【妄想小説】劇場版ポケットモンスターXY&Z ~異世界の扉と冥界の灯火《ゼノ・ジーヴァ》~ (睦月透火)
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序、1:唐突な出会い
とある方のポケモン小説でモンハンモンスターの出るヤツ見て触発されましたw
全編通して、アニポケとしてシーンを頭に浮かべながら読む事を推奨します。
拙い妄想小説ですので()
ポケットモンスター、縮めて「ポケモン」。
この星の不思議なふしぎな生き物達……あるものは山に、海に、空に、街に。
この世界では、人とポケモン達が仲良く暮らしている……しかし今回は、ちょっと変わったポケモンを巡って、とんでもない事が巻き起こる……ちょっと……いや、すご~く不思議な物語。
・
・
・
この少年、マサラタウンのサトシ。
……「ポケモンマスター」を目指して、相棒のピカチュウと共に旅をしている。
この物語は、そんな旅の最中……一人の少女との出会いから始まる……
小川のせせらぎと暖かい風……思わずピクニックにでも繰り出したくなるような天候の下、サトシ達は川沿いを森に向かって歩いていた。
「ねぇ、サトシ……この先にある【幽玄の森】の噂、知ってる?」
『
「知らないなぁ……その噂って、どんなの?」
「何でも、この森には……誰も見たことないポケモンが居るって噂!」
「へぇー、誰も見たことないポケモンかぁ……会ってみたいな、なっ、ピカチュウ?」
『
「僕も是非見てみたいですね~」
「ユリーカも!」
サトシと共に旅をするセレナ、シトロン、そしてユリーカ……
「じゃあさ、その【幽玄の森】って所に行ってみようぜ!」
「「「賛成~!(ピッカ~!)」」」
不思議な噂のする森へと進む一行……だがその直後だった。
「……ぁぁぁぁぁああああぁぁぁぁとぉぉぉめぇぇぇてぇぇぇぇぇ!?」
空の向こうから聞こえてきた声……上空の雲を突き破って落ちてきたのは、一人の少女だった。
「サトシ! 空から女の子が……!!」
「……ッ!? オンバーン、君に決めたッ!」
サトシは直感で飛行可能な手持ちのポケモンからオンバーンを選び、ボールから出す。
『
「オンバーン、あの子を助けるんだ!!」
『
指示を受け、自身の持てる最大速度で上空を落ちていく少女へ向かうサトシのオンバーン。
『
「……え……っ?!」
数々の旅を経験した彼のオンバーンは即座に相手の状態を理解し、少女へと接近……見事な空中姿勢制御で自分の背中へと少女を乗せてホバリングを始める。
「っし! よくやったオンバーン!」
『
「ひゃあぁ……間一髪ぅ」
「大成功ですね!」
「……ぁ……ありがとうね、キミ」
『
「大丈夫~?」
オンバーンの背中に乗った少女を気遣うセレナの声に、少女は手を振って応えた。
オンバーンによって助け出された少女は白いワンピース姿……背格好はサトシ達と同じくらいで、綺麗な銀色の髪の根本だけが少し赤く染まっている……服もほぼ全てが白一色で、所々だけ赤くグラデーションが施されたリボンで飾られており……まるで着せ替え人形にも似た雰囲気を持っていた。
「あ、あの……助けてくれてありがとう、もう少しで泥だらけかズブ濡れになると思っちゃった……」
(……その程度で済むはず無いんだけどなぁ……?)
少女の発言にシトロンだけが怪訝な顔をするが、サトシ達は全くといって良いほど気付いていない……
「危ない所だったな……オレ、マサラタウンのサトシ、ポケモントレーナーだ。
コイツは相棒のピカチュウ」
『
「私はセレナよ、そしてあっちの2人が……」
「シロトンです」
「ユリーカだよ」
『オンッ、オンバーン!』
「へぇ、キミがこの子達の持ちn……いやパートナーか、改めてありがとね。私はミラr……っと、ミラよ」
「ミラ……か、よろしくな!」
「ところで、何で空から落ちてきたんです? 空から落下って普通じゃないですよ?」
「あ~……その、それはね……知り合いと一緒にポケモンで空飛んでて……ちょと油断して突風に巻き込まれちゃってさ……」
『
「突風ですか……それは災難でしたね」
「突風に吹き飛ばされて、乗ってたポケモンから落ちたって感じか」
