分達の評価も上がるし、アーボックとマタドガスは仲間達の心配をしなくて済むという一石二鳥の名案だった。

 

 とはいえ、ムサシもコジロウも、アーボックとマタドガスの力が必要になったらすぐに呼び戻すつもりではいる。

 アーボックとマタドガスは少し寂しそうにしているが、これが最後の別れという訳ではないのだ。とある世界線では最後の別れになってしまったが、この世界ではニューサトシというイレギュラーによって結末が変更されてしまったのである。

 

 その後、アーボックとマタドガスを置いて先に進んだ三人の前に、たまたまサボネアが現れ、コジロウがクッキーを上げたのに感動して仲間になったり、ムサシもハブネークをゲットしたりすることになるのだが、それはまた別のお話。

 

 

 




 いずれ番外編で出そうと思っていましたが、想像以上に望む声が多かったので急遽仕上げました。
 ポケモンハンターとのバトルはかなり一方的なものになっています。ぶっちゃけ、バンギラスに真正面から『はかいこうせん』撃たせるレベルの相手に苦戦しようがありません。

 また、アーボとドガースの群は、ロケット団本部に送られました。これについては、あとがきで書き忘れていたので書き直しておきます。


【挿絵表示】


 2023年4月29日(土)オカタヌキ様より、ファンアートを頂きました。素晴らしい絵をありがとうございます。


 ムサシ  ポケモン一覧

 アーボック Lv.49
 サワムラー Lv.46
 オニドリル Lv.44
 ソーナンス Lv.42
 リングマ  Lv.41
 ハブネーク Lv.6


 コジロウ ポケモン一覧

 マタドガス Lv.49
 ギャラドス Lv.47
 ウツボット Lv.45
 フシギダネ Lv.42
 ニューラ  Lv.41
 サボネア  Lv.7


 ホウエン初期時点の大体のレベルです。ニャースは秘密。そういえば、改めて書いていてニューラをコジロウがゲットしていたくだりを書き忘れてたのを思い出しました。まぁ、本編にあんまし関係ないからいいか!




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#109 『一日ニューサトシ先生』

 今日の昼に番外編を一話上げています。読まなくても本編には問題ありませんが、興味のある方はどうぞ。


 12歳 δ月υ日 『食いしん坊キャラ』

 

 カナズミシティ近くの森で野生のケムッソを見つけた。こいつは、前回ポケモンコンテストで優勝したメグミの連れていたアゲハントの進化前である。

 どうやらハルカは前回のコンテストで見たアゲハントの美しさが忘れられないようで、絶対にゲットすると意気込んでいた。そのままハルカがケムッソの後を追い、ラティが笑いながらその後を追って行く。

 

 一応、ハルカにはポケモンゲットの基本はレクチャーしてあるので大丈夫だと思うのだが、やはり心配なので後を追うことにした。

 

 しかし、その瞬間、タクマとかいうガキがダブルバトルを仕掛けてきた。カントーやジョウトではあまり見ないが、やはりホウエンではダブルバトルも主流らしい。

 ハルカやラティも心配だが、ポケモントレーナーとして、ここで逃げる訳にはいかなかった。念のためにピカ様に後を追うように頼み、申し込まれたダブルバトルに応じる。

 

 タクマはヤンヤンマとアリアドスというむしタイプの組み合わせを出してきた。

こちらはゴマゾウとスバメだ。ゴマゾウは念のための保険、基本はスバメを中心に相性を突いていくつもりである。

 スバメもレベルがそこまで高くないので結構苦戦しているが、危ない所をゴマゾウが援護して上手く立ち回っていた。ゴマゾウは兄貴肌だけあって、意外とサポート上手なのである。

 

 基本的に『でんこうせっか』からの『つばさでうつ』という、昔のポッポみたいなヒット&アウェイ戦法で、一気に相手を追い詰めていった。

 ゴマゾウは相手よりも自分の方が強いとわかっているようで、完全にサポートに徹してくれている。結局はスバメが二体とも戦闘不能に追い込み、バトルは俺の勝利となった。

 

 バトルが終わると同時に、どうもハルカもケムッソをゲットしたようで戻ってくる。何事もなかったように見えたが、ハルカ達は道中知り合ったという少年を連れていた。

 

 その少年が、何と今俺と戦ったタクマとそっくりなのである。聞けば、双子のようで、俺と戦ったのが兄のイチロウ、ハルカ達が出会ったのは弟のジロウらしい。

 兄弟で別々に俺達と出会うって珍しいこともあるもんだと思いつつ話を聞くと、どうやらケムッソゲットの途中でロケット団と遭遇し、ジロウに助けてもらったようだ。ゲットのサポートもして貰ったということで、お礼がてらみんなで一緒に食べることにする。

 

 そのままみんなで昼食を取ろうとすると、ボールから出てきたケムッソが料理を全て食べつくしてしまった。どうやら、このケムッソかなり食欲旺盛らしい。トレーナーそっくりだ。

 ハルカのルリリは昼食をとても楽しみにしていたようで、涙目になりながら尻尾でケムッソの頭をはたいている。まぁ、やってしまったことは仕方ない。次は注意しようということで、再びタケシが料理を作り直し、今度こそ昼食の時間となった。

 

 

 

 12歳 δ月φ日 『ニューサトシ先生』

 

 カナズミシティに着いた。ここには一応、カナズミジムがあるということなので、ジムリーダーにジム戦ではない本気バトルをお願いするつもりでいる。とはいえ、そんなに急ぎでもないので、しばらくはカナズミシティを見て回ることにした。

 

 展望台でカナズミシティの景色を見ていると、ベンチの下で涙目になっているニョロモを発見する。どうも、迷子のようで尻尾に見慣れない鉢巻をつけていた。

 どうしようか困っていると、ポケモンスクールで先生をしているお嬢様言葉の女が声をかけてくる。どうやらニョロモはスクールのポケモンのようで、彼女はずっとニョロモを探していたらしい。

 

 素直にニョロモを返すと、先生の連れていた生徒と思わしきガキ共に「サトシ選手だー!」と声をかけられる。どうやら、俺もかなり有名になってしまったようで、あっという間に囲まれてしまった。

 

 ツツジと名乗る先生が「子供達がすみません」と謝ってきたが、素直なガキは嫌いではない――っていうか、ツツジってお前ジムリーダーやん。トレーナースクールの先生兼任してるんか。

 

 そのまま、何だかんだでスクールに招待されたので、ツツジにジム戦ではない本気のバトルをお願いしてみる。

 トレーナースクールの仕事やジムリーダーとしての仕事が大変らしく、三日後なら何とか都合を付けられると言われたので、三日後に三対三のガチバトルをお願いすることにした。

 

 その代わりということではないが、ジョウトリーグシロガネ大会優勝、チャンピオンリーグベスト10のニューサトシに、まだポケモンを扱えない入門クラスの講師をして欲しいと頼まれる。

 まぁ、教えるのは嫌いではないので引き受けた。手続きなどもあるということで、今日はこのまま帰って明日から一日ニューサトシ先生の始まりである。

 

 

 

 12歳 δ月χ日 『将来が楽しみだぜ』

 

 一日ニューサトシ先生の始まりである。何故か、校長先生のご厚意でマサトまで一日体験入学することになったが、気にせず子供達に教鞭を振るっていく。

 とはいえ、マサトみたいなガリ勉君ならともかく、普通の子供に理論立ててポケモンの勉強をさせてもすぐに飽きてしまうのは目に見えていたので、ニューサトシのアニポケ冒険記を話しながら、楽しくポケモンとの付き合い方をレクチャーしていくことにした。

 

 マサトも、前回のポチエナの件で付き合い方の大変さを理解していたようで、実感の伴った頷きを返している。

 

 実技の時間になると、タクトというどこかの伝説厨のような名前のガキがマサトに突っかかっていた。どうやら、特別に体験入学させてもらえることになったマサトにライバル心を燃やしているらしい。

 他に目についたのは、ポケモンに触ることに恐怖心を持っているコウタという少年だった。恐怖心は悪い感情ではない。それだけ、慎重ということである。ただ、怖がっているだけでは始まらないので、少しずつポケモンと触れ合う所から始めさせることにした。

 

 触るのが無理であれば、近くにいるだけでもいい。まずは慣れることだ。ポケモンも、相手が悪感情を持っていなければわざわざ襲ってはこないし、スクールのポケモンは人懐っこいポケモンが多いのでそのうち仲良くなれるだろう。

 

 そんなこんなでコウタの世話を焼いていると、いつの間にかタクトとマサトが模擬戦をすることになっていた。どうも、無駄にマサトが優秀なのが鼻についたらしい。

 

 遠くから様子を見てみると、タクトがブビィ、マサトがニョロモで、相性的にはマサト有利だった。

 ただ、どうもマサトはポケモンのことをまるで見ずに自分本位なバトルをしている。知識が仇になっているのだ。相手は『かえんほうしゃ』の連打なので、避けてみず技を使えばいいものを、状況も見ずに『ドわすれ』や『はらだいこ』を使い、ステータスを上げるだけで不利になっている。

 

 いくら相性有利で耐久を上げたとはいっても、『はらだいこ』で体力が半分になっているニョロモは戦闘不能寸前だ。にもかかわらず、マサトは次にどんな技を使おうか悩んでいた。

 トレーナーになったばかりの初心者によくあるミスだな。ポケモンの状態を見ずに自分だけでバトルをする。ポチエナの時は進化させたい気持ちがいい方向に向かっていたのだが、なまじニョロモが言うことを聞くせいで問題が表に出てしまったようだ。

 

 このままいけばタクトの勝ち――と、いうところで、いつものようにロケット団が現れた。どうやら、隙を突いてスクールのポケモンを奪ってきたらしい。

 咄嗟に、マサトがニョロモに指示を飛ばして戦おうとし、それを見てタクトや他の子供達も戦う姿勢を見せた。とはいえ、相手は腐っても、地方リーグベスト8である。子供が束になった所で勝てる相手ではない。

 

 流石にフォローするかと思ったが、その瞬間、ポケモンに触るのを怖がっていたコウタが、勇気を出して「それじゃだめだ」と声を上げた。

 そのまま、マサトやタクトのポケモンを一目見ると、クラスメイト達に指示を飛ばしてポケモン達が有利に戦える布陣を敷いていく。こいつ、戦略をしっかり理解してやがる。

 

 面白くなってきたので、危なくなるまではコウタの好きにさせることにした。

 

 本来であれば、子供が束になってもロケット団には勝てないだろう。しかし、コウタは、ポケモンの相性や、数の有利、補助技によるステータスダウンなど、大人顔負けの指示でロケット団のポケモンが力を出せないように立ち回り、互角の戦いをして見せている。

 

「こりゃ、将来が楽しみですね。ツツジせんせー」

「そ、そうですね。まさか、あのコウタ君がここまで……」

「ああゆう大人しいタイプほどキレた時は怖いもんですよ。まぁ、とはいえ、そろそろ限界か」

 

 良く戦ってはいるが、レベル差が大きすぎた。

 これがアニメのロケット団なら倒し切れたかもしれないが、俺のせいで強くなっているので流石に子供には負けないだろう。しかし、地方リーグベスト8のトレーナーに、数の利があったとはいえレベルの低いポケモンでこれだけ戦えれば十分だ。

 

 よくやったなと、コウタを労って、後はピカ様にお任せする。いつも通り速攻でやなかんじーにしてやると、自分達が苦戦していたロケット団を一ひねりした俺に尊敬の目が向けられた。

 張り合っていたマサトやタクトもお互いを認め合ったようで一件落着になっている。他の子供達も、今回の一件でポケモンについて学ぶことが楽しくなったようで、ツツジにお願いされた一日先生ミッションはこれで無事クリアしたと言っていいだろう。

 

 

 

 12歳 δ月ψ日 『弱点のごり押しで行くぜ』

 

 カナズミジムはいわタイプのジムである。相性を考えれば、今回は本気バトルではなく、ミズゴロウさんやキモリのデビュー戦にしてもよかったのだが、キモリはまだくさ技を覚えていないし、レベルを考えるとスバメを三体目に編成する必要があるので相性的にも厳しいと思ったのだ。

 

 ならば、カメワニコンビ優遇と、赤いギャラドスのデビュー戦にしてやった方がいいだろう。

 いわタイプに有利なみずタイプ三連星だ。

 大人気ないかもしれないが、相手の弱点を突くのはバトルの基本である。ホウエンでゲットした三体を一旦、オーキド研究所に送り、みずタイプ三体を手持ちに加える。

 

 弱点が偏るので、本来なら一体くらいはかくとうタイプかじめんタイプを入れておいた方がいいのだが、まぁ何とかなるだろう。

 

 まだ時間があるので、少し調整だ。特にギャラドスは初の公式戦ということで、やる気を漲らせている。あまり気合が入りすぎても空回りしてしまうので、今のうちにガス抜きさせておこう。

 

 

 

 

 

◇◆

 

 

 

 

 

 オーキド研究所に送られたミズゴロウ、スバメ、キモリの三体は、ニューサトシがこれまでゲットしたカントー、ジョウトのポケモンに囲まれていた。

 基本的に、居残り組は自主練が指示されているが、新しく仲間になったポケモンの指導も頼まれている。よって、新しいポケモンが送られてくると、そいつらがどういう性格で、どういう戦い方をして、どういう技を使えるのかをチェックされるのだ。

 

 新人歓迎会――と、ポケモン達の中では呼ばれている儀式だが、ある程度の性格は少し話すだけで掴める。

 ミズゴロウは好戦的で少し自信家だが真面目な性格だ。ニューサトシのために強くなりたいという気持ちが前面に出ている。スバメは負けん気が強くやんちゃな性格で気合と根性はかなりのものだ。最後のキモリは、少しひねていていじっぱりである。こういう輩は素直に相手のいうことを聞かない場合が多いのだが、相手の強さを認める器量はあるようだ。

 

 性格を大体掴むと、次は早速訓練である。

 

 基本的には同じタイプのポケモンが相手となって、限界まで新人を追い詰めていく。レベル差や技術差があるので、バンギラスのように元から強い奴でないと大体がボコボコにされるのだが、案の定ホウエン三人組もボコボコにされていた。

 ミズゴロウはニョロトノ、スバメはヨルノズク、キモリはメガニウムが相手となって、どういう戦い方をしてどういう技を使うのかを確認している。ギリギリまで追いつめられることで、格好つけた動きではないガチの動きが引き出され、技を温存するような余裕を奪っていく。

 

 一旦新人をボコボコにし終えると、今度はどういう育成をすべきかの議論が始まった。

 

 ニューサトシの育成の好みは大体皆把握しているので、その上でああでもないこうでもないと議論を重ねていく。

 最終的には、ミズゴロウについてはカウンターを軸に戦わせた方が良いということでエビワラーが先生となって動きの指導をすることになった。スバメはピジョットが先生となり、バトルに必要な飛行技術を指導していく。キモリはフシギダネからくさ技の指導だ。流石にくさタイプがくさ技を使えないのは話にならない。

 

 こうして、新人育成の方向性が決まると、残りのポケモン達は自主練やオーキド研究所のパトロールに戻っていく。

 

 基本的にバトルに出られるのは最大で六体だけである。その中でも、ここ一番で選ばれるのは、主にピカチュウとリザードンだ。最近ではミュウツーもいる。

 確かに、その三体は圧倒的に強い。ニューサトシが頼りにするのもわかる。しかし、その結果、残りのポケモンは三つしかない椅子を争うことになるのだ。何十体もいる中で、バトルに出られるのはたった三体なのである。

 

 勿論、いつまでもこのままでいるつもりはなく、上位三体を超えるべく今も皆努力を重ねていた。

 だが、それでも椅子は六つしかない。三対三の場合や二対二だと、枠はもっと少なくなる。そんな中から選ばれるには強くならなくてはいけないのだ。

 新人は割と戦う機会を多く与えられるからまだそこまで実感がわかないかもしれないが、いずれわかる日が来るだろう。強くなることがどれだけ大切かを。

 

 何せ、確定で選出されがちなリザードンですら、その立場に慢心することなく、さらに貪欲に力を求めている。

 こういう奴を超えなければ、出番は与えられない。

 とはいえ、別にポケモン同士の仲が悪い訳ではなかった。むしろ、いいライバル関係にあると言っていいだろう。しかし、皆、ニューサトシが大好きだからこそ、少しでも一緒にいられるように日々努力を重ねていた。

 

 

 




 原作との変化点。

・第14話『ダブルバトルとダブルでケムッソ!?』より、ダブルバトルで余裕勝ちした。
 原作ではアイアンテールの練習しているし、流石に負けるような相手ではない。

・第15話『勉強します! ポケモントレーナーズスクール!!』より、ニューサトシに生徒達が気付いた。
 地方リーグ優勝、チャンピオンリーグベスト10なので、そこそこ有名になっている。

・先生をすることになった。
 割と教え慣れしているので、先生に向いていたりする。

・コウタが強化されている。
 実はニューサトシのファンで、しっかり戦い方を勉強していた。原作よりも頭が良くなっている。

・ツツジの出番を奪った。
 原作ではツヅジのイシツブテがロケット団を撃退するのだが、ニューサトシが美味しい所を持って行った。

・ガチ戦はみずタイプ三体に決めた。
 あまり偏らせるのも危険なので、本来はくさ・かくとう・じめんのポケモンを入れて弱点を散らすべきなのだが、今回は挑戦も兼ねて統一パにしている。

・新人三体がオーキド研究所に送られた。
 預けられた時間で先輩達に揉まれている。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.60

 ピジョット Lv.55

 バタフリー Lv.55

 ドサイドン Lv.59

 フシギダネ Lv.56

 リザードン Lv.61

 ゼニガメ  Lv.56

 キングラー Lv.55

 カモネギ  Lv.55

 エビワラー Lv.56

 ゲンガー  Lv.57

 オコリザル Lv.56

 イーブイ  Lv.55

 ベトベトン Lv.55

 ジバコイル Lv.55

 ケンタロス Lv.55

 ヤドラン  Lv.54

 ハッサム  Lv.56

 トゲキッス Lv.53

 プテラ   Lv.56

 ラプラス  Lv.54

 ミュウツー Lv.72

 バリヤード Lv.55

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.53

 カビゴン  Lv.51

 ニョロトノ Lv.51

 ヘラクロス Lv.50

 メガニウム Lv.50

 マグマラシ Lv.50

 ラティアス Lv.46

 ヘルガー  Lv.50

 ワニノコ  Lv.50

 ヨルノズク(色違い) Lv.50

 カイロス(部分色違い) Lv.50

 ウソッキー Lv.50

 バンギラス Lv.58

 ゴマゾウ  Lv.47

 ギャラドス(色違い) Lv.48

 ヒンバス  Lv.1 

 ミズゴロウ Lv.13→16

 スバメ   Lv.10→14

 キモリ   Lv.11→14 



 追記。番外編でのミスの指摘ありがとうございます。修正しました。


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#110 『何回やっても最高だ』

 ジム戦二話あるので、昼と夜で完結させます。


 12歳 δ月ω日 『カナズミシティ ジム戦 VSツツジ 前編』

 

 ニビジムはいわタイプのジムとしては総本山のような扱いをされているようで、タケシは意外とその手の界隈では有名人らしい。

 カナズミジムへ行くと、タケシの顔を見たジムトレーナーが群がってきて、いつになくタケシが困った顔をしていた。女性関連以外で照れるタケシを見たのは久しぶりな気がする。

 

 まぁ、タケシのことは置いておいて、本題は俺のバトルだ。

 どうやらツツジも、ジム戦ではない本気のバトルは久しぶりのようで、三日前の先生の顔とは違ってやる気に満ちていた。有難い、本気でやってくれなきゃ意味がないからな。

 

 ルールは三対三の入れ替え戦である。当然、レベル制限などない全力のバトルだ。

 こちらの手持ちは前に書いた通り、ゼニガメ、ワニノコ、ギャラドスのみずタイプ三連星である。いわタイプは物理技を主にしているポケモンが多いため、『いかく』の特性を持つ、ギャラドスに一番手を任せた。

 

 前日に上手くガス抜き出来たおかげか、公式戦初デビューだというのに緊張した様子はない。

 逆にツツジは、色違いの赤いギャラドスが出てきてとても驚いていた。俺がチャンピオンリーグクラスのトレーナーということは知っているようだが、流石に公式戦で一度も出していないギャラドスのデータは持っていなかったらしい。

 

 気を取り直すと、ツツジはプテラを出してきた。流石にジムリーダーだけあって、この世界では珍しいとされる化石ポケモンを当然のように持っているようだ。

 

 開幕、ツツジは『ステルスロック』を繰り出してくる。勿論、いわタイプのジムリーダーということで警戒はしていた。

 ギャラドスを一番手に出したのだって、『いかく』だけではなく、後出しステロのダメージを受けなくする狙いもある。まぁ、対策としてはゼニガメの『こうそくスピン』で弾くという手があるので、まだそこまで問題というほどではない。

 

 相手のプテラがステロを巻いている間に、こちらも『ハイドロポンプ』で攻めていく。

 本来ならば物理技で攻めたいが、いくらギャラドスがひこうタイプを持っているとはいえ、自由自在に空が飛べるわけではないので空中にいるプテラへの攻撃手段は自ずと遠距離攻撃に限定される。

 これが、『そらをとぶ』を覚えたギャラドスなら、空中戦も出来たのかもしれないが、少なくとも俺の知っている限り、アニポケ世界でギャラドスが空中戦をした記録はないはずだ。

 

 プテラは素早種族値130族だが、ステロを撃っている間は流石に足が止まっているので、こちらのドロポンが直撃している。

 しかし、ツツジは必要経費と言わんばかりに受けたダメージを気にしていなかった。一撃くらうのは覚悟の上ということか。

 

 ギャラドスも自陣の周りに浮くステロをウザそうに見ているが、交代しない限り害はないので無視で良い。

 チャンピオンリーグではカルネにステロを防御に利用するという戦術を見せられたが、流石に展開し終えたステロに干渉するようなことは出来ないだろう。

 

 追撃とばかりに、再び『ハイドロポンプ』を指示するが、ツツジもまともにくらうつもりはないようで回避を指示している。やはり、足が止まっていないプテラをドロポンで狙うのは厳しいな。

 とはいえ、うちにもプテラがいるし、チャンピオンリーグの修行中はギャラドスも空を飛んでいる相手に訓練を積んでいる。この程度で手詰まりにはならない。

 

 命中率に難のあるドロポンから、『れいとうビーム』に攻め手を変えていく。

 そういえば、これまでは命中率についてあまり言及してこなかったが、俺は命中率というのは操作性だと考えている。FPSゲームでいう所のエイムのしやすさだ。正確に言うと、命中率だけではなく、威力も関係していると思うのだが、『ハイドロポンプ』や『ふぶき』、『かみなり』などの大技はそれ故に操作があまり自由に効かない。

 言ってしまえば、大砲のようなものだ。

 一撃の威力は大きいが、当たらなければ力を消費するだけなので、取り回しの良い技を使うという訳である。ドロポンが大砲なら、れいビは機関銃と言った所だな。まぁ、威力の差が激しいから上手い表現ではないかもしれないがニュアンスは伝わるだろう。

 

 俺のギャラドスは基本的に物理主体だが、こういう事態に備えて遠距離練習をさせていた。タイプ不一致だが、向こうはひこうタイプも入っているし、直撃すればダメージは必須だ。

 ツツジのプテラも良く訓練されているようで飛行技術は一流らしいが、どんなに凄い技術を持っていても避けられない攻撃は存在する。特に、室内でのバトルでは使える空間に限りがあるので、ちょっと動きを誘導してやると袋小路になるのだ。空を飛べる=アドバンテージという訳ではないということである。

 

 これはシロナから学んだ技術だ。

 

 正確には、空を飛んでいる相手への有効な攻撃の仕方というより、相手を誘導する技術を学べばもっと効率的にバトルを出来ると言われたのである。実際、今もその教えは生きており、ギャラドスのれいビを回避できなくなったツツジが『まもる』を指示していた。

 流石に『まもる』を使われては攻撃を当てられない。連続攻撃なら守りを破れるが、『まもる』以上の早さで『れいとうビーム』を連続で撃つのはこおりタイプでも無理だろう。

 

 こちらの猛攻を凌ぐと、今度は自分の番だと、ツツジが『ロックブラスト』を指示してきた。

 いわタイプの連続技だ。一ターンに2~5回攻撃が出来るが、一撃の威力は25と低く、四発は当てないとアドバンテージが取れない。ランダム性が強く、『まもる』や『みきり』対策くらいでしか使われない印象の技だ。

 

 仮に五発出たとしても、全部は無理でも半数は相殺できるだろう。いくらタイプ一致技とはいえ、多少当たったくらいじゃ致命傷にはならない。そういう意味でもやはり弱い技に思える。

 そう思って迎撃のれいビを指示すると、プテラは明後日の方向に弾を撃ちだした。威力がない代わりに弾のスピードは速いようで、かなりの速度の弾がプテラから離れたステロの岩に命中して跳弾する。

 

 岩の弾は、浮遊しているステロに当たりながら、跳弾を繰り返して不規則な動きを繰り返していた。おまけに、『ロックブラスト』の二発目、三発目も、ステロの岩に当たって跳弾を繰り返していく。弾同士がぶつかることなく高速で動いており、流石にこれを読み切るのは不可能だ。

 しかし、ツツジがパチンと指を鳴らすと、急にロクブラの弾同士がぶつかり合い、予測不能な方向から『ロックブラスト』三発全てがギャラドスに命中する。

 

 指を鳴らしたのはパフォーマンスだ。

 

 おそらく、このタイミングで岩同士がぶつかるのを読んでいたのだろう。いや、それもそうだが、岩の弾が跳弾するとか、どういうトリックだよ。

 

 問題なのはそれだけではない。

 

 ステロの岩に弾が当たって跳弾を繰り返すなど、偶然で済ませられるものではなかった。

 つまり、ツツジは弾がどういう動きをするか、どの角度で当てれば跳弾を繰り返せるかを完全に計算してこの技を使っているということだ。

 

 これまでも技の性質を利用したコンボなどは沢山見てきたが、その中でもこの技は飛び切りヤバい。

 単純にこれを使えるのはツツジだけな上、理論がわかっても対応が思いつかないのだ。高速で跳ねる弾の軌道を読むなどアニメの世界だけであり、現実でやられると反応するまもなく攻撃が当てられる。

 

 こちらが対応を考えている間にも、ツツジは『ロックブラスト』で追撃をかけてきた。

 今度は四発だ。全弾当たれば威力は100。流石に『いかく』で攻撃力が下がっているとは言っても無視できないダメージになってくる。とはいえ、こんな特殊な攻撃を回避など出来るはずもなく、連続攻撃である以上、『まもる』でも防御出来なかった。

 

 こうなっては仕方ないので、『ぼうふう』を指示し、ジョウトのイブキやハヤトが使っていたように自身の周囲に壁のように展開してロクブラを防いでいく。

 しかし、この技も無敵という訳ではない。自身の技のダメージを受けるデメリットがある上、俺のギャラドスはまだこの応用になれていないので練度が低いのだ。ロクブラのように単発の威力が低い技ならまだ防げるが、威力の高い技はおそらく防ぎきれないだろう。

 

 ロクブラの当たった様子から、ツツジもそのことに気付いたようで『ギガインパクト』を指示してきた。

 タイプ不一致だが、威力150の大技で一気に勝負をつけるつもりらしい。防御は無理と判断し、風の防壁を解除して『れいとうビーム』で撃墜を狙っていくが、プテラはれいビの直撃を物ともせずに真っすぐ突っ込んできた。

 

 攻撃力が一段階下がっていても、その威力は絶大なようでギャラドスがダメージで倒れる。

 プテラは技の反動で動けなくなっていたが、どうも倒れた体勢が悪かったようで、ギャラドスが起き上がる間にプテラの反動もなくなってしまっていた。

 

 強い。

 

 ジム戦でない以上、完全に手加減なしなので苦戦するとは思っていたが、ここまで鍛えられているとは思わなかった。

 チャンピオンリーグトレーナーと比較しても上のレベルと遜色ない。こちらもダメージを与えているはずだがそれ以上に受けたダメージが大きすぎる。もうギャラドスも体力は1/3もないだろう。対して、プテラにはまだ余裕がある。あくまでも推測だが、まだ半分近く体力が残っていると見た。

 

 仮に『ハイドロポンプ』が命中したとしても、一撃で戦闘不能に持って行くには少し厳しい。

 逆にこちらは、『ロックブラスト』にしても『ギガインパクト』にしても直撃したらそこで戦闘不能になりかねなかった。

 

 まだ技が一つ残っているとはいえ、ここは状況不利と判断しギャラドスを一度戻す。

 二番手で送り出すのはゼニガメだ。『ロックブラスト』を利用した跳弾戦術は、『ステルスロック』で展開した岩があってこその技である。その岩を『こうそくスピン』で弾き飛ばしてしまえば、厄介な跳弾戦術は防げるはずだ。

 

 ゼニガメがフィールドに出ると、ステロによってダメージが入る。こればかりは仕様なのでどうしようもないが、即座に『こうそくスピン』でステロの岩を撤去させた。

 

 ステロが除去されるのを見て、ツツジも無理にプテラを突っ張ろうとせずに戻してくる。

 おそらく、下手にステロを撒き続けても、『こうそくスピン』の追加効果でゼニガメの素早が上がり続けるだけなのがわかったのだろう。こちらとしては、ゼニガメのスピードを最大まで上げての乱戦も想定していたが、流石に乗ってはこないらしい。

 

 いわタイプのポケモンは、プテラのような例外を除けば概ね重量タイプだ。この世界でも、速さというのはポケモンバトルで重要なファクターの一つである。

 ゼニガメもそこまで足が速くはないが、進化していないが故に小柄で小回りが利く。素早が六段階上がれば、いわタイプで対応するのは厳しいだろう。後続のことを考えれば、ツツジの判断は正しい。

 

 しかし、そういう意味では、進化していないことが逆にメリットでもあるのか。

 思えば、アニメのDP編でもナエトルが進化したことで重量が増し、それまで得意としていたスピードバトルが出来なくなってサトシ君が使いこなせなくなる事件があった。俺は、ゼニガメやワニノコを進化させたいとずっと思っていたが、ただ進化させれば強くなるとは限らないのかもしれないな。

 

 ふと、そんなことを考えていると、ツツジは二番手としてボスゴドラを出してきた。

 はがね・いわタイプの重量系ポケモンだ。いわタイプは大体がじめんタイプとの複合が多いイメージだが、こうしたはがね複合パターンもある。

 この場合、四倍弱点はみず・くさではなく、かくとう・じめんになるのだが、この二種は物理技が強いタイプなので、特殊技が豊富なみず・くさよりも耐久しやすいのだろう。

 

 まぁ、それでもカメワニ贔屓がなければ、俺もかくとうタイプかじめんタイプを一体入れるくらいには警戒していた。とはいえ、今からではもうどうしようもないので、みずタイプ三連星でごり押しするしかない。

 

 ゼニガメに二度目の『こうそくスピン』を指示し、そこからいつも通り『ハイドロポンプ』に繋げていく。

 四倍ではないにしても、タイプ一致の弱点攻撃だ。重量級のボスゴドラにこれを回避するすべはないだろう。

 

「ボスゴドラ、『にほんばれ』!!」

 

 だが、こちらのユナイトコンボが直撃する前に、ツツジは天候を晴れに変えてきた。

 これによって、ほのおタイプの技のダメージが1.5倍になる上、こおり状態にもならなくなる。しかし、それ以上にまずいのは、みずタイプの技のダメージが半減するという点だ。

 ぶっちゃけ、『にほんばれ』になった所で、いわタイプのポケモンにあまり恩恵はない。これは俺側へのデバフとして使ったのだろう。俺がギャラドス、ゼニガメとみずタイプを二体出したことで、技スロットを一つ使ってでもダメージを下げに来たのだ。

 

 こちらの攻撃が直撃するも、晴れになったことで威力は55へと下がっておりタイプ一致とはいえ大きなダメージにはなっていない。

 しかし、天候を変える技中は大きな隙が出来るのは間違いなかった。こちらも被弾覚悟で『あまごい』を使って天候を雨に変更していく。シロガネ大会のエキシビジョンマッチでは、天候が混ざり合うとかいう謎の現象が起きていたが、今回は特にそういうこともなく上書きできている。

 しかし、こちらはこれで三つ技を使ってしまった。正直、残りの一つを大技の『ハイドロカノン』を予定しているのでこれで全て使ったようなものである。

 

 対するボスゴドラは、こちらが天候を雨に変えている間に、『ボディパージ』を使って素早を二段階上げていた。

 この技には追加効果で自分の重さが100㎏軽くなるというものもあるのだが、元の重量が300㎏超えボスゴドラだと、一回使ったくらいじゃあまり変わりはなさそうに見える。

 

 とりあえず、雨で威力が1.5倍になったので、再び『こうそくスピン』からの『ハイドロポンプ』で攻撃を仕掛けていくことにした。

 だが、再びこちらの技が直撃する前に、やはり『にほんばれ』で天候を変えてダメージを軽減してくる。

 予定通りだ。天候の代わりに攻撃が必中になるなら多少の軽減は安いものである。二度当てたので、『ハイドロポンプ』一発分のダメージは稼いだはずだ。しかし、こちらの『ハイドロポンプ』の残弾と、向こうの『にほんばれ』の残弾は3である。

 

 このまま素直に攻撃を当て続けされてくれれば楽なのだが、向こうも『ボディパージ』を使った所から見ても何かを狙っているのは間違いなかった。

 それに、こちらも余裕があるという訳ではない。仮にこちらの思惑通り、この残りの残弾を全て使ってボスゴドラを倒せたとしても、こちらも『あまごい』と『ハイドロポンプ』が使えない干上がったカメが爆誕する。

 

 勿論、立ち回り次第で多少残弾は残せるだろうが、それでも後半はかなり厳しい戦いになるのが目に見えていた。

 

 そう考えると、ゼニガメで突っ張るのは厳しいか。究極技を隠しているとはいえ、晴れ状態にされたら威力も知れている。

 後出しで技を使っている以上、最終的に天候は雨に出来るが、逆にツツジはこちらの技が発動するまで天候を変えて来ないだろう。別に強い恩恵がある訳ではないので、ダメージ軽減技と割り切っているのだ。

 

 他に有効な技もないし、ダメージを稼いだだけ良しということで、ここは一旦ゼニガメをボールに戻し、最後のワニノコに登場願った。

 

「……みずタイプ三体は、いくら何でも偏り過ぎではありませんか?」

 

 おっしゃる通りである。

 舐めていた訳ではないが、やはり本気のジムリーダー相手に安易なタイプの偏りは良くなかったな。まぁ、でもゴリゴリにメタってやるってつもりは最初からなかった。むしろ、偏りのある組み合わせの練習だと思えば悪い状況ではない。

 

 とはいえ、ワニノコもエビワラーのように型が決まっているタイプなので、基本は『りゅうのまい』によるバフから始まる。踊りながら攻撃と素早を一段階上昇させ、準備を整えていくのだ。

 しかし、それを見て、ツツジも再び『ボディパージ』を指示してきた。これで計200㎏も重量が下がり、素早は四段階まで上がっている。

 どうやらツツジも準備が終わるまで仕掛けるつもりはないようで、そのまま三回目の『ボディパージ』を指示してきた。これで重量は300㎏マイナスされて、ボスゴドラの重さは成人男性とどっこいくらいになりスピードも最大まで強化されている。

 

 あの巨体とパワーで体重が成人男性くらいしかないということは数字以上にスピードは速くなっているはずだ。

 こちらもその間に『りゅうのまい』をもう一段階積んだとはいえ、基礎スペックでは圧倒的に負けているので油断するとワンパンで倒されかねない。

 

 ボスゴドラが軽くなった体を確認するようにステップを踏むと、一気にこちらとの距離を詰めてきた。

 同時に、『かみなりパンチ』の指示が飛び、拳に雷が宿る。当たれば大ダメージは必須なので、ワニノコにはいつも通り踊りからの回避を指示する。

 

 巨体故に小回りこそ利いていないが、かなりの速さだ。重量級の弱点である重さと遅さを克服したボスゴドラはここまで速いのか。

もし、バトルしているのが、ワニノコじゃなくてゼニガメだったら避け切れずに被弾していたかもしれない。それくらいに速かった。

 

 しかし、ワニノコもまた小柄故の小回りを利かせて踊りながら攻撃を回避していく。相手もワニノコのリズムに飲まれて、攻撃のタイミングが掴めないようで、上手く攻撃を当てられていなかった。

 とはいえ、相手の速さが速さだけに避け切れない攻撃も出てくる。咄嗟に『アクアテール』を指示し、何とか『かみなりパンチ』を受け流させたが、それでも触れた際にでんきダメージを少し受けたようだ。まぁ、それでも直撃に比べればマシだろう。

 

 とりあえず、麻痺をしていないのなら問題なしだ。ワニノコはリアクションが大きいのでかなりダメージを受けたような表情をしているが、人間でいえばちょっと強い静電気を受けたようなものである。大したことはない。

 おまけに、技を避けながらしれっと『りゅうのまい』を二回も積んでいた。これで、四段階攻撃と素早がアップしたので、ワニノコも先程より余裕をもって攻撃に対応できるはずだ。

 

 ワニノコとボスゴドラが一旦距離を取ると、『にほんばれ』の効果が切れてフィールドが元に戻る。

 だが、ツツジは追加で『にほんばれ』をする気はないようで、再び『かみなりパンチ』を指示してきた。

 しかし、今度はワニノコのバランスを崩すことを念頭に置かせているようで、腕だけでなく足や尻尾を使ってワニノコの動きを封じようとしている。少しでも体勢を崩せば、その瞬間に必殺の一撃が飛んでくるということだ。

 

 対応が早い。

 

 それに的確だ。

 

 その証拠にこれまでは技の起点である腕だけを警戒すればよかったのが、警戒すべき場所が増えたことでワニノコも踊りのリズムを崩されて技を回避しきれなくなっている。

 ツツジがワニノコの動きを見切って、細かい指示を飛ばしているのも大きい。ワニノコは基本的に踊りの奇抜さで相手の攻撃タイミングを失わせるのが得意なのだが、逆にこのレベルの相手だとこちらが自由に踊れないようにされてしまうようだ。

 

 このまま受けでいるのは厳しいと判断して反撃に移ることにした。『ばかぢから』を指示し、『かみなりパンチ』を回避して、相手の腕を足場に顔面に一撃を与えていく。

 だが、その瞬間、ツツジは最後の技である『もろはのずつき』を指示してきた。いわタイプ威力150の最強の物理技だ。ただ、相手に与えたダメージの半分を自分が受けるというデメリットがあるのだが、どうもツツジのボスゴドラは特性『いしあたま』のようでそのデメリットを帳消しにしている。

 

 逆に『いしあたま』のボスゴドラに攻撃を仕掛けたワニノコは、その頭の固さに反射ダメージを受けたと言わんばかりに右腕を抑えていた。先程のようにわざと騒いでいないということは、結構ダメージは大きそうである。

 しかし、ボスゴドラも四倍弱点の一撃を受けてダメージは大きいはずだ。こちらは、『ばかぢから』のデメリットで攻撃と防御が一段階下がっているが、ゼニガメが与えたダメージもあるし、もう一度『ばかぢから』を直撃させられれば倒せるだろう。

 

 ツツジはボスゴドラを戻そうとしない。ここで戻せば、『ボディパージ』のバフがなくなる上、重量も元に戻る。また使えば良いと思うかもしれないが、バトル中に自身の重量が何度も変わると、ポケモンの方がその状態に対応しきれず混乱する恐れがあった。おそらく、ツツジはそれを懸念しているのだろう。

 それに、ワニノコも『もろはのずつき』でかなりのダメージを受けている。もう一度くらえば戦闘不能になってもおかしくないし、ここはボスゴドラで倒すつもりと見た。

 

 ツツジはボスゴドラにもっとスピードを生かしてワニノコを困惑させるように指示している。

 普通ならボスゴドラがスピードとか意味不明としか思えないが、身長2m越えで体重が60㎏前後は十分に軽量級だ。図体が大きいせいで小回りが利かないが、それでもやろうと思えば俺のエビワラーと似たようなことが出来るはずである。

 こちらも素早が上がっているから何とか対応できているが、ボスゴドラが完全にスピードを生かす立ち回りをして来れば、先程までのようにはいかないだろう。

 

 とりあえず、五回目の『りゅうのまい』を指示し、下がった攻撃を戻しながら素早も上げていく。

 その瞬間、ボスゴドラも距離を詰めてきた。『かみなりパンチ』を展開しつつ、フェイントを織り交ぜてこちらを封殺しようとしている。先程以上にリズムを狂わされてしまい、ワニノコも相手の動きを気にしていつものように自由に踊れていなかった。

 

「ワニノコ、飲まれるな! 攻撃は良いからお前の踊りたいように踊れ!!」

 

 ここは無理に攻撃するよりも、ワニノコらしさを取り戻すことが大事だ。相手の動きすら無視させ、集中して踊りを再開させる。

 ワニノコにとって、踊りはバトルの起点だ。らしさを失うということは、負けたも同じである。俺の声に応えて元気に踊り出すワニノコだが、ツツジはつられないようにボスゴドラに声をかけ、『かみなりパンチ』の指示を出していく。

 

 だが、完全に踊りに集中したワニノコは相手の『かみなりパンチ』の直撃を受けて尚、踊るのを止めなかった。そのまま『りゅうのまい』の六回目を決めると、ツツジの攻撃指示のタイミングを崩していく。

 先程までと違って相手を気にする以上に、自分の踊りに意識がいっているのが大きい。攻撃を受けたらその時はその時と開き直っているのでフェイントにも引っかからないのだ。それ故に、ツツジも先程までの指示で動きを制限できなくなり、ワニノコが自分のリズムを取り戻していく。

 

 ワニノコの開き直りが、ツツジの計算を少し崩した。

 

 そのほんの少しの狂いが、ボスゴドラの攻撃にも影響を与えている。これまで支配していたリズムをワニノコに取り戻され、攻撃に精彩がなくなっていく。

 ワニノコが完全に自分のリズムを取り返すのを見て、ツツジは本能的にまずいと判断したのか、『もろはのずつき』で無理やりに勝負を着けようとしてきた。

 

 その瞬間、踊るワニノコの腕に光が宿る。

 

 やるのか――まだ完成していないはずだが、ワニノコが出来ると思ったならその判断を信じよう。迎撃として、『きあいパンチ』を指示していく。

 

 きあパンは、かくとうタイプの威力150物理技だが、相手の攻撃を受けたり、集中を乱されたりすると失敗するというデメリットがあるため、なかなか安易に使えない技だ。

 俺のポケモン達でこの技を好んで使うのは、エビワラーやバリヤードだが、前者は相手の攻撃を回避してカウンター使用、後者は壁で相手を封じて確定発動などの応用をしている。

 

 ワニノコの場合は、踊りながら相手の攻撃を回避して気合を貯めているのだ。ただ、踊りながら相手の攻撃を回避しつつ、自身の拳に気合を貯めるのはかなり難しいようでまだ技としては確立できていなかった。

 だが、ここでワニノコは使うと決めたのならば、その意思を信じるだけだ。突っ込んでくるボスゴドラを回避し、カウンターでボディに『きあいパンチ』を叩きこむ。

 

 どうやら、ぶっつけ本番で成功させたようで、ボスゴドラがその場に崩れ落ちた。ゼニガメが与えたダメージに、弱点のかくとうタイプの大技を二回もくらえば、流石のボスゴドラも耐えられなかったらしい。

 

 ツツジはボスゴドラをボールに戻すと、咄嗟に焦ってしまった自分のミスを謝罪していた。

 これでようやく一体倒したが、こちらもワニノコとギャラドスが限界ギリギリなので、実はそこまで余裕が出来た訳ではない。やはり、ジムリーダーという役割がないジムリーダーの本気は俺が思っていた以上に強かった。

 

「……その、随分と楽しそうですわね」

「ああ、楽しいね。こういう限界ギリギリのバトルは何回やっても最高だ」

 

 何やらツツジの顔が強張っているが、どうも後で聞いた話によると、この時の俺はかなりヤバめな表情をしていたようで、ツツジも内心でかなりビビっていたらしい。なんかすまんかった。

 

 

 




 原作との変化点。

・第16話『カナズミジム! ノズパスの秘密兵器!』より、ガチ戦になったことで使用ポケモンが変わっている。
 基本的にセンリと同じでゲーム準拠。

・命中率について。
 技の威力が大きいほど操りにくいという設定。勿論、全てではなく、技の仕様にもよる。

・プテラが岩の跳弾を使ってきた。
 相手フィールドのステロで弾くように使っている。先の先まで読む計算力がないと使用不可能で、ニューサトシでも使えない。

・ボディパージについて。
 三回使えば素早さ六倍の上、体重64㎏になるボスゴドラ。早くない訳がない。

・ワニノコのダンスバトル。
 踊らなきゃ死ぬレベルになった。が、ツヅジレベルの相手だと、動きを読まれる。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.60

 ピジョット Lv.55

 バタフリー Lv.55

 ドサイドン Lv.59

 フシギダネ Lv.56

 リザードン Lv.61

 ゼニガメ  Lv.56

 キングラー Lv.55

 カモネギ  Lv.55

 エビワラー Lv.56

 ゲンガー  Lv.57

 オコリザル Lv.56

 イーブイ  Lv.55

 ベトベトン Lv.55

 ジバコイル Lv.55

 ケンタロス Lv.55

 ヤドラン  Lv.54

 ハッサム  Lv.56

 トゲキッス Lv.53

 プテラ   Lv.56

 ラプラス  Lv.54

 ミュウツー Lv.72

 バリヤード Lv.55

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.53

 カビゴン  Lv.51

 ニョロトノ Lv.51

 ヘラクロス Lv.50

 メガニウム Lv.50

 マグマラシ Lv.50

 ラティアス Lv.46

 ヘルガー  Lv.50

 ワニノコ  Lv.50→51

 ヨルノズク(色違い) Lv.50

 カイロス(部分色違い) Lv.50

 ウソッキー Lv.50

 バンギラス Lv.58

 ゴマゾウ  Lv.47

 ギャラドス(色違い) Lv.48

 ヒンバス  Lv.1 

 ミズゴロウ Lv.16→18

 スバメ   Lv.14→16

 キモリ   Lv.14→16 




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#111 『テメーコノヤローバカヤロー』

 12歳 δ月ω日 『カナズミシティ ジム戦 VSツツジ 後編』

 

 ようやく向こうの一体を倒して数的有利を作ったものの、こちらはギャラドスとワニノコが限界寸前でゼニガメは三つ技を使わされている。対して、向こうの残りのプテラは技を全部使ってはいるが体力半分で、残り一体については情報すらない状態だ。

 ツツジは改めてプテラを出してきた。

 それを見て、こちらはワニノコを一旦ボールに戻す。『りゅうのまい』のバフが消えるので勿体なく感じるかもしれないが、ワニノコはボスゴドラ戦で全部の技を使わされている。遠距離攻撃が出来ない以上、プテラを相手取るには不利だ。

 

 改めて、ギャラドスを送り出していく。

 

 ギャラドスもかなり長い時間休めたので多少は回復しているはずだ。まぁ、それは向こうのプテラも同じだけどな。

 

 先程同様に先手でステロを撒いてくるかと思ったが、ツツジは『ステルスロック』を指示して来なかった。おそらく『ロックブラスト』による跳弾は『ぼうふう』で防御可能故にギャラドスを倒し切れないからだろう。

 それに、下手にステロを撒こうとすれば、その隙にこちらのドロポンが命中する。残り体力半分のプテラだが、流石にドロポンを無防備にくらえばワンキル圏内に持って行かれかねない。ツツジはそれを嫌っていると見た。

 

 とはいえ、『ギガインパクト』だけではこちらを突破するのは難しいはずだ。先程は無理に迎撃しようとして失敗したが、迎撃が無理でも防ぐ方法はある。ツツジもそれを警戒しているようで、迂闊に『ギガインパクト』を指示しては来なかった。

 

 さて、どうする――と、考えていると、ツツジがプテラに『ロックブラスト』を指示してきた。

 当然、こちらは『ぼうふう』による防御を指示する。跳弾なしの直接攻撃でも、あの威力では『ぼうふう』のガードは突破できない――はずだったのだが、予想外のことが起きた。『ロックブラスト』が運よく五発全弾が発射された上、全てが同じ場所に命中し、風の防壁が歪んで維持できなくなってしまったのだ。

 

 成程、一点集中することで威力の低さをカバーしてきたのか。流石に単発の威力が低いとはいえ、ああも同じ場所に連打されては今のギャラドスの『ぼうふう』では防げない。

 

 風の防壁を貫いて、最後の岩の弾丸がギャラドスを襲った。単発だが、弱点により二倍のダメージを受ける。

 まさか真正面から勝負を仕掛けてくるとは思わなんだ。これで『ぼうふう』は防御に使いにくくなった上、いわタイプにひこうタイプの技は今一つなので攻撃にも使えない。一つの技をこうも巧みに使いこなしてくるとはな。

 

 ツツジは、こちらが『ロックブラスト』の対応に追われている間に、プテラに『ステルスロック』を指示していた。

 通常なら『ハイドロポンプ』で動けない所を迎撃するのだが、ここで『ロックブラスト』の技の性質が問題になってくる。技の最後まで撃つ『れいとうビーム』と違って、弾を撃ち切る『ロックブラスト』は、最後の岩を撃ちだすとプテラ自身はフリーになるのだ。

 

 つまり、一歩早く動けるのである。

 

 この一歩分の差は大きい。何せ、こちらがれいビでロクブラの岩を打ち落としている間に向こうは動けるようになるのだ。

 その間にステロを展開されると、こちらは迎撃が間に合わない。これが近距離ならまだ何とかなったかもしれないが、ツツジはプテラに距離を取らせていた。ステロを撃った後にすぐ回避できるだけの時間を与えるためだろう。

 

 こうなると、無理にドロポンを撃っても回避される。だが、一点集中と違って跳弾なら『ぼうふう』防壁で防御可能のはずだ。

 まだ問題になってこないはず――と、思いつつも、これまでと違って本気のジムリーダーはこちらの予想しない手を撃ってくるので絶対とは言えなかった。

 

 ツツジは当然、『ロックブラスト』による跳弾を展開してくる。こちらは再び『ぼうふう』による防壁を展開するが、撃ちだされた三発の弾はまるで様子を伺うように跳弾を続けていた。

 どこから仕掛けてくるつもりだ?

 と、考えていると、ツツジは第二射の指示を飛ばしている。まさかと思いつつ視線を移すと、今度は四発の弾を跳弾させていた。これで計七発だが、完全に計算されて撃ちだされた弾は全てがぶつからずに跳ね続けている。

 

 そのままツツジは第三射目を指示していく。

 

 間違いない。こちらの防御が消えるのを待つつもりだ。『ぼうふう』による防壁には自傷ダメージがあるので永遠には展開していられない。

 さらに、風の防壁は全方位ガード故に、こちらから動けない弱点がある。だからこそ、跳弾を繰り返して技を待機させ、こちらが技を解除した瞬間、逃げられない数の弾をぶつけるつもりなのだ。

 

 追加で三発が発射され、合計十発の『ロックブラスト』がステロの岩を足場に跳弾を繰り返していく。流石にこれ以上は増やせないようで、ツツジの攻撃指示が止まった。同時に管理できるのは十発が限界なのだろう。

 プテラは四発目――最後の『ロックブラスト』を撃ちださずに待機させている。おそらく、あの最後の弾が発射された瞬間、この跳弾を続けている弾はこちらに向かってくるのだろう。一発25ダメージの弾が十一発当たれば単純計算で275のダメージだ。

 

 おまけに、仮に風の防壁を解除しても前後左右を行き交う岩の包囲網は抜けられない。詰みと言っても良いだろう。ツツジも勝利を確信したような表情をしている。

 確かに、こんな数の跳弾は予想外だった。

 しかし、いくら応用を利かせたとはいえ、一度見せた技がそうそう何度も通用すると思われるのは癪だ。ニューサトシはそこまで甘い相手ではないと教えてやる。

 

「跳べ、ギャラドス!!」

 

 こうなれば、最後の手段だ。残り一つの技――『とびはねる』で、この窮地を脱出する。

 一ターン目に空中へ飛び上がり、二ターン目に攻撃を仕掛ける『あなをほる』などと同じ系列の技だが、この飛び上がることでこの包囲網を脱出していく。

 ツツジは風の防壁を避けて跳弾を繰り返させている。つまり、真上だけはこの包囲網の中で唯一残った穴なのだ。おまけに、風の防壁の上昇気流に乗り、疑似的な『そらをとぶ』を再現している。

 

 勿論、このまま永遠に飛ぶことは出来ないが、ギャラドスが包囲を抜けたことでプテラは動揺していた。

 そりゃそうだ。基本的にみずの中にいるポケモンが自分と同じ高さまで来るとは誰も思うまい。咄嗟に最後の『ロックブラスト』をこちらに撃ちだしてきたが、それは悪手だ。

 

 ギャラドスが最後の『ロックブラスト』を避けて、無防備なプテラに『とびはねる』の攻撃を直撃させていく。『ロックブラスト』は数を撃って初めて強い技だ。単発など避けるのは容易い。

 

 とはいえ、『とびはねる』はひこうタイプの技故に、そこまで大きなダメージはない。しかし、ここで重要なのは物理技が当たるだけの距離を詰めたということだ。

 ギャラドスはその体を使った突撃でプテラを空中から落下させた。おまけに、30%の確率で相手を麻痺にするという追加効果を引いたようで、下敷きになったプテラは体が痺れたらしく上手く動けていない。

 

 そのまま押さえつけるように、ギャラドスは動けないプテラに『ハイドロポンプ』の追撃を放っていく。

 ツツジも咄嗟に『まもる』を指示したが、体が麻痺しているプテラは対応できなかった。弱点攻撃を至近距離から受けて大ダメージを受けている。仰向けに倒れたこの体勢では『ギガインパクト』も使えないし、残されたのは『まもる』か『ロックブラスト』のみだ。

 

 だが、『まもる』を決めたとしても状況は改善されない。こっちはマウントを取っているのだ。攻撃を連打するだけでいい。

 と、すると、『ロックブラスト』を撃つしかないのだが、仮に一発当てたとしても、単発火力が低いのでギャラドスは戦闘不能にはならないはずだ。連続攻撃をしている間に、追撃の『ハイドロポンプ』で戦闘不能になるだろう。どちらを選んでもプテラの敗北だ。

 

 最初に『まもる』を選択したツツジだが、すぐにその思考に行きついたらしく、第三の選択肢として、プテラをボールに戻そうとした。いい択だ。俺でもそうする。

 しかし、それは読めていたということでもあった。ツツジがボールに手を伸ばした瞬間、『ぼうふう』の防壁を展開してボールの光が当たらないように遮断させる。これも技の応用だ。

 とはいえ、三回も風の防壁を使ってギャラドスも自傷ダメージが厳しくなってきている。これ以上抵抗されても面倒なので、追撃の『ハイドロポンプ』でとっととプテラを戦闘不能にした。

 

 ツツジはプテラを労いながらボールに戻す。こちらはギャラドスをこのまま継続させることにした。

 肩で息をしているが、もう戻してもそこまで回復は出来ないだろうし、仮にゼニガメがステロを解除できなかった場合、次は出た瞬間に戦闘不能になりかねない。1/4ダメージを耐えるかどうかはニューサトシの目算でもギリギリだ。

 

 ツツジは最後の一体として、ダイノーズを出してきた。本来ならば次世代のポケモンだ。もし、俺がレベリング目的で真っ当に挑戦していたら出していたのは進化前のノズパスだっただろう。

 ジム戦を見ていたハルカがポケモン図鑑でダイノーズの情報を見ようとするもエラーが出ている。どうやら、この時代だとまだ対応できていないようだ。

 

「ダイノーズ。いわ・はがねタイプ。ノズパスの進化系。特定の磁場が発生している場所でのみ進化が可能。ホウエンだと、ニューキンセツだ。全身から強い磁場を出しているのが特徴で、チビノーズと呼ばれる三個のユニットを操って攻撃してくる」

「よ、よくご存じですわね……」

 

 博識なんだ。ニューサトシは。

 

 ダイノーズはボスゴドラ並の重量級ポケモンだ。当然、動きは遅い上に、角ばっている体のせいで細かい動きは大の苦手である。

 それを補佐するのがチビノーズだ。本体についている二つの腕らしきユニットと背中に一つついているユニットがそれに当たる。

 小さなノズパスの顔のようなそのミニノーズ達は、ツツジの指示が飛ぶと、分離してふわふわ周囲を移動し出す。あれは腕の役割も果たすので、精密な動きを可能としている。ぶっちゃけ、ロケットパンチの要領で三色パンチを撃ってきても俺は驚かないぞ。

 

 ツツジはダイノーズに『10まんボルト』を指示する。当然、本体のダイノーズが発電して技の体勢に入った。

 咄嗟にギャラドスに『れいとうビーム』を指示して、本体からの攻撃を迎撃する――が、それに連動するように分離したミニノーズ達もバチバチと発電し出した。

 

 は?

 

 本体から発射された電撃は防いだが、チビノーズ達から放たれる三つの電撃は防ぎきれない。ふざけんな、まるでファンネルじゃねーか。こんなん避けられる訳ねーだろ!!

 

 流石に威力は本来のまんボルよりも低いようだが、体力の限界が近いギャラドスにはそれで充分致命傷だった。

 パッと見た感じ、本体よりもかなりダメージは低いようだが、それでも遠隔で多方向からの攻撃を仕掛けられては手も足も出ず、ギャラドスが戦闘不能になる。

 

 同時に、チビノーズ達も一旦本体へと合流していくが、それ以上に文句を言いたい。

 ファンネルは駄目だろう。本体と連動して技を使ってくるって、まだ跳弾の方が可愛いレベルだ。

 

 とりあえず、ギャラドスを戻してワニノコを送り出す。ワニノコには悪いが、この状況をどうにかするにはゼニガメに任せるしかない。

 既に技を全部使っており、体力も限界なワニノコではチビノーズの攻撃を避けるだけでも厳しいはずだ。捨て駒のようで悪いが、少しでも対策を考える時間を稼いでほしい。

 

 ステロのダメージを受けるも、ワニノコが元気な声をあげる。しかし、隠してはいるが、ワニノコもかなり疲れた表情をしていた。どうやら、自分でも限界はわかっているようだが、それでも元気に踊りながら『りゅうのまい』でステータスを上げていく。

 対するツツジは再度『10まんボルト』の指示を飛ばした。本体と分離したチビノーズ達が再び展開し、計四方向から電撃がワニノコに向かって飛んでいく。

 

 だが、ワニノコは見事に回避して見せた。

 

 まるでニュータイプと思わせるギリギリの回避で、四つの電撃を全部避け切って見せたのだ。

 しかし、そこが限界だった。ボスゴドラとの激闘で体力を削られ過ぎたワニノコは、ちょっと動いただけでもう肩で息をしている。あの様子では二度目は無理だろう。

 

 攻撃が終了すると、チビノーズ達は一旦本体に戻っていく。先程もそうだった。これは一度攻撃すると、本体に戻る性質があると見ていいな。

 これがダイノーズ全部にある性質なのかはわからない。だが、ツツジのダイノーズはミニノーズを遠隔操作するために通常よりも力を使うのかもしれない。ってか、それくらいのデメリットがなきゃチートが過ぎる。

 

 とりあえず、待っていても充電されて不利になるだけだ。どうやら、ワニノコも同じ考えだったようで、少しでも動けるうちに勝負を決めようとダイノーズとの距離を詰めていく。

 ツツジは真っすぐ走ってくるこちらに対して『ストーンエッジ』で迎撃するように指示した。チビノーズ達も再び展開して、地面スレスレの四方向からエッジがワニノコを襲っていく。

 

 ワニノコはジャンプでかわした。どうやら、チビノーズを展開すると本体の攻撃力も下がるようで、通常よりもエッジの大きさが小さかったのだ。チビノーズ達も攻撃を外したことで、一度本体に戻る――その間に距離を詰めて『きあいパンチ』だ。

 

 しかし、攻撃をかわすためにジャンプしたことで、ワニノコの走り出しが一歩遅くなった。向こうのチビノーズの再展開は間に合わないだろうが、本体は攻撃可能になっている。

 こちらが距離を詰め切る間に、追撃の『10まんボルト』が指示された。ワニノコに避けるように指示するが、もう回避するだけの力は残っていなかったようで、ダイノーズの攻撃を受けてワニノコが戦闘不能になる。

 

 遠距離攻撃を一つでも使っていれば、まだチャンスはあったかもしれない。とはいえ、ボスゴドラ戦も激闘だった。勝つために全部出し切ったのは間違いではないと思いたい。

 

 試合を見ていたマサトが「ダイノーズってあんなに凄いポケモンなんだ」と感心した声を出す。だが、横に居たタケシが「いや、あれはツツジさんのダイノーズだからだ」と即座に否定していた。

 そりゃそうだ。こんなダイノーズが普通とか有り得ん。いわタイプ故に、タケシもダイノーズのことを少し知っているようで、本来のダイノーズはチビノーズを腕の代わりに使ったりはするが、あんな風に攻撃を補助したりはしないと言っている。

 

 まぁ、こんなヤバいファンネル攻撃が簡単に出来るようでは、いくら割と何でもありのアニポケ世界でもダイノーズはぶっ壊れになるわ。

 

 倒れたワニノコをボールに戻し、最後のゼニガメを送り出す。ステロのダメージを受けるが、その瞬間『こうそくスピン』で弾き飛ばした。

 ボスゴドラ戦で早めに温存した甲斐はあって、まだ体力は3/4くらいある。技は三つ使ってしまっているが、ここを対応できるのはお前しかいない。頼むぞ。

 

 チビノーズの充電が終わり、再び本体から離れて再展開していく。まだ本体に攻撃がヒットさせられていないが、チビノーズの習性は理解できた。勝負はこれからだ。

 

 再び、四方向からの『10まんボルト』が指示される。こちらは再び『こうそくスピン』だ。前回のと合わせて、これで素早が二段階上がる。

 そのまま空中に逃げるように飛び、追尾する攻撃を回避していく。多方向から一斉に攻撃されては回避できないので、一方向になるように移動して攻撃を誘導したのだ。

 

 攻撃が終了し、チビノーズ達が本体に戻ろうとするタイミングで、今度は『ハイドロポンプ』を指示する。

 ツツジも、あまりにいいタイミングでの攻撃を見て、こちらが完全にチビノーズ達の隙を突いたのを理解したようだ。こちらの攻撃を『まもる』で防ぎながら、「やりますわね」と口にしている。

 

 仕切り直しということで、ツツジはまた『10まんボルト』を指示してきた。今度は本体と展開したチビノーズから段階的に電撃が発射されていく。

 こちらも『こうそくスピン』で回避していくが、本体からの一発目を避けたらその避けた先へチビノーズAが二発目、二発目が外れたらその先へチビノーズBが三発目と、一斉発射ではなく一発ずつ狙いをつけて来ているのだ。マジでファンネルじゃねーか。

 

 最後のチビノーズCの四発目が避け切れず、『こうそくスピン』中のゼニガメに攻撃がかする。ダメージを受けてバランスを崩したゼニガメがフィールドに墜落したのだが、その瞬間、ツツジが再び『10まんボルト』を指示している。

 成程、チビノーズが追尾攻撃している間に、最初に攻撃した本体は技を撃ち終えているので、技の終了後に間髪入れずに次の技が使えるのか。流石にチビノーズは本体に戻っているので技を撃てるのは本体だけのようだが、それでも追撃としては十分だろう。

 

 これは避け切れないと判断し、迎撃の『ハイドロカノン』を指示する。ダイノーズから発射されるタイプ不一致の電撃を撥ね退けるように究極技を直撃させた。

 

 こちらは反動で動けないので、即座に追撃が来るかと思ったが、どうやら究極技のダメージで本体がバランスを崩したようで、ダイノーズがチビノーズを使って体勢を立て直している。序盤での俺のギャラドスと一緒だな。

 その間に、何とかこちらも反動から立ち直った。

 多分、後二発だな。パッと見のダメージだが、今回の一撃は『10まんボルト』で軽減させられた。元々ダイノーズは耐久が高いし、残る体力は2/3ないくらいだろう。究極技を完全に直撃させられれば乱数で一撃圏内っぽいが、今のように中途半端なダメージだと二発はいる。

 

 対するゼニガメの体力も同じくらいだ。

 まんボルのかす当たりを受けたが、やはりチビノーズからの攻撃はダメージが低くなっている。元々、ダイノーズは防御寄りのポケモン故、攻撃力はあまり高くない。チビノーズからの攻撃も、本体と合わせてくらうようなことがなければ耐えられるはずだ。

 

 ゼニガメに『こうそくスピン』を指示して、また動きをかく乱していく。追加効果の素早一段階アップのおかげで、これで計四段階上がった。

 回数を増す毎に、ゼニガメの速さは上がっていく。さっきはかす当たりしたが、いくらファンネルでも、三つではこの速さのゼニガメを捕まえるのは難しいはずだ。

 

 そう考えていると、ツツジは最後の技として『かげぶんしん』を指示してきた。

 本体のダイノーズが十体程に増えると同時に、チビノーズの数も十倍の三十個に増えている。いくら、本体以外は偽物でも、この数の攻撃から即座に本物を探すのは今の俺には不可能だ。

 

 追撃の『10まんボルト』が指示され、四方八方から攻撃が仕掛けられる。こんなの避けられるはずがない。

 

 避けられない以上は、迎撃するしかないと判断し、残り少ない『ハイドロポンプ』を指示して分身を消しまわる。

 しかし、攻撃しながら全ての攻撃を避けられるはずがなく、本物からの攻撃を避け切れずにゼニガメが『10まんボルト』の直撃を受けた。まずい、いくらタイプ不一致とはいえ、こんな攻撃連続で受けたらすぐに戦闘不能だ。

 

 いや、落ち着け。

 

 相手も同じポケモンだ。攻略不可能な無敵の技など存在しない。確かに、三十個のファンネルは脅威だが、本物は三つだけだ。

 もし、俺がツツジなら迎撃される可能性を考慮に入れたポジションを取る。つまり、ゼニガメの近くに配置される奴らはフェイクと見ていい。残る中に本物はいる。

 

 そこまで考えた所で、再びツツジは『かげぶんしん』からの『10まんボルト』で攻撃を仕掛けてきた。

 

 配置を確認しろ。これまでのバトルから考えても、ツツジはおそらく俺の動きを計算しているに違いない。

 もし、俺が何も考えずにゼニガメを動かすとすれば右だ。左は分身の配置的に攻撃を受ける危険が高い。多分、右に動きたくなるように敢えて寄せているんだ。つまり、右側に配置されている奴らは分身と見ていい。

 

 ならば、右は全部捨てて左に突っ込む。

 

 ゼニガメに五度目の『こうそくスピン』を指示して、左に突っ込ませていく。ツツジはすぐに読まれたと理解したようで、即座に『10まんボルト』を仕掛けてきた。

 だが、右側はもう捨てている。

 残る左の分身でゼニガメを打ち取ろうと考えるなら、攻撃順的に最初の方に攻撃を仕掛けては来ないはずだ。人は本質的に、何かを隠そうとする場合、後ろの方にものを置きたがる習性がある。

 ツヅジも、ゼニガメに攻撃を避けさせて動きが止まった所を攻撃したいと考えるはずだ。つまり、最初に攻撃を仕掛けてくる奴らも分身だろう。そこまで分かれば、もう本物は見つけたようなものである。後ろの残る数体に向けて、最後の『ハイドロポンプ』をお見舞いした。

 

 ゼニガメの『ハイドロポンプ』がダイノーズ本体に直撃すると分身は消えていく。だが、ダイノーズは負けじと『10まんボルト』を撃ってきた。

 こちらも、丁度『ハイドロポンプ』も撃ち切っている。改めて『こうそくスピン』を指示して回避させようとしたが、ゼニガメは避けずに敢えて攻撃を受けていた。

 

 電撃を受けつつ、ゼニガメそのまま究極技の構えに入る。そうか、もう『ハイドロポンプ』を全て撃ち切った以上、有効な攻撃技は『ハイドロカノン』しかない。

 しかし、真正面から撃っても『まもる』で防御されるだけだ。だからこそ、相手の攻撃中に攻撃を仕掛けて、向こうの技の発動を間に合わなくさせようとしたのか。

 

 肉を切らせて骨を断つ――相手の『10まんボルト』を受けつつの『ハイドロカノン』でゼニガメがダイノーズにとどめを刺しに行く。

 だが、俺達は一つ忘れていた。

 ツツジのダイノーズは、多段攻撃を仕掛けてきており、展開しているチビノーズより先に本体が攻撃を仕掛けるが故に、次の技の発動が普通よりも一拍早いことを。

 

 ゼニガメの『ハイドロカノン』が命中するギリギリで『まもる』が間に合い、究極技が防御される。

 その間に、攻撃を終えたチビノーズは本体へ戻っていく。ダメだ。この反動でゼニガメは少し動けなくなる。この間に、ダイノーズの反撃でゼニガメは戦闘不能にされる――

 

 ――その瞬間だった。

 

 究極技を撃ち終わったゼニガメの身体が光り、フォルムが変化していく。

 進化だ。遂に、ゼニガメがカメールに進化した。そう思ったのだが、光は止まることなく輝きを続ける。フォルムがさらに一際大きくなった。ゼニガメからカメールに、そしてカメックスに。

 

 まさかの二段階進化。そんなものはアニメでも起きていない。ポケスペでイエローのキャタピーがバタフリーになる時に見せたものだけだ。奇跡と言っていいだろう。

 

 進化を終えたカメックスは、何故かゼニガメの時につけていた黒いメガネを付けていた。

 そのまま、新たに手に入れた背中の二つの砲台をダイノーズに向ける。究極技の反動は、進化を挟んだことで消えたらしい。

 間髪入れずに、『ハイドロカノン』を発射してとどめを刺しに行く。少しずるい気もするが、こういう進化もポケモンバトルではよくあることだ。

 

 チビノーズはチャージ中、おまけに『10まんボルト』や『ストーンエッジ』では威力的に迎撃できない。ここを凌ぐには『まもる』しかないが、二度目の『まもる』は確率五割だ。

 ツツジは迷わず、『まもる』を指示したが、五割を外したダイノーズにカメックスの究極技が直撃する。

 

 ゼニガメの時とは威力が違う。レベル的には、セキエイの時のシゲルのカメックスと同じくらいだが、あの時のシゲルのカメックスよりも俺のカメックスの方が究極技の威力が高いように見えた。

 

 カメックス渾身の一撃を受けてダイノーズが戦闘不能になる。その瞬間、クイっとカメックスがサングラスを押し上げた。恰好を付けているが、実際進化したことでサングラスが似合うようになったのは間違いない。

 ツツジのポケモンが全員戦闘不能になったことで俺の勝利が決まると、そのままカメックスにダイブした。

 

 テメーコノヤロー、ようやっと進化しやがって。待ちわびたぞ、コノヤローバカヤロー。

 

 俺の喜びが伝わったようで、カメックスも照れたように笑みを浮かべた。ワニノコは駄目だったが、こうしてゼニガメがカメックスに進化した以上、やはりみずタイプも必ず進化はするのだ。

 

 この調子でワニノコも――と思ったが、今回ゼニガメがカメックスになったことで、俺の中で少しスッキリした気持ちが生まれた。それに、ワニノコばかり試合に使っても他のポケモン達に悪いし、ワニノコはまたの機会に進化を狙おう。

 

 カメックスをボールに戻すと、ツツジは俺が勝ったということで、ジムを勝った証であるストーンバッジを渡してきた。

 いや、別にリーグに出場する気はないんだけど――とも思ったのだが、この素晴らしいバトルの記念ということで受け取っておく。いらないって言うのも何か悪いしな。

 

 久しぶりにバッジを受け取った俺を見て、ラティが「ゲットだぜ」と声を出した。そういえば、ジョウトを回っていた頃はバッジをゲットする度に言ってたなそれ。

 

 

 追記。俺のジム戦(ガチ)を見たり、ジムリーダーのツツジと話したりした結果、ハルカは原作通りにジム巡りは止めにして、ポケモンコーディネーターを目指すことにしたらしい。まぁ、元々バトルが凄い好きってタイプでもなかったし、その方がいいだろう。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・ダイノーズがファンネルを使ってきた。
 三体のチビノーズがユニットとなって動いている。ロケットパンチは予想したニューサトシも、ファンネルは予想できなかった。

・ゼニガメがワープ進化した。
 遂に進化した。黒いメガネをかけたカメックスが格好良くない訳がない。

・ワニノコは保留になった。
 今回は頑張ってくれたし、カメの方が進化したので、しばらく許してやることにした。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.60

 ピジョット Lv.55

 バタフリー Lv.55

 ドサイドン Lv.59

 フシギダネ Lv.56

 リザードン Lv.61

 ゼニガメ→カメール→カメックス  Lv.56→57

 キングラー Lv.55

 カモネギ  Lv.55

 エビワラー Lv.56

 ゲンガー  Lv.57

 オコリザル Lv.56

 イーブイ  Lv.55

 ベトベトン Lv.55

 ジバコイル Lv.55

 ケンタロス Lv.55

 ヤドラン  Lv.54

 ハッサム  Lv.56

 トゲキッス Lv.53

 プテラ   Lv.56

 ラプラス  Lv.54

 ミュウツー Lv.72

 バリヤード Lv.55

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.53

 カビゴン  Lv.51

 ニョロトノ Lv.51

 ヘラクロス Lv.50

 メガニウム Lv.50

 マグマラシ Lv.50

 ラティアス Lv.46

 ヘルガー  Lv.50

 ワニノコ  Lv.50→51

 ヨルノズク(色違い) Lv.50

 カイロス(部分色違い) Lv.50

 ウソッキー Lv.50

 バンギラス Lv.58

 ゴマゾウ  Lv.47

 ギャラドス(色違い) Lv.48→49

 ヒンバス  Lv.1 

 ミズゴロウ Lv.18

 スバメ   Lv.16

 キモリ   Lv.16 




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#112 『教えはどうなってんだ教えは』

 12歳 ε月α日 『教えはどうなってんだ教えは』

 

 カナズミシティでのガチ戦を超えてようやくカメワニコンビの片割れが進化した。それも、予想外の二段階進化で一気にカメックスだ。

 これで機嫌が良くならないはずがなく、この調子で次のムロタウンまで――と思ったのだが、そういえばカナズミシティにはシロナに頼まれた物のお届け先であるデボンコーポレーションがあることを思い出したので、とりあえず先に寄っていくことにする。

 

 受付で荷物を預けてさっさと帰ろうとしたのだが、丁度社長がいたようで直接荷物を渡すことが出来た。シンオウチャンピオンであるシロナから預かりものと言うと、どうやら伝わったようだ。

 用事も済ませたし、さっさと次の街へ行こうとすると、社長であるツワブキがデボンコーポレーションを見学していかないかと声をかけてくる。ラティが「みる!」と即答したので、お言葉に甘えて少し社内を見学していくことにした。

 

 俺がシロナの弟子だからか、わざわざ社長本人が案内をしてくれている。ぶっちゃけ、その殆どが研究中のようだが、今一番研究をしているのはポケモンを生み出す機械らしい。

 まぁ、生み出すと言ってもどちらかといえば化石復元装置のようなものなのだが、しかしデボンでこんな研究をしているとは、教えはどうなってんだ教えは。あ、あれはエボンだったか。

 

 そんな小粋なジョークを挟みつつ、ラティがいつものように「すごい!」と言うのを見ながら社内を見学していると、何やら不審な男が手に試験管のようなものを持っているのを発見した。

 

 ツワブキ社長曰く、あれはこの会社で研究しているポケモンを生み出す機械に必要な大切な培養カプセルのようで男はそれを盗んだようだ。

 こちらが気付いたとわかって男は逃げようとするが、ニューサトシから逃げられるはずもなく、サクッと捕まえてゴヨウガーディアンの刑に処す――と、思ったら、ピカ様が『エレキネット』で泥棒を捕まえてしまっていた。いつの間に覚えたんだ?

 

 通報によって駆けつけてきたジュンサーによると、どうもこの男はこの地方で暗躍する組織の一つであるアクア団の一員らしい。

 そういえば前にマグマ団のメンバーも捕まえたなぁと思っていると、どうもジョウト同様、俺はジュンサー界ではポケモン犯罪者に対するスペシャリストになっているようで、ジュンサーに凄い感謝された。まぁ、自分スペシャリストなんで(キリッ)。

 

 

 追記。アクア団の悪事を未然に防いだお礼として、ツワブキ社長から何やら妙なカプセルのようなものを渡された。聞けば、これを使うと、ポケモンの特性を別の特性に変えることが出来るのだという。もしかしてこれ、とくせいカプセルでは?

 

 

 

 12歳 ε月β日 『ピーコちゃん』

 

 ムロタウンは小さな島なので、船に乗るために港町まで行くことになったのだが、どうやらそこには美味しいパスタ屋があるとハルカが情報を仕入れてきた。

 そいつは楽しみだと思っていると、やってきた町は既に廃れており、パスタ屋も潰れている。うーむ、残念。まぁ、そういうこともあるよね。ただ、港町が機能していないのは困る。船に乗れないと、次のムロタウンには行けないからな。

 

 まぁ、別にどうしてもジム戦がしたい訳ではないし、スルーして先に進んでも良いのだが、ハルカはムロタウンで遊ぶためにカナズミシティで新しい水着を買ったようで、どうしてもムロタウンに行きたいと訴えてくる。

 

 と、すると、何とか船を見つけるしかない。

 

 とりあえず、手分けして船を探すことにしたのだが、しばらくするとハルカがハギ老人とキャモメのピーコちゃんに出会って仲良くなったらしく、ムロタウンまで送って貰えることになった。

 

 そういえば、ゲームでもあったなピーコちゃんのくだり。

 

 

 

 12歳 ε月γ日 『そういえば、使うのも久しぶりだったな』

 

 ムロタウンに向かう途中、無人島で海水浴をしていくことになった。ハルカがおニューの水着を披露すると、ラティも着替えるフリをしてそれをコピーしている。

 普通ならおかしいと感じる場面だが、ハルカは特に気にした様子もなく「またお揃いね」と笑っていた。タケシはそれを見て、「ハルカは大物かもな」と笑っている。

 

 水辺と言うことで、歩いている最中は滅多にボールから出してやれないヒンバスを出して遊ぶことにした。最近はポロックを毎日食べているおかげで、ウロコが大分美しくなっている。

 ヒンバスもポケモンセンターの水槽ではない場所は久しぶりなので、嬉しそうに泳いでいた。しかし、基本的に臆病なのでニューサトシからあまり離れたがらない。そんな所も可愛いので、今回はヒンバスに付き合うことにした。

 

 しばらく海で遊んでいると、いつの間にかハルカとマサトがサメハダーの群れに囲まれている。

 どうも、この近辺はこいつらの縄張りのようだ。下手に刺激しても良いことはないので、とっと撤収しようと思ったのだが、サメハダー達は俺達が縄張りを通るのが気に入らないらしく道を塞いでくる。

 

 特に敵対したい訳ではないのだが、こうなると倒すしかない。相手はみずタイプということで、最近くさ技を練習中のキモリを出して相手をしてやろうと思ったのだが、どうも群れのリーダーらしきサメハダーは毒状態になっているようで弱っている。

 

 ニューサトシも弱っているサメハダーを虐める趣味はないので、タケシに頼んで何とか治せないか診て貰うことにした。

 当然、他のサメハダー達が立ちふさがるのだが、そこはニューサトシ必殺のマサラ式肉体言語術である威圧でその場から動けなくさせる。

 

 リーダーサメハダーも実は結構限界だったようで、少し抵抗したが最後はタケシの診察を受け入れていた。

 こんな時のために連れているパラセクトの胞子から毒消しを作って飲ませていく。「ポケモンドクターなら、もっといい薬を作ってやれるんだけど……」と呟いていたが、タケシの薬は市販のものよりも性能が良かったりする。

 

 リーダーサメハダーも、夜通し看病してくれるタケシに心を開いたのか、もう抵抗していない。そんなリーダーの姿を見て、他のサメハダー達も暴れる様子がなくなったので、こちらも威圧するのを止めにした。

 そんなこんなで看病を終えると、いつものようにロケット団が現れて勝負を仕掛けてくる。聞けば、サメハダーの毒はロケット団の仕業だったようで、仕返しとばかりにリーダーサメハダーを先頭にサメハダーの群れがロケット団に突撃していった。

 

 流石にこの物量は捌き切れないようで、いつものようにやなかんじーになっていく。

 タケシのおかげで、サメハダー達も俺達には心を開いてくれたらしく、ようやく無人島を脱出してムロタウンに向かうことが出来た。

 

 

 

 12歳 ε月ε日 『バランス感覚は実は結構大切だったりする』

 

 ムロ島に着いた。無人島で海水浴を楽しんだからか、ハルカもすぐには海に行きたがらなかったので、ムロジムまでガチバトルが出来ないか話を聞きに行く。

 しかし、ジムに行くと、ジムリーダーのトウキが出てきてよくわからない若者言語を使ってきた。ニュアンス的に、今日はサーフィンに行くからジム戦は休みということのようだ。まぁ、休みならば仕方ないが、どこか空きの日はないか聞いてみる。

 

 スケジュールを確認してもらうと、完全にフリーの日は約二週間後ということだったので、そこでガチバトルをして貰えないか頼んでみた。

 トウキも、まさかジム戦ではないガチバトルを頼まれるとは思わなかったようで少し驚いている。だが、マサトが俺のことをジョウトリーグ優勝者で、チャンピオンリーグベスト10の実力者だと話すと、面白いと言わんばかりに二週間後にバトルの予定を入れてくれた。やったぜ。

 

 とりあえず、今日はもう予定がなくなったので、海に行くトウキに続いてサーフィンをすることにする。

 ニューサトシは、マサラ式肉体言語術習得の修行でバランス感覚の修行は死ぬほどしたので、実はサーフィンはかなり得意なのだ。一緒にボードに乗っているピカ様も、『なみのり』を覚えているおかげで危なげもなく前に立っていた。

 

 ふと、見るとトウキがマクノシタを出して並んでサーフィンをしている。どうも良くサーフィンをしているのか、マクノシタはかなり下半身が鍛えられていた。

 やはり、遊ぶのも修行の一環である。

 俺もトウキを見習ってピカ様だけでなく、他のポケモンも鍛えることにした。まずはみずタイプであるミズゴロウさんのバランス感覚をチェックしてみる。

 

 これが意外とセンスがあった。

 

 どうやらミズゴロウさんはバトルセンスだけでなく、バランス感覚もバッチリの天才型らしい。

 こういう何でも出来る天才型は強いんだよなぁ。俺のポケモンでいうと、キングラーとかバリヤードがそうだ。

 

 逆に駄目だったのがキモリだった。

 

 すぐにバランスを崩して水にドボンしている。うーむ、キモリもアニメだと優秀なイメージがあったんだが、こうしてみると結構不器用さんだ。

 まぁ、こういう凡骨タイプは根性があるから、逆に努力次第で強くなる。大器晩成型だな。俺のポケモンでいうと、カモネギとかエビワラーがそうだ。

 

 ゴマゾウはじめんタイプだし、スバメはひこうタイプ、ヒンバスは陸上適正がないので、この三体はサーフィンをするのが難しい。

 まぁ、元々遊ぶつもりだったのだ。気にせず、この三体は遊んでいて貰おう。ヒンバスは今回ラティがお姉ちゃんとして面倒を見ているみたいから心配いらなそうだしな。

 

 とりあえず、キモリのバランス強化を優先的してサーフィンで遊ぶことにしたのだが、途中でいつものようにロケット団が襲ってきた。

 鬱憤を晴らすようにキモリが大暴れした後、ピカ様がやなかんじーにしてやったのだが、それを見ていたトウキがちょっとバトルをしたい気分になったようで、「少しバトルをしないかい?」と誘ってくる。

 

 流石にもう夕方なのでガチバトルは出来ないし、いい機会なので新人達の相手をして貰うことにした。

 

 ルールは二対二で、レベル制限はなし。二体のポケモン全て戦闘不能になった方が負けという普通のルールである。こりゃジム戦と言うよりも野良バトルに近いな。

 トウキは「ワンリキー、テイク・オフ!」と叫びながら、一体目にワンリキーを出してきた。パッと見で、レベルは25くらいか。いい具合のレベルである。多分、トウキが合わせてくれたんだろう。

 その配慮に感謝しつつ、胸を借りるつもりでこちらはミズゴロウさんを出していく。ミズゴロウさんのレベルは22だ。レベル差が少しあるが、ミズゴロウさんのセンスならワンチャンなくはない。

 

トウキは様子見とばかりに『からてチョップ』を指示してきた。こちらに向かって真っすぐに走ってくる。

 ミズゴロウさんに回避を指示すると、ヒレの能力を使ってギリギリまで引き付けてかわしていた。どうも相手のワンリキーは右利きのようで、右腕でチョップを繰り出したのだが、ミズゴロウさんは敢えて相手から見て右側に避けることで、相手の防御が一拍遅れる位置を取っている。

 

 当然、『みずのはどう』で迎撃していく。

 

 もしこれが反対からの攻撃だったら、残った左腕でガードが出来たかもしれないが、右側からだとチョップを振り下ろした腕を引き戻すのが間に合わない。

 トウキはこの一連の動きで、俺のミズゴロウさんがただものではないと気付いたようだ。しかし、このワンリキーも良く育てられている。下半身からの体重移動が驚くほどスムーズで腕に力を乗せていた。もし直撃を受ければ、通常の『からてチョップ』よりもダメージを受けただろう。

 

 それに、横からの一撃だったにも関わらず、踏ん張って倒れるのを避けている。下半身が鍛えられている証拠だ。普通なら、至近距離の『みずのはどう』を受ければ、吹き飛びはしなくても倒れるものである。

 まぁ、ミズゴロウさんもワンリキーが倒れなかったのに気付くと、すぐにバックステップで距離を取っていた。どうやらこいつもオーキド研究所でかなり鍛えられたらしい。戦い方がエビワラーのそれと似ている。

 

 どうやら、トウキもこちらのレベルが低いと少し甘く見ていたようで、改めてワンリキーに気合を入れるように指示を飛ばした。

 それを聞いて、ワンリキーが構える。先程までと違って、隙の無い良い構えだ。何だかんだ言って、かくとうタイプのジムということだな。

 

 ミズゴロウさんもワンリキーの構えを見て、少し後ろに気圧された。余裕そうな顔をしているがジム戦は初めてだし、この独特な空気に飲まれそうになっている。

 しかし、ここで飲まれたら負けだ。

 こういう時は先手必勝ということで、改めて『みずのはどう』を指示した。俺のミズゴロウさんはまだレベル技以外をあまり覚えていないので、みずタイプの主力技は自ずとこれになる。

 

 こちらの『みずのはどう』をくぐるようにかわして、体勢を低くしたワンリキーが距離を詰めてくる。

 近距離戦に持ち込むつもりか。ならば受けて立とう。実は俺のミズゴロウさんは遠距離よりも近距離戦の方が得意なのだ。

 

 相手の『からてチョップ』を避けて、『いわくだき』で反撃する。しかし、避けられるのは考慮の上だったようで、『いわくだき』の直撃を受けたワンリキーはそのまま『あてみなげ』へと移行した。

 どうも、投げの方が得意のようで、叩きつけられたミズゴロウさんがかなりのダメージを受けている。だが、やられてそのまま泣き寝入りする性格ではなく、叩きつけられた瞬間、『カウンター』を発動して反撃の蹴りを入れていた。

 

 当然、ワンリキーもやられたままでいるはずがなく、『かいりき』で体勢を立て直す間もなく追撃を入れてくる。

 今の状態で攻撃を避け切るのは不可能だ。どうもミズゴロウさんも同じ判断をしたようで、敢えて攻撃を受けることで距離を取った。

 

 こちらの方が攻撃を入れているが、レベル差があるせいかダメージ的には五分である。

 ミズゴロウさんに再び『みずのはどう』を指示すると、トウキも最後の技である『ビルドアップ』を指示してきた。どうやら、ステータスを上げて一気に決めるつもりのようだ。

 

 無防備に『みずのはどう』の一撃が入るが、気にした様子もなくワンリキーはミズゴロウさんに突っ込んでくる。

 そのまま『からてチョップ』でとどめを刺そうとしてくるが、ヒレの探知能力でギリギリ攻撃を回避していた。そのまま、最後の技である『とっしん』でワンリキーを戦闘不能にしていく。

 

 しかし、トウキのワンリキーは倒れながら、『あてみなげ』でミズゴロウさんを地面に叩きつけてきた。

 死なばもろともと言わんばかりの一撃だが、『ビルドアップ』で火力も上がっていたこともあり、ミズゴロウさんは耐えることが出来ず戦闘不能になっている。

 

 それを見たワンリキーも、前のめりに倒れた。どうやら、相手ももうダメージの限界だったらしい。

 まさか、相打ちにされるとは思わなかった。ダメージ的にも有利を取れていたので、このまま持って行けるかとも思ったが、どうやらそこまで簡単に勝たせてはくれないようだ。

 

 トウキは倒れたワンリキーをボールに戻すと、「マクノシタ、テイク・オフ!」という掛け声と同時に、マクノシタを出してきた。こちらもそれに合わせて、キモリを送り出す。

 

 相性的なことを考えればスバメでも良かったのだが、今日一番頑張ったキモリにも出番をあげたかったのだ。レベル差はワンリキーの時と同じくらいだな。

 

 先手必勝で『たたきつける』を指示するが、完全に受け流される。身のこなしが軽い、重量級のはずだが細かい動きの速さで上手く攻撃を流していた。

 そのまま『つっぱり』で連続攻撃を仕掛けてくる。ワンリキー同様、サーフィン仕込みの足腰の強さで一撃の威力に体重が乗っているのでダメージも大きかった。

 

 これは距離を取った方が有利と判断し、新たに覚えた『このは』で遠距離攻撃にシフトする。

 だが、『つっぱり』で『このは』を叩き落とすという荒技で対応された。とはいえ、無傷という訳ではないようで、ダメージを受けてマクノシタの表情が歪んでいる。

 

 トウキは『ちきゅうなげ』を指示してきた。レベルの分だけダメージという固定ダメージ技だ。

 見た感じ、マクノシタのレベルも25くらいだが、この手の固定ダメージ技は防御や受け流しを無効にしてダメージを与えてくるので弱いように見えて結構強かったりする。

 

 直撃を受けたくないので、『かげぶんしん』で攻撃を回避し、そのまま『このは』に移行していく。

 しかし、マクノシタも『つっぱり』でダメージを抑えてくる。見た感じ、近距離戦は不利だ。このまま遠距離から持久戦に持ち込んだ方がいいだろう――と、思った瞬間、マクノシタの体が光りだした。

 

 まさかの進化である。マクノシタがハリテヤマに進化したことで、状況は一気に不利になった。

 試しに『このは』を打つも、今度はほぼ無傷で『つっぱり』で相殺される。そのまま距離を詰めてきたハリテヤマが『はっけい』を打ってきた。何とかギリギリで回避するも、今度は『つっぱり』と『はっけい』の合わせ技で攻撃してくる。

 

 どう見ても受けたら大ダメージ必須なので、『かげぶんしん』で何とか攻撃を回避するも、片っ端から分身がかき消されてしまった。

 分身が消えたことで本体の位置を読まれたらしく、『インファイト』で追撃をかけてくる。咄嗟に『たたきつける』で迎撃するも、体重差で押し切られてしまった。

 

 吹っ飛ぶキモリだが、負けず嫌いが売りなこともあり、そのまま『このは』で反撃していく。

 流石のハリテヤマも、技の直後では迎撃が間に合わないようで直撃を受けていた。とはいえ、進化して耐久力も上がっているのか、そこまでダメージになっていない。

 

 対するキモリはレベル差もあって、かなりのダメージを受けていた。このままでは持久戦に持ち込んでもこちらの方が不利になる。

 どうにかして、バトルの流れを取り戻さないといけない。とりあえず、ヒット&アウェイでダメージを稼がせてはいるが、このままでは――と、考えた瞬間、突如としてキモリの体が光り出した。

 

 レベル的には来てもおかしくなかったが、どうやら負けたくない一心でジュプトルに進化したらしい。

 

 ポケモン図鑑で技を確認すると、新たに『れんぞくぎり』、『シザークロス』、『みねうち』、『リーフブレード』を覚えていた。

 レベル的にまだ覚えないはずの『リーフブレード』を覚えたのは大きい。最後の技として『リーフブレード』を指示してハリテヤマとの距離を詰めていく。

 

 キモリからジュプトルに進化したことで、素早がかなり上がったようで、一瞬でハリテヤマの懐に潜り込んだ。

 ハリテヤマも『はっけい』を打ってくるが、それをかわして『リーフブレード』を叩きこんでいく。ハリテヤマは『インファイト』のデメリットで、防御と特防が一段階下がっている。そのせいか、受けるダメージが増えていた。

 

 トウキもまさかキモリまで進化するとは思わなかったのか、少し苦しい顔をしている。

 反撃とばかりに『つっぱり』と『はっけい』の合わせ技を指示してきたが、こちらも回避を指示すると、俺のイメージ通りに『リーフブレード』で相手の腕を受け流して攻撃をかわしていた。

 

 うーむ、進化していきなり優秀になったな。

 

 それにさっきの距離の詰め方からもしかしてと思ったが、進化して早くなったジュプトルと違って、重量を増したハリテヤマはまだ自分の体を上手く動かせていないようだ。

 もし、これがマクノシタのままだったなら、ジュプトルもここまでうまく攻撃を凌げはしなかっただろう。進化して重量が増すタイプのポケモンは慣れるまで大変なのだ。実際、俺のカメックスもツツジとのガチ戦終了後には動くのにも一苦労していた。

 

 これだけ明確な弱点を突かないのは勝負を舐めているというものだろう。トウキもハリテヤマが自分の体を上手く動かせていないのはすぐにわかったようで、『インファイト』で勝負を決めに来た。

 こちらも『リーフブレード』でとどめを刺しに行く。早さ的に相打ちが取れるが、真正面からぶつかると流石に負けるので相手の攻撃に合わせずに後出しを狙っていく。

 

 ワンチャンの危険はあったが、俺はジュプトルなら耐えられると確信していた。実際、ハリテヤマの『インファイト』が直撃するも、進化して耐久も上がったこともあってジュプトルはギリギリ攻撃を耐えている。

 また、反撃の『リーフブレード』は急所に当たったようで、ハリテヤマが戦闘不能となってその場に倒れた。『リーフブレード』は急所率の高い技だが、ここで引いたか。まぁ、『インファイト』二回のデメリットで防御も二段階下がっていたし、ダメージ的に急所じゃなくても勝っただろう。無駄急所という奴だ。

 

 ハリテヤマが戦闘不能になったことで俺の勝利となる。ジュプトルに「よくやった」と声をかけると、当然とばかりの態度で顔をそらした。何か、リザードの時もこんな感じだったな。

 トウキは倒れたハリテヤマを戻しながら「また特訓だ」と声掛けしていた。また、俺が勝ったことで、ナックルバッジを渡そうとしてきたが、今回は遠慮させてもらう。

 

 このバトルは進化の強みが俺に有利になっただけだ。もし、ハリテヤマが自身の変化に対応できていたらまた結果は変わっていただろう。それに、今回のバトルはエキシビションのようなものだ。本命は二週間後のガチ戦である。

 

 トウキも今度は今回のように隙を見せてはくれないだろう。「二週間後にリベンジさせてもらうよ」と笑っていたが、どうも完全に火がついてくれたようで目がガチだった。

 

 いいね。それくらいじゃないと面白くない。俺も二週間後には全力で行くぜ。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・第17話『デボンコーポレーション! アクア団の影!』より、社長と仲良くなった。
 原作ではマサトが社長に気に入られるが、シロナの使いということで、ニューサトシも仲良くなった。

・アクア団を捕まえた。
 ピカ様が捕まえたが、仮に捕まえなくてもニューサトシが逃がすはずない。

・ピカ様がエレキネットを覚えた。
 地味に隠れて猛特訓していた。

・とくせいカプセルを貰った。
 今の所は大事に保管している。

・第18話『ハギ老人とキャモメのピーコちゃん!』より、アクア団のくだりがカットされた。
 デボンコーポレーションでアクア団を捕まえてしまったので、原作のように逃げたアクア団が潜伏してハギ老人を脅すイベントは全てカットされた。

・第19話『脱出サメハダーの島』より、ラティが再びハルカの水着をコピーした。
 バリエーションがどんどん増えていく。ムロでも増やした。

・威圧してサメハダーの群を抑えた。
 原作ではいろいろチャレンジしているが、久しぶりにマサラ式肉体言語術の威圧を使って動きを止めた。

・第20話『ムロジム! 波乗りジムリーダー・トウキ登場!』より、サーフィンの意味を即座に理解した。
 真似して、ミズゴロウさんとキモリに練習させている。ミズゴロウさんは才能あるが、キモリはこの手の才能がなかった。

・トウキからバトルに誘われた。
 とはいえ、ガチ戦ではなく野良バトルに近い、トウキもニューサトシの手持ちにレベルを合わせてくれていた。

・キモリがジュプトルに進化した。
 原作ではもっと先だが、負けたくない一心で進化した。スピードが跳ね上がり、スピードキングへの道を歩み出した。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.60

 ピジョット Lv.55

 バタフリー Lv.55

 ドサイドン Lv.59

 フシギダネ Lv.56

 リザードン Lv.61

 カメックス Lv.57

 キングラー Lv.55

 カモネギ  Lv.55

 エビワラー Lv.56

 ゲンガー  Lv.57

 オコリザル Lv.56

 イーブイ  Lv.55

 ベトベトン Lv.55

 ジバコイル Lv.55

 ケンタロス Lv.55

 ヤドラン  Lv.54

 ハッサム  Lv.56

 トゲキッス Lv.53

 プテラ   Lv.56

 ラプラス  Lv.54

 ミュウツー Lv.72

 バリヤード Lv.55

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.53

 カビゴン  Lv.51

 ニョロトノ Lv.51

 ヘラクロス Lv.50

 メガニウム Lv.50

 マグマラシ Lv.50

 ラティアス Lv.46

 ヘルガー  Lv.50

 ワニノコ  Lv.51

 ヨルノズク(色違い) Lv.50

 カイロス(部分色違い) Lv.50

 ウソッキー Lv.50

 バンギラス Lv.58

 ゴマゾウ  Lv.47

 ギャラドス(色違い) Lv.49

 ヒンバス  Lv.1 

 ミズゴロウ Lv.18→23

 スバメ   Lv.16→20

 キモリ→ジュプトル   Lv.16→22




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#113 『天才型って、挫折に弱いんだなぁ』

 12歳 ε月ζ日 『格差逆転』

 

 昨日のトウキとのバトルで、キモリがジュプトルに進化した。アニメだと進化するのはもっと先だったような気がするが、進化が早くなるに越したことはない。

 ただ、これに驚いたのはミズゴロウさんだった。今まで下に見ていたキモリがジュプトルになったことで、ステータス差が出来たことを実感しているのだろう。漫画のエリートキャラが主人公に負けた時みたいな状況になっている。

 

 ジュプトルはジュプトルで、元々馴れ合わない性格だったが、もっとロンリーウルフ感が強くなった。

 それが鼻につくのか、珍しくミズゴロウさんがジュプトルに喧嘩を売っている。まぁ、ポケモン間で競争があるのは悪いことではないので、バトルフィールドを借りてやりたいようにやらせることにした。

 

 結果はミズゴロウさんの圧敗である。

 

 ヒレで動きを感知しても、ジュプトルのスピードについていけないのだ。おまけに、タイプ一致の『リーフブレード』は威力が高く、弱点のミズゴロウさんに大ダメージを与えている。

 最終的には、終わりだと言わんばかりに、ジュプトルに『リーフブレード』を首に突きつけられて、グゥの音も出ない敗北を味わったミズゴロウさんだった。

 

 流石にショックだったようで、ミズゴロウさんもいつもの元気の良さが嘘のようにしょんぼりしている。天才型って、挫折に弱いんだなぁ。

 

 これはトレーナーとして少しサポートしてやらねばということで、今日はミズゴロウさんをボールから出したまま動くことにした。

 途中、爺さんに変装したコジロウが何やら水系ポケモンが良く釣れるという釣り場を進めてくる。明らかに罠だったが、敢えて乗ることにした。ロケット団を倒してミズゴロウさんの自信を少しでも回復させてやる大作戦である。

 

 そのままちょっと釣りをすることにしたのだが、思いの外マジで釣れてしまった。

 ハルカがオクタンを吊り上げたり、俺がヘイガニを吊り上げたりと入れ食い状態である。しかし、ハルカはもうルリリがいるのでオクタンをゲットせず、俺ももうミズゴロウさんがいるのでヘイガニはゲットしなかった。

 

 確か、アニメではサトシ君がヘイガニをどこかでゲットしていたはずだが、多分この釣りでゲットしたのだろう。

 シザリガーに進化させたとしても、そこまで強いという訳でもないし、みずタイプはヒンバスとミズゴロウさんだけで十分である。

 

 そんなこんなで釣りを楽しんでいると、何やら大物が釣れ上がった。っていうか、ロケット団の巨大コイキングメカだった。

 

 どうやら、こちらの隙を伺って水の中に引きずり込む作戦だったようだが、糸に引っかかってしまったらしい。

 こうなればバトルということで、ムサシがケムッソを出してきた。いつの間にゲットしたんだそのケムッソと思ったが、どうやらハルカがケムッソをゲットした日に別の個体をゲットしていたようだ。

 

 ハルカもケムッソを出して、女同士のケムッソ自慢が始まったので、こちらはこちらでバトルをすることにした。コジロウがサボネアを出してくるので、ミズゴロウさんで相手をする。

 ミズゴロウさんも相手がくさタイプということで思う所があるのか、いつも以上に気合を入れていた。

 

 結局、いつものようにやなかんじーにしてやったのだが、ミズゴロウさんの表情は晴れない。

 やはり根本的な問題を解決しないと駄目なようだ。とはいえ、進化したジュプトルに勝つのだって一朝一夕で出来るようなことではない。

 

 こればかりは努力を重ねるしかないのだ。そうミズゴロウさんに話していると、ハルカがケムッソを抱えて何やら首を傾げている。

 どうも、ケムッソがおかしいらしい。

 試しに、ポケモンフーズを出してみると、いつもなら一瞬で食べつくす勢いなのが、今日はお上品に食べている。こりゃ、雨かと思ったが、もしかしたらムサシのケムッソと取り違えたのかもしれない。

 

 タケシがモンスターボールに戻すように言うので試してみると、ケムッソはボールに戻らなかった。どうやら、マジで取り違えてしまったらしい。

 

 仕方がないので、スバメを出して吹っ飛ばされたロケット団を探しにいく。もうここ数年の付き合いで、どのくらい飛んでいくかは何となくわかっているのでスバメにも大体の場所を伝えて探してもらった。

 

 しばらくすると見つけたようで、さっさとハルカのケムッソと交換するように要求する。

 交換するフリをして、ちゃっかりケムッソを二体共持って行こうとするロケット団からハルカのケムッソを奪還すると、本日二度目のやなかんじーにしてやった。

 

 改めて、空腹を訴えるケムッソにポケモンフーズを食べさせてみると、一瞬で皿が空になる。これこそハルカのケムッソということで、とりあえず一件落着だが、ミズゴロウさんについては少しケアが必要かもしれないな。

 

 

 

 12歳 ε月η日 『石おじさん』

 

 デボンコーポレーションの社長の息子であるダイゴさんが石の洞窟にいるらしい。どうも、マサトすらダイゴさんがチャンピオンだと知らないのか、ただの社長の息子だと思っているようだ。

 まぁ、ツワブキ社長もサプライズのつもりだったのだろうが、まさかここまで無反応とは思うまい。

 

 とりあえず、石の洞窟に入って行くも、途中変な落とし穴に引っかかって下に落ちてしまった。

 気づけば、近くにはタケシしかいない。どうも落下した時に別の場所に落ちてしまったようだ。見ると、何故かロケット団のコジロウも近くで倒れている。どうも、落とし穴はこいつらのせいだったようで、その衝撃で自分達の立っていた地盤も崩れてしまったらしい。

 

 ハルカやマサトも心配だが、もしラティが一人でポケモンに襲われた場合、迎撃して変身が解けてしまう可能性がある。

 仮にそうなったとして、バトル後にカノン状態に戻ってくれればいいが、ワンチャンラティアス状態で合流しても後が面倒なので、久しぶりにミュウツーを出して『テレポート』で即全員と合流することにした。

 

 まずはラティ――と思ったが、どうやらハルカと一緒だったらしい。おまけにムサシもいる。

 続けて、マサトに合流すると、ニャースも一緒に居た。とりあえず、この付近にいるのはこれで全員かと思ったが、ミュウツーが近くに人間がいると言っている。

 

 おそらく、ダイゴさんだ。ロケット団を連れたまま合流するのも面倒くさいので、『テレポート』で適当な場所にやなかんじーにしてやる。刑務所じゃないだけ良心的な対応だろう。

 

 その後、ミュウツーをボールに戻して、脳内ナビを駆使してダイゴさんと合流した。どうも、ロケット団が起こした騒動のせいで、野生のココドラ達が怒ってしまったようだが、ダイゴさんのココドラが何とか落ち着くように声をかけている。

 出来ればココドラをゲットしたかったが、流石に今の状況でゲットをするほど俺も空気が読めない訳ではなかった。

 

 とりあえず、問題が解決すると、改めてダイゴさんに自己紹介をする。ダイゴさんもダイゴさんで、自分がチャンピオンだと名乗らなかった。そのせいか、俺以外の全員がダイゴさんをただの石おじさんだと思っている。

 流石に本当のことを話してやろうかと思ったが、どうもダイゴさんは俺がダイゴさんのことを知っているとわかったようで、唇に指を当てて黙っていろというポーズを取った。

 

 普段、チャンピオン扱いされるから、こういう所ではただのダイゴさんとして扱って欲しいのかもしれないな。

 まぁ、本人が内緒にして欲しいというのであればそれに従おう。聞けば、ダイゴさんはこの辺りに眠る珍しい石を探しているようだ。

 

 珍しい石と聞いて最初に思いついたのはキーストーンやメガストーンである。確か、ゲームだとメガメタグロスが追加されたのはORASからだった。

 試しにメガシンカに関係あるかどうか聞いてみると、ダイゴさんはそうだと頷いている。最近になってメガシンカが有名になってきたが、どうもダイゴさん曰くメガシンカはまだ多くの謎に包まれた存在らしい。

 

 現在、メガシンカについてわかっているのは、キーストーンと呼ばれるトレーナーが持つ石と、メガストーンと呼ばれるポケモンが持つ石、この二つが揃った時に稀にポケモンがバトル中に進化するということだけのようだ。

 メガストーンについては、そのポケモンに対応する個別の石が必要ということまでわかっているようだが、ポケモンとの絆がメガシンカに必要な鍵だとはまだ判明していないらしい。まぁ、絆なんて目に見えないし、そんなにすぐわかることでもないか。

 

 ダイゴさんはこの石の洞窟なら、メガシンカに関わる石があるのではないかと睨んでいるらしい。

 ゲームだと確か、ハガネールナイトがあったような気もするが、ここはアニポケ世界なので何があってもおかしくないだろう。

 

 ダイゴさんはココドラを使って石を探しているようだ。俺はココドラを持っていないので、代わりにゴマゾウを出して石を探すことにする。

 ゴマゾウは『ものひろい』の特性も持っているし、鼻も良いからもの探しには持って来いだ。とりあえず、ゴマゾウに珍しそうな石を探していると話すと、任せろとばかりに地面の匂いを嗅ぎだした。

 

 珍しい石というワードだけで、匂いがわかるとは思えないが、まぁ本人がやる気なので水を差すのはやめておこう。

 

 隣を見ると、いつの間にかハルカがココドラをゲットしていたようで、ダイゴさんのように石を探している。

 いつゲットしたと思ったが、どうやら落とし穴に落ちて別れた際にラティが見つけたココドラをゲットしていたらしい。何と羨ましい奴だ。

 

 少し悔しい気持ちになりつつ、そのまましばらく石探しを続けていると、ダイゴさんのココドラが炎の石を見つけていた。これも、レアと言えばレアな進化の石である。

 ダイゴさんもとりあえずの収穫はあったということで、「今日はここまでにしようか」と、声をかけてきた。メガストーンは見つからなかったが、そう簡単に見つかれば苦労はない。

 

 俺もゴマゾウを戻そうとボールを出すと、何やらゴマゾウが勢いよく穴を掘りだした。

 まさか、マジで見つけたのかと思って待ってみると、ガチでメガストーンらしき石を掘り出している。

 ドヤ顔でゴマゾウがメガストーンらしきものを渡してきたのでとりあえず受け取った。見た感じは水色っぽい色をしているが、流石に見ただけでどの石かはわからない。

 

 ダイゴさんもまさか俺がメガストーンを見つけるとは思わなかったのかとても驚いていた。

 見せて欲しいと言われたので渡してみると、間違いなくメガストーンのようだ。それも、ダイゴさんの探していたメタグロスナイトの可能性が高いらしい。ダイゴさんにしてみれば、まさに大誤算である。

 

 物凄く欲しそうにしているが、流石に子供のものをくれとも言えないようで何とも言えない顔をしていた。

 俺としても、今はメタグロスを持っていないが、将来的にゲットしようと思っているポケモンなので渡したくはない。それに、確定でメタグロスナイトとは限らないので、ダイゴさんには諦めて貰うことにした。

 

 何とも言えない最後になってしまったが、ダイゴさんはこの島の裏側には自然が多く、修行には持って来いだとアドバイスをして次の目的地に向かって旅立って行く。

 その背中が少し寂しそうな気がするのは、俺がメタグロスナイト(予定)を見つけてしまったせいだと思うと、何とも言えない気持ちになった。すまん、ダイゴさん。

 

 

 

 12歳 ε月θ日 『やる気のあるカニ』

 

 ジム戦までまだ時間があるので、直前まではホウエン組のトレーニングに充てることにした。

 特にジュプトルに抜かれてしまったミズゴロウさんはやる気に満ちている。腐らずに前を向いてくれて本当に良かったぜ。

 

 海岸なので、ヒンバスも海に出して自由にさせることにした。一応、水辺ということでゴマゾウと交換で連れてきたギャラドスをボディガードに置いているので襲われることはないだろう。

 

 残るミズゴロウさん、スバメ、ジュプトルの三体で、とりあえず修行をすることにしたのだが、基礎トレーニングをしていると何やら俺達のテントが荒らされている。

 どうも地面の中に何かがいるようだったので、ハルカのケムッソの糸を巻き付けて引っ張り上げることにした。これが結構なパワーがあり、もし俺がいなかったらやられていたかもしれないくらいには力が強い。

 

 しかし、ニューサトシに勝とうなど100年早いということで、一気に犯人を吊り上げた。

 犯人はヘイガニだ。地中を潜っていたので、てっきりじめんタイプのポケモンだと思ったが、予想を外された形である。

 

 ただ、予想外だったのはヘイガニも同じようで、簡単に吊り上げられて困惑した顔をしていた。だが、俺に吊り上げられたとわかると、怒ったような顔でこっちに向かって真っすぐ向かってくる。

 別に受け止めても良かったのだが、ミズゴロウさんが俺を助けるようにカバーに入ってきた。そのまま、ヘイガニが『クラブハンマー』で攻撃してくるので、ギリギリまで引き付けてから『とっしん』で迎撃する。

 

 当然、生易しいダメージのはずがなく、ヘイガニが吹っ飛んでいく。吹っ飛んだヘイガニをスバメが『つばさでうつ』で空中に打ち上げると、最後にジュプトルが『リーフブレード』で叩きつけて戦闘不能にさせた。

 

 もしかしたら、こいつがサトシ君のヘイガニだったのかもしれんが、ここまでされると流石のヘイガニも友好的に接しては来ないやろということで、そのままヘイガニを置いて修行を再開することにした。

 のだが、気が付くと、何故かヘイガニも一緒になって修行をしている。どうやら、俺達にやられたことで強くなりたいと思ったらしい。

 

 向上心のある奴は好きなのだが、流石にみずタイプが多すぎるような気もする。とはいえ、自分から来たいというヘイガニの意思を無下にするのはニューサトシ的にもNGなので、結局ゲットすることにした。

 

 新たにヘイガニを仲間に入れたので、ギャラドスには申し訳ないが再びオーキド研究所に戻って貰う。とりあえず、これで正真正銘、ピカ様以外のポケモンがホウエン組になった訳だ。

 元々の予定ではヘイガニをゲットする気などなかったのだが、まさか向こうから来るとは思わなかった。まぁ、キングラーという先輩もいるし、いずれオーキド研究所に送って鍛えて貰おう。

 

 

 

 12歳 ε月ι日 『お腹を壊したカニ』

 

 今日も今日とて元気に修行をしていると、ヘイガニが海藻と一緒にフロートを間違えて食べてしまったらしい。

 これが何やってんだよーで済めばいいのだが、案の定お腹を壊して倒れている。仕方ないので、とりあえずひとっ走りムロのポケモンセンターまで連れて行くことにした。

 

 途中、キバニアの群れが橋を壊して通せんぼをしてきたので、通してくれるように交渉してみる。

 しかし、答えはノーということで、仕方なく威圧して動けなくさせることにした。そのまま、「このまま俺にボコられるか、向こう岸に連れて行くか、どっちがいい?」と、二択を出すと、キバニアの群は快く俺を向こう岸まで運んでくれている。

 

 ポケモンセンターに辿り着いてジョーイさんにヘイガニを渡すと、すぐに治療室に連れて行ってくれた。

 そのまま少し待つと、フロートを吐き出せたようで元気になったヘイガニが帰って来る。「あまり食い意地を張るんじゃないぞ」と注意すると、ヘイガニが照れたように頭を搔いていた。まぁ、反省していれば良しとしよう。

 

 ヘイガニを連れて、皆がいる場所に戻ろうとすると、再びキバニアの群がやってきて乗ってくれと背中を差し出してくる。

 別に舎弟にしたい訳ではないのだが、どうも脅しが効きすぎてしまったようだ。ニューサトシは普段、余程の危険が迫るか、ポケモン側に非がないとあそこまですることはないのだが、ちょっとヘイガニのピンチに気が動転していた。すまない、キバニアよ。

 

 もう問題は解決したから自由にしていいと言ったのだが、どうしても乗ってくれと訴えてくるので仕方なくまた背中を借りることにした。

 行きは休んでいたこともあって、ヘイガニにはいきなり俺がキバニアの群れを従えたように見えるのか、何故か尊敬の視線を送ってくる。いや、違うんだ。これには海よりも深く、山よりも高い事情があってだな。

 

 と、いい訳をしていると、突如として空からスバメがやってきた。聞けば、残ったメンバーがロケット団に襲われているらしい。

 どうも不意を突かれたようだ。

 普段は俺がいるから、余程のことがないと不意を打たれないが、俺がいないとすぐこれである。仕方ないのでヘイガニを連れてさっさと合流することにした。

 

 そのまま、俺が来たことで慌てているロケット団を一気にやなかんじーにしてやる。ヘイガニも完全復活したようで、元気にハサミを振り上げていた。調子のいい奴である。

 

 

 追記。ロケット団と戦っている際に、ハルカのケムッソがカラサリスに進化したらしい。ケムッソの進化は完全ランダムであるなので、運次第ではマユルドになる。よかったね、アゲハントに進化するよ。

 

 

 




 原作との変化点。

・第21話『ケムッソVSケムッソ! どっちがどっち!?』より、ミズゴロウさんがジュプトルに負けた。
 種族値の差でボコボコにされた。ミズゴロウさんのプライドがズタズタになってしまった。

・第22話『ダイゴ、ココドラ、ボスゴドラ!』より、ハルカがココドラを捕まえた。
 ちゃっかり捕まえていた。ニューサトシが珍しく羨ましそうな視線を向けている。

・メガストーンらしき石を見つけた。
 まさにダイゴさん大誤算。

・第23話『海辺の暴れ者、ヘイガニ登場!』より、ニューサトシが吊り上げた。
 原作では四人がかりでも力負けしたが、ニューサトシのパワーで吊り上げた。ゲットする気はなかったが、ヘイガニ側から仲間に加わりたいとやってきた。

・第24話『走れサトシ! キバニアの川を越え!』より、モンスターボールを持っていた。
 原作では手入れ中で手放していたが、ニューサトシは持っていた。ので、ヘイガニをボールに戻して運んでいる。

・キバニアの群れを従えた。
 基本的にポケモン側に余程問題がないと敵対することがないニューサトシだが、今回はヘイガニの危機だったため、キバニアの悪意を許容出来なかった。

・ヘイガニがニューサトシを尊敬した。
 自分の知らない間に、キバニアの群を従えているニューサトシを改めて尊敬した。ヘイガニもみずポケモンなので、キバニアの厄介さを良く知っているが故でもある。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.60

 ピジョット Lv.55

 バタフリー Lv.55

 ドサイドン Lv.59

 フシギダネ Lv.56

 リザードン Lv.61

 カメックス Lv.57

 キングラー Lv.55

 カモネギ  Lv.55

 エビワラー Lv.56

 ゲンガー  Lv.57

 オコリザル Lv.56

 イーブイ  Lv.55

 ベトベトン Lv.55

 ジバコイル Lv.55

 ケンタロス Lv.55

 ヤドラン  Lv.54

 ハッサム  Lv.56

 トゲキッス Lv.53

 プテラ   Lv.56

 ラプラス  Lv.54

 ミュウツー Lv.72

 バリヤード Lv.55

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.53→54

 カビゴン  Lv.51→52

 ニョロトノ Lv.51→52

 ヘラクロス Lv.50→51

 メガニウム Lv.50→51

 マグマラシ Lv.50→51

 ラティアス Lv.46

 ヘルガー  Lv.50→51

 ワニノコ  Lv.51

 ヨルノズク(色違い) Lv.50→51

 カイロス(部分色違い) Lv.50→51

 ウソッキー Lv.50→51

 バンギラス Lv.58

 ゴマゾウ  Lv.47

 ギャラドス(色違い) Lv.49

 ヒンバス  Lv.1 

 ミズゴロウ Lv.23→25

 スバメ   Lv.20→22

 ジュプトル Lv.22→25

 ヘイガニ  Lv.20→21 NEW!




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#114 『レベルがもう30くらい足りないかなぁ』

 12歳 ε月κ日 『ミズゴロウくん』

 

 たまには修行ばかりではなく、新しいポケモンとも出会いたいというハルカの進言によって森の中を探索することになった。

 しばらく歩いていると、滝のような場所に行きつき、ミズゴロウの赤ちゃんと思わしき個体がたくさんいるのを発見する。ここを管理しているというヌマタとかいう爺さんに話を聞いてみると、どうやらここは新人トレーナー用にミズゴロウを育てている場所らしい。

 

 俺も自分のミズゴロウさんを出して少しふれ合わせることにする。すると、どうも小さなミズゴロウの中に俺のミズゴロウさんと同じくらいの大きさの個体がいた。

 ヌマタによると、どうもいつの間にか紛れ込んでいた野生のミズゴロウのようで、ここで子供達を守っているらしい。最初は俺のミズゴロウさんに警戒していたミズゴロウくんだが、特に悪意がないとわかると突っかかってくることはなかった。

 

 ミズゴロウさんも自分と同じ仲間にあって少しは気分が回復したようでいい顔をしている。ミズゴロウセラピー効果で、そのまま元気になってくれるといいのだが。

 

 しばらく自由にさせていると、いつものようにロケット団が現れたのでサクッとやなかんじーにしてやった。しかし、その時の余波で堰が壊れてしまったようで、ミズゴロウの赤ちゃんたちが流されてしまう。

 俺やミズゴロウさん達の活躍もあって、大半の赤ちゃんを救出できたが一体だけ奥に流されそうになっていた。ミズゴロウくんが助けに行くが、助けた代わりに自分が流されてしまっている。俺は今、赤ちゃんミズゴロウを抱えていて動けない。ならば自分が行くしかないと、タケシが流されそうになったミズゴロウくんを救出しに行った。

 

 それがきっかけになったのか、助けてもらったミズゴロウくんもタケシのことを気に入ったようだ。

 ヌマタも、ミズゴロウくんがいつまでもここにいるのも良くないということで、タケシに一緒に連れて行ってくれないかと頼んでいる。

 タケシが「俺と一緒に来るか?」と聞くと、一瞬迷う素振りを見せたが、赤ちゃんミズゴロウ達の応援を受けて行くことを決意したようだ。こうして、新たにミズゴロウくんが仲間になった。

 

 

 

 12歳 ε月λ日 『え、全員捕まってるってマ?』

 

 朝のトレーニングを終えてキャンプに戻っていると、ヘイガニが寝ているドゴームを怒らせるというハプニングを起こしてくれた。

 どうにも落ち着きそうにないので、タケシのパラセクトが『きのこのほうし』で再び眠らせたのだが、そのどさくさでハルカのカラサリスがどこかに行ってしまったらしい。

 

 至急、カラサリスの捜索をすることになったのだが、何故かラティと出していないヒンバス以外のポケモンが帰ってこなかった。

 これはおかしいと思いながら、ミュウツーに頼んでピカ様の所までナビをお願いしたのだが、進んだ先では何やらピカ様を筆頭とした俺達のポケモンがコノハナの群れと一緒にロケット団に捕まっている。

 

 何がどうしたら全員やられるんだと思いつつ、ミュウツーに頼んで全員を救出して貰った。

 そのままロケット団をやなかんじーにして話を聞いてみると、どうもカラサリス捜索中にコノハナの群れとひと悶着あって捕まってしまったらしい。そして、ピカ様達が捕まっている間にコノハナ達が捕まってああなっていたと。

 

 おいおい、ミュウツーがいなかったらワンチャン全員捕まっていたぞ。もっと危機感を持て、お前ら。

 

 とりあえず、コノハナに俺達のポケモンを返してもらうようにお願いすると、助けたということもあってすぐに頷いてくれた。

 ピカ様達も改めて謝罪をし、コノハナ達と和解している。まぁ、これで一件落着ではあるが、俺がいない時の捕まる率が高すぎるのはちょっと考え物だな。

 

 

 

 12歳 ε月μ日 『どいつがどいつか全然わかんねーぜ』

 

 今日も今日とてトレーニングに励んでいると、どうも海岸がいつもより騒がしい。何だと思って騒動の原因を探ってみると、ミシロタウンにいるはずのオダマキ博士が、フィールドワークでムロ島に来ているようだった。

 このおっさんも興味本位でフィールドワークするのはいいが、あまり無遠慮にポケモンの縄張りに入るんじゃねーよ。今は無事でもいつか痛い目を見るぞ。

 

 とりあえず、忠告をするだけしておくが、この調子だと直らないだろうな。まぁ、どうなっても俺は知らん。

 聞けば、博士は近くの洞窟でゴルバットの調査をするらしく、一緒に探索しないかと声をかけられた。少し悩んだが、ラティが行くというのでトレーニングを一時中断して近くの洞窟へ行くことにする。

 

 洞窟を真っすぐ進んでいくと、すぐに行き止まりに当たった。正確には、木の扉がついているので行き止まりではないのだが、普通こんな所に家があるか?

 試しに中に入ってみると、誰かの秘密基地のようだった。はて、秘密基地要素はDPからだったような気もするが――と、考えていると、ツチニンを連れたこの部屋の主と思わしきガキが現れて、この部屋から出て行けと言ってくる。

 

 まぁ、不法侵入したこちらが悪いので大人しく出ていく。そのまま洞窟内で調査を続けることになったので、しばらく別の分岐から洞窟内を探ってゴルバットの調査をすることにした。

 

 一通り調査を終えて洞窟を出ると、浜辺で先程のガキが膝を抱えて俯いている。とりあえず、名前を聞いてみるとカズキと名乗った。先程とは打って変わって気弱そうにしているが、何故か一緒にいたはずのツチニンがいなくなっている。

 話を聞いてみると、どうも俺達を追い出した後にニャースを連れた二人組に、秘密基地ごとツチニンを奪われてしまったらしい。

 

 どうやら、カズキはツチニン以外のポケモンを持っておらず、またポケモンバトルで一回も勝ったことがないという。そのせいで、こうして俯いていたらしいが、自分の手で助けられないなら誰かの手を借りろ。今もお前の助けを待っているツチニンの方が可哀想だ。

 

 バトルに勝てなかろうと、トレーナーである以上はパートナーを助ける義務がある。

 それはポケモンを育てる上での最低条件といってもいい。どうにも出来ないからといってすぐに相棒を助けるのを諦めてしまうくらいならポケモントレーナーなど止めてしまえとハッキリ言った。

 

 流石に言い過ぎだと、タケシやマサトが苦笑いしているが、ニューサトシはこういう自分の弱さを言い訳にする奴が大嫌いなのだ。

 

 ツチニンが可哀想なので、今回は俺達が助けてやることにする。どう聞いても、犯人はロケット団だったのですぐに取り戻しに行こうとしたのだが、秘密基地の中は荒らされていて奥に続く穴が掘られていた。

 

 こんな穴を掘ってどうするんだと思いつつ中を進んでいくと、どうも中は遺跡になっているようだ。オダマキ博士もこんな遺跡があるとは知らなかったらしい。

 そのまま先に進んでみると、どうもロケット団ではない何者かがこの遺跡を調査しているようだった。少し様子を見てみると、水の中からさらに別の集団が出てきて一触即発の状況になっている。

 

 声が響くので話を聞いてみると、どうやらこいつらはマグマ団とアクア団らしい。しっかし、マグマ団とアクア団はシリーズが変わって幹部の姿が変わったから、もうどいつがどいつだか覚えてないぜ。

 

 どうも奴らは目覚めの祠なる場所を探しているようで、そこで何かを蘇らせようとしているらしい。

 

 まぁ、このホウエンで蘇らせるものなんて、カイオーガとグラードンしかないだろう。

 互いに探り合いの会話を終えると、目的のものがないとわかったようで、双方ともに撤退していく。とっ捕まえてやっても良かったのだが、今回はカズキのツチニンの方が優先だ。

 

 とりあえず、今回は見逃してやろうということで、ロケット団を探すとようやく姿を見つけた。

 ツチニンをサクッと取り返すと、ニューサトシの言葉で少しはやる気を出したのか、カズキがバトルをする気になったようだったので、ちょっとキャリーしていつものようにロケット団をやなかんじーにしてやる。

 

 カズキもその気弱さを克服すれば十分に良いものを持っていた。シロガネ大会チャンピオンであるニューサトシがバトルの秘訣を軽くアドバイスしてやると、カズキも少しは自分に自信が持てたようで、もっと強くなったらバトルしてほしいと言ってくる。

 

 まぁ、とりあえず、ポケモンを六体捕まえる所からスタートだな。

 

 

 

 12歳 ε月ν日 『アゲハントよりはバタフリーかなぁ』

 

 前日に引き続き、オダマキ博士と一緒にこの辺りのフィールドワークに出かけることになった。

 そろそろ、トウキとのガチ戦に向けて調整に入ろうかとも思ったのだが、ラティがフィールドワーク大好きなのと、このおっさんを放っておくと問題しか起こさなそうなので少し心配になったのだ。

 

 しばらく森の中を歩いていると、どうも土砂崩れがあったのか、タネボー達が住居にしていた木が倒れてしまったようで元気がなくなっている。

 可哀想だったので、俺達で新しい木を探してあげることにしたのだが、その最中に毎度お馴染みロケット団が現れてバトルをすることになった。当然、いつものようにサクッとやなかんじーにしてやろうと思ったのだが、どうも最近ムサシはハルカとケムッソ対決をしているようで、今回も進化したカラサリスとマユルドでバトルをしている。ってか、いつのまにマユルドになってたんだ?

 

 まぁ、むしタイプの成長ってのは早いもんだと思いつつ、コジロウを相手にするのだが、流石にコジロウだけでは勝負にならない。

 どうやら向こうも新人育成を主軸にしているのか、サボネアを出してくるのでこちらもニューフェイスであるヘイガニで相手をしてやることにした。

 

 しっかし、ウツボットの時もそうだが、サボネアの懐き方が異常である。コジロウもちょっとマジで訓練をすれば、くさタイプ専門のエリートトレーナーになれそうな感じがするんだよなぁ。

 まぁ、そこまでしてやる理由もないので、今日も今日とてボコボコにするのだが。

 

 ふと、横目でハルカとムサシのバトルを見ていると、バトルの最中にハルカのカラサリスがアゲハントに進化していた。

 いくらムサシの実力が高いとはいえ、流石にマユルドでアゲハントには勝てない。これは決まったかと思っていると、何だかんだムサシのマユルドもドクケイルに進化していた。

 

 どうもムサシはずっとマユルドをカラサリスだと思っていたみたいだが、ドクケイルもドクケイルで愛嬌のある顔をしているからか、ムサシはドクケイルをとても気に入ったようだ。

 思えば、ムサシもどくタイプとの親和性が高いよなぁ、と思いつつ、進化おめでとうということで、コジロウとまとめて一気にやなかんじーにしてやった。

 

 

 追記。ロケット団を倒した後、無事にタネボーの木を見つけた。オダマキ博士もフィールドワークを終えてミシロタウンに戻るということで、明日からはトレーニングを再開できそうである。

 

 

 

 12歳 ε月ξ日 『先輩の背中』

 

 ガチ戦まで一週間を切ったので、そろそろ本番メンバーを呼んで調整することにした。

 今回も、ミズゴロウさん、スバメ、ジュプトルを戻している。ヘイガニはまだ捕まえて間もないし、ヒンバスはまだ美しさを上げる必要があるからな。

 

 相手がかくとうタイプのジムということで、当然のようにエビワラーとオコリザルは採用している。

 最後の一体を誰にするかで死ぬほど悩んだが、今回はヘラクロスを採用することにした。こいつも立派なかくとうタイプである。かくとうタイプの戦いは、相性とか考えずに力と力のぶつかり合いこそが相応しいだろう。

 

 と、いう訳で、ヘイガニには悪いが、先輩達を優先してトレーニングをしていく。もう大分型は完成しているので、今から何かを特訓するということはない。

 カウンターのエビワラー、インファイターのオコリザルはもう定番だが、ヘラクロスは俺のかくとうタイプの中でも型がない。基本的にはパワーでごり押しだ。その立派な角を武器に立ち回るのがヘラクロスの戦い方である。

 

 ヘイガニもホウエン組相手だとくらいついていたが、流石にカントー、ジョウト組と一緒の訓練だと置いて行かれてしまっていた。

 ちょっと可愛そうなので、最近密かに技を練習しているっぽいヒンバスと一緒に基礎メニューをさせることにする。まぁ、お前があいつらの中に入るにはレベルがもう30くらい足りないかなぁ。

 

 

 

 12歳 ε月ο日 『俺もポケモンの言葉が大体分かるんだよ』

 

 トレーニングのために金山に行くと、何やらヤミラミがこちらを驚かせてきた。それだけなら別に問題ないのだが、どうも俺のポケモンを奪おうとしてくるのだ。

 これは何かあると思って、少しヤミラミに話を聞いてみると、どうもロケット団のニャースに唆されたらしい。ハッキリ騙されていると教えてやると、ヤミラミはニャース諸共ロケット団をやなかんじーにして山に帰って行った。

 

 ヤミラミかぁ。夢特性だったらゲットしたかったが、手持ちもいっぱいだし今回はお見送りだな。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・第25話『秘密の池! ミズゴロウがいっぱい!?』より、ミズゴロウさんが少し元気になった。
 まだ完全に本調子ではないが、大分元気が戻ってきている。

・第26話『コノハナ族の襲撃!!』より、ニューサトシが少し危機感を感じた。
 ロケット団が無駄に強いので、自分がいない時が少し心配になってきた。

・ヘイガニ、俺にクラブハンマーだ! が、カットされた。
 そんなことしなくても倒せるのでカット。

・第27話『マグマ団VSアクア団! 秘密基地の戦い!』より、ニューサトシがアクア団とマグマ団を見逃した。
 倒すことは出来たが、ツチニン救出を優先した。

・第28話『アゲハントとドクケイル! 進化の果てに!』より、ムサシのマユルドがバトル中に進化した。
 原作では先にハルカのカラサリスがアゲハントになって特訓をするが、ここではほぼ同時に進化した。

・ムロでのガチ戦に備えてトレーニングを始めた。
 ヘイガニが先輩とのレベル差を感じて少し驚いている。とはいえ、レベル差が約30あれば仕方ない部分はある。

・ヒンバスが技の練習をしている。
 本人がこっそり練習をしているので、ニューサトシも知らないフリをしてあげている。

・第29話『ヤミラミでドッキリ!』より、ニューサトシがヤミラミから事情を聞いた。
 原作ではハルカとマサトがニャースの罠を看破するが、ニューサトシはストレートにヤミラミから事情を聞いた。理路整然としたニューサトシの説得に、ヤミラミは自分が騙されているとすぐに気付いた。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.60

 ピジョット Lv.55

 バタフリー Lv.55

 ドサイドン Lv.59

 フシギダネ Lv.56

 リザードン Lv.61

 カメックス Lv.57

 キングラー Lv.55

 カモネギ  Lv.55

 エビワラー Lv.56

 ゲンガー  Lv.57

 オコリザル Lv.56

 イーブイ  Lv.55

 ベトベトン Lv.55

 ジバコイル Lv.55

 ケンタロス Lv.55

 ヤドラン  Lv.54

 ハッサム  Lv.56

 トゲキッス Lv.53

 プテラ   Lv.56

 ラプラス  Lv.54

 ミュウツー Lv.72

 バリヤード Lv.55

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.54

 カビゴン  Lv.52

 ニョロトノ Lv.52

 ヘラクロス Lv.51

 メガニウム Lv.51

 マグマラシ Lv.51

 ラティアス Lv.46

 ヘルガー  Lv.51

 ワニノコ  Lv.51

 ヨルノズク(色違い) Lv.51

 カイロス(部分色違い) Lv.51

 ウソッキー Lv.51

 バンギラス Lv.58

 ゴマゾウ  Lv.47

 ギャラドス(色違い) Lv.49

 ヒンバス  Lv.1 

 ミズゴロウ Lv.25→28

 スバメ   Lv.22→25

 ジュプトル Lv.25→28

 ヘイガニ  Lv.21→24 




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#115 『恋はいつでもハリケーン!』

 12歳 ε月π日 『恋はいつでもハリケーン!』

 

 トウキの一番弟子にして最愛の恋人を名乗るシノブとかいう女がバトルを仕掛けてきた。

 見た感じ、連れているアサナンのレベルはヘイガニとどっこいくらいだったし、シノブも熱くなる性格だったので、隙を突いてボコボコにしてやったのだが、勝負が着く前に彼氏であるトウキが現れて、もうすぐこの近辺にハリケーンがやってくると言ってくる。

 

 そんなハリケーンなんていきなり発生する訳ないやろーと、思ったのだが、今の今まで何の気配もなかった方向から急に大きな風がうごめき始めていた。

 ハリケーンってこんな簡単に出来るものなん? と、思ったが、このままでいる訳にもいかないので、仕方なくバトルを一時中断して近くの洞窟へ避難する。

 

 警告しに来てくれたトウキにお礼を言っていると、どうもシノブの様子が少しおかしくなっていた。

 そのままトウキと話していてわかったことなのだが、どうもシノブはかなり話を盛っていたらしい。

 聞けば、シノブはトウキの恋人でもなければ一番弟子でもないというのだ。むしろ、バトルですぐ熱くなってポケモンとの連携が不十分ということで、弟子入りを却下されたという。確かに、バトルをしていて随分と短気な奴と思ったのはここだけの話である。

 

 トウキは、シノブにもっとポケモンとの一体感を掴んで欲しいようだ。確かに、トウキはポケモンとの一体感を大切にしているしな。

 シノブの負けん気も、バトルをする上で大切なことではあるが、トウキの弟子になりたいなら、もっと冷静にポケモンを見ないと駄目ということか。

 

 

 追記。ハリケーンが去った次の日、再びシノブがバトルを挑んできた。勝負は俺の勝ちだったが、どうも言われたことを実践してきたようで、前よりも落ち着いていたように見える。トウキもこれなら大丈夫だということで、弟子入りを認めていた。恋はいつでもハリケーンなのである!

 

 

 

 12歳 ε月ρ日 『ウーハー!』

 

 今日も元気にトレーニングをしていると、海岸に上半身裸のおっさんがドヤ顔で仁王立ちしているのを見つけた。っていうか、四天王のシバだった。

 

 思えば、会うのもジョウトリーグ以来である。こんな所まで何しに来たのか聞いてみると、どうもトウキの練習相手として呼び出されたらしい。そういえば、シバとトウキは親交があるって、どこかで聞いたことがあるような気もする。

 本来であれば、四天王であるシバの下にトウキが行く所だが、シバが丁度近くにいたことと、俺とガチバトルをするのを聞いてわざわざ来てくれたようだ。

 

 どうも、トウキはガチで俺との戦いに備えているようで、わざわざ四天王を練習相手に呼んでくれたらしい。

 ただ、シバはトウキだけではなく、今の俺の実力にも興味があったので、トウキの所へ行く前にこうして会いにきてくれたとのことだ。

 

 シバが黙ってモンスターボールを出す。それだけで全て伝わった。特に何も言わず、ニューサトシもモンスターボールを取り出していく。

 

 いいぜ。かつての再戦と行こうではないか。

 

 モンスターボールからエビワラーを出すと、シバもエビワラーを出してくる。一年半くらい前に苦い記憶を味わわされた因縁の相手だが、俺のエビワラーは欠片も緊張を見せなかった。

 

「ふっ、こうして改めて向かい合って見ると、あの時とはまるで別人だな……」

 

 それはニューサトシに対してなのか、それとも俺のエビワラーに対してなのかはわからない。

 だが、あの時は俺もエビワラーも未熟だった。今も決して熟しきった訳ではないが、それでもあの時よりは成長しているはずだ。それを今、見せる時である。

 

 気を利かせてくれたようで、タケシが審判として名乗りを上げた。

 ハルカは突然のことに置いてきぼりになっており、マサトは「サトシとシバさんのバトルなんてすごいや!」と盛り上がっている。

 ラティも状況は分かっていないだろうが、とりあえずバトルをすることはわかったようで「がんばる」と、いつもの応援をしてくれていた。

 

 互いのエビワラーが距離を詰めていく。

 

 バトルフィールドなんてものはない。前と同じだ。この自然そのものがフィールドである。海岸線沿いではあるものの、地面はしっかりしているので、動くのに支障はなさそうだった。

 ルールはあの時と同じである。一対一で、レベル制限はなし。エビワラー同士が中央で拳を合わせると、タケシの「始め!」という合図と共に距離を取った。

 

 前回のバトルで、俺のエビワラーがカウンター型というのはバレている。おまけに、前回は力の差が有り過ぎてシバは技の指示以外は殆どをエビワラーの判断に任せていた。つまり、あのエビワラーがどういうタイプなのか、俺にだけ情報がないのである。

 

 とはいえ、やることは基本的に変わらない。ステップを踏むエビワラーが、『こうそくいどう』で素早を二段階上げていく。

 対して、シバのエビワラーは『ビルドアップ』で攻撃と防御を一段階上げてきた。素直にステータスを上げてきたか。ってことは、シバのエビワラーは打ち合いをするタイプだな。

 

 かくとうタイプのポケモン同士の対決で、相手の攻撃と防御が上がるのを待つのは悪手である。これ以上ステータスを上げられる前に先手を打って行こう。

 俺のエビワラーがシバのエビワラーとの距離を詰めていく。レベルが上がったり、トレーニングを積んだりと、今までの努力によってこちらは前よりも素早が上がっている。そのせいか、咄嗟にシバのエビワラーが牽制のジャブを打ってきた。

 

 そのジャブを掻い潜って、『マッハパンチ』で顔面に一撃を入れる。しかし、もう片方の腕でガードされた。ならばと、足を使って外から『マッハパンチ』を打って行く。相手を釘付けにして動けなくさせてやれ。

 

 だが、シバはガードを固めさせてきた。エビワラーが亀のように丸まっている。ならば、手を出したくなる隙を作ってやろう。『きあいパンチ』を指示して、敢えて攻撃を誘っていく。

 ピクっと、一瞬動く素振りを見せたが、ガードはそのままだった。仕方ないので、ガードの上からそのままきあパンを叩きこんでいく。特性『てつのこぶし』によるタイプ一致の一撃だ。『カウンター』なしでも、かなりのダメージを相手に与えたはずである。

 

「相手の攻撃を待っていた頃が嘘のようだ。今では、『きあいパンチ』すら、カウンターのための囮か」

「まだまだ、こんなもんじゃないですよ」

 

 とはいえ、シバのエビワラーもダメージは受けたはずだが、『ビルドアップ』で防御が一段階上がっていたことと、ガードを固めていたことから大ダメージにはなっていない。

 嫌な感じだな。攻めているし、ダメージも取ってはいるが、シバはまだ動いていないのである。相手の型も読み切れていないし、手探り状態という感じで流れを掴み切れない。

 

 エビワラーも同じことを思っているのか、左手を動かして相手を挑発している。動いて来いと言っているのだ。

 

 シバは再び『ビルドアップ』を指示した。対するこちらも『マッハパンチ』を顔面に入れるが、これで攻撃と防御は二段階ずつ上がったことになる。

 続けて、シバは『ほのおのパンチ』と『かみなりパンチ』を指示してきた。まさかの技チョイスである。おまけに、左手に炎、右手に雷を宿し、両腕を使って二つの技を発動させていた。

 

 そういえば、ポケスペのシバがこんな技を使っていたっけか。成程、『ビルドアップ』はタイプ不一致技の威力をサポートするためのものという訳だ。

 

 シバのエビワラーが一転して反撃に出てくる。相変わらず、隙の無い拳で連打を重ねてくるが、俺のエビワラーは『こうそくいどう』をもう一段階積むことで、その全てを回避していた。

 おそらく、『ほのおのパンチ』は火傷、『かみなりパンチ』は麻痺を狙ってのことだろう。前者なら攻撃力が半減するし、後者ならこちらの足が止まる。なかなか嫌らしい攻め方をしてくるものだ。

 

 とはいえ、元々物理耐久が紙な以上、一撃も貰わないのが俺のエビワラーのスタイルである。どんな攻撃だろうと、全て回避していく。

 それに、そんなに攻撃を打ちまくるのも迂闊だ。いくら前回のバトルでカウンターのタイミングを見切られたとはいえ、こちらもあの時のままではない。高速見切りカウンターきあパンから、超カウンターに変わったことでカウンターの仕方自体が変わっているのだ。カウンター使いであるうちのエビワラーにリズムを覚えさせるというのが、どれだけ怖いことか教えてやる。

 

 エビワラーにゴーサインを出す。

 

 その瞬間、シバのエビワラーの右拳に合わせて『きあいパンチ』と『カウンター』を発動させる。相手の攻撃を避けつつ、返しの超カウンターで一気にKOに持って行ってやるぜ。

 

「――は?」

 

 超カウンターは完全に決まった。

 

 はずだった。

 

 だが、何故か俺のエビワラーがシバのエビワラーの『かみなりパンチ』を受けて倒れている。

 

「えっ、えっ、何か起きたの? お姉ちゃん、見えた!?」

「ううん、早すぎて良くわからなかった」

「がんばる!」

 

 マサトやハルカ、ラティだけではない。それこそ、審判をしているタケシも、俺も、何をされたかわからなかった。

 だが、かろうじて戦闘不能は避けたようで、エビワラーが立ち上がって距離を取っていく。どうも運よく、状態異常も引かなかったらしい。とはいえ、ダメージは深刻だ。たった一撃で足が震えている。

 

「そんなに驚くことじゃないだろう。これは君が教えてくれたんだぞ、サトシ君」

 

 俺が教えた? 何をだ?

 

「一年半前のあのバトルで、君のエビワラーは俺のエビワラーの防御を突破するために、パンチの最中に『こうそくいどう』を使って無理矢理変速を起こした。俺のエビワラーもそれをやったに過ぎない」

 

 一年半前、俺達はまだ高速見切りカウンターきあパンの欠点に気付かないままシバに喧嘩を売った。

 しかし、バトル中にシバにカウンターを攻略され、手も足も出ない状況に陥ったのである。そこで、シバの口にした通り、こちらのパンチを防御されるのを突破するために、俺達は攻撃中に『こうそくいどう』を使うことで相手の防御タイミングをずらした。

 

「君のエビワラーがカウンターを使った瞬間、こちらも『こうそくいどう』でパンチの速度を変えた。たったそれだけのことだよ」

 

 確かに、言葉にすれば簡単なトリックだ。カウンター使いにとってタイミングが狂うことは失敗を意味する。

 今にして思えば、あの単調な攻撃も誘いだったのだろう。俺のエビワラーはまんまとその罠に嵌り、相手のタイミングを覚えさせられた。

 後はこちらがカウンターを使った瞬間、相手は『こうそくいどう』で攻撃速度を上げるだけでいい。こちらの計ったタイミングよりも早くパンチが来れば、当然カウンターは失敗する。

 

 とはいえ、確かに言葉にすれば簡単だが、こちらがカウンターを打つタイミングを完全に読み切らなければ出来ない芸当だ。

 何が、たったそれだけのことだよ。

 その、たったそれだけのことが出来る人間がこの世にどれだけいる。こっちは前とカウンターの型が変わっている上、素早を四段階も上げていた。普通なら動きを追うのですら精一杯のはずだ。それをこうもアッサリと――

 

「では、続きと行こう。エビワラー、『ほのおのパンチ』、『かみなりパンチ』」

 

 くっ、俺のエビワラーは今の一撃で瀕死寸前だ。

 

 今の会話の間に、少しは回復したか?

 

 いや、足はまだ死んでる。

 

 仕方ない。上体だけでかわして行くしかない。

 

 突っ込んでくるシバのエビワラーの左右二色のパンチを、上体反らしやスウェーでかわして行く。やはり、いくらシバのエビワラーが『こうそくいどう』を使ったとはいえ、二回積んでいるこちらの方がまだ速い。

 

 シバはさらに『こうそくいどう』を指示した。同じ速度域にスピードを上げれば攻略できると考えたのだろう。

 しかし、避けられないのであれば流すまでだ。回避の間に『マッハパンチ』を挟むことで、相手の攻撃自体を反らしていく。

 

「攻撃を受け流すセンスはこちら以上か……」

 

 中距離からでは攻撃が当たらないと判断すると、シバは距離を詰めるように指示を出した。密着して攻撃を当てようということだろう。

 流石に距離を詰められるときついので、『マッハパンチ』で牽制する。しかし、『ビルドアップ』で防御も二段階上がっているからか、多少の被弾を無視して距離を詰めてきた。

 

 だが、この攻防の間にギリギリ足が回復したようで、向こうの攻撃が当たる直前にエビワラーがバックステップで距離を取る。

 

 シバは「逃したか」と呟くと、そのままエビワラーに『ビルドアップ』を指示して、また攻撃と防御を上げてきた。おそらく、こちらの攻撃を誘っているのだろうが、まだ足が完全に回復しきっていない。

 それに、仮に打ち合ったとしてもカウンターは仕掛けられなかった。向こうがまだ一回『こうそくいどう』を残しているのは把握しているのだ。

 

 下手に仕掛ければ、先程と同じ返しをくらう。

 

 つまり、カウンターは実質封じられたということである。しかし、シバがカウンターをメタってくるとは思わなかった。これで、こちらは鎖で雁字搦めにされたようなものだ。

 

「どうだ、サトシ君。カウンター封じの味は?」

「面倒なことこの上ないですね。まさか、こんな手で来るなんて思いもしませんでしたよ」

「相手の得意なものを敢えて潰すのもまたバトルだ。他にもいくつか手を考えたんだが、これが一番精神的なダメージを与えられそうだったんでな」

 

 確かに、その通りだ。まさか、過去の自分に足元を掬われるとは思いもしなかった。とはいえ、これは純粋にシバが一枚上手だったというしかない。

 だが、このままやられるつもりはなかった。カウンターを封じられたくらいで動揺すると思ったら大間違いである。

 カウンターがダメなら足で勝負だ。向こうは変速のために、最後の『こうそくいどう』を残しておきたいはず。なら、こちらは逆に最後の『こうそくいどう』でマックスまでスピードを上げてやる。

 

 足の調子を確かめるように、エビワラーが左右にステップを踏む。この会話の間に、足は完全に回復したようだ。

 とはいえ、HP的なダメージは相変わらず限界に近い。おそらく、もう一撃まともに受ければ耐えられないだろう。

 

 長期戦は不利だ。ここでスタミナを全部吐き出すつもりで、エビワラーにスピード勝負を仕掛けさせる。最高速度の『マッハパンチ』で、シバのエビワラーの顔面に連打を入れていく。

 ただ、防御が三段階上がっているせいもあってか、相手のダメージはそこまでではなかった。しかし、小さなダメージも重ねればどうだ?

 

 そのまま、シバのエビワラーの周りを走りながら、『マッハパンチ』でダメージを重ねていく。

 シバは、左右の二色パンチで迎撃を指示してきた。だが、向こうは素早が四段階上がって尚、捨て身のこちらの速度について来られず、拳は虚しく空を切っている。

 攻撃を当てるのが難しいと判断すると、シバは『ビルドアップ』を限界まで積むように指示してきた。防御力を上げて、こちらの足が止まるまで粘るつもりなのだろう。

 

 確かに、この限界を超えた速度は長時間維持出来ない。こちらの足が止まるか、向こうが戦闘不能になるかの勝負だ。

 向こうも完全防御体勢に入る。『ビルドアップ』中に、横から『マッハパンチ』を二連打していくが、もう『ビルドアップ』を何度も積んでいるからかダメージは少ない。こうなれば『きあいパンチ』しかないということで、拳に気合を貯めていく。

 

 向こうがビルドの四段階目を積み終えると、こちらの集中を妨害するために、小さく手を出してくるが、こちらも回避しながら気合を貯めていった。

 いつもカウンターをするために相手の攻撃に合わせて『きあいパンチ』を打っているのだ。攻撃を避けながら気合を貯めるくらい、今のエビワラーには朝飯前である。

 これも前の敗戦で、超カウンターをものにするためにした努力の成果だ。『みきり』による完全回避ではなく、自身の技術で相手の攻撃を見切っているからこそ出来た技である。

 

 邪魔するのは無理と判断したシバのエビワラーがガードに移ったので、その上から『きあいパンチ』を叩きこんでいく。

 しかし、倒し切れない。ダメージは与えているはずだが、ガードの上からではやはり決定打にならないのだ。こうなれば、『きあいパンチ』を連打するしかない。

 

 一か八か、左で『マッハパンチ』連打、そして右で『きあいパンチ』を使うのも考えた。

 シバのエビワラーがやっている技術である。向こうに出来るならこちらにも出来るはず――と、考えた所ですぐに却下した。無理だとわかったからだ。あれは、左手で数式を解きながら、右手で英語を翻訳しているようなものである。当然、訓練もなしに出来ることではない。

 

 もう一発、『きあいパンチ』を叩きこんでいく。

 

 だが、その間に『ビルドアップ』の五回目を積み、二発目を受けても耐えている。相手が完全防御態勢に入っているので、少し足を休めようとしたが、その瞬間に『ほのおのパンチ』と『かみなりパンチ』の連打で反撃に出てきた。

 

 チッ、逆に休む暇は与えないってことか。

 

 こちらが再び、移動しながら『きあいパンチ』の貯めに入ると、向こうも最後の『ビルドアップ』を積んできた。

 そのまま三度目の『きあいパンチ』を振り抜いていく。三発とも相手のガードに阻まれているが、それでもダメージはかなり与えているはずだ。

 

 向こうが『ビルドアップ』を積み終わったことで、また二色のパンチで手を出してくる。しかし、こちらが『きあいパンチ』のモーションに入るとガードに入った。

 四度目の『きあいパンチ』もガードされる。

 だが、シバのエビワラーもダメージが蓄積されているようで、少しふらついた。そりゃそうだ。いくらガード越しだったとはいえ、基本威力150で特性『てつのこぶし』によって1.2倍、タイプ一致で1.5倍、合計270になっている『きあいパンチ』を何度も入れているのだ。効かない方がおかしい。

 

 後ちょっとだ。後ちょっとで倒れる。

 

 しかし、こちらのスタミナもそろそろ限界だった。もう次の『きあいパンチ』は間に合いそうにないので、『マッハパンチ』の連打でとどめを刺していく。

 シバも、こちらが限界なのはわかったようでガードをさらに固めさせた。こちらの『マッハパンチ』が何発か当たると、予想通り俺のエビワラーが失速していく。ガス欠だ。

 

 対するシバのエビワラーは立っている。かなりHPを削りはしたが、まだギリギリで耐えていた。もう一押しが押し切れない。おまけに、相手は攻撃と防御は最大まで強化されている。

 

 こちらの動きが止まると、今度はこちらの番だと言わんばかりに、シバのエビワラーが攻勢に出てきた。こちらは上体反らしやスウェーで回避していくものの、足が完全に止まっている。

 それを見たシバが距離を詰めさせた。こちらも『マッハパンチ』による牽制を打つが、ガードしたまま詰めてきて近距離戦を強いられる。こっちのエビワラーもガードを固めるが、その上から二色パンチの連打が襲い掛かってきた。

 

 凄まじい猛攻だ。こうなるともう手が出せない。

 

 このままでは倒されるのも時間の問題である。どうやらエビワラーもそれはわかっているようで、防御しながら相手の隙を伺っていた。

 せめて倒れるなら、最後に一撃打ってやろうというつもりなのだろう。気持ちはわかるが、シバもそれには気付いている。カウンターを打てば、間違いなく『こうそくいどう』による変速で、こちらにとどめを刺そうとしてくるはずだ。

 

 最初から、一か八か相手の『こうそくいどう』の変速に合わせて、こちらも『こうそくいどう』を利用した変速カウンターを打つべきだったか?

 いや、流石に博打が過ぎる。

 失敗すれば即戦闘不能にされるし、あの時点ではスピード勝負に持ち込んだ選択肢は間違ってなかったはずだ。その結果、シバのエビワラーは攻撃に転じられずにここまで消耗させられた。後ちょっとなんだ。こちらに残った最後の力を叩きこめば、シバのエビワラーを戦闘不能に持っていける。

 

 考えろ。

 

 あのカウンター封じの変速を破る方法を考えるんだ。

 

 相手のタイミングが変わるのがわかっているのだから、それに合わせればいいなどという問題ではない。

 そもそも、その変速のタイミングが読めないから合わせられないのである。ハイスピードのリズムゲーをやっていて、ボタンを押す直前でリズムが変わればミスをするのと一緒だ。何度かやれば慣れても初見で合わせるのは難しい。

 

 いや、考え方を変えるんだ。

 

 カウンター封じを破れないのであれば、破らなければいいだけの話だろう。

 

「エビワラー、『カウンター』!!」

 

 本来の『カウンター』という技は、相手の攻撃を受けた際に、そのダメージを倍返しするものだ。俺達の場合、その攻撃を受けるのを省略して『倍返し』するという特性を利用して超カウンターを使っている。

 だから、カウンターそのものを封じられれば、超カウンターは使えない。しかし、技としての『カウンター』ならどうだ?

 

 ガードの上から叩きつけられたダメージを『倍返し』する。これなら、変速も関係ない。何せ、攻撃後に攻撃しているのだから、攻撃の速度を変えた所で意味などないのだ。

 

 返しの刀でシバのエビワラーの顎を刈り取る。

 

 だが、『ビルドアップ』で防御が最大になっているのと、ガード越しのダメージを反射しただけということもあって、それだけでは戦闘不能にはならなかった。

 しかし、顎を強打されたことで脳が揺れている。

 ポケモンも人間と一緒だ。脳の機能が麻痺すれば一時的に体が動かなくなる。その隙に気合を貯めていく。最後の『きあいパンチ』で一気に相手を戦闘不能にしてやれ!

 

 エビワラーが渾身のきあパンを振り抜く。

 

 だが、ギリギリで動けるようになったシバのエビワラーは『こうそくいどう』でパンチの速度を上げることで、こちらの『きあいパンチ』に『ほのおのパンチ』のカウンターを合わせてきた。

 

 シバのエビワラーの一撃がこちらに命中し、限界だった俺のエビワラーが倒れる。まさか、ここでカウンターを返されるとは思わなかった。

 確実性を取って『きあいパンチ』を選択したが、『マッハパンチ』連打の方がよかったか。いや、『マッハパンチ』の威力では耐えられた可能性だってある。どちらがよかったかなど結果論でしかない。

 

「サトシのエビワラー戦闘不能! よって、四天王のシバの勝利!」

 

 タケシの判定を聞くと同時に、互いにエビワラーをボールに戻す。いいバトルだったぞ、今はゆっくり休んでくれ。

 

「最後はギリギリだった。もう少し回復するのが遅れていたら、やられていたのは俺の方だっただろう」

「『マッハパンチ』なら決め切れてましたかね?」

「さてな。だが、俺のエビワラーもそんなに軟ではない。俺が君の立場でも『きあいパンチ』をチョイスしただろう」

 

 ぶっちゃけ、ポケモンの能力にそこまで大きな差はなかった。あったのはトレーナーの差だ。

 シバは俺に対する対策を完全に立てて本気の勝負を仕掛けてきたが、俺はそれに対応できなかった。スピード勝負をする前に、『カウンター』によるカウンター封じ破りを思いついていればまた勝敗も変わったかもしれない。

 

 やはり、行き当たりばったりなバトルでは限界があるな。相手の動きを読むことで、相手の動きを誘導する――それが、俺に出来ていなくて四天王やチャンピオンに出来ていること。今後の俺の課題だ。

 

 シバは挨拶もそこそこに、ムロジムへと歩いて行く。負けてしまったが得るものもあったいいバトルだった。

 

 マサトは一緒に付いて来てから俺が負けた所を初めてみたからか、「サトシが負けた」と、ショックを受けている。

 ハルカは良くわかっていないようだが、とにかく凄いバトルだったのは理解したらしく、「いいバトルだったよ、たぶん」と苦笑いを浮かべていた。

 タケシは「やはり、四天王は強いな」と声をかけてくる。一番近くで見ていたからこそ、俺とシバの差が明確に見えていたのだろう。

 ラティはバトルに触発されたのか、「かうんたー!」と言いながら何やらパンチの練習をしていた。お前は特殊型だから物理で戦うことはほぼないぞ。

 

 とりあえず、ショックを受けているマサトに、「負けることは恥じゃないさ。ただ、何で負けたのか、何が足りなかったかを考えて、自分の物にしないと意味ないけどな」と声をかける。

 実際、俺だって負けなしじゃない。公式戦だとブルーやカルネにだって負けている。けど、そこで歩みを止めたら駄目だというのを学んでここまで来たんだ。

 

 この負けを踏まえて、今度のトウキとのガチバトルには絶対勝ってやるぜ。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・第30話『バトルガールとアサナン! 荒らしの中で!』より、ニューサトシがシノブをボコボコにした。
 トウキの乱入が一秒遅かったら倒し切っていた。

・四天王のシバと再会した。
 男同士なら黙ってバトル!

