メトロイドアーク (ルーデリアン)
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プロローグ
プロローグ1「墜落」


初投稿です。アークナイツらしい、場面が一つもないですが少々お待ちください。


この惑星には名前がない

 

しいて言うならば「テラ」と呼ぶべきだろう

 

ここは呪われている。

 

源石がもたらした呪いだ。

 

治る見込みのない、鉱石病。

 

その患者を迫害する、弱いやつら

 

そこからくる、激しい憎しみ

 

誰もが生きるのに精いっぱいで、どうしようもなかった

 

そんな世界で、一つの流れ星が流れた

 

それは、世界を壊す「危険生物(メトロイド)」か

 

それとも、世界を救う「最強の戦士(メトロイド)」か

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『サムス、依頼は完了したがあれでよかったのか。』

「ああ、問題ない。」

 

 宇宙空間に紫色の宇宙船が高速移動している。その中で、誰かが話し合っている。彼女の名はサムス・アラン、銀河最強といわれている賞金稼ぎだ。そして彼女に話しかけているのはこの船の人工知能、アダムだ。彼女たちは依頼を終えて帰る最中だ。依頼はある惑星にて、危険生物の駆除である。しかし、サムスの独断でこの惑星の施設を破壊してしまい、損害賠償で依頼料がチャラになったのだった。

 

「今回の依頼で、あの星に平和が訪れた。それで十分だろ。」

『しかし、ついでに施設を破壊するのはいただけない。依頼料の減額だけで済んだからよかったものだ。次からは控えるようにしろ。』

 

 サムスはサムズダウンをした。ちなみにだが彼女は施設や惑星を爆破することが多いので爆破請負人とまで言われている。

 

「あの施設を破壊しなければ、もっと被害が拡大していただろ。」

『…そうだな。』

 

 アダムは少し、呆れた。感情的な行動をしてしまうのは彼女の悪い癖であり、彼女の良いところであるとは思っているのだが。

 

『サムス、たまには羽を休める必要性があるだろう。』

「…必要ない。」

『いや、するべきだ。ここ最近は仕事が多すぎた。護衛に討伐に調査に惑星爆破、いくら何でも働きすぎだ。これは警告だ。休息によってコンデションを最適にする必要がある。それにこれ以上に働いたら志望するリスクもある。一か月くらいバカンスに行くといい。』

「…考えとく。」

 

 

 その時だった、いきなりメッセージが表示された。内容は…

「K、I、L、L、Y、O、U…kill you?」

 

ドゴン‼

船に強い衝撃が走る‼

 

「何が起こった!」

『サムス!スターシップが攻撃された!駆動部破損、エンジンも大ダメージを受けている!もう飛行は不可能だ!』

「!? アダム、近くに惑星はあるか!」

『近くには、惑星が一つある!しかしだ、このまま不時着してもスターシップはバラバラになる可能性がある。気を付けろ!』

「…分かっている。」

 

 警告音が鳴り響く。スターシップは不時着の体制に入っている。大気圏に突入し真っ赤に染めていく。最悪、サムスはここで死ぬかもしれない。やがて意識を手放していくのであった。

 

 

 




サムスがこれからどんな冒険をするのかを楽しみにしてもらえると幸いです。


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プロローグ2「遭遇」

今回はオリキャラを登場させています。


「畜生。」

 

そうつぶやくのは、獣の耳と尻尾を持つ青年だった。

 

彼の名前は「クラン」。本名ではないがここではそうさせていただく。彼はループス族のしがないバウンティーハンターだが、間抜けなことに金目の物を奪われてしまい、無一文である。彼は、賞金を稼ぎながら旅をしている最中である。目的があるわけではないが様々な国に行けるので、とても楽しんでいる。

 

「依頼、探さねえとな。」

 

そんな彼でも、金がなくては生活は出来ないのである。

 

「ん?」

 

そんなときである。

 

ドゴーーーーン‼

 

「な、何だ!今の!森の方から聞こえたよな!」

 

クランは先ほどの爆音がした場所に行くことにした。

 

 

 

 

 

 

 

「これは…」

 

クランが目撃したのは巨大なクレーターとその中心に転がる鎧らしきものを身にまとった謎の人型だった。

 

「これは、人か?取り合えず起こさないと。おい、あんた大丈夫か?」

「…うぅ、ここは?…!動くな。」

 

その声は、女の物だった。声質から20代前半くらいだろうとクランは推測する。それにしては見たこともない鎧だった。白とシアンをベースとした色合い、筋肉の繊維のような物がところどころ露出している。腕は筒状になっておりアーツユニットなのかとクランは考えた。しかし、そんなことは今どうでもよくその腕が自分につきつけられているのであった。

 

「まあまあ、落ち着けよ、俺は別に取って食おうとするわけじゃあない。」

「そうか、ここはどこだ。」

「ここ?ここは、ウォルモンドだ。」

「ウォルモンド?この星の名前か?」

「星?いや都市だ。リターニアのウォルモンド。」

「リターニア?」

「そ、リターニアだ。」

 

クランが言うと、彼女?あたりを見渡して。

「…分かった、じゃあ別の質問をさせてくれ。紫色の宇宙船は見なかったか?」

「宇宙船?なんのことだかわからんがそれっぽいのは見てないぜ。」

「…そうか、“チョウゾスラング”」

「…あんたにとって大事なものなのは分かった。で、この後どうするんだ。」

「宇宙船を探す。」

「なあ、俺も同行してもいいか。俺の名はクラン、しがないバウンティーハンターさ。」

「…サムス、サムス・アランだ。よろしく頼む。」

 

 

 

 

 

 

(今は、こいつと活動したほうが良いだろう。スーツの機能もほとんどが初期化している。バリアスーツはまだ必要なさそうだが、チャージビームはこの先必要だろう。ミサイルは無事だったが、弾数は心もとない。この星は独自の文化があるらしいが、「人間」がいるだけでもありがたい。)

 

サムスは今後のことについて考えていた。スペースシップを見つけなければいけないのは間違いないのだが、スーツの機能を取り戻さなければいけない。やるべきことは山済みなのである。

 

「ところでこっちからも聞いていいか。」

「…なんだ。」

「その鎧で、分からないんだが種族は何だ。」

「種族か、ヒューマンだが。」

「ヒューマン?そうか、俺はループスだ。」

「狼か、なるほどな。」

 

サムスはクランと長い付き合いになるだろうと思ったのだった。

 




ちなみに、物語の始めがウォルモンドなのは
1、いきなりウルサスや龍門だと、いきなり物語が進んでしまうから。
2、前の復興イベントで記憶に新しいから。
という理由があります。


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プロローグ3「初交戦」

初めてのバトルシーンです。


リターニアにある都市、ウォルモンド。

 