「じゃあ、その知り合いさんとポケモンも貴女を探してるんじゃ……?」
「あ~、それはぜぇったいに無い……というか、合流場所に行けば大丈夫だから!」
「合流場所?」
焦るミラの顔に一切気づかないサトシとセレナ……シトロンだけが少しだけお疑いの様子だが、その思考はユーリカの声に遮られた。
「えぇ、この先にある森にね」
「ひょっとして【幽玄の森】に?」
「そんな名前付いてるんだ……なら確定かも」
何やらボソッと付け加えたが、サトシ達はやはり気付かず……シトロンだけが怪訝な顔をする。
「じゃあオレ達と一緒に行こうぜ? ちょうどその森にも行こうかって話してたんだ」
『
「え、あ……良いの? 別に目的とかあるんじゃ……」
「大丈夫だよ、まだ日は高いし、行き先にポケモンセンターが無くてもわりと野宿してて、慣れてるからね~」
実際サトシ達はもう長いこと旅をしている都合、よく野宿する事も多い……子供だけで、という心配もあるだろうが、彼らはポケモン達と一緒なのだから。
「……そ、そうなんだ……じゃあお願いしようかな? 旅は道連れってヤツだね♪」
「わーい♪」
ユリーカは一時的とは言え同行者が増えた事に嬉しくなったご様子……彼女の兄であるシトロンやサトシ達からすれば、微笑ましい一時だった。
一方その頃、今回の目的地となっている【幽玄の森】では……
「ハガネール、はかいこうせん!」
「バンギラス、お前もだ!」
『
ハガネール達は指示を受け、はかいこうせんを発射……狙われていたのは、白い……いや、白銀の身体をしたドラゴンポケモンらしき生き物だ。
《……ッ?!》
撃ち込まれたはかいこうせんを辛うじて避ける銀色のドラゴンポケモン……土煙が周囲を覆うが、羽ばたきでそれを吹き飛ばし、反撃とばかりに前足を大地に叩き付ける。
叩き付けられた前足が地面にめり込むと、ハガネール達の足元にも裂け目が現れ、そこから吹き上げるエネルギーがハガネールを襲う。
『
『
「ハガネールっ?!」
「バンギラス?!」
爆発に巻き込まれたハガネールとバンギラスだが、それを耐えきり傷だらけになりがらも首を振って気持ちを落ち着け、相手を睨み付ける。
『……
「……ッ、逃げられたか……」
だがその視線の先に相手は居らず、鬱蒼とした森だけが広がっていた。
悪人面の男女2人は、それぞれハガネールとバンギラスをボールへと戻し、少し離れた位置で見ていた謎の男に近づく。
「申し訳ありません、逃げられました……」
「仕方ない……だが、今の奴の存在で確証は得た。この森にはやはり在る……異世界の扉が!」
不気味な笑い声を響かせる謎の男……メカニカルな眼鏡に紫色でロングウェーブの髪、見るからに悪役面で白衣の下には、彼の手下らしき2人の男女と同じ様に、サバイバルに適したプロテクターがセットになった特殊なスーツを着込んでいた。
「チッ、一足遅かったという訳か……」
……その一連の光景を、樹上から赤いフードの男が無言で見下ろしていた。
「さすがに門がバレるのも時間の問題だな……早くあの小娘を回収せねば、此方の世界にも悪影響が及ぶぞ……全く、姉上は何をしているのだ……!」
彼は男は白衣の男が去る様子を見届けた後、そう呟きながら視線を森の外れへと移す……その先には、小川に沿って道が続くだけだった……
序盤からタイトル詐欺(?)とはいえ、いきなりあのお方達が登場w
そして劇場版ではお馴染みとなったスポット参戦の悪人面トレーナー達。
さらにソイツ等を仕切る、コレまた悪人面の博士っぽいヤツ……
この辺りは完全なる様式美というヤツです。
さて、悪人面達に狙われていた銀色のドラゴンポケモン……
皆さんは見覚えあるかと思いますがどうですか?
そしてタイトル的にはXY&Zですが、クロスオーバー先となるモンハン側は最新となるRISEのネタも含まれていますので面白くなるかと思います。
……で、何でXY&Zなのかって? サトセレやりたいからですよ?
感想待ってます! 次回もお楽しみに♪
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序、2:幽玄の森と謎のポケモン
皆さんはもうお分かりですよね?
