俺は彼女の事を知らない (kagemin)
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出会い 1話

今日も嫌な1日が始まる

嫌でも学校に行かなくてはいけない

準備をしてバス停に向かう

時計を見ると11月24日の7時30分

 

バス停は憂鬱だ

何故憂鬱?

人が居るからだ

俺は自分も他人も嫌いだ

 

知り合いに出会うのが嫌だから下を向いて歩く

 

もう少しでバス停につく頃に誰かぶつかってきた

 

「あっ!」

 

女性の声だ

 

これが小説や漫画なら恋愛に発展するフラグだが

相手の女性は俺の顔を見るとすごく嫌な顔をしていた

 

嫌な顔をしていても凄くキレイな顔立ちだということがわかる

 

その女性はごめんなさいと言うと何処かに行ってしまった

 

まぁ、仕方ない

自分が不細工な顔をしてるのは自分でも知ってる

そんな男にぶつかったのだ

嫌な顔くらいするだろう

 

バス停に着いた

 

今日はバス停に誰も居なくて俺はほっとした

 

あの子キレイだったな。あれだけキレイなら毎日が楽しいだろうな

しかしあんなに嫌な顔しなくても・・・など考えながらいるとまた誰かがぶつかってきた

今度は強烈だった

 

車道側に倒れていく

これはマズい

 

気が付くと病院のベッドの上だった

 

ここはどこの病院?手足は動くのか?身体で痛い所はどこだ?など

いろいろな事を考えた

 

とりあえず大ケガはしてなさそう

 

外は薄暗い

あれからどれくらい経ったのだろう

時計を探した

時計の針は6時を指している

日付は24日

 

あれから10時間以上寝ていたのか

 

看護師さんが来た

 

「目が覚めました?気分はどうですか?」

 

「大丈夫です」

 

自分の声が変だ

明らかに何か変だ

身体が震えて冷汗が出てきた

 

「大丈夫ですか?」

看護師さんが心配そうに俺を見る

 

「大丈夫。もう少し横になりたいので・・・」

看護師をむりやり追い出した

 

俺は確認しなければいけない

 

自分を!!

 

病室にあるトイレに入り鏡を見た

 

鏡に映った自分を見た

 

誰だ??頭が混乱しておかしくなりそうなので鏡を見るのを辞めた

自分が認識している姿と違う姿が鏡に映るとパニックになる

 

その代わりに俺はいろいろな事を考えることにした

 

まず思いついたのは朝ぶつかった女性の事だ

ぶつかった衝撃で入れ替わった?

いや、その後も覚えている

 

その後はバス停でバスを待っているときに誰かとぶつかった

その時・・・・倒れそうに??

そこから記憶がない

 

ようするにそこで俺は他人と入れ替わったか死んでしまったのか

ここまで考えたが深呼吸をしてベッドに戻った

 

もしかして転生ってやつか

 

最近小説、アニメでよくある

死後に転生して魔法が使える世界で暮らしその世界で無双するとか

 

取り合えず「ファイヤーボール!」

 

・・・・・

 

当たり前だが何もおきない

もし万が一でもファイヤーボールが出ればこの辺が火事になり大騒ぎになる

など変なことを考えながら他を試す

布団を触らず動かす、壁を透視、耳を澄ましたが何も特別聞こえない

結局通常と変わらず何も出来ない

 

当たり前か・・・

それなら他人と入れ替わりかも

分からないことだらけなので色々調べなくてはいけない

 

外を見るとまだ明るい

 

ここはどこなのか調べる必要があるな

 

荷物を確認すると着替えとコートがある

 

ちょっと外に出てみようか



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出会い? 2話

情報集めのため着替えて外に出ることにした

 

鏡を見ると頭が変になるので階段を使い外に出ることにした

部屋番号は501号室

 

5階か、仕方ないけど降りるか

 

階段を降りたところに時間外出入り口があったのでそこから外に出た

 

5階はさすがに疲れるな

 

息切れしながら辺りを眺めた

 

ここ見たことある風景だと思いながら道路に出たら誰かとぶつかった

 

「あっ!」

 

声が出た

 

「ごめんなさい」と言いながら相手を見た

そこには見慣れた姿があった

うぁー自分だ・・・

 

頭が真っ白になる

とにかくその場所から逃げた

 

気が付くと病院に戻っていたので考えを整理することにした

 

椅子に座って息を整えた

 

外は明るい

 

時計を見ると7時40分くらい

朝の7時40分だ

ということは・・・・・・・

 

朝なら今から男の俺が死ぬのか?

