ガンダムビルドブレイカーズforWAR (Wandarel)
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プロローグ

どうも皆さん、ワンダレルです。
こちらもまた平行世界となっております。
こちらはTwitterのフォロワーさんから許可を頂いて、オリジナルガンプラを登場させていただいてます。
色んなガンプラがあって私としてはとてもいいものです。
小説のモチベーションに繋がるため、感想や評価どんどんお待ちしております!


GBNを制した私は、大声で叫んだ!

「ご唱和ください!行くぞー!」

「見よ!我がザクは赤く燃えている!!」

大盛り上がり!最高!これが夢だった事!

「えへへー!私のザクは至高なり!ふはははは!!」

 

 

 

 

ジリリリリリ……チンッ

最強に見たいけど夢であって欲しくない夢を見た。

「一華ー?学校はー?」

「はいはーい、今行きまーす。」

制服を着て、化粧はスルーしてというかしない。

学校の教科書と……。

「今日もよろしくね、Z-ark-II(ザクツー)!」

私の改造したガンプラ、ザクツーとニッパーとか必要なガンプラ制作キットを持ってドタドタと下に降りた。

朝食が展開されている。

ご飯に味噌汁、納豆に私の好物のコロッケ。

「わーコロッケ!」

「一華はホントにコロッケが大好きだね。」

新聞を片手にパンを食べているのは私のお父さん。

電之義盛(デンノ ヨシモリ)は電之商店の経営者。

その経営の手腕は近辺にあるコンビニとスーパーを撤退させるほどのもの。

すっごいひとです。

「コロッケは至高!これ常識!」

「イチカ、そんな常識はないわ。」

コロッケ至高理論を否定したのは私のお母さん。

電之天鈴(デンノ アマリ)。

お父さんを支える凄腕会計士。

色んな意味で家族を支えてる凄い人。

「よし!行ってきます!」

「「行ってらっしゃい。」」

私は自分のガンプラがちょこんと座れるように改造した自転車のカゴにZ-ark-IIを乗せた。

「一華!いっきまーす!!」

私は勢いよく家のカタパルト(?)から飛び出した。

ぐんぐん自転車を漕ぎ、我が高校、湯ノ森高校へとたどり着いた。

今日はガンプラバトルによる他の生徒との交流でゲリラバトルをするみたい。

「おぉー!ザクツーを試すにはいい機会じゃん!」

私は早速ワクワクしながら武装の手入れを始める。

「えーと、GNピストルビットIIに、ヒートホーク!よし、もうこれで怖くない!……あ、ちょいまち。」

わたしは最後の改造に、アンテナことツノをつけた。

「よっしゃ!これで行ける!」

私の理想の体現のために作ったザクツーに不可能の文字はない!

(さぁてと、色んな人のガンプラも見たいし、1秒でも早くガンプラバトルしたい!もーワクワクが止まんない!)

私はいつも以上に胸を躍らせてわくわくしてた。

そして、授業開始のチャイムがなると同時に私は教室から飛び出した。

「まだ見ぬガンプラたちよ!覚悟!」

そして、わたしは今日だけでたくさんのガンプラ達を相手に戦って満足した。




「ねぇ!あなた名前は!!」
「君に言う必要あるのかい?」
「ねぇねぇガンプラバトルしよ!」
「……この子まだ改造してるんだけど。」
次回
ガンダムビルドブレイカーズforWAR第一話
「止まらない鼓動」

「ガンプラファイト!レディーゴー!」


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第一話〜止まらない鼓動〜

どうも。作者のワンダレルです。
今回、フォロワー2人を出させていただきました。
いわゆるレギュラー枠の人です。
他の人もそれぞれたくさん出しますのでどうかお楽しみに!



翌日、私は遅刻ギリギリにスライディングを決めて滑り込んだ。

「デンノさん、ギリギリセーフね。」

「おいっすー!先生ー!」

ちまちまとZ-ark-IIのカスタマイズを重ねているため、基本的に遅刻ギリギリだけど間に合わせれるのだ。

「はい、みんな席に着いたね。」

HRが始まるが、イチカは本を立てて居眠りしてるフリをしてガンプラの改造をしていた。

「最近の問題点があるとすればエネルギーの持続力に問題があるのと、射撃武器もちょっと心許ないからピストルの火力も上げてヒートホークも大型化しようかな……。やっぱりもっと武装を重ねるべきかな……。いや重ねすぎて重くなったら本末転倒だ。機動力を重ねながら重装備化させるならどのパーツがいいんだろ……。」

なお、イチカは気づいていないがクラスのみんながこのことを聞いている。

「……デンノさん。」

「ギクッ……な、なんでしょか先生……?」

「………HR終わるまでクラスでガンプラバトルしましょうか。」

周りから歓声が上がる。

一人の少年を除いて。

てな感じで私イチカはこれを機にガンプラ部を作ろうと考えたのです。

そんでまず最初に目をかけたのがこの人!

「よろしく、イッちゃん。」

「よろしく、エタっち!」

瑠璃音 永遠(ルリネ エタ)。同じクラスの女子で中学生時代のちょっとした腐れ縁の。

「ねぇねぇ、ガンプラファイトの前にさ私ガンプラ部作るんだけど来ない?」

「うーん……とりあえずその話はガンプラバトル終わってからね。」

「じゃあ早くやろ!」

「……この子改造してる途中なんだけど。まぁ、チューニングの基準としてはイッちゃんをフルボッコに出来るくらいがちょうどいいしね。」

「ねぇ、エタっち、さらっととんでもないこと言わなかった?」

「気のせい気のせい。」

お互いがガンプラをセットし、ガンプラバトル開始の合図が始まる。

「ガンダムエターナル、エタ。出撃する。」

「Z-ark-II、イチカ!突撃するー!」

そして、改めてGBN内で対面する。

「さぁ、地獄を楽しみな!」

「ガンプラファイト!レディィッ!!ゴォーッ!!」

イチカはGNピストルビットを素早く引き抜き撃ち始めるが、軽々と避けられる。

しかし、イチカは知っている。

(エタっちのガンプラは完全近距離型。捉えられさえしなければこっちのもん!)

だからこそ、高い機動力で迫られることもある。

「暴れ撃つぜぇ!!」

ならば、近づかれないようにピストルを乱射しながら距離を取るべし。

「むぅ……近づけれない。ヘタレめ。」

案の定、エタは近づけないことに少々不服そうにしている。

(あとは弾丸が当たればいいんだけど……)

そうは問屋が卸さない。

高い機動力で回避されるのがオチだ。

「……よーし秘密兵器使うか。」

ガンダムエターナルの秘密兵器がつかわれた。

「…んん?」

イチカはその事に気づけず、気がついたら右腕がブレイク判定になっていた。

「あ、あれぇ!?」

Z-ark-IIの後ろにGNビームダガーが刺さっていた。

「なにも投げれないとは言ってないよねぇ。」

モタモタしてる間に既に至近距離にいた。

「あ、やば……」

近距離のガンダムエターナルに勝つ術はない。

もちろん、Z-ark-IIは為す術なく全損した。

バトルエンドの音声が聞こえ、私とエタは席に着く。

ちなみにエタとは隣同士である。

「で、ガンプラ部なんだけど。」

「………ゴクリンコ。」

「入るよ。なんか楽しそうだし、最近退屈だったからねー。」

「わーい!」

そして、イチカはもう1人ガンプラ部の候補がいた。

「ねぇ、ガンプラ部入らないヒビキ?」

有音 響(アリネ ヒビキ)。中学は別だったが小学校の頃の幼なじみの男子。

だが、こちらの話を全く聞いていない。

「ヒビキー?大丈夫?」

「大丈夫だよ。」

「ガンプラ部入らない?」

「嫌だね。」

「えぇー、なんで?昔は一緒になってガンプラファイトしてたじゃん!」

「昔と今では違うのさ。」

「………なんかあったの?」

「君に言う必要があるのかい?」

「……ご、ごめん。」

なんか、ヒビキ変わったな。昔は一緒に大人相手にガンプラファイトしてたのに。

どうしたんだろ……。

「大丈夫、イッちゃん?」

「うん……。」


~放課後~

ヒビキは一人帰っていた。

「……。」

ひとつのガンプラを握りしめて。

(……ごめん、イチカ。僕はもうガンプラを好きになれないんだ。僕は………。)


〜電之商店〜

「ただいまー!」

「おかえりイチカ。」

「あれ?母さんは?」

「今日はガンプラショップのお偉いさんに会いに行くんだってさ。」

「え?じゃあご飯どうすんの?」

「ふっふっ、珍しくパパ作るぞ!」

「父さん、おとなしく外食行こう。」

「ガーン……」

 




「どうしてガンプラから離れたの?」
「君に関係ないって言ってるだろ。」
「だったら!私とファイトしてよ!」
「嫌だ!!絶対に!」

次回
ガンダムビルドブレイカーズforWAR第二話
「共鳴する力」

「……手加減はなしだ。」


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第二話~共鳴する力~

どうも皆さん、作者のワンダレルです。
ビルドブレイカーズforWARを見ていただきありがとうございます!
フラフラと続きを書いていきますゆえ、評価や感想を頂けると嬉しいです!



昨日は外食に行くことで事なきを得たものの、普通なら死んでる物を食べるところだった……。

「父さん経営は上手くても料理はクソザコナメクジだからなぁ。」

そんな父さんが、今朝こう言ったのだ。

「すまーん、ママ!今日は市長さんに会ってくるからさ!ご飯は大丈夫だよー!」

……というわけで母さんが切り盛りすることになったんだが、まぁ母さんがナンパされることは無いだろう。

なんせ実質売れ残……。

私がそんなことを考えていると目と鼻の先の所に自前のガーベラストレート包丁が飛んできて壁に刺さった。

包丁の先にまるで150ガーベラに貫かれたモビルスーツのような姿になったGがいた。

「イチカ〜、急にごめんねぇー。Gの気配を感じて投げちゃったわ。」

ケラケラと笑う母さん。

だが目が笑ってない。

「そ、そうだね、アハハ……。」

(なんですか、我が母親ニュータイプですか?いわゆる化け物ってやつですか……?)

私は苦笑いをするしか無く、慌てて学校に行った。

いつもと変わらない街並み。

道行く人々もそんなに変わらない。

今、私はとてもブラックサンダーを食べたいと思っている。

そんな哲学的なことを考えてる間に学校に着いた。

何せ今日はやることがある。

(………調整は完了してる。やるなら今日しかない。)

そして、いつも通り授業を受けて、昼休みに入った。

私はどうしても聞きたいことがあってヒビキの目の前に来た。

「……ヒビキ。」

「……話すことなんてないって言ったよね?」

「………。」

いつもの私ならそれ以上のことを言えなかった。

だけど、今日は違う。

「放課後、ガンプラファイトしようよ。」

「……嫌だね。」

「なんで?」

「言っただろ、ガンプラなんて、ガンプラファイトなんて嫌いだって。」

「どうしてガンプラから離れたの?」

「君には関係ないって言ってるだろ。」

「じゃあ、その手に持ってるガンプラは?」

「………。」

「黙ってるんだったらファイトで示してよ!」

「嫌だ!絶対に!」

「じゃあ何があったのか言ってよ!」

「関係ないって言ってるだろ!しつこいんだよ!!」

両者引くことは無かった。

「………。」

「………わかった。君は一度言ったら最後までやる人間だったな。いいよ、受けてたってやる。だけど、負けたら今後僕の前に現れないでくれ。」

「なら、私が勝ったらガンプラ部に入ること。これでいい?」

「……君はいつも強引だ。」

「それが私の取り柄だからね。」

大騒ぎになって周りがざわついていたが、それを制止した。

「いっちゃん、大丈夫?」

「大丈夫だよエタっち。………勝てる。」

「そうは言っても彼が使ったガンプラ見た事あるの?」

「………まぁね。」

 


放課後、イチカのクラスメイト共々体育館に集まっていた。

基本的に事情を知らないため面白半分で見に来ている。

外野の声が聞こえてくる……。

(……うるさい。)

ヒビキはその声も声援も聞きたくなかった。

(………イチカ、今日ここで僕は決着をつけてやる。)

そう思っていると体育館の入口からイチカがきた。

「遅かったじゃないか。」

「……ごめん、寝てた。」

あまりにもイチカらしい反応に笑う人と非難する人とに別れる。

「……さっさと始めよう。」

「もちろん。言いたいことはいくらでもあるけど戦いながらでも言えるからね。」

その言葉と共にGBNを起動する。

だが、イチカのガンプラの形状が少しだけ変わっていた。

「アリネヒビキ、コアガンダムα!出る!」

「デンノイチカ、ダブルオーザク!出撃する!」

フィールドは私が指定した。

「………草原か。君と最初にガンプラバトルをした時のフィールドだね。」

「まぁね……コアガンダムαか。やっぱり、ヒビキのお兄さんに何かあったんだね。」

「……御託はなしだ。」

「オーライ、ガンプラファイト!レディ!ゴー!」

開幕と同時にヒビキはガンダムDXの大型ビームソードを取り出してイチカとの距離を詰めた。

「え?コアガンダムで突っ込んできた!?」

驚くのも無理はないヒビキの操るコアガンダムを改造したプラネッツガンダムはコアガンダム時の火力の低さなどを補っている。

コアガンダムでも最低限の戦いはできるが、万が一プラネッツシステムとの融合に失敗した際のリターンを考えられていた。

無論、イチカもそれを知っていたため超大型のヒートホークを構えて迎撃を始める。

ガギャァァァンとガンプラバトルらしい音と共につばぜり合いになった。

「あの時と比べて随分形が変わったじゃないかイチカ!」

「昨日、ツインドライヴを付けたから……ねッ!」

斬り合いながらも、ぶつかりあうがお互いに致命傷は与えられない。

「あれだけ嫌がってた割には楽しんでんじゃんヒビキ!」

「………。」

「何があったのか教えてよ!」

「………黙れ。」

その冷たい一言と共に、イチカを大きくのけぞらせた。

「僕はこの一戦でガンプラバトルともガンプラとも縁を切るんだ!チェンジ!プラネッツアース!」

射出されたコンテナからアースアーマーが合体し、ライフルで攻撃を仕掛けてきた、

「……ヒビキはそれでいいの!?」

イチカは腰にマウントしていたビームバズーカでそれを迎え撃つ。

「そうでなくちゃいけないんだ!僕はもう、生きる意味もないんだよ!」

「そんなのヒビキが身勝手なだけだ!」

「そうやってわかる気もないくせに!」


一方、エタもまた相手のアリネ・ヒビキのことについて調べていた。

(特に変わった経歴はない……でもあの強さはどこかで……ん?アリネ………まさか!)

エタは素早く検索をした。

「……四年前に亡くなったアリネ・レイトプロの弟……。どうりで強いわけだね。でも、なんでヒビキがプロの……」

そこまで考えた時、エタはヒビキの真意を知った。

(もしかして、彼は……。)


「チェンジ!プラネッツマーズ!」

瞬時の判断で換装し、近接戦闘でイチカに襲いかかるヒビキ。

「ぐっ……」

「どうしたんだイチカ!やる気あるのか!」

「分かってるっての!」

イチカはGNライフルビットを二丁構え、距離を取った。

「いつもそうだ!周りのみんなは何も分かってくれないくせに分かったような口を聞く!」

ビームを切り払いながらヒビキが迫り、ヒートレヴソードとヒートレヴアックスを合体させたハードヒートレヴソードで切りかかる。

無論イチカもGNヒートホークを構えた。

もう一度大きな音を立てて二人がぶつかる。

「そんなことをして、なんになるんだよヒビキ!」

「分かるまい!大切にしていた人を失った僕の気持ちなんか!僕から離れ裏切られた時にどれほど辛い気持ちになったかを!」

「私がいつ裏切ったって言うの!!」

「今こうして君が分かったようなフリをしてることだ!!」

両者、つばぜり合いの衝撃で距離を取ったがヒビキは早かった。

「チェンジ!プラネッツヴィトール!」

ヒビキは換装を終えて、既に攻撃を始めた。

「まだまだ!」

イチカはツインドライヴを用いて空中へと飛んだ。

「空中戦も可能だってことを忘れたのかい!」

すかさずヒビキはミサイルを放つ。

「遅い!」

イチカの反応速度はそれすらも回避出来る。

だが、回避した瞬間に狙撃を喰らった。

「うっ……」

「僕が狙撃を出来ないと思ってたのかい?」


(元々、彼もそれ相応の実力を持っていて兄弟でタッグマッチで優勝経験もある……。いっちゃんは小学生の頃の付き合いって言ってたからコアガンダムαのことも知ってたんだ……。)

「でも、どうして彼はそれほどまでにガンプラを憎むんだろ。」


イチカのダブルオーザクの損傷率が中破レベルまで進行していた。

「……なんだ、興ざめだよ。イチカ、しばらく見ない間にこんなに弱くなってたんだ。」

「………。」

「チェックメイトだイチカ。」

ヒビキはビックビームバズーカを構えた。

「………終わってないよ、ヒビキ。」

ビックビームバズーカの一撃がダブルオーザクに降り注いだ。

「………。」

が、バトルエンドの表示が出ない。

瞬間、ヒビキのコアガンダムαの背後をGNヒートホークで切られた。

「ぐっ……損傷率は小破……!」

ヒビキはようやく気づいた。

「TRAN-ZAKUシステム起動。ヒビキ、第二ラウンドと行こうか。」

赤く染るダブルオーザク。TRANS-AMを流用したシステムでイチカ用に調整されてある。


周りで見ていた野次馬達もざわつく。

だが、一人がこういう声を上げた。

「頑張れ!イチカ!」

そして続いて、もう一人が。

「負けるなヒビキ!」

声援を送り始めた。

(……みんな。)

「頑張れー!いっちゃん!」


「これでもまだ、ヒビキは孤独だって言うの?」

「違うのか?なら証明してみろよ!」

「だったら教えてあげる。このGNヒートホークとダブルオーザクで!」

「……なら!チェンジ!プラネッツマーズ!」

ヒビキも近接戦闘型に換装した。

両者再びつばぜり合いに入る。

だが、音は凄まじいものだった。

そして、GNヒートホークとハードヒートレヴソードとの打ち合いが始まる。

「私だって親友を亡くした!でも今悔やんでもそれを人のせいにだけしても何にもならないじゃん!」

「わかったフリをされるのはうんざりだ!」

「そんなことして、何になるの!!」

「!?」

「今そんなことしたって、何にもならないじゃん!!」

「うるさい!そんなこと……。」

「だったら勝ってよ!勝って私に証明して見せてよ!」

「なら望み通りにしてやる!」

ヒビキはハードヒートレヴソードを構えた。

「でも、私は負けない。ヒビキに!」

イチカもGNヒートホークを構えた。

睨み合い、両社が一斉に突っ込む。

そして、今まで以上に大きな音と衝撃が鳴り響く。

「うおおおおおおおおおぉ!!」

「はあぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」


「……キ、ヒビキ。」

「……兄さん?」

「起きたか?ヒビキ。」

「……兄さん、僕も連れて行ってよそっちに。」

「ダメだ、ヒビキ。」

「なんで?」

「ヒビキ、お前は強く生きなきゃいけない。俺はいつかお前に会いに行くからさ、それまで待っててくれねぇか?」

「嫌だよ!僕も兄さんと一緒に……」

「……ヒビキ、お前はもう俺が居なくても大丈夫だ。俺の弟なんだ、このコアガンダムαはきっとお前に答えてくれる。だからよ………」


ハードヒートレヴソードが斬れた。

そして。

「う……おァァァァァァァァっ!!」

イチカのGNヒートホークがコアガンダムαを袈裟斬りに仕留めた。

バトルエンドの表示が現れる。

(俺のコアガンダムαと一緒にイチカちゃん達と世界を見てこい!)

湧き上がる歓声。

イチカとヒビキに対する賞賛が響く。

「……ボクは。」

そう、これはヒビキとイチカが作り上げた共鳴し響く力。

ヒビキは自然と涙が出ていた。

「……ヒビキ。約束は守ってよ。」

「………。」

「何かあったらわたしも一緒に解決するからさ。」

イチカは手を差し伸べた。

ヒビキはそれを今は亡き兄と重ねていた。そして、涙を拭い笑った。

「……君はいつも強引だな。」

「まぁねぇ〜。あ、ブラックサンダー食べる?」

イチカはポケットからブラックサンダーを取りだした。

「……食べようかな。」

ヒビキはそれを受け取った。

コアガンダムαが少しだけ輝いた気がするのは私の気のせいだろう。

(よかったね、いっちゃん。)

この私エタちゃんは空気を読める女なのでクールに去りましょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 




「えーと、アリネ・ヒビキです。よろしく。」
「よろしく、私はルリネ・エタだよ。」
「さぁー!ぱーっと歓迎会といこー!」
「そういえばイチカ、君のお父さんからすぐに帰ってくるようにだってさ。」
「えー!やっば帰らなきゃ!」
イチカは慌てて家に帰った。
「ねぇヒビキ君。」
「ん?何、エタさん。」
「なんでいっちゃんの親父さんの連絡先知ってるの?」
「え?僕とイチカは小学校時代は仲良かったからだよ。」
「ふーん。」

次回予告
「おかえり、イチカ。」
「うえぇ!?マジで!!」
「えぇ、大マジよイチカ。」
ガンダムビルドブレイカーズforWAR
第三話「偉い人が来た。」
「久しぶりだね、イチカくん。」
ガンプラファイト、レディ!ゴー!


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第三話〜偉い人が来た〜

どうも皆さん、作者のワンダレルです。
今回は今後のお話にも重要になるキャラが出る日常回ですわ。
今後もよろしくお願いします!


ヒビキとの激戦からの帰り道、私とヒビキとエタっちで三人仲良くブラックサンダーを食べながら自宅へと帰っていた。

偶然なのか帰る道はほぼ一緒である。

「そういえばヒビキ君。」

「呼び捨てで構わないよエタさん。」

「あら、じゃあ私も呼び捨てでいいよ。」

「OK、エタ。」

「おやおやおやぁ?二人の恋路ですかなぁ?始まりですかなぁ?」

「「あまり余計なこと言ってるとブラックサンダー取り上げるぞ。」」

「鬼ー!悪魔ー!」

こんなことを喋りながらダラダラと帰っていたが……。

「ひょー!メタルビルドのザクだァァァ!」

この通りイチカはガンプラ大好き人間なので寄り道はほぼ確定。

「……いっちゃん、それいっちゃんのおこづかい月四回分だよ。」

「ぬわーんお金足りないぃー!」

「バイトでもしたらいいじゃんイチカ。」

「バイトか……我らが湯ノ森高校はバイトOKだね。」

「そういえば私もエクシア系統の武器とか欲しいけどお金ないんだよね。」

「あー、僕もだ。可能ならコアガンダムαの追加アーマーを自作しようと思ってたんだけど……。」

「ねぇそれってさ、電之商店(ウチ)でバイトとして働いたら万事解決じゃね?」

「「イチカ(いっちゃん)にしては珍しく勘が冴えてる。」」

「おいコラどういう意味だ。」

てなわけで。

「バイト二人どうっすかお母様。」

『いいよ!イチカのお友達とならイチカも店番頑張れるしね!』

二つ返事でOKしてくれた母上に感謝。

『あ、そうだエタちゃんにヒビキ君。面接も兼ねてお菓子用意してあるから今日うちに来てくれるかしら!』

「ねぇいっちゃん、私達もいっちゃん家に行っていいの?」

「いいのいいの!無理は押し通すものでしょ?」

「イチカ、それ通しちゃダメなやつだと思うよ。」

「ヒビキもそう言ってるくせにホイホイついて来ようとしてんじゃん。」

「帰ったって暇だしね。」

「んー、まぁ私行こうかな。」

「なら……僕もお邪魔しようかな。」

そうと決まればやることはひとつ。

「よーし野郎ども!我が家に出発ー!」

「おー!」

「え、ちょっと待って何その掛け声。エタちゃん知らない……。」

てなわけで我が家到着!

ヒビキとエタはポケーとしていたので呼び込む。

「おーい二人共ポケーっとしてないで入った入った!」

「え、うん。」

(………電之商店強すぎないか?)

噂通り大手のスーパーやコンビニを逆に追い出しただけあって近くには飲食店や服屋などはあったがスーパーとコンビニはなかった。

(経営能力高いなぁ………)

そう思いながら電之商店に入ると、たくさんガンプラが並んでいた。ついでに言うと小規模なスーパーみたいな感じだった。

「むむむ?これはエタちゃんが欲しかったエクシアリペアIIではありませんか。」

「あ、それ最近入荷したんだって!」

「………相変わらず、ガンプラの量がすごいな。」

「うんうん、何せ湯ノ森町随一のガンプラ屋(自称)だからね!」

(ボソッと自称って言った気がする……。)

そんなことを考えていると奥から二人共にとても見覚えのある人が出てきた。

「ただまー母さん〜♪」

「おかえり〜イチカ〜。あと、いらっしゃいエタちゃんに……あら、ヒビキ君じゃない久しぶりね!」

「ご無沙汰してますアマリさん。」

「見ない間に大きく成長したじゃない!」

「まぁ、なんとか……イチカのおかげで立ち直れたっていうのもありますしね。」

「どーもですイッちゃんママ。」

「あらやだ、ママなんて。」

「そーだよママというよりおばちy………」

瞬間、ズドドドっと言う音がした。

イチカの方を見ると、イチカに当たるか当たらないかのギリギリの所を二十本くらいのガーベラストレート包丁がイチカの頭と髪型に沿って突き刺さっていた。

ガーベラストレート包丁の刃先には、蚊がそれぞれ1匹ずつ真っ二つにされていた。

「イチカ、若さ故の過ちって大変よね〜。」

「ひゃい……」

(うわぁ、相変わらずアマリさん怒らすと怖いなぁ。)

(何あれ、エタちゃん知らない。ママさん包丁であんなこと出来るの?)

「ママさん、いや、アマリ師匠。私にもその包丁さばきを教えてください!」

「何考えてるんだエタ!?」

「いいでしょう!流派刀刃不敗の真髄まで教えてあげるわ!」

「ちがーう!!お母さんもエタっちも!今日はエタっちとヒビキのバイト面接に来させたんでしょ!」

「「あ、そういえばそうだった。」」

(いや、まさかこの二人共さっきまで忘れてたやつ?!)

などと波乱万丈なことがあったが、なんとか座敷についた。

「ふむふむなるほどぉ、ガンプラは欲しい。でもお金が足りない……故にここでバイトがしたいと。」

じーっとふたりを見るアマリ。

「よし!合格!二人なら安心できるしね!」

「わーい!やったねヒビキ、エタっち!」

「イチカ。」

「ん?なあに?」

「イチカもお店のお手伝いするのよ?」

「………え?」

「だってイチカお手伝いサボってばかりじゃない。」

「それはその、ガンプラ部で忙しいというかなんというか……。」

「あんまり活動してないけどね。」

「ちょっ、ヒビキ!?」

「まぁだいたい暇だしねぇ。」

「エタっち!?」

「なら、お願い頼めるかしら、イチカ?」

「うぅ……はい。」

ぐぬぬ、母め私への対策も完璧だったか!

そう思っていると、チャイムが鳴った。

「あら、お客さん?イチカにエタちゃんにヒビキ君、そこにあるお菓子食べていていいからね!」

そう言うと母さんは玄関に向かった。

「お?ブラックサンダーみっけ!」

「あ、芋けんぴだ。これは私が貰うね。」

「うーん、じゃ僕はガブリチュウで妥協しておくか。」

そう言いながらごそごそと菓子溜まりを三人で漁っていると、私が聞きなれた声が三つ聞こえてきた。

一人は母さん、もう一人は父さん。

そしてもう一人は……。

ゆっくりと三人が談笑しながら居間へと向かってくる。

「ははは!しっかしお前から飲みに誘ってくるとはなぁ!」

「今日は偶然僕も仕事が終わっていたんだよ。たまには君やアマリとも飲みたい所だったしね。」

「うふふ、二人共相変わらず元気そうで安心したわ。」

そして、居間に入ってきた人物にエタとヒビキが驚き声を上げた。

「「えぇ、市長さん!?」」

「おや?先客がいたのかい?」

「あ、そういえばそうだったわ。テヘッ。」

「ママー、おっちょこちょいなのも可愛いぞぉー!」

「や〜ん、パパったら!」

「……オホン、二人共。どうやら子供達は混乱してるみたいだよ。」

「「あ、やっべ。」」

「失礼、君たちは僕の立場上知ってると思うけど改めて自己紹介しておこう。」

「僕は蒼月有真(ソウゲツアルマ)。君たちが誇っている湯ノ森市の市長さ。」

(ものっすごい大物だぁぁ!!)

(え!?しかも本物!?)

「おいっすー!ソウちゃん!」

「ソウちゃん!?」

「やぁ、久しぶりだねイチカ。」

イチカはかなり手馴れた様子で市長にハグをした。

そのあまりにも馴れ馴れしすぎる態度にエタとヒビキは混乱していた。

(え?え?何?どういうことなの!?)

(えーと、なんだ?僕は一体何を見てるんだ!?)

「ソウちゃん元気してたー?」

「あぁ、元気さ。そうでなければここに僕はいないだろう?」

「えっへへへ〜」

(おや?)

(んん?)

エタとヒビキは何かを悟った。

「そうだ、ヨシモリ。」

「ん?どしたアルマ?」

「イチカとガンプラファイトをしたいんだが、フィールドを借りてもいいかい?」

突然のアルマの言葉に私達は驚いた。




「さぁ、始めようか。」
「ソウちゃんとやるの久しぶりだなぁ。」
「あれは……ガンダム?」
「お?久しぶりに見るな!」

次回、ガンダムビルドブレイカーズforWAR
第四話〜導きのガンダム〜
「そう、これこそが人を導くガンダムだ!」
ガンプラファイト、レディゴー。


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第四話〜導きのガンダム〜

皆さんお待ちかねぇ。
作者のワンダレルです。
今回、あの男とイチカが壮絶なバチバチを繰り広げます。
ダブルオーザクの強さはどれほどのものか、是非ともその目でお確かめ下さい!
それでは!
ガンプラファイト!レディー!ゴー!


(市長さんも戦えるのか!?)

「おや、意外だと言う顔をしてるね。」

「あ……その……。」

「構わないさ、仕事柄は真面目故にそう見られるのも無理はない。むしろこの程度で癇癪を起こす方が愚かだ。」

(わお、大人の対応〜。)

そんなやり取りをしてる間にヨシモリはバトルフィールドを完成させた。

「おーし二人とも!準備できたぞ!」

「タイムリミットは十五分。これなら君たちの生活にも影響は出ないだろう。」

「よーし!受けて立とうソウちゃん!」

バトルフィールドセットアップの音声に合わせ、お互いがガンプラをスキャンする。

「ダブルオーザク!デンノ・イチカ!行っくぜぇーい!」

「デュアルOガンダム、ソウゲツ・アルマ。行く!」

バトルフィールドは荒廃都市。

両者の距離は大きく離れている。

「ガンプラファイト!レディー!ゴー!」

「さぁ、始めようかイチカ。」

フィールド内部の様子を見ているエタとヒビキはこの戦いによって得られるものを見てみたかった。

「エタ、この広大なフィールド。君ならどう戦う?」

「私なら、建物の陰に隠れながら接近かな。基本的に近接スタイルだし。そういうヒビキは?」

「僕なら上空からの狙撃をするかな。」

((イチカならどうするかな?))

「うん、まどろっこしいからドッカン!」

イチカはザクバズーカカスタムを構えて容赦なく撃ち、建物を破壊しながら接近し始めた。

アルマはそれに対抗するかのように建物の陰へと向かう。

「すごいな、イチカのあのバズーカの破壊力もそうだけどアルマさんのそれを見切ってるかのような素早い判断力もすごい。」

「まぁ、アルマは俺たちと同級生にしてかつてあのデュアルOガンダムと俺とママの三人で世界一とまではいかなかったが、日本は制覇したからなぁ。」

「……え?エタちゃんそれ初耳。」

「あら、イチカなら話してると思ったんだけど……まぁ何はともあれ元日本チャンプは伊達じゃないわ。」

イチカは変わらず建物を破壊しながら進んでいるが、なかなかデュアルOガンダムを捉えられない。

「くっそ、さすが日本チャンプ!全然捉えられない!」

「それは元がついてくるものだよイチカ。」

爆風による視界不良を突いて、デュアルOガンダムがダブルオーザクの背後から現れ、GNソードIIIライフルモードを連射する。

「いただく!!」

イチカはその射撃をもろに受けて怯む。

「うっ……こんの!」

イチカはバズーカを撃ち返すも、やはり当たらない。

「それならこうだ!」

イチカはバズーカをマウントさせ、GNピストルビットIIを取りだした。

「ほう……アマリのサバーニャとそのツインドライヴ……ヨシモリのダブルオーライザーのパーツを借りたのかい?」

「違うよ、ソウちゃん!私は私の意思と資材とお金で手に入れた!!」

(いっちゃん、それ自慢げに行っていい事じゃない気がする。それよりも……撃ち合いながらも、二人で会話するほど二人ともガンプラファイトが好きなんだなぁ……。)

(兄さんはもういないから、あんなふうに出来ないから少し羨ましいな……。)

「……ヒビキ君。」

「え?なんですかパパさん。」

「ガンプラファイトは家族だけでやるものじゃない。あんな風に敵に敬意を評しながらも己の全てをぶつけるのさ。かつてもう一人の娘に言われたんだよ。武装やシステムの力に頼りきるから敵に敬意を表せられない。そんな覚悟で討たれた敵はさぞかし無念だったでしょう。故に、敵への敬意を持って全てを出し切ることこそ真のガンプラマイスターだとね。」

イチカとアルマは撃ち合いを続けているにも関わらず、損傷があまりないが、直撃した時二人は必ずGNフィールドを展開していた。

「強くなったね、イチカ。」

「ソウちゃんも相変わらずね!」

「では、そろそろ終わりにしようか。」

「うん!」

お互いが、最強の近接武器を構えながらGNフィールドを解いた。

「GNソードIIIは対GNフィールドを持ってるからね。そしていっちゃんのGNヒートホークもまた対GNフィールドを持ってる。ここからはガチンコ近接勝負だね!」

(なんだろう、エタってこんなに近接武器好きな子なのかな。)

お互いが構え、ブーストを掛けて急接近する。

そして、GNヒートホークとGNソードIIIがぶつかりあった。

その拮抗はとても言葉には表せられないものだった。

そこからは打ち合いになる。

一振り、また一振りと剣と斧がぶつかり合う。

それがぶつかり合う時、緑色の光が見える。

そして拮抗し鍔迫り合いになる。

「すごいね、ソウちゃん!私もソウちゃんみたいになりたくてこのプラモを作り上げた!今日こそソウちゃんを超えてみせる!」

「それでいい。そうとも、このプラモこそ人を導くガンプラだ!」

「でも、卑怯なのもまたガンプラファイトの一興!」

イチカはそう言うと、至近距離で左腕を出した。

「バァァァルカンッ!!」

そこからバルカン砲が発射され、デュアルOガンダムにダメージを与える。

「くっ……目くらましなど!」

すぐさま距離を置き、物陰に隠れた。

「え!?何あれ!!」

「私も見たことない……。」

「ふっふっふっ、このイチカさんがオールレンジ対応出来てないとでも?これこそ対近接用兵器!ザクアームバルカン!カッコイイでしょー!」

((今ので全て台無しになったなんて口が裂けても言えない。))

「なるほど、本当にあの時から強くなったみたいだ。」

「もちろん!そして私の切り札!TRAN-ZAKU!」

イチカのダブルオーザクが赤く光る。

「…ならこちらも相応の力を使うしかないね。」

アルマはそう言うと物陰からゆっくりと出てきた。

だが、デュアルOガンダムは赤く光っていた。

「トランザムシステム!?」

「ふふ、驚いているみたいだね。何もOガンダムがトランザムを使えないという理屈はないさ。劇中では使わなかっただけ。本来、このトランザムシステムはGNドライヴのブラックボックスのデータから引き出されたもの。故にGNドライヴさえあればトランザムは誰しもが使えるものさ。たとえそれがガンプラであってもね。」

「……ふふ、ガンダムVSザク!盛り上がるじゃん!!」

トランザム状態の二人の戦闘スピードは常軌を逸しており、射撃撃ち合いも激しく、

「取った!」

ダブルオーザクがデュアルOガンダムの背後に回りバズーカを放つが、それを避けるために飛び上がり空中三回転捻りを決め、逆に背後を取った。

「いただく!」

GNソードIIIライフルモードからビームが撃ち放たれる。だが、それをイチカは。

「でぇやぁぁぁぁぁぁっ!!」

トランザム状態の機体性能を活かして回避した。そしてそのまま、近接攻撃へと入る。

GNソードIIIを構えたデュアルOガンダムとGNヒートホークを構え突進するダブルオーザク。

一足先にGNソードIIIがダブルオーザクの胴を捉えた。

そして、横薙ぎに一閃する。

だが、切れていたのはダブルオーザクの左腕だった。

ダブルオーザクは瞬間的に左腕だけを残してしゃがみ、デュアルOガンダムの股下にヒートホークを備えていた。

「うおおおおぉ!!」

イチカはそのまま片手で、GNヒートホークを真上へと薙ぎ、デュアルOガンダムを真っ二つにした。

バトルはイチカの勝利に終わった。

「……ふふ、強くなったねイチカ。」

「えへへぇ、ソウちゃんに初めて褒められたぁ……」

戦いが終わって、握手を交わす二人。

そこにみんなが拍手をして出迎えた。

「すごいよいっちゃん!あんな戦い久しぶりに見た!」

「なんか、昔のイチカを見てるような感じだったな。僕も負けてられないな。」

「パパも引退してる身だがまた始めようかなぁ…。」

「ママも改めてやってみたいなぁ。」

「えへへへ、ダブルオーザクに不可能はなーい!」

「さてと、アマリ。そろそろご飯ができる頃合いだ。」

アルマがそう言うと、本当にご飯が炊き上がった音がした。

「……あ、そろそろ私も帰らなきゃ。バイトは明日から頑張ります!それでは!」

「おっ、僕もだ。それじゃまた明日、イチカ。」

「じゃーねー!二人共ー!」


エタとヒビキが帰っている時、二人は同じことを考えていた。

「ねぇ、ヒビキ。」

「うん?」

「あれ、市長さんに惚れてるよね?」

「間違いないね。」

「まぁ、見た目もかっこいいからなぁ。」

「たぶんイチカはあれで隠してるつもりだよ。」

「隠せれてないけどねぇ。」

「ははは、確かに。」


「そういえばソウちゃんって誰かとお付き合いしてる?」

「いや、この歳にもなって未だ独り身さ。」

「そ、そっかぁ……いい人見つかるといいね!」

「ふふ、イチカ。君がそれになると言うのならそれもいいかもしれないね。」

アルマのその一言にヨシモリが喝っ!と言って食いついた。

「たとえアルマであっても娘は渡しはせん!渡しはせんぞぉ!!」

「うーん、ママとしてはいいと思うけどなぁ。」

「よくなぁぁーい!!」

「父さん、騒ぎすぎ!」

「冗談さ、そんなことを考えてるように見えるのかい?」

そんな風に電之家の食卓は盛り上がった。

たぶん、私は今日の戦いを忘れられないと思う。




「ガンプラ部!ファイッオー!」
「ここが……ガンプラ部。」
「新入部員さんかな?」
「新入部員ではありません!私はクラスの風紀委員副委員長!貴方達ガンプラ部のガンプラファイトはこの風紀委員が認めません!」
「……なんか面倒くさそうなの来たな。」
次回
ガンダムビルドブレイカーズforWAR
第五話〜孤高の剣〜
ガンプラファイト!レディー!ゴー!


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第五話〜孤高の剣城〜

皆さんお待ちかねぇ。
作者のワンダレルです。
前回、湯ノ森市の市長アルマにイチカは見事打ち勝ち、湯ノ森高校ガンプラ部がようやく始動しました。
しかし、そのガンプラバトルのスタイルを快く思わない輩もいるものです。
それでは!
ガンプラファイト!レディー!ゴー!


朝、七時五十分。

とても心地のいい朝だ。快晴の天気、鳥の囀る鳴き声。

湯ノ森町の一日は。

「ぎゃああああァァァ!!遅刻寸前ンンンッ!!」

このイチカの叫び声から始まる。

朝起きて朝食をトランザムが如く食べ、歯を磨き登校の準備も行う。

「行ってきまァァァす!!」

自転車で爆走するイチカ。

こう見えてイチカの自転車のドライブテクニックは常識を覆すようなスタイルだ。

まず、全速力で飛ばしても人に当たらない上に余裕がある。

「おっはよーみんなァァァ!!」

イチカは飛ばしながら挨拶をしつつ、学校に着きダッシュで教室に駆け込む。

無論、スライディングで。

「ふぅ……間に合った…。」

「おはよう、いっちゃん。」

「おはー、エタッち。ゼェゼェ……」

「もう少し余裕を持ってくればいいのに。」

「うぅ、返す言葉もございません。」

「そんなイチカに、ブラックサンダー食べるかい?」

「わーい食べる〜♪」

相も変わらずこの三人組はマイペースである。

そして放課後。

「さぁ、今日も張り切ってガンプラ部だ!」

「「おー。」」

「お手伝いの時間はだいたい6時からだから二時間は行ける!」

「バカを言うなイチカ。余裕を持って三十分前には出るぞ。だから一時間半だ。」

「ちぇー。」

いつも通りそんな風にだらだら過ごしていると、外から声がしてくる。

「ここが……ガンプラ部。」

「ん?今何か言ったいっちゃん?」

「え?何も言ってないよ?ヒビキじゃない?」

「僕も違うよ。」

「え?じゃあd……」

「失礼させてもらうわ!」

大声と共にドアが開けられ、湯ノ森学園の生徒が入ってきた。

そして、その突然の襲来に驚いた私三人全員椅子から滑り落ちていた。

「曲者ォォ!であえであえぇーい!」

「イチカ、そのモデルガンどこから取り出したんだ。」

「敵襲!?白兵戦なら任せて!」

「エタ、その日本刀のレプリカどこから取り出したんだ。」

「侵入部員か!?」

「イチカ、読み仮名おかしい方だそれ。ていうか貴方も貴方だ。ノックもなしにいきなり大声で入ってくるなんて誰でも驚くだろう?」

「新入部員ではありません!私は貴方達のクラスの風紀委員副委員長、高宮剣(タカミヤ・ツルギ)です!」

「どうしてこう僕は話を聞かないタイプのバーサーカーを複数相手することを強いられてるんだ。」

「貴方達の湯ノ森高校におけるガンプラ部のガンプラファイトを我々風紀委員は認めません!心当たりがないならその胸に聞いてみなさい!」

「………なんかだいぶ面倒くさい人が来たな。イチカ、落ち着いて対処すれば問題n……。」

「なぁァァんだと貴様ァァァ!!」

(手遅れだったかぁ……。)

「胸部装甲が分厚いだけに限らず私達のガンプラ部のガンプラファイトに異議を申し立てるだけに飽き足らず胸部装甲が分厚いだとぉ!!」

「イチカ、それ同じこと二回言ってる。」

「そーだそーだ!巨乳反対!」

「エタ、君いつからイチカ暴走サイドに入ったんだい?」

「貴方達のガンプラバトルはまず美しくないのです!野蛮極まりない戦いを恥ずかしいとも思わないんですか!!」

「この人もこの人で偏見がすごいなぁ……。」

「貴方達のやり方は風紀を淫らにしています!よってこのタカミヤ・ツルギが貴方達に格の違いを教えるということです!」

一瞬の静寂。そして、それを見た目の前のドジっ子風紀委員がペラペラと勝利を確信して喋り出す。

「ふふ、恐れをなしているようですね。当然です、私だってガンプラマイスターの一人なのですから。怖気付いて今すぐこのガンプラ部を廃止するならば考えがありますよ?」

ここでイチカが静かにツッコミを入れる。

「それ言うなら、乱しているじゃない?」

「え?」

「淫らにしてるって、それ風紀委員のツルギさんがエッチな子だと思われるよ?」

「……………。」

どストレートに物申したイチカ。

「どうしてこう穏便に解決しようとしないんだこのクレイジーバーサクガールズは。」

ボロっと本音が出てしまった。

「………なさい。」

ツルギさんが小声で何か言ったような気がする。

「え?なんだって?」

当然イチカも聞き返す。

「ガンプラバトルなさい。今すぐここで!!」

「えぇ、ガンプラバトルが美しくないって言ったのに?!」

思わずヒビキはツッコミを入れた。

赤面しながらもこのドジっ子風紀委員は嫌っている(?)ガンプラバトルを要求してきたのだから。

「問答無用!デンノイチカ!私が勝利したら先程の発言を忘れなさい!」

「ご指名だよいっちゃん。」

「えー、めんどくさー。」

「喧嘩売ったなら最後まで責任取りなよイチカ。」

「はいはい……。」

渋々イチカはフィールドのセッティングを始める。

そしてフィールドの準備が完了した為、改めて条件を確認する。

「私が勝ったらさっきの言葉を忘れるように!」

「そっちこそ、私が勝ったらガンプラ部に入ることとブラックサンダー三週間分支給すること!」

(イチカ、さらっとそこそこにめんどい条件加えたな……。)

(抜け目ないなぁいっちゃん。)

そして、お互いがガンプラを取りだしスキャンする。

「タカミヤ・ツルギ!ガンダムAGE2Breaker!行きます!」

「ダブルオーザク、デンノ・イチカ!目標を狙い撃つ!」

二人のガンプラがフィールド、コロニー内部へと移る。

「私の名誉と湯ノ森の未来のために引導を渡します!」

「やれるもんならやってみろ胸部装甲分厚いヤツめ!ガンプラファイト!レディー!ゴー!」

「ねぇ、エタ。イチカやけくそになってないか?」

「まぁあの胸部装甲の差があればねぇ……。」

ツルギのガンダムAGE2Breakerはシンプルそうな見た目をしているが、前回のデュアルOガンダムの事もあり、油断は出来ない。

そして、的確にイチカのダブルオーザク目掛けてビームライフル……いや、カスタマイズされたドッズライフルを撃ち込んでいる。だがそれはイチカのダブルオーザクのGNフィールドによって遮断されている。

「ふっふっふっ、このダブルオーザクにその程度の貧相なビームが入るわけがなかろう!」

「それはどうかしら!」

いつの間にか背後を取られていた。

「うぇ!?さっきまでかなり遠くにいたのに!?」

そこをビームサーベルで切り込まれ、多少はダメージを防いだが、その後の蹴りを入れられ、大きく怯んだ。

「うおっと!」

「油断大敵です!」

そのまま一突きを仕掛けてきたが、無論これはイチカは回避した。

「ふぅー、やっぱ楽しいなファイトは。」

「ファイトを楽しむだけで人に対して敬意が無いのですか!今まであなたが負かしてきた人への敬意は!」

「それはもちろんあるよ!!」

イチカはダブルオーザクのホルスターからGNピストルビットIIを取り出し、連射した。

これは備え付けのシールドで全て防がれた。

「むぅ!?Iフィールド入り!!」

「今度はこちらのターンです!」

ビームサーベルを二本構えて突っ込んできた。

イチカもGNピストルビットIIをアックスモードに切り替えて対応した。

二つの双刃がぶつかりあう。

「私は、貴方達のような甘い考えを許せない!」

「どうしてさ!」

「残された敗者の気持ちを踏みにじってるようなその態度が私は気に入らないんです!」

「違う!私達だってちゃんとその人の気持ちを汲み取ってる!」

「ガンプラバトルを真剣にやってないじゃない!」

「私はいつだって真剣だよ!全力を出して相手を倒しに行く!」

打ち合いが鍔迫り合いになり、そしてさらに連撃が続く。

だが、イチカは核心をついた。

「……そこまでガンプラファイトに執着するのは、貴方の大切な人がガンプラで何かあったのかもしれない。でも違うよ。今はガンプラバトルは勝敗は関係あるかもしれない。けどガンプラは自分のやりたいようにやって、それを極めることだよ!私はその思いを伝えれるのがガンプラファイトだと思うんだ!」

AGE2Breakerが振るうビームサーベルに呼応するかのようにイチカもアックスモードを振るう。

「想いを伝える?どうやってそれを成すのよ!!」

「こうして本気でぶつかり合って、戦って、お互いのことを知り合うことだよ!きっとそのガンプラもヒビキと同じで託されたものだと思う!私はこうしてツルギちゃんとぶつかってそれが伝わってきた!」

何度も何度もぶつかり合う双刃。

「知ったようなことを!」

「そう、知ったかぶり!だから貴方ともっともっと戦って貴方のことも貴方のそのガンプラの想いを知りたい!」

「………どうして簡単にそんなことが言えるの!」

「大切な人に、それを教えてもらったの!今は亡き親友と!私の大好きな人が!」

「ぶつかり合う……。」

「そう、ぶつかり合うの。言葉だけじゃ分からないこともあるからさ……。だから私は敬意を表してここからは本気で行く!トランザク!」

イチカのダブルオーザクが赤く輝いた。

(この子、純粋に……兄さん。私にも出来るかな……。このAGE2Breakerは答えてくれるかな。あの子がやってるように……。)

『ツルギ……。』

「声?」

『貴方の気持ちはよく分かった。』

「あなたは一体?」

『私はマリオン。貴方のお兄さんが残したAGE2Breaker専用のサポートAI。』

「………私に力を貸して。マリオン!」

『もちろん。ツルギ、貴方に力を。』

すると、AGE2Breakerの目が赤く光った。そして同時にシステム音声が流れる。

『EXAM system standby』

「………よっしゃ!」

イチカはバズーカとGNヒートホークを投げ捨てた。

「何を!?」

「二本の剣と二本の短剣、これで勝負を決めよう。」

「……ラッシュの早さ比べですか?」

「うん、ツルギさんはどうする?」

「………ここでそれに答えないわけには行きませんね。」

ツルギもドッズライフルを投げ捨てた。

「行くよ、ツルギちゃん!」

イチカは不敵に笑う。

「臨むところです、イチカ!」

ツルギもまた笑う。

そして、お互いが同時にブーストを掛け、射程距離に入った。

お互いが激しく切りつけた。

一撃一撃が光った。

「うおおおおおおおぉ!!」

赤い閃光となったイチカのダブルオーザク。

「やああァァァァァァ!!」

赤き双眸を宿したツルギのガンダムAGE2Breaker。

凄まじい金属音と共に弾いては切り込み、弾いては切り込みを繰り返している。

何度も、何度も。

一撃一撃、それは全て必殺のもの。

だが、お互いの力が尽きるその時まで続く。

だからこそ二人は同時に叫んだ。

「「負けてたまるかァァァァァァァァァァ!!」」

そして、ダブルオーザクの右腕が斬れ、AGE2Breakerの左腕を斬った。

それと同時に切り込む。

この勝負は、かろうじてイチカが勝った。

お互いが胴を捉えた時、イチカはツインドライヴのブーストで一回転し、左脚を斬られた代わりにAGE2Breakerに致命傷を与えた。

バトルエンドのシステム音声が聞こえてきて、イチカはようやくふーっとため息をついた。

「……ありがとう!ツルギちゃん!」

「……ふん、言われるまでもないわ。」

「……ガンプラファイト、どうだった?」

「…そうね、とても醜くて美しさも欠片もないけど……。」

ツルギはそこまで言ってとびきりの笑顔でこう言った。

「とても楽しかった!」

「……よっしゃ!今日からツルギちゃんもガンプラ部だ!」

「か、勝手に決めないでよ!」

そう言って部室から去っていった。

「いやー白熱すぎて私達唖然としてたわ〜。」

「ガンプラファイトがどんなものかを僕なりに改めて解釈する必要があるみたいだね。」

(……ツルギさんか。あわよくば僕とも手合わせして欲しいところだけど、流石にあの様子だと無理か。)

「あ、そうだいっちゃん。私改造プランあるんだけどさ!」

「ん?興味深いな。僕にも聞かせてよ。」

「ふふん、それよりも先にガンプラファイトしよ!」

今日もまた騒がしく楽しい一日だった。

ちなみにこの私イチカのせいでバイト(私はお店の手伝い)に遅刻したのは言うまでもない。


翌日の放課後。

「さぁー、いっくぞー野郎共!」

「「あいあいさー。」」

「なんか声小さくない?」

「「気のせい気のせい。」」

「そうだ、ブラックサンダー食べる?」

「「食べるー」」

そんな流れでガンプラ部の部室を開けると、綺麗に整理整頓されている部屋があった。

「………あれ?こんな綺麗だったけ?」

すると、奥のガンプラフィールド室から人が現れた。

「遅い!ガンプラ部としてたるんでるんじゃないのかしら!」

「……え?」

「…あれ?」

「ツルギちゃん!」

「ほら、早く準備しなさい!部活動始めるわよ!」

「あれ?ガンプラ部に入らないって……。」

「勘違いしないで。デンノ・イチカ。貴方に勝つまでは部員でいてあげる。それでいいでしょ?」

「………。」

「な、なによ?」

「モッチ論、大歓迎!みんな〜!お祝いじゃァァァ!」

「わーい!」

「わーい(棒)」

「ちょっ、騒がしくしないで!ほら!ガンプラファイトしないの!?ってこら!胴上げとかいいから!もう、しっかりしなさいよぉォォォォッ!!」

 

こうして、新たに部員が増えた!

「部員じゃないって言ってるでしょ!」

 




「さて、久しぶりの日本ね〜。」
「ん?あれって……。」
「ほうほう。」
「え!?あれって有名な!!」
次回
ガンダムビルドブレイカーズforWAR
第六話「零の戦女神」
それでは次回も!
ガンプラファイト!レディー!ゴー!


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第六話〜零の戦女神〜

皆さんお待ちかねぇ。
作者のワンダレルです。
前回、突如襲来したタカミヤツルギに見事打ち勝ち、イチカ達率いる湯ノ森ガンプラ部に新たなメンバーが加わりました。
しかし、平和というのはすぐに終わるものです。
イチカに迫る影とは一体!
それでは!ガンプラファイト!レディー!ゴー!


ガンプラ部室、フィールドルームにて。

今、メンバーが四人となった湯ノ森ガンプラ部はワンオンワンでのガンプラバトルをしていた。

イチカとエタの組手は早々に終わったので、今はツルギとヒビキのバトルを見ている。

「おほぉー!熱いねぇー!盛り上がるねぇー!」

「いっちゃん興奮しすぎじゃない?」

「だってガンプラファイトは見る側になっても楽しいんだもん!」

やれやれとエタはため息をつきながらも状況を整理し、いまのフィールドを見てみる。

宇宙空間フィールドでの戦闘。

当然ヒビキはそれに見合ったジュピターヴガンダムZ(ジータ)へと切り替えて戦闘しており、最初のうちはヒビキが押していたが。

「ビットを見切るのは凄くチート地味てるな……。」

時折ヒビキが苦戦しているように見えた。

「ある程度動きをラーニングすればなんとかなることよ。むしろこの基本こそ大事なんだから。」

ツルギはそう言うとビームサーベルを引き抜き突っ込んだ。

「そう簡単に近づかせないさ!」

ヒビキもビームガトリングガンで迎撃する。

「マリオン、敵の射撃の予測範囲を五秒圏内から三秒圏内に!」

『分かった。』

劇的な回避能力。それは常人では出来ないであろう動きだった。

「くっ、マリオン強すぎるだろ!」

そして、接近を完全に許し間合いに入った瞬間に

『ExamSistemStandby』

Examを起動し切りつけた。

だが、それは空を切ることになる。

『ツルギ、上!』

「!?」

ヒビキは宇宙空間であることを利用し一瞬の最大出力ブースターで回避しつつ、ツルギの真上をとった。

「もらった!!」

そこからビームガトリングガンを撃つが、Iフィールドを織り込まれたシールドによって防がれた。

「いくら回避能力が優れてても!」

すぐさま反撃しようとドッズライフルを構えたが、ヒビキがとった行動はとんでもないものだった。

「でぇやぁぁ!!」

ヒビキはコアシールドを投げつけたのだ。

「なっ!?」

当然これはブラフだと分かっていたツルギはシールドで弾く前にドッズライフルを再び構えた。

そして、シールドが弾かれた先にヒビキのジュピターヴガンダムZの姿は……

なかった。

あったのはマルチコンテナビットとマニファービット。

(本体はどこに!?)

ビットの攻撃をくぐり抜け、破壊し本体を見つけた。

『見つけた!』

「捉えた!」

ドッズライフルの一撃がを貫いた。

が、バトルは終わらない。

撃ち抜かれたのは、ジュピターヴアーマーを取り付けられたデブリだった。

「!!まさ……」

背後に居たコアガンダムαにビームサーベルで薙ぎ払われ、バトルは終わった。

「くっ……イチカだけでなくヒビキさんにも負けるなんて……それにさっきの戦法は見たことも無い……。」

「いや、君の戦闘力とマリオンのコンビネーションは完璧だった。僕もイチカと一緒にいなければあんなことしなかったよ。非常識で結構。カタにはまらない戦いは面白い。こんなこと僕も言われてイチカにその戦法で負けるまでは信じてなかったんだけどね。」

「……なら、イチカの好物とか趣味嗜好、性癖や身長までAGEシステムにラーニングしておかなくちゃ。」

「いや待ってそこまではしなくていいと思うよツルギさん!?」

ヒビキが慌ててそんなことを言う。

「いやーいいバトルだったよ二人共ー!」

「お見事ぉー。」

「絶対にリベンジします!首を据わって待ってなさいヒビキさん!」

「いや、それ言うなら首を洗って待っていろだね。」

「…………それでは門限があるので!」

ツルギは顔を真っ赤にして帰って行った。

「……僕何か悪いことした?」

「いや、たぶん大丈夫じゃね?」

「いっちゃん、私達もバイトに行かなきゃ。」

「お?そーだね!さっさと片付けよー!」

「「おー!」」

私たちはそのままバイトに入り、一日が終わった。

翌日、朝全員が登校し朝礼が終わり一時間目の授業がガンプラ自由研究だった為、イチカはウッキウキで待っていた。

「ねぇねぇエタっち!ガンプラファイトしよ!」

「えー、たまには改造を進めさせてよぉ。」

「そうだよイチカ。君もそろそろチューニングプラン決めておかないとまずくない?」

「うっ……確かに。」

そんなやり取りをしていると、一人の同じクラスの男子がこう言った。

「おい、なんか今登校してる女子いるぞ!」

当然人は集まる。

イチカ、ヒビキ、エタを除いて。

「行かなくていいの、ヒビキにエタっち。」

「今改造に忙しいから。」

「今度もツルギさんに勝てるようにしないといけないしね。」

周りはヤジでざわついている。

が、しばらくしたらそれも収まった。

どうやら校舎に入ってきたらしい。

「さっきの美女誰なんだろ!」

「めちゃくちゃクールじゃなかった?」

男女問わずその事でわいわい話してた時、教室のドアが開いて担任の檜山 志郎(ヒヤマ・シロー)先生が入ってきた。

「はーい、席につけみんな!」

ざわざわとしながらも席に着く。

「今日はこのクラスの仲間になる生徒が来るぞ!本来なら四月からみんなと一緒に勉強したりしてたんだが、なんとガンプラバトルの日本大会に出場していた影響で少し遅くなって六月の今日からこのクラスに来ることになったんだ。入ってきてくれ!」

「失礼します〜。」

おっとりとした声と共に入ってきたのは銀髪で青眼の少女。

見ただけでもわかる抜群のプロポーション。

「こんにちは皆さん。私は零の戦女神(ヴァルキュリー・ゼロ)です。よろしくお願いしますね。」

教室の沈黙。

その様子を知って、零の戦女神は慌てて訂正した。

「あ、すみませんこの名前人前では言っちゃいけないんでしたぁ〜コホン……私は電之 零華(デンノ・レイカ)です。よろしくお願いしますね〜♪」

瞬間、ざわついた。

「ヴァルキュリーゼロってあの名モデラーじゃないか!?」

「うっそ!?いつもサングラスとかつけてたからわかんなかったのに!!」

もちろんエタも例外ではない。

「えー!いっちゃん、ヒビキすごいよ!いっちゃんの相方の本物のヴァルキュリーゼロだよ!まさか同い年だったなんて!」

ヴァルキュリーゼロはいわゆる象徴だ。

モデラーとしての責務を述べ相方の壱の戦女神(ヴァルキュリーワン)とタッグでチーム『ヴァルキュリーゼロワン』を組み、あらゆるチームを倒してきた猛者だ。

イチカは既にヴァルキュリーワンであることを公表してるが、ヴァルキュリーゼロの所在については未だ掴めずにいたのである。

だが、ヒビキから出た言葉にはエタもクラスメイトもド肝を抜かれた。

「ん?みんな知らないの?あの人イチカの双子のお姉さんだよ。」

「「…………え?」」

クラスメイトがそう言ってイチカに視線を向ける。

「おかえり〜レイカ姉ー。」

「「えええぇ!!?双子の姉!?」」

ヒビキは続ける。

「だってヴァルキュリーゼロワンの正体は昔から僕知ってたし。」

「な、なんで教えてくれないのヒビキ!?」

エタがそう言うと

「聞かれなかったから。」

と淡々とヒビキは答えた。

「あ!イチカー!」

レイカはイチカを抱きしめた。

「あー可愛いイチカ、私のイチカ。相変わらず小さくて可愛い〜。」

「レイカ姉大きくなったねぇ。」

「あら、イチカも大きくなったわよ……あら、胸の方もミリ単位だけど大きくなってるわね。妹の成長にお姉ちゃん感動してるわ。」

「それ以上胸のこと言ったら首絞めるぞ。」

「それよりもガンプラバトル出てたってほんとですかヴァルキュリーゼロさん!」

「ん?全然ダメよ、私なんて井の中の蛙なんだから。最初のうちに負けちゃったわ。」

みんなが、なんだ最初のうちかと興ざめしてたところ

「まぁ決勝戦の最初のうちに負けたからダメダメね……。」

「「ちょっと待て!?」」

さすがに先程の発言には待てをかけるヤジ馬達。

「ここに来るのも久しぶりねぇ〜♪でもやっぱり湯ノ森が一番ね。それと、もうすぐ授業が始まるわね〜。確かガンプラに関することで一時間を過ごすんでしたっけ。」

「そうだよレイカ姉。」

「なら、組手やりましょうか!このクラス三十九人とそこでバーサス私一人で!」

「……マジで?」

戦女神は急に宣戦布告を仕掛けてきた。




「さぁ、全力でかかってらっしゃい!」
「やぁってやるぜぇー!」
「これがヴァルキュリーゼロの力……」
次回
ガンダムビルドブレイカーズforWAR
第七話「流派冥王不敗」

レイカ
「ガンプラファイト、レディーゴー♪」


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第七話〜流派冥王不敗〜

皆さんお待ちかねぇ。
作者のワンダレルです。
前回、ガンプラバトルに最も勢いのある湯ノ森高校にあの零の戦女神ことレイカが現れ、その正体はなんとあのイチカの双子の姉だったのです!
日本王者1歩手前の実力を持つレイカが申し出たのはイチカがいるクラス1-C組全員との組手だったのです!
それでは!
ガンプラファイト!レディーゴー!