あれから1時間ほどで目的地となる【幽玄の森】にたどり着いたサトシ達。
「……んー、アイツはもう森の探索に出たかな……」
ミラの言葉に、サトシは自分達も早く探索に出たい様子……しかし。
「サトシ、早く行きたいのは分かるけど……皆にゴハンあげないと」
「おおっと、そうだった……みんな、出てこい!」
サトシの合図で、セレナ達も手持ちのボールを全て投げ、同行ポケモンを全員外に出す。
サトシの手持ちポケモンは、先ほどミラを助けた「オンバーン」と「ゲッコウガ」「ファイアロー」「ルチャブル」「ヌメルゴン」そして「ピカチュウ」。
セレナの手持ちは「テールナー」「ヤンチャム」「ニンフィア」。
シトロンは「ホルビー」「ハリマロン」「ルクシオ」が手持ちだ。
ユリーカはトレーナーではないが、キープとして兄のシトロンに「デデンネ」を確保して貰っており、更に……
「プニちゃんもゴハンにしよ!」
『♪~』
いつの間にかポシェットを定位置にしている
アニポケ恒例のお食事シーンはご想像にお任せして、取り敢えずココでの描写はカット……
スミマセン、XY&Zをそんなに見てないので想像力不足です……
(*´・ω・)ショボーン
「……さて、飯も食ったし」
サトシが帽子を被り直し……
「いよいよ、森の探索ですね!」
シトロンも降ろしていたリュックを背負い直す。
「アナタ達も手伝ってくれる?」
『
セレナの声に、手持ちのポケモン達は声を揃えて了承した。
「小さい子達なのに頼もしいねぇ」
しみじみとミラが感想を溢す……こうして、サトシ達も【幽玄の森】の探索に出発するのだった。
その頃、森の何処か……
《……ッ……、…………! …………》
少し前にハガネールとバンギラスを相手にしていた銀色のドラゴンポケモン……よく見れば全身は傷だらけであり、口端からも赤い血が垂れている。
深く抉れた崖の辺りまでゆっくりと歩いてきたが、ついに崩れ落ち……その瞳も力を失って閉じられてしまう。
しかし、力尽きても死んだ訳ではなく……辛うじて呼吸する動きだけは続いており、恐らくは意識を失ったのであろう。
……その数分後、直上の木の枝の上に赤いフードの男が現れた。
「……ようやく見つけた……さて、どうやって向こうまで運ぶか……ムッ?!」
下に気配を感じ、姿を隠す赤いフードの男……草むらの中から現れたのは。
『
オレンジ色の小さなネズミポケモン、デデンネだった。
「……ふん、この世界の原生種か……」
「デデンネ~? どこ~?」
「チッ、人間まで……この世界では姉上の位置が掴めん、一応監視だけはするか……」
そっと姿を消し、赤いフードの男の気配が消えたと同時にデデンネを探す声の主がデデンネの姿を発見した。
「なぁんだこんな所に居たんだ~」
『
声の主はユリーカだった……デデンネの声とジェスチャーに、崖下に横たわっている銀色のドラゴンポケモンに気付き、ユリーカは助けを求めるべく同行者達の名を叫んだ。
「お兄ちゃん! みんな! こっち来てぇッ!!」
・
・
・
ユリーカの声に全員がドラゴンポケモンの前に集まる……その体躯は白銀一色であり、正しくおとぎ話のドラゴンそのもの、といった姿で……翼の端や、尾の先端からは炎のようにゆらゆらと揺らめく薄い幕のようなモノがある。
頭には瞳以外にも、2個づつオレンジ色をした丸い宝石のようなものが目尻から規則的に並んでおり……その延長線上には同じ方向に向かって角が伸びていた。
「大きい……それに凄くカッコいい!」
「このポケモン、よく見たら全身傷だらけだ……早く手当てしないと!」
「最寄りでもポケモンセンターまでは遠いし、手持ちの薬で足りるかな……?」
「……良かった……取り敢えず無事だったんだね」
サトシは見た目の感想、シトロンとセレナは謎のポケモンの状態を見て慌てたが、ミラだけは良かった……と安堵した。
「ミラ、このポケモン知ってるの?」
「え? ええ、知ってるというか……私の知り合いというか……」
「「「「???」」」」
しどろもどろになるミラの姿に、疑問しか湧かないサトシ達……
「……この子はシオンって言うの、私の知り合いよ」
しょうがないか……といった感じで、ミラは謎のポケモンの事を「知り合いのポケモン」として話した。
「アレ? 図鑑が反応しない……?」
「シオン、かぁ……種族は何なんだろ……」
これまで様々なポケモンを旅を通じて見てきたサトシでも、シトロンが手ずから改良を重ねているポケモン図鑑でも該当の情報は出ない……ミラも「私も、この子についてはあまり良く知らないし、さすがにそこまでは……」と答えた。
《……ぅ……っ……、ぁ……ココは……?》
その時だ、周囲の気配に気付いて銀色のドラゴンが目を覚ます……
「お兄ちゃん! この子、目が覚めたよ!!」
薄ぼんやりと見えた何人かの人影……徐々に視界がクリアになっていき、ハッキリと見えたのと同時に、懐かしい感覚を発する相手を見つけて安堵の溜め息を吐いた。
《……ッ?! ぁ……アナタは……良かった……でも、何故この様な場所に?》
「……テレパシー、ですね」
「あぁ、ゼルネアス達と同じ感じがする……」
耳からではない、頭に直接響く声……サトシ達は何度かこういう感じの会話を行うポケモンに出会った事があるのか、意外と動じなかった。
「やれやれね、アナタを連れ戻しに来たのよ……アイツにも苦言を言われたしね」
《……? アイツ……?》
ミラは髪を掻き上げ「それは後で教えるわよ」と追及を切った。
《……人間……ですか……ごめんなさい、アナタ達を驚かせてしまいましたね……》
