「競争ウマ娘・TC4EX14シンボリルドルフ」 (BLACK ROSE)
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序章
開帳


中央トレーニングセンター学園史料室。
そこは偉大な成績を残したウマ娘の記録を保管する場所。
徹底された温度、湿度管理。時代遅れといわれかねない紙資料。
滅多なことでは人の来ない史料室に人影が現れ、一冊のファイルを手に取った。



場所:中央トレセン学園B1史料室

 

時間:4月18日 13:30

 

筆者:自分

 

メモ:理事長に鍵の貸し出し許可を頂いて史料室に来た。

   同期は皆、模擬レースの観戦に行っている。

   それとは対照的な、ひやりとした空間で一冊のファイルを手に取った。

   背表紙には「競争ウマ娘・TC4EX14シンボリルドルフ」、目当てのものだ。

   若干色あせたように見える紙の色。

   A4サイズのクリアポケット型のファイルだ。

   表表紙に文字はなく、あまりにも無機質に感じる。

   早速だが、一枚めくるとしよう。

 

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注意事項

 本資料は史料室外への持ち出しを禁ずる。

 各種記録媒体への転写含め情報の漏洩は厳しく罰せられる。

 改ざん行為が確認された場合も同様である。

 同時に複数の資料が棚から引き出された場合は即刻警報が作動し、捕縛される。

 充分に気を付けて閲覧すること。

 

責任者

 駿川 たづな

 

史料筆者

 シンボリルドルフ

 

最終加筆日

 1986/10/12

 

特筆事項

 加筆者・トキノミノル・シンザン・ミスターシービー・ミホシンザン

 上記4名は責任者の依頼により、加筆、補足を行いました。

 40ページの紙の劣化具合が他のページに比べ明らかに少ない。

 同一環境下では不自然な現象を確認しています。

 これはURA理事会も把握しています。

 

 本資料は第4代三冠ウマ娘、顕彰登録14例目となるシンボリルドルフについて

 本人の経験、主観を多く含んでいます。

 その他、責任者の一存で筆者以外の関係者が

 補足、加筆を行っている部分もあります。

 実記録のみをお求めの方は教室棟2階、記録保管室でお探しください。

 

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まず目を引かれたのは注意事項だ。

文書の複製やいたずらは厳禁、そんなことは当然だ。

ここまで念を押さなくてもよいと思われるだろう。

 

さらには同時に複数の資料を閲覧しようとすると捕縛されてしまうらしい。

明らかに普通ではないが、それが明記されている。

 

それは、なぜか「矛盾」が発生するからだ。

責任者名は理事長秘書、印鑑まで押されている。そんな正式な書類でさえだ。

Aの資料とBの資料、同レースなのにどちらの資料にも「1着」と書かれている。

Aは怪我を乗り越えたのにBの資料ではAは怪我で引退している。

不自然だが、それが自然なのだ。

 

・・・ひどい文章だ、なぜこんなメモを書いたのだろう。

 

まぁいい、このファイルはシンボリルドルフという偉大なウマ娘の史料だ。

初の無敗三冠、七冠馬、海外遠征の成功、人間の足の引っ張り合い、

様々なことが記録されているはずだ。自分のこれからに有効活用できる。

余さずしっかりと読み、今後の糧としよう。

 




皆様、初めまして。
私の推しを崇めたいので書き始めました。
毎日投稿できるように頑張ります。
私なりの解釈をお伝えし、楽しんでいただければ嬉しいです。
よろしければアンケートの回答もお願いします。
また次回に。 

Liar is true


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特徴

開かれた一冊のファイルを手にした人影。
一枚めくると閲覧に関する注意が書かれていた。
そこを自然と理解し、次のページをめくる。



場所:中央トレセン学園B1史料室

時間:4月18日 13:35

メモ:1ページ目の違和感はひとまず置いておく。

   読み切るのには時間がかかるだろう、机に移動して読むことにする。

   それにしてもこの棚に囲まれた空間は威圧感がすごいな。

   図書室の棚は落ち着きを与えてくれるというのに。

   さらにこのスチールデスクに木製の椅子…なんてアンバランス。

   トレセン学園は古くからの名門とも言い換えられる場所だ。

   こんな不調和な場所があったのか、後でたづなさんに報告しよう。

   さあ、一枚めくるとしよう。

 

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ウマ娘概要

 

名前 シンボリルドルフ

 

出身 シンボリ家

 

性格 自己中心的、傲慢ながら理知的

   内外の差が激しいが、理性でそれを覆い隠している。

 

脚質 自在、(先行抜出)

 

走法 前傾はやや強め、ストライドは大きく長距離走に適している。

   身長165cmながら、歴代ウマ娘で競争時のストライド幅は

   記録されている最大距離である。

   全開走行時、領域と呼ばれる現象を発現させるレースが

   確認されている。

   以下、ウマ娘へのインタビューの回答

   「一緒に走っていて彼女以外のウマ娘が身震いし、

    激しい悪寒に襲われた。脚が重くなり、膝が上がらなかった。」

 

   「観戦していて雷を幻視した。

    しかし、シニア期有馬記念はそれだけではなかった。

    本能的に身構え、体が強張った。

    これほど強く感じたのは日本では二人目だった。」

 

 

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   なるほど、印象がだいぶ変わるな。

   まず、生徒会長としてのシンボリルドルフは完璧としか言えない。

   仕事はできる、演説はできる、威厳がある、

   上に立つものとして十分すぎる能力だ。

   それが、しょっぱなから性格が傲慢?自己中心的?