 

俺はバス停に向かって走った

この身体体力無さすぎ

思っているより走れない

しかしもし俺(男)が死ななければ今の俺(女)はどうなる?

しかし自分が死ぬのは嫌だ

など考えながら走った

 

バス停が見えた

男が倒れている

間に合わなかった・・・

 

倒れている男の横に着き外傷を確認した

頭から出血

他はよく分からない

俺はスマートフォンを持っていないので救急車を呼べない

 

「誰か!救急車を呼んでください!  ・・・早く」

大きな声で叫んでみたが思ったより大きな声が出ない

 

耳元で「大丈夫ですか?」と言ってみたが反応がない

 

いつもの自分ならもっと冷静でいられるのに

頭が真っ白になり何も思いつかない

 

俺は泣いているのか?

もう訳が分からない

 

誰かが来た

弥次馬なら近くに来ないでほしい

 

「ちょっと離れてください」

 

そんな声が聞こえた

 

その人を見ると救急隊員だった

 

慌てて離れるとストレッチャーに乗せられ救急車に運ばれて行ってしまった

 

とりあえず病室に戻ろう

 

今のままでは呆然として何も考えることができない

いつもの自分ならもっと冷静でいられるのに

血を流してた自分の顔だけが脳裏に浮かび上がる

 

 

そんなことを考えているうちに病院の5階に到着した

 

病室に戻ろうとしたが部屋番号忘れてしまった

 

確かナースステーションの近くだったようなと考えながら歩いていると

誰か見知らぬ女性が「真由」と言いながら近づいてきた

 

「真由、大丈夫なの?どこか痛くない」

どうも俺に話しかけてきたようだ

 

「誰?」

自然と口から洩れてしまった

 

相手の女性は驚いた顔をして「ママよ、ママの顔忘れたの?」

 

今の自分(女)の母親の顔知るはずもない

自分の事で精一杯だ、鬱陶しい

そんなことを思っているとママと名乗る女性が看護師を連れてきた

 

「病室に戻りましょう」と看護師に言われ病室に戻った

 

 

 

 

 

 



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記憶  3話

自分の名前は真由

目の前に居る人は母親

 

母親がいろいろ話しかけてくる

パパの名前は?みゆちゃんの事覚えてる?

 

「分からない、頭痛い」

 

母親は悲しそうな顔をして椅子に座った

 

見渡すと看護師は居ない

 

いろいろありすぎたので頭が混乱してるので

考えをまとめることにした

 

自分の名前以外知らない

目の前の人は母親

スマートフォンを触ってる

誰かに連絡してるのだろう

 

今日の朝男の自分が起きてバス停に向かっている途中に女性にぶつかった

その女性が今の自分

バス停に立ってると誰かにぶつかった

それが誰か分からない

そこで男の自分の記憶がない

その時女性の自分が来た

男の自分が倒れていた

他にもう一人誰か居たような気がする

その人が救急車を呼んでくれたのだろう

救急車が来て男の自分が運ばれて行った

自分も救急車に乗ればよかったと後悔した

病室に戻ると母親と名乗る人がいた

現在に至る

男の自分が死んでこの女性に転生した?

これは転生というのか?

この女性の記憶はどこにいった?

多分男の自分だ

何故女性の自分は入院してる?