「いえいえ、とんでもない?! むしろ噂のポケモンに出会えて光栄ですよ!」
「だな!」「そうね!」
「うんっ♪」『ピィカァ!』
「私もこの子達に助けて貰ってね……コレで借りが2つになったわ」
「ミラが突然、空から落ちてきたのよ? サトシのオンバーンがそれを助けて、私達もミラもこの森に行く用事があって、それじゃ一緒に行こうってなって、今に至るって訳よ」
「そうなのよー(急に人間の姿にされて飛べなくなったのよ、アンタももしかしたら……気を付けなさい)」
《えっ? そんな事が……》
笑い話にしようと必死に繕うミラの言葉の裏に隠された情報を受け取り、困惑するシオンであった……
・
・
・
「……ところでシオン、ずいぶん傷だらけだけど、動ける?」
傷だらけの身体を見て、ミラは動けるかと問い掛けた……だがシオンは。
《……明日まで休めれば、少しは歩けるかと……でも……》
シオンが見上げると、陽気な日光は既に遮られ始めており、今にもどしゃ降りに晒されそうな感じである。
《この辺りは、雨宿りも期待できません……足に力が入らなくて、左の翼もまだ……》
シオンの言葉に、難しい顔をするミラ……シオンの体格は一般的なポケモンよりもはるかに大きく、ざっと見ても体長は10mを優に超える巨体だ。
「ねぇ、サトシ……モンスターボールならどう?」
セレナの言葉に、全員がハッとする……未知の存在とはいえ、ポケモンならボールで運搬可能だ……シオンがポケモンなのかは怪しい処だが、ボールが使えるのなら最も手軽で最良の選択である。
「それですよ!? ボールに入れば、重さも大きさも関係ありません!」
「えっ? 何? そんなモノで運べるの!?」
シトロンは言葉と共にリュックから空のモンスターボールを取り出し、スイッチを操作してサイズ変更……数センチ程度しかない格納モードから、軟式野球のボールくらいの大きさ……いわゆる捕獲・展開モードへ変化させる。
ミラは初めて見たモンスターボールとその
「このボールの中に入れば、どんなポケモンでも簡単に連れて行けるんだ……シオンをコレでポケモンセンターまで運べば、すぐに良くなるよ!」
《それは、本当……ですか……?》
「ああ! オレ達ポケモントレーナーや、さポケモンを持つ人達はみんなお世話になってるんだ……ココで雨に濡れたまま朝を待つよりずっと楽だし、こんな怪我だってすぐに治してくれるぜ?」
自分達にとっては未知の機械……ミラはあまり乗り気では無いが、シオンの判断に委ねるつもりだった……当のシオンは、少しの間考え込み……そして。
《……分かりました、危険は無いというアナタ方の言葉を信用して……よろしくお願い致します》
「はい! では、シオンの運搬は僕がやりますね」
「頼むぜ、シトロン?」
「任せたわよ?」
「……この子をお願いね?」
トレーナーを含め、1人の人間が持ち歩けるポケモン入りのボールは最大6個までと決められている為、手持ちが埋まっているサトシとセレナはシオンを運べない……その為、手持ち枠が空いているシトロンが運搬役となり、ミラを含めたサトシ一向は森を出て、最寄りのポケモンセンターへと向かう事になったのである。
未知の生き物すら、この世界では否応なくポケモン扱いw
そうでもしないとこの森が戦場及び地獄と化すのでやむを得ないのです……
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序、3:異世界の扉
轟々と大量の水が流れ落ちる滝……その幅は優に50m近くにもなる。
その滝の中腹には、時折紫電を迸らせながら謎の空間がポッカリと巨大な穴を開けていた。
「……フフフ、やはりあったぞ……コレこそ、まさしく異世界の扉……!」
メカメカしい眼鏡の男は怪しい笑みを浮かべ、己の予測と違わぬ結果に満足げな言葉を漏らす……そこへ、先の戦闘でバンギラスを操っていた悪人面の男が現れた。
「報告だ、周囲の雑魚は粗方蹴散らした……もう邪魔物は居ない」
「ご苦労……さて、機材の設置を急ぐとしようか……!」
男の言葉に反応し、森の中から大型トレーラー程のサイズの飛行物体が現れ、滝の側の広場に着陸……荷台のカバーが開かれ、青空に無数の機材が晒される。
眼鏡の男は右腕の端末で機材を遠隔操作し、滝の周辺に次々と設置を始めた。
「……ハァ……あの男、一体何がしたいんだか……」
いつの間にか、悪人面の片割れである女も滝の広場に来ていた。
男は「知るか、俺達は雇われただけ……金さえ貰えりゃ、アイツが何しようが知った事じゃねぇ」と吐き捨てる。
「……そりゃそうだけど、さ……アイツ何か不気味なんだよ……」
「……ククク……もうすぐだ、もうすぐまた会える……奴に!」
小声で何やらブツブツ言っている眼鏡の男を尻目に、悪人面の男女は手持ちのポケモンを休ませるべくその場を離れるのだった。
場所と時間を飛ばして……こちらは【幽玄の森】を抜けてポケモンセンターへと向かうサトシ一行。
もう少しで森を抜け、入ってきた川沿いの街道へと出る直前だったのだが……
「……ッ?! みんな、ちょっと待って!!」
ミラの声にサトシ達が振り向いた数瞬の後、全員の足元を覆う巨大な黒いシミが現れる……
『
黒いシミのほぼ中央に居たピカチュウが真っ先に黒いシミへと沈み込み始める……声に気付いて振り向いたサトシ達も全員が既に足を絡め取られており、身動きが取れない状態であった。
「ピカチュウ?! クソッ、何だよコレ……足が動かない!!」
