コードギアス 撃滅のアイベシ (偽馬鹿)
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馬鹿来襲

急にコードギアス熱が溢れたので書いた。


「よし、風向きは良好、行くぞ!」

 

季節は春。

なんか知らないけれど飛べそうな予感がしたので、ハングライダーを準備しました。

周囲には子供たち。

私の挑戦をはらはらしながら見ている様子。

 

「と、飛べるの?」

「わからん!」

 

やってみなくてはわからない。

私が地面を蹴り、加速した。

 

 

 

『駄目です』

 

 

 

しかし、悲しいかな飛行は止められた。

実の姉であった。

首に綺麗に腕がはまり込み、抜け出せない。

綺麗なチョークスリーパーホールドである。

 

「ぐえー」

『子供たちが真似したらどうするんです!』

 

多分しない。

分からないけど。

 

とりあえず呼吸が止まりそうなのでタップ。

すぐにほどいてくれて助かった。

 

 

 

「また誰かと喋ってる……」

「こわ……」

 

子供たちが震えている。

しかし、この姉は実在するのである。

私の脳内に。

 

実際、記憶に存在しないであろう言語で喋り、行動し、私のことを窘める存在が、想像の産物であるはずがない。

多分。

分からないけど。

 

「おやめください」

 

更にメイドにも叱られた。

仕方ない。

今日は勘弁してやろう。

 

「リヴァーサお兄様!」

「なんだいルルーシュ! お前も空を飛びたいのか!」

「嫌です」

 

釣れない奴である。

とはいえ何か聞きたいことがあるのだろう。

とりあえず聞いてあげることにした。

 

「……お兄様はどうして変なんですか?」

「ルルーシュ。ほぼ初対面の私にそのセリフは傷つく」

「事実じゃないですか」

 

悲しい現実であった。

しかし、思考までは読めないだろうルルーシュ。

その現実を否定するのは自由なのだ。

 

『いや意味ないでしょ』

 

脳内姉に否定される。

悲しいことだ。

 

「ところでどうしてそんなことを聞くんだ?」

「普通の教育を受けてその性格は最初から人格が歪んでいるとしか思えないからです」

「こいつ本当に子供か?」

 

辛辣なセリフだった。

脳内姉が頷いているように感じた。

 

「これはなルルーシュ、アニメという奴の影響だ」

「アニメ」

「面白いぞ」

「絶対見ません」

 

酷い話である。

しかしアニメは面白い。

ニホンジンもいい物を作る。

いつか語り合えたらいいなと思った。

分からないけど。

 

「とにかく、私はこれから戦場に行くらしい」

「戦場……」

「ああ。だから楽しいことは今の内にやっておきたいのだ」

 

よく分からないが、きっと酷いことになるんだろう。

だから色々やっておきたい。

子供たちにも色々教えてあげたい。

全部否定されたが。

脳内姉に。

 

「安心してほしい。私は死なない」

「殺しても死にそうにない」

「凄いこと言うな!」

『概ね同意』

 

酷いことを言う面々である。

 

しかし、戦場はどんな場所なんだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

7年くらいが経過した。

私も割と大人になり、自由な生活を謳歌していた。

 

 

 

「ヒャッハー! レジスタンスのお通りだぜぇ!」

 

 

 

レジスタンス、モヒカン同盟として!!!!!

 

 

 

『頭が痛い……』

 

 



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馬鹿調査

勢いで書いたのでギャグです。


というわけでレジスタンスとして活動するにあたって装備の紹介だ!

火炎放射!

以上だ!

 

 

 

「……ブッパッコー」

「ははは、なんだい戦友!」

「お前ナイトメアフレームに乗らないのか?」

「必要ないからな!」

 

潜入作戦では不要。

戦闘でも火炎放射で一発である。

ナイトメアフレームなぞ恐るるに足らず。

指先ひとつで撃墜だ。

火炎放射だけど。

 

『何言ってもこれよ……』

「はははは!」

 

脳内姉はため息をついているようだった。

ちなみにブッパッコーとは私が考えた偽名である。

みんな偽名だと分かっているだろうが、私はそれ以上話さないのでこの名前を使っている。

ちなみに本名は、リヴァーサ・アイベシ・ブリタニアである。

 

「まあ、お前が乗るよりも他の連中が乗った方が戦力上がるからな……」

 

戦友もそう言っているので、私は好きに火炎放射を使っているのだった。

 

 

 

『けれど、それにも限界があるでしょう?』

「……」

 

限界を決めるのは自分じゃない、とはよく言うが。

まさか脳内姉に言われることになるとは思わなかった。

 

しかし。

確かにそうだ。

火炎放射だけではインパクトに欠ける。

流石に新しい流行を取り入れる必要があるだろう。

 

『いや、そうじゃなくて……』

「そうだ! ロケットランチャーを仕入れよう!」

「ナイトメアフレームに通用しないからな!?」

 

悲しい話である。

 

とはいえこちらにも切り札はあるのだが。

 

『使っちゃだめだからね』

「はいはい」

 

禁止令が出た。

というか出ていたのだった。

仕方ないのだが。

 

 

 

「……?」

 

急に辺りが騒がしくなってきた。

銃声だ。

誰かが攻めてきたようだ。

 

「外に出るなよ」

「あ、おいブッパッコー!」

 

危険な香りがする。

戦友をその場に置き去りにして、外に出る。

 

「……」

 

虐殺だった。

周囲にいた日本人は殺されていた。

 

「ここにはいないようだ」

「次を探せ」

 

ここはシンジュクゲットー。

何か悪いことをしたという情報はない。

だがしかし、何かがあったようだ。

 

兵士が2人。

2対1では流石に情報を聞き出すことすらできないだろう。

 

 

 

「やあ」

「!?」

 

というわけで奇襲だ。

片方の兵士の頭を掴んで地面に叩きつけて倒す。

合気道の応用だ。

 

『いや、そんな合気道はない』

「気のせいだ」

 

そして、残ったもう1人に向けて火炎放射器をつきつける。

相手が両手を上げるのを待つ。

少ししたところで両手を上げたので、そのまま話を聞くことにした。

 

「YOUは何しにここに?」

「ゆ……え?」

「ファイアー?」

「ヒッ!?」

「答えて」

「て、テロリストが潜伏しているという情報を受けて探しに来ました!」

 

なるほど。

しかし、少なくとも私たちのことではない。

今日はまだ活動していないからだ。

 

「OK!」

 

ズドン。

兵士は私の放ったボディーブローを受けて倒れた。

とりあえず逃げた方が良さそうだ。

 

 

 

「戦友! 逃げるぞ!」

「ああ!」

 

戦友はこちらの意図が分かるようだ。

話が早くて助かる。

 

「ヒャッハー!」

 

火炎放射をぶん回しながら、立ち回る私。

周囲を探索していたであろう兵士が火炎に焼かれて逃げていく。

 

「くっ……モヒカン同盟か!?」

「ええい、面倒臭い時に!」

 

火炎放射は牽制だ。

とりあえず燃えるのでみんな逃げる。

怪我もほぼやけどで済むだろう。

装備によっては無傷だ。

だが、視覚による影響力は馬鹿にならないのだった。

 

ちなみに私たちモヒカン同盟は結構な知名度である。

私は顔を隠しているが、モヒカンのかつらをかぶっていて分かりやすい。

そして戦友は日本人だ。

大体分かってもらえるだろう。

 

「モヒカン同盟……」

「どうした戦友! さっさと逃げるぞ!」

「もっとまともな名前が良かったなぁ……!」

 

さもありなん。

 

 

 

戦闘区域を突破すると、何故か停戦命令が聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「おかえりなさいませ、ご主人様☆」

 

 

家に帰ると、私のメイドが出迎えに来てくれた。

男である。

そこらの女よりも可愛らしいが。

そして何故かメイド服である。

男なのだが。

まあ可愛らしい。

 

明石ろくろがこの子の名前らしい。

あかしろくろ……多分間違いなく偽名だが、まあ私も似たようなものだ。

特に問題はない。

 

灰色っぽい髪をツインテールにしている。

可愛らしい顔立ちで、いつもにこにこ笑っている。

 

「あ☆ ツッキーも御一緒だったんですね☆」

「月宮って呼んで」

「はーいツッキー☆」

「……」

 

こいつは話を聞かないからな……。

 

月宮ナキが私の戦友の名前。

右目をいつも隠しているが、ただちょっとした傷を隠しているだけのようだ。

黒髪長髪きりっとした顔立ち。

ヤマトナデシコとでも言うべきだろうか。

ちょっと表情は硬いが。

 

 

 

「ご主人様、今日も朝帰りですね☆ きゃっ大胆☆」

「今日は2人きりでランデブーだったんだ」

「きゃー☆」

 

軽いノリで付き合ってくれるろくろ。

これこれ、こういうのでいいんだよ。

横のナキの顔が鬼神に見えるが、まあ些細なことである。

 

「ところで聞きたいことがあるんだけど」

「はい☆ ツッキーのスリーサイズから隣の家の暗証番号まで何でもお聞きください☆」

「……こいつは消した方がいいのでは?」

「きゃーこわーい☆」

 

実際怖い。

だがろくろの情報収集能力は一流だ。

いや、なんというか異常。

とある人物の行方を調べてもらうと何と1日で所在地まで分かってしまったのである。

ちょっと怖いね。

 

「ブッパッコー……」

「ご主人様のことはご主人様って呼ぶべきですよ☆」

「……聞き流すとして。何を聞くつもり?」

 

まあ焦らないでほしい。

とりあえず、今聞きたいことはひとつだった。

 

 

 

 

「ルルーシュ・ランペルージの素性だ」

「はーい☆」

 

 

 

 

 

何かをしようとしているらしい、我が弟のそっくりさんのことである。

 

 



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馬鹿暴露

基本ギャグパートで進んでいきます。


「ルルーシュさんって、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアさんですね☆ どうして知ってるんですか☆」

「実は私もブリタニア王族なんだ」

「きゃー☆ 冗談は名前だけにしてくださいねー☆」

 

ひどい言われようである。

 

まあともかく。

どうやらルルーシュ、まだ生きているらしい。

というか学校に通っているようだ。

灯台デモクラシーという奴か。

 

「灯台下暗し」

「そうとも言う」

 

どうやら、運はこちらに味方しているようだ。

多分。

 

 

 

「というわけで、転入生の紹介です」

「はーい☆ 明石ろくろでーす☆ ろくろちゃんって呼んでね☆」

「……………月宮ナキ、です」

 

アッシュフォード学園での一コマである。

 

 

 

「そして久し振り、ルルーシュ!」

「……………???」

「その反応は予想外だな!」

 

悲報:私、忘れられていた。

久しぶりの再会だというのにご覧のありさまである。

 

「私だよ私! リヴァーサだよ!」

「?」

「リヴァーサ・アイベシ・ブリタニアですー! 完全に忘れられてたら言わないわけにはいかないですー!」

 

学園長に土下座して頼み込んで教員にしてもらいました、ブッパッコーです☆

よろしくね☆

してからのこれである。

 

 

 

「…………………ああ、あの馬鹿か」

「思い出してくれたか!」

「今のセリフに対してその反応か!」

 

 

 

嬉しい限りである。

 

 

 

「……で、ブリタニアの英雄だったお兄様がどうしてこんなところに?」

「え? そんな扱いなの私」

「一騎当千の活躍だったそうじゃないですか」

「……まあな!」

 

記憶にないけど、そうなんだろう。

いや本当に記憶にないんだが。

 

「記憶にないけど、まあいいだろ!」

「雑だな本当にこの人!」

「褒めるなよ照れる」

 

まあとにかく。

今の私の立場を喋っていいのだろうか?

どうだろう……?

分からない。

 

分からないから適当に誤魔化そう。

 

「実は密命中なんだ」

「……誰のだ」

「秘密☆」

 

当然だが大嘘である。

誰かの命令を受けているわけではない。

というか私に命令できるような人間、殆どいないしね。

パパンくらいでは?

 

……まあいいか!

 

「とりあえず、お話は以上です」

「……」

「今日からよろしくね!!!!」

 

何だか凄い睨まれているような気もするが、気のせいだろう。

多分。

 

 

 

そういえば。

最近脳内姉の声を聴かないな。

 

まあいいか。

 

 

 

 

 

 

「お。なんだこのニュース」

 

何気なく見ていたニュースであるが、何やら処刑とかなんとか言っていたところから別の登場人物が出てきた。

黒いマントを羽織った謎の男らしき奴。

じっと見ていると、何やら違和感が。

 

そうだ、違和感がある。

まるでこの世界とはズレているかのようなそれ。

まさか、こいつは……。

 

 

 

 

「あ、ルルーシュじゃんこの声」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゼロ……一体何者なんでしょう……?」

 

ナナリーが言う。

む、それは予想外だ。

まさかナナリーが気付いていないとは思わなかった。

 

「ん? そりゃあルルーシュでしょ」

「え?」

「変声機で声変えてるけど、息遣いとかで分かる。あれはルルーシュだ」

「―――――」

 

驚愕に染まるナナリーの顔。

いやまあ、顔を隠してあんなことをする理由はあるのだろう。

私には分からないが。

 

 

 

というわけで、本人に聞いてみることにした。

 

 

 

「ルルーシュは何でゼロやってるの?」

「ぶふー!?」

 

 

 

ルルーシュ、紅茶を吹き出す。

綺麗な虹を私の方に放射するというミラクルも見せる。

 

場所はルルーシュが暮らしている所。

生徒会の役員事務所的なところだったか。

ちなみにナナリーも一緒である。

 

「な、なンの話でしょうかお兄様???」

「いやだって仕方ないじゃん。分かるよあれくらいの変装だと」

「ナナリー! これは冗談! 冗談だから!」

「昨日色々と聞かされて納得してしまったので、それ以上の説明を求めます!」

「うぐぐぐぐ!」

「お兄様がスザクさんと朝帰りしたという話も聞きました!」

「ちょっと待とうか」

 

テーブルの下からキックの来襲。

痛い痛い。

 

 

 

「ところでルルーシュ」

「何だ!」

「この人誰?」

「ん? 私か?」

 

そして横で黙々と折り紙をしていた少女が漸く話に入ってきた。

可愛い子だね。

ルルーシュの彼女さんかな?