その疑問を母親に聞いてみることにしよう

 

母親はこっちを見てる

 

「私なんで入院してるの?」

「まーちゃんが昨日の夜突然倒れたの。

それで救急車を呼んでここにいるのよ」

 

なるほど

 

医者が来た

「あなたの名前フルネームで教えて」

「わからない」

「生年月日は?」

「知らない」

などいろいろ聞かれた

 

そのあと母親と医者が何か話している

 

母親が泣いている

つられて涙が出た

 

医者が出て行ったあと母と二人っきり

空気が重い

 

「お母さん、一度家に戻って。私一人でいろいろ考えたいの」

 

「お母さん・・・」

母がそう言ってまた泣き出した

 

「なんかごめんね」

自然と謝ってしまった

 

「ママまた夜くるね」

そう言ってスマートフォンを置いて出て行った

 

今自分のすべきことは男の自分を探すことだな

そう思い病室を出た

 

救急車で運ばれたので同じ階にいるかもしれない

 

俺は病室の名前をチェックした

 

しかし思っていたよりあっけなく見つかった

最悪な結果は免れて安心した

 

部屋の中から話し声が聞こえる

知らない女性の声と男の自分の声だ

あー、入りづらい

 

一旦自分の部屋に戻って身だしなみをチェックしよう

 

そう思って自分の病室に戻ることにした

 

病室に戻り鏡を見た

思った以上に今の顔を見ても混乱はしなかったのでほっとした

 

とにかく病室に入って今日倒れていた現場にいたのですが大丈夫ですか?と言ってみよう

自分に会うのは怖いが勢いで行けば何とかなる!

知人に会うのと一緒だ

よし!完璧だ

 

そう思って男の自分に会いに行くことにした

 

病室の前に来たのでノックした

勢いが大事と思い部屋に入った

 

「こんにちは」そう言って部屋を見渡した

 

男の自分の横に知らない女性がいる

 

 

 

 

 

 

 



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変化  4話

この女性どこかで見たことがある

どこで見た人だろうと考えていると

 

「こんにちは。私高橋 蘭です。あなたは今朝の人・・・」

 

「私真由です。どうなったか心配になって、大丈夫ですか?」

しまった、自分の苗字分からない

 

「どうも今朝はありがとうございます。頭は痛いのですが身体は大丈夫です」

 

男自分が最悪の結果にならなくてよかった。

しかし男自分がこちらを見てる

これはまずいのか?

もし男自分がこの真由の記憶の持ち主だったらどうなる?

軽率な行動だった

 

「ただ記憶喪失なのか自分の事全く記憶が無くて。僕の事知ってます?」

 

「ごめんなさい」

ごめん、私あなたの事よく知ってる

 

しかし記憶喪失か。どこまで知っているか聞いてみることにしよう

「自分の名前とかここにくる前の事何か覚えてます?」

 

「名前も知らないし気が付いたらここに。それ以前は全く思い出せない」

 

「高橋さんはこちらの方の事と知り合いなのですか?」

 

「同じバス停でよく見かけたのですが名前までは分かりません」

 

そうか、バス停にいた人か。いつも足元見てるからよく分からなかった

 

立て続けに「バス停に着いたらこの人が倒れていたので驚いて救急車を呼んだら

一緒に救急車に乗せられて今ここに」

 

とりあえず今必要な情報は得た

「私入院してるので病室戻ります。また来ますね」

 

そう言って病室を出た

2人は驚いた顔をしていた

 

自分の病室で母が置いていったスマートフォンを見た

 

コーヒーが飲みたくなったのでスマートフォンのアプリを見ると残高があった

 

やったー、コーヒー飲めると思い自動販売機でコーヒーを買って休憩室で飲むことにした

 

無糖コーヒーが売っていない。コーヒーが飲みたかったので微糖コーヒーを買った

 

微糖コーヒーをあまり美味しいと思ったことがなかったが美味しく感じる

 

不思議な感じだ

 

コーヒーを飲んで外を眺めていたら休憩してる人とか通りすがりの男性にチラチラ見られてるような気がする

 

知り合いに似ているのだろうか?