まるで大地に縛り付けられた様な感覚……それを感じたのも束の間、底なし沼のようにズブズブと身体が沈下を始める。
「し、沈んで行きますよ……!?」
地面の下へと沈んでいく身体……それに抵抗しようとセレナは手で踏ん張るが、その手もすぐにズブズブと沈み始めてしまい、状況は更に悪化してしまう。
「もう、腕まで上がらなくなっ……?!」
「ちょ……コレ、何で今になって?!」
ミラだけはこの現象に見覚えがあったらしく、この異常事態が起きた事が信じられない様子だ。
抵抗すらする間も与えられず、黒いシミの様な場所に引き摺り込まれたサトシ達……全員の姿が見えなくなって暫らくすると、黒いシミも薄くなっていき……最終的には何もなかったかの様に元通りになってしまったのであった……
・
・
・
『
ピカチュウに頬をペチペチと叩かれ、呻き声を上げてサトシが目を覚ます。
「……っ……ピカチュウ? 無事だったんだな……」
うつ伏せに倒れていたサトシはゆっくりと起き上がり、ピカチュウを腕の中に収める……そのまま立ち上がると、見慣れない場所に居る事に気付いた。
「……ココは……何処なんだ……?」
見回す間に仲間達の姿を見つけて一旦は安堵するが、ミラだけが居ない事に気付いてサトシは気配を探す……
「ミラは……?」
「ココよ、サトシ……もう気が付いたのね」
ミラはサトシの左手側の草むらを掻き分けて来た……その手には、何やら黄色い液体が入った小さな小瓶を持っている。
小瓶を一度サトシに手渡し、ミラはセレナとシトロン、ユリーカを起こす……どうやら皆揃って怪我はなく、手持ちの入ったボールも全部無事だった。
「ココは……何処なんです?」
シトロンの問いに、ミラは少し躊躇いながらも話し始めた。
「私達は、足元に空いた穴から落ちた……みんな覚えてる?」
「ええ、底無し沼みたいに沈んでって……」
「……アレは恐らく、時空の裂け目……私達は【別の世界】に飛ばされた……みたいね」
「「「「……え……ッ?!」」」」
突然突き付けられた『異世界転移』という事実に、理解が追い付かない……ポケモン由来の様々な出来事に遭遇し、その度に解決してきた事のあるサトシ達でも、この事態は予想外すぎた。
「戻れるんですか? 僕達は……?!」
「分からない……でも、ずっとココに居るのも危険よ……さっき向こうに……」
ミラの言葉を遮る様に、ミラの後ろの草むらがざわめき……大きな熊のような獣が姿を表す……その両腕は毛ではなく、硬い茶色の鱗の塊で覆われており、サイズもリングマ(1.8m)すら余裕で上回る4m程の巨体……まさに未知の生き物だった。
「アオアシラ?! ……まさか、私が
ミラの口を突いて出た「アオアシラ」の名に聞き覚えの無いサトシ達だったが、溢れ出る相手の敵愾心に、ただ事ではない事を察知。
「ピカチュウ!《10まんボルト》!」
『
マサラタウンから、これまで長い旅を共にしたピカチュウは最早『歴戦』クラス……その【10まんボルト】は通常よりも遥かに高威力で、振り回して攻撃しようとしていたアオアシラの腕に直撃する。
アオアシラは突然の雷撃という手痛い反撃に怯み、大きな隙を見せる……そこへ
「おいで、テールナー!《かえんほうしゃ》!」
『
セレナも素早くボールからテールナーを出して指示を送り、テールナーも初見のアオアシラに臆すること無く指示通りに実行……自身の何倍も大きな相手目掛けて技を繰り出した。
雷撃に炎……自身よりも小さな敵から、これ程まで手痛いダメージを負わされる事に混乱しながも、アオアシラは脱兎の如く逃走していった。
「どんなもんだい!」
「私達の勝ちね!」
「……や、やるわね……あのアオアシラをこうも簡単に撃退するなんて……」
予想を大きく裏切るサトシ達の行動とその結果に、ミラは一瞬呆気に取られたものの気を取り直して迎撃成功を誉めた。
本当なら未知の巨大生物にサトシ達は狼狽……代わりに自分が何とかするつもりであったのだが、驚いて逃げ出す処か真っ向から迎え撃ち、あっさりと撃退したのだからしょうがない。
「お見事! ……ですが、あのポケモン?……アオアシラ、でしたっけ。
初めて聞く名前ですね……図鑑も反応ありませんでしたし……」
シトロンは戦闘に参加しなかった代わりに、相手……アオアシラをしっかりと観察していた。
本来、新種のポケモンならば図鑑に登録されたり、情報不足など何らかのリアクションは有って然るべき……しかしながらアオアシラに対してポケモン図鑑は何の反応も見せなかった。
「当然よ……ココには、いえ……この世界には、ポケモンなんて居ないもの」
ミラの告げた言葉に、異世界転移という事実を再認識せざるを得なくなったサトシ達……しかも、ミラはこの世界に妙に詳しい……シトロンはソコも問い質したかったが、この場に留まるとまたあのアオアシラとやらに襲われかねない。
「一先ず、この場を離れた方が良いわね……」
セレナの提案に、全員が了承した直後……頭上から降ってきた声。
直後、足元の地面からジガルデ(10%フォルム)に似た生き物と、ニャースに似た生き物が揃って飛び出してくる……更に飛び降りてきたのは、如何にも「
「……ハンター、か……」
ミラは一人、面倒そうな顔で呟き……サトシ達は突然の彼らの登場に呆然とするばかりであった。
異世界転移、からの洗礼役は……
皆さまご存知、青いくまのプーさんこと「アオアシラ」でごさいましたw
そして現れた、謎の男……
犬と猫を連れた忍装束の人間と来れば、もうお分かりですよね?