 

「もっとややこしくなった!」

「私は気にしないぞ。英雄は男色を好むことも多々ある」

「違う!」

「そ、それでもお兄様はお兄様ですし……」

「ナナリーいいいいいい!?」

 

 

 

「―――――で、何がどうなっているんだ?」

「では、私から説明しますね」

「ナナリーが!?」

 

お菓子を食べながらナナリーの話を聞く。

いやね、本当は私が話そうと思ったんだけど、何か駄目だしを喰らったので。

 

ナナリー、私とニュースを聞く。

私、即座にルルーシュと見破る。

そこにルルーシュの彼女さんが現れる。

おもてなし。

ルルーシュ帰宅。

 

そしてナナリーが個人的な考えをルルーシュにぶつけている。

そのやり方は間違っているのではないか。

もしかしたら他のやり方もあるのではないか。

お兄様が頼ってくれなくて悲しい。

なので私、家出します!

 

「え?」

「え?」

「え?」

「ふむ」

 

ということなので。

 

 

 

「はぁい☆ ろくろ、頑張っちゃいます☆」

「ナナリーいいいいいいい!?」

 

 

 

ナナリー、夜空に消える!

 

 

 

 



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馬鹿披露

ノリと勢いに任せて書いているので、正直統合性が取れているか不明です。
あと主人公は馬鹿です。


「ああ……ナナリー……」

「ねぇ……ルルは大丈夫なの?」

「ふふ☆ 恋する乙女としては心配ですか☆」

「もうっ! そんなんじゃないからっ!」

 

ナナリー家出作戦の協力者、シャーリーがぼやく。

いやまあ、仕方がない。

これほどルルーシュが動揺するとは思わなかったのだろう。

 

ちなみに介護戦力はろくろだ。

やたらと器用だなこいつ。

 

とはいえこれも作戦の内。

ルルーシュが起こそうとしていることを突き崩すのだ。

というわけで。

 

 

 

「黙々と作業しているであろうルルーシュの部屋にドーン!」

「やめろぉ!」

 

 

 

ドアを蹴破って入ると、顔面に何やら黒い物体が。

それを顔面レシーブすると、地面に落ちる前に猫の頭にすぽっとハマる。

そして、そのまま駆けていく猫。

 

「あああああああ!?」

「なんだ、面白そうな悲鳴を上げて」

 

逃げていく猫を追いかけるルルーシュ。

そしてその後ろで寝っ転がりながらピザを食べていたであろうC.C.さん。

そしておまけのろくろちゃん。

 

「なんか仮面が飛び出していきましたね☆」

「なんだそれは。面白そうじゃないか」

「ですよねー☆」

 

どたばたパーティの開始であった。

 

 

 

走る猫!

駆ける学生たち!

そして響くナナリーの可愛い猫の鳴き真似。

ルルーシュが崩れ落ちる。

 

 

 

という感じで見事猫を回収したスザク君がナナリーのキッスを受けとって終了。

ナナリー命のルルーシュが鬼の形相を浮かべているがスルー。

ふいっとルルーシュから顔を背けるナナリーちゃん可愛いわね。

 

「ナナリー成分が不足している……!」

「何だその成分は……ピザ、食べるか?」

「食べない!」

 

 

 

「そういえばご主人様☆ いつまでこんな茶番を続けるんです☆」

「ん?」

 

お茶会の後の話。

ろくろが不意にこう尋ねてきた。

茶番とかなんとか。

 

いやまあ、私も色々と考えているわけですよ。

それがろくろにもわからない高等な理由があってのことである。

 

「ふふ☆ だって今からでも殺しに行こうと思ってるじゃないですか☆ 皇帝を☆」

「―――――」

「顔に出てますよ☆」

 

そんなことがあるだろうか。

適当に顔を触ってみると、更にろくろは笑い出した。

 

「嘘です☆」

 

私は騙されたようだ。

悔しいところであるが。

まあ許す。

別に生死がかかっているわけでもなし。

 

「……姉が言っていた」

「……」

「世界はもっと優しくあるべきだと」

「そうですか☆」

 

そう、その思想に感銘を受けた。

ならば、その思想を実現しよう。

この私が、全てを持って。

 

 

 

 

 

 

「―――――私が天に立つ」

 

 

 

 

 

 

 

「そ、そうですか☆」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「む」

「C.C.ちゃんどうしました☆」

「ああいや。ルルーシュが危ない目に遭ってるらしくてな」

 

超能力だろうか。

何故か遠くにいるはずのルルーシュの様子が分かるらしい。

 

「ふっ……任せろ」

 

ならば私の出番だろう。

何故なら私は兄だから。

ついでに恩を売るチャンスだ。

 

「ろくろ! ヘリの準備だ!」

「きゃー☆ 時代遅れも甚だしい兵器で戦場に赴く無謀さ☆ ろくろ幻滅です☆」

 

しかし準備は完了しているろくろ。

既に庭先にはヘリが置いてある。

グレートだ。

 

「さあ、いざ行かん!」

「行ってらっしゃいませー☆」

「ナキにも連絡を入れておいたから現地合流なー!」

「ご主人様はきっと修学旅行とかと勘違いしてますね☆」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふはははは!」

 

白い仮面を被り遥か上空から飛び降りる。

着地は問題ない。

反重力発生装置だ。

 

サザーランドが動揺している。

それはそうだろう。

単身で所属不明の人物が遥か上空から落下してくればそうなる。

 

 

 

「ははは! ファイヤー!!!」

 

というわけで焼く。

よくわからない機械における限界許容量を突破しているらしい度数の火炎をばら撒き、コックピットを焼く。

 

「うわああああ!?」

「熱! 熱い!?」

 

阿鼻叫喚。

その隙にサザーランドの足の間をすり抜け、走り出す。

火炎放射は切ってある。

あまり連射はできないのであった。

 

「よいしょ!」

 

くいっと回転しながらコックピットから逃げ出そうとしている男を引っ張り出し、座る。

奪取成功である。

 

そのまま銃弾をばら撒いたところで離脱。

即座に何体かのサザーランドが寄ってくる。

 

しかし遅い。

私はもうサザーランドを降りている。

自動操縦で動くだけのただの棺桶を追いかけるのご苦労様である。

 

 

 

直後に背後で爆発。

そう、あのサザーランドには超威力の爆弾が仕込んであったのだ。

戦場は混乱の渦だろう。

 

さて。

逃げ出そう。

高所に陣取った私はそのまま落下。

地下の通路へと転進したのだった。

 

 

 

 

 

「無事だったかルルーシュ!」

「ああ。貴様に綺麗に焼かれたがな!!」

「あるぇー?」

 

 

 

 

 

 



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馬鹿戦闘

そういえばサソリ型のKMFとかあるらしいですね。


「とりあえず、そろそろナキがこちらに来るはずなんだが」

「……何者なんです?」

 

地下通路を進む私達。

なんてことはない話をしながらも、ナキがいるであろうポイントに辿り着く。

 

「ああ、私の仲間だ。モヒカン同盟のな」

「モヒ……え?」

 

言葉を失うルルーシュ。

そうだろうそうだろう。

それだけモヒカン同盟は有名なのだ。

 

「あの命知らず集団、まだ生き残っていたのか」

「そんな扱いなのか」

「生身でサザーランドを撃破した集団はお前たちが初めてだよ!」

 

そんな馬鹿な。

コックピットを抑えれば一瞬で制圧できるではないか。

何故そうしない。

 

「できないからだ!」

「そうなのか」

「くそっ! 馬鹿が頭の組織は手足まで馬鹿なのか!?」

 

失礼な話である。

 

暫くして。

目前に灰色の機体が見えてきた。

巨大な銃。

巨大な剣。

巨大な両腕。

それらがそれぞれ二対ずつ。

 

「これが我らの主戦力のナイトメアフレーム、北斗だ」

「北斗……」

「ちなみに製作費は私のポケットマネーから捻出した」

 

大半が消し飛んだらしい。

とはいえ、これは私たちの最高傑作である。

その辺の人間には使わせられないものだ。

 

「ナキ、挨拶を」

 

呼びかけると、即座にコックピットから飛び降りるナキ。

綺麗な着地である。

私とは大違いだ。

 

「ゼロ、でしたか。私達の主をお守りいただき、感謝しています」

「………………………………………………ああ」

「かなり長い葛藤があったな」

 

まあ流そう。

とにかく、今は逃げるのが先決だ。

 

「私が先導します」

「頼むぞ」

「……いい加減、本名くらい教えていただきたいものですが」

 

まあそれはおいおいね。

 

「モヒカン同盟……構成員は何人になるんだ?」

 

ルルーシュが聞く。

それはそうだ。

気になるだろう。

これだけのナイトメアフレームを持っているのだ。

巨大な勢力かもしれないと思えるだろう。

 

「10人だ」

「……は?」

「その内戦闘員は3人」

 

私と、ナキと、もう1人だけだ。

実のところ、ろくろは構成員ではないのであった。

『あ、ご主人様以外とは口とか利きたくないんでNGです☆』

とのこと。

 

残りは研究員とか雑務な立場である。

戦闘は専門外。

私が直々にスカウトした怪しい連中だ。

 

「……」

 

何やらルルーシュが睨んでいるような気がする。

仮面だから分からないが。

 

 

 

というのもあれである。

本来は実家の力を借りたいのだが。

メイド長に怒られたので、お小遣いがカットされているのであった。

『何故手加減をしているのです? 敵勢力は徹底的に排除しなさい』

とのこと。

苛烈すぎやしませんかね?

 

「だから手加減無しで倒すためにお小遣いが欲しいんですがね!」

「お、お小遣い制だったのか……」

「へっ、同情はいらねぇぜ……」

「呆れているんだ!」

 

殴られた。

 

 

 

帰宅。

直接ルルーシュの住む場所に送り届けるのは目立つということで、私の家へ向かうことにしたのだった。

 

「ピザ、注文しても良いか?」

「はーい☆ ろくろちゃんはなんとピザも作れちゃうのです☆」

「ほう?」

 

必殺レインボーローリングを繰り出しつつピザを作るろくろを見ながら、こちらでは会議をする。

そう、題して―――――

 

 

 

「ナナリーがどうやったら帰ってくるか教えてくださりやがれ会議!」

「私が言うのもなんだが、お前も大概だな?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ナキは既に寮へと帰っている様子。

ルルーシュもこれ以上誰かに正体を知られたくはないらしい。

というかナナリーに口止めしてなかったけど大丈夫だろうか?

いや、きっとルルーシュがやっているだろう。

多分。

めいびー。

 

 

 

「やあ! B兄さん!」

 

昨日、ルルーシュの家にナナリーが戻ったらしい。

すこぶる機嫌がいい。

まるで爽やかな好青年だ。

 

「気軽にブッパッコーでいいんだぞ!」

「何をどうしたらそんな偽名を思いつくんだっ!」

「え?」

 

なんでだったか。

思い出せないので大したことではないのだろう。

多分。

 

ところでB兄さんとは。

最近私のことをBさんと呼ぶ人が増えたのはそれのせいか。

 

 

 

 

 

 

 

「……ん?」

 

今日は、河口湖のコンベンションセンターホテルへと遊びに来たのだが。

何故か周囲が暗い。

トイレに立っている間に何が起こったのだろうか。

 

「わー☆ 相変わらずご主人様って空気読みませんね☆」

「よせやい照れる」

 

ふと気付けば、背後にはろくろ。

なにやら緊急事態らしい。

何となく焦っているのが分かる。

 

「……そういうのに疎いのが、ご主人様の美点だと思います☆」

「ろくろのことだからな」

「―――――っ」

 

なんだか背後でぽかぽかやってるろくろ。

痛くはないのだが、何をやっているのだろうか。

 

「はぁ……とりあえず、今ろくろの友達がピンチなのでお助けください☆」

「分かった。何をする?」

「軽く兵士を倒してください。仮面はここにありますので」

「助かる」

 

いつもの仮面をカポリと嵌める。

そして装備を整えていく。

両手には手甲とトンファーらしき何か。

火炎放射器は持ち込めなかったらしい。

まあ十分だろう。

 

「見張りは何人だ?」

「4人ですね☆」

「2人ずつ潰せばいいか」

「はい☆」

 

というわけで、進軍である。

 

 

 

「っ何やt!?」

 

遅い。

銃口を向けるだけ向けて撃ち込みもしない。

加速して相手の足を踏みぬく。

バキリと大きな音がして、足の骨が折れたことが分かった。

 

右腕で顎を突き上げる。

そのまま後方へ倒れていこうとする男を、頭を掴んで盾にする。

そしてもう1人の男へと叩きつけた。

 

「ぐえっ!?」

 

殺しはしない。

だってトラウマになっちゃうからね。

あちら側も片付いたようなので、ちゃっちゃとロープで縛りあげる。

あ、武器は回収させてもらうね。

貴重な収入源だ。

 

「こちらは片付きました」

「オッケー」

 

いつもと違う、男らしい声を発するろくろ。

顔も隠しているということは、それだけバレたくないのだろう。

いい友達を持ったということだろうか。

 

「……」

 

しかし。

何だろう。

睨まれてない、私?

