The Unusual StarBattle (星空ゆう@最弱ったら最弱)
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1.そらのうえのふたり

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そらからきらきらたくさんのほし。

 

いろんなばしょにおちていく。

 

ほしはいろんなものがあって。

 

おおきなハンマーやかわいいゆきだるま。

 

いろんなものがおちていく。

 

よくしなるゆみ。

 

「…隕石の落下地点に…弓?」

 

ギザギザのかっこいいけん。

 

「なにか落ちてきたかと思えば…これは剣か?」

 

そして…。

 

「畑に何か落ちてきたと思ったら…バンダナ?」

 


 

「___んー次はビートルート中心かな。最近レッドビート使う人多いっぽいし」

 

腕に巻いたバンダナが風に揺れる。

ガスト島の入り口に腰を掛け、目の前に広がる作物を眺める。

 

彼は農業を生業とするTUSBer。

今日も一仕事を終えたところである。

 

「今日はジャガイモ畑だけ見て終わるかなー」

 

ぴょんと跳ねるように立ち上がって鼻歌混じりに目的地へ向かう。

一日働いたことを感じさせない足取りはまだまだ体力が有り余っているようだ。

 

鼻歌混じりにジャガイモ畑を目指して歩く。

しかし畑に辿り着く前の曲がり角まで着いたところまで来たところだった。

 

「…っ」

 

「(声…泥棒!?)」

 

突然見知らぬ声が聞こえてくる。

もしや泥棒ではないかと考えた彼はホットバーから槍を取り出して構え、意を決して飛び出して叫んだ。

 

「誰だ!出てこい!」

 

「ひぇっ…」

 

消え入りそうな声がジャガイモ畑の中から聞こえてくる。

 

「…ん?どこだ?」

 

声は間違いなくジャガイモ畑から聞こえてくる。

しかし姿は見えない。ジャガイモ畑は姿を隠せる高い草も伏せて隠れられる場所もないはずなのに。

 

どういうことかと思っているとまた声が聞こえる。

 

「助け…助けてぇ…」

 

「…あ、まさか」

 

畑の中に入り、声の方向へ向かうと全身がツルでグルグル巻きで羽根が生えた幼女が居た。

 

「なんか奇跡的な絡まり方してるー!?今助ける!」

 

急いで絡まったツルを解いて解放する。

 

「えっと、怪我はない?」

 

「…大丈夫」

 

ホッと胸を撫で下ろした。

しかしなぜこんなところに居たのだろうか。

 

「(それはまあ…いいや)大丈夫?親御さんのおうちに送ろうか?」

 

「大丈夫です。それにあの…いやなんでも」

 

「どうしたの?帰り道わからないならうちに泊まってく?」

 

「良いです!わたしもう死ぬので…あっ」

 

空気が固まる。

 

「…うちに一回来なさい。話を聞きたいから」

 

「いやなんでもないです!」

 

「死ぬって言ってなんでもないわけないでしょ!時間も遅いし、せめて朝までは居て!」

 

「あぅ…」

 

幼女は思った、めんどくさい相手に捕まってしまったと。

 


 

「嫌いな食べ物ある?」

 

「ないですけどご飯までは…」

 

そう話す彼女のお腹がきゅるると鳴る。

 

「一回ご飯食べてから考え直そう?今作るから」

 

そう言ってチェストから牛肉を2枚、ビートルートにジャガイモ、にんじんを取り出す。

牛肉をかまどに並べ、野菜を食べやすい大きさに角切りする。

 

角切りにした野菜をその日出汁を取っていた鍋に入れ、適当にシチュールーも入れ、かまどの上に乗せて煮込む。

 

「できるまでお茶でも飲んでて」

 

コトリとコップが置かれ、そこに麦茶を注ぐ。

 

「…ありがとうございます」

 

「そういえばなんでここに来たの?」

 

「あんまり人が居なさそうかなと思って…」

 

「まあ確かにこの辺りは僕くらいしか居ないからね。殆ど畑」

 

「それで良い場所を探していたら茎で転んで気が付いたら身動きが取れなくなって…」

 

「そっかぁ。でーなんで死のうとしてたの?」

 

「随分軽く聞きますね!?」

 

「まあ渋ってても仕方ないからね。それで理由教えてー」

 

「えっと…それは…」

 

彼女はばつが悪いような顔をすると、ぽつぽつと語り始めた。

 

「私、誰かと居るとその人と比べちゃって…それで1人でもなにもできないし…それで自分ほんとに求められるような人なのかがわからなくなっちゃったんです。生きる意味がわからなくてそれで…」

 

「んー…そういうものなのかなぁ」

 

「?」

 

「いやこっちの話、気にしないで。…とりあえずご飯食べよっか」

 

お皿を2枚、ボウルを2つ、パンを2つ取り出してステーキとパンをそれぞれのお皿の上に乗せる。

ボウルにシチューをたっぷりと注ぐ。

 