・エビワラー対決に再び敗北した。
 手も足も出なかった前回とは内容は別物だったが、まだ向こうが一歩上手だった。

・マサトがニューサトシの敗北にショックを受けた。
 野良バトル含め、ホウエンで負けたのが初だった。先輩として、負けた時の心構えを話している。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.60

 ピジョット Lv.55

 バタフリー Lv.55

 ドサイドン Lv.59

 フシギダネ Lv.56

 リザードン Lv.61

 カメックス Lv.57

 キングラー Lv.55

 カモネギ  Lv.55

 エビワラー Lv.56

 ゲンガー  Lv.57

 オコリザル Lv.56

 イーブイ  Lv.55

 ベトベトン Lv.55

 ジバコイル Lv.55

 ケンタロス Lv.55

 ヤドラン  Lv.54

 ハッサム  Lv.56

 トゲキッス Lv.53

 プテラ   Lv.56

 ラプラス  Lv.54

 ミュウツー Lv.72

 バリヤード Lv.55

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.54

 カビゴン  Lv.52

 ニョロトノ Lv.52

 ヘラクロス Lv.51

 メガニウム Lv.51

 マグマラシ Lv.51

 ラティアス Lv.46

 ヘルガー  Lv.51

 ワニノコ  Lv.51

 ヨルノズク(色違い) Lv.51

 カイロス(部分色違い) Lv.51

 ウソッキー Lv.51

 バンギラス Lv.58

 ゴマゾウ  Lv.47

 ギャラドス(色違い) Lv.49

 ヒンバス  Lv.1 

 ミズゴロウ Lv.28→30

 スバメ   Lv.25→27

 ジュプトル Lv.28→30

 ヘイガニ  Lv.24→26 




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#116 『でっけぇわ!』

 12歳 ε月σ日 『何かを隠している。ような気がする』

 ガチバトルは明日なのだが、シバはどうやら午前中に俺と、午後にトウキとバトルをするつもりのようで、今日も浜辺にやってきて俺とバトルをしてくれた。

 今日の相手はサワムラーだったのでオコリザルに相手を任せているが、足の使い方が巧みで接近戦に持ち込ませて貰えない。オコリザルの課題は、如何に被弾を抑えて近距離に寄るかなので相手としては申し分なかった。

 

 最近は足回りを鍛えさせていたので、オコリザルはダッシュ力が上がっている。その足を上手く使えば、相手との距離を詰められるはずなのだが、どうもまだ足が上手く使えないようだ。

 ただ、戦いながらサワムラーの足捌きを真似し始めたのか、自分なりの型として足をようやく使いだした。

 

 後半は上手く距離を詰められるようになり、互角の戦いを見せたが、最終的にはオコリザルも負けに終わっている。足を使うまでに被弾が多かったせいで、最終的に押し負けたのが原因だ。

 とはいえ、今回も収穫のあるバトルだった。

 俺とのバトルを終えると、今度はトウキとバトルをしにいくようで、手を振りながら海岸から帰っていく。うーむ、昨日もちょっと思ったのだが、どうもまだ底を見せていない感じだ。切り札は見せずに立ち回りの差で勝ち切られている気がする。

 

 まぁ、仮にそうだったとしても、相手を本気にさせられない俺が悪い。

 

 もし俺がシバの立場で、相手が自分よりも格下なら手を抜きはしないが切り札は隠すだろう。

 それはエビワラーもわかっているようで、今日は変速攻撃に対応するために、ヘラクロスに相手をお願いしていた。とはいえ、ヘラクロスは『こうそくいどう』を覚えないので、なかなか再現には苦労しているようだ。

 俺としては、逆にこれを機にカウンター以外の技術を磨いてほしいのだが、どうもエビワラーはカウンターに固執している。まぁ、こだわる気持ちもわからなくはないので、やりたいようにさせてやることにした。

 

 

 

 12歳 ε月τ日 『ムロタウン ジム戦 VSトウキ 前編』

 

 ムロジムに行くと、トウキと一緒に審判としてシバが待っていた。どうも、俺達のバトルを見届けてくれるらしい。

 本当はシノブが審判を務める予定だったようなのだが、シバに無理矢理取られたらしく観客席で悲しそうに座っていた。

 

 タケシやハルカが慰めるために観客席に移動するのを見て、こちらもバトルのルールを再確認していく。

 ルールは三対三のシングルで入れ替え制、レベル制限はなしだ。どうも、トウキはかなり仕上がっているようで、「本気で行くぞ、サトシ君」とボールを見せてくる。だが、こちらも負けるつもりはない。

 

 互いに一体目を繰り出していく。「キノガッサ、テイク・オフ!」の掛け声で、キノガッサがボールから出てくる。こちらは力自慢のヘラクロスをチョイスした。

 キノガッサは、確かにくさ・かくとうタイプでかくとうポケモンだが、そこまでかくとうタイプの技を豊富には覚えない。しかし、こいつの真骨頂は別にあった。

 

「キノガッサ、『キノコのほうし』だ!」

 

 それが、トウキの指示した『キノコのほうし』である。これを覚えるのはキノガッサ以外だと数を数えるくらいしかいない。まぁ、『へんしん』したメタモンや『スケッチ』したドーブルなんかも使えなくはないが、純粋に技として覚えられるポケモンは限られている。

 その中でも、キノガッサは種族値の配分が戦闘向けになっているのだ。前世のポケモンでも、『きのこのほうし』といえばキノガッサというくらいに有名だった。

 

 ガチバトルとはいえ、かくとうポケモン対決とは言っていないので当然こういう搦手も有りだ。

 とはいえ、眠らされると面倒なので、ヘラクロスが眠りに入る前に一度ボールに戻す。早々に二体目を出したくはなかったが、ヘラクロスが使い物にならなくなるよりはマシなのでオコリザルを送り出していく。俺のオコリザルは特性が『やるき』なので、胞子攻撃では眠らないのだ。

 

 トウキも俺がヘラクロス、オコリザルと続けてかくとうタイプを出したことで、敢えて俺がかくとうタイプをチョイスしたのに気付いたのか、「成程ね」と呟いていた。

 

 オコリザルがガードを上げながら体を左右にウィービングしていく。かくとうタイプ相手だとオコリザルも自然と戦い方が変わる。

 対するトウキもキノガッサを変えるつもりはないようで、『マッハパンチ』を指示してきた。どうやらこのまま戦ってくれるらしい。

 

 キノガッサのマッハパンチが、オコリザルのガードに当たり少し後退する。威力がやけに強い。こりゃ、トウキのキノガッサは夢特性の『テクニシャン』っぽいな。

 俺のハッサムもそうだが、『テクニシャン』の特性は威力60以下の技の威力を1.5倍にする。『マッハパンチ』は威力40なので、60のタイプ一致技になる訳だ。面倒なことである。

 

 ただ、やられたままでいるほど、俺のオコリザルは甘くない。新たに覚えた技、『グロウパンチ』で、キノガッサの顔面を叩いていく。

 この技は威力が40と少し低いが、追加効果で攻撃が一段階上昇するのだ。エビワラーのようにカウンターで一撃必殺するタイプでもない限り、大体のかくとうポケモンと相性がいい技なのである。

 

 しかし、キノガッサもサーフィン効果で足腰が強いようで、鍛えられた足はバネの役割を果たしているのか、自然とダメージを吸収していた。

 続けて、『はっけい』で攻撃を返してくる。この技も威力60なので、『テクニシャン』の効果範囲だ。威力90のタイプ一致技として、衝撃がガード越しに襲い掛かってきた。

 

 ちっ、『はっけい』は衝撃を相手に与える物理技なので、通常のガードでは上手くダメージを軽減できない。おまけに、追加効果で三割の麻痺がある。今回は運よく引かなかったが、三割だといつ引いてもおかしくなかった。

 

 オコリザルにウィービングを大きくするように指示する。少しでも的を絞らせないようにするためである。

 キノガッサも再び『はっけい』で攻撃してきたが、今度は回避し、そのまま懐に潜り込んで『グロウパンチ』の2発目をお見舞いしてやった。

 

 さらに攻撃が一段階上がり、これで実質攻撃力はほぼ二倍になったと言っていいだろう。

 距離を離さず、『インファイト』を叩きこんでいく。キノガッサは『インファイト』を覚えないので、相殺できるだけの技がないのだろう。ガードを上げて、防御に回った。

 

 攻撃も二段階上がっているし、いくらガード越しとはいえ辛いはずだが、鍛えられた足腰によって受けきられている。

 二度目の『インファイト』で、さらに追撃をかけた。しかし、いくらガードしてもダメージ的にはそろそろ厳しいはずだ。体感だと1/3程しか体力が残っていない感じである。

 

 こちらも『インファイト』を二連打したことで、デメリットで防御と特防が二段階下がるが、もう相手にターンを渡すつもりはなかった。

 こうなれば、相手が動けない間に、お得意の『あばれる』と『げきりん』の合わせ技で一気に戦闘不能まで持って行く。振り子のように揺れるオコリザルが、左右の連打を叩きこもうとパンチを構える。

 

 だが、その瞬間、トウキは『みがわり』を指示してきた。

 

 キノガッサの目の前に『みがわり』が現れ、本体が一歩後ろに下がる。しかし、攻撃モーションに入っているオコリザルは止まれず、『みがわり』を左の一撃で粉砕した。そのままの勢いでウィービングをし、今度は右を叩きこもうとすると、それに合わせてキノガッサが『はっけい』をこちらに向かって打ってくる。

 

 最初の一撃を『みがわり』で防がれたことで、相手はこちらの動きを見る時間があった。それ故に、右から来るのを見切っていたのだ。

 普段は相手がこちらの動きを確認する間もなく左右の連打を浴びせるので相手に反撃する隙は与えない。しかし、一拍おかれると話は別だ。この連打は左右に規則正しく動くので、どちらから来るかさえわかればカウンターを合わせるのが容易なのである。

 

 当然、こちらは勢いがついているので止まれない。自分から突っ込むように『はっけい』がオコリザルの顔面に直撃した。

 自分から勢いをつけて技を受けたことで威力はさらに倍となり、防御が二段階下がっているオコリザルは一撃で戦闘不能になる。いつかは攻略されるかもしれないと思ってはいたが、まさか初見の相手にこうもアッサリと対応されるとは思わなかった。

 

「やたらとウィービングを使ってくるからもしかしてと思ったけど、まさかデンプシーロールとはね。なかなか古い技をチョイスしてくるじゃないか」

「正直、初見で対応されるとは思いませんでしたよ」

「人間の武術をポケモンの技に絡めるトレーナーは結構いるからね。勉強は欠かせないよ」

 

 オコリザルをボールに戻す。正直、デンプシーもどきの弱点がカウンターにあるのはわかっていた。

 それでもこうも簡単に攻略されるとは思っていなかったのだ。こんなことなら、完全に原作準拠でもっと足腰を鍛えて、左右だけでなく上下も混ぜた新型に発展させておけばよかった。そこまで仕込めなくてすまん、オコリザル。

 

 だが、キノガッサも『グロウパンチ』と『インファイト』を二発ずつ受けてダメージは大きい。『みがわり』も使っているし、もう体力は1/4以下まで削られているはずだ。

 

 二体目として、再びヘラクロスを送り出す。

 

 トウキはキノガッサを戻さずにそのまま継続してきた。胞子による眠りを駆使すれば、まだ戦えるという判断だろう。

 当然のように、トウキが『キノコのほうし』を指示してくる。勿論、眠らされる訳にはいかないので、しっかり対策は考えてあった。地面に向かって『メガホーン』を指示する。

 

 角が地面にぶつかることで衝撃が発生し、こちらに向かって飛んでいた胞子が拡散していく。

 また砂煙に紛れて、そのまま一気に距離を詰めると、次の胞子が来る前に『つばめがえし』を指示した。威力60のタイプ不一致技だが、キノガッサはくさ・かくとう故にひこうタイプの技は四倍である。既にオコリザルとのバトルでダメージを受けていたこともあり、無防備に直撃を受けたキノガッサはすぐに戦闘不能になってしまった。

 

「やられた……そんな防ぎ方があったなんて」

「フィールドを利用するのも、戦術の一つですよ」

 

 これで互いに一体ずつ戦闘不能になったな。

 まぁ、こちらは技を二つ使わされたが、ヘラクロスはノーダメージだし、まだまだ互角と言っていいだろう。

 

 トウキは「チャーレム、テイク・オフ!」の掛け声と共に、二体目としてチャーレムを出してきた。かくとう・エスパータイプのポケモンだ。

 エスパータイプが入っているせいで、かくとう技のダメージは半減する上、逆にかくとうタイプのポケモンには抜群が取れる。おまけに、通常特性の『ヨガパワー』は物理攻撃時に攻撃が二倍になるというもので、物理攻撃力はそこらのかくとうタイプよりも上だ。

 

 トウキは『しねんのずつき』を指示してくる。ヘラクロスはむし・かくとうタイプ故に、かくとう技が半減だ。ならば、弱点のエスパー技で攻めようということだろう。

 ならば、こちらも『メガホーン』で迎撃していく。本来、むしタイプの技はかくとうタイプに効果今一つだが、エスパータイプが入っているチャーレムなら等倍である。威力も高いので十分に『しねんのずつき』を相殺できるはずだ。

 

 互いの頭がぶつかり、ダメージを与えていく。

 

 どうやらパワーは互角のようでどちらも譲らない。互いに押し切れないと判断すると、弾かれるように距離を取った。

 俺のヘラクロスはエビワラーやオコリザルのように技術で戦うタイプじゃない。そのパワーを相手にぶつけてダメージ勝ちするタイプだ。それ故に、自慢の角の一撃で相手を押し切れなかったのはちょっとショックだったらしく微妙に落ち込んでいる。

 

 しかし、落ち込んでいる場合ではない。出来れば最後の一体までエビワラーの手の内は明かしたくないので、ここでお前に倒して貰わないと困るのだ。

 

 こちらがヘラクロスに頑張るように声をかけると、トウキは次の攻撃として『ほのおのパンチ』を指示してきた。むしタイプの苦手なほのお技で攻めてきたな。

 こちらも『つばめがえし』を指示する。どうやら足の速さはヘラクロスの方が上のようで、こちらの攻撃が先に当たった。だが、止まることなく向こうも『ほのおのパンチ』を打ってくる。

 

 ここでも足腰の強さが出ていた。

 

 ヘラクロスの『つばめがえし』は必中技故に回避は出来ないが、ダメージを逃がすことは出来る。

 チャーレムは下半身を上手く使うことでこちらからのダメージを逃がしつつ、反撃時には体重移動の技術で『ほのおのパンチ』に体重を乗せて反撃していた。これにより、自分の受けるダメージを少なくしつつ、相手の受けるダメージが多くなるようになっているのだ。

 

 一見するとわからない細かなことだが、この足腰の強さこそがトウキの強みである。キノガッサもそうだったし、前回戦ったワンリキーやマクノシタもそうだ。

 サーフィンによって鍛えられた下半身と、そのバランス感覚がバトルに生きている。相手に与えるダメージは多く、自分の受けるダメージは少なくするという基本を究めようとしているのだろう。足腰を起点に体のバランスを上手く使うことで、自分が有利になるようにバトルをコントロールしているのである。

 

 そのまま、二度目の『つばめがえし』と『ほのおのパンチ』が交差していく。やはり、受けたダメージはこちらの方が少し多い。パワーは互角でも、技の威力と技術の差が出ているのだ。

 互いにある程度ダメージが出てくると、チャーレムが距離を取り、『じこさいせい』で体力を回復してくる。これはまずい。ヘラクロスは『ちょうはつ』を覚えないので止める手段がなかった。

 

 仕方がないので、『どくどく』を指示してチャーレムを猛毒状態にしていく。本当は使う気などなかったが、流石に『じこさいせい』を放置できないので使わざるを得ない。

 だが、こちらが『どくどく』を使うと同時に、『マジックコート』を指示してきた。これはさらにまずい。『マジックコート』は自分の受ける変化技を相手に跳ね返す技である。これによって、ヘラクロスが猛毒状態になってしまった。

 

 こうなれば、倒れる前に倒すしかない。

 

 猛毒状態になったことで、ヘラクロスの特性である『こんじょう』が発動し、攻撃が1.5倍になっている。これでヘラクロスのパワーが相手を上回ったはずだ。実はこっそり、『ほのおのパンチ』の追加効果で火傷しないか期待していたのだが、こういう時ほど引かないものである。

 ヘラクロスの残り体力はおおよそ半分、猛毒によるダメージを考えるとそう長くは戦えない。『つばめがえし』を指示して、一気に勝負を付けに行く。

 

 トウキは防御を指示した。『つばめがえし』は必中技なので回避できないし、時間経過でこちらを倒せる以上、無理をすることはないということだろう。

 おまけに、チャーレムの身のこなしが良い。先程同様にヘラクロスからのダメージを上手く逃がしている。その後は『じこさいせい』で回復してワンチャンを無くす徹底ぶりだ。

 

 これは倒し切るのが難しいな。

 

 こっちも『つるぎのまい』でパワーを上げてごり押しすることも考えたが、その間に猛毒ダメージでHPはギリギリになるし、もし俺がトウキなら強化されたヘラクロスの攻撃に合わせてチャーレムを下げる。

 仮に最後の一体がどんなポケモンだったとしても、『まもる』や『みきり』でヘラクロスの攻撃を耐久すれば猛毒で終わりだ。ここから一撃で決め切れない以上、ヘラクロスの体力をいたずらに削るのは負け筋にしかならない。

 

 仕方ないので、ヘラクロスをボールに戻して、最後のエビワラーを送り出していく。

 

 エビワラーは場に出た瞬間、『こうそくいどう』でスピードを上げてきた。やることは変わらない頼もしい奴である。

 トウキも『しねんのずつき』で攻撃を仕掛けてきた。こちらはいつもと同じ『カウンター』、『きあいパンチ』による超カウンターで相手を一刀の下に沈めていく。

 

 いくらチャーレムにエスパータイプが入っているとはいえ、きあパンの威力150が特性で1.2倍、タイプ一致で1.5倍、『カウンター』で2倍の計540である。半減しても270もあれば、耐久がそこまで高くないチャーレムくらいならワンパンだ。

 トウキもまさかエビワラーがこんなパワーを持っているとは思わなかったようで、苦しそうな顔でチャーレムをボールに戻した。

 

「どういう仕組みだい? いくら『きあいパンチ』を受けたとはいえ、僕のチャーレムがたったの一撃で戦闘不能にされるなんて……」

 

 どうも、『しねんのずつき』に超カウンターを入れたのが、トウキにはカウンターには見えなかったようだ。ずつきの横から殴ったのが功を奏したらしい。

 これが相手のパンチに合わせたカウンターだったら、トウキもすぐにカウンターされたことに気付いただろう。嬉しい誤算なので、意味深に笑みだけ浮かべておく。

 

 ブルーの時もそうだったが、そりゃただのパンチが自分のポケモンをワンパンする火力を出すはずがないので、相手からすればエビワラーは意味不明なポケモンに見えるのだ。

 おまけに、俺は基本的にエビワラーに対しては動きの指示は出しても、技の指示は出さない。だから、技のモーションで『きあいパンチ』を使ったのはわかっても、それに『カウンター』を混ぜてあるとは気づかないのである。

 

 こちらが話す気がないとわかると、トウキも最後の一体を出してきた。「ハリテヤマ、テイク・オフ!」の掛け声と共に、ハリテヤマが飛び出してくる。

 ジュプトルと戦ったハリテヤマとは明らかに別個体だ。何故、そんなことがわかるのか。それはニューサトシのスーパー観察眼によるものでもなんでもなく、単純にハリテヤマがでかいのである。

 

 俺のバンギラスや、コジロウのジャンボフシギダネと一緒だ。通常のハリテヤマよりも、トウキのハリテヤマは一回り以上大きい。

 あれだけでかければ、パワーも耐久力もかなりのものだろう。流石のエビワラーも、すました顔をしているが、ちょっと驚いているように見える。でっけぇわ!

 

 さぁて、このでかいボスをどうやって倒すかな。

 

 

 




 原作との変化点。

・四天王クラスの底力を感じ取った。
 シバは何か切り札を隠している。

・第31話『ムロジム再戦! 波乗りバトルフィールド!』より、バトルは普通にジムで行った。
 ガチ戦なのでフィールドは公式の物を利用している。

・シバが審判になった。
 どうやら最初からそのつもりだったらしい。バトルガールちゃんが涙している。

・オコリザルのなんちゃってデンプシーが破られた。
 トウキの声優である喜安浩平さんは、デンプシー元ネタである幕ノ内一歩の声も当てている。当然のように自分の技の弱点は理解していた。

・でっかいハリテヤマが出てきた。
 山のように大きい。エビワラーが二体居てもまだハリテヤマの方が大きい。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.60

 ピジョット Lv.55

 バタフリー Lv.55

 ドサイドン Lv.59

 フシギダネ Lv.56

 リザードン Lv.61

 カメックス Lv.57

 キングラー Lv.55

 カモネギ  Lv.55

 エビワラー Lv.56

 ゲンガー  Lv.57

 オコリザル Lv.56

 イーブイ  Lv.55

 ベトベトン Lv.55

 ジバコイル Lv.55

 ケンタロス Lv.55

 ヤドラン  Lv.54

 ハッサム  Lv.56

 トゲキッス Lv.53

 プテラ   Lv.56

 ラプラス  Lv.54

 ミュウツー Lv.72

 バリヤード Lv.55

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.54

 カビゴン  Lv.52

 ニョロトノ Lv.52

 ヘラクロス Lv.51

 メガニウム Lv.51

 マグマラシ Lv.51

 ラティアス Lv.46

 ヘルガー  Lv.51

 ワニノコ  Lv.51

 ヨルノズク(色違い) Lv.51

 カイロス(部分色違い) Lv.51

 ウソッキー Lv.51

 バンギラス Lv.58

 ゴマゾウ  Lv.47

 ギャラドス(色違い) Lv.49

 ヒンバス  Lv.1 

 ミズゴロウ Lv.30

 スバメ   Lv.27→28

 ジュプトル Lv.30

 ヘイガニ  Lv.26→27




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#117 『ホウエン地方は魔境かよ!』

 12歳 ε月τ日 『ムロタウン ジム戦 VSトウキ 後編』

 

 お互いに残るポケモンは、俺が二体で、トウキが一体。しかし、俺の一体は猛毒で体力が半分以下になっており、このバトルの結果次第でまだまだどうなるかわからなかった。

 俺のエビワラーはまだ超カウンターこそ割れていないが、『きあいパンチ』を使った何かがあるのはバレている。対して、向こうのハリテヤマは普通のハリテヤマよりもでかい個体だという以外、何の情報もない状態だった。

 

 トウキのことだ。もう一度、こちらが超カウンターを使えば、その時点ですぐにカラクリを理解するだろう。

 つまり、俺達に許された猶予は一回のみ。トウキ程の相手なら、一度見れば間違いなく対策を打ってくる。迂闊に打ってカウンターを失敗すればその時点で不利になるだろう。

 

 いつもなら、速度を上げる場面だが、『こうそくいどう』は変速にも使えると、シバとのバトルで習った。

それに、二段階上がっている今なら、ハリテヤマよりも早く動けるのは間違いない。ここはいざという時のために技を温存していく。

 

 トウキは『ビルドアップ』を指示してきた。シバも使っていた技だ。これにより、ハリテヤマの攻撃と防御が一段階上がる。

 こちらは『きあいパンチ』を指示した。向こうがステータスを上げている間に気合を貯めて、威力270の拳をお見舞いしていく。

 

 しかし、ここで一つ問題が発生した。

 

 多少の個体差はあるが、エビワラーの身長は基本的に1.4m、対するハリテヤマは通常の個体で2m以上ある。当然、この巨大ハリテヤマは軽く3mを超えており、こちらの拳は顔面に届かない。

 必然的に、攻撃はボディを狙うことになるのだが、俺のエビワラーは相手の意識を奪うために顔面を狙う癖があった。そのせいで、無理に顔を狙おうとして中途半端に手を伸ばしてしまったのだ。

 

 言ってしまえば、子供が背伸びして攻撃しているようなものなので、パンチに力が乗り切らなかったのである。

 

 おまけに、どうやらこの巨人君もしっかり育てられているようで、体重移動を駆使して上手いこときあパンの威力を逃がしていた。この巨体でサーフィンやってんのか――と、どうでもいいことを考えていると、トウキが反撃の『はっけい』を指示してくる。

 

 速度差があるのでエビワラーも回避できているが、風圧が凄い。一撃一撃にしっかり体重が乗っているので、とても威力60の技とは思えない迫力である。当たれば、ただでは済まないのは目に見えて明らかだった。

 

 いつもならギリギリで回避するエビワラーも、流石に少し余裕をもって回避している。

 しかし、その迫力でどうもこちらの位置をコントロールしようとしているのか、自然とエビワラーが壁際まで追い込まれて行く。ツツジとのガチ戦でプテラ相手に俺がやった技による誘導だ。

 

 こちらを完全に追い込むと、再び『はっけい』で追撃をかけてきた。ここだ――『こうそくいどう』、『カウンター』、『きあいパンチ』による超カウンターでハリテヤマを戦闘不能に持って行く。

 トウキも、これで『カウンター』を使われたことに気付くだろうが、この一撃は通るはずだ。また、超カウンターに合わせて『こうそくいどう』の二度目を積んだので変速が生まれて咄嗟の対応もし難くなっている。

 

 先程の反省を生かしてボディに全力の一撃を叩きこんでいく。その威力でハリテヤマが踏ん張り切れず、巨体が後ろへ倒れこむ。その隙にエビワラーが壁際から抜けて行った。

 

 決まりだ。いくら巨体で耐久があるとはいえ、超カウンターの一撃をまともに受けて立てるはずがない。

 

 だが、エビワラーは何やら思案顔だった。どうも、手応えが通常よりも違ったらしい。

 普段は相手の顔面をぶっ飛ばすし、ここまで大きな奴の相手は初めてだからそう感じただけ――と、思いたかったのだが、ハリテヤマが普通に起き上がったことでその考えは改めさせられる。

 

「……最初の『きあいパンチ』の二倍のダメージを受けて立ちあがりますか」

「僕のハリテヤマの特性は『あついしぼう』。この特性は普通だと、ほのお技やこおり技のダメージが減るだけなんだけど、僕のハリテヤマは腹部への物理攻撃もダメージを減らしてくれるんだよね」

 

 その脂肪の多さでダメージを吸収したというのか? くそっ、チートじゃねーか。俺のカビゴンも弱い攻撃に対してなら似たようなことはするが、今使ったのは威力540の超カウンターだぞ。

 眠らないケッキング、ファンネルを使うダイノーズに続いて、腹部物理攻撃半減の巨大ハリテヤマとかホウエン地方は魔境かよ!

 

「それにしても驚いたよ。『カウンター』を使っていたのか、文字通りカウンターしていたって訳だ」

 

 やっぱりバレたな。まぁ、かくとうタイプのスペシャリストなら当然か。こうなると、超カウンターは多分対策されるな。

 

 パッと見た感じ、ダメージは半分くらいか?

 

 いくら威力が分散したとはいえ、威力270のきあパンと、半減したとはいえ超カウンターの直撃をくらって体力約半分とか笑えねぇ冗談だぜ。

 とはいえ、物理攻撃が半減するのは腹部だけだ。それ以外の箇所ならダメージは通る。問題は対格差が有り過ぎて、有効攻撃箇所に手が届かないという点だけどな。

 

「迂闊に近寄るのは危険だね。ハリテヤマ、『じしん』だ」

 

 チッ、よりにもよって面倒くさい対策を立ててきやがった。『じしん』も物理攻撃ではあるが、接触技ではないので超カウンター出来ないのだ。

 おまけに物理技なので紙防御のエビワラーにとっては天敵である。流石にくらう訳にはいかないので、ジャンプで『じしん』を回避していく。しかし、『じしん』の衝撃を避けるためには高くジャンプして対空時間を稼ぐ必要があった。

 

 当然、空中には足場がない。トウキは『きあいだま』で、動けないエビワラーを追撃してくる。

 

 だが、タイプ一致とはいえ特殊技だ。いくら威力120といっても、ハリテヤマの特殊攻撃力なら致命傷にはならない。それに、俺のエビワラーは物理耐久こそ紙だが、特殊耐久についてはまぁまぁある。

 命中率が低いのでワンチャン外れないかとも期待したが、流石に落下するだけの動かない的を外すようなことはないようで、しっかりと『きあいだま』を命中させてきた。

 

 防御したからまだダメージとしてはそこまででもない――が、このままチクチク遠距離で攻撃されるのは面倒くさいな。

 

 着地と同時にエビワラーが距離を詰めていく。だが、その瞬間、また『じしん』で跳躍を余儀なくされた。

 ハリテヤマのギリギリ射程外でジャンプする。しかし、垂直飛びではなく、走り幅跳びのように前に向かって飛んだので、ハリテヤマからすればエビワラーが突っ込んでくるように見えるだろう。

 

 これで『きあいだま』だけではなく、『はっけい』も技の選択肢に入るはずだ。おまけに、こちらは空中で自由に動けない。トウキからすれば、絶好の的に見えるだろう。

 こちらは当然、『きあいパンチ』のために入る。カウンターを狙っているのは見え見えだが、トウキからするとこのままにも出来ない以上、迎撃択を取る必要があった。

 

 こちらはまだ技が一つ残っている。『きあいだま』だろうと『はっけい』だろうと、『みきり』で回避して、そのまま『きあいパンチ』を直撃させてやるぜ。

 

 さて、どうする――と、思った瞬間、トウキは『ビルドアップ』で攻撃と防御をもう一段階上げてきた。

 敢えて攻撃を捨ててステータスを上げてきたか。ならば、そのまま『きあいパンチ』を顔面に叩きこむ。

 

 空中からの『きあいパンチ』なら、顔面にも手が届く。おまけに、特殊な『あついしぼう』も影響は腹部のみのはずだ。防御が二段階上がったとはいえ、顔面に威力270の『きあいパンチ』が直撃すれば、大ダメージは必至。

 だが、こちらの拳がハリテヤマの左頬に当たった瞬間、首を後ろにいなしながら全体重を右足に乗せることでコマのように回転して威力を逃がされた。

 

 また、そのまま回転を利用して、一回転しながら張り手のように左手の『はっけい』を繰り出してくる。

 パンチ命中とほぼ同時の反撃ということで『みきり』の指示も間に合わず、エビワラーにハリテヤマの『はっけい』が直撃して吹っ飛んでいく。

 

 こちらの攻撃をいなすために体重こそ乗っていなかったが、代わりに遠心力を利用した一撃だ。おまけに、『ビルドアップ』二回で攻撃が二段階上がっているためかなりのダメージになっている。

 しかし、咄嗟に受け身が間に合ったようで、何とかエビワラーは起き上がった。とはいえ、残りのHPが少ないのは間違いない。『じしん』や『はっけい』のような物理技を受けようものなら即KOである。

 

 クソッ。あの巨体で、まさか体を回転させてパンチの衝撃を逃がすなんて誰が想像するんだ。いくらサーフィン効果とはいえ限度があるだろう。

 自分が受けるダメージを最小限に、相手に与えるダメージを最大にする――前にも少し書いたが、この基本をトウキはポケモン達に浸透させているのだ。

 

 さて、どうするか。特性の半減外の箇所の守りも完璧な上、こちらはエビワラーが限界に近い。

 さらに、相手の体力はまだ余裕がある。仮に、ボディに超カウンターの直撃を決めてもまた耐えられるだろう。

 

 と、すると、もうこれしかないか。

 

 エビワラーにサインを送ると、ハリテヤマが再び、『じしん』を撃とうとしているので一気に距離を詰めていく。

 こちらが前へのジャンプでまた『じしん』を回避すると、トウキは再び『ビルドアップ』でステータスを上げてきた。このまま『きあいパンチ』で顔面を狙っても先ほどの焼き直しにしかならないのでスルーする。

 

 そのままハリテヤマの目の前に着地すると、トウキは『はっけい』を指示してきた。

 超カウンターを確定で耐える自信があるからこその攻撃だ。物理攻撃腹部半減効果と、『ビルドアップ』による防御三段階アップに加え、体重移動の受け流しで耐えられると判断したのだろう。

 実際、ハリテヤマも来るとわかっていれば今度は倒れずに持ち堪えてもおかしくない。耐えられれば、当然『はっけい』はそのまま繰り出され、HPが少ないエビワラーは間違いなく戦闘不能になる。

 

 だが、その防御に甘えたのが運の尽きだ。

 

 拳に気合を貯めながら、最後の『こうそくいどう』と『カウンター』を発動し、超カウンターでハリテヤマに一撃を与える。

 トウキは余裕の表情で見ていた。確かに、先程と同じ攻撃ならば確定で耐えられるだろう。しかし、俺は今回、ジャンプで距離を詰める際に『とぎすます』を発動させていた。

 

 この『とぎすます』という技は、次に出す技が必ず急所に当たるというものだ。この世界の人間は詳しく知らないかもしれないが、急所発動時は相手の防御補正を無視してダメージ計算を行う上、壁系の状態変化系効果も無効化される。

 つまり、『ビルドアップ』による防御三段階アップは無効にされるのだ。威力540の攻撃が急所に直撃すれば、いくら巨大ハリテヤマでも耐えられるはずがない。

 

 ハリテヤマが仰向けに倒れそうになる。

 

 しかし、ギリギリで耐えきった。特性の『あついしぼう』によるダメージを半減する効果がギリギリで戦闘不能に追い込まなかったのである。

 トウキも想定外のダメージに驚いていたが、即座に『はっけい』でエビワラーが戦闘不能にされてしまった。クッソ、倒し切れなかったか――

 

「『とぎすます』かな? 僕の位置からだとハリテヤマの巨体で、エビワラーの姿が見えなかったけど、これだけのダメージを与えるには急所の一撃以外有り得ないしね」

 

 ネタもバレたようだ。いい一撃だと思ったが、まさかこの世界にエビワラーの超カウンターを二回も耐えるポケモンがいるとは思わなかった。

 

 これで、こちらも残りはヘラクロスだけである。

 猛毒状態で体力も半減しているが、相手のハリテヤマももう体力は少ない。それこそ、半減した所で『つばめがえし』は耐えられないはずだ。

 

 バトル開始と共に、ヘラクロスが真っすぐハリテヤマとの距離を詰めていく。ヘラクロスは飛行能力があるので、『じしん』は回避できる。トウキは『きあいだま』を指示して、近づけさせまいと遠距離攻撃をしてきた。

 こちらも『メガホーン』で攻撃を打ち落としていく。おそらく、トウキは猛毒のダメージが増えるまで時間を稼ごうという狙いだろう。このまま付き合っても不利になるだけなので一気に突っ込んでいく。

 

 対するトウキは『はっけい』を指示してきた。真っすぐ突っ込んでくるヘラクロスを打ち落とそうとしているのだろう。

 ここで、最後の技である『ギガインパクト』を指示する。タイプ不一致とはいえ、『こんじょう』で攻撃が1.5倍になっている。相手も『ビルドアップ』で攻撃が三段階上がっているが、根性パワーでギリギリ倒し切れるはずだ。

 

 互いの角と掌がぶつかり合う。しかし、予想外に攻撃は互角だった。ヘラクロスも必死に押しているが、『はっけい』を押し切れない。ここで押し切れなければ反動でしばらく動けなくなる。そうなれば、猛毒も相まって戦闘不能になるのはこちらである。

 だが、押し切れない。

 サーフィンに鍛えられた足腰が、ハリテヤマを根底から支えているのだ。基礎こそが奥義というのがよくわかる。このままでは失速してヘラクロスが負けてしまう。

 

 ダメか――と、思ったその瞬間だった。

 

 ヘラクロスが自身の角をずらして、ハリテヤマの掌を少し外に向けたのだ。それにより、力点がズレて、ヘラクロスの体が流れ、背中からハリテヤマにぶつかるという荒業で『ギガインパクト』を命中させている。

 ハリテヤマもまた残り体力が少なかったこともあり、ヘラクロスの『ギガインパクト』を受けきれずに、そのまま戦闘不能になってしまった。

 

 これでトウキのポケモンが三体戦闘不能になり、俺の勝利が確定する。トウキも自慢のハリテヤマを倒されるとは思わなかったようで、「正直、負けるとは思わなかったよ」と悔しそうにしていた。

 実際、ヘラクロスの機転がなければ負けていただろう。改めて振り返ってもギリギリの試合だった。

 

 とはいえ、勝ちは勝ちである。改めてトウキと互いの健闘を称える握手をすると、「今度こそ受け取ってもらうよ」と、ナックルバッジを渡してきた。

 ここまでされて受け取らないのは失礼なので、二個目のバッジを受け取る。うーむ、バッジ集めをする気はなかったが、何だかんだ増えちゃったしコレクションに集めていくか。

 

 審判をしてくれたシバにも、バトルの感想を聞いてみる。「両者とも、いいバトルだった」と満足そうにしているが、シバ的に勝敗を分けたのは、エビワラーの超カウンターをチャーレムが受けた際に、トウキが『カウンター』を使われたことに気付かなかったことだったらしい。

 確かに、あそこで気づいていれば、ハリテヤマに対しても簡単に超カウンターを決めさせて貰えなかっただろうし、その後の展開も変わっていたかもしれないな。

 

 今後の為にも詳しい総評を聞くと、序盤のオコリザルがカウンターで迎撃されてしまった点や、エビワラーに頼り過ぎな点などを注意された。

 どうも、俺自身無意識だったが、最終的にエビワラーに任せればいいという考えが、残りの二体の素質を潰しているともお叱りを受ける。確かに、最終的にエビワラーが何とかしてくれるというのは心のどこかで考えていたことだ。それ故に、オコリザルやヘラクロスの格闘の素質を育てるのに甘くなってしまっていたのかもしれない。

 

 お礼を言って、ムロジムを後にする。

 

 うーむ、もっとストイックにいかないと駄目だな。特にオコリザルは、切り札のデンプシーもどきの改良を急いでやる必要があった。

 いやまぁ、もっと簡単に強くなるのであれば、俺だけが知っているであろう強化の裏技もあるにはあるのだが、仮に上手く行ってしまった場合、オコリザルは格闘戦においてチートになってしまうので今の所は自重している。

 

 ゴースト・かくとうは格闘戦じゃ無敵すぎるからなぁ。目立つのが好きなニューサトシも、流石に相手の攻撃が物理的に効かない無敵状態で一方的に敵を殴るような格闘戦をさせたくはない。

やはり、最低でも格闘能力を極めてからだな。そうじゃないと、自分の性能に甘えて成長が遅くなるような気がする。

 

 

 

 12歳 ε月υ日 『怪しいわボケ』

 

 ムロでの用事を済ませたので、次のカイナシティに向かうために船を探していたのだが、ロケット団の二人が変装してカイナシティまで送ると言ってくる。あまりに怪しかったので、速攻でやなかんじーにしてしまった。

 

 さて、早く船探さないとな。

 

 

 

 12歳 ε月φ日 『原作との変化』

 

 ラグラージを連れた兄ちゃんがカイナシティまで送ってくれるというのでお言葉に甘えることにした。

 どうもカイナシティではそろそろコンテストがあるということで、ハルカが絶対に参加すると意気込んでいる。当然、ニューサトシも参加するつもりなので、ハルカは原作よりもコンテスト突破が難しくなるかもしれないな。

 

 ただ、ハルカもハルカで原作と微妙に変わっている。特に手持ちだ。原作だと、確かアチャモとアゲハントだけだったはずだが、ニューサトシの影響のせいもあってか、他にルリリとココドラが新規に仲間になっている。

 この変化がどう出るか――と、思っていたが、今回のコンテストはアゲハントで出ると言っていた。どうやら、前回お手伝いしたメグミのアゲハントの美しさが忘れられないらしい。確か、アニメでもデビュー戦はアゲハントだったような気がした。

 

 ハルカがアゲハントなら、俺はバタフリーにするかな。あいつは結構器用だし、ちょっと練習すればコンテストバトルも出来ると思うのだ。

 

 

 




 原作との変化点。

・腹部物理攻撃半減の特性『あついしぼう』を持つ巨大ハリテヤマとバトルした。
 最強初見殺しである超カウンターが二度も受けきられた。ぶっちゃけ、エビワラーがいなかったら勝つのは不可能だっただろう。

・コノヨザルに進化させるか悩んだ。
 ニューサトシの知識は、アニメ最終回の虹のポケモンマスターまでなので、SVの知識も持っている。

・第32話『すてられ船! 忍び寄る影!!』より、ロケット団の変装を見破った。
 そのため船に乗らず、原作の話は全部カットになっている。

・前回カットされたゲストキャラであるヒロミとラグラージに出会い、カイナまで送って貰うことになった。
 アトラクタフィールドの収束により、原作の流れになった。

・バタフリーでコンテストに出ることにした。
 ハルカがアゲハントなので、ニューサトシはバタフリーである。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.60

 ピジョット Lv.55

 バタフリー Lv.55

 ドサイドン Lv.59

 フシギダネ Lv.56

 リザードン Lv.61

 カメックス Lv.57

 キングラー Lv.55

 カモネギ  Lv.55

 エビワラー Lv.56→57

 ゲンガー  Lv.57

 オコリザル Lv.56

 イーブイ  Lv.55

 ベトベトン Lv.55

 ジバコイル Lv.55

 ケンタロス Lv.55

 ヤドラン  Lv.54

 ハッサム  Lv.56

 トゲキッス Lv.53

 プテラ   Lv.56

 ラプラス  Lv.54

 ミュウツー Lv.72

 バリヤード Lv.55

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.54

 カビゴン  Lv.52

 ニョロトノ Lv.52

 ヘラクロス Lv.51→52

 メガニウム Lv.51

 マグマラシ Lv.51

 ラティアス Lv.46

 ヘルガー  Lv.51

 ワニノコ  Lv.51

 ヨルノズク(色違い) Lv.51

 カイロス(部分色違い) Lv.51

 ウソッキー Lv.51

 バンギラス Lv.58

 ゴマゾウ  Lv.47

 ギャラドス(色違い) Lv.49

 ヒンバス  Lv.1 

 ミズゴロウ Lv.30

 スバメ   Lv.28

 ジュプトル Lv.30

 ヘイガニ  Lv.27




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#118 『合掌してみ』

 12歳 ε月χ日 『ヒンバスがんばる』

 

 毎日のようにポロックを食べさせ始めて約一月。そろそろヒンバスの美しさも最大になってきた。

 後は適当にレベルを上げれば進化ということだが、基本的に『はねる』しか使えないヒンバスにバトルは少し難しい。けど、地味にヒンバスはコイキングと違って技を豊富に覚えるので、使い勝手のいい『れいとうビーム』を覚えるつもりのようだ。

 

 実は、ムロでの特訓中も『れいとうビーム』を習得しようと密かに練習していたらしい。実は知っていたが、ここは知らないフリをしておく。

 講師役のギャラドスが途中でいなくなってしまったので、その後は独自練習だったようだが、隠れてずっと練習していたと自慢げに教えてくれた。

 

 凄いぞ、ヒンバス――と、本心から褒めると、本人も嬉しそうにしている。

 正直、とても有難い。『れいとうビーム』さえ覚えてくれれば、後はもうこっちのものである。

 

 カイナシティに着くまでまだ距離があるので、少し小島で休んでいくことになった。最近はミズゴロウさんやジュプトル、スバメ、ヘイガニを優遇していたので、今回は付きっ切りでヒンバスの練習に付き合う。

 隣にいるラティが、いつもの「がんばる」で応援している。ヒンバスもやる気に満ちているようで、一生懸命技を練習していた。

 

 

 追記。ハルカがアゲハントに『ぎんいろのかぜ』を覚えさせようと四苦八苦していた。まぁ、威力は微妙だが見栄えがいいし、確かにコンテスト向きの技だよな。

 

 

 

 12歳 ε月ψ日 『バタフリー君に決めた』

 

 ようやくカイナシティに着いた。コンテストまでまだ数日あるので、本番に備えて練習に励む。

 俺も一度ヘイガニをオーキド研究所に送ってバタフリーを手持ちに加えた。バタフリーにコンテストに出ることを話すと、自慢の粉で虹を作ってくれる。うーむ、既に多芸だ。

 

 お互いにライバルということで、今回はハルカとは少し離れた場所で練習をすることにした。ハルカにはタケシとマサトが付き添い、俺にはラティが付き添ってくれている。

 

 少し離れた浜辺で、ヒンバスの面倒をラティに任せながら、薄れつつあるアニメの記憶を掘り返し、バタフリーの技で何が映えるかを考えていく。

 さっき見た粉アートも凄いが、『ちょうのまい』を使った舞を美しく見せることが出来れば面白いかもしれないな。何せ、バタフリーの蝶舞は対戦相手すら見惚れる美しさだ。

 

 試しに踊りながら、他の技で美しさを映えさせられないか試していると、「なかなか美しい技の使い方じゃないか」と声をかけられた。

 見ると、やけにキザったらしい奴が近づいてくる。しかし、技の使い方に言及してくるってことは、多分ポケモンコーディネーターだ。「お前、コーディネーターだな」と、どこかのガンダム世界のような確認をすると、キザ男はシュウと名乗った。

 

 いい声だな。シャドーと叫んでくれ。

 

 って、確かシュウってハルカのライバルキャラだったような気もするが、顔をよく覚えていなかった。

 まさか、ハルカじゃなくて俺の方に来るとは――と、思っていたのだが、「さっきの子とは大違いだ」と言っているので、どうも既に接触済だったようだ。

 

 どうやらシュウも次のカイナシティのコンテストに出るということで、戦うのを楽しみにしていると言われた。うーむ、ニューサトシもハルカと同じ初心者なのだがなぁ。

 

 

 追記。ハルカは今日、ポケモンコンテスト経験者の花火師のおっさんと仲良くなったり、シュウともバトルしたりといろいろあったらしい。シュウとはポケモンコンテストで決着をつけるということで、無事ハルカはシュウをライバル視してくれたようだ。よかったぜ。

 

 

 

 12歳 ε月ω日 『まさか、このアチャモ……』

 

 昨日のシュウとの一件で気合が入ったようで、ハルカがアゲハントを連れて早々に浜辺へ練習をしに行った。

 そんなハルカを見て、マサトは最近のハルカはアゲハントばかりに構っていて、アチャモ達を蔑ろにしていると不満を口にしている。まぁ、そう見えるのもわからなくはないが、ハルカも今はコンテストに夢中なだけだろう。

 

 それに、それを言ったら、オーキド研究所で出番待ちをしているポケモン達全員を俺は蔑ろにしている。だが、当然俺にそんなつもりはないし、今は手持ちに居ないポケモン達のことを忘れたことは一度もない。

 マサトもポケモントレーナーになればわかると思うのだが、今はまだただのガキなのでわからないのだろう。本当なら俺もコンテストの練習をしたかったのだが、ここは先輩として上手いことフォローを入れてやることにした。

 

 そのままマサトにポケモンやトレーナーについて話をしながら朝食を食べていると、たまたますれ違ったジョーイさんが俺達のアチャモやミズゴロウさんを見ながら、今日はポケモンセンターで新人トレーナー用ポケモンの健康診断があると口にしている。

 どうもこの辺りにはポケモン研究所がないようで、代わりにポケモンセンターで新人にポケモンを渡しているようだ。いつものように、タケシが軽々しく手伝いをすると言いだしたこともあり、何故か俺達も健康診断の手伝いをすることになってしまった。

 

 しばらくジョーイさんに付き添っていると、健康診断を終えたキモリ、アチャモ、ミズゴロウを少し運動させることにしたらしい。俺達も手伝うことになったのだが、その瞬間、浜辺にいるはずのハルカがポケモンセンターに緊急の連絡を入れてきた。

 聞けば、浜辺でホエルオーが打ち上げられ、衰弱しているという。急いでジョーイさんが向かうことになったのだが、その間、俺達がこの新人用三体の面倒を見ることになった。

 

 ホエルオーは大きなポケモンなので、タケシがジョーイさんの助手としてついていくと言っている。

 残された俺、マサト、ラティとポケモン達で新人用三体の相手をするのだが、ジョーイさんがいなくなった瞬間、新人用のアチャモが部屋から逃げ出そうとした。

 

 なかなかに素早いがニューサトシから逃げられるレベルではない。すぐに取り押さえると、本性を出したようで大暴れしている。

 どうもジョーイさんの所に行きたいようだ。気持ちはわからなくはないが、外へは出すなと言われているので、そのまま室内へ放り込む。

 

 アチャモも、甘えたり、泣き真似をしたりして、あの手この手で部屋から出ようとしているが、ニューサトシを突破できずに、最終的には襲い掛かってきた。

 とはいえ、いくら血気盛んとはいえ、レベル5のアチャモでニューサトシを倒せるはずもなく、あしらわれては飛びかかり、あしらわれては飛びかかりを繰り返している。

 

 あまりに元気が良すぎるので、ジョーイさんが来るまでバタフリーの必殺『ふくがん』『ねむりごな』で眠らせてやろうかとも思ったが、アチャモも学習しているのか、段々と動きが良くなってきた。

 

 いや、動きが良くなってきているというより、段々動きが早くなってないか?

 

 まさかの夢特性の『かそく』アチャモか?

 

 まぁ、だとしても、素早が最大まで上がっていたとして、アチャモじゃニューサトシを突破するなど不可能だ。

 

 結局、突破が無理とわかると、アチャモは八つ当たりをするようにハルカのアチャモやルリリ、ココドラ、タケシの置いていったミズゴロウくんに襲い掛かっている。

 どんだけ血気盛んなんだよ。

 おまけに、相手は新人用のポケモンだから下手に傷つけられず、みんないいようにやられてしまった。仕方ないので、バタフリーを出して眠らせる。こういう好戦的な奴は嫌いではないが、ゲットできないポケモンだと面倒くさいだけだな。

 

 しばらくすると、ホエルオーの検診を終えたジョーイさんが帰ってきて、新人トレーナーの女の子にポケモンを渡すことになった。

 とりあえず、ジョーイさんにはアチャモが暴れ出したので『ねむりごな』で眠らせたことを話す。簡単な検査をして貰ったが、特に異常はないということなので、アチャモを起こすことにした。

 

 アチャモは俺に気付いた瞬間、再び襲い掛かってきたが、ジョーイさんの鶴の一声ですぐに大人しくなっている。

 とりあえず、新人の女の子には、アチャモは血気盛ん、キモリは大人しく、ミズゴロウは少し泣き虫という情報を教えてあげた。とはいえ、それで特にポケモンの見方が変わった訳ではないようで、「どの子にしようかなぁ」と悩んでいる。

 

 うむうむ。最初のポケモンをどれにするか考えるのは楽しいよな。俺の時はどこかの博士の凡ミスのせいで、何故かピカ様一択だったが。

 

 女の子が悩んでいるのを見ていると、ふと窓の外にホエルオーを抱えたロケット団気球が飛んでいるのが見えた。

 どうもロケット団が浜辺のホエルオーを連れて行こうとしているようだったので、サクッといつものようにやなかんじーにしてやろうと思ったのだが、俺達が外に出た瞬間、急にアチャモの身体が光り出してワカシャモに進化した。

 

 ちなみに、ハルカのアチャモではなく、新人用のアチャモが、である。

 

 思わず、「えっ?」という声を出すと、そのままワカシャモが飛び上がって気球とホエルオーを繋いでいる紐を『にどげり』で引きちぎった。

 ホエルオーが海に落ちると、今度は『かえんほうしゃ』で気球に攻撃を仕掛けている。ハッと気を取り直し、ピカ様の『10まんボルト』でいつも通りやなかんじーにしてやった。

 

 これで一件落着――と思ったら、自分の相手を横取りしたと思ったワカシャモがニューサトシに飛び掛かってくる。

 仕方ないので適当に捌いていると、ジョーイさんの怒りの一声でワカシャモが大人しくなった。どうやら進化してもジョーイさんの言うことは聞くらしい。

 

 その後、女の子はミズゴロウを、その父親が何故かキモリを貰って、見事ワカシャモはあぶれてしまった。

 まぁ、このワカシャモは新人にはちょっと難しいわな。けど、俺達のポケモンを倒した経験値で進化したせいでもあるので、何か悪いことをしたような気になってきた。

 

 とりあえず、ワカシャモに「進化させてすまん」と謝ると、首を横に振ってまた俺に蹴りを入れてくる。許してくれているのか、喧嘩を売っているのかよくわかんねーなこれ。

 

 

 

 12歳 ζ月α日 『ポケモンコンテスト カイナ大会 前編』

 

 コンテスト当日、ちょっとひとっ走りスカーフを買いに行くことにした。

 どうも、最近のコンテストではまだドレスアップやボールカプセルなんかが流行っていないせいか、今回のポケモンコンテストはガチの技術戦になりそうだったのだが、せっかくのお披露目に素のままは少し嫌だったのである。

 アニメだとバイバイバタフリーの際に、バタフリーもスカーフっぽいものを着けていたし、バイバイはしないがちょっと着飾ってやりたかったのだ。これが、なかなかにオシャンティーである。

 

 ちなみにこだわりスカーフではない。ただのオシャレなスカーフである。

 

 俺のバタフリーがオシャレをしているのを見て、ハルカも「私もアゲハントを何か着飾ってあげればよかったー」と言っていた。

 思わず、「バンダナ貸してやれば」と言うと、「それいいかも!」と、あっさり予備のバンダナをアゲハントに着けてあげている。素直なのはハルカの良い所だ。

 

 こうして、二体の蝶が着飾ってコンテストに参加することになった。

 

 今回のコンテストでは、三人の審査員が点数をつけてくれる。審査員は、大会支部局長のコンテスタというおっさんと、ホウエン地方のポケモン大好きクラブ会長であるスキゾーという爺に、カイナシティのジョーイさんだ。

 

 また、司会であるビビアンという女の指示に従って控室に行くと、今更ながらに緊張してきたようでハルカがカチコチになっている。リーグ経験とかがあるニューサトシも流石に少し緊張するので気持ちはわからなくはない。

 とはいえ、緊張するのは悪いことではなかった。それだけコンテストに本気ということだし、適度な緊張感がないと場も締まらない。ただ、緊張感に飲まれて、パフォーマンスを失敗するのはよろしくないけどな。

 

 と、ご高説を垂れてやったのだが、どうもハルカの緊張が取れない。見れば、モニターに丁度シュウが演技している姿が映っており、その差を感じて益々緊張してしまっているようだ。こうなると、物理的に緊張を取ってやった方が速いな。

 

「ハルカ、合掌してみ」

「合唱? 歌うの?」

「バカ、手を合わせるんだよ。こう」

「こう?」

 

 そうそう、そんで合掌したその上からパチーン!

 

「ちょっ、痛いんですけど!」

「でも、緊張取れたろ?」

 

 合掌した手を挟むように上から叩く――食戟で有名なソーマさんが教えてくれた幸平式緊張ほぐし術である。一人で出来ないのが難点らしいが、まぁ今回は二人だったので無事に出来ていた。

 グチグチと文句を言ってくるハルカだが、緊張が取れたのは一目瞭然である。「後は練習通りにやればいいさ」と言うと、何となく釈然としない顔をしつつも、「ありがと」とお礼を言ってきた。

 

 控室にシュウが戻ってくると、ドヤ顔でこっちを見てくる。だが、本人の性格はともかく、演技はとても良かったのでハルカも文句が言えないようだ。

 悔しそうに顔をモニターの方に背けると、ミロカロスを使った素晴らしい演技をするトレーナーが出てきた。俺もいずれはヒンバスを進化させてコンテストに出るつもりだったので先を越された形である。

 

 しかし、レベルが高いな。ハルカはともかく、シュウまでもがミロカロスの演技に飲まれている。

 一次審査は各自10点満点で得点をつけるのだが、このミロカロスの演技には満場一致で10点がつけられていた。つまり30点である。ちなみに、シュウは29.4点だ。小数点まであるので細かい点数を付けられるのである。

 

 正直、ハルカがまた緊張するかとも思ったが、逆に気合が入ったようでいい表情をしていた。

そのまましばらくして、ハルカの順番になると、「よーし!」と気合を入れてハルカが飛び出していく。

 

 ずっと練習してきた成果を全て発揮すると言わんばかりに、ステージに出て行ったハルカがアゲハントを出して演技し始めた。

 

 そんなハルカの様子を控室のモニターで見ていると、シュウが近くに寄ってくる。

 散々ハルカのことを馬鹿にしていたシュウだが、努力自体は認めているのか、「あの時に比べたら大分マシになってるね」と、捻くれた感想を口にしていた。

 

 どうやらハルカは緊張ほぐしのおかげで無事にミスなく一次審査に望めたようで、やりきったような顔をして控室に帰ってきた。得点も25.6点と初心者にしては高得点である。

 

 さて、こっちはこれから本番だ。一次審査の順番はニューサトシが最後なので、ハルカが帰ってきたのと入れ替わるように出陣の準備をしていく。

 その後、何人かの演技が終了すると、念のために緊張しないようボールの中にいるバタフリーに声をかけてステージまで歩いていった。新人ポケモンコーディネーター(仮)ニューサトシ、行きまーす!

 

 改めて、ポケモンコンテストの一次審査は、ポケモンの魅力を如何に伝えるかのアピールステージだ。

 アイテムや技を駆使して、そのポケモンの魅力を観客に伝える演技力が試されるステージでもある。ちなみに一次審査はバトルではないので、技が無制限に使えるのがポイントだ。勿論、適当に技を使っても意味がないが、この数日の努力の成果を見せてやるぜ。

 

 バタフリー、君に決めた!

 

 ボールから飛び出したバタフリーが体を回転させながら『ぎんいろのかぜ』を纏ってステージ中央の上空へと上昇していく。

 そのまま中心まで移動して着くと、風を解除して羽の鱗粉(無毒)を撒きつつポーズを決めた。スタートダッシュは完璧だ。

 

 続けて、練習中にシュウに見られた『ちょうのまい』の完成型を披露していく。舞に合わせて、『どくのこな』、『しびれごな』、『ねむりごな』、『いかりのこな』を使用することで、カラフルな演出が加わるのだ。

 勿論、粉系の技は無害になるように調整しているので、吸っても特に問題はない。また、粉の色は、毒が紫、痺れが黄色、眠りが白、怒りが赤になっている。

 基本は四種だが、色を上手く合わせることで、色自体も変わっていく。例えば、眠りの白と怒りの赤を合わせてピンク色だったり、毒の紫と眠りの白を合わせて青っぽい色だったりも作れる。さらに、この青っぽい色に痺れの黄色を混ぜて緑と、色は無限に派生していくのだ。前にバタフリーが見せてくれた粉の虹から着想を得た演技である。

 

 どのタイミングで、どういう変化をさせ、どう魅せるのが一番奇麗かをひたすら突き詰めた最高の蝶舞で観客を魅了していく。

 

 また、舞が終了すると、ステージに落ちた粉を『ねんりき』で上手く回収しつつ、そのままバタフリーの少し上に数個配備、ニューサトシの電撃で着火して疑似花火として有効活用してやった。

 ハルカが花火師のおっさんに会ったと聞いた時に、粉を使って花火にすることを思いついたのだが、この粉を花火のように見せるのが滅茶苦茶難しかったりするのだ。ただ爆発するだけだったのを上手く調節して、花火っぽく見せるというのは地味に技術がいるのである。

 

 しかし、苦労した甲斐はあったようで、審査員の反応も悪くなかった。得点は、左から9.5、9.4、9.5で計28.4だ。シュウに匹敵する高得点である。そのままバタフリーと一緒にステージを降りると、思わずハイタッチをしてしまった。完璧だったぞ、このヤロー!

 

 控室に戻ると、ハルカが固まっていた。まさか、俺がここまでガチで突き詰めてくるとは思わなかったらしい。

 シュウも、まさか俺がここまでやるとは思わなかったようで、「なかなかやるね」と燃えている。すまんな。ニューサトシは一度やると決めたら、結構こだわるタイプなんだ。

 

 とはいえ、まだ一次審査である。ハルカが二次審査に残る可能性だって十分にあるはずだ。

 ハルカが祈るように結果発表を待っていると、二次審査出場者八名が発表される。見ると、俺は勿論、ハルカやシュウも名前が残っていた。

 

 どうやらシュウはアゲハントの頑張りはあっても、ハルカが一次審査を突破するとは思わなかったようでとても驚いている。

 ハルカ本人も突破出来るか不安だったようで、飛び跳ねて喜んでいるが、そのまま二次審査の組み合わせが発表されると、ハルカの一回戦はシュウになった。

 

 確か、シュウはロゼリアを使っていたはずだ。アゲハントはむしタイプだし、相性的には悪くないが、これはポケモンバトルではなくコンテストバトルである。普通のバトルと違って、魅せるバトルが重要だ。

 俺も、地味にこのバトルには緊張していた。バタフリーの美しさを魅せるバトルというのは普通にバトルをするよりも難しい。

 

 二次審査のコンテストバトルでは、一次審査と違ってバトルなので技が四つに制限される。限られた技の中で如何にポケモンの魅力を見せながら相手を倒すか。さて、どう立ち回るのがいいかね?

 

 

 

 




 原作との変化点。

・ヒンバスが『れいとうビーム』を覚えようとしていた。
 知っていたが知らないフリをしてあげている。本人もやる気に満ちていた。

・第33話『ハルカにライバル! 特訓ポケモンコンテスト!!』より、シュウと出会った。
 ハルカ達はシュウのプライベートビーチで練習していたが、ニューサトシは一歩外で練習していたので怒られなかった。無駄にニューサトシもライバル視されている。

・第34話『初めてのポケモンで大パニック!!』より、アチャモの脱走を防いだ。
 しかし、ハルカとタケシのポケモンが倒され、結局は原作通りワカシャモに進化している。

・かそくアチャモだった。
 原作の足の速さを見てかそくだと判断した。

・第35話『ハルカ! ポケモンコンテスト初挑戦!!』より、バタフリーにスカーフをつけてやった。
 バイバイバタフリーはしない。ただのオシャレである。ハルカも真似して自分のスカーフをアゲハントにつけていた。

・ハルカの緊張をほぐした。
 幸平式パチーンで緊張をほぐした。原作では緊張のあまりミスをするが、今回はミスなしなので得点も増えている。

・ニューサトシが高得点を出した。
 技の使い方をずっと訓練していたので、コンテストにも応用できている。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.60

 ピジョット Lv.55

 バタフリー Lv.55

 ドサイドン Lv.59

 フシギダネ Lv.56

 リザードン Lv.61

 カメックス Lv.57

 キングラー Lv.55

 カモネギ  Lv.55

 エビワラー Lv.57

 ゲンガー  Lv.57

 オコリザル Lv.56

 イーブイ  Lv.55

 ベトベトン Lv.55

 ジバコイル Lv.55

 ケンタロス Lv.55

 ヤドラン  Lv.54

 ハッサム  Lv.56

 トゲキッス Lv.53

 プテラ   Lv.56

 ラプラス  Lv.54

 ミュウツー Lv.72

 バリヤード Lv.55

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.54

 カビゴン  Lv.52

 ニョロトノ Lv.52

 ヘラクロス Lv.52

 メガニウム Lv.51

 マグマラシ Lv.51

 ラティアス Lv.46

 ヘルガー  Lv.51

 ワニノコ  Lv.51

 ヨルノズク(色違い) Lv.51

 カイロス(部分色違い) Lv.51

 ウソッキー Lv.51

 バンギラス Lv.58

 ゴマゾウ  Lv.47

 ギャラドス(色違い) Lv.49

 ヒンバス  Lv.1 

 ミズゴロウ Lv.30→31

 スバメ   Lv.28→30

 ジュプトル Lv.30→31

 ヘイガニ  Lv.27→29




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#119 『ポケモンの世界へようこそ』

 12歳 ζ月α日 『ポケモンコンテスト カイナ大会 後編』

 

 ハルカとシュウの対決はシュウの圧勝だった。

 

 アピールはともかくとして、トレーナーになったばかりのハルカでは、アピールしながらバトルするというのはレベルが高すぎたのだ。

 控室に帰ってきたハルカは悔し泣きしており、ラティが「なかない」と心配している。しかし、泣いても良いのだ。悔しさは成長に必要なファクターである。

 

 ハルカ自身も、アゲハントの頑張りに報いることが出来なかった自分を責めていた。

 最初だし、優勝は無理だと自分でもわかっていたのだろう。それでも楽しく演技できればいいと思っていたようだが、やはり負けると悔しいのである。

 

「おめでとう、ハルカ。ポケモンの世界へようこそ」

 

 思わず祝福の言葉をかけてしまった。その負けたくないという気持ちが、バトルにしろ、コンテストにしろ、ポケモン世界への入口だ。

 他にももっといろいろ言葉をかけてやりたい所だったが、残念ながらもう俺の順番が来ている。俺の対戦相手はあのミロカロス使いなので、ハルカに「俺のバトルをよく見ておけ」と言って会場へと移動する。

 

 絶対に勝てるという自信がある訳ではなかった。むしろ、コンテスト初心者の俺の方が圧倒的に不利だろう。

 ポケモンのレベル的な意味なら多分俺が勝っている。だが、コンテストバトルは魅せるバトルだ。おまけに、レベルは50固定なので技術の差がもろに出る。付け焼刃の俺とバタフリーの技がどこまで通用するかが勝敗のカギになるだろう。

 

 ポケモンコンテストでは一次審査と二次審査で違うポケモンを使うことは許可されている。なので、あのミロカロス対策に別のポケモンを連れて行くことも出来たが、俺は敢えてバタフリーで勝負を挑むことにした。

 このコンテストの結果がどうなろうと、バタフリーで勝負をすると決めて参加したのだ。それを、相手をメタるために変えるのは少し恰好が悪すぎる。

 

 フィールドに移動すると、既にミロカロス使いはスタンバイしていた。司会のビビアンが早くスタンバイするように声掛けしてきたので、こちらも少し遅れたことを謝ってすぐにスタンバイする。

 

 改めて、二次審査のコンテストバトルではHPの他に、CP(コンテストポイント)と呼ばれるポイントが各自100与えられ、審査員の評価によってそのポイントが削られて行く。

 HPがゼロになっても負けだが、そのポイントがゼロになっても負けということだ。ちなみに、バトルなので当然技は四つに制限される。つまり、数少ない技を上手く使ってポケモンの魅力を引き出しつつ、バトルを制する必要があるということだ。

 

 ビビアンの口から試合開始の合図が発せられる。

 その瞬間、向こうはミロカロスを、俺はバタフリーを送り出した。どうやらバタフリーも気合が入っているようで、開幕の決めポーズもしっかり決めてやる気十分だった。

 

 ミロカロスの通常特性は『ふしぎなうろこ』と『かちき』だ。これはヒンバスの時の特性が『すいすい』だと『ふしぎなうろこ』、『どんかん』だと『かちき』になる。

 この二つの特性だが、実はどちらも強い。『ふしぎなうろこ』は状態異常時に防御が1.5倍になるという特性でミロカロスがカッチカチになるし、『かちき』は能力を下げられた時に特攻が二段階上がるのだ。どちらもどちらで使い道があるので、なかなかに優秀な特性である。

 

 夢特性は『メロメロボディ』とこれまた強いのだが、流石に夢特性ではないと思いたい。まぁ、仮に夢特性だったとしても、バタフリーで接触技を使うつもりはないので問題ないだろう。

 ちなみに、うちのヒンバスは夢特性の『てきおうりょく』である。将来は『メロメロボディ』で接触すると相手をメロメロにする激かわミロカロスにするつもりだ。

 

 さて、少し話が逸れたが、うちのバタフリーは特殊型なので、仮に向こうの特性が何であれ問題なく戦えるだろう。

 とりあえず、先制ということで、『しびれごな』を指示した。体を麻痺させて動きを止めれば、演技もしにくくなるだろうという狙いである。だが、当然のように『こごえるかぜ』で粉を凍らせてきた。おまけに風を利用して、凍らせた粉を美しく散らばらせている。技の迎撃一つ一つに無駄がなかった。

 

 審査員の評価により、こちらのポイントがマイナス15される。うーむ、やるな。こちらの技を防ぎつつ、的確にポイントを削ってきやがる。

 仕方ないので、ここは一旦『ちょうのまい』でステータスを上げることにした。ミロカロスは基本的に特殊型が多いので、特攻、特防、素早が一段階上がる蝶舞は刺さるだろう。

 

 向こうも当然、舞を邪魔しようと『ハイドロポンプ』を撃ってくる。が、踊りの動きに合わせて回避した。こういう舞の最中に攻撃されるのは目に見えているので、かわすすべもしっかりわきまえている。

 自身の技を利用して相手の技を華麗に避けたことがポイントとなり、ミロカロスのポイントが10削られる。これでほぼ五分だ。

 

 ミロカロス使いは、俺が素人だと思っていたようで少し驚いた顔をしている。ずっと、澄ました顔をしていたからな。動揺してくれて嬉しいよ。

 

 舞を一段階積んだバタフリーに、『エアスラッシュ』を指示する。火力は少し低いが、タイプ一致で三割の怯みを狙っていく。

 対して、ミロカロスは『れいとうビーム』で迎撃してきた。素直にこちらの弱点を突いてきたのだろう。ただ、『ちょうのまい』を積んだおかげで、向こうの『れいとうビーム』を押し返していた。

 

 ミロカロスがダメージを受けるが、しっかり受け身を取っている。相手の技を突破してダメージを与えても、向こうがちゃんと受けきれば得点にはならないのか、ポイントは動かない。

 ミロカロス使いは『ハイドロポンプ』を指示してきた。タイプ一致の火力でごり押ししようという狙いのようだ。こちらは『エアスラッシュ』で押し返していく。先程の感じからしても、ギリギリ押し返せると判断した。

 

 ただ、相手も馬鹿ではないようで、こちらの技とぶつかる瞬間、ミロカロスの口をすぼめさせ、『ハイドロポンプ』の勢いを強くしてくる。

 ホースの口を潰して水の威力を上げるのと原理は一緒だ。しかし、そんなことをすれば、一時的に勢いは強くなっても技は長続きしない。エアスラを突破出来ても、バタフリーに攻撃は届くかはギリギリになる。

 

 だが、相手の狙いはバタフリーではなかった。

 

 エアスラと『ハイドロポンプ』が衝突し、水が大きく破裂して虹が出来る。おまけに、破裂したドロポンがバタフリーの頬をギリギリかすめた。相手の技を利用した演技で、バタフリーのポイントが15減らされる。

 

 成程な。技の打ち合いで勝たなくても、ポイントさえ削れればそれでいいってことか。勉強になるぜ。

 確かに、無理して戦闘不能にする必要はないのだ。最終的に相手のポイントよりも多くポイントを持っていればそれでいいのである。

 

 俺は最後の技として、『ぎんいろのかぜ』を指示した。地味にハルカがずっと練習していた技でもある。

 普通のバトルなら、威力の勝る『むしのさざめき』を使用しただろうが、この技は見栄えがいい。舞のおかげで火力が上がっているし、無理して高火力技を選ばなくてもいいのだ。

 

 とはいえ、そのままでは芸がないので、『しびれごな』を混ぜて色を増やしていく。

 向こうも『こごえるかぜ』で迎撃してきたが、先程のように粉単体ではなく、風でコーティングしているので、上手く凍らせることが出来ていない。

 

 おまけに、こちらは舞で火力が上がっているので、『こごえるかぜ』を突破してダメージを与えることが出来た。『ぎんいろのかぜ』が相手に当たった瞬間、包まれていた『しびれごな』が舞い散り、相手を麻痺にしつつ、フィールドを黄色に染め上げていく。

 

 合わせ技は高得点なようでミロカロスのポイントが20削られた。これでポイント差は五分だ。まだまだ射程範囲内である。

 

 どうも、これだけ高度な技の応酬は久しぶりらしく、司会も審査員も盛り上がっていた。

 ミロカロス使いも、「こんなにレベルが高くて初参加とは……世の中は広いな」と、何とも言えない表情をしている。

 俺も楽しかった。今まで知らなかった技の使い方などが知れる。普通のバトルとは違った楽しさがここにはあった。

 

 だが、こちらの試行錯誤が向こうのやる気に火を付けてしまったようで、ミロカロス使いが「こちらも全力で行こう」というと、『たつまき』と『こごえるかぜ』の合わせ技を披露してくる。

 こちらも負けじと、『ぎんいろのかぜ』で応戦していく。しかし、向こうはまだまだ引き出しが残っているようで、『たつまき』と『ハイドロポンプ』の合わせ技まで見せてきた。

 

 こちらもその都度対応していくが、一度見せた応用技を何度も繰り返してもポイントは得られない。ゲームと一緒で、むしろ連発するとマイナスになりそうな感じだった。

 かといって、今更通常の技を見せても、大技の応酬を見せたせいもあってそこまでポイントにならない。どうも迂闊に大技を使ったのは失敗だったようだ。技の魅せ方を考えなかったせいで、向こうの連続攻撃に対応できず、ポイントがガリガリ削られていく。

 

 技の使い方や魅せ方なども含め、今回は向こうのキャリアの方が上だったらしい。

 

 結局、互いのHPはゼロにはならず判定に持ち込んだのだが、俺とバタフリーの即席技と向こうの練られた技では練度が違った。

 最終的にはこちらが10/100、向こうが50/100で、40ポイント差で大敗してしまう。だが、数字以上にこの40ポイントはかなりの壁を感じた。

 

 興味本位で参加したが、ここから先、ガチで勝ち進むには本格的な練習が必要かもしれん。

 とはいえ、チャンピオンリーグの練習をさせながら、コンテストバトルの練習など出来るはずもないし、ちょっとコンテストについては考え直した方がいいかもしれないな。

 

 バトルが終わると、ミロカロス使いが握手を求めてきた。ずっと名前を憶えていなかったが、どうやらロバートというらしい。

 どうも、「初めてでここまでのバトルが出来るなんて、君は素晴らしい才能の持ち主だ」と、褒めちぎられたが、今回のはあくまで普通のバトルの応用をしているだけなので、ロバートのようなコンテストガチ勢にはまだまだ及ばない。

 

 俺がいい勝負が出来たのは、前世知識とこれまでのバトルの経験があったからこそだ。

 だが、ロバートは「いずれ、君とはまたコンテストで競い合いたいものだ」と熱が入っている。今さっきコンテストを自重しようと考えていたなんて口が裂けても言えないな。

 

 とりあえず、次も頑張れと声をかけて控室に戻った。

 

 どうやらハルカはしっかり俺のバトルを見ていたようで、「見てたよ、凄かった」と口にしている。

 ただ、その凄いバトルも、コンテストという枠組みでいえばまだまだだ。俺はあくまでそれっぽい動きをしているだけの初心者に過ぎない。しかし、ハルカはまだその初心者以下だ。上を目指すということは、このレベルを軽く超えていかなければならない。

 

 だが、心配は無用のようだった。「私、負けないから!」と、ハルカも気合が入っている。

 

 どうも俺とロバートのバトルは、ハルカにいい影響を与えることが出来たようだ。

まぁ、逆に俺は今後のコンテストについてどうするか考えさせられることになったのだが、それはそれということで、今はとりあえずハルカがスタートダッシュを踏み切ったことを喜ぼう。

 

 

 追記。ポケモンコンテストカイナ大会はロバートが優勝して終わった。どうも、ニューサトシはかなり気に入られたようで、別れる際にロバートからきれいなウロコを渡されている。嬉しいが、もうヒンバスの美しさ最大なんだよなぁ。

 

 

 

 12歳 ζ月β日 『出たいらしい』

 

 俺とハルカの初めてのポケモンコンテストは両者共、二次審査一回戦負けで終わたのだが、どうやらラティがコンテストに触発されたようで、「ラティもでる!」と訴えてきた。

 出るって言っても、そもそもお前をあまり目立たせたくないんだが――と、考えていると、ラティが急にカノンの姿からラティアスの姿に戻って、『でる!』と顔を寄せてくる。

 

 おまけに、密かに練習していたらしい、『10まんボルト(未完成)』や『れいとうビーム(未完成)』を見せながら、これでもかというくらいにアピールしてきた。

 

 ただ、当然ながらハルカとマサトはラティの正体を知らない訳で、いきなり人間がポケモンの姿に変わってポカンとしている。

 流石に手が回らないので、説明はタケシにお任せして、とりあえず俺はラティを宥めることにした。何とか、カノンの姿に戻って貰い、「でる! ラティもでる!」としか言わないラティに、今回コンテストに出て感じた難しさを話していく。

 

 しかし、難しい話で説得するのは無理だったらしく、最終的には泣きだしてしまったので、次のコンテストはラティと一緒に出るという約束をさせられた。

 まぁ、バトルのデビュー戦もずっと先延ばしにしたままだったし、泣くくらい出たいのであれば出してやろう。何だかんだこいつもヒンバスに付き合って、美しさのポロックを食べまくっていたしな。

 

 

 追記。ラティについては無事に受け入れてもらった。ハルカもマサトもまさかラティが伝説のポケモンだとは思わなかったようで興味深そうにしている。マサトの淡い恋心を壊す作戦も、ラティアスへの興味が上回っているようだった。まぁ、バレてしまった以上は、今後ラティのフォローを任せることも増えてくるだろう。よろしく諸君。

 

 

 

 12歳 ζ月γ日 『ヒンバス頑張る?』

 

 ずっと『れいとうビーム』の練習をしていたヒンバスに、きれいなウロコを見せて通信進化するかどうかを聞いてみた。

 たまたま手に入ってしまったものだが、腐らせるのも勿体ないので、本人が使いたいなら使ってやろうかと思ったのだ。

 

 しかし、ヒンバスは首を横に振った。

 

 ずっと頑張ってきたし、美しさも最大になって自分に自信が出てきたのだろう。自分自身の力のみで進化すると目が言っている。

 本人がそう言うなら、このきれいなウロコはお蔵入りにしよう。いつか、誰かが別にヒンバスをゲットしたら譲ってやることもあるかもしれないしな。

 

 

 




 原作との変化点。

・ハルカ同様、ニューサトシが一回戦負けした。
 思っていた以上にコンテストは難しかった。

・ロバートからきれいなウロコを貰った。
 しかし、既にヒンバスの美しさは最大である。

・ラティがコンテストに出たがった。
 そのせいで正体もバレてしまった。思えばデビュー戦も先延ばしにしていたので、ニューサトシが折れた。

・ヒンバスがウロコ進化を拒否した。
 自分自身の力で進化すると訴えている。ニューサトシもその意見を尊重した。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.60

 ピジョット Lv.55

 バタフリー Lv.55

 ドサイドン Lv.59

 フシギダネ Lv.56

 リザードン Lv.61

 カメックス Lv.57

 キングラー Lv.55

 カモネギ  Lv.55

 エビワラー Lv.57

 ゲンガー  Lv.57

 オコリザル Lv.56

 イーブイ  Lv.55

 ベトベトン Lv.55

 ジバコイル Lv.55

 ケンタロス Lv.55

 ヤドラン  Lv.54

 ハッサム  Lv.56

 トゲキッス Lv.53

 プテラ   Lv.56

 ラプラス  Lv.54

 ミュウツー Lv.72

 バリヤード Lv.55

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.54

 カビゴン  Lv.52

 ニョロトノ Lv.52

 ヘラクロス Lv.52

 メガニウム Lv.51

 マグマラシ Lv.51

 ラティアス Lv.46

 ヘルガー  Lv.51

 ワニノコ  Lv.51

 ヨルノズク(色違い) Lv.51

 カイロス(部分色違い) Lv.51

 ウソッキー Lv.51

 バンギラス Lv.58

 ゴマゾウ  Lv.47

 ギャラドス(色違い) Lv.49

 ヒンバス  Lv.1 

 ミズゴロウ Lv.31

 スバメ   Lv.30

 ジュプトル Lv.31

 ヘイガニ  Lv.29




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#120 『勇者ニューサトシ』

 12歳 ζ月δ日 『常識が無さ過ぎるっぴ』

 

 カイナシティにある海の博物館に行くことになったのだが、どうも休館日のようで閉まっている。

 マサトが裏口から侵入しようとしていたが、普通に犯罪なので首根っこを掴んで連れ帰った。明日また来ればいいだろうが、常識が無さ過ぎるぞ。

 

 

 

 12歳 ζ月ε日 『元気でな』

 

 再び海の博物館に行ったのだが、どうも昨日泥棒が入ったらしく中の物が盗まれてしまったらしい。

 捜査のため立ち入り禁止ということで、しばらくは入れ無さそうだった。マサトはすっかり気落ちしてしまったが、まぁこういうこともある。今回は縁がなかったということで先に進もうではないか。

 

 と、いう訳で次の街を目指すため、ポケモンセンターへ荷物を取りに戻ると、いつぞやのワカシャモが入り口で仁王立ちしていた。

 ジョーイさんに聞いた所、このワカシャモは初心者には使いづらいということで、ポケモンセンターのガードポケモンになる予定らしい。

 

 本当ならニューサトシが連れて行ってやりたい所だが、どうもこいつとは馬が合わないのか、会うたびに蹴りを入れてくからなぁ。

 まぁ、本来なら新人トレーナーと旅に出る所を進化させられたせいで、全てがおじゃんになった訳だし恨まれても仕方ない。こいつも何だかんだジョーイさんには懐いているようだし、ポケモンセンターに居た方がいいのかもしれないな。

 

 とりあえず、もうこの街を出るので「またな」と声をかけると、再び蹴りが飛んでくる。

 ただ、この間までと違ってどうもキレがない。どうやら、少しは寂しいと感じてくれていたようで、そっぽを向きながらも街を出るのを見送ってくれた。

 

 

 

 12歳 ζ月η日 『話を聞いてくれ誘拐犯』

 

 キンセツシティに向かう途中で寄ったポケモンセンターでジョーイさんが行方不明になるという事件が発生した。

 監視カメラの映像を確認すると、どうもダーテングがジョーイさんを連れ去ったようだ。問題は、このダーテングがトレーナーのポケモンか野生かだが、仮にトレーナーのポケモンだったとしてこんな監視カメラがあるような場所で連れ去ることはしないだろう。

 

 もし、俺がジョーイさんを誘拐するなら、買い出しの帰りなどで人通りの少ない所を狙う。その方がバレるリスクが少ないからな。

 

 と、すると、野生のダーテングと考えた方がいい。では、何故野生のポケモンがジョーイさんを誘拐するかを考えたら、まず出てくるのは仲間が病気か怪我をして助けを求めたパターンだろう。

 ダーテングの仲間と考えて出てくるのは、進化前のタネボーやコノハナだ。小さな仲間たちのピンチとなれば、人間に頼ろうとしても別におかしくはない。

 

 ハルカがポケモン図鑑でダーテングの情報を確認すると、森の奥や高い樹の上に住んでいることがわかったので、とりあえず探しに行くことにした。

 

 しかし、道中でタネボーやコノハナが行く手を妨害してくる。この時点で、推測がほぼ正しいと確信できたので、タネボーやコノハナ達に邪魔をする意図はないと伝えていく。

 最初こそ、興奮した様子だったが、こちらが敵対心を一切見せずに、ただジョーイさんの無事を確認したいだけだとわかると、仲間達の下へ連れて行ってくれることになった。

 

 ダーテングの住処に着くと、どうやらジョーイさんも既に状況を把握していたようでコノハナの治療をしている。

 ジョーイさん自身も特に怪我もなさそうで一安心だったのだが、どうやらダーテングは俺達がジョーイさんを連れて帰ろうとしていると思ったようで、仲間達を守るために攻撃を仕掛けてきた。

 

 こちらとしては、ジョーイさんの無事も確認できたので、そちらの治療が終わるまで特に手を出すつもりはない。

 荒れ狂うダーテングの攻撃を回避しながらそう伝えるも、問答無用という様子で、全然話を聞いてくれなかった。

 

 困った――が、向こうも悪気があって攻撃している訳ではないし下手に反撃し辛い。とりあえず、俺が代表してダーテングの攻撃を捌いている間に、ジョーイさんに治療をして貰うことにした。

 

 しばらくして、ダーテングの息が上がって動きが鈍くなり、こいつ本当に人間か――と、いうような視線を受けていると、ジョーイさんの治療を受けていたコノハナが元気になったようだ。

 戦う理由がなくなった上、こちらが終始無抵抗だったことで、ダーテングもこれ以上の戦いは無意味だとわかってくれたのか、ようやく動きが止まってくれる。

 

 まぁ、仲間を守るのに必死になる気持ちはわかるが、今度はもうちょっと人の話を聞いてくれと伝えると、ダーテングは少し恥ずかしそうにしながら、その場から消えて行った。

 

 

 

 12歳 ζ月θ日 『勇者ニューサトシ』

 

 いつものようにロケット団をやなかんじーにしていると、バスケットボールくらいの大きさの光る石を置いていった。

 なんぞこれと思っていると、イズナとかいう女が俺達のことを泥棒呼ばわりしてくる。良くわからんが失敬な奴だ。光る石を返せとか言ってくるが、こちらが何を言っても聞く気がないようで、コイルをけしかけてきた。

 

 当然のようにピカ様でボコボコにしてやる。手加減なしで『かわらわり』してやると、すぐに戦闘不能になっていた。育てが足んねーんだよ。

 

 何となく、ロケット団が悪さをしたのが理由なのはわかったが、こんな失礼な女に物を渡す気にはならないので無視することにした。

 一緒についてきた弟らしき奴がイズナを説得しているが、どうも思い込みが激しいのか聞く耳を持っていない。騒ぐラジオになったイズナが後ろについてくるのを無視しながらそのまま近くの村に行くと、どうも灯台に置いてあった光る石が奪われたと騒動が起きていた。

 

 ようやく詳しい状況を理解したので、村長らしき人に光る石を返すことにする。

 そこでイズナもようやくずっと自分が勘違いしていたことに気付いたのか、改めてこちらに謝罪してきた。もういいから関わらないでくれ、不愉快だ。

 

 とりあえず、これで一件落着と思っていると、今度はイズナの後をついてきていたカズチと名乗る少年がニューサトシを勇者だと崇めてきた。

 聞けば、この村に伝わる稲妻のポケモンを連れし伝説の勇者は、ニューサトシのように青い服を着ていたらしい。良くわからないが、まぁ原作のサトシ君は波動の勇者の生まれ変わりだったりしたし、そういうこともあるのかもしれん。

 

 聞けば、カズチは今までポケモンバトルをしたことがなく、自分に自信がないらしい。

 最近、よくこういう話聞くなぁと思いながら、連れているプラスルとマイナンを見る。別にレベルが低いという感じでもないし、基礎がわかれば十分に戦えるだろう。

 

 と、いう訳で、ハルカも交えて、カズチにポケモンバトルの指導をしてやることにした。伝説の勇者の教えということで、カズチも気合が入っている。

 

 どうもカズチは未経験故に自信がなかっただけで、一度やってしまえばすぐにバトルの楽しさを理解できたようだ。

 ハルカもバトルがこれからの課題ということで、ココドラを使って頑張ってカズチの相手をしている。ハルカの場合はコンテストバトルなので、普通のバトルとはまた勝手が違うのだが、それにしても基本がなってないのでまずは基本からだ。

 

 しばらくバトルの指導をしていると、ロケット団が再び光る石を狙ってきたので、サクッとやなかんじーにしてやる。

 

 半日ほどの指導だったが、カズチも自分に自信が持てるようになったようで、いつか俺のようなポケモントレーナーになると意気込んでいた。まずは、ポケモンリーグ出場からだな。

 

 

 

 12歳 ζ月ι日 『からくり屋敷ねぇ』

 

 からくり大王を名乗るおっさんが、からくり屋敷大会なるものをしていたので流れで参加することになった。

 途中で、ハルカとラティがアキナというゴニョニョを連れた少女と仲良くなったので一緒に参加することにしたのだが、屋敷の中は迷路になっており、ありとあらゆる場所にいろいろな仕掛けがしてあって進むだけでも苦労するレベルになっている。

 

 おまけに、ロケット団まで乱入して妨害してきたので、いつも通りにサクッとやなかんじーにしてやった。

 

 しかし、その騒動の間に別の参加者がゴールを決めてしまったようで、優勝賞品であるポロック一年分はゲットできずに終わる。残念と思いながら表彰式を見ていたのだが、突如としてステージ上にプリンさんが現れた。

 随分久しぶりだったので危うく間に合わない所だったが、ギリギリですごいみみせんを装着し、何とか難を逃れる。とりあえず、ラティをボールに戻してピカ様を抱きかかえようとしたのだが、よく見ると俺の他にも動いている奴がいた。

 

 タケシである。

 

 どうも、前にカスミさんまでもがすごいみみせんで難を逃れたのを根に持っていたようで、密かに入手していたらしい。

 まぁ、何だかんだこいつも長くプリンさんの被害にあっていたしな。そろそろ笑う側に回ってもいいだろうということで、落書きをされていくハルカやマサトを見ながら大爆笑していた。

 

 

 

 12歳 ζ月λ日 『まさかそんなことが起きるとは』

 

 キンセツシティに着いたので、早速ジムリーダーにガチバトルを申し込みに来たのだが、どうもライコウのメカのようなものが出てきた。

 なんぞこれと思って見ていると、どうやらジムリーダーのテッセンが遊び心で作ったエレクトリックメカライコウくん2号というらしい。

 

 聞けば、最近キンセツジムに挑むトレーナーが少ないようで、暇つぶしに作ったと言っている。

 そんなに暇なら俺と全力バトルしようぜ――と、テッセンにお願いしてみたら、即日でOKを貰った。まさか、こんなにすぐOKされるとは思わなかったので、一度ポケモンセンターに戻って、オーキド研究所からガチ戦用のポケモンを転送して貰う。

 

 あまりに急すぎてまだ調整も出来ていないが、まぁ戦いながら調整していけばいいだろう。

 と、いうことで、改めて戻ってきたのだが、何故かジムが閉まっている。おかしいなと思って声をかけてみると、中からジムトレーナーらしき人が出てきて今日はジムを閉めることになったと教えてくれた。

 

 どうも、俺達がポケモンセンターに戻っている途中に、新しい挑戦者が来たらしいのだが、その挑戦者にテッセンが3タテされてしまったらしい。

 挑戦者にあっさり負けたことに落ち込んだテッセンが、フラフラとどこかに行ってしまったので、今日はジムを閉めることにしたのだと話してくれた。

 

 まさか俺達が行って帰って来る間の二十分くらいの間にそんなことがあったとは。

 

 残念だが、そういう事情では仕方ないので、今回は素直に諦めることにした。また明日来てみて、まだテッセンが本調子でなさそうなら回復する頃にまた来ればいいだろう。

 

 

 

 12歳 ζ月μ日 『まぁ、いい調整期間だと考えればいいか』

 

 改めてキンセツジムに訪れたのだが、テッセンは元気になっていた。と、いうのも、負けた理由がテッセンの実力不足ではないことがわかったかららしい。

 詳しい話を聞いてみると、昨日俺達がポケモンセンターに戻ってすぐ、入れ替わるように挑戦者が来たらしいのだが、どうもその挑戦者がライコウメカに驚いて、連れていたピカチュウでメカを壊してしまったというのだ。

 

 その結果、ライコウメカに溜まっていた電気が、そのピカチュウに流れ込み、ピカチュウが異常に強化され、テッセンが3タテされるという事件が発生。後でそのことに気付いた挑戦者がバッジを返しに来たことでそのことに気付いたらしい。

 

 よくわからないが、とりあえず元気になったのなら良かったということで改めてガチ戦をお願いする。

 しかし、テッセンは「勝手なお願いなんじゃが、もう少し待ってくれんか?」と言ってきた。どうも、今回の件で自分の不甲斐なさに気付けたようで、もう一度自分を鍛え直す時間が欲しいらしい。

 

 聞けば、ジムバッジを返しに来た挑戦者は十分な実力を持っていたのでバッジを渡そうとしたようなのだが、「実力で勝ち取らないと意味がないんです」と言って頑なに受け取らなかったというのだ。

 まぁ、気持ちはわかる。仮に、ニューサトシがそいつと同じ立場だったとしても、バッジは受け取らなかっただろう。

 

 どうも、テッセンはその心意気に感動したらしい。また、一回負けたくらいで自信を無くして引退まで考えていた自分が恥ずかしくなったようで、もう一度自分を鍛え直してからでないと胸を張って戦えないと言っている。

 

 こっちも調整期間が出来るのは有難いので、先に次のジムであるフエンタウンに行ってからまたキンセツシティに戻ることにした。どうせなら、ガチのテッセンと戦いたいしな。

 

 

 

 12歳 ζ月ξ日 『スイカ太郎』

 

 川からどんぶらこどんぶらことスイカが流れてきた。こりゃラッキーということで、有難く頂いたのだが、近くでスイカ畑を営んでいるナッチとかいう女にスイカ泥棒の濡れ衣を着せられた。

 確かにスイカは食べたが、別に盗んで食べた訳ではない。しかし、ナッチはスイカを食べると、この味は間違いなく自分のスイカだと種をこちらに飛ばしてくる。

 

 汚ぇ女だ――と、若干引いていると、畑の番をしているというスイカ柄に色を塗ったマルマインが出てきて、犯人は俺達じゃないと首を振ってくれたおかげで容疑が晴れた。

 

 とりあえず、今回は勝手にスイカを食べた俺達にも非があったし、ナッチも謝罪したということで不問にする。

 それよりも気になることがあった。どうも、ナッチはここらのダブルバトルでは負け知らずだというのだ。俺もホウエンに来てからちょくちょくダブルバトルをするようになったが、やはりシングルとダブルでは立ち回りが違うので難しい。

 

 そんな中、負け知らずというのは十分に興味を引く。と、いうことで、ニューサトシからナッチへダブルバトルの勝負を突きつけることにした。連れているポケモンのレベル的には、俺のポケモンとどっこいくらいだし面白い勝負になるだろう。

 

 ナッチはジュプトルとマグマッグを出してきたので、こちらはスバメとヘイガニでお相手する。

 開幕、『クラブハンマー』でマグマッグの弱点を突いてやろうとしたのだが、上から『のしかかり』で押さえつけられる。仕方ないので、スバメに救助に向かわせたのだが、タイミングよくジュプトルが『タネマシンガン』を飛ばして妨害してきた。

 

 確かに、いい連携だ。

 

 だが、こちらのヘイガニは地面に潜れる。『あなをほる』で『のしかかり』から脱出し、そのまま弱点の一撃を与えた。

 そのまま、『クラブハンマー』で追撃をかける。今度はジュプトルがマグマッグのカバーに入ろうとしたが、スバメが『つばめがえし』でブロックをかけてそれを防いでいく。

 

 それを見て、ナッチが苦しそうな顔をする。しかし、やられたままでいるつもりはないようで、マグマッグに『あくび』を指示して動きを封じようとしてきた。

 咄嗟にこちらもヘイガニに『ちょうはつ』を指示して、技を中断させることは出来たが、仕切り直しとばかりにマグマッグが撤退していく。うーむ、なかなかやるな。

 

 その後も一進一退の勝負が続いたが、ヘイガニとスバメの負けず嫌いが功を奏し、何とか勝利を収めている。

 特にヘイガニは、自分の仲間であり、少し先を行っているジュプトルと同じジュプトルに勝てたのが嬉しかったようで飛び跳ねて喜びを表していた。

 

 ナッチもまさか負けるとは思っていなかったようで悔しそうにしているが、ニューサトシがジョウトリーグシロガネ大会優勝者だと知ると、「それは無理だわ」と苦笑いを浮かべている。

 いや、悪くなかったぞ。もう20ちょっとくらいレベルを上げれば十分に地方リーグの上位で通用する腕前だった。まぁ、ダブルバトルのリーグは今の所ないんだけどな。

 

 

 




 原作との変化点。

・第36話『海の博物館を守れ! マグマ団の襲撃!』より、ニューサトシが常識的だったので、マサトを連れて帰った。
 そのため、地元のヨウスケやクスノキ館長との出会いがカットされている。

・マグマ団が博物館を襲った。
 黒く焦げた岩が普通に盗まれた。原作でも結果的には盗まれている。

・休館になった。
 事件のせいで海の博物館に行けなかった。

・ワカシャモとバイバイした。
 ちょっとは仲良くなれたらしい。

・第37話『美女と野獣!? ダーテングとジョーイさん』より、ニューサトシがダーテングの相手をした。
 相手が悪いことをした訳ではないので、回避に専念した。攻撃が一度も当たらないので、ダーテングが内心でビビりまくっている。

・第38話『プラスルとマイナン! 山の灯台!!』より、ニューサトシがイズナを拒否した。
 常識が無さ過ぎる。

・ニューサトシがカズチに指導した。
 自分に自信のないトレーナーは大体バトルをすると元気になるのである。

・第39話『歌う! ポケモンからくり屋敷!!』より、タケシがプリンさんの歌を防いだ。
 原作では道中でもプリンさんと出会うのだが、ニューサトシのルート取りがサトシ君と違ったため出会わなかった。タケシが落書きを見て大爆笑していた。

・第40話『キンセツジム! テッセンの電撃バトル!!』より、戦う前にテッセンがいなくなってしまった。
 仕方なくガチ戦を次の日にした。

・テッセンが負けた理由がまるで原作のサトシ君だった。
 ニューサトシはあまり覚えていないので気にしなかったが、何かが起きている。

・ガチ戦が延期になった。
 やる気になったテッセンがポケモンを調整する時間を求めてきたので快諾した。

・第41話『キモリの新技!! スイカ畑のタネマシンガン!』より、ナッチを倒した。
 普通にナッチをダブルバトルで倒してしまった。ついでにこの後現れたロケット団もやなかんじーにしている。

・タネマシンガンを覚えなかった。
 原作ではキモリがここでタネマシンガンを覚えるが、バトルに出たのがスバメとヘイガニだったのでイベントが発生しなかった。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.60

 ピジョット Lv.55

 バタフリー Lv.55

 ドサイドン Lv.59

 フシギダネ Lv.56

 リザードン Lv.61

 カメックス Lv.57

 キングラー Lv.55

 カモネギ  Lv.55

 エビワラー Lv.57

 ゲンガー  Lv.57

 オコリザル Lv.56

 イーブイ  Lv.55

 ベトベトン Lv.55

 ジバコイル Lv.55

 ケンタロス Lv.55

 ヤドラン  Lv.54

 ハッサム  Lv.56

 トゲキッス Lv.53

 プテラ   Lv.56

 ラプラス  Lv.54

 ミュウツー Lv.72

 バリヤード Lv.55

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.54

 カビゴン  Lv.52

 ニョロトノ Lv.52

 ヘラクロス Lv.52

 メガニウム Lv.51

 マグマラシ Lv.51

 ラティアス Lv.46

 ヘルガー  Lv.51

 ワニノコ  Lv.51

 ヨルノズク(色違い) Lv.51

 カイロス(部分色違い) Lv.51

 ウソッキー Lv.51

 バンギラス Lv.58

 ゴマゾウ  Lv.47

 ギャラドス(色違い) Lv.49

 ヒンバス  Lv.1 

 ミズゴロウ Lv.31→32

 スバメ   Lv.30→31

 ジュプトル Lv.31→32

 ヘイガニ  Lv.29→31




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#121 『やるんだなヒンバス、今ここで!?』

 12歳 ζ月π日 『ハルカ祭り、それはバルビートとイルミーゼが何か踊る祭りらしい』

 

 ハルカと同じ名前の、ハルカレイクで行われるというハルカ祭りを見て行くことになったのだが、たまたま知り合ったバルビート使いのロミオとイルミーゼ使いのジュリエの恋のキューピットをすることになった。

 カスミさんもこういう色恋沙汰に関わるのが大好きだったが、どうもハルカも大好物のようで、ジュリエを前にすると緊張してドジばかり踏んでしまうロミオを助けてやりたいと思ったらしい。

 

 見た感じ、ジュリエもロミオのことは嫌ってなさそうだし、普通に告白すれば万事解決に見える。

 つか、名前からしてロミジュリのオマージュだろ。もう内容覚えてないけど、アニメの話だこれ。

 

 つまり、黙ってみているのが正解と思って成り行きを見ていると、毎度お馴染みロケット団が現れてジュリエのイルミーゼを奪い、ロミオとバルビートの頑張りによって助けられている。

 俺らより恋のキューピットやんと思いつつ、いつも通りにロケット団をやなかんじーにしてやると、無事に二人はいい関係になれたようで、バルビートとイルミーゼが夜空に愛の図形を描いていた。

 

 

 

 12歳 ζ月ρ日 『みんな頑張っている』

 

 フエンタウンの途中にあるハジツゲタウンでコンテストがあるということで、ハルカとラティが気合を入れて練習をしている。

 特にラティはポケモンの姿でいる時間が増え、技の練習にかなり時間をかけていた。おかげで、未完成だった『10まんボルト』や『れいとうビーム』も結構見られるレベルになっている。

 

 ピカ様もそろそろ『ばちばちアクセル』をモノにしたいと考えているようで、練習を重ねているが、まだまだ苦戦していた。完成度はいい所、五割って所だろう。

 

 姉であるラティの頑張りを見て、ヒンバスもやる気が出たのか一生懸命『れいとうビーム』の練習をしていた。

 結果、『こごえるかぜ』を習得している。れいビではないが、これはこれで良しということで、そろそろバトルの練習に入ることにした。

 

 手加減がうまそうで、そこそこ優しい相手ということで、ミズゴロウさんに相手をお願いする。

 ジュプトルはちょいと強すぎるし、スバメとヘイガニは手加減が苦手だ。器用さと優しさを兼ね備えたお前しかいないということで、ヒンバスの相手を任せた。

 

 困ったような顔をするミズゴロウさんだが、それでも真面目に水辺で戦い方をレクチャーしてあげている。

 

 こっちは大丈夫だろうということで、俺はラティの方に付き添うことにした。前回、コンテストを経験した身からいうと、ラティの実力で優勝するのは多分難しい。

 だが、それはロバートやシュウのようなレベルの高い相手がいた場合である。もし、参加者のレベルがそこまで高くなければ十分にワンチャン優勝を狙えるだろう。

 

 とりあえず、今ラティが今使える技は、レベル技と『めいそう』、『10まんボルト』、『れいとうビーム』、『シャドーボール(未完成)』、『りゅうせいぐん(未完成)』だ。

 

 未完成技は捨てて、今使える技で演技を組み立てようと思うと、やはりエスパー技はいろいろ使える気がする。

 特に、『ミストボール』はラティの専用技であり、他のポケモンには使えない技だ。これを主軸に演技を組み立てれば高得点を狙えるはずである。ラティの技術で技の複合を多用するのは無理なので、ここぞという場面で数少ない複合技を上手く使いつつ、一つ一つの技を美しく見せる必要があるだろう。

 

 と、いうことで、コンテスト当日まで指示した技の練習をさせる。あれこれたくさん練習しても使えなきゃ無意味だ。数を絞って、質を高める。ラティは伝説のポケモンなので種族値にも恵まれているし、余程の相手がいなければ負けることはないと思いたい。

 

 

 

 12歳 ζ月σ日 『タツベイいいなぁタツベイ』

 

 とある山道で、崖から飛び降りるタツベイを見つけた。一瞬、野生かと期待したのだが、ミッシェルというトレーナーがついている。

 どうやら、ミッシェルのタツベイは空を飛ぶことに憧れを抱いているということで、毎日こうして空を飛ぶ練習をしているらしい。

タツベイの最終進化系であるボーマンダはひこうタイプが入っているので当然飛べる。夢を叶えるならレベルを上げるのが一番ということで、ヘイガニで相手をすることにした。

 

 しかし、意外にもタツベイのレベルが高い。ぶっちゃけ、ヘイガニよりも強いということでかなり苦戦している。

 前回、ダブルバトルで勝って調子に乗っていたヘイガニにとってもこの苦戦は予想外だったようで、負けるものかと言わんばかりにタツベイへと突撃していく。

 

 どうも、ヘイガニはこの短気さが問題だな。

 

 結局は突っ込んできたヘイガニの『クラブハンマー』を真正面から受け止められると、返しの『ドラゴンダイブ』でヘイガニが戦闘不能にされてしまった。

 目を回しているヘイガニを持ち上げ、今回のバトルの反省点を伝えていく。負けん気の強さは嫌いではないが、頭に血が上りやすいのが難点だ。そこを直さないと今回みたいにあしらわれて終わりだぞ。

 

 自分でもわかっているようで、ヘイガニがしょんぼりした様子で気落ちしている。うーむ、アップダウンの激しい奴だ。

 

 少し言い過ぎたかと思って、ヘイガニを慰めようとすると、突如としてロケット団のニャースがジェット噴射器を背負ってタツベイを強奪していった。

 

 連れ去られるタツベイは空を飛べて大喜びだが、トレーナーのミッシェルは急にタツベイが連れ去られて驚いている。

 まさかこんな手で来るとは思わず、ニューサトシも裏をかかれた形だ。スバメを出して後を追わせつつ、ロケット団がいる場所を探していく。

 

 何とかロケット団を見つけてタツベイを取り戻すと、いつも通りやなかんじーにしてやった。

 これで一件落着と思っていると、タツベイがロケット団の置いていったジェット噴射器を装備して空を飛んでいる。どうも気に入ったようで、燃料が切れるまで遊んでいた。

 

 

 

 12歳 ζ月τ日 『ん? このギザギザ頭のピカチュウは?』

 

 今日も今日とてコンテストの練習をしていると、前髪が少しギザギザしたピカチュウがいるのを見つけた。

 ん? このピカチュウ、どっかで見たことあるなと思っていると、タケシが「君はレオンじゃないか?」と声をかけている。このやり取りに、ちょっとデジャヴを感じていると、トレーナーのヒロシ君が現れた。

 

 思えばジョウトのルギア以来である。どうも、ヒロシ君は今ホウエンを旅しているようで、今回はホウエンリーグにも挑戦するつもりらしい。

 聞けば、キンセツシティでライコウメカを壊してテッセンを3タテしたのはヒロシ君だったようで、「あの時はびっくりしたよ」と笑っていた。

 

 前回はルギア捜索だけで終わったし、久しぶりにバトルでもするか――と、提案すると、若干食い気味に「やる! やるよ!」と言われる。

 どうも、ヒロシ君はジョウトリーグやチャンピオンリーグでのニューサトシの活躍を見てくれていたようで、今回彼がホウエンリーグに挑戦しようと思ったのも、ニューサトシのバトルに影響されたかららしい。

 

 思えば、アニメでヒロシ君はホウエンには出てこなかった気がするし、直接的な影響ではなくても、やはり俺がニューサトシになった影響はあるようだ。

 

 ピカチュウ同士のバトルを所望されたので容赦なくボコボコにする。途中、『あなをほる』という珍しい攻撃をしてきたが、原作のXY編で見せた『アイアンテール』を地面に叩きつけることで、疑似『じならし』を発生させるという新技で粉砕してやった。

 

 いくら頑張っているとはいえ、俺のピカ様を相手に勝とうというのは、流石にまだちょっとヒロシ君には無理かなぁ。

 

 

 追記。ヒロシ君と別れた後、気まぐれにポケナビを確認すると、カスミさんからホウエン地方に来るという連絡が入っていた。どうもみずタイプ限定のポケモンコンテストがあるようで、その特別審査員として招待されたらしい。数日は余裕を持たせているとのことで、少しの間ホウエンを一緒に旅することになった。

 

 

 

 12歳 ζ月υ日 『カスミさんです』

 

 久しぶりにカスミさんに会ったが相変わらずだった。俺の今の手持ちの半分はみずタイプなのだが、ヒンバスやミズゴロウさん、ヘイガニを見て目をハートにしている。

 どうも、オーキド研究所にもたまに顔を出しているようで、いつの間にか俺のゼニガメがカメックスになっていてとても驚いたと言っていた。それについては俺が一番驚いています。

 

 ハルカとマサトはカスミさんと初対面だが、タケシがまめにメールを入れて近況を報告しているからかすぐに仲良くなっている。流石はカスミさん、姉御肌だぜ。

 

「っていうか、アンタもたまにはメールの一つも返しなさいよ。全然、返事よこさないんだから!」

 

 面倒だぜ! 用がある時は電話でいいんでい!

 

 マサトは俺が怒られるという場面を初めてみたようで驚いているが、この三人で旅をしていた時はいつもこんなもんだったと話すと、改めてカスミさんを尊敬の目で見ている。

 また、大人の女性に見惚れるタケシの耳を引っ張るお家芸も披露し、マサトがいろいろと学習していた。そういえば、アニメでもいつの間にかマサトは耳引っ張り役になっていたな。

 

「そういえば、アンタ最近コンテストに参加してるんでしょ? 今回のコンテストエントリーしておいたから」

 

 なぬ?

 

「丁度みずポケモンもいっぱいいるんだし、面白い演技を期待してるわね」

 

 と、いう訳で、何故かみずポケモンコンテストに出ることになってしまった。

 

 

 

 12歳 ζ月φ日 『やるんだなヒンバス、今ここで!?』

 

 コンテストまで後数日と言われ、誰を出すか考え中のニューサトシである。

 ぶっちゃけ、コンテストと言ってもお祭りのようなものらしい。通常のコンテストと違って、水の中での演技が求められるので、他のコンテストよりもかなり難しいのだが、コンテストとは名ばかりでリボンも出ないからポケモンコーディネーターからはあまり興味の視線を向けられないのだという。しかし、そういうお祭りだからこそいい所を見せたいという気持ちがあった。

 

 俺が出ると聞いて、ハルカも出たいと言い出したのだが、今回のコンテストはみずポケモン限定である。残念ながら、ハルカの連れているルリリは、みずタイプに見えてノーマル・フェアリータイプなので参加は不可だった。

 しかし、カスミさんが特別審査委員権限のごり押しで出場権を獲得している。カスミさん曰く、「ルリリはもう半分みずポケモンみたいなもんなんだからいいのよ」と言っていた。つえぇ。

 

 と、いう訳で、俺とハルカで参加が決定した。ラティが「ラティもでる!」と騒ぎだしたが、みずタイプ限定ではドラゴンタイプのラティは出してやれない。流石のカスミさんも、ルリリはともかく、ラティアスをみずタイプとごり押しするのは難しいだろう。

 それでも「でるでる」泣き叫ぶラティだったが、カスミさんが上手いこと宥めて今回は応援に回って貰うことになった。やはり、ラティの扱いを任せたらカスミさんの右に出る者はいねーぜ。

 

 とりあえず一件落着となったが、すぐにルリリとの練習を始めたハルカに対して、俺は誰を出すかを悩んでいた。

 カメックス、キングラー、ヤドラン、ラプラス、ニョロトノ、ワニノコ、ギャラドス、ヒンバス、ミズゴロウさん、ヘイガニと、みずタイプはかなり豊富だ。そんな中で、一番コンテストで演技を披露するのに相応しいポケモン――

 

 ――と、頭を悩ませていると、ヒンバスが水槽から飛び跳ねた。

 

 まさかと、視線を向けると頷きを返してくる。確かに、今回のコンテストは水の中が主なステージだ。陸上適正のないヒンバスが唯一活躍できるステージとも言える。だが、『こごえるかぜ』と『はねる』しか使えないヒンバスでは高得点は難しいぞ。

 

 しかし、そんなニューサトシの心配など無用と言わんばかりに、ヒンバスの身体が光り出した。まさか、やるんだなヒンバス、今ここで!?

 前回のバトル練習で確かにレベルは上がっていた。とはいえ、今までのみずタイプの法則からしても実戦を経験しないと進化しないと思っていたのだが、まさかここで進化するとは――

 

 ヒンバスが進化し、最上級の美しさを持った慈しみポケモンのミロカロスへと姿を変えた。

 当然、ヒンバスがミロカロスに進化すると知らなかった面々は驚きで固まっている。カスミさんはハルカにみず技の指導をした体勢で、ハルカはルリリに技を指示する体勢で、マサトとタケシは昼食の準備をしながら、唯一動いているのは気にしていないラティだけだった。

 

 ミロカロスへ進化したことで陸上適正を獲得した上、これまで未完成だった『れいとうビーム』やレベル技もいくつか覚えている。うむ、これなら文句なく一位を狙えるぞ。

 

 よしよしとミロカロスを撫でていると、再起動した面々がこちらに突撃してきた。

 どうした何を騒いでいるのかね。まさか、ヒンバスがミロカロスに進化するのを知らなかったとでもいうのかい? おいおい、新人のハルカや子供のマサトならともかく、タケシ君はポケモンブリーダーを目指しているんだろう? あれあれ、みずポケモンのジムリーダーさんもまさか知らなかったんですかぁ? おかしいなぁ、ヒンバスがミロカロスに進化するなんて、コイキングがギャラドスに進化するくらいの常識ですよ。

 

 と、煽りに煽ってやると、カスミさんのビンタが飛んできた。イテェ!

 

 仕方ないので、ヒンバスがミロカロスに進化する方法を教えてやる。ポロックで美しさを極限まで上げてからレベルを上げるか、きれいなウロコを持たせて通信交換することで、ヒンバスはミロカロスへと進化するのだ。

 

「そして、これがそのきれいなウロコです」

 

 と、実物を見せてやると、よこせと言わんばかりにカスミさんとハルカが飛びかかってきた。

 残念、残像だ。ニューサトシがそう簡単に捕まるはずもなく、突如無限鬼ごっこ編が始まる。

 

 っていうか、お前らヒンバスも捕まえていないのにウロコだけ持ってどうするつもりだ?

 と、思ったが、どうやらもうきれいなウロコを入手することしか考えられないようで、ヤバい目でニューサトシを襲い続けている。

 

 結局、日が暮れて二人の体力が尽きるまで鬼ごっこは続いた。コンテストの練習は何も出来なかった。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・第42話『バルビートとイルミーゼ! 愛のダンス!』より、ニューサトシが原作の話だと気付いた。
 普段は意識していないので、これがアニメの話かどうかは気にしていないが、名前がまんま過ぎて流石に気付いた。こういう時はロケット団が活躍するイメージ。

・ラティのコンテスト調整をしている。
 やると決めたら本気である。優勝を目指すために出来ることをやらせていた。

・ミズゴロウさんにヒンバスの相手を任せた。
 メンタルケアの一環。ミズゴロウさんも気付いているが、任された以上は全力でヒンバスにバトルを教えている。天才は教え方もお上手だった。

・第43話『飛べ、タツベイ! 明日に向かって!!』より、ヘイガニが負けた。
 野良バトルでは負ける時もある。その都度、どこが悪かったかをニューサトシが説明している。

・ヒロシ君と再会した。
 テッセンでライコウメカを壊し、原作イベントをこなしていた。ホウエンリーグに出場するためにジム巡り中。

・レオンをボコボコにした。
 前々から練習していた『アイアンテール』で地中にいる相手に攻撃する技術を習得した。地味に穴の中にいる相手がどこにいるか狙うのが難しかった。

・第44話『カスミ登場! トゲピーと幻の王国!!』より、カスミさんがトゲピーを持っていないので内容がカットされた。
 ニューサトシのトゲ様は既にトゲキッスまで進化しているので、トゲピー祭りに招待されなかった。よって、原作のイベントは全てカットである。

・第45話『蜃気楼の彼方に! トゲピーの楽園!』より、前回の内容がカットされたので当然カットされた。
 トゲ様とバイバイするカスミさんなどこの小説にはいない。

・トゲ様イベントの代わりに、みずポケモンの非公式コンテストにカスミさんが招待された。
 穴埋めイベント。何故か、ニューサトシがコンテストに参加させられることになった。

・ヒンバスが進化した。
 練習中だった『れいとうビーム』まで覚えた。みずポケモンコンテストにはミロカロスで出ることを決めた。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.60

 ピジョット Lv.55

 バタフリー Lv.55

 ドサイドン Lv.59

 フシギダネ Lv.56

 リザードン Lv.61

 カメックス Lv.57

 キングラー Lv.55

 カモネギ  Lv.55

 エビワラー Lv.57

 ゲンガー  Lv.57

 オコリザル Lv.56

 イーブイ  Lv.55

 ベトベトン Lv.55

 ジバコイル Lv.55

 ケンタロス Lv.55

 ヤドラン  Lv.54

 ハッサム  Lv.56

 トゲキッス Lv.53

 プテラ   Lv.56

 ラプラス  Lv.54

 ミュウツー Lv.72

 バリヤード Lv.55

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.54

 カビゴン  Lv.52

 ニョロトノ Lv.52

 ヘラクロス Lv.52

 メガニウム Lv.51

 マグマラシ Lv.51

 ラティアス Lv.46

 ヘルガー  Lv.51

 ワニノコ  Lv.51

 ヨルノズク(色違い) Lv.51

 カイロス(部分色違い) Lv.51

 ウソッキー Lv.51

 バンギラス Lv.58

 ゴマゾウ  Lv.47

 ギャラドス(色違い) Lv.49

 ヒンバス→ミロカロス Lv.1→5 

 ミズゴロウ Lv.32→33

 スバメ   Lv.31→32

 ジュプトル Lv.32→33

 ヘイガニ  Lv.31→32




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#122 『いつの間にか克服していたらしい』

 12歳 ζ月χ日 『コンテストの新しい一面』

 

 もう明日が本番ということで、プールを借りてミロカロスと水中演技の練習をしているのだが、ヒンバスの時から愛情をたっぷり注がれて育ったミロカロスは自分に自信を持っていた。その自信がミロカロスの魅力を『ただそこにいるだけ』で目立たせている。

 特性が夢特性の『メロメロボディ』ということもあるかもしれないが、美しさが最大なこともあって、一つ一つの動作が気品に溢れていた。まだまだ技の魅せ方こそ未熟だが、ポケモンの魅力は技だけで表すものではないということがミロカロスを見ていると良くわかる。

 

 俺は今まで技だけでポケモンの魅力を表現しようとしていた。それは、技に絶対の自信があったからだし、実際それでバタフリーは結果を出している。

 しかし、今回はミロカロスの美しさを際立たせるプランを考えていくことにした。ミロカロスの美しさがあれば、技だけではなく、水の中での動きなどでもアピールポイントを稼げると思ったのだ。

 

 そうだ、使えるものは何でも使ってアピールをする。コンテストの一次審査で技だけしか使わないというのは、ポケモンバトルでいう交代なしと同義だ。

 ちょっと前回一次審査でいい結果を出したからと言って、コンテストをわかっていた気になっていた。そうだ、俺もまだまだ初心者なのだ。こうして、ポケモンと練習することで改めて見えてくるものもある。

 

 しっかし、ついこの間までコンテストを止めようと思っていたのになぁ。まさか、流されて参加することになったコンテストの練習で、また新しい一面を理解することになるとは思わなかった。けど、だからポケモンは面白いんだよなぁ。

 

 

 

 12歳 ζ月φ日 『みずポケモン限定水中コンテストという名の水着回』

 

 遂に本番がやってきた。出来うる限りの事前練習はしたが、ハルカがガッチガチに緊張しているので、釣られてルリリまで尻尾が四角くなってしまっている。

 仕方ないので、二度目の幸平式緊張ほぐし術でパチーンと叩いてやると、「前回より痛いんですけど!」と怒り出した。ハルカがいつもの調子を取り戻したことで、ルリリもホッとしたように尻尾を丸くしている。

 

 みずポケモン限定コンテストの参加者は、俺達を含めてもたった7名だった。

 なので、基本的には一次審査のみで優劣をつけるらしい。バトルがないと聞いて、ハルカがちょっとホッとしていた。まぁ、ハルカも頑張ってはいるが、まだバトルの腕前は初心者から初級者の間くらいだからな。

 

 今回の審査員は、この街の村長とジョーイさん、スペシャルゲストのカスミさんだけだった。

 どうやら、今回は公式のコンテストではないからか、大会運営やスキゾーも来ていないらしい。おまけに、司会も地元の人がやっている。ビビアン以外が司会をしているのは、何というか違和感があるな。

 

 と、まぁ、そんなことを考えていると、ゲストとしてカスミさんの名前が呼ばれ、会場の電気が消える。

 

 なんぞこれはと思っていると、水中にライトが集中し、ギャラドスが水面から飛び出してきた。頭の上にはカスミさんが乗っているので、どうもカスミさんのギャラドスのようだ。

 そういや、みずポケモンマスターを目指しておきながら、カスミさんはギャラドスが苦手だったような記憶があったのだが、いつの間にか克服していたらしい。

 

 そのまま見ていると、空中に投げられた輪にギャラドスが『かえんほうしゃ』で炎をつけ、『フラッシュ』で光るスターミーがその輪をくぐっていく。

 また、パルシェンの『つららばり』を、サニーゴが『とげキャノン』で破壊することで、空中から氷の粉が奇麗に舞っていた。他にも、水中から飛び出したキングドラが『りゅうのいぶき』で空中に光る文字を書いている。ってか、いつの間にかシードラがキングドラに進化してるじゃねーか。

 

 最終的には、ライトが消えて室内が一瞬暗くなった後、電気が着くとプール側で演技をしていたポケモン達と水着姿のカスミさんがポーズを決めていた。何にもしていないはずのコダックまでちゃっかりポーズを決めてやがる。

 

 しっかし、即興演技とは思えない出来だな。

 

 ゲストとしては粋な計らいということで、素晴らしい演技を見せてくれたカスミさんに会場中から盛大な拍手が送られる。

 確かに凄いが、おかげで後ろにいる俺達にはかなりのプレッシャーだ。おまけに、「今日はこんな演技、目じゃないくらいの凄いものが見られるわよー!」と、カスミさんがハードルを上げに上げていた。

 

 流石に実家がショーをやっていただけあって、場の盛り上げ方をわかっていらっしゃる。

 会場の盛り上がりに比例して、俺達には相応のプレッシャーがかかってくるが、喉元過ぎれば何とやらで、緊張もある一定を超えるともう感覚が麻痺してきたのか、ハルカも特に緊張した様子は見せていなかった。

 

 いい具合に場が盛り上がると同時に、コンテストのスタートが宣言される。

 

 先程も少し書いたが参加者は全7名で、ハルカが5人目、カスミさんの罠によって何故か俺はトリだ。

 どうもカスミさんは俺になら何をしても大丈夫という謎の信頼を持っているようだが、ニューサトシも万能ではないので出来ないことだってあるとわかっているのだろうか?

 

 可愛い子には旅をさせよとは良く言うが、一歩間違えば事故だって普通に有り得るんですけど!

 

 と、まぁ、そんなことを思いながら先に演技する奴らをモニターで見ていたのだが、今回のコンテスト出場者はかなりレベルが高いようで、誰も彼も素晴らしい演技を見せている。

 参加者が少ない分はレベルの高さでカバーしようということだろうか。まぁハルカのように勢いで参加を決めでもしない限り、自分に自信がある奴しかこんなコンテストに参加しようとは思わないよな。

 

 ふと、ハルカの様子を見ると、今までの緊張した素振りは何だったんだと思わせるくらいの勢いでモニターをジッと見つめていた。レベルの高い演技を一つでも自分の物にするため、貪欲に他の人の技術を吸収しようとしている。

 そういえば俺にもあったなぁ。こんな風に、少しでも早く一人前のトレーナーになりたくて、ひたすらにバトルのことを調べまくっていた時期が(9歳の頃である)。

 

 と、少し昔を懐かしんでいると、無事に前4人の演技が終わり、遂にハルカの番がやってきた。

 

 ルリリをボールに戻すと、この日のために購入したというおニューの水着に着替えて突撃していく。

 ハルカがステージに立つとライトが照らされ、会場中が期待の視線を送ってきた。とはいえ、ポケモンコンテストなので、主役はポケモンだ。ハルカがポーズを決めながら、モンスターボールを構える。

 

 司会の合図と同時に、ハルカがボールを投げた。出てきたのは当然、ルリリである。

 

 ルリリも自分の魅力を精一杯アピールしようと、着地しながら可愛くポーズを決めていた。

 そのまま、二人仲良く水中にダイブしていく。練習はたった数日だったが、本当にコンテスト二回目の初心者かと疑うくらい、ハルカは堂々とした演技をしていた。

 

 正直、カスミさんが会場を盛り上げ過ぎていたので、場の空気に飲まれないか少し心配していたのだが、そんな心配は無用だったらしい。

 

 やはり、ハルカも何だかんだポケモンコーディネーターとしての素質があるのかもしれないな。

 ルリリの魅力を少しでも伝えようと、自分に出来る演技を一生懸命している。客観的に見れば、ハルカの演技は他の参加者に比べると少し見劣りするだろう。しかし、その真剣さは、他の参加者にはない初心を思い返させてくれた。

 

 何というか、見ていて気持ちのいい演技なのだ。見ている側を、もっと頑張ろうという気持ちにさせてくれる。

 これも一種の才能かもしれない。

 ハルカがルリリと共にフィニッシュを決めると、会場中から拍手が送られた。俺も惜しみない拍手を送る。水中であれだけ動けば疲れて呼吸は荒くなるだろう。しかし、ハルカはそんな疲れを欠片も見せないように、気合で呼吸を整えている。プロ根性だ。

 

 控室に戻ってきたハルカは、もう歩けないとばかりに椅子に座りこんでしまった。

 無理に呼吸を整えた反動で過呼吸になりそうだったので、酸素スプレーを当てて落ち着かせる。正直、俺はハルカがここまでやるとは思っていなかった。

 いくら数日ルリリと練習したと言っても完全な付け焼刃だ。特に、ハルカは普通の演技すらまだ練習段階なのに、水中演技は初めてで手探り状態である。

 多分、カスミさんも少しでもコンテストの経験になればいいなくらいの気持ちだっただろう。だが、ハルカはこの場を本当のコンテストだと考えて、自分に出来る限界にトライしたのだ。

 

 こんな演技を見せられて燃えない奴は、ポケモンコーディネーター失格である。俺はトレーナーとコーディネーターの二足わらじだが、それでもここまで頑張ったハルカに負けない演技をしたいと思わされた。

 

 人の心を動かす演技が出来る。

 

 それは、紛れもない才能だ。

 

 前回、シュウに負けたことで、ハルカはコーディネーターとしての素質を開花させつつあったが、その花が開いた瞬間を見ることが出来たような気がした。

 

 ハルカに続き、次の奴の審査が終わると、遂にニューサトシの番がやってくる。

 

 気合は十分だった。ミロカロスが入ったボールを手に会場へ向かう。さぁ、ショーの始まりだぜ。

 司会の合図と共に、ボールを投げる。中から出てきたのは当然、ミロカロスだ。美しさを最大まで上げたミロカロスが海に飛び込む姿は観客を魅了し、俺も少し高くジャンプして水中に飛び込んでいく。

 

 しかし、俺が水中に入ることはなかった。泳ぐミロカロスが俺を背に乗せると、そのまま観客席に向かって泳ぎながらアピールしていく。

 俺もまた、「レディースエーンジェントールメーン!!」と声を上げた。本来、コンテスト中に会場に声をかけるようなことはないだろう。だが、これはコンテストとはいえ、半分はイベントである。

 

 言ってしまえばお祭りだ。

 

 なら、多少の無茶はご愛敬ということで、観客を盛り上げるという方向にシフトする。

 まぁ、やることは先程書いた通り、ショーみたいなものだ。カスミさんが開幕でやったのも実家のショーでやったことの応用だろうし、見ている側も盛り上がるのでショーは悪い選択肢ではない。

 

 練習してきた演技をしつつ、会場を沸かせるパフォーマンスも取り入れていく。

 

 ふと、審査委員席を見ると、カスミさんが、「やってくれたわね」と言って、小さく笑みを浮かべていた。

 とはいえ、これは開幕であれだけハードルを上げたカスミさんと、俺を熱くさせたハルカが悪い。二人が焚き付けなければ、俺だってこんなことしようとは思わなかっただろう。

 

 昨日までの成果もしっかりアピールし、今の俺達に出来る最高の演技を見せていく。ショーの流れ自体は、今さっき思いついたばかりの即興だが、ミロカロスも良くついて来てくれていた。

 

 基本は昨日考えた通り、ミロカロスの魅力を全面的にアピールである。急遽、ショーという形に移行はしたが、その基本だけはブレさせずにアピールを続けた。

 

 ハルカのように見ている人の気持ちを盛り上げるようなことは出来ないが、場を沸かせるということにおいて、ニューサトシの右に出る奴はいないと自負している。

 そして、会場中が楽しいという気持ちに包まれれば、当然演じている俺達も自然と楽しくなるものだ。楽しいという気持ちは笑顔を作り、それがまたミロカロスの魅力を引き出してくれる。

 

 最後のフィニッシュまでしっかり決めると、会場中から拍手が送られた。

 

 だが、いくらミロカロスのポテンシャルが凄くても、まだコーディネーターとして未熟な俺では、その力を完全には引き出し切れなかったらしい。

 

 結局、優勝は名も知らぬコーディネーターのお姉さんになってしまった。また非公式のコンテスト故、リボンではなくメダルが授与されている。

 俺もハルカも頑張ったが、少し及ばなかったらしい。とはいえ、これは地力の差だ。もし、二次審査でバトルがあれば、また優勝者は変わっていたかもしれないが、それでも俺達が優勝することはなかっただろう。

 

 しかし、会場のお客さんは満足してくれたようだし、ひと先ずは成功と言っていいはずだ。

 

 閉会式が終わり、観客席にいたタケシ達が控室に顔を出すと、「お疲れさん」と声をかけられた。それだけなら問題なかったのだが、優勝者したお姉さんがこちらに声をかけてくると、タケシがいつものように目をハートにして求愛している。

 まだカスミさんが帰ってきていないのでどうするかと思っていると、マサトがカスミさん直伝の耳引っ張りでタケシの奇行をブロックしていた。どうやら無事に習得したらしい。

 

 ラティも、妹分のミロカロスが素晴らしい演技をしたということで、大喜びで頭を撫でてあげていた。ミロカロスも褒められて恥ずかしそうにしている。可愛い奴だぜ。

 

 少しして、お偉いさん達との話を終えたカスミさんが合流すると、特別賞としてカスミさんがハルカに何かをプレゼントしていた。

 おいおい、ニューサトシには何かねぇのかよとも思ったが、「むしろ、きれいなウロコ寄こしなさいよ」と言わんばかりのジト目を貰ったので、そそくさと逃げ帰っている。

 

 さて、気を取り直して、次の街に行こうか――と、思ったのだが、どうやらカスミさんはそろそろジムを開けなければいけないということで、カントーに帰るらしい。また時間を作ってこっちに来ると言っていたので、いずれどこかで会えることもあるだろう。

 

 まぁ、今回俺はホウエンリーグに出る予定がないので、もしかしたら俺がカントーに戻る方が速いかもしれないけどな。

 

 

 追記。どうやら、ハルカはカスミさんからポケモンにつける用のリボンを貰ったようで、今回頑張ってくれたルリリの尻尾につけている。カスミさんはみずポケ好きだし、ルリリも喜んでいるしでいいかんじーだった。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・コンテストの新たな一面を理解した。
 わかっていたつもりでも、実際やってみて初めてわかることもある。

・カスミさんがギャラドスをゲットしていた。
 詳しくはアニメの放送局第二話を見よう。

・ハルカが才能を目覚めさせた。
 独自解釈。まだAG編ではコンテストがそこまで詳しく描写されていないので、ヒカリやセレナ程努力描写が多くない。ので、天才キャラにして誤魔化している。実際、アニメだとコンテスト殆ど勝つのでハルカは天才型でも問題ないと判断した。

・優勝は出来なかった。
 そう簡単に勝てれば世の中苦労はない。

・ハルカのルリリがカスミさんからリボンを貰った。
 ピンクの可愛いリボンである。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.60

 ピジョット Lv.55

 バタフリー Lv.55

 ドサイドン Lv.59

 フシギダネ Lv.56

 リザードン Lv.61

 カメックス Lv.57

 キングラー Lv.55

 カモネギ  Lv.55

 エビワラー Lv.57

 ゲンガー  Lv.57

 オコリザル Lv.56

 イーブイ  Lv.55

 ベトベトン Lv.55

 ジバコイル Lv.55

 ケンタロス Lv.55

 ヤドラン  Lv.54

 ハッサム  Lv.56

 トゲキッス Lv.53

 プテラ   Lv.56

 ラプラス  Lv.54

 ミュウツー Lv.72

 バリヤード Lv.55

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.54

 カビゴン  Lv.52

 ニョロトノ Lv.52

 ヘラクロス Lv.52

 メガニウム Lv.51

 マグマラシ Lv.51

 ラティアス Lv.46

 ヘルガー  Lv.51

 ワニノコ  Lv.51

 ヨルノズク(色違い) Lv.51

 カイロス(部分色違い) Lv.51

 ウソッキー Lv.51

 バンギラス Lv.58

 ゴマゾウ  Lv.47

 ギャラドス(色違い) Lv.49

 ミロカロス Lv.5 

 ミズゴロウ Lv.33

 スバメ   Lv.32

 ジュプトル Lv.33

 ヘイガニ  Lv.32




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#123 『ピタゴラスイッチじゃねーんだぞ』

 12歳 ζ月ω日 『七夜の願い星っぽい』

 

 1000年に一度、七日間だけ夜空に現れるらしい千年彗星が見られるとかいう話を聞いて、近くにあるポケモン遊園地を目指すことになった。ラティが遊園地と聞いてとても嬉しそうにしている。

 最初は、「へぇ、そんな彗星があるのかぁ」くらいの認識だったのだが、いろいろ話をしながら歩いている内に、もう薄れつつあるアニポケ知識が警戒音を鳴らしてきた。

 

 そういえば、ジラーチの映画が確かそんな導入だったような――と、思い出した時点で、既に遅いことに気付く。やばい、ホウエン初の劇場版ルートに突入したかもしれん。

 

 映画ポケットモンスターの六作品目(AG編では一作品目)である『七夜の願い星 ジラーチ』は、マサトが七日間、ジラーチのお世話係になって、そのジラーチを狙う奴と云々かんぬんする話だ。

 ぶっちゃけ、水の都以降の映画の内容はもうざっくりとしか覚えていない。確か、悪役がジラーチを利用してグラードンを蘇らせようとしたが、姿だけ似た化け物が生まれて大騒ぎする話だったような記憶はある。

 

 とりあえず、ジラーチを守れば問題ないと思うのだが、もう悪役の顔すらまともに覚えていないのが問題だった。

ジョウトくらいまでの映画はある程度覚えているのだが、AGから先のポケモン映画はもう全部の内容ふんわりとしか覚えてねぇんですわ。

 

 正直、毎度お馴染み伝説に関わりたくない病が発症しているので、本当は全く関わりたくないのだが、既に出発している上に俺以外が全員行く気満々である。おまけに、この映画の主役はマサトだったはずなのでどうやってもジラーチとは対面しそうだった。

 

 元気いっぱいに歩くラティに連れられ、休憩も取らずに真っすぐ遊園地を目指していたのだが、目的の場所は遊園地どころか建物一つない。

 またタケシの迷子かとも思ったが、ポケナビを確認しても場所は間違っていなかった。ラティが「ない!」と言って、悲しそうな顔をしていたが、ないものは仕方ないということで、夜も遅いし今日はここをキャンプ地とする。

 

 そのまま飯を食ってグースカ眠っていたのだが、真夜中にいきなり工事用のトラックが山のように現れて、その場で何かを建築し出した。

 なんぞと思いながら見ていると、俺達が行くはずだった遊園地がおよそ数時間ほどで作られてしまったではないか。どうすればこんな短時間で遊園地が出来るんだよ、おかしいだろ。

 

 キモリの時のトトロ現象もそうだが、物理法則を無視して何かするのは怖いのでマジでやめて欲しい。

 

 

 

 12歳 η月α日 『七夜の願い星 一日目』

 

 出来てしまったものは仕方ないということで、遊園地をエンジョイすることになったのだが、一番人気というマジックショーを見ていると、マサトが「声が聞こえる」と言って、フラフラと導かれるようにステージに向かって走り出してしまった。

 見れば、ステージに立っている女優さんが大きな石のようなものを持っている。おそらくあれがジラーチなのだろう。

 

 ハルカがマサトを止めるために一緒にステージに上がってしまったが、演者さんの機転によって脱出ショーのゲストとして扱って貰っていた。

 そのままショーの演出で上手くステージからは脱出させてもらい、とりあえずショーを滅茶苦茶にして怒られるということはなくなっている。

 

 ショーが終わった後、演者であるバトラーとダイアンの二人に話を聞きに行くと、やはりこの石というか結晶みたいなものがジラーチのようで、映画通りマサトがお世話役になってしまったらしい。

 バトラーからジラーチを預けられたマサトは嬉しそうにお世話をすると意気込んでいるが、七日間しか一緒にいられないポケモンのお世話など俺からすれば地獄としか思えなかった。

 

 とりあえず、「後悔するなよ」とだけ言っておく。本人は首を傾げているが、まぁいずれわかるだろう。

 

 そのまま、また遊園地内を回っていると、ハルカが良くわからない露店の悪徳商法にハマっていた。

 見れば、星形のウィッシュメーカーなるものを売りつけられているようで、この千年彗星が出ている一夜を過ごす毎に星の爪を折りたたんでいき、全部折りたたむと願いが叶うとかいうありきたりな謳い文句に騙されている。

 

 そんな簡単に願いが叶えば苦労はないと思うが、まぁ本人が買って満足しているなら問題はないだろう。

 ラティも同じものを欲しがったが、流石に金の無駄なので「ハルカと一緒にお願いしな」と言って上手く誤魔化している。

 

 マサトはポケモンのタマゴでもそこまでやらないと思うくらいに結晶を抱きかかえており、いつジラーチが目覚めても大丈夫なように構えていた。

 ぶっちゃけ、そんな気を張っていたら疲れるだろうとも思ったが、案の定夜になると早い時間に寝落ちしている。バトラー曰く、ジラーチが目覚めるのは今日かららしいが、この分だとマサトとの対面は明日になるかもしれないな。

 

 と、思っていると、おもむろにジラーチの結晶が光り出した。おまけに俺達にも声のようなものが聞こえてきて、流石にマサトも飛び起きている。

 

 様子を見ていると、結晶がジラーチに変化した。

 マサトが大喜びでジラーチを抱きかかえている。

 

 騒ぎを聞きつけたバトラーとダイアンが近くに来ると、マサトが自慢げにジラーチを見せていた。

 バトラーとダイアンの提案で、とりあえず彼らの車で様子を見ることになったのだが、その間にマサトがジラーチに「お菓子がいっぱい欲しい」というお願いをしている。

 

 そういえばジラーチはどんな願い事でも叶えてくれるポケモンだったっけか――と、思っていると、次々にお菓子が出てきて車内がお菓子でいっぱいになってしまった。

 それを見たハルカやタケシが次は自分の願いを叶えて欲しいとジラーチに詰め寄るが、それより先に車がお菓子でいっぱいになってドアからお菓子が溢れ出している。俺達もお菓子の波に攫われて車の外に押し出されてしまった。

 

 再び騒ぎを聞きつけてバトラーとダイアンがやってくると、どうもこのお菓子は遊園地の売り物のようで、ジラーチには物質を転送する力があると話している。

 

 言われてみれば、ゼロから作ったにしては包装されているし、パッケージに文字も書いてあった。

 ゲームやポケスペだと何でも願いが叶うので、てっきりアニポケもそうだと思っていたが、どうやらアニポケでは何でも願いが叶うのは強すぎるのでナーフをくらっているらしい。

 

 それでも、物質を転送するというのはヤバい能力だ。ハルカがお菓子を元に戻すようにジラーチを叱っているが、ジラーチは元に戻すしか聞こえなかったようでハルカをお菓子の海の中へと戻している。

 人間も転送可能ということは、もし仮に「過去に戻りたい」などと願えば、時間を超えて過去へ人間を転送することも可能かもしれないな。いや、する気は欠片もないが。

 

 とりあえず、力を使って疲れたのか、ジラーチが眠ってしまったので、俺達でお菓子を売店に返しに行った。

 売店の人には怒られたが、ポケモンの力が暴走してしまったと話すと仕方ないということで何とか許してもらっている。しかし、迂闊に使うとどうなるかわからない力だ。悪役に捕まらないように気を張っていないとな。

 

 

 

 12歳 η月β日 『七夜の願い星 二日目』

 

 マサトがジラーチと順調に絆を深めている中、俺は悪役が誰かの推測をしていた。

 ぶっちゃけ、バトラーとダイアンくらいしかジラーチのことを知っている奴はいないので、おそらくこの二人のどちらか、もしくは両方がジラーチを狙っている悪役だろう。

 

 そもそも、ジラーチの結晶を持っていたのは彼らなのだ。ジラーチの力を狙ってのことなのは火を見るよりも明らかである。

 

 と、いうことで、遊びながらジラーチに敵が近寄らないか様子を見ていたのだが、野生のアブソルが急に俺達に襲い掛かっていた。

 即座に対応しようとしたのだが、ジラーチが『仲間』と訴えるので、戦うのは止めにして様子を見ている。結局はバトラーの罠にかかってしまったが、この問答無用なやり方を見るに、やはりバトラーは悪役のようだな。

 

 後でアブソルも助けてやろう――と、思いながらその日は就寝すると、全員が寝静まった頃にバトラーがマサトの腕の中で眠るジラーチを奪おうとしていたので電撃で阻止してやった。

 

 聞けば、やはりジラーチの力を悪事に使おうとしていたようで、千年彗星のエネルギーを利用して過去のグラードンを現代に蘇らせようとしているらしい。

 ぶっちゃけ、そんなことをしなくてもいずれグラードンはカイオーガと一緒に蘇ると思うのだが、どうも周りが見えていないようで、恋人のダイアンが「こんなことはもう止めて!」と、声をかけても無視してジラーチを奪おうとしてくる。

 

 うーむ、どうもダイアンは敵では無さそうだな。

 

 とりあえず、捕まっていたアブソルを助けて、一旦逃げることにした。正直映画案件に気付いたのが遅かったので、今の手持ちのメインはホウエンメンバーなのでちょっと心もとないし、ここは向こうのフィールドなので罠がある可能性もある。

 まぁ、ミュウツーがいるので特に問題ないとは思うが、グラードンもどきの巨大生物を蘇らせても面倒なだけなのでやはり向こうの目的は妨害するに限るだろう。

 

 バトラーの悪事についていけなくなったということで、こちら側についたダイアンの車でこの場を離脱すると、彼女の提案でジラーチを元居た場所に返そうという話になった。

 聞けば、ファウンスなる地域で、ジラーチは発見されたようで本来ならばそこがジラーチの住処らしい。アブソルもジラーチをそこに連れて行こうとしていたのだろう。ただ、ここからだと車で約4~5日はかかるということで、ジラーチの眠りの期間的にはギリギリである。

 

 だが、マサトが故郷に返してあげたいというので、その意見を尊重して連れて行くことにした。

 

 バトラーがこのまま黙ってみているとは思えないので、おそらくどこかで介入があると思うが、何とかジラーチを守り抜いて再び眠りにつかせてやるのが俺達の仕事だろう。

 

 

 

 12歳 η月γ日 『七夜の願い星 三日目』

 

 今の所、バトラーの追撃の手はない。マサトもジラーチと一緒に笑い合っている。

 

 

 

 12歳 η月δ日 『七夜の願い星 四日目』

 

 今日もバトラーの追撃はない。しかし、マサトもようやくジラーチと一緒にいられる時間が残り僅かだと気付いてきたようで、表情に少し陰りが出てきた。

 

 

 

 12歳 η月ε日 『七夜の願い星 五日目』

 

 ハルカがウィッシュメーカーの爪を折っていると、マサトがハルカに八つ当たりをしていた。明確に別れの日が近づいているのがわかって怖くなってきたのだろう。

 正直、こうなることはわかっていた。七日だけ目を覚ましてまた1000年の眠りにつく。俺達からすれば永遠の別れも同じだ。だからこそ、七日間だけしか一緒にいられないポケモンの世話など地獄のようなものだと言ったのである。

 

 だが、一度引き受けた以上は、再び眠りにつかせてやるのがマサトの役割だ。

 

 確かに別れは辛いかもしれない。しかし、ジラーチと一緒に過ごした日々は楽しいものだったはずだ。

 マサトが辛いと感じるだけ楽しいこともあった。ジラーチもまたマサトと一緒に過ごした日々は楽しいものだったはずだ。けど、マサトが辛そうな顔をすれば、ジラーチもまた辛くなる。

 

 俺達に出来るのは、この笑顔のままジラーチを送り出してやることだけだ。子供のマサトには辛いだろうが、残された時間いっぱいジラーチと楽しく過ごして、笑顔で未来へ送ってやらなくてはいけない。少なくとも、俺はそう思うぜ。

 

 

 

 12歳 η月ζ日 『七夜の願い星 六日目』

 

 後一日でジラーチともお別れである。今の所、バトラーの襲撃はないので、おそらく明日仕掛けてくるつもりなのだろう。

 マサトは寝る時間も惜しんでジラーチと話をしている。だが、今寝ておかないと明日が辛くなるので、ハルカが寝るように声をかけていた。

 

 マサトは「今日くらいいいじゃないか」というが、大切なのは明日である。結局、ハルカの子守歌に導かれるようにマサトとジラーチは眠りに入った。

 

 しっかし、前にも何回か聞いたが、ハルカは結構歌がうまいな。

 

 

 

 12歳 η月η日 『七夜の願い星 七日目』

 

 アブソルの道案内で、ファウンスにあるジラーチの住処を目指していると、野生のフライゴンが顔を出してきた。

 そういえば、フライゴン先輩は映画の中でも大活躍だったような記憶がある。何故、手持ちにしなかったんだというくらいサトシ君に従ってくれていたはずだ。もし、俺と一緒に戦ってくれるなら仲間にならないか後で聞いてみよう。

 

 そんなこんなでジラーチの住処に来ると、マサトがジラーチを返すことを嫌がった。

 やはり別れるのが嫌なようで、「こんな思いするなら、逢わなきゃ良かった」と、涙を流している。しかし、無情にも千年彗星はジラーチを呼んでいた。

 

 ジラーチの腹にある第三の目が開く。

 

 どうも、この目の力で千年彗星のエネルギーを大地に流して自然を豊かにするらしい。そうやって、ジラーチはこの場所を育ててきたのだとダイアンが話していた。

 

 つまり、これが終わればジラーチは眠りにつく。

 

 と、言うことは、襲うならもうここしかないということなのだが、どこを見てもバトラーらしき人物の姿は見えなかった。どういうことだと首を傾げていると、岩場につけられた杭のようなものから出た光がジラーチを包み、千年彗星のエネルギーを別の場所へと転送している。

 

 罠か――と、思ってミュウツーを出すと同時に、バトラーが姿を現した。

 

 即座にミュウツーをけしかけようとしたが、どうやら『テレポート』を阻害するバリアを張っているようで転移が出来ない。

 ならば力づくで――とも思ったが、その瞬間バトラーが手持ちのキルリア、グラエナ、サマヨールを出してミュウツーにけしかけてきた。

 

 ぶっちゃけ、対処するのには一分もかからないが、今はその一分が問題である。

 

 ミュウツーが三体を倒し終えると同時に、アブソルとフライゴンが罠を壊してくれたのだが、既にバトラーはジラーチを空中にある変な装置に繋げていた。

 すぐにミュウツーと共にバトラーの下へとテレポートするも、バトラーはボーマンダでこちらに襲い掛かってくる。どうやら、グラードン復活の時間を死ぬ気で稼ぐつもりのようだ。

 

 付き合うつもりは毛頭ないので、対処をミュウツーに任せてそのままジラーチを助けようとしたのだが、タイミング悪くミュウツーがブッ飛ばしたボーマンダが柱のようなものにぶつかった衝撃で足場が揺れ、俺の体が装置から振り落とされてしまった。

 

 バカ野郎! ピタゴラスイッチじゃねーんだぞ。無駄なタイムロスさせるんじゃねーよ!

 

 いや、踏ん張り切れなかった俺も悪い。何やってんだ俺――と、思っていると、横からマサトを乗せたフライゴン先輩が俺を空中でキャッチしてくれている。すまない、フライゴン先輩。

 

 どうやらラティもラティアスの姿に戻って空に上がってきたようなので、俺はラティの背中に乗せて貰い、改めてジラーチの救出に向かった。

 だが、ジラーチを救出しても、タイムロスが響いて最低限のエネルギーは溜まってしまったらしく、地面が隆起してグラードンによく似た怪物が復活している。

 

 当然、本物のグラードンではなく、グラードンによく似た別の生命体だ。歩くだけで植物を枯らし、爪や背中から触手のようなものを飛ばして近くにいるポケモンを手当たり次第に吸収していた。まるで、もののけ姫のデイダラボッチである。

 

 危険なのでその場を離脱しようとしたが、アブソル、ハルカ、タケシがグラードン擬きに吸収されてしまった。

 化け物を作った当の本人は、こんなはずじゃなかったと言わんばかりの表情をしている。そのまま触手に吸収されそうになるが、ダイアンが身代わりになることで助かっていた。

 

 俺達もその場を一時離脱するが、ラティが人を乗せて飛ぶのに慣れて無さ過ぎて触手に捕まりそうになる。

 慌ててミュウツーの『テレポート』で距離を取ったが、これではどうしようもないので、再びフライゴン先輩の助けを借りることにした。

 

 さて、どうするか。

 

 ミュウツーの力なら、あの化け物をぶっ飛ばすことも不可能ではないと思うが、あれだけの巨体をどうにかしようとするならば力を貯める必要があるだろう。

 視線を向けると、ミュウツーは指を二つ立てた。

 二分か――現実的に考えてかなり厳しい数字だが、どうにかするしかない。今、こちらで動けるのはラティとフライゴンだ。もしかしたらスバメも行けるかもしれないが、他はあの触手の範囲攻撃をくらえば避けられないだろう。

 

 恋人が吸収されたことで正気に戻ったのか、ボーマンダに乗ったバトラーが俺達の近くに来ると、ジラーチの力を貸して欲しいと訴えてきた。

 ぶっちゃけ信じる要素は欠片もないが、ジラーチがバトラーのダイアンを助けたい気持ちは本物だと訴えてきたので好きにさせることにする。

 

 聞けば、バトラーの装置にジラーチをセットし、逆転させて作動させればあのグラードン擬きのエネルギーを放出させることが出来るということだった。

 だからそれまで時間を稼いでくれと言われたが、どうもわかっていないようなのではっきり言ってやる。ジラーチが信じても俺はお前を信じられない。ので、そっちはそっちで好きに行動しろ。こっちはこっちで好きにやる。

 

 悪いが、こいつを信じるだけの器量が俺にはなかった。ミュウツーも同意見のようで、俺側だ。マサトはジラーチと離れないようなので向こう側、ラティは迷った末に俺側にやってきた。

 

 フライゴン先輩は俺と一緒に来てくれるようで、マサトとジラーチをバトラーに預けて、俺達はあの化け物の退治に行く。ミュウツーが力を貯める体勢に入ると、注意を引くためにグラードン擬きに攻撃を仕掛けた。

 

 ラティとフライゴン先輩には回避を優先させるように指示をする。また、技も威力を無視して『りゅうのいぶき』などの麻痺を与えるものを使うように指示した。

 この巨体が麻痺するかはわからないが、下手な大技でダメージを狙うよりも状態異常を狙った方が建設的だろう。また二体共ドラゴンタイプ故に、技も隙なく使えるはずだ。

 

 俺達が注意を引くことで自ずと時間も稼げるようで、バトラーが装置の準備をしているのが目に入る。

 しかし、そんなものを待つつもりはない。残り一分半――きっかり稼いで、早々にこの化け物を消滅させてやるぜ。

 

 ラティも背中に誰も乗せていないこともあってかなり上手く空を飛んでいる。最近はコンテストの練習でポケモンの姿でいることが多かったのも影響しているかもしれない。これなら十分回避できるだろう。

 フライゴン先輩もかなりレベルが高いようで、機動力だけなら俺のひこうタイプに匹敵する能力があった。流石にリザードンほどではないが、人一人乗せてこれだけ飛べるなら十分だ。

 

 っていうか、本来フライゴンはじめん・ドラゴンでひこうタイプではない。『ふゆう』の特性だけでこれだけの飛行技術を持っていると考えるとやはりこいつはヤバいポケモンだ。

 ゲームでのフライゴンはガブリアスの劣化というイメージしかなかったが、これを見てしまうとその印象は軽く覆る。出来ることなら、この戦いが終わった後は俺の仲間になってほしいぜ。

 

 そんなことを考えていると、ミュウツーの準備が出来たようだった。拳を輝かせながら、ミュウツーが真っすぐグラードン擬きに突っ込んでいく。

 どうやら、『ドレインパンチ』を選択したようで、ミュウツーの拳がグラードン擬きにぶつかると、そのエネルギーを逆に吸収していた。同時に、バトラーの準備も完了したようで、グラードン擬きのエネルギーが放出されていく。ダブルドレイン状態で姿が保てなくなったのか、爆発するようにグラードン擬きはエネルギーを放出して消えて行った。

 

 とりあえず、これで一件落着――と、思って見ていると、疑似的に千年彗星のエネルギーを吸収したからか、何やらミュウツーが光り輝いている。いや、光り輝いてもいるが、いつもとフォルムが少し違うような?

 

 だが、そう見えたのは短い時間だけだった。

 

 エネルギーを完全放出して、ミュウツーが元の姿に戻る。どうやらミュウツー自身には自覚はないようで、いつも通りに振舞っていた。

 まぁ、一瞬だったし気のせいだったのかもしれないが、もしかしたら千年彗星のエネルギーが起こした奇跡のようなものだったのかもな。

 

 グラードン擬きが消えたことで、吸収されたポケモンや人間達は帰ってきた。しかし、枯れた植物はそのままで緑は大分減ってしまっている。

 

 マサトに合流すると、丁度ジラーチが眠りにつく所だった。近くにいたハルカとタケシも合流していたようで、ジラーチがハルカに「歌をうたって」とお願いしている。

 ハルカと共に、全員で歌をうたうと、ジラーチは再び眠りについた。最後にジラーチは「楽しかった」と言ってくれたが、きっとそれこそがこの七日間でマサトがジラーチと得られた一番大事な答えだったんだと思う。

 

 マサトもまた、「君に会えてよかった」と言っている。何だかんだ、ジラーチとの出会いを良いものと思えたのなら、この七日間は無駄じゃなかったはずだ。

 

 少ししんみりした気分で森を出ると、すっかりよりを戻したバトラーとダイアンが俺達に謝罪してきた。同時に、二人で一緒にこの場所を元に戻すと言ってくる。

 俺としてはこんな奴はとっ捕まえてやりたい所なのだが、ダイアンからの懇願と、結果的に犠牲者は出ていないということで、自然を元に戻すという贖罪で手打ちにしてやった。

 

 改めて、そのまま近くの街まで送ってくれるということだったが、その前に一緒に戦ってくれたフライゴン先輩にお礼を言って一緒に来ないか勧誘していく。少し悩んでいたようだが、ニューサトシと一緒に戦ったのが悪い気分じゃなかったらしく一緒に来てくれることになった。

 

 遂にドラゴンタイプ(ラティは例外)ゲットだぜ。

 

 

 追記。グラードン擬きのごたごたのせいで、ハルカがウィッシュメーカーの爪を折り忘れていた。しかし、願いはいつか自分で叶えると言って前向きに捉えている。この前向きな所もハルカの良い所だな。

 

 

 




 原作との変化点。

・劇場版七夜の願い星より、映画だと気付くのに遅れた。
 中盤以降の映画は殆どうろ覚え。

・ミュウツーのドレインパンチで千年彗星のエネルギーを吸収した。
 一瞬フォルムが変わった。ような気がした。

・フライゴン先輩をゲットした。
 原作でゲットしても誰も怒らない。むしろ、ゲットして欲しかった。ので、ゲットした。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.60

 ピジョット Lv.55

 バタフリー Lv.55

 ドサイドン Lv.59

 フシギダネ Lv.56

 リザードン Lv.61

 カメックス Lv.57

 キングラー Lv.55

 カモネギ  Lv.55

 エビワラー Lv.57

 ゲンガー  Lv.57

 オコリザル Lv.56

 イーブイ  Lv.55

 ベトベトン Lv.55

 ジバコイル Lv.55

 ケンタロス Lv.55

 ヤドラン  Lv.54

 ハッサム  Lv.56

 トゲキッス Lv.53

 プテラ   Lv.56

 ラプラス  Lv.54

 ミュウツー Lv.72→73

 バリヤード Lv.55

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.54

 カビゴン  Lv.52

 ニョロトノ Lv.52

 ヘラクロス Lv.52

 メガニウム Lv.51

 マグマラシ Lv.51

 ラティアス Lv.46→47

 ヘルガー  Lv.51

 ワニノコ  Lv.51

 ヨルノズク(色違い) Lv.51

 カイロス(部分色違い) Lv.51

 ウソッキー Lv.51

 バンギラス Lv.58

 ゴマゾウ  Lv.47

 ギャラドス(色違い) Lv.49

 ミロカロス Lv.5 

 ミズゴロウ Lv.33

 スバメ   Lv.32

 ジュプトル Lv.33

 ヘイガニ  Lv.32

 フライゴン Lv.50 NEW!




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#124 『ナナミ様とお呼び』

 12歳 η月ι日 『ラティは天才だなぁ』

 

 ハジツゲタウンを目指して今日も歩いていたのだが、日差しがあまりにも強すぎて、俺以外の全員が日射病でダウンしてしまった。水の管理には気をつけていたつもりだったが、こうも暑さが続くとどうしようもない。

 このままだと割と死ぬので、どうにかしないとな――と、考えていると、たまたま通りがかったバクーダが、トレーナーがいる家まで連れて行ってくれた。事情を話すと、家族総出で助けてくれて何とか事なきを得ている。

 

 聞けば、この家族は勝ち抜き一家として有名らしい。そう言えば、ゲームでもあったな、勝ち抜きファミリー。

 

 とりあえず、全員が元気になると、勝ち抜き一家からバトルを申し込まれた。勿論、売られたバトルは受けて立つが、何故か四人対四人でやるということになり、マサトはポケモンを持っていないので俺がヘイガニを貸してやることにする。

 

 第一試合はタケシと、向こうの大黒柱であるハルヒコとのバトルだ。タケシがミズゴロウくんを出すと、ハルヒコはジグザグマを出してくる。

 なかなかいい勝負をしていたが、まだミズゴロウくんのレベルがそこまで高くないのと、タケシがみずタイプの戦い方に不慣れなのが出てハルヒコに負けてしまった。まぁ、タケシはいわタイプのエキスパートだからなぁ。

 

 第二試合はハルカがアゲハントを出すと、ハルヒコの妻であるヤスエがロゼリアを出してくる。

 ハルカはロゼリアにいい思い出がないからか、これでもかというくらいやる気を出して相性でロゼリアをボコボコにしていた。シュウよ、次のハルカはちょっと強いかもしれんぞ。

 

 第三試合はマサトと俺のヘイガニ、ハルヒコの娘のアキとマリルのバトルになった。どうもマサトは同世代でなかなか可愛いアキにちょっとホの字のようだったが、空気を読まないヘイガニがマリルをボコボコにしたことで、「大嫌い!」と言われている。

 儚い恋だったなぁ――と思いながら見ていると、泣いているマサトをヘイガニが慰めていた。流石に大爆笑である。俺のヘイガニだけあって、なかなか追い打ちをかけるのが上手い。

 

 第四試合は俺と、ハルヒコの母であるミツヨとのバトルだ。向こうがバクーダを出してきたので、こちらはミズゴロウさんで行こうかと思ったのだが、その瞬間ラティがラティアスの姿になって乱入してきた。

 おいおい何してんだ――と思ったが、全員が力を合わせて戦うバトルで、ラティだけ仲間外れにするのも可哀想かとも思ったので、急遽このバトルをラティのデビュー戦とする。

 

 何だかんだずっとデビューを引き延ばしにしていたしな。次のコンテストに出る前に、普通のバトルのデビューはしておきたかったので丁度いい。

 

 流石にラティアスが出てくると思わなかったようで、ミツヨも驚いていたが、バトルとなると気を引き締めてかかってきた。

 とはいえ、ドラゴンタイプのラティにほのおタイプの攻撃は効果今一つだ。おまけに、チャンピオンリーグの特訓でレベリングしていたこともあって、ラティもそこそこ強くなっている。

 

 コンテスト対策に技の練習をしていたということもあって、割と簡単にバクーダを圧倒してしまった。

 初勝利ということでラティが大喜びしている。レベル差を考えれば順当な結果かもしれないが、勝ちは勝ちだ。よくやったぞ、ラティは天才だなぁ。

 

 

 

 12歳 η月κ日 『エネコゲットかも』

 

 道端で弱ったエネコが倒れていたので、近くにあるアロマテラピーを受けさせて元気にしてやった。

 どうもハルカはエネコのことが気に入ったようでゲットしようとしていたのだが、いつものようにロケット団が現れてハルカとムサシがエネコをめぐってバトルをしている。

 

 ハルカも割と最近バトルの練習をしていたからか、ムサシ相手でも結構いい勝負をしていた。まぁ、エネコを渡したくない一心の火事場の馬鹿力的なものかもしれんが。

 

 最終的にはいつものようにやなかんじーにしてやったのだが、ハルカがエネコをゲットしようとすると、エネコ側からモンスターボールに入ってきた。

 思えば、アニメでもハルカはエネコをゲットしていたっけか。エネコも何を考えているかよくわからない顔をしているが、割とハルカのことが気に入っていたのかもしれないな。

 

 

 

 12歳 η月λ日 『着ぐるみの必要性ありゅ?』

 

 いつぞや初心者のハルカをボコって調子に乗っていた着ぐるみ野郎のキヨと再会した。聞けば、キヨは無事にトウカジムでボコボコにされ、改めてポケモンを鍛え直しているらしい。

 ポケモンバトルを申し込まれたので俺が受けてやったのだが、キヨが着ぐるみに着替えながらザングースを出すと、当のザングースがいきなり全く別の方に向かって走り出してしまった。

 

 どうやら、ロケット団が草むらに隠れて俺達のことを見ていたようで、ザングースはムサシの持っているハブネークの気配を感じ取っていたらしい。そういえば、ザングースとハブネークはライバル関係だったっけか。

 

 と、いうことで、急遽ムサシのハブネークとキヨのザングースのバトルが始まったのだが、あのハブネークも俺達とずっとバトルしているせいでそこそこレベルが上がっているのか、『ポイズンテール』で一方的にザングースをボコボコにしている。

 うーむ、これでは勝負にならんな。

 流石に見ていて可哀想だったので、ザングースが戦闘不能になった瞬間、ピカ様に頼んでいつも通りロケット団をやなかんじーにしてもらった。

 

 とりあえず、タケシ特製のパラセクト薬でザングースはすぐに回復したのだが、キヨがハブネークに再戦をすると言っている。

 うーむ、パッと見ただけでも結構レベル差があるし、相手は腐っても地方リーグベスト8のムサシだからなぁ。バッジなしで制限がかかっているトウカジムに負けるレベルのキヨでは流石に勝つのは難しいと思うんだが。

 

 まぁ、挑戦するのは自由なので止めはしないが、ハブネーク対策と言って俺にハブネークの着ぐるみを着せるのは止めろ。着ぐるみ着れば相手のことがわかるなんて迷信だから。

 

 どうもロケット団側のハブネークも決着をつけるつもりのようで、再びムサシが勝負を仕掛けてきた。相手が油断してくれていればまだ勝機があるのだが、どうもムサシの集中がリーグ戦の時並に上がっている。

 キヨもあの手この手で翻弄しようとしているが、上手く対応されているのでおそらく勝つのは難しいだろう。途中、ハブネークの隙を突いて『ブレイククロー』を決めていたが、結局はどく技によって戦闘不能にさせられていた。

 

 まぁ、普段は俺達のポケモンを奪おうという邪念があるせいで動きが悪いが、ガチでやる気になったらまともに相手をするのは俺でもちょっと手こずるからなぁ。

 もっと強くなってから出直しましょうということで、調子に乗ってこちらに殴り掛かってきたロケット団を再びやなかんじーにしてやった。キヨはまず着ぐるみを脱ぐ所から始めようか。

 

 

 追記。エネコが自由奔放過ぎてハルカが手を焼いている。猫系のポケモンは結構気まぐれな奴もいるようだが、ハルカのエネコはそんな中でもとびっきり気まぐれのようだ。

 

 

 

 12歳 η月μ日 『ドッペルゲンガーやん』

 

 湖のほとりで、マサトと瓜二つなマサトというガキにあった。いや、うちのマサトよりもちょっとだけ身長が高くて茶髪だが、見た目も名前も一緒でぶっちゃけ兄弟と言われても納得できるくらいに似ている。

 

 いやー、世界には自分によく似た奴は三人くらいいるというが、まさか同じホウエンに同じ名前で同じ顔の奴がいるとはななぁ。マジでドッペルゲンガーやん。

 

 

 

 12歳 η月ν日 『褒めるとおばさんっぽくなる女』

 

 ようやくハジツゲタウンに着いたので、早速コンテストの申し込みに来たのだが、そこでチャーレムの『ねんりき』が暴走して荷物やポケモン達が浮かび上がるという事件が起きた。

 トレーナーのグレースという女が諫めるとすぐに暴走は収まったのだが、タケシがいつもの病気を発動させ、マサトがカスミさん直伝の技でそれを諫めている。

 

 しっかし、美人は美人だが、褒めると途端におばさんっぽくなるのだけはやめてくれ。

 

 何だかんだグレースと仲良くなり、一緒に夕食を取ることになったのだが、どうもグレースは既にコンテストリボンを持っている実力者らしい。

 今回のコンテストにも参加するということなので、俺やハルカも参加すると話すと、特に実績を自慢するようなことはなく、コンテストで大切なことを教えてくれた。聞けば、技術は勿論大切だが、コンテストではポケモンの相性や運も大きくかかわってくるので、熟練者だから勝てるというものではないらしい。

 

 ただ、ポケモンの持っている魅力を最大限に引き出せないと優勝は難しいと言っていた。今回コンテストに参加するラティがうんうん頷いて話を聞いているが、どこまで理解しているかは謎である。

 

 

 

 12歳 η月ξ日 『ナナミ様とお呼び』

 

 ポケモンコンテストに備えて、街から少し離れた所でラティと練習をすることにした。流石に街中で伝説のポケモンであるラティアスを出すと、目立ち過ぎて練習どころではなくなってしまうので自重している。

 ラティも今回は本気のようで一生懸命に練習しているのだが、練習中にシゲルの姉であり、ニューサトシもかつてお世話になったナナミさんと再会した。

 

 どうしてここに――と、思ったが、そういえばナナミさんは現役のポケモンコーディネーターである。

 聞けば、今年はホウエン地方のグランドフェスティバルに参加するつもりのようで、いろいろなコンテストを見て回っているらしい。随分余裕だなとも思ったが、既にコンテストリボンを五つ揃えていると言われればその余裕も納得だった。

 

 丁度いいので、ラティを紹介してコンテストのアドバイスを貰うことにする。

ナナミさんは俺がコンテストに参加していると聞いてかなり驚いていたが、俺もまさかここまでガチでやることになるとは思ってなかったんですよねぇ。

 

 本番で見せる予定の演技をナナミさんに見せると、「そうねぇ。ラティちゃんがかなり珍しいポケモンということを加味して、27.4って所かな」という、かなり具体的な数字を出してくれた。

 本番で27.4という数字は、余程実力者が固まっていない限りは二次審査に進出できると思うが割とギリギリでもある。満足はしないで、どこが悪かったかを聞いていく。

 

 ナナミさん曰く、ラティがまだ技を使うのに必死なのが問題らしい。勿論、美しい技を見せて魅力を伝えるのは大事だが、ポケモン自身が技を出すのに必死だと魅力が伝わりにくいというアドバイスを頂いた。

 あくまで自然に、そのポケモンの魅力を見せるのが大事ということで、もっとアイテムなどを使ってラティの楽し気な姿を見せてはどうかと提案される。

 

 確かに、前回のミロカロスの演技でも技だけでなく、その美しさを泳ぐ姿などでもアピールした。ラティもその線で言った方がいいかもしれん。ラティの魅力は、その屈託のない笑顔だしな。

 

 試しにボールを使って遊んでみると、楽しそうにボールを追いかけるラティを見て、ナナミさんが「私はこっちの方がラティちゃんもいい笑顔をしてると思うよ」と言っている。

 難しい技術だけでなく、シンプルにポケモンの魅力を伝えるのもまた大事ということだな。ちょっと演技の構成を見直してみよう。

 

 今日は一旦ここまでということで、ラティにカノンの姿に戻って貰い、ナナミさんと一緒にハジツゲタウンへ戻っていく。

 最初はラティが人間の姿になって驚いていたナナミさんだが、流石はシゲルのお姉さんだけあって、そういうこともあるのかとすぐに現実を受け入れていた。

 

 しかし、人懐っこいのがラティの良い所だが、初見でここまで懐いたのはナナミさんが初めてかもしれん。

 

 

 追記。ポケモンセンターでシュウと再会した。どうやらシュウも今回のコンテストに参加するようなのだが、ナナミさんの姿を見るなり固まってしまっている。聞けば、ナナミさんはかなり有名なポケモンコーディネーターのようで、ポケモンコーディネーター界隈では至高の存在とまで言われている人らしい。ナナミさん自身は「大げさよ」と笑っていたが、何だかんだシゲルの姉ちゃんなので、そんなことがあっても不思議ではなかった。これからはナナミ様とお呼びすべきか?