 

辺りを見渡すと、何故か長髪の少女がこっちを見ている。

綺麗な髪をしている。

そう、まるでユーフェミア……。

 

……あれ、本物では???

 

「リヴァーサお兄様……?」

 

バレた。

しかもユーフェミアに。

というかなんでこんなところにいるのだろうか。

 

 

 

仕方ない。

ここはろくろに任せて離脱しよう。

 

部屋から脱兎する私だが、直後に背後に気配がする。

というかろくろだった。

 

あー何となくわかった。

あっちもバレたんだ、友達に。

だから逃げ出したと。

入口は1つだからね、仕方ないね。

 

 

 

……しかし、これからどうするか。

ここを放っておくわけにもいかない。

かといって何か行動を起こすのはまずいだろう。

 

「あ、誰か来ますね☆」

 

調子が戻ったのか、ろくろがこちらに声をかけてきた。

確かに足音が聞こえる。

上を指さし、跳躍して天井に張り付く。

ろくろができるのだ、私にも余裕だ。

 

そうしてやってきたのは、黒い服を着込んだ集団だ。

周囲を警戒しながら倉庫へと入っていく。

軍ではないが、統率はとられている。

誰の指示で動いているのか。

 

 

 

……まあいい。

あの様子だと人質になっている人間に危害を及ぼす可能性はなさそうだ。

あとはここから逃げ出すだけだ。

 

 

 

 

 

 

 

「かもおおおおん! ナキぃいいいいいいい!!」

<通信機で怒鳴るのはやめろ!>

 

 

 

 

 

 

 

 



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馬鹿援護

主人公陣営のKMFの初戦闘。


轟音とともに振動。

直後、4本の腕が壁を引き裂く。

北斗に乗ったナキの登場である。

 

「どうやってこの包囲網を突破したんです?」

 

いつもの様子ではない。

割と焦っているのが分かる。

早く逃げ出したいのだろう。

 

「跳んだ」

 

そして返答は簡単なものだった。

ああいや、確かに跳躍性能は高かった気がするが……湖だぞここ?

 

まあいいか。

また奴らが改造したんだろう。

私のポケットマネーは有限なんだけどなー。

 

 

 

「じゃあ乗って」

「はーい☆」

「助かる」

「死なれては困る」

 

というわけで、後方に備え付けられている2本の腕にそれぞれ掴まれながら、私達は宙を舞った。

跳ぶというよりほぼ飛んでいたが、いや本当にこの機体にいくら使うんだろうか。

 

当然のように包囲網を上空から突破し、事なきを得る。

銃弾が当たることもなかった。

まあ当たったら死ぬけどね、私たちが。

 

 

 

<待て! 貴様ら何者だ!>

 

着地に成功した私たちだったが、背後から追いかけてくるサザーランドが3機ほど。

まあ、これくらいなら大丈夫か。

私は即座に手の中から這い出し、命令を下す。

 

「やっていいぞ」

<了解!>

 

スラッシュハーケンが飛ぶ。

即座に1機が寸断された。

早い。

 

<おのれ!>

<遅い>

 

後方部についている腕が変形する。

肘の辺りから長い棒状の何かが飛び出した形状へ。

なるほど、今日はそれか。

 

加速してサザーランドに肉薄。

そのまま頭部を後方部の腕でつかんで、機構を放つ。

ぐしゃあ! と大きな音を立てて鋼鉄の杭が、サザーランドの頭部を貫いていた。

 

 

 

そう、今回の武装はパイルバンカーだ。

 

『パイルバンカーは浪漫である』

 

技術部の沢渡敏郎がそう言っていた。

 

『なので本来の腕とは別の腕に搭載しました』

 

ということだった。

見て分かったが、聞いただけではよくわからなかった。

まさか本当に腕を増設してしまうとは……。

これのせいで私の分のナイトメアフレームが完成するまで時間がかかっている。

私がナイトメアフレームに乗らない理由の一つだ。

 

 

 

そしてもう一方の後方部の腕は、ギイイイイイと大きな音を立てて回転するチェーンでサザーランドを両断していた。

こちらはチェーンソーか。

 

『チェーンソーは格好いいんです!』

 

技術部の二階堂さつきが言っていた。

 

『なので貴方のナイトメアフレームの駆動部のものを使いました!』

 

整備性が……とも思うが、その辺は作った当人たちに任せることにする。

というかチェーンを使ったナイトメアフレームって、どんな異形を作るつもりだったんだ……?

 

 

 

まあいいや。

とにかく、追手は撃退した。

即座に移動だ。

 

 

 

今度は前方の腕に乗って脱出を再開するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……」

「……」

 

生徒会のメンバーに、何故か紛れ込んでいるろくろ。

しかも無言。

珍しいものだ。

 

いつもなら

 

「きゃー☆ ご主人様さいてー☆ クソ煮込みー☆」

 

とか言っている所だろう。

 

「……それはそれで、ろくろ怒っちゃいますよ☆」

 

飛んできたナイフを避ける。

もう怒ってるじゃん。

 

「え、ナイフ? え?」

「あ」

 

ろくろ、いつも家にいる調子で投げたな。

油断し過ぎだ。

 

「あれはろくろの愛情表現だ」

「え、違いますけど☆」

「え?」

「え?」

 

素に戻ったので本当らしい。

じゃあなんで投げるんだナイフを。

私じゃなかったら死んでるぞ。

100回は。

 

「どうせ死なないんだから気にしないでください☆」

「そういう奴だったなお前」

「褒めないでください☆」

 

 

 

気を取り直して。

生徒会メンバーとろくろが向かい合っている。

議題は『ろくろの強さとかあんなことをした理由とか』である。

 

「……」

 

 

ろくろは無言。

ちらちらとこっちを見てくるのは助けを求めているのだろうか。

珍しい。

いつもなら煙に巻くところなのだが。

 

「ははーん、さては初めてできた友達に嘘はつきたくないけど本当の自分が知られるのが怖いんだな?」

「……」

「今日のナイフは鋭いな」

 

頬をかすめた。

毒とか塗ってないよなこれ。

まあいいや。

 

「全部吐いてすっきりしたらどうだ? 少なくとも、私はお前から離れたりはしないから安心しろ」

「―――――」

 

目を見開いて驚くろくろ。

よくよく考えなくても、私が生きているのはろくろのおかげである。

向こうから離れない限り、離れるつもりはないのであった。

 

 

 

「実は―――――」

 

ろくろが漸く口を開く。

さあ、どんなことを告白するんだ……?

実は私もろくろのことをあんまり知らなかったりするのだ。

気になる。

 

 

 

「―――――ろくろの名前は、ろくろじゃないんです☆」

「知ってた」

 

 

 

そうじゃないだろ。

 

 

 



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馬鹿暴言

馬鹿は馬鹿なりに考えてません。


「実はろくろは暗殺者だったんですよ」

「えっ」

「えっ」

 

衝撃の真実である。

まさか暗殺者だったなんて……!

 

「ご主人様は知っているはずなんですけどね……」

「忘れた!」

「それじゃあ仕方ないですね☆」

 

ならば問題なし。

というか色々考えてみても、こいつに人殺しができる気がしない。

多分していない。

 

「そしてご主人様のご察しの通り、ろくろは人を殺せませんでした」

「それは……」

「そう、ろくろはただの役立たずだったのです」

 

まあ何となく分かっていたというかなんというか。

所詮ろくろなのだ。

ぶっちゃけ私よりも弱い。

それが誰かを殺せるとは到底思えなかったのであった。

 

「……多分ご主人様の思考はズレてますね☆」

「そうだろうか」

「そうです☆」

 

まあどうでもいい思考ではあった。

 

 

 

とにかく、ろくろは色々なことを話した。

自分の生まれ、境遇、そしてメイド長に拾われたこと。

そこから私のことを隠れながら助けていたこと。

完全に知らなかったわ。

 

「……」

「……」

 

みな言葉もない。

仕方のないことだ。

それほど、ろくろの話は重かった。

正直ギャグSSあるまじき重さだったので割愛したくらいだ。

 

「あ、あはは☆ というわけでろくろはさよならしますね☆」

 

顔は笑っているが、かなり無理をしているだろう。

それくらい分かる。

いつの間にか、ここのメンバーと一緒にいることが普通になっていたのだろう。

 

 

 

「……待て」

「……?」

 

 

 

ろくろが去ろうとしたところで、ルルーシュが止めに入った。

 

「俺は別に去る必要はないと思う。聞く限り、彼女は誰も殺していない。犯罪者ではない」

「―――――」

「ならば、俺達から逃げる必要なんてないだろう?」

 

そういえば。

ルルーシュにはろくろの性別を教えていなかったな。

恰好も女子生徒の制服だし、気付くわけもないが。

 

「……もしかしたら、誰かを殺すためにいるかもしれないんですよ?」

「友達を信じられないなんて、おかしい話じゃないか」

 

今度はスザクだ。

なんということだろう。

何故か声をかけるメンバーが男だけだ。

いや他意はないんだが。

 

「そ、そうよ! だって悪いことしてないんでしょ!?」

「悪いことなら、ルルもちょっとしてるしね」

「何だと……?」

「ははは、違いない」

 

みなの顔に笑顔が出る。

それにつられて、ろくろも笑い出す。

いい笑顔だ。

無駄に可愛い。

 

「……みな、いい友達じゃないか。大切にしなさい」

「―――――っ!」

 

今度はそのまま泣き出してしまう。

あーあー可愛らしい顔が台無しだ。

さっとハンカチを差し出して、そのまま涙を拭ってやる。

 

「……そんな気障なこと、女の子にしたらいけませんよ☆」

「多分しないさ」

 

というわけで、みなと仲直りしたろくろは、この日からもっと笑顔を見せるようになったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……」

 

 

 

と、ここで溶け込めていない奴がひとり。

月宮ナキである。

 

「どうしたナキ?」

「ん……いや、何でもない」

 

何でもないように見えないから声をかけたんだが。

まあいいか。

 

「名前……」

「む?」

「結局、名前は分からなかったな」

「そういえば……」

 

まあ、ろくろはろくろだ。

別に対応が変わったりはしない。

 

「そして、だ」

「ん?」

「お前の名前も、私は知らない」

 

ナキが怒っている様子だ。

いや、表情は変わらないのだが。

 

「知りたいのか」

「ああ」

「どうしてもか」

「どうしてもだ」

 

どうした、今日は頑なだな。

まあそんな日もあるだろう。

思春期だからな。

 

「……何故か苛立つんだが」

「私のせいだな」

 

殴られた。

 

 

 

それはともかく。

 

 

 

名前か……。

言ってしまうとこの偽名、脳内姉に言われてつけたものなのだ。

名前そのものは適当だが。

リヴァーサの名前だけは隠しておけという話だった。

しかしまあ、今は脳内姉もいないことだし、別にいいだろう。

 

「リヴァーサ」

「……?」

「リヴァーサ・アイベシ・ブリタニアだ」

「まさか……!?」

「そう、ブリタニア皇族だよ」

 

どや顔で言ってみる。

というかその顔はやめなさい。

顎が外れてるんじゃないかそれ。

 

 

 

 

「こんな馬鹿がブリタニア皇族!?」

「褒めるな照れる」

「褒めてない!」

 

 

 

 

ナイフざくー!!!



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馬鹿負傷

馬鹿は忘れっぽいです。


「ただいまー」

「おかえりなさいませ、ご主人様☆ ってきゃー血が!?」

「お、珍しいなそんな風になるなんて」

「なりますよ!?」

 

まあ別に刺されただけなんだが。

あたふたするろくろを見ているのも何だか楽しい。

 

「普通にざっくり刺されてるじゃないですか! 一体誰にやられたんですか!?」

「気になるか?」

「気になりますっ!」

 

それもそうか。

とはいえ教えるのは駄目だろう。

何故ならその相手は、ナキなのだから。

 

 

 

あの会話の後、ざくりと刺された。

いや本当に不意打ちだった。

ナキ本人も困惑している様子だった気もするが、気のせいだろうか。

 

 

 

「……って、この傷跡……ツッキーのナイフじゃないですかっ」

「わかるのか」

「護身用にあげたナイフですよ!」

 

プレゼント交換をしていたらしい。

案外抜け目ないのだな、ろくろは。

 

「首刎ねて野ざらしにしますよ☆」

「こわいこわい」

 

いつもの顔なのに威圧感が段違いだ。

これがろくろの本気の怒り……!

いや本当に怖いわ。

 

 

 

しかし。

何故ナキは私の名前を聞いてこのようなことをしたのだろうか。

何か悪いことでもしたのか、私?