「レイカ姉、さすがに全員組手はダメだよ。」

「あら。なら三人が代表格として出てらっしゃい。」

「………なら、僕が出るよ。」

「それじゃ私も〜。」

ヒビキとエタが同時に名乗りをあげた。

「ヴァルキリーゼロとの戦い……是非ご教授を!」

ツルギもやる気満々だった。

「あ!私の枠取られた!」

イチカが嘆く。

「あらあら、元気ねみんな………んん?」

レイカが不思議そうに首を傾げる。

「えーと、名前を聞いてもいいかな?」

「私はルリネ・エタです。よろしくお願いしますねいっちゃんのお姉さん。」

「うん、よろしくね!そっちの二人は?」

「お久しぶりですレイカさん。アリネ・ヒビキですよ。」

「あらあらこんなに大きくなって!……って私達同い年だったのにおばさんっぽいこと言っちゃったわ〜。」

レイカはヒビキのガンプラを見るとこういった。

「……そのガンプラがヒビキ君の手にあるってことは彼はもう。」

「……はい。しばらく前まで僕は荒れてましたからね。でも大丈夫です。僕は前向きに生きることにしたんです。このコアガンダムαと一緒に。」

「……ならお姉さんも安心ね。ところでそちらのあなたは?」

「はい!タカミヤ・ツルギです!零の戦女神(ヴァルキリーゼロ)のご指導よろしくお願いします!」

「あらあらまっすぐねぇ〜。……ん?タカミヤ?」

レイカは少し考える素振りを見せたがすぐに思考を戻した。

「さぁ、三人と一人でも負けやしないわよ〜。全力でかかってらっしゃい!」

四人がそれぞれのガンプラをデータベースにスキャンした。

「ルリネ・エタ、ガンダムヴァルキュリア。目標に飛翔する!」

「アリネ・ヒビキ、コアガンダムα!出る!」

「タカミヤ・ツルギ!ガンダムAGE-2Breaker!行きます!」

三人の掛け声に続き、レイカも続く。

「ふふ、デンノ・レイカ、ゴッドフレームアストレイ。降臨!」

ステージは夜のジャブロー基地。

三人が降り立ち見たのは、そんな夜中に金色に輝くアストレイだった。

「わぁ、金ピカ。」

エタの一言の後にバトル開始までのカウントダウンが始まる。

そして、そのカウントがゼロになった時、三人は一気にしかけた。

「ガンプラファイト、レディーゴー!」

「チェンジ!ジュピターヴ!」

ヒビキは知っている。レイカの恐ろしさを。

(このまま各個撃破されたらまずいな。)

「みんな、あの人を絶対に近距離レンジに入れさせたらダメだ!もし間合いを詰められたら腕や足一本どころじゃ済まされない!」

「あら、やっぱり覚えてたのねヒビキ君は。」

「もちろんですよ、兄共々あなた達三人は僕の憧れの人達だったんですから!」

そう言ってヒビキは遠隔端末を惜しみなく出す。

だが、レイカもまたそれを避ける。

「遠距離苦手なんだけどなぁ。」

愚痴を言いながらもエタもロングレンジ攻撃のダガー投擲を行い。

「あの雰囲気、近寄らせたらこっちがすぐにやられる……」

『ツルギ、気をつけて。あれは……神の名を持っていても死神よ。私は覚えてる……あの戦女神の強さを。』

「わかった、マリオン。」

(……あれ?どうしてマリオンはあのガンプラの事知ってるんだろう……?)

ツルギも疑問を持ちながらもドッズライフルの連射でヒビキの動きに連動してビットを当てやすい位置に誘導している。

だが、ビットもライフルもダガーも当たる気配がない。

レイカは悠々と回避しながら語る。

「敵意、それは人の強さを表す。そして敵意(強さ)を見切ることは戦いを制す。戦いを制せば勝利を得る。悪くは無い連携だけど、あなた達の動きは見切れるわ。」

そして、三人はこの言葉でようやく気がついた。

「………レイカさんはどこに?」

レイカのアストレイゴッドフレームが見えなくなっていた。

「ミラージュコロイドだ!全員固まってくれ!」

ヒビキの声に三人が一気に背中合わせに集まる。

「マリオン、索敵範囲を縮小して警戒態勢!」

『気をつけて、ツルギ。』

「一体どこに………。」

緊迫状態。その時、レイカのコントローラーが動いた。

「あら、おしくらまんじゅう♪」

ミラージュコロイドが解除され、レイカは背中合わせにしていた三人の中心にいた。

『ツルギ!』

全員が同時に飛ぶと同時に手刀が振るわれた。

なんとか回避はできたようだ。

「あの時よりさらにパワーアップしてる……。」

「ありがとう、マリオン。」

「すご……これが零の戦女神(ヴァルキリーゼロ)の実力……。」

すると、レイカはふふっと笑った。

「ねぇみんな、この腕は誰のかしら?」

そう言ってレイカが差し出したのは

ガンダムヴァルキュリアの左腕だった。

「………え?」

エタはその場でデータの状態を確認したが、左腕の欠損があった。

「いつの間に……。」

ツルギが驚愕してるとヒビキから叫び声が聞こえた。

「ツルギさん!止まるな!」

「え?」

気づけばツルギの目の前に金色のアストレイが居た。

「戦場における油断は死を意味するわ。」

レイカのゴッドフレームアストレイは腰にある二本の剣(トツカノツルギ)を構えた。

そこから一振り二振りと斬撃が飛んでくる。

『ツルギをやらせない!』

「まだ……見える!」

examシステムを起動し、回避行動に入る。

四振り目、大きく隙ができた。ツルギはその隙を逃さずビームサーベルを構え振るおうとした。

「捉えた!」

『待って!ツルギ!』

「え?…うっ!!?」

衝撃。トツカノツルギによる一本の閃光のような突きで体制を崩された。

そして、そこからは。

「踊りましょう、ツルギちゃん。」

目にも止まらぬ早さで突きの連撃を喰らうことになる。

何百もの連撃を直撃する寸前でシールドでガードしたが、シールドは使い物にならなくなった。

「……あら、捌き切られたかしら。」

レイカは残念そうにそう言った。

「だが、これで当てれる!」

ツルギがそう言うと、ガンダムAGE2Breakerの背後からジュピターヴのビットが現れた。

「あ!」

「もらいました、レイカさん!」

ビットが直撃した……はずだった。

なんとレイカのゴッドフレームアストレイに当たる寸前、レイカは掌をビームの方向に差し出すと、ビットが湾曲して外れたのだ。

(嘘……あれ確実に当たったでしょ。)

完璧な奇襲。これまでなく上出来な奇襲はないはずだった。

「……ヤタノカガミ。私はこれを掌に備え付けることによってビームすらも弾く。」

その言葉を言ってる間にツルギはビームサーベルで切りつけたが、ビームの部分をゴッドフレームアストレイの手で受け止められた。

「そしてそれを応用すれば………」

ビームサーベルの刃をねじ曲げ、ツルギにビーム刄を当てた。

「ビームを好きなように操れる。」

「くっ……マリオン、機体損傷!」

『四十七パーセント!』

大至急ツルギは離脱した。

「あら、鬼ごっこかしら?」

「いいえ、違います。鬼狩りです!」

レイカの背後にGNソードを構えたガンダムヴァルキュリアが居た。

「ビームがダメでもこれなら!」

するとレイカは、そのGNソードを二本の指のみで白刃取りをした。

「な!?」

「まずは……一人目。」

その言葉の後に続いたのは……

「肘打ち裏拳正拳八卦回し蹴り掌底平手手刀貫手瓦割りかかと落とし。」

目にも止まらぬ連撃。そして、かかと落としで獲物(ヴァルキュリア)を地面に踏みつける形で固定するとレイカは拳を構え、正拳突きを放った。

そして、ヴァルキュリアは撃破された。

「……一瞬でやられた。」

「くっ、これ以上はやらせるか!」

ヒビキとツルギは連携を取り、同時に攻撃を仕掛けたがどれも全く当たらない。

「さてと、そろそろ決定的な敗北を与えるわ。」

そう言うレイカは、既にヒビキのコアガンダムαの背後にいた。

「いつの間に!?」

「酔舞・再現江湖デッドリーウェイブ。」

「しまっ……!?」

「爆発。」

レイカのその一言でコアガンダムαは撃破された。

「………残りはあなたね。」

「………これが、ヴァルキリーゼロ。」

『……戦いましょうツルギ。私たちがまた強くなるために。』

「……もちろん!」

ツルギは単身でexamシステムを起動しながら突っ込んだ。

そして、そこからは圧倒的機動力でレイカを翻弄した。

(まだいける……まだ!)

「早いわね……さすがはあの人の妹さん。でもね。」

「勝負は時に残酷なの。」

レイカはAGE2Breakerの右腕を手刀で落とした。

「『私たちはまだ負けてない!』」

同時にツルギはカウンターで殴りかかった。

レイカに一撃。

ゴッドフレームアストレイの頭を捉えた拳。

この一撃を食らわさせたのだ。

「………なるほど、やっぱりあの人に似て信念がしっかりしてるわ。」

「……ダメージがほとんど入ってない!?」

次の瞬間ツルギは何かに挟まれ捉えられた。

「な、なにこれ!?」

「マガイクノタチ。敵を拘束してエネルギーを奪う機械。だけど私の場合はちょっと使い方が違うかな。だってこれで捕まえれたら必殺の一撃が放てるもの♪」

ビームサーベルを振るおうにも捕まえられた位置の都合で身動きすらできない。

(くそっ、examシステムの加速力でも抜け出せない!)

「私のこの手が深淵に染まる。」

ゆっくりと掌を引き構え始める。

「全てを呑めと揺らめき吠える。」

そして、掌に圧縮された漆黒の深淵が溜まっていく。

「アァァァセナルッ!フィンガァァァッ!!」

叫び声に合わせて、AGE2Breakerの中枢を直撃し貫いた。

だが、これで終わりではない。

The,END(終わりよ)

貫いた中枢から手を引き抜くと、血飛沫のように液体のようなものが吹き出し、AGE2Breakerは後ろに倒れた。

そして、レイカはAGEガンダム系統の中枢部にある部分を引き抜いており、まるで掴んだ心臓を潰すかの如く握りつぶし、マッチが終わった。

「さすがだ……」

ヒビキがかつての強さにおののき。

「私達三人がかりで負けるなんて……。」

エタが驚愕し。

「負けた………試合にも……戦いにも……。」

ツルギは何も出来なかった無力さに襲われた。

「こほん、ここでヴァルキリーゼロから持論をひとつ。」

「システムやプラモに頼りすぎているから敵にも自身にも敬意を払えなくなり、人としての格が落ちる。その結果敗北を喫する。そしてそれを勘違いしさらに深々と沼へと溺れる。きっとあなた達三人のそのプラモは託された物もしくは自分にとって最高傑作のはず。それを扱いきれずに私に負ける理由はそこ。プラモを知り、敵を知り、己を知ることが出来ればきっと残してくれた思いも、あなた達の思いと重なり大きな力になれるでしょうね。」

厳しくも、その言葉は三人に深く刺さった。

(………兄さん、僕はもっと強くなれるみたいだ。絶対に強くなってみせる。)

「……エタちゃんもこの子(ガンダムヴァルキュリア)の事分かってなかったんだね。」

(……兄さん。託されたマリオンと共に私は戦い続けます。)

「うんうん、まだまだ成長の見込みはありそうね!よーし決めた!私もガンプラ部にはーいろっと♪」

「「マジでか!?」」

これには湯ノ森ガンプラ部のメンツも1-Cのメンツも驚き大声をあげた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




「やぁ、久しぶりだね。」
「ソウちゃんお久ー!」
「え?市長さん?え?なんでここに!?」
「大切なことを伝えに来たのさ。」
次回
ガンダムビルドブレイカーズforWAR
第八話〜プラモトレースシステム〜
ガンプラファイト!レディーゴー!


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第八話〜プラモトレースシステム〜

皆さんお待ちかねぇ。
前回、ヴァルキリーゼロの強さを発揮したレイカ。
圧倒的な差を見せつけ、それぞれが成長を見られることになった。
ここから彼女達がどのようになるのかは、是非ともあなた達の目で見て欲しいものです。
それでは!
ガンプラファイト!レディーゴー!


放課後、イチカ達ガンプラ部御一行は部室へと向かっていた。

「そういえばレイカ姉。」

「なあにイチカ?」

「日本大会どうだった?」

「んん?普通にみんな強かったわ。優勝した人は私が苦手な戦法も取ってきたから。」

これを聞いたイチカを除く三人が同時に聞いた。

「「レイカさんが負けたんですか?」」

「そうよぉ。名前はねナギツジ・タクマさんだったかしら。私が用いる格闘技を覚醒で全部避けられたのよ〜。」

「へぇ……レイカ姉が負けたんだ。」

「……あの人はとても強かった。はっきり言えば最後は運ゲーだったのよ。何せお互いの一手が一番自分のやりやすい型に誘導できるか否かがね。」

「レイカさん、もしよろしければ私を鍛えてくれませんか?」

「あら熱心ね。どうしたの?」

「……レイカさんに言われて気づいたんです。私もまだマリオンの事を理解出来てないことが敗因だったんです。ならば私もあなたのような強さを持つためにそれを間近でみたいんです」

「………ふふ、やっぱりそっくりねあなたは。」

「?」

ツルギはその言葉の意味がわからず首を傾げていたが、レイカは部室に着いたら教えてあげると言って足を進めた。

「しかし、レイカさんも来たら湯ノ森ガンプラ部もう無敵じゃないかな。」

「無敵ではないわ。どんな事柄にも相性や運が関わるもの。」

「よっしゃー!みんなでテンションぶちあげじゃーい!」

とイチカが勢いよく扉を開ける前にレイカは扉に蹴りを放って扉を吹き飛ばす勢いで蹴り壊した。

「「何やってんですかァァァ!!?」」

当然全員のツッコミはこれだ。

「…………。」

レイカの視線の先には壊れた扉が直撃したのか誰かが倒れていた。

「え?部室に入られてたのか!?」

「………。」

エタは無言で日本刀のレプリカを構えた。

「何者ですかあなたは!名を名乗りなさい!」

「……いたた、突然訪問したのが悪いとはいえ手加減をしてもらいたいものだね。」

起き上がった人物を見たツルギが驚いた。

「し、市長さん!?」

「「あ、アルマ市長だ。」」

「え?!知り合いなんですか!?」

ヒビキとエタのその距離感が感じられない反応に思わずツッコミを入れるツルギ。

「あらあら、アルマさんでしたか。」

「相変わらず激しいあいさつだね、レイカ。」

「あれだけのことしておいて悪びれてない!!?」

レイカの態度にもしっかりツッコミを入れる。

「あ、ソウちゃん!」

「ええぇ!?スキンシップ!!?」

最後はイチカの過剰(?)なスキンシップにツッコミを入れた。

「ははは、二週間ぶりだねイチカ。」

「どういう関係なのぉー!?」

「あ、ツルギちゃんざっくり説明するとね、私の父さんと母さんの親友でかつての日本チャンプだよ!」

「え?え?……次元がすごすぎでついていけない…。」

ツルギは頭を抱えた。

「そういえばソウちゃんどうして湯ノ森高校にいるの?」

イチカはアルマに抱きついたまま聞いた。

「あぁ、イチカに貰わないといけないものとプレゼントがあってね。レイカ、君が話そうとしてることにも少し関わりがあるものだ。」

「……お見通しということですか。やはりアルマさんには勝てませんねぇ〜…。」

「……そういえば部室に着いたら話すって言ってたのは?」

「……ツルギちゃん、そしてヒビキ君。君たち二人にとってはとても大切なことよ。」

そう言ってレイカは話し始めた。

「五年前、私は、当時湯ノ森高校にいた最強のモデラー。タカミヤ・ヒカルを湯ノ森ゲリラバトルで討ち果たしたのよ。激しい戦いだったわ。」

「!?……どうして兄さんの名前を。」

「まぁ、当時も今も本当にギリギリだったのよ?そして、彼はツルギちゃん。今あなたが使っているAGE2Breakerの使い手だったの。」


「マリオン、行くぞ!」

『ヒカル、あなたに勝利を……』

「アァァァセナル!フィンガァァァァァァッ!!」


「結果的にその後に、小中高の学生でチームを組むことになってヒカル君ともう一人で組んだのよ。その時に出会ったのが……。」

「僕の兄さん……アリネ・レイトだよね。」

「そう、これも運命なのかコアガンダムαの使い手だったのよ。」

「そして、私たち三人は四年前に大きな世界大会一歩手前の日本大会に出るつもりだったの。けど決勝戦の寸前に……。」

「兄さんが病死したんだよね……。」

「それで、試合は棄権したんだけどヒカル君も責任を感じてどこに行ったかわからなくなったのよ。」

(…兄さん。)

「でも、わたしは感じてる。あの二人の意志を貴方達がしっかり受け継いでる。そうでしょう?」

「……そりゃもちろん。」

「しっかりと受け継いでます……兄の事を。そしてマリオンも。」

「彼らと一緒に戦ったからこそ私は貴方達新生湯ノ森チームなら必ず掴めると思うの。私たちが届かなかったその先に。」

レイカは外を向いて話していたが、イチカには分かった。

だからこそイチカはこう言った。

「何言ってんのレイカ姉。レイカ姉もいっしょに行くんだよ?」

え?と言ってこちらに振り返ったレイカは一筋の涙を流していた。

「レイカ姉も合わせてこの湯ノ森ガンプラ部率いていくんだから!」

「……うん、エタちゃんもそうすると思う。きっとこれから仲間も増えていくかもしれないし!」

「僕も見てみたいです、レイカさんやヒカルさん、そして兄さんが見れなかった景色を。」

「私も、今は行方不明の兄に代わりタカミヤの人間として、タカミヤ・ヒカルの妹としてレイカさん、あなたを連れていきたいです!」

「…………ふふ、みんなガンプラファイトだいすきね。」

「もっちろん!じゃなきゃガンプラ部なんて作ってないもん!」

「……じゃあ、お姉さんも相乗りで連れて行ってもらおうかな。」

レイカがようやく笑った。

「……いい話だった。かつて行方が分からなくなっていたヒカル君と既に亡くなっていたレイト君。そしてかつて湯ノ森のチームだった君達三人。レイカ、君は今までかなり無理を重ねてきていたんだね。」

アルマは一通り聞いた後に相槌を打ち、レイカ達を見ていた。

「……はい。恥ずかしながら踏ん切りがついてなくてずっとやけくそになってた部分もありましたから。でももう大丈夫ですね。この子達は……いえ、私たちはきっと行きます。あの時見えなかった景色を見に。」

「うん!その意気だよレイカ姉!」

「さてと、そろそろ僕の話にも入っていいかい?」

「あ、ソウちゃんもしかしてこれのこと?」

イチカはデータデバイスからSDカードを取り出した。

「ん?イチカ、なんだそれ?」

「これはね、ソウちゃんの大切なものだよ。」

「あぁ、これはとても貴重なものだ。何せプラモトレースシステムの実戦データだからね。」

「…………ん?ちょっと待ってそれって新しくデータデバイスに入ってみんなも使ってるあのプラモトレースシステムの事だよね?確かにテストプレイヤーがいるって聞いてたけど。」

「あ、それ私!」

「「ええぇ!?」」

今度はアルマを除く全員がイチカに驚いた。

「…遡ること八年前さ。友人関係の都合であの時からレイカやイチカには光るものがあると思っていたのさ。」

 

八年前のあの日。

「さて、GBNに新たな試みを考えないとね。」

(そうとも、僕らよりもさらにより良いガンプラへの環境と意欲を市長たる僕自身が作らなければならない。)

プラモトレースシステムが完成寸前のそんな時だった。

GBNの接続ができる公園で一人で泣いてる女の子を見つけたんだ。

「どうしたんだい?」

「ぐすっ……うぅ……。」

最初は泣いてばかりいてどうしようもなかったから糖分補給の為に買っていたブラックサンダーをその子にあげたのさ。

そうして泣き止んだ時にぽつりぽつりと話してくれたんだ。

「みんな、ザクはかっこ悪いって言うんだ……。だから好きなガンダムと合体させたのに……カッコ悪いってバカにされたの……。」

僕は衝撃を受けた。

今まで全ての子供達にガンプラを手に取ってもらい、そして皆が喜んでいるだろうと思い上がっていたんだ。

「……そのプラモを見せてくれないかな?」

「……やだ。」

少女は頑なに見せるのを嫌がっていた。

だが僕はどうしても少女のガンプラを見たかった。

「……君のガンプラを見てみたいんだ。どうか信じて欲しい。僕は君のガンプラを絶対に否定しない。」

僕にそこまでの事を言わせるようなほど、少女の手にあるであろうガンプラの覇気を感じたのさ。

そして、少女は見せてくれた。

その時、僕には今までにない発想があった。

「これは一体……。」

「……ダブルオーガンダムの胴体とザクを組み合わせたの。か、カッコイイでしょ!カッコイイはずだもん!」

少女の純粋な目とそのガンプラに僕は魅せられた。

「あぁ、とても素晴らしいガンプラだ。一見アンバランスなように見えるが、上手く合わせられている。普通なら塗装をしているがこれは塗装をしない方がさらにいい味を出している……。これをバカにされていたのか………。」

その時、少女は目を丸くしたあと、嬉しそうに笑顔になった。

「おじさんが五人目だよ!私のザクを褒めてくれたの!」

そこで、僕は閃いた。

「ねぇ、君。名前は?」

「イチカ!デンノ・イチカ!」

(デンノ…そうか、ならば好都合だ。)

「ねぇイチカ。僕に少しだけ協力してくれないかい?」

そしてその時から僕とイチカでプラモトレースシステムの研究をしていたのさ。

実戦データをイチカに取ってもらい僕らでプラモトレースシステムをアップデートしていく。

そして僕の見込み通りイチカはとても素晴らしいポテンシャルでプラモトレースシステムをすぐに超えていった。

おかげでアップデートもかなり捗り実用可能なレベルになったんだ。

そして、その二週間後に公表することになった。

「……ねぇ、アルマさん。ほんとに私でよかったの?お姉ちゃんもレイトさんだっていたのに。」

「君のガンプラだからさ。僕は君のガンプラが気に入って君のおかげでプラモトレースシステムが完成したんだ。ありがとうイチカ。」

「………うん!」

そのプラモトレースシステムの公開テストではイチカが担当してくれた。

そして、彼女のZ-ark-IIが世界的に有名になったんだよ。

プラモトレースシステム最初の使い手だからね。

 

「そう、今でこそみんなが当然のように扱っているプラモトレースシステムはイチカのおかげで生まれたのさ。」

「すっご…」

「イチカのおかげで今の僕たちにプラモトレースシステムがたるわけか。すごいな。」

「イチカがそんな事を、私感動しました!」

「うんうん、さすがは私の自慢の妹ね♪」

「えへへへぇ〜そんなに言っても何も出ないぞ〜…。」

「まぁ、システムのアップデートの為に実戦データが必要だから取りに来たのさ。それとイチカ、これを。」

「ん?なにこれ?」

「新システムの為に必要なものさ。完成した時はガンプラ部相手には見せてもいいが普段はあまり使わないようにね?」

全員がなるほどと納得した。

「まぁ、私は分かってたのよね。イチカはだいたい一ヶ月の中間くらいになるとそわそわするものね。」

「う……バレてた……。」

「当たり前よ、シスコンを舐めないでちょうだい。可愛いイチカのことならなんでもお見通しよ!イチカのスリーサイズも寝言も性癖も実はアルマさんが好きなのも夜な夜な告白練習してるのも全部知ってるわ〜♪」

「おいやめろぉぉぉ!!それ以上言うな!」

((あ、やっぱりそうだったんだ。))

「な、なんですって!?風紀委員としてそのような不純異性交友など許しません!」

「違うってツルギちゃん!」

「当然スリーサイズなんて逐一把握してるもの〜♪」

「シスコンこじらせた重症じゃねぇか!」

「そんなことないわよイチカ!私は軽度のシスコンよ!ねえツルギちゃん?」

「いや、流石にそれは限度超えてる………。」

「ふふ、やはり君達こそ湯ノ森を導くガンプラマイスターなのかもね……期待してるよ、これからも。」

アルマはぎゃいぎゃいも騒ぎ始めたガンプラ部室から立ち去り、校門から出た時に車が止まった。

「おや、今回はずいぶんと早いね。」

「いつまでもアルマ様に振り回されるわけにはいかないので。」

「では、いつも通りに自宅まで送ってくれ。」

「かしこまりました。」

(さてと、イチカ。君の成長を楽しみにしてるよ。)

アルマは車に乗って湯ノ森高校を去っていった。




「なにこれ?」
「新しいシステムを作ってくれたんだー!」
「あ、可愛い。」
「お初にお目にかかります。」
次回、ガンダムビルドブレイカーズforWAR
第九話
「新しい下僕」
ガンプラファイト!レディーゴー!


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第九話〜新たなる下僕〜

皆さんお待ちかねぇ!
作者のワンダレルでございます。
さて、前回はソウゲツ・アルマと共に語られたこの湯ノ森において栄えたシステム、プラモトレースシステムとかつての栄光の三人のお話がありました。
そしてイチカはアルマから何やら受け取りそれが新システムとして生かされるようです。
プラモトレースシステムのアップデートはどのような影響があるのかは分かりませんが、とても期待できそうです!
それでは!
ガンプラファイト!レディーゴー!


イチカはさっそく持って帰った箱を開けて説明書と今回のアプデ内容を確認していた。

「ほうほう。………えぇ!?マジで!!?」

そう言ったあと、イチカは専用プラモ工具入れのタクティカルアームズ:(ワン)を取り出し、箱の中身のものを組み上げ始めた。

その様子を部屋の外から三人が見ていた。

「パパ、またイチカが楽しそうなことしてるわね!」

「うん、なにせアルマから任されてることに関してはイチカは熱心だからなぁ。」

「お父さんにお母さん、私はアルマさんの事は認めてるけどお付き合いとかはまだ許してないからね〜♪」

「パパもそうだぞレイカ!」

「もう、イチカの好きにさせてあげなさいよ。二人共ちょっと過保護すぎるわ。」

「「過保護で何が悪い!」」

「あら、じゃあ私のことはどーでもいいのね。ふーん。」

「そんなわけないじゃないかママ!」

「そうよお母さん!お母さんもお父さんも大切なんだから!」

と騒いでると中から歩いてくる音がして扉が勢いよく開けられる。

「うるっさいよ皆!今集中してるんだからお話するならリビングでしてよね!」

そう言うとイチカは勢いよく扉を閉めた。

レイカとヨシモリがしょんぼりしてると、アマリがくすくす笑った後に

「怒られちゃった♪」

と言い、二人を慰めながらリビングへと向かった。

(イチカ、貴方のその才能きっと誰にも無いものよ。それをアルちゃんが見据えてたのなら光栄ね。)

三人が降りていくのを聞きながらイチカは集中して制作に取り組む。

(ソウちゃんから任せられたんだもん!絶対に成功できる!)

〜翌日〜

案の定寝坊したイチカ。

「ぎええええぇ!!遅刻遅刻ー!!」

「あらイチカ、ずいぶんとお寝坊さんね。」

「あれ!?レイカ姉まだ学校行ってなかったの!!?」

「たまにはイチカに合わせようかなって。」

「いや、いつも合わせてんじゃん。」

「そんなことより急がなくていいのー?」

「あぁ!!ヤバい!」

イチカは慌てて昨日つくりあげた代物を四つをガンプラ入れに入れて朝ご飯をトランザムで食べきり

「いってきまーす!」

「いってきまーす♪」

レイカと同時に出発した。

なお、レイカも自転車の操縦テクニックは凄まじく、イチカ同様に人にぶつかることも無い。

全力疾走しながら会話ができるレベルである。

「そういえば昨日は楽しそうに作ってたわね〜♪」

「だってソウちゃんから頼まれたんだもん!」

「むー、最近はソウちゃんソウちゃんってアルマさんのことばっかり。お姉ちゃん拗ねちゃうぞ〜?」

「えー、だってレイカ姉重症のシスコンじゃん。」

「失礼ね、私はシスコンでも軽度よ!」

「軽度のシスコンが妹のスリーサイズを逐一把握してるかぁ!」

「当然の事よ!シスコンたるもの妹のスリーサイズくらい把握してなきゃ!そうだ!イチカもシスコンになりましょ!お姉ちゃんもスリーサイズ教えるから!ね?ね?」

「誰がシスコンになるかぁ!!あとレイカ姉のスリーサイズ知るのは謎に敗北感あるから嫌じゃァァァ!!」

そうしてなんとかギリギリ学校に間に合った。

「ぜぇ、ぜぇ。間に合ったぁ……。」

「ふう、いい汗かいたわ〜♪」

そして教室に着くとやはり注目が集まるものだ。

………レイカにだが

「おぉ、汗がかってるレイカさんもかわいい!」

「いや、むしろ凛々しいわ!」

そんな事を聞いてるイチカはぼそっと愚痴をこぼす。

「なんだよ皆してレイカ姉をちやほやして。」

「……どうしたのイチカ?嫉妬さんかしら?」

そう言ってイチカを後ろから抱きしめるレイカ。

「嫉妬してません!」

「あらあら、頬を膨らませて拗ねちゃって。可愛い〜♪」

「可愛い言うな!あと抱きつかないで恥ずかしいんだから!」

「やだ〜♪」

そして、この姉妹のやり取りである。

((あ、この姉妹は尊い。))

クラスの一部のメンバーからは推しの姉妹と言われていることをイチカとレイカはまだ知らない。

(朝から僕は何を見せられてるんだ。)

ヒビキの心ばかりのツッコミと共に授業が始まる。

なお、ここだけの話だがイチカは成績もトップクラスの一人であるため、裏では出来るタイプのガンプラ大好きっ子と言われている。

そして放課後。

「おっしゃぁー!テンションぶち上げていこー!!」

「「おー。」」

ガンプラ部の活動が始まる。

だが、今日はツルギがまだ来ていない。

「あれ?ツルギさんは?」

「持ってくるものがあるって言ってたけど。」

「何かしら……。」

すると噂をすればなんとやら。

そのツルギが現れた。

大量のブラックサンダーを携えて。

「お待たせしましたイチカ。約束のブラックサンダー三週間分です!」

「「え?ほんとに持ってきたの?」」

エタとヒビキが同時にツッコむ。

「あらあら、約束を守れる子は偉いわよ〜♪」

レイカが呑気にそんなこと言って

「わーいブラックサンダーだー!」

イチカは大喜びしてる。

そしてイチカはタクティカルアームズ:Ⅰを置くと、みんなに注目ー!と言って話し始めた。

「ふっふっふっ、今日は君たちにお披露目するソウちゃんのプラモトレースシステムのアプデ内容を実演を含めて発表してしんぜよう!」

ブラックサンダーを頬張りながらそう言った。

そしてイチカはゴソゴソと四体の小さなザクのガンプラ(?)を取り出した。

「………SDクロスシルエット?」

「ノンノン!これはモビルスーツアンサンブル!ガシャポンにあるやつ知ってるでしょ?」

「でもこれガンプラじゃないでしょ、いっちゃん?」

「ところがぎっちょん!新アプデでクロスシルエットだけじゃなくてBB戦士とかモビルスーツアンサンブル、果てにはGフレームとかの食玩も参戦できるようになったのだ!そしてなんとなんと!戦艦のプラモデルあるでしょ!宇宙戦艦ヤマトとかの戦艦も読み込めるようになりました!」

「「ええええぇ!?」」

これは誰しもが驚かざるを得ない。戦艦のプラモデルがガンプラファイトに参加できるとは思わなかったからだ。

「そしてそしてぇ!なんと!FA(フレームアームズ)シリーズと30MM(サーティ ミニッツ ミッションズ)シリーズ、そして直接的なバトルには参加はできないけどアプデ内容のサポートAI機能にて使えるし動かせるようになるのはFAG(フレームアームズ・ガール)シリーズ、30MMS(サーティ ミニッツ ミッションズ シスターズ)シリーズもスキャンできるようになったぞ!」

「「な、なんだってぇぇぇっ!?!」」

当初から有名だったあのFAシリーズと30MMシリーズもスキャン可能になりガンプラバトルに参加できるとは思うまい。

「でもそれガンプラバトルじゃなくなるんじゃ……。」

「大丈夫大丈夫!ソウちゃんが何とかしてくれるから!」


〜その頃、湯ノ森市役所にて〜

「くしゅん……。」

「風邪ですか市長?」

「かもしれないね。」

(何か大事を丸投げされたような気がするが気のせいだろう。)


「これで今までFAシリーズの武器とか30MMシリーズの武器がスキャンされないなんてことが無くなって幅が大きく広がるぜ!」

「ちょっと待ってくれ!てことはFAシリーズに出てたMS少女とか艦これとのコラボは!?」

「無論、サポートAIとして動かせれるぜよ!」

驚きが隠せなかった。

(イチカ、アルマさん一体あなた達はどれだけのことをやってのけたんでしょうか。多分、ヴァルキリーゼロの伝説よりもさらに伝説になる気がします……。)

「というわけでそれの実機テスト!」

そういうとイチカは四つのガンプラ(?)にデバイスを構えてこういった。

「サポートAI起動!セットアップデータ!ザクちゃんず!」

イチカがそう言うと、ザクの目が光った。

「……なるほど、こちらが。」

「し、喋った!?」

ヒビキが驚く。

「ふふん、ちなみに戦艦クルーみたいなことと整備も出来るからかなり万能な触れ合えるAIだよ!」

「初めまして、私はZ-ark(ジ・アーク)家の長女ゼルです。以後お見知りおきを。」

その後に二体目が続いて喋る。

「おう!アタシはZ-ark家の次女アイカだ!蜂の巣にされたくなかったら余計なことはすんなよ?」

「ほぇー、性格もあるんだぁ。」

「もっちろん、その辺もしっかり設定もりもりだからね!」

イチカが自慢げに言う。そして三体目が続く。

「うふふ、私はZ-ark家の三女ケイラ。敵は全部私が焼き払いますわ♪」

「……な、なんか怖い子いる。」

ツルギが少しだけ引き気味になる。続いて四体目が喋りだした。

「……Z-ark家の四女アル。ゲームの邪魔はしないでね……。」

「あらあら、可愛い子。」

レイカが微笑む。

「これによって!マリオンとも仲良くできるのだ!」

「……え?コンバート出来るの!?」

「もっちろん!ソウちゃんに抜かりなし!」

「じゃあ私も……」

「あー待った待ったツルギちゃん!これまだテスト段階で公表されてないからもーちょっとだけ待っててくれる?実用可能になったら真っ先にツルギちゃんとこに持ってくるし、ソウちゃんが湯ノ森ガンプラ部に専用デバイスを贈与するって!」

「そういえばイチカのデバイスが変わってるね。」

「ふふん、これこそ新デバイス!GBNギア!従来のデバイスとは比べ物にならないくらいなのだ!」

「いいなぁいっちゃんだけー!」

「ふふふ、何せ私はソウちゃんが開発に携わってるデバイスのテストプレイヤーだからね!」

((うわぁ、そこまでアルマ市長のこと好きなんだ。))

「これからよろしくね!ザクちゃんず!」

「よろしくお願い致しますマスター。」

「よろしくな!」

「よろしくお願いします〜♪」

「よろしく……。」

ザクちゃんず。

この力はいずれGBNに革命を起こすかもしれない存在達である。




「そういえば他クラスの人にも来て欲しいなぁ。」
「へぇ、湯ノ森ガンプラ部か。面白そうだな!」
「よっしゃ、ダブルスでやろーぜ!」
「んじゃ、行くよ!エタっち!」
「あいさーいっちゃん。」
次回
ガンダムビルドブレイカーズforWAR
第十話
〜決闘者達〜
ガンプラファイト!レディーゴー!


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第十話〜決闘者〜

皆さんお待ちかねぇ!
作者のワンダレルです。
前回、イチカはアルマの依頼により、テストプレイとして新たな仲間サポートAI「ザクちゃんず」を手に入れました。
そしてなんとガンプラ以外のプラモもスキャン可能にし、ガンプラバトルに新たな可能性が生まれました。
このザクちゃんずのようなサポートAIや他のプラモデルの介入によって後のGBNにどれほどの影響を与えるかはわかりません。
しかし、未来は明るいものです!
さらなる戦いの舞台は既に始まっています!
それでは!
ガンプラファイト!レディーゴー!


ただいま放課後。

「よーしよし、たーんとお食べザクちゃんず!」

「「いただきまーす。」」

イチカがザクちゃんずに食事を与えていた。

「………あれ、食べれるんだ。」

「………ザクちゃんずの凄さってなんだろ?」

エタとヒビキがそんな話をしてる最中に、奥からバトル音が聞こえてくる。

「そこ、隙が大きい!」

「はい!」

「マリオンもツルギとの連携をしっかりと!」

『えぇ!』

レイカがツルギとマリオンの両方の修行をしていた。

が、今日はここまでのようだ。

「お疲れ様、二人共。」

「ありがとうございます、レイカさん。」

「日に日に強くなっていってるし、連携の練度もあがってるわね。この調子で頑張りましょ♪」

『ツルギ、お疲れ様。』

「ありがとうマリオン。」

二人の関係も良好なようである。

すると、ゼルが何かを感じたように頭を上げた。

それをみたイチカが声をかける。

「どしたのゼル?」

「……客人のようですよ、マスター。」

ゼルのその言葉に続いて扉が開く。

「……ほぇー、ここがガンプラ部かー!」

「どーも。」

入ってきたのは二人の男子生徒。

「怪しいヤツ、名を名乗れぇい!」

イチカがモデルガンを引き抜き、エタがレプリカの日本刀を構える。

「はいはい、二人共それ使ったらダメだからね。」

そのふたつをそそくさと没収するヒビキ。

「それで、あなた達は何の用でここに?」

ツルギがそう聞くと

「「ガンプラ部に入りたいから。」」

と声を合わせて言った。

「おぉ!侵入部員!歓迎するよ!」

イチカは大喜びした。

「………まぁ、そうなると……。」

レイカが少し考え込んで言った。

「イチカに男の手が二つ増えるわけね。」

「いや、そうはなりませんよレイカさん。」

「ガンプラファイトしちゃう?」

イチカが挑戦的にそう言うと二人はもちろんと答えた。

「そういえば君たち、同じ一年生だから一応名前とクラスを教えてくれるかな?」

「一年B組、シジマ・ルヤです!よろしくぅ!」

「同じく一年B組、コマノ・イツキっす。」

この二人のことはなかなかに噂になっている。

なんともちょっとした事での喧嘩が絶えないが、ガンプラバトルでは喧嘩しながらも相手を倒せる実力の持ち主たちだ。

「ふふん、ダブルスでどう?コマにルヤ!」

二人はおぉー!と喜び同意しやろうやろうという事でガンプラバトルターミナルへ向かった。

「よし、じゃあ行こうかエタっち!」

「あいあいさぁー!」

「興味深いわねぇ、あの二人の戦闘。」

レイカがボソッとそう言った。

「ルールはダブルス、制限時間は五分。お互いルールを守ってガンプラバトルを!」

ツルギが恒例のジャッジを務めるようだ。

「ルリネ・エタ、ガンダムヴァルキュリア。行きます!」

「ダブルオーザク、デンノ・イチカ。目標に飛翔する!」

「シジマ・ルヤ、ガンダム・アレルレクス。行くぞ!」

「コマノ・イツキ、プロトデュエルドールY、行くぜ!」

四体のガンプラが同時に出撃した。

今回のフィールドは平地。

障害物が最も少ないステージで一騎打ちなどにはもってこい。

「ふふん、最近エタちゃんもうずうずしてたからなぁ。」

「お?エタっちやる気じゃん?」

「師匠直伝の流派を受けてみよ!」

「いやそれお前が言いたいだけじゃん。」

「なんだとルヤぁ!!」

「んだとコマぁ!!」

向こう陣営は何故かぎゃいぎゃいと喧嘩を始めた。

「……いっちゃんこれチャンスじゃない?」

「……チャンスだねエタっち。」

「「………やるか。」」

イチカとエタが悪い笑みを浮かべる。

((うわぁ、清々しいくらい卑怯だ。))

ツルギとヒビキが同じツッコミを内心で行う。

「おしゃあ!もらった!」

イチカがGNヒートホークをアレルレクスに振り下ろし、エタもGNセイバーでデュエルドールを斬ったが、手応えがない。

「「遅いっ!」」

コマとルヤが同時にカウンターを入れ、イチカとエタが吹っ飛んだ。

「あたた……隙がない!」

「喧嘩してるのはわざとなのあれ?」

「どんな時でもチェックシックスってなぁ!」

ルヤがメイスを構えてイチカのダブルオーザクに突っ込んできた。

「うお!?危ない!」

イチカは慌ててGNヒートホークでかち合わせた。

そこから、ルヤとイチカによる斧と槌による応酬が始まる。

「すっご。」

「よそ見してる間はないと思うけどね!」

エタの方にはコマが攻撃が入る。

「……へぇ、近距離レンジかぁ。」

「まぁ師匠の技があればそうそう負けやしないしね!」

「……いいよ、エタちゃんもレイカさんに惨敗してから近距離レンジは特訓してきたしね……見せてあげるよ。マジエタちゃんを!」

その頃、外部ではヒビキとツルギが戦況を見ていた。

「今回の戦いどう思うツルギ?」

「そうね……はっきり言えば本当にガンプラ部にいなかったのが惜しいくらいにはあの二人はとても強いと思う。見てみなさい、あのイチカとエタが少しずつとはいえ追い込まれている。」

「……ホントだ。」

「喧嘩するほど仲がいいとはよく言うけど、まさにそれを体現してると思う。このままだと……。」

ダブルオーザクがメイスが直撃し吹き飛ばされた後にテイルブレードによる追撃が入る。

たぶん、かなり大ダメージが入ってるだろう。

「アレルレクス、もっとよこせ!」

ルヤが阿頼耶識システムのリミッターを解除し、猛攻を始めた。

為す術なく、ダブルオーザクは殴られ蹴られを繰り返される。

「トドメじゃァァァ!!」

ダブルオーザクはそのまま壁に投げられたあと、メイスの投擲と同時にテイルブレードで貫かれた。

そしてエタもまた追い詰められ始めた。

「ぐっ……はや!?」

圧倒的な速さの斬撃。

プラモトレースシステムを完全に把握しきらねば到達できない領域にある。

(この正確さ、まるでレイカさんみたいだ!)

「行くぞ!秘技ライトニングフォール!」

デュエルドールが跳躍し、剣をヴァルキュリアに突き立てた。

「がっ……!!」

そして、ヴァルキュリアはスタン状態になった。

「……マジか!?」

「……行くぞ、師匠直伝最終奥義……。」

デュエルドールが剣を揺らめかせ突きの構えを取った。

無論、まだスタンは解除されてない。

マザーズロザリオッ!!

目に見えない速度で放たれる十字状による刺突攻撃。

そして、最後に中心部に強烈な一撃を放つ十一連撃。

「……嘘、あの技って……。」

ツルギが驚くのも無理はない。

何せあの技は。

「確か、有名ガンプラマイスター、コンノ・ユウキが編み出したOSS(オリジナルスキルシステム)で、継承しないと使えないはずのものだからね。OSSが実装されたのは一年前。そしてマイスターユウキには弟子がいると聞いてたけど、まさかコマだったとは。いや、思えばマイスターユウキのデュエルドールを持ってることがまず、彼がマイスターユウキの弟子であることは明白だったな。」

エタはかなり傷ついたヴァルキュリアを起き上がらせた。

「……つよ。」

イチカも同じくダブルオーザクを起き上がらせた。

「連携やっばい……」

「まだ、倒れてないか……アレルレクスで全力で破壊する!」

「あれを食らってまだ立てるのはすごいけど、これで決めるぞルヤ!」

「言われなくても分かってるっつの!」

二機が同時に突撃してくる。

「………あ。この試合イチカ達が勝ったわね。」

「え?この状況下で?」

「私はこの状況を見たことある。今、イチカとエタがね。」

「笑ったのよ。」

「……え?」

ヒビキとエタはレイカのその言葉を理解できてなかった。

「エタっち、本物の連携っての見せてやろーぜ。」

「うむ。」

デュエルドールとアレルレクスの一撃が直撃する寸前。

「TRANS-AM!!」

「TRAN-ZAKU!!」

同時にトランザムを起動し、二人のガンプラが紅く染まる。

そして、神がかった回避を二人は同時に行った。

「んな!?」

「避けられたか!だが、状況は変わらない!」

「阿頼耶識で手に取るように分かるぜぇ!!」

無論、アレルレクスのテイルブレードがイチカを襲う……が。

ガシュウゥゥン!!

イチカはテイルブレードをGNヒートホークで受け止めながら、テイルブレードの線の部分を掴んだ。

「な!?」

「どっせぇぇぇぇぇい!!」

そしてイチカはそのまま、デュエルドールの方へとアレルレクスをぶん投げた。

もちろん、エタの方は斬撃に追いつけるほどの素早さとなった。

「なら俺も!」

コマはトランザムを使い、パーツの性能を上げた。

だが、何故か今までと違い、攻撃が全ていなされる。

(あ、当たらねぇ!?)

「まだまだぁ!!」

エタがGNセイバーの攻撃を当て始めた。

「同じトランザムのはずなのに!」

「同じトランザムでも、練度が違うんだよぉ!!」

エタの口が少し悪くなった。

そんな状況だ、コマは見事飛んできたルヤにぶつかり体勢を崩した。

「バッカなにやってんだよルヤ!」

「るせぇ!お前こそしっかりしろよ!」

だが、エタとイチカがそれを見逃さない。

すれ違いざまに二人の攻撃がルヤとコマの機体に入る

そして、何十連続もの往復で、ゴリゴリと削っていく。

「がっ……調子乗んなぁぁ!!」

「くっ、体勢を!」

ルヤがすかさずテイルブレードを、コマがOSSパリィングの構えをするが時すでに遅し。

プロトデュエルドールYの剣をイチカのGNヒートホークが叩き割り、そして、ガンダムアレルレクスのテイルブレードをGNスリンガーで弾きながらGNセイバーで根元を斬った。

それと同時にイチカとエタはコマとルヤを挟んだ対曲線上に並んだ。

「行くぜエタっち!」

「あいあいさー。」

そこから、GNヒートホークとGNセイバーによるラッシュが始まった。

「「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァッ!!」」

最後は通り抜けるようにプロトデュエルドールYとガンダムアレルレクスを真っ二つにしながら切り裂いた。

バトルエンドの音声と共に、ダブルオーザクとガンダムヴァルキュリアが拳を合わせる。

「す、すごい。」

「あの状況からひっくり返せるのはなかなかいないよ。多分、今の所イチカと一番相性がいいのはエタなのかもな。」

「えー!お姉ちゃんを差し置いて!そんなの許しません!」

「はいはい落ち着いてレイカさん。」

その頃の四人

「かぁー負けた負けたぁ!」

「くっそー、ルヤがしくじらなけりゃ……。」

「なぁんだとコマ!お前だって!」

「あっはは、二人共まだ喧嘩してる。」

「二人共凄いよ!是非ともガンプラ部として一緒に頑張ろ!」

「「あいよ!まぁコイツには絶対負けないけど!」」

「あぁ?寝言は寝て言えよコマ?」

「おうおうルヤ君、虚言癖は相変わらずだねぇ?」

「………大丈夫かな、これ。」

 

 




「むむ!?またしてもトランザム使い!」
「行こうか、マイガンプラ!」
「んん?普通のトランザムとは違う!!」
「集いし願いが新たに輝く星となる!光さす道となれ!」
「シンクロトランザム!」
次回
ガンダムビルドブレイカーズforWAR
第十一話
〜同調するガンプラ〜
ガンプラファイト!レディーゴー!


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第十一話〜同調するガンプラ〜

皆さんお待ちかねぇ!
作者のワンダレルです。
さて、前回はルヤとコマ、そしてイチカとエタによるダブルスにおいてコマとルヤの喧嘩しながらのコンビネーションと圧倒的な力に苦戦するものの、やはりさすがは名コンビ。
見事イチカとエタは最高難易度の連携で二人を倒し、無事メンバーが増えました。
着実に増えていく湯ノ森ガンプラ部にまた一人、足を伸ばしてる生徒がいます。
この仲間たちとの出会いはきっと無駄にはならないでしょう。
それでは!
ガンプラファイト!レディーゴー!


湯ノ森高校において、ガンプラバトルはよくあることだ。

しかし、勉学も同じく必修である。

無論それは中間テストでも大切である。

「だがしかし、このイチカさんはなんと常に八十点以上なのだ!」

ドヤ顔でイチカが見せびらかす。

「ほんと不思議だよねエタ。」

「そうだね、ヒビキ。」

「謎が謎を呼んでる………」

「あらあらイチカさすがね。お姉ちゃんは全科目九十点台で精一杯よ〜。」

「おい待てお前ら私の事なんだと思ってたんだ。」

「「ガンプラのことにしか頭にないガンプラバカ。」」

エタとヒビキがストレートに突き刺す。

「ぐふっ……」

「えと、その。イチカ?確かにそれはあなたのガンプラバトルに対する姿勢があまりにもやばすぎて勉強が出来てないのではという心配だと思うんですよ。たぶん、そういう意味なんです!」

ツルギがフォローに回る。

しかしフォローになってない。

「うるさぁぁい!この牛さんめ!そのだらしない脂肪で何人男をたらしこんで来たんだ!吐け!今すぐに!」

「ちょっ!?やめてくださいイチカ!胸揉まないで!」

「ふーんだ!どーせいっぱいたらしこんでんでしょ!」

「な!?そんなこと絶対しません!タカミヤの人間たるもの常に正々堂々と戦いを挑みます!どんな時も卑劣な手は使いません!」

(いや、そーいう意味じゃないと思うんだけどね。)

「ええい!そうやって偉い子ぶってその実その大きなモノを使ってあの手この手で卑劣で姑息な手を使ってるんでしょ!」

(いや、いっちゃんのその手のある位置が卑劣極まりないというかなんというか……。)

「あらあら、お姉ちゃんも混ぜて欲しいな♪」

「ちょっ、レイカさん!?」

1-C組は相変わらずガンプラ部によって混沌(?)としていた。

そして、シロー先生の特別ホームルーム、クラス対抗ゲリラガンプラバトルが始まった。

イチカは早速バトろうとしたが。

「あれ?!もう全員枠埋まってる!!」

気がつけばもうほとんどペアが完成していた。

「むぅ、偶数クラスだから誰かいるはず!」

イチカはキョロキョロと見回すと、後ろから二番目の窓際にいる女子を見つけた。

「ね、ガンプラファイトしよ!」

「………。」

何故かスルーされる。

「ねぇ!ガンプラ持ってるでしょ!やろーよ!」

「………。」

相変わらず窓を見て無視をしてるこの生徒は那須 星羅(ナス・セイラ)。ガンプラを製作してるのは見たことはあるが、バトルはあまりしてなかった。

そして、イチカは少し拗ねた。

「もー!なんで無視するのさ!」

イチカが少し怒った。すると

「……ぷっ、くすくす。」

なんとセイラはそんなイチカを笑った。

「ちょ!?聞こえてたのなら反応してよ!」

「いや、ごめんごめん……君の反応が面白くてついね。」

「むー。」

イチカが頬を膨らませさらに拗ねる。

「分かってる、お望みはガンプラファイトだろう?私もちょうどチューニングが終わったところなんだ。」

「わーい!やろー!……っていうかセイラさんあんまりバトルしてるの見た事ないね。」

「セイラでいいよ、同級生だしね。ま、私にも秘策があるからさ。きっとイチカもワクワクすると思うよ。」

「ほほーう、それは是非とも試したい!」

イチカとセイラはデバイスの接続を始める。

「ん?そのデバイス……。」

「んえ?……あ、あぁ、これはね!先行配信のキャンペーンに当たった最新式のデバイスなの!」

「へぇ、最近プラモトレースシステムを取り入れたデバイスのアップデートが早いね。」

「うんうん、早いしアップデートがいい面白さを出してるし!」

「ふふ、思ったより楽しめそうだ。」

そして、ダイバーギアをベースにAR化を進めたダイバーベースにそれぞれがガンプラを設置する。

「デンノ・イチカ、ダブルオーザク!決闘を挑む!」

「ナス・セイラ、ジャンククアンタ。決闘に臨む!」

フィールドはAEU基地。

「お?レアフィールド!通称スペシャル二千回模擬戦フィールドだー!」

かの有名なパトリック・コーラサワーの初登場した結構このフィールドが当たることは少なく、イチカはしばらく眺めていた。

すると、セイラのガンプラがこちらに来た。

見た目はゴツそうな装甲、ボロボロのマントを付けた継ぎ接ぎのティエレンのような見た目だが、GNソードIVを握っていた。

そしてセイラはこう言った。

「おい、デュエルしろよ。」

「……やる気満々って感じね!受けて立つ!」

二人が同時に構える。

「ガンプラファイト!レディーゴー!」

決闘(デュエル)!!」

二人が叫ぶと同時にイチカはピストルビットIIを、セイラはGNソードふぉーをライフルモードに切り替えて撃ち始めた。

双方が入り乱れるビーム。

だが、なかなかお互いを捉えれない。

ダブルオーザクもジャンククアンタもGNドライヴを備えている為GNフィールドによる軽減効果があるのだ。

(このままじゃ埒が明かないな。)

イチカはすぐさま判断をし、ザクバズーカスタムを構えぶっ放した。

が、そう簡単に当たるわけが無い。

「クッソ!ティエレンの性能じゃない!どんなパーツ使ってんの!!?」

イチカのその言葉にセイラは答えた。

「パーツは全部ジャンクパーツから取り寄せた。実質拾った。」

流石にイチカもその言葉には絶句した。

この高性能なプラモが全てジャンクパーツだけで構成されてるとは思えないほどの性能をしてるのだ。

しかし、そんな余計な思考をしてる間に距離を詰められていた。

「やっば!」

「そこ!」

GNソードVとGNヒートホークがぶつかり合う。

「やるね、イチカ!」

「そっちこそ!こんな逸材がいたなら是非ともガンプラ部にスカウトしたい!」

「だが全ては!」

「「このバトルが終わってから!」」

そこからは大型斧と大型剣のぶつかり合い、鍔迫り合いが繰り返された。

なお、二人は夢中で気づいてないがバトルが終わったレイカ達が横目で見ており、とても盛りあがっていた。

離れてはぶつかり、離れてはぶつかりを繰り返し。

なかなかに決着がつかなかった。

「やるじゃん!」

「そっちこそ!ならそろそろ本気で行く!」

すると、セイラはGNドライヴをフル稼働させた。

「集いし願いが、新たに輝く星となる!光さす道となれ!シンクロトランザム!」

ジャンククアンタがトランザム特有の赤色に染まり、一気に上空へと加速した。

そして、上昇しながらパージしたのだ。

「飛翔せよ!0(ゼロ)クアンタ!」

外野が大きく騒いだ。

当然だ、ティエレンのようなものからダブルオークアンタが出てきたのだから。

それと同時に、イチカは感じたことの無いスピードを雰囲気で悟った。

「…この感覚久しぶり。しかもカッコイイ……私も負けらんない!TRAN-ZAKU!」

イチカも負けじとトランザクを起動する。

そして、再びイチカとセイラはぶつかり合う。

しかし、0クアンタのスピードが桁違いに上がっており、少しイチカが苦戦し始めた。

「やっば、めちゃくちゃ速い!?」

「まだまだ!」

連撃がダブルオーザクに入り、ダメージが蓄積される。

「……こうなったら不完全だけどあれをやるしかない!」

イチカには切り札があった。

しかし、不完全であるため出すのを渋ってきたがそんなことを構ってる場合じゃない。

「やぁぁってやるぜぇぇぇぇ!!」

イチカはGNヒートホークを横薙ぎするように構えた。

そして、ツインドライヴにブーストをかけ、さらにトランザムの質量を上げた。

そして、GNヒートホークの刃の部分のビームが巨大化した。

「トランザク!ライザァァァァァァッ!!」

その名もライザーアックス。

ライザーソードをGNヒートホークで使えるように改良した新たなイチカのダブルオーザクの必殺技。

そして、横薙ぎに一気に振り払いマップも何もかも、全てを破壊し尽くした。

そして、薙ぎ払ったあと、ダブルオーザクはトランザムを強制解除されクールタイムに入った。

「………マジか。」

イチカは0クアンタに先程の一撃を不意打ちにも関わらず避けられたことに衝撃を持っていた。

「ナイス必殺技。ならお返し。」

0クアンタが飛翔し、GNソードVを構えた。

「行け!0クアンタ!シューティングソニック!!」

そして、ダブルオーザクを横薙ぎに払い、一撃で落とした。

バトルエンドの音声と共に歓声が上がった。

このC組において、イチカに勝てたクラスメイトはレイカ以外にいなかったが、ここにナス・セイラという強者が現れたのだ。

「いやー!負けた負けた!お見事セイラちゃん!」

「こちらこそ、いい決闘だったよ。」

お互いが握手をした。

ビルダーたるもの、ファイトをした相手には敬意を表すのは当然のことである。

「ねぇ、ガンプラ部興味無い?」

「………。」

「ダメ?」

「………。」

「もう!聞いてるの!!」

「ぷふ……いや、やっぱりイチカの反応は面白くてね。」

「もー!真面目に聞いてよ!」

「いいよ、けどひとつ言っておくとね。」

セイラはイチカの唇に人差し指を当てこういった。

「私はレアだよ。」

とニッコリ笑った。

さすがにこれにはイチカもドキッとした。

「おおう、この子女の子なのに女の子落としにきてるよ。あ、入部祝いにブラックサンダーどうぞ!」

「いただくよ。」

こうして、湯ノ森ガンプラ部はさらに人が増えた。

今日もまた放課後は騒がしくなる。




「あれ?バイトに来たの?」
「ち、違います。」
「さて、頑張って切り盛りしてくわよ!」
「おー!」
次回
ガンダムビルドブレイカーズforWAR
第十二話〜お仕事とバイトとブラックサンダー〜
ガンプラファイト!レディーゴー!


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第十二話〜お仕事とバイトとブラックサンダー〜

皆さんお待ちかねぇ!
作者のワンダレルです。
前回、ナス・セイラと0クアンタに敗れたものの、最高のガンプラファイトをイチカは繰り広げてくれました。
今回はどうやら、電之商店に関わるお話のようです。
何やら話し込んでるみたいですが、詳細は私には分かりません。
それでは!
ガンプラファイト!レディーゴー!


土曜日、学生たちにとってはフィーバータイム。

金曜日の地獄から解放され、日曜日のように月曜日に怯える必要も無い。

まさにフリーダム。

………一部を除いてだが。

「いらっしゃいませー!電之商店をご利用いただき誠にありがとうございます!今回はなんと!あのHGシリーズからロードアストレイΩが入荷してますよ!ぜひぜひお買い求めください!」

イチカのそのかけ声を機に人がぞろぞろと集まってくる。

そう、電之商店のバイトさんは朝が早いのだ。

「いらっしゃいませー。」

エタもイチカに続けて接客をしている。

最初はレジに苦戦してたが、エタは光るものがあり、高速で行えるレベルになった。

まぁ、お母さんのスパルタ修行の賜物だけどね。

そして、仕入れの方はお父さんとヒビキの二人でやっている。

でも、やはり目を引くのが……。

「うふふ、電之商店の仕入れたガンプラ、是非とも完成させてくださいね♪」

「は、はい……。」

男女問わず人気のあるレイカ姉の客引きがすごい。

(ヴァルキリーゼロは伊達じゃないな。)

抜群のプロポーション。

そりゃ客引きには最適だ。

「……ん?」

妙に店員が多いような気がする。

私、ヒビキ、エタっち、レイカ姉、父さん、母さん、あともう一人棚に追加してる人がいる。

「………んんん?」

待って、なんか多くない?!

私は母さんに事情を聞くことにした。

「母さん、従業員雇ったの!?」

「ん?あーもしかしてミズキちゃんのこと?」

「……ミズキちゃん?」

「ミズキちゃーん!こっちにいらっしゃーい!」

はーいと言う声からしばらくしてこちらについた。

「あ!もしかして店長が言ってた娘さんですか!」

「え?あ、どうもデンノ・イチカです。」

「私は高岡瑞希(タカオカミズキ)。大学生なんだけど借りてるアパートがまさかのヤのつく人が管理してるところで倒産しちゃったから住む家もなくてここで居候しながらバイトをしてるのさ!」

(思った以上にとんでもない人が来たぁァァァァッ!!)

「ん?居候?」

「そう、余ってる部屋があるからそこで寝泊まりしてもらおうかなって!」

「おぉ、さすが母さんだ!」

「そういえばみっちゃん。」

「みっちゃん…ん?私のことか!どしたの?」

「ガンプラ作ってる?」

「いやー残念ながらガンプラじゃなくて戦艦はよく作ってるのよ〜。」

「そっかぁ、じゃあバトルは出来ないのかぁ。」

「でも、そろそろGBNデバイスのアップデートで戦艦が参戦出来るからイチカちゃん達の戦艦を作ろうかなぁって!」

「おぉー!!いいの!?」

「うん!艦長は任せて!」

「えーこほん。さ、二人共お客さんを迎えに行くわよ!」

「「はーい!」」

そして、ある程度お客さんを捌き終えたとき、マスクを付けて帽子を被った人が母さんに声をかけていた。

「あの……ここでバイトを募集してるって聞いたんですけど……。」

「あら、バイト志望者?えぇ、大歓迎よ!」

私はその人の背後にこっそり近づいて、胸を鷲掴みにして揉みしだいた。

「ぴうっ!!?な、何をするんですか!!?」

「そういうツルギちゃんこそフル装備で何してんの?」

私はツルギの胸を揉みながら尋問する。

「え、えっと、ガンプラを買いに……。」

「ダウト。それならその手にある履歴書いらないよね?」

「ひう……。」

「バイトしないって言ってたよね?」

「だ、だって……。」

「だってみんな楽しそうにしてるんだもん!うわぁぁぁん!」

なんと、ツルギは泣き出してしまった。

「えぇ!?ツルギちゃんなんで泣いてるの!?」

「え?ツルギさん!!?」

「んお?ツルギ氏だ。」

「あらツルギちゃん。」

「あーよしよしツルギちゃん泣かないで?」

イチカが宥めてしばらくして。

ツルギが、土下座してた。

「お見苦しいところを見せてしまい申し訳ありませんでした。」

「ま、まぁそれはいいとして、なんであんな風にコソコソしてたの?」

「……なんというか、その。風紀委員がバイトなどしていいのだろうかって……。」

「なーんだ、そんなことか!」

イチカはそういうと肩を叩いてこう言った。

「好きなことを好きなだけやって何が悪いの?だったら好きなこといーっぱいやろうよ!」

「………それもそうですね。」

「てなわけで、ツルギちゃんは看板娘ね。」

「………へ?」

イチカはツルギの胸を鷲掴みにした。

「まぁねぇ、そんな大層なものぶら下げてんですからねぇ、是非とも看板娘してもらいたいですねぇ、ねぇ?」

「いたたたたた!!?何をするんですかイチカ!」

「やかましゃあ!いいから行ってこいやぁ!」

「いいなぁ、お姉ちゃんの胸も好きなだけ揉んでいいのに。」

「レイカさん、それ普通にアウトですからね。」

レイカのボケにヒビキが冷酷にツッコミをいれる。

そして、見事土曜の激務を乗り越えた。

「ふー疲れた疲れたァ。」

「お疲れ様みんな。おやつのブラックサンダーよ!」

アマリがどっさりとブラックサンダーを持ってきた。

「皆さん、お疲れ様です。お茶をどうぞ。」

ゼルが湯呑みを持ってきてみんなにお茶を出した。

「……いつも思うがザクちゃんずすごいなイチカ。」

「うん!何せサポートAIで動かせるからね!」

「時代も進化したわねぇイチカ。」

「………そういえばツルギさんが欲しいものって。」

「……ブルーディスティニーかな。いつかサポートAIとして自立できるようになったらマリオンとお話したいし。」

「おぉ、お父さんは感動したぞぉぉ!!」

「パパ、落ち着いて。」

アマリがガーベラストレート包丁をヨシモリの頭スレスレに突き刺す。

((世の中敵に回しちゃ行けない人もいるんだな………。))

「皆、ありがとう!今度お母さんにもお礼させて欲しいな。」

「いえいえ、お構いなく!」

みんながそれぞれバラバラに帰路について帰って行った。

そういえばミズキさんの戦艦ってどんなのなんだろう。

「え?戦艦見たい?」

ミズキはそういうとひとつのダンボールをあけて取り出した。

それは見た感じはプトレマイオス2のように見える。

「んん?トレミー?」

「ううん、これはヤマトマイオス。プトレマイオス2と宇宙戦艦ヤマトをミキシングしたのよ?」

(や、ヤマトだとぉぉぉ!?)