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序、4:カムラの里
未知の生物「アオアシラ」に襲われるが、長旅で鍛えられたポケモン達は頼もしく、早々に撃退成功……だが、喜びも束の間に謎の男が現れる。
「お前達、何者だ……? その奇っ怪な小型モンスターは……」
忍装束にも似た、防具に身を包む謎の男……ピカチュウ達を警戒しながらもサトシ達に問い掛けた。
「オレはマサラタウンのサトシ、ポケモントレーナーだ」
「私はセレナ、ポケモンコーディネーターよ」
「僕はシトロンです」
「私はユリーカ」
少し怪訝な感じだが、猫らしき生き物があまり警戒していない事……未知の生物として見られているピカチュウ達も興味深く見ている事から、サトシ達は少なくとも謎の男が敵ではないと感じ、自己紹介をした。
「……知らぬ土地の名だな、そして未知の生物……ソイツ等は危険じゃ無いのか?」
「ピカチュウはオレの相棒だ、危険なもんか!」
「まぁまぁ、ココの人達はポケモンを知らないみたいだし……少しは落ち着いてよサトシ」
男の物言いに少しばかりイラッとしたサトシが語気を荒げるが、セレナが取り成して収めさせる。
「……貴方、ハンターね……何処の所属?」
事のやり取りを黙って見ていたミラが、この地域が何処かを男に尋ねる。
「……俺はカムラの村付きのハンターだ。そういうお前達は旅人か? それにしては怪しい格好だが……あまり深くは立ち入るなよ?」
渋々、といった感じだが男はカムラのハンターだと告げ……奥には立ち入るなと警告してきた。
「ニャ、旦那さん! アイツがコッチに向かってきたニャ?!」
「ヴゥゥゥ……!」
「……チッ、リオレイアめ……こちらを嗅ぎ付けたか」
遠くから羽ばたく様な音が聞こえると、ハンターと名乗った男はそう悪態を吐いた。
「狩猟の最中か、私達は下がった方が良さそうね……皆、コッチよ」
ミラから手招きされ、サトシ達はその場から離れる……と言っても見知らぬ土地なので、ハンターから距離を取り物陰に隠れる程度だ。
「アイツ、何をしてるんだ?」
「背中に武器を背負ってましたね……」
「ハンターって言ってたわね……コッチに来るっていうポケモンを捕獲するのか?」
サトシ達はこの後の展開を予想するが、答えを返してきたミラの言葉と、その後に見る事になった光景に……人生最大の驚愕をする事になる。
グォアァァァッ!!
高音と低音が混ざった独特な咆哮……天から降ってきた声と共に空から降りてきたのは、全身緑色をした翼を持つドラゴンポケモンらしき巨大生物……ボーマンダ(1.5m)やカイリュー(2.2m)すらも優に超える17m級の巨体、それが自前の翼で悠々と空を飛んで来たのである。
「アイツ等は、物陰か……なら好都合だ。一気にココで仕留めるぞ!」
「ハイにゃ!」 ヴォンッ!!
お供のポケモン達がそれぞれ返事をし、男と共に散開……緑色……リオレイアと呼ばれた巨大ドラゴンポケモンを囲む。
「やったるにゃよー!!」
喋るニャース(?)っぽいポケモンが何処からか取り出したのは、幅広の
ワォン!! オオゥゥゥン!!
足元には既にヘルガーっぽいお供が潜り込んでおり、口で咥えている2本の鎖鎌を器用に操って連撃を重ねていた。
「良いぞ2人とも……オォォラァァァッ!!」
お供に気を取られ、リオレイアは足元の鬱陶しいヤツを蹴飛ばそうと片足を上げる……その隙を見逃さず、男は背負っていた巨大な得物……太刀と呼ばれる武器を走りながら抜刀、隙だらけとなっていたリオレイアの頭へ斬り付けた。
グギャッ?! ガァァァァァッ!!