 

「あーんー……もしかしてご主人様、名前バラしました?」

「ああ」

 

嘘を言っても仕方がない。

そろそろ本名を教えても平気かなと思って教えたと伝える。

 

 

 

「……………………………………はぁ」

 

 

 

そして、その台詞に巨大なため息をつくろくろ。

なんだその反応は。

まさか、今ので原因が分かったのか。

 

「分かりますよ。だってツッキー、ブリタニア皇族に一族皆殺しにされましたからね」

「……重過ぎる!」

 

そんな重い話、ギャグSSにあってはならない。

粛清しないと。

いや誰をだ。

 

 

 

思考が変な方向に向かっている間に、ろくろが神妙な面持ちをしていた。

そういう顔をしているとイケメンなんだよな、ろくろは。

普段は女の子にしか見えないのに。

 

「ブリタニア人ならまあ、許せたんでしょう。同志として。だけど、皇族は無理だったってことでしょうね」

「そうか……」

「その辺分かってて偽名使ってると思ってたんですけどね!」

「分かってなかった!」

「これだからご主人様は!」

 

笑顔で殴られた。

しかも傷口を。

これは痛い。

 

 

 

「……はぁ」

「なんだろくろ。ため息は幸せが逃げるぞ」

「逃がしてる本人がそれ言いますか☆」

「やめろトンカチは流石にやばい」

 

これは困った。

私にはどうすることもできないのではないだろうか。

 

 

 

しかし。

ナキは私たちモヒカン同盟の貴重な戦力であり、それに私の貴重な戦友だ。

失いたくない。

 

「……それだけですか?」

「ん? それだけだ」

「別に問題ありませんけど☆」

 

何故か機嫌が戻ったろくろ。

首を傾げつつ、私はナキと仲直りをする方法を模索するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

「やはりブリタニアをぶっ壊すしかないのでは?」

「ご主人様、思考かっ飛ばすのやめません?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「というわけでコーちゃん、おひさ」

「ぶふー!?」

「ご主人様本当に頭カッとんでますねー!?」

 

私、コーネリアに謁見す!

 

「は……? え……?」

 

ぼたぼたと紅茶を垂らしながらこちらを見るコーちゃんことコーネリア。

はしたないぞ。

一体誰がこんな風になるまで放っておいたんだ。

 

「馬鹿な……お前はエリア11での戦闘で死んだはず……!?」

「え?」

「え?」

「え?」

 

初耳なんですけど。

ろくろに聞いても首を横に振る。

 

「そうだ、ちょっと待て。色々と待て」

「そうか、待とう」

 

頭を抱えているコーちゃんのことを待ってあげる私は偉いのでは?

ろくろは未だに首を横に振っている。

 

「まず、貴様はあのば……リヴァーサで、間違いないのだな?」

「ねえ、馬鹿って言おうとしたでしょ。ねえ」

「そして、どうやってここまで来た」

「スルーですかそうですか」

 

目が虚ろになっているコーちゃん。

仕方ない、こちらも切り札を使わざるを得ない。

 

 

 

 

 

 

「はい、ユーフェミアちゃんが案内してくれましたー」

「ユフィいいいいいいいい!?」

「えっ駄目でしたか?」

「駄目でしたね☆」

 

 



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馬鹿鈍感

着々と馬鹿が従者を懐柔しておりますが、わたしは元気です。


「……あの、ご主人様☆」

「何だろくろ?」

「離れてくださいっ☆」

「痛っ」

 

そんな。

ただろくろの近くに寄ってろくろのナイトメアフレームの中身を見せてもらっているだけなのに!

ただ顔と顔が近すぎて吐息がかかるのも分かってしまうだけだというのに!

 

 

 

「だーかーらー! はーなーれーてーくーだーさーいー!」

 

 

 

追い出された。

 

 

 

仕方ないのでユーフェミアと話をする。

最近どう?

え、コーネリアが構ってくれない?

それは悲しいな。

よし、私が日本を平定してあげよう。

モヒカン同盟としてだが。

 

「む、ユフィから離れろ。馬鹿がうつる」

「よせやい照れる」

「褒めてないからな」

 

そこにコーネリアもやってくる。

私がユーフェミアに変な真似をしていないか見張る為らしい。

心外である。

こんなにも清廉潔白だというのに!!!

 

「昔ユフィに木登りを教えたのは貴様だったな……?」

「忘れた!」

 

脱兎!

 

 

 

「……で、ここに逃げてきたんですか馬鹿なんですか?」

 

 

 

そして再度ろくろのナイトメフレームのコックピットに戻ってきたという。

仕方ないだろう。

他の場所には兵士がいて、面倒臭くなりそうだったんだから。

 

 

 

「そういえば」

「何ですかご主人様? あと普通に近いんで離れてください☆」

「やさぐれてない?」

「誰のせいだと思います?」

「私のせいではないことは確かだな!」

 

 

 

殴られた。

 

 

 

気を取り直して。

 

「このナイトメアフレームって、もしかして私を暗殺するために造られた奴だったりする?」

「無駄に察しがいいですね☆」

「照れる」

「そのまま顔赤くして燃え尽きてください☆」

 

辛辣である。

 

しかし、改めてみると凄い機体である。

黒一色の装甲。

チューンから察するに速度特化。

パーツを見てみれば整備もしやすい。

武装はナイフ、そして右腕に弓のような装備が付いている。

あとは頭部のパーツに違和感があるな。

ジャミング装置とかだろうか。

 

「……どうしてそこまで分かるんですか?」

「ん? いや、ナイトメアフレームの整備してれば当然じゃない?」

「当然じゃないですっ」

 

違ったらしい。

しかし、何故か私は理解できてしまっているので、きっと他の奴らがおかしいのだろう。

そう、モヒカン同盟の白鳥谷スバルが言っていた。

 

『ねじを見ればどんなパーツに適しているかはわかります。それはそれとして冷却放射銃は搭載しておきますね』

 

つまりその下位である。

装備品を見ればその設計思想がわかるのだ。

ところでスバル君は私のナイトメアフレーム製作に着手してくれないだろうか。

無理ですかそうですか。

 

 

 

「それはともかくだ」

「はい?」

 

そうだ。

どうしても聞いておきたかったことがあった。

そもそもここまでろくろのナイトメアフレームで移動してきたのに何を言っているのかとか言われそうだが。

 

「なんで、今ナイトメアフレームの整備してるんだ?」

「……???」

 

聞いた瞬間、ろくろの顔が凄いことになった。

まるで「何言ってるんだこいつ」とでも言いたげな表情だ。

 

「何言ってるんですか?」

 

本当に言われた。

心外である。

何も考えていないぞ。

 

と思っていたのだが。

 

 

 

「だってご主人様、ルルーシュ様もツッキーも殺したくないんでしょう?」

 

 

 

そう聞いて、なるほどと納得してしまった。

確かに、2人は殺したくない。

しかし今現在2人は恐らく黒の騎士団にいる。

ナキがいると思った理由は、この間の事件からナキと連絡が取れていないからである。

 

そうなると、私がそいつらを捕まえてどうにか例外処置を与えなければ凌辱確定である。

ああいや、この場合の凌辱というのは、死の尊厳とか何とかを辱めるとかの意味である。

他意はない。

 

 

 

「なるほど、ありがとうな」

 

 

 

そう言って頭をなでてやると、ろくろは顔を赤くして私をコックピットから突き飛ばしたのだった。

 

 

 



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馬鹿告白

主人公は未だに恋愛をしたことがありません。
ついでにろくろに対して恋愛感情は欠片もありません。
やべー奴じゃんこいつ。


「というわけで私たちも作戦に参加するぞ!」

「駄目だ」

「え?」

「駄目だ」

 

 

 

駄目でした。

 

 

 

「いや、普通そうですよ☆」

 

 

 

出撃するために整備をしているはずのろくろにも言われるとは。

それにしてもさっきまで顔を赤くしていたのに、今は大丈夫なんだな。

 

「はい☆ 流石に慣れました☆」

「そうか」

 

近寄ってみる。

すぐ離れようとするろくろ。

慣れてないじゃん。

 

「そんなの無理に決まってるじゃないですかー! もー!」

「何が無理なんだ?」

「えいっ☆」

 

蹴りが腹に!

 

 

 

「ええと……何をしてらっしゃるんですか?」

「ん?」

 

コックピットから蹴り出された私の頭上に、誰かが立っていた。

ユーフェミアだ。

 

「コントだ」

「こんと」

「そうだ」

 

首を傾げているユーフェミア。

そうか、コントを知らないのか。

仕方ないね。

 

「とりあえず、ここにいるのもなんだしティータイムにしよう」

「あら、ろくろさんはいいんですか?」

「すぐ来るさ」

 

整備も一段落していたから想像だが。

という感じでユーフェミアの後ろをついていくと、何故か指令室へと辿り着いた。

あ、コーちゃんが怒ってる。

 

「どうしてここに?」

「わたくし、副総督ですから」

「真面目か」

「?」

 

真面目かつ天然とは。

こんな素敵な少女を放っておく男どもはどうかしている。

 

……いや、どう考えてもコーちゃんがブロックしてたんだろうけど。

 

「? まあいい。馬鹿、副総督を任せたぞ」

「いいのか?」

「守ると決めた相手を守れなかったことはないだろう?」

「それはそう」

 

出撃するコーちゃんを見送り、私たちは配置につく。

まあ私は端っこの誰もいない角にいるのだが。

 

「そうだユフィ」

「今は副総督と呼んでくださいな」

「副総督」

「はい」

「4つ腕のナイトメアフレームが出てきたら教えて欲しい」

 

できれば出てきてほしくはないが。

とはいえ最悪は想定しておかないと駄目だろう。

 

 

 

「というわけでろくろ、任せたぞ」

「……いやもう我慢しますけどね」

 

そして、再びコックピットでろくろとお話をする。

準備も終わって、後は出撃するだけだ。

出撃しないことを祈るが、まあそれはないだろう。

多分。

 

「まあ、ろくろもそれを見越して進言したわけですからね

「いつも助かっているよ、ろくろ」

「なんだか最近やけに優しくないですか!?」

 

若干キレ気味で叫ぶろくろ。

そうだろうか?

別に接し方を変えたつもりはないのだが。

 

やはりあれだろうか。

ろくろに友人ができて、何だか取られてしまったように感じているのだろうか。

そう考えると、なんとなく納得がいくようなそうでもないような。

 

「なあ、ろくろ」

「な、なんですか☆」

 

若干警戒しているようなろくろ。

まあそれも仕方がないのか?

よく分からないが。

 

まあいいや。

本音で話そう。

それがきっと私自身の為なのだ。

 

 

 

「ろくろは私のものだよな?」

「鈍感で抜けてて頭の悪いご主人様を返せー!!!」

 

 

 

顔面を殴られた。

解せぬ。

 

 



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馬鹿思考

色々考えてみたりする馬鹿ですが、馬鹿なので勢いで行動します。


さてさて。

漸く事態が動き始める。

私は力こそないがスタミナは溢れんばかりにある。

時間にして48時間ぶっ続けでナイトメアフレームを動かし続けてもおつりがくる。

まあそんなことしていればナイトメアフレームが先に潰れるわけだが。

実際潰れた。

 

それはさておき。

 

何故こんな話をしたのかというと、ろくろはスタミナがないなーということに尽きる。

確かに暗殺するならスタミナよりも瞬発力だ。

一瞬で仕留める感じで行くべきだろう。

 

しかしろくろは作戦開始30分で汗を垂らしている。

いやこれはまずくないだろうか。

戦闘になれば更に悪化するだろう。

それはまずいのだ。

 

「そして今の状況もまずい……」

「?」

 

ユーフェミアは気付いていない様子だが、彼女がいることが最大の障害である。

彼女を守らなくてはならない状況に持って行かれたのが駄目だった。

 

確かにコーちゃんに言われただけだが、ここで約束を反故にすると、後々そこをつつかれて何か言われるだろう。

それがまずいのだ。

故に私はここを離れられない。

 

だから、ろくろには頑張ってもらわないといけないのだが……。

 

 

 

「ろくろ、大丈夫か?」

<はひ、だい、じょうぶ……ですっ!>

 

 

 

駄目だこりゃ。

暫く休憩してもらおう。

 

「今から示すポイントに向かって、そこで休憩」

<え?>

「分かったら返事」

<は、はい!>

 

これでまあ、ひとまず安心。

ろくろが休憩しておけば、そうそうナキに負けることはない……はずだ。

多分。

 

 

 

……なんか北斗に変な改造を加えられてなければだが。

 

 

 

『冷却放射装置の導入をやめる? わたくしに死ねと申すか』

 

シャドーレイク=ニシキノがそう叫んだのを覚えている。

別に死んでほしいわけではない。

ただ冷蔵庫にも放射装置を付けるのはやめなさい。

キャベツが凍る。

まあいいや。

 

とにかく、奴らは規格に合わない装備をとにかく放り込む悪癖がある。

そうでなければ4本腕のナイトメアフレームなど作らない。

いや作れないんだが普通は。

 

『イェース! ワガハイのミラクルパンジャンストライクの出来はどうですカ! クソでしょうそうでしょう! だがそれがいい!』

 

そして思い出す日村バイソンの叫び声。

こいつはブリタニアの血を引いてるはずなんだが……なんで私の誘いに乗ったのか。

よく分からない。

 

 

 

そして、気付けば識別信号のない機体がろくろの近くを通る。

多分というか確実に北斗だ。

 

「多少破壊しても構わないからパイロットを捕まえるんだ」

<はーい☆ 頑張っちゃいます>

「よし、あとで願い事を何でも聞いてやるぞ」

<な、なんでも……?>

「わたくし知ってますよ。それは駄目な奴です!」

 

何故かユーフェミアにツッコミを入れられたが、まあいい。

 

「……4本腕、発見したそうです」

「目視したか?」

<しました☆>

 

とにかく。

私が前線に出ることができない以上、ろくろに任せるしかない。

頼んだぞろくろ……。

帰りにお前の好きなおかし買ってやるからな……。

 

 

 

直後、巨大な振動が周囲を襲った。

 

 

 

「何が起こった……?」

 

 

 

周囲は混乱している。

この状況下でユーフェミアが指揮できるとは思えない。

ついでに私の言うことも聞いてくれないだろう。

 

事態はかなりまずい方向に進んでいる。

どうする。

どうする。

ろくろは無事か?