「もちろん、いっぱい武装はあるけどまだ改良してるからもう少しだけまっててね!」

「あ、はい。」

この戦艦ガチでやばいとイチカは思った。

だが、こういう楽しい日常も……。

「たのしくていいね!」




「ほほぉ、ザクだ!」
「ザクが二足歩行だけだと思ったら大間違いだよ。」
「ぬぅ、やるなぁ!」
「まだまだ!」
「いでよ!新しい進化を見せてやる!」
次回
ガンダムビルドブレイカーズforWAR
第十三話〜ザクとザクの激突〜


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第十三話〜ザクとザクの激突〜

皆さんお待ちかねぇ!
作者のワンダレルです。
前回、電之商店のバイトにタカオカ・ミズキとタカミヤ・ツルギが新たに加わりました。
あの後聞いたところ、どうやらツルギとレイカによる客引き効果は抜群で、大繁盛しファンクラブまで出来てるようです。
とても素晴らしいですねぇ。それを見極め配置を決めたデンノ・アマリの戦術眼は凄まじいものです。
そしてガンプラ部にも新たな刺客が現れることになります。
果たして湯ノ森ガンプラ部は勝利できるのか!
それでは!ガンプラファイト!レディーゴー!


湯ノ森高校ガンプラ部。

この湯ノ森高校でその名を知らない人はいない。

とても強い精鋭が揃い、人が近づけないような程のオーラを出している………わけでもなく、イチカはブラックサンダーを頬張っていた。

「もぐもぐもぐもぐ……。くぅー、ブラックサンダーは美味しいねぇ……。」

イチカはタクティカルアームズⅠをガチャガチャと弄り、あるものを完成させた。

「あとは調整だけだぁ。ゼル、アイカ、ケイラ、アル。」

四人の名前を呼ぶと手のひらサイズのザクが四つ机に登ってきた。そして代表のゼルが応対する。

「お呼びでしょうかマスター?」

「これのチューニングお願い。完成したらデバイスにインストールしてあれが出来るようにしておいて!お礼は飴玉2個ずつ!」

「了解しました。」

ゼルが了承し、パーツを持っていってた。

そして、目の前ではコマとルヤが喧嘩をしながらガンプラバトルをしており、ちょうどよく終わったようだ。

なお、結果は引き分け。

お互いが、納得してない。

「絶対俺が勝ってた!」

「いいや、俺が勝ってた!」

二人がガルルと唸る。

「まぁ二人共いいバトルだったよ。だから少し落ち着こう。」

新入りのクール担当のセイラがそのコマルヤ二人の暴走を止めた。

「そういえばイチカ、さっき入部希望者が一人来てたけどどうするんだい?」

「なぁぁんですとぉ!?」

イチカが活動を始めてから着々と入部希望者が増えていくのだ。

「招き入れましょう。」

イチカは真剣な眼差しでそう言った。

「でもイチカ、これ以上増えるとしたらそろそろ顧問の一人でもこさえないとまずいんじゃないかしら。」

ツルギに鋭い指摘をされ、うぐっとイチカが唸る。

「まぁ、それはおいおい出来る事だから後回しにしとこツルギちゃん。」

「それは分かったんですけど私の胸を鷲掴みにする意味は?」

「私よりでかいもの持ってるのが悪い。」

「「うわぁー、理不尽。」」

エタとヒビキの二人が同時にツッコミをいれる。

ということなので、その新入部員を引入れることにする。

「おいでー!」

「あ、どうも。」

「んじゃ、軽く自己紹介お願いね!」

「あ。成瀬彰斗(ナルセ・アキト)です。よろしくお願いします。」

「よろしくね、アキトくん。あ、ちなみに私のイチカに手を出したらどうなるかは分かるわよね?」

「あ、はい。」

「よろしい♪」

(しっかりと釘さしてる……。)

軽度のシスコンに隙はないようだ。

「さぁてと!さっそくだけどガンプラファイトしよ!」

「え。さっそくですか?」

「うんうん!アキトのガンプラ見てみたいし!」

アキトはちょっとまっててと言って取り出した。

「おおおぉ!!」

イチカは驚愕し、見惚れた。

みんなも見てみると驚いた。

「これって、確かザクタンク?」

「そうです。ザクにクレーンとかを組み込んで戦闘もザクタンクの本領であるサポートもこなせるようにしてるんです。」

「ほぇー、こだわりが深い……。」

「凄いこだわりです。私もここまで作れるように精進しないと……。」

「やっぱりマイナーですかね?」

「すぉんなことないよ!断然いいものだよ!!」

イチカにも熱が入ってる。

ザクが大好きだから当然と言えば当然だが。

「それで……ガンプラファイトするんですよね?よろしくお願いします。」

「うん。よろしく!ちなみにこれが私のガンプラ!その名もダブルオーザク!」

イチカが自慢げにダブルオーザクを取り出す。

するとアキトが身を乗り出して観察を始めた。

「なるほど、ダブルオーガンダムのツインドライヴと胴体、サバーニャの腰にザクのパーツを組み合わせてるのか。なかなかに興味深い。ガンダムとザクの融合自体そんなに見るものじゃないがなかなかの完成度だ。理にはかなった機動性もあるだろうし武装の威力もこれなら凄まじいな。」

アキトが急に饒舌になり、ペラペラとダブルオーザクについてのことを話し始めて、一同はフリーズした。

一人を除いて。

「おぉ!このダブルオーザクの良さをわかってくれる人がいるとは!私感動!」

二人がめちゃくちゃ盛り上がってる間にバトルフィールドの起動ができた。

「さぁ、お手並み拝見だよアキト!」

「うん。ダブルオーザクの強さを見てみたいのもあるけどイチカに教えたいこともある。」

「んん?なぁに?」

ザクは二足歩行が全てってわけじゃないことを。」

「……ふふ、受けて立とう!」

二人がデバイスをセットする

「ダブルオーザク、デンノ・イチカ!未来を切り開く!」

「ナルセ・アキト、ザクタンクJ(ジャンク)。目標を殲滅する!」

今回のフィールドは荒地。

「お?これは……。」

イチカの予想は的中した。

ザクタンクJが大迫力の機動性で迫ってきていた。

しかも通常のモノアイではなく、特性のスコープのようなモノアイだった。

「ふふ、面白い!ガンプラファイト!レディーゴー!」

イチカもバズーカを撃ちながら接近を試みる。

「遅い!」

だが、いとも簡単に避けられただけでなく逆に肩部キャノン砲が直撃する始末。

が、それでも強引に突っ込み、

「どっせいっ!!」

GNヒートホークを振り下ろした。

が、ガギャアァンという金属音と共にザクタンクJの腕部のレンチメイスで挟まれて受け止められていた。

「これで近接攻撃はできまい!」

「な、なんですとぉ!?」

そのままGNヒートホークを投げ捨てられ、近接武器が無くなってしまった。

「やっば!?」

そこからは一気に近づかれレンチメイスで叩かれ、距離が離れた時に機銃とロトのキャノン砲を撃ってくるという凶悪コンボをくり広げられた。

「ええい!バァァルカン!!」

イチカはすかさず切り替え、腕部バルカン砲で牽制するが、機動性が圧倒的で全く当たらない。

GNフィールドを展開することで致命傷避けてるが、ジリ貧である。

ヒビキはその様子を見て驚嘆した。

「すごいな……イチカのザクからGNヒートホークを取り上げることなんて想像できないぞ。」

「うん、エタちゃんも火力低下を狙ってやった事はあるけど上手くいかなかったんだよね。」

(まだ、安定装置がないからライザーアックスはまだ使えない……でもこの状況を打破するには逆転の一手がいる……あれが完成するまでの辛抱だ……。)

「言ったはずだ、二足歩行だけが全てじゃないと。適材適所、それぞれの地形を活かせば大きな力になる。たとえ宇宙空間のステージであってもこのザクタンクJは機動性を活かせる!」

追撃しながら、レンチメイスによる殴打が直撃する。

ヒットアンドアウェイ戦法で、恐らくトランザクをした所で追いつけない。

絶体絶命。

「くっ………。」

「でやぁぁっ!!」

レンチメイスが振り下ろされる瞬間、イチカの方に一通の通信が届いた。

イチカはそれを見ることなく上へと一気に飛んだ。

「上空へと逃げたか。ならば!」

それを追うようにザクタンクJもその肩のキャノン砲で砲撃し始めた。

「ようやく出来た!私のタクティカルアームズ!ザクちゃんず!」

イチカの呼び掛けにゼル、アイカ、ケイラ、アルの順に答える。

「ドッキングシークエンスオールグリーン!」

「タクティカルアームズⅠ、デバイスインターロッキングOK!」

「火器管制システム、良好!」

「ザクちゃんずによるサポートシステムオールグリーン。いつでもいけまーす。」

上空から自由落下するダブルオーザクにひとつのコンテナが向かっており、コンテナがパージされると同時に何かが出てくる。

「日進月歩!私はダブルオーザクとタクティカルアームズⅠでダブルチューニング!私の魂と地獄の管理人の力が合わさる時!全身全霊で前へと進化する!シンクロトランザク!」

ダブルオーザクが赤く光り、タクティカルアームズⅠと呼ばれるパーツと合体した。

「融合合体!我が至高の魂!ダブルオーザクII(ツー)ッ!!」

逆光で見えなかったダブルオーザクは、ガンダムサバーニャのホルスタービットを十基備え付けていた。

「すごいな……あの戦いから私のシンクロトランザムを擬似的とはいえ既に取り込んでいたなんて……」

「ホルスタービットが着いたか……だが、まだ追いつける!」

ザクタンクJが加速し、砲撃をしてくる。

だが、

「甘い!」

GNホルスタービットのガードとGNフィールドの組み合わせで完全に無力化していた。

「さっきまで防げなかった砲撃を完全に防いでいる!?」

ツルギが驚愕する。

なるほど〜とレイカが呟く。

「四日前からデバイスを持ってつくりあげてたのはあれだったのねぇ〜。防御面はパーフェクトね。」

「そしてぇ!!」

イチカはトランザクモードでザクタンクJに突っ込むが、最初の何倍も早いスピードが出ていた。

「くっ!?機動性が上がってる!!?」

イチカのダブルオーザクの腰についていたサバーニャのパーツは、GNホルスタービットがついてるブースター部分をあえて付けてなかったのだ。

だが、そのブースターが付いてしまえば必然的に大幅な機動力アップが望める。

「すごい……これがいっちゃんの考えたプラモ……。」

「ザクちゃんず!ビット展開!」

「「ライフルビット展開!ライフルビット展開!」」

イチカはGNホルスタービットを射出した。

そして、サポートAIザクちゃんずによる火器管制システムフォローにより

「くっ!?どこから!!?」

正確にザクタンクJを攻撃し、牽制した。

そしてイチカもピストルビットIIで射撃しながら近づいていく。

「目眩しか!」

ザクタンクJは機銃を掃射して撃ち始めるがそれが判断ミスだと気づくのは遅かった。

「もらったァぁッ!!」

イチカのダブルオーザクIIが突っ込んでくる。

「しまった……クソっ!!」

方針を変え、ザクタンクJは弾幕を張った。

だが、それも全て防がれながら突っ込んでくる。

そしてイチカは右手をとある構えをした。

「私のこの手が真っ赤に燃える!栄光を掴めと轟き叫ぶ!」

その時、ダブルオーザクIIがさらに赤く光り、トランザクにブーストがかかった。

「食らえっ!!ジオニックッ!!フィンガァァァァァァッ!!」

そのままザクタンクJを捕らえた。

「なんだそのデタラメな技はぁぁっ!!?」

そして、片手で真上に掲げた。

「ジークッ!!ジオンっ!!」

その掛け声とともにザクタンクJは爆散し、バトルエンドの音声が流れた。

「ふー……これでも私は流派東方不敗の継承者なんだよ?まぁ私の流派名は流派ザクザク不敗だけど。」

「なんだろう、かっこよかったのに絶妙にダサくなった気がする。せめてジオニック入れようよ。」

ヒビキの鋭いツッコミが出る。

とはいえ、とんでもないことになった。

「すげえぇ!こんなザク見たこともない!」

「でしょー!私のザクも負けてない!」

「あぁ、とても興味深い!是非ともガンプラ部に入部させてくれ!」

「もっちろん!あ、ブラックサンダー食べる?」

「頂こう!」

ナルセ・アキト。

彼のその強さもまた未知数だったが、それを超えたイチカ。

元々が、強すぎるのもあるだろう。

ガンプラ部に新たな仲間が加わりさらに面白くなってきた。

そんな中、湯ノ森ガンプラ部に迫ってくる転校生がいた。


「お嬢様湯ノ森高校にお着きになりました。」

「ありがとう。」

少女は夕刻の校門の前で降りた。

じっと、背中から窓にもたれこんでいる一人の少女を見てた。

「……デンノ・レイカ。」

レイカはふと視線を感じ振り返ったが、そこには誰もいなかった。強いて言うなら車が校門を通り過ぎていたことくらいだ。

「お嬢様、よろしいのですか?」

「えぇ、どうせ明日にはガンプラ部に行きますし、運が良ければ同じクラスになれます。」

少女はおもむろにガンプラケースを見てこういった。

「再び奏でましょう、私の旋律を。」




「お久しぶりですね、デンノ姉妹。」
「え?誰?」
「すみませーん、どちら様でしょうか〜?」
「え?覚えてないの?」
「記憶にないわ〜♪」
「その余裕そうな態度、やはり私をバカにしてるのね!」
「あらあら?昔見たような見てないような機体が……。」
次回
ガンダムビルドブレイカーズforWAR
第十四話~忘却の彼方の旋律~
ガンプラファイト!レディーゴー!


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第十四話~忘却の彼方の旋律~

皆さんお待ちかねぇ!作者のワンダレルです。
さて、前回はなんと。イチカがシンクロトランザムを短期間で習得し新たな力を得ました。
その名もダブルオーザクII。
強さも別格となりまだまだ進化は止まりません。
その強さはどこまで行くのか……。
おや?何やら湯ノ森高校に向かう人影が……。
まぁ、後々わかることでしょう。
それでは!ガンプラファイト!レディーゴー!


朝起きて、顔洗って、朝ごはん食べて。

「TRANS-AM!!」

イチカとレイカは全力で自転車を漕いでいた。

「寝坊したァァァァっ!!」

「ふふふ、おっちょこちょいねイチカ♪」

「だからなんでレイカ姉も合わせて出るの!?」

「イチカに何かあったらその犯人を木っ端微塵にしないといけないから〜♪」

「発想が既にサイコパスなんだけどこの重度のシスコン!?」

「何を言いますか、軽度のシスコンよ。お姉ちゃん怒るぞ〜?」

「たぶんレイカ姉のこと何も知らなければ可愛いと思う!何も知らなければ!」

大事なことなので二回言うことにした。

そして、二人して締まりかけの校門に対して加速し、

「「アイッ!キャンッ!フラァァァァァァイッ!!」」

一気に飛んだ。

必死に飛ぶ妹。明らかに楽しんでいる姉。

デンノ姉妹は高く飛んで見事二人は校門越し着地した。

「デンノ姉妹、セーフ!ちなみに飛距離は新記録だ!」

「やったわねイチカ♪」

「それどころじゃないから教室に急ぐよレイカ姉!!」

「はーい♪」

二人してダッシュで教室に走る。

一方教室にて

エタはニュータイプのように感じ取った。

「このプレッシャー……今日はここ!」

そう言って走ってエタは窓を開ける。

そして、少しだけ教室の扉側の窓から離れる。

すると、二人がイチカ、レイカの順に窓の柱を支柱にして回転し体を放り投げる。

そして、見事教室の扉の反対側の窓際の席に二人がピンポイントで着席する。

「エタ、君よくニュータイプって言われない?なんで二人が来る位置分かるの?」

「まぁ、いっちゃんと付き合い長いし、レイカさんは何となくで把握した。ヒビキもやってみる?」

「いや、遠慮しとくよ。」

「こらー!二人共!窓からアクロバティックな入り方しない!」

「そう怒んなくてもいいじゃんツルギちゃん〜♪」

「だから胸を揉まないでって!」

「あらあら、そんな堅いこと言わないの♪ストレスが溜まっちゃうわよ〜?」

「自由すぎるんですよ二人共!!」

「はいはい、三人共クールダウンクールダウン。ブラックサンダーあげるからさ。」

「わーいブラックサンダー!」

「あら、いただこうかしら。」

「むぅ、納得いきませんがまぁいいでしょう。」

「ねぇヒビキ、やけに二人の扱いが上手いね?もしかしてイノベイター?」

「長い付き合いだから手馴れてるだけだよ。」

そんなこんなで、SHRを迎えた。

「おはようみんな!今日はとっておきのニュースだ!かなり有名なモデラーが転校生としてくるぞ!入ってきてくれ!」

イチカ達クラス一同が教室の扉を見る。

そして、扉が開かれた。

綺麗な紫髪のポニーテール。

そして、碧眼の綺麗な顔立ちにメガネ。

どう見ても可憐な美女だった。

「初めまして、私は樹宮 奏(キミヤ カナデ)。以後、よろしくお願いします。」

しかも凛とした態度。聞くところ大物でいわゆる金持ちと言うやつだ。

しかし、アニメや漫画に出るような傲慢な態度はなく、本当にいい育ちをしてるんだということが分かる。

キミヤさんの会社によって湯ノ森に大きなガンプラブームが起きたのもまた事実である。

ザワついている教室をシロー先生が静止した。

「はい、じゃあキミヤさんはそこの席に座ってくれ!」

イチカの前の席であるレイカの隣の席だった。

そして、レイカの隣に座った。

「あら、よろしくお願いしますね♪」

「……えぇ、放課後ガンプラ部に向かいますから。」

なんとさっそくガンプラ部志望と来た。

「妹と部員共々待ってますよ〜♪」

そう言ってレイカは握手をしようとしたが、カナデは応じなかった。

(うーん、なんか厳しめな人……。)

イチカの率直な感想はこれだった。

そして放課後、本当に来た。

「エタちゃん知ってる。キミヤさん相当な腕前で一応プロも兼任してるんだよ。」

「なおさら湯ノ森に来たのがびっくりだなぁ……。」

「コマ、あれ知ってるか?」

「まぁ有名人だからな。さすがに知っとけよルヤ。」

「皆さんが知らないのも無理はありません。プロとはいえ、私は基本的にキミヤグループの宣伝がメインですから。」

そして、カナデは指さして指名した。

「デンノ・レイカ。あなたに決闘を申し込みます。」

「……あら?私をご指名?」

「えぇ、貴方です。零の戦女神(ヴァルキリーゼロ)。」

「ほほぅ、そんじゃ私はフィールドのセッティングをしておくね!」

「エタちゃんも手伝おうかなぁ。」

「なら私も手伝うよ。」

セイラ、エタ、イチカの三人でベースフィールドの起動を始める。

そして、イチカが戻ってきた。

すると、カナデがふっと笑ってこういった。

「お久しぶりですね、デンノ姉妹。」

「………え?初めましてじゃないの?」

「うーん、どちら様でしょう?私は過去にカナデさんに会った事ないわ〜。」

「え?覚えてないの?」

「記憶にないわ〜♪ごめんなさいね?」

レイカは悪気はない。

だが、それが。

「余計に腹立たしくなってきましたわね……。メガネをつけるだけでここまで……。」

「え?」

「その余裕そうな態度をすぐに戻してあげるわ。緩み、たるんだその貴方の顔をね。」

そう言ってカナデはデバイスをセットした。

「ふむふむ、何か過去に因縁があるみたいね〜。」

レイカの雰囲気が変わったことは誰しもが感じた。

(なに……この気配。)

(なつかしいな……昔兄さんと戦ってた時に出していた本気の時だ。)

「レイカ姉!頑張って!」

「もっちろんよイチカ♪」

そして二人はデバイスとガンプラをセットする。

「「ガンプラファイト!レディーゴー!」」

フィールドはガンダムファイトバトルリング。

レイカにとっては、うってつけのフィールドだった。

「さぁ、このゴッドフレームアストレイで相手をしましょう。」

ゴッドフレームアストレイが構える。

「なら、私も……。」

そしてそれに答えるようにカナデも構える。

「このガンダムカナデヴィダールゼロカスタムで戦女神を討ちます。奏でましょう、私の旋律を。」

(あら、どこかで見たことあるような……。)

そう思っていると、カナデヴィダールに先手を取られた。

なんとバーストブレードによる白兵戦を挑んだのだ。

ガードに失敗して、大きく耐久力を削られた。

「くっ……思った以上に早いわね……。」

「どうした!零の戦女神はそんなものでは無いはず!」

しかし、カナデヴィダールはすぐに距離を取りヴィダールハンドガンを連射する。

「甘いわ。」

だが、レイカはそれを廻手で弾く……が、弾いた先にバーストブレードを構えたカナデヴィダールが居た。

しかし。

「キング・オブ・ハートに同じ手は通じないわよ〜。」

少々爆破によるダメージを受けながら白刃取りをしてへし折った。

そして、そのまま蹴りを入れた。

「そうだ……だけどあなたはまだ零の戦女神になれていない。私が求めるのは零の戦女神(ヴァルキリーゼロ)だけ!」

「んん?んえっ!?なになになに!!?」

そうカナデが声を上げるとイチカの背中の部室のロッカーから一人の男が出てきて、拘束された。

「!?イチカ!!」

「な!?アンタ一体どこから!!?」

「申し訳ありません、湯ノ森ガンプラ部の皆様。私めは相羽恭司(アイバ キョウジ)。カナデ様直属の執事にございます。」

「え?!え!?どういうことどういうこと!?」

イチカが混乱する。

「ご安心ください。命のやり取りはしません。……ただ、場合によっては保証は出来ませんがね。あなた方が何かしら抵抗されるのは知っております。それを行えばどうなるかはお分かりですよね?」

「くっ……。」

「他の方々は動かないで。さぁ、本気を見せなさい。」

「貴様…………。」

レイカの雰囲気が大きく変わった。

瞳孔が開き、GBN越しからもひしひしと伝わる殺意。

大きく、大きくなっていく。

「そう。それでいい。その野性的な暴走をしている貴方を超えるために私は全てをかけてきた……。」

「………。」

そしてレイカは目をつぶった。

そして。

喝ッ!!

と大声を上げた。

それは教室にもこの湯ノ森高校全域に広がる勢いだった。

そして、深呼吸をする。

「思い出したわ。貴方、数年前の時、私が最初に倒したガンプラマイスターね?」

「ええ、その通り。だから私はこうして……。」

「言ってくれればよかったのに。」

「え?」

「本当はイチカを傷つけるつもりないんでしょう?」

「ハッ、そんなの分かるはずが…」

「分かるわ。だってあなた、あの時より優しいし、何より私は目を見たらわかるもの。」

「そんなわけがないでしょう?確証はどこに?」

「もし私を怒らせたいのならイチカを気絶させるなりの怪我をさせるはずよ。あえてそれをしないのは本当に危害を加える気がないから。違うかしら?」

「くっ……。」

「こんな回りくどいことしなくても良かったのに。」

「だけどこうでもして貴方に本気を出させないと私のプライドが許さない!」

「えぇ、だからこそ決めたわ。久々に……本気出しちゃおうかなって……。

「……ふっ、丸くなったわね零の戦女神。」

「師匠のおかげね〜♪」

カナデが腰から刀を二本引き抜いた。

双竜梵天丸(ソウリュウボンテンマル)。レイカ、貴方との白兵戦用に作り上げた私の傑作。」

「あらあら、嬉しいわね。なら答えなきゃ♪」

レイカもトツカノツルギを引き抜いた。

お互いがジリジリとそして、一気に近づいた。

刃のぶつかり合う音が響く。

(見える……今の私には、零の戦女神を捉えれる!)

(!?この子、私の動きを読んでいる!?)

レイカが先に一旦距離を置いた。

「れ、レイカ姉が距離を取った?!」

「……あなた、ゼロシステムを付けているのね?」

「流石ですね、レイカ。私は貴方を超えるために何もかもをしてきたと言ったはずです。」

「なら、もういいわね。」

レイカの金色のゴッドアストレイがさらに輝いた。

「……スーパーモードですか。」

「いいえ、明鏡止水の境地よ。」

二人が再びぶつかった。

ガキャァァァンと大きく響く。

「うりゃりゃりゃりゃりゃりゃ!!」

「でぇやァァァァァァァァァッ!!」

それぞれが掛け声を叫びながら四本の刀がぶつかり合う。

「もっと……もっと寄越しなさい、ヴィダール!」

「てぇやっ!!」

レイカのトツカノツルギの突きを、回避し、切り込む。

「くっ……。」

レイカが、押されている。

「あのレイカさんが押されてる!?」

「当然でございます。お嬢様はこの時の為にあらゆる世界であらゆるガンプラマイスターを倒してきたのです。」

「たったそれだけのために?」

「他人事に言えば大したことの無いことでしょう。しかし、お嬢様は生粋の負けず嫌い。だからこそあそこまで強くなられたのです。」

また鍔迫り合いへともつれ込んだ。

「あの時から私は貴方が掲げていた思想にとても高揚していた!」

「あの時のこと!?」

「レイカ!私は負ける訳にはいかない!あの時の雪辱を必ず果たすためにも!」

「なら私もあの時と同じく負ける訳にはいかないわ!」

多分、わたしにはその時のことは記憶にないと思っていた。

でも、今はっきりと思い出した。

あの一方的な殺戮を。

でも今は違う。

二人は……笑っている。

レイカが正拳突きをするが、回避されヴィダールハンドガンを撃ち込まれる。

だが、レイカはそれを先読みし回避した。

そして、隙になったそのモーションを逃すことなく

「アァァァセナルッ!!フィンガァァァッ!!」

アーセナルフィンガーを叩き込んだ。

直撃した。

だが、直撃したのはカナデヴィダールのシールド。

本体の影はない。

「終わりだ!零の戦女神!!」

ここに来てカナデヴィダールの切り札である、アロンダイトのような大型剣(ブレード)「メロディアスブレイド」が振り下ろされる。

「お見事………。」

レイカはそう言った。

そして、ゴッドアストレイはそのカナデヴィダールのメロディアスブレイドを合気技で無力化した。

「この技を使わせたのはあなたを含めてたった四人よ。」

そして、レイカは

「天地ッ!!壊牢拳ッ!!」

流派冥王不敗の奥義でカナデヴィダールゼロカスタムを破壊した。

バトルエンドの音声と共に、イチカも解放された。

「ほっ……一時はどうなるかと思ったあ。」

そして、カナデはレイカの前に立ち頭を下げた。

「樹宮の人間として大変な無礼、お許しください。」

カナデはそう言った。

「……ふふ、頭を上げて、カナデさん。」

レイカは優しく抱きしめた。

「確かに軽度のシスコンとしては許さなかった事よ。けど、今はこうして分かり合えて友達になってるわ。」

「………優しいんですね。」

「もちろん♪」

「………一つ言い忘れてたので。」

カナデは少しごもって言った。

「わ、私、実は零の戦女神(ヴァルキリーゼロ)のファンなんです!!」

「へ?」

「むしろあの戦いの時からあなたのことが好きでした!」

「へ?」

「本音を言えば結婚して欲しいです!むしろ連れ去りたいです!」

「へ?」

「あなたのファン一号……いや、零号としてそばにいさせてください!」

と、土下座された。

「え、ええ!?か、カナデちゃん?頭を上げて!?ね?」

「いえ、零の戦女神に頭を上げるなど……。」

「し、執事さんもなんとか言ってくださいよー!」

「どうかわたくしめからもよろしくお願い致します。」

「えぇー!?」

………えーと、なんかよく分からないけど。

「レイカ姉ファンいたね。」

「うーん、なんか恥ずかしいわね………。」

「あ、カナデちゃん、私からなんだけどブラックサンダー食べる?」

「いただきます。」

わお、すごい切り替えの速さ。

キミヤ・カナデ。

奇妙ながらもまた凄まじい人を引き込めた。

零の戦女神の名は伊達じゃないことが今証明された。

「あ、あのーカナデちゃん?距離が近くなぁい?」

「気のせいですレイカ。お気になさらず。」

「そ、そーう?」

(イチカぁ、助けてぇ〜。)




「あら、アルマさん。」
「久しいね。」
「そうだ、エタくん。少し付き合ってもらえないだろうか?」
「いいですよ!」
次回
ガンダムビルドブレイカーズforWAR
第十五話~二つのOと斬撃の戦女神~
ガンプラファイト!レディーゴー!


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第十五話~二つのOと斬撃の戦女神~

皆さんお待ちかねぇ!
作者のワンダレルです。
さて、前回はあの有名モデラーのキミヤカナデとの激闘をレイカが繰り広げてくれました!
かつての因縁、その執念の先にある復讐……と思っていた時期が私にもありました。
彼女はなんと、あのレイカことヴァルキリーゼロの根っからのファンだったのです!
意外な展開で私も驚いております。
さて、そんな湯ノ森ガンプラ部ですが、どうやらエタに動きがある模様です。
一体何が起こるのやら。
それでは!ガンプラファイト!レディーゴー!


~湯ノ森高校にて~

週末のガンプラ部室にてヒビキが叫んだ。

「クソっ!!また負けたぁ!」

「ふふっ、まだまだですねヒビキさん。」

そう言うのはザクちゃんずの長女のゼル。

ザクちゃんずVSそれぞれ1人ずつで模擬戦をやってるのだが。

「イチカ!どう考えても強すぎるだろ!」

「えー?そんなことないよ!私やレイカ姉でも勝てないだけだし。」

「その難易度じゃ誰も勝てねぇよ!!」

コマを筆頭に。

ルヤ、エタ、カナデ、レイカ、イチカ、アキト、セイラとそれぞれ特筆した猛者が全員倒されてるのだ。

「ふむ、シンクロトランザムがこうも…新しいものを考えないとね。」

「あのザクちゃんずの動きがAIを既に超えてるような動き、興味深い。」

このように研究を重ねてるのだがその度にボッコボコにされてしまっている。

「でもいい修行よー、逆にゾクゾクするわぁ〜♪」

「これもまた強くなるためなら!」

このように燃える人もいる。

結局はザクちゃんずが強すぎて解散になったが、なんとこの土日の間、電之商店は休業。

何やらアマリさんとヨシモリさんがとある企業に出張で行くことになったそうだ。

そしてその間レイカとイチカはアルマ市長の所で過ごすとの事。

「まさかそこまで仲がいいとはなぁ。」

この私エタちゃんもさすがにビックリです。

てなわけでふらふらと公園に来たはいいものの……。

「退屈だぁ〜。」

ベンチでぼーっとしていたその時だった。

「ふむ、これはなかなかに興味深い。」

隣にコーヒー片手に座ってきた。

「あら、アルマさん。」

「おや?久しいね、エタくん。」

噂をすればなんとやら。

「今日からいっちゃんとレイカさんがアルマさんの家に行くってマジですか?」

「いきなりストレートな質問をしてくるね……。まぁ答えはYESさ。」

「ほえぇー、ホントなのかぁ。」

「まぁ、やましい感情は無いよ。あくまで親友の娘二人を預かるなんて彼らの職業柄昔からよくあったしね。なにぶん市長というのは忙しいが、退屈な時はとことん退屈なんだ。いい刺激になるよ彼女達は。」

「なんかやらしく聞こえてくるな……。」

「君は僕を変質者か何かだと思っているふしはないかい?」

「気のせいですよ変態。」

「その言葉で疑問が確信に変わったよ。」

大人相手にしょうもない言い争いをしてみた。

「そうだ、食べるかいエタくん?」

差し出されたのはブラックサンダー。

「あ、いただきます。」

私はブラックサンダーを手にした。

(……いっちゃんにとってこの人が救世主なんだって言われたけどあんまり実感は湧かないんだよな。アルマさんってどんな人なんだろう?)

「……気になるかい、僕のことが?」

「え!?」

「ふふ、プラモトレースシステムのモデルがモビルトレースシステムだから心情心理などの影響を受けやすいから心理学を学んでいたんだ。完璧ではないが、ある程度なら心を読めるよ。」

「すっげぇぇ。」

「少し時間はあるかい?行きつけのガンプラバトルの出来るカフェを知ってるんだ。」

「えぇ、週末だから妹も部活で遅いでしょうからぜひ。」

「……先程までの変態を見るような眼差しと言動から打って変わったね。」

「ふふふ。」

「まぁ道中君になら話してもいいと思ったこともあるし、それを話題にしよう。」

そう言って歩き始めたアルマさんに私はついて行った。

「恥ずかしい話、僕の母親は昔気質の性格でね。当時中学生だった僕はガンダム作品、そしてガンプラには興味があったんだ。」

信号が赤になり、私たちが止まる。

「だが、会社の代表でもあった母からはみすぼらしい趣味など捨てろと言われ、それに触れることは無かったのさ。だが、高校生の時に彼らに会ったのさ。」

「アマリさんとヨシモリさんですか?」

「あぁ。彼らは僕にガンプラバトルを教えてくれた。もちろん、中学の頃からの熱意があった僕はのめり込んでいったさ。が、それも母にバレてね、僕の作ったガンプラは僕の目を離した時に捨てられていたのさ。当時のことは僕としてはショックだったよ。」

「そんなことが……。」

少し悲しそうな顔をしたが、アルマは直ぐに笑った。

「ふっ、面白いのはここからさ。ヨシモリが僕の母を殴り倒したのさ。」

「え!?」

「そう、湯ノ森の大半を事実上支配している僕の母を殴ったのさ。そして彼はこう言ったんだ。」

『親の都合で子供の夢を壊すんじゃねぇ!夢ってのは、誰しもが持てる権利なんだよ!!アンタがアルマの邪魔をすんじゃねぇ!!』

「ってね。かっこよかったよ、彼のあのセリフ。」

「す、すっげえ。」

「あぁ、それとアマリもアマリだよ。必死に色んなところに駆け回って僕のガンプラを見つけてくれたのさ。色んなゴミ処理所に押しかけて無理を言ったそうだ。」

「アマリさんもすげぇ!」

「ふふ、彼女もヨシモリと一緒だったよ。」

『こんなくだらないものでも!アルマ君が頑張って作ったこのガンプラを無碍に扱うのは許さない!』

「そう言っていたさ。そのガンプラが今のデュアルOガンダムだよ。」

「へぇー、デュアルOガンダムにはそんな歴史が……。」

「なに、実はまだ本気を出していないのさ。このデュアルOガンダムはまだ手加減をしている。」

「え?じゃあいっちゃんが勝ったのは?」

「あぁ、イチカも気づいているが、あれも手加減の一つだよ。勝利からのモチベーションは油断を産むが前進する力は強いからね。特にイチカの場合は。」

「へぇー。いっちゃんの事よく知ってるんですね?」

「親友の娘だから色々とあるのさ。」

交差点の往来を抜けていく。

「そして、僕らは高校生にてガンプラバトルで日本を制したのさ。その流れで僕も有名人になったわけだよ。」

「ほほう。」

「昔から母は僕を跡継ぎ、もしくは湯ノ森の市長にして全てを手に入れようとしていた。奇しくもなるようにして僕は二十二歳という若さで市長の地位を手に入れたのさ。だが、僕は母の理想とはかけ離れた存在になってたよ。」


~十八年前~

「アルマ、市長になったそうね。おめでとう。」

「ありがとうございます、母様。」

「これであなたが湯ノ森を仕切れば、蒼月は安泰ね。あとは私の決めた婚約者との……。」

「ふっ、何を仰ってるのですか?」

「は?何をってあなたの将来のことよアルマ。」

「違うな。貴方は僕をただの操り人形だと思っている。そうだろう?」

「な、なんですって?!」

「そう癇癪を起こさないでください、蒼月朋子(ソウゲツ・トモコ)。僕はあなたのような謀略的支配は望んでいない。」

「……ならあなたはどうやってこの世界を生きるのかしら?」

「簡単です。僕はこのガンプラに救われた。ならばこのガンプラというひとつのコンテンツを娯楽による支配を目論みますよ。」

「利益も何も生まないそのようなゴミになんの価値があるというのかしら?」

「ふっ、だから貴方は甘いんですよ。この世界を導くのは我々のような大人ではない。未来を作り上げるのは僕や貴方よりも遥かに若く新しい生命だ。その彼らの趣味を親の都合で否定する世の中を正す……それだけです。」

「……なるほど、あの時の二人がこうもアルマを変えるとわ。大きくなったわね。なら、私も全力を持って貴方を潰しに行くわ。」

「望むところですよ。」


~現在~

(なんてこともあったな。)

「あ、アルマさん信号変わりましたよ。」

「あぁ。もうすぐそこで着くよ。」

ガンダムカフェ・それすたるに着いた。

「こ、ここってかなり有名な……。」

「あぁ、店主とは知り合いでね。」

アルマさんは失礼するよと言って店の中に入っていった。

「いらっしゃい、アルマ君。」

「お元気そうでなによりです、伊織先輩。」

店主は確か伊織 勉(イオリ・ツトム)さんで、湯ノ森においてレイカのお師匠さんのクロス・ヨウスケさんと同期でガンプラバトルの基盤を作って身を引いたという生きる伝説……って言われてたと思う。

「さてと、いつものでいいのかい?……おや、そちらのお嬢さんは?」

「は、初めまして……。」

「親友の娘の親友と言えばいいかな?今日は僕のわがままで付いてきてもらったのさ。」

「なるほど……。アルマ君は?」

「あぁ、いつもので頼むよ。」

「お嬢さんは?」

「えと……コーヒーで。」

「かしこまりました。」

(あのツトムさんに出会えるとは……。アルマ市長本当に何者!?)

「市長たるもの、人との付き合いも大事だからね。」

「うへぇー読まれてるぅ……。」

とはいえ、確かに人徳の厚さはすごい。

「それで今の市長ってわけなんですねアルマさん。」

「ふふ、そういうことさ。まぁ確かにこの湯ノ森ではガンプラが住民票同然となっているから、別の市からは支配者だ、独裁者だとも言われて否定されている。だけど、僕みたいに親の勝手でガンプラに、夢に触れられない世界を僕は逆に否定したいのさ。」

アルマ市長はどことなく寂しそうな顔をしていた。

「強いて言うなら……かのリボンズ・アルマークのセリフを借りるとすれば、僕は子供達にとって救世主になりたいのさ。」

「………多分、もう誰かの救世主になってるんじゃないですか?」

「……イチカが僕をそう思ってくれてるのなら嬉しい限りだよ。」

その時のアルマさんの顔は本心から笑ってるように見えた。

私たちは出してくれたコーヒーを飲んで、アルマさんのいつものの中にあったブラックサンダーも食べていた。

「アルマさん、ブラックサンダー大好きですね?」

「糖分補給にちょうどいいのと、この手の駄菓子みたいなのが好きなのさ。」

(ははーん、さてはいっちゃんのブラックサンダー好きもアルマさんの影響だなー?)

「ん?どうしたんだいエタ君?遠慮することは無い、全額僕が負担しよう。」

「おおぉ、太っ腹〜。」

そう思っていると店の扉が開いた。

「やはりここにいましたか、市長。」

その声を聞いた途端、アルマさんがおもむろに舌打ちをした。

「チッ……随分と嗅ぎつけるのが早くなったね、ノリス君。」

「伊達にあなたについてきてはいませんからね。」

「ふふ、ならばすまないねノリス君。僕は今この子とデートに付き合っているのさ。」

「ほう、それでこの私がみすみす見逃すとお思いですかな?」

「……ふむ。」

「いいでしょう、スキャンダル目当てのパパラッチが多くいます。お気をつけて。」

そう言うとノリスさんは私の隣に座った。

「マスター、私はココアを頂きたい。」

「かしこまりました。」

「…ノリスさん……でいいんですかね?」

「えぇ、問題ないですよルリネさん。」

(こ、この人もエタちゃんの名前知ってるのか。)

「ノリスさんってアルマさんの秘書みたいなのをしてるんですか?」

「そうですとも。アルマ市長の元で務めて十五年の初老ですよ。」

「ただ、ノリス君に限っては役所でも唯一僕の居場所を的確に当てることが出来るのさ。」

「それは市長がある程度の雑務を放り出して外へと出歩くからですよ。」

「市長たるもの、市民の声を聞くのも仕事だし何せ今日はイチカとレイカを預かってるのさ。」

「預かっているのならなおさらデートなどしていてはダメでは無いですか市長。」

「ぐっ……。」

あのアルマさんが言い負かされてる!?

「君が娘の為とはいえ少々真面目すぎないかいノリス君。」

「貴方が不真面目なだけです市長。」

「お見苦しい所をすみません、ルリネさん。」

「ふふ、大丈夫ですよ。アルマさんの意外な一面も見れましたし。」

「さて、そろそろですな。マスター、バトルスペースを。」

「既に出してますよ。」

「お仕事が早くて助かります。」

エタちゃんにはなぜバトルスペースを準備してるのかは分からなかった……。

(!!……このプレッシャー。あ、なるほどなるほど。)

勢いよく店の扉が開かれる。

もちろん、三人は振り返る。

「おや?どうしたんだいイチカ?」

「…………。」

見ると無表情で真顔のいっちゃんが居た。

「イチカ?」

「ガンプラファイトしようよソウちゃん。」

「構わないが……どうしたんだい?」

「いいから。」

言われるがままにガンプラバトルを始めたがあのアルマさんが秒殺された。

「凄いなイチカ、僕が見ない間にこんなにつ……ぐっ!!」

いっちゃんはアルマさんに正拳突きを放っていた。

仮にも流派東方不敗の継承者なのでめちゃくちゃ痛いのだろう、打たれた所を抑えてアルマさんはうずくまった。

「ソウちゃんなんてもう知らない!」

そう言っていっちゃんは店を出ていった。

「の、ノリス君、まさかイチカに……連絡をしたのかい?」

「えぇ、市長の事を心配なさっていたので。」

「ま、まさかノリスさん、さっき言ったデートっていう嘘を?」

「む?あれは嘘だったのですか市長!?」

「………なるほど、相当に大きいダメージだよ……これは。イチカに嫌われたかな?」

思わぬハプニングもあってエタちゃんはとっても満足です。

「ノリス君、すまないが家まで送ってはくれないだろうか……?」

「仕方ありませんね……。よいしょと。」

ノリスさんがアルマさんの肩を掴んでそのまま引き上げた。

「そうだ、会計をしよう……。これでたのむ。」

アルマさんは現金一括払いをした。

「あのー、アルマさん。今日は楽しかったです!」

「……ふふ、そう言ってくれるのなら僕も誘ったかいがあったよ。さぁ、帰ろうか……。」

半分死にかけてるアルマさんを連れ、ノリスさんがアルマさんの家へと向かっていくのを見て私も帰路についた。

(大丈夫ですよアルマさん。いっちゃんはアルマさんの事大好きですから。それに、いっちゃんにとってはアルマさんが救世主なのはマジですよ。)

ふらふらと家に着いた。

「ただいまぁー。」

エタちゃんも強くならないとなぁ。




「ほうほうほう、AGEモデルですな!」
「同じAGEタイプなら負けられない!」
「ふっふっふ、隙などないですよ!」
次回
ガンダムビルドブレイカーズforWAR
第十六話〜戦場の勇気の凱旋〜
ガンプラファイト!レディーゴー!


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第十六話~戦場の勇気の凱旋~

皆さんお待ちかねぇ!
作者のワンダレルです。
さて前回、偶然ながらエタはアルマと街中で出会いアルマの過去を知り、エタもまたアルマとイチカの関係性を知ることが出来ました。
そんな湯ノ森ガンプラ部の皆さんですが、どうやら再び来訪者のようです。
同じ学年のとある少女がわざわざ来てくれたようです。
それでは!ガンプラファイト!レディーゴー!


アマリとヨシモリが土日の間ダブル出張の為、電之商店が休業になってるから学校で部活動をしに来ていた。

ただし、コマとルヤ、セイラはバイトで休み。

カナデは実家での仕事があるということで今週は休みを取っている。

イチカはレイカ曰く大切な用事があるそうだ。

「レイカさんは行かないんです?」

エタがそう聞いたが、返事はこうだった。

「……イチカにもプライベートはあるものよ。」

あの軽度(大嘘)のレイカからそんな言葉が出るとは思わなかったが、みんなも特にヒビキは納得していた。

「そういえば、イチカにとって大切な日ですもんね。」

「大事な用事ってことはやっぱりアルマさん関連ですかね?」

「違うよアキト。ホントにイチカにとっても大事な日なんだ。」

ヒビキは思い出していた。あの時イチカが言っていた大切な人を無くしたという言葉を。

「……よし!とりあえず私はマリオンの調整も終わった!調子はどう、マリオン?」

『えぇ、問題ないわ。』

ツルギは日常会話などに使うためブルーデスティニー3号機を模したMS少女と呼ばれる可動フィギュアにAIマリオンを搭載していた。

「しかし凄いものだな、プラモトレースシステムも。あのザクちゃんずもそうだけど、あらゆるプラモ、可動フィギュア、ガシャポン戦士までガンプラバトルに参加できるようにしてるもんな。」

「その様子だとアキト君は将来湯ノ森のガンプラエンジニアになるのかな?」

「まぁ、それもいいなとは思ってる。」

和気あいあいと青春らしく模型をいじっていると。

「頼もー!!」

突然部室のドアが勢いよく開けられた。

なお、ツルギはびっくりして椅子から転げ落ち、アキトは工具箱で頭を隠し、ヒビキは全てを悟ったかのような涼しい顔でコアガンダムαをいじり続け、レイカはその来訪者の背後に気配なく回り込み、エタはその来訪者の首元ギリギリにナイフを構えていた。

来訪者は長い髪をポニーテールにしており、かなりの美少女だった。(イチカ談)

「ひぃ……」

「いらっしゃい。何か用事ですかね?あとレイカさんとエタは来訪者にそんな事しない。」

ヒビキは死んだような目でツッコミをしながら事務的に接待をする。

「に、入部希望ですぅぅぅぅ……。」

「あら、入部希望の人?ありがたいわねぇ〜♪」

「ひぃい、いつから後ろにいたんですかぁ!?」

「怪しかったら手刀でシュパッとするつもりだったから〜♪」

「答えになってないぃ〜!」

「イタタ……、転げ落ちちゃった……。」

『大丈夫、ツルギ?』

「うん、なんとか。」

「よし、とりあえず君の名前は?」

「えと、月夜見 御霊(ツキヨミ・ミタマ)、です…。」

「ミタマさんかぁ……。1-Cにはいなかったから……。」

「あ、それ実はしばらく前に色々ありまして……登校できてなかったんですよね。」

「ふむふむ、私たちと同じクラスなのね〜。私はデンノ・レイカよ、よろしく〜。」

「俺はナルセ・アキト。よろしく、ミタマさん。」

「湯ノ森ガンプラ部のストッパーのルリネ・エタちゃんです。」

「タカミヤ・ツルギです、よろしくお願いします!」

「えーと湯ノ森ガンプラ部の真のストッパーにして苦労人のアリネ・ヒビキです。諸事情で何人か居ないけどとりあえず、バトルしていく?」

「やります!」

(個性豊かな人達だなぁ。)

「なら、私が相手になります!マリオンの調整もですが、このガンプラ部を隠蔽してる風紀委員としても戦わねばなりません!」

「ツルギさん、引率ね。隠蔽だとやましい事隠してる意味になるから。」

ヒビキの冷酷極まりないツッコミが炸裂する。

「うぐっ……ち、違うもん!間違えてないもん!」

「えーと……新入りの私が言うのもなんだけど……間違いってのはよくある事だよ?」

「ううぅ!勝ちます!私が勝ったらさっきの言葉を忘れてください!」

「えと、一応言っておくとツルギさんが負けてもちゃんも忘れますよ……?」

「そうしてください……。」

ツルギは顔を真っ赤にしながら俯いたが、顔を上げる頃にはいつもの調子に戻っていた。

二人がベースに並んでガンプラを構えた。

「タカミヤ・ツルギ、AGE2-Breaker!行きます!」

「ツキヨミ・ミタマ、ヴァルトラウテ!行きます!」

ステージはAGEのコロニー内部。

「AGE2Breaker……同じAGEですね!」

「そういうあなたのヴァルトラウテも、アデルを元にしてるAGE系列……なら私も」

「「絶対に負けられない!」」

二人が乗ってきたところでカウントが始まる。

そして、ゼロになった瞬間、レイカがマイクを持って叫ぶ。

「ガンプラファイト!レディーゴー♪」

先手を仕掛けたのはツルギ。

ライトドッズライフルを連射し、牽制をする。

しかし、ヴァルトラウテは素早く物陰に隠れ、凌ぐ。

「マリオン、予測範囲を十秒から五秒に引き上げて。」

『了解。』

(……思ってた以上に早い。兄さんが遺したAGE2Breakerのウェアはまだ見つかってない……同系列である以上もしヴァルトラウテがウェアを持ってたら終わりかもしれない。)

「ふぅー、怖いなあ。」

(……ヴァルトラウテのウェアは最終調整中だから今回は使えない。基礎性能のテストも兼ねて実戦あるのみ!)

ツルギがシールドを構えながらビル群を進んでいた。

「もらった!!」

『ツルギ!五時の方向!』

「ふっ!!」

咄嗟にシールド防御をしたが、ヴァルトラウテの所持するとGNパイルバンカーが直撃し、大きく吹き飛んだ。

だが、ツルギもドッズライフルを連射し追撃を回避した。

「……ありがとうマリオン。調整のかいがあったね。」

『ツルギ、シールド損傷率六十二パーセント。直撃するとかなり厳しくなるわ。』

「なら、私にも考えがあるよマリオン。」

マリオンはそれを聞くと驚いたような顔をした後にこう言った。

『……やっぱり、ヒカルとそっくりね。』

「まぁ、兄妹だしね。」

一方ミタマの方も

「あの距離のGNパイルバンカーを防いでくるかぁ…。あの位置パーフェクトだと思ってたんだけど。こうなれば、近中距離での撃ち合いかな……。」

お互いの思考が交錯していた。

ビル群の影からツルギが飛び出してきた。

「やァァァっ!」

「正面では無いのは分かってたよ!!」

すかさず、ヴァルトラウテはパイルバンカーを撃ち込んだ。

しかし、撃ち込まれていたのは完全に破壊されたシールドだった。

「!!」

つまり、シールドを犠牲にしながらも近距離攻撃を取ること。

「そこっ!!」

「やらせない!!」

AGE2Breakerはパイルバンカーを切り裂いたが、その代わりにドッズライフルを切られた。

「お互いに……」

「ビームサーベルがメインか……。」

お互いの得物を持っていかれたが、諦めていない。

「マリオン、使うよ!」

『ええ、ツルギ!』

AGE2Breakerが身構える。

「燃えてきたぁー!!」

ヴァルトラウテもまた構える。

「EXAM!」

『EXAM-System-Standby』

「ABYSS!」

『A-B-Y-S-S』

二つの能力向上システムが起動した。

だが、異変が起きた。

「……あれ?」

ツルギの操作コントロールが効かなくなったのだ。

そして、ミタマもまた、同じ状況になっていた。

「え?!なんで!!」

『……ツルギ!』

「どうしたのマリオン!」

『この力は……まだツルギには制御出来ない!』

「どういうこと!」

『あのシステムは、まだ危険性を持ってる!必ず勝つから私に任せて欲しいの。いつか、ツルギともヒカルと同じように必ず一緒に戦えるようになるから。

「……分かった、そこまで言うならきっとマリオンには勝ち筋が見えてるなら、私はマリオンを信じるよ!」

『ありがとう、ツルギ。』

「ヴァルトラウテ?!なんで!!」

「落ち着きなさい、ミタマちゃん。これは、あなたが本当にシステムと向き合ってきたかの代償になるの。」

レイカが厳しく、ミタマにそう言った。

「ツルギちゃん、制御は?」

「マリオンが任せてくれって。」

「いい判断ねマリオン、やっぱりヒカルに心優しく育てられただけはあるわ♪」

「見てなさい二人とも、サポートAIといかに絆を育んできたかが、分かるわ。」

AGE2Breaker、ヴァルトラウテ共に膝を着いた状態で止まっていた。

だが、その直後。

ヴァルトラウテの目が赤く染まった。

『ABYSS-System-Final-Phase-Express』

機械的な駆動音とシステムの起動音が鳴り、明らかに暴走を孕んだ声が響く。

〘乱暴な奴は嫌いだ!〙

聞き覚えのある声だった。

「これって……マリオンの声!?」

ヒビキも驚いた。

「いえ、マリオンとは違うわね。」

明らかにツルギのマリオンに似ていたが、違う。

〘消えてしまえ!乱暴な奴!〙

暴走してるヴァルトラウテがビームサーベルを振りかざし、AGE2Breakerに襲いかかる。

が、AGE2Breakerは直前でビームサーベルを起動させ、鍔迫り合いへと持ち込んだ。

『安心して、貴方は前の私とよく似ている……。人を信用してないから全てを排除しようとしてるだけ。』

〘お前に何がわかる!〙

『分かるわ、私もかつてはそうだったからだからそのために……。』

同じような駆動音とシステムの起動音が鳴り響いた。

『EXAM-System-Final-Phase-Express』

『あなたを止めて見せるわ。』

AGE2Breakerが、赤い目を光らせて立ち上がった。

お互いの得物は二本のビームサーベルのみ。

距離を取り、しばらくの沈黙の後、ヴァルトラウテが一気に加速し襲いかかった。

〘私たちの敵、全て排除する!〙

『違う、貴方はまだ分かり合えていないだけ!』

さらに加速しながら、AGE2Breakerを連続で切り込むが、AGE2Breakerがそれを全て捌いている。

〘憎しみと絶望こそが力!〙

『そんなに単純なことじゃないわ!』

マリオンとマリオン(?)同士が会話をしながら戦いを始めた。

そう、誰も操作をしていない中でだ。

だが、ヴァルトラウテの一振がAGE2Breakerのアンテナをかする。

〘ほら、やらなければやられる!〙

『私も間違えていた。でも今はわかる。何かを守りたいという願いが力よ!』

AGE2Breakerが蹴りを放ち、ヴァルトラウテと自然と距離をとる。

『そして、私がそれを示す。貴方が本当のあるべき姿であるために。』

そこから一気にAGE2Breakerが加速し、立場が逆転した。

AGE2Breakerがヴァルトラウテを切り刻む。

見た限りだと、AGE2Breakerがヴァルトラウテのスピードを上回っていた。

〘くっ……私がパワーダウンしてる……!?機体の性能差!!?〙

『違うわ、これは。私の意思よ!』

AGE2Breakerがヴァルトラウテの四肢を一気に斬った。

『これで!!』

そして、AGE2Breakerが、ヴァルトラウテをX字に切り裂き、ヴァルトラウテは爆散した。

『……あなたは間違ってはいない。けど、大切な人を置き去りにして守ろうとしても何も守れないわ。』

マリオンが、戦いを制し、バトルエンドの音声が響く。

「マリオン!」

『……ごめんねツルギ。』

「ううん、すごいよマリオン!私もあんなふうにやって見たい!」

『……優しいわね、本当に。』

その一方で。

「そっか……私はシステムはシステムだって思ってて歩み寄ろうとしてなかったのかも。」

〘………。〙

「……ありがとう、守ろうとしてくれて。」

〘…別に。あなたの為じゃないもの。〙

そして、ツルギとミタマが歩み寄り握手した。

「今度は負けませんよツルギさん!」

「私も、次も勝たせてもらいます!」

白熱した戦い、思わずアキトが写真を撮っていた。

「ヴァルトラウテは確か、戦場の勇気……って意味だったっけ。すごいなぁ。ねぇヒビキ君!」

「あそこまで白熱した戦いを見るのは久しぶりだよ。いいもの見れた!」

「エタちゃん最近いい活躍してない気がする……、これはしっかりせねばヒロインの座があぶないのでは!?」

「心配しなくても大丈夫よエタちゃん〜♪」

湯ノ森ガンプラ部は土日においても平常運転です。


その頃

イチカは私服で自転車に揺られながらしきびと線香、そして五つのブラックサンダーを持って向かっていた。

そして、目的の場所について線香に火をつける。

ここは墓地。しかし、イチカはこの日だけは絶対に来ることを欠かせなかった。

ガンプラを作ってバトルに参加してたあの日から、アルマとの出会いがイチカを変えた時、ヒビキと共にイチカはかけがえのない仲間を手に入れた。

朝露 時雨(アサヅユ・シグレ)。

電之一家が家族ぐるみで仲良くしていた、『旅館朝露』の長女。

そして、シグレ以外にもアサヅユ一家はガンプラバトルの腕もモデラーとしての技量もプロ級でかなり有名だった。

「……やっほいシグちゃん。そんで、おじさんにおばさんにユウダチちゃん。元気してた?私は元気にしてる。今は、色んな人がいて、高校でガンプラ部作ったよ。でもね……。」

イチカは涙を流し、アサヅユ一家が眠る墓標の前で泣き崩れながらこう言った。

「もっと……シグちゃんと一緒にいたかったよぉ……。」

三年前、レイカが仲間を二人無くし、前へと進もうとしてた時だった。


シグレはイチカのことを名前に一があるのと犬っぽいからワンちゃんと呼んでいた。

「ワンちゃん。」

「なぁにシグちゃん?」

「これからもコンビ組むー?」

「うむ!私のザクとシグちゃんのデスティニーに不可能なし!」

「でもレイカさんとのヴァルキリーゼロワンはどうするの?」

「うぐ……でもシグちゃんも大好きだから!一緒にチームになろ!」

「はいはい、ワンちゃんは強引だねぇー。じゃ、そろそろ私帰るねー。」

「まったねぇー!」

あの時、見送りさえしなければ。

「緊急速報です!現在、旅館朝露にて火事が起きたとのこと。この事件で旅館客は全員避難していますが、先程、朝露 白奈(アサヅユ・シラナ)朝露 理樹(アサヅユ・リキ)朝露 夕立(アサヅユ・ユウダチ)が亡くなったそうです。原因は不明で……。」

その時、電之家の食卓は固まった。

「……嘘……だろ?」

「シラナさん………。」

父と母が絶句してた時、電之商店の扉を叩く音が聞こえたあと、鈍器で殴られる音が聞こえた。

そして、聞こえたのが

「手間かけさせやがってこのクソガキが。」

と人を殴るような音。

瞬時に緊急事態だと思った両親とレイカ、イチカは飛び出した。

「な……。」

そこには頭から血を流し、全身ボロボロなシグレが引きづられ四十を超える数の男に連れ去られそうになっていたのだ。

そして、実行犯であるシグレの手を握ってた反対の手には、工具用より大きなハンマーが握られていた。

人を殺せるくらいの。

「……何やってんだテメェらァァァァァァッ!!」

即座にヨシモリはモデルガンを引き抜き正確にBB弾を当てて怯ませ、シグレの髪を掴んでいた男はシグレを手から離した。。

「俺らの商売の邪魔をすんじゃねぇよ!!」

そして、ハンマーを持った男がヨシモリに襲いかかった時、

キィィンという音が鳴る。

アマリがガーベラストレート包丁で受け止めていた。

「レイカ!イチカ!シグレちゃんを中に!!このおバカさんたちは私達に任せて!」

「お前らァ!やれ!」

ここからは、ヨシモリとアマリが殺さない程度に痛めつけて侵入を防いでいたが、シグレを今に運んだ時、裏から回り込まれて取り巻きの男が六人現れた。

「……イチカ、病院に連れていきなさい。」

「レイカ姉!」

「大丈夫、お姉ちゃん強いから♪」

「でも!」

「いいから行きなさい!!」

「………うぅ!!」

イチカはシグレを肩車し走り出した。

当然奴らは追うつもりだったが、レイカが立ち塞がる。

「おいクソガキ、おじさん達はこわぁーい人達だよぉー?大人しくしといたら痛い目は見ずに済むぜぇ……。」

そういう男が下卑た目でレイカの全身を舐めまわすように見て

「いい身体してんなぁ嬢ちゃん。言う事聞かずにボコボコにされてから楽しむか、大人しく言うこと聞いて楽しむかどっちがいいよ?」

「あらあら、貴方達、アニメやマンガ、それにエッチな本の読みすぎじゃないかしらぁ〜♪現実がそう上手く事を運ぶと思うなよ?」

「だったらよぉ、包丁とか飛び道具使えばいいよなぁ!!」

拳銃を取り出したのを見たレイカが素早く動き、一人に正拳突きを放つ。

だが、やはり多勢に無勢。

拳銃の玉がレイカの脇腹を抉る。

そして怯んだ隙に工具用ハンマーで頭を殴られた。

「ぐっ………。」

流石のレイカも衝撃で膝を着く。

「……流派冥王不敗には不可能はない……わ。」

「ご立派な流派だねぇ。そんじゃ、外のヤツらより先に始めようかぁ〜♪」

「………ちっ!!」

レイカは振りほどこうとするが、流石に四人に四肢を抑えられてはどうしようも無い。

「その威勢がいつまで持つか楽しみだなぁ!」

そう言ってレイカの服を破ろうとした時だった。

「ちぇやぁぁぁぁぁっ!!」

馬乗りに乗っていた男に誰かの膝蹴りが入る。

「ぐびぇぇぁっ!!」

男が吹き飛ぶ。

レイカはその姿を見て、少しだけ涙を滲ませながら名を叫んだ。

「師匠……!」

「幼い女子相手に大人が寄ってたかって殴るだけに飽き足らずその上抵抗の出来ぬ女子に欲情するなど言語道断!貴様らは人としてなっておらん!貴様らのその腐った根性がこの東方不敗マスターアジアに通じるかどうか、試してみるがいい!!」

「なんだこのクソジジイ!やっちまえ!」

「レイカ、来るのが遅れてすまなかったな。あとはこのワシに任せておけい。」

「師匠………。」

「拳銃に勝てるわけがねぇだろぉが!ロートルがよぉぉ!!」

男の一人が拳銃を撃つが、かすりもしない。

「ふっ、これでもわしはまだ40代の半ばよ。そして、その程度の攻撃が当たるわけがなかろう。覚悟しろォッ!!