それらを全てテーブルに置いていき、食器を並べた。

 

「わ、たくさん…食べ切れるかな」

 

「おかわりもできるよー。残しても僕が食べるから」

 

「「いただきます」」

 

幼女がスプーンを手に取り、ビートルートシチューを口に入れる。

 

「…ぁ」

 

一口、また一口とシチューを食べる。

三口ほど食べた頃だろうか、涙が目元に浮かび始める。

 

「んー?泣いてるよ、大丈夫?」

 

「これ…食べるとなんだかお母さんのことを思い出して…」

 

ポロポロと涙が溢れて、雫が床へ落ちていく。

 

「…そっかー」

 

「…私、もう少し頑張ってみます。自分の居場所、探してみようと思います」

 

それを聞いて彼はニッコリと笑った。

 

「そっかぁ…そうだ!じゃあうちで働いてみない?」

 

「…ん?」

 

「だから、うちで働いてみないかって」

 

「どこから動線引いたらそんな話になります???」

 

大量のクエスチョンマークを浮かべる彼女に対して、キョトンと首をかしげる。

 

「良い案だと思ったんだけど…ダメかな」

 

「いやまあダメじゃないですけど」

 

「じゃあ働く?」

 

彼がそう聴くと彼女は諦めたようにため息を吐く。

 

「まあ…行くあてもないので、お願いしますかね」

 

「やったね。明日から仕事教えていくから」

 

「はい、迷惑かけないように頑張ります!」

 

「そうだ、まだ自己紹介してなかったね」

 

コホンと咳をして、彼は自分の名前を言った。

 

「僕の名前は星空ゆう。よろしくね」

 

「私はるふです。よろしくお願いします」

 

こうして2人は出会った。

そしてこの2人には冒険の運命が待ち構えていた__




おまけ

「美味しいけど…食べきれない!」

「( ᐛ)」

どうも星空ゆうこと最弱です。
あーん?自分を主人公にして創作すんな?
そんなこと言われても…ダークマターに取り憑かれてしまえばいいのに(ぉぃ

まあこの先もいろいろ考えてるので楽しめる人は続きを、楽しめない人はブラウザバックして貰えると。


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2.たたかいのおまつり

るふを雇用して、しばらくの時間が経った。

慣れないことも多くある中、少しずつ仕事を任せているけれど…。

 

「またダメだあ…」

 

「ゆっくりで良いよー」

 

なかなか上手くできないことが多いらしい。

羽根が生えてるから物を運ぶのが速いかと思ったらそうでもなかったり、じゃあ手が器用なのかもと思ったら目を離した隙にグルグル巻きになっていたり。

 

それを見て「ゆっくり出来ること増やして行こー」って言ってもどんどん自信喪失してしまうみたい。

自信喪失RTAでもしてるのかな?

良い記録が出たら是非教えて欲しいところだけど、そういう訳にもいかない。

 

「んー…なんか楽に出来る手はないかなー」

 

そんなことを考えながら畑に向かっていると、頭上を何かが通り過ぎる。

するとヒラヒラとビラが落ちてきた。

 

一枚どころでなく大量に。

 

「あっちょっゔぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!?!?」

 

大量のビラが畑へと降り注ぐ。

急に仕事を増やすハメになったがこのビラはいったいなんだろうか。

 

「あれはスポナーか…いったい誰のいたずらだ?」

 

ビラを1枚掴み、犯人を特定するべく内容に目を通す。

そこの内容を見て、大きく目を見開いた。

 

「これは…!良いこと思いついちゃった!」

 

ビラを持って走り出す…前に気付く。

 

「あ、ビラの片付けもしないと」

 


 

「___っていう感じなんだけどどうかな」

 

「バトルロイヤル?ですか…これまた唐突ですね」

 

差し出したビラの内容を説明すると困惑気味に返事が返ってきた。

 

ビラの内容は、バトルロイヤルを開催し、優勝した人物又はチームの願いをなんでも1人1つまで叶えるというもの。

 

「楽しそうじゃない?行こうよ!」

 

「えーっと、まあ主催さんがあのエヴリさんなので信憑性は充分とはいえ…」

 

「行かないの?」

 

「うっ…じゃあ行きますかね」

 

「やったね。来週の予定みたいだから特訓してから行かないとね」

 

こうして特訓が開始___

 


 

「特訓することなかったなぁ」

 

「まあTUSBerなんて普段から島攻略で戦いますからね」

 

___しなかった!!!

立ち回りの完成度は既に充分であり、少々のウォーミングアップと協力での立ち回りを固めるくらいで大したことはしなかったのである。

 

「それでこの近くに会場があるはずだけど…」

 

「…なんというか、それらしいものが見つかりませんね」

 

目的地に近付いてはいるものの、目的地と思わしき場所は見当たらない。

もっと目立つ物を想像していたのだが…。

 