いや、多分大丈夫だ。

ろくろのいた場所はちょっとやそっとの衝撃で崩れるような場所ではない。

 

となると問題はコーちゃんの方だろう。

何故ならここは安全だからだ。

狙うなら、分断してしまいやすいコーちゃんの方。

 

「といったものの……」

「? どうかしましたか?」

「いや、何もできないなと思ってな」

 

仕方ない話ではあるが。

 

とはいえこのまま棒立ちしていてはまるで役立たず。

何かしておこう。

 

 

 

「というわけでサザーランド一機お借りしますね!!!!」

「ええっ!?」

 

 

 

脱兎。

やっぱり約束は破るためにあるよね!!!

 

 

 

 



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馬鹿賞賛

こいつ……たらしだな……?


「確かこの辺りを弄るんだったか」

 

移動しながら設定をがちゃがちゃ弄る。

このまま突っ込んでも死ぬ可能性が高い。

ならば自己流の必殺スキルで魔改造したサザーランドで戦おうというわけだ。

 

がたがたと鳴る可動部なんかを見ながら満足する。

うむ、これなら何とかなりそうだ。

 

センサーを起動。

戦闘の痕跡があればそこに向かえばいい。

合理的だ。

 

 

 

そして、何やら金属片が飛び散っている場所へと辿り着く。

うむ、ここはジャミングされていてセンサーが機能しないな。

つまりろくろがいる。

 

即座に動く。

さっさとナキをやっつけて拾って逃げなくては。

コーちゃんにバレたらぼろ雑巾にされてしまう。

 

 

 

<……で、嫉妬ですかっ!>

 

ろくろの声が聞こえた。

マジか、ジャミングされてるからってオープンチャンネルとか度胸があるな。

まあろくろだから納得。

 

<別にそんなつもりはない!>

<自分が知らないことを私が知っていたから嫉妬したんですよねー? わかりますよー私だってあなたに嫉妬してましたからねー!>

<だから違うと……!>

<うるさーい! ご主人様は私のものだー!!!>

<少なくともあいつは誰のものでもないと思うぞ私は……!>

 

……なんだろう。

喧嘩?

しかもその内容からすると私を取り合っている?

 

なんだ。

平和じゃないか。

ちょっとここで聞いてようか。

 

<ところで結局どこまで進展してたんですか? ふたりきりで朝帰りとかもうあれじゃないですか?>

<張り倒すぞ>

<えー私だったらがっつりですよがっつり☆ チャンス逃したらもったいないですしー☆>

<上等だ表に出ろ>

<はー認めないんですかいいですよやってやりますよ>

 

最終的にはナイトメアフレームから降りてしまってキャットファイトである。

まあナイトメアフレーム自体がボロッボロで使い物にならないから当然と言えば当然なのだが。

 

「知ってますよー夜な夜なご主人様のことを思いながらお人形さんを握りしめてるんでしょー☆」

「ばっ……なっ……!?」

「え? 当たってたんですか? うっわー引きます☆」

「殺す」

「痛っ! 髪はやめてください! ご主人様に褒められたんですよっ!」

「うるさいうるさいうるさい!」

「あっこいつ口で勝てないからって暴力に訴える気ですね!」

 

ろくろは口で勝ち、ナキは力で勝っている。

まるで子供の喧嘩だ。

 

というかこの状況どうしようか。

私が出て行っても解決しないような気がする。

下手するとぶん殴られるのは私じゃないか?

 

 

 

……まあいいや。

ふたりが満足するまで放っておくか。

 

 

 

~30分後~

 

 

 

「はー! これだけ言ってもわかりませんかー! あなた恋しちゃってるんですよ、恋! わかります? わからないから今殴り合ってるんでしたねごめんなさい!」

「……!」

「もはや無言で殴り始めましたねこの女!」

「うるさい。あいつは別にそんな風に思ってない」

「それ12回目ですよ!?」

 

 

 

ははーん。

これ終わらないな???

 

 

 

殺し合いの雰囲気じゃなくなったので、このまま回収してもいいんだが。

どうしようか。

悩む。

 

……そうだ、ろくろを今のタイミングで甘やかしてみよう。

それによってナキが化学反応を起こして何かが発生するかもしれない。

よく分からないが。

 

 

 

というわけで着地。

サザーランドをその辺に待機させてふたりの近くにジャンプして着地したのだった。

 

「げ、ご主人様!」

「ぶ、あ、いや。リヴァーサ、だったか」

 

何がげ、なのやら。

そしてナキの顔が歪んでいく。

なんだろう、信じたものに裏切られたような顔だ。

 

まあ今はろくろを褒めることにしよう。

くいっと引っ張って身体を抱えて抱きしめる。

そして頭をなでるなでるなでる。

 

「ええっとこの状況はなんなんですかご主人様!?」

「褒めてる」

「ああいや嬉しいんですけどちょっとこう色々と心の準備というかあれが必要なんでもうちょっと待って欲しいというか本当に私そんな資格がないというかというより今ちょっと汗臭くないですかだってお風呂ちゃんと入れてなかったしでもでもやっぱり嬉しいですご主人様このまま暫くいてもいいんですけどっていうかナキさんがこっち見てるんですけどええちょっと怖いですねへーいい気味ですよ素直になればこうやって褒めてくれるんですよーじゃなくてまだ撫でるんですかいや嬉しいですけどちょっとこう唐突過ぎて恥ずかしい気持ちもあったりしますけどまあご主人様がいいなら別に構わないというか嬉しいけどなんというか心臓がばくばくしててかなりうるさいので離れてほしいなーとか思ったり思わなかったりもするんですけどその辺いかがですかご主人様というか撫で続けるだけで何してるんですかいや本当にこっちが大人しくしていればいい気になっていいですかこれ以上私にご主人様成分を過剰摂取させると死」

「よくできたな、ろくろ。お前がいて嬉しい」

「殺す気ですかご主人様ー!?」

 

思い切りアッパーを喰らってぶっ飛ばされた。

痛い。

しかし本当のことを言ったまでだ。

もしかしてそれがいけなかったのだろうか。

まさかそんな。

脳内姉からは『言葉を装飾してはいけない血反吐吐くようなくっそ甘いセリフになって私が死ぬ』と言われていたが、ここはその縛りを解禁するべきなのか。

しよう(決意)。

 

「ろくろ」

「な、なんですか?」

「お前は私のことをずっと守ってくれた最高の従者だ」

「え、なにこの状況ご主人様本当に私を殺す気ですか?」

「お前がいない世界なんてありえないし、存在させるつもりもない。そう、お前がいれば世界はどうでもいい。だからこれから先も一緒に歩んでほしい」

「それ以上喋るなー!!!!」

 

今度はナキからボディーブローだ。

痛い。

というかそのままマウント取られて動けないんだが。

ろくろ、助けてくれ。

あれ、機能停止してる。

頭から煙が出るとか古典的な奴。

 

「そしてナキ。お前がいないと私は駄目みたいだ」

「……え?」

 

とりあえずだ。

この状態で殴られると死が見えるので、どうにか説得したい。

というわけでマシンガントークだ。

『お前の言葉はショットガンだよ』とも言われたことがあるが放っておく。

 

「なんだかお前がいないと寂しいんだ。一緒にいることが当たり前できっと気付けなかったんだろう。今後はもっと一緒にいよう」

「あ、あえ?」

「そうだ。私が名前や出自を偽っていたのはすまなかった。そうでもしないと日本でやっていけると思えなかったからだ。許してほしい」

「ああ、まあ。それは、いい」

「そしてだ。私はナキに言いたいことがある」

「な、なんだ?」

 

む、動揺してるな。

このまま押し切ればなんとかなりそうだ。

さあ、ここで最高の一言を。

 

 

 

「―――――私だけの騎士になってくれないか?」

「ご主人様が私を放置して女を誑かしてるー!!!!」

「ぐわー!」

 

 

 

結果として、仲間だと思っていたろくろに殴り飛ばされたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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馬鹿捕縛

ロストストーリーズ、配信中です。


<ゼロを発見しました。これより拘束します>

 

あ、やっべ。

ルルーシュが捕まる。

これは由々しき事態だぞ。

私のことまで知られてしまうではないか。

 

……ああいや、いいのか?

軍機違反をしたわけだし、このままだと会議にかけられるだろう。

そうしたら多分おしまいである。

 

ならルルーシュを確保するのが先決だ。

 

「行くぞお前たち! ゼロを助けに!」

「……両頬を真っ赤に腫らして言う台詞じゃないですね☆」

「腫らした本人が言う台詞か……?」

 

 

 

 

 

 

 

さて、色々とやりたいことはあるが、まずは戦力の確認をしておこう。

 

まずはろくろ。

装備はほぼ壊滅状態。

両腕はあるから武器は持てるが、まあ戦力にはならない。

 

次にナキ。

装備は同じく壊滅。

腕も通常の腕が2本。

武器はない。

 

そして私。

基本装備のサザーランドだ。

トンファーとマシンガン。

 

……ん?

もしかして戦えるのは私だけなのでは?

 

「お前たちはこの先のポイントで待機していなさい」

「え、あ。はーい☆」

「いいのか?」

「任せろ。お前たちのご主人様だぞ」

「きゃー☆」

「ペットになった記憶はないぞ」

 

いいじゃないか別に。

勢いだ。

 

 

 

「というわけで行ってきます」

 

跳躍。

ルルーシュがいるであろう地点にノリで飛び込み、どうにかする。

完璧な作戦である。

 

「……おお、本当にいた」

 

発見した。

想定の範囲外だ。

いやまあ当たっていればいいんだ。

 

<サザーランド……?>

 

どうやらルルーシュはランスロットにボッコボコにされたらしい。

あの性能なら仕方ない。

ちょろっと見たが、無頼じゃアレに勝つのは無理だろう。

 

「っしゃー! 我こそはモヒカン同盟の長! ブッパッコー! マジ張り倒すぜおらぁ!」

<っ! まさか新手!?>

 

そのまさかである。

 

 

 

弾幕を展開しつつトンファーで殴りかかる。

銃弾は全て回避されて、トンファーは剣で切り裂かれる。

いや装備の性能が雲泥の差。

これは勝てない。

インターフェイスとかも違うんだろうなぁ。

 

まあそこは私がフォローすればいいんだが。

 

まずはOSをリセットして、かきかきと。

新しいOSを作成して導入。

機能的には駆動部のリミッターなどの解除やエナジーフィラーの消費上限を撤廃するなど。

つまるところ限界突破だ。

 

この時間、およそ2秒。

お互いが動きを止めている状況でささっとこなしたぜ。

流石わたしである。

 

「こちらBPK。ゼロはさっさと逃げるように」

「っちぃ!」

 

ルルーシュはマントを翻して遁走。

その近くには白い影もあったが、まあ敵じゃないだろう。

 

<何者ですか……!>

「言っただろう、モヒカン同盟だと」

 

台詞とともにスラッシュハーケン。

威力とかなんとかはどうでもいい、とりあえず牽制だ。

その隙に接近するのだ。

 

<っ早い!>

「ふっ」

 

駆動部は摩耗速度は従来を120%を超える。

もはや一瞬で燃え尽きる花火のよう。

綺麗だよね、日本の花火。

 

それにしてもチャンネルの切り忘れか、というか一応同じ所属だから当然か。

 

<……お兄様! はやく戻ってきてください!>

 

聞き流していたが、ユーフェミアの大きな声が聞こえているのだった。

チャンネル切ろう。

 

 

 

というわけでここからは普通に戦うぜ。

久し振りのKMFでの戦闘だ、昂る。

 

突き、払い、蹴り、拾った小石で牽制、スラッシュハーケン。

とにもかくにも手数を優先する。

相手はクッソ早いランスロットだ。

少しでも距離を取られたら負ける。

いやもう負け確ですよ。

 

そして機体も開始10分でガタガタ。

ちゃんと整備してたかこいつー。

いやコーちゃんのことだからちゃんとしてたんだろうけどね。

流石に摩耗速度240%超えたらボロボロになるよね。

 

 

 

……しかし、このランスロット強過ぎでは?

既に私の使っているトンファーが3割くらいしか残っていないのだが。

20回は表面をゴリゴリ削っていったからな。

トンファーを斬られて、その剣の平を押し出すようにして回避。

これを延々と繰り返している。

 

え、勝ち筋?

相手のエナジーフィラー切れを待つ以外ないよ?