 

男の時は嫌で下を向いていたが今はあまり気にならない

話するのも嫌じゃない

男の時不細工な自分の姿を鏡で見るのが嫌だったが女性になった今、以前の男の自分を見ても不細工と思わなかった

姿が変わることで性格も好みも変わるのかもしれない

 

今の状態だと男性と付き合うとか想像できない

どちらかというと嫌だ

 

それなら女性と付き合うのも想像できない

 

これはまだ結論を出すには早すぎるか

 

このまま時が過ぎればいろんな変化があるのかもしれない

 

考えるのが面倒くさくなってきた

 

頭に浮かぶのは病室にいた以前の自分の姿

 

 

 



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友達 5話

自分の病室に戻り名前の書かれたプレートを見た

 

村上真由と書かれてある

これが今の自分の名前である

 

しばらくすると母と名乗る女性と男性が来た

 

男性が「真由、身体は大丈夫?パパの事も覚えてない?」と話しかけてきた

この人がお父さんなんだ。優しそうな人だ

 

「うん、痛い所はないよ。何も思い出せないの、ごめんなさい」

 

「今日は何かあった?」

母が質問を変えてきた

 

「さっきコーヒー飲んだの。久しぶりに飲んだ感じがして美味しかった」

そう答えると両親が驚いてこちらを見た

 

「まーちゃんはコーヒーが苦手だったはず」

母がそう言って父と何か話をしている

 

結局記憶喪失なので好みが変わったとかで話は決着したようだ

 

私は結局この身体の人の事を何一つ知らない

 

母が「まーちゃん、家に帰る?」と聞いてきたが私はこの病院でまだやる事があるので

 

「まだ混乱してるからもう一日入院するね」

 

「何か思い出したりしたら連絡してね」

 

「わかった」

 

そんなやり取りをして私は両親を病院の玄関まで送った

 

その後以前の私の病室に行って話をいろいろ聞かなくてはいけない

 

とりあえず記憶についてどこから覚えているか

私の事について何か知っているか

あと検査結果だな

 

鏡を見て自分を確認した

ちょっと前まで自分の姿を見て混乱したが今は大丈夫

整った顔立ちをしているがすごく美人かと考えたがそこまで思わない

男の時ぶつかったときは物凄い美人と思ったのに不思議なものだな

 

病室のプレートを見た

青山 悠太

以前の私と思うのはややこしくなるのでこれから青山君と呼ぶことにする

 

部屋の中から声が聞こえる

父さんと母さんの声だ

今は違う。青山君の父さんと母さんの声だ

姿を見るとさみしい気持ちになるので

一度自分の病室に戻ることにした

 

病室に戻ると同じ学校の佐々木さんが居た

佐々木さんは自動販売機でお金を落として困っていたので落としたお金を拾った記憶がある

とてもかわいい人といった印象である

私は思わず「あっ!」と声を出してしまった

 

佐々木さんは驚いた顔をして「真由ちゃん、私の事おぼえてるの?」と言ってきた

 

「顔はなんとなく覚えてるような・・・」

 

「うれしい」と言って泣きだした

なんてかわいい人なんだろう

 

「私の名前覚えてる?」

「ごめん」

ウソついてごめんね、佐々木みゆさん

 

「私佐々木美優、真由ちゃんの友達。美優と呼んでね。昨日倒れて記憶喪失になったと聞いてびっくりしちゃった」

 

「私倒れる前の事全部忘れちゃって。ごめんね」

 

「けど私の顔覚えてくれてたんでしょ。嬉しいわ」

 

「心配かけてごめんね、明日には家に帰るから連絡するね」

 

「うん、待ってるね」

涙を浮かべながら見てる。かわいい人だ

 

美優ちゃんが「暗くなる前に帰らなくちゃ」と言ったので

玄関まで送るのに一緒に病室を出た

 

途中廊下で青山君と出会った

 

私は青山君に会釈した時美優ちゃんが小さな声で「青山君・・・」と言ったのが聞こえた

 



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記憶の確認 6話

まさか美優ちゃんが青山君の事知ってるなんて思いもよらなかった

 

青山君の姿が見えなくなってから「青山君の事知ってるの?」と聞いた

 

「うん、以前自動販売機の前でお金落とした時に無言で拾ってくれたの。その時優しい人だなぁと思って」

 

覚えてくれてたんだ。とても嬉しくなった

 

「青山君は他の男子達とは何か違うなと思って覚えていたの」

 