 

 

 

 12歳 η月ο日 『ポケモンコンテスト ハジツゲ大会 前編』

 

 今日がコンテスト本番である。昨日、ナナミさんに言われたことを踏まえて演技の構成を変えてみると、ラティも楽しく演技が出来たようで納得してくれている。

 朝からギリギリまで練習になってしまったので、急いでコンテストホールに戻ると、何やらハルカが自信に溢れた顔をしていた。どうやらロケット団とひと悶着あったようだが、そのおかげで自分に自信が持てたらしい。あいつらはいつも知らないところで役に立ってるな。

 

 パッとメンバーを見ていくと、噂をすれば何とやらロケット団のムサシがドクケイルを連れて参加していた。

 グレースやシュウもいるので挨拶をすると、シュウ曰く今回のメンバーで目立った成績を残しているのはシュウやグレースくらいで、他は俺やハルカを除けば大したことはないらしい。

 

 まぁ、隠れた天才がいる可能性もない訳ではないだろうし、二次審査に進出できるのは四名ということで、カイナの大会に比べると枠が少なくなっている。油断は出来なかった。

 

 と、いう訳で一次審査が始まり、シュウやグレースが無事に高得点を叩き出していく中、ハルカもそれに続くようにステージに立って行く。

 ハルカは今回もアゲハントでエントリーしているので、前々回の教訓も生かした見事な演技を見せていた。また前回の水中コンテストで一皮むけたようで、シュウも驚いた様子を見せている。得点も高く、シュウやグレースに匹敵するレベルだ。これなら、余程のことがない限り一次審査は突破できるだろう。

 

 そのまま他の参加者の演技も見ていくが、やはりシュウ、グレース、ハルカが三強と言っていい。

 何だかんだとロケット団のムサシの番が来ると、相変わらず自分を目立たせようとする演技をしていた。

 

 まぁ、そこまではいいのだが、どうもズルをしているようで、パートナーのドクケイルに変な機械を付けてそこから前に俺のバタフリーがやった虹色の粉が出る演出をしている。

 これが自力でやっているなら俺も文句は言わないが、機械を使って誤魔化すのはルール違反だろう。アイテムの使用が許可されているとはいえ限度がある。俺が審査員に確認を頼むと、ムサシの不正が判明して失格となった。

 

 お前ら、ジョウトではジム戦も真面目にやってリーグに出てきたんだから、コンテストも真面目にやれば出来るだろう。騒ぎ立てているムサシに、素質はあるんだからちゃんとやれと忠告すると、「見てなさいよ」と言って、素直にコンテスト会場を後にした。

 

 気を取り直して、いざ俺の番になるとラティのボールを持ってステージへ向かう。見れば、ナナミさんが手を振ってくれていた。

その隣にはタケシとマサトもおり、タケシがナナミさんを見ながらデレデレしている。おいおい、こっちを応援しろよ――と、内心でツッコミを入れると、マサトがタケシの耳を引っ張っていた。よくやったぞ、マサト。

 

 まぁ、いい具合に緊張もほぐれたので、スタートの合図と共にラティをモンスターボールから出していく。どうもラティはやる気満々のようで、ボールから出るなりドヤ顔でポーズを決めていた。

 伝説のポケモンとしてそこそこ有名なラティアスが出てきたことで、会場中がざわつくがラティは気にした様子もなく演技を始める。緊張するかとも思ったが、ラティは一度やり始めると自分の世界に入ってしまうタイプのようで、頑張って覚えた技を見せ付けていく。

 

 そのまま技の演技からボールを使った演技に切り替えると、ラティの楽しそうな表情が伝わって会場中がほっこりしていた。

 本人も楽しくなってしまったのか、『サイコキネシス』で俺を空中に浮かびあげるというアドリブもしてくれたが、その程度のアドリブに合わせるのは俺の身体能力なら難しくはない。

 

 最終的には空中から着地した俺とラティが同時にポーズを決めて演技は終了。得点は左から9.4、9.5、9.4、合計28.3と、バタフリーとほぼ同率のポイントを叩き出していた。ナナミさんに見せて評価された演技より高いポイントを出すことが出来ている。

 点数だけでいえば、ハルカとほぼ同率と言っていい。後は予想外のことが起きなければ――と、思いながら残りの演技を見ていると、今回はロバートのような予想外のコーディネーターは参加していなかったようで、グレース、シュウ、ハルカ、俺の四名が無事二次審査進出となった。

 

 これにはラティも大喜びである。割とマジで優勝も見えてきたが、シュウやグレースはラティに驚いてはいるものの、それでも表情にまだ余裕がある。むしろ、伝説のポケモンであるラティが相手ということで、その闘志に火がついてしまった可能性もあった。

 

 

 




 原作との変化点。

・第46話『勝ち抜きファミリー4VS4!!』よい、リョウヘイのくだりをカットした。
 本当は勝ち抜き一家五人いて、リョウヘイという長男のくだりがあったのが、あまりに書きにくかったので出番をバッサリカットした。勝ち抜き一家は四人でいいよ。

・ラティのデビュー戦にした。
 思えば、長かった。

・第47話『エネコとアロマテラピー』より、ハルカが火事場の馬鹿力でムサシを倒した。
 本来ならまだ勝てる相手ではないが、気合でやなかんじーまで持って行った。

・第48話『ザングースVSハブネーク! ライバル対決!!』より、ハブネークが勝った。
 バッジゼロのほぼ初心者が、地方リーグベスト8に勝てる訳ない。

・第49話『マサトとマサト! アメタマを守れ!』より、マジで似てた。
 身長差と髪色くらいしか違いがなかった。

・第50話『ポケモンコンテスト・ハジツゲ大会!!』より、シュウとバトルしなかった。
 ロゼリアとスバメのバトルがあったが、ニューサトシもコンテストに挑戦するのでラティの調整で忙しかった。

・ナナミさんと出会った。
 満を持して登場。リーグで言えばチャンピオンクラス。

・第51話『VSチャーレム! コンテストバトル!!』より、一次審査でムサシをリタイアさせた。
 ズルは駄目である。しかし、何かスイッチが入った。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.60

 ピジョット Lv.55

 バタフリー Lv.55

 ドサイドン Lv.59

 フシギダネ Lv.56

 リザードン Lv.61

 カメックス Lv.57

 キングラー Lv.55

 カモネギ  Lv.55

 エビワラー Lv.57

 ゲンガー  Lv.57

 オコリザル Lv.56

 イーブイ  Lv.55

 ベトベトン Lv.55

 ジバコイル Lv.55

 ケンタロス Lv.55

 ヤドラン  Lv.54

 ハッサム  Lv.56

 トゲキッス Lv.53

 プテラ   Lv.56

 ラプラス  Lv.54

 ミュウツー Lv.73

 バリヤード Lv.55

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.54

 カビゴン  Lv.52

 ニョロトノ Lv.52

 ヘラクロス Lv.52

 メガニウム Lv.51

 マグマラシ Lv.51

 ラティアス Lv.47

 ヘルガー  Lv.51

 ワニノコ  Lv.51

 ヨルノズク(色違い) Lv.51

 カイロス(部分色違い) Lv.51

 ウソッキー Lv.51

 バンギラス Lv.58

 ゴマゾウ  Lv.47

 ギャラドス(色違い) Lv.49

 ミロカロス Lv.5→10

 ミズゴロウ Lv.33→34

 スバメ   Lv.32→33

 ジュプトル Lv.33→34

 ヘイガニ  Lv.32→33

 フライゴン Lv.50 




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#125 『ガチバトルって感じじゃあねぇなぁ』

 12歳 η月ο日 『ポケモンコンテスト ハジツゲ大会 後編』

 

 二次審査の組み合わせが決まった。ファーストステージは、俺対シュウ、グレース対ハルカで、勝ち上がった二名がファイナルステージで戦うことになる。

 シュウは「ここで出すつもりはなかったが、相手がラティアスでは仕方ない」と言って、アメモースを出してきた。どうやら隠れて育成していた新ポケモンらしい。

 

 まぁ、くさ・どくタイプのロゼリアでは、ドラゴン・エスパータイプのラティには逆立ちしても勝てないだろうからな。

 

 前回のコンテストでも少し書いたが、二次審査で一次審査と別のポケモンを出すことは反則ではない。ただ、一度エントリーしたらもう取り消せないので、仮に俺に勝ったとしてもシュウはファイナルステージもロゼリアではなくアメモースで戦うことになる。

 まぁ、そんな簡単に負けるつもりはないが、アメモースはむしタイプなのでラティとの相性が良い。種族値では勝っているだろうが、油断は出来なかった。

 

 勝ち抜きファミリーとのデビュー戦では、レベル差と相性が良かったので終始有利なバトルが出来たが、今回はコンテストバトルということでレベルは50固定になるし、普通のバトルとは違って魅せるバトルが必要になってくる。

 果たして、ラティがどこまで戦えるか。遂に、これまでの練習してきた成果を見せる時が来た。

 

 スタートの合図と共に、バトルが始まると、先手必勝とばかりにシュウが『ぎんいろのかぜ』を指示してくる。

 こちらは『ミストボール』で迎撃する。相性的には不利だが、伝説ポケモン様の種族値の暴力で十分に迎撃できた。

 

 こちらの『ミストボール』と『ぎんいろのかぜ』が相殺されると、『ミストボール』が文字通り紫色の霧となってフィールドを染めていく。美しい技の使い方で、相手のCPを15削った。

 シュウも「やるね。なら――」と、『みずのはどう』からの『れいとうビーム』のコンボでこちらにダメージを与えつつ、CPを20削ってくる。

 

 こちらも『10まんボルト』で弱点を突こうとするも、『かげぶんしん』を上手く使われて回避されてしまった。これにより、こちらのCPが10削られる。

 

 ちょっと不利になったが、まだまだ勝負はこれから――と、思ったのだが、ラティは他のポケモンと違って文字や数字が読めてしまった。ステージ中央の画面に表示されているCPが自分不利とわかったようで、焦ったように『10まんボルト』を撃ってしまう。

 しかし、当然のように回避され、またもこちらのCPが10削られた。まだ時間はあるので落ち着くように声をかけると、ラティもようやく俺の方を向いたが焦りは消えていない。

 

 賢いのも考え物だが、これはバトル経験の少なさがモロに出た形なので、俺がラティをバトルで使わなかったのも悪かった。

 バトル経験が少ないからこそ、ちょっと不利になっただけで焦ってしまったのだろう。そういう意味ではデビュー戦で相手を圧倒したというのも悪い方向に出ている。あそこで苦戦を経験出来れば良かったのだが、単純なバトルだとラティに勝てるスペックを持つポケモンは限られてくるからなぁ。

 

 普通のバトルなら、アメモース程度蹂躙出来るだけの能力がラティにはあるが、コンテストバトルだとそう簡単にはいかない。

 結果として、状況以上に精神状態が不利になってしまった。当然、その隙を逃すシュウではなく、こちらのCPをガリガリ削ってくる。

 

 キャリアの差で、スペック差をひっくり返されてしまった。その後も何とか追いつこうとしたが、向こうに上手いこといなされてしまっている。

 巻き返すためにこちらも反撃していったが、最終的には逃げ切りということでシュウの勝利が宣告された。もう少しで逆転出来たのだが、ギリギリ逃げられてしまったようだ。ラティがとんでもなく落ち込んでしまったが、これもまた経験である。

 

 続くグレース対ハルカは、序盤アゲハントがチャーレムの猛攻に苦戦していたが、『とびひざげり』を回避したことで、ハルカ有利の状況となった。

 制限時間ギリギリの攻防戦が続いたが、最終的にはハルカがグレースに勝利している。相性的にもアゲハントはチャーレムに有利だったし、ハルカもずっとバトルの練習を頑張っていた結果を出せたと言っていいだろう。

 

 ファイナルステージではシュウ対ハルカのバトルとなったが、ファーストステージでラティと戦った後遺症がかなり大きなものだったようで、シュウのアメモースも先程よりも動きに精彩を欠いていた。

 対するハルカは、逆にグレースに勝ったことで勢いに乗ったようで、アゲハントと息の合ったバトルを見せつけている。相性的には、『れいとうビーム』を覚えるアメモースの方が有利のように思えたが、疲れの影響もあって結局はハルカの猛攻に押されてしまっていた。

 

 皮肉にもラティのバトルがハルカの勝利の手助けをした形である。漁夫の利とも言えるが、こればかりは組み合わせがハルカ有利だったとしか言いようがない。

当のラティは負けたのが余程悔しかったようでカノンの姿に戻って落ち込んでいるが、ハルカがリボンを受け取るのを見て拍手はしていた。ちゃんと祝えて偉いぞ。

 

 コンテストが終わると、ナナミさんが控室に顔を出してくれた。ラティが即座に泣きついたので、ナナミさんが慰めてくれている。

 ハルカも初めてのリボンゲットで嬉しいはずだが、ラティがこうもショックを受けていると素直に喜べないようで困ったような顔をしていた。

 

 

 追記。一晩ナナミさんに泣きついて、ラティは元気になった。次の日の朝になると、いつもの笑顔で「ハルカ、おめでと!」とお祝いの言葉を口にしている。しかし、たった一日でラティを立ち直させる辺り、流石はトップコーディネーターと感心してしまった。

 

 

 

 12歳 η月π日 『ナナミさんからの有難いお言葉』

 

 ナナミさんと別れる際、「ハルカちゃんもそうだけど、サトシ君はコンテストを続けるなら、もっと基礎を学んだ方がいいわね」と言われた。

 どうも、昨日のコンテストを見ていて、聞きかじりの知識でコンテストをしているのを完全に見抜かれてしまったらしい。ハルカは初心者だからまだ許されるが、トレーナー歴三年のニューサトシの場合、お粗末な動きと言われても言い訳出来なかった。

 

 ポケモン達がコンテスト慣れしていないのも大きいが、それ以上にニューサトシ自身の基本がなっていないので、追い詰められると打開が出来ないとアドバイスされる。

 確かに、昨日のラティのバトルや、前回のバタフリーのバトルもそうだったが、序盤は互角でも後半は一気に追い詰められて、何も出来ずにそのまま負けてしまったパターンが多い。

 

 打開をするにも、コンテストバトルの動きを理解しないと立ち回れないので、やはり基礎をしっかり学ぶべきと言うことだろう。

 

 とはいえ、元々コンテストも興味本位で参加しただけだし、ここいらで撤退するのも手のような気もする。

 一応、アドバイスのお礼は言っておくが、コンテストに時間を割きすぎてチャンピオンリーグが手抜きになるようでは本末転倒だ。仮に、チャンピオンリーグを優勝でもしたら横道に逸れるのもありかもしれないが、ここいらが引き時だろう。

 

 そんなこんなで、ナナミさんと別れることになったのだが、ラティがナナミさんと別れるのを凄く嫌がっている。どうやらこの数日でしっかり懐いてしまったらしい。

ナナミさんも冗談で「私と一緒に来る?」と言っていたが、流石にそこは「サトシといっしょ」と、首を横に振ってくれている。良かった。「うん、いく」とか言われたらちょっと泣く所だった。

 

 

 

 12歳 η月ρ日 『応援の心でポケモンのパワーが回復するだぁ?』

 

 フエンタウンを目指して歩いていると、太鼓の音が耳に入ってきた。音の出所へ寄ってみると、応援道とかいう謎の集団が応援の練習をしている。

 応援と言えばプラスルとマイナンだよなぁ――と、思っていると、以前光る石の村でちょっと指導をしたカヅチと再会した。どうやら、カヅチはあの後プラスルとマイナンと一緒に旅に出たようで、今ではこの応援道とかいう団に入団しているらしい。

 

 聞けば、この応援道とかいうものは、技を使わずに応援の心だけでポケモンのパワーを回復させることが出来ると言っている。

 うーむ、こういうパターンは前にも何度かあったなぁ。と、思いつつ、テストバトルをすることになったのだが、確かに対戦相手のポケモンが応援によって強くなっている。

 

 しかし、いくら応援されたからといって、ここまで明確に強さが変わるなどあり得ない。

 

 何かしらトリックがあると思いつつ、ピカ様に様子を探るように指示を出す。そのまま適当にバトルをしていると、『10まんボルト』の追加効果で相手が麻痺した瞬間、太鼓からいい匂いが漂ってきた。

 

 成程、そういうことか。

 

 わざと『10まんボルト』を反らして太鼓を破壊すると、中からポケモンが出てきた。どうも太鼓の中にポケモンを隠して、『てだすけ』や『アロマセラピー』などの補助技で、対戦相手を助けていたらしい。

 

 結局、応援道とは口だけで、金を貰ってズルをする詐欺師だったという訳だ。カズチもこれを機に応援道を抜けることにしたようだが、こういうズルをする奴等は良くいるし、他人に頼るのではなくまずは自分のポケモンを鍛えることをお勧めしておいた。

 

 

 

 12歳 η月τ日 『気まぐれエネコ』

 

 炎の抜け道を通っていると、ハルカのエネコがマグマッグの群れにちょっかいを出したせいで後を追われる事態になった。困った猫ちゃんだが、笑って済ませるにはちょっとイタズラの規模が大きすぎる。

 そのまま急遽洞窟を抜けることになったのだが、その先でドンメルと牧場を営んでいるヨウコに出会った。紆余曲折あり、今日はここで泊めて貰うことになったのだが、突如としてハルカがエネコに本当のバトルを経験させたいと言いだしている。

 

 どうも俺やタケシ相手だと慣れ過ぎているので、知らない人とバトルさせたいと思ったらしい。

 

 ヨウコも割と乗り気でバトルをすることになったのだが、エネコがヨウコのオオタチに大苦戦している。

 しかし、新たに『ねこのて』を覚えたようで、アチャモの『ひのこ』を使うことで相手を火傷にして状況を五分に戻していた。うーむ、意外とバトルセンスがあるな。

 

 ハルカもバトルの練習をずっと頑張っていたこともあり、そのまま押し切ってエネコがオオタチを倒している。

 しかし、ハルカもなかなかバトルが様になってきたな。前回のコンテストで優勝できたのも、まぐれという訳ではないかもしれん。

 

 

 

 12歳 η月υ日 『隕石かぁ』

 

 ヨウコからフエンタウンへ続くロープウェイがあると教えてもらい、えんとつ山に向かったのだが、ロープウェイに乗っている途中、急遽停電になって動きが止まってしまった。

 非常電話も全く反応がないので、仕方なくミュウツーの『テレポート』で脱出することにしたのだが、転移した先でマグマ団と思わしき赤服の悪漢が、変なおじさんを追いかけている。事情はよく分からないが、ピカ様でマグマ団を追っ払ってやった。

 

 聞けば、おっさんはソライシという名前の研究員で、どうやら隕石の研究をしているらしく、マグマ団はその隕石を狙っておっさんを追いかけ回していたようだ。

 いや、どうもマグマ団だけでなく、アクア団も隕石欲しさにおっさんを追いかけ回しているらしい。とりあえず、こういう時は喧嘩両成敗ということで、手持ち全てを駆使してマグマ団とアクア団をボコボコにしてやった。

 

 ホウエン組も隠れてトレーニングしていた甲斐あって、大分戦えるようになってきている。

 経験値もかなり貰っていいかんじーと思っていると、ソライシが隕石を俺に預かってほしいと言って渡してきた。

 

 どうもこの先この隕石を守り通すには自分では力不足だと思ったようで、ニューサトシに隕石を守ってほしいという。別に構わないので、隕石をリュックに入れてフエンタウンを目指すことにした。

 

 

 

 12歳 η月φ日 『ガチバトルって感じじゃあねぇなぁ』

 

 フエンタウンに着いたので早速ガチバトルを申し込みに行こうと思ったのだが、ジムリーダーのアスナは祖父の後を継いだばかりの新米ジムリーダーらしく、ガチ戦どころか普通のバトルの段取りもあやふやなやべー奴だった。

 おまけに、前回のジム戦の後始末もまだ終わってないようで、バトルフィールドが穴だらけになっている。

 

 舐められないように強気な言葉を使っているが、どうも素ではないのかキャラが空回りしているような印象だ。

 

 見た感じまだジムリーダーとしても未熟という感じで、とてもガチ戦って雰囲気ではなかったので、今回はホウエンで捕まえたポケモン達のデビュー戦にすることにした。

 思えば、トウキの所でミズゴロウさんとジュプトルが戦ったくらいで、他のメンツはまだ公式戦を経験していない。ガチ戦による経験も大事だが、新しいポケモン達の育成も同じくらい大事なので、今回は久しぶりにジム戦をすることにする。

 

 と、いうことで、アスナにジム戦をお願いした。

 

 明日までにはバトルフィールドを元に戻せるということで、ジム戦の予定を入れて貰う。

 出すメンバーはもう決まっていた。スバメ、ヘイガニ、そして前のジム戦でいい所をジュプトルに取られてしまったミズゴロウさんだ。タイプ相性的にも、みずタイプはほのおタイプに有利だし悪い選出ではないだろう。

 

 

 追記。アスナが「あ、審判の手配しなきゃ」と言いながら慌てて手続きをしている。おいおい、マジで大丈夫かこのジムリーダー。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・第51話『VSチャーレム! コンテストバトル!!』より、二次審査でまた負けた。
 シュウの経験による攻撃でポイントを削られた。真っ向勝負なら負けないスペックがあるが、コンテストバトルだとまだ相手にならなかった。

・ナナミさんから助言を貰った。
 しかし、そろそろリーグ一本に絞ろうと決めた。

・第52話『プラスルとマイナン! 応援の道!?』より、ロケット団がいなかった。
 どこかに行ってしまった。

・第53話『エネコとねこのて! ドンメルの牧場!!』より、ロケット団がいないのでドンメルが盗まれなかった。
 どこかに行ってしまった。

・第54話『マグマ団VSアクア団、再び! えんとつ山の戦い!』より、両者を全滅させた。
 狙われてるなら、全員ボコればいいじゃない!!

・隕石を預かった。
 原作ではマグマに落とすが、ニューサトシが強いので守るように頼まれた。

・第55話『新人ジムリーダー・アスナ! 穴だらけのバトルフィールド!』より、ジム戦を申し込んだ。
 三日前に就任したジムリーダーになり立てだったので、向こうの経験のためにもジム戦をしてあげることにした。

・ロケット団が現れなかった。
 どこかに行ってしまった。そのため、祖父が正体を明かさずに隠れて様子を見ている。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.60

 ピジョット Lv.55

 バタフリー Lv.55

 ドサイドン Lv.59

 フシギダネ Lv.56

 リザードン Lv.61

 カメックス Lv.57

 キングラー Lv.55

 カモネギ  Lv.55

 エビワラー Lv.57

 ゲンガー  Lv.57

 オコリザル Lv.56

 イーブイ  Lv.55

 ベトベトン Lv.55

 ジバコイル Lv.55

 ケンタロス Lv.55

 ヤドラン  Lv.54

 ハッサム  Lv.56

 トゲキッス Lv.53

 プテラ   Lv.56

 ラプラス  Lv.54

 ミュウツー Lv.73

 バリヤード Lv.55

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.54

 カビゴン  Lv.52

 ニョロトノ Lv.52

 ヘラクロス Lv.52

 メガニウム Lv.51

 マグマラシ Lv.51

 ラティアス Lv.47

 ヘルガー  Lv.51

 ワニノコ  Lv.51

 ヨルノズク(色違い) Lv.51

 カイロス(部分色違い) Lv.51

 ウソッキー Lv.51

 バンギラス Lv.58

 ゴマゾウ  Lv.47

 ギャラドス(色違い) Lv.49

 ミロカロス Lv.10→15

 ミズゴロウ Lv.34→35

 スバメ   Lv.33→34

 ジュプトル Lv.34→35

 ヘイガニ  Lv.33→34

 フライゴン Lv.50 




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#126 『俺に対してのがんばるだよな?』

 12歳 η月χ日 『フエンタウン ジム戦 VSアスナ』

 

 いざ、ジム戦ということでフエンジムを訪れると、しっかりとジムが綺麗になっていた。

 では早速バトルしていこうということでルールを再確認していく。ルールは三対三で、レベル制限は35だ。どうも、俺が旅に出た当時とレベル制限のかけ方も変わったようで、今ではフィールドに搭載された特殊装置で、バトル中のみ自由にレベルを変えることが出来るらしい。

 

 そういえば、コンテストでも50固定が出来るようになっていたな。ポケモン世界の科学も少しずつ進歩しているということか。

 

 レベルに関してはとりあえず問題ないが、個人的に問題があるのはここからである。

 交代は挑戦者のみ有効で、ジムリーダーはポケモンの交代が出来ない――改めて見てもクソみたいなルールだ。交代なしとか、ポケモンバトルに必要な駆け引きがないではないか。

 

 とはいえ、ルールである以上は従わざるを得ない。ホウエン組の公式戦デビューや、アスナのジムリーダーとしての経験のためにも、文句は全て胸の内にしまっておく。

 しかし、表情には出ていたようで、タケシから「交代なしの不満が顔に出てるぞ!」と言われた。しまったぜ。アスナが何やら不安がってしまっている。笑顔笑顔っと。

 

 とりあえず、戦えば集中できるだろうということで、いざバトルを始めることにした。こちらの一体目はヘイガニ、アスナの一体目はマグカルゴだ。

 誰がどう見ても、ヘイガニの方が有利ということで、開幕から『クラブハンマー』で弱点を突いていく。マグカルゴは、ほのお・いわの複合タイプなのでみずタイプが四倍弱点だ。

 

 いわタイプ複合ということもあって、マグカルゴも物理防御はなかなか固いが、それでも四倍弱点の一撃を受ければワンキルも有り得る状況である。

 さて、どう対応してくる――と、見ていると、アスナは『にほんばれ』を指示してきた。ツツジの時と同じく、こちらのみず技の威力を半減させようということだろう。おまけに、ほのおタイプは技の威力が1.5倍になるので一石二鳥の技と言っていい。

 

 こちらの『クラブハンマー』が直撃して、マグカルゴがダメージを受けるも威力が半減しているのでそこまで致命傷にはなっていなかった。

 そのまま、お返しとばかりに『ふんえん』が指示される。フィールド全体への攻撃だ。威力80で、当たれば三割の確率で相手を火傷にするほのお技である。

 

 みずタイプのヘイガニにほのお技は威力半減だが、『にほんばれ』で威力が上がっているのでほぼ相殺みたいなものだ。

 おまけに、全体攻撃は範囲が大きくて避け難い。特にヘイガニは機動力に優れているタイプではないので、『ふんえん』の直撃を受けてしまっていた。

 

 運よく火傷は引かなかったようだが、結構ダメージは受けたようでヘイガニも油断せずに相手を見ている。相性が有利だからと調子に乗っていない辺り、前よりも精神的に成長しているな。

 基本的にヘイガニは物理攻撃の方が強いのだが、相手も物理防御が高い。ここは特殊技で攻めていきたいが、『にほんばれ』でみず技は威力が半減しているので、下手な特殊技では迎撃されるだけだろう。無理に攻めても焼きガニにされるだけである。

 

 なら、『つるぎのまい』で火力を上げて、一気に『クラブハンマー』でボコボコにしてやることにした。

 こちらが攻撃を二段階上げていると、アスナが『あくび』を指示して、ヘイガニの眠りを誘ってくる。積み技対策としては満点の答えだ。こうなると、こちらはもうヘイガニを戻さざるを得ない。

 

 ヘイガニをボールに戻す。相手はいわタイプも複合しているので、ひこうタイプのスバメはちょっと出しにくい。二番手としてミズゴロウさんを出すと、アスナは続けて『じこさいせい』を指示してきた。

 こちらから受けたダメージが回復していく。そういえば、マグカルゴはレベルで回復技を覚えるんだったか。面倒なことこの上ないな。

 

 ゆっくり回復を待ってやる気はないので、こちらも『みずのはどう』で攻撃を仕掛けていく。

 マグカルゴは物理こそ固いが特殊は平均だ。とはいえ、低いという訳ではないので、そこそこのダメージしか与えられなかった。やはり、四倍弱点とはいえ、『にほんばれ』によるみず技の威力半減はかなり大きい。正直、差し引きでいえば、向こうの回復の方が少し上だろう。

 

 昨日のダメダメなイメージもあってちょっと下に見ていたが、ここまでのバトルの運びはそこまで悪くない。

 しかし、技を全て使ってしまったのは早計だ。既にマグカルゴは『にほんばれ』、『ふんえん』、『あくび』、『じこさいせい』と四つ技を使ってしまった。攻撃技が一つだと、それを攻略された場合に出来ることが限られてくる。動きを読んでくださいと言っているようなものだ。

 

 アスナが再び『ふんえん』を指示してくる。だが、ミズゴロウさんは自慢のヒレによる探知で完全回避していた。

 いくら範囲攻撃とはいえ、面で潰すタイプの攻撃でなければミズゴロウさんの回避を突破することは不可能である。ジュカインのように、ミズゴロウさんを超えるスピードで圧倒する形でも攻略は可能だが、マグカルゴはお世辞にも足の速いポケモンではなかった。

 

 唯一の攻撃技が効かないとなると、アスナに出来るのは『あくび』だけである。とはいえ、『あくび』はそのモーションを見せることで相手の眠りを誘発する技だ。

 確かに強い技ではあるが、モーションを見なければ眠ることはない。つまり、目を閉じれば回避可能なのだ。とはいえ、真剣勝負中に目を閉じるなど普通は出来ない。だが、ミズゴロウさんは目を閉じてもヒレの探知能力で動ける。『あくび』などくらいはしなかった。

 

 目を閉じたままミズゴロウさんがマグカルゴとの距離詰めると、『ちょうおんぱ』で相手を混乱させていく。混乱は一度ボールに戻ることで治すことが可能だが、ジム戦のルールでアスナはポケモンの交換が出来ない。おまけに、混乱と同時に『にほんばれ』の効果が切れたようで、晴れ状態が解除されてしまった。

 こうなればもうこちらのものである。混乱してアスナの指示が聞けていないマグカルゴに、そのままゼロ距離で『みずのはどう』を直撃させ、四倍弱点で一気に戦闘不能に持って行く。

 

 マグカルゴが戦闘不能になると、アスナが再び自信をなくしたような情けない顔でボールに戻した。それに合わせてこちらもミズゴロウさんを一度ボールに戻す。

 俺有利の状況だが、ラティが「がんばる!」と応援の声を出すと、アスナが気を取り直したように二番手のバクーダを出してきた。えっと、ラティさん、そのがんばるは俺に対してのがんばるだよな?

 

 こちらも再びヘイガニを送り出していく。バクーダはほのお・じめんタイプなので、マグカルゴ同様にみず技が四倍だ。

 先手必勝で『クラブハンマー』を指示すると、マグカルゴ同様に『にほんばれ』でみずタイプの技の威力を半減してくる。おまけに、特性が『ハードロック』のようで、受けるダメージがさらに減らされていた。

 

 ふむ、アスナの手持ちは一貫してみずタイプの相手が厳しい。だからこそ『にほんばれ』は欠かせないということか。

 

 ならば先程同様に『つるぎのまい』で火力上げて無理矢理――と、思った瞬間、アスナが『じしん』を指示してきた。

タイプ一致のじめん技か、弱点ではないがヘイガニはカニなのでジャンプがそこまで得意ではない。アニメではピョンピョン跳んでいるかもしれないが、基本的にカニは高くジャンプしないのだ。

 

 ヘイガニがタイプ一致の『じしん』の直撃を受け、ヘイガニがそこそこのダメージを受ける。

 アニメでは基本的に規制されて使われない『じしん』だが、やはりじめんタイプの物理技の中では最強格だ。さて、どうするか、こうなると得意の『あなをほる』も使えないし、下手に『つるぎのまい』を積もうとしても妨害されるのは目に見えている。

 

 ヘイガニもレベル技以外の技は、元から覚えていた『あなをほる』くらいしかないので、どうやっても選択肢が限られてしまう。

 だが、『にほんばれ』と『ハードロック』でみず技の威力が激減するとしても、四倍弱点である以上は他の技を使うよりも有効打になっているのは間違いない。下手にタイプ不一致の『つじぎり』で急所を狙うよりは、近づいて『クラブハンマー』の方がまだ可能性があった。

 

 ヘイガニが再びバクーダに突撃していく。

 

 それを見て、アスナもバクーダに声をかける。俺が、先に倒れた方が負けの殴り合いを狙っているのがわかったのだろう。

バクーダはマグカルゴに比べて耐久が低い。こちらが進化前で種族値負けをしていることを考慮に入れても、殴り合いになればこちらに分があるはずだ。

 

 しかし、こちらが突っ込んだ瞬間、マグカルゴの時同様『あくび』で眠りを誘発してきた。

 隙があれば眠らせようとするのはなかなかクレバーだが、流石に二度目を許すほどこちらも優しくはない。咄嗟に『まもる』を指示して『あくび』を防御していく。

 

 だが、こちらが『まもる』を使って足が止まった隙を突かれ、アスナに先手の『じしん』を許してしまった。

 同じ近接技とはいえ、『じしん』は遠距離技のようなものなので、距離を詰め切れないと先手を許してしまうのだ。

 

 高威力の『じしん』をくらい、ヘイガニがダメージを受ける。マグカルゴに受けたダメージも考えると、残りの体力は大体半分ないくらいだろう。受けられても二回って所だ。

 

 反撃の『クラブハンマー』が当たり、バクーダもダメージを受ける。ダメージ的に、向こうも同じようなものだろう。受けられても二回――と、すると、先手を取った方が有利になる。

 

 ヘイガニに追撃を指示する。距離的にはギリギリだが、何故かアスナは『じしん』を指示してこなかった。

 代わりに、『クラブハンマー』をしたヘイガニを逃がさないように、そのまま組み伏せている。成程、ゼロ距離の『じしん』で威力を上げるつもりか――

 

 と、思ったその瞬間、『じわれ』が指示される。

 

 予想外の一撃必殺だ。組み伏せたのは絶対に当てるためということか。

 バクーダの体重は200を超えていたはず――いくら怪力が自慢のヘイガニでも突破は難しい。おまけにあの体勢では攻撃技にも力が乗り切らないので、反撃しても倒し切れないだろう。

 と、すると、『まもる』で防御か? いや、仮に一撃防いだとしても、連打されれば意味がない。『あなをほる』で逃げたとしても詰みだ。ヘイガニは相手を状態異常に出来る変化技も持っていないし、こうなると回避するのは不可能に近い。

 

 一瞬で、いくつものパターンを思考するが、その全てがヘイガニの戦闘不能を導き出していた。

 

 ダメだ。こうなれば、相打ち覚悟しかない。ヘイガニに『ハサミギロチン』を指示して、ワンチャン相打ちに持ち込ませた。

 しかし、確定一撃必殺の『じわれ』と、運よく決まればラッキーの『ハサミギロチン』では勝負になるはずがなく、まだ体力が残っているバクーダが足を退けると、ヘイガニが目を回して戦闘不能になっていた。

 

 これはアスナの択が上手かったな。ダメージと引き換えに確実に一体持って行かれてしまった。

 とはいえ、今は正解の択ではあるが、後々のことを考えればミスでもある。倒れたヘイガニをボールへ戻してスバメを出すと、アスナが苦しそうな表情を見せた。流石に気付いたのだろう。

 

 アスナは既に四つの技を指示していた。『にほんばれ』、『じしん』、『あくび』、『じわれ』、その中でひこうタイプに有効なのは『あくび』くらいで、他は全て効果がないのである。

 当然、こちらは『あくび』警戒で、遠距離からの『エアスラッシュ』でバクーダをなぶり殺しにするつもりだ。まさにただのサンドバッグである。一瞬、結末が見えたこのバトルを降参するかとも思ったが、バクーダが倒れるまでアスナは諦めずに戦うことを選んでいた。

 

 戦闘不能になったバクーダをボールに戻すが、アスナも先程と違って不安そうな顔をしていない。むしろ、自分のミスが頭に来ているようで、怒りの表情が顔に出ていた。

 

 先程のマグカルゴの時もそうだが、おそらくアスナはまだジムリーダーになって間もないせいもあって、先を読んだ技のチョイスが出来ていないのだろう。

 通常のバトルなら交換して別のポケモンに任せるという択が取れるが、ジム戦のクソルールのせいでジムリーダーはポケモンを交換できない。これは対戦相手へのハンデという意味もあるが、相手がどういう工夫をしてジムリーダーのポケモンを倒すのかを見るためだ。

 

 なので、ジムリーダーは目の前の対戦は当然として、先のバトルを読んだ技をチョイスする必要がある。

 今回のバクーダ戦でいえば、『あくび』ではなく、何かほのお技を選択していたのならこうはなっていなかっただろう。マグカルゴ戦もそうだ。安易な『じこさいせい』ではなく、別の攻撃技を指示していればまだあそこまで一方的なバトルにはならなかった。

 

 ただ、正直これは俺も悪かったりする。

 

 ぶっちゃけた話、俺がイレギュラーなだけで、普通のトレーナーが相手ならこうも一方的なバトルにはならない。

 仮にほのお技しか使えないマグカルゴとミズゴロウが対面しても、普通はジムリーダーが勝つのだ。ヒレの探知を駆使して攻撃をかわすこちらがおかしいのである。

 ヘイガニもそうだ。俺のヘイガニは足が遅い代わりに、攻撃の受け流しを鍛えているので、『じしん』をあれだけ耐えたが、普通のヘイガニなら一発か二発で戦闘不能になっている。だからこそ、アスナもなりふり構わず技を使ってしまったのだろう。

 

 なので、こういう状況になっても仕方ないといえば仕方ないのだが、どうもアスナはそれすらも自分の未熟だと思っているようで、自分の不甲斐なさに腹を立てていた。

 だが、その怒りが良い意味でアスナを吹っ切らせてくれたようで、無理にジムリーダーとして振舞おうとしていた先程よりもいい集中を見せている。ポケモンが自分のミスで力を出せずに倒されたことで、ようやくアスナのスイッチが完全に入ったようだった。

 

「しゃッらああああああああああああああああああああああいッ!!」

 

 大声を出し、気合を入れて最後の一体であるコータスを出してくる。

 こちらはスバメを継続だ。バクーダをサンドバッグにしている間に天候も元に戻ってしまったのだが、コータスが出た瞬間、再び天候が晴れに変わった。

 

 そういや、コータスは通常特性で『ひでり』を持っているから、晴れパの始動要因として良く使われていたっけか。

 これがジム戦でなければ先に出したのだろうが、ジムリーダーとしてエースは最後まで残しておく必要があったからこそ最後の登場になってしまった訳だ。

 

 やはり、ジム戦は悪い文明(ニューサトシにとって)。

 

 とはいえ、舐めてかかれる相手ではない。ほのお単タイプのコータスは弱点がみず・いわ・じめんしかないが、スバメはどの技も使えないので等倍のひこう技で攻めていく必要がある。

 コータスはあまり足が速くないが、火力はまぁまぁあるので油断すると一気に大ダメージを受ける可能性もあった。

 

 ここは少し慎重に行こうということで、スバメに『かげぶんしん』を指示して相手をかく乱していく。

 対するアスナは、『こうそくスピン』と『かえんぐるま』のアニポケ殺法でまさかの空中戦を仕掛けてきた。

 

 嘘のようにしか思えない前世では有り得ないコータスの使い方に驚いたが、コータス自身は次々とこちらの分身を消して、スバメ本体に突撃をかけて行く。

 そのまま『こうそくスピン』状態での『かえんぐるま』がスバメに直撃すると、即座に体勢を立て直して『のしかかり』にシフトしてきた。アスナからの指示はない――ということは、これは予め練習してきた一連の流れということだ。

 

 スバメを押しつぶすように空中からコータスが落下していく。抜けるのは無理と判断し、『こらえる』を指示して戦闘不能は避けることにした。

 まさかの空中戦だが、『こうそくスピン』と『ひでり』で威力の上がった『かえんぐるま』に、高高度からの『のしかかり』のコンボは一瞬でスバメの体力をミリまで持って行っている。『こらえる』がなければ、間違いなく即戦闘不能にされていただろう。

 

 おまけに、『のしかかり』の追加効果で麻痺したようで、スバメの動きが鈍い。状態異常になったことで、『こんじょう』の特性が発動して攻撃力が上がってはいるが、これでは『こうそくスピン』の追加効果で素早が一段階早くなっているコータスの方が速かった。

 

 せめて、麻痺がなければまだどうにかなったが、こうなると出来ることは限られてしまう。

 

 アスナは手加減無用と言わんばかりに、再び『こうそくスピン』からの『かえんぐるま』で突撃をかけてくる。こちらは『がむしゃら』を指示した。

 そちらがゲーム常識外のアニポケ殺法を駆使してくるなら、俺は古来より伝わる必殺のこらがむ殺法でお相手をしよう。この『がむしゃら』という技は、相手の残りHPから自分の残りHPを引いた分のダメージを与える技である。簡単に言えば、相手の体力をこちらと同じにする技だ。

 

 スバメは『こらえる』によって、体力が残り1だった。つまり、この『がむしゃら』が命中した瞬間、問答無用でコータスの残り体力も1になる。

 当然、残り体力1のスバメはこれで戦闘不能になってしまうが、これでコータスの残り体力は1だ。晴れ状態だろうと何だろうと、仮に『みずでっぽう』の一滴でも当たればその時点で戦闘不能になる。

 

 スバメをボールに戻し、最後のミズゴロウさんを出していく。本来ならば、次に出すポケモンが先制技を覚えていれば良かったのだが、生憎とミズゴロウさんは先制技を覚えない。

 だが、こちらはまだ無傷ということで圧倒的有利だった。先手を取り、『みずのはどう』を指示してとどめを刺しに行く。

 

 いくら、とんでも殺法があるとはいえ、こちらの攻撃を避け続けられるほどコータスの足は速くない。

 かといって、攻めに転じたくとも一撃でもくらえばアウトな以上、近距離戦という択は取りづらいだろう。

 

 どうする――と、思って見ていると、アスナが覚悟を決めたように『オーバーヒート』を指示してきた。

 ほのおタイプだと威力が130もある特殊技だ。使った後は二段階特攻がダウンするデメリットがあるが、それに見合った火力がある。おまけに、今はまだひでりによる晴れ状態が続いているので、タイプ一致の1.5倍に合わせてさらに1.5倍威力が上がるだろう。

 

 どうやら、この一撃で決めるつもりらしく、ミズゴロウさんが避けないように狙いを定めている。こちらの『みずのはどう』が当たるギリギリまでパワーを貯め、全身全霊で『オーバーヒート』を発射してきた。

 技が発動した瞬間、目の前にあったはずの水球は蒸発して消えていく。晴れ状態でみず技の威力が下がっていることもあって、一瞬にして消えてしまった。おまけに、技の範囲が大きいので、ヒレで感知しても避けられない。

 

 どうやらコータスは特殊寄りに育てていたようで、あからさまにパワーがおかしかった。

 これでは、いくらミズゴロウさんがみずタイプでほのお技の威力が半減すると言っても一撃で倒される可能性すらある。熱波がミズゴロウさんを包み、ダメージを与えていく。

 

 技が終了すると同時に、日差しも元に戻った。

 

 真っ黒になったミズゴロウさんが倒れる。

 

 その瞬間、倒れたミズゴロウさんの姿が煙のように消えてしまった。「『みがわり』!?」と叫ぶアスナと、驚くコータスを他所に『あなをほる』で地面を抜けたミズゴロウさんがコータスの背面から現れ、最後の一撃を与えていく。

 

 体力1のコータスは当然戦闘不能になった。

 

 ぶっちゃけ、最後に大技が来るのは読めていたのである。残り体力1なら、遠距離からのワンチャンを狙う以外に手はない。

 

 最初の『みずのはどう』は注意を向けるための囮。アスナは限界まで力を貯めていたので、その隙を突いて『みがわり』を発動し、『あなをほる』で地面の中に隠れたのだ。

 対面のアスナからは、『みがわり』が壁になって穴を隠していた。気付くのはまず不可能である。もし、アスナが『みずのはどう』に反応して、即『オーバーヒート』を撃ってきた場合は『まもる』で防ぐ予定だった。

 

 今回、こんなに回りくどい方法を取ったのは、相手が油断している隙を突いてとどめを刺すためである。

 仮に『まもる』で攻撃を防いでいたら、アスナもコータスも最後の最後まで油断せずに戦っただろう。残り1の体力を守るために死力を尽くしたはずだ。

 

 しかし、俺達を倒したと勘違いすれば?

 

 安心感が緊張を途切れさせ、気を緩めてしまうだろう。その一瞬の隙を突くためにワザとやられたフリをしたのである。

 

 アスナのポケモンが三体戦闘不能になったことで、俺の勝利となった。アスナも「やっぱりチャンピオン経験者は強いね」と言いながら、勝利の証であるヒートバッジを渡してくる。

 せっかくなので受け取ることにした。これは、ホウエン組が勝ち取った初めてのバッジだ。記念として取っておきたい。

 

 アスナも、どうやらバトルを通じていろいろと自分に足りない部分もわかったようで、これからも頑張ると言っている。

 次は本気でバトルしようと言ったが、「あたしの実力じゃまだサトシ君に勝つのは難しいよ」と謙遜していた。だが、今回の戦い方から見てもアスナの本気が計れるのは交換アリのルールだ。もし、今回のバトルも交換アリならどうなっていたかわからなかっただろう。

 

 半ば強引に再戦の約束をしてフエンジムを去る。いつかまた来ることがあれば、その時こそ本気のガチバトルをしようではないか。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・第56話『ヒートバッジ! 燃えるバトルでゲットだぜ!!』より、こうそくスピンコンボが強すぎた。
 こうそくスピンとかえんぐるまによる、高速コンボで鈍足のコータスでもスピードバトルが出来る。相手を捕まえたら、即座にのしかかりで相手を麻痺させ、パワー勝負に持って行く荒業だった。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.60

 ピジョット Lv.55

 バタフリー Lv.55

 ドサイドン Lv.59

 フシギダネ Lv.56

 リザードン Lv.61

 カメックス Lv.57

 キングラー Lv.55

 カモネギ  Lv.55

 エビワラー Lv.57

 ゲンガー  Lv.57

 オコリザル Lv.56

 イーブイ  Lv.55

 ベトベトン Lv.55

 ジバコイル Lv.55

 ケンタロス Lv.55

 ヤドラン  Lv.54

 ハッサム  Lv.56

 トゲキッス Lv.53

 プテラ   Lv.56

 ラプラス  Lv.54

 ミュウツー Lv.73

 バリヤード Lv.55

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.54

 カビゴン  Lv.52

 ニョロトノ Lv.52

 ヘラクロス Lv.52

 メガニウム Lv.51

 マグマラシ Lv.51

 ラティアス Lv.47

 ヘルガー  Lv.51

 ワニノコ  Lv.51

 ヨルノズク(色違い) Lv.51

 カイロス(部分色違い) Lv.51

 ウソッキー Lv.51

 バンギラス Lv.58

 ゴマゾウ  Lv.47

 ギャラドス(色違い) Lv.49

 ミロカロス Lv.15

 ミズゴロウ Lv.35→36

 スバメ   Lv.34→35

 ジュプトル Lv.35

 ヘイガニ  Lv.34→35

 フライゴン Lv.50 




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#127 『ひでろ、コータス』

 12歳 η月ψ日 『これからどうするよ』

 

 とりあえず、ホウエンも半分くらい回って、これからどこへ行こうという話になった。

 アニメやゲームだと、五つ目のバッジがトウカジムなので、一度トウカシティに戻るのだが、センリの実力はもうわかったし別に今戻る必要性もないので先に進もうかと思っている。

 

 しかし、ハルカがシダケタウンでポケモンコンテストがあるというのを聞いて、そこに参加したいと言い始めた。

 また、ずっと先延ばしにしていたキンセツシティでのテッセンとのガチ戦も果たしたい所ではあったので、やはりこれまで来た道を戻ることにする。もう何だかんだ一か月以上経っているし、テッセンも調子を取り戻しているだろう。こちらも戻りがてら、本気メンバーの調整をすれば、いい調子でバトルが出来るはずだ。

 

 

 追記。テッセンとのガチ戦で使うポケモンを決めた。まずは、砂嵐始動要員のバンギラス、続けてじめんタイプ最強のドサイドン、最後にずっと公式戦デビューが先延ばしになっていたゴマゾウだ。正直、タイプを偏らせるのはあまり良くないので、最後は発電所出身で電撃にかなり耐性のあるベトベトンとも悩んだが、何事も挑戦である。ゴマゾウなら大丈夫と信じて今回はこの三体で挑戦することにした。

 

 

 

 12歳 η月ω日 『すまんスバメ』

 

 オーキド研究所からポケモンを三体迎え入れるに当たって、誰かを手持ちから外さないといけないのだが、ジュプトルとミズゴロウさんが率先して手を上げた。

 どうやら、研究所にいる先輩に訓練して貰いたいらしい。じゃあ、残り一体もいつも通りスバメにするか――と思ったら、ミロカロスが自分が行くと訴えている。どうやら、進化したことで、さらにいろいろな技を身に付けたいと思ったらしく、研究所にいる先輩に指導して貰いたいようだ。

 

 その意気や良しということで、三体をオーキド研究所に送ってバンギラス、ドサイドン、ゴマゾウを手持ちに加える。ついでに捕まえてから一度も手持ちに入れていないフライゴン先輩もこの機に仲良くなるために、やはりスバメと交換することにした。すまんスバメ。

 

 では、久しぶりにご対面ということで、交換した四体をボールから出していく。

 

 マサトは通常のバンギラスよりも大きい俺のバンギラスを見て驚いていた。だが、ドサイドンもかなり大きいぞ。まぁ、ドサイドンの中では平均だけどな。

 逆に小さいゴマゾウは相変わらずの人懐っこさで、タケシに襲い掛かっている。最近は大人びた行動を取ることが多かったが、思えばこいつもまだ生まれてから一年経ってないベイビーなんだよなぁ。

 

 ハルカはバンギラスやドサイドンを見ながら、いつか自分のココドラもボスゴドラになってこれくらい大きくなるのかと想像しているようだ。

 想像している間に、どうやれば重量級のポケモンをコンテストで活躍させられるかに思考がシフトしたようで、ああでもないこうでもないと口にしている。いつの間にか立派なポケモンコーディネーターだな。

 

 ラティは気付けばフライゴン先輩に乗せて貰っていた。人間の姿でも一緒に戦った仲間とわかるようで、フライゴン先輩もやりたいようにさせている。すまんな。

 

 まぁ、久しぶりの出勤だが、本題はバトルだ。

 相手はでんきタイプのエキスパートということで、お前達を選出している。まだ時間はあるから調整期間を入れて仕上げていくぞ。

 

 

 

 12歳 θ月α日 『こうしてみると、ピカ様ってすげーな』

 

 ガチ戦の相手がでんきタイプということで、ピカ様が練習相手を買って出てくれたのだが、バンギラス相手に一歩も引かぬ戦いを見せている。

 今回、ピカ様を指示しているのはタケシだが、たまにピカ様の判断で独断の動きをすることもあった。結果としてそれがこちらを不利にしているので、タケシも基本的にピカ様の自由にさせつつ所々でサポートする態勢に切り替えている。こういう所は柔軟だよな。

 

 正直、かなり体格差があるはずなのに、バンギラスでピカ様を打ち崩せない。改めて、俺が相棒にしているのは普通とはかけ離れたピカチュウなのだと再認識させられる。

 おまけに、バンギと戦った後は少し休憩しただけで、ドサイドン、ゴマゾウと連戦していた。残りの二体はでんきが効かないということで、流石に苦労していたがそれでも戦闘不能になることなく切り抜けている。迂闊に『あなをほる』を使ったドサイドンも、『アイアンテール』による疑似『じならし』で痛い目に合っていた。

 

 こうしてみると、ピカ様ってマジすげー。

 

 しかし、そんなピカ様でもまだ『ばちばちアクセル』はモノに出来ていなかった。今までの技で一番習得難易度が高いかもしれんな、この技。

 

 

 

 12歳 θ月β日 『実はレベルがかなり高いフライゴン先輩』

 

 今日も今日とて訓練をしていると、フライゴン先輩が興味を持ったようで一緒に訓練している。劇場版出身ということで、バンギラス同様フライゴン先輩は捕まえた時点でかなりレベルが高かった。

 それこそ、カントーやジョウト組を相手にしてもあまり遜色ないレベルである。一人だけレベルが離れているヘイガニが何やら焦っているが、お前はこれから強くなるから心配しなくても大丈夫だぞ。

 

 

 

 12歳 θ月γ日 『パッチールはいっぱいなのに、何故……』

 

 毎度おなじみのタケシの暴走で、一組のカップルが誕生していた。

その道中、顔に割れたハートマークがついたパッチールが幾度となくタケシの前に現れたのだが、あれってまさかタケシの失恋を暗示していたのだろうか?

 

 

 

 12歳 θ月δ日 『実は努力家のベトベトン』

 

 ピカ様の『ざぶざぶサーフ』で倒されたドサイドンが、みずタイプの技に耐性をつけるために池に入っていた。どうやら、前にジョウトで会った波乗りサイドンの話をしたのを思い出したようで、その真似をしているらしい。

 とはいえ、一朝一夕で耐性など身に付くはずがないのですぐに止めさせる。あのベトベトンですら、俺に捕まるまでの時間をずっと発電所で過ごしていたからこそ身に付いたものだ。下手に真似をしても百害あって一利なしである。

 

 前にどこかで書いたかもしれないが、ベトベトンは電撃への耐性をなくさないために毎日ジバコイルに頼んで電撃を受けるトレーニングをしているらしい。目に見えない地味な訓練だが、そのおかげで戦いの幅は広がっているのだ。

 

 そのことをドサイドンも思い出したのか、自分が安易にみず耐性を欲しがったことを恥じていた。しかし、千里の道も一歩からということで、毎日みずタイプの技を受ける練習から始めることにしたようだ。

 まぁ、池に浸って風邪を引かれるよりは被害は少なそうだし、ワンチャンみずタイプに耐性が出来るのはいいことなので、そこはドサイドンのやりたいようにやらせることにする。

 

 

 

 12歳 θ月ε日 『砂パ』

 

 既にバッジを七つ持っているという自信ニキが勝負を仕掛けてきたので、ちょっと砂パの練習をさせて貰うことにした。

 

 開幕でバンギを出し、適当にドサイドンで暴れて、最後はフライゴン先輩で締める。本番はゴマゾウだが、今回は野良バトルだし、『ふゆう』持ちのフライゴン先輩の方が使える場面だったのでちょっと変更してしまったがバッチリ砂パとしての動きは出来ただろう。

 

 自信ニキには申し訳ないが、俺の自信を付けさせてもらった。バトルの後に、俺がジョウトリーグシロガネ大会チャンピオンで、チャンピオンリーグベスト10の実績を持っていることを知ると、「調子に乗ってすみませんでした」と謝ってくる。いや、別に謝られるようなことは何もされていないのだが、何かすまん。

 

 

 

 12歳 θ月ζ日 『ひでりじゃないコータス』

 

 またもタケシの迷子が発動して、はがねタイプのポケモンの縄張りに迷い込んでしまった。最近、マシになったと思えばこれである。やはり、ナビはマサトに任せた方がいいかもしれない。

 はがねタイプに限らず、ポケモンは割と縄張り意識が高い奴が多いのであまり入るべきではないのだが、たまたま一体のコータスがはがねタイプのポケモンとバトルをしているのを見つけた。

 

 どうもバトルセンスがないのか、自分のポテンシャルを持て余しているように見える。

 レベルで覚えない『オーバーヒート』を覚えているらしく、見ている限りだと十分に勝てる相手なのだが、戦い方がへたくそでボコボコにされていた。どうも、コータスはほのおポケモンとしてはがねタイプには負けられないと思っているようだが、このままではどうやっても勝ち目はない。

 

 あまりに見ていられないので、谷のボスと思わしきハガネールとのバトルに思わず乱入してしまった。

 

 コータスに指示を出して、ハガネールをボコボコにしていく。本来、コータスは十分に強いポケモンなのだ。前回のジム戦でも手こずらされたのは記憶に新しい。頼むから、情けない姿を見せないでくれ。

 

 コータスもいきなりの乱入に最初は驚いたようだが、素直な性格なようですぐに俺の指示に従ってくれた。

 オバヒまで覚えているほのおタイプを使って野良のはがねタイプに勝てないはずがなく、一瞬でハガネールを倒し終えると、コータスは感極まったように泣いている。おまけで背中から煙が出ているせいで大分けむいが、まぁ喜んでくれたのなら何よりだ。

 

 ふと、そういえばサトシ君もコータスをゲットしていたなぁと思いだした。

 

 多分、こいつがそうなのだが、バトルを見ていた感じ、特性は『ひでり』じゃない。『ひでり』じゃないコータスはちょっといいかなぁ――と、思っていたが、まるできび団子を貰った家来の動物のように、是非仲間にして欲しいと頼まれてしまった。

 来るものは拒まずがニューサトシのポリシーなので、そのままコータスをゲットする。代わりに、ヘイガニをオーキド研究所に送った。今は調整時期だから、すまんなヘイガニ。

 

 

 

 12歳 θ月η日 『ひでろうかコータス』

 

 コータスの特性はやはり『しろいけむり』だった。流石にちょっと使い道がないので、前に貰ってから勿体なくてずっと温存していた、とくせいカプセルを使うことにする。

 こういうのはずっと持っておくとラストエリクサーのように使わなくなるのでここら辺が使い時だろう。『ひでり』のコータスなら、火力アップや弱点のみず技半減もそうだが、晴れパとしての始動要因になれる。今の所、俺のメンバーに恩恵を受けるメンツはいないが将来的に必要になるかもしれないしな。

 

 ひでろ、コータス。

 

 

 

 12歳 θ月θ日 『ひでりになったコータス』

 

 とくせいカプセルによって、特性が『ひでり』になったコータスだが、自分が強くなったと思ったらしく大喜びで所かまわず晴れにしてくれている。

基本的に、天候を変える特性というのは発動が任意性なので、普通に過ごす時は発動させない。じゃないと、バンギなんかはずっと砂嵐状態だしな。

 

 しかし、喜んでくれているのはいいが、日差しが強いと流石に暑い。特性を使用する時はバトルの時だけということで、コータスには『ひでり』を控えるようにお願いした。

 

 

 

 12歳 θ月ι日 『キンセツジム再び』

 

 以前の約束を果たすために、キンセツシティにやってきた。ジムに行くと、テッセンがライボルトを出してトレーニングをしている。

 パッと見た感じレベル40くらいか。まぁまぁ育てられているポケモンだと思ったが、レベル15くらいから育てて、まだ二か月くらいしか経っていないらしい。二か月ということは、俺が前にジムに来たくらいに捕まえたということだ。

 

 流石にジムリーダーだけあって、育成能力も一流ということか――と、驚いていると、今は一軍をポケモンセンターに預けているので、ガチ戦は明日にして欲しいと頼まれた。

 

 こちらは異存ない。

 

 ただ、手ぶらで帰るのも何なので、以前ここに来た時にジムを閉めることを教えてくれたジムトレーナー兼助手のワットとハルカがバトルをすることになった。

 

 ハルカは元気を持て余しているエネコを選択し、ワットはデンリュウを出してくる。レベル差があるので、ワットがハルカに合わせてレベルを調節してくれていた。

 バトルは、序盤こそワットが優勢だったが、エネコの『ねこのて』でいい勝負に持って行っている。しかし、『ねこのて』は確定で狙った強い技が出せる技ではない。言ってしまえば、『ゆびをふる』と同じギャンブル技だ。当然、多用すれば隙が出来、そこをデンリュウに突かれてピンチになっている。

 

 最終的にはエネコが底力を見せて、デンリュウを戦闘不能にしたが、ハルカも『ねこのて』頼りのバトルはリスクが高すぎるとわかったようだな。

 

 ワットとハルカのバトルが終わると、テッセンのライボルトがバトルをしたいと訴えている。

 バトルをするのは全然ウェルカムなのだが、俺の手持ちで相手になりそうなのは捕まえたばかりのコータスくらいしかいない。他はちょっと強すぎるだろう。だが、コータスもライボルトと微妙にレベル差があるので、やるとすれば制限をつけるか野良バトルになる。

 

 テッセンは互角の戦いをしたいようで、ライボルトのレベルを制限してこちらに合わせてくれた。

 

 急遽、ライボルト対コータスのバトルが始まる。フィールドに出ると同時に、コータスの新特性である『ひでり』が発動してフィールドの日差しが強くなった。

どうもコータスはずっと特性を使いたかったようで、心なしか前よりも暑いような気がしなくもない。

 

 思えば、これがコータスのデビュー戦である。かなり気合が入っているようだが、まだレベル技以外は『オーバーヒート』くらいしか覚えていないのでどうやって攻めようか迷うぜ。

 

 こちらが様子見をしていると、テッセンが『じゅうでん』を指示してきた。次に使うでんき技の威力が二倍になる変化技だ。おまけに、特防が一段階上がるので、特殊で攻めるのはちょっと美味しくないかもしれん。

 

 こちらのコータスはまだ捕まえたばかりなので、まだ戦い方も連携もクソもない。本音を言えば、コータスはかなりの鈍足ポケモンなので、アスナがやっていたような『こうそくスピン』からの『かえんぐるま』を再現してスピード不足を補いたかったが、あれを練習無しで成功させるのは流石に難しいだろう。

 

 と、いうことで、素直に攻める。『クリアスモッグ』を指示して、相手の上がったステータスをリセットしつつ、毒煙でダメージを与えながらコータスの姿を隠していく。

 相手のバフを無効にしつつ、ダメージと煙幕が出来る一石三鳥の択である。この間に少しでも相手との距離を詰めていこう。近接するまでの時間を稼げれば御の字と思っていたが、それよりも早くテッセンが次の指示を飛ばしてきた。

 

こちらの煙幕をかき消すつもりのようで、全体攻撃の『ほうでん』を指示している。おまけに、『じゅうでん』によって火力が上がっており、当たればひとたまりもないだろう。

 流石にくらえないので、『まもる』で攻撃を防いでいく。だが、攻撃を防ぐことは出来ても煙幕は晴れてしまった。こうなれば仕方ないので、こちらも『かえんほうしゃ』で遠距離攻撃に切り替えていく。

 

 特性の『ひでり』によって、こちらの『かえんほうしゃ』は火力が上がっている。しかし、テッセンは迷わず『エレキボール』での迎撃を選んできた。

 これはまずい。『エレキボール』は相手との素早差があるほど威力が上がる特殊技だ。コータスとライボルトでは、おそらく五倍は素早が違う。威力は間違いなく最大になっているだろう。

 

 強化された『かえんほうしゃ』を押し返し、『エレキボール』がコータスに直撃する。

 吹き飛ばされたコータスが体勢を整える間に、テッセンは再び『じゅうでん』で火力と防御力の底上げをしていた。まずい、次の一撃をまともに受けたら勝ち目はないぞ。

 

 テッセンが再び『エレキボール』を指示してくる。こちらは『まもる』以外の択がなかった。

 何とか攻撃を防ぎきるも、その間にライボルトは既に次の『じゅうでん』を終えている。『エレキボール』は撃ちだすタイプの技なので、『ほうでん』や『かえんほうしゃ』のように撃ち続けることがない分、次の技が一歩早く出せるようになるのだ。

 

 当然、テッセンは三度『エレキボール』を指示してくる。こちらは『まもる』の連続指示以外出来なかった。

 運よく五割を引いたが、先程の焼き直しである。こちらが攻撃を防いでいる間に『じゅうでん』をするという無限ループによって、こちらが『まもる』で防ぎきれなくなるのを待っているのだ。

 

 四度目の『エレキボール』が指示される。流石にもう『まもる』は使えないので、『かえんほうしゃ』で『エレキボール』の下を撃ち、攻撃の軌道を何とか上へと反らした。

 テッセンは「器用な真似をするわい」と笑っているが、その間にちゃっかり『じゅうでん』は済ませている。こちらが防ぎきれなくなるまで、攻撃を止めるつもりはないようだ。

 

 おまけに、遠距離からの攻撃を捨て、ライボルトが接近してくる。一度、『かえんほうしゃ』を挟んだことで、こちらは再び『まもる』が使えるようになった。

 テッセンもこのまま遠距離攻撃を続けても決め切るのは難しいと判断したようで、ゼロ距離での『ワイルドボルト』による一撃で、『まもる』をする隙も与えず、一気にとどめを刺すつもりらしい。

 

 完全防御の『まもる』は確かに強いが、タイミングが難しいので接近戦で使うには地味に技術がいる。今のコータスでは、ライボルトの速度に合わせて発動させるのは難しいだろう。

 こうなれば一か八かである。接近してくるライボルトを射程に捕え、『クリアスモッグ』で姿を隠していく。

 

 煙幕としての効果はおまけだ。本命は、『じゅうでん』の連打によって、上がってしまった特防を下げることにある。必殺の『オーバーヒート』で一気に勝負を決めてやるぜ。

 

 ライボルトも毒煙によって一瞬足が止まったが、テッセンが煙の動きからコータスの位置を予測したようで、すぐに攻撃を指示している。

突っ込んでくるライボルトに、カウンター気味の『オーバーヒート』を食らわせてやった。まさかこちらがオバヒを覚えているとは思わなかったようでテッセンも驚いていたが、即座に『ワイルドボルト』を発動させて突っ込ませてくる。

 

 長い攻防で『ひでり』も解除されてしまい、火力が少し足りなかったようで、ライボルトが『オーバーヒート』を突っ切ってコータスに突撃していく。

 

 コータスは物理に強い方ではあるが、流石に『じゅうでん』によって強化された一撃は受けきれなかったようで、ブッ飛ばされて戦闘不能になっていた。

 ライボルトも『オーバーヒート』と『ワイルドボルト』の反動でかなりのダメージを受けているはずだが、まだ戦えるだけの体力は残っている。『ひでり』が続いていれば、相打ちくらいには持って行けたかもしれないが、今回は素直にこちらの完敗である。

 

 倒れているコータスをボールに戻して労う。いきなりのデビュー戦ですまなかったな。

 

 どうやら、テッセンはこちらのコータスがまだ捕まえたばかりだというのがわかっていたようで、「捕まえたばかりにしては良い動きじゃったぞ」と笑っている。

 まぁ、これは前哨戦のようなものだ。「本番は明日だ」と、返すと、テッセンが「明日も頂きじゃわい」と調子に乗っている。いいさ、今は好きに言っておけ。明日になれば、ほぼでんき無効の砂パで地獄を見ることになるんだからな。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・テッセンとのガチ戦の調整を始めた。
 砂パで挑戦する。ついでにフライゴン先輩も呼び出した。

・ピカ様の凄さを再認識した。
 バンギ、ドサイ、ゴマゾウと続けてバトルできるピカチュウってマ?

・フライゴン先輩が調整についてきた。
 レベル50あれば、ついて来られる。レベル差を感じてヘイガニが焦っていた。

・第57話『パッチールがいっぱい! 幸せ探して山の彼方に!?』より、ロケット団がいなかった。
 どこかに行ってしまった。

・第58話『ハガネの谷を突破せよ! コータスVSハガネール!!』より、ニューサトシが乱入した。
 アスナのコータスの凄さを見ていたので、我慢できなくなった。オバヒ覚えていて、はがねタイプに負けないでくれ。

・特性カプセルを使った。
 ラストエリクサー回避のために使った。が、別のポケモンの方がよかったかもしれない。

・第59話『キンセツジム再び! VSライボルト!!』より、テッセンとバトルした。
 前哨戦、アニメと内容は違うが試合結果は一緒だった。ライボルトは、ニューサトシの代わりにイベントをこなしたヒロシ君との一件で捕まえたラクライが進化したもの。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.60

 ピジョット Lv.55

 バタフリー Lv.55

 ドサイドン Lv.59

 フシギダネ Lv.56

 リザードン Lv.61

 カメックス Lv.57

 キングラー Lv.55

 カモネギ  Lv.55

 エビワラー Lv.57

 ゲンガー  Lv.57

 オコリザル Lv.56

 イーブイ  Lv.55

 ベトベトン Lv.55

 ジバコイル Lv.55

 ケンタロス Lv.55

 ヤドラン  Lv.54

 ハッサム  Lv.56

 トゲキッス Lv.53

 プテラ   Lv.56

 ラプラス  Lv.54

 ミュウツー Lv.73

 バリヤード Lv.55

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.54

 カビゴン  Lv.52

 ニョロトノ Lv.52

 ヘラクロス Lv.52

 メガニウム Lv.51

 マグマラシ Lv.51

 ラティアス Lv.47

 ヘルガー  Lv.51

 ワニノコ  Lv.51

 ヨルノズク(色違い) Lv.51

 カイロス(部分色違い) Lv.51

 ウソッキー Lv.51

 バンギラス Lv.58

 ゴマゾウ  Lv.47→48

 ギャラドス(色違い) Lv.49

 ミロカロス Lv.15→20

 ミズゴロウ Lv.36→37

 スバメ   Lv.35→36

 ジュプトル Lv.35→37

 ヘイガニ  Lv.35→36

 フライゴン Lv.50

 コータス  Lv.30 NEW!




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#128 『後出しじゃんけんだ』

 12歳 θ月κ日 『キンセツシティ ガチ戦 VSテッセン』

 

 残念ながら昨日は敗北してしまったが、今日はテッセンをボコボコにしてやるぜ――と、思いつつ、意気揚々とジムに行くと、既にテッセンも戦闘態勢に入っているようだった。

 どうやら、昨日の勝利を引きずって調子に乗るというようなことはないようで、笑顔を浮かべているが笑みの中に凄みを感じる。いつでもかかってこいと言わんばかりの態度を見て、思わずこちらも笑みが浮かんでしまった。

 

 最近、俺の笑顔はあまりウケが良くないようで、見た人間が引くことが多いのだが、テッセンは意に介した様子もない。いいね、早く始めようじゃないか。

 

 ルールは三対三の入れ替え制。レベル制限はなしだ。先に相手のポケモンを全滅させた方が勝利ということで、互いにボールを構える。

 審判を務めるワットの声掛けによって、互いに一体目を出した。俺は当然、バンギラス、テッセンはマルマインである。バンギラスの特性である『すなおこし』によって、フィールドが砂嵐に包まれていく。

 

 テッセンはバンギラスを見た瞬間、俺がでんきタイプをメタって砂パを用意して来たのを理解したようで、「めんどくさいポケモン出してきよって」と嫌な顔をしている。

 しかし、マルマインを戻すつもりはないようで、先手必勝と『どくどく』を指示してきた。如何にも攻めますと言わんばかりの顔をして毒攻めかい! 面倒くさい爺だな。

 

 とはいえ、こちらのバンギラスは巻き起こった『すなあらし』の効果によって特防が1.5倍になっている。マルマインの火力でこれを抜くのは難しいだろうし、納得の技チョイスではあった。

 しかし、そのまま好き勝手させるつもりはない。甘んじて猛毒は受けるが、『ちょうはつ』でそれ以外の変化技は禁止していく。それを見て、テッセンは『ボルトチェンジ』を指示して、素直にマルマインをボールに戻した。同時に、こちらもバンギラスをボールに戻す。

 

 互いに手早い交換だが、向こうもあれ以上マルマインを突っ張っても無駄に消耗するだけだし、こちらもバンギラスが貰った猛毒があるので仕切り直すのには丁度いい。

 それに、これで砂嵐が切れても、またバンギラスを出せばフィールドは『すなおこし』を発動出来るので猛毒をくらったマイナス分はカバーできる。状況的にはトントンと言った所だろう。

 

 先にポケモンを戻したテッセンが、二体目としてライチュウを出してくる。それを見て、こちらはゴマゾウを送り出した。

 当然、じめんタイプのゴマゾウにでんき技は効かない。とはいえ、ライチュウはピカ様の進化後ということで、でんき技以外の技も豊富に覚える。それこそ、じめんタイプ相手なら、『くさむすび』や『なみのり』をしてきてもおかしくなかった。

 

 ゴマゾウも晴れ舞台に興奮した様子を見せているが、テンションは上手く調整しているようで、暴走することなくこちらの指示を待っている。

 

 テッセンは『くさむすび』を指示して、こちらの弱点を突こうとしてきた。予想内の行動なので『じならし』を指示し、草ごと地面を踏んで相手の攻撃を無効にしつつ、反撃していく。

 ジョウトリーグのエキシビションマッチで、カスミさんがやって見せた『くさむすび』破りである。地面を鳴らすのではなく、地面を均してやった。

 

 テッセンもまさかそんな方法で防いでくるとは思わなかったようで、ライチュウに回避の指示が間に合わない。

 タイプ一致の弱点攻撃を受けて、ライチュウが大ダメージを受ける。しかし、すぐに立て直してきた。テッセンも「なら、これはどうじゃ!」と、『なみのり』を指示してくる。

 

 しかし、『なみのり』もまた、ピカ様が良く使うのでゴマゾウも慣れていた。『あなをほる』で地面に潜って、攻撃を回避していく。

 水が穴に入るのを防ぐために、大きくUの字に穴を掘らせているので、ダメージを受けることはない。おまけにライチュウは『じしん』系の技を覚えないので、地中のゴマゾウへ追撃をかけることも出来なかった。

 

 だが、テッセンもやられたままではない。ゴマゾウが『あなをほる』で攻撃を避けたと判断すると、ライチュウを『あなをほる』で地面に潜らせて攻撃を回避していった。

 ならば、再び『じならし』で大ダメージを与えてやる。『じしん』や『マグニチュード』と違って『じならし』の効果は『あなをほる』への効果対象外だが、ピカ様の『アイアンテール(疑似じならし)』のように距離が近ければダメージを与えることも出来るだろう。

 

 ゴマゾウに地上へ上がるように指示を出す。

 

 だが、テッセンはライチュウにゴマゾウの先回りをするように指示を出した。これにより出口が塞がれ、ゴマゾウが地上に出られなくなる。

 ゴマゾウも地中を動き回り、ライチュウを回避して、何とか地上に出ようとしていた。そんなゴマゾウを追うようにテッセンが指示を出す。

 

 こうして、先に捕まった方が負けのドッグファイトが始まった訳だが、しばらくすると地中からゴマゾウの悲鳴が響き、同時にライチュウがゴマゾウを押し上げるように地面から飛び出してきた。

 どうやら『あなをほる』対決はライチュウに軍配が上がったらしい。だが、タイプ不一致のじめん技を受けただけにしてはゴマゾウのダメージが大きかった。

 

 どういうことだ――と、首を傾げていると、満面の笑みでテッセンが答えを教えてくれる。

 

 テッセン曰く、いくらライチュウとはいえ、地面内の攻防でじめんタイプのゴマゾウには勝てない。だから、予め自分の通った道に、『くさむすび』の罠を仕掛けていたらしい。

 ゴマゾウはそうとは知らずに罠に引っかかってダメージを受け、ライチュウはその隙を突いてゴマゾウを攻撃して地上まで押し上げたということだ。流石に読めなかったな。こうなるとわかれば、俺も自爆覚悟で地中での『じならし』を指示したのだが――

 

 思わぬダメージを受けたので、ここは一度ゴマゾウを戻す。丁度砂嵐が収まったので、再びバンギラスを出して『すなおこし』を起こした。

 

 テッセンは何とかここでバンギラスを倒しておきたいのか、惜しげもなく最後の技を使ってくる。『かわらわり』で、こちらの四倍弱点を突いてきたのだ。

 だが、テッセンは不運だった。『くさむすび』の特殊な使い方には驚いたが、それ以外は全てピカ様と事前の特訓済である。こちらも『ほのおのパンチ』を指示して、『かわらわり』を受け流していく。『ほのおのパンチ』を選択したのは、火傷による継続ダメージや攻撃力低下を見込んでのことだ。

 

 ライチュウの尻尾はピカ様比べて長いので、少し受け流すのに苦労しているが、それでもまだ致命傷は受けていない。

 テッセンもここまで凌がれるとは思わなかったようで驚いた顔をしている。思えば、でんきタイプのジムリーダーと最後に戦ったのはマチスが最後だったか。あの時はまだ俺もポケモン達も未熟で相手に本気も出させられなかったが、ある程度成長した今ならわかる。でんきタイプのジムは俺との相性が最悪だ。

 

 今はでんきタイプを砂パでメタッているということもあるが、そもそも相棒にでんきタイプのピカ様がいるので相手が何をしてくるのか大体読める。

 相手の行動が読めれば対策も余裕ということで、ある程度打ち合うと『まもる』を指示してライチュウの攻撃を無効にして弾き飛ばした。そのまま距離を作ると、最後の技として『じしん』を指示していく。

 

 流石にここでバンギラスの『じしん』は致命傷になりかねないので、テッセンは素直にライチュウを戻した。

 フィールドに誰もいないということで、技を撃っても無駄なので、こちらもバンギラスに技を中断させてそのままボールに戻していく。攻撃の直撃は受けていないが、猛毒による継続ダメージが厳しい。最初にマルマインから受けたボルチェンのダメージと合わせて、もう半分近く体力が削られてしまった。

 

 テッセンは再びマルマインを出してくる。こちらもドサイドンは温存して、ゴマゾウを送り出した。

 

 再び、テッセンが『どくどく』を指示してきたので、『あなをほる』で回避していく。ライチュウと違って、マルマインはそこまで豊富に技を覚えないので対応は難しいだろう。

 注意すべきは当然、『だいばくはつ』だ。

 しかし、バンギラスは『まもる』、ゴマゾウは『あなをほる』で回避できる技をチョイスしている。そう簡単に爆発をくらう気はない。テッセンも俺が『だいばくはつ』を警戒しているのには気付いているようで、三つ目の技として『リフレクター』でこちらの物理攻撃を半減させてきた。

 

 同時に、ゴマゾウが地面からマルマインに突撃していく。弱点の攻撃だが、『リフレクター』のおかげで、マルマインもそこまでダメージを受けていなかった。

 

 向こうが体勢を立て直す前に、ゴマゾウに指示を出し、すぐにまた『あなをほる』で地面の中に潜っていく。

こうなると、攻め手がないようでテッセンは再びマルマインをボールに戻した。やはり、得意のでんき技が使えないというのはかなり向こうの動きを封じているようだ。

 

 マルマインがボールに戻ると同時に、ゴマゾウが地面からひょっこり顔を出してくる。同時に砂嵐も止んでしまった。ライチュウとバンギラスのバトルが思いの外長かったからな。

 

 ここまでこまめにポケモンを交換するバトルは初めて見るのか、観客席のマサトが「一回のバトルでこんなにポケモンを戻すものなんだね」と感心している。

 まぁ、今回のバトルだと、俺がテッセンをメタッていたり、猛毒状態だったりと、なかなか長期戦に持ち込めるような状況じゃないからな。その辺りは、解説役のタケシが説明している。ハルカもうんうん頷いていた。最近はバトルにしっかり向き合っているのが良くわかる。ラティもうんうん頷いているが、こっちは理解しているか少し怪しかった。

 

 正直、ここは再びライチュウを出してくるかと思ったのだが、テッセンはここで切り札を出すつもりのようで、最後の一体を出してくる。

 出てきたのはライボルトだ。だが、昨日戦ったライボルトとは別の個体だった。そもそも色が違う。基本的に青い体に黄色の毛を持つライボルトだが、今回出てきたのは黒い体に黄色の毛を持ったライボルトだった。

 

 珍しい色違いだが、どうやらこいつがエースらしい。ホウエン地方のガチバトルと言えば、怠けないケッキングに、ファンネルを使うダイノーズ、腹部物理半減の巨大ハリテヤマと、とんでもポケモンが続いてきたが、こいつも何か特殊なものを持っているのだろうか?

 

 俺が警戒を最大まで上げる中、テッセンは素直に『こおりのキバ』を指示してきた。

 こちらはお得意の『あなをほる』で地面に逃げる。ライボルトも『じしん』系の技は覚えないので、こうなるとどうしようもないだろう。

 

 しかし、その瞬間、テッセンは『みがわり』を指示した。まずい、これでゴマゾウの攻撃は身代わりへ行ってしまう。地中にいるゴマゾウは身代わりに気付くことなく攻撃を繰り出すも、ぶつかった瞬間身代わりは煙となって消える。

 隙だらけのゴマゾウの横から、『こおりのキバ』が直撃した。タイプ不一致の攻撃だが、弱点のこおり技ということでゴマゾウも大ダメージを受けている。

 

 おまけに、追加効果の氷が発生したようで、ゴマゾウの動きが止まった。即座に『じたばた』を指示して氷ごと砕こうとしたが、どうやっても追撃の『こおりのキバ』の方が速い。

 甘んじて一撃は受けた。代わりに、『じたばた』で氷を砕きながら、ライボルトにもダメージを与えていく。『じたばた』はこちらのHPが少ないほど威力が高くなる技だ。二度の『こおりのキバ』と、ライチュウから受けたダメージでゴマゾウももう限界に近い。威力は最大になっているだろう。

 

 だが、氷を砕くのに力を使ったせいで、そこまでライボルトにダメージを与えることが出来なかった。

 テッセンがとどめの『こおりのキバ』を指示してきたので、『こらえる』で攻撃を耐えていく。そのまま『じたばた』で今度こそ最大ダメージを頂こうと思ったが、『でんこうせっか』でとどめを刺されてしまった。

 

 流石にゴマゾウも戦闘不能になってしまったが、ライボルトの技を三つも使わせている。おまけに、『みがわり』や『じたばた』のダメージで体力も1/3以上削った。大活躍である。

 

 砂嵐が切れてしまっていたので、再びバンギラスを送り出した。特性の『すなおこし』で再びフィールドが砂嵐になっていく。

 テッセンもライボルトを戻して、ライチュウを出してきた。『かわらわり』さえ直撃させられれば勝ちだと思っているのだろう。間違いではないが、バンギラスにしてみれば最大警戒技である。この日まで毎日ピカ様と訓練してきたのだ。そう簡単にはくらわない。

 

 それに、そろそろライチュウには退場して貰うつもりだ。バンギラスに『じしん』を指示する。

当然、弱点の攻撃を受ける訳にはいかないので、テッセンはライチュウにジャンプするように指示をした。おまけに、そのまま『かわらわり』を指示している。どうやら『じしん』のせいで動けないこちらにジャンプ攻撃を仕掛けるつもりらしい。

 

 だが、その動きは読めていた。

 

 ある程度実力のあるトレーナーになれば、『じしん』をジャンプで避けつつ反撃してくるものだ。俺でもそうする。っていうか、実際にやったこともあった。

 しかし、『じしん』を回避するためには、地面が揺れる前にジャンプする必要がある。つまり、技発動前にジャンプしなければいけないのだ。タイミング的には、トレーナーの指示が聞こえた瞬間に跳ぶのが普通だろう。それより遅いと回避が間に合わない。

 

 だが、もしジャンプした後に『じしん』が発動していなかったらどうだ?

 

 当然、『じしん』を発動していないのだからこちらは自由に動ける。対する相手は、逃げ場のない空中で真っすぐこちらに向かってくるので迎撃し放題だ。

 テッセンが「しまった」という表情を浮かべる。こちらの『じしん』が発動していないことから、自分がフェイントに引っかかったということに気付いたのだろう。

 

 これはピカ様相手にも通用した新フェイントだ。

 

 バンギラスには事前に、俺の指示から一拍置いてから動き、相手がジャンプや交代をしなかったら『じしん』を使えと言っておいた。先程、『じしん』に合わせたライチュウの交換で、技の発動を止めることが出来たのはそのためである。

 一拍置くことで、相手の動きを見てから動けるのだ。同時に、相手に『じしん』回避を強制させることで、向こうの方から真っすぐ懐に飛び込んでくる状況を作ることが出来る。当然、こちらは技を使っていないので、向こうは飛んで火にいる夏の虫という訳だ。

 

 先程、ライチュウとバンギラスの打ち合いが互角だったのは、ライチュウが細かく立ち位置を入れ替えて致命傷を防いでいたからである。

 しかし、空中では動けないので回避など出来るはずがない。『かわらわり』を悠々とかわし、ボディに『ほのおのパンチ』を叩きこんでいく。『リフレクター』のおかげで致命傷は避けられたようだが、それでもこの直撃は大きかった。

 

 ずっと思っていたのだ。

 

 この『じしん』という技は強いが、避けられることが割と多い。ならば、敢えて避けさせてしまおうと。

 言ってしまえば後出しじゃんけんだ。こちらのチョキに対し、相手がグーを出そうとしているのでチョキからパーに変える。こちらの『じしん』という札に対し、相手は必ずジャンプするのだから、『じしん』を使うふりをして別の技で迎撃という最強の後出しだ。

 

 さらにこれの良い所は、仮にこのフェイントの存在がばれてもこちらは何も痛くないということである。

 何せ、フェイントだと思って跳ばなければ、本当に『じしん』を使うだけでいい。後出しの権利を持っているのはこちらであり、相手はフェイントかもしれないという可能性があるだけで迷いが生まれる。

 

 スラムダンクで攻めの択しか取らなかった流川がパスをしたことで、相手に迷いを生んだのと同じだ。選択肢があるからこそ、相手は動きにくくなる。

 今までは単純にジャンプして避ければいいと思っていたが、フェイントの存在によってジャンプはミスになりかねなくなった。なら跳ばなければいいと思うかもしれないが、100%フェイントだと確信出来ない以上、跳ばないという選択肢を取る訳にもいかない。もし仮に、俺の指示と同時に『じしん』が来ればそれで終わりなのだ。

 

 ならば、相手の方に跳ばず、垂直に跳べばいいと思うかもしれないが、それこそ落下に合わせて『じしん』を使うだけの簡単な後出しが決まるだけである。

 対処するには、こちらが『じしん』を使う前に距離を詰めてくるか、遠距離で戦う以外にない。ライチュウなら『なみのり』や『くさむすび』があるが、その場合はこちらも後出しで別の対応を取ればいいだけである。

 

 テッセンがライチュウを戻した。こちらのフェイントが死ぬほど面倒くさいものだというのがわかったのだろう。それと同時に、『リフレクター』の効果も切れた。

 こちらもバンギラスを戻す。猛毒のリミットがあるので、あまり長時間出したくないのだ。代わりに出てくるのは当然、最後のドサイドンである。向こうはマルマインを出してきた。

 

 丁度、壁が切れたので張り直そうということだろうが、こちらの最後の一体がドサイドンだと分かった瞬間、テッセンが「お前さん、本気出し過ぎじゃろ」と苦笑いを浮かべる。自慢のでんき技を披露する隙がないと理解したのだろう。

 また、マルマインはこれでほぼ無力化した。『どくどく』、『ボルトチェンジ』、『リフレクター』と、既に三つ技を使っているが、その全てがドサイドンへの有効打へはなり得ない。

 

 仮に『だいばくはつ』をくらったとしても、ドサイドンならば耐えきれるだろう。体力の削られているバンギラスなら倒し切れるかもしれないが、『まもる』で防げる。

 

 死ぬほど面倒くさいという顔をしたテッセンが、『どくどく』を指示した。当然、こちらは『あなをほる』で回避する。ゴマゾウに出来て、ドサイドンに出来ないはずがなかった。

 テッセンは仕方ないと、再び『リフレクター』を指示してくる。ゴマゾウの時同様に、『あなをほる』の一撃をくらうのは必要経費と判断したのだろう。

 

 しかし、その妥協が命取りだ。

 

 ドサイドンに『ドリルライナー』を指示する。地面の中から凄まじい回転音が響き渡り、すごい勢いで地面から飛び出したドサイドンがマルマインに突っ込んでいった。

 だが、『ドリルライナー』はあくまでも狙いを定めるための補助に過ぎない。ドリルが相手に当たった瞬間、そのまま『つのドリル』に繋げて一撃でマルマインを戦闘不能に持っていく。

 

 穴の中から急加速で突撃しつつ、隙を見て一撃必殺へ繋げる新たな必殺技。三つの技を使うが、確定で相手を倒せる奇襲コンボだ。

 一見無駄に見える『ドリルライナー』だが、これがあるおかげで地中から一気に距離を詰められるし、ドリルの位置調整も出来るので、『あなをほる』から『つのドリル』がほぼ確定で繋がる。これが無ければ、『つのドリル』は命中率がかなり下がるだろう。

 

 テッセンも、まさか『リフレクター』を張って一撃で持って行かれるとは思わなかったようだが、ただでは転ばなかった。

 どうやら、マルマインの特性は夢特性の『ゆうばく』だったようで、ドサイドンの体力が1/4削られる。とはいえ、これで『だいばくはつ』の危険はなくなった上、ポケモンの数も互角になった。

 

 テッセンがマルマインをボールに戻すと、ライチュウを出してくる。おそらく、バンギラスは猛毒で倒し切るつもりなのだろう。

 むしろ、体力がまだ3/4も残っているドサイドンをどうにかするには、みず技やくさ技が使えるライチュウしかないと考えたようだ。とはいえ、ライチュウもこれまでのバトルで体力がかなり削られている。大体、半分ないくらいか。まだ砂嵐も継続しているし、下手をすれば『リフレクター』込みでも、『あなをほる』からの『ドリルライナー』だけで戦闘不能にすることも出来そうだった。

 

 テッセンが『くさむすび』を指示してくる。『なみのり』はゴマゾウの時のように『あなをほる』で回避されると思ったのだろう。

 しかし、『くさむすび』は『ドリルライナー』で対処が可能だ。『ドリルライナー』はドリルを起点に全身を回転させる技なので、草が絡みついた瞬間千切れ跳んでしまうのである。

 

 そのまま『あなをほる』で地面に潜っていく。だが、ライチュウもまた『あなをほる』で地中に潜って行った。

 どうやら、ゴマゾウの時のように『くさむすび』の罠を仕掛けるつもりのようだが、一度見た攻撃を何度もくらうほどこちらも優しくはない。逆にドサイドンを急上昇させ、最後の技である『じしん』で地中に隠れるライチュウを倒しに行く。

 

 体が小さなゴマゾウと違い、重量級のドサイドンの動きはライチュウでは止められない。

 テッセンも、こちらが『じしん』を撃つとわかったようで、ライチュウをすぐに地上に出した。しかし、回避までは間に合わず、『じしん』の振動を受ける。

 倒し切れるかと思ったが、『リフレクター』の効果と、地中から出ていたおかげもあってギリギリ耐えていた。そのまま、返しの『くさむすび』でドサイドンが転ばされる。技を出した後の隙を狙われたな。

 

 運の悪いことに、こちらはドサイドンが『じしん』を撃った段階で砂嵐が解除されてしまったので、『すなあらし』の砂嵐状態の時に特防が1.5倍になる効果は失われていた。

 だが、『ハードロック』のおかげで、ギリギリ耐えることが出来ている。それでも体力はギリギリだ。これ以上抵抗されても面倒なので、『ドリルライナー』で一気にライチュウを戦闘不能まで持って行く。

 

 真っすぐに向かってくるドサイドンに対し、ライチュウの出来る迎撃は『かわらわり』しかなかった。

 他の三つの技である、『くさむすび』、『なみのり』、『あなをほる』では対応が難しい。『なみのり』は発動までのモーションが大きすぎるし、『くさむすび』は『ドリルライナー』との相性が悪いのが見えている。『あなをほる』など、『じしん』で殺してくださいと言っているようなものだ。

 

どうやっても、『かわらわり』以外は、ライチュウが攻撃する前に倒されてしまう。だからこそ、倒されるのを覚悟で何とか相打ちに持ち込もうとしていたが、流石に体重差もあってこちらに軍配が上がった。

 

 しかし、これでドサイドンも限界だ。

 

 倒れたライチュウを戻すと、切り札のライボルトを出してくる。こちらもドサイドンとバンギラスを交代した。

 特性の『すなおこし』によって、再びフィールドが砂嵐に包まれていく。テッセンは『でんこうせっか』で即座に距離を詰めさせてきた。『じしん』を使われる前に、少しでも早くバンギラスを倒すつもりなのだろう。

 

 そのまま、最後の技である『アイアンテール』に繋げて接近戦を仕掛けてくる。こちらも『ほのおのパンチ』で迎撃していくが、まだ『リフレクター』が残っていることで、向こうもなりふり構わず突っ込んできた。

 こちらの『ほのおのパンチ』の直撃を受けて尚突っ込んでくる。こうも捨て身になられると、受け流すのも難しい。実際、『アイアンテール』を捌いた瞬間、その隙を突かれて『こおりのキバ』を叩きこまれてしまった。

 

 等倍の不一致技なのでそこまでダメージはないが、猛毒と合わせるとバンギラスの体力はもう限界に近い。

 長くは持たないと判断し、こちらに噛みついているライボルトをガッチリ掴んでそのまま地面に叩きつけた。ゼロ距離『じしん』で一気に戦闘不能にまで持って行く。しかし、ライボルトもまた『こおりのキバ』で反撃してくる。

 

 タイミング的に『リフレクター』が消えた後の攻撃だったので倒し切れるかと思ったが、タイプ不一致技ということもあって、ライボルトの体力が少しだけ残ってしまった。

 対するこちらは、『こおりのキバ』二回と猛毒のダメージで一気に戦闘不能に持って行かれる。これで俺も残りは、ドサイドンのみだ。

 

 ドサイドンもライボルトも、もうそこまで体力は残っていない。強い技を一度受けたらその時点で戦闘不能になる。

 

 だが、テッセンは迷わず『でんこうせっか』でライボルトを突撃させてきた。ドサイドンも『じしん』を使うので、フェイントを使う可能性があると考えたのだろう。

 実際、ドサイドンにもバンギラスと同じ指示をしてあるのでその判断は正しい。そのまま『アイアンテール』に繋げて接近戦に持ち込んでくる。こちらの技は『あなをほる』、『ドリルライナー』、『つのドリル』、『じしん』なので近接戦に持ち込まれるのは辛い。

 

 仕方ないので、『ドリルライナー』の回転で何とか攻撃を弾く。とはいえ、連続で攻撃されたら一巻の終わりなので、そのまま『あなをほる』で地中に逃げた。

俺の目算では、『すなあらし』の継続ダメージ二、三回ほどでライボルトは倒れるはずだ。下手に接近戦に付き合ってワンチャン取られるよりも確実な勝利を取る。

 

 テッセンも俺が砂ダメによる勝利を狙っているのは読めたようで顔を上へ向けた。相棒の残り体力をしっかり把握しているが故に結果が見えてしまったのだろう。

 長く地面の中に居ると、審判による遅延の警告が入るが砂ダメ数回の時間ならギリギリだ。砂嵐が切れると同時にライボルトが倒れた。それを確認し、ドサイドンが地中から出てくる。

 

結局、何かあるかと警戒していたが、あのライボルトも珍しい色違いで良く育てられている普通に強いだけのポケモンだったな。まぁ、毎回毎回よくわからないチートポケモンが出てくる方がおかしいのでこれが普通なのだが。

 

 テッセンが「全く、もっと子供らしい戦い方をせんか」と言いながら、勝利の証であるダイナモバッジを渡してきた。

 確かに、砂ダメを狙って地面に隠れるなんて戦い方は今どきの子供はしないだろう。とはいえ、ニューサトシ的には勝てばよかろうなのだの精神なので気にしていない。

 

 まぁ、それだけこっちも追い詰められたということだ。ぶっちゃけ、かなりメタったつもりだが、それでもギリギリな勝利になった辺りテッセンの強さが伺える。

 今にして思えば、やはりベトベトンを入れた方が楽に戦えたな。とはいえ、ガチ戦の目的は挑戦も兼ねているので、完璧なパーティで戦う必要はなかった。むしろ、多少穴がある方が対応力を鍛える訓練になるだろう。

 

 地味に悔しそうにしているテッセンに見送られながら、キンセツジムを後にする。

 

 ふと、今度は不利な状況を打開する力をつけるために、逆に相性の悪いポケモンを入れてガチ戦を挑んでも面白いかもしれないと思った。

 

 

 




 原作との変化点。

・テッセンとのガチ戦をした。
 ガチガチにメタったが、危うく負けそうになった。手持ちはゲーム参照。

・じしんの後出し
 死ぬほど面倒くさい心理戦を要求する。わからない奴は即殺しできる。

・色違いのライボルト。
 実はでんき技を精密に操作できる能力があったのだが、ニューサトシがメタったせいで披露できなかった。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.60

 ピジョット Lv.55

 バタフリー Lv.55

 ドサイドン Lv.59→60

 フシギダネ Lv.56

 リザードン Lv.61

 カメックス Lv.57

 キングラー Lv.55

 カモネギ  Lv.55

 エビワラー Lv.57

 ゲンガー  Lv.57

 オコリザル Lv.56

 イーブイ  Lv.55

 ベトベトン Lv.55

 ジバコイル Lv.55

 ケンタロス Lv.55

 ヤドラン  Lv.54

 ハッサム  Lv.56

 トゲキッス Lv.53

 プテラ   Lv.56

 ラプラス  Lv.54

 ミュウツー Lv.73

 バリヤード Lv.55

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.54

 カビゴン  Lv.52

 ニョロトノ Lv.52

 ヘラクロス Lv.52

 メガニウム Lv.51

 マグマラシ Lv.51

 ラティアス Lv.47

 ヘルガー  Lv.51

 ワニノコ  Lv.51

 ヨルノズク(色違い) Lv.51

 カイロス(部分色違い) Lv.51

 ウソッキー Lv.51

 バンギラス Lv.58→59

 ゴマゾウ  Lv.48→49

 ギャラドス(色違い) Lv.49

 ミロカロス Lv.20

 ミズゴロウ Lv.37

 スバメ   Lv.36

 ジュプトル Lv.37

 ヘイガニ  Lv.36

 フライゴン Lv.50

 コータス  Lv.30




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#129 『やはり伝説は本当だったのか』

 12歳 θ月λ日 『結局、俺の勝ちだった』

 

 テッセンをボコって満足したので、このままシダケタウンまで戻ろうという話になったのだが、朝になるとそのテッセンがポケモンセンターの前で仁王立ちしていた。

 テッセン曰く、昨日は負けたが一昨日のバトルでは勝ったので、今は一対一の引き分けの状態らしい。だから、今から一対一のバトルで決着を付けようということだった。

 

 結局、負けたのが悔しいんじゃねーかと思いつつも、ニューサトシも決着はつけたいので勝負を受ける。

 急遽のバトルなので、こちらはピカ様、向こうは色違いライボルトで勝負をすることになった。エースを出してくる辺り、テッセンも本気のようだが、うちのピカ様が負けるとは思えない。

 

 開幕はまず、特性把握の『10まんボルト』で様子見をした。どうやら、でんき技を無効にする『ひらいしん』ではないようで、電撃は普通に避けられている。

 次に、互いの『10まんボルト』が交差しての大迫力バトルだったが、どうやらテッセンとライボルトは放った電撃を自由に操作できる精密さが売りのようで、『10まんボルト』があり得ない角度から襲ってきた。

 

 それだけならまだ何とかなるが、挙げ句の果てにはこちらの『10まんボルト』に『10まんボルト』を合わせて、無理やり電撃を収束してくる。

 近距離技ならいけるかとも思ったが、テッセン得意の『じゅうでん』による『ワイルドボルト』もかなりの威力があり、ピカ様の『ボルテッカー』でも歯が立たなかった。

 

 でんき技対決は不利と判断して、『かわらわり』による接近戦に切り替えたが、向こうも『こおりのキバ』で接近戦に応えてくる。

 かなり苦戦を強いられたが、最終的にはピカ様お得意の『かわらわり』でライボルトの脳天に一撃を入れて何とか勝利を収めた。

 

 ガチのでんきタイプ対決に負けては、流石に言い訳も出来ないようで、テッセンもしょんぼりとした顔でジムに戻って行く。危うく負ける所だった。一つのジムで、三回も戦ったのはお前が初めてだよ。またな!

 

 

 

 12歳 θ月μ日 『大分増えたな』

 

 ガチ戦が終わったので、メンバーを元に戻そうかと思ったのだが、フライゴン先輩やコータスが新メンバーになったことで枠が二つ少なくなっている。

 勿論、ホウエン組はこまめに入れ替えるつもりではあるが、とりあえず今回は誰かが残留又は移動ということになり、意外にもヘイガニが残留の意思を見せた。

 

 どうやら、自分の実力不足を感じたようで、向こうで自分を鍛え直したいと思ったらしい。

 その意気や良しということで、一人目はヘイガニで決定した。残り一人を誰にしようか考えていると、どうやらまだ技を覚えきれていないということでミロカロスが残留の意思を見せている。

 

 と、いう訳で、ピカ様を除いて、今回はミズゴロウさん、スバメ、ジュプトル、フライゴン先輩、コータスというメンバーになった。

 改めてフライゴン先輩とコータスが、同期のホウエン組に挨拶をしていたのだが、コータスが挨拶中に緊張してまたも煙を噴き出している。

 

 特性が『ひでり』になっても、煙を出す癖は変わらないらしい。まぁ、これも個性ということで、面通しも済んだし今日も元気に旅を続けようということになった。

 

 

 

 12歳 θ月ν日 『そういえば』

 

 ここ一か月ほどロケット団の姿が見えない。コンテストでズルをするなと言ってからなので、もしかしたらコンテストの特訓をしているのかもしれないな。

 

 前もジョウトで似たようなことあったし。

 

 

 

 12歳 θ月ξ日 『やめろ! 勝てるわけがない! あいつは伝説のスーパーコーディネーターなんだぞ!』

 

 ハルカがいつものようにエネコに振り回されているのを見つつ、バトルの練習をしていると、ジュプトルに転ばされたコータスがその動きに感動して煙を出し、その煙を吸ったエネコの声が出なくなるという事件が発生した。

 

 タケシ曰く、近くのフタバタウンにポケモン診療所があるということで寄って行くことにしたのだが、フタバタウンはシンオウの街ではなかったか? と、首を傾げる。

 こういう街の名前が被るってことは、もしかしたらアニメであった話の可能性があった。ぶっちゃけ、ホウエンで覚えているのはジム戦ちょっととリーグ周り、バトルフロンティア(主にジンダイ)くらいなので細かい話は流石に覚えていない。

 

 診療所に行くと、アヤネという指圧師の先生にツボを押して貰い、エネコは元気になったのだが、話を聞いているとどうもアヤネはかつて伝説とまで謳われたポケモンコーディネーターだったという。

 今は進化してエネコロロだが、昔はエネコと一緒にコンテストを荒らしまくっていたと笑っていた。

 

 どうも、ハルカのエネコを見て昔のことを思い出したようで、いろいろとアドバイスをしてくれている。

 ハルカはアヤネからいろいろ話を聞いて、次のコンテストはエネコで出ることを決めたようだ。その流れで、俺もコンテストに出るのかと聞かれたが、今の所は遠慮しようと思っている。ナナミさんにも、遠回しにコンテストを舐めるなって釘刺されたしな(ニューサトシ的解釈)。

 

 

 追記。アヤネのおかげで、エネコが新しく『ふぶき』を覚えていた。いくら自分でエネコを育てたことがあるとはいえ、少し教えただけで技を覚えさせるなんて、やはり伝説は本当だったのか。

 

 

 

 12歳 θ月ο日 『コンテスト出たいん?』

 

 ラティは地味にまだコンテストに未練があるのか、よくハルカの練習に付き合う姿が見える。何だかんだ言っても女の子だからなぁ。それに負けたままで未練もあるだろうし。

 とはいえ、俺もコンテストは前世知識とバトル技術で見様見真似だから素人よりはマシってレベルなんだよな。ぶっちゃけ、それでも行けるかと最初は高を括っていたが、いざやってみるとやはりコンテストはコンテストで技術や経験が必要なのもよくわかった。

 

 後はセンスの問題だな。ぶっちゃけ、俺にはハルカみたいなコンテストのセンスがねぇ。あれば、ミロカロスやラティを使ってコンテストに負けるとは思えない。

 まぁ、この間のカスミさんの時のようにイベントのようなコンテストなら参加してもいいかもしれないが、しばらくはバトル優先で行こう。ガチバトルも楽しいしな。

 

 

 

 12歳 θ月π日 『そりゃ、お前が悪い』

 

 シダケタウンに着いたので、とりあえずポケモンセンターに顔を出すと、コンテストだと毎度お馴染みになりつつあるシュウと再会した。

 今回の大会にも参加するつもりなのかと思ったが、どうも昨日相棒のロゼリアがバトルで負けて重傷を負ったので棄権するつもりらしい。

 

 まぁ、そういうこともあるかもしれないが、大会前に野良バトルをするお前が悪い。本職なんだから、そこはシビアに行くべきだろう。俺ですら、ガチ戦の直前は自主練以外のバトルはさせないぞ。

 

 ふと、俺とのコンテストバトルで出したアメモースで出ればいいと思ったが、シュウ的にはアメモースはまだ演技の完成度が高くないようで勝ち抜けるビジョンが見えないらしい。

 前回、俺とのコンテストバトルで出したのは、ラティが相手で相性の悪いロゼリアではどうしようもなかったからこその苦肉の策だったようだ。

 

 シュウが出ないということで少し張り合いを無くしたようなハルカだが、リボンゲットのチャンスではある。俺も今回は完全に応援係に回るつもりなので、観客席からしっかり応援してやるぜ。

 

 と、思いつつ、ハルカのコンテストの登録を終えて街をうろついていると、シュウをボコしたと思われるポケモンコーディネーターが現れた。

 ファントムを名乗るその男は、全身黒ずくめでサマヨールの顔に似せたいかにもな仮面をつけている。思わず、ラティが「かっこいい!」と声を上げたが、今はそれ所ではないのだよラティ君。

 

 とりあえず、コンテストがあるハルカを戦わせる訳にはいかないので、俺が相手になる。

 ファントムのサマヨールはまぁまぁ育てられているが、ガチのバトルで俺に勝てるはずがなく、フライゴン先輩で遠慮なくボコボコにしてやった。

 

 しかし、とどめを刺そうとした瞬間、変なおばさんが現れ、それを見たファントムがサマヨールを戻して慌てて逃げていく。

 おいおい逃げんなよと思いつつ、急に現れたキミヨと名乗るおばさんの話を聞いてみると、どうもファントムの正体は自分の息子のキミマロではないかという。何だかんだあって正体を暴いて欲しいと頼まれたのだが、それとは別にタムラマロを名乗るおっさんが俺達に助けを求めてきた。

 

 聞けば、タムラマロはキミマロの父親のようで、昔はポケモンコーディネーターだったらしい。

 しかし、妻のキミヨは大のポケモン嫌いでキミマロに一切ポケモンを近づけさせないようにしていたとのことで、不憫に思ったタムラマロがキミマロをポケモンコーディネーターの道に引き込んだらしい。

 

やはり、ファントムはキミマロのようで、タムラマロは何とかコンテストに出させてあげたいということだった。

 

 まぁ、あのおばさんの態度からポケモンが好きじゃないのはわかっていたし、実際俺も助けるならあんなおばさんよりもポケモンを好きな奴の方がいいのでタムラマロの依頼を引き受ける。

 作戦はこうだ。ラティの変身能力を使ってシゲルに変身して貰い、その上でファントムになり澄まして貰う。その後、俺達が変装を暴いたのをキミヨに見せることで正体はキミマロではありませんでしたと錯覚させるという完璧な流れである。

 

 問題はラティがしっかりファントムを演じられるかという点だが、まぁ失敗したら失敗したで仕方ない。

 体形の近いタケシにファントム役をやらせても良かったのだが、別人だと思わせるのにキミヨが顔を知っているタケシだとちょっと問題があった。

 

 と、いう訳でミッションをスタートする。

 

 ラティの言語能力が足りなくてちょっと疑わしい所はあったが、コンテストの演技練習のおかげか割と上手く立ち回れていた。

 隙を見てファントムの仮面を弾き飛ばすと、キミヨが変身しているラティの顔を見て「違う……?」と呟いている。どうやら成功したようで、ラティが一目散に逃げて行った。

 

 これでひとまずは大丈夫だろうが、根本的な解決にはなっていない。一応、タムラマロには、本当に息子のことを思うのなら、根本的にキミヨを納得させるしかないとアドバイスをしておいた。

 しかし、当のファントムことキミマロ本人は、明日のコンテストに出られることを喜んでいる。ハルカも負けられないと闘争心をむき出しにしていた。シュウが棄権して少し気落ちしていたが、どうやらモチベーションは戻ったらしい。

 

 

 追記。ラティがファントムのサマヨール仮面を気に入って返すのを滅茶苦茶嫌がる一面があった。最終的には予備の仮面があるということで、そのままサマヨール仮面を貰っている。カノンの姿で仮面をつけるのはちょいとダサすぎるぞ。

 

 

 

 12歳 θ月ρ日 『ポケモンコンテスト シダケ大会』

 

 遂にポケモンコンテストシダケ大会が始まった。今回の目玉参加者はやはりファントムことキミマロだろう。バトルセンスだけなら、あのシュウを破った実力者だ。

 当のシュウもライバル(本人は認めていない)のハルカの成長を見ていくつもりのようで、隠れてコンテストの様子を見ている姿を見つけた。俺自身、コンテストを観客席で見るのは初めてなので、何か変な気分である。

 

 コンテストを見ていると、どうも平均的にそこまでレベルは高くない感じだった。いつも通りの実力を出せれば、ハルカも十分一次審査は勝ち抜けるレベルと言っていいだろう。

 しばらくしてハルカが出てくると、どうやら少し緊張しているのか、いつもよりも動きが固い。おまけに、エネコの新技である『ふぶき』も失敗に終わり、二次審査に進出できるかどうか怪しくなってきている。

 

 最終的には滑り込みで何とか二次審査に進んだが、危うく一次審査負けする所だった。

 

 二次審査前に隠れて少し様子を見に行くと、あからさまに緊張しているハルカが、両手を合わせながら落ち着きなく座っている。そういえば、今までのコンテストでは何度か幸平式緊張ほぐし術をやってあげてたっけか。

 前回のハジツゲ大会ではロケット団のおかげで上手く緊張がほぐれたようだが、今回は誰もハルカに関わっていないので自分で緊張をコントロール出来ていないらしい。

 

 うーむ、ぱちんとやってやるのは簡単だが、それが癖になってもこれから先ハルカも困るだろう。ここは心を鬼にして、ハルカの成長を見守ることにした。

 

 そのまま観客席に戻ると、二次審査のコンテストバトルが始まる。フィールドに出てきたハルカはまだ手を合わせていた。

 仕方ないので音で応援する。パチンと、大きな拍手を一回してやった。俺とハルカ以外は、意味が分からないであろうその応援は、どうやらしっかりハルカに届いたようで、吹っ切れたような表情でボールに手を伸ばしている。

 

 そこからはエンジンが入ったハルカがファイナルステージまでノンストップで駆け抜けていく。対するライバルのキミマロも、負けじと決勝まで駆けあがってきた。

 やはり、最後はハルカ対キミマロというカードになったな。シュウも、最初はハルカの腑抜けっぷりに落胆していたようだが、スイッチが入ってからの動きは評価しているようでそうでなくては面白くないという表情をしている。

 

 最終戦ではノーマルタイプのエネコの攻撃が、ゴーストタイプのサマヨールに効かずハルカが大苦戦していた。何とか流れを取り戻そうと撃った『ふぶき』も失敗して大ピンチである。

 しかし、中盤で出した『ねこのて』が起死回生の一手となり、そこから一か八かの『ふぶき』が勝負の流れを変えた。

 

 後半の攻防でポイントも盛り返したようで、ギリギリの差でハルカの勝利が決まり、無事二つ目のリボンであるシダケリボンを手にしている。

 

 表彰式を見ている途中、シュウが「君は何故参加しなかったんだい?」と声をかけてきた。

 うーむ、どうもシュウの中では俺もポケモンコーディネーターになっているようだが、俺はポケモントレーナーが本職だ。今までは興味本位で参加していただけで、本格的にコンテストをやるつもりなどないのである。そう話したのだが、シュウは何やら不満そうな顔をしていた。

 

「今日のハルカは、確かに今までよりもずっといい演技をしていた。けど、君がその気になれば倒せたはずだ」

「単純なバトルならな。けど、コンテストバトルってのはどうにも性に合わないんだよ」

 

 そう、毎回俺は二次審査のコンテストバトルで負けている。頑張ってはいるのだが、どうにも勝ち進むことが出来ないのだ。

 ナナミさんには基礎がなっていないと言われたが、そんな俺がコンテストに出てハルカと戦ってもまともな勝負になるかどうかも怪しい。

 

 ならば、出ないのが一番――と、思っていたのだが、どうもシュウは違う意見のようで、「君とグランドフェスティバルを戦うのを楽しみにしているよ」と言って去って行った。いや、出んて。リボン一個も持ってないし。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・テッセンとのタイマンした。
 でんきの精密操作で、自分の技を介して相手のでんき技をもコントロールできる。ので、特性はひらいしんではなくせいでんき。

・第60話『エネコとエネコロロ! 伝説のコーディネーター登場!!』より、フタバタウンの地名が被ったことからアニメ回だと察した。
 もうダメだぁ、おしまいだぁ、勝てる訳がない。

・ロケット団がいない。
 どこかに行ってしまった。

・ラティがコンテストに未練がある素振りを見せている。
 ちょっと悪いことした気になっている。

・第61話『仮面のコーディネーターファントム登場!!』より、ニューサトシがファントムをボコった。
 ギリギリで逃げられた。

・事情を聞いて、とりあえず悩みを解決した。
 が、根本的な解決にはなっていない。ラティが報酬としてサマヨール仮面を貰った。

・ロケット団がいない。
 どこかに行ってしまった。

・第62話『シダケタウン! ポケモンコンテスト!!』より、ハルカが精神的に不安定だった。
 どうも、いろいろ落ち着いていない。ので、ニューサトシが音で応援した。

・ムサシが参加していない。
 どこかに行ってしまった。

・ファントム家族の件が解決した。
 裏では原作通りになっている。

・シュウにライバル宣言された。
 が、ニューサトシはリーグ一本に絞った。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.60→61

 ピジョット Lv.55

 バタフリー Lv.55

 ドサイドン Lv.60

 フシギダネ Lv.56

 リザードン Lv.61

 カメックス Lv.57

 キングラー Lv.55

 カモネギ  Lv.55

 エビワラー Lv.57

 ゲンガー  Lv.57

 オコリザル Lv.56

 イーブイ  Lv.55

 ベトベトン Lv.55

 ジバコイル Lv.55

 ケンタロス Lv.55

 ヤドラン  Lv.54

 ハッサム  Lv.56

 トゲキッス Lv.53

 プテラ   Lv.56

 ラプラス  Lv.54

 ミュウツー Lv.73

 バリヤード Lv.55

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.54

 カビゴン  Lv.52

 ニョロトノ Lv.52

 ヘラクロス Lv.52

 メガニウム Lv.51

 マグマラシ Lv.51

 ラティアス Lv.47

 ヘルガー  Lv.51

 ワニノコ  Lv.51

 ヨルノズク(色違い) Lv.51

 カイロス(部分色違い) Lv.51

 ウソッキー Lv.51

 バンギラス Lv.59

 ゴマゾウ  Lv.49

 ギャラドス(色違い) Lv.49

 ミロカロス Lv.20→25

 ミズゴロウ Lv.37→38

 スバメ   Lv.36→37

 ジュプトル Lv.37→38

 ヘイガニ  Lv.36→37

 フライゴン Lv.50

 コータス  Lv.30→31




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#130 『負けたままでいい訳がない』

 12歳 θ月σ日 『どうも負け犬になっていたらしい』

 

 ハルカのコンテストも終わったし、次はどうするかと考えていると、タケシからトウカシティに行かないかと提案された。

 どうやら、昨日シュウと別れる際に近くであるコンテストをいくつか紹介されたようで、トウカシティ方面にあるコトキタウンでコンテストがあるらしい。

 

 うーむ。あいつはどうしても俺にコンテストを続けて欲しいみたいだな。とはいえ、ついこの間、バトルを優先すると決めたばかりだ。トウカシティ方面に行くのは良いとしても、コンテストに参加するつもりはない。

 

 そう言うと、珍しくタケシが厳しい顔で「それは本心か?」と問いかけてきた。

 

「なぁ、サトシ。何でコンテストに参加するのをやめたんだ? 俺から見て、お前とハルカにそう大きな技術差があるとは思えない。ハルカには悪いが、むしろ経験豊富な分、お前の方がいろいろと上だと思っている。今回のコンテストだって、もし出ていれば優勝出来たんじゃないか?」

 

 かもしれないが、別にグランドフェスティバルに出るつもりもないのに、今更コンテストで優勝してリボンを一個手に入れてもなぁ。

 それなら、原作通りにハルカのリボンを集めた方がいいだろう。最初はまだコンテストを舐めていたから、俺の実力でリボンを総なめにしてやろうとも思ったが、ここ数回のコンテストでそう現実も甘くないって知ったしな。

 

「それは、逃げじゃないか? 昔、お前がトレーナーになってすぐ、ニビシティジムリーダーの俺に挑戦してきたお前は、負けても決して諦めようとはしなかった。必ずリベンジすると言って、毎日貪欲にバトルを挑んできたじゃないか」

 

 随分と懐かしい話だ。そういや、あの頃はまだレベル20にもなっていないピカ様で、タケシのエースであるイワークに挑戦したんだっけか。結局、ホウエンに来る前まで本気の勝負では勝てなかったけど、旅をしながらタケシとは何度もバトルをした。

 

「お前は、カントーやジョウトを旅して少し大人になった。ハルカやマサトのような後輩も出来てそういう自覚も出たのかもしれない。けど、そのせいでお前が持っていた無鉄砲さがなくなってしまったように見える。あの時のお前なら、ハルカのことなんか気にしないでがむしゃらにコンテストに挑戦したはずだ」

 

 って言ってもなぁ。本格的にコンテストに時間を割くということは、チャンピオンリーグにかける時間を削るということだ。

 いくらなんでもそれは本末転倒だろう。レベリング問題だって解決したわけじゃないんだ。だからこそ、今はコンテストではなくリーグを優先して、落ち着いたらまたコンテストをやるという結論を出したのである。

 

「別に今のお前が駄目な訳じゃない。むしろ、トレーナーとして大分成熟してきているとも思う。けど、昔のお前のがむしゃらさは失ってはいけないものだ。いつか、お前が行き詰って足を止めた時、次に進むためにきっとそれが必要になる」

 

 思えば、ここまでタケシがガチで俺の心配をしたのは初めてかもしれない。それだけ、俺は変わってしまったのだろうか。

 自分では全く意識していなかったが、これまでずっと俺と一緒にいたタケシの言葉だ。最初は適当に聞き流そうかとも思ったが、こうまで言われるとちょっと気になってくる。

 

「いいじゃないか、少しくらい寄り道したって。チャンピオンリーグだって、後三回も挑戦できるんだ。今焦る必要なんてどこにもないだろう?」

 

 焦り、か。確かに、焦っていたのかもしれない。次は絶対に優勝するという目標が、一年で結果を出さないといけないという見えない足かせになっていた。

 コンテストもそうだ。予想外に負け続けたから、これ以上は時間の無駄と思ったけど、タケシの言う通り逃げだった。チャンピオンリーグや原作のハルカのことを言い訳にして、負けたことに目を背けただけ――確かに、昔の俺なら考えられない思考だ。

 

 負けたままでいい訳がない。

 

「ラティがかつ!」

 

 ふと、黙って話を聞いていたラティがそう声をあげた。そうだよな、お前はずっとリベンジしたいと思ってたんだもんな。

 タケシ風に言うのであれば、俺がいつのまにか無くしてしまったがむしゃらさを、ラティはずっと持っていてくれたのだ。

 

「そうだな。もうちょっとだけやってみるか」

 

 少し、視野が狭まっていた。タケシの言う通りだ。焦る必要はない。寄り道を楽しんでもいいじゃないか。そこで、新しい何かが見つかるかもしれない。

 強くなることは確かに大切だ。でも、コンテストバトルをすることで、新しく見えてきたものも確かにあった。本来なら、もっとレベリングに精を出すべきなのかもしれないが、きっと今までが駆け足過ぎたからそう感じるだけなんだ。

 

 ゆっくり強くなればいい。原作のサトシ君が、長い旅で強くなって答えを出したように――俺も、俺なりのポケモンマスターをこれから探して行けばいいんだ。

 

 そう結論を出すと、タケシが「それでこそサトシだ」と笑みを浮かべた。同時に、ずっと話を聞いていたハルカとマサトも何やらホッとした顔をしている。特にハルカは、俺が自分に遠慮してコンテストを辞退したんじゃないかとずっと気にしていたらしい。

 思えば、前回のコンテストで集中できていなかったのは、それを気にしていたというのもあったのかもしれないな。悪いことをしてしまった。

 

 俺がコンテストに参加すると聞いてラティが大喜びしている。別にラティで参加するとは言っていないのだが、こうまで喜ばれるとラティを選ばない訳にはいかないだろう。

 

 という訳で、次もラティで参加することにした。

 

 

 追記。ふと、原作やゲームでもコトキタウンでコンテストなんかなかったような気がしたのだが、どうやら参加条件にリボンを一つも持っていないというものがあるらしい。確かに、これなら既にリボンを二つ持っているハルカは参加条件を満たしていなかった。逆にそこまで実力者がいないということでもあり、俺のリハビリとしては丁度いいだろう。

 

 

 

 12歳 θ月τ日 『おやぁ、君はぁ?』

 

 方針も決まったので、シダケタウンを後にしようとすると、前にトウカシティでラルトスを捕まえるのに協力したミツル君と再会した。

 どうやら、大分体が良くなったようで、前見た時よりも元気になっている。割と育てられているらしく、ラルトスもキルリアに進化していて、うちのホウエン組とそうレベルが変わらない。

 

 どうも、ミツル君はキルリアと一緒に旅に出ようと考えているようだ。しかし、叔父さんが心配して旅を認めてくれないらしい。

 とりあえず、今のミツル君の実力を試しがてらバトルをすることになった。とはいえ、流石にまだ初心者のミツル君に負けるはずがなく、バトルというよりも指導のような形になっている。

 

 ニューサトシの指導を受けたミツル君は、「まだまだ学ぶことはたくさんあるんですね」と言って頷いていた。どうやら、旅に出る前にもう少し自分を鍛えることにしたようだ。

 なかなか意欲があるので、ニューサトシも簡単なバトルメモを渡してあげる。もうちょっと強くなったらまたバトルしような。

 

 

 

 12歳 θ月υ日 『ルンパッパのイメージ』

 

 この近くで名水百選にも選ばれた美味しい湧き水があるという森があるというので、少し分けて貰いに来た。のだが、何故かタケシのハスボーが村の井戸に落ちてしまい、救い上げたらハスブレロに進化している。

 

 なんぞそれと思っていると、村人が急にタケシのハスブレロを崇め称え出した。聞けば、かつてハスブレロがこの村の水不足を救ったという伝承があるということで、村人にとってハスブレロは崇拝の対象らしい。

 タケシのハスブレロも進化して少し陽気になったのか、乗せられるようにして村人と一緒に踊っていた。うーむ、俺の中のルンパッパのイメージと微妙に重なるな。

 

 

 

 12歳 θ月φ日 『トラウマチルット』

 

 森の中で翼を怪我したチルットを保護した。偶然知り合った自然保護官のモリタによれば、嵐に巻き込まれて群を逸れてしまったのではないかということで、ハルカが率先してチルットのお世話をしている。

 チルットも、甲斐甲斐しくお世話をしてくれるハルカに懐いているのだが、嵐の出来事がトラウマになってしまっているようで、怪我が治っても空を飛ぶことが出来なかった。

 

 いろいろと手を尽くして、少しずつ恐怖心を薄れさせることは出来たと思うのだが、やはり心の傷は深く完全にトラウマを払拭できずにいる。

 無理をさせるのも良くないということで、とりあえずハルカがゲットしてゆっくりリハビリをしようという話になった。期せずして仲間が増えたハルカだが、このチルットのトラウマを払拭するのはなかなか手がかかりそうだな。

 

 

 

 12歳 θ月χ日 『ゆっくりでいい』

 

 ハルカがチルットのトラウマ払拭について頑張る隣で、俺とラティもコンテストの練習を再開した。

 今回、一次審査については以前の演技を踏襲しつつ、多少アレンジを加えるという形で練習時間を削減し、二次審査のコンテストバトルの練習に重きを置いている。

 

 自分の魅力を見せるバトル――と、いうことで、タケシに練習相手を頼みながら、何度もコンテストバトルの練習をしていく。

 技を組み合わせる応用技は確かにポイントが高いが、基本の技をしっかり魅せることでポイントを稼ぐことも重要だ。焦らず、基本をしっかり練習しよう。仮に失敗しても、また参加すればいいのだ。チルットと一緒で、ゆっくりでいい。

 

 

 

 12歳 θ月ψ日 『ゴクリン大量発生』

 

 もうすぐコトキタウンが見えてくるのだが、その一つ前の街でゴクリンの大量発生が起こった。

 ゲームではポケモンが出やすくなる嬉しい出来事だが、この世界だとポケモンの種類によっては大惨事になる。特に今回のゴクリンは、街の食料を狙うタイプのようで放置しておけば街が壊滅してしまうだろう。

 

 仕方ないので急遽協力することにしたのだが、この街に住んでいるというシャクジイ博士とかいう博士が謎の兵器を持ち出してきた。

 その名も、ゴクリン駆除兵器超素粒子TH砲というらしいが、言ってしまえばモンスターボールの原理で一度ゴクリンを内部に吸収し、遠くへ撃ちだすというものだ。THは、蓄えるのTと、吐き出すのHという意味らしい。

 

 確かに凄いが、遠くに飛ばしたゴクリンはどうするつもりなのだろうか? また、近くの街を襲いかねないが?

 

 と、疑問を抱いたのだが、撃ちだす方向や距離を毎回変えれば、大群も小さくなり街を襲わなくなるだろうということだった。

 まぁ、他の街に被害が出ないならということで、その作戦で行くことにする。次々とゴクリンを街の外へ撃ちだし、ほぼ全てのゴクリンを対処することが出来た。

 

 しかし、後一体を残して兵器が故障し、吸収されたゴクリンが何故か巨大化してしまう。

 とりあえず、ニューサトシの怪力乱舞でゴクリンの進行を止めはするが、いくら身体能力に自信があるニューサトシとはいえ、このまま永遠に止めておくことは流石に不可能である。

 

 今のうちにどうにかしてくれ――と、思っていると、どんなに大きくてもポケモンならゲットできるというハルカのアイディアで、ゴクリンをゲットすることになった。

 体が大きくなったことで質量も上がっている=体重も重くなっているはずという推理によって、最適なボールであるヘビーボールを投げ、何とか一発でゲットしている。

 

 ゴクリンもエネルギーが切れれば元のサイズに戻るということだが、あれだけの大きさだと元に戻るまでかなりの時間がかかるということだった。まぁ、頑張ってくれ。

 

 

 

 12歳 θ月ω日 『気合十分』

 

 コトキタウンに着いた。早速ポケモンコンテストにエントリーすると、開催は明日ということでまだ一日練習する時間があったので、ラティと外で練習することにする。

 前のコンテストではバトル経験不足で混乱してしまったラティだが、流石にもうそんな素振りは見せていない。逆に今度こそは優勝してみせると、とても意気込んでいた。

 

 そんなラティの気合を見て、ハルカのチルットもリハビリを頑張っている。キッカケさえあればすぐに跳べるようになると思うのだが、そう簡単にキッカケが起きれば苦労はしないよな。

 

 

 

 12歳 ι月α日 『ポケモンコンテスト コトキ大会』

 

 遂にコンテストが始まったが、参加条件がリボンを持っていない人のみということで、今までのどのコンテストよりも参加者のレベルが低い。油断するつもりはないが、これなら余程手を抜かない限り、一次審査の突破は固いだろう。

 

 俺達の順番が来ると、颯爽とラティと共にステージに立ち、その魅力を伝えていく。やはり、伝説のポケモンであるラティはその珍しさが際立つのか、審査員や観客の視線が釘付けになっていた。

 しかし、当の本人は特に緊張した様子もなく、楽しく演技する姿を見せつけることが出来ている。前のコンテストでもそうだったが、ラティはいい意味でマイペースなのだ。

 

 当然、一次審査はトップで通過した。まぁ、ハルカやシュウもいないのであれば当然と言っていいのかもしれない。

 

 だが、問題はここからのコンテストバトルだ。二次審査が始まると、一つ一つ丁寧に技を使って、相手のポイントを奪っていく。

 これまで俺はバトルの時のような大技でポイントを稼いでいたが、ああいう大技は逆にここぞという時に取っておかないと、他の技がショボく見えてポイントが稼ぎづらくなるとロバートとのバトルで習った。練習の時もそうだったが、一つの技を丁寧に使うのが大切なのだ。

 

 最終的には相手のポイントを削り切る前に戦闘不能にしてしまったが、コンテストから外れた荒々しいバトルにはなっていないので、特にポイントもマイナスになっていない。

 そのままセカンドステージ、ファイナルステージも、ほぼ一方的なバトルで勝負を決めた。ラティもコンテストバトルに慣れてきたようで、どうすれば相手のポイントを削れるかを理解してきたらしい。

 

 表彰式では、念願のリボンをゲットして、ラティが飛び上がって喜んでいる。そんな姿が可愛いからか、リボン渡す審査員達もほっこりした顔をしていた。

 

 

 追記。ラティが演技する姿を見て、チルットもコンテストに興味を持ったようだった。ハルカにしてみれば、いい影響を受けたと言っていいだろう。そのためにも、頑張ってまた飛べるようにならないとな。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・無意識にコンテストから逃げようとしていたのを自覚した。
 ニューサトシ自身特に意識はしていなかったが、二度負けたことでもういいやみたいな気持ちになっていた。タケシの説得で負け犬になっていたことを自覚し、もう一度コンテストに挑戦することを決めた。

・ミツル君と再会した。
 旅に出たがっていた。ポケモンの育成が凄いが、バトル能力はまだまだだったので、ニューサトシが指導した。いずれ、ポケモン廃人になるかもしれない。
 
・第63話『ソルロックとハスブレロ! 聖なる森の伝説!!』より、ロケット団がいないので水不足にならなかった。
 よって、ソルロックの出番がまるまるカットされた。

・第64話『チルットの空! ハルカの心!!』より、ロケット団がいないのでチルットのトラウマが払拭されなかった。
 原作ではロケット団とのいざこざで飛べるようになるのだが、ロケット団がいないためトラウマを払拭できなかった。

・ハルカがチルットをゲットした。
 飛べないままなので、群れにも返せず、ハルカがチルットをゲットした。原作でもハルカの手持ちになればよかったのに。

・コンテストの練習を再開した。
 基礎こそが何より大事。

・第65話『ゴクリン撃退大作戦!!』より、キモリが巨大化しなかった。
 ジュプトルに進化していたので、吸収される前に逃げられた。代わりに、ニューサトシが巨大ゴクリンを止めている。

・コトキタウンのコンテスト。
 オリジナルコンテスト、ニューサトシが参加する都合上、オリジナルのコンテストが増えていく予定。リボンを一つゲットした。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.61

 ピジョット Lv.55

 バタフリー Lv.55

 ドサイドン Lv.60

 フシギダネ Lv.56

 リザードン Lv.61

 カメックス Lv.57

 キングラー Lv.55

 カモネギ  Lv.55

 エビワラー Lv.57

 ゲンガー  Lv.57

 オコリザル Lv.56

 イーブイ  Lv.55

 ベトベトン Lv.55

 ジバコイル Lv.55

 ケンタロス Lv.55

 ヤドラン  Lv.54

 ハッサム  Lv.56

 トゲキッス Lv.53

 プテラ   Lv.56

 ラプラス  Lv.54

 ミュウツー Lv.73

 バリヤード Lv.55

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.54

 カビゴン  Lv.52

 ニョロトノ Lv.52

 ヘラクロス Lv.52

 メガニウム Lv.51

 マグマラシ Lv.51

 ラティアス Lv.47

 ヘルガー  Lv.51

 ワニノコ  Lv.51

 ヨルノズク(色違い) Lv.51

 カイロス(部分色違い) Lv.51

 ウソッキー Lv.51

 バンギラス Lv.59

 ゴマゾウ  Lv.49

 ギャラドス(色違い) Lv.49

 ミロカロス Lv.25→30

 ミズゴロウ Lv.38→39

 スバメ   Lv.37→38

 ジュプトル Lv.38→39

 ヘイガニ  Lv.37→38

 フライゴン Lv.50

 コータス  Lv.31→33




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#131 『今日は夜までバトルコースだぜ』

 12歳 ι月β日 『ついでに行くか』

 

 コンテストの司会をしているビビアンから、近くのミシロタウンでもコンテストがあると教えて貰ったので少し寄っていくことにした。今回は参加条件に特に制限がないので、ハルカも参加するかと思ったが、チルットのこともあって遠慮するらしい。

 ラティは「ラティがでる!」と、また出たがっていたが、今回はミロカロスで参加するつもりでいる。今までは気にしていなかったが、あいつが新しい技を覚えようと思ったのも、多分コンテストを意識してのことだと思うのだ。

 

 ミシロタウンはトウカシティとは別の方向にあるので、トウカシティに行くのは少し遅くなってしまうが、寄り道を楽しむと決めたばかりだし問題ないだろう。

 

 

 

 12歳 ι月γ日 『実は仲良し』

 

 ミシロタウンに着いたので、コンテストの参加登録をしてミロカロスを転送して貰う。ついでにヘイガニも一度手持ちに戻した。代わりに、ミズゴロウさんとスバメがオーキド研究所へと送られている。

 ミロカロスは新しく『りゅうのまい』を覚えたようで、美しい踊りを披露してくれた。今回の一次審査はこれで行くしかないと思えるくらいに美しい。バトルとしては使うか怪しいが、コンテストとしてなら問題なく使える技だ。

 

 今回は陸上でのコンテストなので、前回とは動きが変わって来るが、ミロカロスもなかなか器用なので、一度指示したことをしっかりと覚えてくれる。

 これなら、問題ないだろうということで、バトルの方に移ることにした。実はミロカロスはバトルをあまりしたことがないので少し心配だったのだが、どうやらオーキド研究所にいる間に同じみずタイプのギャラドスが戦い方を教えてくれたらしく意外と様になっている。

 

 思えば、ヒンバスの頃からギャラドスはミロカロスのことを気にしてくれていた。ホウエンの最初の方も、日記には書いていないがポケモンセンターの水槽で仲良くしている姿が目撃されている。

 だからこそ、ミロカロスもギャラドスを師と仰いだのかもしれないな。『りゅうのまい』が使えるのは、うちのメンツだとリザードン、ワニノコ、バンギラス、ギャラドスくらいしかいないし。

 

 

 

 12歳 ι月δ日 『ポケモンコンテスト ミシロ大会』

 

 今回も勝つと気合を入れつつ、コンテスト会場へ向かうと、俺が最初のコンテストで戦ったミロカロス使いであるロバートと再会した。

 俺が今回ミロカロスで参加すると聞いて、自分の上げたきれいなウロコが役にたったと思ったようだが、残念ながらあれはお蔵入りしている。

 

 ロバートとミロカロスも相変わらず美しい演技を見せているが、俺のミロカロスも負けていなかった。

 自慢の美しさと、新技の『りゅうのまい』が相まって、全ての人の目を引き付けるほどの魅力を演出している。

 

 どちらも甲乙つけがたいということで、俺とロバートのツートップで一次審査は突破した。

 

 今回、二次審査に出られるのは四名までということで、二回勝てば優勝だが、組み合わせ的にロバートと戦うには一度勝たないといけない。

 デビュー戦ということで、ミロカロスも少し緊張していたが、ラティの時と同じく基本を大事にしてポイントを稼いでいった。ロバートも、前とは違う基本に忠実なバトルを見て、こちらが地に足をつけているとわかったようで、勝って控室に戻る際、「決勝を楽しみにしているよ」と笑みを浮かべている。

 

 ファイナルステージは、やはりロバートとミロカロスになった。

 

 ミロカロス同士のバトルということで、会場中が手に汗握る中、お互いの『ハイドロポンプ』がぶつかり合うことでバトルが開始された。

 お互いにレベルが50固定だが、どうも努力値や個体値に差があるのか、今回は向こうのミロカロスの方が少しだけドロポンの威力が高い。

 

 このまま押し合いをしても結果は見えているので、こちらの『ハイドロポンプ』をキャンセルして攻撃をかわしていった。

 向こうが新たに『れいとうビーム』で攻め立てる中、こちらは『りゅうのまい』で攻撃と素早を一段階上げていく。向こうの攻撃が命中してポイントが10削られたが、代わりに機動力が上がった。

 

 そのまま、続く『れいとうビーム』を回避しながら懐に潜り込んでいく。一気に『まきつく』で向こうのミロカロスを締めあげると、ロバートのポイントが10ポイント削られた。これで五分だ。

 ロバートは『じたばた』を指示し、『まきつく』から逃れようとしたが、近接技を選んだのが運の尽きだった。こちらの特性は夢特性の『メロメロボディ』なので、三割の確率でメロメロ状態になるのだ。

 

 こちらの『まきつく』から逃れようともがけばもがくほど、メロメロになる確率は上がっていく。

 ロバートがそのことに気付いたのは、自分のミロカロスがメロメロ状態になった後だった。「しまった!?」と声を上げて、ミロカロスへ指示を飛ばすも、メロメロ状態ではそう簡単に動けない。

 

 こちらは『ハイドロポンプ』でミロカロスをぶっ飛ばした。受け身も取れずに倒れたことで、ロバートのポイントが20も削れる。これはでかい。

 

 そのまま最後の技として、『チャームボイス』を指示し、向こうのミロカロスにダメージを与えつつ、音波攻撃でロバートからの指示を聞こえなくさせる。メロメロ状態に加えて、トレーナーからの指示が聞こえなくなればほぼ動きは封じたと言っていいだろう。

 

 結局、ロバートのミロカロスは何も出来ないままポイントアウトとなり、同時に戦闘不能になった。

 どうやら負けるとは欠片も思っていなかったようで、始めは呆然としていたロバートだったが、こちらの視線に気づくと、「まさか、こうまで何もさせて貰えないとはね」と、何とも言えない笑みを浮かべながら倒れたミロカロスをボールに戻している。

 

 自分で体験してわかったが、コンテストはポケモンバトル以上にトレーナーとポケモンのコンビネーションが大事になるので、メロメロはぶっ刺さると思ったのだ。

 ちなみに、ロバートのミロカロスがオスなのは今日あった時に気付いた。俺のミロカロスを見る目線に、ちょっとホの字を感じたのである。可愛いからな、うちのミロカロスは。

 

 しっかりとリベンジも果たし、無事二つ目のリボンを手に入れることが出来た。ロバートは既に三つ持っているようで、本当ならここで四つ目にするつもりだったらしい。ざまぁ!

 

 

 追記。ここ数日で、リボンの数が並んだことでハルカが少し動揺している。しかし、俺がその気になった以上、もうコンテストでも手を抜くつもりはない。恨むなら、俺のスイッチを入れてしまったタケシを恨んでくれ。

 

 

 

 12歳 ι月ε日 『ポケモンが言うことを聞かないのは(以下略)』

 

 トウカシティに向かっていると、突然バクオングが襲い掛かってきた。後ろから出てきたトレーナーのガイによると、昨日ドゴームからバクオングに進化したらしいのだが、ドゴームに進化してからトレーナーの言うことを聞かないことが増えつつあり、バクオングに進化してからは完全に指示を聞かなくなってしまったのだという。

 

 前にも似たようなことを書いたような気もするが、ポケモンがトレーナーの言うことを聞かないのは基本的に2パターンしかない。

 そのポケモンのプライドが高いか、トレーナーが馬鹿にされているかだ。見た感じ、バクオングは前者っぽいような気もするが、ドゴームの時点でまだ言うことを聞いていたのならおそらくは後者だと思われる。

 

 どちらにしろ、ボコってやれば言うことを聞くようになるだろう。こういう輩は鼻っ柱をへし折ってやるのが一番いいのだ。

 

 と、いう訳でジュプトルを出した。ガチで倒すならフライゴン先輩だが、オーキド研究所で鍛えて貰った成果も見たいし、レベル的にも倒せる相手である。むしろ、ここで苦戦されても困るので、出来れば圧倒して欲しいと注文をした。

 俺が戦い方に注文をつけるのは、そのポケモンを認めている証拠である。ジュプトルもそれに気付いたようで、任せておけと言わんばかりにバクオングへと向かっていく。

 

 向こうもなかなかにパワーがあるが、それすらジュプトルの速さの前では霞んでしまう。どうやら、自分の武器を完全に自覚したようで、スピードマスターへの道を歩み出したようだ。

 バクオングが手も足も出ずに倒れると、すかさずガイが声をかけていく。最初は無視していたバクオングだが、ガイが負けずに声をかけ続けると、最終的には言うことを聞いていた。

 

 そりゃそうだ。今の俺のジュプトルを相手にして、トレーナーの指示なしで勝てるはずがない。

 トレーナーの指示有で、ようやく互角の立ち回りを見せるが、こちらはまだ俺が指示を飛ばしていないのをお忘れのようだったので、俺とジュプトルのコンビネーションでバクオングを立てなくなるほどボコボコにしてやる。

 

 バクオングも自分が井の中の蛙だったことに気付いたようで、ガイを再び自分のトレーナーと認めたようだった。

 

 

 

 12歳 ι月ζ日 『キングラーの教え』

 

 昼飯を食っていると、大道芸人のパンチョからバトルを挑まれた。当然、売られたバトルは受けて立つが、誰にしようか悩んでいると、自分に任せろとヘイガニが飛び出してくる。

 どうやら、ジュプトルがバクオングに圧勝したのを気にしているようで、自分も負けていられないと思ったらしい。

 

 そのやる気を買い、ヘイガニでバトルを挑んでいく。相手はルンパッパということで、相性的に良くない相手ではあるが、前のジム戦のように冷静な立ち回りで状況を有利にしている。

 どうやら、同じカニ系のポケモンであるキングラーに指導して貰ったらしく、その際に熱くならないことをしっかり叩き込まれたようだ。

 

 最終的には『つじぎり』が急所に決まって勝利を決めた。ヘイガニもしっかりと強くなってきているな。

 

 

 

 12歳 ι月η日 『もっとかかってこいよ』

 

 トウカシティも目前という所で、トレーナーの集団に囲まれた。どうやら、全員センリのファンらしく、その子供であるハルカやマサトも注目を浴びているらしい。

 俺がトウカジムに挑むとわかると、生意気なガキの腕を試してやると言わんばかりにトレーナーが襲い掛かってきたので、当然のように全員返り討ちにしてやった。

 

 ん? どうした? まだこちらは満足していないぞ、もっとかかってこいよ。遠慮するなって、まだまだこっちの腕は試されてないぞ。

 

 今日は夜までバトルコースだぜ。

 

 

 

 12歳 ι月θ日 『センリが浮気しているらしい』

 

 トウカシティに着いたので、早速ジムに向かったのだが、どうもハルカやマサトの父であるセンリがポケモンセンターのジョーイさんと浮気をしているという噂が耳に入ってきた。

 まさかと思いつつ家へ行くと、母であるミツコが怒って旅に出る寸前で、ハルカとマサトが大慌てしている。

 

 流石にあの堅物のセンリが浮気するとは思えないので、本人に話を聞きに行くと、やはり浮気ではないようで急いで家に帰っていく。

 

 聞けば、結婚記念に花火を用意していたとのことで、花火師の資格を持っていたジョーイさんと一緒に準備を進めていたらしい。

 ミツコも勘違いだとわかり一安心していたが、騒ぎになったことで少し恥ずかしそうにしている。一件落着と言うことで、この日は皆でセンリの用意したアゲハントの花火を見て過ごした。

 

 

 

 12歳 ι月ι日 『トウカシティ ジム戦 VSセンリ 前編』

 

 多少のドタバタはあったが、いざジム戦ということでトウカジムの門を叩く。昨日はハルカの家に泊めて貰ったので、正確には家の中から直接ジムへ行ったのだが、とりあえずいざ勝負ということになった。

 

 今回はコンテストを優先して調整もしていないので、センリとはガチ戦ではなく、ジム戦をすることにしている。

 前に怠けないケッキングとは戦っているし、たまにはジム戦を挟んでやらないとホウエン組も出番がなくなってしまうからな。

 

 ルールは三対三でレベル制限40。ジムリーダーのみ交代なし――と、いうのが普通だが、センリが特別にジムリーダーも入れ替えありにしてくれた。大変気分が良い。

 センリももう俺の実力は理解しているし、入れ替えありの方が俺が喜ぶとわかってそうしてくれたようだ。全く、もってその通りである。踊り出したいくらいにやる気が出た。

 

 今回、俺がジム戦に連れてきた三体は、コータス、ヘイガニ、ジュプトルの三体である。

 前回はミズゴロウさんとスバメが大活躍だったので、このメンバーをチョイスしたのだ。コータスだけ少しレベル差があるので大変だが、そこは頑張って貰おう。

 

 バトルが開始されると、センリはナマケロを出してきた。それ見て、そういえばアニメでのジム戦はナマケロ、ヤルキモノ、ケッキングの三体だったことを思い出す。

 こちらは開幕、ヘイガニを出した。コータスでもいいのだが、『ひでり』があるので、先出しして万が一即戻しする場合、次にヘイガニが出しにくくなる。ヘイガニを先出しにして、即戻しする場合ならコータスを後出しできるので、今回はヘイガニに一番手を任せた。

 

 本人はまた一番手を任せられたことでテンションが上がっているのか、飛び跳ねて喜んでいる。その飛び跳ねで『じしん』が回避できればいいのだが、それは出来ないのが現実だ。

 

 開幕、当然のように『クラブハンマー』でヘイガニが突撃していく。対するナマケロは無防備にその一撃を受けたが、その瞬間返しの一撃でヘイガニに二倍のダメージが入る。『カウンター』だ。

 ダメージは受けたが、特性の『なまけ』によって、ナマケロは動かなくなる――が、当然のようにセンリはナマケロを交換してきた。特性が発動するより早く交換することで、『なまけ』はキャンセルできるのだ。

 

 これだ。もし、交換が無ければ俺は動かなくなったナマケロに一撃必殺を当てに行っただろう。

 だが、交換アリのルールのおかげでその隙はなくなり、こちらは二倍ダメージを受けただけという状況になっている。こういう攻防があるから、バトルは交換アリが楽しいのだ。

 

 ナマケロを戻すと、二体目としてヤルキモノを出してきた。やはり、最後はケッキングで間違いなさそうだな。

 ヤルキモノの特性はその名の通り、『やるき』だ。眠り状態にならず、『ねむる』も使えない。相手を眠らせる系の技が効かなくなる特性である。

 

 再び、ヘイガニが『クラブハンマー』で突撃していくと、ヤルキモノが『ブレイククロー』で反撃してきた。

 技の威力はこちらの方が勝っているが、向こうの方がレベルが少し上なので互いに拮抗している。こうなると、一度距離を取って『つるぎのまい』を使いたい所だが、ナマケロやヤルキモノはレベルで『アンコール』を覚えるので、下手な変化技を使うと起点にされかねない。『あなをほる』も、相手が『じしん』系の技が使えるので使えなかった。

 

 さて、どうするか。

 

 とりあえず、一度距離を取らせた。流石に向こうの方が速いので乱戦になると分が悪い。

 試しに、遠距離攻撃として『バブルこうせん』を撃ってみるも、『みだれひっかき』で全てかき消されてしまった。この程度の遠距離攻撃じゃ、ダメージにもならないってことか。

 

 ならば、『アンコール』は覚悟して、『どくどく』を指示する。うちのメンバーは技マシンによって、大体のポケモンが『どくどく』を覚えているのだ。

 ヤルキモノが猛毒状態になるが、返しの『アンコール』で技を縛られる。こうなると、ヘイガニに出来ることはもうないので、一度戻してコータスを送り出した。センリも合わせるようにヤルキモノを戻して、再びナマケロを出してくる。

 

 コータスが出てきたことで、特性の『ひでり』によってフィールドが晴れ状態になった。

 これでこちらのほのおタイプの技の威力が1.5倍になる。『かえんほうしゃ』を指示して、ナマケロを遠距離から攻撃して行った。特殊技による攻撃は『カウンター』では返せない。

 

 対して、センリは『じならし』を指示してきた。こちらの苦手なじめんタイプの技だ。しかし、『じしん』ならともかく、『じならし』くらいならダメージこそ受けてもバランスを崩すには至らない。

 返しの『かえんほうしゃ』が直撃して、ナマケロがダメージを受けていく。こちらも不一致とはいえ効果抜群の技を受けたが、ヘイガニが与えたダメージを考えるとナマケロの体力の残りは半分ないくらいのはずだ。

 

 さらに、攻撃したことでナマケロは特性の『なまけ』が発生する。また交換で隙を防いでくるかとも思ったが、ナマケロはそのまま特性で怠けていた。しかし、その瞬間、『なまける』が発動して体力が回復する。

 

 は?

 

 特性で動けなくなっているのに、何故体力が回復するんだ? 確かに、『なまける』は怠けることで体力を回復する技ではあるが、特性の『なまけ』とは別物である。

 

「どこかの誰かに、怠けないケッキングは反則と言われたのでね。新たに、怠けつつ回復も出来るように訓練したんだ」

 

 またチートか! 怠けなくても体力が回復するんじゃ、回復技を普通に使っているのと一緒じゃねーか!

 

 と、心の中で文句を言いつつ、追撃で『かえんほうしゃ』を入れていく。流石に黙って見ていてやるほどお人よしではない。こちらも『ひでり』で技の威力は上がっているので、回復量はかなり減ったはずだ。

 しかし、このままダラダラと持久戦に持ち込まれると面倒くさいことになってくる。ここは相手が回復するよりも早く勝負を決めたい所だ。

 

 まだ練習中だが、あれを試すしかない。アスナのコータスがやっていた『こうそくスピン』と『かえんぐるま』の合わせ技だ。

 あれならば、コータスに不足しているスピードを補いつつ攻撃も出来る。さらに、ステロのような技も大体弾き飛ばせるというおまけつきだ。

 

 コータスが高速回転しながら、炎を身に纏って突撃していく。アスナのようにまだ自由自在に動き回るのは無理だが、真っすぐ突っ込んでいくくらいのことは出来るようになった。

 まさか、コータスが突撃してくるとは思わなかったようで、回避も間に合わずにナマケロが一撃を受ける。センリはすぐに『なまける』を指示し、さらに特性で怠けている間にも『なまける』で回復するという二度の超回復を狙ってきた。

 

 だが、そうはさせるかと、そのまま組み伏せて『オーバーヒート』を指示する。ゼロ距離からの晴れオバヒで回復する前にナマケロを一気に戦闘不能まで持って行った。

 これで一体を戦闘不能にしたものの、コータスは技を全て使った上、小さくないダメージを受けている。また、先発で暴れたヘイガニの受けたダメージを考えると完全に有利とは言い難い状況だ。

 

 しかし、数的優位には変わりない。コータスも初の公式戦勝利に感涙して、フィールドが煙たくなってしまっているが、このまま勢いに乗って勝たせてもらうぜ。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・ミシロ大会のコンテスト。
 オリジナルのコンテスト。かつて、負けたロバートと再戦した。実はアニメだとロバートがグランドフェスティバルで優勝したりする。

・ミロカロスがりゅうのまいを覚えた。
 実は赤いギャラドスと仲良し。
 
・第66話『一触即発! バクオングVSジュプトル!!』より、コンテストに寄り道したのでドゴームがバクオングに進化するくだりがカットされた。
 本来ならキモリがジュプトルに進化する回だが、既に進化しており、力の差を見せつけた。地味にこの頃はまだじしんが禁止になっていなかった。

・ロケット団がいない。
 どこかに行ってしまった。

・第67話『踊るバトルだ! ルンパッパ!!』より、ヘイガニが勝った。
 原作ではキモリがジュプトルに進化したことで冷静さを失って敗北するが、キングラーの教えで冷静さを心掛けるように指導された。

・ロケット団がいない。
 どこかに行ってしまった。。

・第68話『パパはアイドル!? 偽りのジムリーダー!!』より、ロケット団がいないのでひたすらバトルに興じていた。
 もうやめてくれと相手が泣いても許さない。タケシの薬で回復させて一晩中ニューサトシの相手をして貰った。

・第69話『トウカジムの危機! 家庭の危機!!』より、ロケット団がいないのでひと悶着起こらなかった。
 普通にセンリとミツコが仲直りして終わった。

・第70話『トウカジム戦! 五つ目のバッジ!!』より、ジム戦をすることにした。
 ガチ戦をすることを考慮していなかったので、ジム戦をお願いした。ニューサトシの好みを知っているセンリの配慮で、ジムリーダー側も交代有りになった。

・なまけ中になまけるを使うナマケモノ。
 チート!!



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.61

 ピジョット Lv.55→56

 バタフリー Lv.55→56

 ドサイドン Lv.60

 フシギダネ Lv.56→57

 リザードン Lv.61

 カメックス Lv.57

 キングラー Lv.55→56

 カモネギ  Lv.55→56

 エビワラー Lv.57

 ゲンガー  Lv.57→58

 オコリザル Lv.56

 イーブイ  Lv.55→56

 ベトベトン Lv.55→56

 ジバコイル Lv.55→56

 ケンタロス Lv.55→56

 ヤドラン  Lv.54→55

 ハッサム  Lv.56→57

 トゲキッス Lv.53→54

 プテラ   Lv.56→57

 ラプラス  Lv.54→55

 ミュウツー Lv.73

 バリヤード Lv.55→56

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.54

 カビゴン  Lv.52

 ニョロトノ Lv.52

 ヘラクロス Lv.52

 メガニウム Lv.51

 マグマラシ Lv.51

 ラティアス Lv.47

 ヘルガー  Lv.51

 ワニノコ  Lv.51

 ヨルノズク(色違い) Lv.51

 カイロス(部分色違い) Lv.51

 ウソッキー Lv.51

 バンギラス Lv.59

 ゴマゾウ  Lv.49

 ギャラドス(色違い) Lv.49

 ミロカロス Lv.30→33

 ミズゴロウ Lv.39→40

 スバメ   Lv.38→39

 ジュプトル Lv.39→40

 ヘイガニ  Lv.38→39

 フライゴン Lv.50

 コータス  Lv.33→35




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#132 『なんだそれ、バグじゃねーか』

 12歳 ι月ι日 『トウカシティ ジム戦 VSセンリ 後編』

 

 ナマケロが倒れたことで数的優位は作れたものの、勝負はまだこれからである。センリも特に動揺した様子もなく、再びヤルキモノを出してきた。

 こちらもコータスを継続させていく。『オーバーヒート』を使った影響で、特攻が二段階ダウンしているが、まだ『こうそくスピン』と『かえんぐるま』の連携技が残っている。

 

 とはいえ、こちらから急いで攻めることはしない。ヘイガニの『どくどく』で、相手のヤルキモノは既に猛毒状態になっている。時間をかければかけるだけ、相手の方が苦しくなってくるのだ。

 逆に、向こうが勝負を急いで焦った隙を狙っていくのが一番いいということで、ここはコータスの鈍足を生かしてゆっくり攻めていくことにした。

 

 どちらも動かず、少しの間無言の時間が流れる。

 

 こちらが動かないとわかると、センリは『アンコール』でこちらの技を縛り、『ブレイククロー』で攻め立ててきた。戻しても良いのだが、ここは敢えて『オーバーヒート』を指示していく。

 流石のセンリも動揺を見せた。

 特攻が二段階下がってもう使い物にならないと思っていたのだろう。実際、威力は半減していると言っていい。しかし、タイプ一致の1.5倍と『ひでり』による1.5倍がある。大したことないと言ってもまだそれなりのダメージは出るのだ。

 

 センリは即座に防御態勢を指示した。

 ただでさえオバヒは攻撃範囲が広い上、ヤルキモノもこちらを攻めるために走っているので、回避は間に合わないと判断したのだろう。

 

 二発目の『オーバーヒート』でヤルキモノにダメージを与えていく。威力自体は晴れ状態じゃない時の『かえんほうしゃ』とどっこいくらいだが、ガードの上からでもそこそこのダメージを与えたはずだ。

 これで特攻は四段階ダウン。今度こそ撃ち切りだ。おまけに、丁度特性による『ひでり』が切れたのでコータスをボールに戻していく。

 

 当て逃げされて、センリも「やるなぁ」と声を上げる。オバヒのデメリットを抱えたまま攻めてくるとは思わなかったのだろう。

 実際、俺も『ひでり』の効果がなければ、素直にヘイガニに交代した。オバヒ云々ではなく、晴れ状態だとみず技が威力半減するので時間を稼ぎたかったのだ。

 

 コータスを戻し、こちらが再びヘイガニを出すと、今度こそ『ブレイククロー』で攻め立ててくる。こちらも『クラブハンマー』で受けて立った。

 だが、向こうが攻撃を振り切る直前に、『みだれひっかき』と合わせて『ブレイククロー』を連打するという合わせ技を見せてくる。前にシゲルがジョウトリーグで『ほのおのパンチ』と『みだれひっかき』を合わせてきたのと同じ応用だ。

 

 こちらの『クラブハンマー』が受け流され、そのまま連打をくらった。ナマケロから受けた『カウンター』のダメージも考えると安くないダメージである。

 パッと見た感じ、ヘイガニの体力も残り1/3くらいか。しかし、猛毒が回っていることもあり、ヤルキモノもまたダメージが厳しいはずだ。コータスのオバヒのダメージを考えても、もう半分近く体力が削られていると見ていい。

 

 ならば――

 

 最後の技として『ハサミギロチン』を指示する。とはいえ、これは威嚇だ。強盗犯が逃げる時間を稼ごうとナイフを振りかざしているようなものである。

 だが、当たればただでは済まないという状況が相手の動きを止めるというのは同じだ。これで猛毒の時間を稼ぎつつ、ワンチャン近づいてきたら一撃必殺を狙っていく。

 

「ヤルキモノ、『からげんき』だ」

 

 しかし、センリは迷わず距離を詰めてきた。引くつもりなどないという確固とした意志で、こちらのハサミを潜り抜け、ヘイガニの懐に潜り込んでくる。

 まずい。『からげんき』は状態異常の時に、威力が二倍になるノーマルタイプの物理技だ。当然、猛毒状態のヤルキモノは効果の発動条件を満たしている。元の威力は70が二倍になり、前のバトルでガルーラが使った『とっておき』と同じ威力になっていた。

 

 残り体力1/3のヘイガニにそんな威力の技が耐えられるはずもなく、一撃で戦闘不能に持って行かれる。

 まさか、あそこで迷わず踏み込んでくるとは思わなかった。確かに一撃必殺など早々当たらないと思うかもしれないが、もしもを考えれば躊躇してもおかしくない場面だったのに。

 

 ヘイガニを戻す。同時に、センリもヤルキモノを戻した。猛毒のリセットをするつもりなのだろう。

 だが、コータス、ヘイガニと連戦したことで、ヤルキモノの体力も1/3近くまで削れた。仮に次に出てきたとしても、もう長くは戦えないはずだ。

 

 センリは三体目にケッキングを繰り出してくる。こちらは再びコータスを送り出した。特性の『ひでり』で再びフィールドが晴れ状態になっていく。

 どうやら、このケッキングは前に戦った個体とは違うようだが、前のケッキング同様に怠けないケッキングの可能性がある。真っ向勝負になれば不利なのはこちらだろう。

 

 天候がこちらに味方しているうちにダメージを稼いでいく。再び、『オーバーヒート』を指示して、最大威力の攻撃を叩きこみに行った。

 

 しかし、その瞬間、センリが『はかいこうせん』を指示してくる。ノーマルタイプ最大の特殊技だ。ジョウトチャンピオンのワタルが好んで使っている技でもある。

 ケッキングは特殊攻撃力も低くはないが、跳びぬけて強いという訳ではなかった。だが、想定以上に『はかいこうせん』の威力は高く、こちらの『ひでり』オバヒを貫いてコータスにダメージを与えてくる。

 

 単純な技の威力ならこちらの方が上のはずだ。しかし、レベルの差と種族値の差が、その力関係を逆転させたらしい。

 おまけに、『はかいこうせん』の衝撃でコータスがひっくり返ってしまった。コータスは亀系ポケモンと同じく、ひっくり返ると起き上がるのに時間がかかる。その間に、『はかいこうせん』の反動は消えてしまっていた。

 

 ナマケロから受けた『じならし』と、今の『はかいこうせん』で、コータスの残り体力はおおよそ1/3ちょっとくらいか。

 こちらのオバヒのおかげで『はかいこうせん』の威力もかなり軽減されたが、もし直撃を受ければ一撃で戦闘不能にされかねない威力である。こちらの特攻も二段階下がってしまったし、遠距離での打ち合いは分が悪い。

 

 ならば、接近戦あるのみ――と言いたい所だが、ケッキングの本領もまたその接近戦だった。

 

 アスナ直伝(盗んだ)の『こうそくスピン』、『かえんぐるま』のアニポケ殺法が完全だったなら、スピードで乱戦に持ち込めたが、今のコータスは真っすぐぶつかるしか出来ない。これではただの的である。

 と、すると一度戻すか。コータスを戻してジュプトルを出せば、また完全なオバヒが使えるようになるし、ジュプトルのスピードなら十分に乱戦に持ち込めるだろう。

 

 そう判断し、コータスを戻した。やられっぱなしで悔しいかもしれないが、まだお前の力は必要だ。今は休んでくれ。

 

 三体目としてジュプトルを出していく。バトルが再開されると、自慢のスピードで真っすぐにケッキングに向かって走って行った。

 だが、ケッキングもまたあの巨体でなかなかに素早い。不意を突こうとしたジュプトルの前へ先回りすると、先制の『ほのおのパンチ』で攻撃してくる。

 

 おそらく、『ほのおのパンチ』を選んだのはこちらへの弱点もあるが、コータスの『ひでり』で威力が上がっているのと、火傷を狙ってのことだろう。

 タイプ不一致の技だが、タイプ一致と同じくらいの火力が見込める。正直、天候が向こうに有利に働くことはあまりないと思っていたが、まさかここで逆利用されるとは。

 

 ジュプトルも咄嗟に『リーフブレード』で攻撃を受け流すも、そのパワーに体勢を崩されていた。

 おまけに、やはりこいつも前に戦ったケッキングのように、怠けないケッキングらしく攻撃後に怠ける様子がない。こちらの隙を狙って、追撃の『ほのおのパンチ』を叩きこんできたので、『みきり』で緊急回避した。

 

 しかし、センリは攻め手を緩めない。『はかいこうせん』同様に、ノーマルタイプ最強の物理技である『ギガインパクト』で、そのままこちらに落ち着く余裕を与えず突っ込んでくる。

 素早自慢のジュプトルだが、まだエンジンがかかりきっていないようで、なかなか自分の強みを生かし切れていなかった。『ギガインパクト』の直撃こそ何とか回避したが、対象に当たらなかったことで反動も発生せず、そのまま連続で『ギガインパクト』を仕掛けてくる。

 

 回避しているうちに『ひでり』の効果は切れたが、この『ギガインパクト』の連打は地味にプレッシャーをかけられていた。当たれば大ダメージ必至というのは、受ける側からしてみれば厄介以外の何物でもない。

 回避に専念すれば避けるのは簡単だが、代わりに攻撃に意識を割く余裕がなかった。わかってはいたが、やはりケッキングは強い。そもそも種族値が伝説のポケモン並なのだ。いくらレベルが制限されているとはいえ、同格でもそう簡単に倒せたら苦労はないだろう。

 

 センリも、何度か『ギガインパクト』を仕掛けて当てるのが難しいとわかると、最後の技として『つばめがえし』を指示してきた。

 必中の弱点技だ。タイプも不一致で火力もそこまで強い訳ではないが、絶対に当てることを重要視したのだろう。これにより、こちらは防御を強要される。そこから、『ほのおのパンチ』や『ギガインパクト』に繋げられれば、先程までのように避け続けるのは難しかった。

 

 とりあえず、『リーフブレード』で『つばめがえし』を受け流し、ダメージを最小限に抑える。

 続けて、センリはやはり『ギガインパクト』を指示してきた。ほぼゼロ距離ということもあって回避は難しい。『みきり』で避けても連打されては意味がないので、咄嗟に『みがわり』を指示してダメージを少なくした。だが、『みがわり』も体力の1/4を使用する技なので何度も乱用できる技ではない。

 

 とはいえ、マイナスな結果ばかりではなかった。『みがわり』に『ギガインパクト』が命中したことによって、ケッキングは反動で動けなくなっている。

 今しかないと、ジュプトルが渾身の『リーフブレード』を叩きこんだ。いくら種族値が高いと言っても、無防備にタイプ一致『リーフブレード』の直撃を受ければダメージは避けられない。これで、とりあえず反動技でごり押しする攻撃はある程度牽制できたはずだ。

 

 しかし、ケッキングもまだまだ余裕という表情を崩していなかった。対するジュプトルは渾身の一撃が効いていないことに少し動揺している。

 落ち着け、やせ我慢だ。効いていないフリをして、こちらを混乱させようとしているのだろう。ニューサトシの観察眼によれば、間違いなくケッキングは少なくないダメージを受けている。もう何発か同じ攻撃が直撃すれば必ず倒せるはずだ。

 

 センリも俺がすぐにジュプトルの落ち着きを取り戻させた所から、小細工は効かないとすぐに気付いたようで残念そうに肩をすくめている。悪いね、ニューサトシは可愛げがないことで有名なんだわ。

 

 向こうも反動技連打が厳しいとわかると、今度は小さい連打を積み重ねることにしたようで、必中の『つばめがえし』で打ち合いを強要してから『ほのおのパンチ』を混ぜた細かい攻撃を繰り出してきた。

 どちらか一方なら受け流すのもそう難しくないのだが、二つの攻撃をランダムに混ぜられると受け流すのも難しくなってくる。

 

 下手にHPを削られると、また反動技が有効になってくるので、ここは一旦ジュプトルを戻すことにした。

 再び、コータスを出して天候を晴れにしていく。これで向こうの『ほのおのパンチ』も威力があがってしまったが、こちらも一度ボールに戻ったことで『オーバーヒート』が使えるようになっている。

 

 とはいえ、真正面から撃っても先程のように『はかいこうせん』で迎撃されるだけだ。

 

 だが、先程までと違って、ケッキングの技が全て判明している。これなら、いくらでもやりようはあった。

 再び、アスナ直伝(盗んだ)の『こうそくスピン』からの『かえんぐるま』で、真っすぐにぶつかっていく。

 

 対するケッキングは、『ギガインパクト』で迎撃してきた。正直、予想外の選択だ。

 他の技と違って『はかいこうせん』や『ギガインパクト』だと、万が一こちらを倒し損ねた場合、反動中に晴れオバヒの直撃を受ける危険がある。下手に俺にワンチャンを与えないためにも、迎撃には使ってこないと思っていた。

 

 しかし、その疑問も一瞬で氷解する。

 

 確かに、タイプ不一致の『つばめがえし』や、こちらに効果今一つの『ほのおのパンチ』では迎撃しにくいだろう。ならば、逆に一撃で決めてしまえと考えるのもわからなくはない。

 だが、最大の理由はそこじゃなかった。センリの顔を見ればわかる。今のコータスの体力くらいなら一撃で倒せるとセンリは判断したのだ。

 

 舐められたものである。

 

 その余裕を叩き割ってやると、コータスには敢えてそのままぶつかるように指示を飛ばした。変に避けようするよりも、真正面からぶつかった方が受けるダメージは少ない。

 向こうの方が技の威力や種族値が上なので、こちらが押し負けてかなりのダメージは受ける――が、逃げずにぶつかり合ったことで威力が軽減されたこともあり、ギリギリで戦闘不能にはならなかった。

 

 コータスが起き上がったことで、センリが苦い顔をする。とはいえ、コータスも残り体力はミリだ。いつ倒れてもおかしくない。

 しかし、これで向こうは反動で動けなくなった。反動中はポケモンの交代も出来ないので、センリにこちらの攻撃を避けるすべはない。晴れ状態の『オーバーヒート』を直撃させて大ダメージを与えていく。

 

 だが、晴れオバヒが直撃する瞬間、ケッキングが『はかいこうせん』で迎撃してきた。

 

 バカな。まだ反動が解除されるだけの時間は経っていない。迎撃は不可能なはずだ。

 しかし事実、そんなこと知るかと言わんばかりに、ケッキングはこちらの攻撃を迎撃している。

 

 とはいえ、こちらのオバヒは完全に撃ち切って勢いに乗っていた。対して、撃ち始めの『はかいこうせん』では流石に受けきれなかったようで、オバヒが貫通してケッキングに少なくないダメージを与えていく。

 想定よりも安くなってしまったが、それでもダメージを与えたことに変わりはない。ジュプトルの『リーフブレード』と合わせてかなりのダメージを与えたはずだ。

 

 だが――

 

「何故、『ギガインパクト』の反動中に『はかいこうせん』が撃てたか。不思議かい、サトシ君?」

 

 こちらの内心を突くかのように、センリがそう話しかけてきた。不思議じゃないはずがないだろう。ポケモンの技の仕様に真っ向から喧嘩を売っているのだから。

 しかし、馬鹿正直に気になるというのも負けた気がする。黙って、ジッと睨みつけていると、そんなこちらの葛藤を見透かしたようにセンリがゆっくりと口を開いた。

 

「サトシ君、私のケッキングの特性は知っているね?」

「『なまけ』、ですよね」

 

 正確には『なまけ』(怠けていない)だが。

 

「そうだ。そして、私のケッキングは怠けていない訳ではなく、怠けるのを我慢してバトルしている。だから、こうして連続攻撃が出来る訳だが、決して特性が消えた訳ではない。だから、『ギガインパクト』の反動が発動した瞬間、ケッキングには『なまけ』の我慢を止めさせた。その結果、これまでの我慢が爆発し、反動を上書きする勢いで怠け始める。しかし、その怠けをすぐにまた我慢させると、一瞬だが、攻撃を放つ間が生まれるのだ」

 

 なんだそれ、バグじゃねーか。

 

「とはいえ、何のデメリットもない訳ではない。無理をしているから技の威力は下がるし、一瞬間が生まれるだけで反動自体がなくなった訳ではないから、攻撃後はまた動けなくなる。当然、『はかいこうせん』のような技を使えば、その反動は二倍になってしまう」

 

 ――しまった!

 

「コータス、『オーバーヒート』!!」

「遅い。戻れ、ケッキング」

 

 こちらが攻撃指示を出したと同時に、センリがケッキングをボールに戻していく。

 長々と解説してくれたのはケッキングの反動が消えるのを待つための時間稼ぎか。やられた。

 

「さらにおまけで教えると、この反動殺しはケッキングの特性を無理に使うせいで体にかなりの負担をかける。使えるのは一試合に一度が限度だ。つまり、この試合ではもう使えない」

 

 だが、もう使えなくても問題ないのだろう。

 もし、次にコータスとケッキングが対面したとしても、こちらの残り少ない体力くらいなら『はかいこうせん』の一撃で削り切れるのだから。

 

 こちらもコータスをボールに戻す。バグ技を使われたとはいえ、ダメージを与えたのは間違いない。向こうは、少しでも休ませてケッキングの体力を回復させるつもりなのだろう。

 しかし、そんな余裕を与えるつもりはなかった。センリがヤルキモノを出してきた瞬間、こちらもジュプトルを出して突撃させていく。向こうのヤルキモノは猛毒状態だ。少しでもダメージを入れれば即戦闘不能になる。

 

 必殺の『リーフブレード』で奇襲をかけていく――が、向こうも『からげんき』で反撃してきた。

 互いの一撃がぶつかり合うも、技の威力は『からげんき』の方が上ということで、こちらが押し返される。

 

 パワーで対抗するのが難しいならスピードで勝負だ。ヤルキモノはケッキングよりも足が遅い。お前なら十分に翻弄できるはずだ。

 足を使って、ヤルキモノの周りを高速で移動していく。ヤルキモノも『からげんき』で反撃してくるが、ジュプトルの方が速いようで動きを捉えきれていなかった。ようやく、本領が発揮できるとばかりに、ジュプトルがヤルキモノの回りを駆け回る。

 

 相手の動きを見切り、回避し、隙を見て反撃していく。向こうの攻撃はかすらせもしない。これこそがジュプトルの戦い方だ。

 まだ種族値的に他を置き去りにするほどの速さという訳ではないが、進化すればこいつに追いつけるポケモンなど一握りしかいなくなるだろう。実際、ケッキングは追いつけていたが、進化前のヤルキモノでは攻撃をかすらせることも出来ていなかった。

 

 ヤルキモノが『からげんき』を撃つ、かわす、『リーフブレード』をぶつけるというループでダメージを与えていく。

 

 バトルを長引かせれば長引かせるだけこちらが不利になるので、一気に勝負を決めにいった。こちらに追いつけないとわかると、ヤルキモノも少しでも耐えようと防御を固めてくる。

 こうなると、もうサンドバッグ状態だ。防御の上から『リーフブレード』を叩きこんでいく。ヤルキモノも頑張ってはいたが、猛毒のダメージが致命傷だった。こちらの攻撃を受け、踏ん張り切れずに戦闘不能になる。同時に、『ひでり』の効果が切れて日差しが元に戻った。

 

「よくやったヤルキモノ。この時間、無駄にはしないぞ」

 

 そう言って、ヤルキモノを戻すと、最後のケッキングを出してくる。だが、精神論はともかく、現実的にはまだケッキングは先程無理をした疲労を回復できていない。これなら十分に勝負になるはずだ。

 

 ヤルキモノとの戦いで完全にエンジンがかかったジュプトルが走り出す。

 先程まで追えていたケッキングも、今のジュプトルには追いつけていなかった。種族値では向こうが上だが、今のジュプトルは勢いに乗っており、先程までとはスピードが段違いに速いのだ。

 

 先程はよくもやってくれたなと言わんばかりに、ジュプトルがケッキングの後ろに回っていく。しかし、ケッキングもやられてばかりではなかった。すぐに『ほのおのパンチ』で迎撃してくる。

 だが、技のチョイスは失敗だったな。ここは『ほのおのパンチ』ではなく、必中の『つばめがえし』にするべきだった。今のジュプトルは必中でなければ、簡単に攻撃を回避できる。返しの刀で『リーフブレード』を叩きこむと、流石のケッキングもダメージを隠せていなかった。

 

 ケッキングはHPの種族値が高いので耐久がかなりあるが、それでももう半分以上は削っただろう。この調子で『リーフブレード』をもう二、三発も叩き込めば、戦闘不能に持って行けるはずだ。

 しかし、センリもやられたままではいなかった。必中効果のある『つばめがえし』以外の攻撃を当てるのが難しいとわかると、敢えてこちらの攻撃を避けずに真っ向から受けて立ったのである。

 

 いくらジュプトルが早いと言っても、攻撃をしている最中だけは回避できない。だからこそ、センリは肉を切らせて骨を断つ覚悟で、『リーフブレード』を受けた瞬間に『ギガインパクト』でこちらに反撃してきた。

 ノーマルタイプ最大の物理技の直撃を受け、ジュプトルが吹っ飛んでいく。弱点の攻撃ではないとはいえ、攻撃種族値160からの最強技は大ダメージだ。ジュプトルは『みがわり』の自傷ダメージ以外、攻撃をそこまで受けていないので、体力は2/3程はあったはずだが、一気に1/4近くまで削られている。

 

 これでダメージは逆転した。

 

 ケッキングも『リーフブレード』の直撃を受けたが、見た感じまだ体力は1/3は残っている。

 向こうが『ギガインパクト』の反動で動けない間に、『リーフブレード』を叩きこんでダメージを取り戻そうかとも思ったが、もし先程の話が嘘でまた反動を無視した攻撃をされた場合、ジュプトルが倒される可能性があった。ここは安全策を取って一度、ジュプトルを戻してコータスを出していく。

 

 コータスが出たことで、再び『ひでり』となり日差しが強くなる。センリは迷わず、『はかいこうせん』を指示してきた。こちらも一か八か、『オーバーヒート』で反撃する。

 だが、コータスもダメージの色が濃く、『オーバーヒート』に力が乗り切っていなかった。向こうの『はかいこうせん』がオバヒを貫通し、直撃を受けたコータスが戦闘不能になる。

 

 アスナ直伝の技で乱戦に持ち込むべきだったか? いや、もうコータスにはスタミナが残っていなかった。動き回っても足が止まって捕まる方が先だっただろう。

 

 それにコータスは倒れてしまったが、十分に仕事をしてくれた。おかげで情報を得ることは出来ている。

 どうも見ていた感じ、センリが言っていたもう反動を無視して動けないというのは嘘では無さそうだった。負担をかけるというのは本当のようで、そんなに長い時間戦っていないケッキングが肩で息をし出している。この様子ではもうバグ技を使う余裕などないだろう。

 

 後は、如何にして先にケッキングの体力をゼロにするかだ。このまま真っすぐ仕掛けても、肉を切らせて骨を断つ作戦で返り討ちに合うのは目に見えている。

 

 コータスを戻してジュプトルを出すが、すぐには動けなかった。無策で挑んで勝てる相手ではない。

 今、ジュプトルは体力がギリギリになっていることで特性の『しんりょく』が発動しているはずだが、それでも『リーフブレード』一発で倒し切れるかはギリギリだ。『リーフブレード』を超える技があればいいのだが、こいつは物理攻撃が大好きなので特殊のくさ技を何一つとして覚えていないのである。

 

 どうする――と、思考を働かせていると、おもむろにジュプトルが走り出した。まだ何も指示を出していないが、腕の『リーフブレード』を構えて突撃していく。

 まさか、一か八かの急所作戦か?