そしてそれよりも先に私のサザーランドのエナジーフィラーが尽きる。

というか今尽きた。

 

「ろくろ、キャッチ任せた」

<はーい☆>

 

即座に脱出。

ズンバラリされるサザーランドを見つつ、私はろくろに回収されてその場を後にするのだった……。

 

 

 

「捕まえました。リヴァーサ様です」

「うむ、ご苦労」

「あるぇー?」

 

 

 

後日、見事に捕まった私の姿が!!!

 

 



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馬鹿脱出

馬鹿なので行き当たりばったりですが、何とかなります。
馬鹿ですが。


「ここは兄弟だから減刑してくれるか?」

「駄目だ」

「駄目かー」

 

どうやら普通に軍法会議にかけられるらしい。

悲しい話だが、これが現実って奴か。

 

とりあえず暇だ。

軍法会議にかけられる前に護送されるのだが、それまで拘置所に放置されている。

何もできないから本当に暇。

 

「……おい」

「お、詰め将棋でもやる?」

 

急に看守が近づいてきた。

名誉ブリタニア人だったはずだから日本の将棋も知っているだろう。

私、あれ好きなんだよね。

チェスと違って相手の駒を再利用できるのが。

まあチェスはあんまりやったことないんだけど。

 

「馬鹿が。俺だよ」

「ん……? あ、ルル……っと」

 

と思ったら、看守の恰好をしたルルーシュだった。

どうやってここまで来たのか、とか、どうしてとか考えたけど多分分からないことだから思考から外す。

今は歓迎しよう。

 

「ようこそ。何もない所だけど座ってくれ」

「こいつ……」

 

何だか呆れられた気がする。

まあいいや。

とりあえず鍵を開けて対面する。

 

「おま、鍵を開けられたのか!?」

「指先ひとつでダウンさ」

「何がだ!?」

 

小声で怒鳴るルルーシュ。

適当にやったら開く鍵の方が悪い。

私もできるとは思っていなかった。

 

「まあいい。とにかく脱出するぞ」

「お、助けに来てくれたのか」

「今更か!?」

 

よく考えてみれば当然か。

ここまで来たということはそう言うことなんだろう。

というか、よくここまで来ることができたなルルーシュ。

 

「気にするな。今は逃げるぞ」

「はーい」

 

 

 

「ご主人様、御無事ですか☆」

「ああ。また会えて嬉しいよろくろ」

「まだ頭がおかしいままですね☆」

 

失礼な。

元々こんな感じだ。

 

とりあえず、近場のバーで待ち合わせた私達であるが、どうやらろくろやナキが私を迎えに来たようだ。

黒の騎士団は動かせないってことか。

それもそうか。

 

「お前たちは姿を隠せ。流石にアッシュフォード学園でも隠し切れないだろう」

「そうですねぇ。ろくろたちはまあ問題ないですね☆」

「……元々、学校に行きたいと言ったつもりもない」

 

そうだったのかナキ。

私は悲しいぞ。

きっときゃっきゃうふふができるのが嬉しいと思い込んでいたよ。

 

「馬鹿は放っておいて。とりあえずどこに隠れるんだ?」

「……それが問題だ。黒の騎士団にブリタニア人のお前を匿うのは些か都合が悪い」

「それはそう」

 

当然と言えば当然。

だからまあ、私の伝手を使うしかないのだろう。

仕方ない。

本当の隠れ家に向かおう。

 

 

 

「よし、到着だ」

「……なんだここは?」

 

ルルーシュが頭を抱えている。

私も良く分からないが、京都の人達から譲ってもらった場所だ。

かなり広い。

そして施設も充実している。

 

「久しぶりですねボス。今日はお小遣いもらっていないのかな?」

「ないな」

「ぺっ」

 

沢渡敏郎が声をかけてきたが、即座に冷たくされた。

お金がないからか。

世知辛い。

 

「ああボス、お久し振りです! お小遣いは?」

「ない」

「ぺっ」

 

今度は二階堂さつきである。

凄いな、さっきと同じくらい冷たい反応だ。

どれだけお金が欲しいんだ。

 

「おはようございますボス。それでお小遣いは?」

「残念!」

「ぺっ」

 

白鳥谷スバルもこれだ。

凄いなみんな。

ここまでくると面白いぞ。

 

「今日は珍しいですねボス。お小遣いは?」

「さっきから言ってるがない」

「ぺっ」

 

シャドーレイク=ニシキノ……お前もか。

ここまで一緒だと感心してしまう。

 

「ハーイボス! 今日はお小遣い貰えますカー?」

「悪いな」

「ぺっ」

 

日村パイソンまでこんな風に……。

いつもならお小遣いをもらって上機嫌に開発に向かうというのに……。

お小遣いがないからか。

 

「……残りは?」

「徹夜してたんで寝てますよ」

 

さー作るぞーとか言っていなくなるみんな。

遊んでくれなくて寂しい。

 

しかしそうか。

足立美紀も千宮司同眼も有栖川山輝夫も寝ているのか。

起こしたらキレそうだし、眠らせておこう。

 

「……」

「……」

「そういえば、お前たちはこいつらと直接会ったことはなかったな」

「キャラが濃い……!」

 

ルルーシュがツッコみ、他の2人は唖然としている。

それはそう。

だってその辺に北斗の腕が量産されて積み上げられているし、謎のKMFも鎮座しているからだ。

なんだあれ。

 

「え、ボスの機体ですけど」

「マジか」

「余ったパーツで作りました」

「マジか」

 

凄いな、私の扱いがよくわかる。

というかこれ、本当にKMFか……?

なんか装甲が薄くてやばそうなんだが。

 

「ええ、お察しの通り紙ですよ」

「沢渡。解説してくれるのか」

「じゃんけんに負けたので」

 

罰ゲームかい。

まあいいや。

漸く私のKMFが貰えるのだ。

嬉しいに決まっている。

 

決まっているのだが……嫌な予感しかない。

 

「装甲は紙、豆腐、もはや湯葉」

「あのこれ欠陥品じゃないですか☆」

 

ろくろの言う通りだ。

しかしまあ、待とう。

まだ全部聞いていない。

 

「操作性はうんこで、パイプオルガンを操作するように動かします。鍵盤とスイッチの数が尋常じゃないので覚えてください。あと音が響きます」

「最後の機能はいらないだろ」

 

ナキの言う通りだった。

いやまあ、まだ待とう。

最後まで聞いてからツッコミを入れよう。

 

「整備性はゴミ。武器はクロ―アームと内蔵マシンガン、サクラダイトを燃料にした火炎放射と特殊なAIを導入しています」

「いいじゃん」

「え、何言ってるんですかゴミとか言われてますよ!?」

 

しまった、麻痺していた。

ろくろさんきゅー。

正気に戻ったわ。

 

「機体そのものがサクラダイトのタンクなので、被弾したら爆発します、華々しく散ってください」

「なあ馬鹿。これ作らせた奴も馬鹿だし作った奴も馬鹿だろ」

「そんなに褒めないでいただきたい」

 

褒めてないと思うが。

いやまあ。

褒める要素がない。

だが。

 

「こういうのを待ってた」

「ええ……」

「ご主人様、趣味悪っ……☆」

 

酷い言われようである。

だがまあ、言いたいこともわかる。

そして沢渡の次のセリフを待つ。

まだ何かあるだろうと確信しているからだ。

 

「ちなみに使いこなすと超パワーと超加速、超高速駆動に長時間運営が可能ですよ」

「流石私が見込んだ研究者だ」

「褒めても組み立ての時に余った部品しか出ませんよ」

「駄目だろそれ!?」

 

ナキが我慢できなくなったのかツッコミを入れた。

そうだね、面白いね。

 

じゃなかった。

とにかく、これが私の機体らしい。

まあ、いいんじゃない?

私好きだよ、こういうの。

 

 

「そういえば名前は決めてないので、適当につけてください」

「いいのか?」

「ええ。私達は作って満足しました」

 

流石私が見込んだ研究者。

研究にしか興味がない。

 

しかしそうだな。

どんな名前にするか……。

 

 

 

「……ナナツボシ」

 

 

 

ふと浮かんだ名前だ。

そう言えば、北斗七星だしろくろの機体も確か星の名前だったはずだ。

そう考えると、中々良い感じなのではないだろうか。

 

「思ったよりセンスがいいな。ブッパッコーとか名乗ってたくせに」

 

ルルーシュが私の偽名に文句をつけるので腹パンしておいた。

他の奴らも何か言いたげだったが、その一撃で黙るのだった。

 

 

 

「そして、ここに案内した理由のひとつは簡単だ」

「何だ?」

 

ふふふ、これを披露するためだけに溜めに溜めていたのだ。

 

 

 

「聞いて驚け! なんと、ここには超豪華な居住スペースが!」

「解体しました」

「え?」

「研究の邪魔だったので、解体しました」

 

 

 

……。

ちらりと後ろで見ていたみんなを見る。

みんな、顔を逸らしている。

 

 

 

「……ろくろは黒の騎士団に匿ってもらいますね☆」

「私もそうする」

「では頑張るんだな。俺はここでお別れだ」

「薄情者ー!!!」

 

 

 

後日、そこには寝袋に入って床で寝ている私の姿が!



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馬鹿再会

これと同時にあらすじも更新しました。


「うーむ……」

 

隠れ家に移って暫く。

何もないまま数日程。

いや本当に放置されてるんだな私。

 

別に何かあるわけではない。

だがしかし、もどかしい気持ちになるのは仕方ないのではないだろうか。

いや本当に暇なんだよなぁ。

 

 

 

「……そういえば」

 

まだ私のKMF、コックピットにも入っていなかったな。

折角だしちょっと乗ってみるか。

マニュアルは……これか。

 

「ふむふむ」

 

マニュアルを読みながら組まれた足場を登ってナナツボシのコックピットを目指す。

おいおい、制御がミリ単位だぜこのKFM。

流石あいつらだ。

 

「しかし、こうも私好みの機体を作れるとなると、誰かからの入れ知恵がないと駄目なのでは?」

 

例えば脳内姉とか。

……そういえば最近見ないな、というか聞かないな脳内姉の声。

 

『……安心したよ。お前は変わってないんだな』

「そうそうこんな感じで……お」

 

噂をすればハゲ。

脳内姉の声がする。

石橋を掴んで投げるとはよく言ったものだ。

 

『その辺りの間違えだらけの諺の原因は恐らく私のせいなんだけど……どうしてこうなったのか』

 

きっと私の頭が良かったからだろう。

え、違う?

そんなー。

 

「というか脳内姉の声がエコーかかってるな……」

『今更か』

「というかナナツボシから聞こえてくるな……」

『今更か!』

 

つまり……どういうことだ?

 

 

 

『まあいいか。説明するからちゃんと聞きなさい』

 

 

 

朗報:脳内姉はオーパーツだった。

 

 

 

「なるほど、万事理解した」

『本当かしら……?』

「ああ! 亡き弟に誓ってもいい!」

『母は産んでないからね』

 

そうだった。

 

まあいいや。

とりあえず私の機体には脳内姉がいて、私の脳とリンクしているらしい。

ははーん、これが私好みのKMFが手に入った理由だな???

 

「そうでしゅ……そうですよ、ボス」

「噛んだか」

 

パンパン

 

「銃はやめよう」

 

跳弾して死ぬところだった。

 

「どうせ避けるし、問題ないですよ」

『……ねえ、どうしてこんな子雇ってるの?』

 

どうしてだったか。

あんまり思い出せなかった。

 

銃で私を撃ったのは足立美紀。

年齢的には12歳といったところらしい。

俗にいう天才だ。

 

……そうだ。

>>>急募:天才<<<

って広告を載せたら応募してきたんだった。

自己主張強いな。

 

パンパン

 

「銃はやめよう」

 

天丼という奴だ。

 

 

 

「話を戻すけど」

「ああ、私に向けている銃はゆっくり下ろしながら話そう」

「そこのオーパーツが見つかったのは10年前。ボクの両親がその研究を担っていたんだけど」

「殺されたんだっけ」

「そっ。ブリタニアにね」

 

くるくると銃を回しながら弄ぶ足立美紀。

壮絶な過去の持ち主なのにそれを感じさせない立ち振る舞いである。

 

「とまあ過去の話はなし。今はそこのオーパーツが1年くらい前に急に起動したことが最重要」

「そういえばその頃から脳内姉とあんまり喋れなくなったな」

『こっちに出向くようになったからね』

 

なるほど、ガテンが逝った。

違った。

合点がいった。

 

脳内姉がいなくなって寂しーとなっていたが、別に死んだわけじゃないしいっかーとも思っていた私だったが、まさかこんなことになっているなんて。

人生は面白いものだ。

 

『あなた並に面白い人生はそうそうないわよ?』

「ボスはちょっと頭おかしいからね」

「褒めるなよ」

『「褒めてない」』

 

酷い奴らだ。

 

とにかく。

脳内姉が色々やったおかげで私のKMFが手に入ったということだ。

嬉しい話だ。

ヒャッハー!!!

 

『……本当に分かってないわね、この様子じゃ』

 

何だろうか?