その頃、外では二人が善戦していたが、やはり多勢に無勢だ。

少しずつ押し込まれていっていた。

その時、アマリが投げ飛ばされた。

「キャッ……。」

「アマリ!」

その隙を逃さず、ヨシモリは銃で腹を撃ち抜かれた。

「ぐっ………!!」

「パパ!!」

二人がダメージを負った。

残り二十人と言ったところだが、この怪我では厳しい。

「クソが、予定狂わせやがって……さっさと死ねよ。安心しろよおっさん、アンタの嫁さんも楽しんだら直ぐに送ってやるからさぁ。」

男の一人が拳銃を構え、撃ち放った。

だが、弾かれたのは男が持っていた拳銃のみだった。

「湯ノ森の発展の邪魔をする毒虫風情が、僕の親友に手をかけることを許すと思っているのかな?」

「「アルマ!!?」」

アルマはまだ執務中で来れないはずだった。

だが、そのアルマがモデルガンとはいえ拳銃を手にしていた。

「市長……都合いいな、アンタを快く思ってねぇ奴がいてなぁアンタも殺しのターゲ……。」

バァン

アルマは言葉の途中で容赦なく撃った。

「毒虫の戯言を聞くつもりは無いよ。」

「テメェ……ぶっこギャァァァ!!」

アルマに撃たれた人間に突然電流が流れた。

「特殊なBB弾を使用してるのさ、エグナーヴァレットとでも呼ぼうか。」

「くそっ!一人に何してんださっさと!」

「誰が一人と言いましたかな?」

その声のする方に男たちが見ると、夜の月光によって目立つ、木剣を持った漢がいた。

漢は一気に飛び降り、四人を瞬時になぎ払い、五人目に木剣を腹に突き立てながら叫んだ。

「怯えろ!竦め!武器の性能を活かせぬまま倒れていけぃ!!」

五人目にやられた男は泡を吹いて気絶した。

「遅かったじゃないかノリス君。」

「はっ!武器の確保に少々手間取りましてな。」

そう言うとノリスは先程アルマが使用していた専用弾丸が入っているマシンガンが付いた盾を構えた。

「アマリ、ヨシモリ、暫くは休んでいたまえ。僕とノリス君が交代しよう。」

「調子こいてんじゃねぇぞおっさん共!!」

その頃、イチカは必死になって近くの病院へと運んでいた。

夜遅く、人もそんなに居ない。

「……ワン……ちゃん……?」

「シグちゃん!?目を覚ましたんだね!待ってて!すぐ病院に連れてくから!」

「ワンちゃん……私の家はね……湯ノ森を牛耳ってる……ヤクザが利権を狙ってたの………。」

「利権ってなに!?そんなことより……」

「私以外、みんな殺された……。前から……嫌がらせは受けてたけど……守代を払えって言っても払わなかったから……。」

「よくわかんないよシグちゃん!そんなことより病院行こう!はやく!」

イチカは泣きながら引きずった。

「ワンちゃん……私ね……。」

「大丈夫!必ず、必ず着くよ!ほら!もうすぐ!」

病院が見えてきた。あと少しだ。

「私、ワンちゃんが大好きだから……。養王田組の奴らが……ワンちゃん達に……攻撃されないようにしたいの……。」

「そんな弱音なこと言わない!行こう!はやく!」

もう少しだ。

「ワンちゃん………優しいね………ありがとう………。」

急に肩車をしていた右肩が重くなった。

「シグちゃん……?シグちゃん!!シグちゃん!!!」

イチカは本能的に時間が無いと悟った。

「間に合え……間に合えぇぇぇぇッ!!」

イチカは病院へとたどり着いた。緊急手術室へと搬送される。

だが、待っていたのは。

「手を尽くしましたが、既に………。」

医師のその言葉だった。

「…………うわぁぁぁぁぁぁぁん!ふざけるな!ふざけるな!バカヤロォォッ!!うわぁぁぁぁぁぁぁ………。」

イチカは、ヨシモリ達が来るまでずっと泣き続けた。

その後、イチカはアルマに養王田組の事を少しだけ話した。

「………ちっ、毒虫風情が……。」

アルマがそう言って、怒っていたのを覚えていた。

「ありがとう、イチカ。僕の全権限を持ってソイツらを根絶やしにしてくるよ。」

後日、アルマによって徹底的に潰されたのは言うまでもない。


「……じゃあねシグちゃん。また会いに来るよ。いつか、世界を掴んでみるからね。待ってて。」

イチカはそう言って線香を立てて、ブラックサンダーを四つ置いて、一つは食べた。

朝露家の墓参り。

イチカの強さと夢の為に、毎年この時期になるとイチカは墓参りに行くようにしていた。

アサヅユ一家惨殺事件。

それがイチカがアルマに語った夢の第一歩となった。

「夢を叶えるよ、絶対に。」

イチカはそう言って、背を向け自転車に乗り我が家へと向かった。


その数時間後、その墓標の近くにて

「ねぇねぇ、やっぱり超常現象じゃないこれ?」

「んなもんわかんねぇだろ。確かに高校も女子校じゃなくて共学高になってたからなぁ。そうだろサガラ?」

「そうは言いますけど、お二人共よく怖がりませんねぇ、最悪ドッペルゲンガーと会う可能性もあるんですよ?」

「そんなもん関係ないよ、ねぇワンちゃん?

「おうよシグちゃん。どちらにせよ今は帰れねぇんだ、楽しもうじゃねぇか。」

「あー、そうですか。全くあなた達は本当にすげぇですよ。神様もびっくりじゃないです?」

「そんときゃそん時よ。」

「神に会うては神を斬り。」

「悪魔に会うてはその悪魔をも撃つ。」

「戦いたいから戦い。」

「潰したいから潰す。」

「「アタシ達に大義名分なんてないのさ!」」

「「アタシ達が地獄だ!!」」

「はいはいそーでしたそーでした、私が地獄に慣れてないだけでしたー。」

「ワンちゃん、どうせならなにか美味しいもの食べない?」

「お?賛成シグちゃん!」

三人の地獄が通り抜けていった。




「およ?アイナちゃん?」
「あ!お姉ちゃん!」
「よーしよしよし!」
次回
ガンダムビルドブレイカーズforWAR
第十七話「危険とザクと執念」
それでは次回へ!
ガンプラファイト!レディーゴー!


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第十七話~危険とザクと執念~

皆さんお待ちかねぇ!!
作者のワンダレルです。
さて前回、EXAMとABYSSの衝突による激闘、イチカの壮絶な過去をお話しました。
今回は、そのイチカが……いえ、ここからは事実を見てもらった方が早いでしょう。
私の口では説明することはできませんからね。
それでは!ガンプラファイト!レディーゴー!


イチカは墓参りを終えて帰路についていた。

(……私の夢はシグちゃんのような被害者を生まないために成し遂げなきゃならない。絶対に。)

イチカはその事を常に頭に入れていた。

だが、ふとした時に声をかけられた。

「あ、イチカお姉ちゃん。」

「んお?その声はアイちゃん!」

「お久しぶりです。」

「おぉ!大きくなったねぇ!」

「イチカお姉ちゃんが縮んだんですよー!」

「辛辣!この姉妹辛辣!お姉ちゃんアイちゃんをそんな子に育てた覚えありませんよ!!」

「いやいや、育てられてませんから……ふふ。」

「あはははは!」

久しぶりにこのやり取りをした気がする。

あの件のことは触れられないようにしている。

出来ることなら言いたくもないしアイナに聞かせて悲しい気持ちにさせたくもないから。

「イチカお姉ちゃん、元気なさそうだけどどうしたの?」

「ん?大切な人のお墓参り行ってきたから、ちょっとね。」

「そっか……。」

思わず口を滑らせたことを少しだけ後悔した。

イチカとアイナはそこからは他愛もない話をし始めた。

エタと共に世界制覇目指していること、そのためのガンプラ部の事も。

「学校だけじゃなくて地域でチーム作ってアイナちゃんも仲間に入れたいなぁ。」

「おぉー!私も鍛えなくちゃ!」

「だぁね!」

「「あはははは!!」」

「あ、そうだブラックサンダー食べる?」

「食べるー♪」

「おーよしよし、可愛いなぁアイちゃんは。エタっちとは大違いだよぉ……。」

「あ、それ以上触るとお姉ちゃんに言いつけますよ。」

「ダメだ!この姉妹やっぱドSだ!!」

二人して暗くなった道を歩いていた。

……二人の道を邪魔する一人の男が現れるまでは。

突然アイナが立ち止まった。

「ん?どしたのアイちゃん?」

「………逃げなきゃ……、イチカお姉ちゃん、今すぐ逃げないと……。」

「え?」

見ると目の前の男は鉄パイプを持って充血した目でこちらを睨んでこう言っていた。

「……こんな所にいたとはなぁ……ようやく見つけたぜぇ……心配してたんだぞぉアイナァ………。」

そして、イチカは本能的に悟った。

二人同時では逃げれないと。だから

「アイちゃん!早く逃げて!この近くならヒビキん家が近いよ!」

「え?!イチカお姉ちゃんこそ逃げて!」

「大丈夫大丈夫、お姉ちゃんがここ何とか切り抜けるよ。別にあれをシバキ倒してもいいんでしょ?なら問題ないよ!早く!」

イチカはアイナに逃げるよう促し、逃がした。

無論追うつもりだった男を通せんぼしながら私はモデルガンを引き抜いた。

「どけよクソガキ!」

「動くなァァァ!動いたら撃つ!」

イチカが気迫を込めて叫んだ。

不運なことに山の近く故に人がそんなに通らない場所にある。

イチカが叫んでも大人が来ることはそうそうには無い。

「テメェ……よく見たらあのクソ野郎のおもちゃのガキじゃねぇか。可哀想だなぁお前も。」

「私は誰のおもちゃでもないよ。」

「ふっ、お前もクソ市長殿に心酔してて見えてない感じか……。」

「は?」

「あのクソ野郎はなぁ、真っ当なことが出来ない裏社会の人間を叩き潰したんだぜ?一人の人間を見捨てて追い込むようなことをしてる善人のふりをしているクズだってことだよ……けけけ……。」

「ソウちゃんはそんな事しない!」

「なら俺の住処である養王田組を潰したのもアイツだよなぁ?」

「それはアンタ達が………」

「関係の無いクソ野郎に邪魔されて職を無くした俺は父親としてあのバカ女が連れてきたクソガキのエタとアイナを売って遊ぶつもりだったのにそのクソガキ二人には逃げられるわ、あのクソ市長が親でもねぇのに匿ってやがるから近づけねぇ……ならどっちかが一人になった時狙えばいいと思ってたんだが……そこでもテメェのような偽善の塊の馬鹿が邪魔しやがんだよォ!!」

「お前……人として最低だ!アンタみたいな奴こそクズだ!生きていちゃいけない奴なんだ!それ以上喋るんじゃねえ!!」

「ふっ、逆ギレかよぉ?お前もあのクソ野郎も関係ねぇ、家庭間での話だって言ってんだろうが!偽善の雑魚がよぉ!!」

「………許さない。私がバカにされるのはいいけど、私の友達を金としか思ってないことと、私の大好きな人の事をバカにしてるテメェは絶対許さねぇぇぇぇ!!!」

イチカは躊躇せずモデルガンを撃った。

が、男はそれを避けた。

「くぐり抜けてきた修羅場の数が違ぇんだよボケがァ!」

「ぐっ!!」

避けられ、すかさず男が持っていた鉄パイプが腹へとヒットする。そしてその衝撃で背負っていたカバンからダブルオーザクが転がり落ちる。

「あぁん、こりゃ………ちっ、あのクズが研究に使ってる……ふっ……。」

男は邪悪な笑みを浮かべ、ダブルオーザクIIを持った。

「がっ……触んな……私のダブルオーザクに触るな!!」

「こいつが無けりゃお前も用済みになってあのクズに見捨てられるだろうなぁ!!」

「やめろぉぉぉ!!」

イチカのその声虚しく、ダブルオーザクIIは叩きつけられた。

叩きつけられた衝撃でホルスタービットが壊れる。

「おらよぉ!!」

そこから何度も何度も鉄パイプでダブルオーザクIIは殴られた。

叩かれる度に、ツインドライヴが曲がり、脚は砕け、最後にはアンテナが折られ、そのまま踏み潰され修復不可能なレベルでバラバラにされた。

「お前………お前えええぇ!!」

「こんなおもちゃでキレることはねぇだろう?なぁ?」

男はヘラヘラとしながら鉄パイプでイチカの頭を殴った。

「がぁっ!!?」

あまりの衝撃に倒れ込んだイチカに馬乗りになって男は顔を殴り始めた。

「お前みたいな!バカに!俺たち大人の!仕事が!分からねぇくせに!しゃしゃりでてんじゃねぇよクズが!」

そしてひとしきり殴るとイチカの髪を掴んで持ち上げた。

「躾のなってねぇガキにゃ躾がいるよなぁ!!」

「ごぶっ!!」

そして、そのままイチカの腹を殴り始めた。

殴られる度に痛みが広がり、二十発を迎えた時に血反吐を吐いたが、それでも男はやめなかった。

そして、手を離すとイチカは倒れた。

「ふん、俺の邪魔をすんじゃねぇよ……。さて、逃げたクソガキ見つけねぇとな……。」

そういった男は違和感を感じた。

「……行かさないぞ………。」

イチカはボロボロになっても手で男の脚を掴んでいた。

それに気づいた男はイチカを足蹴にし始めた。

「いい加減に、しやがれクソガキがぁ!どいつもこいつも俺の邪魔ばっかしやがってよぉ!!」

そして、イチカは意識が朦朧とするレベルまで痛めつけられた。

「ちっ………ん?そういやこいつぁガンプラファイターとか言うやつだったな………。」

男がニヤリと笑い、近くにあった空き地にあるコンクリートブロックを持った。

そして、それをイチカの利き腕の右腕に振り下ろした。

ゴキィ

「がア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!」

何度も何度も振り下ろした。指の骨が砕け、イチカの腕の骨が砕けていく。

その度にイチカが泣き叫ぶ。

「あ………あ……」

男はイチカが瀕死の重体になった所で最後にイチカの頭を蹴り飛ばした。

「ちっ、もう時間がねぇ。また来るか……ガキのくせに俺の邪魔するからだクソが。」

男は足早に湯ノ森を去っていった。


イチカが倒れてから三十分後、イチカは少しだけ意識が戻った。

右腕の感覚がない。だが、全身が痛い……。

イチカは誰かにおんぶされていた。

「………誰……?」

朦朧とした意識に見えたのはレイトのような男だった。

「レイト……さん……?」

「喋んな、あと少しで着く。……クッソ、あと少し早く着いてりゃこんな事したやつ半殺しにしてやるとこなのによ……。」

「……………んん………。」

イチカはそこから先は出血の影響で気を失い、記憶が無い……。

ダブルオーザクは完全破壊され、どうしようも無いレベル、そしてイチカ自身も右腕が複雑骨折、その他打撲系統の大怪我。

最高峰の病院、湯ノ森総合病院の技術を持ってしても

イチカは約一ヶ月、学校に通うことも出来ず、最低でも一週間はガンプラに触れることすら出来ない状態となり、戦線離脱を余儀なくされた。

 

 




「………。」
「それでいいの?」
「私、何も出来なかったし……。」
「……じゃ、私は託す物を託すよ。きっとワンちゃんなら作ってくれるって信じてるから。」
次回
ガンダムビルドブレイカーズforWAR
第十八話
一輪の華が開花する時
次回も!
ガンプラファイト!レディーゴー!


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~ロストシスター編~
第十八話~一輪の華が開花する時~


皆さんお待ちかねぇ!!
作者のワンダレルです。
さて前回、イチカは親友の墓参りを終えて、帰り道に合流したアイナと帰路についていた時、アイナとエタの関係者を名乗る人物に襲撃され、イチカは皆さんの想像を絶する大怪我を負ってしまいます。意識不明の重体な彼女ははてしてどうなるのか……。
それでは!ガンプラファイト!レディーゴー!


今までの思い出がスクロールしていく。

たくさんのガンプラと戦ったあの時を、ツルギに出会ったあの時を、エタとアイナと出会ったあの時を、ヒビキと出会ったあの時を………その全てが遠ざかるような感覚の後、イチカは目を覚ました。

むくりと起き上がるとそこは一面の小さなひまわりの花畑だった。

「どこ………ここ?たしか私……。」

ここで、思い出し気づく。

(あぁ、そっか。私死んだな……さっきの走馬灯だし、ここはあの世に行く前のお花畑だね。………まさか本当に見れるとは。)

そんなことを思いながらイチカは歩みを進める。

すると、藁の絨毯とその上にちゃぶ台というあまりにもミスマッチなものがあった。

「うわぁ………カオス。」

どうせやることも無いしとイチカは絨毯に座る。

「そういえば一回やってみたかったのよね〜。」

イチカはちゃぶ台を掴んだ。

「秘技!大雪山ちゃぶ台返しぃぃぃぃぃぃぃッ!!」

勢いよくちゃぶ台を放り投げた。

そしてちゃぶ台は天空の彼方へと消えていった。

しばしの沈黙。

「………ええええええぇ!!!」

後でめちゃくちゃな勢いで吹っ飛んで行ったちゃぶ台に驚いた。

そして、驚いてる間にものすごい轟音でちゃぶ台が落ちてきた。

なんと、寸分の狂いもなく同じ位置にちゃぶ台が落ちてきていた。

「おぉ!私すごい!天才!」

思わず自画自賛していた。

「そんなのすごい事じゃないってのワンちゃん。」

「えー、そんな事ないよシグちゃん!私天才だもん!」

「天才ならテスト九十点以上取れるでしょー?」

「むむむむ!!」

そこまでのやり取りをした時、イチカは気づいた。

「………シグちゃん?」

「やっほい、ワンちゃん。来るの早すぎだよ。とりあえず座りな。」

「うん。」

イチカが座るとシグレが近くにあった冷蔵庫からブラックサンダーと爽健美茶を出してきた。

「………ワンちゃんも死んじゃったかぁー。」

「でもこれで私達も最強タッグだよ。地獄でもかかってこいだね!」

「あの世にも一応ガンプラファイトあるけどみーんな弱いんだもん。」

「ダブルオーザクがあればなぁ。」

「ん?どしたのワンちゃん?」

「ううん、なんでもないよシグちゃん!」

そこからイチカ達は自由に遊び尽くしたガンプラを作ったり、思い出話をしたり。


「ワンちゃん、楽しいね!」

「うん!これからはシグちゃんとずぅーっと一緒だよ!」

イチカのその言葉にシグレは曇った顔をした。

「ねぇ、ワンちゃん。私が渡したあのキット、まだ作ってないよね?」

「……ごめん、ザクの方が強くてさ。」

「大丈夫、いつかワンちゃんのザクがダメな時は託したあれを使ってよ。」

「でも………。私は何も出来なかったし……。」

「それでいいの?ワンちゃんは?」

「じゃ、私は託す物託しておさらばだね。きっとワンちゃんなら作ってくれるって信じてるから。」

「待って、シグちゃん!行かないで!」

「大丈夫だよワンちゃん。」

シグレは可愛い笑みでこう言った。

「いつも、これからも、ずぅーーっとワンちゃんと一緒だよ?」

イチカは引き戻されるかのような感覚で、過去を遡り……目が覚めた。

「………。」

「イチカ……?」

「……レイカ姉、父さん……母さん……?」

「よかった……よかった……お母さん、イチカが一週間も目が覚めないでほんとにもうダメかって………。」

「うおおお我が娘イチカよぉぉ!ごめんなぁ!パパが不甲斐ないせいでぇぇぇ!!」

「イチカ、目を覚ましてくれてありがとう………ありがとう……。」

あのレイカが泣いていた。よほど心配してたんだろう。

程なくしてアルマが入ってくるなり、ヨシモリ、アマリ、レイカに土下座をした。

「すまない、僕としたことがイチカを守ることが出来なかった。」

「頭を上げてアルマ、イチカはこうして生きているんだし……。」

「死力は尽くすつもりだが、彼女のガンプラマイスターとしての生命である腕を守れなかった。はっきり言えば万死に値すると思っている。」

「アルマ……お前……。」

「重ねて詫びさせて欲しい、本当にすまなかった。あの時僕が気づいてさえいればこんなことには……。」

アルマがそこまで言った時、レイカがアルマの両脇を掴み立たせた。

「何を……。」

バシンッ!!

レイカはすぐかま平手打ちをした。

「アルマさん……過ぎたことに……そこまで執着してはいけません……。アルマさんも出来ることはやったはずです!それを卑下することはイチカが許しても私が許しません!!」

「……優しいね、君たちは。あの時と全く変わらない……。」

「アルマ、もし俺やママに出来ることがあれば言ってくれ!なんでもするさ!」

「……いや、君たちはいつも通りの日常に専念してくれ。イチカが戻ってこれるように。僕は………。」

瞬間、アルマの目に殺意が宿った。

「僕なりにやれることをやるよ。市民を傷つけるだけでは飽き足らず、ガンプラマイスターの生命である腕を壊した。それだけが分かればいい。」

そして、イチカの手を握った。

「イチカ、君は必ず僕がなんとかしてみせる。」

アルマは笑顔でそれだけ言うと失礼したと言って出ていった。

「イチカ、お母さん達はお店とかに行くけど何か必要なものはある?」

「………私の部屋にあるフラウロスとブルーディスティニー3号機、それとタクティカルアームズⅠ。あとデバイスとダイバーギア。」

「分かったわ、パパ!すぐに持ってきましょ!」

「イチカ、左腕だけで大丈夫?お姉ちゃんも手伝おうか?」

「大丈夫だよレイカ姉、作ってみせる。」


その頃、湯ノ森ガンプラ部室にて。

放課後で部活もないから誰もいない。

AI達を除いては。

『……ゼル?』

マリオンは偶然ながらゼルがひとりでに動いていたのを見ていた。

『………聞こえてないのかしら?』

マリオンはついて行った。

その姿はガンプラがガンプラを追いかけているようだ。

だがその姿はこの湯ノ森では希少ではあるが珍しくもない。

「マリオン、どうしたの?」

ゼルを追おうとした時、ツルギに声をかけられた。

『ツルギ、ゼルを追いかけて。』

「え?なんで?」

『何か、胸騒ぎがするの。』

「う、うん。」

ツルギは疑問に思いながらもゼルについて行った。


その頃、病院では利き腕でないにも関わらず、イチカは

「出来た……。」

たった数時間ですミキシングガンプラを作り上げた。

「私の相棒……。ガンダムロストディスティニー。」

そこにゼルが現れた。だが、いつものゼルとは違う。

『完成したんだね、ワンちゃん。』

「……シグちゃん?」

『そう、ワンちゃんと一緒に作ったゼルの中に私はいるよ。』

「………。違う、シグちゃんはもう……。」

『大丈夫、その新しいガンプラのシステムにゼルを組み込めば、ずっと一緒だよ?』

「シグちゃんと…………。」

『さぁ、ダイバーギアをつけてGBNに行こう。私達がどれだけのものか皆に見せつけようよ。』

「………うん、シグちゃん。」

イチカは、GBNへと入っていった。


「……総合病院?」

『……ツルギ、ダイバーギアは持っているかしら?』

「一応ありますよ。」

『今すぐGBNに行きましょう。』

「ええ?さっきからどうしたのマリオン?」

『あの子が……いえ、ゼルは危険よ。』

「え?」


~GBN内~

高らかな下卑た笑い声が聞こえる。

彼はいわゆるマスダイバーであった。

元はデュエルガンダムを元にしたガンプラ使いが非公式プログラムのブレイクデカールを用いて、中級者フォース狩りをしていた最中だったのだ。

だが、最後のリーダーのSDCSシスクードを潰す一歩手前の勝利の余韻に浸っていた時だ。

「くくく、これだからマスダイバーはやめらんねぇなぁ!」

そこまで言った時、腕を撃ち抜かれた。

「な!?」

だが、ブレイクデカールの効果ですぐに再生はした。

しかし、姿は見当たらない。

「……………行くよ、シグちゃん。」

『EXAM-System-Final-Phase-Express』

「『We're always together(私達はずっと一緒だよ)……。」』

赤い双眸が光る。

完全なる同調。

動きが読めず、一方的になる。

近づけば握っていないマシンガンが火を吹き、中距離に行けば持っているバスターライフルで撃ち抜かれそうになる。

「クソっ!クソっ!!どうなってんだ!こっちはブレイクデカール使ってるってのに!」

かと言って距離を取れば、遠距離からレールガンを撃たれる。

「ふざけんじゃねぇ!!」

そう言って目くらましをした後に加速し逃げた。

「なんなんだ、なんなんだあの、赤いのは!」

男は『赤い死神』から逃げていた。

ぽっと出の中級者だろう。

だが、しかし。

「あんなやつ聞いたこ…………。」

直後、ダインスレイヴで機体はバラバラにされた。

バトル終了の音声とともに男は放り出される。

「くっ……チートじゃねぇか!なんなんだ………!」

だが、その言葉は詰まることとなった。

イチカがガンプラに乗ったまま男にバスターライフルを構えていた。

「な……なんで、降り………。」

男は光に包まれた。

『私とシグちゃんに不可能はないんだよ?』

「システムをある程度掌握出来たね。」

そして、先程のフォースのリーダーが声をかけてくれた。

「あの、すみません!あなたの名前は?」

「………ロスト。シスターロストって呼んでよ。」

『こいつはどうするワンちゃん?』

「生かしておこう、この人には生き証人になってもらう。」

なにやら話し込んでいる。

「あの、俺はライバー。フォースリフレインのリーダーだ。よろしくな!」

「ごめん。私行かないと。」

「え?ま、待って!俺たちと来ないか?きっとアンタの腕なら……」

『私とワンちゃんの邪魔するなら消すぞ……失せろ。』

ライバーはそのドスの効いた声に怯んだ。

それを見たイチカがガンダムロストディスティニーに乗り駆け巡る。

そして、ツルギ達がGBNに入る頃には、シスターロストはマスダイバー、ダイバー関係なく全てを撃ち抜く

Bloody Sister(血まみれのシスター)と呼ばれ始めていた。

「誰にも私たちを」

『止められない止めさせやしない』

「私たちが先に進む道を」

『邪魔する奴らに鉄槌を』

「運命を失った修道女の」

『凱旋をここに。』

「永遠の友と過ごすために」

『永遠の時を得るために』

「『私達が全てを破壊し、貫く。』」

無差別なガンプラブレイカーによる暴力が始まる。




「さて、君に頼み事をするのは懐かしいな。」
「俺にやれることはやりますよ。」
「ふ、なら話は早い。この男を捕らえてきてくれ。僕も手を貸そう。」
「オーライ、任せてくれ。」
次回
ガンダムビルドブレイカーズforWAR
「市長の代理戦争」
それでは次回も!
ガンプラファイト!レディーゴー!


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第十九話~市長の代理戦争~

みなさんおまちかねぇ!!
作者のワンダレルです。
さて前回、イチカは病床で目を覚ましましたが、何やら不穏な空気が流れております。
一方、アルマはアルマなりの戦争を引き起こそうとしておりました。
果たして、アルマの目的とは!?
それでは!ガンプラファイト!レディーゴー!


夕刻、アルマは至急市長室へと戻り、調べていた。

(……ちっ、あの毒虫め。居場所は確実につきとめてみるか。……ここはを呼ぼうか。)

携帯電話からとある場所に繋げる。

「あぁ、久しいね。アイアンブラッド。」

「……アンタかアルマ市長。」

「見ない間に大きくなったね。君に依頼をしたいのだが可能かな?」

「俺に出来ることがあれば。」

「なら、経緯を簡単に話そう。」

事の理由を話すと男は激怒していた。

「なるほどなるほど、確かにそんなやつを生かす訳にはいきませんね。地獄に堕ちるべきです。」

「そうだ。僕はこの男、『ヤガ・タカオ』をこの世界から抹消してやろうと思ってるのさ。」

「アンタも相当怒ってるんだな。」

「無論さ、何せ僕としても大切な子だからね。」

「協力しますよ。何をすればいいんです?」

「……ヤガ・タカオの確保を頼むよ。まぁ、僕も動くから何かしら欠損がある可能性もあるが、気にしないでくれ。」

「了解です、では俺の方も師匠付きですけど向かいますね。」

そこで通話は切れた。

「………さてと。」

動こうと椅子を動かしたら、ノリスがいた。

「……どこへ向かう気ですかな、市長。」

「………今回の件はどうしても僕は許せなくてね。私情を挟んではいけないのは重々承知だ。だが、行かせてくれ。」

「……いいでしょう。しかし、後始末は市長にしてもらいますよ。」

「安心してくれ、後始末までがこの僕、湯ノ森市長のソウゲツ・アルマの務めさ。」

アルマは市長室から出ていき、とあるものを持ってある場所へ向かった。

そこは、蒼月の一族が代々受け継いでいる豪邸だった。

インターホンを鳴らすと腐ったような声が聞こえてくる。

「おや、アルマ。夢は諦めたのかい?」

「いえ、夢を取り返しに来たんですよ。お話をして頂けませんか?」

「通すわけがないだろう……と言いたいところだが、いいでしょう。応接室まで来なさい。来れるものならね?」

どうやらアルマが来ることを予見していたように多数のSPが現れる。

「……やはりな。」

そう言うと、玄関にいたアルマは姿を消した。

デバイスの運用次第ではホログラフィックによる囮も出来るのだよ。」

既に屋上の裏口から通路へ入り、応接室へ入ってきた。

「!?あの数のSPをどうやって。」

「市長という立ち位置を舐めないでいただきたい。」

「それで、話とは?」

「……あなたを湯ノ森から排除します。」

「……は?」

「トモコ、あなたはこの湯ノ森における政治会そして裏社会での暗黙のルールをご存知かな?」

「それがどうしたのよ?」

「故意にこの僕の邪魔をした場合は排除するとね?」

「ふっ、何を言うかと思えば。どこに証拠があるのよ?」

「いえ、証拠など不要です。これはあくまであなたに対する嫌がらせですので。」

「なんですって!?」

「そもそも、証拠は既に抑えてあるんですよ。貴方がこの湯ノ森にエタ君とアイナ君の血の繋がらない養父のヤガ・タカオを引き入れここで匿い、事件を起こした。………おかげで僕とイチカの計画が台無しになってしまったよ。」

「………ふっ、それがどうしたの?」

「私は偶然あの男と面識があったから招き入れたのよ?それの何が問題あるのかしら?」

「いえ、ないですよ。ですが、法には従ってもらおうと思ってね。」

アルマが指を鳴らすと入口からぞろぞろと警察が入ってきた。

「警察だ!差し押さえ礼状と逮捕令状だ!この屋敷を全て捜索させてもらう!」

「な!?」

「こういうことさ。そろそろ僕はこんな豪邸なんて必要ないと思っていたんだよ。所詮は象徴だけの飾り。これほど不要なものはないからね。」

「アルマァァァ!この親不孝者ォォ!!」

「なんとでも言うがいいさ、僕を傀儡にしようとして失敗し、僕を貶めようとした。それがあなたの判断ミスだったのさ。さらばだトモコ、今日限りで貴方は蒼月の名を剥奪させてもらう。貴方にはもうその資格はない。」

「アルマァァァァァァッ!!」

その頃、繁華街にて。

「……へっ、金も沢山貰えて大義名分まで得られたなぁ。あとは俺の娘達を連れて帰りゃさらに金が増える……。」

男はふと見上げた時、緊急放送を見た。

「……は?」

ソウゲツトモコの逮捕と差し押さえ。

「……クソ!金づるがいなかなっちまった!」

タカオは裏社会で生きていた為、このような事態になれば間違いなく自分へと矛先がむく事を知っていた。

「ちっ、捕まってたまるかよ!」

繁華街の路地裏へと逃げ込んだ。

目指すは港だ。

だが。

「おや?どこに向かおうと言うのかな、ヤガ・タカオ三十九歳、二十歳の頃に養王田組の舎弟として入り甘い汁だけ吸い続けて感覚がおかしくなり、三十歳の時に結婚。様々なDVの末遂に妻を殺害、残された血の繋がらない子供二人を傷つけ中学卒業と同時に売ろうとし、その計画も僕の介入で破綻した哀れな男。」

「……ちっ!死ね!」

路地裏ということもあり、どこから仕入れたのかサプレッサー付きのハンドガンをアルマが解説してる間に何発も撃った。

だが、アルマは全てひらりとかわした。

「当たらないよ、プラモトレースシステムは判断力など直接的な感覚の強化にあたるからね。」

すかさずタカオは二発目を撃とうとしたがその前にアルマの拳がタカオを捉えていた。

パァンという拳銃の銃撃音のような音が響く。

「グカァ!」

「痛いかな?まぁ当然だ痛くしてるんだからね。」

アルマはふとライターを取り出した。

「君、タバコが好きだったよね?」

「は……?」

「吸わせてあげよう。」

そう言うとアルマはタカオの胸ポケットからタバコ一箱丸々全て取り出し一気に火をつけた。

そして

「むぐ!!?」

口に一気にねじ込み。

「おや?鼻の穴が空いてるじゃないか。どうぞ?」

鼻の穴に入れる。

無論息苦しくて悶絶するが、アルマは続ける。

「おや?耳の穴も空いてしまってるね。入れてあげよう。」

アルマは容赦なく火のついたタバコを入れた。

「もごぉ!!」

そしてアルマはライターの火力を最大にし、タカオの口にねじ込んだタバコの火をさらに強い火力で燃やした。

煙でむせ、タカオがげほげほと咳き込みながら転がる。

「おや?タバコは好きなんだろう?ほら、吸いたまえ。」

転がっているまだ燃えているタバコを額に押し当てた。

「うおおぉ!!?」

「おやおや、子供にしていたことをいざ自分がされると嫌かい?」

「がぁっ!?テメェ何考えてやがる!!」

「………君、イチカの右腕を壊したらしいね?」

「それが……どうしたってんだ……まさかアンタが復讐すんのか?」

「その通りさ。」

アルマはおもむろにライターを閉じてアルマ自身の方へと引っ張った。

「安心しなよ、医者に繋げてもらうさだが、君に両腕は必要ないよね?」

突然、タカオの腕が落とされた。

「う、うぎゃぁぁ!!う、腕がぁ!!」

「……黙れ。」

「ぶふぅえ!」

タカオはそのまま顔面を殴られたが、逃げ出した。

「し、死んでたまるか!」

「……フッ、逃げても無駄だと言うのに。」

タカオは路地裏から繁華街の入口へと向かった。

(あそこに行きゃ、俺は被害者としてアイツを蹴落とせる!あそこまで行きゃ!)

「おっと、こっから先は通行止だ。」

だが、突如現れた謎の男に通せんぼされた。

「な、なんだ!?み、見てわからねぇのか!腕落とされてんだ病院行くんだよ!どけぇ!」

「あぁ、どいてやるよ。」

ゴッ

謎の男は鉄パイプで男を殴り気絶させた。

「お前が気絶してからな。」

「ご苦労さま、アイアンブラッド。君も参加するかい?」

「おう、あの子をコケにされたまんまじゃ示しがつかないしな。だが、腕繋がるのか?」

「優秀な医者がいるから平気さ。さぁ連れていこう、この男を地獄の底にね。」


タカオは気がつくと地下室のような場所にいた。

「こ、ここは?」

「おはよう、タカオ君。」

タカオは固定されていた。

だが、固定の仕方がおかしいのと、腕が繋がってる事だ。

「う、腕が………。」

「あぁ、あれは君を無力化するためにした事だ。直ぐに繋げてもらったよ。」

アルマはそう言うと、選手交代と言わんばかりにアイアンブラッドと代わった。

「僕の場合直ぐに始末する癖があってね、苦しませてあげてくれ。」

「はぁ〜、アンタも災難だな。この市長、怒らせると怖いんだぞ?しかもガンプラがないとなったらもう……な?」

ゴッ!!

アイアンブラッドはレンガブロックをタカオの剥き出しの親指に振り下ろした。

「ぎゃぁぁぁぁっ!!」

「さて、次だ。」

今度は人差し指を掴み、逆の方に曲げて折る。

その度にタカオは喚いた。

「うるせぇわめくな。」

そう言ってアイアンブラッドはレンガブロックでタカオの顔面を殴った。

ひとしきり終わったところで、タカオの指は使い物にならなくなった。

「拷問とか苦手だから下手くそですまんなぁ。」

「か、あぁぁ……。」

「交代しようアイアンブラッド。僕もそろそろ試したいことがあってね。」

「な。何をする気だァ……?」

タカオが震えながら聞く。

「ん?簡単さ、毒虫の排除には(これ)が必要だろう?今から君の足の指を撃ち抜く。安心してくれ、これは本物だ。」

バァン!

「いぎぃぃ!!」

タカオが悲鳴を上げる。

「うるさいよ、毒虫。」

アルマが銃底で殴る。

「では、一気にやろう。」

バァンバァンバァンバァンバァンバァンバァンバァンバァン

百発百中の威力で足の指を全て砕いた。

その間もタカオの汚らしい悲鳴が響く。

「さて、君は運がいいねタカオ君、君は今から裏社会に貢献するよ。」

「へ……?」

タカオは憔悴しきった声で反応した。

「まず、腕を使えなくしよう。」

アルマは手にしていたナイフを素早く突き刺し、タカオの両腕の神経系統を最後に遮断する形で傷つけた。

「そして足をこうしよう。」

アルマはゴルフクラブを持ってきていた。だが、もちろんタダのゴルフクラブじゃない。

「特注のトゲ付きさ。どれくらい痛いのだろうね!!」

タカオの悲鳴が響きながら、アルマはタカオの脚を破壊していく。

タカオが許しを乞い始めた。

「もう……許して……。」

「そうだなぁ、あと二つだがんばってくれたまえ。」

そしてアルマは針を取り出した。

すると、アルマはタカオの下の服を脱がす。

「へ………?ま、まさか!?」

タカオの顔が青ざめる。

「そのまさかさ。」

アルマは思いっきり針をタカオの男性器に横からぶっ刺した。

「うぎぇあァァァァァァ!」

そして、アルマは貫かれた針の反対側を軍手をつけて持つと、一気に手前へと引き抜いた。

無論、無理やりしたのでタカオの男性器は横真っ二つに裂けた。

「おや、アイアンブラッド。僕が本気で怒った姿を見るのは初めてかい?今の内に言っておくが、僕の邪魔をすれば、そしてよそ者が湯ノ森の市民に危害を加えたらどうなるかの見せしめにもするよ。」

アルマがスイッチを押すと、穴が開いた。

そして、その穴には大型のミンチシュレッダーが入っており、回っていた。

「お、おい嘘だろ……?たかがガキ一人の命じゃねぇか?!ここまですることは無いだろ!!」

タカオが狼狽してそう言う。

「……だそうだアイアンブラッド、どう思う?」

「結論わかってるでしょアルマ市長さんよ。」

アイアンブラッドは頭をかいて言った。

「関係ない、死んでろクソ野郎」

「よく言った。」

アルマはそれだけ言うと椅子に座っているタカオを椅子ごと穴に蹴り入れた。

「やめ……あ!?ぎぇぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァっ!!!!?!」

メキメキと身体が引き裂かれる音、目玉が飛び出たり見るだけならかなり悲惨なものだった。

「うぇ……流石にこれはきついっすわアルマ市長。」

「ふっ、だが裏社会にもいい見せしめになった。このクズはせいぜい魚の餌にでもなってもらうよ。報酬は高くしよう。」

「ったく何回も言ってんでしょ、湯ノ森の事なら報酬はいらないってさ。」

アイアンブラッドは少し恐ろしげに、アルマは清々しいさっぱりした笑顔で部屋を立ち去っていった。

そして、ヤガ・タカオという男は、アルマの手によって……

文字通り消された。




『私はイチカであってイチカじゃない。』
「行こう、みんな!」
「……よくぞ成し遂げた。」
次回、
ガンダムビルドブレイカーズforWAR
第二十話「異常事態」
それでは次回も!
ガンプラファイト!レディーゴー!


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第二十話~異常事態~

皆さんお待ちかねぇ!!
作者のワンダレルです。
さて前回、アルマの独断の行動によりイチカの痛みを代理し引き受けた制裁により、かの男は文字通りこの世から消えました。
しかし、失ったものは戻らず、さらに状況が悪化を辿っています。
この状況がどうなるかはまだ分かりません。
それでは!ガンプラファイト!レディーゴー!


ある女が、復讐を誓いそれを機械が遂行していた。

???「……くく、アルマァ……。甘いわね本当に……この私を、ソウゲツ・トモコが無策だと思って………お前の立場も終わりさ……」

~GBNにて~

さほど有名ではないチームリフレインがフォースネストで談笑をしていた。

チームリフレインは三人チームだが、連携は凄いが個々の力は脆い。しかし、彼らはそれでもここて遊び楽しむ為に切磋琢磨している。

???「ライバー、どうしたの?浮かない顔をしてるけど。」

リフレインリーダーのライバーの幼なじみのミミがふと尋ねた。

ライバー「いや、その………。」

???「もしかしてあのロストシスターの事か、ライバー?」

そう聞いたのも、ライバーの親友のカグナだった。

リフレインの三人は住んでる場所が同じ湯の森だと聞いて会ったことがあるくらいの仲の良さだ。

ライバー「………まぁね。」

カグナ「スカウトなら諦めたんだろうライバー?ならもう放っておいてもいいじゃないか。」

ただならぬ雰囲気。

一人だけのはずなのに二人いるようなあの感覚、殺気。

その全てが異常さを加速させてた。

ロストシスターは、今ではあらゆるマスダイバー組織にガンプラバトルを挑み破壊し続けている。

それがGBNのアイドルが裏でブレイクデカールを使っていたこともリークして叩く。

それ故に、彼女らの事もGBNのダイバー達からはマスダイバーとも呼ばれている

ミミ「そう言えばロストシスターってめちゃくちゃ暴れててGBNではエルダイバーだとかマスダイバーとか言われてるよ?」

ライバー「いや、違う気がするんだ……彼女は……いや、彼女達は。」

ライバーが言葉の続きを言おうとした時、新しいミッションが出現した。

カグナ「新しいミッションだライバー。内容も確認するぞ。」

ライバー「おう………ん?動画?」

そこには真っ暗な画面が映し出されてるだけの動画だった。

そしてとあるBGMが流れ出す。

ミミ「これって……。」

ライバー「Dead End Extended?」

画面を見続けていると、ジムの群れとザクの群れとモビルジンの群れが動画に映し出された。

カグナ「……なんて数だ……軽く千や万を超えてるんじゃないか?」

思わずカグナがそんなことを言う。

そして、ジムの群れを写している画面の上空から何かが舞い降りた。

膝立ちをし、そのままゆっくりと立ち上がる。

それはリアル等身の武者ガンダムだった

武者ガンダム「この星の力を束ねしもの達よ。よくぞ成し遂げた……。」

そして、ザクの群れにも同じように降り立ったガンプラが居た。

そちらは武者ガンダムMk-2だった

武者ガンダムMk-2「この世界で、GBNに永遠の支配と繁栄をもたらすためにさ」

武者ガンダム「汝らは我が剣となれ……。」

そして、声が聞こえる。

???「時は来た。」

ジンの群れの画面が少しづつ下がり始め、姿が見える。

その姿は同じくリアル等身となった騎士ガンダムだった

騎士ガンダム「今、真のガンダム無双を決める決戦が始まる!」

そして、騎士ガンダムが号令を下すかのように剣をかざす。

同時にモビルジンの群れが前進する。

そして、武者ガンダムの方は、槍を持ったジムが武者ガンダムに槍を渡し、それを手にした武者ガンダムもまた号令をかける。

その号令を機にジムの群れも前進を始める。

そして、武者ガンダムMk-2も刀を振り上げ、号令をかけると、ザクの群れが前進を始めた。

そして、それぞれのガンダムが群れの後ろからを前進を始めたところで動画……いや、ミッション内容は終わった。

ミミ「ど、どういうこと?」

ライバー「分からない……だが、なんかやばい気がする!」

カグナ「どうする、ライバー?」

ライバー「ミッションネームは……「真のガンダム無双」?」

カグナ「さっきネットワークで調べてたけど最大勢力は、武者ガンダム軍、武者ガンダムMk-2軍、騎士ガンダム軍、有志連合軍、もしくは無所属の義勇軍に別れるらしい。どうやら、動画の三勢力の傘下に入るか、有志連合軍に入るか、僕たち三人が義勇軍になるかの選択肢がダイバー全員が強制で選ばれるらしい。」

ミミ「え!?拒否権ないってこと!?」

カグナ「しかもさっき調べたけど、GBN運営公式はこのクエストには異常性があり、危険だと言われてるしサーバーに大きく負荷がかかってるらしい。それに、このクエスト作ったのはソウゲツ・アルマだって言われてるみたいだよ。」

ライバー「あの市長がそんな非合法なことするわけが!」

カグナ「あぁ、僕もそう思いたいさ。だが、今のところは疑いの目はアルマ市長に行ってるかもね……。それにロストシスターは誰彼構わず、攻撃を開始してるみたい。」

ミミ「そのロストシスターさんの所属は?」

カグナ「ソロの義勇軍……だけど、あの戦力なら……。」

ライバー「間違いなく、有志連合軍も叩く。」

カグナ「……嘘……。」

ミミ「どうしたのカグナ?」

カグナ「このミッションのシステムの異常らしいんだけど、フォースネストが破壊することが出来るそうなの……。」

ライバー「……待ってくれ、じゃあこのミッションって。」

ミミ「誰も逃げられない?」

カグナ「もう既に武者ガンダム軍達NPCの軍勢にやられてるフォースもあるし、ロストシスターに破壊されたのもあるらしいよ。僕達もこうしちゃいられない。勢力を広げてもっとも大きく勢力を広げた軍が勝利である以上、どうするかはもう………。」

その時、ライバーの元にメールが届いた。

ライバー「メールだ……。」

メールの内容はこうだった。

『ロストシスターがこのGBNのシステムを書き換えてる事が判明した。よって、武者ガンダム、武者ガンダムMk-2、騎士ガンダムを始め、元凶たるロストシスターを討伐対象に含めた有志連合の結成。勝利条件はELダイバーのロストシスターを破壊することの変則フラッグ戦を始める。GBNを守るために協力を求む。』

ライバー「なんだよこれ……。」

ミミ「……どうするの、これ?」


その頃、湯の森のアルマの自宅にて。

アルマ「………随分派手なことをしてくれたじゃないか、ソウゲツ・トモコ。わざわざ自分の撒こうとしていた種を僕に押付け、失脚させるつもりだったとはね。」

アルマの固定電話に連絡が止まないのを始め、SNSでも様々なバッシングを受けているアルマだが、酷く冷静でもあった。

アルマ「仮に僕がどうなろうがどうでもいい。せめてイチカだけは守らないとね……。」

アルマが懸念してるのは、イチカは健康ではあるが、GBNに入り浸っており、例の「真のガンダム無双」に巻き込まれて全てを失うなどということがあった時の対処法だ。

アルマ(全く、厄介なことばかりだ。)

アルマはノリスへと連絡をした。

アルマ「ノリス君。」

ノリス『市長!今どちらに?!』

アルマ「自宅さ、記者が多くて外には出れないが、最大四ヶ月は持つよ。GBN側にもある程度の事を知らせて誤解を解いている所さ。」

ノリス『しかし市長、このままでは!』

アルマ「安心してくれ、このリアルでの騒動もあと三日あれば解決出来る。」

ノリス『分かりました、お気をつけて。』

ノリスからの電話は切れた。

アルマ「さてと、やることは多いな。」


同時刻、ロストシスターはあらゆるフォースを破壊して回っていた。

イチカ「……終わったよシグちゃん。」

シグレ『まだまだ足りないよワンちゃん。こいつらは私達の邪魔をしたんだ。』

イチカ「そうだね。」

イチカ(?)は容赦なく残りの敵を踏み潰して行った。

???「な、なんで!!?どうして!バトルは終わったはずだろ!?なんでガンプラが出たまんまなんだ!」

ロストシスター「『You Shall Die(お前は死ぬだろう)」』

至近距離でレールガンをアバターに直接撃ち込んだ

そして、ロストシスターは狂気的に笑い始めた。

まるで無邪気な子供が二人で遊んでるように。




「ふっ、僕の手にかかれば解決だ。何せ、証拠はあるからね。」
「イチカ………。私があなたを相手にするわ。」
「『お前が私達の邪魔をするなァァァ!!』」
次回
ガンダムビルドブレイカーズforWAR
第二十一話「破壊者と戦女神」
それでは次回も!
ガンプラファイト!レディーゴー!


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第二十一話「破壊者と戦女神」

皆さんお待ちかねぇ!!
作者のワンダレルです。
さて前回、突如として起動した謎の非公式イベント「真のガンダム無双」により、サーバーに大きな負担がかかり、なんとそれがアルマの仕業だと囁かれ、大きなダメージを負っています。
アルマには策があるようですが、GBN内ではロストシスターによる破壊活動が進められ、このガンダム無双のイベントで生じた有志連合軍の標的とされてしまいました。
しかし、ロストシスターは止まることはありません。
例えそれが戦女神が相手だとしてもです。
それでは!ガンプラファイト!レディーゴー!


この緊急事態は直ぐに湯の森に広がっていった。

しかし、湯の森ガンプラ部のメンバーはどうにもアルマがそれをするとは思えなかった。

セイラ「状況を整理すると、今アルマ市長が何かをしでかしそれが公になったわけだ。」

ヒビキ「だけど、僕達としてはアルマさんがそんなことするとは思えないんだ。」

セイラ「無論、私もそう思っている。何せこの状況をアルマ市長が作るメリットがまずないんだ。」

ルヤ「だったら直接市長んとこ行って確かめりゃいいんじゃないか?」

コマ「バカかお前は、それで行ったところで俺らがダメになるだろ。そんくらい考えろバーカ。」

ルヤ「あんだとコラァ!!」

コマ「やんのかコラァ!!」

ボコォ!!

レイカ「まぁまぁ二人とも落ち着いて。」

レイカがルヤとコマの間に正拳突きをして黙らせた。

ツルギ「ともかく、イチカもまだ帰ってきてませんしショックで寝込んでるそうです……。」

アキト「まぁ、そりゃあれだけ一途ならショックだろうな…。」

エタ「……ごめん、今日はそろそろ上がるね。」

レイカ「エタちゃん………。」

エタの妹であるアイナもまた、前回のイチカの件でかなりショックを受けて寝込んでるのだ。

エタが去った後、各々が出来ることを模索するために解散した。

イチカが入院してからずっとこの調子だった。


ヒビキ(……これじゃダメなんだ。こんな姿を見られたら兄さんに怒られるよ。きっとアルマ市長はGBNへのサイバー攻撃なんてしてないはずだ。あれだけガンプラを愛してるならそのはずだ……。コアガンダムα、力を貸してくれ!)


レイカは自宅でメガネをかけてパソコンを打ち込んでいた。

レイカ(………GBNで突如現れたミッション、真のガンダム無双はダイバー全員が強制参加、なおかつ所属を決めることは出来る上にフォースネストを破壊できる……か。確かにサイバー攻撃としては十分すぎる。)

レイカは記事の続きを見ていた。

そして、レイカは気づいた。

レイカ「ロストシスター……?これってイチカが組んでたガンプラの………。いえ、GBNには………。」

そこで思い出したことがある。

イチカはダイバーギアも持ってきて欲しいと。

レイカは迷わずダイバーギアを起動させた。

無論、ランクはそこそこ高いし、プラモトレースシステムとの連動もしっかりなされている。

そして、電脳仮想空間「ディメンション」へと向かった。


レイカはすぐさま情報を集めた。

ロストシスターが出現しやすい場所を。

そうして捉えたのが、今は武者ガンダム軍との戦闘をしているということだった。

レイカはゴッドアストレイを駆使してすぐさま向かった。

そこには、ジムの群れに混じって他のダイバー二十人ほどと戦闘をしているロストデスティニーの姿があった。

レイカ「………イチカ。」

だが、一対千の圧倒的な戦力差でも一瞬でカタがついた。

手に持っていたツインバスターライフルでローリングバスターライフルをしかけ、その間にもレールガンによる的確な狙撃でバランスを崩すことも無く殲滅した。

その戦場はもう焼け野原同然だった。

イチカ「戦闘終了。次行くよシグちゃん。」

レイカ(?シグレちゃん?)

シグレ『まだ終わってないよワンちゃん。』

ロストデスティニーの赤い双眸がこちらに向く。

瞬間、レイカはおぞましい寒気を感じた。

レイカ(この感覚……この殺気……。尋常じゃない!まさか、examが暴走してる?いや、それ以前に暴走どころじゃない!)

イチカ「レイカ姉……何しに来たの?」

レイカ「イチカ……イチカこそ何をしてるの?」

イチカ「わからないの、レイカ姉?私はシグちゃんと遊んでるの。ねーシグちゃん?」

シグレ『ねー?』

レイカ「違う……イチカ、シグレちゃんはもう……。」

イチカ「いるよ、ここに。このGBNの中に。」

シグレ『私とワンちゃんはいつもいるんだよ?』

レイカ「でも、こんなの間違ってる!」

イチカ「間違ってなんかいないよ、レイカ姉。」

イチカの声のトーンが本気になる。

シグレ『はぁ……仕方ないよ。私達もマスダイバーって言われてるし、システムが私の事を悪質なバグだって言ってるしね。』

イチカ「そうだねシグちゃん。さっき説得しようとしてた人も結局はあの有志連合っていう連中と同じで騙して襲おうとしてた。」

シグレ『許せないねワンちゃん。』

イチカ「許せないねシグちゃん。」

シグレ『だから私は』

イチカ「私たちは決めたの。」

イチカとシグレのアバターが融合したように見えた。

見た目は修道女。

その本性は破壊者。

ロストシスター「『この世界のシステムごと破壊して、新しくシグちゃんとワンちゃんとで生きるって。』」

レイカ「どうしても、戦わなきゃいけないのイチカ?」

ロストシスター『「私はイチカであってイチカじゃない。シグレであってシグレでもない。私たちはロストシスター。失ったものを取り戻した人。それを守る為なら全てを破壊し尽くす代行者。」』

レイカ「………なら、その破壊の代行者にこの戦女神のゼロが挑みます。イチカ……いえ、ロストシスター!」

バトルモードに入ったが、その直後にロストデスティニーは腰にマウントしてあるマシンガン二丁を乱射する。

しかし、ゴッドアストレイはその弾幕を弾ける。

ロストシスター「『流石は戦女神のゼロ、その異名は伊達じゃないね。』」

ロストシスターは時折、シグレの人格とイチカの人格が主となって出てくることがあるようだ。

レイカ「御託は不要!ガンプラファイターなら戦いで語りなさい!」

レイカはトツカノツルギを引き抜き突進した。

ロストデスティニーは近接武装はないという情報があったが………。

ガギャァァアン!!

レイカ(やはり、近接武装を持っていた!)

大型のブレイド状のウェポンで弾かれ、距離を取られた。

ロストシスター「『これはねレイカ姉、「ジャッジメントアロンダイト」ていうの。アロンダイトとはまた違う、ロストデスティニーだけの武器。』」

ジャッジメントアロンダイトの継ぎ目を手に取り、刀身が二つになった。

ロストシスター「『全てを切り裂き裁きを下す。それがこの武器の由来だよ、レイカさん?』」

二刀流VS二刀流。

距離を少しずつ詰め寄り、一気に駆ける。

目に見えない斬撃。

それがレイカとロストシスターが繰り出してる接近戦。

レイカは見切り、切りつけるが、どうしても当たらない。

ロストシスター「『見える、何もかもが!』」

レイカ「くっ!!」

逆にゴッドアストレイが被弾する程だ。

レイカ「出し惜しみはできない……はぁッ!!」

レイカは一気にアブソリュートゾーンに入った。

イチカ「シグちゃん。」

シグレ『分かってるよワンちゃん。』

イチカ「EXAM!」

シグレ『もっと寄越して……ロストデスティニー!』

駆動音と共に聞こえるかつてレイカが共に戦ったガンプラが響かせていたシステム音声。

『EXAM-System-Final-Phase-Express』

ロストシスター「『Let's Finish Everything(さぁ、全てを終わりにしよう)…」』

ロストシスターが詠唱すると同時にロストデスティニーの目に赤い閃光が走る。

ロストデスティニーがレイカが瞬きをしてる間に消えた。

瞬間、背後から斬撃の衝撃が来る。

レイカ(………なるほど。)

ただものでは無い。既にこの強さは。

レイカ(私を遥かに凌駕してる。だけど勝ち目がない訳では無い!!)

ゴッドアストレイが素早く反撃する。

しかし、拳を止められた。

ロストシスター「『オラァァァっ!!』」

フラウロス特有の砲撃モードの為の腕部カバーを変形させ、そのまま殴りつけられる。

阿頼耶識とEXAMのシステムをリミットを外してるからか、とてつもなく凶悪な威力になっていた。

だが、レイカも負けじと拳を叩きつけ大幅なダメージを与える。

が、それでもロストデスティニーは止まらない。蹴りを入れられ、レールガンを放たれるが、レイカはそれを受け止めた。

しかし、それが悪手と気づいたのは少し遅れた。

レイカ「!!」

ロストデスティニーはダインスレイヴとツインバスターライフルの装填を完了していた。

ロストシスター「『Amen」』

瞬間、ゴッドアストレイはダインスレイヴに両肩を抉られ、光に包まれた。

レイカ「あぁ、イチカ……ごめんなさい……みんな……。」

システムの書き換えでコクピット部分も破壊され、レイカのアバターは包み込まれた。

そして、バトルエンドの音声が流れた。

イチカ「バイバイ、レイカ姉。」

シグレ『さぁ、行こうワンちゃん。』

イチカ「うん。私たちにできないことは無い。」

シグレ『私達以外に出来ない。』

ロストシスター「『戦女神すらも引き摺り堕とす、神罰の執行を。』」

戦女神のゼロは何かを失い、生きる道を見失った修道女により、破壊された。




「あなたは……。」
「君に秘密のコードを教える。」
「俺は俺なりの正義を貫きたいんだ!!」
「よく言った、リーダー!」
次回
ガンダムビルドブレイカーズforWAR
第二十二話「一つの答え」
それでは次回も!
ガンプラファイト!レディーゴー!


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第二十二話~1つの答え~

皆さんお待ちかねぇ!
作者のワンダレルです。
さて前回、あの戦女神のゼロがロストシスターに敗れました。
このことは、湯の森においてはかなりショックな出来事かと思います。
侵攻を続けるロストシスター。
迎え撃つは有志連合。
この戦い、果たして勝者はいったいどちらになるのか!
それでは!
ガンプラファイト!レディーゴー!


レイバー「うそ…だろ……?」

レイバーは見ていた。

あの湯の森最強と言われた戦女神のゼロがロストシスターに討たれるのを。

だからこそだ、残骸となったゴッドアストレイの右腕を置き、その隣に折れたトツカノツルギ二本を刺してどこかに行こうとしたロストデスティニーの前にSDCSのシスクードで立ち塞がった。

レイバー「ロストシスター……あなたは一体何が目的なんですか?」

ロストシスター「『……………。』」

レイバー「どうしてこんなことを!」

イチカ「……もうここしかないの、私の居場所は。」

レイバー「え?」

シグレ『邪魔をするな。ワンちゃんを守れるのは私だけだ。私しかワンちゃんを救えないんだよ。』

イチカ「見逃してあげる、だから……。」

シグレ『チャンスはあげる、だから…。』

ロストシスター「『今すぐ私の前から消えろ。』」

二重人格とかではない。

ただ、レイバーに分かったのは。

片方は悲しみに溢れ、もう片方は怒りに溢れていることだった。

そしてそれは愛がなすものであると。

レイバーは立ち尽くし、何も出来なかった。

そして彼女達はロストデスティニーで新たな戦場へと駆け抜けて行った。

レイバー「……本当に正しかったのかこれで。」


~数時間前~

ミミ「レイバー、どうするの?」

カグナ「僕は有志連合に入るべきだと思う。ロストデスティニーでも流石に物量には勝てない。なにか理由があるとは思うが、僕はロストデスティニーにつくのは賢明じゃないと思う。」

レイバー「……仕方ない、俺たちリフレインも有志連合につこう。武者ガンダム、武者ガンダムMk-2、騎士ガンダムからも守ってくれるらしいし。」

ミミ「……わかったよレイバー。」

カグナ「レイバー、すまないな。」

レイバー「いいんだ、せめてこのフォースネストが無事に済むのなら……。」


その後、武者ガンダムMk-2が率いるザクの群れが現れたが、有志連合は助けに来なかった。

正確には騎士ガンダム軍の相手をしていて来れなかった。

だが、その時ロストシスターが助けてくれた。

まるで、レイバー達は関係ないと言わんばかりに。

レイバー「………どうすればいいんだ、俺達は……。」

迷い葛藤するレイバーはロストシスターを見送ることしか出来なかった。


一方、湯の森ガンプラ部は相変わらずイチカ不在による影響がひどく、そしてレイカが学校を休んでいる事も知っていた。

ロストシスターとのバトルの影響が実際の体にも影響を及ぼしていたらしく、相当な一撃で三日は動けないそうだ。

そして、レイカがガンプラ部の皆に言ったのは衝撃の事実だった。

ロストシスターがイチカだということ、そしてサポートAIのゼルにアサヅユ・シグレの意志があること

ツルギ「今でも信じられない……あのゼルがかのシグレさんで、イチカがロストシスターだったなんて……。」

ヒビキ「それ以前の問題としてあのレイカさんが負けた……それだけでも学校で騒がれてるくらいだ。」

エタは昨日と変わらず寝込んだアイナの為に部活は早退していた。

アキト「だけど、このまま待ってるだけじゃどうしようも無いよ。」

セイラ「……イチカを倒すか、あの無双バグを終わらせるか。」

ルヤ「だがよ、それだと市長はどうすんだ?」

コマ「俺もそれは何とかしないといけないと思う。あの市長が自分の首絞めるとは思えない。」

ミタマ「……私、ちょっとお母さんに聞いてみるよ。それに、霊関連なら私そこそこに腕はあるから。」

アキト「……ミタマさんってもしかして現人神だったりする?」

ミタマ「うーん……違うかなぁ……ちょっと本で読んでたくらいだからね?あはは……。」

ミタマの声音が変わった気がするがそれどころでは無い。

ツルギ「とにかく、イチカやレイカさんがいなくても何とかしないと。」

ツルギのその言葉をきっかけに各々が出来る事をやり始める。

ルヤとコマはいかにして三勢力のNPC軍勢を捌くかを。

アキトとセイラは今回のアルマの不祥事の裏を洗う事。

ミタマは特殊で詳細はあかせないとの事だが、彼女なりに出来る事をなし、ヒビキは来るであろう激戦に向けてコアガンダムαのチューニングをしていた。

無論ツルギも例外ではなかった。

ツルギ(どうすればロストシスターに勝てるのか……。あの圧倒的な戦力差を埋めるには……。)

そんなことを帰り道の街中で考えながら考えていると、マリオンが話しかけてきた。

マリオン『ツルギ……。』

ツルギ「どうしたの、マリオン?」

マリオン『いいえ。なんでもないわ。』

マリオンはそう言ったが、どうにも引っかかる。

しかし、ツルギはふとなにかに気づいた。

ツルギ「……兄さん?」

四年前にこの街から出ていった兄さんが見えたような気がした。

だがその兄のような人はスタスタと夜の湯の森商店街を歩いていく。

ツルギ「待って、兄さん!」

ツルギはすぐに追いかけていった。

兄かもしれないその人物を。

路地裏へと入ったのを見て、さらに追いかけるツルギ。

そして、路地裏の中で……。

ツルギ「兄さん!」

ツルギは男の手を掴んだ。

???「うおっ!?」

男は動揺したようにビックリして振り返った。

ツルギ「あ、あれ……?」

人違いだった。兄とは似ても似つかない。

???「もしかして、タカミヤツルギちゃんか?」

ツルギ「え、ええ、何故それを?」

タクマ「おっと悪い、自己紹介が遅れた。俺はナギツジ・タクマだ。」

ツルギ「ナギツジ……もしかしてあのレイカさんを倒したっていう伝説の!?」

タクマ「いやアイツ倒しただけで伝説になんのかよ……じゃなくてだな……。」

タクマが何かをボソッと言った気がするが、ツルギには聞こえていなかった。

タクマ「ちょうど良かった。君のお兄さんに頼まれて伝えないといけないことがあったんだよ。………まぁ、それより前に……出てこいよ、そこにいるんだろ?」

物陰から緑髪の女性が出てくる。

???「噂はかねがね聞いていましたが、流石ですね。オシムギ・ハクバ様。」

タクマ「ナギツジ・タクマな。」

ツルギ「一体いつから……いや、それよりも……。」

???「あなたが学校を出た時からですよ、タカミヤ・ツムギ様。」

緑髪の女性は上はメイド服のような服、下はハーフパンツでスカウターのようなものと甲冑にありがちな物を付けている。

こんなに目立つ格好をしてるのにツルギは気づけなかったのだ。

あと惜しい。

だがそれよりもツルギは聞かねばならないことがある。

ツルギ「ツルギです……それよりあなたは?」

ゼル「申し遅れました。私はゼル。ゼル・クロシェフィールド。朝露家に仕えていたパーフェクト使用人のクロシェフィールド四姉妹の長女にして、サポートAIゼルの元となった者です。」

ゼルといえば、シグレが暴走するきっかけとなったサポートAIだ。

そして、朝露家の使用人ということは何かしら関係があると思い、身構えていた。

だが、ゼルは予想外の答えをした。

ゼル「実は久方ぶりにこの湯の森に帰ってきまして、道がわからなくなっていたんです。それで路頭をさまよっていましたわ。」

思わず前ののめりにこけそうになるツルギ。

ツルギ「け、携帯のナビゲーションアプリがあれば何とかなるかと……。」

ゼル「あー、それなら何もしていないのに壊れましたわ。」

さすがのツルギとタクマもずっこけた。

ツルギ「どこがパーフェクト使用人ですかぁ!!」

ツルギが思わずツッコミに吠える。

そしてそれを少し悲しげな目でタクマが見ていた。

ゼル「ですがちょうど良かったです、あなたに用事があったんですよ、オイハギ・ミクマさん。」

タクマ「もうつっこまんぞ。………で、用事って?」

ゼル「いえ、あまり人には言えないのであなたの要件を先に終わらせてください。」

ゼルがそう言った為、それじゃお先にと言ってタクマはツルギの肩を掴んだ。

ツルギ「ふぇ!?」

ツルギにとってはどことなく懐かしい雰囲気だった。

タクマ「まず一つ目、ロストシスターを救えるのは君だけだ。それと、湯の森高校の207番教室の作業デスクの奥底にアタッシュケースがある。解除のパスワードは『HOPE』。そこに今の君が求めるものがある。」

ツルギ「ど、どうして湯の森ガンプラ部の部室の事を……?」

タクマ「言ったろう?君のお兄さんからの伝言だって。」

タクマは淡々とそう言った。

タクマ「そして、次にアルマ市長からの伝言だ。今回のアルマ市長の件は裏で手を引いてる人間がいる。アルマ市長を蹴落とす為に仕組んだ事だが、アルマ市長はきっと何とかできると思う。故に、GBNの無双バグは君たちがひっそりと解決してもらうって言っていること、そして、今立ち上がってる有志連合がロストシスター討伐の軍勢を作っている為、ロストシスターの説得を君たちガンプラ部の諸君に託すってさ。今回のことはガンプラ部のほかのみんなにも知らせるといい。ただし、ガンプラ部とアルマ市長以外に他言禁止。これだけは守るんだ。」

ツルギ「は、はい……でも、どうしてそこまでしてくれるんですか?」

タクマ「なぁに、ここの市長に少し借りがあるだけだよ。さぁ、行ってくれ、ツルギ。」

ツルギ「……はい!タカミヤツルギの名にかけて、約束は守ります!」

ツルギはそのまま、湯の森高校へと引き返して行った。

タクマ「……さて、こっちは終わったぜ。んで、アンタの用事はなんだ、ゼルさん?」

ゼル「えぇ、簡単ですよ……。」


ツルギ「確か、部室の作業机の奥の所……。」

ツルギは忘れ物をしたという名目で学校に入り、探していた。

そして、アタッシュケースを見つけた。

ツルギ「あった!!パスワードは……『H・O・P・E』……っと。」

アタッシュケースのパスワードを入力し、開封した。

ツルギ「!!これは………そういうことね、兄さん。ありがとう。これならまだチャンスはある!」


GBN内にて

キョウヤ「これより、ロストシスター討伐へと向かう!各員、ついてこられたし!」

有志連合の参謀、キョウヤのその掛け声に大勢のひとが声を上げる。

レイバー「………。」

カグナ「どうした、レイバー?」

ミミ「………やっぱり不安なの?」

レイバー「…………ごめん、みんな。明日の決行日に俺は有志連合を裏切る。」

周りの人間に聞こえないように小声でだが、レイバーはそう言った。

ミミ「!!」

カグナ「………本当にいいのかレイバー?」

レイバー「だっておかしいじゃないか、同じダイバー同士でこんなことをする意味が無い……きっとロストシスターにも事情がある!だから……」

レイバーがそう言い切る前に、カグナとミミが抱きしめた。

ミミ「よく言った、リーダー!」

カグナ「ふふ、君ならそう言うと思ってたさ。」

レイバー「二人共……ありがとう!」

カグナ「だが、直前までバレるわけにはいかない。リーダー、決行は明日だな?」

レイバー「あぁ、きっと平日の夜中だけじゃロストシスターを追い詰めれない。だから週末の土日のこのタイミングで討伐軍は動く。せめて、俺達は足止めをしなきゃいけないんだ。」

ミミ「OK、リーダー!」

カグナ「論理的じゃないけど、面白いね。それでこそレイバーだ!」

チームリフレインは反逆の狼煙をあげようとしていた。

ロストシスターは変わらず、マスダイバーを仕留めて回っているらしいが、突破口は必ず見つかるはずだと信じていた。




「『邪魔をするなと言ったよな?』」
「タカミヤツルギとして、あなたを倒します!ロストシスター!」
『ツルギ、あなたに力を。』
第二十三話
「失楽の破壊者と剣の破壊者」
それでは次回も!
ガンプラファイト!レディーゴー!