その名前は「八つ目の月」を意味し、その名の通り他の七つの都市と共に、商業集落を形成している。そこでは、誰もがアーツを使えるのが当たり前であり、日常の一部である。また、リターニア全体に言えることだが、感染者に寛容な都市であり居住地は制限されているもののそれ以外には特に制限はない。

 

「というのが、この街の大雑把な特徴なんだが理解できたか。」

「分からない単語がいくつかある。“アーツ”とはなんだ。“感染者”とはなんだ。」

 

サムスは、この星のことをクランに聞いていた。

 

「アーツは、源石を利用して炎を出したり、光弾を出す技術だ。」

「源石も聴いたことがない単語だ。説明を頼む。」

「…源石はこの世界でありふれた物で…危険なものだ。」

 

クランはふと暗い顔をした。よく見ると手が震えており、力ずよくこぶしを握っていた。

 

「…すまない、聞いてほしくないことを聞いてしまって。」

「いや、大丈夫だ。少し昔のことを思い出しただけさ。えぇと、どこまで話したっけ。ああ、そうだ、源石のところからだな。あれは、アーツだけじゃねぇ。燃料にも使うし、この世界じゃあ、必要不可欠さ。」

「…なるほどな、じゃあ、感染者と言うのは?」

「ああ、感染者って言うのは」

 

その時であった、いつの間にか見知らぬ男たちに囲まれていた。その雰囲気は明らかに堅気の物ではなく、それでいて動きに統一感のないチンピラに近い物だった。

 

「…お前らは、“ワールド”か何の用だ。」

「よぉ、ループスのあんちゃん。こないだは、よくもやってくれたなぁ。」

(クラン、やつらは何者だ。)

(あいつらは“ワールド”。感染者からこの世界を守ってるとほざいてるが、実際は差別主義のチンピラだ。この間、感染者の嬢ちゃんを助けるついでにこいつら締め上げたからな。)

 

「おい、無視すんなよ。」

「へ、女の子一人いじめるしかないような“シラクーザスラング”に興味はない。失せな。」

「な、てめぇ!」

“ワールド”…もといチンピラの一人がクランにマチェットを振る。

 

ブン‼

しかし当たることは、なかった。

「おいおい、いきなり仕掛けてくるなら…こっちからやらせてもらうぞ!」

クランはどこからか取り出した、槍でチンピラの攻撃を防御し、反撃を加えた。

 

「ぐぼぉ。」

「や、やろう!全員かかれぇ。」

ボウガンを持った、チンピラたちはすぐさまクランに攻撃を仕掛けようとした。

 

ダン‼ダン!

しかし、矢が飛んでくることはなかった。

「…黙って聞いていたんだが、要は敵だな。こいつらぶっ飛ばしてもいいか。」

「問題ないぜ、姐さん。こいつら、指名手配受けてるからな。」

「…足手纏いになるなよ、坊や。」

「上等だ。」

 

サムスはアームキャノンからビームを発射し、男たちを吹き飛ばしていた。クランは槍で男たちをさばいていた。

「その腕、光弾を発射できるのか。便利だな。」

「黙って戦え。」

「つれねぇなぁ。」

 

チンピラどもは、恐怖した。ループスの男を殺せると判断して襲撃はしたものの、まさかよく分からない鎧のやつも敵対するとは考えておらず、殴られ、蹴られ、吹き飛ばされていく。

 

「お、おい、あいつ一人なら何とかなるんじゃなかったのか。」

「ええい、俺もやる。」

チンピラどもの中でも、大柄な男がクランにタックルを仕掛けた。

 

「…これは少し骨が折れるか。」

クランはそう呟くと、槍の先端が突如光始める。

「じゃあ、これ食らっても文句は言うんじゃあねーぞ!」

クランは大柄な男に槍を向け、じっと睨みつける。

「ゲイ…ボルグ‼」

瞬間、クランは男に対して突撃をし、そして吹き飛ばし!壁に激突させた!

 

「うげらぁ。」

「そ、そんな。ブーさんまで。」

「お前ら、よそ見をしてる暇があるのか。」

チンピラたちが声のする方を見てると、サムスが、アームキャノンを向けていた。

 

ドン‼

 

アームキャノンからミサイルが飛んできて、チンピラたちを一掃した。

「ぐわぁぁぁぁ‼」

 

 

 

 

 

 

「対したことはなかったな。」

「それも姐さんがいてくれたおかげだ。」

「私はするべき事をしたまでだ。」

「…いや、十分恐ろしいことやってたぞ。」

サムスは、的確に武器だけを打ち落とし、更にミサイルを爆風だけチンピラに当てるというテクニックを見せ、見事、誰も殺さずに制圧することが出来ていた。

 

「…ところで、さっきのがアーツか?」

「ああ、俺のアーツはエネルギーを溜めて一気に放出するのさ。」

「…それをこの槍を媒介にして行ったのか。」

「ああ、触ってみるか。おっと、赤い部分には触れるなよ。」

「ああ、分かった。」

サムスはクランの槍に触れてみた。

 

そのときだった

 

「!スーツが。」

 

いきなりスーツが光始め、その光が徐々にアームキャノンに収束し始めた。やがて、光が収まった時には、バイザーにこのようなことが映し出された。

 

 

 

[チャージビームを入手しました。]

 

 

「ど、どうしたんだ。」

「分からない、槍を持った瞬間このスーツの機能がアップデートした。」

「…そのスーツどこから手に入れたんだ。そんな機能を持ったもんは見たことも聴いたこともないぜ。」

 

サムスは、突然の出来事に困惑した。

(姐さんは、俺の槍を持った時に、源石のついた槍を持った時にスーツがアップデートされたといったな。だとしたら)

 

「君たち。」

サムスはとっさにアームキャノンを構えようとしたが、すぐに下げた。そこには複数人の警官らしき人物がおり、リーダーと思われる男はタバコを吸っていた。

 

「ゴホ、失礼。私はウォルモンドの憲兵長、ゼペリンだ。今から同行をお願いしたい。」

 




今回は、オリジナルの敵「ワールド」を登場させました。あまり重要な奴らではないのですが。
ご意見・ご要望がありましたら是非、感想に書いてもらうとありがたいです。


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プロローグ4「初依頼」

今回で、やっと鉱石病のことが出せました。あと、考えるとサムスって鉱石病以上にヤバいもんに関わっていますね。


サムスたちはセベリンと名乗る男に連れられ、談話室らしき部屋に連れられるのであった。

(恐らく、私たちがワー何とかというやつらをぶっ飛ばしたと見ているんだろう。さて、どうなるか。)

(にしても、憲兵長自ら出向くとは、何かあったな。)

 