爆弾投擲により音を掻き消され、足元で撹乱……そして頭を狙って不意討ちされたリオレイアは堪らず転倒……あらゆる手を駆使し、ハンターは自身よりも巨大な
「……何なんだよ、ココは……」
『……
サトシ達には衝撃的過ぎた光景……生き残りを掛けた死闘、明日を生きる為の生存競争が日常であるこの世界へと落とされた子供達は、目の前で繰り広げられる生死を掛けた戦いを呆然と見ているしかなかった。
……先の戦闘でリオレイアは瀕死へと追い込まれ、無益な殺生をしないというカムラの里の方針もあって捕獲と相成った。
現在は里から捕獲したリオレイアの運搬役が来るまで、近くのキャンプへと移動し全員で休息を取っていた。
「……俄には信じられんな……その……異世界というのは」
「あら、
サトシ達の持つ道具の数々……特にモンスターボールの
ミラの言葉に「……まぁ、確かに……」と頷かざるを得ない男ハンター……サトシ達は先の戦闘の衝撃から少しは落ち着き、ミラと男の会話をずっと聞いていた。
「……というか、名前くらい名乗りなさいよ……」
男ハンターはミラの言葉に、あっ……と思い出し、咳払いの後にこう名乗った。
「俺はハンターのレクスだ……コッチは相棒の……」
「ボクは旦那さんのオトモアイルーで
ウォンッ! ハッハッハッ……クゥン
レクスに頭を撫でられ、嬉しそうに頭を寄せるヘルガーっぽい……もといオトモガルク。
ニャース(?)っぽい子はアイルーという種族だと説明され、本格的に異世界転移したという事実を信じるしか無くなった全員……ただ一人ミラだけ、サラッと何でもない顔をしているが。
「……経緯はどうあれ、お前達は迷子と同じだ……迎えが来たら、俺と一緒にカムラの里へ来れば良い。
そうすりゃ少なくとも、行き倒れだけは回避できる……」
この世界では右も左も分からない為、サトシ達は提案に乗るしかなかった。
森をしばらく歩き、山間部の獣道を辿った先……大きな川に近い窪地に、カムラの里はある。
「おや、もう帰ってきたのかい? その様子だと、無事に仕事は終えたんだね……っと、その子達は? 見掛けない格好だね……」
「あぁ……少し面倒事はあったが、全員無事だ。コイツらは大社跡で迷子になってたんだ……土地勘が無いってんで、一先ず連れ帰ってきた訳さ……」
里の入口の橋で傘を売る女性と話し始めるレクス。彼女はすぐサトシ達に気付いて訪ねたが、レクスは異世界の事は上手く誤魔化して説明してくれた。
だが、迷い子なのに変わりはない為彼女はそれを聞くと心配そうな表情だ。
「大丈夫だったかい? あんた達……まだハンターには早い歳の様だね、里長に事情を話しときなよ」
「あぁ、勿論そのつもりだ……」
傘売りの女性と別れ、村の中へと足を進める……奥の方の建物からは黒煙を吐く煙突が数本伸びており、先端は竜の頭を模した形になっていた。
カムラの里とは、古くから伝わる“製鉄技術”を主要産業に独自の発展を遂げた
「里長、リオレイアの狩猟……終わらせて来たぞ」
「おぉ、早かったな……む? その子等は?」
「近くで迷子になってた……土地勘も何も無いってんで、連れて来たんだが……」
レクスすら上回る身長に筋骨粒々、といった感じの大男……里長と呼ばれた彼は、サトシ達を一目見ると少しだけ怪訝な表情を浮かべたが、すぐに笑顔になり、声を掛けてきた。
「そうか……見知らぬ土地ならば、さぞ心細いであろう。見たところハンターではないが、旅慣れているな……儂はこのカムラの里で長を勤める『フゲン』だ」
「オレ、サトシです」
「セレナです」
「シトロンと言います」
「ユーリカだよ」
ポケモン達にあまり動じない所を見ると、長年の経験から敵意を持っていないと割り切ったのだろう……ピカチュウ達にも軽く微笑むと、フゲンは傍らのガルクに何やら頼み始めた。
「それじゃあ俺は集会所に寄ってくる」
「む、そうか……ならばついでにオテマエ殿にこの
フゲンはレクスに手紙を渡し、受け取ったレクスはポチとタマを引き連れて引き返して行った。
見送るサトシ達の後ろでフゲンは手を叩き、サトシ達の気を引くと……
「さて、特に変わった物は無いが、今後の宛てが決まるまで……ゆっくりしていくと良い。
儂の屋敷に、空き部屋が幾つかある……手狭だが、寝るくらいには使えるだろう」
「「「「ありがとうございます!」」」」
フゲンはサトシ達を自分の屋敷に案内する途中、サトシ達の旅の話を対価として求め……全員が快諾。
途中でフゲンの隣に居たガルクが戻って労われるシーンに、サトシ達はポケモン達と似てると感じるのだった……
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フゲンの屋敷には大きな庭と池があり、最初は枯山水かと思われたが……
「広い庭だが、世話できる者は里に居らぬのでな……もう何年も荒れ放題よ、ワハハハッ!」