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第二十三話~失楽の破壊者と剣の破壊者~

みなさんお待ちかねぇ!
作者のワンダレルです。
さて前回、かのナギツジ・タクマと出会ったツルギが、兄から託された物を持って向かっております。
果たして湯の森ガンプラ部にロストシスターを止められるのか!
それでは!!ガンプラファイト、レディーゴー!



数時間前

アルマは自宅のPCの電源を切った。

四日間、全く外には出られなかったが、ようやく表へと出れる準備が出来た。

アルマは市役所に向かう仕事着を着て、麻袋1つを持って玄関へと向かう途中で電話をかけた。相手はすぐに出てくれた。

アルマ「ノリス君、車を持ってこれるかな?」

ノリス「はっ、となると市長。とうとう確保なされたのですな?」

アルマ「あぁ、覆しようのない証拠を……ね?」

そう言ってアルマは玄関を開けた。

無論、記者が押し寄せる。しかし、アルマは悠々としており、そしてこう言った。

アルマ「君たち情報記者達に朗報さ。このUSBメモリを持っていくといい。真実はそこにある。」

雑に麻袋を置くと、すぐさまそれに群がる記者達。

アルマ(ふっ、単純だね。だが、それは全て本物さ。)

ノリス「市長、こちらへ。」

アルマ「ありがとう、助かったよ。」

すぐに車に乗ると、出発してもらった。

市役所に着く頃にはやはりマスコミが集まっていたが、ホログラム機能で撒いた。

アルマ「さて、事実をばら撒くことは出来た。あとはソウゲツ・トモコと彼を地獄に落とさないとね。」

アルマはGBNを起動した。

アルマ「彼らとの約束もある。ノリス君、手伝ってくれるね?」

ノリス「もちろんです市長。このノリス・ヨウスケ、必ずやその大義を果たしましょう。」

そして、仮想世界へとダイブした。


同時刻湯の森ガンプラ部にて

セイラ「…なるほど、やっぱり影からの陰謀だったってわけか。」

ツルギ「えぇ。ですから、ロストシスターの相手は私に任せて欲しいんです。」

ヒビキ「だけど、そうなったら俺たち湯の森ガンプラ部のメンバーだけで有志連合を除いた三勢力を叩かないといけないわけか。」

エタ「…なら、私にやらせて。せめて、みんなに迷惑かけた分を取り戻したい。」

ルヤ「そんなら俺たちはイチカの説得までに足止めすりゃいいんだな?」

コマ「まっ、そんくらいなら余裕っしょ。」

アキト「これは俺が調べてた時に出たんだが、都合のいい事にNPCも有志連合も決着を付けるみたいだ。」

セイラ「となれば、ロストシスターが現れるのは必至か。」

アキト「この無双バグによって生まれたエリアSEKIGAHARAに向かってNPC三勢力が向かってる。その三勢力もそれぞれが敵対していて、噂によればその本陣にあるMUSOUユニットがあって、それを破壊すればミッション達成だと言われてるんだ。」

ヒビキ「だったらそれを狙撃で破壊すれば……。」

アキト「いや、ここはさすが無双系列と言ったところで、間接攻撃だとダメージが入らないようになっている。有志連合も何度も試していたそうだがダメだったらしい。」

セイラ「問題は、アルマさんだけど……。」

一同がテレビを見ると、大々的に報道されていた。

マスコミ達が手に入れたUSBメモリの中身をニュースに取り上げられていた。


アルマ「本日は今回の騒動についての謝罪を申し上げます。今回の件、誠に申し訳ありませんでした。身内のソウゲツ・トモコ、そして今回の騒動に加担していたアザイ・ノリスケ会計管理者によるものであり、皆様にご迷惑をおかけし、申し訳ありませんでした。まず、GBNへのハッキング行為を行い、裏サイトで私の仕業によるものと仕立て上げ、貶めようともしておりました。その事は既に秘密裏に情報を得て、既に始末を付けております。GBN管理者との連携もあり、この度の件は冤罪ではありますが、市民の皆様の不安を煽り、大変な状況に陥り、様々な思いはあるでしょう。しかし、この件を丸投げにせず、この私ソウゲツ・アルマの名にかけて必ず私自身の力で解決させていただく次第です。そのためにこちらの………。」


そこからは、様々な証拠が現れた。

ソウゲツトモコとアザイノリスケによる悪略、陰謀、そしてその協力者を洗いざらいにしていっていた。

セイラ「問題なさそうだね。」

ツルギ「決行しましょう。かなりの長期戦になるかもですけど、皆さんの力を貸してください!」

コマ「ま、俺らにかかれば勝てるっしょ!市長からも託されたしな!」

ルヤ「おっしゃぁ、久々に暴れたかったんだ。コマ、やれるよな?」

コマ「はっ、笑わせんな。」

セイラ「私としても、今回のことはかなり興味深いしもちろん、湯の森ガンプラ部の為にも頑張らせてもらおうかな。」

アキト「あとは出来ることをやるのみだ!」

ヒビキ「イチカも助ける。」

エタ「そんでもってGBNも救う。」

ヒビキ・エタ「それが答えだよね、ツルギ?」

ツルギ「もちろんです。必ず、成し遂げます!!」

レイカを除く湯の森ガンプラ部全員がGBN内に入っていった。


GBN内

???「ロストシスターのシグナルを追い、誘い込み続けてはや一週間。ようやく、我々はエリアSEKIGAHARAへと追い込むことが出来た。我々有志連合はロストシスターを討ち、このバグを終わらせるぞ!」

男の掛け声におぉー!と盛り上がる。

この男のダイバーネームはヘイル。

有志連合をまとめあげている今回の有志連合の参謀であり、有志連合リーダーからの信頼も厚い。

Hi-νガンダムの使い手である。

現実世界では、アザイノリスケの協力者だが、まだ素性自体はバレていないマスダイバーの残党の一人だ。

ヘイル(……アザイめ、あれほどソウゲツを舐めるなと言っていたというのに……まぁいい、ロストシスターを討ち、私がもうひとつの真実有志連合(こいつら)に吹き込めばソウゲツは終わりだ。そして頃合いを見て部下にデンノ・イチカを養王田組の残党共に引き渡せば俺のミッションは終わりだ。万が一の事があっても代わり身はいくらでもいる……匿名性のネットワークを舐めるなよアルマ……。)

???「ヘイル、行くぞ!」

ヘイル「あぁ、リーダーヴレイブ。」

リーダーヴレイブ。元々正義感が強く、かつて心を救われたGBNの暖かさを守る為に時には過激であっても正義を執行する。

HGヴェルデバスターを改造して作り上げた実力者で有志連合全員から慕われている。

ヴレイブ「総員!決着を付けるぞ!」

その掛け声に更に士気が上がる有志連合。

しかし、彼らに予想外の事が起きる。

ヘイル「ん?チームリフレイン、なぜ先行してる!止まれ!」

チームリフレインの三人が命令もなく先行したのだ。

レイバー「………。」

そして、レイバーはシグナルを獲得して通信をかけた。


エリアSEKIGAHARAに着いた湯の森ガンプラ部が準備をしていた頃、ツルギに突然通信が入った。

慌ててツルギが出る。

???「こちらレイバー、聞こえるか、湯の森ガンプラ部!」

ツルギ「!?どこから!!」

マリオン『ツルギ、味方のシグナルよ。』

レイバー「俺はレイバー、チームリフレインのリーダーレイバーだ。事情は市長さんから聞いてるよ。」

ツルギ「い、一体なんのようで?」

レイバー「俺たちチームリフレインが有志連合を足止めする!だから、君たちは行ってくれ!」

ツルギ「どうしてそこまで!?」

レイバー「ロストシスターは悪い人じゃないって何となくわかってたからさ!」

そう言われると一方的に通信を切られた。

マリオン『……急ぎましょうマリオン。』

ツルギ「ええ。皆さん、行きましょう!」

一同「おう!!」


レイバー(……これでいい。)

ヘイル「レイバー、何のつもりだ?」

レイバー「へっ、悪いけど俺らチームリフレインは降りさせてもらう!」

ヘイル「なんだと!?」

ミミ「なーんか胡散臭いのよねぇ。だから私達やーめたって感じ!」

カグナ「どうにも理屈が合わなくてさ、仕方ないから裏切ってしまおうって事だよ。」

ヴレイブ「くっ、どうしてだ君たち!」

レイバー「どうにもロストシスターが悪いやつとは思えなくてさ。彼女が襲ってる人間全員マスダイバーだったんだよ。」

ヘイル「ほう?」

レイバー「そんで俺達も助けられたからこうしてるんだ。」

ヘイル「たった三機でこの万を超える数を相手にするその度胸は褒めてやる。だが、無謀だな。」

レイバー「わかってるさ。少しでも足止め出来りゃそれで十分だ!」

???「ならその無謀、俺も参加させてくれよ。」

スピーカーで割り込んできた男がいた。

ヘイル「……愚か者が一人増えたか。」

レイバー「だ、誰なんだ?」

タクマ「通りすがりのガンプラマイスターだ。覚えておけ!」

そういったνガンダムがレイバーの隣に立つ。

ヘイル「一人増えた所で状況は変わらんよ。総員、かかれ!」

有志連合が前進を始める。

タクマ「ならこれで状況は変わんじゃねぇのか?」

有志連合の前列にいた機体の頭部を狙撃され、そこから切り裂かれる音とガトリングガンのような音で撃破された。

そして、そこに二機のガンプラが並ぶ。

???「さすがパパ、頼りになるわ!」

???「ママの強さにはかなわないよ〜。」

ヘイル「ほぅ………。かつて最強と言われた二人か。」

ヨシモリ「アマリヨーガンダムFPE、舐めてもらっちゃ困るなぁ。」

アマリ「ガンダムアマリリスブルームも私もまだまだ現役よ〜?」

ヘイル「だがどれだけ質が良くても数には勝てん!!」

???「ならば数を増やせば良いこと!」

最前列にいた機体に上空から現れたザクがヒートホークで切りつけられ、貫かれた。

ノリス「義によって我々は義勇軍へとつかせてもらおう!」

ヘイル「ノリス・ヨウスケ!」

ヴレイブ「ど、どういうことだ!?」

ヘイル「構わない、ヴレイブ!全員敵だ!」

そう行って有志連合が数機やられながらも進もうとしたが、またしても邪魔が入る。

そして、ヴレイブの目の前に現れたガンプラが居た。

ヴレイブ「!!?Oガンダムだと!?」

???「違うね、これはOガンダムではない。」

二本のGNソードIIIで押し返され、ヴレイブバスターがよろめき体勢を整える。

アルマ「デュアルOVERガンダムさ。」

ヘイル「な!?」

アルマ「どうしたんだい、ヘイル……いや、アキヤマ・ジョウジ?なにか驚くことでもあったかな?」

ヘイル「なぜ貴様がここに!」

アルマ「ふっ、冤罪と誤解が解けたんだ、自由にしてもいいだろう?」

ヘイルが舌打ちをするが、そこにνガンダムが来てビームサーベル鍔迫り合いになる。

タクマ「おっと、νガンダム同士仲良くしようじゃねぇか!」

ヘイル「ただのνガンダムと一緒にするな!」

タクマ「だが、目の前の敵を見てないようじゃ俺には勝てないぜ。」

ヘイル「ちっ、援軍を回せ!アイツらをここに連れてこい!」

緊急で通信を入れる。

???「あぁ?誰に指図してんだテメェ。」

ヘイル「くっ……我々のサポートがあっての生命だとわかっているのか!」

???「るっせぇな行きゃいいんだろ?」

そして、通信を一方的に切った。

???「行くぜぇお前ら。」

背中のパーツを改造したアストレイ。

???「わかってるってのワンちゃん。」

改造されたガンダムバルバトス第1形態。

???「どうしてこんなことに……。」

悲嘆する腕の部分が大型になってるウィンダム。

それぞれが現れた。

???「……で、どうするよシグちゃん?」

シグレ(?)「どうするもこうするもワンちゃんが決めなよ。」

イチカ(?)「めんどくせぇ、オマケ!お前なんか案あるか?」

ミノ「サガラ・ミノだって言ってんでしょうが!」

イチカ(?)「……試してみるか。」

イチカ(?)が通信を開いた。相手は

タクマ「ん!?」

イチカ(?)「おいクソガキ。」

タクマ「クソガキって……ん?君は……」

イチカ(?)「話は後だ。お前、名前は?」

タクマ「な、ナギツジ・タクマだが……。」

イチカ(?)「なるほど、そういう事かアプロディア……。シグちゃん、お荷物!方針決まったぞ!」

シグレ(?)「おー!」

ミノ「あーもう、さっさとしてくださいよ〜!」

アストレイのような機体が背中のサテライトキャノンをタクマ達に向けて構えた。

タクマ「……やるしかないか!」

そして、装填が完了したと同時に

有志連合の方へ向きを変えた。

イチカ(?)「ボルケーノッ!!ブラスタァァァァッ!!」

魔改造された超火力のサテライトキャノンが有志連合の一部を壊滅させた。

イチカ(?)「アタシらも参戦させてもらおうかぁ!!」

タクマ「えぇ!?」

シグレ(?)「よっしゃ、そう来なくちゃねワンちゃん!」

ミナ「よぉっし!!やるぞぉっ!!」

ヘイル「クソっ!!どいつもこいつも!!」

タクマ「なんだかよく分からんが、ありがとう!」

アルマ「さぁ、ここから先は通行止めだよ?」

そして、エリアSEKIGAHARAの一歩手前で乱闘が始まった。


同時刻

湯の森ガンプラ部はNPC三勢力の雑兵を薙ぎ払っていっていた。

エタ「!ロストデスティニーのシグナル見つけた!」

ツルギ「方角は!」

エタ「正面十一時方向!」

ツルギ「皆さん、ここからは私に任せてください!」

ルヤ「おっしゃぁ!!道開けてやらァァ!!」

コマ「どきやがれぇぇぇぇ!!」

コマとルヤがロストシスターまでの道を一気に開いた。

ルヤ&コマ「いけぇぇぇ!!」

ツルギ「ありがとう!皆さん!」

ツルギは湯の森ガンプラ部のメンツと一人別行動を取った。

そして、ツルギはロストシスターの元にたどり着いた。

ツルギ「イチカ……。」

シグレ『気安く話しかけんなァ!!』

ロストデスティニーはレールガンを撃ちはなった。

しかし、AGE2Breakerはそれを容易く避けた。

マリオン『貴方達の気持ちは痛いほどわかる。』

イチカ「分かってないでしょ?」

ツルギ「一緒に帰りましょう、イチカ。」

AGE2Breakerが手を差し伸べる。

しかし、ロストデスティニーはそれを振り払う。

ロストシスター「『黙れ!お前たちに何がわかる!』」

シグレ『ワンちゃんがどれだけ苦しんできたのかを!』

イチカ「もう戦うことすら出来ない絶望感を!」

シグレ『結局はあの男もそうだ!わかったようなふりをしてワンちゃんを傷つける!』

イチカ「分かったと無責任な事を言ってシグちゃんを追い払う!」

ロストシスター「『お前たちのような輩をこの私達が破壊してやる!!』」

ツルギ「………なら、私も。ウェアチェンジ!ライザーウェア!!

AGE2Breakerの腕にダブルオーライザーの装備が加わり、オーライザーとドッキングした。


GBN突入の5分前

マリオン『ツルギ、これを。』

ツルギ「これって……」

マリオン『託されたの、タクマさんから。』

ツルギ「GNセイヴァー……?」


ロストシスター「『邪魔をするなと言ったはずだ!!邪魔をするなら破壊してやる!』」

ロストデスティニーがジャッジメントアロンダイトを構える。

ツルギ「このGNセイヴァーとGNソードIIIで、イチカ。貴方のその枷を破壊し救う!!」

AGE2BreakerRAIZARが二本の剣を構えた。

お互いが一気に飛びかかった。

そしてすぐさま鍔迫り合いへと入る。

斬り合い、打ち付け合いながらもツルギは対話を試みた。

マリオン『貴方達は憎しみと悲しみに囚われている!そのままでは何も変わらない!』

シグレ『機械風情が分かったようなことを聞くな!!お前もそうやってワンちゃんを見下してるんだろう!』

中距離戦でGNソードIIIライフルモードとマシンガンとバスターライフルの交差が続き、周りにいるNPCのザクやジン、ジムを巻き添えで破壊していく。

イチカ「もう嫌だ!何も奪われたくない!!」

ツルギ「だったら私たちがいます!」

シグレ『だがお前らでは私にはなれない!』

マリオン『だけど、貴方だけがずっと背負う必要は無い!』

シグレ『ワンちゃんは私がいないとダメなんだ!!』

マリオン『そんなことはない!イチカはもう一人で立てるわ!』

シグレ『ならお前たちはイチカに何をしてあげた!!あの時、孤独に苦しんでいたイチカを救おうとしたか!!』

マリオン(憎悪が大きくなってる!)

ロストシスター「『ハナから全てから見捨てられかけていたイチカの心を癒せるのは私だけだ!!』」

ツルギ「違うッ!!

ツルギは叫んだ。

ツルギ「貴方がイチカを大切に思ってるように私達だってイチカを大切にしてます!」

ロストシスター「『お前なんかに何が……』」

ツルギ「うるさい!!私は、例えシグレさんみたいになれなくても!」

ツルギは拳で殴りかかった。

ツルギ「例えイチカが道を見失っても!!」

さらに殴る。

ツルギ「私は、私達みんながイチカを連れて一緒に歩む!」

最後に大きく振りかぶった。

ツルギ「私が!!」

その時、AGE2Breakerが赤く光った。

マリオン『私達が!!』

ツルギ&マリオン「『湯の森ガンプラ部だっ!!!』」

その拳の破壊力はロストデスティニーのアンテナの一部を破壊した。

ツルギ「マリオン……これって?!」

マリオン『えぇ、あなたもようやく……。だから言わせてもらうわ。ツルギ、あなたに力を……

シグレ『どいつもこいつもぉぉぉぉっ!!』

ロストシスター「『うおおおおおぉっ!!』」

マリオン『TRANS-AMとEXAMを同時に起動するわ。ツルギ、きっと今の貴方なら出来る。』

ツルギ「望むところですマリオン!」

ロストシスター「『ロストデスティニィィッ!!』」

『EXAM-System-Standby』

阿頼耶識のリミッターが外れ目に閃光が走り、赤く染ると同時にEXAMシステムの起動音が鳴る。

ツルギ「TRANS-AM

マリオン『EXAM、起動音』

『EXAM-System-Standby』

そして、同時に駆動音が響く。

この状態はそう何回も使えるわけじゃない。だが、ツルギとマリオンもまた、ロストシスターと同じく奇跡を起こした。

『EXAM-System-Final-Phase-Express』

二刀流のジャッジメントアロンダイトとGNソードIIIとGNセイヴァーがさらに火花を散らしてぶつかる。

取り回しの効きづらいはずのGNソードIIIとGNセイヴァーがジャッジメントアロンダイトに追いついている。

ロストシスター「『まだだ!もっと!もっと寄越せぇぇぇぇッ!!』」

マリオン&ツルギ「『見える……今の私たちなら!』」

響く金属音、その度に周りのNPCが一掃される。

その音はまるで旋律のように奏でられ、何度も何度も続く。

そして、鍔迫り合いに再び持ち込まれる。

ガギャァァァァァァンッ!!

今まで以上に大きな音だった。

ロストシスター「『もう後戻り出来ないんだよ……もう何もかも終わりなんだよ!!』」

マリオン『でも、私たちは諦めない!』

ツルギ「どんな事があっても私は貴方を見捨てない!!」

ロストシスター「『無責任なことを言うな!!私と同じ末路を辿りたいのか!!』」

ツルギ「そんなこと知らない!!」

マリオン『私は……!!』

ツルギ&マリオン「『守るべきものの為に!変わるんだァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!』」

出力が上がり、さらに赤く染る。

この時、ツルギは無自覚ながら『覚醒した』。

ジャッジメントアロンダイトが切り裂かれる。

ロストデスティニーは大きく怯み、その間に高火力攻撃を構えた。

ロストシスター「『がァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!』」

ツインバスターライフルとダインスレイヴを同時装填し構える。

AGE2Breake-RAIZARも二本の剣を構え、ライザーソードの形を取る。

ツルギ「ウアァァァァァァァッ!!」

双方が同時に動いた。

ロストシスター「『ALL-CHAIN-LOST(オールチェインロスト)ぉォォォォッ!!』」

ツルギマリオン「『ライザーセイヴァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!』」

大きく閃光が走り爆散した。

そして、その跡地には無傷のAGE2Breake-RAIZARと大破し動けなくなったロストデスティニーがいた。

いくらナノラミネートアーマーがあれど、あの高出力を浴びればタダではすまないだろう。

だが、半壊した状態でもなおロストデスティニーは立ち上がった。

そして、もう一発ダインスレイヴ弾頭を仕込む。

イチカ「嫌だ……シグちゃん………。」

シグレ『当てる……当てて終わらせてやるんだ………。』

だが、ツルギが取った行動は手を広げ待つことだった。

ツルギ「撃つなら撃ってみなさい、イチカ。私は受け止めます!!」

マリオン『………。』

シグレ『当てるんだよワンちゃん……私の制御系統は壊れてる。だからあとはワンちゃん……。』

イチカ「………う、あァァァァァァァァァァァァッ!!」

イチカは引き金を引いた。

だが、ツルギには当たらなかった。

正確にはイチカがわざと外した。

シグレ『ワンちゃん!?』

イチカ「………違うんだよシグちゃん。知ってるんだよ本当は。」

シグレ『何を言って……。』

イチカ「今一緒にいるシグちゃんは偽物だってことくらい……。」

シグレ『違うよワンちゃん、わたしは……』

イチカ「………ごめん。」

シグレ『ワンちゃ……。』

ブツン

強制的に媒体をシャットダウンしたような音が鳴った。

ツルギ「……イチカ。」

イチカ「ツルギちゃん、私もう立ち直れないよ。」

ツルギ「………。」

イチカ「……もう右腕治らないかもしれないんだ。」

ツルギ「………。」

ツルギは黙って近づき、半壊したロストデスティニーを抱きしめた。

ツルギ「辛かったですね……本当に………ごめんなさい……そんな時にそばにいてあげれなくて……。」

ツルギは心の底から泣いていた。

イチカ「ツルギちゃん……ごめん…ごめんな……さい……。」

イチカは涙ながらにツルギに抱きかかった。

そして、ある程度掃討をし、ヒビキ、エタが見守っていたその時だった。

未確認シグナルの接近を検知し、ヒビキが構えた。

ヒビキ「どこだ……あれか………ッ!!」

ヒビキ、エタはそれを見た時、嘘だと言ってしまった。

それは完全破壊され、修復不可能なレベルだったはずの

ダブルオーザクIIだった。

???『TRANS-AM-BARST!』

聞き覚えのある声が響き、そこにいた四人をGN粒子が包む。


ヒビキ「……これって?」

見覚えがある。OO本編でもあった対話をする空間。

だが違いがあるとすれば、少し特殊な感じだった。

???「ヒビキ……。」

ヒビキ「……兄さん!?」

ヒビキの前に死んだはずのレイトがいた。

レイト「大きくなったなぁヒビキ!」

ヒビキ「兄さん……生きてるの?」

レイト「いや、俺は死んでる。ただ、もしかしたら成仏できなくて見守ってるかもしれねぇな。」

ヒビキ「………へへ、兄さんらしいや。」

レイト「……もっと色々話したいが、時間が無い。手短にいくぞ。」

ヒビキ「……うん。」

レイト「お前に託したコアガンダムαの潜在能力を解放してたな。今のお前なら、アレを使えるかもな。」

ヒビキ「……もしかして?」

レイト「あぁ、きっとお前の思いに答えてくれるはずさ。だからよ、ヒビキ。」

ヒビキ「……うん。」

レイト「そんな顔して泣くなって。」

ヒビキ「うん……。」

レイト「……ヒビキ、強く生きろよ。兄ちゃんと約束だ。」

ヒビキ「うん……約束するよ、兄さん……!」

有りし音を輝かせる無形の兄弟はつかの間ではあるが、お互いを抱きしめ、兄は弟の成長を、弟は兄の頼みを感じ取った。


エタ「………アイナ?」

アイナ「お姉ちゃん?」

エタ「ごめんね、情けないお姉ちゃんで。」

アイナ「ううん、お姉ちゃんは立派だよ。」

エタ「でも、大事な時に……アイナを守れなかった。」

アイナ「私は大丈夫だよ、ダメな時はお姉ちゃんに頼るもん。」

エタ「………。」

アイナ「一緒に強くなろうお姉ちゃん。今度は私も後悔したくないから。」

エタ「そうだね……アイナ!」

瑠璃音色の姉妹はより一層の絆と色の濃さを増した。


ツルギ「……!兄さん!」

ヒカル「ツルギ!?」

ツルギ「兄さん……兄さん………。」

ツルギは泣きながら居ないであろう兄を抱きしめた。

ヒカル「……ツルギ、大きくなったな本当に…。」

ツルギ「兄さん、帰ってきてください……私、ずっと心配で!」

ヒカル「今は……それは出来ない。だけど必ず帰る。それは今ここで約束するよ。」

ツルギ「………タカミヤの人間である以上、約束は破っちゃダメですよ!」

ヒカル「わかってるっての。……イチカちゃんと仲良くな?俺も強くなるから。」

ツルギは涙を拭いながら、頷いた。

ツルギ「はい!」

キリッとした表情でツルギは約束をした。

破壊者と破壊者の再会はお互いの道を再確認し歩み始めた。


???『………ゃん。』

イチカ「……シグちゃん……?」

シグレ『そう、私だよワンちゃん。』

イチカ「嘘だ、だってあのAIは……。」

シグレ『ごめんね、ワンちゃん。』

イチカ「…………。」

シグレ『……でも、希望を持って欲しいな。』

イチカ「無理だよ、シグちゃん………。」

イチカはシグレの前で泣きじゃくった。

シグレ『大丈夫だよ、ワンちゃんにはいーっぱい仲間がいる。私の分までワンちゃんは生きていて欲しいな。』

イチカ「シグちゃん……行かないで……!」

シグレ『大丈夫ワンちゃん、私はTRAN-ZAKU-Systemの中にいる。いつでも会えるんだよワンちゃん。』

そして、シグレから大剣が現れた。

シグレ『いつかの時のためにワンちゃんに作ってて、塗装はしてないけど渡しそびれたのを地縛霊さんが届けてくれたんだ。理由はあってその地縛霊さんの名前は言えないけどね。』

イチカにシグレは手渡しながら言った。

シグレ『これは、GNアロンダイト。ザンライザー強化キットのGNバスターソードIIIをベースに私なりに改造したんだ。本当は完成系を生きてるうちに渡したかったんだけどね。』

イチカ「シグちゃん……。」

シグレ『大丈夫、亡霊としては成仏するけど、私もワンちゃんもシステムに入り込める力、Twin-Cross-World-Wark(ツインクロスワールドワーク)……。『交差せし二つの世界を歩む者』。だから、みんなと一緒に頑張っていこ、ワンちゃん。』

イチカ「……うん……。」

シグレ『……最後に、ずっといるから大丈夫だと思うけど。大好きだよ、ワンちゃん!

そして、それと同時にTRANS-AM-BARSTが終わった。

イチカは、片膝をついているダブルオーザクを見て言った。

イチカ「私も、大好きだよシグちゃん……!」

そこから、イチカはわんわんと泣いた。

傍には、ツルギがいた。ツルギも泣いていた。

こうして、ロストシスターの脅威は終わった。


シグレ『……ミタマさん、ありがとう。あなたがいなかったらこうしてワンちゃんに送れなかった。』

ミタマ「……だって、お別れも言えないで成仏できないでしょ?」

シグレ『えへへ、これでようやく成仏は出来る。』

シグレが少しずつ光に包まれていく。

ミタマ「………やっぱり、辛いなぁこれ。」

シグレ『ううん、立派だよミタマさんは。まぁ、私はワンちゃんのシステムの中にいるんだけどねアハハ!』

ミタマ「あとは任せて、シグレさん。」

ミタマが印を切り、シグレの霊体は消滅し成仏した。

魂はダブルオーザクに残したまま。

ミタマ「……ま、本当はこんな中途半端なお祓いじゃダメなんだけど、今回は神様も見逃して欲しいなって……ね?」

ミタマはこの無双騒動に遅れた。

それは、アサヅユ・シグレを祓うためだった。

ミタマ「さてと、私も切り替えて行こう。ヴァルトラウテ!」




「そうか、君が私に挑むか。」
「これ、レイトから預かってたの。」
「これって……!」
「僕も、兄から譲り受けた騎士の誇りに掛けて、決闘を申し込む!」
「ならば私もその騎士道に答えさせてもらおう!」
次回
ガンダムビルドブレイカーズforWAR
第二十四話「騎士の誇り」
それでは次回も!
ガンプラファイト!レディーゴー!!


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ガンプラ無双編
第二十四話「騎士の誇り」


皆さんお待ちかねぇ!
作者のワンダレルです。
さて前回、様々な人の手助けによりイチカを救い出すことができた湯の森ガンプラ部一行!
ダブルオーザクも何者かにより復活を遂げイチカを取り戻せました。
残りは三勢力の撃破のみです!
この戦いの結末はいかに!!
それでは!ガンプラファイト!レディーゴー!


ヒビキもまた、トランザムバーストから目覚めた。

ヒビキ「……TCWW……。これがイチカの力……?」

良くはわからなかった、だがはっきりとしてるのは今は亡き兄が後押しをしてくれたこと。

ヒビキ「………やるしかない!」

今は、あの三勢力を討たねばならない。

ヒビキ「みんな、手筈通りに行こう。僕があの騎士ガンダムの陣営に切り込むよ。」

ツルギ「なら私はあの黒武者を……!」

エタ「……連戦だけど大丈夫、ツルギ?」

ツルギ「問題ありません……イチカを取り戻せたならあとは勝利するのみ……幸い、私にはマリオンがいます。」

エタ「なら……私はあの赤武者に行こうかな。」

この無双ルールでは、それぞれの近くの陣営に拠点となるフィールドがあり、それを制圧しながら各陣営の総大将のフィールドへと向かわなければならないが、総大将を相手にするには最低でも千体の雑兵を倒し、名乗りを挙げないと入れずかつ、1対1を強要されること。そして、MUSOUユニットの破壊には近接攻撃が必須だ。そして、自分の拠点となるフィールドがその雑兵などに制圧されると敗走となり、しばらくは戦えなくなる。

幸い、有志連合による横槍はないが、ダブルオーザクが本陣になっている。

ヒビキ「イチカ、本陣は任せていいか?」

イチカ「うん……迷惑かけた分任せてよ!」

いつもの笑顔に戻ってる。今回は嘘ではなく本心からだ。

ヒビキ「よっし……なら行ける!」

セイラ「突撃するならそれぞれ一人ずつ着いた方がいいね。その方が危険性は低い。」

ルヤ「……だったら俺とコマは本陣の留守番だな!イチカだけだときついだろ?」

コマ「勝手に決めんじゃねぇよ…まぁそうするつもりだったけどね。」

アキト「なら、僕はエタの護衛に入るよ。」

セイラ「となれば私はツルギさんに就こうかな。」

ミタマ「ごめん、遅くなったけど話は聞いてたよ!私も拠点の防衛に回る!」

ヒビキ「なら……僕は単騎で突っ込むよ。」

セイラ「しかし、それではヒビキ君が……。」

ヒビキ「今なら……掴めそうな気がするんだ。だから頼む!」

ツルギ「……わかりました、なら気をつけてくださいね?」

レイカ「待って〜。」

湯の森ガンプラ部全員が振り返ると、そこにはゴッドアストレイが腕を組んで立っていた。

イチカ「レイカ姉………。」

レイカ「ふふ、おかえりイチカ。」

イチカ「……ごめんね、レイカ姉……。」

ツルギ「お怪我の方は?」

レイカ「全力全快!とまではいかないけど、本陣を守ることくらいならできるわ〜。四割くらいしか出せないけど〜。」

エタ「それでも充分化け物………。」

レイカ「まぁ、それはともかく。」

ゴッドアストレイが取り出したものを見た。

レイカ「ヒビキ君、これ。」

ヒビキ「なんですか?これ?コアガンダムの武装のように見えますけど…?」

レイカ「これね、レイトから預かってたの。「弟が強くなったら、こいつを渡してやってくれ」って。」

ヒビキ「兄さん…」

レイカ「そのコアガンダムαが貴方の手に渡る事も知ってたみたいよぉ?それに、この武器は左利き用にカスタムされてるのよ。ヒビキ君は左利きだから、それも見越してたみたいね。」

ヒビキ「……。」

レイカ「ヒビキ君、あなたは…一人じゃない。頑張って!」

ヴィトルーのライフル、それを左利き用にカスタマイズされていた物だった。


レイト「なぁ、レイカ?」

レイカ「はーい?」

レイト「この武器を持っていてくれねぇか?」

レイカ「あら?レイトは右利きじゃなかったっけ?」

レイト「よくぞ聞いてくれた!弟は左利きだから、これの方が撃ちやすいんじゃねぇかなって思ってな。」

レイカ「ふむふむ、となるとコアガンダムαをヒビキ君に譲るの?」

レイト「おう、俺の身に何かあったらコイツはヒビキに使ってもらいたいんだ。」

レイカ「でも、レイト元気そうだから問題ないわね〜」

レイト「……まぁな、そう簡単にゃくたばらねぇよ俺は。」


ヒビキ「じゃあ各自、全力を尽くそう!」

湯の森ガンプラ部一同「おう!!」

そして、各々が敵の撃破のために動き始めた。

ヒビキ(兄さん。兄さんの思い、しっかり受け止めたよ!!)

そして、それを見送ったレイカ。

レイカ「約束は果たしたわ、レイト。ヒビキ君、強くなったわよ〜♪」

そして、レイカもまた本陣を守るために無双を始めた。


ヒビキ「チェンジ!マーズフォースセイバー!!」

敵をただ倒すだけならこの方がやりやすい。

ヒビキはヒートレヴソードの二刀流で切り裂くが、状況によってプラネッツシステムを切り替えれる。

ヒビキ「チェンジ!メルクオーガ!」

本来水中戦用だが、ニードルスパイクを突き刺し、突き刺さった敵をハンマー投げのように振るい、倒す。

ここまで、KOカウントはまだ五十だ。

ヒビキ(……思った以上に長期戦になりそうだな……!)

ヒビキ「チェンジ!ジュピターヴS!!」

ビット兵器などによる攻撃も重ねるが、さすがは無双系列、モブもちょっとのことでは沈まない仕様になっている。

だが、ジュピターヴの遠隔攻撃能力によって他方位への攻撃ができたが故、フィールドの制圧は早かった。

ヒビキ「敵フィールド、制圧したよ!」

思わずそんな事を言ってしまうほど、ヒビキは無双ゲームに馴染んではいた。

ヒビキ「チェンジ!!サタニクスD!」

移動はもっぱらサタニクスの掘削能力を使い、地中からの奇襲で敵を撃破する。

KOカウントは少しづつ進んでいく。

ヒビキ「……これで!五百!!」

ヒビキの討伐スピード自体はかなり早い。

ヒビキは一人ではないからだ。

ヒビキ(兄さんの思いは必ず受け継ぐ!)

その覚悟がヒビキをさらに強くする。

ヒビキ「まだまだぁぁ!!チェンジ!!ネプテイト!ヴォワチュールッ!!ブゥゥゥメランッ!!」

ネプテイトのヴォワチュールブーメランを飛ばし、薙ぎ払う。

そして、ようやくKOカウントが千になった。

ヒビキ「僕が真のガンダム無双だ!!」

名乗りは案外あっさりとしてるが、この名乗りをすると同時に、騎士ガンダムの本陣のフィールドが開通された。

そのフィールドに入るとありがちな封鎖音で閉じ込められた。

奥にはMUSOUユニットがあった。

雑兵もいない。

しかし、奥に佇んでいる騎士ガンダムのオーラは凄まじかった。

騎士ガンダム「此度の戦いで私に挑むのは君か……。」

ヒビキ「例えNPCであっても、僕は僕なりの筋を通す!」

騎士ガンダム「ならば、その剣で私に示してみよ!!デェアァァッ!!」

一気に距離を詰められ、鍔迫り合いに入る。

ヒビキ「くっ!!?」

いままで戦ってきた中でかなり強い部類に入ると思う強さだ。

ヒビキ「強い……!!」

騎士ガンダム「君は確かに強い……だが!」

剣で弾かれ、盾で殴られる。

が、尋常じゃない破壊力で大きく吹き飛ばされた。

そして、マーズフォースアーマーの半分が一撃で破壊された。

騎士ガンダム「どこかにまだ迷いがある!!」

二撃目を入れられる前に距離を取り、アーマーを変える。

ヒビキ「チェンジ!メルクオーガ!」

メルクオーガアーマーに切りかえ、即座に反撃しようとしたが、既に至近距離に居た。

ヒビキ(はや……!!)

騎士ガンダム「ふんっ!!」

すんでのところで回避出来たが、またしてもアーマーが破損した。

ヒビキ「まだだ!!チェンジ!アースリィG2!」

アースリィG2アーマーへ切り替え、射撃をするも全く当たる気配がない。

そして瞬く間に近づかれアーマーを破壊された。

ヒビキ(くっ!何をしても破壊される……!)

そこからは、コアチェンジを繰り返していたがその尽くが打破され、破壊され。

ヒビキ「ぐあっ!!?」

最後のヴィートルーR3アーマーも破壊された。

騎士ガンダム「……君の力はその程度か?」

ヒビキ「………僕は……。」

本当にこの程度だったのか。

イチカにも、レイカさんにも、ツルギさんにも、エタにも勝てない…。

ヒビキ「……僕は。」

だが……ヒビキは踏みとどまった。

ヒビキ「違う……僕は……兄さんにはなれない。けど…兄さんの意志を継ぐことは出来るんだ!!

ヒビキが改めて覚悟を決めたその時だった。

ピピッと音声が入り、それを見るとエマージェンシーコードと書かれていた。

コードははっきり言って勘だった。

だが兄は……やはりこの力を渡す為にコードを………。

己の弟の名前に変えていたのだ。

ヒビキ「コード承認!!エマージェンシーチェンジ!!プラネッツナイト!!

瞬間、コアガンダムαにかつての英雄騎士、プラネッツナイトのアーマーがパーツごとにホログラムが形成され、足から順番に換装が始まり、最後に頭部の装飾が加わり、プラネッツナイトへと進化した。

ヒビキ「……。」

ヒビキはプラネッツナイトの象徴たるブレイバーズウェポンという名の剣とプラネッツイージスという名の盾を手にした。

その姿はまさに、英雄。

だが、名乗りは変わり剣と盾、そしてもうひとつの武器を両手に構えた。

ヒビキ「兄さん、見ていて。これが僕なりの騎士道だ!!そして兄から譲り受けし騎士の誇りにかけて決着をつける!」

騎士ガンダム「ならば、私もその騎士道に答えさせてもらおう!!」

騎士ガンダムの装甲が追加され、フルアーマー騎士ガンダムとなった。

ヒビキ「………まだ上があったか……でも!!」

そして、再び騎士ガンダムとのぶつかりが始まる。

だが。

騎士ガンダム(ん?!)

途端にヒビキが強くなった。

正確には斬撃に重みが乗ったのだ。

騎士ガンダム「……これが君の覚悟か。アリネ・ヒビキ。」

ヒビキ「そうだ!仲間の為の剣となり盾となる!ただ、僕もまたガンプラマイスターだ!!」

ヒビキはカスタマイズされたヴィトルーのライフル。

またの名を「プラネッツマグナム」を左手に持った。

そして轟音と共にビームが掠める。

だが、流石は騎士ガンダム。そう易々とはやられはしない。

即座に電磁スピアに切りかえ、猛攻に入る。

ヒビキもまた、それを見切りプラネッツナイトの盾でいなす。

斬り合い、そして時には突き合い、そしてお互いが戦いの中で強くなっていっていた。

だが、決着の時はもう来ていた。

ギィィィンッ!!

プラネッツナイトの盾が弾かれ、大きく飛んだ。

騎士ガンダム「取った!!でぇぇあぁっ!!」

致命傷は必須。だが、ヒビキもまたかの栄光の三人のアリネ・レイトの弟だった。

ナイトソードでプラネッツナイトは切り裂かれた。

だが、切り裂けたのはプラネッツナイトの右腕だけだった。

ヒビキ「肉を切らせて……骨を断つ!!」

騎士ガンダム「何っ!?」

左腕のプラネッツマグナムが火を吹いた。

轟音とともに、騎士ガンダムが盾で防いだが、至近距離での直撃のため大きく体勢が崩れた。

ヒビキはすぐさま近くに刺さっていたブレイドを取った。

ヒビキ「勇気の剣よ!僕らを導け!」

剣が光輝き始め、一直線上に光のロードが現れる。

ヒビキ「これが僕らの覚悟の力だ!直伝!プラネッツブレイブ!」

大きくよろけた騎士ガンダムを貫き、光のロードは蝶の鱗粉のようにキラキラと消えていった。

プラネッツブレイブ。

それはブレイバーズソード・ロングブレードモードの時にのみ使える技。

騎士の導き、勇気と覚悟を一つに集約した単体攻撃の一撃必殺技

元来のデュランダルやグラディウスは広範囲や多数攻撃が可能だが、スキが大きい。

また、プラネッツブレイブ自体がレイトのみが使える大技だった。しかし、ヒビキはその兄の意志を、覚悟を受け継いだ。

プラネッツブレイブを起動できた事が、確固たる証明である。

騎士ガンダム「…………見事だ。君たちならきっと………。」

そう言うと、騎士ガンダムは機能を停止した。

ヒビキは隻腕のプラネッツナイトと共にMUSOUユニットの元に向かう。

そして、ヒビキはMUSOUユニットを斬り、破壊した。

ヒビキ「騎士ガンダム、討ち取ったり。………NPCだとしても、その騎士道は素晴らしいものだと僕は思うよ。……兄さん、勝ったよ。」

そして、騎士ガンダムのMUSOUユニットが破壊されたことにより、モビルジンの軍勢は機能を停止した。

 




「お?可愛い子じゃん。」
「へ?」
「いい覚悟だ、なら俺も本気だそうかな!」
「私の親友達の名にかけて、必ず討つ!!」
次回
ガンダムビルドブレイカーズforWAR
第二十五話「黒武者と孤高の剣」
それでは次回も!
ガンプラファイト、レディーゴー!


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第二十五話「黒武者と孤高の剣」

皆さんお待ちかねぇ!
作者のワンダレルです。
さて前回、かのレイトの意志を受け継いだヒビキにより、騎士ガンダムの軍勢を止めることが出来ました。
時を同じくして、ツルギもまた黒武者の方へと向かっており、さらなる戦況の変化が見られることでしょう!
それでは!
ガンプラファイト!レディーゴー!


セイラ、ツルギの二人が敵を殲滅しながらもフィールドの制圧を始める。

雑兵程度ならジャンククアンタでも勝てるようだ。

そして、ツルギもロストシスター戦でのウェアチェンジのクールタイムがまだ少しある為、ノーマルウェアの状態で戦っていた。

押し寄せるザクの群れ。

セイラ「スクラップフィストォッ!!

ジャンククアンタの正拳突きが炸裂し、敵が吹き飛んでいく。

ツルギ「敵フィールド、制圧しました!」

マリオン『流石ね、ツルギ。』

フィールドの制圧をしながらのKOカウントを進めていくにあたってやはり長期戦になる。

それを見越して、ツルギもセイラも実力はセーブしていた。

ジャンククアンタがGNカーボンブレードを振るい、AGE-2Breakerが二刀流のビームサーベルで切り裂いていく。

どんどんKOカウントは進んでいくが、やはり数が多い。

セイラ「敵フィールド、制圧したよ。」

ツルギ「お見事です!」

カウントが目標の半分へと到達した。

セイラ「いい、ツルギ?私はあくまでツルギのKOカウントを稼ぐ事だから、トドメはしっかり刺してよ?」

ツルギ「えぇ!!」

ライトドッズライフルとのコンボで敵をなぎ払う。

ツルギ「ウェアチェンジ!タイタスアームズ!」

マリオン『かくし芸、ここで披露するの?』

ツルギ「一気に叩くにはこれが一番ですから!」

ツルギの言ってることがよく分からなかったセイラだが、すぐに分かることだ。

ツルギ「ロケットパァァンチっ!!

タイタスウェアの右腕の部分が文字通り飛んで行った。

破壊力は抜群で、ビーム刃と回転により、どんどん敵を薙ぎ払っていく。

セイラ「な、なにそれぇぇぇっ!?」

セイラが思わず叫んだ。

ツルギ「出来そうな気がしたので改造しました!」

セイラ「………やってみようかな私も。」

ツルギ「え?」

セイラ「ジャンククアンタ!ブラストオフ!スクラップフィストォォッ!!

ジャンククアンタの右腕が吹っ飛んでいった。

ツルギ「うそぉぉっ!?」

セイラ「あ、出来た。」

ツルギ「ええぇ!?ぶっつけ本番!?」

なんとジャンククアンタもロケットパンチを成立させてしまったのだ。

しかもちゃんと飛ばした右腕が帰ってきた。

セイラ「いやー、できるとは思わなかったなぁ。」

マリオン『……世の中にはすごい人も沢山いるものね、ツルギ。』

ツルギ「えぇ、恐るべしセイラさん……ですね。」

ちょうどKOカウントが800を超えた辺りだった。

だが、肝心の武者ガンダムMk-2の本陣が見えない。

ツルギ(……本陣が見えない……?ここに来るまでには見えていたのに……。)

セイラ「……よし、KOカウントあと20!」

そして、KOカウントが1000になった時に名乗りを上げた。

ツルギ「私がガンプラ無双です!」

マリオン『ふふ、ツルギならできると思ってたわ。』

そして名乗りを上げた後に、本陣が現れた。

だが、現れた場所はツルギとセイラが目指していた方向とは真逆の位置だった。

武者ガンダムMk-2「ま、これも戦略のうちってね。」

ツルギ「!?」

同時にフィールドが多数現れ、ザクの群れが先程より更に勢いを増して現れる。

セイラ「………やられた!」

ツルギ「ここからさらに進むしかありません………。」

マリオン『だけど、このままじゃ私達が消耗するわ。』

セイラ「なら、やることは決まってる。」

セイラがツルギのAGE2Breakerの前に立つ。

セイラ「集いし願いが新たに輝く星となる!光さす道となれ!シンクロトランザム!!」

ジャンククアンタが赤く輝き飛翔しパージした。

セイラ「飛翔せよ!0クアンタ!!」

ジャンククアンタが0クアンタへと変化した。

セイラ「ツルギ、道を開けるから正面突破して!」

ツルギ「ですが!!」

セイラ「このくらい、余裕!」

セイラはGNソードIVを構え、一気に加速した。

セイラ「シューティングソニックッ!!

一太刀で一気に道をつくりあげた。

セイラ「行け、ツルギ!!」

ツルギ「ありがとうございます!!」

ツルギはAGE2Breakerを駆ってかけ、一気に本陣まで滑り込んだ。

セイラ(数はおおよそ数千……問題ない。行ける!)


武者ガンダムMk-2「へぇ……あの数の中から直接俺の所まで来るのか……強いねぇお嬢ちゃん。」

ツルギ「お、おじょ………。」

いつも大人びていたツルギはお嬢ちゃんと呼ばれたことに動揺し、すぐに考えを改めた。

ツルギ「そうやって不意をつくつもりなのでしょう?」

武者ガンダムMk-2「まぁ……最初はそう考えてたんだが、気が変わったんだよな。こうもまっすぐな娘が相手だと、たまにはあの人みたいに正々堂々とやってみたくもなったし、何よりちょうど俺も君と話がしたかったんだ。」

ツルギ「話がしたかった?」

マリオン『ツルギ、油断しないで。いつでも戦えるようにしておくわ。』

ツルギ「お願いします。」

武者ガンダムMk-2「はは、信用ないねぇ……ま、今までのこと考えればそれもそうか。どっこいせと。」

武者ガンダムMk-2はおもむろに座った。

武者ガンダムMk-2「ま、ちょっと座りなよお嬢ちゃん……いや、さすがに失礼か。お嬢ちゃんの名前は?」

ツルギ「えと……ツルギ。タカミヤ・ツルギです。」

武者ガンダムMk-2「ツルギちゃんか。よろしくな。ま、俺もやりたくてこんなことしてる訳じゃないしなぁ。」

マリオン『……どういうこと?』

武者ガンダムMk-2「俺たちは本来、存在を許されるはずがなかった存在かな。」

ツルギ「じゃあ……勝手なことをした人間への復讐……ですか?」

武者ガンダムMk-2「まさか。そんな大層な信念は俺たちにはないって。」

マリオン『じゃあ何が目的なの?』

武者ガンダムMk-2「まぁ俺達の目的は、新しい使い手を見つけることかな。俺達はその為に戦って新しい使い手、ひいては引き取ってくれる人を探してるってとこだな。」

ツルギ「ま、まるで捨て猫みたいですね……。」

武者ガンダムMk-2「まぁあながち間違ってはいないんだよなぁ。」

武者ガンダムMk-2は表情はよく分からないが口調的に苦笑いしてるようにも思えた。

マリオン『もしかして、貴方達は私や『あの子』と同じようにシステムと人の交流を目指しているの?』

武者ガンダムMk-2「そうそう、そんな感じ。ま、俺としてはツルギちゃんみたいな可愛い女の子がいいなって思ってるけどな。」

ツルギ「ふえっ!?」

マリオン『………。』

武者ガンダムMk-2「まぁまぁ、そう睨むなよマリオン……だっけか?」

そして、武者ガンダムMk-2がよっこらせと言って立ち上がった。

武者ガンダムMk-2「ま、後のことは……戦いながらやろうか!」

いきなり抜刀して襲いかかってきた。

だが、ツルギはそれを見越してビーム刃で受け止めた。

ツルギ「えぇ、そうしましょう!」

ツルギが武者ガンダムMk-2を押しのけて身構えた。

ツルギ「スパローウェア!」

マリオン『了解。』

ツルギの一言で即座にウェアが切り替わる。

そして、スパロー特有の高速攻撃を仕掛けるが、すべて見切られあしらわれる。

武者ガンダムMk-2「さすがはあの暴れん坊を倒しただけはあるな!」

ツルギ「暴れん坊……イチカの事ですか!?」

武者ガンダムMk-2「なるほど、あの子はイチカっていうのか。」

斬り合いながらも話す余裕のある武者ガンダムMk-2。

武者ガンダムMk-2「俺が思うにロストシスターってのはそのイチカって子の夢じゃないのかと思ったんだよ。」

ツルギ「夢……?」

武者ガンダムMk-2「生命は無くせばもう二度と帰ってこない。だが、もしAIとして帰ってくるのなら……その安住の地を求めての破壊だったとしたら?」

ツルギ「…………私は。」

マリオン『ツルギ、流されちゃダメ。』

武者ガンダムMk-2「もしそうだとしたら、お前さんたちは自分の勝手都合でそのイチカの夢を壊したってことになるな。」

ツルギ「…………。」

武者ガンダムMk-2「そこまでしておいて、責任は取れるのかって俺はおも………。」

ツルギ「取ります。」

ツルギは武者ガンダムMk-2の話をさえぎった。人の話を遮ることを滅多にしないツルギがだ。

ツルギ「私が……私たちがその夢を叶えます。それが湯の森ガンプラ部ですもの。」

マリオン『ツルギ……。』

武者ガンダムMk-2「なるほど、こりゃ無粋なことしたかなぁ。俺らしくもない。なら、それを証明してもらおうか!!」

武者ガンダムMk-2が虎徹丸で切り込んできたのを見切り、打合せる。

が、手数が多く押し込まれそうになったのを一時的に離脱して距離を稼ぐ。

ツルギ「くっ!!」

そこに武者ガンダムMk-2の電光丸が火を吹く。

咄嗟にシールドで防いだが、かなりの高火力だ。

ツルギ「ウェアチェンジ!!」

マリオン『ダブルオーライザー!』

AGE2Breake-RAIZARへと姿を変えた。

おおよそ手間取ってる暇はない。

セイラもギリギリで持ちこたえている。

武者ガンダムMk-2「……一騎打ちでもするのかい?」

ツルギ「時間が無いので……。」

ツルギはGNセイヴァーとGNソードIIIを同時に構え、

ツルギ「TRANS-AM!」

マリオン『EXAM!』

『EXAM-System-Standby』

それに合わせて、武者ガンダムMk-2も二刀流で身構えた。

その時、セイラの0クアンタの攻撃により、ツルギのいるフィールド付近が爆発した。

それと同時に両者が閃光の如きスピードで駆けた。

GNセイヴァーと虎徹丸がぶつかる。

だが、一太刀では終わらない。

次の攻撃が来る。

それをツルギとマリオンが同時にいなす。

GNソードIIIが、虎徹丸が、昇竜丸が、GNセイヴァーが常人とは思えないスピードでぶつかり合う。

連撃、ひたすらの連撃。

隙を見せればそのままやられる。

攻防一体。

本来なら取り回しが効かない剣を使ってるツルギは不利なように見える。

だが、これもまたツルギなりの戦略だった。

ツルギ(大振りになったところをこの黒武者は突いてくる。その隙をマリオンが無くす!!)

武者ガンダムMk-2(……一筋縄じゃ厳しいか!)

だが、両者譲らない。

が、ツルギのAGE2Breake-RAIZARを弾いた。

武者ガンダムMk-2「ふんっ!!」

虎徹丸が横薙ぎに払われ、切り裂かれる。

……が、マリオンのとっさの判断で量子化し無力化した。

ツルギ「でぇぇやぁぁぁぁぁっ!!」

GNセイヴァーが貫こうとすると同時に電光丸が撃たれた。

電光丸は直撃し、AGE2Breakerの左腕を破損させた。

武者ガンダムMk-2「……はは、お互い……小細工を仕組んでたわけか……まぁ、これも悪くないな………。」

ツルギ「私の勝ちです……これからも、イチカと一緒に世界へ轟かせる1歩を一緒に……あゆみ続けます。」

武者ガンダムMk-2「熱いね……そういうノリあんまり好きじゃないけど……もし叶うなら、ツルギちゃんみたいな……女の子が……俺の使い手に………………………。」

その言葉を最後に、武者ガンダムMk-2は機能を止めた。

ツルギは右腕のGNセイヴァーを振りかぶりMUSOUユニットを破壊した。

ツルギ&マリオン「『武者ガンダムMk-2、討ち取ったり!!』」

そして、それと同時に雑兵となっていたザクが機能を停止した。


セイラ「お見事。」

ツルギ「待たせてしまってすみません。」

セイラ「あはは、気にしなくていいのに。」

ツルギ(………あとは、武者ガンダムのみですね。)

残すは武者ガンダムのみ。

倒さぬ限り、この無双の英雄譚は終わらない。




「はぁ……本気だそう。」
「汝のその力を示すがいい。」
「はっはぁっ!!派手にぶっ壊す!」
「むんっ!!」
次回
ガンダムビルドブレイカーズforWAR
第二十六話「永遠なる瑠璃の音色」
それでは次回も!
ガンプラファイト!レディーゴー!


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第二十六話「永遠なる瑠璃の音色」

皆さんおまちかねぇ!
作者のワンダレルです。
さて前回、かの武者ガンダムMk-2と激闘をくり広げ勝利したツルギ。
残すは武者ガンダムのみとなり、戦闘は長引いてきています。
果たして湯の森ガンプラ部は勝利できるのか!
それでは!
ガンプラファイト!レディーゴー!


アキトとエタが最も遠くに配置されていた武者ガンダムの本陣フィールドへと向かってる最中、ジンとザクの群れが機能を停止し、パワーダウンをしていた。

その状態でも、KOカウントは稼げるため、盛大に破壊して回った。

だが、現存しているジムの群れがまた襲いかかってくる。

アキト「分かってはいたけど、やっぱり数が多いな。」

エタ「このジム絶対いじられてるよ、普通ならもう倒してるもん。」

アキト「だけど、無双ゲームと考えたら納得の体力だ。おおよそ五発はいると思う。」

エタ「めんどくさいなぁ……。」

愚痴を零しながらも順調に倒していく。

エタ「敵フィールド制圧したよー!」

アキト「お見事!」

お互いがフィールドの制圧を進めていった。

アキト「敵フィールド、制圧完了だ!」

エタ「やるじゃん。負けてらんないね。」

そして、エタが先にKOカウントを1000にした。

エタ「これで私もガンダム無双!」

そして、武者ガンダムが待つ本陣のフィールドが開放された。

だが、相変わらずとんでもない距離だ。

エタ「もたもたしてられないね。」

アキト「なら、俺に任せてくれ!」

アキトのザクタンクJの胴体部が少し沈んだ。

そして、かのヒルドルブのような形態へと姿を変えた。

アキト「乗って!」

エタ「えぇ……。」

一応乗る場所はある。だが、機動形態変形(それ)はエタを驚かせた。

アキト「突破する!!」

高機動形態になったザクタンクJが敵を砲撃しながらフィールドへと駆け抜けていく。

エタ「すっご……。」

だが、しばらくしたらその先はジムがうようよいる平地だ。

エタ「大丈夫なの?!」

アキト「どけぇぇぇぇぇっ!!」

普段の温厚なアキトからは出ないような声が出た。

それと同時に飛び上がって、4体ほどのジムを踏み台にし飛び上がった。

それと同時に空中で肩部のキャノン砲とロトキャノンを撃って姿勢を制御しながら車両部のマシンガンで掃射する。

アキト「うおおおおぉ!!」

ザクタンクJの両腕のレンチメイスでジムの群れを叩き潰していく。

その雄姿と気迫は凄まじいものだった。

そして、武者ガンダムのいるフィールドの目前まで迫った時、アキトが叫んだ。

アキト「エタさん!あとは任せた!ここは俺が食い止める!」

エタ「え?」

ザクタンクJがエタのヴァルキリアガンダムを掴んで遠心力を加えて投げた。

エタ「ええええええぇ!!?」

そして、ヴァルキュリアはうつ伏せになる形でフィールドに入った。

エタ「いたたた……現実っぽい痛みもあるんだな……。」

起き上がると、その視線の先に武者ガンダムが居た。

武者ガンダム「……よくぞたどり着いた。汝のその力を我に示してみよ。」

大振りの薙刀「電光丸」を構え、エタを待ち構えている。

エタ「……ならお言葉に甘えようかな!」

エタがヴァルキュリアのエターナルエッジを投擲するが、難なく弾かれてしまう。

エタ「……一筋縄じゃいかないか!」

一気に接近し、GNソードを展開し切り込む。

武者ガンダム「ふんっ。」

だが、圧倒的な力でつばぜり合いにもならずに弾き飛ばされる。

エタ「この……っ!!」

ヴァルキュリアが横へと飛ぶ。

エタが居た場所に火砲「種子島」による砲撃が撃ち込まれていた。

そして、武者ガンダムは右手に槍の「散光丸」、左手に薙刀の「電光丸」を持って突進を仕掛けてきた。

エタもそれに向けて、GNビームサーベル等の武装を展開しつばぜり合いとなった。

エタ「一手一手が重い……!!」

武者ガンダム「ぬぅあ!!」

押し込まれ弾かれた。

そこにすかさず攻撃が入る。

エタはすんでのところで回避出来たが、当たれば間違いなく致命傷だった。

エタ「てぇやっ!!」

「シールドスリンガー」で振り払い距離をとるが、その度に種子島が火を噴く。

それを避ければ、薙刀か槍が飛んでくる。

エタ(隙がない……!!)

中近両方の攻撃を上手く使っており、エターナルエッジを投げてもあまり意味を為していなかった。

そして、打ち合いが始まる。

電光丸と散光丸、GNソードとGNビームサーベルによる打ち合い。

だが、パワーが強くどんどん後ろへと押し込まれていく。

そして、ヴァルキュリアが壁につき逃げれなくなったところを電光丸が貫く……。

だが、貫いたのは壁。

ヴァルキュリアは瞬時にしゃがんでいた。

エタ「この距離なら、薙刀も槍も振るえないね!」

エタはこの必殺の距離で勝利を確信し、抜刀しようとした。

だが……!