「君たちに、ここに来てもらったのはあの感染者迫害団体のことについてなのだが。」

「あの指名手配を受けてるやつらのことだな。」

「ああ、そうだ。君たちに頼みがある、あの感染者迫害団体を調査していただきたい。」

「…調査?おいおい、それならあんたら憲兵の仕事じゃあないのか。」

「確かにだ。しかし、我々には事情があってな。」

「貴族どものご機嫌取りか?」

「…ゴホゴホ、そうかもしれないがそうゆうのではない。君たちが受けるか受けないかは自由だが報酬は弾むと約束しよう。」

「…セベリン憲兵長、やつらの根城というのは把握していますか。」

「それが分からないから、依頼をしている。」

「それはわかりますが彼はともかく私は身元不明だ。私たちでしか、頼めない理由があるのだろう。」

「…奴らは、1か月前にウォルモンドに来た。感染者たちを殺しにな。」

「?感染者というのは、病人のことのはずだ。空気感染する病気であっても、わざわざ殺す理由がない。」

「まさか、鉱石病について知らないのか。」

「あ、姐さんは記憶喪失なんです。」

 

クランは誤魔化した。彼女のいうことはこの世界では理解できない物ばかりな上に、自己の世界の常識がないため何言いだすかわからなかったからである。

 

「そうか、では鉱石病についてから話したほうが良いか。」

「そうしてくれると、助かる。」

 

 

 

鉱石病。源石に触れ続けたりすると発症する、不治の病だ。症状は様々だが、最終的には死亡し、更にはその死体が新たな感染源になってしまうなど、危険な病気として認知されている。その為か、感染者差別が良くあり、かなりの頻度でトラブルのもとにもなっている。

 

 

 

(…下らない。)

サムスは心底そう思った。確かに危険ではあるとは思ったものの、それは鉱石病が恐ろしいだけであり、感染者を差別するほどのものではないと思ったからだ。

 

「鉱石病については理解できたかね。」

「大丈夫だ、問題ない。」

「じゃあ、話の続きを頼むぜ。セベリン憲兵長。」

「ああ、やつらはただのチンピラに過ぎんからもともとはノーマークだったんだが、二週間前のことだ。やつら蓄音機を強奪してきた。」

「あの蓄音機を!」

「知ってるのか、クラン。」

「ああ、あれは確かリターニアのアーツ兵器だ。だが、アーツが使えなければ使えないはずだ。戦力はダウンするが奴らが強奪しても意味がないはずだ。」

「そうだ、やつらはリターニアの民ではない。ゆえに使えないと踏んでいた。」

「しかし、やつらの誰かが使った。違うか。」

「その通りだ。やつらの一人が蓄音機を作動させ、我々に攻撃を行った。」

「しかし、それがどうして俺たちに頼む理由になるんだ。」

「いま、ほとんどの憲兵がその攻撃で療養中だ。憲兵は今は4人ほどしかいない。」

「要は人手不足か。報酬はいくらだ。あと、いつ行けばいい。」

「報酬はこの紙に書いてある。出来ればすぐに言ってほしい。」

「…分かった、三分で支度をする。」

「ちょ、姐さん、いくら何でも即決しすぎだ。もっと準備してからでも遅くない。だから、」

「蓄音機の攻撃を避ければいいだけだ。」

 

クランは、サムスの言葉に耳を疑った。蓄音機の威力は森で大火災を起こすほどの威力を持っている。それを避けると言い放ったのはそこまで自信があるということなのだろう。

 

「…わかった、わかった。で、当てはあるのかよ。」

「ない、だから任せた。」

「しょうがねぇなぁ、じゃあ」

「大変です‼」

「どうした!」

「例のやつらが、街で暴れています。」

 

 

 

 




時系列は「ウォルモンドの薄暮」の前を想定しています。だから、ゼべリンの息子はまだ無事ですし、ロドスの人も生きています。
ご意見があれば感想のところに書いてもらえると嬉しいです。


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プロローグ5「圧勝」

もう、サムス一人で十分じゃないかと思ってきましたが皆さんはどう思うでしょか。


ここは、感染者の居住区内。そこでは正しく修羅場ともいえる状態になっていた。

 

「ヒャッハー、感染者どもがうようよいるぜ。」

「これだけいれば、気持ちよく殺せるだろうな。」

「もう我慢できねえ、殺していいですか?」

ワールドの面々は、異常に士気が高まっていた。

 

「くそ、何なんだこいつら。」

「ただのチンピラのくせに何でこんなに強いんだ。」

「気を付けろ、奴ら蓄音機を持っているぞ。」

ウォルモンドの民兵は、ワールドの猛攻に苦戦をしていた。

 

「…おかしいな。」

「ああ、奴らさっきより動きが良い。」

「恐らく、リーダーが直接指揮を執っているんだろ。」

「それに、やつらの目がおかしい色になっていやがる。薬でブーストをかけていやがる。」

現場に到着した、サムスたちはこの状況を観察していた。

 

「いいか、感染者は殺せ。庇う奴らも殺せ。いるだけで害のある連中だ。殺せ。」

そういうのは、ひときわ大柄の男。その耳はクマのようになっている。所謂ウルサスである。

 

「……………」

リーダーの隣にいるのは、フードの男。手には、拳銃のような武器を持っていた。

「…サムス・アラン。」

フードの男はサムスを見かけると、サムスに向けて武器をむけた。

「…死ね‼」

武器が光った瞬間、光弾が発射されサムスに向かって飛んだ。

 

「!姐さん、危ねえ!」

クランはとっさにサムスを庇おうとした…が。

「遅い。」

サムスはいつの間にかチャージをした、ビームで光弾を相殺していた。

 

「ち、一発撃っただけで使い物にならなくなっちまった。やつに言わないとな。」

フードの男は、そう呟くといつの間にか設置した蓄音機を使用し始めた。

「させるか!」

 

クランも、いつの間にか槍をチャージしており、一気にフードの男に近づいた。

 

「!こいつ!」

「悪いが、邪魔させてもらうぜ。姐さん!この野郎は俺が食い止める。姐さんはあのクマ野郎を。」

「分かった。」

 

サムスは、敵をなぎ倒しながらリーダーのもとに向かう!

 

「邪魔だ。」

「ウゲラ!」

「どけ。」

「アミバ!」

サムスは、やがてリーダーのところにたどり着く。

 

「お前が、こいつらのリーダーか。」

「あぁ、あんだてめぇ。」

「しがないバウンティーハンターだ。お前にも、聞きたいことがあるからな。」

「聞きたいことだと。笑わせてくれるぜ、感染者を庇ってるくせに。」

「…お前は、感染者に恨みでもあるのか。」

「恨み?何故そんなこと気にしなきゃ、行けねぇんだよ。感染者は人じゃねえからころしても誰も文句は言わねえ!それに人を殺すとスカッとするんだ!それをじゃま」

ダン!