何がほかの男子達と違うのだろう。

 

もし嫌なことなら聞きたくないのでそれ以上聞けなかった

 

「それより真由ちゃんが何故青山君の事知ってるの?」

 

「私今朝病院の外に出た時その時青山君が倒れていたので救急車を呼んだの。それで知っているの」

 

「青山君が?どうしたのかな?」

 

「その後病室に行って症状を聞いたら何かに頭をぶつけたらしく記憶がなくなったみたい」

 

「青山君も記憶喪失?大丈夫かな?」

美優ちゃんが心配そうな顔して何か考えている

 

美優ちゃんが「ちょっと待ってて」と言ってエレベーターのある方向に向かっていった

 

私は青山君の病室に一人で行くタイミングを逃したかもしれない

 

しばらく経つと美優ちゃんは花を手に持っている

 

「お待たせ、青山君の病室にいきましょ」

 

美優ちゃんは何を考えているのだろう

 

青山君とそんなに仲が良かったわけでもないしお見舞いに行くとは・・・

 

しかし私は確認したいことがあった

 

青山君が美優ちゃんの顔を見て何か反応したら青山君が倒れる前の真由の記憶を持っている可能性がある

 

青山君の病室の前に着いたのでノックをした

 

「はい」と返事があったので中に入り「真由です。失礼します」と言って青山君の顔を見た

 

「私の友達の佐々木美優ちゃん」と言って青山君に紹介した

 

青山君の顔の変化を見ていたが驚く表情もなくて何も変わらなかった

青山君は完全に記憶喪失なんだと私は確信した

 

「佐々木美優です。私青山君が入院してると聞いて来ちゃった」

と言いながら手に持っていた花を青山君に手渡した

 

美優ちゃんが青山君の顔をじっと見ている

青山君は「ありがとう」と言ってにこにこしている

 

美優ちゃんは青山君の頭をさすりながら「記憶喪失と聞いたけど大丈夫?痛い所ない?」と聞いた

 

「検査結果聞いたけど記憶以外は大丈夫と医者が言ってたよ」

 

「よかったー。記憶喪失治すのは私も手伝うね」

 

これはどういう事なんだろう

 

美優ちゃんは優しいから青山君の事がほっとけないのだろうか

 

それとも美優ちゃんは青山君の事好きなのかな?

 

私は成り行きを見守ろうと思った・・・

 

「美優ちゃん、そろそろ外が暗くなるよ」と私が言うと

 

「青山君、また来るね」と美優ちゃんが言って病室を出た

 

病室から「二人ともありがとう」と青山君の声が聞こえた

 

私は美優ちゃんを玄関まで送った後甘いコーヒーが飲みたくなった

 

 



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自分の変化 7話

病室に戻る最中自動販売機を見つけた

 

無糖のコーヒーを見つけたので購入した

 

甘いコーヒーが飲みたかったが無糖コーヒーを買った

 

理由は自分でも分からない

 

近くの椅子に座りコーヒーを飲んだ

 

「苦い、これじゃ飲めない」

 

困ったと思いコーヒーを眺めた

 

「本当は何飲みたいの?」

 

自動販売機から声が聞こえた

 

私はもうコーヒーが飲みたくなくなったので

「グレープジュース」

そう答えて声の聞こえた方を見たら青山君が居た

 

青山君は自動販売機でジュースを購入後私の隣に座った

 

「はい、コーヒーと交換」

 

私は言われたままにコーヒーを渡してグレープジュースを受け取った

 

「助けてくれてありがとう」そう言って青山君はコーヒーを一口飲んだ

「高橋さんがいろいろ教えてくれたんだ。真由さんが倒れてる僕に一生懸命介抱しながら助けを呼んでたと」

「本当にありがとう」

 

そう言って青山君はこちらを見た

 

「あ、いえ、当たり前のことをしただけ」

 

予想もしていない所で青山君に会って驚いたのでそう答えるのが精いっぱいだった

 

とりあえずグレープジュースを飲んだ

「美味しい。青山君ありがとね」

 

「真由さん何故飲めないコーヒー買ったの?」

 

「んー、チャレンジしたかったの。けど無理だった」

 

「そうなんだ」

 

「青山君はいつ退院なの?」

 

「僕は怪我してるから一週間くらい入院。真由さんは?」

 

「私は明日退院」

 

そう答えてグレープジュースを飲んだ

 

あらためて無糖コーヒーが飲めなかったことにショックを受けた

 

加糖珈琲を飲むと気持ち悪くなったが今は美味しく感じる

 

しかし今は無糖コーヒーが飲めない

 

入れ替わった事で好みはもちろんこの短時間で考え方まで変わった感じがする

 

青山君は何かかわったのだろうか?