エタ(!!)

エタは素早く回転回避をした。エタが居た位置は……。

武者ガンダム「見事……。」

腰に携わっていた刀「日輪丸」による居合が炸裂し、壁が両断されていた。

目にも見えない斬撃だった。

直前で回避を選ばなければ……

エタ(やられてたね……これが、武者ガンダム……。)

一際オーラが大きくなる。

勝てるかどうか分からない。

でも……。

エタ「いっちゃんの夢を終わらせる訳にもいかない……!」

武者ガンダム「……。」

武者ガンダムが構え、迫ってくる。

エタ(でも……このままじゃ無理……。私だけじゃ……。)

???「随分押されてるみたいじゃない。」

エタ「ミコトッ!!?」

ミコト「手、貸してほしい?」

エタ「……ちょっとだけ頼ってもいいかな?」

ミコト「OK、じゃあいつものよろしく。」

エタが、おもむろに一見モデルガンのような銃を手にし、引き金を引いた。

その衝撃が響いた瞬間、TRANS-AMが起動し、ヴァルキュリアのオーラが変わる……。

ミコト「……あぁ……久しぶりね、シャバの空気は……。」

武者ガンダム「………変わり身か……。」

ミコト「変わり身ぃ?そんな大したもんじゃないわ……よっ!!」

エターナルエッジを構えて突っ込んだ。

無論、武者ガンダムも構えたがそれよりも早くダメージが入った。

ミコト「遅いよノロマ!!」

即座に蹴りを入れて仰け反らせる。

ミコト「さぁ、死神が舞うわよ。」

ヴァルキュリアは指を鳴らした。

追撃が始まる。

先程の一方的な戦いとは訳が違う。

ミコトによる連撃は華麗ながらも完成度が高い。

直ぐにリベイクブラスターを振るい、武者ガンダムを牽制する。

そして、距離が離れたところを撃ち込む。

武者ガンダムが追いつけないほどのスピードで攻撃を続けるヴァルキュリア。

ミコト「せやっ!!ハァッ!!」

剣だけではなく拳や蹴りを混じえての攻撃はまさに圧倒的だった。

だが、武者ガンダムは……。

武者ガンダム「……ふんっ!!」

ヴァルキュリアの装甲を一気に削りながら、槍を突き立てた。

ミコト「やば……」

そのまま、振り払われるかのようにヴァルキュリアは地面へ叩きつけられた。

ミコト「ぐっ!!」

何度も、何度も連続で叩きつけられた。

だが、その拘束を振り払い一気に抜け出した。

ミコト「……AIにしちゃ出来が良すぎるね。」

武者ガンダム「……。」

ミコト「ダンマリ決め込む気っ!!」

ヴァルキュリアがさらに猛攻をしかけた。

しかし、それでも武者ガンダムは全ての攻撃を受け流す。

一つ一つが必死の手。次に喰らえば必ず狩られる。

ミコト「……伊達に死神名乗ってないしね……負けらんないんだよねぇ!!」

武者ガンダムにそのまま蹴りを入れ、もう一度距離を取った。

だが既にミコトは策を講じていた。

武者ガンダム「?!」

火砲「種子島」が真っ二つに裂かれ使い物にならなくなっていた。

ミコト「………本当の奥の手ってのは最後まで残しておくものよねぇ、エタ。」

エタ「全くです。」

武者ガンダム「………。」

無言ながらも武者ガンダムがゆらりと構えた。

ミコト「いい?反射と思考の融合よ!」

エタ「はいはい、分かってます。」

一見不可能なように見える、反射と思考の融合。

アニメなどで見る超兵でも無ければそもそも無理だ。

だが、かつての迷いも何もかもが吹っ切れた彼女たちにとっては造作もない事だった。

エタがイチカのあの超スピードな戦いに追いつき、イチカのパートナーであれた理由。

ミコト「行っくよォっ!!」

無心にヴァルキュリアが剣を構えて突進してきたが無論、武者ガンダムは弾き切り伏せようとした。

だが、ヴァルキュリアの攻撃が当たる直前スピードの緩急が一気に変わった。

堅牢な武者ガンダムにようやく大きな一撃が入った。

武者ガンダム「………。」

エタ「シッ!!」

ダガーを投げると同時に動く。この超人的な動きが出来るのはエタとミコトの思考の直接的な連携によるものだった。

ミコト「貰った!!」

さらに深く、武者ガンダムを抉る。

しかし………。

武者ガンダム「ぬうっ!!」

日輪丸の居合でヴァルキュリアはブレードアンテナの片方を切り落とされた。

だが同時に、散光丸を切り捨て無力化した。

ヴァルキュリアが、武者ガンダムが構えお互いが走る。

武者ガンダム「ぬぁぁぁぁっ!!」

エタ&ミコト「うおおおおっ!!」

お互いの攻撃が一閃入るが、電光丸がヴァルキュリアに深々と突き刺さっていた。

そして、ヴァルキュリアからTRANS-AMのエフェクトが消えた。

武者ガンダム「………。」

一歩、たった一歩が届かなかった。

武者ガンダムが日輪丸で首を取ろうとした時だった。

TRANS-AMが再び起動した。

エタ「さぁ……地獄を楽しみな。」

ヴァルキュリアの全身からビーム刃が現れ、武者ガンダムを抉り、切り裂いた。

だがそれでも、パーツの切断までには至らなかったが、既に武者ガンダムは限界だった。

武者ガンダム「………よくぞ成し遂げた。強き者達よ。そなたらと戦えたことを……誇りに……おも………。」

武者ガンダムは力が抜けたかのように顔を下に向けたが、決して倒れることは無かった。

エタ「………思った以上の強敵でした。ありがとう、ミコト。」

ミコト「まぁいいってことよ。」

エタ「お疲れ様……ありがとう。」

ミコト「いつかちゃんとお礼返してよね。貸し一つって所かしら。」

ミコトの声が少しづつ小さくなり、TRANS-AMは解除された。

ヴァルキュリアがMUSOUユニットに近づき、GNソードで破壊した。

エタ「……武者ガンダム、討ち取りました。」

エタがMUSOUユニットを破壊したと同時に、アキトが戦っていたジムの軍勢も機能を停止した。

アキト「………やりましたね、エタさん。」

エタ「お疲れ様ですアキトさん。」

ヴァルキュリアの拳とザクタンクJのレンチメイスがぶつかり合う。

これにより、ガンダム無双のイベントはたった数人の少年少女の活躍で終結した。




レイカ「イチカ。」
ヒビキ「イチカ!」
エタ「イッちゃん。」
ツルギ「イチカさん!」
セイラ「イチカ。」
アキト「イチカさん!」
ルヤ「イチカ!」
コマ「イチカァッ!!」
ミタマ「イチカさん!!」
ロストシスター『ワンちゃん……。』
次回
ガンダムビルドブレイカーズforWAR
第二十七話「その名はイチカ」
イチカ「TRAN-ZAKU-RAIZAR!!!」


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第二十七話「その名はイチカ」

皆さんお待ちかねぇ!
作者のワンダレルです。
さて前回、長きに渡る「ガンダム無双」を終結させた湯の森ガンプラ部。
彼等の活躍により事変は終了したかのように見えましたが、まだ戦いは終わってないのです。
そして、その中にはあの伝説の存在もいます!
今、最後の戦いが始まります!
それでは!
ガンプラファイト!レディーゴー!


ルヤ「………急に動かなくなったな。」

コマ「お前が壊したんじゃないのかルヤ?」

ルヤ「いや、お前だろコマ。」

ミタマ「……終わった……のかな?」

ヴァルトラウテが大破したロストデスティニーを見ながら安堵する。

そして、東から0クアンタに背負われたAGE-2Breakerが。

西からザクタンクJのアームに座る形でヴァルキュリアガンダムが。

最後に真ん中から右腕は欠損し、一人ではあるが、しっかりとした足取りで皆の元に歩いてくるプラネッツナイトガンダム。

三人の無双の英傑が帰還した。

セイラ「ただいま。」

コマ「おかえり。元気そうだな。」

ツルギ「タカミヤツルギ!ただいま戻りました!」

レイカ「ふふ、おかえりなさい。」

アキト「ただいま、みんな!」

ルヤ「おう、おかえり。」

エタ「ただいまぁー。」

ミタマ「おかえりなさい!」

ヒビキ「ただいま、イチカ。」

イチカ「おかえり、ヒビキ。」

ヒビキ(……兄さん、ただいま。そして、ありがとう。)

ヒビキは心の中でそう思った。

ふと、おかえりと言われ、背中を叩かれたような気がしたのは言うまでもない。

イチカ「みんな……ありがとう、それとごめんね。私、皆に迷惑掛けちゃったからさ。」

セイラ「……まぁそれはおいおい償ってもらえばいいと思う。手始めに湯の森のスイーツ巡り。」

イチカ「財布無くなっちゃうよ。」

コマ「んで、ガンプラ探し。イチカの奢りで。」

イチカ「だから財布無くなるって。」

レイカ「じゃあ久しぶりにスキンシップとして私と組手しましょ〜♪」

イチカ「死ぬから却下で。」

キレッキレのツッコミを見てエタが笑い出す。

エタ「……ようやくイッちゃんらしくなりましたね。」

イチカ「もっちろん!ドカドカーンV!」

イチカは明るすぎる笑顔でVサインをした。

ミタマ「そう言えばみんな、KOカウントはどれくらい行ったの?私は2072だけど。」

コマ「俺は3265。」

ルヤ「同じく。」

セイラ「3271。」

ツルギ「うひゃあ……私なんて武者ガンダムMk-2と戦ってたから1111しか倒せてないです…。」

イチカ「私もあんま倒せなかったなぁ、1804。」

エタ「うぐ……1601……。」

ヒビキ「………真面目にやって3500ちょうど。」

イチカ「すご……。」

アキト「僕は2824かな。」

レイカ「16724よ〜♪」

湯の森ガンプラ部一同「ここに化け物がいたわ。」

ようやくいつも通りの日常が戻りかけた時だった。

エタ「……シグナル確認、有志連合。」

イチカ「……覚悟を決めなきゃ……。」

現れたのは、サージェントヴェルデバスター、オードブルデュエル、パーフェクトストライクノワール、サイコザクMk-IIIを率いる部隊だった。

リーダー格らしき四機から通信が入る。

ブレイヴ「……君達、そこのロストシスターを引き渡してくれ。」

イチカ「………出来ません。」

その返事にオードブルデュエルのパイロット、アマキから激怒した。

アマキ「そいつのせいでどれだけの人が被害を食らったのかわかってる?!そいつだけは破壊しないと……。」

それに呼応するかのように、パーフェクトストライクノワールのパイロット、ラグナもまた発言する。

ラグナ「……状況が掴めないな。どうしてそこまでロストシスターを守ろうとするのかがわからない。」

イチカ「………この子は、知らなかったの。人の愛を。」

レヴェア「……厳しいことを言うが、AIが本当に人と分かり合える事はあの時のような奇跡でもないと有り得ることでは無いと思う。その辺は…分かっているのか?」

イチカ「もちろんです。だからこそ私達は戦います!」

サイコザクMk-IIIのパイロットのレヴェアが突然笑いだした。

レヴェア「ふふ……本当に面白いね君たちは。あの子達がどうして真実を暴こうとしてたのか。そして、どうして私に真実を教えてくれたのかがようやく理解できた。我ながら情けないよ。」

湯の森ガンプラ部は不審に思ったが、すぐに行動に出た。

サイコザクMk-IIIが突然有志連合側のガンプラに攻撃を仕掛けたからだ。

レヴェア「事情は地獄姉妹を名乗る三人組とゲッターチームから聞いている!少なくとも私は……君達に着くことにするよ!」

ブレイヴ「く……!レヴェア!どうしてだ!!」

レヴェア「ブレイヴ、我々はヘイルに騙されていたんだよ。」

ブレイヴ「そ、そんなことは無い!ヘイルはGBNの為に動いていたんだ!!」

レヴェア「……私は地獄姉妹とゲッターチームの六人から全てを聞いた。だから私はこれ以上有志連合の味方にはなれん!!」

ヒビキ「じ、事情はよく分かんないけど味方をしてくれるのか。」

エタ「好都合です、負傷してるガンプラが多いですから。」

ツルギ「これならロストシスターも守りながら戦えそうです!」

全軍が構え、戦いの火蓋が切り落とされた。

各々が全力を引き出し、すぐさま弾幕が飛び交う。

全員が全武装を持って応酬する。

その火力はとんでもなく、負傷してるガンプラがいるとは思えないほど、義勇軍である湯の森ガンプラ部はとても強かった。

ヒビキ「僕は必ず、兄さんとの約束を守り抜く!!」

ミタマ「希望は今度こそ守る!」

コマ「ルヤぁ!!手を抜くなよ!」

ルヤ「お前こそなコマ!!」

ツルギ「今度こそ、話し合ってロストシスターも救います!!」

セイラ「敵の排除を開始する。」

アキト「僕らに出来る最大限のことをやり遂げるんだ!!」

エタ「めんどくさいですけど、やってやりましょうか!」

レヴェア「付いてきてくれたレヴェア隊の諸君!防衛は我々のお手の物だ!フォーメーションを組め!」

レイカ「手加減なしで全力で倒すわ〜。目標は4万よぉ〜♪」

その中でもイチカが一番に輝いていた。

シグレが遺したザンライザーユニットによって大暴れしていた。

だが、それでも数が多く、そこを狙われた。

アマキ「もらったぁ!!」

オードブルデュエルが動けなくなっていたロストデスティニーに向かってレールガンを撃とうとした。

が、それは一筋のビームで止められた。

アマキ「な……誰よ!!」

???「ほーっほっほっほっ、お呼びとあらば名乗るのが当然!」

それは、魔改造されたアッシマーからの攻撃。

メテオ・アッシマーだった。

ノリコ「私の名前は柳派 典子(ヤナギバノリコ)。メテオアッシマーの使い手にして行方知れずとなった地獄姉妹を追いかける永遠のライバルですわ!」

アマキ「クソ!せっかくのチャンスが!」

イチカ「え!?何者!?」

ノリコ「見知らぬ人の人助けもまた、柳派の一族の義務ですわ!さ、遠慮なさらずに参りましょう!」

ヒビキ「変な人って強いっていうイメージあるけどそのまんまだ……。」

オードブルデュエルとメテオアッシマーがぶつかり合う。

アマキ「キノコ風情が私の邪魔をして!!」

ノリコ「カッチーン!私のメテオアッシマーをキノコ呼ばわりしていいのは地獄姉妹のみ!あなた方にキノコ呼ばわりされる道理はありませんわ!!」

それに気を取られいたイチカが、パーフェクトストライクノワールの射程に入っていた。

ラグナ「捉えた……。」

ツルギ「イチカ!!」

ツルギが叫ぶがもう遅い。パーフェクトストライクノワールのビームライフルショーティーがダブルオーザクIIIを襲った。

レイカ「イチカ!?」

ヒビキ「イチカ!」

エタ「イッちゃん!?」

セイラ「イチカ!!」

アキト「イチカさん!」

ルヤ「イチカ!」

コマ「イチカァッ!!」

ミタマ「イチカさん!!」

全員がその様子を見ていた。

だが、煙が晴れるとそこにはロストデスティニーがいた。

それは既に立っているのが不思議な程にボロボロだった。

イチカ「シグちゃん!」

ロストシスター『……ワンちゃん。』

崩れ落ちたロストデスティニーをダブルオーザクIIIが抱える。

イチカ「どうして……シャットダウンしたはずなのに!?」

ロストシスター『私……今なら……わかる。』

イチカ「……どうして動いたの……!」

ロストシスター『ワンちゃん……その力は……きっと……ふふ、待ってるよ………その中でずっと……一緒に……だから、最後はしっかりキメてね。』

ロストデスティニーは完全に沈黙した。

レヴェア「しまった!!」

ロストデスティニーが、討たれた。

イチカ「…………こんな力の振るい方は最初で最後にするよ、シグちゃん。」

その目はかつての復讐の目では無い。

イチカ「みんな、下がって!」

その声に義勇軍が下がり、ダブルオーザクIIIが赤く染まる。そして、

イチカ「TRAN-ZAKU-RAIZAR!!!」

ザンライザーユニットによって安定した「ライザーアックス」が一気に放たれた。

それは、ロストデスティニーに向けて放たれた。

もちろん、その射線上に偶然居たオードブルデュエル含めた数千機が巻き込まれた。

イチカ「………これで、本当に終わりだよ。」

イチカは寂しげだがどこか前を向いているように呟いた。

だが、有志連合の攻撃は止まらない。

ブレイヴ「君達!?もういいんだ、ロストシスターは撃破したんだぞ!」

レヴェア「……わからなかったか、ブレイヴ。君がヘイルから託された直属の部隊は、この騒動の混乱をもたらす為のマスダイバー達なんだ。」

ブレイヴ「そんな……!」

戦況が大きく歪んだ。

ヒビキ「有志連合にマスダイバーがいたって言うのか!?」

エタ「……これ、普通に許せないですね。」

セイラ「………まずい。このままでは争いが終わらない。」

ミタマ「何か……なにか打開策があれば……!!」

その時だった。

数多の閃光が降り注ぎ、マスダイバーの機体の群れの一部が一掃された。

アキト「新手か!?」

だが、全員がその姿を見た時衝撃が走った。

胸部にはガンダムAGEシリーズの特徴があり、藍色がメインとなっている。

ガンダムAGE-2マグナム。

知る人ぞ知る伝説の機体。それを駆るのは……。

キョウヤ「……ここは私が引き受ける。」

伝説のGBNチャンプ、クジョウ・キョウヤだ。

レイカ「あら、クジョウさん久しぶり〜。」

イチカ「ふぁ!?レイカ姉知り合いなの!?」

レイカ「うん、GBNで「当時プラモトレースシステムがえなかった」という言い訳をするけど、私が負けた相手よ〜♪」

ヒビキ「た、戦ったことあるんだ……。」

ツルギ「ふぁぁ、く、クジョウさん……本物だぁ!」

ミタマ「すっごい現実を見てる気がする……もしかして夢?」

キョウヤ「夢じゃない。私はこの戦いを終わらせに来た。」

AGE-2マグナムがサージェントヴェルデバスターを含め有志連合の方に向く。

キョウヤ「これ以上、力づくだけの戦いは無意味だ。今、GBNのGMとリボンズ・アルマークがこの戦いを強制終了へと向かっている。」

「そんな軽い脅しが通じるわけが無いだろぉがチャンプ様よ!!」

キョウヤ「……それはどうかな。」

その言葉と共にマスダイバーの群れが全員消えた。

ルヤ「……マスダイバーが……。」

レヴェア「……消えた。」

キョウヤ「……リボンズ・アルマークっていうプレイヤーの友人がエンジニアらしくてね。その人に手伝ってもらったそうだ。」

コマ「……ま、それはいいけど、なんでチャンプであるアンタがここに?」

キョウヤ「……最初はGBNの為にロストシスター討伐軍につこうとしたんだが………。」


-数日前-

キョウヤ「ダイレクトメッセージ……?」

そして、私はソウゲツ・アルマに会っていた。

アルマ「君が反応をし、この湯の森に足を運んでくれたことに感謝しよう。」

キョウヤ「何が言いたいんです?」

アルマ「単刀直入に言おう。君の腕を買い、嘘で構成された有志連合の軸を最後にへし折ってもらいたい。」


キョウヤ「そういう経緯で今に至る。」

イチカ「す、すっごい……。」

アルマはその全てを見すえていた。だからこそ出来た芸当である。

キョウヤ「君がデンノイチカ……またの名をロストシスターだね。」

イチカ「………はい。」

ちょっと悲しげにイチカは言う。

イチカ「ごめんなさい、荒らしみたいな事をして……。私、腕の怪我でもうここしかガンプラに触れられる場所がなくて……。」

キョウヤ「……ならいつか君がここを豊かにしてくれ。今もなお、マスダイバーの脅威は去ってない。だからこそその力、是非とも貸してほしい。」

イチカ「キョウヤさん……。」

その名はイチカ。伝説となった破壊者ロストデスティニーを駆る化け物を扱っていた。だが、それは既に過去の話だ。

今、イチカはそれを込めて再び名乗りを上げる。

イチカ「私、頑張るよ!湯の森ガンプラ部!レディー!!」

湯の森ガンプラ部一同「ゴーっ!!」

……意外な展開だったが、こうしてガンダム無双は本当に終結した。


その頃、現実でも凄まじいことが起きていた。

ジョウジ「く……なんとしても逃げ切らねば……。」

アキヤマ・ジョウジは逃げていた。今回の戦いでGBNの権限も失い、Hi-νEXガンダムもダメになった。

だからこそ逃げている……だがその先にいたのは……。

アルマ「どこに行こうと言うのかな、アキヤマ・ジョウジ。」

ソウゲツ・アルマだった。

ジョウジ「くっ…そうまでして何が目的だアルマ!」

アルマ「………君を取り戻しに来た……とでも言おうかな。」

ジョウジ「今更何を!?」

アルマ「……君は母に騙されているんだ。」

ジョウジ「そんなはずは無い!私はトモコさんに騙されてるはずが……!」

アルマ「……ジョウジ、どうして蒼月の人間が湯の森にいるか分かるかね?」

ジョウジ「そんなことを聞いてどうする?」

アルマ「……蒼月家はいわば湯の森の守護者。それ故に蒼月は呪術、陰陽術、魔術、催眠術、化学、心理学、人の殺し方すらも叩き込まれ、この湯の森という一つの目には見えない結界を使い守る神域のようなものがあるのだよ。まぁ、それは隣町の天ノ玉原も同じ事だがね。」

ジョウジ「……それになんの意味がある!!」

ジョウジは躊躇無く銃を撃つが、アルマにかすりもしなかった。

アルマ「……君は幼少期、僕の身代わりとして産まれた妹を男ではないという理由で捨てた上で、母が君を僕の身代わりになるように洗脳し続けていたのさ。」

ジョウジ「黙れ!」

アルマ「………だが、そこまでならもう僕にはどうしようも無いだろうね。」

ジョウジ「クソ!どうして当たらないんだ!!」

アルマ「君の理性が残ってるからさ。」

アルマはジョウジのその問いに凶悪な蹴りを入れて答えた。

その一撃で肋骨が数本折れるレベルで。

ジョウジ「ごふっ……。」

アルマは瀕死になっているジョウジに銃を構えた。

アルマ「………君は誇り高き空の戦士だった。さらばだ、アキヤマ・ジョウジ。僕の……親友。」

ジョウジ「……アル……マ……。」

そして、六発の銃声が悲しき夜に響いた。


イチカは腕の怪我が治るまで、GBNでガンプラを動かしつつ、プラモトレースシステムの被検体を続けることになった。

イチカ「よーし!これからもガンプラファイト行っくぞー!!」

イチカはアバターの持つダブルオーザクIIIを見ていた。

『頑張ろうね、ワンちゃん。』

その青空の先で小さな声が聞こえた。




レイカ「……うそ………。」
イチカ「私、見てみたい!」
ヒビキ「……兄さん。」
次回、
ガンダムビルドブレイカーズforWAR
第二十八話「果てしなき最後の戦い」
レイカ「………ありがとう……。レイト………。」


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交差する世界
第二十八話「果てしなき最後の戦い」


皆さんお待ちかねぇ!
作者のワンダレルです。
さて前回、長きに渡ったロストシスターの決戦、歪んだ有志連合はかのチャンプ、クジョウ・キョウヤによって終息を迎えました。
ここからは少しだけ思い出話になるところでしょう。
それでは!
ガンプラファイト!レディーゴー!


レイカ「ふーんふんふふんふんー。」

レイカは珍しく鼻歌を歌いながらどこかに向かっていた。

一つの花束を携えて、歩いていく。

師匠との休日の稽古も済み、午後からは自由なのだ。

あの事件が終ってからもう四日は経つ。

レイカ「あの時の戦いも凄かったなぁ。」

教育実習生として来ていた雨田四郎先生と一つ上の先輩の城島啓司さんとのあの激闘はものすごく白熱した。

レイカ(四郎先生と戦ってみたいなぁ。)

当然、戦女神も戦いたくはなる。

レイカはぼんやりとだが幽霊が見える。

ただ、どの幽霊もレイカを前にすると逃げるのだが、その中でたった一人の幽霊は逃げなかった。

レイカは墓地へとたどり着いた。

レイカ「……レイト、久しぶり。私ね、イチカ達と一緒に世界を目指すの。掴めなかった夢を私はこの手で掴むわ。でも……でもね………私ね……やっぱり寂しいの……。私だけ置いてけぼりにされたような気がしてならないの………。どうして言ってくれなかったのよ………」

普段はあまり弱音を吐くことも無く泣くこともほとんどない朗らかなレイカはいつもレイトの墓標の前では泣いてしまう。

けど、今回はなにかが違った。

???「らしくねぇな……しっかりしろよレイカ。それでも戦女神のゼロ(ヴァルキリーゼロ)か?」

そんな声が聞こえた気がした。

レイカ「……そうね。レイトならきっとそう言って怒るんでしょうね。……口は悪くても根が優しいのは私知ってるんだから。」

レイカはレイトの墓にキスをした。

レイカ「またね、レイト。今度はヒカルと一緒に来れるように頑張るわ。」

そう言って花を置いた後に立ち去った。

レイカ「そういえば、学校ではガンプラ部が恐れられてるのは何故かしら……。もしかして誰かが暴れてるんじゃ……。私やイチカはガンプラバトルある場所に乱入してるだけだし……。」

その帰り道、電之商店の手前のT字路でよそ見をしていたのがいけなかった。

思いっきり人にぶつかってしまったのだ。

お互いにしりもちをついてしまった。

レイカ「いたた……ごめんなさい、大丈夫ですか?」

その女性は透き通った薄紫色の髪と眼をしていた。

少し露出の多いシャツにパーカーを着ていた女性だった。

???「こっちこそごめんなさいね戦女神のゼロ(ヴァルキリーゼロ)。」

何故かこの女性はレイカの二つ名を知っていた。

レイカ「どうしてその名前を……。」

???「あなたは自覚はないでしょうけどかなり有名よ。だってこんなに強いんだもの。」

レイカとその女性は言葉の合間に拳を打ち合わせていた。

レイカ「あなたは一体……?」

トキメ「私はトキメ。ダイドウ・トキメよ。」

レイカ「………もしよかったら今度師匠と共に手合わせをしていただきたいですね。」

トキメ「申し訳ないけどそれは無理ね〜。私ちょっと忙しいから。でも、あなたに会えたことは本当に良かったわ。私、あなたのファンなのよ。」

レイカ「あら、それはありがとうございます。それでは。」

トキメ「じゃね。」

二人は真逆の道を進んだ。

レイカは電之商店へ、トキメは人混みの中へ。

トキメ「……知ってるもの。だってあなたは私でもあるんだから。私が汚れる前の………私なんだから。」

トキメはそう言って、人混みの中へと混ざった。

家族四人で食卓に座りご飯を食べていた。

イチカは右腕の負傷もあり、慣れてない手つきで左手で食べていた。

レイカ「もう。言ってくれたらお姉ちゃんが食べさせてあげるのに〜。」

イチカ「大丈夫大丈夫、私結構器用だから!」

むすっとするレイカにイチカが元気に答える。

あの時のこともあってだったが、今はすっかり元気になっていた。

レイカもその様子を見てほっとしていた。

その時、イチカの携帯が鳴った。

イチカ「あ、ヒビキから電話だ。もしもしどしたの?」

アマリ「あー、食事中にスマホをいじってる〜。」

ヨシモリ「まぁまぁ、いいじゃないか。」

ヒビキ「イチカ、僕明後日にカマイアキラさんと戦うことになったんだ。」

イチカ「えぇ!?」

それを聞いたレイカも思わず箸を落とした。

四年前のあの件以来、所在も掴めずどこにいたのかも分からなかったからだ。

レイカ「……え?」

イチカ「大丈夫なのヒビキ、相手確か相当に強かったよね!?」

ヒビキ「大丈夫だよイチカ。今の僕には……兄さんがついている。

イチカ「そっか……コアガンダムαが……。」

レイカは箸を洗ってまた食べ始めた。

イチカ「分かった、私もその戦い見てみたい!レイカ姉も応援に行くからね!」

ヒビキ「うん、よろしくね。それじゃ。」

イチカ「はいはーい!」

二人の通話が終わった。

レイカ「ごちそうさま。」

レイカは珍しくすぐに食べ終わった。

ヨシモリ「ん?早いなレイカ、大丈夫か?」

レイカ「大丈夫よ父さん。」

そう言って二階の自室へと向かい部屋に入って布団に倒れ込んだ。

レイカ「…………。」

レイカの胸騒ぎがしていた。

何故か行かねばならないと思っていたのだ。

レイカ「行こうかな……きっと、何かある。」


レイカ「行ってきます。」

珍しくイチカより遅れて出たがまだ間に合う。

しかし……。

「すみませんお嬢さん。」

裏道の路地裏で突然怪しい人に声をかけられた。

それも道を塞ぐ形で。

レイカ「あの、すみません。急いでるんです。」

レイカがそう言って通り抜けようとした時、腕を掴まれた。

が、レイカは即座に投げ技を仕掛けて振り払った。

「ってて、流石だなコイツは。あの女が気をつけろと言うだけはあるぜ。」

レイカ「……。」

(数にして十数人。なぎ倒すこと自体は問題じゃないけど、このままだと、試合が終わってしまう……!)

レイカがこうしてる間にも既に試合が始まろうとしていたのだ。

「流石に複数人がかかりゃ勝てんだろ!やっちまいな!」

「こんなガキでも良い身体してんなぁ、依頼にゃ無傷とは言われてねぇしよぉ!」

レイカ「ゲス共が……。」

レイカが怒りをぶつけようとした時だった。

一人の男が突然股間を押えて悶絶しながら倒れた。

???「あらごめんなさい、邪魔だったから。」

「んだこのアマ!!」

レイカ「と、トキメさん?!」

トキメ「久しぶり〜、さ、急いでるんでしょ?行って。」

レイカ「トキメさんは?!」

トキメ「大丈夫大丈夫、何とかするから。」

レイカ「…ありがとうございます!」

レイカは会場へと走っていった。

「このアマァ!俺たちが養王田組なのをわかって邪魔したんならカタギの女でも容赦しねえぞ!」

トキメ「あら、あなた達って養王田組?なら好都合。」

そう言った瞬間、トキメは二十四人のウチの四人の首を横に百八十度に曲げ、絶命させた。

「な……え?」

トキメ「さよなら。」

その間にも一人ずつ丁寧に抱擁し首の骨を折っていった。

「……ど、どうなってんだ!!」

首謀者が銃を使おうとするがその掌にトキメの改造されたヒールが突き刺さった。

「ぎゃぁぁぁ!?手がァ!!」

トキメ「あらぁ、根性のない人。ま、どうでもいいから死んでちょうだい。」

トキメはそのまま首謀者の頭蓋骨を手と指の力で砕き、首謀者を含め養王田組の追手は全滅した。

トキメ「……レイカ。あなたは優しくありなさい。私のように、堕ちてはいけないわ。」

トキメはEの記号を持つガイアメモリに口づけをした。


会場にたどり着いているともう盛りあがっていた。

レイカ「………ん?」

そこには見慣れた姿のコアガンダムαが居た。

ちょうど近くの席が空いていた。

ケイジ「うおぉぉぉぉっ!プラネッツナイトだ!テレビ見たあのガンプラだ!すっげぇぇぇっ!」

キノ「………。」

ケイ「うるさいなぁ。男って、侍とか騎士とか本当好きよねぇ。」

片方は先日のコアガンダムガオファイガーと戦ったケイジ先輩。

あとはちょっと前にヒビキ君とのやり取りで仲良くなったと聞いているキノ、そして獅子谷さん。

この三人の入学式の直後の事件は未だに覚えている。

私はなんとなくこの三人の近くに座った。

レイカ「あら。プラネッツナイトなんて…。懐かしいガンプラがあるじゃん。それに、ヒビキ君が操縦してるみたいだけど、彼が操縦してるような感じではないようね。」

キノ「えっと…貴方は…レイカさん…でしたっけ?」

レイカ「そうよぉ。私は、この湯ノ森で1番強いガンプラファイターよ。」

キノ「何故貴方のような方がここに…?」

レイカ「………。なんだか、胸騒ぎがしたのよ。」

キノ「胸騒ぎ…?」

レイカ「えぇ。私はね、4年前にこの湯ノ森の代表として、ガンプラバトルの大会へ出たのよ。私達は、順調に勝ち続けて、決勝戦まで勝ち進んだの。けど…仲間の1人が心臓病で亡くなってしまってね…」

キノ「……その人って…レイトさんですか?」

レイカ「そうよ。彼は強かった。私と互角に闘って、私でさえ負けると思うほど強い人だった。彼は、私と一緒に大会に出てくれたわ。そこで、あのプラネッツナイトとも共闘したわ。本当に強かった。でも…なんで私達に病気の事を言ってくれなかったんだろうって、ずっと胸に引っかかってるの…。」

キノ「………。きっと、レイトさんは心配をかけたくなかったんだと思います。僕は彼ではないからわかりませんが、彼は…レイトさんは本当に人に優しくて、誰よりも人を大切にしていた人だって思うんです。だからこそ、無茶をして大会に出てたんですよ。自分のせいで大会を辞退させたくなかったから。」

レイカ「…そうね。彼ならやりかねないわね。意地が悪くて、口も悪くて…だけど、そんな芯の強さを知って私は彼等と共に大会に出る事を決めたんだから。」

零華は義之と零斗の昔話をしながら試合を観戦していた。

そして…零華はなんとなくわかっていた。目の前の試合で戦っているのは、響ではなく零斗だという事を。

シロウ「どうやら、まだ始まったばかりのようだな。」

キノ「シロウさん。」

シロウ「やぁ。っと、そっちの綺麗な子はキノ君の友達かい?」

レイカ「デンノ レイカよ。よろしくね。」

シロウ「君がかの有名な電之姉妹の人か。俺はアメダ シロウ。よろしく。」

と、あいさつをしていると、ケイジ達が割り込み

ケイジ「あ、シロウさん!今さっき、あのコアガンダムが変身したっすよ!今からが本気の勝負みたいっす!」

シロウ「そうか。ちょうどいいタイミングだったようだね。」

と、口にすると、義之が試合を見ながら怖い顔をしているのを目にする。

キノ「………。」

シロウ「彼が心配なのかい?」

キノ「いいえ。心配なんかしてません。勝つと信じてますから。」

シロウ「じゃあ、どうしてそんなに険しい顔をするんだい?」

キノ「この闘いは…これ以上は目を離せないからです。」

そんな会話を耳にした。

レイカ(………レイト。)

ぼんやりと見える、ヒビキの纏っている亡霊のオーラ。それは私を前にしても決して逃げなかった亡霊の色。

アキラ「そうだ…!これを求めていた!この戦いを…!君との決着を!私は今、最高に嬉しいぞ!こんなにも楽しい戦いは初めてだ!」

零斗は次に言葉を発した。

レイト「俺もだ…!俺も沢山の強い奴らと戦って来た…!レイカ、ヒカル、シロウ…だが、お前は俺を震わせてくれる!アキラ、俺は本当はずっとお前と闘う事を恐れていた。俺の時は四年前に止まってしまった。その四年間にお前は更に強くなって今ここに現れた。俺はそれが怖かった。そして…お前に勝てたとしても、この世界に未練を沢山残したまま消えてしまうと恐れていた。だが今は消える消えないなんかどうでもいい!俺はこんなにも熱く震えるバトルができている。それだけで嬉しいんだ!」

アキラ「そうか…!ならば!その想いに答えなければならんな…!」

その二人のやり取りを聞いた瞬間、レイカははっと気がついた。

ぼんやりと見えていたのは認識しようとしなかったからだ。

心の奥底で認めたくなかったからだ。

だが、今レイカの瞳にははっきりと写っている。

レイカ「……やっぱり成仏してなかったんじゃない。レイト………。」

レイカは涙を流しながら悪口を吐いた。

レイトの面影が見える。

それだけでもう嬉しかったのだ。

ここに来て正解だった。レイカは心の底からそう思った。

どんどんと戦いはヒートアップしていった。

互いに削り削られ、武器もエネルギーも限界ギリギリだった。

素早い蹴りを入れられて、プラネッツナイトは地面に叩き落とされた。

レイト「くっ…くそ…迂闊だったか…」

アキラ「その程度か。君はそれくらいで終わるようなやつか?」

レイト「ま…まだだ…っ!」

零斗は立ち上がろうとするが、身体に違和感を感じ、止まってしまう。

レイト(な…何故だ…体が…うまく動かない…響の身体に馴染み過ぎたからか…?)

アキラ「動かぬならこちらから参るぞ!」

と、言いsin ・スサノオが斬りかかる。

レイト「受けるしかねぇ…!」

零斗は盾を構え、受ける態勢に入った。

しかし…

ザシュッ!

レイト「た…盾がっ…!?」

更に追い込むように蹴り飛ばした。

レイト「ぐぁぁぁぁ!」

ザザザッ…!

レイト「こ…このままじゃ…」

そんな状況を見たレイカは……。

レイカ(レイト……負けないで……あなたは強いんだから!)

レイカは祈るように両手を組んだ。

その時だった。

あの絶対領域(アブソリュートゾーン)と同じような感覚がレイカを包んだ。

祈り……聞こえるかどうかは分からない。でも!

レイカ「レイト、貴方なら勝てる。私達は一緒に戦って、勝利を勝ち取り、築き上げてきたものはそんな簡単には折れはしない!」

そう言った。

それと同時だった。

レイト「行くぞ…!俺達みんなで築いた力の全てをぶつけるぞ!」

ピカーン…ッ!

プラネッツナイトはその言葉に応えるように目を光らせた。

プラネッツナイトの周りから気迫のような強い風が吹き荒れる。

sin・スサノオはその風を受け、少しのけぞった。

宇宙の騎士は再び立ち上がったのである。

アキラ「その気迫…っ!私が最初に戦った時と同じ感覚…!ついに、見せたな!本当の力を!」

レイト「行くぞ…!アキラ!」

アキラ「来い…!アリネ レイトぉ!」


レイカはその様子を見ていた。

だが、限界が訪れた。

レイカは嗚咽し、泣きながらその試合を見ていた。

レイカ「ねぇ、ヒカル……見てるかしら……。レイトが……レイトが……」

レイトのその姿はまるでこの戦いが終われば消えると言わんばかりの気迫だった。

レイカ「全てをかけて……戦って、前に進んでるわよ……。私達も……負けてられないわね……。」

そうだ。いつもそうだ。

レイトの口は悪い。でも人の事を人一倍誰よりも思っていた。

優しさがあったからレイトは最期の最後まで戦い抜いた。

そして今、亡霊となりながらもまた再び同じ事をしている。

レイカ「バカ……いつもそうやって……。でも……行ってきなさいレイト……!!」

戦いはクライマックスへと向かう。

二つのガンプラを中心に風が吹き荒れ、空の雲すら吹き飛ばす。

レイト「宇宙よ…我が剣にその力を与え、勝利を道を示せ!」

プラネッツナイトの剣が光り輝き、宇宙からの光を受け止める

アキラ「我、主君の為に命燃やし、勝利と栄光を取らんとせし。」

sin・スサノオの刀が赤く輝き、GN粒子を纏ったと共に、トランザム状態になる。

そのトランザムは更に光を増し、真トランザムと呼ばれる姿に変わる。

二つの力により、自分たちの周囲より外の大地が崩れていく。

そして、ついに力のぶつかる時が来た

レイト「これが最後に最強の必殺だ!」

アキラ「我が武士道に一点の曇り無し!」

レイト「一撃必殺!プラネッツアサルトブレイブ!」

アキラ「百花繚乱!横一文字斬り!」

両機は共にぶつかりあう!

2人「はぁぁぁぁぁぁっ!」


レイカ「やっちゃえ……レイトォォォォォォッ!!」

レイカは渾身の叫びを響かせた。

そして…一瞬でそのぶつかり合いは終わり、互いに一直線上に斬り合った。

両機とも動きが止まり、その少し後に動きを見せた。

プラネッツナイトの左腕、左脇にダメージを受け、左腕は壊れて落ちてしまった。

会場はその瞬間ざわついた。

ケイジ「あぁっ…!」

シロウ「これは勝負あったな…」

キノ(レイトさん…!)

だが、その後、sin・スサノオにも動きがあった。

sin・スサノオも左脇にダメージを負っていた。そして…

パリーン…と音を立て、sin・スサノオの仮面が崩れ落ちた。

プラネッツナイトは攻撃をした体型のまま、立ったまま動かなくなってしまった。

だが、バトル終了の合図はならない。

アキラ「お見事…。その騎士道精神…それこそ私の追い求めたもの。」

レイト「………。」

そう言い、sin・スサノオの右腕で腰につけていた短刀を抜き取った。

アキラ「私も、その精神に応えて、潔く負けを認めよう。」

そう言いながら、コクピット部分に短刀を突き刺した。

そして…バトルエンドのコールが鳴り響く。

レイカはそれを聞いて、レイトへ、ヒビキへとあの時、湯の森シャイニングゼロでやっていた勝利のポーズを見せた。

それは見えていないのかもしれない。

もう既に消えてしまったのかもしれない。

けど、レイカにとってそれは最後に絶対にやらねばならない事だった。

そして、バトルが終わりヒビキがガンプラを回収した。

それと同時に、一気に人が押し寄せる。

ケイジ「すごかったっすね!あの戦い!」

ケイ「こら。突然知らない人に話しかけられて驚いちゃってるわよ?」

シロウ「ナイスファイトだったね。」

レイカ「流石はレイト君の弟ってだけはあるわね。」

シンプルだだけど、ヒビキはきっとレイトと同じように強くなる。

レイカ「……おめでとう、ヒビキ君そしてレイト。」

ヒビキ「………もしかして、見えてたの?」

レイカ「えぇ。」

ヒビキ「でも兄さんはもう……。」

レイカ「分かってるわヒビキ君。でも私達はレイトに想いを託されたの。だから、私達は前に向いて進まなくちゃいけない。きっとレイトならしっかりしろお前ら!なーんて言って必要以上に怒るもの♪」

ヒビキ「そう……ですね。僕も……きっと兄さんを越えるガンプラを作ってみせる……そう約束したから。」

レイカ「そうと決まれば、明日からGBNでの部活も頑張りましょ!」

イチカ「……レイカ姉。」

レイカ「あら、イチカ。」

イチカ「なんか、すごく吹っ切れたようにいい笑顔になったね!」

レイカ「そうね……でーっかい迷いが一つ吹っ飛んでっちゃったから。」


レイカは、戦女神のゼロははばたいた。

学校でガンプラバトルがあればどこでも乱入している。

レイカ(……レイト、任せて。ヒビキ君も連れて湯の森ガンプラ部で世界を取るわ。いつかの夢を叶える為に!)

レイカ「ガンプラファイト!レディー!ゴー!」




イチカ「ほうほう、GBNでそんなことが。」
???「もしよかったら私もガンプラ部に入れてくれませんか?」
イチカ「もっちろん!大歓迎!!」
???「ここでいいのかな?」
イチカ「うぉ!?なんかおっとり系だ!!」
次回、ガンダムビルドブレイカーズforWAR
第二十九話「狐と降霊とガンプラと」
それでは次回も!
ガンプラファイト!レディー!ゴー!


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第二十九話「狐と降霊とガンプラと」

皆さんお待ちかねぇ!
作者のワンダレルです。
さて前回、かのアリネ・レイトの最期の勇姿をレイカは見届け、さらなる覚悟を手にしました。
そんなガンプラ部にも新たな旋風が巻き起こることでしょう!
それでは!ガンプラファイト!
レディーゴー!


今日も今日とてガンプラ部。

GBNにて自由気ままに行動していた。

イチカ「イェーイ!!」

イチカはダブルオーザクIIIでマスダイバー相手にガンプラファイトを仕掛けていく。

レイカ「えい♪」

レイカはレイカでゴッドアストレイでマスダイバーを放り投げる。

おかげでガンプラ部が活動する場所にてマスダイバー被害は極端に低い。

ヒビキ「ツルギさん!そっちに敵!」

ツルギ「了解です!行きますよ、マリオン!」

マリオン『了解。』

ヒビキのコアガンダムα、ツルギのAGE-2Breakerが敵をなぎ払う。

エタ「さぁーて、エタさんも本気出しましょうか。」

エタも本気で取り組んでおり、ブレイクデカール持ち相手でも余裕のある戦いをしている。

ルヤ「コマァッ!!」

コマ「ルヤァッ!!」

プロトモビルドールユウキとアレルレクスが交差するように駆け抜け、

コマ・ルヤ「死ねェェェェッ!!」

敵を巻き込みながら大規模な喧嘩をしている。

セイラ「スクラップフィストッ!!」

カナデ「はぁっ!!」

ジャンククアンタ、カナデヴィダールも華麗に舞い踊る。

アキト「これ僕いるのか!?」

ザクタンクJが思わず本音をこぼしながらも支援へ向かっている。

はっきり言えば

「ち、チートなんじゃねぇかアイツら!」

「あんなバケモンとやってられるか!」

とマスダイバーが言うほどである。

ミタマ「………人のこと言えた義理じゃないけどみんなぶっ壊れた強さしてるもんね。特にあの金ピカ。」

レイカ「あらァ〜ミタマちゃん何か言ったかしら〜?」

ミタマ「ヴェ、マリモ!」

ヴァルトラウテもまた戦果を上げつつある。

だが、それでも

イチカ「レイカ姉!一気に決めるよ!」

レイカ「えぇ、イチカ〜♪」

イチカ「TRAN-ZAKU!!」

ダブルオーザクIIIが赤く染まる。

レイカ「はぁぁぁぁ……タァッ!!」

ゴッドアストレイが更に金色に染る。

イチカ「オールレンジで!暴れ撃つぜェっ!!」

展開したホルスタービットとサブアームに取り付けられたピストルビット、そしてある程度備えられたミサイルと手持ちのバズーカを言葉通りに暴れ撃ちしてマスダイバーをなぎ払い、生き残ったマスダイバーが一点に退いてしまった。

「!?しまっ!! 」

気づいた時にはもう遅い。

レイカ「流派・冥王不敗が最終奥義……!」

既にゴッドアストレイは身構えていた。

レイカ「天地ッ!!壊牢拳ッ!!!」

超大型のエネルギー玉が一点に集まったマスダイバーを蹴散らし、戦いは終わった。

イチカ「いやー、お疲れ様!いい練習になった!!」

ヒビキ「……僕がおかしいのかな、マスダイバーの相手を練習というのはおかしいと思う僕がおかしいのかな?」

ツルギ「兄さんもきっと同じことを言うと思います……。」

エタ「まぁ、やりがいはあったかも。皆強すぎて湯の森ガンプラ部って聞いただけで一目散に逃げるくらいだし。」

アキト「まぁ、それほど凄いんですよ僕たち。」

ミタマ「ただ、バトルジャンキー二人が納得いかなかったんだよねぇ。」

イチカ「えー、私バトルジャンキーじゃないもん!」

コマ「ほんじゃ前にマスダイバーの群れに単独で突っ込んだのは?」

イチカ「た、対話(?)の為……?」

ルヤ「ダウト。」

レイカ「私もバトルジャンキーじゃないわ〜。」

カナデ「そうです、彼女はただの戦闘狂です。」

セイラ「意味があまり変わってないですよ。」

一行はGBN……ではなく、シミュレーションシステムからログアウトした。

ぶっちゃけこの状況はイチカとレイカにとってはとても好都合だった。

イチカ・レイカ「だって学校だと戦ってくれる人いないんだもん。」

見事なシンクロ、流石は双子と言ったところか。

ヒビキ「それは……いや、なんでもない。」

ヒビキは言おうとした言葉を繋げなかった。

言ってしまったら、兄に怒られる気がしたのだ。

ヒビキ(きっと強い弱いとか、センスの問題じゃないんだよね兄さん。)

ツルギ「そういえば……入部希望者が二人いましたよ。」

イチカ「マジで!?入部祝いのブラックサンダー用意しなきゃ!」

エタ「いっちゃん、ブラックサンダー在庫切れだよ。」

イチカ「あぁんまりだぁぁァァァァ!」

アキト「そりゃあれだけ食べてたらなくなると思う。」

ツルギ「一人は遅れてくるって連絡はありましたが、もう一人はそろそろ来るはずですよ。」

ツルギがそういうと同時に教室の扉が開かれる。

???「ここがガンプラ部ですか。」

イチカ「お!いらっしゃい!お名前どうぞ!」

???「初対面相手に馴れ馴れしすぎませんか?」

イチカ「うぐ……。」

コユキ「私は雪華 狐雪(ユキハナ・コユキ)。雪花神社の宮司の娘だよ。」

ミタマ「え?雪花神社って……もしかしてコユキちゃん?!」

コユキ「ん?ミタマちゃん。天ノ玉原に居たんじゃなかったの?」

ミタマ「学校はここ湯の森高校に受験してたからねぇ。」

レイカ「あらあら、知り合い?」

コユキ「同じ神社のよしみっていうのかな?結構前から知り合いでそこそこ交流もあったしね。」

ルヤ「ほぇー、こんなことあるんだなぁ。」

アキト「割り込んですまない、君のガンプラってどんなやつなんだい?ぜひ教えて欲しいんだ。」

イチカ「私も私もー!」

アキトとイチカが食い気味に聞く。

コユキ「ふふ、私のガンプラはサーペント・フォクシードだよ。」

ミタマ「あれまだ進化してたんだ……。」

コマ「んー、なんか聞いたことあるような気がする……。」

イチカ「じゃあさじゃあさ!ガンプラファイトしよコユキっち!」

イチカがコユキの手を掴んでぶんぶん振る。

コユキ「ごめんなさい、今日は神社の仕事を手伝わないとだから挨拶だけなんです。」

イチカ「なぬ!!」

イチカはふられた。

ちょっとしょんぼりとしているイチカにツルギが寄って頭を撫でる。

ツルギ「よしよし、そういう時もありますよイチカ。」

イチカ「ツルギちゃぁぁん!!」

イチカがツルギの胸を揉みしだく。

ツルギ「ひゃあ!?なんで胸を!!」

エタ「………。」

それをあまり快く思ってない人物もいるが。

そうこうしているうちにもう一人が来たようだ。

???「ここが湯の森ガンプラ部……」

ツルギ「いらっしゃいませ。湯の森ガンプラ部へようこそ。」

イチカ「ん?どっかで見たことあるような……。」

レイカ「あら、キノちゃん?」

キノ「あ……。レイカさん。」

イチカ「ん?知り合いなのレイカ姉?」

レイカ「えぇ、私にとってある意味縁の深い子よ。」

キノ「自己紹介がまだでしたね。僕は降霊 キノ(フレイ・キノ)。これからよろしくお願いします。」

ルヤ「てことはよ、恒例のアレやるのか?」

イチカ「もっちろん!近いうちにコユキちゃんにもやってもらうしね!」

キノ「??」

キノは頭にハテナを浮かべていた。

イチカ「キノちゃん!今からここにいるガンプラ部の誰か一人と一騎討ちをしてもらうよ!!」

キノ「と、突然ですね……。」

エタ「大丈夫です、意外とやりごたえはあると思いますから。」

そういうふうにいわれたキノは少しだけ考える素振りを見せた。そして、キノは決めた。

キノ「じゃあ僕は………。」

キノは指を指した。

キノ「レイカさん、貴方に挑みます。」

レイカ「あらまぁ。」

その場にいたレイカ以外の全員が慌て出す。

イチカ「え、えぇ!?レイカ姉に挑むの!?すっごい!!」

ツルギ「だ、大丈夫なんですか!?」

ミタマ「わぉ……なかなかの命知らず。」

ルヤ「期待の超新星か?」

コマ「ありえるな。」

カナデ「おのれ、私より先に戦女神のゼロに挑むなど……。」

アキト「ま、マジか!?」

セイラ「………ガチ?」

キノ「大マジです。」

キノは知りたかった。

キノ(レイカさんはかつてレイトさんと共に戦った湯の森最強のガンプラファイター。戦って、レイトさんとの距離を知りたい……!)

レイカ「ふふ、受けて立つわキノちゃん。」

キノ「えぇ、よろしくお願いします。」

こうして、世紀のチャレンジャーが戦女神に挑む事となった。




キノ「やってみせる!」
レイカ「ふふ、まだ道はあるわ」
キノ「まだまだぁ!!」
次回
ガンダムビルドブレイカーズforWAR
第三十話「戦女神と黒きコアガンダム」
それでは次回も!
ガンプラファイト!レディーゴー!!


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第三十話「戦女神と黒きガンダム」

皆さんお待ちかねぇ!
作者のワンダレルです。
さて前回、キノとコハルが湯の森ガンプラ部に加わり、更なる楽しみが増えたところで、イチカの考えた歓迎会(?)のようなものでキノを迎え撃ちます!
そして、キノが選んだのはなんとレイカでした!
果たしてこの戦いは一体どうなるのか!
それでは!ガンダムファイト!レディーゴー!!


キノ「……よろしくお願いします。」

いざ目の前で対峙するとほんのり優しそうに見える。

レイカ「よろしくね〜♪」

レイカがプラモトレースシステムの装置を軽く取り付ける。

キノ(………これが。)

プラモトレースシステムを取り付けた瞬間、気迫がすごく上がった。

その姿はまるで異名通り戦女神。

神々しくも、圧倒的なその姿にキノは少し震えた。

ZERO『キノ、戦女神の名は伊達じゃない。やれるか?』

キノ「大丈夫。」

イチカ「よーし!始めちゃおう!」

キノ「ユーラヴェンZ7、行きます!」

レイカ「ガンダムゴッドアストレイ、行くわ〜♪」

二つのガンプラが対峙する。

ステージは鉄血のオルフェンズにおける、ハシュマルを倒したあの大地だった。

かたやかのレイトが遺した黒きコアガンダム。

かたやレイトとの友情を育んだ金色のアストレイ。

その2つの因縁が今邂逅した。

イチカ「ガンプラファイト!レディーゴー!」

先手は、キノが先にしかけた。

キノ「出し惜しみはできない。相手はあの湯の森最強の人だから。」

キノは距離をとるためにセンサービットを放った。

そして、ビームシュートライフルZ7で狙撃した。

レイカ「なるほど。」

しかし、ゴッドアストレイは綺麗に回避をした。

レイカ「いい動きね〜。」

その声音はまだ余裕そうに見えた……が。

気がつけばZ7は目の前にいた。

レイカ「あら。」

ZERO『もらった!!』

ユーラヴェンZ7R4がビームサーベルを振るう。

だが、ゴッドアストレイはそれを容易く握る。

ZERO『なんだとぉ!?』

想定外だろう。本来ビーム刃を掴むなど無謀極まりない事だ。

しかしゴッドアストレイにはそれを可能にするモノがある。

キノ「噂通り、ヤタノカガミ!!」

キノはビームサーベルをゴッドアストレイの掌から引き抜き、距離を取った。

レイカ「じゃあ今度は私から行くわ〜♪」

レイカは腰に付けてあるトツカノツルギを引き抜き、十字にクロスさせ構えた。

そしてキノが瞬きをした瞬間、ゴッドアストレイの距離はかなり近くにいた。

ZERO『早い!?』

ZEROの回避プログラムでギリギリ回避した。

そこからはゴッドアストレイによる剣撃が繰り返される。

キノもそれに合わせてビームサーベルを当てて行く。

レイカ「見事ね、流石はレイトと一緒にいただけはあるわ〜♪こんなに強い子久しぶりよ!」

キノ「くっ!それはどうも!」

キノはほんの一瞬できた隙をついて蹴りを入れた。

レイカ「やん!」

その勢いでゴッドアストレイが飛び、岩壁にぶつかる。

キノ「そこ!」

キノは近づかせまいとビームライフルを撃つ。

しかし、それはゴッドアストレイに弾かれ、どんどん距離を詰められる。

レイカ「もらったわ!!」

ゴッドアストレイの凶悪な手刀が襲いかかってくる。

キノ「まだ見える!」

キノは脅威的な反応速度で回避した。

レイカ「あら?!」

これには流石のレイカも驚いた。

ZERO『もらったぜ!!』

そして、ユーラヴェンZ7R4がビームサーベルを振るい、ゴッドアストレイの装甲に大きくダメージを与えた。

レイカ「あらあら……。」

イチカ「え?今当てた?」

ツルギ「えぇ、当てましたよ。」

ヒビキ「すごい……すごいよキノさん!」

一同もこれにはかなり驚いた。

レイカ「そういえば、私が最初にこの子(ゴッドアストレイ)を使って最初にダメージを与えたのもレイトだったわね。」

レイカは手加減をすることなく、常に全力を持って取り組む。

だから人からは強すぎるのもあってあまり相手にされない事も多かった。

だが……。

レイカ(たった一回のまぐれでも私と向き合って戦おうとする子は久しぶりね。)

レイカ「行くわよォ〜♪」

瞬間、ゴッドアストレイの距離が一気に縮んだ。

世にいう「縮地」である。

突然の事で一歩対応が遅れ、拳が叩き込まれるが辛うじてシールドで防いだ……はずだ。

シールドがいやな音をして砕けた。

キノ「……流石は湯の森最強の一人。」

キノの目はまだ諦めていない。

キノ「……ZERO、行けるよね?」

ZERO『もちろんだ、キノ!』

その時、レイカは思い出していた。

プラネッツナイトと話しているレイトの事を。


レイカ「レイトー、何してるの?」

レイト「ん?プラネッツナイトと話してんだ。」

ヒカル「え?話せるの?」

レイト「おう、ちゃんと向き合って接してれば分かるようになるって。」

ヒカル「んじゃあ、俺のAGE-2Breakerはなんて言ってるんだ?」

マリオン『私が代わりに言うわ。「ちょっと訓練ハードすぎません?死ぬよ?」って。』

レイカ「えぇー、そんなにハードかしら?」

ヒカル・レイト「「轟絶にして爆絶のベリーハードだよ!!」」

レイカ「じゃあじゃあ、レイト。私のゴッドアストレイはなんて言ってるの?」

レイト「そう簡単に聞くな。そういうのは自分で聞き取るもんだぜ?」


レイカ(そう言って結局教えてくれなかったわねぇ。)

ただ、今のレイカはそれが分かる。

レイカ「応えて、ゴッドアストレイ。」

その時、ゴッドアストレイの瞳が輝いた。

キノ「ビームがダメならば!」

ユーラヴェンZ7R4が更に舞う。

脚部の大型スラスターとセンサービットが合体し、レイカに襲いかかる。

レイカ「見える!」

一個を蹴りで弾き、二個目を肘鉄で叩いた。

が、そこにキノが距離を詰める。

レイカはすかさず振り払おうと左拳を振るうが……。

ガオン!!

物理的な音が響き、なんと

ゴッドアストレイの左腕を落としたのだ。

想定外。こんな事、イチカとの戦闘以外で起きたことがないのだ。

そして撃ち落としたのはシンプルなピストルだった。

ZERO『よし、今だ!!』

キノ「これで!!」

キノは更に連射したが、さすがにそれ以上は当たらなかった。

そして、レイカが距離を取った。

レイカ「さすがねキノちゃん。」

キノ「どうも。」

キノ(もうすぐで……届く!!)

レイカ「だから、ここで敬意を持って真の力を発揮するわ。」

レイカの気の流れが変わった。

レイカ「はァァァァァァッ………

レイカ自身の姿も、ゴッドアストレイも黄金色に輝き出した。

レイカハァァァッ!!

絶対領域(アブソリュートゾーン)にレイカが入ったのだ。

キノ「!!」

レイカは片腕ながらも、構えた。

レイカ「流派冥王不敗の名のもとに…!!」

それは予想外のもの。

その遠距離から距離が0になったように見えた。

ZERO『!!?』

回避不可能。その距離は既に戦女神の距離だった。

レイカ「天地壊牢!アァァァセナルッ!!フィンガァァァァァァァァァァァァァァァッ!!」

そして、ユーラヴェンZ7R4の中枢を握り、貫いた。

キノ(そんな………遠すぎる……!!)

ゴッドアストレイは中枢を掴んだまま引き抜き、

レイカ「ヒート……エンド。」

そのまま握り潰してバトルは終わった。

キノ(強い……僕が今まで相手してきた人とはまた違う強さをしていた……レイトさんはいつもこの人と……。)

レイカはキノに近寄り、手を差し伸べた。

レイカ「私があそこまで全力を出せたのは本当に久しぶり。キノちゃん、レイトとの思い出の強さを忘れずに……大切にね♪」

レイカは可愛らしくウィンクした。

キノ「……きっと、僕も強くなりますよ。」

レイカ「よろしい。」

そして、そのあとはレイカにダメージを与えれたということで盛り上がった。

イチカ「すごいすごい!!キノちゃんマジですごいよ!!」

キノ「え……あ、ありがとうございます……。」

レイカ「……ふふっ、レイト。キノちゃんの事、任せてちょうだい。」

こうして、戦女神と黒きガンダムとの戦いは決着がつき、晴れてコユキとキノはガンプラ部へと迎えられた。

イチカ「ガンプラ部にようこそ!!」

だが、この後の惨劇の事を彼らはまだ知らない。




次回
ガンダムビルドブレイカーズforWAR
第三十一話「エンゲージ」
それでは次回も!!
ガンプラファイト!レディーゴー!!


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第31話「エンゲージ」

皆さんお待ちかねぇ!作者のワンダレルです。
さて前回!新部員キノとレイカによる激闘か繰り広げられました!
あの伝説のレイカにダメージを与えたキノもまたかなり優秀なファイターです!
今後が楽しみですね!
それでは!!ガンプラファイト!レディーゴー!!


イチカ「いってきまーす!」

まだ右腕が完全に治った訳でもないし、ギプスをつけたままイチカは出かけた。

そして、電車に揺られて朝露家の墓の前にたどり着いた。

イチカ「………シグちゃん。ユウちゃん。おじさん、おばさん。私もレイカ姉みたいにちゃんと向き合わないとね。ありがとう。」

イチカは今は亡き親友とその家族に手を合わせ礼を言うと、花束を置いた。

イチカ「………。」

でも、どこかで生きていればと願っていた。

ただそれだけだった。

そして、駅に向かおうとした時反対側から誰かが来た。

イチカ「え?」

イチカは思わずそんな声を出した。

???「……ワンちゃん?」

見間違えるはずがない。そんなことあるはずがない。

何度も願った。そうであってくれればと、そうであるならばと。

イチカ「あ……あ………。」

思わず駆け寄った。そして、抱きしめた。

イチカ「シグちゃん………シグちゃん………!!」

シグレ「あららら、ワンちゃん。」

そこからイチカは泣き続けた。

シグレ「ほぇー、そんなことになってるんだ。」

イチカ「朝露旅館もみんな無くなってしまったって言われてた。けど、シグちゃんは私の目の前にいる……そうでしょ?」

シグレ「うん、その通りだよ。本当に………昔のまんまだねワンちゃんは。」

イチカ「えへへへぇ。」

シグレ「はい、シガレット。」

イチカ「ん?ブラックサンダーは?」

シグレ「………あ、やっば忘れてたよ。」

イチカ「もぉー、しっかりしてよぉ!私がブラックサンダー大好きなの忘れたのシグちゃん?」

シグレ「久しぶりに会ったからねぇ。」

イチカ「……。」

シグレ「……。」

イチカ「……ありがとう、別世界のシグちゃん。」

シグレはその一言に驚いた。

シグレ「どうして……。」

イチカ「だってシグちゃんがブラックサンダー忘れることなんてないもん。それに、どことなく分かってたんだ。私がこの手で冷たくなっていったシグちゃんを知ってるから。」

シグレ「ごめんね、ワンちゃん。」

イチカ「ううん、いいの。それにシグちゃん達が私を止めに来てくれたのもうっすらと覚えてるし、その時は本当にごめんね?」

シグレ「いいんだよワンちゃん。私の方こそこっちのワンちゃんに会えてよかった。」

イチカ「え?」

シグレ「いいや、こっちの話。ワンちゃん、もし前に進むなら覚悟はいるよ。それに、何が起きるかも分からない。それでも、前に進む勇気ある?」

その言葉にイチカは意気揚揚に答える

イチカ「もっちろん!!私、無敵だからね!!」

シグレ「……ふふ、よろしい。」

イチカ「ありがとう、シグちゃん。また会えたらいいな。」

シグレ「うん、また会おうね、ワンちゃん。」

イチカは歩みを進めた。

未来の為に、明日の為に戦う覚悟を決めて。

イチカ「ソウちゃん、みんな。私、頑張るよ!!」


シグレ「…………ワンちゃん。」

イチカが行った途端に雨が降り始めた。

シグレは一人で座り込んだ。

シグレに後悔はあった。

シグレ「ワンちゃん……どうして復讐に躍起なの……?」

そして、そのまま泣いた。

シグレ「生きてよ、ワンちゃん。あっちのワンちゃんみたいに生きようとしてよ……。どうして……どうして復讐の果てに死のうとするの?