 確かに、それは俺も考えた。とはいえ、『リーフブレード』は急所に当たりやすい技ではあるが、そう簡単に急所に当たれば苦労はない――と、思ったその瞬間、『リーフブレード』の葉の刃に日の光が集中し出していく。

 

 あれは、まさか――

 

 急いで図鑑を出して確認すると、『ソーラーブレード』の名が追加されていた。『ソーラーブレード』はその名の通り『ソーラービーム』の物理版である。

 一ターン目に力を貯めて、二ターン目に攻撃する『ゴッドバード』なんかと同じタイプの技だが、本来ジュプトルは『ソーラーブレード』をレベルでは覚えないはずだ。特に練習していたということもなかったのだが、どうやら追い詰められたことで覚醒したらしい。

 

 おまけに、今はコータスの『ひでり』が残っていた。ソラビと同じく、ソラブレは天気が晴れ状態の時は貯め無しで攻撃が出来る。

 向こうも攻撃を待ち構えていたということもあり、必殺の一撃がケッキングに直撃した。『リーフブレード』は威力90だが、『ソーラーブレード』は威力125だ。さらに『しんりょく』で火力が底上げされているということもあり、想定外の一撃はケッキングの残りHPを全て削り取り、反撃の隙も与えずに戦闘不能に持っていく。

 

 向こうのポケモンが三体全て戦闘不能になったことで、俺の勝利という判定が下った。

 センリも、まさかここで新技が来るとは思わなかったようで驚きの表情を見せたが、すぐに切り替えてこちらの勝利を称えてくる。

 

 実際、かなり厳しいバトルだった。特に中盤でコータスが踏ん張ってくれなかったら、負けていたのはこちらだっただろう。

 勿論、とどめを刺したジュプトルや、序盤で暴れたヘイガニもいい仕事をしてくれた。特にジュプトルは『ソーラーブレード』の習得おめでとう。その調子で特殊技も覚えてくれ。

 

 と、ポケモン達を褒めていると、センリがジム戦を制した証であるバランスバッジを渡してきた――のだが、その瞬間、マサトがバッジを奪ってどこかに走り去ってしまった。

 

 ありゃ、と思うが、気持ちは何となくわかる。多分、父親が負けたのが認められないのだろう。マサトは、ハルカ以上にセンリを尊敬していたからな。

 まぁ、別にバッジ欲しさにジム戦をした訳ではないので別になくてもいいのだが、センリが慌てて後を追って行ったので、そのうち帰って来るだろう。

 

 しばらく待っていると、「ごめん、サトシ」と謝りながら、マサトがバランスバッジを渡してきた。どうやらセンリにいろいろと諭されたらしい。

 まぁ、カントーやジョウト時代ならまだしも、今はチャンピオンリーグの出場権もあるし別に気にしてなどいなかった。ニューサトシは心が広いことで有名なのだ。だから、その謝罪に免じて、今回は拳骨一発で許しやろう。オラ、頭出せ。

 

 

 




 原作との変化点。

・アスナ直伝(盗んだ)の技を使った。
 が、まだ練習して日が浅いので、アスナほど上手く使えていない。

・反動技の反動を消すなまけ
 チートオブチート!!
 
・ジュプトルがソーラーブレードを覚えた。
 原作と違って、遠距離技であるタネマシンガンを覚えていない代わりに覚えた。遠距離攻撃はこのはくらいしかない。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.61

 ピジョット Lv.56

 バタフリー Lv.56

 ドサイドン Lv.60

 フシギダネ Lv.57

 リザードン Lv.61

 カメックス Lv.57

 キングラー Lv.56

 カモネギ  Lv.56

 エビワラー Lv.57

 ゲンガー  Lv.58

 オコリザル Lv.56

 イーブイ  Lv.56

 ベトベトン Lv.56

 ジバコイル Lv.56

 ケンタロス Lv.56

 ヤドラン  Lv.55

 ハッサム  Lv.57

 トゲキッス Lv.54

 プテラ   Lv.57

 ラプラス  Lv.55

 ミュウツー Lv.73

 バリヤード Lv.56

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.54

 カビゴン  Lv.52

 ニョロトノ Lv.52

 ヘラクロス Lv.52

 メガニウム Lv.51

 マグマラシ Lv.51

 ラティアス Lv.47

 ヘルガー  Lv.51

 ワニノコ  Lv.51

 ヨルノズク(色違い) Lv.51

 カイロス(部分色違い) Lv.51

 ウソッキー Lv.51

 バンギラス Lv.59

 ゴマゾウ  Lv.49

 ギャラドス(色違い) Lv.49

 ミロカロス Lv.33

 ミズゴロウ Lv.40

 スバメ   Lv.39

 ジュプトル Lv.40→41

 ヘイガニ  Lv.39→40

 フライゴン Lv.50

 コータス  Lv.35→36




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#133 『久しぶりだなお前ら』

 12歳 ι月κ日 『再戦』

 

 昨日もハルカの家に泊めて貰ったのだが、朝のランニングをしに行こうとすると、丁度センリも外に出る所だったようで一緒に走ることになった。

 そのまま、昨日のジム戦の内容について議論しながら軽く2㎞ほど走ると、センリが「今から少しバトルしないかい?」と誘ってくる。まさか、テッセンのように負けたのが悔しいから再戦か――と、思ったが、どうやら前にガチ戦をしたケッキングがミュウツーと決着をつけたいらしい。

 

 成程と、マスターボールを取り出す。今回はコンテストに寄り道したから、ジム戦になってしまったが、本来であればリベンジをするつもりだった。

 こいつも、最近だとグラードン擬きの怪物処理くらいしか戦ってなくてそろそろ欲求不満だろうし、ここであのケッキングと再戦するのは悪くないかもしれない。

 

 と、いうことで、受けて立つことにした。

 

 そのまま、フリーのバトルフィールドを借りて、センリと一対一のバトルを始める。

 前にも人だかりが集まったことがあったが、やはりセンリはこの辺りだと有名人のようで、まだ朝も早い時間だというのに次々と人が集まってきた。

 アウェーだが、ニューサトシも目立つのは嫌いじゃない。センリがケッキングを出したと同時にミュウツーを出し、逆に視線を独り占めした。大変気分がいい。

 

 観客たちも、俺達の雰囲気から、これが普通のバトルじゃないとわかったようで、唾を飲み込むような音が聞こえてくる。

 審判がいないので、始まりの合図が必要だった。仕方ないので、適当にコインを投げて落ちた瞬間にスタートとする。センリも否はないようで、コインが地面についた瞬間、バトルはスタートした。

 

 

(試合内容が長いので以下省略)

 

 

 勝負が着くまで約5時間かかった。とても一対一の勝負とは思えない高度な駆け引きだったと言っていいだろう。

 最終的にはミュウツーが伝説の意地を見せたが、かなり消耗させられている。思えば、『だいばくはつ』や『みちづれ』のような技以外で、ここまで消耗させられたのはシロナのポケモンを相手にした時ぐらいのことだ。それだけ、しっかり育てられた怠けないケッキングはとんでもない強さだった。

 

 あまりの長いバトルに、フリーのバトルフィールドのはずが、スタジアムかと思う人だかりができている。

 いつの間にか報道陣も来ていたようで、あっちこっちにカメラが見えた。とりあえず、ピースしておこう。

 

 俺とセンリの秘密のバトルだったはずなのだが、ここまで目立ってしまうと流石にハルカやタケシ達も気づいてしまったようで、いつの間にか群衆の中にいたらしい。バトルするなら一声かけろと怒られてしまった。

 マサトなど、膨らんだ頭を押さえながら、テレビを見ていたらいきなり生放送で俺とセンリのバトルが流れ始めたから驚いたと言っている。いや、すまんて。俺もセンリも、まさかここまで大事になるとは思わなかったんだ。

 

 ラティも仲間外れにされたと思ったようで、「むーむー」と怒っていたので頭を撫でて落ち着かせる。

 ちょっとした思い付きでやり始めたバトルがまさかこんなことになるとはセンリも思わなかったようで、困ったようにマスコミに対応していた。有名なのも考え物だな。

 

 

 

 12歳 ι月λ日 『博士が二人、来るぞユウマ!』

 

 改めてヒワマキシティを目指して旅を再開したのだが、その途中でオダマキ博士が乗る車とバッタリ遭遇した。

 聞けば、オーキド博士が来ているらしく、今から港に迎えに行くつもりだったらしい。ラティが久しぶりにオーキド博士に会いたがったので、俺、タケシ、ラティで車に乗せて貰い、オーキド博士を迎えにいくことにした。

 

 流石に全員は乗れないので、ハルカとマサトには近くにある研究所へ先に行って貰うようにお願いしたのだが、港についてもオーキド博士らしい人物の姿が影も形も見えない。

 少し探してみたが、やはり居らず、ラティも「いない!」と声を上げている。仕方ないので、ミュウツーに頼んで気配を探って貰うが、この辺りにはいないようだったので、もしかしたら一足先に研究所に行ったのではないかということだった。

 

 オダマキ博士が研究所に連絡を取ると、やはり既に自分の足で研究所に向かっていたらしい。仕方ないので、ミュウツーの『テレポート』で、ハルカ達のいる研究所まで飛ばして貰った。

 どうやらカントーの御三家を見せて貰っていた所のようで、マサトが大はしゃぎしている。ハルカもフシギダネにやたらと好かれていた。

 

 しかし、ヒトカゲを見るのは随分久しぶりな気がする。ゼニガメはついこの間までカメックスがゼニガメだったし、フシギダネは相変わらずフシギダネなのでそう懐かしい感じはしないのだが、ヒトカゲはカントーのうちにリザードンに進化してしまったからな。

 気まぐれに抱き上げると嬉しそうに笑っている。

 うーむ、二体目。今度こそ特殊型で育てるのも有りかもしれん。冗談でオーキド博士にヒトカゲをくれと言ってみたが、速攻で「駄目に決まっとるじゃろ」と怒られた。まぁ、ですよね。

 

 

 

 12歳 ι月μ日 『久しぶりだなお前ら』

 

 かなり久しぶりにロケット団が襲ってきた。こんなに長く居なかったことなど今までなかったのではないかというくらい前の襲撃から期間が空いている。

 思わず、「今まで何してたんだよ?」と聞いてみると、ムサシが顔面を真っ青にし、コジロウとニャースが「聞くも涙、語るも涙の武者修行をしていたんだ(ニャ)」と代わりに応えた。

 

 聞けば、俺達の会話を隠れて聞いていたこいつらは、前のコンテストが終わってすぐにナナミさんにコンタクトを取ってコンテストのコツを聞きに行ったらしい。

 その時のムサシはコンテストを退場させられてむしゃくしゃしていたようで、どうしても勝ちたい、見返してやりたいという気持ちが強く、そんなムサシの意思に心を打たれたナナミさんはムサシを半ば弟子として厳しい指導をしたということだった。

 

 そのまま、コンテストに何度も参加させられ、その都度良かった所、ダメだった所を注意して貰ったらしい。

 聞く限りだと羨ましいようにも思えるが、ムサシの感じを見るにナナミさんもかなりスパルタだったようで、コンテストリボンを三つ手に入れるまでは解放してくれなかったという。

 

 ん? つまり、ムサシは今コンテストリボンを三つ持っているということか。俺もハルカも二つしか持っていないので一つ負けている。

 

 ドヤ顔でリボンを見せびらかすムサシがちょっとむかついたので、久しぶりにやなかんじーにしてやった。どうせ、またコンテストで戦うことになるだろうし、その時に白黒ハッキリつけてやるぜ。

 

 

 

 12歳 ι月ν日 『ハルカも成長してるな』

 

 今日も今日とてチルットの飛行練習をしている。と、言っても、本格的なものではなく、俺の頭の上で羽を上下にゆっくり動かすリハビリのようなものだ。

 たまにハルカが落ちないかどうか心配そうに見ているが、仮に落ちたとしてもニューサトシなら地面にぶつかる前にキャッチできるので心配は無用である。

 

 そんなこんなでヒワマキシティ目指して歩いていると、オスカーとアンドリューを名乗る二人組が俺とハルカにタッグバトルを挑んできた。どうやら、俺とハルカのチルットをめぐるやり取りを見て仲がいいと思ったらしい。

 しっかし、アンドリューはともかく、オスカーはもうまんまじゃねーか。さてはこれ、前のロミジュリと一緒でアニメにあった話だな?

 

 と、心の中でツッコミを入れつつ、とりあえずバトルには受けて立った。向こうがニドキング、ニドクインのニドコンビを出してきたので、こちらはじめん攻撃出来つつ『ふゆう』で向こうのじめん攻撃を避けられるフライゴン先輩にバトルをお任せする。

 ハルカは誰にするか死ぬほど悩んでいたが、今回はココドラを出してきた。どくタイプには有利が取れるが、逆にじめん相手だと不利な気もするチョイスだが、そこは俺のカバー次第だろう。

 

 と、いうことで、バトルを始めると、流石に吹っかけてきただけあって、向こうの二人は攻撃の息がしっかり合っている。

 が、こちらももう半年近くの付き合いになる上、俺がバトルの基礎を教えているのだ。ハルカも当然のように、『じならし』を指示して相手の弱点を突いていく。こちらは『ふゆう』で影響を受けないので、向こうだけがダメージを受けるという基本の戦術である。

 

 向こうのニドコンビが二人がかりで、ココドラを攻撃しようとしてきたので、『ドラゴンダイブ』を指示して間に割り込んでいく。

 ニドコンビの動きも悪くないが、フライゴン先輩の方が速いので動き出しを潰していけるのだ。その間に、ハルカが貯めの大きい技を準備して攻撃するといったコンビネーションを見せつけて、無事にオスカーとアンドレ――じゃなかった。アンドリューのコンビを撃破した。

 

 勝利のハイタッチを決めると、ココドラの体が光り出し、コドラへと進化する。体が少し大きくなって見た目は格好良くなったが、愛嬌の良さは変わっていないようでハルカに頭をこすりつけて笑っていた。うーむ、やっぱり俺もココドラ欲しかったな。

 

 

 

 12歳 ι月ξ日 『フシギバナがいる禁断の森? フシギバナの不思議な花園の知り合いか?』

 

 森の中を迷子になっていると、突然現れたエアームドにハルカが攫われてしまった。近くにいた人によると、この森はくさタイプのポケモンが住む森で、人間の侵入を固く禁じているらしい。

 とはいえ、ハルカをそのままにはしておけないので、とりあえず俺だけで助けに行くことにした。足の速さを考えても、俺が一番適任だろう。

 

 森の中に入ると、くさポケモン達が俺を敵と認識して襲ってくる。が、悪いのは不法侵入している俺なので反撃はしない。こちらに致し方ない事情があるとはいえ、森のポケモン達は何も悪くないのだ。

 しばらく森の中を駆けずり回ると、ようやくハルカを見つけた。ひとまず合流するも、俺を追いかけていた森のポケモン達に囲まれてしまう。

 

 再び逃げ回るが、崖に追い込まれてしまった。

 

 前方にはくさポケモンの大群、後方は崖。こうなれば、ニューサトシボディの耐久力を信じてここから跳ぶしかないか――と、考えていると、森のポケモンと思わしきフシギバナが出てきてポケモン達を一喝してくれる。

 

 聞けば、俺と合流する前に、ハルカが崖から落ちそうになっていたフシギダネを助けていたらしく、それを見ていたフシギバナは俺達が怪しい人物ではないとわかってくれたようだ。

 まさに、情けは人の為ならずというべきか。この物分かりの良さをカントーの不思議な花園で出会った進化至上主義のフシギバナにも見習って欲しいものである。

 

 そのまましばらく森の中を歩いていたのだが、どうもハルカが助けたというフシギダネがハルカに懐いているように見えた。

 自分を助けてくれた人間というのもあるかもしれないが、そもそもハルカは好意には好意を返す人間なので、フシギダネも自分が好かれているというのがわかるのだろう。

 

 そろそろ森から出るか――と、思っていると、毎度お馴染みロケット団が現れて森のポケモン達を奪おうとしてきたので、いつものようにやなかんじーにしてやる。

 カントーのフシギバナの時も似たようなことがあったし、今日は絶対来ると思っていたぜ。

 

 その後、フシギバナに別れを告げて森を出ようとすると、ハルカに懐いていたフシギダネがこちらに向かって走ってきた。

 どうやらハルカと一緒に行きたいらしい。フシギバナの方を見ると、それがいいと言わんばかりの笑みで頷いている。何て、大人なフシギバナなんだ。この物分かりの良さをカントーの不思議な花園で出会った進化至上主義のフシギバナにも(以下略)。

 

 

 追記。ハルカがフシギダネをモンスターボールに入れるに当たって、ポケモンが七体になってしまったので、誰か一体を実家に転送することになったのだが、誰にしようか決めるのに物凄い時間がかかった。最終的には少し前に進化したコドラを実家に戻したのだが、気持ち的に割り切れないようで「ポケモンが無限に持てたらいいのにー!」と大声を出している。カントーの頃の俺も似たような感じだったなぁ――と、少し懐かしい気分になった。

 

 

 

 12歳 ι月ο日 『フシギダネの世話はフシギダネに任せればいいのである』

 

 数日振りに大きな街に着いたのだが、ハルカのフシギダネはずっと森の中で生活していたからか、こういう街を見るのは初めてらしい。

 田舎から出てきたばかりのおのぼりさんのように、辺りをずっとキョロキョロしており、目を離すとすぐにいなくなってしまった。見れば、花屋のトラックの荷台に紛れ込んでしまったようなのだが、トラックは知らずに走り出してしまう。

 

 

 仕方ないので、俺の高速移動でトラックの後を追って何とかフシギダネを回収した。その際、地味にタケシが俺に付いて来ている。おお、まさかこの速度についてくるとはな。

 

 しかし、このままでは体がいくつあっても足りないので、ポケモンセンターで俺のフシギダネを転送して貰ってお世話係を任せることにした。

 ついでに預けっぱなしになっていたミズゴロウさんとスバメも転送して貰う。代わりに、こちらからはミロカロス、ジュプトル、ヘイガニを送ることにした。

 

 と、いう訳で、手持ちを入れ替えたのだが、向こうから送られてきたボールには誰も入っていない。

 こちらから送ったポケモンは向こうに行っているが、どうもこちらに送ったポケモンがどこかに行ってしまったようだ。

 

 見れば、同じような事件は俺以外にも起きており、偶然起きたものとは考えにくかった。

 

 俺のポケモンを奪おうなんて考えるのは大体ロケット団だろうが、ワンチャンマグマ団とかアクア団の可能性もなくはないので、ミュウツーを出してフシギダネ達の気配を追って貰う。

 このまま本丸まで突っ込んでやると思ったのだが、フシギダネのボールだけ途中で落ちていた。どうやら、落としたのに気付かなかったらしい。

 

 とりあえず、フシギダネをボールから出したのだが、どうやら大体のあらましは把握しているようで、いつものように自信満々に俺に任せろと言わんばかりの態度だった。

 そんな俺のフシギダネを見て、ハルカのフシギダネが尊敬の視線を送っている。しかし、俺のフシギダネは硬派に見えて女の子に弱い(ハルカのフシギダネはメス)。頼られると、照れたような顔でデレデレになっていた。

 

 こりゃ大丈夫か? とも、思ったが、逆に良い所を見せようと気合が入ったようで、そのままポケモン達を奪った奴らの根城を突き止める。

 やはり、ロケット団だったようで、そのまま一気にやなかんじーにしてやった。ミズゴロウさんやスバメも無事に戻ってきたので何よりである。

 

 ハルカのフシギダネも、俺のフシギダネに並んでロケット団と戦っており、いろいろと学んだようだった。いい雰囲気なので、このまましばらくフシギダネは手持ちに入れて、ハルカのフシギダネの講師を任せることにする。たまにはこういうのも悪くないだろう。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・センリのケッキング(相棒個体)と再戦した。
 最初は戦闘描写を書こうとしたのだが、3000文字を超えた辺りで長くなると判断してカットした。実は旅出る前のレッドVSワタルも最初は戦闘描写を書こうとしたが、長くなったのでカットしている。

・第71話『オーキド博士とオダマキ博士! 秘密基地の戦い!!』より、ニューサトシがヒトカゲを欲しがった。
 全くタイプの違う二体目というのもアリではないかと思った。
 
・ロケット団が久しぶりにやってきた。
 ムサシがナナミさんに弟子入り(強制)していた。ついでに、コジロウやニャースまでコンテストの極意を一緒に叩きこまれている。ムサシがリボンを三つ入手していた。

・第72話『タッグバトル! サトシVSハルカ!?』より、オスカーとアンドレをボコボコにした。
 ハルカはニューサトシの弟子みたいなものなので、バトルも連携バッチリだった。原作だと喧嘩して息が合わないが、ニューサトシは基本的に後輩に怒らないので喧嘩にならない。

・ココドラがコドラに進化した。
 ニューサトシが羨ましがっている。

・第73話『禁断の森の王者! フシギバナ!!』より、フシギバナの懐の広さにニューサトシが感服した。
 事情を理解しつつ、自分の仲間の気持ちもわかる大人なフシギバナだった。

・ハルカがフシギダネをゲットした。
 アチャモ、ルリリ、コドラ、アゲハント、エネコ、チルットと、手持ちが一杯だったので、進化したコドラと交代している。初心者あるあるポケモンボックス送りたくない病を発病していた。

・第74話『フシギダネとフシギダネ! モンスターボールを取り戻せ!!』より、「こうなったらタケシ、こうそくいどうだ!」が疑似再現された。
 人間がこうそくいどう使える訳ないが、原作だとサトシ君もタケシも使っている。ニューサトシは当然できるが、この作品のタケシも後をついてきた。

・しばらくフシギダネを手持ちに加えた。
 ハルカのフシギダネと仲良しになったので手持ちに加えた。オーキド研究所の縄張り争いについては、他のメンバーが対応できるので心配がない。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.61

 ピジョット Lv.56

 バタフリー Lv.56

 ドサイドン Lv.60

 フシギダネ Lv.57

 リザードン Lv.61

 カメックス Lv.57

 キングラー Lv.56

 カモネギ  Lv.56

 エビワラー Lv.57

 ゲンガー  Lv.58

 オコリザル Lv.56

 イーブイ  Lv.56

 ベトベトン Lv.56

 ジバコイル Lv.56

 ケンタロス Lv.56

 ヤドラン  Lv.55

 ハッサム  Lv.57

 トゲキッス Lv.54

 プテラ   Lv.57

 ラプラス  Lv.55

 ミュウツー Lv.73

 バリヤード Lv.56

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.54

 カビゴン  Lv.52

 ニョロトノ Lv.52

 ヘラクロス Lv.52

 メガニウム Lv.51

 マグマラシ Lv.51

 ラティアス Lv.47

 ヘルガー  Lv.51

 ワニノコ  Lv.51

 ヨルノズク(色違い) Lv.51

 カイロス(部分色違い) Lv.51

 ウソッキー Lv.51

 バンギラス Lv.59

 ゴマゾウ  Lv.49

 ギャラドス(色違い) Lv.49

 ミロカロス Lv.33→34

 ミズゴロウ Lv.40→41

 スバメ   Lv.39→40

 ジュプトル Lv.41

 ヘイガニ  Lv.40

 フライゴン Lv.50

 コータス  Lv.36→37




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#134 『タイムパラドックスって知ってる?』

 12歳 ι月π日 『タイムパラドックスって知ってる?』

 

 キリキリ山とかいうまさに霧が深い山でタケシ達とはぐれてしまった。まさか、俺が迷子になる日が来るとは思わなかったが、流石にこれだけ霧が深いと周囲の状況がわからない。迷子にもなるだろう。

 まぁ、最悪ミュウツーナビで合流できるのだが、最近いいように使いすぎている気もするので、今回は出来るだけ自力で頑張ることにする。

 

 そのまましばらく歩いていると、『とおりゃんせ、とおりゃんせ、ここは何処の細道じゃ、ヤジロン様の細道じゃ』という歌をうたっているのが聞こえてきた。ふと、視線を向けると、ローブとサングラスで顔を隠した女性を見つける。

 思わず、そこは天神様じゃねーのかと思わずツッコミを入れそうになったが、それは前世の話かと矛を収めた。思えば、諺とかも割と前世のものがポケモン関連に置き換わっていることも多いのでそういうこともあるのだろう。

 

 そう自分を納得させていると、今度はクルヨという少女とヤジロンに出会った。聞けば、クルヨは宇宙で一番大切な宝物が眠ると言われるヤジロン文明の遺跡を探しているらしい。

 まぁた古代文明か――と、思ったのだが、結構真面目に研究はしているようで、どうも『とおりゃんせ』の遊び歌が手がかりだということが判明しているという。

 

 奇しくも、俺がさっき聞いたばかりの歌だった。

 

 おそらく、歌っていた女性はヤジロン文明について何か知っているに違いないということで、その女性を探しに行ったのだが、何故かロケット団がその女性と一緒にいる。

 どうやら、こちらの話を盗み聞きしていたらしく、先にヤジロン文明の遺跡の場所を聞き出そうとしていたようだ。そうはさせないと、いつものようにやなかんじーにしてやる。

 

 ロケット団を撃退し、改めて女性に事情を説明すると、やはり遺跡の場所を知っているようで案内してくれることになった。

 

 聞けば、遺跡の宝物の正体は、少し前の地震で女性のヤジロンと共に埋もれてしまった古代の発明品らしい。

 クルヨのヤジロンの超能力でその瓦礫を退かしてみると、確かにそれらしきが姿を現した。遺跡の絵などをヒントに、中央の魔法陣のような場所でヤジロンが『こうそくスピン』をすると、古代の発明品が起動し、眩い光が辺りを包み込んでいく。

 

 なんぞこれと首を傾げていると、女性が古代のタイムマシンだと教えてくれた。

 時渡りを見たことがあるニューサトシも、まさかタイムマシンを見ることになるとは思わず驚きである。

 

 しかし、これがタイムマシンということは――と、視線を女性に向けると、黙ってローブとサングラスを脱ぎ捨てた。

 光のせいで分かりにくいが、容姿や髪の色がクルヨと似ている。どうやら、女性は未来から来たクルヨだったらしい。同じ時間軸に同一人物がいるとタイムパラドックスが起きるというのがSFの定番なのだが、そんなことは知らんとばかりに未来のクルヨは現代のクルヨに「宇宙で一番大切な宝物は時間」だと説いている。

 

 また、彼女には時間がないらしく、研究の続きを過去の自分に託すために未来からやってきたと言っていた。

 見た感じ、まだそう年齢もいっていないと思うのだが――と、首を傾げていると、「サトシ君にはこれ」と言って、モンスターボールを一つ渡される。

 

「未来の君から伝言。『気難しいから、しばらくは特別枠で大事に育てろ』って」

 

 何の話だ――と、聞き返す前に、未来のクルヨは元の時代へと帰って行ってしまった。

 結局、手に入ったのは未来の知識らしいクルヨの研究と、俺に渡された謎のモンスターボールだけである。

 

 頭の中があまりの情報量で爆発しそうだが、結局クルヨは未来の自分の研究を引き継ぐことに決めたらしい。

 まぁ、俺も受け取ってしまったからには、このポケモンを育ててやらないといけないのだろう。とりあえず一件落着のようだが、念のためにクルヨと連絡先を交換し、そのまま別れてタケシと合流することにした。

 

 

 

 12歳 ι月ρ日 『漆黒のツン』

 

 未来の俺(おそらく)から渡されたモンスターボールから出てきたのは、真っ黒なラルトスだった。

 通常のラルトスとも、普通の色違いとも色が違う。黒と青を基調とした美しいラルトスである。あからさまに訳ありポケモンだが、その訳が全然分からない上、ラルトス自身誰にも目を合わそうとしない。

 

 とりあえず、タケシが飯で釣ろうとしているが、欠片も興味を見せなかった。とはいえ、腹が減っていないはずがないので、いつでも食べられるようにして少し距離を置く。

 すると、『テレポート』で飯ごとどこかに消えた。

 逃げてしまったかと思ったが、ミュウツー曰く近くに隠れているだけらしい。あからさまな人間嫌いだが、モンスターボールがある以上は遠くに行けないので仕方なく一緒に居るという感じだ。

 

 普段の俺なら無理に一緒にいるよりも逃がすことも考慮に入れる場面だが、未来の俺から『気難しいから、しばらくは特別枠で大事に育てろ』という伝言(?)を受けている。

 SF的に考えれば、きっと俺が育てることで何かがあるのだと信じて、このまま連れて歩くことにした。まずは、目を合わせることが出来るようにコミュニケーションを取って行こう。

 

 

 

 12歳 ι月σ日 『PMDM(ポケモン大好きママさんズ)』

 

 ルイボスタウンという場所に辿り着いたのだが、ここではリボンを一つ以上持っているコーディネーターのみが参加できるポケモンコンテストR1が開かれるらしい。

 当然、俺もハルカも参加を決める。ハルカも最近はずっと俺のコンテストを見ているばかりだったので、久しぶりのコンテストだ。今回は必ず勝つと意気込んでいた。

 

 急だったのでこちらはラティしかコンテストに出られるポケモンがいないが、本人もやる気満々なので大丈夫だろう。

 ハルカもまだ誰にしようか決めていないようで頭を悩ませている。調子の上がっているアゲハントやエネコもいいが、まだコンテストに出ていないアチャモやコドラを出してやりたいという気持ちもあるらしい。

 

 そのままコンテストについてあーでもないこーでもないと話していると、ポケモン大好きママさんズという女性の集団に囲まれた。

 どうもママさんの中の一人がニューサトシのことを知っていたようで、セキエイ大会準優勝、オレンジリーグ名誉トレーナー、シロガネ大会優勝、チャンピオンリーグベスト10という実績を周りのママさんに教えまくっている。

 

 ママさんと言っても大分若いママさんで、うちのママさんとあまり年齢が変わらない。そのせいか、タケシなど終始デレデレしながら料理を教えており、ラティやマサトは我が子のように可愛がられている。

 ハルカも既にリボンを二つ持っているということで、いろいろ教えを請われており、すっかり調子に乗っていた。そのまま、コンテストに出るというママさんの練習に付き合っていたようなのだが、パッと見た感じハルカのコンディションもあまり良くない。

 

 前の大会が終わってから大分間が空いているし、最近はチルットのリハビリを重視していたのでパフォーマンスが万全ではないようだ。

 どこからともなく現れたシュウもそのことに気付いたようで、いつものようにハルカを挑発している。なまじハルカも前回シュウに勝ってしまったせいで、負け惜しみにしか思わなかったようだが、しっかりムカつきはしたらしくフシギダネでコンテストに出てシュウをボコボコにしてやると意気込んでいた。

 

 しっかし、まだ捕まえたばかりで連携も微妙なフシギダネで大丈夫か? ぶっちゃけ、コンテスト未経験ポケモンでもアチャモやコドラの方がいいんじゃないか?

 

 と、心配するも、どうやらシュウとのやり取りで完全に頭に血が上っているようで、ハルカは俺が負けるのが怖くてポケモンを変えさせようと思ったらしく、逆に絶対にフシギダネで参加すると意固地になっている。うーむ、大丈夫か?

 

 

 

 12歳 ι月τ日 『ルイボスタウン ポケモンコンテスト』

 

 遂に大会本番になったのだが、緊張しているフシギダネとは真逆にハルカは余裕の表情を見せている。これまでの大会では緊張してそわそわしていたのが嘘のような態度だ。ここまで調子に乗っていると痛い目を見そうだが、注意しても負け惜しみだと言って話を聞かないからなぁ。

 と、ハルカを心配していると、我慢が出来なくなったシュウが「そのままだとリボンが泣くぞ!」と忠告していた。何だかんだあいつもハルカのことを認めているが故に、コンテストで戦う以前の問題であるハルカの現状が耐えられなかったのだろう。

 

 いざコンテストが開始されると、ロケット団のムサシが参加しているのを見つけた。どうやら、今回はジョウトで捕まえたリングマで参加しているようだが前回のようにズルをすることなく、リングマのパワフルなパワーをアピールしている。

 また、途中でリングマらしからぬ可愛さもアピールしており、それがギャップを生んでいい具合に魅力を伝えていた。ナナミさん直伝というだけあって、なかなかにレベルが高い。得点も良い感じだし、これなら余裕で二次審査に進出出来そうだな。

 

 そんなムサシに続くように、シュウや俺も高いレベルの演技を見せていく。そこから少ししてハルカの番になったのだが、ハルカはフシギダネが緊張してカチカチなのに気付いていない。

 当然、ミスをするが、ハルカのフォローで何とか演技を終えることが出来ていた。得点もそこまで高くはないが、ギリギリで二次審査に出られるだろうというレベルである。

 

 二次審査になると、ハルカと昨日のママさんという組み合わせになったのだが、フシギダネが先程のミスを引きずっていた。

 いつものハルカならすぐに気付いてフォローに回るのだが、どうやって相手に勝つかしか考えていないようでフシギダネを全然見ていない。これではバトル以前の問題で、予想通りフシギダネは相手のコドラにいいようにやられている。

 

 最終的には、相手のコドラに『つるのむち』を仕掛けたものの、それを逆利用されてバトルオフとなった。

 ハルカはまだやれると言い張っていたが、審査員のジョーイさんに「もっとポケモンのことを考えなさい!」と一喝されたことで、ようやく倒れているフシギダネに視線がいく。

 

 その瞬間、ハルカは青ざめた。自分が身勝手なバトルをしていたことにやっと気が付いたのだろう。

 昨日、ママさん達にもてはやされたということもあるが、前のハジツゲ大会で俺やシュウに勝ったことが自信という名の慢心を生んだ。普段のハルカなら注意されなくても、フシギダネが戦う以前のコンディションだったことに気付いたはずである。

 

 フシギダネをボールに戻すと、「ごめんね」と一言呟いてハルカは会場を去って行った。フォローに行きたい所だが、俺もこれから二次審査である。

 見れば、タケシとマサトが後をついていった。多分大丈夫だろうということで、俺もラティと共に二次審査ファーストステージを戦う。当然だが、勝利した。

 

 ファーストステージが終わり、俺、シュウ、ムサシ、ママさんの四名が残った。組み合わせは、セカンドステージが俺VSシュウ、ムサシVSママさんである。

 ラティは前回のリベンジをするつもりのようで、『ラティかつ!』と意気込んでいた。よしよし、空回りしないようにだけ気を付けような。

 

 シュウは今回も前のハジツゲ大会同様アメモースをエントリーしていた。いざバトルとなると、開幕でシュウが『ぎんいろのかぜ』で弱点を攻めてくる。

 こちらも『りゅうのいぶき』で迎撃した。

 真っ向勝負ならラティに分があるということで、そのまま『ぎんいろのかぜ』を押し返していく。「流石のパワーだ。まだ及ばないか」とシュウが呟くと、『かげぶんしん』で攻撃を回避していった。

 

 技を使った華麗な回避でこちらのポイントが10削れるが、もうラティも場数を踏んでいるので、ちょっとポイントが減ったくらいでは慌てない。

 それを見たシュウも、前回と同じ手は通用しないと改めてわかったようだ。シュウもあくまで様子見と言った感じだが、開幕の力押しに勝ったことでラティは勢いに乗った。続いて『めいそう』で、特攻と特防を一段階ずつ上げていく。

 

 シュウもラティアスに詰み技を許したら、パワーの差で即戦闘不能にされると思ったようで、『くろいきり』で無効にしてきた。上手い技の使い方で、さらにこちらのポイントが10削られる。

 

 チッ、『めいそう』からの『アシストパワー』であわよくばワンキルしてやろうかと思ったがそう上手くはいかないか。

 ならば、『ミストボール』だ。演技の練習でも玉遊びが好きなラティは、地味に撃ち切るタイプの技が得意なのである。

 

 やれ、ラティ! 必殺、大リーグボール2号だ!

 

 ラティの専用技であり、お得意の『ミストボール』がアメモースに向けて発射された。

 シュウも回避を指示するが、向こうが予想した以上の速度で『ミストボール』が撃ちだされ、回避する間もなくアメモースに命中する。

 

 これにより、シュウのポイントが15削られた。

 

 ふふふ、パワーよりもスピードに重点を置いているから避けるのが難しいだろう。その代わり、ダメージはほぼ半減するが、コンテストバトルにおいて重要なのは技の威力ではないので問題ない。

 ゲームだと技を応用するのは無理だが、アニポケ世界ではこうやって同じ技でも威力や速さを調節することが出来るのだ。一つの技も使いようである。ほぼ不意打ちに近いが、それでもこういった場では有効だろう。

 

 そのまま、一気に流れに乗ったラティが、アメモースを攻め立てていく。本当ならほのお技である『マジカルフレイム』が使えれば良かったのだが、まだ練習中で上手く使えないのである。

 シュウも『かげぶんしん』で回避してくるが、『ミストボール』の連打で分身をくまなく消していった。ある程度、消せば本体の場所も推測できるので、再び『ミストボール』を当てていく。

 

 舐めていた訳ではないだろうが、それでも隙のなくなったラティ相手では手も足も出ないようで、シュウも一か八か『れいとうビーム』で逆転を狙いに来た。

 

 こちらの苦手なこおりタイプの技だ。おまけに、運よく氷の状態異常を引いてラティが凍ってしまう。これはまずい。このままではラティがやられてしまう――なーんちゃって効きませーん。『サイコシフト』で状態異常を相手に移していく。

 ゲームだと氷は行動不能なので移せない仕様だが、この世界では氷状態でも意識があるので技が発動できる。だからこそ、攻撃技で氷を壊せば脱出できるし、ほのお技全般で溶かすことも出来るのだ(氷を壊すのにはある程度時間がかかる)。

 

 これにより、氷状態がアメモースに移動してアメモースの動きが止まって墜落していく。

 最初はラティが技を受けて凍ったことで、俺のポイントが20削られたが、その後の対応で逆にシュウのポイントが20削られた。

 

 この氷状態が致命傷となり、動けなくなったアメモースに通常の『ミストボール』を連打して一気にポイントを突き放している。

 シュウも、『ぎんいろのかぜ』で氷を壊そうと頑張っていたが、その前にラティの連打が氷状態のアメモースに直撃していく。最終的に、氷が割れたと同時にアメモースはバトルオフとなり俺の勝利が決定した。

 

 シュウも全力を尽くして尚勝てなかったことに悔しそうな顔をしていたが、「君がやる気になってくれてよかったよ」と、どこか安心した様子も見せている。

 そういえば、前にこいつとあった時はコンテストを止めようとしていたんだっけか。一応、お節介も焼いてもらったし、その節はありがとうとお礼を言っておく。

 

 シュウも素直じゃないので、「君の為じゃない。自分が強くなるのに、ライバルが欲しかっただけさ。次は必ず勝たせてもらうよ」と捨て台詞を吐いて会場を去って行った。

 

 ラティは前回やられたアメモースにリベンジ出来てご機嫌だ。この調子で優勝したい所だが、ファイナルステージの相手はナナミさんの弟子であるムサシだった。

 思えば、こうやってちゃんとした場所で戦うのは初めてのことである。どうやら、二次審査からはポケモンを変えてきたようで、リングマではなくニューラで戦っていた。

 

 うーむ、あく・こおりタイプのニューラは、地味にドラゴン・エスパータイプのラティの天敵である。

 多分、ムサシも対ラティを見据えてニューラをチョイスしたのだろう。単純なバトルならこの程度の不利なんともないが、レベル50固定のコンテストバトルだとどうなるか少し不安があった。

 

 とはいえ、ロケット団に負けるなど、ニューサトシとしてはゴメン被るということで意地でも勝つ気である。ラティも『がんばる!』と気合を入れていた。

 

 ファイナルステージがスタートすると、ムサシはまず『ちょうはつ』を指示してきた。変化技で攻められるのは面倒だと思ったのだろう。

 ならば、こちらも素直に『りゅうのいぶき』で攻めていった。タイプ一致のドラゴン技だ。威力はそこまで高くないが三割で麻痺の可能性がある。足を封じられればニューラの厄介さは半減だ。

 

 しかし、『ちょうはつ』から『こおりのつぶて』に繋げることで、こちらの攻撃が届く前に迎撃してきた。先制技故に威力はないが、攻撃のぶつかり合いで礫が破裂すると、細かい氷の粒がダイヤモンドダストのような美しさを作り出している。

 こちらの変化技を封じ、技を迎撃しつつ美しい演技まで見せたムサシの一連の技には無駄がなく、こちらのポイントが一気に20も削られる。

 

 流石に俺もラティも驚いた。まさかいつもボコボコにしているムサシがここまでの高等技術を見せるとは思わなかったのである。

 ムサシは「こんなん序の口よ」と、調子に乗っているが、どうやらナナミさんと一緒の二か月はガチでムサシをコーディネーターとして成長させたようだ。

 

 失ったポイントを取り戻したいが、『ちょうはつ』で変化技が封じられている上、ラティお得意のエスパー技はあくタイプには無効なので打てる手が限られてくる。

 逆にムサシはこちらに考える隙を与えるつもりはないようで、『いちゃもん』を使ってきた。これで、こちらは同じ技を連続で使えない。さらに最後の技もためらわず使って、『だましうち』で攻めてきた。威力60の必中技だ。これで回避も出来ない。

 

 変化技で防げないので、『10まんボルト』で受けて立つ。しかし、タイプ不一致等倍の『10まんボルト』など、普段ピカ様の電撃を受けまくっているロケット団のポケモン達からすれば温いようで、気にした様子もなく攻撃を仕掛けてきた。

 

 お互いに攻撃が命中して15ポイントずつ削られるが、ダメージを考えればこちらの方が受けたダメージは大きい。

 それに、単純に上手かった。小奇麗なバトルでポケモンを魅せるのではなく、野性味あふれた自然の魅力を見せようとするのはムサシやニューラの性格にも合っている。多分、これもナナミさんとの特訓で身に着けたものだろう。

 

 ぶっちゃけ、舐めていた。ムサシくらいならどうとでもなると――しかし蓋を開けてみれば手も足も出ない。

 単純なバトルの腕なら俺が上だが、しっかりと二か月鍛えたムサシの実力はつい最近コンテストを再開した俺なんかよりもずっと上だったのだ。

 

 だが、それで諦めるほどニューサトシは可愛い性格をしていない。再び、『だましうち』で攻めてくるニューラだが、こちらも下手に反撃せずに防御に徹した。

 そのまま『ちょうはつ』が切れるギリギリまで時間を稼ぎつつ、相手の『ちょうはつ』が切れた瞬間、次を発動される前に『メロメロ』でニューラの行動を縛っていく。

 

 俺がこれまで何回『ちょうはつ』をくらってきたと思っている? 既に『ちょうはつ』の有効時間はコンマ数秒単位で把握済みよ。

 

 とはいえ、前半で時間をかけ過ぎたこともあって、残り時間は後僅かである。こうなれば、まだ安定はしていないが『りゅうせいぐん』で一か八か逆転を狙っていくしかなかった。

 ラティが頭上に流星を撃ちだし、上空から隕石のように大量の『りゅうせいぐん』が落下してくる。当然、メロメロ状態のニューラに防ぐ余裕などなく、攻撃が直撃する――が、やはり未完成故に威力が追いついていなかったようで戦闘不能にはなっていなかった。

 

 また五割の行動不能を抜けて、ニューラがこちらに『こおりのつぶて』を撃ちだしている。それがラティに命中すると同時にタイムアップとなり、結果は45/100対40/100でこちらの敗北となった。

 最後の『こおりのつぶて』が敗因だったな。あれがなければ、多分ギリギリでこちらが勝っていた。とはいえ、結果は結果だ。ラティも悔しそうにしているが、今回は相性も悪かったし、純粋に俺の技術がムサシに負けていたのが敗因だった。

 

 この借りを返すためにももっと頑張らないとな。

 

 ただ、ムサシの中ではもう少し余裕で勝つ予定だったようで、「こんな苦戦したってばれたら、お師匠様に殺される……」と顔を真っ青にしていた。どんだけトラウマ植え付けたんだナナミさん。

 

 

 追記。ハルカも改めて自分を見つめ返したことで、何が一番大切かを思い出したらしい。まぁ、センスがあるといっても、ハルカもまだコーディネーターになって半年だからな。天狗になるのは百年はえーってことよ。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・第75話『対決! 巨大ナマズンと釣り名人』より、バッジケースを湖に落とさなかったので内容がカットされた。
 原作ではバッジケースを湖に落とし、それを巨大ナマズンが食べてしまったことで釣り名人のスーさんに出会うのだが、出会いのきっかけがなくなったのでカットされている。よって、「ヘイガニ、俺にクラブハンマーだ!」もカットされた。

・第76話『ヤジロンと霧の中の遺跡!』より、未来のクルヨから何か貰った。
 おいおいタイムパラドックスだぞとツッコミを入れていたら何か貰った。

・色違いの黒いラルトスをゲットした。
 通常の色違いとは違う配色をしている。未来のニューサトシから渡された見るからに訳アリポケモン。滅茶苦茶ツンである。
 
・第77話『強敵!? ママさんコーディネーター登場!』より、ハルカが地味に天狗になっている。
 そのため、ニューサトシの忠告を聞かなかった。

・ママさんたちがニューサトシを知っていた。
 原作サトシ君は知られていなかったが、ニューサトシは流石に実績があるので知られていた。

・第78話『ポケモンコンテスト! ルイボス大会!!』より、ムサシが強くなっていた。
 ハルカに勝ったママさんは準決勝でムサシにボコられた。地味にルイボス大会はリボンが一つ以上ないと参加できないレベルの高い大会だったりする。

・ニューサトシがシュウに勝った。
 リベンジを果たした。

・ムサシに負けた。
 ギリギリの勝負だったが、地味に初敗北。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.61

 ピジョット Lv.56

 バタフリー Lv.56

 ドサイドン Lv.60

 フシギダネ Lv.57

 リザードン Lv.61

 カメックス Lv.57

 キングラー Lv.56

 カモネギ  Lv.56

 エビワラー Lv.57

 ゲンガー  Lv.58

 オコリザル Lv.56

 イーブイ  Lv.56

 ベトベトン Lv.56

 ジバコイル Lv.56

 ケンタロス Lv.56

 ヤドラン  Lv.55

 ハッサム  Lv.57

 トゲキッス Lv.54

 プテラ   Lv.57

 ラプラス  Lv.55

 ミュウツー Lv.73

 バリヤード Lv.56

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.54

 カビゴン  Lv.52

 ニョロトノ Lv.52

 ヘラクロス Lv.52

 メガニウム Lv.51

 マグマラシ Lv.51

 ラティアス Lv.47

 ヘルガー  Lv.51

 ワニノコ  Lv.51

 ヨルノズク(色違い) Lv.51

 カイロス(部分色違い) Lv.51

 ウソッキー Lv.51

 バンギラス Lv.59

 ゴマゾウ  Lv.49

 ギャラドス(色違い) Lv.49

 ミロカロス Lv.34→35

 ミズゴロウ Lv.41

 スバメ   Lv.40

 ジュプトル Lv.41

 ヘイガニ  Lv.40

 フライゴン Lv.50

 コータス  Lv.37→38

 ラルトス(色違い) Lv.30 NEW!




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#135 『頑張って跳べよ!』

 12歳 ι月υ日 『バネブーって、マグロやサメと同じ生態らしい』

 

 森の中でバネブーに出会った。しかし、代名詞というべき真珠が頭になく、本人も元気を失っている。

 どうやら、頭の真珠を森のどこかに落としてしまったようだったので、一緒に探してやることにした。

 

 バネブーも頭の上が落ち着かないようで、丸いものを見つける度にそれがポケモンでも頭に乗せようとしている。流石にマルマインを乗せた時は肝が冷えた。大爆発される前に、ミュウツーの『テレポート』でリリースしている。

 しばらくしていつものようにロケット団がやってくると同時に、ようやくバネブーの真珠を見つけた。コンテストで負けた腹いせにロケット団をやなかんじーにしてやると、そのままバネブーに真珠を返してやる。バネブーも真珠が戻ってきて大喜びしていた。

 

 そういえば、バネブーはマグロとかサメが泳いでいないと死ぬのと一緒で飛び跳ねていないと死んでしまうらしい。頑張って跳べよと、一言残してバネブーとお別れした。

 

 

 

 12歳 ι月φ日 『実は優しいツン?』

 

 今日も今日とて黒いラルトスをボールから出していると、突如としてリハビリをしているハルカのチルットを『テレポート』で上空へ送っているのを見てしまった。

 当然、飛べないチルットは落下するのだが、今までのリハビリで大分トラウマも薄れていたこともあって、勇気を出して羽を動かし、ようやく自由に空を飛んでいる。

 

 いや、お前、結果的に飛べたからよかったものの、失敗していたらこれまでの努力も無駄になっていたんだぞ――と、言おうとしたら、既にハルカが言っていた。

 

 しかし、ラルトスはそんなハルカの声などどこ吹く風といういような様子で、いつものようにガン無視している。それを見て、ふと俺は本当にラルトスは気まぐれで『テレポート』したのか疑問になってきた。

 思えばこいつが誰かにちょっかいを出すなど初めてのことだ。これまで近くには居ても、人間はおろかポケモンにすら気を許さなかったこいつが、イタズラで飛べないチルットを『テレポート』するなんてことするだろうか?

 

 もしかしたらだが、こいつにはチルットが飛べるという確信があったのかもしれない。

 いや、正確には、チルットはもう飛べる状態だったが、精神的なブレーキで最後の一歩だけが踏み出せていなかった。それを見たラルトスが、敢えて背中を押してやったのではないか?

 

 あくまで推測だが、ラルトスは頭のツノで人の感情が読めるみたいな能力があったはずだし、チルット自身が気付いていなかったものを見通したのではないかと思っている。

 

 その証拠に飛べるようになったチルットがお礼を言うように、ラルトスの周りを飛んではしゃいでいた。ただイタズラされただけなら、チルットもあんな態度取らないだろう。

 本当はラルトスも心の優しい奴なのだ。

 少なくとも、俺は今回の件を見てそう感じた。しかし、やはりショック療法はやり過ぎじゃないだろうか? 出来れば一言相談が欲しかった所だよ、ラルトス君。

 

 

 

 12歳 ι月χ日 『ポケリンガなるスポーツがあるらしい』

 

 ヒワマキシティを目指している途中、クロスゲートタウンという街に立ち寄った。

この街は風の交差点という通称があるようで、突風や竜巻が良く起きるらしい。コナン映画みたいな通称だな。

 

 そこで知り合ったカイトという少年によると、今日はポケリンガとかいう競技の大会が行われるということだった。

 一瞬、ベロリンガの知り合いかとも思ったが、聞けばトレーナーとポケモンでチームを組み、他のチームと空中にあるリングを奪い合って、先にリングをゴールに引っ掛ければ勝ちというルールの競技らしい。

 

 今日開催で誰でも参加できるということで、俺がスバメで参加することにした。ハルカも最近飛べるようになったチルットで参加を表明している。

 タケシは残念ながらひこうタイプのクロバットを実家に置いて来ているようで、参加は断念するようだった。しかし、ラティはひこうタイプではないが特性の『ふゆう』があるのでやろうと思えば参加できなくもない。が、今回は黒いラルトスを構うのに夢中なようでラティ自身が参加したがっていなかった。

 

 何だかんだ足を止める時は黒いラルトスをボールから出してやるのだが、未だに懐く気配はゼロである。ちなみに、前回のコンテストでも自由にさせていた。

 まぁ、未来の俺(多分)からの伝言で、そう簡単にいかないというのはわかっているので、今は少しでも俺というトレーナーに慣れて貰うだけでいいだろう。

 

 と、いう訳でポケリンガの大会に飛び入り参加したのだが、見た感じ参加者の数がかなり多い。そのせいか、一回戦から四回戦までは四人一組のグループで戦うということだった。五回戦から一対一のルールに変わるらしい。

 組み合わせを見ていると、どうも俺の一回戦のグループに優勝候補がいるということで、辺りが騒然としている。当の優勝候補はなかなかガタイの良い奴で、こちらを馬鹿にしたような態度を取っているが、ああいう奴に限って大したことないんだよなぁ。

 

 と、思っていると、後ろからロケット団のコジロウが声をかけてきた。どうやら、こいつもポケリンガに参加するつもりらしい。

 こいつ、ひこうタイプのポケモン持ってたっけか? と、一瞬、首を傾げたが、しっかりとムサシのドクケイルを借りているようだ。まぁ、こいつらはリーグでもポケモンを貸し合うような仲だし、コジロウがムサシのポケモンを借りても不思議ではない。

 

 聞けば、昔高名なポケリンガーの下で修業したことがあるということで、今回は真面目に参加しているようなのだが、普段が普段だけにハルカが全然信じていなかった。

 

 とりあえず、俺もハルカもルールすら把握していないので、自分の番が来るまでに他のグループを見ている。ちなみに、ハルカはコジロウと同じ最後のグループだった。

 

 しかし、こうしてみてみると、なかなか奥が深い競技である。上空のパラシュートについているリングを奪って、下のゴールに引っ掛けるという単純なルールだが、他のポケモンの動きや風などの自然の状況を上手く使うのも重要なファクターになっている。

 最初は、他のポケモンを全員ボコボコにすればいいくらいにしか考えていなかったが、一瞬の隙が勝敗を分かつこともあるようで、五回戦までは迂闊に攻めるのは悪手かもしれん。

 

 さっき知り合ったカイトも無事に一回戦を突破したようで、俺の番になったのだが、優勝候補がバルビートで『かみなり』を連打するという頭の悪いことをしてきた。

 いや、俺以外の二名がそれで脱落してしまったので、一概に馬鹿には出来ないのだが、命中率の低い『かみなり』など見ていれば簡単に避けられる。外した隙にリングを奪ってやったのだが、後ろから『かみなり』で追ってきた。

 

 ぶっちゃけ、『かげぶんしん』や『でんこうせっか』を使えば、一気にゴールまで逃げられるのだが、あまり調子に乗られてもウザいので先に倒すことにする。

 そのままUターンして、『かみなり』を避けながら、『つつく』、『つばめがえし』、『つばさでうつ』、『ブレイブバード』の四段階攻撃を当てて一気に戦闘不能にしてやった。

 

 敵が誰もいなくなったので、悠々とゴールにリングを引っかける。やっぱりこうなったな。優勝候補とか言われて調子に乗っている奴に限って大したことないのである。

 

 俺が勝ったことでハルカも続こうとしたようだが、コジロウが思ったよりも上手かった。

 風の動きを読んだり、ハルカの『かぜおこし』を逆に利用したりして圧勝している。どうやら、高名な先生に修行して貰ったというのは嘘ではないようで、自分のポケモンではないドクケイルでもかなりの技術を見せていた。

 

 そのまま、順調に準決勝まで勝ち進むと、俺の他にカイトやコジロウも勝ち進んでいる。

 俺はエアームド使いを軽くひねって決勝の権利を掴んだが、カイトとコジロウは互いに風を読み合って動かないという高度な駆け引きをしていた。最終的には雲の動きを読んだコジロウが、太陽を使った目つぶしで相手の動きを止めて勝利している。

 

 決勝は俺とコジロウになったのだが、コジロウが先制で仕掛けてきた『サイケこうせん』を回避した瞬間、クロスゲートタウン名物の竜巻が発生してゴールに近づけなくなってしまった。

 こうなると、勝負は竜巻が収まった後、どちらが先にリングを取るか――と、いう状況なのだが、風の動きが読めるコジロウにいつ竜巻が収まるか読む対決など挑んでも勝ち目はないだろう。

 

 ならば、先手必勝。一か八か、『ブレイブバード』で一気にリングまで突っ込ませることにした。

 風は強いが、技の勢いで一気に突っ切る。とはいえ、スバメの体格を考えれば出来るかどうかは賭けだ。これがピジョットやプテラなら問題ないのだろうが――と、考えていると、スバメが風の中でオオスバメに進化した。

 

 体が大きくなったことで安定感が戻り、そのまま一気にリングを奪っていく。コジロウが慌ててリングを奪い返しに来たが、一度優勢になればこちらのものである。『つばめがえし』で、ドクケイルをぶっ飛ばしてゴールまで一気に駆け抜けた。

 

 負けたコジロウが本気で悔しがっているが、まぁここはニューサトシの方が一歩上手だったということで、優勝トロフィーとクロスゲートタウンの名誉町民の称号を手にする。

 ぶっちゃけ、名誉町民になって何か意味あんのか? と、思ったが、まぁくれるものは貰っておこう。準優勝だったコジロウは、俺の横で涙ながらに先生とやらに謝っていた。

 

 

 追記。大会が終わった後、参加者のポケモンが盗まれる事件が起きたということでジュンサーが犯人を捜していた。コジロウを見るも、全く知らない様子だったので、今回はどうもこいつらの仕業ではないらしい。

 

 

 

 12歳 ι月ω日 『アフロ事件』

 

 ロケット団が意味不明な機械で襲ってきて、その結果俺以外の奴がアフロになるという事件が発生した。ラティは一度変身を解いて戻ることでリセットが出来るが、それ以外のメンツはしばらくアフロである。

 思わず大爆笑しながら歩いていると、ハルカが「笑いすぎかも!」と怒り出した。これが笑わずにいられるかよと大爆笑していたのだが、タケシの「俺は意外と気に入っている」というセリフで笑いも止まった。お前、通常時からアフロになったら絶交するからな。

 

 その後、雨が降って近くの館で雨宿りしたり、ハルカとマサトが喧嘩したり、館で怪奇現象が起きていたり、ロケット団を再びやなかんじーにしたり、館の主人のカゲボウズが怪奇現象の犯人だったりと、まぁいろいろなことがあったのだが、アフロ事件に比べたら大したことはなかった。

 

 

 

 12歳 κ月α日 『ロケット団を生贄に、上級モンスターを召喚するゼ!』

 

 ロケット団が野生のキノガッサの群れに襲われているのに巻き込まれた。どうも、ロケット団が彼らの食事を横取りしたせいで、後を追われているらしい。

 俺達は完全なとばっちりなのだが、頭に血が上っているキノガッサ達は問答無用で襲ってくる。

 ここは素直にロケット団を差し出して怒りを抑えるしかないということで、フシギダネの『しびれごな』でロケット団を生贄に、何とかキノガッサ達から逃げ出した。

 

 

 

 12歳 κ月β日 『ダブルコンテスト』

 

 近くの街でポケモンコンテストがあるということで、寄って行くことにしたのだが、どうやら普通のコンテストとルールが違うようだった。

 見ると、二体のポケモンを使った一次審査と、ダブルバトルによる二次審査があるということで、近くのポケモンコーディネーターに話を聞くと、今回のコンテストでは二体のポケモンのコンビネーションによる魅力がキーになるらしい。

 

 難しそうなコンテストだが、グランドフェスティバルの二次審査もタッグバトルだということで、ハルカもやる気を出している。

 どうやら、ずっとコンテストに出せなかったアチャモとコドラで参加するつもりのようで、実家からコドラを転送して貰っていた。前回調子に乗って失敗しまくった分、今回は誰が見ても恥ずかしくない演技をすると意気込んでいる。

 

 対するニューサトシは、どうするか困り果てていた。コンビネーションで演技をする以上、ある程度経験を積んでいるラティを選ぶと相棒がついていけない可能性がある。

 うーむ、と頭を悩ませていると、ピカ様とフシギダネが任せろとばかりに前に出てきた。ずっと練習を見ていたピカ様はともかく、どうもフシギダネは前回ハルカのフシギダネがコンテストを失敗してから練習を手伝っていたようで、少し自信があるらしい。

 

 見るのとやるのじゃ難しさは段違いだが、何だかんだピカ様とフシギダネも古い付き合いだし、コンビネーションは問題ないだろう。

 下手な組み合わせを作るより本人達のやる気を買った方が良いと判断し、今回のコンテストにはピカ様とフシギダネで参加することにした。

 

 コンテストまでの数時間で、ピカ様とフシギダネの魅力を活かした演技のプランを考え、通しでやってみたがわりかし上手く行っている。

 フシギダネもコンテストの基本は抑えてくれているようで、観客へのアピールもバッチリのようだ。俺はバトル以外興味ねぇみたいな性格だと思っていたが、これがどうしてなかなかノリノリである。

 

 ピカ様はずっとハルカの練習を見たり、付き合ったりしていたおかげもあって安定性が段違いだった。

 むしろ、お前こんなに上手かったんか。と、ツッコミを入れるくらい演技が上手い。こんなことなら、もっと早くピカ様を選べばよかった。ずっと近くにいると、逆に見えなくなるものだな。

 

 これならいけるということで、そのままコンテスト本番を迎えた。

 

 審査員達の挨拶が終わると、控室に行く前にハルカが両手を合わせてこちらに差しだしてくる。おや? と、思ったが、ハルカが「心機一転!」と言ってくるので、仕方なくパチーンと久しぶりに幸平式緊張ほぐし術を使ってやった。

 そのおかげもあってか、ハルカも「よーし、いくわよ!」と気合を入れ、トップバッターとして飛び出していく。

 

 開幕、ハルカは小さいアチャモを力のあるコドラで空中に投げ、アチャモが空中でほのお技を使ってアピールするという王道な方法で攻めてきた。

 しかし、王道というのはそれだけ良いものということでもある。メインをアチャモ、アシストをコドラにすることで、お互いの良い所を魅せるという作戦でハルカは余裕で一次審査を突破している。

 

 対するこちらはピカ様とフシギダネの小型コンビだ。とはいえ、舐めて貰ってはいけない。フシギダネの『つるのむち』は手以上に繊細な動きを可能にしている。また、パワーもあるので、ピカ様や自身を持ち上げていろいろな動きをすることが出来るのだ。

 他にも、ピカ様がブレイクダンスからの『10まんボルト』というアドリブを見せてきたが、お前それ原作DP編で習得したカウンターシールドではないかね?

 

 空中で電撃が網のようになり、その美しさに観客が沸いている。今度、バトルにも応用しよっと。

 また、フシギダネも負けじと、ピカ様の電撃に粉技を当てて即興の花火を作ってアピールしていた。どうやら、前に粉技で花火を作ったのをバタフリーから聞いていたらしい。

 

 とても初コンテストとは思えない連携を見せ、こちらも一次審査は余裕で突破した。

 

 二次審査はダブルのコンテストバトルである。シングルの時と同じでCPは100のままだが、二体のポケモンで共通のポイントを使うらしい。

 つまり、ピカ様とフシギダネで合わせて100ポイントあり、ピカ様がミスしても、フシギダネがミスしてもポイントが削られていくということだ。

 

 シングルと違ってちょっとしたミスが大きくポイントを削りそうだが、ハルカは慣れていないダブルでも良く戦っていた。

 おまけに、初戦を戦っていたハルカのアチャモがここでワカシャモに進化している。進化したことで体格が良くなり、パワーもスピードも格段に上がっていた。コドラと合わせても、大小の凸凹コンビというような印象は消え、そのままの勢いで一気に相手のポイントを削り切っている。

 

 こちらもピカ様とフシギダネが抜群のコンビネーションを見せた。元々、フシギダネは割と視野が広い方だったということもあり、お互いがお互いをフォローする動きを意識しているので隙が無いのだ。

 隙が無いから相手は上手く攻め入ることが出来ず、こちらの動きに翻弄されまくっている。フシギダネが『つるのむち』で相手を空中に投げ、ピカ様が『アイアンテール』で叩き落すというコンビプレーが勝因となり、そのままこちらも相手から勝利をもぎ取った。

 

 ファイナルステージは俺とハルカとなった。

 

 思えば、こうしてちゃんとハルカとコンテストで戦うのは実は初めてかもしれない。最近まで俺は負けっぱなしで先へ進めていなかったし、逆にハルカは順調に実力を伸ばしてきた。

 しかし、負けるつもりはない。

 確かに、ハルカにはコーディネーターとしてのセンスがある。まだポケモンを貰って半年くらいしかたっていないのに、既にリボンを二つゲットしているのだ。運の絡んだ内容も少なからずあったが、それでも今ここで俺の前に立っているのは実力があるからである。

 

 その才能は俺以上かもしれないが、俺だってトレーナーとしてもう三年のキャリアがあるのだ。悪いが、まだまだハルカに負けてやる訳にはいかない。

 

 ファイナルステージがスタートすると、ハルカはワカシャモの『ひのこ』でフシギダネを攻めてきた。

 素直に相性を突いてきたのだろうが、ハルカ自身にダブルバトルの経験があまりないからかコドラへの指示が遅れている。本来なら、同時にピカ様を狙わせる場面だが、おかげでフリーに動けそうだった。

 

 フシギダネは背中のタネから『しびれごな』を壁のように噴射し、『ひのこ』を粉塵爆発で回避している。上手い防御で、ハルカのポイントが10マイナスされた。

 同時に、ピカ様には『ざぶざぶサーフ』で全体攻撃を仕掛けさせる。ワカシャモもコドラも、みずタイプの技は二倍弱点だ。通れば、ポイントの減少は避けられない。

 

 しかし、ハルカもやられたままではいないようで、ワカシャモをコドラの後ろに移動させ、コドラの『まもる』で攻撃を防いできた。

 本来ならば自分しか守れない技だが、防御範囲に仲間を入れることで全員を守ることが出来る。上手いガードで、こちらのポイントが10マイナスされた。

 

 とはいえ、悪いが攻めの手を緩めるつもりはない。速攻はニューサトシの得意分野であり、こいつらの得意分野でもある。

 ピカ様に『ほうでん』、『10まんボルト』のマチス式アニポケ殺法を指示して、さらに全体攻撃を仕掛けていく。フシギダネにも攻撃が当たる危険性があるが、『つるのむち』を使ったジャンプで上手く攻撃を回避させた。

 

 強化された電撃がピカ様を中心に大きく波を撃つように放たれ、ワカシャモとコドラに直撃していく。割と演出を重視しているようで、電撃の波が美しく泳いでいた。

 しかし、こちらも演出面に気を使ったこともあって、通常よりも威力が大分下がっている。それでも、『ほうでん』の三割、『10まんボルト』の一割の追加麻痺効果が当たったらしく、ワカシャモもコドラも体が麻痺していた。

 

 でんき技の組み合わせによる美しい全体攻撃と、フシギダネの技術による回避、攻撃後の相手への追加効果まで含め、ハルカのポイントが一気に25も削られる。

ハルカの表情が苦し気に歪む。一対一なら、まだワンチャンあったかもしれないが、ハルカも慣れないタッグで一杯一杯のようだ。とはいえ、手を抜くつもりはない。

 

 ハルカもまだ諦めてはいないようで、コドラが麻痺で動けなくなるも、ワカシャモが『にどげり』でピカ様に攻撃を仕掛けていく。

 こちらもピカ様が全く同じ技である『にどげり』で攻撃を受け流した。種族値はワカシャモの方が上だが、ピカ様の技術があるからこそ出来る芸当である。同じ攻撃で技を流されたことで、ハルカのポイントがさらに10削られていく。

 

 おまけに、その間にフシギダネが『ソーラービーム』のチャージをしており、ピカ様が『10まんボルト』の単発でワカシャモの動きを誘導して二体が重なるように追い詰めた。

 直後フシギダネの『ソーラービーム』が発射され、コドラが『まもる』で攻撃を防いでいく。だが、『まもる』は連続ガードが難しい技だ。向こうの『まもる』が切れた瞬間、『10まんボルト』でさらなる追撃をかけてやる。

 

 ハルカもワカシャモに『かえんほうしゃ』で追撃を指示したが、流石にピカ様の攻撃は防ぎきれず、ワカシャモとコドラが追撃の『10まんボルト』の直撃を受けた。

 こちらの連携が評価されハルカのポイントがさらに20削られるが、全てのポイントが削り切られる前にワカシャモとコドラがバトルオフになってしまったようで倒れている。

 

 俺も、コンテストバトルに大分慣れてきたな。ようやく、全体の流れが掴めてきたような気がする。

 ハルカも、何も出来ずに負けて悔しそうにしているが、自身の経験不足が大きな原因なのはわかっているらしく何も言えないようだ。奇しくも、俺がこれまで培ってきた経験が生きたバトルだった。

 

「サトシの土俵でバトルしたら私に勝ち目なんかない。もっと、こっちの得意な土俵に引き込むべきだった……」

「だな。まぁ、これがタッグバトルじゃなかったら、ハルカも簡単に流れは渡さなかったかもしれないけど、序盤から俺の流れだったのを変えられなかったのが問題だったな」

 

 ハルカのタッグバトルの経験不足でバトルの流れは終始俺が掴んでいた。元々バトルの技術差もあるのに、流れまで掴まれては勝ち目などないだろう。

 ハルカもシングルなら、自分のペースで自分のコンテストバトルが出来ただろうが、今回は俺の速攻に引き込まれて対応に精一杯だったからな。先程も書いたが経験勝ちだ。

 

 表彰式でリボンを貰い、ケースにしまっていく。

 

 これで、俺もようやく三つ目のリボンだ。後二つでグランドフェスティバルに出場できる。折り返し地点を超えたな。

 ピカ様もフシギダネも良くやってくれた。特にフシギダネはとても最近練習に付き合っていただけとは思えない練度だ。器用な男はモテるようで、ハルカのフシギダネが尊敬の視線で見ていた。

 

 おうおう、デレデレしてやがるぜ。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・第79話『バネブーの探し物!?』より、裏でコイキング売りの親父がまた悪さをしていたのでロケット団に成敗された。
 コイキングの色を塗ってヒンバスを偽って売っていた。しばらく悪さが出来ないようにボコボコにしている。

・黒いラルトスがチルットのトラウマを克服させた。
 克服(無理矢理)。

・第80話『初挑戦! 空中競技・ポケリンガ!!』より、裏でロケット団がポケモンを盗んでいた。
 原作ではコジロウを回収しようとして捕まってしまったが、こちらにはニューサトシがいるので敢えてコジロウを囮に使った。コジロウ自身も作戦を知らないので、上手いカモフラージュになっている。

・第81話『カゲボウズの館!』より、ニューサトシだけはアフロにならなかった。
 思わず大爆笑した。

・第82話『森の格闘王! ワカシャモVSキノガッサ!』より、キノガッサにロケット団を渡した。
 よって、ハルカのアチャモが進化するシーンはカットされた。

・ダブルバトルコンテストに参加した。
 オリジナルコンテスト。けど、ダイパ編見直したら普通にこういうコンテストもあった。

・ピカ様とフシギダネで参加した。
 ピカ様が疑似カウンターシールドをしていたのを見て、今なら出来るとニューサトシが確信した。

・ハルカのアチャモが進化した。
 前回進化しなかったので、ここで進化した。

・ハルカと初めてコンテストバトルをした。
 ニューサトシ有利な状況もあって、流石に負けなかった。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.61

 ピジョット Lv.56

 バタフリー Lv.56

 ドサイドン Lv.60

 フシギダネ Lv.57

 リザードン Lv.61

 カメックス Lv.57

 キングラー Lv.56

 カモネギ  Lv.56

 エビワラー Lv.57

 ゲンガー  Lv.58

 オコリザル Lv.56

 イーブイ  Lv.56

 ベトベトン Lv.56

 ジバコイル Lv.56

 ケンタロス Lv.56

 ヤドラン  Lv.55

 ハッサム  Lv.57

 トゲキッス Lv.54

 プテラ   Lv.57

 ラプラス  Lv.55

 ミュウツー Lv.73

 バリヤード Lv.56

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.54

 カビゴン  Lv.52

 ニョロトノ Lv.52

 ヘラクロス Lv.52

 メガニウム Lv.51

 マグマラシ Lv.51

 ラティアス Lv.47

 ヘルガー  Lv.51

 ワニノコ  Lv.51

 ヨルノズク(色違い) Lv.51

 カイロス(部分色違い) Lv.51

 ウソッキー Lv.51

 バンギラス Lv.59

 ゴマゾウ  Lv.49

 ギャラドス(色違い) Lv.49

 ミロカロス Lv.35→36

 ミズゴロウ Lv.41

 スバメ→オオスバメ Lv.40→41

 ジュプトル Lv.41

 ヘイガニ  Lv.40

 フライゴン Lv.50

 コータス  Lv.38→39

 ラルトス(色違い) Lv.30




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#136 『笑えるほどピンチだ』

 12歳 κ月δ日 『タケシが反応しない女? きっとニューハーフだ』

 

 ついさっきまで晴れていたはずなのに、急に猛吹雪が襲ってきた。たまたま近くにいたポワルンのおかげでどうにか吹雪から脱出できたのだが、後から現れたお天気研究所所長のバールによると、天候の実験で人為的に起こした吹雪に俺達は巻き込まれたらしい。

 どうやらポワルンはそんな所長のポケモンで、やらかした所長の尻拭いをしてくれたようだ。所長も俺達が天候実験の被害者だとわかると、すぐに謝罪してくる。

 

 故意ではなかったのでそれはまぁいいのだが、一つ大きな問題が発生していた。バールの助手のミリという女性に対して、タケシがいつもの反応を見せなかったのである。

 

 いつものタケシなら美人のお姉さんを見れば一目散に飛んでいくのだが、今回は何故かその気にならないようで本人も首を傾げていた。

 見た感じ、ミリも十分容姿が整っていて美人だ。そんな美人にあのタケシが反応しないなんて有り得るか? あまりにいつものこと過ぎて殆ど日記には書いていないが、事あるごとにお姉さんにお近づきになろうとしたあのタケシがだぞ?

 

 悪いが俺は、ミリが男なんじゃないかと思っている。きっと、ニューハーフの人だ。

 この世界に来てから、あまりそういう人には会わなかったが、まさか本物に出会う日が来るとは思わなかったぜ。ニューサトシはそういうのはあまり差別しない派ので、騒ぎにならないように気付いていないフリをしてあげることにする。

 

 バールが研究所に来ないかと誘ってきたので、そのまま付いて行ったのだが、そこには超古代ポケモンであるグラードンやカイオーガに関する機密データが保管されていた。

 そういえばずっと忘れていたが、アニメだとどこかでグラードンとカイオーガが復活してサトシ君が巻き込まれるんだったっけか。今の所、殆どのマグマ団、アクア団はボコボコにしているが、この世界でも復活するんだろうか? いやぁ、関わりたくねぇなぁ。

 

 と、思っていると、この機密データを狙ってアクア団が研究所に襲い掛かってきた。

 機密データはミリが別のメモリーに移して、盗まれないためにコンピューター内のデータを削除したのだが、どうもそのミリも変装したマグマ団のメンバーだったらしい。「目に見えるものだけが真実だとは限らない」と、キザったらしいセリフを吐いて正体を明かしたこのバンナイとかいう男は、アクア団曰く『千の顔を持つ男』とかいう異名があるようだ。

 

 そうか、マグマ団の変装だったのか。てっきりニューハーフの人だと思っていたが、マジモンの男ならそりゃタケシが反応しなかったのも納得である。

 

 そのままデータメモリーを持って逃げようとしていたバンナイだが、たまたま外に出していた黒いラルトスが『テレポート』で、バンナイを俺の目の前まで連れて来てくれたので、即お縄につけてやった。

 チルットの時同様気まぐれのようだが、今回はその気まぐれのおかげで助かっている。お礼を言うも、いつものように知らん顔をしていた。相変わらずツンだぜ!

 

 ついでに、襲ってきたアクア団もボコボコにして、バンナイ諸共ジュンサーに引き渡してやった。機密データも守れたし、これで一件落着だろう。

全てが終わった後に、本物のミリが研究所に現れたが、『テレポート』でもしたかのようにタケシがお近づきになりにいった。どうやら、今度は本物だったらしい。

 

 

 

 12歳 κ月ε日 『フェザーカーニバルなるものがあるらしい』

 

 ようやくヒワマキシティへとたどり着いたのだが、ジムリーダーのナギが一年に一度開かれるフェザーカーニバルのお手伝いをしているらしくジムが閉まっていた。

 まぁ、別に急いでいる訳ではないので、暇つぶしがてらそのカーニバルの会場まで足を運ぶ。そこではエアームドの背に乗ったナギが高速で上空を飛行していた。一目見ただけでわかる。あの速度でバランスを崩さないのは、それだけ訓練しているということだ。

 

 タケシが「今回も厳しいバトルになるかもな」と声をかけてきたので、思わず口角が上がってしまった。

 その際、つい闘志が漏れてしまったようで、反応したエアームドがこちらに向かって真っすぐ突っ込んでくる。ナギが慌ててエアームドを制御したおかげで激突しなかったが、危うく正面衝突する所だった。

 

 ナギが自分の不手際を謝ってきたが、おそらく原因はニューサトシなので、逆に邪魔をしたことを謝罪する。

 その際、ジム戦ではないガチ戦の申し込みをしたのだが、どうやらナギもアスナからニューサトシの話を聞いていたらしい。丁度明日はカーニバルの後ということでオフにしていたから、そこでガチ戦をしてくれることになった。やったぜ!

 

 その後、いつものようによくわからないメカで襲ってきたロケット団をサクッと撃退し、ヒワマキシティのフェザーカーニバルを心行くまで楽しんだ。

 

 

 追記。夜、ガチ戦メンバーを転送して貰った。代わりに、コータスとフライゴン先輩、フシギダネを研究所に送っている。

 

 

 

 12歳 κ月ζ日 『ヒワマキシティ ガチ戦 VSナギ 前編』

 

 今回は調整期間がなかったので、ぶっつけ本番だ。とはいえ、そのくらいで調子を崩すようではとてもチャンピオンリーグなど勝ち抜けはしないだろう。

 まぁ、前回のセンリの時同様に、ホウエン組のジム戦にしても良かったのだが、センリの時は前に一度ガチ戦をしていたからこそのジム戦でもあった。正直、ナギとはトウキの時のかくとうタイプ対決のように、ひこうタイプ対決をしたいと思っているのでこのままガチ戦である。

 

 と、いう訳で、ヒワマキジムへ行くと、既にナギはスタンバイ済みのようだった。

 昨日は気のいいお姉さんだったが、今日は言葉数少なくいい具合に気合が入っている。いいねぇ、楽しくなりそうだ。

 

 ルールはいつも通り、三対三の入れ替えありで、レベル制限はなしである。バトルがスタートすると、ナギは開幕で色違いのオオスバメを出してきた。こちらは、カモネギを出そうとしていたが、それを見て手が止まる。

 そういえば、アニメでもナギは色違いのオオスバメを使っていたっけか。オオスバメ対決をしていたのを今思い出した。今回のバトルではピジョット、カモネギ、色違いのヨルノズクを選出していたのだが、こうなるとオオスバメ対決をしたくなってくる。

 

 パッと見た感じ、相手のオオスバメは俺のオオスバメに比べてレベルが少し高い。どう考えても真っ向勝負は不利になるだろう。ニューサトシの中の常識が、まだホウエン組をガチ戦に参加させるのは無謀だと訴えている。獅子は我が子を千尋の谷に落とすともいうが、大事なガチ戦で不安要素を突っ込むなどバカの極みだ。本来、有り得ないことである。

 だが、もうその気になってしまった。

 咄嗟にボールを入れ替えて、オオスバメを出していく(思考からここまで約2秒)。すまん、カモネギ。お前の出番はいつか必ず用意するから今回はオオスバメに出番を譲ってやってくれ。

 

 まさか、ガチ戦に出るとは思ってもいなかったようで、出てきたオオスバメが「スバァ!?」と驚いたような声を出した。気を抜くな! もうバトルは始まってんだぞ!

 

 ナギも、「オオスバメ対決とは、面白いことをしてくるね」と言って、即座に『ブレイブバード』を指示してくる。ひこうタイプの中でも強力な物理技だ。

 流石に真正面からぶつかればパワー負けするので、ここは攻撃を回避しつつ、『つばめがえし』で横から攻撃を叩きこんでいく。しかし、ブレバは釣りだったようで、即座に旋回してからの『つばめがえし』に技を切り替えてきた。

 

 一瞬、旋回でこちらの視界から消えたせいもあって、こちらの攻撃が必中でヒットするも手応えが浅い。逆に、こちらはかなりの攻撃力で吹き飛ばされた。一度距離を取れ、性能で負けている以上、真正面からの戦いは無謀だ。

 

 オオスバメに相手の後ろを取りに行かせようとするが、向こうのオオスバメも簡単に裏を取らせてはくれない。ぐむぅ、まだ俺のオオスバメは飛行技術が未熟だからか、向こうの防御を突破できん。

 

 とはいえ、そんなことは百も承知でオオスバメを選んだのだ。こんなすぐに諦めては出番を奪われたカモネギが報われねぇ!

 オオスバメに『きあいだめ』を指示した。こいつは、急所に当たる確率を跳ね上げる技である。純粋な性能で負けているのなら、急所に当てればいいじゃない!

 

 ゲームでは急所ランクというものが存在し、通常時は1/24の急所率が、ランク1で1/8になる。ランク2で1/2、ランク3だと全ての攻撃が確定で急所に当たるのだ。

 この世界だと、また感覚が少し違うかもしれないが、『きあいだめ』は急所ランクを2上げる技なのは変わりない。つまり、今のオオスバメは1/2の確率で攻撃を急所に当てることが出来るようになったのである。

 

 五割なら連続で当たりを引くことだってざらだ。

 

 再び、必中の『つばめがえし』で攻める。向こうもまた旋回で姿を消してからの『つばめがえし』で反撃してくるが、急所に当てたことでダメージレース的には五分になっていた。

 攻撃力の差が埋まったことで、向こうも力押しは無理と悟ったようで、機動力で勝負を仕掛けてくる。先陣を切って大空を飛ぶ向こうのオオスバメを追うように、こちらのオオスバメも空へ飛んでいくが、速度差があるせいで勝負になっていない。

 

 仕方なく、『こうそくいどう』で速度を上げて対応するも、向こうも『こうそくいどう』でさらにこちらを引きはがしてくる。また、俺のオオスバメはここまでの速度は初体験ということで完全に手探り状態だった。

 何とかカバーしてやりたいが、大空というフィールドはナギも得意なようで指示も的確だ。ニューサトシの適当飛行技術もポケモン同士のスペックが同じなら通じたかもしれないが、レベル差がある上にトレーナーの飛行技術も向こうの方が上だとどうにもならん。

 

 やはり、真っ向勝負はまだ無理があったな。だから素直にカモネギを出せばよかったと今なら思えるが、あの時は無理にでもオオスバメ合戦がしたかったのである。

 それに、タイマンが難しいなら乱戦に持ち込むまでだ。一度、オオスバメを戻して、色違いのヨルノズクを送り出していく。場を荒らして、隙を生めばオオスバメの強みを生かす機会もくるだろう。

 

 予定外の色違い対決だが、ナギは色違いのヨルノズクに目を奪わているようで、「奇麗な色……」と呟いていた。

 

 ヨルノズクは俺のひこうタイプ内だと、数少ない特殊メインのポケモンだ。本当はピジョットも特殊型の予定だったのだが、気が付いたら誰に似たのかガチガチの物理アタッカーになっちまっていたからなぁ。

 

 とりあえず、得意の『さいみんじゅつ』で、オオスバメを眠りに誘っていく。ナギも即座に『こうそくいどう』の重ね掛けで速度を上げ、避けるように指示を飛ばした。流石に眠らされては特性の『こんじょう』も発動できないからな。

 しかし、うちのヨルノズクは賢い上に器用だ。

 特に前回のチャンピオンリーグで何も出来ずに敗退してからは、変に戦うよりも自分の強みを生かすトレーニングを積んだようで、『さいみんじゅつ』を確定で決めるために、相手の意識を誘導する技術を学んだらしい。

 

 つまり、避けようと思えば思うほど、ヨルノズクの掌の上ということだ。追撃の『エアスラッシュ』でオオスバメに攻撃を仕掛けていく。

 自慢のスピードで攻撃から逃れようとするオオスバメだが、回避に意識がいっているうちにヨルノズクの位置を見失っていた。攻撃に視線を誘導して、オオスバメの視覚外へと移動したのだ。

 

 そのまま後ろを取ると、ナギが「後ろ!」と声を上げる。だが、それは失策だった。

 咄嗟に後ろを向いたオオスバメに『さいみんじゅつ』をかけて眠らせていく。わざとトレーナーに見える位置に移動して、オオスバメに後ろを見させるように誘導したのだ。

 

 仕掛けは簡単である。まず、開幕の『さいみんじゅつ』で、相手は眠らされないように動くことを強く意識させられた。

 だからこそ、相手も『エアスラッシュ』の怯みで動きを封じられるのを嫌って回避に重点を置いたのだろう。しかし、避けることに必死になって、ヨルノズク自体を見失った。

 

 とはいえ、ポケモンには見えていなくても、バトルを俯瞰してみているトレーナーには見える。

 そこを逆手にとって、ポケモンの動きを誘導した。見ないのであれば、見るように相手を誘導すればいい。文字にすれば簡単なことだが、いざやられると防ぎようがないだろう。

 

 何せ、警戒していた相手を見失った後に、後ろにいると教えられたのだ。それで振り向かない奴などいるはずがない。

 人間であれ、ポケモンであれ、咄嗟にする行動は大体一緒だ。ヨルノズクはそれを意図的に引き出しただけである。まぁ、小手先と呼ぶには過ぎた技術だがな。

 

 ナギは即座にオオスバメをボールに戻した。自分が動かされたことに気付いたようで、悔しそうな顔をしている。

 そのまま二番手として出てきたのはペリッパーだった。ひこう・みずででんきタイプが四倍弱点だが、残念なことに今回の俺のポケモンはひこうタイプのみなのででんき技は使えない。

 

 前のアントニーの時には書かなかったが、ペリッパーの特性は『するどいめ』と、『あめふらし』だ。

 アントニーのペリッパーは『するどいめ』だったので、天候は変わらなかったが、今回のペリッパーはしっかり『あめふらし』のようで、フィールドが雨状態になっていく。

 

 雨ということは、みず技の威力が上がる上、『かみなり』や『ぼうふう』が必中になるということだ。

 流石にペリッパーはひこうタイプなので『かみなり』は覚えないが、逆に『ぼうふう』は使える。間違いなくナギは特殊で攻めてくるつもりだろう。

 

 こちらの予想通り、ナギは特殊技である『ねっとう』を指示してきた。『ハイドロポンプ』かとも思ったが、高速で移動するひこうタイプ相手ということで、命中率の高い技を選んだのだろう。

 おまけに、『ねっとう』は追加効果で三割の確率で相手を火傷にする。オオスバメは特性が『こんじょう』なので逆に有難い技だが、今戦っているのはヨルノズクなので出来れば火傷にされるのは遠慮願いたい。

 

 小柄故の機動力を駆使して、『ねっとう』を回避していく。しかし、流石はジムリーダーというだけあって、こちらの動きを誘導してくる。

 先手を取って、こちらに動く暇を与えないということだろう。こうなると、いくらヨルノズクとはいえ避けるのが精一杯で何も出来ない。

 

 だが、通常のジムと違って、ヒワマキジムは天井がない。空が吹き抜けになっているからこそ、上空という逃げ場があった。

 

 ヨルノズクを上昇させる。しかし、ナギはその瞬間、『ぼうふう』でヨルノズクを捕らえ、動きを封じてきた。

 まずい。『ぼうふう』は威力110の大技だが、雨状態だと必中になる上、三割の確率で混乱にしてくる。おまけに相手が空を飛んでいようと確定で命中するのだ。

 

 おそらく、こちらの上昇に合わせて逃げ場を封じてきたのだろう。ヨルノズクは特殊防御が割と高い方ではあるが、流石にタイプ一致の『ぼうふう』はかなりダメージが大きいようで苦しい顔をしている。

 風の渦が収まると、フラフラとヨルノズクが下りてきた。どうやらしっかりと混乱まで受け取ったようで目が回っている。

 

 下手に混乱解除を狙うよりも、一度戻した方が確実なのでヨルノズクをボールに戻す。続けて、今の所いいとこ無しのオオスバメを送り出した。

 

 ナギもオオスバメを使っているが故に、こちらの『こんじょう』を警戒しているようで、ヨルノズクの時のように『ねっとう』では攻めず、『でんげきは』で攻めてくる。

 ペリッパーが覚えるでんき技だ。威力は60とそう高くはないが、必中なので回避は出来ない。

 

 だが、悪いことばかりではなかった。『あめふらし』の効果が切れたようで、このタイミングで天候が元に戻っていく。これで、『ぼうふう』が必中になる危険は過ぎ去ったが、それでも強力な技であることに違いはない。

 しかし、レベル差があるとはいえ、ペリッパーの素早はお世辞にも高い方ではなかった。ここはオオスバメの高い素早種族値を生かした高速戦で相手を翻弄していく。

 

 確かに、『でんげきは』は必中技なので対応は面倒くさいが、高速戦闘に持ち込むことで、大技である『ぼうふう』は封じられている。

 こちらの『つばめがえし』がヒットすると、ナギもペリッパーとオオスバメの相性が悪いと判断したようで、ペリッパーを一度ボールに戻した。

 

 しかし、色違いのオオスバメは『さいみんじゅつ』によって眠り状態になっている。ナギからすれば、必然的に最後の一体を出すしか手はなかった。

 

 三体目として、チルタリスが繰り出される。ドラゴン・ひこうタイプのポケモンだ。種族値的にあまり使われるイメージはないが、特防が高く『コットンガード』を覚えるので物理も割と固い。

 持久戦になるか――と、思ったその瞬間、ナギがキーストーンを取り出してきた。どうやら、ホウエン地方でのメガシンカのテスターはナギだったらしい。

 

 ガチ戦と言うことで、勿体ぶる様子もなく、ナギはチルタリスをメガシンカしてきた。

 これにより、チルタリスはメガチルタリスとなり、タイプがドラゴン・フェアリーに変更される。俺の知る限り、唯一の複合タイプだ。代わりに、ナギお得意のひこうタイプを失っているが、それを上回るパワーアップをしていた。

 

 とはいえ、基本的にメガシンカしてもチルタリスは耐久よりのポケモンだ。スピードが速くなる訳ではない。

 先程同様に、オオスバメの高速戦闘でかく乱していく。だが、攻撃が当たる瞬間に『コットンガード』で物理防御力を上げてきた。もこもこしたポケモンが覚えるイメージのある技だが、その効果は脅威の防御三段階アップである。

 

 柔らかそうな見た目だが、『つばめがえし』が当たると、ふよんという音と共に威力が全て吸収されてしまった。

 多少はダメージが入っているはずだが、それでも殆ど無傷に近い。おまけに、返しの『ハイパーボイス』で大ダメージを受けさせられた。メガチルタリスの特性は、ニンフィアと同じ『フェアリースキン』である。ノーマルタイプの技がフェアリータイプの技に変化し、威力が1.2倍になるというものだ。

 

 威力90のノーマル特殊技の『ハイパーボイス』だが、メガチルタリスが使うことでフェアリー特殊技となり、タイプ一致と特性の効果で威力が168まで跳ね上がる。

 オオスバメも特殊耐久が低いこともあって、一撃で体力が半分近くも削られた。色違いのオオスバメやペリッパーとのバトルで受けたダメージと合わせると、もう体力も1/4もない。

 

 こうなれば仕方ないので、最後の技として『どくどく』を指示した。ニューサトシお得意の猛毒でメガチルタリスを攻略するしかない。

 しかし、『しんぴのまもり』で状態異常もケアされてしまった。そのまま返しの『ハイパーボイス』でオオスバメが戦闘不能にされていく。

 

 すまん、オオスバメ。だが、お前の活躍のおかげで相手に技を三つ使わせた。後は任せてゆっくり休め。

 

 再び、ヨルノズクをフィールドに送り出していく。とはいえ、相手は『しんぴのまもり』を使っているので、お得意の『さいみんじゅつ』は効果がない。

 メガチルタリスは強いて言えば特防が物理よりも低いが、防御110と特防105なので誤差だ。しかし、『コットンガード』で防御が三段階上がっているので、まだ特殊攻撃の方が効果があるだろう。

 

 と、いうことで、『わるだくみ』を指示して、特攻を二段階上げていく。だが、ナギも『じこあんじ』でこちらの能力上昇をコピーしてきた。

 くっ、『じこあんじ』は相手の能力補正を自分と同じにする技だ。これで、こちらが能力を上げれば上げるだけ向こうのパワーが上がっていく。しかし、同時に三段階上がっていた防御もこちらの防御補正が上書きされたので元に戻ったはずだ。

 

 とはいえ、下がった防御力は『コットンガード』ですぐに戻せる。それよりも、今は攻撃だ。

 

 特攻が二段階上がった状態で、『ぼうふう』を指示して攻めていく。命中率は少し不安だが、タイプ一致の攻撃だ。当たれば間違いなくダメージが入るはずである。

 だが、ナギは『ぼうふう』に対して『ハイパーボイス』で迎撃してきた。音の波動がこちらの風をかき消し、そのままヨルノズク本体にもダメージを与えていく。

 

 特攻が二段階上がっているということで、単純に威力は約二倍だ。実質、威力330程の技を受けたということで、ヨルノズクが一撃で戦闘不能になる。

 いくら特殊技に強いヨルノズクとはいえ、あれだけの攻撃は受けきれないか。これでこちらの残りはピジョットのみ。対するナギは、技を全て使ったとはいえ、ほぼ無傷のメガチルタリスに、体力3/4は残っているペリッパー、同じく体力は3/4ほどで眠り状態のオオスバメが残っている。

 

 笑えるほどピンチだ。

 

 思えば、ここまで一方的に負けている状況も久しぶりな気もする。しかし、こんな所で諦めるくらいなら最初からガチ戦など頼まない。

 最後のピジョットを送り出す。

 どうやらピジョットも現状はしっかり把握しているようで、やる気に満ちていた。ここから三体抜きは死ぬほどきついからな。頼むぜ。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・第83話『お天気研究所のポワルン!』より、バンナイとアクア団を捕まえた。
 ラルトスがきまぐれに助けてくれた。よって、後のバンナイの出番はなくなった。

・第84話『ヒワマキシティのフェザーカーニバル!!』より、ナギがアスナにニューサトシの話を聞いていた。
 よって、割とスムーズにガチ戦をOKしてくれた。

・コジロウが裏でチリーンをゲットした。
 コイキング親父を成敗したので、今回は普通に出会った。

・第85話『ヒワマキジム! 大空の戦い!』より、オオスバメをガチ戦に投入した。
 本来はカモネギ予定だったが、オオスバメ対決がしたいニューサトシによって強制参加させられた。初ガチバトルで相手に翻弄されまくるが、やれることはしっかりやっていった。大健闘である。

・ヨルノズクが搦手を強化してきた。
 視線誘導、心理操作、下手をするとトレーナーより頭がいい。チャンピオンリーグで何も出来ずに負けた後、自分らしさを失っていたことに気付いて特訓していた。

・ナギがメガシンカ枠だった。
 最初はセンリにしようかと思ったが、センリだと強すぎてお前四天王になれよってなるから、ナギになった。チルタリスもいたので丁度良かった。アニメだと色違いのオオスバメが切り札だったが、ここでは普通にチルタリスが切り札。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.61

 ピジョット Lv.56

 バタフリー Lv.56

 ドサイドン Lv.60

 フシギダネ Lv.57

 リザードン Lv.61

 カメックス Lv.57

 キングラー Lv.56

 カモネギ  Lv.56

 エビワラー Lv.57

 ゲンガー  Lv.58

 オコリザル Lv.56

 イーブイ  Lv.56

 ベトベトン Lv.56

 ジバコイル Lv.56

 ケンタロス Lv.56

 ヤドラン  Lv.55

 ハッサム  Lv.57

 トゲキッス Lv.54

 プテラ   Lv.57

 ラプラス  Lv.55

 ミュウツー Lv.73

 バリヤード Lv.56

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.54

 カビゴン  Lv.52

 ニョロトノ Lv.52

 ヘラクロス Lv.52

 メガニウム Lv.51

 マグマラシ Lv.51

 ラティアス Lv.47

 ヘルガー  Lv.51

 ワニノコ  Lv.51

 ヨルノズク(色違い) Lv.51

 カイロス(部分色違い) Lv.51

 ウソッキー Lv.51

 バンギラス Lv.59

 ゴマゾウ  Lv.49

 ギャラドス(色違い) Lv.49

 ミロカロス Lv.36→37

 ミズゴロウ Lv.41

 オオスバメ Lv.41→42

 ジュプトル Lv.41

 ヘイガニ  Lv.40→41

 フライゴン Lv.50

 コータス  Lv.39→40

 ラルトス(色違い) Lv.30


 オオスバメが技を5つ使っていたので修正しました。ハイパーボイスの威力間違い修正しました。指摘して頂きありがとうございます。




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#137 『文字通り、風を吹き飛ばした』

 12歳 κ月ζ日 『ヒワマキシティ ガチ戦 VSナギ 後編』

 

 三対一の絶望的な状況な上、相手のポケモンは三体共体力を残しており、おまけに一体はメガシンカまでしている。

 ここまで完全なピンチもそうないが、ここがもしチャンピオンリーグだったとしたら泣き言など言っている場合ではなかった。

 

 開幕、ピジョットには『ふきとばし』を指示する。流石に、ステータスが上がった状態のメガチルタリスを真正面から相手にするのは厳しいので、ここは一旦能力リセットも兼ねて手持ちに戻って貰った。

 代わりに出てきたのはまだ眠り状態の色違いのオオスバメである。動けないオオスバメには悪いが、容赦なしに『ギガインパクト』で攻撃を仕掛けた。

 

 流石に大ダメージを受けてオオスバメも目を覚ましたらしく、ここはどこだとばかりに首を振っている。同時に、『しんぴのまもり』の効果時間も切れた。

 ナギが落ち着くように声をかけているが、向こうが状況確認をしている間に、こちらも『ギガインパクト』の反動が消えている。さて、ここからが本番だな。

 

 ナギもここで勝負を決めるとばかりに、『こうそくいどう』で素早を上げてきた。種族値的にもピジョットよりオオスバメの方が速いので単純な高速戦闘だと不利になる。

 しかし、経験不足のオオスバメと違って、ピジョットにはこれまで戦ってきたキャリアがあった。一年半くらい前に、ハヤトと戦った時以上にこちらも成長しているのだ。

 

 あの時は同速でなければ勝負にならなかったが、あれから修行を積んで飛行技術も上がっている。

 ナギのオオスバメは確かに動きが早くて追いきれないが、攻撃する一瞬を見切れば回避は不可能ではない。ナギのオオスバメはお手本のように美しく飛ぶから動きを読みやすいのだ。

 

 他にも、昨日のフェザーカーニバルを見られたのも大きい。ナギの飛行の癖を確認できた。オオスバメでは技術的に出来なかったが、ピジョットならば俺の指示に応えられる。

 ずっとピジョットの後ろを取っているナギのオオスバメだが、『つばめがえし』を仕掛けても、こちらの『でんこうせっか』で対応されていた。悪いが、お得意の旋回から姿を消して強襲する『つばめがえし』も、既に何回か見ている。もう同じ手は通用しないぞ。

 

 ナギも、オオスバメやヨルノズクとは比べ物にならない技術を持ったピジョットに驚いているようだが、向こうもひこうタイプのエキスパートである意地があるようで、再びお得意の旋回行動に入っていく。

 

 だが、続く技は『つばめがえし』ではなく、『ブレイブバード』だった。どうやら、相打ち覚悟でこちらのダメージに与えるつもりらしい。

 確かに、ピジョットの飛行技術は残るペリッパーとメガチルタリスでは攻略が難しいだろう。二体はスピードがそこまで早くないので、高速戦闘では不利になる。ならば、少しでもダメージを与えて機動性を落とそうという狙いとみた。

 

 しかし、悪くないが、技を見せすぎだったな。その旋回からの攻撃は一定の動きだ。ピジョットの視界からは消えても、俺の視界ではしっかり捉えられている。

 おまけに、必中技ではなくなったおかげで完全回避余裕だった。俺の指示で攻撃を回避したピジョットが返しの『ギガインパクト』で、今度こそとどめを刺していく。

 

 流石にノーマルタイプ最大の技を二回もくらえば、オオスバメも耐えられないようだった。

 しかし、倒れる直前に、最後の技である『おいかぜ』を発動している。少しでも後続が楽に戦えるようにということなのだろう。

 

 続けて、ナギがペリッパーを出してきた。特性の『あめふらし』で、また天候が雨になり、『ぼうふう』が必中になる。

 ナギのポケモン交換の間に、こちらも技の反動はなくなったが、『おいかぜ』の効果で向こうは素早さがしばらく二倍になったままだ。

 

 こちらが動こうとすると、頭を押さえるようにペリッパーも移動してくる。自由に動けないようにさせるつもりのようだ。

 そのまま、『ぼうふう』を撃ってきたので、『ふきとばし』で迎撃する。本来、『ふきとばし』はポケモンを入れ替える技だが、いろいろな応用が利くのはカントーの頃に確認済だ。

 

 文字通り、風を吹き飛ばした。

 

 この世界だと、ゲームでは使い道のない技もいろいろな応用が利く。『ふきとばし』もそうだが、『テレポート』などもそうだ。

 本来、ポケモンから逃げるか、街に戻るくらいにしか使えない『テレポート』も、バトルでは移動技としてよく使われている。

 

 とはいえ、この『ふきとばし』の応用も、誰にでも使えるものではない。これまで、培ってきたピジョットの技量あっての応用である。

 

 ナギも、まさかこんな力技で対応してくるとは思わなかったようだが、ならば『でんげきは』と技を変えてきた。

 こちらも必中技だが、再度『ふきとばし』で電撃を吹き飛ばしていく。とはいえ、かなり優勢に戦えてはいるが、『ふきとばし』も無敵という訳ではない。

 

 一見、完璧な防御に見えるかもしれないが、あまり威力の高い技は迎撃出来ないという弱点があるのだ。具体的な数字を上げると、威力90以上の技はまず防げない。

 威力90以下を防げるのなら十分凄いと思うかもしれないが、タイプ一致なら威力60の技で突破可能といえばそこまで凄くはないだろう。

 他にも、同じ風を使う技である『ぼうふう』等は威力度外視で妨害が出来るが、風を引き裂く『エアスラッシュ』や『エアカッター』はタイプ不一致でも防げないという細かい弱点がいろいろあった。

 

 ナギも技が通じないとわかると、即座に『ねっとう』に技を切り替えてくる。こうなると、回避するしかない。『ねっとう』は威力80のみず技だがタイプ一致で威力が上がっている。

 おまけに、天候が雨のせいで威力が1.5倍になっているので、『ふきとばし』では逆立ちしても勝てないのだ。

 

 どうやらナギも、威力の高い技は防げないと気付いたようで、そのまま『ねっとう』で攻めてくる。ワンチャン、火傷になればその時点でこちらの負けは決まったようなものだった。

 こちらも既に『ふきとばし』、『ギガインパクト』、『でんこうせっか』と三つも技を使っている。出来ればメガチルタリス戦まで切り札は残したいが、ペリッパーもなかなかの難敵だ。

 

 向こうも、『あめふらし』と『おいかぜ』の優位が残っているうちに勝負を決めたいようで、『こごえるかぜ』と『ぼうふう』の合わせ技で勝負をかけてきた。

 以前、ジョウトリーグのエキシビションマッチでイブキが見せた『ふぶき』と『ぼうふう』の合わせ技に近い組み合わせである。あの組み合わせは相性が良すぎる故に威力が高く、コントロールが難しいという弱点があったが、『こごえるかぜ』くらいスケールが下がれば十分コントロールが効くだろう。

 

 ただし、その分威力は下がる。とはいえ、流石にこの合わせ技は、『こごえるかぜ』が邪魔で『ふきとばし』でも防御出来ない。また、雨のせいで必中になっており、効果抜群の一撃を受けるのは避けられなかった。

 

 こうなれば、ダメージ覚悟で突っ切るしかないと、ピジョットに最後の技である『ブレイブバード』を指示する。威力なら『ギガインパクト』だが、もし倒し切れなかった場合、反動で動けなくなる危険があった。

 オオスバメ戦では、相手が寝起きだったのと、とどめに使ったことで、二回とも反動を誤魔化せたが、ペリッパーは物理防御が割と高いので決め切れるか怪しいという不安がある。

 

 ピジョットが相手の技に突っ込んでいく。

 

 弱点のこおり技の複合ということで一気に体力が削られる。オオスバメ戦では『つばめがえし』による軽いダメージで済んでいたが、流石に何度も軽傷で済ませてくれるほど相手も優しくはない。

 パッと見、ピジョットの残り体力は2/3ないくらいか。自分から技に突っ込んだことで、技を受けていた時間が少なく済んだこともあり致命傷は避けられている。

 

 ただし、『こごえるかぜ』の追加効果で、素早が一段階ダウンしていた。運よく混乱は引かなかったようで、そのまま『ブレイブバード』の一撃をお見舞いする。

 与えたダメージの33%を受けるということもあり、こちらの体力も大分削られたが、向こうも残り体力は半分以下まで削れていた。ここまで削れれば、『ギガインパクト』でとどめがさせる。

 

 しかし、その前に向こうも勝負を決めるつもりのようで、再び『こごえるかぜ』と『ぼうふう』の合わせ技を指示してきた。

 こちらは『ギガインパクト』で勝負を決めに行く。どちらの攻撃が先に当たるかという勝負だが、こちらは『こごえるかぜ』の追加効果で足が少し遅くなっていた。

 

 このままでは『おいかぜ』で動きも早い向こうの方が有利だったが、どうやら幸運の女神はこちらに味方しようで、攻撃の瞬間に風と雨が止んで天候が元に戻る。

 これにより、向こうの技は必中ではなくなり、ピジョットが間一髪で攻撃を回避した。そのまま『ギガインパクト』の直撃でペリッパーを戦闘不能に持って行く。

 

 これで残るはメガチルタリスだけだ。

 

 ただし、こちらは技を全て使わされた上、体力の残りは約半分、おまけに素早が一段階ダウン中と、依然としてピンチは続いている。

 ハッキリ言って、長期戦になればまず勝ち目がないだろう。こちらに勝機があるとすれば、速攻で相手をなぎ倒す以外になかった。ナギだけに。

 

 ナギがメガチルタリスを出すと同時に、ピジョットを突っ込ませる。本人も、どうやらこれを最後の一撃にするつもりのようで渾身の力を込めるようだった。

 一か八かの賭――『ギガインパクト』と『ブレイブバード』の合わせ技である。今回が初チャレンジなのでできるかどうかもわからない。仮に成功したとしても、強大な威力の代わりに反動が大きい危険な技だ。一度使えばしばらく動けなくなる上、33%の反射ダメージを受ける。

 

 しかし、それでも行くしかなかった。『コットンガード』を積まれただけで、こちらはもう負けも同然なのだ。

 時間を与えれば与えるだけ不利になる。向こうの防御が低いうちに渾身の一撃を叩きこむことこそ、唯一の勝ち筋だ。

 

 ただ、ここで問題となったのが、ピジョットが受けた素早一段階ダウンである。これが地味に辛いデバフだった。

 本来であれば、全速力で防御の暇なく突っ込む予定だったが、このデバフによりメガチルタリスには『コットンガード』を使える間が出来てしまったのだ。

 

 こちらの最強技が、メガチルタリスの体力を削っていく。正直、威力があると言っても、防御が三段階上がった以上、一撃で倒すとすれば急所に当てる以外になかった。当然、そんな奇跡が簡単に起こるはずがなく、メガチルタリスは完全に攻撃を受けきっている。

 パッと見た感じ、残り体力は半分くらいか。

 もし仮に、『コットンガード』前に攻撃が当たっていたとしても、倒し切れるかは微妙な所だっただろう。いや、倒せたとしても反動でこちらも戦闘不能になっていたはずだ。その証拠にピジョットは合体技の反動で動けず、反射ダメージで体力も限界になっている。

 

 しかし、それ以外に勝ちの目はなかった。

 

 返しの『ハイパーボイス』でピジョットが戦闘不能になる。これにより、俺の手持ち三体が戦闘不能になったことで、俺の敗北が決定した。

 

 ナギは、「メガシンカしていなかったら、こちらが負けていたかもしれないね」と言ってくれたが、それは言い訳にならない。

 勿論、カモネギを使っていればまた勝敗は変わっていたかもしれないが、メガシンカに勝てたのかと言われると答えはNoだ。

 

 仮に攻撃を急所に当てたとしても、メガチルタリスは元々固いポケモンである。カモネギは一撃の火力の無さを補うために急所攻撃をメインにしているのだ。倒し切る前に倒される可能性の方が高かっただろう。

 いや、もし上手く攻められたとしても、それこそ『はねやすめ』のような回復技を挟まれる可能性だってあった。それに、オオスバメはオオスバメなりに全力を尽くしてくれたのは理解している。なので、この結果に不服はない。

 

 不服はないが、負けたままで済ませるつもりもなかった。明日またバトルしてくれと頼むと、ナギも苦笑いでOKしてくれる。クッソー、勝てると思ったんだがなぁ。

 

 

 

 12歳 κ月η日 『ヒワマキシティ ガチ戦 VSナギ 再戦(ダイジェスト)』

 

 前回の反省を生かしてメンバーを変更した。今回のジム戦に挑戦するのは、前回出番を奪ってしまったカモネギ、相手の弱点を突けるプテラ、そしてメガシンカにはきずな現象ということで久しぶりにリザードンを手持ちに入れている。

 

 ナギも、チルタリス以外はメンバーを変えてきたようで、開幕はプテラとエアームドとなった。弱点を突こうとしたら逆に弱点を突かれた形である。

 開幕、『ステルスロック』で向こうに負荷をかけようとすると、ナギもまた『ステルスロック』を撒いてきた。まぁ、エアームドなら当然と言っていい立ち回りだな。

 

 しかし、機動力はこちらが上ということで、ピジョットにも負けない飛行技術でエアームドを翻弄していく。

 前回は割と交換を多用していたが、今回はステロがあるし下手な交換は体力を無駄に削ることになるので、互いに割と無理な攻めをしていった。

 

 中盤、ナギの巧みな攻めもあり、『はがねのつばさ』で大ダメージを受けたものの、何とかエアームドを倒し切る。『はねやすめ』に合わせた『じしん』が上手く刺さったな。

 ナギの二体目はトロピウスで、タイプ一致の『ギガドレイン』を主軸に回復攻めされる。プテラもエアームド戦でのダメージが大きく、そこまでトロピウスを削れずに倒された。

 

 こちらは二体目として、カモネギを送り出す。久しぶりの二刀流でトロピウスを攻め立てて行った。

 四足歩行で割と重いトロピウスに対し、こちらは小柄なカモネギということもあって、相手の懐に潜り込んでの『れんぞくぎり』が上手く決まっていく。トロピウスはくさ・ひこうということで、むし技が等倍なのも大きかった。

 

 だが、ナギもやられたままではなく、『にほんばれ』からの特性『ようりょくそ』を発動させ、トロピウスの素早を二倍にしてくる。

 さらに『のしかかり』が中盤にヒットしてしまい、カモネギの体が麻痺してしまった。

 しかし、そのまま素直にやられるほど可愛い性格はしておらず、完成したばかりの新必殺技を披露して危機を乗り越えている。

 

 その名も――確定急所切り。『きりさく』、『つじぎり』、『リーフブレード』の急所ランク+1技を三つ合わせた確定急所技だ。その一撃を急所に決め、何とか先にトロピウスを戦闘不能に持って行った。

 補足だが、カモネギの持ち物はながねぎなので、元々急所ランクは+2されている。わざわざ確定にしなくても急所技は基本的に確定急所になるのだが、三つの急所技が合わさったことで、急所で与える威力も上がっていた。

 

 新技披露によって、今回は割と有利に試合を運んだが、やはりナギは最後にチルタリスを出してくる。そのままメガシンカし、麻痺しているカモネギを『ハイパーボイス』で一気に戦闘不能にしてきた。

 

 こちらも切り札であるリザードンを送り出す。どうやら、ナギは昨日ニューサトシについて調べていたようで、リザードンが俺のエースだということを知っていた。

 対するリザードンだが、どうもチャンピオンリーグでカルネに負けてから、きずな化しない素の自分を鍛えていたようで、今回はきずな化するつもりはないらしい。

 

 最初は驚いたが、よく考えてみればメガチルタリスはドラゴン・フェアリータイプだ。

 きずなリザードンになると、タイプがほのお・ひこうから、ほのお・ドラゴンに変わる。フェアリータイプの攻撃はほのおタイプには半減だし、ドラゴンで効果抜群と取られることを考えれば進化させない方が有利だった。

 

 と、いうことで、素のリザードンで戦っていく。

 

 物理攻撃に対しては無敵の『コットンガード』があるので特殊技で攻めていきたいが、チルタリスはドラゴンタイプの癖にフェアリータイプも入っているのでドラゴン技は使えない。

 おまけに、向こうもドラゴンタイプ故に半減タイプの技が多く、どうしても攻め手ははがねタイプの物理技になってしまった。

 

 向こうが『コットンガード』で防御を上げるので、こちらも『りゅうのまい』で攻撃と素早を上げて対応していく。

 そのまま、『はがねのつばさ』や『アイアンテール』で小さなダメージを稼いでいくものの、ステロで体力が半分にされている上、向こうのドラゴン技でこちらも少なくないダメージを受ける。

 

 最終的には、やはりきずな化せざるを得なくなり、『ハイパーボイス』と『ブラスターバースト』の打ち合いとなった。

 必殺の五連撃がメガチルタリスに向かって放たれる。メガチルタリスの『ハイパーボイス』は確かに強力だったが、こちらの三撃目が相手を上回り、そのまま残る攻撃で相手を戦闘不能にした。

 

 かなり手酷くやられたが、やはりリザードンは頭一つ抜けているだけあってギリギリ勝ち切れている。

 ただ、リザードン本人はきずな化を引き出されたことに何とも言えない表情をしていた。とはいえ、それはナギを軽んじている訳ではなく、自分の力がメガシンカに及ばなかったのを悔やんでいるのだろう。

 

 だが、無事にリベンジ成功ということで、ナギからフェザーバッジを渡された。

 地味にマサトはリザードンに初めて会うので、「これがサトシのリザードンかぁ」と、目をキラキラさせている。ハルカも前に見たヒトカゲがこうなるのかと、興味深そうに見ていた。

 

 しっかし、勝つには勝ったがギリギリだ。リザードンなしじゃまた負けていたかもしれん。

 メガシンカ相手でも通常のポケモンで勝てるようにならないと、チャンピオンリーグ優勝なんて夢のまた夢だな。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・ピジョットで二体抜きしたが、負けてしまった。
 流石にあの状況から勝つのは難しいものがあった。仮にオオスバメでなく、カモネギを出していたとしても、結果はそう変わらない。実際、最初はカモネギでバトルを書いていたが、試合内容が微妙だったのでオオスバメを抜擢している。

・再戦はまた違うバトルになった。
 互いにステロを使ったので、ほぼ勝ち抜き戦になった。カモネギの確定急所切りは、試作執筆時メガチルタリス相手に使ったもの。その時はメガチルタリスに『はねやすめ』されて詰んだ。

・リザードンが自分の限界にチャレンジした。
 本人は通常状態でメガチルタリスを倒すつもりだったが、流石に相手もガチなのでそう簡単に勝たせてはくれなかった。自分の未熟さをリザードンがとても悔しがっている。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.61

 ピジョット Lv.56→57

 バタフリー Lv.56

 ドサイドン Lv.60

 フシギダネ Lv.57

 リザードン Lv.61

 カメックス Lv.57

 キングラー Lv.56

 カモネギ  Lv.56

 エビワラー Lv.57

 ゲンガー  Lv.58

 オコリザル Lv.56

 イーブイ  Lv.56

 ベトベトン Lv.56

 ジバコイル Lv.56

 ケンタロス Lv.56

 ヤドラン  Lv.55

 ハッサム  Lv.57

 トゲキッス Lv.54

 プテラ   Lv.57

 ラプラス  Lv.55

 ミュウツー Lv.73

 バリヤード Lv.56

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.54

 カビゴン  Lv.52

 ニョロトノ Lv.52

 ヘラクロス Lv.52

 メガニウム Lv.51

 マグマラシ Lv.51

 ラティアス Lv.47

 ヘルガー  Lv.51

 ワニノコ  Lv.51

 ヨルノズク(色違い) Lv.51

 カイロス(部分色違い) Lv.51

 ウソッキー Lv.51

 バンギラス Lv.59

 ゴマゾウ  Lv.49

 ギャラドス(色違い) Lv.49

 ミロカロス Lv.37

 ミズゴロウ Lv.41

 オオスバメ Lv.42

 ジュプトル Lv.41

 ヘイガニ  Lv.41

 フライゴン Lv.50

 コータス  Lv.40

 ラルトス(色違い) Lv.30




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#138 『裂空の訪問者 ミュウツー』

 12歳 κ月η日 『やはり、優しいツン』

 

 ナギという強敵を何とか倒したものの、いろいろと課題が残るガチ戦だった。

 勿論、テッセンの時のようにもっとメタっていれば初見でも勝てたかもしれないが、相手の土俵で勝つくらいの実力を身に着けないとこの先とても勝ち抜いては行けない。

 それに今回のバトルで、ナギの使っていた飛行技術も学習出来た。二回バトルしたことで、ひこうタイプ連中の出番も与えられたし、悪いことばかりではなかったはずである。

 

 とはいえ、それでも久しぶりの敗北なのは事実だ。

 

 コンテストバトルで負けた時はあまり気にならなかったが、やはりガチ戦で負けるのは悔しい。問題だったのは、やはりメガシンカだ。

 メガシンカすると、種族値が+100される。通常でそこそこ強いレベルのポケモンも、メガシンカすれば600族だってなぎ倒せるようになるのだ。そこまで種族値に恵まれないポケモンからすれば大きな壁である。その壁を乗り越えられなかったのが一番悔しい。結局はリザードン頼りになってしまった。

 

 寄り道を楽しもうと決めたが、こうして敗北すると本当にそれでよかったのかと考えてしまう。もっと、ガチガチに戦いを突き詰めるべきではないか。新しいポケモンとの出会いよりも、今いるポケモンの強さを突き詰めるべきではないか、と。

 

 そんなことを考えていると、頭に石が落ちてきた。

 

 別に痛くはなかったが、誰がやったか辺りを見渡すと、それまで俺と目を合わそうともしなかった黒いラルトスがジッと俺のことを見ている。

 何を訴えているのか理解できなかった。ボディランゲージを使えばわかるが、あれは相手に伝える意思がないと成功しないので多分使っても意味がない。でも、何となく責められているような気がした。

 

 そうだよな。

 

 もし、俺が修行僧になっていたら、ホウエンで仲間になったポケモン達とも出会えなかったのだ。

 一度や二度の敗北で迷うな。新しい仲間との出会いは決して無駄なんかじゃない。この出会いが、未来の俺を強くしてくれるはずなのだ。

 

 迷いが吹っ切れたのでラルトスにお礼を言うも、いつも通りにそっぽを向いてしまった。相変わらずのツンだぜ!

 

 

 

 12歳 κ月θ日 『一番最初に見たのはミュウツーの逆襲』

 

 川で足がはまって動けなくなっているバクーダを見つけたので助けることにした。

バクーダのトレーナーのタカヤは映画を放映するためにいろいろな街を回っているとのことで、今回も手紙をくれた女の子がいる村へ向かっている所だったらしい。

 

 映画か、ポケモンの映画を最後に見たのはいつだったか――と、前世を懐かしんでいると、タケシやハルカ、マサトも、映画には懐かしい思い出があるようだった。

 しかし、唯一ラティだけが映画を見たことがなく、話についていけなくて「むーむー」怒っている。

 

 いい機会なので、タカヤに頼んでラティに映画を見せて貰うことにした。代わりに、街までのボディガードを買って出る。今回みたいな事故が起きるとも限らないしな。

 

 途中、話を盗み聞きしていたらしいロケット団が襲ってきたが、コジロウがいつの間にかチリーンをゲットしていた。

 そういえば、アニメでもいつの間にか仲間になっていたっけか。まぁ、それで何かが変わる訳でもなく、いつも通りにやなかんじーにしている。

 

 その後もいろいろ問題に巻き込まれたが、何とか無事に村に辿り着いた。晩には念願だった映画も見ることが出来て、ラティが大喜びしている。映写機を使って屋外で見る映画というのも味があって面白いもんだな。

 

 

 

 13歳 κ月κ日 『裂空の訪問者 ミュウツー』

 ハイテク都市と名高いラルースシティに到着した。ハイテクというだけあって、動く歩道やブロボと呼ばれるガードロボットなんかもあり、ポケモン世界としてはかなりSF色が強い。

 最近は映画についてど忘れしがちなニューサトシだが、流石にここがデオキシスとレックウザの戦いの地であることはしっかり思い出した。

 

 映画の内容はちょっと曖昧だが、確かデオキシスが仲間のデオキシスを探しに来てレックウザとバトルして云々かんぬんみたいな話だったはずだ。

 伝説のポケモンにNGを出しているニューサトシだが、放置すれば間違いなく向こうから来るので対処は必須である。まぁ、悪役らしい悪役はいなかったはずなので、とりあえずこの街にいるデオキシスを解放してやれば問題は解決だろう。もう一体のデオキシスとレックウザが来る前に動きたい所だな。

 

 と、いう訳で、適当に解散してラルースシティを見て回ろうと提案した。特に異存はないということで、各自適当にラルースシティを見て回るようだ。

 タケシもどこかに行くかと思ったが、「で、今回は何をするつもりなんだ?」と当たり前のように声をかけられた。どうやら、ニューサトシの悪巧みは見抜かれてしまったらしい。

 

 タケシ曰く、ラティの時と同じ気配を感じたということで、下手に誤魔化すのは無理そうだったので、素直にこの街にいるデオキシスを助けに行くと話す。

 何故、デオキシスがこの街にいるのかわかったのかということについては、ミュウツーがいるので、デオキシスのエマージェンシーを感じ取れたと言えばタケシも納得したようだった。「何か手伝うことはあるか?」と聞かれたが、ミュウツーもいるし別に戦うつもりもないのでラティ達の面倒をお任せする。

 

 そのまま、『テレポート』で研究所に侵入し、『さいみんじゅつ』で職員を眠らせると、ミュウツーのサイコパワーで隕石の中にいるデオキシスを解放した。

 丁度、仲間のデオキシスがラルースシティ近くまで来ているようだったので、そこまで『テレポート』してデオキシス二体を再会させてやる。仲間のデオキシスは空中に居たので一瞬落下しそうになったが、すぐにミュウツーがサイキネで浮かせてくれた。

 

 助けようと思っていた仲間がいきなり目の前に出てきたことで、こちらに向かっていたデオキシスも驚いていたが、助けたデオキシスが俺達のことを説明してくれたようで、特に争うような事態にはなっていない。

 デオキシス達も無事再会を喜んでいたが、ミュウツーがレックウザの気配を感じ取った。デオキシス二体に早く帰るように言うと、二体はこちらに感謝したような素振りを見せながら宇宙へと帰って行く。

 

 ――が、その瞬間、黒い輪のようなものがデオキシス二体の体を包み、動きを封じてしまった。

 

 何が起きた――と、思った瞬間、『テレポート』で巨大な飛空艇のようなものが転送されてくる。

 同時に、その飛空艇の羽のような部分が変形し、バトルフィールドへと変化していった。

 そのまま、囚われたデオキシス二体が引っ張られるように飛空艇の中に連れて行かれる。また、入れ替わるように、飛空艇の上に人影が現れた。

 

「こうして顔を合わせるのも久しぶりだな。サトシ」

 

 飛空艇の上からそう声をかけてきたのは、ロケット団のボスであり、かつてのトキワシティジムリーダーだったサカキ様だった。

 おまけに、隣には黒いアーマーのようなものを着込んだ謎のポケモン――いや、『ミュウツー』と思わしき、ポケモンを連れている。

 

 俺のミュウツーとは、また違うミュウツーだ。

 まさかとは思うが、新しく作ったというのか?

 

 確かに、俺がミュウツーを入手してから約二年。何も音沙汰がなかったのは変だと思っていたが、ミュウツーの力を知るが故に対策を練っているのだと思っていた。

 しかし、その対策がまさか、新しいミュウツーを作ることだなんて想像出来るはずがない。アニメのサカキ様ですら、それはしなかったのだ。最強を打ち破るために最強を用意する。簡単な答えだが、現実としてやられるとは考えもしなかった。

 

「お前に貸していたそこの出来損ない……返してもらうぞ」

 

 やはり狙いは俺のミュウツーらしい。

 クソッ、こうなるとわかっていれば、手持ちポケモンも調整してきたのだが、今のホウエンメンバーでサカキ様とガチバトルできそうなのはピカ様とフライゴン先輩、ギリギリでジュプトルくらいだ。

 

 こうなると、奴の望み通りにミュウツー同士の一対一のバトルをせざるを得ないだろう。

 だが、サカキ様の連れているミュウツーからは、何というか嫌な気配がするのだ。別に何かを恨んだり憎んだりしているという感じではないのだが、何となく普通のポケモンとは違う何かを感じる。

 

 どうやら、ミュウツーも同感のようで、いつになく厳しい顔をしていた。とはいえ、デオキシス二体が人質に取られている以上、逃げる訳にはいかない。

 

 サカキ様が促すがままに、俺とミュウツーは飛空艇内部に乗り込んでいった。

 

 

 

 

 

◇◆

 

 

 

 

 

 ポケモンGメンによってカントーを追われた我々ロケット団がジョウトへと拠点を移動するのにはそこまで時間はかからなかった。

 だが、問題は山積みだ。我々の活動をいくつも妨害してきたマサラタウンのサトシによってミュウツーが確保されたことは、その中でも一番の痛手と言っていいだろう。

 

 正直、すぐにでも精鋭を送り込んで襲撃をかけたい所だったが、万が一ミュウツーが敵に回れば、我らの精鋭と言えど一網打尽にされる可能性が高い。

 しばらくは様子見ということで、遠距離からの監視に留めていたが、オレンジ諸島でサトシがミュウツーを使用したという報告を受けた時、私の中にあった余裕は砕け散った。

 

 あのミュウツーが、制御装置なしでトレーナーの言うことを聞いただと?

 

 何だ、その冗談は。あのミュウツーを使役するトレーナーが現れた以上、強硬策は全て無に帰す。それだけの力をあのポケモンは持っているのだ。

 とはいえ、あれだけの力を持つ存在を放置することなど出来ない。我々の、いや俺のメンツにも関わってくる。どうにかして、ミュウツーを回収、または処分する必要があった。

 

 そこで考え付いたのが、新しいミュウツーの制作である。

 あれは人工的に作られたポケモンだ。おまけに、奴の遺伝子はロケット団の研究所に残っている。クローンポケモンとして再現することは不可能ではない。

 

 そうだ。一から作り直すのだ。奴を超える究極のポケモンを。

 

 悪以外の感情がない。俺が使役するのに相応しいポケモンを。

 

 そうして、ロケット団にて新たな研究がスタートしたが、決して順調とは言えなかった。

 まず、クローンを形にするのが難しいのだ。仮に成功しても、すぐに細胞崩壊を起こしてしまう。せっかく作った新たなミュウツーがすぐに死んでしまっては話にならない。

 

 次に、ミュウツーに自我を生み出さないようにしつつ、悪の限りを尽くすようにプログラムする必要があった。

 あのミュウツー最大の問題は心があったことだ。だからこそ、自分の存在に疑問を抱くなどという無駄なことをしてしまった。兵器に心など必要ない。必要なのは、悪の限りを尽くすだけの圧倒的な力だ。

 

 そうして、丸一年の研究の末、試作一号が誕生した。だが、一号は訓練中に心が生まれたため即座に破棄している。

 

 その間も、サトシとミュウツーの情報収集は続けた。どうやら、定期的に戦わせているようで、無双に近い活躍をしているらしい。

 その犠牲者が復讐を狙っているという情報を手に入れたので、詳しいミュウツーの情報提供のために支援をすることにした。こちらで育てた優秀なポケモンを与える代わりに、サトシとミュウツーの情報を提供してもらう。

 

 結果、ジョウトリーグシロガネ大会で、あのミュウツーは戦えなくなるという醜態を見せた。

 いくら最強でも、ルールのあるバトルでは出せる力に限界がある。その証拠に、その後のチャンピオンリーグでもミュウツーは普通のポケモンに敗れていた。

 

 弱くなったのだ。心なんてものを得て、昔持っていた怒りを失ったが故にミュウツーは弱くなった。

 

 今なら、倒すのは不可能ではない。試作四号までもが失敗に終わって、まだ研究は途中だったが、俺はミュウツーに勝つことが出来るという確信を得ていた。

 

 そのまま、更に半年の時が過ぎ、試作七号がこちらの求めていたパワーを見せる。また、自我や意思が目覚める様子もなく、こちらの指示に淡々と従う最強の兵器としての完成形がようやく誕生した。

 新たなミュウツーをボールに収める。トレーナー以外の指示や言動に従う必要はないと覚えさせると、試作七号――ミュウツーⅦは完全に俺だけの兵器と化した。

 

 確か、ロケット団の一部のエリートメンバーがホウエン地方のデータを送ってきていたな。それを確認し次第、向こうに乗り込み、サトシとミュウツーを抹殺する。

 

 

 

 

 

◇◆

 

 

 

 

 

「そうして、俺は今ここに来た。お前たちを抹殺するためにな」

 

 サカキ様――いや、サカキが語った言葉は衝撃的だった。アニメではミュウツーが誰のポケモンにもなっておらず、野生のままだったからそこまでのことは起こしていない。

 だが、俺がミュウツーを捕まえ、仲良くなったが故に、サカキは脅威を感じて新たなミュウツーを作ってしまったのだ。俺がニューサトシになったことで、いろいろとアニポケと変わっていることはあるが、これはその中でも最大のバタフライエフェクトだろう。

 

 サカキが試作七号――ミュウツーⅦと呼んだミュウツーに感じた嫌な感じもようやく理解できた。

 こいつには心がないのだ。出会ったばかりのミュウツーですら、自分の存在に対する疑問を持つくらいの心があったが、こいつには本当に何もない。ただ命令のままに動く機械だ。生きているのに、生きていない。だからこそ、俺はこいつに違和感を覚えたのだろう。

 

「ミュウツー、今ならまだ引き返せる。お前が俺達ロケット団の元に戻ってくるというのなら、サトシには何もせず無事に返すと約束しよう。しかし、貴様があくまで敵対するというのなら、貴様を葬った後、サトシを倒し、そのポケモンの全てを奪いつくす。マサラの地は、我々ロケット団によって支配されることになるだろう」

 

 脅しではない。ロケット団の力ならそれが可能なのは、俺もミュウツーも良くわかっている。

 

 だが、それでも――

 

「悪いな、サカキ。それでも答えは」

『ノーだ』

 

 俺達は屈しない。俺はポケモン達を信じている。仮に今、マサラタウンが襲われていたとしても、俺のポケモン達なら乗り切れるという信頼があった。

 サカキは「だと思った」と、小さく呟いて嬉しそうな顔を向けてくる。その笑みは憎しみに塗れていた。こいつも、何だかんだ俺やミュウツーにやられたままで我慢出来なかったのだろう。

 

 ただ、我慢できないのは俺も同じだ。

 

「サカキ。お前が俺の大切なものを奪おうというのなら、相手になる。けど、ミュウツーは決して弱くなどない。お前が弱いと断じた心の強さを、今ここで見せてやる」

 

 ミュウツーは、俺と一緒に強くなることを選んでくれた。それが間違っているはずがない。

 

 サカキは無言でトレーナーゾーンへ移動していった。俺もまた反対側のトレーナーゾーンへと移動する。

 

「ルールは何もない。レベル制限もなければ、使用する技に制限もない。ただ相手が動かなくなるまで戦うデスマッチだ」

「いいぜ」

 

 スタートの合図と共に、互いのミュウツーが動き出す。こちらは念で作り出したスプーンを武器に近接戦を、対するミュウツーⅦは静かに振り下ろされるスプーンを受け止めた。

 

 同時に、サカキがニドクインを出して仕掛けてくる。ルール無用のデスマッチだということはわかっていたので、こちらもフライゴンを出して空中へと避難していく。

 

「流石に読んでいたか」

「ルールは何もないんだからな。トレーナーを不意打ちするのだってありだろう?」

 

 っていうか、俺も隙を見てサカキに仕掛けるつもりだった。ニューサトシに乱戦を挑んだことを後悔させてやろうかと思ったが、どうやら向こうもそれなりに警戒はしていたらしい。

 改めて、俺の情報をずっと探っていたというのは本当だったようだな。見透かされているようでやりにくいぜ。

 

 視線をミュウツーへ向けると、近接戦が続いている。攻めているのは俺のミュウツーだ。しかし、ミュウツーⅦは直撃を受けることなく全てを捌いている。

 サカキは特に指示を出していない。

 ならば、こちらから攻めようではないか。ミュウツーに『シャドーボール』を指示して、相手の胴体にゼロ距離で弱点の一撃を炸裂させていく。

 だが、『まもる』で上手く防御したようで、ダメージはなかった。そのまま一回転して『アイアンテール』で攻撃してきたので、ミュウツーもスプーンで防御している。

 

 パッと見、強さは互角――

 

「強さは互角――などと考えてはいないだろうな? こちらはまだ様子見の段階だぞ?」

 

 そうサカキが言った瞬間、ミュウツーⅦのスピードが上がった。俺のミュウツーが捌くので精一杯な速度で、手刀による『サイコカッター』での攻撃を仕掛けてきている。

 流石に相手もミュウツーということか。

 しかし、スペックで劣っていたとしても、こちらにはこれまで培ってきた技術がある。ミュウツーは攻撃を捌きながらじっくりと隙を狙っていた。どんな奴でも、ここ一番という所では大振りの攻撃をしたくなるものだ。

 

 相手の『サイコカッター』をかわし、『カウンター』から『きあいパンチ』というエビワラー直伝の超カウンターで、相手のミュウツーを迎撃していく。

 流石に『てつのこぶし』もないし、タイプ一致の技ではない。おまけに相手がエスパータイプなので威力は半減だが、それでも十分な威力を持った一撃がミュウツーⅦに直撃した。

 

 しかし、サカキは慌てていない。

 

 見れば、ミュウツーⅦも特にダメージを受けた様子もなかった。どうやら、あの黒いアーマーはとつげきチョッキの物理版なのか、防御力を上げる効果があるらしい。

 

「前、ミュウツーにつけていた拘束具とは訳が違う。ショック吸収、エネルギー回復の補助効果まで持つ優れモノだ」

 

 チートアイテムじゃねーか。ダメージ軽減、体力回復なんてレートだったら即退場だよ!

 

 チッ、まず相手どうこうの前にあのアーマーを外さなきゃこっちが消耗するだけだな。

 ミュウツーに目配せすると、どうやら聞いていたようで小さく頷いている。後は、こちらがサカキを引き付けるだけだ。

 

 フライゴン先輩に『りゅうのはどう』を指示する。向こうも、ニドクインの『はかいこうせん』で対応してきた。どうも、威力は向こうの方が上のようで、ギリギリで攻撃を中止して回避に移る。

 

 サカキは二体目にニドキングを出して、『ふぶき』を指示してきた。どうやら、遠距離攻撃主体に切り替えるらしい。

 こちらも、ピカ様の『くさむすび』でニドキングを転ばせた。『ふぶき』が明後日の方向に発射され、ニドキングが怒ったように立ち上がる。

 

 飛空艇のバトルフィールドはそこまで広くない。大半は、ミュウツー達が使っているので、邪魔にならないようにすることを考えれば出せるポケモンは二体が限界だ。

 俺も、フライゴン先輩の空中機動を駆使しつつ、ピカ様の援護を挟む形で応戦する。サカキもあくまでこの戦いはおまけとしか考えていないようでそこまで踏み込んでは来なかった。

 

 と、すると、やはり本命は互いのミュウツー同士の戦いだ。だが、こちらが膠着状態に入る中、ミュウツー同士の戦いにも少し変化が起きていた。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・ニューサトシがブレそうになったのを黒いラルトスが諭した。
 性格的に生き急ぐタイプなので、こうして誰かが止めないといつか死にそう。

・第86話『映画はバクーダに乗って!!』より、前世の映画を思い出した。
 やはりミュウツーの逆襲は名作。

・劇場版裂空の訪問者より、開幕からデオキシスを助けに行った。
 トオイのくだりは全カット。普通にデオキシス助けて、再会させて、レックウザが来る前におさらばするつもりだった。

・デオキシスが捕まった。
 犯人はサカキ様。ニューサトシを狙ったついでに捕まえている。

・サカキ様が新しいミュウツーを作った。
 そのために襲うまで二年かけた。ジョウト編書いている段階で、もうこの映画で襲わせるつもりだったので、出すのがずっと楽しみだった。地味に感想で読まれてて焦った。能力の全てがニューサトシのミュウツーを上回っている。

・ミュウツーを賭けたバトルが始まった。
 ルール無用の残虐ファイト。トレーナーへの直接攻撃も全てオールオッケー。

・チートアーマーを装備している。
 防御、特防1.5倍。毎ターン体力が1/8ずつ回復する。チート!!



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.61

 ピジョット Lv.57

 バタフリー Lv.56

 ドサイドン Lv.60

 フシギダネ Lv.57

 リザードン Lv.61

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 キングラー Lv.56

 カモネギ  Lv.56

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 イーブイ  Lv.56

 ベトベトン Lv.56

 ジバコイル Lv.56

 ケンタロス Lv.56

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 ハッサム  Lv.57

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 プテラ   Lv.57

 ラプラス  Lv.55

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 バリヤード Lv.56

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.54

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 ニョロトノ Lv.52

 ヘラクロス Lv.52

 メガニウム Lv.51

 マグマラシ Lv.51

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 ヘルガー  Lv.51

 ワニノコ  Lv.51

 ヨルノズク(色違い) Lv.51

 カイロス(部分色違い) Lv.51

 ウソッキー Lv.51

 バンギラス Lv.59

 ゴマゾウ  Lv.49

 ギャラドス(色違い) Lv.49

 ミロカロス Lv.37

 ミズゴロウ Lv.41

 オオスバメ Lv.42

 ジュプトル Lv.41

 ヘイガニ  Lv.41

 フライゴン Lv.50

 コータス  Lv.40

 ラルトス(色違い) Lv.30




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#139 『――絆の結晶だ』

 13歳 κ月κ日 『乱戦』

 ミュウツーが相手のアーマーを破壊しようと、『かわらわり』で攻撃を仕掛けていくが、ミュウツーⅦはそれを容易に回避している。

 このままでは対応が難しいと考えたミュウツーは、『ビルドアップ』、『めいそう』を同時発動して自身のステータスを上げていった。

 

 普段のバトルでは技の使用制限があるので、なかなか使う機会はないが、これにより攻撃、防御、特攻、特防が一段階上がる。

 とはいえ、簡単にやっているが、ステータスに関与する技を同時発動するのは難易度が高い。ニューサトシも、ミュウツー以外にこれが出来る奴を今は知らなかった。それだけの高等技術だ。

 

 さらに『こうそくいどう』で素早を二段階上げて、ミュウツーがミュウツーⅦに迫る。

 いくら強いと言っても、ステータスを上げて差を付ければこれまでのようにそう簡単には防げないだろう。そのまま、『かわらわり』でアーマーを剥ごうとするも、『みきり』で攻撃を回避され、返しの『ぶんまわす』で遠くへと投げられた。

 

 しかし、回されながら二度目の『ビルドアップ』、『めいそう』を積んだこともあり、ダメージは少なく済んでいる。

 全てのステータスが二段階上がったことで、ミュウツーの能力はミュウツーⅦを超えた。このまま行けば、あのアーマーを剥がすのもそう難しくない。

 

 サカキは心を不純物と言い切ったが、この機械のようなポケモンは常に最適解を目指して動いている。だからこそ、動きが読みやすかった。心がないから、思考するという行為をしない。考えることをしないから攻撃が単調なのだ。

 レベルやステータスの差は技術で埋められる。

 それは、これまでの旅でミュウツーがサトシを見て身に付けたものの一つだ。サトシがサカキに自分達が負けないと断言したのも、こうなるのがわかっていたかもしれない。

 

 だが、ミュウツーが密かに自身の勝利を確信した瞬間――それは起こった。

 

 飛空艇から大きなアラート音と共に、緊急の連絡がサカキに入ったのである。内容は、レックウザが真っすぐこの飛空艇を目指して接近しているというものだ。

 それを聞いて、ミュウツーは察した。サトシ曰く、レックウザはデオキシスを狙っているということだった。そのデオキシスは、サカキの手によってこの飛空艇に囚われてしまっているが、今も彼らはここから脱出しようと足掻いている。そのデオキシスが発する怒りの波動にレックウザは引き寄せられたのだろう。

 

 見れば、サカキが多少慌てたような素振りを見せているが、サトシはニヤリと変な笑みを浮かべていた。

 これまでの経験上、あの笑みを浮かべている時のサトシはろくなことをしない。その証拠に、目線でこちらに「レックウザをこの場に呼べ」と言っているようだった。

 

どうやら自分のマスターは地獄をお望みらしい。

 

 

 

 

 

◇◆

 

 

 

 

 

 レックウザがこちらに近づいていると聞いて、チャンスだと思った。パッと見た感じだと、ミュウツーも攻め切るのに時間がかかりそうだし、ここはレックウザをこの場に呼んで一気に乱戦に持ち込んでやろう。

 ミュウツーが『テレポート』を発動させると、飛空艇の上空にレックウザが転移してきた。一瞬、何が起こったかわからないような仕草を見せたレックウザだが、すぐに飛空艇に攻撃を仕掛けていく。やはり、デオキシスを狙っているようだ。

 

 サカキがミュウツーⅦにレックウザを止めるように指示を出すが、当然のようにミュウツーに妨害させた。

 とりあえず、デオキシスさえ助けてしまえばサカキを倒すだけで全てが解決する。もし、仮にサカキとミュウツーⅦを倒したとしても、『テレポート』でデオキシスごと逃げられでもしたらシャレにならないからな。

 

 どこかでデオキシスを助ける必要があったが、協力者が来てくれるのなら話が早い。

 いくらロケット団自慢の飛空艇とはいえ、レックウザの猛攻には耐えられないようで、外壁が破壊され、中からデオキシスが脱出していく。

 それを見て、レックウザも標的を飛空艇からデオキシスに変更したが、デオキシスは自分達を捕らえたであろうミュウツーⅦに怒りの矛先を向けていた。

 

 飛行機も航行不能のようで、ゆっくりと着陸していく。しかし、もう勝敗は決まったようなものだった。いくら強いとはいえ、デオキシス二体にミュウツーが相手では、ミュウツーⅦに勝ち目などない。

 おまけに、俺には一つの秘策があった。レックウザは基本的にオゾン層に住んでおり、本能的に宇宙から飛来する隕石を食べる習性がある。デオキシスがレックウザに狙われているのも、自身の住居だったオゾン層を隕石越しに突っ切ったのが原因だったはずだ。

 

 つまり、それだけ隕石に目がないということであり、何の因果か俺は小さいが隕石を持っている。

 レックウザに声をかけて隕石を見せると、怒りよりも食欲を優先したのか、寄こせとばかりにこちらに向かってきたので隕石をミュウツーⅦに向けて投げた。これにより、レックウザすらミュウツーⅦの敵となる。これを防ぐことはもう不可能だろう。

 

 しかし、伝説四体がミュウツーⅦに攻撃を仕掛けようとしたその瞬間、サカキが懐から何やら小さな石のようなものを取り出した。

 

 まさか、あれは――

 

「悪の限りを尽くすのだミュウツーⅦ。貴様に倒せない敵など存在しないことを教えてやれ――メガシンカ!」

 

 その瞬間、ミュウツーⅦのアーマーが内側から吹き飛び、ミュウツーⅦがメガミュウツーYへとメガシンカした。

 同時に、体に残ったアーマーを『なげつける』で全てこちらに吹き飛ばしてくる。まずい、『なげつける』はあく技だ。レックウザ以外の三体はエスパータイプなので、効果は抜群である。

 

「まさか、切り札まで使う羽目になるとはな……メガシンカすると、パワーが強すぎてアーマーですら耐えられなくなってしまうというのに」

「……バカな。メガシンカにはトレーナーとの絆が不可欠だ。ポケモンを兵器としか考えていないお前にメガシンカなんか使えるはずがない」

「フハハハハハ。確かにな、普通のポケモンでは不可能だ。だが、このミュウツーⅦには私の細胞すら使われている。つまり、あいつは私でもあるのだ。絆というのが、互いを理解することを指すのであれば、私とあいつは悪という絆で結ばれている」

 

 実際、メガシンカしている以上、サカキの理論が正しいってことか。

 

 流石のレックウザも脅威に感じたのか、メガミュウツーYを敵視しているようで、デオキシスに攻撃を仕掛けることなく向こうの様子を見ている。

 

「さて、まさかレックウザなどという珍客が来るとはな。飛空艇を壊してくれた賠償を請求するとしよう」

 

 メガミュウツーYが『サイコキネシス』を発動すると、一気にレックウザ、デオキシス二体、ミュウツーの四体に黒い輪のようなものがくっつき、その動きを封じられた。

 全員脱出しようと足掻いているが、メガミュウツーYの特攻種族値は全ポケモン中一位の能力を持っている。いくら伝説ポケモン達とはいえ、脱出はそう簡単にはいかないだろう。

 

 しかし、ミュウツーだけは何とか足掻いていた。戦闘中にステータスを上げていたのが幸いして、何とか隙間を作って『テレポート』で逃げ出している。

 俺の隣に来たミュウツーは肩で息をしていた。戦闘中は割と余裕そうな表情を見せていたミュウツーだが、流石にメガミュウツーYが相手なのは厳しいようだ。

 

 どうする? ダメージ軽減、リジェネ持ちのアーマーは剥がせたが、代わりに元のスペックがミュウツーを超えてしまった。

 今はまだ、こちらもステータスを上げているから何とか抵抗できたが、もし向こうがステータスを上げて来れば、今までのように簡単には戦えないだろう。

 

 飛空艇が地上に落下し、そのままレックウザとデオキシス二体が地面に叩きつけられる。

 俺達だけなら逃げるのは容易だ。だが、このままレックウザとデオキシス二体をサカキの手に渡すわけにはいかない。渡せば、何をするかわかったものではないし、そもそもこのミュウツーⅦを放置すればロケット団が世界を征服するというのも夢物語ではなくなる。

 

 戦って勝つしかない。

 

 ミュウツーに『シャドーボール』を指示する。同時に、メガミュウツーYも『シャドーボール』を使ってきた。

 しかし、数がおかしい。こちらが一つなのに対して、向こうは軽く二十は数がある。確かに、威力などを犠牲にすれば球数は増やせるが、あれはどう見てもこちらと同等の威力があった。

 

 当然、迎撃しきれるはずがなく、ミュウツーが攻撃を回避していく。俺もまたフライゴン先輩を上昇させ、攻撃を回避した。

 だが、ミュウツーが逃げた先に、メガミュウツーYが『テレポート』して『シグナルビーム』を構えている。まるでドラゴンボールのフリーザ様がクリリンを殺す時のようなポーズだった。

 

 ミュウツーも即座に『まもる』で攻撃を防いだ。しかし、二度目はないとばかりに、そのままメガミュウツーYは『シグナルビーム』を連打してくる。

 ミュウツーも『テレポート』で逃げるが、どうもミュウツーの動きを読んでいるのか、即座に『テレポート』で追撃してきた。

 一度、『テレポート』を挟んだことで、追撃の『シグナルビーム』を『まもる』で防御出来たが、連続で攻撃されると回避も防御も不可能だ。おまけに、ガードする暇を与えないように、ゼロ距離で攻撃を構えている。追撃の『シグナルビーム』の直撃をくらい、ミュウツーが苦しそうな表情を見せた。

 

 メガシンカする前と動きが全然違うじゃねーか。まるで、時間をかけて俺のミュウツーの動きを理解したような動きだ。

まさか、情報を集めていたとでもいうのか?

 今までの単調とも思える動きは、あくまでこちらの事前情報から推測した動きで、実戦の中でその誤差を修正していったとでもいうつもりか?

 

 だが、そうでもなければ、ああまでミュウツーの動きを先読みなど出来るはずがない。

 

 ミュウツーが得意のスプーンを具現化して接近戦を仕掛けていく。だが、メガミュウツーYは攻撃種族値が150もある。近接も強いのだ、このやべー奴は。

 ステータス的には、『ビルドアップ』を二回積んだミュウツーの方が上のはずだ。しかし、まるで攻撃を予知するかのように攻撃を捌かれる。最終的には『イカサマ』で、こちらの攻撃が上がっているのを逆手に取られてミュウツーが吹き飛んできた。

 

 即座にダメージは『じこさいせい』で回復するも、呼吸が大分荒い。精神的に消耗しているのは火を見るよりも明らかだ。

 仮に、全ステータスを今以上に上昇させたとしても、奴に勝てるビジョンが見えなかった。さらに絶望を煽るように、向こうも『じこあんじ』でこちらの補助効果をコピーしてくる。咄嗟に『ちょうはつ』を指示したが、構わずメガミュウツーYは『じこあんじ』を続けていた。

 

 バカな。『ちょうはつ』を受けて変化技が使える訳がない。仮に『みがわり』を張っていても貫通するはずだ。

 混乱する中、サカキが余裕そうな笑みを浮かべながら、「『マジックコート』だ」と呟いた。そうか、『じこあんじ』と同時に、『マジックコート』を発動していたのか。だから、『ちょうはつ』の効果がメガミュウツーYに効かなかったんだ。

 

 まずい。『マジックコート』は、変化技を使用した相手に跳ね返す技だ。これで、しばらくの間、こちらのミュウツーは変化技が使えなくなった。

 

 メガミュウツーYが『じこあんじ』で全ステータスを二段階上昇させると、再びこちらとの距離を詰めてくる。

 ミュウツーも迎撃の構えを取るが、スピードが先程とは比べ物にならないくらいに早い。おまけに、向こうはこちらの動きを読んで攻撃してくる。向こうの攻撃を対応しても、その対応を対応されてしまう。

 

 絶望が頭をよぎった。

 

 ここで負ければ、ミュウツーは多分殺される。

 

 俺は捕まるか、殺されるか、どちらにしろろくなことにはならないだろう。

 

 ポケモン達も、ロケット団のポケモンとして扱われる。

 

 仲間や家族もどうなるかわからない。

 

 きっと、サカキはここで勝てば、一気にロケット団を全世界に進行させるだろう。

 

 レックウザとデオキシス二体もどうなるかわからない。

 

 不思議と、怖いという感情はなかった。

 

 ――あるのは怒りだ。

 

 不甲斐ない俺自身への怒り。

 

 ナギの時といい、今回といい、何回負ければ気が済むんだ俺は。

 

 ミュウツーは最強だ。だが、トレーナーの俺がその力を引き出し切れていないから、こうして無様な姿を晒させてしまっている。

 

 俺がもっと強ければ、こんなことにはならなかった。

 

 メガミュウツーYが相手でも、もっと上手く戦えたはずだ。そんな自責の念のようなものが怒りとなって、俺自身の心を燃やしている。

 

 そして、

 

 奇しくもミュウツーもまた、自身の不甲斐なさに怒りを感じていた。

 

 自分は最強になるべくして生まれた存在だ。

 

 その自分が、同族相手とはいえ手も足も出ずに負けるなどあり得ない。

 

 最強とはなんだ?

 

 この程度で負けるのが最強か?

 

 情けない。

 

 情けない――

 

「こんな所で負けて、ポケモンマスターなんかなれる訳ねーだろ!!」

『こんな所で負けては、最強のポケモンになどなれるはずがない!!』

 

 ――瞬間、心が、一つになった。

 

 リザードンの時と同じ感覚。

 

 同時に、それに共鳴するように、ミュウツーの姿が変化していく。それは、前にジラーチを助けた時、千年彗星のエネルギーを吸収した時の――あの姿だった。

 

 リザードンで慣れているということもあってか、きずな現象は最初から完全だ。俺の視界と、ミュウツーの視界がマルチで見える。

 全身が真っ白で、メガミュウツーYのようになだらかな感じだが、上半身にはメガミュウツーXのようなアーマーがあった。頭も細部が多少変わってはいるが、最大の変化は背中から放出されている銀色の光だ。

 

 きずなリザードンは炎の四枚羽だったが、ミュウツーの場合は銀色の波動が放出されているらしい。

 

「バカな! メガストーンもキーストーンもなく、メガシンカしたとでもいうのか!?」

 

 流石のサカキも驚きを隠せないようだった。

 

 ただ、その言葉には一つ間違いがある。

 

「これは、メガシンカじゃない」

『ああ、そうだ。これは』

「俺とミュウツーの――」

「『――絆の結晶だ』」

 

 ここに、きずなミュウツーが誕生した。

 

 

 




 原作との変化点。

・ニューサトシが地獄を作った。
 デオキシスを助けるために、レックウザをも利用した。レックウザの隕石好きはポケスペ参照。

・サカキがメガミュウツーYにメガシンカさせた。
 悪という絆。

・ミュウツーがきずな化した。
 きずな化させるのは、リザードン、ミュウツー、ゲッコウガだけと最初から決めていた。ゲッコウガは原作通りだが、リザードンとミュウツーはXYのどちらかに進化させるのに迷った末に第三の選択肢を登場させた。当初はメガリザードンZ、メガミュウツーZみたいな名前の予定だったが、変化がきずな現象に近いからきずなになった。




 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.61

 ピジョット Lv.57

 バタフリー Lv.56

 ドサイドン Lv.60

 フシギダネ Lv.57

 リザードン Lv.61

 カメックス Lv.57

 キングラー Lv.56

 カモネギ  Lv.56

 エビワラー Lv.57

 ゲンガー  Lv.58

 オコリザル Lv.56

 イーブイ  Lv.56

 ベトベトン Lv.56

 ジバコイル Lv.56

 ケンタロス Lv.56

 ヤドラン  Lv.55

 ハッサム  Lv.57

 トゲキッス Lv.54

 プテラ   Lv.57

 ラプラス  Lv.55

 ミュウツー Lv.73

 バリヤード Lv.56

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.54

 カビゴン  Lv.52

 ニョロトノ Lv.52

 ヘラクロス Lv.52

 メガニウム Lv.51

 マグマラシ Lv.51

 ラティアス Lv.47

 ヘルガー  Lv.51

 ワニノコ  Lv.51

 ヨルノズク(色違い) Lv.51

 カイロス(部分色違い) Lv.51

 ウソッキー Lv.51

 バンギラス Lv.59

 ゴマゾウ  Lv.49

 ギャラドス(色違い) Lv.49

 ミロカロス Lv.37

 ミズゴロウ Lv.41

 オオスバメ Lv.42

 ジュプトル Lv.41

 ヘイガニ  Lv.41

 フライゴン Lv.50

 コータス  Lv.40

 ラルトス(色違い) Lv.30




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#140 『俺も丈夫になったものだ』

 13歳 κ月κ日 『何もなかった』

 きずなミュウツーには驚いたようだが、サカキはすぐに気を取り直したように攻撃を再開させてきた。

 リザードンの時と同じなら、この姿でいられるのは十分が限界だ。しかし、おそらく五分もかからず、勝負をつけられる。確証はないが、何故かそんな予感が俺達にはあった。

 

 再び、メガミュウツーYが大量の『シャドーボール』を生成して攻撃してくる。こちらは、いつものスプーンを生成して、それを弾いていった。

 一発の威力はなかなかのもので、直撃すればきずなミュウツーでもダメージを受けるだろう。

 

 ――直撃すれば、な。

 

 先程までこちらの動きを読んでいたメガミュウツーYの動きが急に悪くなる。まるで、知らない人間を相手にしているかのようなぎこちなさだ。

 サカキもメガミュウツーYの動揺が伝わったのだろう。「混乱するな。奴らのハッタリだ!」と言って、メガミュウツーYを戦いに集中させようとしていた。

 

 メガミュウツーYの混乱の原因は、俺だ。

 

 きずなミュウツーとなったことで、ミュウツーの動きには俺というもう一人が介在している。だからこそ、メガミュウツーYは先程のようにミュウツーの動きを見切ることが出来なくなっていた。

 とはいえ、時間をかければ、再びデータを上書きするだろう。まぁ、こちらも時間制限があるし、それだけの時間を与えるつもりはない。

 

 近接戦に持ち込んでいく。どうも、きずなミュウツーは近接型のようで、パワーが溢れてきた。

 スプーンによる『アイアンテール』の連打で、メガミュウツーYを追い詰める。その間に、『みらいよち』も使って逃げ道を塞ぐことにした。

 

 シロナ直伝の技による誘導で、『みらいよち』による攻撃が当たる位置へとメガミュウツーYを誘導していく。

 メガミュウツーYもこれまでの余裕が嘘のようになりふり構わず攻撃を回避していたが、『みらいよち』による不意打ちで体勢を崩すと、『アイアンテール(スプーン)』が直撃した。

 

「バカな! こんなはずはない! 俺のミュウツーは最強だ! もっとだ! もっと力を出せ! 『サイコブレイク』だ!!」

 

 メガミュウツーYが全ての力を込めた一撃を放ってくる。『サイコブレイク』はミュウツーの専用技で、特殊技だが特防ではなく防御の数値でダメージを計算する技だ。

 ならば、こちらも同じ技で返そうと『サイコブレイク』を放とうとしたが、向こうの『サイコブレイク』と違って、まるで空間を切り裂く刃のように攻撃がメガミュウツーYの『サイコブレイク』を切り裂いた。

 

 きずなリザードンの『ブラストバーン』が『ブラスターバースト』に変化したように、どうやらきずなミュウツーの『サイコブレイク』も変化したらしい。切り裂くという特性から、『サイコブレイド』――は、もうあるから、『サイコバーン』と名付けよう。ポケカ技である。

 

「起きろミュウツー! ミュウツーⅦ!!」

 

 サカキの動揺や感情が、メガミュウツーYに伝わっていく。

 

 倒れながらこちらを見るメガミュウツーYのその表情には、恐怖が浮かんでいた。

 心がなかったポケモンが恐怖を感じたということは、感情が芽生えたということに他ならない。メガシンカのトレーナーとポケモンを繋ぐという特性が、サカキの心を感じ取らせてしまったのだろう。

 

 ミュウツーⅦは言ってしまえば、生まれたての子供と同じである。感情が芽生えれば、自ずと自我も目覚めるはずだ。

 その証拠に、もうミュウツーⅦに戦う気はないようで、戦えと指示するサカキに逆らうかの如くメガシンカが解除される。

 

 こちらもこれ以上、無駄なバトルをするつもりはなかった。『いやしのはどう』でミュウツーⅦの中にある悪の心を浄化していく。

 サカキから植え付けられた悪の心さえ取り除いてしまえば、もうミュウツーⅦは一体のポケモンだ。同時に、サカキのボールを壊して、完全に自由にさせてやる。

 

 サカキはもう言葉を発することも出来ずにいた。最強のミュウツーが破れたばかりか、自分から離れたことで、思考も纏らないほどのショックを受けている。

 とはいえ、このまま帰せば、また襲ってくるのは間違いなかった。悪いが、ここにいるロケット団員含めて、俺達とミュウツーⅦに対する記憶を奪わせて貰う。

 正確には、記憶と思考の操作だ。

 記憶操作も絶対ではない。何か強いきっかけで蘇る危険もある。だからこそ、これから先、仮に俺やミュウツーのことを思い出したとしても、決して新たなミュウツーを制作しようと思わないように思考を操作する必要があった。普段ならそんな芸当は不可能だが、きずなミュウツーとなった今の俺達なら可能である。

 

 最終的には『テレポート』でお帰り頂いた。後から思えば、警察に突き出しても良かったのだが、いつもロケット団を相手にしている時の癖で情けをかけてしまったらしい。

 

 まぁいいさ。全ては無に帰したのだ。

 

 最初から、何もなかった。

 

 それが、今回の映画事件の結末である。

 

 もし、違和感から記憶を思い出して、奴がまた攻めてきたとしても、その時はまた戦えばいい。戦うためだけのミュウツーなんて悲しい存在を作らなければ、俺達はいつでもその挑戦を受けて立つぜ。

 

 まぁ、サカキにしてみれば、敗北の記憶など思い出したくもないだろうけどな。

 

 と、いう訳で、捕まっていたデオキシス二体とレックウザも解放して自由にしてやった。

 流石のレックウザも今から暴れる気分ではないようで、デオキシス二体が宇宙に帰るのを見送っている。

 

 とりあえず、俺が投げたせいで食い損ねた隕石をレックウザにやると、そのままレックウザにもお帰り頂いた。

 残るは、ミュウツーⅦだけである。とはいえ、何かするつもりはない。こいつは俺達を怖がっているようだが、自由になってくれさえすればそれでよかった。

 

 ただし、条件を二つ付ける。

 

 一つ、二度と悪事を行わないこと。

 

 二つ、自己防衛以外で人やポケモンを傷つけないこと。

 

 これを守りさえすれば、後は自由だと言った。ミュウツーⅦは素直に頷いている。おそらく、俺達に敵対するのを恐れているのだろう。

 そのままミュウツーⅦは、どこかへ『テレポート』していった。感情が生まれて自我も目覚めつつあるようだったし、すぐにこの世界にも適応するだろう。伝説のポケモンは知性も高いしな。

 

 これで一件落着ということで、俺達もまたラルースシティまで『テレポート』する。

 

 後はタケシ達に事情を説明するだけという状況だが、どうも制限時間が来たようで俺とミュウツーのきずな現象が解除された。

 思えば、きずな化しているのが当たり前すぎて解除するのを忘れていた形である。しかし、後にして思えばそれは正解だったらしい。

 

 きずな現象解除と同時に、俺とミュウツーは意識を失った。

 

 

 

 13歳 κ月λ日 『奇跡だったらしい』

 ラルースシティのポケモンセンターで俺とミュウツーは目を覚ました。タケシ曰く、どうやら丸一日寝ていたようだが、一日程度で済んだだけ俺も丈夫になったものだ。

 

 とりあえず、事情を何も知らないタケシ達に、デオキシスを助けてから起きた出来事を話していく。

 ロケット団のサカキが新しいミュウツーを作って襲ってきたこと。デオキシス二体が捕まったこと。レックウザが襲ってきたこと。サカキのミュウツーがメガミュウツーYになって三体が捕まり、俺達も敗北寸前まで追いつめられたこと。

 

 そして、きずなミュウツーに目覚めたことで敵を撃退したが、限界がきて気絶してしまったことも話す。

 タケシやハルカは、俺が危険なことをしたのを怒ってくれたが、あの時は助けを呼べるような状況ではなかったのもあって、次からは頼ることを約束すると矛を収めてくれた。

 

 ラティとマサトも心配してくれたようだが、どちらかというときずなミュウツーに興味があるようだ。見たいと目で訴えてくるので、確認がてらちょっと見せてやろうとしたのだが、いざやろうとするとどうもミュウツーを感じ取れない。

 思えば、リザードンの時も最初は上手く変化出来なかった。きっかけを掴めればまた使えるかもしれないが、今の所はあの時だけの奇跡だったということだろう。

 

 惜しいと思う気持ちはあるが、焦りはしない。

 

 感覚的にわかる。リザードンの時と同じで、あれは今の俺達にはまだ過ぎた力だ。だからこそ、無理はしなくていい。俺達が強くなれば、自ずと力の方から応えてくれる。そんな気がした。

 

 

 

 13歳 κ月μ日 『アピール上手』

 もう少し先にあるミナモシティという街でポケモンコンテストがあるということなので、そろそろ調整期間に入ることにした。

 ハルカは前回のコンテストで進化したワカシャモで出場するようで、力強いパフォーマンスを見せようと訓練している。こちらはラティが出たいと目で訴えているのだが、あまりラティばかり出しても俺自身が成長しないからなぁ。

 

 と、いう訳で、今回は別のポケモンにする。

 

 誰にしようか死ぬほど悩んだ結果、決められなかったので出たい奴らを募集してみることにした。オーキド研究所に連絡を取って、全員の意見を聞いていく。

 俺の手持ちポケモンでコンテストに興味があるのは、ピカ様、バタフリー、フシギダネ、カメックス、キングラー、ゲンガー、イーブイ、ベトベトン、ジバコイル、ヤドラン、トゲ様、ラプラス、バリヤード、ニョロトノ、ヘラクロス、メガニウム、マグマラシ、ラティ、ワニノコ、ウソッキー、ゴマゾウ、ギャラドス、ミロカロス、ミズゴロウさん、ヘイガニ、コータス、フライゴン先輩だった。

 

 予想外にも、ひこうタイプの殆どがコンテストに全く興味がない。だが、みずタイプは全員が興味あるという意外な結果だった。

 

 しかし、想像した以上にコンテストに出たいと思っている奴が多いな。バタフリーから話を聞いてやってみたいと思ったのかもしれないが、こうなると誰にしようか逆に迷う。ハルカがワカシャモで出るみたいだし、俺もほのおタイプのマグマラシで――と、考えた瞬間、モニターにイーブイが出てきた。

 俺と話していたケンジが困ったような声を出す。基本的に喧嘩になるので、呼ばれたポケモン以外はモニターに出ないのが研究所にいるポケモン達の暗黙のルールだったのだが、どうやらイーブイはそれを破ってきたらしい。

 

 想像以上にイーブイはコンテストに興味があるようで、僕やる気ありますとばかりに、「ブイブイ」と、声を出して訴えてきた。

 ふむ、イーブイなら特性の『アドバンスシフト』でブースターにもなれるし、演技中に他の進化先になるという意外性も見せられるし悪い選択肢ではない。ここはアピール上手だったイーブイのやる気を買って、イーブイでコンテストに出ることにした。

 

 そのまま、イーブイを転送して貰う。これで、今の手持ちメンバーは、特別枠のポケモンを除くと、ピカ様、フシギダネ、イーブイ、ミロカロス、コータス、フライゴン先輩になった。しばらくよろしくな、イーブイ。

 

 

 

 13歳 κ月ν日 『悪いことは全部ロケット団の仕業だ』

 

 バレータウンとかいう街に着いたのだが、何というか薄暗い街だった。人気が殆どなく、ポケモンセンターのジョーイさんも愛想がない。

 まぁ、ジョーイさんの中にもダメな奴はいるのでこいつもその類かと思ったのだが、よく見ると目の焦点が合っていなかった。これはもしやと思い、ミュウツーに頼んで見て貰うと、やはりエスパータイプのポケモンによって操られているようである。

 

 催眠の上からさらに強い催眠をかけて上書きするという乱暴な方法でジョーイさんの正気を取り戻させると、どうやらこの異変の原因はルナトーンであることが発覚した。

 聞けば、変な二人組に狙われて力を消耗していたとのことで、自分の身を守るために街の人を操っていたらしい。またロケット団の仕業かと思ったが、ニャースがいないのが少し気がかりではあった。

 

 とはいえ、このまま放ってもおけないので、俺達でルナトーンを助けることにする。どうやら、月の光が差すバクーダの谷まで運べば元気になるかもしれないということだったので、そこまでルナトーンを連れて行こうとしたのだが、その途中でポケモン不思議クラブを名乗る二人組が現れた。

 どこかで見たことがあるような――と、首を傾げていると、タケシが「ピッピの宇宙船の時の奴等だ」と耳打ちしてくる。あぁ、ジョウトで変なメカをピッピ達の宇宙船の材料にされた奴等か。

 

 どうやら、今回はロケット団の仕業ではなかったらしい。まぁ、でもいつも襲ってくるあいつらが悪いよ。そりゃ、事件があればあいつらだって思うじゃん?