 

これは本人に聞いても分からないだろう

 

これからも変わっていくのだろうか?

 

そうしてこのままいくと心が身体に合わせて変化していくのだろうか

 

「村上真由さん、好きです」

 

不意を突かれて「えっ?」と言ってしまった

 

人生初めて告白されてその相手が青山君

 

私は青山君の事を恋愛相手に考えたことはなかった

 

しかも昨日までの自分

 

頭が真っ白になった

 

何か返事をしなくちゃ

 

「私も」

 

私は何言ってるの?

 

思ってもいない事なのに

 

出会って数時間の人の事なんか何も分からないのに

 

しかし私は誰よりも青山君を知ってる

 

あー訳わからない

 

青山君を見ると嬉しそうにニコニコしている

 

「良かった。連絡先教えて」

 

そう言って青山君はスマートフォンを取り出した

 

私もスマートフォンを取り出し連絡先を交換した

 

「それじゃあまたね」と言って行ってしまった

 

あの自信ありげな態度ちょっとムカつく

 

しかもすぐに答えてしまった自分にもムカつく

 

あーーーーーーーーー

 

病室に戻ろう

 

 



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その日の夜 8話

病室に戻りベッドで横になりながら今までの事を考えた

 

先ずは美優ちゃんは青山君の事が好きなんだろうか?

 

美優ちゃんが青山君の頭をなでていた

 

可愛いと思っている相手に頭を撫でる事はある

 

しかしあまり親しくない人の頭撫でたりしない

 

美優ちゃんは女の感か何かで青山君を真由と無意識で認識して頭を撫でた・・・とか?

 

何故青山君の頭を撫でたのか美優ちゃんに聞かなければ分からない

 

その時青山君は頭をなでられていた時普通にしていた

 

私が青山君の時なら頭を撫でられそうになったら撫でなれていない為避けてしまうだろう

 

次に青山君は真由の時の記憶を持った行動なのか?

 

私は苗字を名乗ってないが青山君は知っていた

 

その次に告白の事だ

 

入れ替わる前の自分の事は心配だと思う

 

実際私も青山君の事は気になる

 

恋人同士なら相手の行動を監視するには一番いい

 

告白は返事を知っている行動なのか?

 

例えば真由は青山君の事が好きだった

 

それで真由が青山君に入れ替わり告白してもOKをもらえる自信があったとか?

 

無糖コーヒーを飲んだ時私が青山君の時は好きだったが真由に入れ替わったあと不味いと感じた

 

このような事が青山君にもあったとして根本的な好みは変わらないと思って行動したのかな

 

よく分からないけど告白は受けてよかったかも

 

 

 

目が覚めた

 

今は朝の6時

 

鏡を見た

 

真由の姿だ

 

もう鏡を見ても頭が混乱することもない

 

昨日はいろいろ考えながら寝てしまった

 

結果として他人の考えなんて分からない

 

いろいろ考えて行動したのか考えず行動したのかも分からない

 

自分のことも分からない

 

青山君だった頃はどうだったかな

 

昨日は鮮明に覚えていたのに今はもやもやしてあまり思い出せない

 

思い出すことにそんな大事なこととは思えないからだ

 

これからは真由として生きていかなければいけないからだ

 

スマートフォンに青山君からメッセージが来た

 

「真由ちゃんおはよう

 

昨日変な夢見たよ

 

僕が真由ちゃんになって美優ちゃんと遊んでる夢

 

変だと思わない?