心苦しかった。イチカの屈託のない笑顔は紛れもなくかつての親友の顔だった。

シグレ「私は死んだっていい。でもワンちゃんが死ぬ理由なんてないじゃん……。もうこれ以上苦しむ必要も無いじゃん……。ワンちゃん……。」

シグレの知るイチカは、既に死ぬ覚悟が出来ていた。

シグレはそのイチカの最期に付き添うと決めた。

決めていたはずなのに………。

シグレ「……ワンちゃん、私が止めて見せる。」

シグレは顔を上げた。そして……。

シグレ「私達は……生きる。そして、やまない雨はないさ……。」

シグレはイチカを救う覚悟を決めた。

その時、雨は止んだ……。




???「初めましてだな!」
レイカ「あら、あなたは……。」
???「よろしくお願いします。」
イチカ「あれ、どこかで見たような……。」
次回
ガンダムビルドブレイカーズforWAR
第三十二話「新たな顧問」
それでは次回も!ガンプラファイト!レディーゴー!!


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第三十二話「新たな顧問」

皆さんお待ちかねぇ!!
作者のワンダレルです。
さて前回、異界のシグレと奇跡の再会を果たしたイチカ。
その先にある未来に向かってあゆみ出すことを決意します。
彼女の未来はどうなるのか!!
それでは!ガンプラファイト!レディーゴー!


イチカはギプスを外せるほどに回復した。

イチカ「行ってきまーす!」

今では元気に自転車に乗れるほどだ。

レイカ「一緒に行きましょーイチカ♪」

イチカ「うん!」

電之姉妹が湯の森を駆け巡る。

そして、教室に飛び蹴りで入ってくる二人。

エタ「ホイ来た。」

エタがピンポイントで窓を開けていたお陰で最大のショートカットとなった。

ヒビキ「あのさぁ、もうちょっと静かに来れないの?」

イチカ「んー。わかんない!」

レイカ「同じく〜♪」

ヒビキ「あぁ、もう……。」

ツルギ「あ!コラ!二人共また飛び込んできたでしょ!!」

イチカ「いいじゃん減るもんじゃないし〜」

イチカがツルギの背後に回って胸を鷲掴みにする。

ツルギ「みゃ!!?ちょっとイチカ!!毎度毎度やめてなさい!!」

イチカ「ふーんだデカイのが悪い!!」

レイカ「あーん、羨ましい。私にもそれしてくれないのイチカ?」

イチカ「絶対ヤダ。」

レイカ「(´・ω・`)」

アキト「あーあ、また始まったよ。」

ミタマ「……だ、大丈夫かなこれ。」

同じ1-Cには湯の森ガンプラ部の半分がいる。

Bにはコマとルヤとキノ、Aにはセイラ、カナデがいる。

ガヤガヤと騒いでいると、担任の檜山先生が来た。

シロー「よーしお前たち席につけー!」

その声でざわつきながらも席に着く。

シロー「今日のSHRの内容はな、なんとガンプラ部に顧問がつくことになったぞ!」

イチカ「マジ!?」

思わずイチカが立ち上がった。

シロー「あぁ、本当だ!ただやけに俺にそっくりな声してて驚いてるんだよな。」

ヒビキ「誰なんだろ……。」

エタ「気になりますね。」

レイカ「気になるー。」

ヒビキ、エタ、レイカ、イチカは席がめちゃくちゃ近い。

シロー「それともう一つ!俺たちのクラスに副担任が来ることになった!一年生の英語を担当してくれる新しい先生だ。入ってきてくれ!」

???「Yes,Sir.(了解しました)

緑髪のポニーテールでキリッとした真面目な雰囲気を纏った高身長の人が入ってきた。

イチカ「………!」

ツルギ「あれ……?」

イチカとツルギは見覚えがあった。

ゼル「初めまして、C組の皆さん。私の名前はゼル・クロシェフィールド。気軽にゼルと呼んでください。」

イチカ「ゼルさん!!」

ゼル「……!これはイチカ。まさかこんなところで会えるとは。」

シロー「ん?知り合いなのか?」

ゼル「えぇ、旧知の仲です。」

イチカ「四年前から居なくなって心配してたんだよ!!どこに行ってたのさ!!」

イチカの目には涙があった。

エタ「……え、つまりどういうことです?」

ゼル「詳細は後ほど話します。今はホームルームを終わらせることが先決です。」

シロー「そうだな、まぁ今日の内容は大きくその二つだけだったからなぁ。ゼルさんのお話を聞かせてもらおうか!」

ゼル「Yes,Sir.何なりとお聞きください。」

「ゼル先生!スリーサイズとか教えてください!」

さっそく意外ながらも女子がそう言った。

ゼル「上から95、56、82です。」

一部を除いて男子がざわつく。

イチカ「いや素直に答えるの!?」

ゼル「当然です、答えれるものには答えます。」

「前はどこで働いていたんですか?」

ゼルはそう聞かれると。

ゼル「お答えしかねます。」

回答を拒否した。

イチカ(……ゼル。)

ツルギ「は、はい!質問いいですか!」

ゼル「Sure(もちろん)

ツルギ「イチカがよく使っているサポートAIのゼルとの関係性を詳しく知りたいです。」

ゼル「その事はあのと……オホン、アレはかつてのいえ、……仕事場の上司が娘と娘の友人であるイチカに、向けて私のような疑似人格を与えたAI。それがサポートAIゼルです。」

ツルギ「な、なるほど。」

ヒビキ「はいはい、僕も質問。」

ゼル「どうぞ。」

ヒビキ「ガンプラバトルの腕はどのくらいですか?」

ゼル「そうですね……シャイニングゼロには負けますね。もっと具体的に説明しましょうか?」

ヒビキ「すみません、なんでもないです。」

(だいたい分かったヒビキ)

「兄弟とかいるんですか!!」

ゼル「いますよ。妹が三人ほど。総じて手が掛かりますがね。」

ミタマ「あ、じゃあ私も。」

ゼル「どうぞ。」

ミタマ「ゼルさん達ってハーフですか?」

ゼル「はい、私達姉妹は父がアメリカ人、母が日本人の日系アメリカ人です。」

そんなふうに質疑応答が盛り上がっていった。

シロー「そうだ、ゼルさんが皆に聞きたいことあるって言っていたな。」

ゼル「あぁ、私とした事がうっかり忘れていました。」

C組が聞きたいことについてざわつき始める。

ゼル「皆様……。」

ゼルがスーツの胸ポケットから携帯を取りだした。

ゼル「昨日買い換えたのに触っただけで何故か壊れてしまったのですが、どうすればいいですか?」

C組一同「知らねぇよ!!!」

どうやらゼル先生はとても面白い人のようです。


放課後になり、ガンプラ部のメンバーが部室に集まった。

イチカ「てなわけで!顧問の先生が来るそうで迎撃しますよ皆!」

レイカ「おー!!」

ヒビキ「待て待て待て、迎撃してどうする気なの?」

イチカ「ブラックサンダー!」

ヒビキ「だろうと思ったけどダメだからね。」

エタ「まぁ簡単な交流会みたいなものでもすればいいと思いますよ。加減しませんけど。」

ヒビキ「加減はしてね」

そんなことを話していると、扉が勢いよく開いた。

???「ここか、ガンプラ部は!」

コマ・ルヤ「あ。雨田先生。」

ツルギ「え?え?さっきシロー先生の声が……」

イチカ「へ?知ってるの?」

コマ「B組の副担任、雨田四郎(アメダ・シロウ)だ!四番目では無いがよろしく頼むぞ皆!」

ルヤ「最初帰ってきた時は驚いたぜ先生。」

シロウ「まぁな!……とはいえ、中々部屋が汚いな。」

エタ「いっちゃんのブラックサンダーの箱のせいですね。」

イチカ「え?私が悪いの?」

ツルギ「どこからどう見てもイチカが悪いです。」

ミタマ「同じく。」

ヒビキ「同じく。」

イチカ「なんでだよぉ!!」

カナデ「……それよりも、思っていたより声と名前はシロー先生にそっくりですね。」

シロウ「そうなんだよ、前も檜山先生と間違えられてな……。」

イチカ「まぁ、何はともあれ顧問に抜擢されたシロウ先生にブラックサンダー!!」

シロウ「あ、ありがとう。」

新たな顧問である雨田四郎と共にガンプラ部は羽ばたこうとしていた。


???「えぇ!?私にですか!!?」

???「そうとも、次のレギュレーションで君のそれが必要になる。」

???「むむ、私に教師なんて無理ですよアルマ市長!!?」

アルマ「安心したまえ、手は打ってあるさ。それに、君にしてもらうことは教師では無いよ。」

とある人物の策謀が迫りきていた。




???「よ、よろしくお願いします。」
イチカ「あれ!?また知り合いだ!!」
エタ「世の中は狭いねえ……。」
???「主砲……てぇー!!!」
次回、ガンダムビルドブレイカーズforWAR
第三十三話「ヤマト魂」
それでは次回も!ガンプラファイト!
レディーゴー!!


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第三十三話「ヤマト魂」

皆さんお待ちかねえ!作者のワンダレルです!
さて前回、湯の森ガンプラ部は顧問を迎え、本格的にガンプラバトルに専念できる環境が整ってきました!
そして今回はアルマ市長が何かをしでかす模様です!
とても楽しみですねぇ〜。
それでは!ガンプラファイト!レディーゴー!!


イチカの復帰と新顧問の登場により、湯の森ガンプラ部はさらに活動範囲が広がって行った。

最近ではGBNに入り………。

イチカ「どーけどけどっけぇい!」

レイカ「ちぇやぁぁ!!」

イチカとレイカが爆炎を繰り広げる。

ついた異名は「ガンプラ部の鬼神姉妹」

またの名をバトルジャンキーという。

イチカ「よーし次!!」

ヒビキ「あー、ストップストーップ」

レイカ「あらぁ、まだ終わってないわよ〜?」

ツルギ「あの……もう終わってますよ。」

ミタマ「……宙域単位で全滅させるなんてそうそう見ないものなんですが…。」

(まぁ、例外を知ってはいるけど。)

イチカ「え?」

レイカ「あら〜?」

どうやら二人共気づいてなかった模様。

セイラ「戦うしか能がないお猿さんですか貴方達は。」

イチカ「(´・ω・`)」

レイカ「むぅー。」

アキト「むぅじゃないです。このままじゃ僕達も経験が詰めないんです。自重してください。」

レイカ「(´・ω・`)」

カナデ「私は一向に構わんッ!!」

コマルヤ「「よくねぇよ。」」

キノ(……あれ、もしかしなくても私が挑んだのって化け物?)

シロー「よーし、今日はここまで!部室でガンプラのメンテナンスと課題点探しだ!」

エタ「せんせー、今日の敵の大半をいっちゃんとレイカさんが狩り尽くしてデータが取れませーん。」

シロー「………こんな事あんまり言いたくないんだが、たまには手を抜いてくれるか?」

レイカ&イチカ「はーい。」

一同がGBNからログアウトしてだらけようと部室の部屋を開けた時、意外な人物がいた。

アルマ「やぁ、湯の森ガンプラ部の諸君。」

イチカ「わぁー!ソウちゃんだ!」

イチカがアルマに抱きつきに行く。

シロー「うわ、びっくりした!いつの間に……。」

アルマ「ふっ、仕事をサボるために抜け出してきた。」

ガンプラ部一同「「ダメじゃねぇか。」」

流石のイチカもツッコミに回った。

アルマ「全員にツッコミを入れられるのは想定外だったな。」

すると、レイカがイチカを引き寄せて言った。

レイカ「わざわざ学校に来るほどのことがあるからここに来たのですよね?説明をどうぞ。あと私のイチカに触るな首へし折りますよ。」

アルマ「そうだった、危うく忘れるところだった。」

アキト「忘れるところだったのか……。」

アルマの入りたまえという声におずおずと入ってきた女性。

???「ど、どうもー。」

ツルギ「あら?ミズキさん。」

ミズキ「え?イチカちゃん達に……え?え?」

セイラ「……知り合いか?」

エタ「バイト先である電之商店のバイトリーダーにして正社員候補の大学生の人です。」

カナデ「なんですって!?」

シロー「あれ、ウチってバイト禁止じゃ……。」

アルマ「世の中には知らなくてもいいことがあるんだよシロー君。」

アルマが圧をぶつける。

ミタマ「………ロリコン。」ボソッ

アルマ「ロリコンじゃない博愛主義者さ。」

ミタマの小言にもしっかり対応する市長であった。

イチカ「それでそれで、ミズキさん招集したのは?」

アルマ「GGRにて新しいレギュレーションを採用する為さ。ひいてはプラモトレースシステムの研究の進歩の為にもどうしてもやりたかった事があるんだ。無論、湯の森や付近の市町限定だがね。」

GGRとは、ガンプラジェネレーションリアリティの略称で、AR機能とVR機能を融合させた新技術を持ったアルマお抱えのガンプラゲームである。GBNが比較対象にあがるが、双方に特徴的な面白みがある為、是非手にして欲しいところ。

カナデ「早く内容を教えてください変態。」

アルマ「変態呼ばわりされたくはないな……。簡単に言えば艦隊戦(かんたいせん)だよ。」

コマ「艦隊戦??」

ルヤ「んな事言ったってGBNで戦艦なんてないだろ?まぁ、それを模した武装ならあるけどさ。」

アルマ「ふっ、これを見たまえ。」

アルマがタブレットを取り出し、動画を再生する。


ガルマ「皆さんお待ちかね!GGR最新情報をお届けするガルマTheBeです!」

シャア「GARの栄光を君たちに。ガルマと共に情報をお届けするシャア・フロンタルです。」

ガルマ「今回公開された情報、艦隊戦について解説をしていこうと思いますよ。シャア、テキストを出してくれ。」

シャア「既に準備はしてあるさ。」

ガルマ「流石だな、シャア。さてと、この艦隊戦については言わば戦艦……もとい、ネストを戦艦にしたもの、ネストシップの防衛が基本となるな。」

シャア「ほう、となるとまずは戦艦のプラモデルの確保が必須となるわけか。」

ガルマ「いいや、今回のアップデートの為に戦艦キャリーベースのデータが無償で配布されるらしい。」

シャア「それは本当かガルマ?」

ガルマ「あぁ、本当だとも。そして配布だから弱いと思われがちだが、カスタマイズ機能も十分にある。例えばドップの為に空中戦特化の装備を付けたりも出来るぞ。」

シャア「……その発想自体は君らしいなガルマ。私ならば機動力を底上げする。どのような攻撃だろうと当たらなければどうということはない。」

ガルマ「シャアらしいな。さて、プラモトレースシステムに続いて行われる大型アップデートの目玉の艦隊戦の主なルールを解説していこうと思う。」

シャア「ほう、テキストを見る限り搭載量はある程度は自由なようだな……。」

ガルマ「ネストやフォースのシステム自体はGBNとの連携によって成された部分もあるからな。その人数によっても大きく変わるかもしれないが一つの戦艦につきSD、食玩、ガシャポンクラスは最大20機。HG、RGクラスは最大10機、ってところだな。」

シャア「物量が多ければ勝率も大きくなる、妥当なところだろう。」

ガルマ「兄さんなら「戦いは数だよ」と言いかねないなぁ‪‪‪w‪」

シャア「言いかねないな。」

シャア「ところでMGとPGがないようだが……。」

ガルマ「奴らは壊れです、偉い人にはそれがわからんのです。」

シャア「多分それは君が言うセリフではないだろう。」

ガルマ「そして艦隊戦の勝敗ルールはネストシップの撃沈。撃沈時に艦載機が戦艦外に残っているのならば、それらの全滅。これが勝利条件だな。」

シャア「戦艦を堕とせば終わりというわけではないのか。」

ガルマ「戦う意思があれば戦い続けても良いということさ。しかし、逆に考えてみてくれ。たった一機で艦隊を壊滅させれたら爽快な逆転だろう?」

シャア「なるほど、その気になれば出来ないことでもない……。面白いな。」

ガルマ「兄さんなら「やらせはせん!やらせはせんぞぉ!!」って言ってやってのけそうだ。」

シャア「………悔しいが容易に想像出来てしまった‪‪‪w‪」

ガルマ「そして艦隊戦における戦艦のレギュレーションなんだが、どのような戦艦でもOKらしい。ただし、戦艦クルーは艦長、副艦戦術長、操舵、通信士、整備の5人が必要らしい。」

シャア「君なら間違いなくガウを使いそうだな。」

ガルマ「な!?どうしてわかったんだ!!」

シャア「坊やだからさ。」

ガルマ「そ、そういうシャアは何を使うんだ?」

シャア「私ならレウルーラだな。」

ガルマ「赤いからだろう?」

シャア「……認めたくないものだな。若さ故の過ちというものを。」

ガルマ「ただ、一つ大事なことがあるんだが、これを見てほしい。」

シャア「これは……。」

ガルマ「そう、この艦隊戦では戦艦が必須だ。故にガンプラ単体での介入は基本的に出来ないんだ。」

シャア「戦力の調整の為だな?」

ガルマ「そういう事だ。その部分はしっかりしなくてはルール無用のゲームになってしまうからね。」

シャア「だが、艦隊戦が基本レギュレーションになるなら前回にあった戦艦なしのチームマッチなどはどうなる?」

ガルマ「抜かりないさ、チームマッチ、1on1レギュレーションは継続して行われる!つまり問題ない!」

シャア「やるな、GGR運営!」

ガルマ「というわけで、次回はシャアと一緒に艦隊戦に初挑戦する配信となります!皆さんも是非やってみてください!」

シャア「GGRにて君を待つ。」


アルマ「ということさ。そこでガンプラ部に専門の戦艦を用意させてもらった。」

ミヅキ「まさか私の戦艦が抜擢されるなんて……。」

イチカ「あれ?戦艦完成してたの?」

ミヅキ「完成してたよ!」

そう言ってアタッシュケースから取り出した。

ヒビキ「すごい……プトレマイオス……?」

ミヅキ「ふっふーん、聞いて驚け!この戦艦はヤマトマイオス!プトレマイオスと宇宙戦艦ヤマトの完全融合だよ!」

ミタマ「ヤマト!?」

イチカ「おっほぉ!!すごいすごい!!」

宇宙戦艦ヤマトとプトレマイオスが綺麗に融合しており、完成度はかなり高い。武装の大半はヤマトがメインになっているようだ。

ツルギ「え?でも残りのクルー四人は?」

エタ「お友達でもいるんでしょう。」

ミヅキ「…………。」

アキト「ま、まさか……。」

ミヅキ「いません……。」

セイラ「本末転倒じゃないか。」

アルマ「安心したまえ、既に用意してある。」

アルマが指を鳴らすとロッカーから一人出てきた。

ゼル「長らく待っていたせいで汗まみれです。」

キノ「ゼル先生……?」

このキノの反応は正解である。

ゼルの服装はソレスタルビーイングの制服と宇宙戦艦ヤマトのクルーの制服を合わせたようなものだった。

ゼル「ゼル・クロシェフィールド、ヤマトマイオスの副長を務めさせていただきます。」

ゼルの挨拶が終わると残りの三人が入口から入ってきた。

イチカ「……うそ。」

イチカはその三人に見覚えがあった。

アイカ「よう!アタシはアイカ・クロシェフィールドだ!姉貴がいつも世話になってんな!ヤマトマイオスの砲撃通信士はアタシがやるぜ!」

ケイラ「どうも〜、ケイラ・クロシェフィールドでーす。ヤマトマイオスの操舵士は任せてくださーい♪」

アル「アル・クロシェフィールド……。ヤマトマイオスの整備士やるから、黙って整備は任せて。」

シロー「……クロシェフィールド……。」

イチカ「みんな、どうしてここに……。」

アイカ「アルマのおじさんから誘われてな!」

ケイラ「まぁゼルお姉ちゃん以外はバイト感覚ですけどねぇ〜。」

アル「……早く帰りたい。」

イチカ「でもみんな、ガンプラは?」

ゼル「……あの時の事件で一緒に無くなりました。」

イチカ「そんな……。」

ゼル「ですが、我々は新しい力を手にしました。No problem.(問題ありません)

ミヅキ「ええぇ、私聞いてない……。」

シロー「……やけに俺達に肩入れしますね。」

アルマ「ふっ、当然だとも。君達は未来を担う若者なのだからね。」

キノ「しかし、10機だとあぶれますね……。」

アルマ「そこは心配ない。」

ミタマ「まぁ、こんなこともあろうかと持ってきてますからね。」

ミタマがディーヴァを取り出した。

ツルギ「わぁぁ!!ディーヴァじゃないですか!!」

ツルギはAGE系列が大好きな為、相当に興奮してる。

コマ「いつになくワックワクだなこいつ。」

アキト「つまり……湯の森ガンプラ部は二隻の戦艦による攻略が可能と?」

アルマ「そういう事だ。何も、1チームに1隻というルールは無い。」

ルヤ「すっげぇ。」

カナデ「しかし、クルーはどうするのですか?」

ミタマ「大丈夫、クルーはいるから!」

そう言うと手元にハンドスケールの改造されたFAGのスティレットが登ってきた。

セイズ「こんにちは、私の名はセイズ。ディーヴァの制御AIを勤めさせていただきます。どうかお見知りおきを。」

エタ「あ、可愛い。」

アキト「でも一人だけか……他には?」

ミタマ「大丈夫、制御AIだからこの子だけでディーヴァは攻撃したり動かせたり出来るよ。」

ヒビキ「もはやなんでもありだなこれ。」

シロー「まだ慣れてないが、これが湯の森か……。」

ミヅキ「よーし!ヤマトマイオス!行きますよ!!」

クロシェフィールド4姉妹「「「「ラジャー。」」」」

ミタマ「よろしくね、セイズ。」

セイズ「お任せ下さい。」

そして、チーム分けが決まった。

ヤマトマイオス隊

レイカ「えぇー、イチカそっちなのー?」

カナデ「ふふふ、戦女神のゼロと共に……ふふふふ……。」

コマ「やっぱ俺らは……。」

ルヤ「一緒かぁ……。」

セイラ「面倒なメンツばっかですね。」

アキト「君も大概だからね……。」

(終わった……色んな意味で終わったわ。)

ディーヴァ隊

ミタマ「うーん、偏ったなぁ。」

シロー「俺も参加するのか……新鮮な気分だな。」

エタ「まぁこれも何かの縁ということで。」

キノ「僕……ここで大丈夫なのかな。」

ヒビキ「大丈夫、必要なら胃薬常備してるから。」

ツルギ「わぁぁ!!わぁぁぁ!!ディーヴァ!ディーヴァですよ!!……イテテテ!!な、なんですかイチカ!?」

イチカ「ふーんだ。ツルギちゃんなんかしーらない!」

ヒビキ&エタ(あ、拗ねた。)


というわけでシミュレーションのNPCを相手にすることになったのだが、相手の戦艦はアークエンジェルとミネルバであった。

アルマからの条件で本来ならガンプラも出撃させれるのだが、テストプレイ、そしてヤマトマイオスの戦力分析の為に戦艦同士の殴り合いでの討伐となっている。

セイズ「戦艦ディーヴァ、行きます。全速前進。」

ミヅキ「ヤマトマイオス、抜錨!!両舷最大出力!」

ケイラ「了解〜全速前進〜!」

双方の戦艦が加速する。

セイズ「……射程圏内に入りました。一時的に回避運動に移ります。」

ミヅキ「回避運動始め!」

ケイラ「はーい♪」

敵戦艦からの砲撃が来るが、ことごとく避けている。

イチカ「すっげぇ!!!艦隊戦だぁ!!」

ヒビキ「大興奮だねイチカ。」

セイズ「少しイラついてきました、撃ちます。」

ディーヴァが変形し、主砲を放った。

ツルギ「撃ったァァァ!!!変形したァァァ!!!」

エタ「うるさいですね口を縫いますよ。」

ミタマ「まぁ、AGE好きにはたまらないだろうからねぇ。」

ミヅキ「艦首GNミサイルによる援護を行う!魚雷戦用意!」

アイカ「照準完璧だ!行けるぜ!」

ゼル「了解、GNミサイル発射!」

ヤマトマイオスからGNミサイルの援護射撃が始まる。

アキト「ま、まるで本物のヤマトだ……。」

カナデ「ベースをヤマトにしてプトレマイオス2改を組み合わせるとは……お見事です。」

ディーヴァの主砲とヤマトマイオスのミサイルの連携で相手を少しづつ削っていく。

アイカ「艦長、敵戦艦アンチビーム爆雷展開!」

セイズ「面倒ですね、こちらはミサイル以外は基本ビーム兵器が多いですから。」

ミヅキ「問題ない、整備班!主砲三式弾切り替え!」

アル「了解、三式弾切り替えた。」

アイカ「照準合わせ!誤差修正マイナス1.3!」

ミヅキ「撃ち方始めェ!!」

ゼル「主砲、てぇーっ!!」

ヤマトマイオスの主砲が火を吹き、砲撃が入る。

ミネルバ、アークエンジェル共に一発ずつ入り、時間差で爆発した。

セイズ「……お見事、完成度も高く指揮の腕前も中々です。」

ミヅキ「ありがとう、まだ私も負けられないから。」

ディーヴァもミサイル攻撃による援護を繰り広げた。

アイカ「敵艦未だ健在!タンホイザー、ローエングリン来るぞ!」

セイズ「お礼です、こちらを。」

ディーヴァからビーム錯乱膜が展開される。

アークエンジェル、ミネルバ共に照準はヤマトマイオスに合わせられていた。

ミヅキ「防護形態へ移行せよ!」

アル「波動エンジン、GNドライヴ共に良好。行けます。」

ミヅキ「波動防壁、GNフィールド展開!」

ゼル「各員、対ショック防御を。」

そして、タンホイザーとローエングリンが発射されヤマトマイオスに直撃するが……。

なんと無傷である。

イチカ「うおぉ!!流石ヤマトだ!」

エタ「そういえばいっちゃんはなんでヤマトマイオスに行かなかったの?」

イチカ「………特に何も。」

イチカはちらっとツルギを見て言った。

ヒビキ(おやぁ( ^ω^))

エタ(( ー̀ н ー́ )ムスゥ)

コマ「中々硬いな、これ近接じゃねぇとまともにダメージ与えられねぇんじゃねぇか?」

ルヤ「まぁそう易々とやらせてくれとも思えねぇけど。」

ミヅキ「ビーム錯乱膜の援護、感謝する。」

セイズ「それはどうも。……さてと、そろそろ大技といかせてもらいましょうか。」

ツルギ「も、もしかして?」

ミタマ「そう、そのもしかして。」

セイズ「AGEビルダーシステム接続完了、充填開始。」

ディーヴァがあの兵器の充填に入る。

ミヅキ「援護しよう、ケイラ行けるか?」

ケイラ「もっちろんですー、両舷全速前進!」

アイカ「照準OKだ!」

ミヅキ「撃ち方始め!」

ゼル「撃ちー方ー始め!!」

ヤマトマイオスがあらゆる武装でアークエンジェルとミネルバの双方を牽制する。

セイズ「充填完了、フォトンブラスター、発射!!」

ディーヴァの中央部よりフォトンブラスターキャノンが発射されミネルバに直撃し、撃沈した。

アイカ「敵艦船、撃沈!」

セイズ「……あとは頼みますよ、ヤマト。」

ミヅキ「了解した、後は我々に任せてくれ。左舷速度30!」

ケイラ「了解ですぅー。」

ヤマトマイオスが旋回し、アークエンジェルの方へと艦首を向けた。

ディーヴァもまたアークエンジェルの牽制に回る。

ミヅキ「航海長、操艦を戦術長に回せ!」

ケイラ「了解〜、操艦、戦術長に回します〜。」

アル「非常弁、全閉鎖!強制注入器作動!GNドライヴ、波動エンジン異常なし!」

ミヅキ「TRANS-AM起動、安全装置解除!」

アイカ「エネルギー充填120パーセント!」

ゼル「ターゲットスコープ、オープン!照準、誤差修正プラス2度!」

ヤマトマイオスの中央部にエネルギーが溜まり始める。

ミヅキ「対ショック、対閃光防御。」

アイカ「発射まで3……2……1……!」

ミヅキ「波動砲……発射!!」

ゼル「波動砲、撃てェッ!!」

高圧縮された波動エネルギーとGN粒子によるビームが艦首から放たれた。

そして、それはアークエンジェルに直撃し、その衝撃で大爆発を起こした。

火力はガンプラバトル用にツインサテライトキャノンやツインバスターライフルに匹敵する物となっている。

オリジナル程の火力では無いが、十分に強い。

カナデ「これほどとは……。」

アキト「クールタイムが大きい以上、あまり不用意には使えない感じだけども、それでも強い……。」

セイズ「なるほど、確かに脅威的な破壊力でした。」

アイカ「敵艦船、撃沈確認!」

ミヅキ「……よし、戦闘終了。」

模擬戦闘シュミレーションが終了した。

ミヅキ「……ふえぇ、緊張したぁ……。」

ヒビキ「さっきまでの威厳はどこいった。」

ミヅキ「ヤマトマイオス動かしてる時だけ出来ることだから……。」

セイズ「ミヅキ艦長、私は貴方を尊敬します。その手腕に負けないよう私も精進していきます。」

ミヅキ「あ、ありがとう……。」

セイズ「強いて問題点を上げるとしたら貴女のその普段のオドオドした態度ですかね。そのような事では……。」

ミヅキ「あう…あううぅ……。」

セイズがミヅキに長めの小言を言い始めた。

ミタマ「あー、また始まった。」

ツルギ「ディーヴァの完成度淒かったです!ミタマさんが作ったんですか!!?」

ミタマ「あー、まぁそうかな。うん。」

(本当は違うけど。)

イチカ「むぅぅ……。」

レイカ「イチカー?」

イチカ「(-ω-´ )ぷい」

レイカ「(´・ω・`)」

ヤマトマイオス、そしてディーヴァと共にGGRに新たなバトルが生まれた。艦隊戦による影響はかなり大きくなるものと思われる。

そしてこの出来事からある計画のカウントダウンは既に………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

始まっていた。




イチカ「夏だ!!」
レイカ「海だ!!」
イチカ&レイカ「ガンプラバトルだー!」
ヒビキ「落ち着けバトルジャンキーガールズ。」
???「げっ……。」
ミタマ「…………。(#^ω^)ピキピキ」
次回、ガンダムビルドブレイカーズforWAR
第三十四話「海へ突撃ガンプラ部!」
それでは次回も!
ガンプラファイト!レディーゴー!


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第三十四話「海へ突撃ガンプラ部!」

皆さんお待ちかねぇ!
作者のワンダレルです。
さて前回!GGRにて艦隊戦レギュレーションの追加により戦術の幅がさらに広がりました!
そして今回ガンプラ部はひょんなことから海に向かうことになったようです!
果たしてハプニングは起きるのでしょうか!
それでは!ガンプラファイト!レディーゴー!!


カナデ「確保しました。」

ヒビキ「いや、何を?」

カナデが部室に来てすぐにそう言う。

コハル「………主語と述語がぬけてるんですが。」

新しく来たコハルも流石に険しい顔をする。

ちなみにコハルもガンプラ部の洗礼を受けたが、それなりにはこなした。

レイカ相手に三分は持ったからである。

そんな時にカナデがそんなことを言うのだ。

カナデ「確保しました。」

ミタマ「いやだから主語述語入れてって。わかんないから。」

カナデ「木宮グループにて海の旅行券を確保しました。明日行きましょう。」

ガンプラ部一部「マジで!?」

カナデ「ただ、定員が八人までなんです……。」

イチカ「七人かァ……」

イチカはそう言うと辺りを見回す。

コマとルヤは補習で不在。キノは最近GBNにのめり込んでる。

セイラはシンクロトランザムの自由研究もどき。

アキトはザクタンクJの強化を兼ねて家族と旅行中。

そして、コハルと目が合う。

コハル「あ、私パス。明日予定あるから無理。」

イチカ「となると……。」

残るはイチカ、ツルギ、エタ、ヒビキ、カナデ、レイカ、ミタマである。

レイカ「でも付き添いの大人はいて欲しいけどシロー先生いないでしょう?」

カナデ「大丈夫です、そこら辺は問題ありません。」

ツルギ「ほえ??」

ミタマ「どゆこと?」


アルマ「というわけだ、引率は僕に任せたまえ。」

イチカ「ソウちゃんだ!」

アルマ「三日ぶりだねイチカ。」

イチカが抱きつきに行く。それに呼応しアルマもイチカの頭をなでる。

ツルギ「( ˘•ω•˘ )ムゥ……。」

エタ「( ー̀ н ー́ )ムスゥ……。」

ミタマ「ロリコン……」ボソッ

アルマ「ロリコンじゃない博愛主義者さ。」

ヒビキ「アンタまたですか。」

アルマ「当然サボりだよ。」

ガンプラ部一同「ダメじゃねぇか。」


というわけでカナデの執事の送迎車とは思えないほどのキャンピングカーで近隣の海に来た。

イチカ「夏だ!」

レイカ「海だ!」

バトルジャンキーシスターズ「「ガンプラファイトだ!」」

ヒビキ「やめんかバーサクバトルジャンキーズ。」

イチカとレイカの突撃をいち早く止めるヒビキ。

もはや手慣れたものだ。

エタ「とりあえず水着に着替えましょうか。」

各々更衣室に入っていく。


ヒビキ「よりによって男子が僕だけか……。」

アルマ「おや?僕も男だが?」

ヒビキ「いやそういう問題じゃなくて……。」

アルマ「ふむ、そこそこにたくましい体つきをしてるね。」

ヒビキ「まぁ、ちょっとの間運動してた時期ありましたから。……そういう市長もすごい引き締まってますね。」

アルマ「これも蒼月家の教訓の賜物さ。」


レイカ「あら?イチカ、胸少し大きくなった?3ミリくらい。」

イチカ「だからなんでわかるんだよ!!」

レイカ「うーん、軽度のシスコンだから?」

イチカ「それは重度なんだってば!」

エタ「ほぇー、ツルギさんやっぱりすごいですね。」

ツルギ「……実はちょっと視線とかが怖くてコンプレックスなんですよね……。」

エタ「大丈夫ですよ、いっちゃんが何とかしてくれますから。そのバカでかい邪魔なものもね。」

ツルギ「ひうぅ……」

イチカ「……ナンパしてきた奴いたら教えて。速攻倒す。」

ツルギ「あ、あの、胸を揉みながら言わなくてもいいんじゃ……」

イチカ「拒否権などない!」

ツルギ「えぇ……。まぁ、もう慣れましたけど……。」

カナデ「レイカ、とても綺麗ですよ。」

レイカ「あら、カナデちゃんの水着もかわいいー!」

カナデ「がふっ……(鼻血)」

レイカ「あ、あら??」

カナデ「我が生涯に一片の悔い無し!!」

ミタマ「おーい戻ってこーい。ていうかスク水が二人ほどいるんだけど。」

イチカ&レイカ「「文句ある(の〜)?」」

ミタマ「いや、犯罪臭すごいなって。特にレイカさんが。」

レイカ「そういえば同い年なんだからさん付けしなくてもいいのに……。」

ガンプラ部女子一同(いや、さん付けないと殺される気がするからなんて口が裂けても言えない。)


ヒビキ「おっ、来た。………なんでスク水?」

イチカ「んー?どした?」

ヒビキ「あー、いや、なんでもない。」

エタ「いっちゃんとレイカさんがスク水なのは今に分かりますよ。」

イチカ「ツルギちゃんの水着もーらい!」

イチカがすごい速さでツルギの水着を掠め取った。

ツルギ「!!!!?ちょ!!!」

ヒビキは思わず目をそらす。

イチカ「ふはは!!スク水なら掠め取られる心配なし!」

エタ「ね?」

ヒビキ「イチカぁ!!すぐに返してあげなさい!!」

ツルギ「か、返してください〜……」

ツルギが屈んで涙目になりながら上目遣いでイチカに懇願する。

イチカ「おうふ……し、仕方ないにゃー……///」

何故か分からないがイチカが赤面しながらツルギに水着を返した。

エタ(あれ?随分あっさり返したね。)

カナデ「写真撮らせてくださいレイカ!!」

レイカ「そんなに興奮しないの。めっ。」

カナデ「はうぅ……。」

カナデが赤面しくねくねし始める。

イチカ「そんじゃ、あっそぼー!!!」

ガンプラ部女子一同「いぇーい。」

ヒビキ「……なんか僕とアルマ市長以外女子しかいないな今回。」

アルマ「作者の意思だからね。」

ワンダレル「野郎共の水着なんて誰得だよ。」

ヒビキ「いや流石に分け隔てなく出さないと……ってなんでいるの!?」

ワンダレル「そういうもんだから。」

ヒビキ「そういうもんなんだ。」

ワンダレル「安心せい、もういっk……ひでぶッ!!

レイカ「あら?何かいたから殴ったんだけども……。」

ヒビキ&アルマ「「イイエナニモイマセンデシタヨ」」

そんなことをしていると、向こうから男三人が来た。

「おぉー、絶景〜♪」

「こんにちは、海で遊ぶのは気持ちいいよね。」

ミタマ「………。」

「そんな気持ちいい海だからさ!一緒に遊ばない?」

イチカ「え?遊んでくれるの?」

「……ちんちくりんに用はねぇな。」

イチカ「……?」

その時不思議な事が起こった。

レイカ「……わかりましたぁ、私がお相手しますね。」

レイカはあからさまに誘惑するような目線とポーズでナンパ三人衆を釘付けにする。

アルマ「……ふっ、僕の出る幕ではなかったようだ。」

カナデ「あー、なるほど。レイカ、何秒ですか?」

レイカ「5秒でイカせてあげるわ〜♪」

その笑顔は目が笑ってなかった。

「随分自信家だねぇ、よろしく頼むよー。」

「僕らもそれ相応には対処しないとだから。」

そう言ってレイカを連れ、ナンパ三人衆は岩陰に入った。

カナデ「行きましたね。5。」

アルマ「まぁ、察しのいい君たちなら何が起きるかわかるだろう?」

カナデ「4。」

イチカ「あっ(察し)」

カナデ「3。」

エタ「……あー、なるほど。」

カナデ「2。」

ヒビキ「あーあ。」

カナデ「1。」

ツルギ「え?え?何が起きるんです?」

カナデ「0。」

その瞬間、岩陰からゴッ!!という鈍い音が二つ鳴って、ナンパ三人衆のうち二人が海に飛ばされ、水切り石のように海面を4回ほど跳ねて海へと消えた。

(後々聞いたがライフセーバーの人に助けられたそうで。)

ツルギ「ええええええええええぇ!?」

ヒビキ「Oh my God……。」

「ひ、ひぃぃ!!」

残り一人が命からがら逃げてきた。

その後ろをレイカがゆっくり歩いてくる。

レイカ「あらぁ〜?私を楽しませてくれるんじゃなかったの〜♪」

「だ、誰がお前みたいな化け物なんか!!!ええいもういい!!」

そう言うと、男はミタマの手を掴んだ。

ミタマ「ちょ!?」

「この際誰でもいい!来い!!」

そう言った瞬間だった。

???「おらぁっ!!!」

「げまぶぁ!!」

突如現れた男がミタマの手を掴んだナンパ野郎を蹴飛ばして2回ほど海面を跳ねさせた。

???「ったく、見過ごせないもんで思わず飛び出しちまった……。大丈夫かアンタ?」

その瞬間、ミタマが被っていた麦わら帽子が飛んだ。

イチカ「おわっとぉ!」

その帽子はイチカが綺麗にキャッチした。

ミタマ「……………ん?」

???「ん?……げっ。」

ミタマ「へぇ……何ヶ月も連絡取らずに何してたのかな、カケル?」

カケル「………あー、そのあれだ。仕事。」

ミタマ「嘘つき。ちょっとこっち来て。」

ミタマがカケルと呼んだ男の腕を掴み岩陰に連れ込む。

イチカ「|ω・)チラッ」

レイカ「|ω・)チラッ」

カナデ「|ω・)チラッ」

当然、野次馬が現れる。

アルマ「( ◜ω◝ )ニチャア」

ヒビキ「アンタいちばんやっちゃいけない顔してるよ。」

ツルギ「こ、こんなことダメですよ!!」


カケル「その……すまん、連絡出来るような状況じゃなかったんだ。」

ミタマ「ふーん、私の事どうでもいいんだ。」

カケル「そんなわけないだろうが…。」

ミタマ「どれだけ……どれだけ心配したのか分かってるの!!」

ミタマがあんまり泣くのを見たことがなかったが、このやり取りだけでどれほど愛しているのかがよく分かった。

ミタマ「……もうあの時の二の舞はやだ。」

カケル「……大丈夫だ。俺はここにいるって。」

イチカ(………しばらく二人っきりにさせよ。)

エタ(賛成です。)

アルマ(これ以上ちょっかいをかけると彼女の母親に何をされるか分からないからね。)

ツルギ(???)


そして、イチカ、ツルギ、エタ、ヒビキ、カナデの五人でかき氷屋に向かってた。

イチカ「おぉー!トッピングにブラックサンダーがあるぅ!!」

エタ「なかなか斬新な……。」

ツルギ「私はなんにしましょうか……。」

ヒビキ「うーん、迷う。」

カナデ「支払いは私に任せてください。」

そうしていると隣に4人ほど人が来た。

???「お?シガレットあんじゃねぇか。」

???「なかなか斬新な…。」

???「うーん迷うなぁ……。」

???「お?中々面白い味があるじゃねぇか!」

???「支払いは私におまかせあれ!」

そして、イチカが決めた。

イチカ「おじさん!かき氷のブルーハワイシロップブラックサンダー付きで!」

イチカ(PT)「おっさん、かき氷のブルーハワイシロップシガレット付きで。」

二人のイチカが同時に注文した。

イチカ「………は?」

イチカ(PT)「…あ?」

ふたりが睨み合う。

イチカ「なんだァテメェ、かき氷と言えばブラックサンダーでしょうが。」

イチカ(PT)「寝言は寝て言えクソガキ。かき氷にはシガレットだろうが。そんなんだから肝心なとこ大きくなんねぇんだよ。」

イチカ「あぁん?今それ関係ねぇだろうが駄肉の牛がよぉ!!」

間違いなく喧嘩が発生しております。

エタ「まぁまぁまぁ、いっちゃん落ち着いて。」

シグレ「まぁまぉまぁ、ワンちゃん落ち着いて。」

エタ&シグレ「「すみません、うちの子が……。」」

ツルギ「はわわ、落ち着いてくださいよイチカ!」

ツルギ(PT)「そうですよイチカ!また問題起こしたら大変なんですよ!!」

ツルギとツルギ(PT)が目を合わせる。

そしておもむろにぺったんこなツルギがでっかいツルギを見て言った。

ツルギ(PT)「あ!ずるい!!」

ツルギ「え!?何がッ!?」

ヒビキ「はぁー、もう子供なんだから。」

ヒビキ(PT)「俺にもわかるぜその気持ち。」

もはや現場は混沌としていた。

カナデ「あら、貴方……。」

ノリコ「あら、貴方……。」

カナデ&ノリコ「「そっくりですね。(ですわー!)」」

そんな騒ぎを聞きつけて、レイカとミノが飛んでくる。

レイカ「あらぁ、私のイチカが二人も〜♪」

ミノ「あー!!なーにやってんのアンタらは!!」

と、合流したがここで二人が疑問に入る。

ミノ「あれ?イチカ……が二人?」

エタ「……いっちゃん、ツルギさん、いつから分身の術を?」

イチカ(PT)「げっ、ずらかるぞテメェら!あとクソガキ!次会ったら覚えとけ!」

シグレ「いやー、なんかごめんなさいねぇ。」

ツルギ(PT)「そ、そんなぁ!!」

ヒビキ(PT)「またいつか会える気がする。そん時はガンプラバトルしようぜ!じゃあな!!」

ミノ「ほら行きますよキノコ!」

キノコ「キノコじゃありませんノリコですわ!!」

ミノ「うっさい暴れんな!!」

騒がしい五人が足早に去っていった。

イチカ「おととい来やがれバーカ!!」

エタ「……なんで分身してたんだろ。」

ヒビキ「………どことなく僕に似てたような……?」

ツルギ「え、え、状況がよくわかんないんですけど……え?」

カナデ「……彼女、なかなかのセンスを持ってますね。」

レイカ「……ふふふ。」

(ちょっとは笑えるようになってくれて嬉しいかも。)


という流れをアルマとミタマ、そしてついてきたカケルに話していた。

なお、後にビーチバレーをしたがレイカがボールを粉砕したので中止となった。

アルマ「ほう、興味深いな。是非とも会ってみたいものだ。」

ミタマ「あー、そういうのはあんまり関わらない方がいいよ。」

カケル「………あんまり状況が分かってないが、他人の空似の可能性もあるよな?」

イチカ「でもアイツだけは絶対許してやんない!!」

レイカ「落ち着きなさいイチカ〜お姉ちゃんがヨシヨシしてあげるから。」

ツルギ「そ、それは私がやります!!」

エタ「………。」

ヒビキ「モテモテだねぇ色女。」

イチカ「???」


カナデ「……もうすぐ夕暮れです。着替えて帰りましょうか。」

一同「はーい。」

全員が着替え、カナデの執事の車に乗り込んだ。

なお、ミタマはカケルと一緒に帰るということで海の家で別れた。

カナデ「……キョウジ。」

キョウジ「はい、お嬢様。」

カナデ「みんな眠っています、ゆっくりとそして安眠できるように走りなさい。」

イチカがアルマにもたれかかるように、ツルギがイチカに抱きつく形、エタ、ヒビキは各々すやすやと眠っていた。

レイカ「みんな遊び疲れたものね。また明日から頑張りましょ♪」


そんな中、アルマは考えていた。

アルマ(…………異界のイチカ達……。やはり、あの計画は進めておくべきだな。手遅れになってしまう前に……。)

そして、後に起こる事は決して忘れられないものになるだろう。




皆さんお待ちかねぇ!!
作者のワンダレルです!さて次回!
新編がスタートします!
その名も、リアルデュエル編です!!
なんとかの弟の真の才能がここで見られるのです!
絶対に見逃してはいけませんよ!!
次回
ガンダムビルドブレイカーズforWAR
第三十五話「本当の戦い(リアルデュエル)」
それでは次回も!
ガンプラファイト!
レディーゴー!!


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決闘編
第三十五話「本当の戦い(リアルデュエル)」


皆さんお待ちかねぇ!
作者のワンダレルです。
さて前回、海でわいわいと遊び、異界のイチカ達と遭遇した彼等に再び試練が向かってきております!
この試練を超えうるのは彼しかいない!
それでは!ガンプラファイト!
レディーゴー!!


イチカ「みんな!今日もバイト頑張ろう!」

エタ「おー。」

ツルギ「( `・ω・´)フンスッ!」

レイカ「三人とも頑張ってねぇ〜。」

イチカ「今日はレイカ姉もだよ。」

レイカ「あら?そうなの?それより…部室を片づけない?」

ツルギ「そうですねぇ…この汚なさは部室とは呼べないです。」

イチカ「うーん…どーしよ……。」

イチカが腕を組み悩んでいると、ある提案が来た。

ヒビキ「僕が片付けてから行くよ。」

イチカ「いいの?!」

ヒビキ「うん。」

イチカ「じゃあヒビキよろしく!終わったらブラックサンダー奢るから!」

ツルギ「ヒビキさん、ありがとうございます。」

エタ「よろしくね。」

レイカ「もう〜。お姉ちゃんを置いていかないでぇイチカ〜。」

そう言って4人はバイトへ行ってしまった。

シロー先生も今日は訳ありで帰っており、残りのメンバーは既に帰っているためいるのはヒビキ一人だった。

そこそこの荷物を持ち、ゆっくりと運ぶ。

ヒビキ「よいしょ…っ!ふぅ…部室の倉庫にでも入れるか。」

彼が倉庫の扉を開くと…

ヒビキ「うわぁぁぁぁ?!」

倉庫の中も悲惨であった。

ヒビキを襲ったのは数多のブラックサンダーの箱と捨てられずにいたガンプラのパッケージである。

ヒビキ「いてて…もう……まぁ、百歩譲ってガンプラパッケージのイラストを保管したくなるのはわかるけどブラックサンダーの箱って……。イチカめ……ん?あの奥のやつ…」

ヒビキが目にしたもの、それは、旧式のバトルベースだった。

ヒビキ「これ、兄さん達が使っていた旧型のバトルベース…」

響の好奇心が動いた瞬間だった。

ヒビキ「まだ、動くかな…?」

ポチッ…ピピピピピィー

電源が付いた。まだ動くようである。

ヒビキ「まだ動くじゃん。ちょっとだけ使って見ようかな。」

この旧式GGRバトルベースは当時の湯の森シャイニングゼロが活動していたまだ試作段階のものであり、変更できるステージ数は3つのみ。

宇宙、神殿のある海底、湖と花畑のある森林。

ヒビキ「自分で選択もできるのかぁ。森林に行ってみよう。」

森林ステージがベースに立ち上がる。

ヒビキ「ヒビキ、コアガンダムα。出ます!」

旧型のベースとは思えないほど綺麗な世界が広がる。

ヒビキ「こんなに美しい世界があったなんて…」

響が見惚れていると、突然目的地のピンがマップに刺された。

ヒビキ「おかしいな…ミッションのシステムとかトレーニングはしてないはずなのに…」

とりあえず目的地に向かう事にした響はその景色に驚愕する。

ヒビキ「うわぁ〜。すごい!でも、なんでこんな所に…」

響にメッセージが1通届いた。送り主は不明

『ここは君の兄、レイトの好きな場所だ。彼は言っていた。「この景色を弟とみれたらな。」と。』

ヒビキ「兄さんの好きな場所…」

この時はまだ知りようが無かった。ガンプラに意志があるなんて事を。

ヒビキ「……兄さん。」

少し悲しく、辛くなった。今も泣きそうになる時は多い。

その時だった。もう一通メッセージが届いた。

『君の兄には私も世話になってもらった。』

まるでコアガンダムαに意識があるかのように。

ヒビキ「………よし、アーマーチェンジだ。α!」

『御意!』

ヒビキ「チェンジ!プラネッツナイト!!」

コアガンダムαがプラネッツナイトへと変わる。

すると、さっきまでメッセージだったものが変わった。

???『やはり君も、私の声が聞こえるようだな。』

ヒビキ「え!?」

ヒビキが思わずキョロキョロしてると、プラネッツナイトが話しかけてきた。

プラネッツナイト『改めて挨拶をさせてもらう。私はプラネッツナイト。コアガンダムαの時はメッセージでないといけないが、今のこの状態なら喋れるようだ。』

ヒビキ「え、えぇ……?」

プラネッツナイト『驚くのも無理はない。最初は君の兄も驚いていたさ。』

ヒビキ「ガンプラに意思が……。」

プラネッツナイト『そうだ、我々は本来は無機物。だが、愛されることによって東洋に伝わる付喪神なるものでも慿くのだろうな。こうして意志を持つガンプラも少なくはない。』

ヒビキ「で、でも、だとしても変じゃない……?」

プラネッツナイト『何を言っている。そう変な事でもないだろう。』

ヒビキ「だって、僕が君を持ってるのは兄さんの……。」

プラネッツナイト『……私も最初はその程度のつもりで世話になった君の兄の弟の為にと託されただけだと思っていた。だが、今は違う。君は兄の形見だからと戦わない選択をしなかった。むしろ、今は亡き兄の為を思い戦い続けている。』

ヒビキ「それは…イチカに…。」

プラネッツナイト『いや、それは君の意思だ。きっかけは他人であっても動くと決めて動いたのは紛れもなく君だ。』

ヒビキ「!」

プラネッツナイト『私はあの時から、君を深く信頼している。君は受け継ぎしあの技を覚えているか?』

ヒビキ「……プラネッツアサルトブレイヴ。」

今も手に残っているあの感覚。兄が遺したもう一つの形見。

ヒビキ「きっと僕はあの時のことは忘れないよ。」

プラネッツナイト『………流石だな。』

ヒビキ「でも、ガンプラに意思があるってことは……。」

プラネッツナイト『無論、君の友人達のガンプラもそうだ。』

ヒビキ「へぇ……。」

そんな話をしていたらいつの間にかバイトに行く時間になっていた。

ヒビキ「あ……もう行かなきゃ……。」

プラネッツナイト『ヒビキ。』

ヒビキ「ん?」

プラネッツナイト『何があっても諦めずに進む勇気を忘れないでくれ。』

ヒビキ「……?もちろん。」

ヒビキはそう言うとシュミレーションからログアウトした。

手にはプラネッツアーマーを装備したコアガンダムα。

もちろん、さっきのような声は聞こえない。

でも、どことなくわかるような気がする。

ヒビキ「……兄さん、僕は戦うよ。皆のためにも。」

ヒビキはその足で電之商店に向かった。


一つの思い出がプラネッツナイトに流れる。

準決勝を制した自由時間の時、突然彼の体に異変が起きた。

仲間達にずっと隠していた持病が悪化したのだ。

病状は既に悪化しており、薬の効力も弱くなっていた。

レイト「へへ…あと少しだったんだけどな…みんなとの約束…守れなかった…コアガンダム、お前もまだ強くなれたってのによ…」

虚になる主の目。今ここで動けたのならば何でもしただろう。

そして、彼は最後の力を振り絞りガンプラを握りしめ…

レイト「α、後を頼むぜ。俺の分まで…弟を守ってく…れ…」

心拍が止まった。そして、街の人々が彼を連れていった。

プラネッツナイトは、その手から離れることは決してなかった。

そして…彼は永き眠りについた。

手に握った1つのガンプラ(コアガンダムα)に未来を託して。


翌日、ガンプラ部はいつものように活動していた。

イチカ「あー!!ブラックサンダーの箱が無くなってる!!」

ヒビキ「捨てました。」

イチカ「なーんで捨てるのさ!!」

ヒビキ「ブラックサンダーの箱置いて何がしたいんだ。」

イチカ「うーん、わかんない!」

ヒビキ「じゃあ処分しても文句言わない。」

イチカ「ちぇー。」

ツルギ「でも、だいぶ綺麗になりましたね。」

エタ「まぁごっちゃごちゃなのは変わらないけどねぇ。」

シロー「よし!今日は屋外で練習だ!各自、今日の午後からの事は聞いてるな!」

カナデ「久々の湯の森ゲリラバトル、楽しみですね。」

レイカ「思えば私のきっかけはこの月に三回やるゲリラバトルなのよねぇ〜。ぶつかったら手加減無しで行くわよ〜。」

カナデ「是非!!」

ヒビキ・エタ・ツルギ・ミタマ

(((絶対遭遇しないようにしよう。)))

湯の森ではゲリラバトルの時は午前中に授業が終わる。

そして、午後のゲリラバトルに全力で参加する事になってるのだ。

なお、GGRを使用するのが基本だが、ガンプラバトルの始祖たるガンプラデュエルも選択可能である。

そして、開催の時間が来た。

アルマ「第541回湯の森ゲリラバトルの開催を宣言させてもらおう。それでは、頼みますよ。」

ストーカー「承りました!それでは皆さん!ガンプラファイト!レディー!!」

「「「「ゴーッ!!」」」」

バラバラに走り出した湯の森ガンプラ部。

実はレイカはこの時点で無双してたのだが、あるバトルでその考えを改めさせる戦いがあったらしい。

そして、ヒビキは対戦を続けていた。

「やられたぁー!さすがだね!」

ヒビキ「どうも。対戦ありがとうございました!」

ヒビキは一人一人丁寧に対応した。

コアガンダムαの強さはプラネッツだけにあらず。

複数のアーマーによる適応力はまさに王道。

プラネッツナイトはここぞと言う時かリクエストがあったらするようにしているが、今の所リクエスト自体は見たこともない……。

強いて言うなら……。

イチカ「たぁー!負けた負けたぁ!」

ヒビキ「相変わらずプラネッツナイト使わないとギリギリだなぁ……。」

イチカとの戦闘があったが、プラネッツナイトを使わなければ対応できないほどの強さになっていた。

ヒビキ(なんか、イチカが急に強くなってきてるような………。)

そんなことを思うくらいに異常なスピードで強くなってるのだ。

イチカ「ヒビキ、本当にガンプラ部に来てくれてありがとう!」

イチカがヒビキに抱きつく。

ヒビキ「ちょ!?イチカ!!ダメだよ、その……胸が……。」

イチカ「ふぉ??ん?……あ!!//」

イチカが急激に離れる。

ヒビキ「ちょっとドキッとしたじゃないか!」

イチカ「おやおやぁ〜照れてるんですかねぇ?」

イチカが物凄くイヤミな顔で煽ってくる。

ヒビキ「こーの!!イチカだって照れてたくせに!」

ヒビキはイチカの頭をわしゃわしゃした。

イチカもそれに対してヒビキの頬を引っ張ったりして遊んでいた。

その時だった。

???「おい。」

ヒビキ「ん?」

???「俺とデュエルしろ。」

ヒビキの試練が今ここで始まる。




???「行くぞ、コアガンダムα!!」
ヒビキ「この人、どうしてαの事を!?」
???『再び目覚める時が来た……。』
ヒビキ「そうか……これが……。」
次回
ガンダムビルドブレイカーズforWAR
第三十六話「守るべき使命」
それでは次回も!
ガンプラファイト!レディーゴー!!


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第三十六話「守るべき使命」

皆さんお待ちかねぇ!!
作者のワンダレルです。
さて前回!レイカ達シャイニングゼロ結成のきっかけとなったゲリラバトルに今度はシャイニングゼロのメンバーの弟妹達が参戦!!
激闘の予感がしているなか、何やらコアガンダムαとの因縁のある男が現れました!!
果たしてその結末は!!
それでは!!ガンプラファイト!レディーゴー!!


イチカとヒビキはゲリラバトルの中、ガンプラデュエルを所望する人と相まみえた。

イチカ(………なんだろう、この人……。)

ヒビキ「どっちとやりますか?」

???「お前だ。コアガンダムの使い手。」

どうやらお相手はヒビキを所望していた。

イチカ「ヒビキ、頑張って。」

ヒビキ「あぁ、負けやしない。」

(……だけど、雰囲気とオーラで分かる。この人はかなり強い……。でも、絶対負けたりしない。)

相手がガンプラの準備を始めた。

そのガンプラは、背中にルプスレクスとアスタロトオリジンとのミキシングによる代物だった。

アスカ「……俺の名前は比島飛鳥(ヒジマ・アスカ)。よろしく頼む。」

最低限の礼節はわきまえている。だがその目は何かを憎んでいる目だった。

アスカ「始めるぞ。」

ヒビキ「よろしくお願いします。」

舞台は火星。

相手の鉄血シリーズに似合う背景だ。

アスカ「ガンダムヴェンデッタ……敵を砕く。」

ヒビキ「コアガンダムα、出る!」

双方が出撃し地面に足をつける。

アスカ「……始めに言っておく。プラネッツナイト以外に興味はない。余計なことをせずにプラネッツナイトで来い。」

ヒビキ「なっ!?」

この言葉にはヒビキもカチンときた。

ヒビキ(まるで、コアαはプラネッツナイト専用だとでも………。)

そこまで考えた時、ヒビキは冷静さを取り戻す。

ヒビキ(ダメだ。相手のペースに呑まれるな……。)

冷静にアーマーを呼び出す。

ヒビキ「チェンジ!ジュピターヴS!!」

ジュピターヴアーマーを装着しコアガンダムαはジュピターヴSガンダムとなる。

ヒビキ「……今!」

ヒビキは踏み込みと同時にセンサービットを飛ばし相手を撹乱する作戦を瞬時に選択した。

アスカ「………無駄だと言ったはずだ!」

ガンダムヴェンデッタはその包囲網を正面から突き抜け、当たる様子もなく、安定した回避に急速な蹴りを入れる。

ヒビキ「強い……!!」

アスカ「早くプラネッツナイトになれ。それ以外の手段は与えん。」

ヒビキ「……。」

(悔しいけど、多分どのアーマーでも対応される……。)

ヒビキは覚悟を決めた。

ヒビキ「エマージェンシーチェンジ!プラネッツナイト!!」

アスカ「来たか……プラネッツナイト。」

相手のヴェンデッタの目が獲物を見つけた獣のように光る。

ヒビキ「この姿にしか興味が無い………きっと何かあったんだろうね。……なら僕も負ける訳にはいかないんだ。」

アスカ「能書きはいい、始めるぞ。」

野性的なスピードと堅牢なる騎士。

本物の戦いが始まった。

ブレイバーズブレイドを手に相手の大型メイスを迎え撃つ。


レイト『確かに強い。だけどアンタはその強さを振り回してるだけだ。ガンプラはただの道具じゃねぇ。それがアンタの敗因だ。』

アスカ『くそ……クソォォッ!!』

過去の敗北がアスカに深く突き刺さっていた。


アスカ「そうだ、プラネッツナイト!!アンタさえなければ!!」

ヒビキ「憎しみだけでガンプラバトルをして何になるんだ!!」

アスカ「憎しみなんかじゃない……俺の傑作をあんな風に簡単に押しのけられたんだ!!ソイツだけはこの手で俺が葬らなきゃいけないんだ!!」

かつてイチカに救われたが故にヒビキにはこのアスカというビルダーの気持ちはよく分かる。

たがしかし、その事を棚に上げたとしてもだ。

ヒビキ「だとしても、僕は貴方と戦う!!」

ガギィィン!!

ブレイバーズブレイドでメイスを弾いて大きく怯ませ、そのまま柄で突いた。

アスカ「くっ………まだだぁ!!」ダダダダッ!!

ガンダムヴェンデッタは片手にマシンガンを構え乱射する。

ヒビキ「……見える!」

ヒビキはその弾幕をくぐり抜け懐へと潜り込んだ。

ヒビキ「シッ!!」ヒュンッ

短い掛け声でブレイバーで斬り掛かるも

アスカ「かァっ!!」ギィン!!

膝蹴りで剣の軌道を変えられた。

ヒビキ(なんて無茶苦茶な……!)

そのまま拳で殴られ反撃を食らったヒビキは一旦下がった。

ヒビキ「……どうしてそこまで強いのにプラネッツナイトにこだわるんですか?」

素朴な疑問、その返答はこうだった。

アスカ「気に入らないからだ。」

たった一言。本当にそれだけだった。

真意は分からない。過去にレイトに敗れたのかもしれない。

もしかしたらただの言葉足らずなだけだったのかもしれない。

だが、その一言は………。

ヒビキ「……わかった。」

静かな怒りの炎を燃やすには十分だった。

ヒビキ「誰とも向き合わず、ガンプラとも向き合わず、ただただ気に入らないものを破壊する。そんな人に僕は負けないッ!!」

アスカ「だが技術面は前の奴の方が上みたいだな。」

ヒビキ「………。」

無言でヒビキはガンダムヴェンデッタを相手にする。

アスカ「今回こそ、今回こそはその騎士道を踏み砕いてやる!」ブォン

ガンダムヴェンデッタのソードメイスと大型メイスが嵐のように振り回し当てに来るが、プラネッツナイトは飄々と躱し、抵抗する。

ヒビキ「………。」

キレてから終始無言のヒビキ。しかし、そこに激情的な怒りはなかった。

むしろ、悲しんでいた。

ヒビキには聞こえてくる。

『これ以上はダメだ……これ以上は……。』

ヒビキ「聞こえないのかアスカさん!ガンプラの声が!」

アスカ「聞こえるわけが無いだろう!」

ヒビキ「そう…!!」

激しい金属音が鳴り響き猛攻は続く。

ヴェンデッタもプラネッツナイトも現状は強さが拮抗していた。

しかし……

アスカ「その隙、もらったぁ!!!」グォンッ!