「もういい、しゃべるな。」

「どうやら、俺とやり合うつもりだな。このメタルジャイロ様に歯向かおうとはいい度胸だ!」

 

メタルジャイロはそういうと、ネックレスが光始め、こいつの体が鉄で覆われ始める。

 

「これが、俺の無敵のアーツよ!誰にも破れねぇぜ。」

 

メタルジャイロはサムスに右ストレートをぶちかまそうとした。ウルサルの身体能力はかなり高い。しかも鉄を身にまとっているため威力はかなり高い。だが、サムスは微動だにもしなかった。

 

「!こいつ片手だけで‼」

サムスはすぐさま、メタルジャイロを投げ飛ばした。サムスは鳥人族のDNAを持っているがゆえに、通常の地球人よりも身体能力は高く、更にパワードスーツの性能もありこのようなことを可能にしてるのである!二メートルほど飛んで行ったが、それでもダメージは少ない様子だった。

 

(肉弾戦では有効打にはならないな。ここはミサイルで応戦するのがよさそうだ。残弾数は残り、五発。ここで仕留める。)

 

「てめぇ、調子に乗りあがって。」

メタルジャイロはすぐさまサムスに振りかぶる。しかし、避けられてミサイルを撃ち込まれてしまう。

(これで一発。)

メタルジャイロはけりを打ち込もうとするが、アームキャノンで防がれてしまいまた、ミサイルを撃ち込まれてしまう。

(これで二発。)

メタルジャイロはベアバックを仕掛けるがしゃがまれてしまい。ミサイルを二発撃居こまれる。

(これで三発、四発。)

 

「て、てめぇ!」

メタルジャイロはまだ、倒れない。こんなやつでも、サムスと張り合えるほどの実力を持ったやつなのだ。ミサイルの数発では倒れない。

 

「こうなったら、俺のとっておきを見せてやる!」

メタルジャイロはいきなり丸まり始め、高速回転をし始めていく。

「これが、俺の必殺技よ!このままひき殺してやる!」

 

サムスは、鉄の玉を見つめていた。残り一発、距離10m。この攻防で勝敗は決まるだろう。

 

「死ねぇぇぇぇぇ!」

メタルジャイロが突っ込んできた。

 

残り8m。サムスは動かず

 

残り5m。サムスは微動だにせず。

 

残り3m。

 

残り2m。

 

残り1m。

 

残り0.1m。

 

ドゴン!

 

サムスはアームキャノンでメタルジャイロをぶん殴った!すかさずビームを発射しダメージを与えていく。

 

「ぐぉ!」

メタルジャイロは思いっきり吹き飛ばされ、地面に落下した時には体が地面に刺さって抜けなくなっていた。

「し、しまった。早く抜かねぇと!」

 

サムスはこの隙を逃さなかった。チャージビームをたて続けに当てていく。1発、2発、3発。メタルジャイロの鉄の鎧にもひびが出始め、あと少しで砕けそうになっていた。

 

「くそぅ。おい、ファン!この俺を助けろ!」

しかし、誰も来なかった。誰もが目の前の戦闘にしか集中できなかったせいか、あるいは護衛を付けなかった慢心か、どちらにしろ誰も助けに来ないだろう。

 

「…最後に言い残すことはないか。」

「ゆ、許してくれ。もう感染者は殺さないから、だから命だけは」

「ああ、命だけは助けてやる。」

サムスはミサイルをメタルジャイロに向け発射し、その装甲は粉々に砕け散った。

「ぐわぁぁぁぁ!」

 

 

 

 

 

一方クランは、フードの男の戦闘に苦戦を強いられていた。

(何だこいつ、手ごたえがねぇ。槍を何度も何度も刺してるのに、ぴんぴんしていやがる。攻撃をすり抜けるアーツを使っているのか。)

 

「…………」

「おい、何かしゃべったらどうだ。」

「…………」

(気味が悪いな、姐さんも無口な感じだがこいつはまるで幽霊だ。)

 

フードの男は何もしゃべらなかった。お前にはなすことはないと言っているように。

 

クランは攻撃を何度も当ててるつもりだが、ダメージを受けたような感触はなく、逆に男の投げナイフを食らってしまっている。ジリ貧だが、どうしようもないというのも事実である。

 

「おい、ファン!この俺を助けろ!」

いきなりメタルジャイロの大声が聞こえ、フードの男は戦闘の手を止めた。

「…所詮はその程度か。」

「おい、仲間が呼んでるぜ。助けに行かなくていいのかよ。」

「奴は仲間ではない。」

そう言い放つとフードの男はスモークを炊いた。

 

「ゴホ、おい、逃げるな!」

そういう頃には、フードの男はいなくなっていた。

 

 

 

 

メタルジャイロが倒されてから、ワールドの士気が大幅に低下し、連携も取れなくなっていた。

「じゃ、ジャイロさんが。」

「おいそこどけ!クロスボウが撃てねぇじゃねか。」

「もうだめだ、お終いだ。」

 

「奴ら、連携が取れなくなってるぞ。このまま攻め続けろ。」

民兵のリーダーらしき男が、そう指示を出す。

「トールワルド!」

「父さ、いやセベリン憲兵長。」

「状況はどうだ。」

「あの、鎧の人が奴らのリーダーを撃破しました。奴ら大分士気が落ちています。我々の勝利は目前です。」

「そうか、分かった。」

 

この戦いは、驚くほど早く終わった。それも、サムスたちのおかげだとウォルモンドの住民は理解していた。

 

 

 




ワールド壊滅!
サムスの強さを見せつけた回になりましたが、どうでしょうか。他のキャラももっと活躍させた方がいいのでしょうか。
ご意見・ご感想はぜひ感想に書いてもらえるとありがたいです。


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プロローグF「旅立ち」

プロローグもこれで終わりになります。


「いやぁ、ここまで報酬がもらえるとは思わなかったぜ。」

「そうだな。」

サムスたちは、カフェでワールドの戦いを振り返っていた。

 

「にしても思った通り、特定のアーツユニットに触れればそのスーツ、強化されるな。」

「ああ。」

 

 

 

 

それは、メタルジャイロ撃破直後のことだった。サムスは、メタルジャイロの体を調べようとしたとき、偶然ネックレスに触れてしまった。

 

「!この反応は。」

クランの槍を持った時と同じ現象が、今起きていた。今回は光は収束せず、全身に駆け巡っていた。やがって光が収まると、バイザーにこのようなことが映し出された。

 

[モーフボールを入手しました。]

モーフボール、サムスの持つスーツの機能であり、サムスが良く使うアビリティであった。サムスが、ボール状に丸まって転がることができ、狭い通路を通れるようになる。

 

「…不思議なものだ。」

サムスはそういうとその場から、去った。

 

 

 

 

「それにしても、姐さん。行く当てはあるのか。」

「ない、そもそもスタ―シップがどこにあるかわからない以上、どこを目指すべきなのかも分からない。」

サムスはいまだにスターシップを見つけていなかった。地元民に探してもらったが、そもそも、そんなものが空から落ちてきたならばすぐに見つかっているはずとのこと。

 