 

『気にしなくていいわ。あなたが勝てばいい、それだけの話よ』

「余裕じゃん」

「ボスはKMFの扱いだけは世界随一だからね」

『だけはね』

「だけは」

 

酷い台詞である。

 

ちなみにシミュレーターでの私の腕前はAreoughndghyである。

遊んだらバグった。

この文字列を覚えているのがバグとか脳内姉に突っ込まれたが、まあいいじゃないか。

減るもんじゃなし。

 

 

 

『ところで……今、どういう状況?』

「お、ルルーシュが最近女子といい感じになったっていう感じだけど」

『違う。どう考えてもそこじゃないでしょ』

「ボス」

「わかった。銃はやめよう」

 

最近と言えば、ナリタでコーちゃんが危ない感じになったとかそんなところだろうか。

ああいや、ろくろがナキと喧嘩したことだろうか。

まさかお小遣いの前借りがばれたのか。

 

『お小遣い減額』

「ええっ」

『……まあいいわ。大体分かった』

 

あ、確認したらマジで預金が減ってる。

どうやったんだ脳内姉。

まさかオーパーツ……?

あ、待て銃はやめよう。

 

 

 

『とりあえず、そろそろ出番が来るだろうから待っていなさい』

 

 

 

実際マジで出番がありました。



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馬鹿苦戦

よくよく考えなくてもオリ主には兄弟たくさんいたね……。


「えーご主人様にはイレギュラーが発生した場合の予備戦力として頑張っていただきます☆」

「なるほど。まず暴れればいいんだな?」

「予備戦力です☆」

 

悲しい。

 

「ご主人様を基本作戦に放り込む方が馬鹿ですからね☆」

「それはそうだな」

「ひどいこと言うなぁ」

 

まあいいや。

ルルーシュがそう決めた以上、したがっておこう。

 

「そういえばろくろとナキは元気にやってるのか?」

「大丈夫ですよー☆」

 

にっこりと笑っているろくろ。

なら大丈夫か。

ナキも大丈夫っぽい。

 

 

 

さてさて。

場所は処刑場。

回収ターゲットは日本の武将。

とーどーきょーしろー。

今回はイレギュラーが発生するのか否か。

 

 

 

<来ました! 白兜です!>

 

戦闘に入って暫く、白いKMFが現れたらしい。

早い。

もうイレギュラーじゃん。

早速出番か。

 

<待て。こいつは私達で相手をする>

「マジか」

<こいつを倒す様子を黙って見ていろ>

 

折角のイレギュラーを自分で処理するとか。

まさかあいつ、ルルーシュじゃないのでは?

 

 

 

<おーほっほっほっ! 出番ですわ出番ですわ出番ですわぁー!!!>

 

 

 

と思った矢先に謎の高笑い。

なるほど二段構え。

やはりルルーシュか。

 

牢獄の壁に乗っているKMFを見つける。

なるほど、バランス力。

さぞ名のある騎士なのだろう。

つよそう(こなみかん)

 

機体は灰色。

何だか白兜とどこか似ているような気もする。

あとなんか巨大な盾以外の武装がない。

スラッシュハーケン何処だよ。

内蔵型か?

 

「まあいいや。取り合えず行くぞー!!」

<ご主人様っ!>

「あん?」

 

色々考えつつ突貫しようとした時、なんとそのKMFがこちらに突っ込んできた。

予想外の行動だ。

というか最初から見えていたのか?

 

<ふふふ……弟のことを把握していない姉などいなくてよ!>

「私に姉がいたのか」

『おい』

 

上空から振り下ろされる盾を回避し、右腕のクローアームを構える。

相手の盾の使い方が武器なんだが。

まあいいや。

それよりも相手がオープンチャンネルで高笑いしているのが笑える。

 

<おーほっほっほっ! ってあら、チャンネル変えるの忘れてましてよー!>

 

ぶつん。

気付いたらしい。

こっちも一応確認しておこう。

 

<無事ですがご主人様!>

「問題ない。こっちは無傷だ」

 

広告のタケモ〇ピアノも無事だ。

 

しかし。

どうやら向こうにもKMFが出たらしい。

さっきの一言以外喋る余裕もないくらいの敵。

これは高まるな……。

 

 

 

動いたのは向こうだった。

地面にめり込んでいた盾を一瞬で引き抜き、そのままこちらに投げてきた。

サイズ的にはKMFの全長くらいあるんだがあの盾。

 

まあ避ける。

そのまま胸部の内蔵マシンガンを連射しつつ接近。

クローアームで接近戦を持ち込む。

 

「?」

 

嫌な予感を感じて右へ。

するとすぐ脇をスラッシュハーケンが飛ぶ。

なんと、先程投げた盾からスラッシュハーケンが発射されているのだ。

なるほど、中々面白い。

 

そしてそのハーケンのワイヤー部分を掴んで引き寄せる相手。

そして胸部のスラッシュハーケンも撃ち出してくる。

一機で挟み撃ちとはやるな。

 

『どうする』

「こうする」

 

即座に跳躍。

後方から飛んでくる盾に乗って、そのまま更に跳躍。

そこからマシンガンで弾幕を張って火炎放射も撒く。

と思ったら液体が飛び散る。

あれ、何か間違えたか?

 

……ああいや、こういうことか。

即座に理解、そして退避。

その液体に火炎放射器から放たれた種火が着火した瞬間、連続して爆発が発生する。

なるほど液状サクラダイト火炎放射。

接近戦で使うのはやめよう。

 

それに相手は無傷。

なるほど、火力でゴリ押しは難しそうだ。

あとぐるんぐるん盾をぶん回してるのはどうなんだろうか。

木が凄まじい勢いで伐採されていく。

 

そして盾がまた射出される。

遠心力を纏ったそれは、先程とは比べ物にならない速度で突っ込んでくる。

跳躍は隙を作るだけ。

横に駆動して回避、そこからマシンガンで牽制。

そしてクローアームをちょっと伸ばして削りに行く。

 

「げっ」

 

しかしそれを回避される。

マジか、今完全に機体の硬直を狙ったんだが。

と思ったらなんと自分の機体に飛んで行った盾のハーケンをひっかけていた。

なるほど、そうやって回避したのか。

 

しかし、そうなるとこちらがピンチ。

今の攻撃で硬直が発生してしまう。

 

『こっちで弄るわ』

「助かる」

 

そこに脳内姉のサポートが。

何と私の思考では判断し切れない駆動部を使ってその場から移動したのだ。

 

 

 

ちなみにだが。

さっきから「ジャーン……!」とか「ギィイイン!」とか「ウィイイイン!」とか色々鳴ってるのは私のナナツボシが発している音である。

うるさいので脳内から排除しているが。

 

とりあえず、今はそれよりもこっちの機動速度についてくる盾のKMFの相手だ。

強い。

なにより上手い。

戦いがいのある相手だ。

 

 

 

「さあ、まだまだ行くぜ……!」

 

 

 

暫く経って。

 

 

 

お互いに無傷のまま10分が過ぎた。

これは……疲れる!

楽しいとはいえ、集中し続けて10分は流石にきつい。

 

というかろくろがやばい。

スタミナが欠片もないろくろがこれだけの長時間戦闘を行えるはずがない。

どうにか助けに行かなければ。

 

 

 

と思ったら、向こうからいなくなってしまった。

何かあったのか。

まあいいか。

とにかく、ろくろの方に向かわなければ。

 

「ろくろ、無事かー?」

<ご、ご主人様ぁー>

「無事みたいだな」

 

なんかぐるぐるしてるけど、まあ無事みたいだ。

ついでにナキの方も大丈夫そうだ。

 

<なんか雑じゃないか?>

「信じていると言ってほしい」

 

とりあえずみんな無事か。

はー疲れた。

あとでルルーシュにご飯奢ってもらお……。

 

 

 

「出てこない……だと……!?」

 

 



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馬鹿会話

オリキャラしか出ていない話……だと……!?


式根島で白兜の捕獲作戦を行うらしい。

ユーフェミアと会いたい気持ちはないでもないが、まあそれは後回し。

今は、ちょっとやることがあるのだった。

 

「というわけで、やってきました超高級料理店」

「わ、わあー☆ ろくろたち浮いてませんか?」

「? こういうのは自然体でいた方がいいぞ」

「そういえばツッキーは割と平気でしたね!」

 

そうらしい。

何故かは知らないが。

 

 

 

とはいえ今日は来賓側。

いい感じで待っていればいいのだ。

 

「ご主人様はどこに貴族服なんて隠しておいたんですか☆」

「皇族のたしなみだ」

「へー☆」

 

ちなみに私は貴族が着るような服で、ろくろには私の妹たちが着ていたおさがりをプレゼントした。

男物はなかったのだ、許せ……。

ナキはワフクという奴を着ている。

中々良い感じだ。

 

「というよりもです!」

「何だ?」

 

ろくろがむすーっとした顔で言う。

 

「ろくろの捜索網にもかからない相手って誰なんですか?」

「ナイトオブファイブ」

「わー☆」

 

ろくろの顔に冷や汗が大量に。

おかしい。

普通に皇族の前に出た時にはこんな表情をしなかったはず。

 

「それだけヤバい相手ってことですっ☆」

「そうだったのか。メル友なんだが」

「ご主人様が知ってる情報をろくろが知らないなんて!?」

 

変な対抗意識を燃やしているろくろに対して、ナキは冷静そうだった。

いや嘘ついた。

すっごい殺意に塗れていた。

 

「護衛がいるから殺せないぞ」

「むぅ」

 

即座に鎮める。

こいつは犬か。

犬だな。

 

「まあ私も直接会うのは暫く振りだが、まあ悪い奴ではないよ」

 

 

 

暫く待って。

 

 

 

「お久し振りですわぁー!」

「久しぶり」

「ま、待って……!」

 

凄い勢いで走ってくるナイトオブファイブ。

キャサリンお姉さんである。

ここがレストランだと忘れているな???

 

「うわー☆」

「濃い……」

 

私並に大きい身長。

陶磁器のように白い肌にルビーのような赤い瞳。

アメジストのように輝く髪の毛をゆるふわロングに。

 

その後ろからもう1人。

茶色い髪に赤い瞳。

ロングストレート。

平たい、平たい、巨尻のロリ。

いや、ロリか……?

ショタかもしれない。

 

 

 

「オーナー! わたくしに一番豪華な食事を!」

「へい! もやしです!」

「!?」

 

ドンと出されるもやし。

なるほど、新鮮のようだ。

豪華な食事かはともかく。

 

ふふふ、こういうときはこうやって注文するんだ。

見ていろ。

 

「オーナー。この店で一番のお勧めを」

「へい! もやしです!」

「!?」

 

天丼だと……!?

いや出されたのはもやしだが。

 

「へい! いくら軍艦!」

「へい! マグロ!」

「へい! うに軍艦!」

「……ええと☆」

 

そして何故かろくろとナキ、そして向こうの従者に出される食事は高級寿司。

解せぬ。

 

と思ったらオーナーの顔に見覚えが。

なるほど。

ブリタニア人お断りの店を出したと評判のイタマエさんの店だったか。

度胸あるな。

 

「おのれ! わたくしにこんなものを寄越すだなんて! おかわりですわ!」

「実際結構美味しくて困る。おかわり!」

 

まあ出された以上食べないわけにはいかないのだが。

 

 

 

「さて本題ですわ」

「そうだな」

 

食事を楽しみつつ、漸く本題へと向かう。

……ところで本題とはなんだったか。

ろくろを見ても美味しそうに寿司を食べていて聞いていない。

ナキと向こうの従者も同じく。

 

「ブリタニアの鬼神たるあなたがどうしてこのような場所に?」

「ナイトオブファイブがどうしてこんなところに?」

「知らない!」

「分からないですわ!」

 

本題、終了……!

 

さて、イタマエから普通の料理を出してもらう呪文を唱える作業に入らなくては。

 

「オーナー! 私に軍艦を!」

「へい! 軍艦のプラモです!」

「オーナー! わたくしに玉子をくださいな!」

「へい! 生卵です!」

 

中々強情だな……!

 

「ご主人様……こちらのお皿、あげましょうか?」

「いや、こういうのはちゃんと出してもらわないと駄目なんだ。負けた気がする」

 

 

 

「またお越しください!」

「もやし連打しておいてその台詞……!?」

 

したたかである。

最終的にはしらす軍艦はもらえたので良しとしよう。

 

「というわけで紹介しよう。私の配下だ」

「あら可愛らしいこと」

 

ろくろとナキを紹介しておく。

勿論私の騎士としての紹介だ。

だって他になってくれそうな人いないし。

一応皇族だしね、私も。

 

「わたくしの騎士はこの子、リーファですわ! ご挨拶を!」

「……よろしく」

 

ぺこりと頭を下げるリーファちゃん。

一応女の子らしい。

なんか違和感があるが、まあ関係ないだろう。

 

「拾った子ですが、中々役に立ちますのよ! 今日もわたくしが下着を忘れていたことに気付いてくれましたの!」

「ちょっと黙ってくださいケイト」

 

なるほど、仲がいいんだな。

ちなみにケイトというのはキャサリンの愛称の1つであることは皆さんも知っての通りである。

ははーん、こっちも自慢をした方がいいな???