 

真由ちゃんは寝れたかな?」

 

これは真由として記憶が無いアピールなんだろうか?

それとも私が元青山君だったと情報を引き出そうとしているのか?

変に勘ぐってしまう

 

「おはようございます

 

確かに変な夢ね

 

私はすぐに寝てしまって夢も見なかったわ」

 

と返信した

 

実際夢は見たか見てないか覚えていない

 

もし見てたとしても目が覚めた瞬間忘れてしまうか数分後には忘れてしまう

 

青山君から返信が来た

 

「真由ちゃんは疲れていると思う

 

また後で連絡するよ」

 

青山君優しいな

 

自分が青山君だったときはこんな感じだったのだろうか?

 

そもそもメッセージ送る相手いなかったと思う

 

そんな事考えていたら2度寝してしまった

 

 

 

 



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彼との話 9話

いつの間にか寝ていたが物音で目が覚めた

 

母が私の退院の準備をしていた

 

私も退院の準備をしていると

「真由、体調大丈夫?」と母が聞いてきた

 

「身体は大丈夫、記憶はまだ戻らない」

 

「無理して思い出そうとしたらダメよ」

 

「ママ、友達が入院してるから挨拶してくるね」

母は一瞬嬉しそうな顔をした

 

「ママはいろいろ手続することがあるから終わったらここで待ってるわね」

 

「ちょっと行ってきます」

 

そう言って私は青山君の病室へ向かった

 

病室の前まで来たのでノックした

 

「真由です」

 

「どうぞ」

青山君の声が聞こえた

 

扉を開けて部屋に入った

 

「おはよ、青山君」

 

青山君はベッドの上に居た

 

「おはよう、真由さん」

 

「青山君寝てたの?ごめんね」

 

「ちょっと前に起きたよ、考え事していたらなかなか寝れなくて」

 

「私今から退院するから青山君の顔見に来ちゃった」

 

青山君の顔を見ると昨日飲んだグレープジュースが飲みたくなった

 

青山君は冷蔵庫からジュースを取り出し

「真由さん、これ飲む?」と言ってグレープジュースを差し出してきた

 

「今ちょうど飲みたいと思ったところ。ありがとう」

 

「真由さん、ウォークインソウルという言葉知ってる?」

 

「ウォークインソウル?憑依みたいなこと?」

 

「昨日の夜スマートフォン触ってたらそんな単語出てきて真由さん知ってるかと思って聞いてみただけ」

 

「そんなこと調べてるから寝れなくなったんじゃないの?寝る前はスマートフォン触っちゃダメよ」

 

「うん、わかった」

 

「所で青山君は身体大丈夫?痛い所ない?」

 

「僕は大丈夫、真由さんは大丈夫?」

 

「うん、大丈夫よ。青山君の元気な姿見れたからよかった」

 

青山君は嬉しそうな顔している

 

「私ママが待ってるからそろそろ行くね」

 

「うん、真由さんの顔見たいからまた来てほしい」

 

「分かった、またね」

 

「またね、真由さん」

 

私は青山君の病室を出て母の待つ病室に向かった

 

青山君は怖い話が苦手なのかな?

 

ここは病院だから怖い話でも聞いて寝れなくなったんじゃないかな?かわいい

 

自動販売機が見えたのでグレープジュースの空き缶を捨てた

 

青山君は私がグレープジュース飲みたいと思ったらグレープジュースを出してきた

 

もしかしたら青山君は入れ替わった事で人の心が読める能力が手に入ったのかも

 

それなら私にも何か特別な能力があるかもと思い今までの事を思い出した

 

人の心が読めない、分からない

 

未来予測できない。過去に行けない

 

空も飛べない

 

そして小さな声で「ファイヤーボール」と言ってみた

 

やはり何もおきない

 

自分の馬鹿さ加減に呆れてしまう

 

その後私はスマートフォンを取り出しウォークインソウルを検索した

 

魂が入れ替わる

 

 

 




初作品です

まだ続きを考えてないのでここで一旦終了とさせていただきます

書いた感想として辻褄を合わせるだけで精一杯で難しいと思いました

読んでいただきありがとうございました


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