……と言っていた為、サトシはポケモン達と協力して荒れ果てた屋敷の庭から邪魔そうな物を片付け、シトロンは使われていた古い道具を修理し……セレナとユーリカで片付けられた庭を自然に近い形で見映えよく整えていった。
「……よし、これで皆を出しても安全だろ。みんな出てこ~い♪」
片付けの済んだ広い庭に、サトシ達のポケモンが勢揃いする……
「……そう言えば、この子も……傷の具合を診ておかないと」
シトロンも、向こうで傷を負っていた謎のドラゴンポケモンの容態を診る為に外へ繰り出した。
『……ッ、あ……ココは……?』
暫く暗がりに居た様に外の光に目が眩んだシオンだったが、感じる感覚と匂いから、自身の居場所に近いと感じて安堵した。
「……怪我の方はどう?」
ミラが近寄り、シオンの首を撫でる……優しげなミラの所作に、少しの間されるがままであったシオン。そのまま翼や足を動かして確認し終えると……
『体表の傷だけですが、半分くらいは塞がりました……動かせはしますが、飛んだり……は無理です』
「そう……一応は一安心、ね」
「結構酷い傷でしたが……元々、回復力が高いんでしょうか」
『この土地にも、少しですが龍脈が通っています……そこからエネルギーを分けて貰って、回復に充てましたので』
シオンの言葉に、サトシは旅路で出会った伝説のポケモン達を幻視した……彼等は超絶なる力を以て自然との共生を体現しており、一部には枯れた山海を甦らせ、死すらも覆す程である。
シオンと呼ばれるこの銀色の巨大なドラゴンポケモンも、そんな力を秘めた存在なのかもしれない……そう思ったのだった。
それから、サトシ達の手持ちポケモンとも交流しているシオンの姿に、戻ってきたフゲンは驚愕……しかも言葉が通じる事から、“神の使い”だとか“伝説の古龍”ではないか一時騒然となったのは想像するに難くなかった。
無論、シオン自身が否定し“新大陸で生まれた”と説明した事で、誤解はすぐに解けたのだが……
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その日の夜、カムラの里長フゲンの言葉“行く宛て”の事を聞きにサトシ達と話を始めたミラ……昼間の内にミラは、この世界の出身である事を打ち明けており、サトシ達を早く元の世界に戻す為に身の振り方を考える予定だったのだが……当のサトシ達からは、何とも驚愕の行き先を告げられてしまった。
「……新大陸に行きたいだって!? 何であんな所に?!」
「何でって……そりゃシオンの為さ」
サトシの発言に“訳が分からないよ”状態のミラは、納得が行かないのか語気を荒げた。
「俺達の世界ならポケモンセンターを利用すればすぐだけど、こっちじゃその……“龍脈”って奴が通ってないと、治るのに時間が掛かるってシオンから聞いたんだ」
(……シオン?! アンタ何で……!!)
(スミマセン……この子達があまりにも甲斐甲斐しいので、ついうっかり……)
視線で会話するシオンとミラ……半ば呆れたミラの顔に、シオンは目を伏せて申し訳なさそうな挙動……セレナは2人を取り成す為にも、あくまでも自分たちの考えだと主張する様に話を続けた。
「私達は最初、シオンの怪我を治す為に動いてたから、先ずはシオンの治療をする為にこっちの
そこへシトロンの援護も入る。
「何らかの方法で世界の壁を超えたのなら、戻る手段だってある筈です……僕達の旅は、急ぐものでは無いですし……不測の事態とはいえ、せっかく別の世界に来たんですから、此方の世界の事をもっと知ってからでも遅くはありませんしね」
「私、アイルーちゃん達ともっと仲良くなりたい! ね、ぷにちゃん♪」
ユリーカのポシェットから、転移に巻き込まれていたのか……ジガルデ・コア(ユリーカ命名:ぷにちゃん)が顔を出していた……コイツの正体は伝説のポケモン『ジガルデ』の中枢なのだが、当然ユリーカやサトシ達は全く知らない。
「……っ……本気……なのね……。……はぁ~っ、分かったわよ……私がこっちの世界を案内するわ……まったく、人の気も知らないで……!」
子供故の好奇心からか、異世界旅行気分である……ミラは、この殺伐としたモンハン世界の現実をサトシ達にあまり見せたくはなかったが、当の本人達がまったく言う事を聞いてくれないのでもはや自棄気味に案内すると宣言したのであった。
(……ア◯セ◯スめ……まさかとは思うけど、世界修正の為にとか言ってコイツ等を押し付けたわね……? ……もし事実だったら、絶対にシバいてやる……!)
な~んか話がイヤな方向に……新大陸に向かうとか正気ですか?!
なおサトシ達、ミラがこの世界出身と聞いたが普通にスルー……
おまいら深く考えてねぇな?
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