「誰か、都合よく教えてくれる人がいればいいけどなぁ。」

「そんな都合よく、いや待った。誰かからメッセージが送られてきた。」

サムスはすぐさま、バイザーにメッセージを映した。

「『サムス、私は次の座標にいる。何かあれば連絡する。』…クラン、今すぐ地図を出してくれないか。」

「え、別にいいが…まさか分かったのか。」

「ああ、座標が送られてきた。この世界の都市はどうやら動くらしいが、それでも座標があればスターシップがどこにあるか割り出せる。」

サムスたちは地図を広げ、座標を割り出していた。

「これは、ウルサスだ。ウルサス帝国!」

「…ここになるというわけだな。」

「ああ、そうだぜ。姐さん、今から天災トランスポーターにちょうどいいルートを聞いてくる。」

 

「…クラン、一つ聞いていいか。」

「?どうしたんだ。姐さん。」

「感染者を嫌っているやつは、あんな物なのか。」

「あれは極端すぎるが、でもまああんな事を考える奴は少なくないのかもな。国が主導で迫害をする事もあるしよ…」

 

クランは、あの時と同じ顔をしていた。すぐにでも泣き出しそうな暗い顔に。

「…お前はこの世界の現状に、不満があるんだな。」

クランは豆鉄砲を食らったような顔をした。

「…まあな、それがどうしたか。」

「安心しろ、私も不満だ。」

「…そうか、姐さんもそう思うか。」

クランはこれ以上言わなかった。サムスもつらい過去があったのだろうと推測するだけだった。

 

「…まあ、今そんなことより準備をしましょうぜ。」

「そうだな。」

クランは気持ちを切り替えて、ウルサスに行く準備をするのであった。

(あいつは、いいやつだな。)

 

これは、一つの星が世界を巡る物語。まだ、物語は始まったばかりである。

 

プロローグ FIN

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もしもし、俺だ。」

『ああ、ファンか。どうだったか。』

「所詮はただのチンピラだ。期待外れだ。」

『まあ、だろうな。』

「そっちはどうだ。」

『いい感じだ。気の合うやつもいたしな。』

「そうか、それともう一つ…サムス・アランがいた。」

『…奴は始末したはずだが、生きていたか。』

「ああ、こちらでも始末できなかった。どうする。」

『捨てておけ、どうせ俺たちに気が付く事もない。』

「そうか、わかった。」

『頼りにしてるぜ、ファン。』

「こっちもだ、

 

リドルド。」

 

To be continued

 

 




ここからサムスたちの冒険も本格的になりますが私は別の国でサムスの活躍を移すか。それとも、直接ウルサスに行くのか、はたまたアダムの視点にして物語を進めるか考えています。
ご意見・ご感想をしてもらえると嬉しいです。


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アダムオブドレッド
アダムオブドレッド1「発見」


アンケートで思っていた以上に、アダムさんの話が多かったので書いてみました。なお、ロドスメンバーが今回出てきます。(やっとかよ。)


ここは、ウルサスの上空。空が光始め、やがて光から乗り物らしき物体が空から落下した。

それは『テラ』では異質なものであり、もう一つの『星』に他ならなかった。

 

 

 

 

 

「…何で、私たちがこんなところに行かなきゃいけないんだ。」

そんな風に言うのは、ややクールそうな少女だった。彼女は角を生やしており、知っている人間からはサルカズだと判断できるだろう。彼女の名はラヴァ。術師である。

 

「しょうがないですよ。だって、他の部隊は別の任務に行ってますし、私たちしかこの任務に行くことができませんから。」

ラヴァの言葉に反応したのは、ラヴァとそっくりな顔立ちだがどこか優しそうな顔のした少女だった。種族もラヴァと同じサルカズであり、血縁関係にあるのは間違いないだろう。彼女の名はハイビスカス。医師見習いである。

 

「でも、急な任務なのは間違いないよ~。私たち本当は休みなのに~」

そういうのは、どこかのんびりしていそうな少女であった。耳はウサギのようになっており、コータスであると分かるだろう。彼女の名はクルース。狙撃士である。

 

「そんなこと言わないでよ、クルースちゃん。」

クルースを咎めたのは、温和そうな少女だった。温和そうな少女は犬のような尻尾があり、ペッローであることはわかる。彼女の名は、ビーグル。重装兵である。

 

「ああ、任務であることは間違いないからな。私たちは調べなければならない。」

ビーグルに同意したのは、責任感がありそうな少女である。耳が馬のそれなので、クランタであることが分る。彼女の名はフェン。先鋒兵にして彼女たちのリーダーである。

 

彼女たちは、ロドスの行動予備隊A1である。製薬会社であるロドスだが、感染者のトラブルを解決する役割も持っており、彼女たちはその戦術チームの一つであり、同時にロドスで治療を受けている患者でもある。

 

そんな彼女たちだが、彼女たちは今チェルノボーグの郊外にある森の中にいる。何故彼女たちがこんなところにいるのかというと。

『レユニオンがある森に潜伏しているらしい。その調査に向かってくれ。』

と上から命令されたのである。

 

「にしても、こんな森に、レユニオンがいるのか。静かすぎて気味が悪いな。」

「大丈夫ですよ。ラヴァちゃんはこのハイビスがいますから。」

「ハイハイ、ソウデスネ。」

「でも、なんかいそうな感じはするよ~。」

「そうだね。木の裏に隠れてるかもしれないし、奇襲を受けるかもしれないしね。」

「…敵影は今のところないが、警戒はした方がよさそ、みんな止まれ!」

「どうした、フェ…ン?」

「あれは…」

「なにこれ~」

「な、何なんでしょうか。」

 

彼女たちが見つけたのは、紫色の物体だった。地面にクレーターを作っており、空から降ってきたのだろうと推測できる。

 

「乗り物だろうか。レユニオンがあのような物を持っているとは考えにくいが。」

「ひ、火花が散っています。壊れてるのでしょうか。」

「調べなきゃいけないな。フェン、どうする。」

「各自、警戒は怠るな、バラバラになるな。」

 

彼女たちは「了解」とフェンに言うと、物体の中に入ることにした。

 

 

 

 

 

「結構狭いな。」

「見たこともないような機械がたくさんありますね。」

「分かんないね~」

物体の中は、乗り物のコクピットのような内装をしており、ロドスでも見たことがないような機械が多くあった。しかし、どれも壊れているのか動き出しそうにはなかった。

 

「ん?なんだこれ。」

ラヴァは、ボール状の物体に触れようとした。別に使い方も用途も分からないがただの好奇心で触れようとした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『誰だ。』

「わぁ!」

いきなりスクリーンに映像が映され、ラヴァは驚きしりもちをついてしまった。

 

「ラヴァちゃん!?」

「…あなたはだれ~」

「も、もしかして、お化けぇ!」

『いや、私はお化けじゃない。』

「じゃあ、あなたは何だというのです。」

『私の名はアダム。この船のAIだ。』

 