 

 と、いう訳で、心の中でロケット団に謝罪しつつ、ポケモン不思議クラブの二人組を撃退する。

 そのままルナトーンを月の光が当たる場所まで連れて行くと、無事に力を取り戻したようで、俺達にお礼を言いながら月に向かって飛んで行った。

 

 

 

 13歳 κ月ξ日 『お兄ちゃんイーブイ』

 

 少し前からコンテストの練習をしているイーブイだが、やる気が有り過ぎて困っている。

 バトルの練習をし始めた時もそうだったが、俺のイーブイはやると決めたら手を抜くことを知らない。一体、誰に似てこんな強情な性格になってしまったんだ。

 

 最近は特性を連続使用してもあまり疲れなくなったからか、これでもかというくらいに進化したり退化したりしてアピールしていた。

 マサトは特別な特性を持つ俺のイーブイを見て凄いと喜んでいるが、ハルカは手強いライバルが現れたと思ったようで、さらに練習に気合が入っている。

 

 おまけに、俺のイーブイはなかなかにセンスがあるので演技の方もなかなか様になっていた。

 そんなイーブイを見て、ラティが対抗心を燃やして練習に付き合うものだから、イーブイも負けじと練習を頑張ってしまう。このままではパンクしそうだったので、玉を使った演技という名の遊びでラティとイーブイのガス抜きをすることにした。

 

 二人ともボール遊びは大好きなようで、これでもかというくらいにボールを追いかけている。

 元々ラティは人懐っこいということもあり、少し遊んだらすぐにイーブイと仲良くなっていた。イーブイも研究所でラティがバトルの練習をしていたのは見ているということもあって、自分に懐いている妹分を可愛がっている。

 

 ふむ、普段は甘えん坊のイーブイだが、ラティと一緒だと意外にお兄さんになるようだ。

 タケシがそれを見ながら、「イーブイももう大人だな」と呟いている。確かに、いつの間にか大きくなっていたみたいだ。

 

 

 

 13歳 κ月ο日 『何か見たことある光景だな』

 

 近くにバナナナマケロ園なる場所があるという看板を見つけたので寄って行くことにしたのだが、バナナナマケロ園という割にナマケロがいない。というよりも、バナナすらなかった。

 園長をしているマキノとかいうおっさんに詳しい話を聞くと、どうやら野生のカビゴンがやってきてバナナを食い尽くされてしまったらしい。そのせいで、ナマケロ達も園の隅に追いやられてしまったということだった。

 

 うーむ、何かどこかで見たことある光景だな。っていうか、俺のカビゴンがオレンジ諸島でザボンを食い荒らしていた時と全く同じ状況である。

 

 こういう時の対処法はゲットしかないということで、カビゴンをゲットすることにしたのだが、俺のカビゴンと違って『あくび』で的確にこちらを眠らせてきた。

 俺のカビゴンの時は、想像を絶する超身体能力だったが、どうやらこいつはテクニカルなカビゴンらしい。こうなれば、眠らないポケモンでどうにかするしかないということで、オーキド博士に連絡してオコリザルを送って貰うことにした。

 

 俺のオコリザルは特性『やるき』なので眠らないのである。また、俺達の奮闘に感動したナマケロの一体が協力を申し出てきた。

 そういえば、ナマケロは進化すればヤルキモノになって特性が『やるき』になる。事件解決には持って来いなので、ついでに進化の特訓をしていくことにした。本人もやる気があったからか、意外にもすんなりナマケロはヤルキモノに進化し、オコリザルと協力してカビゴンを倒すことに成功している。

 

 そのままマキノがカビゴンをゲットして、とりあえず事件は一件落着となった。とはいえ、このままではまた同じことが起きるのは目に見えている。

 対策として、オーキド博士から普段俺のカビゴンに使っているという一粒で300キロ分の食事がとれるカビゴン用のポロックレシピを教えて貰い、このカビゴンはバナナナマケロ園の新しい目玉ポケモンとして園で暮らすことになった。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・きずなミュウツーで圧倒した。
 能力的な差はほぼない。むしろ、じこあんじで強化されている分、メガミュウツーYの方が上だが、相手の精神的な乱れを突いて圧倒した。どんなに強くてもメンタル次第で勝てるものも勝てなくなるの典型。

・専用技が変化した。
 リザードンが変化すれば、ミュウツーも変化する。空間を切り裂く一撃、相手は死ぬ。オリジナル技。

・ミュウツーⅦをサカキ様から解放した。
 感情から心が生まれつつあったので、悪に染まる前に浄化して切り離した。今のミュウツーⅦはただのビビり君。

・ミュウツーのきずな化はまだ自由自在に出来ない。
 リザードンの時と一緒。モノにするには時間がかかる。

・次のコンテストポケモンにイーブイをチョイスした。
 イーブイ自身がやる気満々だった。アピールも上手だったのも、コンテスト向きと判断された。実際、アドバンスシフトはコンテストにも向いた特性である。

・第87話『神秘! 宇宙から来たポケモン!?』より、ロケット団が濡れ衣を着せられた。
 ロケット団は悪。だから仕方ないね。

・イーブイとラティが仲良くなった。
 どっちも甘えん坊だが、イーブイの方がお兄ちゃんになった。

・第88話『バナナナマケロ園のカビゴン!!』より、テクニカルなカビゴンゲットに苦戦した。
 ニューサトシのカビゴンは超人のような身体能力だが、このカビゴンはあくびを使ったテクニカルなタイプ。こういう被害を起こすカビゴンは大体強いのが鉄則。




 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.61

 ピジョット Lv.57

 バタフリー Lv.56

 ドサイドン Lv.60

 フシギダネ Lv.57

 リザードン Lv.61

 カメックス Lv.57

 キングラー Lv.56

 カモネギ  Lv.56

 エビワラー Lv.57

 ゲンガー  Lv.58

 オコリザル Lv.56

 イーブイ  Lv.56

 ベトベトン Lv.56

 ジバコイル Lv.56

 ケンタロス Lv.56

 ヤドラン  Lv.55

 ハッサム  Lv.57

 トゲキッス Lv.54

 プテラ   Lv.57

 ラプラス  Lv.55

 ミュウツー Lv.73→74

 バリヤード Lv.56

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.54

 カビゴン  Lv.52

 ニョロトノ Lv.52

 ヘラクロス Lv.52

 メガニウム Lv.51

 マグマラシ Lv.51

 ラティアス Lv.47

 ヘルガー  Lv.51

 ワニノコ  Lv.51

 ヨルノズク(色違い) Lv.51

 カイロス(部分色違い) Lv.51

 ウソッキー Lv.51

 バンギラス Lv.59

 ゴマゾウ  Lv.49

 ギャラドス(色違い) Lv.49

 ミロカロス Lv.37

 ミズゴロウ Lv.41→42

 オオスバメ Lv.42

 ジュプトル Lv.41→42

 ヘイガニ  Lv.41

 フライゴン Lv.50→51

 コータス  Lv.40

 ラルトス(色違い) Lv.30


 サイコブレイドはあったらしいので、サイコバーンに変えました。ぶっちゃけ、パラドックスポケモン触ってなかったので全然気づいていませんでしたw



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#141 『俺じゃなきゃ見逃しちゃうね』

 13歳 κ月π日 『この世さる?』

 

 前回、急遽手持ちに加えたオコリザルだが、ミナモシティまでは一緒に連れて行くことにした。

 トウキとのバトルでシバにも育成不足を指摘されたし、たまには一緒にトレーニングするのもいいだろう。

 

 と、いう訳でイーブイのコンテスト練習の合間に、オコリザルと組手をしていく。オコリザルもニューサトシに手加減する気はないようで全力で向かってくるが、こうして改めて対面すると防御面は大分成長しているように見える。

 しかし、やはり攻撃力が少し低いように思えた。一撃の攻撃力が低いと相手へのプレッシャーにならないので、今までは連打で誤魔化していたが、連打も完璧な技という訳ではない。やはり、根本の火力をどうにかする必要がある。

 

 うーむ、やはり『ふんどのこぶし』を覚えさせて、コノヨザルに進化させるべきか?

 

 コノヨザルになればゴーストタイプを獲得して、ノーマル・かくとうタイプの技が効かなくなるし、攻撃や防御も今より格段に強くなる。

とはいえ、格闘対決だとズル過ぎるし、防御が疎かになりそうだったということもあって、もっと基礎を叩きこんでからにしようと思っていたが、進化することで見えてくるものもあるかもしれん。

 

 一応、本人の意見を聞いてみると、自身にさらなる進化があると聞いて驚いていた。まぁ、俺も前世で進化すると知った時は驚いたよ。おまけに、ガチポケになっちまったしな。

 とはいえ、進化すると言ってもそう簡単ではない。ゴースト技である『ふんどのこぶし』はそうすぐには覚えられないだろうしな。っていうか、そんな簡単に覚えられるのであれば、この世の中にコノヨザルは溢れかえっている。

 

 オコリザルの進化条件は、『ふんどのこぶし』を覚え、その技を20回使ってレベルアップするというものだ。

 とはいえ、ゲームではレベルで覚える技も、この世界では覚えないこともある。イーブイがフェアリー技をレベルで覚えないのと一緒で、オコリザルも特別なトレーニングなしで『ふんどのこぶし』は覚えられないのだろう。

 

 実際、かくとうタイプのポケモンにゴースト技を覚えろという方がおかしい。だが、本人は強くなれるなら何でもするという気概のようで進化にも意欲的だ。どうやら、前回ワンパンで倒されたのは地味にショックだったらしい。

 あくまで基礎を大事にすることを厳命しつつ、進化のために『ふんどのこぶし』を覚えることにした。まずはゲンガーに頼んで、ゴースト技のコツを教えて貰う所からだな。

 

 

 

 13歳 κ月ρ日 『ミナモシティに沈む夕日よ』

 

 陸地の最果て、海の始まり――とまぁ、大層な呼び名があるミナモシティにようやく着いた。

 どうも大きな街のようでいろいろと面白そうなものがたくさんある。とはいえ、一番の目的はコンテストなので、まずはエントリーを終わらせることにした。聞けば、本番は明日ということなので、今日はミナモシティを見て回ることにする。

 

 そのままミナモシティ名物というきのみ市場に立ち寄ると、ひょんなことからブーピッグをパートナーに持つポケモンコーディネーターのカナタと知り合いになった。このブーピッグというポケモンは、前に真珠をなくして困っていたバネブーの進化系である。

 

 どうやら、カナタも明日のコンテストに参加するということで、ハルカがすぐに仲良くなっていた。彼女の実家はポロック屋をやっているということで、ここにはきのみを買いに来たらしい。

 コンテストとポロックは切っても切れない関係ということで、カナタの話を聞いてハルカもうんうん頷いている。前に俺がヒンバスにポロックを作ってあげていた時は、全くと言っていいほど興味を持っていなかったのだが、コーディネーターとして上に行くためには、ポロック作りが必要だと改めて理解したようだ。

 

 ハルカがポロック作りに興味を持ったことで、カナタが実家のポロック屋に招待してくれた。

 とりあえず、ニューサトシが前にヒンバスにあげていた美しさを上げる青いポロックを作ったのだが、当然のように花丸を貰っている。まぁ、ヒンバスに与える前に、死ぬほど(タケシが)食って調整したからな。

 

 続けてハルカが挑戦し、出来上がったポロックを今の手持ちであるワカシャモ、ルリリ、アゲハント、エネコ、チルット、フシギダネが食したのだが、食欲旺盛なアゲハント以外は微妙な表情をしていた。うーむ、残念。

 

 

 追記。ピカ様が隠れて『ばちばちアクセル』の練習をしていると、ジンベイとかいう爺さんが技のアドバイスをしてくれた。そのおかげもあって、完成度六割で行き詰っていたピカ様が、少しコツを掴んでいる。何か知らんが、ありがとう爺さん。

 

 

 

 13歳 κ月σ日 『ポケモンコンテスト ミナモ大会』

 

 コンテストには大体シュウがいるイメージなのだが、どうも今回の大会には参加していないらしい。

 代わりという訳ではないが、今回もムサシがエントリーしているようで、簡単にリボンは貰えなさそうだ。向こうも、後一つでグランドフェスティバルということで、かなり本気で挑んでいるみたいだしな。

 

 しかし、ハルカはムサシよりもカナタの方が気になるようで、ライバル心をメラメラ燃やしている。

 そのままの勢いでステージへ――と、思ったら、忘れていたとばかりにこちらに戻ってきた。どうした? と、首を傾げると、スッと手を出してくる。うーむ、また甘えてるなぁ。

 

 そろそろ自分で緊張を解けるようにならないとだな――と、説教をしたのだが、どうやら緊張はしていないらしい。

 どうも、今までパチンパチンやりすぎたようで、やらないと落ち着かなくなってしまったようだ。おいおい、俺のせいでハルカがマゾに目覚めたとかないよな?

 

 もう時間がないので仕方なくいつもの幸平式をパチーンと決めると、ハルカが飛び出して行った。

 そのままワカシャモと息の合った演技を見せている。終盤、ワカシャモが火力の調整をミスって、『ほのおのうず』がハルカに当たりそうになったが、ワカシャモ自身が上手くカバーすることでピンチをチャンスに変えていた。上手なマッチポンプである。

 

 続けて、ハブネークで挑戦したムサシも高い演技を見せていた。また、カナタもなかなかの実力者のようで、ブーピッグと息の合った演技を見せている。

 

 当然、こちらも負けるつもりはなく、イーブイの華麗なデビュー戦を飾らせてもらった。

 ポケスペ特性である『アドバンスシフト』は、自由に進化退化が出来る。それは、複数のポケモンを一遍に使っているのと同義だ。これほどコンテストで強い手札もないだろう。

 進化先によって、いろいろな魅力を見せられるという強みを最大限に生かしていく。ハルカやムサシすら置き去りに、最高点を頂いてそのまま一位で一次審査を突破した。

 

 二次審査では、俺とムサシが初戦で当たっている。ムサシは、前回のようにポケモンをチェンジし、今回はジャンボフシギダネで挑戦していた。

 こちらは当然イーブイだ。開幕、ブースターに進化して、『フレアドライブ』という強力な一撃を浴びせていく。ジャンボフシギダネもすぐに体勢を立て直したが、ダメージが大きくポイントがマイナス10された。

 

 ムサシも負けじと、『ねむりごな』でこちらの動きを止めようとしてきたが、ブースターからイーブイへ、さらにイーブイからリーフィアへ進化することで粉技を無効にしている。

 進化までの速度が恐ろしく速い。俺じゃなきゃ見逃しちゃうね――なんてことはないが、別の進化をするためには一度イーブイに戻らなくていけないというデメリットも、この速さなら問題にならないはずだ。

 

 くさタイプにくさの変化技は効かないということで、ポケモンの相性を利用した防御にムサシのポイントがマイナス15される。

 小技が効かなければ実力とばかりに、今度は『つるのむち』で攻撃を仕掛けてきた。今度は、リーフィアからイーブイ、イーブイからサンダースへと変化し、自慢の速度で攻撃を回避していく。

 

 素早種族値130族であるサンダースは、イーブイ族の中では一番足が速い。そう簡単には捕まらせるつもりはなかった。

 

 ムサシも変幻自在に進化をするイーブイの対応に追いつかないようで、攻撃が不発に終わることでさらにポイントがマイナスされていく。

 初見殺しも良い所だが、それもこちらの強みである。最終的にはグレイシアに進化し、『ふぶき』の一撃で、フシギダネを氷漬けにして勝負を決めた。

今までは技制限のことを考え、複数の進化をして技を使うのは控えていたが、技を四つ以上使わなければ問題ないだろうということで、そこはもう割り切ることにしている。

 

 しっかりと前回のリベンジを果たすと、ムサシが「負けた……」と、顔面を蒼白にしていた。ナナミさんにバレたらどうなるんだろうなぁ。楽しみだぜ。

 

 次の審査では、ハルカとカナタのバトルになった。序盤は、カナタのブーピッグに苦戦しまくっていたハルカだが、中盤に『ほのおのうず』の火を応用した小技で相手の集中を阻害することで逆転している。

 

 ファイナルステージは俺対ハルカとなったが、前回のダブルバトルのようにはいかないと、ハルカも気合を入れていた。

 開幕、こちらが進化するより先に『ほのおのうず』で動きを封じようとしてきたが、攻撃を受けつつもシャワーズに進化して『うずしお』を撃つことで炎を水の渦に変化させて離脱する。

 

 ダメージを受けてこちらのポイントが10削られたが、炎から水に渦が変わる美しさが評価され、ハルカのポイントも15マイナスされた。

 ほのお技が効かないのであれば、かくとう技とハルカも指示を飛ばすが、こちらも即座にシャワーズからイーブイ、イーブイからエーフィと姿を変えることでタイプ相性を変更している。

 

 ハルカもまた、ムサシ同様にイーブイの多彩な進化に付いていけないようで対応が後手に回っていた。

 何とかして自分のペースに持ち込もうとしているが、こちらが全て先手を打っている。悪いが、このまま一気に勝負を決めさせて貰うぜ。

 

 しかし、ハルカも諦めなかった。時間もあり、まだポイントもあるということで、必死に勝機を手繰り寄せようとしている。

 どうも神様はそんなハルカのがむしゃらさに心を打たれたようで、ここで一つ大きな問題が発生した。多彩な進化を繰り返していたイーブイの動きが突如として鈍ってきたのである。

 

 ハルカもその隙を逃さないとばかりに猛攻を仕掛けてきた。イーブイの苦手なかくとう技を受けて、ポイントがどんどん削られていく。原因は簡単だった。一次審査、二次審査と、繰り返し『アドバンスシフト』使ったことで、スタミナの限界が来たのだ。

 

 いや、むしろよくここまで持ったというべきか。正直、限界が近いのはわかっていた。だが、昔の体が弱かった頃と違い、今のイーブイはもう一人前の男だ。そいつが覚悟を決めて挑戦した以上、心配など野暮でしかない。

 ただ、ワカシャモがイーブイの苦手なかくとうタイプの技を使ってくることや、スタミナ切れで動きが鈍っていることもあって、一気にペースがハルカのものになっていく。流石に戦闘不能になりはしないが、このままではポイントが逆転されるだろう。

 

 だが、この程度で諦めるようなら、イーブイも最初からペースを考えずに飛ばしはしなかった。進化をするのが無理なら、イーブイで出来ることをすればいい。最後の最後に残しておいた『とっておき』を指示する。

 ノーマルタイプだからこそ、威力が上がることもあるのだ。イーブイの反撃でワカシャモのポイントを削り、ギリギリで今回のミナモ大会は俺の勝利となった。

 

 前回のダブルバトル大会に続いて二連敗したことで、ハルカもショックだったようだが、すぐにこちらに拍手を送ってくる。

 これで、俺がリボン四つ。ハルカが二つ。グランドフェスティバルの開催まで後ひと月ちょっとと考えると、ハルカはそろそろ厳しくなってきたかもな。

 

 

 

 13歳 κ月τ日 『ハルカスランプ』

 

 俺達の前ではなるべく明るくしようと振舞っているが、ここ最近コンテストで負け続けということで、ハルカがまた調子を崩した。練習でも身が入らず、ポケモン達もそんなハルカに釣られていい演技が出来ていない。

 アニメでは順調にリボンをゲットできていたが、ニューサトシが参戦したせいで難易度が上がっているのが問題になっているのだろう。

 

 正直、運が無かったとも言える。前回はダブルバトルだったし、今回は特別なイーブイという俺の有利を突いた戦いだった。

 これがもし相手がラティだったらハルカももっと戦えていたはずだ。伝説のポケモンとはいえ、ハルカはラティをよく知っているし、イーブイより余程やりやすかっただろう。

 

 とはいえ、俺が慰めても同情にしかならないので、フォローはタケシやマサトに任せる。

 ハルカも大丈夫と言っているが、傍から見ても大丈夫には見えない。どこかで一度、気持ちをリセットさせてやれるといいんだけどな。

 

 

 

 13歳 κ月υ日 『こいつ、何で審判目指してんだ?』

 

 トクサネシティ行きの船に乗ったつもりが、間違えてバンバ島とかいう見知らぬ島に着いてしまった。おいおいと思ったが、まぁやってしまったものは仕方ない。

 どうも、この島にはポケモン審判養成学校があるらしく、そこでジミーとかいう名前の割にイケメンの奴と知り合ったのだが、ジミーは何というか自分に自信を持っていない奴だった。

 

 まるでニューサトシの正反対である。何をするにも自信がなく、審判の訓練も上手く行っていないらしい。

 ただ、その割には運が良いようで、いろいろとラッキーなことも起きている。聞けば、カントーのハナダジムのバッジを持っているようで、代わりにジムの掃除をしたら貰ったと言っていた。間違いなくお姉さん達の仕業である。

 

 おまけにカスミさんとも知り合いらしく、懐かしい話を聞くことが出来た。

 

 しかし、こいつの連れているリザード、フシギソウ、カメールはなかなかのレベルだ。

 ちょっと頑張ればリーグに参加できるレベルである。何でこいつはポケモントレーナーではなく、審判になろうとしているんだろうか?

 

 よくわからないが、ロケット団によってジミーのカメールが奪われそうになると、流石のジミーも必死になっていた。

 まぁ、流石に自分のポケモンが奪われそうになって自信がないとか抜かすバカはいないよなと感心していると、ジミーのカメールがカメックスに進化している。

 

 よかったねということで、いつものようにロケット団をやなかんじーにしてやると、養成学校の先生の勧めもあって、ジミーもトレーナーとしてやり直すことを決意していた。まぁ、頑張れよ。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・第89話『ピカチュウ、ロケット団に入る!?』より、ピカ様が記憶を失わないのでロケット団に入らなかった。
 基本的にロケット団に負けないので、ロケット団が原因で起きる事件は大体がカットされる。。

・オコリザルを手持ちに加えた。
 改めてタイマンで修行した。防御は割と出来てきたので、進化を考慮に入れ始めた。コノヨザルサイッキョ!!

・第90話『ミナモシティ到着! ポロックとつばめがえし!』より、オオスバメが既につばめがえしを覚えているので、代わりにばちばちアクセルのコツを習った。
 ピカ様の技の進捗状況が進んだ。

・第91話『ポケモンコンテスト! ミナモ大会!!』より、ニューサトシが優勝した。
 イーブイの特性が強かった。ムサシにもリベンジを果たした。

・ハルカがスランプに陥った。
 負け続けたことで自信を失い、何をしても上手く行かない状態になった。天才型は挫折に弱いんだぁ。

・第92話『あの三匹登場! 審判学校の島!』より、ニューサトシがジミーの資質を見抜いた。
 何というか、トレーナーとして才能があるのに、人生に迷走している感じだった。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.61

 ピジョット Lv.57

 バタフリー Lv.56

 ドサイドン Lv.60

 フシギダネ Lv.57

 リザードン Lv.61

 カメックス Lv.57

 キングラー Lv.56

 カモネギ  Lv.56

 エビワラー Lv.57

 ゲンガー  Lv.58

 オコリザル Lv.56

 イーブイ  Lv.56

 ベトベトン Lv.56

 ジバコイル Lv.56

 ケンタロス Lv.56

 ヤドラン  Lv.55

 ハッサム  Lv.57

 トゲキッス Lv.54

 プテラ   Lv.57

 ラプラス  Lv.55

 ミュウツー Lv.74

 バリヤード Lv.56

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.54

 カビゴン  Lv.52

 ニョロトノ Lv.52

 ヘラクロス Lv.52

 メガニウム Lv.51

 マグマラシ Lv.51

 ラティアス Lv.47

 ヘルガー  Lv.51

 ワニノコ  Lv.51

 ヨルノズク(色違い) Lv.51

 カイロス(部分色違い) Lv.51

 ウソッキー Lv.51

 バンギラス Lv.59

 ゴマゾウ  Lv.49

 ギャラドス(色違い) Lv.49

 ミロカロス Lv.37→38

 ミズゴロウ Lv.42

 オオスバメ Lv.42

 ジュプトル Lv.42

 ヘイガニ  Lv.41

 フライゴン Lv.51

 コータス  Lv.41

 ラルトス(色違い) Lv.30




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#142 『イの島はラーの翼神竜だな』

 13歳 κ月φ日 『バネブーゲットかも』

 

 トクサネシティを目指して海を移動していると、海の上で板に乗っているバネブーを見つけた。

 こいつはもしかしてと思って声をかけると、板の上にバランスよく乗っていたバネブーが体勢を崩して頭の上の真珠が落っこちてしまっている。間違いない、こいつは前に助けたバネブーだ。

 

 とりあえず、また真珠を無くしてしまったバネブーを助けることになったのだが、紆余曲折あって近くの島にいたパールルに新しい真珠を貰っていた。そういえば、バネブーの真珠はパールル産だったっけか。

 

 これで一件落着ということで、もう無くすなよと声をかけて別れようとした――のだが、これも何かの縁ということで、ハルカが自分と一緒に来ないか声をかけている。

 どうやら、前回のコンテストで苦戦させられたカナタのブーピッグが印象に残っているようで、バネブーに将来性を感じたのかもしれない。バネブーも特に嫌がるような様子もなく、ハルカにゲットされていた。

 

 

 

 13歳 κ月χ日 『深海の宝ねぇ』

 

 トクサネシティに向かう途中、ワズワ島という島に寄ったのだが、そこで海の男を名乗るソウヤとかいう奴に出会った。

 ソウヤは深海の沈没船に眠る宝を探しているということで、興味を持ったラティやマサトが一緒に行きたがっている。流石に二人だけに行かせる訳にもいかないので一緒に行くことになった。

 

 途中、潜水艇が深海の海流に飲まれてどこかへと流されてしまい、ジーランスが住居にしている海底洞窟に辿り着いたのだが、そこで噂の沈没船らしき船を見つける。

 おまけに、ちゃんと宝箱もあったようで、マジでお宝ゲットか――と、驚いていると、いつものようにロケット団が現れて、ソウヤが持っていた宝箱が奪われてしまった。

 

 あーあと思いつつも、いつものようにやなかんじーにしてやろうとしたのだが、ここは洞窟で天然ガスがあるかもしれないということで、電気は引火する可能性があると言われる。

 一瞬、攻撃を躊躇うと、ロケット団は出口を塞いでそのまま逃げてしまった。まぁ、ポケモンを奪われた訳じゃないし、別にいいかとも思ったのだが、海で泳いでいるジーランス達がもう一つの出口を教えてくれる。

 

 そのまま無事に脱出に成功すると、丁度ロケット団も出てきた所だったので、サクッと奪われた宝箱を取り返してやなかんじーにしてやった。

 

 宝箱の中には結構な量の緑の欠片が入っている。一応、売却アイテムではあるが、まぁお宝というにはしけた中身だ。

 しかし、秘宝ではなかったが、それでも宝を見つけたことに意味があるようで、ソウヤはこれからも夢を追い続けると言っていた。まぁ、頑張ってくれ。

 

 

 

 13歳 κ月φ日 『負け癖』

 

 ひこうタイプ限定のポケモンコンテストがあるということで寄って行くことにした。

 前にカスミさんがゲストとして呼ばれたコンテストのひこうタイプ版だが、このコンテストではちゃんとリボンが貰えるらしい。カスミさんが聞いたら怒りそうな違いである。

 

 とはいえ、ひこうタイプは割と自信があるということで、今回はトゲ様で挑戦するつもりだ。つーか、ひこうタイプでコンテストに興味がある奴はバタフリーとトゲ様、ギャラドスしかいなかった。

 ギャラドスはひこうタイプだが飛べないし、むしタイプが入っているバタフリーは少し不利と考えてのトゲ様選出である。消去法ともいうが、本人は出番を貰えて喜んでいるので選出したことにしておこう。

 

 勿論、ハルカも挑戦すると思ったのだが、今回は止めておくと言っている。どうも、俺に二連敗したことで負けるのが怖くなったのかもしれない。

 

 普段なら性根を叩き直してやる所だが、元凶の俺が言っても伝わらないだろう。それがハルカの選択なら仕方ないと思っていると、チルットが羽でハルカの頭をぺしぺし叩きだした。

 その目には涙が浮かんでいる。

 言葉にしなくても伝わった。戦う前から負けを認めるなと、チルットはそう言っているのだ。ずっと空を飛ぶのを諦めずにリハビリを続けていたチルットだからこそ、ハルカにコンテストを諦めて欲しくないと思ったのだろう。

 

 ハルカも涙を浮かべながら、チルットに謝っていた。そして、今回のひこうタイプ限定コンテストは、チルットで挑戦すると宣言している。

 一瞬、手加減すべきかと思った。

 今のハルカは負け癖がつきつつある。もしここで負ければ、ハルカはもうコンテストに挑戦しなくなるかもしれない。俺がコンテストに参加したことで、いろいろな変化が起きているが、これ以上はまずいのではないかと危険を感じたのだ。

 

 しかし、ハルカはそんな俺の考えを見抜いたように、「手加減しないでよね」と言ってきた。

 

 そうだよな。

 

 ニューサトシが手加減なんてするはずがない。俺の性格をハルカはよくわかっている。もし手を抜けば、すぐに気付くだろう。俺に出来るのは、力の限りコンテストに挑戦することだけだった。

 

 

 

 13歳 κ月ω日 『ひこうタイプ限定コンテスト』

 

 ひこうタイプ限定のコンテストが始まった。とはいえ、想定よりも余裕はない。何せ、トゲ様はイーブイと違って一日しか練習していないので完全な付け焼刃だ。

 対するハルカは、普段からチルットと練習を繰り返しているだけあって演技に淀みはない。手加減なんて考えていた自分が恥ずかしくなるほど、ハルカは一次審査を圧倒的な点数で独走していった。

 

 今回はいつものように、幸平式を求められていない。どうも、俺への甘えを完全に捨て去るつもりのようで、今までのハルカとは覚悟が違った。

 

 二次審査は四人なので、一度勝てばファイナルステージである。俺とハルカは順調にファーストステージを勝ち抜き、ファイナルステージでバトルすることが決まった。

 チルットもついひと月まで飛べなかったのが嘘のような動きだ。とはいえ、それだけ飛べるようになってから頑張ったということでもある。油断すれば負けるだけの力は十分に持っていた。

 

 ファイナルステージがスタートすると、ハルカはチルットを大空へ上昇させた。二次審査の初戦で、俺の対戦相手がまひるみコンボの前に何も出来なくなったのを見ているので警戒しているのだろう。

 とはいえ、こちらも飛行技術にはそこそこ自信がある。流石につい最近飛べるようになったばかりのチルットに負けはしない。

 

 こちらが『エアスラッシュ』で先制しようとすると、『しろいきり』で姿を隠してきた。技を使ったテクニカルな回避で、こちらのポイントが10削られる。

 とはいえ、このまま技を連打すれば霧も晴れるだろう。エアスラ連打で、霧をかき消すと気が付いたらチルットはトゲ様の背後に回っていた。背後から『とっしん』で突っ込んで来ようとするので、攻撃を回避して『しんそく』でそのまま迎撃する。

 

 こちらの『しんそく』によって、向こうのポイントが15削られた。しかし、まだまだとばかりに、『とっしん』で猛追してくる。

 種族値差のおかげで、『しんそく』で十分対応できるが、ここは確実に『でんじは』で動きを止めることにした。だが、こちらの『でんじは』指示と同時に、『とっしん』をキャンセルして『しんぴのまもり』で状態異常を防いでくる。

 

 どうやら、動きを読まれたらしい。

 

 こちらの『でんじは』が上手く無効にさせられたことで、さらにこちらのポイントが15削られる。

 種族値に差があるチルットでここまで食らいついてくるとは、やはり今回のハルカはひと味違うみたいだな。

 

 ならば、こちらもそちらの動きを封じて行こう。再びの『とっしん』に合わせて、『まもる』で相手の攻撃を防いでいく。チルットの攻撃を『まもる』で防ぐと、ハルカのポイントがさらに10削られた。これで五分だな。

 これでこちらは全ての技を使ってしまったが、『しんそく』と『エアスラッシュ』が残っていれば十分だ。怯みゲーで、全てを粉砕してやる。

 

 ハルカの表情は暗い。どうやっても勝ち筋を見つけられないのだろう。実際、ほぼレベル技しか覚えていないチルットではトゲ様を突破するなど不可能に近い。

 こちらのポイントを削ろうにも、有効な技はもう残っていなかった。『とっしん』は『まもる』で無効化され、『しろいきり』や『しんぴのまもり』はあくまでも防御技なので、相手のポイントを削るには使いづらい。

 

 残り時間は約半分。まだ時間はあるが、ハルカには打開が出来る手段がない。

 

 しかし、こちらには必殺の『エアスラッシュ』と『しんそく』があった。『しんそく』で距離を詰めると、『エアスラッシュ』で怯みを狙っていく。

 だが、チルットも諦めなかった。

 こちらの『エアスラッシュ』を受けながらも、気合で怯みを回避し、『しろいきり』をトゲ様の顔面近くで発動させることで、視界を奪いつつ攻撃から脱出している。

 

 こちらの攻撃が当たったことでハルカのポイントが削られるが、脱出の技術が評価されてポイントは相殺された。

 すかさず、『しんそく』で追撃を指示するも、『とっしん』で自分からぶつかることで、ダメージを最小限に抑えている。ポイントは動かない。

 

 ハルカはそんなチルットを見て、自分の頬をパンと強く叩いた。

 チルットがまだまだ諦めずに頑張っているのに、相棒の自分が戦いを諦めていたことに気付いたのだろう。

 

 また、そんなハルカの気合を見て、チルットもまた気合を入れるように声を上げた。

 同時に体が光り、チルットからチルタリスへと進化していく。進化したことで、ノーマル・ひこうタイプから、ドラゴン・ひこうタイプへと変わった。こうなるとわかっていれば、最後の技にフェアリータイプの技を残していたのだが、こちらは既に技を全て使っている。

 

 ハルカは素早く図鑑を確認すると、新技である『ムーンフォース』を指示してきた。

 タイプ不一致だが、フェアリータイプの特殊技だ。威力95で、今のチルタリスに使える技の中では一番威力が高いのだろう。

 こちらも『エアスラッシュ』で反撃する。いくらムンフォとはいえ、不一致で火力は微妙だ。ここで一気に勝負をつけてやる。

 

 互いの攻撃がぶつかると、やはりこちらが優勢だった。しかし、わかっていたとばかりに、ハルカは「ゴー!!」と指示を飛ばす。

 

 その瞬間、チルタリスが真っすぐトゲ様に突っ込んできた。『ムーンフォース』は撃ち切るタイプの技故に、攻撃後の動き出しが早い。『エアスラッシュ』が『ムーンフォース』を貫いたことで、ハルカのポイントが10削られるが、おそらくそれはハルカの想定内。

 この勝負はあくまでおまけだ。

 本命は上空から勢いをつけた『とっしん』だろう。しかし、攻撃が読めている以上、『まもる』で防御は容易だ。防いだ後の一瞬の隙に、こちらの得意な怯みゲーに持って行ってやるぜ。

 

 トゲ様に『まもる』を指示する。だが、同時に、『ムーンフォース』の爆発を背に受けることでさらに加速し、チルタリスはトゲ様に突撃してきた。

 確かに、『まもる』は完全防御だが、ゲームと違ってタイミングがずらされると発動が間に合わないこともある。こちらの予想以上の速さで『とっしん』が直撃し、トゲ様が吹き飛ばされた。それにより、こちらのポイントが15削られていく。

 

 まさか、『ムーンフォース』が負けることも想定して、その爆発で加速してくるとは――即座に反撃しようとするも、再びチルタリスは『しろいきり』で姿を隠していく。『エアスラッシュ』で追撃をかけるも、ポイントを削る前にタイムアップになってしまった。

 

 僅か5ポイント差だがハルカの勝利が決定する。

 

 参った。まさか、こんなトンデモ殺法で『まもる』を突破してくるとはな。素直にハルカの策を称賛すると、照れたように頬をかいている。

 聞けば、全てを使って突撃することしか考えていなかったと言っていた。俺が負けたのは、この勢いに押されてしまったからかもしれないな。

 

 ハルカが表彰台でリボンを受け取ると、本当に嬉しそうな笑みを浮かべている。それを見て、トゲ様も悔しそうにしているが、付け焼刃とはいえトゲ様は一日でよくやってくれた。

 これで、俺はリボン四つ、ハルカもリボン三つになる。残りの大会に全て勝つことが出来れば、ギリギリで間に合うかもしれないな。

 

 

 

 13歳 λ月α日 『イの島はラーの翼神竜だな』

 

 イロハ三島という三つの島に寄ることになったのだが、この三島ではロの島とハの島の人達の仲が悪いらしい。

 おまけに、ロの島ではパールルがサクラビスに、ハの島ではパールルがハンテールに進化するという不思議な現象が起きているようで、その調査に来ていたオダマキ博士と再会した。

 

 博士と一緒に、それぞれの島にある水の成分を調べてみると、ロの島の水にはパールルをサクラビスに進化させるしんかいのウロコの成分が、ハの島の水にはハンテールに進化させるしんかいのキバの成分があるということがわかる。

 

 ロの島に住んでいるキクマという少年は、自分のパールルをハンテールに進化させたいようなのだが、ロの島の水はサクラビスになってしまうということでハの島に行きたいと言っている。だが、島の対立のせいで行けないらしい。

 ハの島に住んでいるナミヨという少女も、自分のパールルをサクラビスに進化させたいようなのだが、ハの島の水はハンテールになってしまうということでロの島に行きたいと言っている。だが、タクマと同じく島の対立があるせいで行けないと諦めていた。

 

 ならば、しんかいのキバとしんかいのウロコを持たせて通信交換すりゃいいじゃんということで、俺達で進化アイテムを探してやることにする。

 進化するための成分が水に含まれているということは、本体も存在するという証拠だ。みずタイプであるミロカロス、ミズゴロウさん、ヘイガニの力を借りて、各島で進化アイテムを探すと、二人をポケモンセンターのあるイの島まで連れて行って通信交換させてやった。

 

 しっかし、三つの島でポケモンセンターがイの島にしかないって、イの島以外の島はマジでパールルを進化させるくらいしか存在価値がないな。この近辺の学校も全部イの島にあるらしいし、もう全部イの島でいいんじゃないか?

 

 

 追記。キクマとナミヨがそれぞれ自分のパールルを進化させたことで、島同士の対立は鎮火したらしい。その程度で鎮火するなら、最初から対立なんかすんじゃねーよ。どうせ、イの島が一番なんだから。

 

 

 




 原作との変化点。

・第93話『パールルとバネブー! 真珠を探せ!』より、ハルカがバネブーを勧誘した。
 愛嬌があるし、前回コンテストに出てきたカナタとのことを考えればゲットしてもおかしくないと判断した。

・第94話『ジーランスと深海の秘宝!』より、大体こういうのに行くのはラティの役。
 乗り気ではないニューサトシの代わりに、行きたがってくれた。

・ひこうタイプ限定コンテストに参加した。
 オリジナルコンテスト。スランプを完全に乗り切ったハルカが勢いで押し切った。

・第95話『ハンテールとサクラビス! 進化の謎!』より、全部イの島でいいじゃんの結論が出た。
 水の性質以外は、全てがロとハの島の上位互換だった。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.61

 ピジョット Lv.57

 バタフリー Lv.56

 ドサイドン Lv.60

 フシギダネ Lv.57

 リザードン Lv.61

 カメックス Lv.57

 キングラー Lv.56

 カモネギ  Lv.56

 エビワラー Lv.57

 ゲンガー  Lv.58

 オコリザル Lv.56

 イーブイ  Lv.56

 ベトベトン Lv.56

 ジバコイル Lv.56

 ケンタロス Lv.56

 ヤドラン  Lv.55

 ハッサム  Lv.57

 トゲキッス Lv.54

 プテラ   Lv.57

 ラプラス  Lv.55

 ミュウツー Lv.74

 バリヤード Lv.56

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.54

 カビゴン  Lv.52

 ニョロトノ Lv.52

 ヘラクロス Lv.52

 メガニウム Lv.51

 マグマラシ Lv.51

 ラティアス Lv.47

 ヘルガー  Lv.51

 ワニノコ  Lv.51

 ヨルノズク(色違い) Lv.51

 カイロス(部分色違い) Lv.51

 ウソッキー Lv.51

 バンギラス Lv.59

 ゴマゾウ  Lv.49

 ギャラドス(色違い) Lv.49

 ミロカロス Lv.38→39

 ミズゴロウ Lv.42→43

 オオスバメ Lv.42

 ジュプトル Lv.42

 ヘイガニ  Lv.41

 フライゴン Lv.51

 コータス  Lv.41

 ラルトス(色違い) Lv.30




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#143 『もうお家帰っていいよ』

 13歳 λ月β日 『筋肉筋肉!』

 

 ガンガ島という島で、筋トレをしているイワシミズとかいうおっさんにダブルバトルを挑まれた。聞けば、このイワシミズはガンガ島では一度も負けたことがないらしい。

 そいつは是非とも負けさせてやりたいということで、向こうの出してきたヌオーとトドゼルガに対して、こちらはミズゴロウさんとジュプトルのコンビで挑戦することにした。

 

 レベル差は殆どないし、良いバトルが出来るのではないかと思っている。こちらは普段、あまり反りの合わない二人ではあるが、バトルになれば文句はないようで、いつでも戦えると背中が言っていた。

 

 ヌオーに対し、有利を持っているジュプトルがスピードでかく乱し、その隙を突いてミズゴロウさんがトドゼルガを足止めしている。

 トドゼルガのこおり技はジュプトルには効果抜群なのだが、ミズゴロウさんのディフェンスによって、その有利を上手く封じていた。

 

 ミズゴロウさんが時間を稼いでいる間に、ジュプトルがヌオーを倒すと、最終的には二対一でトドゼルガも戦闘不能にしていく。

 向こうの動きも悪くなかったが、ニューサトシのポケモンを相手にするならもう少し上手く立ち回らないと駄目だぜ。筋肉筋肉!

 

 イワシミズも、俺に負けたことで島の外には自分より強いトレーナーがたくさんいるとわかってくれたらしい。

 もう少し鍛えたらジム巡りをすると言っていた。今年はもう時間がないので無理だろうが、来年以降が楽しみである。

 

 

 

 13歳 λ月γ日 『カイオーガとグラードンね、ハイハイ』

 

 海の真ん中で潜水艦のようなものが浮上してきた。どうやらマグマ団の潜水艦らしく、当然のように近くにいた俺達の船に乗り込んでくる。

 ぶっちゃけ、マグマ団など餌でしかないので、今の手持ちであるピカ様、ミロカロス、ミズゴロウさん、ジュプトル、オオスバメ、ヘイガニの六体でボコボコにしてやることにした。

 

 最初は余裕をぶっこいていたマグマ団も、倒れた精鋭達が十人を超えた辺りで流石に慌て始め、最終的には船を沈めると言ってくる。

 確かに、こんな海の上で船を沈められたら困るが、幸か不幸かこの船に乗っているのは俺達と船長だけだ。ハルカにはチルタリスがいるし頑張ればタケシも乗せられるだろう。オオスバメも頑張ればマサトくらいなら乗せられるし、ラティも頑張れば俺と船長の二人は乗れるので、最悪は飛んで逃げることも出来なくもない。

 

 のだが、船長も出来れば船を失いたくはないだろうし、タイミングよく通信でマグマ団リーダーのマツブサが俺のことを名指しで招待したいと言ってきたので、とりあえずその招待に乗ってやることにした。

 

 そのまま奴らの潜水艦で、近くにあるマグマ団の基地まで連れて行って貰う。連れて行く際に、拘束しようとした奴らを遠慮なくニューサトシの電撃で倒すと、VIP待遇かと思えるくらいの部屋を用意してくれた。うむ、苦しゅうない。

 

 マグマ団の秘密基地に着くと、マツブサを始めとしたマグマ団メンバーが受け入れてくれたのだが、どうもマツブサはニューサトシのことを知っているようだった。

 聞けば、ロケット団を始め、散々マグマ団やアクア団の企みを潰したことで、裏の世界の危険人物リストに名を連ねているらしい。マツブサとしては、本来ならニューサトシのような爆弾は抱えたくなかったようだが、下っ端が先走ったせいで対応せざるを得なくなったということだった。

 

 こちらとしては、トクサネまで送ってくれればスルーしてやってもいいのだが、マツブサとしては何をするかわからないニューサトシを放置は出来ないと言っている。

 なら――と、こちらが戦意を漲らせるも、即座にマツブサは戦う気はないと両手を上げた。どうも、今ニューサトシを敵に回すのはアクア団との抗争に差し障りが出るということらしい。

 

 モンス島とやらで何かをする用事があるらしく、移動がてら再び潜水艦のVIP室で詳しい話を聞くことになったのだが、聞けば既にマグマ団はあいいろの玉と、古代ポケモンの一体であるカイオーガを手に入れているということだった。

 しかし、あいいろの玉で従えることが出来るのはグラードンである。また、マグマ団の理念的にもカイオーガは必要のないポケモンのはずだった。だが、マグマ団がカイオーガを入手したように、アクア団もまたべにいろの玉とグラードンを入手しているということで、超古代ポケモン同士のトレードに使うつもりでいるらしい。

 

 言われてみれば、アニメでもそんな話があったような気がしなくもないが、ぶっちゃけどうでもいいというのが本音である。

 

 素直に待ってやる義理もないし、深く考えるのも面倒くさいし、このまま暴れてやろうかと思ったのだが、その瞬間潜水艦に強い衝撃が走った。

 同時に、緊急と思わしき通信が入る。

 聞けば、カイオーガを捕獲していた場所で何か起きたらしい。どう考えても、カイオーガが脱出して暴れているとしか思えないが、その揺れで机の上に乗っていたあいいろの玉がこちらに飛んできたので、とりあえずキャッチしておいた。

 

 しかし、ニューサトシがあいいろの玉をキャッチした瞬間、まるで体の中に入るように玉が消えてしまう。同時に、脳内に何というかノイズのようなものが発生したが気合でねじ伏せた。精神攻撃に対する訓練もしているニューサトシに隙などない。

 

 っていうか、これってピカ様の役目ではなかったか? アニメでは暴走しているピカ様を見たような記憶がある。つい、自分でキャッチしてしまったが、もしかしたらやっちまったかもしれん。

 しかし、深く考えている時間はなかった。このままでは潜水艦が沈没しかねないので、とりあえず逃げることにする。

 

 あいいろの玉を取り返そうと向かってくるマグマ団の追っ手を蹴散らして大暴れしていると、どうも体内の玉が何かを訴えているような感じがしてきた。

 それに同調するように、ニューサトシの腕にグラードンの模様に似た文様が浮かび上がる。ラティが「かっこいい!」と声を上げるが、ニューサトシもちょっと格好いいと思ったのはここだけの秘密だ。

 

 とりあえず不調はないので大きな問題はないのだが、これが体内に入ったままではこのままトクサネに行くという訳にもいかないだろう。

 どうするか悩んでいると、マグマ団に潜入していたと思わしきジョウトチャンピオンのワタルと再会した。どうやら、ホウエンチャンピオンであるダイゴさんと協力してマグマ団とアクア団の企みを阻止しようとしているらしい。

 

 ワタルがマグマ団、ダイゴさんはアクア団に侵入しているということだったので、手始めに俺の中にあいいろの玉が入ってしまったことを話す。

 どうも、普通ならあいいろの玉の力に耐えられずに暴走してしまうらしいのだが、特に異常のないニューサトシを見てとても驚いていた。なんか、頑丈ですまん。

 

 どうやらマグマ団達は暴れるカイオーガに負けて飛行機で逃げたらしく、当のカイオーガもすぐにいなくなってしまったので、この潜水艦でモンス島に向かうことになった。

 ワタルが「きっと、その玉を出すすべを見つけてみせる」と気合を入れているが、ぶっちゃけ支障はないので最悪はこのままでもいい気がする。それよりもグラードンとカイオーガに関わる方が嫌なのだが、この状態の俺を放置は出来ないとワタルに言われた。まぁ、ですよね。

 

 

 

 13歳 λ月γ日 『すまん、グラードンくん』

 

 モンス島とやらに着くと、既にアクア団のアオギリがべにいろの玉でカイオーガを従えたようで、天候が大雨になっていた。

 とりあえず、津波が近づいてきていたので、ミュウツーにかき消して貰う。まだきずな化できるシンクロレベルではないが、まぁほぼ野生のカイオーガくらいなら通常状態でも問題なく倒せるだろう。

 

 と、いう訳で、ミュウツーにカイオーガの相手をお任せし、このままこの場にいるマグマ団とアクア団を壊滅させてやることにした。

 喧嘩両成敗ではないが、アクア団とマグマ団のどちらが正しいかなんて興味ないし、全員倒してしまうのが手っ取り早い。そう提案すると、ワタルは若干引いているようだった。とはいえ、チャンピオンが二人にニューサトシ一行がいれば倒せないレベルの相手ではないと考えたのか最終的には頷いている。

 

 そのまま、ピカ様を始めとしたホウエンメンバーでマグマ団を鎮圧していく。ワタルも開き直ったようで、カイリューやギャラドスを出してマグマ団を鎮圧し出した。

 それを見てか、通信を受けてかはわからないが、ダイゴさんもアクア団鎮圧に動いたらしく、遠くでメタグロスが暴れているのが見える。タケシはカントー時代にロケット団のアジトを俺と一緒に破壊したことがあるので、特に気にした様子もなく鎮圧に参加しているが、ハルカは初めてということもあってかなりテンパっていた。

 

 しかし、マサトがラティと一緒に上手い具合にアシストして、ハルカをカバーしている。

 どうやら、今回のラティはマサトのボディガードのようで、ラティアスフォルムで近づいてくる敵を笑顔でなぎ倒していた。

 

 そんなこんなで、ある程度の鎮圧を終えると、残るはアクア団のアオギリだけになったので、サクッと倒してべにいろの玉を奪い返す。

 どうも、ニューサトシのように体内に同化していたみたいだが、アオギリが倒れると同時に玉が飛び出て、まるで引き寄せられるようにニューサトシの方へ飛んできた。

 

 とりあえずキャッチすると、あいいろの玉同様にニューサトシの体内へと入ってくる。

 前回のあいいろの玉の時はノイズしか感じなかったが、カイオーガが動いていることもあってか、感覚的に近くにいるであろうカイオーガの意思を感じた。ぶっちゃけ、これ以上暴れられても困るので、そのまま海に帰れと命じておく。

 

 何やらノイズ音が聞こえたが、気合で命令すると玉からの反応がなくなった。しばらくすると、ミュウツーが帰ってくる。どうやらカイオーガは帰って行ったらしい。

 

 これで一件落着――と、思ったが、ミュウツーがアクア団の基地からグラードンの気配がすると言っている。そういえば、静かだから忘れていたが、グラードンはアクア団に捕まっていたんだっけか。

 

 そのままグラードンがいる所へ行くも、どうやら休眠状態のようで動く気配がない。

 ニューサトシの体内にあるべにいろの玉を通じて通信を計ると、ようやく目覚めたようでここはどこだとばかりに辺りをキョロキョロし出した。

 

 すまん、グラードンくん。もう事件は終わったからお家に帰っていいよ。

 

 

 追記。あいいろの玉とべにいろの玉を体内に入れたニューサトシだったが、結局玉は体から出て行かなかった。まぁ、グラードンとカイオーガが家に帰ってもう何も感じないし、たまに腕に文様が浮かぶ中二病体質になったと思えば問題はないだろう。たぶん。

 

 

 

 13歳 λ月δ日 『実はチャンピオンだった』

 

 ワタルとダイゴさんがトクサネまで自家用ヘリで送ってくれることになった。一応、今回の件のお礼ということだが、その表情はあまり良くない。

 どうも、ニューサトシの玉をどうにか出来なかった引け目があるようだった。とはいえ、勝手に入ってしまったものを彼らのせいにするつもりはない。

 

 それよりも、ダイゴさんがチャンピオンだったことに気付いたマサト達の方が問題だった。

 ワタルとダイゴさんが深刻そうな顔をしているから黙っているものの、何でチャンピオンだと黙っていたんですかと言いたげである。

 

 場を盛り上げるためにも、「マサト、言いたいことは言った方がいいぞ」と忠告すると、チャンピオンだったことを黙っていたダイゴさんに批判が殺到した。ただの石おじさんじゃなかったってことよ。

 

 

 

 13歳 λ月ε日 『ダブルバトルだ』

 

 トクサネシティに着いた。この借りはいずれどこかで返す――ということで、ワタルとダイゴさんの連絡先を半ば強制的にポケナビに登録されたニューサトシだが、気を取り直してそのままジムへガチ戦の申し込みをしに行く。

 しかし、ジムリーダーは今宇宙センターなる場所にいるということだったので、そのセンターに行ったのだが、そこではジムリーダーのランとフウが熱いシングルバトルをしていた。

 

 勢いでガチ戦を申し込むと、やはりトクサネジムはダブルバトルのジムのようで、それでよければ受けて立つと言われる。

 当然、ダブルバトルも大好きなので、ダブルバトルでガチ戦を申し込んだ。ルールは二対二の一本勝負、レベル制限はなしである。

 

 今日は宇宙センターで大事なロケットの打ち上げがあるということで、ガチ戦は明日行うことになった。

 少し急だが、どうもダブルバトルのジムはあまり人気がないのか、挑戦者が来る予定もないので別にいいらしい。なんかすまん。

 

 と、いう訳で、明日まで時間が出来たので、とりあえずバトル用の二体を選出することにした。

 

 マサトはフウに連れられてロケット操縦のシミュレーションをするらしいので、その場で別れて一度ポケモンセンターに戻る。

 ラティもロケットに興味があるようで、残る意思を見せた。ハルカもランと仲良くなったようで、女の子同士で仲良くお喋りしている。まぁ、タケシが保護者として残ってくれると言ってくれたし、何かあればすぐに連絡が来るだろう。

 

 ポケモンセンターでダブルバトル用にポケモンを転送して貰う。今回、ダブルバトルで選出したのはゲンガーとハッサムだ。ゲンガーの多彩な攻撃で場を荒らして、ハッサムのオラオラで全抜きする単純な策である。

 久しぶりのバトルだが、特に緊張はないようで二体共任せろという顔をしていた。流石はカントー時代から苦楽を共にしてきた者たちだ、面構えが違う。

 

 とはいえ、即興コンビであることに変わりはない。ちょっと動きを試そうということで、前のダブルバトルでイワシミズに勝ったミズゴロウさんとジュプトルのコンビとバトルさせてみることにした。

 ゲンガー、ハッサムコンビの方が少しレベルが高いので、俺の指示はミズゴロウさんとジュプトルコンビを中心とする。一人で四体に指示を出すのは大変だが、まぁあくまでも探りなので何とかなるだろう。

 

 いざバトルとなったのだが、俺が割とガチ目にミズゴロウさんとジュプトルに指示を飛ばしているというのに、ゲンガーとハッサムは落ち着いた動きをしている。

 こちらも不利という訳ではないが、前回のように余裕を持った動きが出来ずに、ミズゴロウさんとジュプトルもかなり汗を掻いていた。中盤、ハッサムが『むしくい』でジュプトルに有効打を入れると、そこから一気にゲンガーも攻めに移ってミズゴロウさんもボコボコにしている。うーむ、やはりまだ先輩に勝つのは難しかったな。

 

 逆に、ゲンガー、ハッサムコンビは思った以上に息が合っている。聞けば、オーキド研究所での自主練でダブルバトルの練習もしているらしい。

 何か、俺が指示してないことまでしっかりしていて少し怖いが、今回にしてみれば有難いことだった。このままの勢いで、トクサネジムのガチ戦も絶対勝ってやるぞ!

 

 

 追記。俺のいない間にロケット団とひと悶着あったようだが、ランとフウの助けもあって何とか撃退できたらしい。ようやっと、俺無しで撃退できるようになったか。

 

 

 




 原作との変化点。

・第96話『筋肉バトル!? ダブルバトル!!』より、ミズゴロウさんとジュプトルのコンビで倒した。
 原作ではピカ様とジュプトルだったが、ミズゴロウさんで余裕勝ちしている。

・ロケット団の船に乗らなかった。
 当然、偽物だと気付いたのでやなかんじーにしている。

・第97話『グラードンVSカイオーガ!(前編)』より、マグマ団の潜水艦とエンカウントした。
 本来であれば、前回にロケット団の偽物の船に乗った末にエンカウントするのだが、アトラクタフィールドの収束により普通にエンカウントした。

・マツブサに招待された。
 アニメでは捕まってしまうが、ニューサトシが全滅させる勢いでボコボコにしたので慌てて招待された。手荒い真似をしようとした団員はボコられ、VIP待遇で招待された。

・ニューサトシがあいいろ色の玉を吸収した。
 本来であればピカ様の役だが、つい咄嗟に取ってしまった。当然、精神耐性があるので玉の影響はほぼ無効化している。

・ダイゴさんも作戦に参加している。
 ホウエンの問題なのにダイゴさんがいない方がおかしい。

・第98話『グラードンVSカイオーガ!(後編)』より、とりあえずアクア団とマグマ団をほぼ壊滅させた。
 カイオーガはミュウツーに任せて残党を狩りつくした。リーダー二人を捕まえたので、アクア団もマグマ団も壊滅状態になっている。

・ニューサトシがべにいろの玉を吸収した。
 とりあえず吸収した。興奮すると、右腕にカイオーガの文様が、左腕にグラードンの文様が浮かび上がる。当然、浮かぶだけで他に意味はない。普通なら、玉の支配で苦しむのだが、ニューサトシには効かないので僕の考えた最強の中二病状態となっている。

・グラードンをお家に帰した。
 アニメでは玉と同化したピカ様の影響で目覚めるが、ニューサトシが玉を吸収して尚且つ制御していたため、静かに眠ったままだった。最初で最後の命令は、「もうお家帰っていいよ」だった。

・第99話『フウとラン! 宇宙センターの戦い!』より、ゲンガーとハッサムのコンビを選出した。
 改めてSVをやっていてハッサムの強さを再確認できた。今まではハッサムを雑に扱い過ぎていたと猛省している。バレパンオラオラが弱い訳ない。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.61

 ピジョット Lv.57

 バタフリー Lv.56

 ドサイドン Lv.60

 フシギダネ Lv.57

 リザードン Lv.61

 カメックス Lv.57

 キングラー Lv.56

 カモネギ  Lv.56

 エビワラー Lv.57

 ゲンガー  Lv.58

 オコリザル Lv.56

 イーブイ  Lv.56

 ベトベトン Lv.56

 ジバコイル Lv.56

 ケンタロス Lv.56

 ヤドラン  Lv.55

 ハッサム  Lv.57

 トゲキッス Lv.54

 プテラ   Lv.57

 ラプラス  Lv.55

 ミュウツー Lv.74

 バリヤード Lv.56

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.54

 カビゴン  Lv.52

 ニョロトノ Lv.52

 ヘラクロス Lv.52

 メガニウム Lv.51

 マグマラシ Lv.51

 ラティアス Lv.47→48

 ヘルガー  Lv.51

 ワニノコ  Lv.51

 ヨルノズク(色違い) Lv.51

 カイロス(部分色違い) Lv.51

 ウソッキー Lv.51

 バンギラス Lv.59

 ゴマゾウ  Lv.49

 ギャラドス(色違い) Lv.49

 ミロカロス Lv.39→41

 ミズゴロウ Lv.43→44

 オオスバメ Lv.42→44

 ジュプトル Lv.42→44

 ヘイガニ  Lv.41→43

 フライゴン Lv.51

 コータス  Lv.41→42

 ラルトス(色違い) Lv.30


 補足。あいいろの玉でグラードン、べにいろの玉でカイオーガが操れるのはアニポケ設定です。ゲーム等では違うかもしれませんが、この小説はアニポケメインなのでそのままでお願いします。





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#144 『誰が肉食動物やねん』

 13歳 λ月ε日 『トクサネシティ ガチ戦 VSラン&フウ』

 

 思えば、ダブルバトルのガチ戦はこれが初めてなので地味に楽しみである。ゲンガーとハッサムの調子も悪くないし、なかなか良いバトルが出来そうだ。

 そのまま、トクサネジムに行くと、ランとフウは既にスタンバイ済みのようだった。こちらもすぐにトレーナーゾーンへと移動し、早速バトルを開始する。

 

 ルールはダブルバトル、二対二でレベル制限はなし。どちらかのポケモンが全て戦闘不能になったら負けである。

 ランとフウは、アニメやゲーム同様にルナトーンとソルロックを出してきた。こちらはゲンガーとハッサムである。

 

 開幕、先制の『バレットパンチ』と『ダブルアタック』によるオラオラコンボをハッサムに指示すると、ランのルナトーンが『まもる』で防御してきた。

 しかし、ゲームとは違って、『まもる』は連続攻撃を防御出来ない。『ダブルアタック』の効果で追撃のオラオラを入れて、先制のダメージを入れてやる。

 

 ルナトーンが吹っ飛んでいく中、フウのソルロックが『かえんほうしゃ』でハッサムに攻撃を仕掛けてきたので、ゲンガーが『まもる』で防御に入る。

 その間に立て直したルナトーンが今度は『すなあらし』を発動させてきた。砂嵐状態になると、いわタイプのポケモンは特防が1.5倍になる。おまけに、はがね、いわ、じめん以外のタイプは定数ダメージを受けるので、なかなか面倒くさい状況になってきた。

 

 ゲンガーの特殊攻撃よりも、ハッサムの物理攻撃の方が相手への通りがいいので、予定通りにハッサムを主軸にバトルを組んでいくことにする。

 再び『バレットパンチ』と『ダブルアタック』の攻撃でルナトーンを狙いに行くが、今度は『まもる』からの『サイドチェンジ』で、ソルロックと位置を交換し、追加のオラオラをソルロックの『まもる』で完全に防がれた。

 

 返しの『かえんほうしゃ』で大ダメージを受けるのを避けるために、『でんこうせっか』でゲンガーの方へ撤退していく。

 同時に、『まもる』を使ったソルロックへ、ゲンガーに『のろい』をかけさせた。ポケモンの交代が出来ない中で『のろい』など受けさせる訳にはいかないと、再びランが『サイドチェンジ』で、技の途中で無理矢理対象を変更させるという荒業を使って、こちらの『のろい』を防いでくる。

 

 これにより、俺のゲンガーだけが無意味に体力を減らされてしまったので、『いたみわけ』でルナトーンの体力を分けて貰うことにした。

 とはいえ、ルナトーンも開幕のオラオラを少し受けているので、体力的には互いに六割と言った所だ。逆にハッサムとソルロックはまだまだ体力満タンなので攻め攻めだが、『まもる』と『サイドチェンジ』を使ったコンボで、オラオラは封じられてしまっている。

 

 双子だけあって、『まもる』でのカバーが神がかったタイミングだ。ダブルバトルでは、『まもる』はかなり重要な技ではあるが、ここまで上手く使う奴には初めて会った気がする。

 

 さて、どうするか――と、次の攻めを考えていると、フウのソルロックが『ほのおのうず』でハッサムの動きを封じてきた。

 技の威力自体は弱いが、四倍弱点なのでかなりのダメージだ。おまけに拘束技ということで、ハッサムの動きが封じられる。

 

 続けて、『かえんほうしゃ』で追撃をかけようとしてきたので、ゲンガーが『まもる』でカバーに入った。

 しかし、ゲンガーの『まもる』が終わったタイミングで、ルナトーンの『サイコキネシス』がゲンガーに襲い掛かる。効果抜群の一撃を受けて、ゲンガーが膝を付いた。即座にソルロックへ『いたみわけ』をするも、『まもる』で防がれてしまう。

 

 息の合ったコンビ攻撃で体力が削られていく。ハッサムもゲンガーも残り体力は1/3と言った所だろう。

 しかし、『まもる』、『すなあらし』、『サイドチェンジ』、『サイコキネシス』と、ランのルナトーンはこれで全ての技を使い切った。

 

 拘束中のハッサムに『はねやすめ』を指示して体力を回復させていく。が、その瞬間、フウがソルロックへ『かいふくふうじ』を指示してきた。

 この『かいふくふうじ』という技は、文字通り相手の回復技を封じるもので、当然『はねやすめ』も無効にされる。どうやら、向こうはこのまま短期で決着をつけるつもりのようだ。

 

 だが、『かえんほうしゃ』、『まもる』、『ほのおのうず』、『かいふくふうじ』で、フウのソルロックも全ての技を使い切った。

 こちらもハッサムが全ての技を使ってしまったが、これでこちらの行動を邪魔するものは何もない。望み通りに一気に決着をつけてやるぜ。

 

 ゲンガーに『ほろびのうた』を指示する。

 

 場に出ている全てのポケモンは三ターン後に戦闘不能になる音技だ。ポケモン交代の無い二対二では、一度受けたら終わりである。

 おまけに、この技は『まもる』でも防ぐことが出来ない。よって、この場の全てのポケモンに対して、滅びのカウントが始まった。

 

 ハッサムへ攻撃をさせないためにも、少しでもゲンガーに意識を集中させる。再度、『いたみわけ』で、『まもる』を使ったルナトーンを再び体力を割っていこうとするが、また『サイドチェンジ』からのソルロックの『まもる』で攻撃を防がれる。

 しかし、向こうもやられてばかりではなかった。即座にソルロックが『かえんほうしゃ』で動けないハッサムにとどめをさそうとしてくる。

 

 こちらもゲンガーの『まもる』でカバーに入るが、先程同様にルナトーンの『サイコキネシス』でゲンガーの体力が削られていく。

 だが、負けじと『いたみわけ』でルナトーンの体力を狙って行った。また『まもる』を使って防御されたが、『まもる』を使わせたことでサイキネはキャンセルされ、ギリギリでゲンガーの体力が残る。

 

 そして、ようやくハッサムの拘束が解除された。『まもる』を使ったルナトーンへ、必殺の『バレットパンチ』、『ダブルアタック』のオラオラコンボを決めていく。

 ランも『まもる』からの『サイドチェンジ』を指示して攻撃をかわそうとするが、二度目の『まもる』を失敗してルナトーンもダメージを受けていた。今までのように開幕の攻撃を防ぐことが出来なかったせいで、ルナトーンも技を使う余裕がなく、必殺のオラオラが一気に残り体力を削っていく。

 

 ルナトーンが戦闘不能になると、ソルロックが即座に『かえんほうしゃ』でハッサムを倒しに来た。

 だが、こちらのゲンガーの『まもる』で攻撃を防いだ。そのままフウが『ほのおのうず』で、さらにハッサムを狙ってきたので、ゲンガーがハッサムを吹っ飛ばして身を挺して攻撃を回避させる。物理的『サイドチェンジ』だ。

 

 代わりに、ゲンガーが『ほのおのうず』の直撃を受け戦闘不能になる――が、そろそろ『ほろびのうた』の限界時間が近かった。

 

 しかし、フウはニューサトシに余裕があることに首を傾げている。ふふっ、もう時間もないから教えてやろう。

 俺のハッサムは『ほのおのうず』の中で耳を塞いでいた。だから、戦闘不能にならない。ゲームと違って、音系の技は通常の特殊攻撃と違い、鼓膜を経由して相手に効果を与える。これは『あくび』がモーションを見ないと効果が発動しないのと同じだ。だから、音を遮断したハッサムは『ほろびのうた』の効果を受けていない。

 

 言ってしまえば、疑似的な『ぼうおん』である。とはいえ、当然だが、その程度では普通の攻撃はほぼ防げない。

 

 今回は、ゲンガーが耳を塞げば聞こえないくらいの音量で歌っていたから防ぐことが出来た。だが、距離が近かったり、声が大きかったりするだけで耳を塞いでも音が貫通する。実際、プリンさんの『うたう』はすごいみみせんじゃないと防御不能だしな。

 だから、通常の技の防御としては使えない。しかし、今回のように味方に効果を与えないような使い方をすれば、このように最高の結果をもたらしてくれる。ゲンガーが身を挺してもハッサムを守ったのは、『ほろびのうた』で倒れないことを知っていたからだ。

 

 これで、もう後は逃げるだけで勝ちだ。『でんこうせっか』で攻撃を回避しつつ、多少の時間を稼ぐと、ソルロックも戦闘不能になった。

 

 相手のポケモンが全て戦闘不能になったことで、俺の勝利が決定される。ゲームにはなかった技の穴を上手く利用した作戦だったが、割と上手くハマってくれたな。

 ランとフウは、『ほのおのうず』に囚われたハッサムが足掻かずにじっとしていたせいで、ハッサムの存在を意識から外してしまった。だからこそ、『ほろびのうた』の時に、耳を塞いでいたことに気付けなかったのだ。

 

 いくら『ほのおのうず』が苦手な拘束技とはいえ、ハッサムも無理をすれば突破することは出来た。

 だが、ゲンガーに意識を集中させ、相手の隙を狙い撃つために、ジッと動かず我慢していたのである。

 

 唯一、戦闘不能にならなかったハッサムが満足そうに立役者のゲンガーを起き上がらせた。

 思えば、これだけ奇麗にオラオラを決めたのは初めてかもしれない。改めて、ハッサムのバレパンが二連続で襲ってくるのはチートだな。

 

 ランとフウも悔しそうにしていたが、素直に勝者の証であるマインドバッジを渡してきた。

 何だかんだバッジも七個目だが、ホウエンリーグに出場する予定はないので、これも記念のバッジになるだろう。

 

 どうやらこの短い期間で、ハルカとマサトはランとフウと、かなり仲良くなったようで、別れるのを惜しんでいるようだ。

 しかし、まだコンテストやジムが残っているので旅は続く。名残惜しそうに手を振りながら、トクサネシティを後にした。

 

 

 

 13歳 λ月ζ日 『きずなチャレンジ』

 

 歩きながら、ミュウツーと心を一つにするために精神を集中させていく。ぶっちゃけ、今の俺達にはまだ過ぎた力であることはわかっているが、それでも一度体験してしまうと再現したくなるのが人の性というものである。

 きずなミュウツーになれないのは、心が一つになれていないからだ。あの時は、互いが一つになったかと思うくらい心が一つになっていた。あれを引き出せるようになれば、ミュウツー強化の選択肢が生まれるし、何とかモノにしたい。

 

 リザードンできずな化できるならミュウツーも余裕だろうと思うかもしれないが、リザードンとミュウツーではきずなの感覚が全然違うのだ。

 例えるなら、今まではバスケットボールの練習をしていたが、急にテニスをやらされているような感じである。ノウハウが全く違うというのは誰にでもわかるだろう。

 

 一度きずな化してしまえば後は同じなのだが、そこに至るまでの経緯がリザードンと違うので苦戦している。

 とはいえ、やることは変わらない。マスターボール内のミュウツーの気配を感じながら、心を一つにするために集中する。

 

 しかし、その瞬間、ポスっと頭に何かが乗ってきた。視線を上に向けると、黒いツンがボールから出てきたようで俺の頭に乗っている。

 

 これでは集中できないが、逆にこの状態でも集中できるようにならないと意味がないと考え、敢えてラルトスには触れずに集中する訓練を続けた。

 集中し過ぎて何かにぶつかりそうになると、それとなくラルトスが強く頭を踏んでくれる。何だかんだ、少しずつ心を開いてくれるような気もするが、それを言ってもそっぽを向くだけなので心の中に留めておくことにした。

 

 やっぱ、優しいツンだぜ!

 

 

 

 13歳 λ月η日 『誰が肉食動物だ』

 

 とある港でホウエン組のレベリングがてらトレーナーとバトルしていると、ホウエン地方の四天王であるゲンジとバトルすることになった。

 どうも野良バトルで連戦連勝のニューサトシにお灸をすえるつもりらしい。まぁ、理由はともかく、四天王とバトルできる機会などそうないので、全力でバトルをすることにした。

 

 勝負は二対二のシングルバトル。とはいえ、今の手持ちでゲンジの相手になりそうなポケモンは、ピカ様、ミュウツー、ラティくらいのものだ。

 記憶が正しければ、ゲンジはワタルと同じドラゴンタイプの使い手だったはずだし、ラティでは少し分が悪い。本人も今回は応援に回るつもりのようだし、ここは素直にピカ様とミュウツーで挑戦することにした。

 

 開幕、ゲンジはコモルーを出してくる。レベルはなかなか高いが、ボーマンダにも進化していないポケモンを出してくるということはこちらを舐めているということだ。

 遠慮なくミュウツーを出して『れいとうビーム』でワンパンしていく。本気でやる気がないなら、例え四天王でも容赦はしない。そのまま、何も出来ずにやられてくれ。

 

 まさかコモルーがワンパンされるとは思わなかったのか、「自信を持つことはいいことだが、度が過ぎると見えるものも見えなくなってしまう――そう忠告するつもりが、まさか自分の身で体験することになるとはな」と苦笑いしていた。

 四天王で格上だからこそ、ゲンジは手加減をしようとしてくれたのだろうが、俺にしてみれば手抜きにしか思えない。だからこそ、敢えてワンパンしてやった。

 

 ゲンジの表情が変わった。どうやら本気になったようで、次のポケモンには進化系のボーマンダを出してくる。コモルーとは明らかにレベルが違う。どうやら、本気ポケモンのようだ。

 このままミュウツーで戦ってもいいのだが、最近はミュウツーⅦやカイオーガといった大物とバトルしているし、最近野良バトルくらいしか出番のないピカ様に譲ってあげることにした。

 

 ゲンジには温存と見えるかもしれないが、俺はピカ様でこのバトルを終わらせるつもりである。

 ボーマンダはドラゴンタイプだが、ひこうタイプが入っているのででんき技は等倍だ。開幕、完成度七割の『ばちばちアクセル』で先制を仕掛けていく。まだ七割なので、急所率は良い所半分と言った所だが、急所無しでもボーマンダにもそこそこのダメージを与えることが出来ていた。

 

 返しの『ドラゴンクロー』を『アイアンテール』で受け流す。そこで、ゲンジもピカ様がただのピカチュウではないことを理解したようで、『ドラゴンダイブ』で一気に突撃してきた。

 こちらも『ボルテッカー』で受けて立ったが、技の威力はこちらが上でも攻撃力は向こうの方が上のようで押し返される。流石に四天王のポケモンだ。そう簡単には勝たせてくれないな。

 

 対格差もあるし、力と力のぶつかり合いでは分が悪い。遠距離から得意の『10まんボルト』で攻撃を仕掛けていくが、ボーマンダも得意の飛行技術で攻撃を回避し、そのまま距離を詰めてくる。

 先程、『ドラゴンダイブ』がほぼ相打ちだったことで、ゲンジも力押し出来ると判断したのか、『げきりん』で一気に勝負を決めに来た。パワーが有り過ぎて、『アイアンテール』でも受け流すのが難しいのは一目でわかる。

 

 ならば、こちらも『10まんボルト』を帯電した疑似ボルテッカーと、正規の『ボルテッカー』の合わせ技で一気に勝負に出ることにした。

 先程よりも威力の上がったデュアルボルテッカーが、ボーマンダの『げきりん』とぶつかり合い、互いに吹き飛んでいく。これでも互角かよ。

 

 しかし、『げきりん』や『ドラゴンダイブ』と違って、『ボルテッカー』は反動ダメージを受ける。パッと見は相打ちでも、少なくないダメージがピカ様に蓄積していた。

 だが、ピカ様も怯まずに、カウンターシールドの『10まんボルト』で『げきりん』状態で突っ込んでくるボーマンダを迎撃する。電撃を受けて一瞬体が硬直したことで、何とか攻撃を回避することが出来た。

 

 そのまま、『10まんボルト』で一気に勝負を決めに行く。しかし、ゲンジもまた、『げきりん』の後遺症で混乱しているボーマンダに『りゅうせいぐん』を指示してきた。

 ドラゴンタイプ最大の特殊技だ。

 混乱しているボーマンダだが、しっかりと狙いを定めて『りゅうせいぐん』を放った。同時に、『10まんボルト』がヒットするも、まだ戦闘不能には持っていけない。

 

 上空から降り注ぐ流星を無視する訳にもいかないので、途中で攻撃をキャンセルしてピカ様が『りゅうせいぐん』を回避していく。

 どうやら、その間に混乱を解除したようで、逃げ回るピカ様の先へ回り込むように、再びボーマンダが『げきりん』を打ち込んできた。

 

 前からは『げきりん』、後ろは『りゅうせいぐん』で逃げ場はない。

 

 ならば、倒す。

 

 踏み出す一歩が、ピカ様の『ばちばちアクセル』を再び発動させた。

 

 勝利のために必要なものは、前に進む勇気だ。ボーマンダの『げきりん』を回避し、雷光の一撃にて体力を削り切る。土壇場で使った『ばちばちアクセル』は100%の出来だった。

 

 ただ、四天王という言葉は伊達ではなかった。

 

 こちらが体力を削り切る前に、二発目の『げきりん』を打ち込んでくる。

 

 吹き飛ばされるピカ様――だが、ギリギリで受け身を取っていた。

 

 対するボーマンダは、『ばちばちアクセル』の一撃で戦闘不能になっている。

 

「――見事」

 

 ゲンジがそう呟くと、ボーマンダをボールに戻した。

 

 このボーマンダがエースかどうかはわからない。

 

 しかし――俺は初めて、四天王の本気ポケモンの一体を戦闘不能にした。

 

「勝った……」

 

 よろけながら立ち上がるピカ様を抱き上げる。

 

「勝ったぞ!!」

 

 俺達は遂に頂に足をかけた。その実感を得た。

 

 ピカ様も嬉しそうな顔をしている。実際、最後の『ばちばちアクセル』が完成していなかったら決めきれなかっただろう。たまたまかもしれないが、あそこで決めきれたのはこれまでの練習があったからこそだ。

 

 ゲンジも最初は調子に乗っている若者に忠告してやろうくらいの考えだったのだろうが、思わぬガチバトルでの敗北に何とも言えない表情をしている。

 そんなゲンジを見て、マサトがニューサトシが去年のジョウトリーグ優勝者、チャンピオンズリーグベスト10だということを話すと、「将来有望なトレーナーだとは思ったが、その実獅子の類であったか」と苦笑いしていた。

 

 おいおい、誰が肉食動物やねん。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・第100話『トクサネジム! ソルロックとルナトーン!』より、コンビネーションン防御が売りだった。
 ポケモンの性能は普通だが、双子ならではのコンビネーションが売り。今回は防御に重きを置いている。実際、普通のタッグバトルで、『まもる』、『サイドチェンジ』、『まもる』などそう上手くは行かない神業である。

・音系の技は鼓膜を作用して効果が働く。
 オリジナル設定。普通に耳栓するくらいでは当然防げないが、使う側が音量を下げれば耳を塞いで防御可能。ジョウトで、竹中エンテイにほろびのうたが効かなかったのは体が結晶で出来ているから(後付け設定)。

・ガチ戦なので、しっかりバトルした。
 アニメでは双子が喧嘩したり、かみなりでピカ様とオオスバメがスーパーモードになったりと、いろいろドタバタしていたが、ガチ戦なので全てカットされている。

・きずなチャレンジ。
 きずな化出来ないか挑戦中。きずな化突入までの感覚がリザードンと違うので苦戦している。突入後の感覚は一緒なので、入りさえすればどうとでもなる。

・サカキ様のキーストーンと、ミュウツーⅦのメガストーンについて。
 結構気になる人が多かったので、こっちで補足。あの時はきずな化の全能感もあって、回収するという考えをニューサトシが抱かなかった。ので、サカキ様のキーストーンも、ミュウツーⅦのメガストーンもそのまま本人達が持ったまま。

・黒いラルトスが少し心を開いて来ている。
 まだまだツンだが、少しずつ一緒にいる時間が増えてきた。

・第101話『海の男! 四天王ゲンジ登場!!』より、ゲンジと本気のバトルをした。
 バトルするまでの流れはアニメと一緒で、野良トレーナーを倒して調子に乗っている所を声をかけられた。とはいえ、相手が四天王だとわかった瞬間、ニューサトシのガチスイッチが入ったので、コモルーをミュウツーで瞬殺している。同時に、ゲンジのスイッチも入った。

・ニューサトシがゲンジに勝った。
 ガチのバトルで四天王に初めて勝った。カンナ戦は向こうが手加減して引き分け、シバは二連敗、シロナ、カルネには敗北。ピカ様の全てを出して勝利した。

・ばちばちアクセルはまだ未完成。
 今回はたまたま上手く行っただけでまだ未完成。しかし、でんこうせっかよりは使い勝手がいいので、これからは先制技として使っていく予定。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.61→62

 ピジョット Lv.57

 バタフリー Lv.56

 ドサイドン Lv.60

 フシギダネ Lv.57

 リザードン Lv.61

 カメックス Lv.57

 キングラー Lv.56

 カモネギ  Lv.56

 エビワラー Lv.57

 ゲンガー  Lv.58→59

 オコリザル Lv.56

 イーブイ  Lv.56

 ベトベトン Lv.56

 ジバコイル Lv.56

 ケンタロス Lv.56

 ヤドラン  Lv.55

 ハッサム  Lv.57→58

 トゲキッス Lv.54

 プテラ   Lv.57

 ラプラス  Lv.55

 ミュウツー Lv.74

 バリヤード Lv.56

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.54

 カビゴン  Lv.52

 ニョロトノ Lv.52

 ヘラクロス Lv.52

 メガニウム Lv.51

 マグマラシ Lv.51

 ラティアス Lv.48

 ヘルガー  Lv.51

 ワニノコ  Lv.51

 ヨルノズク(色違い) Lv.51

 カイロス(部分色違い) Lv.51

 ウソッキー Lv.51

 バンギラス Lv.59

 ゴマゾウ  Lv.49→50

 ギャラドス(色違い) Lv.49→50

 ミロカロス Lv.41

 ミズゴロウ Lv.44

 オオスバメ Lv.44

 ジュプトル Lv.44

 ヘイガニ  Lv.43

 フライゴン Lv.51

 コータス  Lv.42

 ラルトス(色違い) Lv.30


 ほろびのうたとのろいは、まもるで防げないとご指摘があったので、内容を一部修正しました。にわか知識で書いているので、とても助かりました。ありがとうございます。




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#145 『やっぱロケット団はズルい奴らだぜ』

 13歳 λ月θ日 『ズルい』

 

 ウェルズ島という、昔ながらの大自然が残っている島に立ち寄ったのだが、そこでホウエンの化石ポケモンであるリリーラやユレイドルを見つけた。

 島で古代ポケモンの研究をしているというモロボシ博士と妻のアンヌによると、このポケモン達は全部化石から復活させたらしい。ユレイドルは地味に好きだからほしいのだが、流石にゲットは禁止しているようなので諦めるしかないだろう。

 

 しかし、いつものように俺達の後をついてきたロケット団によって、アーマルドとユレイドルがゲットされてしまった。

 アーマルドはムサシが無理やり捕まえたようだが、どうもユレイドルはコジロウのくさポケモン体質によって気に入られたらしい。

 

 ユレイドルを取られたのが少し悔しかったので、モンスターボールを破壊して古代ポケモン達を自由にしてやろうかとも思ったが、ヤバいと思ったロケット団が自爆して逃げていった。

 いつものようにやなかんじーと叫んでいたが、満面の笑みだったので絶対にやなかんじではない。くっそー、こういう場所のポケモンをゲットするなんて、やっぱロケット団はズルい奴らだぜ。

 

 

 追記。ロケット団とのバトルで、ハルカのフシギダネが『はなびらのまい』を覚えていた。俺のフシギダネも覚えていない技だ。地味にすごいぞ。

 

 

 

 13歳 λ月ι日 『いけ好かない奴』

 

 イザベ島にあるプリカシティでポケモンコンテストがあるということで寄って行くことにした。

 ハルカは今回のコンテストは新しく技を覚えたフシギダネで出ると言っている。こちらはラティが死ぬほど出たがっているので、今回のコンテストはラティで出ることにした。

 

 船に乗り込むと、ノクタスをイメージした緑色の服を着たポケモンコーディネーターであるハーリーとかいう奴が話しかけてくる。どうも、オカマ口調で自信家のようだが、欠片も名前は聞いたことがない。

 どうやら、相棒のノクタスが自慢のようだが、俺もハルカも全然知らないので素直に「知らない」と話すと、あからさまに気に入らないという顔をしてきた。

 

 その後も少し話をしたが、どうも会話が合わないようで、首を傾げながら去って行く。

 確か、こいつもシュウと一緒でアニメで出てきたような気がする。どんな奴だったかまでは覚えていないが、いけ好かない奴だしハルカ用のかませキャラかもしれん。

 

 

 

 13歳 λ月κ日 『ポケモンコンテスト プリカ大会』

 

 何というか、今までの大会で一番面白くない大会だった。

 

 参加者のレベルがそこまで高くなかったということもあって、俺やハルカ、ハーリーは一次審査を余裕で突破したのだが、二次審査でハルカとハーリーのコンテストバトルが始まると、不利になったハーリーが情報戦を仕掛けてきたのだ。

 

 どうも情報源はマサトのようなのだが、幼い頃にハルカが海で遊んでいた時、青い水着と青い帽子をつけていたことでメノクラゲの大群に囲まれてしまい、沖にいた両親に助けを求めたとのことなのだが、遠くにいたせいでメノクラゲと間違えられてゲットされそうになったことがあるらしい。

 

 まぁ、言ってしまえば笑い話だが、暴露された本人は顔から火が出るくらい恥ずかしいようでバトルに精彩を欠いている。

 正直、いつものハルカなら十分に倒せる相手だが、集中を欠いているせいでポイントが逆転され、焦りや羞恥からさらに動きが荒れるという悪循環に陥っていた。

 

 仕方ない。これでこけられても面白くないということで、パン――と、一回拍手をすると、ハッとハルカが両手を見て、静かに手を合わせる。

 そこでようやく集中を取り戻したようで、改めて新技の『はなびらのまい』を決めてノクタスからポイントを奪い返し、そのままバトルに勝利していた。

 

 ただ、そこまでは良かったのだが、ファイナルステージではもうフシギダネのスタミナが残っておらず、ラティの猛攻の前になすすべもなくやられてしまっている。

 うーむ、情報戦も立派な戦略の一つだ。引っかかるハルカが悪かったとはいえ、あそこでの無駄なダメージがなければフシギダネももっと余裕を残していただろうし、もう少し俺もコンテストを楽しめたんだがなぁ。

 

 まぁ、これもいい経験か。

 

 ぶっちゃけ、俺としてはあまり面白くなかったが、ハルカにはいい経験になっただろう。それに、これによって俺のリボンは五個になってグランドフェスティバルへの参加権を手に入れた。

 ハルカは残り二つ――後ひと月も残っていないので、そろそろ焦って来る時間である。もう何回もコンテストも残っていないだろうし、次負けたらグランドフェスティバルには参加できないかもしれないな。

 

 

 追記。そういえば、コンテストだというのにムサシの姿が見えなかった。もしかしたら、もうリボンを集め終わったのかもしれないな。

 

 

 

 13歳 λ月λ日 『巨大ポケモン? まーたポケモニア文明か?』

 

 イザベ島にある滅びの谷と呼ばれる場所を通りがかると、山頂に石のようなもので出来た巨大なモンスターボールを見つけた。

 偶然知り合ったシゲモリとかいう爺さんによると、これはかつて世界を滅ぼそうとした大いなる力を封印するためのものらしい。とはいえ、実際にこの中にその大いなる力とやらが封印されている訳ではないようで、今は湖にあるもう一つの巨大モンスターボールの中に眠っているということだった。

 

 経験上、この手の滅びを示唆する昔のものは大抵ロクなものじゃない。マサトは興味津々だったが、触らぬ神に祟りなしということで、さっさとここから移動することにした。

 のだが、嫌な予感というものは当たるもので、どうも話を盗み聞きしていたロケット団が封印を解いてしまったようで、湖のモンスターボールの中から巨大なネンドールのようなポケモンが出てきたらしい。

 

 とりあえず、余計なことするんじゃねぇということで、サクッとロケット団をやなかんじーにしてやった。

 

 ぶっちゃけあまり関わりたくはないが、このまま放置も出来ないので、毎度お馴染みのミュウツー先生にお願いして、この巨大ネンドールをどうにかして貰う。

 思えば、こいつを最初に使ったのも、古代ポケモニア文明の巨大ゲンガーと巨大フーディンが相手だったなぁと思いつつ、『サイコキネシス』で滅びの谷の山頂にあるモンスターボールの中へ、巨大ネンドールを再封印した。

 

 しっかし、ロケット団も懲りねぇ奴らだな。また古代ポケモンの生贄にされても今度は知らねーぞ。

 

 

 

 13歳 λ月μ日 『あ、これだ』

 

 森の中で、クチートを連れたリボンダンサーのサヨリに出会った。どうも、クチートはタケシのハスブレロに一目惚れしてしまったようで、いろいろとアプローチをかけてくる。

 ハスブレロは進化して少し陽気になったものの、基本的にマイペースな性格なので全く気にも留めていないのだが、どうもそんな所が良いようでクチートも変わらずアピールを続けていた。また、そんなクチートに俺のヘイガニが一目惚れしてしまったようなのだが、完全な陽キャは趣味じゃないとばかりにそっぽを向いている。

 

 ふと、前に勝ち抜きファミリーとバトルした際、マサトが失恋を煽られたことを思い出したのか、今回はマサトがヘイガニを慰めるフリをしながら失恋を煽っていた。

 

 その後、近くの街でサヨリのショーを見て行くことになったのだが、毎度お馴染みロケット団がクチートを奪おうとしてきたので、いつものようにやなかんじーにしている。

ロケット団を撃退したことで、無事にショーは始まったのだが、途中ハスブレロがサヨリのリュックの中から見つけた水の石でルンパッパに進化してしまう事件が起きた。進化してパリピになってしまったことで、ルンパッパはクチートの好みではなくなったようで、ヘイガニ同様に振られている。

 

 あ、このマラカスが似合う陽気な感じ。俺の薄れつつある記憶の中のルンパッパのイメージと一致したわ。やっぱり、こいつだったんだな。

 

 

 

 13歳 λ月ν日 『やっぱフライゴンは最高だぜ』

 

 イザベ島を歩いていると、どうも道を間違えたようでポケモンレンジャーをしているアキコに呼び止められた。

 アキコによると、ここはナックラーの巣穴がある区域のようで、危険があるから本来なら一般人は立ち入りを禁止しているらしい。

 

 安全な区域まで送ってくれるということで、お言葉に甘えることにしたのだが、途中でナックラーを専門に研究しているヘイハチローとかいうアキコの幼馴染に出会った。

 ヘイハチローによると、ナックラーの巣穴は地下で繋がっていて、その巣穴は地底湖まで続いているのだということだ。なるほどねーと頷いていると、いつものようにロケット団が現れてこちらのポケモンを奪おうとしてくる。

 

 いつもなら即やなかんじーにしておしまいなのだが、どうも乗ってきた変なメカがナックラーの巣穴に落ちてしまった。あーあと思ったが、こちらもラティが足を滑らせて下に落ちてしまっている。

 仕方ないので、俺達も地下に降りることにした。とりあえず、そのまま地下を探索するとヘイハチローが言っていた地底湖らしき場所へとたどり着く。

 

 そこでは丁度ナックラー達が進化する所だったようで、一斉にビブラーバへと進化していた。

 こういう野生のポケモンの中には、ある程度のレベルになるとこうして集団で進化する奴がいるがナックラーもそういうタイプだったらしい。

 

 進化の神秘は何度見てもいいものだ。と、頷いていると、再びロケット団が現れたので、ビブラーバ達と一緒にやなかんじーにしている。

 どうも、ロケット団を撃退したことで、俺達はいい人認定されたらしく、ビブラーバ達が地上まで運んでくれることになった。地上に送って貰う途中、ふとこのビブラーバもいつかフライゴンに進化するんだと思うと胸が熱くなる。いいね、やっぱフライゴンは最高だぜ。

 

 

 

 13歳 λ月ο日 『アブソルは優しすぎるぜ』

 

 近くにあるリアド村という村に立ち寄ることにしたのだが、その前に渡ろうとした橋が崩れて危うくピカ様が川に落ちる所だった。

 ふと、前を見ると、野生のアブソルがこちらを見ていたので手を上げておく。アブソルは災いポケモンと呼ばれているが、災いを呼ぶのではなく、災いを知らせるポケモンだ。きっと今もピカ様の危機を教えようとしていたのだろう。もう少し早く気づいていれば、橋が崩れるのも推測できたかもしれないな。

 

 そのまま、リアド村に着いたのだが、何か雰囲気が良くない。聞けば、最近災いが多く起きており、その全てがアブソルのせいだとか抜かしている。

 あまりにムカついたので、ふざけんなと文句を言ってやった。こういう、起きた問題を全てポケモンにするような奴らがニューサトシは大嫌いなのである。

 

 勿論、中には本当にポケモンが問題を起こしている場合もあるが、今回のようにアブソルがそこにいただけで全てアブソルのせいというのは暴論だ。

 先程書いた通り、アブソルは災いを教えてくれるポケモンである。おそらく、アブソルはこの村に危険が迫っているのを知らせているのだろう。だが、助けようとしている人間がこの様ではアブソルも救われないな。

 

 俺はアブソルほど優しくないので、この村がどうなろうと自業自得ということで、そのまま去ろうとしたのだが、街を出た所でアブソルが再び現れた。

 また危険を教えてくれるのかとも思って、ボディランゲージで会話を試みてみると、どうも近くの谷の水脈に異常が起きているようで、この村に水害が発生しかねないと言っている。

 

 ぶっちゃけ、この村のために何かしてやる義理は欠片もないのだが、アブソルが助けてやってくれと訴えてくるので仕方なく助けてやることにした。

 ミュウツーのサイキネで大岩を操作し、水脈から溢れそうになっている水をせき止める。とりあえず、これで問題はなくなったとわかると、アブソルはまた姿を消していった。

 

 おそらく、村の人間はアブソルのおかげで助かったことにも気づかずにまた何か起きればアブソルのせいにするのだろう。

 全く持って救いようのない連中だ。まぁ、仮にアブソルのおかげとわかって手のひらドリルされてもムカつくだけだけどな。全く、アブソルは優しすぎるぜ。

 

 

 

 13歳 λ月π日 『人懐っこいユキワラシ』

 

 雪山のポケモンセンターで野生のユキワラシに出会った。どうもイタズラ好きのようで、俺の私物を取って困らせようとしてくる。

 悪気がないのは伝わるので好きなようにさせておくと、帽子を持って逃げて行ってしまった。おそらく、追いかけっこがしたいのだろう。適当に後を追いかけると、嬉しそうに逃げていく。

 

 随分人懐っこいユキワラシだなぁと思いつつ、しばらく追いかけっこに付き合っていると、天候が変わって雪が降り出した。

 これはまずいと思って、ユキワラシを捕まえてポケモンセンターに戻ろうとするも、途中で吹雪になって前が見えなくなってしまう。

 

 どうするか――と、困っていると、ユキワラシがせっせとかまくらを作り出した。成程、即席の避難所ということか。

 また、かまくらを作り終えると、自分が皆を呼びに行くとばかりに、帽子を持ったままポケモンセンターの方へ戻って行ってしまった。

 

 吹雪の中では流石に動けないのでユキワラシの帰りを待つことにする。しばらくして、吹雪が止んだので外に出てポケモンセンターの方へ歩いていると、ユキワラシがタケシ達を連れて来てくれていた。

 ありがとなと、ユキワラシにお礼を言っていると、いつものようにロケット団が現れたのでやなかんじーにしている。

 

 どうもすっかり懐いてしまったようで、一緒に旅に行きたいと訴えてきた。そういえば、あまり印象に残っていなかったが、サトシ君はオニゴーリを持っていたような記憶がある。

 こおりタイプはラプラスとクリスタルのイワークくらいしかいないし、仲間にするのは有りだ。と、いうことで、ゲットしようとしたのだが、その前にバトルがしたいと訴えてくる。なかなか好戦的な所もいいねということで、ミズゴロウさんでお相手することにした。

 

 ユキワラシもそこそこやるが、流石にニューサトシのミズゴロウさんに勝てるレベルではないので、そのまま体力を削ってボールを投げる。

 抵抗する気はないようで、一瞬でゲットされた。一度、ミロカロスをオーキド研究所へ送り、ユキワラシを手持ちに加える。ボールから出すと、楽しそうにコサックダンスをしていた。ラティも真似しようとしているが、難しいようで転んでいる。

 

 ユキワラシは分岐進化でユキメノコにも進化するが、ユキメノコは♀しか進化出来ないという条件がある。

 残念ながらニューサトシのユキワラシは♂なので、原作通りにオニゴーリに進化することが決定した。夢特性の『むらっけ』なら面白いのだが、残念ながら通常特性のようだ。

 

 

 




 原作との変化点。

・第102話『ドクター・モロボシの島! 化石ポケモン現る!』より、ロケット団がアーマルドとユレイドルをゲットした。
 原作では進化したばかりのアーマルドのパワーにゲット失敗に終わるが、ムサシの実力が上がっているので普通にゲットした。コジロウの場合は近くにいたユレイドルと遊んでいたら、いつの間にか仲良くなっていた。ニューサトシが死ぬほど羨ましがっている。

・第103話『イザベ島ポケモンコンテスト! ライバルに気を付けろ!!』より、ニューサトシが優勝した。
 原作ではハルカがハーリーを倒して優勝だが、ニューサトシが漁夫の利を得ている。これでニューサトシはリボンが五つになったのでグランドフェスティバルの参加権を入手した。

・第104話『巨大ネンドールを封印せよ』より、ミュウツーが巨大ネンドールを封印した。
 ミュウツーを初めて使った頃を思い出した。おかげで、コスプレしたり、ソーナンスが女装するくだりはカットされた。

・第105話『恋するクチート! ハスブレロの花道!!』より、ニューサトシの記憶に合ったルンパッパになった。
 これこそルンパッパである。

・第106話『ナックラーとビブラーバ! 幻の湖!』より、いずれフライゴンになると思うとワクワクした。
 ニューサトシはフライゴン先輩を持っているのでゲットする気はないが、やはり好きなポケモンが進化する所を見るのは楽しい。

・第107話『アブソル! 忍び寄る災いの影』より、アブソルに村を助けるように懇願された。
 アブソルの頼みがなければ、村は水没していた。アニメではアブソルの理解者がいるが、出会う前にニューサトシがキレて村を飛び出したので出会うことはなかった。実はニューサトシがアブソルの頼みで村を守ったのを陰ながら見ていたので、その後の村ではアブソルの偏見はなくなった。

・第108話『ユキワラシを捕まえろ!』より、バッジケースではなく帽子を取られた。
 正確には帽子を取らせた。バッジケースは取る隙を与えなかったが、帽子はわざと取らせてユキワラシと遊んだ。仲良くなったので、ゲットした。♂なのでオニゴーリも進化予定。


 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.62

 ピジョット Lv.57

 バタフリー Lv.56

 ドサイドン Lv.60

 フシギダネ Lv.57

 リザードン Lv.61

 カメックス Lv.57

 キングラー Lv.56

 カモネギ  Lv.56

 エビワラー Lv.57

 ゲンガー  Lv.59

 オコリザル Lv.56

 イーブイ  Lv.56

 ベトベトン Lv.56

 ジバコイル Lv.56

 ケンタロス Lv.56

 ヤドラン  Lv.55

 ハッサム  Lv.58

 トゲキッス Lv.54

 プテラ   Lv.57

 ラプラス  Lv.55

 ミュウツー Lv.74

 バリヤード Lv.56

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.54

 カビゴン  Lv.52

 ニョロトノ Lv.52

 ヘラクロス Lv.52

 メガニウム Lv.51

 マグマラシ Lv.51

 ラティアス Lv.48

 ヘルガー  Lv.51

 ワニノコ  Lv.51

 ヨルノズク(色違い) Lv.51

 カイロス(部分色違い) Lv.51

 ウソッキー Lv.51

 バンギラス Lv.59

 ゴマゾウ  Lv.50

 ギャラドス(色違い) Lv.50

 ミロカロス Lv.41

 ミズゴロウ Lv.44

 オオスバメ Lv.44

 ジュプトル Lv.44

 ヘイガニ  Lv.43

 フライゴン Lv.51

 コータス  Lv.42

 ラルトス(色違い) Lv.30

 ユキワラシ Lv.35 NEW!




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#146 『この二人はいい関係になる』

 13歳 λ月ρ日 『フェアリータイプ専用コンテスト』

 

 グランドフェスティバルまで残り日数も少ないということで、急遽この街でやるというフェアリータイプ限定コンテストに寄って行くことになった。

 このフェアリータイプ限定コンテストもきちんとリボンが貰えるらしい。ひこう限定の時もそうだが、みずタイプ限定コンテストとの差が有り過ぎて泣けてくる。

 

 ハルカの今の手持ちは、ワカシャモ、ルリリ、コドラ、アゲハント、エネコ、チルタリス、フシギダネ、バネブーだ。

 原作に比べてもかなり充実しているが、フェアリータイプを持っているのがルリリだけなので実質選択肢は一択である。ルリリも久しぶりのコンテストに気合が入っているようだった。前にカスミさんに貰ったリボンが可愛く揺れている。

 

 気合を入れて参加申し込みをした後、いつものように演技の確認をしていると、ルリリの体が光ってマリルに進化した。

 ルリリからマリルへの進化はなつき度による進化だ。ハルカとルリリは仲良しだし、むしろ遅いくらいの印象だが、この状況での進化はあまりよろしくない。

 

 ハルカの演技プランはルリリを前提としたものであって、マリルを前提としていないのだ。

 勿論、ある程度は修正出来るだろうが、進化したことで体も大きくなっている。重量級という訳ではないし対応はすぐに間に合うだろうが、ギリギリになってしまうことに変わりはなかった。

 

 しかし、ハルカとマリルはそんな危機を難なく乗り越えて一次審査を華麗に突破していく。

 途中、ハルカがマリルを持ち上げる際に、ルリリよりも重くて少し苦労する場面はあったが、マリルのフォローで上手く助けて貰っていた。

 

 二次審査のコンテストバトルでは、進化してみずタイプになったことで、みず技をタイプ一致で打てるようになったこともあり、力強い演技でバトルを支配している。

 ハルカのマリルは特性が『ちからもち』でルリリ時代からパワフルだったが、ルリリ時代とは物理技の威力が全然違う。最初はそのパワーに振り回されていたハルカだが、段々と慣れてきたようで力を上手くコントロールしていた。

 

 ファイナルステージでは、相手が進化系のマリルリということもあってかなり大苦戦していたが、今まで培ってきた経験による応用を生かした立ち回りでマリルの魅力を見せつけている。

 

 また、小回りを利かせた立ち回りを中心とし、向こうのパワーを封じることで相手の得点を許さない。

 そのままギリギリで逃げ切り、無事に四つ目のリボンを入手していた。これで後一つ手に入れれば、ハルカもグランドフェスティバルの参加権利を得られる。

 

 しかし、改めてハルカも強くなったな。

 

 この約半年、とてもゼロから始めたとは思えないレベルで成長している。今、俺とハルカにある差は、バトル経験だけだ。コンテストの技術ではもしかしたら負けているかもしれない。

 実際、前のひこうタイプ限定コンテストでは、チルタリスでこちらのトゲ様にポイント勝ちしている。今回のバトルもそうだ。ハルカが自分のリズムでバトルできればグランドフェスティバルではどういう結果になるかわからない。

 

 もしかしたらシュウも、それが見たくてあれだけハルカを目の敵にしていたのかもしれないな。

 

 

 

 13歳 λ月σ日 『マサトとラルトス』

 

 森の中で昼食を取ろうとしていると、マサトが急にどこかへ走って行った。同時に、いつも一人で木の上にいる黒いラルトスも、後を追うように『テレポート』していく。

 慌てて後を追いかけると、通常色のラルトスが倒れているのを見つけた。マサトが心配そうに抱き上げているのを、黒いラルトスが覗いている。とりあえず、少し何かを食べさせようということで、キャンプ地まで戻ることにした。

 

 そのまま、マサトが看病していると、多少は元気になったようだったが、やはりポケモンセンターで診て貰った方がいいとタケシが言うので、近くのポケモンセンターへと移動することにする。

 途中、キルリアとサーナイトに化けたニャースとムサシが現れたが、ギャグに付き合っている余裕はないので、サクッとやなかんじーにしてやった。

 

 しかし、今度は本物のキルリアとサーナイトが現れ、マサトが抱えているラルトスを引き取ろうとしてくる。

 マサトも渡すべきか一瞬悩んでいたが、やはりポケモンセンターで診断を受けてからの方がいいと判断したようで、今はまだ渡せないと首を横に振っていた。

 

 マサトがラルトスを攫おうとしていると思ったのか、キルリアが怒ってこちらに攻撃を仕掛けてくるも、黒いラルトスが前に出て攻撃を防いでいる。

 そのまま声を上げてキルリアとサーナイトを説得していた。おそらく、こちらがポケモンセンターでラルトスを回復させようとしているということを話してくれたのだろう。

 

 色違いとはいえ、同族の言葉ということで、キルリアとサーナイトも矛を収めてくれた。

 今度こそ、ラルトスをポケモンセンターまで連れて行くと、無事にラルトスも元気になっている。

 

 マサトは約束通り、ラルトスをキルリアとサーナイトの元へ返しにいった。前のジラーチの時と少し似ているが、今回は千年もかかることはない。マサトも、数年後、自分がポケモントレーナーになったら必ず迎えに行くとラルトスに伝えていた。

 ラルトスもまた頷いている。きっと、この二人はいい関係になるだろう。俺がそれを見ることはないかもしれないが、いつかバトルしてみたいものである。

 

 

 追記。今回助けてくれた黒いラルトスにお礼を言うと、いつものように顔を背けていた。ただ、いつもは頭を撫でようとすると、『テレポート』で逃げてしまうのだが、今回は顔を背けながらも黙って受け入れてくれている。こいつも、今回の件を通して少しは俺達を認めてくれたのかもしれないな。

 

 

 

 13歳 λ月τ日 『ルネシティ ガチ戦 VSアダン 前編』

 

 遂に最後のジムがあるルネシティへとやってきた。ここでのバトルが終われば、とりあえずホウエン地方のジム巡りはひとまず終わりを迎える。

 何度も書いているが、ホウエンリーグに参加する予定はないので、ルネでのガチ戦を終えた後は、グランドフェスティバルに参加し、終わった段階で一度マサラタウンに戻ってチャンピオンリーグへの調整をするつもりだ。

 

 とはいえ、まだ街に着いたばかりで、物珍しいものもたくさんある。おまけに、どこからか空砲が聞こえた。

 もしかしたら、お祭りをやっているかもしれないということで、ハルカやマサトが音の方へ走っていき、ラティが笑顔でそれについていく。

 

 広間では、何とルネジムのジムリーダーであるアダンがショーを行おうとしていた。どうやら、アダンは水のアーティストとして、この街ではかなり有名らしい。

 てっきり、ジムリーダーはミクリかと思っていたが、エメラルド版基準のようだ。年季がある分、逆に強敵と考えれば、アダンとバトルする方が面白いかもしれない。

 

 とりあえず、ショーを見物していくことにしたのだが、いつものようにロケット団が現れ、アダンのみずポケモンを奪おうとしてきた。

 みずタイプの苦手な電撃攻撃で動きを封じる作戦のようだが、アダンのポケモンは『どろあそび』で電撃の威力を減らし、『しんぴのまもり』で麻痺などの状態異常をケアしている。

 

 流石にみずタイプ使いのジムリーダーだけあって、でんき対策はお手の物ということか。

 とりあえず、こちらも見ているだけではあれなので、ロケット団をやなかんじーにしてやる。

 

 その後、アダンにガチ戦の申し込みをすると、普段この時期はポケモンリーグを目指す駆け込みのトレーナーで溢れかえっているようで、あまり時間が空いていないらしい。

 ただ、丁度今日は広間でのショーのためにジムを休みにしていたらしく、ロケット団のせいでショーが中止になったことで、今からなら出来ると言われた。よし、よくやったぞロケット団。

 

 そのままポケモンセンターでガチ戦用にポケモンを入れ替えようとすると、何とカスミさんがカントーから応援に来てくれたようで、ルネのポケモンセンターで仁王立ちしていた。

 おまけに、新たにゲットしたらしいルリリが肩に乗っている。そういえば、原作でもケンジのマリルが生んだタマゴをカスミさんが貰うとかいうエピソードがあったようななかったような。

 

 聞けば、タケシがこまめに連絡を入れていたようで、タイミングを合わせてきたらしい。

 ジムはどうしたと思ったが、アダンとは逆にもう閉めてきたとドヤ顔している。まぁ、もう半月もしない内にリーグは始まるし、少し早いがハナダジムは休業のようだ。

 

 なら俺にも連絡しろよと思ったが、口にすると、「アンタ、メールもろくに見ないでしょ」と言われるのは目に見えているので静かにしておく。

 ジト目で見られているので、多分考えは読まれているだろうが、口にしていないのでセーフである。フフフ、カスミさんがこちらの思考を読んでいるように、ニューサトシもカスミさんの思考を読んでいるのだ。

 

 ラティも久しぶりにカスミさんに会えて大喜びしている。グランドフェスティバルも見ていくということなので、前回と違ってカントーに戻るまで一緒にいられるようだった。

 また、ニューサトシ最後のガチ戦がみずタイプのジムということも聞いていたようで、どんな戦いをするのか楽しみだとも言っている。どうやら、少し早く来たのはジム戦を見るためだったらしい。

 

 改めてルネジムへ行くと、俺以外の同行者が全員観客席の方へ移動する。同時に、ルールの確認をされた。

 今回のルネジムでのガチ戦は、通常とは違う変則ルールで行われる。レベル制限なしは当然として、バトルについては2対2のタッグ、1対1のシングル、2対2のタッグ、1対1のシングルを繰り返し行い、勝ち星の多い方が勝ちというものだ。

 

 もし、勝ち数が2対2で並んだ場合は、戦闘不能になっていないポケモンの中から一体を選択し、シングルバトルで決着をつけることになっている。

 疑似的なフルバトルとも言えるが、ダブルバトルとシングルバトルを交互に行うのでトレーナーはかなりの対応力を求められるだろう。普段ならシングル三本勝負だが、こういうバトルも楽しいのでニューサトシは即答で提案を受け入れた。

 

 アダンも既に準備が完了しているようで、こちらの準備を待っている。まずはタッグバトルだ。開幕と言うことで、出来れば勝って調子を上げていきたい。

 みずのフィールドということもあって、第一試合はキングラーとクリスタルのイワークに決めた。俺のイワークは特性の『クリスタルボディ』でみずは無効だし、水中行動も出来る。キングラーならイワークにも合わせられるだろうし、初戦としてはこれ以上の組み合わせはないだろう。

 

 対するアダンは、ペリッパーとキングドラを出してきた。ペリッパーは当然のように、特性の『あめふらし』で天候を雨にしていく。と、いうことは、一緒に出てきたキングドラは間違いなく特性『すいすい』だろう。

 ペリッパーもキングドラも当然のように水中に入って行く。こうしてみると、ペリッパーが水中戦をするのを見るのは初めてかもしれない。負けじとこちらも、キングラーとクリスタルのイワークを水中に送り込んだ。

 

 珍しい全身クリスタルのイワークが出てきただけでも驚いているアダンだったが、そのイワークが当たり前のように水中に入ったことでさらに驚いている。大変、気分が良い。

 とはいえ、流石は経験豊富なジムリーダーだけあって、すぐに俺のイワークが通常のイワークと違うリージョンフォームだということに気が付いたようだ。とはいえ、流石に今の段階ではこおり・いわタイプで、みずが無効でほのおが弱点だとはわかるまい。

 

 先手必勝ということで、キングラーに『いわなだれ』を指示して相手の二体に攻撃を仕掛けていく。この時、岩の一部をクリスタルのイワークにぶつけることで、小さなダメージを与えるのがポイントだ。

 これにより、『クリスタルボディ』の特性である、弱点攻撃を受けた際に、攻撃、特攻が一段階上昇する追加効果が発動する。

 

 同時に、クリスタルのイワークには『フリーズドライ』を指示していく。威力は70しかない特殊こおり技だが、追加効果にみずタイプにも効果抜群になるというものがある。

 これにより、みず・ひこうタイプのペリッパー、みず・ドラゴンタイプのキングドラ両者共に、みずによってこおりが半減していたのが弱点として入ることになり、四倍弱点とすることが出来るのだ。

 

 一段階上昇しているとはいえ、イワークは特攻種族値がそこまで高くない。しかし、四倍弱点なら嫌が応にもダメージを受けるだろう。

 おまけに、『まもる』で防ぐにしろ、先に攻撃しているのはキングラーの『いわなだれ』なので、防いだ瞬間、『フリーズドライ』が直撃する。

 

 どうする――と、思って見ていると、キングドラは自慢のスピードで、全ての攻撃を回避していった。

 流石に『すいすい』状態だけあって、機動力が段違いに速いな。だが、取り残されたペリッパーはどうする?

 

「ペリッパー、『そらをとぶ』」

 

 キングラーのいわなだれが当たる寸前に、ペリッパーは急上昇で岩を回避していった。

 おまけに、空に上がられたことで『フリーズドライ』も狙いが外れて回避されている。

 成程、『そらをとぶ』は通常のひこう技ではあまり使われない技だが、水中から急上昇するために敢えて使用したのか。みずタイプのジムリーダーだからといって、みず一辺倒ではないということだ。まさに熟練の技だな。

 

 こちらの攻撃を回避し終えると、アダンは攻撃に移ってきた。キングドラが『げきりん』でクリスタルのイワークに向かって真っすぐ突っ込んでくる。

 イワークの『フリーズドライ』で水がいくつか凍って動きにくくなっているはずだが、意にも留めずに砕いてきた。避けようにも、スピードが速すぎて対処が追いつかない。仕方ないので、『まもる』を指示して攻撃を防いでいく。

 

しかし、攻撃を防ぐ前に、ペリッパーの『そらをとぶ』が先に『まもる』にぶつかってしまった。

 

 まずい。これで、『まもる』の効果が切れ、『げきりん』がクリスタルのイワークに直撃する。

 まさか『そらをとぶ』の回避を、追撃にまで利用してくるとは思わなかったが、素直に感心している場合ではない。攻撃を受けてしまったものは仕方ないので、こちらもキングラーの『いわなだれ』で詰まっている所をまとめて攻撃して行く。

 

 しかし、ペリッパーの『ワイドガード』が間に合ったようで攻撃を防いできた。『ワイドガード』は複数のポケモンを攻撃対象にする技を無効にするというものだ。言わば、全体攻撃版の『まもる』である。

当然、『いわなだれ』は全体攻撃技なので、これによって攻撃は防がれていく。先程、先制の『いわなだれ』に対して使わなかったのは、おそらく後続の『フリーズドライ』の直撃を懸念して回避を選んだのだろう。

 

 これで、同時攻撃は無効にされたも同然だ。おまけに、クリスタルのイワークは『ワイドガード』の範囲外なので普通にダメージを受ける。

 とはいえ、大本の狙いではないので、ダメージも微々たるものだ。それに、これでまた特性が発動し、攻撃と特攻がさらに一段階上昇した。残り体力もまだ半分程あるし、まだまだ戦えるはずだ。

 

 しかし、キングドラはまだ『げきりん』が継続しているということもあって、そのままキングラーにも攻撃を仕掛けてくる。

 キングラーにも『まもる』を指示し、『げきりん』の直撃を防ぐが、次にペリッパーが『ぼうふう』で攻撃を仕掛けてきた。雨状態ということもあって、『ぼうふう』も必中技になっている。

 

 風が巻き起こり、キングラーを中心とした水が巻き上げられていく。タイプ一致ということでダメージも大きい。ならば、囚われたまま『つるぎのまい』で攻撃力を上げていく。

 おまけに、クリスタルのイワークに『ストーンエッジ』を指示して、ペリッパーに攻撃を仕掛けていった。回避するには攻撃を中断するしかない。キングドラがカバーに入る択もあるが、今は『げきりん』の後遺症で混乱している。

 

 ダメージを受けるよりは回避を優先したようで、再び『そらをとぶ』でペリッパーが攻撃を回避していく。

 その間に、『つるぎのまい』を積み終えたキングラーは攻撃を二段階上昇させた。運のいいことに『ぼうふう』の追加効果の混乱は引かなかったようで、『つじぎり』でキングドラに攻撃を仕掛けていく。

 

 だが、まだ雨が続いていることもあって、凄まじい速度で攻撃を回避してきた。混乱しているはずだが、そのマイナスを余りあるほどに早い。

 とはいえ、運のいい回避など何度も続かないだろう。クリスタルのイワークの『フリーズドライ』で、避けた先を狙い撃ちしていく。しかし、空を飛んでいるペリッパーが空中で『ぼうふう』を撃ち、キングドラへの攻撃を防いできた。

 

 上手いな。『ぼうふう』による風の壁で物理的に防御してきたのか。技の使い方が勉強になる。おまけに、凍った水も砕かれ、再び道が出来ていた。

 この間に、キングドラは砕いた氷の冷たさで混乱を解除したようで、今度は『ワイドブレイカー』を使ってくる。『ワイドブレイカー』は、相手全体に攻撃が可能な威力70のドラゴンタイプの物理技で、追加で相手の攻撃を確定で一段階下げる効果があった。

 

 キングラーも、クリスタルのイワークも、今は攻撃が二段階上昇している状態なのでくらってもそこまで被害はないが、進んで受けたくはないので、どちらも『まもる』で攻撃を防いでいく。

 しかし、アダンはそれが狙いだったようで、続けてペリッパーに『ぼうふう』と『たつまき』の合わせ技を指示してきた。

 

 先程以上に強固で大きな竜巻が、キングラーとクリスタルのイワークを包み込んでいく。

 風が強く、抜け出せそうにない。いわタイプが入っているクリスタルのイワークはダメージが半減だが、キングラーは先程のダメージと合わせてもかなりのダメージを受けていた。

 

 さらに、ここでアダンはとどめと言わんばかりに『りゅうせいぐん』を指示してくる。どうやら、ここで一気に勝負を決めるつもりらしい。

 とはいえ、そんな簡単に決めさせるつもりはなかった。キングラーに『いわなだれ』を指示し、岩による壁を作って攻撃を防ぐ。空から降る大量の流星も、攻撃が二段階上がっているキングラーによる岩の雪崩が傘になって防がれていった。

 

 また、ペリッパーの合わせ技もその範囲故に、長時間は展開できないようで解除される。

 同時に、攻撃後のキングドラへ、『フリーズドライ』で攻撃を仕掛けていく。避けようとしたキングドラだが、この瞬間に雨状態が解除され動き出しが一歩遅れた。特攻が二段階上昇したクリスタルのイワークによる四倍弱点が命中し、そのまま戦闘不能になる。

 

 しかし、アダンもされるがままではなかった。再び、『ぼうふう』と『たつまき』の合わせ技で、こちらを戦闘不能にしようとしてくる。

 しかし、キングラーも一度攻撃を挟んだことで、『まもる』が使えた。クリスタルのイワークの前に移動し、『まもる』で向こうの技を防いでいく。

 

 同時に、クリスタルのイワークに『うちおとす』を指示し、空にいるペリッパーを打ち落とした。

この技は、ひこうタイプや『ふゆう』を持つ相手にも攻撃が当たるようになるという効果があるいわタイプ物理技だが、今回は純粋に相手を打ち落とすのに使っている。

 

 不意を突かれた一撃でペリッパーは水中へと落ちてきた。そこへ、キングラーが『つじぎり』を仕掛けていく。

 攻撃力二段階アップ+急所にも当たったようで、ペリッパーもまた一撃で戦闘不能になった。まぁ、ペリッパーは『まもる』を使っていないので、クリスタルのイワークによる追撃をかけるつもりだったが、運良く一撃で決めてくれたようだ。

 

 これにより、第一試合はこちらの勝利となる。後二勝で俺の勝ちだが、今の試合の様子から見ても、このまま素直に勝ちを譲ってはくれ無さそうだ。

 キングラーとクリスタルのイワークを戻して奮闘を労う。最悪の場合は、お前達のどちらかの力を借りる可能性もあるので、今はゆっくり休んでくれ。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・フェアリータイプ専用コンテスト。
 オリジナルコンテスト。ニューサトシがリボンを五つ入手したので、ハルカだけで参加している。ルリリがマリルに進化して割と余裕で優勝した。

・第109話『ラルトスを救え! 急げマサト!』より、黒いラルトスがまた少し心を開いた。
 マサトとラルトスのやり取りをみて、少し思う所があったのかもしれない。

・第110話『ルネジム! 水のアーティスト・アダン!(前編)』より、カスミさんと再会した。
 もう地方リーグも始まるので、ジムを閉めてきたらしい。ハナダジムを最後に残していたトレーナーはこれで参加権を自動的に失った。

・アニメとは別の特殊ルールを採用した。
 2VS2のタッグ。1VS1のシングル。2VS2のタッグ。1VS1のシングルを繰り返し、勝ち星が多い方が勝ちのルール。テニプリを見て思いついた。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.62

 ピジョット Lv.57

 バタフリー Lv.56

 ドサイドン Lv.60

 フシギダネ Lv.57

 リザードン Lv.61

 カメックス Lv.57

 キングラー Lv.56→57

 カモネギ  Lv.56

 エビワラー Lv.57

 ゲンガー  Lv.59

 オコリザル Lv.56

 イーブイ  Lv.56

 ベトベトン Lv.56

 ジバコイル Lv.56

 ケンタロス Lv.56

 ヤドラン  Lv.55

 ハッサム  Lv.58

 トゲキッス Lv.54

 プテラ   Lv.57

 ラプラス  Lv.55

 ミュウツー Lv.74

 バリヤード Lv.56

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.54→55

 カビゴン  Lv.52

 ニョロトノ Lv.52

 ヘラクロス Lv.52

 メガニウム Lv.51

 マグマラシ Lv.51

 ラティアス Lv.48

 ヘルガー  Lv.51

 ワニノコ  Lv.51

 ヨルノズク(色違い) Lv.51

 カイロス(部分色違い) Lv.51

 ウソッキー Lv.51

 バンギラス Lv.59

 ゴマゾウ  Lv.50

 ギャラドス(色違い) Lv.50

 ミロカロス Lv.41

 ミズゴロウ Lv.44

 オオスバメ Lv.44

 ジュプトル Lv.44

 ヘイガニ  Lv.43

 フライゴン Lv.51

 コータス  Lv.42

 ラルトス(色違い) Lv.30

 ユキワラシ Lv.35→36




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#147 『意識を断ち切る』

 13歳 λ月τ日 『ルネシティ ガチ戦 VSアダン 中編』

 

 第一試合のタッグバトルで、とりあえずの一勝をもぎ取った。続けては、第二試合のシングルバトルである。

 こちらはカビゴン、アダンはトドゼルガを出してきた。俺のカビゴンはその見た目にそぐわない俊敏さがある。スピード&パワーで一気に勝負を決めるつもりだ。

 

 開幕、トドゼルガは当然のように水の中へと入って行く。みずタイプのジムだけあって、フィールドは陸地よりも水の面積の方が多い。トドゼルガにしてみれば真正面からカビゴンと戦う利点などないだろう。

 とはいえ、こちらのカビゴンも割と器用である。

 基本的には物理攻撃の方が強いが、特殊攻撃も使えない訳ではない。いつの間にか覚えていた『10まんボルト』で水中に攻撃を仕掛けていく。タイプ不一致とはいえ、弱点の一撃を受けてトドゼルガも苦しそうな声を上げていた。

 

 水は電気をよく通すというが、水中にいる限り電撃は自ずと全体攻撃になる。こうなると、水中にいる方が不利なのでトドゼルガも陸に上がってきた。

 追撃で『10まんボルト』を指示するも、トドゼルガの『ハイドロポンプ』で迎撃される。流石にカビゴンの特殊攻撃では、いくら弱点とはいえトドゼルガのタイプ一致みず技は貫けない。逆に『ハイドロポンプ』が『10まんボルト』を貫いてこちらにダメージを与えてきた。

 

 ここからは物理技に切り替えていく。水の中から引きずり出せただけでも上出来だろう。

 こちらは、こおりタイプの弱点であるかくとう技の『アームハンマー』を指示していく。対するアダンは『ゆきげしき』を指示してきた。フィールドを雪状態にする技だ。霰状態とは違ってダメージは入らないが、代わりにこおりタイプのポケモンの防御が1.5倍になる。

 

 どうやら、こちらが物理技で攻めると見て即座に対応してきたようだ。『アームハンマー』が直撃するも、相手の防御が上がったこともあってダメージは軽減される。

 お返しとばかりに、アダンが『ふぶき』を指示してきた。霰状態と同じく、雪状態の時、『ふぶき』は必中になる。しかし、俺のカビゴンの特性は『あついしぼう』だ。この特性により、ほのおとこおりタイプの技はダメージが半減される。

 

 とはいえ、あまりの吹雪にカビゴンの巨体も吹き飛ばされてしまった。ダメージが半減しても技の勢いが死ぬわけではない。どうやら、この雪状態の『ふぶき』がトドゼルガの必殺技のようで、通常の『ふぶき』よりも技の範囲や勢いが強かった。

 しかし、アダンもカビゴンの受けたダメージから、こちらの特性が『あついしぼう』だとわかったようで苦い顔をしている。カビゴンは元々耐久が特殊寄りだ。HPの種族値160、特防種族値110でこおりを半減すればダメージはかなり少なくなる。

 

 だが、塵も積もれば山となると言わんばかりに、アダンは『ふぶき』を連打してきた。おそらく、氷状態になるのを期待しているのだろう。

 おまけに、技の勢いが強いのでなかなか前に進めない。猛吹雪の中を進めと言われても、そう簡単にはいかないのと一緒だ。雪状態は『ふぶき』を必中にはしても威力は上げないはずだが、視界が悪くなるようでカビゴンも目を開けずにいる。

 

 技も使いようによっていろいろ変わるが、どうもアダンは相手を動けなくすることに注力するタイプだったらしい。俺のカビゴンは機敏な方だが、流石にこの『ふぶき』は避け切れずにいた。

 こうなれば、耐久を上げて無理矢理受けてやる。

 新たに『ドわすれ』を指示して、特防を二段階上げていく。いくら凄い技でも、使用回数には限りがある。『ふぶき』は『ハイドロポンプ』なんかと同じく、PPは5だ。全て受けきってやるぜ。

 

 相手の『ふぶき』を受けながら、『ドわすれ』で特防を最大まで上げていく。

 どうやら運よく氷状態は引かなかったようで、カビゴンは全ての『ふぶき』を受けきった。体力はまだ半分以上あるのでかなり余裕だ。同時に雪も止んだので、お返しとばかりに、再び『アームハンマー』で攻撃を仕掛けていく。

 

 アダンは再び、『ゆきげしき』を指示してきた。少しでもダメージを減らそうという魂胆だろう。

 カビゴンの一撃が再び、トドゼルガに直撃する。しかし、いくらダメージを軽減しているとはいえ、開幕の『10まんボルト』に『アームハンマー』を二回くらっているにしてはトドゼルガに余裕があるように見えた。

 

 もしかしたら、トドゼルガの特性は『アイスボディ』かもしれない。フィールドが霰か雪状態の時、毎ターン体力が1/16回復するという特性だ。

 執拗に効かない『ふぶき』を連打していたのも、体力を回復するためだとすれば合点がいく。時間をかけて、少しずつ体力を回復していたという訳か。

 

 とはいえ、こちらのカビゴンはもう要塞だ。特殊攻撃ではびくともしない。このままじりじりと押して行ってやる。

 

 アダンもこちらが最後の技を温存させているのは気付いているはずだ。このまま行けば、俺が勝つ――ここから逆転を狙うのであれば、一撃必殺の『ぜったいれいど』か、高威力の物理技を連打するかの二択しかないだろう。

 特殊技や変化技の選択肢はない。

 こちらの要塞カビゴンは不一致程度の特殊技では100%突破出来ないし、トドゼルガに残された技は『ハイドロポンプ』四回だけだ。変化技を指示すれば、攻撃技が『ハイドロポンプ』だけになり手数が足りなくなる。仮に『どくどく』で猛毒を狙ったとしても、こちらは『ねむる』で回復させることが出来るしな。

 

 故に、取れる択は上記の二つ。

 

 だが、アダンが『ぜったいれいど』を指示した瞬間、こちらは『みがわり』で攻撃を回避するつもりだ。

 また、仮に高威力の物理技で殴り合いになったとしても、『ねむる』で体力を回復させる。どちらにも対抗策はあった。

 

 アダンもそれが読めているが故に、攻め切れないのだろう。しかし、このまま黙っていてもトドゼルガの体力が減っていくだけだ。

 こちらが三度目の『アームハンマー』を指示した瞬間、覚悟を決めたように『いかりのまえば』を指示してきた。『いかりのまえば』は相手の残り体力を半分にするという技だ。カビゴンの一撃を受けながら、『いかりのまえば』の効果でカビゴンの体力を半分にしてくる。

 

 成程、こちらの体力を極限まで減らして『ハイドロポンプ』で削り切ろうという狙いか。

 確かに、これでは迂闊に『ねむる』も出来ない。だが、『みがわり』は受けきれないはずだ。今の一撃で、こちらの体力も半分以上あったのが1/3くらいまでに減らされたが、まだ『みがわり』は使える。

 

 この『みがわり』を割るには、『ハイドロポンプ』を連打するしかない。

 技の仕様上、『いかりのまえば』は『みがわり』ではなく、本体のHPの半分が威力になる。残りの体力が1/4以下のカビゴンの体力を参照すると、ダメージは微々たるものだ。急所狙いのドロポン連打の方が壊す確率は高いだろう。

 その間に、こちらは『アームハンマー』で攻め切れる。

 そう判断し、『みがわり』を指示した。当然、アダンは『ハイドロポンプ』で『みがわり』の体力を削ってくる。その間に、四度目の『アームハンマー』を決めた。

 

 いくら、タイプ不一致とはいえ、これだけ弱点の攻撃を決めればダメージも限界のはずだ。雪状態の防御1.5倍で毎ターン1/16回復を入れているとはいっても限度がある。

 身代わりへの二度目の『ハイドロポンプ』に合わせて、『アームハンマー』の五回目を決めていく。やはり、ダメージはある。かなり厳しい顔をしているのは間違いない。それでも倒れなかった。意地で立っているのだ。

 

 どうやら、急所を引いたのか、そのまま『みがわり』がかき消される。これで、カビゴンは丸裸だ。『みがわり』を使って体力もミリである。『ハイドロポンプ』が当たれば、ワンチャン倒される可能性もあった。

 だが、そんな奇跡を起こさせるつもりはない。

 意識を断ち切る一撃として、『10まんボルト』を指示する。トドゼルガももう限界のはずだが、その限界を繋ぎとめているのは物理技への覚悟だ。何度も『アームハンマー』を受ければ、次の『アームハンマー』も耐えようという気にもなるだろう。だからこそ、ここで想定外の一撃を与える。

 

 物理技の『アームハンマー』に比べたら弱い一撃だが、トドゼルガの予想していない攻撃は繋がっていた精神力を断ち切った。戦闘不能になったトドゼルガが前のめりに倒れる。

 これにより、俺の二勝目が決まった。

 アダンも『ふぶき』に自信があったとはいえ、カビゴン相手に特殊で攻めたのが失敗だったとわかっているようで、トドゼルガをボールに戻しながら自分のミスを謝罪している。

 

 これで二連勝だ。後一つ勝てば、その時点で俺の勝利が確定する。しかし、追い詰められたジムリーダーがこのまま素直に倒れてくれるとも思えなかった。

 

 山場となる第三試合のタッグバトル。アダンは、ナマズンとランターンを出してきた。

 対するこちらは、ヤドランとラプラスでお相手する。ヤドランはエスパー技、ラプラスは『フリーズドライ』を始め、豊富な特殊技で同じみずタイプでも巧みに攻めることが出来るという理由でのチョイスだ。

 

 しかし、全員が水の中に入ると同時に、ランターンが開幕で『10まんボルト』を使ってきた。

 水の中ということで、当然敵味方関係なく全体攻撃になるが、ナマズンはじめんタイプを持っているが故に、でんき技は無効となっている。

 

 こちらはヤドランが『まもる』で攻撃を防ぐ。ラプラスも急いでヤドランの『まもる』圏内まで移動して何とか全体攻撃を防御している。

 お返しとばかりに、ラプラスに『フリーズドライ』を指示するも、ナマズンが『まもる』で攻撃を防いできた。ダブルバトルだと、シングルと違って攻撃を通すのも一苦労である。

 

 ラプラスの『フリーズドライ』によって水が固まったが、ナマズンが『じしん』で砕いてきた。

 タイプ一致の『じしん』は強力だ。おまけに、水中では回避のしようがない。しかし、相方のランターンもじめん技は弱点のはず――と、思った瞬間、ランターンが水中から空中へと跳んで行った。『とびはねる』だ。

 

 一ターン目に空中へ飛び上がり、二ターン目に攻撃をする『そらをとぶ』と似た技だが、この跳び上がりで『じしん』を回避したのか。

 仕方ないので、今度はラプラスをヤドランの前に移動させ、『まもる』で攻撃を防いでいく。だが、その攻撃を受けた直後、空中からランターンがヤドランの背中に落下してダメージを与えてきた。

 

 そのまま、ゼロ距離で『10まんボルト』による全体攻撃を仕掛けてくる。ラプラスとヤドランも咄嗟に『まもる』を使ったが、両者ともに二連続の『まもる』だ。運悪く、二体共、『まもる』を失敗して『10まんボルト』の直撃を受けてしまった。

 ラプラスはまだしも、ヤドランの特殊耐久はそこまで高くない。タイプ一致のでんき技を受けてかなりのダメージ受ける。

 

 そのまま追撃しようとするランターンを狙って、ラプラスに『サイコキネシス』を指示した。

 再び『じしん』をしようとするナマズンへ向けてランターンをサイキネで放り投げ、無理矢理に攻撃をキャンセルさせる。その間に、『なまける』でヤドランの体力を回復させた。とはいえ、回復技もPPは5しかない。おまけに、回復中は無防備になるので攻撃されたい放題だ。あまり迂闊には使えない。

 

 何とか体勢は立て直せたが、ランターンのでんき技をどうにかしないとこちらは不利のままである。

 こちらが攻め方を思考していると、ナマズンが再び『じしん』を仕掛けてきた。同時に、ランターンが『とびはねる』で水中から離脱していく。

 

 ――ここだ。

 

 ヤドランに『かなしばり』を指示する。これで、ナマズンの『じしん』はしばらくの間使えない。『じしん』が直前でキャンセルされ、隙だらけになったナマズンへ向けて、ラプラスに『フリーズドライ』を指示していく。

 

 ナマズンはヌオーなんかと同じ、みず・じめんの優秀な複合タイプだが、『フリーズドライ』によってみずタイプがこおり弱点にされると四倍弱点になる。

 ランターンも跳び上がったばかりでカバーが間に合わない。直撃を受けたナマズンが大ダメージを受けた。流石にワンキルとは行かないが、直撃で体力は半分以上削れたはずだ。

 

 上空から降ってくるランターンに向けて、ヤドランが『サイコキネシス』で攻撃を仕掛けていく。

 これでヤドランは全ての技を使ってしまったが、ダメージ有利が取れているので良しとしよう。そのまま、ランターンを陸地に叩きつける。

 

 だが、アダンもやられたままではなかった。ナマズンへ新たに『じわれ』を指示していく。

 狙いはヤドランだったので、『まもる』で防御した。しかし、『じわれ』によって、水中の底に亀裂が発生し水が抜けていく。どうやら、下にジム点検用の空間があったようで、そちらに水が流れて行っているのだ。

 

 おかげで、水の流れが不規則になり、水中にいる三体がバランスを取るのに必死で動けなくなる。

 そこに、陸地からランターンが『10まんボルト』を撃ってきた。当然、じめんタイプのナマズンにダメージはない。こちらもラプラスが『まもる』で攻撃を防ぐ。ヤドランも何とか二度目の『まもる』を成功させて攻撃を防いだ。

 

 しかし、間髪入れずに再びナマズンの『じわれ』が襲い掛かってくる。両者共に『まもる』を使ってしまったので避けるしかないが、水の流れが不規則過ぎて上手く動けなかった。

 結果、ヤドランに『じわれ』が直撃して戦闘不能にされる。おまけに、亀裂が広がり、さらに水の流れが激しくなった。

 

 ヤドランをボールに戻しながら、ラプラスに『サイコキネシス』で自身を浮かせて地上へ戻るように声をかける。

 アダンも、流石にこれ以上は水中戦をするのは難しいと判断してナマズンに『たきのぼり』を指示して陸まで上げていた。

 

「普通、自分のジムを破壊してまで状況を有利にしに行きますか……?」

「フフフ、もう後がありませんからね。なりふり構ってはいられません」

 

 ヤドランが倒されたので、二対一で圧倒的に不利な状況になっている。とはいえ、ナマズンは『フリーズドライ』でのダメージがあるので、残り体力は半分程だろう。

 ランターンも『サイコキネシス』を二度受けてダメージが重なっている。あっちも体力半分とはいかないが、そこそこのダメージがあるはずだ。

 対して、ラプラスはまだ体力が2/3くらいある。

 だが、もう技を三つ使っていた。『フリーズドライ』、『まもる』、『サイコキネシス』、残りの一つをどう上手く使うかが、この戦いの勝敗を決めることになるだろう。

 

 ランターンは『あまごい』を使って来た。フィールドが雨状態になる。おそらくは、『かみなり』を必中にするつもりだ。

 まだランターンは『10まんボルト』と『とびはねる』しか使っていない。『あまごい』を使っても、技が後一つ残っている。

 

 ならば、その前に『まもる』を使わせようと、『フリーズドライ』を指示したが、敢えて攻撃を受けてきた。

 同時に、ナマズンが『たきのぼり』で接近してくる。咄嗟に『フリーズドライ』を地面に当てて氷のレールを作ることでラプラスの可動域を増やした。

 

 ナマズンもラプラスの特性が『ちょすい』の可能性を懸念して、接近用に『たきのぼり』を使っただけのようで、そこから再び『じわれ』で戦闘不能を狙ってくる。まぁ、俺のラプラスは『シェルアーマー』なのでみず技は普通にくらうんだけどな。

 しかし、一撃必殺を使ってくるのは読めていた。先程のように動けない状態ならともかく、今はフィールドも凍らせて自由に滑ることが出来る。ナマズンの一撃必殺を滑って回避した。追撃でランターンが最後の技である『かみなり』を使ってきたが、それは『まもる』で何とか防御する。

 

 しかし、ここでナマズンの『かなしばり』も解けてしまったようで、再び『じしん』で攻撃を仕掛けてきた。

 同時に、ランターンが『とびはねる』で離脱していく。『かみなり』に『まもる』を使ったので防御は出来ない。ここは『サイコキネシス』で自分を浮かせて『じしん』を回避していく。

 

 だが、そこにランターンが空から降ってきた。ラプラスにダメージを与えながらそのまま背中にしがみつくと、ゼロ距離『かみなり』で勝負を決めようとしてくるので、『まもる』で攻撃を防ぐ。

 何とかランターンを振り落とすも、次の瞬間にはナマズンの『じしん』が再び襲い掛かってきた。

 まずい――『まもる』で『かみなり』を回避した以上、『じしん』を回避するには『サイコキネシス』しかない。だが、それを使えばまたランターンの『とびはねる』からのゼロ距離『かみなり』で『まもる』を使わされる。

 

 まさに無限ループだ。このままだと、ずっと同じことの繰り返しになる。しかし、『とびはねる』でのダメージがある以上、最終的にダメージ負けするのはこっちだ。

 何とかして、状況を立て直す必要がある。

 思考時間は数秒――ナマズンの『じしん』を『サイコキネシス』での浮遊で回避すると、再び『とびはねる』でランターンがラプラスに襲い掛かってきた。

 

 ――ここだ。

 

 背中にしがみついたランターンを倒すため、ゼロ距離での『ぜったいれいど』を指示する。この距離であれば、回避も防御も不可能だ。ランターンも自身の終わりを悟ったようで最後に盛大な『かみなり』でラプラスにダメージを与えてくる。

 

 そのまま、一撃必殺でランターンを戦闘不能にした。これで数の上ではイーブンだ。

 だが、こちらも『とびはねる』二回に、タイプ一致『かみなり』で残り体力は1/3以下まで削られたので体力不利だ。

 

 けど、ラプラスの力なら『サイコキネシス』でも『フリーズドライ』でも、確定一発に持っていける。

 

 後は、如何にしてとどめを刺すかだ。

 アダンもこうなっては、がむしゃらに攻撃を仕掛けてくるだろう。将棋でいうなら、先が読めなくても王手をかけ続けるようなものだ。動きを止めた時点で、こちらのとどめが入る。

 

 アダンは『じしん』を指示してきた。こちらは『サイコキネシス』の浮遊で回避する。

 ナマズンは『じわれ』を後二回残しているのはわかっていた。下手に『まもる』を使えば、ワンチャンを持って行かれかねない。

 とはいえ、こちらが『ちょすい』の可能性がある以上、『たきのぼり』は使えないだろう。アダンに出来るのは『じしん』を連打することだけだ。しかし、こちらも『サイコキネシス』による回避の連打しか手がない。PPが尽きるまでの千日手だが、こちらは『サイコキネシス』がなくても『フリーズドライ』がある。

 

 手数で優勢な俺の方が有利だ。

 

 仮に、一か八かの『たきのぼり』を使われても、半減では大したダメージにはならない。『じわれ』にさえ気を付ければもう勝ったようなものである。

 と、いう訳で、互いに『じしん』と『サイコキネシス』のPPを使い切っていく。アダンはやはり一か八かで『たきのぼり』を指示してきた。これで俺のラプラスが『ちょすい』ではないことがばれてしまったが、返しの『フリーズドライ』で戦闘不能にしてやる。

 

 だが、ここでポケモンあるあるが発生した。

 

 ラプラスが『たきのぼり』の追加効果である二割の怯みを引いてしまったのである。ラプラスが怯んだことで、全ての技がワンテンポ遅れてしまう――当然、そんな隙を見逃してくれるほどジムリーダーが優しいはずがなく、ゼロ距離『じわれ』でラプラスが戦闘不能にされてしまった。

 

 前世でも技を外したことで勝ちゲーが負けになったり、急所を引いて運ゲーになったりしたことがあったが、今まさにそんな気持ちである。

 本来であれば、返しの『フリーズドライ』で相手の体力を削りきって勝ちだった。

 

 ちょっとした怯みで有利状況が覆る――とはいえ、これもまたポケモンバトルだ。それに、まだ二勝で有利なのはこちらである。次の第四試合シングルバトルで勝利すれば何の問題もない。

 

 だが、

 

「……俺、この旅が終わったらデボンコーポレーションにとくせいカプセルせびりに行くんだ」

 

 ふと、そんな死亡フラグを呟いてしまった。

 

 ラプラスの特性が『ちょすい』なら勝っていたっ!

 

 

 

 




 原作との変化点。

・アダンのポケモンはゲーム準拠。
 また、みずポケモン制限はないので、カビゴンを使っている。

・雪状態ふぶき。
 アダンはポケモンの性能自体は普通だが、フィールドの状況で技に追加効果をエンチャントするタイプ。雪状態ふぶきは視界や動きを封じる。他にも、一回戦で見せた雨状態のぼうふうも、雪ふぶきと同じく相手の視界や動きを封じる効果もあったのだが、相手がみずタイプで水中にいたので効果がなかった。

・ポケモンバトルあるある。
 怯みでワンチャンを取られる。特性がちょすいなら余裕勝ちだった。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.62

 ピジョット Lv.57

 バタフリー Lv.56

 ドサイドン Lv.60

 フシギダネ Lv.57

 リザードン Lv.61

 カメックス Lv.57

 キングラー Lv.57

 カモネギ  Lv.56

 エビワラー Lv.57

 ゲンガー  Lv.59

 オコリザル Lv.56

 イーブイ  Lv.56

 ベトベトン Lv.56

 ジバコイル Lv.56

 ケンタロス Lv.56

 ヤドラン  Lv.55→56

 ハッサム  Lv.58

 トゲキッス Lv.54

 プテラ   Lv.57

 ラプラス  Lv.55→56

 ミュウツー Lv.74

 バリヤード Lv.56

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.55

 カビゴン  Lv.52→53

 ニョロトノ Lv.52

 ヘラクロス Lv.52

 メガニウム Lv.51

 マグマラシ Lv.51

 ラティアス Lv.48

 ヘルガー  Lv.51

 ワニノコ  Lv.51

 ヨルノズク(色違い) Lv.51

 カイロス(部分色違い) Lv.51

 ウソッキー Lv.51

 バンギラス Lv.59

 ゴマゾウ  Lv.50

 ギャラドス(色違い) Lv.50

 ミロカロス Lv.41

 ミズゴロウ Lv.44

 オオスバメ Lv.44

 ジュプトル Lv.44

 ヘイガニ  Lv.43

 フライゴン Lv.51

 コータス  Lv.42

 ラルトス(色違い) Lv.30

 ユキワラシ Lv.36


 ジム戦が続くので、今日だけ10時、20時の二話投稿します。
 うるおいボディの効果を勘違いしていたので修正しました。指摘していただきありがとうございます。




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#148 『お前を待っていたんだよ』


 ジム戦が続いているので、今日は10時、20時で二話投稿しています。前話を見ていない方は先にそちらを見てから本分をご覧ください。


 13歳 λ月τ日 『ルネシティ ガチ戦 VSアダン 後編』

 

 第三試合まで終わって二勝一敗。この第四試合のシングルバトルに勝てば、延長に入ることなく俺の勝利である。

 当然、こちらはここで決めるつもりだ。切り札はお前だ――カメックス、君に決めた。

 

 進化したことで黒いサングラスが似合うようになったカメックスが格好良く登場する。対するアダンは、最後の一体としてミロカロスを出してきた。

 先程のバトルで水がかなり抜けてしまったので、陸上適正を持つポケモンを出してきたのだろう。勿論、ミロカロスも水中戦の方が得意なのは間違いないが、普通のバトルも問題なくこなせるポテンシャルを持っている。

 

 こちらのカメ君は、カナズミのツツジ戦でゼニガメからカメックスにワープ進化したことで、しばらくは自身の体格や体重の変化に対応できていなかったらしいのだが、オーキド研究所でのトレーニングでしっかりその弱点も克服したようだ。

 おまけに、ゼニガメでは覚えられなかった強力な技を覚えてきたようで、ポケモン図鑑の技一覧が前とは比べ物にならないほど増えている。

 

 進化嫌いのフシギダネは、ずっと一緒に居たゼニガメが進化したことに少し感じるものがあったみたいだが、変わらず仲良しでいてくれているらしい。

 

 開幕、ミロカロスが『どくどく』を使ってきたので、こちらも『どくどく』で相手の毒を打ち落としていく。

 正直、『こうそくスピン』で回避もありだったが、ミロカロスの防御を崩すのに猛毒状態は悪い選択肢ではないので、こちらにも毒があるとアピールした形だ。

 

 ならばと、今度は『りゅうのはどう』を指示してくる。対して、こちらは新たに覚えた『ラスターカノン』で迎撃した。

 威力は向こうの方が高いようで少し押されている。カメックスもミロカロスと同様に防御寄りのステをしているが、ミロカロスの方が特攻種族値が高い。向こうとのレベル差もそこまでない以上、技の威力の差が大きいのだろう。

 

 ギリギリで攻撃をキャンセルして技を避けていく。ミロカロスは特殊耐久が高いし、出来れば殴り合いに持ち込みたいが、万が一向こうが♀で、特性が『メロメロボディ』だった場合、試合が一気に終わりかねない。

 多分、♂と♀で違いあるんだろうけど、流石のニューサトシもそこまでは流石に覚えてねぇ。とはいえ、このまま持久戦に持ち込まれると、『じこさいせい』を持っているミロカロスの方が若干有利だ。

 

 こちらが攻め手を考えていると、隙を見てアダンが『どくどく』を指示してきたので、再び『どくどく』でガードしていく。

 向こうも猛毒も狙っている――と、いうことを印象付けたいのだろう。猛毒を気にしつつ、相手の攻撃を対策し、勝ちへの道筋を探す。なかなかハードな状況だ。

 

 真っすぐ撃って効かないなら接近戦だと言わんばかりに、アダンが『まきつく』を指示してきた。

 動きを封じた上で、死角から『どくどく』を当てようという狙いだろう。読めているので、巻き付かれた瞬間に『こうそくスピン』で拘束を解除して逃げていく。

 

 そのまま『こうそくスピン』からの『ラスターカノン』でダメージを与えていくが、やはり最後の技は『じこさいせい』だったようで、体力を回復してきた。

 これでアダンは全ての技を使ったが、まだ後4回も回復を残している。手の内は全て読めたが、ここからどうするか。

 遠距離での攻撃の打ち合いは正直不毛だ。向こうも『りゅうのはどう』があるし、『じこさいせい』がある以上、決定打にはなり得ない。隙を見て『どくどく』を当てるのが一番いいが、向こうも同じことを考えているだろうし、最大に警戒しているはずだ。

 

 最善は、向こうのミロカロスが♂、または特性『メロメロボディ』じゃないことを祈って接近戦を仕掛けることだろう。

 猛毒を受けるリスクは上がるが、ミロカロスの物理防御はそこまで高くない。回復をされても有利に持ち込める。ただし、メロメロ状態にされた瞬間、この試合は負けも同然だ。

 

 ハイリスクハイリターンの賭け――だが、仮にこの試合に負けたとしても、2勝2敗のイーブンである。こちらには、まだ延長戦が残っていた。

 逆に、ここでミロカロスの特性を暴ければ、延長戦に入った時に対策を打てる。と、いうことで、ここは一か八か接近戦を仕掛けることにした。

 

 カメックスに『こうそくスピン』を指示して、ミロカロスとの距離を詰めさせる。そのまま、体を抑えるようにのしかかると、最後の技である『かみくだく』を指示した。

 進化したことで、新たに覚えたこの『かみくだく』は、二割で相手の防御力をダウンさせる追加効果がある。おまけに、威力は80な上、黒いメガネであく技の威力は上昇していた。

 

 ミロカロスが首をこちらに向けると、そのまま『どくどく』を撃って来ようとするので、一旦転がって回避していく。

 こちらが離れると、ミロカロスは『じこさいせい』で体力を回復してきた。これで残りPPは3だ。

 回復中の無防備なミロカロスに、『ラスターカノン』でダメージを与えていく。しかし、タイプ不一致の『ラスターカノン』よりも回復量の方が高いようで、『かみくだく』含めて与えたダメージはかなり回復されてしまった。

 

 しかし、『ラスターカノン』もまた、追加効果に一割で相手の特防を下げるというものがある。

 耐久が下がれば、今まで受けきれていた技も受けきれなくなってくるだろう。問題は相手の特性が『かちき』で、ステータスが下がった時に、特攻が二段階上がる特性だった場合だが、どの道火力が上がったとしても攻め切る以外の択はない。

 

 こちらが『こうそくスピン』を二回使ったことで、追加効果でカメックスの素早は二段階アップしている。

 元々、ミロカロスとカメックスはそこまで素早に差がないので、こちらが一方的に速くなったと言っていいだろう。

 

 再び、カメックスがミロカロスにのしかかって動きを封じていく。だが、向こうもされるがままではなかった。

 すぐに『まきつく』で、こちらの抑えを抜けて体をカメックスに巻き付けてくる。そのまま『どくどく』まで続くのは見えていたので、即座に『こうそくスピン』で脱出した。

 

 そう簡単に接近戦を勝たせてはくれないということか。こうなると、互いに千日手になってくる。

 しかし、向こうには回復が後3回残っていた。

 対して、こちらは『どくどく』を受けてもアウト、『りゅうのはどう』の直撃を受けてもアウトと、ダメージを受けた瞬間に劣勢になるのが目に見えている。

 

 とはいえ、『まきつく』も軽視できる技ではない。下手に動きを封じられれば、『どくどく』が直撃しかねなかった。

 それに、『まきつく』の小さなダメージも積もれば致命傷になる。今はまだ二回しか攻撃を受けていないが、二回のかすり傷を受けたことに違いはなかった。

 

 こちらも全ての技を使い切ったが攻め切れない。今の状況はアダン有利だ。出来れば、『かみくだく』の連打で回復が間に合わないくらいのダメージを与えるのが一番の勝ち筋だが、『どくどく』がそれを許してくれない。

 

 いや、体力が残っているうちに一気に勝負を決めに行くべきか? このままズルズルとバトルを引き延ばしても、スタミナが減ればいつかは猛毒を受けかねない。

 ならば、猛毒で倒れる前にミロカロスを倒し切る。カメックスの『かみくだく』はタイプ不一致だが、黒いメガネで火力が上がっていた。二割の防御ダウンの追加効果を引ければ勝ちの目はある。

 

 しかし、二割を引かなかった場合が問題だ。カメックスの火力と今のミロカロスの体力を考えても、四発も当てれば倒し切れるだろうが、それは向こうが回復を挟むことを考慮に入れない場合である。

 残り3回の回復を考えれば、七発は攻撃する必要があった。だが、『どくどく』は普通の毒と違って、時間をかけるほどにダメージが大きくなる強力な状態異常だ。七発も打っている間に、向こうも攻撃を仕掛けてくるだろうし、そうなれば倒れるのはこちらの方が早い。勝つには二割を引くのが必須だった。

 

 またもハイリスクハイリターン。

 

 失敗すれば負けの一か八かの状況だ。しかし、ここで引いて勝てるかと言われればノーである。

 状況を見ても、このまま持久戦に持ち込まれれば負けるのはこちらだろう。ならば、どんなにリスクがあろうと、勝つ可能性があればそれを選択するのがニューサトシのバトルだ。

 

 カメックスを突撃させる。

 

 一撃目の『かみくだく』が命中すると、同時にミロカロスが『まきつく』でポジションを取ってきた。

 先程はすぐに脱出したが、今回はこのまま二度目の『かみくだく』を当てていく。対するミロカロスは『どくどく』を撃ってきた。

 しかし、気にせず、そのまま三回目の『かみくだく』を当てていく。ここでアダンも、こちらが一気に勝負をつけに来たことに気付いたようで、三回目の『じこさいせい』を指示してきた。

 

 ここからはどちらが先に倒れるかの勝負である。今の所は追加効果の防御ダウンを引けていない。

 四度目の『かみくだく』と四度目の『じこさいせい』がぶつかり合う。カメックスも猛毒と『まきつく』の継続ダメージで体力が削れていた。

 五度目の『かみくだく』でようやく二割の効果を引く。同時に、向こうも『じこさいせい』を使い切った。こちらも猛毒三ターン目である。どちらが先に削り切るかの勝負だ。

 

 六度目の『かみくだく』で勝負をつける。本来なら七回必要だが、防御が一段階下がったことで、ギリギリ削り切れる計算だった。

 しかし、対するミロカロスも『りゅうのはどう』で反撃してくる。直撃を受けた瞬間、黒いメガネ越しにカメックスの表情が曇った。どうやら、特性は『かちき』だったようで、特攻が二段階上昇してダメージが増えたのだ。

 

 通常の『りゅうのはどう』なら受けきれた。だが、特攻が二段階上昇した一撃はカメックスの体力を削り切る。

 しかし、カメックスもまた、ミロカロスの体力を削り切った。予定通り二割の防御ダウンのおかげで、ギリギリ本来残るべき体力を削り切ったのだ。

 

 カメックスが倒れると同時にミロカロスも倒れる。第四試合は引き分けということで、二勝一敗一分で、このガチ戦は俺の勝利が決定した。

 アダンが勝利の証として、レインバッジを渡してくる。変則マッチだったが、何とか勝利をもぎ取れた。運が悪い試合や、一か八かの試合もあったが、概ねの試合は有利に進められた気がする。

 

 一つ前のフウとランのダブルバトルや四天王ゲンジの野良バトルでもそうだった。ピンチにはなったが、割と有利に状況が進められている。

 六つ目のジムで、ナギに負けてから――いや、正確には、あの敗北をキッカケにきずなミュウツーを経験してから、一つ上のステージが見えてきたような気がするのだ。

 

 少なくとも、良い調子なのは間違いない。

 

 後はハルカの最後のリボンとグランドフェスティバルを終わらせて、マサラタウンでチャンピオンリーグの調整だ。今回こそ、優勝して四天王リーグに乗り込んでやるぜ。

 

 

 

 13歳 λ月υ日 『あれ、そのポケモンは?』

 

 ホウエンでのジム戦が全て終わり、これで残りはコンテストだけになった。カントーからわざわざ応援に来てくれたカスミさんも、レベルの高いみずポケモンの試合が見られたということで、とても満足そうにしている。

 このまま、さっさと次のコンテストが開かれるキナギタウンを目指そうかと思っていると、今回のホウエンリーグに挑戦しているヒロシ君と再会した。

 

 前回はピカ様でボコボコにしてしまったが、どうやら順調にバッジを集めているようで、残るはルネジムだけらしい。

 俺はホウエンリーグに参加しないので、もしヒロシ君と戦うとすれば、彼がホウエンリーグを制覇してチャンピオンリーグにエントリーした時だけだ。

 

 適当な世間話をしていると、ヒロシ君が「そういえば、珍しいポケモンを仲間にしたんだ」と言って、新しい仲間を見せてくれた。

 モンスターボールから出てきたのは、まさかのミュウツーである。っていうか、前に俺がサカキから解放したミュウツーⅦだった。

 

 ミュウツーⅦは俺の顔を見るなり、ヒロシ君の背中に隠れてしまっている。どうやら、あのバトルはかなりのトラウマになっているようだった。

 

 ヒロシ君曰く、たまたまミュウツーⅦが困っている所をレオンが見つけたようで仲良くなったらしい。

 ただ、いつも何かに怯えており、自分からは進んでバトルをしないそうだ。俺達の言ったことをしっかり守っているのだろう。

 

 とりあえず、このミュウツーⅦの怯えの大半は俺達のせいなので、ヒロシ君にも事情を説明していく。

 ヒロシ君がトレーナーになったのなら、万が一のことも起きないだろうということで、俺達が指示したことは忘れてヒロシ君のいうことを聞くように、新たにミュウツーⅦにも声をかけた。

 

 震えながら何度も頷いているのを見ると、虐めているような気分になるな。とはいえ、こればかりは時間をかけて解決するしかないので、後はヒロシ君に任せるしかない。

 後始末を任せるようで悪いと謝ると、「この子はもう僕のポケモンなんだ。ゆっくり、時間をかけて付き合っていくさ」と笑っていた。ミュウツーⅦも、ヒロシ君がトレーナーになってくれてよかったな。

 

 

 

 13歳 λ月φ日 『お前を待っていたんだよ』

 

 キナギタウンへ向かっている途中、ハルカのアゲハントとフシギダネのボールが盗まれる事件が発生した。

 一瞬、またロケット団かと思ったが、どうやら今回はマッスグマが犯人だったようだ。トレーナーのケイマによると、マッスグマのドキンちゃんは丸いものを集めるのが大好きらしい。

 

 おそらく、ハルカのボールも丸いから持って行ったのだろう。隠し場所にはきのみを始めとした丸いものがたくさんあったが、ハルカのボールはどこにもない。

 ドキンちゃんは丸くないアイテムは裏山に隠しているということで探しに行くと、ふといほねややすらぎのすず、りゅうのキバやおうじゃのしるしなど激レアアイテムが一杯だった。

 

 ハルカのボールも見つかって一安心――と、思っていると、ドキンちゃんの『ものひろい』に目をつけたロケット団が、いつものようにポケモンを捕まえようとしてくる。

 当然、許すはずがなく、ピカ様の一撃でやなかんじーにして貰った。お前らも、グランドフェスティバルに出るかのどうかは知らんが、そろそろ準備しておいた方がいいぞ。

 

 と、いうことで、いつものようにロケット団を撃退すると、ドキンちゃんの集めたボールを持ったラティが遊んでくれと寄ってくる。

 どうやら、ハルカのポケモンが見つかるまでは我慢していたみたいだが、ボール遊びがしたいようだった。まぁ、ラティはボール遊びが大好きだからなぁ――と、思っていると、ケイマもドキンちゃんがジグザグマだった頃、ボール遊びが大好きだったことを思い出したらしい。

 

 成程な。丸いものを集めてくるのは、ケイマと一緒に遊んで欲しいからだったのか。ずっと、お前を待っていたんだよ。

 

 ケイマも「気付かなくてごめん」と謝ると、ドキンちゃんと一緒にボール遊びを始めた。こちらもラティが限界なので、一緒にボール遊びをする。

 ラティアスとマッスグマがボール遊びをするというのはなかなかに不思議な光景だったが、どちらも楽しそうにしていたので良しとすることにした。

 

 

 




 原作との変化点。

・第111話『ルネジム! 水のアーティスト・アダン!(後編)』より、二勝一敗一分で勝利した。
 全体的に互角以上に戦えた手応えがあった。ナギ戦の敗戦から、いろいろ自身の成長を感じている。

・ヒロシ君と再会した。
 ルネジムに挑戦しに来た。謎の運命力で、ニューサトシが逃がしたミュウツーⅦをゲットしている。

・ヒロシ君の指示を聞くようにミュウツーⅦに声をかけた。
 が、ビビりが直るかどうかは本人次第。

・第112話『マッスグマ! 友情のカタチ!?』より、マッスグマが集めたアイテムを全部貰った。
 進化アイテムなども多くあり、ニューサトシが大喜びしている。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.62

 ピジョット Lv.57

 バタフリー Lv.56

 ドサイドン Lv.60

 フシギダネ Lv.57

 リザードン Lv.61

 カメックス Lv.57

 キングラー Lv.57

 カモネギ  Lv.56

 エビワラー Lv.57

 ゲンガー  Lv.59

 オコリザル Lv.56

 イーブイ  Lv.56

 ベトベトン Lv.56

 ジバコイル Lv.56

 ケンタロス Lv.56

 ヤドラン  Lv.56

 ハッサム  Lv.58

 トゲキッス Lv.54

 プテラ   Lv.57

 ラプラス  Lv.56

 ミュウツー Lv.74

 バリヤード Lv.56

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.55

 カビゴン  Lv.53

 ニョロトノ Lv.52

 ヘラクロス Lv.52

 メガニウム Lv.51

 マグマラシ Lv.51

 ラティアス Lv.48

 ヘルガー  Lv.51

 ワニノコ  Lv.51

 ヨルノズク(色違い) Lv.51

 カイロス(部分色違い) Lv.51

 ウソッキー Lv.51

 バンギラス Lv.59

 ゴマゾウ  Lv.50

 ギャラドス(色違い) Lv.50

 ミロカロス Lv.41

 ミズゴロウ Lv.44

 オオスバメ Lv.44

 ジュプトル Lv.44

 ヘイガニ  Lv.43

 フライゴン Lv.51

 コータス  Lv.42

 ラルトス(色違い) Lv.30

 ユキワラシ Lv.36




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#149 『ががが大所帯』

 13歳 λ月χ日 『意外と時間がないな』

 

 久しぶりにシュウに再会したが、シュウもまた既にリボンを五つ集め終わったということだった。

 こちらは俺がもう五つだが、まだハルカはリボン四つだ。それを聞いたシュウが、グランドフェスティバルまでの間にあるコンテストは、もうキナギのコンテストだけだと教えてくれた。意外と時間がないな。

 

 ハルカももう後がないとわかり、少し焦りを見せていたが、どの道やるしかないと言うと「そうね」と頷いている。

 

 グランドフェスティバルはカイナで行われるということで、二日後のキナギのコンテストが終わってすぐに向かわないと間に合わない日程だった。

 もしポケモンリーグに挑戦していたら、グランドフェスティバルが終わってすぐにサイユウシティまで行かないと間に合わない地獄のようなスケジュールになる所だったな。

 

 

 追記。毎度お馴染みロケット団のせいで、まぼろし島なる場所に飛ばされた。確か、ゲームでも条件を満たすと出現する島だったような気がするが、ハルカとシュウがここで少し仲を深めたらしい。うーむ、青春だね。

 

 

 

 13歳 λ月ψ日 『うちのゴマゾウもいつかなるんだろうか?』

 

 キナギ島を目指して船旅をしていると、エンジンの故障で急遽ドント島で船を乗り換えることになった。

 新しい船が来るのを待っていると、丁度この島では今、ドンファンの恋の季節のようで、転がりながら求愛をしており、そこかしこでドンファンが転がりまくっている。

 

 たまにこちらに転がって来るので、受け止めて別の方へと受け流してやった。俺のゴマゾウも進化したらいつかこんな風になるんだろうか?