ガンダムヴェンデッタがソードメイスで切り込んでくる。

ヒビキ「そこ!」

それを見越してカウンターを決めようとした時だった。

ギュオン!!ギギィン!!

不意にプラネッツナイトの装甲が削れる。

ヒビキ「!?」

アスカ「ふん。」

ガンダムヴェンデッタのテイルブレードが脇腹をかすめていた。

元々防御力が高いが故、致命傷にはならない。

ヒビキ(なりふり構ってはいられない!!)

怒りのヒビキにとっては些細なことだった。

ガンダムヴェンデッタの悲鳴が止まらない。

ヒビキ(終わらせなきゃ………。)

この男の因縁を断ち切らねばならない。

ヒビキは怒りのあまり、そのことにしか頭になかった。

アスカ「お前さえいなければぁ!!!」

ヴェンデッタがソードメイスと大型メイスの二刀流で突進してくる。

ヒビキ「やらせはしない!!」

周りの歓声が響く中、二人は極限状態だった。

しかし、差は歴然だった。

少しづつではあるが、プラネッツナイトへのダメージは大きくなっていく。

ヒビキ(負けたくない……負けるわけには!!)

アスカ「どれだけのことをしようと!今の俺には勝てない!!」

ガンダムヴェンデッタが腕に隠されていたビームトンファーをくり出す。

ヒビキ「しまった!?」

アスカ「終わりだァァッ!!!」

イチカ「ヒビキ!!」

誰もがこれで決着と思っていた。

ヒビキ「僕は……僕は……!!」

その時、プラネッツナイトのブレイドがビームトンファーを受け止めた。

ヒビキは何も動かしてはいない。

α『まだ、終わってない。』

ヒビキ「もしかして…!?」

α『私はα(アルファ)。コアガンダムαだ。』

アスカ「な、なんだ!?どこから声が!!」

驚き方を見るに、アスカもまたその声が聞こえていた。

イチカ「α……レイトさんが言ってたのって本当だったんだ!!」

ヒビキ「α……僕は……!」

α『落ち着け、ヒビキ君。見失ってはいけないものを君は今見失っている。』

ヒビキ「……見失ってはいけないもの。」

αの話を聞き、ヒビキは改めて深呼吸をして気を落ち着かせた。

ヒビキ「ありがとう、α。おかげで目が覚めた。」

かつて、あのレイカをあのヒカルを追い詰め苦戦させ、時には勝利していたプラネッツナイト。

見た目はさほど変化はない。

しかし、確実なことがあるとすればこのプラネッツナイトはいとも簡単に限界を突破したのである。

アスカ(………なんだ?さっきから何が起きている?いや、考えろ、何か原理があるはずだ。)

だが、αはその心中を悟っていた。

α『原理などない。彼は君を倒し救う為に戦っているのだ。』

アスカ「救う…だと?」

ヒビキ「そうだ、今の貴方にならきこえるはずだ!」

アスカ「!!」

そう、今まさにアスカには聞こえている。

ヴェンデッタ『もういいんだ、アスカ……!こんな事をしても!!』

その声はずっとずっと昔から聞こえていた。

あの敗北をしてからはずっとその声から耳を塞いできた。

アスカ「俺が救われるとすれば……お前を討った時だけだァァッ!!」

ヴェンデッタが阿頼耶識のリミッターを解除する。

アスカ「ヴェンデッタ!!お前は俺を裏切らないんだろう!!なら、俺に力を貸せえぇ!!!」

目に深紅の閃光が涙を流すかのように溢れる。

そこからは激しい斬り合いになった。

ビームトンファーもブレイバーズブレイドもテイルブレードも、その全てを叩き込み続けた。

だが、限界を超えたプラネッツナイトすらもこのガンダムヴェンデッタは凌駕しつつげている。

ヒビキ「くっ!!」

思った以上に手数が叩き込めない。もしかしたらこの人は湯の森でレイカやヒカル達とチームを組んでいたかもしれない強さ。

それほどまでの強さを持ちながらあくまでそれを復讐にしか使えない不器用さ。

ヒビキ(強すぎる!!)

素直に舌を巻くほど彼の執着と強さは一級のものだった。

ヴェンデッタへの愛情も一撃一撃にこもっている。

プラネッツナイトの負傷がよりいっそう激しくなる。

徐々に追い込まれ、立つこともできないほど、ボロボロになっていた。

敵は少しずつ寄ってくる。

アスカ「これで終わりだ!!プラネッツナイト!!!」

ガンダムヴェンデッタが大型メイスを振り上げる。

ヒビキ「僕は…兄さんのようにはなれない…」

α『諦めるな。君の兄は…レイトはどんな時も諦めなかった。』

ヒビキ「…兄さん。」

α『君が彼の弟ならば…同じ血を引く者ならば!まだ立ち上がれるはずだ!』

その言葉を聞いた響は敵の攻撃を避けながら応えた。

ヒビキ「そうだ…兄さんは…諦めるような事はしなかった…。」

アスカ「まだ動けるのか…!」

ヒビキ「何度ピンチになっても…立ち上がった。1番近くで見てきたからわかる…」

α『そうだ。まだ…私達は戦える!」

ヒビキ「α、僕に力を貸してほしい!」

α『再び目覚める時が来た……。共に行こう、ヒビキ!』

その瞬間、プラネッツナイトに奇跡が起こる。

ヒビキ「僕は諦めない!兄さんと一緒に君を倒す!」

アスカ「いつまでも悪あがきを!!」

そう言い、敵はブーストして更に近づいていく。

もはや立つ事もできないような状態のコアガンダムαが、プラネッツナイトが再び立ち上がる。

ヒビキ「α、大丈夫なの?」

α『あぁ。君の兄と約束したんだ。君を頼むと。その為なら私は…この身体を失う事も惜しまない。』

ヒビキ「……。兄さん、α、ありがとう。」


イチカ「すごい……すごいよ!ヒビキ!!」

「なんだなんだ!!」

「今すごい戦いなんだ!ボロボロのガンプラがまた立ち上がってんだよ!!」

いつの間にか周りの歓声も大きくなってきていた。


そして…敵と拮抗した戦いを見せ、剣を交わした。

アスカ「何だ…!何なんだ!そんな機体でここまで…!」ガン!!ガオン!!

ヒビキ「これは…僕とαと…兄さんの想いが詰まっているんだ!そんな想いの詰まったものが君のような復讐の為に強くなった人にはわかるはずが無い!ましてや、分かってて目を背けるような人には!!」キィンキュイン!!

アスカ「くっ……!!!」

攻撃を喰らったが、それでも立ち上がるヒビキ達の姿に敵は怯える。

アスカ「まだ立ち上がるつもりなのか!?勝負はもうついたはずだ!!」

ヒビキ「僕は…兄さんように強くは無い…。でも…僕は兄さんのように…強くなりたい!だから、僕は!君を倒すまで何度でも…立ち上がり続ける!

アスカ「戯言を…!」

ヒビキ「α、これで最後にするよ!」

α「わかった。全ての力をこの一撃に込める…!」

その時、剣が光り輝く

ヒビキ「兄さん…みんな…僕に力を貸して!」

アスカ「くっ…死ねぇぇぇぇぇっ!」

ヴェンデッタが赤い閃光を撒き散らしながらこちらに向かって突っ込んで来る。

それと同時にプラネッツナイトも光り輝きながら突っ込んでいく。

ヒビキ「我が勇気の元に、その全てを賭ける!!必殺!プラネッツブレイヴ!」

アスカ「砕け散れ!!ヴェンデッタアサシネイション!!」

ヒビキの乗るガンダムプラネッツナイトは身体中から光を放ち、敵へ突っ込んでいく。

敵のガンプラにぶつかり、剣を突き刺した。

ヒビキ「うぉぉぉぉぉぉぉっ!」

ガンダムヴェンデッタの身体の半分を破壊し、この瞬間に勝負は決まった。

アスカ「ぐっ…!タダで…終わらせるかァァッ!!!」

アスカは最後に足掻き、一撃を喰らわせた。

その一撃でプラネッツナイトのアーマーが砕けちった…

バトル終了のコールが鳴り、ヒビキが勝利した。

しかし、それと同時にヒビキは大切な物を失った。

周りの歓声は更にさらに盛り上がっていく。

アスカ「くそ…っ…!」

そう言って相手はバラバラになったガンダムヴェンデッタの破片を全て集めその場を離れていった…。

そしてヒビキには聞こえていた。

ヴェンデッタ『ありがとう……止めてくれて……。』

ヒビキはその声を聞き、ちょっとだけ満足し、ボロボロになったガンプラを両手で優しく手に取った。

その時、ヒビキは泣いた。

ヒビキ「ごめん…ごめんね…α…」

泣いている理由は明白。

ガンプラデュエルはガンプラに直接ダメージが入る都合、あれだけ激しい戦いをすれば当然、コアガンダムαは…もう修復すら不可能なほどボロボロとなっていた。

α『君は…強くなった…。私は…それだけで…』

ヒビキ「でも…僕は…兄さんとユリさんの形見を…君を…」

α『これで…いいのさ。今の君に…もう私は必要無い…』

イチカ「ヒビキ……。」

すぐ近くに寄っていたイチカもその状況に絶句する。

ヒビキ「そんな…そんなの嫌だよ…僕は兄さんだけじゃなくて…君まで失うなんて…」

α『なぁに、もう君は1人なんかじゃ無い…。沢山の…仲間がいるじゃないか…』

ヒビキ「だけど…だけど…!」

α『ヒビキ…。最後に一つだけ言わせてほしい…。』

ヒビキはその言葉を聞き黙り込む。

α『レイトが死んでからずっと…私の手入れを…大切にしてくれて…ありがとう。悔いは……な………。』

そして…αは言葉を発さなくなった。

イチカ「ヒビキ……、αはすごいね……。」

泣きながらイチカがそう言う。

ヒビキ「当たり前じゃないか……αは……僕の勇者なんだから…………う、うぐぅ……」

ヒビキはその場で人知れず泣き始めた。

イチカもそんなヒビキを抱きしめながら泣いた。

コアガンダムα、プラネッツナイト、宇宙に輝く勇者。

ここに眠る………。


有り得るはずのない敗北。

そこに転がっていたのは、大破したゴッドアストレイ。

それを見下ろす形で立っているのは『Gランスロット』と呼ばれているガンプラ。

レイカは膝から崩れ落ち、放心していた。

周りのギャラリーもかなり騒々しい。

レイカ(負けた……?流派冥王不敗が……ゴッドアストレイが……?)

バトルの制限時間は三分。

そしてそのうちの二分三十秒までは完全にレイカのペースだった。いつも通りにカウンターでいなし、相手の戦術のパターンに合わせての反撃。ダメージは少量だがタイムアップで勝てる。

誰しもがそう思っていた。

だがその後だった。

レイカ(あの時、フェイントの攻撃にわざと当たりに行った後……私は何も出来なかった……。)

何も出来なかった。手も足も出せず、防御、回避もままならない。

そのまま一方的に破壊され敗北した。

???「久しぶりにいい戦いだった。多分師匠とアイツの次くらいには強いと思う。」

レイカはその男を知っている。海で出会った紅月 翔(コウヅキ・カケル)と呼ばれていたミタマのボーイフレンド。

そして、カケルの握手に応じた。

レイカ「ありがとうございます……いい経験になりました。」

レイカの顔は、酷く暗かった……。

この戦女神の零(ヴァルキリー・ゼロ)の完全敗北は湯の森を震撼させた。

???「……マジか。」

当然、彼もまたこの事に驚きを隠せなかった。


ここは湯の森にあるボードゲームカフェ。

アルマは仕事から逃げる時の暇つぶしでチェスをしによくここに来る。

当然、ノリスにはバレていない。

アルマ「ふぅ……。」

先程まで釜井組の組長と対局しており一息ついてから帰ろうとした時、女性から声がかかる。

???「対局、よろしいですか?」

それに対してアルマはゴミを見るような目で答える。

アルマ「どうぞ。」

???「では、失礼して。」

アルマ「……おかしいな、僕の記憶が正しければ貴方は塀の中にいるはずだよ、ソウゲツ・トモコ

トモコ「忘れたのかしら?身代わりの影武者なんていくらでも用意出来る事を……。」

互いが睨みながらも駒を揃えていく。

トモコ「貴方は相変わらずチェスが好きね。誰に似たのかしら。」

アルマ「少なくともあなたとは似ていますね。不愉快極まりないですが。」

一手ずつ会話を挟みながら進めていく。

トモコ「貴方の手駒はあといくつかしら?」

アルマ「そちらこそ、着実に手駒を減らされ焦っているのでは?」

トモコ「あら、質問に質問を返すなんて……珍しいこともあるものね。安心なさい貴方が退屈することは無いわ。」

アルマ「フッ、僕にも切り札はいくらでもあるさ。」

そして、このチェスを制したのはアルマだった。

アルマ「完全勝利とはいかないか……正直貴方のことを甘く見ていたよ。」

トモコ「ふふ、強くなったわねアルマ、あの時よりも遥かに。」

アルマ「……最悪の褒め言葉として受け取っておきましょう。」

対局が終わり、トモコが席を立つ。

トモコ「それじゃ、また会いましょうアルマ。それと……自分の手駒には気をつける事ね。

そういった直後、アルマの持ち駒から液体が飛び出した。

が、アルマはそれを軽く躱す。

液体は塩酸だった為、着地点から床が溶ける音がする。

アルマ「十分に注意しておくよ、ソウゲツ・トモコ。」

湯ノ森の存亡を賭けたチェスは始まったばかりである。




イチカ「どうするのこれから?」
ヒビキ「新しく作ってみせるよ。僕のガンプラを!」
レイカ「どうして負けたのかしら……一体何が原因……?」
セイラ「……。」
次回
ガンダムビルドブレイカーズforWAR
第三十七話「前を向いて」
それでは次回も!
ガンプラファイト!レディー!ゴー!


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第三十七話「前を向いて」

皆さんお待ちかねぇ!
作者のワンダレルです。
さて前回!かつての因縁を携え現れた強敵「比島飛鳥」とガンダムヴェンデッタと激闘を繰り広げたコアガンダムαとヒビキでしたが、見事勝利を掴みました!
しかし代償としてコアガンダムαは完全破壊され、修復も不可能な状態となりかつての英雄を失いました…。
そして他方ではなんとあのレイカが完全敗北という衝撃の結果が!!
しかし!彼らの強さは心にあるのです!
再び立ち上がり飛び上がる日は近いでしょう!
それでは!ガンプラファイト!レディー!ゴー!


ゲリラバトル会場である中央広場で騒々しさが残る。

イチカ「ヒビキ、行こう。」

ヒビキ「……うん。」

ひとしきり泣いたヒビキが壊れたコアガンダムαを優しく握りしめ立ち上がった瞬間だった。

???「ヒビキ君!」

ほぼ怒号に近い形でヒビキとイチカの前に走ってくる一人の男は開口一番でこう言った。

アルマ「コアガンダムαは!?」

ヒビキ「……ごめんなさい。コアガンダムαは………。」

事の経緯は全てアルマに話した。

アルマ「……そうか……辛い思いをしたんだねヒビキ君。」

イチカ「ソウちゃん……。」

ヒビキ「アルマさん、僕は必ずαよりもすごいガンプラを作ります……絶対に……!」

その目にアルマは見覚えがあった。

アルマ「……ふ、流石だな君たちは。ならば僕も君達のために尽力するとしよう。さぁ、もうすぐ閉会式だ、ついてきたまえ。」

アルマに続きイチカとヒビキはその後ろをついて行った。


ストーカー「皆様!名残惜しいですが湯の森ゲリラバトル終了でございます!盛大な拍手を!!」

わっと歓声が上がり、拍手が広がる。ゲリラバトル自体は想定外の事も多くあったが、それでもみんなが楽しめる大会になった。

ここまでの大会が出来るのもアルマの政治手腕があってこその事だ。

ストーカー「それでは皆様!閉会の合図にご唱和ください!行きますよー!!希望の未来へ!」

「「「レディー!ゴー!」」」


ヒビキはαを失い、二日ほど学校を休んでいた。

兄の大切な思い出のガンプラであったαは、ヒビキにとって兄と過ごした思い出と、共に戦って来た記憶が刻み込まれたこの世に一つしかない大切な代物だった。

その日の正午頃

αを失い、陽の光を浴びながら廃人のようになっていたヒビキの前に1人の客人が訪れた。

キノ「ヒビキさん。」

家の外から中性的な姿の人が声をかけて来た。

降霊 義之(フレイ・キノ)、零斗の姿をはっきりと見ることができる数少ない人間の1人だ。

彼女は幽霊になった零斗の相棒ような存在だ。

そして、彼女もまたレイト、ヒビキと同様にコアガンダムを操るファイターだ。

ヒビキ「キノさん…学校は…?」

キノ「早退して来ました。」

ヒビキ「どうして?」

キノは少し顔を険しくして、言う

キノ「話はイチカさんに聞きました。レイトさんのガンプラを失くされたと…。」

ヒビキ「………。」

キノ「だから、心配になってここへ来たんです。」

ヒビキは表情を変えずに驚いた。

ヒビキ「どうして…?」

キノ「どうしてって…貴方の事をもっと心配している人がいるから…かな…。」

そう言葉を吐くと、ヒビキは少しずつ表情を取り戻していく。

数分後…

家の中に迎えられたキノは2人で話を進めていく。

ヒビキ「僕を心配している人が…いる?」

キノ「はい。」

ヒビキ「イチカや、レイカさんじゃなくて…?」

キノ「みんな、貴方を心配していますよ。でも…もっと大切な…人が貴方の事を心配しています。」

数十秒、心当たりのある人を考えていると、とある一つの答えに行き着いた。

ヒビキ「兄さん…?」

キノはゆっくり頷いた。

キノ「はい。レイトさんです。」

ヒビキ「そんなバカな…兄さんはあの時、僕の身体を借りてそのまま…」

(ビルドブレイカーズ外伝 After ZERO参照)

キノ「貴方のお兄さんがそう簡単に成仏するでしょうか…?」

キノはヒビキをうまくいいくるめた。

そして…

キノ「ヒビキさん、僕は貴方にこれを渡しに来ました。」

そう言って、ポーチから取り出した物は黒いコアガンダムだった。

コアガンダムZERO、レイトが死後に残したとされるコアガンダムの一機だ。

ヒビキはそれを見て焦りだす。

ヒビキ「コアガンダムZERO…!?そんな…!これは流石に僕には…」

キノは首を振り、言葉を返す。

キノ「これは、貴方が持つべきです。僕よりもずっと技術を持っているヒビキさんだからこそです。それに…僕のような下手っぴが使うよりもヒビキさんに使ってもらう方がZEROも喜びます。」

ヒビキには良い話である。コアガンダムZEROもレイトの作ったガンプラの一機という事もあり、操作性は全く同じように使えるからだ。またZERO自身にもレイトとの記憶が刻まれている為、思い出と共にまた闘える。こんなに美味しい話はそうそう無い。

だが…ヒビキは断った。

ヒビキ「キノさん、ありがとう。でも、僕にこれを受け取る事はできない。」

キノ「え…?」

ヒビキ「だって、ZEROの中には兄さんとキノさんの思い出が刻まれているから。そんな大切なガンプラを僕が持つには相応しく無い。」

キノ「で…でも…」

ヒビキ「大丈夫。これで、決心がついたよ。僕の…僕だけの新しいガンプラを作る決心を。」

ヒビキは手にしていた小さく光り輝くパーツの一部と思われるものを握り、決意する。

キノはその言葉を聞いて、ホッとしたような表情を見せた。

キノ「そうですか…。それならよかったです。」


そうして、ヒビキが決意したあと、キノはヒビキの家を後にする。

その後、キノは独り言を口にした。

キノ「僕が想像していた通りだった…かな。」

ZERO「ちょっとキノさん。なんで俺を渡そうとしたんです?」

キノ「ん〜…さっき話したけどなぁ。」

ZERO「え?本気で俺を渡そうとしたの!?そりゃ無いよ!」

キノ「まぁ、でも良かったじゃん。貰われなくて。」

ZERO「失礼な言い方するなぁ…」

キノは空を見上げながら、小さく呟いた。

キノ「これで良いんですよね。レイトさん…貴方の弟はとても強く成長してますよ。多分…貴方が思っているよりもずっと…」


電之商店にて

アマリ「ふふ、今日も売上は好調!バイトお疲れ様みんな!」

イチカ「ふぁぁ、やっと終わったぁ……。」

ツルギ「今日もいっぱい頑張りましたね。」

エタ「まぁこの可愛くて美しくいだけじゃなく強い美少女エタがいるんですから当然ですね。」

ヒビキ「……なんかすごく自意識過剰な気が……。」

エタ「何か言いましたか?」

ヒビキ「いいえなにも。」

レイカ「………そうね。」

(いけない……今日あんまり集中出来てない気がする……。)

皆がいつも通り元気な中、どこかレイカは消極的に見えた。

そしてアマリが電卓で今日の売上の計算をしていた時、ヒビキがレジにやってきた。

ヒビキ「あの、アマリさん。」

アマリ「あら、どうしたのヒビキ君?」


そこからヒビキは家でも部活でもガンプラ作りに勤しんだ。

ヒビキ『ちょっとだけ売られてるガンプラを見せてくれませんか?』

アマリ『あらあら、お易い御用よ♪』

ヒビキ『これで………!!』


~三日後~

ガンプラ部の部室でみんながシュミレーションをしてる中、ヒビキは一人ガンプラ制作をしていた。

ヒビキ「……うーん、違う。もっとこう……。」

レイト『うーん、まだ改良の余地があるな……。』

その集中力はかつてのレイトを思い出させた。

ツルギ「あ……もうイチカったら!」

イチカ「ふっふん、シュミレーション勝者の権限だもーん。」

セイラ「もう少し改良点がありそうですね。」

皆がシュミレーションを終えて帰宅準備を始める。

ツルギ「ヒビキさん、帰りますよ?」

ヒビキ「先に帰ってて、僕が最後に戸締りしておくから。」

セイラ「分かりました。あとは任せます。」

コハル「よろしくー。」

ぞろぞろとガンプラ部のメンバーが帰る中、ヒビキはシロー先生に気づかれるまで何時間もギリギリまで学校に残りガンプラの制作を続けていた。


「ヒビキー、ご飯よ。」

ヒビキ「はーい、すぐ降りる!」

ミナト「……ヒビキ、最近ちゃんと寝ているの?」

ヒビキに声をかけたのは有音 湊音(アリネ・ミナト)。ヒビキの母である。

ヒビキ「……いや、あんまり。」

最近はガンプラ制作に時間を費やしていてあまり眠れていない。

ミナト「いい、ヒビキ。無理だけはしないで健康第一によ?」

ヒビキ「分かってるって…ごちそうさま!」

ご飯をかき込んでまたガンプラ制作に務める。

ヒビキ(僕がこの機体を完成させるんだ……!)

ミナト(……あの子もやっぱりレイトにそっくりね。本当にむりをしないで欲しいけど……。)


ヒビキ(これをこうすれば……いや、違う。僕なら………。)

熱心に、ただ熱心に己のガンプラを作り上げていた。

ニッパーが、カッターが、マーカーが、あらゆるもの、何よりガンプラがヒビキに答えていく。

長く時間を費やし、完成へと向かい行く。

あの時の昂りを感動を忘れない為に。

約束を守る為に。

ヒビキ「………よし、今日はここまでにしよう!」

そう言って寝床につき、最近あまり寝れてないのかすぐに寝着いた。

その暗闇で綺麗な青き双眸が瞬く。

主の知らぬところで聞こえる声。

『祝福あれ』

その言葉と共に双眸の光はしばしの間消えた。


レイカは絶不調だった。

「はぁ……はぁ………。」

小さなことでの息切れ、乱れる呼吸。

震える手、震える足。

風邪でもなんでもない、身体は至って健康だ。

しかし、彼女は負け続けた。

あの時の敗北からずっと……。


レイカ「……対戦、ありがとうございました……。」

イチカ「レイカ姉……。」


ヒソヒソと響く噂話。

「ねぇ知ってる?レイカさん負けたんだって。」

「嘘だろ?今まで湯の森最強だったのに?」

「しかもそれ以来ずっと負けてるのよ……なんだか心配。」

「まあ、俺もファンだし心配なんだよなぁ。」

「別にいいんじゃない?ずっと最強気取って調子乗ってた罰よ。」

「そんなふうに言わなくても……」

「でも皆心の内では清々してるんだろ?元はと言えばコイツがいるから皆学校でガンプラバトルしなくなったんだしさ。」

「ちょっと!!いくらなんでも!!」

強さとは比例して批判も生む。

その痛烈な言葉は例え心に傷がついていようとも関係の無いこと。

レイカ「………。」

放課後になって、ガンプラ部が休みの中、一人バトルシュミレーターを使っていた。

ヒビキが見つけたあの時と同じもので。

だが……現実は非情だ。

レイカ「どう……して……?」

その時、ブラックサンダーを取りに来たイチカが部室に入る。

イチカ「ちょ!?レイカ姉どうしたの!!」

涙を流すレイカを見て、イチカが動揺しながら駆け寄る。レイカが泣く事など滅多にないからだ。

レイカ「イチカ……どうしよう……私……私……。」

イチカ「どうしたのレイカ姉?何かあったのなら言って?」

その次の瞬間、イチカは絶句した。

イチカ「……え?」

レイカ「技が……出ないの………。」

どれだけのことをしても、どれだけのことにも挫ける事無く無類の強さを発揮していた。

しかし、それはただのその場しのぎにしかすぎない。

湯の森の戦女神の動揺はもはやどうしようもないレベルだ。

戦女神の心は………。

既に壊れていた……。




イチカ「レイカ姉達抜きでも強くならないと……。」
コハル「……いつまで子供でいるんだか。」
アキト「……よし、決めた。」
セイラ「見えた、新しい進化を!」
次回
ガンダムビルドブレイカーズforWAR
第三十八話「終局へのメッセージ」
それでは次回も!
ガンプラファイト!
レディーゴー!!!


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第三十八話「終局へのメッセージ」

皆さんお待ちかねぇ!
作者のワンダレルです。
さて前回、有音ヒビキが失った物を再び取り戻すべく彼は前へと歩み始めました。
しかし、その裏では戦女神が、そして意外な彼女が大きく背負い込み、大きく後退しています。
湯の森ガンプラ部の行く末は……誰にも分かりません。
それでは!!ガンプラファイト!
レディーゴー!!
注:「この話を見る前に、ガンダムビルドブレイカーズExtraSky第三話を読む事を推奨します。」


ゲリラバトルから四日後、ガンプラ部は未曾有の危機に陥っていた。

イチカ「……というわけなの。勝手だけどレイカ姉は今は戦えない。」

セイラ「そう……。となると、困りましたね。」

レイカのスランプによる離脱。そして、今この場にはいるが……

ヒビキ「僕もガンプラバトルはしばらく出来そうにない。レイカさんの事に関しては僕も気になるけど、その空いた穴を埋める為にも僕は新しいガンプラを完成させたいんだ。」

ヒビキの強い決意にみんなは賛同した。

一人を除いて。

コハル「……馬鹿馬鹿しい。」

イチカ「コハルっち…。」

コハル「どうしたいかは何となくは分かる。でも、ここで引いてばかりで意味があるの?」

カナデ「……コハルさん、それはレイカへの侮蔑ですか?もしそうだとしたら私は容赦しませんよ。」

コハル「悪いけどいつまでも子供でいられないのよ。私達には私達なりの道がある。それで足止めを食らうわけにはいかない。」

コハルの言い分は間違っていない。

現にガンプラ部への悪評が飛び出るようになっているのだ。

アキト「だけどまだなにか方法は……。」

コハル「悠長な事は言ってられないわ、今に分かるから。」

そしてガンプラ部の部室の部屋が開く。

ツルギ、コマ、ルヤの三人が遅れてきた。

ツルギ「ご、ごめんなさい遅れました!」

あの真面目なツルギが遅れてきたのだ。それにツルギの頬にぶたれたような跡がある。

イチカ「つ、ツルギちゃん!?どうしたのそれ?!」

コマ「手短に説明する…。」

珍しくコマとルヤが怒っていた。


~数十分前~

ツルギ「さて、授業も終わりましたし早く行きましょう!」

マリオン『ツルギ……本当に大丈夫かしら?』

ツルギ「えぇ、もちろんです!」

レイカが学校から帰る後ろ姿を見つつ、急ぎながらツルギはガンプラ部へと準備をしていた時、不意に聞こえてきたのだ。

「本当によかったわねこれで。」

「ざまぁみろって感じよ。」

レイカが負けてから最近はずっとそういう陰口を聞いている。

ツルギも己の正義感から許したくはなかったが、あまり大事にするわけにも行かず、見過ごしていた……が。

「もう二度とガンプラバトルなんかしなければいいのに。」

「それなwそうすりゃ俺達も学校でガンプラバトル出来るからな!」

そう言ってゲラゲラ笑うグループがいた。

すると、そのうちの一人がいきなり平手打ちをされ尻もちをついた。

「な、なにすんのよ!!」

言ってはいけないことを言った人にツルギは容赦しない。

ツルギ「見過ごせません……貴方達が言ったその言葉、取り消してください!」

「なんで取り消さなくちゃなんないのよ!だったらガンプラバトルでアタシに勝てたら取り消してやるよ!」

ツルギ「望むところです…マリオン、ごめんなさい。やれる?」

マリオン『はぁ…もう慣れっこよツルギ。』

ツルギ「五人連続で相手をしてあげます。かかってらっしゃい!」

戦績は四勝一敗。最後に負けはしたが、それでも連勝していた。

ツルギ「さぁ、取り消してもらいますよ!」

「へっ、誰が取り消すものですか!アタシに勝ててもアタシらには勝ててないんだから!」

ツルギ「な!?」

そう、コイツらは約束を守る気などなかったのだ。

ツルギ「卑怯な事を!」

と言うと同時にツルギの頬に平手打ちが炸裂する。

「偉そうなこと言ってんじゃないわよ!あんな化け物のせいでガンプラバトルが出来ないんだから仕方ないでしょうが!ガンプラ部なんてさっさと廃部になれはいいのよ!」

そう言ってもう一回ツルギの頬をぶとうとした時だった。

女の手は誰かに止められた。

ルヤ「そこまでにしとけ。」

コマ「テメェら俺達の仲間に何してんの?」

それは怒りに身を震わせるコマとルヤだった。

「ひっ……は、離しなさいよ!」

コマに掴まれた手を女は引き剥がす。

ルヤ「だったらもう二度と近づくな。」

コマ「悪口を言っても見てるからな?」

二人が強く警告をすると、嫌味を言いながら五人グループは去っていった。

「ふん、そういう態度が気に入らないのよガンプラ部!」

ツルギ「なんて酷いことを……。」


ツルギ「ということがあったんです。」

イチカ「……そう。」

その話を聞いたイチカのその手は震えていた。

アキト「どうしてそんなことを平気で言えるんだ……。」

ヒビキ「……僕達が一体何をしたって言うんだよ。」

ミタマ「………。」

エタ「ちょっとそいつら半殺しにしてきますね。」

セイラ「落ち着いてください、そんな事する必要はありません。」

今、キノがガンプラ部に来れないのもこういう側面があるのを見越してなのかもしれない。

コハル「こういうことよ。私も今日石投げられたけど返り討ちにしてやった。」

コハルの言う通り、今のガンプラ部へのヘイトは凄まじい。

最強たるレイカが居ないことをいい事に好き勝手に言ってくるのだ。

顧問となったシロー先生もその事を注意したり、先生達に注意喚起しているが収まる様子は今の所厳しい。

コハル「アイツらを黙らせるにはガンプラバトルが必要。なら、私はソイツらを潰す為に強くなる。皆もこれ以上言わせたくないならそんくらいした方がいいんじゃない?」

そう言うとコハルは立ち上がり、帰る準備をした。

ツルギ「こ、コハルさんどちらに!?」

コハル「帰る。帰って自主練とフォクシードの強化プランを練るわ。悪いけど今のガンプラ部じゃ何も出来そうにないから。」

と言って去っていった。

ヒビキ「僕も同じだ。今はレイカさん無しでも戦えるようにしなきゃいけない。今は相当悔しいけど、必ず見返してみせる。」

ヒビキも家へと帰って行った。

セイラ「……困りましたね。」

この状況、考えうる限り最悪に等しい。

イチカ「どうしたら……」

考えを頭に巡らせるが、やはり思いつかない。

とはいえ、何もせずに帰る訳にも行かない。

イチカ「皆、やれるだけの事をやろう!私たちにも出来ないことはないはずだよ!!」

イチカの激励に一応反応はあった。

そして作業中、ミタマがイチカに声をかけた。

ミタマ「ねぇイチカちゃん。レイカさんとカケルが戦った動画って持ってるかな?」

イチカ「ん?見る?」

スマホを差し出し、ミタマに渡す。

そしてその一部始終を見たミタマが一言つぶやく。

ミタマ「なに……これ……。」

その顔はありえないものを見たような顔だった。

そして、これがある事のきっかけになるとは思わなかった。


翌日の放課後

イチカ「頼もー!!イチカが来たぜぇ!!って私がトップだけど!ナハハハ!」

イチカがガンプラ部の部室に一番乗りでついた。

そして、机の上にある紙。

それは、退部届だった。

イチカ「ふえっ!?レ、レイカ姉!!?」

その退部届がレイカのものだと思ったイチカは急いで中身を見る。

だが、退部届を出していたのは……ミタマだった。

イチカ「え……ミタマ……っち?どうして……?」

その内容をイチカは読み始めた。


ミタマ「この度のレイカさんのスランプについて、私から申し上げたいことがあります。まず、私が皆さんにカケルの事を言わなかったことで、レイカさんを傷つけ、追い詰めたことを謝罪します。その責任を取る形で退部という手段を選ばせていただきました。皆さんに迷惑をかけて本当にごめんなさい。ガンプラ部はとても楽しく、明るい場所だったのにそれを壊してしまった事を深く謝罪します。」


イチカ「そ……そんな……。」

無自覚だったが故に、イチカはショックだった。

ミタマの気持ちも分からずに自分勝手に振り回していた事をイチカは後悔した。

この事を皆に伝えた時に皆はどことなくそんな気がしていたという顔をしていた。

分からなかったのはイチカだけだったのだ。

イチカ「……みんな、ごめん。」

ツルギ「いいんです、いつか帰ってきてくれるかもしれませんから。」

アキト「……。」

セイラ「やはり、ここは各々で強化プランを練りましょう。少なくとも今の状況でチームプレイなんて天地がひっくり返っても出来ないでしょうから。」

カナデ「悔しいですけど、同意見です……。」

コマ「……ちっ。」

ルヤ「……クソッタレ……。」

各々が沈んでいた時だった。

アキト「よし、決めた……」

この状況下でアキトは小声で何かを言った。

湯の森ガンプラ部、存続の危機である。

この時の彼らは知らないが、三つの邪悪な忍び寄る影が迫ってきていた。


バーで酒を嗜む若々しい女性、ソウゲツ・トモコがいた。

そしてトモコは隣にいるトモコ似の女に酒を注いでいた。

トモコ「任務ご苦労さま。」

「とんでもない、そう言う労いの言葉があるだけでも私は嬉しいですよ、姉さん。

彼女もまたトモコの名を持っているが、正確にはナルミという名前である。

ナルミ「しかし、いいのですか姉さん?こんな事してたら…。」

トモコ「いいのよナルミ。貴方はよくやってくれたわ。」

ナルミは人を使っての暗殺の指示を遂行しているが、トモコからの直接の依頼は珍しかった。

トモコ(手駒は大きく削った。ここからどう巻き返すつもりかしら、アルマ?)


???「ふっふっふっ……今こそワシの願いが叶う時が来るのだ……!」


???「フハハハハ!必ずこなしてみせる。それがワシの悲願じゃぞ……!」

 




イチカ「………え?」
次回、ガンダムビルドブレイカーズforWAR
第三十九話「次こそは」
次回も!ガンプラファイト!
レディー!ゴー!


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第三十九話「次こそは」

皆さんお待ちかねぇ!!
作者のワンダレルでございます。
さて前回、ツクヨミ・ミタマ、デンノ・レイカ、オウバ・コハル、アリネ・ヒビキと、湯の森ガンプラ部に盛大なダメージが入りました。
この状況をどう打破するのでしょうか!!
それでは!ガンプラファイト!
レディーゴー!


普段と何一つ変わらない日常。

イチカ「………。」

授業に集中出来ないイチカ。

どこかうわの空なレイカ。

退部届が来て以来、同じ教室に姿を見せないミタマ。

「ではここの解答を電乃さんに答えてもらいます。」

レイカ「あ、はい。」

成績優秀なレイカにしては珍しくちょっとしたミスをしてしまった。

「あら、ここ少し間違えているわよ?」

レイカ「……すみません。」

そんな様子をツルギ、エタ、ヒビキは不安そうに見ていた。

そして今日もまたレイカは部活に来なかった。

イチカ「………。」

好物のブラックサンダーも食べずにイチカはずっと外を見ていた。

ヒビキ「イチカ、食べないの?」

イチカ「……そんな気分じゃない。」

ツルギ「ココ最近そればっかりですね……。」

エタ「いっちゃん、どうする?」

イチカ「どうするもこうするもないよ。」

アキト「でもこのままだとあとが大変だ。」

この一連の騒動で、コマ、ルヤ、カナデも一時的とはいえ離脱していた。

セイラ「……レイカの事?」

イチカ「……うん。家でもずっとあんな感じでさ……。私達が目指して、手に入れようとしたものはなんなんだっけっておもってさ……。」

だが、そんな彼女達にさらなる不幸が訪れる。


アルマ「………さてと、仕事から逃げるのにも苦労するね。」

仕事を放棄し街へと逃げ回っていたアルマ。

アルマ「よし。」

そのままアルマは人混みに紛れ込み、追っ手のノリス達をやり過ごしていた。

アルマ「………おや?」

ふと背中から感じた熱。それが刺され、そのまま斬られた物だと気づいたのは意識が混濁し始めた時だった。

アルマ(バカな……あの一瞬で………この僕に気配を悟られずに近づいていただと………。)

やられた部分は致命傷、アルマはその場で倒れた……。


「はい、問題ありません。この手で確実に……えぇ。当然です。このウェルベスに狩れぬ外道はおりません。」

???「そうかそうか、助かったぞ。これであの男の独裁と洗脳を終わらせられる。」

ウェルベス「独裁などあってはいけませんからね。」


世間を騒がせるアルマ刺傷事件はイチカにさらなるショックを与えた。

そして、意識不明の重体のアルマに変わり新しい市長が立ち上がった。

コウゾウ『私は東雲幸三(シノノメ・コウゾウ)です。今回の事件で倒れたアルマ市長に代わり、私が代人として務めさせてもらいます。今の制度を変え、新たに湯の森を導きましょう。』

テレビでもその事は大きく取り上げられた。

そして……学校にて。

イチカ「え……廃部……?」

それは一番乗りで部室に来ていた湯の森ガンプラ部名誉部長イチカに言われた言葉だった。

シロウ「すまない、俺からも説得はしたんだが……。」

校長「私としても君達のかけがえのない宝であるのは重々承知している……。」

校長もかなり辛そうな顔をしていた。

この湯の森高校の在校生、教職員はほぼ全てがビルダーであり、バトルにも積極的だ。故にこの判断はとても厳しいものだった。

イチカ「……どうしようもないんですね。」

シロウ「だが説得の甲斐があったのか部室とマシンだけは残してくれる事を許してくれたんだ。これも校長先生と教頭先生、そして理事長の勇気のおかげだよ。」

イチカ「……何から何まで……ありがとうございます……。」

泣く泣くイチカは声を出した。

イチカは一人ずつその事実を伝える。

ヒビキ「………は?なんで……?」

エタ「嘘ですよねいっちゃん?……え?嘘じゃない……。そう……。」

アキト「……わかった、もう少し待っててくれ。なんとかできるかもしれないんだ。」

ツルギ「き、きっと何かの間違いです!私が直接……イチカ!なんで止めるんですか!!離してください!!」

セイラ「………思ったより事態は深刻だったみたいだね。」

部室に来てない四人にも電話で伝えた。

コマ「………イチカ、冗談はよしてくれ。そんな事あるわけないだろ?」

ルヤ「……許せねぇ……今からでもぶっ潰しに………いや、すまん、冷静さを欠いてた……。」

コハル「読み通りですね……おおよそこうなることは想定済みでした。……ただ、やられっぱなしなのはつまらないですね。」

カナデ「………そう。ごめんなさいねイチカ。貴方には部長という名目で無理ばかりさせてる。」

イチカ「いいんだよカナデっち。私は大丈夫。」

カナデ「……はぁ、あまりバカにしないでください。貴方の大丈夫は大丈夫じゃないって言うのは私達が一番知ってるんですから。」


イチカは家で泣いた。

大好きなアルマが、ミタマが、レイカが、ガンプラ部という繋がりが不意に壊された。

その事がイチカは辛くてたまらなかった。

イチカ「どうして………。」

今のイチカには泣くことしか出来なかった。

そしてとうとう、レイカが学校に来なくなった。

イチカ「レイカ姉?どこ行くの?」

レイカ「………お姉ちゃん、疲れちゃった。」

イチカ「ちょっとどこ行くの!?理由になってないよ!!」

レイカ「離してイチカ……。」

イチカ「待ってよレイカ姉!」

嫌な予感がしたイチカは思わずレイカの腕を掴んだが……。

レイカ「触らないで!!」

イチカはレイカにぶたれた。

その衝撃は強く、イチカはその場で尻もちを着いた。

イチカ「え………?」

レイカ「………弱いからこうなるのよ。皆……私より弱いから。」

イチカ「レイカ姉、それどういうこと?」

レイカの言葉にイチカの発言に怒気が宿る。

イチカ「まさか自分一人がガンプラ部背負ってたって言いたいわけ!?」

レイカ「ええそうよ!貴方達が不甲斐ないからガンプラ部も無くなったじゃない!!」

イチカ「……レイカ姉、違うよそれは!」

レイカ「何が違うって言うのよ!!私がいなければ何も出来ないくせに!」

イチカ「……ふん、今のレイカ姉なんてただのお荷物だよ。」

レイカ「なんですって?」

そこからはお互いが胸ぐらを掴みあった。

レイカ「どうして私が荷物だって言えるのかしら?」

イチカ「一回負けたくらいでそこまでへこたれてウダウダ文句しか言わないレイカ姉がお荷物以外のなんだって言うの?」

レイカ「私に負けは許されないのよイチカ。」

イチカ「現に何もしてないのはレイカ姉の方じゃん!!私はガンプラ部の為に説得にも参加したのにレイカ姉は何もしてないじゃん!!なにかしたのか言ってみてよ!!」

レイカ「私は…!!」

イチカ「もういい!お姉ちゃんなんか知らない!!そんなに家から出ていきたいならどこにでも行けばいいじゃん!!レイカ姉なんて大っ嫌い!!

イチカは感情のままに泣きながら家を飛び出した。

レイカ「………ごめん、イチカ。でも私ももう限界よ……。」

そしてレイカもまた、その感情を引き摺ったまま電乃商店から消えた。


コウゾウ「………さてと、忌々しいアルマの作った湯の森高校のガンプラ部は廃部にしたものの、完全に終わらせた訳じゃない……。ならばせめてガンプラ部らしく、ガンプラバトルを持って終わらせてあげなければ。次こそは……。」


レイカ「次なんてない……。無いのよイチカ……。」

一人、レイカは公園で蹲っていた。

誰の言葉も響かない。

己の師匠の言葉すらも。

その目は濁っていた。

レイカ「そうよ、私は最強なの……。誰も私に勝てやしない。私が勝たなきゃ………。」

レイカの心は今でもシャイニングゼロのままだった。

心はそう簡単に変わる訳もなく、ただガンプラ部はシャイニングゼロとしての、最強のチームであることを守り抜く為の舞台に過ぎなかった。

レイカ「そうよ、いつだって私は……勝ち続けてきたもの……。」

そうしてレイカは……。

湯の森市内でビルダー狩りを始めた。

現在の所、全勝無敗。

中には五人まとめて相手をして無傷で撃破した。

「な、なんなのよ!アンタ学校にも来ないくせにどうして!!」

レイカ「あは……、どうしてですってぇ??そんなこと簡単よぉ?貴方達が弱すぎるんですものぉ♪」

「ふざけないで!!お前がいなくなってようやく私達だってガンプラバトル出来るようになったのに!!第一になによ!プラモトレースシステムだなんて!!あんなのアンタ向けのチートツールじゃない!正式なコントローラーで戦いなさいよ!」

そう強気な湯の森高校の女子にゼロ距離まで近づく。

レイカ「……貴方、私が負けた時に言ってたわね。ざまぁないって。」

そして真正面から凶悪な圧をかける。

「ひっ………。」

レイカ「今の貴方は私に負けて地面を這いつくばっている愚か者。違うかしら?それにコントローラーを言い訳にしてる時点で貴方は三流じゃない。それを踏まえてもう一度聞くわねぇ?私って……弱いかしら?」

「ば、化け物…。」

ゴッドアストレイは邪悪なオーラを纏っていた。

レイカ「シャイニングゼロは終わってない……私は負けてない……誰も私に勝てるはずがない!!!ふふふ……あはははは!!!」

戦女神の暴走は………終わらない。




イチカ「え?ガンプラ部復帰の可能性があるんですか!!」
ツルギ「そんな……こんなレギュレーション卑怯です!!」
ヒビキ「……僕らをバカにするのも大概にしてほしいな。」
???「戦女神無きガンプラ部に負けるほど我らは落ちぶれてなんていないさ。」
次回
ガンダムビルドブレイカーズforWAR
第四十話「ガンプラ部の誇りをかけて」
それでは次回も!
ガンプラファイト!
レディーゴー!!


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第四十話「ガンプラ部の誇りにかけて」

皆さんお待ちかねぇ!!
作者のワンダレルです。
さて前回、とうとう暴走が始まったレイカと湯の森ガンプラ部の事実上の廃部により、さらに追い詰められることとなりました。
頼りのアルマも大怪我を負い、絶体絶命の危機!
いかにしてこの状況を乗り切るのかが気になるところです!
それでは!
ガンプラファイト!レディーゴー!!


イチカは酷く後悔していた。

あの時、レイカの痛みを知っていたのにあんな事を言ってしまったことを。

イチカ「………ごめんって一言謝れたらいいのに。」

レイカは本当に家出をしてしまった。

そのせいで電乃商店もしばらく営業が厳しいことになってる。

父、母交代で店番と捜索をして無理をさせてる。

そんな中、校長から話を切り出された。

イチカ「本当に……本当にガンプラ部の復帰ができるんですか!!」

「あぁ、新しい市長が特別に用意した三人のガンプラマイスターと戦い、全勝することが条件らしい。」

シロウ「全勝……ということは1対1のタイマンですか?」

「そうなるな。行けるか、我が校の誇るガンプラ部?」

イチカ「も、もちろんです!やらせてください!!」

もちろん快諾した。

理由は明白。レイカや皆の居場所を取り戻すためだ。

しかし、この時湯の森高校の人達は気づいていなかった。


コウゾウ「では、頼むぞ。サイゾウ、ユウダイ、ハヤナ。」

サイゾウ「御意。」

ユウダイ「さっさと片付けちまおうぜ。」

ハヤナ「待ってましたァ♪」

同じ湯の森高校に所属している三人がガンプラ部へと迫り来る。

サイゾウ「……情報を提供しろユウダイ。」

ユウダイ「へいへい、真面目でござんすねぇ。」

ハヤナ「早く教えなさいよ!」

ユウダイ「まぁそうあせんな。少なくともチャンスだね。なんせ……戦女神の零(ヴァルキリー・ゼロ)がいないからな。」

ハヤナ「……は?」

サイゾウ「他には?」

ユウダイ「やっかいな湯の森以外からの女、ツクヨミ・ミタマも不在。やるなら今じゃね?」

ハヤナ「………。」

サイゾウ「ガンプラ部の脅威デンノ・イチカはどうする?」

ユウダイ「問題ない問題ない、コウゾウ先生がなんとかなるってよ。」

ハヤナ「それでいつやるのかしら?」

ユウダイ「短期決戦、三日後だとさ。」

ハヤナ「はぁ!?早すぎるでしょ!!?」

サイゾウ「ならば鍛錬に励むのみ。」

ユウダイ「俺はもーちょい遊んでからにしよっかな。」

ハヤナ「はぁ、ドアホ共が……。」


レイカの噂は聞いている。最強の名をかけて湯の森のあらゆる場所でガンプラビルダー狩りをしていることも。

イチカ「一言謝って、レイカ姉を連れ戻すんだ。」

決意に満ちたイチカの顔は凛々しく、美しかった。

そしてイチカの予想通りに、秒単位の狂いもない時間にレイカは現れた。

当のレイカは少し驚いた顔をした。

イチカ「来ると思ったよ、レイカ姉。」

レイカ「……イチカ……。」

この時のレイカは少し寂しげな顔を一瞬したが、元の狂気的な目に戻った。

レイカ「私の事嫌いじゃなかったっけ?」

イチカ「……ごめん。あの時は言いすぎた。」

レイカ「そう……やっぱり優しいわねイチカは。ごめんね、私も言いすぎたわ。」

イチカ「なら一緒にガンプラ部に戻ろう?レイカ姉の事みんな待ってるよ?」

レイカ「……ごめんねイチカ。私がいるべき場所は……ガンプラ部(そこ)じゃないのよ。」

イチカ「………わかった。ルールはシンプル、ガンプラデュエルでいいよね?」

簡易プラモトレースシステムをイチカが取り付ける。

レイカ「……ガンプラデュエル。無理してでも連れ帰るつもり?」

レイカもそれに呼応し、プラモトレースシステムを取り付けた。

イチカ「レイカ姉のガンプラをへし折ってでも連れて帰る!!」

レイカ「湯の森最強(わたし)をそう簡単に倒せると思わない事ねイチカ!!」

『ARフィールド展開、ルールを守って楽しくデュエルを。』

フィールドはネオ・ホンコンシティ。

Zガンダムの舞台であるホンコンシティとGガンダムのネオホンコンを組み合わせたフィールド。

Gガンダムらしくビームリングもしっかりと用意されており、Zガンダム、Gガンダムそれぞれのファンに対するサービスも多い。

『GunPura Duel Get Redy?』

イチカ・レイカ「「ガンプラファイト!レディーゴー!!」」

先にしかけたのはイチカだった。

ダブルオーザクがピストルビットIIを乱射し牽制する。

しかし、ゴッドアストレイの掌にあるヤタノカガミで反射される。

レイカ「あら、私にビームが通じるとでも?」

イチカ「大丈夫、全部読み通り!」

ダブルオーザクがGNアロンダイトを手に突貫する。

レイカ「そうこなくっちゃ。」

ゴッドアストレイもトツカノツルギを引き抜き突っ込む。

そこからは激しい音を響かせながらのラッシュとなった。

大振りであるが威力の高い二刀流のGNアロンダイト。

それに対するトツカノツルギは細身で取り回しがよく効く。

しかし、その双方の利点を最大限に活かし、拮抗状態へと持ち込んでいた。

イチカ「レイカ姉!居場所はないって言ってたけど、ちゃんとあるじゃん!!」

レイカ「いいえ、イチカ。私の居場所はシャイニングゼロよ!今も、二人の為に私は最強であり続けるの!」

イチカ「そんな最強、私の手で終わらせてやる!!」

二人の得物が大きく弾け、よろめいた。

ゴッドアストレイは瞬時に蹴りを放つも、ダブルオーザクのシールドで防がれる。

レイカ「ザクIIのシールド!?」

これはさすがに予想外だったようだ。

イチカ「ふっふん、ちゃんと合わせれるように調整してるもん……ね!!!」

ダブルオーザクが逆に蹴りを入れた。

その様はファーストガンダムのシャア専用ザクとガンダムのあの名シーンを想像させる。


「す、すごい!この戦い凄いよ!!」

通りすがりの湯の森の動画投稿者がその様子を配信していた。

湯の森最強の矛と湯の森において絶壁(ぜっぺき)の異名を持つ湯の森における最高防御力を誇る盾との攻防だ。

盛り上がらないわけが無い。

元々、デンノ・レイカの事件を知り追いかけていただけだが、まさかこんな事態になるとは彼女にとって想定外だった。

「歴史的瞬間だよこれは!!みんな!!是非見てくれ!!」

この行動が湯の森ガンプラ部のメンバーの目に止まるのは言うまでもなかった。


そして、ゴッドアストレイのトツカノツルギが襲いかかるが

イチカ「無駄だよレイカ姉!」

ダブルオーザクの絶壁を超えるものでは無かった。

レイカ「相変わらず硬いわね……イチカ!!」

ゴッドアストレイはその答えとして、展開しているGNフィールドを掴み、そのままこじ開けていく。

イチカ「クリエイティブで企画外なとこ、お互い様……じゃん!!!」

こじ開けるのを見越していたイチカはそのままザクアームバルカンを叩き込む。

牽制されたゴッドアストレイが被弾を抑える為、後ろに飛ぶ。

イチカ「そこ!!」

すかさずイチカはGNザクバズーカを撃ち込む。

レイカ「安易な物理射撃ね。」

ゴッドアストレイがバズーカの弾を掴んだ。

レイカ「お・か・え・しッ!!!」

そして、その弾頭をダブルオーザク目掛けて投げつけた。

イチカ「ちょいちょいちょい!!!」

あまりに規格外な攻撃に思わず避けてしまった。

その時、イチカはそれが悪手であることに気づいた。

目の前にゴッドアストレイ、この距離は危険地帯だ。

トツカノツルギのラッシュが始まる。

GNフィールド、ホルスタービットによるガードで防ぐので手一杯だ。

防御に集中、さもなければ穴だらけにされるのは明白だ。

だが、それはレイカも同じだった。

イチカ(クッソ……攻めが強すぎて防御で手一杯だ!)

レイカ(困ったな、これだけガードが硬いのはレイトのコアガンダムαやプラネッツナイト以来ね。この私が攻めあぐねてるのはイチカが成長した証ってところかしら。)

だが見誤っていたのはレイカの方だった。

レイカ「!!」

咄嗟にゴッドアストレイを宙返りさせ回避した。

ゴッドアストレイの居た場所をホルスタービット六基によるビームが貫いていたからだ。

いくらヤタノカガミを掌に搭載してるとはいえ、本体への影響は微弱なもの。

六基の一点集中砲火を受ければタダでは済まない。

レイカ「やるじゃない♪」

イチカ「ちっ、あれも避けるのか……。」

レイカ「でもダメね、私に同じ手は通じない!!!」

ゴッドアストレイが構え、秘技を放つ。

レイカ「秘技・十二王方牌大車併!!」

小型ゴッドアストレイの分身が現れる。

イチカ「めんどいのが!」

ダブルオーザクが瞬時にホルスタービットからライフルビット、ピストルビットを射出する。

事実上のオールレンジ攻撃の応酬の中、接近戦が繰り広げられる。

GNアロンダイトとGNヒートホークの二つを取り、ゴッドアストレイへと向かう。

対してゴッドアストレイもトツカノツルギを持って迎え撃つ。


配信で流れる激しい攻防はトップレベル。

既にイチカもレイカも、トップファイターやチャンプに挑めるレベルの強さへと昇華していた。

故に誰も止められない。

湯の森高校の生徒すらも呟く。

「こんな化け物達に勝てるわけないじゃん……。」

誰しもがそう呟いた。

その中でもやはり、プラモトレースシステムに関しての苦言も多く見られた。

当然だ、従来のコントローラーの方が扱いやすいはずだ。

しかし、彼女達はプラモトレースシステムという人体の動きをトレースさせるものを使用している。

異端なものは排除しようとする心情心理が働いて、苦言も多くなるのも必然だった。


イチカ「やぁッ!!!」

GNヒートホークの一撃がゴッドアストレイの頭部をえぐる。

この時イチカは初めて気づいた。

イチカ(…!金色じゃない!?)

いつも黄金に輝いてるはずのゴッドアストレイがゴールドフレームのように関節以外の部分が黒くなっていたのだ。

レイカ「あら、今気づいたの?」

そう、レイカは……いや、イチカが錯覚していた。

レイカ「私はまだ……本気じゃない。」

ゴッドアストレイが従来の金色の姿になる。

流石のイチカもこれには驚いた。

いつも見ている金色の姿は、レイカが手加減なく本気で戦っている証拠だったのだ。

つまり今、金色になったということは……。

イチカ「実力を隠してた!?」

レイカ「そうよぉ。ビルダー狩りのおかげでたぁーくさん強くなれたもの♪」

ダブルオーザクが距離を取ろうとした瞬間だった。

イチカ「うっ!!?」

急激に出力が落ちた。

その証拠は、マガノシラホコが太陽炉に突き刺さっていたのだ。

動力炉に直接的なダメージは一時的とは機動力が落ちる。

しかし、ゴッドアストレイとレイカが相手ならそれが致命傷にもなる。

瞬時に近づかれ、拳を叩き込まれる。

ダブルオーザクの損傷が大きくなってくるのを見てGNアロンダイトを振り回すも、当たらない。

イチカ(まずい、今ので太陽炉一個イカれた……!)

レイカ「さぁ、フィナーレよ♪」

高速移動からの斬撃。それにより、ホルスタービットの接続部をピンポイントで斬られた。

レイカ「トドメよ!!アァァセナル!!フィンガァァッ!!」

イチカ「……待ってた。きっとそうするって。」

ダブルオーザクの残った太陽炉出力を右腕に全て回した。

部分的トランザクをこの場で披露した。

レイカ「!」

イチカ「ジオニック!!フィンガァァッ!!」

決死の一撃。フィンガー技がぶつかり合う。

イチカ「絶対にぶっ倒す!!!」

覚悟を決めたイチカの出力が上がる。

その瞬間、ダブルオーザクの右腕が隠し武器のアームバルカンごと破壊された。

イチカ「………あ。」

レイカは瞬時に左腕のアーセナルフィンガーを叩き込んだのだ。

残った左腕にGNヒートホークを握り振るうも、それすらもGNヒートホークごと砕かれた。

そして、残った足もトツカノツルギで叩き斬られた。

イチカ「そ、そんな……。」

レイカ「遠く及ばない。レイトやヒカルと比べたらみんな弱い……。」

イチカ「怒りに身を任せて、私みたいに振舞ってどうするの!!」

レイカ「怒り……違うわイチカ。私は……ただ寂しいだけよ。」

イチカ「レイカ姉……!!」

ゴッドアストレイはマガノイクタチでダブルオーザクを挟み、エネルギーを完全の落とした。

イチカ「動け!!動いて!!ダブルオーザク!!お願い!!」

イチカの願いは届かない。そして、レイカの絶対的な壁にも……届かない

レイカ「せめて、最高の一撃で終わらせてあげる。天地壊牢………アァァセナル!!フィンガァァァァッ!!!」

必殺の一撃。レイカが無意識に手加減して決してやらなかった禁じ手。

マガノイクタチによる拘束、システムダウンを突いた必殺の構え。

捉えられれば誰も逃れられない。

その掌はダブルオーザクの胴を貫いた。

レイカ「ヒートエンド……。」

そう悲しげに呟くレイカのゴッドアストレイの声に、四肢を失ったダブルオーザクが地面に落ちる。

……しかし、目は死んでない。

イチカ「くらえ!!レイカ姉!!」

レイカ「!!」

ゴッドアストレイの頭部アンテナ付近にビームが走りゴッドアストレイの片目が削れた。

多少の痛みを共有してるため、レイカは冷静に左目を抑える。

そして、バトルエンドのコールが流れた。

レイカ「………強くなったのねイチカ。」

イチカ「……絶対連れ戻す。覚悟しておいて。」

イチカはその言葉を残してダブルオーザクの破片を拾い始めた。

レイカもその場を去ろうとした時、ヒビキが現れた。

ヒビキ「レイカさん……アンタ一体何がしたいんです!!」

レイカ「何?プラネッツナイトやコアガンダムα無しに私に挑む気?」

ヒビキ「……そんなに落ちぶれて……。見損ないましたよレイカさん。貴方はそんな人じゃなかったはずだ!!」

レイカ「……いいのよそれで。……ヒビキ君、イチカを頼むわ。」

レイカのその目は優しさがあった。

そして、ヒビキはそんなレイカの背中を見送るしか無かった。

イチカ「……ごめん、ヒビキ。レイカ姉、引き止めれなかった。」

パーツを拾い終えたイチカがヒビキに呟く。

ヒビキ「いいんだイチカ。イチカはよく頑張ったんだ。」

イチカ「ごめん……」

その場で崩れ落ちたイチカがヒビキにすがるように泣いた。


そして二日後。

ヒビキ「な、なんだって!!?」

事前にイチカに言われていたGBNガンプラバトルのルールが公開されたが、そこには

「デンノ・イチカの参加が絶対条件」と書かれていた。

ヒビキ「……もしかして!?」

ツルギ「あの時レイカさんとイチカが戦うのを見越していたってことですか!!?」

エタ「……腐れ外道が……!!」

イチカ「あはは……ごめん皆、私の勝手な行動で…。」

カナデ「こうなればもうどうしようも無いですね……。」

棄権せざるを得ない。誰もがそう感じた時だった。

???「失礼するわよ元ガンプラ部。」

突然入ってきた生徒。

服装を見るに違うクラスだが……。

カナデ「あら、ハヤナさん。どうしてここに?」

どうやら同じクラスのカナデが知っているみたいだ。

ハヤナ「アンタらと戦うのはアタシだから来たのよ。」

エタ「………事前のルール説明無しに不戦勝しようとしたくせにどの面下げてここに来たんですか?」

ハヤナ「落ち着きなさいよ。アタシは不戦勝なんかしたくないの。だから交渉に来たわけ。」

ツルギ「というと……?」

ハヤナ「デンノイチカの代わりを出しなさい。それでバトルは成立させる。うちのリーダーに話は通してあるわ。」

ヒビキ「信じ難いな、どうして自分の有利を押し退けてまで……。」

ハヤナ「……ヴァルキリーゼロと決着をつけるためよ。勘違いしないで。それじゃ。」

ツルギ「あ、嵐のような人でしたね……。」

イチカ「ハヤナ……レイカ姉と関係ある………うーん?」

この戦いの行く末はまだ分からないものだ。


コウゾウ「サイゾウ、どういうことだ。プラン通りなら不戦勝になったはずだぞ?」

サイゾウ「生憎ですが、我々もまたガンプラマイスター。不戦勝による勝利ほどつまらぬものはありません。」

ユウダイ「まぁ不真面目ちゃんな俺からすれば不戦勝でもよかったんだけどねぇ。」

ハヤナ「というわけです。戦いの準備は任せてください。」

サイゾウ「ヴァルキリーゼロの無きガンプラ部に勝機はありません。」

コウゾウ「いいだろう、釜井組との縁もある。やるからには勝て。いいな?」

サイゾウ「御意。」

ユウダイ「はいよー。」

ハヤナ「了解しました。」




イチカ「あ!!思い出した!!」
ツルギ「あの機体って!!」
ハヤナ「さぁ、楽しいパーティーでも始めましょうか!」
サイゾウ「推して参る。」
エタ「忍みたいですね。」
ユウダイ「よろしくね、お嬢ちゃん。」
カナデ「気安くお嬢ちゃんなど呼ばないでください消しますよ?」
次回
ガンダムビルドブレイカーズforWAR
第四十一話「存続をかけた決闘前編」
それでは次回も!
ガンプラファイト!レディーゴー!!


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