アダムオブドレッド、始まりです。行動予備隊A1の面々の口調とかってこんな感じでいいでしょうか。
ご意見・ご感想をお願いします。


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アダムオブドレッド2「ロドス」

アダムオブドレッド、2話目です。今回はほとんど説明が多いです。また、ロドスの上層部の皆様方も出てきます。


「うーん、ダメだこりゃ。修理するにも半年以上かかりそう。」

『私としては、出来るだけ早く治してもらいたいんだが。』

「いやだって、見たこともない部品が多いし、かなり壊れてるし、君が無事なのも奇跡だよこれ。」

 

アダムは行動予備隊A1に発見された後、ロドスに回収された。現在はレイジアン工業製のボディに移し替えてもらっている。因みにアダムの話は、A1全員が理解できなかったらしく、ロドスの上層部がやっとこの世界の者とは異質な存在であると分かったのである。

 

アダムと会話をしているのはロドスのサルカズメカニック、クロージャである。え、角がないじゃないかって。彼女は角のない吸血鬼(ブラッドブルード)である。

 

『それは、ゆっくりしてもらえればいいのだが、もっとハンサムなボディはなかったのかね。』

「ボディがこれしかなかったからしょうがないじゃないか。」

『冗談だ。』

『クロージャお姉さま、少し話を聞いてほしいのですが。』

 

そう現れたのは医療用無人地上車両、Lancet-2である。クロージャが現場用に改造されているが、クロージャによってプログラムを書き換えられており、クロージャを好きになったり、卑屈だったり酷い扱いを受けている。

 

「ランセット、どうかしたのか。」

『クロージャお姉さま、彼はいったい誰でしょうか。』

『私か、私はアダムだ。もともとはこの修理中の船のAIだが、ロクデナシにボディを移し替えてもらった。』

「ちょっと、誰がロクデナシ?私はそんなに嫌われるようなことをした覚えはないよ。」

『人の脳をいじくろうとした奴のことを信じられるか。』

「いや、それは本当にコンピューターが脳で出来ていたとは思わなくて。」

 

アダムは、ある軍人の豊富な経験と的確な判断力を反映したAIである。なお、この事実に対してクロージャは「その発想はなかった。」と言っており、医療部から「するなよ。」と釘を刺されている。因みにこの事実は医療部と、クロージャを含めた一部の責任者しか知らない。

 

「アダム、少しいいか。」

『何の要件でしょうか、教官。』

 

アダムに話しかけたのは、ドーベルマン教官であった。ペッローである彼女は、ロドスの教官として働いており、行動予備隊A1は彼女の教え子たちである。彼女の訓練を見学したアダムは、『素晴らしいな、これは。』といい、ドーベルマン教官はアダムが指揮は得意であると聞いた時、実際にしてもらった時に、「素晴らしいな、これは。」といったのだとか。

 

「ケルシー医師のところに同行していただきたい。」

『…分かった。』

 

 

 

 

 

 

「…遅かったな。」

『思ったより、速度が出ないものでな。』

アダムの目の前にいる猫の耳を持っている女性は、ロドス上層部のケルシー医師である。

猫の特徴を持つフェリーンである彼女は優れた医師であり、ロドスの中でもトップクラスの実力者でもあるとアダムは見ている。

 

『それで、何の様でしょうか。ケルシー医師。』

「お前、いや、お前たちのことについて知りたい。」

『信用されていないようだ。』

「そういうわけじゃない。お前の相方について知りたいんだ。」

『サムスのことか、彼女はもともと私の部下だった奴だ。』

「…その姿になる前のか。」

『その通りだ。今はバウンティーハンターとして生計を立てている。サムスを雇用する気か。』

「うちは人手不足だ。お前みたいなAIの手を借りたいほどにな。」

『なるほど、なら彼女との合流を急ぐべきだな。』

 

ケルシーはアダムがこの星の外からきていることを彼から聞いている。最初は驚いたものの、クロージャがスペースシップのことをオーバーテクノロジー扱いしているなどから、彼の言っていることが本当であると判断している。

 

「それもそうだが、彼女に病気はないか。」

『病気はないはずだ。』

「そうか、実力はどれくらいだ。」

『50m級のクリーチャーを単独撃破している。』

「…それは、冗談か。」

『冗談じゃない、本当のことだ。私も非常識だとは思うが。』

「…彼女は何者だ。」

『彼女は…鳥人族の後継者だ。』

 

 

 

鳥人族。彼らは様々なオーバーテクノロジーを開発し、銀河中に文明を残した偉大な種族である。たぐいまれな身体能力に、高度な頭脳を持ち合わせており、銀河でその名は知らないという者は宇宙に進出していない惑星だけというすさまじい存在である。サムスは彼らから戦闘技術やパワードスーツ、そしてDNAを受け継いでいるのである。

 

 

 

「…すでに滅んだ種族の後継者か。」

『もともと、高齢化が進んだ種族だからな。』

「…だからと言って、先ほどの所業がまだ信じられないのだが。」

『この世界でも、あり得ないことだろう。しかし、彼女はそのあり得ないを実現することが出来た。彼女こそ、最強の戦士という肩書が似合うだろう。』

「最強の戦士か。腕は確かの様だな。」

『彼女にあの船の落下地点の座標を送っている。いずれそこに現れるだろう。』

「…十分だ。ありがとう。」

 

 

 

 

 

 

「ケルシー先生。そんな顔をしてどうしたんですが。」

そう尋ねたのはまだ幼さが残りつつも、どこか上に立つ人間のような雰囲気を出しているコータスの少女がケルシーに尋ねた。彼女こそがロドスのCEO,アーミヤである。

 

「…アダム、あのAIまだ何か隠しているな。」

「ケルシー先生の気のせいじゃないでしょうか。」

「『病気はない』…か、彼女の体には何かあるな。じっくり検査しなければな。ところで、あいつはどこに行った。」

「ドクターならアダムさんのところに行きましたよ。」

 

 

 

 

「君がアダムか。」

『私がアダムだが、あなたは。』

 

アダムに話しかけたのは、コートに仮面をかぶった怪しい男だった。

「私の名は、グレイ。ドクターグレイだ。皆、ドクターと呼んでいる。」

そう、彼こそがロドスの重役にして指揮官、ドクターである。

 

『ドクターが私に何の用だろうか。』

彼女たち(行動予備隊A1)の指揮をお願いしたい。」

『…事情は分かりますが、何故私で何故彼女たちでしょうか。』

「ドーベルマン教官から聞いたが、高い指揮能力を持っているらしいじゃないか。ケルシーから聞いただろ、ロドスはいつだって人手不足だって。私も別の作戦の指揮をしなければいけないからね。それに、彼女たちが君を見つけている。知らない相手よりまだましだろうと考えて彼女たちにした。」