 

 

 追記。船を待っている途中、ユキワラシが『れいとうビーム』の練習をしていた。撃つことは出来るのだが、まだ完全に使いこなせないようでコントロールが定まっていない。

 

 

 

 13歳 λ月ω日 『ポケモンコンテスト キナギ大会』

 

 ハルカがキナギ大会のパートナーをエネコに決めた。流石にまだ大会経験がないバネブーで挑戦するにはリスクが高いと判断したらしい。

 他のポケモンの調子を見つつ、一番絶好調だったエネコをチョイスしたようだが、ギリギリまで同じく絶好調のチルタリスと悩んでいた。

 チルタリスの方がバランスはいいが、エネコにはここ一番の爆発力がある。ハルカは今回のコンテストを突破するのに爆発力を選んだようで、絶対に勝つと気合を入れていた。

 

 ハルカがエントリーを終えると、後ろから声をかけられる。振り向くと、笑顔のナナミさんが手を振っていた。

 どうやらキナギの最後のコンテストを見に来たようで、ナナミさんに気付いたラティが嬉しそうに突撃している。カスミさんも、ラティの異様な懐き具合に驚いていたが、ナナミさんだから仕方ないね。

 

 ナナミさんに、ニューサトシもグランドフェスティバルに出場することを話しつつ、コンテストについていろいろ教えて貰っていると、どうもハルカの方が修羅場になっていた。

 聞けば、トシキと名乗る少年と知り合ったようなのだが、その幼馴染のエリコに痛くもない腹を疑われているようで、カスミさんが様子を見ながらニヤニヤしている。ハルカからすれば無実の罪だが、恋の病ってやつはそういう勘違いがなかなか伝わらなくなるもんなんだよな。

 

 どうやら、ナナミさんはトシキとエリコを別のコンテストで見たことがあるようで、「二人とも、なかなかの腕前よ」と賞していた。

 うーむ、やはり最後の大会だけあって、他の大会に比べても実力者も多いようだ。滑り込みを狙う奴等も多そうだし、ハルカも苦労するかもなぁ。

 

 そんなこんなで、大会が始まったのだが、毎度お馴染みの幸平式を決めたハルカがエネコの『ねこのて』を使った破天荒な演技を決めていた。

 エネコの『ねこのて』はランダムに、自分以外の手持ちポケモンの技を使うという『ゆびをふる』なんかと同じで自分でも何が出るかわからない技だが、流石に手持ちポケモンの技ならばもう応用もお手の物のようで、それに合わせた演技を見せつけている。

 

 ハルカ自身も、かなり調子が良いようでエネコとの息も完全にあっていた。正直、どのコーディネーターもレベルが高いが、その中でもハルカは頭一つ抜けている印象だ。

 二次審査には四名が進めるが、ハルカは堂々のトップ通過を果たし、また先程ひと悶着起こしていたトシキとエリコも二次審査に進出していた。組み合わせのくじの結果、ハルカのファーストステージの相手はトシキとなっている。

 

 程よく緊張を楽しめているようで、ハルカの口元には薄く笑みが浮かんでいた。対するトシキもまたそれに応えるように笑みを浮かべている。

 普通のバトルならば、絶対に勝つと気負う所だが、コンテストバトルはポケモンの魅力を競うバトルだ。リラックスして、楽しんだ方がポケモンもベストな実力が出せる。

 

 ハルカの場合は、理屈ではなく、体が自然とコンテストバトルを楽しんでいるのだろうが、結果としてエネコが順当に勝利を決めた。

 また、そんな二人のコンテストバトルを見て、エリコも自分が勘違いをしていたことに気付いたようで、ハルカを見つめる視線が先程までとは打って変わって優しいものになっている。

 

 ファイナルステージはハルカ対エリコという組み合わせになったが、改めてバトル前にエリコがハルカに自身の勘違いを謝罪していた。

 ハルカも、特に気にしていないということで、お互いに悔いのないバトルをしようと誓い合っている。最終バトルは、エネコ対ルージュラという組み合わせだ。

 

 エネコが覚えている技で有効打になり得そうなのはノーマルタイプの物理技くらいのものだが、エリコのルージュラも多彩な技で攻めてくるのでなかなか攻め切れない。

 段々とポイントが不利になっていく中、ハルカは一か八か『ねこのて』に勝機を求めた。幸運の女神はハルカに味方したようで、ワカシャモの『ほのおのうず』が発動し、ルージュラの動きを封じていく。

 

 弱点のほのお技を起点として、ハルカがペースを取り戻し、僅かな差でエネコが勝利を収めた。

 正直、もう少し制限時間が早かったら逆転は出来なかったかもしれない。それだけの接戦だった。

 

 お互いに今持てる全力のバトルをしたようで、ハルカとエリコが健闘を称え合っている。

 ハルカも無事に最後のキナギリボンを手に入れ、グランドフェスティバルの出場権を得た。これで、俺だけがグランドフェスティバルに出るという悲しい事件は起きずに済みそうだな。

 

 

 

 13歳 μ月α日 『ががが大所帯』

 

 ナナミさんもグランドフェスティバルに出るので、目的地は同じカイナシティだ。ラティも懐いているし、しばらくの間一緒に旅をすることになった。

 しかし、元々五人だったのに、カスミさんとナナミさんも加わって七人旅である。間違いなく過去最高の大所帯だな。まぁ、これはこれで楽しいから文句はない。

 

 昼食の時間、黒いラルトスを初めてみるカスミさんやナナミさんがとても驚いていた。カスミさんが触ろうとすると、プイっとそっぽを向いて嫌がっている。

 ふふふ、俺ですら最近撫でられるようになったばかりなのだ。そう簡単にはいかんよ――と、思っていたら、ナナミさんがスッと抱きかかえている。ラルトスも笑ってはいないものの、特別拒否はしていなかった。

 

 バ、バカな。このニューサトシですらまだ抱っこは出来ないんだがががががががががががががががががががががががががが――

 

 

 

 13歳 μ月β日 『ダンチなのよね』

 

 ナナミさんは俺やハルカが教えを乞うと、コンテストのことについて笑顔で教えてくれる。

 最初は同じグランドフェスティバルに出るライバルなのに――とも、思ったが、今の俺達とナナミさんとでは、ライバルというのも烏滸がましいレベル差があったのだ。

 

 と、いうのも、昨日一度、演技を見せて欲しいとお願いして、簡単な演技を見せて貰ったのだが、即興演技でもそのレベルの高さは一目でわかった。

 難しい演技を何でもないようにこなす上、一つ一つの動きに無駄もない。何より、見ているこっちが楽しくなってしまう気分になるその演技の素晴らしさは、途中で我慢が出来なくなったラティが乱入してしまったのを見れば一目瞭然だろう。

 

 ポケモントレーナーで表すならばチャンピオンクラスだ。

 

 あのムサシがとんでもなくレベルアップしていたことから、凄いとは思っていたが、まさかここまで差があるとは思わなかった。

 コンテスト歴一年にも満たない俺達では、恥ずかしくてライバルなんて名乗れない。だからこそ、この機に少しでもナナミさんの教えを吸収してレベルアップしたかった。

 

 

 

 13歳 μ月γ日 『ハルカデリシャスw』

 

 ナナミさんにポロックについて習っていると、丁度きのみが豊富になっている島に着いた。

 ハルカが前々から考えていたらしいレシピで、最高のハルカデリシャスなるものを作ったのだが、前に作ったポロック同様全員渋い顔をしている。むしろ、アゲハントが手持ちにいない分、残飯処理に困るレベルだった。

 

 すると、突然現れた野生のゴンべがハルカデリシャスを美味しそうに平らげている。ハルカもいきなりの珍客に驚いていたが、自分のポロックを美味しそうに食べてくれるゴンベに悪い気はしていないようだ。

 

 その後、ポケモンセンターでしばらくナナミさんから講義を受けていると、ゴンベがポロックを食べてしまうという事件が発生した。

 近くにいた俺達で何とかしようという話になったのだが、ゴンベやカビゴンを止めるにはゲットしかないということで、ハルカがゴンベをゲットしようとボールを投げている。

 

 ゴンベは投げたボールすら食べてしまったが、どうやら口の中でしっかり作動したようで、そのままハルカにゲットされていた。

 ここで、そういえばアニメの中盤でもハルカがゴンベをゲットしていたことを思い出す。おそらく、アニメの話だったのだろう。いろいろ慌てて損した気分だ。

 

 

 

 13歳 μ月δ日 『カ、カカロット!』

 

 カイナシティへ向かっている途中に、悟空に出会った。いや、声が同じだけで別人なのだが、マサムネと名乗る野沢声のぽっちゃり君はホウエンリーグ出場を目指しているらしい。

 どうやら、まだバッジが七個のようだが、もうあまり猶予はなかった。俺はバッジを持っているが、リーグには出ないので応援していると、「逃げるのか?」と挑発してきたので、少し現実をわからせてやることにする。

 

 自慢のダンバルをピカ様で瞬殺すると、グゥの音も出ないようだった。悪いが、俺にチャレンジしたかったらまずはホウエンリーグを勝ち抜いてくるんだな。

 

 

 

 13歳 μ月ε日 『リボンカップ』

 

 グランドフェスティバルまで後二日と迫っているが、豪華客船であるセント・フラワー号に乗れたので問題なくカイナシティまでたどり着けそうだった。

 聞く所によると、この船には今回のグランドフェスティバルの優勝者に送られるらしいリボンカップが展示してあるということで、少し見に行くことにする。

 

 どうやら。ナナミさんは既に別地方のリボンカップをいくつか持っているようで、マサラタウンの自室に飾ってあるらしい。このグランドフェスティバルが終わったら、ナナミさんも一度マサラタウンに帰るということなので、その時見せて貰うことにした。

 

 

 

 13歳 μ月ζ日 『久しぶりだなぁ』

 

 何とか前日までにカイナシティに着くことが出来た。早速、俺、ハルカ、ナナミさんのエントリーを終えてポケモンセンターへ行くと、いつぞや進化させてしまったワカシャモがこちらを見るなり蹴りを飛ばしてくる。

 若干、嬉しそうな感じがしないでもないが、適当に攻撃を受け流していると、騒ぎを聞きつけたジョーイさんがワカシャモを一喝してじゃれ合いは終わった。ジョーイさんの言うことを素直に聞くのも変わってないな。

 

 事情を知らないカスミさんとナナミさんに、ワカシャモとのいきさつを話すと、カスミさんが「何やってんのよ、アンタは……」と頭を抱えていた。

 

 しっかし、カイナも本当に久しぶりだ。

 

 思えば、俺とハルカが初めてコンテストに出たのもこのカイナシティである。あの時はハルカも初心者で、俺もバトル経験があるだけの素人だったが、今や二人ともグランドフェスティバルに出場すると思うと感慨深いものがあるな。

 

 ワカシャモにも、明日のグランドフェスティバルの応援に来てくれるよう言ってみると、そっぽを向きながらも頷いている。

 どうやら、明日はジョーイさんも審査委員に選出されているようで、元々ワカシャモもボディガードとして付いていく予定だったらしい。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・第113話『まぼろし島のソーナノ!』より、ハルカとシュウが仲良くなった。
 色恋大好きカスミさんが後ろからニヤニヤして見ていた。

・第114話『転がれ! 恋するドンファン!』より、ニューサトシがドンファンを受け止めた。
 原作では、ドンファンのころがるで全員が別れてしまうが、ニューサトシが捌いたので別れなかった。ので、マサトを探すくだりがカットされた。

・ユキワラシがれいとうビームを練習している。
 原作準拠。まだまだ未完成で撃つことは出来てもコントロール出来ていない。

・第115話『混戦、混乱! ポケモンコンテストキナギ大会!(前編)』より、ナナミさんと再会した。
 地味にカスミさんは初めましてだが、女同士すぐに仲良くなった。

・第116話『混戦、混乱! ポケモンコンテストキナギ大会!(後編)』より、幸平式を決めた。
 何だかんだやはりこれがないと始まらない。と、言うのがハルカの言い分。完全に癖になってしまった。が、そのおかげもあってか、ハルカが五つ目のリボンをゲットした。

・ナナミさんがラルトスを上手く抱っこした。
 ニューサトシが血の涙を流した。

・ナナミさんにコンテストについて教わった。
 ミホークを倒すために教えを乞うゾロの心境。

・第117話『ハルカデリシャスで、ゴンベGETかも!!』より、ロケット団がナナミさんを恐れて悪事をしなかった。
 それにより、本当にゴンベがポロックを食べてしまった。原作ではロケット団による冤罪だが、本当に食べてしまって大騒ぎになっている。紆余曲折あって、ハルカがゴンベをゲットした。

・第118話『ライバル登場! マサムネとダンバル!!』より、ニューサトシが実力差を見せた。
 ポッと出の癖にリーグライバルになったキャラ。もっと早く出せばよかったのに。野沢雅子さんが声を当てているので、悟空にしか聞こえないが、キャラはヤジロベーみたいなやつ。流石に負ける要素がないので、ダンバルをボコボコにした。ダンバルとっしんだ!

・第119話『怪盗バンナイとリボンカップ』より、バンナイを事前に捕まえてしまったので、のんびりした船旅になってしまった。
 代わりに、ナナミさんのリボンカップを見せて貰う約束をした。

・第120話『サトシとハルカ! ホウエンでの熱きバトル!!』より、総集編はカット。
 代わりに、ポケモンセンターにいるワカシャモに会いに行った。相変わらずキックしてくる。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.62

 ピジョット Lv.57

 バタフリー Lv.56

 ドサイドン Lv.60

 フシギダネ Lv.57

 リザードン Lv.61

 カメックス Lv.57

 キングラー Lv.57

 カモネギ  Lv.56

 エビワラー Lv.57

 ゲンガー  Lv.59

 オコリザル Lv.56

 イーブイ  Lv.56

 ベトベトン Lv.56

 ジバコイル Lv.56

 ケンタロス Lv.56

 ヤドラン  Lv.56

 ハッサム  Lv.58

 トゲキッス Lv.54

 プテラ   Lv.57

 ラプラス  Lv.56

 ミュウツー Lv.74

 バリヤード Lv.56

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.55

 カビゴン  Lv.53

 ニョロトノ Lv.52→53

 ヘラクロス Lv.52→53

 メガニウム Lv.51→52

 マグマラシ Lv.51→52

 ラティアス Lv.48

 ヘルガー  Lv.51→52

 ワニノコ  Lv.51→52

 ヨルノズク(色違い) Lv.51→52

 カイロス(部分色違い) Lv.51→52

 ウソッキー Lv.51→52

 バンギラス Lv.59

 ゴマゾウ  Lv.50

 ギャラドス(色違い) Lv.50

 ミロカロス Lv.41→42

 ミズゴロウ Lv.44→45

 オオスバメ Lv.44→45

 ジュプトル Lv.44

 ヘイガニ  Lv.43→44

 フライゴン Lv.51

 コータス  Lv.42→43

 ラルトス(色違い) Lv.30

 ユキワラシ Lv.36→39




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#150 『コンテストバトルにおける極地の一つ』

 13歳 μ月η日 『カイナシティ グランドフェスティバル』

 

 遂に、待望のグランドフェスティバルの当日となった。ハルカも今までコンテストには何度も参加してきたが、ここまでの規模の大会は初めてということでとても緊張している。

 今回はこちらから先手必勝の幸平式をパチーンと決めてやったのだが、それでもまだ緊張の方が勝るらしい。すると、ハルカ宛にこれまで出会った知り合いから手紙が届いたとのことで、目を通していくうちに緊張がやる気へと変わっていったようだ。

 

 俺宛にもかなり手紙が来ている。もしかして、グラフェス終わったらこれ全部に返信しなきゃいけないのか?

 うーむ、死ぬほど怠いな。

 いっそ、見なかったことにしたい――が、そんな俺の表情を読み取ったカスミさんが、「ちゃんと返事をするのよ」と釘を刺してきた。へいへい、わかりましたよ。

 

 グランドフェスティバルはこれまでのコンテストと違って予備選というものがあるらしい。280人の参加者を全て審査していたら時間が足りないので、その予備選を超えた上位64名しか本戦には出場できないようだ。

 予備選の審査は、ポケモンの技を使ったアピールということで、今までのような演技ではなく、技を如何に美しく見せるかが重要になってくる。

 

 奇しくも、ニューサトシの得意分野だった。

 

 逆にハルカは今まで、技をそこまで凝って使ってこなかったこともあり、どうやって予備選を突破しようか頭を悩ませている。

 そんなハルカに、毎度お馴染みシュウや前に囁き戦術を使ってきたハーリーが声をかけてきた。表向きは互いに頑張ろうと声をかけているようだが、シュウはライバル心メラメラだし、ハーリーはまたハルカを騙そうとしているのか、怪しい笑みを浮かべている。

 

 とりあえず、ハルカには「あまりハーリーを信用しすぎると前のようになるぞ」と、忠告しておいた。

 どうやらすっかり忘れていたらしいが、前に恥をかかされたことを思い出したようで警戒している。これならまぁ騙されることはないだろう。

 

 っていうか、あまりハルカばっかりに構っている場合ではない。俺も予備選に出すポケモンを考えないとな。

 予備選が技の美しさを競う場なら、コンテスト経験のあるラティよりも器用なピカ様に任せた方がいいかもしれん。ラティも頑張ってはいるが、まだいろいろ未熟な部分も多いからな。

 

 ピカ様のでんき技の応用ならば、予備選を十分に突破できると判断し、ここはピカ様にお任せすることにした。

 ラティが「むーむー」怒っているが、お前の出番は本戦からだ。今は力を温存して、その時に備えておいてくれ。

 

 ハルカは予備選をアゲハントで行くことにしたようで技の調整をしている。むし技なら、やはり『ぎんいろのかぜ』だろう。あの技は見た目も良いし、いろいろと応用も効くしな。

 どうやら、ハルカも技を悩んでいたようで、俺の言葉を聞いて『ぎんいろのかぜ』をメインで行くことにしたようだ。これで、負けても恨まないでくれよ。

 

 と、いう訳で、予備選のアピールが始まった。

 

 ナナミさんや前に苦戦を強いられたミロカロス使いのロバートが当然のように満点を出していく中、俺も続くようにピカ様のカウンターシールド『10まんボルト』を披露していく。

 今回は技の威力は完全に無視して、電撃の美しさに全振りしているので、電撃の網が美しく表現されている。

 

 惜しくも満点には届かなかったが、95点とかなりの高得点を叩き出した。まぁ、余程のことがなければ上位64名には入れると思いたい。

 

 少ししてハルカの番になったが、ハルカもまた『ぎんいろのかぜ』を応用した演技で92点という高得点を叩き出していた。

 どうもハーリーがまた何かをしようとしていたようだが、あえなく失敗に終わったらしく凄い顔でハルカのことを睨んでいる。

 

 また、いつの間にか参加していたロケット団のムサシがドクケイルの粉技で予備選に参加していた。小さな声で、「94点以下だったらアウト……」と呟いていたが、95点という俺と同じ点数を叩き出している。

 どうも、ナナミさんラインで94点以下はアウトらしい。にも、関わらず、92点のハルカを素直に褒めている辺り、どうやらナナミさんは弟子のみに厳しいタイプのようだ。

 

 予備選は無事に全員突破することが出来たようで、本選前にポケモンセンターでポケモン達の体調チェックをしてもらうことにする。

 調子に乗ったタケシが、ジョーイさんに自分も診察してほしいと迫っていたが、人間は専門外と一刀両断された上、カスミさんとマサトに両耳を引っ張られていた。

 

 本選の一次審査は、いつものパフォーマンスタイムだ。ポケモンの魅力を如何に伝えるかで得点が変わってくる。

 また、ここまで残った64人の内、半分の32名だけが、二次審査であるタッグバトルの舞台に行くことが出来るのだ。

 

 俺は当然、ラティである。出番を待ちに待っていたしモチベーションも最高だ。むしろ、ここで下手に別のポケモンを選出したら、いろいろダメになりそうで怖い。

 ハルカはチルタリスで挑戦するようだ。

 前のキナギ大会では爆発力でエネコを選んでいたが、今回はチルタリスが持つ安定した美しさで高得点を狙いに行くようである。

 

 ハーリーがまた何かちょっかいを出しているようだが、ハルカももう集中しきっているようで意にも留めていなかった。

 そんなハルカの状態に気付いたのか、ハーリーは舌打ちして去っていき、シュウは悪くないと言わんばかりの表情を浮かべている。実際、ハルカの状態はとても良く、チルタリスとのパフォーマンスも過去一、二を争う出来だった。

 

 負けていられないので、こちらもまた全力でパフォーマンスに望んでいく。

 ラティお得意の専用技である『ミストボール』を主軸に、最後はようやく安定してきた『りゅうせいぐん』で締めた。『りゅうせいぐん』は技の威力などを無視して、美しさと制御に全ふりしただけあって、花火のような美しさが審査員を魅了している。

 

 結果、俺とハルカは上位32名の中でもかなりいい順位で抜けることが出来た。見れば、ナナミさんやロバート、ムサシ、シュウもかなりの成績を出している。

 残るハーリーは人にちょっかいを出し過ぎて、少し自分の演技が疎かになったようだが、それでもギリギリで上位32名の中に入っていた。これで落ちたら面白かったのだが、そこは意地を見せたらしい。

 

 そのまま、二次審査の組み合わせが決まる。二次審査はいつものコンテストバトルだが、以前やったタッグコンテストと一緒で、二体のポケモンを使ったバトルをしなくてはいけない。

 俺の一回戦の相手は見知らぬコーディネーター、ハルカの一回戦の相手はハーリーだった。

 

 前にやったタッグバトルのコンテストと同様に、二体で共通のポイントなので通常のコンテストバトルよりもシビアな動きを要求されるだろう。

 ハルカも前に俺とのタッグバトルを経験した後も、時間を見つけてはタッグの練習をしていたようだし、前のように簡単に負けることはないはずだ。

 

 二次審査では、今までのコンテストバトルと違って一度のバトル毎に違うポケモンを選出できる。

 ハルカは一回戦をワカシャモとフシギダネで臨むようだ。ハーリーのノクタスを警戒しつつ、フシギダネでサポートする狙いだろう。

 俺はミロカロスと赤いギャラドスのみずタイプコンビで攻めることにした。どうも、ギャラドスはミロカロスがオーキド研究所に預けられている間、一緒にコンテストの練習をしていたようなので、ここでその実力を披露して貰おうという狙いである。

 

 目論見は上手くハマり、実戦不足のミロカロスをギャラドスが上手くカバーし、逆にギャラドスのパワフルな動きをミロカロスがアシストするという感じで上手いこと立ち回っていた。

 思わぬ誤算だったのは、ギャラドスが色違いなのでそこもかなり評価されたことだ。俺も結構手持ちに色違いが多いので、最近は気にしていなかったが、世間的にも色違いのポケモンというのは珍しく美しいのである。

 

 ハルカの一回戦は、ハーリーのノクタスとジュペッタが相手だった。ハーリーも無駄に技術が高く、ハルカのポケモンの魅力を見せないように立ち回って相手のポイントを削ってくる。

 しかし、相手の行動を阻害してポイントを削るのは地味に高等技術だ。ハルカも、想像以上に苦戦していたようだったが、中盤にワカシャモの攻撃から勢いづき、そのままギリギリで差し切っている。

 

 ぶっちゃけ、どちらが勝ってもおかしくないバトルだった。もし、ハルカが俺とのバトルでタッグの弱点を克服していなかったら負けていたかもしれないな。

 

 一回戦を終えると、残りは16名。この時点で、ベスト16は確約されたが、まだまだ上を目指す。

 二回戦は俺もハルカも割と余裕の勝利だった。俺はバタフリーとフシギダネの経験ありコンビで、ハルカはマリルとコドラの原作外ポケモンコンビで突破している。

 

 ムサシもコジロウのポケモンを借りているようで、一戦一戦違うポケモンの魅力をアピールしていた。

 二回戦でアーマルドとユレイドルの化石コンビを見せつけてきた時には乱入してやろうかと思ったほどである。

 

 ナナミさんやロバート、シュウも当然のように残っており、これでベスト8が決まった。

 知り合いが6人いるので、誰かが必ずぶつかるが、今回はハルカ対シュウ、俺対ナナミさんと、二度も知り合いがぶつかるカードになっている。

 

 現実として実力差を考えれば、ここで俺のグランドフェスティバルは終わりだろう。とはいえ、最初から諦めはしない。まだ勝つ可能性はある。ここぞという時のために取っておいたラティ&イーブイの仲良しコンビで挑戦だ。

 ラティの経験と、イーブイの多彩な進化で、ワンチャン攻め切れないかという淡い期待を描いたコンビである。上手くハマれば、ハルカやムサシのように初見殺しも可能なはずだ。

 

 ハルカもエネコとチルタリスという、ここ一番のコンビをぶつけるようで、絶対に勝つと意気込んでいる。

 俺達の中ではハルカとシュウが最初の試合だった。エネコとチルタリスという組み合わせに対して、シュウは相棒のロゼリアと新戦力のフライゴンを出してくる。

 

 奇しくも、ドラゴンポケモン同士の対決となった。こうなると、どちらが先に有効打を当てられるかで流れが変わってくる。

 シュウのフライゴンは隠し玉だけあるようで、かなり育てられていたが、ハルカのチルタリスもチルットの頃からずっとトレーニングを積んできただけあって飛行技術では負けていない。

 

 こうなると、地上組の動きが大事になってくるが、エネコがロゼリアに翻弄されて上手く実力を出し切れていなかった。

 そんなエネコをチルタリスがカバーしようとしたが、その隙を突かれたフライゴンの一撃でシュウがポイント有利になる。

 

 焦ってどんどん追い込まれるハルカだが、パンと拍手を一回すると、「焦らないで、勝負はここから!」と声を上げた。

 

 確かに追い込まれてはいるが、まだ逆転できる時間は残されている。ハルカの一喝で、気持ちがリフレッシュ出来たようで、二体の動きが段々と良くなっていった。

 

 とはいえ、ポイント差を埋めないと逃げ切られるということで、ハルカが一か八かエネコの『ねこのて』に逆転を狙っていく。

 どうも、ここ一番の運は持っているようで、『ほのおのうず』でロゼリアの動きが封じられた。そのまま、チルタリスがフライゴンの動きを封じている間に、エネコの『ふぶき』でフライゴンに四倍弱点を与えていく。

 

 丁度そこでタイムアップとなり、ギリギリ5ポイント差でハルカの勝利が決定した。

 シュウもまさかあの状況から負けるとは思わなかったようで、かなり驚いた顔をしていたが、すぐに結果を受け入れてハルカへ拍手を送っている。その拍手に釣られて、観客からもハルカへ大きな声援が送られた。

 

 続くロバートとムサシも、順調にベスト4へと進出している。この勢いに乗って俺も――と、思ったが、こちらのラティ&イーブイコンビに対して、ナナミさんはニンフィアとサーナイトというラティ殺しの組み合わせを出してきた。

 完全にラティメタである。どちらもフェアリータイプなのでドラゴンタイプのラティには厳しいバトルになるだろう。

 

 しかし――諦めたらそこで試合終了だよ。

 

 と、安西先生も言っておられた。ラティには基本補助に回って貰い、イーブイを起点に攻めて行くことにする。

 必殺の『アドバンスシフト』でフェアリータイプに有利なブースターに進化し、『フレアドライブ』の一撃をお見舞いしていく。同時にラティが『おいかぜ』でアシストし、ブースターの足の遅さがフォローされた。

 

 流石のナナミさんも石なしで、イーブイが進化したことに驚いていたが、すぐにサーナイトが『サイコキネシス』、ニンフィアが『サイコショック』で攻撃を返してくる。

 しかし、両方エスパー技なのは有難い。ブースターからイーブイ、イーブイからブラッキーに進化することで、エスパー技を無効にしていく。ここでナナミさんも俺のイーブイが、各進化先に自由自在になれると理解したようで、さらに驚きの表情を見せてくれた。

 

 続けて、ラティに『てだすけ』を指示すると、これ以上はさせないとばかりにサーナイトが『ちょうはつ』でラティの変化技を封じてくる。

 無粋な真似は止めて舞台に上がりなさいということか――なら、シンデレラも変身の時間だ。

 ブラッキーもイーブイ、エーフィへとチェンジし、二体で『サイコキネシス』をニンフィアにお見舞いしていく。

 

 ニンフィアが『まもる』で攻撃を防いだが、同時攻撃と見せた多段階攻撃だ。初段のラティのサイキネを防いでも、即座にエーフィのサイキネがニンフィアを直撃する。

 序盤の『フレアドライブ』と合わせても、これでかなりポイント的にアドは取ったはずだ。このまま流れを渡さず、一気に逃げ切る――そう、こちらが思考した瞬間、それは発動した。

 

「URANUS!!」

 

 ウラヌス――天王星を意味する単語。

 

 ナナミさんがそう口にした瞬間、ニンフィアとサーナイトによって、巨大な青い星が生成された。

 おそらく、『ムーンフォース』を主軸に、『サイコキネシス』で強化を図っているまでは読めるが、おそらくそれ以外にもいくつか技を組み合わせている。正直、複雑すぎてパッと見ただけでは、いくつの技が重ねられて作られている技なのかわからなかった。

 

 まさに、宇宙規模のその技は、威力としてはそこまでではないが、これまでにない広大な美しさを表しており、有利だったこちらのポイントが一瞬にしてひっくり返される。

 

 ナナミさんはポイントが有利になると、今度は逃げに回った。勿論、あからさまに逃げているとはわからせないレベルでの逃げだ。

 おそらく、イーブイを突破するのが面倒くさいと判断して、逃げ切りを狙っているのだろう。当然、このままされるがままにしておくと、こちらに勝ち目はない。

 

 しかし、逃げに回ったナナミさんは鉄壁だった。

 

 隙など欠片もなく、こちらの攻撃を回避、防御している。どうも、あの星を作る際に、『ミストフィールド』と『トリックルーム』が同時発動していたようで、まだ『おいかぜ』の効果が残っているこちらの動きは遅い。

 

 こうなれば、下手に攻撃を仕掛けるよりも、ワンチャンを狙う方が勝率が高いだろう。

 丁度、『ちょうはつ』と『おいかぜ』の切れる時間は同じくらいだ。ラティの『ちょうはつ』が切れた一瞬の隙に、勝負を決めに行くぜ。

 

 とはいえ、『トリックルーム』は足が遅いポケモンの方が動きが早くなるという技だ。現状、一番足が遅いのはナナミさんのニンフィアだった。

 自然と、狙うはサーナイトということになる。

 俺はまだナナミさんのように二体のポケモンの技を複数合わせるなどというトンデモ技は出来ない。出来るのは一撃に全てをかけることだけだった。

 

 相手の『ちょうはつ』と、こちらの『おいかぜ』の効果が切れた瞬間、イーブイが再びブースターへと姿を変え、『フレアドライブ』で突撃していく。

 同時に、ラティの『てだすけ』が発動し、火力が1.5倍となった。ナナミさんは『ちょうはつ』を撃たない。おそらく、『まもる』を発動させて攻撃をガードするつもりなのだろう。

 

 同時に、ニンフィアがラティへ『ムーンフォース』を発動する。隙を狙って一気に倒そうという狙いだ。

 

 けど、それは予測済みだった。

 

 サーナイトが『まもる』を発動し、ブースターの『フレアドライブ』は弾かれる。だが、その瞬間、ラティの『サイコキネシス』が発動し、弾かれたままの勢いでブースターが再びサーナイトへと突撃していく。

 味方のアシストに回ったことで、ラティに防御手段はなく、『ムーンフォース』が直撃する。しかし、サイキネのおかげで勢いを取り戻したブースターの『アイアンテール』もまたサーナイトに直撃した。

 

 ラティもサーナイトも、ギリギリで戦闘不能にはなっていなかった。しかし、イーブイの最後の一撃である『でんこうせっか』で、サーナイトを戦闘不能に持って行く。

 確かに、『トリックルーム』は遅い方から攻撃が出来る凄い技だが、先制技を防ぐことは出来ない。全ての技を使ってしまったが、サーナイトを何か行動する前に倒せたことは大きかった。

 

 これで二対一だが、ナナミさんも即座に追加の『ムーンフォース』でラティを戦闘不能にしてくる。

 ラティは素早種族値110族だ。『トリックルーム』中では、ニンフィアの方が早く動ける。当然のようにラティも倒れ、これでお互いに一対一の状況になった。

 

 しかし、ポイントはまだナナミさんがこちらを上回っている。おまけに残り時間は一分くらいしかない。

 

 流石のイーブイも、真正面から逃げのニンフィアを捕まえるのはかなり厳しい――と、思ったその瞬間、イーブイの体が光って体力が回復していく。

 ナナミさんも目を見開いて驚いている。『ねがいごと』だ。ラティは倒される寸前に、『ねがいごと』を発動して、イーブイの体力を回復させてくれたのだ。

 

 倒れたパートナーからの贈り物という粋な演出によって、ナナミさんのポイントが僅かに削られる。これで本当に五分だ。

 だが、ナナミさんもここで下手に攻撃はしてこない。イーブイが技に合わせて進化することで、自身のポイントがマイナスになることを嫌ったのだろう。

 

 結局、タイムアップとなり、お互いの得点が五分ということで、勝敗は審判の議論によって決定されることになった。

 

 五分後、結果はナナミさんの勝利となる。やはり、あの宇宙規模の大技のポイントが決め手になったようだ。

 だが、一年でナナミさんを苦戦されるレベルにはなれたようで、「もう、先輩顔はできないわね」と苦笑いを浮かべていた。

 

 これにより、俺とシュウはグランドフェスティバルベスト8で終了。ハルカ、ナナミさん、ムサシ、ロバートの四名はベスト4へと進出した。

 

 ここからは準決勝だ。組み合わせはハルカ対ムサシ、ナナミさん対ロバートである。

 ハルカとムサシの試合だが、ナナミさんの弟子であるムサシにハルカが食い下がっていた。ムサシもアーボックとマタドガスという、初代相棒組で息をつかせぬコンビネーションを見せつけている。

 

 ハルカも、ここを乗り切るために、ワカシャモとアゲハントという組み合わせで勝負をかけに来ていたが、ぶっちゃけ技術的にもムサシの方が一枚上手と言わざるを得ない。

 しかし、シュウとの試合で、ハルカも勢いに乗っているということもあって、ポイントは殆ど五分である。まだ十分に逆転可能と考えていると、ムサシがアーボックとマタドガスの毒によるユニゾンアタックを仕掛けてきた。

 

 アーボックの『ダストシュート』、マタドガスの『ヘドロこうげき』を合わせた技である。

 俺が普段やっているように一体のポケモンの技を複数組み合わせるのと違って、二体のポケモンの技を組み合わせるというのはかなり難しい。二体のポケモンの力を合わせるという最低条件もそうだが、技の状態をキープするのに一体でやるのとは別次元の難易度があるのだ。

 

 先程、俺との試合でナナミさんが見せたウラヌスは、おそらくだが『ムーンフォース』、『サイコキネシス』、『トリックルーム』、『ミストフィールド』の合わせ技である。

 これを一体でやったのならそこまで驚きはしないが、二体でやって見せたからこそのあの大規模演技となっていた。おそらく、二体のポケモンによる技の融合こそが、コンテストバトルにおける極地の一つなのだろう。

 

 そして、ムサシはその極地に足を踏み入れかけている。まだ自分の得意な毒技を一つずつ組み合わせることしか出来ないようだが、その一撃は毒とは思えない美しさでワカシャモに襲い掛かっていく。

 どうやら、通常とは違う猛毒状態になったようで、このままでは制限時間が来る前に、ハルカのワカシャモは戦闘不能になる。

 

 しかし、ハルカも諦めはしなかった。

 

 どうやら、グランドフェスティバルという大舞台で勝ち抜いたことで、ハルカもまた急激に成長していたらしく、ワカシャモの『ほのおのうず』とアゲハントの『ぎんいろのかぜ』の合わせ技をやってみせたのだ。

 常識的に考えて、むし技とほのお技を組み合わせるなどあり得ない難易度である。だが、ハルカは二体を信じることで、その繊細なコントロールをやり通した。

 

 とはいえ、ぶっつけ本番であることに変わりはなく、ムサシのポケモン達はこれを耐え忍んだ。

 

 その後も、どこまでも互角だったが、猛毒状態に加えて、これまで一度のやったことのない大技によって、予想以上にワカシャモの体力に限界が来てしまった。

 バッタリとワカシャモが倒れてしまい、数的不利になったハルカはそのままムサシに敗北してしまう。あの合わせ技で一気に逆転するしかハルカの勝利の道はなかったのだ。

 

 続くナナミさん対ロバートの試合は、ナナミさんの勝利で終わっている。お互いに凄まじいレベルの技の応酬だった。組み合わせが違えば、決勝で戦っていたのはこの二人だったと言われても納得のレベルである。

 前に俺がロバートに勝てたのも、やはりメロメロ状態にさせたことで動きを封じられただけで、実力で勝てた訳ではないというのが改めてよくわかった。

 

 これによって、ハルカとロバートのベスト4が決まり、ナナミさん対ムサシの決勝戦が始まる。

 しっかし、コンテストバトルとはいえ、俺がロケット団の戦う姿を見るだけになる日が来るとは、世の中何が起きるかわからないものだな。

 

 とはいえ、結果はもう見えているようなものだった。師弟だけあって、ナナミさんは完全にムサシの動きを把握しきっている。

 ムサシも少しでもナナミさんの思惑を外そうとしているようだが、結局最後まで流れは動かずにナナミさんの優勝が決定した。

 

 もう原作のグランドフェスティバルの結果も良く覚えてはいないが、ハルカがベスト4でムサシが準優勝のアニポケなどあるとは思えないし、おそらくこれも俺がニューサトシなったことで結果が変わってしまったのだろう。

 まぁ、ロケット団に至っては、地方リーグトレーナーレベルにまでなっているし、今更ではあるが、まさかムサシがここまでポケモンコーディネーターとして覚醒するとは思わなかった。

 

 けど、俺だけベスト8かぁ。

 

 いくら組み合わせの運が悪かったとはいえ、これは地味にショックな結果である。

確か、シンオウ地方でもコンテストはあったはずだし、来年も引き続きちょっとコンテストを継続していこうかな。流石にこれは少し悔しすぎる。ラティも大泣きしているし。

 

 

 




 原作との変化点。

・第121話『開幕! グランドフェスティバル(1)!!』より、ロケット団が悪さをしなかった。
 ムサシがグラフェスに参加しているのと、ナナミさんがいることで、コジロウ、ニャースは応援係になっている。

・第122話『熱闘! グランドフェスティバル(2)!!』より、ロケット団が悪さをしなかった。
 原作では、トンペイというコーディネーターのコンテストパスとリボンを奪ってムサシがグラフェスに参加しようとするが、既に参加しているので内容がカットされた。

・第123話『決戦! グランドフェスティバル(3)!!』より、ロバートがロケット団に襲われなかった。
 グラフェスに集中しているので、ロケット団も悪さをしていない。ので、ロバートからユキワラシにれいとうビームのコツを教えて貰えなかった。

・ニューサトシベスト8、ハルカベスト4、ムサシ準優勝でフィニッシュ。
 組み合わせは基本的に、原作を準拠している。ニューサトシがナナミさんに負けるのはコンテストに参加させると決めた時に考えた終わり方だった。ハルカVSムサシもここまで引っ張った。やはり実力ではムサシの方が上。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.62

 ピジョット Lv.57

 バタフリー Lv.56

 ドサイドン Lv.60

 フシギダネ Lv.57

 リザードン Lv.61

 カメックス Lv.57

 キングラー Lv.57

 カモネギ  Lv.56

 エビワラー Lv.57

 ゲンガー  Lv.59

 オコリザル Lv.56

 イーブイ  Lv.56

 ベトベトン Lv.56

 ジバコイル Lv.56

 ケンタロス Lv.56

 ヤドラン  Lv.56

 ハッサム  Lv.58

 トゲキッス Lv.54

 プテラ   Lv.57

 ラプラス  Lv.56

 ミュウツー Lv.74

 バリヤード Lv.56

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.55

 カビゴン  Lv.53

 ニョロトノ Lv.53

 ヘラクロス Lv.53

 メガニウム Lv.52

 マグマラシ Lv.52

 ラティアス Lv.48

 ヘルガー  Lv.52

 ワニノコ  Lv.52

 ヨルノズク(色違い) Lv.52

 カイロス(部分色違い) Lv.52

 ウソッキー Lv.52

 バンギラス Lv.59

 ゴマゾウ  Lv.50

 ギャラドス(色違い) Lv.50

 ミロカロス Lv.42

 ミズゴロウ Lv.45

 オオスバメ Lv.45

 ジュプトル Lv.44

 ヘイガニ  Lv.44

 フライゴン Lv.51

 コータス  Lv.43

 ラルトス(色違い) Lv.30

 ユキワラシ Lv.39




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#151 『地獄のレベリングの始まりだぜ!』

 13歳 μ月η日 『来るらしい』

 

 グランドフェスティバルも終わり、ホウエンでやるべきことは全て終えた。シュウは、「今回は駄目だったけど、いつか必ずトップコーディネーターなってみせる」と宣言しており、ハルカもまたそれに触発されて自身もトップコーディネーターになると意気込んでいる。

 ロバートはどうやらナナミさんに一目惚れしたようで、試合後にアタックしているようだったが、ナナミさんもこの手のことには慣れているのか上手いこと受け流していた。

 ちなみにロケット団はいつの間にかいなくなっている。おそらく、ムサシがナナミさんからの指導に怯えて逃げたに違いない。ハーリーも特に顔を見せることなくいなくなっていた。

 

 その後、ポケモンセンターでポケモンを回復させていると、例のワカシャモが寄ってくる。蹴りを入れてくるかと思ったのだが、何やらもじもじしていた。

 どうも、ジョーイさん曰く、俺達のコンテストに感動してくれたようだ。グラフェスの最中はずっと手に汗握っており、負けても拍手してくれていたという。

 

 改めてお礼を言うと、ジョーイさんがワカシャモを連れて行ってくれないかと声をかけてきた。

 今回のグラフェスでワカシャモが楽しそうにしていたのを見て、やはり元は新人用のポケモンだったこともあり、このままガードマンでいさせるのが心苦しくなったらしい。

 

 とはいえ、ワカシャモのレベルが素人向けではないことや、すぐに手が出る喧嘩っ早さを何とか出来るのは、対応できる俺しかいないと思ったようだ。

 俺としては、夢特性の『かそく』ワカシャモを仲間にするのに否はない。本人に、「一緒に来るか?」と聞いてみると、嬉しそうに蹴りをしてきた。どうやら一緒に来るらしい。

 

 と、いう訳で、得てして手持ちが増えた訳だが、数日後にはホウエンリーグも始まるし、そろそろこちらもチャンピオンリーグへの調整期間に入らなくてはいけない。

 シュウやロバートに別れを告げると、ミュウツーに頼んで、『テレポート』でトウカシティまで連れて行って貰った。これで一旦ハルカとマサトとはお別れだが、二人ともすぐマサラタウンに遊びに来るつもりのようで、特に寂しそうな顔はしていない。

 

 残る我らは、マサラタウンに帰る。

 

 チャンピオンリーグまで残り二か月、ここからは本腰を入れて調整期間に入ろう。

 ナナミさんをオーキド研究所まで送っていくと、そのまま家に帰る。かつてのように、タケシとカスミさんも一緒だが、ママさんも当然のように受け入れていた。流石はママさんである。

 

 

 

 13歳 μ月θ日 『改めて、全員集合』

 

 ホウエンでの旅から帰ってきたので、改めてオーキド研究所へ顔を出すと、待っていたとばかりに全員集まっていた。

 カントー、ジョウトのポケモン達と、ホウエンで仲間にしたメンバーを分けて、改めて挨拶をしていく。今回の旅で仲間にしたのは、ミロカロス、ミズゴロウさん、オオスバメ、ジュプトル、ヘイガニ、フライゴン先輩、コータス、黒いラルトス、ユキワラシ、ワカシャモである。

 

 そのうち、ミズゴロウさんからフライゴン先輩まではちょくちょく研究所に送っていたので、先輩達も良く知っていた。また、ミロカロスが生まれたのはホウエン前なので、実は全員知っているが、この旅でミロカロスに進化したのでホウエン組に分類している。

 残る黒いラルトスは特別枠だったし、ユキワラシやワカシャモに至ってはほぼ捕まえたばかりなので、全員が初見だった。仲良くするように言うと、イタズラ好きなユキワラシがノリのいいゲンガー辺りとコミュニケーションを取っている。

 

 ワカシャモは格闘組に目をつけられたようで洗礼を受けていた。お前もこれから足技以外にも、技をしっかり仕込んでやるからな。

 

 残る黒いラルトスだが、まだ俺以外(ナナミさんは例外)には心を開いていないので好きにさせることにする。

 バトルを強制するつもりはないし、やりたいようにすればいい。あんまり俺ばかりが構っても良くないし、ポケモン達同士の触れ合いに任せよう。

 

 それに、チャンピオンリーグまで残り二か月しかない。おい、お前ら地獄のレベリングの始まりだぜ!

 

 

 

 13歳 μ月ι日 『お前、♀だったんか』

 

 メガニウムとワカシャモが揉めていた。どうも、ワカシャモは♀だったようで、メガニウムとはウマが合わないらしい。

 相性的にはワカシャモ有利だが、レベルではメガニウムが圧勝しているので容赦なくボコボコされている。しかし、ワカシャモも負けず嫌いなので、絶対に負けを認めることはなかった。

 

 最終的には、見かねたミロカロスが間に入って二体を宥めている。メガニウムも、生まれたばかりのヒンバスの時のことを覚えているようで、どうもミロカロスには強く出られないらしい。

 ワカシャモはまだ食ってかかっていたが、体力の限界からか倒れてしまった。見ていた黒いラルトスが仕方ないとばかりに、『テレポート』でワカシャモをラティの前に転移させている。

 

 気付いたラティも、慌てて『ねがいごと』でワカシャモの体力を回復させていた。何か、気が付いたら女子会みたいになったな。あの場所。

 

 

 

 13歳 μ月κ日 『カニ師弟』

 

 キングラーがヘイガニに稽古をつけている。どうも、前からヘイガニはキングラーを師と定めていたみたいで、ちょくちょく教えを学んでいたようだが、この機にしっかりと弟子入りしたらしい。

 ヘイガニはまだシザリガーに進化していないので、覚えられる技には限界があるが、それでもまずは覚えられる技は覚えようということで、キングラーがいろいろ教えていた。

 

 カニ同士の教え合いは何かほっこりするな。

 

 

 

 13歳 μ月λ日 『ラプラス先生』

 

 ラプラスがユキワラシに『れいとうビーム』を教えていた。ホウエン中も練習していたものの、まだ技が形にならずに困っていたのだが、教えが上手いのかすぐにユキワラシが『れいとうビーム』を会得している。

 どうも、数少ないこおりタイプということで、ラプラスはユキワラシをかなり気に入ったらしい。

 

 使えそうな技は全部教える勢いだが、流石のユキワラシもそう簡単に技は覚えられないだろう。

 手始めに、こおりタイプ最大技である『ふぶき』を教えているようだが、ユキワラシも体が小さいせいか、『ふぶき』の威力に負けて踏ん張りきれずに吹き飛んでいた。しかし、ユキワラシも心意気は嬉しいようで、頑張って教えをものにしようとしている。

 

 頑張ってくれ、ラプラス先生。

 

 

 

 13歳 μ月μ日 『ホウエンリーグが始まったらしい』

 

 ホウエンリーグが始まったということで、カントーのチャンネルでも放送が開始された。

 見ると、前にあったヒロシ君やマサムネの姿もある。が、流石にミツル君の姿はなかった。まぁ、俺がバッジ四つか五つくらいのタイミングでまだ旅に出てなかったし、間に合わなかったのだろう。

 

 どうも、ホウエンリーグは参加者が600人以上いるということで、今回は予備選を実施して256名に絞り込むようだ。

 人数が人数なので、今日一日は予備選に費やされるのは確定だろう。本格的な予選は明日と言うことで、今日はここで見るのを止めにする。

 

 知り合いも出ているし、調整中も少し気にかけていこう。個人的には、ヒロシ君がどこまで勝ち進むかが見ものだな。

 

 

 

 13歳 μ月ν日 『怒りが足りないのかも』

 

 オコリザルが『ふんどのこぶし』を覚えられずに行き詰っている。ゲンガーにコツを聞いているようだが、それでも形にならないようなのだ。

 もしかしたら、『ふんどのこぶし』という名前だけあって、怒りが足りないのかもしれない。俺は普段、オコリザルを育成する際に、冷静さを強く意識させてきたが、逆にそれが枷となっているのかも。

 

 実際、コノヨザルの図鑑説明文には、怒りのボルテージが臨界点を超えた時、肉体という枠に縛られないパワーを手にしたという記述があるくらいだ。

 そのきっかけとなる『ふんどのこぶし』に怒りが重要になるというのは強ち間違っていないかもしれない。つまり、超サイヤ人になるのと一緒である。

 

 オコリザルには、しばらくはバトルや訓練でも冷静さを気にせず、思いのままに怒りを解放するように指示をしたが、どうもこれまでの訓練のせいで逆に怒りに身を任せるという感覚を忘れてしまったらしく上手く行っていない。

 

 これは、俺が悪いな。すまん、オコリザル。

 

 

 

 13歳 μ月ξ日 『ヒロシ君出陣』

 

 どうもホウエンリーグでは、決勝トーナメントへは32名が進めるようで、予選ではタッグバトルで三回勝つ必要があるらしい。

 テレビを見ると、悟空もといマサムネが苦戦している。ガラガラとカイリキーを相手に、ガーディとグライガーで先手を取られまくっていた。最終的にはギリギリで勝利を掴んだが、あのレベルでは決勝トーナメントに出られるかも怪しいレベルである。

 

 続けて、ヒロシ君の出番になると、トロピウスとマルノームを相手に、オオスバメとバタフリーという組み合わせで挑戦していた。

 ひこうタイプ二体でトロピウスを攻めて立て、弱点を攻めて数的有利を作っている。マサムネとは打って変わって安定した立ち回りだ。マルノームも頑張っていたが、流石に二対一ではどうしようもなかったようで、そのまま押し切られている。

 

 うーむ。ヒロシ君もなかなか強くなったなぁ。

 

 

 

 13歳 μ月ο日 『ナナミさんとの約束』

 

 少し前に約束した通り、ナナミさんのお部屋に飾ってあるトロフィーを見せて貰った。

 ナナミさんはこれからどうするのか聞いてみたが、もう少しポケモン達を休ませたら、また別の地方に向かうつもりらしい。

 

 しばらく会えなくなるということで、ラティがとても寂しそうにしているが、「またあう」と約束をしていた。指切りが出来るくらいに成長して偉いぞ。

 

 

 

 13歳 μ月π日 『カスミさん直伝の技』

 

 前にフエンタウンのジムリーダーであるアスナのコータスがやっていた『こうそくスピン』からの『かえんぐるま』を覚えるために、コータスと一緒に練習していると、カスミさんがスターミーでお手本を見せてくれることになった。

 そういえば、カスミさんはこの技を十八番としているし、コータスにしてみれば丁度いい先生である。

 

 コータスは本物の技を見たことがなかったので、基本的に俺の指示からイメージした動きだけで技を再現していた。

 しかし、アスナのコータスではないとはいえ、『こうそくスピン』からの派生の動きを見ると、これまでイメージだけだった動きに修正がかかり、格段に技が良くなっている。操作に至っては、カスミさんの指導もあって、かなり自由自在に動けるようになり、鈍足のコータスも機動力を手に入れることが出来た。

 

 

 

 13歳 μ月ρ日 『底上げ』

 

 気が付いたら、ホウエンリーグの予選も終盤になっていた。どうやら、マサムネは既に抜けたようで、ヒロシ君がリザードンとマグマラシを相手に、バンギラスとピカチュウという組み合わせで戦っている。

 こうしてみてみると、ヒロシ君と俺は手持ちの大半が被っているなぁと思いつつも、特に苦戦することなく、ヒロシ君も決勝トーナメント進出を決めていた。

 

 こちらもこの十日間、ホウエン組の練習をしつつも、カントー、ジョウト組の底上げに注力している。

 ホウエン組には申し訳ないが、本格的にチャンピオンリーグに出るのは次からになるだろう。少なくとも、今のレベルではチャンピオンリーグを勝ち抜くには少し力不足だ。

 唯一、通用しそうなのは元からレベルが高かったフライゴン先輩くらいか。ジュプトルも進化してからイイ線行ってはいるのだが、まだ少し地力が足りないんだよな。惜しい。

 

 

 

 13歳 μ月σ日 『リザードン師匠』

 

 俺のポケモンでほのおタイプを持っているのは、リザードンにマグマラシ、ヘルガーにコータス、ワカシャモだ。

 こうしてみると大分増えたが、リーダー格はやはりリザードンである。特にマグマラシはリザードンを尊敬しているようで、元ののんびりとした性格が好戦的になったのも、半分はリザードンのせいではないかと思っているくらいだ。

 

 そんなリザードンが見ている中、マグマラシとヘルガーが一対一で戦っている。技の使用制限など知らんとばかりに、豊富な技を使いつつ、かなりの速度で技の応酬していた。

 それを見ながら、コータスは感動したような視線を向け、ワカシャモは自分もやりたいとばかりに、うずうずした様子を見せている。

 終盤、ヘルガーの『みがわり』からの『かみつく』でマグマラシが怯んだことで、隙が出来、一気に勝負が着いた。敢えて、火力ではなく追加効果の発動を期待して『かみくだく』ではなく、『かみつく』を使った辺り、ヘルガーのクレバーな性格が伺えるな。

 

 バトルが終わると、リザードンが総評してマグマラシとヘルガーに良かった所、悪かった所をアドバイスしていた。

 カントー組の中でも、初期メンバーはやはり仲間達の中でも特別なようで、御三家以外にもピジョットやバタフリー、ドサイドン、キングラーなんかも、地味に尊敬されている。

 

 中でも、うちのエースでもあるリザードンは、ほのおタイプに限らず人気者だった。

 マグマラシとヘルガーのバトルが終わると、次はこっちに来てくれという声がかかるが、ワカシャモが次は自分の番だとばかりに、リザードンに殴り掛かってあしらわれている。

 

 うーむ、こうして改めてポケモン達の様子を見ると、結構初めて知ることが多いな。

 まぁ、リザードンも少し前まではきずな現象完全会得のために一緒にいる時間が長かったが、ここ一年は地力を伸ばすことを目標にしているようで、俺も必要な時以外関わらなかったというのもある。そのせいか、今では仲間達の師匠的立ち位置になっていたようだ。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・第124話『サバイバルで行こう!』より、ホウエンリーグに参加しないのでカットされた。
 テレポートでマサラタウンに帰っているのでカットされた。

・ニューサトシによる地獄のブートキャンプが始まった。
 去年のシロナのトレーニングをベースにレベリングをしている。日記にキャプチャーされているのは、そんなレベリングの一部分。


・第125話『サイユウシティ到着! 長靴を履いたニャース!!』より、ホウエンリーグに参加しないのでカットされた。
 サトシ君絶対優勝させないマンであるテツヤが登場するが、ニューサトシと出会うことはなかった。代わりにヒロシ君が出会っている。

・ホウエンリーグの放送が始まった。
 テレビでちょくちょく様子を見ている。ミツル君はいないが、ヒロシ君は参加していた。

・第126話『予備選スタート! マサムネ登場!!』より、ホウエンリーグに参加しないのでカットされた。
 ニューサトシの代わりに、ヒロシ君とマサムネが仲良くなっている。

・第127話『開幕! サイユウ大会!!』より、ホウエンリーグに参加しないのでカットされた。
 ニューサトシの枠にヒロシ君が入っている。今の所は順調に勝ち進んでいるようだ。

・第128話『決勝トーナメントへ! 熱き闘いの日々!』より、ホウエンリーグに参加しないのでカットされた。
 ニューサトシ枠のヒロシ君が決勝進出を決めた。

・ロケット団について。
 ネタバレになるので、これまで触れていなかったが、ロケット団はホウエンリーグに参加していない。ロケット団の優先順位はニューサトシを追いかけるのが一番で、ジム戦やコンテストはそのついでに参加していた。ので、ニューサトシがホウエンリーグに参加しない以上、ロケット団も参加しない。今はテレポートでおいて行かれたので、一生懸命カントーに戻ろうとしている。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.62

 ピジョット Lv.57→58

 バタフリー Lv.56→57

 ドサイドン Lv.60→61

 フシギダネ Lv.57→58

 リザードン Lv.61→62

 カメックス Lv.57→58

 キングラー Lv.57→58

 カモネギ  Lv.56→57

 エビワラー Lv.57→58

 ゲンガー  Lv.59→60

 オコリザル Lv.56→57

 イーブイ  Lv.56→57

 ベトベトン Lv.56→57

 ジバコイル Lv.56→57

 ケンタロス Lv.56→57

 ヤドラン  Lv.56→57

 ハッサム  Lv.58→59

 トゲキッス Lv.54→55

 プテラ   Lv.57→58

 ラプラス  Lv.56→57

 ミュウツー Lv.74

 バリヤード Lv.56→57

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.55→56

 カビゴン  Lv.53→54

 ニョロトノ Lv.53→54

 ヘラクロス Lv.53→54

 メガニウム Lv.52→53

 マグマラシ Lv.52→53

 ラティアス Lv.48→49

 ヘルガー  Lv.52→53

 ワニノコ  Lv.52→53

 ヨルノズク(色違い) Lv.52→53

 カイロス(部分色違い) Lv.52→53

 ウソッキー Lv.52→53

 バンギラス Lv.59→60

 ゴマゾウ  Lv.50→51

 ギャラドス(色違い) Lv.50→51

 ミロカロス Lv.42→43

 ミズゴロウ Lv.45→46

 オオスバメ Lv.45→46

 ジュプトル Lv.44→46

 ヘイガニ  Lv.44→45

 フライゴン Lv.51→52

 コータス  Lv.43→44

 ラルトス(色違い) Lv.30

 ユキワラシ Lv.39→41

 ワカシャモ Lv.25→30 NEW!




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#152 『生まれた時から浴びてたぜ』

 13歳 μ月τ日 『それいけ、ヒロシ君』

 

 ホウエンリーグの決勝トーナメントが始まったらしい。俺の推しであるヒロシ君も無事に進出しており、一回戦を戦っているようだった。

 休憩がてら様子を見ると、ヒロシ君が既にポケモンを三体失っている。おまけに、相棒であるトゲトゲピカチュウのレオンまで負けてしまっていた。

 

 しかし、徐々に盛り返しているようで、現在はゴルダックを相手にバンギラスを出して戦っている。『すなおこし』の特性で、フィールドが砂嵐となり、弱点のみず技も特防を1.5倍にすることで凌いでいた。

 そのまま600族の暴力で押し切り、続くポケモンもオオスバメを主軸にして上手く対応している。

お相手が最後の一体であるトドゼルガを出すと、それまで善戦していたバンギラスとオオスバメも倒れてしまった。これでヒロシ君も残り一体だ。

 

 ヒロシ君のラストはリザードンだった。おそらくだが、セキエイ大会でドサイドンがひき殺したあのヒトカゲが進化したのだろう。

 トドゼルガはみずタイプだが、こおりタイプも入っているので、相性的にはそこまで悪くはない。空を飛べるリザードンなら、苦手なみず技も避け切れるはずだ。

 

 予想通り、ヒロシ君も空を上手く利用した攻撃でトドゼルガを翻弄し、『りゅうのいぶき』による麻痺で行動を封じている。

 どうやら、相手のトドゼルガはかなり防御を鍛えているようだが、流石に麻痺状態ではリザードンの猛攻は受けきれなかったようでそのまま戦闘不能になった。

 

 ギリギリだったが、ヒロシ君も無事に一回戦を突破している。これでベスト16は確定だな。

 まぁ、ヒロシ君は優勝を目指していると宣言していたし、この調子なら普通に優勝も有り得そうだ。

 

 

 

 13歳 μ月υ日 『ダンシンググループ』

 

 ワニノコが今日も元気に踊っていると、バタフリー、バリヤード、ニョロトノ、ウソッキー、ゴマゾウがやってきて、一緒に踊り出した。

 バタフリーやウソッキーは、結構踊るのが好きなのは知っていたが、バリヤード、ニョロトノ、ゴマゾウに至っては踊っているのを初めて見る。

 

 バタフリーは『ちょうのまい』の隙を無くすために、踊りながら回避する技術の練習をしていたし、ウソッキーも攻撃の変速に踊りを駆使しているが、どうもバリヤードはカンフー体操と踊りでバランスよく体を鍛えようとしているらしい。

 また、ニョロトノはバトルで独自の立ち回りを研究中なようで、こういう踊りから何かを得られないか考えての挑戦のようだ。最後のゴマゾウは単純に楽しそうだから一緒にいるだけと言っている。まぁ、こいつも何だかんだまだ子供だからな。

 

 しばらく踊りを眺めていると、ピカ様がやってきてお得意のブレイクダンスを披露していた。

 そのまま『10まんボルト』によるカウンターシールドを見せて、ニョロトノがその動きに感動している。どうにか真似できないかと思ったのか、その場ででんぐり返しを始めたので、ピカ様がやっているブレイクダンスの技術、ウインドミルのやり方を教えてやった。

 

 そのおかげもあってか、カウンターシールドが形になりつつある。これを起点に、ニョロトノも自分のバトルスタイルを見つけられるといいな。

 

 

 

 13歳 μ月φ日 『もう一人の俺』

 

 休憩中にテレビを見ると、ヒロシ君とマサムネが戦っていた。どうやら、二回戦でぶつかってしまったようで、互いに火花散る戦いを繰り広げている。

 予選では微妙な動きだったマサムネも、バトルをこなしていくうちに緊張もほぐれたようで、ポケモン達もなかなかの動きを見せていた。

 序盤、先にマサムネが三体戦闘不能になるも、ハガネールの活躍により再び互角となる。最後はダンバルが進化したらしいメタングと、バタフリーの一騎打ちとなった。相性的にはバタフリーの方が不利だが、気合でヒロシ君が勝利を収めている。

 

 そんなバトルを見ながら――ふと、もし俺が出場していたら、マサムネと戦っていたのは俺だったかもしれないと思った。

 

 もう記憶も曖昧だが、確か原作でもサトシ君はマサムネとバトルしていたはずだ。

 しかし、ニューサトシがチャンピオンリーグに進出してしまったことで、ホウエンリーグで戦う必要もなくなり、穴埋めとしてヒロシ君が代役に選ばれたのかもしれない。

 

 ミュウツーⅦが偶然ヒロシ君と出会ったのもそうだ。伝説のポケモンに会える人間というだけで、ヒロシ君には主人公適性がある。

 まさに、ヒロシ君はもう一人の俺なのかもしれないな。まぁ、もう一人の俺と呼ぶにはちょっとまだ地力が足りないが、原作ホウエン編のサトシ君とならいい勝負をしそうだ。

 

 

 

 13歳 μ月χ日 『いたなぁ、こんなやつ』

 

 ヒロシ君の動向が少し気になったので、今日は最初から放送を見ることにした。

 三回戦のヒロシ君の相手は、テツヤとかいうトレーナーだ。開幕、ヒロシ君のバタフリーと相手のジュカインが相打ちとなり、続くリザードンがダーテングを破るも新たに出てきたドンファンによって倒されていた。

 

 互いに一進一退のバトルが続くと、最後にはヒロシ君のピカチュウとニャースの対決となっている。

 そのニャースを見て思い出した。

 長靴と帽子を被ったニャース、こいつだ。間違いない。原作では確か、こいつにサトシ君は負けてしまったのだ。そういえば、いたなぁ、こんなやつ。

 

 原作でサトシ君を優勝させないための刺客。元はヒロシ君もその一人ではあったが、まさかこうしてサトシ君絶対勝たせないマン同士で戦うのを見る日が来るとは思わなかった。

 しかし、仮にもピカチュウとニャースの『10まんボルト』で、タイプ一致で有利なピカチュウの攻撃が防がれるってことは、ヒロシ君とテツヤにはまだレベル差があるということである。

 

 結局、死闘を制したのはテツヤのニャースだった。ヒロシ君は、原作のサトシ君同様に、ホウエンリーグベスト8で終わっている。

 しかし、一昨年のセキエイ大会がベスト16と考えれば十分進歩していると言っていいだろう。まぁ、ミュウツーⅦもまだ戦える状態じゃないようだし、ヒロシ君とチャンピオンリーグで戦えるのはまだまだ先みたいだな。

 

 

 

 13歳 μ月ψ日 『きずなチャレンジ2』

 

 ホウエンでの旅の途中でも少し訓練したが、ここで少し本格的にきずなミュウツーになるための訓練を再開することにした。

 とはいえ、心を一つにするというのは簡単なようで難しいものだ。リザードンの時は、割と感覚的になれたが、ミュウツーの場合はなかなか成功ビジョンが見えてこない。

 

 しかし、一度成功した姿を体験しているのだ。出来ないということはないはずである。

 思いだせ――あの時と、今の俺達で何が違う?

 あの時、感じていたのは憤り、怒りだ。弱い自分への怒り、負け続ける自分への憤りが、俺とミュウツーの気持ちを一つにした。

 

 だが、あの時の気持ちを思い出せても、それが再現できない。咄嗟の感情など、普通の人間は長続きしないのである。

 それはポケモンでも同じだ。ミュウツーに怒れと言った所で、あの時のような感情を爆発させるのは難しい。

 そう考えると、リザードンの場合は負けたくないという気持ちがリンクのキッカケだったからこそ、一年ちょっとの時間で習得出来たのかもしれないな。負けず嫌いの人間なら、戦っていれば自ずと負けたくないと思うものだ。

 

 怒り――そういえば、オコリザルも怒りで苦戦していたな。あの時は頑張れとしか言えなかったが、こうして同じ立場になると難しいものである。

 勿論、怒りや憤りに限定する必要はない。あくまであの時はそれがキッカケだっただけで、別の感情などが一つになれば怒らずともきずな化できるはずだ。

 とはいえ、言葉では簡単でも、心を一つにするのは地味に大変なのである。前にも書いたかもしれないが、リザードンとミュウツーでは感覚が全然違うので、リザードンと同じ感覚ではきずな化は出来ない。

 

 うーむ、まだまだモノになるのは先になりそうだ。

 

 

 

 13歳 μ月ω日 『生まれた時から浴びてたぜ、家庭の事情(発電所生まれ)でな』

 

 今年のホウエンリーグはテツヤが優勝した。もし、ヒロシ君がテツヤに勝てていれば、チャンピオンリーグに進めたかもしれないな。

 

 しかし、地方リーグが終わったということは、自ずとチャンピオンリーグの開催も近づいているということでもある。

 今日も今日とて訓練をしていると、ベトベトンがジバコイルの電撃を浴びて耐性訓練をしているのを見つけた。でんき技が効かないという体質はとても貴重なので、ベトベトンは自発的にこうして訓練してくれている。

 

 改めて、でんき技が効かないというのは大きなメリットだ。サブウェポンとしてでんき技を覚えさせているトレーナーは多いし、無効タイプが一つあるだけで立ち回りが変わる。

 勿論、効かないというのもある一定の威力までなので、『わるだくみ』を最大まで積んだ『かみなり』などは貫通する危険もあるし、麻痺しない訳ではないので、あくまである程度のものに限られるが、それでも十分な利点があった。

 

 ドサイドンも真似しようと頑張っているが、このレベルになるにはそれこそ、生まれた時から水を浴び続ける必要がある。

 その点、ベトベトンは発電所生まれということもあって、生まれた時から電気を浴びていた。後天的にその領域に行こうと思うと、それこそ数年、十数年単位の訓練が必要だろう。

 

 とはいえ、止める理由はないので、このまま頑張って貰う。ただ、傍から見ると、ポケモンを虐待しているように見えるのだけがちょっと心配だぜ。

 

 

 

 13歳 α月α日 『宅配便でーす!』

 

 ポケモンリーグが終わって、本当にすぐワタルがマサラタウンにやってきた。どうやら、前のカイオーガとグラードンの件の埋め合わせに来たらしい。

 見ると、ワタルがポケモンのタマゴを渡してきた。どうやら、ホウエンチャンピオンであるダイゴさんから預かってきたものようで、是非俺に渡してくれと言われたらしい。

 

 勿論、貰えるものは貰う主義のニューサトシは遠慮なくタマゴを貰った。ダイゴさんからということは、もしかしたらあのポケモンかもしれないし期待大である。

 続けて、ワタルからはメガシンカに必要なキーストーンをプレゼントされた。いずれ欲しいとは思っていたが、まさかこんな形でキーストーンが手に入るとは思わなかったぜ。

 

 聞けば、ダイゴさんから俺がメガストーンを持っていることを聞いて用意してくれたらしい。

 と、いうことは、このタマゴのポケモンはやはりあいつだろう。この流れで、あのポケモン以外のタマゴなどあり得ない。そうだよな、ダイゴさん。大誤算にはならないよな?

 

 新しいタマゴということで、ラティが大喜びしている。そういえば、ミロカロスの時もお姉ちゃんしていたし、また弟妹分が生まれるのが楽しみなのだろう。

 渡すものを渡すと、ワタルもさっさと帰った。

 まだオフレコのようだが、今年のチャンピオンリーグはジョウトで開催されるらしく、その調整などでドタバタしているということだ。うちの師匠であるシンオウチャンピオンは去年、そんな素振り欠片も見せていなかったが、大方他の四天王に丸投げしたのだろう。

 

 

 

 13歳 α月β日 『遊びに来たらしい』

 

 約一月振りに、ハルカとマサトと再会した。初めてマサラタウンにやってきた感想を聞いてみると、自然が多くて良い街と言っている。

 聞けば、ハルカはカントー地方で行われるグランドフェスティバルに参加する予定のようで、もうしばらくしたら旅に出ると言っていた。

 

 逆に、マサトは俺の応援に来るつもりのようで、既にチケットを用意してあると見せつけてくる。

 チャンピオンリーグの観客席のチケットはかなりの値段のはずだが、どうやらセンリにおねだりしてゲットしたらしい。

 

 早速、オーキド研究所にいる俺のポケモン達を紹介していくと、マサトが大興奮で触れ合っている。

 基本的に俺のポケモンは子供に優しいタイプが多いので、マサトのお世話は放っておいても大丈夫だろう。

 

 ハルカも俺のポケモン達を見ていたが、たまたま初心者用に育成するため、研究所に来たばかりのゼニガメに気に入られていた。

 この子は基本的に泣き虫で、まだオーキド博士にすら懐いていなかったのだが、満面の笑みでハルカにくっついている。

 それを見たオーキド博士が、ハルカにゼニガメを譲っていた。まぁ、あれだけ懐いていたら引き離すのも可哀想だし、新人にポケモンを渡すにはかなり時間もあるからな。

 

 ハルカの今の手持ちは、ワカシャモ、マリル、フシギダネ、チルタリス、バネブー、ゴンベだったようで、とりあえずフシギダネを実家に転送しようとしていたのだが、ハルカのフシギダネが俺のフシギダネと一緒に居たがっていたので、しばらくここに置いて貰うことにしたらしい。

 

 ハルカのフシギダネが残ることに関して、俺のフシギダネも満更ではないようだ。このこの、モテる男はつらいねー!

 

 

 




 原作との変化点。

・第129話『そして…負けられない戦いは続く!!』より、ホウエンリーグに参加してないのでカットされた。
 代わりにヒロシ君が勝ち進んだ。

・第130話『ライバル対決! VSマサムネ!!』より、ホウエンリーグに参加しないのでカットされた。
 代わりにヒロシ君がバトルをしているのを見て、もし自分が参加していたらと想像した。そこで、自分がリーグに参加しなかったことによるアトラクタフィールドの収束でヒロシ君がニューサトシの代役になったのではないかと推理している。

・第131話『最後の激闘! 優勝への道!!』より、ホウエンリーグに参加しないのでカットされた。
 ニューサトシが、長靴を履いたニャースを思い出した。サトシ君絶対勝たせないマン同士のバトルをテレビで眺めた。

・第132話『エニシダとバトルフロンティア!』より、テレポートでマサラタウンに帰ったのでカットされた。
 またオリジナル設定で、カントーの事務代理はキクコではなくグリーンになっているので、どの道キクコとバトルすることはなかった。

・第133話『オーキド研究所! 全員集合!』より、一月振りにハルカ達に再会した。
 原作とは違って、ハルカ達も家でホウエンリーグの放送を見ていた。原作通りにハルカがゼニガメをゲットしている。

・ワタルからタマゴを貰った。
 正確にはダイゴさんから預かったタマゴをワタルから受け取った。ワタルからはメガストーンを受け取っている。実は初期の段階だと、ミュウツーⅦからメガストーンをカツアゲして、メガミュウツーYにメガシンカ出来る予定だったが、きずな現象習得が遅くなるのと、ミュウツーゲーになるのを危惧して内容を変更した。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.62

 ピジョット Lv.58

 バタフリー Lv.57

 ドサイドン Lv.61

 フシギダネ Lv.58

 リザードン Lv.62

 カメックス Lv.58

 キングラー Lv.58

 カモネギ  Lv.57

 エビワラー Lv.58

 ゲンガー  Lv.60

 オコリザル Lv.57

 イーブイ  Lv.57

 ベトベトン Lv.57

 ジバコイル Lv.57

 ケンタロス Lv.57

 ヤドラン  Lv.57

 ハッサム  Lv.59

 トゲキッス Lv.55→56

 プテラ   Lv.58

 ラプラス  Lv.57

 ミュウツー Lv.74

 バリヤード Lv.57

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.56

 カビゴン  Lv.54→55

 ニョロトノ Lv.54→55

 ヘラクロス Lv.54→55

 メガニウム Lv.53→54

 マグマラシ Lv.53→54

 ラティアス Lv.49→50

 ヘルガー  Lv.53→54

 ワニノコ  Lv.53→54

 ヨルノズク(色違い) Lv.53→54

 カイロス(部分色違い) Lv.53→54

 ウソッキー Lv.53→54

 バンギラス Lv.60

 ゴマゾウ  Lv.51→52

 ギャラドス(色違い) Lv.51→52

 ミロカロス Lv.43→44

 ミズゴロウ Lv.46→47

 オオスバメ Lv.46→47

 ジュプトル Lv.46→47

 ヘイガニ  Lv.45→46

 フライゴン Lv.52→53

 コータス  Lv.44→45

 ラルトス(色違い) Lv.30

 ユキワラシ Lv.41→42

 ワカシャモ Lv.30→35 

 タマゴ   何が生まれてくるのかな? 生まれるまで、まだまだ時間がかかりそう。 NEW!





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#153 『ブルーアイズより少ないぜ』

 13歳 α月γ日 『バトルフロンティア』

 

 いつものように、オーキド研究所でトレーニングをしていると、どうやらオダマキ博士もホウエン地方から遊びに来たようなのだが、その後ろに見知らぬおっさんがくっついていた。

 聞けば、こいつはエニシダというらしい。

 はて、どこかで聞いたことがあるような? と、首を傾げていると、「バトルフロンティアに挑戦してみないかい?」と声をかけられた。そういえば、エメラルドで殿堂入りすると、バトルフロンティアに勧誘されるイベントが起きるんだったっけか。

 

 しかし、何で俺? と、思ったが、たまたま会ったワタルが強いトレーナーとして俺の名前を上げたらしい。

 

 まぁ、アニメでもバトルフロンティアには挑戦していたし、興味がない訳ではなかった。とはいえ、流石にチャンピオンリーグがあるので今からと言う訳にはいかない。

 しかし、チャンピオンリーグが終わってから挑戦したとして、全部で七つの施設があるらしいし、とてもじゃないが春までには間に合いそうになかった。それにチャンピオンリーグを勝ち抜けば、次は四天王リーグもある。スケジュールはキッツキツだ。

 

 別に春に食い込んでもいいのだが、一応今まではアニポケの流れを踏襲しているので、出来ればそこは変わらずに行きたい。

 最悪、ヒカリと出会えなくなるのは別にいいのだが、ニューサトシはダイパだとシンジがお気に入りなので出来れば会ってみたいのだ。

 

 と、すると、やはりチャンピオンリーグをキャンセルしてバトルフロンティアに行くしかないか?

 

 エニシダも是非挑戦してみて欲しいらしく、七人のフロンティアブレーンはかなりの強さを持っており、一人一人が四天王に近い実力があるとアピールしてくる。

 特に、最後の一人はチャンピオンクラスとも言っており、とてもとても興味があった。っていうか、最後の一人ってジンダイだろ。流石のニューサトシも覚えてるわ。

 

 そういえば、ジンダイのバトルピラミッドは空を飛んで辺りを転々としているんだったけか。

 そういう意味でも、時間がないと全部の施設を回ることは出来なさそうだし、やはりチャンピオンリーグかバトルフロンティアのどっちかになりそうだな。

 

 今すぐに結論は出さなくていいということだが、これは迷う。チャンピオンリーグは今年だけでなく、まだ二年挑戦期間が残っている。しかし、シゲルとの再戦の約束もあるし、うーむ。

 

 どうするかなぁ。

 

 

 

 13歳 α月δ日 『顔を見せに来たらしい』

 

 シンオウ地方チャンピオンであり、俺の師匠でもあるシロナがやってきた。どうやら、シンオウリーグもひと段落ついて、俺の様子見がてら顔を見せに来たらしい。

 マサトは当然のように、シロナことを知っており、「シンオウチャンピオンがサトシの師匠!?」と驚いていた。ハルカも凄いひとだとわかったようで、緊張したように挨拶している。

 

 カスミさんやタケシは去年少し会っているので、「お久しぶりです」と挨拶していた。

 ラティも盛大に歓迎しており、教えて貰った『りゅうせいぐん』が大分うまくなったのを見せて褒めて貰っている。

 

 丁度いいので、シロナにチャンピオンリーグとバトルフロンティアのどっちに挑戦しようか悩んでいると話すと、「私ならバトルフロンティアを選ぶわね」と即答された。

 理由を聞いてみると、今年参加しなくてもチャンピオンリーグはまだ二回挑戦権が残っているし、今しか挑戦できないならバトルフロンティアの方が貴重な機会だということだ。

 それに、四天王やチャンピオンに近い実力のブレーン達と戦うのはプラスになりこそすれ、マイナスにはならないとも言われる。シゲルとの約束もあるが、それは今年絶対に果たさなくて行けないものという訳でもない。

 

 うむ。今年はチャンピオンリーグは棄権して、バトルフロンティアに挑戦しよう。

 

 そうと決まると、まずはポケモン達を急遽集めて、今年はチャンピオンリーグではなく、バトルフロンティアに参加することを伝える。

 しかし、ポケモン達にしてみれば、チャンピオンリーグもバトルフロンティアもどちらも戦う場であることには変わりないようで、特に拒否されることもなかった。

 

 悩みが解決したので、シロナにお礼を言った。シロナも師匠らしいことが出来て満足そうにしている。

 聞けば、シロナもしばらくはいるつもりのようなので、少し訓練をお願いすることにした。シロナの帰りに合わせて、俺もバトルフロンティアの挑戦の旅に出よう。

 

 

 追記。俺がバトルフロンティアに挑戦することを話すと、ハルカが一緒にカントーを回ろうと提案してきた。確かに、別れて旅をする必要もないし、これを快諾。マサトも俺がチャンピオンリーグに参加しないということで、観戦は止めにしてカントーを一緒に回ることになった。チケットはオダマキ博士経由で実家に戻されるらしい。

 

 

 

 13歳 α月ε日 『そうか、親か』

 

 シロナにミロカロスを紹介した。元はシロナから貰ったタマゴだし、成長した姿を見せてやりたかったのだ。

 それを見たシロナは、「やっぱり、君に預けてよかったわ」と頷いていた。同時に、俺のヒンバスの入手経路がシロナだとわかったカスミさんとハルカが自分もヒンバスのタマゴが欲しいとアピールしている。

 

 苦笑いのシロナが、「今はもう手元にないのよ」と返すと、これでもかというくらいに肩を落としていた。

 

 改めてミロカロスが俺に顔を寄せてくるので、いつものように撫でてやると、「可愛がって貰ってよかったわね」とシロナも嬉しそうにしている。

 聞けば、ヒンバスがミロカロスに進化することを知るトレーナーはそう多くないらしく、育成の段階で捨てられることも多いらしい。

 しかし、ニューサトシならちゃんと育ててくれると思ったからこそ、タマゴを譲ってくれたということだった。その期待に応えて、しっかりミロカロスまで育てたのが本当に嬉しいようで、自分のミロカロスと触れ合わせている。

 

 多分だが、シロナのミロカロスは、俺のミロカロスの親に当たるのだろう。俺のミロカロスも本能的にわかるのか、シロナのミロカロスと嬉しそうに構って貰っていた。

 

 

 

 13歳 α月ζ日 『ブルーアイズより少ないぜ』

 

 きずなミュウツーについて、シロナに相談したのだが、流石のシロナもお手上げのようあった。

 そもそも、きずな現象自体、俺のリザードンが初だというのに、伝説のポケモンであるミュウツーのきずな現象などわかるはずがないと言われる。

 

 まぁ、確かに、ミュウツーの個体自体がそもそも多くない。俺のミュウツー以外だと、ヒロシ君がゲットしたミュウツーⅦ、後はゲノセクトの映画に出てきた♀のミュウツーくらいか。

 

 世界に三体とか、ブルーアイズより少ないぜ。

 

 

 

 13歳 α月η日 『地獄の訓練』

 

 カントー組やジョウト組のポケモン達も、去年シロナのデスマーチを体験しているだけあって、今年はなんとか生きていた。

 しかし、初見のホウエンメンバーはダウンしている。まぁ、初めてだとこのトレーニングについてくるのは厳しいよな。レベルの高いフライゴン先輩ですら、かなり疲れを顔に出しており、ジュプトルも耐えきれずに座り込んでいた。これが、経験差か。

 

 今年は時間が少ししかないので、その分メニューもかなりきつい。ホウエン組にしてみれば、最初の試練だな。

 

 

 

 13歳 α月θ日 『すまんな』

 

 久しぶりにシゲルがマサラタウンに帰ってきた。パッと見ただけで、トレーナーとして一回り強くなったのがわかる。

 どうも本人もかなりの手応えがあるようで、「今年のチャンピオンリーグは貰ったよ」と、宣言していた。

 意気込んでいる所、本当に申し訳ないのだが、改めて俺が今年のチャンピオンリーグに参加しないことをシゲルに説明する。シゲルも最初は驚いていたが、すぐに理解を示してくれたようで、「去年、約束を果たせなかった僕に文句をいう資格はないよ」と笑っていた。

 

 何か悪いことをしたので、「バトルするか?」とも、聞いてみたが、「君と戦うなら、やはりそれなりの場で戦いたい。今回は遠慮しておくよ」と言って帰って行った。すまんな、シゲル。

 

 

 

 13歳 α月ι日 『メンバー決め』

 

 シロナブートキャンプも終わりが見えてきた。ホウエン組も一回り大きくなり、大分強くなったのがわかる。

 これからしばらくカントーを旅する訳だが、最近仲間になったばかりのユキワラシとワカシャモは連れて行くことにした。

 

 特別枠を除いて、ピカ様は確定選出なので、これで残る枠は三体となる。行きたい奴を募集すると、おそらくほぼ大半が手を上げるだろうし、ここはくじで連れて行くメンバーを決めることにした。

 

 抽選の末、選ばれたのは、ニョロトノ、ヘルガー、カイロスの三体だ。思えば、この三体はホウエンでもあまり呼び出さなかった。そういう意味でもなかなかいい抽選結果だな。

 まぁ、バトルフロンティアでのバトルでは、誰かしら呼び戻す可能性もあるし、その都度メンバーは変わる可能性もあるので、居残り組にも変わらず修練に励むように声をかけた。

 

 

 

 13歳 α月κ日 『旅立ち』

 

 シロナがシンオウに帰って行った。正確には、ミュウツーの『テレポート』でシンオウまで送ったのだが、まぁ別れたことに違いはない。

 また、ナナミさんもカントー地方のグランドフェスティバルはもう経験済ということで、予定通りに他の地方に向かうようだ。ラティが少し悲しそうにしている。

 

 俺達もそろそろ旅に出る準備をしていると、前に勧誘に来たエニシダが再び顔を出してきた。

 改めて、バトルフロンティアに挑戦することを伝えると、「そうか」と頷いている。喜びを噛み締めるように、「期待させてもらうよ」と言うと、満足そうな顔をしながら足早く帰って行った。

 

 俺達も続いて旅に出る。

 

 今回の旅は、俺、ラティ、カスミさん、タケシ、ハルカ、マサトの六人旅だ。とはいえ、カスミさんももう少ししたらジムを再開する予定らしいので、一緒なのはハナダシティまでである。

 また頻繁にメールするということだが、おそらく返事はタケシがするだろう。ニューサトシはメール返すのあんまり好きじゃないしな!

 

 

 

 13歳 α月μ日 『今回は宇宙船関係ではないらしい』

 

 バトルファクトリーを目指して旅をしていると、おつきみ山で迷子のピィを見つけた。

 どうやら今回は宇宙船関係のピィではないようで、この山で遊んでいるうちに迷子になってしまったみたいである。

 

 可哀想なので、俺達で親元に送り届けようという話になったのだが、随分久しぶりにロケット団が襲ってきた。

 お前ら今まで何してたんだよ――と、聞いてみたのだが、どうも口を濁している。ただ、「師匠が……」という言葉が聞こえたので、おそらくナナミさんを恐れて距離を取っていたようだ。

 

 俺達が旅を再開したので、ようやく襲い掛かってきたということだろう。仕方ないので、相手をしてやろうかと思ったが、バトル中に足場が崩れてカスミさんとマサト、ピカ様、カスミさんのルリリとピィが崖下に落ちてしまった。

 これはちょっと緊急事態ということで、ヘルガーとカイロスのパワープレイでサクッとやなかんじーにしてやる。

 

 そのまま、すぐに後を追いかけようとしたのだが、急に雨が降ってきた。山の天候は変わりやすいというが、運が無さ過ぎるぜ。

 仕方ないのでしばらく木陰に隠れて雨宿りをする。ハルカもマサトが心配のようで、落ち着かない様子だったが、カスミさんも一緒だしピカ様もいるんだ。きっと大丈夫だろう。

 

 しばらくして雨が上がり、再び下に落ちたメンバーを探しに行くと、またもロケット団が懲りずに現れたようで、カスミさんやマサトを襲っているのを見つけた。

 ハルカもチルタリスの『りゅうのいぶき』で即座に乱入し、マサトの無事を見て一安心している。こちらもピカ様と合流したということで、本日二度目のやなかんじーにしてやった。

 

 どうやら、騒ぎを聞きつけたようで、おつきみ山のピッピやピクシー達もやってきている。

 騒がしくしたことを謝罪しながら、迷子のピィを送り届けると、感謝の印とばかりに山の住処へと招待してくれた。夜には月を見ながらのダンスまで見せてくれて、ラティも一緒になって踊っている。なかなかいいものを見ることが出来たな。

 

 

 

 13歳 α月ν日 『俺を誰だと思ってやがる!』

 

 ハナダシティに着いたので、ここでカスミさんとはお別れになる。とはいえ、定期的に会えるので、もうラティもそこまで悲しそうにはしていない。

 前にナナミさんとしたように、「またあう」と言いながら指切りをして、ハナダシティを後にした。後ろから「負けんじゃないわよ!」と声をかけられたので、「俺を誰だと思ってやがる!」と返す。

 

 最近、絶好調のニューサトシがそう簡単に負ける訳ねーだろうが。舐めんじゃねーぞ、べらんめい!!

 

 

 

 




 原作との変化点。

・エニシダからバトルフロンティアに誘われた。
 アトラクタフィールドの収束によって、勧誘が来た。原作だと、キクコとのバトルの末に声をかけられるが、ここではワタルからの推薦になっている。

・チャンピオンリーグからのバトルフロンティアは時間的に無理だった。
 優勝したら四天王リーグもあるし、春に食い込むとダイパ編に遅刻する可能性もあった。ぶっちゃけ、チャンピオンリーグ初戦敗退しても時間が足りない。

・シロナからのアドバイスを貰った。
 客観的に見ても、バトルフロンティアに参加した方がいい。相手のレベルが四天王に近い実力ということは、チャンピオンリーグよりも大変ということ。

・シロナブートキャンプが始まった。
 ニューサトシの地獄のレベリングよりも厳しい。一週間くらいしか時間がなかったが、それでも全員レベルが上がった。

・第134話『オツキミ山! ピィとピッピとピクシーと!』より、一月半振りにロケット団が現れた。
 ロケット団も少し前にカントーに戻っていたが、ナナミさんにビビッてずっと様子を伺うだけだった。ハナダに着いたので、カスミさんとお別れした。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.62→63

 ピジョット Lv.58→59

 バタフリー Lv.57→58

 ドサイドン Lv.61→62

 フシギダネ Lv.58→59

 リザードン Lv.62→63

 カメックス Lv.58→59

 キングラー Lv.58→59

 カモネギ  Lv.57→58

 エビワラー Lv.58→59

 ゲンガー  Lv.60→61

 オコリザル Lv.57→58

 イーブイ  Lv.57→58

 ベトベトン Lv.57→58

 ジバコイル Lv.57→58

 ケンタロス Lv.57→58

 ヤドラン  Lv.57→58

 ハッサム  Lv.59→60

 トゲキッス Lv.56→57

 プテラ   Lv.58→59

 ラプラス  Lv.57→58

 ミュウツー Lv.74→75

 バリヤード Lv.57→58

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.56→57

 カビゴン  Lv.55→56

 ニョロトノ Lv.55→56

 ヘラクロス Lv.55→56

 メガニウム Lv.54→55

 マグマラシ Lv.54→55

 ラティアス Lv.50→51

 ヘルガー  Lv.54→55

 ワニノコ  Lv.54→55

 ヨルノズク(色違い) Lv.54→55

 カイロス(部分色違い) Lv.54→55

 ウソッキー Lv.54→55

 バンギラス Lv.60→61

 ゴマゾウ  Lv.52→53

 ギャラドス(色違い) Lv.52→53

 ミロカロス Lv.44→46

 ミズゴロウ Lv.47→49

 オオスバメ Lv.47→49

 ジュプトル Lv.47→49

 ヘイガニ  Lv.46→48

 フライゴン Lv.53→54

 コータス  Lv.45→47

 ラルトス(色違い) Lv.30

 ユキワラシ Lv.42→44

 ワカシャモ Lv.35→40 

 タマゴ   何が生まれてくるのかな? 生まれるまで、まだまだ時間がかかりそう。


 ホウエン地方編が終了し、ここからバトルフロンティア編に入ります。残り、約二週間半くらいですが、これからもよろしくお願いします。





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バトルフロンティア編
#154 『波動の勇者ニューサトシ』


 13歳 α月ξ日 『波動の勇者ニューサトシ』

 

 いつもの迷子の末、ロータの街のオルドラン城とやらでポケモンバトルの大会のようなものが行われるという話を聞き、飛び入りで参加することにした。

 昔の時代に因んだ衣装を着なければいけないというルールがあるようで、適当に服を選んだのだが、そこで今回が劇場版第八作目の波動の勇者ルカリオの舞台であることを思い出す。

 

 内容はもう曖昧だが、確かサトシ君の波動が昔の偉人と同じで、目覚めたルカリオと何だかんだして、ミュウも出てきてみたいな――もう良く覚えていない。

 

 とりあえず、明確な悪役がいなかったことだけは覚えているので、特に警戒することはないだろう。ミュウはともかく、ルカリオは伝説のポケモンじゃないしな。

 

 しばらくすると、オルドラン城に住む女王アイリーンの宣誓と共に大会は始まった。遠慮なく、無双に近い形でバトルを制していく。

 結局、優勝したのは俺だった。

 決勝の相手はキッドとかいう女だったが、残念ながらニューサトシの相手にはならない。優勝の証として、昔に波動の勇者と呼ばれたアーロンの杖なるものを渡される。同時に脳内に声が響いた。そういえば、この中にルカリオが入っているんだっけか。

 

 杖を振りながら、何とかルカリオを呼び出せないか四苦八苦してみるが、そもそも波動というものが良くわからない。

 とりあえず、ビリビリ体質の電気や、あいいろの玉とべにいろの玉の影響で気合が入ると光るようになった腕の要領で、あれやこれやいろいろ試してみるも、ルカリオが姿を現すことはなかった。

 

 仕方ないので、諦めてパーティに参加したのだが、しばらくすると杖の中から再び声が聞こえてくる。

 再び適当に杖を振っていると、杖についた宝石が激しく光り出した。後から聞いた話によると、その時の俺は波動の勇者のポーズと全く同じポーズを取っていたらしい。

 

 まるで、波動の勇者に導かれるように杖からルカリオが出てきた。思わず、「でたぁ!」と口にしまったが、それも仕方ないことだろう。

 

 そのままの勢いでルカリオに、「何故、城を捨てたんですか!?」と詰め寄られる。そりゃお前、捨てるだけの理由があったんだろうよとしか言えなかった。しかし、声でニューサトシがルカリオの求めている人物ではないとわかったようで、とても驚いている。

 

 随分久しぶりに外に出たことで、いろいろ困惑しているルカリオに、女王が封印されてから数百年の時が経っていることを伝えていた。

 

 どうもアイリーン女王は先祖であるリーン女王に瓜二つのようで、ルカリオが女王に少し懐いている。

 女王の頼みで、ルカリオもまた過去の出来事をいろいろ話しているが、その途中俺の波動がアーロンの波動と同じだと教えられた。やはり、このボディは勇者の資質を持っていたか。

 

 簡潔に話をまとめると、かつて戦争があり、二つの軍勢がこの城に襲い掛かってきたらしい。

 ルカリオは戦場に偵察に出ていたそうなのだが、戦いを止める手段はなく、合流したアーロンは「自分は城を捨てた」と言って、そのままルカリオを杖の中に封印してしまったということだ。

 

 伝説では、その後にアーロンの手によって戦いは止まったということになっている。が、ようやくここで俺も映画の内容を何となく思い出してきた。そういえば、この映画って――

 

 しかし、ルカリオの話がひと段落した瞬間、いきなりマサトが血相を変えて、ピカ様とニャースがミュウに連れて行かれたと報告してきた。

 ミュウという言葉に、マスターボールが少し反応したが、どうもこの城ではたまにミュウが現れるようで、出会えるのは幸運なことらしい。ピカ様が連れ去られた時点で疫病神としか思えんのだが?

 

 先程バトルしたキッドもミュウを見たようで目撃者として名乗りを上げている。これでマサトの見間違いの線はほぼなくなったな。やれやれだぜ。

 

 女王にミュウがいる場所を聞いてみると、この城から見える巨大な岩山『世界の始まりの樹』という場所に住んでいるらしい。一万年と二千年前から有りそうな場所だな。

 おまけに、ミュウはころころ姿を変えるため、見つけるのは困難だとも言われる。まぁ、普通ならそうだろうが、こちらにはミュウツーがいるので、その辺の真偽については心配していなかった。

 

 早速、ピカ様を取り戻しに行こうとすると、女王がルカリオにもピカ様救出の手助けを命じている。

 どうも波動の力でルカリオもミュウの真偽を見分けられるようだ。まぁ、ルカリオも目覚めたばかりで手持無沙汰になるよりも、何かしていた方が気がまぎれるだろうし、同行を許可してやった。

 

 すると、ドライバーとしてキッドも名乗りを上げている。どうも、こいつは冒険家のようでミュウに興味があるようだ。

 まぁ、ミュウが捕まろうと捕まらなかろうと、俺はピカ様さえ取り戻せれば問題ないので、こいつの同行も許可した。精々足として使ってやろう。

 

 

 

 13歳 α月ο日 『波動使っていたらしい』

 

 ピカ様捜索の途中で、温泉を見つけた。ルカリオにも一緒に入るように声をかけるが、軍人気質なせいか、自分は女王の命令でここにいるだけだといって拒否している。

 どうやら、アーロンのこともあって、人間とコミュニケーションを取る気は一切ないらしいが、そんな防御などニューサトシの前ではないに等しいことを教えてやろう。

 

 温泉がダメなら波動だ。ルカリオに、波動の使い方を教えてくれと頼みこむ。

 女王の命令はピカ様救助の手助けである。俺が波動を使えるようになれば、ピカ様救助の確率は上がる。つまり、俺への指導は命令の中に含まれる――と、いう暴論で、ルカリオを困惑させた。

 

 最初は興味ないねと、言わんばかりの態度だったが、ニューサトシの口八丁に乗せられている。

 とどめに、「女王も、お前が自分の仕事を遂行しなかったと知ったら失望するんじゃないか?」と、任務を失敗した時のことを考えさせたら、渋々ながらも首を縦に振った。嫌でもコミュニケーションを取らせてやるぜ。

 

 こうして、ルカリオによる波動の指導が始まったのだが、どうも俺は潜在的に波動を使っていたらしい。

 ルカリオ曰く、ビリビリ体質の電気や体内の玉の制御などは無意識で波動を応用して使っているということだ。

 

 むしろ、そこまで高度な応用が出来ていて、何故素直に波動が使えないんだと呆れられてしまった。

 某ハンター漫画で言えば、念を電気に変える念能力を持っているが、基礎の四体行を何一つとして覚えていないようなものである。

 

 ルカリオが波動を俺の体に流すことで、その存在を感じさせてくれた。成程、これが波動かと感覚を具現化すると、俺も無事に波動を使うことが出来ている。

 

 そのまま、波動についての基礎を教わっていると、ハルカが不思議な花を見つけたと言ってそれを摘んできた。

 キッド曰く、この花は『時間の花』というもので、波動使いに時の奇跡を見せてくれるものらしい。試しに持ってみると、事前の行動が映像となって再生された。俺の波動に反応したのは間違いないようだ。

 

 その晩、俺とピカ様が初めて会った時のことが聞きたいと言われたので話をしていると、ルカリオが「お前も都合が悪くなったらピカチュウを捨てるかもしれない」と毒を吐いてきた。おそらく、自分の姿に今の状況を重ねているのだろう。

 

 とはいえ、残念ながらニューサトシはサトシ君と違って、今まで仲間を逃がしたことがないのが自慢なのである。

 そう話すと今度は、「ピカチュウの方がお前のような主人に嫌気が差して逃げ出したのかもしれない」と返してきた。実際、ホウエンの旅の最初に家出されたことがあるので言い返せねぇぜ。ただ、仮にそうだったとしてもそれはそれで仕方ない。

 

「まぁ、もしそうなったとしたら、俺が悪かったってことだ。起きた結果を素直に受け入れるさ。ただ、真偽は会うまでわからない。俺がピカチュウを信じる気持ちに変わりはないよ」

『信じた結果、裏切られるかもしれないんだぞ……』

「なぁ、ルカリオ。憎しみに一旦蓋をして思い出してみろよ。これまでお前と一緒にいたアーロンって男は、本当にお前のことを裏切るような奴だったか?」

『………………』

「俺はピカチュウと旅したこの三年間を思い返しても、裏切られるとは欠片も思わないぞ。仮に裏切られたとしても、きっと何か事情があったんだと思う。俺を裏切らないといけない事情が――」

 

 しかし、ルカリオは最後まで話を聞く気はないようだった。静かに目を閉じている。これ以上、会話を続ける気はないということだろう。

 けどな、今の状況が続けば、お前はいずれ真実に行きつく。俺もつい昨日まではうろ覚えだったが、これだけ材料が揃えば何故アーロンが死んだのかの理由も大体思い出してきた。

 

 

 

 13歳 α月π日 『いい加減、この茶番を終わらせるぞ』

 

 世界の始まりの樹を目指す途中、ルカリオが封印された場所を見つけた。

 丁度、時の花が咲いており、ルカリオの波動に反応して過去の映像を映し出してくれる。映し出された映像は、概ねルカリオの言った通りだったが、俺にはアーロンの表情が印象深く見えた。

 

 だが、ルカリオが封印された後も映像はまだ続く。大量のポケモンの軍勢が押し寄せてきたのだ。

 時の花が見せている幻ではあるが、その迫力に思わずマサトが怖がってハルカに抱き着いている。マサトは、「もしかしたら、アーロンは今の軍勢からルカリオを守るために封印したのかもしれない」と言っていた。

 

 しかし、ルカリオは俺に向かって「サトシ、お前は絶対にピカチュウを捨てるなよ」と声をかけてくる。

 いろいろ説得はしたが、やはりあの場所へ行かないとルカリオの誤解を解くことは出来ないかもしれないな。

 

 ――と、考えたその瞬間だった。

 

 俺とルカリオの波動レーダーが、どこからか敵意を検知する。同時に、その場から離れると、上空から準伝であるレジ三兄弟の内の一体であるレジロックが襲い掛かってきた。

 

 そういえば、レジ三兄弟がここの番人だったっけか。確かに不法侵入しているのはこちらだが、元はと言えばお前んとこのミュウがうちのピカ様を連れて行ったのが悪いんだろーが――と、言いつつ逃げる。

 戦ってもいいが、今はピカ様と合流する方が優先だ。ルカリオが先導しつつ、山の中を駆け抜けていく。どうやら、何とか世界の始まりの樹の真下に入ることが出来たようだ。

 

 感じる。上にピカ様の波動を――体の感覚に任せるがまま波動を駆使し、研ぎ澄ましていく。

 道は大体わかった。後は真っすぐピカ様の所へ向かうだけだ。ルカリオと並んで、ピカ様がいる方へと駆けていく。

 

 洞窟を抜けると、ようやくピカ様と再会できた。しかし、合流する前に、レジ三兄弟の内の一体であるレジアイスがやってきて合流を妨害してくる。

 

 ルカリオが逃げるように声をかけてくるが、もう目の前にピカ様がいるのだ。先程とは状況が違う。ここは逃げるのではなく、倒して先に進む。

 レジアイスの攻撃に対し、ほのおタイプのヘルガーでお相手していく。相性が有利とは言え、相手は準伝だ。油断すれば、負ける可能性は高い。

 

 鍛えられたヘルガーの『かえんほうしゃ』とレジアイスの『れいとうビーム』がぶつかっていく。威力はやや向こうの方が上か。

 一旦、攻撃を中止して回避に移る。

 また、『わるだくみ』を積んで、特攻を二段階上昇させた。これは野良バトルだ。技の使用制限もないので、使える技は何でも使っていく。さらに『ニトロチャージ』を使って追加効果で素早も一段階上昇させた。

 

 このまま火力とスピードで押し切ろうとすると、今度はどこからともなくレジ三兄弟の最後の一人であるレジスチルがやってくる。おまけに、先程振り切ったレジロックも合流して襲い掛かってきた。

 カイロスとニョロトノを出して、ヘルガーと共にレジ三兄弟を迎撃していく。じめん技やかくとう技が得意なカイロスはレジスチルを、みずタイプでいわタイプに相性がいいニョロトノにはレジロックの相手を任せた。

 

 いくら準伝とはいえ、所詮は野生だ。このままごり押ししてやる――と、考えた瞬間、洞窟の中からアメーバのようなものが飛び出してきて、いつの間にかいたロケット団を呑み込んでいくのが見えた。

 

 そういえばいたな、こんな生物!

 

 確か、樹の白血球のようなもので、人間を菌のように害あるものとして排除しようとするんだっけか。

 俺の方に一つ飛んできたが、ルカリオが庇うように間に入る。どうやら、ポケモンは菌として認識はしていないようでルカリオが取り込まれるようなことはなかった。

 

 しかし、タケシ、ハルカ、マサト、キッドが順々に飲み込まれていく。このまま戦えば勝てる――が、間違いなく俺も、このアメーバに飲み込まれてしまうだろう。

 ルカリオが「俺の使命は、お前とピカチュウを再会させることだ。ここで死んでは意味がない。今は引くんだ!」と手を引いてくる。確かに、ここは引き下がるしかないか。

 

 アメーバを回避しながら逃げていると、ピカ様の気配が動くのを感じる。どうやら、こちらの動きに合わせてあの場から逃げ出してくれたようだ。

 そのままアメーバを避けつつ回り道をしていくと、ようやくピカ様と再会できた。とはいえ、このまま逃げ続ける訳にもいかない。仲間達が捕まってしまったのだ。あいつらも助ける必要がある。

 

 ルカリオは逃げるべきだと訴えてくるが、もうこれ以上引いてやるつもりはなかった。悪いが、俺もそろそろプッツン来ちまってんだよ。

 同時に、マスターボールからミュウツーが出てくる。こちらもこちらで、ミュウのせいでこうなっている状況にかなりイライラしているようで、怒りのボルテージが溜まっているのが確認できた。

 

「『いい加減、この茶番を終わらせるぞ』」

 

 感情の発露が縁となり――絆を結ぶ。

 

 これまでなろうと思ってもなれなかったきずなミュウツーだが、やはりある程度のレベルまでシンクロ率を高めないと変化はしないようだった。

 仮に、リザードンが絆レベル100できずな化するとして、ミュウツーは200必要な感じだ。まぁ、伝説のポケモンがきずな化すると考えれば、それくらいの難易度は当然なのだろう。

 

 俺とミュウツーがきずな化したことで、同調された波動が波のように溢れていく。ミュウツーは波動を使えないはずだが、俺とシンクロすることでその能力も手に入れたらしい。

 

 俺とミュウツーの怒りの波動が、アメーバを駆逐していく。そのまま、近くに隠れていたミュウに、「俺の仲間を返すか。ここを焦土にされたいか選べ」と告げた。

 俺のポケモンを勝手に連れ去った上、助けに来た仲間が被害にあっている。いくらニューサトシがポケモンに対して温厚でも、ここまで身勝手な行動を許すつもりはない。

 

 慌てたようにミュウが何かを念じると、樹に吸収された仲間達が解放された。どうやら、俺達が害ではないと樹に覚えさせたらしい。

 それを見て、遠くからこちらを見ていたレジ三兄弟も逃げて行った。敵ではないなら戦うつもりはないようだ。まぁ、今なら負けるつもりもないがな。

 

 しかし、喜びもつかの間、いきなりミュウが倒れた。同時に、樹が崩壊を始めていく。

 ルカリオが、まさか――と言わんばかりの顔でこちらを見るが無実である。俺達は何もしていない。

 

 おそらく、急激な免疫変更で樹自体に不調が発生したのではないだろうか。ミュウは樹と何かが繋がっているみたいだったし、そのせいで倒れたのだろう。

 縋るようにミュウがこちらを見るので、仕方なくきずなミュウツーの全エネルギーを渡してやった。映画ではルカリオとサトシ君の二人がかりで波動を送っていたが、どうやらきずなミュウツーのパワーはそれ以上だったようで、ミュウもすぐに完全復活している。

 

 そのまま、ミュウが木の崩壊を止めていく。同時に、エネルギー切れでこちらもきずな現象が解除された。

 とりあえず、無事問題解決のようだが、ミュウに「あまり調子に乗るなよ」と釘を刺しておいた。誰も彼もミュウを敬うと思ってんじゃねーぞ、この疫病神が。

 

 しかし、原作の映画ではルカリオがミュウに波動の全てを渡して消滅してしまうが、上手いこときずなミュウツーで代わりが出来たようだな。

 まぁ、別に狙っていた訳ではないが、ルカリオが消滅するような事態にならなくて本当によかった。本人は、誤解が解ければアーロンの元へ行きたがるかもしれないが、アーロンがルカリオを杖に封じ込めたのは、やはりルカリオに生きていて欲しいからだろうしな。

 

 ピカ様も仲間も取り返して、後は帰るだけ――と、なったが、ここまで来たらルカリオの誤解も解いておいた方がいいだろう。

 ミュウに頼んで、アーロンが死んだ場所へ案内して貰う。そこにはアーロンの手袋が落ちていた。ルカリオが手をかざすと、アーロンの波動を感じ取っている。

 

 つまり、真相はこうだ。アーロンはルカリオを封印した後、ミュウを求めて単身でこの樹にやってきた。

 そしてミュウと会ったアーロンは、自分の命と波動の力を引き換えにして、争いを鎮めるようにミュウに頼んだのである。

 

 丁度、この場所にも時の花が咲いており、アーロンとミュウのやり取りが再生されていく。

 

 真実を知ったルカリオは自分を責めた。『……サトシの言った通りだった。俺は憎しみで目が眩んでいた』と、後悔の念に駆られている。

 しかし、映像にはまだ続きがあった。

 力を使い果たして倒れるアーロンは、ルカリオへの思いも口にしていたのだ。あの時、封印しなければ、ルカリオは自分についてきた。けど、無益な戦いで命を失うのは自分だけで良いのだと、あの城でルカリオやリーン女王と一緒に過ごせた日々が宝物だと、そう口にしている。

 

『……最後に、もう一度お前に会いたい。ルカリオ、わが友よ』

 

 そこで、時の花は過去の再生を止めた。

 

 ルカリオは涙を流している。自分は愚かだったと、少しでも憎しみを抱いたのを悔いているのが波動を通して伝わってきた。だが、だからこそ俺は言わなくてはいけない。

 

「ルカリオ、安易に後追いなんかするなよ。お前に会いたい気持ちを押し切ってまで、お前を杖に封印したアーロンの気持ちを汲んでやれ」

 

 今のまま放置すれば、ルカリオはアーロンの後を追いかねない。しかし、そんなことアーロンは望まないだろう。

 今際の際に会いたいと願った気持ちを押し殺してまで相棒の生存を望んだのだ。映画では、ルカリオも死んでアーロンの所に行ったみたいな終わりだが、それは映画だからこそ奇麗に思えるだけである。

 

 残念ながら、この世界は現実だ。

 

 俺は途中で気づいたからこそ、アーロンの願いを守るため、ルカリオが死ぬ未来を変えるために行動した。

 きずなミュウツーになれたのは出来過ぎだったが、もしきずな化出来なかったとしても、俺は最後にルカリオを犠牲にするようなやり方は取らなかっただろう。仮にそれで俺自身が死ぬことになったとしても、俺にはポケモンを犠牲にして完結なんて方法は取れなかった。

 

 思えば、ミュウツーはそんな俺の覚悟を感じ取って出てきてくれたのかもしれないな。

 

 

 追記。ルカリオは、オルドラン城のアイリーン女王の下で護衛として生活することを決めたらしい。別れる際のルカリオの顔を俺は決して忘れることはないだろう。「今の自分の生で出来ることを全てやってから、胸を張ってアーロン様に会いに行くよ」と言ったルカリオの顔は、この三日間で一度も見ることのなかった、とても良い笑顔だった。

 

 

 




 原作との変化点。

・劇場版波動の勇者より、ニューサトシが無意識に波動を使っていた。
 そもそも普通の人間が電撃を撃ったり、伝説のポケモンの力に抗えるはずがない。全てはニューサトシが無意識に波動をコントロールして使っていた。が、マサラ式肉体言語術や普通のポケモンへの精神耐性は自前の物。

・きずなミュウツーになった。
 今の所、劇場版限定のフォルムになっている。

・ルカリオを助けた。
 どんな理由があれ、ポケモンが死ぬという終わりをニューサトシは選択しない。初期のプロットでは、ルカリオがニューサトシを止めようとして殴ってきたのを、逆に殴り返して気絶させるという内容で、足りないエネルギーをミュウツーがフォローしてくれる話だったのだが、ミュウツーがミュウに関わる話が上手く纏らなかったので、渋々きずな波動パワーを全て渡すで無理矢理解決した。

・ルカリオに生きろと伝えた。
 映画を見ていて、アーロンの願いの本質がルカリオに生きて欲しいという一点だと思った。映画では死んでしまうのだが、物語上では美しく見えても、じゃあアーロンは何のためにルカリオを生かしたんだよって話なので、ニューサトシは死ぬのを許さなかった。

・ルカリオと笑顔で別れた。
 こういう終わりがあってもいいじゃない。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.63

 ピジョット Lv.59

 バタフリー Lv.58

 ドサイドン Lv.62

 フシギダネ Lv.59

 リザードン Lv.63

 カメックス Lv.59

 キングラー Lv.59

 カモネギ  Lv.58

 エビワラー Lv.59

 ゲンガー  Lv.61

 オコリザル Lv.58

 イーブイ  Lv.58

 ベトベトン Lv.58

 ジバコイル Lv.58

 ケンタロス Lv.58

 ヤドラン  Lv.58

 ハッサム  Lv.60

 トゲキッス Lv.57

 プテラ   Lv.59

 ラプラス  Lv.58

 ミュウツー Lv.75

 バリヤード Lv.58

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.57

 カビゴン  Lv.56

 ニョロトノ Lv.56

 ヘラクロス Lv.56

 メガニウム Lv.55

 マグマラシ Lv.55

 ラティアス Lv.51

 ヘルガー  Lv.55

 ワニノコ  Lv.55

 ヨルノズク(色違い) Lv.55

 カイロス(部分色違い) Lv.55

 ウソッキー Lv.55

 バンギラス Lv.61

 ゴマゾウ  Lv.53

 ギャラドス(色違い) Lv.53

 ミロカロス Lv.46

 ミズゴロウ Lv.49

 オオスバメ Lv.49

 ジュプトル Lv.49

 ヘイガニ  Lv.48

 フライゴン Lv.54

 コータス  Lv.47

 ラルトス(色違い) Lv.30

 ユキワラシ Lv.44

 ワカシャモ Lv.40 

 タマゴ   何が生まれてくるのかな? 生まれるまで、まだまだ時間がかかりそう。




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#155 『逆に挑戦する意味がねーんだよ』

 13歳 α月ρ日 『逆に挑戦する意味がねーんだよ』

 

 昨日の晩、フリーザー様を見つけてしまった。伝説のポケモンをこんな簡単に見つけてしまうとは運が無い。

 今日は悪いことが起きるかもしれないと思いつつ、ポケモンセンターへ行くと、マサラタウンで別れたエニシダと再会した。

 

 どうやら、バトルフロンティアの一つであるバトルファクトリーは、この近くにあるということで、エニシダに案内して貰うことにする。

 バトルファクトリーは何というか、メカメカしい工場のような場所で、エニシダ曰く実際に飛行機や重機を作っている工場を間借りして運営しているらしい。

 

 そのままファクトリーヘッドであるダツラの所まで行くと、昨日見たフリーザー様が一緒に居る。

 聞けば、ある日負傷していたフリーザー様を助けて以来、一緒に空を飛ぶ仲らしく、昨日も一緒に飛行機で空を飛んだと言っていた。

 

 昨日はすぐに目を反らしたから飛行機までは目に入らなかったなぁ。最近ミュウにも会って、もう伝説には関わりたくなかったから、伝説のポケモンを見ると反射で現実逃避しちまうぜ。

 

 ゲームでのバトルファクトリーではレンタルポケモンを使ったバトルをするが、どうやらこのファクトリーでは、俺が自由にダツラの手持ちを選んでバトルをするというルールらしい。

 タイプ相性を偏らせてバトルさせることも出来るはずだが、特に気にした様子はなかった。それだけ自分の腕に自信があるということだろう。

 

 そういえば、アニメではフリーザー様とリザードンがバトルしていたっけか。何となく、もう消えつつある記憶が蘇ってきた。

 原作のサトシ君がフリーザー様とのタイマンを望んで通ったってことは、つまり戦い方は俺の好きにしていいってことだ。なら、話は簡単じゃねーか。

 

「バトルはフリーザーを含めたポケモン6体、選出はそっちに任せます。フリーザーが入っていれば、後はそっちの好きに選出してくれていい。フルバトルだ」

 

 俺は基本的に伝説のポケモンに関わるのがあまり好きではないが、それは野生の話だ。このフリーザー様はほぼダツラのポケモンのようなものだし、ならばバトルしてみたいと思うのが普通だろう。

 原作のサトシ君はタイマンを望んだが、俺はサトシ君ほど優しくないので、当然フルバトルを要求した。ダツラは、フリーザー様は自分のポケモンではないと言ってくるが、そんなことは関係ない。

 

 こっちは元々、チャンピオンリーグをキャンセルしてバトルフロンティアに挑戦しているんだ。ダツラには悪いが、それくらいしてもらわないと、逆に挑戦する意味がねーんだよ。

 

 こちらが引く気がないとわかると、ダツラが困ったようにフリーザー様に話しかける。

 フリーザー様としては、バトルをするのはやぶさかではないということで、無事にフリーザー様を含む6体のフルバトルをするのが決定した。

 

 

 追記。フリーザー様を狙って、またロケット団が襲い掛かってきたが、逆にやなかんじーにされていた。どうも、口上も変えて気分一新のようだが、流石に今のあいつらのレベルで伝説のポケモンに喧嘩を売るのは無謀である。が、たまに罠とかに引っかかるから伝説のポケモンも完全ではないんだよなぁ。

 

 

 

 13歳 α月σ日 『バトルファクトリー VSダツラ 前編』

 

 伝説のポケモンであるフリーザー様を含めたフルバトルをする日がやってきた。

 基本的に伝説のポケモンがトレーナーのポケモンになることは殆どないので、こうしてバトルできる機会というのは貴重だ。それが四天王クラスの実力者となれば、気持ちが昂るのも仕方ないというものだろう。

 

 フリーザー様はダツラの後ろでスタンバイしている。俺で言うピカ様のように、声をかけたらバトルフィールドに入って行くようだ。

 

 改めて、ルールの確認をしていく。レベル制限はなし、入れ替えありのフルバトル――どちらかのポケモンが全て戦闘不能になった方の負けである。

 ダツラの選出した6体のうち、フリーザー様以外の手持ちはわからないが、フリーザー様が確定で出てくるという情報を得ているだけ俺の方が有利なので、俺の一体目はピカ様とした。

 

 ダツラがポケモンを出すよりも早く、ピカ様がフィールドに入って行く。ダツラも俺が正々堂々の勝負を望んでいるのはわかったようで、面白いとばかりの笑みを浮かべている。

 

 これで互いに持っている情報は五分だ。

 

 ダツラは「遠慮しないぞ」と言って、フシギバナを出してきた。くさタイプにでんき技は効果今一つだ。しかし、露骨にじめんタイプを出してこない辺り、もしかしたら今回の手持ちにじめんタイプはいないのかもしれない。

 

 いざ、バトルがスタートすると、ダツラは開幕で『やどりぎのたね』を指示してきた。当然、くらうわけにはいかないので、『ばちばちアクセル』で回避していく。

 ホウエン四天王であるゲンジとのバトルで一度完成したものの、まだ安定してはいない。未だに完成度八割を前後している形だ。なので、急所率も五分のままである。

 

 とはいえ、威力が安定していなくても、『でんこうせっか』を超える速さは既に身に着けているので、回避にも使える凄い技として十分に使えるのだ。

 

 ピカチュウが発電したと思った瞬間、消えたかと思う速度でフシギバナの懐に移動する。

 くさタイプにでんき技はあまり効かないが、ダメージゼロという訳ではない。そのまま一撃を与えて、再び距離を取っていく。

 

 ダツラもあまりの速さに驚いてはいるようだが、すぐに『マジカルリーフ』を指示してきた。

 威力ではなく、確実に技を当てる方にシフトしたのだろう。『マジカルリーフ』は威力60しかないが、必中で相手に当たる特殊技だ。タイプ一致で威力90なら、十分に実用的だし、ベストなチョイスと言っていい。

 

 こちらも『10まんボルト』で迎撃していく。一番の得意技だ。必中技が避けられないのであれば相殺するまでのことである。

 とはいえ、こちらに有効打がないのが問題だ。ピカ様の覚えている技でくさ・どくタイプのフシギバナに効果抜群が取れる技はない。

 

 どうやって攻めるか。既に『ばちばちアクセル』と『10まんボルト』を使っているし、後々のことを考えるなら、技は幅広く使って対応していきたい所だ。

 下手に無理攻めしても後半が辛くなる。開幕の挨拶としては十分に情報を見せただろうし、ここは一度ピカ様を戻して素直に相性で攻めて行くことにした。

 

 と、いう訳で、ピカ様からヘルガーに交代していく。ヘルガーの久しぶりの公式戦ということで、大分好戦的な笑みを浮かべていた。

 傷だらけの顔が百戦錬磨感を出しているのか、ダツラがかなり警戒している。ヘルガーもピカ様と同じスピードタイプだ。おまけに相性的にも不利と判断したようで、ダツラもすぐにフシギバナをボールに戻していた。

 

 続けて、ダツラはゴルダックを出してくる。

 

 向こうも素直に相性を突いてきたな。ゴルダックはみず単タイプで、弱点がでんきかくさしかない。また、ピカ様に戻したい所だが、そうなれば向こうもフシギバナに戻してくるだろう。

 前にもどこかで書いたが、この手の交代の連続は最大が五回と決まっており、先にポケモンを戻している俺の方が不利だ。最終的には相性不利の対面は避けられない。

 

 ヘルガーに『あくのはどう』を指示する。対するゴルダックも『ハイドロポンプ』で迎撃してきた。

 

 ヘルガーは火力のある方だが、流石に威力80の『あくのはどう』でタイプ一致ドロポンは受けきれない。

 押され始めたと判断した時点で、ヘルガーには回避に移らせた。それを見て、ダツラは『なみのり』で追撃してくる。全体攻撃で逃げ場を無くそうという魂胆だろう。

 

 どうする? こちらの火力を上げるつつ向こうの火力を下げる『にほんばれ』で防ぐのもアリか――いや、ゴルダックの特性が『ノーてんき』だった場合、天候の影響を無効化されかねない。下手な小細工を挟むよりも、素直に回避した方がいいな。

 

 大ジャンプで跳躍し、『なみのり』を回避していく。しかし、読まれていたようで、ゴルダックは既にこちらに照準を向けていた。

 先に『なみのり』が失敗に終わったゴルダックが、空中にいるヘルガーに『ハイドロポンプ』を撃ってくる。迎撃も回避も無理と判断して、『まもる』で攻撃を受けた。だが、完全防御を使わされたことで、次の攻撃は防ぎにくくなってしまう。

 

 ゴルダックの『アクアジェット』で、ヘルガーがダメージを受ける。そのまま組み伏せるようにヘルガーが押さえつけられた。ゼロ距離からの『ハイドロポンプ』で一気に勝負をつけるつもりなのだろう。

 仕方ないので、『ほえる』を指示する。

 強制交代技によって、攻撃前にゴルダックがボールに戻った。危機一髪の状況を脱しはしたが、惜しみなく技を使われたせいでこちらも防御に二つも技を使わされている。

 

 アニメだとフリーザー様とのバトルしか印象がなかったが、こうして対峙してみるとよくわかった。

 エニシダの言う通り、ダツラは四天王にも負けない実力がある。油断すると、一気に勝負を持って行かれかねない。

 

 ゴルダックがボールに戻ったことで、代わりに出てきたのはライボルトだった。強制交代技は出てくるポケモンもランダムに決まるが、相性的には悪くないし、このままヘルガーで続行だ。

 

 ダツラも、ライボルトでバトルをするつもりのようで、『10まんボルト』を指示してきた。

 こちらも『あくのはどう』で迎撃していく。どうやら、今回はお互いに技の威力は互角のようで、耐えきれなくなった技の中央で爆発が起きた。

 

 爆発と同時に、ライボルトとヘルガーが距離を詰めていく。ライボルトは『かみなりのキバ』、ヘルガーは『ほのおのキバ』で共に接近戦を仕掛けていった。

 キャットファイトと呼ぶには迫力が有り過ぎる乱戦である。ヘルガーが有効打を入れたかと思うと、すぐにライボルトも反撃してくる。互いに防御など考えない嚙みつき合いだが、ライボルトにはまだ二つ技が残されていた。

 

 接近戦ならこちらに分があるということで、ライボルトに再び有効打を入れようとした瞬間、『でんこうせっか』で攻撃を回避される。緩急をつけてきたか。

 そのまま、『でんこうせっか』からの『かみなりのキバ』で、再びヘルガーが有効打を入れられそうになった。しかし、ギリギリで『まもる』が間に合い、何とかダメージは防いでいる。

 

 距離が出来たので、『あくのはどう』で攻撃を仕掛けていく。対するダツラは『でんこうせっか』を指示して、攻撃を回避しながら距離を詰めてきた。

 先制技ということで、動きを追いきれない。

 仕方ないので、技を中断して接近戦に備える。再び、『かみなりのキバ』でゼロ距離格闘かと思ったが、そのまま『でんこうせっか』からの『ワイルドボルト』で勢いをつけたまま突っ込んできた。

 

 予想外の攻撃に、『まもる』が間に合わず直撃を受ける。しかし、『ワイルドボルト』は与えたダメージの1/4を受ける大技だ。

 ヘルガーの体力がギリギリまで削られたが、代わりにライボルトも相応の反動ダメージを受けている。体力にして、残り1/3程だろう。だが、こちらのヘルガーはもう体力は1/4以下でおまけに体勢も崩されていた。

 

 とどめの『かみなりのキバ』でヘルガーが戦闘不能にされる。ダツラは「やれやれ、ようやく一体か」と汗を拭うような仕草をした。

 ヘルガーを戻して、再びピカ様をフィールドに送り出していく。まさか、でんきタイプ相手にピカ様を出してくるとは思わなかったようで一瞬驚いたみたいだが、既にライボルトは技を全て使っており、四つの技のうち三つがでんき技だということを思い出したらしい。

 

 ダツラも素直にライボルトを戻してきた。

 

 代わりに出てきたのは、やはりフシギバナだ。こちらもピカ様を戻して、金角のカイロスを出していく。

 珍しい部分色違いのカイロスに、ダツラも驚いた顔を見せるが、すぐにフシギバナを戻して新たにカイロスを出してきた。

 

 ダツラのカイロスも立派な角をしているが、こちらの金角も負けていない。どうやら、カイロス対決がしたいようなので受けて立つことにした。

 

 ダツラが『シザークロス』を指示してきたので、こちらも『シザークロス』で反撃していく。

 互いの角をぶつけ合いながら、カイロス同士が組みあっていく。どちらも負ける気はないようだが、金色は伊達ではない。ほんの僅かだが、俺の金角のカイロスがパワーでは勝っているようだった。

 

 じりじりと、相手のカイロスを押し出していく。別に相撲をしている訳ではないので、押し出せば勝ちという訳ではない。

 押され始めたと判断したダツラが、『かいりき』でパワーを補強してきた。技の威力で無理やり押してくるのであれば、こちらは敢えて引こう。効果は今一つだが、『あてみなげ』で向こうのカイロスを地面に叩きつけた。

 

 かくとう技である『あてみなげ』はむしタイプのカイロスには半減なので、ダメージは半分の35しか入らないが、相手の勢いを利用したことで多少はダメージが上がっているはずだ。

 後攻になるが、必中の投げ技ということでなかなか重宝している。ダツラも、こちらが素直にパワー勝負に応じなかったことで、面倒くさそうな顔をしていた。先程のヘルガーとのバトルでは、勝負に乗ったので乗って来ると思ったのだろう。

 

 残念ながら、最初の押し合いで勝った時点でニューサトシも金角のカイロスも満足した。

 あそこで『かいりき』を使った時点で、こちらのパワーの方が上だと証明されたのだ。ならば、もうその土俵で戦う意味などない。ヘルガーの分も、金角のカイロスには活躍して貰うつもりだ。

 

 ダツラは『つるぎのまい』を指示してきた。純粋に攻撃を二段階上げて押し切るつもりなのだろう。

 対するこちらは『みがわり』を指示する。体力の1/4が減るものの、これで相手の攻撃を一度身代わり君が防いでくれるようになった。

 

 ダツラは『ダブルアタック』を指示してくる。どうやら、一度目の攻撃で『みがわり』を壊し、二度目の攻撃を当ててこちらからの反撃を防ぐつもりのようだ。

 しかし、これで全て技を使った。

 相手の攻撃で『みがわり』が破壊され、二度目の攻撃が金角のカイロスに直撃する。本来、一撃のダメージは大したことはないが、『つるぎのまい』で火力が上がっているせいで無駄にダメージを受けた。

 

 だが、代わりに、命を頂戴する。

 

 二度目の攻撃を受けつつ、金角のカイロスは相手のカイロスの腕を掴んだ。そのまま、『あてみなげ』で再びカイロスを地面に叩きつける。

 続けて、『はさみギロチン』でとどめを刺しに行った。既に相手は技を全て使っているので防御は出来ない。最初の『あてみなげ』の時点ではまだ『まもる』の択もあったが、こうなればこちらのものである。

 

 得意のハサミによる一撃で、相手のカイロスが戦闘不能になった。カイロスと言えばハサミだ。

 ダツラもまさかここで一撃必殺が飛んでくるとは思わなかったようだが、前世と違って技の使い方によっては一撃で相手を倒せる可能性がある以上、使わない手はないだろう。

 

 勿論、あからさまに狙っては避けられるので、相手の意識外から一撃必殺の択を抜く必要がある。そういう意味ではカイロス同士のパワー対決はいい方向にダツラの意識を向けてくれた。

 とはいえ、『かいりき』と『つるぎのまい』で火力の上がった『ダブルアタック』を受けた上、おまけに『みがわり』まで使って、金角のカイロスも残り体力は1/3程しかない。

 

 お互いに一体ずつ失ったものの、まだまだ勝負はこれからだ。ダツラがカイロスを戻すと同時に、こちらも金角のカイロスをボールに戻す。

 

 さーて、ここからどういう風に、バトルを組み立てていくかな。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・第135話『初陣! バトルファクトリー!!(前編)』より、ダツラにフリーザー様込みのフルバトルを頼んだ。
 一対一や二対二などでは満足できない。チャンピオンリーグの代わりなら、当然フルバトルである。

・ダツラのポケモンについてはアニメで目に入ったポケモンから選出している。
 結構ファクトリーにポケモンがいたので、どれにするか結構迷った。他のゲームで使用しているポケモンなどは使うようにしている。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.63

 ピジョット Lv.59

 バタフリー Lv.58

 ドサイドン Lv.62

 フシギダネ Lv.59

 リザードン Lv.63

 カメックス Lv.59

 キングラー Lv.59

 カモネギ  Lv.58

 エビワラー Lv.59

 ゲンガー  Lv.61

 オコリザル Lv.58

 イーブイ  Lv.58

 ベトベトン Lv.58

 ジバコイル Lv.58

 ケンタロス Lv.58

 ヤドラン  Lv.58

 ハッサム  Lv.60

 トゲキッス Lv.57

 プテラ   Lv.59

 ラプラス  Lv.58

 ミュウツー Lv.75

 バリヤード Lv.58

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.57

 カビゴン  Lv.56

 ニョロトノ Lv.56

 ヘラクロス Lv.56

 メガニウム Lv.55

 マグマラシ Lv.55

 ラティアス Lv.51

 ヘルガー  Lv.55

 ワニノコ  Lv.55

 ヨルノズク(色違い) Lv.55

 カイロス(部分色違い) Lv.55

 ウソッキー Lv.55

 バンギラス Lv.61

 ゴマゾウ  Lv.53

 ギャラドス(色違い) Lv.53

 ミロカロス Lv.46

 ミズゴロウ Lv.49

 オオスバメ Lv.49

 ジュプトル Lv.49

 ヘイガニ  Lv.48

 フライゴン Lv.54

 コータス  Lv.47

 ラルトス(色違い) Lv.30

 ユキワラシ Lv.44

 ワカシャモ Lv.40 

 タマゴ   何が生まれてくるのかな? 生まれるまで、まだまだ時間がかかりそう。




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#156 『仕方ない、今回だけだぞ』

 13歳 α月σ日 『バトルファクトリー VSダツラ 後編』

 

 ダツラのカイロスを倒すと同時に、こちらも金角のカイロスを戻した。これで状況は一対一の五分だ。

 ダツラは改めてフシギバナを出してくる。こちらはニョロトノを出すことにした。前に戦い方の方向性に悩んでいたようだが、シロナブートキャンプで答えが出たようだし、その結果をここで見せて欲しい。

 

 ダツラはくさタイプに不利なみずタイプのニョロトノを出してきたことに首を傾げているが、『マジカルリーフ』で様子見をしてきた。

 こちらは『れいとうビーム』を指示する。

 ニョロトノが、ワニノコとはまた違ったブレイクダンスっぽいステップを踏みながらウインドミルに移行し、ピカ様のやっているカウンターシールドによる『れいとうビーム』で『マジカルリーフ』を打ち落としていく。

 

 攻撃後はすぐに体勢を立て直して、ステップに移行する。いいね、隙もないし、完成度が高い。

 

 続けて『やどりぎのたね』を撃ってくるので、こちらは『かげぶんしん』で回避していく。

 十体に増えたニョロトノが踊りながらフシギバナへの距離を詰めていくが、ダツラは『はなふぶき』で全体攻撃を仕掛けてきた。これにより、全てのニョロトノが攻撃対象になる。

 

 しかし、『はなふぶき』は発射されず、『やどりぎのたね』が分身に向けて発射された。

 距離を詰めながら『アンコール』で『やどりぎのたね』を縛ったのだ。踊りが、技のカモフラージュにもなっている。

 ワニノコの場合は、自分自身のリズムに相手を巻き込むことで、相手の動きを封じ自分の力を最大限に引き出す。だが、ニョロトノの場合は、自分のダンスを利用することで、相手に自分の動き出しを隠している。その隙を突いて攻撃しているのだ。

 

 ワニノコは踊りがバトルに直結しているが、ニョロトノにとって踊りはバトルを有利にするための道具に過ぎない。

 少し言い方が悪いかもしれないが、勿論ニョロトノも踊るのが嫌いという訳ではなかった。しかし、あくまでもバトルに勝つということが第一であり、勝つためならば踊るの止めることも出来る。

 

 踊り第一のワニノコとは違うということだ。

 

 ダツラは『アンコール』に気付くのに一歩遅れた。その間に、ニョロトノは懐に潜り込めている。

 再び、カウンターシールドからの『れいとうビーム』で弱点の攻撃を与えていく。フシギバナが『れいとうビーム』をモロにくらってから少しして、ダツラはフシギバナをボールに戻した。

 

 フシギバナがボールに戻ると、同時にニョロトノも踊りを止める。ダツラはライボルトを出してきた。

 ヘルガーとの戦いで体力が残り少ないはずだが、少しは休めたようで呼吸は整っている。相性的には向こうが有利だが、それを言えば先程のフシギバナだって向こうの方が相性は有利だった。

 

 ライボルトが『10まんボルト』を撃ってくると同時に、カウンターシールドからの『れいとうビーム』で攻撃を防いでいく。

 本来、カウンターシールドはその名の通り、防御しつつ相手に攻撃を返す技だ。技の出だしがわかりにくいので、通常の攻撃にも使っていたが、本来はこうやって相手の攻撃を防ぐのに使う。

 

 相手の『10まんボルト』を弾きながら、氷の光線がライボルトにも向かっていく。しかし、狙って撃っている訳ではないのでそう簡単には当たらない。

 

 遠距離からの攻撃は完全に防がれるとわかると、『でんこうせっか』で距離を詰めてくる。だが、カウンターシールドは遠近両用の技だ。

 この『れいとうビーム』の嵐の中を潜り抜けてくるには、ライボルトの残り体力は怪しいだろう。しかし、ダツラは覚悟を決めていた。

 

 ライボルトが『ワイルドボルト』を身に纏って突撃してくる。カウンターシールドは当たっているはずだが、ライボルトは気にせずニョロトノに一撃を与えてきた。

 

 ニョロトノが弾き飛ばされていく。

 

 だが、ライボルトもただでは済まなかった。あの嵐の中を抜けて、反動ダメージの1/4を受けたのだ。当然、耐えられるはずもなく戦闘不能になる。

 とはいえ、こちらも被害が少ない訳ではない。カウンターシールドをしながらの攻撃中に直撃を受けたことで、ニョロトノは技のダメージを逃がせていなかった。タイプ一致の弱点高火力物理技を受けて、体力は半分を切っている。

 

 続けて、ダツラはまたフシギバナを出してきた。

 

 遠距離攻撃は全て防げるはず――と、考えていると、最後の技で『じしん』を撃ってくる。

 これはまずい。『じしん』のように衝撃を飛ばしてくる技は、カウンターシールドでも撃ち抜くことは出来ない。咄嗟に、垂直大ジャンプで『じしん』を回避させていく。

 

 何とか『じしん』は回避できたが、大ジャンプしたことで隙が出来ている。着地前に、全体攻撃である『はなふぶき』の追撃を受けた。

 体が地面に着いてなければカウンターシールドは使えない。『れいとうビーム』を前面に撃ち出して相殺を狙うが、撃ち落とせなかった『はなふぶき』がニョロトノを撃ち抜いていく。

 

 残り体力1/3以下――次に『はなふぶき』を受ければもう耐えることは出来ないだろう。

 

 ここは一度ニョロトノを戻すことにした。フシギバナもピカ様に受けた『ばちばちアクセル』とニョロトノの『れいとうビーム』で半分近くダメージを受けている。

 残りの体力を無理に使ってニョロトノで攻めるよりも、残っている別のポケモンの相手をして貰う方が有利になると判断した。ニョロトノを戻して、再び金角のカイロスを出していく。

 

 金角のカイロスも残り体力は少ないが、とりあえず、『じしん』と『やどりぎのたね』にだけ気を付ければ十分倒すことが出来るだろう。

 

 当然、ダツラは『じしん』を指示してきた。

 

 こちらはフシギバナに飛び込むようにジャンプし、そのまま『シザークロス』でタイプ一致の火力を押し付けていく。

 フシギバナはくさ・どくタイプ故に、むし技は等倍になってしまうが、それでも残っている技で一番火力があるのはシザクロ以外にない。『はさみギロチン』はもう存在がばれている上、警戒されているので下手に使おうとしても『はなふぶき』や『マジカルリーフ』で狙いをずらされる。

 

 ならば、多少の狙いをずらされてもダメージを取れる『シザークロス』で攻めるのは当然だった。

 しかし、ダツラはダメージを敢えて受けつつ、『やどりぎのたね』を金角のカイロスに当ててくる。まだ体力は半分近くあるから、一撃受けても回復の目途を立てようという狙いか。

 

 今の『シザークロス』直撃で体力は1/4程に出来た。本来であれば、もう一撃で倒せるはずだったが、『やどりぎのたね』による回復で確定数がずらされる。

 後、『シザークロス』が二回必要だ。その間に、相手も攻撃をしかけてくるだろう。くさ技はダメージが半減だが、やどりぎの回復量と合わせられると倒れるのはギリギリと見た。

 

 一度戻すか――いや、後ろにはフリーザー様もいるのだ。下手に残りの手持ちを傷つけるより、金角のカイロスを信じてフシギバナを倒し切らないときつい。

 

 金角のカイロスに二度目の『シザークロス』を指示した。フシギバナに飛びかかるように攻撃する。

 花の部分を挟みこまれ、これでは『じしん』は当てられない。フシギバナも吹き飛ばすように『はなふぶき』を撃ちだすが、金角のカイロスは意地でもフシギバナのことを離さなかった。

 

 もし、ここで吹き飛ばされればその時点でゲームオーバーだ。組み付いたまま、金角のカイロスは三度目の『シザークロス』でフシギバナを戦闘不能にしていく。

 しかし、『やどりぎのたね』によるドレインで、金角のカイロスも耐えきれなかった。『はなふぶき』と『やどりぎのたね』二回は、1/3程あった金角のカイロスの体力を削り切る。

 

 フシギバナと金角のカイロスが同時に倒れた。

 

 先にダツラのポケモンが三体戦闘不能になったことで、五分間のインターバルに入る。

 ダツラの残りポケモンは無傷のゴルダックとフリーザー様、それに姿を見せていない残り一体だ。対するこちらは、残り体力の少ないニョロトノと無傷のピカ様、まだ見せていない二体のポケモンである。

 

 数では有利が取れているが、後ろにフリーザー様がいると考えると、少し心許ないか。

 

 ダツラは、次にゴルダックを出したいはずだ。まだ見せていない最後の一体の情報は、ギリギリまで伏せたいはずだしな。

 しかし、こちらにピカ様がいる以上、ゴルダックを出せばピカ様の独擅場でもある。そう考えれば、残り一体を出してくる可能性は十分にあった。

 

 五分が過ぎ、バトルが再開される。

 

 ダツラはここでフリーザー様を投入してきた。てっきり、最後に出してくるかと思ったが、ここで場を荒らしに来るとは流石はファクトリーヘッドということか。

 

 こちらはピカ様を投入していく。誰が来たとしても、ここはピカ様にお任せするつもりだった。

 相手は伝説のポケモンだが、ピカ様は四天王の本気ポケモンに勝った実績がある。相性も有利だし、相手が伝説のポケモンと言っても十分に勝機はあるはずだ。

 

 ピカ様が調子を確認するように、体をスパークさせていく。その好戦的な笑みは誰に似たのか、強敵との戦いを楽しんでいるのが一発でわかった。

 

 開幕、『ばちばちアクセル』でフリーザー様に弱点攻撃を仕掛けていく。ここ一番に強いピカ様の神速の一撃は、完成度十割だった。確定急所でフリーザー様にダメージを与える。

 弱点の先制技が確定急所で当たるというのは、いくらフリーザー様とはいえ、安いダメージではないはずだ。しかし、まるで効いていませんと言わんばかりの表情で、『れいとうビーム』を返してくる。

 

 こちらも『10まんボルト』で相殺を狙うが、流石に威力に差があるようで押し返された。

 回避の隙もなく攻撃が直撃し、ピカ様が吹き飛んでいく。しかし、受け身が間に合ったことで、ダメージは軽減された。

 

 続けて、『ぼうふう』でピカ様の動きが封じされる。風の渦に包まれ、体勢を整えるのもままならない。

 ギリギリ『ひかりのかべ』を使って、何とかダメージは減衰させたが、ダメージはかなり大きかった。

 先程の『れいとうビーム』もそうだが、タイプ一致ということで威力が半端じゃない。無理にでも突破しないとあっという間に倒され兼ねなかった。

 

 風で体勢が流されるのであれば、そのまま『10まんボルト』を撃てば、自然と攻撃はランダムに散るということだ。

 状況を利用した自然のカウンターシールドによる『10まんボルト』で、風の防壁を貫いて相手の技を拡散させていく。

 

 何とか突破するも、フリーザー様には余裕があった。対するこちらは、たった二回の攻撃だが、既にピカ様の体力は半分近くになっている。

 本当に、伝説のポケモンはシャレにならないくらい強い。素直にリザードンを出してきずな化した方がいいと誰もが思うかもしれないが、ここでピカ様を引かせるつもりはなかった。

 

 再び、『ばちばちアクセル』で距離を詰めていく。この速さの一撃があるからこそ、何とかくらいつけている。

 しかし、ダツラはここで『はねやすめ』を指示してきた。受けたダメージを回復させようという狙いだろう。

 

 まずい。ここで体力など回復されたら勝機はない。

 

 ピカ様に最後の技である『ボルテッカー』を指示する。また、前のように『10まんボルト』を帯電させ、デュアルボルテッカー状態で火力を上げた。

 回復よりも大きな一撃でダメージを与える。流石のフリーザー様も、この一撃の前には表情を取り繕う余裕もなかったようで苦しそうな表情を見せていた。

 

 だが、ダメージはこちらにもある。

 

 デュアルボルテッカーは諸刃の剣だ。与えるダメージは大きくなるが、その分返って来るダメージも大きくなる。

 ピカ様もあまりのダメージに肩で呼吸をしていた。しかし、まだ戦えるとばかりに、フリーザー様を睨みつけている。

 

 ダツラとしては、このまま回復を連打することも考慮に入れられる場面だった。確かに、デュアルボルテッカーは凄い技だが反動が大きい。

 フリーザー様は回復を挟んでいるので、ダメージはそこまで大きくなかった。このまま、『はねやすめ』を連打すれば、ピカ様は自ずと自滅するだろう。

 

 ただ、一つ問題があった。

 

 麻痺だ。

 

 ピカ様の『10まんボルト』には麻痺の追加効果がある。下手に何度もくらって、フリーザー様が麻痺するような事態になれば、仮にピカ様を倒したとしても後が辛くなるのは確実。

 

 ならば、ここは圧倒的な力で反撃の余裕など与えず一気に敵を倒すべき――そう判断したようで、ダツラはフリーザー様に『れいとうビーム』を指示してきた。

 

 しかし、こちらはまだ『ひかりのかべ』によって、特殊攻撃は威力が減衰している。カウンターシールドによる『10まんボルト』で、『れいとうビーム』を弾き返していく。

 ならばと、再び『ぼうふう』を指示してきた。ダメージではなく、追加効果の混乱を狙ってのことだろう。だが、雨状態でない『ぼうふう』は必中ではない。『ばちばちアクセル』で風を置き去りにし、そのまま急所に一撃を与えていく。

 

 回復の間など与えない。このままデュアルボルテッカーで一気に体力を削り切る――そう考えた瞬間、フリーザー様は最後の技として、ダツラの指示より早く『ぜったいれいど』を使ってきた。

 

 一撃必殺。ピカ様が一瞬で凍り付き、戦闘不能にされる。

 

 普通ならピカ様を回収しにいくのだが、このままにはどうにも出来ないので、ヘルガーを出してピカ様の氷を溶かして貰い、何とか回収した。

 パッと見て、フリーザー様の体力は残り1/3ちょっとと言った感じか。デュアルボルテッカーが決まっていれば勝っていたが、フリーザー様も危機を感じたからこそダツラの指示を待たずに『ぜったいれいど』を使ったのだろう。

 

 そこまで伝説のポケモンを追い詰めたのだ。

 

 成長を十二分に感じ取れる一戦だった。

 

 俺がピカ様を回収し、ハルカに預けると同時に、ダツラもフリーザー様を戻してきた。

 ダツラにしてみればもっとフリーザー様で状況を荒らすつもりだったのだろうが、ピカ様に思わぬダメージを受けて少し焦っているように見える。

 

 これで、残るポケモンは三対三だ。

 

 こちらは新たにケンタロスを出していく。対するダツラは、ゴルダックを出してきた。

 ゴルダックは既に『ハイドロポンプ』、『なみのり』、『アクアジェット』と技を三つも使っている。こちらとしては、早めに全ての技を使わせて余裕を作りたい所だ。

 

 ケンタロスの特性である『いかく』で、相手の攻撃が一段階下がる。これで『アクアジェット』は威力がかなり下がったと言っていいだろう。

 

 開幕、『じしん』を指示していく。ゴルダックは『なみのり』でこちらの攻撃を凌いできた。

 しかし、予想できたことである。『なみのり』を受けつつ、射程距離まで入ってきたゴルダックに『ワイルドボルト』で弱点攻撃を仕掛けていく。

 

 攻撃を受けると覚悟していたため、ケンタロスの動き出しは早い。対して、技の直後で動きの止まっているゴルダックにこの攻撃を避けるすべはなかった。

 肉を切らせて骨を断つ――弱点の一撃を受けてゴルダックがダメージを受ける。だが、されるがままではないようで、起き上がったゴルダックは『ハイドロポンプ』による迎撃をしようとしていた。

 

 こちらは攻撃の勢いのまま、新たに『ギガインパクト』を指示する。

 

 攻撃後に硬直するという弱点はあるが、相手の『ハイドロポンプ』を押し返しながら、ケンタロスはゴルダックに追撃の一撃を与えた。

 二度の大技を受けて、ゴルダックも残り体力が1/3以下に削られる。対するこちらも防御を全く考えていないので、体力はもう半分以下だった。

 

 攻撃の反動で、ケンタロスの足が止まる。

 

 ようやく動きを止めたなという感じで、ゴルダックは『ハイドロポンプ』を撃ってきた。防御も回避も出来ないので、直撃を受ける。これで、こちらの残り体力は残り1/4程だ。

 しかし、ゴルダックも肩で息をしている。

次の一撃で勝負を決めてやる――そう考えた瞬間、上空から見えない攻撃がケンタロスを直撃した。不意の一撃でケンタロスが戦闘不能になる。

 

 ダツラがニヤリと笑みを浮かべた。

 

 クッソ、今の攻撃は『みらいよち』だ。おそらく、『ワイルドボルト』直撃の時、避けずに技を使っていたのだろう。

 あの場面以外に、『みらいよち』を使えるだけの時間はなかった。技の直後で動けないからこそ、動かずに攻撃をくらいながら別の技を使っていたのだ。

 

 これで、こちらは残り二体――瀕死のニョロトノを送り出していく。もう少し休ませてやりたい所だが、向こうももう瀕死に近い。何とか倒してくれ。

 

 ゴルダックは再び『みらいよち』を使ってきた。他のみず技は半減故、確実に倒せる技をチョイスしたのだろう。

 こちらは『アンコール』でゴルダックの動きを封じていく。『みらいよち』は初弾が決まるまで次弾が使えない技だ。これでしばらく、ゴルダックは動けなくなる。

 

 しかし、ここでダツラは冷静にゴルダックを戻してきた。そのまま最後の一体であるカイリキーを出してくる。これで向こうのポケモンは全て判明した。

 

 ゴルダックの残した『みらいよち』に注意しつつ、ニョロトノがカイリキーに攻撃を仕掛けていく。

 カウンターシールドによる『れいとうビーム』がカイリキーに直撃する。おそらく、特性は『ノーガード』と見た。ダメージを受けながらもこちらに向かってくるカイリキーに、最後の技である『さいみんじゅつ』を使って眠らせていく。

 

 これで、起きるまで無慈悲に攻撃を仕掛けてやる――と、思ったその瞬間、『バレットパンチ』がニョロトノに直撃した。

 

 くっそ、『ねごと』か。この世界の『ねごと』は、ゲームと違って四つの技からランダムに技が出るのではなく、覚えている技からランダムに技が選択され、出てきた技は選択した技に含まれないという『ねこのて』のような技になっている。

 だが、そのあまりのギャンブル性と状況を選ぶ技故、あまり覚えさせている奴はいないのだが、『ノーガード』による催眠を警戒してしっかり覚えさせてやがったか。

 

 カイリキーのバレパン直撃を受けたニョロトノが戦闘不能になり、これでこちらは残り一体になる。

 

 出来ればもう一体削ってからがよかったが、こうなれば仕方ないな。最後の一体であるバリヤードを送り出していく。

 

 原作再現でリザードンか、伝説には伝説でミュウツーだと思った奴もいるかもしれないが、今回の最後はバリヤードだ。ぶっちゃけ、相手が伝説のポケモンでもいつまでもリザードンやミュウツーの力を借りなきゃ勝てないのは問題だと思ったのである。

 

 そもそも、今回のフリーザー様はダツラの正式なポケモンではないのだ。いくら仲良しとはいえ、バトルをしたのは今回が初めてでは他のポケモンに比べて連携にも穴が出来る。

 いわば、ハンデ有りの状態で、こちらは遠慮なく切り札を出して蹂躙するなんというのは、これまでの俺と何も変わらないではないか。そろそろ一段階先に進むためにも、ここはリザードンやミュウツーの力無しで勝たなくてはいけない。

 

 言うならば、前にナギに負けた時のリベンジだ。

 

 あの時はメガシンカだったが、今回は伝説のポケモンを含んだフルパに、きずな化やミュウツーなしで勝ってみせる。

 バリヤードが調子を確かめるようにステップを踏んだ。どうやら、今回は絶好調のようでいつでもどうぞと言わんばかりの表情をしている。

 

 どうやら、ダツラはカイリキーをそのまま継続させるようで、再び『ねごと』を使ってきた。出てきた技は『きあいパンチ』のようで、拳に気合を貯めている。

 こちらはド直球で『サイコキネシス』を使った。

 弱点の攻撃を受けて、気合が霧散していくが、それ以上にかなりのダメージを与える。眠り状態で防御もままならないのに一撃ではないのには驚いたが、それも二回当てればいいだけの話だった。

 

 二度目の『サイコキネシス』でカイリキーが戦闘不能になる。同時に、ゴルダックが放った『みらいよち』がバリヤードを攻撃してくるが、エスパータイプ故にエスパー技は感知できた。くるりとその場で一回転するだけで不意の一撃を回避していく。

 

 ダツラが無言でカイリキーを戻し、ゴルダックを出してくる。とはいえ、ダメージは回復しきっていないようで肩で息をしていた。

 そのまま、最後の『ハイドロポンプ』を撃ってきたので、『ひかりのかべ』バリヤードエディションで完全防御し、驚いているゴルダックに『サイコキネシス』をお返ししていく。残り少ない体力のゴルダックに、タイプ一致サイキネが耐えられるはずなく、カイリキーに続いて戦闘不能になった。

 

 当のバリヤードと言えば、ようやくエンジンがかかりましたと言わんばかりの余裕ぶりである。

 実際、こちらは最後の一体であるバリヤードまで追い込まれたが、状況がピンチかと言われると、実はそこまで追いつめられている訳ではなかった。

 

 何せ、カイリキーは眠り状態、ゴルダックとフリーザー様は、ケンタロスとピカ様の頑張りによって体力がかなり削られていたのだ。

 対するこちらは、全くの無傷でようやく出番かと戦意を漲らせていた。そんな状況で苦戦していては、伝説のポケモンを倒すのなど夢のまた夢である。

 

 ダツラも最後の一体になったことで、再びフリーザー様がフィールドに入ってきた。

 

 ピカ様の与えたダメージはまだまだ残っているようで、体力は1/3ちょっとと言った所だ。

呼吸は整っているので、多少は回復したようだが、既に技は全て使わされている。いくら伝説のポケモンとはいえ、この状況ではこちらの方が圧倒的に有利だった。

 

 ダツラは開幕から『はねやすめ』で体力を回復させようとしてくる。とはいえ、そんな簡単に回復など許すはずがなく、『ちょうはつ』で『はねやすめ』は禁止させた。

 ならばと、『れいとうビーム』を撃ってくるので、『サイコキネシス』で軌道を反らす。本来なら本体へ直接返したかったが、流石にフリーザー様のれいビは反らすのが限界だったようだ。

 

 続けて、『ぼうふう』で攻撃を仕掛けてきたので、『ひかりのかべ』バリヤードエディションで完全防御していく。

 防いだが、ゴルダックの『ハイドロポンプ』を防ぐのにも一回使っているので、残りは一回が限度だった。前にも何回か書いたが、この技は『ひかりのかべ』を一瞬で何度も発動させるので一回でPPを多く消費する。元々、『ひかりのかべ』のPPが15で、基本的に完全防御に5は使うので、約三回が限度なのだ。

 

 とはいえ、そんなことを知らないダツラは、全ての攻撃が防がれたように感じるだろう。残る技は『ぜったいれいど』だが、警戒されている一撃必殺などそう簡単には当たらない。

 打つ手なしとばかりに動きが止まる。

 ダツラの動きが止まると同時、こちらは最後の技である『10まんボルト』で弱点を突いて行った。カンフーやダンスやらで、物理的な技が大好きなバリヤードだが、本来は特殊アタッカーである。当然、特殊の攻撃バリエーションは豊富に増やさせていた。

 

 フリーザー様が空に飛んで電撃を回避していく。

 

 とはいえ、追いきれない訳ではない。『サイコキネシス』を同時発動して、『10まんボルト』の速度を上げて追い詰めていく。

 まるで網のように広がった電撃が、空を飛ぶフリーザー様を徐々に追い詰めていく。避け切れないと判断すると、『れいとうビーム』で迎撃してきた。

 

 しかし、既に高さはこちらの攻撃範囲内である。

 

 再び、『サイコキネシス』で直接攻撃を仕掛けていく。だが、フリーザー様もただでは攻撃をくらわないようで、サイキネを受けつつも『れいとうビーム』で反撃してきた。

 流石に技を使いながら別の技は使えないので、『れいとうビーム』がバリヤードに直撃する。特殊防御は割と高いバリヤードだが、それでもフリーザー様の『れいとうビーム』直撃は効くようで体力が削られていた。

 

 また、攻撃が直撃したことで集中が切れ、フリーザー様が体の自由を取り戻している。

 そのまま、フリーザー様がバリヤードに向けて、『ぼうふう』でさらに追撃をかけてきた。最後の『ひかりのかべ』バリヤードエディションで完全防御していくが、これで防御手段は完全になくなる。

 

 しかし、フリーザー様は攻め手を緩めなかった。

 

 どうやら、ダメージがそろそろ限界に近付いたことで、伝説のポケモンが持つ底力のようなものが発動したのか、なりふり構わず攻撃を仕掛けてきたのだ。

 完全防御の後、ダツラが下がるように指示を飛ばすも、フリーザー様は『ぼうふう』でさらなる追撃をかけてきた。『ひかりのかべ』バリヤードエディションはPP切れで使えず、『ぼうふう』によって大ダメージを受ける。

 

 それを見たダツラも、『ひかりのかべ』バリヤードエディションの仕組みを何となく理解したようだ。

 クッソ、ダツラの方は上手いこと騙せていたのだが、フリーザー様の特攻でタネもバレてしまった。

 

 とはいえ、攻撃を受けっぱなしという訳にもいかないので、『サイコキネシス』で風を押さえつけて無理矢理脱出していく。

 だが、その隙を突いて、フリーザー様はさらに『れいとうビーム』を撃ってきた。まさに怒涛の攻めと言っていい攻撃の連続で、バリヤードの体力が一気に減らされる。

 

 ついさっきまで無傷だったのが、気が付けばフリーザー様と変わらないくらいまで体力を削られてしまった。

 

 おまけに、『れいとうビーム』の追加効果である氷状態になったようで、バリヤードが動けなくなる。

 これはまずい。このままでは一撃必殺の餌食だ。フリーザー様は当然のように『ぜったいれいど』を仕掛けてくる。このままではやられる――

 

 しかし、バリヤードは諦めなかった。

 

 氷を削りつつ、隙間から『10まんボルト』を放ち、その光でフリーザー様の目をくらませたのだ。

 一撃必殺は良く当たるイメージだが、割とちょっとした妨害で当たらなくなる。視界を一瞬閉ざしてやるだけでも照準がズレてしまうのだ。

 

 疑似フラッシュで、何とか『ぜったいれいど』を回避する。その間に、バリヤードは何とか氷から抜け出した。

 

 だが、このままでは攻め負ける。

 

 お互いに後一撃という体力なのだ。何とかして、こちらが先に攻撃を当てる必要があった。

 

 ダツラはもうフリーザー様にお任せするようで、応援の体勢に回っている。対するこちらも、バリヤードが何か策を思いついたようで、任せてくれという表情をしていた。

 ならば、俺も応援に回ろう。

 バリヤードに向けて、「お前に任せる」と言うと、得意の『サイコキネシス』の発動に移行していく。対してフリーザー様も、得意の『れいとうビーム』を撃ちながら突っ込んできた。

 

 しかし、フリーザー様の『れいとうビーム』が当たる直前、バリヤードが弾かれたようにフリーザー様に向かって突っ込んでいく。

 どうやら、『サイコキネシス』は攻撃ではなく、自身の移動に使ったようで、まるでゴムに弾かれたようにバリヤードがフリーザー様に突っ込んでいった。

 

 フリーザー様の攻撃の下を潜り抜けるようにバリヤードが突っ込んでいき、そのまま下半身に抱き着いていく。

 即座に振り解こうと、体を振るフリーザー様だが、バリヤードは離さず『10まんボルト』の追撃をかけて行った。

 

 弱点のゼロ距離攻撃を受けて、フリーザー様が悲鳴を上げる。しかし、本来ならば倒れてもおかしくないダメージのはずだが、伝説の意地で倒れることを拒否していた。

 

 何とか顔を下に向けて、フリーザー様が『れいとうビーム』をバリヤードに撃ってくる。

 当然、耐えられるはずがないのだが、バリヤードもまた負けたくない一心で倒れるのを拒否した。

 

 まさか、自分の攻撃を受けて倒れないとは思わなかったのか、フリーザー様が驚きの表情を浮かべる。

 それに対し、バリヤードも再び『10まんボルト』でお返しした。今度こそ倒れろと言わんばかりの全力攻撃だが、それでもフリーザー様は倒れない。

 

 クッソ、もうHPねーのに、二回も攻撃を耐えるとか反則が過ぎんだろ!

 

 反撃とばかりに、再びフリーザー様が『れいとうビーム』を撃とうとする。だが、その瞬間、フリーザー様の体から稲妻が迸り、攻撃しようとした体勢が崩れた。

 麻痺だ。『10まんボルト』の一割の追加効果である麻痺を引いたのである。体が麻痺したことで、フリーザー様は一瞬攻撃が遅れた。その間に、バリヤードは最後の力を込めた『10まんボルト』で三度目の攻撃を仕掛けていく。

 

 いくら伝説の意地でも、体力の限界で弱点攻撃三回は耐えられなかったようで、ようやくフリーザー様が倒れた。

 審判による戦闘不能の判定が下ると同時に、バリヤードも倒れる。こちらも既に限界を突破していた。それでも勝ちと判定されるまでは意地でも倒れなかったのだ。

 

 よくやったぞ。お前の粘り勝ちだ。

 

 バリヤードをボールに戻すと、ダツラが俺の勝利を祝って、フロンティアシンボルであるノウレッジシンボルを渡してくる。

 ダツラも、自分に出せる全力を出した。フリーザー様の底力も出した。それでも、勝ったのはニューサトシだと、素直に拍手をしてくれる。

 

 バリヤードが頑張ってくれたのは事実だが、それでも勝てたのはそれまでのバトルを全員で頑張ったからだ。

 特に伝説のポケモンであるフリーザー様相手に、リザードン、ミュウツーなしで勝てたというのは、俺達が成長しているという自信に繋がっている。

 

 正直、バトルフロンティアに挑戦するために、チャンピオンリーグを辞退したことを、心の中で少し後悔していた部分もあったのだが、この結果のおかげで挑戦してよかったと思うことが出来た。

 

 あまりに俺がご機嫌だからか、ラティが期待したような目をこちらに向けてくる。仕方ない、今回だけだぞ。

 

「ノウレッジシンボル、ゲットだぜ!!」

 

 

 

 




 原作との変化点。

・第136話『初陣! バトルファクトリー!!(後編)』より、リザードンとミュウツーを使わなかった。
 いつまでも切り札に頼るだけのバトルでは成長できないと判断した。これがチャンピオンリーグなら流石にしなかったが、バトルファクトリーはチャレンジの場でもあると判断しての切り札抜きのメンバーを選出した。

・フリーザー様を倒した。
 ピカ様とバリヤードの二人がかりで何とか倒した。根性で耐え過ぎて草。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.63

 ピジョット Lv.59

 バタフリー Lv.58

 ドサイドン Lv.62

 フシギダネ Lv.59

 リザードン Lv.63

 カメックス Lv.59

 キングラー Lv.59

 カモネギ  Lv.58

 エビワラー Lv.59

 ゲンガー  Lv.61

 オコリザル Lv.58

 イーブイ  Lv.58

 ベトベトン Lv.58

 ジバコイル Lv.58

 ケンタロス Lv.58

 ヤドラン  Lv.58

 ハッサム  Lv.60

 トゲキッス Lv.57

 プテラ   Lv.59

 ラプラス  Lv.58

 ミュウツー Lv.75

 バリヤード Lv.58→59

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.57

 カビゴン  Lv.56

 ニョロトノ Lv.56→57

 ヘラクロス Lv.56

 メガニウム Lv.55

 マグマラシ Lv.55

 ラティアス Lv.51

 ヘルガー  Lv.55

 ワニノコ  Lv.55

 ヨルノズク(色違い) Lv.55

 カイロス(部分色違い) Lv.55→56

 ウソッキー Lv.55

 バンギラス Lv.61

 ゴマゾウ  Lv.53

 ギャラドス(色違い) Lv.53

 ミロカロス Lv.46

 ミズゴロウ Lv.49

 オオスバメ Lv.49

 ジュプトル Lv.49

 ヘイガニ  Lv.48

 フライゴン Lv.54

 コータス  Lv.47

 ラルトス(色違い) Lv.30

 ユキワラシ Lv.44

 ワカシャモ Lv.40 

 タマゴ   何が生まれてくるのかな? 生まれるまで、まだまだ時間がかかりそう。




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#157 『モスラじゃねーか!』


 前回のダツラ戦で、フリーザー様の特性である『プレッシャー』の存在を綺麗サッパリ忘れておりました。
 ちょっと今、リアルの方がゴタゴタしていて書き直す余裕がないので、フリーザー様の特性は夢特性の『ゆきがくれ』だったということで、勘弁していただけると助かります。





 13歳 α月τ日 『それでも僕はやってない』

 

 次の施設はバトルアリーナということで、先に進むことにしたのだが、途中で水がなくなってしまった。

 前回、切り札なしでダツラとフリーザー様に勝ったことで少し浮かれてしまっていたらしい。仕方ないので、マサトにポケモン達を預けて水場を探しに行くことにした。

 

 しばらくして戻ってくると、何故か突如としてイワークを始めとした野生のいわポケモンが俺達を襲ってくる。

 状況が良くわからないが、ニューサトシ以外の全員が捕まってしまい、何故かバトルで勝って無実を証明することになってしまった。

 

 ぶっちゃけ、戦う気は欠片もないのだが、向こうがバトルを求めている以上、戦わざるを得なない。

 前回のバトルファクトリー後、手持ちのポケモンはユキワラシとワカシャモを除いて再びリセットしている。今回の手持ちは、カモネギ、ウソッキー、ジュプトルだ。

 

 相性的なことを考えれば、ジュプトルかユキワラシだが、この負けたらいけない状況でユキワラシに任せるのはまだ少し不安があるので、ここはジュプトルにお任せする。

 バトルが始まると、得意のスピードでイワークをかく乱し、『リーフブレード』で圧倒的勝利を決めていた。こいつもレベルがまだ少し低いが、技術的には先輩達にも負けなくなってきたような気がする。

 

 これで俺が勝った訳なのだが、その瞬間、ロケット団がいつものように変なメカを使って襲ってきた。

 どうやらこいつらのせいで無駄に戦わされる羽目になったらしい。余計なことばかりするんじゃないということで、サクッとやなかんじーにしてやる。

 

 いわポケモン達もようやく俺達が無実だということを理解してくれたようで、お詫びとしてイワークがこの先まで送ってくれることになった。

 人間の足では行きにくい場所も、イワークなら楽々通れるということで、かなりのショートカットが出来ている。まさに、なんだかとってもいいかんじーである。

 

 

 

 13歳 α月υ日 『プリン!? プリンさん!?』

 

 バトルアリーナに向かって進んでいると、ミツオとかいうおっさんがプリンを捕まえようとしているのを見つけた。

 プリンと聞いて、俺とタケシが反射的にすごいみみせんを構える。しかし、どうやらプリンさんとは別のプリンのようだった。

 

 聞けば、ミツオは娘のリカコの誕生日にプリンをプレゼントしようと、ここにやってきたようなのだが、もう半年も捕まえられずにいるというのだ。

 

 なら、俺達で助けてやろうということで、とりあえずゲットの様子を見せて貰うことにしたのだが、プリンは特性の『メロメロボディ』でミツオのドゴームをメロメロにしたり、『うたう』でミツオを眠らせたりと、確かに抵抗している。

 俺とタケシはすごいみみせんがあるので、眠り状態にはならなかったが、プリンは眠ったミツオを見ながらとても嬉しそうにしていた。どこからどう見ても捕まえられるの待ちである。

 

 とりあえず、マサトのプリンの歌を自分に反射させて眠らせるというアイディアで捕まえられるようにしてやったのだが、ミツオは自分の都合でプリンを捕まえようとすることに罪悪感を覚えたらしく、この森で生活した方がプリンの為だとゲットするのを止めてしまった。

 ミツオもミツオで、この半年でプリンのことが好きになってしまったのだろう。何かすれ違いのような気もするが、ミツオがそう判断したのなら従おうということで街に戻る。

 

 そのままミツオの実家に戻ると、目が覚めたプリンが後を追ってきたようで、何でゲットしないんだと怒っていた。

 やはり、俺達の見立て通り、プリンはミツオのことが好きだったようで、改めてミツオはプリンをゲットしている。娘のリカコも新しい家族に大喜びしていた。

 

 しっかし、プリンと聞いた瞬間、俺もタケシも反射でみみせんを取り出す辺り、かなりプリンさんに鍛えられたよなぁ。

 

 

 

 13歳 α月φ日 『やっぱ、ウインディいいよなぁ』

 

 バトルアリーナを目指していると、野生のウインディが物凄いスピードで隣を駆け抜けていった。

 やっぱウインディは良いポケモンだなぁ――と、感慨にふけっていると、一月振りにシュウと再会する。聞けば、シュウもハルカと同じく、カントー地方のグランドフェスティバルに参加するつもりのようで、既にコンテストリボンを一つゲットしたらしい。

 

 ドヤ顔でリボンを見せつけながら、いつものようにハルカを小ばかにしている。

 どうやら、シュウはあのウインディをゲットするつもりでいるようで、すぐに後を追って行った。当然、そんな話を聞いて黙っているハルカではなく、自分もウインディをゲットするとライバル心に燃えている。

 

 ふむ、ニューサトシもウインディは欲しいし、ちょっと参戦するのもアリかもしれん。

 

 とりあえず、辺りで聞き込みをしてみると、地元の爺さんがウインディの現れそうな場所をいくつか教えてくれる。

 手当たり次第にその場所を当たっていくと、遂にウインディを見つけた。シュウもまた同時にこの場所に辿り着いていたが、よく見るとウインディの側に三体のガーディがいる。

 

 どうやら子供のようでまだ小さい。母親をゲットしてしまえばあの三体がどうなるかなど簡単に想像がついた。

 流石のニューサトシも子供ガーディ達を犠牲にしてまでウインディをゲットするつもりはない。それはハルカやシュウも同様のようで、今回はウインディゲットを諦めたようだった。

 

 素直にその場を離れようとした俺達だが、丁度そこに毎度お馴染みロケット団が、空気を読まずにやってきて、ウインディ一家を捕まえようとしてくる。

 全くと思いながらピカ様を送り出そうとすると、ハルカがゼニガメ、シュウがフライゴンで攻撃を仕掛けていく。二人の連携はなかなかのもので、ロケット団をあっさりやなかんじーにしてしまった。

 

 二人は互いにライバルと改めて見据えたようで、別れる際にシュウがヤマブキシティでコンテストがあると伝えている。

 丁度バトルアリーナまでの通り道なので、少し寄って行くことにした。ちなみに、今回ニューサトシはコンテストには参加しないつもりだ。チャンピオンリーグの代わりに挑戦しているバトルフロンティアに専念するつもりである。

 

 

 

 13歳 α月χ日 『前にも似たようなことあったな』

 

 ヤマブキシティを目指していると、逃げるコダックとそれを追う、ワンリキー、ゴーリキー、カイリキーを見つけた。

 一番後ろにはお嬢様らしき女がいて、コダックを必死に追っている。カスミさんのコダックとは全然動きが違うな――と、思っていると、ハルカが詳しい話を聞いていた。

 

 聞けば、あのコダックはこのお嬢様であるアヅミのポケモンのようなのだが、急に逃げてしまったというのだ。

 ただ、詳しい話を聞いていくうちに、何故コダックが逃げているのかはすぐに分かった。簡単に言うと、過保護な生活に嫌気が差したのである。ジョウト地方で可愛がられていたブルーと一緒だ。

 

 トレーナーが可愛がるだけ可愛がるのは、自身の願望を押し付けているだけである。本当にポケモンのやりたいことを汲んでやらないからこうして逃げられるのだ。

 あまりに可哀想だったので、ニューサトシがまた一肌脱いで、アヅミにコダックの思いを伝えてやることにした。最初は胡散臭そうな顔をしていたアヅミだが、俺と一緒にいるコダックが嬉しそうにしているのを見て、ただ可愛がるだけではダメだと理解してくれたらしい。

 

 いずれコダックと一緒にポケモントレーナーとして旅に出るとも言っていた。良かったな、コダック。

 

 

 

 13歳 α月ψ日 『合体しろ』

 

 森の中でレストランを見つけた。しかし、妙なことに店の中は半分に仕切られており、まるで別の店のようだ。

 レストランを経営しているレースとトランという姉妹に話を聞いてみると、どうやら二人は料理の方向性が正反対のようで、あまりに対立するので、別々に運営することにしたらしい。

 

 姉のレースとそのパートナーのニューラは、味が第一という昔の職人のようなタイプで、妹のトランとそのパートナーのバリヤードは今どきのパフォーマンスを重視すべきという若者タイプだ。

 レースの料理は味こそいいが、何というか地味である。逆にトランはパフォーマンスこそ派手だが、味が終わっていた。

 

 普段はあまり何も言わない黒いラルトスだが、何やら大きなため息をついて『サイコキネシス』を使っている。

 そのまま、半分に割られた店内を改装するように、普通のお店に戻していく。それを見て、俺もこいつが何が言いたいかを大体察した。

 

 そもそも互いに弱点がはっきりしていて、それを補えるのだから協力すればいいのである。

 

 と、いうことで、ニューサトシによるレストラン運営プランを提示した。二人は協力するということに、とても拒否反応を示していたが、「なら合体しろ」というと口を閉ざした。

 

 文句が多いのでちょっと威圧してやったのだ。

 

 とはいえ、提案したことはそこまで大変なことではない。調理はレースがして、提供をトランがするというだけだ。

 いわば、役割を分担したのである。

 レースは大好きな調理に集中できるし、逆にトランはパフォーマンスに集中できる。どこからどう見てもWinWinの関係だろう。

 

 最初は渋々と言った感じに始めたが、いざやってみるとこれ以外に答えがないというくらいにドハマりしている。

 一体何をいがみ合っていたのかすらもう忘れてしまったようで、二人で楽しく料理を作っていた。よくやったなと黒いラルトスの頭を撫でる。しかし、相変わらず顔はそっぽを向いていた。

 

 やっぱ、優しいツンだぜ!