   深く関わればそこらへんもわかってくるのだろうか。

 

   脚質もなんだ?自在なんて、これまた大きく出たな。先行ではない?。

   それほど賢く、豪胆だと言いたいのか。

 

   脚質はウマ娘の持つ本能が強く影響する。

   普段は理性的な会話ができるのにレースとなると

   冷静な思考なんて簡単にはできない。

   囲まれたくない、抜かされたくない、と本能が叫ぶらしい。

 

   だからこそ、脚質は出来るだけ固定して「慣れ」を作る。

   しかし、本当に自在ならそれが不要でアクシデントの対応もできる。

   そんなウマ娘といつかは出会えるのだろうか。

 

   走法は記録通りだな。領域も発現できるのは当然か。

   ただ、インタビューの発言は気になるな。

   レース内外にいたウマ娘へインタビューしたようだが、

   ここまで他者に影響を与えるのは聞いていない。

   こんなの、どうやって勝てと?

   しかも、シニア期有馬記念はさらに出力が上がっている。

   皇帝の名は伊達ではないということか。

 

   そして日本では二人目とは?

   インタビューされたウマ娘までは記録されていないが何者だろうか、

   一人目は誰だろうか、気になる。

   




皆様、こんにちは。
PCで投稿しているのでスマホで見ると改行が読みづらいよ…
毎日投稿できるように頑張ります。
私なりの解釈をお伝えし、楽しんでいただければ嬉しいです。
よろしければアンケートの回答もお願いします。
また次回に。 

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出生

概要説明によって印象を裏切られた。
かのシンボリルドルフは近しい関係でないと見えない側面があるようだ。
そこを自然と理解し、次のページをめくる。



場所:中央トレセン学園B1史料室

時間:4月18日 13:40

メモ:新たな側面を見つけることができたな。

   やはり内面は関わりを持たないと知ることができない。

   さあ、一枚めくるとしよう。

 

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出生について

 

シンボリ家

1921年から始まる名家。

名前の一部に「シンボリ」または「スイート」が含まれるウマ娘が該当する。

 

注:シンボリ家に「スイート」が名前に含まれるウマ娘が出生する理由は

定かではない。

 

更にはある時期からシンボリ家から「スイート」を含むウマ娘が

出生していない。

長年の研究によって導かれた別世界において、

何かしらの事象があったものと推測される。

 

海外、特に欧州への意識が強い。

レーススタイルや練習法も同じように欧風を意識している。

黎明期からの海外遠征敢行、初の凱旋門賞出走者の排出などの

功績を残している。

その他坂路トレーニングの早期導入もあり、

ウマ娘のレースに大きく貢献した。

 

シンボリルドルフ

誕生時、一般的なウマ娘の半分の時間で首が座った。

幼少期は大泣きせず、手のかからない理知的な少女として見られていた。

 

特徴的な三日月型の前髪から「ルナ」と渾名を付けられた。

シンボリ家の意向で幼少期から英才教育を受けた。 

英語、仏語を会話レベルで習得しており、遠征時にも活用された。

 

しかし、これら教育の影響からか達観した目線と強者の自覚が植え付けられた。

そのため、他者へ見せる外面を整えていき、身内へは我儘な面が見え隠れする。

一つ下の同胞「シリウスシンボリ」への無自覚な威嚇をしており、

幼少期にそれを受けた影響かシリウスとルドルフの関係は険悪である。

 

現在でも並走トレーニングでは負けず嫌いの面が表面化する。

実力差があっても並ばせず、半バ身差を付けたままゴールする。

これを「大人げない」と見るか「優しさ」と見るかは自由である。

 

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ふむふむ。シンボリ家は誰もが知る名家だが、ルドルフはその最高傑作と名高い。

正直あの実績を残したウマ娘を越えるウマ娘が同一の家から出られても困るか。

 

レースの本場といわれる欧州への意識が強いのは誰が影響を与えたのだろう。

環境の変化に敏感なウマ娘が海外遠征することが無謀と言われる時代から目線が向けられるのは純粋に凄いことだ。色々と事件もあったが、こだわりが強いが故だろう。

 

ルドルフの幼少期についても記述があったがまさに偉人って感じだ。

戦国武者の伝記でも見ているようだな、首が座る速さに英才教育か。

 

そして「ルナ」という渾名か、確か母親は「スイートルナ」だったはずだ。

母親から受け継いだ三日月か、神が与えた狂気か…

 

うん、これはまた強さの土台が見えたな。

やはり積み重ねの鍛錬は実力に反映されるのだろう。

 




皆様、こんにちは。
これからも投稿できるように頑張ります。
私なりの解釈をお伝えし、楽しんでいただければ嬉しいです。
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また次回に。 


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