そんなことを考えていると一枚の絵画が落ちているのが見えた。

 

「これは…職業島の絵画でしょうか。どうしてこんな場所に…」

 

「…もしかして!」

 

周囲を見渡し、適当な岩場に絵画を立てかける。

 

「想像通りなら…これが入り口だ!」

 

そういうと星空ゆうは絵画へと飛び込んだ。

るふを抱えて。

 

「あっ!ちょっとなんで確証がない状態で私までうわあああああ!!!」

 

ぶつかる!と思ったその時、2人は絵画へ吸い込まれるように消えていった。

 

そしてそんな2人を見る影が居た___

 

「なるほどな、あれが入り口だったわけだ。道理で見つからないはずだ」

 

2人に続くように槍を持ったその人物も絵画へと足を踏み入れたのだった。

 


 

「…衝撃が、来ない。よかったぁ…」

 

「やっぱりだ。思った通り会場が絵画に中にあったんだ」

 

「このっこのっ」

 

恨めしそうな顔でるふが星空ゆうを殴る。

 

「っとごめんごめん。なんか行けそうだったから行っちゃった」

 

言い訳はもちろん通らず、ジト目でるふがこちらを見つめる。

星空ゆうは仕方ないと諦めて奥へ進むことにした。

 

奥には既に多くのTUSBerが集まっていた。

屈強な男や如何にも魔法使いといった見た目の人、格闘家のような人物も居た。

なんだかやけに肌寒さを感じるような気がする…。

 

「るふ、大丈夫?寒くない?」

 

「あ、たしかに寒いですけど…うーんと」

 

「?そんなに寒くないならいっか」

 

そんな風に話をしていると、ふわりと誰かが空中に現れる。

 

紫色の帽子にマントのような物を羽織っている姿はまるで芸術品のようで。

 

「レディースアンドジェントルメン」

 

どこか妖しさを感じる風貌のその人物は、堂々と目の前に現れる。

 

「今大会…スターバトルにご参加頂きありがとうございます」

 

周囲には絵画が現れて、様々な情景を映し出す。

 

「ルールを説明しましょう」

 

説明されたルールは五つ。

 

一つ「全員が入り乱れて、広いフィールドで戦うバトルロイヤル」

 

二つ「原則アイテムは持ち込み禁止」

 

三つ「フィールド内の島を制圧してアイテムを手に入れる」

 

四つ「死亡判定になった時点で脱落」

 

そして五つ「能力を最大限活かして戦い、最後まで生き残る」

 

細かいルールを含めば他にもいろいろあるが大まかにまとめるとそういった説明だった。

 

「さて、質問はありますかないですねはい」

 

「ちゃんと聞いてくれない!?!?」

 

抗議の声を無視して絵画がこちらを囲む。

 

「あー…これは」

 

「TUSBerですし、準備くらい既にできてますよね?」

 

「わっ!?」

 

飛んできた絵画を避ける。

何人かは避けきれずに絵画の中へ消えていった。

そしてTUSBerを飲み込んだ絵画は消えてしまった。

 

「…るふ!捕まって!」

 

「は、はい!」

 

右へ左へと絵画を避けていく。

どうやら絵画毎に初期地点が変わるようで良い位置を選ぶ必要がありそうだ。

 

「っとっとっと!」

 

軽い身のこなしで絵画を吟味しつつ避けていく。

どれにしようか…と悩んでいると。ツルッ

 

「…あっ」

 

「へっ?」

 

絵画を避けたは良いものの、足を滑らせて大穴に落ちてしまった。

「ブラジル↓」と書かれた看板が視界に入る。

 

「いやー初期スポーンかぁ」

 

「もっと良い位置あったはずですよねえええええ!?!?!?」

 

こうして僕らは2人まとめて真っ逆さまに落ちていった。

 

しばらくの間その場所にはTUSBer達が耐久していたものの、長い時間が掛かってようやく全員が絵画へと入っていった。

そこへ1人の影が迫る。

 

「…あれ、遅かったですね」

 

「どうやらハジまったヨウだな___エヴリ」

 

「はい。そちらはなにか?」

 

「…ホントウにヨかったノカ?」

 

「まあ…その方が面白そうでしたし」

 

「…ヤハリTUSBerというジンシュはリカイしきレん」

 

「ふふっ、これから楽しくなりそうですね___」

 

それぞれの思惑が交差し、バトルロイヤルがついに始まる。




おまけ
「あっ、あれはエ“ブ”リさん!」

「あ゛あ゛ん?」

「えっ」

「エ“ヴ”リだ。お前は最初に殺してやる」

「あっ(死を覚悟した顔)」

今回はいかがでしたでしょうか。
プロローグが終わりいよいよ本編に入ります。
怪しい人物やそれぞれの思惑、是非お楽しみください。


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