 

 

 

 13歳 α月ω日 『モスラじゃねーか!』

 

 ヤマブキシティを目指していると、またタケシが迷子になって変な森へ迷い込んでしまった。

 どうやらここはゴードン博士と言う人の私有地のようで、当の博士とゼンキチという少年に研究所荒らしだと勘違いされる。誤解はすぐに晴れたのだが、どうやら昨晩何者かが研究所に侵入しようとしたらしい。

 

 ならば、俺達が捕まえてやろうということで、研究所で待ち伏せることにしたのだが、侵入してきたのは毎度お馴染みロケット団だった。

 

 とりあえず、いつも通りにやなかんじーにしてやったのだが、そのどさくさでゼンキチのキャタピーがかなりふしぎなアメといういうものを呑み込んでしまったらしい。

 どうも、普通のふしぎなアメはポケモンのレベルを上げるが、かなりふしぎなアメはポケモンを巨大化させる能力があるようで、キャタピーが段々大きくなっていく。

 

 まさにモスラ! と、ちょっと感動していると、キャタピーはいきなり街に向かって走り出してしまった。

 ゼンキチによると、そろそろ進化するレベルのようで、おそらく進化のためにどこか良い場所を探しに行ったのではないかと言うことだ。

 

 街に行くと、キャタピーは電波塔に上ってトランセルへと進化している。冗談抜きにモスラじゃねーか! と、ツッコミを入れてしまった。

 しっかし、トランセルに進化したものの、どうするつもりだ? このまま電波塔にくっつけておく訳にもいかないぞ――と、思っていると、今度はトランセルがまた光り出した。

 

 いくらむしポケモンの進化が早いとはいえ、もうバタフリーになるのか。

 いや、もしかしたら食べてしまったかなりふしぎなアメに、進化を加速させる成分があるのかもしれない。流石にこの速度での進化はないだろう――と、思ったが、俺のカメックスも二段階ワープ進化したし、そういうこともあるのかもしれない。

 

 しばらくすると、薬の効果が切れてバタフリーが通常サイズに戻っていく。しっかし、あのサイズのバタフリーは、マジもんのモスラだったで!

 

 

 

 13歳 β月α日 『あっ、チッス』

 

 ようやくヤマブキシティに着いた。まずはハルカのエントリーを終わらせるために、コンテスト会場へ行くことにする。

 コンテスト会場では、カントー地方のコンテストで司会を務めるというリリアンという女性とそのパートナーであるエーフィがパフォーマンスを見せていた。聞けば、リリアンはホウエン地方のコンテストで司会を務めていたビビアンの妹らしい。

 

 見た感じ、髪型とかは同じだが、目のほくろが左右逆だな。タケシに言わせれば、もっと違いが多いらしいが顔はかなり似ている。

 ただ、本人曰く、姉のようにいい歳してフリフリした服は着られないということだった。まぁ、別になしではないと思うが、リリアンのスポーティな服装も悪くはない。

 

 ふと、横を見ると、ハルカのゼニガメが目を輝かせていた。どうも今までハルカの練習を見ていたが、実際に会場で演技する姿を見てコンテストに興味を持ったようである。

 ハルカも、ゼニガメがコンテストに興味を持ったことを大喜びしていた。これからは一緒に頑張ろうと、二人で声をかけあっている。そのまま、ハルカのカントー地方のコンテストパスを発行して貰い、コンテストへの参加申し込みを終わらせた。

 

 その足でポケモンセンターに行こうと思ったのだが、俺だけが急にどこかへ『テレポート』させられる。

 

 いずれ挨拶に行こうとは思っていたが、どうやら耐え切れずに俺を呼んでしまったようだ。

 このヤマブキシティで、人間を自由自在に『テレポート』させるようなキチガイな知り合いは一人しかいない。

 

 そう、ヤマブキジムのジムリーダー、ナツメである。

 

 約一年振りの再会だが、ナツメはかなり大人っぽくなっていた。どうも服装もかなり気を使っているのか、ゲーム準拠のモデルっぽい服になっている。

 俺と一緒にいた黒いラルトスが急な『テレポート』に少し警戒していたが、ナツメの発するエスパー的な何かを感じ取ると、意外とすぐに打ち解けたようだった。正直、ナナミさん以外で、ここまで人に興味を示すことは少ないので意外な反応である。

 

 とりあえず、久しぶりの対面なのでナツメが満足するまで話に付き合った。ついでに、俺を呼んだ手間賃としてバトルもして貰う。どうも、ナツメも、俺がバトルをすれば大抵のことを許してくれると思っての犯行だったようだが、実際その通りなので何も言えん。

 

 結局、ポケモンセンターに戻ってきたのは夜中になったが、タケシは『テレポート』された時点でナツメに呼ばれたことに気付いていたようで、他のみんなを落ち着かせてくれたらしい。

 

 また、ホウエン地方のハーリーと再会したらしく、今までのことを改心したと言っていたようだが、あの手の人間が自分から改心などという言葉を使う時は大抵改心していないものだ。ハルカは騙されやすいタイプだし、一応警戒だけはするように声をかけておいた。

 

 追記。ハルカは明日のコンテストでバネブーとワカシャモで参加することにしたらしい。最初はゼニガメで参加すると言っていたが、これまで練習もしていないゼニガメでぶっつけ本番は本人のためにもならないので、今回は見学させるようにニューサトシが忠告した。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・第137話『イワークの王国!!』より、ロケット団によっていわポケモンと戦わされた。
 原作では、お留守番をしていたポケモン達が喧嘩をしてそれに巻き込まれたいわポケモン達が怒ったのをロケット団が煽ってバトルに発展していくのだが、ニューサトシのポケモンはあまり無用な喧嘩はしないので、ロケット団の煽りでいわポケモンが襲って来るに変更されている。

・第138話『プリンの歌、パパの歌!』より、自分達の反応速度に少しビビった。
 プリンさんとのやりとりで、みみせんを瞬間装着できるように躾けられていたことが発覚した。

・第139話『ライバル対決! ウインディをゲットかも!』より、ニューサトシもウインディを追いかけた。
 地味に欲しがっている。

・第140話『コダックの憂鬱!』より、内容は端折ったが、コダックと遊んだりバトルしたりしてあげた。
 過保護過ぎても駄目。

・第141話『ニューラとバリヤード! どっちのレストラン!?』より、料理対決のくだりをカットした。
 ラルトスの助けもあったので、力づくで仲直りさせた。

・第142話『進化! その神秘と奇跡!!』より、ロケット団がかなりふしぎなアメを本部に送った。
 原作ではドクケイルとサボネアを巨大化させて博士を誘拐しようとするが、ふとアメ自体が貴重なものだと判断して本部に効果の説明を添えて送っている。ポケモンを巨大化させる薬っていろいろ悪用出来そうで怖い。

・モスラじゃねーか!
 まんまモスラで草。

・第143話『ポケモンコンテスト・ヤマブキ大会!!(前編)』より、ナツメに誘拐された。
 久しぶりにいろいろお話して満足したナツメとバトルして、ニューサトシも満足した。バトル描写書くと一話使いそうだったので、ほぼ互角だったとだけ報告しておく。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.63

 ピジョット Lv.59

 バタフリー Lv.58→59

 ドサイドン Lv.62

 フシギダネ Lv.59

 リザードン Lv.63

 カメックス Lv.59

 キングラー Lv.59

 カモネギ  Lv.58→59

 エビワラー Lv.59

 ゲンガー  Lv.61

 オコリザル Lv.58

 イーブイ  Lv.58

 ベトベトン Lv.58

 ジバコイル Lv.58

 ケンタロス Lv.58

 ヤドラン  Lv.58

 ハッサム  Lv.60

 トゲキッス Lv.57→58

 プテラ   Lv.59

 ラプラス  Lv.58

 ミュウツー Lv.75

 バリヤード Lv.59

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.57

 カビゴン  Lv.56→57

 ニョロトノ Lv.57

 ヘラクロス Lv.56

 メガニウム Lv.55

 マグマラシ Lv.55

 ラティアス Lv.51

 ヘルガー  Lv.55→56

 ワニノコ  Lv.55

 ヨルノズク(色違い) Lv.55

 カイロス(部分色違い) Lv.56

 ウソッキー Lv.55

 バンギラス Lv.61

 ゴマゾウ  Lv.53

 ギャラドス(色違い) Lv.53

 ミロカロス Lv.46

 ミズゴロウ Lv.49

 オオスバメ Lv.49

 ジュプトル Lv.49

 ヘイガニ  Lv.48

 フライゴン Lv.54

 コータス  Lv.47

 ラルトス(色違い) Lv.30

 ユキワラシ Lv.44

 ワカシャモ Lv.40 

 タマゴ   何が生まれてくるのかな? 生まれるまで、まだまだ時間がかかりそう。




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#158 『お前がなれよ』

 13歳 β月β日 『ポケモンコンテスト ヤマブキ大会』

 

 いざ、コンテスト当日。今回はシュウがいないようだが、代わりにはりもぐハーリーと、毎度お馴染みムサシの姿が見える。

 ムサシもホウエン地方のグランドフェスティバル準優勝の実績があるので、油断すると普通に負けるんだよな。

 っていうか、実際にハルカはムサシに勝ったことがない。そもそもコンテストでぶつかること自体少なかったし、グランドフェスティバルの準決勝がそれこそ初対決だった。

 

 だからこそ、ハルカも少し緊張しているようだ。無意識に手を合わせていたので、仕方なくいつもの幸平式をお見舞いしてやる。

 ハルカ自身、「やっぱり、これがないと落ち着かないのよね」と言っており、どうやら完全にドMに目覚めてしまったようだった。

 

 ハルカはバネブーで一次審査を挑戦していく。前に戦ったカナタのブーピックの演技をお手本にしつつ、バネブーの良さを引き出す演技を見せている。グランドフェスティバルベスト4の実績は伊達ではないようで、文句のないポイントで一次審査を勝ち抜けていた。

 続いて、ムサシやハーリーも、当然のように一次審査を通過していく。いろいろと性格に問題はあるが、やはりあの二人も熟練のコーディネーターである。

 

 二次審査のコンテストバトルでは、ハルカがワカシャモで初戦を圧勝していた。流石はパートナーポケモンだけあって、息の合ったコンビプレイを見せている。

 続く試合はムサシとハーリーの対決だった。ハーリーのアリアドスに対して、ムサシがソーナンスで相対しているが、ハーリーはソーナンスの必殺武器である『カウンター』や『ミラーコート』を封じるように、『いとをはく』などの変化技を駆使して立ち回っていた。

 

 どうもハーリーの相手の動きを妨害して、その選手の魅力を引き出させないという戦い方は、直情型のムサシととことん相性が悪いようで、意外と余裕のあるポイント差でハーリーが逃げ勝っている。

 こういう相手なら、コジロウの方が上手く立ち回りそうだ。コンテストがアドバイス有りならまだ勝機はあったかもしれないが、相性が良くなかったな。

 

 ファイナルステージはハルカ対ハーリーになったが、ここでゼニガメではなくワカシャモを選んだ利点が出てきた。

 ハーリーはお得意の糸戦術でハルカを翻弄しようとしてきたが、当然ほのおタイプはむしタイプに強い。相性の良さをこれでもかというくらいにごり押しして、終始有利な状況でバトルしていた。

 

 グランドフェスティバルを経て、ハルカのレベルもかなり上がっている。ハーリーの誤算は、そんなハルカの成長を甘く見たことだった。

 もし、ハルカがグランドフェスティバルでハーリーと戦った時のままだったなら、アリアドスの戦術に翻弄されていたかもしれない。しかし、その後のシュウやムサシとの激闘がハルカをもう一段上のステージに押し上げていた。

 

 ハーリーも中盤からは遮二無二戦っていたが、最終的にはハルカのポイントが僅かに上回っている。

 実際、ハーリーもムサシを倒せるだけの技術を持っているのだ。いい加減、コンテストにしっかり向き合って欲しいものである。

 

 

 追記。まずは一つ目と言わんばかりにヤマブキリボンを入手したハルカだが、ゼニガメの目はもはや憧れを通り越して尊敬に変わっていた。次は自分もコンテストに出ると、意気込んでハルカと練習している。見学させたのは正解だったな。

 

 

 

 13歳 β月γ日 『お前がなれよ』

 

 バトルアリーナに向かって旅を再開すると、格闘道場の師範であるハマグリとその息子のキョウタロウ、弟子のツグヨと出会った。

 聞いた所によると、どうもハマグリは自分の道場をキョウタロウに継がせたいようなのだが、当のキョウタロウは道場ではなくラーメン屋をやっていきたいと言っている。

 

 名前的に、ハマグリがラーメン屋で、キョウタロウが道場ならしっくりくるが、反対だとしっくりこないな。

 

 そんなことを考えていると、何故かポケモンバトルで決着をつけるということになった。しかし、直前になってハマグリがぎっくり腰になっている。

 仕方なく、ハマグリの代わりに俺が、キョウタロウの代わりにハルカがバトルをすることになった。どうもハルカはキョウタロウのラーメン狙いらしい。ハルカは地味に食い意地が張っているんだよな。

 

 とりあえず、バトルを開始する。俺がサワムラー、ハルカがエビワラーということで、自分のポケモンではないポケモンを使ったバトルだが、これはこれで意外と面白かった。

 当然、他人のポケモンなので、普段のような連携は出来ない。ポケモンのサポートがない以上、トレーナーの実力がモロにバトルに出てくる。いくらハルカに才能があるとはいえ、トレーナーとしての実力で負けるはずがなく、段々とエビワラーを追い込んでいく。

 

 ハルカも食い意地で始めたバトルが、かなり難しいバトルだとようやく気付いたようで、エビワラーを頑張ってフォローしようとしているが上手く行っていない。

 

 このまま、フィニッシュに持ち込んでやるぜ――と、格好良く決めようとしたその瞬間、毎度お馴染みロケット団が襲ってきた。

 いつものようにサクッとやなかんじーにしてやろうとピカ様を呼ぶも、その前にツグヨがカポエラーでロケット団を撃退し始めてしまう。ロケット団も地味に実力があるので、ツグヨも大苦戦していたが、最近またメカに浮気して弱くなったのか、やなかんじーにされている。

 

 ただ、ロケット団とのバトルで道場は滅茶苦茶になってしまった。これではバトルの続きなど出来るはずがない。

 

 キョウタロウは改めて、ハマグリに何故自分がラーメン屋になりたいかを話していた。

 聞けば、昔ハマグリが作ってくれたラーメンがとても美味しく、自分もそれ以上のラーメンを作りたいと思うようになったらしい。

 

 まさか、息子の夢のきっかけが自分だとは思わなかったみたいでハマグリも驚いていたが、悪い気はしなかったらしく、道場はツグヨに任せてキョウタロウの夢を応援することにしたようだ。

 興味があったので、ハマグリ自慢のラーメンを頂くことにする。普通の家庭用ラーメンということで、チャーシューもメンマもない質素なラーメンだったが、味は絶品で、タケシが「どうやってこれだけの旨味を……」と呟くくらいのレベルだった。

 

 もうお前がラーメン屋になれよ。

 

 

 

 13歳 β月δ日 『騒音被害』

 

 廃墟の街で、夜中になると音楽を流して大騒ぎしているエスパーポケモン達に出会った。

 エスパーポケモンの内の一体であるケーシィが、超能力で過去を見せてくれたのだが、どうもこのエスパーポケモンたちは街の人から捨てられたポケモンらしい。

 

 そのまましばらくエスパーポケモン達とコミュニケーションを取っていたのだが、今度はゴーストポケモン達がロケット団と一緒にエスパーポケモン達を襲撃してきた。

 いつもならばサクッとやなかんじーにしてやるのだが、ゴーストポケモン達が壁になって攻撃が出来ない。仕方なく、エスパーポケモン達と捕まって少し様子を見ることにした。

 

 詳しい話を聞いてみると、どうやらこのゴーストポケモン達もこの街の住人のようで、毎晩毎晩騒ぐエスパーポケモン達に迷惑していたらしい。

 まぁ、確かにあの騒音では迷惑と言われると何も言えないな。しかし、エスパーポケモン達にしてみれば、自分達の邪魔をするゴーストポケモン達が悪と考えているようで、捕まりながらもゴーストポケモン達に敵意を飛ばしていた。

 

 とりあえず捕まってしまったが、どうやってロケット団を追い返すか考えていると、エスパーポケモン達側の歌姫であるキルリアに、ロケット団のソーナンスが一目惚れしてしまったようで、こっそり助けに来てくれる。

 そのまま、不意を突いていつものようにやなかんじーにしてやったのだが、まだエスパーポケモン達とゴーストポケモン達の対立は続いていた。

 

 何かいい方法はないか――と、考えていると、タケシがエスパーポケモンであるケーシィがあの騒音の中でも『しんぴのまもり』を応用して耳栓代わりにしていることに気が付いたようで、これを利用してゴーストポケモン達も安眠することを提案している。

 実際、試してみると、いい具合に音をシャットアウトできたらしい。これで問題解決ということで、エスパーポケモン達もゴーストポケモン達も仲良く共に暮らせそうだった。

 

 

 

 13歳 β月ε日 『そういや、お坊ちゃんだったな』

 

 ハルカのゴンベが具合を悪くしてしまったようで、近くの館で少し休ませてもらうことにした。

 この館に住む爺さんと婆さんがいろいろと準備してくれるので、タケシがゴンベに合わせた薬を作っている。

 

 しばらくすると、館の中でロケット団のコジロウと鉢合わせた。どうやら、この館はコジロウの別荘の一つであり、コジロウもチリーンの具合が悪くなったので休ませているらしい。

 そういえば、こいつはお坊ちゃんだったな。

 いつも人のポケモンを狙ってばかりで迷惑しているが、こちらも館を借りている身だ。この館にいる間は悪さをしないと誓ったので、タケシに頼んでチリーンの分の薬も作って貰うことにした。

 

 一時休戦ということで、久しぶりにコジロウと話をしていたのだが、気が付けばお悩み相談のようになっている。

 聞けば、地方リーグやコンテストで、ムサシが成長しまくっており、最近は実力差がついて少し悩んでいるということだった。

 

 ポケモンのレベル自体にそう差はない。知識だけならコジロウの方が上だろう。しかし、実際のバトルでのセンスはムサシの方が上で、そのセンスにコジロウは追いつけていないのがコンプレックスになっているらしい。

 とはいえ、俺から見れば、コジロウもかなりセンスがある。前にも少し書いたが、特にくさタイプに関しては、ちょっと訓練すればエリートトレーナーにだってなれるだろう。

 

 とはいえ、下手にエリートトレーナーになられても面倒なので、ちょこっと指導してやるだけにした。

 少しバトルをして様子を見てみると、攻め攻めのムサシに対して、コジロウは様子見の動きが多い。普段はムサシに合わせているのだろうが、こうしてみるとコジロウは視野が広くて指示が的確だ。

 

 そういえば、ポケリンガの時もかなり視野が広い戦い方をしていたな。性格的にもそういう戦い方が合うのだろう。

 とはいえ、いつもはムサシに合わせて動いているせいで、その良さが生きていない。だから、自分は強くないと感じるのだ。

 

 ちょっとの訓練だが、コジロウも何となく自分の強みを実感できたのか、ポケモン達を集めて色々あーでもないこーでもないと話している。

 

 夜になると、ムサシとニャースが俺達のポケモンを奪おうと襲い掛かってきた。しかし、コジロウは約束通りに俺達側に立っている。

 昼の成果を見せると言わんばかりに、ガチのバトルをムサシに申し込んでいた。ムサシもコジロウが自分に勝てるわけがないと馬鹿にした様子だが、本気になったコジロウはムサシを圧倒している。

 

 変化技を上手く使って状況を自分有利にし、相手の動きに合わせた技のチョイスで、自分のポケモンの良さを最大限に生かしていた。

 最終的にはムサシとニャースだけがやなかんじーになっている。うーむ、ちょっと鍛えただけのはずだが、何か強くし過ぎてしまったかもしれん。

 

 朝になると、コジロウは元気になったチリーンと一緒に、ムサシとニャースの元へ戻って行った。

 何故か館のマネネもついて行ってしまったようだが、爺さんと婆さんはコジロウなら大事にしてくれるだろうと特に気にした様子はない。こちらもゴンベが元気になったので、改めてバトルアリーナに向けて旅を再開することにした。

 

 

 

 13歳 β月ζ日 『特効薬を作ろう!』

 

 タケシとミズゴロウ対決をしていたのだが、ミズゴロウさんがタケシのミズゴロウくんを倒した瞬間、タケシのミズゴロウがヌマクローへと進化した。

 ジュプトルの格差逆転事件からしばらく、ようやく立ち直りつつあったミズゴロウさんだが、同じミズゴロウが自分よりも先に進化したということでショックを隠せずにいる。あぁ、せっかく元気になって来ていたのに、エリートは挫折に脆いんだよなぁ。

 

 タケシのヌマクローは、進化した時に覚えたマッドショットを試しているようだが、まだ技の制御が上手く行っていないのか、明後日の方向に飛んで行ってしまった。

 それだけなら問題なかったのだが、草むらの向こうに誰かいたようで悲鳴のような声が聞こえる。慌てて様子を見に行くと、モココが倒れている。近くには女性がおり、どうやら彼女のポケモンみたいだ。

 

 タケシがすぐに謝罪するが、女性――モモコは薬屋で働いているようで、傷に良く効く特効薬ですぐにモココの傷は治っている。

 あまりの効力にタケシも驚いていた。

 最近は旅のお医者さんにもなっているタケシとしては、是非この薬の作り方を教えて欲しいということで、モモコに何とか作り方を教えてくれないか頼み込んでいた。

 

 モモコが働いている薬屋はサキエという婆さんのお店のようで、薬はその婆さんに習って作ったらしい。

 タケシの熱意に押され、モモコはサキエにタケシを紹介してくれた。そこではモモコの幼馴染であるリョウタも働いていたが、自分に自信がないようでなかなかいい薬を作ることが出来ずにいるという――いつものタケシなら、自身の恋のライバルと見定める所だが、今回はお医者さんモードなので目がハートになっていない。これならば大丈夫だろう。

 

 リョウタと一緒にタケシも特効薬の作り方を学んでいく。薬については過去に習ったものや、独自に勉強した知識もあって、タケシも割と得意としている。

 サキエもタケシの腕前はなかなかのものだと褒めていた。ちょっと頑張ればポケモンドクターになれるかも――と、言われているが、これも後々の伏線だろうか?

 

 途中、特効薬を狙ってロケット団がやってきたが、いつも通りにやなかんじーにしてやった。

 前回、ちょっとコジロウを魔改造する事件があったが、やはりムサシと一緒だとムサシペースに合わせているようで、今回はそこまで苦労することなく倒すことが出来ている。

 

 その間、タケシは薬を作ることを止めなかった。

 

 自分が動かなくても、俺なら何とかしてくれる――そんな信頼の波動が感じ取れる。そんなタケシの集中力を見たリョウタも、自分ももっと頑張らないとと奮起したようで、タケシに並んで特効薬を作っていた。

 

 モモコの協力もあって、無事にリョウタは特効薬を完成させている。また、タケシも特効薬の作成に成功した。これで、前回のようにまた倒れても何とか出来るとタケシも喜んでいる。

 薬を作り終えると、いつものタケシに戻ったようでモモコに求愛しに行こうとしたが、モモコとリョウタの空気はもう誰かが入れるものではなく、いつものようにマサトに耳を引っ張られて涙していた。

 

 

 




 原作との変化点。

・第144話『ポケモンコンテスト・ヤマブキ大会!!(後編)』より、ムサシがハーリーに敗北した。
 割とガチ目の負け。かなり悔しそうにしていた。

・第145話『格闘道場! サトシVSハルカ!』より、トレーナーの実力がモロに出るバトルをした。
 ハルカにもいい経験になった。

・第146話『エスパーVSゴースト! 真夜中の決闘!?』より、珍しくニューサトシが捕まった。
 野生のポケモン達が自然と壁になっていたので手が出せなかった。

・第147話『マネネ登場! 休息の館!』より、タケシが薬を作ってくれた。
 おかげで、チリーンはリタイアせずについて来ている。

・コジロウを少しだけ鍛えた。
 ムサシの良さを知り尽くしているが故に、コジロウは自分に自信を持つだけでいい勝負が出来た。逆にムサシは調子に乗っていたので隙だらけだった。勝負になるはずがない。

・第148話『ミズゴロウとモココ! 恋の特効薬!?』より、タケシがお医者さんモードだった。
 アニメのタケシと違って薬に興味があるので、作り方をしっかり学んでいる。お医者さんモードの時は、お姉さんに対してメロメロにならない。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.63

 ピジョット Lv.59

 バタフリー Lv.59

 ドサイドン Lv.62

 フシギダネ Lv.59

 リザードン Lv.63

 カメックス Lv.59

 キングラー Lv.59

 カモネギ  Lv.59

 エビワラー Lv.59

 ゲンガー  Lv.61

 オコリザル Lv.58

 イーブイ  Lv.58

 ベトベトン Lv.58

 ジバコイル Lv.58

 ケンタロス Lv.58

 ヤドラン  Lv.58

 ハッサム  Lv.60

 トゲキッス Lv.58

 プテラ   Lv.59

 ラプラス  Lv.58

 ミュウツー Lv.75

 バリヤード Lv.59

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.57

 カビゴン  Lv.57

 ニョロトノ Lv.57

 ヘラクロス Lv.56

 メガニウム Lv.55

 マグマラシ Lv.55

 ラティアス Lv.51

 ヘルガー  Lv.56

 ワニノコ  Lv.55

 ヨルノズク(色違い) Lv.55

 カイロス(部分色違い) Lv.56

 ウソッキー Lv.55

 バンギラス Lv.61

 ゴマゾウ  Lv.53

 ギャラドス(色違い) Lv.53

 ミロカロス Lv.46

 ミズゴロウ Lv.49

 オオスバメ Lv.49

 ジュプトル Lv.49

 ヘイガニ  Lv.48

 フライゴン Lv.54

 コータス  Lv.47

 ラルトス(色違い) Lv.30

 ユキワラシ Lv.44→45

 ワカシャモ Lv.40→41

 タマゴ   何が生まれてくるのかな? 生まれるまで、まだまだ時間がかかりそう。




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#159 『待っていたのはこの一瞬だ』

 13歳 β月η日 『バトルアリーナ VS コゴミ』

 

 ようやく二つ目のフロンティア施設であるバトルアリーナに到着した。エニシダも当然のように見学している。早速、バトルを挑むと、普通に2対2のシングルバトルを提案された。

 おいおい、普通のジムじゃねーんだから、もっと凝ったルールねぇのかよ――と、文句を垂れると、ピキったようで複雑なルールを提案してくれる。

 

 ルールは3対3のシングルに変更し、勝ち抜き戦。道具やアイテムの使用も禁止で、一試合の制限時間は5分。5分を過ぎた場合は、審判による判定で体力の多かった方を勝者とするということだ。

 また、レベルは50で固定とし、ポケモンを出す順番も事前に決めておくことになった。これにより、相手のポケモンを見て、有利なポケモンを出すという行為は出来なくなる。

 

 例えば、コゴミがニョロボン、俺がヘルガーを出してバトルをし、俺が負けたとして、続けて相性のいいピカ様を送り出すというのは出来ないということだ。

 あくまで事前に決めていたポケモンが繰り出される。つまり、二体目にマグマラシをエントリーしていたら、俺は相性不利で戦わなければいけないということである。

 

 また、ポケモンの交代は全て自動ボール射出機で行う。事前にボールをセットしておき、ポケモンを出したらボールはトレーナーの元へ戻る仕組みになっている。

 戦っているポケモンが戦闘不能になったら、そのポケモンを手元のボールに戻し、次のポケモンが自動で射出されるという感じで、バトルは進んでいくのだろう。

 

 ポケモンの入れ替え無しのバトルはあまり好きではないニューサトシだが、勝ち抜き戦ならハンデにならないので文句はない。

 また、五分間の本気勝負というのも面白かった。

 普段なら、交代や後の状況を考えて体力温存などをするが、時間制限で勝者が決まる以上、下手な温存をして負けては話にならない。つまり、基本的に毎回全力勝負を求められるということである。

 

 コゴミは見た感じ、かくとうタイプメインのトレーナーだ。アリーナも空手道場っぽい感じだし、ここにいるポケモンもかくとうタイプばかりだしな。ここは、ニューサトシもかくとうタイプを選出していくことにした。

 

 毎度お馴染みエビワラーに、進化狙いのオコリザル、そしてワカシャモである。本来、まだ仲間にしたばかりのワカシャモには公式戦は早いかもしれないが、今回はレベルが50で統一されているのでレベル差によるハンデはない。

 本人も、シロナブートキャンプや先輩達の指導でいろいろ学んでいるようだったし、獅子は我が子を千尋の谷に落とす――ではないが、ここはトライしてみようと思ったのだ。

 

 出す順番を先に決めておく必要があるが、開幕ワカシャモは流石に荷が重そうなので、オコリザル、ワカシャモ、エビワラーの順にオートボール射出機にセットしていく。

 オコリザルで有利を作ってワカシャモで追撃。何か問題があればエビワラーに任せるという感じだ。シバには前にエビワラーに頼り過ぎと言われたが、まだオコリザルも進化に苦心しているし、流石にケツを持たせるのは可哀想である。ここはもう少しエビワラーに助けて貰ってもいいだろう。

 

 と、いう訳で、互いにポケモンの登録を終えると、早速一体目が繰り出されていく。

 

 コゴミはハリテヤマ、俺はオコリザルだった。ハリテヤマというと、ホウエンのガチ戦で戦ったトウキの巨大ハリテヤマが記憶に新しいが、流石にあんな巨大ポケモンはそうそういないということで、コゴミのハリテヤマは通常サイズのハリテヤマである。

 とはいえ、それでもオコリザルよりは一回り大きい。勿論、顔に手が届かないという程ではないが、いつも通り両手を構えてからのウィービングで様子を見ていく。

 

 進化に必要なゴースト技である『ふんどのこぶし』は、まだ覚えられていない。かくとうタイプがゴースト技を覚えようというのがそもそも難しいのだろうが、やはり怒りが足りていないのも大きかった。

 俺が格闘戦用に冷静さを覚えさせたせいで、オコリザルが本来持つ怒りが鈍ってしまっているのだ。このバトルを通じて、何かキッカケが掴めないかとも思っているが――

 

 開幕、コゴミが『きあいだめ』を指示してくる。どうやら、俺が意図してかくとうタイプを被せてきたのは理解してくれたようで、口元には好戦的な笑みが浮かんでいた。

 こちらも、オコリザルに『グロウパンチ』を指示していく。向こうが急所率を上げてくるなら、こちらは素直に攻撃力を上げていくまでだ。一気に懐に潜り込んで、ボディに一発入れてやる。グロパンの追加効果で、攻撃が一段階上昇した。

 

 コゴミもすぐに『つっぱり』を指示してくる。成程、連続技である『つっぱり』だが、一発一発に技の判定があった。単発は15しかダメージがないが、二分の一で急所に当たれば火力はかなりのものだろう。

 おまけに、コゴミのハリテヤマは通常の個体よりも動きが早かった。どうやら、意図してそう育てたのだろう。オコリザルは体を左右に振りつつ攻撃をかわしていくが、手が早すぎて完全には避け切れない。仕方ないので、避け切れないものは『みきり』を使って『つっぱり』を回避していく。

 

 こちらも進化のための特訓で、防御や回避は特に気合を入れて訓練させている。いくら急所率を上げたとはいえ、技が当たらなければ意味がない。

 攻撃後の隙を狙って、二発目の『グロウパンチ』を叩きこんでいく。コゴミも、俺のオコリザルが格闘戦において、かなりの技術を持っているのはすぐにわかったようでさらに目を輝かせていた。

 

 これで、大体二分が経過している。

 

 残り時間は約三分しかない。制限時間が五分しかないのだ。有利な状況をキープしつつ、勝負を決めに行きたい。

 しかし、得意の『あばれる』と『げきりん』の合わせ技は、既にトウキに攻略されている。コゴミにも初見で看破される可能性は十分にあった。迂闊に仕掛けてまたカウンターを受ければまた戦闘不能にされる可能性がある。そう考えると、簡単には攻められない。まだカウンターを攻略するすべは身に着けていないのだ。

 

 いろいろパターンを考えてみたが、やはりここは素直に攻めて行くことにする。

 

 実際、これまでは必殺技に頼り過ぎだった。火力不足を技で解消するためとはいえ、同じコンボを何度も使っていれば対策されるし、上級者なら一見して弱点を看破してくる。

 焦らなくていい。

 コンテストと一緒だ。一つ一つ丁寧に、技をぶつけていこう。コノヨザルへの進化だって、攻撃力不足を解消するためなんだ。火力が足りないのなら、その分は手数で補えばいい。

 

 コゴミはここで勝負をかけると『インファイト』を仕掛けてきた。こちらも、『インファイト』で迎撃していく。

 攻撃が二段階上昇しているこちらの方が若干有利だが、向こうは耐久が高い。おまけに、『きあいだめ』のせいで、こちらは一撃のダメージがかなり痛かった。

 

 ダメージ勝ちはしているが、こちらも安くないダメージを受けている。このまま続けると、ワンチャン倒されかねない。

 しかし、コゴミは攻め手を止めるつもりはないようだった。最後の技として『ぶちかまし』を指示してくる。これはじめんタイプ版の『インファイト』のような技で、攻撃後に自分の防御と特防が一段階下がる威力120の物理技だ。

 

 タイプ不一致ではあるが、文字通り体全体でぶちかましてくるので回避が難しい。だが、こちらにはその不可能を可能にする『みきり』が存在した。

 

 回避困難の『ぶちかまし』を無理矢理回避する。

 

 しかし、コゴミはまだまだと言わんばかりに、『ぶちかまし』を続けてきた。『みきり』は連続では使いにくい技だ。こうして同じ技を連続で使われると回避しきれなくなる。

 

 これをまともにくらえば、戦闘不能にはならずとも大ダメージは必至だ。判定に持ち込まれれば負けも有り得る。だが、まともに受ける気などさらさらなかった。

 一度、『みきり』を挟んだことでタイミングは掴んだ。相手が再び向かってくるのに合わせて、最後の技である『カウンター』を発動させる。何度もエビワラーを見てきたのだ。もうオコリザルだってこの技を応用して使えるようになっている。

 

 流石にエビワラーのように『きあいパンチ』を合わせるのは無理だが、相手の『ぶちかまし』が決まる前に『グロウパンチ』の一撃を顔面に叩きこんだ。

 

 既に『インファイト』を一度使っていて、ハリテヤマは防御が一段階下がっている。その上、こちらは『カウンター』で威力が二倍になっている上、『グロウパンチ』二回で攻撃力も二段階上がっていた。

 いくら、『グロウパンチ』が威力40しかない技でも、それだけ恩恵を受ければ威力は数倍になっている。当然、耐え切れるはずがなく、ハリテヤマが前のめりに倒れて行った。

 

「『カウンター』をカウンターとして使ってくるなんて……」

 

 そう言いながら、コゴミがハリテヤマをボールに戻す。エビワラーを出す前に使ったのは失敗だったかもしれないな。

 この超カウンターは初見殺しの要素が強い。

 勿論、シバ程の実力者でなければ、防ぐことも容易ではないが、あまり相手に印象付けないに越したことはないのだ。必殺技はネタが割れると必殺技になり得なくなる。

 

 とはいえ、何とか制限時間内に戦闘不能にすることは出来た。が、ポケモンを戻せない以上、オコリザルは防御と特防が一段階下がったままだ。逆をいえば、攻撃力は三段階上がったままでもある。技は全て使ってしまったが、これで攻撃力不足は解消されただろう。

 

 一息つく間もなく、登録されたコゴミの二体目が繰り出される。二体目はチャーレムだった。

 こちらもホウエン地方のガチ戦で、トウキが使っていたポケモンである。聞けば、コゴミはホウエンのトウキやジョウトのシジマを尊敬しているらしい。

 

 俺はどちらとも格闘戦をしたことがあると話すと、羨ましそうな眼を向けられた。大変、気分が良い。

 

 とはいえ、気分よくなっている場合ではなかった。チャーレムはエスパータイプも持っているので、オコリザルには少し不利な相手だ。

 攻撃力は上がっているとはいえ、かくとう技は半減である。こうなれば、『グロウパンチ』の連打で、気にならなくなるまで攻撃を上げていくしかない。

 

 しかし、それよりも先に、コゴミは『いばる』を指示してきた。しまった――こちらの攻撃がさらに二段階上がる代わりに混乱になる技だ。

 チャーレムの挑発に乗るかのように、オコリザルが冷静さを失って暴走してしまう。攻撃力が五段階上がっているだけあって、自傷ダメージでかなりのダメージを受けていた。

 

 だが、ここで冷静さを失ったことがプラスになったようで、久しぶりに本能のままに暴れまくっているオコリザルの拳が怪しい靄に包まれている。同時に、コゴミは『じこあんじ』を指示していた。これにより、チャーレムの攻撃は五段階上昇する。

 まずい――攻撃を受ければ一撃でアウトだ。

 オコリザルに指示を飛ばすが、完全に暴動しているようで反応が返ってこない。まだ技としては登録されてはいないが、あの黒い靄がどうやら『ふんどのこぶし』に必要なゴーストエネルギーのようだった。とはいえ、喜びもつかの間、続けて繰り出されるチャーレムの『かみなりパンチ』直撃で戦闘不能に持って行かれる。

 

 ハリテヤマの『インファイト』急所に、攻撃力五段階の自傷ダメージ、とどめに攻撃が五段階上昇した『かみなりパンチ』の直撃を受ければ、流石のオコリザルも耐えきれなかったようだ。

 しかし、収穫はあった。

 そうか、『いばる』で無理やりに本能を目覚めさせてやればよかったのか。いや、『いばる』だけじゃない。思えば、『いかり』のように、本能を刺激する技でもアシストも出来た。次のトレーニングからは、それらの技を使おう――と、思いつつ、倒れたオコリザルを戻していく。

 

 こちらがオコリザルを戻すと同時に、登録した俺の二体目が繰り出された。ワカシャモである。

 連続のかくとうタイプで、コゴミは俺が格闘戦を挑んでいるのを確信したようだった。そうでなくては面白くないとばかりの笑みを浮かべている。

 

 後で聞いた話だが、最初に試合形式の文句を垂れまくったせいで、俺はコゴミに滅茶苦茶嫌われていたようなのだが、そのマイナスがプラスに戻るくらいには嬉しかったらしい。

 

 とはいえ、そんなことは知る由もなく、こちらは公式戦デビューのワカシャモが暴走しないように声をかけていた。

 野良バトルはいくつかこなしたが、こいつは特性が『かそく』ということもあって、時間が経過するごとに足が速くなる。強力な特性だが、そのせいかお調子に乗りやすいのだ。

 おまけに、足技を得意としているからか、レベル技では覚えない『メガトンキック』や『ローキック』なんかも覚えている。咄嗟に蹴りが出やすいので、その癖を逆利用されないか心配だった。

 

 ワカシャモが嬉しそうにフィールドに入って行く。バトル開始の合図と共に、コゴミは再び『いばる』を指示してきた。

 交代できないルールで、混乱状態はかなり危険な状態異常だ。さらに攻撃力も上昇させられるので、自傷ダメージも増えていく。

 

 ワカシャモには目を瞑ってフィールドを外回りに走るように指示した。『いばる』もまた、『あくび』なんかと同じで、モーションを見ることによって発動される技だ。視界に入れなければ技は発動しない。

 動き回らせたのは、追撃をしにくくさせるためだ。攻撃が五段階も上がっているチャーレムの攻撃など簡単には受けられない。同時に、『かそく』の特性が発動し、ワカシャモの素早が一段階上がっていく。

 

 コゴミもあからさまに上がったスピードを見て、ワカシャモの特性が『かそく』だと理解したらしい。

 ここで『じこあんじ』を使ってくれればいいのだが、四天王に近い実力を持つフロンティアブレーンが自身の攻撃力を下げる真似などするはずないか。

 

 だが、防御は並だ。攻撃が通れば倒せる。

 

 ワカシャモに『ブレイズキック』を指示した。一割で相手を火傷にするか、急所ランクが+1される技だ。

 火傷に出来ればあのバカみたいな火力も半減するし、急所に当たればダメージを稼げる。おまけにタイプ一致で、ワカシャモは蹴技が得意と、もはやこの技以外の選択肢はない。

 

 得意の『ブレイズキック』でチャーレムにダメージを与えていく。どうやら上手く火傷を引いたようで、チャーレムの火力が下がった。

 しかし、それでもかなりの火力を持っている。『かみなりパンチ』で麻痺を狙いながら、コゴミも追撃をかけてきた。一撃で体力が半分近く持って行かれる。

 

 しかし、ワカシャモはそのまま『にどげり』でさらに追撃をかけにいった。『かそく』でさらに素早が上がったからこそできる、隙の無い追撃である。

 

 そのまま二段目の攻撃の勢いに乗って、ワカシャモがチャーレムから距離を取っていく。

 チャーレムも耐久がそこまで高いポケモンではない。この連撃で、そこそこ体力は削れたはずだ。

 

 特に火傷に出来たのは大手柄だった。これで、火力は半減したし、攻略の目途が立ったと言っていい。『フェザーダンス』を指示して、相手の攻撃をさらに二段階下げていく。

 これで攻撃力は通常時よりちょっと強いくらいには出来たはずだ。だが、コゴミは即座に攻撃力を諦めたようで、『じこあんじ』でワカシャモのステータスをコピーしている。これで、『フェザーダンス』のマイナスが消え、お互いに三段階素早は上昇した。

 

 素早が上がったチャーレムに『かみなりパンチ』が指示され、真っすぐ突っ込んでくる。攻撃力は何とか半減させられたが、『かみなりパンチ』で麻痺させられたら、スピードに追い付けなくなって負けてしまうだろう。

 直撃を受ける訳にはいかない。だが、攻撃を避けようとするも、あまりの速さに回避しきれなかった。仕方ないので『ブレイズキック』で弾いていく。しかし、コゴミはその防御の隙を狙っていたようで、最後の技である『かかとおとし』を指示してきた。

 

 この技は、三割の確率で相手を混乱に出来るが、外れたり、『まもる』や『みきり』で攻撃を失敗させられたりすると、最大HPの半分のダメージを受けるという大技だ。

 仕組み的には『とびひざげり』に近いが、混乱の追加効果があるため、威力は120の物理技となっている。ワカシャモは『かみなりパンチ』を防ぐために、『ブレイズキック』を使っていた。言わば、足が片方浮いている状態だ。当然、俊敏な動きが出来るはずもなく、チャーレムの『かかとおとし』が脳天に直撃する。

 

 この一撃でワカシャモの体力は1/3以下まで削られた。残り時間は二分――だが、このままでは制限時間が来る前に倒されかねない。

 

 運の悪いことに、追加効果である混乱を引いてワカシャモはフラフラしていた。オコリザルの時は『いばる』で煽られたこともあって暴走気味だったが、通常の混乱ということでそこまで興奮はしていない。

 しかし、隙が出来たのは間違いなかった。

 コゴミは再び、『かみなりパンチ』を指示してくる。とどめを刺そうという狙いだろう。実際、チャーレムも『ブレイズキック』と『にどげり』、火傷の継続ダメージで体力はかなり減りつつある。目算で1/3ちょっとくらいだ。向こうも追い詰められている。

 

 こうなれば、一か八かだ。最後の技として、『きしかいせい』を指示する。

 この技は自分の残りHPが低いほど威力が上がる技だ。今のワカシャモなら最大値に近いダメージを出すことが出来るだろう。当たれば勝てる。

 

 目の焦点の合っていないワカシャモだが、指示は聞こえていたのか、技を発動させようとしていた。

 だが、その動きはとてもゆっくりで、チャーレムは余裕をもって『かみなりパンチ』を繰り出してくる。

 

 しかし、混乱はあくまでも確率――2/3の確率で、攻撃は素直に通るのだ。ワカシャモは運よくその2/3を引いたようで、『かそく』による変速を利用しつつ、カウンター気味に『きしかいせい』の一撃をチャーレムに命中させる。

 当然、残り体力に余裕のないチャーレムに耐えられるはずもなく、戦闘不能になっていた。勝ったワカシャモはまだ混乱しているようでフラフラと辺りを歩き回っている。

 

 変速は偶然だったが、結果的にはこちらの勝ちだ。こういう偶然が勝利に結び着くのがポケモンバトルである。

 

 コゴミもこれは仕方ないという顔でチャーレムを戻すと、登録した最後の一体が繰り出された。出てきたのはカポエラーである。

 シジマのカポエラーに危うく三タテくらいそうになった記憶は未だ鮮明に残っていた。どうやら、コゴミがシジマやトウキのファンというのはガチのようだ。

 

 コゴミは当然のように『トリプルキック』を指示してきた。混乱しているうちにワカシャモを倒そうという狙いだろう。

 こちらも『きしかいせい』で反撃を狙うが、そう何度も混乱は抜けられないようで、攻撃モーションに移ることなく、カポエラーの攻撃を受けてワカシャモは戦闘不能になった。

 

 これで、こちらも残りはエビワラーだけである。ワカシャモを戻すと同時に、エビワラーがフィールドに送られていく。

 

 いつも通り、自信たっぷりの面構えで安心する。指示なしでも、当然のように『こうそくいどう』を発動させて素早を二段階上げていった。

 先程、ワカシャモに当たった攻撃の威力から見ても、コゴミのカポエラーの特性は『テクニシャン』で間違いないだろう。威力60以下の技が1.5倍の威力になる強力な特性だ。

 

 こちらが動かないのを見て、コゴミは『ビルドアップ』を指示していた。カポエラーの攻撃と防御が一段階ずつ上昇していく。対して、エビワラーは二度目の『こうそくいどう』を積んでいる。

 

 そのままコゴミが二度目の『ビルドアップ』を指示した瞬間、エビワラーは動き出した。得意の『マッハパンチ』で顔面に一撃を与えていく。

コゴミも、エビワラーにはあり得ない速度を見て、こちらが指示なしで『こうそくいどう』を使っていたことを察したらしく、二度目の『ビルドアップ』をキャンセルし、『こうそくスピン』からの『トリプルキック』という変則技で攻撃を仕掛けてくる。

 

 しかし、攻撃は全て回避していく。

 

 回転状態で、技の出だしがわかりにくいはずだが、エビワラーは当たり前のように攻撃をギリギリで避けていた。

 だが、コゴミも即座に『こうそくスピン』からの『トリプルキック』で追撃をかけてくる。『こうそくスピン』の追加効果である素早一段階上昇のおかげで、段々とカポエラーのスピードも上がり、少しずつエビワラーも避け切れずに『マッハパンチ』で攻撃を払いのけていた。

 

 もう少しで当たる――そんなコゴミの心の声が聞こえてきた。再び、『こうそくスピン』で素早を上げながら、今度は懐に潜り込んでの『インファイト』を仕掛けてくる。

 

 しかし、待っていたのはこの一瞬だ。

 

 相手の攻撃に合わせて、『こうそくいどう』、『カウンター』、『きあいパンチ』の超カウンターで、一刀の下に切り伏せていく。

 ギリギリまで引き付けたことによって、カポエラーはエビワラーの動きについて行けず、何がされたかわからなかっただろう。まさに意識外からの一撃を受けて、カポエラーが倒れ落ちる。

 

 先に『ビルドアップ』を一段階積んでいたが、それでもカポエラーはエビワラーの超カウンターに耐え切れなかったようだった。

 まぁ、当然である。実質、威力540もある攻撃を防御一段階上がった程度で耐えきれるはずがない。最近は不発になることも多かったが、これが本来あるべき状況なのだ。おそらく、カポエラーは何をされたかわからないままに戦闘不能になってしまったことだろう。

 

 だが、コゴミは理解しているようだった。

 

 オコリザルが使った超カウンターもどき。あれの完成型がこれなのだと理解していたのだ。むしろ、何故そこに思い至らなかったと自分を悔いる様子を見せる。

 とはいえ、こちらとしてはそう簡単に凌がれる方が問題だ。シバはともかく、シジマやトウキですら初見は通用している。勿論、オコリザルでヒントを出したとはいえ、カウンター=エビワラーというのは、俺の事前情報なしでは見抜けるはずがないのだ。

 

 しかし、動かない人間は他にもいた。

 

 審判もまた、まさかこんなにあっさり勝負が決まるとは思わなかったようで呆然としている。思わず、仕事をしろとツッコミを入れると、慌てたようにカポエラーの戦闘不能が宣言された。

 

 これにより、コゴミのポケモンが三体全て戦闘不能になったことで、俺の勝利が決定する。今回は全員のレベルが同じで事前にポケモンを決めている勝ち抜き戦だったこともあって、後が予想できない面白いバトルが出来たな。

 安定のエビワラーも良かったが、ワカシャモもデビュー戦とは思えない大活躍だった。オコリザル進化への道も見えてきたし、いろいろと収穫のあるバトルだったと言えよう。

 

 実際、エビワラーの初見殺しがなければ、どうなるかはわからなかった。それだけ、『こうそくスピン』からの足技は厄介だったし、俺が格闘戦に精通していなければまず勝てなかっただろう。

 コゴミから、二つ目のフロンティアシンボルであるガッツシンボルを渡される。これで二つ目だ。わりかし順調だな。

 

 ラティが期待したような目をしているが、残念ながら今回はしません。ニューサトシはあまり安売りをしないタイプなのである。

 

 

 追記。次のバトル施設は、バトルドームというらしい。思わず、超エキサイティンしそうだぜ!

 

 

 

 




 原作との変化点。

・第149話『バトルアリーナ! 格闘対決!?』より、ニューサトシが対戦方法に文句をつけた。
 2対2とか前菜だけみたいなもんじゃん。

・特殊ルールでバトルすることになった。
 ゲームルールを応用している。シングルバトル3VS3、レベル制限50、勝ち抜き戦、一試合制限時間5分、それを過ぎた場合は審判による判定。事前にポケモンを三体、ボール射出機にセットして、戦闘不能になる度にチェンジしていくシステム。

・ふんどのこぶしを覚えるヒントを掴んだ。
 感想欄でもバレていたが、ポケモンの技によって強制的に本能を引き出すことで、無くしていた怒りを取り戻させることを思いついた。

・ワカシャモは足技が大得意。
 気が付いたら蹴りキャラになっていたが、足技被りは今の所していないのでこの先も足技使いになりそう。

・エビワラーの初見殺し。
 そろそろ見飽きてきた人も出てきそうなエビワラーだが、もしエビワラーでなければ負けていた可能性が高い。向こうのカポエラーはこうそくスピンでスピードを段階的に上げることで避けづらい攻撃を仕掛け、隙を見てとどめを刺すという型。エビワラー以外ではおそらく、変速に対応出来ずに殴り倒されていた。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.63

 ピジョット Lv.59

 バタフリー Lv.59

 ドサイドン Lv.62

 フシギダネ Lv.59

 リザードン Lv.63

 カメックス Lv.59

 キングラー Lv.59

 カモネギ  Lv.59

 エビワラー Lv.59

 ゲンガー  Lv.61

 オコリザル Lv.58

 イーブイ  Lv.58

 ベトベトン Lv.58

 ジバコイル Lv.58

 ケンタロス Lv.58

 ヤドラン  Lv.58

 ハッサム  Lv.60

 トゲキッス Lv.58

 プテラ   Lv.59

 ラプラス  Lv.58

 ミュウツー Lv.75

 バリヤード Lv.59

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.57

 カビゴン  Lv.57

 ニョロトノ Lv.57

 ヘラクロス Lv.56

 メガニウム Lv.55

 マグマラシ Lv.55

 ラティアス Lv.51

 ヘルガー  Lv.56

 ワニノコ  Lv.55

 ヨルノズク(色違い) Lv.55

 カイロス(部分色違い) Lv.56

 ウソッキー Lv.55

 バンギラス Lv.61

 ゴマゾウ  Lv.53

 ギャラドス(色違い) Lv.53

 ミロカロス Lv.46→47

 ミズゴロウ Lv.49

 オオスバメ Lv.49

 ジュプトル Lv.49

 ヘイガニ  Lv.48

 フライゴン Lv.54

 コータス  Lv.47

 ラルトス(色違い) Lv.30

 ユキワラシ Lv.45

 ワカシャモ Lv.41→42

 タマゴ   何が生まれてくるのかな? 生まれるまで、まだまだ時間がかかりそう。




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#160 『ツクダオリジナルから!』

 13歳 β月θ日 『タマゴならワイも持ってますよ!』

 

 ツクダオリジナルのバトルドームに向かって旅を続けている途中、ポケモンのタマゴを預かって育てている牧場を見つけた。

 そういえば、俺もワタル経由でダイゴさんからポケモンのタマゴを預かっていたっけか。まだうんともすんとも言わないが、すくすく育っている――はずだ。

 

 流れで俺達も少しお手伝いをしていくことになったのだが、牧場の娘であるシロミはハルカのようにポケモンコーディネーターに憧れているらしい。

 しかし、なかなか自分に自信が持てないらしく、旅に出ることが出来ないと言っている。聞けば、この牧場でタマゴのお世話をするのも好きと言うのも大きいようだ。コーディネーターとして旅に出れば、今のようにタマゴを育てることは出来なくなるからな。

 

 シロミの話を聞きながら、ハルカが先輩として何やらそれらしいことを話している。

 思えば、ハルカが旅に出てもう一年近く立つのか。昔はアチャモと転んでばかりいたハルカも今では立派なポケモンコーディネーターだな。

 

 しばらくすると、毎度お馴染みロケット団がタマゴを狙ってやってきたので、即やなかんじーにしてやろうと思ったのだが、今回はハルカがメインでバトルをしている。

 どうやら先輩として張り切っているようだったので、ニューサトシが援護に回ってやった。その際、一緒にバトルしていたシロミも相棒のラフレシアと見事なコンビネーションを見せており、ハルカもこれなら今すぐ旅に出ても大丈夫という太鼓判を押している。

 

 シロミもようやく自分に自信が持てるようになったらしく、今いるタマゴのお世話を終えたら旅に出てみると言っていた。

 

 別れる際、シロミの家族から今回のお礼ということで、ハルカにポケモンのタマゴが渡される。

 茶色と白の模様のタマゴだ。

 どんなポケモンが生まれるかはまだわからないが、ハルカも初めてのポケモンのタマゴに大喜びしていた。

 

 

 

 13歳 β月ι日 『ポケモンコンテスト ジルバ大会』

 

 ジルバタウンという街に着いた。ここでもポケモンコンテストがあるということで、ハルカが二つ目のリボンを求めてエントリーしている。

 

 今回は一次審査にゼニガメ、二次審査にコドラという組み合わせで挑戦するようで、ゼニガメは初めてのコンテストに緊張した様子を見せていた。

 ハルカが緊張するゼニガメを抱き上げて安心させようとしているが、こればかりはそう簡単にはいかない。ハルカみたいに幸平式をやってやってもいいのだが、ゼニガメは泣き虫なので痛みで緊張を取るのは向いていないだろう。

 

 ここはニューサトシが気を利かせて、ゼニガメ用のリボンを買いに行ってやることにした。

 少し着飾ってやれば、ゼニガメの緊張もほぐれるだろうという狙いだ。サクッと買い物をして戻ってきたのだが、会場で何やら揉め事が起きている。

 

 聞けば、サラリーマンのおっさんが参加していて、審査の際にロックンローラーの姿に変身したということなのだが、その家族が恥ずかしがっておっさんを連れ戻そうとしていたらしい。

 その際に、おっさんの奥さんがコンテストのことを遊びだと切り捨てたようだが、それに対しておっさんが、「ポケモンコンテストは遊びではない!」と一蹴。コンテストは、ポケモンとトレーナーが血の滲むような努力を重ね、生み出した結果を見せる場だと熱弁したことで、会場中から拍手が送られているらしい←今ここ。

 

 緊張していたゼニガメも、おっさんの言葉に感動したようで、練習の成果を見せようと気合を入れていた。何か、ニューサトシのリボンいらなくなっちまったな。

 

 そのままハルカは、ゼニガメで一次予選を通過。その後、二次審査も問題なく勝ち抜き、ファイナルステージで件のおっさんと相対している。

 おっさんのフシギバナと、ハルカのコドラという重量級対決だが、どちらも一進一退だ。決め手を探して、おっさんがくさタイプ最強の究極技である『ハードプラント』で攻め立ててくるが、ハルカも『まもる』を使って上手く防御していた。

 

 最後はコドラの新必殺技である『メタルバースト』で、逆転勝利している。また、コドラが勝つと同時に、最終進化系であるボスゴドラに進化した。

 さらに大きくなって強そうになったボスゴドラに、ハルカも喜んでいる。粋な演出に会場からも拍手が飛び、無事にハルカは二つ目のジルバリボンを手に入れていた。

 

 

 追記。ポケモンセンターのテレビで、チャンピオンリーグの放送がやっていた。どうも見た感じ、シゲルは今の所順調に勝ち進んでいるようだ。俺も負けないように頑張ろう。

 

 

 

 13歳 β月κ日 『ここは釣りの名所』

 

 少し息抜きも兼ねて釣りをしようという話になったので、近くにある釣りの名所という湖へやってきたのだが、話と違って湖は濁っており、ボート小屋も廃れていて人っ子一人居やしない。

 ボート小屋の一人娘であるアサギの話では、最近シザリガーがこの辺りに住み着いてしまったらしく、そのせいで近くのポケモンや客にも被害が出ているとのことだった。

 

 ならば、俺達が倒してやろうということで、シザリガー撃破大作戦が始まったのだが、しばらくしてこの辺りにレジャーランドを作ろうとしているナミダバシなるおっさんがやってきてシザリガーは奴のポケモンだということが判明する。

 聞けば、昔この湖で溺れたから湖を潰してレジャーランドを作るとか、そこらのガキ以下のことを言っていた。一応、説得を試みるも、止まるつもりはないらしい。

 

 なら、無理やりにでも改心させてやろうということで、ニューサトシの波動拳でおっさんを湖にブッ飛ばしてやった。

 

 反省して二度と関わらなくなるまで大好きな湖に沈めてやろうと思っていたのだが、どうやら見るに見かねたようで、ハクリューらしきポケモンとアサギの祖母であるヒサメが、溺れているナミダバシを救っている。

 優しい婆さんだな――と、思っていると、ナミダバシがふと、昔こうやって溺れた時、ハクリューとヒサメに助けられたことを思い出したらしい。

 

 お前、恩人の湖壊そうとしてたんかい!

 

 と、思わずツッコミを入れると、流石のナミダバシも二度も命を救われて横暴な態度を取るほど恥知らずではなかったようで、ハクリューとヒサメにお礼を述べ、レジャーランドの建設も止めにすると言っていた。

 シザリガーもいなくなるので、ポケモン達も戻ってくるだろう。これでめでたしめでたしだが、何かすっきりしない終わり方だな。

 

 

 

 13歳 β月λ日 『バトルドーム VS ヒース』

 

 ようやくバトルドームに着いたのだが、到着すると同時に報道陣に囲まれる。別段、何かした覚えはないのだが、どうやら今回の挑戦者である俺のインタビューのようだった。

 大変気分がいいので、いろいろ応えようとした瞬間、バトルドームのフロンティアブレーンであるヒースがやってくる。同時に、俺を置いて報道陣はヒースの方へ走って行った。大変気分が良くない。

 

 いつの間にかいたエニシダも苦笑いしているが、ムカついたのでサクッと終わらせることにした。バトルのルールを確認すると、2対2のタッグバトルを提案される。

 まだカントー地方じゃ、あまりタッグバトルが流行っていないから如何にも凄いルールに見えるのだろうが、ホウエンでダブルバトルを経験しているニューサトシからすれば退屈なルールだ。

 

 ただ、まぁ、コゴミの時に我が儘を言ったし、今回はここのルールでやってやることにした。

 バトルが開始されると、ヒースはウインディとラグラージを出してくる。こちらはゴマゾウとメガニウムだ。

 

 相性的には五分と言った所だろう。

 

 うちのゴマゾウはウインディに強いが、ウインディはメガニウムに強い、そのメガニウムはラグラージに強いが、ラグラージもまたゴマゾウに強い。まさに四すくみ状態だ。

 

 しかし、ヒースは臆すことなく、開幕でウインディに『しんそく』を指示してメガニウムに攻撃を仕掛けてくる。同時に、ラグラージがゴマゾウに『ハイドロポンプ』を撃ってきた。

 ならば、こちらはゴマゾウを『ころがる』でドロポンを回避させ、そのままウインディに攻撃を仕掛けていく。メガニウムは『しんそく』の一撃を受けたが、その後に『リフレクター』を貼って相手の物理技を半減させる。

 

 ウインディも追撃をしたい所だっただろうが、転がってくるゴマゾウを無視する訳にも行かずに回避に移っていた。

 その隙に、メガニウムは『ひかりのかべ』も貼って防御を完璧にしている。ラグラージは『れいとうビーム』でメガニウムの弱点を突いてきたが、『ひかりのかべ』のおかげもあって大したダメージは受けていなかった。

 

 ヒースが、「この速度域のバトルについて来られるとは……」と、驚いた声を出している。確かに、ウインディとラグラージのコンビネーションはかなり良い。そこらの奴なら手も足も出ずに負けていただろう。

 俺達もチャンピオンリーグに向けて調整していたから、こうして真っ向から打ち合えているが、無調整ならもっと苦戦したかもしれないな。

 

 ヒースもこちらがダブルバトル慣れしているとすぐにわかったようで、「なかなかやるじゃないか」と笑みを浮かべてくる。

 こちらとしては、まだまだ序の口だ。

 ウインディが『ころがる』を避けたことで、一旦ゴマゾウも『ころがる』を解除出来たので次の行動に移る。メガニウムに『のしかかり』を指示していく。同時に、ゴマゾウがメガニウムの背に乗った。

 

 ウインディは『かえんほうしゃ』で迎撃してくるが、壁のおかげもあってメガニウムは真っすぐに突き進んでいく。

 そのまま二体分の重量を持った『のしかかり』をラグラージにお見舞いするも、『まもる』で防がれる。しかし、その瞬間、メガニウムの背から飛んだゴマゾウが、間髪入れずに『とっしん』をラグラージに食らわせた。

 

 二体のポケモンによる、疑似的な連続攻撃である。いくら、『まもる』が完全防御技でも、このタイミングでの追撃は防げないだろう。

 とはいえ、メガニウムもかなり攻撃を受けている。最初の『しんそく』に、半減した『れいとうビーム』と『かえんほうしゃ』で体力は何だかんだ半分近く削れているはずだ。

 

 しかし、この機を逃したくはなかった。

 

 回復させるか一瞬悩んだが、このままメガニウムに『はなふぶき』を指示して、全体攻撃を仕掛けていく。

 ウインディは『かえんほうしゃ』で花弁を打ち落としているが、ラグラージはゴマゾウの攻撃を受けて体勢が崩れている。四倍弱点を受けてかなりのダメージを受けていた。

 

 これで、もうラグラージは体力1/4程だろう。このまま一気に押し切って数的有利を作る。

 

 そう考えた瞬間、ヒースも「こうなれば仕方ない」と言って、炎と水のフュージョンなる技を仕掛けてきた。

 これは前にグランドフェスティバルで、ナナミさんやムサシ、ハルカが見せたのと同じ、複数のポケモンによる合わせ技である。ウインディの『ほのおのうず』、ラグラージの『うずしお』を合わせて、全体攻撃を仕掛けてきたのだ。

 

 俺が良くやっている一体のポケモンが複数の技を合わせるのは、技の仕組み自体が全く違った。一体のポケモンによる合わせ技は、基本的にそのポケモンが持っているパワーを分散して合わせている。

 例えば、ピカ様がたまに使う、マチス式の『10まんボルト』と『ほうでん』の合わせ技も、『10まんボルト』は普通の『10まんボルト』よりも少し威力が下がるのだ。それは『ほうでん』も一緒で、下がった分は技を合わせることで通常よりも高火力を出している。

 

 しかし、二体のポケモンによる合わせ技は、合わせるのこそ死ぬほど大変だが、100%のパワーで組み合わせることが出来るのだ。

 例えば、ピカ様が『10まんボルト』、ジバコイルが『ほうでん』を担当し、上手く合わせることが出来れば、一体のポケモンの合わせ技の二倍近い威力の差が生まれる。

 

 ナナミさんやムサシ、ハルカがグランドフェスティバルで見せたのは、美しさのための技であって戦うための技ではない。だからこそ、技の威力を度外視して技を組み立てることが出来ていた。

 しかし、ヒースが見せたのはまさに戦うための技だ。その難易度は、ナナミさんクラスの技に匹敵するだろう。それは威力にも表れており、本来『ほのおのうず』や『うずしお』も相手を拘束する技ではあるものの、頑張れば拘束から逃れることが出来る。だが、ゴマゾウとメガニウムが逃げることが出来ずにダメージを受け続けていた。

 

 二つの技を合わせることにより、強固な檻と化しているのだ。ターンが終わるまではまず逃げることは出来ないだろう。

 しかし、メガニウムはもう体力的に限界が近い。正直、『ひかりのかべ』で技の威力を減らしていなければ、継続ダメージで倒れていてもおかしくなかった。

 

 だが、ここで奇跡が起きる。

 

 相棒のピンチに、自分が何とかしなくてはという使命感が芽生えたのか、ゴマゾウの体が光り始めたのだ。

 レベル的にはいつきてもおかしくなかった進化だが、ようやくゴマゾウがドンファンに進化した。同時に、ポケモン図鑑で技を確認すると、丁度いい技を習得してくれている。

 

 ドンファンに、新たに覚えた『こうそくスピン』を指示した。最近は『こうそくスピン』を移動技としてしか使っていないニューサトシだが、この技には拘束技を解除できるという優秀な効果があるのである。

 ヒースが使ってきた炎と水のフュージョンは、どちらも拘束技で成り立っていた。故に、『こうそくスピン』の効果で解除が可能なのだ。

 

 まさか、こんな方法で突破されるとは思わなかったのか、ヒースもポケモン達も驚いている。その隙を突いて、技の拘束が解除されると同時に、メガニウムが『はなふぶき』で追撃をかけていった。

 だが、ヒースは冷静だ。ウインディには『かえんほうしゃ』で。ラグラージには『まもる』で攻撃を防がせている。

 

 だが、『こうそくスピン』によって、一段階素早が上がったドンファンは、既に次の技の体勢へと移っていた。

 そのまま最後の技に、新たに覚えた『じしん』をお見舞いしていく。タイプ一致の高火力技だ。ウインディも『はなふぶき』を迎撃していたことで、回避の一歩が遅れている。ラグラージは既に『まもる』を使っていたので、確率にかけるしかなかった。

 

 しかし、運命はこちらに味方したようで、二体のポケモンに大ダメージを与えていく。特に、ダメージが限界だったラグラージは戦闘不能になってしまった。

 だが、『じしん』は自分のポケモンにもダメージを与える技である。長いバトルで壁も無くなっており体力がギリギリのメガニウムも戦闘不能になりかねなかったが根性で耐えていた。

 

 ヒースもウインディに『かえんほうしゃ』を指示して、即座にメガニウムへ追撃してくる。

 メガニウムに防ぐすべはなかった。だが、倒れる寸前に再び『ひかりのかべ』を貼り直して、ドンファンのフォローをしていく。ただでは倒れないいい女である。

 

 ウインディは『じしん』のダメージにより、体力は半分近く削られている。対するドンファンは、ゴマゾウの時に受けた『とっしん』の反動と炎と水のフュージョンによるダメージで体力が1/3より少し多いくらいだ。

 こちらが若干不利。おまけに、こちらは技を全て使わされている。対するウインディは『しんそく』、『かえんほうしゃ』、『ほのおのうず』の三つで、最後の技がまだ残っていた。

 

 だが、メガニウムの置き土産である『ひかりのかべ』によって、特殊は威力が半減する。

 ヒースは最後の一撃と銘打って、技を指示してきた。『しんそく』からの『フレアドライブ』である。

 

 前にレッドさんとのエキシビションマッチで、『ばちばちアクセル』からの『ボルテッカー』に繋げられたのと一緒だ。

 ウインディの『しんそく』で勢いをつけて、『フレアドライブ』の威力を高めようという狙いである。ドンファンはじめんタイプなので、ほのお技は等倍だ。物理防御もそこそこ高い。しかし、『ひかりのかべ』で半減された特殊よりは可能性があると考えたようだ。

 

 ドンファンがウインディの『フレアドライブ』に真っ向からぶつかっていく。ほぼ捨て身の一撃だ。当然、ウインディ自身に跳ね返ってくるダメージもかなりのものだろう。

 だが、進化したことで増えたHPが、ギリギリでドンファンを戦闘不能には持って行かなかった。もし、これがゴマゾウのままだったなら、間違いなく戦闘不能にされていただろう。

 

 ウインディも反動ダメージでボロボロだった。もう攻撃を避ける力もないようで、ドンファンの『じしん』で戦闘不能に持って行く。

 

 これにより、ヒースのポケモンが全て戦闘不能になったことで、俺の勝利が決定された。

 報道陣は、まさかヒースが負けるとは思わず騒然としているが、当のヒースは「素晴らしいバトルだった」と、素直にフロンティアシンボルであるタクティクスシンボルを渡してくる。

 

 ポケモン同士の連携、トレーナーとの絆、全てがパーフェクトだと、ヒースが称賛すると同時に、報道陣が再び俺の方へ走ってきた。

 戦う前と後で、報道陣のあまりの態度の変わりように、流石のニューサトシも呆れかえってしまう。お前ら、手のひらドリルで出来てんのかよ!

 

 

 




 原作との変化点。

・第150話『育て屋さんとポケモンのタマゴ!』より、ロケット団の足並みが揃っていなかった。
 ムサシが不調のようで、いつもの元気さがない。

・ハルカがタマゴを貰った。
 原作通り。

・第151話『ライバルはサラリーマン!?』より、ムサシがコンテストに参加しなかった。
 原因不明。

・コドラがボスゴドラに進化した。
 やっぱ格好いい。 by.ニューサトシ。

・第152話『ハクリューの湖』より、ニューサトシが成敗しようとした悪漢を助けられてしまった。
 トラウマを何重にも重ねて二度と悪さを出来ないようにするつもりだったが、流石に見かねた婆さんとハクリューが助けた。助けられたことで、改心したが何というかスッキリしない話だった。

・第153話『バトルドーム! 炎と水のフュージョン!!』より、文句を言うと面倒くさくなりそうだったのでタッグバトルで妥協した。
 しかし、ウインディとラグラージのコンビネーションは抜群に良く、動きもスムーズでニューサトシのポケモン達がチャンピオンリーグ用に調整されていなかったら追いつけなかったレベルだった。

・炎と水のフュージョンの技を変更している。
 見た目、ほのおのうずとうずしおの合わせ技にしか見えないので、変更。ポケモン二体による合わせ技の必要技術はかなり高い設定。

・ゴマゾウがドンファンに進化した。
 ようやく進化した。大きくなっても愛嬌がいい。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.63

 ピジョット Lv.59

 バタフリー Lv.59

 ドサイドン Lv.62

 フシギダネ Lv.59

 リザードン Lv.63

 カメックス Lv.59

 キングラー Lv.59

 カモネギ  Lv.59

 エビワラー Lv.59

 ゲンガー  Lv.61

 オコリザル Lv.58

 イーブイ  Lv.58

 ベトベトン Lv.58

 ジバコイル Lv.58

 ケンタロス Lv.58

 ヤドラン  Lv.58

 ハッサム  Lv.60

 トゲキッス Lv.58

 プテラ   Lv.59

 ラプラス  Lv.58

 ミュウツー Lv.75

 バリヤード Lv.59

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.57

 カビゴン  Lv.57

 ニョロトノ Lv.57

 ヘラクロス Lv.56

 メガニウム Lv.55→56

 マグマラシ Lv.55

 ラティアス Lv.51

 ヘルガー  Lv.56

 ワニノコ  Lv.55

 ヨルノズク(色違い) Lv.55

 カイロス(部分色違い) Lv.56

 ウソッキー Lv.55

 バンギラス Lv.61

 ゴマゾウ→ドンファン Lv.53→54

 ギャラドス(色違い) Lv.53

 ミロカロス Lv.47

 ミズゴロウ Lv.49

 オオスバメ Lv.49

 ジュプトル Lv.49

 ヘイガニ  Lv.48

 フライゴン Lv.54

 コータス  Lv.47→48

 ラルトス(色違い) Lv.30

 ユキワラシ Lv.45

 ワカシャモ Lv.42

 タマゴ   何が生まれてくるのかな? 生まれるまで、まだまだ時間がかかりそう。





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#161 『血で血を洗うようなバトルをさせてくれ』

 13歳 β月μ日 『エレキッドか、うーむ』

 

 次の施設であるバトルチューブを目指していると、なかなか威力のある電撃を放つ野生のエレキッドを見つけた。

 エレキッドは目につくポケモン全てに喧嘩を売っており、その電撃の威力から野生のポケモン達では手に負えずにいる。

 

 仕方ないので、ニューサトシがあしらってやることにした。試しにエレキッドの電撃を受けてみると、通常時のピカ様よりも威力が高くて少しビリビリする。

 とはいえ、波動による電気耐性は健在なので、そこまで大きなダメージという訳ではなかった。しばらくエレキッドと遊んでいると、空から雷が降ってきてエレキッドのパワーが上がっていく。

 

 成程、通常よりも威力が高い電撃の秘密は、落雷によって過剰に電気が活性化させられているからか。

 自身のキャパシティよりも大きな電気を貯めさせられているから、エレキッドも機嫌が悪かったのだろう。

 

 そうとわかれば後は簡単である。このままエレキッドの電気が切れるまで追いかけっこを続けるだけだ。でんき技を好き勝手に放出させてやればいずれは元に戻るだろう。

 たまにエレキッドに降ってくる雷は波動で弾いてやり、エレキッドとの追いかけっこを続けた。途中でロケット団がやってきて、いつものでんき無効メカで捕まえようとしてきたので、丁度いいサンドバッグにしていく。

 

 エレキッドの電気が切れて、通常の状態に戻ると、お役御免ということでロケット団をやなかんじーにしてやった。

 エレキッドもすっきりしたようで、嬉しそうな顔をしている。ゲットしてもいいのだが――と、考えていると、ハルカがエレキッドの笑顔に惹かれたようで、コンテストに一緒に出ないかスカウトしていた。

 

 エレキッドも話を聞いて興味を持ったようで、ハルカにゲットされている。まぁ、ハルカはでんきタイプを持っていなかったし、丁度いいかもしれないな。

 

 

 

 13歳 β月ν日 『セレビィ 時は超えません』

 

 第二サイクリングロードなる新しいサイクリングロードが出来たということで利用しようと思ったのだが、何やら土砂崩れが起きたようで閉鎖されている。

 近道が出来ると思ったが、世の中そんなに甘くないということで、仕方なく森を迂回していくことにした。しばらく歩いていると、何やら呼ばれたような感じがする。

 

 どうやらピカ様も感じたようで、一緒に森の中に入って行った。そのまま、声のする方へ走っていくと、セレビィらしきポケモンが倒れている。

 伝説とか幻のポケモンはNGのニューサトシだが、流石に倒れているポケモンを見捨てるほど鬼畜ではないので、ちょっと介抱してやることにした。

 

 見た感じ怪我などはないので、おそらく力を使い果たしてしまったのだろう。波動の応用で、セレビィに少しパワーを分けてやると、動けるくらいには回復したようだった。

 

 そのままセレビィに波動ヒーリングを続けていると、見知らぬ女を連れたタケシ達がやってくる。聞けば、このヒナタとかいう女はポケモンレンジャーのようで、森の警備をしているらしい。

 とりあえず、セレビィの容態をタケシにも見て貰ったが、大体俺の推測通りに力を使って疲れているだけのようで、このまま波動ヒーリングを続ければ回復するだろうとのこと。

 

 途中でロケット団がセレビィを狙ってやってきた。珍しく俺が動けないので調子に乗っていたが、ヒナタが大活躍してロケット団をやなかんじーにしている。

 ポケモンレンジャーのコマみたいな奴、ゲームにもあったような気がするがよく覚えていなかった。もはや、劣化しつつあるニューサトシの記憶には朧げな姿しかない。ただ、ちょっと格好良かった。ラティも「かっこいい!」と喜んでいる。

 

 それから少しして、ようやく全回復したセレビィは、元の時代に戻っていくようだった。

何かお礼をした気な顔をしていたが、余計なことはせずにさっさと帰ってくれればそれでいいです。

 

 

 

 13歳 β月ξ日 『ラティは忍者が好きなのさ』

 

 バトルチューブを目指している途中、忍者のコロクに出会った。そういえば、ジョウトを旅していた時に、忍者学校の体験入学をしたっけか――と、記憶を探っていると、何故か近くの忍者スクールで一日体験入学していくことになってしまった。

 前もそうだったが、ラティは忍者大好きなのだ。

 そのままスクールの授業を受けることになったのだが、授業の最中に何やら泣き声のようなものが聞こえてくる。どうも声の主はウソハチのようだった。こいつは俺の持っているウソッキーの進化前で、嘘泣きが得意なのである。

 

 すると、ウソハチを見つけた生徒達は、急にウソハチを泥棒扱いしてきた。聞けば、昨夜何者かに畑のオレンの実を盗まれ、その時に同じ泣き声がしたらしい。

 それだけで犯人をウソハチだと断定するのは浅慮が過ぎる。久しぶりのボディランゲージでウソハチに話を聞いてみると、自分ではないと言っていた。証拠がないと声を上げる生徒達だが、タケシが「このサイズのウソハチはまだきのみを食べないだろう」と証言している。

 

 聞けば、ウソハチはまだ子供なのできのみを食べないらしい。タケシがミルクを用意すると喜んで飲んでいた。

 きのみを近づけても食べようとせずに顔を背けてしまうので、これではオレンの実を盗む必要はないと生徒達も理解したようだ。疑ってごめんと、生徒達がウソハチに謝っている。うむうむ、素直でよろしい。

 

 しばらくすると、またいつものようにロケット団が襲ってきたのでサクッとやなかんじーにしている。

 その後、何だかんだあってウソハチはタケシにゲットされていた。そういえば、ウソハチが手持ちにいた時代があったようななかったような?

 

 

 

 13歳 β月ο日 『イーブイが仲間になった。テッテレー』

 

 ハルカのタマゴからイーブイが生まれた。対して、俺のタマゴはなかなか孵らない。まさか死んじゃいないよなと思って、ポケモンセンターで検査して貰うも健康とのことでまだまだ時間がかかるだけのようだ。

 

 しかし、ハルカがずっと意味不明なことを言っている。ペンダントの光で過去に行って歴史を変えてきたと言っているのだ。セレビィやドラえもんじゃあるまいし、そう簡単に過去にいければ苦労はないんだよ!

 

 

 追記。シゲルがチャンピオンリーグのベスト8を勝ち抜いていた。去年よりも好成績を出しており、優勝候補とも言われているらしい。うーむ、こういうのを見ると焦ってくるな。俺も負けじと頑張らないと。

 

 

 

 13歳 β月π日 『バトルチューブ VS アザミ』

 

 四つ目のバトル施設であるバトルチューブに着いた。フロンティアブレーンのアザミを見るや否やタケシがいつもの病気を発動しているのだが、アザミの方も割とまんざらではない顔をしている。

 マサトがいつものように止めようとしているが、相手が嫌がっていないので、少しの間させるがままにしてみることにした。タケシもフルスロットルでアザミを口説き落としており、最終的にはとてもいい雰囲気になっている。

 

 どうやら、アザミは目の細い人が好きらしい。

 

 実際、チューブにいるポケモンを見せて貰うと、ウリムーやヒノアラシ、マクノシタなど目の細いポケモンが多かった。ならば、タケシは好みにドストライクだろう。

 とはいえ、いつまでも他人の恋路を追っている訳にもいかなかった。シゲルは絶好調のようだし、ここは俺も大きな試練を乗り越えて行きたいものである。

 

 どうも、フロンティアブレーンは2対2が好きなようで、普通の2-2シングルバトルを提案されたが速攻で拒否してやった。

 頼むから血で血を洗うようなバトルをさせてくれ。こっちはジム戦感覚で挑戦しに来たのではないのだ。四天王に近い実力者とぶつかり合えるというから、わざわざチャンピオンリーグをキャンセルして挑戦しているのである。

 

 毎度のように見学しているエニシダにも言った。これから俺が挑戦する場合は、特別に難しいルールか、フルバトルでないと納得しないと。

 コゴミの時は珍しいルールにして貰ったが、ヒースの時はあまりにも普通のバトル過ぎた。確かに実力はあったし、下手をすればこちらが負けていたかもしれないのは認める。

 

 しかし、俺はもっと強くなりたいのだ。

 

 ぶっちゃけ、負けても仕方ないと思える難易度のバトルをしないと、今以上の強さなんて得られない。

 だからこそ、四天王やチャンピオンに匹敵するというバトルフロンティアに参加したのだ。悪いがブレーン達には、無理にでも俺の要望に付き合って貰うぜ。

 

 後に、このニューサトシの我が儘がキッカケで、バトルフロンティアはただのバトル挑戦から、ギミックを解かないとブレーンに挑戦できないというゲームのシステムに変わるのだが、この時はまだフロンティアブレーンとバトルするだけのありきたりなルールだった。

 

 アザミは悩んだ末に、レベル50固定の3対3、交代有り、変化技の使用を禁止という変則ルールを提案してくる。

 変化技を使えないということは、真っ向からの力勝負をお望みということか。それはそれで面白いので、提案を受け入れることにした。レベル50固定ということもあって、今回はユキワラシの公式デビュー戦にする。

 

 今回挑戦するメンバーは、ユキワラシ、マグマラシ、ジバコイルの三体に決めた。

 

 いざ、バトルが始まると、アザミはハブネークを出してくる。成程、ハブネークは変化技を使わなくても相手を毒に出来るので、変化技禁止のマイナスを受けにくいのか。

 こちらはユキワラシを送り出す。こっちもラプラス先生の協力のおかげでいろいろな技を覚えている。特にこおり技は氷の状態異常を狙えるという点ではこちらも条件は同じだ。

 

 元気にコサックダンスを踊っているユキワラシだが、野良バトルとは違う空気に少し緊張した様子を見せている。

 とはいえ、それで怯むほど可愛い性格はしていない。開幕、『れいとうビーム』でハブネークに挨拶をかましていた。

 

 しかし、アザミも『あなをほる』で地中にハブネークを逃がしていく。ユキワラシは『じしん』のような地面に干渉する技を覚えないので、回避としては有りな一手である。

 これが通常のバトルなら、『まもる』や『かげぶんしん』などの変化技で攻撃を防いでいくのだが、使えない以上は技を応用する必要があった。『れいとうビーム』で自身の周りを凍らせて氷にしていく。

 

 地面からハブネークが出てくる際、振動で先に氷が割れる。その割れ方の大きさでハブネークの大体の居場所を掴んだ。

 地面からの突撃をギリギリで回避していく。反撃で、『こごえるかぜ』をプレゼントした。威力は55だが、追加効果で確定素早一段階ダウンがあり、全体攻撃なので避け難い。

 

 だが、ハブネークも負けじと『どくどくのキバ』で攻撃を仕掛けてきた。威力は50しかないが、五割で猛毒になる強力な技である。

 ニューサトシが良く使う『どくどく』同様に、猛毒は通常の毒と違って継続ダメージが時間経過で増えていく。どうやら、ユキワラシは見事に猛毒を引き当てたようで苦しそうな顔をしていた。

 

 しかし、負けじと『かみくだく』で反撃していく。二割の確率で相手の防御を一段階下げるが、運よく二割を引き当てている。

 

 ダメージ的にはハブネークの方が不利だ。体力ももう半分近くで素早と防御が一段階ダウンしている。

 こちらはまだ体力は2/3程あるが、猛毒状態になった以上、時間をかければかけるだけ不利になっていく。ユキワラシは『ぜったいれいど』も覚えないから一撃必殺に甘える動きも出来ないしな。

 

 下手に追撃をかけるよりも、ここは一旦戻すことにした。後半よろしくということで、ジバコイルと交代していく。

 ジバコイルははがねタイプなので当然毒は無効である。しかし、状況不利にも関わらず、アザミはハブネークを戻す素振りを見せなかった。

 

 そのまま、『かえんほうしゃ』を指示してくる。成程、こちらに有利なほのお技を覚えているからこその強気ということか。

 ならば、こちらは『10まんボルト』で反撃する。向こうがタイプ不一致なのに対して、こちらはタイプ一致だ。電撃は炎を貫いて、ハブネークにダメージを与えていく。

 

 しかし、攻撃を受けながらハブネークは地面に潜って行った。『あなをほる』で地中に逃げたようだ。

 ジバコイルはでんき・はがねタイプなので、じめん技は四倍弱点である。本来ならば、『でんじふゆう』などで逃げる所だが、ここも技を応用して防いでいく。

 

 必殺、『ボディプレス』で地面にダイブする。この技は攻撃の値ではなく、防御の値で攻撃をするという特殊な技で、全身を相手に叩きつける『のしかかり』のような技だ。

 これにより、地面に思い切りダイブし、技の威力で地面を揺らす。疑似的な『じならし』を起こした。ちょっと前にピカ様がモノにした原作のXY編で、『アイアンテール』で地面を割った応用である。

 

 ジバコイルは自身がはがねタイプということで、体がとても硬い。全体重をかけた『ボディプレス』なら十分に疑似『じならし』を再現することが出来ると考えた。

 

 予想通り、疑似的な『じならし』になったようで、ハブネークが苦しそうに地面から飛び上がってくる。

 そのまま、再び『10まんボルト』でとどめを刺していく。だが、アザミは最後まで諦めなかった。『ふいうち』で『10まんボルト』を回避しながら、ジバコイルにダメージを与えてくる。

 

 続けて『かえんほうしゃ』に移行してきた。先程とは違い、近距離だったことで反撃が少し遅れる。多少のダメージを受けたが、今度こそ『10まんボルト』で戦闘不能に持っていった。

 これでようやく一体を倒したか。しかし、ハブネーク一体でユキワラシとジバコイルには少なくないダメージを与えられている。

 

 アザミはハブネークを戻すと、続けてハガネールを出してきた。イワークの進化系であり、はがね・じめんタイプの相手である。ジバコイルだと有効打があまりないので、出来ればお相手したくなかった。

 当然のように、開幕は『じしん』で攻めてくる。ハブネークから受けたダメージと合わせればワンチャン倒されかねないので、『ラスターカノン』を地面に撃ちだすことで自身を宙に浮かせて回避していく。

 

 しかし、変化技が使えないというのは思った以上に戦いにくいな。手足を縛られているような感覚だ。

 

 ジバコイルとハガネールでは、こちらが死ぬほど相性が悪い。向こうはでんき技が無効、はがね技が半減なので、こちらの有効打は『ボディプレス』くらいだ。

しかし、タイプ不一致なのもあり、硬いハガネールを倒すには少なく見ても5~6発は必要だろう。『てっぺき』を使って防御を上げられれば無理やりにでも突破できるが、ここでも変化技禁止が効いている。

 

 対して、こちらはタイプ一致のじめん技を一つでも受けたら致命傷だ。あまりにも条件が厳しい。とはいえ、ハガネール相手だとユキワラシも有効打はあまりないなので、ここは早々に最後の一体であるマグマラシに入れ替えていく。

 

 それを見て、アザミもポケモンを入れ替えてきた。最後の一体であるギャラドスが送り出されてくる。

 特性の『いかく』でこちらの攻撃が一段階下げられた。こうなると、ジバコイルに戻したい所だが、そうなれば向こうもハガネールに戻すだろうし、交代合戦になるのは目に見えている。

 

 先に交換した俺の方が不利――なので、ここはこのまま戦うことにした。とはいえ、でんき技は覚えていないので、いわタイプの技である『ころがる』で攻めていく。

 

 アザミは『ハイドロポンプ』を指示してきた。しかし、マグマラシの『ころがる』は意外とスピードが速く攻撃を外している。

 タイプ不一致で一回目で大した攻撃力はないが、ギャラドスにダメージを与えていく。アザミもこうなれば仕方ないと『たきのぼり』を指示してきた。物理技同士で無理やりぶつけ合わせようという狙いだろう。

 

 とはいえ、こちらに避けるという選択肢はないので、真っ向からぶつかり合っていく。

 こちらの『ころがる』は二回目で威力60、対して『たきのぼり』はタイプ一致で威力が120まで上がっている。こちらの方が受けるダメージは大きい。

 

 しかし、先に攻撃を一回当てているのでダメージ的にはほぼ五分と言った所だろう。だが、五分では困る。こちらはハガネールへの有効打がマグマラシしかいないので、ここであまりダメージを受けすぎる訳にはいかないのだ。

 

 アザミは『うずしお』でマグマラシを捕まえようとしてきた。遠慮なしにみず技を連打してくるのは、ここでマグマラシを倒せれば後はハガネールでごり押しできると考えているからだろう。

 実際、その通りなので、攻撃を受けるのはまずい。こうなれば必殺の『かえんぐるま』と『ころがる』の合わせ技で、『うずしお』をかわし、一気に攻撃を仕掛けていった。

 

 アザミは即座に『ハイドロポンプ』で反撃してくるが、『かえんぐるま』の炎が防壁となって威力を軽減させている。

 そのまま、『ころがる』の初弾を当てた。炎が消えた分、『ころがる』は通常のダメージを出している。とはいえ、初弾なので大したダメージではない。旋回して一気に二度目を当てに行く。

 

 アザミは最後の技として『じしん』を指示してきた。俺の後続にも一貫して通る技だ。当然、地面を転がっているマグマラシはほのおタイプなので弱点技である。

 くらう訳にはいかないので、ジャンプしてそのまま突っ込んでいく。しかし、どうやらフェイントだったらしい。ギャラドスは『じしん』を撃っていなかった。前に俺がテッセン相手にやった『じしん』を使うフリをして相手の動きを限定させる後出しフェイントである。

 

 突っ込むマグマラシに、『ハイドロポンプ』が放たれる。くらえば終わりなので、苦肉の策として『もえつきる』を指示した。威力130のほのお特殊技だ。

 回転を維持したまま、マグマラシが炎を噴射していく。『ハイドロポンプ』は噴き出した炎に相殺される。だが、代償として、マグマラシはほのおタイプではなくなってしまった。

 

 もうほのお技でみず技を迎撃することは出来ない。しかし、二度目の『ころがる』がギャラドスにヒットした。

 これで、ギャラドスの体力は残り1/3ちょっと、こちらは半分ないくらいなのでほぼ同じだ。次の三回目が当たれば、ギリギリでギャラドスを倒せる。対して、こちらがほのおタイプを失ったことで、向こうは『ハイドロポンプ』の直撃でも確定二発だ。

 

 倒し切れる。そう判断して、マグマラシを突っ込ませていく。しかし、その瞬間、アザミはギャラドスを戻してきた。

 攻撃対象を失って、マグマラシの回転が止まる。当然、相手の交代先はハガネールだ。こちらは『もえつきる』の後遺症でほのおタイプが消えている。得意のほのお技もタイプ不一致でしか出せなかった。

 

 咄嗟にマグマラシを戻そうとするが、アザミは『すなじごく』を指示して逃げ道を塞いでくる。

 しばらくの間、最大HPの1/8の継続ダメージを与え、その間ゴーストタイプ以外の交代を封じる物理技だ。おまけに、砂に足を取られてマグマラシの動きが止まってしまった。

 

 当然、アザミは追撃として『じしん』を指示してくる。今度は本物だ。タイプ一致の『じしん』など受ければ、倒れないにしても大ダメージを受ける。

 だが、逃げきれない。攻撃をくらうのを覚悟して、最後の技である『かえんほうしゃ』で少しでもダメージを与えていく。タイプ不一致とはいえ、弱点の一撃を受けてハガネールがダメージを受ける。しかし、こちらもまた『じしん』の一撃と『すなじごく』の継続ダメージでかなりのダメージを受けていた。

 

 残り体力は1/8もない。次の継続ダメージで倒れるだろう。しかし、倒れる前に『かえんほうしゃ』でダメージを与えていく。

 だが、ハガネールは『あなをほる』で攻撃を回避していった。継続ダメージでマグマラシが倒れると『すなじごく』が解除される。

 

 これで、残りは2対2だ。

 

 こちらはユキワラシを出していく。少しでもダメージを与えて『ボディプレス』の確定数を減らして欲しい。

 幸い、ハガネールはじめんタイプを持っているおかげで、こおり技は等倍だ。得意の『れいとうビーム』でダメージを与えていく。

 

 しかし、ハガネールもまた『あなをほる』で地面に逃げて行った。再び、『れいとうビーム』をフィールドに散りばめて居場所を探っていく。

 出て来る位置がわかればこちらのものだ。

 相手の『あなをほる』に合わせて、『れいとうビーム』を叩きこんでいく。だが、アザミは見破られるのを覚悟で、『れいとうビーム』をくらいながら突っ込んできた。

 

 ユキワラシがダメージを受ける。

 

 相手も、マグマラシの不一致『かえんほうしゃ』と、ユキワラシの一致『れいとうビーム』で、体力は半分近く削られたはずだが、こちらも残り体力が1/3に差し掛かろうとしていた。やはり、時間経過で効果が強くなる猛毒は厳しいと言わざるを得ない。

 

 アザミは『すなじごく』を指示してきた。ユキワラシの動きを封じて、『じしん』でとどめを刺すつもりなのだろう。

 だが、マグマラシですら抜けられなかったものをユキワラシが抜けられるはずがなく、動きが封じられる。こうなれば、最後の切り札だ。こおりタイプ最大の技である『ふぶき』で少しでもダメージを与えていく。

 

 ラプラス先生の指導によって身に着けた『ふぶき』だが、まだ命中が安定していない。体が小さくて技の威力に耐えきれないのだ。

 しかし、『すなじごく』が体を固定しているが故に、逆に『ふぶき』で体が吹き飛んでいくことはなかった。『じしん』と同時に、『ふぶき』がハガネールに当たり体力を削っていく。

 

 こちらは耐え切れずに戦闘不能になった。

 

 最後の一体であるジバコイルを送り出していく。アザミもハガネールを戻そうとした。少しでも体力を回復させようという狙いだろう。

 だが、俺のジバコイルの特性は『じりょく』だ。はがねタイプのポケモンは、ジバコイルの磁力に引っ張られて交代することが出来ない。

 

 逃がすつもりはなかった。ユキワラシの頑張りでハガネールも残り体力1/3だ。気合の『ボディプレス』で倒し切ってやる。

 ジバコイルがハガネールに向かってダイブしていく。アザミは『じしん』を指示した。ハガネールなら『ボディプレス』は耐えられると判断して、返しの一撃で戦闘不能にしようという狙いだろう。

 

 読みはアザミの方が上だった。

 

 ハガネールは『ボディプレス』の一撃を受けながらもギリギリで耐えている。反撃の『じしん』が刺さり、ジバコイルが大ダメージを受けた。

 しかし、マグマラシとユキワラシが戦っている間に少し休めたこともあって、何とか戦闘不能になるのは避けている。残り体力が少ないハガネールへ再びの『ボディプレス』を決めていく。今度こそ、戦闘不能になった。

 

 これで一対一である。

 

 アザミは再びギャラドスを出してきた。こちらの残り体力はミリだ。みず技を当てるだけでも倒せる。

 対するギャラドスも残り体力は1/3ちょっとだ。ジバコイルのパワーなら、『ボディプレス』以外のタイプ一致技なら倒し切れる。

 

 アザミは『じしん』を指示してきた。命中率が不安定な『ハイドロポンプ』や、近距離に寄る必要のある『たきのぼり』よりも安定度の高い技をチョイスしたのだろう。

 こちらは当然、『ラスターカノン』を地面に撃って回避していく。この回避はもう十八番と言っていい。だが、『じしん』を回避こそしたが、こちらが空中で体勢を整える頃にはギャラドスも次の技の準備をしていた。

 

 続く技は『うずしお』だ。空中で動けない所を範囲で取りに来ようという狙いだろう。

 しかし、『うずしお』は拘束技故に、水の渦を作るのに一瞬の隙が出来る。その隙を逃すつもりはなかった。『10まんボルト』と『マグネットボム』の合わせ技でこちらもとどめを刺していく。

 

 原理は簡単だ。どこかの学園都市第三位がやっていたのと同じく、『10まんボルト』によって発生する磁力を応用して、『マグネットボム』を高速で撃ちだすだけである。

 本当ならば『でんじほう』の方が確実なのだが、もう技を全て使っているので今ある技で応用するしかなかった。ちなみに、何故『マグネットボム』が弾なのかといえば、必中技だからである。本来は『でんじほう』との合わせ技なので、命中率50をカバーするためにも必中技である必要があったのだ。

 

 ジバコイルは重量タイプ故に、先制技を持っていない。だからこそ、素早く相手を捉える技をずっと練習していた。その成果を今見せる時である。

 

 相手の『うずしお』よりも早く、超電磁砲によって撃ちだされた『マグネットボム』がギャラドスを撃ち抜き、その体力を削り切っていく。

 アザミにはただ光ったくらいにしか見えなかっただろう。それほど、撃ちだされた一撃は早かった。三体が戦闘不能になったことで、俺の勝利が決定する。

 

 突発的な変化技禁止バトルだったが、如何に普段変化技に助けられているかが改めて良くわかった。

 けど、そのおかげで見えたものもある。普段見ない景色を見たことで、変化技の使い方についていろいろ考えさせられる一戦だった。

 

 アザミから四つ目のフロンティアシンボルである、ラックシンボルを受け取る。これでようやく半分を超えた。後は三つ、一気に駆け抜けてやるぜ。

 

 

 追記。どうやらアザミとタケシは連絡先を交換したようで、タケシが嬉しそうにメールを打っている。今回は悪くない感触だったし、もしかしたらタケシの恋が実るのも遠くないかもしれないな。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・第154話『ドッキリ! ビックリ! エレキッド!!』より、ハルカがエレキッドをゲットした。
 元気になった後の笑顔を見てスカウト。でんきタイプもいないので丁度良かった。

・第155話『ポケモンレンジャー登場! セレビィ救出作戦!』より、ニューサトシがセレビィを助けた。
 如何に伝説が好きじゃなくても、困っているなら助ける。それがニューサトシ。

・第156話『ウソハチと忍者スクール!!』より、またスクールに参加した。
 ラティは、忍者が大好きなのだ。

・第157話『時を超えるハルカ!!』より、過去に飛んだのを信じて貰えなかった。
 SFにちょっと詳しいニューサトシは全く信じなかった。

・イーブイが生まれた。
 原作通り。

・第158話『熱闘バトルチューブ! VSチューブクイーン・アザミ!!』より、タケシとアザミが仲良くなるのを黙って見ていた。
 アニメでは空気を読まずにマサトが妨害するが、本人も嫌がって無さそうだったので、今回は見逃している。

・これからは特別ルールかフルバトルにしろと要求。
 今回は変化技なしバトルになっている。アニメで自身のポケモンに防御技を覚えさせていないと聞いたことで思いついた。

・技スロットを二つ使うが、ジバコイルが先制技を手に入れた。
 いつかやりたいと思っていた超電磁砲。10まんボルトでの成功率は約五割。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.63

 ピジョット Lv.59

 バタフリー Lv.59

 ドサイドン Lv.62

 フシギダネ Lv.59

 リザードン Lv.63

 カメックス Lv.59

 キングラー Lv.59

 カモネギ  Lv.59

 エビワラー Lv.59

 ゲンガー  Lv.61

 オコリザル Lv.58

 イーブイ  Lv.58

 ベトベトン Lv.58

 ジバコイル Lv.58→59

 ケンタロス Lv.58

 ヤドラン  Lv.58

 ハッサム  Lv.60

 トゲキッス Lv.58

 プテラ   Lv.59

 ラプラス  Lv.58

 ミュウツー Lv.75

 バリヤード Lv.59

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.57

 カビゴン  Lv.57

 ニョロトノ Lv.57

 ヘラクロス Lv.56

 メガニウム Lv.56

 マグマラシ Lv.55→56

 ラティアス Lv.51

 ヘルガー  Lv.56

 ワニノコ  Lv.55

 ヨルノズク(色違い) Lv.55

 カイロス(部分色違い) Lv.56

 ウソッキー Lv.55

 バンギラス Lv.61

 ドンファン Lv.54

 ギャラドス(色違い) Lv.53

 ミロカロス Lv.47

 ミズゴロウ Lv.49

 オオスバメ Lv.49

 ジュプトル Lv.49

 ヘイガニ  Lv.48

 フライゴン Lv.54

 コータス  Lv.48

 ラルトス(色違い) Lv.30

 ユキワラシ Lv.45→46

 ワカシャモ Lv.42

 タマゴ   時々動いているみたい。生まれるまでもうちょっとかな?




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#162 『紅い薔薇と一通の手紙』

 13歳 β月ρ日 『ポケモンオリエンテーリング? しませーん!』

 

 次の施設であるバトルパレスは、メタリカ島とかいう相手の血中の鉄分を刃物に変えるスタンドみたいな名前の島にあるようで、久々に船に乗ることになった。

 途中でポプリ島なる島に寄ったのだが、この島ではトレーナーとポケモンが協力してスタンプを集めるポケモンオリエンテーリングなる大会が開かれるらしい。

 

 言ってしまえばスタンプラリーだ。

 

 優勝賞品は果物のようで、食い意地の張ったハルカが最初に参加を表明している。ニューサトシはぶっちゃけあまり興味がない。穏やかな感じで、バトル要素がある訳でもないしな。

 ただ、代わりにラティが出たがったので、俺の代わりにピカ様をボディガードにつけて参加させることにした。ラティがラティアスになったら大会が大騒ぎになってしまうので人間枠で参加させる。

 

 タケシもウソハチと出場すると言っていたので、マサトには俺がヘイガニを貸してやることにした。これで全員が参加だ。久しぶりに一人でのんびり過ごすことにする。

 

 大会を応援しても良かったが、チャンピオンリーグの情報を知りたかったので、ポケモンセンターで少し情報を調べることにした。

 どうやらシゲルはベスト4まで進出しているらしい。後二回勝てば優勝である。マサラで再会した時、かなり自信あり気だったのはマジだったようだ。

 

 どうも、テレビで生放送が流れているようだったので、シゲルの試合を見ることにした。

 

 見ると、既に試合は中盤戦となっている。シゲルのポケモンは残り三体で、フィールドにはカロスで捕まえたのであろうギルガルドが出ていて相手と互角の立ち合いをしていた。

 互いに一進一退だが、先に追い込まれたのはシゲルだ。切り札のカメックスを引き摺り出され、メガシンカまでさせられている。何とか逆転しようと足掻いていたが、対戦相手もメガシンカを残しており最終的には力負けしていた。

 

 正直、どちらが勝ってもおかしくないレベルである。今のシゲルは、もしかしたら俺よりも強いかもしれない。

 何とも言えない気持ちだ。何故、あそこに立っているのが自分ではないのか――いや、焦るな。バトルフロンティアに参加すると決めたのは自分だ。得られているものは確かにある。俺も成長しているはずだ。

 

 そう、自分の焦りを抑え込んでいると、何だか無性にバトルがしたくなってきた。

 

 このうずうずを誰でもいいからぶつけたい気分である。丁度、一人で退屈していたし、この近辺のトレーナー全てに喧嘩を売っていくことにした。

 

 

 追記。何やらロケット団の妨害があったとかでオリエンテーリングは優勝出来なかったらしい。にも関わらず、優勝したのがロケット団のコジロウとマネネのペアだったようだが、何故か参加者全員に賞品の果物を寄付していたという。何がなんだかわかんねーな。

 

 

 

 13歳 β月σ日 『ポケモンコンテスト モダマ大会』

 

 モダマタウンという街でコンテストが開かれるということなので寄って行くことにした。

 無事にハルカのエントリーを終えると、またもハーリーと再会する。向こうもハルカを見るや否や、何やら珍しく憤慨した様子で、「今度こそアンタを負かせてやるわ!」と宣言してきた。そんなハーリーに対し、ウソハチが「ウソ!」と声を出している。

 

 確かに嘘っぽいが、どうやら今回はガチのようで、「アンタなんか小細工なしで勝負よ! ガチンコ勝負で泣かせてやるわ!!」と、今までにないくらい気合が入っていた。

 ハルカも負けじと言い返しているが、そのままあーでもないこーでもないと言い合いを続けている。聞けば、ハーリーは既にリボンを三つ持っているらしい。ハルカは二つなので負けているが、「今日で並ぶわね!」とドヤ顔していた。

 

 午後になり、大会が始まる時間になると、幸平式を決めたハルカとハーリーが控室へと入って行く。どうやら今回はムサシもいるようで、またこの三人で決勝を争いそうだった。

 

 予選はゼニガメで参加するということで、ハルカが気合を入れて演技をしている。対するハーリーは、前回見せたアリアドスで一次審査を参加していた。

 おまけで、ムサシはサボネアだ。

 三人とも文句なしの演技で一次審査を突破しているが、どうもムサシは前回負けたハーリーに苦手意識を持っているようで、これでもかというくらいにハーリーを睨みつけている。

 

 二次審査のファーストステージではハルカがゴンベを選出していた。一応練習はしていたが、いきなりの実戦で大丈夫か?

 相手はニョロトノで、開幕にいきなり『ソーラービーム』を撃っている。あのゴンベは攻撃もためのいる技を多く覚えているので、シングルだとちょっと使いにくいのだが、ハルカが上手くサポートしているようだ。

 

 そのまま何とか初戦を勝ち抜くと、ハーリーとムサシの因縁の試合が始まる。今回、ハーリーはオクタン、ムサシはオニドリルをエントリーしていた。

 今回のバトルはムサシが攻め攻めでポイントを奪っている。このまま行けば勝ちか――と、思ったその瞬間、オクタンが『ねむる』で体力を回復させて、『ねごと』で眠ったまま攻撃するという作戦でハーリーが反撃に出る。

 

 まるで、エネコの『ねこのて』である。予想外の攻撃にムサシのリズムが乱れ、一気に流れはハーリーに傾いて行った。

 最悪だったのは、『ねごと』で出た『れいとうビーム』でオニドリルが凍ってしまったことだ。これのせいで、ギリギリでハーリーがムサシのポイントを上回り、そのまま逃げ切りを許してしまった。

 

 ムサシが悔しさで何とも言えない顔をしている。どうも、前回もそうだったが、グランドフェスティバルを終えてから不調のようで、あの豪快かつ繊細な演技も影を潜めていた。

 たまに襲ってこない日があるので、おそらく別のコンテストにも参加はしているのだろうが、このままではあまりいい結果が出ないかもしれないな。まぁ、誰にも不調はあるので仕方ないことではある。

 

 ファイナルステージは、前のヤマブキ大会同様にハルカ対ハーリーとなった。

 

 最近は小細工が裏目に出て負けていたが、今回は本当に真面目のようで、オクタンの『オクタンほう』や『ヘドロばくだん』で、ゴンベを先制していく。

 ファーストステージのバトルで、ハルカのゴンベは技を出すのに時間がかかるタイプだということはバレてしまっているらしく、細かい攻撃の連打でポイントを稼がれていた。

 

 ハルカも起死回生に『ゆびをふる』を指示している。こういう時、運否天賦で活路を開くのはハルカらしいが、今回は『かみなり』が出てオクタンの弱点を突いていた。

 おまけに麻痺をしたようで動きが鈍い。ハルカが反撃とばかりに『ソーラービーム』を指示するが、ハーリーはただ黙って攻撃を受けていた。しかし、受けた瞬間に、『ねむる』で状態異常と体力をフル回復させている。

 

 ハルカが「しまった!」と声を上げた。再び、『ソーラービーム』をゴンベに指示するが、ハーリーも『ねごと』で反撃してくる。

 それでも二度目の『ソーラービーム』を受けてオクタンもダメージを受けていた。だが、打開するにもゴンベは遅すぎたようで、そのままハーリーが逃げ切り勝ちをしている。

 

 最近は順調に勝っていたハルカだが、ここで敗北してしまった。負けてしまって落ち込んでいるゴンベを会場の外で慰めている。

 しかし、ハルカももう一人前のポケモンコーディネーターということで、一々負けてくよくよしてはいなかった。勿論、悔しさはあるが、それを引きずってはいないのだ。これまでは負けて悔しがって悩んでもがいてと、負ける度に大騒ぎだったが成長を感じる。

 

 しばらくゴンベを慰めていると、司会のリリアンが近くで行われるというユズリハ大会への出場をハルカにお勧めしに来た。

 ハルカもまだリボンが二個しかないということもあって、ユズリハ大会への参加を決している。そんなハルカに渡すものがあるようで、リリアンはバッグから何か取り出していた。

 

 出てきたのは、紅い薔薇と一通の手紙である。

 

 どうも名前が書いてなかったようで、ハルカは誰からかわからないと首を傾げていた。だが、紅い薔薇を手紙に添えるような奴などシュウくらいしかいないだろう。

 

 

 

 13歳 β月τ日 『VSトロピウス! 草原でのいじめ』

 

 コンテストが開かれるユズリハ島を目指して歩いていると、野生のトロピウスが喧嘩を仕掛けてきた。

 基本的にニューサトシは相手から戦う意思を見せるか、余程ゲットしたいと思わない限り、野生のポケモンとは戦わないようにしているのだが、やたら好戦的なので仕方なくユキワラシで相手をしていく。

 

 トロピウスはくさ・ひこうタイプなのでこおりは四倍弱点である。向かってくるなら容赦はしないと、『れいとうビーム』の一撃で沈めてやった。

 同時に、ユキワラシの体が光る。

 どうやら進化のようで、ユキワラシからオニゴーリに進化した。オニゴーリは怖い顔のイメージがあったが、ユキワラシ時代と変わらず愛嬌のある笑みを浮かべている。

 

 よすよす、お前は貴重なこおりタイプだからな。そのままどんどん強くなって行けよ。

 

 

 

 13歳 β月υ日 『ポケモンコンテスト ユズリハ大会』

 

 ユズリハ島に着いたので早速コンテストのエントリーを終えると、シュウに再会した。

 相変わらずキザったらしいなぁと思っていると、ハルカが早速とばかりに手紙をシュウに見せている。が、当のシュウは自分ではないと首を横に振っていた。

 バ、バカな。シュウじゃない……だと?

 俺があまりに驚いたせいか、心外だと言わんばかりに、「大体、僕がそんなことすると思うかい?」と聞いてくる。思わず全員で「思う」と返してしまった。どうやら、思っていた返事と違ったようでシュウも恥ずかしがっている。

 

 気を取り直して話をしていると、どうもシュウは今回のユズリハ大会には出ないらしい。

 これまでコンテストでポケモン達を酷使しすぎたこともあって、今回はゆっくり休ませるつもりでいると言っていた。

 

 ライバルが出ないということで気落ちしていたハルカだが、前回のゴンベの負けを取り戻そうと練習を始めている。どうやら、今回もゴンベでコンテストに出るつもりのようだ。

 しかし、技の練習中、ゴンベの『きあいパンチ』が逸れて、近くにいた女の子にぶつかりそうになってしまった。間一髪でニューサトシが間に入ったこともあり、大きな事故もなく防げている。そのまま女の子の安否を確認していると、どうもこの女の子――ワカナがハルカに手紙を書いた張本人だということがわかった。

 

 いろいろ話しているうちに、ワカナがシュウのファンであるということがわかったので、休暇中のシュウを紹介しようという話になる。

 聞けば、ワカナはシュウの演技に憧れてポケモンコーディネーターになったらしい。急に休みを邪魔されたシュウだが、そう言われると悪い気はしないようで握手に応じていた。

 

 結局、ワカナがハルカに手紙を送ったのも、どうやらシュウが唯一認めている女性がハルカだけだからということのようだ。

 まぁ、ナナミさんとかもいたのだが、ワカナの耳に入ってきたのはハルカだけだったのだろう。マサトが「お姉ちゃん、また狙われてるよー」と苦笑いしている。確かに、コンテストの度に、いらぬ因縁を買ってるよなハルカって。

 

 午後になり。コンテストが開始されると、毎度お馴染み幸平式を決めたハルカが気合を入れて一次審査に望んでいく。

 どうやら、ロケット団のムサシも参加しているようだ。あいつも最近はちょいとスランプ気味だが、苦手なハーリーもいないし、どうなるかわからんな。

 

 どうもハルカは、今回の一次審査にゴンベを持って行ったようで、開幕は得意の『ソーラービーム』を応用して会場中の視線を釘付けにしている。

 続けて『ゆびをふる』で出た『ねむる』をハルカデリシャスで無理やり起こして『きあいパンチ』を決めるという謎演技を披露していた。ただ、コーディネーター組には評価が高いようで、シュウも「お見事! 会心のきあいパンチだ!」と声を上げている。得点も高くて余裕で一次審査を突破していた。

 

 ハルカに喧嘩を売ったワカナや、スランプ中のムサシも何とか一次審査を突破している。

 ワカナはシュウが使っているアメモースの進化前であるアメタマで参加しており、シュウを思わせるような奇麗な演技をしていた。ムサシはマネネと参加していたが、意外とマネネがフリーダムなのでムサシも少し苦労していたようにも見える。

 

 二次審査は開幕でハルカとムサシが当たった。

 

 ハルカはワカシャモ、ムサシはハブネークのようで、互いにぶつかり合う熱いバトルが観客を魅了していく。

 ただ、ハルカは少し前にチューブクイーンであるアザミのハブネークのバトルを見ていたこともあって、ムサシのハブネークを上手く捌き始めた。特に、ムサシの『あなをほる』に対して、地面に『ブレイズキック』をすることで疑似『じならし』を再現するなど、俺の戦い方を学習しているように見える。

 

 最終的にはハルカがギリギリで逃げ勝った。

 

 これでムサシはカントーのコンテストで三度目の敗北である。前のムサシなら、怒りに任せてコンテストをむしゃくしゃにしかねなかったが、完全なるスランプに陥ったようでそれ所ではないようだった。

 

 ファイナルステージは、ハルカ対ワカナの組み合わせである。

 

 ワカナはビブラーバで参加していた。こいつもシュウが持っているフライゴンの進化前である。

 どうやらシュウリスペクトはガチなようだ。試合が始まると、ビブラーバが得意の飛行技術を駆使してワカシャモを翻弄しに来たが、ワカシャモももうバトル経験値がかなりある。そう簡単に翻弄されはしないだろう。

 

 続けて、『すなじごく』で足を封じてきた。前回のアザミ戦でニューサトシも苦戦した技である。

 しかし、ハルカはしっかりと対策を持っていたようで、ワカシャモの『メガトンキック』で上手く脱出している。どうやら、足技の得意な俺のワカシャモからしっかりコツを習っていたようだ。

 

 最終的には、ワカシャモの得意な『ほのおのうず』でビブラーバをからめとり、必殺の『スカイアッパー』でハルカがワカナを下している。

 これで、ハルカもようやく三つ目のリボンをゲットだ。しかし、カントーのグランドフェスティバルまで後二週間程しかないので、少し駆け足しないと間に合わないかもしれないな。

 

 

 




 原作との変化点。

・第159話『優勝は誰の手に!? ポケモンオリエンテーリング!!』より、ニューサトシがオリエンテーリングに参加しなかった。
 代わりにシゲルのチャンピオンリーグ準決勝を見ていた。手に汗握るバトルでニューサトシが燃え上がった。

・第160話『ゴンベのデビュー戦! ハーリーと真剣勝負!』より、ムサシが完全スランプに陥った。
 現在、リボンは日記外で手に入れた一個のみ。演技に陰りが見えている。

・第161話『ジュプトルVSトロピウス! 草原の決闘!』より、こおりタイプで一方的にボコった。
 ユキワラシがオニゴーリに進化している。ジュプトルのネタシーンはカットされた。

・第162話『ポケモンコンテスト! ユズリハ大会!!』より、ムサシがハルカにも敗北した。
 言い訳の出来ぬ力負け。自分を完全に見失っているようだ。観客席のコジロウが少しイライラしている。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.63

 ピジョット Lv.59

 バタフリー Lv.59

 ドサイドン Lv.62

 フシギダネ Lv.59

 リザードン Lv.63

 カメックス Lv.59

 キングラー Lv.59

 カモネギ  Lv.59

 エビワラー Lv.59

 ゲンガー  Lv.61

 オコリザル Lv.58

 イーブイ  Lv.58

 ベトベトン Lv.58

 ジバコイル Lv.59

 ケンタロス Lv.58

 ヤドラン  Lv.58

 ハッサム  Lv.60

 トゲキッス Lv.58

 プテラ   Lv.59

 ラプラス  Lv.58

 ミュウツー Lv.75

 バリヤード Lv.59

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.57

 カビゴン  Lv.57

 ニョロトノ Lv.57

 ヘラクロス Lv.56

 メガニウム Lv.56

 マグマラシ Lv.56

 ラティアス Lv.51

 ヘルガー  Lv.56

 ワニノコ  Lv.55

 ヨルノズク(色違い) Lv.55

 カイロス(部分色違い) Lv.56

 ウソッキー Lv.55

 バンギラス Lv.61

 ドンファン Lv.54

 ギャラドス(色違い) Lv.53

 ミロカロス Lv.47

 ミズゴロウ Lv.49

 オオスバメ Lv.49

 ジュプトル Lv.49

 ヘイガニ  Lv.48

 フライゴン Lv.54

 コータス  Lv.48

 ラルトス(色違い) Lv.30

 ユキワラシ→オニゴーリ Lv.46→47

 ワカシャモ Lv.42→43

 タマゴ   時々動いているみたい。生まれるまでもうちょっとかな?




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#163 『面白い。狂気の沙汰ほど面白い』

 13歳 β月φ日 『バトルパレス VS ウコン』

 

 遂にメタリカ島についたので、早速バトルパレスに挑戦していくことにした。

 パレスガーディアンであるウコンは、事前にエニシダから俺の我が儘である、面白いルールか、フルバトルじゃないと挑戦しないということを聞いていたようで、俺に合わせた特殊ルールを用意してくれているらしい。

 

 ルールはレベル50固定。3対3のシングルバトル。勝ち抜き戦。トレーナーはポケモンに技の指示を出さず、ポケモンは己の意思のみで戦わなくてならない。

 技の指示は禁止だが、動きの指示はしてもいいということで、トレーナーとポケモンの呼吸を合わせないと勝てないルールになっている。基本的にはゲームと似たような感じだな。

 

 そして、ここからがニューサトシ用ルールで、お互いのトレーナーはポケモンの半径五メートル以内にいないといけない。一歩間違えればポケモンの技に巻き込まれかねない危険なルールだ。

 思わず口角が上がる。

 面白い。狂気の沙汰ほど面白い――これが俺だけでも全然面白いルールだが、かなりの高齢であるウコン自身も含まれているのが最高だ。この爺さんも、中身は俺と同類だな。

 

 また、フィールドは川と海岸線に挟まれた広大な密林その全てで、その範囲内であれば何をしてもいい。バトルをしながら移動も可能と言うことだった。つまり、相手を自分に有利なフィールドに誘い込めるということだな。

 レベル50固定ということで、レベル的にはホウエン地方のポケモン達が同じくらいなので選択肢に入る。メンバーは少し悩んだが、今回はミズゴロウさん、ジュプトル、フライゴン先輩の三体で挑戦することにした。

 

 本来なら、ポケモン同士の意思疎通を試される試練だと、付き合いの深いカントー組を出した方が有利になる。

 それこそ、ピカ様やリザードンなんかは言葉にしなくても全て伝わるだろうし、エビワラーが基本的に動きの指示だけだからこういうバトルは大の得意だ。でも、だからこそ、付き合いの少ないホウエン組から選出した。この一年の旅で、どれだけ仲が深まったか、改めて試してみたくなったのである。

 

 開幕、ミズゴロウさんを出すと、ウコンはダーテングを出してくる。相性不利だが、勝ち抜き戦なので交代は出来ない。

 そのままウコンは、ダーテングを走らせて森へと向かった。向こうの有利な、森林の中へ誘い込もうという狙いだろう。

 ウコンも高齢とは思えない脚力だ。

 当然、こちらも追って行く。ミズゴロウさんのヒレの能力なら、ダーテングが木々に隠れて不意打ちして来ようとも躱せるはずだ。

 

 森の中はある程度、バトルできるだけの空間は確保されてはいるものの、木が邪魔で動きにくい。

 おまけに『かげぶんしん』を使っているのか、ダーテングの影と思わしきものが木の間を素早く移動していた。

 

 分身に惑わされないように、ミズゴロウさんが目を閉じて集中していく。前にジュプトルにボロ負けしてから、素早い相手にも対応できるように訓練を重ねてきた。

 見た感じ、ダーテングもかなりの速度だが、ミズゴロウさんはその動きを見失わなかったようで、背後から『シャドーボール』を撃とうとしているダーテングに、『れいとうビーム』で反撃していく。

 

 どうやら、シロナと行った短いマサラブートキャンプで、しっかりとくさタイプに有効な技を身に着けていたようだ。

 理由がライバルのジュプトルに負けたくないというのが青春を感じる。思えば、俺のポケモンでこうもライバル関係バチバチの奴は今までいなかったな。

 

 互いにタイプ不一致の攻撃故、威力はほぼ互角だった。技同士が中央で爆発すると、ダーテングは遠距離で決めるのは難しいと考えたようで、『でんこうせっか』で距離を詰めてくる。

 いくらミズゴロウさんでも先制技を避け切るだけのスピードはない。敢えて受けてから、『いわくだき』で反撃していく。相手の弱点であるかくとうタイプの技だ。『れいとうビーム』のチョイスもそうだが、流石はエリートだけあってしっかり相性を理解している。

 

 しかし、ダーテングも負けじと『リーフブレード』で弱点を突いてきた。タイプ一致の高火力技だ。

 とはいえ、ミズゴロウさんはジュプトルの『リーフブレード』対策に、カモネギ相手にひたすらカウンターを練習してきたのである。『まもる』は連続での攻撃で突破され、相殺させるには自身のパワーが足りない。ならば、攻撃を受けるよりも先に攻撃するしかない――それが結論だったのだ。

 

 ホウエン地方を旅している最中も、たまにオーキド研究所に送っていたが、その際にはエビワラーにひたすらカウンターのコツを教えて貰っていたらしい。

 そして、学んだカウンターを完璧にすべく、このひと月はひたすらカモネギの高速二刀流『リーフブレード』にカウンターを合わせてきた。もう、ミズゴロウさんに『リーフブレード』は効かないのである。

 

 エビワラーの目とは違い、ヒレによる完全探知で動きを制し、相手の動きに合わせてカウンターを入れていく。

 エビワラーやオコリザルのように、技として『カウンター』を併用させるのはまだ無理なようだが、それでも相手の攻撃が当たるよりも先に、『いわくだき』がダーテングの顔面に命中する。

 

 視界が潰れたことによって、『リーフブレード』も外れた。当然、そんな隙を逃すはずがなく、『ちょうおんぱ』で相手を混乱させていく。

 勝ち抜き戦である以上、交換して混乱を解除させることは出来ない。ウコンが少し厳しい顔をした。こちらは当然、『れいとうビーム』で追撃をかけていく。

 

 ダーテングの残り体力は1/3くらいだ。

 

 タイプ不一致とはいえ、『いわくだき』二回に『れいとうビーム』一回で、かなりダメージは与えた。

 特に混乱状態で、防御もままならずに受けた『れいとうビーム』はかなりのダメージを与えたはずだ。今の調子なら、『れいとうビーム』二回で戦闘不能に持っていける。

 

 しかし、ウコンは黙っていなかった。

 

 自ら混乱して暴れるダーテングに近づくと、体に手を当てて、小声で何か話しかけている。

 その瞬間、ダーテングも正気に戻ったように目の焦点が合ってきた。ウコンの姿を確認すると、頷いて再び攻撃態勢に移っている。

 

 技の指示以外は禁止されていないのでアリだ。とはいえ、混乱で暴れるダーテングに近づくなど正気の沙汰ではない。それに、一言で混乱を解除させるウコンのトレーナーとしての実力も見せつけられた。

 

 再び、『かげぶんしん』で動きを惑わせようとしてくる。が、ミズゴロウさんは目を閉じて動きを探知していた。いくら『かげぶんしん』とはいえ、実体がない以上、本体との若干の違いがある。それを見逃すミズゴロウさんではなかった。

 

 ウコンも精度の高いミズゴロウさんの感覚を褒めてくる。だからこそ、その精度の信憑性を揺らそうとしてきた。『かげぶんしん』のダーテングを次々と、ミズゴロウさんに突っ込ませていく。

 本体の位置は正確に感知している以上、来るのは分身だ。しかし、感覚ではわかっていても、万が一本物だったら、そんな不安をウコンは煽ろうとしている。

 

 だが、そんな不安はニューサトシが解消してやった。お前の感覚を信じろ――それだけ指示する。

 ミズゴロウさんは当然とばかりに、分身の攻撃を無視した。それを見て、ウコンはダーテングにハンドサインを送っていく。

 

 ダーテングは小さな石を投げた。ヒレの感知でも気にならないレベルの小さな石だ。その石は分身に隠れてミズゴロウさんに命中する。

 当然、ミズゴロウさんは有り得ないはずの攻撃を受けたと錯覚した。目を開けて、慌てて目の前にいる分身に、『いわくだき』で迎撃をしていく。

 

 ニューサトシも普段よりもポケモンの近くにいることもあって、分身に隠れていたダーテングの動きに気付くのが遅れた。

 得意の探知が動揺で崩され、隙が出来たミズゴロウさんに『でんこうせっか』で追撃をかけ、『リーフブレード』が叩き込まれる。万全の状態ならばカウンター出来るが、ここまで精神的にも肉体的にも崩されてはカウンターなど出来るものではなかった。

 

 おまけに、『リーフブレード』は急所に当たったようで、一気にミズゴロウさんの体力が1/3以下に持って行かれる。

 通常のバトルではあまり見られない自然を利用した動きだ。勿論、反則ではない。仮にヘラクロスの『メガホーン』で地面を割って、その岩が相手に当たっても反則にならないのと同じである。対応できない方が悪いのだ。

 

 ダーテングがとどめとばかりに、『シャドーボール』を撃ってくる。ミズゴロウさんは何とかかわそうとするが、体勢が悪くて避け切れない。

 避けるのが無理だとわかると、ミズゴロウさんは覚悟を決めてそのまま直撃を受けた。しかし、もう体力は限界である。どうやっても、続く『でんこうせっか』は受けきれない。

 

 ミズゴロウさんもこの状況からの逆転は無理と悟ったようで、最後の技として『どくどく』を撃ってきた。

 突っ込もうとするダーテングを猛毒状態にしていく。だが、返しの『でんこうせっか』でミズゴロウさんは戦闘不能になってしまった。

 

 倒れたミズゴロウさんを戻す。負けてしまったが十分な働きだった。勝ち抜き戦である以上、猛毒は致命傷だ。こちらは、二体目としてジュプトルを出していく。

 

 ジュプトルも、ライバルを倒したダーテングに敵意剥きだしである。ここで負ければ、ジュプトルもミズゴロウさんに顔向けできないということもあってガチだ。

 ダーテングの『でんこうせっか』を当然のように回避していく。ミズゴロウさんでは速度的に無理だが、ジュプトルならば回避できる。続く、『シャドーボール』も、『リーフブレード』で切り裂いた。

 

 遠距離攻撃は通じない。おまけに、猛毒によるダメージも限界に近かった。こうなれば接近戦だと、『リーフブレード』でダーテングが勝負を仕掛けてくる。

 ジュプトルも、『リーフブレード』を構えた。

 ダーテングの一撃に合わせて腕を振っていく。威力はほぼ互角だった。ここでジュプトルは相手の猛毒を生かす考えに移ったようで、相手の刃を受けるのではなく、受け流すことで攻撃を防ぎ、時間を稼ぐことにシフトしている。

 

 しばらくすると、猛毒でダーテングが倒れた。

 

 勝利と同時に、ジュプトルの体が光る。進化だ。しかし、これはミズゴロウさんの勝利だと言わんばかりに、ジュプトルはこの場での進化を拒否した。なかなか仲間思いな奴である。

 

 ウコンは二体目としてフシギバナを出してきた。

 

 またしてもくさタイプ同士のバトルか。フシギバナはくさの他にどくタイプも持っているので、むしタイプの技は等倍になっている。

 今のジュプトルで相性の有利な技はなさそうだ。

 こうなると、スピードを生かして手数で押していくしかない。ジュプトルもそう考えたようで、『シザークロス』でダメージを稼ごうとしていた。

 

 しかし、『つるのむち』を巧みに使って攻撃を防いでいく。俺のフシギダネもそうだが、四足歩行であるフシギダネ系列のポケモンにとって、『つるのむち』は手足も同然だ。

 技としての威力は低いが、相手の攻撃をいなすには十分なようで、こちらの攻撃を捌くように、鞭をしならせて対応してくる。逆にこちらを拘束しようともしてくるので、なかなかに油断ならなかった。

 

 ジュプトルのスピードを見ているからこそ、ウコンは迂闊にフシギバナに遠距離攻撃をしないようにアドバイスしている。

 とはいえ、こちらも覚えている技はほぼ接近戦のみということもあって、殴り倒す以外の選択肢はない。ジュプトルもさらにスピードを上げて的を絞れなくしていた。

 

 先程以上の速度で近づくジュプトルは流石に捕まえられないようで、『シザークロス』がフシギバナに直撃する。

 しかし、フシギバナもされるがままではなかった。俺も動き回るジュプトルに合わせて動いていたので気付くのが少し遅れたが、何やら周囲に甘い匂いが漂っている。

 

 匂いを嗅いだジュプトルの動きが悪くなった。『あまいかおり』だ。ゲームでは回避率を二段階下げる技だが、この世界では匂いに気を取られて動きが悪くなるらしい。

 フシギバナはその一瞬の隙を見逃さなかった。

 動きが悪くなったジュプトルを『つるのむち』で捕えると、そのまま『のしかかり』で動きを封じていく。まずい、麻痺になったら終わりだ。

 

 自慢の『リーフブレード』や『シザークロス』で鞭を切って脱出しようとするも、鞭もかなりの強度でなかなか斬り切れない。

 こうなればと、ジュプトルが口から何かをフシギバナにぶつけた。『タネマシンガン』だ。どうやらいつの間にか覚えていたようで、顎に攻撃を受けたフシギバナに少し隙が出来る。

 

 鞭が緩んだその瞬間、『リーフブレード』で『つるのむち』を切り裂き、『のしかかり』中のフシギバナを『シザークロス』で押し返した。

 フシギバナが真後ろにひっくり返る。

 フシギバナも四足歩行タイプ故に、起き上がるには隙が出来るはずだ。再びの『シザークロス』で一気にダメージを与えていく。

 

 しかし、ジュプトルが近づいた瞬間、フシギバナは『つるのむち』を木々に結び付けて反動で無理矢理に体を起こした。そのまま『シザークロス』の直撃を受けつつ、『のしかかり』で再びジュプトルにダメージを与えていく。

 こちらの攻撃にタイミングを合わせられたことによって、再び『のしかかり』の直撃を受けた。おまけに、今度は麻痺したようで、なかなかジュプトルが『のしかかり』から抜け出せずにいる。

 

 不一致の等倍とはいえ、『シザークロス』を三発も入れた以上、フシギバナも体力は半分を切っているはずだ。

 しかし、こちらも『のしかかり』を二回受けた上、麻痺も貰っている。体力的には勝っているだろうが、状況は有利と言えなかった。

 

 フシギバナは最後の技として、『ヘドロばくだん』を撃ってくる。くさ単タイプのジュプトルに、どく技は効果抜群だ。麻痺しているので毒になることはないが、タイプ一致のどく技である以上、もう二回もくらえば戦闘不能にされるだろう。

 ジュプトルも体が痺れて『のしかかり』の押さえつけから脱出できない。続けての『ヘドロばくだん』でジュプトルの体力がミリに追い込まれた――このままでは負ける。

 

 しかし、ジュプトルは最後まで諦めなかった。動けない間、両腕に太陽のエネルギーを貯めていたようで、最後の技である『ソーラーブレード』で無理やりフシギバナを吹っ飛ばしていく。

 とはいえ、フシギバナにくさ技は1/4ダメージだ。いくら、『しんりょく』の特性で火力が上がっているとはいえ、あくまで脱出のための技に過ぎない。

 

 フシギバナの体力を削り切るには、残り『シザークロス』二回――それが俺の目測だった。対してジュプトルは『つるのむち』の一撃を受けてもアウトである。

 

 向かってくる『つるのむち』をかわしながら、ジュプトルが距離を詰めていく。

 とても麻痺しているとは思えないスピードでジュプトルが『シザークロス』の一撃をお見舞いしていく。足りない攻撃力は勢いで補おうという狙いのようで、飛び込むように全力の『シザークロス』でフシギバナにお見舞いしていた。

 

 倒れない。ミリ足りない――そう考える俺だが、現実はフシギバナが戦闘不能になっていた。

 どうやら、急所に当たったようで、フシギバナを倒し切ったらしい。だが、ジュプトルもまた膝を付いていた。全ての力を使い切ったようで、もう立つことも出来ずにいる。

 

 しかし、勝利の報酬は再び賜れた。

 

 フシギバナを倒したことで、今度こそジュプトルはジュカインに進化したのだ。同時に、ジュカインをボールに戻す。

 進化したとはいえ、もう体力も限界で立つことも出来ない。おまけに麻痺していては、相手に一撃も与えることは出来ないだろう。

 

 ならば、無駄に戦わせる必要はない。

 

 ウコンも頷いているので、残りは一体ずつ――最後の一体として、ウコンはネンドールを、俺はフライゴン先輩を送り出した。

 

 ウコンはネンドールの背に飛び乗ると、場所を移そうと言わんばかりに『テレポート』で消えていく。

 こちらもフライゴン先輩の背に乗って、上空からネンドールを探すことにした。波動で居場所を探知すると、どうやら砂浜にいるようで上空から『りゅうのはどう』で攻撃を仕掛けていく。

 

 しかし、ネンドールは『テレポート』で攻撃を回避していった。『テレポート』を移動系に使うタイプのポケモンの相手はクッソ面倒くさいな。

 そのまま地面に降り立つと、ネンドールは『サイコキネシス』で攻撃を仕掛けてきた。どうやら、俺も一緒に狙っているようで、俺をフライゴン先輩の背中から引きはがそうとしている。

 

 成程、トレーナーとポケモンの距離が半径五メートルというルールである以上、相手の攻撃で俺がフライゴン先輩から引き離されても負けということか。

 

 ――舐めんな。

 

 ニューサトシの波動は、こういう技の防御にも使えんだよ。波動を鎧のように体に纏うことで、サイコキネシスの操作を妨害していく。

 フライゴン先輩もダメージを受けていたが、俺が技を妨害すると同時に体の自由を取り戻したようだった。そのまま一気にネンドールの元へ突撃する。

 

 まさかサイキネを生身で無効化されるとは思わなかったようで、ウコンもネンドールも驚いたような顔をしていた。

 我ながら半分人間止めている自覚はあるが、全ては波動の賜物だ。文句があるなら、俺の波動の力を完全に目覚めさせてしまったルカリオに言ってくれ。

 

 フライゴン先輩がネンドールに向かって『ドラゴンダイブ』を発動する。『サイコキネシス』を邪魔しないようにウコンはネンドールから降りていたこともあって、『テレポート』は間に合わない。

 下手にネンドールだけで『テレポート』すれば、半径五メートルの制限を破りかねなかった。ネンドールは咄嗟に『こうそくスピン』で砂を巻き上げて目隠ししている。ウコンも巻き込まれたが、それよりも接近するフライゴン先輩を止めようとしたのだろう。

 

 だが、それは悪手だ。

 

 フライゴンは砂漠の精霊とまで呼ばれるポケモンで、砂嵐の中を良く飛行している。目についている赤いカバーが砂などから目を守っているのだ。

 当然、砂嵐なんかで怯むはずがなく、そのままネンドールに『ドラゴンダイブ』を直撃させる。上空からの勢いがついた一撃は通常よりも多くのダメージを与えたはずだ。

 

 普通なら背中に乗っているトレーナーにもダメージが行きかねない危険な攻撃だが、フライゴン先輩はニューサトシなら何とかしてくれると信頼して、この高速の一撃を仕掛けたのだろう。

 実際、ニューサトシは無傷である。マサラ式肉体言語術を極める際に行った過酷な修行に比べれば、波動がある分温いと言っていい。俺にダメージを与えたいなら、溶岩でも持ってきな。

 

 続けて、フライゴン先輩がネンドールを抑えつけたまま『ドラゴンクロー』を発動させている。

 ゼロ距離からのタイプ一致『ドラゴンクロー』は、大ダメージを与えただろう。連続ドラゴン技でネンドールの表情が歪む。

 

 しかし、ネンドールもされるがままではなかった。『こうそくスピン』でフライゴン先輩を弾くと、ウコンと合流して再び『テレポート』で距離を取っていく。

 

 無駄だ――どこに隠れようと、波動ですぐに見つけられる。森の中に隠れているのは一瞬でわかった。

 上空からの『りゅうのはどう』で追撃をかける。まさか、森の中に隠れていてこんなに早く見つかるとは思わなかったようで、慌てた様子が伝わってきた。

 

 どうも、休んで体力を回復させるつもりだったようだがそうはいかない。先程の一連のバトルで、ネンドールももう残り体力が1/3ちょっとくらいしか残っていないのはわかっている。

 

 悪いが、一気に決めさせて貰うぜ。

 

 ネンドールが再び『サイコキネシス』を仕掛けてきたので、こちらも最後の技である『ほのおのうず』で動きを止めていく。

 拘束技だが、追加効果の逃げることが出来なくなる――これが重要だ。『テレポート』での移動もこの技の範囲に入るので、逃げることが出来なくなってしまうのだ。

 

 とはいえ、『こうそくスピン』で脱出が可能なので、ネンドールは逃げることが出来る。しかし、今回は別だ。

 先程の反省を生かして、ネンドールは背中にウコンを乗せている。そんな状況で『こうそくスピン』など使えば、ウコンはひき肉になってもおかしくなかった。かといって、降りようにも辺り一面はほのおのうずで足の踏み場もなくなっている。

 

 こちらも『サイコキネシス』の直撃でかなりのダメージを受けるが、代わりに相手の動きを封じられたのであれば安いものだった。

 相手のサイキネを受けきると、『りゅうのはどう』でとどめを刺しに行く。だが、ここでネンドールも腹を決めたようで最後の技である『はかいこうせん』を撃ってきた。

 

 流石に『りゅうのはどう』で『はかいこうせん』は受けきれず、貫通してダメージを受ける。予想外の一撃に墜落しかけたが、何とかバランスを取って立て直していた。

 

 しかし、これでネンドールは反動で少しの間動けない。今度こそ、『りゅうのはどう』で戦闘不能に持って行く。

 だが、ネンドールはこの一撃をギリギリで耐えた。馬鹿な、先程までの体力なら戦闘不能に出来たはず――と、そこでネンドールの辺りの樹にオレンの実が生っているのが視界に入る。

 

 そうか、これを食べて体力を回復させたのか。今回のバトルでは、フィールド内であれば何をしても良いルールになっている。

 勿論、傷薬などのアイテムの使用は厳禁だ。そこは全ての施設共通なのであまり気にしていなかったが、普段きのみを使うトレーナーがいないのできのみを食べるのは禁止していなかった。もっと詳しくルールを確認――いや、違うな。

 

 見れば、ウコンもネンドールが攻撃を耐えたことに驚いている。どう見ても、オレンの実がポケモンの体力を回復させることに気付いていなかった。おそらく、この世界ではまだきのみの効果が常識になっていないのだろう。

 思えば、オレンのみが導入されたのはゲームでいうルビサファからだった。アニメでも、きのみに関する話が出て来るのはもっと後だったはずだ。つまり、体を休ませるために適当にきのみを食べた結果、偶然そういう状況になってしまったと見るべきだろう。

 

 だが、確定数がずらされたことで、ネンドールは続けて『はかいこうせん』を続けて撃ってきた。こちらの体力も『サイコキネシス』二回(うち一回は中断)、『こうそくスピン』一回、『はかいこうせん』一回(軽減)でそこそこ削られている。

 体力にして1/3ちょっとと言った所か。

 少し心許ない。『はかいこうせん』の直撃を受ければ、ワンチャン削られ切ってもおかしくなかった。ゲームで言うなら、乱数一発と言った所だ。

 

 耐えれば、『ほのおのうず』の継続ダメージでネンドールは戦闘不能になる。ウコンとしても、ここが勝負所と見てネンドールを応援していた。

 しかし、フライゴン先輩は単純に攻撃を受けるつもりなどないようで、相手の『はかいこうせん』に合わせて、急上昇し、攻撃をかわしていく。放っておけば、相手は『ほのおのうず』の継続ダメージで倒れるのがわかったのだろう。

 

 少しでも負ける可能性がある勝負に応じるつもりはないという、ニューサトシだったらこういう指示をするというのを読んだ動きだった。

 

 実際、継続ダメージは厄介だ。『ほのおのうず』の継続ダメージは1/8なので、2ターンで1/4、4ターンもすれば体力の1/2のダメージが削られる。

 既に、『ほのおのうず』の継続ダメージは2ターン分与えられていた。1/4のダメージだ。『はかいこうせん』後にくる追加のダメージは、体力ギリギリのネンドールには、とても耐えられるダメージではない。

 

 ネンドールの『はかいこうせん』は外れたが、反動が消える訳ではないので動けなくなる。その間に発生する『ほのおのうず』の継続ダメージがネンドールの体力を削って勝負は終わった。

 まぁ、そうでなくても、オレンの実を食べていなければ、『りゅうのはどう』の段階で戦闘不能になっていたはずだ。勝敗は変わらなかった。

 

 しかし、技の指示なしというのはなかなか面白いルールだったな。俺が指示していれば、もっと別の動きもあっただろうが、ポケモン達の技のチョイスに殆どミスはなかった。

 勿論、細かい所を言うのであれば、ミズゴロウさんはもっと早めに『どくどく』を使うべきだったし、ジュカイン――いや、ジュプトルも補助技を使えばもっと楽にフシギバナ相手と戦えた。フライゴン先輩ももっと早く『ほのおのうず』で『テレポート』を封じればかなり余裕に戦えていただろう。

 

 とはいえ、それはトレーナーである俺が指示した場合の話だ。ポケモン達は戦いながら最善を探って技を出していたし、ほぼ見ていただけの俺に文句をいう資格はない。

 

 ウコンから、勝利の証であるスピリットシンボルを渡される。これで残りは二つだ。相手もしっかり覚えている。タワータイクーンのリラと、ピラミッドキングのジンダイだ。

 AG編の大体がうろ覚えなニューサトシだが、リラとジンダイだけは良く覚えていた。リラはポケモンと会話しなくても戦えるというエスパーみたいな奴で、ジンダイはレジ三兄弟の使い手である。

 

 特にジンダイ――奴はサトシ君が何回も負けてようやく勝てた最強の相手と言っていい。今から戦うのが楽しみだぜ。

 

 

 




 原作との変化点。

・第163話『ジュカイン! 復活の夜明け!!』より、不調になっていないので内容がカットされた。
 即バトルである。

・第164話『激闘! バトルパレスでジャングルバトル!』より、技の指示なしバトルをすることになった。
 ポケスペ参照。

・ニューサトシ専用ルール、ポケモンの半径5メートル以内から離れたら負け。
 トレーナーもダメージを受けかねない過酷なルール。ウコン自身も適用している。

・ジュプトルが進化した。
 これで真のスピードスターとなった。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.63

 ピジョット Lv.59

 バタフリー Lv.59

 ドサイドン Lv.62

 フシギダネ Lv.59

 リザードン Lv.63

 カメックス Lv.59

 キングラー Lv.59

 カモネギ  Lv.59

 エビワラー Lv.59

 ゲンガー  Lv.61

 オコリザル Lv.58

 イーブイ  Lv.58

 ベトベトン Lv.58

 ジバコイル Lv.59

 ケンタロス Lv.58

 ヤドラン  Lv.58

 ハッサム  Lv.60

 トゲキッス Lv.58

 プテラ   Lv.59

 ラプラス  Lv.58

 ミュウツー Lv.75

 バリヤード Lv.59

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.57

 カビゴン  Lv.57

 ニョロトノ Lv.57

 ヘラクロス Lv.56

 メガニウム Lv.56

 マグマラシ Lv.56

 ラティアス Lv.51

 ヘルガー  Lv.56

 ワニノコ  Lv.55

 ヨルノズク(色違い) Lv.55

 カイロス(部分色違い) Lv.56

 ウソッキー Lv.55

 バンギラス Lv.61

 ドンファン Lv.54

 ギャラドス(色違い) Lv.53

 ミロカロス Lv.47

 ミズゴロウ Lv.49→50

 オオスバメ Lv.49

 ジュプトル→ジュカイン Lv.49→50

 ヘイガニ  Lv.48

 フライゴン Lv.54→55

 コータス  Lv.48

 ラルトス(色違い) Lv.30

 オニゴーリ Lv.47

 ワカシャモ Lv.43

 タマゴ   中から音が聞こえてくる! もうすぐ生まれそう!


 ネンドールの特性ふゆうをこってり忘れていました。じしんをドラゴンクローに、すなじごくをほのおのうずに変更しました。
 また、きのみをオレンのみに修正しました。ご指摘ありがとうございました。




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#164 『赤い稲妻が僕を責める』

 13歳 β月χ日 『とっしんだ!!』

 

 イーブイからかなり遅れて、ようやくニューサトシのタマゴが孵った。生まれてきたのは予想通りにダンバルである。

 おまけに、ダイゴさんのメタグロス同様に、色違いのダンバルだった。色違いポケモンのタマゴでも、色違いが生まれる確率は通常と変わらないはずだが、これは嬉しいサプライズだ。

 

 ダンバルは何というか、物静かな性格だった。喜怒哀楽が表情に出にくいタイプのようで反応が薄い。

 しかし、それでも可愛いベイビーちゃんであることに変わりはなかった。よーく見ると、こちらが生まれてきたのを祝福しているのを聞いて喜んでいるようにも見えなくもない。いや、見た目にわかりにくいだけで、きっと喜んでくれているはずだ。

 

 こちらはラティが新しいベイビーの誕生に大喜びしていた。ミロカロスの時、同様にいいお姉ちゃんをしてくれそうである。

 

 

 

 13歳 β月ψ日 『赤い稲妻が僕を責める』

 

 バトルタワーを目指している途中、コダモシティという街に寄ることになったのだが、この街では赤い稲妻を名乗る謎のポケモンが次々とトレーナーに勝負を挑んで、負けたポケモンの顔に落書きをしていくという事件が起きていた。

 まるでプリンさんやな――と、ツッコミを入れていると、俺達の元にも赤い稲妻らしきポケモンが現れたので、ニューサトシがバトルを引き受ける。

 

 どうもシルエット的に、ハッサムのようだった。バトルパレス後に、ポケモンをチェンジして丁度こちらもハッサムを手持ちに入れていたので、ハッサムでお相手していく。

 強いことは強いが、トレーナーがいないのでは話にならない。とりあえず、『インファイト』でオラオラしてボコボコにしてやった。むしタイプが入っているのでダメージは等倍だが、連続で『インファイト』を受ければ耐えられはしないだろう。

 

 そのまま、赤い稲妻をボコってトレーナーの元へ連れて行って貰うことにした。どうも、高層ビルの屋上にあるお屋敷が赤い稲妻の住処らしい。

 ノックもなしにドアを開けてダイナミックエントリーすると、そこの娘であるルナがボコボコにされたハッサムを見て飛び出してきた。自分のハッサムになんてことをする――と、文句を言ってきたので、「やっていいのは、やられる覚悟のある奴だけだ」と、かの黒の騎士団総帥のセリフをお借りする。

 

 すると、ルナも自分が今までポケモン達を傷つけて遊んできたことに気付いたようで何も言えなくなってしまった。

 

 詳しい話を聞くと、両親が仕事の関係でいつも家におらず、その寂しさを紛らわせるための犯行だったらしい。

 ニューサトシはママさんが家にいるので、そこまで気持ちをわかってやれないが、ハルカは何となく気持ちが理解できたようだ。珍しく、自分からルナにバトルを申し込んでいる。

 

 どうやら、バトルを通じてルナにポケモンバトルの楽しさを理解して貰いたいようだった。

 捕まえてからまだ一度もバトルをさせていないエレキッドで勝負を仕掛けていく。小細工はなしの真正面からのぶつかり合いだ。

 

 序盤はルナが有利にバトルを進めていた。しかし、諦めないハルカの姿が眩しく映ったのか、段々とポケモンバトルの楽しさが理解できて来たようである。

 最終的にはハルカがこれまでの経験を生かした立ち回りでルナを翻弄し、そのまま勝負を決めた。バトルに負けたルナだが、楽しかったのは間違いなかったようで、もう赤い稲妻は止めると宣言している。

 

 続けて、もっとバトルがしたいということだったので、ニューサトシが相手をすることにした。

 

 何故かタケシやハルカが心配するような視線を送っていたが、当然のように遠慮なくオラオラして泣かせている。

 子供だろうが、女だろうが、手加減しないのがニューサトシのモットーだ。もっと強くなったらまた相手してやるよ。

 

 

 追記。ルナが元気(?)になったお礼として、近くのアベリアタウンでポケモンコンテストが開かれることを、ハルカがルナの執事に教えて貰っていた。何故か、ニューサトシは睨まれていた。解せぬ。

 

 

 

 13歳 β月ω日 『ポケモンコンテスト アベリア大会』

 

 コンテストへの登録を終えると、新人コーディネーターを育成しているというユマという女に出会った。

 どうやらユマはかつてグランドフェスティバルに優勝したこともある実力者のようで、今は後進を育てることに力を入れているらしい。

 

 そんなユマにタケシがスカウトされていた。コンテストに参加してみないかと問われると、当然のように速攻でコンテストパスを発行して貰っている。

 まぁ、ユマは美人だし、こうなるのはわかりきっていた。予想外にライバルが増えたハルカだが、コンテスト素人とはいえタケシはベテラントレーナーだし、ポケモンブリーダーだけあってポケモンには詳しい。舐めていると痛い目を見るかもしれないな。

 

 どうも、今回のコンテストはハルカとタケシ以外の知り合いはいないようだった。いつもいるはずのムサシすらいない。

 思えば、前回のコンテストが終わってからロケット団は一度も顔を出していなかった。それだけ、ムサシのスランプは本格的にまずいのかもしれないな。

 

 一次審査では、ハルカがエレキッドで派手な演技を見せていた。どうも、前にピカ様が見せた演技をお手本にしているようで、電気の美しさを上手く表現している。

 対するタケシはジョーイさんを口説いていた。

 耳引っ張り役のマサトは観客席にいるのでどうしたものかと思っていると、リリアンが代わりにタケシの耳を引っ張ってくれている。面倒をかけて申し訳ない。

 

 いざタケシの番になると、ウソハチと共になかなか面白い演技を見せていた。野球のボールを使ってまるで巨人の星を思わせるような熱い演技を見せている。

 ハルカとは違って、技ではなく、そのポケモンが持っている一面を引き出すような演技だ。いつものウソハチを知っている人からすれば、あんな熱い一面があるとは思えない。会場の空気に乗せられているというものあるだろうが、タケシがそれを引き出しているのだ。

 

 当然、二人とも一次審査は余裕で勝ち抜いた。

 

 二次審査はハルカがイーブイ、タケシがヌマクローで挑戦している。二人とも初戦は問題なく勝ち抜き、ファイナルステージでぶつかり合うこととなった。

 最近はあまり戦う所を見る場面が少なくなってはいるが、タケシは元ジムリーダーだけあってバトルの腕前はチャンピオンリーグクラスだ。おまけに、ブリーダーをやっているだけあって、ポケモンの知識も豊富に持っている。

 

 特に、俺達のポケモンのお世話を毎日しているが故に、タケシはポケモン達の癖を大体把握していた。

 イーブイの訓練をずっと見ており、癖を読み切っている。慣れないコンテストバトルもセンスで上手くこなしていた。

 

 しかし、このまま負けるハルカではない。

 

 最後まで諦めないとばかりに、イーブイの新技である『あなをほる』で突破口を開いていく。

 イーブイが『あなをほる』を覚えたのは今日のことだ。いくらタケシでも、ほぼ初見の技に対応できず、反応が一歩遅れる。そこから流れを掴んだハルカの反撃は見事だった。

 

 バトル経験で負けている以上、無理に戦っても勝機はないと判断し、ポイント稼ぎに移行したのである。

 相手を倒すだけがコンテストバトルではないということだ。そのまま制限時間まで逃げ切り、ギリギリでハルカの勝利が決まった。

 

 表彰式では、初参加のエレキッドとイーブイが嬉しそうにリボンを見ている。これでようやく四つ目だ。グランドフェスティバルに参加するために必要なリボンは後一つだな。

 

 

 追記。表彰式の後、タケシがユマに弟子入りを申し込んでいたが、あれだけポケモンの魅力を引き出せるタケシに教えられることはないとバッサリ断られていた。代わりに、今回の大会で一次審査落ちした少女を弟子に取ったらしい。優秀過ぎるのも考え物だな――と、思っていると、タケシはもう二度とコンテストには出ないと血の涙を流していた。

 

 

 

 13歳 γ月α日 『いや、何もせんて』

 

 バトルタワーを目指していると、野生のムチュールと三体のルージュラを見つけた。

 どうもルージュラ三姉妹は、妹分のムチュールを守ろうとしているようでこちらに警戒心を見せている。とはいえ、別に無理にゲットする気はないのでスルーした。

 

 こおりタイプでも、ルージュラはあまり使われるイメージがないのは前世のせいだろうか?

 

 

 

 13歳 γ月β日 『バトルタワー VS リラ 前編』

 

 ようやくバトルタワーがあるシキミタウンに着いた。早速、バトルタワーに挑戦に行ったのだが、丁度リラは留守にしているらしい。

 仕方ないので、帰ってきたら連絡をくれと言付けをしてポケモンセンターへ向かうことにする。今回はどんなバトルになるかワクワクしていたのだが、ふと――前方から不思議な波動を感じ取った。波動感知を得てから会った人間の中で一番波動が優しい。見ると、件のリラらしき女がこちらに向かって歩いて来ていた。

 

 向こうもエニシダから俺の話を聞いていたようで、すぐに俺がマサラタウンのサトシだとわかったらしい。

 

 聞けば、天気がいいので、辺りを散歩していたとのことだ。まぁ、フロンティアブレーンも年中無休で戦っている訳じゃないし、たまには休みも必要だろう。

 俺が望むなら今すぐにでもバトルするということだったが、もうポケモンセンターも近いし、リラの都合に合わせると言うと、午後にバトルをしようということになった。

 

 そのままリラと一緒にポケモンセンターへ行くと、野生のゴーリキーの急患が運ばれてくる。パッと見だと怪我をしているようには見えない上、ゴーリキーは人を近づけさせまいとその場で暴れ回っていた。

 仕方ないので、ニューサトシが押さえつけてやろうと思ったが、リラがゴーリキーに近づくと、優しく言葉を語りかけていく。最初は暴れていたゴーリキーも次第に大人しくなり、リラの言うことを素直に聞いていた。

 

 どうも、リラにはポケモンの気持ちがわかるらしい。そういえば、ジョウトで会ったイエローも似たような能力を持っていたな。ポケスペ産の能力である。

 ちなみに、ニューサトシのマサラ式肉体言語術であるボディランゲージは、あくまでポケモンが伝えたいことを汲み取る技なので、相手に伝える意思がないと成立しない。リラやイエローみたいに無条件でわかるものではなかったりする。

 

すると、ピカ様が自分の気持ちを読み取って欲しいとリラに近づいていく。リラも、「君はサトシのことが大好きなんだね」と、すぐに気持ちを読み取っていた。

 その通りとばかりに、ピカ様が声をあげる。

 いやー、しかし、照れるな。俺もピカ様を大事な相棒だと思っている――そう思っていると、「サトシも君のことが大好きみたいだよ」と、心の中を読み取られてしまった。

 

「まさか、ポーカーフェイスの得能を持っているこの俺の心中を看破するとはな」

「サトシは感情が表情に出るから、すぐに何を考えてるかわかるよ」

 

 そういえば、カスミさんも前に似たようなことを言っていたような、いなかったような?

 まぁ、でもバレた所で恥ずかしい話ではない。リラは「少しは照れなよ」と笑っているが、俺とピカ様は無二の友情で繋がった相棒なのは間違いないのだ。

 

 とまぁ、そんなこんなでリラの特技を見せて貰っていたのだが、ここで生まれて間もないダンバルを出してみた。

 こいつは感情表現が少なく、何というかジュカインのようなロンリーを好む気質だ。俺もまた、それを尊重するようにしている。勿論、トレーナーを嫌っているという訳ではないとは思うが、リラに俺の育て方が間違っていないか見て欲しかったのである。

 

 リラはダンバルの頭に手を当てると、「サトシがちゃんとダンバルを見ているのは伝わってるよ」と教えてくれた。

 また、リラがダンバルに、「照れ屋さんみたいだけど、嬉しい時は嬉しいって言ってあげな」とアドバイスしている。本人も、少しもじもじしながらニューサトシに頭をこすりつけてきた。可愛い奴だぜ!

 

 そのまま午前中をのんびり過ごすと、ようやくリラとバトルする時間になった。一体、どんなルールで戦うのだろうと期待していると、リラは「そういえば、何も考えてなかった」と困った顔をしている。

 おいおい、ならフルバトルにするか?

 一応、フルバトルになってもいいように、しっかりメンバーは選出してきている。リラなら相手としても十分だろう。久しぶりにガチンコバトルといこうじゃねーか。

 

 しかし、リラはフルバトルをするのは疲れるのであまりしたくないらしい。逆に、ニューサトシにルールを決めてくれと振ってきたので、仕方なく3対3の入れ替え戦でレベル制限なしを決めた。

 とはいえ、このままでは普通のバトルになってしまう。ので、このバトルではトレーナーはポケモンに声をかけてはいけないというルールを新たに提案した。

 

 ウコンの時の、技の指示なしに近いが少し違う。あの時はポケモンに動きの指示は跳ばせた。声をかけられなくなると、ポケモンが困った時などに落ち着かせることすらできなくなる。

 だが、本当にポケモンと心を通わせているトレーナーなら問題ないはずだ。それに声を出すことを禁止しただけで、アイコンタクトやハンドサインなどは禁止にしていない。

 

 原作のリラは確か、集中すると声で指示をしなくてもバトルが出来るくらいに、気持ちをポケモンと通わせられたはずだ。向こうとしても、不利なルールではないだろう。

 

 リラはノータイムでOKを出してきた。やはり、自信があるらしい。まぁ、こちらも自信があるからこそ提案したので、そのままバトルへと突入していく。

 リラは一体目にフーディンを出してきた。

 こちらはピカ様を送り出していく。さっきは嬉しいことを言ってくれたし、俺のことを一番理解しているのはやはりピカ様だろう。声をかけなくても、以心伝心出来る自信はある。

 

 開幕、ピカ様は『ばちばちアクセル』でフーディンに先制していく。未だ、完成度は八割だが、急所に当たらなくても十分な威力の先制技と言っていいだろう。

 対するフーディンは一瞬リラの方を見た。

 リラもまだバトルに集中しきっていないから、自分の気持ちをフーディンに飛ばせないのだろう。しかし、ルールである以上、リラは口を開かない。代わりに、任せると言わんばかりに頷いていた。

 

 そのまま、フーディンは『サイコキネシス』でこちらに攻撃を仕掛けてくる。同時に、ピカ様は『かげぶんしん』で対象を絞らせなくしていた。

 流石はピカ様である。ここまではニューサトシの考えと全くズレがない。そのまま、分身を目くらましに『10まんボルト』で反撃しに行った。フーディンからすれば、どれが本物かわからず、攻撃も回避できずに『10まんボルト』が直撃する。

 

 フーディンは『じこさいせい』で体力を回復させようとした。しかし、迂闊である。相手の隙も作らず、堂々と回復技を使うなど、攻撃してくれと言っているようなものだ。

 当然、こちらは『10まんボルト』で追撃していく。流石に回復量の方が上なので回復されてしまったが、それでも追撃のおかげで回復量はかなり減っただろう。おまけに、追加効果の麻痺が入ったようでフーディンが苦しそうな表情をしていた。

 

 ここまでは、かなり有利に立ち回れている。

 しかし、すぐにフーディンの表情から険しさが抜けていく。見ると、リラがようやく集中状態に入ったようだった。

 

 その証拠に、これまで単調な攻撃しかしてこなかったフーディンが『テレポート』でピカ様の後ろを取ろうとしてくる。

 咄嗟に『かげぶんしん』で逃げに回るピカ様だが、リラはポケモンの気持ちがわかるという能力を利用して、本物のピカ様の位置を特定してきた。反撃の『サイコキネシス』が直撃してピカ様がダメージを受ける。

 

 しかし、その程度で戦闘不能になるほど軟な鍛え方はしていない。まだまだ戦えるぜと言わんばかりに、『ばちばちアクセル』で反撃していく。

 だが、リラに接近を読まれていたようで、フーディンに最後の技として『サイコフィールド』を使わせていた。これにより、場の状態が『サイコフィールド』なり、ひこうタイプや『ふゆう』などで浮いていない地面にいる全てのポケモンは先制技を受けなくなる。

 

 当然、『ばちばちアクセル』は先制技なので、効果が無効となりただのタックルになった。フーディンがそのまま無防備なピカ様を腕で拘束していく。

 追撃の『サイコキネシス』でピカ様がさらにダメージを受ける。おまけに『サイコフィールド』の効果で、エスパータイプの技は1.3倍になっていた。

 

 ピカ様も『10まんボルト』で反撃していくが、ダメージ的には五分五分だ。いや、『サイコフィールド』分、負けているかもしれない。

 お互いに残り体力は約1/3程だろう。

 しかし、運命の女神は俺達に微笑んだ。フーディンが麻痺の効果で一瞬硬直する。その間に、拘束を抜けたピカ様がとどめの『アイアンテール』をフーディンに決めた。

 

 リラが倒れたフーディンをボールに戻す。同時に、ピカ様も肩で息をしながら戻ってきた。

 正直、ピカ様がここまで消耗させられるとは思わなかったぜ。もし、序盤からリラの状態が完璧だったら負けていたのはこちらだったかもしれないな。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・ダンバルが生まれた。
 色違い。物静かだが、別に人嫌いではない。ちょっと照れ屋。

・第165話『ウソハチキングとマネネクイーン!?』より、ロケット団の罠にはまらなかったので内容がカットされた。
 不調のせいか、最近は現れない。

・第166話『摩天楼の赤いイナズマ!』より、ニューサトシがボコった。
 咲がずっと嶺上開花しながら麻雀って面白いねと言っているようなもの。

・第167話『大一番! ハルカVSタケシ』より、ムサシがコンテストに参加していなかった。
 裏では勝てなくなって、ムサシが「もうやーめた」と言っていたが、キレたコジロウがリーグやコンテストを頑張っているムサシへ本音をぶちまけている。

・第168話『ムチュールとルージュラ三姉妹!!』より、ニューサトシがスルーしたので内容がカットされた。
 基本的にニューサトシはわざわざ警戒しているポケモンに関わりに行かないので、内容が全てカットされた。

・第169話『タワータイクーン、リラ登場!』より、原作とは違った出会い方をした。
 原作ではウォーミングアップ中にスピアーに襲われた所をリラに助けられるが、ニューサトシがリラの波動に気付いて出会った。リラも無意識にニューサトシの波動を感じ取っているからこそ出会った。リラがポケモンの心を読むくだりはオリジナルのシナリオで補填している。

・リラにダンバルの心を見て貰った。
 おかげで、より仲良くなれた。可愛い奴だぜ!

・特別ルールをニューサトシが決めた。
 ただ一つ、声を出さない。アニメのリラの能力を覚えていたが故の挑戦。

・リラのサイキック能力を強化している。
 オリジナル設定。かげぶんしんには心がない。ので、心を持つ本体を一瞬で見抜ける。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.63

 ピジョット Lv.59

 バタフリー Lv.59

 ドサイドン Lv.62

 フシギダネ Lv.59

 リザードン Lv.63

 カメックス Lv.59

 キングラー Lv.59

 カモネギ  Lv.59

 エビワラー Lv.59

 ゲンガー  Lv.61

 オコリザル Lv.58

 イーブイ  Lv.58

 ベトベトン Lv.58

 ジバコイル Lv.59

 ケンタロス Lv.58

 ヤドラン  Lv.58

 ハッサム  Lv.60

 トゲキッス Lv.58

 プテラ   Lv.59

 ラプラス  Lv.58

 ミュウツー Lv.75

 バリヤード Lv.59

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.57

 カビゴン  Lv.57

 ニョロトノ Lv.57

 ヘラクロス Lv.56

 メガニウム Lv.56

 マグマラシ Lv.56

 ラティアス Lv.51

 ヘルガー  Lv.56

 ワニノコ  Lv.55

 ヨルノズク(色違い) Lv.55

 カイロス(部分色違い) Lv.56

 ウソッキー Lv.55

 バンギラス Lv.61

 ドンファン Lv.54

 ギャラドス(色違い) Lv.53

 ミロカロス Lv.47

 ミズゴロウ Lv.50

 オオスバメ Lv.49

 ジュカイン Lv.50

 ヘイガニ  Lv.48

 フライゴン Lv.55

 コータス  Lv.48

 ラルトス(色違い) Lv.30

 オニゴーリ Lv.47

 ワカシャモ Lv.43

 タマゴ→ダンバル(色違い) Lv.1 NEW!