『なるほど、承知した。』

「じゃあ、早速行ってもらおうか。場所は君が発見された近くの森だ。」

『了解。』

こうしてアダムは行動予備隊A1の臨時指揮官となったのだった。

 

 

 




時系列としては、サムスたちがウルサスに向かっている最中だったりします。
なんだか、メトロイド要素がサムスとアダム以外薄いような…
ご意見・ご感想よろしくお願いします。


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アダムオブドレッド3「襲撃」

逃げるためには、危険な道も進まなければならない。


『任務は、森に潜伏中だと推測されるレユニオンの調査だ。森で何をしているのかは不明だが穏やかではないことは確かだ。十分に警戒をしろ。』

「それは分かりますが…」

「…何であんたが指揮をしているんだ。」

『ドクターに頼まれてな。』

 

行動予備隊A1の面々は、チェルノボーグの調査任務の続きをしていた。ただし、今回はアダムを臨時指揮官としての出動だったが。

 

「いいじゃないですか、悪い人?じゃなそうですし。」

「そうですね、クルースちゃんもそう思うよね。」

「………」

「クルースちゃん?」

「…変な音が聞こえる~」

「?何も聞こえないが。」

『クルース。どこから聞こえるかわかるか。』

「…ここだよ~」

 

クルースは何もない地面を指さした。

 

「ぱっと見何もないが。」

『…クルース。その音というのは隙間風のような音か。』

「うん、そうだよ~」

「じゃあ、ここを破壊すればいいんじゃないか。」

『フェン、恐らく隙間があるはずだ。隈なく調べてくれないか。』

「了解。」

 

フェンは、隙間を見つけたのだろう。槍を隙間に差し込み、持ち上げると分厚すぎて、てこの原理でしか開けれないだろう扉が現れた。

 

「クルース、よくやった。」

「うん、やったね~」

『喜んでいる暇はないぞ。すでに気が付かれた可能性がある。一歩間違えたら帰れなくなる。任務を成功させたければ、気を引き締めろ。違和感があったら、すぐに共有しろ。』

 

アダムの言葉を彼女たちは神妙な顔で聞いていた。アダムのこの感覚に懐かしさを覚えたのかつい口(口はないが)を滑らした。

 

『…異論はないなお嬢さんたち(レディーズ)?』

「「「「「……………」」」」」

アダムの言葉に彼女たちは面を食らった。

 

「さて、報告をしに帰るとしますか。」

「そうですね。ラヴァちゃん、帰ったら私の料理を」

「ビーグル、食堂に新しいメニューがあるから食べに行かないか。」

「え、そうだね、あははは…」

「…………」

『クルース、どうした。』

 

「………」

「?クルースちゃんどうしましたか、どこか具合がわる」

ビゥン!

クルースが何もない場所に射撃をした。

 

「!どうした、クルース!」

「…変な足音がする。」

「変な足音?」

「うん、人の足音が聞こえた。」

『…敵襲か。しかし、先ほどの攻撃に反応がない。』

 

アダムのボディにはスキャン機能があり、地形の把握や、敵の位置を探ることが出来るが、何も反応しなかった。

 

「…気のせいだったかな~」

「く、クルースちゃん…」

『だが、用心するのに越したことはないだろう。』

 

ピピピィ

 

「ん?」

 

ポポポォ

「なんだ、この音。」

 

気が付けば、あたりも暗くなってきた。現在は午後の2時であった。

 

『…離れるな、敵の攻撃を受けている可能性がある。』

 

彼女たちは、陣形を取りあたりを警戒した。おかしいことが起きているのは間違いないだろう。

 

 

 

 

 

チュイィィィン‼

「!こいつ!」

 

いきなり、スクラップで出来た何かが襲い掛かってきた!

ラヴァは襲い掛かってきた奴に爆炎を浴びせた。

「ラヴァちゃん!」

「大丈夫だ。不意を突かれただけだ。」

『扉に入れ!今すぐにだ!』

 

足音が全方位から聞こえる。囲まれている。

 

ガシャン ガシャン ガシャン

 

「な、何ですが!これ。」

『分からん、最初から付けられていた可能性が高い。』

「みんな急げ!」

「「「「分かってる(ます)!」」」」

 

ギィィバタン!

 

「はぁはぁ。皆、無事か。」

「はぁはぁ、なんとかな。」

「はぁはぁ、いったい何だったんでしょう。」

「はぁはぁ、ロボットの様でした。」

『…今からあの敵影をダミーと呼称する。』

「だ、ダミー?」

「何故ダミーでしょうか。」

『あれが機械の紛い物だからだ。』

(本当はエミー*1そっくりだからなのだが。)

『それよりも、ダミーがスキャン機能に反応しなかったことが問題だろう。』

「…それは、どういうことですか。」

『アーツかなにかは分からないが、本当にロボットだった場合、かなり高性能だ。』

 

ガン!ガン!

「扉が開かれてしまいそうです!」

「下に降りるぞ、後に続け。」

階段に降りていく一行。誘われていると感じるもダミーに扉を突破された可能性を考えて、敵地に乗り込見ざるを得なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

コツ、コツ、コツ

「…何とか逃げ切れたが、どうするべきか。」

『ダミーは我々を探しているだろう、それにレユニオンの兵士がいる可能性が

高い。』

「…じゃあ、どうすればいいのですか。」

『恐らく、あの扉は構造から入り口でしかないだろう。恐らく出口があるはずだ。』

「では、出口に向かうということでよろしいでしょうか。」

『ああ、敵に見つからないことを最優先しろ。』

 

 

 

ピピピィ

 

ポポポォ

 

*1
『惑星外多形態機動調査機』通称『E.M.M.I.』は銀河連邦が作り出した調査用ロボットである。サムスの武装でも傷一つ付かないためハッキングを受けた時、サムスを追い詰めたことがある。




エミーならぬダミー登場です。
ホラー感を出すために、様々な演出を出したいものですがやはり難しいです。
ご意見・ご感想があると嬉しいです。


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アダムオブドレッド4「それ」

注意、今回は残酷な描写が含まれています。


コツ コツ コツ

 

 行動予備隊A御一行は、地下施設を探索していた。薄暗く、やや小汚い。つい先ほども「うえ~もう帰りたい~。」とか、「ゆ、幽霊とか出ませんよねぇ?」などの反応をした隊員もいた。

 

「それにしても、誰もいないな。本当にここに奴らがいるのか。」

『ダミーが配置されている以上、重要なものがあるのは間違いない。この施設が罠の可能性もあるが。』

「いずれにしろ、脱出を優先したほうが良いですね。クルース、何か聞こえる?」

「…まだ何も聞こえないよ~」

「結構入り組んでいますからね。ところで、皆さん。お腹はすいていませんか、お弁当を持ってきました!」

「「「「後でいい(です)(よ~)」」」」

「そうですか、みんなの健康のためにちゃんと作ってきたのに。」

 

カン

 