 

「ろくろも凄いぞ。私が探していた下着や靴下やシャツを即座に持ってきてくれるんだ!」

「やめてください☆」

「ナキも中々だぞ! 私が渡した人形を未だに持ってくれているんだ! 忠義者だろう?」

「やめてくれ」

 

何故か二人にわちゃわちゃにされる。

キャサリンの方を見ると何か喋ろうとしているのをリーファが口を押えて止めているようだ。

ははは、仲がいいんだな。

 

 

 

「そういえばわたくし新しい機体を作ったんですのよ」

「そうか。私も新しい機体を作ってもらったよ」

 

お腹がいっぱいになったので近くの公園で飲み物を頼んだ私達。

従者たちが持ってくるのを待っている間に軽く話をしていた。

 

「ランスロットという機体があるのですが、それの開発者からデータをちょっと借りて作りましたの」

「こっちは全部任せきりだったなぁ」

「そして試運転に使ったら変なKMFと出会いましたわ!」

「偶然だな、私もだよ」

「そもそもKMFなのかも怪しい、規格が全て違っている機体でしたわ! 作ったメカニックは頭がおかしいですわ!」

「こっちは巨大な盾で殴りかかる変な操縦していたな。絶対使い方が違うと思ったよ」

「「……ん?」」

 

なにか噛みあっているようで噛み合っていない会話。

まあいいか。

どうせ私には関係のない話だろう。

 

「思い出しましたわ!」

「何を?」

「わたくし、ゼロを名乗る犯罪者をボロクソにして差し上げるために来たのでしたわ!」

「そうだったのか」

 

そういえばそんな話だった気がする。

そして私はどうしてこの場にいるのかも話す予定だった気もしないでもない。

 

しかし、思い出せないのだ。

何か凄いことがあった気がするのだが。

なんというか、その辺の記憶だけが抜け落ちているというか。

 

「私はどうしてここにいるんだろうな……」

「あら、その年齢で自分探しの旅ですか?」

「男はみんな自分を探しているよ」

 

多分な。

という感じの話をして、少し飲み物を飲んだ私達は解散した。

なんてこともない、ただの知り合いの会話だった。

 

 

 

「……ご主人様が戦った相手はあの人でしたね☆」

「ああ……そして恐らくはあの従者……」

 

 

 

何か背後で喋っていたが、まあ多分関係ないな!



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馬鹿参観

馬鹿は馬鹿なので色んな事を忘れています。


「……で、ゼロとカレンが見つからないと?」

「みたいですね☆」

 

何か消えたらしい。

不思議な現象である。

しかも私が行くと邪魔になるとか言われたので私は関与できないという。

私の扱いが雑では?

 

「まあご主人様の扱いはそんな感じでいいと思いますよ☆」

 

悲しい。

 

とはいえ唐突に暇になった今日。

折角だしデートでもするか。

 

「ご主人様、唐突な上に自分がお尋ね者だという自覚皆無ですか?」

「よし今日はお前を死ぬほど甘やかしてやるぞ」

「新手の死刑宣告ですか?」

 

ろくろは何を言っているんだ。

そう言うと、ろくろがジト目でこちらを見る。

 

「ちょっとろくろを褒めてみてください」

「ん? ろくろは凄いなまずは可愛いまるで人形かと見間違うほどだそして言動も素晴らs」

「はいストップ! あんまり長いとろくろ暴走しますよ?!」

「何を言っているんだ」

 

自分から言い出したことなのに、何故止めるのか。

まあいいや。

とりあえずこのまま街に出るとして、何しようか。

 

「あ、本当に街に出るつもりだったんですね」

「デートだからな」

 

 

 

 

「さて」

「あの、これで外歩くのかなり恥ずかしいんですけどっ」

 

今日のろくろはゴスロリチック。

白黒のレースやら何やらがあしらわれ、ふわっふわのスカートも完備している可愛いを前面に出した代物である。

実際可愛い。

 

「似合ってるよ」

「もう動じませんからね?」

「愛しているよ」

「ぶっ殺しますよ!?」

 

動じるじゃん。

 

 

 

軽くぶん殴られた後、私達は近くのショッピングモールを見て回ることにした。

公園見て回ろうぜ! って言ったら却下された。

なんでだろうな。

 

「あの公園カップルばっかりで評判じゃないですか!?」

「え?」

「肝心なところで聞いてない!」

 

何の話をしているのか。

頭を抱えているろくろの両手をとって顔をじっと見る。

 

「私では不服か?」

「そういうんじゃないですけど! 限度ってありますよね!?」

 

よくわからない。

私は雰囲気でろくろを褒めている。

 

「……いやまあ、もういいです。好きにしてください」

「では愛しのろくろ、私のエスコートを受けてくれるね?」

「こいつ……!」

 

 

 

今度は蹴りを喰らわせて来るろくろをあしらいつつ、ウィンドウショッピングを続けるのだった。

 

 

 

ちなみに翌日ナキとデートをしようと声をかけたら急に逃げられてしまった。

何かあったのだろうか。

 

 

 

 

 

そんなことがあって暫く。

ルルーシュとカレンが見つかって、なんとなくのほほんとしていた頃。

行政特区日本ができるという噂が!

 

「噂というか、ニュースになってますね」

 

もぐもぐと朝食を食べながら、ろくろが言う。

今日の朝食は私の手作りである。

美味しい美味しいと言っているが、実はまだろくろやナキには教えていない。

食べきった後で教えて驚かせてやるのだ。

 

「それは困ったな」

「何がだ?」

 

ナキももぐもぐと朝食を食べつつ困った困ったと口にする。

何が困ったのだろうか。

私にはよくわからなかった。

 

「これで黒の騎士団もお役御免。ただの逆賊に早変わりだ」

「……なるほど?」

「分かってないなら無理に分かった振りしなくていいんだぞ」

 

失敬な。

何となくわかっているぞ。

 

ナキの言う通り、この状況下では黒の騎士団、ひいてはゼロの正当性敵なものが失われてしまう。

故にピンチ。

どうするルルーシュ? って感じだろう。

 

「まあ私は招待されてるから気軽に入場するんだが」

「ぶふー!?」

「汚いぞろくろ」

 

噴き出したコーヒーを拭ってやり、そのまま食事を続ける。

いやまあ、もったいないし?

それと、ろくろは口開いたまま何やってるんだ?

 

「馬鹿ですかご主人様? すみません馬鹿でした」

「褒めるなよ照れる」

「あきらめろろくろ、こいつはこういう奴だ」

 

ズズーっと味噌汁を飲むナキ。

はしたないぞ。

音を立ててはいけないと私は習ったのだぞ。

 

「ちなみにこの朝食は私が作った」

「「ぶふー!?」」

 

ふたりが噴き出す。

驚いたようだな。

満足したぞ。

 

 

 

「じゃ、呼ばれてるから行くぞ」

「え?」

「式典」

「本気で言ってたのか」

 

 

 

 

 

「というわけで行政特区日本の成立を祝って!」

「いやまだですよ?」

 

早かったらしい。

とりあえず席に着いたが、ろくろは落ち着かない様子。

私の騎士なんだからちゃんとしてもらわないと困るのだが。

逆にナキはどっしりと構えているな。

こういう場に鳴れている様子だ。

理由は分からないが。

 

 

 

そして、私の隣にはナイトオブファイブ、キャサリンが。

ろくろたちは私の後ろに立っているのだった。

 

「そういえば」

「ん?」

 

唐突にキャサリンが声をかけてくる。

いやまあ、こんな状況だ。

私という高貴な存在にすがりたくなる気持ちもわかる。

 

「黒の騎士団に協力している皇族がいるらしいとのことですが、御存じありませんか?」

「へぇー」

 

別にそんなことはなかったらしい。

しかし、私は協力しているのではなく同盟を組んでいるのでセーフ。

嘘はついていない。

話してもいないしな。

 

「ふぅん……まあいいでしょう」

「何か気になることでも?」

「いいえ」

 

変な奴だ。

まあいい。

私はそろそろ到着するであろうルルーシュを待ちながら、久し振りの豪華な座椅子に深く腰掛けるのだった。

 

 



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馬鹿覚醒

急なシリアス。
……シリアスか、これが……?


「き、来ました! ゼロです!」

 

堂々と空を飛んでやってくるゼロことルルーシュ。

こういうときに豪快な感じでやってくるあたりが皇族って感じ。

 

まあ細かい話はいい。

今はなんか唐突に立ち上がったお隣さんを追いかけるのが先だ。

 

「ふん、ふんふん♪」

 

鼻歌だ。

気持ち悪いくらいに外れた音程だ。

こっそり尾行しているからか、気付かれた様子はない。

 

そして、キャサリンが向かった先はルルーシュとユーフェミアがいるところ。

何か日本人もいるな。

くるるるるぎスザクだったか?

多分違うな。

 

とにかく。

ルルーシュとユーフェミアが並んでいるところに、キャサリンが近寄っていく。

ううむ、嫌な予感。

もう少し接近するか。

 

「ユフィ、そしてゼロ」

「あら、キャサリンお姉さま」

 

チリチリと首の辺りが焼けるような感覚。

うーむ、この感覚は戦場のそれだぞ?

何かが起こるな。

 

「どうしてこちらに? 来賓席はあちらの方……」

 

そう言ってユーフェミアがこちらに向かって手を向けた瞬間。

 

 

 

「さようなら、ですの」

 

 

 

ザクリと、ユーフェミアの身体が両断された。

 

 

 

 

 

 

「ユフィ!」

「ユーフェミア!」

 

唐突な蛮行に、周囲が途端にざわめきだす。

ルルーシュはユーフェミアが斬られる直前にどうにか自分の方へと引き寄せたようだ。

だが、あの傷は。

 

「き……さまあああああああ!」

 

そこに、スザクっぽい男が飛び掛かってくる。

素早い、そして鋭い。

普通の人間なら反応できないような速度で接近して、蹴りを放った。

 

「―――――惰弱」

 

しかし。

ナイトオブファイブはそれ以上だった。

 

「脆弱……」

 

右手だけでその蹴りを受け止め、即座に地面へと叩きつけた。

 

「かっ!?」

 

そして踏みつける。

左手には礼装の剣。

あ、やべー奴や。

 

「貧弱ですわぁ!」

「そいつは困るぞっと!」

 

左手を銃で撃ち抜く。

見事に躱されたが、それでもスザク? が逃げる隙はできたようだ。

足をどかしてバク転。

ちょうどユーフェミアとキャサリンの間に立った。

 

「何故こんなことを!?」

 

スザクらしき男が叫ぶ。

そうだ、今の状況でユーフェミアを斬り殺すのはやばい。

日本人からも、ブリタニア人からも狙われる。

それなのに何故か。

 

「簡単ですわ」

 

そして、キャサリンはきょとんとした顔で言い放ったのだった。

 

 

 

「ユーフェミアとゼロは逆賊。故に殺すのですわ」

 

 

 

 

「は……?」

 

誰もが言葉を失う。

それはそうだ。

何が逆賊なのか。

ユーフェミアは行政特区日本を作ろうとしただけではないか。

いやまあ凄いえげつない手だから誰かの入れ知恵かもしれないが。

 

それはともかく。

逆賊とは穏やかではない。

問いたださなければ。

 

「何故逆賊だと?」

「単純な話。ゼロとそこのユーフェミアはつながっているのです」

「何を根拠に?」

「本人に直接聞いてみては?」

 

と言われたものの、ユーフェミアは瀕死。

ルルーシュも驚きでそれどころではない。

 

「とにかく。逆賊は殺すに限りますわ。反逆反乱動乱は撲滅するに限ります」

 

思考が極端すぎる。

こいつはヤバい奴だ。

 

 

 

とにかく。

この状況下ではルルーシュは役立たず、スザクっぽいのも興奮状態。

もう1人ほどヤバくなってるであろう人物に心当たりはあるが、今は放置。

 

「ろくろ、ナキ」

「はい!」

「ユーフェミアとゼロを連れて退避。ナキは私に続け」

「了解」

 

突貫。

ナキはいつの間にか持っていたナイフを構えて突進。

私は銃を片手に徒手空拳だ。

伊達に皇族やってないぞ。

 

「ええと、そうですわね。こういうのはどうでしょう」

 

しかし、私達の攻撃を簡単にいなして見せるキャサリン。

いやマジで強いなこの女。

 

「リーファ。ケイオス爆雷を」

 

そして、そこまでやってから真上にKMFがあることに気付いた。

あ、やべ。

死ぬわこれ。

 

投げられたケイオス爆雷は綺麗な放物線を描き、即座に起爆。

私達にその暴力的な散弾が降り注ぐ。

 

 

 

……うーんだめだこれ。

私も死ぬし、ろくろたちも死んでしまう。

それは困る。

 

……困るなぁ。

死んでほしくないなぁ。

何かないかなぁ。

どうにかできないかなぁ。

 

 

 

 

 

キイン、と脳裏に何かが閃く。

 

 

 

 

 

―――――ああ、思い出した。

 

 

 

 

 

両目が焼けるように痛い。

だがそれはどうでもよかった。

今はそう、この状況を乗り切ることだけを考える……!

 

 

 

 

 

「リヴァーサ・アイベシ・ブリタニアが命じる!」

 

 

 

 

 

単純な話だ。

私にはいくらかの抜け落ちた記憶がある。

それは私が忘れっぽいからだけではない。

ただ単純に、消費してしまっただけなのだ。

 

 

 

 

 

「目の前の暴力を……撃滅せよ!!!」

 

 

 

 

 

 

瞬間、2つの閃光が交錯する。

 

砕ける破壊の散弾。

そして砕けていく光の障壁。

何かこうファンタジーな感じで時間が過ぎていく。

 

 

 

そして。

散弾が消えた時。

障壁はまだ残っていた。

 

 



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