 シンクロで麻痺すると勘違いしていました。麻痺に関しての記述を修正しました。




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#165 『構うな、戦え!!』

 13歳 γ月β日 『バトルタワー VS リラ 後編』

 

 リラは二体目として、メタグロスを出してきた。対するこちらはリザードンである。やはり、心を通わせたという意味では、こいつの右に出るものはいないだろう。

 相性的にも有利なので、序盤はきずな現象なしで攻めていくことにした。この一年、リザードンはオーキド研究所で通常状態で自身を鍛え直していたのだ。ホウエンでのガチ戦の途中、俺がナギに負けたせいできずな化させてしまったが、今回はこいつの意図を汲み取ってバトルしていくつもりである。

 

 気持ちは合わせつつ、きずな化はしないレベルでシンクロしていく。リラも、こちらとリザードンが気持ちを一つにしたことに気付いたようで嬉しそうな笑みを浮かべている。

 ピカ様の時は経験則でのバトルだった。

 公式戦以外の野良バトルを含めると、ポケモンの使用率はピカ様がナンバー1だ。一度も旅から離れたことがない以上、ピカ様以上に俺の指示を受けたことがあるポケモンはいない。だからこそ、ピカ様は俺ならこういう指示をするだろうと考えてバトルしていた。

 

 実際、動きは全て合っている。

 

 いわば、時間が作った信頼が現れたバトルだ。しかし、今回は違う――俺達は言わば、リラと同じ世界で戦うことになる。

 言葉は必要なく、心を一つにすることで、気持ちを共有していくバトル――何故、俺が今回こういうバトルを提案したかの全てはここに詰まっていた。

 

 バトル再開と共に、リザードンが『かえんほうしゃ』を撃つ。同時に、メタグロスも『サイコキネシス』でこちらの炎を弾いていく。

 割とガチ目の攻撃だったが防がれたな。『サイコフィールド』が張られているので、エスパータイプの技は1.3倍になっているのだ。

 

 続けて、『ブラストバーン』の構えを取ると、向こうも『はかいこうせん』を撃ってくる。しかし、タイプ不一致ということもあって、こちらの方が押していた。

 そのまま、『はかいこうせん』を突き破って、メタグロスにダメージを与えていく。互いに反動で少しの間動けなくなるが、先制のダメージはこちらが頂いた。

 

 とはいえ、威力の大半は相殺されている。

 

 ほのおタイプの技ははがねタイプに効果抜群だが、実際には『ひのこ』を直撃させたレベルのダメージだ。メタグロスも、まだまだ余裕の表情を見せている。

 

 だが、先制したのは間違いない。このまま一気に流れを掴むために、空中戦に移動していく。

 メタグロスは飛行が可能なタイプのポケモンだが、『ふゆう』の特性を持っている訳ではないので、ひこうタイプのような機敏な動きは出来ない。こちらが得意なスピード勝負に持ち込んでアドバンテージを稼いでいこう。

 

 上下右左と、メタグロスの周りを高速で移動していく。しかし、メタグロスは落ち着いていた。トレーナーであるリラを信じ切っているのだろう。

 何度も揺さぶりをかけていくが不動である。

 思えば、生まれたばかりの俺のダンバルも、こんなタイプだ。はがねタイプ――と、いうか、メタグロス系列はポーカーフェイスタイプが多いのかもしれない。

 

 リラも視線がリザードンから外れなかった。こちらがどう動こうとも対応できるように、タイミングを計っているのだろう。

 下手に隙を見つけるのは無理と判断し、先に仕掛けて行くことにした。リザードンが『ほのおのパンチ』で接近していく。メタグロスもまた、『かみなりパンチ』で迎撃してきた。タイプ不一致だが、近接の攻撃力は向こうの方が高いようで、威力的にはほぼ五分の状況である。

 

 直撃こそないものの、お互いにダメージを受けた。その勢いでメタグロスが地面に落下していく。

このまま、一気に『フレアドライブ』で攻め切ってやる――と、こちらが考えるのと同時、ここでリラが勝負をかけてきた。

 

 フーディンの使った『サイコフィールド』が残っているうちに勝負を決めるつもりのようで、メタグロスが最後の技として、『ワイドフォース』を使ってくる。

 この『ワイドフォース』という技は、場の状態が『サイコフィールド』で自分がひこうタイプや特性ふゆうなどではなく地面にいる時、威力が1.5倍になり、相手全体を攻撃するという大技だ。

 

 条件を満たすために、メタグロスはわざと地上に降りていったのか。おまけに、『サイコフィールド』の効果で、威力はさらに1.3倍になる。

 元の威力は80だが、タイプ一致で120、技の効果で180、場の効果で234の高火力全体攻撃に変化するのだ。咄嗟に、きずな化して『ブラスターバースト』することを視野に入れる。

 

 だが、リザードンはそれを拒否した。

 

 負けそうになったらすぐにきずな化するという行為を取りたくなかったのだろう。現在の自分で限界まで戦いたいという気持ちが伝わってきた。

 しかし、その意思の違いが一瞬の隙となり、リザードンに攻撃が直撃する。しまった――『まもる』で防ぐことも出来たのだ。俺がきずな化に甘えたせいで、防御が間に合わなかった。

 

 高火力技の直撃でリザードンの体力が一気に削られる。残り体力はもう1/3もないだろう。

 だが、『サイコフィールド』は消えた。これでもう『ワイドフォース』は威力80の通常技に戻ったと言っていい。とはいえ、このダメージは安くなかった。

 

 対するメタグロスはまだ体力が半分以上余裕である。相性的には有利でも、ダメージはこちらの方が大きい。

 普通なら戻すことを考慮に入れる場面――しかし、戻すつもりはなかった。俺は、俺達は、互いを信じている。メタグロスを倒すことが出来るというのは共通認識だった。

 

 リザードンが再びメタグロスの周りを飛び回る。

 

 当然、それでかく乱できないのは先程の流れで証明済みだ。なので、そのまま『かえんほうしゃ』を撃って、疑似的な『ほのおのうず』を作っていく。

 メタグロスが一瞬、『サイコキネシス』を撃とうとするが、すぐに動きを止めた。リラも、『かえんほうしゃ』で作った炎の渦が直撃コースじゃないことに気付いたのだろう。

 

 コンテストの応用で思いついたこの疑似的な『ほのおのうず』は、メタグロスに向かってゆっくりと進んでいく。リラも、まさか技をこんな風に応用してくるとは思わなかったようで警戒心をあらわにしている。

 とはいえ、本物の『ほのおのうず』ではないので、拘束効果も、交代禁止効果もなかった。『サイコキネシス』で弾き飛ばせば、特にダメージも受けないだろう。これだけなら、宴会芸にしかならない。そんな意味のない応用技だ。

 

 だが、狙いは別にあった。

 

 リラは勿論、メタグロスも疑似的な炎の渦に視線が集中している。そのせいで、一瞬リザードンから意識が逸れていた。

 まさか、この大事な場面で全く意味のない技を使ってくるとは普通考えないだろう。リラもメタグロスも、この『かえんほうしゃ』で作った炎の渦には、何か意味があると深読みするはずだ。

 

 だが、実際には何の意味もない。

 ただただ、無意味なだけの技だ。

 

 しかし、リラとメタグロスはそう考えない。その深読みが、隙を作るきっかけになるのだ。実力がある奴程、こういうフェイントに引っかかりやすい。

 

 リザードンはその隙を突いて、一気にメタグロスへ突撃していく。最後の技である『フレアドライブ』を発動させ、上空からメタグロスへダイブした。

 真正面から行けば、『サイコキネシス』や『はかいこうせん』で迎撃されかねない。だからこそ、無意味な技で意識を反らした。リラもすぐにリザードンに気付いたようだが、人間が反応して対応策を考える以上の早さでリザードンの攻撃が決まる。

 

 しかし、メタグロスもされるがままではなかった。上から抑えられながらも、『サイコキネシス』でとどめを刺そうとしてくる。

 リザードンの体力は、『フレアドライブ』の反動でミリだ。『サイコキネシス』でも『ワイドフォース』でも当たれば倒れるだろう。

 

 だが、まだ俺のターンだ。

 

 相手の攻撃に合わせて、『ほのおのパンチ』をボディに打ち付けて集中を阻害していく。

 前にもどこかで書いたが、『サイコキネシス』などのエスパー技は、強力な分、集中力が必要になる。その集中を阻害してやれば、技は不発になるのだ。

 

 これでダメージはほぼ五分。お互いに後一発で倒せる盤面――リラは『かみなりパンチ』を指示したようだった。エスパー技は今のように集中を阻害され、『はかいこうせん』は発射までに少しタメがいる。

 だからこその近接攻撃なのだろう。しかし、体勢が悪かった。地面に叩きつけられているメタグロスが腕を振り上げるよりも、リザードンがとどめを刺す方が早い。

 

 最後の『ほのおのパンチ』でメタグロスを戦闘不能に持って行った。もっと早くこの状況に持って行きたかったが、中盤俺の甘えが無駄にリザードンを傷つけてしまったな。

 

 しかし、これで3対1という状況になった。

 

 リザードンを戻す。体力ミリな以上、少しでも体力を回復させてほしい場面だ。一撃でも耐えてくれれば戦いようはあるが、一撃も耐えられないのでは戦いようがない。

 

 リラは最後の一体として、エーフィを出してきた。こちらも、最後の一体であるバタフリーを送り出していく。

 ピカ様、リザードンと来て、まさかのバタフリーである。誰も想像できなかっただろう。だが、こいつもまた、立派なニューサトシ古株勢の一人である。特に、コンテストの練習で阿吽の呼吸を覚えたこいつなら、他の連中よりもこのバトルに適していると判断した。

 

 とはいえ、流石にバタフリーでは、ピカ様のように俺の考えをトレースしたり、リザードンのようにシンクロしたりすることは出来ないので、こまめなアイコンタクトとサインを送っていく。

 シンクロという意味ならミュウツーもアリだったが、リザードンと違ってきずな化は安定していないし、勝手に暴れるだけで勝っても経験にならないからな。

 

 エーフィの通常特性は、状態異常になった時に同じ状態異常を相手にも与える『シンクロ』だ。夢特性は、変化技を跳ね返す『マジックコート』と同じ効果の『マジックミラー』である。

 どちらも強力な特性だ。

 こちらが状態異常に甘えて粉技を使えば、それらは全て自分に跳ね返ってくるということである。迂闊に変化技は使えないということで、ここは相性を最大限に利用してごり押ししていく。

 

 バタフリーに『むしのさざめき』のサインを送る。正確には、むし技高火力というサインだ。

 しかし、バタフリーはすぐに『むしのさざめき』を撃った。長い付き合いだけあって、すぐに言いたいことは理解してくれる。

 

 だが、リラとエーフィのコンビはその上を行っていた。バタフリーの『むしのさざめき』を放たれるギリギリで回避に移っている。

 リラの気持ちがエーフィに伝わる速度が速すぎるが故に、回避もワンテンポ早くなり、モーションを先読みして回避を可能としていた。フーディンやメタグロスとは年季が違うと言いた気だな。

 

 しかし、こちらもされるがままでいるほど優しくはない。もし、エーフィの特性が『マジックコート』だったとしても、相手に影響を及ぼさない技なら問題ないだろう。

 バタフリーが得意の『ちょうのまい』を披露していく。特攻、特防、素早が一段階上がるという強技だ。相手の動きが早いなら、ステータスを上げて追いついてやるぜ。

 

 だが、リラも対応が早い。『じこあんじ』でこちらが強化した分、エーフィのステータスを上げてきた。

 これではステータスを上げるだけ不利になる。万が一、ステ最大まで上げたバタフリーが倒されでもしたら、後ろのピカ様とリザードンは最大バフをコピーしたエーフィと戦うことになるのだ。もう体力が少ない二体にしてみればたまったものではないだろう。

 

 ならばと、バタフリーは『おいかぜ』で少しの間、自身の素早を二倍にしてきた。

 成程、考えたな。風によるバフは、『じこあんじ』でもコピーできない。これなら相手の上を取れる。

 

 素早でエーフィを上回ったバタフリーが、再び『むしのさざめき』で攻撃していく。

 エーフィも『サイコキネシス』で、こちらの攻撃を跳ね返そうとしてきたが、どうやら威力はほぼ互角らしく反らすのが限界のようだった。

 

 リラが驚いたような顔をしている。

 

 どうやら技の威力に自信があったようで、エーフィのサイキネで押し切れないとは思わなかったようだ。

 おいおい、そりゃ俺のバタフリーを舐め過ぎだろう。この三年間、こいつもまた古株として死ぬほど努力していたのだ。種族値がそこまで高くなくてもちゃんと強くなってんだよ。

 

 とはいえ、エーフィの強さもなかなかのものだ。

 

 出来れば、『おいかぜ』が生きているうちに流れを掴みたい。と、すると、単発ではなく、連打だな。『エアスラッシュ』で怯ませて、ダメージを稼いでいきたい。

 再びバタフリーにサインを送る。

 複眼だから視野が広く、しっかりとサインを受け取ってくれたようだ。出した指示は、ひこう技連打である。それだけで理解したようで、『エアスラッシュ』を連打していく。

 

 流石のエーフィも『おいかぜ』で加速しているバタフリーの細かいエアスラは避け切れないようで攻撃がヒットしていた。

 しかし、バタフリーの特性は『てんのめぐみ』ではないので、怯み率は三割しかない。トゲ様のように動きを止め続けるというのは無理なようでエーフィもすぐに回避に移っている。

 

 バタフリーのスピードに防御一択という感じの状況だが、連打を続けても致命傷にはなっていない。

 エーフィも攻撃を上手く受け流しているのだ。もうエアスラも三発目になるが、体力はまだ2/3ほど残っているだろう。

 

 だが、ここで『おいかぜ』の効果が切れた。

 

 同時に、目に見えてバタフリーのスピードが下がる。その瞬間、この時を待っていたと言わんばかりにリラは勝負に出てきた。

 エーフィが『でんじほう』の構えを取っている。妨害しようとするバタフリーだが、スピードはもうエーフィの方が上なので間に合わない。

 

 バタフリーもすぐに止められないと判断したようで回避に移った。『でんじほう』は命中率五割の技だ。そう簡単には当たらない。

 しかし、発射と同時に、『でんじほう』はバタフリーを追従してきた。『サイコキネシス』で弾を操作しているのだ。おまけに、リラのポケモンの気持ちを読む力によって、バタフリーの回避思考は先読みされているようで、避け切れずに『でんじほう』が直撃する。

 

 ――無傷だったバタフリーの体力が、たったの一撃で半分持って行かれた。

 

 急所に当たったという感じではない。しかし、乱数込みとはいえ確実に体力は半分削られた。バタフリーが苦しそうな顔をしている。

 だが、いくら『ちょうのまい』をコピーして、特攻が一段階上がっているとはいえ、タイプ不一致の『でんじほう』の一撃でそこまで削られるほど俺のバタフリーは弱くない。

 いや、そもそもこちらも『ちょうのまい』で特防が上がっているのだ。仮にピカ様の『かみなり』を直撃で受けたとしてもダメージは半分もいかないだろう。威力が有り過ぎだ。

 

 おまけに、『でんじほう』の追加効果で確定麻痺を貰っている。これではもう次の攻撃を避けることすら出来なかった。

 

「エーフィの特性である『シンクロ』は、本来自分の受けた状態異常を相手にも移す特性だけど、僕とエーフィが深いシンクロ状態になると、自分の得意タイプ以外の技も得意になるみたいなんだ」

 

 こちらの困惑を読み取ったリラがそう説明してくる。つまり、シンクロが深くなると、タイプ不一致の技がタイプ一致で打てるようになるということか。ナーフ前の『へんげんじざい』並に強いじゃねーか!

 

 これはまずい。バタフリーはもう完全に動きが止まってしまっている。リラは「ごめんね」と一言謝って、エーフィに『サイコキネシス』を使わせていた。

 バタフリーも、もうどうしようもないことを悟っていたようで、『おいかぜ』を使って後を任せている。少しでも、後ろのポケモン達が楽になるようにと考えてのことだろう。

 

 サイキネの直撃を受けて、バタフリーが戦闘不能になる。これで2対1だが、こちらの残りは全員満身創痍だ。

 リザードンは体力ミリ、ピカ様は1/3と言った所か。ここはピカ様にお任せしよう。リザードンのミリの体力ではサイキネを受けただけで倒されかねない。もう少し体力を回復させたかった。

 

 視線を向けると、ピカ様が頷いてフィールドに走っていく。長い時間休んだおかげで、少しはスタミナが回復できたようだ。

 バトルが再開すると、開幕『ばちばちアクセル』で攻めていく。しかし、前に一度見せたこともあって、リラも攻撃を見切っていた。最後の技である『アイアンテール』で、『ばちばちアクセル』を受けている。

 

 ならば接近戦だと、ピカ様も『アイアンテール』でエーフィに攻撃を仕掛けていく。バタフリーの残した『おいかぜ』の恩恵を最大限生かして直撃を狙いに行っていた。

 どうやら、近接攻撃力はこちらの方が上のようで押している。誰に似てしまったのか、ピカ様も接近戦が大好きだからなぁ。しかし、エーフィも頑張って防御していた。尻を一生懸命に振って、ピカ様の攻撃を防御している。

 

 対するピカ様は二足歩行の有利を生かし、相手の後ろ脚を払ってバランスを崩すという、極悪非道な一撃でエーフィを転ばせていた。

 そのまま脳天に『アイアンテール』の一撃をお見舞いしていく。頭にダメージを受けたことで、エーフィにも一瞬隙が出来た。その隙を逃すピカ様ではなく、『10まんボルト』の追撃でダメージを稼いでいく。二連撃によって、エーフィの体力が大きく削られた。

 

 おそらく、残り体力はどっこいくらいだろう。

 

 お互いに、後一、二発という体力だ。ただ、今の攻撃で『おいかぜ』の効果が切れてしまった。こうなると、ピカ様もそう簡単にダメージを与えられない。

 おまけに、ピカ様もせっかく回復したスタミナも切れかけ、再び肩で息をしていた。長期戦になれば、間違いなくやられる。どうにかして、先に二発叩き込む必要があった。

 

 エーフィが『でんじほう』の構えを取る。いくら強力とはいえ、でんきタイプにでんき技は威力半減だ。

 それでもピカ様の残り体力をサイキネ一撃圏内に入れられればいいという判断だろう。サイキネで操作した『でんじほう』でピカ様を攻撃してくる。

 

 ピカ様が当然のように『でんじほう』を『アイアンテール』で一刀両断していく。しかし、『でんじほう』は囮だと言わんばかりに、エーフィは攻撃後のピカ様に『サイコキネシス』を撃ってきた。

 ピカ様が『サイコキネシス』の直撃を受ける。だが、ピカ様もただではやられんと、カウンターシールドからの『10まんボルト』で、エーフィに迎撃していった。

 

 普通に打てば回避されると考えて、カウンターシールド型にすることで電撃の動きを読みにくくしたのだろう。これが、この勝負の明暗を分けることになった。

 

 エーフィの『サイコキネシス』によって、ピカ様の残り体力がミリまで削られていく。

 対するエーフィもカウンターシールドでダメージを与えていたが、流石のピカ様でも攻撃を受けながらのカウンターシールドは制御が難しかったようで、途中で電撃が全方位に分散してしまった。

 

 その際、電撃の一部が電球を破壊してしまい、フィールド一帯が暗闇に包まれる。

 何てことはない普通の停電だが、この状況で視界が奪われるのはエーフィからすれば予想外の出来事だった。

 

 暗闇に驚いたエーフィが咄嗟にサイキネを解除する。しかし、ピカ様はカウンターシールドを止めなかった。

 もし、ニューサトシが声を出せていたなら、「構うな、戦え!!」と叫んでいただろう。おそらくピカ様も俺がそう言うとわかったのだ。

 

 暗闇の中、電撃の光がエーフィのいた方向に向かって放たれていく。エーフィからすれば、いきなり視界が真っ暗になったと思ったら、自分に向かって電撃が波打って飛んできたのだ。驚くなという方が無理だろう。

 だが、驚きの声を出しながらも、何とか攻撃は回避したらしい。しかし、声を出したことが運の尽きだった。ピカ様は既に声を頼りに、暗闇の中でエーフィの位置を特定し、とどめの『アイアンテール』を振っている。

 

 基本的にピカ様は『アイアンテール』を縦に振りがちだが、今回は範囲を考えて横に振ったらしい。

 その範囲にいたエーフィは、見えない攻撃を受けて戦闘不能になってしまった。後で聞いた所によると、暗闇になったことでリラとエーフィはかなり動揺してしまったらしい。

 

 どんなに気持ちがリンクしていても、いきなり視界が塞がれれば対応できないということだ。幻影旅団でもそうだった。十九時、停電、作戦決行。

 

 対して、ピカ様は最後まで相手のことを意識から外さなかった。それは普段からどんな状態でも戦うことを諦めないニューサトシのバトルが根底に根付いているからである。闘争心の差が勝敗を決めたと言っていいだろう。

 

 リラも、イレギュラーが起きてもトレーナーの声なしで落ち着いた動きが出来たのは、ピカ様と俺の間に確固たる信頼があったからだと、拍手を送ってきた。

 そのまま六つ目のシンボルである、アビリティシンボルを受け取る。これで残すは後一人ジンダイだけだ。リラも強かったが、ジンダイはさらに強敵だろう。楽しみだぜ。

 

 聞けば、最後のバトルピラミッドはニビシティの近くにあるらしい。そのままバトルタワーを後にしようとしたのだが、最後にリラからポケナビの番号を教えてくれと言われた。

 

 そういえば、原作ではサトシ君が惚れられるような描写があったような気がしなくもない。が、まぁ今回は普通にまたバトルがしたいとかそういうことだろう。

 このリラが、ニューサトシに惚れるなんて奇特な性格をしているとは思えないしな。残念ながら、ニューサトシはサトシ君のように優しい性格はしていないのである。

 

 何やらハルカがスッと厳しい目を向けてきたり、ラティが「むーむー」言ったりしているが、気にせずバトルピラミッドに向かうことにした。

 

 

 追記。生まれたばかりのダンバルが、ガチ戦を見て大喜びしている。どうやら、ニューサトシに似てバトルが大好きなようで、自分も戦うと『たいあたり』を披露してくれた。やる気もあるし、予定を繰り上げて少しずつバトルの練習をしてもいいかもしれないな。

 

 

 




 原作との変化点。

・第170話『バトルタワー! 以心伝心バトル!!』より、リザードンとのシンクロが一瞬ブレた。
 ニューサトシの想像以上に自分の力を試したいストイックなリザードンだった。

・エーフィの特性について。
 オリジナル設定。リラと深いシンクロ状態になることで、使う技がタイプ一致技になる。へんげんじざいに似ているが、自身のタイプが変化する訳ではない。

・ピカ様とはきずな化などなくても以心伝心。
 これまでの付き合いで、何を言いたいかは黙っていても伝わる。停電についてはアニメ通り。

・リラにポケナビの番号を聞かれた。
 が、ニューサトシは自分が悪い性格をしているのを自覚しているので、惚れられたとは欠片も考えていない。

・ダンバルがバトルをしたがった。
 歴代のタマゴポケモンの中でも一番好戦的。もう少し遊ばせるつもりだったが、ちょっとずつバトルの練習を始めることにした。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.63

 ピジョット Lv.59

 バタフリー Lv.59

 ドサイドン Lv.62

 フシギダネ Lv.59

 リザードン Lv.63

 カメックス Lv.59

 キングラー Lv.59

 カモネギ  Lv.59

 エビワラー Lv.59

 ゲンガー  Lv.61

 オコリザル Lv.58

 イーブイ  Lv.58

 ベトベトン Lv.58

 ジバコイル Lv.59

 ケンタロス Lv.58

 ヤドラン  Lv.58

 ハッサム  Lv.60

 トゲキッス Lv.58

 プテラ   Lv.59

 ラプラス  Lv.58

 ミュウツー Lv.75

 バリヤード Lv.59

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.57

 カビゴン  Lv.57

 ニョロトノ Lv.57

 ヘラクロス Lv.56

 メガニウム Lv.56

 マグマラシ Lv.56

 ラティアス Lv.51

 ヘルガー  Lv.56

 ワニノコ  Lv.55

 ヨルノズク(色違い) Lv.55

 カイロス(部分色違い) Lv.56

 ウソッキー Lv.55

 バンギラス Lv.61

 ドンファン Lv.54

 ギャラドス(色違い) Lv.53

 ミロカロス Lv.47

 ミズゴロウ Lv.50

 オオスバメ Lv.49

 ジュカイン Lv.50

 ヘイガニ  Lv.48

 フライゴン Lv.55

 コータス  Lv.48

 ラルトス(色違い) Lv.30

 オニゴーリ Lv.47

 ワカシャモ Lv.43

 ダンバル(色違い) Lv.1




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#166 『キューピット役お疲れさん』

 13歳 γ月γ日 『デオキシスクライシス』

 

 バトルピラミッドを目指してニビシティに向かっていると、突如として謎のオーロラを目撃した。

 同時に、野生のポケモンやピカ様に異常が発生し、何故かモンスターボールやポケナビが機能しなくなってしまう。

 

 偶然、前にセレビィを助けた際に出会ったポケモンレンジャーのヒナタと再会したのだが、どうも最近この辺りでは謎の磁気障害が起きて電子機器に異常が起きているらしい。

 

 成程、ピカ様の不調はその磁気障害のせいか。オーロラが見えた時点で気付くべきだったな。

 オーロラは星の磁場を可視化した現象だ。オーロラが見えるということは、磁場が変化しているのと同義なのである。

 

 とはいえ、原因がわかれば後は簡単だ。波動のちょっとした応用で、ピカ様の周囲にバリアを張ってやる。

 ビリビリ体質と勘違いして無意識に波動を電気に変換していたニューサトシからすれば、この程度の応用はお茶の子さいさいだ。ピカ様もすぐにいつもの調子を取り戻したようで、元気になったと顔をこすりつけてくる。

 

 しかし、その瞬間、上空に空間の歪みが発生し中からポケモンが飛び出してきた。

 

 出てきたのは、デオキシスである。見た感じ、ラルースシティで俺が助けたデオキシスとは別個体だ。もし同一個体なら、俺を見て何かしらの反応をするだろうしな。

 当のデオキシスはこちらを一瞥すると、すぐにまた空間の歪みの中に戻っていった。まぁた準伝か。まさかとは思うが、この磁気障害はあいつのせいとかないだろうな?

 

 改めて、ポケモンセンターでヒナタの話を聞くと、どうも彼女はこの異常事態を調査、解決のためにここまで来たらしい。

 見て見ぬふりをするには大きすぎる問題なので、ニューサトシも調査に協力することにした。ヒナタ曰く、実はこの辺りにも10年前に隕石が落ちているらしい。デオキシスは宇宙からやってきたポケモンだということはわかっているとのことで、何か関係があるのではないかと睨んでいるようだ。

 

 マサトもデオキシスと目が合った時、何か不思議な感覚がしたと言っている。ジラーチの時といい、伝説や幻のポケモンに好かれるなぁ。いいことないぞ、マジで(実体談)。

 

 とりあえず、その隕石が落ちた場所を調べることになったのだが、再びデオキシスが現れた。同時に、磁場が強くなり、ヒナタのプラスルが不調を訴えている。

 ヒナタはポケモン達の不調の原因がデオキシスにあると判断したようだ。ポケモンレンジャーお得意のキャプチャ(ベイブレードみたいなもの)を構えている。

 

 前回一緒に居たタケシ曰く、ポケモンレンジャーは、あのコマや網のようなものでポケモンを囲ってキャプチャすると精神を落ち着かせることが出来るらしい。ゲームと似たようなものだな。

 ヒナタとしては、それでデオキシスの心を落ち着かせようとしたようだが、逆に攻撃と判断されたようでデオキシスも反撃してきた。

 

 どうやらこいつは好き勝手にフォルムチェンジできるようで、ノーマル、アタック、ディフェンス、スピードと好き勝手に変化して襲い掛かってくる。ヒナタもキャプチャしようと頑張っているが、変化したデオキシスの力は簡単には制御できないようだった。

 

 暴れ回るデオキシスだが、先程不思議な感覚を掴んだというマサトも、負けじと対話を求めていった。そんなマサトの声を聞いて、デオキシスの動きが止まる。

 同時に、ヒナタにもキャプチャを止めさせた。デオキシスも先にやられたからやり返していただけだ。マサトのおかげで話し合う気になってくれたようだし、ここは少しマサトに任せて様子を見よう。

 

 どうもデオキシスは宇宙語を話しているようで、ニューサトシですら何を話しているかわからなかった。ニューサトシのボディランゲージもニュアンスを汲み取るものなので、宇宙の言語から完全に言いたいことを理解するには時間が必要なのである。

 諦めずに対話を続けるマサトだったが、何故かデオキシスはマサトを連れてどこかに消えてしまった。ミュウもそうだったが、簡単に人の仲間を連れて行くんじゃあねぇよ。

 

 とりあえず、このままマサトを放置する訳にもいかないので、すぐに探しに行くことにした。

 その途中、隕石がこの磁気障害の原因であることが判明する。どうも、太陽の黒点が多くあると太陽風も強まり、隕石から発せられる磁気を強めているということだ。

 

 原因がわかって何よりということで、マサトもようやく見つけたのだが、何やらデオキシスの様子がおかしい。

 どうやら、隕石の異常はデオキシス自身にも悪影響を与えているようだった。何とかするにはヒナタがデオキシスをキャプチャして正気に戻すしかないらしい。

 

 だが、キャプチャできるのは、デオキシスがノーマルフォルムの時だけだと言われた。

 思えば、先程の戦闘でも、フォルムチェンジしたデオキシスをキャプチャできずに弾かれていたっけか。

 

 仕方ないので、ミュウツーを出してニューサトシと一緒に無理矢理デオキシスを押さえつけてキャプチャさせる隙を作る。

 まさかデオキシスも人間に取り押さえられるとは思わなかったようだが、ミュウツーの助けもある上、波動の力を手に入れたニューサトシの身体能力はもはや人知を超えているのだ。俺は人間を止めぬぞ、ジョジョ!!

 

 キャプチャを終えると、正気に戻ったデオキシスが『じこさいせい』で自身を治していく。

 

 これで一件落着――と、言いたい所だったが、まだ隕石の問題は未解決だった。高まる磁気の影響で、とうとう爆発まで起きてしまい、危うく死ぬ寸前である。

 しかし、ミュウツーが『まもる』で、正気に戻ったデオキシスが『しんぴのまもり』を応用したバリアで俺達のことを守ってくれた。おまけに、隕石は爆発で砕けてしまったようで、磁気障害も元に戻っている。よくわからないがいい感じーになっていた。

 

 見れば、デオキシスはエスパータイプの力を使って、ミュウツーを通して最後の言葉をマサトに送っているようだ。後から聞いた話だと、これからは世界を巡って色々なポケモンと出会いたいと言っていたらしい。どうやら、こいつは地球に残るみたいだな。

 まぁ、俺としては問題さえ起こさなければそれでいいや。と、いうことで、旅立つデオキシスを皆で見送る。これで、今度こそ本当に一件落着となった。

 

 

 

 13歳 γ月δ日 『NO! ポケモン虐待!』

 

 黄金のウソッキーを見つけた。一瞬、色違いかと思ったが、にしては何かがおかしい。まるで全身にペンキを塗ったような微妙な配色なのだ。

 本来のウソッキーの色違いは、もっと黄土色っぽくて手が赤いはずである。これは変だぞ――と思っていると、視線にビビったウソッキーが逃げていってしまった。

 

 まぁ、ニューサトシは既にウソッキーを持っているので、特に捕まえるつもりはない。のだが、街の食堂で話のタネにしていると変な奴らに絡まれた。どうも、黄金のウソッキーを狙っているようで、どこにいたか知りたいらしい。

 

 それだけなら別に構わなかったのだが、妙に殺気立っていて言葉遣いも荒かった。大声を出されて、ラティも怖がっている。

 とりあえず、礼儀を習ってから出直して来いということで、店の外で全員ボコボコにしてやった。ラティを怖がらせてんじゃねーよボケ共。ぶっころりするぞ。

 

 一仕事終えて戻ると、知らない間に俺達の席に何やら男が一人追加されている。聞けば、このキンヤとかいう奴が件のウソッキーのトレーナーで、みずタイプを克服するための実験をした結果、ウソッキーの体が黄金になってしまい、それから逃げられてしまっているということだった。

 

 とりあえず、こいつにも一発入れる。

 

 ポケモンはトレーナーの玩具じゃねーんだよ。俺がトレーナーになったばかりの頃、サンドに水を潜らせていたトレーナーがいたが、あいつの場合はサンド側もやる気があった。

 鞭を使っていたのだけが引っかかったが、それでも互いに納得していたのだ。だが、こいつのようにポケモンが納得していないことを強要するのは虐待と同じである。こいつとしても、ウソッキーを強くしたいと思ってのことなのだろうが、それをする前にウソッキーの気持ちを確認しろ。ニューサトシはこういう自分勝手なトレーナーが大嫌いなのだ。

 

 とはいえ、キンヤも既に反省しているようで、元の姿に戻す方法を見つけたからウソッキーに戻ってきて欲しいと言っていた。正直、反省していなかったら一発では済まなかっただろう。運が良かったな。

 しかし、やはり変だとは思っていたが、あのウソッキーの体色は自然なものではなかったのだ。キンヤはともかく、ウソッキーが可哀想なので仕方なく協力してやることにする。

 

 しばらくウソッキーを探していると、久しぶりにロケット団が現れて色違い(ウソ)のウソッキーを捕まえようとしてきた。

 ムサシに「リボンは集まったのかよ?」と聞いてみると、どうやらコジロウコーチの特訓でスランプを無事抜け出し、ストレートで五つ揃えてきたらしい。元々いくつかリボンを持っていたのだろうが、いくら移動に気球があるとはいえ、この短い期間でリボンを全て揃えるのは流石というべきか。

 

 と、そんな話をしている間に、ケンヤもウソッキーを取り戻そうと必死になっている。そんな姿を見て、ウソッキーもケンヤのことを許したようだった。

 これなら大丈夫だろということで、サクッとウソッキーを助けてやなかんじーにしてやる。キューピット役お疲れさん。また、グランドフェスティバルでな。

 

 いつも通りにロケット団を撃退すると、ようやくウソッキーも元の姿に戻ることが出来たようだった。

 また、俺とムサシの話を聞いていたケンヤが、ニビシティの途中にあるカジノキシティでポケモンコンテストが開かれるという情報を教えてくれる。今回のお礼としては十分だろう。

 

 とりあえず、もうポケモンを虐待するんじゃねーぞと念押ししておく。こういう奴は反省せずに同じようなことを繰り返すからな。少し厳しいくらいが丁度いいのだ。

 

 

 

 13歳 γ月ε日 『ポケモンコンテスト カジノキ大会』

 

 カジノキシティに着いたので、早速コンテストにエントリーするハルカだったが、どうやらグランドフェスティバル前のコンテストはこの大会が最後らしい。

 時期の半分がホウエンを旅していた頃と被っていたので、仕方ないと言えば仕方ないが、ライバルであるシュウやハーリーはもう既にリボンを五つ揃えているということだった。

 

 ロケット団のムサシも五つ揃えていると言っていたので、集まっていないのはハルカだけである。

 どうやら、そのムサシも今回の大会には参加しないようだが、代わりに何故かコジロウがコージィという名前でエントリーさせられていた。あわよくばここでハルカを落とそうという魂胆らしい。

 

 しっかし、本人はそこまでやる気がなさそうだ。

 

 いざ、コンテストが始まるとなって、ハルカが「負けないわよ!」と宣言しても、「いや、俺初心者だし」と始めから諦めている感じである。どちらかというと記念参加気分のようで、一次審査ではマネネと仲のいい演技を見せていた。

 特段、派手という訳でもなく、至って普通の演技で、取り立てて持ち上げるものがある訳ではない。しかし、マネネは楽しそうに演技をしていた。意外とコジロウのリードが上手いのだ。おかげで、マネネも伸び伸びと演技をしている。

 

 思ったより得点も良かった。もう何回か経験を積めば安定して二次審査まで行けそうである。ほぼムサシの練習に付き合っただけの初心者にしては出来過ぎだった。

 

 対するハルカは、イーブイと共にステージに入って行ったものの、何やら変な妨害を受けている。こんなことするのはムサシとニャースくらいだろうということで、サクッと見つけてやな感じ―にしてやった。

 しかし、ハルカはロケット団の妨害すらもパフォーマンスに見せることで、逆に得点を稼いでいたようだ。どうやら、俺のしたことは完全に無駄だったみたいだが、無事に一次審査を突破できたので良しとしよう。

 

 意外にもコジロウも一次審査をギリギリで突破していた。本人も突破できるとは思っていなかったようで、「ウソォ!?」と声を上げている。

 

 二次審査が始まると、ハルカはゼニガメでファーストステージを余裕で突破していた。ゼニガメももう大分コンテスト慣れしたようで、前のような緊張も見せていない。

 コジロウはチリーンと参加するつもりだったようだが、何故かサボネアが勝手に出てきたので仕方なくサボネアでファーストステージを戦っていた。しかし、バトルならばサボネアの方が使いやすいようで、上手いことポイントを稼いでいる。

 

 どうやら、コジロウはバトルでポケモンの魅力を引き出す方が得意なようだな。

 

 そのまま、ハルカとコジロウがコンテストを勝ち抜くと、ファイナルステージでぶつかることになった。

 いつかのポケリンガでは負けてしまったが、コンテストでは負ける訳にはいかないと、ハルカも気合を入れてバトルしている。

 

 しかし、みずタイプのゼニガメに対し、くさタイプのサボネアが相手ということで、ハルカもかなり苦戦していた。

 突破口を開こうと、サボネアが苦手な『れいとうビーム』で攻撃を仕掛けていくも、コジロウも『わたほうし』を壁にして直撃を避けつつ、相手の素早を二段階下げるという荒業で乗り越えてくる。

 

 スランプ脱却のためにムサシの相手をしていたのが経験となっているのだろう。おまけに、知識もまぁまぁあるので機転が利くのだ。このままではハルカが負けかねない。

 

 まさか、ここでハルカは敗退か?

 

 と、思ったが、そうはいかないと、ハルカも勝負に出た。『こうそくスピン』からの『れいとうビーム』という、俺が良く使う『こうそくスピン』の応用で、『わたほうし』の壁を突破していく。

 そこからはハルカが流れに乗って、時間ギリギリでポイントを逆転していた。コーディネーターとしての底力を見せつけた感じだな。

 

 これでハルカもリボンが五つになり、無事にグランドフェスティバルの参加権を得た。

 コジロウも悔しそうにしていたが、元々記念参加のつもりで来たことを思い出したらしく、こんなものかと自分を納得させたようだ。ポケリンガの時は血の涙を流していたのにな。

 

 ハルカも、自分のコンテストを見届けてくれたシュウとグランドフェスティバルで再会することを約束していた。ハーリーはいつの間にかどこかに消えている。どうせ、ハルカが勝ったのでつまらなくなったのだろう。

 次はようやくニビシティだ。バトルフロンティア最後の施設、バトルピラミッドが俺を待っている。ジンダイと戦うのが今から待ち遠しいぜ。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・第171話『ポケモンレンジャー! デオキシス・クライシス!!(前編)』より、波動で磁場の影響を防いだ。
 これも波動連結システムのちょっとした応用だ。

・ロケット団がいないのでマサトだけ攫われた。
 伝説はすぐに人を攫う。ニューサトシはそういう所が好きじゃない。

・第172話『ポケモンレンジャー! デオキシス・クライシス!!(後編)』より、ニューサトシとミュウツーでデオキシスを押さえつけた。
 おら、暴れんな。足掻いてないでさっさとノーマルフォルムになるんだよ! by.ニューサトシ

・ニャースの代わりにミュウツーがガイドになった。
 ポケモンの言葉分かる奴多すぎィ!!

・第173話『ウソッキー! 黄金伝説!?』より、ロケット団が帰ってきた。
 ムサシが完全復活したようで、自信満々に五つのリボンを見せびらかしてきた。裏であった出来事についてはいつか書こうとは思っています。いつかね。

・第174話『ハーリー&ロケット団! 悪役同盟結成!?』より、コジロウがコンテストに参加してきた。
 ムサシがもう五つのリボンあるので、代役として参加させた。本人はいきなりのことであまり乗り気ではなかったが、意外とポケモンの魅力を引き出せている。

・第175話『ハルカVSムサシ! 最後のコンテスト!!』より、コジロウがファイナルステージまで進んできた。
 ムサシと一緒で、バトル形式の方が得意。意外とコンテストに興味を見せたサボネアが無理矢理参加した。コジロウも立ち回りが上手く、危うくハルカが負けそうになった。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.63

 ピジョット Lv.59

 バタフリー Lv.59

 ドサイドン Lv.62

 フシギダネ Lv.59

 リザードン Lv.63

 カメックス Lv.59

 キングラー Lv.59

 カモネギ  Lv.59

 エビワラー Lv.59

 ゲンガー  Lv.61

 オコリザル Lv.58

 イーブイ  Lv.58

 ベトベトン Lv.58

 ジバコイル Lv.59

 ケンタロス Lv.58

 ヤドラン  Lv.58

 ハッサム  Lv.60

 トゲキッス Lv.58

 プテラ   Lv.59

 ラプラス  Lv.58

 ミュウツー Lv.75

 バリヤード Lv.59

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.57

 カビゴン  Lv.57

 ニョロトノ Lv.57

 ヘラクロス Lv.56

 メガニウム Lv.56

 マグマラシ Lv.56

 ラティアス Lv.51

 ヘルガー  Lv.56

 ワニノコ  Lv.55

 ヨルノズク(色違い) Lv.55

 カイロス(部分色違い) Lv.56

 ウソッキー Lv.55

 バンギラス Lv.61

 ドンファン Lv.54

 ギャラドス(色違い) Lv.53

 ミロカロス Lv.47

 ミズゴロウ Lv.50

 オオスバメ Lv.49

 ジュカイン Lv.50

 ヘイガニ  Lv.48

 フライゴン Lv.55

 コータス  Lv.48

 ラルトス(色違い) Lv.30

 オニゴーリ Lv.47

 ワカシャモ Lv.43→44

 ダンバル(色違い) Lv.1→5




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#167 『珍しくカスミさんがピーチ姫になってる!』

 13歳 γ月ζ日 『スターダストミラージュ!!』

 

 ドクター・ユングなる人物からミラージュシステムを使ったバトルをしないかと誘われた。どうやら、今俺達のいる場所から近い所で、新たなバトルシステムの研究をしているらしい。

 どこかで聞いたような気がしなくもなかったが、もはやうろ覚えの記憶にはヒットしなかった。まぁ、面白そうだったので、とりあえずユングの後をついて行くことにする。

 

 そのままユングの研究所に着くと、何故かカスミさんがいた。どうやらカスミさんも呼ばれたらしい。

 ラティも久しぶりにカスミさんと再会して大喜びしている。よく見ると、オーキド博士とシゲルもいたので、まずはシゲルに「ベスト4おめでとう」と声をかけた。一応、感謝の言葉は返ってきたが、内容に納得していないのはその表情が物語っている。

 

「あの試合は勝てたバトルだった。途中、僕のミスで流れが変わったんだ。知らない内に焦っていたんだろうね、僕もまだまだ未熟だよ」

 

 トレーナーのミスやポケモンのミス、いろいろなものが重なり合って勝敗は左右される。

 ベスト4の試合は途中からしか見られなかったが、おそらく前半でミスがあったのだろう。それでも、あの魔境のリーグでベスト4まで勝ち抜いたのはお世辞抜きで凄いことである。

 

 そのまましばらくシゲルと雑談していると、ドクター・ユングから声をかけられ、実際にミラージュシステムを使用して欲しいと頼まれた。

 ミラージュシステムというのは、言ってしまえばプログラムの一種のようで、ポケモンの情報から疑似ポケモンを作る技術らしい。フィールドに現れたミラージュポケモンは見た感じ本物と大差なかった。しかし、本来覚えない技を覚えていたり、弱点がなくなっていたりと現実では有り得ない能力を持っていてなかなか面白い。

 

 シゲルと一緒に、どっちが先にミラージュポケモン殲滅出来るか競争をして遊んでいると、突如としてミスターミラージュを名乗る謎の人物が現れた。

 ミスターミラージュはミラージュシステムの制御を奪うと、ミラージュポケモンを暴走させて俺達に襲い掛かるように指示していく。その隙を突いてユングを攫って行き、おまけに逃げ遅れたオーキド博士とカスミさんをプテラで連れ去っていった。

 

「珍しくカスミさんがピーチ姫になってる!」

 

 と、声に出して驚いていると、「ピーチ姫って誰よ! ってか、早く助けなさーい!」と、元気に叫んでいた。まぁ、あれならしばらくは大丈夫だろう。

 

 とりあえず、一旦研究所から離れることになったのだが、タケシがジュンサーさんを呼びに行くと言っている。

 ならば、俺とシゲルで潜入し、ハルカとマサト、ラティは何かあった時の補助要員として待機させるのが無難な所だろう。

 

 と、いう訳で中に入り、襲い掛かってくるミラージュポケモンを二人で殲滅していく。

 確かに強いは強いが、所詮はプログラムである。トレーナーとポケモンが互いに力を合わせてこそのポケモンバトルで、俺とシゲルがこんな奴らに負けるはずがなかった。

 

 そのまま奥へと進んでいくと、ようやく黒幕のいそうな場所についたのだが、ミラージュシステムで作ったらしいミュウツーがドヤ顔で立ちはだかっている。

 ならば、こちらもミュウツー――と、思ったが、シゲルが「僕に戦わせてくれないか? 偽物とはいえ、ミュウツーと戦える機会なんてそうそうないからね」と言って飛び出して行った。

 

 仕方ないので、こちらはオーキド博士とカスミさんを探しに行くことにする。マスターボール内のミュウツーが拗ねたような気がしたが、気にせずレスキュータイムだ。

 少し先の部屋に行くと、捕まっている博士とカスミさんを発見した。同時に、ミスターミラージュらしき男もいたので、先制のスターダストミラージュで意識を奪っていく。

 

 ニューサトシの一撃を受けて立っていられるはずもなく、ミスターミラージュはそのまま崩れ落ちた。

 仮面を剥がすと、何と俺達をここへ連れてきたドクター・ユングである。どうやら、先程連れ去られたのは自作自演のお芝居だったようだ。

 

 どうやらオーキド博士は捕まっている間の受け答えで、ユングが犯人ではないかと思っていたらしい。

 と、いうのも、実はユングはかつてオーキド博士と同じ学会にいた研究者だったというのだ。画期的なシステムを考える男ではあるが、ポケモンの心を認めようとせず、愛情に欠けているという点から学会を追放されたらしく、それを恨んでの行動ではないかということだった。

 

 実際、ミラージュシステムは面白いが、まさに学会で指摘された部分が致命的な欠陥だ。

 でなければ、俺やシゲルが強いと言っても、ここまで簡単に侵入することは出来なかっただろう。

 

 ミラージュミュウツーのいた場所に戻ると、既にシゲルが勝負を決めていた。そこそこ苦戦したようだが、メガカメックスが勝利のガッツポーズをしている。

 とはいえ、偽物とはいえ強化されたミュウツーを倒すだけ、シゲルも強くなったということだ。これはいずれ再戦するのが楽しみである。俺も、フリーザー様を含んだフルバトルを伝説、きずな化なしで倒した実績があるので負けるつもりはない。

 

 オーキド博士がミラージュシステムのスイッチを止めると、倒れているミラージュミュウツーを始めとしたミラージュポケモン達が消えて行った。

 そのままちゃっかり博士が、ミラージュシステムのデータをコピーしている。何かに上手く使えないか考えるつもりなのだろう。面白いシステムになったら、テスターになってやってもいいぞ。

 

 外に出ると、丁度タケシが呼んだジュンサーが来ていたので、気絶しているユングを引き渡す。これで無事に一件落着ということで、早くバトルピラミッドに向かうことにした。

 

 

 追記。カスミさんもしばらくニューサトシの旅に付き添うつもりらしい。丁度、お姉さん達が一時的に帰ってきているので、少しの間はジムを空けても問題ないということだった。

 

 

 

 13歳 γ月η日 『お前ら人間じゃねぇ!!』

 

 ロケット団のパチモンが、偽の大会を開いてポケモンを奪おうとしていたので成敗してやった。

 

 お前ら人間じゃねぇ!! By.タケシ。

 

 

 

 13歳 γ月θ日 『もう出せなくなったやん』

 

 ニビシティに着いたのだが、タケシの両親が不在のようで、ロケット団がタケシのジムを好き勝手にしていた。とりあえず、速攻でやなかんじーにしてやったが、タケシが両親に文句の電話を入れている。

 

 とりあえず、タケシの弟のジロウがしっかり者だったので、ジムを任せることにしたのだが、タケシがジムに置いていたイワークがいつの間にかハガネールに進化していた。

 進化はめでたいことだが、タイプが変わってしまったのが問題だ。「はがね・じめんタイプだからジムに出せなくなったやん」とツッコミを入れると、タケシもジロウもなんとも言えない顔をしていた。

 

 

 

 13歳 γ月ι日 『ポケランティス王の魂(笑)』

 

 ようやく最後の施設である、バトルピラミッドについたのだが、突如として足場が崩れて謎の古代遺跡に叩き落された。

 遺跡大好きラティが大喜びしているが、こういう遺跡は罠も多いので迂闊に行動しないように注意する。そのまま俺が先導する形で注意しながら進んでいると、フロンティアブレーンであるジンダイが助けに来てくれた。

 

 俺達が罠を発動させないように慎重に進んできたことはわかってくれたようで、「なかなかやるな」と、お褒めの言葉を頂く。

 どうやら、ジンダイはこの遺跡を調べている最中ということだったので、俺達も後をついて行くことにした。出来れば早くバトルがしたかったが、ジンダイにも用事があるだろうし、ここまで来ればもう少しの辛抱だ。焦ることはない。

 

 そのまま、ジンダイの調査を手伝っていく。

 

 どうやら、ここは古代ポケランティス帝国の遺跡らしい。聞けば、大昔にポケランティス帝国はホウオウを利用して世界を征服しようとしたようなのだが、逆にホウオウの怒りを買って国が滅んでしまったのだという。

 逃げ延びた王が復讐のためにホウオウをこの地に封印したらしく、ジンダイはその封印された場所を調べたいということだった。

 

 調査は問題なく順調に進んでいたのだが、最後の最後でラティが石に躓いてしまい、封じられているというホウオウの封印の石にぶつかってしまったことで、大問題が起こる。

 石の玉が転がっていき、封印されていたと思われる魂のようなものが出て来たのだ。魂は近くにいるラティめがけて真っすぐに進んできたので、咄嗟にニューサトシの体でブロックしてやった。

 

 どうも、邪悪な魂のようで体の中に入ってくるなり、意識を乗っ取ろうとしてくるが、波動による防壁で精神攻撃は無効だ。カイオーガとグラードンの精神攻撃すら防いだニューサトシに隙はない。

 波動で魂を捕獲しつつ、体から追い出した。

 聞けば、こいつはポケランティス帝国の王だと自称している。ジンダイからは、逃げ延びた王が復讐のためにホウオウをこの地に封じ込めたという伝承が残っていると聞いていたが、実際に封じ込められていたのはこの王(笑)の魂だったようだ。

 

 何とか逃げようと頑張っているが、波動でガッチリ魂を掴んでいるので逃げられずにいる。魂だけという不安定な状態でいるせいか、段々とポケランティス王(笑)の元気がなくなっていった。

 とはいえ、こいつは外道の魂のようだし、別段哀れには思わない。このまま消滅させても良かったのだが、ジンダイが再び封印の石に魂を封じ込めていた。

 

 まぁ、イレギュラーは起きたが、何も問題が起きなくて何よりである。ジンダイが、魂を平然と捕まえていたニューサトシに、何とも言えない顔をしていたようにも見えたが、これで心置きなくバトルが出来るというものだ。

 

 しかし、ジンダイはまだ調査しないといけない遺跡があるということで、ここでバトルは出来ないと言われた。

 事前予約しなかったニューサトシが悪いとはいえ、お預けをさせられた形である。ジンダイも申し訳なさそうにしているが、遺跡を調べるスケジュールを変えることは出来ないということなので仕方ない。

 

 聞けば、セキエイ高原の近くにあるフェンネル谷の遺跡を調査する予定ということで、どうやらハルカのグランドフェスティバルを見る方が先になりそうだった。

 次に会ったら必ずバトルをするとジンダイとも約束する。ジンダイは特に細かいルールを決めるつもりはないようだったので、フルバトルをするようにお願いしておいた。

 

 ぐへへ。これで、次にバトルする時はレジ三兄弟を含めたジンダイとフルバトルである。

 

 

 

 13歳 γ月κ日 『メカじゃねーか!』

 

 野生のエイパムが俺の帽子を持って行こうとしたので波動のビリビリで少しお仕置きした。

 後からやってきた農夫のテイラーの話では、最近エイパムやマンキー、ヤルキモノ、ケッキングなどのサル系ポケモンが各地の農園からきのみを盗んでいるのだという。

 

 とりあえず、気絶したエイパムを起こして事情を聞いてみると、山の神の命令できのみや物を集めていたらしい。

 山の神? と、首を傾げていると、物凄く大きなケッキングがそう呼ばれているということだった。山のように大きいとエイパムは訴えているが、また古代ポケモンの類だろうか?

 

 放置してはおけないので、エイパムに頼んでそのケッキングがいる場所に連れて行って貰うことにした。

 ある程度近づくとケッキングの姿が見えてくる。しかし、よく見ると、灰色で明らかにメカメカしいケッキングだ。この手のメカで悪さをするのはロケット団しかいないだろう。

 

 いざ、巨大ケッキングメカの元へ行くと、やはりロケット団がポケモン達を騙していた。

 すぐにやなかんじーにしてやろうと思ったのだが、巨大ケッキングメカを恐れる野生のポケモン達がロケット団の命令で襲い掛かってくる。

 

 倒すのは簡単だが、彼らは騙されているだけだ。

 

 隙を突いて、何とかあのメカを攻撃したい所だが、下手に攻撃すると他のポケモン達も巻き込みかねない。

 どうするか――と、困り果てていると、俺達と一緒に行動していたエイパムが助けに入ってくる。どうやら俺がポケモン達に攻撃しないことから、言っていることが本当だと信じてくれたらしい。

 

 エイパムの援護のおかげで、巨大ケッキングがメカであることを電撃で証明すると、他のポケモン達も騙されていたとわかったようで、ロケット団をやなかんじーにしていた。

 これでもうきのみを盗むこともなくなるだろう。

 助けてくれたエイパムにお礼を言うと、そのままセキエイ高原に向けて歩みを再開する。何だかんだもうすぐグランドフェスティバルということで、ハルカも緊張しているようだった。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・番外編『旋律のミラージュポケモン』より、シゲルも参加した。
 丁度、チャンピオンリーグから帰ってきた所で、興味があったので参加している。少なくとも、ミラージュミュウツーをタイマンで倒せるレベルに成長している。

・ピカ様の代わりにカスミさんが攫われた。
 最近ガチ戦でピリッとしているので、攫われる隙がなかった。ニューサトシが公式戦でもミュウツーを使っているので、ピカ様の記憶がなくてもミラージュミュウツーが作れた。

・オーキド博士がミラージュシステムをコピーした。
 原作ではサトシ君がミラージュミュウの力を借りるのだが、ニューサトシはミュウ見えませんフィルターでガン無視していた。そのせいで、ミラージュミュウはニューサトシを諦めてオーキド博士に接触。博士もミラージュとはいえミュウと仲良くなれたので、また会うためにミラージュシステムを隠れてコピーした。

・第176話『ロケット団解散!? それぞれの道!』より、一言でまとめた。
 最初はいろいろ書いていたが、わかりやすく一言で纏めたくなった。最近、ちょっと昔に比べて状況を描写し過ぎる。これくらいが昔のテンポだったはず。

・第177話『タケシ&サトシ! タッグバトルでニビジムを守れ!!』より、イワークがハガネールに進化していた。
 わかりにくいので整理すると、ニューサトシと出会ってからジョウトまで旅したのがレベリング用のイワーク。ホウエンからは最初のパートナーイワークを手持ちに加えている。今回進化したのはカントーの時に一緒に旅をしたレベリング用のイワーク。

・第178話『バトルピラミッド! VSレジロック!!』より、ニューサトシがポケランティス王の魂をボコったせいでジンダイとバトル出来なかった。
 こういう精神攻撃は効かないのだが、そのせいでジンダイとバトルするタイミングを逃した。仕方ないので、次回はレジ兄弟全てを入れたフルバトルを要求している。

・最初のプロットでははシゲルを連れてこようかと考えていた。
 ミラージュポケモンで出てきたのはその名残。当初はポケランティス王に操られたシゲルとジンダイを戦わせるルートを考えていたが、ワンチャンシゲルが勝ちそうだったのでお蔵入りとなった。

・第179話『脅威! 巨大ケッキングの山!!』より、エイパムに事情を聞いた。
 原作ではサトシ君が帽子を盗まれるが、ニューサトシが遊び以外でそんなの許すはずもなく、久しぶりに電撃のお仕置きをしている。ニューサトシが無駄に野生ポケモンを傷つけようとしないことから、その言葉を信じてくれた。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.63

 ピジョット Lv.59

 バタフリー Lv.59

 ドサイドン Lv.62

 フシギダネ Lv.59

 リザードン Lv.63

 カメックス Lv.59

 キングラー Lv.59

 カモネギ  Lv.59

 エビワラー Lv.59

 ゲンガー  Lv.61

 オコリザル Lv.58

 イーブイ  Lv.58

 ベトベトン Lv.58

 ジバコイル Lv.59

 ケンタロス Lv.58

 ヤドラン  Lv.58

 ハッサム  Lv.60

 トゲキッス Lv.58

 プテラ   Lv.59

 ラプラス  Lv.58

 ミュウツー Lv.75

 バリヤード Lv.59

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.57

 カビゴン  Lv.57

 ニョロトノ Lv.57

 ヘラクロス Lv.56

 メガニウム Lv.56

 マグマラシ Lv.56

 ラティアス Lv.51

 ヘルガー  Lv.56

 ワニノコ  Lv.55

 ヨルノズク(色違い) Lv.55

 カイロス(部分色違い) Lv.56

 ウソッキー Lv.55

 バンギラス Lv.61

 ドンファン Lv.54

 ギャラドス(色違い) Lv.53

 ミロカロス Lv.47

 ミズゴロウ Lv.50

 オオスバメ Lv.49→50

 ジュカイン Lv.50

 ヘイガニ  Lv.48

 フライゴン Lv.55

 コータス  Lv.48

 ラルトス(色違い) Lv.30

 オニゴーリ Lv.47

 ワカシャモ Lv.44

 ダンバル(色違い) Lv.5→10




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#168 『かつての姿を思い出した』

 13歳 γ月λ日 『親近感』

 

 ようやくセキエイ高原に到着した。ここに来るのも実に二年ぶりということで、何とも言えない懐かしさを感じる。

 ハルカも早速グランドフェスティバルにエントリーしていると、いつものようにシュウが姿を現した。そのまま、ハルカと毎度お馴染みとなっている煽り合いをしていると、サオリと名乗るベテランコーディネーターが声をかけてくる。

 

 どうやら、サオリはニビシティ出身でタケシとも知り合いのようだった(ナンパしていただけらしい)。

 

 また、シュウの初めてのコンテストでも、サオリがファイナルステージの相手だったらしく、力及ばず悔し涙を流させられたのだということだ。

 基本的にクールなシュウですら初めてのコンテストに負けて悔し泣きをしたという所に、ハルカが驚きながらも親近感を覚えている。ハルカの場合はファーストステージだったが、シュウに負けて大泣きしていたからな。

 

 シュウ曰く、今回のコンテストで上位に入りそうなのは、自分とサオリ、ハーリーにハルカ、ムサリン(ムサシの偽名)くらいのものだと言っていた。

 前回のホウエンのグランドフェスティバルに参加していたナナミさんやロバートのような規格外はいないとのこと――強いて言えば、サオリがその枠に当たるらしい。

 

 しかし、シュウもいつまでも負けているつもりはないということで、今回のグランドフェスティバルで必ず優勝すると意気込んでいた。

 

 

 追記。前回助けてくれたエイパムが俺達に着いて来ていた。構ってくれとばかりに帽子を取ろうとしてくる。そういえば原作でサトシ君がエイパムをゲットしていたが、こいつなのかもしれない。試しに一緒に来るか聞いてみるも首を傾げていた。うーむ、微妙だ。ゲットはしないとしても、明日はイタズラしないように見張っておいた方がいいかもしれないな。

 

 

 

 13歳 γ月μ日 『セキエイ高原 グランドフェスティバル』

 

 朝一でエイパムを抱きかかえて観客席に向かった。こうしてグランドフェスティバルを外から見るのは初めてなので地味に楽しみである。

 

 どうやら、カントーのグランドフェスティバルも、ホウエン同様に予選が存在するようだ。人数が多いので、本選前にある程度ふるいにかけるのだろう。

 今回は万全を期すつもりのようで、ハルカはフシギダネで予選に挑戦することにしていた。いつものように、幸平式を決めながらハルカが最高のパフォーマンスを披露している。どうやら、今日のハルカは絶好調のようだった。

 

 よく見ると、審査員の中にホウエン地方のコンテストで司会をしていたビビアンがいる。

 カントー地方の司会である妹のリリアンとしては若干やりにくそうな気もするが、本人は特に気にした様子もなく、いつも通りに淡々と司会を進行していた。

 

 シュウ、ハーリー、そしてサオリ、ムサシも問題なく予選を突破していく。ハーリーだけは何故かハルカのコスプレをしていた。しかし、ハリカとかw 意外と似合っていて笑ったw

 

 続く一次審査では、ハルカがエレキッドで圧巻の演技を見せていく。他のメンバーも問題なく突破していたのだが、シュウだけはアブソルの『かまいたち』が納得できるものではなかったようでイライラしているようだった。

 ハルカが声をかけるも、珍しく大声を出している。まぁ、こういうナルシーな奴は神経質でもあるが、そのまま切り替えられないと勝てる勝負も勝てなくなるぞ。

 

 続けて二次審査のコンテストバトルだが、またもハルカがハーリーと当たっていた。

 グランドフェスティバルのコンテストバトルはタッグバトルだが、ハーリーは相棒のノクタスと新ポケのプクリンでエントリーしている。っていうか、あのプクリン顔が悪人面なんだがw

 

 対するハルカは、アゲハントとゴンベというコンビだ。しかし、ハーリーのプクリンは、体を膨らませることで、あらゆる物理攻撃を受け流し、また遠距離攻撃は宙に浮いてかわすというトリッキーな動きを見せている。

 また、相手がプクリンに集中した所に、ノクタスが奇襲をかけていくというなかなか味のあるコンビプレイで攻めてきていた。

 

 だが、ハルカはプクリンが遠距離攻撃を避けていても無効にしている訳ではないという点を付き、『むしのさざめき』を地面にぶつけて爆発を起こすことで無理やりに攻撃を当てて起点を作っている。

 何というか、考え方が俺に似てきたな。

 相手の連携に穴を空けると、体勢を立て直させる前に一気に攻めに移っていく。ゴンベは隙こそ大きいが威力が強い技が得意ということで、このバトルではフィニッシャーになっていた。

 

 最初こそ苦戦していたが、後半盛り返してからはハルカの一方的なバトルだったな。

 ハーリーも悔しそうにしているが、ここ数か月のハルカの伸びは、近くで見ている俺ですら凄いと思うレベルだ。もう、前のように簡単には勝てないだろう。

 

 早くも優勝候補が一人脱落してしまったが、他のメンバーは問題なく一回戦を突破していた。どうやら、シュウもしっかりと切り替えが出来たらしい。

 だが、続く二回戦ではハルカとシュウがぶつかっている。まるで、前回のグランドフェスティバルの焼き直しだが、シュウもハルカに二度は負けるつもりはないようで気合が入っていた。

 

 しっかし、飽きて暴れるかと思っていたエイパムが意外と静かにコンテストを見ている。そういえば、後からヒカリのブイゼルと交換するレベルでコンテストが好きだったっけか。

 

 シュウはフライゴンとアブソルという、相棒のロゼリアを抜いた編成で挑戦してきた。

 対するハルカはワカシャモとゼニガメというコンビで挑戦している。しかし、シュウもまた前回の二の舞にはならないと、上手いコンビネーション技で攻め立ててきた。

 

 だが、ハルカもこれまでの経験を生かして、ダメージを最小に抑えつつ逆転の手を探していく。

 ゼニガメのこおり技でフライゴンを狙っていくも、飛んでいるフライゴンにはなかなか命中しなかった。逆にアブソルの『かまいたち』でゼニガメがひっくり返ってしまう。

 亀系のポケモンはひっくり返ると、起き上がるまでかなりの時間がかかる。だが、ハルカは敢えて隙を作ったまま、近づいてくるフライゴンに『こうそくスピン』からの『れいとうビーム』で追撃していった。立ち回りがほぼニューサトシである。

 

 また、ワカシャモが新たに『オーバーヒート』を覚えたようで、アブソルに大ダメージを与えていた。

 ハルカの猛攻でポイントが段々と盛り返していくも、そこでタイムアップとなる。互いに激しい攻防だったが、勝ったのはハルカだった。最後のオバヒでギリギリ逆転したらしい。

 

 シュウも「また紙一重か」と呟いていた。しかし、全てを出し切ったようで、その表情は晴れやかなものである。

 

 これでハルカはセミファイナルに進出決定となった。また、サオリとムサシも同じくセミファイナルに進出している。

 どうやら、ムサシは完全に調子を取り戻したようで、別の会場で無双しているようだった。今の所、前回大会の組み合わせを踏襲しているので、次はムサシが相手かと思ったが、予想外にもサオリが相手になっている。

 

 これまでの戦いを見ていたが、サオリもレベルがかなり高い。ナナミさんやロバートレベルというのも頷ける。だが、今のハルカなら十分に勝機はあるだろう。

 

 セミファイナルでは、サオリはピジョットとヤドランというコンビで挑戦している。

 対するハルカは、チルタリスとイーブイという組み合わせだ。どうも、サオリは回避を主体に置くコーディネーターのようで、押せ押せのハルカと微妙に相性が悪い。

 

 基本的には隙を見つけて起点を作り、押し返すというのがハルカの勝ち方である。だが、その攻撃が当たらないとなると、後半で一気に逆転するのは難しい。

 ピジョットはその速度で攻撃を回避し、ヤドランは強力なエスパー技で攻撃が反らすという完璧な型だ。しかし、ハルカも負けじと攻撃をヤドランに集中させた。エスパー技で防御できる限界を超えた攻撃で無理やり防御を突破するつもりのようだ。

 

 思い切りは悪くないが、その方法ではピジョットがフリーになってしまう。『ブレイブバード』でチルタリスとイーブイが吹き飛ばされ、今度はヤドランがフリーになった。

 そのまま、サオリはヤドランの『あくび』でチルタリスの動きを封じようとするが、そこは『しんぴのまもり』で上手く状態異常を防いでいく。だが、ポイント差は大きく、少し盛り返したくらいではハルカに逆転の目はなかった。

 

 おまけに、サオリはピジョットが『フェザーダンス』で攻撃を二段階下げることで勝負を決めに来る。

 しかし、イーブイが土壇場で『シャドーボール』を覚えたことで、逆転の目途が立った――が、時間が足りなかった。

 

 結局は相手にあしらわれてハルカのグランドフェスティバルは終了となる。結果は、前回と同じベスト4だった。

 戻ってきたハルカも全力を出し切ったと苦笑いしていたが、すぐに我慢できずに涙を流している。負けて悔しくない人間なんかいないと、カスミさんが胸を貸していた。いい女やでぇ。

 

 ファイナルステージは、サオリVSムサシの対決になった。ぶっちゃけ、サオリが勝って終わりだろうと思っている。

 ムサシはハルカと似て、力で押す傾向の強いタイプだ。故に、ハーリーやサオリのような搦手を使う相手には弱い。

 

 と、思ったのだが、予想外の試合になっていた。

 

 ピジョットとヤドランというサオリの組み合わせに対し、ムサシはルージュラとニューラというこおりタイプコンビで対抗してきたのだ。どうやら、あのルージュラは新規で仲間にしたようで、俺ですら初見である。

 さらに、驚くべきことに、ムサシがサオリの戦術の悉くの上を行っていたのだ。

 ピジョットはルージュラで捌き、ヤドランのエスパー技はニューラで防ぐ。まるで相手の動きを読んでいるかのようにサオリを封殺している。観客席のコジロウとニャースがドヤ顔をしている所から見るに、どうやらサオリが出してくるポケモンを事前に推測していたらしい。

 

 この大会で、サオリはバタフリー、ピジョット、ラプラス、ヤドランの四体しか試合に出していなかった。

 組み合わせこそ変えてはいるものの、おそらくこの四体を集中してコンテスト用に調整してきたのだろう。勿論、ムサシのようにとっておきを最後まで残している可能性もあったが、コジロウやニャースはこれまでの連携を見て集中育成だと判断したのだ。

 

 後は組み合わせを調べていくだけである。

 

 サオリの一回戦はバタフリー、ラプラス。二回戦もバタフリー、ラプラス。セミファイナルはピジョット、ヤドランと来たら、最後はピジョット、ヤドランの組み合わせが自ずと見えてくる。

 人間、癖というものは誰にも存在するものだ。

 特にサオリは同じポケモン達を二度選出するタイプなのだろう。事前のデータからそう推測したコジロウとニャースは、調べたありったけの情報をムサシに渡し、ムサシはその情報を信じてポケモンをチョイスした。それがこの結果である。

 

 コンテスト中のアドバイスは禁止されていても、事前調査が禁止されている訳ではない。

 おそらく、これまでの不調もコジロウやニャースの協力で乗り切って行ったのだろう。かつて、カントーとジョウトのポケモンリーグを三人四脚で乗り切った姿を思い出した。

 

 しかし、それで簡単に負けるほど、熟練のポケモンコーディネーターは甘くない。タイプ相性でごり押ししてくるのであれば、それを逆手に取ってサオリはムサシのポイントを削っていく。

 

 もし、ムサシが普通のコーディネーターだったら、サオリもこのまま逆転できただろう。だが、こいつはナナミさんの弟子だった。

 前回のグランドフェスティバルで、新たに獲得した境地――前回のハルカはたまたま上手く行っただけで手にすることは出来なかったが、ムサシはその境地に再び足を踏み入れていた。

 

 ニューラの『ふぶき』と、ルージュラの『ふぶき』の融合技である。同じ技を二つかけ合わせることで、まさに猛吹雪となってサオリのポケモン達に襲い掛かっていく。

 

 サオリが「その技術は……!?」と驚きの声を上げる。おそらくナナミさんのことを知っていたのだろう。

 ならば、その技術の難しさも理解できるはずだ。技の融合は一体のポケモンでやるのと、二体のポケモンで合わせるのでは難易度が完全に別物である。

 

 前回のハルカはたまたま出来ただけだった。その後は何度やっても上手く行かなかったし、おそらくムサシもそうだったはずだ。

 だが、死ぬ気の特訓でその感覚を無理矢理に取り戻したのだろう。この時点で、ムサシはコーディネーターとして、俺やハルカを超えたレベルの存在になっていた。

 

 勿論、あくまで技術的な話であり、コンテストバトルで勝てないかと言われれば話は別である。

 俺がホウエンのグランドフェスティバルでナナミさんを追い詰めたように、戦い方次第では追いつくことも不可能ではない。

 

 しかし、サオリは選出時点でメタられた上に、自分には出来ない技術で差を見せつけられて後手に回り過ぎた。

 どんなに強いコーディネーターでも、実力差がそこまでないのであれば逆転は難しい。何とか逆転出来ないか最後まで足掻くサオリだったが、ポイント差を生かしたムサシがそのまま逃げ切っていた。

 

 予想外のムサシの勝利で、グランドフェスティバルが幕を閉じる。正直、強いのは知っていたが、優勝してしまう程だとは思っていなかった。

 優勝トロフィーであるリボンカップを受け取ると、ムサシが真っすぐにコジロウとニャースの元へ向かっていく。「勝ったわよ!」の声が良く聞こえた。俺が挑戦していた訳ではないが、何やら負けた気分になる。

 

 だが、ムサシの演技は本当に凄いものだった。

 

 勿論、事前に相手をメタっていたという部分も大きいが、極地に足を踏み入れた技を意図的に繰り出したのだ。

 今の俺が同じことをしろと言われても出来る気がしない。コンテスト故に、見栄え重視で威力などは無視していると言っても、二体のポケモンの合わせ技は簡単に出来るものではなかった。

 

 コジロウがムサシを抱き上げるのを遠巻きに見ていたハルカが「もっと強くならないとね」と呟いている。いつの間にかいたシュウも、それに同意していた。

 何となくいい雰囲気なので、空気を読んでこの場を退場する。しっかし、あいつらがグランドフェスティバルで優勝するなんて場面、一体誰が想像しただろうか?

 

 付き合いの長いカスミさんやタケシでさえ驚いていた。勿論、それだけ努力したのだろうが、ロケット団がグランドフェスティバルで優勝って、どういうアニポケだよ。

 

 

 追記。グランドフェスティバルの熱気に当てられたのか、エイパムがバトルを挑んできたので倒してゲットした。アニメではコンテスト専だからヒカリと交換していたが、ニューサトシはコンテストもするつもりなので交換することはないと思いたい。

 

 

 

 13歳 γ月ν日 『コンテスト好きのエイパム』

 

 どうやら、エイパムは♀らしい。どこか、昔のチコリータみを感じるので、少しの間は重点的に可愛がってやることにした。

 まだベイビーなダンバルが寂しがるかとも思ったが、前にリラに言われたアドバイスをしっかり覚えていたようで、思い出したようにくっついてくる。何というか、気まぐれな猫のような奴だ。

 

 また、エイパムはコンテストが好きなようでハルカの練習に喜んで付き合っている。シンオウ地方に行ったら、一緒にコンテストに参加しような。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・第180話『開幕! ポケモンコンテスト・グランドフェスティバル!!』より、予選はフシギダネで参加した。
 毎度お馴染み幸平式を決めている。

・第181話『ハルカVSハーリー! ダブルバトルでステージ・オン!!』より、戦い方がニューサトシに似てきた。
 前々からそうだったが、ホウエンの時に比べて成長したこともあり、カントーでは無意識に戦い方が近くなってきた。

・第182話『ハルカVSシュウ! 最後の戦い!!』より、サオリに負けた。
 原作程一方的ではないが、巻き返す時間がなかった。ハルカの戦い方はウマ娘で言う差しや追い込みなので、失敗すると巻き返せない。

・ムサシがルージュラをゲットしていた。
 #164(原作168話)で出てきたムチュールが進化した姿。ニューサトシの後から来たムサシと意気投合して仲良くなった。

・ロケット団全員でグランドフェスティバルを戦った。
 ムサシの為に二人が強敵のデータを事前にかき集めていた。意外とエリートなので、そういうことも得意。ニャースがパソコンで事前データを、コジロウが目視でリアルの情報を集めた。基本的にはムサシの勢いに任せつつ、ヤバい奴相手には事前にコジロウが注意点を促し、ニャースがツッコミを入れる体制で勝ち抜き、優勝した。

・第183話『エイパムと王様!!』より、エイパムを重点的に可愛がっていたので家出しなかった。
 チコリータの時もそうだったが、ポケモンの♀に対する対応は100点なニューサトシ。コンテスト好きなのも知っていたので、コンテストの練習をさせている。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.63

 ピジョット Lv.59

 バタフリー Lv.59

 ドサイドン Lv.62

 フシギダネ Lv.59

 リザードン Lv.63

 カメックス Lv.59

 キングラー Lv.59

 カモネギ  Lv.59

 エビワラー Lv.59

 ゲンガー  Lv.61

 オコリザル Lv.58

 イーブイ  Lv.58

 ベトベトン Lv.58

 ジバコイル Lv.59

 ケンタロス Lv.58

 ヤドラン  Lv.58

 ハッサム  Lv.60

 トゲキッス Lv.58

 プテラ   Lv.59

 ラプラス  Lv.58

 ミュウツー Lv.75

 バリヤード Lv.59

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.57

 カビゴン  Lv.57

 ニョロトノ Lv.57

 ヘラクロス Lv.56

 メガニウム Lv.56

 マグマラシ Lv.56

 ラティアス Lv.51

 ヘルガー  Lv.56

 ワニノコ  Lv.55

 ヨルノズク(色違い) Lv.55

 カイロス(部分色違い) Lv.56

 ウソッキー Lv.55

 バンギラス Lv.61

 ドンファン Lv.54

 ギャラドス(色違い) Lv.53

 ミロカロス Lv.47

 ミズゴロウ Lv.50

 オオスバメ Lv.50

 ジュカイン Lv.50

 ヘイガニ  Lv.48

 フライゴン Lv.55

 コータス  Lv.48

 ラルトス(色違い) Lv.30

 オニゴーリ Lv.47

 ワカシャモ Lv.44

 ダンバル(色違い) Lv.10→11

 エイパム  Lv.15 NEW!




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#169 『全力で逃げた』

 13歳 γ月ξ日 『全力で逃げた』

 

 ジンダイとのバトルのために、フェンネル谷の遺跡を目指すことになったのだが、途中でいつものように道に迷ってしまった。

 水も無くなり困っていると、マリーナ一座のヒロミという少女と知り合いになったので少し水を分けて貰うようにお願いする。どうやら、ヒロミは家族で水中ポケモンショーをやっているらしく、これから街で演目があるということで見せて貰えることになった。

 

 エスパータイプの『サイコキネシス』で水を大きな球体にし、その中でみずポケモン達が様々な演技をしている。

 ハルカはバネブーが進化してブーピックになったら、コンテストでこれと同じことが出来ないか考えているようだった。実際、プロのショーはコンテストの良い参考になる。

 

 そのまま一座のキャンプカーで一晩泊めて貰うことになったのだが、朝食の時間にハルカが、不思議なみずポケモンが海中神殿に向かって泳ぐ夢を見たと話していた。

 どうもハルカが見た夢は、ヒロミも見たことがあると言っている。また、彼らは自分達を水の民の一族呼んでいるようで、ハルカが見た夢は本来水の民の末裔じゃないと見ないものだということだった。

 

 実はニューサトシも見たんだよな、その夢。

 

 口にはしなかったが、マナフィっぽいポケモンに追い回されて全力で逃げた。これって、間違いなくマナフィの映画の導入だよなぁ。ハルカはともかく、何で俺まで?

 

 

 

 13歳 γ月ο日 『なんでやねん』

 

 不思議な夢を見たハルカはもしかしたら水の民の子孫かも――みたいなことを話しながら、朝食を終えてキャンプカーに戻ると、ロケット団がマナフィのタマゴを盗んでいく所だった。

 どうもマナフィの影響で、精神と肉体が入れ替わっているらしく、ムサシの中にコジロウが、コジロウの中にニャースが、ニャースの中にムサシが入っている。そういえばあったな、こんな面倒くさい技。俺だけはガードできるように波動で精神防御しておかないと。

 

 と、ニューサトシの意識が外れた隙を見て、ロケット団がマナフィのタマゴを持って逃げようとする。が、マリーナ一座のピエロに扮していたポケモンレンジャーのジャック・ウォーカーこと、ジャッキーの手によってマナフィのタマゴは救出されていた。

 

 どうやらジャッキーはマナフィのタマゴを孵して、海の神殿である『アクーシャ』なる場所まで行くのを見届けるのがミッションのようで、そのためにマリーナ一座の力を借りているらしい。

 ハルカは夢で神殿とマナフィを見たから、大体マナフィがどういう姿をしていて、どこに行くのかがわかったようだ。いやだなぁ、行きたくないなぁ。

 

 ――その瞬間、悪意の波動を感じ取った。

 

 ピカ様や他のポケモン達も気付いたようで、背後を警戒している。よく見ると、ヘリのような乗り物が三機おり、こちらに矛先を向けていた。

 そういえば、マナフィのタマゴを狙う海賊だか盗賊が居たんだっけか。仕方ないので、タマゴを守ることにしたのだが、制空権を取られている上、無駄に人数がいることもあって全滅させるには時間がかかる。

 

 ジャッキーが囮になるというので、俺がタマゴを預かったのだが、嫌な予感がしたのですぐにタマゴをハルカにパスして、俺がハルカの盾となることにした。

 どうも、ニューサトシの危険信号は正しかったようで、どさくさに紛れてマナフィがタマゴから孵っている。あのまま持っていたら、俺が親にされる所だった。あぶねー。

 

 一旦仕切り直しということで、煙幕で敵を撒いてキャンプカーに逃げ込んだのだが、どうもマナフィはハルカ以外が抱くと嫌だと泣いてしまうようだ。

 試しにヒロミが抱いたが泣かれている。

 しかし、敵も諦めてはいないようで、空から追撃をかけてきた。車を無理矢理止めようと攻撃してくる。その衝撃でハルカがマナフィを落としたので仕方なく助けたのだが、何故かニューサトシが抱いても泣かれなかった。なんでやねん。

 

 とりあえず、危機だったから助けたが、いつまでもマナフィを抱いているつもりもないのですぐにハルカに返した。

 ハルカはまるで赤ちゃんを抱きしめる母親のように、マナフィを抱きかかえている。おいおい、あまり感情移入すると、いつかのマサトとジラーチみたいな目に合うぞ。

 

 再び、敵を撒いて何とか逃げ延びたが、どうも闇雲に逃げていた訳ではないようで、逃げた先には遺跡のようなものがあった。

 聞けば、水の民に伝わる遺跡のようで、彼らだけが入れる特別な道があるらしい。後について行くと、地下には水が流れる通路のようなものがあった。みずポケモンの力を借りて川を進んでみると、先には広場のような場所があって壁画らしきものが並んでいる。

 

 壁画には、俺やハルカが見た海中神殿が描かれていた。水の民のメンバーによると、この描かれているのが海中神殿アクーシャで、ここには海の王冠なる秘宝があると言っている。

 どうも俺達を襲ってきた奴らも、その海の王冠を狙う奴等の一人ということだった。だからこそ、水の民の末裔は神殿に仕掛けを施し、神殿自体を海の色と同化させ、人間の目に見えなくしたらしい。

 

 それ以来、神殿は海を流れて漂流しているようで、決して見つけることが出来ないということだった。

 ただし、皆既月食が起きた日にだけ、神殿は姿を人間の前に姿を現すらしく、水の民はその時にみずポケモンに感謝の気持ちを伝える祭りをするのだという。そんな所、どうやっていくねん――と、ツッコミを入れていると、どうやらマナフィは行けるらしい。

 

 神殿はマナフィの故郷のようなものらしく、帰巣本能的なもので見つけることが出来るということだ。

 成程、だから悪役達はマナフィを捕まえて、その神殿に連れて行って貰いたかった訳か。大体のあらすじが理解できたぜ。

 

 何せ、ここまで来て全く内容が思い出せない。

 

 俺に唯一残っている映画の記憶は、マサラジェットでサトシ君が海を泳ぎまくっているシーンくらいのものだ。

 時が経つ毎に段々記憶が曖昧になっていく。ゲームの情報は大体覚えているんだが、どうもアニメや映画関係はもうダメだな。特に映画はもう大体の流れも思い出せなくなってきた。

 

 今度は地下水路をボート進んでいく。どうやら、ジャッキーはこれ以上俺達を危険な目に合わせたくないようで、ここを出たら別行動を取ると言ってきた。

 聞けば、ここからは船で進むらしい。

 まぁ、好きでついてきた訳じゃないし、ここまでならそれでいいのだが、マナフィがそれを許してくれるとは思えなかった。どうも、ジャッキーは伝説のポケモンを舐めている。

 

 こいつらは絶対にこちらを面倒毎に巻き込む不思議な魔力のようなものを持っているのだ。

 

 とりあえず、そのまま旅立つ船を見送っていると、ハルカが別れに耐え切れなくなったようで走り出した。やはり、マナフィと一緒に居たいのだろう。続いて、マサト、カスミさん、タケシと続き、ラティが行かないの? という視線を向けてくる。

 行きたくないけど、行かざるを得ないだろう。

 と、いうことで、ラティとタケシの後ろをついて行ったのだが、船から出た赤い光線のようなものがハルカに命中し、ハルカとジャッキーの精神が入れ替わった。

 

 つまり、今俺達の前にいるハルカの中にはジャッキーの精神が入っており、船でマナフィを抱いているジャッキーの中にはハルカが入っている訳だ。朝のロケット団と一緒だな。

 

 こうなっては仕方ないということで、再び俺達も船の旅に同行することになった。やっぱりこうなったな。

 もう、一度巻き込まれたら、問題を解決するまで決して逃げられないのだ。今までの経験上、間違いない。

 

 どうも、あの赤い光線は『ハートスワップ』というものらしく、人やポケモンの精神を自由に入れ替えることが出来るということだった。

 マナフィは、ハルカと別れるのが嫌で、ジャッキーとハルカの精神を入れ替えたのだとわかると、ハルカが少し嬉しそうにしている。その際、ハルカが「嬉しいかも」と口にしたことで、マナフィも「かも」と、ハルカの口癖を真似ていた。

 

 かもかも口にしているのは、自分を呼んでいるのだとハルカが大喜びしている。しかし、いつまでも喜んでいる暇はなかった。

 ここからはマナフィにしか道案内が出来ないということで、ハルカがマナフィを海へと入れていく。後はついて行くだけということだ。

 

 ここで、実はニューサトシも何となく神殿らしきものがある場所がわかるって言ったら、多分大騒ぎになっちゃうよなぁ。

 

 

 

 13歳 γ月π日 『謎の加護』

 

 マナフィが進む道と、ニューサトシが感じる神殿の気配の方角はピッタリ一致していた。

 海に出てから、何やら薄っすら妙な気配を感じていたのだが、どうもそれが神殿で間違いないようだ。おそらく、ルギアに貰った海の神の加護が、俺にもその場所を感じさせているのだろう。

 

 マナフィの夢を見たり、俺が抱いても泣かなかったりしたのも、同じ影響と見ていい。

 この加護、みずポケモンの進化にはあまり役に立っていないが、別の場所だと変に大活躍だよな。ジョウトでもよくわからないことあったし。

 

 途中、俺達の後をつけて来ている悪役の気配を感じ取ったので、神殿で悪さをされる前に鎮圧することにした。

 流石に制空権を取られていると対処も面倒だったが、海の中にいるならこちらのものだ。船の中に一纏めになってくれているなら一網打尽に出来る。

 

 こうなると思っていたので、事前にみずポケモンを優先して手持ちに入れてあった。ラプラス、ワニノコ、ギャラドス、ミロカロス、ミズゴロウさんの五体を引き連れて強襲をかけていく。

 

 ポケモン達が暴れている間に、ミュウツーの『テレポート』で中に入り、久しぶりのマサラ式肉体言語術で敵を次々とボコボコにしていった。

 悪いが、ニューサトシは面倒事を手早く済ませるタイプなんだ。と、いうことで、ファントムなるおっさんをタコ殴りにしていく。どうも怪力が自慢のようだが、その程度の力でニューサトシがどうにか出来るなら、俺はここまでの旅の途中でとっくに野垂れ死にしているよ。

 

 と、いう訳で、半泣きになっているファントム達を簀巻きにして、警察に『テレポート』させてやった。

 ついで何故か一緒にいたロケット団も、いつものようにやなかんじーにしてやる。これでとりあえず一件落着だろう。

 

 

 追記。夜、ジャッキーからハルカとマナフィを引き離したいと相談を受けた。どうやら別れる時のことを考えてのようだが、それは本人達が乗り越えるべきことであって、外野の俺達がどうこういう問題ではないと一蹴している。ハルカも話を聞いていたらしく、身を引くことを考えたみたいだが、「お前の心に従えばいい」とだけ言っておいた。

 

 

 

 13歳 γ月ρ日 『マサラジェットはしません』

 

 遂に海中神殿を見つけた。見つけたというよりも流れ着いたという方が正しいが、まぁ見つかれば経緯など問題ではないだろう。

 ハルカもやはりマナフィと距離を置くのは止めたみたいで、最後まで一緒にいることにしたようだ。別れるにしても、最後まで楽しく行こうと腹を決めたらしい。

 

 マナフィの案内に従って奥に進んでいくと、海の王冠らしき結晶体を見つけた。マナフィが嬉しそうに周囲の水の中に入って行く。

 ニューサトシも王冠には興味があったので、少し顔を近づけて見たのだが、その瞬間、王冠から黄金の光のようなものが輝き出し、ニューサトシの体もまた共鳴して光が輝き出している。

 

 あ、何かやっちまった感じ?

 

 とはいえ、ただ近づいただけで特別なことは何もしていない。おまけに、光ってはいるが、別に特別なことは何も――と、思った瞬間、モンスターボールから出てきたミズゴロウさんが進化を始めた。

 そのまま、ミズゴロウからヌマクローに進化している。いつか進化して欲しいとは思っていたが、まさかこのタイミングで進化してくれるとは!

 

 ま、まさか、これが海の王冠の力か?

 

 じゃあ、もしかしてワニノコも――と、思ったが、ワニノコのモンスターボールはうんともすんとも言っていなかった。なんでやねん!!

 

 どうやら、たまたま進化のタイミングだっただけらしい。紛らわしいと思っていると、光は収まった。結局、何だったんだこの光?

 もしかしたらマサラジェットが出来たのかもしれないが、敵も倒して別に使い道もないマサラジェットをする意味などないし、謎は謎のままだった。

 

 

 追記。とりあえず、問題なくマナフィが海の皇子になったということで、ハルカとの別れの時がやってきた。流石にマサトとジラーチの時と違って、ハルカは泣きそうではあるが泣かずにマナフィとお別れしている。カスミさんとラプラスの時もそうだったけど、女って別れに強いよな。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・劇場版海の皇子より、ニューサトシもハルカと同じ夢を見た。
 マナフィから全力で逃げた。無駄にみずポケモンに関する加護があるためと思われる。

・マナフィがニューサトシに抱かれても泣かなかった。
 無駄にみずポケモンに関する加護があるためと思われる。

・ニューサトシの記憶はもう曖昧。
 前からそうだったが、結構記憶が曖昧になっている。ゲーム第一、アニメ第二、映画第三くらいのレベルで、7:2:1くらいの割合で覚えている。

・ニューサトシが神殿の気配を感じ取った。
 無駄にみずポケモンに関する加護があるためと思われる。

・神殿に着く前にファントムをボコった。
 最初は制空権を取られたので引き気味だったが、一か所に纏ってくれていたのでボコった。ファントムの機械的な怪力など、ニューサトシの前では無力。

・マサラジェットはしなかった。
 ただ、何故か体は光った。謎である。ミズゴロウさんがヌマクローに進化している。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.63

 ピジョット Lv.59

 バタフリー Lv.59

 ドサイドン Lv.62

 フシギダネ Lv.59

 リザードン Lv.63

 カメックス Lv.59→60

 キングラー Lv.59→60

 カモネギ  Lv.59

 エビワラー Lv.59

 ゲンガー  Lv.61

 オコリザル Lv.58

 イーブイ  Lv.58

 ベトベトン Lv.58

 ジバコイル Lv.59

 ケンタロス Lv.58

 ヤドラン  Lv.58→59

 ハッサム  Lv.60

 トゲキッス Lv.58

 プテラ   Lv.59

 ラプラス  Lv.58→59

 ミュウツー Lv.75

 バリヤード Lv.59

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.57

 カビゴン  Lv.57

 ニョロトノ Lv.57→58

 ヘラクロス Lv.56

 メガニウム Lv.56

 マグマラシ Lv.56

 ラティアス Lv.51

 ヘルガー  Lv.56

 ワニノコ  Lv.55→56

 ヨルノズク(色違い) Lv.55

 カイロス(部分色違い) Lv.56

 ウソッキー Lv.55

 バンギラス Lv.61

 ドンファン Lv.54

 ギャラドス(色違い) Lv.53→54

 ミロカロス Lv.47→48

 ミズゴロウ→ヌマクロー Lv.50→51

 オオスバメ Lv.50

 ジュカイン Lv.50

 ヘイガニ  Lv.48→49

 フライゴン Lv.55

 コータス  Lv.48

 ラルトス(色違い) Lv.30

 オニゴーリ Lv.47

 ワカシャモ Lv.44

 ダンバル(色違い) Lv.11

 エイパム  Lv.15




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#170 『たまにはこういうのも悪くないな』

 13歳 γ月σ日 『たまにはこういうのも悪くないな』

 

 カントーじゃあまり見ないペラップを相棒に、世界一の漫才コンビを目指しているというアンリに出会った。

 漫才と聞いて、何やらメタモン使いのイミテの時と似たような空気を感じるが、いざ見せて貰ったペラップの芸は完成度が高くなかなか面白い。

 

 しかし、たまにフラっと、どこかへいなくなってしまい、戻ってきた時には聞き慣れない言葉を覚えているので困っているということだった。成程、ポケモン自身ではなく、行動に問題があるタイプだったか。

 

 とりあえず、真相を突き止めるために、ペラップの後を追ってみようということになったのだが、ペラップが向かった先には病院しかなかった。

 どうやら、ペラップは入院中で親と一緒に居られない子供達を励ますために、定期的に遊びに行っていったらしい。アンリに秘密がバレて焦るペラップだが、アンリは水臭いとばかりにペラップの頭を撫でていた。ペラップの気持ちを汲んで、子供達に芸を見せるつもりなのだろう。

 

 だが、ペラップがアンリのポケモンで、もうすぐ一緒に旅立ってしまうと知った子供達は芸を見る前にショックを受けてしまった。

 落ち込む子供達だが、それでもアンリは少しでもみんなが元気になるようにと、自分に出来る全力で芸を披露していく。アンリやペラップの気持ちは、芸を通じて子供達にも伝わったようで、始まる前にはお通夜みたいだった空気も一転し、終わる頃には拍手が二人に送られていた。

 

 いいね。ニューサトシはこうやって、ポケモンと一緒に誰かを助けようとする奴は割と嫌いではないのである。

 俺達も出来るだけサポートしようということで、疑似コンテストみたいなことをして、入院中の子供達を励ましてあげることにした。

 

 グランドフェスティバル出場経験者と、ジムリーダーが揃っているということで、割と大規模なコンテストだが、子供達が喜んでくれるなら当然無料である。

 最初は落ち込んでいた子供達も、アンリやペラップ、それに俺達のことも応援することにしてくれたようで、最後は笑顔で旅立ちを見送ってくれた。たまには、こういうのも悪くないな。

 

 

 

 13歳 γ月τ日 『こういう奴は強くなる』

 

 野生のマニューラが勝負を仕掛けてきた。基本的に野生のポケモンをいじめる趣味はないニューサトシだが、このマニューラはかなり好戦的な奴だったので、仕方なくワカシャモでお仕置きしてやる。

 こおり・あくタイプのマニューラに、ほのお・かくとうタイプのワカシャモをぶつけるという非道なニューサトシだが、突っかかってきた奴が悪いということでボコボコにした。

 

 この辺りの警護をしているという、森林警備隊のカワダとかいう奴の話によると、このマニューラはこの辺りに通りかかるトレーナーに片っ端から勝負を挑んでいるらしい。

 倒れたマニューラを介抱しながら、何で喧嘩を売ってきたのか聞いてみると、どうもこいつはかつて群れのリーダーだったようなのだが、突如現れたはぐれマニューラとのバトルに負けて群を去ったのだという。もっと力をつけてリベンジするつもりのようで、そのためにトレーナーを襲って自分を鍛えていたらしい。

 

 泣かせる話ということで、ニューサトシが協力してやることにした。マニューラも自分を倒したニューサトシに師事できるとわかると、恥を捨てて頭を下げてくる。

 強くなるためにプライドを捨てられる奴は強くなるもんだ。と、いうことで、ニューサトシが野生ポケモンメタの戦い方をレクチャーしていると、森の中からニューラが飛び出してきた。

 

 どうやら、かつてマニューラが率いていた群のニューラのようで、新しくリーダーになったはぐれマニューラの横暴に耐え切れずに、群から逃げ出してきたらしい。

 助けを請うニューラに対し、マニューラは何も言わなかった。おそらく、まだ自分に自信が持てていないのだろう。だが、そんなマニューラの心境など知らんとばかりに、森の中からマニューラの群がニューラを連れ戻しにやってきた。

 

 真ん中の頬に傷がある奴が、はぐれマニューラのようだ。逃げ出してきたニューラに、戻って来いと言って無理やり群に連れて帰ろうとしている。

 しかし、そんなニューラを見ても、マニューラは動かなかった。敗北の恐怖が足を止めさせるのだろう。「見捨てて後悔しないな?」と声をかけると、ギュッと拳を握りしめていた。もうちょっと後押してやるか。

 

「男には、例え勝てなくても逃げちゃいけない時がある。お前にとって、それは今だ。ここで逃げれば、後で絶対に後悔する。それでいいのか?」

 

 最後の問いに対し、良い訳がない――と、声を上げてマニューラが前に出る。そのまま、はぐれマニューラに再戦を挑んだ。

 

 一度倒した相手ということで、はぐれマニューラも余裕でその挑戦を受けている。しかし、実戦時間がなかったとはいえ、既にメタは教えてあった。

 マニューラには最初に『こうそくいどう』で素早を上げ、次に『つめとぎ』、『わるだくみ』などでステータスを上げてから戦うことを教えている。野生のポケモンは、余程頭が良い奴でない限り、基本的に変化技を使っては来ないから、詰み技でステを上げればごり押しで勝てるのだ。

 

 特に、最初にスピードさえ上げてしまえば、マニューラの素早なら相手の動きなど止まって見えるだろう。

 後は攻撃を受け流して、隙を見てステータスを上げて行き、十分に力をつけたらボコボコにするだけである。

 

 いくら、はぐれマニューラが強いとはいえ、ステータスが上がったマニューラを相手に勝てるはずがない。

 実際、ステが上がったマニューラに歯が立たず、はぐれマニューラはボコボコにされている。まさか、こうまで一方的なバトルになるとは思わなかったようで、マニューラが驚いたようにこちらを見ていた。

 

 そのまま、終わりだとばかりに、マニューラが爪をはぐれマニューラの首に添える。マニューラが無事勝利し、再び群のリーダーに戻ることになった。よかったな。

 

 

 追記。はぐれマニューラが負けて群を去ろうとしたが、ニューラの仲介によってマニューラとも和解したようで、そのまま群に残ることにしたらしい。ちなみに、ニューラは♀だったらしく、これから凄い三角関係になるとカスミさんがニヤニヤしていた。

 

 

 

 13歳 γ月υ日 『なら、延期で良いや』

 

 ようやくフェンネル谷の遺跡に辿り着いた。早速、バトル――と行きたい所だったが、遺跡の前でジンダイが何やら申し訳なさそうな顔をしている。

 どうやら、原作よりもポケランティス王(笑)のくだりが早く終わったことで、俺が着く前に遺跡の謎を解明できたようなのだが、その解明できた場所にいる、あるポケモンをゲットしに行きたいらしい。

 

 その、あるポケモンというのがレジアイスだというのだ。まさか、今の時点でレジ三兄弟を揃えていないとは思っていなかったので驚きである。

 ニューサトシとの約束もあるが、自分と全力で戦うのを楽しみにしていたニューサトシの気持ちを考えると、先に三兄弟を揃えた方がいいかと葛藤していたらしい。

 

 なら、延期でいいや。

 

 ニューサトシはレジ三兄弟を揃えた全力のジンダイと戦いたいのである。と、いうことで、ジンダイがレジアイスをゲットして来るまで、このフェンネル谷で少し待つことにした。

 

 軽く暇を持て余していたのだが、ポケモンセンターのジョーイさんがバトルしてくれるというので、喜んで相手をお願いして貰うことにする。

 どうやら昔はポケモントレーナーだったということで、なかなかに好戦的だ。腕に自信があるらしく、キャップを取るとスイッチが入るようだった。

 

 相棒のラッキーも、キャップを取って気合を入れている。こりゃ、舐めてかかると倒されそうだな。

 こちらは、ワカシャモを出すことにした。相手のレベルが高めなので、相性の有利を突かせてもらうつもりである。

 

 バトルが始まると、『ちいさくなる』、『どくどく』、『きあいパンチ』、『たまごうみ』と、害悪戦術でこちらを攻め立ててきた。

 ぶっちゃけ、『きあいパンチ』以外は、ほぼお手本と言っていいラッキーの使い方だ。ラッキーは特殊こそ固いが、物理はそこまででもないので『ビルドアップ』、『きあいだめ』からの必中『つばめがえし』の急所連打で何とかラッキーを倒した。

 

 正直、『どくどく』のタイムリミットと、どちらが早いかのチキンレースだったので、もしワカシャモが押し切れなかったら負けていたのはこちらだっただろう。

 ぶっちゃけ、そこらにいるトレーナーより十倍は強い。ここのジョーイさんとバトルする奴は、ジョーイさん相手と油断した瞬間に地獄を見るという訳だ。おー、怖い怖い。

 

 

 

 13歳 γ月φ日 『ハルカスランプ再び』

 

 どうやら、ハルカがパフォーマンスの方向性に悩んでいるようだったので、少し悩みを聞いてやることにした。

 本人も自覚しているようだが、俺と一緒にコンテストに参加したり、俺がバトルする所をずっと見ていたりしたせいで、最近のハルカはコンテストのバトルスタイルが俺に近くなってきている。

 

 ホウエンを旅していた頃は、まだ未熟だったこともあってスタイルが確立されておらず、いろいろなものに影響を受けていた。

 だからこそ柔軟な演技が出来ていたのだが、後半からは今のバトルスタイルが固まり、かなり攻めのパフォーマンスになってしまっている。別にそれが駄目という訳ではないが、それだけでは駄目なのはグランドフェスティバルの結果が物語っていた。ハルカも何とかして、さらに一歩先に行きたいのだろう。

 

 と、すると、俺とバトルするのは駄目だな。解決する所か、逆に事態を悪化させかねない。

 

 どうやら、シュウもここに来ているようなので、本職にサポートをお願いすることにした。

 ハルカに負けてからシュウはずっとポケモンを磨いていたようで、言葉よりもステージで見せた方が早いと、ハルカにコンテストバトルを挑んでいる。

 

 たまたま話を聞いていたらしいカスミさんとジョーイさんのおかげでステージや審査委員も確保し、緊急のコンテストバトルをすることになった。

 審査委員は、俺、カスミさん、タケシ、オーキド博士と、何故かいたエニシダである。ジョーイさんは司会をやってくれるそうだ。バトルといい、コンテストの司会といい、いろいろと器用なジョーイさんである。

 

 シュウは新しく仲間にしたバタフリーとロゼリアで、ハルカはワカシャモとアゲハントでバトルがスタートした。

 仲間にしてからそう時間が経っていないはずだが、バタフリーの練度が高い。と、いうよりも俺のバタフリーの動きに近かった。

 

 粉技を上手く使って動きを封じ、隙を見てロゼリアが攻撃をしていくという基本的な動きだが、その基本的な動きにハルカはなすすべもなくやられている。

 しかし、ハルカの神髄は後半の巻き返しだ。

 ワカシャモのほのお技を起点に、逆転を図るハルカだが、わかっていたとばかりにバタフリーの粉技で粉塵爆発を起こして技を無効にしている。

 

 だが、ハルカは諦めなかった。

 

 そんな諦めない所がハルカの美点だと、ニューサトシは評価している。どんな窮地になっても決して勝つことを諦めない。

 それは、戦い方と一緒に根付いたニューサトシの意思だった――ハルカはグランドフェスティバルで負けが続いて、今までの自分を否定しようとしていたが、今までのハルカを否定しても意味がないのだ。今の形を変えるのではなく、その土台をどう伸ばしていくかが、きっとこれから先のハルカにとって重要なことなのである。

 

 コンテストバトルはハルカの負けに終わったが、ハルカもバトルを通じて何かを掴んだようだった。

 少なくとも、立ち止まらずに先に進むという決意は出来たみたいで、またコーディネーターとして一皮むけたように見える。

 

 シュウやハーリー、そしてグランドフェスティバルで戦ったサオリも、次のグランドフェスティバルを目指してジョウト地方に向かうらしい。

 そういえば、原作のハルカもジョウトへ行くと言っていたっけか。今まであまり気にしていなかったが、そろそろお別れの時も近くなってきたな。

 

 

 

 13歳 γ月χ日 『ポケモンセンター代理』

 

 ジョーイさんが熱を出してしまった。どうやら、俺との熱いバトルや、ハルカとシュウの青春のぶつかり合いに興奮しすぎたようで熱が出てしまったらしい。

 

 仕方ないので俺達が代わりにジョーイさんの代わりをすることになったのだが、こんな時に限ってポケモン達を乗せてこの辺りを走っていた車が事故に巻き込まれてしまった。

 ポケモン達は何とか無事にポケモンセンターまで運ぶことができたのだが、隙を見てロケット団がポケモン達を奪おうとしてきたので、いつものようにやなかんじーにしている。

 

 正直、ニューサトシ達も頑張ったが、こういうのはタケシが得意ということで、先生として大活躍だった。ジョーイさんも夕方には元気を取り戻したのだが、殆どの仕事をタケシが終わらせてくれたということで驚いている。流石はドクタータケシ。

 

 

 




 原作との変化点。

・第184話『ペラップとポケモン漫才!』より、病院の子供達のために疑似コンテストをした。
 ニューサトシ、ハルカ、タケシ、カスミさんの大盤振る舞いである。こういうのもたまには悪くない。

・第185話『襲撃! はぐれマニューラ!!』より、マニューラに野良メタを叩き込んだ。
 ステータスを上げて殴る。これだけ。

・第186話『バトルピラミッド再び! VSレジスチル!!』より、ジンダイとのバトルを延期した。
 この時点ではレジアイスがいないので、全部揃うまで待つことにした。アトランティス王(笑)の事件が原作よりも早く終わったこともあって、ニューサトシが着く前に遺跡の調査は終わっていた。

・第187話『ハルカVSシュウ! ライバルよ永遠に!!』より、原作通りハルカが方向性を見失った。
 原作を見ている限り、ハルカがどういう答えを出したかはイマイチわからないが、ニューサトシでは、ようやく土台が出来て来てこれからどう伸ばしていくかの問題だと判断。苦手なことも、伸ばしているうちに対応できるようになると解釈した。

・第188話『ポケモンセンターは大忙し!』より、タケシが大活躍した。
 原作よりも、薬師スキルが高いおかげで病気や怪我の知識があるので、十分にジョーイさん代理をやっていた。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.63

 ピジョット Lv.59

 バタフリー Lv.59

 ドサイドン Lv.62

 フシギダネ Lv.59

 リザードン Lv.63

 カメックス Lv.60

 キングラー Lv.60

 カモネギ  Lv.59

 エビワラー Lv.59

 ゲンガー  Lv.61

 オコリザル Lv.58

 イーブイ  Lv.58

 ベトベトン Lv.58

 ジバコイル Lv.59

 ケンタロス Lv.58

 ヤドラン  Lv.59

 ハッサム  Lv.60

 トゲキッス Lv.58

 プテラ   Lv.59

 ラプラス  Lv.59

 ミュウツー Lv.75

 バリヤード Lv.59

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.57

 カビゴン  Lv.57

 ニョロトノ Lv.58

 ヘラクロス Lv.56

 メガニウム Lv.56

 マグマラシ Lv.56

 ラティアス Lv.51

 ヘルガー  Lv.56

 ワニノコ  Lv.56

 ヨルノズク(色違い) Lv.55

 カイロス(部分色違い) Lv.56

 ウソッキー Lv.55

 バンギラス Lv.61

 ドンファン Lv.54

 ギャラドス(色違い) Lv.54

 ミロカロス Lv.48

 ヌマクロー Lv.51

 オオスバメ Lv.50

 ジュカイン Lv.50

 ヘイガニ  Lv.49

 フライゴン Lv.55

 コータス  Lv.48

 ラルトス(色違い) Lv.30

 オニゴーリ Lv.47

 ワカシャモ Lv.44→45

 ダンバル(色違い) Lv.11→15

 エイパム  Lv.15




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#171 『攻める気持ちを忘れずに行こう』

 13歳 γ月ψ日 『バトルピラミッド VS ジンダイ 前編』

 

 どうやら無事にレジアイスをゲットできたようで、ジンダイが満足そうな顔で帰ってきた。

 随分待ったことで、ニューサトシももう腹ペコ状態である。今すぐやろうと声をかけると、ジンダイも「長く待たせて済まなかったな」とボールを手に取った。

 

 ルールは既に決めてある。シングルのフルバトル、レベル制限なし、交代有りのオーソドックスなバトルだ。

 開幕、ジンダイはレジロックを繰り出してきた。対するこちらは、フシギダネでお相手していく。別にレジロックが来ると読んでいた訳ではないが、開幕はフシギダネとずっと前から決めていたのである。

 

 相手は準伝――それもトレーナーがついている準伝だ。油断すれば、まず間違いなく瞬殺されるだろう。

 いつも以上に慎重に、でも時には大胆に、攻める気持ちを忘れずに行こう――と、いうことで、フシギダネに『やどりぎのタネ』を指示していく。

 

 レジロックの特性は、ステータスを下げる技や特性を無効にする『クリアボディ』か、一撃で倒れない『がんじょう』だ。

 仮に夢特性の『がんじょう』だったとしても、やどりぎでダメージを与えれば無効に出来るし、ステータスの差を考えれば回復技は必須だ。

 

 だが、ジンダイも無謀に技をくらう程簡単な相手ではなかった。『あなをほる』でレジロックはやどりぎを躱して地中に逃げていく。

 フシギダネは『じしん』系の技を覚えられないので追撃は無理だ――と、誰もが思うだろう。悪いが、ニューサトシはそんなに甘くはないぞ?

 

 地面に潜ったレジロックが苦し気な声を上げて地面から飛び出してくる。その体には『やどりぎのタネ』のツタが絡みついていた。

 流石のジンダイも驚いた顔をしている。

 とはいえ、別に大したことをした訳ではない。『ねをはる』と『やどりぎのタネ』の合わせ技で、地中にいるレジロックへ追撃しただけである。まぁ、欠点として今後交代が出来なくなるというデメリットがあるが、やどりぎと根を合わせた回復があれば、交代せずにある程度までは戦えると判断した。

 

 ここで一旦レジロックを戻してくるかとも思ったが、ジンダイは続けて攻めてくる。『すなあらし』で、継続ダメージを稼ぎに来たのだ。おまけに、いわタイプの特防も1.5倍になるので特殊技のダメージも減る。一石二鳥の策ということだ。

 とはいえ、『やどりぎのタネ』と『ねをはる』の回復量があれば継続ダメージなど痛くない。さて、どうでてくる――と、様子を見ていると、レジロックは砂嵐の中に隠れて『メテオビーム』を構えていた。一ターン目に力を貯めて、二ターン目に攻撃する『ソーラービーム』と同じタイプの技だ。『すなあらし』は力を貯める時間を稼ぐ目くらましだったのだろう。

 

 俺にはギリギリ見えているが、どうやらフシギダネには見えていないらしい。

 

 おまけに、『メテオビーム』は一ターン目に100%の確率で自分の特攻を一段階上昇させるという効果がある。特攻があまり高くないレジロックだが、そのマイナスを補って攻撃できるのだ。

 今から『ソーラービーム』を貯めても間に合わない。ので、『ハードプラント』で迎撃していく。フシギダネも種族値が高い訳ではないので、あのレベルの技は究極技じゃないと迎撃不可能だ。

 

 どうやらかなり鍛えられているようで、想像以上に威力が高いがギリギリで相殺出来た。しかし、フシギダネは究極技の反動で少しの間動けない。ジンダイはその隙に二発目の『メテオビーム』を指示していた。

 

 特攻が100%上昇する以上、二発目の威力は自ずと一発目よりも高くなる。つまり、もう相殺は不可能ということだ。

 回避するしかないが、二発目の『メテオビーム』は一発目のよりも規模が大きい。ギリギリで回避できずに、フシギダネが『メテオビーム』のダメージを受けた。

 

 とはいえ、完全な直撃ではなかったので、ダメージは安く済んでいる。それでも、一撃で体力を半分近く持って行かれた。

 もし、完全に直撃していたら2/3近くは持って行かれていただろう。しかし、こちらには『やどりぎのタネ』と『ねをはる』の回復がある。『すなあらし』の継続ダメージがあるので、『ねをはる』の方は相殺されるが、『やどりぎのタネ』の回復は続いていた。

 

 ここでジンダイはレジロックを戻した。『やどりぎのタネ』が取りついてから、既にかなりのターンが経過している。

 ただでさえ、発射までに時間のかかる『メテオビーム』を二発も使ったのだ。既にレジロックの体力は半分以上削られていた。フシギダネを倒し切れなかったのを見て、これ以上は不毛だと判断したのだろう。

 

 これで『やどりぎのタネ』の回復はなくなってしまった。『ねをはる』は『すなあらし』で相殺されているので、フシギダネの体力は約半分のままだ。

 しかし、準伝のレジロックを相手に上手く立ち回れていた。相手も戦いにくかったはずだ。フシギダネにはこの調子で出来る限り、相手のポケモンの体力を削って貰いたい。

 

 ジンダイは二体目にテッカニンを出してきた。ツチニンの進化系で、むし・ひこうタイプのポケモンだ。

 特性はおそらく『かそく』だろう。夢特性は『すりぬけ』だが、基本的にテッカニンは『かそく』が多いイメージだ。

 

 フシギダネに『やどりぎのタネ』を指示する。ジンダイは『まもる』で攻撃を防御させた。

 動きが既に『かそく』の動きだ。テッカニンの素早が一段階上がり、段々と動きが早くなっていく。同時に、砂嵐状態が収まった。後ろのポケモンが動くタイミングで収まるように狙っていたのだろう。

 

 もう一度、『やどりぎのタネ』を指示したが、今度は躱されてしまった。続けて『シザークロス』で攻撃を仕掛けてくる。

 フシギダネはどくタイプも持っているのでむし技は等倍だが、今の状況で体力を減らされるのはあまり嬉しくない。最後の技である『ヘドロばくだん』を指示し、せめてダメージは奪っていく。

 

 攻撃を受けながらの反撃で、何とかテッカニンにも『ヘドロばくだん』を当てた。テッカニンは攻撃と素早の種族値は高いが、他の耐久値などは低い。それでも、たいしてダメージは与えられていなかった。

 こちらも『ねをはる』の回復があるが、それでも後二回も受ければ戦闘不能にされるだろう。対して、テッカニンはまだ3/4ほど体力がある。いくらテッカニンのステが貧弱とはいえ、今のフシギダネでは倒し切るのは少し厳しいか。

 

 ジンダイは、『つるぎのまい』でテッカニンの攻撃力を上げてきた。おそらく、次の一撃でフシギダネを倒すつもりなのだろう。

 こちらも『ヘドロばくだん』で迎撃するが、それでもまだ体力は半分程残っていた。おまけに、既に『かそく』で素早は三段階上がっている。

 

 そのまま、『シザークロス』で突っ込んでくるテッカニンに、今度こそ『やどりぎのたね』を当てていく。

 しかし、テッカニンは特に気にした様子もなく、フシギダネに『シザークロス』の直撃をぶつけてきた。

 

 戦闘不能になる――かと、思ったが、ギリギリで耐えてくれた。まだ戦えると言わんばかりに、フシギダネが立ち上がる。

 それを見て、ジンダイは最後の技である『バトンタッチ』を指示してきた。自分がボールに戻る代わりに、次に出すポケモンに自分の能力変化を引き継ぐ技だ。

 

 つまり、テッカニンはボールに戻り、次に出て来るポケモンは、攻撃二段階上昇、素早四段階上昇のバフを引き継いで戦うことが出来る。

 ここで、ジンダイはレジスチルを出してきた。

 レジスチルも通常特性は『クリアボディ』だ。夢特性は『ライトメタル』という体重が軽くなる特性だが、おそらくは『クリアボディ』だろう。

 

 しかし、フシギダネ一体に大盤振る舞いだな。

 

 とはいえ、笑えない状況だ。もうフシギダネの体力はミリである。『やどりぎのタネ』や『ねをはる』の回復を入れたとしても、攻撃が二段階上がっているレジスチルを倒せるはずがない。

 だが、『ねをはる』の効果で、俺はフシギダネを戻すことは出来なかった。とはいえ、フシギダネは既にレジロックとテッカニンの体力を半分ずつ奪っている。十分な仕事をしてくれていた。

 

 レジスチルが『ヘビーボンバー』で突っ込んでくる。自分の重さが相手よりも重いほど威力が高くなる技だ。フシギダネの体重約7㎏に対し、レジスチルは200㎏程である。どう考えても技の威力は最大値出ていた。

 究極技で迎撃しようとするが、素早が三段階上がっているレジスチルの方が早い。まるでトラックに轢かれたかのように、フシギダネがレジスチルに跳ね飛ばされる。当然、戦闘不能になるが、十分過ぎる仕事をしてくれた。

 

 フシギダネをボールに戻す。いい活躍だったぞ。

 

 続けて、リザードンを送り出した。はがねタイプに有利なほのおタイプだ。おまけに、後ろに控えているであろうレジアイス、テッカニンにも有利が取れる。

 リラとのバトルで、十分に現在の強さは確認できた。今回は最初から全力だ。どうやら、リザードンも気持ちは同じようで、開幕からきずな現象が発動していた。

 

 負けたくないという気持ちが――絆を結ぶ。

 

 灼熱の肌、炎の四枚羽、業火の化身へと姿を変えていく。タイプがほのお・ドラゴンへと変化し、俺とリザードン二つの視界がマルチに映る。

 ジンダイも、きずな現象は初めて見るようでかなりの驚きを見せてくれた。けど、面白くなるのはこれからだ。開幕、『フレアドライブ』で一気に突っ込んでいく。

 

 こちらがほのおタイプなのは見ればわかるだろう。はがねタイプの技は今一つが故に、『がんせきふうじ』で迎撃してきた。

 攻撃が二段階上がっているだけあって、タイプ不一致でもかなりのダメージだが、リザードンは止まらずにレジスチルにぶつかっていく。

 

 ステータスが上がっているレジスチルに先手を許したらバトルが終わる。何としても、勢いに乗っている今、攻めて攻めて攻めまくれ。

 

 体力は半分近く頂いた――が、反射ダメージを考えれば、ダメージ的には五分五分だろう。

 しかし、今はリザードンが馬乗りになっている状況だ。体勢は、こちらが有利である。

 

「『ブラスターバースト』!!」

 

 このまま一気に究極技で倒し切る――と、考えたが、レジスチルは『みがわり』を発動して拘束から抜けてきた。いや、まだ距離は近い。『みがわり』ごと貫通してやれ!!

 

 そのまま五つの炎を発射していく。

 

 一撃目で『みがわり』を壊したが、二発目は『がんせきふうじ』で相殺される。しかし、三発目は直撃、四発目を再び『がんせきふうじ』で相殺されるも、五発目が直撃――しそうになった瞬間、レジスチルが『だいばくはつ』してきた。

 連続技のダメージを見て受けきれないと判断したジンダイが、こちらを巻き込みに来たのだ。攻撃が二段階上がっているので、『だいばくはつ』の威力はほぼ二倍になっている。爆発の距離も伸び、五発目を打っていたリザードンに爆風が襲いかかった。

 

 危うく、ニューサトシも倒れかねない大威力の爆発である。観客席にいるみんなも伏せてやり過ごしていた。

 

 だが、きずなリザードンは何とか立っている。とはいえ、体力はもうミリだ。倒れなかったのは、フシギダネの残した『やどりぎのタネ』で体力を回復できていたからだろう。

 きずな化を一旦解除して、ジンダイがレジスチルを戻すのに合わせてリザードンも戻す。ポケモンの数的にはこれで五分だ。おまけに、レジ三兄弟のうち一体を倒せたと考えれば悪くない状況である。

 

 ジンダイは次にソルロックを出してきた。こちらはカメックスを出していく。

 

 そう、御三家をこのバトルで使うことは、バトルフロンティアに参加すると決めた時には既に決めていたのだ。

 当然、ピカ様もエントリーしている。ちょっとした原作再現だ。ジンダイと戦う時は、絶対にこいつらを使う。使わなきゃいけないと、そう思ったのだ。

 

 ソルロックはホウエンの双子ジムリーダーであるフウが使っていた、いわ・エスパータイプのポケモンだ。

 特性は『ふゆう』で太陽のような形をしている。相性で言えば、みずタイプのカメックスの方が有利だろう。

 

 カメックスも、いつものグラサンをクイっと持ち上げて恰好を付けている。くろいめがねの効果であく技も威力が上がるので、そういう意味でも相性は良かった。

 

 カメックスに開幕、『ハイドロカノン』を指示する。対するジンダイは『サイコキネシス』で『ハイドロカノン』を反らしてきた。

 エスパータイプなら当然の回避方法である。

 続けて、こちらが反動で動けない間に『にほんばれ』で天候を晴れにしてきた。これにより、こちらはみずタイプの技の威力が半減する。これも、よくあるみず技封じの一環だ。

 

 しかし、それで止まるほど、こちらは優しくない。『こうそくスピン』で一気にソルロックとの距離を詰めさせ、そのまま『かみくだく』で弱点を突いてやる。

 だが、こちらが『こうそくスピン』で接近した瞬間、ソルロックが『ソーラービーム』を使ってきた。しまった。晴れ状態で、チャージの時間が短縮されている。

 

 タイプ不一致ではあるが、ゼロ距離で『ソーラービーム』の直撃を受け、カメックスが吹っ飛んだ。

 何とか、体勢を立て直すも、ソルロックは既に『ソーラービーム』二発目の準備に入っている。咄嗟に『こうそくスピン』で回避していくが、連続発射される『ソーラービーム』を全て回避は出来なかった。

 

 二度の『こうそくスピン』で素早が二段階上がっているとはいえ、カメックスは元々そこまでスピードのあるポケモンではない。

 結局、二発目が直撃して再びカメックスが倒れた。体力は既に2/3近くまで削られている。このまま行けば、乱数一発で倒され兼ねなかった。

 

 ならば、『あまごい』を使って、フィールドを書き換える。これで、ノータイムソラビは防げるはずだ。

 だが、その瞬間、待っていたと言わんばかりに、ソルロックは『サイコキネシス』で攻撃してくる。こちらが天候を変えてくると読んでいたのか!

 

 弱点ではないが、タイプ一致技の直撃を受けてカメックスがダメージを受ける。しかし、ただでは負けんと、砲台をソルロックに向けた。

 そのまま、『ハイドロカノン』でソルロックに一矢報いていく。雨状態の究極技を受けて、ソルロックの体力が半分以上削られる。しかし、ソルロックは『サイコキネシス』の発動を止めなかった。

 

 戦闘不能になったカメックスが前のめりに倒れていく。よくやったぞ、後は任せてゆっくり休んでくれ。

 次のポケモンとしてイーブイを送り出していく。お前の『アドバンスシフト』を効率よく使っていくぞ。

 

 イーブイは任せろとばかりに声を上げた。

 

 ジンダイが再び『サイコキネシス』を指示してきたので、ブラッキーへと進化することでエスパー技を無効にしていく。

 夜でもないのにイーブイがブラッキーに進化したことを驚くジンダイだが、お楽しみはこれからだ。ブラッキーからイーブイ、イーブイからシャワーズへと高速でシフトしていく。

 

 カメックスが残してくれた『あまごい』を上手く使ってやれ。『でんこうせっか』で距離をつめ、そのままゼロ距離『ハイドロポンプ』でダメージを稼いでいく。

 流石のジンダイも何が起こっているのかわからないようで、動きが鈍っていた。いくらソルロックが強いとはいえ、それだけの隙を生めば『ハイドロポンプ』は避けられない。

 

 乱数一発という感じだったが、何とかソルロックを戦闘不能に持って行けたようだった。

 これでまたポケモンの数が並ぶ。ジンダイは再びテッカニンを出してきた。既に技は全て使っている。『まもる』、『シザークロス』、『つるぎのまい』、『バトンタッチ』だ。

 

 また積み技を積んで後ろへの交代を狙っているのだろうか?

 

 様子見で、もう一度『ハイドロポンプ』を指示したが、当然のように『まもる』で防いで『かそく』で素早を一段階上げてくる。

 念のために、シャワーズからイーブイ、イーブイからブースターにシフトしておいた。これで万が一、攻撃を受けてもむしタイプの技はほのおタイプのブースターには効果今一つである。

 

 ジンダイは『つるぎのまい』を指示してきた。強化されても面倒なので、ブースターからイーブイ、イーブイからブラッキーへシフトして、『ちょうはつ』で『つるぎのまい』を封じていく。

 これにより、テッカニンはもう『シザークロス』以外の技を使えなくなった。同時に、『あまごい』の効果が切れて天候が元に戻る。

 

 ジンダイは『シザークロス』を指示してきた。このまま受けると効果抜群になってしまうので、イーブイに戻る。

 そのままブースターになって受けたかったが、『かそく』で既に素早が二段階上がっているテッカニンの動きは早く、イーブイのまま攻撃を受けてしまった。

 

 しかし、イーブイはすぐにブースターへと進化して隙をなくしていく。ホウエンのコンテストでも、この特性によってハルカやムサシ、ナナミさんまでもが大苦戦していたのだ。

 当然、バトルでも簡単に攻略できるものではない。問題があるとすればスタミナだ。コンテストとは違うガチのバトルで、イーブイのスタミナがどこまでもつか――しかし、今はそんなこと考えていても仕方ない。行ける所まで行くのだ。

 

 ブースターに『フレアドライブ』を指示する。これで全て技は使い切った。いくら進化先が大量にあっても一つのバトルで使える技は四つと決まっている。

 だが、テッカニンや後ろのレジアイスには『フレアドライブ』は効果抜群だ。早々に技を使い切ったのは迂闊かもしれないが、技のチョイスミスはなかったと思いたい。

 

 テッカニンはギリギリで『フレアドライブ』を回避してきた。ジンダイはそのままテッカニンをボールに戻していく。変化技を封じられたまま戦うのは辛いと判断したのだろう。

 続けて、レジロックを出してきた。

 こちらはブースターからイーブイ、イーブイからシャワーズへと進化していく。向こうは既に技を三つ使っている。『あなをほる』、『すなあらし』、『メテオビーム』だ。

 

 いわ・じめんタイプの技は、ほのおタイプであるブースターに効果抜群である。みずタイプのシャワーズになったからといって、受けるダメージが安くなる訳ではないが、『ハイドロポンプ』はいわタイプのレジロックには有効だった。

 

 こちらが『ハイドロポンプ』を指示すると同時に、ジンダイは再び『すなあらし』を指示してきた。

 

 特防を1.5倍にして、シャワーズの『ハイドロポンプ』で受けるダメージを減らそうという狙いだろう。ドロポンの直撃を受けたはずだが、レジロックは気にした様子もなかった。

 段々と砂嵐が強くなっていく。また、いつ『メテオビーム』を撃たれてもいいように、姿を見逃さないようにしかないと――と、考えた次の瞬間、レジロックの姿がフィールドからかき消えた。

 

 一瞬、姿を見失かったかと思ったが、そうではない。『あなをほる』で地中に潜ったのだ。

 こちらはもう技を全て使っているので、『じしん』系の技は使えない。地中からの一撃で、リーフィアが跳ね飛ばされる。

 

 そう、避けるのは無理と判断したイーブイは、咄嗟にシャワーズからイーブイ、イーブイからリーフィアに姿を変えていた。これにより、タイプがくさに変わったことで、じめん技は効果今一つとなり、ダメージは最小で済んでいる。

 だが、レジロックは既に『メテオビーム』の準備を終えていた。『あなをほる』で地面にいる間に、チャージをしていたのか!

 

 空中に跳ね飛ばされ、動きも封じられたリーフィアに避けるすべなどなく、『メテオビーム』が直撃する。

 リーフィアは物理には強いが、特殊にはそこまで強くない。『あなをほる』はともかく、『メテオビーム』の直撃はかなり厳しかった。

 

 タイプ一致な上、チャージで特攻が一段階上がっているので、威力もそこそこある。

 リーフィアの残り体力はテッカニンのバトルで受けたダメージと合わせると、もう1/3程しかない。下手な攻撃を受ければ倒されかねない――と、考えていると、ジンダイは最後の技として、『はかいこうせん』を指示してきた。

 

 情け容赦なく、リーフィアを倒し切るつもりだ。

 

 リーフィアは『メテオビーム』の追撃を受けてまだ体勢を立て直せていない。『はかいこうせん』を避けられるような状態ではなかった。

 おまけに、遠距離攻撃を迎撃するためにはリーフィアからイーブイ、イーブイからシャワーズにシフトする必要がある。

 この状況で、その僅かな時間は致命的だった。イーブイはシャワーズに進化してあがきの『ハイドロポンプ』を撃とうとするも、それよりも先に『はかいこうせん』が命中する。

 

 ジンダイは、このテッカニンから続くバトルで、『アドバンスシフト』の欠点の一つである、攻撃を打てる姿じゃないと攻撃をするのがワンテンポ遅れるという弱点を見抜いていたのだ。

 だからこそ、余計なことをされる前に一気にイーブイを倒しに来たのだろう。今にして思えば、『あなをほる』はこちらをリーフィアに進化させるための囮だったのだ。敢えてリーフィアに進化させることで、迎撃のタイミングを失わせるのが真の狙いだったのだろう。

 

 戦闘不能になったイーブイをボールに戻す。

 

 これにより、俺のポケモンが三体先に戦闘不能になったことで、五分間のインターバルに入る。

 強い――これまでのフロンティアブレーンも決して弱かった訳ではないが、それでもジンダイは頭一つ抜けた強さだ。特に、ニューサトシの思惑を抜けた攻撃が多く、動きを読み切れない。強いとは思っていたが、想像以上の強さである。

 

 思わず、笑みが浮かぶ。

 

 これだ。俺はずっと、こういうバトルを求めていたんだ。少しでも油断すれば一気に勝負を決められる。こうした本気のバトルを――三対三のガチ戦では味わえないフルバトルだから味わえるこの感覚。

 待ってよかった。

 あの時、欲に負けてジンダイがレジアイスを捕まえに行くのを待たなかったら、この感覚は味わえなかったかもしれない。レジスチルはきずなリザードンとほぼ相打ちで、レジロックは大暴れ中、その上レジアイスまで控えているなんて、最高が過ぎる。

 

 さぁ、とっとと続きを始めようぜ。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・第189話『最初のポケモン! 最後の戦い!!』より、御三家をチョイスしていた。
 こいつらで戦わない選択肢などない。ジンダイのポケモンは、アニメで使っていたポケモンを使っている。最初はレジ六兄弟にしようかと思ったが、アニメでもまだレジ集め中だったのでまたいつかにすることにした。

・イーブイの新たな弱点が発覚した。
 これまでのように、一つの進化先で縛らなくなった代わりに多様性を手に入れたが、技は四つしか使えないので、進化先によっては攻撃が出来なくなった。今回は攻撃が出来るのがブースターとシャワーズしかなく、ブイ族全体で使えるのがでんこうせっかだけ、後はブラッキーのちょうはつだったので、リーフィアやエーフィなど、攻撃できないフォルムから攻撃に移るまでに変身の間が出来る。チャンピオン、四天王クラスはその間を見逃してはくれなかった。

・ニューサトシの手持ちが先に三体戦闘不能になった。
 残りはミリのリザードンと、ピカ様、最後の一体のみ。対するジンダイは1/3ちょっとのレジロック、テッカニンと、体力フルのレジアイスに最後の一体と、状況的にはかなり追い詰められている。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.63

 ピジョット Lv.59

 バタフリー Lv.59

 ドサイドン Lv.62

 フシギダネ Lv.59→60

 リザードン Lv.63

 カメックス Lv.60

 キングラー Lv.60

 カモネギ  Lv.59

 エビワラー Lv.59

 ゲンガー  Lv.61

 オコリザル Lv.58

 イーブイ  Lv.58→59

 ベトベトン Lv.58

 ジバコイル Lv.59

 ケンタロス Lv.58

 ヤドラン  Lv.59

 ハッサム  Lv.60

 トゲキッス Lv.58

 プテラ   Lv.59

 ラプラス  Lv.59

 ミュウツー Lv.75

 バリヤード Lv.59

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.57

 カビゴン  Lv.57

 ニョロトノ Lv.58

 ヘラクロス Lv.56

 メガニウム Lv.56

 マグマラシ Lv.56

 ラティアス Lv.51

 ヘルガー  Lv.56

 ワニノコ  Lv.56

 ヨルノズク(色違い) Lv.55

 カイロス(部分色違い) Lv.56

 ウソッキー Lv.55

 バンギラス Lv.61

 ドンファン Lv.54

 ギャラドス(色違い) Lv.54

 ミロカロス Lv.48

 ヌマクロー Lv.51

 オオスバメ Lv.50

 ジュカイン Lv.50

 ヘイガニ  Lv.49

 フライゴン Lv.55

 コータス  Lv.48

 ラルトス(色違い) Lv.30

 オニゴーリ Lv.47

 ワカシャモ Lv.45

 ダンバル(色違い) Lv.15

 エイパム  Lv.15


 やどりぎがバトンで引き継がれる仕様だったらしいので、一部を修正しました。
 カメックスが技を五つ使っていたので、一部を修正しました。ご指摘ありがとうございます。



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#172 『少しずつ、興奮を抑えるんだ』

 13歳 γ月ψ日 『バトルピラミッド VS ジンダイ 後編』

 

 バトルが再開すると、ジンダイはまたテッカニンを出してきた。こちらはもう少しリザードンを休ませたいので、五体目としてピカ様を送り出していく。

 砂嵐はインターバルの間に収まったので、フィールドはノーマルな状態に戻っていた。

 長く待ったピカ様はようやくかとばかりに、頬袋をスパークさせている。仲間達の頑張りを見て、すぐにでもフィールドに飛び込みたかったのだろう。待ちくたびれたぜと、表情が物語っていた。

 

 開幕は、『10まんボルト』で挨拶をしていく。当然のように、テッカニンは『まもる』で防御し、『かそく』で素早を一段階上げてくる。

 だが、次の瞬間、ピカ様の『ばちばちアクセル』がテッカニンの急所を捉えた。まだ完全に完成はしていないが、段々と急所率も上がってきている。現在は七割ほどの確率で急所に攻撃を決めることが出来た。全体の完成度は約九割だ。

 

 テッカニンも、これまでのバトルで受けたダメージもあり、『ばちばちアクセル』で受けたダメージに耐え切れずに戦闘不能になった。

 これまでイタズラしていた虫君をようやく倒せたな。流石のジンダイも、まさかピカチュウに一撃でやられるとは思っていなかったようで驚いた顔をしている。

 

 これで、ポケモンの数はまた五分だ。

 

 ジンダイは再びレジロックを出してきた。イーブイが殆ど手も足も出ずに負けたからな。まだ体力は1/3以上は余裕で残っている。

 普通なら1/3くらいそう苦労しないが、このレジロックはどうやらジンダイとの付き合いがそこそこ長いようで、動きが他のレジ兄弟よりもいい気がするのだ。

 

 ダメージを取っているとはいえ、油断するとすぐに倒されかねない。ピカ様に気を引き締めるように声をかけると、レジロックが『あなをほる』で地面に潜っていく。

 必殺の『アイアンテール』による疑似『じならし』を決めるには、地中にいる相手の位置を正確に感じ取る必要があった。目を閉じて、ピカ様が耳で音を感じ取っていく。

 

 地面を掘る音が聞こえてくると、そのまま段々とレジロックが近づいてくる――近い。そう感じた瞬間、ピカ様が『アイアンテール』を地面に叩きつけていた。

 

 疑似『じならし』で、地面の中にいるレジロックが飛び出てくる。そのまま、『10まんボルト』で追撃をかけていく。しかし、しっかりと『メテオビーム』のチャージはしていたようで、レジロックも迎撃してきた。

 特攻が一段階上がっているだけあって、ピカ様の『10まんボルト』を抜けてダメージを与えてくる。こちらの攻撃を迎撃して威力は下がっているはずなのに、それでも1/3もダメージを受けていた。

 

 だが、『アイアンテール』による、疑似『じならし』で、既にレジロックの体力は『ばちばちアクセル』の射程圏内だ。

 とどめの『ばちばちアクセル』で勝負を決める。上手く急所に当てたようで、一撃で戦闘不能に持って行くことが出来た。

 

 これで、ジンダイのポケモンは残り二体だ。

 

 ジンダイがレジロックを戻すと同時に、こちらもピカ様を一旦戻していく。五体目として、ジンダイはジュペッタを出してきた。

 

 対するこちらも最後のポケモンであるオコリザルを出していく。コゴミとのバトルで、野生の怒りを解放したことで、オコリザルは『ふんどのこぶし』を習得しかけていた。

 流石にまだ未完成の技だが、そこはもうぶっつけ本番で行くしかない。元はレジ三兄弟全員に有効打があるということで採用したが、ジュペッタが相手なら技を試すのに丁度いいだろう。

 

 ジンダイはゴーストタイプにかくとうタイプのポケモンを出してきたことで眉間にしわが寄っている。

 まさかこの期に及んで、俺がタイプ相性すら理解していないと思っている訳ではないだろうし、また何か特別なことをするのではないかと警戒しているようだ。

 

 格闘戦ではないので、オコリザルも構えが違う。格闘戦の時は相手に振り回されないためにも型を取らせているが、通常のバトルではやりたいようにさせていた。

 開幕で『ちょうはつ』し、ジュペッタの変化技を防いでいく。どうやら、『おにび』を指示していたようだが、こちらの方が一歩動くのが早かった。変化技を封じられたということで、ジンダイも戦い方を変えてくる。こちらの苦手な『サイコキネシス』でダメージを与えてきた。

 

 そのまま、オコリザルを投げ飛ばそうとしてきたので、『じだんだ』を踏んでその場に留まらせる。前にジョウトリーグで見せた技の応用だ。

 反撃とばかりに、こちらも『ふんどのこぶし』を指示した。この技は、受けた攻撃一回につき、威力が50上昇する。ダメージを受けるだけ強くなる技だ。今はサイキネを一度受けただけなので、基本の50から100になっている。

 

 未完成なのはわかっているが、ここでやらなきゃ一生完成しない。ゴーストタイプに大ダメージを与えるにはゴーストかあくタイプしかないのだ。そして、オコリザルはあく技の攻撃技を覚えていない。

 つまり、ここで『ふんどのこぶし』を完成させる以外に、ジュペッタへの有効打はなかった。

 

 俺はオコリザルなら出来ると信じている。迷っているオコリザルへ、再び『ふんどのこぶし』を指示した。タイプが不一致でも威力が100あれば、ダメージになるだろう。

 オコリザルも、こうなりゃやけくそだという感じで、拳を構えて殴り掛かって行った。どうやらジンダイは『ふんどのこぶし』を知らないようだが、念のためにジュペッタに回避を指示している。俺がただのかくとう技を指示するとは思えないのだろう。

 

 しかし、オコリザルは上手くジュペッタの動きを誘導して逃げ道を塞いていく。格闘戦のノウハウを生かした動きだった。

 そのまま、ジュペッタに『ふんどのこぶし』が直撃する。図鑑を確認すると、技欄にエラーの文字が追加されていた。おそらく、『ふんどのこぶし』はまだ認知されていない技なのだろう。

 

 だが、俺だけはそれが『ふんどのこぶし』で、オコリザルが完成させたのだと理解できた。

 

 受けたダメージから、あく、もしくはゴーストに分類される技だとジンダイも理解したようで、一度ジュペッタをボールに戻していく。

 

 その瞬間、オコリザルの体が光り出した。

 

 進化条件は、『ふんどのこぶし』を20回使ってレベルを上げることのはずだが、どうやら練習中の『ふんどのこぶし』もどきもカウントに入っていたようで、技の完成と共に進化している。

 

 オコリザルは、コノヨザルへと進化した。まるで、幽鬼のようなその姿に全員が沈黙する。

 まさか、オコリザルが進化するとは思わなかったのだろう。ハルカが慌てたようにポケモン図鑑を出しているが、当然エラーが出るだけである。

 

「ついに進化できたな。コノヨザル」

 

 そう声をかけると、コノヨザルがこちらに拳を振ってきた。咄嗟に受けようとするが、反対側の自分の手で拳を止めている。

 どうやら、進化したことで怒りに飲まれかけたらしく反射で手が出たようだ。「少しずつ、興奮を抑えるんだ」と声をかけると、段々コノヨザルも落ち着いてきたようだった。

 

 逆に、興奮したようにジンダイが話しかけてくる。コノヨザルのことを聞きたいのは一発でわかった。

 

「その、ポケモンは、オコリザルが進化したのか?」

「それ以外にないでしょう」

「信じられん。オコリザルにまだ進化があったとは……コノヨザルと言ったか? サトシ君、君はそれを知っていたのか?」

「パルデア地方にいくつか目撃例があるらしいですよ」

 

 ゲーム知識とはいえないので、適当に本当のことを言って煙に巻く。タケシやカスミさんなんかはニューサトシがそういう知識を持っていることに慣れているので、特に気にしてはいないようだが、流石にコノヨザルには驚いたようだな。

 

 とはいえ、今はバトル中である。

 

 気になる気持ちもわからなくはないが、バトル続行だ。ジンダイも、「そうだな」と頷いて、六体目であるレジアイスを出してくる。

 

 さぁ、最後のレジだ。気合入れていくぞ。

 

 コノヨザルに『インファイト』を指示していく。対するジンダイは、こおりタイプ最強の『ふぶき』を指示してきた。

 あまりの『ふぶき』の威力にフィールドが凍り付いていく。しかし、ダメージを受ければ受けるだけ、コノヨザルは強くなっていくのだ。

 そのまま無理矢理に距離を詰めさせ、最後の技である『インファイト』でダメージを稼がせる。コノヨザルに進化したことで、攻撃種族値が115になっていた。物足りなかった攻撃力が嘘のような強さになっている。

 

 流石のレジアイスも弱点のタイプ一致攻撃を受けると苦しいようで、かなりのダメージを受けていた。

 しかし、技を受けた勢いを利用して、滑るようにフィールドを移動していく、『ふぶき』で凍ったフィールドをアイススケートのように使っているのだ。

 

 コノヨザルにも後を追わせようとしたが、まだ進化した体に慣れないのか、滑るフィールドに対応できないようで動きが鈍い。

 距離を取ったことで、ジンダイは再び『ふぶき』で追撃をかけてきた。正直、『インファイト』で特防も下がっていたので、二発目の『ふぶき』は耐えないと思ったが、進化したことで耐久も上がったらしく耐えている。

 

 そのまま『ふんどのこぶし』を指示した。

 

 さらに『ふぶき』を二度受けたことで、威力が200になっている。効果抜群ではないが、タイプ一致の威力200技を受けてレジアイスも体力が1/3まで削られていた。

 押し切れる――と、判断した瞬間、ジンダイは『ねむる』を指示して体力を回復させてくる。再び、『ふんどのこぶし』でダメージを与えようとしたが、その瞬間、『ねごと』で出た『じならし』が直撃し、コノヨザルが戦闘不能に持って行かれた。

 

 流石に、次の追撃は受けきれなかったか。

 

 まさか、レジアイスでねむねごを使ってくるとは思わなかったが、上手く刺さった以上、相手が上手かった。コノヨザルも、進化したばかりだったが、技を三つも使わせて大活躍だったな。

 

 コノヨザルを戻して、再びリザードンを送り出していく。まだ体力が残り少ないが、今は一撃で決め切れる火力が必要だった。

 ねむねごをやられた以上、時間をかければかけるほどこちらが不利になっていく。レジアイスの耐久を超える一撃を与えない限り、一生『ねむる』からの『ねごと』をされるのだ。運の要素もあるが、無限耐久されれば先に戦闘不能になるのは消耗しているこちらだろう。

 

 まずは、レジアイスが眠っている間に場を整える。ますは天井ギリギリまで跳び上がり、相手からの追撃を出来るだけ防いでいく。続けて、『にほんばれ』を使って、ほのおタイプの技の威力を1.5倍にした。

 最後に、きずな化して、『ブラスターバースト』の準備に入る。通常のバトルでは発射出来るだけのチャージが出来たら即発射しているが、今回は限界までチャージしていく。力を貯めに貯めて、五連撃で確実にレジアイスを戦闘不能に持って行くのだ。

 

 ジンダイが冷や汗をかいている。受けきれるかどうかわからないのだろう。それだけ、リザードンの周囲に出来ている炎は大きく強い。

 出来れば妨害したい気持ちはあるのだろうが、リザードンはかなり高い位置にいるし、『ねごと』は狙った技を出しにくい技だ。下手に外すと隙が生まれてしまうし、今は動かないのが正解である。

 

 運がいいことに、まだレジアイスは眠っていた。そのまま起きないことを祈って、最大級の『ブラスターバースト』を発射していく。

 

 一撃目で体力を半分以上持って行った。

 

 二撃目でレジアイスが目を覚まし、最後の技である『まもる』で攻撃を受ける。

 

 三撃目でジンダイは賭けに出たようで再び『まもる』で攻撃を防いでいく。確率に勝ったようで、攻撃を受けきられた。

 

 四撃目で『ねむる』を使って再び体力を回復させて攻撃を受けている。

 

 五撃目――最後の一撃は『ねごと』の賭けに出ていた。出た技は『ドわすれ』である。これにより、特防が二段階上がってギリギリでレジアイスは生き残った。

 

 まさか、完全究極の『ブラスターバースト』を全て受けきられるとは思わなかった。『どわすれ』は出来過ぎだが、ジンダイとしては適当な攻撃技で少しでも威力を減衰させるつもりだったのだろう。

 

 ダメージできずな化が解除され、リザードンが肩で息をしている。

 

 こうなれば、もう最後の手段に出るしかなかった。レジアイスが眠っている間に倒し切るにはもうこの手しかない。

 だが、ジンダイも攻め手を止めなかった。反動で動けないリザードンへ、『ねごと』で出た『はかいこうせん』が迫っていく。『ねごと』ガチャの結果が良すぎる!

 

 このまま直撃を受ければ耐えられない。どうやら、リザードンもニューサトシの考えを読んだようで、羽の力を抜くことで落下し攻撃を躱していた。

 

 そのまま、レジアイスに向かって落下していく。『ブラスターバースト』の直撃を受けて、向こうももう残り体力は1/4だ。

 ならば、この落下の勢いを利用したゼロ距離『じしん』で一気に戦闘不能まで持って行く。それ以外に勝機はなかった。もうきずな化出来るスタミナが残っていないので、『ブラスターバースト』を撃つことはできない。次にまた『ねむる』を使われればその時点で終わりだ。

 

 まだ眠ったばかりの今、この瞬間に決める以外、こちらに勝機はなかった。

 

 そのまま、レジアイスの真上に落下し、ゼロ距離『じしん』で戦闘不能に持って行く。

 ここで二つ誤算が起きた。どうやら、落下のエネルギーを利用したゼロ距離『じしん』は、威力が『じしん』の範疇を超えていたようで、新たな技『じわれ』としてポケモン図鑑に認識されたのだ。

 

 当然、一撃必殺が決まったことで、レジアイスは体力がなくなり戦闘不能になる。嬉しい誤算だ。

 

 だが、二つ目は嬉しくない誤算だった。落下した勢いで技を決めたリザードンだが、自身の技の反動に耐え切れず戦闘不能になってしまったのだ。

 元々、ギリギリの体力で暴れ回っていたリザードンだが、自分の技に耐えられないくらい疲弊していたらしい。これにより、レジアイス、リザードン、両者共に戦闘不能になった。

 

 遂にレジ三兄弟を倒したが、まだポケモンが残っている。ジンダイはジュペッタ、こちらはピカ様を送り出した。

 

 お互いに最後の一体である。こちらは『ばちばちアクセル』、『アイアンテール』、『10まんボルト』と技を三つ使っており、体力は残り2/3だ。

 対するジュペッタは、『おにび』、『サイコキネシス』と二つ技を使っており、残りの体力は約半分である。体力ではこちらが有利だが、向こうはまだ二つ技を使えるので、状況的には五分という所だろう。

 

 開幕、『ばちばちアクセル』で先制を決めていく。これで、残り体力は『10まんボルト』一発圏内に持って行った。

 しかし、代わりに『おにび』が命中し、攻撃が半減させられる。これでは『ばちばちアクセル』や『アイアンテール』では一発じゃ決め切れない。

 

 しかし、ジンダイは慌てなかった。続けて、『あやしいひかり』でこちらを混乱状態にしてくる。

 お互いにポケモンが残り一体なので、もう手持ちに戻すことは出来ない。交代が不可能なのを利用して、確定で動きを封じに来たのだ。

 

 ピカ様が『10まんボルト』を放つも、混乱のせいか狙いが定まっていない。撃っただけでも偉いが、ジュペッタは『サイコキネシス』でさらに追撃をかけてきた。

 不一致とはいえ、高火力のエスパー技を受けて体力が半分以下になる。もう二回も受ければ戦闘不能にさせられかねなかった。混乱の中、再び『10まんボルト』で追撃していく。

 

 だが、集中を欠いた攻撃は今までの精細さを欠いていた。ジンダイはそれを見て、最後の技である『ゴーストダイブ』を指示していく。

 一ターン目に消えて、二度目に攻撃する、『あなをほる』と同じタイプの技だが、この消えるを利用して『10まんボルト』を躱してきたのだ。

 

 続けて、攻撃でピカ様の体力を削ってくる。これで、こちらも後一回攻撃を受ければ戦闘不能になる体力に持って行かれた。しかし、ダメージで混乱が解除されたようでピカ様も正気を取り戻している。

 

 悪いが、このまま負けるつもりはない。

 

 ピカ様に最後の技として『エレキネット』を指示して、地面にネットを張っていく。アニメで使っていたのと同じ技の応用だ。

 ネットの弾力をトランポリンのように利用して、そのまま『ばちばちアクセル』を発動させる。ただでさえ、反応するのが難しい『ばちばちアクセル』にネットの弾力が加われば、目視で移動を確認するのはほぼ不可能と言っていいだろう。

 

 ピカ様も火傷状態で攻撃が下がっているが、目的は攻撃ではなく移動だった。

 

 いくらジンダイが凄くとも、反応できなければ対応することも出来ない。そのまま、神速を超えた速度でジュペッタのボディに抱き着き、ゼロ距離での『10まんボルト』で勝負を決めにいく。

 もし、ジンダイの反応がもう少し早ければ、『ゴーストダイブ』で姿を消して、攻撃を躱すことも出来ただろう。

 

 相手に反応させない――それが、この勝負を決める一手となった。

 

 ジュペッタが戦闘不能になる。

 

 ジンダイからすれば、気がついたらピカチュウがジュペッタに抱き着いて『10まんボルト』を撃っていたようにしか見えないだろう。

 しかし、その瞬間に負けたことを理解したようで、「君の勝ちだ」と拍手が送られた。そのまま、最後のフロンティアシンボルである、ブレイブシンボルを渡される。

 

 最後のバトルで、最強の相手に勝った。嬉しさが心の底から湧き上がってくる。見ると、ラティがチラチラこちらを見ていた。仕方ないな、今回だけだぞ(二回目)。

 

「ブレイブシンボル、ゲットだぜ!!」

 

 これで遂にバトルフロンティアを制覇した。

 

 エニシダから新しいフロンティアブレーンにならないかと誘われたが、まだチャンピオンリーグの挑戦も残っているし、別の場所でたくさんのトレーナーとバトルがしたかったので遠慮する。

 しかし、これで当面の目標である、バトルフロンティアは制覇したな。正直、負けてもおかしくない試合内容だったし、時間的にもギリギリになったけど、あのジンダイに一発で勝てて良かったぜ。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・第190話『決戦! レジアイス!!』より、ニューサトシが勝利した。
 最初は、レジアイスをゲットする前に一度負けさせることも考えていたが、この濃密なバトルを何度も書ける気がしなかったので断念した。ジンダイの強さは十分に表現できたはず、たぶん、おそらく、めいびー。

・オコリザルがコノヨザルに進化した。
 コゴミ戦後から訓練は順調だったが、やはり実戦を通して初めて技は完成すると考えた。ジュペッタ相手は賭けだったが、結果として技を覚えて進化している。まだ進化したばかりで、ゴーストボディに体が馴染まず、このバトルではあまり活躍できなかった。

・ピカ様が勝負を決めた。
 これまで、原作のようにピカ様が勝負を決めるバトルはほぼなかったが、流石にジンダイ相手なら最後はピカ様で決めたかった。流れの都合上、レジ相手は無理だったが、十分な活躍をしてくれたと思う。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.63→64

 ピジョット Lv.59

 バタフリー Lv.59

 ドサイドン Lv.62

 フシギダネ Lv.60

 リザードン Lv.63→64

 カメックス Lv.60

 キングラー Lv.60

 カモネギ  Lv.59

 エビワラー Lv.59

 ゲンガー  Lv.61

 オコリザル→コノヨザル Lv.58→59

 イーブイ  Lv.59

 ベトベトン Lv.58

 ジバコイル Lv.59

 ケンタロス Lv.58

 ヤドラン  Lv.59

 ハッサム  Lv.60

 トゲキッス Lv.58

 プテラ   Lv.59

 ラプラス  Lv.59

 ミュウツー Lv.75

 バリヤード Lv.59

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.57

 カビゴン  Lv.57

 ニョロトノ Lv.58

 ヘラクロス Lv.56

 メガニウム Lv.56

 マグマラシ Lv.56

 ラティアス Lv.51

 ヘルガー  Lv.56

 ワニノコ  Lv.56

 ヨルノズク(色違い) Lv.55

 カイロス(部分色違い) Lv.56

 ウソッキー Lv.55

 バンギラス Lv.61

 ドンファン Lv.54

 ギャラドス(色違い) Lv.54

 ミロカロス Lv.48

 ヌマクロー Lv.51

 オオスバメ Lv.50

 ジュカイン Lv.50

 ヘイガニ  Lv.49

 フライゴン Lv.55

 コータス  Lv.48

 ラルトス(色違い) Lv.30

 オニゴーリ Lv.47

 ワカシャモ Lv.45

 ダンバル(色違い) Lv.15

 エイパム  Lv.15




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#173 『念願の勝負』

 13歳 γ月ω日 『ポケモンコンテスト トネリコ大会』

 

 俺のバトルフロンティアと、ハルカのカントーグランドフェスティバルが終了したことで、各々が故郷に帰ることになった。

 前のようにミュウツーの『テレポート』で家に送っても良かったのだが、やはりこれが本当にしばらくの別れと思うと名残惜しいものである。付き添いのカスミさんも、去年似た経験をした故に軽口を叩くようなことはなかった。

 

 港町であるトネリコタウンに着くと、ここで非公式のポケモンコンテストが行われるということで、ハルカが参加しようと声をかけてくる。

 どうやら、これをニューサトシとの決着のコンテストにしたいらしい。こちらも何だかんだ、直接対決では勝ち越してはいるが、グランドフェスティバルの成績では負けているからな。白黒ハッキリさせたい思いはある。

 

 俺がバトルフロンティアを挑戦している間も、ハルカはコンテストの練習をしっかり続けていた。

 地力も大分ついてきたみたいだし、もう前のように経験による勝利は狙えないと考えるべきだな。

 

 と、いうことで、飛び入りで参加することになったのだが、一次審査はエイパムで――と、思ったら珍しく黒いラルトスが、自分が出ると自己主張してきた。

 エイパムはグランドフェスティバル後も、ラティと一緒にハルカのコンテスト練習に付き合っていたし、ここ最近は勢いに乗っている。本人もコンテスト好きだし、悪いチョイスではないと思ったのだが、ラルトスが自分から何かをしたがるのは初めてだったので、今回はその意思を優先してやることにした。

 

 即興演技ではあるものの、ラルトスと息を合わせていく。ずっとホウエンで俺達を見ていただけあって、ラルトスの演技は素晴らしいものだ。

 逆に、数か月のブランクがあるニューサトシの動きが微妙で、逆にラルトスに助けて貰う場面もあったが、何とか一次審査を突破することが出来た。

 

 対するハルカは、バネブーのエスパー技を駆使して、余裕で一次審査を突破している。

 うーむ、俺とは安定感が違うな。それに、二度のグランドフェスティバルベスト4になったことで、ハルカも相当名前が売れているらしく、ホウエンの舞姫と呼ばれていた。

 

 ちょっと羨ましい。ニューサトシもその辺の異名が欲しい所だ。とはいえ、評判と実力は別物よ。本番は二次審査のコンテストバトルである。

 

 だが、二次審査前の休憩中に、ロケット団が襲い掛かってきた。最近はムサシがコンテストに参加していたので、コンテスト中に襲ってくることはなかったのだが、どうやらグランドフェスティバルに優勝したことで、もう非公式のコンテストには参加する気はなくなってしまったらしい。

 

 ならば、こちらも遠慮なくやなかんじーにしていく。ハルカも出来ればコンテストでムサシに挑戦したかったようで、少し名残惜しそうな顔をしていた。しかし、このバトルでハルカのワカシャモがバシャーモに進化している。最高のサプライズだな。面白くなってきた。

 

 二次審査のコンテストバトルでは、ラティで挑戦していくことにした。俺のホウエンでのコンテストを支えてくれたのはラティだ。ハルカとの最後のバトル、ラティ以外の選択肢はない。

 思えば、練習ではいつも戦っていた二人だが、こうしてコンテストバトルで戦うのは初めてだった。

 

 一次審査では少し苦戦したニューサトシだが、バトルとなればお手の物ということで、準伝の種族値と器用さを利用してごり押ししていく。

 対するハルカは、進化したバシャーモを使っているようで、ワカシャモ時代との動きの違いを確認しながら、冷静にコンテストバトルを進めていた。

 

 そのまま順調に勝ち抜いていき、ファイナルステージで俺とハルカがぶつかっていく。

 

 相性としてはドラゴン・エスパータイプであるラティの方が有利だ。バシャーモが得意としているほのお・かくとう技の両方を半減することが出来る。

 先制の『ミストボール』で弱点を突いていこうとしたが、ハルカは上手く『みきり』で躱しつつ、続く『りゅうのいぶき』も『ほのおのうず』で防御して致命打は避けていた。落ち着いた立ち回りである。どうやらシュウに負けてしっかり視野を広げてきたらしい。

 

 無駄に被弾するよりも、ダメージを最小限にした方がポケモン達への負担も少なくなる。おまけに、的確な防御でこちらのポイントが削られた。とはいえ、まだまだ勝負はこれからである。

 ラティもバトルを楽しむように、『んー!』と嬉しそうに声を上げていた。思えば、ラティにしてみれば念願のハルカとの勝負でもある。楽しくて仕方ないのだろう。

 

 俺も少しは反撃しないとな――と、いうことで、『ミストボール』を地面に当てて土煙を発生させた。

 この土煙に乗じて、ラティが姿を隠していく。

 確かに、『まもる』や『みきり』は強い技だが、ゲームと違って発動タイミングがシビアだ。こうして、こちらの出方を隠してしまえば簡単には使えなくなる。

 

 再び、『ミストボール』で攻め立てていく。

 

 今度は威力を犠牲にし、スピードを上げた一撃だ。流石に回避出来なかったようで、ハルカのポイントが削られていく。

 ハルカも、必中の『つばめがえし』で迎撃してきたが、『ドラゴンクロー』で攻撃を防ぐことでダメージを最小に抑えた。

 

 これで、再びポイントとしては五分である。

 

 残り時間が迫る中、ハルカも反撃に出てきた。『ほのおのうず』でラティの動きを封じ込め、続けて大技の準備をしている。

 とはいえ、ドラゴンタイプのラティにほのお技は半減だ。渦を力づくで破ると、そのまま『ミストボール』で追撃をかけていく。

 

 しかし、バシャーモは『ミストボール』を躱すと、そのままラティとの距離を詰めてきた。

 よく見ると、口には『オーバーヒート』がチャージされている。技を発射待機させたまま無理矢理動いてきたのか!

 

 バシャーモに進化したことで手足が長くなっている。ラティを押さえつけると、ゼロ距離で『オーバーヒート』を炸裂させた。

 いくら威力半減とはいえ、流石のラティも大ダメージである。しかし、バシャーモもまたダメージを受けていた。いくら、進化して丈夫になったとはいえ、技を待機させたまま動くなどいわば自傷しながら動いているものである。

 

 だが、その一か八かはハルカを有利にした。

 

 特攻が二段階下がったが、続けて『つばめがえし』で追撃をかけてくる。ラティはまだ起き上がったばかりで体勢を立て直せていなかった。

 攻撃をモロに攻撃を受けたことでポイントが削られていく。残り時間は一分しかない。逆転するには、もう『りゅうせいぐん』しかないだろう。

 

 しかし、ハルカもまた『りゅうせいぐん』が来ることを読んでいた。特攻が二段階下がったとはいえ、一番威力のある『オーバーヒート』で直撃を避けようとしている。

 

 なら、もう一か八かだ。

 

 ラティに『りゅうせいぐん』と同時に飛び上がるように指示する。『りゅうせいぐん』は撃ちだすタイプの技故に、次の行動が一歩早い。原作のサトシ君がカイリューでやっていた。カイリューせいぐんで、この勝負にケリをつける。

 ラティは『りゅうせいぐん』を撃ちだすと、そのまま空に上がった。そのまま、流星を纏うように、バシャーモへとダイブしていく。

 

「行けぇラティ! 『りゅうせいダイブ』!!」

 

 バシャーモも『オーバーヒート』で、ラティを打ち落とそうとしてきたが、特攻が二段階下がった影響で、『りゅうせいぐん』を打ち消し切れない。

 ハルカは、咄嗟に『みきり』で攻撃を躱させた。

 しかし、『りゅうせいダイブ』を躱しても、ラティの攻撃全てを躱せる訳ではない。『みきり』が反応するのは、あくまでも『りゅうせいぐん』という技だ。

 

 ラティは避けるバシャーモを逃がさなかった。

 

 特性の『ふゆう』による飛行技術で、無理矢理方向を変えると、そのまま潰すようにバシャーモへ体を押し付ける。

 

 これ自体に攻撃判定はない。

 

 しかし、ラティは既に『ドラゴンクロー』で追撃をかけていた。

 

 ゼロ距離からの『ドラゴンクロー』だ。おまけに『みきり』は既に使用したばかりで、押さえつけているから『つばめがえし』も使えない。直撃でハルカのポイントが減った。

 

 このまま押し切る――と、考えた瞬間、タイムアップとなりバトルが終了となる。

 

 ハルカも俺も熱中しすぎていて後半はポイント差を確認できていなかった。中盤は押し返されたが逆転できたか?

 

 と、思いながらスコアを見てみると、俺とハルカのポイントは全くの同率だった。通常のコンテストであれば、審査委員による評価で勝者が決まるのだが、これは非公式のコンテストである。

 審査員であるジョーイさんや司会も、同時優勝と口にしており、今回のコンテストは俺とハルカの同時優勝で幕を閉じることになった。

 

 仲良しのハルカと一緒に優勝できたということで、ラティも大喜びしている。ハルカは少し納得のいかなそうな顔をしていたが、ラティの笑顔を見ていたら、そんな不満も消えてしまったようだ。

 

 優勝賞品は、前にホウエンで参加した非公式のコンテストと一緒でメダルらしい。

 だが、一つしか用意出来なかったということで、ピカ様に頼んでメダルを『アイアンテール』で二つに割って貰う。シゲルの時と同じだ。

 

 決着は必ずつける。

 

 次に会うまでに互いにもっと力をつけて。

 

 これはその約束だ。

 

 ラティも割ったメダルを嬉しそうに見ていた。

 

 コンテストが終わって、少し早めの夕食を取っていると、ハルカがシュウ達のいるジョウト地方を一人で旅すると打ち明けてきた。

 今まではトレーナーとして先輩である俺やタケシに甘えてきたが、これからは自分一人でコンテストの道を進んでいくと決意したらしい。

 

 そんなハルカを見ながら、マサトが少し落ち込んでいる。自分はまだポケモンを持てる年齢ではないから、これ以上俺達と一緒に旅が出来ないのが寂しいのだろう。

 とはいえ、マサトももう数年すればトレーナーだ。

 原作ではサトシ君が永遠の10歳だったから、叶うことはなかったが、この世界は現実なので時計の針は進んでいる。その割に、あまり体は成長していないが、それでも数年したらマサトもポケモントレーナーになっているはずだ。

 

 いつか、俺と全力のバトルをしよう。

 

 そう約束した。

 

 また、黒いラルトスがハルカとマサトに手を出している。何だかんだ一緒に旅した仲間だと認めていたらしく、最後に握手がしたいようだ。

 思えば、今回コンテストに出ると言ったのも、ハルカとの思い出を作ろうとしたのかもしれないな。少しずつ、ラルトスも心を開いて来ている。

 

 そのまま、ハルカとマサトがホウエン行の船に乗るのを見送っていく。ラティが泣きそうな顔をしていたが、大分別れに慣れてきたようで、大きな声で「またあう、ハルカ、マサト!」と約束を交わしていた。

 

 これで残されたのはいつメンの俺、ラティ、タケシ、カスミさんの四人である。カスミさんなど、「何か、ここまで付き添うつもりなかったんだけどね」と、帰るタイミングを逃したことを苦笑いしている。

 俺は次にシンオウ地方に行くつもりだと話すと、やはりカスミさんはそろそろジムを再開させるので一緒には行けないと言っていた。タケシは一度、実家に顔を出して家の問題を解決してくると言っている。前にロケット団に荒らされたし、やはり心配なのだろう。

 

 タケシとは、ホウエンの時と同様に現地で合流になりそうだ。

 

 俺達に関しては、地元がカントーなので会おうと思えばいつでも会える。ということで、ミュウツーの『テレポート』で、二人をニビとハナダに送って、俺とラティはサクッとマサラタウンに帰ることにした。

 

 

 追記。マサラタウンに帰ると、シゲルが丁度旅に出る所だった。どうやら、今度はガラル地方を旅するつもりらしい。頑張れよ。

 

 

 

 13歳 δ月α日 『シンオウに行くぜ』

 

 今回、シンオウに行くメンバーを決めた。固定のピカ様に、オニゴーリ、ワカシャモ、ダンバル、エイパムである。一体は空きにした。向こうですぐにポケモンゲットするだろうしな。

 また、ミュウツーとラティ、黒いラルトスは変わらず特別枠である。ラルトスに関しては、特別枠から外すことも考えたが今回は止めにした。ハルカやマサトとの触れ合いを見ても、大分懐いて来てくれているが、未来の俺もゆっくりと言っていたし焦ることはない。

 

 と、いうことで、シゲルから一日遅れでニューサトシも新たにシンオウ地方へ向かうことにした。

 毎度お馴染みオーキド博士が餞別にポケモン図鑑をくれるが、これ技確認以外に使っていないんだよなぁ。

 

 ついでに、マサゴタウンにいるナナカマド博士に届け物をして欲しいと頼まれたので荷物を預かっていく。

 てっきり、フタバタウンに住んでいると勘違いしていたが、そういやゲームでもナナカマド博士はフタバタウンの近くに来ていただけで住んではいなかったんだっけか。

 

 なら、フタバタウンに行く必要はなくなったな。と、いう訳で、とりあえずミュウツーの『テレポート』でシンオウ地方の港町まで移動する。

 一昨年のチャンピオンリーグで一度シンオウには来ているので船旅はカットだ。さぁて、まずはここからマサゴタウン目指して歩いていくかな。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・第191話『サトシVSハルカ! ラストバトル!!』より、黒いラルトスがコンテストに出たがった。
 これまでの旅の中で、ハルカやマサトを仲間だと認めた証。センスが有り過ぎて、ニューサトシの方がリードして貰った。

・ラティVSハルカ。
 ずっと温めていた話。これを最後に持ってくるために、ラティとハルカのバトルを書くのをずっと我慢していた。結果は原作通りだが、納得のいくバトルが書けた。

・ハルカの成長。
 今までは相手に翻弄されて追い込まれてからの逆転だったが、勝手知ったるニューサトシが相手ということもあって、防御の意識がついてきた。これからは、追い込まれる状況を減らしつつ、ガードでポイントを稼いで、逆転が主流の動きになりそう。

・流星ダイブ。
 まんまカイリューせいぐん。ただ、ラティが使ったので流星ダイブに名前を変えただけ。しかし、みきりでの回避はりゅうせいぐんを囮にし、隙をついて攻撃するという荒業は咄嗟の閃きだった。対応して見せたラティも強くなっている。

・シゲルがガラルに向かった。
 武者修行のために、ガラル地方無敗のチャンピオンに喧嘩を売りに行った。ストイックシゲル。

・時間的に船だと間に合わないので、テレポートでシンオウに向かった。
 最初のチャンピオンリーグでシンオウまで船旅したのでカット。ロケット団がニューサトシを見失って慌てまくっている。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.64

 ピジョット Lv.59

 バタフリー Lv.59

 ドサイドン Lv.62

 フシギダネ Lv.60

 リザードン Lv.64

 カメックス Lv.60

 キングラー Lv.60

 カモネギ  Lv.59

 エビワラー Lv.59

 ゲンガー  Lv.61

 コノヨザル Lv.59

 イーブイ  Lv.59

 ベトベトン Lv.58

 ジバコイル Lv.59

 ケンタロス Lv.58

 ヤドラン  Lv.59

 ハッサム  Lv.60

 トゲキッス Lv.58

 プテラ   Lv.59

 ラプラス  Lv.59

 ミュウツー Lv.75

 バリヤード Lv.59

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.57

 カビゴン  Lv.57

 ニョロトノ Lv.58

 ヘラクロス Lv.56

 メガニウム Lv.56

 マグマラシ Lv.56

 ラティアス Lv.51→52

 ヘルガー  Lv.56

 ワニノコ  Lv.56

 ヨルノズク(色違い) Lv.55

 カイロス(部分色違い) Lv.56

 ウソッキー Lv.55

 バンギラス Lv.61

 ドンファン Lv.54

 ギャラドス(色違い) Lv.54

 ミロカロス Lv.48

 ヌマクロー Lv.51

 オオスバメ Lv.50

 ジュカイン Lv.50

 ヘイガニ  Lv.49

 フライゴン Lv.55

 コータス  Lv.48

 ラルトス(色違い) Lv.30→31

 オニゴーリ Lv.47

 ワカシャモ Lv.45

 ダンバル(色違い) Lv.15

 エイパム  Lv.15


 ホウエン&バトルフロンティア編は、ここで終了となります。約二か月ありがとうございました。
 続く、ダイパ編ですが、やはり好きな人も多いようで、多くの意見が寄せられています。作者もニューサトシとキャラ達の絡みを書いていきたいのでまた少しずつ執筆していくつもりです。

 まぁ、まだダイパ編見終わってすらいないので、次の更新がいつになるかはわかりませんが、書き上がり次第こっそり毎日更新始めると思いますので、機会があればまた見て頂けると嬉しいです。では。




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