「ひ!」

『ビークル、空き缶が落ちていただけだ。心配することはない。』

「は、はい。」

(…ダミーは避けることは出来ているが、消耗は激しいな。特に精神的な物は)

 

ここは、誰もいなかった。ダミーの電子音は鳴り響いているが、それ以外には何もなかった。レユニオンすらすれ違うことはなかった。

 

(いくらダミーがいるとはいえ、見張りが一人もいないのは可笑しい。)

 

アダムは、違和感を覚えながらA1と進んでいた。

 

 

 

コツ コツ コツ

 

歩いていくと扉が目の前に現れた。とても分厚く、ダミーが来たとしても避難所として使えるだろう。プレートには、「B-1」と書かれている。

「…皆、準備はいいか。」

全員、フェンの言葉にうなずいた。

 

ギィィィィ

 

 

 

 

 

 

 

 

「う!」

「これは…」

「………」

「な、なにこれ!」

「き、気持ち悪い。」

 

そこにあったのは、人型の何かだった。やや細身だが、筋肉質な体つきをした男性の形をしていた。鉄のヘルメットで覆われているが、頭には光る輪が浮かんでおり、天使のようなサンクタであることは見て分かるだろう。

 

 

 

 

 

…だが、全身にチューブのような物が取り付けられており、しかも腹部にはマシンガンのような物が取り付けられている。そして何より、ひどい腐臭と、全身に手術痕があった。しかも、血まみれだった。

 

 

 

…その佇まいは一言で言うなら、起動前のロボットのそれである。

 

 

 

 

(…これは、何だ。この星では、こういうのが作られているのか。)

アダムが、彼女たちを見る。

 

「なんだよ、これ。何なんだよ、これ!」

「あ、ありえません。こんなの。嘘に決まっています。」

「………」

「こんな冒涜が許されるはずがありません。絶対に!」

「う、うげぇぇぇぇ。」

精神的に参っているのだろう。全員、顔色が青ざめており、中には吐いているものもいる。

 

『…ハイビス、これを写真に収めろ。クルース、フェン、ビーグル、ラヴァ、周囲を警戒しろ。』

「りょ、了解。」

「けほ、了解…」

「…了解」

「く、了解。」

「あの、アダムさん。写真を取るだけでいいのですか。」

『ああ、本当はこれを持ち帰りたいが、別の部隊に任せた方がいいだろう。』

「わ、分かりました。」

 

「…これは何でしょう。考えたくもないですが。」

『恐らく、サンクタを改造した兵器だろう。ラヴァ、このようなことが出来るアーツに覚えは。』

「…ない。知りたくもない!。」

『そうか、ならハイビ』

「こ、こんなの分かるわけないよ!あの、ワルファリン先生だってこんなことしたことないよ!」

『…なら、誰がこれを作った?レユニオンには、科学者がいるのか。』

「わかりません。しかし、レユニオンにはかなり残忍な性格の幹部がいると聞きます。こんな倫理観を無視したものを作るのもあり得ます。」

『十分だ。恐らくここは、研究施設だ。通路が入り組んでいたのは実験体を逃がさないための物だろう。ダミーは侵入者を始末するためだ。』

「………」

「クルースちゃんどうしたの、具合が悪いの?」

「…誰かいる。」

 

クルースの一言で、全員警戒態勢に入った。

「…あの扉の先に誰かいる。」

フェンはすぐさま、扉に近づいた。

「そこにいるのは誰だ!」

『フェン、待て。一旦おち』

 

ガン‼

 

フェンは待ちきれず、ドアを蹴破った。

 

「…あなたたちは?」

そこにいたのは、鳥の特徴を持ったリーベリらしき老人だった。肩には源石が生えている。

 

「…ああ、そうか私を捕まえに来たのか。」

『失礼ですが、名前は?』

「!アダムさん、どうして!」

『フェン、君はせっかちだ。ドアを開けた瞬間に攻撃されるとは思わなかったのか。』

「あ…申し訳ございません。」

『今、謝るときではない。この老人から話を聞かなくては。』

 

 

老人は、一行にお辞儀をすると自己紹介を始めた。

「…私はレユニオンに所属していた。ドクター・プルーフだ。」

「所属していた?」

「奴らに見捨てられてな、お前さんらは?」

「我々は、ロドスの行動予備隊A1です。」

「そうか、ここを調べに来たのか。」

『プルーフさん、ここはどんな場所でしょうか。』

「…ここは、レユニオンのメフェストが管理していた場所だ。今はもう、廃墟同然だが。」

「…ここで何が起きたのでしょうか。」

 

フェンがそう尋ねると。

「…ここではメフェストが、人体実験をしていた。私は、奴のアーツで生殺与奪を握られ手伝いをさせられていた。助けを呼ぼうにもあのロボットが徘徊していた。」

『具体的にはどんな実験を。』

「それを言わせるのか。まあいいか、それは非感染者を兵器に改造するものだ。」

「ひ、ひどい…」

「私は、逃げ出したかった。しかし奴らはそれを許さなかった。」

『出口はご存じで。』

「ええ、ここに。」

 

プルーフは一枚の紙のような物を差し出した。そこにはこの施設の地図と出口の道しるべが書かれていた。

 

「…私もついてきてもいいだろうか。」

『後ろから刺さなければ。』

「…ありがとう。レユニオンの奴らにはうんざりしていたよ。」

 

「…ところで気になったんだが、人間の見張りはどうしたんだ。」

「私も気になっていたところだ。あのロボットがいるとはいえ、いくら何でも可笑しいのでね。」

「…それは確か。」

 

プルーフが言いかけたその時だった!

 

「危ない!」

 

キシャァァァァァ!

 

すでに遅かった。先ほどの、それがプルーフに襲い掛かっていた。

 

「‼しま」

 

ザシュ

 

プルーフは心臓を貫かれてしまった!そしてそのまま肉を食いちぎる。

「こいつ!」

フェンはそれを吹き飛ばし、そのままプルーフに駆け寄った。

 

「プルーフさん、しっかり!」

「ジジイ、おい死ぬな!」

『まさか、動き出すとは。ビーグル、奴の攻撃を防げ。』

「了解しました。」

『ハイビス、治療しろ。』

「今やっています!」

『ラヴァ、クルース。奴に仕掛けろ。』

「分かった。」

「了解~」

「フェン、行けるか。」

「ええ、せっかく救えたかもしれない人を殺されたんです。やってやりますよ。」

 

アダムは、この星に来て初めての戦闘がこれなのは頭を抱えたくなった。しかし、不思議と負ける気もしなかった。

 

『あれを改造サンクタと呼称する。全員、配置につけ!』

「「「「「了解!」」」」」

 




次回、行動予備隊A1およびアダムの初戦闘です。
今回の話は難しかったです。ひょっとしたらこのキャラはこんなことしないというのがあるかもしれません。
ご意見・ご感想をお待ちしております。


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